くにさくロゴ
1972/04/03 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 法務委員会 第5号
姉妹サイト
 
1972/04/03 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 法務委員会 第5号

#1
第071回国会 法務委員会 第5号
昭和四十八年四月三日(火曜日)
   午前十時十一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     鶴園 哲夫君     鈴木  強君
 四月三日
    辞任         補欠選任
     木島 義夫君     梶木 又三君
     小枝 一雄君     中村 禎二君
     野坂 参三君     塚田 大願君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原田  立君
    理 事
                後藤 義隆君
                原 文兵衛君
                佐々木静子君
                白木義一郎君
    委 員
                梶木 又三君
                鈴木 省吾君
                中西 一郎君
                中村 禎二君
                吉武 恵市君
                加瀬  完君
                鈴木  強君
                竹田 現照君
                塚田 大願君
   国務大臣
       法 務 大 臣  田中伊三次君
   政府委員
       法務大臣官房長  香川 保一君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  味村  治君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総長       安村 和雄君
       最高裁判所事務
       総局総務局長   田宮 重男君
       最高裁判所事務
       総局人事局長   矢口 洪一君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   大内 恒夫君
       最高裁判所事務
       総局民事局長   西村 宏一君
       最高裁判所事務
       総局家庭局長   裾分 一立君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        二見 次夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(原田立君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について報告いたします。
 去る三月三十一日、鶴園哲夫君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。
 また、本日、野坂参三君が委員を辞任され、その補欠として塚田大願君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(原田立君) 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○鈴木強君 法務大臣に最初に一つだけ確認をしておきたいことがあるんですが、わが国の憲法は立法、司法、行政、三権分立の立場を厳粛にきめておりますね。それで、そういう立場に立って、法案の提案権というものについては、これは憲法上内閣と国会が持っていると思いますね。そういう関係で、三権分立にかかわらず、いわゆる裁判所関係の法案というものは法務大臣が責任を持って国会に提案をしてくる、こういう手続的なことになっていると思うんです。
 そこで、そういう立場に立てば、われわれがこの法律案、いま提案された法律案についても、すべて法務省に対して、法務大臣に対して質疑をし、それに対して法務省は全責任を持ってこれに答弁をする、こういうたてまえになるわけですね。したがって、国会法七十二条にいう最高裁判所の長官もしくはその代理者が要求をして、委員会が議決をし、委員会が議決したときに限って、裁判所の長官ないしその代理者はその委員会に出て発言をすることができる、こういうことになっているわけですね。本来全部法務省、大臣がお答えいただくなれば、その人たちはいなくてもいいわけでしょう。そういうたてまえでしょう。その点はどうですか。
#5
○国務大臣(田中伊三次君) 仰せのとおりに、でき上がりました法案の実施は裁判所がおやりになることになるわけでございますが、法務並びに司法制度に関しまする法案の取り扱いは、法務省設置法によりまして、私のほうでこれを取り扱うということになっております。
 どうしてそういうことになっておるのかと申しますと、国会に提出いたしました法案につきましては、政府に国会に対する責任があるのでございまして、勢い、法務省設置法においてこれは法務省が担当するということに規定をされておるものと承知をしております。そういう事情でございます。
#6
○鈴木強君 ですから、私がちょっと矛盾に感じたのは、そういう立場で、立法の作業は最高裁判所がおやりになるんでしょうね、実際には。そして憲法との関係で国会への提案権というのはないわけですから、提案権は法務大臣が便宜かわってやるというような形だと思うんですよ。しかし、われわれの立場からすれば、提案権が、提案者が内閣であり、法務大臣がその衝に当たるとすれば、すべての質疑はあなたにやればいいわけですよ、これは。ですから、この国会法七十二条というものは、一般の政府委員や会計検査院あるいは検査官というのは、われわれがここで議決をして、出席を要求することができるわけですよ、ここへ。そしてその方に具体的に質疑ができるわけなんだが、この裁判所の場合は、七十二条を見ると、長官またはその代理者は、要求によって、――だからそちらのほうの、裁判所の要求によって出席をすることをこちらに申し出るわけですね。で、委員会が承認したときに、出てやれると、こういうことになっておるわけです。それは三権分立の立場を考えての法律だと思いますがね。しかし、われわれの立場からすれば、すべてがあなたにわかれば、それはそれでいいですよ。しかし、わからなければ、結局、あなたのほうでは、だれかを連れてきて答弁させるという便宜的な措置をとるですね。あなたのほうはそれでいいんだが、われわれのほうからすれば、わからぬから、それじゃ最高裁判所の長官なりあるいはその代理者に対して、出てきてもらいたいということがここで議決できない、できないというそのワンサイドの、われわれの面から見ると不利な点があるわけですよ。だから、この条文のたてまえからいえば、もう全部法務大臣に、法務省に質問をして、大臣が答えるというその筋でいかなきゃおかしいんです。そうでないとこの法律は成り立たない。だから、それだけの準備がありますか。それなら、もう私は、きょうは最高裁判所の方にはいいですよ、あなたに全部質問しますからね。そうでしょう、法律のたてまえからいえば。それは間違っていないでしょう。
#7
○国務大臣(田中伊三次君) たてまえは、先生お説のとおりでございます。ございますが、この法案を立案をいたします立案の過程においては、でき上がりました法案、この法律は裁判所が実施されるのでございますから、したがって、この立案過程におきましても裁判所と緊密な連絡をとりまして、いわば共同作業をいたしましてこの法案をつくり上げておりますような関係がございますことと、でき上がったものは裁判所が実施に当たられるということになりますので、御質疑の重要な点につきましては、裁判所に出ていただいて、御質問を受ける、御答弁を申し上げるということが従来の慣例にもなっておるようでございます。
#8
○鈴木強君 まあ従来の慣例もそうなっておるようだし、また衆議院のほうでは、その委員会ごとに議決をして、そして御出席をいただいておるようですね。参議院の場合には、おそらくこの会期中、そういう必要のときには出ていただくという、そういうことがおそらく慣例としてなっておるんだと思います。ですから私は、そういうことをなぜ言うかというと、やっぱり何と言おうと提案権というものが政府にある限りにおいては、その国会における質疑はその提案者が受けて立つのが筋であって、それは便宜的に、詳細にわたってわからぬ点を説明員的な立場でやる場合もありますけれどもね、あくまで原則はそうだと思うんですよね。そこで、そんならわれわれが必要があったら出ていただけるようになっているかというと、なっていない。そこにちょっと矛盾を感じたものですからね。だから、原則論に立って私はきょうは質疑をいたしますが、あんまり裁判所のほうにばかり答えさせるようなことのないようにしてもらわないと困りますよ。まあ、これは手続的なことですから、これ以上時間を費やしたくないから次に進みます。
 それで、この定員法の内容についても、私も勉強をさしていただきましたが、何人ふやすとかなんとかということは、これは一つの要員算定基準というものがありまして、それに基づいて、取り扱い量の増に伴って人をふやすという、そういうことは一つものさしがあってのことだと思いますから、それはまたあとで伺いますが、いずれにしても、裁判官の場合でも、あるいはそれ以外の事務職員の方々の場合でも、いただいた資料を見ると、相当欠員もあるようでございますね。したがって、裁判官の身分なりあるいはその待遇なり、社会的な地位なり、そういうものを一体どうするか。あるいは事務職員についてもそういう点をどうするかということをやっぱり基本的に据えて考えませんと、私は、特に裁判官の場合には、あとからいろいろとお伺いしますけれども、魅力ある職業として、そしてみなが喜んでそこへ行くというような姿勢になってないと思うんですよ。それはなぜかということです。ここいらを少し根本的に掘り下げておかないと、いきなり条文に入ってみても私は意味がないというふうに感じました。ですから、少し前段の問題として大臣に伺いたいのですけれども、最近、ことしの二月十九日でございますが、田中二郎最高裁の判事が、御定年の七十歳までにはあと三年五カ月間を残しておりますが、この田中二郎判事が辞表を出しておられる。辞表を出された理由というものが何かというと、これは最高裁の事務総長を通じて報道関係者に明らかにされたというところでありますが、これを見ると、田中さんはやめたあと一学究として年来考えてきたことを一生の仕事としてまとめ、書き残したい、年齢的関係から定年を待つことなく、その仕事に専念することにした、また最高裁の裁判官は比較的若い方を含む各年代層で構成されるべきで、そのために定年を待つことなく、清新の気を吹き込むことが望ましい、その慣行ができるきっかけとなるように期待したい、云々と、こういうふうに述べておられます。これには、田中さんは長いこと司法の面でりっぱな成績をおさめていただき、みなから信頼されておった方だと思いますが、その方が定年を待たずしてやめる心境の一端をここに披瀝されていると思いますが、私は、特にこの中で、最高裁の裁判官は比較的若い方を含む各年代層で構成されるべきであるという御所信を貫かれており、そのことが一つの私のやめることが慣行になることのきっかけにしたい、こういう御所見がある。これには非常にわれわれ傾聴すべき点がこの中にひそんでいると思うんです。
 それからもう一つは、一昨年の春、例の判事補から判事への再任を拒否された宮本判事補のことです。これなども、ことしになりまして、三月十四日に退任願いを出しております。宮本さんは、御承知のとおり判事補に任官されたあと三年後に簡易裁判所の判事の資格を取っておりましたから、判事補から判事への再任を拒否されましたけれども、引き続いて簡易裁判所の判事としてお残りになって、熊本簡裁でお仕事をされておったわけです。宮本さんの任期は四十九年四月初めなんですけれども、おやめになった。そして宮本さんの場合には、かなり新聞記者に対しても所信を述べておられます。これは時間の関係がありますからそう長く読めないのですけれども、たとえば辞任の理由としてこう述べられております。
 一つは、「一昨年再任拒否されたときに簡裁判事としてとどまったのは、こんご再び再任拒否者が出ることを許さないための歯止になろうと考えたからだ。昨春は再任拒否がなかったが、金野俊雄名古屋地・家裁判事補が再任要求を撤回するなど、再任拒否阻止の目的をはっきり達したとはいえなかった。しかし、今年も全員再任されたことで、今後も相当長期にわたって、最高裁が再任拒否できない歯止はできた。歯どめになるという当初の目的がほぼ達成でき、簡裁にとどまっている必要がなくなった」
 二つ目に、「私の再任の希望は、現在にいたっても納得いく理由なしにかなえられていない。これは最高裁の姿勢が変っていないことの表れだ。最高裁の姿勢を変えさせるためには、簡裁判事にとどまることだけでは困難で、違った方面からの努力が必要だ。この際裁判所のワクを離れ、一市民の立場から国民的な運動の中で再任実現の努力をしたほうがよいと判断した」、この二つの理由で私は任半ばにしてやめるのだ、こういう発表をしております。
 これらの問題はわが国司法界にとって重大なことだと私は思うのですけれども、一方では、どうも日本の裁判というのは審理に非常に時間が多くかかり過ぎる、もっと迅速的確な、公正な裁判が早く出せないであろうかというような国民の期待もあるわけです。そういうこともあり、これもあり、いまやわが国司法界に対する信、不信ということの問題になれば、やはりそういう面からの批判というものがある。また信頼をなくするようなこういう事件が起きていることも、これも事実だと思うのですよ。
 この際、法務大臣としては、裁判の三権分立の立場があるわけですから、それにひっかかるようなことを私は聞こうとは思っておりません。司法行政の中であなたがやる立場はあるわけですから、そういう面で、特に裁判官の任命は内閣がやっておられますからして、そういう意味において大臣の御所信というものを私は聞きたい。どうしたらいろいろな国民の不信をなくして、ほんとうに法の番人として心から国民から信頼されるような裁判所構成というものができるかということですよ。
#9
○国務大臣(田中伊三次君) 私からお答え申し上げられる限度で御答弁を申し上げますと、まず、ただいまお話をいただきました一番大事な人事の問題でございます。これは申し上げるまでもなく、まず最高裁判所の人事でございますが、このうち長官の人事につきましては、内閣の指名によって天皇が御任命になるということ、それからそれ以外の裁判所につきましては、内閣がこれを任命する、それから一般の下級裁判所におきましては、裁判所から御指名をいただきまして、この御指名をいただきましたものを、いいとか悪いとかいうことは申しませんで、御指名のとおり、一覧表のとおり、書類による申請のとおりを一つの例外もなくそのまま形のごとく任命をする、これが、やはり先生仰せの司法行政は非常に大事なものでありますので、司法上の人事につきましては裁判所の御意向を尊重して、これに対しては一言も異論は言わぬのだ、こういう態度で提出された一覧表のとおり任命をしておるという事情でございますが、いまおことばの趣旨を承りまして私が考えますことは、それぞれの上下の裁判官につきましては、できるだけ裁判所において御腐心をいただきまして、できるだけ適任者を任命できますように御配慮をいただきたい、特に御留意をいただきたいという念願と期待を持っておるのでございます。
#10
○鈴木強君 これは裁判所のほうからお答えをいただかなきゃならないと思うのですが、一つは、私は裁判官の待遇の問題があると思いますね、裁判官の。いま給与がいいか悪いかということも、それは論議していくといいと思います。われわれは、やはり裁判官というものに対して国民の信頼をふやすことでしょう。そして、裁判官はまずそういう厳粛な立場に立って、法の番人である一人の個人として国家秩序を確立していくという――法律はもう万人が平等に守っていくという立場において、違法者があれば厳粛に指弾していく、最後の判定を下す方であるから、それだけに地位も高くなければならないし、すぐれた待遇も私は与えるべきだと思う。と同時に身分的な問題についても、御承知のように十年たつと再任の手続をとらなきゃならないというようなこともありまして、しかもこれは十三期の宮本さんの場合なんかが一つの例になると思うんですけど、六十四人のうちでただ一人その再任を拒否されたということがたいへんこれは物議をかもしましたね、実際に。しかもそれが青法協の会員であったというような客観的な判断もできる。しかも、なぜ私は再任を拒否されたかということに対して、幾ら聞いても教えない、人事の秘密だと言って一切口をつぐんで言わない。そういうところに、裁判官になる人たちが一つの不安を覚えるんじゃないでしょうかね。司法修習生として研修所を卒業され、判事補に任官され、十年たって判事になって、その際には、いいか悪いか適格の厳粛な再任というところに一つの節があるわけですね。その節を越えるか越えられないか、これはまた非常に一つの不安でしょうね。あっちゃならぬことですけど、こういうふうな事件がたまたま出てきますと、やっぱり裁判官の身分というものに対する不安は非常に強く感ずるんじゃないかと私は思うんです。
 そういうところに、どうも裁判官に司法修習生の中からなり手が少ないという現実になってあらわれているんじゃないでしょうか。ですから、これは宮本さんの場合にはあってはならないことがあったんだけど、こういうことが再び私はなされるとは思いませんが、研修所を卒業されて、りっぱに法律も勉強され、社会的な知識も持たれて、だれが見ても法の審判として任官をし、その道へ一生をささげようとする方なんですからね。特に破廉恥行為があったとか法律の違反があったとか、そういうことがあればこれは別ですよ、できないけど、思想信条の自由というものは許されているはずなんだね。ところが、それを何か問題にして再任が拒否されるというようなことになりますと、これはそういう面の不安というものは私は何と言おうとぬぐい切れないものがある。だから私は、あなたはどういう理由で再任できないんですということを明確にすべきであるし、それによって本人が納得すればそれは問題ない。何にもしないからいろんな揣摩憶測が出てくる、納得できないということでですね。裁判官として将来一生をささげてやろうという、その若き青年の将来に対する考えというものが途中で打ち砕かれてしまう、そういう人たちの立場に立ってみたら一体どうなる、そこに私は問題があると思う。
 だから、そういう点を十分に配慮してやらなければ、幾らその定員をふやしてみたって、なり手がなかったらどうにもならぬじゃないですか。いまの自衛隊と同じですよ。三万人も欠員があってどうにもならぬ、それなのに人をふやそうという、そういう現実と離れたようなことをやっている。裁判官の場合もそうですよ。欠員がたくさんある。ところが人をふやしてみたって、これはどうなるんですか。そこいらはひとつ、内閣のほうはまあさっき大臣おっしゃったように、下級裁判所なんかの場合には、最高裁会議できめたその名簿に従って、これをただ、それこそ法案を提案すると同じようなもので、そのまま判こを押すということであって――それはそうでしょう、任命権というものは最終的には内閣にあるんでしょうけれども、手続的にはそうなっているわけですね。だから、そこらの問題も含めて、最高裁のほうでこれはちゃんとした姿勢をとってもらわなければ私はいけないと思いますから、その点をお答え願いたいのです。
#11
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいま、裁判官の身分保障ということと関連いたしまして、非常に御理解あるおことばをいただきまして恐縮でございます。裁判官の職責の重要性という観点からいたしまして、当然身分保障が憲法、裁判所法に規定されておるわけでございます。おっしゃいますように、安んじて裁判官が裁判に専念できるようにするのが本来のものであるわけでございます。任期の問題がございますが、実は戦前の裁判官につきましては、そういう意味では終身官であったわけでございます。戦後、違憲立法審査権等重要な権限が裁判官に付与されました。そのこととのバランスと申しますか、そういうこと、及び御承知のように、できるだけ裁判官は、やはり検事でございますとか、在野法曹でございますとか、そういった経験者から採りたいといういわゆる法曹一元的な考え方、そういったものがございましたこととの関連におきまして、裁判官に任期が設けられたわけであります。
 御指摘の宮本裁判官の場合、これは十年の判事補の期間が終了いたしまして、判事任命の資格を取得するという段階で、判事に任命すべき者とされる名簿に登載されなかったという不幸な事件であったわけでございます。しかし、私どもこの裁判官の任用に関係いたしております者といたしましては、できるだけ有為な方に、優秀な方に長らくその職にとどまって裁判官のお仕事を続けていただきたい、また、外部からもできるだけ多数のりっぱな方が裁判官におなりいただきたいということは念願いたしておるわけでございます。
 裁判官の定員にある程度の欠員がございますけれども、これは、御承知のように、春の修習生の終了、あるいはそれと関連いたします判事補から判事への任命というような時期に大量に穴を埋めるわけでございますが、戦後は在野法曹等からの御任官がなかなかいただけませんので、定年でおやめになる方、あるいは都合によって御退職になる方、そういった方が徐々にふえてまいりまして、一月あるいは三月ということになりますと相当数の欠員にならざるを得ないという状況を毎年繰り返しておる次第でございます。そういうことでございまして、裁判官の充員ということにつきましては、その職責の重要性ということを十分考えまして、ただいま御指摘のような観点から、できるだけりっぱな方に多数おいでいただきたいということを念願して、日夜そういう仕事をいたしておるという状況であるわけでございます。
#12
○鈴木強君 裁判官の訴追の問題等については、その裁判官が「職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠ったとき。」「その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。」、こういう場合は、別途裁判官弾劾裁判所というものがありまして、そこで指弾を受けるわけでして、任命の問題になりますと、やはり身分の保障と言いますかね、戦前の旧憲法の終身官であったというような、そこにある意味があると思うのですよ。ですから、新しい時代に即応する新憲法があるわけですから、それによって十年間の任期ということがありまして、それで再任されるということがたてまえですから――これは憲法を私も認める立場に立つわけです。しかし、それは考え方はやはり裁判官は終身官であるという思想に立っていると思うのです。ですから、宮本さんの例というのはまれな例であって、再びこんなことがあっちゃならぬと思うのですよ。率直に言って。これはもう当時非常に各界からも批判が出、皆さんのほうでは無視してかかるということで、サザエのつぼみたいな中に入っちゃった事態もありましたけれども、ここで私はまた蒸し返そうとはしないのだけれども、そういう問題があるだけに、特にこの裁判官登用への道ですね、それをまた志そうとする若き将来をになう法曹界の人たち、特に裁判関係に進もうとする人たちに対して、かなりの不安を与えていることは事実でしょう。ですから、そういうようなものをぬぐうようなことがはっきり出なきゃいけないじゃないですか。もうこれは再びあっちゃならぬことでしょう。どうですか、こういうことは。
#13
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) ただいまも申し上げましたように、裁判官が十年からの任期を終えまして判事に任命される際、あるいは判事になりまして十年あるいは二十年というときのいわゆる再任の際にあたりまして、場合によって希望しながら名簿に登載されないことがあり得るということは、私どもはやはり、先ほど申しましたような運用の心がまえということは別といたしまして、これは理論的にはあり得る場合があると申し上げざるを得ないのではないかと考えております。御承知のように、十年の任期と申しますのは、結局は人事の停滞を防ぐ場合、あるいは独善と沈滞を防ぐというようなものとして考えられておるということも御案内のとおりでございまして、非常に健康にすぐれていないような方、あるいは十年間の期間を見てみまして、やはり裁判官としてふさわしくない方もあり得るわけでございます。で、そういう場合に、やはりそういった方、不適当な方がありますれば、これを排除するということが、やはり裁判所が国民の権利義務ということに関しまして重要な職責を果たしておるという観点から見てみましても、これは国民に申しわけがないわけでございます。そういった方がおありになるならば、これは任期終了の際にこれを再任名簿に登載しないということもあり得るわけでございますし、そういうことを命じておりますのがやはりこの任期に関する規定ではなかろうかというふうに考えております。しかし、実際の運用の問題といたしましては、ただいま御指摘もございましたような、裁判官に若くして希望された方は、おそらく定年に達するまで裁判官の仕事を続けていきたいというお気持ちを持っておられるであろうということは十分承知いたしておるわけでございまして、また、長らくとどまって裁判官としての職責を果たしていただきたいということも念願しておるところでございます。実際の運用の問題といたしましては、この任期制というものにつきましては十分の上にも十分に慎重に御検討をいただいて運用していただくということをお願いするわけでございます。
#14
○鈴木強君 矢口さんね、一般論として立法の精神をあなたは言っておるわけです。だからそのことを私は否定しない。肯定しますよ。ただ宮本さんのような例ということを言うのは、少なくともあなた方がどういう理由で名簿に再び登載しなかったかということに対する理由すら言えないじゃないですか。言ってないでしょう。健康が悪くて裁判官の職務のつとまらない人を何も再任しろということを私は言っているわけでも何でもないのです。少なくとも最高裁が当時青法協というものは一つの色彩を持った団体というふうに見たことは事実でしょう。しかも会員であった宮本さんが拒否されたというその因果関係なんですよ。だから私は、そういうふうな世間に対して、少なくとも国民に対して、どういうわけでこの再任を拒否したかということの理由すら述べられないような、そんなへたなことやってくれるなということですよ。そんなばかなことはないですよ。堂々と言ったらいいじゃないですか。あなたは裁判官として不適格である。これこれこういう理由で不適格ですと言ったらいいじゃないですか。その説明が、国会でやられてもどこへ行っても言えないじゃないですか。だから疑問を残すんですよ。だからこんなばかな、世間に対して――まあそれは人事の秘密ということもありますけれども、切られるほうから見れば、これは自分の首を切られるわけですから、命を断たれるのと同じことですよ。そういうことをやるのに何ら理由が開示できないような、そんな、私は再任拒否なんということが再びあっちゃいかぬということを言っているんですよ。その点の考え方はわかるでしょう、実際問題の中で。ですから、私はその分だけをまあ宮本さんという表現で申し上げたんですから、そういうことは今後再び繰り返していただきたくないと、そういうことを言っているんです。これは肯定しなきゃおかしいですよ。
#15
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 特定の裁判官の思想、信条、あるいは特定団体加入ということによって再任問題を云々するということは今後もいたさないということは、はっきり申し上げられるかと思います。
#16
○鈴木強君 時間があれですから、そのお答えで一応今後の再任の際の最高裁判所の態度をわれわれは十分に見守っていきたいと思います。
 それで、最初にもちょっと私申し上げましたが、どうも資料を拝見しましても、日本の裁判のしかたというのはちょっと時間がかかり過ぎているように、私、しろうとですから感ずるのですけれども、たとえば四十四年から四十六年までの資料しかいただけないのですけれども、「高裁・地裁・簡裁の民事・刑事訴訟既済事件の平均審理期間」というのがございまして、高裁の場合ですと、民事が四十四年に一七・一カ月のものが四十六年には一八カ月になっているということですね。それから刑事のほうが若干四十四、四十五年よりもいいようですね。それから地裁になりますと、民事が昭和四十四年一一・六カ月のものが昭和四十六年には一五カ月になっている。それから刑事の場合は、やはり六カ月、六・四カ月、六・五カ月とやはりふえていますですね。それから簡裁になりますと、若干これが早まっておりますね。昭和四十四年民事五・二カ月が四十六年四・四カ月になっています。刑事が三・五カ月が三・五カ月ということでございますが、これはそれぞれの各級裁判所における平均審理期間でございましょうから、第一審から最高裁までの間には何十年かかっているか知りませんけれども、そういう例が幾つもあると思うのです。ですから、何とかしてこれを早めていただくことが必要ではないかと思うのですけれども、とりあえずどうですか、諸外国に比べて日本の平均審理期間というのは長いのか短かいのか、その点をひとつ教えていただきたい。
#17
○国務大臣(田中伊三次君) 裁判の促進と裁判官の数、検事の数というようなものがたいへん重要な関係にあると思われるわけですが、先生お説の数字にも出ておりますように、大体ここ十年前後をちょっと考えてみますと、十年前、昭和三十六年の刑事事件をとってみますというと、二十八万件前後の事件があったようでございます。ところが十年を経過いたしました四十六年、いまからいうと一昨年になりますが、これは五十六万件くらいの事件になっておる。二十八万に対して五十六万というと、ちょうど倍の事件数になっておりますですね。ところが裁判官はどういう頭数であるかと申しますと、十年前は二千四百人であられたものが二千六百人にしかなっていない。一割ちょっとの増で、検事は千七百人前後のものでありましたものが千九百人前後に十年後の一昨年にはなっておる、これも一割ちょっと。事件は倍にふえている。裁判官はじめ検事の増員は一割ちょっと、ここに根本的に訴訟が遅延する原因がどうもあるように私は思うのであります。しかし、にもかかわらず、いま先生が一部の統計をお読みになりましたことでもわかりますように、訴訟の遅延、訴訟の遅延と、こう世間で仰せになるのですけれども、実際はどうかというと、そうおしかりを受けるほど一般事件は遅延はしていないのですね。どうしてそんなに遅延していないのかと申しますと、最近の刑事事件の行き方を見ますと、たとえば刑事事件で申しますと、一審は、平均にいたしまして、これは全国平均でございますが、全事件を平均いたしまして、一審は大体六カ月余り、二審も六カ月ちょっと、三審も六カ月ちょっと、たいへん順調とも言えぬかもしれませんが、まあ事件が倍になって頭数が一割しかふえていないということから申しますと、よく勉強をしてやっておるように思うのでございます。それから民事事件について申しましても、一審は、民事事件は一年ちょっとでできておる。二審は平均一年半少しで審理が終わっておる。それで、民事の三審は大体八カ月ちょっとというようなところで審理が終了しておるというのでございますから、民事、刑事をめぐる一般事件というものから申しますと、そうおしかりを受ける遅延はないのではなかろうか。
 遅延をいたしておりまして、たいへん新聞、ラジオ、テレビで目立っておりますのは、集団的な、複雑性を持った大型事件でございます。これはなかなか時間がかかる。しかし、これは裁判官の責任、検事の責任というものとは違います点は、そういうこともないとは申せませんけれども、事件そのものに複雑性がある。たとえば立証段階一つとりましても、なかなか複雑多岐にわたる立証をしていかなければならぬ、証拠方法もめんどうである、こういうようなことから考えてみまして、意外な時間のかかっております大型な集団事件が目立つわけです。
 こういうものをどういうふうにして促進をしていくのかと申しますと、やっぱりこれは何と申しましても、裁判長の訴訟指揮にまかせておいてそれでよいんだというわけにはまいりませんので、私のほうの責任から申しますと、やはり検事がこれに対して心より協力をして、裁判長の指揮に協力をしていくという態度をとると同時に、やはり民間におられる弁護士の諸君もこれに心より協力をしていただくという、訴訟関係者の協力体制というものができ上がりませんと、複雑な大型事件というものの訴訟の促進ということは言うべくしてなかなか行なわれがたい、申しわけのない結果になるのでございます。ものによりましては、事件が長過ぎるから免訴の判決をする、無罪につながる免訴などという判決が最近行なわれて世論を呼んでおるような事態まで起こるのでございます、これに近いものが名古屋にも一つございます。非常に困ったことでございますが、これは訴訟関係者が心より協力をしまして、裁判長の指揮が効果のあるように努力をしていく以外にない、こういうふうに実は反省をしておるのでございます。
#18
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 訴訟の処理状況は、ただいま法務大臣からお述べになったとおりで、特につけ加えるところはございません。ただ、ただいま御質問のありました諸外国との比較の点でございますが、私どもの調べによりますと、たとえば米国の裁判所では、民事事件の平均審理期間が四年をこえるところが多数あるようでございます。いろいろな州がありますけれども、期間が相当程度かかっている裁判所もかなりあるようでございます。また西ドイツにおきましても、一年以内に処理される民事事件は約六〇%でございまして、わが国の訴訟遅延の状況が諸外国のそれに比べて特に著しいところは……少なくともこうした統計資料上はそのように見えるのでございます。
 以上でございます。
#19
○鈴木強君 まあ大臣は、次に私の聞こうとすることを先に答えてしまったのですが、いまのあんたは諸外国の例を引用されたんですけれども、アメリカと西ドイツの例ですね、これじゃやっぱりわれわれも納得できないのですよ。だからもっと詳細な資料がほしいのです。あなたのほうでは、どっちかというと都合のいい資料を出すかもしれませんしね。だからもう少し欧米の諸外国の、ひとつ具体的に、向こうの裁判制度というものといろいろ違っている点もあるでしょうから、各級裁判所における民事、刑事の実際の平均審理期間というものがどうなっているのかということをもっと教えてください。これじゃ、私は比較ができない。四年をこえるものがある――これは州の場合もあるでしょうしね、これはわからないから。一年以内が六〇%ということは、西ドイツの場合ですね、ほかの国はどうなっているかわからない。
#20
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) ただいまのところ先ほど申し上げた以外にちょっと資料はございませんので、そういうような点につきましても早急に検討を加えて調査をしなければいけないというふうに考えております。
#21
○鈴木強君 だから、少なくとも国会に法案を提案して、われわれの質問に答えられないようじゃ困るんですよ。もう少しあんた、諸外国の例といったら、アメリカの四年をこえるものがありますというような、相当長いですとか、西ドイツは一年以内で六%です、そんなことじゃだめですよ。そんなものですか。もう少し、いまここで手持ちにないというんでしょう、あんた。そこにないのであって、それはちゃんと調べているんでしょう、そんならそういうふうにして、いまここで間に合わなければ後刻資料を出すとか、そういうことにしてもらわないと、来るまで待っていなければならない。そのくらいの勉強しているんでしょう、忙しいだろうけれども。
#22
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先ほどの説明がたいへん不十分で申しわけございませんが、西ドイツの第一審裁判所について見ますと、判決まで六カ月以上の期間を必要とした事件の割合、すなわちパーセントでございますが、一九五七年度では、簡裁が二四・七%、地裁が五二・三%、それから四年後の一九六一年度では、簡裁では二八・七%、地裁は五四・〇%、それから一九六五年では、簡裁は三二・七%、地裁は六二・一%、それから一九六七年では、簡裁は三四・三%、地裁は五七・〇%、一九六八年、一番最近のところでは、簡裁は三八・三%、地裁では六二・二%が、判決まで六カ月以上の期間を必要とした事件の割合ということになっております。
 それから米国の点につきましても、これは民事事件でございますので、答弁書の送達のときから公判開始までの期間――ちょっと制度が違いますので、向こうではわが国の裁判所と違いまして、訴状が出て答弁書が送達になると、直ちに裁判所が期日を開始するというようなことはございませんので、前の事件が片づくまで期日を指定しないというふうなやり方をやっておりますので、その期間が相当経過する事件がございます。そういうふうな関係で、その期間が二年間以上に及ぶ裁判所がかなりあるわけでございます。大体私のほうで調べましたのは十六カ所の裁判所でございますが、大体その平均を見ますと、四十カ月前後という数字になっております。
 以上でございまして、はなはだ申しわけございませんが、ただいまのところ米国の第一審裁判所並びに西ドイツの第一審の裁判所についてそういうふうな調べをしてございます。
 以上でございます。
#23
○鈴木強君 いまここへ持ってきている資料は、裁判所で研究された諸外国の例はそれだけしかないんですか。もっとほかの国のやつもあるんですか。ここへ持ってきてないというだけですか。その点、どうですか。
#24
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 現在持っていないということではございませんで、ただいまのところそういうふうな資料しかないということでございますが、わが国の裁判所の制度でございますが、これは御承知のように、明治のころにドイツの裁判制度をそのまま、と言っては語弊がありますが、ほぼドイツの制度に近いものを取り入れた制度でございます。戦後になりまして、アメリカのいわゆる英米法の訴訟手続というものを、これを受け入れたという関係がございますので、どうしても単に訴訟事件の処理ということだけではなくて、裁判制度その他につきましてもおおむね西ドイツ並びに米国等を参照してございますので、そうした関係から、こうした審理期間等につきましても、主としてドイツ及び米国の資料その他を調査しておるわけでございます。
#25
○鈴木強君 それでは、私の希望を申し上げますと、それはわが国の憲法がそういう経過をたどっていることは私も知っておりますから、その面に対する調査はしておった、これもよくわかります。しかしやはり、たとえばイギリスにしても、フランスにしても、イタリアにしても、そういう西欧諸国の中で比較的日本の国とレベルが同じような国、それから、アメリカはもちろんですけれども、カナダもそうでしょう。そういうふうな諸外国の例というものもひとつ勉強なさったらどうですか。そしてその国の憲法の仕組みというのは違うでしょうから、裁判所の仕組みも違うでしょうけれども、もしそれぞれの国で非常に能率的に、機動的にやれるような点でわが国がそれを導入することによって若干なりでも裁判のスピードアップができるということであれば、大いにそれは導入したらどうですか。そういうあらゆる努力をすることがあなた方に課せられた使命じゃないですか。だから、ここへこういう、何カ月かかります、何年かかりますという資料を出すからには、私は当然もっともっと広範囲な諸外国との比較というものを考えておられると思ったから質問したんですけれども、残念ながら調査をしてないと言うんですから、それじゃもう聞いたって答えは来ないわけですから、ひとつ早急にそういう点もお調べになって、次にまたこういう機会もあると思いますから、できるだけ、忙しいでしょうけれども、例をひとつ調べてもらって、資料としてでき上がったらわれわれにもひとついただきたい、こう思います。それはいいですね。
#26
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先ほど、これも舌足らずで非常に申しわけございませんが、米国と西ドイツの制度を、おもにこれを参照とし、またこれを調査研究しておるということを申したわけでございまして、もちろん、いま御指摘のように、訴訟制度というものにつきましては、各国いろいろ違うところはございますが、共通の基盤というものもございまして、特に戦後におきましては、イギリスの制度はもちろん昔からございますが、イタリアの制度、それから南米諸国の裁判制度といったようなものにつきましても非常に関心が持たれまして、むしろわが国にいろいろな点で近いのではないかというふうな学者の説もございまして、そういう点については、やはりあわせて目下調査もしくは研究等をしておるわけでございますが、ただ御指摘の審理期間の点だけに限って申し上げますと、現在のところ、そういうふうな程度までしか調べが進んでいないということでございますので、この点につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、もちろんわれわれとしても十分参照しなければならない点でございますので、今後研究を重ねて資料等を充実したいというふうに考えております。
#27
○鈴木強君 それで、大臣のお答えの中で、まあどうかすると、国民から日本の裁判の審理期間というのは長過ぎるというふうな批判もある、あとから、そうおくれてもいないということもおっしゃいましたけれども、しかし前段では、やはりその大きな原因は、根本原因はやっぱり裁判官の頭数が事件の増に伴ってふえていないということもあげられたわけですよ。これは、ただ単に裁判官だけではなくて、裁判官以外の裁判所の事務職員の方々の、裁判官の手となり足となって厳正公平な判決を下すためのアドバイザーというものがおるわけですね、アシスタントが。そういう意味においては、そういう方々の事務能力というものを上げることも必要でしょうし、同時に、適正な要員配置ということをすることも必要だと思うんですね。
 したがって、その点で若干、私は伺っておきたいんですけれども、まず一番問題になるのは判事さんでしょうね、裁判官でしょうが、裁判官に対する魅力がないのか、待遇が悪くて行かないのか、あるいは身分が不安定で行かないか知りませんが、志望者が非常に少ないということですよね。それで、私は、四十八年の二十五期の司法修習生が裁判官と検察官と弁護士その他への志望をどういうふうにしておったかということをちょっと調べてみましたが、この数字に間違いがないと思いますが、二十五期修了者は四百九十二名で、裁判官の志望者が六十九名、検察官が五十名、弁護士その他が実に三百七十三名と、圧倒的に弁護士への志望者が多い。これは、たいへん裁判官の定員を考え、裁判官の増員を考えるわれわれからとってみると、たいへん大事な点だと思うんでございますが、これは、なぜ裁判官の志望者が弁護士や何かに比べて少ないのか、この辺の分析はどうなさっておりますか。
#28
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘のように裁判官、検察官、弁護士各希望者の割合がなっておるわけでございますが、実は、私どもできるだけたくさんの裁判官に来ていただきたいということで、いかにして優秀な方に多数おいでいただけるかということで、率直に申し上げて、日夜苦心しておるという状況でございます。
 考えられますことは、最初修習生に入られるときに、まあこれはどこまで確定的なものであるかということは問題がないわけではございませんけれども、二年間の修習を終えた結果どういうふうになりたいと現在考えておられるかという調査をいたしました。その調査の際には、百数十名ぐらいやはり裁判官を希望したいというような数字が出てまいるわけで、これは大体例年そのようでございます。それが、二年間研修所の修習、それから現地の修習ということをなさいまして、裁判所の実態もごらんになり、検察庁の実態もごらんになり、また弁護士会もごらんになるということで、二年たっていざ修習を終了するという段階になってまいりますと、御指摘のような数字に減少してまいるということになるわけでございます。まあその分だけ弁護士の御希望がふえているということになるわけでございます。
 で、その理由でございますけれども、やはりまず第一に考えられますことは、裁判官の職務のきびしさということではなかろうかというふうに思います。実務修習を二年おやりになって、現実に仕事をなさっておる裁判官、検察官、弁護士、この三者を見比べてみられました場合に、やはり何としても裁判官の仕事のきびしさということが身にしみて感ぜられるということで、これは、まあ研修所の教官等からも伺うことでございますけれども、自分は裁判官になりたいと思うんだけれども、どうもそれだけの自信がないということを漏らされる方が相当数おいでになるというふうに考えております。それで、私ども、個々の方に対しては、いやだいじょうぶだ、判事補の期間が十年もあって十分そこで実力を身につけることができるんだから、そういうことを心配しないでおいでなさいということは申し上げるわけでございます。やはり、なかなかそういうものでもないんじゃないかというふうなお考えのようでございます。
 そのつぎに、それとの相関関係ということに相なろうかと思いますけれども、やはり戦後における在野法曹の地位の向上と申しますか、そういったものがあげられるのではなかろうかと思います。これは私、収入とかそういう意味で申し上げるわけではございません。経済的な問題も一つもちろんございますけれども、しかし、若い青年が一生の仕事をきめる際に、収入とか経済的なものだけですべてをきめるとは私は考えたくないわけでございます。やはり在野法曹の戦後におけるいろいろの各方面での御活躍、そういったものが、民主主義と申しますか、現在の世相とマッチいたしまして、全く無冠の帝王として思う存分の仕事ができるということ、そういうことに若い青年たちが多大のやはり魅力を感ずるということがあるのではなかろうかというふうに思います。さらに、そのどちらかの範疇に属するのかもしれませんけれども、任官をいたしますと、いかに裁判が独立であり自由に判断ができるからと申しましても、やはり一つの大きな組織の中に入るわけでございます。現在大体三年に一度ぐらいは全国の裁判所を転勤していただくというようなこともやっているわけでございます。といたしますと、これは、御承知のように、子弟の教育といったような問題から参りましても、一カ所に定着されて、自由に居を定めて、そこに落ち着いてお仕事をなさる弁護士さんというような方に比べて、やはり裁判官としての生活は窮屈だというふうに考えられるということもあるんではなかろうかというふうに思います。
 そういったいろいろの問題が競合いたしまして、現在大体最終的には七十名前後の裁判官の御希望ということでこのところまいっておるわけでございますが、何とかもう少し多くの方に来ていただくようにいたしたいというのは、繰り返し申し上げますけれども、私どもの念願でもあるわけでございます。
#29
○鈴木強君 まあいろいろ理由をあげますけれど、結局は、魅力といいますか、この職業に対する、一つの職業に対する――じゃないんでしょうかね。転勤をして子弟の教育の問題、これはあらゆるお役人さんに共通のことであるし、民間の企業の方にもこれは共通していることですから、それはそれなりに十分人事管理の面で配慮をしながらやっておられると思いますけれども。したがって、在野法曹界の地位の向上ということ、これはやはり一つの魅力を感ずるんでしょうね、と私は思うんですよ。そして裁判官として孤独も感ずるでしょうし、いろいろな面においてきびしさがある、そこは確かにそうだと私も思うんですね。そうであるならば、もっと極端に言って、在野法曹がもっともっと魅力があるものになってしまったら、修習生が全部弁護士になっちゃったら一体どうする、裁判官のあとはどうするかということになる。
 そのときになってから驚くよりも、あわてるよりも、私はいまから裁判官としての崇高な立場、そしてそれに対して魅力の持てるような、それは待遇の問題がどうとかこうとか言いますけれども、これは第一にはやっぱり経済ですよ、一つはね。ですから、待遇の面においても思い切ってやっぱり、裁判官になろうというような気持ちの持てるような経済的な裏づけも私は必要だと思いますよ。これはやっぱり大きなウエートです、一つは。ですからそういう点を考えて、それからまた裁判官としてのとうとさといいますか、重要性といいますか、そういうものを司法修習生に対してもよく理解できるようにお話をするとか、教育の面でそういう点をやっていただくとか、いずれにしてもそういう手だてをいまから早く打っておきませんと、極端な事態になったときにあわててもこれは私は間に合わないと思いますよ。どろぼうを見てなわをなうようなことじゃなくて、いまから減少傾向というのが、年を追って少なくなっているわけですから、顕著になっているわけですから、その点はひとつ考慮して考えておいていただかないと、定員法を審議して人をふやしてみても、来手がなくなったんじゃそれはしようがないじゃないですか。そういう私は心配をしますけれども、これがただ単なる心配で終わればけっこうですけれども、現実の問題になったときにはこれはたいへんだと思いますから、その予防措置といいますか、事前の具体的な対策というものはいまから立っておいてほしいと、こう私は思うのです。
#30
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘の点は、まことにごもっともでございます。私どもまず研修所の教官、裁判官出身の教官が二十名おりますから、ベストメンバーをそろえておるつもりでございます。また現地修習等における指導ということにつきましても、優秀な裁判官、老練な裁判官及び若い優秀な陪席の裁判官という方に、できるだけそういった意味で裁判官を全体の修習生の中から多く希望されるように、ひとつ先輩の責務としてしっかりやってもらうようにということは繰り返しお願いをしておるわけでございます。
 ただ、御承知のように、現在裁判所のように多数の方を全国的に配置しておるというところが行政官庁等にはないわけでございます。この辺のところが、近時の教育の困難さということとも関連いたしまして、非常に裁判官に任官を決意される際における一つの隘路になっておるようでございますが、しかしこれは何とか克服していかなければいけない問題であるというふうに考えております。
 また経済上の問題も、私、決して待遇はどうでもいいという趣旨で申し上げたわけではございません。当委員会等におきましても、常にその点については心をお砕きいただきまして、御同情ある御措置をおとりいただいておるわけでございますが、そういった点につきましても努力いたすつもりでございますが、なおこの機会にぜひその点についての深い御理解をお示しいただきたいと考えておるわけでございます。
#31
○鈴木強君 この資料で最初確認したいんですが、一ページの「下級裁判所の裁判官の定員・現在員等内訳」というのがございますが、これは四十七年十二月一日現在ですが、ここには、欠員のところですが、高裁長官一というのがありますね。それから判事が五十三、それから判事補が九、簡裁判事が二十六と、合計すると八十九ですが、高裁の長官、これはたしか補充したと思いましたが、そのあとの数字はいまも変わっておりませんか。きょう現在で、どうですか。
#32
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘の最初の一名というのは、ちょうど当時東京高裁長官が欠員でございまして、これは補充されておるわけでございます。その後の数字でございますが、実は三月三十一日というのを一つの区切りにいたしまして春の定期の異動をいたしておるわけでございます。総数が約六百人近くにものぼる大異動でございます。裁判官が、実はそういった異動を契機にして、あるいは弁護士になりたいから、あるいはその他の職につきたいからということで相当数おやめになるわけでございます。現在のところ、ちょうどその異動を個々の方について発令している最中でございますので、かなり、この数よりさらに欠員数というものが、今日時点をとらえますと、あるわけでございます。私ども一般的な問題といたしましては、大体三月三十一日を区切りにいたしまして、当時想定されましたもの、そういったものを考えてまいりますと、判事につきましては大体欠員が八十名ぐらいになる、それから判事補につきましては大体七十名になる、簡裁判事につきましては大体九十名程度の欠員になる、こういうふうな想定を立てておるわけでございます。ただ、具体的にきょう現在確定数はどうかということでございますと、この発令の日時が非常に分かれておりますので、実は正確にきょう現在の何をつかんでいないというのが実情でございます。
#33
○鈴木強君 それからもう一つ、「裁判官以外の裁判所職員の新旧定員内訳」という資料がございますね、二ページ、三ページで。この備考のところに「簡易裁判所の職員については、地方裁判所の職員と一括して「地方裁判所」の項にその員数を計上した。」、こうなっているんですけれども、この意味はあれですか、地方裁判所の職員が簡易裁判所の職員を兼ねているという意味ですか。どうして別に、もし簡易裁判所の職員として配置されているならば、ここへどうして別に書かなかったんですか。
#34
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 実は簡易裁判所は地方裁判所の中に一括して組み込まれておるわけでございます。予算等の区分におきましては簡易裁判所独自の区分をいたしておりませんので、そういう意味で書いてあるわけで、具体的には、地方裁判所の職員は地方裁判所、簡易裁判所の職員は簡易裁判所というふうに分かれておるわけでございます。
#35
○鈴木強君 だから、予算的な措置はどうあろうと、少なくとも組織機構上そうなっておれば、ここへ載せたらどうですかね。これではわからぬですよ。現在定員四千八百三十三名だけど、このうち簡易裁判所の定員が何人になるかということは、それはとてもわからぬじゃないですか。これはちょっと不親切な資料じゃないかね、これ。どうして一括しちゃったのか。そんな予算的なことだけで一括しなくたっていいじゃないですか。
#36
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これまでの扱いといたしまして、御承知のように簡易裁判所は五百七十ほど全国にあるわけでございます。地方裁判所は原則として各府県に一つということで、五十庁あるわけでございます。家庭裁判所がその同数ございます。さらに詳しく申し上げますと、地方裁判所、家庭裁判所にはそれぞれ甲号支部、乙号支部とがございまして、これがまた二百以上あるという段階でございます。そういうことで、地方裁判所と申しましても、実は乙号支部、甲号支部を全部ひっくるめまして地方裁判所ということで表示しておるわけでございます。そういう関係がございますので、こまかにお出し申し上げれば確かにいいわけでございますけれども、かえってごらんいただくのにごらんいただきにくくなるのではないかというふうに考え、これまでの例によりまして、地方裁判所の中に簡易裁判所も、乙号支部も甲号支部もひっくるめまして数字を計上したという形になるということでございます。
#37
○鈴木強君 あなたのほうではそういうふうにむしろ好意的にやったと思うんですが、われわれから見ると好意的じゃないんです、これは。具体的に簡易裁判所に何人の職員が定員としてあるのか、そこには何人の欠員があるのか、そういうことこそ知りたいんですよ、われわれは。だからこれは不親切な資料ということになる。だからこれは、われわれにわかりやすくするためには、組織機構上の問題としてちゃんとこれはしてもらいたい。これはあとで資料を出してくださいよ。兼務なんかしておってそれがはっきりわからぬというのなら話はわかるのですよ。しかし、現に職員が配置されているというならば、その職員の配置をちゃんとやるべきですよ。その資料はあるんですか。あったらあとで出していただけませんか。
#38
○最高裁判所表官代理者(田宮重男君) どうも現在員の点につきましてはちょっとただいまのところわかりかねますが、定員につきましては、ここにありますように、地裁のうち、書記官四千八百三十三名のうち現在定員は、簡裁分千九百四十九名でございます。それから事務官・事務雇の点、これは地裁ということで一括して三千三百五十四となっておりますが、簡裁の分といたしましては千百十六、それからその他は、四千五百二十八のうち簡裁分が千四百三十二で、合計して簡裁として四千四百九十七ということになっております。ただ現在員がどういうふうになっているかという点につきましては、先ほど人事局長からもちょっと説明がございましたように、支部所在地等の簡裁におきましては、それぞれ職員が両方兼ねているというふうな面がございますので、この点については現在のところはっきりと把握していないということでございます。
#39
○鈴木強君 だからそういうふうに、いまもそういう読み上げたようなものを出していただけばよくわかるし、それからその中で、じゃ具体的には兼務をして七、三になるのか、六、四になるのか、あるいは半分半分になるのか、そういうふうな措置をとらなければならない実情にあるところもあると思うのですね。したがって、これはやはり定員というものはいいかげんなものじゃないですからね。
 私はひとつ基本的な問題で伺っておきたいのですけれども、今回裁判官として判事補三人、それから簡裁の判事を四人、それからそれ以外の裁判所の職員ですね、それが二十八人ふえているのですけれどもね。裁判所としては、職員の算定基準というものを一体どこに求めているか。今度三人ふやした根拠は何ですか。それから簡裁の判事を四人ふやしたのはどういう根拠ですか。それから現在定員としてそれぞれ資料の第一ページにいただいております高裁以下地裁の、まあ長官のやつは一人ですからね、これはわかりますが、判事、判事補それから簡裁の判事こういうものは一体何を根拠にして定員をはじいているのか、具体的には、まず三名、四名、二十八名というのは何を根拠にしてはじいた数字ですか。裁判所の職員の配置定員算定基準というものを教えていただきたい。
#40
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) まず配置定員の点でございますが、これは内部的な定員配置基準というものを設けておりまして、原則としてこれは事件数を基礎といたしまして、それで事務員負担量を算出する、これを基準として庁別職種別に定員を押える、こういう状態でございます。ただ複雑困難な事件等がございます庁とか、または交通状況等によって、現に配置をいたしてもその人だけでは事務量がまかなえないという場合に、ほかの庁からてん補を要するというような状況、そういうふうな場合もございますので、そうしてほかの庁の職員の助けを得る必要があるかどうかというふうな点、その他各庁の具体的な事情も当然定員の算出にあたっては考慮しております。ただ、一般にはそういうふうなことで、書記官、事務官等につきましては一応事件数――事件処理ということが裁判所の中心でございますので、事件数というものを基礎として定員を内部的にはきめるわけでございますが、事件数を基礎としては事務量をきめられないような職種というものがございます。たとえば廷史等は、事件数というよりはむしろ法廷等の数が基準になろうかと思います。またいわゆる行(二)職員でございますが、庁使、庁婦その他の行(二)職員等でございますが、これは、庁舎の面積、それから機械設備といったようなものがまた基準になるわけでございます。そういうのが配置定員の一応の基準でございます。
#41
○鈴木強君 これはいまあなたが読み上げただけじゃなかなか私は納得できないんですよね。だからもう少し科学的な要員算定基準というものを持っておられると思いますから、これはひとつ私が納得できるような説明を、あとでいいです、時間がないですから、別途してくださいよ。私はそこにやはり一つの問題があると思う。
 それで、参考のために伺いたいのですけれども、さっきも大臣が、三十六年と四十六年当時と、訴訟件数の刑事の面における件数も倍になっている、しかし人は、当時二千四百人が二千六百人、十年たっても二百人しかふえない、こういう点も具体的にあげられました。検事のほうもそうですね。千七百人が千九百人というような点で、触れられたんですけれども、旧憲法下においてはどうだったか、参考のために、たとえば昭和十七年、旧憲法下において、裁判官の定員というものはどうなっていたんですかね。事件数等わかっておったらひとつ知らしてもらいたい。
#42
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 戦前の点につきましては、戦前もいろいろな段階がございますので、どの時点をとるかというところが問題だろうと思います。一応昭和九年から十三年、これはその前後に戦争もなかったというような時点でございますので、これが通常の時点だろうと思うわけでございますので、この時点におけるところの平均をとってみますと、控訴院におきましては、現在の高等裁判所でございますが、裁判官の定員は百十名ということになっております。それから地裁のほうは七百四十二名でございます。そのころの地裁と申すのは全部合議体の事件ばかりでございまして、現在の地方裁判所は合議体のほかは単独事件をやるということでございますので、戦前の地方裁判所は現在地方裁判所でやっておる事件のうち合議事件だけを担当するということを前提といたしまして、地裁では、戦前その時点では七百四十二名ということになっております。それから戦前の区裁判所でございますが、これはまた制度的には、現在の簡易裁判所とは若干異なりまして、現在の簡易裁判所はほんとうに軽微な事件だけを取り扱っておりますが、戦前の区裁判所は、現在地方裁判所で行なっております単独事件というものを戦前区裁判所で行なっておったのでございますが、その区裁判所の昭和九年から十三年までの平均の裁判官の定員は五百六名ということ、したがいまして、合計は千三百五十八名ということになっております。
 それに対しまして、昭和四十六年度におきますところの裁判官の定員は二千二百六十三名ということでございます。そのような状況でございます。
#43
○鈴木強君 事件数はどうなってくるんですかね。
#44
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 事件数につきましても、これも若干戦前の制度と戦後の制度が異なるところがございますので、訴訟事件だけについて見るほうが最も適当ではなかろうかと思います。訴訟事件以外の事件でありますと、たとえば刑事の場合でありますと、令状事務というものが相当程度裁判所が受け持つというような点が戦前と異なりますので、したがいまして、戦前とほとんど変わらない訴訟事件を比較さしていただきたいと思います。
 戦前の訴訟新受事件の数でございますが、控訴院におきましては、昭和九年から十三年の平均、これは民事と刑事の両方合わせて一括計上しておりますが、五千九百二十四件ということでございます。地方裁判所は四万六千九百九十八件、それから戦前の区裁判所は十八万七千九百七十二件で、全部を合計いたしますと二十四万八百九十四件ということに相なっております。
 これに対しまして、比較の対象となります昭和四十六年度におけるところの民事並びに刑事の訴訟新受事件の合計は三十一万七千二百二件という数字に相なっております。
#45
○鈴木強君 いま読み上げていただいたものですから、具体的に一人の裁判官に対して何件の訴訟事件になるか、ちょっとここでできないのですけれども、感じとしてみると、千三百五十八人が二千二百六十三人というように若干ふえていますね、この点は。訴訟件数において約七万件の増になっているので、比較検討して見た場合にまあまあかというように、一般的な感じとしては受け取れますけれど、しかし私は、やはり大臣もちょっと指摘されたのですけれど、根本的に裁判官なりあるいは裁判官以外の職員の定員というものが少し足りないのじゃないかというふうな気がするのですね。ですから、これについてはやはりもっと科学的な算定基準というものをつくって、その算定基準に基づいて理論的に配置すべきものは配置するという方法をとらなければいけないと思いますから、ですから、いまにわかにここで意見を申し上げませんけれど、ひとつ具体的な資料の提示をいただいて、また次の機会に、私はこの点はこの法案と十分関係がありますから、また次の場合の定員の問題との関連でもう少し詰めた論議をこの委員会でやっておきたいと思いますから、そういうふうにして、きょうはこの点は横に置きます。
 そこで、具体的にさっき下級裁判所の裁判官の定員、現在員の内訳を伺いましたが、ここにある数字よりももっとふえまして、大体二百四十人ぐらいの欠になるわけですね、さっきのお話ですと。そうしますと、今度司法修習生の中から六十九名の志望者があるわけでして、最終的に何名採用になるか、これはわかりませんけれども、これじゃどうにも焼け石に水ですね。したがって、在野法曹界の弁護士さんだとか、あるいは大学の先生とか、いろいろと判事になる方々を、これからかね太鼓でさがさなければならぬのじゃないですか。一体自信がありますか、それ。今回四名ふやしてまた欠員だということのないようにしてもらいたいのです、私は。だいじょうぶですか、これは。
#46
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 最初、先ほど申し上げました、大体判事について八十名、判事補について七十名、簡易判事について九十名というこの欠員の充足の問題でございますが、現在のところ、判事につきましては、判事補から、この四月にいわゆる十五期の判事補が十年の任期を終了いたしまして、判事資格を取得いたします。これがまずあるわけでございます。七十六名というものが任官をいたすわけでございます。そのほかに弁護士から御希望の方が現在一名ございます。検察官から裁判官に転官したいという方が数名ございます。この八十名の数字は充足できるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
 実は先ほど判事補の欠員がそういうふうに出てくる、七十名出てくるということを申し上げましたのは、判事補本務の方が判事になるということを前提にいたしまして実は申し上げたわけでございます。そこのところは見方によりますとダブって申し上げた形になるわけでございます。そういうことで、その判事補から判事になられた結果、判事補の欠員が七十名になるということでございます。これは、今度採用いたします希望者が六十九名ございます。六十九名で明日の裁判官会議で大体採用を御決定いただこうかと考えておるわけでございます。修習生から判事補に新任されるものによって十分埋めることができると考えております。なお弁護士、検事からの御希望がこれも数名ございます。これを合わせますと、判事補から判事になられたことによる判事補の欠員も埋めることができるというふうに考えております。
 問題は結局簡易裁判所判事でございますが、これは相当数の欠員がございます。一部判事補本務の方が簡易裁判所判事本務になっていただくというものもございますが、その給源の大部分といたしましては、判事、検事を定年退官された方に簡易裁判所判事に改めておなりいただくということを予定いたしております者が大体十数名あるわけでございます。それと、それから御承知の簡易裁判所判事選考委員会の選考によりまして、裁判所書記官等を長年おやりになった方から厳重な試験によって簡易裁判所判事になっていただく。これは大体七月から八月にかけて毎年選考を実施いたしております。この選考によりまして、簡易裁判所の判事を充足していきたい、このように考えておるわけでございます。したがいまして、ただいまのところ確定的な充足といたしましては、判事、判事補については十分めどが立っております。簡易裁判所判事の場合は、これは厳重な試験をいたすわけでございます。その試験に合格していただきませんと、なかなか充足ができない場合もあり得るわけでございます。これまでの例から見てまいりまして、大体七月、八月ごろの試験終了による選考採用ということで充足できるのではないかというように確信をいたしておるわけでございます。
#47
○鈴木強君 それで、さっき、ちょっと前後しますけれど、この十年間は試用期間ではないんですかね。修習生から判事補になって十年間、長いとぼくは思いますがね、少し。それで、一面、こういう問題がございます。特例法によって、五年経過すれば判事の職務を執行できる参与判事制というのがありますね。これとの関連で、少なくとも単独で裁判官として判決を下す場合もあるわけですね、三人の合議でなくて単独でやる場合が。そうなりますと、五年たった判事補が単独で裁判判決を下すというだけの仕事をやらせるならば、なぜ私は十年間――これはもう憲法上のことですからあれですけれども、原則はそうなんだけれども、矛盾を感ずるのは、五年たったらそこで判事にしたらいいじゃないですかね。仕事は裁判官の仕事を、判事の仕事をさせておきながら、身分は判事補だというのはね。判事補というのは要するに判事としての適格がないから判事補にしておくんでしょう。それで適格のない者が今度は特例で、ある事に限っては単独でも判決を出すということはちょっとわれわれとしてはおかしいように思うんですが、これは再検討する余地はないもんですかね。ぼくはそういう矛盾を感ずるんですがね。
#48
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 非常に鋭い御指摘でございまして、仰せのとおりの面があろうかと思っております。問題は、やはり新憲法によって与えられました裁判官の職務と責任というものをどの程度に、どういうものとして見ていくかということが根本でございます。
 私ども先ほどもちょっと申し上げましたが、やはり違憲立法審査権というものが与えられました今日におきましては、少なくとも一人前の裁判官の資格というものは、法曹、これは何も判事補とは限りませんよ。法曹としての実務に十年以上携った者でなければいけないという現在の規定というものは、これはやはり憲法の精神からいって正しいのではなかったかというふうに考えております。
 しかし、現実の問題といたしまして、判事補として五年たった方に、まあ例外的と申しながら、相当長期にわたって、いわゆる特例を設けまして、判事と同一の仕事ができるような措置をおとりいただいているわけでございます。しかし、やはりそれは、私どもの裁判官の職務というものに対する重要性という、最初申し上げました原則から見てまいりますと、例外、あくまで例外の現象でございます。したがいまして、単独で裁判ができるということでございましても、できるだけ、あとう限りやさしい事件、そういったものを特例の方にやっていただく。で、むずかしい事件は、やはりこれは十年たちまして判事になられた方にやっていただくということで運用をさせていただいておるということでございます。
 私どものまあ願望と申しますか、といたしましては在野法曹の方で十年以上経過された方から多数判事に任官していただければ、こういったものは、特例的な扱いをするということもやめることができるわけでございますが、現状、いかんせんほとんどおいでいただけませんので、まあ例外的措置と申し上げながら、長くなって恐縮でございますけれども、精神においては、やはりそれほど重要な仕事は、十年、少なくとも十年たった方でなければおやりいただかないようにすべきである。そうすることが憲法の精神に一番かなうことであるというふうに現在のところは考えておるわけでございます。
#49
○鈴木強君 憲法の精神に反するようなことをやらせておいて、それで憲法論の基本原則を説いたってだめですよ、そんなものは。だから、やはりそれならそれで、もう一切例外を認めないでやりなさいよ。憲法をたてにとるならば、この特例法というのは憲法の下にあるもんでしょう。そうでしょう。だから、そういう理屈は論理的には成り立たないですよ。しかし、現実の問題として救済しなければならぬ――現実の解決のための一つの便法ですよ、これは。その便法は現実から見てやらなければどうしてもだめだというならば、そこに何かのやはりものを考えなければならぬでしょう。そういう意味で、きょう憲法論議をやってもしようがないでしょうけれど、われわれがちょっと見て不自然に感ずるし、疑問に思う点がそこにあるもんですからね。何か簡単な仕事で、言うならばインターンみたいに、試験台みたいに楽なものをやらせてみようじゃないかというような感じを受けるんだな。床屋になるんだって国家試験を受けなければならぬわけですね。まあ、見習いからこうやって、それでインターンやって、試験に受かったら一人前になると。そういうような何か試験台みたいな形にとれるような、それじゃ判事補としての私は名誉からいっても、地位からいっても少しおかしいように思うのです。ですから、そこらは、もう憲法にきめられておるなら憲法で一本でいく。どうしてもそれができないならば、五年たった人たちは何人かをまた判事にしたっていいじゃないですか。憲法を変えるなら変えたっていいじゃないですか。そういう面でわれわれが納得、国民が納得できる理論に立ってそれは検討してほしい、今後ね。私はそういうことを希望しておきます。
 それから、どうですか、定員の算定基準というものがはっきり私はまだ理解を、のみ込めるだけの資料がないし、説明もここで聞けないわけですけれども、概して言うことは、法務大臣も最初におっしゃったように、定員が足りないということは裁判所は認めますか。いまの現在定員では少し足りない、何とかこれをふやしてもらいたいと、そういう考え方はありますか。
#50
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先ほど資料の御説明を申し上げましたが、まあ、数字的に申し上げますと……
#51
○鈴木強君 それはいいよ、あとでいいから、足りるか足りないか。時間かないから。
#52
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) そういう点におきましては、やはり現在事件が非常に複雑化、困難化しております関係もございまして、単に事件数の関係だけではなく、事件の内容等いろいろ検討いたしますと、まあ、ある程度の増員ということも当然考えなければいけないというふうに考えております。ただ、やはり定員等といったような関係で、それにも一定の限度があろうかというふうに考え、そうした面からも、人員以外の面での裁判の合理化等についても至急いろいろと検討しておる、こういう状況でございます。
#53
○鈴木強君 それで、裁判所は国家予算に対しての一つの特権を持っておられますね。それで、昭和四十八年度の裁判所が決定をした予算概計ですね、予算要求というものが、大蔵省で削減ないしは修正を加えられましたか。特に定員の問題だけに限ってもけっこうですから、あなた方がほしいという定員を大蔵省が認めなかったか、認めたか、その点いかがですか。
#54
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 昭和四十八年度の予算の折衝におきましては、裁判所は、定員問題はいわゆる大臣折衝にまで上げた事項でございます。増員につきましては、裁判所は、ただいま御審議をいただいております総計百八名、これを折衝いたしまして、その全員が増員をみたというふうになっておるわけでございます。
#55
○鈴木強君 百八名というのはどういう意味合いですか。
#56
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 失礼しました。百三名でございます。百三名でございますが、減員が六十八名となっておりますので、差し引きますと純増が三十五名ということに相なるわけでございます。
#57
○鈴木強君 それは裁判官も入れてのことでしょう。
#58
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) そうでございます。
#59
○鈴木強君 そうすると、今度のここに提案された趣旨説明の中で見ると、第一点に判事三人、簡裁の判事四名、それと裁判官以外の職員二十八名と、こうなっているんでしょう。これだけふえたんじゃないですか。百三名ふえたんですか、どっちなんですか。
#60
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 純増の人員はただいま御指摘の、合計三十五名でございま
#61
○鈴木強君 何のことはない。あなた、実際にふえたのは三十五名だけじゃないですか。
#62
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) そうでございます。
#63
○鈴木強君 それじゃ何のことはないじゃないですか。仕事がふえたって、その分に対して、これでやれるのか。だから大臣、ぼくは定員削減の閣議の方針というのがありますね、五%だか減らすの、何年かたって。ああいう定員削減についてはきわめて機械的に政府は運用しているんですよ。だから仕事がふえて増員をしなきゃならぬのにかかわらず、一面には減査定をし、そこから無理やりに定員を取っているわけですね。あれは間違いですよ、私はそう思うのです。必要なところには出して、必要でない部門から定員を供出してもらうというのが、これは筋だと思うのです。それを一律にどこでもかまわないで減らしていくというあの方針が私はたいへん間違いじゃないかと思ってたんです。あれは修正すべき必要がありますよ。現業部門であろうが何であろうが、とにかく定員法にひっかかる面においては全部五%削減せい、これが政府の方針だ。だから百何名ふえたって差し引けば二十何名になっちゃう。こんなばかな話はないですよ。これは法務大臣はその辺ではいろいろ勉強されていると思いますけれども、どうですか。私はそういう矛盾を感じてしょうがないんですがね。国務大臣の一人としてひとつ再検討してくれませんか、閣議で。これはおかしいよ、あんなの。
#64
○国務大臣(田中伊三次君) 現内閣も佐藤内閣時代にきめました減員の方針をずっと踏襲してきて、今日に至っております。先生おことばのようなきらいがなくはないというふうに私も考えますが、何ぶん一法務大臣ではどうもこれに言及――何でも思っておることを言って問題の起こる、そういうことでありますので。しかし先生仰せのことはひとつ頭におきまして、よくその筋に私から申達することにいたします。
#65
○鈴木強君 私はりっぱな大臣だと思って、実は心から尊敬しているんですよ。せんだっての入国を扱う主管大臣としての発言なんて実にりっぱですよ。現在のベトナム情勢を十分把握して、そしてやっておられる。それに茶々を入れて官房長官が否定するようなことを言い、また一官僚の法眼が放言するような、そういうことまでがあったときに、き然として大臣が自分の所信は正しいと主張された。田中内閣というのは官僚内閣じゃないから、ただ国民が期待しているのは、従来のマンネリ化した官僚に支配されるような内閣はもうごめんだということです。そこに田中さんの魅力があるのだから。どうもその辺の指揮権の発動というやつが、指揮権と言うとことばはおかしいんだけれども、田中さんのそういう庶民宰相として、しかも党人宰相として国民が期待を持っているようなそういう点がすぐれているんですよ。そのときにあなたが一石を投じてくれたんだ。私は心から激励するね、あなたを。私は国対委員長をやっているけれども、参議院の、ずいぶんあのときもあなたに応援した。まあそのとおりになってけっこうだ。そこで、こういうことも、佐藤内閣が、官僚内閣の中に実情を知っていていいはずなんだが、知っていないでしょう。官僚であれば最も理屈がわかって、実態をつかんでいいはずなんです。ところが機械的に、これはもう電波関係でもそうですよ。電波が非常にふえましてね、手続もふえている。それから妨害電波が出る。それを監視する、モニターする、そういう要員さえも一律に五%減っているんですよ。減らしておいてまた何人かふえるから、一人か何ぼしかふえていかない。これなばかげた行政はないですよ。だから、いませっかく大臣がそういうことを言っていただけるようですから、私もまた、いつどこでもこういうことを申し上げるつもりですけれどもひとつ心して、こういう矛盾は、田中内閣においてあやまちを正すという、そういう姿勢でぜひがんばってもらいたいとお願いしておくわけです。
 それで、時間がもうありません。あと佐々木先生が専門的にまた御質疑をいただきますから、まあ私は飛び入りでこれからしばらくお世話になりますけれども、たいへん失礼なことも言ったと思いますけれども、最後にひとつだけ予算の点でお願いしておきたいのですが、やっぱり裁判所に対してわれわれの信頼をもっともっと強めていくというためには、公正な判決をしていただくということと、もっともっと、それは外国から比べて劣っていないというのですけれども、劣っている外国を相手にする必要ないですよ。もっと訴訟の審理をスピード化していただいて、明らかに法律に反しているのか、反していないのか、その審決を与えるのが私は裁判所の重大な責務だと思うのです。
 そういう意味からいえば、われわれはできるだけ裁判所が動きやすいような体制をつくってやることだと思うのです。それなくして、おそいとか何とかと文句をいうのは間違いなんです。私は、そういう意味において、建設的にものを考える、われわれが期待できる公平な裁判、厳粛な裁判というものをやっていただくためには、まず体制をつくっていかなければならぬ。それには、組織の点において不備があれば組織を直す、要員の面において足りなければこれはふやしてあげる、それからまた、省力化のために必要な点があれば、現在の職員を首にしたり、配置転換をあまりやったりすることのないように、これは組合と話し合いをしながら、省力化によってさらに能率を上げるということであればそれも導入していただく、そういうくふうをしてお願いしたいと思うのですが、それにしても、もうもとになるのは予算でございますから、予算について、やはり私は、もう少し裁判所のほうでは強い姿勢で出ていってもらいたいと思うのですよ。何だか、さっきから聞いていると、遠慮しているね。
 三権分立だから、もっとものをちゃんと言ったらいいですよ、国会に対して。私は田中耕太郎先生というのは尊敬している人ですけれども、この方が昭和三十五年にこう述べていますね。「三権の一つの担い手である裁判所は、現状では予算編成に関する限り政府、国会と対等の立場にあるかないかなど問題でなく、各省よりもはるかに不利な立場に置かれているのである。裁判所予算が難航すると、閣議において代弁者を持たない裁判所としては、表向きになし得ることは最高裁長官が内閣総理大臣に意向を伝えるぐらいなことである。ひとり最高裁長官だけ何ゆえに苦労をさせられるのであろうか。」当時「本年度(三十五年)の裁判所予算の総額は、国の予算総額の〇・八七六%にすぎなかった。それをせめて一%まで引き上げることは、法の支配の重要性、司法の憲法上の地位から当然の要求といえないであろうか。私は既往十年間の自身の経験からして、将来の長官が予算問題で毎年悩まされないで済むように何らかの制度上の改革がなされることを切望せざるを得ない」、こういうふうに述べていることばがございます。
 そこに財政法上の十九条における特権を認めておるわけですから、もう少し裁判所もしゃんとして、必要なものはやっぱり要求をし、もし内閣がこれを査定したら、その理由はちゃんと国会に明らかにすることになっているわけですから、われわれとしても審議をしやすいわけです。そういうことも十分踏まえていただいて、国民の裁判所として絶対の信頼を博していただけるような方向にぜひ進んでいただきたい、こういうことをお願いをし、これに対して所見があったら、裁判所側でも、大臣でもいいですから、伺って、終わります。
#66
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 裁判所のためにたいへん御理解のある御発言を承りまして、感銘を新たにした次第でございます。裁判所の予算につきまして、今後ともさらに、裁判所側といたしまして、御期待に沿うように一そう努力してまいりたいと考えておる次第でございます。
#67
○委員長(原田立君) 本案に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十分開会
#68
○委員長(原田立君) これより法務委員会を再会いたします。
 午前に引き続き、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#69
○佐々木静子君 先日の法務委員会あるいは午前の委員会におきまして、二十五期修習生の採用の問題、任官の問題が質問にございましたが、この先日の御答弁で、四月四日の最高裁裁判官会議で大体新任の裁判官をおきめになる、それまでに、二日に大体試験の結果についての委員会を持つというお話でございましたが、そのとおりでございますか。
#70
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 昨日の考試委員会で、受験者全員の合格が決定されたわけでございます。
#71
○佐々木静子君 この考試委員会の結果、いずれ裁判官会議の議を経ると思うんでございますが、大体、いま裁判官に任官される予定の人は何名でございますか。
#72
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 裁判官の希望者は、全員で六十九名ということでございます。内訳は、簡易判事御希望がお一人、残り六十八名が判事補の御希望でございます。
#73
○佐々木静子君 話がくどいようですが、昨年、そういう考試委員会のあとで、裁判官会議の前に、任官を撤回するような御勧告なり御忠告なりあったようでございますが、ことしはそういう問題は全然起こっておりませんか。
#74
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) そういう問題はございません。
#75
○佐々木静子君 そうしますと、考試委員会の結論では、まず、全員、裁判官会議にかける名簿に載せるということでございますね。
#76
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 考試委員会は、いわゆる修習終了のための考試合格ということでございます。これは、考試委員会でそういう合格の御発表、御報告がございますと、これを裁判官会議に報告するということでございます。で、その中から裁判官希望者が、いま申し上げたように六十九名でございます。裁判官会議におはかり申し上げて、新任判事補の採否を御決定いただくというわけでございます。
#77
○佐々木静子君 この考試委員会の合格も、まだ正式の、内定と申しますか、委員会での決定は済んだようでございますが、その中で、二年前に問題になりました阪口さんもこの中に入っておられるわけですね。
#78
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 当時申し上げたかと思いますが、阪口修習生はもうすでに考試を終わっておりまして合格いたしております。現在、まだ修習中でございますので、昨日の考試委員会の対象にはなっておりません。
#79
○佐々木静子君 修習を終了できるかどうかという決定は、そうすると、最終的に何日にどこできめるわけでございますか。
#80
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 修習は、これは研修所が所管いたしておりまして、修習終了、いつをもって修習終了にするかということは、研修所の所管でございます。
#81
○佐々木静子君 所管はわかりましたが、いつきまるわけでございますか。
#82
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) まだ現在のところきまっておりません。研修所で御検討いただいて、そのうちにおきめいただけるのではないかというふうに考えております。
#83
○佐々木静子君 研修所の卒業式は十日と聞いておりますが、そうすると、それまでにきまるわけでございますね。
#84
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 研修所の卒業式と申しますのは、これは二十五期、今度考試を受けました人たちでございまして、阪口修習生は現地に、東京弁護士会に配属をされまして、そちらで修習しておられて、別個の扱いでございますので、一緒ではございません。
#85
○佐々木静子君 それでは次に最高裁のこの定員法のほうに話を戻しますが、最高裁でいま統計的と申しますか、地裁の民事の単独の裁判官、これは一人当たり何件ぐらいの事件を、平均ですね、全部の全国平均、全国の平均は一人何件持っているか。
#86
○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 全国平均で申しますと、訴訟事件だけでいえば百五十件前後でございます。
#87
○佐々木静子君 これは非常に件数の多い、たとえば東京地裁のように大都市の、あるいは人口急増都市のように事件の多いところと、あるいは過疎地域とで、非常に格差があると思うのでございますが、たとえば東京地裁あるいは大阪地裁で、各地裁の一人の裁判官が現在持っている民事事件の平均件数をちょっとお述べいただきたいと思うわけです。
#88
○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 東京地裁及び大阪地裁の場合は、民事部も、通常部の場合と特別の部の場合とございまして、一括して平均しますと、そう事件数としては多くないわけでございますが、民事部の通常部だけで見ますと、平均はちょっと出しておらないのでございますけれども、一番多い方が東京の場合で三百二十件ぐらい、大阪の場合は同じく三百三十件ぐらい、少ない方が百八十件ぐらい、大阪も大体このぐらいでございます。
#89
○佐々木静子君 これは、最高裁で最も理想と考えられる地裁の民事の単独裁判官一人当たりの件数は、通常事件で何件というふうに考えておられますか。
#90
○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 理想的なということが、たいへんむずかしいわけでございますけれども、私どものほうで考えているところで、事件にも、通常事件の場合でもいろいろな種類の事件があるわけでございますが、特に迅速性を要請される事件もありますし、また必ずしも迅速性の要請よりは、多少時間がかかっても当事者が納得のいく合理的な解決をつけるのがふさわしい事件というような事件もございますが、そういった事件につきまして、それぞれ事件の内容に応じて期日指定が円滑にできる件数というのが、一応、理想的な件数というふうに考えられるのではないかと存じますけれども、そういうことで見ました場合、おおむね特殊の、非常に特殊な事件がない限りは、一人当たり二百五十件ぐらいがまず適当ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。もちろん、これは、ごく普通の事件の場合を申し上げたわけでございますから、公害事件等の非常に特殊な、審理の迅速性を強く要請される上に、しかも証拠調べ等、相当期日を重ねなければならないそういう事件が入ってまいりますと、この事件は多少違ってくるかと存じます。
#91
○佐々木静子君 そうすると、いまおっしゃった平均的な事件二百五十件以内、その範囲内の事件を持っている裁判官というのは、全国で民事の単独裁判官のうちの何%になるわけですか。逆に言えば何%の人が、その二百五十件という相当な数以上の件数をいま持たざるを得ない状態になっているかということをお述べいただきたいと思うわけです。
#92
○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) たいへんこまかい数字になってまいりますので、ちょっと何%ぐらいということは申し上げかねるわけでございます。
 ただいま申し上げました、全国平均で見ますと大体百五十件ぐらいと申し上げましたけれども、これは訴訟事件だけを申し上げたわけでございまして、これ以外に強制執行その他のいわゆる雑事件と呼ばれるものも入ってくるわけでございますので、訴訟事件だけを、純然たる訴訟事件だけを担当している裁判官というのは、東京、大阪等の大都市に限られてくるわけでございまして、中小都市の裁判所におきましては、訴訟事件以外に雑件を相当持っておられるわけでございますが、そういう数字はなかなかつかみにくいわけでございます。
#93
○佐々木静子君 それでは大ざっぱに言いまして、おっしゃるとおり、支部などに行きますと、何でもかでもやらなければいけないという状態だろうと思うのでございますけれども、本来一人前以上の仕事を持たされている裁判官というのは、これは非常に雑な言い方ですけれども、これは外部の者が見ていましても、ああ、この方は一人半分ぐらいの仕事をさせられているなあと感ずることがよくあるわけでございますが、これは最高裁からごらんになって、やはり半分ぐらいの人が通常の能力を越えた、物理的に、物量の事件というか、あるいは仕事を持たされているのじゃないか、あるいは三割ぐらいの人が持たされているのじゃないかというふうな感じを私ども率直に外から見たとき受けるのでございますけれども、そこら辺は、率直に言って、最高裁とすると、どのぐらいの人が普通以上の仕事をしいられている、しいざるを得ないと申しますか、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#94
○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) どう申しましたらよろしいでしょうか、半分くらいという数字は私どもちょっとわかりかねるわけでございますけれども、ただいま東京の場合を申し上げましたように、最高が三百二、三十件、最低が百八十件くらいということでございまして、この間にいろいろなニュアンスがあるわけでございます。これは訴訟事件だけを担当している裁判官でございます。そうしますと、東京でも必ずしも半分が二百五十件をこえるというふうに言えるかどうか、必ずしも言えないように思われるわけでございます。問題は、昭和四十二年ごろから四十五年ごろにかけまして、大都市及びその周辺地域の裁判所におきましては、民事訴訟事件が急増してまいったわけでございます。その時代に地裁がなかなか新受事件に追いつきません関係上、赤字が累積してまいりまして、大都市もしくはその周辺の裁判所におきましては、現在の負担件数はかなり高くなっている方が相当数あるということは間違いないだろうと思います。しかし、四十六年ごろから地裁の民事訴訟事件のほうは減少してまいりまして、新受件数から見ますと、東京の場合でも、多い方で年間二百件、少ない方では百三十件くらい、大阪では大体百五、六十件から百件くらいというふうに、非常に減ってきておるわけでございますので、この未済事件がある程度めどがつきますと、それほど、端的に申し上げまして負担としては重くならないのではないかというふうに見ておるわけでございます。
#95
○佐々木静子君 そうしますと、実はこの民事の公判の期日なんでございますが、これは私、東京高裁管内のことはあまりつまびらかにいたしませんが、大阪地裁で、大体合議部――これは合議部の話ですが、合議部の証人調べが六カ月ないし七カ月先に指定される。これは大阪の近郊の裁判所におきましても大体そのような統計のようでございますけれども、これは裁判官が仕事が多過ぎて、一回転するのにそれだけかかるというのか、あるいはその人的不足のためではなしに、法廷設備が足らないからそれだけかかるというのか、どういうわけでそれぐらいかかるのか。これは裁判所としても六カ月先の指定というのが理想的であるとは、これは必ずしも思っていらっしゃらないと思うのです。これは何かが不足しているから、そのように先の期日を指定になるのじゃないか。これは人的、物的、どちらが不足しているためにそういうふうになるというふうに御判断になりますか。
#96
○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) ただいま申し上げましたように、地裁の事件が昭和四十二年ごろから四十五年ごろまで非常に増加したわけでございます。その当時の地裁事件が現在高裁に行っておる事件がかなり多い。そういう意味で、現在東京、大阪等の高裁ではかなり事件数がふえてきておると思われますので、高裁のほうの関係の証拠調べが先になるというのは、やはり手持ち事件が現在は多いということが一番大きな原因であろうかと存じます。
#97
○佐々木静子君 いまの、実は高裁も延びるのですけれども、高裁管内の地裁も大体六カ月ぐらい先に証人調べなど入っているようでございますが、そこら辺のところ、やはり地裁の裁判官も、これはいま例をあげたのは合議部でございますが、単独部も期日が非常にあくわけでございますが、それはやはり裁判官が不足しているということに基因しているんじゃないでしょうか。
#98
○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) 大阪地裁の場合で申しますと、先ほど申し上げましたように、昭和四十二年ごろからの未済事件の累積赤字がかなり現在に及んでおるということであろうかと存じますが、これも先ほど申し上げましたように、四十七年ごろからは新受事件自体は非常に減ってきておりますので、間もなくその問題は解消していくのではないかと思われます。これはもちろん先ほど申し上げましたように、非常に特殊な損害賠償事件等のむずかしい事件が入ってまいりますと、そちらの関係のことはやはり別に考慮しなければならないわけでございますけれども、一般的な事件自体としては、漸次好転していくのではないかというふうに見ております。
#99
○佐々木静子君 これは個々の訴訟指揮の問題でございますので、最高裁としてもそこまで干渉なさることもいかがかと思われることもあると思いますけれども、大体地裁の合議部の証人調べの次回期日ですね、どのぐらいの開廷の間隔をめどに方針を立てておられるわけですか。
#100
○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) これは理想的なことを申し上げれば、当事者双方が都合のいい日に入れられれば一番よろしいわけでございますけれども、なかなかそうもまいらないというのが現状であろうと思いますし、当事者双方の御都合のいい日がなかなか近いところに入らないという場合もあると存じますので、一がいに言い切れない問題であろうかと存じますけれども、弁論期日であれば一カ月以内、証拠調べであれば二カ月以内に入れば、進行としては、一般的に申しまして、一番適当ではないかというふうに考えてはいます。
#101
○佐々木静子君 これはおっしゃるとおり、裁判所ばかりじゃなくて、裁判官人口の不足ということよりも、日本における法曹全体の人口の希薄さというようなものがこの訴訟の遅延の原因の大きな要素を占めていると思いますね。それは全部裁判官の不足とばかりは言い切れないと思うのでございますけれども、これは裁判所ということに限定いたしまして、大体いまの御答弁で、この調子でいくと、いまの定員で二カ月以内ぐらいに証人調べ期日が入る、一カ月以内に弁論期日が入るというふうに全国各地持っていけるという自信がおありなわけでございますね。大体何年後といいますか何カ月後にそういうふうに安定するというふうな計画でございますか。
#102
○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) たいへんむずかしい御質問でございまして、現在民事訴訟事件が減少しているという前提に立てば、そう長くない将来においてそうできるんじゃないかというふうに予測するわけでございますけれども、これは将来また民事訴訟事件がどういうふうな趨勢を示しますか、予測のつかないことでございますので、いま何年先にということをお聞きいただきましても、ちょっとお答えできない次第でございます。
#103
○佐々木静子君 これは確かにおっしゃっていらっしゃるように、ちょうど一年前に、これは即決和解の期日申し立てをしてから現実に期日の入るまでの日にちを、これは大阪高裁管内で調べましたところ、たいへんに短縮いたしまして、三分の一ぐらいになった。いま大体二週間ぐらいで申し立てしてから期日が入るというふうな現状に――これは即決和解に限っての話ですけれども、なってきているということから見ますと、これはだんだんと裁判が促進されるのではないかというふうに私どもも希望的観測は持っているのでございますが、ぜひともこの裁判官の人員を確保して、より一そうその実をあげていただきたいと思うわけです。
 そして今度は、地方裁判所に三名増員になられるこの裁判官の配属地、それから四名増員になられる簡裁の裁判官の配属地をちょっとお述べいただきたい。
#104
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) お答えいたします。
 判事補の三名は、地方裁判所における交通関係の業務上過失事件、これは刑事事件でございますけれども、これの適正迅速な処理のための増員でございます。これにつきましては、現在のところ件数、事件規模、難易、処理状況等、そうしたことから、どこに配置すべきかという検討をしておるところでございますが、現在のところでは、横浜、浦和、名古屋あたりの地方裁判所に配置するというふうに一応計画を立てております。
 なお参考までに、昨年度も増員を認められましたが、その部分につきましては東京と大阪ということで配置したことでございます。
#105
○佐々木静子君 ついでに簡裁の判事の増員のその配属庁だけでけっこうでございます。
#106
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) たいへん失礼いたしました。簡易裁判所の判事の四名は、御承知のように昭和四十五年の国会で裁判所法の改正がありました際に、当法務委員会において附帯決議で、簡易裁判所の訴訟手続に関する特則という民訴に規定しておりますところのこうした特則を積極的に活用せよという附帯決議がございまして、この附帯決議にのっとって、この特則の活用をはかっております。で、この特則の活用により事件もふえるだろうということで、この四名の増員を目下お願いしておるところでございます。そういうような関係で、的確にまだ事件の増加状況等、特則の活用ということを始めてからまだ円がないものでございますので、増加状況等的確にはつかめませんですけれども、一応東京、大阪、福岡、札幌等の各簡裁に配属したいというふうに予定を立てておるものでございます。
#107
○佐々木静子君 それでは、次に書記官のことについて伺いたいんですが、この法務省からいただいた資料のページ四の「裁判官以外の裁判所職員の定員・現在員等内訳」のところに、書記官の欠員が百十五名というふうになっておりますが、これは裁判所の中で書記官の資格を持っている人を事務官にお使いになっていらっしゃる、そういう方が何人おられるわけですか。
#108
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 数百名そういう職員が現在おります。
#109
○佐々木静子君 ここに出てきている表は、これは現実に書記官の仕事をしている人を書記官として表示してあるんですか、資格の保持者を表示していらっしゃるわけですか。
#110
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 現実に書記官の仕事をしておる人を表示してあるわけでございます。
#111
○佐々木静子君 これは書記官、まあ事務官の仕事も右から左へすぐできるわけではないかもしれませんが、この書記官というような特別な技術を要する仕事というようなものは、これは急には養成しがたいんじゃないかと思いますが、これはどうしてせっかく書記官の資格を持っている人を事務官にお回しになるのか、むしろいま書記官の資格があって事務官の仕事をしている人を、やはり書記官の本来の仕事にさすような配置にかえられるような方法は考えられないのか。そのほうが裁判そのものに対する強化になるのではないかと私ども思うんですが、それはどういう方針からそういうことをしていられるのですか。
#112
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 二つございます。
 一つは、簡易裁判所のいわゆる庶務課長は相当多くの庁におきまして兼書記官ということでございます。その場合も、そこにございます表示は事務官という表示でございますが、兼務としては書記官がついております。事件もそう多くございませんので、両方の仕事をいたしておるという実情にございます。
 もう一つは、書記官の資格というものを取りまして、いわゆる事件をやりましても、そういった経験といいますか、そういうものをやはり事務部門でも使いたいわけでございます。そういう場合に、一時書記官から事務官のほうにかわってもらって、書記官の経験を生かしていわゆる司法行政事務部門をやっていく。また将来、書記官のほうに主任なり次席なり首席なりという形で戻ってくる。そういう関係上、現在は書記官の資格があるけれども事務官である、そういう方がある。この二つでございます。
#113
○佐々木静子君 そうすると、この不足している書記官の充足というものについては、これは急速に具体的な方法で準備できるめどがついているわけですか。
#114
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 現在の有資格者を何でも書記官のほうに回してしまうということでございますれば、きょうにでも充足できるわけでございます。しかし実際問題といたしましては、いま申し上げましたように、書記官の資格があって、そのことのために事務部門に行っていただいておるという方は、これは、ではそういうお尋ねがあったからすぐ書記官のほうに戻っていただきましょうというわけにもまいらないわけでございます。そこで、書記官の欠員をできるだけ迅速に補充していくということが別途必要でございまして、これには現在のところ、御承知のように書記官研修所を卒業する者の数をできるだけふやしていくということ、それから、選考試験、昇任試験というのを行なっております。これは部内の試験でございます。書記官研修所を出て資格を取るのと同じほどむずかしい試験を実施しておるわけでございます。そういう昇任試験の合格者をできるだけ多く得ていく、そういうことによって補充していくということを考えております。
#115
○佐々木静子君 これは人事局長もよく御承知のとおり、昭和四十六年の十二月に東京地裁支部刑事分会で実施したところの裁判所職員に対する健康アンケートでございますね、この結果によりますと、これは東京地裁の職員対象でございますが、全員にアンケートを出したところ、書記官八二・六%、これが健康の異常を訴えているわけでございます。これはついでながら申し上げますと、速記官は七八・四%、事務官が七七・七%、タイピストが七一・四%と、いずれも健康の異常を訴えている。そのうち書記官が最も疲労度が強いと申しますか、健康の異常を訴えるものが多いというそういう状態でございますが、そういう事柄について、人事局とするとどのように対処しておられますか。
#116
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) この職員の健康ということにつきましては、私ども年来非常に意を用いておるわけでございます。裁判所の仕事が、やはり書きものをするということに主体がございますので、そういう意味で、やはり室内の根を詰めた仕事ということでございまして、できるだけ職員の健康をそこなうことのないようにいたしていきたいというのが年来の希望でございます。ある程度職員のやはり病気等の者がございますけれども、全般的に申し上げますと、他省庁に比しまして割合等は特段に私どもが多いというわけではないというように考えております。しかしそういうことは別にいたしまして、定期健康診断を行なうとかいろいろのことをいたしております。そしてまた、異常を訴える者等につきましては、適宜仕事の減免の措置をとるとかアフターケアを行なうというようなことで、絶滅というとなかなかたいへんでございますけれども、できるだけ不健康な者が発生することを防止していきたいというふうに意を用いておるわけでございます。
#117
○佐々木静子君 時間がございませんので、次、裁判所の速記官のことについて伺いますけれども、この速記官の法廷における一回の立ち会い時間ですね、これは、最高裁とすると何分以内というか、そういうふうに特別な指示はしていらっしゃるわけですか。
#118
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これは私どものほうから一括いたしまして何分以内というふうな指示をいたしておるわけではございません。ただ、御承知だと思いますが、一時間速記をいたしました場合に、反訳時間が大体八倍から十倍ということでございますので、勤務時間というものを割り振ってまいりますと、大体一週間における勤務の速記の時間というものが出てまいるわけでございます。東京地裁等で承知をいたしますと、大体週二回ぐらい立ち会いをいたしまして、二時間から二時間半、場合によっては三時間というようなことであるというふうに承知しております。
#119
○佐々木静子君 週二回で二時間半ないし三時間というと、一回一時間何十分ないし一時間半ぐらいの見当になるわけですか。すると、一回の速記が一時間オーバーするというのは、かなり長い時間だというふうにお考えになりませんか。
#120
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これは一回だけをとってみますと、その証言が非常に時間がかかったり、あるいは早く済んだり、ということでございまして、正確に何時間以内というふうには申し上げかねるわけでございますが、平均いたしますと、大体そういう週の時間が出てまいるということでございます。確かに、かりに一時間といたしましても、一人で詰めてやるということはかなりたいへんなことではございますけれども、裁判所の速記の現状といたしましては、御承知の機械速記によって、まあこういう職員のそういう点も十分考えながら、一人の人にある程度続けて速記をとってもらっておるという状況でございます。
#121
○佐々木静子君 これは、機械速記と手書きの速記の違いがありますが、たとえば、国会における速記ですと、複数であって、委員会では十分交代、本会議の場合は五分交代というふうなことになっておりまして、これは人間の緊張度というものは大体短時間に限度があるわけでございますが、裁判所の速記は、これは一人の速記で、しかも時間が長期にわたる、これはどう考えてもオーバーワークじゃないか、科学的に何かいろいろ御研究になっていらっしゃいますか。なったとすれば、そうした資料をぜひ出していただきたいと思うわけなんです。
#122
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) その辺のところも実は私どもいろいろ心配をいたしまして、これまでもいろいろ研究等をお願いしたわけでございますが、労働科学研究所にお願いいたしましたところ、現在のところでは、一回――これは一回でございますが、続けてやるのは二時間が限度であるというふうな御調査の結果をいただいております。で、実際は、ほとんどがそれよりも短い、一回の回数としては短い時間だと、これは週の速記時間というもので先ほど申し上げたところからお考えいただいても、十分おわかりいただけるわけでございます。ときによって証言が予想外に長くなって、二時間をオーバーすることもあり得るかとも思いますけれども、平均いたしますと、はるかに一回の時間とはいえども、短かい時間になっております。そういった点は心配はないのではなかろうかと思っております。
#123
○佐々木静子君 これは一時間とかなんとかとおっしゃいますけれども、一時間機械で速記すると、大体これ、まあ反訳の時間がまたあと要るわけですけれども、一時間の速記で何字できるか、それは人事局長はどのように把握しておられますか。
#124
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 標準的なしゃべる速度というのは、私ども承知いたしますところでは、放送局のアナウンサーが標準的な時間だそうでございます。で、実際の個々の人間は、ことに裁判所の証人等、非常になれておりませんので、どちらかというと、速くなるのではなくて、おそくなってしまう、次が出てこないわけでございます。ただ、おそいばかりがとりやすいということでもないようでございますが、まあ非常におそくなってまいります。そういった意味の、速くしゃべられるということによる疲労といったものは私はあまりないのではないかと思いますが、具体的に、一分いわゆる何語――何ワーズというふうに言うんだそうでございますが、であるか、ちょっといま資料を持ち合わせておりませんので、お答えいたしかねます。
#125
○佐々木静子君 これ、やはり大切な裁判所の速記官に対する人事の最高の責任者として、十分間で何字ぐらい書かなければならないのか、これは速記時間だけじゃなくて、それを浄書する問題がそのまますぐつながってくるんですから、資料を特にお持ちでなくても、私はそのぐらいのことは知っていていただきたいと思うわけです、たいへん先礼な言い方ですけれども。やはりそれがわかっていなければ、この速記官がオーバーワークかどうかというようなことを考える基準がないのではないか。はっきり言えば、あまりお考えにならないから、そのことをベテランの人事局長においてすら御存じなかったということにまでなるのではないか。私、そういう面において、これは非常に残念な御答弁だと思うわけなんですが、そこら辺については、もう少し速記官の労働問題について最高裁としても十分お考えいただきたい、と申しますのは、御承知のとおり、公務災害の補償問題で速記官がその当事者になっているのが非常に多いわけでございます。現にその問題で悩んでいる職員が、苦しんでいる職員が非常に多いわけでございます。そういうわけで、ぜひとも、この速記官に対するオーバーワークにならないように考えていただきたい。
 それから、先ほど御答弁にありました科学的な調査というのは、いつ、どこの大学なり研究所に御依頼になって調査なさったものか、それを具体的にちょっと指摘していただきたい。
#126
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 日時はちょっと正確に記憶いたしておりませんが、労働科学研究所にお願いして、労働科学研究所の専門家に研究していただいたものでございます。その点の詳細につきましては、そういうものがございますので、後ほど、場合によりましては佐々木委員のお手元にお届けしたいと思います。
#127
○佐々木静子君 それでは、後ほどそうした資料をまた拝見させていただくことにしまして、次に、タイピストのことに移りたいと思いますが、タイピストは、これは現実に何名欠員ということになっているわけでございますか。特にタイピストとしての表示がないものですから、わかりかねるんですけれども。
#128
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) タイピストは全国で千四百人おるわけでございますが、大体充員がなされておるという状況でございます。
#129
○佐々木静子君 これは、タイピスト、最高裁とすると、一日何枚ぐらいまでが限度の労働能力を持っているとお考えですか。
#130
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 大体八千字程度が民間の基準でございます。変な話でございますが、枚数にして約九枚ぐらいでございます。ただ、裁判所等におきましては、平均いたしますと、その民間の基準をかなり下回る数字になっておるのではないかというふうに考えております。
#131
○佐々木静子君 これは別の会合で、前の人事局長かなにかの御発言で、やはり裁判書きのタイプは非常に用語がむずかしくて疲れるので、普通のタイプのようにはいかないというようなお話がございましたが、そうすると、平均の他庁におけるタイピストよりもかなり負担が軽いというふうに考えておられるわけですね。
#132
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 大体それから二、三枚少ない程度でございますので、六、七枚というところが裁判所の平均でございます。そういうふうに御承知いただいてしかるべきでなかろうかと思います。
#133
○佐々木静子君 先ほど、職員に対する定期的な健康診断というお話がございましたが、六カ月に一度以内、タイピストあるいは速記官に対する健康診断で、上肢及び肩あるいは目の健康診断をしていらっしゃる、これは現在もしておられますね。
#134
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 現在も、そういう職員については、一般の職員のほかに実施いたしております。
#135
○佐々木静子君 この結果が最高裁で統計されているんじゃないかと思いますが、上肢とか肩あるいは目に対して何か異状を訴えている人というのは、その健康診断の対象者の何%ぐらいになっておりますか。腕あるいは目、おのおのについて、わかりましたらお述べいただきたい。
#136
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 健康診断を実施いたしますと、当然、ある程度のそういう者が出てまいりますが、現在ここにはその結果の数字を持ってまいっておりませんが、これも帰ればあるわけでございますので、後刻お届け申し上げたいと思います。
#137
○佐々木静子君 これは、実は東京地裁の職員の人たちがいま一番困っております問題としまして、財団法人法曹会が経営しているところの法曹会の診療所でございますね、あの診療所が近く閉鎖されるとかいうことでございまして、あそこに、東京地裁管内の職員で現在治療を受けている者二百二十七名、それから過去二年間に治療を受けた者は六百二十名というふうな非常に多くの数の職員が治療を受けているわけなんでございますが、この法曹会の診療所が近く閉鎖されるというのは事実でございますか。
#138
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これは、法曹会と申しますのは、私どもの直接の所管ではないわけでございますが、診療所がございまして、いま御指摘のように、どうも診療所経営がうまくいかないということで、閉鎖もやむを得ないのではないかというふうに言われておることは承知いたしております。
#139
○佐々木静子君 この法曹会というのは、最高裁とどういう関係になるのか、時間があればお述べいただきたいんですが、何ぶん時間がありませんので割愛いたしますが、これは裁判官の有志の方はむろんのこと、裁判所職員の方々も、これは有志が加入しているんじゃないか。そして、会費を月幾らというふうに、これは給料から天引きになっているんじゃないかと思うんでございますが、聞くところによりますと、法曹会の事業にいろいろあるけれども、人によると、この診療所で診療が簡単に受けられるようにということで毎月会費を払っておったという人がかなりいるわけなんでございますが、それを一方的に、会費だけ取って、都合悪くなったからもう診療所はやめるというんじゃこれはどうもすっきりしないんじゃないか。会費を取っている。毎月給料から天引きで法曹会の会費を取られているけれども、その会計報告も受けたことがないというのが職員の人たちの意見、述べているところでございまして、会計報告も受けずに、そして結局診療所目当てで入会した人もかなりいるのに、診療所は廃止になる、これじゃわれわれは困るのではないかというようなことで、いま、法曹会の診療所を何とか存続してほしいという声が大きく出ているわけなんでございますが、その点について、先ほど来職員の健康問題について非常に人事局長は関心を持っておられるということでございますが、どのようにお考えですか。法曹会の診療所をもし閉鎖するとすれば、それにかわる十分な診療設備というものをいま考えておられるのかどうか。しかも、地裁あるいは高裁の管内にある建物の中において――それをお述べいただきたいと思います。
#140
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これは私だけの所管ということでもございませんのですが、便宜申し上げますと、確かに法曹会の診療所を、近くにございますので、職員が相当数利用いたしております。これが廃止になるということになりますと、もうかわりを求めざるを得ないわけでございます。最高裁判所の中に現在診療所がございます。これを整備拡充していくよりほか方法がないわけでございます。御承知のように、現在最高裁を建設中でございます。最高裁が、新しい庁舎が建ちますれば、最高裁の新しい庁舎のほうにも診療所を設けていこうと。それからまた、現在の建物の中にある診療所も、やはりあの霞が関地区の人たちの便宜のために、どういう形であるかは別といたしまして、残して拡充整備していきたいというのが、健康管理上の面からいたします私どもの計画でございます。
#141
○佐々木静子君 この最高裁の中の診療所は、御承知のとおり、内科と歯科しかないわけでございますが、これ、ちょっと統計を読み上げているひまありませんが、眼科にかかる――眼科の疾患の人が裁判所職員に非常に多いし、そのほかの科の疾患がいろいろあるわけでございますが、いまの法曹会の診療所は、ほとんど全科そろっているけれども、これがなくなると、内科だけじゃとても間に合わない。しかも、いまお話しのように、最高裁そのものが移転するわけでございますから、今度の庁舎に、かりに各科そろえていただいても、ちょっと簡単にというわけにはいかないようになるわけでございますので、もし、この法曹会の診療所を廃止するとすれば、東京地裁あるいは高裁の構内に、やはり全科そろった診療所を完備していただいて、いつでも職員が簡単に、休憩時間とかなんとかに、すぐに治療できるような設備をつくってもらわなければ、これは非常に困るという、強い要望が出ているわけです。今度最高裁がのきましたそのあと地をどういうふうに庁舎をおつくりになる御予定か、それがきまっているとすれば、まずそれを伺いまして、その中に、かなり、全科そろった完備した診療所を置いていただけるのかどうか、そのことも伺いたいと思うわけです。
#142
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) お答え申し上げます。
 最高裁判所の庁舎が、来年の春に三宅坂のほうに移転いたしますと、現在の最高裁判所の敷地のあとに東京高等裁判所を新しくつくるという計画に相なっておりまして、ただいま国会で御審議いただいております昭和四十八年度の予算には、その調査費が計上されているわけでございます。
 将来の青写真でございますが、私どもといたしましては、現段階におきまして、鉄骨、鉄筋、地下二階、地上十一階建ての建物、面積にしまして約二万九千平方米の建物をつくりまして、そこに高等裁判所を中心とする所要の設備を納めたいと、かような計画に相なっております。ただ、設計その他はまだ全然着手いたしておりませんので、今後いろいろの必要な設備等も、ただいまの診療所の問題なども含めまして必要になってまいるかと思いますが十分に研究いたしまして計画を進めてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
#143
○佐々木静子君 いろいろ、そういうふうな職員の健康を守るような設備、あるいは職員が会議を開くことができるような設備などにつきましても、ぜひとも新庁舎について御配慮いただきたいと思うわけです。
 それから、話のついでながら、新しく高等裁判所をお建てになることに関連して申し上げたいんですが、いま、東京地方裁判所の建物が、特に民事部が非常にばらばらになっておりまして、弁護士なども右往左往しなくちゃならない。東京の弁護士も右往左往してわからぬくらいでございますから、ほかの弁護士会から行った者はなおさらわからない。裁判所の職員自身が、外来者から尋ねられて、それがわからないで困ると言っておるわけでございますので、十時の期日に出頭したところが、その場所をさがすのに二十分ぐらいかかったということもよくあるわけでございますので、何とかこの庁舎を完備して、そうして交通標識のようにまではいかなくても、一見してわかるように、ひとつはっきりとした標示をつけていただきたいと、これはお願いする次第です。
 それから、時間の都合がございますので次に移りますが、職員の健康状態に関しまして、裁判所の労務災害認定、これは前から問題になっていることでございますが、たいへんに裁判所の労務災害認定に時間がかかるわけでございますが、昭和四十五年の十二月十七日の国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律によって、この災害補償を受ける権利の強化というものがきめられておりまして、「実施機関は、その定める組織区分ごとに、補償事務主任者を置かなければならない。」ということがきめられて、その裏づけとして、四十六年六月二十四日に最高裁の通達が出されて、補償事務主任者が組織内の職員で公務に基づくと思われる死傷病が発生した場合などに、すぐに当該組織の長に提出しなければならない、あるいは第四項に、組織の長は、補償事務主任者から公務災害発生報告書が出された場合は、この災害が公務に基づくものであると認められるときは、意見を付して、実施機関に対して報告しなければならないというふうになっているようでございますけれども、こうした、この組織の長から実施機関――事務総長になると思うんでございますが、事務総長に対して、いまどのぐらいそのような報告が、合計何名ぐらいの公務災害の報告がなされておるわけですか。
#144
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御指摘のように、実施機関としては事務総長が指定されております。また、補償事務主任者といたしましては、現地の裁判所の人事課長または総務課長がこれに当たっておるわけでございます。これまで過去五年、四十三年ないし四十七年というところを例にとってみますと、まあ公務災害の事件としてあがってまいりましたのは二百三十件あるという状況でございます。
#145
○佐々木静子君 これ、公務災害の報告と処理状況の一覧表というのをちょっと私調べてみましたら、非常にひまがかかっておりまして、三十二年に発病したのが三十六年十月に――これは最初のころのケースでございますが、公務上と認定されておるというふうな、大体四年ぐらいの経過を経ているようなぐあいでございますし、あるいは公務外となったものでも、東京地裁のケースでは三十六年に発病して四十一年にやっと受理されて、そして四十四年の年末に公務外の認定がされている。これは八年間もかかってこういう認定がされている。訴訟の遅延のことが先ほどから問題になっておりますが、最高裁の内部的にも、公務障害が、発病してから八年もかかって、やっとこさ公務上であるとかあるいは公務外であるとかいう認定をされるのじゃ、これは人の一生が何十年延びても、ちょっと間に合わないのじゃないかという感じがするんですが、大体どういうわけでそんなにおくれるんですか。
#146
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) たとえば、役所で仕事をいたしておりまして、その仕事の遂行中に転落して腕を折ったとかいうような問題でございますれば、これはもうきわめて短期間に公務上の認定をし、処理をいたしておるという状況でございます。ところが、佐々木委員も御承知かと思いますが、腱鞘炎、頸肩腕症候群等の一連の障害という、いわゆる四肢障害と申しますか、そういうものになりますと、実は専門医の間でもまだその原因等が必ずしも十分究明されていない、診断の基準自体がはっきりいたしていないというところがあるわけでございます。したがいまして、地方等でそういった障害を訴えるようなことがございましても、適当にこれを診断させるお医者さんがいないというようなこともございます。それからまた、専門医としての、実施機関がございましても、各人の病状の経過をある程度見ていく必要がございます。さらに、業務量その他の実態を把握していくという必要もございます。そういうこともございまして、非常に長くかかっておるものもございます。私ども、長くかかることはそれはいけないことであることはよく承知いたしております。できるだけ早く片づけていくように精一ぱいの努力をいたしておるわけでございますが、何ぶんにも、よそにあまり例のない仕事でございます。ことに、ソクタイプ等は私どもだけでやっておるものでございまして、いわゆる医学上のこれまでの所見というようなものがございませんので、まあひまがかかっておるということでございます。
#147
○佐々木静子君 これはいろんな理由があるでしょうけれども、あまりにもひまがかかりすぎているというふうに思いますね。しかも、そのあとでその結論だけがただ口頭で知らされる、文書ももらっておらぬという人が多いんですが、これはあまりにも、職員の人権というようなもの、人権を守る裁判所が、そういうことはどうも感心しないんじゃないかと思うわけなんです。
 それから、これは公務外になって、審査の申し立てをしたときに初めて、どういうわけで公務外の認定がされたかという資料が、それも申し立てをしてから何カ月も、場合によると一年近くなってから、どういうわけで公務外であったかというような書面が来る。うがって言えば、申し立てをしたから、それから書面をつくったのではないかと思われるような理由書が来るわけでございます。これ、私も若干ここに理由書をいただいているんですが、これは作成した日にちも、あるいは作成者の名前も、どれに関しても載っておらぬのですけれども、これは裁判所がかりにも文書をつくるのに、ほかの民間がつくるならともかく、文書の作成名義人が全然載っておらぬわけなんです。日にちも載っておらない。これはどういうわけで文書の作成者を表示しておられないのか。これはどういうわけですか。
#148
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) お手元の文書がどういうものか、ちょっとわかりかねる面がございますが、一応規定の上では、公務上の認定をいたした場合には所属の長を経て本人にあてて文書で通知するということになっております。しかし、公務外の認定をいたしましたときには、本人の申し出の場合、本人あて通知するということの扱いになっております。しかし、現実の裁判所での扱いといたしましては、公務外の認定をいたしましても、所長あて文書を出しまして、所長がその文書に基づいて本人に詳しく、こういうことで公務外の認定が行なわれたということを御連絡するというふうに私どもお願いをしておるわけでございますが、もしそういう点の不徹底がございますれば、またできるだけ早い機会にそういうふうにしていただくようにお願いをすべきではなかろうかと考えております。
#149
○佐々木静子君 これは結局、公務外の認定をされた人、また、その結論にならなくても、どうなっているのかということになっても、地裁のほうは、いや最高に言うてある、最高のほうは、いや地裁だ、ということで、結局どこに言うていっていいかわからない。そして、まあ振り回されたような状態になる。それで、これ、なんでしたら見ていただいてけっこうなんですが。こうした理由にはみな署名、作成者の名義が書いてないということ、これもちょっと一繰り返して言いますが、裁判所でつくる文書としておかしいのじゃないかと思うわけなんです。
#150
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これ自体は、私どものほうでつくったものではございません。あるいは職員組合等がつくられたものではないかと思います。私どものほうは、いまも申しましたように、所長あてに御連絡をいたすわけで、これは正式の文書で御連絡をいたす、おそらく、その別紙というような形のものを、その必紙部分だけ職員組合のほうほうで適当に復写されたんではないかと思います。ちょっと正確にはわかりません。
#151
○佐々木静子君 もちろん、それはつくられた文書をまたゼロックスしたものですが、そうすると、その文書の作成名義はだれなんですか。
#152
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) これが、私どものほうで所長あて通知をいたしましたその文書の別紙にあたるものかどうかということの、ちょっと確認ができませんので、その問題については直接お答えいたしかねますが、一般的には、実施機関の事務総長から所属の所長、長官あてに、公務外の認定をしたという書面を差し上げる、これが一般でございます。
#153
○佐々木静子君 そうすると、作成者は事務総長になるわけなんですね。
 それから、最高裁の災害補償審査委員会というのがございますね。裾分局長が委員長のように承っているわけですけれども、この委員会へ出頭して、いろいろと事情は聞いていただけるということなんでございますけれども、何ぶんできるだけ早く審査を、こういう問題ですから、していただきたい。メンバーを拝見しますと非常にお忙しい方ばかりの構成メンバーになっているわけですが、大体、この審査をお受けになってから、どのくらいのめどを立てて結論を出していらっしゃいますか。
#154
○最高裁判所長官代理者(裾分一立君) 私は、昨年三月こちらへ転勤してまいりまして、委員長の辞令をいただきましたが、その当時、昭和四十四年に申し立てをした事件、それから四十五年、四十六年と、全部合わせて八件ございます。で、先日、その八件全部につきまして、申し立て人から直接事情なんかを聞きまして、聞き終えたところでございます。なお、申し立て人の代理人から、なお主張したい点があるし、書面なども出したいので、しばらく次回期日を待ってもらいたいと、こういう申し出が出てきておる現状でございます。
#155
○佐々木静子君 ともかく、裁判所の職員の数が足りない、仕事がどうしてもオーバーワークになるということは、これは裁判所の御当局も一般的な問題としてお考えになって、お認めになっていらっしゃることじゃないかと思うんでございますが、不幸にしてそういうことで、からだを悪くした人に対する補償ということは、これは最大根裁判所の職員のためにお考えになっていただいて善処していただきたいと思うわけですが、実施機関の責任者である事務総長、一言、この点についてお考えなり御所信を述べていただきたいと思います。
#156
○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) 御旨に添いまして十分努力いたしたいと思います。
#157
○佐々木静子君 最後に、これは何と申しましても裁判所の予算を伴うものでございますので、法務大臣につきましても、ぜひともこういう問題も前向きに職員の健康問題を考えていただきたいと思いますが、その点についての御所信を最後にお聞かせいただきたいと思います。
#158
○国務大臣(田中伊三次君) 予算の折衝は、御承知のとおり、最高裁が独立をしておやりになるところではございますが、私も側面より御協力を申し上げまして、御意向に沿うようにいたしたいと思います。
#159
○白木義一郎君 私は、今回の裁判所職員定員法の改正案に対しまして御質問を行なう趣旨は、あくまでも、現在問題になっております裁判の重要問題である訴訟遅延という問題について、ともに適策を見出し、また考えていきたい、こういう考えのもとにひとつ質問さしていただきたいと思います。
 で、具体的に私ども国民の評価を申し上げますと、裁判官は立法府や行政府から独立しているばかりでなく、司法行政事務以外はその所属する上級者からさえ指示や影響を受けないのがたてまえである、また、法廷の主人として、裁判を早く進めようと、またゆっくりやろうと、全く裁判官自身の自由である、このように受けとめております。また、他の公務員は新聞雑誌などを通じて毎日のように批判を受けているが、裁判所はその数が比較にならないほど少ない、また裁判官の仕事は肉体労働ではなく、頭脳労働であると、そのように国民は評価をしておりますが、この一般の国民の評価をどのようにお考えになっているか、冒頭にお伺いしておきたいと思います。
#160
○最高裁判所長官代理者(安村和雄君) おっしゃいますとおり、裁判所の仕事は独立して公平になされなくてはならないことでございます。裁判所の仕事が円滑にされますにつきましても、司法行政の仕事が大事でございますけれども、司法行政はやはり裁判が十分円滑に行なわれるために奉仕する仕事でございますから、国民のみなさんが訴訟の運びについて安心していただけるように十分の努力をしたいと、このように思っております。
#161
○白木義一郎君 私どもは非常に残念に思いますのは、このような国民の評価が起きてまいりますと、最高裁のお考えでは当然裁判官の勤務評定が必要であろうという結論に達することであります。で、勤務評定の何たるかを根本的に掘り下げようともしないで、長官あるいは所長がはたして的確な評定をすることが可能であるかどうか、このような心配をするわけであります。で、ここで正式には考課調書と呼ばれる勤務評定の内容について御説明を願いたいと思います。
#162
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 私どもいろいろと考課調書のようなものがあるというようなことで、書きもの等になさっておるということも拝見いたしております。また、過日衆議院の法務委員会でもそういった趣旨のお尋ねが委員からございました。私どもはそれに対しまして、裁判官の適正な配置ということのためには、ある程度所属の地・家裁の所長あるいは長官の御意見というものを伺わざるを得ない。で、伺うにつきましては、ではどういう観点から伺っておるかということでございますが、結局、ただいまも白木委員御指摘になりましたように、裁判官の仕事と申しますのは、迅速しかも的確に争訟事件を処理するというところに凝集されるわけのものでございますので、そういった観点からの御報告というものをいただいて、これを適正な裁判官の配置等の資料にさせていただいておるということを申し上げたわけでございます。まあ当委員会におきましても、同様に申し上げ得るのではなかろうかと考えております。
#163
○白木義一郎君 大事な問題ですが、最高裁側の理由としては、適当な人事異動を行なうために裁判官に対する人事考課は絶対に必要である、まあその点はよくわかるのですが、しかし、ものをはかるにはいろいろな尺度がありますけれども、この裁判官の適格であるか、あるいは優秀であるか、それを判定するのは、長官または所長の意識のものさしによると、これだけでは非常に一人の裁判官を的確に判断するということがむずかしのじゃないか、何かそこに、われわれが伺っても心配ない的確な人事であるというようなことが伺えないかどうか、そういう意味でお伺いしているわけです。
#164
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 御承知のように、裁判官各人は独立でございまして、それぞれの全責任のもとに事件の処理をいたしておるということでございます。一審の裁判官が事件を処理いたしましても、それは控訴上告ということによりまして、その全精力を結集されました結果というものが控訴審でさらにレビューされる、また上告審でさらに根本的にレビューされるということに相なるわけでございます。で、私どもの裁判官の仕事と申しますのは、結局はどの観点から見られてもさしつかえない、またあらゆる観点から常に再検討をされてきておるというのが、これは訴訟の構造であるわけでございます。したがいまして、裁判官の的確な事件の処理ということも、決して所長、長官の恣意によって、たまたま長官になられた方がこういうものが好きであるから、所長になられた方がこういう傾向が好きであるからというようなことによって評価が動かされる性質のものではございませんで、評価そのものは客観的に常に出てきて、しかもオープンに出てきておるというものであるわけでございます。で、最高裁の裁判官十五人の方々にいたしましても、最終的には司法行政、ことに人事行政についての責任をお持ちでございますけれども、年間相当数にのぼる事件というものを通じて、その処理のしかた等をよく御存じでございまして、そういった観点から、それぞれが十分に各人についてのお考えというものをお持ちになっておるということが言えるのではなかろうかと思います。また、所長、長官等の方々にいたしましても、あるいは高裁の裁判官として、あるいは陪席をかかえておる場合における裁判長として、事件処理というようなものを通じて、各裁判官について的確な御判断をお持ちになっておる。単なる感覚と申しますか、そういったようなことではなくて、事件処理を通じていろいろの評価というものをお持ちになっておるわけでございます。
 それからもう一つ、これは申し上げるまでもございませんけれども、人事のそういった御意見をいただくといたしましても、これはどういう方がそういう御意見をいただいたかということが問題になることはもう当然のことでございまして、ただ出てまいりました御意見をそのままうのみにいたすという性質のものでないことはこれまた当然でございます。いま申し上げましたような裁判所における訴訟の繰り返しレビューしていくという構造、それから所長、長官が御自身も裁判をおやりになり、陪席として裁判官をお使いになった上において、事件の処理を通じてごらんになった客観的なもの、そういったものを便宜所長、長官の御意見としていただいておるわけのものでございます。私ども、所長、長官の御意見というものは、いま申し上げたような点から、やはり客観性を持ってきておるものであろうと確信いたしておりますし、なおその上に、どの方がどういう御意見をいただいておるかということによるそれぞれの修正と申しますか、そういうものがございます。これを結集して、最終的には十五人の裁判官の御判断によって事をおきめいただいておるというのが現状でございます。
#165
○白木義一郎君 次に、裁判訴訟遅延解決のかぎを握っていると言われる集団訴訟についてお尋ねをしておきたいと思います。戦後は、メーデー事件を皮切りに、最近は世間の世論を巻き起こしている四大公害裁判、あるいは昨年の衆議院選挙に関して無効の訴えをしている東京三区あるいは七区、埼玉一区、千葉一区、神奈川一区の五選挙区の住民三百七十二人による訴訟が東京高裁に提起されているほか、集団訴訟は増加の一途をたどっております。
 ここで、憲法第十四条に違反するとの主張のもとに行なわれた衆院選の無効の訴えの進行状況について御報告を願いたいと思います。あわせて、最高裁としては、重い一票あるいは軽い一票ということについて、どこまで不均衡が進行すれば違憲である、憲法違反であるかということが御意見として伺えればお尋ねをしておきたいと思います。
#166
○最高裁判所長官代理者(西村宏一君) ただいま御質問のございました衆議院の選挙無効の訴訟は、本年の一月九日に東京高等裁判所に訴状が提出されました。第一回期日は二月十五日に開かれまして、訴状及び答弁書の陣述が行なわれております。その際に、原告のほうから、訴訟準備のために続行の申し立てがございました。次回期日は九月二十二日と定められております。
 それから、なお後段の御質問でございますが、現に訴訟が継続しておる事件でもございますし、具体的な法律問題になりますので、私どもとしては意見を述べる立場にはございませんので、御了承願いたいと存じます。
#167
○白木義一郎君 この集団訴訟を円滑に処理するためには、裁判所が中心になって、検察庁あるいは弁護士会等々と十分なる意思の疎通をはかっていかなければならない、話し合いを繰り返し積み重ねていかなければならない、協力態勢をしいて対処しなければならないと、このような、先日大臣のお話もありましたが、具体的な運営あるいは内容について御説明を願いたいと思います。
#168
○国務大臣(田中伊三次君) 私の記憶では、たしか昭和三十一、二年からであったと記憶をいたしますが、訴訟を促進するためには、訴訟関係者の協力が必要である、それは、口で言うだけでなしに、現実のものとして実現していくためには協議会が必要だということで、各地方別に、裁判所の所長さん、それから検事正、弁護士――弁護士は弁護士会長、三者が協議会を設けまして、訴訟の促進にいろいろ自来御協力をいただいておる。こういう方面にいま一段御苦心をいただきますように懇請をしお願いをいたしますことが具体的な努力であろうと存じます。しかし、午前中の当委員会においても私から御報告を申し上げたところでございますけれども、ただいま先生仰せのとおり、訴訟遅延の問題は、複雑な大型の、いわば集団的訴訟というものについていろいろ世間の御批判をいただき、御心配をいただいておるのでございます。そうでない一般の民事、刑事の訴訟については、数の少ない裁判官、数の少ない検事であるにかかわりませず、たいへん努力をいたしまして、そこそこの促進は現にできておる。おしかりをいただいておりますのは、複雑多岐にわたる性格を持っております。集団的な大型訴訟についてであると、こういうことでございますので、この大型訴訟につきましても、いま申し上げますような具体的な機関ができておることでございますから、これでひとつ力を入れていただく。それから一般事件につきましても、なお一そう促進をいたしますように、御苦心のお願いをしてみたいと、こう考えるのでございます。
#169
○白木義一郎君 訴訟の解決を促進するためには、裁判所職員の増員だけではなくて、施設の充実等他の適切な方策を進めておられると思いますが、職員の執務環境の整備は現在どうなっているか、御説明をしていただきたい。その中で、研究庁費について、研究庁費の概念、いわゆる庁費ですね。また過去数年に計上してある研究庁費の内訳をお知らせ願いたいと思います。
#170
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) お答えを申し上げます。
 まず第一の執務環境の改善のことでございますが、裁判所の職員の執務環境を改善するということになりますと、やはり古い庁舎あるいは狭い庁舎を改築するということがまず手始めの問題でございます。そこで、全国の裁判所の整備状況でございますが、当委員会をはじめたいへんな御支援をいただきまして、着々と整備が進んでまいっております。現在、古い庁舎で申しますと、木造の庁舎でもって戦前のものは、予算計上されていない庁舎は一件もございません。本庁につきましては一件もございません。甲号支部もほとんど全部予算が計上されております。乙号支部がまだ若干残っておるという程度でございまして、本年度もおかげさまで六十カ所の新営ができるというふうに相なっておるわけでございます。今後も、執務環境の改善のためには、庁舎の新営を中心といたしまして、増築あるいは設備の改善その他、万端にわたりまして努力してまいりたいと思っております。
 次に、第二番目にお尋ねの裁判官の研究庁費でございます。これは昭和四十年度から予算に計上を認められておりまして、毎年約一億八千万円程度の予算が計上されております。これはどういうことかと申しますと、その当時、裁判官が役所に参りましても十分な机もあるいは場所もない、執務の場所もない、不十分であるということでございましたので、これを整備するということが中心でございました。裁判官室、当然のことでございますが、裁判官の机、椅子あるいは応接セットでございますとか、あるいは書架でございますとか、そういうものを整備する、そのほかに、裁判官に必要な図書を整備する、こういったことが内容になっておりまして、内訳で申しますと、大体図書費と器具費が半々ぐらいに相なっている。予算的には毎年一億八千万程度計上されている。四十八年度も当然計上されております。現在九年に相なっております。本庁、甲号支部、乙号支部、ほとんど整備が終わりまして、乙号支部の残っておりますところと、簡易裁判所のまだ一部残っておりますところに重点を入れて整備をする、こういう段階に相なっております。
#171
○白木義一郎君 仕事、執務がはかどるために、能率的な新しい道具ですか、器具を調達していらっしゃると聞いておりますが、具体的にどんなものを使用を始めているか。
#172
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) ただいま御指摘のように、裁判所におきましては、単に人の力ということではなくて、できるだけ近代的な器具を用いるということが、やはり裁判事務の能率化にぜひ必要なものであることはもちろんでございますので、そういった観点から、数年来各種の器具を整備しております。たとえばその器具の中心でございますが、やはりこれは裁判事務に直接関連のあるところの器具というものがおのずから中心となろうかと思いますが、たとえば複写機、録音機、それから計算機、これも最近では電子卓上計算機等もございますので、こうした計算機、それから写真機、これも検証等にぜひ必要でございますので、写真機といったようなものに重点を置いて、各裁判所を整備してまいっておるのでございます。で、下級裁判所におけるところの本庁でございます地方裁判所並びに家庭裁判所の本庁は一応整備いたしましたが、しかしながら、裁判所の数は支部、簡裁合わせますと一千以上になりますので、そういった関係もありまして、現在なお不十分なところもございます。しかしながらこの点につきましても、今後予算増額等の措置を講じまして、事件数、職員数に応じておのずから必要な限度において、逐次整備していきたいというふうに考えておるのであります。この点の予算を参考までに申し上げますと、昨年度、四十七年度におきましては八千四百万円、ばかり計上しております。ただいま御審議いただいておりますところの四十八年度の予算では、一億二百万円の予算が一応計上されておる段階でございます。
 以上、簡単ではございますが、そういうことでございます。
#173
○白木義一郎君 その中で、テープレコーダーを使用するようになっているようでありますが、その録音を、内容の翻訳、整理、あるいは清書等、外部の業者に委託しているということはちょっと好ましくないんじゃないか、そのように思います。で、人権はあくまでも擁護する立場から、こういう点は矛盾が生じないかどうか、性質上どういうようにお考えになっているか、伺っておきたいと思います。
#174
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) ただいま白木委員御指摘のように、録音に一応証人供述等をとりまして、その録音を外部に出しまして、これを翻訳してもらう、それを書記官が検討いたしまして、内容等を検討し、さらに修正して、これをまた外部の業者に清書してもらう、これをでき上ったものについてさらに書記官が検討をし、これが書記官の作成する録取調書の一部となるということが一部の裁判所で行なわれておるわけです。率直に申しますと、それは現在のところ東京地方裁判所の一部において行なわれておるところの方式でございます。
 これはいろいろ観点はあると思いますけれども、現在やはり訴訟事件がきわめて複雑困難になっておりまして、従来からの書記官の単なる要領聴取ということではどうしても足りない。やはり当事者なり、それから裁判官のほうからもなるべく逐語調書ということで、ことばどおりの調書というものがほしいというふうな、いろいろな要望もございました。で、そういうふうな点もございますし、まだ、そうした複雑困難な事件のために、どうしても証人尋問等が長くなるという関係等もございまして、そういたしますと、書記官がそれを録取するということも、これは相当な労働でございます。したがいまして、そういうような観点等を加味しまして、書記官のそうした録取事務の負担をある程度軽くする。一方、かつまた、いろいろ要望のあるところの逐語調書というものに対する期待にも沿いたいというような観点から、これを始めてみようということで、現在東京地方裁判所の一部の部において実験をしているのでございまして、この点につきましては、ただいま白木委員御指摘のように、そういうようなことでは単に書記官は録音機を操作するということだけになってしまって、裁判記録を作成するというふうな、そうした重要な面がなくなるので、これは制度的にも問題ではないかという御疑問のあることももちろんだと思いますけれども、しかしながら、書記官が担当いたしますところの供述録取事務というものにつきましては、法律的知識を要する面と、それから単に人の話したことばを文字化するという面と、両方の面があると思うわけでございます。書記官が特に法律的な高い資格要件を必要としておるというのは、主として法律的知識を要する面だと思われますので、ことばを文字に直すというような普通の録取事務というものは、特に高い資格要件というものを必要とするものではなかろうというふうに考えるわけでございます。そういった観点から考えまして、それとまた、他面、調書は書記官がみずからこれを書く必要はない、書記官の事務というものはそうした書類を認証するのがその権限とされているというふうに言われておりますので、したがいまして、かりに録音翻訳を外部に出して、外部の人がそれぞれを作成した調書であろうとも、それを書記官がその内容等を検討して、これを認証するということであれば、法律的には問題がないというふうに考えられておるわけでございます。そのようにして、書記官が調書をみずから作成するという事務からある程度解放されますと、その余力は、本来書記官の資格要件とされております高度の法律的知識を十分に活用するという、そうした余裕が出てくるわけでございます。したがって、そうした面で生じましたところの余裕は、書記官が本来持っておりますそうした法律的知識というものを十分活用して、それによって裁判官を補助して、あわせて裁判の適正円滑な運営に資するようになるであろうというふうな希望を持っているわけでございます。そういった観点からただいま実験中でございますので、これをどこの裁判所でもすべてやるということは、また今後、将来の問題でございます。
#175
○白木義一郎君 次はコンピューターの導入についてお尋ねをしますが、一つは、コンピューターを使用している数を各裁判所のクラス別についてお知らせをいただきたい。それから、コンピューターを使用する意図について。三番目は、先進諸国のコンピューターの使用状況について御説明を伺いたい。次は、判決をコンピューターで出すということはいろいろ議論がありまして、適当ではないと思うのですが、どのようにお考えですか。
#176
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) コンピューターを現在各地の裁判所に配置しているということはございませんで、これは最高裁の事務総局で全国の事件の集計をしております。これが司法統計ということになって、まあ本にもなっておりますが、この統計をつくるという段階でコンピューターを現在使っておるのでございます。で、以前は小型のコンピューターを使っておりましたけれども、四十七年の二月から中型のコンピューターを用いて、それによってそうした統計事務の速度を早める、またその適正をはかるということをやっておるのでございます。で、さらに現在、統計以外にそうしたコンピューターの利用方法は裁判事務上ないものであろうかということについていろいろ研究中でございますが、昨年度業者の協力を得まして、電算機の調査研究ということを始めております。その内容といたしましては、先ほど佐々木委員の質疑の中にも出ておりましたように、現在行なっておりますところの速記でございますが、これの反訳に非常に時間がかかるということで、これをコンピューターによって反訳をさせることができるならば、その反訳時間というものが大いに短縮されるのではないか、こうい、点等をまず第一点として検討しております。次は判例等の検索でございます。判例、学説等をコンピューターに覚え込ませて、これを適宜必要な段階で利用することができるということになれば、やっぱり裁判の促進にも役立つのではないかということでございます。それからさらに司法行政事務、先ほど申しました統計、給与計算等についてもこれを用いるということも考えております。それからまた家庭裁判所の関係でございますが、少年の前歴調査ということでございます。少年の場合に、家庭裁判所である処分を受けたということ、それを全部コンピューターに入れておきますと、新しく来た事件について当該少年についての前歴がたちどころにわかるということになろうかと思います。こういうふうな四つの点をいろいろ研究テーマとして研究中でございます。
 それから外国の例でございますが、これは先ほど申し上げました判例検索の分野でございますが、アメリカ等で種々開発しているようでございます。たとえば普通の民事事件でございますならば、債務不履行による契約解除というふうな項目をコンピューターに入れれば、これに関するところの学説、判例が出てくるというふうなことについてもいろいろ研究が進められているというふうに聞いております。
 先ほどの最後の御質問でございますが、コンピューターによって判決ができ上がるかどうかということでございますが、これはやはり技術的に非常に困難でございまして、御承知のように、コンピューターというのは覚え込んだものをすばやく取り出すというところに重点がございまして、一たん覚えさしたものをコンピューターの中で操作をして人間と同じような働きをさして、その結論を引き出させるということについては、現段階においてはコンピューターの技術としてまず不可能だというふうに考えております。
#177
○白木義一郎君 そうしますと、現段階ではコンピューターの判決は考えられない、まあそういう御意見を伺って安心したわけです。
 次に、本改正法案に関してお尋ねしますが、事務雇いについて、この事務雇いというのはどのような官職あるいは職務内容で、現在その人員は男女別でどのぐらいいるのか、伺いたいと思います。
 もう一つは、この事務雇いはどのような考えのもとに置かれているのか。また事務官とは身分上あるいは給与上の取り扱いに差異があるのかどうかという問題。で、それに関連して、人事院の発表にありますように、一般行政官庁においては事務雇いは逐次廃止される傾向にあるようでありますが、裁判所においてはどのようにこの問題を取り扱っていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。
#178
○最高裁判所長官代理者(矢口洪一君) 事務雇いは、裁判所事務官、それから裁判所書記官、裁判所調査官等の事務を補助するという性質のものでございます。大体高校を卒業いたしまして初級職試験あるいは裁判所独自で行ないます雇いの選考といったものに合格した人を毎年百数十名採用いたしておるわけでございます。で、この事務雇いという名称は、ある意味では補助的な官職、一般的な補助的な官職ということの名称としていま使われておるわけでございますが、はたして事務雇いと事務官とを区別する必要があるかどうかということは、確かに問題のところでございまして、各官庁でも逐次これを廃止されるという傾向にございまして、私どもも検討すべきではなかろうかということをかねて考えていたわけでございます。
 過日、と申しましても二月の二十七日でございますが、衆議院の法務委員会で沖本委員から、実は事務雇いのことについてお尋ねがございまして、いろいろと貴重な御示唆をいただいたわけでございます。そういうことで、そのような御見解もまことにごもっともでございましたので、私どもかねてから考えておったことでもございまして、四月一日を期しまして事務雇いを全廃するという方向に急速作業を急いだわけでございますが、事務雇いを廃止いたしますと、私どもといたしましては、いろいろの規定の改正等をいたさなければいけなかったわけでございますが、根本的な規定としましては、裁判所職員の任免等に関する規則というのを改正いたしまして、これから事務雇いという項をはずしてしまう。一方、現在百人近くの事務雇いがおります。男女の比率は大体七、三程度で、女性のほうが少ないわけでございますが、こういった事務雇いにつきましても簡単な変更を行ないまして、すべて事務官に直してしまうということで、そういう措置を決定し、最高裁規則の改正も過日お願いいたしまして、すでに公布、四月一日から実施しておるという段階でございます。そういうことでございますので、他省庁、多少雇いの者が残っておる省庁もあるようでございますが、私どもといたしましては、貴重な御示唆に基づいて、四月一日限り事務雇いを廃止したと、こういう状況でございます。
#179
○白木義一郎君 そうしますと、この官報に載っておりますように、事務雇いは廃止する、これはもう本庁も含めて全部ですね。
 次は、裁判所職員の増員とともに、この遅延とかいう問題について、外国の例にあるようですが、巡回裁判の制度を検討し、あるいは研究してみるというお話が以前にありましたが、実際に現在どの程度までに掘り下げて検討されているか、その成果、結果をお知らせ願いたい。
 で、いずれにしましても、こういった制度には長所と短所が当然考えられますが、実際に実施することは運営上不可能なことなのかどうなのか、この点をお伺いしたいと思います。
#180
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 御指摘のように、以前最高裁のほうで巡回裁判制度というものについて検討したいということを申しておったのでございますが、これにつきましてはただいま御指摘のように、種々いろいろ問題もございますし、また現実を申し上げますと、それぞれの裁判所に何人の裁判官を配置するかということにつきましては、一応事件数というものを基準にしておるのでございます。そうしますと、地方の小さな裁判所になりますと、事件数から申して二人の裁判官を置くほどの分量はないということで、数カ所を受け持って一人の裁判官を配置するというふうな現在やり方をやっております。これを私ども総合配置というふうに申しております。そうしますと、その場合の裁判官は一人であっても三カ所ぐらいの裁判所をかけ持つというようなことで、現実には巡回制度に近いような運用が行なわれているところの裁判所もあるのが実情でございます。巡回制度の問題でございますが、現在の裁判所法等から申しましても、一つの裁判所に一人の裁判官といったような関係にもなりますので、種々、いま御指摘のような点等も加味しまして、今後なおかつ検討を続けさしていただきたい、こう考えております。
#181
○白木義一郎君 次に、今回の改正案によりまして職員が増員になることですが、裁判所の技官と呼ばれる方々、お医者さんあるいは機械関係、あるいは掃除をなさる人、運転手あるいは調理人等非常に足りないと聞いておりますが、また、ここ数年来増員をしている傾向がみられない、このように伺っておりますが、この点御説明をお願いしたいと思います。
#182
○最高裁判所長官代理者(田宮重男君) 先ほど経理局長からも説明がありましたように、現在庁舎の新築、改築、増築等着々と庁舎が整備されておるのでございますが、そうしますと勢い庁舎の面積等が広くなるというようなことで、また、新しい庁舎ですと新しい設備がそこにつけられるというふうな関係で、いま御指摘のありましたように、管理要員というものが必要なわけでございます。この点につきましては、いろいろな措置があるわけでございますけれども、できるだけそれを、人を使わないでやる方向でいろいろと検討しておるのでございます。たとえば電話につきましては、これを従来の庁舎にあった場合と違って、自動交換というふうな形に切りかえる。エレベーターにつきましても、これを自動化をはかる、エレベーター要員は必要をなくするというようなこと。それから清掃関係で庁使、庁婦といったような人員も必要なのでございますけれども、現在清掃会社等もありますので、そういうところへ外部に委託する。こういうことも現在やっておるところもかなりございます。それからボイラー等でございますが、ボイラー等につきましてもこれを外部の人に委託するということ。それから電気の保守等につきましても、これも電工といったような職種も必要なわけでございますけれども、現在電気会社と保守契約というものをやりますとそうした人員も必要でなくなるということで、そういった面で種々予算措置をしておるというのが現状でございます。
#183
○白木義一郎君 最後に、最高裁の三鷹の女子職員寮についてお伺いしておきたいと思いますけれども、人権擁護の最高責任のある立場で、また先ほど人事局長からも、職員の健康管理は非常に力を入れていらっしゃるというような御説明も伺いましたが、この女子職員寮が非常に極度に老朽化している、一時はこれを取りこわす計画もあった、このように聞いておりますが、女性はもちろん人間が住むような家ではない、このように聞いておるんですが、改築あるいは新築をする計画があるのかどうか、最後にお伺いして、私の質問を終わります。
#184
○最高裁判所長官代理者(大内恒夫君) 白木委員の御指摘のように、三鷹にございます女子寮はもうかなり古くなっております。これはできるだけ早い機会に改築しなければならない、かように考えております。ただ、改築いたします際には、もう少し職員を多数住まえるようにいたしたい、かように考えているわけでございまして、ある程度規模の大きい建物をつくりたい。ところが現在の三鷹の女子寮のあります場所は、土地が必ずしも十分でございません。現在地に改築しますと、付近の民家に対する日照権の問題なども起こってまいります。そこで、現在別地をいろいろさがしておるようなわけでございまして、別地の取得とにらみ合わせまして、できるだけ早い機会にその改築を実現いたしたい、かように考えておるわけであります。
#185
○白木義一郎君 事務的な説明はよくわかるわけですが、現実にそこに人間が住んでいるわけですから、法務大臣、ひとつ促進方をお願いしておきたいと思います。女性が住んでいるわけです。法務大臣は最もフェミニストだと、京都並びに全関西にも響いているくらいですから、しかるべくひとつ促進をお願いしたいと思います。以上です。
    ―――――――――――――
#186
○委員長(原田立君) この際、委員の異動について報告いたします。
 本日、木島義夫君及び小枝一雄君が委員を辞任され、その補欠として梶木又三君及び中村禎二君が選任されました。
    ―――――――――――――
#187
○委員長(原田立君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#188
○委員長(原田立君) 御異議ないと認めます。
 原君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案の内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、本修正案を議題といたします。原君から修正案の趣旨説明を願います。
#189
○原文兵衛君 原案によると、施行期日が昭和四十八年四月一日となっておりますが、同日は、すでに経過しておりますので、これを公布の日と改める必要があります。
 これがこの修正案を提出する理由であります。
#190
○委員長(原田立君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もなければ、質疑はないものと認め、これより原案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もないようですから、これより裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、原君提出の修正案を問題に供します。原君提出の修正案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#191
○委員長(原田立君) 全会一致と認めます。よって、原君提出の修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#192
○委員長(原田立君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。
 以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 佐々木君から発言を求められておりますので、これを許します。
#193
○佐々木静子君 私は、ただいま可決されました裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び日本共産党の四党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
   裁判所職員定員法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府並びに最高裁判所は、裁判の適正迅速な処理を図るため、裁判官、その他の裁判所職員を増員するとともに、庁舎その他の裁判所施設を整備拡充するよう一層の努力をすべきである。
  右決議する。
#194
○委員長(原田立君) ただいま佐々木君から提出されました自由民主党、日本社会党、公明党及び日本共産党の四党共同による附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#195
○委員長(原田立君) 全会一致と認めます。よって、佐々木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田中法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。
#196
○国務大臣(田中伊三次君) ただいま決議をいただきました御趣旨につきましては、この御趣旨を尊重いたしまして、努力をしていく覚悟でございます。
#197
○委員長(原田立君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#198
○委員長(原田立君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時一分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト