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1972/08/28 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 地方行政委員会 第19号
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1972/08/28 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 地方行政委員会 第19号

#1
第071回国会 地方行政委員会 第19号
昭和四十八年八月二十八日(火曜日)
   午前十時三十六分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月二十四日
    辞任         補欠選任
     川野辺 静君     増田  盛君
     寺下 岩蔵君     鬼丸 勝之君
 八月二十七日
    辞任         補欠選任
     高橋 邦雄君     菅野 儀作君
 八月二十八日
    辞任         補欠選任
     鬼丸 勝之君     嶋崎  均君
     玉置 猛夫君     船田  譲君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    理 事
                寺本 広作君
    委 員
                片山 正英君
                斎藤 寿夫君
                嶋崎  均君
                船田  譲君
                増田  盛君
                秋山 長造君
                神沢  浄君
                戸叶  武君
                和田 静夫君
                上林繁次郎君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    江崎 真澄君
   政府委員
       大蔵省主計局次
       長        辻  敬一君
       自治省行政局公
       務員部長     植弘 親民君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       警察庁警備局参
       事官       中島 二郎君
       外務省アジア局
       外務参事官    中江 要介君
       大蔵省主計局共
       済課長      鈴木 吉之君
       自治省行政局公
       務員部福利課長  佐野 政一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査(金大中事件に関
 する件)
○地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○昭和四十二年度以後における地方公務員等共済
 組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一
 部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
  〔理事寺本広作君委員長席に着く〕
#2
○理事(寺本広作君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 本日、久次米委員長が所用で出席できませんため、私が委託を受けましたので、委員長の職務を代行いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十四日、川野辺静君及び寺下岩蔵君が委員を辞任され、その補欠として増田盛君及び鬼丸勝之君が、昨二十七日、高橋邦雄君が委員を辞任され、その補欠として菅野儀作君が、また本日、鬼丸勝之君及び玉置猛夫君が委員を辞任され、その補欠として嶋崎均君及び船田譲君がそれぞれ選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○理事(寺本広作君) 地方行政の改革に関する調査のうち、金大中事件に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○和田静夫君 きょうの新聞によりますと、二十七日、日本政府は韓国の政府に対して、金大中事件に関する韓国政府による捜査の状況を早急に通報するように要請をされたようでありますが、これは、わが国としても一応の捜査ができて、そしてその発表の前に韓国側の態度を知っておきたい、そういうことでやられた行為になりますか。
#5
○国務大臣(江崎真澄君) 現在、わが国としましては、金氏を運んだ自動車、それから船舶の捜査、畑中金次郎という隣室にかねて予約をして泊まった男の捜査、それから、これら一連の事件を目撃した者の捜査、それから畑中氏のいわゆる契約した部屋に遺留された遺留品の捜査、そのほか、各種集まってまいりまする裏づけの捜査、こういった点に重点を置きまして、真相の究明につとめておるというわけであります。韓国側につきましては、情報提供をせられたいということは、事件が発生しました当初から強く要請いたしております。それと同時に、金大中氏をはじめ関係三氏の来日を強く求めている。これは捜査を進めてまいりまする上に基本をなす問題でございまするので、強く要請をしているというのが現状であります。
#6
○和田静夫君 このいろいろの情報を総合的に読み、考えてみますと、警察では一応すでに一定の犯人像がもう持たれた、そういう犯人像を持っておって、友好国の謀略機関にからんだそういうような事件という、まあ言ってみれば一種の特殊な事情から、それを明確に打ち出せない状況にある、こういうふうに考えられる向きがありますが、いかがです。
#7
○国務大臣(江崎真澄君) いま御指摘のような点はまだ具体的にはつかんでおりません。
#8
○和田静夫君 捜査状況について逐次詳細にわたって日本の政府に連絡をする、そういうような約束をしていた韓国の政府が、態度を変えたとでもいいますか、それを実行しない、こういう状態になっていますね、現実は。これはどういうことです。
#9
○説明員(中島二郎君) 韓国側といたしましては、いろいろと捜査経過について逐次連絡があったわけでございますが、御承知のように、最近は特に連絡すべき事項がないということを連絡するにとどまっておるわけでございます。いままでの捜査経過の連絡の中におきましても、金大中氏や梁一東氏を調べたり、金敬仁氏を調べたりいたしておるようでございますし、あるいは出入国等について係官を派遣して捜査をしたりいたしておりますので、私どもといたしましては、いままでわかっていることの概要だけでももう少し連絡してもらいたいということで、外務省を通じて、強くその点の連絡方を要望をいたしたわけでございます。
#10
○和田静夫君 そうしますと、中間報告がある一定のまとまった形でくる、こういうふうに判断をされてこういう措置をとられた、そういう見通しになりますか。
#11
○説明員(中島二郎君) 私のほうといたしましては、現在までの捜査によって判明している事項の概要を連絡してもらいたいということで連絡方を依頼をいたしたわけでございまして、特に捜査が相当進んでいるであろうとかいうようなことを、進んでいるのかいないのか、その点を考えて連絡方を依頼したものではございません。
#12
○和田静夫君 一説によりますと、韓国の政府というのは、当初、まあ韓国のCIAの一部機関員が事件に関係していたことを認める中間報告を、中間発表を行なう予定であった。ところが、読売の事件が起こっていますが、読売新聞にすっぱ抜かれた。したがって、読売の支局員の退去という、そういうところまで進んでしまって、そういうことになったので、いま私が述べたような発表ができなくなった。したがって、中間発表がおくれているという、そういうことであるようですがね。そういう感触をこれは国家公安委員長、お持ちですか。
#13
○国務大臣(江崎真澄君) 何にいたしましても、これは日本の警察側としては、被害者であるいわゆる金大中氏の身柄を中心に捜査をしませんと事が運びません。そこで、第一にはこの身柄をもらうべく強く要請しておるわけですが、先方も、捜査中であるということでなかなかこの希望にはこたえてくれないわけであります。で、先方の中間報告がどうなるかというあたりについては、外務省筋から私のほうへ連絡がまいりまする範囲では、いま御指摘のようなことはまだ何ら確認されておりません。
#14
○和田静夫君 中間発表がたとえばあるとすれば、これは非常に不幸な事態として金大中氏のいわゆる逮捕か、あるいは逆転して完全釈放といいますか、そういうような形、いまのような、ああいう全く不自由な状態に置かれている状態ではなくなる、そういう形だが、そういう辺の予測というのはどういうふうにお持ちですか。
#15
○国務大臣(江崎真澄君) これ、なかなか複雑でして、全く、あなたが得られる情報と私どもが得る情報と、そんなに大きな開きがあるとは実は思えない。それはまだ韓国側から、正規のルートを通じて捜査の状況について何ら詳しい連絡がないわけです。まあ一通りの連絡は新聞で報ぜられておるとおりでありまするが、その後連絡がございません。わがほうとしては、先ほど申し上げたような数点にわたって厳重捜査を続けておるわけでありまするが、これをどう予測するかという御質問には、私自身もまだ確信を持ってお答えをするというところまでは捜査が進んでいないというのが実情であります。
#16
○和田静夫君 そうすると、日本の警察そのものとして一体どういう独自の捜査を展開をされるわけですか。
#17
○説明員(中島二郎君) 現在、日本の警察といたしまして行なっております捜査は、一つは金大中氏を移送したであろう船舶を割り出すということが一つでございまして、金大中氏の韓国における発言内容に基づきまして、事件発生の日の八月八日の午前十二時から翌日の午後十二時までの間、韓国向けに出航した船三十五そうをリストアップいたしまして、全国の府県に、この三十五そうを中心に、金大中氏を移送した船舶の割り出し捜査を指示をいたしております。
 それから金大中氏を運んだ自動車の捜査でございますが、金大中氏が連れ去られた時間は八月八日の午後一時三十分ごろと私ども見ておるわけでございますが、同日の、少し幅をとりまして、午後零時四十分ごろから午後三時十六分ごろまでにホテルの地下駐車場を出た三十台の自動車を重点に捜査いたしております。現在までに、この三十台のうち十六台につきましては事件と無関係となっておりまして、残り十四台について捜査を進めているところでございます。
 それから次は、韓国における金大中氏の発言内容からいたしますと、ホテル・グランドパレスのエレベーターの中で金大中氏と犯人を目撃した若い日本人男女が七階でおりたと、エレベーターの中で会って七階でおりたということを申しておるわけでございますが、その若い日本人男女を発見するために、ホテルの七階の宿泊者を中心に捜査を進めておるということでございます。
 それから畑中金次郎につきましては、金大中氏を拉致した犯人がひそみ、そして金大中氏を一時そこに押し込めた部屋でございますが、その二二一〇号室を予約し、宿泊したと思われる畑中金次郎について捜査を進めております。畑中金次郎につきましては、八月六日の午後一時十五分ころに、ホテルに電話で、七千八百円の二十二階の部屋を頼むということで予約をいたしております。それから、午後六時四十五分に、畑中金次郎と称する男がフロントで二泊の申し込みでチェックいたしまして、前渡し金三万円を置いて、かぎを受け取って部屋に上がっております。この客は、八月七日、これは事件発生の前日でございますが、午後十一時ごろ、クラウンバーというホテルのバーに入ってビールを飲んでおります。その後、午後十一時二十五分ごろマッサージをとっております。マッサージ師は、お客について、五十歳ぐらいの中小企業の経営者風の人物であるというふうに述べております。なお、この畑中金次郎についてさらに捜査を進めているところでございます。
 それから、遺留品の捜査でございますが、遺留品の捜査につきましては、それぞれの遺留品につきまして、いろいろとその出所、関連事項などについて捜査を進めておるところでございますが、睡眠薬の入ったグロモントびんにつきましては、これはフェノバルビタールという睡眠薬が三分の一ほど残っておったわけでございますが、このフェノバルビタールをかりに三分の二飲んだといたしましても、睡眠薬の効果は出ないという程度のものだそうでございます。そうして、このグロモントのびんには唾液が付着いたしておりませんので、したがいまして、これを飲まされたということはないのではなかろうかと、一応の推定がされるわけでございますが、このグロモントのびんにはTEの五四八という赤字の刻印がなされておりまして、その赤字の刻印がなされておるTE五四八と申しますのは、ことしの四月十一日、仙台市内の薬問屋におろされたTE五〇〇からTE五四九までの五十ケースの中の一本であると。この薬問屋からは、仙台市内七軒など、宮城県下及び山形市内の計十軒の小売り店にこのグロモントがおろされておるということが判明いたしておりまして、さらに捜査を進めておるというようなことがございます。
 現在までの捜査のおもな状況は、以上でございます。
#18
○和田静夫君 一番、しろうととして疑問に思う点は、いわゆるホテルとの関係なんですが、二十二階の一室をくれとこう言った。その二十二階の一室が、たとえば金大中の泊まっている部屋などといわゆる隣接をしたと。これは全くの偶然ですか。
#19
○説明員(中島二郎君) 金大中氏でなくて、梁一東氏のことであろうかと思いますが……。
#20
○和田静夫君 はい、梁一東です。
#21
○説明員(中島二郎君) ホテルの予約の状況からいたしますと、隣の部屋を指定して頼んだように思われます。したがいまして、偶然ではないという可能性が強いものと私どもは見ております。
#22
○和田静夫君 そうすると、普通、ホテルを予約する場合に、予約者のほうから何号室という予約のしかたというのは、大体常識的ですか。
#23
○説明員(中島二郎君) ホテルの予約の場合に、部屋を特定するということは、あるいはその部屋からのながめの関係とか、前に何回か泊まっておってその部屋がいいとかいうような状況のある場合に、まれにホテルの部屋を指定して予約するということは当然あるわけでございますが、本件の場合、畑中金次郎なる人物が事前にその部屋に泊まったということがあるのかどうかという事実については、現在までのところ、そういう事実は出ておらないという状況でございます。
#24
○和田静夫君 高橋警察庁長官は、この金大中事件に関連をして、去る十六日の国家公安委員会で頭を下げたとこういわれているわけですね。伝えられています、これは。で、どの点で一体頭を下げなければならなかったのか。これ、捜査上の瑕疵があったという意味ですか。
#25
○説明員(中島二郎君) 長官の発言は、初動捜査の段階におきまして、この種の事件が初めてであるために、ふなれな点があったということはいなめないという発言をされたと承知いたしております。
 たとえば緊急配備の問題でございますが、二時十四分に宇都宮議員から警視庁の警備部長に第一報が入ったわけでございます。それに基づいて警視庁としては活動を開始したわけでございますが、連れ去られる事件ということになりますと、多くございますのは、人質にしてあとでいろいろ金銭などの要求を出すという事件が多いわけでございまして、したがいまして、そういう事件の場合には、こうした事件があったということを秘密にいたして捜査をするというのが捜査の常道ということになっております。したがいまして、この事件の場合も、そういうことと、それからもう一つは、金大中氏の地位等からいたしまして、やはり事件の処理を秘密に行なうことがいいのではないかという考えがありまして、当初の連絡は、無線でなくて有線でお互いに連絡をとり合っておったわけでございます。そういうようなことがあったために、その緊急配備について、できるだけ早くしかも広範囲に行なうということが結果としてできていなかったということがあったかなかったかと。こういう若干ふなれによる点があったのではないかと、こういうことを申しておるわけでございます。
#26
○和田静夫君 外務省が時間がどうもないようですから、外務省にちょっと飛んで聞きますが、金在権公使の名前が偽名である。で、外務省は、偽名を使われていて黙っているわけですか、これは。これは明確に、金在権公使のほんとうの名前は何というんですか。
#27
○説明員(中江要介君) 金在権公使の名前がほんとうであるかべそであるかということは、しばしばわれわれ耳にしておるんでございますけれども、現在までのところ、外務省では、その名前が間違いである、むしろ偽名を使っているんだということについて、何らの確認された情報を持ち合わせないというのが現状でございます。
#28
○和田静夫君 金在権公使の本名は金基完、私の調査によればそういうことになるんですがね。間違っていますか。
#29
○説明員(中江要介君) 間違っているともいないとも私は申し上げられないので、外務省といたしましては、韓国政府から正式に通報されてきた名前を正式の名前と認識して事務も処理しておりますし、それが間違いであるという確たる証拠がない限り、それを信じ続けていくという以外にない、こういうことになるかと思います。
#30
○和田静夫君 これは警察の関係ですが、たとえば犯行現場に警察官がかけつける前に金公使がいたなどというようなことは、後ほど質問をいろいろやることですけれども、こういう一連の今度の公使がとった行動から見て、いま、ともあれ私が指摘をしたような一般的な疑惑がある。これについて、外務省はさらに調査をされて明確にされる用意がありますか。
#31
○説明員(中江要介君) まず基本的に、外務省自身が調査権というようなものはないことは御承知のとおりでございますが、いやしくも日本に派遣されている、そして日本政府が接受している外交官が、外交官として許されていない活動をしているとか、あるいは日本の法に触れるようなことをしたというようなことがありますれば、これは外務省といたしましても、捜査当局なり治安当局なり、関係当局の御協力を得て事態を究明いたしまして、それが事実として確認されますれば、これは国際慣行として認められておりますように、好ましからざる人物ということで退去を要請する、それは理由を付すことなく要請することができるし、それが要請された場合は立ちのかなければならない、これが一般国際慣行になっておるわけでございます。ただ、そういう措置は、それだけ激しい措置でございますので、慎重に事実を確認しなければならぬということはございます。で、今回の事件につきましても、いま最初にしなければならないことは真相の究明だと思いますので、それがはっきりいたしますまでは、いままでの通常の、正常の国交を持っていた国としてのおつき合いを続けていく、それをはずれるようなことまでは権利として要求することはできないというたてまえでございますし、いまの金在権公使の件に
 つきましても、いろいろのことはうわさとしては耳に入りますけれども、それを徹底的に外務省として究明しなければならないという程度のものにはまだ認識していないというのが現状でございます。
#32
○和田静夫君 外務省として、たとえばいま私が指摘をしたように偽名である。で、いまあなたも言われるようにいろいろのこの人にからんではうわさがある。これは別の機会に取り上げますが、この問題をたとえば国家公安委員長に対して調査を依頼をするとか、そういうことを外務省としてはまだおきめになっていないのですか。
#33
○説明員(中江要介君) 外務省といたしましては、現段階で、特定大使館員について本件に関連して捜査を依頼するというような立場にはございませんので、むしろ現段階では、ソウルにおいて金鍾泌総理も後宮大使に、あるいは東京でも李大使が法眼次官に言っておりますように、韓国の官憲は関係していない、また東京では、在日の韓国大使館員、領事館員、総領事館員は本件には関係がないということを公式に言っております現段階では、わがほうの捜査の結果として相当のはっきりした事実が判明しない限り、いまの段階で、韓国政府なり韓国大使館に、公式のレベルで本件について何らかの措置を要求するなり、あるいはまた外務省が、そういう立場から日本の捜査当局に特定個人について捜査を依頼するというところまではいっていない、こういうのが現状でございます。
#34
○和田静夫君 そうすると、公安委員長、私がいま指摘をした金在権公使に関する問題については、警察当局としては把握になっていらっしゃいますか。
#35
○国務大臣(江崎真澄君) 把握しておりません。これは把握しておりませんばかりか、外交特権を持った公使の身上に関して、単なるうわさだけでその身上調査をするなどということは、これは国際慣行からいいましても慎重を要することだというふうに思います。
#36
○和田静夫君 一般的には私はそうだと思います。ただ、今度の場合は、さっき私が指摘しましたように、たとえば犯行現場に、警察官がかけつける以前にとっくにこの公使は行っているわけですね。こういうようなところからいくと、この公使自身に対しても、私たちはやはり一定のものの見方をせざるを得ないのではないですか、客観的に考えてみて。
#37
○国務大臣(江崎真澄君) それはさっき参事官からも答えておりましたように、事件が大体推定一時過ぎから三十分ごろのところで起こっておる。宇都宮代議士から通報がきたのが午後二時十五分、それから一一〇番に通報されたのが二時四十一分。この間には当然韓国大使館にも連絡がいっておるわけですね。韓国大使館として、急拠その場にかけつけるということは別にふしぎなことではない。ありそうなことだというふうに考えられます。
#38
○和田静夫君 わかりました。そうすると、梁一東党首が金公使を呼んだといわれておりますが、これはもうすでに確認されておりますか。
#39
○説明員(中島二郎君) 八月九日の日に、金在権公使から警視庁の公安部長に、警察の捜査に協力するということで事情説明の申し入れがありまして、捜査本部の幹部が金在権公使から聞いたところによりますと、八月八日の午後一時五十分ころに、梁一東先生から電話で、いま金大中が連れていかれたという連絡があって、すぐ車でグランドパレスに向かいました、ホテルには午後二時二十分ごろに着きました、こういうふうに述べております。
#40
○和田静夫君 梁一東氏についてはいろいろのうわさがあるんですが、日本の警察は、たとえばさっきの梁一東氏と二十二階の部屋の隣接の関係からいってその部屋が指定をされたという――私たちは一般的にホテルをとる場合には、部屋の指定の自由権なんというのは、選択権なんというのはほとんどないような状態なわけですよ。行ってキイをもらうまでは全然どの部屋かさっぱりわからない、これが大体なんですが、とにかく梁一東氏についてそういういろいろのうわさがあって、隣接の部屋がとられていたなどとのからみで、いろいろと憶測ができる部分があるのですが、日本の警察というのは梁一東氏についてはどのような判断をお持ちなんですか。
#41
○説明員(中島二郎君) 私どもといたしましては、ただいま、と申しますか、従前から、金大中氏、梁一東氏、金敬仁氏について、日本に再来日をして事情を説明してくれるように、外務省を通じてたびたび要請をいたしておるわけでございますが、ただいまのところでは、その来日を待って事情を明らかにしてもらうよりほかに方法がないというふうに考えております。
#42
○和田静夫君 いまの最後のところをもう一ぺんちょっと。
#43
○説明員(中島二郎君) これらの方々に来日をしていただいて、事情を詳しく聞くことによってその間の事情を明らかにしたい、かように考えております
#44
○和田静夫君 そこで、同氏で日本での証言と韓国での発言ですね、これが食い違っておりますね、これもやはり呼んで聞くまではわからないということになりますか、これはどうなりますか。国家公安委員長、この違っておるというのはどういうふうに判断されますか。
#45
○国務大臣(江崎真澄君) 発言が違っておるという点を、いま中島君も確認しておりませんと言いますから、おっしゃる意味はどういうふうに違うんでしょうか。
#46
○和田静夫君 梁一東氏と、たとえばもう一人いた金国会議員ですか、そういう方々の発言がずっと違っておりますね。発言というのか、証言というのか。
#47
○国務大臣(江崎真澄君) これは、警察側としてはまだ確たる情報を受けておりません。したがって、それは新聞会見等によって伝えられる程度のものということでありまして、正式の捜査経過についてそれぞれの発言というものは伝わっておりませんので、いまちょっとこれについての感想の述べようがないわけでありまするが、事件が起こりますると、やはり関係者の証書というものはときたまよく違うものでありまするから、中島参事官が言いまするように、やはり本人に即して、十分日本の警察として確信をもって調べるということによって、正確な判断をしていくという方針でございます。
#48
○和田静夫君 外務省、けっこうですわ。
 そこで、「事件発生直後の初動捜査から警察側の判断は甘かった。つまり目撃者がいない、一一〇番への通報が遅く救出を求める緊迫感がなかった、などから、不法連行という犯行そのものの真偽に疑問を持ち、金氏はホテルグランドパレス内にいるのではないかと判断、ホテル全室の洋服ダンスやバスルームまで捜し、捜査に貴重なスタートを費してしまった。一方、警察首脳も、事件背景に複雑な政争がからんでいるとみて、警察がうっかり先走りすれば悪役にされてしまうという慎重論が強く、それが立ち上がりをおくらせるもう一つの理由だった」、こういうふうに言われているのですね。それから、さっき答弁があったように、ふなれによる点があった、その点が、高橋警察庁長官が国家公安委員会で頭を下げなければならなかった一つの理由でもある。自民党の宇都宮代議士もはっきり言っていますように、警察は当初から金大中氏の自作自演ではないかという俗論に迷わされたのではないかということが雷われるわけですが、これは国家公安委員長、どうなんですか。
#49
○国務大臣(江崎真澄君) これは警察、非常に努力しておりまするので、私は警察の名誉のために弁護しておきたいと思うのですが、宇都宮代議士からの通報もおそかったということですね。そこで、これ自体がもうすでにおくれておる。初動捜査がおくれたということは、それは長官も私どももこれは認めております。認めておりまするが、それはどうも物理的にやむを得なかった。たとえば宇都宮代議士から警察庁に電話が入ります。入ってすぐということにはならない。それはどういうことかというと、金大中氏の年齢、人相、そういったことをまず部内ですみやかに確認することが必要でしょう。そうして手配の基準をつくらなければなりません。一一〇番というのは、これは現場に直接行くわけですから、すぐ飛んでいく。この二〇番がすでに二時四十一分、事件発生後一時間余を経過したと受け取られる時間であります。警察側としては、二時五十五分には、もう主たる空港であるとかあるいは港であるとか、そういう要所要所には連絡をしておるわけですね。三時過ぎには検問も指令したというわけで、連絡があってから物理的に許される範囲の迅速さで追っかけたわけですが、この事件が事件だけに、通報する人たちも多少慎重にかまえたという点もあったろうと思うのです。そういうことが初動捜査のおくれになった。もっと早くやるべきだった。そのとおりだと思いまするが、物理的に許す範囲においては手配をしたということであったと思いまするが、こういう事犯というものは、私、関係者からの説明によりましても、最初の一時間、一時間三十分のおくれというものは非常に重要に働く、その点は残念であったというふうに考えております。
#50
○和田静夫君 高橋警察庁長官が十六日の記者会見で、「警察への挑戦だ。この回答は日本警察の手による真相究明しかない」、こう断言されているわけです。何によるこれは警察への挑戦だと考えたらいいですか、公安委員長。
#51
○国務大臣(江崎真澄君) 犯罪人の挑戦という意味でしょう。そういう挑戦なんというあまりきわ立ったことばというものは、とかくいろいろに解釈されがちでありまするが、これは別に――警察をないがしろにした行為だといったような意味を含んで言ったものだというふうに私ども解釈いたしております。犯人の警察をないがしろにした行動、こういうふうに解釈していただいていいと思います。
#52
○和田静夫君 「この回答は日本警察の手による真相究明しかない」ということを言っている以上、これは何らかの他国政府、この場合韓国ですね、この韓国を意識した発言じゃないですか。
#53
○国務大臣(江崎真澄君) その辺は微妙なところで、私も、そばにおって聞いておったわけじゃありませんのでよくわかりませんが、これは金鍾泌韓国首相からも、田中総理、大平外務大臣等々に信書が参りまして、どうも韓国人が関係した事件と認められるというふうに韓国側でも言っておりまするから、韓国人が関与しておることはこれは否定できないもののようでございます。
#54
○和田静夫君 時間がないようですからあれですが、二十四日の衆議院の法務委員会で、山本警察庁警備局長は、「KCIAの日本での行動は耳にしていない」と答えられているわけです。これは非常におかしいんじゃないかと思うんですね。たとえば日本の外事警察は、本来、対共産圏の情報を入手する立場から、韓国の情報機関とは日ごろから緊密な関係にある、特に首脳部も定例的に招かれてソウルを友好訪問をしている、こういうような関係にあるわけですから、この辺は事実と違っていませんか。
#55
○国務大臣(江崎真澄君) 私から申し上げましょう。警察との関係は平素何らない、ございませんと、こう答えた山本警備局長の答弁は正確であるというふうに私どもも理解をいたしております。関係ございません。
 ただ問題なのは、韓国から中央情報部、こういう肩書きで来日した人がございます。そういう人が治安関係官庁を表敬訪問をする。これは韓国においては正式の機関でありまするから、治安関係の官庁を訪問するということは、これはもうございます。そして、警察庁にも表敬訪問があったということを私どもも報告を受けております。それはあくまで儀礼的なものでありまして、儀礼的にまたその表敬訪問にこたえるということでありまして、正式な治安機関でありまする以上、国際的な儀礼的表敬ということは、これは当然受けてしかるべきものだという理解でございます。
#56
○和田静夫君 そうすると、そのKCIAがたとえば日本に二千人以上もいると、こう言われているんですが、こういうようなことについては、いま言われた、公安委員長が答弁をされたような形以外ではほとんど何も知られていない、警察の側というのはそういうことについて把握をしていない、こういうことでしょうか。
#57
○説明員(中島二郎君) 私どもといたしましては把握いたしておりません。
#58
○和田静夫君 公安委員長、政府は在日韓国CIAについて調査を約束をされたようでありますが、大使館員に何名いるとか、あるいは民間人に何名いるとかいうような程度のこともわかっていない。あるいは捜査に支障がある、ないは知りませんが、そのいま私が言ったような形のことも何もわかっていない、いまの答弁は。国家公安委員長、そういうことでしょうか。
#59
○国務大臣(江崎真澄君) それは外務省が約束したんですか。――外務省が約束したとすれば、それは外務省として良識の範囲――国際慣行上許される範囲でそういうことを確かめようと、こういうことでなかろうかと思います。やはり従来の慣習からしまするならば、警察当局としては、やっぱり外国公館にはおのずとこれは制限がございます。その制限の範囲内でしか行動ができないことは、これは和田議員も御承知のとおりでございます。外務省のことについてはこれは私どもよく関知いたしません。
#60
○和田静夫君 これが最後ですがね。
 きょう冒頭から、国家公安委員長もあるいは参事官のほうも、たびたび、結果的には三氏を再訪日させてそして調べる以外にないと、これが捜査上の基本である、で、政府としてそれを強く求める。で、そのことをまた強く求めなければ私は捜査官の士気にもかかわると思う。したがって、そういうことでしょうが、しかし、再訪日というのはよほどの強行手段でもとらない限り不可能なような感じがする韓国のいまの姿勢ですね。国家公安委員長として、この問題で今後どういう態度をとっていかれるか、明らかにしていただきたい。
#61
○国務大臣(江崎真澄君) まあこの問題につきましては再三身柄を要求しておりまするが、目下捜査中であるから身柄をお渡しすることはできぬという返事が来ております。ただ、それは最後的にも不可能なのかといえば、必ずしもそういうことではないというふうに思います。しかし、どうしても渡さないということになれば、これはやはりその時点でよくよく考えることでありまして、いまから、渡さないときはどうするなどということを軽々に公式の場で発言したいとは思いません。粘り強く身柄を要求する。やっぱり日本で起こった事件ですから、その関係者の身柄を要求して捜査する、これはもう捜査の常識でありまするから、十分粘り強く今後も要請をしていきたい。どうしてもという場合は、その段階においてよくひとつ考慮をしまして、外交関係その他とも話し合いの上で次の手を考える。現在はまだ考えておりません。
#62
○和田静夫君 いま言われた中で、最後的には不可能ではないというふうに言われたんですが、その感触はどういうところから来るわけですか。
#63
○国務大臣(江崎真澄君) 身柄は断じて渡しませんとは言っておりません。目下捜査中でありまするので御期待に沿うことができぬのを遺憾に思うと、こういうまあ回答ですね。したがって、なおわれわれのほうが要求すればどう出てくるかということは、やはり今後の問題である。どうしても渡さぬとは言い切っていないということを申し上げたわけでございます。
#64
○和田静夫君 そうしますと、先ほどからの答弁では、結果的にこの三者の証言――再訪日をさせてそして三者から聞く以外にはもうきめ手がないと、こういうことになってるわけですが、相手方がじんぜん日を送って、まだ捜査中だからどうにもならぬというようなことで進んでいった場合に、日本の警察として、一体、いま進めている独自捜査の上に立って一定の方向というものを出せるという自信をお持ちですか。
#65
○国務大臣(江崎真澄君) まあ政治的な多少含みもありますから私からお答えしますが、私冒頭申し上げましたように、金氏を運んだ自動車の割り出し、それから船の捜査、畑中金次郎の捜査、遺留品、目撃者の証言、こういった点に重点を置いて鋭意割り出しにつとめておるわけです。で、また韓国については、あの事件のとき韓国に入港した船の名称を教えてもらいたいと要求いたしております。で、かれこれ、そういう韓国側の捜査、当方の捜査、これがだんだん合致していけば、相当な成果を上げ得るものというふうに考えております。
#66
○和田静夫君 最後にしますが、それで国家公安委員長、最後的には不可能ではないと、断じて渡さないとは言ってきてない。しかし、そう言ってみたところで、たいへん時間的に引っぱられていけば何にもならぬわけですから、どういう形でもって再要請あるいは再々要請というような形を繰り返されますか。
#67
○国務大臣(江崎真澄君) これは外交ルートを通じて要請することはもとよりでございまして、韓国の在日大使館、それから韓国政府、これに対して、私どもの在韓大使館もございます。したがって、双方のルートを通じて強硬に粘り強く要請をしてまいりたいというふうに考えます。
#68
○戸叶武君 関連。
#69
○理事(寺本広作君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#70
○理事(寺本広作君) 速記を始めて。
#71
○戸叶武君 私は、いまの質疑応答を聞いておって、この問題は緊急突発の事件で、いままで前例のないことだからというので、大臣答弁並びに当局の答弁の苦慮をよく理解できます。しかしながら、緊急事態の発生に間に合うのが治安当局の任務です。その緊急事態に間に合わないような治安体制というものは、あってなきがひとしです。これは私は重大な問題で、午後これに対する質問をしますが、いまのようなコンニャク問答ならば意味がありませんから、途中で打ち切って、あらためて私は質問を展開しますけれども、私も長い間朝日新聞の社会部の第一線で働いて、昭和丘年、浜口雄幸が東京駅頭で暗殺されて以来、昭和一七年二月九日の井上準之助の血盟団による暗殺、五・一五事件、二・二六事件というものを経てまいりました。いつ、どこで、だれが、何を、これに対する捜査の方法論というものは、ジャーナリストの持っている方法論と同じです。電光石火変に応じて対処するという機略縦横なものがなければ、これは人形芝居です。いまの問答を聞いて、私は治安当局の態度というものにきわめて不満であとで午後質問を展開しますが、自動車のナンバーもわかっている。あの写真を突きつけられて――あの出どころは正確なところです。大体これは有力な関係者なりと推定されておっても、その身分がとやかくでうっかり手がつけられない――その気持ちもわかります。しかし、困難な事件に対して電光石火対処できないような治安当局ならば、日本の治安当局というものは列国から信頼されないし、国民からも信頼されない。そういう意味において、午後あらためて――こういうふうな形でせっかく和田君が熱心な質問をしても、大臣もやむを得ないでしょうが、こういう一つの私は風潮でもって国会論議がなされているならば、国会の質疑というものもおよそ意味をなさぬ。変に応じて対処するところの治安当局の姿勢というものに問題があるのじゃないかと思うし、日本の独立国家としてのやはり何か欠けているものがある。アメリカが残したCICの遺跡、遺物、それが中国に、日本の中でいまだにヘドロのごとく沈でんしておって、そういうところからこの警察当局の公正なる、そうして迅速なるべき敏活さを失っているのじゃないかと思うので、私は具体的な事例をあげて午後質問しますけれども、もっと簡単にします。そのかわりもっと明快な御答弁を願いたい。それだけ。
#72
○国務大臣(江崎真澄君) いま御意見でございますが、私どもは真剣にまじめにお答えをしておるつもりです。また警察としても、その後、全力をあげて捜査しておるわけであります。で、いまお話しの、楢崎委員が提出された写真、これなどについても、もうこれはきのう発表したらよかろうというので、私自身も示唆いたしまして、正式にその取り調べの結果などについては発表をいたした次第なんです。
 ついでですから申し上げておきまするが、あの提示された写真の人物というものは、李泰薫在日韓国大使館の一等書記官であります。で、あの提示されました翌日、これは土曜日、二十五日でございますが、この李一等書記官から、自分は全く今度の事件には無関係であると。個人の資格で――これは外交特権を持っておる人ですが、個人の資格で捜査に協力をしたいといち申し入れが進んであったわけであります。
 そこで、同日の午後、警視庁が事情をつぶさに聞きました。で、同氏は、自分は全く無関係である、当日は大使館の中で勤務をしておった。また、梁一東氏を羽田に送りにいったというあの当時の国会でのやりとりがあるが、そういう事実もないというので強く否定したのをはじめ、容疑事実等々については事実容疑はないと、大体捜査当局もそれを確認したわけであります。
 それからまた二十七日に、神田のリュックサック屋の少年にこの写真を見せてつぶさにこれも調査いたしましたところ、いや、もうすでに新聞社等々から、同じような写真を出して、はえぎわが似ておるだろう、額が似ておるだろう、鼻のかっこうはどうだなどということで言われましたが、自分は、似ていない、違う人物であるというふうにはっきり根拠を持って答えた、こういうことで、きのう、そういう事件というものは、もう楢崎君が国会で問題にされたので、本来なら楢崎君の出席を待って、委員会で答弁をすべきものかもしれませんが、私自身も指令をして、それは楢崎君に了解を得て、被疑者でないということになれば、写真が出て一流新聞がでかでか書き上げたことでもあるし、すみやかに決着をつけていくことが事件解明をすみやかならしめるよすがでもあろうということで発表をしたという経緯もございます。したがいまして、私どもはこの事件は重大に考えておりまするし、きびしく臨んでおる。決していま戸叶議員が指摘されるようなことはございませんことを、私、特に申し添えたいと思います。
#73
○理事(寺本広作君) 本件に関する午前中の調査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。
   午前十一時三十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時十三分開会
  〔理事寺本広作君委員長席に着く〕
#74
○理事(寺本広作君) それでは、ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、金大中事件に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#75
○戸叶武君 それでは江崎公安委員長に御質問申します。
 第一に、この金大中事件の問題が拡大していくのにつれて、ようやく日本の政府も、これはたいへんだというふうにお考えになったとみえて、外務省と警察庁は、二十五日、二十六日の両日、金大中事件の捜査について日韓両国の協力体制を再検討したとのことですが、その内容はいかなるものですか。
#76
○国務大臣(江崎真澄君) 日韓両国の何ですか。
#77
○戸叶武君 日韓両国の協力体制ですね、これを再検討したということですが、日韓両国の協力体制というのは、捜査の上における協力、打ち合わせと思いますが、そういう事実はありますか。けさの朝日新聞で私は見たんですが。
#78
○説明員(中島二郎君) 私の承知いたしておりますところでは、韓国側に対して捜査の現状についての中間報告を求めるとともに、日本側の現在までの捜査の概略を韓国側に通報しようと、そういうことについて警察庁と外務省とで話し合った、そのことを指しておるんじゃないかと思いますが。
#79
○戸叶武君 そこで、その席に、二十五日の夜、ソウルの在韓日本大使館の手島一等書記官も参加したということですが、手島一等書記官、これは警察庁のほうから出ている方かと思いますが、韓国政府との折衝経過や韓国の状況についての報告がなされたというが、その内容は概略どのようなものでしたか。
#80
○説明員(中島二郎君) 私がただいま申し上げました外務省との協議をした席に手島一等書記官がおったというような話でございますが、私の申し上げたのは、別に外務省と警察庁とでその点についての協議をしたということでございます。別に、韓国から、ただいまお話のありました手島一等書記官が二十五日の夜こちらに参りまして、二十六日の朝韓国に帰ったわけでございますが、連絡のため帰ってまいったという事実がございます。その席で、韓国側の捜査状況につきましては、いままでの韓国側からの捜査状況についての連絡の状況、これはけさほど申し上げたとおりでございますが、そういった状況、それから、韓国側としては特別捜査本部を設けて、検事二、三十名、警察官百名ぐらいを動員して捜査を行なっておるというようなことなどについて話があったわけでございます。
#81
○戸叶武君 その打ち合わせのとき、それを経てから韓国への五項目の質問が政府のほうから出されたものだと思いますが、その五項目の具体的内容はどのようなものですか。
#82
○説明員(中江要介君) 現地の後宮大使が韓国政府に申し入れました問題点が五項目というふうに伝えられておりますけれども、この申し入れの主体は、一般的な韓国政府の日本捜査当局への協力姿勢についての申し入れでございまして、これは事件が発生いたしましてから再三再四にわたって申し入れておりますわがほう捜査への協力要請に対する韓国側の反応といいますか、いままでの協力ぶりが、必ずしもわがほうの捜査を進捗させるのに十分貢献していない面があるというふうに見られる点もありますので、この際、あらためて一般的にわがほう捜査に対する協力を強く重ねて要請した、こういうことでございますが、ただ、一般的な姿勢を強く要請するだけでも――具体的にどういうふうな点が特に問題になり得るかというようなことで、例示的に若干の項目を掲げることによって問題を具体化させたほうがよかろうという配慮から、五つの点を例示的にあわせて申し入れた、こういうことになっておるわけでございます。
 その五つの点は、第一点は、いままで断片的にいただいております韓国側の捜査状況を、ひとつこの際まとめて、全般的にどうなっておるのかという捜査状況をまとめたもの。第二点は、先般民社党の春日委員長に対して語られたと伝えられております、いわゆる中間報告というものをもし韓国政府が考えているのであれば、これは一体いつごろ発表できる見通しであるかという点。第三番目に、本件に非常に関連を持っておられます金大中、梁一東、金敬仁の三人の方の供述内容が必ずしも一致していないというような情報があったりするものですから、それではこの三人の韓国捜査当局に対して述べられた内容がどういうものであったのかという点。第四は、中間的に韓国側から連絡を受けておりました、当時、韓国に入港した船舶について関係のあると思われる港について調査をしているということでありますので、その韓国に入港した船舶についての調査を行なわれた、その結果を知らせてもらいたい、これが第四点で、第五点は、一般に韓国の現在行なっております捜査は、今後どういう見通しを持ってやっておられるのかという点。この五つの点を例示的に示して、そして韓国のわがほう捜査に対する協力姿勢をさらに強めてもらいたいという要請を重ねて行なった、こういうことでございます。
#83
○戸叶武君 きょうの毎日新聞等で詳細に列挙されているのと大体同じようですが、韓国側の非協力な点というものは、これは一般が認めているところでありますが、そこにはいろんな政治的な動きがあるものとわれわれは推測するのですが、いま具体的に問題になっている、疑惑に包まれている――衆議院段階で写真並びに名前まで出されたり、また自動車のナンバーなんかも明らかにされていて、それに対してきわめて早い機会に調べてお答えをするということですが、具体的なお答えがいまだに明確になってないので、たとえばそういう疑惑を持たれている人間に対しても、その人がそうでないと言うんだからそうなんだろうというような一方通路の返事であって、やはりそれは外交特権を持っているので、外交官の場合には調べが困難なのかもしれませんが、その辺の関係は非常に不明朗な形で一般の疑惑を増大しておると思うんです。その関係、先ほど江崎さんからも少しばかり承ったんですが、そこのところは非常に私は大きなポイントだと思いますが、その点を、警察当局及び外務省の両方から見解を承りたいと思います。
#84
○説明員(中島二郎君) ただいまの写真並びに自動車ナンバーの点でございますが、写真の人物につきましては、在日韓国大使館の李泰薫という一等書記官と同一人物であるということを、私ども警察といたしましても、本人が個人として事情を説明したいということで警視庁に参った際に確認をいたしております。本人の事情聴取によれば、今回の事件に全く関係がないということを本人は申しておりますが、二十六日、「さかいや」の店員でリュックを買いにきた男と面接した少年にこの写真を示して尋ねたところ、似ていないという答えをいたしております。
 自動車の点につきましては、私どものほうから外務省に照会いたしましたところ、問題の四八五二の外交ナンバーの車両は、確かに在日韓国大使館の公用車とし二九七一年五月七日に登録されておりますが、その車を李泰薫氏が常用しているかどうかについては、本人は否定をいたしております。また、梁一東氏の帰国の際、その車で羽田に行ったかどうかについても、本人は否定をいたしております。四八五二というナンバーの車は、確かに事件当日、十二時十二分から十三時四十三分まで、ホテルの地下の駐車場に出入しているものがあるわけでございますが、これは外交ナンバーではなくて、白ナンバーの車で、さる金属会社の所用でホテルに来ておりまして、本件とは無関係のものであるということが判明いたしております。
#85
○説明員(中江要介君) 外務省からもという御質問でしたので、私から、李泰薫一等書記官の問題についての具体的な内容はいま御説明のあったとおりでございますけれども、外交特権との関連について、外務省はどういうふうにこれを見ているかということを補足させていただきたいと思います。
 これは御承知のように、外交官というのは、一般国際法に基づきまして、身体の不可侵、裁判権の免除という特権を持っております。したがいまして、外交官は、自国の、本国政府の承認を受けることなく、任国の裁判権に服したりあるいは証人として証言を行なうという義務は持っていないわけでございます。本件の場合、したがって、李泰薫一等書記官は日本に在勤しております韓国の外交官でございますので、証言を行なう義務もございませんし、刑事裁判権に服する義務ももちろんございません。したがって、この間の写真を示されて云々という件につきましても、これはあくまでも外交特権を主張し続けるならば、何ら捜査当局に自分の立場を説明する必要もなければ、あるいはかりに何らかの捜査が進行いたしましても、身体の不可侵がございますので、逮捕勾留されることはないわけでございます。しかし、そう申しましても、外交官がそれでは自分でその特権を本国政府の許可を得て放棄して、みずからその捜査に協力するために出向いて自分の事情を説明する、今度のような場合は、これは何ら妨げないのみならず、本件のような場合には非常に合理的な態度をとった、こういうふうに見ざるを得ないと思いますし、またこのことによって、外交官の本来持っております不可侵権なり裁判権からの免除というものがそこなわれているものではない、これは自発的に、ただいま御説明がありましたように、みずから進んで捜査当局に出てきて説明したと、こういうことでございますので、わが捜査当局の諸活動に協力していただいているという意味で、私どもは評価すべきではないかと、こういうふうに思っております。
#86
○戸叶武君 そこいらが弁解としては巧妙だが、一番疑惑を招いているので、他国のことに対してのいろいろなことは限界があるにしても、戦後におけるアメリカのCIEの目に余る日本の国内における占領軍を背景としたいろいろなできごとをでっち上げた状態、それを想起すると、この韓国のKCIAの動きというのにも、非常に警戒に値するりつ然とすべきようなものが幾つかあると思うのであります。その中に、この人物が、外務省では、元KCIAの幹部であった者がいま外交官としての一等書記官で来ても、それは何ら他国のことだから差しつかえないかもしれないが、そういうような経歴に対する調べというものは行き届いているのかどうか、それを承りたい。
#87
○説明員(中江要介君) まず第一点といたしまして、李泰薫一等書記官がもと韓国中央情報部に属していたかどうかについて、私どもはつまびらかにしておりません。それから、一般的に韓国の外交官の人事のシステムといたしましては、これは日本でも同じでございますけれども、外務省以外の、韓国で言いますと外務部以外の諸官庁から派遣されても、一たん外交官として赴任する以上は、これはほかの外交官と何ら区別されることなく、一般国際法によって認められている外交官としての身分を享受するとともに、その仕事の内容は、一般外交官として認められているもの以上に出てはならない、こういうことでございますので、外務省として見ております各国の在日外交官の行動につきましての関心事は、その当該外交官が、外交官として認められていること以上の、あるいはそれ以外のことをしているのであればこれは問題であるし、また、かりに外交官の仕事をしている範囲内でも、わが国の法を犯すようなことがあればこれは問題である。そういうときには、各個々人について捜査当局の御協力をお願いして調べるわけでございますけれども、そうでない以上は、数多い外交官の一人一人の素行調査なり経歴なりというものを調べることはいたしておりません。ただ、一つの例外は、各国の大使は、それは赴任前に接受国――日本の場合ですと日本政府のアグレマンという同意を事前に求めなければなりませんので、その意味で、大使につきましては、その大使の経歴その他は詳細に通報するのが一般の儀礼上の慣習になっていると、こういうことでございます。
#88
○戸叶武君 おざなりな答弁でけっこうだと思いますが、しかし、アメリカなりソ連なり、その他大国における外交当局でもって、その国と密接な関係のある国の外交官の経歴なり人となりを、このようなうかつな形で外務当局は何ら調べてないというような国は、日本以外にはほとんどないと、珍しい国だと私は思っています。特に、この人物から痛めつけられている韓国人というものはずいぶんあります。海外にのがれている人もあります。有名な人物です。そういう、事実上において一等書記官といって――日本でも戦争中においては特高警察を指揮するために内務省から総領事館なり大使館なりに出向いていた人があるし、いまでも警察庁から韓国に一等書紀官の人も行っていますが、それはいろんな形が全部悪いというわけではありませんけれども、あの戦時中のような特殊な空気の中と違って、いまのようなときに――韓国は非常時かもしれませんが、こういうようなことが外交特権を看板にして、そうして縦横な日本の国内における活躍を許すというようなことになると、私はこの問題の進行状況によって問題は明らかにされると思いますが、これはたいへんなことだと思います。いまの御答弁は、御答弁としてつづり方教室の見本のようなものですが、日本の魂のない外交の何か一面を示しているような感じが私はしてならないのです。知り合いにわれわれのところへ電話でいろいろ通告をしてくる者がありますし、知り合いもありますが、みんなおそれています。いつ消されるかもわからない、いつ拉致されるかもわからない。それが韓国におけるできごとならば別であるが、日本においていまのようなこのような事件が起きたことはなかった。これに類似したような事件があるとするならば、警察当局はいままでの事例をあげてもらいたいと思います。日本の治安当局の威信を失うこと大なるものがあるし、日本の主権というものを侵されたという事実に対しての一つの受けとめ方が政府には不足していると思うんですが、この問題と関連して、たとえば西ドイツのとった態度でも何でも、事例は幾つかあります。アルゼンチンにおいてすら、あのような国家でもき然とした態度をとっているんです。日本の国家でそういう態度がとれないのは何かおかしいことがあるんじゃないかという、民間では一般に流布されているこの疑惑というものは、政府に対する不信感において、私はぬぐい去ることのできないものを印象づけているんじゃないか。その問題に対してもう少し――彼のみに特定に名ざすことはできないけれども、アメリカの有力なワシントンポストであろうが何であろうが、大体、アメリカにおける目に余るKCIAの行き過ぎた行動というものを日ごろから痛憤しているだけに、新聞あげてこの韓国の暗黒政治、これに対して人道主義的な立場から大きな抵抗力を示し、アメリカの国務省当局に対しても世論が圧力をかけています。日本においても、今後新聞だけでなく、私は、この問題の世論の圧力というものは非常に強くかかってくると思うんです。その火の粉を一番に受けるのは、日本の外務省はどこか腰が抜けているんじゃないか、日本の治安当局はどこか間が抜けているんじゃないかというようなことが私は出てくると思うんです。
 一つ、私は公安委員長にお尋ねしますが、一般がやはり大きな疑惑を持っているのは、日本を脱出するのに何というみごとな、推理小説以上のみごとさであろう。また韓国へ上陸するに何という水ぎわ立ったみごとさで、しかもソウルの自宅にまで目隠しで送り届けて、だれも気がつかない、だれもつかまえられない。日本も韓国の治安当局とも何らかの渡り合いがついているんじゃないか。そうでなければ、このようなできごとは、いまだかつて世界でも類例のないような、日本と韓国の秘密警察の合作でもあるであろうかといわれるような一般は疑惑を持っています。これをぬぐい去ることは非常にたいへんだと思いますが、その間の抜けている点はどこであったかを、公安委員長から二、三示してもらいたい、こういうところがうかつだったという点を。
#89
○国務大臣(江崎真澄君) 結果論から言いますると、至らなかった点というものが全然ないわけではないと思います。しかし、私、午前中和田さんにお答えしましたように、宇都宮君から警察に情報がもたらされたその時点でも、もうすでに事件発生から四十分ないし一時間近くもズレがあります。それからまた、二〇番に連絡があったのも二時四十五分というのでございますから、これは相当なおくれであります。この種の捜査というものは、私ども報告を受けるわけですが、やはり初動捜査というものが非常に重要に作用する。その点において、一時間以上もおくれてから連絡があり、手配がなされたという点において、これは物理的な意味も多分にありまするが、そうかといって、もう少し何か早く手配ができなかったものか、いかにも残念にこの点は思っておるわけであります。しかも、いまおっしゃるように、日本の警戒の目をかすめて、だれに誰何されることもなく海外へ持ち運ばれる。しかも、戒厳令下の韓国にゆうゆうと上陸をしておるなどなど考えますると、日本のこの優秀であるといままで言われておる警察の目をかすめて白昼堂々とこういう事件が起こったこと、これはもう何といっても残念にたえません。もとより、日本警察が韓国のこういう――もし、かりにそれが韓国機関であるといたしましても、そういうものと関係があるはずがない、これは。あるはずがございません。全くこの犯行は自由社会に対する挑戦でもありまするし、警察に対するないがしろの行為であると言っても決して言い過ぎではないと思います。これは、先ほど午前中、中島参事官が申しておりましたように、多少ふなれの面はあった、これも結果論としては反省しなければならぬ点だと思います。こういう国際的な新しいケースの事件、これはまあ前代未聞ですから、手配をするまでにいろいろ手違いなどもなかったとは言い切れぬものがあると思います。そこで、今後こういう事犯が二度と起こらないように、警察側としては、特殊国際事件対策委員会、これは警察庁の次長を長といたしまして組織して今後に備えておるわけであります。あえて御指摘がございましたので、反省を交えて申し上げた次第でございます。
#90
○戸叶武君 捜査の第一歩、一番最初のきっかけが手おくれするとたいへんなことになるという御認識は正しいと思うんです。事件はやはり、いつ、どこで、だれが、何を、この問題をすぱっとやはり明確に私は握って立ち上がらなければならない。確かに一時間なり二時間の手おくれがあった。あったけれども、手おくれなら手おくれしても、その手おくれを取り返すだけの配置をやるのが警察の応急処置であって、時間的なズレがあったから間に合わなかったでは、子供が学校へ遅刻したのと違うから、それは弁解には私はならないと思うんです。
 私のやはり経験をもってしても、私は新聞記者としては必ずしも適格者ではありませんでしたが、昭和七年の二月九日に、井上準之助が本郷の駒本小学校で射殺されたときに、朝日新聞のデスクにいての第一報は、井上準之助にピストルを撃った者があるという知らせで、デスクの秋山安三郎君という軟派の記者の受けとめ方は、ピストルを撃ったというだけじゃニュースにならぬと言って、それを電話を捨てたのですが、そのときに私は、だれがそのニュースを入れたのであるか、いや、新聞配達の青年が政談演説を聞きに行ったら、だれかピストルを井上準之助に撃ったのを見たというだけだが、それだけじゃニュースにならぬと思っているって言うから、それはいけない、なれた新聞記者ならば、通報員でも、何発撃たれたとか、倒れたとか、どうしたとかというようにするけど、その現象形態を見てわあっと撃たれたというだけのニュースだから、そういうときには、電話での問答じゃなくて、直ちに現場を踏まなければならない。現場を踏んだ。現場を踏んだところが、もう片方は東大の病院だから、東大の病院。片方は犯人は駒込署だと。で、駒込署に行く。行くと、途中の雑踏している民衆の中で、何か檄文みたいなものがまかれている。その檄文は何かと、やっとデカをつかまえてみると、それはいわゆる血盟団の、財閥なり日本の政界の要路のやつをみんな殺すという檄文。これは単独犯行でない、一つの単純なテロリストの行動じゃない、何かこれは連鎖反応が必ず起きると思ったら、それ以後において、團琢磨の事件、あるいは軍に波及して、五・一五事件で犬養さんが総理大臣官邸で殺されたというような、ファッシズムの台頭期におけるテロの挑戦でした。
 私はことしから今後三年間というものは、断言してもいいですが、非常な危険な状態がかもし出されている。これはいままで前代未聞の事件であるという形において受けとめているが、前代未聞の事件がこれから続々と起きる危険性がある。こんな手ぬるいところの治安体制のもとにおいて、日本が絶好の踊り場だというので、これはイスラエルやアラブあたりでまごまごしていることはない日本が絶好の踊り場だということにおいて、ここへ殺到する危険も私はあると思うんです。いろいろな国際的な関心を引く点においても、こういう事件というものは連鎖反応を起こす点においても、私は警戒に値すべきものだと思いますが、問題は、今後こんなような手ぬるい、そうして敏速を欠く、それから回転のにぶさ、こういう点において、一時間おくれたら一時間をどうやって取り返すか、二時間おくれたらどうやって取り返すか。それは新幹線に対して、あるいは港に対して、どういう配置を行なうか、これは捜査の私は第一歩だと思うんですが、この全部が、かご抜けするやつが名人じゃなく、抜かれるようにちゃんとできている日本の治安当局の捜査体制っていうものに非常な私は欠陥があるんじゃないか。問題は、起きたときからでは、火事が済んでから半鐘を鳴らすのも興味のある一つのあれですが、間に合わない。いまからでも、私は今後においてこういう不祥事件が起きたときに、それに対してどう対処するかというかまえがつくられなけりゃならないと思いますが、どんなふうに公安委員長はお考えですか。それに対して具体的な心がまえはどんなふうに持っておりますか。
#91
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点はきわめて重要だと思います。警察側としては、初動捜査におくれをとったわけでありまするが、あとは気合いを一にしまして、現在、全面的に厳重な捜査を続けておるというのが実情です、これは。したがいまして、まあ二度とこういうことを繰り返しませんように、部内に向かっても私、厳重に言うておることであります。もとよりこんなことが二度あってはなりませんので、いま申し上げましたような機関がただ有名無実にならないように、たとえばハイジャックとか、そういったものを含めまして、国際的な特殊な事件というものを十分踏まえて、あらゆる場面を想定しながら、機宣の措置をとる、十分注意をいたしたいと考えております。
#92
○戸叶武君 それから外務省のほうへお尋ねしますが、韓国で起きた事件ですが、報道の自由ということは、人権の自由とともに言論の自由擁護の立場から重要なことでありますが、読売新聞に加えた韓国の処置というものは、少なくとも自由主義国家においては断じて許すことのできないようなやり口であって、アメリカもびっくりしていると思うんです。アメリカにおいて、あれほど大統領がいろいろな問題でつるし上げられていながらも、ワシントン・ポストなり、ニューヨーク・タイムズが堂々の論陣を張っていけるのは、言論の自由が確保されているからであります。韓国は日本やアメリカとは別だというけれども、こういう状態の暗黒政治が行なわれている国に対して、アメリカなり日本なりが経済協力なり何なりをやるのにも、国民感情として許しがたいものをいま国民全体が感じていると思うのであります。しかも、この問題を通じての捜査の協力に対して、日本の警察当局は、あるいは外務当局は、非常に謙虚な態度で申し入れを行なっても、それを一つも受け入れないというこの非礼な態度、こういうことというものは、普通の場合なら、よその国ならば、私は当然国交断絶にまで入っていくような警告が必要なところへ来つつあるんじゃないかと思うんです。それを、このくらいのことはなに、朝めし前のことで、あたりまえで、韓国では珍しいことじゃないという感覚で韓国側は受けとめているならば、大体日本の政府をなめた考えである。国民は、何か政府に痛いところがあるんで韓国側に対してはきびしい姿勢がとれないのじゃないか。どうも外務大臣の国会答弁なんかを聞いても、何を言っているのか。とにかく大平さん、目があいているのかあかないのか、漫画以上の喜劇的な答弁を重大の段階にやっているといって、評判が非常に悪いんです。これはやはり私は政治の姿勢というものがくずれてしまうと、日本が独立国家だ何だといっても、ほかの国にばかにされて相手にされなくなると思いますが、そういう点で、韓国との協力ということがいろいろなされていますけれども、具体的協力がほとんど見るべきものがないのが事実であります。公安委員長は、自由社会に対する挑戦だと、警察をないがしろにしているとたいへんおこっておりますが、おこりっぱなしで実のないおこり方ではこれは何にもならないと思いますが、その怒りというものに対してどういう反応が具体的に示されているか、一つでもその事実があったならばお示しを願いたいと思います。
#93
○説明員(中江要介君) 事務当局といたしましては、韓国の現状が暗黒であるかどうかというようなことについて意見を申し述べる立場には全くございません。むしろ、日本と韓国とは戦争前からいろいろの過去がございまして、その苦難を通り抜けてやっと国交正常化いたしましてまだ十年になるかならないかというところで、大事な隣国としておつき合いをしてきたし、将来も長くこの隣国との関係というものは続くべきものだと、こういう認識でございます。しかし、それだからこそむしろ是々非々をはっきりして、折り目の正しい関係を続けるべきであるという気がまえでやっておるわけでございますけれども、本件に関して言いますならば、現在までのところ、残念ながら真相が究明されておりませんので、この段階で、予測、予断をもってどういう措置をとる、どうするのが適当だという将来の外交的な措置その他を申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういう認識のもとで、目下のところはまず真相の究明に努力すべきである。この意味で、韓国側に日本の捜査に対する協力を強く要請して、それがいま先生御指摘のように、日本国民全体が全く満足するような形にまで、まだその報告その他を受ける段階に至っていないので、昨日また重ねて強く先方に申し入れている、こういうことで、外務省といたしましては、そういう過去また未来に長く続く日韓関係から見て、是々非々をはっきりして折り目を正していくという考え方から、目下の目標を、わが国の捜査活動に対する韓国の協力、さらによりよき協力を要請するという点に置いているわけで、決してこんなことはざらであるとか、ないがしろにして適当にやっているということでは絶対にございませんので、私どもも、国民のその疑惑を解くための一番最初になさるべきことが真相の究明であるという認識のもとにやっておる次第でございます。
#94
○戸叶武君 こういうような事件はまことにまれですが、日本において、かっていまから七十八年ほど前に、朝鮮独立の盟主で日本の明治維新を学んで朝鮮の改革をやろうとした金玉均が、政敵の謀略によって上海におびき出されて暗殺された事件があります。あのときにも、国民世論あげて、この金玉均を救うために、また金玉均の暗殺に対して怒りを爆発したのでありますが、それだけに、この金大中の問題というものは、殺されているのじゃないかという心配もありましたけれども、あの脱出する過程において、彼の宇都宮君に対する電話から見ても、船の上に飛行機があらわれた、その飛行機と船との連絡かどうか知らないが、足に鎖とおもりをつけられて海に投げ込まれるような態勢にあったのが、海に投げ速まれないで、殺されないで済んだ。あの飛行機は一体韓国の飛行機か、アメリカの飛行機か、日本の飛行機か。これはもう日本の航空体制というものは、哨戒においては非常に整備しているというのは平生聞いているけれども、大切なときには間が抜けているようだが、その船の出入りよりも、あのときの飛行機は何らかの私は電波を送ったものではないかという感じがしてならないのですが、その飛行機については調べが行き届いているかどうか、承りたい。
#95
○説明員(中島二郎君) 金大中氏の発言の中に、飛行機の爆音らしいものも聞こえたということがあるようでございますが、私どものいままでの調べでは、この点について、実際に飛行機であったのかどうか、どこの飛行機であるかという調べはついておりません。
#96
○戸叶武君 公安委員長の先ほどのお話だと、捜査の第一歩が大切だというが、第一歩も第二歩も第三歩も大切であって、いま韓国側が捜査の協力を拒否している段階においては、日本では捜査が全然進まないのか、それとも、独自な形において捜査が進められているのか、そういうような関係がきわめてあいまいもこでありますが、何かすべての捜査のヘゲモニーというものを韓国側に握られてしまった。しかも、日本で起きた事件というものに対して連絡が十分なされていない。全くこの日本の主権無視もはなはだしい態度でありますが、こういうことについて、いわゆる与党のタカ派というものが、主権無視などということで、台湾擁護なんかでは必ずひどい激論を用いた連中が、このことに対して不注意な発言をしてはいけないなんという圧力を、田中法務大臣や何かにもかけているようですけれども、ほんとうに政府、国会をあげて、この国の威信を守る主権の所在というものは何ぞやということを、深くわれわれは考えなければ、どこかの勢力の第五列的な言動としか思われない言動がなされておっては、私は日本の前途を非常に心配するものでありますが、そういう点で、この見通しは、公安委員長、どういう見通しを持っていますか。独自な捜査はどの程度進んでいるか。それから、向こうでもって非協力な態勢にあるのを、それをどうやって打開するか、その見通しをひとつ承りたい。
#97
○国務大臣(江崎真澄君) 私どもは友好関係は友好関係、きわめて不遇な事件、これに対する厳粛な捜査は捜査、厳重な捜査は捜査というふうにさい然と区別をして臨んでいるつもりであります。したがって、こういう事件は、御想像がつきまするように、被害者である金大中氏の供述というものがやはり何といってももとになる。これは捜査当局からしきりに言われますが、私もそのように受けとめます。そうかといって、身柄がないですから、じんぜん手をこまねいて日をかしているというような情けないことではございません。したがって、金さんを運んだという自動車、これはナンバー等の割り出しに鋭意努力しております。いままでのところ確たる証拠はつかめませんが、船の捜査、これなども片っ端からつぶしております。畑中金次郎の正体、この捜査、それからだんだん休暇をとっておって戻ってきたがなんというような――これものんきな話ですが、自動車置き場の、何といいますか、あれは監視人というのか、自動車置き場の整理係といいますか、これも戻ってまいりまして、直ちにいろいろな証言を出しております。したがって、そういった人たち、目撃者を中心とする捜査、遺留品もあるわけですから、遺留品の捜査、いろいろな情報があります。特に、いま衆議院でいろいろな議論がありましたが、新聞といわず週刊誌といわず、いろいろな角度から自由に批判されております。したがって、そういう声等にも第一線の諸君は耳を傾け、捜査をしておるというのが実情でありまするが、まだいまここで、どこでだれがどういう形でどういうふうに事件を展開したかということを、確信を持って申し上げる段階には至っていない。いま申し上げましたような件につきまして、相当な深さで捜査が展開されておることは事実でございます。
#98
○戸叶武君 あのホテルの主人公は韓国人だという説もありますが、どなたですか。
#99
○説明員(中島二郎君) 事件の行なわれた場所ということで、捜査の基本資料ということで、あのホテルの資本金とか株主とか経営者とかいうものについて調べておりますが、特にお話のような点はただいまのところ出ておりません。
#100
○戸叶武君 この種の事件が起きると、これはやはり大きく広がっていくのです。事件というものは、どんな小さな事件でも、動くと、移るとニュース価値は大きくなるんです。説教強盗なんというのはたいした強盗でなくても、やたらに方々動いてつかまらないから問題は大きくなっていくので、日本からソウルまで動けば、これはやはり国際的な事件として大きく事件は拡大し、それからアメリカにもこれは反響して、おそらくはあの金大中さんが言ったように、私の命は日本の世論によって救われたと言っておるように、やはり日本全体の世論がこれに関心を持ち、またアメリカの世論がこれをかり立てるので、アメリカの国務省も動かざるを得なくなって、大使級の人がやはり飛び歩かなければならないような状況を示しています。日本もおそらくはこれは政府だけにたよれないとなれば、私は、国民あげての国民運動となり、国会は国会、新聞は新聞として、やはり金大中を救え、暗黒政治の中にはんろうされている不遇な人物を救えというヒューマニズムの発露によって、やはり彼が政治犯としてあるいは処刑されるというようなことのないように、世界あげての救出運動がこれは組み立てられると思うんです。韓国政府なり日本政府が考えているような、なまやさしい形で人間の命、特に政治家の命が粗末にされるような国際環境ではないと思うんです。そういう意味において、いまのような私は政府の姿勢である限りにおいては、これは田中内閣の致命的な打撃を受けるような結果が導かれないとも限らないので、どうぞ、公安委員長は誠意を示す方のようですから、あなたの責任というよりは、日本の政府の責任ある人々の言動が、何だかわけのわからない、たよりがいのないやつらに国をまかしておくことはできぬぞという、国民世論の激発を誘発させないように、心してとにかく祖国の運命を私は守ってもらいたい。これは金大中の命も大切ですが、日本人の魂がこんなに汚辱されているということは、民族の怒りとして耐えがたいものでありますから、もう少しふんどしのゆるんだのを締め直して、そうしてこの日本の治安体制というものを確立していただきたいことを希望して、私はあらためてこの問題に対しては、いろいろな資料を持っておりますけれども、おいおいに政府が、とにかく足がのろいのだから、あまりひっぱたくとぶつ倒れちゃ困る、やはり徐々に政府に協力を、前進に協力を誓って、私の質問をこれで打ち切ります。
#101
○国務大臣(江崎真澄君) 御注意を含めての御意見は十分承りました。もとより、きわめてこれは重要な問題でありまするから、これが主権侵害であるかどうかという、この一つの重要な問題を追及していくにしましても、問題自身を解明することが何よりも先決だと思います。厳重に粘り強く捜査を展開してまいります。そうしていい結果を得られるように努力したいと思います。
#102
○理事(寺本広作君) 本件に関する調査はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
#103
○理事(寺本広作君) 次に、地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度以後における地方公務員等共済組合法の年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案を一括議題といたします。
 両案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#104
○和田静夫君 まず大蔵省にお伺いをいたしますが、去る七月六日の衆議院地方行政委員会において、わが党の小川省吾委員の、いわゆる五万円年金が実現をして、そうして公務員共済年金の水準は厚生年金の水準を若干下回ることになったのではないかという質問に答えて、辻主計局次長は次のように答えています。御承知のように、厚生年金と共済年金、いろいろ制度的な差異があるわけでございますが、基礎となります給与のとり方につきまして、共済年金のほうは退職前三年の給与を基準としており、厚生年金のほうは、被保険者期間の全体の平均標準報酬をとることをたてまえにしているというようなこともございますし、年金を受けます年齢が、厚生年金のほうは六十歳でございますが、共済年金のほうは五十五歳というふうな差もございます。そういう差を全部総合いたしまして、給付水準を計算をいたしてみますと、今回の厚生年金の改正額におきましても、共済を一〇〇といたしますと、厚生年金の水準は七割弱というような計算になってまいるわけでございまして、共済年金の水準のほうがまだ上回っておるということが言えるかと思うのでございます。で、まずこの答弁を取り消されることが必要じゃ。ないかと思いますが、そのつもりはありませんか。
#105
○説明員(鈴木吉之君) 厚生年金等の水準と、共済年金等の水準との比較の問題についてのお尋ねでございますが、今回、厚生年金が大幅な改正を予定いたしておりまして、標準的な年金額を五万円に引き上げるということで別途御審議をいただいておるわけでございますが、共済年金のほうは、それに比較いたしますと、金額にして大体六万四千円程度になっておるというのが現状でございますので、その辺の金額の違いもございます。また、ただいま先生からお話がありましたとおり、制度の点につきましては、御承知のように、支給開始年齢が、厚生年金の場合には六十歳でありますし、また共済年金の場合には五十五歳であるという違いがございます。つまり、一生のうちに受けられる年金の総額において違いがあるということになるわけでございます。このような違いを全体としてみますと、ただいまお話にございましたような、六割ないし七割程度の水準の違いになるということでございます。
#106
○和田静夫君 これは、ちょっと悪いですけれども、御本人呼んでください。ちょっと代理者の答弁ではだめだ。その部分は、いま見えてからにします。
 時間がないですから、そこで自治省は、大蔵省の厚生年金の水準というのは、依然としてなお共済年金の水準の七割弱である、こういう見解を言っているんですがね、これはどういうふうに判断されますか。
#107
○政府委員(植弘親民君) 大蔵省のほうからは、いま御答弁ございましたが、大蔵省の試算によりますと、全体の平均で見ますとそういう数字も出るかと思いますが、地方共済の場合は、具体の問題について調査検討いたしておりまして、その比較を行ないますと、ある程度逆転するものもございますので、これは検討しなければならぬ問題があるだろうというふうに認識いたしております。
#108
○和田静夫君 ということは、具体的には大蔵省の言っていることは違っている、こうなりますよね。
#109
○政府委員(植弘親民君) 違っているとまでは明書いたしかねますが、大蔵省のほうで、全体的な立場での計算をされている場合には、いま御説明のようなことも出てくるであろうと思いますが、私どものほうは、個別的にいろいろな要素を勘案いたしまして検討いたしますと、低いものも出てまいりますということを申し上げているわけであります。
#110
○和田静夫君 自治省は、すでに昭和四十八年の一月二十二日の地方公務員共済組合審議会、これに、在職二十年、月給九万円以下で退職した人の共済年金水準は厚年を下回る、こういう数字を出しているんですね。大蔵省はこれは御存じですよね。
#111
○説明員(鈴木吉之君) 自治省のほうで、具体的に事例をあげられた点については承知いたしております。ただ、これにつきましては、ただいまも私御説明申し上げましたが、支給開始年齢というような制度の違いの問題を考慮して考えなければいけない問題があるという点についても申し上げておるわけでございまして、その辺のところは、総合的に勘案して比較検討すべき問題であるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
#112
○和田静夫君 それで、前段の――後段の部分はあとからやりますがね――この数字というのは、いま大蔵省にも届いている、自治省が在職二十年の場合として共済年金と厚生年金との比較を地方公務員共済組合審議会に出した、これというのは、明確に、大蔵省見解を否定するものだということに理解ができます。そこで、各省間の見解の相違というのは、それはままあることを否定はしませんが、こういうような、年金水準がどっちが上かといったようなものは、言ってみれば、モデルの設定なりあるいは計算の方法がどっちが合理的かといった問題で、こうした違いをいつまでも残しておくというのは、これは事務レベルの、大げさに言えばモラルとしてもおかしい、こう思うんです。大臣いかがですか。
#113
○政府委員(植弘親民君) いま先生の御指摘のように、各省間によって計算が違うというのは問題であろうと思いますが、制度的に見ます場合には、いろいろな要素のとり方もございます。しかしながら、現実に地方共済の場合になりますと、事例としてお示ししましたように、逆転される、低くなるケースも考えられますので、これは大蔵省とも、その他の関係機関とも十分相談しながら改善をはかりたい、このように考えておるところでございます。
#114
○国務大臣(江崎真澄君) これは衆議院でも申し上げてまいりましたが、各関係省庁が十分協議をしまして、御指摘のような点については、通常国会までに具体的に結論を得たい、こういう態度でいま作業しております。
#115
○和田静夫君 ちょっと大蔵省が見えるまでに、具体的な問題で二、二、先に尋ねますが、一つは、年金、恩給の改定について積み残し分が一四・七%あるというふうに言われています。この積み残し分は、公務員給与との格差の問題であって、すみやかに解消すべきであるというふうに考えますが、自治省はこれにどういうふうに対処されますか。
#116
○政府委員(植弘親民君) 公務員の共済年金制度は、もう和田先生よく御承知のように、厚生年金その他と同じように、社会保険制度の一環であることは当然でございますが、公務員の身分なり勤務の特性という点から考えまして、恩給制度と非常によく似た系列にも入っているわけでございます。したがいまして、いまの問題も、年金額の改定という問題になってまいりますと、恩給の動向によって措置するというのが従来からの例になっています。本年度におきましても二三・四%のアップをさせていただきました点も、実は恩給にならったわけでございます。
 いま御指摘の点は、恩給局におきましても若干の問題意識を持っているようでございまして、現在検討中でございますが、私どものほうも、その点はやはりそういった落ち込みの部分は解消すべきであろうという立場から、恩給局なり大蔵省なり、関係方面と折衝中でございます。
#117
○和田静夫君 これは総務長官も考えていると言っているし、約束していることですから、したがって、恩給がやれば年金もやる、いまの答弁、一言で言えばそういうことですね。
#118
○政府委員(植弘親民君) 恩給に準じて扱うように努力いたします。
#119
○和田静夫君 二つ目は、公務員の給与政定が四月一日実施となった。年金、恩給の改定期日は現行の十月一日ですね。これを自治省、当然四月一日に改めるべきだと思うのですが、いかがですか。
#120
○政府委員(植弘親民君) この点も、実は先ほどの御答弁によく似ておるんでありますが、恩給の改定という問題とからんでまいっておりますので、恩給が、いまやはりいろいろな問題がございまして、十月から改定ということにいたしてございます。その点、共済年金も恩給に準じまして現在やっているわけでありますが、これも将来の検討課題であろうというふうに認織いたしております。
#121
○和田静夫君 将来の検討課題はよくわかっているんですが、将来性はどうですか。
#122
○政府委員(植弘親民君) つきましては、やはり恩給のほうが先行いたしている問題でございますので、十分、恩給局はじめ関係当局と詰めてまいりたいと思います。
#123
○和田静夫君 遺族年金、それから恩給の現行率ですね、本人の二分の一、これは非常に低い。そこで、遺族の生活の窮乏の実情に考えても、支給率を引き上げるべきだと考えるが、いかがですか。
#124
○政府委員(植弘親民君) その点につきましては、他の関連する社会保険、そういったものともみな同じ扱いになっておりますので、いまこれを積極的に取り上げるということはちょっと困難じゃないだろうかと考えております。
#125
○和田静夫君 これはこういうことになりますか。いわゆる各制度共通の問題であるから、厚年なら厚年が先行して急げと。それをおたくのほうでも厚生省をつつくというふうに理解をしておいてよいですか。
#126
○政府委員(植弘親民君) ちょっと舌足らずでございましたが、理由といたしまして、まず一つには、既裁定の遺族年金、それから既裁定の退職年金の遺族年金に転化した場合の取り扱い、こういったものをどうするかといったような問題。それから二番目には、支給額の引き上げによって増加する費用の負担を一体だれがどういうふうに持つか。第三番目には、先ほど申しましたように、他の関係があるわけでありますが、そういう関係からいいまして、恩給とも関係ございますので、現在、公約年金の関係省庁連絡会議もございますから、そういう機会を通しまして検討を進めてまいりたいと思います。
#127
○和田静夫君 七十歳以上の年金受給者について、退職年度別で一号から四号給引き上げる。こういうことに政令できめることとなったんですが、その算定基礎は自治体の給与条例によると聞いています。ところが、その給与条例の給料表にないワク外昇給、いわゆる頭打ちですね、これについてはどう取り扱われますか。いわゆる給与条例の給料表の最終号俸の昇給間差額によるのか、あるいは別に率を定められますか。
#128
○政府委員(植弘親民君) まだはっきりきめておりませんが、現在のところでは、この法律でも、恩給法の規定を参酌してということで、「政令で定める額」というふうに規定させていただいております。したがいまして、恩給のほうではっきりきまりましたならば、それを参酌して行なうわけでありますけれども、最高号給をこえている場合ですね、いわゆる特号俸といいますか、この場合におきましては、その当該最高号俸とそれから四号下のものとの昇給格差を率であらわしまして、それで措置していきたい、当該のその率を乗じて計算する、こういうことにしたいと思っております。
#129
○和田静夫君 七十歳以上の者及び遺族に支給する共済年金の組合期間に軍人加算を加えることの問題というのは、懸案の問題ですがね。これは、恩給が入れることになれば当然これにならうことになると思うんですが、この辺はどうされますか。
#130
○政府委員(植弘親民君) 恩給法上の戦時加算につきましては、一応、施行法上では組合期間に算入しないことになっています。先生御指摘のとおりでありますが、何か、今回、恩給法では、七十歳以上につきましては算入するということになるようでございますので、これに準じた扱いを明年度でも行なうべきであろうと、こういうふうに考えております。
#131
○和田静夫君 土地開発公社の職員ですがね、これは地方公共団体の職員としての性格がきわめて強いわけです。その年金制度及び公務災害補償制度については、地方公共団体の職員に準じて取り扱うようにする、そういうふうに、地方公共団体関係職員共済組合あるいは災害補償法に基づく同基金に加入する、こういうことが望ましい。すでに住宅供給公社やら道路公社等の職員が、いま言ったような形で共済組合に加入が認められているまた、国会においてもこういう附帯決議をつけた、これまでは。これがまだ実現をしておりませんね。これはいつからやられますか。
#132
○政府委員(植弘親民君) 実は、土地開発公社も、昨年の公有地の拡大法等によりましてだいぶ地方団体がたくさんできてまいっておりますが、まだ十分組織も完了いたしておりません。しかしながら、これが全国的に組織化されますとすれば、この前、国会で御審議いただきましてお認めいただいておりますように、住宅公社なり道路公社と同じような形で団体共済のほうに加入させていただきたいものだと、こういうふうに考えております。明年度には何とかこれを実現するようにお願いしたいと思います。
 しかしながら、もう先生方すでに御承知と存じますが、こういった公社等を団体共済組合へ入れますにつきましては非常に問題がございます。と申しますのは、本来その種の職員は、一般的には厚生年金保険の適用を受ける人でございますので、政府で原案をつくりますといたしますと、社会保障制度審議会の審議を経なければなりませんが、社会保障制度審議会では、そういった、本来厚年に入るべきものが特別な共済に入っていくことについてはあまり好ましくないという態度でございますので、そういう点も十分御理解をいただきながらお願いをしなければならぬだろうと、このように考えております。
#133
○和田静夫君 しかし、とにかく明年度は入れる努力をされるというふうにこれは理解しておいていいんですね。
#134
○政府委員(植弘親民君) そのように努力いたしますし、また御協力をお願いいたしたいと思います。
#135
○和田静夫君 退職組合員に対する医療給付の点なんですが、地方公務員等共済組合法六十一条の規定に基づいて、継続療養の給付のみが制度化されているだけで、疾病全体にかかる給付については現在のところ法定化されていない。これをもっと広げるべきであると考えますが、いかがですか。
#136
○政府委員(植弘親民君) これも先ほどにちょっと似てまいりますが、やはり国民皆保険といいましても、それぞれの国民の職域といいますか、身分といいますか、地位といいますか、こういったものからいいまして、それぞれの区画性みたいのがございます。本来、公務員の身分を離れた人は当然に国民健康保険なり、再就職された場合には健康保険と、こういったかっこうになるわけでございます。また、共済組合の短期給付も、公務員という身分に着目して、そういった本来健康保険に入るべき者が共済の短期というものをやっているわけでございますから、そう簡単にはやはりいかないだろうと思います。それぞれの保険制度のたてまえがございますために、その間においては、やはりそういった相互間の秩序といいますか、そういったものも考えなければならぬ問題であろうと考えております。
#137
○和田静夫君 組合員の医療費負担の軽減をはかるために、医療費にかかる付加給付の拡充を行なうことができるように、現行の、法定給付に要する費用の百分の十五とされているこの付加給付に要する財源の限度額ですね、これを引き上げるべきだと考えますが、これはいかがですか。
#138
○政府委員(植弘親民君) この点につきましては、本年の二月に、私どもの地方公務員共済組合審議会からも、運営の実体に着目されまして、そういった、引き上げるべきではないかという建議も出ておりますので、前向きに取り組みたいと思っております。
#139
○和田静夫君 これは、大体率的にはどういうふうにお考えですか。
#140
○説明員(佐野政一君) この取り扱いでございますが、これの現在の扱いといたしましては、自治大臣が地方公務員共済組合審議会の意見を聞いてその具体的な取り扱いの規定を定めるということになっておりますので、現在、これに基づきまして付加給付基準というものを定めてございます。
 先般、この地方公務員共済組合審議会から、付加給付の基準を改正したらどうかという建議書がなされておるわけでございます。内容といたしましては、付加給付の基準の中の一つといたしまして、付加給付の財源ワクは法定給付の百分の十五の額の範囲内と、こうしてありますが、この百分の十五を百分の二十に引き上げたらどうかという点が一つございました。もう一つは災害給付でございますが、災害給付につきましては、この付加給付の基準で、一律に法定給付の四割相当額というようにきめておるわけでございますが、この四割相当額を六割相当額程度に引き上げたらどうか。それと同時に、現在、災害給付の法定給付につきましては、住居、家財等の被害が三分の一以上あった場合に支給することにいたしまして、その支給額につきましては給料の〇・五月分から一二月分の範囲内になっておりますが、法定給付が直ちに改正できないのであれば、付加給付で、その三分の一未満の被害についても何らかの形で見れるようにしたらどうか、こういうような建議書でございます。現在この建議書の内容を検討いたしておりまして、もし必要とあれば、さらに審議会に諮問いたしましてこの基準を改正いたしたいと、このように考えております。
#141
○和田静夫君 いま言われたような形の、たとえば最初の百分の二十、それから災害付加金の法定給付の額の六割に相当する額への引き上げ、あるいは給料の〇・五カ月に相当する額ですね、これはぜひやるべきだと、こう考えるんですが、それはやられる意向で押されますか。
#142
○政府委員(植弘親民君) 先ほども申し上げましたように、審議会のほうで十分に運営の実態を考えまして、ある程度のアップはそれほど影響ないというたてまえで建議がされております。したがいまして、私どもといたしましては、それが運営上重大な支障がない限りは、できるだけそういった建議の趣旨に基でいて実施する方向で検討したいと思っております。
#143
○和田静夫君 非常にこまかいですが、同様な立場に立って、浸水によって住宅または家財に損害を受けた場合、これはその損害の程度の認定が困難な場合について、地方公務員共済組合法七十三条の運用方針、それの関係に準じて、この外形的標準として、床上三十センチメートルに達しなくても給料の〇・五相当額をつけるべきだというふうに考えますが、これはいかがですか。
#144
○説明員(佐野政一君) ただいま先生御指摘の外形的な標準としての浸水の取り扱いでございますが、この点につきましては、平家建ての住居でございまして、そうしたところにつきましては、浸水した場合に家財等が他へ運ぶことが困難であろう、そうした点で、床上三十センチ以上浸水した場合におきましては、住居、家財の三分の一以上の被害があったものとみなして扱ってよろしい、こういう運用方針を定めておるわけでございます。これは国の共済組合等も同じ扱いをいたしておるわけでございますが、共済組合のほうからいま出ておりますところの要望といたしましては、この三分の一以上を、五分の一以上か、あるいは四分の一以上に引き下げるようにしてもらいたい。それと同時に、いま先生御指摘のような、床上三十センチ以上というこの外形的な標準というものをもう少し下げてもらいたい、この要望が出ておるわけでございます。
 で、私どもといたしましては、これをどのような形にしたらよいのか、まだ具体的な結論は出しかねておるわけでございます。で、各共済組合に、そうした場合においてどのようなものさしを使ったならば各組合が平等な取り扱いができるかということで、共済組合側に反対に意見を聞いておるわけですが、まだ具体的な意見も出されてないわけでございます。そうした点で、いま公務員部長から御答弁申し上げましたように、この付加給付基準の改正の一環といたしまして、これらの点についてもあわせて検討しておるところでございます。
#145
○和田静夫君 大臣、ちょっとここを、もう大蔵省見えると思うから聞いておきたいんですが、私が地方を歩いているときに読んだ新聞記事でありますが、全国都道府県会議長会議に自治大臣御出席になって、交付税率の引き上げについて約束された記事が載っていましたが、四十九年度に向かって交付税率の引き上げを具体的に進められますか。
#146
○国務大臣(江崎真澄君) 交付税率の引き上げというのは財政の根幹に触れる重要問題で、とうていそういう席で約束するというていのものじゃありませんですね。地方の財源を充実させるために地方交付税率の増加というようなことを含んで十分検討しますと、そこは如才なく説明をしたつもりでありますが、(笑声)御承知のように、今後の税収の伸びが一体どの程度かというところが今後の問題になるわけです。財源増長のためにはやっぱり交付税率を引き上げろというのが、あの法案修正御審議のときの附帯決議にも入っておりますから、そういう方向でいま検討しておることは事実ですが、現在、どうも具体的に、どの程度の伸びがあってどうなるかという辺がまだ完全につかめておりませんので、さて、どう交渉するかというのは今後に属するわけでございます。
#147
○和田静夫君 これはまさにたいへんな希望でありますが、今度ずうっと歩いてみて、市町村長、特に町村長、多くの町村長と会いましたが、やっぱり超過負担問題とそれから地方交付税率の引き上げ問題というのは非常な要望です。したがってたまたま私が気がついていなかったのを、逆に、しかも自由民主党に所属をされる町村長が、江崎自治大臣はこういうふうに約束をしていると。これは、まさに超党派的に四十九年度結実をしてもらいたいということを――これは非常に大きなあれですよ、ぜひ、そういう点で努力をしてもらいたいと思うんですがね。
#148
○国務大臣(江崎真澄君) これはもう先ほどのお答えで尽きるわけでありまするが、いま、超過負担の問題、特に物資が値上がりをして困っておるというような実情で、地方の公共事業が推進できないと。きょうは、また閣議で来年度繰り延べの相談があったところですが、繰り延べの以前に、資材の値上がりでこの事業が遂行できないなんというような、実際、特異な経済情勢にもなっておることを考えまするというと、十分ひとつ、交付税率の引き上げ問題を含めまして、今後、地方財源充実のために努力してまいりたいと思います。
#149
○理事(寺本広作君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#150
○理事(寺本広作君) 速記をつけて。
#151
○和田静夫君 そうすると、もう一つ懸案の問題ですが、江崎自治大臣が八月十七日の閣議で結果的には、これは何か夏休みになってやられなかった閣議でしょう。その閣議でもって、国費職員の地方への身分移管問題、懸案の問題について閣議として正式に提起をされて、そして、行管庁長官がこれを受けて具体的な作業に入る、こういうふうに行管庁折衝などを通じて聞いているんですが、きょう閣議があったわけでしょう。きょうはこの問題に積極的に触れられましたか。
#152
○国務大臣(江崎真澄君) 地方事務官の問題につきましては、行管長官とはもうしばしば打ち合わせをやっております。実は、私のあの古ぼけたかばんの中に、地方事務官の過去の経緯の書類を持っておりますが、このごろうちから、一ぺんよく相談したいですねということで行管長官に呼びかけておりますが、一ぺんゆっくりやろう、きょうはちょっとというようなことで、話題を具体的に展開するには至りませんでしたが、これは何も閣議に限らず、随時、最も近い機会に話題提起をしまして、これは党側にも同調を求めております。したがって、党側の促進と相まって、ぜひひとつこれは四十九年度中には問題を解決して決着をつけたいというふうに思っております。
#153
○和田静夫君 これはやはり時間が延びていきますと、この前たとえば厚生省がああいう形で地方厚生局構想なんという、七、八年前に労働省が出して、しかも、もうこれは労働省の側としては御破算にしようなどと思っているような、地方労働局構想とあまり変わらぬような形のものが便法として出ていて、役人のほうは役人のほうで、何か対抗意識でもってあれする、すぐ厚生大臣交渉を組んでみたら、齋藤厚生大臣は全然知らない、かっかとおこる、社会保険庁も知らない、医務局の一部から出てきたなどというようなことになったりしていますから、やはりこの辺は統一的に、せっかく行管庁も自治大臣との関係においてそういう姿勢で臨もうとしているときですから、早急にひとつこれ、大臣、委員会の約束ばかりではなくて、事務ベースで話が進むようにやってもらいたいと思うのですがね。
#154
○国務大臣(江崎真澄君) そのようにいたします。
#155
○和田静夫君 さてそこで、さっきの一番本質の問題がどうも解決しないと論議にならないんですがね。共済年金における最低保障額ですね、これはどういうふうに今回改善されましたか。
#156
○政府委員(植弘親民君) 当初の原案では、退職年金につきまして三十万二千四百円ということになりましたが、衆議院のほうで厚生年金の修正がございまして、それに合わせまして、こちらのほうも衆議院で御修正がございました。その結果、退職年金におきましては三十二万一千六百円ということになりました。これは簡単に申し上げますと、定額部分に相当するところで日額九百二十円を千円に上げたことによるものでございます。同じような手続によりまして、非公務の廃疾年金の場合、一級症状で三十九万三千六百円、二級で三十二万一千六百円、三級で二十四万円、それから非公務の場合の遺族年金が二十五万四千四百円、このように修正されました。その三点でございます。
#157
○和田静夫君 そこで、これでもなお生活補助基準の一級より低いわけですね。月額四万円にやはり引き上げるべきだと思うのですが、どうお考えになりますか。
#158
○政府委員(植弘親民君) 御指摘の点は衆議院でもいろいろと御論議いただいた点でございますが、もっと基本的に、厚生年金との関係におきましても共済年金の水準全体をどうするかという問題もございます。したがいまして、その一環としてあわせて検討いたしたいというふうに考えております。
#159
○和田静夫君 比較的年金水準の高いとされていますこの新法年金、この昭和四十六年度末の年金受給者について、最低保障額の適用を受けている者は何人で、それは受給者数全体の何%か。退職年金、遺族年金に分けて、各共済ごとに示してください。
#160
○説明員(佐野政一君) 昭和四十六年度末現在におきますところの地方公務員共済組合全体の年金受給者につきまして、今回の政府提案によりますところの最低保障額、これはただいま部長が御説明いたしましたところの、衆議院で修正された部分についてまだ調査がございませんので、政府提案による最低保障額の適用者の見込みを申し上げますと、退職年金の受給者につきましては四万二千三百八十人、遺族年金の受給者が二万九千九百四十五人でございまして、年金受給者に占めるところの最低保障適用者の割合でございますが、退職年金で一五・八%、遺族年金で六六%になる見込みでございます。衆議院の修正によりまして最低保障額がもう少し上がっておりますので、この対象人員、それから率というものは少し引き上げられるようになるかと思います。
#161
○和田静夫君 市町村共済の場合に、昭和四十八一年度における年金額改定率、四十五年度以前の退職者について二三・四%、四十六年度退職者一〇・五%をかけてみても、なお最低保障額適用者というのは、退職年金の場合一万四百二十四人で、受給者数の二四・一%、遺族年金の場合で七千二百九十六人で、受給者数の八〇・七%にものぼります。自治省は、この実態というものをどのようにとらえて、どのように改善を考えられますか。
#162
○政府委員(植弘親民君) いま御指摘の数字でございますが、地方公務員の退職したものの最低保障の規定の適用状況を全体的にみますと、昭和四十六年度末現在の受給者中で退職年金は一五・八%、遺族年金は六六%、なる見込みでございます。そこで、市町村の関係でみますと、先ほど先生御指摘のような数字になってまいるわけでございます。いまのは全体の数字でございます。
 なぜそれじゃこういうふうに全体的に市町村が高いかといいますと、これはよく御承知だと思いますけれども、やはり市町村では、再就職といいますか、中途で高年齢で採用されるものが多いわけでございます。したがいまして、在職期間が比較的短かいものが多いといったようなこと。それから、特に町村の場合は、給料が、国なり他の地方団体、都道府県、市と比べますと、平均給与が相当低いというようなことからこういうふうに高くなっておるわけでございます。しかし、これもやはり全体的な水準アップとの関係でどのようにこれを評価していくか。あわせてやはり全体的な、私ども来年の中心は水準のアップだと思っておりますから、その中においてどういう位置づけをするか、これも含めて検討しなければならない、こう考えております。
#163
○和田静夫君 市町村職員組合連合会の新法年金受給者、四十八年年金額改定後の退職年度別年金額調べ、これによりますと、退職年金について、昭和三十七年度退職者一人当たり年金月額二万七千二百八十三円、昭和四十六年度退職者一人当たり年金月額四万七千百七十二円、この間に約二万円の格差がもうすでに生じております。この格差は何らかの形で是正をされるべきだと考えますが、いかがですか。
#164
○政府委員(植弘親民君) まさに御指摘のような数字になっておるわけでございますが、どうしてそうなるだろうかというように考えてみますと、やはり三十七年当時の給料というものを四十六年当時と比べますと、その後における毎年のようなベースアップ等もございましたために、給料額そのものが相当低いといったことが原因であろうと思います。それからまた、これまでの年金額の改定率が、給料の改定率と若干差がありましたということは先ほどちょっと御指摘がありましたが、そういうような事情がございましたのでこういう格差が出ておると思われます。しかし、これも全体的なやはり共済組合の、恩給を含めました共済全体の均衡といいますか、関連において検討しなければならないだろうと思います。したがって、この点につきましても、関係の総理府なり大蔵省、そういったところと十分に協議をしてまいりたい、このように考えております。
#165
○和田静夫君 そこで前に戻りますが、これは答弁としては、いま打ち合わせされて辻さんは取り消されないことになりますか、さっきの質問は。同じ答弁ですか。打ち合わせされましたか、されませんか。
#166
○説明員(鈴木吉之君) 私が先ほどお答え申し上げたとおりの内容については、ただいま辻次長にお伝えを申し上げました。
#167
○和田静夫君 そうすると、次長のほうからちょっと答弁もらいましょうか。
#168
○政府委員(辻敬一君) 共済年金と厚生年金の水準の比較につきましては、いろいろと御議論のあることは十分承知をいたしております。私、衆議院の委員会におきまして、小川委員の御質問にお答えいたしまして、共済年金の水準と厚生年金の水準とを比較をいたしますと、共済年金を一〇〇として厚生年金の水準が六割ないし七割程度であるということを御答弁申し上げたかと存じますが、まあどういうふうに比較するかにつきましては、いろいろ御議論のあることは承知をいたしておりますが、全体といたしまして、おおよそそういう水準にあるということは間違っていないと考えておるわけでございます。
#169
○和田静夫君 それでは、どういうモデルをお使いになって、どういうような計算をした結果、厚生年金が共済の七割弱になったのか、これをお示し願いたいんです。
#170
○政府委員(辻敬一君) 共済年金の仕組みと厚生年金の仕組みが違っておりますことは、もう私から御説明するまでもないわけでございますが、年金額算定のやり方が違いますために、年金の額そのものが、共済年金のほうが厚生年金より高くなっております。
 それから、御承知のように、受給開始年齢と申しますか、年金の支給を受けることができます年齢が違うわけでございまして、共済の場合は五十五歳、厚生年金の場合は六十歳ということになっておるわけでございますので、年金を受ける期間が共済のほうが長いわけでございます。
 そういう額の違い、それからもらう期間の違いというものを総合勘案いたしますと、こまかい点のどこを比較するかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろ御議論があると存じますけれども、おおよそのめどとして六割ないし七割である、かように考えておるわけでございます。
#171
○和田静夫君 厚年と共済の制度の差を全部総合して給与水準を計算するとそうなると言われるわけですから、その総合のしかたが合理的かどうかというのが、この際問題になるわけです。この計算の詳細を、大蔵省から資料として提出をしていただきたいわけですが、よろしいですか。
#172
○政府委員(辻敬一君) 国家公務員の場合と地方公務員の場合も、当然数字がこまかい点では違ってまいろうかと思いますが、国家公務員共済組合の例で申し上げますと、四十七年度の退職者の退職年金の平均額が約六万四千円と見込まれておるわけでございます。厚生年金のほうは、今回の改正によりまして五万円に上げていただくことを御提案申し上げておるわけでございますが、そこで七割から八割程度の差がある。
 それからもう一つ、先ほど申しましたように、五十五歳と六十歳の違いがあるわけでございますが、五十五歳の平均余命と申しますか、何年間平均して年金を受けられるかということを見てまいりますと、十九年でございます。六十歳の場合には約十五年でございます。そこにまた四年間よけいに年金をもらえるという違いがございますので、そういう両方の要素を加味いたしまして、全体として見ますと、先ほど申し上げましたような、共済年金を一〇〇といたしまして厚生年金は六割ないし七割という水準ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#173
○和田静夫君 これは私がいま言ったとおり、計算の詳細を資料として一ぺん出していただけますか。
#174
○政府委員(辻敬一君) 詳細と申しましても、ただいまお答えしたような計算といいますか、めどをつける方法が一つあろうかと思います。もう一つは、先ほど和田委員の御指摘のありましたように、モデル計算をやってみるという方法もあろうかと思いますが、幾つかの試算という形でございますれば、できるだけ調整いたして御提出申し上げたいと存じます。
#175
○和田静夫君 その資料をもらった上で、これは十分時間をとって議論を一ぺんいたします。
 そこで、先ほどの問題と関連をしまして、いわゆる公費の負担率の問題ですがね。七月六日の衆議院の地方行政委員会で、辻主計局次長は、「負担の率でございますけれども、厚生年金につきましては二〇%、国家公務員共済、地方公務員共済につきましては一五%ということになっているのは御指摘のとおりでございます。ただ、これは、先ほど申し上げましたように、厚生年金と共済年金との水準の差がございますので、全体として共済年金のほうが水準が高くなっております。したがいまして、同じ国庫負担率、あるいは公経済の主体たる負担率ということにいたしますとかえって不均衡を生ずるという面もございますので、ただいまのような二〇%と一五%という率に相なっている次第でございます」、こう答弁されているわけですね。しかるに、その前日、七月五日なんですがね、七月五日の衆議院の地方行政委員会では、自治省の林行政局長が、「昨年までの厚生年金の給付水準と共済年金の給付水準が違うから、実額においてはバランスがとれているというのが確かに昨年までの説明であったわけでございます。今回厚生年金が大幅に改善をされましたので、その理由が全く消滅した、これはお説のとおりでございます」、まるきり反対の答弁になっているわけです。要するにこの違いというのは、共済年金の水準が厚生年金の水準にしてどうかということに実は決着がつけばけりのつく問題です。よっていま大蔵省に資料要求したのですがね。大蔵省が先に確認したように、厚生年金の水準が共済年金のそれの七割弱であるという計算例を出して、それがおかしいということになりますとね、そうすると、公費負担率の厚年二〇%、共済一五%という差を設けておくことに根拠がなくなるわけですから、当然、共済の公費負担率を二〇%ということにするということになる。こういうふうに考えますがね。これは自治省、いかがですか。
#176
○政府委員(植弘親民君) 二〇%、一五%の問題は、先ほどの御質問の中に大蔵省の御説明がござましたが、従来まではそういうことで均衡がとれてきたわけでありますが、先ほども御指摘ございましたように、今回の御審議いただいております厚年のほうがどのようになるかということによりましては、先ほど来申し上げておりますように、特に地方行政の場合、逆転現象も起こるだろうと思われますので、水準全体をどうするかという問題が当然議題にのぼってくるわけであります。そういたしますと、その際に、それでは公費負担率はいまのでいいかどうかというのは、当然その水準アップとの関係において検討しなければならない問題であろうというふうに認識しておるわけであります。
 林局長から衆議院で答弁いたしました点は、「全く」ということばが適当であるかどうかということは別といたしましても、少なくとも、そういった厚年との関係において、共済組合の年金の水準アップという問題を考えてまいりますと、当然その問題が起こってくるということでございます。
#177
○和田静夫君 大臣、いまの答弁のとおりなんですがね。そこでこれは早急にけりをつけて、来年度の予算面で埋め合わせてもらわなければならぬと思いますが、大臣、いかがですか。
#178
○政府委員(植弘親民君) ちょっと申し上げます。ただ、御承知のように、明年度の問題といたしまして、水準アップも当然いま大蔵省その他と協議中でございますので、その結果を反映しなければなりませんが、公費負担の問題につきましては、実を言いますと、明年度予算には直接関係がないということになるかと思いますが、直接関係があるかないかという言い方はちょっと語弊があるかと思いますが、この問題につきましては、制度の発足時におきまして、地方公共団体で負担するということにきまっております。したがいまして、交付税でどのような措置を講ずるかということでございますので、まあ少なくとも直接は、四十九年度予算として自治省から大蔵省にお願いするということにはならないだろうと。もちろん、交付税全体をどう考えるかという問題とはからんでまいります。
#179
○和田静夫君 そこは論議のあるところなんですよ。
#180
○政府委員(植弘親民君) ちょっと説明が不十分でございましたが、義務教育の場合は、当然この問題はまず御承知とのおりだとろう思います。
#181
○和田静夫君 それで大臣よろしいですか、いわゆる関係する国家予算のほうは、
#182
○国務大臣(江崎真澄君) ただいま公務員部長が答えたとおりでございます。
#183
○和田静夫君 いま言われた中で、義務教育のほうは、それで大臣の答弁がありましたからあれですがですね、この共済のいわゆる公費負担分、これをいますっきりと、自治省の側は交付税でというようなことを、はっきりああいうことを言われているんだが、ちょっとその辺はまああとで一ぺんとっちり別の機会にあれしますがね。これはそんなふうに割り切れる問題ではないんでね。もともと国庫で見るか交付税で見るかということは、制度発足以来論議し続けてきていることなんですから、これは、いわば水かけ論的に議論が繰り返されています。大蔵省がいま言った答弁なら話は別ですがね。あなたのほうまでそういう答弁じゃ実は困ると思っているんだけれども、ともあれ、大蔵省は、地方公共団体といえども公経済の主体であるという観点に立って、いわゆる地方公共団体で負担すべきであるという立場に立ってきたわけですがね。この立場からしても、事情が許すならば国庫で負担することを妨げないということになるでしょう。
#184
○政府委員(植弘親民君) いま御指摘の点は、国、地方を通ずる財源配分の問題とは別に、共済制度というものを社会保険の一環としてどのように認識するかという問題だろうと思いますが、その私も当時の事情を聞いているだけでございますから、全く正当かどうかは自信ございませんが、少なくともいま、和田先生御指摘のような点が、両方の面から御議論ございましたが、まあ国と地方を通ずる財政配分の中において措置すべきだろうといったようなかっこうから、この交付税率の引き上げといったような問題があったりしたものでございますので、そのときに、一応もうこの公費負担については、地方交付税で措置するというふうに政府部内としての意見がまとまっているというふうに理解しているわけであります。もちろん、交付税は単に職員のための財源ではなく、本来、住民にお返しすべき、サービスに提供すべき一般財源でございますから、その分が国で補てんしていだたければこれに越したことはございませんけれども、まあ経過的にはそのようになっているということで理解しておるわけでございます。
#185
○和田静夫君 これ、大臣、ぜひここのところ、あれなんですがね。社会保障あるいは社会保険にかかわることは国家的規模で考えていく、基本的には国が責任を持つということを明確にしていくという、そういう意味で、この公費部分は、交付税でなくて、私はやっぱり国庫で見るべきではないか。また、そういう時期にもうきていると私は思うんですよ。大臣いかがですか。
#186
○国務大臣(江崎真澄君) これ、どうも従来は交付税で見るということで、地方公共団体が負担するということでまあ政府側も意思統一をしておりますし、一応、いま公務員部長が答えましたような方向でいって差しつかいないという解釈でございます。
#187
○和田静夫君 大臣ね、公務員部長も最後に述べたように、ちゃんと私が言っている趣旨のことを言っているんですよ。それは大臣がこの辺で政治的に判断をして……。
#188
○国務大臣(江崎真澄君) そうですか。その公務員部長の最後のところをちょっと私聞き漏らしておりましたが、従来こうなっておりまするので、御質問の点などを十分踏まえながら、今後の問題として検討してまいります。まあ従来とも交付税で見ておりまするので、たいへん地方公共団体に迷惑をかけておるという性質のものじゃありません。まあ主体をどこに賢くかという問題でございますから、十分検討いたしたいと思います。
#189
○和田静夫君 昭和三十七年の十三月一日、新共済制度の発足の前における市町村職員共済組合を組織する市町村の旧年金制度、これは職員のうち、町村の吏員については、昭和十八年四月一日、政府の勧奨によって各都道府県ごとに町村職員恩給組合が発足をした。で、また雇用人に対しても、昭和三十年の一月一日にこの市町村職員共済組合法が制定された。それぞれ年金制度の適用を受けることになったわけですね。しかし、これらの制度というのは、国の官吏、都道府県の吏員に対する恩給法並びに退職年金制度、及び雇用人に対する共済制度より非常におくれて発足した関係があります。で、もちろん、国または都道府県の年金制度と同様に、当時から市町村に年金制度が制度化されているならば、当時において在職していた職員は当然これらの年金制度の適用を受けていたものなんですね。ところが、その公務員以外の外国政府あるいは外国特殊法人及び外国特殊機関に在職した職員、雇用人に対しては一定の要件――一定の要件とは引き揚げ後一年以内に公務員に就職したということでしたね。これを必要とするにしても、これは在職した期間というのは組合員期間に算入をして、そして年金額算定の基礎期間とされています。これは制度上の矛盾ではないですか。
#190
○政府委員(植弘親民君) もうこの経緯につきましては、先生のお話のとおりでございまして、少なくとも国家公務員について、二十四年に旧法が発足しましたときにまでさかのぼったのは事実でございます。しかし、それ以前にさかの、ぼるということになってまいりますと、やはり国家公務員共済、こういったものとの関係も十分に考えなければなりません。ただ、御指摘のように、今回の法案で外国特殊法人に関係が出てまいりますとすると、またその均衡も考えなければなりませんので、今後、十分関係省と協議検討してまいりたいと思っております。
#191
○和田静夫君 いまの、市町村職員にかかわる旧年金制度施行前に断続的に在職した市町村職員期間についても、昨年度における法改正で、政令に定める要件に該当する者についてのみ組合員期間に算入される、こういうことになったわけですね。そうした継続期間を有する人は二万五千三百五十人いるわけですが、この政令に定める要件に該当する者はそのうち何人いますか。
#192
○説明員(佐野政一君) これは昨年の、制度改正いたしまして断続期間の通算措置を講じようといたしました際に、名共済組合から、これの該当者でございますが、これを調査いたしました際は、地方公務員共済組合全体で一万五百十人という数字が報告されてきたわけでございます。それによりまして、昭和二十四年の十月一日以後においてやめた人で、まな原則として五年以内に再就職した人、こういう人で通算の対象となる人というのが、当時私ども四千人程度というように委員会で御報告申し上げたわけでございますが、その後再調査いたしまして、この対象人員、それからこの措置によって救済し得た人というものを拾ってみますと、この一万五百十人というのは非常に少ない見込みで、実際の数は三万四千八百三十四人でございます。そしてそのうちで、昭和二十四年の十月一日以後にやめた人ということで、今回の措置によって救済の対象になった人が四千四十九人でございます。そういたしますと、約三万人程度がまだ措置されてないということでございますがそのうちの八割強が昭和二十四年の十月一日以前におやめになっておる人というような実情でございます。
#193
○和田静夫君 八割以上が二十四年の十月一日以前ですね。
#194
○説明員(佐野政一君) はい。
#195
○和田静夫君 四十七年の六月八日の衆議院の地方行政委員会でも、「年金制度施行前の職員期間の通算にあたっては、退職時期等による制限を緩和すること」、こういう附帯決議がつき、参議院でも同様の決議がついていますね。これはその後どうしたのでしょうか。
#196
○説明員(佐野政一君) この附帯決議の趣旨に沿いまして、私どもとしてこの通算措置をいろいろと関係各省と検討したわけでございます。ただ、一つの問題点といたしまして、昨年もございましたが、沖繩の復帰の時点で、沖繩の職員のこの取り扱いをどうするか。沖繩の職員について、昭和二十四年の十月一日前においてのそうした期間というものを見るべきだということになるならば、本土におけるところの国家公務員あるいは地方公務員のこうした期間というものも見るべきではないだろうかということで、まず沖繩の人たちのこうした取り扱いの状況というものを調べてみたわけでございますが、当時、米軍進駐直後でございまして、そうした記録というものが全くない。さらに、そうしたときにおけるところの在職期間というものも不明確になっておるということで、沖繩の人たちを対象にして、それとの関連において本土の人を救済するというのは困難な事情になってきております。
 そこで、次の問題といたしまして、今回の改正法案の中に入れてございますが、外国政府あるいは外国特殊法人等で勤務いたしておった人がこれは二十年の八月八日まで在職するという前提がございますが、その人たちが引き揚げてきてから、現在は、一年以内に再就職した場合にはその前の外国特殊法人等の期間というものは施行日に引き続いたものとみなすという運用をいたしておるわけでございますが、今回、これを三年以内に再就職した場合には引き続いたものとみなそうとこういう扱いにするようにいたしてございます。そういたしますと、そうした外国特殊法人に勤務しておった人たちの取り扱いとの均衡論からいたしまして、外地官公署に勤務しておった人たちが引き揚げてまいりまして再就職するような場合、こうしたときの扱いが現在百二十日になっておりますが、これは不合理ではないだろうか。やはり同様に三年程度には考えなければならぬのじゃないだろうかということで、関係各省といま相談いたしております。
 そういたしますと、この昭和二十四年十月一日前の市町村の人たちの在職期間でございますが、こういう人たちのそれ以前の在職期間というものが、当時、雇用人として在職いたしまして現役として兵隊に行く、そのためにやめていたという人たちが相当おるわけでございます。これは市町村役町村役場の雇用人もございますし、助教員というような形で、教員でいた人たちも相当おるようでございます。そうした外地官公署の人たちの在職期間の通算との関連で、こうしたものも相当救えないだろうかどうだろうか。現在、そうした問題について一緒に検討しておる実情でございます。
#197
○和田静夫君 大蔵省に尋ねますが、今回の税制改正によって、六十五歳以上に支給される退職年金については、年額六十万円までは老齢者年金特別控除が受けられることになりましたが、今回、退職年金の最低保障額が三十二万一千六百円に引き上げられることに伴って、六十五歳未満の最低保障額を受ける年金受給者というのは源泉徴収の対象者となる。これは片手落ちではないですか。
#198
○政府委員(辻敬一君) 共済年金の最低保障額につきましては、御承知のとおりでございますけれども、厚生年金の最低額と一致させるということで従来からきておるわけでございます。政府の御提案申し上げた案でまいりますと、三十万二千四百円――十五万円を三十万二千四百円に上げていただく案でございましたが、厚生年金のほうが修正になりましたので、それに合わせまして、三十二万一千六百円ということで最低保障額を引き上げていただくと、こういうことになっておるわけでございます。
#199
○和田静夫君 それはわかっているのですがね……。
#200
○理事(寺本広作君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#201
○理事(寺本広作君) 速記を起こして。
 両案に対する本日の審査はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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