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1972/07/12 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 内閣委員会 第20号
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1972/07/12 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 内閣委員会 第20号

#1
第071回国会 内閣委員会 第20号
昭和四十八年七月十二日(木曜日)
   午前十時四十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 七月十一日
    辞任         補欠選任
     古賀雷四郎君     柳田桃太郎君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         高田 浩運君
    理 事
                内藤誉三郎君
                中山 太郎君
                山本茂一郎君
                片岡 勝治君
    委 員
                源田  実君
                世耕 政隆君
                長屋  茂君
                西村 尚治君
                星野 重次君
                町村 金五君
                上田  哲君
                鈴木  力君
                鶴園 哲夫君
                宮崎 正義君
                中村 利次君
                岩間 正男君
   衆議院議員
       内閣委員長代理  加藤 陽三君
   国務大臣
       法 務 大 臣  田中伊三次君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       坪川 信三君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  山中 貞則君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   宮崎 隆夫君
       人事院総裁    佐藤 達夫君
       人事院事務総局
       職員局長     中村  博君
       内閣総理大臣官
       房交通安全対策
       室長       秋山  進君
       総理府人事局長  皆川 迪夫君
       総理府統計局長  加藤 泰守君
       防衛庁参事官   大西誠一郎君
       防衛庁参事官   長坂  強君
       防衛庁参事官   岡太  直君
       防衛庁長官官房
       長        田代 一正君
       防衛庁防衛局長  久保 卓也君
       防衛庁人事教育
       局長       高瀬 忠雄君
       防衛庁衛生局長  鈴木 一男君
       防衛庁装備局長  山口 衛一君
       防衛施設庁長官  高松 敬治君
       防衛施設庁総務
       部長       河路  康君
       防衛施設庁施設
       部長       平井 啓一君
       法務大臣官房長  香川 保一君
       外務政務次官   水野  清君
       外務省アメリカ
       局長       大河原良雄君
       外務省欧亜局長  大和田 渉君
       労働省労働基準
       局長       渡邊 健二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        相原 桂次君
   説明員
       人事院事務総局
       給与局参事官   斧 誠之助君
       人事院事務総局
       職員局参事官   後藤 敏夫君
       総理府人事局参
       事官       大林 勝臣君
       警察庁交通局交
       通規制課長    久本 礼一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○法務省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(高田浩運君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、古賀雷四郎君が委員を辞任され、その補欠として柳田桃太郎君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(高田浩運君) 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田中法務大臣。
#4
○国務大臣(田中伊三次君) 法務省設置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この法律案の改正点の第一は、沖繩の弁護士資格者等に対する本邦の弁護士資格等の付与に関する事務の終了に伴いまして、同事務に関する規定を整理しようとするものでございます。
 改正点の第二は、現在松山市にあります松山刑務所の所在地が市街地化したこと等の事情によりまして、同刑務所を愛媛県温泉郡重信町に移転すること、及び現在鹿児島市にある鹿児島入国管理事務所鹿児島空港出張所の所在地が、鹿児島空港の廃止、新鹿児島空港の設置によりまして、鹿児島県姶良郡溝辺町に移転することに伴い、その位置の表示を改めようとするものであります。
 改正点の第三は、北海道地区における少年院に収容されている者の過剰収容状態を緩和し、矯正行政を有効適切ならしめるため、北海道樺戸郡月形町に月形少年院を設置しようとするものであります。また、中部地区における医療を必要とする少年の収容状況等にかんがみまして、愛知県知多郡南知多町に所在する豊浦医療少年院を廃止しようとするものであります。
 改正点の第四は、岩手県大船渡市所在の大船渡港ほか八カ所における出入国者の増加等に対処いたしまして、岩手県大船渡市に仙台入国管理事務所大船渡港出張所を、宮城県石巻市に仙台入国管理事務所石巻港出張所を、茨城県口立市に東京入国管理事務所日立港出張所を、石川県金沢市に名古屋入国管理事務所金沢港出張所を、兵庫県加古川市に神戸入国管理事務所東播磨港出張所を、大分県佐伯市に福岡入国管理事務所佐伯港出張所を、熊本県八代市に福岡入国管理事務所八代港出張所を、沖繩県石川市に那覇入国管理事務所金武港出張所を、沖繩県コザ市に那覇入国管理事務所嘉手納出張所をそれぞれ設置し、一方、出入国者の減少に伴い、札幌入国管理事務所根室港出張所を、また、沖繩県に那覇入国管理事務所等が設置されたことに伴い、鹿児島入国管理事務所和泊港出張所をそれぞれ廃止しようとするものでございます。
 改正点の第五は、市町村の廃置分合等に伴い、札幌法務局及び函館地方法務局の管轄区域内の行政区画の名称の一部並びに旭川刑務所、交野女子学院、和浪少年院、豊ケ岡農工学院、東京入国管理事務所木更津港出張所、東京入国管理事務所直江津港出張所及び名古屋入国管理事務所名古屋空港出張所の位置の表示をそれぞれ改めようとするものでございます。
 以上が法務省設置法の一部を改正する法律案の要旨でございます。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(高田浩運君) 引き続いて、本案の衆議院における修正部分について説明を聴取いたします。衆議院内閣委員長代理加藤陽三君。
#6
○衆議院議員(加藤陽三君) ただいま議題となりました法務省設置法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府原案では、石巻市、金沢市及び加古川市への入国管理事務所出張所の設置に関する改正規定は「昭和四十八年四月一日」から施行することとしておりましたが、衆議院における議決の日がすでにその日を経過しておりましたので、これを「公布の日」から施行することに改めた次第であります。
 以上が修正の趣旨であります。
#7
○委員長(高田浩運君) 以上で説明は終わりました。
 本案の審査は後日に譲りたいと存じます。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(高田浩運君) 次に、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○片岡勝治君 それでは私のほうから国家公務員の今回の災害補償法の改正案について質問したいと思います。
 今回のこの改正案の内容は、本年三月一日付の人事院の国会及び内閣に対する意見の申し出に基づいて、第一には通勤災害保護制度の新設、そして第二には葬祭補償の改正という二点になっておるわけでありますが、他方、今国会に政府から提出されている労働者災害補償保険法改正案でも同じように通勤災害保護制度が盛り込まれており、この国家公務員災害補償法はむしろ労災保険に引っぱられて改正がなされたというふうに受け取られるわけでありますけれども、まず人事院に、本年三月一日に災害補償法の改正に関する意見の申し出があったわけであります。人事院が意見を出したわけであります。その理由といいますか、基本的な考え方といいますか、人事院のこの問題に対する見解というものを総裁のほうからお伺いをしたいと思います。
#10
○説明員(後藤敏夫君) ただいま総裁にお尋ねでございますが、総裁ただいま衆議院の決算委員会のほうに呼ばれておりまして、間もなくこちらに参ると思いますので、私かわりにお答えを申し上げたいと思います。
 今回の人事院の意見の申し出の理由でございますが、人事院といたしましては、勤務条件の改善につきまして常に気を配っておるところでございますが、国家公務員の通勤による災害に対する保護につきましては、やはりかねてから検討を進めてまいっておったところでございます。通勤行為そのものは勤務そのものではございませんけれども、通勤と勤務との間には密接な関連性がございますし、勤務を提供するためには通勤という行為が必要不可欠であるという通勤の特殊性に着目いたしまするならば、その通勤途上で災害を受けた職員に対しても何らかの保護措置を講ずる必要があるのではないかと考えたわけでございます。特に、最近の通勤事情は非常に遠距離化しておりますし、またモータリゼーション等による交通事情が非常に悪化いたしておりまして、通勤に伴う危険性はますます増大しておりますし、国家公務員の通勤途上における被災者数もかなりの人数にのぼるものと推定されております。また、ILO百二十一号条約におきましても、通勤途中における災害について特段の考慮を払うように条約、勧告その他が定められておりまして、諸外国におきましても、通勤途上災害に対しまして何らかの保護を加えておるのが趨勢になっております。さらに先ほどお触れになりましたように、民間の労働者につきましても、今国会に労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案が提出されておりまして、そちらのほうでも通勤途上の災害について保護を加えられるということでございます。以上の事情をあわせ考慮いたしまして、今回の意見の申し出を行なった次第でございます。
#11
○片岡勝治君 一方、労働大臣の私的な諮問機関である通勤途上災害調査会ですか、昨年八月二十五日に労働大臣に答申を出されたということもあるわけです。この答申を見ますと、労働者側の主張としては、通勤がなければ労務の提供ということはあり得ないのだから、通勤途上の災害は当然業務上の災害だ、公務員でいえば公務災害だ、こういうふうに主張されたと書かれておるわけであります。しかし、一方使用者側は、通勤は使用者の支配下にあるのではない、その途上における災害であるからこれは業務外だ、公務外だ、こういう意見の対立があったわけであります。結局保護制度という観点で今回の一連の法律改正が行なわれようとしているわけであります。しかし、保護制度といえども公務災害の補償部分については全く労務災害という内容と同じであり、公務員でいえば公務災害補償と全く同じような補償制度をとっているということですから、あえて保護制度ということではなくして、自主的にそういうような措置をとるならば、公務災害なりあるいは労務災害として措置してもいいのではないかというふうに考えられるわけであります。なぜこれをあえて分けたのか、これは人事院の見解と、さらに政府の総務長官の見解を承りたいと思います。
#12
○説明員(後藤敏夫君) ただいま労働省におきます通勤途上災害調査会における議論の経過について、先生からお示しがございましたが、私どももさように心得ておるわけでございますが、従来公務上の災害の範囲につきましては、労働基準法、それから労災保険法による業務災害についての範囲と同様に、使用者として国の支配管理下において発生した災害を対象とするという考え方で運用してまいってきておりますので、通勤そのものが国の支配管理下にあるかどうかということについてはいろいろ議論の分かれるところでございまして、今回私どもが意見の申し出をいたしました際には、従来からそういう点についてもいろいろ検討をしておったわけでございますけれども、労働省における調査会の議論の経過等もしんしゃくいたしまして、民間企業における場合と同様、通勤災害を公務災害とはしないまま、これに対して公務上の災害と同程度の保護をはかることがこの際妥当であるというふうに判断した次第でございます。
#13
○国務大臣(坪川信三君) 通勤による災害にかかわる補償の種類及びその水準、あるいは福祉施設の適用関係を公務上の災害の場合と同じ程度とするが、通勤による災害が事業主の無過失の責任に基づくものでない点におきましては、制度全体として見れば、公務災害補償制度とは若干異なった面があるということをあらわしたものでございます。ちなみに、公務上の災害の場合と異なる点は、初回の療養に際しまして、二百円の範囲内で一部負担金を職員に納付させるということのみでございます。
#14
○片岡勝治君 時間の制約がありますので、そういった論議はもっと実は深めたいのでありますが、先に進ましていただきたいと思うわけです。
 そこで、通勤災害を公務災害とするかしないかということについては、補償の内容については全く同様であるということになると、一体どこに違いがあるかといえば、これは給与法に関する部分に入るわけでありますが、公務上負傷した場合には、あるいは公務上の疾病にかかった場合には休職の取り扱いについてもその給与の全額が支給をされる、また休職によって不利益というものが、給与上について何らのそういうものがないということになると思います。それから復職をした場合の昇給の回復等についても、公務災害の場合には、特にそれによって不利益を受けることがない。まあこれは当然だろうと思うわけでありますけれども、しかし今回の通勤災害は公務災害ではない、公務災害に準ずるということになりますと、これらの身分上の問題といいますか、分限上の問題に差が出てくるということになるわけですよね。しかし、さらばといって、それでは全く私傷病の場合とどうかというと、これはそこに純然たる私傷病とは異なったものであるということも、これは率直に認めることができるわけでありますけれども、その辺に何らかの給与上の不利益というものに対しての救済措置というものが私はあってしかるべきだろうと思います、全くの私傷病とは違うという交通災害でありますから。こういう点については、人事院として、あるいは総務長官として、何らかの対策をおとりになる考えがあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#15
○説明員(後藤敏夫君) 公務員の人事管理制度の中で、服務あるいは分限、給与その他の制度上、公務上の災害を受けました場合と、いわゆる私傷病を受けました場合とでは異なった取り扱いをしている場合が幾つかございます。今般の通勤災害保護制度につきましては、補償制度上、通勤災害を公務災害に準じて取り扱おうとすることを第一義としたものでございまして、その他の人事管理諸制度の取り扱いについては直接触れておらないわけでございます。したがいまして、給与制度その他の制度につきまして、現行制度のまま推移します場合には、通勤災害が公務災害ではないということから、当然に従前どおり私傷病として取り扱うということになりますけれども、給与その他も非常に重要な職員の勤務評定にかかわる問題でございますので、今回の制度が民間企業等においても発足いたしました際に、民間企業等におきまして給与制度上どういう取り扱いをなされているか、そういう状況を見きわめまして今後とも検討をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#16
○説明員(大林勝臣君) 先ほど人事院のほうからお答えがありましたように、今回の通勤災害補償の制度は、仰せのように公務災害そのものとはいたしておりません。その結果、先ほどおっしゃいました給与あるいは休暇その他の制度によって一部不利益を生ずるという事態は生じますが、これはもとが違うというところからまいるものでありまして、通勤災害そのものを公務災害そのものにするかどうかにつきましては、さらに民間の動向を見きわめつつ人事院のほうで御検討いただきたいと私どもは考えておるところでございます。
#17
○片岡勝治君 通勤災害を公務災害としてすべて取り扱ってもらいたいと、私はそう思うし、一般の労働者あるいは公務員もそう思っていると思うのです。できればそうしていただきたいと思います。しかし、だからといって、いますぐということに無理な点があるならば、通勤災害というのは準公務災害として、あるいは準労務災害として政府も人事院も認めて、その補償制度は全く同一に取り扱うわけだから、その給与上の不利益な部分についても何らかの私傷病と異なった救済措置があってしかるべきだろうと思うのです。純然たる私傷病という見方も人事院も政府もしていないわけですから、そういう点の救済措置があってしかるべきではないか。こういう言い方はあるいは適当でないかもしらぬけれども、公務災害とあるいは私傷病の措置との中間的な何かそういうものがあって妥当ではないかというふうに素朴に考えるわけであります。まあしかし、いま人事院あるいは総理府の答弁の中でも、民間の状況を見て今後検討し考慮したいということですから、私はそれを大いに期待したいと思うのであります。しかし、行く行くは、本人の意思とか本人のいろいろな状況によって受ける災害ではなくして、全く本人の意思とは無関係に、ある日突然襲いかかってくる災害でありますので、これに対する救済というものは十分配慮していただきたい、こう思うわけであります。
 次に、公務災害についての救済というか対策については、災害補償の対象を拡大するということが非常に基本的な問題であります。今回通勤災害も、準公務災害とはいえ、一つの補償制度の中に組み入れたということについて私も率直に評価したいと思うのです。なお、幾つかの、いま先ほど申し上げましたような内容の改善については意見があるところでありますけれども、率直に評価をしたいと思うわけであります。それからもう一つの側面としては、その補償の内容について一体どうだろうか、こういう点がこれまた非常に大きな問題であるわけであります。
 そこで、まず最初に、特に公務災害で死亡したというような非常にお気の毒な悲しむべき状態、そういうものに対する補償という点をひとつ焦点にして、この補償の内容というものについてただしてみたいと思うわけでありますが、現行の補償法によりますと、死亡した場合には、平均給与を割り出しまして、その何十%という計算になるわけでありますけれども、まず最初に、遺族補償年金の額について、つまり具体的なその割合ですね、補償年金を受ける場合に平均給与額の基礎といいますか基本を、これはいろいろな条件によって違いますけれども、最低の場合には百分の三十ということですね、遺族が一人の場合。つまりこの百分の三十というのをどうしてそういうふうにしたのか、理論的な根拠といいますか、そういうものについて最初に説明をしていただきたいと思うわけであります。
#18
○説明員(後藤敏夫君) ただいまのお尋ねは、職員が公務災害により死亡をいたしました場合に遺族補償年金がどれだけ出るか、しかもその根拠は何かという御質問だと承りましたが、御指摘のとおり、遺族補償年金は遺族の数によって支給額が異なっております。簡単に申し上げますと、遺族が一人の場合には、原則として平均給与額の百分の三十に相当する額を年額に直したものが年金になるわけでございまして、その遺族一人の場合でも、五十歳以上五十五歳未満の妻の場合には三五%、五十五歳以上もしくは廃疾の妻がおります場合には四〇%……。
#19
○片岡勝治君 それはわかっていますから、どうしてそういう根拠を、どこにその根拠を求めたのかというのです、そのパーセンテージの。
#20
○説明員(後藤敏夫君) 二人の場合は四五%、三人の場合は五〇%、四人の場合は五五%、五人以上の場合は六〇%と定められておるわけでございますが、これはなぜそういうふうにきめたかというお尋ねでございますが、三人に対して五〇%の支給額を支給するというのがILO条約の基準でございまして、その前後は労災保険法の水準に均衡をとったものでございます。
#21
○片岡勝治君 もちろんILOは国際条約ですから、そういう基準を尊重するということは大切なことだろうと思うわけですが、本来ILO条約というのは一つの基準であり、こういう問題についてはむしろ最低の基準だろうと思うのですよ。
 そこで、具体的に申し上げるならば、妻、そして子供二人、一つの標準家庭ということを考えますと、公務のために生命を失った、そして残された遺族に対する年金が平均三人という場合に、妻、子供二人ということが考えられますね。この場合には百分の五十になるわけですね。そうすると、かりにいままで月収十万円あった場合には、こまかい計算は別にして、概算すればその半額ですよね、毎月もらえる分の。五万円に減るわけです。つまり、少なくとも災害補償ということですから、私は特に死亡した遺族年金の場合には、その遺族の生活保障ということをまず基本に考えて年金の額というものを計算をしていくべきだろう、そういう考えが一体あるのかないのか、この災害補償の中に。生活保障という、そういう要素があっての率なのかどうなのか。これはどうですか。
#22
○説明員(後藤敏夫君) 遺族が三人の場合、標準的に申しますと、妻と二人の子供というわけでございますが、先ほども申し上げましたように、ILO条約において、標準的受給者に対する定期的な支払い金の一つの標準といたしまして、扶養者が死亡した場合、二子を有する寡婦には五〇%の基準を守るべきであるという線がございますので、その三人に対する年金額が百分の五十というふうに定められたものと承知いたしておりますし、また国家公務員災害補償法の二十三条には、労働基準法あるいは労働者災害補償保険法等による災害補償の実施との間における均衡を失わないように十分考慮しなければならないという条文がございまして、労働者災害補償保険法の支給の水準に均衡をとって、先ほど申しましたような水準が定められておる次第でございます。
#23
○片岡勝治君 いままでそういう考え方に立ったということは、私としても経過的にわかるわけでありますけれども、しかし、そういう考え方はこれは是正していくべき段階ではないか。ILOでそういう基準をきめたから、あるいは他の補償制度がそうだからということではなくて、しかし、それは結局今度は労務災害のほうの委員会へ行けば、国家公務員や地方公務員との均衡があるんだからこれは百分の五十だというようなことで、お互いに足を引っぱっている。しかし、具体的に、私はこれはきょうでなくてもいいと思うんですけれども、後ほど資料として出していただきたいんですが、特に労務災害、公務災害でつまり主人がなくなった、そして奥さんが子供をかかえて生活をしている、そういう実態調査を一度してもらいたいと思う。非常に悲惨なものですよ。いま申し上げましたように百分の五十なんですから、三人家族で。つまり八万円の者は四万円しかもらえないんですよ、来月から、今月死ねば。そういうようなことで、これは公務のためになくなった、あるいは一般民間企業の中でいえば、何らかの関係で企業のために命を投げ出した、そういった者の補償については、これはいままでの月収の半分だ、これは二十万、三十万取っている人はそれでもいいかもしれない。そういう点、生活保障という考え方が人事院なり政府なりに非常に薄いんですよ。ですから、百分の五十、一番ひどいのは百分の三十、奥さん一人の場合に、若い奥さんの場合には三分の一です。いままで九万円もらっていた者は来月から三万円で暮らしていきなさい、これが公務のために命を失った、あるいは会社のために生命を失った人に対する補償制度ですか。私は、人事院なり総務長官がはっきりそういう点の見解を、それでいいんだ、政府はそうなんだというならば、それでやむを得ないと思うんですけれども、その辺、しかと承りたいと思います。そういう生活保障的な意味は考えられないのだ、いまの制度の上では――ということであれば、そういうふうにはっきり言ってもらいたいと思う。
#24
○説明員(後藤敏夫君) 御指摘のとおり、災害補償の本来的な意味は、公務上による負傷もしくは疾病あるいは死亡に対する損害の補てんという意味がたいへん強かったわけでございますけれども、災害補償制度の中に年金制度が導入されました事情等を勘案いたしますと、社会保障的な機能が災害補償制度の中に取り込まれてきておるんだという考え方も成り立つかと存じます。私どもといたしましては、決していまの水準が十分であるというふうに言い切れない面もあろうかと思いますので、今後労働者災害補償保険法等の検討とあわせまして、給付水準の改善については、なお将来検討をさせていただきたいというふうに考えておるような次第でございます。
#25
○説明員(大林勝臣君) 人事院からのお答えと同じ趣旨になろうかと思いますが、現行制度が公務上の災害をこうむったことによります稼得能力の損失補償という点に従来重点を置いて考えられてまいったわけでございますが、一部年金制度を導入いたしたということによりまして、いわゆる社会保障的な機能というものを今後果たさなければならないというような段階にもまいっておるのじゃないかということは私どもも考えております。これは公務災害補償制度の根幹にかかわる問題といたしまして、今後そういった社会保障的機能というものをどういうふうに組み入れていくかという大きな問題になってまいろうかと思います。今後とも民間の動向を見ながら私どもも検討してまいりたいと考えております。
#26
○片岡勝治君 よく田中総理も、発想の転換が福祉への転換だということを繰り返し言っているわけでありますけれども、まあいまの答弁を聞いてみても、どうも頭の切りかえがなされていないということをほんとうに率直に感ずるんです。これだけ福祉優先ということを考えるならば、具体的な態度で示すべきだ。私は以前決算の問題について本会議でこういう質問をいたしました。今日日本の行政の中にいろいろな格差がある。中央と地方、公務員と民間、官民、こういう点についていろいろな格差がある。こういう点についてひとつ総点検をして発想の転換という趣旨に沿ってやるべきだということを本会議でただしたところが、大蔵大臣は、政府はそういうような格差をやっているような覚えはないというようなことを答弁いたしました。ああなるほどこれは今日の田中内閣の冷たさを表現した答弁だということをつくづく感じ取ったわけであります。つまり、こういう点についても何ら改善のメスを入れようとしない。そういう点について私は率直にいって非常に不満だと思うんです。
 さらに、この補償制度に大きな問題点があるということについて触れたいと思うわけであります。これは今回この災害補償の特に年金部分についての計算は、いままでもちょっと触れられましたように、平均給与、まあ率直に端的に申し上げるならば、月収を基準にして年金というものが計算をされるわけでありますけれども、その月収のとり方は、死亡されたときには死亡された時点前三カ月さかのぼって、それを平均した月収ということを基準にして、その五〇%とか五五%、こういう計算をするわけですね。もちろん補償法の中におきましても、「年金たる補償の額については、国民の生活水準、国家公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合においては、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定の措置を講ずるものとする。」、第十七条の十に明記されておるわけであります。したがって、給与改定がなされた場合には、自動的にその給与改定された月収を基本にして年金が計算をされ支払われるということになるわけであります。まあ間接的なスライド制をとっておると言えるでしょう。しかし、ここで問題は、重大な欠陥があるということは、つまり給与改定によって間接的に給与のスライドは行なわれますけれども、定期昇給部分は何らの考慮をなされないということです。
 調査室からいただきました資料によりますと、一つのモデルとして、この災害年金を計算された資料があります。行政職(一)五等級九号俸、扶養親族妻、子二人、勤続二十年、三十八歳、俸給月額八万五千七百円、一応これをモデルにして計算をされた年金の額が示されておるわけであります。それによれば、補償年金は六十二万六千三百四十円、こういうことになるわけであります。そこで、これが、来年といいますか、ことしの春闘によって一万五千円程度の賃上げが行なわれ、人事院でもおそらくこれに近い金額のベースアップの勧告がなされ、それによって政府もおそらく給与改定をするであろうということが想定されるわけであります。そういたしますと、この俸給月額八万五千七百円は当然、平均的にいえば、ほぼ一万五千円賃上げされますので約十万円の俸給月額になるであろう。全くこれは仮定の話であります。数字についてはなおいろいろ若干の変動があると思いますが、かりに一万五千円のベースアップがあるとすれば十万円の給与になるわけであります。そして公務災害は十万円を基本にして年金が支給をされる、こういうことになるわけですね。
 そこで、何が問題かといえば、毎年のように行なわれる給与改定の部分については、その額が二〇%程度増加をした場合には、それに見合って平均給与額を是正して年金をスライドをする、こういうことになっているわけであります。そういうことはどういうことかといえば、五等級九号俸、扶養親族妻、子二人、この方にしてみれば、この人は永久に五等級九号俸に格づけをされるわけです。五年たとうが十年たとうがこの人の遺族は五等級九号俸の年金しか受けられない、そういう内容になっているわけです。これについては間違いありませんね。
#27
○政府委員(中村博君) 積算方式は、先生御指摘のとおりでございます。
#28
○片岡勝治君 そういたしますと、つまりこの人は三十八歳、十年たてば四十八歳になる、もし生きておられれば。なくなってしまったからそういうことは考えられない。しかし、遺族にしてみれば、子供たちは、十年たてば、かりにいま小学校に行っている子供たちは中学、高校に進んでいくであろう、やがて大学に行くであろう。しかし、遺族に対する年金というものは、永久に五等級九号俸で、昇給というものが一切認められないということなんですよね。そういう補償制度になっている。したがって、補償法第十七条の十によってのスライドというのは、そういう意味では非常に不完全であるし矛盾である。言うなれば、遺族に対して非常に冷酷な補償しかやっていないということが第一に言えると思う。
 これについて、人事院並びに総務長官のひとつ率直な見解を承りたいと思います。
#29
○政府委員(中村博君) 補償の場合に何を補償するかという問題があろうかと存じますが、その場合に、おやめになった、事故が起こって不幸にしておなくなりになりました場合には、そのとき、おつきになっておりました等級号俸から、その方の失われた何と申しますか稼得能力の損失分、これを積算いたします。そのことによって、そのアーンドキャパシティーの喪失分を補償するという観念を盛ってございますので、したがいましてその等級号俸に固定される、こういう点は先生御指摘のとおりでございます。
 しかし、当該の給与が変動してまいりますので、給与改定によりまして二〇%をこえました場合、その場合にはやはりそれによってその額を直していくこと、そのことが稼得能力の損失分のてん補というものを現在的なものにするという方策でございますので、そのような災害補償の基本的な補償方式の原理に立ちながらそれを現代的なものに改めていくということが、私どもの現在とっております平均給与額の改定方式ということであろうかと思います。なお、同じような稼得能力のてん補ということをいたしております労働者災害補償保険法におきましても、昇給という概念はございませず、稼得能力の喪失分を金銭に換算したものを――二〇%の限度でございますけれども――現在の時点において、何と申しますか、通用し得るものにするという観念で、毎勤統計によりまして二〇%をこえた場合には年金を改める、こういう方式をとってございます。
 いずれの方式をとるにいたしましても、稼得能力の現在的な補償という観点に立ってございますので、現在の補償理論からは、昇給を考慮するということは労災の場合でもいたされておらず、また国家公務員の場合でも、そのような災害補償の根本精神にかんがみまして、そのような点は考えていないということは事実でございます。
#30
○説明員(大林勝臣君) 私どもといたしましても、先ほどお答え申し上げたことに関連をするわけでございますが、現在の法律そのものが、災害を受けた当時の稼得能力の喪失ということを中心として考えておりますために、いわゆる完全な社会保障的機能までは踏み切っていないという点にあると思いますけれども、そういった両方の問題をどの程度調和できるものかどうかということが今後の問題になろうかと考えております。
#31
○片岡勝治君 ILOの勧告ということで、政府のほうもいま答弁がありましたけれども、欧米諸国の賃金体系と日本の場合には非常に大きな違いがあるわけです。御承知のように、欧米諸国においては同一労働同一賃金というそういう大原則に立っておりますし、日本の賃金体系は言うところの年功序列型、つまり若年は非常に賃金が安い、年をとるに従って上昇していくという一つの給与体系をとっているわけです。そういう点からすれば、こういった方式についてはある程度理解ができるわけですね。つまり大学を出て就職すればもう無条件に十万なり十五万取れるというヨーロッパの給与体系であれば、日本みたいに四、五万から二十万ぐらいにだんだん上がっていくというような給与体系ではありませんから、理解できないこともないわけでありますけれども、しかし、日本の給与体系というのは大きな欠陥があるけれども、だんだん年をとってくる、子供も大きくなってくる、学費がかかる、しかし月給のほうもふえていくからという、そういう利点があるということもこれは否定できないことだろう。しかし、この補償制度の中にはそういう要素を取り入れていないということについては、いまの日本の給与体系に見合った災害補償ということにはならないのではないかということなんです。非常にむごいことばですけれども、使い捨てということばがありますよね、人間の使い捨てですよ、これは。死んだ者は死に損だと、そういうきびしい批判が寄せられてもしかたがないでしょう。公務のために命を失った、しかし、永久にその人は昇給、昇格は認めませんよ、いまの月給の三分の一ですよ、半分ですよ、こういう措置でこれは福祉の転換だ、人間尊重だなんていうことが言えますか。それはいまの給与体系がこうだ、補償制度の体系がこうだからしかたがないんだというようなことでは、私は納得しませんよ。たったいまからでも、それじゃ直しましょうぐらいのなぜそういう気持ちが起こらないのか、非常に私は残念でたまりません。
 しかも、私はこの間決算委員会で――これをもとにしたこういう法律があります。警察官の職務に協力して災害を受けたそれに対する救済の法律がございますね。これは何を基準にしているかといえば、これを基準にしているわけです、これを基準にして。たまたま私の神奈川県の相模原市というところで、子供が川の中に落ちておぼれそうになった。そこを通りがけた一人の労働者が川に飛び込んだ。そして一人は救い上げた。そしてさらにまた二回目飛び込んだ。二人目を引き上げようとしたところが力尽きてなくなった。そういう大きな新聞の記事を見ました。そして、これに対する一体補償がどういうものなのかということがその新聞にも書かれておって、私も調査いたしました。しかし、大体これに準拠した措置なんです。つまり、その労働者の遺族は、命を投げ出して子供を救った、警察官の職務に協力した、そのことによって命を投げ出して子供を救ったわけでありますけれども、その遺族に対する補償というのはこの考え方と同じなんです。つまりその人の、労働者の平均賃金を割り出してその何割、五〇%と、そしてその賃金というものは永久にその賃金で押えられる。しかし、ベースアップ分は加算されますね。しかし、その労働者は年功序列によって――日本鋼管でありますけれども、もし日本鋼管につとめておれば年々昇給というものが三千円ないし五千円加味されてくる。その上に平均賃金が変わっていくわけでありますから、なくなられたのは二十九歳ですか、三十歳の人でありますけれども、かりに四十歳までつとめておればベースアッププラス昇給ということで相当の額が上回るであろう。しかし、それに対してはまことに非情な措置でありまして、そういう定期昇給は一切認めない。そういう災害補償になっておる。これは公務員だけではありません。民間でもそうですよね。そういうところになぜ発想の転換ができないのか。少なくとも人間に対して使い捨てなんというそういう悪評を買うような行政措置というものは、たったいまからでも私は是正してもらいたいと思う。できないことはないんですよ。どうですか。その点について。
#32
○政府委員(中村博君) 片岡先生御指摘のような災害補償体系という点は、確かに深甚な考慮を払う点であろうと思いますけれども、現在の補償体系につきまして先ほど御答弁申し上げたわけでございまして、そういった点はやはり現行の補償制度の根本にかかわる問題であり、かつ先生御指摘のように使い捨てというような観念を、御批判がある場合にはその点を私ども十分考えまして、災害補償制度を今後どのように検討していくかという場合には、その点を十分考慮して検討さしていただきたい、かように思っております。
#33
○片岡勝治君 いまごろ検討なんということば、ぼくは不満なんですよ。ですから、きょう一日この問題はやっていますから、昼休みにでも私は関係庁で協議をしてもらって、そしてはっきり国民の前にこの問題について明確なひとつ態度表明をしていただきたい。この点について私は質問を留保しておきたいと思います。
 次に、法案の具体的な内容について二、三お伺いをしておきたいと思うわけでありますが、通勤途上について今回その災害に対しての補償が行なわれるということについては、冒頭申し上げましたように私も評価いたしますけれども、なかなかこの運用といいますか、運営については微妙な問題があろうと思うわけであります。つまり合理的な経路及び方法により往復する場合にこれを補償しようと、こういうことになっておるわけであります。ああそうかというふうに考えられるわけでありますが、さて、一体合理的な経路及び方法によって往復をするというのは具体的にいって何だろうかということが非常に問題になってきますね。ちょっと一ぱいやったような場合にはどうなんだろうか、いろんなケースがあるわけでありますけれども、これについての運用方針といいますか、解釈といいますか、そういうものについて、この際最初にお伺いしたいと思います。
#34
○政府委員(中村博君) 「合理的な経路」とこの法案に書いてございますものにつきまして、私どもが現在のところ考えてございますのは、住居と勤務場所との間の往復に用いられる経路のうちで、社会通念上通常用いられる経路、かように非常に抽象的でございますが考えておるわけでございます。もちろん、たとえば通勤定期にしるされたような経路、あるいはまたそのような経路でございましても、たとえば道路事情その他によって迂回路を持っておるとか等々含めまして、社会的に、社会観念上通勤のための合理的な経路と認められる経路をいまのところ考えてございます。なお、いろいろデテールにつきましてはいろいろな問題が生じ得ると思います。現在すべてを網羅し検討することはできませず、また実際に問題が生じました場合にはいろいろ検討を要すべき場合が多いと思います。その場合には、やはり直接この点につきまして不服であるとして人事院に審査請求を行なう場合の人事院の決定でございますとか、あるいは照会に対します行政実例の判定だとか、あるいは裁判所におきます判決でございますとか、その他いろいろな実例の積み重ねによってこの問題は最終的にきめられるべきことであろうと思いますが、現在のところはこのような抽象的観念によって具体的な事象を判断してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#35
○片岡勝治君 人事院のいま答弁があって、具体的にこの法の運用というのはこれから発足を見て、具体的な事例が出て判断をすると思うわけであります。運用方針を見ますと、「日用品の購入その他」 「日常生活上必要な行為をやむを得ない事由」、そういったようなことが触れられておりますね。それでこの「日用品の購入」、さて「日用品」というのは一体どういうものなのかということになると、これまたいろいろと解釈によっては問題が出てくると思います。通常食料品とか、ほんの軽い、何といいますかね、洋服なんというのは「日用品」に入るかどうかわかりませんけれども、通常の衣料品というようなものは「日用品の購入」ということになるであろう、日常生活上必要な行為、「これに準ずる日常生活上必要な行為」ということになっております。先ほどちょっと途中で一ぱい飲むというようなことを申し上げたんですけれども、つまりこういうことは通勤途上の災害には適用するのは無理だという、逆に、そういう点をもし具体的な例があれば逆な面からあげてもらえれば、まあそのほかのことならばいいというようなことになると思いますが、何かそういう例示といいますか、そういうものがあればちょっとお聞かせ願いたい。
#36
○政府委員(中村博君) この「日用品の購入その他これに準ずる日常生活上必要な行為」をいかが解釈するかということは、先ほどの「合理的な経路」でも申し上げましたように、いろいろな事象が起こってきて個別的にやはりこの基本精神に沿いつつ判断しなければならないことであろうかと思います。現在の段階で私どもが考えております「日用品」でないものといいますものは、たとえば先生も御指摘のように洋服なんかはこれは入りません。それからまたテレビでございますとか、ピアノだとか、あるいは自動車でございますとか、冷蔵庫とか、住宅とか、こういったものは私ども現在のところ「日用品」とは考えてございません。それと「その他これに準ずる日常生活上必要な行為」、これは一番例としておわかりいただけますのは、独身職員が下宿へ帰ります間に食事をいたします。そのような場合には、これはもう食事は生活の基本的な問題でございますので、食事をする場合というのが「日常生活上必要な行為」の典型的な例であろうかと思います。たとえば該当しない例としましては、たとえばマージャンをやりますとか、あるいはゴルフの練習をやるとか、そういったことは、これは「これに準ずる日常生活上必要な行為」には該当しないであろう、かように現在のところ考えてございます。
#37
○片岡勝治君 せっかくできたこの災害補償ですからできるだけ、好き好んで交通災害を受ける人はいないわけですから、だれもがほんとうに不運の災害ということでありますから、あまりきびしく適用除外を考えるということは法の趣旨に反すると思うのですよね。いま出されましたテレビを買いに行って帰りに交通事故にあったとか、帰りに洋服を注文しに行って、寸法とりに行って帰りに事故にあったというようなこと、私はこれは適用していいと思うんですよ。通常の社会生活の上に特別の行為ではなかろうと思うのですよね。だからそういう点については、ひとつぜひ法の運用をできるだけ適用していくというような考えに立ってやっていただきたい。また「日常生活上必要な行為」、独身者の食事等はまあこれは当然常識的に考えられると思いますけれども、そのほかちょっと私は具体的にいろいろな事例をまだ考えておりませんけれども、いろいろあろうかと思うのですよね。だからそういう点については、あまり法の適用を縮小するのじゃなくて、悪意があった場合、これは除外されるわけでありましょうけれども、通常の行為である場合にはぜひ適用するようにひとつ法の運用をお願いしたいと、こう思うわけです。
 それから次の点は、ちょっとあるいは順序が狂ったかもしれませんけれども、出張と、いわゆる通勤途上との関係であります。たとえば、あした大阪に行きなさいと出張命令をもらった、きょうそういう命令が出た、あしたの朝、自宅から東京駅へ行って新幹線で行く、こういう道順になるわけであります。この場合には通勤途上ではなくて公務というふうに理解されるわけですね、あとでお答え願いたいのですが。それから休日の出勤、あした日曜だけれども仕事があるから出てこいという休日出勤を命ぜられた場合、これも通勤、この場合の通勤は公務、この場合の通勤で災害を受けた場合には公務災害とみなされる、あるいはまた夜間の出勤を命ぜられた場合、今晩十時に出てこいというような場合に、不幸にして交通災害にあったというような場合には公務とみなされる。そういうふうになっておるようでありますけれども、これらの点について具体的に説明をしていただきたいと思います。
#38
○政府委員(中村博君) いま先生お示しの出張あるいは休日の出勤、それからまあ夜間の臨時緊急の出勤等々、これらはいずれも公務上と現在のところ取り扱ってございます。と申しますのは、出張の場合には、確かに自宅から出て、ある用務地へ参って、そこで仕事してまた帰るということでございますが、通常の執務と離れてそのような職務を命ずるわけでございますので、それは自宅を出ましたとたんから出張中におきます純然たる私事行為、たとえばお酒を飲みに行きますとか、そういった私事行為に類するものを除きましたすべての期間は、これは官の支配管理下にあるものだと、かように考えておりますゆえに、出張の場合におきましては、自宅を出まして後は、特定の場合を除いて、すべてこれは官の支配管理下にある。したがって、その際において公務に起因したものはこれは公務上である、かように考えてございます。
 それから日曜出勤の場合におきまして、休日出勤の場合におきましては、これはまあ夜間の出勤も同じでございますけれども、公務員の場合は民間の労働者と法構造がちょっと違ってございまして、三六協定なり何なりというものを要せず、国の事務のために臨時緊急の必要がある場合には出勤を命じ得るわけでございます。これはやはり公務が国民全体に奉仕、国民のためにその仕事を行なうという特性から出てくることであろうかと思います。しかも公務員でも当然勤務を要しない日は十分自宅で静養し、あるいはまたいろいろな自己の好みの行為をいたしまして次の日に備えることでございますけれども、いま申し上げましたような公務の特性から、そういった日常生活のいわばリズムでございます、それを乱して、そしてその公務の遂行を命ずるわけでございますので、この場合におきましてもやはりこれは官の支配管理下にある。かように考え、その間に起きました事故につきましては公務上として取り扱う、このことがやはり公務上災害の基本精神にかんがみて最も適切であろうということから公務上の取り扱いをいたした、かようなわけでございます。
#39
○片岡勝治君 出張の場合は私もある程度理解できるところです。ただ休日出勤の場合に、通常の場合には代日休暇をもらうわけですから、休日出勤の場合に交通災害を受けた場合に公務として取り扱う、取り扱っちゃいけないということを私は言っているんじゃないのです。つまり休日出勤の職務内容と、そうでない日の通常の職務と、その内容的には同じなわけでしょう。ただリズムをくずして云々という、それは気の毒だからというようなことはわかりますけれども、だから、これは話はもとに戻りますけれども、そういう点でやっぱり通勤災害を公務として見ないという、そういう前提に立つとこういう矛盾が出てくると思います。休日であろうと何であろうと通勤は通勤ですからね。むしろ休日に出なければならない職種だってあるわけでしょう、公務員の中には。そういう場合にはどうなんですか。
#40
○政府委員(中村博君) 休日に出なければならない職務というものは、まあ交代制の勤務の中にそういうような実態を有するものもあるようでございますが、これもやはり休日に出なければならないということではなくて、休日に官の都合によって出すから休日給を支給するという構造に相なっておるかと存じます。まあ休日の場合には、確かに先生御指摘のように、出勤という態様は全く変わりないわけでございまして、役所が同じ場所にあります限りは変わりないわけでございますけれども、やはり実際通勤を行なうための、その通勤を行なうことの原因でございますか、適切なことばがございませんが、要するにその日は休みであっても、なお官の都合によって国民のためにどうしても出ていただかなければならぬという場合に、これはやはり一般の通勤の場合と違って、公務上としてこれを取り入れていくというのは、私はその公務員の勤務実態に即した考え方ではなかろうかと、かように存じておる次第でございます。
#41
○片岡勝治君 取り扱い、この法律が施行された暁に――いまでもそれはそういうことになっているわけですよね、いまでも。ですから、その辺に非常に矛盾があるわけでありまして、これは今回の法律の根本に触れる問題ですから、ここで若干ただしましたので、この問題は次に譲りたいと思うわけであります。
 なお、時間がなくなりましたが、それでは次に、先ほどもちょっと触れましたように、この補償制度そのものについては民間の状況などを見て改善すべきものは検討していきたいという答弁がありました。そこでひとつ、民間の公務災害については労災保険があるわけでございますけれども、それとは別個にほとんど、特に中、大企業においては見舞い金といいますかね、そういう制度がほぼ私は確立しているのではないかと思うわけです。しかし、公務員の場合にはそういう制度がないということでありまして――まあ全くないということではございません。特例として、全く異例の措置として、近い例として成田問題が発生したときに警察官がなくなられた、これはまあ全くの特例として総理大臣から一千万円の見舞い金が出たということでありますけれども、いま申し上げましたように、民間企業の場合にはほとんど企業のためと申し上げますか、つまり労働しておるときの災害でありますので、そうした見舞い金制度というものがある程度確立をし、だんだんそれが整備をされてきているように聞いておるわけであります。そうなりますれば、公務員の場合にも、やはり公務のために受けた災害でありますので、そうした見舞い金制度というものをもっと充実というか、そういった考え方を取り入れてしかるべきではないかと思いますが、いかがですか。
#42
○政府委員(中村博君) ただいまの御質問は、法定外給付の問題であろうかと存じます。法定外給付の問題につきましては、先般の改正の場合に附帯決議としてお示しもいただいてございます。したがいまして、私ども昨年一部の実態調査をいたしまして、民間の場合にはどのような法定外給付が行なわれているか、私どもといたしましてもその実態を早く明確につかみたいという気持ちを持っていたしたわけでございます。まあ調査の方法の不十分もございまして、要するに民間の場合におきましては、これは先生も御承知のように、死亡の場合等にはいろいろな名目をもって、いろいろな形でいろいろな額の金が出されておるわけでございます。その場合に、そのお金の性格がどういうものであろうかということを十分考えなければいかぬということなんでございまして、まあいろいろたとえば法定補償の上積みでございますとか、弔慰、見舞いの意味で差し上げておるとか、その両者の目的をあわせ持っておるとか、あるいはまた給付額の決定方法にいたしましても、定額制であるとか定率制であるとか、あるいは勤続年数を考えるとか、扶養家族数を考えるとか、いろいろな態様の要素の組み合わせがあるわけでございます。したがいまして、この集計をさらに急ぎますと同時に、本年の十月以降におきまして、その結果をある程度踏まえましてさらに突っ込んだ調査をいたしまして、そうして民間の場合に、使用者としての民間の事業主が大体どういうような形でその上積みをしておられ、またどのような考えで額を決定しておられるか、そういう詳細部分につきましても十分な資料を得まして、この点につきましては引き続き検討を進め、できるだけ早い機会に何らかの措置をいたすというように考えまして、そのように十月以降の調査でございますとかという手段を考えておるわけでございます。この点は今後鋭意資料に基づきまして検討を進めてまいりたいと、かように考えてございます。
#43
○片岡勝治君 それでは最後に、今度のこの法律によりますと、医療を受けた場合に、初診料というのですか、二百円取るというのですよね。まあいろいろ政府のほうの説明書によれば、ああそうかということも考えられないことでもないけれども、二百円をどうしても取らなければならぬということではなかろうと思うのですが、どうですか、これは。二百円、金額も――まあ多いからその妥当性を認めるわけじゃありませんけれども、かりに千円とか二千円ということなら、それはある程度財源で何とかということもあろうけれども、二百円というのは一体どういうことなんだろうかと、非常にふしぎに私は感ずるのですよ。この点ひとつ最後に明快なお答えをいただいて、終わりたいと思います。
#44
○政府委員(中村博君) なぜ二百円を徴収するかという点につきましては、これは労働省で行なわれました通勤途上災害調査会の場合でも、労使の方々が非常に御意見が対立いたしまして、結局いろいろなお話し合いがあった末、このような形に労災の場合にはなっておるやに伺っております。この問題は、先ほど先生が御指摘のように、通勤途上災害というものを公務上にするかどうかという問題とも基本的にかかわってくる問題でございます。したがいまして、現在の段階におきましては、相互の負担の公平ということから、額は二百円でございますけれども、これをいただくことによって現在の通勤災害補償制度というものの性格づけをしておるという観点に立っておると私どもは考えてございます。なお、もちろんすべての方からいただくわけじゃございませんので、たとえば通勤途上災害で、その大部分を占めるであろうと考えられます、第三者がぶつかってきました第三者行為の場合、このような場合には、これは損害賠償請求をなし得るわけでございますので、第三者行為による場合に、損害賠償請求された場合に、これはもう二百円を負担されなくてもいいというかっこうになります。したがいまして、いまの二百円というものが、いろいろ御批判はあろうかと思いますが、現在までの労使の方々の御意見の調整の結果として出てきたと、その事実を私どもとしましてはすなおに受け取らしていただいておる、こういう状況でございます。
#45
○片岡勝治君 すなおに理解できません。しかし、時間がきましたので終わります。
#46
○委員長(高田浩運君) 本案に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。
   正午休憩
     ―――――・―――――
   午後一時九分開会
#47
○委員長(高田浩運君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#48
○宮崎正義君 坪川総務長官にお伺いいたしますが、災害基本法、災害対策に対する災害基本法がございます。そのほか災害については種々各省間の中にもそれぞれ災害対策に対する法律というものができておりますが、およそどれぐらいの法律がございますか、参考のためにお伺いをしてみたいと思います。
 長官は、災害のことにつきましても非常に建設大臣当時に御苦労なさいまして、いち早く現場等にかけつけられたこともございますし、いま私たちが論議しております国家公務員災害補償法関係の法律もございますので、それらを含めまして、なぜこのように災害というものに対して幾つかの法律を、これから発表していただきますが、その基本となる態度というものは、災害が起きてからいろんな法律をつくられても何にもならないんじゃないか。災害が起きないように未然に防止していくことが何よりも国民を守り人命を尊重するという結論になるわけでございます。残念ながらそういういろんな災害が起きてから法律がつくられてきている。これもまた一面けっこうなことだと思いますが、現在日本に、わが国にどれぐらいの法律がございますか、ひとつお調べでしたら御回答を願いたいと思います。
#49
○国務大臣(坪川信三君) 宮崎委員御指摘の国の大切な財産、また、国民の人命につながる重要な災害対策という諸般の問題につきましては、御指摘のとおりに最も重要な問題であろうと考えるのであります。したがいまして、起こらない前にこれらに対するところの防災、あるいはこれに対するところのあらゆる問題に取り組んでいくべきことは当然でございますが、それぞれのこれに関連する防災関係の法案の正確な数字について、まことに失礼ではございますが、私まだ勉強不足といいますか、つまびらかにいたしておりませんが、いずれ正確な調査をいたしまして御返事を申し上げたいということで御了解を願いたいと思うのでございます。
#50
○宮崎正義君 建設省関係でも砂防法とか急傾斜地法だとか、もうだいぶございます。それはまあ別といたしまして、本日審議をいたしております国家公務員の災害補償法についての論議でございますが、この問題等につきましても、やはりこの法律は通勤途上ということになりますと、通勤途上に起きる災害を予測するんじゃなくて、防止していくという体制の上から論議は進められていかなければならないし、また、できている問題についてはそれを補償もしなければなりませんし、また、今日の社会情勢の中で国家公務員の人たちが通勤ラッシュのときに、やはり一応の対策としては法制定、新しい法制定の上で守っていかなければならないということも考えられますが、ともあれ、今回のこの法律の改正案をお出しになったという基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
#51
○国務大臣(坪川信三君) お話のごとく、経済の異常な伸展、拡大によっての私どもの生活環境というもの、また社会現象というものがまことに何と申しますか、御承知のとおりのような現実に相なってきてまいりますと、いま御指摘にありましたごとく、人間の生活の問題の上においてあらゆる問題が露呈されてきまして、それが残念なことには、とうとい人命に大きな影響を与えるという発生事故状況が出てくるということなどを考えますときに、やはりわれわれといたしましては、そうした現象のなきよう万全の災害に対するところのあらゆる対策を講じ、また、これらに対応するところの行政の指導、また、立法の措置も講ぜなければならぬと考えておる基本姿勢は御指摘のとおりでございます。しかし、現実の上において、公務員の方々が公なつとめの、勤務する場合におけるところの途上において発生した不幸に対するところの補償をいたすということが、これがひいては職場の意欲が、また職場へのそうした安全度が個々の公務員の方々に持っていただく意味においても、大きな業務上の、いわゆる勤務上の障害に影響を与えるものであるという立場から、このたび通勤災害の補償という問題についての的確な人事院の答申を得、これを踏まえて政府といたしましては措置を講じたというようなことでございますので、私は今後もそうした点に配意をいたしながら、こうした厳粛な問題に取り組んでまいりたいということは、政府の当然の措置であり、姿勢でなければならぬと、こう考えております。
#52
○宮崎正義君 本法案の趣旨説明にもございましたので、その基本理念の上からいま御答弁がありましたように、今後も、事故が起きるのじゃなくて、起きる前にあくまでも防止していくという観点に立っていかなければならないということは当然だと思います。
 そこ女交通規制の関係について質問をいたしたいと思いますが、久本交通規制課長さん、現在の交通規制の現況についてどのような状態か御説明を願いたい。
#53
○説明員(久本礼一君) 交通規制の現況と申しましても、非常に多岐にわたるのでございますが、特に通勤・通学時間帯において、その交通を安全に確保するための規制という意味でお答えをいたしたいと思います。
 通勤・通学時間帯の規制につきましては、基本的にはこれが特定時間に集中する交通でございますので、したがって、その時間に通行しなくても他の時間を選択する余地のある交通との調整の中で、できるだけ通勤・通学の交通を確保する、その交通ができるだけお互いに形の違う交通の間で事故を生じるような不安定さを減少させるということが、通勤・通学の交通に対します交通規制の基本的な考えでございます。このような見地から、交通警察といたしましては、警察庁が業務指針を設定いたしましてそのような趣旨における交通規制を各都道府県において公安委員会に実施をするようにという指導をしているところでございます。
#54
○宮崎正義君 具体的にはどんなふうなことをやっておられますか。
#55
○説明員(久本礼一君) 交通規制は、具体的にはその道路あるいはその都市の状況によって条件が違うわけでございますが、最もそのような条件のきびしい東京の例で申し上げますと、通勤時間帯における大型の貨物自動車の通行規制というようなものが昭和四十六年から実施をされているところでございます。それ以外の都市におきましては、具体的に現在全都市の規模でそのような大型車の乗り入れ規制をやっているというところはまだございませんが、部分的には都市の規模等によりまして、かなりそのような規制を取り込んでいるところもございます。これは今後私どもといたしましては、このような規制についてやはり必要があり、かつ可能な場合には、できるだけこのような規制を進めようという指導をしているところでございますが、これは通勤時間帯における通勤交通の安全かつ円滑確保対策の一つのやり方になるだろうというふうに思うところでございます。
 それから通勤・通学交通というのは、やはり都市の交通の規模全体をとらえての対策がなければならないと思うのでございますが、その意味では円滑な通勤コースを確保し、かつ、それが安定した形で走行できるということが終極的な安全につながるものというふうに考えているところでございまして、いろいろな機会に申し上げているところでございますが、都市における多量公共輸送機関の充実、確立というようなことを目ざしまして、できるだけ通勤時間帯における必要な交通需要を輸送できるような、交通量を少な目に押えて、できるだけ円滑に機能的に走れるようにいたしまして、その中で安全な交通を確保してまいりたい。また、自転車によるところの通勤・通学というものにつきましては、通勤・通学時間帯における自動車をある程度押えて、安全な自転車の通行を通勤時間帯においては確保するというような規制を行なうようにこれも指導しているところでございまして、御承知だと思いますが、数日前に警視庁が東京の三多摩地区で行ないました通勤自転車交通の確保のための交通規制というようなものも、そのような方針のもとにおいて行なっているところでございます。
#56
○宮崎正義君 十一日の、これは国鉄だけを例にとりましたものですが、国鉄関係で、十一日の朝のラッシュ時間にざっと調べたものだけでも、国鉄関係だけで、それに伴っての交通の足の乱れということは当然伴ってくることですから、関連をいたしていることですから申し上げて見ますと、「十一日朝、国鉄首都圏管内で車両故障や踏み切り事故、飛び込みなどが相次ぎ、ラッシュ時に各線のダイヤが混乱、通勤客など約八万人の足が乱れた」。これはほとんど毎日のようにこういう状態というのはあるわけです。これはこまかく出ております。川崎市の多摩地区での踏み切りで登戸発の川崎行き電車、このところに男の人が飛び込んだ、そのために二万五千人の足が乱れた。また、「七時四分ごろ、横須賀線保土ケ谷−横浜間で久里浜発東京行き電車(十五両編成)が進行中、ドアの開閉を示す運転台のパイロットランプが突然消えストップした。しかしドアに異常はなく、そのまま東京まで運転した。これで四万人が影響を受けた」。これをずっと一々読みますと時間がありませんから、読み上げるのはやめます。こうした一つの国鉄の事故だけでも、今度はこれが一挙に目的地につきますと、交通量の問題、また通勤客のラッシュの状態というものが複雑化してくるという傾向になってくるわけです。こういうふうなことを踏んまえながら、いかにして未然に災害を起こさないようにするかということが交通規制の本意だと私は思うわけです。
 いま御答弁がありましたように、部分的に規制をいたしているというお話をされました。確かに三多摩、多摩地区において、お話がありましたように、車をとめて自転車の交通規制をやっている。これがみごとな成果をおさめたことは、これは私は大きく多としておるわけでありますが、そういう部分的なことでなく、現在のラッシュ時にどういうふうな状態で車が殺到しているか、自動車に一例をとってみてもおわかりだと思いますが、たとえば赤坂見附からわずかこの国会に来るまでの間の、あの赤坂の交差点でどういうふうな交通事情になっているかということを見ただけでも、一部分を見ただけでも、たいへんな大きな災害、事故が起きるという様相が毎日繰り返され、続けられているわけです。方向が違って、私はそっちのほうに通勤していないからわからないとおっしゃるかもわかりませんけれども、念のために明日の朝でもお行きになってごらになればよくわかると思うのですが、自家用車、トラック、タンクローリー、バス、これがメジロ押しにあの坂を上ってきて、そうして国会のほうに回ろうとするのと、まっすぐ行こうとするのと、左へ回転しようとするのと、その状態を見ていきまして、いつ何どきあのタンクローリーの中に入っているあの車に激突したときには、どういう事態になるか、こういうふうなことを考え合わしたときに、何がための規制をしなければならないかということをお考えにならなければいけないのじゃないかと思うのです。したがって、そういう点についての私は部分的な御答弁にありました、こういうふうに、そういう朝のラッシュについては、どこどこ街道についてはトラックの規制をこうしておりますとか、あるいはタンクローリーはこういうふうな規制をいたして人命を守っておりますとか、そういう具体的なことを御答弁願いたいと思うのです。
#57
○説明員(久本礼一君) 先生御指摘になりました全体としての通勤・通学の交通の安全の確保のためにつきましては、交通規制は、これは御承知のとおり、道路交通に対処するものでございますので、直接的には道路交通網を基本にするわけでございますが、もちろん御指摘になりましたような他の輸送機関の問題によって生ずる道路交通への影響を意味するものではございません。ただ、これは非常に即物的にその場その場の事故処理等によりましてなされることが多いわけでございますので、これは具体的な事案が発生いたしましたときには、交通警察として最善のあるいは現場処理、あるいは情報付与等によって道路交通に混乱を与えないような措置をいたす、これは災害の場合も同じでございますけれども、そのような実施につとめているところでございます。また、具体的な規制につきましては、私個々の都道府県の規制の事例をここに詳しくは持っておりませんので、先生の御要求になりましたような具体的なこういう規制をやっているという形でのお答えを現在するだけのものを持っていないわけでございますが、これは今後いろいろな具体的な事例を通じて機会があれば御報告申し上げたいと思います。
 ただ、一般的に私ども考えておりますところを申し上げますと、やはり先生御指摘のような赤坂その他の例をとってみましても、総体的にある地点に集まる車が多いということは、一番都市内の道路における危険性を招来する問題でございます。したがいまして、やはり交通規制としても、都市内における交通量の絶対量はやはり減らす方向でいかなければならない。それを一つの基本的な戦略として持っているところでございまして、さらにそのようなものが特定の場所に必要もないのに集中するということは、交通規制によってそれを、場合によっては車種別の規制をしてそこに入れない、あるいはほかを回らせるといったようなことをやるところでございますが、それは個々の御指摘になったような赤坂とか、あるいはその他同じような問題を持っております交差点に具体的にどういう車が集まるかということを調査をいたしまして、それをどう回していくかということを考えながら都道府県警察がそれぞれ現在苦労もし、知恵もしぼっているところでございます。ただ、その具体的な結果につきましては、既存の交通との利害調整等の問題もございますので、なかなか思うようにいかないという点もございますが、基本的にはやはりそういう問題にメスを入れて、御指摘になりましたように、できるだけ非常に混在をしたものがランダムに集まってくるというような状態はこれは解消していくという姿勢で交通規制を運用するという考えでございますので、御了解いただきたいと思います。
#58
○宮崎正義君 なかなか了解できないのですが、いま始まったわけじゃないわけです。いま急に交通事情が複雑化してきたということはないわけです。もう高度成長経済下における今日の社会情勢の中から、何年こういう状態が続いているかということを考えあわせてみたときに、指摘されたときには、そういう状態は善処するとか対処するとかいうことで、それを研究もしているとか言うけれども、現実には一こうにそれが規制されない。もし万一、けさもタンクローリーがそれこそ接触せんばかりになって、満員バスと接触したかなとはっと思うような、そういうふうな状態を見せながら左に曲がっていきました。バスは右に入ろうとする。そういうあぶない事件が繰り返されてきているわけです。きょう始まったことじゃございません、これは。
 いま御答弁がありましたように、交通の最も激しいというところはおわかりだと思うんです。であるならば、大型トラック、これはもうものすごい爆音をあげながら、ラッシュであろうが何であろうが、ぐんぐんと、われ先にと割り込んでくる。そういう姿を、なぜ今日まで、いま御答弁があったようなことをしなかったのかということなんです。こういうことをはっきりさせることが、公務員の災害補償ということをしなくても済むという基本的な考えになるわけであります。人事院総裁も、こういうふうな点をどう考えておられますか。この基本があれば、人命を守っていくという形の中から見れば、こんな法律は要らない。通勤途上に――それはまたあとで私は逆なことを言わなきゃなりませぬけれども、そうなんです。ILOの問題とかありますので逆なことを言わなきゃなりませんけれども、ILOの問題にいたしましても、これは労働災害の補償にいたしましても同じことだと、私は原理は同じだと思うんです。そのもとをどうしていくかということを考えていかれるならば、その原因が究明され、原因が正しくされていけば、この法律は要らないと思うんです。二百円出しましょうとか、二百円出しなさいとかいうような、この法律なんかもほんとに笑止千万なことだと私は思うわけです。どうなんでしょうか。
#59
○政府委員(佐藤達夫君) 全く御同感でございまして、ここに職員局長来ておりますけれども、かねがね私が主管の局長あたりにも申しておりますとおりのことを、おことばを伺いまして、非常にうれしいと申しましょうか、私の考えているところと同じであることを心強く拝聴したわけでございます。おっしゃるとおりでございまして、災害が起こったあとで、いかにお金なり何なり手厚い補償をしたところで、一本の足、一本の腕が失われた、それは絶対戻ってこない、それが失われないようにすることがわれわれの第一の責任ではないかということを申しておるんであります。で、職員局の所管事項の中には、やはり公務員全体についての安全の保持、それから健康の保持、これが一つの使命として課せられております。したがいまして、いま申しましたような心組みで安全あるいは衛生関係の――幸いにして本年度から予算もまた少しいただきました。多少陣容も充実することができましたし、そういう意気込みで今後も臨んでまいりたいと思っております。
 ほんの七日まででございましたけれども、毎年公務員のための安全週間というようなものもやりまして、そういう面の普及宣伝もやっておるんでありますが、ことしのキャッチフレーズは何だったかと、いま確かめましたんですが、「まさかまさかが事故を生む」、これはほんとうにこの交通災害なんかには最もぴったりした私は標語じゃないかと、いま申しておりましたんですけれども、そういうような、とにかく心がまえだけはそういう心がまえで臨んでおることを申し上げておきます。
#60
○宮崎正義君 予算をいただいたというんじゃなくて、予算はどんどん――、人命尊重の意味において、人事を扱っている最高の総裁でありますし、いただいたんじゃなくて、人命を守るためによこせと、こんなふうな姿勢でひとつ強力にお願いたしたいと思います。これはお願いでございますが、長官もお聞きのとおりでございます。
 そこで、交通規制課長にお伺いしますが、いまの私の考え方を通して、このタンクローリーの内容のことについてお知りでございますか、タンクローリーの中身ですね。
#61
○説明員(久本礼一君) タンクローリーにつきましては、主要なものは私どもの直接の所管ではございませんが、消防法の規制を受けますところの可燃物、これがタンクローリーによって運搬されるものが大部分であるというふうに承知をしております。これは可燃物でございますし、消防法によってきびしい規制がなされておるというふうに承知をしておりますが、これが道路を通行いたします場合におきましては、他の自動車と同じでございまして、大きな事故が発生すれば、まかり間違えば強力な発火源にもなる、火薬庫にもなるというものであることは承知をしております。したがいまして、こういうものはやはり一般の車両、トラック等とは違った危険なものがあるということは御指摘のとおりでございまして、これらのものにつきましては、毎年主管行政庁のほうで危険物の安全な運搬の確保といったようなことをやられます際にも、交通警察といたしましては協力をして、こういうものが町を走っているということの警察官に対する認識と、なおあわせて一般の取り締まり等も行なっているところでございます。
#62
○宮崎正義君 私の質問したことに、内容が、答弁がないんですが、この内容がどんなものが入っておりますかということをお伺いしたわけです。まあちょっと無理かもわかりませんけれども、この内容、何が入っているかということがわかりませんと、もし、それに違反し、またその違反行動を起こした場合には、じゃあだれが取り締まるかというと、課長のほうで取り締まるような体制じゃないんでしょうか。そうなれば、当然内容についても――今回もまた爆発しましたですね、御存じでございましょう。二、三日前に。あれは、容器は企業体のほうにあって、国鉄のほうじゃ責任がないとかかんとか言っておりますけれども、もし、いま御答弁の中にありましたように、タンクローリーの爆発したときに、可燃物が爆発したときに、その中身が何であったかということ、その容器がどんなふうな、何年間そういう容器が使われておったのか、そういうチェック、また、それを犯した場合には、これは警察庁のほうで取り締まっていくという、罰則のほうは、そういう立場で取り締まるということでありますが、取り締まるという以上、ならば中身も、出発点もわかっていなければ、これは取り締まることができないんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
#63
○説明員(久本礼一君) 道路を通行いたしますところのタンクローリーにつきましては、それぞれこれの構造、あるいは運搬のしかた、それの基準が定められておって、基準に合わない場合にはこれを指導し、是正させていくということは、それぞれの主管行政庁によってやられるものであるというふうに承知をしております。したがいまして、私どもといたしましては、直接的にはそのような指導は関係行政庁によってなされることを期待いたしながら、特別これら機関が行なわれますところの指導月間、取り締まり月間等におきましては、これに協力をして、車を停止させ、必要な行政機関が指導される際にあわせてそれに立ち会い、必要なものについては取り締まりに持っていくということをしているところでございます。まあこれはタンクローリーといえども道路を通行しております際には一般の自動車でございますので、私ども通常は、いろいろここに定められているところでの外見から見た表示、これが行なわれている行なわれていないというふうなことにつきましては、肝心なことでもございますので、警察官が見ても比較的よくわかりますので、そういうものについては必要があれば車を停止させて指導するというふうなことは、警察でも取り締まりは可能でございます。それ以外の点につきましては、やはり一般の自動車と同じように、まあ大体あぶない物を積んでおるという認識で、非常に乱暴な走行をする、あるいは一般の交通に障害になるような形で走行するというものにつきましては、道交法の見地から交通秩序を守る、交通の安全を守るという立場において、指導をし、取り締まりをするという考えでございます。
#64
○宮崎正義君 たとえば交通方法の――これはしろうと考えでありますが、片道二車線あったとする、全体で四車線。その二車線の一番左側をタンクローリーを走らせる、トラックもそれを走らせる、中央のほうには乗用車を走らせるというようなこの規制方法、いろいろ考えられると思うのですが、これは一つの私のしろうと考えでございますので、そういうふうな規制のしかたをして事故を未然に防いでいくということも、これは一応考えなければならないと思うのです。一車線の場合には、何時から何時まではラッシュだから、これはその危険物は入ってはならない、そういう標示があるなら、そこで規制させるか、あるいはそういう業者に、どこの地点のどの方面は危険物はこの時間は通ってはならないと。よくタクシーに乗っておりましても、「交通規制を申し上げます」と盛んにやっていますよ。まことにあれはいいことだと思う。残念ながら、トラックでもタンクローリーでも何でもいいから、それ行けそれ行けみたいなことじゃ、これは私はいかぬと思う。こうなったら絶対に災害が当然起こるべくして起きてくるということは必然であります。かつてタンクローリーがひっくり返ってガソリンが流れ出した。ちょっとでも火がついたらこれはもう大事件が起きてくるということがございました。関東地方では起きております。これ、自分でひっくり返ったのです。そういうことでも、これはちょっとでも火がついたら大騒ぎだというので、全町の町民が砂を持ってきてかけていったということも過去にございました。これは住宅街の中で起きたことですから、これはえらい騒ぎでございました。そういうふうなことも一歩一歩発表しながら、せっかくああいう「交通規制を発表いたします」 「交通規制を申し上げます」といって自動車放送、タクシーの中で放送しているのですから、トラックにも、特にその危険物を持っているタンクローリーなんかには、それらをよく認識させるような指導というものが大事だと思うのですが、いかがですか。
#65
○説明員(久本礼一君) タンクローリーのような危険な、危険物を積載しておる車の通行法について対処すべき方法として、先生がいまおっしゃったようなことは一々ごもっともだと思います。
 具体的な方法につきましてお答え申し上げますと、御指摘になりましたような住宅地でタンクローリーが通って、そこで危険な状態をつくり出す可能性があるという点につきましては、現在スクールゾーン方式等にいわれておりますような地域規制、すなわち住宅が密集しているようなところにはそういう危険な車両、大型の車両あるいは用事のない車両等は入ってもらっては困るということで、それを支障のないような道路に戻って通ってもらうといったような裏道規制は現在非常に強力に推進しているところでございますが、これはただ裏道の車を単純に締め出すということだけじゃなくて、そのような危険な状態をつくり出さないということを含めて実施しているところでございまして、その中には地域に対する大型車両の禁止というようなことが当然に入っております。したがいまして、先生が御指摘になりましたようなことを具体的な裏道の規制に生かすように現在進めているところでございますが、その点については今後も強力に推進したいというふうに思います。
 それから具体的に特定の路線を通して、危険でないような道路を通しなさいというようなことは、直接現在まあ規制によってやるという方法もないではございませんが、各県の警察におきまして、たとえばタンクローリーはこの時間は通るのをやめてくれ、あるいはこの道路を通ってくれといったような具体的な行政指導を業界に対して行なっているような次第でもございます。これはそれぞれやはりそういう方法が有効であるというふうに考えて行なっているわけでございますが、今後ともその地域の状況に応じて、このような考え方によるところの指導は強力に進めてまいりたいというふうに考えます。
 それから一番左側の車線をタンクローリーを通して、ほかの車と混在させないようにということは、これはたいへん現在の交通規制の方向にかなった御意見でございまして、私どももなるべく交通形態の違ったものを混在させないということを、交通規制の技術的な手法として進めるという考えでございます。ただ左側という点につきましては、実は現在大都市の特に通勤時間帯に考えておりますようなバスレーンの問題等もございますし、また左へ曲がる車が大体道交法上は一番左へ寄らなければならないという点もございますので、常に左側に通すということがいいかどうかは、個々の道路状況なり、地域の状況によって問題もございますけれども、ある特定の車線に特定の車を走らせて、なるべくほかの車と一緒にさせないという手法は、おっしゃるとおり、たいへん有効でございますので、あるいは御承知かと思いますが、警視庁が東京の環七におきまして、大型車両は全部中央線寄りを通れという規制を夜やっておりますけれども、このような規制の方法を、やはり安全対策からも見て有効だと思う場合は今後考えてまいりたいというふうに思います。
#66
○宮崎正義君 この論議をやっていて、もうかれこれ一時間近くなりました。時間がないわけで困っちゃいました。大事なことですからもう少し申し上げたいと思いますが、結論を申し上げますと、この高圧ガスの場合は、これは通産省が認可できるようになりまして、これは私が申し上げることもないと思います。ガソリンの場合は、これは消防ですか、そうですね。それから毒劇物、これは厚生省。総務長官、これをまとめるのは消防庁なんですね。それでこれを許可するのはその三つの行政機関でやっておるわけです、許可している。通産省、それから厚生省、消防庁、この全体を取り締まるのはだれかと言いますと、総理府総務長官なんです。したがって、このもとはやはり長官のほうからこの考え方というものを明確にしていかなかったならば、通勤途上の災害防止ということには私はならぬと思う。その意味でいま具体的な例を集めながら、集約すれば総務長官の責任になってくるんじゃないかと言いたいんだ、どうなんでしょう。
#67
○国務大臣(坪川信三君) 国民へのこうした問題の影響が大きく響く上においての各行政庁とのその統一的な方策、これは当然私のほうの責任においていたすべきであるということは十分了承をいたし、また考えるべきだと思います。しかし、なるべくそうした問題の点は数多くありますけれども、それらに対するところのやはりそごの来たさないような調整は十分これからも続けてまいりたいと、こう考えております。
#68
○宮崎正義君 最初に申し上げましたように、災害基本法がございますのですから、その災害基本法にのっとった中の国家公務員の災害問題ということにもこれは当然含まれていかなければならぬ。そういう一本の線からひとつ行政というものをやっていただきたいということを私は申し上げたいと思うのです。
 で、けさの私が拝見しましたのは、朝日新聞に非常にいい記事が出ておりました。参考に申し上げて長官の御意見を伺いたいと思うんです。これはロンドンで、「日本の通勤着には、うらやましいお話」だと、お読みになったかどうかわかりませんけれども、「ラッシュ時の流入人口」 「十年で十五万人減」 「政府の指導でオフィス疎開」ということが見出しになっております。御存じでございますか。
#69
○国務大臣(坪川信三君) 新聞で拝見いたしております。
#70
○宮崎正義君 それであるならば私はくどくど申し上げません。ついでに、私の気のついた重点的なことだけ、私は私なりのとらえ方をしたところを認識をしていただきたいと思うわけです。朝の七時から十時までのラッシュアワーに郊外から流れ込んでくるホワイトカラー族の数が約十五万人だと、この十五万人が減ったということ、これはたいした実績だと思うのです。これはオフィスの適正配置局というものが十年前につくられた。日本でも十年前にこのような観点の中から今日の災害防止というふうなこと、この都市に集中するということ、これはえらい問題をかかえて日本もきてるわけでありますが、もしかりに十年前にこういうふうな処置をとっておったならば、今日のような困ることはなかったと思うのです。いま日本では、国鉄から一時間以内に来るというところは、その一時間先のところがもう人で一ぱいなんです。その途中ももう一ぱい。中に入ってくると、大東京というものはもう一ぱいのラッシュである。これを考えてみますと、わが国と、このロンドンのやったそのオフィス適正配置局というのが十年前につくられて、十年間で十五万人の人を、オフィスマンを疎開して交通緩和をしていったということは、これはなかなか先達の明があると思うんですが、どうでしょう。長官も、今度は長期展望に立ってこのラッシュの集中してるこの姿というものをどんなふうに今後変えていかれようとしてるのか、お答えを願いたいと思います。
#71
○国務大臣(坪川信三君) 私も、いま御指摘になりました新聞記事を非常に拝見しまして考えさせられたのでございます。こうしたオフィスの配置転換の構想を立てながら、そうしたより効率的、より効果的な昨今のイギリスのロンドン等における結果が、現象があらわれてきていることは、やはり行政の前に政治があったものであるということ、日本には不幸にして行政はあるけれども政治のない面もあるということ、これはお互い党派を越えて政治家は深くやっぱり顧みなければならぬと、こう考えておるような次第でございますが、私はやはりこうした問題を考える場合に、あくまでもやっぱり職住近接という問題、これなどは一つの今後の建築行政の指導、あるいは住宅行政等に考えて、十分考えていかなきゃならぬと。いわゆる空中権を利用いたしましての職住近接というような政治もやっぱり進めなければならぬと、こういうような気持ちもいたしておるのでございます。特に、もう十年後にはわが国の自動車の供用台数は三千万台をこえるであろうというようなことを考えるときに、やはり私どもの政治にそうした面を配慮いたしました高度な措置が必要であるということを痛感いたしており、宮崎委員と感をともにいたしておるということでございます。
#72
○宮崎正義君 先ほど申し上げましたように、このタンクローリーの一つの問題を取り上げましても、各省それぞれがそれぞれの立場で許可しているわけですね。結論的には今度は総理府総務長官が責任を負わなきゃならぬわけです。責任を負う立場になってしまう。厚生省にしても、消防庁消防庁はまあ自分のほうとしても、通産省にしても、許可はしておいて、それが事故が起きたときには長官が責任を負わなきゃならない。こういうことなんかはやはりいま長官おっしゃられたように、これは政治力で当然この許可運営ということについても十分に閣議等で御検討願いながらやっていかなきゃいけないんじゃないかと思うんです。ですから、片方はどんどん許可して、通産省はどんどん高圧ガスのタンクローリーを許可していく。厚生省のほうじゃ劇物毒物のタンクローリーを許可していく。もし事故が起きたときには総理府長官が受けなければならぬ。間違ったことをやればその間の警視庁が取り締まらなければならない。それを総括するのは消防庁でなければならないみたいな、ややこしい形態というものは私はいけないと思う。一元化して人命を守っていくような形態にしていくことがもう何よりも先のことじゃないかと思う。それがいま長官の抑せになった政治力だと思うのでございます。私どもも一生懸命やりますが、どうかひとつ閣議のほうで、閣議があったときにそういうようなことをどしどし御発言なさるかどうか、ひとつ念のために伺っておきたい。
#73
○国務大臣(坪川信三君) 深い視野に立ってのわれわれに対するところの御忠言、十分拝承いたしておりますので、御期待に沿うよう最善の努力をいたしたいと、こう考えております。
 先ほどのいわゆる災害対策基本法等の災害対策に関する法律制度の数というようなことがはっきりいたしましたので、現時点におきましては災害対策基本法等の災害対策に関する法制度が四十五法ございます。国家公務員災害補償法等の災害補償に関する法律制度は二十三法ございます。御参考のために申し上げておきます。
#74
○宮崎正義君 お調べになってお驚きになったと思います。人事院総裁も、国家公務員の災害が二十三法です、いかがでございますか。この点、どんなふうにお考えでございますか。
#75
○政府委員(佐藤達夫君) いまさら驚いたと申し上げるわけにはまいりませんのですが、私ども基本的には、法律が整備されているのはそれでけっこうです。われわれの心がまえが一番大事だろうという基本に立って事に臨んでおると申し上げたいと思います。
#76
○宮崎正義君 人事院総裁はなかなかうまくすらすらっといかれるので……。
 それでは次に私は入りたいと思いますが、公務員の通勤手当の支給状況、昭和四十七年度の国家公務員給与等の実態調査を人事院でおやりになって月報で報告をなさっておられますが、この点についての御説明を願いたいと思います。
#77
○説明員(斧誠之助君) 人事院の給与局の斧でございます。
 私どものほうで調査いたしましたのは、手当の支給状況ということで、通勤手段の一々の詳しいことはわからないわけですが、それを内容的に支給されている人たちについて見ますと、鉄道、バス等で通っている方が八〇%、それから自動車、自転車等で通っている方が一七%、その二つを併用している方が三%くらいの割合になっております。
#78
○宮崎正義君 もっと詳しくやってくださいよ。そんなこと知っていますよ。
#79
○説明員(斧誠之助君) 鉄道、バスの関係は、国鉄、私鉄、パス、地下鉄、市電、その他となっておりますし、それから交通用具で通っている方の場合は、五万七千人ばかりが交通用具で通っておりますが、そのうちの自動車で通っている人が三万七千八百ほど、約六五%でございます。それからオートバイ、スクーター等、これが九千人ばかりで一五・八%でございます。自転車が一万人ばかりでございまして一八・七%でございます。
#80
○宮崎正義君 これは支給額はそれぞれどんな状態ですか。それからまた災害の内容等について調査しておりますか。
#81
○政府委員(中村博君) 通勤途上の災害につきまして、災害内容を私どものほうとしまして意見の申し出をいたします前に、過程におきまして調査した結果を御報告申し上げます。
 四十六年の四月から六月までの三カ月間につきまして、職員が十人以上おります官署約九千七百でございますが、そこに勤務する一般職の国家公務員七十二万七千人を対象といたしまして、いま申し上げました期間内について調査いたしたわけでございます。
 その調査結果によりますと、七十二万七千人のうち、その三カ月間に往復途上で災害を受けました職員は五百十人でございます。五百十人でございまして、出勤時が三百人、退勤時が二百十人、かように相なってございます。これを職員千人当たりの災害発生率に直しますと〇・七〇でございまして、出勤時が〇・四一、退勤時が〇・二九と、かように相なってございます。これを災害補償法の適用職員百十一万人に換算してみますと、大体一年の被災者は――これは出てこられないことを切に望みますけれども、推定上は三千百人、こういう積算の結果が出るわけでございます。
 なお、その被災時の通勤方法別で見ますと、原動機つき自転車または自転車利用中の災害が四五%で一番多うございます。その次が自動車利用中の者が三〇・八%でこれに次いでおりまして、歩行中の者が一四・三、公共交通機関利用中が九・〇、その他一・四、かように相なってございます。
#82
○宮崎正義君 額はどうなんですか。
#83
○説明員(斧誠之助君) 通勤手当のもらっている額でございますが、いろいろなもの全部、交通機関とか、それから交通用具合わせまして、去年の一月現在の調査ですが、四千二百円以上もらっているのが一一・五%、それから三千四百一円から四千百九十九円、これが一九・八%、二千八百一円から三千四百円まで、これが二一・五%、二千八百円以下が四七・二%と、こういうふうになっております。なお、ことしのやつは現在集計中でございますので、まだわかっておりません。
#84
○宮崎正義君 せっかく貴重な人事院月報をお出しになっているんですから、いま御答弁をいただきました内容等もこれは入れていただきますと、その対策がどうしなければならないかということがやはり私たちにもわかりますし、また一般の方々にもそういうことが明示されていきますと、防止態勢というのも、個々の防止態勢、考え方も固まってくると思うんですが、どうでしょうか、総裁。こういう私の申し上げている点、一緒に掲上していただくわけにはいかないでしょうか。
#85
○政府委員(佐藤達夫君) よく御趣旨はわかりますが、この問題の光の当て方がこう二つあるわけです。
 一つは、そのものずばり、今度の災害に関連しまして、災害のデータとして、一体公務員はどのくらい被災しておるかということが一つでございます。これは先ほど職員局長がお答えしまして、この意見書を出しますに際して私どもが調査した結果を申し上げて、これだけ被災者がおりますということであります。
 それから第二の光の当て方は、これは通勤手当を受けておる人はどういうふうになっているかということで、この面は率直に申しますと、主として給与法上の手当の支給対象人員がどのくらいいるかと、そうしてどのくらいの遠さのところを通っていらっしゃるかどうかということが主眼になっての調査でございますから、たとえば歩いて、近いところから歩いていらっしゃる、役所に通われる方の数字はそっちのには出ないわけです。したがいまして、給与面からのほうの、通勤手当面からのほうのデータはこれはいまちょっと参事官が触れましたように、もう近く勧告を申し上げますので、またそのデータとして目下集計中でございますので、これはこれとして新しい材料によってお目にかけることができると思います。とりあえず被災者はどのくらいかということをひとつ御認識いただければと思っておるわけでございます。
#86
○宮崎正義君 これ、わかります、これは公務員の通勤手当の支給状況ですから。それからそれとにらみ合わして、甲地、乙地とございますので、それとにらみ合わしてみて、いまの災害を適用されたのがどれだけあるかということを伺ったわけですから。で、いま御報告になりましたようなこともやはり大きな大事な点だと思います。いま御答弁ございましたので、今後期待をしてこの月報を見ていくようにしたいと思います。
 もう大体一時間になっちゃったんですが、ゆっくりでいいですね。――じゃ、ゆっくりやらしていただきましょう。そうかといって、やっぱりなかなかそうもいきませんので、そうしますと、またあとでがたがたありますといやなんで、言いわけをしながら言わなければならない情けない質問のしかたをするわけでありますが、それも申し上げながらお伺いするわけでございますが……。
 業務災害の場合における給付に関する条約、百二十一号、「国際労働機関の総会は、理事会によりジュネーヴに招集されて、千九百六十四年六月十七日にその第四十八回会期として会合し、この会期の議事日程の第五議題である労働災害及び職業病の場合における給付に関する提案の採択を決定し、この提案が国際条約の形式をとるべきであることを決定して、次の条約(引用に際しては、千九百六十四年の業務災害給付条約と称することができる。)を千九百六十四年七月八日に採択する。」という、私が申し上げることもないわけでございますが、この条文の第七条、このことについて、第七条の点について御説明を願いたいと思います。
#87
○政府委員(渡邊健二君) 同条約の第七条におきましては、「各加盟国は、「労働災害」の定義を規定し、」と。その中に、定義という中にカッコがございまして、「通勤途上の災害を労働災害とみなす条件を含む。」と、こういう規定になっておりまして、労働災害の定義を規定するについては規定しなけりゃならぬし、その中においては通勤途上の災害を労働災害とみなす条件を含んで規定するように規定されております。かつ、国際労働憲章に基づいて提出するこの条約の適用に関する報告において、その定義の内容を明示するように規定されております。
 なお、七条におきましては第二項というのが別個ございまして、第二項におきましては、「通勤途上の災害が業務災害補償制度以外の諸社会保障制度の対象となり、かつ、これらの諸社会保障制度が通勤途上の災害について支給する給付の合計額がこの条約に基づいて要求される給付と少なくとも等しい場合には、通勤途上の災害は、「労働災害」の定義に含めることを必要としない。」という旨が規定されておるところでございます。
#88
○宮崎正義君 そこで、この批准をしている国はどんなふうな状態で、何という国々でしょう。
#89
○政府委員(渡邊健二君) ことしの一月現在で、同条約を批准しております国は、セネガル、キプロス、オランダ、ギニア共和国、コンゴ (キンシャサ)、フィンランド、アイルランド、スウェーデン、ベルギー、ユーゴスラビア、西ドイツ、ルクセンブルクの十二カ国となっております。
#90
○宮崎正義君 国々は、十二カ国わかりました。
 それじゃ、これを批准している国は、どの程度のことをやっておりますか。それからもう一つは、批准していない国で、どの程度のことをやっているか。それらを、一部の代表的な国でいいと思います、時間がございませんので、お答え願いたいと思います。
#91
○政府委員(渡邊健二君) 批准している国々と申しましても、いろいろな国がございまして、全部までは知悉いたしておりませんが、西ドイツ等におきましては、通勤途上災害は業務災害に含めまして、全く同様に保護をいたしておるところでございます。それから批准をしていない国もたくさんございますわけでございますが、おもな国について申しますと、フランスは同条約を批准はいたしておりませんけれども、通勤災害を労働災害と同様に保護をいたしております。しかしながら、イギリス、アメリカ等は、現在のわが国と同じように、使用者の提供する専用通勤機関を利用中の場合など一定の場合を除きましては、通勤災害を原則として私傷病扱いといたしておるわけでございます。
#92
○宮崎正義君 そうしますと、わが国の場合には、アメリカとイギリスのような形になるわけですね。と同時に、もう一回ついでに説明をしていただきたいのは、これは百二十一号の「国際労働機関の総会」云々はいいんですが、勧告のほうですね。先ほどは条文のほうですが、勧告のほうの5のところですか、これらも含められてから、いま私が質問したことに対して総体的なお答えを願いたいと思うんです。そのほうがいいと思うんです。
#93
○政府委員(渡邊健二君) まず、第一点について申し上げますと、わが国の現状、すなわち今国会には、一般労働者につきましても、労災法の改正で通勤途上災害に対して保護をいたします法律を御提出し、御審議を願っているわけでございますが、これがまだ施行されておらない現状におきましては、イギリス、フランスと同じような扱いになっておることは先生のおっしゃるとおりでございます。
 それから第二点の、勧告のほうの業務災害の場合における給付に関する勧告、百二十一号勧告の5の点につきましては、5の中の(a)、(b)はこれは業務災害の問題でございますので、お尋ねはおそらく(c)におきまして、「作業場と次に掲げる場所との間の直接の途上において受ける災害」といたしまして、「(i) 被用者の主たる又は従たる住居」、「被用者が通常食事をする場所」、「被用者が通常報酬を受け取る場所」、こういうふうに書いてあるこの点のお尋ねであろうと思うのでございますが、「被用者の主たる又は従たる住居」と作業の場所との間における災害というのが、まさに今回問題になっております通勤途上の災害になるわけでございまして、これにつきましては、先ほど申しました西ドイツ、フランス等はもちろん、これは通勤途上にいたしておりますが、さらに勧告にございます「被用者が通常食事をする場所」、これと作業場との往復も、フランス、西ドイツにおきましては通勤途上と相なっておるわけでございます。
 それからなお先ほどの日本の現状と同じようになっておりますイギリス、アメリカについて申し上げますと、先ほども申し上げましたように、イギリス、アメリカは、使用主の提供する専用通勤交通機関、それの利用中の場合などだけが通勤災害になっておるわけでございまして、そういう場合以外の作業場と住居との間の往復途上一般は何ら、私傷病と同じに取り扱っておりまして、それ以上の保護の対象にしておらないわけでございます。
#94
○宮崎正義君 ゆっくりやれと言われるわけですが、やっぱりこれはルールを守っていかなければなりませんので、まだどっさり質問はかかえているわけですが、いまの渡邊労働基準局長と私のやりとりをやりましたILOの点から考えましても、一九六四年ですか、わが国がこれに立ちおくれていること九年というふうに考えるわけですが、なぜ、わが国が、批准し、また勧告の事態においての立場というものをより早くして今日までこなかったかということを総裁のほうから伺い、これからの考え方としての総締めくくりとして長官から伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#95
○政府委員(佐藤達夫君) 私どもの考え方は、きわめて実質的に考えておりますから、条約を批准しようとしまいと、いいことであればこれは実行すべきであるということに徹しておるわけであります。それで、いま九年前――確かにこれは九年前なんですけれども、私どもがこの交通災害関係の補償問題をいよいよこれは取り上げなければならないという気持ちにかられましたのも、実はこの条約は一つの大きな刺激になっておるということは申し上げたいと思います。そうして、先ほど申しましたような現実の調査もいたしましたし、あるいはまた、ますます交通事情は悪化するというような周辺の事情も考え合わせながらきましたので、多少時間がかかったではないかとおっしゃられればそれっきりでありますけれども、われわれはもう相当前からこれに着目して努力を積み重ねてまいりましたということだけは申し上げさしていただきたいと思います。
#96
○国務大臣(坪川信三君) 先ほどからの宮崎委員の基本的な問題に対する御指摘、また最後の御質問等に対して、政府といたしましては、国家公務員の災害補償制度の企画あるいは立案につきましては、国家公務員法第三条その他の規定から人事院がこれを行なうことになっておりますことは、宮崎委員よく御承知のとおりでございます。また、実施につきましても、国家公務員災害補償法第二条の規定により、人事院がその責めに任ずることになっており、したがって、制度の改正等につきましては、今後とも人事院の専門的な調査研究の結果に基づいて、意見の申し出を待ちまして適切な措置を講じてまいりたいということにいたしたいと考えておる基本方針は、基本方針として申し上げ、御指摘になりました点等は、十分これからも人事院と連絡をはかりながら、御期待に沿うよう最善の努力をいたしたい、こう考えております。
#97
○中村利次君 通勤途上の災害を公務災害に準じて補償をするための本法案の提出でありますから、私は率直にこれを歓迎し、評価をいたします。しかしながら、元来私は、通勤というのは公務員たると民間たるとを問わず、これはもう労働を提供するための絶対不可決の条件だと存じますから、したがって、これを公務災害と分けて考えるという点については特に問題があると思います。しかし通勤途上災害調査会のいろんな議論を踏まえてこういうものができ上がったということでありますから、したがって、現時点においてはそれを踏まえてこういう勧告をされ、あるいはこういう法律案が提出されたということを直視せざるを得ないんですけれども、そこで、この法律案が通勤途上の災害について、療養補償あるいは休業補償等はこれはもう公務災害と事実上同一の補償をするんだけれども、しかし、たとえばきわめてわずかであっても初診の場合は二百円自己負担等がついているわけであります。その他公務災害と実質的に異なる点がどういう点があるか、まずお伺いをしたいと思います。
#98
○政府委員(中村博君) 公務災害の場合でございますと、先生いまおっしゃいましたように、補償の内容は二百円を除いては全く同じでございます。そのほかに、補償の内容ばかりではなくて福祉施設その他もやはり同様に取り扱う、かように相なってございます。ただ、補償の問題を離れまして、給与の問題等につきますと、これは現在の公務上の場合には、たとえば公務上疾病のために、事故のために休業しておるような場合には俸給の全額が出ますけれども、今回のこの通勤途上災害につきましては、現時点におきましては一般の病気休暇あるいは病気休職と同じような取り扱いになっておる、かような点が違っておるわけでございまして、補償実体においては相違ございません。
#99
○中村利次君 公務員の処遇上の取り扱いはいかがですか。
#100
○政府委員(中村博君) ただいま職業病の取り扱いにつきましては規則で一覧表をつくりまして、その場合には従事する公務の種類とそれに対応する疾病が書いてあるわけでございまして、そのような対応関係があります場合には、原則としてそれは公務上と認められる。ただし、国の側において反証をあげた場合には、これは公務基因性がないとして公務上の取り扱いを受けない。したがいまして、原則的には当該職務についておられる方がその上欄に掲げる、特にその職務について規定されております疾病等にかかられました場合には一応公務上としての推定を受けるというかっこうで、二十種類くらいにわたりまして職業病の種類をあげておるわけでございます。
#101
○中村利次君 たとえば療養期間中の身分保障ですね、それから復職後のいわゆる昇給、これは「きゅう」というのは銭金の給と、それからいわゆる等級の級がありますけれども、そういう取り扱いはどういうことになりますか。
#102
○説明員(斧誠之助君) 療養期間中に昇給期間の全期間勤務しません場合は、公務上もそれから私傷病の場合も療養中は昇給ございません。復職しました後におきまして、公務災害の場合ですと、療養期間全部につきまして調整をいたしますし、それから私傷病の場合は三分の一の期間の調整ということに相なります。
#103
○中村利次君 その場合、通勤途上の災害はどちらをおとりになるのか。
#104
○説明員(斧誠之助君) 現在、午前中以来論議されておりますように、公務上ではないということでございますので、現在の制度上は私傷病扱いということにならざるを得ないわけでございます。ただ、通勤災害という新しいケースを設けて補償上の処遇をしようということになったわけでございますので、従来も復職時調整については民間でどういうふうな取り扱いをしているかということを参考にしながら、いろいろなケースで三分の三から三分の一まできめておりますので、労災保険法の民間の取り扱いがどういうふうにするか注目したいと思っているところでございます。
#105
○中村利次君 これは先ほど私が冒頭申し上げましたように、調査会のいろいろな議論等を踏まえて、大体人事院としてはこの公務災害に準じた取り扱いにするように勧告をされた、政府はそれを受けてこの法案の提出をしたと、こういう経過だと思うんですね。その調査会の答申に基づいて大体労災保険あるいは公務員の通勤途上の問題が今度は改善をされようとしておるわけでありますけれども、その調査会の議論によっても、通勤が勤務の提供にやはり必要不可欠なものである、非常に関連性を持っておるということはこれは双方が一致しておると思うんですね。それからまた通勤の条件がたいへんに悪化しておるということも、これも大体意見一致だと思うんですが、その他大体のことは――使用者の支配管理下にあるのかどうかという点については、これは大いに議論が分かれたようでございますけれども、その他の総論としては、これは大体意見が一致しておるからこそ公務災害に準じた取り扱いをやられるわけでございまして、療養補償、休業補償その他福祉施設等の利用についても全く公務災害と同一の取り扱いをされる。そうなりますと、いま私が申し上げた、たとえば復職後の調整等にいたしましても、これはやはり公務災害に準じた取り扱いをなさらないとつじつまが合わない、こういうことになるんですけれども、この点はいかがでしょう。
#106
○政府委員(佐藤達夫君) 御指摘の点は、われわれとしても問題意識を持って相当研究すべき事項だということで目下取り組んでおります。それにいたしましても、先ほど参事官からもちょっと申しましたように、民間の扱いなどを調べてみまして、そして参考にしながら適正な措置をとりたいということで、まだこれは実施期日まで間のあることでもございますので、じっくり検討したいということで、しかもできればあんまりぎごちない割り切り方をしないで何とかいかぬものか――これはいまのところ私個人の考えでございますけれども、という気持ちを持って臨んでおるということを申し上げておきます。
#107
○中村利次君 これは総裁の御答弁に私は大いに期待をしたいと思うんです。現に、何といいますか、親切な取り扱いをですね、せっかくこういう通勤途上の災害を公務災害に準じた取り扱いをしようということでありますので、仏つくって魂を入れないようなことにならないよう大いに期待をしたいと思うんです。
 これに加えて、私は、やはり日ごろから、これは人事院総裁に対しては、人事院が民間の調査をして、公務員というのは国民の公僕であるから、したがって、民間とかけ離れたことをおやりになるということを私は求めてきたわけじゃありませんけれども、少なくとも日本のやはり一切を含む労働条件のレベルが欧米先進国に比べて低いということは事実でありまして、これはもう人事院の調査によってもそういう答えが出ておるわけでありますから、したがって、いま福祉時代、福祉時代という、福祉、福祉という、すべてに福祉を優先するというような政府の政策自体もそういうぐあいに変わってきておるおりから、やはりそういう点も含めて民間を調査し、その実態を把握されることは私は大いにけっこうだと思いますけれども、いわゆる人事院がいま一段と踏み切りをして、いいことであれば、それは国民世論もございましょうけれども、私はむしろ国民世論をリードするぐらいの心がまえというものを非常に従来からも人事院に期待をしてきたわけなんです。ですから、そういう意味で、この点はぜひひとつ、先ほどの総裁の御答弁に私は強い期待を持っておりますので、十分納得のできるお答えをお出しいただきたいと思います。
 次に進みますけれども、通勤途上の災害で再発をした場合、この認定基準をどういうぐあいにお定めになるのか。これは私は当然通勤途上の災害が公務災害に準じて取り扱う、補償されるということになりますと、再発の場合も適正な基準に基づいて、これもやはり同様の措置をされるのが当然であろうと思いますけれども、再発の場合はどうでしょう。
#108
○政府委員(中村博君) いま先生おっしゃいましたように、療養の給付その他補償内容は全く同一でございます。したがいまして、再発の場合も公務上の災害で再発した場合と全く同様に取り扱う所存でございます。
#109
○中村利次君 ただ、職業病の認定、後ほど質問したいと思いますけれども、これもまあ非常にどうも現状では不十分、不満の点が多いようでありますから、再発の認定についても、これはやはり同一取り扱いをするといういまの御答弁で、もう言うところはありませんけれども、認定を誤りますと、同一取り扱いをするという姿勢であっても、これはおかしくなるわけでありますから、その点はひとつ誤りのない認定基準というものをお定めになるよう要望しておきたいと思います。
 次は、この通勤の定義ですけれども、「合理的な経路及び方法により往復すること」をいうものとしておる。それから「往復の経路を逸脱」したり、「往復を中断した場合」、その「逸脱又は中断」が云々と、いろんなことが定めてありますけれども、これもなかなかどうも私は認定が非常にむずかしいと思うんですね。まあ具体的なそのものずばりの認定基準をすべて網羅するということは、これはまあきわめて困難でしょうけれども、想定される大体の基準をお定めになるのかどうか、お伺いします。
#110
○政府委員(中村博君) 先生御指摘のように、この御審議いただいております法案で定義をいたしてございますけれども、実際問題としましてはいろいろなケースが出てくると思います。しかし、結局やはりこの法案の御趣旨に従って、一方では社会通念も勘案しつつ、それからまあ個別の事案につきましての行政実例の積み上げでございますとか、あるいは人事院におきます不服申し立ての判定でございますとか、ないしは裁判所における判決なり、そういうような結果も見まして、先生御承知のように現在公務上という概念は定義してございません。長い間の実例の積み重ね、いま申し上げましたように、いろいろなものの積み重ねによってまあ確定してまいったわけでございますから、それと異なりまして法律で御提議をいただいておりますので、いま申し上げましたように社会通念、常識上やはり当然この趣旨に従ってやらなければならぬものは含めていくという精神でこれを解釈して運用してまいりたい、かように考えております。
#111
○中村利次君 これはなかなかほんとうにむずかしいと思います。そこで、私は例として具体的にお尋ねをしたいと思うのですが、たとえば自宅から出勤をすればこれは問題ないわけですね。しかし、これはたいへんに遠隔の地に汽車に乗っていって、自分の生まれ故郷に帰って出勤をするというのはこれは例外としまして、よくある事例ですけれども、友だちのところに行って泊まるとか、あるいは親戚のところに泊まるとか、日常通勤に全く支障のないようなそういう友人、知人、親戚等のところに泊まって出勤をする場合、これは対象になりましょうか。
#112
○政府委員(中村博君) いま先生の御質疑のポイントは、住居というものをどう見るかという点であろうかと存じます。まあ住居というのは、一応職員が居住して日常生活に用いる家屋等の場所だという、きわめて抽象的な定義をいたしておるわけなんでございますけれども、まあその際、いま御説明の場合にもいろいろな事情があることと存じます。たとえば、いまはっきり申し上げられますのは、早朝出勤がありますとか、あるいは長時間残業いたしました等の事情がある場合に、友人宅へ泊まるような場合、これはもうそういう事情があるわけでございますから、これは私ども現在の段階におきましては住居とみなして、その間の住居とみなしていこうと、こういう考えでございますけれども、先ほど先生もおっしゃいましたようにいろいろな複雑怪奇な事例が出てくると思います。したがいまして、いま例をもって申し上げましたようなこと、及び住居というものの基本的な考え方というものを中心といたしまして、個別に適正に判断してまいりたい、かように存じております。
#113
○中村利次君 これはあまりこういうこまかいことを質問する必要はないと思いますがね、これはやはりいろいろなこの場合はどうだろう、あの場合はどうだろうという不安は私は尽きないと思うのです。ですから二、三点、ある程度の質問をして、大体人事院あるいは政府の姿勢というものを、基本的姿勢というものを明らかにしておいたほうがよろしいのではないかと思うので質問するんですが、たとえば定期券、定期を買って定期で通勤をしている人が、何かの事情でたとえば自転車で通勤をしたとか、あるいはマイカーで通勤をしたとか、そういう場合は適用になりますか、どうですか。
#114
○政府委員(中村博君) 御説明の場合は、定期を持っていらっしゃる方が定期で通勤をなされば、これは一番はっきりしておるわけでございますが、特殊な事情の場合ですね、自転車等で通勤なさっておる場合で、たとえば道路工事しておりますとか、あるいは電車で通勤なさっていても、電車事故があったとかというような場合には、これはやはりそのような事情に応じて適切な方途を講じられて勤務場所にいらっしゃる、あるいは勤務場所から住居にお帰りになる。そういうのはやはり合理的な経路の中に入るんだろうと思います。
#115
○中村利次君 たいへん何といいますか、しゃくし定木な解釈でないようにお聞きいたしますので、もうこれ以上のこのたいへんな質問をいたしません。大いに私は期待をしています。
 そこで、それじゃ総務長官にただいまの質問、総括してお答えいただきましょうか。
#116
○国務大臣(坪川信三君) 先ほどからの御質疑、御指摘、御意見、十分拝聴いたしておるのでございます。人事院の政府委員並びに総裁が申し上げられたとおりの考え方で政府といたしましても取り組んでまいりたいと、こう考えております。
#117
○中村利次君 まことに何といいますかね、公務員にとっては常識的であり、まあいまのお答えの限りでは大体納得のできる取り扱いをやっていただけると私は期待をいたしますので、ぜひひとつそういうことで御判断をいただきたいと思います。
 次に、ますます増大しつつある職業病、先ほどちょっと触れました職業病の対策について、これはもう民間でも公務員の場合でも同じですけれども、なかなか職業病が公務上であるかどうかという認定については非常にむずかしくて、科学的判断を下すような基準が確立をしておらないものですから、したがって、職業病に対する補償制度が十分でないということがやはり在来からいわれてきたわけでありますけれども、まあこういうけっこうな前進した、通勤途上の災害が前進した形になるにあたりまして、やはり職業病の科学的認定基準というものをどういうぐあいにお考えになっておるのか、ひとつお伺いしたいと思います。
#118
○政府委員(中村博君) 御指摘のように、まあいろいろな薬物なり、あるいは社会環境の相違、進展によりまして、いろいろな疾病も発生してまいります。また、これに対します医学的所見もなかなか的確なものがないという場合もございまして、まあ特に疾病につきましては、基本的には医学的な御所見に従うわけでございますので、医学的に十分解明されていないような場合に、私ども実際そういう事故が起きましたときに非常に戸惑いを感じておる、そして、その点が非常に何か公務上の認定につき、もたもたしているんではないかというふうにお感じになると思いますけれども、やはりこの新しいいろんな事例をつかまえていきます場合には、もちろん医学的な所見がまず第一でございまして、もちろんそれが確定されなくても、医学的に異常と認められるような場合には、私どもはこれを進んで取り入れていきたいと考えております。しかし、まあ新しい事例がいろいろ起こるものでございますから、やはり医学をはじめとする専門家の諸先生の御意見を十分お聞きする、あるいは必要な場合には調査をするということが必要でございまして、そのために要する時日というものは、これはもうやむを得ないことであろうかと思います。ただ私どもはいたずらに公務上・外の認定において、公務上にすることを締めるというような変な考えを持っておりません。あくまでも職員のために、できるだけ公務上にしていきたい、たとえばまあ疑わしきは公務上にするというような感じでいきたいと思っておりますが、しかし、一方におきまして、乱にわたることは、これはまた厳に戒めるべきことでございますので、まあその辺を十分勘案しつつ適正にものを処理してまいりましたし、今後もまた処理してまいりたいと、かように考えております。
#119
○中村利次君 これは御答弁もっともだと思いますよ。親切にやらなきゃいかぬが、やはり乱にわたっては、これはまあどうもいけないのでありますから。そこで、やはり専門家をもって構成する、とにかくこれは不十分であるとして問題があるわけでありますから、何らかのそういうまあ科学的根拠に基づいて客観的な認定をする、そういう専門家をもって構成する何らかの機関をおつくりになるおつもりはないかどうか。
#120
○政府委員(中村博君) 人事院としましては、公務災害補償法を所管する官署といたしまして、ここずっと健康専門委員を御委嘱申し上げまして、医学をはじめ公務災害にいろいろ知恵をお借りすることが必要な分野にわたりまして諸先生を御依頼申し上げまして、事例が起こるたびに、あるいはまたふだんでも、常にこの公務災害の認定につきまして御検討をいただいておるわけでございます。特に、新しい事例が起きましたような場合には、諸先生方に御委嘱を申し上げ、あるいは研究をお願いするということで、現在の一番トップをいきます医学レベルにおきまして、その御指示に従ってものごとを解決していこうと、こういう体制をずっととってございますので、今後もその点は引き続きとってまいりたいと、かように考えております。
#121
○中村利次君 非常にこれはむずかしいことでありますので、一段の御努力を私は要望しておきたいと思います。
 次に、公務災害年金のスライド制、これは午前中片岡委員のほうからも質問がございましたけれども、公務災害補償法の十七条の十に規定してあるのですけれども、実質的には、これは国民生活の水準、あるいは国家公務員の給与、あるいは物価等を考慮して、それらの変動が生じたときはすみやかにこれを改定することになっておるはずでありますけれども、実質的には公務員給与の額の改定が二〇%以上の変動をしたときに年金額は改定されることになっていますね。この点はどうなっていますか、この十七条の十の解釈は。
#122
○政府委員(中村博君) まあ年金のスライドをどうするかという問題は、これは特に業務上の災害、公務上の災害に対する補償の場合には非常に問題になり得ることと存じます。しかし、まあ私どものほうとしましては、現在、いままでずっとやってまいりましたのは、平均給与額を算定する場合に、その人が、まあ給与の改定がございますので、それに追随していかなければならぬという立場から、まあ給与が二〇%以上上がりました場合には、これは四月一日にさかのぼって、四月一日から年金額をそのアップ率によって改定するという作業をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういうようなスライドをいたしておりますので、年金の部分につきまして相当な額の改定をいたしておるところでございます。
 たとえて申し上げますと、昭和三十五年八月に事故を受けられて障害補償年金一級に格づけされました方は、四十年の四月現在では年金額は三十一万円でございました。その後、いま申し上げますような手続をとりまして、四十六年の五月では六十七万円と改定されており、倍以上になっておるわけでございます。それからまた遺族補償年金につきましても、これは昭和四十一年十月に死亡なすった方の御遺族でございますけれども、死亡なすった当時に二十一万四千円でございましたけれども、やはり同じような改定手続を踏むことによりまして、四十七年の一月には四十五万六千円と二倍以上に相なっておるわけでございます。なお、この額だけでは少ないという御指摘があるかもしれませんけれども、このほかに共済から遺族年金、それから廃疾年金が加わってまいりますので、大体まあ変動する給与額の実効値の八割程度は確保されておる、かように考えておるわけでございます。
#123
○中村利次君 いまの御答弁をお伺いする限りでは、金額が多いか少ないかは別にしまして、改善率というものは相当の改善がやられておるようにお聞きをいたしました。しかしながら、先ほど申し上げましたように、年金補償の額は、国民の生活水準、それから公務員の給与の改定ですね、それから物価の動向、こういうものを考慮して、それらの変動を生じたときにはすみやかにこれを改定することになっておるはずでありますけれども、この法律上は。しかし、実際には現行では二〇%をこえる改善がなされた場合、ただしこれはベースアップでありまして、昇給は入っていませんね。そういうことになりますと、少なくとも十七条の十と、実際に行なわれておるものとはたいへんに遊離した感じがするんです。ですから、さっきお答えをいただいた、あれは確かに指数の上では相当の改善をやられておるように思うのですが、そこら辺の関連はどうなるんでしょうかね、それは。
#124
○政府委員(中村博君) 確かにそういう先生のような御指摘もあり得るかと存じますけれども、要するに給与勧告、勧告された給与、改定された給与を根っことして、基本として平均給与額を改定するという方式は、給与の中に生計費その他が入っておるわけでございますので、間接的ではございますが、そのような点は考慮されておるのではないか、かように思います。
#125
○中村利次君 十七条の十に従って、何というんですか、昇給分を含めた、やはり十七条の十をそのまま順守するという御意向があるかどうかお伺いをしたいと思います。
#126
○政府委員(中村博君) これは午前中も申し上げましたように、災害補償の基本的な原則といたしましては、災害を受けられましたことによって失なわれた稼得能力のてん補ということでございます。したがいまして、もうすでにおやめになった方々につきましては、これはそのような意味で、いま御説明申し上げました私どもの方式でのスライドをすることによって、その稼得能力の補償というものがその時点、時点に合うものとされておる、かように考えております。したがいまして、その昇給制度を入れるということは、基本的には現在の災害補償制度を支配しておる原理そのものからは直ちには出てこないものでございますので、この点は災害補償制度の考え方の根本問題につながる問題ではないか、かように考えておるわけでございます。
#127
○中村利次君 午前中の質問に対する答弁でも、稼得能力の補てんという災害補償制度の基本的な問題はあるけれども、しかしながら、現状のいろいろな諸情勢にかんがみて前向きに検討するということでありましたけれども、しかし、少なくとも私は現行法ですらどうもこれはおかしいなというものがありますから、したがって、こういう質問をしているわけです。
 加えて、これは災害補償とは直ちに単純な比較はできませんけれども、恩給あるいは共済両年金等々も最近改正をされまして、いろいろこれも問題があるにもかかわらず、やはり二三・四%ですかの改定、改善をされた上に、七十歳以上については四号俸引き上げる等々、やはり政策の方向性としてはいろいろな改善の方向にあるわけですね。ですから、私は、午前中の質問に対する御答弁に加えて、そういう具体的なやはり新しい新事実もあるわけであります。したがって、せめて公務災害補償法の十七条の十に従った運用をすみやかにされるのは当然であって、その上になおやはり昇給を加えたスライド制というものを前向きに検討せられるのが、これはやはり時流に沿うた方向ではないかと思うのですよ。ですから、まずその前提として、私はこの十七条の十を中心として、これはもう現行法があるわけでありますから、したがって、もうそれに沿ったことを直ちにおやりになるのはこれは当然ではないか。これはあわせて私は総務長官にもひとつこの点については御答弁をいただきたいと思います。
#128
○国務大臣(坪川信三君) 先ほどからの具体的な、また問題点のところに対する解明を交えての御意見、十分お聞きいたしております。人事院におかれましても、きっと味のある佐藤総裁のことでございますから、味のある審議あるいは公正な、適正な答申もあることを思いますので、それを受けた私といたしましても、味のある政治をやってまいりたい、こう考えております。
#129
○中村利次君 きょうは人事院並びに総務長官にたいへんに前向きの答弁をしていただきましたが、最後のこのことがちょっとひっかかりますけれども、これはやればきりがありませんので、しかし、まあいまの大臣の答弁で、私は大いに期待をして、この問題はこれでおしまいにして、あとあとのこともありますから大いに協力をしたいと存じますが、最後に、これは人事院総裁にひとつお伺いをしたいと思うのですが、大体ことしの公務員給与に対する勧告は、もうぼちぼちこれは来月はおやりになるわけでありますから、民間の調査等も大体もうお済みになっておると思うのですが、大体ことしは、まあある意味ではたいへんに人事院としては御苦心のあるところであり、ある意味ではやりやすい面もあると思いますけれども、方向性をまず最初にお伺いをしまして、そのお答えによって、もし必要があれば、追加してちょっと質問をしたいと思います。
#130
○政府委員(佐藤達夫君) 例年どおり民間調査を目下集計中でございます。前回のこの委員会でも申し述べたかとも思いますけれども、ことしはもう統計局にも大急ぎで急いでいただきまして、少しでも早く勧告を申し上げたいという努力をしております。まだ、たいへんな御努力をいただいておりますけれども、集計が出てまいりませんから、いまのところ何とも申し上げかねますけれども、現在のわれわれの考えておりますところは、もう例年にまして、できるだけ早くひとつ勧告を差し上げたい。総務長官いらっしゃいますが、あとは政府なり国会のほうにバトンタッチを早くしたいという意気込みでやっております。上げ幅のほうはこれはお察しいただけると思うのですが、わりあいに上げ幅があまり窮屈ではないのではないか――人事院総裁は公に言明するわけにいきませんけれども、一国民の一人として常識的に考えた場合に、まあ上げ幅もそんなに窮屈な上げ幅じゃないだろうという気持ちもありますし、その意味では楽だろうというお察しのことばだと思いますけれども、まあしかし給与勧告は楽な面ばかりではないことも御承知のことでございます。われわれとしては、りっぱな勧告をできるだけ早くお出しいたしまして、よろしくお願いしたいという意気込みで目下のところおるわけであります。その節はどうぞよろしくお願いいたします。
#131
○中村利次君 できるだけ早くという御答弁、非常にけっこうでございます。ただ私はこれはこの内閣委員会で何回も申し上げた、また、この人事院勧告については、公務員給与に関して各委員からもいろいろな御意見が出ておるところです。そこで、私は繰り返して申し上げますけれども、民間のことしのベースアップの調査をされて、それを参考にした勧告をされるのは、これは大いにけっこうでございますけれども、やはり先ほど申し上げましたような趣旨から、民間の実態についていく、これだけでは私は非常にこれは人事院の役割りとしては不十分であろうと思うんです。どうかひとつ内外の情勢、日本の置かれておる立場等々を十分参酌をされて、人事院の本来の機能を今度の給与改定の勧告でりっぱにお果たしいただきますよう、私は特に強くお願いをし、期待をしたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#132
○岩間正男君 この改正案が公務災害に準ずるというようなことで提案されておるのでありますが、これはわれわれとしてはいろいろな要求を持ちながらも、このような提案に対しまして努力を認めるわけであります。そういう点から質問したいんですが、時間の関係もありますから、なるたけ重複を避けて質問したいと思います。
 第一に、この問題で原点に立ち返って考えてみたいと思うんですけれども、労働者が通勤途上の災害を公務災害として認めてくれと、当然認めるべきだと、こういうことを要求しておるというこの気持ちというのは、これはどういうところからきておるというふうに総務長官はお考えになりますか。
#133
○国務大臣(坪川信三君) 岩間委員御指摘になりました、いわゆる公務上の災害として評価する、せぬの問題、午前中からいろいろの角度から論議を呼んでおり、また、そうした論議の中にあって人事院並びに政府の態度を表明申し上げておるような次第でございますので、いわゆる通勤また業務上との関連性、いろいろの問題点を踏まえましてこうした結論に立ち至ったことは御理解賜わりたいと、こう考えております。
#134
○岩間正男君 私は、これはこの労働者の気持ちというのはよくわかった上に立って立法され、それが行政に移されなくちゃならぬと思っておりますよ。ですから、いまのような御答弁ですと、私の質問とはちょっと食い違うわけですが、私がお伺いしているのは、なぜ一体、公務災害として当然認めてくれと、準ずるというような中途はんぱなやり方じゃまずいと、この点はこういうことじゃないでしょうか。最近の通勤事情というやつは全くこれはたいへんなことです。くどくど申し上げる必要はないことだけれど、朝のラッシュ、私もこのごろ八時過ぎ電車に乗っておりますから、これはつぶさに体験をしておるわけでありますけれども、しかも非常に通勤の距離が長くなった。中には二時間などというのもあるわけです。そういう中で、これが労働条件の中に拘束時間と別々にされているわけですけれども、しかし、ある場合にはそれよりもエネルギーを消耗するんです。それをまあちゃんと一定の時間、つまり使用者のきめるそういろ時間に、これは外だからということで特別な取り扱いを受けるということについては、これはほんとうに通勤の体験が毎日毎日あるわけですから、そういう中でちょっとがまんできないんじゃないかと、ここに私は原点があるんだと思うんです、こういうものを要求している。そして一LOの条約もそういうところに立脚しているのじゃないかと思うんですよ。だから現実にやっぱり合わせるという点から考えるなら、率直に私はやっぱりこういう要求というのはこれは認めるべきじゃないかと、こういうふうに考えるんですが、これはどうでしょうか。
#135
○国務大臣(坪川信三君) 御指摘になった岩間委員の御心情も十分理解はいたしておるのでございますが、先ほどから十分論議、また、お答えもいたしておりますが、勤務と、いわゆる通勤という行為に伴っての発生という問題でございますが、通勤そのものは使用者である国の危害防止責任、及び、範囲のいわゆるまあ外にある行為であり、いまだ使用者の支配管理下に入っていないという意味での公務上の災害の対象としてはなしがたいという立場もひとつ御理解願いたい。御心中の、心情的に御指摘になる点は十分理解はいたしておりますけれども、いわゆるいま申しましたような使用者側の支配管理のもとに入っていないという意味での公務上の災害の対象としてなかなかむずかしい面があるということもひとつ御理解願って、ひとつ御了承を願いたいと思います。
#136
○岩間正男君 労働というものに対する考え方がやっぱり基本的に問題になるわけですね。使用者の管理下にあるかないかで労働の質が左右、差別されてくる、そういうものじゃないと思う。勤労者を除いた考えで、その点私は非常にこれはやはりおかしい考え方だと思うのですね。通勤あっての勤務でしょう。勤務あっての通勤でしょう。これは不即不離です。ここは特別分けて考えているということは、使用者の都合からきているのであって、そういう点でももう少しやっぱり大きな立場に立つ必要がある。
 もう一つつけ加えたいのは、これは政府の政策からきているのですね。こんなまあ土地高で、それでもうとにかく通勤者はなかなか自分の家を持てない。遠くからしかもこれは通わなくちゃならぬという事態が起こってきている。そこで、ある場合には身を切るような形でもって、そこで実際はエネルギーの大半を消耗するというかっこうでこれはようやく事務所にたどりつく。この往復の犠牲というものはこれはたいへんですよ。これは社会主義国ではなるたけこれを避けるために、御承知のように生産地区と生活地区をほとんど近接させておるのです。計画的なそういうものに立っています。そうでしょう。ところが、そうじゃないのです、日本の場合は。政策論からきている。ところが、責任というやつは、やっぱり政府がはっきりこの点自分の責任の上に立ってこの問題を考えていくという観点が必要なんです。こういう点からのこれは論議というものはなされないのでありますけれども、私はやはり現実に立った、即応した、新しい観点からのやはり労働者の労働というものに対する、労働観というものに対して、そこに立脚した、そういう観点からこの問題に立ち向かう必要がある。そういう点からいえば、当然これはここのところをわざわざ分ける、そうして、それによって準ずるなどという差別待遇をするような形は、やはり労働者の尊重、ほんとうに労働基本権というものを尊重するかどうかという、ここにやっぱり立脚していないと、こう言わざるを得ないですね。ここは非常に重大な問題だと考えます。これはついでにお聞きしますが、人事院総裁どうですか、こういう観点に立ってもう少し再検討する必要がありませんか。
#137
○政府委員(佐藤達夫君) いまの点は総務長官がお答えしたとおりだと私どもも思います。観念上、公務と公務でないものという区別は、これはもう事柄の性質からいってあると思う。ただその扱いとして、もう一息やったらいいじゃないかという、それはお気持ちはお気持ちとして、私自身、これ交通災害で二十年前に国電の中で受けたけがのあとが、まだ冬になってうずく経験者でございますから、気持ちはもうよくわかりますけれども、まあ一応今回の案はそういうけじめの上に立っているということを申し上げさしていただきます。
#138
○岩間正男君 まあ、これは人事院総裁も努力してほしいですね。やっぱり労働基本権の尊重ということが全くこれは一切の根源ですよ。この上に立ってものを考えていくという、そういう当然の立場に立たなきゃならぬ。そうでないと、これは実際現在のこの労働観というやつは、非常に実はまあいろいろな労働条件をこわしたり、それから社会的ないろいろな災害を生んだりする原因になっていますから、そういう点から考えても私はやっぱり必要だというように考えるわけです。そこで、どうなんです、今度の準ずるという立場に立たないということになりますと、これは予算上どれぐらい違うんです。ちょっと何ですね、補償上の何は二百円ということですよね。しかし給与上は非常にこれは違ってきますね。それで遠くから心ならずも通勤をしている、そういう中で障害を受けた、それが一生ついて回るというかっこうじゃこれはまずいんじゃないか。そうすると、当然これは給与上のこの格差というようなもの、こういうような差別というものも私はなくす方向に努力するのはあたりまえだ。これもやっぱり労働者の心情の上に立ってはっきりそう考えられると思うんですが、この点、総務長官いかがでしょう。
#139
○政府委員(佐藤達夫君) 給与関係の問題は総務長官よりもまず私からお答えすべき筋のことだと思います。
 先ほどもちょっと触れましたですが、給与上の扱いとして、公務災害とこれとの区別ですね、私傷病と完全に同じに扱うかどうかというおそらく問題だろうと思いますけれども、これはわれわれとしても問題意識を持って目下検討しております。まあ民間のあり方なども一応調査する必要がありますからいまやっておりますけれども、大きな問題点だと意識しつつ検討をしておるということで御了承を願いたいと思います。
#140
○岩間正男君 これはさっき一番原点ということを私言いましたけれども、この原点に立てば、もっとやっぱりスピードを上げなくちゃならない問題だというふうに考えますね。こういう問題でわざわざ――基本的には労働者を信用するかどうか、そしてそういうものの上に立ってほんとうにこれは施策を進めるかどうかということにくると思うんですね。だから、この法の適用から見ましても非常にこまか過ぎる。立ち寄りがどうだとか、それから合理的な経路の方法はどうだとか、こういうことを実に細末にやっていくわけです。これはまあ必要はある程度あるんでしょう。とにかく途中でほとんど通勤と――例がないようなことで起こったものまで補償できないというのは、まあ気持ちはわかる、しかし、政治というのはそういうものでないんだね。もっと大きな線で、そしてむしろ労働者をほんとうに大きな点でもう信用するという上に立って進めていくということ。いまのようなあんまり細末な規定で問題を分けていく、そして実際は適用の面ではどうだかというと、適用をなるたけ渋るというかっこうになる。こういう点じゃまずいんじゃないか。
 それからこの認定のしかたですが、これは当局が一方的に認定するようなかっこうになるわけでしょう。これもいかにも障害を受けたのは自分の責任だという個人的なものに帰せられて、そして大きなやっぱり社会的な原因などというものはこれは頭にこない。官僚的なやり方で毛ってこれはやっている。もっとやっぱり労使協調で、いや、労使の話し合いでこういう問題をきめていくというふうな態勢、民主的な態勢をつくり上げることも必要だと思うんですが、一方的な使用者側だけの判断でもってこの問題をきめている。それからこの法案は、とにかく準ずるまで進んでいった、一歩進めたところは私は評価するんですけれども、基本的に言いますと、やはりいろいろな点で不十分で満たないところがあるわけですから、これを労働者は感じているわけですから、この原点ということは非常に重要ですよ、この問題に立ち向かう場合に。私は特にこの点を念を押しておきたい。
 そこで、これとの関連もあるわけですが、先ほども出ましたが、職業病の認定の問題に入りたいと思います。具体的にお聞きしたい。
 私は、この前総定員法の審議をされたとき、この一環としまして、総理府統計局における頸肩腕症候群といわれる職業病のそういう実態を現場に参りまして視察をさしてもらったことがあります。この問題についてお聞きしたいんですが、最初にお聞きしたいのは、統計局の集計事務における頸肩腕症候群にかかっている人たちの発生状況並びにそれと関係した退職者等、これは年次別に調べが出ていると思うんです。現在まで何人の罹病者があって、そして退職者を何人出しているか、これは昭和三十五年あたりからの統計で示してほしいと思います。
#141
○政府委員(加藤泰守君) お答えいたします。
 三十七年からでございますが、三十七年にキーパンチャーの方が一人発病されまして、それから四十年に一人発病され、それからキーパンチャーの方では四十三年に二人、四十五年に一人、四十六年に一人、合計六名でございますが、その方々が、本人から申請がございまして、それにつきまして現在四名の方が認定を受け、残り二名の方は手続中でございます。で、それ以外の職種の方でございますが、実際に公務災害の認定申請を出されておられます方の御本人の発病の申し出によりますと、四十二年二人、四十三年二人、四十四年が十五名、四十五年が二人、四十六年が三人、四十七年が三名、合計二十七名でございます。この二十七名の方につきましては申請手続をとり、または申請手続をとっている方々でございます。合計三十三名ということでございます。ただ、この三十三名の方は、御本人から公務災害の認定の申請をされた方々でございまして、それ以外の方々の中で一般の病院で、まあ頸肩腕症候群ではないかというふうに診断をされておられる方がほかにございます。その方々は全体で三十九名ございます。したがって、両方合計いたしますと七十二名が御本人の申請による、あるいは一般の医療機関の診断によって頸肩腕症候群という理由で治療を受けられておられるということでございます。なお、これ以外に退職された方が十一名ございます。その方々につきましては在職中に一応そういうようなお話がございまして、診療を受けておられましたが、その後退職された方々でございます。したがいまして、現在在職しておられる方々は七十二名でございます。
#142
○岩間正男君 あなたは統計の元締めでしょう、統計局長さんでしょう。統計局長さんが非常に非統計的なことを言うのだな。まことに驚いちゃったんだが、事前に通告しているのでしょう、調べてきてもらいたい。もう少しやっぱりてきぱきやってもらいたいのです。私のお聞きしているのは現在まで何人病気にかかったか、何人退職春を出しておるのか、これだけのことなんだ。一ぺんで答えることができると思うのですが、時間がぐっと進む、私は時間の制限の中で質問している。統計局だってそうでしょう、時間の制限の中で仕事している。あなたが元締めなんだからもう少しきちんとした答弁をしてもらいたい。わかりませんよ、いま聞いていて、何言っているか。結局何人かかったのです。そして何人退職したのですか。そこだけ言ってください。
#143
○政府委員(加藤泰守君) 先ほど先生の御質問の中で、年次的にどういう発生状況かというお話でございましたので、年次的に申し上げたつもりでございますが、トータルで申し上げれば、最後に申し上げましたように、七十二名の方が、一応公務災害の申請をされた方三十三名を含めまして、一般の診療所で頸肩腕症候群の病名で診断された方でございます。それ以外に十一名の方がございます。
#144
○岩間正男君 ここに統計局の職組の方の調査を私たちもらっているのですが、これによりますというと、昭和三十五年一名、三十七年一名、四十年三名、四十一年七名、四十二年五名、四十三年七名、四十四年十六名、四十五年十五名、四十六年七名、四十七年五名、四十八年二十名、不明が十九、計が八十九。退職者は四十二年一名、四十三年四名、四十四年五名、四十五年八名、四十六年七名、四十七年二名、計二十七名、こういうふうに私たちはもらっているのですが、そこのところに相当の食い違いがあるようです。あとでこれは資料として出してほしいです。われわれ厳密にこれを比較検討したいと思う。
 そこで、お聞きしますが、総理府では職員の死傷病についてどこの部局が業務上・外の認定の判断をする権限を持っているのか、また、その判断をする作業はどの部局ですることになっているのか、これをお聞きします。
#145
○政府委員(加藤泰守君) 総理府の官房人事課におきまして認定事務を担当しております。私のほうは現実に職員の問題でございますので、それに対するいろんな資料の作成その他協力しておるわけでございます。
#146
○岩間正男君 認定権者は、これは総理大臣ということになっておりますね。それから判断の作業をする部局は総理府人事課ですね。人事課の中のどこですか。
#147
○政府委員(加藤泰守君) 人事課の職員企画係でございます。
#148
○岩間正男君 それではお聞きしますが、昭和四十四年の十一月に統計局の集計業務の事務職員十八人の方が公務災害認定意見書というのを提出していると聞いていますが、これは事実でございますか。
#149
○政府委員(加藤泰守君) 昭和四十四年十一月、十七名の方がそういう書類を提出されております。
#150
○岩間正男君 十七名ですか、一名の違いがあるんですね。これはあとで調べてください。これは総理府の人事課が正式に受理したのはいつですか。
#151
○政府委員(加藤泰守君) 人事課に正式に出しましたのは昭和四十七年の三月でございます。ただ、その間におきまして、もちろん人事課との間でいろいろ相談をいたしまして、どういう資料をつくったらいいかということで協議してまいったわけでございます。特に理由書の方々の書類に添付されております医療機関の診断書につきまして、もちろんその診断書はそれとして評価すべきでございますが、さらにほかの機関の判断も必要ではないかという判断のもとに、どういう方に依頼したらいいかということを検討したわけでございます。それはこの頸肩腕症候群というものの公務との関係につきまして、なかなかいままで、まだ認定されたものがキーパンチャー以外はございませんし、またこの病気につきましては、いろいろ学会におきましても異論があるようでございますので……。
#152
○岩間正男君 聞かないのに答える必要はないですよね。
#153
○委員長(高田浩運君) 答弁は簡明に願います。
#154
○政府委員(加藤泰守君) そういうことで、それにつきましてその認定をしてもらう先生をいろいろ相談したというようなことでおくれたわけでございます。
#155
○岩間正男君 私がさっき統計局人事課と言いましたのは間違いですから、これは訂正してください。
 統計局がこのような意見書を受けたのはこれは昭和四十七年の三月十八日、しかもそれはどうですか、当然そうすれば認定の事務を扱っている人事課に報告しなければならないんですが、これは報告されたんですか。人事課が正式に受理したのが四十七年三月十八日、そうして申請が統計局に出されたのが四十四年の十一月、こういうことになると、二年四カ月間というのは逃げていたことになるのですね。なぜ人事課に回さなかったのですか。
#156
○政府委員(加藤泰守君) 先ほど申し上げましたように、この病気につきましての学会における異論もございましたので、私のほうで添付されております診断書以外の先生に、権威ある先生にもお願いしてみたいということでその選考をしたわけでございますが、特に労働衛生研究所の坂部先生とか、あるいは労働衛生サービスセンターの久保田先生等が適任者だというお話がございましたので、特に坂部先生につきましては多忙のためだめだというお話でございましたので、久保田先生にお願いすると、こういうことで久保田先生の診断をお願いしようとしたわけでございます。これは四十五年十月の二十八日、二十九日にそのための検診を実施しようとしたわけでございますが、まあ関係の組合との協力ができなくて実施ができなかったという状態でございます。
#157
○岩間正男君 依然としてかみ合わぬのですが、あなた、聞いたことに答えなさいよ。先回りして何か弁解がましいことを言う必要を私は認めない。事実をここで明らかにしなければ話にならぬですよ。あなたの、これ、速記に出てくるから、総理府統計局長さんというのは何をやっているかということ、天下に醜をさらすよ、こういうことじゃ。統計というのはもっと頭脳明晰で、すぱっとして、端的で、質問に対して明確に、聞かれた以外のことは答えなさんな。統計が混乱するぞ、日本の統計が、そんなことじゃ。めちゃくちゃじゃないか。おたおたしている。こんなばかなことがあるか。私、聞いているのは、認定する仕事をやっているのは当然人事課なんでしょう。出されたらすぐに出すべきじゃないか。なぜ二年四カ月逃げていたかというんです。あなた方が心配されて医者に見てもらうというなら、それは別にやればいいんでしょう。いまリコピーができるから、リコピーでそれを持っていったっていいわけだ。なぜ逃げていたかということを聞いているんです。その理由をお聞かせ願いたいと、こう言っているんです。どうなんですか、端的に言ってくださいよ。
#158
○政府委員(加藤泰守君) 先ほどから申し上げているところでございますが、そういう特別検診をしていただこうという計画を立てたので、そのためにおくれたわけでございます。これはもちろん人事課との間では十分協議した上でのことでございます。
#159
○国務大臣(坪川信三君) 統計局長がまあまじめな立場から答えておる心情はお察し願いたいと思いますが、こうした事態のあったことは、私の在任中ではございませんけれども、私といたしましては、これから十分監督を厳にいたしまして、いま御指摘になりましたような疑問が、また、そうした阻害が生じないように努力いたしますので御了承願いたいと、こう思います。
#160
○岩間正男君 長官のそういう御答弁がありましたから、そういうことですが、今後これは十分に注意されてほしいと思います。
 医師の診断で頸肩腕症候群にかかっておる人が百人を突破しておる。さらにキーパンチャーにあっては四名の認定者を出したにもかかわらず、新たにまた二名の罹病者が生まれている。これは公務災害を防止する統計局側の改善措置が不十分であったことを示しているのであって、統計局側の健康管理、安全管理に対する姿勢にもまだまだこれは大きな問題があると考えられます。
 これに対して人事院で調査されたことがあると思うんですが、この結果はどうですか。
#161
○政府委員(中村博君) 統計局からの御連絡がありまして、先ほど申し上げました専門家である健康専門委員にお願いして御意見をちょうだいしたことはございます。
#162
○岩間正男君 これは六十八国会、去年の国会で、これは参議院の社労委で問題になりましたね。そしてわが党の小笠原君がこれに質問した。当時、島人事院事務総局職員局長ですか、まず当局の健康管理、安全管理の姿勢がどうかということを十分調査しますというふうに答えているんですが、その結果をお聞きしたい、どうなんですか。
#163
○政府委員(中村博君) 御連絡をいただきまして、同年の七月十七日に健康専門委員の御意見によりまして、その発症に至った作業の強度とか、あるいは環境条件、あるいはそれらのものが身体に及ぼす負荷の度合いというものを身体の状態別に調べたいということで、そのような労働衛生学的見地からするデータの提出をお願い申し上げましたのでございますけれども、一部に反対の意見があってそのような資料はまだいただいていない、こういう状況でございます。
#164
○岩間正男君 そうすると、これは人事院の方が委員会で、国会で約束をされたことを果たすことができなかった。その原因は資料要求をお願いしたけれども、それが反対があって資料が出されなかった。人事院としては立ち入り権はないのでしょうが、しかし、これに対してこのような当然の要求、そしてしかも、これはその裏には国会の要求があって、当然人事院がそういう発動をされたわけですね。これに対して、なぜ一体拒否されたのですか。
#165
○政府委員(中村博君) 御承知のように、私どもとしましては、公務災害の認定で疑義があって協議がございましたときには、もちろんなるべく早く処理することは当然のことでございます。そのためには必要な資料は出していただかなきゃなりません。本件の場合につきましては、新しいケースでございますので、いまのことは公平性を確保しますために慎重に行なう必要があります。したがいまして、そういったことをお願い申し上げたわけでございますが、資料の御提出がなかった。
 それからいま一つは、先生御指摘のように、立ち入り検査をすればいいではないか。確かにそれは……。
#166
○岩間正男君 いやいや、あなたがよく聞かないから……。あなたに聞いていないのだ。大体この質問はあなたに聞いたんじゃなかったんですよ。あなた早鐘をついたのだ。これ、出さなかったのはどういう理由かと聞いたのですから、あなたは黙っていていいのです、ほんとうは。ちょっと早過ぎました。(笑声)これは局長、統計局の……。
#167
○政府委員(加藤泰守君) 私のほうといたしましては、人事院から要求された資料は全部出したいと思ってほとんどの資料は出したわけでございますが、一部基礎体力の検査等の資料がどうしても組合のほうとの話し合いでできなかったのでそれが出せなかった、こういうことでございます。
#168
○岩間正男君 どうもおかしいのだね。あなたのほうで統計事務をいま急いでいるでしょう。もうほんとうに機械まで入れて、それで最近はそのためにまたキーパンチャーがふえておるのだよ。実際そうなんだ。いまからこれは聞きますけれども、それなのに、去年、六十八国会というのはとうにいまごろ済んでいるのですよ、去年のいまごろ。その中でこれは問題になった。一年以上たっているのに、その資料が、当然人事院の一つの任務として行なっているそういう業務に対してちゃんとこたえることができないということはない。これは官庁間の相互連絡の上からいっても、日本の行政の姿勢からいったってこれは許すことはできない、総務長官どう思いますか。
#169
○国務大臣(坪川信三君) 先ほどから岩間委員が御指摘になっております総理府の統計局の職員の人事管理の上、健康管理の上、いろいろと不幸な職員が、そうした大事な使命を持っております職員が、かわいそうにそうした病気になるということは、私といたしましてもやはり忍びがたいものもございますけれども、過般私が統計局に参りまして、統計事務のなかなか容易ならない困難性、また、非常な努力をしている姿を見まして私なりに感じたこと、いわゆる国家、国政の機関につながるこうした重要な仕事をやっていてくれる職員に対しましての労務管理、健康管理等については最善の配慮をすべきであるという観点から、今後十分私といたしましては責任を痛感いたしながら善処いたし、職員のしあわせをつくってまいりたい、こう考えております。
#170
○岩間正男君 事は労働者の命に関する問題なんですから、この問題についてもうてきぱきと指導するのは当然ですよ。しかも一つの国家機構である人事院から当然の発動として要求されたものを一年以上もほおかぶりできるなんということは許されないことなんです。これは責任はだれなんです、だれがとるのですか。
#171
○政府委員(加藤泰守君) もちろん資料の提出につきましては、私が責任をとらなければならぬと思います。
#172
○岩間正男君 責任を負いなさい。こういうやり方がどんなに労働者に、それから労務者だけでない、国家の能率にだって大きな関係を持ってくる。
 そこで、次にお聞きしますけれども、仕事の内容が変わったんじゃないですか、昭和四十一年あたり。四十一年から非常にふえている、急増と言ってもいいんです、急増している。その原因を何だというふうに考えておられますか。
#173
○政府委員(加藤泰守君) 四十一年から確かに新しいシステムをとりましたので、仕事の内容は変わっております。その内容は、マークカードを採用いたしました関係で、マークカードに調査員が記入したものが正しいかどうかを確かめたり、補記したり、あるいは職業、作業の大分類の符号をマークするという仕事が従来の国勢調査のものよりも変わったものでございます。
#174
○岩間正男君 これは昭和四十一年の四月ですか、この四十年度の国調から新しい七〇五電子計算機と光学式読み取り装置の導入をやったんですね。そのような作業のシステムと内容が変えられ、集計事務の職員も機械のように狭い範囲の分担と単純作業の繰り返しの中で、さらには当局の労務管理によるミス防止のための極度の緊張と、仕事量を早く仕上げるための組ごと、係ごとの競争、この競争がまた非常にこれはあるようですが、この実態等々のことによって罹病する状況が非常に昭和四十一年度から新しく生まれた、こういうことを示している。これによって能率はあがる。いままで四十カ月かかったものが今度は二十カ月で終えているというようにわれわれは報告を聞いておるわけです。
 で、ここに公務災害認定申請の理由書、総理府総務長官、当時の床次長官あてのものでありますが、昭和四十四年の十一月に出されたこの総理府事務官の、これは名前を言ってもいいと思うんですが、望月スミ子さんの申請書というのがある。ゆうべ私はこれをつぶさに読ましてもらった。驚くべき事態だというふうに感ずるわけですね。これは一々あげる時間の余裕はありませんけれども、まあその一端だけやりますと、「その上仕事中トイレに立つのも気兼ねをするようなきびしい労務管理と劣悪な労働条件の中で発病した病気であり、業務に起因した病気として、治療費を含む通院に関する一切の補償と身分上の保障及び、再び発病することのないような適当な業務と、健康で働いていけるような労働条件を実現して頂きたい」、これが痛切な願いとしてこういう申請が出されている。これ、お読みになりましたか、どうです。局長はお読みになりましたか。
#175
○政府委員(加藤泰守君) 承知しております。
#176
○岩間正男君 どう考え、どう処置しようと思いましたか。
#177
○政府委員(加藤泰守君) 先生御指摘のように、新しい機械を入れましたので、その関係で特に単純労務がふえたことは事実でございます。単純労務を繰り返すことがこの頸肩腕の原因でもあるというような意見もございますので、できるだけ単純労務を繰り返すような作業をしないように仕事の関係で十分配慮してまいっておりますが、さらに実際の仕事の時間ですね、その時間を、区切る時間を五十分とか六十分とか、そういう単位で区切りまして、それ以上継続してやらせないとか、そういうような配慮をいたして、まあ一面単純労務の繰り返しに伴う病気の発生ということがないように配慮はしてまいっております。
#178
○岩間正男君 とにかく私たちは、これは専門的なことですからよくわからないのですが、たとえばこの中で、「国勢調査の個票の内検とマーク付けでした。幅〇・六ミリメートル、長さ四ミリメートル位の小さなぺースに縦にも横にもはみ出さないように、曲がらないように線を引くこと」、こういうような労働ですね。しかもそれが単純労働化されて、そういう中で実はいまのような首をやられ、肩をやられ、腕をやられるという、頸肩腕症候群のような病状というものは職業病として当然これは発生してくる。こういう実態というのは人事院総裁どうです。単にそういう資料を求めるだけじゃ実際はわからないですからね。立ち入り検査と言わなくたって、実際実情を、これは職場をちょっと見せてもらったらどうでしょうか。われわれもこれは見せてもらいたいと思うのだ。そうしてこういうような労働というものの実態というものを明らかにして、そうしてこれをほんとうにもっと健康で、そしてこのような病気を発生させないように、そういう方向に努力をすべきじゃないか。ことにこの機械を入れてから、電算機を入れてから、たいへんな事態になってるんですよね。ここに最近のまた労働のひずみというのは大きくきているのですよ。これは人事院総裁の御意見と、それから総務長官の御決意をお聞きしたいと思います。
#179
○政府委員(佐藤達夫君) たまたま先ほどもちょっとお話に出したのですけれども、ただいま特に給与勧告関係の民間調査の集計を統計局にお願いしておりまして、非常にまあ御無理をお願いしておると思って恐縮しておるわけですけれども、いまのお話ですと、われわれの調査の関係ではなしに、国勢調査の関係ということで、ちょっと安心はいたしましたけれども、しかし、そういう私情は別にして、やっぱり職場に働いておられる皆さまの健康管理、あるいは安全管理ということについては、先ほども触れましたように、われわれとしても十分留意はしてきておりますところでありますし、また関係の各庁にもそれをお願いしてきておるところでございますからして、これからの扱い方については、いまの局長のお話にもありましたように、あるいは総務長官のお話にもありましたように、十分留意されることでございますが、現在のこの問題点につきましては、これはわれわれとしてはやはり強制調査権も何もありませんから、これは関係当局の適正なお取り扱いをまってわれわれとしては公正な判断をすると申し上げるほかはないわけでございます。
#180
○国務大臣(坪川信三君) 統計局の職員が、御承知のとおりの、いま最近は御承知のとおりに集計事務に全く忙殺されて、連日暑い夜作業を続けてくれておることを考えると、われわれもこうした立場におる職員に対する健康管理に対する配慮を十分急がなければならぬと、また、適切な措置も講じてまいりたいと、責任をもって努力したいと、こう思います。その点はひとつ御了解願いますとともに、やはりもっともっと職員を励まして、しっかり早く出せという御意見も十分あるんでございますから、それにこたえるための作業も続けておるということをお考えいただきますならば、岩間委員もそういう面についてはまたひとつ配慮ある御協力を願いたいと、こう思っております。
#181
○岩間正男君 とにかくまあもっと励んで早く出せと、こういうものをちゃんと受けて立つようなやっぱり職場の体制というものはつくられなければならぬし、労働条件はつくられなければならぬ。そうでないと、そのひずみはどこにいくかといえば、最終的には全部これは労働者にいくのでありますから、そうして、そういう関係でこのような職業病が発生しているわけですね。ここではっきり先ほども指摘しましたように、これは具体的に因果関係があるわけですね。昭和四十一年から、いままで一年一人ぐらいであったのが七人、それからずっと読んでみますというと、五、七、十六、十五、七、五、二十、十九というふうに、電算機体制になってからずっとふえているわけですね。だからここに、この仕事のこういう内容と、それから非常に病人が多くふえたということには因果関係がある。したがって、十分にここにメスを入れて、そうしてはっきりこれを認定し、その上に立って科学的な処理をしなければならぬというのが当然だと思いますが、いまの長官の御決意は、具体的にいうとそういうことになりますか。
#182
○国務大臣(坪川信三君) 具体的に申し上げますと、いま岩間委員が御指摘になられた点の含まれておることも、含まれております。私は私なりの配慮をもってこれらの健康管理を全面的にさらに進めてまいりたいと、こう考えております。
#183
○岩間正男君 そういうことを含めてですね、これはすぐに実践してほしいと思いますが、いかがですか。
#184
○国務大臣(坪川信三君) 事態というものを正確に把握いたしながら正確なる措置を急いでまいりたいと、こう考えております。
#185
○岩間正男君 次に、人事院は基礎体力検査の資料がないと認定を下せない、こういうことを言っておるのですが、職場の実態や医師の診断に基づく意見書等で十分客観的な資料と考えることはできると思うのですね。こういうものによってこれは判断することもできると思うのですが、これはどうでしょう。
#186
○政府委員(中村博君) 確かに症例によりましてはそのような手続で足りるということがあると思います。しかし、本件の場合におきましてはマーク作業という新しい作業でございますので、やはりこの点の判断につきましては医学的所見並びにいろいろな環境条件の調査、それからまあ御本人の体質、そういった点を十分に検討いたしまして慎重な取り扱いをする必要がある、こういうふうに考えております。
#187
○委員長(高田浩運君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#188
○委員長(高田浩運君) 速記を起こして。
#189
○岩間正男君 現に民間企業に働く労働者の場合は、基礎体力検査を実施しなくても医師の意見と職場の実態からこれは頸肩腕症候群を認定する例も出ているんじゃないですか。これはどうですか。たとえば、民間でそういう例を私たちはこれは資料としてもらっておりますが、どうですか。こういう例はございませんか。
#190
○政府委員(中村博君) このマーク作業につきましては、そのような例はないと聞いております。
#191
○岩間正男君 何ですか。
#192
○政府委員(中村博君) マーク作業につきましては、民間で労災のほうでお認めになったという例はないように聞いております。
#193
○岩間正男君 医者の判断でやった例というのは、いままでこれはずいぶん出ていると思いますね。これはわれわれの持っている資料ですけれども、手指作業、一般事務系、一九六九年から一九七三年一月まで、これは鬼子母神病院へ治療に来た患者のうちで、一般事務で認定された人ということで、これは必要ならあなたのほうに差し上げてもいいと思いますけれども、これはずいぶん出ております。一九七〇年――これはいろいろな会社の名前、そういうところからたくさんのそういう頸肩腕症候群を明らかにしておりますね。だから、そういう努力をすれば――どうですか、いまのような調査をされますか、どうですか。これは人事院、必要とあらば上げてもいいけれども、あとで資料として。そういう例があるんですから、そういうものを基礎にしていけば、これは現在の問題に対処する一つの手がかりは大きくつかめると思うのですね。いかがでしょうか。
#194
○政府委員(中村博君) 私どものほうには、先ほど申し上げましたように、医学の権威者である健康専門委員にお願いしてございますので、そのような、先生いまおっしゃいましたような資料もいただきまして、専門委員と十分協議を重ねたいと思っております。
#195
○岩間正男君 以上、時間の関係から問題点だけ出したわけですが、以上のことから考えて、労働者の業務障害の認定の場合に、職場の状況と罹病の関係について十分調査する立場が必要であると思います。職場の状況と罹病との関係を重視する立場でないと、公害問題でも明らかなように、被害者救済の解決をおくらせ、被害の増大をもたらし、そうして結局社会的指弾が大きく起こる。これは周知のとおりなんだ。今度の問題はまさにそういう点で、これは総理府統計局の中にそういうものが温存されているということが先ほどからの私は応答の中で出てきたと思うのです。このままにはこれはできない問題だと思います。これについて十分に対処すると、そういう立場をとられるかどうか。先ほど総務長官は申されましたが、あらためてもう一度決意のほどを伺い、それから局長も、あなたはどういう一体これに対して反省をしておられるか伺っておきたいと思います。
#196
○国務大臣(坪川信三君) 公務員の諸君が職場において国家のために職務をとる場合における職場の環境の整備、並びにこれらの諸君に対するところの労務、健康管理ということは重要な行政の課題でございますので、私の担当である統計局のこうした不幸な事態が今後生じないように最善の配慮をいたしてまいりたいということを強く申し上げて、御理解いただきたいと思います。
#197
○政府委員(加藤泰守君) 作業の面につきましては、先ほど申し上げましたように、できるだけ単純労務の繰り返しをやらぬように配慮するというようなことをやってまいりたいと思いますが、同時に、診療、医療関係でございますが、その点につきましては特別健診等できるだけ多数やりまして健康管理につとめたいと思います。
#198
○委員長(高田浩運君) ほかに御発言もないようですから、本案に対する質疑は終了したものと認めます。
 これより討論に入ります。――別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決を行ないます。
 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#199
○委員長(高田浩運君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
#200
○内藤誉三郎君 私は、ただいま可決されました国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対し、自民、社会、公明、民社、共産の五党共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。
 まず、附帯決議案を朗読いたします。
   国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項についてすみやかに検討の上善処すべきである。
 一、通勤途上の災害は、通勤と公務との密接な関連性等にかんがみ、公務上の災害とするよう検討すること。
 一、公務災害による年金の増額については、通常の定期昇給分を加味しうるよう検討すること。
 一、民間企業における業務上の死亡等に対する法定外給付の実情にかんがみ、公務員の場合においてもその均衡を考慮して適切な措置を講ずること。
 一、一般公務員が、特に危険をおかして業務を遂行しなければならない場合の補償についても、引続き検討すること。
  右決議する。
 附帯決議案の趣旨は、案文及び審議の過程で明らかでありますので、説明は省略さしていただきます。
 以上でございます。
#201
○委員長(高田浩運君) ただいま内藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#202
○委員長(高田浩運君) 全会一致と認めます。よって、内藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、坪川総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坪川総務長官。
#203
○国務大臣(坪川信三君) 国家公務員災害補償法の一部を改正する法律案を当委員会に御審議をお願い申し上げましたところ、長時間にわたり適切なる御質疑、また御要望等を賜わりまして、ただいま全会一致をもって議決されましたことは深く感銘、感謝いたしておる次第でございます。ここに委員長はじめ委員各位のありがたい御協賛に対し、つつしんで敬意と謝意を申し上げたいと思うのでございます。
 また、ただいま決議されました四点にわたる附帯決議に関連いたしましては、民間における動向等も十分とらえながら、制度の運営の経験等も照らしながら、皆さまの四点にわたる御要望につきましては、人事院あるいは労働省とも十分連絡をとりながら、御期待の線に沿うよう最善の検討を加えますことを表明申し上げる次第であります。
 ここに重ねまして厚く敬意と謝意を申し上げて、私のごあいさつを終えたいと思います。どうもありがとうございました。
#204
○委員長(高田浩運君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#205
○委員長(高田浩運君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#206
○委員長(高田浩運君) 速記を起こして。
    ―――――――――――――
#207
○委員長(高田浩運君) 次に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、すでに趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#208
○内藤誉三郎君 国民の中には、世界が緊張緩和の方向に大きく前進しつつあるときに、防衛力の強化は時代逆行ではないかという不満と不安がある。確かに西においては独ソ条約による東西両ドイツの融和、東においてはニクソン訪中、日中国交回復、ベトナム戦争の終結等により東西の緊張緩和が著しく進展した。しかし、極東においては依然として緊張の要因は残されている。たとえば、インドシナ問題は一応解決の方向にありますが、なお楽観を許さない。南北ベトナムとラオス、カンボジアの情勢はいまなお流動的であります。ニクソン訪中、日中国交回復後の台湾の状況、さらに南北朝鮮の表面的な融和と韓国の非常事態宣言。
 これらは安保条約の極東の範囲にある国々でございますから、わが国の安全と極東の平和に重大な影響がありますから、これらの国々の最近の動向について外務省の御見解を承りたいと思います。
#209
○政府委員(水野清君) 内藤先生の御質問でございますが、南北停戦後のインドシナ情勢の現状は新聞その他で報ぜられておりますけれども、まず南北ベトナムの問題は、御承知のようにパリ協定あるいは第二次のパリ宣言に表現されておりますように、大体戦局というものはこの二つの話し合いによって鎮静化しつつございます。しかし、なおまだ停戦違反の――南ベトナムにおきまして、南ベトナム政府とそれから臨時革命政権との間で停戦違反の問題は、非常に数は減っておりますけれども、まだ相当に存在をしております。
 それからラオスの情勢も新聞紙上で御承知と思いますが、ブーマ政権がパテトラオのほうに呼びかけをしまして、統一政府をつくろうという話し合いをして、基本的には話は進行しておりますけれども、まだその両者の合体の政権ができるというところまではいっておりません。戦況は大体終息しておるようでございます。
 カンボジアは非常に、御承知のように複雑な情勢になっておりまして、まあアメリカとソビエトと中国と、この三者の間で思惑がかなり違っておりますが、アメリカの軍事予算上の制限というようなこともございまして、まあ戦争状態というのは徐々に鎮静化するであろう、こういう見方をしております。そうして、外務省としましては、まあラオス、カンボジアの問題はさておいて、ベトナムにおいてはパリ協定の精神に基づきまして、南ベトナム政府も北ベトナム政府との国交を結ぶということに反対の意向を示しておりませんので、現在国交を回復するべく交渉を開始しておる最中でございます。
 先生の御質問の趣旨でございます、ここで完全に戦争の火種が消えてしまったかというお話のようでございますが、まだ完全に戦争の火種が消えてしまって平和がきたというところまでは到達をしてないようでございます。
 続けて、日中問題についての最近の情勢を申し上げますと、ニクソン訪中、日中国交回復というまあ歴史的な事件が起こっておりましたが、その後台湾においては、日本と台湾との間の民間交流というものはむしろ従来よりも進行をしております。貿易額もかなり増大をしております。これは日本との問題ではございませんが、台湾におけるアメリカはじめその他西欧の数カ国の投資額もかなりふえておりまして、台湾の経済情勢というのは非常によくなっているように思います。そして、御承知のことと思いますが、この背景には中国大陸の中華人民共和国が台湾を武力によって解放しないという一つの方針がいろんな形で表現をされておりますが、その背景に立っているものであろうというふうに見ております。
 南北朝鮮の問題につきましては、御承知のように、昨年の七月、南北朝鮮が祖国統一に関しまして、外国の勢力を排して自主的に解決をしようと、武力行使によらずに平和的な方法でこれを実現しようと、思想、理念、制度の差異を超越して民族的な大団結をはかろうという御承知の統一三原則を中心として、いわゆる南北共同声明を発し、これを契機に対話が開始されておりますが、この一年間、赤十字会談が七回、政治問題を取り扱う調整委員会が三回開かれましたが、外国軍隊の撤退、軍備の縮小等、韓国側の、あるいは韓国側の反共立法を撤廃しろというような政治問題の解決が先だという北鮮の立場と、人道的な解決から南北経済交流をやっていこう、そして最後に政治問題と、段階的に政治問題を積み上げていこうという韓国側の立場が非常に相違があるために、いまのところ進展を見せておりません。
 御指摘の韓国の非常事態宣言の問題は、昨年の十月十七日に戒厳令が発せられまして、朴大統領の特別宣言発表と、それ以降のいわゆる十月維新措置というものを先生が指していらっしゃるのだと、こう思われますが、韓国としましては、北朝鮮と話し合いを進める上で、あるいは最近の米中接近、あるいは日中の国交正常化、こういう国際情勢に対処するために、国内世論の統一をはかるためにやったのであると、こういう説明をしているわけでございます。
#210
○内藤誉三郎君 ありがとうございました。
 これらの国々が緊張緩和の方向に向かっていくことをぜひお願いしたいと思いますが、特に韓国と台湾は、米国が軍事的な援助をしておるし、日本も相当な経済援助をしておる国でございますから、私は日米が緊密な協力連絡のもとに平和的解決に努力していただきたいと思うのでございます。特に外務省の御努力をお願いしたい。
 さらに、極東において緊張要因の最大のものは中ソの根深い対立だと思います。私も数年前に北京に参りましてはだで感じてまいったのですが、これから日本の行く道として、私は、そのどちらのいずれか一方に偏しないで、常に正々堂々と、しかも他の一方を無用に刺激しないように、私は共産圏外交は慎重に進めていただきたい。要は、日本という国はどこからも信頼できる国だと、こういう印象を与えることが必要だと思いますが、政務次官の基本的な御見解はいかがでしょうか。
#211
○政府委員(水野清君) 内藤先生のただいまのお話のとおり、日本の外交政策というのは、特に中国、ソ連については片寄らないということを方針としていることは、私の個人の意見ではなくて、これは外務省全体の統一された意見でございます。そして、そのために、御承知のように、中国との問題は、共同声明を発しましてあと、実務協定の問題に入ろうとしておりますけれども、御承知のように、航空協定の問題、あるいは漁業協定の問題、あるいは貿易通商関係の協定の問題、その他実務的な問題にいま取りかかろうとしている最中でございます。
 ソビエトとのほうは、これは御承知のように――私の足りないところは、ここに欧亜局長も来ておりますから説明をしてもらいますが、実務的な協定というものは、たとえば航空協定にしましても、あるいは文化取りきめにいたしましても、大体実はでき上がっているわけでございまして、あと日ソ平和条約を調印するための一つの最後に残された問題は領土問題でございます。この領土問題の解決というのは、長年の日本政府としての悲願でございますが、また同時に非常にむずかしい問題であることも事実であります。よくソビエト側から平和条約を早くとか、一般に平和条約という観念で云々されておりますけれども、問題点は実は領土問題一つに残されている。ただ最近、事実上、これは政府間ではございませんが、民間として出てまいりましたのが、シベリアの経済開発の問題でございます。よく新聞で報ぜられておりますように、チュメニの西シベリアの油田の開発であるとか、あるいはヤクーックの天然ガスの開発問題であるとか、開発輸入という形になろうと思いますが、この問題が民間をベースとして非常に進められております。政府としましても、この民間ベースで進んでいるシベリア開発の問題は、ある段階に入りましたら、これは国益というものを前提にしまして、支払い条件その他で応援をしていかなければならないのではないかというふうにも考えております。
#212
○内藤誉三郎君 世界が緊張緩和の方向に向かっていくことは私もたいへんけっこうだと思うし、これは今後定着させるように外務省も御努力いただきたいのですが、現在の緊張緩和というものは大国間の力の均衡によって維持されている、こういうふうに考えますし、世界の恒久平和とはほど遠いと思うのです。それが証拠には、軍縮問題は一向に進展しないように思われております。特に核兵器については若干の制限協定が行なわれたが、核兵器の全廃にはほど遠い現状であります。最近のジュネーブの軍縮会議の模様等おわかりでしたらお知らせいただきたいと思います。
#213
○政府委員(水野清君) 私の説明で不十分なところは説明員に補足をさせますが、軍縮会議の現状を申し上げますと、軍縮問題は、ジュネーブの軍縮委員会あるいは国連総会などにおいて討議が続けられておることは先生の御承知のとおりでございます。軍縮問題は、核軍縮、化学兵器の禁止問題等、いずれも各国の安全保障に深い関係を持っているだけに、またこの問題に中国とフランスが軍縮委員会の討議に参加しないということもありまして、実は急速な解決が期待しがたい状況にあるわけでございます。
#214
○内藤誉三郎君 わが国は世界で唯一の核兵器の被爆国であります。国際紛争の武力的解決を永久に放棄したことを憲法に明記しておりますいわゆる平和憲法を持っている国で、世界でも類の少ない国だと思いますが、この日本が私は率先して軍備の全廃を主張していったらどうかと思うのです。今日までの外務省の軍縮に関する御努力が欠けているように思うのですが、この点をどうお考えでございますか。
#215
○政府委員(水野清君) 核武装というのは、もちろん通常兵器も全廃するという全面的な軍縮というものが軍縮交渉の究極の目的であることは変わらないわけでございますけれども、ここ数年間のうちに世界各国の軍備を全部撤廃するということは、現実の国際情勢から判断いたしますときわめて困難だと言わざるを得ないわけでございます。で、一歩一歩軍縮問題を進めていくということが私は現実的ではなかろうか。したがって、現在の軍縮委員会及び国連総会における交渉の重点も、核軍縮問題の中の核実験の禁止問題などの部分的措置に現実に移ってきているようでございます。
 一方、米ソの間で行なわれております戦略兵器の制限交渉も、戦略核兵器の量の上限の設定とか、あるいは質的改善の規制とか、またこれ以上の軍備競争の激化を招かないためのというような段階でございまして、これから、全廃するところからははるかに遠いと、これが現状でございます。したがって、通常兵器の全廃に至る道程というのはきわめて遠いわけで、先ほど申し上げましたように、部分的な措置の積み重ねによって逐次完全軍縮に近づくことが私は現実の道ではないかと、かように思っている次第でございます。
#216
○内藤誉三郎君 私も政務次官の御説明、よくわかるんですが、これはやっぱりあらゆる機会に軍縮の問題は提起すべきじゃなかろうか。私は第一段に核兵器の全廃を主張し、第二段に通常兵器の全廃と、それは軍縮会議だけじゃなくて、私は国連という場で、アジア、アフリカ、中南米その他たくさんの国の賛成を得て、日本があらゆる機会にこれは提案していただきたい。むしろ積極的に国際世論を巻き起こすというふうにやっていただきたい。それがお説のように直ちに実効があるとは私は思いません。思いませんが、やっぱりそういうことはしていただくことが大事なことじゃなかろうかと。
 それから次に、非武装中立ということは将来の理想としては私も賛成でありますが、現実的にはやっぱり自分が武力を持っているから、自分も捨てるから相手も放棄しろと、こういうふうにお願いしたほうが私は説得力があるように思うのでございます。自分は武力がないから相手も武力を持つなということは聖人君子の国ならともかく、力の均衡で維持されている世界平和機構の中では何か説得力に乏しいように思いますが、この点、政務次官はどういうふうに判断されますか。
#217
○政府委員(水野清君) 先生のお話はごもっともでございますけれども、私は現実のいま世界情勢の中で、自分が先に――これ、たとえが悪いかもしれませんが、裸になって、そこで相手にも武器を捨てろという言い方も、これは確かに哲学的にあるいは宗教的にはあり得ることかと思いますが、世界の現状は私はそういう情勢にはまだないように思うわけでございます。たとえば永世中立国としての宣言をしておりますスイスにしましても、永世中立国の宣言はしておりませんが、世界的にも中立政策をとっているので有名なスウェーデンにしましても、現実には私はそういう道をとっていない。相手を信頼しておって――相手というのはどこのだれということは想定ができませんけれども、相手を信頼しておって万一こっちが侵略を受けて、その際に国連総会や何かで訴えることができましょうけれども、まだ私は国連の場所においてもそれだけの国際的な強制力も何も持っていないということから考えれば、理想としてはたいへんけっこうなお話でございますが、日本の置かれている国際環境の中では私はまだ時期尚早ではなかろうかと思う次第でございます。
#218
○内藤誉三郎君 いま政務次官のお話のように、軍縮というものはなかなか困難な問題であり、はかどらないと思うんです。そこで、世界の恒久平和を確立するためには人間の心の改造ということが必要であります。私は、この道は迂遠なようだけれども一番近道じゃないかと思っているんです。最近世界平和を目的とした国際会議がだんだん盛り上がってまいりました。たとえば世界連邦の宗教家の会議が今年六月伊勢神宮で開かれました。数年前には世界宗教家の平和会議が京都で開催された。こういう恒久平和実現のための文化活動に私は外務省はもっと積極的に援助していただきたいと思うんですが、外務省どうでしょうか。
#219
○政府委員(水野清君) 宗教的あるいは宗教教育面からの恒久平和の確立の努力をすべきであると、政府もやれという御趣旨のようでございますけれども、一つ問題がありますことは、御承知のように政府が宗教教育に立ち入るということは憲法上制約をされているということでございます。私個人としましては、そういうことも一つの方法でございますし、単に政治家が集まってお互いに軍縮交渉をやろうとか、兵力の相互削減をやろうとかというような話し合いをするだけじゃなくて、戦争というものがいかに悲惨なものだと、戦争というものが人類からなくなることがいかに必要かというようなことを訴えることも私は必要だろうと思いますが、ただ、政府自身がこれを経済的に援助をするとか精神的にエンカレッジをするというようなことは、いまの憲法下では私は非常にむずかしいんではないかと思うわけでございます。
#220
○内藤誉三郎君 ちょっと政務次官、誤解があるようですが、私は宗教活動だとか宗教教育に援助しろということは毛頭言ってないんです。そのことは憲法上禁止されていることは私もよく了解していますが、私が申し上げているのは、宗教家とかあるいは教育家が世界恒久平和のためにやることはこれは宗教活動では私はないと思うんですよ。明らかに国際会議であり文化活動なんです。そういう文化活動にもっと外務省は理解を持ってほしいと思うんで、そういうことを申し上げたんです。
 実は私、昨年の九月初めて、列国議会同盟の会議がローマであったんです。議題は軍縮、環境保全、麻薬、低開発国教育援助等であったが、私はその際世界教育憲章の制定を議題とするように提案いたしたんです。各国代表の演説を聞いておりましたところ、これら問題の解決はいずれも困難であると私は思いました。それはなぜかというと、結局個人か民族のエゴイズムに根本的な原因があるからです。各国民は国民である前に人間だと、教育の制度や内容は各国自由にきめられるべきものであるが、人間として世界共通の理想を持たなければならぬと思うんです。その世界共通の理想を子供のときから、極端にいえば幼稚園の子供から教えていく、そのためにひとつ世界教育憲章を制定したらどうか、こういう提案をした。たとえば、その中に盛ることは、人間と自然を愛すること、あるいは自由と平等を守ること、社会連帯公共のために奉仕すること、それから四番目に、世界は一つ、人類は同胞であるという世界連帯観の確立というような内容を持った教育憲章をつくったらどうか。これは議題に採択されたんですけれども、まだたくさん議題があったので見送りになりましたが、この提案が、ことしチリで大会があるからもう一ぺんひとつ私自身は出したいと思うし、来年東京大会がありますので、少なくとも東京大会の議題になるように外務省も側面からひとつ御支援をいただきたいと思うんです。
 私、ローマの帰りにロンドンに参りまして、有名な歴史学者アーノルド・トインビー博士にお目にかかってこの趣旨を説明したところ大賛成でしたので、私もたいへん激励されまして、パリのユネスコ本部に参りまして、ユネスコの事務局ナンバー・ツーのホッブスに会ってこの趣旨を説明したところ、ユネスコも大賛成だと、それならユネスコ本部で取り上げてくれないかと言ったら、これはやっぱり日本代表から取り上げるほうがほんとうだというようなことで、その場は帰りましたけれども、私は外務省も文部省と協議されて、やっぱりユネスコというようなところで世界教育憲章の制定を議題とされるように今後格別の御尽力をお願いいたしたいと思います。
 次に、私は過去二回スウェーデンに参りました。いつ行ってもスウェーデンという国はいい国だと思いました。ストックホルムは風光明媚な水の都で、さすがに世界環境宣言が宣言されるのにふさわしい公害のない都、ノーベル賞が授与される文化のかおり高い国、男は六十歳、女は五十五歳になればだれでも年金が与えられる、年金で養老院の経費は十分まかなわれる、孫が来れば小づかいもやれるというほど恵まれた社会保障の発達した国でした。小、中、高等学校の教科書、教材、給食は全部ただ、小学校から大学まで授業料は徴収しないという、まことに恵まれた国であったわけです。しかし、まあ高福祉高負担でございまして、収入の三〇%ぐらいは税金または掛け金に取られるが、老後の保障が完備しているから働いている者に不満はないと、こういうふうに言われました。百年かかって土地をほとんど国有地に買い上げた国として、私はすばらしい試みだと。自由主義国で社会保障を整備した国として、たいへん私は、私の関心と注目を引いたのでございますが、特にこれからの日本の政治の方向に一つの指針を与えてくれたような感じがしました。
 ところが、私、一番驚いたことは、人口六百万、国民一人当たりの所得が米国に次いで世界第二位だと聞かされたのです。こんな寒い北欧でアメリカに次いで世界第二位。日本は二十番目ぐらいでしょうね。どうしてそんなに豊かなんだろうと聞きましたら、この国は二百年間戦争がなかったと。第二次大戦のときにドイツのヒットラーがデンマーク、ノルウェーを席巻したときもスウェーデンには侵入できなかった。同様に、スターリンもフィンランドを占領したけれどもスウェーデンは攻めなかった。それで今日まで戦争がないんだと。御承知のとおり、スウェーデンは永世中立を宣言している国ですが、強大な軍備を持っているから、侵入したら相当な犠牲を覚悟しなければならない、こういうわけでドイツもソ連もともに侵入できなかったと聞かされました。私は、やっぱりスウェーデンの強大な軍備のおかげでスウェーデンの中立が保障されたのだな、こう思って帰ってきたのでありますが、いまでもたいへん完備した社会保障と同額の、同じ額の国防費を計上しているそうです。私も詳しくは存じませんが、特に原爆に備えて市内には五千人収容できる地下壕が六カ所あって、平素は地下駐車場になっている。フランスの空軍よりもはるかに性能のいいすばらしい空軍を持っているということも聞かされたわけです。日本の自衛隊の航空機は八百機程度ですが、スウェーデンはあの小さな国でもって千四百五十機だということで、ある面では日本の自衛力よりは強化されているのじゃなかろうか。
 そこで、国の安全と平和を守るために自衛力というものは私は現段階では必要であると思いますが、外敵の侵入を排除できる程度の軍備、すなわちスウェーデン程度の軍備が必要であり、かつ十分であると思うのです。スウェーデンの軍備というのは、ドイツやソ連を打ち破るための軍備ではなくて、相手が攻めてきたら相手に相当な犠牲を覚悟しなければならないという専守防衛の軍備であり、ここに私は自衛力の限界があるように思ったのでございますが、これからひとつ防衛庁長官にお尋ねしたいのですが、自衛力にはどうしても私は歯どめが必要だと思うのです。一番大事なことは、自分の国は自分で守るというそういう国民の気概が必要だと思う、これが根本だと思います。最近、三次防、四次防でますますこの防衛費が拡大されているような印象を与えて、ずるずるとなしくずしに再軍備が行なわれ、戦争に巻き込まれやせぬかというような不安が国民の一部の中にあることは、これは私はいなめない事実だと思うのです。この国民的な不安というものを解消することが私は一番大事なことだと思うのです。
 そこで、この自衛力の歯どめの具体策と申しますか、について、これから防衛庁長官にお尋ねしたいんですがね。何かこの三次防、四次防、五次防、六次防と防衛計画がどんどん雪だるまのようにふくらんでいくというような印象を与えることは非常にまずいのじゃないでしょうか。中身を見ればそれほどでないかもしれないけれども、一般的にそういう印象を与えがちでございますので、私はこの辺でもう四次防、五次防という構想はおやめになったらどうでしょうか。そして陸海空の人員増加は、特別の情勢の変化のない限り今後は原則としてやらないという方針が確実にできないものでしょうかどうか。そして陸海空の人員の配置というものは、総定員法の総定員の中で、確かにシビリアンコントロールの原則がございますから、このシビリアンコントロールの原則を確保しながら、若干の融通ができるような道はできないものかどうか。私は、人間の数も大事だけれども、もっと大事なのは少数精鋭じゃないかと思うんです。そのために私はもっと隊員の資質向上をはかるために思い切って待遇改善が必要だと思うんです。こういう点について防衛庁長官のお考えを聞かせていただきたいと思うんです。
#221
○国務大臣(山中貞則君) 初めにお断わりとお願いを申し上げますが、私の不心得のために、つまらないけがをいたしましたので、答弁を着席のままですることをお許し願いますと同時に、私に質問される場合には、質問者もどうぞ着席のままでしていただくようにお願いします。
 ただいまの御質問でありますが、確かにそういう考え方の傾向が国民の間にあるということも事実でありますし、あるいはまた、日本の憲法その他の制約を知らない、よく理解し得ない立場にある東南アジア等の国々で、経済大国日本というものが即軍事大国という過去のパターンを踏むのではないかという懸念のあることもまた一部において事実だと思います。私たちに、しかし、やはり第二次大戦の悲惨な体験をもとにして憲法をつくったわけでありますから、私たちの憲法第九条の許容できる範囲内のものが、まず第一の歯どめでありますし、さらに私たちはそれにのっとってもっぱら――専守防衛という表現は安易でありますが、そういう範囲の中において時代に適応し、国民の許容する限度内の祖国の、国家の独立と自由を守る範囲において、また国民の生命、財産を守る範囲においてのみ許されるものであると考えます。しかし、それを三次防の次は四次防、なるほど一次防から四次防に至りましたので、確かにそういうずるずるといっているのではないかという御懸念も一部にあるかと思います。私は四次防の次は五次防という考え方も、また平易にいえばいまの四次防は三次防の実質延長でありますから、これはさして問題ではないと思いますが、反面において、際限なく繰り返していくということになるとすれば、やはりここで考える必要も、ある意味であるのではないかと思います。
 それはおっしゃるように量のみを求めていくのには限度がありますし、たとえば陸上において一次防以来、十八万といわれておりましたものは、若干理論的に沖繩復帰後の日本の体制に即応する十八万人としては少のうございますが、一応十八万という、国民の目から見た体制には入っていくわけであります。これは国会の御承認を得た場合のことであります。そうすると五次防というものは、陸上自衛隊の定員に関する限り今後必要ないのではないかということが、これは言われるわけでありますけれども、それこれ考えまして、国防会議あるいは自衛隊の最高の指揮監督権者たる総理、これらの御意向を最終的に伺ってからのことでありますが、やはり一般の経常経費的なもの、これはもう単年度でやはり考えていくべき一つの手段があるのではなかろうか。かといって、単年度では調達し得ないもの等が艦船、航空機等ございます。そういうものは単年度予算でぶつ切りにしていくのもおかしかろう。実際上、生産体制というものも問題でありますから、そういうものについて別途長期的な展望というものを、その発注、調達に至る期間を明示し、機数を明示し、あるいは艦艇のトン数、隻数を明示した国防会議等の決定というものがあっていいのではないか。
 定員を、いま非常に新しい想定案として、総定員法的なものでいったらいいのではないかとおっしゃいましたことは、陸上はそのようであっても、海空において、艦艇、航空機等の就役に伴って必然的に、部品的な存在といってもいいんですが、それに対して必要な要員というものがやはり逐年、数は少なくても要るであろう。そこらのところを総定員の中でやりくりしたらどうだという御意見だと思います。ただし、その御意見の中でも、シビリアンコントロールの問題は承知して言っているのだということでありますから、そういうことは私も御承知の上のこととして答弁いたしますが、やはり最終のシビリアンコントロールの場は国会である。これはやはり明確でありますから、国会において――総定員法的なワク内において、自衛隊においてかってに陸海空三軍の編成なり定員を変えていくというようなことは、はたしていかがなものであろうかという若干の懸念を持っております。これらのところは、たいへんお手数ではございましょうが、やはり陸海空それぞれの定員については、きちんとやはり国会の最終的な御判断を仰ぎながらきめていくのがいいのではないか、こういう考えもいたします。しかし、非常にユニークな提案でございますから、これからの検討課題として、私もそのようなことについて若干考えておりましたので、御意見を十分尊重して検討を進めてみたいと思います。
#222
○内藤誉三郎君 確かに単年度で予算が勝負できないことはわかっていますが、そういう場合には債務負担行為という手もあるし、継続費という手もあるわけですから、もう山中長官はそのほうの専門家でいらっしゃるから、やる道は私は幾らでもあると思います。
 それから定員について、私は正直言って、毎年毎年この防衛二法が出てきてつぶれるというようなことは、自衛隊の士気にも影響するし、また、国民にもはなはだ私はおもしろくないと思うので、やっぱりこの辺で定員のワクをきちっと、もうふやさぬというならふやさぬということで明確にしていっていただきたい。そして、確かに陸海空、それをぴちっと法律できめなきゃならぬこともわかりますけれども、きめるにしても、そのワク内で多少の融通は私はこれは認めていただいてもいいんじゃないか。というのは、船がふえれば定員もふえる、飛行機がふえれば大体ふえることはあり得るわけですから。それはあくまでも多少の問題だと思うのです、融通のできる幅というものは私はきわめて少ないと思うのですけれども。そういう道もあるのではなかろうかと、こういうふうに考えまするので、ひとつ長官もお考えいただきたいのは、何かこう三次防の次は四次防、四次防の次は五次防、その次は六次防というような、どこまでいくのかわからない。一体どこまで自衛力を増大したらいいのか、自衛力の限界というのは一体何だということが、これがたびたび出るわけなんですから、私は先ほどスウェーデンの例を申しましたけれども、別によその大国をぶち破るだけのものでなくてもいいと思うのです。自分の国は自分で守って、ともかく相手に相当な打撃を与えるという、それだけのことがあったら相手も攻めてこないと思うので、私はそういう意味で、ひとつこれからはあまり何次防、何次防というようなことはおやめいただきたいし、定員もいまの定員でまかなっていただきたい。私は少数精鋭がいいと思うのです。数ばかりそろえたってやっぱり――数も必要ですよ。確かに必要ですけれども、数だけそろえればいいというものじゃないと思うのです。特に私がお願いしたいのは、自衛隊の諸君の待遇の悪いところだと思うので、陸上自衛隊はあなた十八万とおっしゃったけれども、二万五千人も欠員があるのでしょう。それで一体防衛の責任は果たせないと私は思うのです。もっと待遇改善して、少数精鋭にしてほしいと、こう思うのですよ。長官の御答弁を伺います。
#223
○国務大臣(山中貞則君) ただいまのお話の日本の防衛力の限界というのは、かつて過去の国会で、最近のことでありますが、もめたことがあります。私どもは、しかし基本的にはやっぱり憲法の制約、そして憲法に示された、国際紛争解決の手段としての武力は持たないのだ、したがって攻撃的な、他国に脅威を与えるような能力等を装備しない、本来の国土、民族というものを守る範囲の力を持つのだ、こういうことに徹しなければならぬと思います。
 そこで、いまおっしゃったように、四次防の次は五次防と当然のように進んでいくあり方というものは、国民に不安を与えるということについては、先ほど私が御答弁申し上げたとおりでありますし、検討を加えるべき時期にきているのではないかと私は思っておりますが、ただ、債務負担行為だけでは相当数年にわたって後年度を拘束するものとしてはなかなかむずかしいものでありますし、(「継続費です」と呼ぶ者あり)やはりある程度のアウトラインは国会にお示しして、あるいはまた、国防会議等の基本的な検討の一つの柱としてのものでもありますから、どこかに限界をきちんとする必要があると思います。ただ経常費的なもの、そういうもの等は考える必要がある。
 欠員の問題等については私も非常に頭の痛いところであります。自衛隊の給与というものは、御承知のように国家公務員に準じ、あるいは公安職員に準ずる、こういうことでありますから、それに準じていくわけでありますけれども、しかし二年もしくは三年という期間を限られた形で国家公務員なることを存続する、特別職の国家公務員としての地位につくことを承諾し、そして入ってくる国家公務員というものは自衛隊だけでありますから、はたしてこれが給与表の中でスライドしていくだけでいいものであるかどうか。これらの点は、退職金のあり方、あるいは継続して長年月つとめたとしても、退職月日が非常に若い年齢のままに退職させられて中途はんぱな人生に終わる心配がある。まあ継続雇用等の場合のめんどうの見方の問題とか、いろいろあると思います。これらの問題は、一つは、自衛官が自分たちの国民に対する心がまえをどのように持つかという、若い青年たちの、自分たちがやってやろうというそういう自衛隊に私たちがすることが第一でありますが、やはり何といっても待遇の面も一つ見落とせないところでありますので、それらの点はただいま防衛庁において給与問題研究会というものを設けまして、防衛庁のひとりよがりでない、客観的に見てどのような待遇をすべきかということを検討いたしております。なるべく早く結論を得て、できれば私が来年度予算の要求をいたす立場に立ちました場合にそれを片づけてみたい、かようにいま考えて作業を進めておるところでございます。
#224
○内藤誉三郎君 先ほど私が例をあげたスウェーデンでは、常備兵力というのは日本より少ないのですよ。しかし、一朝有事の場合の動員力というのはすばらしいものですよ。いま二年、三年とおっしゃったけれども、そういう人たちが一朝有事の場合には動員できるような体制がほしいと思うのです。それには思い切って待遇改善したらいいと思うので、何だか例をおっしゃったけれども、最近教員については他の公務員より優遇しなきゃいかぬという原則を確立したので、私はやっぱり国防のために、国のために命をささげようとする人たちに報いるだけの待遇をしていただきたい。これは要望ですからお答えはいただきません。
 次に、装備の点でありますが、装備の量、たとえば航空機の数、いま八百機ですか、それから艦船の総トン数二十一万トン、こういうものも私は今後ふやさないという原則を確立されてもいいのじゃないかと実は思うので、というのは、いろいろ防衛計画を見るとふえるようになっておりますけれども、それよりもむしろ装備の近代化のほうがはるかに必要だと思うので、私はその際あまり防衛用兵器とか攻撃用兵器を持たないとかという兵器の性質を分けるというよりも、専守防衛に最も効果的な兵器であってほしいと思う。そこで航空機、艦船の近代化は当然やらなければいかぬし、古くさい、役に立たないものをたくさんかかえて数だけそろったって意味がないと思う。だからナイキやホーク等やはり新兵器の開発ということも大事ですから、そういう点に重点を置いて、ひとつ予算編成をお願いしたい。
 特に、私は長期の防衛計画でなくて、大体防衛予算をどの程度にするかということは、できれば私は何次防、何次防なんて言わないで、毎年、本年度でも一般の予算が二割なら二割、二割五分なら二割五分ということで、その範囲内で緊急度に応じて必要なものから逐次整備すると、こういう方針だってできると思うんですよ。それで、もちろん長期的な防衛計画は先ほど長官がおっしゃったように確かに必要ですから、そういうものは別に確立しておけばいい。それで、予算できまったものから――一々大蔵省がこまかく査定したってわかるはずないと思うんですよ。防衛庁が必要なものを、大体一般の予算が前年度の二割増し、二割五分増しとなったら、その範囲で緊急度の高いもの、そういうものから逐次整備していくと、こういう方針をおとりになったらどうかと思うんですよ。これについての長官の御意見を伺いたい。
#225
○国務大臣(山中貞則君) 私がそうしたいと言うと、うちの事務当局が非常に喜ぶと思うんですよ。ということは、一般予算の伸び率ほど防衛費は伸びておりませんから。ことに予算の性格というものは、景気その他国民経済の動向に即してどのような性格の予算を組むかというのが一番の主眼点だと思うんです。その伸び率は、したがって、ときによって公共事業を重点に飛躍的な伸びを示したり、あるいはインフレ収束のための若干きびしい伸び率の予算を組んだり、いろいろやりますから、それを短い時限の対応する単年度予算に即応して、その伸び率に対応してだけ自動的にいくことは非常に安易なようですけれども、実はやはり防衛計画というものは、ある程度長期的な展望を持ちながら、したがって、一般会計の伸び率よりも低くても、私たちはそのことについて文句を言うのではなくて、日本として持つべき限界の中の装備の近代化、あるいは更新、充実、練度の向上、こういうものにつとめていくべきだと思いますので、まあその御提案は非常におもしろいとは思うんですがね、実際にはそれに安易に乗っかりますと、防衛予算というものは非常にこうふえることになるんじゃないかと思うんです。
#226
○内藤誉三郎君 いや、別に私はふえる必要はないと思うんですね。だから、私が言っているのは、装備の近代化が非常におくれていると思うんだよ。あんなアメリカからもらった、おんぼろのものをいつまでも持ったって、これは意味ないと思うんで、もっとすばらしい性能のもの、それでなかったら、防衛庁の予算一兆円むだになっちゃうと思うんですよ。やるならりっぱな私は最新の兵器をやってほしい。ただ数だけそろえて、それで防衛計画の成り立つようなものじゃ私はないと思うんです。山中長官ならそれができると思うんだよ。ひとつ勇気をふるってあなたにやってもらいたいと思うんです。
 その次に、これは基地の問題ですけれども、私は米軍基地が確かに日本に多過ぎると思っているんですよ。こんな狭い国土で、あっちにもこっちにも基地が多いということはよくないと思うんでね。私は日本の安全と極東の平和に必要最小限な基地であってほしいと思うんです。もう終戦後二十何年たって、しかも緊張緩和の方向にあるときに、いたずらに基地を置くことは国民感情からいってもよくないし、私は日米安保体制というものは今後も堅持していきたいと思うんです。それについても思い切って基地の整理をひとつやってほしい。ぼくは山中長官に非常に期待しているんですがね。
 そこで、米軍のほうで、空軍のほうとしてはいま三沢と横田と岩国をやってますから、三沢と横田と岩国と三カ所ぐらいに限定できないかと思うんですよ。あとのものは全部返還してもらえないか。それから海軍のほう、米海軍のほうでは横須賀と佐世保と二カ所ぐらいにして、まあほかはあまり使ってないようですから。そういう点でひとつ基地の整理をやっていただきたい。あとは全部返還してもらう。
 それから沖繩については、私は何べんも行ってみました。行ってみたが、確かに全く基地の中に沖繩があるようなもので、まことにお気の毒だし、これではやっぱり沖繩の発展はないと思うんです。その意味で、もうインドシナ戦争、ベトナム戦争は終わったんだから――終わったわけでもない、まあくすぶっているけれど、くすぶっているが、あそこから来ることはあまりないし、日本に返還されたし、今後は事前協議の対象になるわけですから、空軍は私、嘉手納一カ所でいいんじゃないかと思うんです。あと全部整理してもらいたいんですがね。海のほうはもうホワイトビーチ一つぐらいにして、それぞれ一つぐらいということで、ひとつ米軍と交渉してほしいと思うんですが、長官の基本的なお考えを伺いたいと思う。
#227
○国務大臣(山中貞則君) 基本的には大体私も同じ考えです。また、実質上関東集約計画と称せられるようなもので見られるとおり、やっぱり都市化、市街化、あるいは住宅宅地化の波、こういうもので実質上もう日本が二十年前置かれた状態と著しく形態を異にした中における基地という問題は、これは米国側も真剣にやっぱり取り組んでもらう事柄の一つでありますから、まあ関東横田集約というものは進んでいるわけですが、実際上も三沢、横田、岩国というところあたりが実質上の基地と称すべきもので、あとの飛行場は大体共同使用というような形でほとんど、まあその他の形のものもありますが、実際上常時使用している形のものではなくなりつつある。したがって、いまおっしゃるような方向に進んでいくだろうと思いますし、また第七艦隊の寄港先としても、横須賀と佐世保にほとんど集中されておることも現実でありますから、そういう方向になるでありましょう。またそのように努力すべきだと私も思います。またそれらの地域においても、それぞれ佐世保の弾薬庫の二カ所にある問題を一カ所に集約するとか、あるいは横須賀におけるミッドウェーの母港化に伴う各種の問題を一応自治体に御迷惑をかけないように努力するとか、外務省と一緒になってやりたいと思います。
 沖繩の問題は、これは最近は少し変わっておると思いますが、那覇空港のP3の移転先についても、普天間ということで三十八億の滑走路のかさ上げまで予算で準備するぐらいでありましたものがようやく嘉手納ということに変わりました。これは変わったというよりも、普天間になったことが変わったわけなんです。というように、現地においては、陸、海、空、マリーン、どうも四軍というものが、それぞれ自分たちの一番使いやすい状態の基地を持ちたいという願望が、戦争直後あるいは施政権下を通じて何の制約もなしに使えたという感じを持っておりましたから、まだなお残滓が残っておるように思います。私は、御指摘を待つまでもなく、沖繩の将来の経済計画の発展を祈るについても、まずその前提としては、有効な土地利用ということが基地によって、ことに本島中南部において徹底的にこれが阻まれておる、これを何とかしなければいかぬと思いますし、したがって、P3移転についても、すみやかにこれをやって、相なるべくんば海洋博のときに恥ずかしくない、数百万の外国のお客さんが那覇空港におり立って、りっぱなターミナルビルが本来あるべき場所に建てられているような形であることが望ましいと思って、いま運輸省その他関係各省と相談をしております。これは一つの例でありますけれども、那覇港、すなわち南岸の軍専用バース等の問題についても、沖繩に行きますと、ストライキをやっているのか、海運ストかと思うほど沖待ちが多うございます。これはやはり那覇市のいま所管いたしておりまする商港部門だけでは、海洋博に向けての諸原料資材の陸揚げについて多大の支障を来たしておるために沖待ちが行なわれておるわけでありますが、これを相なるべくんば返還してもらいたい。ただ、ホワイトビーチでは、物資の、やはり少なくなったといっても三万六千トンから四万トンほど陸揚げをしておりますから、物資陸揚げ港にはややむずかしいのではないか。それと、基本的には、それらの主として牧港補給所に行くものでありますから、その近郊に代替バースを一つつくる必要があるのではないかという気もいたしますが、いずれにしても、非常に二十万トンぐらいさばいておりましたころに比べて荷さばき量の減っておる、しかもバースはそのままであるということを考えますと、市長あたりとも相談をいたしておりますが、外務省等とも相談をしながら、できれば少き海洋博用の資材だけでも現在のアメリカの使用しております専用埠頭の半分かないし三分の二ぐらい貸してもらえないだろうかというような相談を内々いたしております。
 そのようなこともかれこれ考えながら、沖繩においては、沖繩の人たちの目から見てどうしても必要な土地、あるいはまた私どもが見ましても沖繩の人たちが納得しかねる形の土地の使用のされておる読谷、北谷、嘉手納、コザ、そして宜野湾、那覇市、こういうところを中心に、地元の人たちの要望を最大限にくみながら、むしろ私どもが積極的にアメリカに向かって、沖繩の基地というものは全く本土の基地とその発生の沿革、態様を異にしておることに交渉の原点を置いて話を進めております。したがって、沖繩の場合には、返されたら国有地はほとんどなく、全部民有地、地主さんに返るということが証明しておりますように、その取り上げられた基地の提供されたときの環境も、本土の国家権力をもって、相手側との間に相談をして取りきめたものではない、一方的な、戦争中もしくは戦後の施政権という名前のもとにおける相当な権力を行使して、一方的に基地にしてしまったものが多いということを考えますと、われわれはやっぱり自動的に提供施設になった、区域になったといって沖繩をながめてはならないのであって、沖繩県民の人々の、一坪一坪にいろいろな複雑な血も涙もこもっておる地域が沖繩の基地だと思っておりますから、沖繩の、極東戦略の拠点としての立場を米側がとっております根本の問題を一挙にひっくり返すことはできないと思いますけれども、少なくともわれわれはそのような姿勢からこれを見るときに、数多くの具体的な個所を指摘して、返すべきであり、また返してもいいじゃないかという話し合いができるわけであります。先般八ヵ所ほど、実質七ヵ所と思っていただいてけっこうですが、返りましたけれども、これは全部沖繩県民の地主さんの手に返っていったわけであります。そういうことを考えますと、外務省と相談をいたしながら、話の詰まったものを次々と発表していって、合意したものは返還していくという姿勢をとりたい、そのように考えております。
#228
○内藤誉三郎君 これで終わりますが、大臣、私は、いま一ぺんに沖繩の基地を返せといったってそれは無理だと思うし、確かにいろいろな発生の動機その他において違っておったし、しかし将来のあり方として、はっきりしておいていただきたい。計画的に基地が残るのは私もやむを得ないと思う。しかし、将来、空軍は嘉手納、海はホワイトビーチ、もうそれ以外は原則として返していただくという方向で、長官、折衝に当たっていただきたいと思うのですが、この点はいかがですか。
#229
○国務大臣(山中貞則君) これはまあ空軍は嘉手納といいましても、飛行機は空軍ばかりが持っておるわけじゃありませんから、したがって、那覇空港P3の移転もそれぞれの四軍の対立があってごたごたしたことを申し上げました。しかしまた、嘉手納の人々はそれだけに嘉手納地区として八割をこえる土地を飛行場を主とする軍用地に接収されて、海岸に押し詰められて、ものすごい百二十ホンをこえる騒音の中で生活をしてこられた、こういうことを考えますと、嘉手納に全部を集約して、あそこに飛行機を集めるんだということを私がもしここで答弁いたしますと、それは嘉手納村民にとってこれほどひどい答弁はないということになります。したがって、やっぱり客観的には、原則的姿勢として、沖繩の基地の発生の沿革、その後の推移というものを踏まえて、そうしてなるべく米軍が機能として絶対に反対する場合において、そこを先に返せということはあるいは常識上これはできない相談かもしれませんけれども、それを踏まえながら、逐次、しかも本土においては二十年ぐらいかかって基地がだんだん減っていったわけでありますから、沖繩においては二十七年にわたってそれを耐えてこられたわけでありますから、その整理のスピードアップも、私は短縮された、非常に加速された、圧縮されたスピードで返還の道程をたどることが必要であると、そのように考えておりますので、まあおっしゃったことはよくわかりますが、沖繩県民のために、なるべく基地の少ない、そして平和な状態にしたいということは、私も同感であります。
#230
○内藤誉三郎君 これで終わりますけれども、長官、やっぱり私は、どこか一カ所となると、そこの人が犠牲を受けるのは私はやむを得ないと思うのです、沖繩全体のために。そこが犠牲があるからそれではほかへもやるといったって、それでは基地は減らないですよ。だからやっぱり、そこの一カ所の人たちのために、ほかに私は思い切った優遇の道を考えるべきだと思って、やっぱり全体のために個は犠牲にならなければならぬと、こう思いますので、ひとつ私の申し上げた趣旨をよく御理解いただきまして、とにかく沖繩の基地を整理して、沖繩の県民の期待にこたえていただきたい。お願いします。もう終わります。
#231
○源田実君 防衛庁と外務省と両方に関係がありますので、まず外交、防衛に関する問題からお伺いしたいと思います。
 まず第一に、アメリカと日本との関係は、これは太平洋及びアジアの平和維持、日本の生存のためにきわめて重要な関係を持っておる、そうしていまの日米安全保障条約というものは、当分日本の安全保障上欠くべからざるものである、その線に沿って、日本の防衛力整備計画、それから今度の防衛法案の国会承認を求められておると了解します。日米安全保障条約というものが一つの大きな、何といいますか、ワクというようなものの中で考えられておると、こう考えてよろしゅうございますか。外務省と防衛庁と順次……。
#232
○政府委員(水野清君) そういうふうにお考えいただいてけっこうでございます。
#233
○国務大臣(山中貞則君) 先ほど来内藤委員とのやりとりの背景には、しからば日本の防衛力はその程度のものであった場合に国民の安全が守れるのかという問題は、すなわち安保条約というものを私たちは必要だと信じて、そうして日本は非核三原則を持っております立場から、このアメリカの抑止力というものを最終的な背景として持っておることによって補完できる、そういう立場をとっておりますことを申し添えまして、同感であります。
#234
○源田実君 そこで、今度それを前提としまして、すでに四年にわたってニクソンの外交教書が出ておるわけです。そのニクソンの外交教書が四年間にわたって出ておるけれども、その四年間が、一つのニクソンドクトリンという意味においてはこれは筋が通っておる。初めと終わりと言うことが変わっていないと私は考えます。しかし、日本に関係する問題では、この四年間にアメリカの対日観というものがずいぶん変わっておるのじゃないか、こういうぐあいに考えるのですが、これは外務省、どう考えられますか。
#235
○政府委員(大河原良雄君) ニクソン大統領の外交教書にお触れになりまして、いわゆるニクソンドクトリンということについて御質問でございましたが、確かに一九六九年にいわゆるニクソンドクトリンというかっこうで宣明されましたニクソン大統領の基本的な考え方は変わっておりません。しかも、アメリカ政府といたしましては、あらゆる機会に、日本との関係が、アメリカにとってアジアにおける最大の友邦として、最も大事なものであるということも、外交教書その他、いろいろな公式の機会に宣明されておるところでございまして、基本的にはアメリカの日本に対する重要性の認識というものは変わっておらないということを申し上げられると思います。もちろん、この四年間にアジアにおける情勢は動いておりますから、そういう意味におきましては、アジアの情勢の推移に伴いまして、そのときどきのあらわれ方は違っている側面はあるということは言えると思いますけれども、基本的な考え方は変わっておらないということだと思います。
#236
○源田実君 それでは、私は、毎年出たアメリカの外交教書の中で、一番最初の七〇年の中にこういう文句があるのですね。日本に関係あるところで、一つは、これは沖繩問題に関連して、沖繩の米軍基地を米軍が思うように使うようにしておいたのがいいのか、それとも、日本とのいい関係を持続するためにこの沖繩の行政権を返したのがいいか、その問題をニクソンは考えたと。ところが、沖繩が思うように使えるようにという戦略的な利点よりも、日本との友好関係を維持することが重要であると認めて、沖繩の行政権を日本に返すことにしたと、こういうようなことが書いてあるわけですね。それは私は、日本との友好関係を増進する、あるいはこれを維持するためにアメリカは沖繩を日本に返したと、こういうぐあいに理解するのですが、それについてはそう考えていいですか。
#237
○政府委員(大河原良雄君) 沖繩返還問題にあたりまして米側の考慮した点がいろいろあると存じます。もちろん、軍事的な側面だけから見ました場合には、沖繩の施政権を引き続き米側が行使して米側が自由に沖繩を自分の施政権下にある場所として使うということが望ましいという考え方も当然あり得たと思います。しかしながら、ただいま御指摘のとおり、大統領といたしましては、日米関係の重要性、そういう高い観点に立ちまして沖繩問題全般を考えた場合に、やはり日本国民が長い間強く願望している沖繩の返還に踏み切ることがすなわち日米関係の高い次元の観点から最も望ましいという結論に達して、沖繩の返還を実現したと、こういうふうに考えているわけでございます。
#238
○源田実君 わかりました。
 それから、やはり七〇年の二月十八日の教書の中にこういうことがありますね。これは、私がいま言うのは、内外情勢調査会から出た「一九七〇年代のアメリカ外交政策」、こういうやつがありますね。その中の日本文のほうの五二ページにあるのですが、「日本との健全な関係は、太平洋地域に平和と安全保障と生活水準の向上を確保するためのわれわれの共通の努力にとって緊要である。」、これはいま言われたとおりです。「われわれは、一九六九年に深めた協力関係の一そうの拡大を期待している。」、その次に、これからずっとあとのことに関連することが出ておるのですね。「しかし、われわれは、日本国民の深い関心と相容れないような責任を負うことを日本に要請するつもりはない。」、こう言っておるのです。この意味は、外務省ではどういうぐあいにお考えになっていますか。
#239
○政府委員(大河原良雄君) アメリカは、日本に対しまして、アジアにおける友邦国という立場におきましていろんな期待を当然持っております。しかしながら、日本の置かれた特殊な事情については米側として十分承知しているわけでございまして、たとえば軍事面において日本がアジアにおいて役割りを果たすことがとうていできない事情ということについても十分承知いたしております。したがいまして、いま御指摘のございました点は、アメリカとしては日米友好関係というものをますます増進したいという基本的な考え方は持っているけれども、その基本的な考え方の中において日本の特殊な立場、事情、これに対しては十分な理解を持ってこの問題に取り組んでいきたいと、こういう考え方の表明であるというふうに考えております。
#240
○源田実君 そうすると、たとえば現在、日本でとっておる防衛の基本方針の中で、海外派兵はやらないとか、あるいは非核三原則とかいうような――非核三原則はあまり関係ないと思いますが、海外派兵はやらないとか――そういうようなことをやれというようなことを日本に要請するつもりはない、一つの例をあげればそういう意味ですか。
#241
○政府委員(大河原良雄君) アメリカ政府といたしましては、日本が憲法九条という嵩高な規定を持っておって、その憲法九条のもとに防衛問題についての基本的な立場を維持しているという事情については十分承知いたしております。
#242
○源田実君 それでは、今度はそれがずっと変わってきまして、年々変わってきておると思うんですよ。その中で、そのあくる年の中でこういうことを言っていますね。「わが行政府と日本政府はともに、両国が希望するような世界にとって、両国の関係が死活的に重要であると確信している。」、これはそのとおりである。「われわれは、この信念に基づいて行動する決意を固めている。しかし、将来、日米関係を調整することが必要である。」、前の年になかった、これが一つ出ておるんですね。「また両国間の諸問題は、きわめて重要で、その解決はきわめて複雑なので、両国とも自己満足の気持ちをもって、これらの問題を考えるわけにいかない。」、こういう文句が、これは一九七〇年には全然そういうことはなくて、「要請するつもりはない。」というようなはなはだやわらかい表現できておったのが、ここでは、わりにえんきょくではあるけれども、腹の中に若干か、あるいはよけいあるのをちょっと出したのかわからぬけれども、不満な面がちょっと出ておると、こういうぐあいに私は考えるのですが、この点は外務省、どういうぐあいにお考えですか。
#243
○政府委員(大河原良雄君) 七一年という具体的な年をとってみました場合に、いわゆる日米繊維交渉あるいは日米繊維戦争と言われましたような状況が見られたことも事実でございます。したがいまして、当時、経済分野におきまする日米間の一種の摩擦というものが見られまして、それがアメリカの対日感情の上に微妙な影を投げかけておったということも事実でございます。このような日米関係というものを背景といたしまして、七一年の外交教書にもそのような感じが顔を出しているということはあるいは言えるかと思います。
#244
○源田実君 そうすると、この意味は、アメリカ側としての考え方としては、アメリカというよりニクソンの、主として経済面のことを意味しておると、こう理解していいですか。
#245
○政府委員(大河原良雄君) 日米関係というものは多岐にわたるものでございまして、経済面だけが日米間のすべての問題であるということは言いかねるかと思います。したがいまして、日米間の問題を考えます場合に、政治の側面、経済の側面、文化の側面、いろいろあると存じまするけれども、七一年の時点におきましては、繊維問題にからみまして、経済問題が比較的大きな日米間の摩擦の種であったということは事実として申し上げられると存じます。
#246
○源田実君 そうすると、それから大体外務省の考えられることと、まあ私はしろうとですから――その考えることとはいままでのところは大体一致してきておる。これから、今度は防衛庁にも関係があるんですが、今度七二年の外交教書の中で、やはり日本に関係したところにこういうことが、「日本は、自国の通常防衛に対する責任を負うための工業・技術力を長期にわたって身につけていた。」、「つけていた。」ですね。きたではない。「しかし、日本は戦略的安全保障をアメリカの核戦力に依存し続けた。そのうえ日本は、憲法上、政治上、心理上の要因によって、またアジア近隣諸国の態度によって、軍事力を国外へ投入することを妨げられていた。故に、相互安全保障条約は、わわわれ自身の利益だけでなく、日本の利益に引き続き役立った。」、今度その次です。「しかし、日本が国力と誇りを取り戻すにつれて、われわれの防衛関係に変化が起こるであろうことは明らかであった。」、ここで初めてニクソンの文句の中に日米間の防衛問題、ことに「防衛関係に変化が起こるであろうことは明らかであった。」というので、具体的に防衛問題がここへ初めて出てくるわけですよ。外交教書の中に、この七二年のに。この「防衛関係に変化が起こるであろうこと」ということの意味は、これは外務省はどういうぐあいにお考えになっていますか、理解されておるものを……。
#247
○政府委員(大河原良雄君) 七二年の外交教書が出ました前の年に、レアード国防長官が日本を訪問いたしております。レアード長官は日本を訪問いたしまして、日本の首脳者と共通の関心事項についての会談をいたしますと同時に、日本の各地の自衛隊の設備なども具体的に視察をしておられます。その上で、日本の防衛問題についての考え方をいろんな機会に公式に、また個人的にも発表しておられますが、そういうふうな問題を背景といたしまして、アメリカ政府において日本の防衛問題というものに対する関心をことに深めたという側面が一つあろうかと思います。もう一つは、当時いわゆる第四次防衛計画の問題について日本の国内で具体的な論議がかわされ始めておった、こういう事情も米側の考えの上に反映しておると、こういうことが言えるかと存じます。
#248
○源田実君 防衛庁で、この「防衛関係に変化が起こるであろうことは明らかであった。」、この「防衛関係に変化」とあるその「変化」の意味は、防衛庁ではどういうふうにお考えになっておりますか、これは局長でも……。
#249
○政府委員(久保卓也君) その教書にあらわれておりまするような具体的かつ明白な変化というものは、沖繩問題を除いてはなかったのではなかろうかというふうに思います。つまり七二年の教書にいわれましたような時期における問題としましては、米側の部隊が日本本土から撤退をしたというものはございません。また機能が変わったというものもございません。しいてあげれば、いまの七二年に沖繩返還の問題があり、かつ日本の自衛隊をそこに配備をするという問題、それに関連をして、米側のある種の部隊、たとえば航空、ナイキ、レーダーサイト、そういった部隊が撤退し得るという条件になりつつあるという問題、そういう問題が非常に大きな問題でありまするけれども、あとしいてさがせば、横須賀に米側が空母を置きたいと、母港化といいますか、住宅を設定したいという問題が出てきているということでの、言うならば米の七艦隊の効率化に寄与するという面はございましょうけれども、あと特にこれはというような問題は、米側から話もございませんでしたし、また現実問題としてそういった実態はなかったように私は思います。
#250
○源田実君 この同じ教書の中に、いまの点は沖繩問題であろうと、それは必ず入っておる。そのほかにあるかどうかは別問題として、沖繩問題が重要な要素であろうことは私も同意であります。
 しかし、次に、これは外務省です。やっぱりその教書の中の、そのちょっと次のほうに、「日本は、今後数年間にわたって通常兵器による防衛能力を強化する計画を策定しつつある。」これは四次防ですな。「これはより大きな責務を引き受けるために、日本が自己依存と準備を増大していることを反映するものである。この歓迎すべき傾向に伴って、米軍事施設の整理統合と日本と沖繩における米軍の削減が進められてきた。」、その次に、「このように、最近にいたって日本が世界問題と取り組むに当たって、国力によりふさわしい役割を引き受ける上で着実な進歩がみられた。しかし、より相互的な方向に沿って日米関係を再形成していくという点では、それほど進歩がなかった。」というのが出ておるわけです。その次にもっと気になる問題がある。「今年まで日本国民は、日本の政治問題の面である程度独自のイニシアチブをとろうとしながら、一方において日本の対米依存によってアメリカの独自の政治的イニシアチブが制限される、と考える傾向が依然としてあった。同様に、われわれの経済関係においても、日本は、ヨーロッパ同盟諸国と同様に、自国の市場に対しては同等の接近を許さないでおいて、自由貿易制度へのわれわれの公約は当然のこととする傾向があったことも明らかである。」、こういうことがこの七二年のにはあるわけです。それはまあ初めのほうは、日本は自己防衛のために進めて、これは歓迎しておる。ところがこの防衛のほうは、一応日本の計画は向こうは了承しておるようですが、しかしより相互的な方向に向かって日米関係を再形成をしていくという点では、それほど進歩がなかった。これの意味、私は経済関係のことを意味しておるのじゃないかと思うのです。その次に「今年まで日本国民は、日本の政治問題の面である程度独自のイニシアチブをとろうとしながら、一方において日本の対米依存によってアメリカの独自の政治的イニシアチブが制限される、と考える傾向が依然としてあった。」、これははなはだ私は、まあ事実、事実でないは別にして、ちょっとこれは気になる問題であります。これについて、この問題は、私は、たとえば米中接近の問題が日本の頭越しに行なわれた。それで、経済関係の調整がうまくいかなかった。この二つのことをここにこういう何か回りくどい表現でニクソンがやっておるんじゃないかと思うんですが、これはどういうぐあいにお考えですか。これをちょっとお聞きしたい。
#251
○政府委員(大河原良雄君) 一番最後に米中接近のことを御指摘でございましたが、確かに七二年の外交教書が発表されました前の年の夏、一昨年の七月、いわゆるニクソンショックというものを日本は経験いたしております。さらに一カ月置きました七一年の八月には、ニクソンの新経済政策の発表ということによりまして第二のニクソンショックというものを日本は経験したというふうに国内的にとられております。二つのニクソンショックによりまして、一昨年におきまして日米関係は、日本から見ますと二回のショックによりまして、日米関係というものに対するいろんな批判が国内的に見られたことも事実でございます。それに対しまして、米側といたしましては、ニクソンショックというものが特に日本を目当てにして行なわれたものではなくして、たとえば一昨年八月の新経済政策というものは、アメリカの置かれた経済情勢のもとに、国際収支立て直しのためにどうしてもとらざるを得なかった国内措置であると、こういう説明をずっと繰り返しておりますけれども、いずれにしましても、ニクソンショックという形で日本に大きなショックを与えたということについては非常に残念に思っているという気持ちは、その後あらゆる機会に日本側にも伝えてきているところでございます。したがって、その気持ちが教書のいま御指摘の点に若干あらわれていると同時に、当時以来、日米の貿易のインバランスという問題が具体的な形をとり、具体的な問題になっておったわけでございますから、そういう意味の対日不安、不満というものもその言外に込められているということは言えると思います。
#252
○源田実君 そこで、実はこの中で、日本側で、日本の政府において、アメリカ側のイニシアチブは、日本が対米依存しておるからアメリカがかってなことをやってもらっちゃ困るぞという考え方が日本政府にあるかどうかの問題、これはどうですかな。これはまあ総理大臣とか何とかの問題だけれども、外務省のレベルのところじゃどう考えておられますか。これははなはだ失礼なことなんですよ、もしないのにそんなことを言ったとすると。
#253
○政府委員(大河原良雄君) 日米それぞれの立場において、お互いの関係はきわめて重要なものであるという認識はございますし、またそれぞれの政策においてその点があらゆる機会に確認をする、再確認をされてきておるわけでございますが、現実の問題といたしまして、いわゆるコミュニケーションギャップという問題がございます。で、これだけ情報がお互いにつながっておりながら、なおかつ十分なコミュニケーシヨンが行なわれない側面がままあるということがコミュユニケーションギャップということばで表現されていると思いますけれども、そのギャップをいかに埋めるかというお互いの努力はやはり最も必要なものであると、こういうふうに考えております。
#254
○源田実君 そうすると、これはニクソンの思い過ごしであって、日本はそうまで考えていなかったと理解していいですか。
#255
○政府委員(大河原良雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、ニクソンショックというものが日本に非常に大きな波紋を投げかけたということは、これは事実でございます。
#256
○源田実君 いや、制限されるかどうかの問題……。
#257
○政府委員(大河原良雄君) したがいまして、そういう意味におきまして、米側の――日本側から見ますと、米国が必ずしも日本の考えを十分に理解しないで無用の刺激を与えるという側面があるという批判が国内的にあることも事実でございますし、それに対するまた米側の言いわけ、釈明また反省、いろんなものが米側にあることもまた確かでございまして、ただいまの御指摘の点はそういうことを含めての表現というふうにおとりいただければよろしいのじゃなかろうかと考えます。
#258
○源田実君 私がこういうところを、これは専門家の外務省、アメリカ局長は御存じですが、一般にはあんまりこういうのを事こまかに一般に日本国民は見てないと思うのです。ところがここになって非常にアメリカと日本との、表面ではアメリカと日本との間でこれは絶対協力してほんとうに緊密な結合をやっていかなければいけない、これは両政府とも一致しておる。にもかかわらず、実はだんだんだんだん食い違いのこのみぞが広がりつつあるのじゃないかと思われることが、ここに、この七二年の教書に、わりにえんきょくではあるけれども出ておると、こういうぐあいに私は思うのです。それでその点について、これは局長はどういうぐあいに考えておられます。これは政府の見解というわけにはいかないだろうと思うのです。これは総理に聞くべきもんだろうけれども、まあひとつ外務省の見解だけ……。
#259
○政府委員(大河原良雄君) 御指摘の点は、さらに七三年の教書にまた関連するところで、あるいはまた七三年の教書のことを後ほど御言及になるのかと思いますので、あるいはその御質問を伺ってからのほうがよろしいかという感じもいたしますが、七三年の教書、もしこの次に……。
#260
○源田実君 それをいまからやる……。
#261
○政府委員(大河原良雄君) ですから、それにおそらくつながってくる問題ではなかろうかというふうに私推察申し上げますけれども。
#262
○源田実君 今度七三年のは、この原文のほうはこれは非常に長いので、これはまあちょっとこう原文見ると非常に気にさわる、事実そうかもしれないけれども、気にさわるような文句があるわけです。ところが、私は英語は得意でないものですから、それだからまあ日本語の翻訳のほうでちょいちょい大事なところだけ申し上げます。これは翻訳はあるいは違っておるかもしれない。これは日本経済新聞のやつを私は参考にして言うわけなんですが、ここで一つは、新聞で盛んに書かれたのは、日米安全保障条約に亀裂がくるというような意味のことが自民党にショックを与えたと、まああんまりショックでもなかったんですが、盛んに書かれた。
 ところがそれより前にこういうことがありますね。これはね、「日本が米国の援助の受取人から主要な経済大国であり、また競争者として再生したことは、対外的な政治のわく組みに影響を与えずにはおかなかった。日本は対米関係で特に、ほとんど排他的な自国の経済成長に専念したり、あるいは年下の同伴者」――これは原文はジュニアパートナーとなっておりますね。「年下の同伴者のように振るまう習慣はもはや必要なくなったし、また許されもしなくなった。」、そうして「日本は安全保障を米国に依存して、経済拡張のための財源をほしいままにするという特別な利点をいまだに享受している。日本を守り続ける政治関係は、経済関係で大きな相互性を要求する。」と、まあニクソンが何を要求しておるかということはこの文章で大体出ると思うんですが、ここで外交辞令としてはなはだどうも私は、年下の同伴者、ジュニアパートナーなんかというのを出しているところ――これははなはだ例が適当であるかどうか知らないけれども、これをわれわれレベルの、一般大衆レベルのところで考えると、表現はこれをえんきょくに上品な表現をしたと思うんです。というのは、自分はもう二十になって一人前の男だ、だから酒も飲めば、バーにも行って適当に女遊びもやる、しかしながらいままでどおり家でめしを食わせたり着物を着せたりするのは、おやじ、おまえの責任があるんだ、こういう態度をとったジュニアパートナー、子供である、そういう態度をいまだに日本は続けておるということを、外交辞令でわりに上品な表現をしておるんじゃないかと思うんですが、そこらの見解はいかがですか。
#263
○政府委員(大河原良雄君) 日米間はパートナーであるということが前々から言われてきております。それで、一九六〇年代の初め以来、そのパートナーについて、イコールパートナーという表現が使われたこともございますし、責任のあるパートナーという表現が使われたこともございます。したがいまして、パートナーということばについていろんな形容詞をつけながら日米関係を規定しようという試みがこの十数年来行なわれてきておりますけれども、戦後の日米関係をかえりみまして、占領時代以来日本がアメリカに対する依存関係が非常に深かったという歴史的な事実をもとに、日本の対米依存というものがかなり一方的な依存関係であったという時代があったわけでございますが、それが一九六〇年代以来、ただいま申し上げましたように、イコールパートナーあるいは責任あるパートナーというふうなかっこうで日米間の関係というものが逐次規定されてきたわけでございますが、心理的には、なおかつ日本が弟分のパートナーであるという気持ちが国内的にもあることもまた事実かと思います。そういう関係をアメリカの立場から見ました場合に、今日の日米関係というものは文字どおりのイコールパートナーであって、日本に対して責任あるパートナーとしての役割りを果たしてもらいたいというのが米側の気持ちであるということが言えるかと存じます。したがいまして、年下のパートナーということについては、その前に、この外交教書は、むしろ日本が経済的には超大国になったという考え方を述べておりまして、むしろ経済面における日本の国力の増大ということを大いに強調しつつこの教書の対日関係を規定していると、こういうふうに私ども読んでおるわけでございます。
#264
○源田実君 これは実は日本側としては、この文句だけ見るとちょっとむっとする。アメリカもむっとしたようなものじゃないかと思うんですよ。ところが、私は日本側として、こういう文句を書かれるようなことで、こちら側として反省すべきことはあるのかないのか、この見解はいかがです。
#265
○政府委員(大河原良雄君) 外交教書に即して御答弁申し上げますと、いま申し上げましたように、経済的に非常に大きな国力をつけた日本が、米側の目から見て必ずしも十分それにふさわしい行動をしてくれるとは思えない側面があると、具体的に申しますと、たとえば自由化の問題にしましても、今日の日本の経済力をもってすれば、従来のような非常に弱小経済国であった時代とは異なる対外通商政策というものが当然あってしかるべきであり、自由化の問題についてもそういう側面から対処してもらいたいという希望があり、また、現実にそういう強い圧力が加わってきたというのも歴史的な事実であるわけでございます。
#266
○源田実君 これは局長に、日本が反省すべきことがあるかどうか、これは私のほうが聞き方が少し無理だったと思う。これは総理大臣か外務大臣でなければちょっと責任あることばは言えないだろうと思いますから、これはこれでやめます。
 それからその次に、これが新聞に問題になった「日米安保条約は「両国の国際経済政策面での争いを除去する努力を日米両国に約束させており、両国間の協力を強調している」のは偶然ではない。」と書いてあるが、何とかアタシなんとかかんとか原文はなっていますね。その次に、「政治的決意を持った意識的な努力がなければ、日米の経済的論争はわれわれの同盟関係の構成を引き裂くことになろう。」、これがはなはだ問題なところなんですね。結局、外務省にこの見解を二つだけお聞きしたい。
 アメリカの要望しておるのは、核のかさ代を払えとか、もっと防衛関係で重い負担をになえとかいうことではなくて、日米の経済関係を、この安保条約の第二条で、その末尾に「締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」、これは経済的な食い違いをなくすることは、安保条約によって課せられた義務になっておるわけですね。そうすると、経済的な食い違いがアメリカはあると認め、日本はあると認めておるのか認めていないのか、この問題をまず先にお聞きしたいと思います。どうですか。
#267
○政府委員(大河原良雄君) この一両年来貿易の不均衡という問題をめぐりまして、日米間で大きな意見の対立、考え方の対立、また政策の対立というものが見られてきているわけでございます。そういう意味におきまして、この日米間の経済問題について若干の摩擦が見られたということは事実でございますが、ことしになりましてからは、貿易の不均衡という面におきましては、具体的に貿易の不均衡が是正の方向に動いておりまして、統計の上でもその点が明確になってきております。今後の見通しといたしましても、ことし一ぱいをとりました場合にも、昨年に比べますと大幅な事態の改善が期待されるということにつきましては、日米それぞれ共通の理解を持っているわけでございます。
#268
○源田実君 そうすると、これはこの経済関係の調整がうまくいくならば、この同盟関係の持続はできると、こう理解していいですか。
#269
○政府委員(大河原良雄君) 先ほど御指摘ございました安保条約第二条に関連する教書の議論の前段のほうには、日米共通の課題ということで、経済問題をるる振り返りつつ事実をもとに議論が述べられております。その観点におきまして、やはり経済的な紛争というものを解決するためのステーツマンシップというものに対する呼びかけがあるわけでございまして、ここの重点はむしろ経済関係を高い立場から解決するための強力な努力をやっていきたい、またそれを求めたいと、こういう気持ちの表明というふうにとっておるわけでございます。
#270
○源田実君 そうしますと、経済関係の問題が除去されればいいと、もし、それが除去しないで両者の合意を得られなかった場合には、この文句にあるような、同盟関係に亀裂を生ずるというようなことは、おどしと考えるべきか、それとも現実に起こるかどうか。経済関係を解決すれば起きないと、しかし、もしこれが解決できなかった場合、これはどうでしょうか。
#271
○政府委員(大河原良雄君) そのくだりの原文を見てみますと、日米安保条約の二条を援用しつつ、「政治的な意志をもち、意識的に努力して行かない限り、われわれの経済的いさかいはわれわれの盟邦関係の結びつき自体を断ち切ることになりかねない。」と、こういう表現でございまして、この表現自体は、われわれの目から見ましてもかなりきびしいものであるということは言えると存じますが、ただ、ここで米側が日本側にメッセージとして伝えたがっております点は、政治的な意志を持って努力をしてもらいたいということでございまして、だから、すぐ盟邦関係を断ち切る云々というおどしとは、私ども、とっておりません。
#272
○源田実君 そこで、この関係について、一貫してさっきから四年間にわたる外交教書を見ますと、この四年間にわたって、初めは、いわゆる日本に国民の深い関心と相いれないようなものを要請するつもりはないという、きわめて、何と言うか、ゼネラスな態度で臨んでおるのが、だんだん、だんだんこうきびしくなってきておる。いままでの傾向は、日米関係は悪化の方向に向かっておるというぐあいに、これだけ見ると思えるんですが、これは外務省の見解、どうでしょう。
#273
○政府委員(大河原良雄君) 先ほど来御議論いただいておりますように、アメリカの目から見て、日本が文字どおりのジュニアパートナーであるという関係におきましては、アメリカの日本に対する見方というものもかなりのゆとりのある見方ということがあり得たと思います。しかしながら、アメリカの目から見ますと、日本は非常に経済力をつけた経済大国であるわけでございまして、アメリカの目から見ましても、今日、ジュニアパートナーではなくして、文字どおりの友邦国として責任をともにしてもらいたいという気持ちがあるわけでございますから、そういう意味から見ますと、アメリカの日本に対する姿勢というものも、対等の盟邦国として、それにふさわしい態度を期待したいと、こういう気持ちがあらわれているものと解せられるわけでございまして、この四年間に、米側の態度が日本に対してきびしくなり、そこで日米関係が悪くなっていると、こういうふうには、私ども、とっておりません。
#274
○源田実君 そういうふうには考えないというんですね。いまのところは、ちょっと私は、政府だから、悪くなっているとは言えないだろうと思うんです。しかし、実際これを見ると、だんだん、だんだんきびしくなってきておるんでね、これ、どっちに罪があるか別問題。しかし、私は、日本側も態度を、相当、これは日本の国内関係もあるでしょう。あるけれども、いままでの日本の行き方というのは、あまりにもかってなことが多過ぎたんじゃないかと、こう考えます。
 それで、あと一つだけ外務省にお聞きしたいんですが、実はこの間ちょっと新聞で、核拡散防止条約の批准の問題がありまして、新聞に書いてあった。ところが、ほんとかどうかわかりませんが、政府が準備を進めておるというあれがあるんですが、ただ、この中で、それはそのときにまたいろいろ論議があると思います。しかし、いまちょっとお聞きしておきたいことは――これはアメリカ局長じゃいけないのか――それじゃ、これは防衛庁も関係がありますから、防衛庁の防衛局長、専門家に……。外務省の方、よろしゅうございます。
 核拡散防止条約の第……、これは私、読みます。いまお持ちになってないでしょう。こういうことなんです。非常にちょっと問題な点があるんですよ。第二条「当事国である非核兵器国は、核兵器若しくは他の核爆発装置又はこのような兵器若しくは爆発装置の管理を、直接的であるか間接的であるかを問わず、いかなる譲渡者からも受領しないこと、核兵器又は他の核爆発装置を製造せず又は他の方法により取得しないこと及び核兵器又は他の核爆発装置の製造に関していかなる援助も求めず又は受けないことを約束する。」と、こういう文句がある。
 これだけならそう文句はないんです。しかし、この裏を見るときに、たいへんな事態がある。というのは、核兵器国は一九六〇何年ですか、八年か、の一月一日までに、何でもいいから、ちょっとでも核爆発をやった経験を、幾ら小さくてもいいんですよ、あまり小さいのはできぬけれども、できたとしたら幾ら小さくてもいい、マッチをすったものでもいいから核爆発をやったものは核兵器国、こういうお墨つきをこれが与える、この条約が。それまでに準備はしておって、力もある、何もある、戦略的にも非常にあぶないところにあって、核兵器を持たなければあぶないかもしれない国が、その時期までにやらなかったら非核兵器国になる、それで世界を一等国と二等国とに明白に分ける条約なんですよ、これはね、ほんとうは。
 ところが、その条約の中にこういう文句がある、この、いま読み上げた。というのは、いま五つ核兵器国があります。その核兵器国は、それまでに持っていない国には一切機密を渡すことはできない。しかしながら、この裏を読めば、核兵器国同士では、たとえばアメリカが中華人民共和国に核の秘密を譲り渡してよろしい、あるいはアメリカがソ連に譲り渡してもよろしい、こういうことは禁じていないんですよ、これには、これだけ読めば。これは条約局長か何かの問題でしょうな、アメリカ局長じゃないですな。これは防衛庁ではどう考えておられますか、この点は。
#275
○政府委員(久保卓也君) 裏の読み方は、やはりそういうことであろうと思いますが、その点は、たとえばアメリカにとってはイギリスという国があり、それからいまは中ソ関係は必ずしもよくありませんが、ソ連にとっては中国という問題もあり、したがって、核保有国間の情報その他の援助関係は一応度外視をして、とにかく拡散防止というところに重点があったものですから、第六番目の核保有国をつくらないというところにその条約の趣旨があったのではなかろうか、したがいまして、いまおっしゃったような問題は、あるいは残るのではなかろうかというふうに私は思います。
#276
○源田実君 そうなりますと、結局、いまの核兵器国というのは世界の一流グループである、あとのやつは、お前たちはまあ二流者であるというような、地球を一等国と二等国に分けた条約であると、まあ平たくいえば。そういうぐあいに理解できないですかな。どうでしょう。
#277
○政府委員(久保卓也君) 核兵器を持たなければ大国になり得ないという考え方もないではございません。しかしながら、たとえばフランスの外務大臣、国防大臣自身が、フランスは二流国である、中級国家であるということを申したことがございます。イギリスも世界の超大国であるとは考えていないだろうと思います。で、最近の豪州の労働党内閣の首相は、日本は核保有をせず、また軍事大国にならないで、経済力によって世界の大国になろうという実験を試みているということを言ったという趣旨のことを読んだことがございますけれども、やはり核保有ということが一流あるいは二流ということを分けるのではなくて、総体の、国際政治にどのように影響を及ぼすか、あるいはどのような国力を持っておるか、そういうことで違ってくるのではなかろうか、私はやはりものさしを核装備あるいは核兵器というものに置くべきではなかろうというふうに思います。
#278
○源田実君 それじゃ、まあこの問題はこれで終わります。
 実はマリアナの、これはことしの六月一日のジャパンタイムズで、実はその前日にアメリカの政府が発表したテニアンの軍事基地の概略が出ておるわけです。これに書いてあるのは、要するにあそこで、どういうことであるかというと、約テニアンの三分の二をアメリカの軍部で使う、住民は八百人しかいない、しかし現在おるその住民をちょっとよそへ移さなきゃいけない、八百人だからそれはたいした問題じゃないらしい、ちょっと便利のいいところに移すようなことを書いてあります。しかし、できるのは飛行場が一つ、それから港、それであとデポ、それから演習場、こういうものをあそこへつくろうとしておる。そうすると、いままでグアムがある、それにこれができる、そうした場合に、このテニアンのアメリカの軍事基地の造成ということは、実はアメリカ軍がその戦略防御線というものをマリアナ線まで撤退するような心組みがあるのかどうか、それに対する、もっと詳しい情報があればそれもお聞きしたいんですが、その心組みがあるのかどうか、それに対する――これは向こうは言わないんですから、外務省及びこれは防衛庁の判断をお聞きしたいんです。
#279
○政府委員(大河原良雄君) 軍事的判断は後ほど防衛庁からまた追加的にやっていただいたほうがよろしいかと存じますが、アメリカ政府といたしましては、前々からミクロネシアの将来の政治的地位ということにつきまして現地と交渉を重ねてきております。その交渉の責任者でありますウイリアムズ大使という人が五月の末にサイパンでテニアン島の軍事利用に関する説明をしたというのがただいま御指摘の点のニュースだと存じますが、ミクロネシア各地に島嶼が点在いたしておりますけれども、その中のマリアナにつきまして比較的交渉が順調に進んでいるようでございまして、ウイリアムス大使は、マリアナとの交渉に関しまして一応のめどがついた段階におきまして、将来のテニアン島の利用計画について考え方を述べたというふうに承知いたしております。その利用計画といたしまして、テニアン島の約三分の二をただいま御指摘のとおりに飛行場あるいは港湾施設、デポ、そういうふうなものに使いたいという構想を持っておるようでございますが、同島民の処遇、土地関係の整理、それからいろいろな施設をつくるにあたっての予算措置、いろんな問題がまだ未解決でございまして、このテニアン島の軍事利用という問題につきましては、今後まだ解決あるいは措置を要すべき点が多々あるように承知いたしております。米側といたしましては、いずれにしましてもそういうふうなまだ未解決の問題を持っておりますこのテニアン島の将来の問題でございますから、ここに戦略の前線を後退させるというふうな計画を持っておるとは私ども承知いたしておりません。
#280
○源田実君 この点については防衛庁いかがですか。
#281
○政府委員(久保卓也君) 結論的に申し上げまして、米国がミクロネシアの線に防衛線を引き下げるということを現在考えているということは、いろんな情報を総合しました場合に、あり得ないというふうに考えております。そこで若干の根拠、論拠を申しますと、七一年でありましたか、ムーラー統合参謀本部議長が沖繩の返還に関連をいた、しまして議会証言をしたことがあります。その場合の言い方は、沖繩の基地について、完全に返還をした場合に、完全な自由使用ということはできないかもしれない、その場合の失われた弾力性の若干をこのミクロネシア、特にテニアンの基地で、マリアナの基地でもって代替し得るという証言をしたことがございます。それから、このいま問題になっておりますテニアンは、いまおっしゃいましたように三分の二でありまするし、いま領有しようとしているところは北のほうの三分の二でありまして、良港があるのは南だそうであります。この点は市民に留保しておくということでありますから、しかもテニアンを十分に使うためには、この港を利用しなければいけない、それを自分のほうでいまその計画の中に入れておらない、北のほうには御承知のように飛行場――全島では四つありますけれども、一番北にあります比較的長い滑走路を利用しようということでありますので、しかもこの三分の二ということは、テニアンは沖繩本島の十三分の一、したがいまして沖繩で現に米軍が使っておりまする基地の大体四分の一程度にしか当たらないということでありまして、広さの面からいいまして沖繩に代替し得るものではない。したがって、しいて言うならば、たとえば台湾あるいはフィリピンといったような場所における米軍の基地――といいましても海軍の基地たり得ないわけでありますけれども、若干の補給、整備それから飛行場といったようなものの後背地あるいは後退するものではあり得る、それから、グアムが大きな基地でありまするけれども、グアムについても基地が非常に満ぱいになっている、しかもグアム島では観光事業などが盛んになりまして、島民は基地に依存しなくてもよろしいというようなことで、若干基地問題も起こっている、隣のサイパン島は、人口が一万二千でしたか、非常に多くてこれは基地に使えないというようなことで、たまたまテニアンにある種の小規模の基地を設定することが望ましいという将来への配慮、若干沖繩へのまあ弾力性の補備というようなふうに考えられます。したがいまして、以上総合しまして、ミクロネシアに防衛ラインを下げるということはあり得ないというふうに思っております。
#282
○源田実君 アメリカ局長、どうも御苦労さんでした。
 次は防衛庁ですがね。実は沖繩の返還後、あの方面の緊急発進の状況、それから災害救助の状況、これについて、その概略でいいんですがね、どういうぐあいに進んでおって、また、私がちょっと聞いたところによると、相当沖繩のすぐそばまで外国機がやってきてここで長い間とどまっておる、これは写真までこっちがとってきておるようですな。こういうケースがどのくらいあるのか、それで、それは一体何を目標にしてやってくるのか、また、もし沖繩に自衛隊が配備されていない場合にはそれはどうなるのか、沖繩の上空はそのまま侵犯されるようなことで、がらあきになってしまうというようなことも考えられるんですが、そういう点について、大体こまかい数字は、数は要らないと思うんですが、たとえば四月の何日なんかの報道は、相当のものがあるようですな、あそこで。こういうのは自衛隊機がおって初めてそいつに対して領空侵犯ができないように阻止できる、武力は使わないけれども入ってこなかった、しかし、すぐ沖をずいぶん長い間通っておる。これはそういうことは、はなはだどうも、日本の飛行機が外国のそばへ行ってあんなことやったら、大問題になると思うんです。外国が日本の領地のそばへきてやる分にはそれほど大きな問題にならぬ、はなはだ私にはちょっと合点がいかないところなんです。この状況なんかをちょっと説明していただきたい。
#283
○政府委員(久保卓也君) 御質問は、緊急発進と災害派遣の実績でありましたが、緊急発進につきましては、ことしの一月以降領空侵犯措置を自衛隊側が責任を持つことになりましたが、この間、緊急発進をしました回数は九回、うち一回は不明機に対して、あとでわかったことでは民間機だったわけでありますが、その他はソ連機であります。そこで、昨年の暮れごろから本年にかけての特徴は、東シナ海及び沖繩周辺に対する、結果的にはソ連機でありましたが、ソ連機の接近が顕著であるということであります。もちろん中ソ関係の問題もあるかもしれませんけれども、沖繩については、やはり沖繩が返還されまして、自衛隊が領空侵犯措置をとるようになった。それからまた逐次レーダーサイトを日本側で引き受けるようになったといったような問題と関連があるのかないのか、その辺の確証はございませんけれども、そういったこととの関連が感じられるわけであります。現実には、いま申されましたように、四月にはソ連機ベアが参りまして、この場合は二機に対して三回実施をした。それから五月の場合には太平洋岸から接近をした、これもやはり二つの航跡が出たわけでありまするけれども、これに対して二回のスクランブルを実施をしておるというようなことであります。そういったことで、もし米側がこれを担当しておる場合にどうなるかということはもちろんわからないわけでありまして、従来の実績も承知いたしておりませんが、いずれにせよ、そういったいまの、言うならば過渡期的なものに対する状況調査というふうにも考えられます。
 それから災害派遣のほうは、結論だけ申し上げまするけれども、総計で、昨年の七月から本年の六月、七月の初めまででありますが、これで災害派遣の実績が七十件であります。そのうち一番大きなのは急を要する患者の輸送でありまして五十六件、そのほかは遭難者に対する空中捜索が九件、その他ということになっております。
#284
○源田実君 その災害派遣のほうは、一つはいついつ、どれだけのことをやって、どれだけの人命を助けたかという資料をもらえますか。
#285
○国務大臣(山中貞則君) よろしゅうございます。
#286
○源田実君 次に、中華人民共和国で核実験をやった場合に、在来ソ連の飛行機がずっと南まで下がってくることをたびたび聞いているんです。今度の場合、どうでしたか。
#287
○政府委員(久保卓也君) 中国の北方地域、それから日本海について、ソ連の集じん機と思われるものが飛んでいるように思います。
#288
○源田実君 今回の場合も。
#289
○政府委員(久保卓也君) はい。
#290
○源田実君 次に、ちょっとしか時間がないもんですから……。この問題は私がふしぎに感ずることがあるのです。実はこれちょっと事情をお聞きしたい。
 この六月何日だったか、宇都宮でLMがなくなって、そうして菅野という三曹、この所在が不明になった、これは大体のことは私は新聞その他で知っておるわけです。しかし、次のことをお聞きしたい。あれは夜のたしか八時幾らで、その時間、それからそのときの月齢がどうであったか、それから天候、それからその次に、ランウエーライトがついておったのかついてなかったのか。それからその次には、この三曹がそれまで同乗飛行しか、あれは整備員だったからやってないはずである、何時間やっておったか。その間に操縦桿を握ったことがあるかどうか、これはわからぬと思うのですが、何時間同乗飛行をやったのか、その機種、これをちょっとお聞きしたいと思うのです。これはわかりますか。
#291
○政府委員(高瀬忠雄君) 最初に時間でございますが、先月の二十三日の午後八時五十四分でございます。
 それから次の月齢でございますが、月齢は一五・〇というのが満月だそうでございますが、そのときの月齢は二一・九でございます。
 それから当日の天候は、二十一時現在で、風速三ノット、視界五キロメートル、もやがかかっておるということでございます。
#292
○源田実君 雲はたくさんないですか。
#293
○政府委員(高瀬忠雄君) 雲のぐあいは八百フィートにおきまして八分の七、それから二千フィートで八分の八、これは八分の八というのは、青空が全然見えないというようなことだそうでございますが、二千フィートで八分の八でございます。
 それからランウエーライトのことでございまするが、ランウエーライトはついておりません。
 それから菅野三曹の飛行経歴といいますか、整備員として飛行機に乗った時間でございますが、LMで二時間十分、OH6、ヘリコプターでございますが、これで四時間三十五分、合計六時間四十五分というのが、整備士といたしまして乗りました時間の総計でございます。
#294
○源田実君 これは長官に私はお願いしておきたいのです。これは新聞へちょっとあのとき出ただけであって、その後の消息はどうなっているのか、さっぱりわからない。ところが私は、御承知のように、飛行機乗りのはしくれである、期間からいえば四十何年乗っている。そういう教育をまともに受けても、夜間飛行をやるのには、百時間になってやっと同乗で乗るか乗らないかです。いわんや、単独で夜間飛行なんかはできっこない。いわんや、しかもそれが操縦教育は、LMに二時間十分、これがしかも夜、月の見えない、満天ほとんど雲なんですな、その状況で、滑走路にあかりもつけないで、どうしてうまく離陸できたか、こういうことは私はあり得ないと思うんですよ、どう考えてみても。天才であろうとも、生まれてすぐ飛行機乗りの天才だったという人間はこれはいないです。相当な訓練をやっても、夜間飛行なんかというのはたいへんなことですね。それで、あそこでそういうのが離陸したんなら、もうどうせすぐこれ、棺おけの中へ飛び込むようなものなんですね、実を言えば。だから、大体離陸はできないはずである。しかしながら、これは離陸したんですよ。墜落しておるかというと、そのあたりをずうっと調べてまだこれが見つかったということが出ていない、はなはだふかしぎな現象であると思います。
 したがいまして、私は、これはまだ私が調べておるわけじゃなし、私が現場を調査したわけでもない、本人も知らないから、何も私が直接ここでどうだこうだということを言うわけにいきません。しかしながら、はなはだ不可解なことがあまりにも多いと思います。したがって、この点については、各関係、ことに警察当局その他とも十分なひとつ御連絡をとっていただいて、この問題に対してはもう厳重な原因究明をひとつ長官のあれでやっていただきたいと思うんです。
 それは、もしこれが何かわからぬことであったとなると、これ、今後非常な厳重なる警戒を要することになる。とにかく飛行機乗りとして合点のいかない問題なんです、この問題は。見よう見まねで飛べるような、そんな、自動車とは違うんですね、飛行機は。見よう見まねなんかで、しかも二時間十分ぐらいで飛行機が飛べたら、私は即座にこの首をその場で上げてよろしい。――おかしいんですよ、実は。それで、これをいま防衛庁にどうのこうの私がいま言ったって、これは専門家でなければ返答できませんから言いませんが、しかし、長官の命令で、この問題だけはほんと、徹底して調べていただきたいと思います。どこかに何かあると私は思います。これ、長官にひとつお願いしておきます。
 それから、あとはもう五分ぐらいだから、簡単な問題だけちょっとお聞きして、やめます。
 実は自衛隊で、ことに各ほかの自衛隊は陸上に住んでおるんだから、それで、毎日大体自分のうちへ帰る者は帰る。海上自衛隊というのは、あれは船に乗るのが本務である。ところが、近ごろ聞くところによると、まあ社会的影響も多分にあるんでしょうが、海上自衛隊の隊員が船に乗ることをあんまり希望しない、マイホーム主義になっておるというような話をちょいちょい聞くわけなんです。その点は重大な問題であろうと思うんです。そうすると、この問題は、教育訓練、精神教育とかいう問題について、あるいは自衛隊の任務遂行の上からいって――ほかの自衛隊にももちろん、海上にあるとすれば、あるんだろうが、ほかのところは表面に出ないと思うんです。海上自衛隊は船というもので勤務するのがたてまえなんで、それを、船に乗るのをあんまり好かないで陸上勤務をするとなると、これはちょっともう私には合点できない。
 私はもと海軍です。われわれは、陸上勤務をやらされたらすっかり悲観したものなんです、当時は。ことしから陸上だおまえは、二年ほぐ陸上だなんて言われると、がっかりして、体重がそれのために減ったほど悲観した。その陸上勤務を希望するような者じゃ、これは意味ないです。これはもう全然教育を初めからやり直すとかね。ほかの自衛隊も同じですよ、もしあるとすれば。その精神教育の面についてよっぽど考え直す必要があると思うんです。
 これは事実かどうか、これをひとつ承りたいと思います。
#295
○政府委員(高瀬忠雄君) ただいま源田先生御指摘のような事実が一部の者にあるやに聞いておりまして、そういう点につきましては非常に遺憾なことだと思っておりますけれども、実はその反対の事実もございまして、船に乗っております場合の手当その他が、陸上とがらっと違いまして、非常に多いというようなことで、海上勤務を希望するというような者も非常に多うございます。
 いまお話しのように、マイホーム主義というようなことで、長いこと航海に出ておるというようなことを好まない若い青年心理を持った者もあるようですが、そういう点は、御指摘のように、海上自衛隊の任務の必要性、重大性というようなことを教えまして、そういうようなことはないようにしなくちゃいけないと思います。
 同時に、われわれのほうでも、いろいろ、教育の面のほかに、処遇改善その他につきまして、海上勤務に最もふさわしいような処遇というのはどういうことであろうかというようなことを、いろいろ事実に即しまして研究をして、そうしていま御指摘のようなことがないように、全員が全員、全部、海上勤務を命ぜられたら海上勤務を忠実にやるというようなことで、いやいや行く、きらいだというような者がないようにしたいというふうに考えております。
#296
○源田実君 この点については、海上勤務というのはともかくも当世の流行の生活じゃないわけですね。したがって、われわれがもと海軍におったときのような調子にはいかないだろうけれども、しかしわれわれが海軍におったときの、その海軍での海上勤務に対する待遇は非常によかったです。したがいまして、これはいますぐどうのこうのはならないでしょうが、海上自衛隊の海上勤務をやる者に対する手当とかその他の点については、現在のはどうもやっぱりあんまり陸上と変わらないような待遇だと思うんです。したがって、これについては、やはり海上勤務については相当な手当を支給するというようなことをひとつ検討していただきたいと思います。やっぱり、全然ほかのと同じということになると、現在の青年には、進んで海に行くというような気持ちの者は、よっぽどの者でないとしょっちゅうは出てこないだろうと思う。
 これは重大なことでありますから、とにかく海上勤務者に対する待遇を十分に検討していただきたい、これを私は要望しまして、大体もう一時間半になりますので、ちょうど一時間半だけやって終わります。
#297
○委員長(高田浩運君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時二十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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