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1972/06/14 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 地方行政委員会 第10号
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1972/06/14 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 地方行政委員会 第10号

#1
第071回国会 地方行政委員会 第10号
昭和四十八年六月十四日(木曜日)
   午前十時四十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月七日
    辞任         補欠選任
     峯山 昭範君     藤原 房雄君
 六月八日
    辞任         補欠選任
     桧垣徳太郎君     斎藤 寿夫君
     藤原 房雄君     峯山 昭範君
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     峯山 昭範君     沢田  実君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     村尾 重雄君     中村 利次君
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     沢田  実君     藤原 房雄君
     安井  謙君     温水 三郎君
     斎藤 寿夫君     田口長治郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        久次米健太郎君
    理 事
                柴立 芳文君
                寺本 広作君
                河田 賢治君
    委 員
                鬼丸 勝之君
                片山 正英君
                高橋 邦雄君
                田口長治郎君
                玉置 猛夫君
                温水 三郎君
                原 文兵衛君
                増田  盛君
                秋山 長造君
                神沢  浄君
                戸叶  武君
                和田 静夫君
                上林繁次郎君
                藤原 房雄君
                中村 利次君
   国務大臣
       自 治 大 臣  江崎 真澄君
   政府委員
       自治省財政局長  鎌田 要人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方交付税法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○地方行政の改革に関する調査(地方財政計画に
 関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(久次米健太郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十三日、村尾重雄君が委員を辞任され、その補欠として中村利次君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(久次米健太郎君) 地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十八年度地方財政計画に関する件を一括議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○藤原房雄君 時間も十分にございませんので、はしょって、しかも根本的な問題を二、三御質問したいと思います。
 最初に、地方財政計画の問題でございますが、昭和四十八年度地方財政計画の策定方針の冒頭の部分を四十七年度のそれと比べまして、大きな差異があるように感ずるわけであります。四十七年度の財政計画の策定方針の冒頭に、「景気の停滞による地方税及び地方交付税の伸びの鈍化、地方税負担の転減についての強い要請、生活関連施設等各種社会資本の整備、社会福祉の充実等のための財政需要等きびしい財政環境の下において、国と同一の基調により」云々、このようにありまして、景気後退に伴う一種の危機感といいますか、こういうものがこの中ににじみ出ていると思うのであります。それに引きかえまして、四十八年度にはどうあるかといいますと、これは「現下の社会経済情勢の推移と地方財政の現状にかんがみ、国と同一の基調により、」と、こうなっておりまして、簡単に流しているように感ずるわけであります。そのほか、これは四十七年度には「地方財源の確保に特段の配慮を加えつつ」と、こうありましたが四十八年度ではこの「特段」というのが消えております。四十七年度の「節度ある行財政運営」が、四十八年度では「適切な行財政運営」、このように変わっているわけであります。いずれにしましても、いまあげましたこの二、三点を見まして、四十八年度は前年度に比べて余裕のある財政運営が可能だという、こういうものが感じられるような文章になっております。
 しかし、最近の二月に行なわれました円の変動相場制、実質的な円の再切り上げということでございますが、また物価の高騰、こういう地方財政をめぐる経済環境の激動という、こういうものが十分に計算された段階ではないときの財政計画じゃないかと。これは財政計画が閣議決定しましたのは二月十四日でありまして、フロート制に移行しましたのは十六日ということでございますから、そういう点では非常に見通しが甘かったという、こんな文章そのものから見ましてそういう感じがするわけであります。
 すでに、今日もう避けることのできない円の大幅な切り上げ、これが実現されてまいりますと、前年度に比較しまして二七%増という、かってない大幅な増収を見込んでおります地方税、これが激減することは間違いない。持に景気に敏感な法人関係税、税収の四割を占める都道府県税、こういうものに対する影響というものは非常に大きいものがあるのじゃないか。さらにまた、法人関係税収の比重の大きくない市町村におきましても、地方交付税の伸び悩みというそのことのために、配分額の減少という、こういうものが当然考えられるわけであります。計画の土台であります税収に大幅な狂いが生ずるということは、財政計画にも大きな影響を及ぼすことはこれは当然のことでございますので、また、収入計画が狂うということになりますと、それは即また財政計画にも大きな影響を及ぼす。特に、福祉重点施策が最近どんどん大幅に改善されております段階におきまして歳入計画というものがきちっとしていませんと、福祉重点政策の遂行というものにも影響を及ぼすようなことになることは当然考えられるわけであります。
 こういう当初の、四十七年度と四十八年度の地方財政計画の考え方というものを、冒頭の部分を見比べましても、決して四十八年度にあるような楽観すべき状況の中にはない、私どもはこのようにきびしく考えておりますし、また、地方自治体におきましても、現実、非常に苦しい現況の中にあることは御存じのとおりであります。
 このような地方財政をめぐる経済環境、非常にきびしいものが予測されるわけでありますが、最初にお聞きしたいことは、政府はこういう大きな経済変動の中にありまして、この現況をどう見、そしてまた地方自治体に対してはどのように指導していらっしゃるのか。二月から今日まで、ずいぶんまた大きな変化があったわけでありますけれども、その間のことについてまずお伺いしたいと思います。
#5
○国務大臣(江崎真澄君) いま御指摘のように、税収の伸び等々の財政計画はそのとおりでございます。ただ、問題なのは、昨年の収入というものが根拠になりまして、地方税なり、また国税三税の交付税という形になって計算をされるわけでございまして、で、昨年以来の経済の実勢というものはまあ非常な伸びを示しておるわけでございます。で、今日の物価高も――これはまああとから申し上げまするが、確かに地方財政を乱る大きな要因にはなっておりまするが、地方の財源そのものについては、順調に入るという見通しを持っております。それは、御承知のように、金利政策においてはどんどん金利の引き上げをやっております。預金準備率の引き上げをしております。このことは、引き締めても引き締めても、また金利を引き上げても引き上げても、好況の方向、まあ悪く言えば物価高、そういったものがなかなかとまらないということで、これくらいの引き締め政策をしておるということ、これはやはりまあ世界的な一つのインフレが大きな背景になっておることもいなめませんが、やはり景気全般からいうならば、円のフロート制に移行しましたあとも、やはり日本の経済というものは、相当実勢力は強いということをあらわしておるものというふうに私どもは受けとめております。したがって、部分的には、輸出産業に片寄っておる地域、しかも、下請等々零細な企業、こういうものをかかえておる一部地域においては、これは影響があることは免かれまいと思うわけでございます。しかしそれも、他の業種が好況であるということから、相当部分が吸収されるであろうというふうに思うわけでございます。これは決して甘い見方ではなくて、むしろ、政府自体が、いかにしていまのこの好況というか、経済の過熱に水をかけるかということにいま懸命になっておる、この一つの政策を見ていただいても明らかだというふうに思うわけでございます。
 で、いま申し上げましたような、ごく一部の輸出に依存をしておる法人、また、これに関連する企業等々の納税方途につきましては、中間決算をして、それによって納税を延期するとか、そういう措置は、つとにフロート制移行の場面でとったわけでございます。したがいまして、まあ御心配の点はよくわかりまするが、まずまず、ことしは予定どおりの財政計画は成り立つものというふうに見ておるというのが実情でございます。
#6
○藤原房雄君 確かに、部分的には、輸出依存の企業の多い地方自治体、こういうところでは大きな影響を受けておりまして、それに対するきめこまかな施策というものは、予算委員会等、今国会でもずいぶん叫ばれてまいりました。ですから、まあ全般的には好況の中にあるということではございますが、やはり、よりきめこまかな対策を講じていかなければ、三千からの地方自治体があるわけでありますが、やはりそういう大きな波をかぶっているところがたくさんあるということで私申し上げておるわけでありまして、さらにまたこれは、財政計画の冒頭にあります、決して楽観し得る状況ではなくして、個々の問題につきましてはよりひとつ検討し、また対策を講じていただきたい、まあこういう気持ちで申し上げておるわけでありますが、またそういう個々の問題とともに、大きく見ましても、この最近の物価の上昇は非常に著しいものがあります。それはまあ公共事業等に大きな影響を及ぼしておることはよく御存じのとおりでございまして、当初財政計画をお立てになった当時とは、最近は非常に大きな変化のあることもひとつ御認識いただきたい。
 で、地方財政計画、次、内容の問題に入りたいと思うのでありますが、四十八年度のこの地方財政計画は、財政規模が非常に大型化しておりまして、総額十四兆二千八百億という国の一般会計を上回る現況であります。国の予算の基本方針がやはり福祉優先、列島改造ということでございまして、国債を増発し、規模を大きくしたために、それが今度は地方にどういう影響を及ぼすか。地方もやはり国の大きな財政規模に基調を合わせていかなきゃなりません。それに伴いまして、地方自治体といたしましても、市町村道とかまた下水道公共施設の整備、さらにまた老人の医療費の公費負担、それから児童手当制度、社会福祉水準の向上という、こういうことで大きく地方自治体自体も方向転換を迫られておるわけでありますが、このような大型の福祉財源をまかなう財源ですね、これ、九百五十億を国から借り入れ、また国庫支出金の大幅な増額公債費の構成比の増大、どちらかというと国に依存するものが非常に多いという、こういう現況であることはよくおわかりだと思いますが、やはり地方自治体の自主性とか健全化という、こういうことから考えますと、確かに新しい時代に即応して、地方自治体自体も方向転換しなきゃならない時代に立ち至っておるわけでありますが、何といいましても、国に依存し過ぎている現況というものはいなめない事実だと思います。やはり地方自治体の自主的な財源ということをはっきり考えていく方向に進まなければならない時を迎えているんではないかと、このように思うわけでありますが、その間につきましてどのようにお考えになっていらっしゃるか。
#7
○国務大臣(江崎真澄君) 最初に御指摘になりました、資材の急激な値上がりが地方財政にどう影響するか、これはやはり相当深刻なものがあるというふうに私どもも受けとめております。これはもう藤原さんのおっしゃるとおりに大問題だという感じでございます。したがって、いま関係各省庁に、この事業遂行の実態を調査してこれを取りまとめるべく、いま自治省において努力中というわけでございます。したがって、事業を縮小して済むものは何とかそれでごしんぼう願うとしましても、災害復旧のように、縮小できないものも相当あるわけです。したがって、そういうものについては一体どうするのか。これはやはり将来の問題ですが、調査が集まってみた時点で補正をしなければならぬのか、どうしたものかという、やはり核心に触れた検討もしなければならぬというふうに考えております。
 これを要しまするのに、地方財源がいかにも足りないではないか。これは衆議院においても与野党をあげて皆さん方から御指摘を受けた点であります。で、地方の交付税率について、もう少し税率のアップを国に認めさせるべきではないかという御意見等もしきりにございました。この点は軽々にどれだけと言うわけにはまいりませんが、今後も皆さんの御協力を得まして、来年度予算を編成いたしまする場面において、十分ひとつこれは大蔵省側とも話し合ってみたいという感じでおります。今後とも御協力をお願いしたいと思います。
#8
○藤原房雄君 来年度の予算編成の段階で強力に地方自治体の財源確保のために大臣もせっかく努力なさるという、いま御発言もございました。これは地方交付税率のアップということは、もうここ数年の推移を見ましても、これは当然大きな課題として考えなきゃならない時期にきていると、こう思うわけであります。
 地方交付税率の問題につきまして若干御質問したいと思うんでありますが、地方交付税率は、法律の規定によりますと、財源不足額が交付税総額に対して「引き続き」「著しく異なる」というような場合でなければ引き上げを行なわない。これは地方交付税法第六条の三の二項にございますが、地方交付税率につきましては、これは昭和三十年に国税三税の二二%、その後毎年のようにずっとアップになってまいりまして、四十一年に三二%になりましてから、今日までずっと七年間、この一三%できているわけですね。この七年の間の社会経済の変動というものは著しいものがございます。こういう中にありまして、地方財政だけが七年間三二%がそのままに据え置かれてきたということ、三二%に据え置かれたそのために、いろんな措置が講じられたことはよく承知しておりますけれども、いずれにしましても、この急激な社会の変動の中にありまして七年間交付税率が変わらなかったということは事実でありますが、この交付税率を変えなかったのは、「引き続き」「著しく異なる」という財政状況、こういう判断に対して、自治省としましてはどういうお考えで今日まできておるのか、変えなかったのかということについて、この点ちょっとお伺いしたい。
#9
○政府委員(鎌田要人君) 交付税率、昭和四十一年度にただいま御指摘になりましたように三二%に引き上げられまして、その後、四十二年から四十五年秋まで、景気は非常に順調な拡大をたどったわけでございまして、四十二年度から四十六年度当初に至りますまでは、大体二二%から二三%の交付税率の伸びと、比較的大きな伸びでまいりまして、地方財政全体といたしまして財源の保障機能を果たしてまいったわけでございますが、特に四十六年度後半、それから四十七年度、この間におきまして景気の非常な落ち込みがございました。ただ、これにつきましては、当時の通貨情勢あるいは設備投資の回復がおそい、こういったいわば経過的な一時的な現象である、こういう認識でございまして、四十七年の秋口からは景気は回復、上昇の過程に転ずるであろう、そういうことでございますので、これはまさに「引き続き」「著しく」という場合にはまだ間があるのではないだろうかというふうに考えておったわけでございまして、四十七年度において臨時特例の措置を講じたのはそういう趣旨でございます。四十八年度におきましては、いわば四十七年度の臨時特例措置がなくなることに伴う、これまたいわば竹馬の足が切れたことに対する措置を講ずる、こういうことでやってまいったわけでございます。
 そこで問題は、やはり四十九年度、ただいま大臣からも申しましたように、四十九年度においていかなる事態に相なるであろうか。伝えられますような、国税におきまする大幅な減税ということがございますれば、ある程度地方税におきまする減税の問題もございましょうし、他方におきまして、地方自主財源というものの増強がどの程度はかられるかということの見合いによりまして、交付税率の問題につきましては、やはり最終的な判断を下して適切な措置を講ずべき時期に差しかかっておるものと、そういう意味合いにおきまして、私ども四十九年度の地方財政の動向というものに非常な関心を払っておる次第でございます。
#10
○藤原房雄君 いま七年間の大体景気の変動、それに伴う交付税の考え方、四十九年度におきましては大幅な減税ということも田中総理もそう言っております。それに伴って地方の自主財源として考えなきゃならないというお話しございましたが、この景気、そうしてまた減税ということもさることながら、最近国際情勢の大きな変化もしばしばございましたし、景気が回復、波を打って回復しつつあるという先ほどのお話もございましたが、それとともに、地方におきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、以前と違いまして、老人の医療費の公費負担制度とか、児童手当制度の充実とか、また社会福祉水準の向上、あるいは公園とか、下水道、清掃施設等、住民生活に直結する生活関連社会資本の整備等、非常に地方財政が大幅に支出増を迫られる、こういう方向に政治が向かいつつあるということも、これは大きな一つのファクターとして考えなければならないことだと思います。さらにまた、過密過疎対策、また公害対策ですね、いま非常に問題になっておりますが、さらにまた、交通安全対策、それから消防救急対策、どの一つを考えてみましても、新しい社会の大きな変動に即応して、非常に抜本的に改革しなきゃならない問題が山積しておるわけですね。このように財政需要が非常に逼迫しておる、こういう中にありまして、いまお話しありました局長のお話とともに、さらにこういう政治が大きく転換しつつあることも大きな要素として考えなきゃなりませんし、さらに本年度から新たに義務教育教員の給与改善ですね、この先。前の委員会で委員の方からお話があったと思いますけれども、それに伴う人事院の、教職員の給与が当然義務教育以外の教員についてもアップするであろう、こういうことを考えますと、非常に地方財政の財政負担が大きくなりつつある。そういう大きな転換期といいますか、大きな時を迎えているだけに、前に自主財源というものを十分に――十分とはいいませんけれども、考える。その大きな一つのポイントとして、この交付税率のアップというものを考えなきゃならない。いままで四十二、三年、四、五年、また四十四、五年の当時とは違いまして、現在は公害一つ取り上げてみましても、こういうことから非常に地方自治体として自主財源確保ということが急務である、私はこのように地方を回れば回るほど痛切に感じておるわけでありますけれども、これらのものを勘案して、交付税率につきましては積極的な税率アップの方向にお考えになっていらっしゃるのかどうか、この点ちょっとお伺いします。
#11
○国務大臣(江崎真澄君) まさにお説のとおりでありまして、日本も経済大国だといいまするが、社会資本の投下面では非常に貧困であります。したがって、これらを充実していくということになりますると、これはもう地方財源はどれだけあっても足りないという場面であります。したがいまして、いま御指摘のような交付税率の引き上げ問題というのは、これは交付税、地方税ひっくるめての税全体の問題としてとらえなければなりませんが、このままじゃどうも何ともならない。特に大都市などの財源をどうするのか、事務所・事業所税だとか、いろいろこれは議論にのぼっておりまするが、なおひとつ十分このあたり検討をいたしまして万全を期していきたいというふうに考えます。
#12
○藤原房雄君 抜本的に交付税率をアップするという基本的な考え方の上に立って、やはり自主財源の確保というものを考えなければならないときがきているということはいろいろな角度から言えると思います。本年も九百五十億円の借り入れ、地方債の増発、こういうことで地方財源の確保というのはなされておるわけですが、これも借り入れでありますから、後に問題を残すでありましょう。特にこの借り入れ金の問題ですけれども、昭和四十六年度の補正の際には千二百九十六億、四十七年度には千六百億、続いて三年連続このように借り入れがなされ、これまでの返済額を控除しても、今回の借り入れ金九百五十億円を加えると、実に三千七百億ということになるわけです。それから、先ほど申し上げました人事院の給与改定勧告によりまして大幅なアップが考えられるということになりますと、さらに借り入れ措置を講じなければならない。このように、三年連続して借り入れ金で財源不足額をまかなっているという地方財政の現況、さらにまた、今後も借り入れなければならない要素が多々あるという、こういうことからいたしまして、地方交付税法の第六条の三の二項の「引き続き」「著しく異なる」ということに当然これは該当するのではないか。先ほど大臣からも、四十九年度については考慮しなければならない、考えなければならないというお話ではございましたけれども、いま申し上げたことをずっとお考えいただけば、当然その時を迎えておると私は思うのですけれども、これは当然自治省としましても、いままでとは違ったときであることを御認識いただいて、積極的なお考えがなされるだろうと思いますが、この点につきましては、ひとつ、自主財源確保という根本的な命題と真剣に取り組んでいただきたい、こう思いますが、先ほどの質問とちょっとダブるかもしれませんが、新たな要素が十分にあるということ、また、三年間ずっと借り入れてきたということ、これらのものと考え合わせて、ほんとうにその時だということを私は感ずるわけですが、その点について、大臣、どうお考えですか。
#13
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点は全く深刻な問題で、同感の点が多うございます。したがいまして、これはやはり地方財源充実のためには抜本的な対策を立てなければならぬ。したがいまして、地方交付税率のアップの問題を含めて、あらゆる財源充実のための対策をひとつきめこまかに検討してまいりたいと思います。御協力を願います。
#14
○藤原房雄君 それから、借り入れ金の問題でございますが、四十七年度中に生じます国税三税の自然増収に伴う地方交付税の精算見込み額ですね、これを引き当てに借り入れるということになっておるわけですけれども、これは精算見込み額を充てるわけですから、地方自治体には負担にはならないだろうと、こういう考え方もあるかもしれません。しかし、まあ厳密に考えれば、これは政府の景気の見通しの甘さから出たということでもありますし、本来、こういう国際経済の大きな変動期でありますから、ぴちっとこれを見定めるということはたいへんなことだと思いますけれども、地方自治体にすれば、その精算額というものが当然その見込み額の中に入っておれば、地方自治体としてその年度に使えるわけでありますから、あとになってこの精算見込み額がこういう借り入れ金の代償とされるということになれば、地方自治体としては、一年、それだけ穴があくという、厳密に考えればそういうことになりますわね。ですから、精算分が、最近ずっと見ますと、年々大きくなる傾向にあるという、それだけ見通しがむずかしくなったとも言えるかもしれませんけれども、やはりこの地方財政という、地方自治体の財源確保という上からいきまして、精算見込み額というものの減少をはかるようなもっときびしい見通しを立てるべきだと思いますし、それはまた安易に精算見込み額を借り入れ金のかわりにするということは、これは考えなければならないのじゃないか、こう思うのですけれども、この問題についてはどうお考えですか。
#15
○国務大臣(江崎真澄君) すでに、国税の自然増は大幅な伸びを示しておるわけです。したがいまして、この九百五十億は、これはもう決算時において当然解消されるというふうに私どもも確信を持った次第でございまして、その点は御心配はないものというふうに思いまするが、これは四十六年度のような不況対策として四十七年度に特例措置をとった、そのまた急激な変動を避けるために、資金運用部資金から九百五十億を借り入れた。これがいつも悪循環のような形でこういうことがなされることは困るじゃないか、御指摘の点はそれですね。したがいまして、もとよりこれは好ましいことと思っておりませんので、そういう方法については、当然今後解消の方向で、さっき以来の議論の存しましたように、十分ひとつ財源充実につとめてまいるというつもりでおります。
#16
○藤原房雄君 地方交付税率のアップにつきましては、大臣からも積極的な発言もありましたし、ほんとうに推移を見まして、四十九年度におきましては、どうしても自主財源確保という上からいって、まあ私どもも当然のことでございますが自治省としてもひとつ強い姿勢でがんばっていただきたいと思います。
 最近、社会の大きな変動に伴いまして、四十年の当初、また三十年代から四十年に入りまして、いろいろなところに、ひずみといいますか、問題が起きておるわけでありますが、それだけに、地方交付税算定にあたりまして、いろいろな基準単価につきましても考えなければならない問題がたくさんあるわけであります。そういうことにつきまして、自治省としましても、いろいろ、毎年基準単価につきましては御検討いただいていると思うのでございますが、まあいろいろなことがあるんですけれども、最近目についたことといたしまして、これは前から問題になっておりますが、石油基地のありますところにつきまして、これは御存じのとおり、揮発油税、これは国のほうへいってしまうわけでありまして、市としましては固定資産税、法人市民税ということしかありませんから、あれですが、具体的に塩釜なんかにいきますと、あれほど大きな石油基地がありまして、それらに対する消火施設、いろいろな施設をしなければなりません。もちろん企業体としましても、今度三億ばかりかけていろいろな設備を、防災体制を整えるようであります。しかし、町にああいう大きな石油基地ができますと、消防体制につきましても、人員から設備から、いろいろな体制を整えなければなりません。さらには、塩釜はすぐ近くに浅海漁業がありまして、この漁業を守るために、オイルフェンス等、相当市として持たなければならぬ。ですから、工業化され、都市が発展するということはけっこうなことでありますけれども、それに伴う、特に石油基地のように、防災体制というのは相当お金がかかりますし、消火艇、化学消防車、こういうものを合わせますと固定資産税や法人市民税ではとてもまかない切れない。揮発油税は塩釜では大体二百二十億ぐらいですか、そっくり国のほうにいってしまう。やはりこれだけのものを設備するには相当なお金がかかるわけでありますから、国としても、そういう大きな規模のものについては特段の配慮をしなければならないんじゃないか。詳しいいろいろなデータございますが、きょうは時間もありませんで、大ざっぱな、ざっぱくな話で申しわけありませんけれども、非常に三十年代、四十年初めと違って、最近企業が大型化しつつある。特に防災体制という、自治体としましてそれに対応する防衛手段をとらなければならないものが非常にある。こういうものに対して、国としましても十分な措置を講じてあげなければ、またそれ相応の見返りを見てあげなければ、十分な防災体制ができないのではないか。これはまあいろいろなことがございますが、ひとつ、この問題について自治省としてどうお考えになっていらっしゃるのか。財政面でいろいろな措置をやはり講ずべきだと私は思いますけれども、この点についてちょっとお伺いしたいと思います。
#17
○政府委員(鎌田要人君) 御指摘の点、そのとおりであろうと思うわけでございまして、これは私どものほうの消防庁の所管にもわたり、あるいはまた通産省のその他の所管にもわたるわけでございますが、やはり基本的には、そういう石油基地がある、そのためのやはり住民の不測の災害を防除する、あるいは不幸にして災害が発生しました場合に、緊急に適切な措置を講ずる、こういう体制をつくっておくことが必要でございますので、やはり、企業自身におきまする防災あるいは災害発生時の防遏体制というものを整備をしてもらうこれがまあ企業自身の責任と負担においてなさるべきことは当然でございますけれども、自治体サイドにおきましても、これは消防関係の各種の助成、こういったものと相まちまして、私ども、現在の消防費の基準財政需要の算定におきましてはやや画一算定に流れる面もあろうかと思います。そういう特殊な要素のある面におきまして公共サイドで負担をすべきものにつきましては、地方債なりあるいは特別交付税等なり、そういったものもあわせまして万全の措置を講じてまいっております。今後もまた、実情に即してそのことを高めてまいりたい。塩釜市の実例、私ここに資料持ってまいっておりませんけれども、よくその御趣旨を体しまして、実情に即した措置を講じてまいりたい。お約束を申し上げたいと思います。
#18
○藤原房雄君 いま、非常に前向きなお話いただきましたが、やはり、目に見えないいろんなことがございまして、職員をふやす、地域の危いところはどけなきゃならない。それで四十八戸建てかえたとか、それからタンクローリーの通る道路を二本つくったとか、こういうことで、ここに大きな企業が――企業にもよるわけでありますけれども、特に石油基地のようなものが参りますと、たいへんな財政負担になる。この点は特交という考え方もおありですが、やはりこれはきちっとしたもので措置してあげるべきじゃないかと、こう思うわけです。
 それから、このように地方自治体の財政的な問題を考えますと、やはりこの企業誘致、それから開発、こういうものをどうしても市としては前向きで考えなきゃならない。そこに、開発と環境保全ということがどうしても起きるわけであります。これは、十分な国の財政措置が講じられたからそれで解決するという問題では決してないと思いますが、町が少しでも発展をするということのためにはやはり開発を進めなきゃならない。この自然を保護する、環境を保全するということと、開発といううらはらな問題、これはどこにでも起きている問題でありますが、最後になりますが、きょうのニュースに出ておりましたけれども、北海道の伊達の火力発電所の問題、今日までいろんな経緯があったわけでありますが、きょうも強行着工ということで、地元ではたいへんな問題になっております。これは地方交付税とは直接関係のないことかもしれませんが、大臣は開発庁長官でもございますので、北海道に起きた問題で非常に重要なことでもございます。今日までいろんな話し合いがなされてきたことも事実でありますが、しかし、まあその話の内容ということになりますと、いろんな問題があるようです。いろんな既成事実をつくりながら、やはり最近は、大臣もよく御存じのように、一漁師といいましても、公害のことには非常にくわしく、いろんなところを視察して非常に勉強しております。ですから、通り一ぺんなことで納得はしないわけですね。農家の方ももちろんです。ただ、その反対のための反対ということではなくて、やはり自然を守らなきゃならない、自分たちの生活権を守らなければならない。私も何度か行って、あの漁師の方々ともお話ししましたけれども、非常に勉強しておりまして、その人たちを納得させるには相当な話し合いがなければならないし、高度な知識もなきゃならないということを私非常に感じておりますけれども、不幸にしてきょうああいう事態に立ち至りました。これはいままで、静かな、そしてまた大きな自然に包まれておった北海道にとうとうああいう事態が巻き起きたので、非常に残念に思っておるわけですけれども、これは直接関係ございませんで申しわけないのですけれども、大臣の所見、それからまたこれに対するお考え、ちょっとお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#19
○国務大臣(江崎真澄君) 伊達火力の問題は、実は私、御指摘のように北海道開発庁長官ということで、詳しく報告を受けておるわけです。これは長い経緯がございまして、北海道庁におきましても、もうここで発電所を建設いたしませんと、北海道自体の電力不足が非常に深刻なものになる。これから苫小牧東部開発であるとか、大規模なプロジェクトが推進されるわけでありまするが、それ自体じゃなくて、もう現在すでに不足を来たしておる、深刻な状況になる、どうしてもやらなければならぬということで、ここに踏み切ったように聞いております。
 それから、御承知のように、この伊達火力の存在をする自治体において首長選挙が行なわれました。その首長選挙は、火力発電所建設反対、これが一つのテーマになって争われたわけですが、これは圧倒的に建設推進の主張のほうが勝ったというような背景もあるわけです。したがって、どうしてもやらなければならない。では、きょうなぜやったのか、これなども、けさ私即刻報告を受けたわけですが、いかにも、形としては強行という形は決していいものとは思いませんが、何でも、十五、十六日と札幌でお祭りがあるそうです。そうなるというと、警備のほうの警察官もそちらのほうにどうしても手をとられてしまう。そうやって数えていくと、もうこの日しかないというようなことがあって、きょう踏み切らざるを得なかったというような話も聞きました。それから、衆議院側ですか、何でも漁業補償の問題について、漁業のこうむる被害状況の視察が明日はあるそうです。したがって、そういった面においても、当然国会でも配慮をしておられますし、同時にまた地元側としても、これはやはりこの火力発電所ばかりじゃなくて、御承知のとおりに、大夕張の炭鉱閉山問題があるわけです。そこで北海道としては石炭による火力発電所の経営というものを推進されたい、こういった、これは超党派の要望もあるわけでございます。そうなりまするというと、この伊達火力は重油によるわけでありまするが、石炭を燃料とする火力発電所の建設方途などなどとからみ合わせまして、どうもこの際これはやむを得ないのではないか。御承知のように、今国会には、通産省から電源開発に伴う周辺整備法というものが出されております。決してこの法律だけによって十分の措置がとられるとは思いませんが、これを契機にして、電源開発地域の環境整備に万全を尽くすことができるような、政府としてもあらゆる措置をとってまいりたいというふうに思っております。どうも強行ということばの含むあり方、これなど、はなはだ好ましくありませんが、以上申し上げたような、何とも必要やむを得ずという場面であるという点などにもひとつ御考慮をいただきまして、御了解を願いたいと思います。
#20
○藤原房雄君 いまのお話わかりました。わかりましたというか、大臣のおっしゃることわからないわけではありませんが、最初私申し上げましたように、最近、非常に地域住民また農業者、漁業者は、公害の問題についてはたいへんに勉強しておりまして、北電との話し合いも何度か持ちました。北電としては、そういう既成事実をつくって話し合いしたのだということのためにやった、私らはそう悪くは考えたくないのですけれども、話のいろいろ内容を聞きますと、非常に話が進展しないというか、説明も説明不足で、同じことを繰り返して、先ほど大臣のおっしゃるように、必要性だけを強調するということでして、それじゃ漁民の方々は納得しない、現代ではもう相当な知識を持っておりますから。これは何から何まで円満解決で納得するなどということはむずかしいことだと思いますが、漁師の方なんていっても、非常に深い知識を、自分たちの生活権を守るためにいま勉強しておるということですね。それに対して話しするには、相当な、こっちも説得するだけのものがなければならないということで、とおり一ぺん、ただ必要性を強調するということだけではものごとは進まない。ですから、四回話し合いしたということになっておりますけれども、話の内容というものはあまり進展のない話であったという。
 それから、漁民といえども、これ、北海道民でもございます。企業の側の論理というものもよくわかりますけれども、やはりそこで永年営まれてきた漁業者の立場もまた十分に推察し、それらの問題についてもひとつ積極的な解決の方途を――大きな立場で、電源開発はどうあるべきかという大きな問題については今後議論されることだと思いますけれども、当面することとしましても、開発庁長官という立場で、ひとつ深い認識をお持ちになって解決の方途に御努力いただきたい、こう思うのです。
#21
○国務大臣(江崎真澄君) 承知いたしました。
#22
○河田賢治君 時間ございませんし、きょうここを終わってから省に抗議に行かなければならぬ。それだけに、簡単に質問をしますが、答弁も簡潔にしてください。
 たくさん問題はあるんですけれども、一応、他の同僚委員からも、今度の地方財政計画並びに交付税問題については質問もありましたので、できるだけそういう面は省略してまいりますが、最近交付税によって減収を補てんするという措置ですね。たとえば、いろいろ法律ができまして、産炭地あるいは低工とか、新産都市、工特法ですか、近畿圏、中部圏、首都圏あるいは過疎、さらには昨年は工業再配置、こういうものができて、そうしてこれらが地方税の減免をする場合にその補てんをする。固定資産税なりあるいは不動産取得税等々の地方税の減免をこの法律がうたうと、これを交付税によって補てんをするということになったですね。ところが、本来、交付税というのは、国が今日では三二%を下へおろすということになっている。そうすると、これは結局、補てんされた分は特別にここへみなやらなければならぬということになるのですね。そうすると、地方としては三二%を確実にもらったことにならぬわけですね。これは自治省の資料を見ましてもだんだんふえてきている。昭和四十六年にいろいろな法律で約七十四億、四十七年で八十三億にふえている。特に工業再配置なんかは、あの日立あたりが亀有から移ったという、これは土地が非常に高く売れるわけですね。そうして国からの一定の財政の補助をもらって移転します。移転先で、この三年間なり、固定資産税その他のいろんな減税の特典を受けるわけです。これに対して、交付税はこれどうしてもやらんならぬ、減収分に対してね。特にあの工業再配置なんかの、日立にしましても、その他、大都会から移る工場というのは、もういわば一定のいまの技術水準からいくと、よく言われますように、スクラップ・アンド・ビルドだ、古い生産設備、古いやり方ではとてもできぬから、大量生産で、できるだけ新式の機械を据えつけて、そうして相当の設備――また、何と言いますか、工場の大きさもそろえて、そして新しく出発するわけですね。ですから、本来、もう資本家にとりましても、こういう企業にとっても、これは損のないことなんですね。これに対して地方税を減免する、誘致どころじゃないんですね、これは。こういうふうにして、交付税が、三二%きましても減収分は補てんしなくちゃならない、こういう矛盾があるんじゃないかと思うんですね。これがどんどんどんどん、毎年毎年いろいろな法律をつくるたんびにふえてきて、あたかも交付税が金を出すつちのように思って、これにみな突っ込んでいけばいいというような考えがあるんじゃないかと思うんですね。こういうことになれば、交付税の性格からいいましても、これはたいへんなことになるだろうと思うんです。現に、これは指定都市が出しました資料によりましても、これはまあほかのものも含んでおります。けれども、「地方税における非課税措置等による減収見込額(昭和四十七年度)」としてこれを計算してみますと、都道府県税、市町村税、それの国税の租税特別措置による地方税の減収見込み額が千四百五十八億、それから、地方税の非課税措置等による減収見込み額が千七百六十一億、合計して三千二百十九億、こういうふうになっているんですね。だが、この中には、なるほどいろいろな関係から非課税にすべきものもあると思うんです。非課税というよりも減免すべき、そういう性格のものがありますけれども、主として今日、日本のこれまでの政府がたどってきました産業優先、企業優先、生産第一、こういうところのものは、このようにしてどんどん交付税がいわゆる減収を補てんしなくちゃならぬという結果になっているんですね。この問題について、ひとつこれは、私たちは特に、産業基盤の整備や、あるいは企業を優先させる施策から出た減収補てんをなすべきでない、こういう特典を与えるべきでないというふうに考えるわけですが、この点について、大臣の考えを述べていただきたいと思います。
#23
○国務大臣(江崎真澄君) お説の意味は承りましたが、これはやはり、過密過疎の問題を調整するとか、いろいろな国策的な意味もあるわけでございまして、何も特定の産業に格別の助成をするというものではなくて、やっぱり企業そのものが国策の線に沿って十分調整されていくということに対する助成というものが中心をなしておるわけで、しかし、その助成がいわゆる地方交付税率を実質的に食っておるのではないか、そうすると、公平に受けられるべき交付税額が特定地域のために削られておる。この御指摘の点については、年々この金額が相当な額にのぼりまするだけに、やはり今後の問題として十分検討を加えなければならぬ要素を含んでおるというふうに考えます。
#24
○河田賢治君 大企業の工場――国策ではありますけれども、現実には、土地の安いところで、しかも大体が地方ですよ、工業地域として造成したりするようなところに行くわけです。そして、東京は地価が高いんですから、あるいは大都会は高いんですから、ずいぶんここでも、動くだけでたくさんな利益が出るんですよ。そして、新しい設備に若干――投資するんですから、確かに費用は要るでしょうけれども、これはもう取り返せるんですね。だから、スクラップ・アンド・ビルドということが言われているほど、今日これらの企業は率先して行くのもあるわけですね。だから、これをやはり地方財政の――多少は交付税がふえてはまいりますけれども、しかし、今日の地方自治体の社会環境、それから文化的ないろいろな水準、設備の水準、こういうものを見ましても、これはもうりっぱなものだ、世界で資本主義国の第二位のGNPを誇るほど、それにふさわしいようなまた地方自治体の諸設備というものがあるわけでは決してないんですから、この辺、やっぱり私は考えて、あまりにこういう調子で、全部交付税、交付税というふうにして税を補てんするというやり方は避けるべきだと、こう思います。
 次に、最近、基準財政需要額(再算定)の中に占める事業費の補正ですね、これも相当急速にふえているのです。もちろん、この事業費の中には、われわれの生活にきわめて必要なもの、また地域の発展のためにかなり必要なものもあります。ありますけれども、これがたとえば港湾とか――今度新しく茨城県あたりにできるような港湾ですね。これは大臣が直接港湾の責任者になるというような計画ですが、こういうところにこれからまたどんどん注ぎ込まれるんですね。ですから、こういうものがもう現に昭和四十二年には、都道府県、市町村含めて、事業費補正による増加需要額、これに対して、地方負担額指標分として算入したものが全体の基準財政需要額に対して二%、ところが、これが四十七年になりますと五・四%、特に市町村においては九・五彩、こういうような非常に増大のテンポが早いわけですよ。この中にはある程度必要なものもあると思いますけれども、大部分がこうした事業費補正で行なわれる。したがいまして、今日の産業政策は、まだやはり自由民主党のあり方としては、決して、人間優先や、あるいは社会環境を整備してますます住みよい町づくりをさせるというほうにはなっていないのですから、結局、新産都市あるいは大企業の発展するような地域、こういうものに多くこれは食われるわけですね。ですから、道路にしろ、港湾、海岸保全あるいはその他のものにしましても、これが非常にふえておるということは、やはりこれまたさっきの問題と同様に、私は大きな問題を起こすものだと。特に過疎地域の特別法をつくって、できるだけ過疎における行政水準を高めようともし、あるいは自治省自身で、市町村圏ですね、広域市町村圏をつくって、これらにある程度の補正をやっておられるわけですけれども、こういう点について、やはり今日のギャップをできるだけ早く埋めてやるということが問題でなくちゃならぬと思いますね。この点についてはどうですか。
#25
○政府委員(鎌田要人君) 事業費補正の考え方につきましては、毎回、この席でも申し上げたことがございますので、多くを申し上げる必要はないかと思いますが、要するに、現在の交付税の投資的経費をどのように見ることが適切に地方団体に財源を保障する道であるかという、一つの私どもなりのいわば苦心の産物でございまして、地方団体の事業量と現実の財政需要とが合わない、そのギャップを埋める。あるいは過疎市町村等でございますれば、あるいはまた人口急増市町村等でございますれば、学校なり、ごみ施設なり、こういったものをつくってまいらなければならない。そのような場合に、現在の画一的な算定方式ではどうしても織り込み得ない、こういうことでとられた措置でございますが、かなり事業費補正のウエートというものも高くなってきております。ただいま御指摘のような御意見もございますので、事業費補正は、私どもといたしましては、かつての四十六年度程度からほぼ半分程度に落とした段階で固定をしてまいりまして、ただいま御指摘のような批判を受けないようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
    ―――――――――――――
#26
○委員長(久次米健太郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、安井謙君及び斎藤寿夫君が委員を辞任され、その補欠として温水三郎君及び田口長次郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#27
○河田賢治君 次は、財政の面からいえばそう大きなあれではありませんけれども、規模からいえば――いわゆる広域市町村圏の問題について少し伺いたいと思うんです。これは現在、「地方自治便覧」では一応数が全部載っておりますけれども、これは四十七年でして、おそらくその後にもだいぶできたと思うんです。いま大体どのくらいの自治体が、これ、参加していますか、ひとつ。
#28
○政府委員(鎌田要人君) 四十七年度におきましてほぼ設定を完了いたしまして、三百二十九圏域でございますが、全国の三千二百七十七市町村のうち、約九割でございます二千九百二十市町村が広域市町村圏に属するということに相なっております。
#29
○河田賢治君 たとえば近畿圏とか、それから中部圏ですか、それから首都圏、こういうところの圏の中と、この市町村圏とはダブっているようなところはないんですか。これはダブっているところもあるんですか。
#30
○政府委員(鎌田要人君) 大都市周辺の市町村につきましては、もともと、広域市町村圏が、どちらかと申しますと、過疎あるいは過疎と過密地域との中間にございますような、そういったところにおきまする市町村行政の広域的な処理ということをねらいといたしておりますので、大都市周辺地域というものはこの対象からはずれておる、こういうことでございます。
#31
○河田賢治君 京都などで、きのう電話で聞いたんですけれども、近畿圏経済にも入らずに、ちょっと滋賀県寄りにぐっとその地域だけが出っぱっているわけですね。ところが、郡も違いますし、奈良県、三重県なんかに境を接したところは――相楽郡と申しますが、ここはようやく去年ですか、広域市町村圏をつくったらしいんですね、非常におくれていましたけれども。そうすると、これにも、どうもどっちにも入らぬというような町が、一つぴょこんと、山間の中にある町ですけれども残るわけですね。こういうような場合はどうなっているんです。
#32
○政府委員(鎌田要人君) 相楽郡におきましては、相楽地区といたしまして七市町村でございますが……。
#33
○河田賢治君 それはいいんですわ、全部入っているんですから。片っぽうは綴喜郡なんですね。
#34
○政府委員(鎌田要人君) 綴喜郡の場合でございますれば、これは実は行政局のほうでやっておりますので、私から答えますのはやや越権かと思いますが、大都市周辺、むしろ、京都市と一体となって行政を進めていく、こういうことで対象になっておらないんだろうと思います。
#35
○河田賢治君 そこは京都市からだいぶ離れておりまして、宇治の近くなんですけれども、山も越えていかなきゃならぬ。近畿圏整備にも何か入っていないような――半分入っているようなことを言ってましたけれども、ややこしいんですが、いずれにしましても、そういうところが、今日広域市町村圏を自治省のほうで進められても取り残されているところがあると思うんですね。だから、どこでも、そこに予算がくれば市町村としては少しでももらいたいわけでしょう。そういう問題が一つあるということと、それから、この広域市町村圏は、早くできたときでも、あとからごく最近できたものでも、大体同じ趣旨の、つまり事業費ですか、これは出されるわけなんですか。そして、これは三年と聞いておるんですが、あとからできて、三年たてば一応これはそれで終了ということになるんですか。
#36
○政府委員(鎌田要人君) 広域市町村圏に対しまする交付税上の措置といたしましては、おおむね、一圏域三億円程度のものを基準財政需要に見込んでおるわけでございますが、これは一応発足、設定後三年ということでまいりましたけれども、非常に、てまえみそでございますが、評判がよろしゅうございまして、なおやりたい施設や事業というものが多い、こういうことでございまして、三年で打ち切ることにつきましては市町村のほうから非常に強い異論がございまして、これは当分継続をいたしたい、三年ということにかかわりなく、継続をして基準財政需要に算入をしてまいりたいというふうに考えております。
#37
○河田賢治君 いま、非常に自信のあるおことばで一これはこの間の新聞にも出ておりました。建設省が生活圏というようなものをつくっている、これはちっとも金出さぬものだから、なかなかこれがまとまって何の効果もあげてない。自治省のほうは若干の金を出しているから、これに、みなこのえさに飛びついていって、大体少しでも自治体のほうでこういう仕事をやるというふうにも、ちゃんと新聞にも出ております。
 しかし、この広域市町村圏の一つのモデルといわれた地域ですね、これは埼玉県の秩父地域ですね。まあしかし、これは自治省においてもモデル圏域とされてきたらしいんですけれども、しかし、ここでやはり一番――昭和四十五年から六十年度まで、若干これは古いので、あとで直していると思うんですけれども、総事業費が、道路が百十六億ですか、しかし、これも全体のいわゆる広域圏の仕事をする中で比率は約七〇%を占めている。だから、大体が道路なんですね、いまのところは。そして若干屎尿処理とか、あるいはごみの収集ということをやっておりますけれども、その屎尿処理なんかも、これは民営にだんだん移っているというんですね、民営に。そして組合の現業職員を一人当たり四百八十万円程度の退職強制金で民間へ身分を売っている。さらに、最近では、また秩父市長の案として、民間への――清掃ですね、これなんかも民間へ移そうとしている。こういうふうに、できるだけ地方自治体が広域市町村圏をつくりましても、安上がりの、しかもほんとうに労働条件なんかもう何ら顧慮しないような使い方をする事業主に、企業に下請させる、あるいはそれに委託さしてしまう、あるいはそれにまかしてしまう、こういう傾向が出ているわけですね。これ、ちょっと略図なんかもありますけれども、どういうところでめしを食べているとか、ストーブがどこにあって、それからまたドラムかんがストーブで、犬小屋がそばにある、その横のほうに職員がいすにすわって食事をするというようなことも出ているわけですね。これがモデルなんですね。そして、その地域では、教育の総合センターをつくるということでもこれは非常に金がかかってたまらぬということで、各地方自治体の教育関係当局者もかなり反対しておる。ですから、広域市町村圏――これはあとの法案にもありますけれども、要するに、こうして自治省が若干の金を出して、そして道路の整備その他をやろうとしましても、結局、道路なんというものは日本全体ですからな。過疎であろうと、あるいは過密のところであろうと、市町村道というようなものは――市はだいぶそろっていますけれども、町村に行きますと、まだまだいわゆるひどいものなんですから。ですから、こんな特別なそういうことを名前をつけてやって、しかも地方自治はだんだんと下請に、民間委託型の地方自治体がつくられるというようなことは、これは決して好ましいことでは私はないと思うんです。この辺は、広域市町村圏はこれからおやりになるそうですし、それからまた市町村連合なんかの法案もかつて出、いま、この国会にも出されてることですけれども、一応こういうことがあるということを、十分私は実施当局は知るべきだと思うのです、モデル地域だと言われているのですから。これは月刊の「自治研」の一九七三年五月号に出ています。これは大学の先生がちょっと書いておりますがね。
 私は、そういう点で、とにかく、あまりに交付税の運営については、この第三条の二項、「国は、交付税の交付に当っては、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならない。」と、こういうことがあるわけですね。なるほど交付税としていくときにはないでしょうけれども、しかし、その算定の基礎などは、そしてそれが地方自治体におりてくるときには、これはもう当然使途が限定されるわけですね。だから、この間、地方財政調査会でも、ある地域の町長さんでしたか、あの地方財政の、今度のいわゆる単価ですね、経常費並びに投資等々の。あれによって、地方自治体の中の部局が、それぞれ、自分の予算はこれだけもらわなきゃならぬということで、その村として統一的に、しかも重点的な施策をやるのがなかなかやりにくくなってきているというようなことをお話しになったことがあります。これは個人的にやっておりましたがね。ですから、面においては、なるほど算定してこれはやらなければなりませんけれども、そして表向きは、交付税としてはこれは自主的に使用できるということになっておりますけれども、しかし、この算定があんまりこういうふうになりますと、非常にやはり地方自治体自身も困るような問題ができてきているわけですね。だから、この点は、私はもっとこれからの交付税の運用については相当自治省も考えるべきだと思うわけです。
 そこで、もう一つお聞きしますが、一九七一年ですね、このころに地方財政の長期ビジョン、財政運営の計画化というようなことで、ある論文を書いておられる。最近、自治省のほうで、大都市周辺の十万都市を一応調べて、そして現在これらの周辺都市で、現状と、それからこのくらいはなくちゃならぬという目標水準をお立てになって、いま検討中だそうです。で、これによりますと、あまり時間がありませんから何ですが、若干数字を出さしてもらいますと、たとえば幼稚園が、現状は十、目標水準が二十四、そうすると現在の充足率は四一・七%。小学、中学、ずっとあります、公民館なんかは、現状が八つで、目標水準が十三だと、だから充足率は六一・五彩だと、こういうこともあります。保育所、現状が十である、目標水準が二十四である、そうするとこの充足率は四一・七%、こういうようになる。あるいは上水、これは充足率だけ言いますと九二。下水道になりますとわずかに一一%。屎尿処理が八〇%。それからごみ処理が八七%。こういうふうに幾多の――自治省自身お調べになって、いま検討中だと言われております。ですから、これはまあ十万都市ですから、十万都市でも、このように、非常に一般的に、言ったら生活水準あるいは文化的な施設、そういうものが非常に欠けているということは言われる、これでもわかるわけですね。いわんや町村の小さな人口を持つところにいけば、これはもうお話にならぬような状態が多いわけです。ですから、こういうものについて、やはり今後、経常費あるいは投資、これらのものをもうちょっと根本的に、少なくともこのビジョン――これはビジョンというほどのものじゃないですね。大体において、現状にあって、ややここらを手直しすべきだという程度の、いわゆる目標水準が書かれているわけですね。ですから、そうなると私たちは、この地方交付税の内容、配分の内容などについて、もう一度考え直すべきじゃないか。単に現状をつらつら投資係数をふやすとか、あるいは補正でいろいろな国の要請に応じてこれをやっていくというようなことだけでなくて、やはりある程度、現状でもこの程度のことはできるのだというところを示して、少なくとも三年なり五年なりの計画を持って、そうしてこのような程度のものを各地方自治体につくらせていく、こういうような方向を私は出すべきじゃなかろうか、という時期に来ているのじゃないかというように考えるわけです。この点について、ひとつ大臣のお答えを願って、私の質問を終わりたいと思います。
#38
○国務大臣(江崎真澄君) いま御指摘の問題は、十万都市における生活環境をどう整備していくか、まあいわゆる快適な近代生活を続けるためにはどうしたらいいのかという一つの水準を、昨年自治省が財団法人日本都市センターに研究を委嘱しまして、そこでその報告書を得たと、それがいま御指摘のものでございます。自治省としましては、やはり一つの基準といいまするか、そういったものを示していくことが大切でありまして、まあ本年度においても、地方財政の動向予測調査、これはまあこの委員会でもしばしば問題になりまする財源問題等をひっくるめて、そういった調査をやっておるわけでありまするが、御趣旨の存する点は十分含みまして、今後もこういった調査を続け、自主的に地方公共団体が、一つの基準は示しまするけれども、それに合わせて創意くふうをもって立ち上がれる今後のビジョンというものを、また地方においてもつくっていただくというようなことで、調和させてまいりたいと思います。
#39
○委員長(久次米健太郎君) ほかに御発言もなければ、地方交付税法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○委員長(久次米健太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより地方交付税法の一部を改正する法律案の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
#41
○神沢浄君 私は、日本社会党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に反対の意思を表明するものであります。
 反対の理由の第一点は、地方交付税総額確保のために地方交付税率を引き上げていないことであります。
 改正案は、昭和四十九年度の交付税総額に算入されるはずの四十七年度分の精算額を引き当てに、四十八年度において九百五十億円を借り入れ、同年度の交付税総額を増額せんとしておりますが、そもそも四十七年度の地方財政は、当初において、一般会計からの繰り入れ、借り入れ金、地方債の増発等を合わせて約八千億円の臨時措置をとらざるを得ない状況にあったことは周知のとおりであります。
 本来、地方交付税総額は、正確な収入見積もりを基礎に決定し、借り入れ金、地方債などは極力押えるべきところを、多額の精算分を出すようなずさんな収入見込みの算定を前提に、このような措置をとることはどうしても納得しがたいところであります。しかも、昭和四十七年度の地方交付税総額を景気の回復に合わせて目一ぱい見積もったとしても、この額が地方の現実の財政需要をとうてい充足させるものではないことは言うまでもありません。このような事情は、昭和四十八年度においても同様であり、したがって、地方交付税率をこのまま放置するならば、新たな借り入れ金九百五十億円を別にしても、すでに借り入れ金は二千八百億円にものぼり、それはますます増大していくものと思われ、ひいては地方交付税制度の財源保障機能をそこなうことになると思います。今回の改正案が、交付税率の引き上げについて何ら措置していないことは、はなはだ遺憾とするものであります。
 反対理由の第二点は、従来の国の成長型経済政策の転換がなされておらず、したがって、これと同一歩調に立っている地方財政計画、この計画のもとにつくられた基準財政需要額の算定方法も、住民福祉を軽視していることであります。
 地方財政計画の歳出構成を見ますと、かつて政府が高度成長政策を標榜していた当時と、基本構造において何ら変わりがないのであります。このことは、現在民間における激しい設備投資によって景気が過熱し、インフレが高進し、そのため生活関連公共施設が停滞をしていることによって、現実に裏づけられているところであります。一体これで、民間部門から公共部門への資源配分などということが行なわれているというのでありましょうか。地方交付税制度が政府の成長政策を下ささえしている姿は、今回の改正案によっても、全くと言ってよいほど改められていないのであります。
 反対理由の第三点は、地方交付税の基準財政需要額の算定方法、単位費用の決定が、地方団体の財政需要の実態を全く無視している点であります、
 今日、地方団体は、居住環境の改善を求める住民の要求にこたえて独自にいろいろな施策を行なっております。道路行政の一つをとってみてもしかりであります。国から見て、幹線道路は車を通す手段にすぎないかもしれませんが、地域住民にとってみれば、それは環境破壊の主因であります。国は車を通す道路事業費しか考えず、基準財政需要額においてもその範囲の費用しか見ておらないため、自治体が真に住民の要求にこたえようとすれば、膨大な費用負担が伴うのであります。一体、こうした費用をだれが負担しろというのでしょうか。また、さきの春闘の結果から見て、今年の人事院勧告に伴う地方公務員の給与のアップ率は、一五%に達することは必至であります。しかるに、基準財政需要額に算入されているのはわずか八%。これでは、あまりに実情を無視したものであると言わなければなりません。
 反対理由の第四点は、いわゆる超過負担の解消が少しも前進していないことであります。
 この超過負担の問題は古く、年々解消措置を講じ、自治省の説明によれば、四十六年でそれは解消されていなければならなかったはずであります、しかるに、その解消措置が講じられているさなかに、自治体は、膨大な超過負担の存在に怨嗟の声を上げているといった状態であります。なるほど、本年度の各省予算には、若干の超過負担解消のための費用が織り込まれておりますが、この程度の措置では、最近の物価上昇の現況から見て、焼け石に水であることは明らかであります。
 最後に、政府の経済見通しの誤りと、財政政策の失敗について指摘いたしたいと思います。
 最近の国の租税収入の状況によりますと、国税の剰余金は六千億円以上に達し、いわゆる国税三税も五千数百億円の自然増収が決定的といわれています。これを基礎に地方交付税額を算出すると、約千七百億円になります。つまり、四十七年度に地方に交付される千七百億円が交付されず、おあずけの状態になるわけであります。これほど巨額の精算額を出すことは前例のないことであります。地方交付税が地方自治体の固有の財源であること、地方財政の計画的運営を推進する役割りをになっていることなどの趣旨から見て、まことに不適当なことと言わなければなりません。
 政府にこの際強く反省を求め、反対討論といたします。
#42
○寺本広作君 私は、自由民主党を代表して、本法律案に賛成の意を表するものであります。
 本法律案の内容は、基準財政需要額の算定にあたり、市町村道、公園、下水道、清掃施設等、生活関連公共施設の整備を推進するため、単位費用等の改定を行なうこと、老人医療の公費負担制度の実施、児童手当制度の充実、社会福祉施設の整備等に要する経費の増額をはかること、公害対策、交通安全対策及び消防救急対策に要する経費を充実することなどの所要の措置とあわせて、これらの措置の実施に必要な財源として、昭和四十七年度分地方交付税の精算見込み額を引き当てに、九百五十億円を借り入れて、普通交付税総額を増額しようとするものであります。
 昨年度、すなわち、昭和四十七年度の当初の予想では、わが国経済の見通しはきわめて暗く、地方財政についても、昨年度は、約八千億円に近い国の援助措置が講じられたのであります。したがって、これらの措置が打ち切られる昭和四十八年度の地方財政についても、相当の国の援助措置がなくては、その運営が困難であると憂慮されていたのであります。幸い、その後のわが国の経済の足取りは著しく好転し、地方財政の収支見込みも明るくなったのでありますが、一方において、立ちおくれている生活関連公共施設の整備、社会福祉の充実は当面の急務となっており、このため、国としても、大幅に増大する地方経費に対し、特段の措置を講ずる必要があるのであります。
 本法律案は、以上のような地方財政の事情を考慮し、昭和四十九年度において地方交付税に算入される昭和四十七年度の精算見込み額を、実質的に、昭和四十八年度に繰り上げて交付し、旺盛な地方の財政需要に対処しようとしているのであります。また、単位費用の改正等、基準財政需要額の算定基礎にかかる改正は、福祉重視の国の施策とその基調を一にするものであります。これらの改正内容は、いずれも地方財政の当面の対策として適切妥当な措置であります。
 以上の理由をもちまして、私は本案に賛成の意を表するものであります。
#43
○上林繁次郎君 私は、公明党を代表し、地方交付税法の一部を改正する法律案に対して反対をいたします。
 地方交付税制度につきましては、公明党は、現行制度が社会経済情勢の激しい変化に対応できない欠点があること、地方の一般財源を安定的に保障する制度として不適当であることなどを理由として、制度の基本的改正を求めてきたのであります。
 すなわち、地方交付税は地方自治体の固有財源であり、かつ、急増する地方の財政需要を充分満足させるものでなくてはならないという立場から、地方交付税率の引き上げ、特別会計への直入方式の導入、地方自治体の手による年度間調整制度の確立、市町村に対する配分の強化などを、主要検討項目として主張してまいったのであります。
 しかるに、政府は、制度の基本に触れず、毎年のように特例措置を繰り返すにとどまり、今回の改正もまた、相も変わらぬその場しのぎの改正に終わっているのであります。これでは真の地方財政の発展は望めません。
 地方自治の振興が、独立かつ安定した財政基盤の確立に基礎を有することを考えるとき、この点政府の強い反省を求めるものであります。これが、反対理由の第一点であります。
 次は、政府の経済見通しの誤りが、地方財政にきわめて悪い影響を与えていることについて指摘したいと思います。
 すなわち、今回の改正案では、四十八年度の交付税会計において九百五十億円の借り入れを行ない、四十九年度に返還することになっています。これは、四十七年度の補正予算後の税の自然増収と、これに基づく交付税の精算分を予定して行なわれた措置でありますが、現在判明したところでは、三税の増収額はさらに増加して、最近では五千数百億円にふくれ上がったということであります。そして、この三税に見合う交付税額は、約千七百億円に達するのであります。このような膨大な精算分が出ることは、かつて例のなかったところであります。つまり、国の租税収入の過少見積もりから、本来四十七年度に配分されるべきものが、一部は借り入れ金という形で四十八年度の交付税となり、残りは二年後までおあずけになるわけであります。
 国の経済見通しの誤りからこのような結果になったことは、地方自治体にとってはきわめて迷惑なことであると言わなくてはなりません。
 しかも、このような政府の経済見通しの誤りを前提にして立てられた国の財政政策が、今日の悪性化したインフレ経済となり、土地、建築資材等の物価の値上がりをも招き、回り回って、地方自治体が実施する生活関連施設の整備の停滞をも招来したことを考え合わせますと、政府の責任はいよいよ重大と言わなくてはなりません。これが反対の第二点であります。
 次に、地方債についてであります。
 昨年度に引き続き、地方債に対する依存度は依然として高く、また内容的には、条件の悪い縁故債への依存傾向は解消しておらず、今後の地方財政をますます圧迫する要因となっております。したがって、今後においては、地方債に依存することを極力避け、地方交付税等一般財源を強化するとともに、必要やむを得ず地方債を発行する場合は、政府資金を拡充して実施すべきであると思います。これが反対理由の第三であります。
 最後に、地方自治体の先行行政に要する費用が地方交付税制度の中で十分見られていない点について特に言及しておきたいと思います。すなわち、現在の制度では、標準税収入に対し、府県二〇%、市町村二五%がいわゆる自主財源となっておりますが、これは自治体、特に財政力の弱い地方自治体にとって、自主財源としてはきわめて不十分なものであります。また、基準財政需要額の算定方法が国の施策に追随しているため、先行的自主行政に必要な経費が算入されておりません。
 児童手当にしろ、老人医療の無料化にしろ、地方自治体が常に国に先がけて実現し、国がそのあとからおくれて実施に踏み切ったものであります。自治体の自主行政が尊重され、また、自治行政の多様性が望まれている今日、現在の交付税制度がこのような視点に立って制度化されていないことは、はなはだ残念であります。この点は、最初に述べた反対理由の第一点に関連するところでありますが、地方自治のあり方が基本的に問われている時期でもありますので、特にふえんして申し上げておきたいと思います。
 以上、おもだった点を指摘し、反対討論といたします。
#44
○中村利次君 私は、民社党を代表して、本法律案に対し、反対の討論を行ないます。
 反対の第一は、第十五次地方制度調査会の答申も指摘している交付税率の引き上げが今回行なわれなかったことであります。
 四十八年度の地方財政は、老人医療の無料化、児童手当の拡充など、社会福祉制度の充実をはじめ、上下水道、公園、清掃施設等、国民福祉の向上に必要な生活環境施設の整備や、国民のための列島改造事業の推進など、大幅な支出増に迫られているのが現状であります。さらに、義務教育教員の給与改善をはかるなど、これが平年度化に伴う地方負担は、将来膨大な額にのぼることは必至であり、この際、長期的な財政需要と、これに対応する財源確保の方策として、交付税率の引き上げを含む抜本的な地方財政対策を講ずべきであるのに対し、借り入れと地方債による財源対策がとられたことは、今後の地方財源確保に大きな問題を残しており、きわめて遺憾なこととして賛成いたしかねるのであります。
 反対理由の第二は、地方債計画に占める政府資金の割合がここ数年著しく低下していることであります。
 四十八年度の地方財政計画は、大型福祉財政をまかなう財源として地方債に一そう依存する方向を示しており、歳入全体に占める割合も七・四%と、四十五、四十六年度の四%台に比べると一段と高まっているのであります。そうした状況を反映して、公債費比率も年々上昇し、地方財政を圧迫しているにもかかわらず、地方債計画中に占める政府資金の比率が、三十年代の七〇%台から五〇%台に低下し、また、財政投融資資金計画に占める地方債の比率も、二〇%を下回っていることは納得できないところであります。
 反対理由の第三は、交付税制度が地方の固有財源であるにもかかわらず、その特質が失なわれていることであります。
 国の均衡財政主義のもとにあっては、国と地方との間には地方交付税制度を中心として一つのバランスが保たれてきたのでありますが、昭和四十年度から国債発行による財政政策が導入され、国税三税にリンクしている地方交付税のあり方に大きな変化が見られるに至ったのであります。すなわち、国の財政が国債財源によってその財政規模を拡大する場合、それに関連して地方歳出の増加が生ずるにもかかわらず、これに対応する地方交付税の増加が望めないのが現状であります。地方は三千三百余の個々の地方団体から成り、財政規模も千差万別であって、そのすべてが将来相当の財政負担を伴う借金に依存することは困難であり、したがって、国債発行下の財源配分の秩序の維持をはかるためには、不安定な一時しのぎの財源措置によることを改め、地方財政に安定性と計画性を失わしめないような交付税制度の抜本的改革をはかることが必要であり、その時期にきているにもかかわらず、何らの改善措置も見られないのは政府の怠慢であり、まことに遺憾であります。
 以上、おもな理由を申し述べて、本法律案に対し反対の意を表します。
#45
○河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、地方交付税法の一部を改正する法律案に反対するものであります。
 地方財政の破綻と窮乏が年を追って深刻となり赤字団体が累増しつつあることは、地方財政白書において政府みずからが認めているところであります。赤字団体に転落をしないまでも、地方行政水準の低下は、一般的、普遍的現象になりつつあることは争う余地もありません。
 地方財政の抜本的改善を全地方自治体がひとしく要望しており、地方財政危機打開の要求は日を追って強まりつつあることは何人も否定できないところであります。本改正案は、四十六年、四十七年度の借り入れ公債依存の地方財政対策を引き継ぎ、二兆二千五百三十億円、前年比三〇・四%増という地方債計画を導入し、三たび交付税特別会計における借り入れを行なって収支バランスを整えようとするものであります。
 九百五十億円の借り入れ金は、言うまでもなく後年度分交付税の先取りであり、地方交付税の規定と精神に反するものであります。この三年連続の借り入れの事実は、すでに現行制度が地方財政の実態にそぐわないことを雄弁に実証するものであります。
 さらに、本改正案では、昭和四十七年度に行なわれた地方債への振りかえのうち、事業費補正分については引き続き地方債による振りかえ補てんを行なうこととしており、このことは、地方交付税によって措置されてきた地方財政需要が、すでに現行地方交付税額では充足できなくなったことを明らかに示すものです。
 第二に、単位費用の改正がはなはだしく実情から遊離している点であります。
 本改正案による交付税配分の改正点の第一として、「住民の生活に直結する各種の公共施設の計画的な整備」をあげていますが、しかし、本改正案による措置額は、市町村の投資的経費として一連の増額を行なったのは、道路橋梁費六百二十二億円増、公園費七十三億円増のみにとどまり、下水道等は一四・八%にすぎないものであり、清掃、公害、交通安全、消防救急などの費用においても地方自治体の要望にこたえるものではありません。しかも、これらの費目は、すべて一般財源として地方自治体財源に混入されるものであり、それらは国庫支出金の不足額の補てんのための超過負担等に転用され、住民生活の改善、地方財源の拡充とはほど遠いものと言わなければなりません。
 第三には、単位費用算定の基礎となる基準単価標準行政規模が実情と全くかけ離れており、これが地方行財政の運用にきわめて重大な支障となっていることであります。交付税の事業費基準単価は、ぼう大な超過負担の原因となっている国庫支出金の補助単価と同一であり、国庫支出金で発生する超過負担は、交付税においては不足額として留保財源、振りかえ財源などに食い込むものであることは明白であります。基準単価が実施額と全くかけ離れた低額である限り、地方交付税がその本来の効果を発揮することができないことは言をまちません。
 本来、地方交付税は、地方団体の最低限の行政水準をすべての団体が維持できるよう財政を補給する制度であり、これを公正に厳格に実施することは、国に与えられた責務であります。ところが実際には、国の財源の確保を第一として、その範囲内で財政補給をしようとする結果、交付税の基準が実情に合わなくなっていることは、政府みずからが認めているところであります。地方交付税法は、交付税総額と地方団体算定の合算額と著しく異った場合は、地方財政、地方行政にかかる制度の改正または三二%という交付税額の変更を行なうものとする規定に従って、当然この交付税率の引き上げ改定を行なうべき条件を明日に示しています。
 第四に、本年度の地方交付税算定の基礎となる昭和四十八年度地方財政計画についてであります。同計画は、総額十四兆五千五百十億、前年比二三・八%増となり、昭和三十七年以降最大の増加率を示しています。しかるに歳入では、地方税は前年比二七%増という、この十年間のかつてない伸び率を見込みながら、歳入総額に占める一般財源の割合は五九・三彩であり、前年度の五九・八%を下回るものとなっています。一方、前年比三〇・一%の伸び率を示している国庫支出金は、構成比で前年度の二五・九%から二七・三%と膨張しており、まさに地方財政を大型化しているものは、国のひもつき財源である国庫支出金であることを示しております。また、地方債の構成比も七・四%という高率を示しています。これを歳出面では投資的経費の構成比が四一%を占め、四十六、四十七年度に引き続き膨張を示しており、その内容は、国庫補助事業が前年比三四・一%という大幅な伸びを示しています。
 この計数が示すものは、一般財源の減少とひもつき財源の増大、公共事業費の膨張と福祉行政の軽視そのものであります。そして、地方自治体における起債の著しい膨張という特徴であります。これこそ日本列島改造をめざす公共事業の大幅な増加、国債乱発による国の大幅インフレ予算をそのまま地方財政に引き移したものであります。そして、これはまた、地方財政に対する国の統制と介入、列島改造のための地方自治体の下請機関化を意味するものにほかなりません。自民党政府は、依然として高度成長、生産第一、企業優先と、これを保証する財政政策をとっている結果、現在、地方自治体は、都市問題過密過疎問題、災害・公害・環境破壊問題等、深刻な課題を抱えています。地方公務員の労働条件、地方住民の生活の安定と、国土の均衡のとれた発展をはかるために、政府の政策を根本的に転換し、地方自治の本旨に基づいた地方財政の確立に尽くすことは、国の責務であるばかりでなく、憲法でも規定するところであります。
 私は、当面、超過負担など、国が地方自治体に不当に転嫁している財政負担を完全に解消し、地方交付税率の大幅な引き上げ、地方債許可制度の廃止、政府資金の大幅な増額、国と地方の事務と財源の再配分、大企業優先の地方税制の民主化、地方住民の生活の向上と環境整備の充実に向かって税、財政の改革を行なうべきことを主張して、本改正案に反対するものであります。
#46
○委員長(久次米健太郎君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり
#47
○委員長(久次米健太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 地方交付税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#48
○委員長(久次米健太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#49
○柴立芳文君 私は、ただいま可決されました地方交付税法の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、各派共同による附帯決議案を提出いたします。
 以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#50
○委員長(久次米健太郎君) ただいま柴立君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#51
○委員長(久次米健太郎君) 全会一致と認めます。よって、柴立君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、江崎自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。江崎自治大臣。
#52
○国務大臣(江崎真澄君) ただいま全会一致で御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、善処いたしたいと存じます。
#53
○委員長(久次米健太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(久次米健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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