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1972/09/20 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 内閣委員会 第31号
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1972/09/20 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 内閣委員会 第31号

#1
第071回国会 内閣委員会 第31号
昭和四十八年九月二十日(木曜日)
   午前十時四十四分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 九月二十日
    辞任         補欠選任
     上田  哲君     竹田 現照君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         高田 浩運君
    理 事
                内藤誉三郎君
                中山 太郎君
                山本茂一郎君
                片岡 勝治君
    委 員
                源田  実君
                佐藤  隆君
                世耕 政隆君
                長屋  茂君
                西村 尚治君
                星野 重次君
                町村 金五君
                鈴木  力君
                鶴園 哲夫君
                前川  旦君
                黒柳  明君
                宮崎 正義君
                中村 利次君
                岩間 正男君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  山中 貞則君
   政府委員
       人事院総裁    佐藤 達夫君
       人事院事務総局
       職員局長     中村  博君
       総理府人事局長  皆川 迪夫君
       総理府恩給局長  平川 幸藏君
       防衛庁参事官   大西誠一郎君
       防衛庁参事官   長坂  強君
       防衛庁参事官   岡太  直君
       防衛庁長官官房
       長        田代 一正君
       防衛庁防衛局長  久保 卓也君
       防衛庁人事教育
       局長       高瀬 忠雄君
       防衛庁衛生局長  鈴木 一男君
       防衛庁経理局長  小田村四郎君
       防衛庁装備局長  山口 衛一君
       防衛施設庁長官  高松 敬治君
       防衛施設庁総務
       部長       河路  康君
       防衛施設庁施設
       部長       平井 啓一君
       林野庁長官    福田 省一君
       運輸省自動車局
       長        小林 正興君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        相原 桂次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
 律案について
    ―――――――――――――
#2
○委員長(高田浩運君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、上田哲君が委員を辞任され、その補欠として竹田現照君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(高田浩運君) 次に、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
#4
○宮崎正義君 私は、防衛二法の法案に入る前に、防衛自体の問題、今日まで、長沼問題等で違憲判決が出てから、総理を呼んで、総理に出席をしていただいて、憲法論争等、同僚委員の中で重ねられてまいりました。また、防衛二法に入りましても、すでに三名の委員の方々から詳細にわたって論議が尽くされております。したがって、私はその国民の素朴な声をこの委員会に反映をしてもらいたいというか、そういう国民の声をまず長官に聞いていただいて、御所見を伺いたいと思います。
  “違憲判決”高く評価
  国民的合意の平和運動展開しよう
  内外の強い関心を集めていた「長沼ナイキ基地訴訟」事件は、去る七日、札幌地裁において大方の予想通り「自衛隊は違憲である」との判決が下された。第一審判決とはいえ、これまで政府与党が二十余年にわたって既成事実を積み重ね、ゆがんだ憲法解釈のもとに築き上げてきた“戦力なき軍隊”に対し、はっきり「違憲」という司法的判断が下された意義は大きいと思う。それだけに、各方面に多大な影響を与えることは間違いなかろう。
  私はこの札幌地裁の判決を高く評価したい。なぜならば、憲法の条文には、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しないことがうたわれており、しかも故吉田首相は「自衛権としての戦争も放棄した」ことを言明している。にもかかわらず、こじつけとも思える憲法解釈によって「自衛のための軍備は合憲」といった政府統一見解が台頭。これが一層エスカレート、今日にいたったのである。法律に暗い私達の目から見ても、これはおかしいと思わざるを得ない。事実、憲法学者の間では「自衛隊違憲」論者が、圧倒的多数を占めているというではないか。
  ともあれ、この判決に対する賛成・反対の論議は、さまざまに展開されるであろう。議論は、大いに結構なことだと思う。だが私達は、あくまでも戦争放棄と軍備不保持を高らかにうたった、世界唯一の平和憲法の精神を忘れてはならないと思う。国家悪によってもたらされる戦争こそ、人間生命を軽視し、全人類の悲願である恒久的世界平和樹立を根底から阻害する元凶であることを、私達は深く認識しなければならない。
  生命の尊厳を根底に、絶対平和主義を掲げ、主張し、実践してきた。今回の判決が、そうした私達の活動と符号することはいうまでもない。したがって私達は、この判決を契機に、憲法第九条の解釈における国民的合意を盛り上げ、それを持続的な国民運動にまで展開し、戦争への暴走に歯止めをかけなければならないと思う。それが、我々の生存の権利を守り、平和社会建設への第一歩になることを、私は強く確信ずるものである。
 このように国民の声をいま長官の前に発表したわけであります。防衛庁長官としてのお立場もありましょうけれども、これに対する御回答を願いたい。
#5
○国務大臣(山中貞則君) 国民の声といいましても、どういう人がどういう場所において発表したものか、よくわからないままにお答えをするわけですが、しかし、一国民の声であることは間違いないものだと私も受けとめて御答弁をいたします。
 そういう御見解の大部分の考え方については、私も同感できます。ただ私たちは、一審判決があったといっても、それに対して上訴をいたしておりますし、上訴をするところのゆえんは、あらためて繰り返し申しませんが、われわれの持つ自衛隊というものは、憲法前文の精神並びに九条一項、並びにそれを受けた二項に違反しない範囲の自衛力である。そういうことを確信いたしておるわけでありまして、この点については、私どもが自衛力を持つがゆえに、いまおっしゃったような、再び戦争への国家の名においてなされる国民の生命への危険というものを防ぐということについては、これは私たちも考えを一にいたします。私たちも、二度と戦争の起こらぬことを願う日本国民として、敗戦の教訓をいつまでもかみしめて、そしてむしろ世界平和の先頭に立って、わが国がまた唯一の被爆国でもありますし、その使命を果たすべき別途の役割りを持った国家である。したがって、わが国はみずからが原因となって外国に威圧し、強圧し、強奪し、あるいは交戦権を行使し、戦力を保有するに至るというようなことは絶対にしてはならないものである。そういう角度からいえば、私自身も同感する点があると言わなければなりません。
#6
○宮崎正義君 声なき声を聞く。国民の一人の声であろうとも、これはいま長官もおっしゃられたように、大かたのところが賛成であるというようなふうに私は受け取りました、御答弁で。それでもう一人、またこういうふうなことを言っていることも聞いていただきたいと思います。
  「違憲判決」に穏当欠く政府
  “長沼裁判”のあとを受けて、政府は直ちに札幌高裁に控訴することを決定したようであるが、それとともに発表された二階堂官房長官の「政府としては、この判決があったからと言って、自衛隊の運営や防衛力整備の方針に変更を加えるつもりは毛頭ない」という政府談話は、はなはだ穏当を欠く内容だと、私には思われた。
  いかに下級審とは言え、裁判所の判決である。その判決を無視するが如き談話を、堂々と発表する政府の真意を疑問に思う。これでは国民一般に対しても、下級審の判決には従わなくてもよいと言っているのと同じではないか。いかに意にそわない判決だからと言って、また第一審だからと言って、法治国家を自認する政府みずからが、これを無視するのは許されないごとだと思う。
 このように言っております。このことにつきましては、当委員会の同僚委員がすでに論議を尽くされていることだと思いますが、やはり国民もこういう考えのもとにいるという、あらためていま私が声を代表したことについて御回答を願いたいと思います。
#7
○国務大臣(山中貞則君) きょうは官房長官も総理もおられませんし、法制局も来ておりませんが、また法務大臣も訴訟当事者として来ておられませんので、私が憲法解釈について、一義的に、全面的に、政府の意見を代表してものを言うことは差し控えたいと思います。私は国民に対して、そういうものの旨い方をしたことは一度もございませんが、官房長官の談話というものは、すなわち政府の憲法解釈に立つ一審判決に承服せざるゆえんを述べたわけでありまして、私たちとしては、政府がその一審判決の内容について不服であって、直ちに上訴の手続をとるということとして、政府の姿勢を定めたものであります。言うまでもなく、自衛隊の問題がその焦点であるとはいえ、私は隊務の統括者であって、内閣総理大臣の指揮監督を受ける立場にございます。したがって、この種の問題は、私自身の見解よりも、政府の見解というものをお求めいただいたほうがよかろうと思いますが、私自身としては、政府の見解に従って、隊務の指揮監督権者である総理の御方針を受けて、隊務を統括してまいるつもりであります。
 なお、そのようないろいろの個人の見解というものは、また賛否両論がございまして、私の手元には、自衛隊員はもちろんそういう手紙をよこす立場にありませんが、一般の国民から、やはりお励ましのことばも、たくさん電報、手紙等でちょうだいいたしておるという事実もございまして、やはり国論が二分されているという感じを私も持つわけであります。
#8
○宮崎正義君 このことについては論議は過去に尽くされております。もう一人言ってみましょう。「政府も自衛力が必要であるという以上、もっとその必要性を国民ひとりひとりが納得するように説明してもらいたいし、野党の方々も今回の判決を自党の勝利と宣伝の具にするだけではなく、非武装中立でどうして独立国としての安全を保障していくことができるのか、国民が納得できるような具体策を示してほしい。それをせず、お互いに政争の具に供することはやめてほしい。」これは七十一歳の方で、長男をなくした人の声でございます。こういう声もございます。
 さらに、報道機関の一つを例にとってみますと、「交載権は一切放棄から」「自衛のために実力保持まで」「憲法九条政府見解の変遷」という見出しで報道をされている記事がございます。これも中には論議をされた一部分がございますが、これも年代を追って書いて報道されておりますので、御参考にしたいと思います。もうおわかりでございますけれども、御参考に私は読み上げてみたいと思います。
  ◇吉田首相(21・6・26)わが国はいかなる名義をつくしても交戦権は放棄する、放棄することによって全世界の平和の確立の基礎を成す。近年の戦争の多くは国家防衛権の名において行われてきた。したがって正当防衛権を認めることは戦争を誘発する考え方でもある。(この憲法は)直接には自衛権を否定していないが自衛権の発動としての戦争も交戦権も放棄したものだ。
  平和国際団体が確立された場合に、もし侵略戦争を始める者、侵略の意思を持って日本を侵す者があれば、平和に対する冒犯者なので世界の平和愛好国はこの敵を克服すべきだ。
  ◇木村保安長官(24・2・1)軍隊とは十分なる装備を持って戦い得る力だ。警察予備隊はさような編成を何も持たない。憲法九条の戦力にあたらない。
  ◇吉田首相(25・1・29)日本が武力によらない自衛権を持つことは明らかだ。どんな状況で自衛権を発動するかはその時の事情によって内容も違う。
  ◇同首相(27・3・6)私は戦力を持ってはいけないといってない。憲法は戦力をもって国際紛争の手段にするということを禁じているのだ。自衛手段としての戦力を禁じていない。
  ◇同首相(27・3・10)たとえ自衛のためでも戦力を持つことは再軍備であり、憲法の改正を要すると訂正する。自衛隊は戦力なき軍隊である。
  ◇林法制局長官(29・12・21)国家が自衛権を持っている以上、憲法が現在の自衛隊のような国土保全を任務とし、そのために必要な限度において持つ自衛力を禁止しているとは考えられない。
  ◇大村防衛庁長官(29・12・22)自衛隊は外国からの侵略に対処する任務を有する。これを軍隊というなら自衛隊も軍隊といえる。しかし必要相当な範囲の実力部隊を持つことは憲法に違反しない。
  ◇林法制局長官(30・7・26)自衛のために日本が外国から侵略を受けた場合、排除する意味において行動する権利は否認されていない、と考える。
  ◇鳩山首相(31・2・29)侵略の手段としてわが国土に対し、攻撃が行われた場合、自滅を待て、というのが憲法の趣旨ではない。必要最小限度の措置、例えば攻撃してくる誘導弾の基地をたたくことは法理的には自衛の範囲に含まれる。
  ◇岸首相(32・4・24)外国からの急迫不正な侵害を受けたとき、これを防止するだけの必要な最小限度の力を保有しても憲法に違反しない。
  ◇同首相(32・4・25)核兵器とつけばすべて憲法違反、というのは正しくない。攻撃を目的とする兵器はたとえ原子力を用いなくても憲法で持てない。ただ核兵器と名がつけばどんなものでもいけないか、といわれると今後の発達をみなければいちがいにいえない。
  ◇池田首相(38・6・25)自衛力とは国内、国情、あるいは世界情勢などによってきめるべきだ。
  ◇政府答弁書(44・4・8)性能上純粋に国土を守ることのみに用いられる兵器の保持は憲法で禁止されていない。性能上相手国の国土の潰滅的破壊のためにのみ用いられる兵器の保持は憲法上許されない。
  ◇高辻法制局長官(46・5・7)自衛のための必要最小限度を越えるようなものが憲法九条で否定している戦力である。それ以下の実力の保持は禁止されていないという政府の考え方に変わりがない。
  ◇田中首相(47・11・13)自衛隊は専守防衛のためのものであり、相手に応じて質的には向上する。しかし、憲法九条のワクは越えない。
  ◇同首相(48・6・7)憲法九条が保持を禁じている戦力は、自衛のための必要最小限を越えるものである。それ以下の実力の保持は禁じられていない。
 長い間読みましたけれども、こういうふうな報道がまとめられておりますので、私は、今日までこの点についてずいぶん論議が重ねられてきた、その時点を顧みながら、いま自衛力とかあるいは戦力とか――自衛力についても論議ありました。戦力については、もう盛んに、首相がおいでになったときにも戦力についての討議は繰り返されました。また、自衛的なのか、攻撃的なのか、限界というのはどこが限界なのか、兵器というものはどこまでがどのような兵器になっていくのかという問題、あるいは自衛の措置というこの憲法上からいう軍事上の概念や、こういうふうなことがまだまだ論議を尽くされていないと思います。したがって、同僚委員の中からも、この憲法を主体にした、もっと自衛力の問題も憲法を根底にした論争というものをさらに積み重ねていかなければならないということ、これはお互いにやろうじゃないかという総理のそのような答弁もございました。これは私は、いまの国民の一人の声を聞いてもやるべきであると、長沼判決による違憲か合憲かというこの一つのチャンスを通じてやるべきであるというこの声も、やはりわれわれが論議をされてきた中で論じられていることでもありますし、こういう点について、私は私の立場で防衛庁長官に、今後どういうふうにしてこういう問題を処置して国民を納得させていくかということを伺っておきたいと思います。
#9
○国務大臣(山中貞則君) 正確には総理か、もしくは法制上の見解を示す法制局において答弁すべき問題が多いと思いますが、しかし、全体を踏まえての、今後どうするかという部門について私からお答えをさしていただきます。
 確かに、その問題は、政府が憲法の問題では合憲なりと言い、あるいは司法の第一審において合憲でないと言ったという問題も踏まえて、私たちは、あくまでも憲法の前文並びに第九条の許容する範囲である、こう言い続けております。また上訴もいたしました。したがって、この問題は、国会において、国権の最高機関たる機能において、最終的にそれが範囲内であるかどうかの議論は今後も続けられてしかるべきと思いますし、また、判決は規模、装備、能力のことで違憲とは言ってはおりませんで、そのような人的、物的、組織的な存在、あるいはそれをささえる産業まで憲法違反だというのが判決の帰結するところであって、装備、能力というものが限界を越えておるというのは付随的な意見の開陳となっておるわけでありますが、一国民の意見として読み上げられました、そういうような――各党それぞれ皆さん自分の党の主張というものを持ってはおられますが、自分たちはこのような主張をしているんだ、自分たちの政権のもとにはこのような憲法を持ち、このような自衛の措置をとるんだということについての見解を披瀝して、そして、これでどうだという議論は、きのう、やっと前川委員と私との間でその片りんに触れた程度であると思います。したがって、今後、その問題をいつも、絶えず、そしてとことん議論をしていくことが、ほんとうの日本の憲法を受けたシビリアンコントロールの実をあげることになる。そしてまた、それが国民にとって、われわれの国はどのように守らるべきが正しいか、そのためにはどの党の主張が一番われわれにとって受け入れやすいものであって、それがまた一番価値のあるものであるという判断をするのに素材を提供することになろうかと思います。したがって、そのような論争は今後といえども絶やしてはならない議論であり、また、それを政府も積極的に、野党の皆さんもまた国会の場において、最終の文民統制の場としての機能を発揮するための前提としての各党の立場を明確にしながら議論をしていくということを今後ぜひ進めてまいりたい、私もそのようなことを願望いたします。
#10
○宮崎正義君 御存じのように、日本が敗戦をしたとき、その敗戦の、もう二度と戦争というものはしてはならない、戦争を放棄するという、永久に放棄するという立場の上から憲法第九条というものができてきた、それはもう申し上げることもないわけであります。先ほど、報道されてまとめられたものを読んでみましても、この交戦権は一切放棄したということから、今日の自衛のための実力保持というものが、時代の様相によって変わってきたということも、これはある程度認めざるを得ないとは思いますけれども、いまお話もありましたし、私も申し上げました限界の問題が、どこが限界であるかということは、いま長官から、今後の課題としてお互いが話し合っていくという場をつくりたいというような答弁もありましたので、これはすみやかに、これを一つの契機として進めていくことを私は要望をしておきたいと思います。
 そこで、総理を迎えての長沼判決に対するときに保安林等の問題が論議されていなかったようにも思います。そこで、この保安林の解除問題についてきょうは少しお伺いをしてみたいと思います。
 判決の中で、「執行停止の申立てについては、昭和四十四年八月二十二日札幌地裁は執行停止の決定を行ったが、八月二十六日農林大臣が札幌高裁に即時抗告を行った結果、昭和四十五年一月二十三日これが認められ、原決定を取消し執行停止申立てを却下する旨の決定がなされた。」「訴訟は、昭和四十四年十月四日および六日に以上のほか二件一八六名から当初の事件と全く同様の訴えが提起されたので原告の数は合計三五九名(なお、転居等による訴訟の取下げがあったので、訴訟終結時の原告数は二七一名である。)となり、第二回口頭弁倫以来合併して審理されている。」「本訴は、昭和四十四年十月三日を第一回として以後おおむね隔月に口頭弁論が開かれ、昭和四十八年三月三十日の第二十七回をもって結審となった。」という途中からの経緯でありますが、この問題点で最初に、「訴訟について」というもとのところに戻りますと、「昭和四十四年七月七日右の解除に対し長沼町民一七三名から「保安林解除処分取消請求の訴訟」および「保安林解除処分執行停止決定の申立て」が札幌地裁に提起された。取消請求の主なる要点は次のとおりである。1 憲法に違反する自衛隊のミサイル基地設置は、森林法第三十六条第二項の「公益上の理由」に該当しない。(いわゆる自衛隊違憲論)2 保安林解除の必要性がない。(自衛隊は全国に広大な基地、演習地を有しており、馬追山に高射教育訓練施設を設置しなければならない理由がない。)3 保安林の機能に代替する機能を果すべき施設(富士戸一号ダムと砂防ダム七基)は不備である。4 聴聞会は混乱し、異議意見を陳述するに至らなかったので、法定の聴聞手続が行われていない」。こういうふうなことを訴訟に言われております。
 この公益上の、森林法第二十六条第二項の「公益上の理由」に該当しない、この問題については、わが党の黒柳委員がちょっと触れただけでいきましたけれども、この点についての長官のお考えと、それから林野庁の御答弁を願いたいと思います。
#11
○国務大臣(山中貞則君) これは自衛隊が憲法緯度である、したがって、その憲法違反の存在のものが、公益上の理由を名として水源涵養保安林を解除する行為というものが行なわれた、そのこと自体が、すなわち公益上の理由の発生するもとである自衛隊が、公益上の国民の立場からする存在であることが憲法違反で否定されたのであるから、したがって、そこには公益上の理由は存在しない、したがって、水源涵養保安林の指定の解除というものはそれは取り消すべきだ、こういう論法になっていると思います。したがって、私どもは、その憲法違反であるというわが自衛隊というものを、政府としては憲法違反ではなく、前文の精神あるいは第九条一項、二項を受けてなお許容されるべき範囲のものであるという立場をとっておりますから、私たちが、これはまあ法務大臣なり総理なりの意見でありましょうが、訴訟をこれから上訴いたしまして、その上訴文をつくり上げますけれども、そういうまず大前提として、自衛隊が違憲であるからということについて承服しない。それが解決すれば、今度は逆に、逆の論法が展開されて、自衛隊が合憲であれば公益上の理由も発生をし、公益上の理由が発生すれば、当然水源涵養保安林の伐採許可も可能となり、それに対して代替された、代替建設された施設というものが十分であるかどうかという、機能しているかどうか、代替し得るかという判断もまた、私どもとしては、十分それにたえ得る各種のデータのもとに各種の工事を行なっているという、逆な論法で成立していくごとを期待しているということになるかと思います。
#12
○政府委員(福田省一君) 保安林の解除の場合は、森林法第二十六条に基づきまして、第一項は指定理由の消滅、第二項が公益上の理由により必要が生じたときとなっておりまして、私たちはその第二項を適用したわけでございます。
 ただいま防衛庁長官からお答えしたとおりでございますけれども、一つは、国家の防衛及び防衛施設の設置はきわめて高度の公益性を持っているということでございますし、もう一つは、その敷地としましては本件の土地が最適でありまして、他に適地は見出しがたい。第三点としまして、しかも解除の面積は必要最小限度のものであると判断をいたしました。それからもう一つは、解除による保安上の利益につきましては、代替の施設の設置によりまして完全に補てんされておるというふうに判断したものでございます。したがいまして、公益上の理由により必要が生じたというふうに考えておるのでございます。
#13
○宮崎正義君 この公益上という二十六条の二項の問題ですが、何のために、また何が、だれのために、どうすることが公益上なのかということになってきますと、いろいろ論争を繰り広げなければならないと思いますけれども、その前に、森林法第一条の目的について、その精神といいますか、法の根本的な考え方というもの、これをひとつ御説明願いたい。
#14
○政府委員(福田省一君) 森林法の第一条は、森林法の法律の目的が出ているわけでございまして、「この法律は、森林計画、保安林その他の森林に関する基本的事項及び森林所有者の協同組織の制度を定めて、森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、もって国土の保全と国民経済の発展とに資することを目的とする。」というふうにございます。したがいまして、この森林法の中におきましては、一番大きいのは、将来の日本の森林をどのように持っていくかという基本的な計画、制度というものと、それから日本の森林の中で、これは森林そのものがすべて水源涵養とか、あるいは国土の保全であるとか、あるいは環境の保全という機能は持っておりますけれども、その中で特に重要なものにつきましては、保安林という制度を設けまして、この保安林を森林法の中では第二に大きく位置づけております。第三番目には、森林所有者の協同組織の制度ということでございますが、これは要するに、日本の特に民有林の所有者というのはきわめて零細でございまして、五ヘクタール未満というものが九割を占めておる。そういう零細な森林所有者を、協同して計画的に仕事をやって将来森林をよくしていこうという考え方から森林組合という制度を設けております。この三つが森林法の中で大きな柱となっているものでございます。こういったことを活用いたしまして、現在ある日本の森林の蓄積をさらに大きくし、もっとよい森林をつくっていこうというのがこの法律の目的でございます。
#15
○宮崎正義君 その森林法の一番重要なものは、三つの柱の中の一番最初に大事なものとして取り上げられました保安林ですね。この馬追山の森林の、保安林の歴史といいますか、歴史的経緯といいますか、それをひとつ御説明願いたい。
#16
○政府委員(福田省一君) この保安林の制度は明治三十年の森林法ですでに発足いたしております。この長沼の保安林は馬追山国有林と呼ばれているわけでございますけれども、林野庁所管の国有林はこのうち六十七ヘクタールでございます。昭和四十三年六月に防衛施設庁に所管がえしたのでございますけれども、すでにいま申し上げましたように、明治三十年に発足した森林法の中で、この長沼町を、水田の用水とか、あるいは洪水による災害の防止のために水源涵養保安林として指定されたものでございます。
#17
○宮崎正義君 この指定されたのか――私は歴史を聞いているわけです。歴史的な経緯、今日に至るまでのこの馬追山のですね。
 それと、もう一つ質問を続けていきますと、先ほどお話しになりました、一番大事な森林法の中の保安林というものに対する説明の中でちょっと触れたようでありますが、この保安林の施設、保安林の指定ということについては、これは非常に重要な課題があるわけです。したがって、この保安林というものに対する考え方が重要であるということで、しかも森林法の第一条には、第一条でいう「森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り、」というこの大事な事項、これらを考えながら、この馬追山の歴史的な経緯と、そして現在何ヘクタールあって、そのうちのどれだけのものが、この所管がえをしたものなのかという、もう少し具体的に、親切に説明願いたい。
#18
○政府委員(福田省一君) 少し簡単に過ぎまして申しわけございませんでした。
 もう一度申し上げますけれども、本件にかかりますところの団地の保安林、明治三十年それから四十二年ないし四十四年の四回にわたりまして、長沼町及び由仁町の水田用水の確保、それから洪水による災害防止のために水源涵養保安林に指定されたものでございます。指定当時の面積は二千百六十一ヘクタールでございましたが、昭和二十四年、二十七年の二回にわたりまして、開拓用地に充てるために保安林の一部の解除が行なわれております。その結果、保安林の面積は、長沼町が一千九十六ヘクタール、由仁町は四百十二ヘクタールの合計千五百八ヘクタールとなったものでございます。防衛施設庁に所管がえしました六十七ヘクタールのうち、三十二ヘクタールとそれから林野庁所管国有林の約三ヘクタール――この三十二ヘクタールは防衛施設の敷地でございました。三ヘクタールは連絡道路の敷地でございます。本件保安林指定の解除処分がなされたものでございますか、この解除処分が本件訴訟の対象になったものでございます。
#19
○宮崎正義君 御説明がありましたように、国土の保全と国民経済の発展のために寄与していかなければならないのは、この大きな役目を持っているのは、保安林というそのことで指定をされて、そして国民を守るという形と同じことだと言えると思うのです。その保安林が、私が何も説明申し上げることもなく、特に第二十五条で指定がされておりまして、これには十一項目にわたってこのようなものをしなければならないと出ておりますね。ついでにこの二十五条の一項だけをひとつ御説明願いたいと思う。
#20
○政府委員(福田省一君) 保安林に関する第二十五条の規定でございますが、「農林大臣は、左の各号に掲げる目的を達成するため必要があるときは、森林を保安林として指定することができる。但し、海岸法」 「第三条の規定により指定される海岸保全区域」 「については、指定することができない。」とございまして、保安林の種類をここに十一番まで書いてございます。ただ、これを正確に申し上げますというと、十一に分けてございますが、機能別に見ますというと、十七種類の保安林があるわけでございます。
 第一は水源の涵養保安林。これは、御承知のように、森林に降りました雨を、一時森林がこれを押えまして地下水として流出させる機能を持っておるものでございますから、これは水源涵養保安林、これが保安林の中でも一番面積が多うございまして、全体の保安林の中で約七五%を占めておるものでございます。その次が土砂の流出防備の保安林。これは木がありませんと、急傾斜地の土砂が、雨が降りますというと流れ出してしまいます。それを押える機能を森林が持っておるわけでございまして、この土砂の流出を押える保安林を土砂流出防備保安林としております。これがまた保安林の中でも比較的多いものでございまして、全体の中で占めますこの土砂流出は二一%になっております。その次が土砂の崩壊防備保安林。これは森林の中で木がないというと、土砂とか石ころというのはくずれ落ちてきます。で、樹木があるためにその山の崩壊を押えるわけでございます。こういう機能を持っておりますのが土砂崩壊防備保安林でございます。これはまあ数からいきますというと、土砂流出保安林ほどでございませんで、約一%ぐらいでございます。この三つが国土の保全、水資源の涵養という意味で一番重要な保安林でございますし、比率も一番多くて、大部分がこの三つの保安林で占めております。
 まあそのほかに、ここにございますのは飛砂の防備。海岸地帯の砂を押える機能を持っている保安林、これが飛砂の防備保安林でございます。それから風害の防備保安林。これは耕地、宅地を保護するための保安林でございます。それから水害防備保安林というのがございます。これは川の水害を押えるというごとは昔からもいわれております、その保安林でございます。それから潮害防備保安林。潮風から農作物を守るというふうな潮害防備保安林がございます。それから干害防備保安林がございます。干害というのは干ばつ。干ばつの場合に、森林がありますというと蒸発作用を防ぐ作用がございますので、干ばつ防止の保安林がございます。雪害の防止。これは特に北陸地帯とか東北地帯、雪が、なだれが落ちてきますので、そういった雪の害を押えるというのがこの雪害の防備保安林でございます。それから霧害の防備保安林。これは海岸地帯の霧と限りませんで、霧から農作物を保護するという意味の保安林でございます。それから、なだれの防止保安林。落石防止の保安林。それから火災の防備保安林。それから魚つき保安林。魚つき保安林というのは、これはここに木がありますというと魚がそこに寄ってまいります。昔からそういわれておるので、魚つき保安林というのがございます。それから航行目標保安林というのがございます。これは船が、昔は灯台がございませんので、船の航行目標になって、いまでもこれを使っている場合がございます。それから公衆の保健保安林。これは最近一番需要が多いんでございますが、レクリエーションのために都会の皆さんが山へ行かれる、これを保安林に指定しております。今後は林野庁としましてもこれをひとつ強化していきたいと考えております。それから名所または旧跡の風致の保存のための風致保安林というのがございます。これは京都の嵐山のようなところとか、黒磯の那須に入る赤松林とか、幾つかこういった風致保安林というのがございます。
 以上が保安林の全部でございます。
#21
○宮崎正義君 長沼の場合は水源の涵養のためというのが主体でございますね。
#22
○政府委員(福田省一君) さようでございます。
#23
○宮崎正義君 説明になりましたその雪害、これもゆるがせにできない問題だと思うわけですがね、どうでしょう。
#24
○政府委員(福田省一君) 雪の害を防ぐ鉄道の防雪林のようなものはこの種類に入るわけでございますが、雪が降る地帯におきましては、住宅とか耕地を守るためにそういった雪害防備保安林まあそういう、主として水源涵養保安林といっても、水源涵養だけであとの機能はないんだというものでございませんで、先生、ただいま御指摘ございましたように、大体森林というのはあらゆる機能を備えております、いま申し上げましたように。特にその中で重点的なものを取り上げまして水源涵養保安林とするわけでございますが、水源涵養保安林の中にも雪害防止の機能であるとか保健機能というのは当然あるわけでございます。
#25
○宮崎正義君 それでは、先ほど御答弁のありました千五百八ヘクタールですね、残っているのは。その中の六十七ヘクタールを所管がえをしたわけですね。で、その六十七ヘクタールの中のその施設にやったのが三十二ヘクタールですね。そうですね。六十七ヘクタールを所管がえをして、そうして三十二ヘクタールをその施設の建設地として建設をしたわけですね。
#26
○政府委員(福田省一君) 所管がえいたしましたのは、ただいま先生御指摘のとおりでございまして、その中で三十二ヘクタールの施設用の土地と、それから道路用の三ヘクタール、合せて三十五ヘクタールがそのうちの解除された保定林でございます。所管がえしました森林全部が解除したものではございません。
#27
○宮崎正義君 それはわかりました。三十五ヘクタール――道路を入れましてね、連絡道路の敷地三ヘクタールを入れて、三十二足す三ですからね、三十五ヘクタール。これはそのとおりになっています。所管がえした中の三十五ヘクタールですね、道路はまた別でありましょうけれども。千五百八ヘクタールの中の六十七、その中の三十五ヘクタール、これで間違いありませんね。
#28
○政府委員(福田省一君) 御指摘のとおりでございます。
#29
○宮崎正義君 そうですね。
#30
○政府委員(福田省一君) 六十七のうち三十二ヘクタールが解除したものでございます。それから、あとでつけ加えました道路の三ヘクタール、これは解除いたしましたけれども、これは国有林の道路としてそのまま残っておるものでございます。結論的には、保安林解除したものは、三十二プラス三ですから三十五ヘクタールということになります。
#31
○宮崎正義君 それで、御答弁がありましたように、この保安林の指定したのは明治三十年、しかもこの馬追山は四十二年――御説明によると四十二年、四十四年と言いますけれども、四十三年も私は含まれていると思っているのですが、四十二年、四十三年、四十四年に保安林としてその指定をされている。そしてその御説のように、由仁と長沼にその一部払い下げをして千五百八と、そうですね、そうなった。そういうふうな、この地帯とすれば非常に大事な場所であります。一番いい場所にこの基地を設けたということになるわけでございます。そのことから考えて見まして、私が申し上げるまでもなく、樹木はお互いが根を張り合ってお互いが持ち合っている、そうして風雪に耐えている。新国道をいま道路建設でどんどんつくっていきますと、その道路をつくっていく――五十メートル、百メートルぐらいまでの間は、国道をつくっていった関係で森林かおかされて、倒れていくものがずいぶんあるはずです。これは非海道あたりは特にそういう自然を破壊された――国道をつくっていくことはけっこうなんだけれども、その森林が破壊されてきて、自然が破壊されてきて樹木が倒れていく、倒木していく。その石数なんかも私は調べておりますけれども、どれほどの被害があるかということも調べておりますけれども、申し上げたいことは、いま答弁にありました三十二ヘクタール及び道路として三ヘクタール、三十五ヘクタール伐採したということ、これは森林を守っていく意味においては非常に大きか問題点があると、このように私は思うわけですがね、どうなんですか。
#32
○政府委員(福田省一君) 林野庁といたしましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、森林を適正に管理し、むしろ将来にわたって、いまよりもよい状態の森林をつくっていくということを一つの目標にしているわけでございます。三千七百万ヘクタールの国土の約七割、二千五百万ヘクタールが森林になっているわけでございます。保安林はそのうちの約三割ぐらいになっております。将来は保安林も、先ほども申し上げましたように、重要な水源涵養保安林はもちろん、国土の保全の意味で土砂崩壊、流出防備保安林、それから特に最近需要のございます保健保安林を拡充していく計画を立てているわけでございます。そういう意味で、森林の管理につきましては、林野庁としては将来さらによい森林を造成していくことを目標として、ことしの二月に閣議決定していただきましたけれども、資源に関する基本計画というものをもとにしまして、これは五十年先の見通しでございます。こまかな計画を立てて、それを実行しているところでございます。
#33
○宮崎正義君 木は、申し上げるまでもなく、植えたからすぐ役に立つものじゃございません。何十年という歴史を経て、そして一つの森林ということになること、これはもう言うまでのことないわけです。したがって、その五十年計画等、これはけっこうでございますけれども、そうでなくても今日、山林をどんどん宅地に変えていき、しかも道路をつくっていきながら自然を破壊していく、こういう傾向になっている中で、いま御答弁がありましたように、大事にしていかなきゃならないという御答弁と逆なことを許したということに私はなっているんだと思うんですがね、どうなんですか。
#34
○政府委員(福田省一君) 確かに、森林の中に道路をつくりますというと、その部分だけ森林は減るわけでございます。道路と限らず、保安林解除に関係しまして一番多いのは、やはり道路関係が件数で一番多いんでございますが、その他ダムをつくるとか、あるいは電線敷をつくるとかいう場合に解除される場合が通常多いわけです。今回の長沼の場合も、一つの防衛施設として計画されたものでございまして、国の事業でございます。それを公益性ということで、その必要性の判断の上から解除いたしたものでございますけれども、いずれにしましても、保安林を解除をいたします場合には、その公益性の必要があって、それに基づいて解除をいたしますが、この法律的な義務はございませんけれども、その指導の精神といたしましては、それにかわる代替施設を必ずつくるということを前提といたしております。
#35
○宮崎正義君 公益上ということは、先ほど私も申し上げました。国で防衛のためにやるのが公益上だからその許可をしたということなんですけれども、だから、私さっき一番最初に申し上げたのは、何のために、だれのためにそれがほんとうに公益上になるかという、そういう観点の上に立って、しかも自衛隊というものが違憲であるという、あわせた考えの上に立っての判断に基づいて今回の判決が出ているわけです。したがって、法の一条精神というものがほんとうに守られているのかということが心配なわけです。これはもう随所にあるんです。長沼だけじゃないんです。やがて八雲のほうにも来るかもわからない。全国至るところに基地の施設をつくっていこうとすれば、その問題が当然将来も起きてくるわけです。それが公益上だ、公益上だと言って、国のためだ、国のためだと言いながら、その実際は、一番大事な基本法である、その基本の目的であるものが失われていき、しかも自然を破壊していき、それが今度は国民生活に大きな影響を与えてくるということを考えていけば、これは許されない問題だと私は思うんですがね。
#36
○政府委員(福田省一君) いま、公益のために解除した事例を申し上げたのでございます。やはりいま申し上げましたような種類のものは、すべてそれぞれ国民のために必要な施設ということで、その意味で公益上の理由があると判断したものでございますが、先ほど申し上げましたように、森林の維持管理につきましては、私たちの考え方は御説明したとおりでございます。保安林以外の普通林につきましても、ただいま先生から御指摘がありましたので、まだ森林法の改正を検討している段階でございます。いずれ乱開発規制ということは普通林についても考えてまいりたいと思っておるところでございます。そういうことで、保安林につきましては従来から今後にかけて増加いたしております、全体といたしましては。また森林につきましても、現在の段階では、過疎地帯におきましてはむしろ森林はふえる、都市近郊においては減る現象にはございますけれども、全体として森林はそう減っているものではございません。しかし、公益の目的ということについて森林の伐採が行なわれれば、当然保安林の場合にはその機能は低下いたします。この低下しました機能、たとえば水源涵養保安林におきますというと、水源涵養の機能が低下するわけでございますから、水源涵養の機能というのは何であるかといえば、洪水を防止する、あるいは水を飲み水とか農業用水に利用する、そういう水を涵養するわけでございます。で、森林の機能が、水源涵養機能が低下しました場合には、洪水を防止する施設、あるいは飲み水を利用する施設、あるいは農業用水を利用する施設というふうなものを必ずこれを管理しまして、それの利益を受けている人たちには迷惑のかからぬように考えることにいたしておるものでございます。
#37
○宮崎正義君 これ、念を押しておきますが、公益上の問題ということになりますと、立場が違いますと、どこまでいっても並行線を引くだろうと思いますので、それは別として、公益上ということで今後もそういうことがあっては容易ならざるものだということを私はこの際言っておきたいわけです。いま御答弁がありましたように、水源涵養のための七五%を占めている森林というもの、これが公益上だから伐採していけば、今度あと治水工事をやり、ダムをつくって、そうして防いでいくようにしていきさえすればいいんだという安直な考え方ということは、これはお持ちではないでしょうね。
#38
○政府委員(福田省一君) さきに申し上げましたように、林野庁は森林を管理し、これをさらによくし、将来これをふやしていくということが一つの基本姿勢でございます。でございますので、保安林と限らず普通林についてもさらに規制をしてまいりたいということで森林法の改正を出しているわけです。ですから、公益上の理由がどういう場であっても、最小限度に私たちはそれを押えていきたいということは基本的に考えているところでございます。
#39
○宮崎正義君 そこで、いまやりとりをやってまいりまして、そうして先ほど私が概要について触れました中に、保安林の機能に代替する機能を果たすべき施設、富士戸一号ダムと砂防ダム七基は不備であるというような点があるわけです。これについて若干質問をいたしたいと思います。というのは、いま林野庁長官から御答弁がありましたものが、どのような形で代替されたかということが証明されてくると思う。必ず解除した場は代替というものが考えられるわけです。そうですね。その代替することは、やるようになっておりますけれども、民間の場合なんかあまり考えられてないところもだいぶあるようですが、それは別として、今回のこの保安林の機能に代替する機能を果たすべき施設、富士戸一号ダムと砂防ダム七基は不備であるというこの問題について、防衛施設庁ですか、この問題は不備であるという点についてどんなふうなお考えを持っていますか。
#40
○政府委員(高松敬治君) 水源涵養保安林の機能を補充するものとして、農業用水、飲料水、それから土砂流出、洪水等についての代替施設をいろいろつくりました。いま、不備であるという御指摘でございますけれども、判決の中にありますのは「前記富士戸一号堰堤についてはその設計の基礎となった一〇〇年確率日雨量資料の不十分さ、またその設計過程における洪水の流出率、比流量の算定などにつきかなりの疑問点が残されており、さらに砂防堰堤についての土砂流出量の計算などについても同様であって、」云々、こうなっておりまして、そこで、「かなりの疑問点が残されており」という判決の指摘でございますけれども、どの点にどういう疑問点があるかということは、残念ながらこの判決の中には出てまいっておりません。したがいまして、私どもといましては、こういう「疑問点が残されており」という指摘ではございますけれども、その具体的な内容がわからない。で、私どもといたしましては、むしろこの保安林の代替施設につきましては、いろんな条件を勘案して、十分にこれを検討した上で計画をして完成をしていると。したがって、この点に不備はないものと考えておりますけれども、いまのような次第で、「疑問点が残されており」ということの中身がわかりませんので、判決のおっしゃることが実は私どもはよくわからないわけでございます。まあ、この点につきましては、これは訴えの利益があるということの一つの根拠として、この点の疑問点の指摘が、「疑問点が残されており」という表現であるからであろうと、かように考えております。
#41
○宮崎正義君 ぼくが言ったのは、不備であるというのは、そういうことを、判決の条文の中にあるものを総括して言ったようなわけで、確かに疑問があるというふうになっております。その言われた以上は何かあるわけです。それが全くいまないという御答弁なんですがね、考えられないというような。その言われていることが、判決文に個々に指摘されていないから、うちのほうじゃ戸惑っているというみたいないま御答弁だったんですがね。これに対して、より、どこのところだろうかと、あるいは、こういうところじゃなかろうかというようなことが、当然ぼくはあってしかるべきだと思うんですがね。この点どうなんです。
#42
○政府委員(高松敬治君) その判決のその前にも引用しておりますように、大久保隆彦、同志満一善らの尋問の結果、それから原告の出した書類あるいは被告の出した書類というふうなことで一つの引用がございます。で、私どもも裁判の過程において、私どものほうの大久保というのは札幌地方施設局局長でございますけれども、施設局側の主張に対して、それに対する反論がなされたということは承知いたしております。しかし、裁判所が――その両方にやや違った意見のあったことは、原告、被告側に違った意見のあったことは事実でございますけれども、裁判所がその両方の主張をどういうふうにおとりになったのか。事実的な問題についてどういうふうに裁判所が認定をされたのか、その点の中身はこの判決文では全くわからない。やや疑問か残っておると――「かなりの疑問が残されており」という程度の御指摘でございました。その点では、私どもとしては、裁判所の御見解に対して反駁する材料がないわけでございます。そういう意味で申し上げたわけでございます。
#43
○宮崎正義君 それでは、先ほど出していただきました、長沼町の関係周辺に対する事業実績及び四十八年度計画というものを出していただきましたけれども、これは私の要求した――説明が足りなかったのか、意が徹してなかったのか、これでは私の考えたものと少し違うんですが、申し上げたいことは、この当初計画をされたものが途中で工事変更したとか、あるいは変更しないで工事が完了したものだとか、あるいはまだ工事が残っているものだとか、そういったものの工事別の資料を出してもらいたい。そしてそれに対する予算をあわせて出してもらいたいと、こういうふうに私は申し上げたわけなんですが、私が直接言わなかったから、これ、見ますと、さっぱりわからぬのですがね。ただ、これ、何だか、四十三年から始まって四十八年の予算がだあっと並べてあるだけて、私のこのやったものと――わからぬのですが、どうなんですか。
#44
○国務大臣(山中貞則君) こういう説明をさしたらいかがでしょうか。ここに具体的に出ているのは、百年確率日雨量資料がどのように出てきたかということですね。それに対応して、どのような設計をして、洪水の流出量や比流量を算定して富士戸堰堤をつくったか、そして過去の実績、いわゆる過去の降雨量が実績がありますから、それの最高雨量が幾らであって、そしてこの堰堤のつくられたものを予想したものは最高何ミリまで耐えられるものであると、その後の実績はまたどうであったか、それからさらに砂防堰堤についても同じようなことを説明させて、そういうことを私のほうではやっておりますがという説明をまずさしたらいかかでしょうか。――よろしゅうございますか。
#45
○宮崎正義君 そのとおりなんです。
#46
○政府委員(高松敬治君) けさほどお手元に差し上げた資料は、非常に時間がございませんでしたので、従来の周辺整備事業の実績と四十八年度の計画ということで、この半ピラの紙で差し上げたわけでございます。
 内容はまあ非常におわかりにくいものと思いますが、で、この表でまいりますと、四十三年から四十七年までに十九億六千三百六十四万円。そのうちで、この表には書いてございませんけれども、代替施設の建設費用としては十億七千七百万円でございます。
 それから、いま大臣のおっしゃった……。
#47
○宮崎正義君 じゃ、私もう一度。具体的に長官が言われたことですね、それはそのとおりなんです。もっとこうこまかくいえば、上水道の施設工事については、この事業については、当初計画どのように考えていて、そして実際はどうなったのか。そういうその当初計画と現時点の進捗状況、完成したものの状態、そういうものが計画変更なくそのままいったのかどうなのか。一つの例をあげればそうであり、またダムでもそうであり、砂防ダムでもそうであるということなんです。そういうふうなことも問い詰めていかなければ、この疑問点があるということ、これの判断というものが出てこないんじゃないか、こう思うわけです。
#48
○政府委員(平井啓一君) 御答弁、私から申し上げます。
 まず、水源涵養保安林三十二・五ヘクタールを伐採したことに伴いまして、その保水機能が低下した分を代替するところの施設としましては、四つの施設を計画したわけでございます。
 まず第一番目には、農業用水の不足、これを補うための施設でございます。これはすでに既存の南長沼用水路というのがございまして、その用水路の水路の漏水――水か漏れるのを防止する工事を施すことによりまして、その漏水防止によって得ましたところの余剰水というもの――後ほど御説明いたしますが、富士戸一号堰堤というものを新しくつくりまして、そこに導水いたしまして、これをポンプアップして、従来は富士戸川の流域の漢流水、いわゆる谷間から流れてくる自然流水に依存しておりました分に相当する分、この分を農地に配水し、また富士戸一号堰堤にこれらの用水をためることによって、水温上昇の効果をあわせ行なうことにしたわけでございます。これに要しました工事費は約六億四千万でございます。これは計画どおりに四十七年度で工事完成いたしております。
 それから第二番目には、用水不足の一つとして、飲料水が不足いたしております。この飲料水は、第十二地区というところにあります六十四戸の方々に対する上水不足ということをカバーするために、既存の長沼町水道をこれらの地域に延長配管いたしまして、伐採によって生じた飲料水の不足というもの、あるいはまた生じますところの飲料水の汚濁というものをカバーする意味での工事を行ないました。この所要経費は三千万でございまして、そして、これも当初から計画いたしましたとおり実施いたしまして、これは昭和四十四年、四十五年の二年度で完成いたしております。
 次に、第三番目には、ナイキの陣地をつくりますことに伴い生ずるところの土砂の流出、これにつきまして、土砂流出に対する十分な安全率を考慮した七基の砂防堰堤を設置いたしました。これは昭和四十五年度に工事を実施いたしまして、当該年度で終わっておりますが、工事費六千万でございます。
 それから第四番目には、洪水に対する対策といたしましては、この長沼地域、馬追山一帯の地域の特性等を慎重に考慮検討いたしまして、富士戸川に富士戸一号堰堤というものを建設いたしました。そしてさらに既存の農業用ため池の、通常富士戸二号堰堤と称しております、これの脚部の補強等も行ない、また下流のほうの馬追運河の左岸――左の岸のかさ上げ等の工事も行ないまして、洪水流出に対しては万全を期したわけであります。この工事費が約三億五千万でございまして、工事の期間といたしましては、四十四年度から四十六年度までかけまして工事を完成いたしております。
 そこで、問題になりますのは、これらの代替施設の機能が、判決理由の中に判示されているように、資料の不十分さ、あるいは疑問点というものがあったのかどうかという点でございますが、われわれといたしましては、たとえば百年確率日雨量につきましては、付近の千歳川の養鱒場、サケ・マス試験場におきますところのデータをとりまして、百年確率日雨量としては二五五・七ミリという数値を用いて、十分な安全を見込んだわけであります。また、ちなみにこの長沼地区の近辺におきますところの、過去四十七カ年の最大雨量も一三四・五ミリという資料も得ておりまして、百年確率日雨量の資料につきましても、われわれとしては十分な安全を見たと考えております。また、砂防堰堤につきましても、土砂流出量の計算についても同様疑問点があると判示されておりますが、これにつきましても、日本治山治水協会の保安施設計画作成の手引きにのっとった計算例に従いまして貯砂量を決定しておりまして、砂防効果も算定上十分あると考えております。そして本堰堤の貯砂能力といたしましては二万二千三百三十立方メートルを考えておりますが、計画土砂量の三二倍ないし三・九倍、七つの砂防ダムを平均いたしますれば三・四七倍の安全率を見ております。また、ちなみにこの砂防ダムをつくりましてから二年半の間で、堆積上砂量というものは千六百四十一立方メートルとなっておりますが、本堰堤の五カ年間の計画流出量五千八百六十四立方メートルに比しまして、現実におきましても大幅に下回っております。したがって、判示の点につきましては、われわれとしては、十分な資料に基づき十分な設計をして行なったものと考えておるわけでございます。
#49
○宮崎正義君 これはここで裁判の内容を、構造上どこが悪いかということを私も論議するあれはないんですけれども、いま御答弁によりますと、法にかなったことをみんなやっているからだいじょうぶだと、こう言っておられるのですが、上水道にしても、当初計画したものがそのまま計画されていっていると言うけれども、最初ポンプ一台備えつけて――あれは二台なかったですか、とうですか。長官は長沼基地、御存じでございますか。
#50
○国務大臣(山中貞則君) 行っておりません。
#51
○宮崎正義君 私もできてからは行っておりませんけれども、札幌におりますものですから、知らないわけじゃございませんし、これは長沼と北村というあそこは、水田地帯はもうちょっと雨が降ると水びたしになる、この状況を歴史的にずっと繰り返してきたのです。そういうところとはまた高台ですから別ではございますが、いま工事の施行上の問題で馬追運河の話なんかも出ましたけれども、これなんかも若干いま、工事上のミスじゃないけれども、かさ上げをしているという、そういうふうな、千メートルばかりかさ上げしているということも聞いております。これは現地へ行けば実態がすぐわかるのじゃないかと思うのです。先ほどの保安林の中の三十二ヘクタールというものが、これが施設に使われて切り飛ばしてしまったという、そのまわりがじゃどのように残されて、どのような状態になっているかといえば、砂防ダムを七つもつくった。それから今度は治水用のダムが、説明の中になかったのですけれども、六万八千トンですかのものを、容量するだけのものがあるというふうに聞いておりますけれども、どうですか、それは合っていますか。そういうようなこと等も実際現地に行けばはっきりしてくるのです。ですから、そういうことを考えながら、私は何も構造上のことをいまここで一つずつ取り上げて、砂防ダムにはどのような施工方法をしたか、裏込めをどんなふうにしてやっていったか、そして表面は何でやっているとか、あるいはダムの表面かとのような――モルタルであるいはタールでやられているかという、その構造上のことは別にここで論議することはないと思いますが、いずれにしろ、計画をなさったことか予定とおり――当初計画と今日までの計画の中で変更があったかなかったかということも私は質問をしたい一点があったわけですが、この点の説明がないのですけれども。
#52
○政府委員(平井啓一君) 先ほどもちょっと御答弁申し上げたかと思いましたが、これらの四つの機能に代替する工事を行なう設計工事等につきましては、当初の計画どおりでございます。
 なお、先ほどお触れになりました富士戸一号ダムの機能につきましては、通常ためておりますかんがい用水の貯水量は六万四千立米でございます。洪水時の洪水調節量は、その上に六万八千立米を計算としては考えております。
#53
○宮崎正義君 馬追運河の千メートルのかさ上げというのは。
#54
○政府委員(平井啓一君) 馬追運河のかさ上げにつきましては、当初の計画に入れ、昭和四十五年度で実施いたしました左岸のかさ上げ工事以外には、現在、当庁といたしましてはかさ上げ工事は計画しておりません。
#55
○宮崎正義君 かさ上げしていませんか。
#56
○政府委員(平井啓一君) 現在はやっておりません。
#57
○宮崎正義君 現在じゃなくて、かさ上げはしてないわけですね、千メートルやったというふうに聞いたんですが。
#58
○政府委員(平井啓一君) 昭和四十五年度に左岸のかさ上げ九百九十六メートルに関しましては実施しておりますが、その後、それ以外のかさ上げ工事はやっておりません。
#59
○宮崎正義君 わかりました。
 そこで、要するに工事上あるいは設計上の疑義ということについて問題点がどのようにしぼられていくかということを、一つ一ついまの施行したものに対する大きな検討がなされなければならないと思うのです。本来ならば、こういうことは決算委員会等でこまかく分析してやればよろしいでしょうけれども、このいただいた予算書の中ですか、当初計画した予算にできなかったもの、そういったようなものがありますか、それから予算どおりに全部終わったというふうなことなんか。その点御説明願いたいと思います。
#60
○政府委員(平井啓一君) お手元に差し上げました資料は、四十七年度までは、すべて予算を執行いたしました実績でございますので、すべて実行した事業でございますが、ただ、その中で一部調査設計だけに終わって事業に着手していないものがありますが、先ほど御説明いたしました代替施設につきましては、全部工事を完了し、その表の中に掲上されておるわけでございます。
#61
○宮崎正義君 どうも答弁がすれ違ってしまうんですね。当初予算立てたものと実際との収支はどうなっておるのか、工事のそれぞれについてどうなっておるかということを聞いているんです。
#62
○政府委員(平井啓一君) ちょっと御質問の意味があれでございますが、実は防衛施設庁でこれらの対策事業というものを実施いたします場合には、すべて当該年度成立予算の中からそれぞれ事業の実施計画というものをつくりまして、それでもって大蔵大臣の承認を得た上で実施しておりますので、当初予算というものとの比較になりますと、あくまでそれは概算の段階での比較になろうかと思います。したがって、御質問の点の当初予算を変更してお手元の資料との間にどれだけの差があるかという点については、具体的な事業内容で、これを引っ込めたからこれだけの差がある、そういったものについてはないわけでございます。
#63
○宮崎正義君 だから、私が最初に申し上げたのは、施行工事別のものを出さなければわからないと言ったわけです、これじゃだめだと言ったわけです。ですから、いま言いましたように、ダムでも一年でできるわけがないんですから、翌年に繰り越されていく、そういったような費用の全体の予算の流れというものと、工事が終わった時点で当初計画されたものとどれだけの差があったか、足りなかったか、余ったか、そういうことを聞いておる、やさしく言えばそういうことなんです。
#64
○政府委員(平井啓一君) はなはだ申しわけありませんが、手元に御指摘のような比較できる資料としていま御答弁申し上げるものを持ち合わせございません。別の機会に御説明させていただければと思います。
#65
○宮崎正義君 それらをやはり検討していきますと、多少疑義の点があるということも考えられる点がずいぶんあるわけです。諸点出てくるわけです。それで、私は、予算上の問題から、工事の施行状態から、年度にまたがっておる行き方から、そういうものをにらみながらこの進捗状態とか、あるいは完成のときにどんなふうな状態に、当初計画されたものがどうおさまっていったのかということが言われてくれば、設計上のミスとかあるいは工事施行上のミスだとか、そういったようなものがわかると思うんです、予算の上からだってわかってくると思うんです。そういう意味でいま伺っていたわけです。防衛庁のお金を使うのが非常に大きい額ですから、今度の長沼ナイキのほうの総予算に対しても相当の金額です。相当の金額ですから、これはうちの黒柳委員が長官に、公民館が旅館に変身したという、こんなところにも金がぽんぽん出されておる。これは簡単に出されては困ってしまうわけです、国民の血税なんですから。だから、こういう面からいきましても、もし工事が今日まで完了され、まだ調査中であり、また工事が末完のものである、逐年にわたっての工事というものがどんな状態になっているかということをにらみ合わせながら、当初の計画設計というものが明確になってくれば、だんだんと疑問点というものが氷解できていくんじゃないかと思うんです。
  〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
#66
○政府委員(平井啓一君) これらの事業につきましては、計画内容そのものは当初の計画どおりに実施しております。ただ、実施計画で金額に若干の、予定しておりました概算の数字との差は若干あろうかと思いますが、計画そのものは当初からのとおりに実施したわけでございます。
#67
○宮崎正義君 じゃ、これ、続けておってもしようがありませんから、それを出してください。各施行工事別のものを出してください。委員長、お願いしますよ、資料請求しますから。
 私、午前中だけで保安林の問題をやるつもりでいたんですか――私か最初に読み上げました中に、聴聞会が混乱したという問題点がございますが、農民の声が、地元民の声がほんとうに吸い取られていかなかったんだというように報じられているわけなんですが、こういうことがあってはならないと思うんですが、一方的な話で終わった、あとは雑音で終わったというようなことが言われておるんですがね。この点どうなんですか。
  〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕
#68
○政府委員(福田省一君) 聴聞会の御質問でございますが、その保安林の解除処分につきましては、解除手続の過程におきまして、地元住民から森林法第三十二条一項の規定に基づきまして保安林解除の異議意見書の提出があります。これについて、同条二項の規定に基づきまして、昭和四十三年九月と昭和四十四年五月の二回にわたって聴聞会を開催いたしました。この聴聞会につきましては、集団的な、計画的な妨害によって混乱におちいった状態でございますが、この中に、質問という形ではありますけれども、意見と見られる発言がありまして、またそのような発言のなかった者についても、再度の聴聞会を通じて意見を述べる機会を与えたのでございますけれども、その権利を放棄したと認めざるを得ないような事態であったことから、聴聞会は成立したものと判断しておる次第でございます。このことにつきましては、裁判の際にも主張してきたところでございまして、現在もこの判断に誤りはないと確信をしているのでございます。今回の札幌地裁の判断には、そういった意味で、この点についての承服はできかねるというふうに考えているところでございます。
#69
○宮崎正義君 ともあれ、これが争点の一つの的になっているわけでありますし、ここにも私が調査したものといまの御答弁と食い違っている面がございますが、これはいまここで私が申し上げても、結局は判決に基づいていくようになる点だと思いますので省略をいたします。
 時間の関係がございますので、午前の総括の意味で申し上げたいのは、今回の違憲判決というこの問題を、保安林の、この森林法の精神からいっても、国民の生活を守っていくという点からも問題点があると私は申し上げてきたわけです。
 いずれにいたしましても、裁判のことは裁判が決定するでありましょうけれども、この違憲論というものを尊重していかなければならないということを申し上げて、午前の質問を終了したいと思います。
#70
○委員長(高田浩運君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時半再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十三分開会
#71
○委員長(高田浩運君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行ないます。
#72
○宮崎正義君 午前中に引き続きまして、午後もやらしていただきますが、最初に定員のことについては鶴園委員及び前川委員が詳細におやりになって、私はまたその違った面から、違った面というのでもありませんけれども、違った方向から進めていきたいと思います。
 今回の法案は、申し上げるほどのこともなく、自衛官の定数増、南西航空混成団の設置、防衛医大の設置、これらがおもで、あとそのほかございますが、ずっといままでの、今日までの自衛隊の行なってきた事故等を見てきますと、F104ジェット戦闘機が連続事故を起こしております、四月九日と六月六日でございましたか。それや、航空機の乗り逃げ、こういう事故が六月の二十三日に行なわれてきております。これらの不祥事が相次いでおりながら、航空機で逃げた事故者、これはどうなっておるのか。それから同時に、帯広では鹿追の演習場で兵が行くえ不明になって四日後にふらふらであらわれてきた、こういったような状態を見ながら、防衛庁の資料によりましても、この死亡退職、そういう死亡退職の資料によって見ましても最近の五年間で千十八人おります。年間にしてみますと大体二百人ぐらいをこえているというような、こういうようなことから、自衛官の増員というふうなことをはかる以前の問題、こういう以前の問題を取り上げていかなければならないんじゃないかと思います。まだ私は三つばかりの例しかあげておりません。あとでこまかくいろんな問題を取り上げながら進めていかなければならないと思いますが、どんなふうな防衛力を持とうと、どんなふうな防衛力の拡大をしようとしても、それは人がやることです。この人の生命というもの、人の生活というものを守っていくようにしていかなければこれは何にもなりませんし、人が運営をし、人が組織をすべきだ、人が行なっていくことということになれば、まずそういう角度で、今日までの自衛隊の諸事故がまだどっさりございますが、いまとりあえずあげた問題について、そのふやしていく、増員をしていくという以前の姿勢というものを長官からお伺いしたいと思います。
#73
○国務大臣(山中貞則君) 私もおっしゃることはしごく同感でございます。求人難の中からせっかく、われわれにとっては自衛隊に入ってもらった若い諸君が隊務に従事していて、公務死亡はこれは極力少なくするようなことを心がけなければなりませんが、一方において、考えられないようなLM機の乗り逃げ事故というようなものがあったりなどいたしまして、私としては就任以降直ちに、毎日全国の散らばっております各駐とん地の隊員の、勤務中であれ、休暇中であれ、あるいはまた、ただのガールフレンドなどとのトラブルであれ、すべて一件残らず報告を上げるように命じまして、これはまたあまり歓迎しない結果ですけれども、ほとんど毎日のように実は上がってきております。このことを考えまして、それに対する処分というものは月報をもってその月間にどのような、私のところに毎日届いてまいりましたものをどのような処分をしたか、きわめて明白な現行犯等についてはもう直ちに懲戒免職、これはあたりまえのことでありますが、これらのことを踏まえて、私はまず隊員の生命も大切にしなければならぬ、また大切な国から預かっております機材というもの、これも大切に扱わなければならぬ。そしてまた、いやしくも、前川先生のお話のときにいたしましたが、自衛隊員である限りは絶対に許されない、一般国民に向かって結果的に自衛隊員が、一隊員といえども、一国民に対してといえども危害を加えたような事態については私はきわめてそれを重視しております。したがって、来年を私は内政の年である、予算編成に向かってもそういうことを言っておりますし、今後いわゆる自衛隊員の居住環境から始まって、上官といいますか、上司と部下との――演習場は上司、指揮官と部下の関係はあっても、営内の居住をいたしております場合にどのような人間的な対話がなされているのか、居住環境、人間対話、そういうところからこまかく分析をして、やはり人間社会の中において閉鎖された集団でなく、開かれた集団である自衛隊に不祥事故の絶滅、そしていやしくもそのようなことが、ことに最近飲酒に原因をするところのものが非常に多うございます。こういうところについては幕僚長をしてきびしく各幕営の通達も出させておるわけでありますが、こういうことを考えながら私としては対処をしてまいりたいと思います。なお、自衛隊の公務死が公安職の職員等の比べて特別に多いというわけでもありませんが、しかし、自衛隊そのものの持っている重さ、使命の反面における義務ということを考えますと、これは相当やはり重視してまいらなければならないことだと考えております。先生のいまのお話は私も全く同感でございます。
#74
○宮崎正義君 乗り逃げのあれはどうなってたんでしょう。
#75
○国務大臣(山中貞則君) これはきわめて特異なケースでございまして、私のほうとしてはあらゆる方面から調査してみました。本人が自殺する意思を前から持っていたのであろうか、あるいは普通の隊員では考えられないほど、普通の隊員以上の巨額な保険金をおとうさんだけにかけておる、その親子関係が、何か特別な関係の子であったのか、いろいろ調べてみたんですが、保険金も別段自殺をするつもりで、そしておとうさんに金を結果的に差し上げるつもりでかけたと思われない。いわゆる保険の法律によっては一年以内に自殺をすれば保険は受け取れないわけでありますから、もう入隊のときからそういう加入をしておりますし、入隊以前にも保険にかかっておるというような青年でございまして、またその居住環境、同僚関係から見ても全然そういうものが聞けなかったし、本人が何かノートに書き散らしてあるものを見ましても、死に結びつけられるようなものが一つもない。ただ、あとでわかったことですが、一同僚が、そう言えば確かにあの近くに、どこか宇都宮の近くに自殺の名所といわれているところがあるんだそうですが、そこに行ってみたと――いや、仙台の近くでありますが、行ってみたと。ところが、何か人間の死骸みたいなものが下に見えた。あんな死に方はちょっといやだなあという話をしたことを思い出した同僚がおりました。それくらいで、あとは何にも本人にそのようなものがございません。やめたがっていたということはありまして、それは最終的に希望を聞いて、その前日によろしいということで正式手続をとる用紙も本人に手交してありまして、本人はそれで自分の除隊もできるということで、何ら自殺に結びつく要素も考えられませんでした。したがって、全くビールを二本足らず飲んだ程度で、酒の勢いと言うのにも少ないような気もしますが、でき心でふっと飛び立ったという感じがしてなりません。したがって、いろいろ考えてみたんですが、結局はやはり国有財産である飛行機を一機結果的において全壊といいますか、失わしめたものでありますし、自衛隊法に照らしてやはり懲戒免職の処分をとらざるを得なかったということが結果でございます。
#76
○宮崎正義君 御答弁ありましたように、確かに人の命もとうといですけれども、航空機を一機失ったということもこれは大きな問題でございますし、帯広の演習中に行くえ不明になった人も、もう帰るのが、復帰するのがいやだというようなことを漏らしていたとかいうことなんかも将来に大きな問題点が含まれているんじゃないか、こう思うわけですがね。こういう点についても一応伺っておきたいと思います。
#77
○国務大臣(山中貞則君) 帯広のほうは少し違いまして、本人も演習中に弾倉を落としたということで、弾倉さがしで隊をちょっと離れたらしいんです。ところが、地形がなかなか、進行方向に類似した山が、西のほうに行くべきところを北のほうの山を錯覚いたしまして、そして北のほうの山のほうへ進んでしまった。そこで、途中で銃及び銃剣等はそこに置きましたまま、本人はそのまままっすぐどこまでも行けば追い着けるという気持ちだったのかもしれませんが、密林地帯のほうにさまよい込んでしまいまして、結局は本人がやっとその演習場の区域から外に出て、一般人の目に触れる通路に出てきたときが三日目であったということでありまして、これは本人に直接とがむべき懈怠もございませんし、あそこに武器はちゃんと置いてありますというものについて、直ちに急行しましたところ、本人の指定した、記憶している場所にちゃんと丁寧に保存がしてございました。演習地内でございます。したがって、本人も特別に懲戒の対象にする必要はないと考えまして、その点は情状を酌量いたしてございます。
#78
○宮崎正義君 ただ、問題なのは、不明になったというのをすぐに発表しなかった。これは責任者のほうのぼくは責任があると思うんですよね。こういう点がどうもすかっとしないように思うんですが、先ほど長官がおっしゃられたように、開かれた自衛隊、こういうようなことですね。あとでまたずっといろんな問題を取り上げながら長官のおっしゃる開かれた自衛隊という行き方を、これはもう今後の方向として当然やっていかなきゃならない。その時点に到着する前の問題ではございますが、その日に発表しない、その日に民間の手をかりる、警察の手をかりるようなことをやっていかなければならなかった、それを放任しておった。知らぬ顔していた。隊内だけでそれをおさめようとした。そういうところも大きな問題があると思うんですがね。
#79
○国務大臣(山中貞則君) これまた、おっしゃるとおりでありまして、前日の午前九時半に行くえ不明になっておることを発見して、私にそれが届きましたのが縦日の午後三時である。これは何としても私として見のがせませんので、その経緯を克明に追跡いたしました。結局は演習場内であって、その場内におることは間違いないということで、結果的にはほぼ場内にその時刻いたんですけれども、全体の総力をあげてさがせばわかるだろうというつもりでいたようであります。しかし、私は、それとても日没をそろそろ迎える時間になったら警察の手をおかりして、一般の方々に、実弾こそ持っておりませんが、空包と銃とそれから銃剣を持っておりますので、危害を加える心配はないと思いますが、御注意して、発見したら連絡してくださいというような手配をしておくべきだったと。さらに報告も、その時点においては私のところに何らかの手段でもって、系統を通じて上がってくるべきだったということで、結果的には私の立場において、それらの系統の最高責任者を含んで厳重に注意をいたしておきました。今後このようなことは、事故は起こったとしても、そのように自分たちだけでさがせるんだというような安易な気持ちで伏せておくというようなことは二度と起こらないだろうと思っております。
#80
○宮崎正義君 長官の先ほどの御答弁にもありましたように、飲酒の事故、これは沖繩でもございました。これなんかも非常に暗い問題だと思うんです。ともあれ、こういうふうなことがひんぱんに最近起きてきておるということ。特に違憲問題等が起きましてから、よけいともそういうふうなことがあってはならぬ。人体の上、人命の上にいろんな差しさわりのあるようなこと、事故があってはならない。このように私も思うわけですが、ともあれ、そういうふうな今日の情勢から見ていきまして、私はこの資料としていただきましたものの中に、この応募者に対する志願票の交付及び受理、試験実施、筆記試験とか、身体検査とか、口述試験とか、及び適性検査とか、身元調査等をやって、採用予定者の決定、及び通知をやるとか、採用予定者に入隊時の身体検査をやるとか、その上で採用発令をして、自衛官の採用ということになるわけでございますが、採用者数のこの実態を見ますと、四十二年から四十六年度までしか私のところにはございませんけれども、四十七年度――四十八年度はいまてございますから、四十七年度はあとで御説明を願いたいと思うわけでございますが、四十二年の採用者数というのは三万四千百七名であり、ついでに申し上げますと、今度自衛官の退職現況でございます。要するに採用とそれから退職したこの比較でございますが、比較をいま申し上げてみますと、四十二年には三万四千百七名の採用者がありまして、そして退職者が二万八千八百四十七、この退職者の内容は、定年退職、任期満了退職、事故死――公務が四十八、非公務が七十、小計百十八、病死が六十一、計百七十九、そのほか任期満了退職とか定年退職等含めた二万八千八百四十七、これはこの採用のほうが多うございます。それから四十三年は、採用者数と退職数を合計してみますと、四十三年の採用が三万五千六百三十三、退職者が三万一千九百十、ここもいいわけです。だんだん少なくなってくる。四十四年になりますと、三万四千七百七十六名採用のうち、今度は退職していく人が三万三千九百四十五、四十五年が三万三千六百七十一、退職者が三万三千百五十三、四十六年になりますと、採用者が二万九千二百十七、退職者が三万五百六十名、こういうことになりますと、四十六年は今度は、その採用者数よりも退職者数のほうがぐっと多くなってきている、ここが問題だ。四十七年度の分は、これは私いただいておりませんのでわかりませんが、この四十七年度の説明をまずしていただきます。
#81
○政府委員(高瀬忠雄君) 四十七年度の採用者数は二万九千五百七十八名でございます。退職者の合計が三万七百四十一名。
#82
○宮崎正義君 内容を言っていただけませんか。
#83
○政府委員(高瀬忠雄君) 内容を申し上げます。定年退職二千二十五名、任期満了退職一万二千四百十名、それから死亡退職、公務によるものが二十七名、公務でないものが八十一名、その合計が百八名、それから病気でなくなりましたものが八十九名、死亡退職の合計が百九十七名、その他の退職が一万六千百九名でございます。
#84
○宮崎正義君 非公務の説明をお願いしたいのと、もう一つは、その他の退職といいますが、その他の退職という内容でございますね、おもなる内容でけっこうでございます。
#85
○政府委員(高瀬忠雄君) 事故死には、御承知のように公務死亡と認定されたものが公務でございまして、いろいろの事故で、たとえば私有率両を運転いたしておりまして、そうして死亡をする、そういうようないわゆる公務でない事故によりまして死亡するものが公務外ということでございます。それからその他の退職でございますが、ここでは定年退職というのは、御承知のように定年まで勤務いたしておりまして、定年に達して退職する。それから任期満了退職は、二年または三年の任期で任用されておりまして、その任期が来て退職する。死亡退職は死亡して途中でやめる。その他の退職というのが、いま御指摘になりました点でございますが、これは任期満了でもない、定年退職でもなく退職する者でございまして、たとえば任期の途中で、定年にならない前に自分がやめたいと、いろいろな理由がございますが、そういった理由でやめたいということを申し出て退職するなどがその他の退職でございます。
#86
○宮崎正義君 この非公務の、認定をされない者、これは概してどういうところでなくなっておるのですか、部外であるとか……。
#87
○政府委員(高瀬忠雄君) 直ちにその資料がございませんのですが、先ほど申しましたように、自動車の私有車両を運転いたしまして、そうして死亡するというような事故が非常に多いように思っております。それから仕事を実施しておりました業務上の場合におきましても、直ちに仕事と密接な関係がないというようなことで、公務に認定されないで、病死でもない、それでなくなった、そういった例があるかと思います。
#88
○宮崎正義君 自動車でなくなられたというのは、私用の途中ですか、それとも――内容がわからないのですがね。
#89
○政府委員(高瀬忠雄君) 最近多いのは私有車両、自分のマイカーでもって休日等に私有車両を操縦いたしまして外出をする、その途中で事故にあってなくなった、そういうケースでございます。
#90
○宮崎正義君 そうすると、これは勤務外の私的なことで単を運転していきながら自動車事故にあってなくなっておる、こうなるのですか。
#91
○政府委員(高瀬忠雄君) いま説明しました私有車両の問題につきましては、さようでございます。
#92
○宮崎正義君 それからもう一つは、義務で密接な関係がありながら、それが公務として認定されなかった非公務の死亡者ですね。これはどんな事例があるのですか。
#93
○政府委員(高瀬忠雄君) 実際の例といたしまして、公務中の事故は大体公務死亡ということに認定されておりますが、大体そういった公務中のあれでありましても、その自分の行なっている公務、仕事、業務と密接な因果関係がないという場合におきましては、公務にならないというケースがございます。
#94
○宮崎正義君 この点だいぶ問題になってくるのですが、その一つ一つの事例がわかりますと問題ないわけですが、通勤の途上であればこれは公務に認定されるでありましょうし、また因果関係という御答弁がありましたけれども、これなんかもあとで私は事例をあげながら質問をしますけれども、因果関係ということ、この問題については、非常に大きな業務で密接な関係を持ちながらなくなっていっているけれども、その因果関係が成立をしない、そのために非公務になったというケースが多いということです。これは相当問題があると思う。それから、あとでこれは事例をあげながら、御答弁がありましたら、ゆっくりと質問をいたしますが、その他の退職の中で、定年退職あるいは任期満了にならないのに自分で辞任をしていくという、それはおもなる理由というものはどういうふうな理由でしょうか。
#95
○政府委員(高瀬忠雄君) これにつきましてはいろいろなケースがございます。この委員会でもしばしば御指摘になっておりますように、自衛隊に勤務するのがいやになった、それからとてもこの規律正しい生活になれきれない、いろいろなケースがありますし、そのほか、たとえば自分が父親のやっておる家業を継がなくちゃいけないとか、その他の退職のケースというのは非常に千差万別、多種多様なケースでございます。
#96
○宮崎正義君 これに対する統計は何かおとりになったことがありますか。たとえば、いやになった人たちとか、規律がきびしい、何となくいやになったという先ほどの者と、規律正しい、それから家庭的な、家督を継がなきゃならないとか、いろいろなそういう理由がございますね、その他の理由。なぜそういうことを聞くかといいますと、その他の退職が非常に多いのです。四十二年では一万二千七百十六、四十三年では一万六千二百五十七、四十四年は一万八千十七、四十五年が一万七千二、四十六年が一万六千四百九十三、四十七年か――全部これ一万こえているわけです。これは毎年そうなんです。毎年そうであるというならば、これに対する対策というものを当然講じなきゃならないと思うのです。したがって、それに伴っていくところの、何のどういう理由が一番最高なんだとか、この最高の理由に対してはこういう手を打っていかなければならないじゃないかということが必然的になされなければならないと思うのです。したがって、この理由の内容を御説明願いたい。パーセントはどういうふうになっているか、そういう統計をとっているか、とっていないか。
#97
○政府委員(高瀬忠雄君) ただいま御指摘のような問題につきまして、それぞれどういう理由で退職したかという統計は一応とってございますが、ただいま手元にその数字がございませんので詳細申し上げられませんが、ただいま御指摘のように、確かにその他の退職というところに非常に私ども隊員の人事管理上問題があるということで、その点は重視をしておるところでございます。
#98
○宮崎正義君 少なくとも自衛隊を増員していこうというこの法律案とするならば、当然資料をお持ちになって、すぐに、即座にこの問題が、話がずんずんスムーズにいくようじゃなければ、今後私はこれから取り上げようとしている問題がこんなにあるわけです。これは全部その関係なんです。したがって、向こうにあるならあるように、私が質問をしている間に取り寄せるか何かしていただきたいと思うのですが、どうですか。
#99
○政府委員(高瀬忠雄君) 承知しました。
#100
○宮崎正義君 この非公務につきましても、私は先ほど申し上げましたように、非常に問題点があると思います。この非公務につきましても毎年相当な数である、百人近い数である、毎年。これが累積されていくということになりますと、ここにもその手を打っていかなければならない点があると思う。と申し上げまするのは、先ほど申し上げましたように、人の生命というものを預かっている、しかも自衛隊に預けておけばという、その若者の希望もいれてもらえるんじゃないかという、その考えのもとに自衛隊に入った人たちも、親たちもいるわけでありますね。そうしてその自衛隊で勤務しておる間に非公務という形で、その期間の間に非公務という形で、しかも先ほど御答弁がありましたように、業務に密接な関係がありながら、それが公務と認定されていかなかったんだというような問題点が出てきますと、これは黙っておくわけには私はいかぬと思うのですがね。こういうものについても主たる原因は何かという、そういうことがわからなきゃならないと思うのですが、どうでしょう。
#101
○政府委員(高瀬忠雄君) 死亡事故死の中の非公務というのは、先ほど申し上げましたように私有車両などが多いんでございますが、いま先生がお触れになりました公務災害の認定基準というのがございまして、そして公務に基因するとか、あるいは公務と相当因果関係を持って発生したというような事故につきましては当然公務になるわけでございますが、その他のものにつきましては公務上の殉職というようなことでは処理しておらないわけでございますが、ただ申し上げましたように、自衛隊で隊員を頂かっております際に、いまのように人命尊重、事故を起こさないというようなことは大事なことでございまして、まあ非常に私どももこの点には、毎年この事故の数を減らそう、事故死の数を減らそうということで、あらゆる部面で努力をしておる次第でございます。
#102
○宮崎正義君 これなんかもその他の退職という面の統計のこととあわせて当然つくっておかれなきゃならない問題だと思うのです。特に非公務というのですから。この点また資料をお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。
#103
○政府委員(高瀬忠雄君) 承知いたしました。
#104
○宮崎正義君 長官もおっしゃいました、開かれた自衛隊ということをおっしゃいました。それから総理の御答弁の中にも、ある意味では日陰者的な立場にあるのを身分があるものにしたい、長沼判決のときの総理の自衛隊に対する、この身分のあるものにしたいと、こんなような明るいことをおっしゃっておられました。そういう意味におきましても、欠員というものはどういう原因で欠員になっているかということを、これははっきりしておかなければならないと思います。
 同時に、もう一つは、採用のことを先ほども数字的に伺いました。かつて予算委員会でもこの募集のポスターをお持ちになって、こんなふうな募集のしかたをしているというふうなことをやられた方がございました。私も持ってまいりました。こういう募集のポスターでございます。だいぶあるんですが、このポスターをどんなふうな張り方をされているのか。何か報じられる雑誌によりますと、自衛隊が出ていった先で張っているとか、またそれを張らないのを張ったようにして遊びにいったみたいな、何となくそんなような記事をちらっと見たような覚えがあるのですが、これはもう私がお見せしなくても、おれ、みんな知っているよとおっしゃられるに違いないんですけれども、非常に明るい、非常にいいポスターです。こういうすばらしい生活がそのままできるということが、もう若者の希望として、夢と希望を持ちなから、自衛隊の中に若者と一緒になって――これなんかそうですね。若者と一緒になっているという姿なんか非常にほほえましい。こういう募集のポスターを持ちながら、自衛隊の二等陸・海・空士志願案内という、こういうチラシも出てございます。この募集もきょうのニュースで聞きますと、北海道の釧路では自衛官の募集をしないというように議会では議決したというふうなことを聞いたわけです。こういう点について、どんなふうにお考えになっておりますかね。
#105
○国務大臣(山中貞則君) 自衛隊の募集業務あるいは都道府県の募集に関する告示業務、こういうものは法律によって委任事務として明記されておるわけであります。まあしかし、それぞれ市長さんの政治的な思想的な立場もいろいろございますから、長沼判決があったということでそれをやめるという意思表示をしたという報道のある市長さんもあり、あるいはまた、ただいまの釧路の議会のように議決をした議会もある。市長さんがそうはっきり、だからといって意思表示をしてこられたわけでもありませんが、これは都道府県も含めまして今後いろいろとそういうことが起こってくることを私たちは予想しなければならないでしょう。また、それは避けることのできない問題だと思っております。一義的には、私たちが自分たちの努力によって隊員を確保し、自衛官を充足させる努力をいたします。しかし、法律上は、少なくとも現存の法律では、そういう委任事務に関する規定が自衛隊法並びに自治法にございます。でありますので、市町村長さんの場合は主として自治大臣の指示によって、まあこの場合は主務大臣といえば総理府の長たる内閣総理大臣になるでありましょうが、知事を経由して市町村長さんにその事務をなまけないようにやるべきであるということをやってもらったりする、ややこしい手続になっておりますし、知事の場合においては主務大臣が直接そのことを法律しの権利として実行を要請し、それができない場合は、市町村長は地裁、知事の場合は高裁に争いを持ち込むことになっております。もしそこで最終的にその事務に対してそれぞれの、たとえば知事の場合に高裁がそれに対して確認をするという時期が参りますと、これは珍しい規定でありますけれども、民選の知事であっても失脚することになるわけであります。いわゆる罷免されるということになります。しかも罷免された者はその後二年間公職につくことが許されないという法律上のたてまえになっております。ここらのところを自治大臣があるいはどこかの委員会でちらっと答弁されたようなふうに新聞で私は見たんでありますが、そういう法的な措置はありますけれども、私たちは国民の、自治体の人たちも、行政当局者も含めて、やはり御協力と理解の上に成り立ったものでなければ、そういう伝家の宝刀があるぞというようなことでもって、しゃにむにやらせるというような姿勢をとるべき立場にはなかろうということを私は考えておりました。したがってそれらの――もし今後とうにもならない場合になりますれば、これは別でありますが、私たちがやるべきことは、その事務についてまず一義的には自分たちで新入隊員を確保する努力を展開する、それに対して充足の目的を達していくということが私たちのまず最初のつとめであろう、こう考えております。
#106
○宮崎正義君 長官のおっしゃること、そのとおりだと思います。もし法的な立場でということになると、過去における徴兵という、そういったような形が何となく法的にきめられていくみたいな、受け取り方によってはそんなふうにも感じて受け取られるんですが、そういうようなことがあってはとんでもないことだと思うんです。ですから、後段でおっしゃったことについては、私は徴兵という問題を考えますとちょっと心配な点があるわけです。
#107
○国務大臣(山中貞則君) これはもう徴兵ができないことは、憲法の条項を私が読みまして、できないということを申しておりますから、そういうことはあり得ないことでありますし、また、いま申しましたのは、自衛隊の委任事務についてのことではございませんで、自治法に定めるすべての委任事務に関する自治法の規定を申し上げたわけであります。自衛隊法でそんなことができるわけじゃございません。それはひとつ誤解のないように……。
#108
○宮崎正義君 それは知ってます。私は総括的な上の立場で言ったわけだ。部分的な自衛隊だけのことを論じて言ったんじゃない。当然長官もそのおつもりでおっしゃったんでしょう。私もその立場で、憲法できまっていることははっきりしているわけですから、そういうような受けとめ方をするようなことがもしあってはならないと、こう思ったから言ったたけてあって――これはある人が自衛官になりたいのだ、内容を説明してくれと、電話だったのですね、これ。そのことですから、はたして事実かどうか、これは私もちょっと心配なんですが、こんなような回答があったわけです。これにはこういう――御存じのように、あなたもいますぐ陸海空自衛官になれます、受付は毎日、入隊は毎月、受験資格は十八歳以上二十五歳未満と、こういうふうにずっとあります。この中で、一つは特別職国家公務員、二番目は初任給、聞いたときは七万五千円と、こういう話だった。衣食住無料。これは実質的には給与規定できめられておるのは三万五千円だ。これを聞いた人は、そうですがと、私に言われたものですから、そんなことないよ、それは衣食住が入っているのじゃないのか、それを含めて言ったのじゃないのかねと、私はそう言ったんですが、もしそういうようなことが行なわれているとすると、これは惑わす非常によくないことだと思うんですがね。こういうことをどうですか、教育局長、どんなふうに受けとめられていますか。
#109
○政府委員(高瀬忠雄君) まさに給与法上、二士の給与というのは三万五千六百円でございます。で、隊員になりました場合におきまして、まあいま御指摘のように、この糧食費は全部国が負担します。それから被服費も国が全部負担をいたします。まあそういった、あるいは期末・勤勉手当ですか、そういったものも含めて、それを月額で計算した場合の額をいまの案内に書いたと思いますが、そういった実質的な面に注目いたしましてポスターをつくったのでございます。
#110
○宮崎正義君 そうしますと、実質給与が三万五千六百円ですね。そうすると、約七万五千円ぐらいですよと、こう言われた人は、実質給与が三万五千六百円ですから、その差額が衣服費だというふうにこれは今度私が説明する場合とっていいんですか、そういうふうに説明してよろしいんでしょうか。
#111
○政府委員(高瀬忠雄君) 形式上、いわゆる給与法上の金額はまさにおっしゃるように三万五千六百円ですが、実際に隊員になりまして、そしていろんな生活経費その他を見れば、糧食費、それから衣服費とか、それからその他を合計して月額に直すと、そういうふうなことであるというふうに御説明願えればいいんじゃないかと思います。
#112
○宮崎正義君 その点は明確に募集のときにしていかなければ誤解を生ずるんじゃないかというふうに私は危惧したものですから申し上げたんです。そういうことが問い合わせがあったから、事例があったから申し上げるんです。想像で言っているわけじゃないので、その点はひとつおわかり願いたいと思います。
 そこで、今回は陸上自衛隊が千名、海上自衛隊が三千六十五名、航空自衛隊が二千九百十八名、統合幕僚会議幹部五名、計六千九百八十八名の増員ということになっております。この千名については、陸上自衛隊については十八万で、これでもうあとありませんかという質問をなさった関係ございますので、この問題には私は触れてまいりません。
 で、海上自衛隊の場合、これはまだ論議されてなかったと記憶しているわけですが、ありましたでしょうか。
#113
○政府委員(久保卓也君) 昨日の御質問の中で、今後の増員がどうなるかという御質問がありました場合に、陸上自衛隊を除いて四次防期間中の増員は確定した数字じゃございませんが、事務段階でわれわれが検討しているものとしては四次防全体で約八千名。そしてこの二法案まで、つまり四十八年度までで約四千五百名の増員が予定されております。したがいまして、残りが約三千五百名でありますということを申し上げました。その三千五百名というのは海空の見込み数の分であります。あくまでも事務的なわれわれ以下の段階の検討の数字であります。
#114
○宮崎正義君 この定数あるいは現員、欠員、そういうことをにらみ合わせながら、最初に申し上げましたように個々の問題点に触れながら、どういうわけで減っていくのか、どういうわけでやめていくのか、またどんなふうな非公務の死亡があるのかというようなこと、また公務死亡していながらその公務の作業中に相当過激な無理があったんじゃないかというような問題について触れながら、この定員問題を締めくくっていきたいと存じます。
 最初にお伺いしますのは、ことしの一月三十日に野島崎灯台沖で発生しました駆潜艇の「きじ」の事故について伺いたいのでございますが、新聞報道は、兄出しを入れまして、遠くからですからごらんになれるかどうか、一段のほんとのわずかな記事しか出ていません。この記事の内容を見てみますと、「爆雷発射の爆風で死ぬ、少年海上自衛官、〔横加賀〕三十日午後零時二十分ごろ、千葉県野島崎灯台東南八十五キロの太平洋で訓練中の海上自衛隊横須賀地方隊第一駆潜隊所属の駆潜艇「きじ」――に一〇トン、艇長・神谷武久三佐ら七十人乗組み――で、坂本善明一等海士(一八)」、この記事が出ておりますが、「爆雷発射による爆風で死亡した。同駆潜艇は他の三隻とともに対潜爆雷訓練をしており、坂本一士は船が揺れた拍子に爆雷発射口に顔を近づけたため、発射と同時に顔に強い衝撃を受けて死んだ。」と、このように報道をされておりますが、このとおりでありますか。
#115
○政府委員(大西誠一郎君) ただいま御質問の「きじ」の事故につきまして、経過と原因を申し上げます。
 本年の一月三十日に海上自衛隊の横須賀地方隊所属の第一駆潜隊、これは四隻の駆潜艇からなっておりますが、この駆潜隊が野島崎沖で爆雷の発射訓練を行ないました。その際爆風によって一名が負傷し、一名が死亡いたしました。死亡いたしましたのは坂本一等海士であり、負傷いたしましたのは松本三等海曹でございます。
 そこで、事故が起きましたときの状況を簡単に申し上げますと……。
#116
○宮崎正義君 詳細に言ってください、簡単じゃなく。
#117
○政府委員(大西誠一郎君) 承知いたしました。
 この爆雷は、爆雷投射機というのが駆潜艇の後部上甲板に設置をされております。この投射機は船の両側に向かって爆雷を同時に発射をするという装置でございます。この装置を取り扱うのは砲台長とそれから操作員二名でございまして、この操作員がそれぞれの爆雷の発射準備をするという仕組みになっております。で、ただいま申し上げましたこの二名はその爆雷の投射機の操作員でございます。松本三曹は右側の爆雷を担当し、坂本一士は左側の爆雷を担当しておりました。そこで、この訓練は、十二時十七分に訓練開始の号令があり、十二時十八分に目標探知、それについで総員配置の号令がかかりまして、爆雷投射機の、この両名が爆雷投射機のそばにおもむきまして、の浸水孔蓋――浸水孔蓋というのは水かしみ込むように装置してあるそのふたでございますが、その浸水孔蓋と安全弁をはずす、それからさらに爆雷を投射するための発射薬を装てんをする、そこで発射準備終わりということになりますが、発射準備が終わりまして、艦橋のほうに電話を入れまして、艦橋のほうで発射の号令をいたしたわけです。そのときに、右側の爆雷を担当しておりました松本三曹が、浸水孔蓋をはずすのを忘れたことに気がつきまして、爆雷のそばにかけ寄って浸水孔蓋をはずそうとしたわけです。その瞬間に爆雷は発射をされたわけでございますが、そこで松本三曹は顔面に負傷して目をやられました。そのときに、まわりにおりました者が松本三曹の行動に気をとられておりまして、坂本一士がどういう行動をとったか目撃者がおりません。しかしながら、別の者の証言によりますと、人影が艦橋から海中に落ちたということでございまして、直ちに救助活動に入りましたが、頭蓋骨の骨折で死亡されたわけでございます。ただいま申し上げましたように、なぜ坂本一士がそういう行動に出たか、これははっきりしたことはわかりませんけれども、いろいろ推定いたしますと、松本三曹が浸水孔蓋を忘れてそれをはずしに行ったときに、あるいは自分もはずすのを忘れたのではないかというようなことで、責任感あるいは積極的な協力意思に基づいた同調行動をしたのではないか。そこに船のゆれが重なって、爆雷の投射機に近づいて、爆雷の発射と同時に爆風をまともに受けたというふうに想像をされるわけでございます。
 で、この事故の報告を受けましたときに、本人が入りましてから一年未満の隊員であるということ、並びに実弾射撃の訓練中であるということで、たいへん大きな事故であるというふうに判断いたしまして、本来、艦船の事故は、海上幕僚長が事故調査委員会を設けて調査をいたすわけでございますけれども、私のほうから積極的に現象面はもちろんのこと、その背景となるべき問題、たとえば訓練計画あるいは訓練指揮あるいは艦の配員の状況というような問題も含めて、徹底的に原因を追及するように指示いたしまして、その結果判明いたしましたのが、ただいま申し上げましたような状況でございます。
#118
○宮崎正義君 それをそのように特にお調べになったとすれば、当日の訓練計画はどのようになっていたのか、いつ出港したのか、訓練地到着は何時なのか、きめられた場所であったのかどうか、訓練開始時刻というのはいまお話がございましたから抜きまして、午前中の訓練は何をやったのか、午前中の訓練の終了時刻はいつなのか、この間当然昼食もなきゃならないはずなんです。午後の訓練開始時刻はどうなのか、訓練の内容、これは対潜訓練だと思いますが、この事故発生時刻というのは先ほど答弁がございましたけれども、そのように幕僚でおやりになるのを特に調査したということであるならば、これらの点についてもおわかりだと思います。私も年鑑からとりましたものを、どういうふうな関係で到来したかというようなことまで、こう私は私なりに書いて見ております。したがって、いま私の申し上げたことをそれぞれ御答弁を願いたい。
#119
○政府委員(大西誠一郎君) この訓練は、訓練作業実施に関する第一駆潜隊一般命令という命令で訓練計画が立てられております。場所は、相模湾及び野島崎沖のC海面、主要訓練項目は訓練射撃、訓練発射、机上対潜訓練となっております。当時の行動予定は、一月二十九日に横須賀の長浦を出発いたしまして、同日の十三時に館山に着きました。そこでいろいろの準備をいたしまして、一泊をして、翌三十日の七時に館山を出発をいたしまして、訓練海面にお昼前後に着きまして、そこで訓練の開始をいたしたわけであります。食事の時間はどうであったかということは、ちょっと私資料がいまございませんので確認をいたしておりませんが、前日から余裕を持って訓練海面に出かけておりますので、非常に窮屈であったというふうには考えられません。
 それから爆雷の実射の訓練というものが初めてであったかどうかという点も調べましたが、昭和四十七年度においては二回目でございまして、この坂本一士は「きじ」に配属をされてから六カ月の勤務期間を持っておりますが、その間に一度訓練を受けておるということを報告を受けております。よろしゅうございますか。
#120
○宮崎正義君 出発は何時だったのですか。
#121
○政府委員(大西誠一郎君) 二十九日の八時三十分というのが計画になっております。
#122
○宮崎正義君 当日。二十九日じゃないです。
#123
○政府委員(大西誠一郎君) 失礼しました。当日は、午前七時に館山を出港いたしております。
#124
○宮崎正義君 それは私、そこへ立ち会ったわけじゃございませんから時間はつぶさじゃございませんけれども、私の聞いているところによりますと六時というふうになっておりますが、それは一時間の違いといえば、海上で一時間の違いといったらたいへんなことでございますが、かりに七時であったところにしても、しかし六カ月であり、二回訓練したから、実戦訓練を持っておるからという説明がありましたけれども、それではこの駆潜艇の当時の、当日の乗り組み員は何名であったか。
#125
○政府委員(大西誠一郎君) 定員七十名に対して五十八名でございます。
#126
○宮崎正義君 これは階級別にひとつ。
#127
○政府委員(大西誠一郎君) 幹部が六名、海曹二十七名、海士二十五名でございます。
#128
○宮崎正義君 そこで、これは訓令に基づく定員は何名ですか。
#129
○政府委員(大西誠一郎君) 先ほど申し上げましたように、合計七十名でございまして、その内訳は幹部が六名、海曹が三十名、海士が三十四名、充員の割合は八三%でございました。
#130
○宮崎正義君 ここに相当な無理があるということが、大体この数字でもわかってくると思います。それはさておいて、この訓練の分隊編成、これはどうなっていたか。
#131
○政府委員(大西誠一郎君) 当日の爆雷の訓練の編成は七名でございまして、砲台長が一名、それから投射機の要員が二名、爆雷投下機、これは艦尾のレールによって爆雷を落とす装置であります。次に記録員が二名、衛生員が一名、合計七名でございます。
#132
○宮崎正義君 訓令に基づくこれだけの訓練をやる場合の定員は何名ですか。
#133
○政府委員(大西誠一郎君) この部署について訓令では特に定めておりませんが、もう一つ広い分野で申し上げますと、駆潜艇は砲雷科と船務航海科並びに機関科の三つの職域からなっております。そこでこの爆雷訓練、爆雷の部署は砲雷科に属するわけでございますが、砲雷科の定員は二十四名であります。ところが、現員が十九名でございます。そこで、砲雷科の戦闘配置の定員というのが別に定められておりまして、それが二十七名になっております。したがいまして、二十七名から十九名を引きました八名というものが欠けておる形でございますが、それは兼務でカバーをする。もともと戦闘配置というのは、本来の分科よりも他の区から若干兼務員を配属をして、搭載装備をフルに動かすという形になっておりますので、若干名は本来的に兼務でカバーするということになっております。そうして兼務員につきましても本務員と同じようにその当該訓練を行なうということになっております。
#134
○宮崎正義君 戦闘配置ということをおっしゃられましたけれども、編成上の防衛配置とも言うんじゃないんでしょうか、ちょっとこの戦闘配置、今度はお話を聞いていますと、その所属の科でない者か戦闘になれば――戦闘ということはも気に入らないんですが、その配置でない、単独の砲雷の科の者でない者がかわったところで作業していくのが通例のような話ですね、いまの御答弁だと。それは私もかつて乗ったことがありますからわかります。わからないことはないわけですが、
  〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕
それでは坂本さんが何科に所属していたのか、そうしてその当日の七十名定員の五十八名の者の内燃関係の者は何名配置についてやっているのか。この艦の中の配置をどんなふうにしていたのか。ただ、私は単なる幹部が六名、曹が二十何人、士が二十五だというだけの数字を聞いているだけじゃなくて、その編成というものがどのように組まれておったのかという内容もひとつ明示してもらいたい。
#135
○政府委員(大西誠一郎君) 各科別の定員と現員を申し上げます。これは幹部、海曹、海士をトータルしたものてよろしゅうございますか。――砲雷科定員二十四名、現員十九名、船務航海科及び補給科、これを合わせまして定員二十三名、現員二十名、機関科定員二十二名、現員十八名、以上のとおりであります。そうしていま問題になっております坂本一士は機関科の所属でございまして、機関科の海士は定員十二名に対して八名でございました。
#136
○宮崎正義君 もう一度内燃関係の機関科の……。
#137
○政府委員(大西誠一郎君) 機関科について申し上げますと、機関科は全部で定員二十二名、現員が十八名。これを階級別に申し上げますと、幹部は定員二名に対して現員二名、海曹は定員八名に対して現員八名、海士は定員十二名に対して現員八名、以上のとおりでございます。
#138
○宮崎正義君 内燃関係でも非常に無理な状態ということは、いま御説明でわかったと思うのです。全体においてこの訓練のスタートから無理をして出発をしていると、このように私どもは受けとめておったわけです。それはそうじゃないとおっしゃられますか。
#139
○政府委員(大西誠一郎君) その点は私も注意をいたしましてよく調べたわけでございますが、その定員とそれから現員との開きは、訓練をやる場合に本来ならばこの爆雷投射機は二基あったわけです。したがいまして、九名で運営しなければならないわけですが、人員の不足から当日の訓練におきましては、爆雷投射機は一基のみ動かすということでやりましたので、坂本一士が配置についたところの部署というものについては完全に充足をされておった。したがいまして、ここの部分について訓練に無理があったということは考えておりません。
#140
○宮崎正義君 そうしますと、先ほど判明した時点においてのということでお話がございましたけれども、この坂本さんが左舷のほうですか、左のほうというのですか、左のほうに右のほうの松本さんが行ったから自分も行ったんじゃなかろうかというようなことで人影が海の中に入っていったというのを見たと、それまではわからなかったということの御答弁がありましたけれども、さらにその御説明の上によれば、司令塔でボタンを押すのとそして発射と、後部の指揮官とのお互いの連絡がなければならないと思うのですが、そのときに艦橋のほうに知らせるのに、後部の指揮官がわからなかったということがこれは大きなミスだと私は思うのですが、どうなんでしょう。
#141
○政府委員(大西誠一郎君) ただいまの御質問にお答えする前に、この爆雷発射の訓練の流れをちょっと申し上げますと、この爆雷発射の訓練は、ただそのときに卒然として一つの投射機の発射をいたしたというわけでございませんで、船をいわば状況下にございまして、第一弾、第二弾、第三弾というふうに連続射撃をするというような想定になっておりました。しかしながら、第一弾と第二弾はこれは実際にたまは打っておりません。そこで、その間隔は六秒間隔ということでたいへん忙しい状況下で行なわれた。
 そこで、発射のボタンを押した者が、どうしてその松本三曹の動作というものを見て中止をしなかったかという御質問だと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、発射薬の装てんをして、その直後に砲台長が「発射準備終わり」という報告を電話でいたしまして、それでそのときに、それを受けて、艦橋のほうに発射管制員がおりますが、砲雷長の「爆雷発射始め」という号令でボタンを押した、その瞬間に松本三曹が投射機のほうにかけ寄ったということで、きわめて瞬間的な状況でございました。したがって、本来ならばそのときに、砲台長がそれを見て発射を待てという連絡が論理的にはとれたはずだと思いますが、時間的にはそういう余裕がなかったという状況でございます。それからまた坂本一士の状況がわからなかったというのは、全員が松本三曹のほうに気をとられた、つまりそういうことはあり得べからざることでございますから、それに非常に気をとられたときのことでございましたので、その状況がつぶさにわかっていないということでございます。
#142
○宮崎正義君 あり得なかったということは、ふなれな証拠じゃないですか。未訓練の証拠ですよ。ですから、そのわずか六カ月間で、そして艦船勤務に入って一回そういう経験があったといったところにしても、その状態が判断のできないような、しかも配置の科が違う内燃関係の者が爆雷関係のほうの配置に移されて、当日、それでその作業をやっていく、これはなれないのはあたりまえだと思うんです。ですから、そういうことは考えられないと言ったって、そういう無理な人の使い方をするからこういう事故が起きたんだというふうに私は思えてならないんですがね。
#143
○政府委員(大西誠一郎君) ただいま私が申し上げましたあり得へからさることというのは――失礼しました、先ほどから松本と申しておりましたのは松木でございます。松木三曹の経歴から見てあり得べからざること、といいますのは、松木三曹は四十二年に入隊をいたし、しかもずっと砲雷科の配置についております。この「きじ」に乗りましたのは四十六年の十月二十九日でございますから、一年三カ月ばかり乗っているということで、少なくともこの松木三曹は爆雷の投射機の扱いについては十分な練度を持っておるというふうに考えられます。しかしながら、その松木三曹の動作につられたとか、あるいは同調したというのが坂本海士でございまして、しかも坂本海士は発射準備の手続、侵水孔蓋をはずし、安全鎖を取りはずし、焔薬を装てんをするということは全部訓練どおりにやっております。しかもこれは当日かり出されてやったということではございませんで、この爆雷の配置についている者は、本人に、有事のときにはそういう部署につくんだということを指命をいたしまして、そのつもりで本人も訓練をしております。したがいまして、兼務であるから練度未熟であるということは言えないんではなかろうかと思います。
#144
○宮崎正義君 松木三曹のはわかりますよ。それにつられて出ていったとすれば、ふなれなんじゃないですか、そういうことが考えられない。片っ方、松木三曹のほうはもう乗り組んでも相当の時日もたっているし、経験もある。ところが、坂本のほうはそういう訓練を――内燃関係の配置についているけれども、そっちにいざというときにはっけるんだという、それはわかりますよ。だけど、それがふなれなものであり、ふなれなものであるがゆえに、松木三曹が見に行ったら自分も行かなきゃならないんだというふうに考えたかどうか、これも本人じゃなきゃわかりませんけれども、情勢から、いまあなたの御答弁を聞きながら判断しますと、ふなれが原因をしているんだというふうにしか私はとれないんです。ですから、しかも前日から訓練をし、当日は早朝から昼飯を抜いて、そしてその中で訓練が行なわれたということになると相当な過労がある。しかもお話がありましたように、この後部の爆雷指揮官と艦橋の指揮官と電話で連絡した、この電話で連絡する、ボタンを押す、その間、見たか見ないかどうかということも、これはそれがもしそういう間でこの事故を起こしたということになれば、これは上官の責任者の責任になってくるというふうに思えてならないのですがね、どうなんですか。
#145
○政府委員(大西誠一郎君) 坂本一士が「きじ」に乗り組みましてから六カ月程度の期間であるということ、それから実際に理由はわかりませんけれども、爆雷投射機に近寄った、そして殉職をしたということは事実でございます。これが訓練上監督万全であったかといえばそれは言えないと思います。それはまさに私どもこの事故の反省といたしまして、大きな項目として三つばかりあげておりますけれども、やはり練度を把握をして、その練度に応じた訓練計画を立てるべきだ、それから安全に関する教育を徹底をする、さらに最も大事なことは、訓練というものは反復をしてやらなければいけない、そういうような点について事故防止対策を講じております。
#146
○宮崎正義君 いずれにしましても、私の聞いたところによりますと不発だ、それを不発だというふうに受けとめたというふうにも聞いたんですがね。先ほどの御答弁によりますと、六秒の間隔でぼんぼん出ていっている。その中で、不発だから様子を見に行ったんだというふうに受けとめているわけなんですがね。その点はどうですか。
#147
○政府委員(大西誠一郎君) そのようには聞いておりません。
#148
○宮崎正義君 聞いていない。――総体的にこのことについて申し上げてみたいのは、一基のみを使ったから、他の一基を使ってないんだから、だから乗り組み員は七十名であり、五十八名でこの訓練に当たっていったということで無理がないという御答弁でございますが、これがもし、実際のそれじゃ一基だけだと五十八人要らないわけですね、一基ですと五十八人は要らないわけですね。どうなんですか。
#149
○政府委員(大西誠一郎君) 実際、船がその所望の性能を発揮するためには二基必要であると、それを踏まえて七十名の定員を算定をしておるわけでございます。しかしながら、残念なことに定員が、法案の関係でワクがとれませんので、配員は五十八名にしぼらざるを得ない。とすれば、その場合の訓練として、一つの投射機を使ってやる以外にないと、そういう状況でございます。
#150
○宮崎正義君 長官、いまやりとりしたことでお気づきの点がだいぶんあったと思うんです。そして定員が不足しているから一基しか使わない、かたわの状態で爆雷訓練をやっているという、定員不足のほうにこれを持っていくということはぼくはできないと思うんですがね。こういう形で、その船は、この写真で見ますと、こういうすばらしい――実物も私は見ましたけれども、外から。その中身は、定員不足で片寄りながら行っているというかっこうをどうおとりになりますか。
#151
○国務大臣(山中貞則君) 陸上自衛隊の欠員は、もうたびたび議論になりまして、私どもも編成定数、実働定数的なものまで追い込まれつつある状態をお話しいたしました。しかし、海空については、重要なるところはほぼ一〇〇%近い充実をいたしております。その中の部隊の編成で、軽微なる装備の艦艇等について、若干の人員の操作がなされているであろうことはわかっているわけでありますが、いまの船は三百五十トンの、まありっぱと言えばりっぱ、小さいと言えばちっちゃなものでありますが、まあ駆潜艇としての性能を一応備えております。ただ常時、それに対して編成定員、いわゆる艦の定員そのものを乗せておくには少しそのやりくりが足らない点がある。それらの点は今後の参考に、そのような演習時においてもなお欠員のままやっていいかどうか。今回の場合は、二基の装置に対して、一基のみを使用するという計画であったようでありますけれども、そういう方法もありましょうし、あるいは演習時における定員の組み方、あるいは演習時における艦艇の充足のさせ方、その演習のしかた等についてやはり研究すべきものがあろうと思いますが、この事故は、私の承知している範囲では、そのために起こった事故というふうにはむしろ思われないんであって、考えられないような事故が起こったことの原因を、なぜそういうことになったのか、こういうことが二度とあってはならぬということに重点が置かるべきである、そう思っているところであります。
#152
○宮崎正義君 それでは、ほかの「かり」、「たか」、「わし」、これらの状態はどうですか。
#153
○政府委員(大西誠一郎君) 「かり」は五十九名、「たか」が五十七名、「わし」が五十六名……。
#154
○宮崎正義君 ちょっと待ってください。すみません、おそれ入ります、「かり」は何名。
#155
○政府委員(大西誠一郎君) はい。「かり」は五十九名、「たか」五十七名、「わし」五十六名でございます。
#156
○宮崎正義君 いま長官お聞きのとおりでございます。これ、定員七十名、これでまたふやせばいいじゃないかと、こうなりますけれども、やめるほうが多いわけなんです。そういうことから考えていきますと、実際の乗り組み員の声を聞いてみますと、なれた熟練者という者が残ってもらいたいということがもう私たちの願いだと、ふなれな者を、新しい者が幾ら来ても、事故を起こす的になってくる、訓練に――それは新しい者も訓練をしなきゃならないのは当然であるけれども、熟練者、なれた者が喜んでその勤務ができるような体制を整えてもらいたい。ということは、待遇あるいはいろんな生活条件等もあるでありましょう、まあこれはあとでまたゆっくりやりますけれども、そういうことを私は聞いているわけです。
 確かに、今回のこの事故については考えられない事故たと――考えられる事故と考えられない事故というのは、これは当然あるやもわかりませんけれども、熟練した松木三曹が、右のほうを見に行ったということ、これは少なくとも私は後部の指揮官が、松木が行ったから発射をとめろと、あぶないということは当然艦橋のほうに知らしていいんじゃないかと、こう思うわけですがね。そういうふうなことが今後もあってはならないと、先ほど長官からも、あってはならないという御答弁ございましたからね、それはいいとしても、全体の姿から見て、訓練に出発する前には、訓令に基づく定員数と、そして訓練計画がどういうものであるか、その内容、そして乗り組み員の実数というものがどうであるかということを、これは明確に今後はしていかなきゃならないと思うんですがね、どうなんでしょう。
#157
○国務大臣(山中貞則君) 確かに理論的に、発射ボタンを押す者が、完全に発射していい状態になっているかどうかについては点検を瞬間でもしてやる必要があると私は思うんです。私も見習士官教育隊で大隊長職をとって実弾射撃をやりますときに、「発射準備よし」という声が全部返ってきたんですが、念のために指揮所から左右を見ましたところ、第一大隊第一中隊の第一小隊の砲口おおいがかぶったままの状態で「発射準備よし」ということばが返ってきて、あやうく惨事を起こすところでしたが、そのときの指揮官職でありました私が、それは間違いであるということで事故を防いだことがありますが、そういうことがあるいはあったかもしれません。しかしながら、そのときの情勢というものを私がつぶさに承知しておりませんし、その乗艦しておりました諸君も、一瞬のことで、時間的に、あるいは動作的に、どういう相関性があったかということについては、なかなかその事故のあとにおいて掌握しにくい点があるようであります。そこで隊員の願いであるとおっしゃいましたが、少しでも熟練した者が残ってほしい、いわゆる一期をつとめた者は二期、二期をつとめた者は三期の継続任用になってほしいということであろうと思います。
 私ももっともだと思いまするし、したがって、まず海上勤務にとって申しますと、海上自衛隊の艦艇乗り組み貝に対する乗艦手当というものが、実はいままでわれわれのほうとしては国家公務員職の中の公安職、大体において海上保安庁の乗り組み員のもらっておりまする乗船手当と比べて実は低かったわけであります。それは海上保安庁は旅費、日当をもって乗艦手当みたいなもので支給をしておりましたのに、私どもの支給しておりまする乗艦手当は、保安庁の巡視艇乗り組み員より低いということがわかりまして、私のほうで関係当局と折衝いたしまして、今年度中に政令を改正して、乗艦手当をせめて海上保安庁巡視艇乗り組み員の実際もらっている手当とひとしいものに変えたい、政令改正の準備をすでに終わっております。さらに継続任用の問題については、やはり先般も御説明申し上げました特別の給与体系がなかなか二年、三年任期を前提としていくものの継続あるいは退職というものについて特例をつくりにくうございますので、現在の特別退職手当をそれぞれ百日を二百日とする等の二期雇用を中心とする手厚い措置を――手厚いと申しますか、せめてもの措置を来年度予算で講ずることによって、そういう熟練者が引き続き残ってくれる、そして訓練の上からも、実際の実働の上からも、理想的な状態に持っていけるようにしたいという願いを、いま私たちは、ささやかながら実現への第一歩を踏み出そうとしておるわけであります。しかし、いずれにしても、私たちの本来の任務であるとはいえ、民間においては火薬取り締まり類の仕事をしておられる方々以外にそういうような危険な仕事というものはそうよけいありませんので、しかし、自衛隊はそういうものを取り扱うことがむしろ本務の諸君が多いわけでありますので、こういう事態の起こることは万々が一避ける体制をあらゆる角度から御指摘のような点も踏まえて検討してまいりませんと、自衛隊に行ったらあぶないぞと、事故死が多いぞというようなことになったらたいへんだと思いますので、その点は命の尊厳ということを踏まえて、私たちのでき得る範囲、いわゆる人為的になし得る範囲のことをいろいろとやっていきたいと考えます。
#158
○宮崎正義君 長官の体験を通しながらの御答弁で非常に私もうれしいわけですが、ささやかな考え方じゃなくて、もっと大きな立場で大きく変革していくようにしていただきたいと思います。人事院総裁もおいででございますので、やりとりやっておりますこと、あとで問題点が出てまいりますので、よくお聞きくださっておっていただきたいと思います。
 そういうようなことが繰り返されてくることによりまして、隊員の不足という問題も、そういうようなことが縁になって、そして仕事の内容等も先ほど答弁の中にもありましたように、規律がきびしいとか、訓練が激しいとかいうような苦痛だとか、あるいはもっとよくしてくれというような不満やらが、それらが悪循環をしていきながらその他の退職の中に入ってくるようになったんではいけない、こう思うわけであります。
 ある隊員なんかは、その上司が身分証明を忘れたために、艦の中に置き忘れたから取りに行ってくれと言われて艦に戻った、ところが青酸薫蒸中の艦内で事故死してしまった。この点なんかも私は深く心配をしている一人なんですが、この点については、この事故についてはどうなふうに記録をなさっておりますか。
#159
○政府委員(大西誠一郎君) ただいま御指摘がございました「しれとこ」の青酸薫蒸中に嶋崎一等海士が殉職をいたしました事故がございますが、これは昭和四十七年の三月の四日に横須賀港で輸送艦「しれとこ」の艦内を青酸かるで薫蒸いたしておりましたが、警戒員の配置についておりました嶋崎一等海士が防水とびらを開いて艦内に立ち入ったということで、直ちに捜索、救出をいたしましたけれども、手当てのかいなく青酸ガス中毒で死亡いたしたという経緯でございます。
 この事故につきましては、本人が警戒員である、つまりほかの者が艦内に入るのを警戒すべき地位にあった関係で、上官の監督不行き届きということは当たらないと思います。ただ、どうもあとでいろいろ調べてみますと、先ほど防衛庁長官からお話がございましたように、危険なものあるいは有毒なものに対する隊員の受けとめ方とかあるいは感覚というものと、それからそれを危険防止の観点から指導していく上級者の考え方にも若干ズレがある点、そこで、この事故につきましては青酸ガスそのものの薫蒸をやったのは業者でありまして、業者と数日前に打ち合わせをして、副長から各班長に当日の計画と、それから危険だから絶対艦内に入るな、それから当日警戒に当たる者以外は全部退艦をさせております。それだけの措置をやったわけでございますけれども、結果的にはこういうようなことになってたいへん残念だと、こういうふうに考えております。
#160
○宮崎正義君 まだそのほかにも数え立てれば切りないほどあります。ですが、これは大事なことですから、一つ一つ私のわかっている範囲内のことは申し上げなから今後の考え方の参考――参考というか、こういう不幸な事件の中からこういうことを二度と起こしてはならないという立場の中で申し上げることなんですが、またこれは昭和四十一年の六月の十四日ですか、荒川渡河訓練で一名か死亡しております。その件なんかもそうでありますし、また遠洋航海中になくなっている方もおいでになりますが、この人なんかも肉体的にからだの健康というものに問題点が最初からあった、このように私は記憶しているんですが、この点なんかもどうなんでしょうか。
#161
○政府委員(高瀬忠雄君) いま荒川の問題が出ました。これは習志野の空挺隊員がいわゆるレインジャー訓練ということで荒川で水泳の訓練をしておりましたときに、二人ずつ組になって泳いでおったわけでありますが、そして何か問題があったときにはお互いに状況を伝えるというようなことでもって注意を与えまして、そして荒川の渡河訓練をしたわけでありますけれども、途中で、荒川の川岸から途中まで参りましたときに、何か百三十メートルぐらいのところだったと思いますが、途中まで参りましたときに心臓麻痺を起こしまして、そして死亡をしたという事故でございました。
#162
○宮崎正義君 遠洋航海中の事故は。
#163
○政府委員(大西誠一郎君) これは昭和四十五年度の世界一周の遠洋航海中に、当時水測員でございました三等海曹の柴田光男君が、航海の終わりのころの時期に発病いたしまして、だんだん病状が悪化をいたして、アフリカのモンバサというところに上陸をさせて手当てをいたしましたけれども、残念ながらなくなったという事例でございます。
 で、その当時の状況を申し上げますと、そのときの遠洋航海の計画は、日数で百四十二日、航海の総航程三万二千八百海里、寄港地十二カ所ということになっておりまして、たまたまヨーロッパ方面の航海を終わって帰途アフリカの西海岸を航行中、本人が担当いたしておりました探信儀が故障いたしまして、二日間にわたって勤務が終わってから修理をいたしました。その点が過労になったのではないかと思いますけれども、そのあと、からだの状況が、ぐあいが悪くなりまして、しかも好天続きであったようでありまして、医務室で治療いたしましたけれども、先ほど申しとげましたような状況で思わしくなく病院に入院させたということでございます。病気は当初は胃腸障害でございましたけれども、最後尿毒症を併発をして殉職をいたしました。
#164
○宮崎正義君 塚田さんのほうは、これは経緯があるんじゃないでしょうか。たとえばこの人はたしか落下傘部隊を希望したんじゃなかったんですかね、どうなんですか。その結果、入隊を断わられたような経緯、そういうようなのはなかったですか。
#165
○政府委員(高瀬忠雄君) 塚田さんは三十七年に陸上自衛隊に二等陸士として入隊いたしまして、それからその後教育大隊で教育を受けまして、その課程が終わりましてから第一空挺団、ただいま落下傘部隊というお話しございましたが、先ほど前期の教育を受け、この空挺団で後期の教育を受けておりました。おっしゃるとおり、空挺隊員として勤務したいという希望をしていた模様でございます。しかし、自衛隊の中央病院で身体検査を受けましたところが、第五腰椎すべり症ということのために空挺隊員としては適当ではないというようなことでございまして、練馬の普通科連隊に配備されたというような経過がございます。
#166
○宮崎正義君 ですから、この人もやはり無理だったのじゃないですか。六月ですから、六月の十四日ごろですから寒いというほどのこともなかったと思うのですがね。もともとからだが悪い人がこういう渡河訓練というようなところに無理があったように私は思うのですがね。こういうようなことはどうなんですか。
#167
○政府委員(高瀬忠雄君) 確かにレンジャー訓練は普通の訓練よりはきびしい訓練だと思いますが、この訓練に参加をするにあたりまして二日間本人につきまして身体検査あるいは体力検定、それから水泳テスト、それから面接というようなことを実施しました。そうしてそういった希望者の――もちろん彼も希望したわけてありますが、たくさん希望者がありまして、参加を希望したいということでいまのようなテストをしたわけでございますが、その中から二十一名が選抜されまして、そしてこのレンジャー訓練の中央訓練参加というようなことになったようでございまして、一応のこういったテストに合格しておりますので、事前のあれとしては合格ということだったので参加せしめたというふうに考えております。
#168
○宮崎正義君 私の聞いたところによりますと、だいぶん無理があったのじゃないかということなんですが、もう一人の問題を取り上げてみますけれども、この人は、四十年七月十三日、八戸駐とん地隊で起きたことでございますが、この人は工藤勝喜さんという人です。このことについて質問をしたいと思いますが、この方のなくなった経緯というもの、これも一つ御説明を願いたいと思います。
#169
○政府委員(高瀬忠雄君) 工藤勝喜さんは当時陸士長でございました。で、事故が起きましたのは四十年の七月十三日の十一時ごろでございますが、八戸の駐とん地の車両整備工場におきまして、ジープのエンジン交換のために取りはずされて床の上にありました返納をするエンジンのほこりを、前かがみになりまして、洗っておったわけですが、ところが、そのときに突然この工場入り口の方向にバックをしてきました自動車、六トンのレッカー車でございますが、それが後進をしてきましてそれで頭をひかれた、脳挫折創それから頭蓋骨骨折ということで即死をいたしました。こういった不幸な事故が起こったわけでございますが、それが概況でございます。
#170
○宮崎正義君 答弁をなさっているのに、すわれすわれと横のほうで合い図をなさっておるなんて非常にぼくは不見識だと思います。一生懸命私は御答弁を伺っているわけです。一番大事なところだったのです、いま。よくないです、非常に。そういうことはやめていただきたいと思います。非常に私は気分を悪くしました。どうですか、こうやっておやりになっていたじゃないですか。
#171
○政府委員(小田村四郎君) 事故の概況、事故の状況についての御説明をせよということで、いま人事局長が御答弁申し上げたところでございます。その後この問題は訴訟になりましたので、訴訟になりますと私が御答弁申し上げる分担になっておりますので、そういう意味で、いまたいへん先生のお気持ちを悪くいたしまして申しわけございません。今後注意いたします。
#172
○宮崎正義君 私は、何もかみつくわけじゃございませんけどね、私これから質問するのでしょう、補償問題は。がっちりやります、これは。これは、いいですか、「息子の命、80万円とは……」、こういう報道されている記事があるんですよ。これを私見て、それでこれはたいへんだというふうに思ったんです。これからずっと私は補償関係に入る。今度はあなたと取っ組むわけですがね。今度の防衛庁の予算て機関統一丁――もう専門家のほうが、ぼくが機関銃を一丁と言ったらおわかりになるだろうと思うんですが、ぱっとお答えになる方おいでになりませんか。私がこの機関銃は一丁幾らと言われなければ機関銃の一丁の値段がわからないじゃだめだと思うんですがね。どうでしょう、どなたかぱっと答えられる方おりますか。
#173
○政府委員(山口衛一君) ただいまの機関銃でございますが、六四式機関銃、四十八年度予算では八十三万三千円というふうに記憶しております。おそくなって申しわけございません。
#174
○宮崎正義君 私もわかっているんです、機関統一丁より「息子の命、80万円とは……」と言うんですから。これは問題だと思うのです。このことについて御答弁がありまして、これは訴訟中のものですからと言うから、私もこれはとことんまでいくことはできません。これを見て、そうしてそのあとのことは訴訟中であれば裁判にゆだねる以外にありませんけれども、私の聞きたいのは、その事故の経緯、あるべくして起こったのと、人為的な事故と、注意すれば起きないものとこれはあるわけです。これは注意すれば起きなかった事故なんです。そういう意味で、私はいま一生懸命に教育局長の御答弁を聞いていたわけなんですよ。まだ終わってない時点ですわられちゃったわけです。遺憾千万ですよ。
 ですから、ちょっとここで休憩して、そうしてゆっくりとまたお聞きしたいと思うんですが、ひとつ委員長よろしくお願いします。
#175
○理事(内藤誉三郎君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#176
○理事(内藤誉三郎君) 速記を起こして。
 それでは十分間の休憩をいたします。
   午後三時三十四分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時四十五分開会
#177
○委員長(高田浩運君) ただいまから再開いたします。
 先ほどに引き続き、質疑を行ないます。
#178
○宮崎正義君 休憩前の教育局長の御答弁の最後がぼけてしまった。肝心なところで、単がバックして本人をひき殺したとかという、そこのところがちょっとわからなかった。その点もう一回御説明願います。
#179
○政府委員(高瀬忠雄君) 先ほど申し上げましたように、工藤勝喜元陸士長が返納するためのエンジンのほこりを前かがみで払っておった。ここは一般の車が通る、何といいますか通路帯に当たっておったようでありますが、そこで作業しておりました。そこへ、先ほど申し上げましたように、陸士長の川原昭というのが操縦する六トンレッカー車がバックを、後進をしてまいりました。その車に作業中であった工藤勝喜元陸士長が六トンレッカー車の左のうしろの車で頭部をひかれ、そのために脳挫創、それから頭蓋骨粉砕骨折ということで即死をしたというのがその状況でございます。
#180
○宮崎正義君 そうしますと、六トンのトラックはバックしてきて、そのまわりの人も気がつかなかったのですか。
#181
○政府委員(高瀬忠雄君) 及川という三曹がその近くにおりまして、しゃがんでおった彼に対しまして、背後のほうからあぶない、こういう大声を出しました。その大声を聞きましたので、瞬間的に立ち上がったわけでありますが、まわりの者があぶないあぶないと、こう言ったわけであります。しかし、そのときに死亡者の工藤勝喜がひかれまして、転倒して、こういういった事故を起こしたということであります。
#182
○宮崎正義君 明らかに安全管理上の処置の問題、あるいはまた責任の問題ということが当然これは言われるわけだと私は思いますが、こういう種のことは今後もあり得る事件、事例だと思うんです。非常に残念なことでございますが、安全管理の上で十分注意すれば、これは当然とうとい二十七歳の生命を断つことはなかったと思うのですが、この報道によりますと、これが訴訟をされたということなんですが、こういうふうな公務死をされた方々に対して自衛隊ではどういうふうなことを当事者に教えておられるのですか。国家公務員法による、あるいは共済組合法による補償、また国家公務員災害補償法によるところの第二十四条にこんなふうにもなってますよというようなことを教えてあげないのですかね。どうなんですか、その点。
#183
○政府委員(高瀬忠雄君) ただいまの御趣旨は、公務災害にあった場合にはどうなるかというような教育をしておるかという御質問でございましょうか。――こういった事故がございました場合には、私どもの自衛官俸給表というものがございまして、これで国家公務員災害補償法というのが準用されております。それで公務認定の基準も一般の公務員と同じような基準で認定をされております。そういうことでございまして、遺族補償の年金とか、あるいは遺族補償一時金、あるいは葬祭料、それから死亡に伴う退職手当等、まあ国から補償があります。それからさらに国以外からでは、共済組合の年金あるいは共済組合の弔慰金、それから自衛隊には隊友会というものがございますが、隊友会からの見舞い金、その他国と国以外からのそれぞれの補償ないしは給付が行なわれるというようなことは一般隊員にはよく教えてございます。
#184
○宮崎正義君 いまの御答弁と、この内容ですね、二十四条があるんだということなんかだれにも教わっていなかったというふうになっているように思われるのですが、よく聞きますと、こういうことはおっしゃらないということですね、なくなった人に対して。そこに私は問題があります。ですから、その訴訟事件の問題でも、この殉職隊員の訴訟に関する資料というのをこんなに持っているのですよ。で、訴訟提起した年度別の資料もいただいておりますし、また勝訴したものと、それから和解で成立したものと、事例が一ぱいあるわけなんですよね。この方々なんかに、一部の人に聞いてみましても、そういう話は聞かなかったということを聞くわけなんですがね。確かに一人悪子をなくしたり、夫をなくしたり、兄弟をなくしたりして気が転倒しているときですから、こういうふうな制度もありますよということを言われなかったかもわかりません、あるいは言われたが、それは本人が聞き取れなかったかもわかりません。そういうことが両方ともぼくは考えられるんだと思いますけれどもね。
 この事例なんかを見ますと納得できないんですね、お金じゃないわけですよ。人の命はお金でどうのこうのと判断するわけにはまいりません。あとで自賠法の問題等も取り上げてまいりますけれども、自衛隊の車両関係がどうなっておるかということをまたあとで一つずつお伺いしますけれどもね。そういう点についてどうなんですか、ほんとうに明確にこれを教えるということが大事じゃないんでしょうか。と同時に、もう一つは、法的にこの対策を、補償額というものを、退職手当にしろ、その一時金にしろ、改正をしてやっていくというふうなことを考えなきゃならぬと思うのです。国家公務員法によって規定されているそれに準じて自衛隊はやっていくということになっておりますけれども、こういうところにも私は問題があると思うんですがね。あとでまた一つ一つ事例を踏みながらそういう問題をただしていきますけれども、この代表的なものが、この「息子の命、80万円とは……年老いた両親の涙の“訴え”」という、「冷たい現実事故卓に自賠法適用せず」、こういうふうな見出しで、これを私が読みましたときに、人ごとじゃないのだと思った。今度これが、こういうようなことが大きく取り上げられていけば、幾らその他の退職していく人――自衛隊かとんとん採用よりも退職する人が多いんだという形は、こういうところにもはっきりと出てきているんじゃないかというふうに思うわけなんですね。ともあれ、この訴訟の補償の問題について、経理局長ですか、どなたですか、補償問題についてひとつお考え願いたいと思います。
#185
○国務大臣(山中貞則君) 訴訟ですか、補償ですか。
#186
○宮崎正義君 補償。
#187
○政府委員(高瀬忠雄君) いまの隊員が不幸にして死亡しました場合にどういった手続をとったらいいのかというようなことが十分行き渡ってないというような御指摘でございましたが、私どもそういった遺族が、不幸にしてまあ隊員がなくなりまして、遺族がどうしていいかわからないというようなことがあってはいかぬということで、実は私どものほうで共済組合その他いろいろな事業をやっておりますけれども、そこでパンフレットなど出しまして、退職した場合、それからそういった不幸にあった場合にはどうしたらいいんだというようなことをことこまかに書きまして、すぐわかるような実はパンフレットなどをつくりまして、いろいろ指導はいたしておるつもりでございます。たまたまいま御指摘の場合におきましては、どうも何か十分でなかったようなことでたいへん遺憾に思いますけれども、まあほんとうに遺族の方々にどうしていいかわからぬというようなことをさしてはいけませんので、国でいろいろな補償をする制度、それから共済組合でいろいろなことをする制度あるいは勲章はどうするかというようなことまで含めまして、全部あれしましてやっております。今後もそういうことのないように、十分部内の教育指導を徹底していきたい、かように考えます。
#188
○岩間正男君 議事進行で了解を得ておきたいのでありますが、きょう五時ですね、議長の招集を受けまして各党の幹部会が開かれます。私、その前にちょっと打ち合わせがあって出席をしなければならぬものですから、ここをちょっと一時抜けさしていただきたいと思います。それで、こういう事態のときですから、五時ではもう終わると思うんですけれども、特に了解を得ておきたい、公然と了解を得ておきたいと思います。ようございますか。
#189
○委員長(高田浩運君) 承知いたしました。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#190
○委員長(高田浩運君) 速記を起こして。
#191
○宮崎正義君 これについては訴訟状態はどんなふうになっているんでしょう。
#192
○政府委員(小田村四郎君) 公務災害補償につきましては、四十年に支給が行なわれたわけでございますが、四十四年の十月六日に、このなくなられました工藤さんの御遺族から、国を被告といたしまして国家賠償法に基づきます損害賠償請求訴訟が東京地方裁判所に提起されております。この裁判は四十四年十月三十日に東京地裁におきまして、この訴訟はすでに時効が来ておるということで、この御遺族の請求を棄却いたしております。これに対しまして御遺族は、四十六年十一月九日に今度は東京高等裁判所に対しまして、この原判決を不服として控訴されたわけでございます。で、東京高裁におきましては、ことしの一月三十一日に、一審判決のとおり原判決が正しいといたしまして、消滅時効が来ておるということで控訴の棄却の判決を下しております。これに対しまして二月十三日に原告は最高裁に上告をされまして、現在最高裁におきまして訴訟が係属中、こういうことになっております。
#193
○宮崎正義君 そこで、裁判中のことでございますので、これはもう裁判所にまかせる以外はないと思うんですが、先ほど教育局長のお答えの中に、実際問題は、二十四条の審査のこのことを知らなかったということを遺憾だというふうにお話がありましたのです。これを知らない人が、私も先ほど申し上げましたように大ぜいおいでになるわけですね。これはなくなった方々にはこういうふうなことがありますよということを文書でもお渡しするような行き方じゃなければならないと思うんです。現在の法律のたてまえの上からいけば、そこまでやはり考えてあげたほうが人間的な行き方じゃないかと思うんです。ただ、なくなった方はあとでこういうことに気がついて、問題が起きたときはもうすでに時効だったなんていったんでは、そういうことがわかって、また時効であり、ほかの人がそういう和解なり、勝訴なりしているという判例を知るたびに悔やまれてくるのじゃないかと思うんです。それは金だけで済むことじゃないと思うんです。金だけで云々することにはいかないと思いますけれども、せめてもの気持ちとしては、そういうことも考えてあげるのがほんとうの人間性というふうに思うんですが、どうですか、これは。
#194
○政府委員(小田村四郎君) あるいは人事局長からお答え申すべきところかもしれませんが、若干訴訟に関連いたしますので、私からお答えさしていただきます。
 公務災害補償につきましては、この事故が起こりましてから直ちに公務災害であるという認定を下しまして、災害補償を支給申し上げたのでございます。今回出ております訴訟は、二十四条によりますところの審査あるいは不服の申し立てということではございませんで、別途国家賠償法に基づきます、国の公権力の行使によって故意または過失によってその被害を受けた、こういうことに基づく訴訟でございますので、請求の原因がやや違っておるということでございます。
#195
○宮崎正義君 それはわかっているんですよ。これに出てますから、国家賠償法による訴訟だということはわかっているんです。わかった上で、そういうことも教えてあげるのがほんとうじゃないかということを言っているだけなんです。だから、こういうふうな事例を起こさないようにしなければいけないのじゃないかということを言っているわけです。この訴訟問題については、私は新聞報道を見て、内容を読んでわかっているんです、いま御説明がありましたけれども。その以前の問題を言い、今度は、それ以後、こういうようなことにならないようにということを申し上げておることなんですから、その点をはっきり受けとめられてから御答弁をしていただいたほうが私はいいと思うんですがね。
#196
○政府委員(高瀬忠雄君) ただいまおっしゃいましたことは、ごもっともなことでございまして、公務災害認定通知をします場合に、再審査請求もできますというようなことも実はあわせて私どもは必ず教えるというふうな姿勢をとっております。その他のことにつきましても、手続上それを知らないがために期限が切れるというようなことがあってはなりませんので、そういうことのないように、十分これから隊員全部に教えるような努力をしたいと思います。
#197
○宮崎正義君 それでまたいい事例があるのです。いまの御答弁の中に、非常にいい事例があるんです。これは私は遺族の方から伺ったわけなんですが、これは畑中勇さんという方で、これは札幌の二等陸曹の人です。この方は第十一施設大隊第一中隊の方なんです。この方の経緯というのは御存じでしょうか。
#198
○政府委員(高瀬忠雄君) 第十一施設大隊のいま御指摘の畑中二曹のことでございますが、この人は脳卒中でなくなったわけでありますが、そのときの状況を申し上げますと、四十七年の九月二十七日、朝七時四十分ごろ出勤いたしまして、午前中武器の分解結合の訓練をいたしまして、そして昼食をとりまして、午後一時ごろから中隊の事務室で彼の普通の恒常の業務であります週間訓練予定表というものの作成作業に従事いたしておったわけでございますが、十五時過ぎになりまして、左の顔部を押えまして、医務室へ行くということでございました。それで事務室を出たわけでございますが、事務室を出たところで右隣に陸曹室があったわけでありますが、そこの陸曹室に入りましてベッドで横になりまして、間もなく起き上がって歩こうとしたわけでありますが、歩行不能の状態になりまして、それで同室におった隊員が急報いたしまして、医務室から出された救急車で自衛隊の札幌地区病院に十五時三十分ごろ入院したわけでありますが、そして手当てを受けたのでありますけれども、その日の二十三時四十分、脳卒中で死亡をしたという事故でございます。
#199
○宮崎正義君 これは私は奥さんから伺ったんですが、いまの報告と少し違っているような点があるんですが、その時刻等については大体同じようでございますが、この勤務中に気分が悪くなってうつぶせになった。それで、そばにいた同僚の人が隣の部屋に連れていって休ました。そしてさらに医務室というのが百メーター近くあるところにかかえながら階段をおりて連れていった。ところが医務官が不在だった。それで救急車で運んだということで、それをすぐに奥さんが聞いて病院にかけつけたときにはもう意識不明であった。そのままの状態で二十三時四十分ごろなくなったということが――奥さんかその居合わせた隊の方に聞いたわけなんだ。その報告を大隊長に、畑中さんが倒れたということを言ったら、ちょうど大隊長は演習に行く寸前であって、公務にしてやれよということばを残して出発をしたということは、その付き添った人たちが聞いていたわけです。その話は聞いていたわけです。これがさらに、もう少し話を進めていきますと、このなくなったのは二十七日で、もう間もなく一周忌が来ます。いまの奥さんや子供の気持ちは、これはたいへんなことだと思うんです。
 で、なくなったその翌月の二十八日の晩に親戚会議をやって、今後どうするかというところに大隊長も見えたそうです。そして公務か非公務かという話が出たときに、私が濁音に行く出発のまぎわだったから、公務にしなさいということを言うて出発をしたぐらいですからという話があった。ところが実際は非公務であった。なかなか非公務であるということを言わなかった。奥さんが言ってから、どうなったんかと思って心配しながら尋ねたところが、その実情がわかってきた。非公務であるということがわかった。そのときの公務災害として認められないという書類が手に入ったわけです。その内容等を見てみますと、奥さんが現実にその場に居合わせた人に聞いた話とズレがある。こういうふうなことが、先ほど教育局長の御答弁によりますと、私が申し上げたような詳細のものと違っているんじゃないかと思うんです。これはまだ訴訟も起こしていませんし、異議の申し立ても何もしておりません。で、これをやるとは奥さんは言っておりました。それで私のところへ言ってきたわけです。で、これなんか読んでみましょうか。あとでごらんになればいいと思いますけれども、非常に何か感情的なものが伏在されているように思えてならないんです。この脳卒中ですか、脳卒中としてなくなったということで決断を下されておられますけれども、実際上いま公務の仕事をやっていながら、やっているそのところで倒れている。しかも倒れていて隣の部屋まで移したときに、かりに脳卒中であるならばなおさら動かしてはいけないということはこれは常識だと思う。だから、隣の部屋に移した時点で医務官を呼ぶなり、医務官がいるかいないかを確かめもしないで医務官のところへ連れていった。それはいなかった。そこから今度は救急車を呼んで連れていった。動かしてはならない病人であるとすれば、それを階段までおろして、そしてまたさらにかかえながら歩かしていった。もう意識不明だった。そういうふうな取り扱い方をして、これ、ほんとうに人道的なことからいって許される問題かどうか。これはすなおに私は聞いた上の判断ですよ。これが事実言われたとおりのものであるかどうかわかりませんけれども、いずれにしろ事務をとっていながらそこで倒れた、そしてかかえられて歩かされた。それですでに救急車が来て連れていったときにはもう意識不明で、奥さんが行ったときには何もわからなかった。これが非公務になっている。
 そして、しかもこの奥さんは全部これ書きとめてあるんですよ。実際書きとめてありますよ。防衛庁から退職手当として百四十八万四千三百六十円いただいたと、防衛共済会から弔慰金として百万円いただいたと、あとは自分のかけた生命保険のことだけしかない、ほんとうの退職手当は百四十八万四千円。先ほどの工藤さんという二十七歳の青年は八十万円。これ、ずっと見てみましょうか。山口幸徳さんという人は一時金七十一万八千円、それでこの人が損害賠償を起こしまして四百十六万の和解で済んだ。倉持正治さんという人はいま年金を十七万四千三十二円、葬祭料として六万七千三百二十円、小計が二十四万一千三百五十二円、この方も訴訟を起こして自八十万の損害賠償額を得ている。これは防衛庁のほうからいただいた資料なんですから。これは長官、御存じでございましょうか。お読みになりましたですか。これをごらんになりましたですか。これを見ていきますと、この年金のない一時金の人が七十一万八千円、森山さんという人は七十七万六千円。高安久男さんという人は九十二万三千円、塩川さんという人は九十二万六千円、川島さんという人は七十八万三千円、このように、まだほかにもございますけれども、省略しますけれども、それであと全部和解をされて、そしてそのそれぞれの賠償額ということになりますか、その示談のお金はきまっているわけです。これもこのいただいた資料から私は言っているのですから、これは間違いないと思うのです。そして勝訴した者も、訴訟を起こして、和解じゃなく勝訴した案件もこんなにもありますよ。こんなにもある。これ、一々一々やっていきますと、あしたの朝になってしまいますから、だから私やめますけれども、いずれにいたしましても、これは問題です。私はこれは問題だと思うのです。この方も何にも知らないわけです。しかも家族会議の、親族会議のお通夜の日に大隊長が来て、家族の人、奥さんの御両親、なくなった主人のおかあさん、にいさんたち、三人も四人もおいでになったその席上ではっきり言われていながら、そして日がたってふたをあけてみたら非公務だという決定を受けた。その内容はどうか、この内容を見ていきましても、まことに何か一方的な考えだけでずっと詰めていって、あなたは非公務だと、こう決定をしている内容ですよ。これは私は明らかに閉ざされた、閉鎖的な姿の一面だと思うのです。開放的なことじゃないと思う。こういう点も私は事例として申し上げているわけです。ですから、これを公務にしなさいとか、非公務でいいという問題は別なんですから、全然私はそういうことは触れていないのです。ただ勤務中に倒れた。いまは通勤途上でも国家公務員の災害を出そうと、この間やったばかりですよ。これは人事院総裁はおいでになりますから、これはもうはっきりしていることじゃございませんか。
 ここで問題点を取り上げてみましょう。私はこれは申し上げることはございませんですけれども、一応御参考に申し上げていきますと、「国家公務員災害補償法の取扱について」というこれは規定がございます。その規定の中に、第一条のことはもちろんのこと、「別紙」「公務上の災害の認定基準」というものがございます。これは時間の問題もありますけれども、読みます。
 「公務上の災害の認定基準」 「公務とは、職員に遂行すべきものとして割当てられた仕事のことであり、公務上の災害とは、公務に起因し、又は公務と相当因果関係をもって発生したものをいい、公務上の災害の認定基準は次による。」、先ほど御答弁の中に因果関係ということをおっしゃいましたね、非公務に対する因果関係。密接な因果関係があるという御答弁が教育局長からありました。この因果関係というのは、ここにも出ております。
 「1 負傷の場合
 負傷については、その負傷の原因である事故が公務上であるかどうかによって認定する。次に掲げるような場合は、原則として公務上とする。
 (1) 自己の職務遂行中に事故が発生した場合一但し、天災地変による場合を除く。) (2) 担当外の職務遂行中の事故は、公務達成のため善意の行為であることが確認された場合 (3) 通勤途上の事故では、次に掲げる場合
 (イ) 職員のみに利用されている交通機関によって通勤する場合において、所属官署の責に帰すべき事由によりその往復途上において事故が発生した場合 (ロ) 業務管理上の必要により、特定の交通機関によつて通勤することを所属官署かち強制されている場合にその往復途上において事故が発生した場合」、これはずっと私読んでもいいのですが、さらに、これはあとのところ省略しまして、「規則第十条に掲げる職業病について」、という、こういうことで、「公務上の負傷による疾病については、次の各号のいずれかに該当する場合の疾病 (イ)負傷した当時、全く健康であって何等疾病の素因を有していなかった者が、その負傷によつて発病した場合 (ロ) 負傷した当時、疾病の素因はあったが発病する程度でなかったものが、その負傷によりその素因が刺戟されて発病した場合 (ハ) 負傷した当時、疾病の素因がありしかも早晩発病する程度であったものが、その負傷により発病の時期を著しく促進した場合 (ニ) 負傷した当時、既に発病していたものが、その負傷によりその疾病を著しく増悪した場合」――ずっとあります。
 なぜ私はこれを読み上げますかといいますと、次に市川一佐の問題があるわけです。これはもう大きな問題です。この市川一佐という方は――ついでに言いましょう。ここに「殉死者顕彰録」というのが防衛庁から出されておられます。この中で市川一佐のことがこのようにうたわれております。
 市川正七
  明治四十五年七月十日生
  本籍地高知県高知市ずっとありますが、「職務従事中の殉職」という欄だけ読んでみましょう。
  故人は、昭和九年六月二十九日陸軍士官学校を卒業。陸軍少佐に累進し、昭和十九年十二月陸軍大学を卒業。比島一四方面軍司令部付、第一〇五師団参謀を歴任。この間の功績により、従六位及び勲五等に叙され瑞宝章を授与された。昭和二十六年十月一日警察予備隊員として久里浜駐とん部隊に入隊。二等警察正に任命され、第九連隊大隊長、幹部学校教官等を歴任し、昭和三十年八月十六日富士学校所属。
  この間、高邁な人格と卓越した統率力をもって部隊訓練の発展をもたらし、また幹部教育に任じて、周密適切な指導と旺盛な責任感は、学生の均しく尊敬するところであった。
  たまたま、昭和三十一年一月五日職務中の事故にたおれ、手厚い看護の甲斐なく、同年十二月二十二日ついに、その職に殉じたものである。
  なお、故人は、生前の功績により、殉職の日にさかのぼり、従五位に叙されるとともに、一等陸佐に特別昇任した。
 こうなっています。この辺にも問題があるんです。これは間違いない記録なんでございましょうか。まずひとつこの点だけちょっと伺っておきたいんですが、このことだけでいいです。
#200
○政府委員(高瀬忠雄君) 間違いございません。
#201
○宮崎正義君 そうですか。一等陸佐に昇進されたといいますが、特別昇任をされたといいますが、この方は一等陸佐になっていたんじゃないかと私は思うんです。だから特別昇任といったらこれは将補になるんじゃないですかね。これはあとの問題ですから、いま参考に申し上げたことであって……。
 これはあとの問題にしまして、人事院総裁に、いま私ずっと申し上げておりました、この「国家公務員災害補償法の取扱について」、これはなかなか公務にするか非公務にするかということは、医学上の問題とか、その他当時の状態で判断することはこれはたいへんだと思いますが、これは私もわかります。が、通勤途上でも国家公務員の災害補償法というものをきめようという精神があるわけですね。そういう点から考えてみて、いまやりとりした面につきまして、どんなふうな御感想でしょうか。御感想というと客観的みたいになりますけれども、そうじゃなくて、人事院総裁としてどうあるべきかということを伺いたいと思います。
#202
○政府委員(佐藤達夫君) かねがね少なくとも公務災害補償の問題をめぐって、これまでたびたび宮崎委員のお話を承っておりますが、ことごとく非常に同感の気持ちを持って伺ってきておるわけです。きょうもまた、さらに違った負度から非常に緻密な御発言がございました。いろいろ考えさせられながら伺っておったわけでございますが、いつもこの点については御同感を得て、お互いに意気投合していると私は思うんですけれども、災害のあとの処置よりも、まず災害をなからしめることだといつもおっしゃる、これは実に私のまさに念願するところでございますし、それからもう一つは、きょう拝聴したのは、結局災害の防止という面と、それから災害が起こった場合の処置ですね。さっきお医者さんのお話がございましたが、やはりこれはすべてヒューマニズムで関係者が臨んでいただくべきことじゃないかと、その点も私どもとしては、そのほか、法律のほかにこまかい施行規則なども人事院規則でつくっておりますが、少なくともそういう気持ちで今日まで体制は整えるべく努力をしてきたつもりでおります。ただ、いまの現実のちょうど公務上と公務外の境目という問題、これは先ほどお読みになりました、たとえば負傷の場合でありますと、営林署の従業員の方が伐木中に倒れた木のために負傷されて、これは問題ありませんけれども、問題はやはり内臓疾患と公務との関係、これはいまおことばにも触れられましたように、なかなか本人の現に持っておる素質と申しますか、そういうものと、それから公務上の関係の因果関係の接点の問題でありますものですから、これはわれわれ非常に苦労してまいっております。特に一流のお医者さんを、専門医に委嘱して一々具体的のケースごとに意見を聞きながらやっております。
 しかし、結局これは労働基準法系統のいわゆる一般の民間における災害の補償の問題と、これはたびたび申し上げますように、公務災害補償法の中では均衡をとれというようなこともございますから、それをまたはずれたこともできずというワクの中で処置しておりますために、個人的の気持ちとしてはどうも割り切れないと思いながら、やむを得ず決断をしなければならぬという場合もございますけれども、たまたまいま通勤途上の云々のお話もございましたし、最近は私どもとしては、できるだけむしろ公務上であるという理屈を発見するほうに努力しようという、むしろそっちのほうの挙証は請求する側のほうで挙証してもらうべき筋なんでありますが、しかし、われわれとして、たとえば再審査の請求というようなことを受け取って処理する場合でございますけれども、そういう場合には、やはり現地に係官が必ず伺ってあらゆる方面から関係の方々のいろいろな証言といいますか、実情の聴取をやりまして、できるだけこれを、セーフと申しておりますが、セーフにする方向で努力をしようじゃないかという心がまえでおるわけです。ただ、やはり最終的には相当因果関係というような問題でどうしてもこれはぶつかる場面がございます。これはやむを得ませんけれども、それでない限りは一できるだけ助け得る方向に持っていこうじゃないか。ですから、ずっと以前のわれわれの審査請求などの判定と最近の判定と比べてみますと、相当その辺では変わってきているということを申し上げ得ると思います。
#203
○宮崎正義君 非常にこれはむずかしいです。公務、非公務を認定するということはとてもむずかしいことです。むずかしいことでありますが、やはり人間関係の中から考えて、また自衛隊という特別国家公務員としての仕事、作業をやっていく上から、これは国家公務員災害補償法を準用して今日自衛隊をやっているわけですから、こういう点もやはり防衛庁長官、どんなふうにお考えになっていますか。これは準用はあくまでも将来もそうしていくのかどうか、またそれをどういうふうに、かりに準用するとすればいろいろな法律がございます、国家公務員災害補償法ばかりでなく、いま人事院総裁がおっしゃったほかの補償制度もございます。それらを勘案してどんなふうに将来考えていかれるか。
#204
○国務大臣(山中貞則君) こまかい事実関係、先ほど来御指摘の人事教育局長の御報告いたしました経過等について重大な差異がある等の点については、もう少し局長に答弁をいたさせますが、私としては、死亡事故等、ことに隊員の公務ではないかと思われるような範疇のものは私自身が直接目を通しております。たとえば私の就任後パラセールによる事故というものをどうするかというケースがありまして、事務当局ではこれは賞じゅつ金の対象にはならないという結論でございました。私としては、しかしパラセールの訓練中において死亡した者がどうして賞じゅつ金の対象にならないのかということで、図面なり写真なり、その当時の状況なりあるいは職務執行の命令を出してどのような隊務を行なっていたか等について詳しく調査いたしました。その中間において、私はこれは当然賞じゅつ金給付の対象になるものと判断を一時はいたしたのでございますが、さらに調べていくうちに、実はパラセールの訓練に使用してはならないパラシュートを使用していたことがわかりました。それはいままで使用したことのないものであり、また使用すべからざるものであったということ、したがって、パラセールの一般の訓練は非常に安全で、ボーイスカウト等もやっておって、いままで事故がないといわれているケースである。
 それなのになぜ事故が起こったかという問題は、まず第一は使ってならないパラシュートであった。そして、しかもその訓練というのは実は隊長が命じた訓練ではなくて、指揮者が命じた訓練ではなくて、同好会の諸君が集まってグランドでジープに引かせながら走っていたものということがわかりまして、心情断ちがたいものがありましたけれども、客観情勢はまさにどうも使ってならないものを使ってパラセールをやっても、あるいは浮かび上がって着陸訓練ができるのではないかという一種の冒険を試みて、しかもこれは非常な熟練者であったわけですが、それがまっ先におれがやってみせると言ったのが不幸を招いたということがわかりまして、やむを得ず最後は私どもとしては賞じゅつ金の対象にできなかったということもございまして、私になりましてからは、事、人の命に関する問題は私自身が納律するまでやっております。これは私、総理府におりまして、恩給行政を担当しておりまして、戦争中のいろんな軍務に服したための因果関係というものがその後起こった病気等で非常に複雑なケースが多うございまして、審査委員会にかかるわけでありますが、専門の方々が見られてもどうしてもむずかしいというものがございます。私はそれを全部目を通して読んでみて、ほんとうに気の毒だと思ってみても、なおかつ客観情勢やむを得ないと思うようなものが大部分でございました。
 そういうようなこともありまして、そういうような経験を踏まえて、いやしくも私の統括するもとにある自衛隊員の死亡等について、納得いくまでやるつもりであります。いままで例をあげられました問題は、大体私の前にすでに問題が処理されておりまして、そのことをめぐっての争いと申しますか、決着がついていない問題が大部分のようでありますが、今後はそのようなことが起こらないように私自身は処理していく覚悟をきめております。
#205
○宮崎正義君 災害補償のことについては御答弁なかったですけれども、どんなふうな、準用をされているのかどうしているのか。
#206
○国務大臣(山中貞則君) 一応研究会をつくりまして研究いたしておりますけれども、原則としては国家公務員の公務災害に準じて災害補償を行なうという姿勢は当然のことだと思います。また、そういたしております。
#207
○宮崎正義君 そういたしますと、今後も国家公務員災害補償法を準用していくということなんですか。
#208
○国務大臣(山中貞則君) そのとおりであります。
#209
○宮崎正義君 人事院総裁、いまお聞きのとおりですが、これは大いに考えていかなきゃならない課題だと思いますね。いま防衛庁長官も研究機関を設けてやっていくという御答弁でございましたけれども、総裁はどんなふうな将来お考え持っておられるか、この退職手当にしろ年金――年金問題のあれは違いますけれども、公務員の災害補償の額といいますか、そういうものに対してどんなふうに考えておられますか。
#210
○政府委員(佐藤達夫君) 先ほども触れましたし、かねがね御承知のとおりに、法律のたてまえが一般の労働災害の立法と均衡をとれという大きなワクがかぶっておりますから、われわれはやはりそのワクの中で考えなければならないという制約が一応ございます。したがいまして、そのワクの中でということになってまいりますというと、この間のたとえば公務特別災害なんていうのは、これは全然民間にない職種でございますから、伸び伸びとというのは非常に語弊がございますけれども、あまり遠慮せずにやれましたというようなことを申し上げたんですが、さて今度は消防ですか何ですか、何かそれに近いグループの事故に対して何とかしたいなというようなたとえば気持ちが、これはこの御審議でもそういうことが出ておりますし、当面私どもとしてはやはり検討すべき課題ではないかと思いますけれども、そういうような結局あまりはでな飛躍的な面からはいまの法制のたてまえからちょっととっつきにくいんですが、やはり心のこもった扱いで、あるいは制度の整備で公務員の皆さんの幸福のために努力をしたいという気持ちでございます。
#211
○宮崎正義君 局長から……。
#212
○政府委員(高瀬忠雄君) 先ほどの北海道の畑中さんの事故の関係でございますけれども、これは全く脳卒中であるにもかかわらず動かしたというような不手ぎわがあったようでございます。
 それから、その後の公務災害補償との関係でございますけれども、普通ならば駐とん地業務隊長が方面総監に相談をいたしまして、そして公務に当たるか当たらないかということを慎重にやるべきだったと思うのです。それにもかかわらず、医者と相談しまして、駐とん地限りでこれは脳卒中であって、これは公務災害補償に該当しないというふうな、そういった措置をしたように聞いておりまして、そういう点もいささか慎重を欠いた点があるように思います。そういうことであっちゃいけませんので、昨日地元のほうに問い合わせました。そうしましたら、御遺族の方からもう一度申請を出していただいて、そしてこれは公務になるかならぬかはその上の判断でございますけれども、申請をしていただいて、審査をするような形をとったらどうかというようなことを現地のほうからも申してきております。そういうような手続をとりまして、そして、おそくはございましたけれども、そういうようなことでいきたいと思います。ただ問題は、ただし、それをもって公務になるかどうかということはまた別な問題でありまして、事後でいささか不手ぎわでございますけれども、一応形式だった手続をとって進めて判断をしてもらうというふうにしてはということを言っております。そういうことでございます。
#213
○委員長(高田浩運君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#214
○委員長(高田浩運君) 速記を起こして。
#215
○宮崎正義君 私は、ただ事例として、いままでのこの話していく経緯の中で、局長が最初に答えられた密接な因果関係云々という、非公務の中にはあるという御答弁がございましたね。その一つの、私の頭の中で考えて、そういうふうなものがあったということで申し上げているだけであって、それをどうしろこうしろということじゃございませんので、この際そのことだけ申し上げておきたいと思います。あとはそれぞれの御本人のやることでございますので、その時点になってまたそれぞれのお考えをしていかれるのは、それはまた別のことだと思います。
 そこで、先ほど長官が恩給行政で御苦労なさったというお話がありますので、先ほど「殉職者顕彰録」を示しまして、市川正七さんという方のことをちょっと申し上げました。この人の問題に入りましてから、あと総括的な定員の問題の締めくくりをしながら、シビリアンコントロールの問題がまだ残っておりますのでやっていきたいと思います。
 その前に、もう一つこの際伺っておきたいことがあるんですが、工藤さんの場合ですね、先ほどの、車でひかれてなくなられたわけですね。自賠法という一般の車両の自動車損害賠償保障法のことについて、自衛隊ではどんなふうな処置をとろうとしておられるのか、また、とっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#216
○政府委員(山口衛一君) 自衛隊法百十四条によりまして、特にその第一項によりまして、自衛隊が使用いたします車両につきましては、政令で定めるものにつきまして道路運送車両法の適用を除外されております。自賠法第十条におきまして、たとえば強制加入等につきます適用除外の項目がございますが、これは同法の施行令の一条におきまして、特にその第一号におきまして、自衛隊の使用いたす車両が、この適用除外を受けるその車両につきまして、自衛隊が本米行なう業務を行なっている際にこの適用地除外が行なわれる、このような趣旨の第一号の規定がございます。したがいまして、現状におきましては、自賠法の強制加入等につきまして、自衛隊の車両は大半のものが適用除外にされております。ただし、その場合に、自衛隊法施行令の百三十三条におきまして規定がございます。たとえば大型特殊車両及びこれによって牽引される車両というのがございますが、このようなものが適用除外とされております。現状では、おもに、大型特殊車両といいますものはキャタピラをつけているものが大半でございます。戦車、装甲車その他のものでございます。またはこれに牽引される車両というのは、それに引っぱられていきます砲等の車両がございます。このようなものが適用除外とされているという実情でございます。
#217
○宮崎正義君 ということは、工藤さんがひかれた車には自賠法はかけていないということですね。
#218
○政府委員(山口衛一君) そのとおりでございます。
#219
○宮崎正義君 かりに自動車損害賠償保障法がある、それから自衛隊では、そういう条文をつくりながら、同じトラックであり、同じ車でありながらも、賠償の問題はわれ知らぬというようなことでいいかどうかということが今後課題にならざるを得ないと思うんですがね。しかも自賠法であるならば、これは申し上げることもなく五百万という、これはお金の話ばっかりして申しわけないんですが、なくなった方に対してはお金のことを言ってはすまぬ話でございますが、気持ちとしては、八十万円のお金をもらっているということと、この自動車賠償法でいう、自賠法でいう五百万というものが民間では規定されているのに自衛隊ではそれがない。こういったようなことについて、私は法というものの解釈というものが、非常にいろんな問題を、複雑な気持ちにさせるんじゃないかと思うんですが、長官どうでございましょうか。
#220
○国務大臣(山中貞則君) 私もその点を心配いたしまして、賞じゅつ金を現行自賠責法の死亡五百万、後遺症最高限度五百万でありますので、それに合わせるべく来年度予算に要求をいたしております。ところが、困ったことに、自賠責保険特会の経理の関係もありましょうか――また確認いだしておりませんし、最終的には予算ができるわけでありますけれども、運輸省のほうの予算要求は、その限度額をさらに三百万以上引き上げるようなことも聞いておりまして、私たちが自賠責保険の限度額と一緒になって結局的にはいかなければならぬと思いますが、それを向こうがふやすから、いまの五百万の要求を直ちに当該年度から同じように自衛隊も要求していくという姿勢はこの際差し控えよう。さしあたり現行の限度額五百万というものを賞じゅつ金の限度額にしようということで予算要求をしている次第であります。
#221
○宮崎正義君 これはぜひ取り上げていかなければならない問題だと思います。それが公平を欠かぬ法治国の姿だと私は着いたいわけです。
 そこで、先ほど申し上げました市川正七さんのことに若干触れていきたいと思いますが、この方は、私の調べたところによりますと、なくなられてから公務認定になったのが相当おくれているわけです。先ほどの御答弁の中にもありましたけれども、公務で殉職された方は、早い時期にそれが認定されるということが、明確であればできるというお話がありましたんですが、この市川さんの場合でも、これは明らかに、いろんな記録の上からたどっていきましても、完全に公務であるというふうな、解剖検証を見ましても、医学上の認定等のことから見ましても、私はこれは医者じゃございませんのでわかりませんけれども、入院した当時と、なくなって解剖した時点と、一番最初にトラックから落ちて、そしてひばらを打って、そして倒れて、公務というふうに認定されるのに四年以上も歳月がかかっている。公務認定が四年以上ということになっている。なくなって四年間も公務認定がなされなかった、こういう事例は私は多くあるのかどうかということが心配なんです。この方の奥さんが、やはりなかなか気丈な方で、御主人が富士演習で車から落ちて、転落して、しかもこれ、あとずっと読んでいきますとわかりますけれども、いま私は本筋だけ、親筋だけこう申し上げているわけですが、その奥さんがもう患者に自分がずっと付き添っておった。その御主人がしゃべっている一つ一つを全部記録をとっている。これは膨大な資料です。この膨大な資料を奥さんが……、この方は先ほど申し上げましたように三十一年十二月の二十二日に殉職をされている。そして四年後に公務認定を受けている。そして三十一年ですから、いま四十八年ですから、十七年ですか、十七年の歳月、どれほど苦労されて、この公務ということが認定されながら今度は公務扶助料が出ていない。それでこの十七年の間一生懸命に佐藤総理大臣の時分にも佐藤総理大臣あてにこの苦情を訴えている。その写しも私みんなきょう持ってきております。当時の防衛庁長官にも陳情しているわけです。こうやって自分の貴重な資料を合わせながら、非公務として認定をされておったということですね。それらの問題についてこまかく具体的に一つ一つ事例あげながらこれから質問をしたいと思うんですが、この件について御存じでございましょうか。
#222
○政府委員(高瀬忠雄君) ただいまおっしゃいましたこと、よく承知しております。三十一年の十二月二十二日に死亡いたしまして、公務認定が三十五年の八月十一日でございました。その間、詳しく申し上げますといろいろな経緯があったようでございますが、要するにこの本人の死亡原因である疾病、肝硬変とそれから公務による過労との相当因果関係といいますか、これに関する医学的判断が非常にむずかしく、非常に慎重にその間におきまして検討をした、まあ特異ないわば事件で慎重にやっておりましたことによりまして、時間的に相当――経緯はありましたけれども、長くかかったというようなことでございます。
 それから先ほどの顕彰録のことでございますが、これは先生御指摘のとおり、実は一等陸佐に特別昇任というのはこれは誤りでございまして、実はもっと前に修正をいたしておったわけなんでございますけれども、それが未修正のものが先生のところに回ったようでございまして、どうも失礼いたしました。
#223
○委員長(高田浩運君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#224
○委員長(高田浩運君) 速記を起こして。
 暫時休憩いたします。
   午後五時四分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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