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1972/01/31 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第4号
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1972/01/31 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第4号

#1
第071回国会 本会議 第4号
昭和四十八年一月三十一日(水曜日)
   午前十時三分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第四号
  昭和四十八年一月三十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 第二 参議院予備金支出の件
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一及び第二
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
 一、裁判官訴追委員予備員辞任の件
 一、裁判官訴追委員予備員、検察官適格審査会
  委員、同予備委員、東北開発審議会委員、九
  州地方開発審議会委員、北陸地方開発審議会
  委員、豪雪地帯対策審議会委員、離島振興対
  策審議会委員、台風常襲地帯対策審議会委
  員、北海道開発審議会委員及び鉄道建設審議
  会委員の選挙
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。渋谷邦彦君。
   〔渋谷邦彦君登壇、拍手〕
#4
○渋谷邦彦君 私は、公明党を代表して、政府の施政方針に対し、総理並びに関係閣僚に質問をいたしたいと思います。
 「決断と実行」を旗じるしに、「日本列島改造論」をひっさげ、今様太閤といわれ、平民宰相と淡い期待を寄せられながらさっそうと登場した田中総理は、時間の経過とともに次第に色あせ、田中総理よおまえもかという印象をますます濃くしつつあるようであります。
 田中内閣が誕生以来、決断し実行したものは、四次防の決定であり、地価や株価の高騰であり、あるいは国鉄、健保の値上げを意図しようとしていることであります。
 大企業優先の経済成長によってもたらされた国民生活への被害は、人心や国土の荒廃を招き、物価高、社会福祉の劣悪、公害、住宅難、交通地獄など、いまや人間の生存にとって極限状態におちいろうとしております。いわんや、昭和六十年までにはGNPを三百四兆円に想定している政府は、依然として成長先行型に重点を置いていると認めざるを得ません。いま国民が最も強く望んでいることは、福祉優先の政治であり、そのために産業をどう導入すべきかといろ国民福祉主導型の経済成長に変えることが先決であり、この根本的変革こそ政治の流れを変える絶対条件だと思うのであります。
 以下、順次お尋ねをいたします。
 総理は、日本の今後の進路を一言にして要約すれば平和と福祉に尽きよう、そのため、内政面では、これまでの生産第一主義、輸出一本やりの政策を改め、国民のための福祉を中心に据えて、社会資本ストックの建設、先進国並みの社会保障水準の向上など、バランスのとれた国民経済の成長をはかることであると述べております。また、昭和四十八年度の超大型予算案の基本目標としては、社会福祉の向上、インフレの抑圧、国際収支均衡化による円の再切り上げ回避の三項目をあげ、この三つの矛盾した問題を同時に解決すると言明しております。しかし、一般会計全体が二四・六%伸びている中で、地価対策のない公共事業費が三二・二%という大幅な伸びを示し、政府が最も力を入れるはずの社会保障費は、財投で多少の調整はあるものの、二八・八%にとどまったことは、福祉優先が後退したと見るべきではないでしょうか、どうでありましょうか。
 また、昨年後半よりインフレが速度を増しながら進んでいるとき、大型の予算を組み、しかもそれを膨大な公債発行でまかなうという財政政策をとれば、インフレの抑圧どころではなく、インフレをさらに刺激し、悪性化の道をたどることは明白であると思われますが、いかがでございましょうか。
 円の再切り上げ回避についても、はたして可能でありましょうか。国際経済の環境が必ずしもそれを許さない状況にあることも事実であります。もし調整インフレによって円の切り上げを回避しようとするなら、卸売り物価を国際的上昇率より高めなければならないでありましょう。そうなれば、それはまた消費者物価を高めることになり、国民生活はまたもや混乱を招くことになりますが、政府は、この点、どう判断して対処されるおつもりなのか。
 物価問題は、国民の最大関心事であることはいまさら言うまでもありませんが、総理は、物価上昇のおもな原因は、生産性の格差インフレに問題があると言われております。しかし、現実には、管理価格の存在による不完全競争、国内需要を拡大して引き起こすデマンドプルインフレーションなどの混合した要素によって物価上昇が続いていると見るべきではないでしょうか。すでに卸売り物価の急騰があり、加えて地価や株価の異常な高騰、さらに、今国会に上程しようとしている国鉄運賃、健康保険料など、公共料金の値上げは、消費者物価の上昇に拍車をかけることは必至であります。政府は、いまこそ決断と実行をもって国鉄運賃及び健康保険料値上げは据え置き、さらに具体的に物価抑制策とその成果を示すべきであると思いますが、どうでありましょうか。
 私は、まず直ちに実行可能な問題を提起しながら政府の所信をお伺いしたいのであります。
 その一つは、識者間においてもすでに指摘されておりますとおり、寡占企業による管理価格などの競争制限的行為の排除を行なう必要があり、そのための法的措置を当然とられなければならないと思われます。業者間の価格協定、やみ再販行為、その他独占禁止法で禁じられている行為あるいは類似行為が半ば公然と行なわれておりますことにかんがみまして、公正取引委員会の調査権限の強化をはかるべきでありましょう。
 次に、安価な食糧を供給するために、農業の構造改革、中小企業の生産性向上をはかるための設備改善と技術開発を強力に推進すべきであります。
 次に、生鮮食料品の供給の確保と合理化が必要であり、卸売り市場の緊急整備を行なうこととするなど、その組織、機能の公的化を具体的に推進すべきではないでしょうか。
 次に、輸入政策による物価の抑制であります。そのためには、関税の大幅な引き下げ、円切り上げの効果が消費者価格にまで浸透するように流通過程で不当な利益獲得の対象となることをきびしく規制すべきであり、生鮮食料品の生産確保の整備と相まって自由化を促進すべきであります。
 特に、物価上昇を誘発する公共料金の値上げは、絶対に控えるべきであります。したがって、値上げが予想されております国鉄、私鉄運賃、医療費、公共住宅家賃、家庭用電気ガス及び水道料金などについても同様であります。公共料金に独立採算あるいは受益者負担の原則を適用すべきではなく、すべての公共料金の決定については、公正を期する上からも、特に米あるいは電力料金などの値上げについては、国会、地方議会の議決とすることが望ましいと思われるのであります。
 次に、物価問題に関連いたしまして、民生安定に深刻な影響を与えております土地、住宅問題についてお尋ねをいたします。
 田中内閣が、はたして庶民のための政策を実現する内閣であるかどうか、この土地問題あるいは住宅問題こそ重要な試金石であると言っても過言ではございませんでしょう。特に、田中内閣の内政の柱である日本列島改造構想の基礎、前提は、ほかならぬ地価対策のはずであります。政府は、国民の期待にこたえて、この難問を解決しなければならない重大な責任を負っていることは当然であります。このところ、改造論に刺激された大手あるいは中小取りまぜての不動産業者による土地の買い占め、それに伴う地価の高騰が目立っております。庶民は、自分の土地を持ちたくとも、たとえば百五十平方メートル、わずか四十五坪の土地を買うために、三十年も四十年も働いてなお買えないのが実情であります。投機は投機を呼んで、全国至るところ地価の値上がりはまさに天井知らずの状況であります。地価高騰がインフレを招き、国民生活を脅かし、公共事業への投資効率を悪くするなど、諸悪の元凶としてきびしく指摘されているにもかかわらず、政府の土地対策は一向に改善されたあとがないばかりか、列島改造論はかえって土地への投機をあやつっているというのが実態であります。わが党が昨年十一月五日に発表いたしました大手不動産業者等による土地買い占め実態調査が、このことを如実に物語っております。国民は、ひとしく、四十八年度予算編成で本格的な地価抑制策が盛られることに期待を寄せておったところでありますが、その期待もむなしく、またしても裏切られてしまったのであります。すなわち、固定資産税は三年がかりの調整であり、土地の譲渡所得税、保有税の新設も、実施は四十九年度からというものであり、その内容も、適用除外の範囲の拡大によって事実上骨抜きというありさまであります。業者の間では、二〇%の譲渡課税、一・四%の保有税の程度なら一年間の値上がりで十分カバーできるといわれております。これでは、不動産業者の首相に対する政治献金が多いから、このような消極策しかとれないのだという陰口も出ようというものであります。
 総理、あなたは、この程度で地価が抑制できるという考えでございましょうか。さらに講ずるとすればどのような措置をお考えになっていらっしゃいますか。政治生命をかけて具体的な答弁を願いたいのであります。
 地価の高騰に加えて、木材、鉄鋼などをはじめとする建設資材、あるいは大工の手間賃の値上がりも顕著であります。住宅金融公庫の貸し付け限度額をわずかばかり引き上げたところで、これらの値上がりの前にはまさしく焼け石に水であります。また、公団住宅は、いまや四万円家賃になるところもあるといわれており、国の大幅な補助を受けている公営住宅も、建設費の上昇によって年々家賃の値上がりを示しております。
 総理は、たいへん言いにくいことでありますけれども、都心の一等地に広大な庭つきの大邸宅をお持ちでございますので、なかなかこの庶民の気持ちというものは理解できないと思うのであります。しかし、現下の住宅問題は、心底から国民の生きがいを奪っていると言っても過言ではございません。個人の持ち家が絶望視されている今日、国民が真に望んでいるのは家賃補助政策の導入でございます。公団住宅、公営住宅について、建設費を一定期間に減価償却する現行の家賃算定方式をとっている限り、今後とも年々大幅な家賃の値上がりは不可避でございましょう。
 昨年末、住宅宅地審議会は、「公的資金による賃貸住宅の家賃のあり方」と題する答申を行ない、建設費の償還を前提とする原価主義を改め、入居者の負担能力に応じた家賃算定方式の導入を提案しておりますが、家賃の値上がりの激しい今日、これに民間借家を含め、国民の各層について、所得の一割ぐらいの家賃で住宅を供給することができるように、制度を早急に確立すべきであると考えるのでありますが、総理の所見を伺いたいのであります。
 土地の利用、収益、処分の混乱を防止し、土地の有効利用の促進と、地価上昇に伴う不公平な所得配分を避けるためには、まず第一に、公共の福祉を優先し、土地の私有権は制限すべきであると思います。
 第二に、都市計画区域内に特定の整備区域を設定し、その区域内の一定規模以上、たとえば一千平方メートル以上の土地については、売買を規制し、国及び地方公共団体の先買い権、買い取り請求、収用権を認め、国・公有地の拡大をはかるとともに、地価の安定をはかるべきであります。
 第三に、公的宅地供給制度を設け、長期賃貸方式による宅地の供給をはかるようにすべきであります。
 第四に、土地の供給促進と法人の投機的取引を抑制するために、法人の土地譲渡所得を分離して課税するとともに、土地譲渡価格が地価公示価格をこえる場合には、その差額の八〇%に対して一定の付加税を課すべきであります。
 第五に、土地利用計画に住民の意思を反映した土地利用及び土地の処分、取得管理などの一元化をはかるために、国及び地方公共団体に土地管理委員会を設置すべきであります。
 次に、最も大きな柱だと言われております社会保障について触れたいと思います。
 昭和四十八年度予算案を見ますと、その中核をなす社会保障の充実については、依然として従来の施策の延長の域を出ていないのであります。
 今回の一般会計予算における社会保障費の占める割合は、昭和四十二年以来、判で押したように恒常的に一四%台であります。金額の面でふえこそすれ、予算総体に占める割合は少しもふえていない実情であります。また、一方には、確固たる社会保障の長期計画が今日まで一度も策定されていないところにも原因がございましょう。政府は、社会保障の飛躍的充実をはかり、真の福祉社会を建設するため、医療、年金、福祉など社会保障の各分野について、目先だけの場当たり的な対策ではなく、意欲的なビジョンを織り込んだ社会保障長期計画を策定し、年次計画に従って実行に移していくことがぜひとも必要であると考えますが、総理並びに厚生大臣の見解をお伺いしたいのであります。
 政府及び自民党が公約しているいわゆる五万円年金とは、全く国民を欺瞞するものであることはいまや明白であります。現在、五万円年金を受けられるのは、御承知のとおり、厚生省の試算によっても、昭和四十八年度厚生年金受給者約七十万人のうち、七万人ないし十万人というごくわずかな人たちであります。これでは、六十歳以上の老人千百万人の一%にも満たないのであります。
 また、老人の大半は、昭和三十六年に発足した国民年金の対象者でありまして、受給資格期間二十五年、年齢六十五歳となれば、昭和六十一年度に初めて夫婦で年金五万円というまことに遠い話であります。しかも、保険料だけは先取りで、本年度より現行五百五十円が九百円と、大幅に引き上げられることになっております。
 また、今日、皆年金下にありながら、年金を全く受けられない老人があります。国民年金制度発足当時五十五歳以上で、十年年金の任意加入制度の対象からはずされたために、いわゆる年金の谷間に泣く人々といわれている六十七歳以上七十歳未満の約百三十万人の人たちであります。これらの人々は、老齢福祉年金が受けられる七十歳にたるまで、全くの年金ゼロのまま十数年間も放置されて今日に至っているわけであります。福祉の充実を掲げる前に、現在の福祉というものがいかに貧弱であり、恥ずべき状態であるかを認めなければなりません。
 また、老齢福祉年金を受ける七十歳以上の人たちは約四百万人にのぼるといわれております。五万円年金と宣伝しておりましても、実態は十分の一の五千円の老齢福祉年金という、まさに羊頭を掲げて狗肉を売っているといわれているのであります。年金の年とはかけ声ばかりで、あまりにも貧弱な内容であり、いかに政府及び自民党が社会保障に熱意がないかということがこの点を見ても明らかでありまして、まぼろしの五万円年金との嘲笑も甘んじて受けなければならないと思うわけであります。この際、年金改善に取り組む政府の基本姿勢及び公的年金制度の将来の展望をぜひともお伺いしておきたいと思うのであります。
 次に、論点を変えまして、教育問題についてお伺いしたいと思います。
 総理は、教育は、次代をになう青少年を育て、民族悠久の生命をはぐくむための最も重要な課題であると言われました。ごもっともであります。しかし、そのための理想的な教育の条件と環境はあまりにも悪過ぎる、これも事実でございましょう。これも、政治の一半の――一半というよりも、大かたの責任がそこにあるといわれております。
 今日、国民にとって緊急かつ重要な課題は、何といっても学費の問題ではないでしょうか。どれほどこの問題で苦しんでいるか。中でも、私立大学の学費値上げ問題は、毎年のように取り上げられながらも、きめ手もないままに解決されておりません。大学に子弟を送っている家庭では、どれほど家計に響くか、はかり知れないものがございます。人材育成の面でも重大な損害を与えているものと思われるのであります。したがって、社会問題化する要素が十分にあるわけでございまして、大学紛争の発端にもなっているゆえんであります。国民が直面している学費値上げ問題の本質を掘り下げて見きわめるべきでございまして、こうした基本問題について政府のこれという抜本策がなかったことは、まさしく怠慢と言うべきでございましょう。このまま推移すれば、総理の取り組む教育に対する姿勢も、単なる観念的な理想論にすぎないと思われるが、学費問題を含めての具体的な基本政策を明らかにしていただきたいのであります。
 御承知のとおり、全国の大学生の約四分の三は私立大学生であり、また、わが国の学術研究をささえる大学教員の数を見ましても、約半数は私立大学の教員であります。すなわち、戦後急増した大学教育は私学が引き受けてきたと言っても過言ではないでしょう。それにもかかわらず、国立学校に対する支出予算は、今年度の政府原案で四千六百四十五億円余であり、これにひきかえ、全私立の高等教育機関に対しての国庫支出は約四百三十三億円余でございまして、国立に比し十分の一にしかなっておりません。すなわち、経営収支の七一%は学生納付金でまかなわれておりまして、国庫補助が多少増額したといたしましても改善の余地は全く見出せないということでございます。
 文部省の学生生活調書、総理府の家計調査によれば、私大生を持つ家庭の平均収入は二百十万円余であり、この階層は一番高い所得層に属するといわれております。ゆえに、一般国民にとって私立大学は高ねの花と言うべき存在になっているのであります。さらに、約三分の一の学生の父兄は、年収百万円から百五十万円の所得層に属しておりまして、わが子一人を都会の大学に送り出すためには、全収入の三分の一から半分くらいをつぎ込まなければならない。しかも、高い税金を払った上、なおかつ限界以上の無理をして、子弟を大学に進学さしているわけであります。政府は、この現状をどう考えているのか。現在、私立大学は、一つの経営体として独立採算制をとっておりますが、本来、教育は、人件費を生産性の上昇で吸収できるサービス産業ではないはずであります。言うまでもなく、私大は営利企業ではございませんから、受益者負担に固執せず、私大の財政基盤確立のための政府施策というものを今後積極的に示していかなければならないと思いますが、いかがでありましょう。
 OECD教育調査団が指摘しておりますとおり、わが国の高等教育に対する投資は、きわ立って低いのであります。学生一人当たりの教育費を国民一人当たりの所得に対する比率で見ますと、イギリスは一六〇%、西ドイツは八六%、アメリカは八五%、日本はわずか五六%にすぎません。しかも、国公立大学の一人当たりの経費は私大のほぼ四倍でありまして、私大生に対する投資比率はさらに激減するのであります。政府は、最近、しきりに福祉の増進をはかると言われておりますが、こうした面につきましても、特に私大に対し、国民所得の何%を投入するつもりなのか、また、その根拠は何か、明確にしていただきたいと思います。
 物価上昇の面では、昭和三十五年の物価指数を一〇〇として見ますと、昭和四十六年には一八七・五を示し、文部省の調査では私大の授業料は同年で二八三・九となっております。したがって、私大授業料の値上がりがいかに異常であり、家計に重くのしかかっているか、おわかりでございましょう。昨今、しきりに大学の改革が叫ばれております。しかし、その前に、まず私大の財政基盤のあり方、父兄負担の軽減を前提に、大学本来の姿を取り戻す思い切った措置を講ずべきではないでしょうか。教育基本法第三条には、すべての国民は、その経済的地位によって差別されることなく教育を受ける権利があることを規定しております。しかし、現状では、一部の金持ちしか大学教育を受けられないようなありさまに追い込まれております。政府は、今後私学助成を積極的にどんな内容を盛り込んで行なっていくのか、昨日も衆議院において答弁があったようでありますが、さらにこまかく具体的にその今後の方向を述べていただきたいと思います。
 次に、さらに論点を変えまして、農業問題について若干お尋ねをいたします。
 政府の行き当たりばったりの農政のために、農民はいつも犠牲をしいられ、そのため、農業の前途に対する希望を完全に失い、大きな不安に包まれておりますことは、総理御自身も十分御理解されていると思います。
 最近の一番よい例をあげてみますと、ミカンであります。先日も私は四国へ参りました。ミカンがもう腐ってどうしようもない、捨てておる状況であります。政府は、米の生産過剰の方向転換をミカンに求め、十分な価格対策などなしにミカンヘの転換を推進してまいりました。近い将来、ミカン過剰となることは、いままでも十分予想されておりました。たびたび政府にも警告をしてまいりましたが、その警告を無視し、なすがままにしていたその責任は、まことに重大と言わざるを得ません。昭和四十七年度は三百数十万トンの生産といわれておりますが、そういうことで、ミカン価格は暴落し、生産原価を大きく下回り、いまだ大量のミカンが放置され、腐るのを待っている状況であります。さらに、政府の果樹農業振興方針の生産目標によれば、昭和五十六年度には四百二十万トンを目ざしておるのであります。ミカン生産地の暴落に比して、都市における消費者価格は、必ずしもそれほど下がっていないわけであります。このことは、ミカン以外の野菜にも言えることであります。政府は、新年度予算でミカン加工工場をふやすというけれども、これではまさしくどろなわ式と言わざるを得ないのであります。こんなことでミカン農業が安心して生産できる状況になるのか。この際、農産物価格補償制度の拡大強化を早急に実施すべきではないかと思いますが、政府の所信を伺いたいのであります。
 次に、外交問題についてお尋ねをいたします。
 七〇年代の国際情勢は目まぐるしくゆれ動き、中国の国連復帰を機として世界は本格的な三極時代に入ったのであります。さらに、ベルリン問題をめぐる東西関係の改善、南北朝鮮の歩み寄り、べトナム和平など、国際関係が緊張緩和に向かって新展開を遂げております。そうした変革の中にあって、わが国は、沖縄の復帰、日中国交の正常化を達成し、アジア外交に本格的に取り組む時がまさしく熟したと言えるのであります。わが国が強力に取り組まなければならないアジア外交の課題は、経済協力の面でどうあるべきかという点に集約されると思うのであります。すなわち、ベトナム和平後、インドシナを中心とした経済復興が大きな課題となっているわけでありますが、わが国がいままでのような反共的な経済援助を続けるのか、それとも、相手国の立場を尊重し、自立を促すような真の経済協力を行なうのか、大きな岐路に立たされていると言えるのであります。
 いまや、タイの日本商品ボイコット運動に見られるように、東南アジア諸国において日本が非難されている底流を見ると、日本の経済協力に対する原則がないからだと言わざるを得ません。その点、中国では、経済協力のあり方として、対外経済援助八項目という基本原則を示しております。わが国も、経済協力に対する原則をこの際明確にし、提示すべきであると思いますが、どうでございましょうか。また、その基本原則はどういった形でなされるのが一番理想的なのか、お示しをいただきたいと思うのであります。
 次に、援助のあり方についてでありますが、確かに量の面での援助実績は大幅に増加しました。すなわち、発展途上国に対する援助総額は、一九六九年に十二億六千万ドルと、DAC加盟国中第四位でありましたのが、一昨年には二十一億四千万ドルに達し、米国に次いで世界第二位になったのであります。また、援助額がGNPに占める割合も、DACが目標とする一%に近く、〇・九六%に達しているのであります。しかし、問題は、政府援助の比率、技術協力援助条件など、質の面で先進諸国に比べ著しく劣っているということを指摘しなければなりません。そこで、政府は、経済援助に対して、GNPの一%まで上げればいい、また、ひもつき援助をなくせばわが国の経済援助は事足りると考えておられるのかどうなのか、まずその点からお伺いをしたいと思います。
 この点について、昨年十二月の第七回東南アジア開発閣僚会議が開かれました際に、大平外務大臣は、代表演説の中で、開発協力にあたっては開発途上国の経済的自立に資することを目的にしたい、今後すべての発展途上国に対しひもつき援助を廃止する、あらゆる障害を乗り越えて援助量の拡大と条件緩和につとめる、と力説いたしました。確かに、今後の経済協力のあり方としては、発展途上国の経済的自立を最大の目標とし、ひもつき援助の廃止、援助条件の緩和、政府援助の増大などが求められております。しかし、これらの提言は、これまで何回となく取り上げられ、そのたびに政府自身がから手形に終わらせてきたことは、まことに遺憾というほかはございません。年間二十億ドルもの大金を経済協力の名において使用しながら、資金運用についての総合的な政策決定機関も、実施のための統一的機構も、調整機構もないこと、公害の防止、福祉の充実と対外援助の強化をどのように調整していくのか、お聞かせいただきたいのであります。特に、政府開発援助の中の借款条件は、一向に緩和されているとは思えません。一九六九年のDAC援助条件勧告をまだ達成していないのは、わずかに、日本をはじめとして、イタリア、オーストリア、ポルトガルの四カ国であります。したがって、発展途上国の国民に希望を与えるような病院及び学校などの建設に対する援助条件を、いままでのようなきびしいものではなく、少なくともDAC援助条件勧告に持っていくように改善すべきであると思いますが、いかがでありましょうか。
 さらに、大平外務大臣は、演説の中で、アジア情勢が対立の緊張から対話による平和に移行しているとの認識をされております。そうであるとするならば、いままでのような型の援助、つまり、米国の肩がわり援助ばかりを強めることは、アジアの緊張を激化させるという点から見ましても早急に改められなければならないのでありますが、どうでございましょうか。したがって、わが国の経済協力の路線の転換と、北ベトナムなどの共産圏諸国に対する今後の具体的な経済協力計画を明示していただきたいと思いますが、どうでありましょうか。わが国の外交は、あくまでも国連を中心としたものであることは、言うまでもありません。そこで、紛争の多発地域であるアジアにあって、先進工業国であり、平和憲法を誇る日本が、国連中心主義を基調とするアジア外交を推進すべきであることも論をまたないのであります。そのため、公明党は、アジアの国々が意思の疎通をはかり、アジアにおける紛争解決の場として日本に国連アジア本部を設置すべきであることを今日までしばしば提唱してまいりましたが、いかがでございましょう。
 さらに、既存のエカフェを発展的に解消して吸収し、社会体制、政治体制のいかんにかかわらず、アジア諸国の経済的、社会的国際協力達成のセンターとして国連アジア経済技術教育開発機構を設置して東南アジアの平和と発展に寄与していく意思はないのか、総理の所信を明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、外務大臣は、一月二十五日、新聞社との話し合いの席上、わが国は、今後、国交のある南ベトナムのほか、北ベトナムとも政治、経済両面での接触を深め、ベトナムみずからが正しい解決をもたらすことを期待しながら対処する、と述べておりますが、北ベトナムに対して経済援助を行なうと受け取ってよいのか。
 さらに、外相は、日米安保条約に変更を加えるのは新たな緊張を生むおそれがあると申されております。安保の解消は、緊張緩和に役立ちこそすれ、緊張を新たに生む要素というものは全く考えられない。どのような緊張を新たに生むのか、この際お聞かせいただきたいと思うのであります。
 次に、防衛問題についてお伺いいたします。
 総理は、昨年の十月、四次防決定に際し、平和時における防衛力の限界を明らかにするように防衛庁当局に指示し、さらに、増原防衛庁長官は、日本記者クラブの講演におきまして、量的限界を明らかにする意思を述べ、また、臨時国会でも、そのことを繰り返し言明しております。ところが、本年に入り、総理は、二十二日の記者団との懇談で、限界を数字で示すことは非常にむずかしいという大幅に後退する発言をされております。さらに、二十五日に開かれた国防会議議員懇談会では、政府の見解としてではなく、防衛庁の方針として発表することでごまかそうとしております。少なくとも政府は防衛力の限界を明確にしない限り、国民の自衛隊に対する不安と疑問に十分こたえられるものとは言えないと思うのであります。総理は、この点について、政府の責任として本気になって取り組む姿勢がおありかどうか、お伺いしたいと思います。
 昨夕の報道では、陸上十八万人、空軍八百機、海上二十六、七万トンが平和時の限界といわれておりますが、この場でその数字を示していただきたいと思います。
 次に、基地問題についてであります。
 政府は、一月二十三日、日米安保協議委員会において、在日米軍基地の整理統合計画が合意されたのに伴い、具体的な施設の整理、移転計画を発表しております。それによりますと、関東平野の空軍施設七カ所は横田飛行場に三年計画で集約移転するほか、那覇にあるP3対潜哨戒機の嘉手納への移転に伴い、二年間で関東施設を嘉手納に移転することを明らかにしております。
 しかし、この計画には幾つかの疑問点があります。
 その一つは、今回発表された基地の整理統合計画は、明らかに基地の集約強化を露骨に示したものでありまして、安保、そして基地の半恒久化を意味していることは疑いないことであります。すなわち、ニクソン・ドクトリンによる基地の再編・強化による政府の日米安保堅持の姿勢があることを指摘しなければなりません。ベトナム和平が実現し、わが国をめぐるアジアの緊張緩和が一段と前進する現在、従来どおりのこうした政府の基本姿勢をとりつづける限り、わが国がアジアそして世界に対し貢献する国とはなり得ないと考えるのであります。
 総理並びに外務大臣の率直な見解をお伺いいたします。
 さらに、問題としなければならないことは、横田飛行場に集約する関東計画などによって、多額の施設移転費用などをわが国が負担しなければならないという点であります。たとえば、関東計画だけでも、わが国の負担金は約二百億円にものぼるというのであります。
#5
○議長(河野謙三君) 渋谷君、渋谷君、時間が経過しております。簡単に願います。
#6
○渋谷邦彦君(続) 計画全体からいけば、何と五百億円という膨大な金額に達するのではないかといわれているのでありますから、全く驚くべきことであります。しかも、そのほとんどが米軍人またはその家族の住宅建てかえ費や飛行場の整備の経費として負担することになるのであります。言ってみれば、米軍の遊休施設をわが国が買い上げているのと同じ論理になるわけでありますから、それだけ国民にとっては重い負担になるわけであります。
 この点については、地位協定二十四条にも違反することでありまして、この際、政府は、地位協定をかってに拡大解釈しているのではないかと見られますが、総理の明確な御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(田中角榮君) 渋谷君に対するお答えに先立ちまして、昨日の占部君に対するわが国自衛力と日米安保条約の問題についての答弁を明確にするため、この際、あらためてお答えをいたしたいと存じます。
 わが国が保有することを許されている自衛力の限界は、自衛のため必要な最小限度のものに限られるというわが憲法の要請として決定されるのであって、安保条約の有無によって当然にその限界が変わるようなものではありません。日米安保条約はわが国の自衛力を補完するものでありまして、これによってわが国の防衛を保っていきたいと考えておるのであります。
    ―――――――――――――
 次に、渋谷君の問題に対してお答えをいたします。
 第一は、財政に関する問題等でございますが、四十八年度予算におきまして、年金制度の拡充など、社会保障の充実に重点を置き、社会保障関係費は二兆一千億円余、増加率二八・八%になっておるのであります。それに対して、災害復旧費を除く一般公共事業費は二兆五千億円余、増加率は二八%であります。このうち、特に住宅、下水道、公園など、生活環境整備に重点を置き、その増加率は四七・七%となっておるのでございます。
 インフレ防止のために万全の措置を講じなければならないことは、申すまでもないことでございます。景気の動向を見守りながら、予算の執行を慎重に行なってまいりたいと考えます。また、金融政策により、過剰流動性の吸収など、財政金融の一体的な運営をはかってまいりたいと考えております。いわゆる御指摘の調整インフレの考えは、全く持っておらないのでございます。
 公共料金の抑制について抑制をはかってまいることは当然のことでございますが、国鉄、健保につきましては、間々申し上げておりますとおり、それぞれ大幅な財政負担の増加を行ない、鉄道の機能の発揮あるいは家族給付の改善等をはかっておりますので、最小限の負担につきましては御理解を得たいと思うのでございます。
 価格抑制策といたしましては、輸入の拡大、生鮮食料品対策、流通対策、独禁法の厳正な運用などの対策を総合的に実施するほか、低生産性部門の生産性の向上をはかるための構造対策を実施してまいります。
 寡占企業に対する管理価格の排除の問題に言及されましたが、寡占産業において不当な価格形成が行なわれるような場合には、公正取引委員会が独占禁止法により現にきびしく取り締まっておるのでございます。
 また、寡占の実態の把握等につきましては、公正取引委員会の調査権限を活用してまいりたいと考えます。
 農業の構造改革について言及せられましたので、お答えをいたします。
 農業の構造改革を強力に推進するため、土地改良十カ年計画を策定して、農業生産基盤の整備を計画的に進めますとともに、農業団地の育成、農地流動化の促進等の施策を進めてまいります。
 また、中小企業の設備近代化、技術開発のため、各般の財政、金融、税制上の措置をとっておるのであります。特に、来年度から、無担保無保証の小企業経営改善資金融資制度を創設することにいたしております。
 卸売市場の緊急整備の問題でございますが、中央卸売市場の適切な運営の確保のため、国及び地方公共団体の指導監督に加えて、開設運営協議会の設置、せり人の登録制等を行なってまいりたいと考えます。
 政府の地価抑制措置についての御発言に対してお答えをいたします。
 地価抑制策といたしましては、土地利用計画の策定と土地取引の届け出制、開発行為の規制の強化、都道府県知事の指定する特定地域内における土地利用規制の強化、また、法人の土地譲渡益に対する課税の強化、特別土地保有税の新設、土地融資の抑制、宅地開発事業の促進、公有地の拡大の推進、また、御指摘になりましたレンタル制度につきましては、農協等を通ずる土地の賃貸方式の導入等をはかっておるのでありまして、現時点における土地対策としては相当思い切ったものであると考えておるのでございます。
 また、入居者の負担能力に応じた家賃算定方式の導入について御発言がございましたが、御指摘のとおり、住宅宅地審議会から、先般、入居者の負担能力に応じて家賃の決定を行なう方法も有力な手段である旨の答申がございましたが、このような方法の採用は、現行住宅政策体系の基本的転換を意味するのでございまして、その採用につきましてはなお慎重に検討を要するものと考えます。
 土地の私有権の制限等についてお答えをいたします。
 土地に関しましては、憲法の認める範囲内で最大限に公益優先の原則を確立し、広く公正に国民に利用されるように努力いたします。公有地の拡大の推進に関する法律による先買い制度に加え、都道府県知事が指定した特定地域について、土地取引の届け出、中止勧告制、開発行為の許可制に加えまして、地方公共団体等による土地の先買い制度を創設する考えでございます。
 宅地の供給を促進いたしますために、当面、農業協同組合などを通ずる土地賃貸方式を早急に導入する考えであることは、先ほど申し上げたとおりでございますし、住宅公団等の公的機関が長期賃貸方式で宅地を宅地需要者に供給することについても検討いたしておるのでございます。
 法人の土地譲渡所得の分離課税等についてお答えいたします。
 政府は、国税による法人の土地譲渡税と地方税による特別土地保有税との組み合わせによる土地税制を実施することといたしております。
 土地譲渡税は、二〇%の税率で通常の法人税や地方税に上のせして課税することにいたしておりますので、両者を合わせればその負担は約七〇%となり、相当の重課となると考えるのでございます。
 なお、地価公示価格をこえる部分の土地譲渡益について重課するという考え方につきましては、私も十分勉強をしてみたのでございますし、また、事務当局にも勉強をしてもらいました。しかし、地価公示制度はまだ全国的に普及しておりませんので、基準として適当であるかどうかについて問題が存在いたします。また、税制のみによってこのような土地についての一種の公定価格制度を維持しようとすることには無理があるなどの問題がございます。
 また、公定価格について、課税標準額の何倍というようなことを考えたらどうかということについても研究をいたしましたが、現在、非常に不均衡が生ずるという問題がございまして、この公示価格、地価の基準価格をどうするかという問題は、将来の問題として国民的衆知の結集を待ってみなければならない問題であるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
 土地利用計画などのため、国及び地方公共団体に土地管理委員会を設置すべしという議論でございますが、土地利用基本計画の策定、土地取引の規制等について、地方公共団体において公正を期するため、審議会その他公正に判断をするための何らかの機関が必要であるということを私たちも考えております。
 社会保障、年金等の問題に対して申し上げます。
 新しい長期経済計画では、国民福祉の向上を最重点目標の一つとしてその画期的な充実をはかることとし、おおよその方向づけを示す予定で答申をお願いしておるのでございます。年金につきましては、四十八年度予算において、五万円年金の実施、物価スライド制の導入など、画期的な措置を講じたのであります。国際的に見ても遜色のない水準であると思うのでございます。わが国の公的年金制度はいまだ歴史が浅く、したがって、被保険者に対し受給者が少ないという実態でありますが、今後、老齢人口が急速に増加するということに伴いまして、受給者も増加いたします。年金制度をわが国老後保障の根幹に据え、長期的視野に立って制度の整備充実をはかってまいらねばならないと考えております。
 大学の学費問題等に対しての御発言にお答えをいたします。
 高等教育に要する費用は、受益者において相応の負担をなすべきであります。しかしながら、高等教育在学者の層が厚くなりつつある現状、高等教育の果たす役割り等から見まして、私学助成や育英奨学の方法により学費の適正化をはかりたいと考えておるのでございます。
 私学振興についてお答えをいたします。
 私学の経営につきましては、私学自身が責任を持つのがたてまえであり、また、その主要な財源が学生納付金に求められることはやむを得ないことであります。
 昭和四十五年度の国民所得に対する高等教育費の割合は約一・二%でございまして、御指摘のとおり、諸外国に比べて必ずしも十分な状態ではありません。私立大学の経営の健全化と、父兄負担の軽減に資するため、四十八年度予算において四百三十三億円余を計上いたしておるのでございます。
 私学助成の具体策といたしましては、私学に対する従来の経常費補助の拡充をはかるほか、各大学の特質に対応し得る助成策や、学生に対する奨学援助方策などをあわせて検討する必要があると考えております。
 農業問題に対して申し上げます。
 特にミカンに対して申し上げますと、四十七年産の温州ミカンの価格低落は、前年度を三割以上上回る増産となったためでありますが、今後、長期的な需要の見通しに即した計画的生産の指導、加工対策の拡充などを通じて価格の安定をはからなければならないと考えます。従来から、米麦をはじめ、畜産物、青果物等、主要な農産物を対象として価格政策を実施してまいりましたが、今後も、野菜、果実等、需要の拡大する部門を中心に価格政策について研究を進めてまいります。
 経済協力の基本原則等についてお答えをいたします。
 基本原則という形で内外に明らかにする必要が特にあるとは思えませんが、国際社会が東西の対立を清算して南北の問題に取り組まなければならないこと、そのため、わが国は重大な国際責任を負っておること、その際、相手国にほんとうに役立つ援助をやらなければならないことについて、一そうの認識を深くしなければならないと思っております。
 わが国経済援助の推進にあたりましては、先ほども御指摘がございましたように、量においては、国際的目標であるGNPの一%をほぼ達成いたしておるのでございますが、政府援助の拡大、借款条件の緩和、ひもつきでない援助の推進等、質の改善をはかり、援助体制を整備し、相手国の立場に立って血の通った援助を供与しなければならないと思っておるのでございます。
 防衛力の限界について、現在、防衛庁に研究させている平和時の防衛力は、今日のようた平和な情勢のもとにおいてふさわしい防衛力整備のめどであります。これを明らかにできれば、国民の自衛隊に対する理解を増す上に役立つものと思っておるのでございます。防衛庁から中間報告を受けておりますが、この問題は非常にむずかしい問題でございまして、さらに防衛庁において鋭意研究を進めておる次第でございます。
 数字を示せということでございますが、いま勉強いたしておりますので、予算委員会その他まで間に合うようにということで勉強中でございますから、ひとつ御理解を賜わりたいと思います。なお、私も、けさ、テレビでもって、二、三の数字を見ましたが、しかし、防衛庁からまだ連絡を受けておらないのは事実でございます。
 返還後の基地の利用方法等についての御言及に対してお答えをいたします。
 返還された米軍施設の利用につきましては、限られた土地の有効利用という大前提のもとに処理を進めてきておるのであります。できる限り、地域開発等、公共の用に供することを心がける一方、自衛隊による国の防衛のための施設を確保する必要も考慮しなければならないと考えるわけでございます。
 なお、不足のものにつきましては、関係大臣から答弁をいたします。
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(愛知揆一君) 一点だけ補足して御答弁申し上げます。
 社会福祉と公共事業との関係で予算の配分がおかしいではないかという趣旨の御質疑でございましたが、昨年は災害が非常に多かった関係もございまして、公共事業費の中には災害復旧の関係がほとんど一〇〇%認められております関係で、全体の比率が三〇%をこしておる、その点に御留意をいただきたいと思います。同時に、公共事業費の中では、社会資本の整備に非常な重点を置いておりますので、たとえば、生活環境施設には六一・四、あるいは下水道、公園、廃棄物処理施設というようなところには多いところは九割三分の前年よりも多くの予算が計上されております。少なくとも五七・七%、さらに生活環境施設と関連いたします社会福祉施設が五二・五%の伸びになっておりますし、文教、体育関係もそれぞれ伸びておりますので、公共事業費の内容を御点検いただければ、社会福祉政策に関連したものが大きなウエートを占めておるわけでございまして、こういう点を総合的にごらんいただきますとまた御意見が変わってくるのではないかと、かように考える次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(小坂善太郎君) インフレという表現を、いわゆる通貨に対する信認が失墜されたインフレーションと、そういう意味でなくて、物価騰貴というような意味でおっしゃっておるようでございますから、そういう趣旨でお答えを申し上げますが、わが国の消費者物価上昇の原因につきましては、経済成長の過程で、重化学工業など高生産性部門と、農業、中小企業、サービス業などの低生産性部門との間に生産性の上昇率について大幅な格差が生じまして、これが労働需給の逼迫による賃金、所得の平準化と相まちまして、低生産性部門のコストを上昇させ、価格上昇を招いておると、そういう意味で、いまの物価上昇をしいて言えば、生産性格差インフレというようなものではないかというように思っておるわけでございます。
 これに加えまして、都市化の著しい進展に伴う流通費用の増大が生鮮食料品等の価格を一そう上昇させていること、それからさらに、物価上昇には原材料を中心とする海外の物価高などの影響があらわれておる、これが最近の物価上昇にも影響しておるというふうに思うわけでございます。
 で、おっしゃるようなデマンドプルインフレ、いわゆる需給バランスから見て総需要が潜在的な成長力を上回ることによって生ずるデマンドプルインフレ、そういうものでもないし、また、管理価格が非常に一般化しておる、そういうことによって生ずる管理価格インフレでもないという認識を持っておるわけでございます。
 なお、全体の総需要の点につきましてでございますが、いわゆる過剰流動性、これを何とか少し押えていかなければならないということで先般いろいろな措置をとっておることはこの前の席でも申し上げたわけでございますが、いわゆるマーシャルのKという考え方がございまして、これは名目GNPと通貨の流通量の関係をいうのでございますが、これは昭和四十四年ごろ二五ないし二七%ぐらいになっておりましたものが、昭和四十六年の四月から六月ごろ急激に上昇してまいりまして、四十七年度になりまして三〇%をこえておるわけでございます。そうした現象をとらえまして、できるだけこの過剰流動性を吸収するということがいわゆるインフレ対策に非常に効果があるというふうに考えておるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(齋藤邦吉君) 厚生年金の五万円年金につきましては、総理からお答えいたしましたとおりでございまして、昭和四十八年度におきましては、現実に、新規の受給者並びに既裁定受給者等を含めまして、五万円以上いただける者は七万五千から十万人ということでございますが、今後老齢化現象がきびしくなってまいりますので、受給者は相当増加いたすと見通しております。
 さらにまた、今回の改正により、既裁定年金額につきましては二・二倍上がるわけでございまして、現在平均老齢年金額が一万六千円程度でございますから、そういう方々も三万ないし四万近く上がる、こういうふうに考えておる次第でございます。
 国民年金につきましては、歴史が浅いわけでございまして、二十五年という資格期間がまだ完成いたしておりませんので、その間にありまする経過年金等につきまして、すなわち十年年金につきましては、現在、夫婦月額一万円でございますが、法の改正に伴いまして二万五千円に引き上げられる、こういうことになるわけでございます。
 次に、現在の老人層で国民年金に加入していない方につきましては、七十歳から老齢福祉年金をいただけることになるわけでございますが、障害のある方については、六十五歳から老齢障害福祉年金をいただけることになっておりますが、さらにまた、任意加入の対象とされておられる方々につきましても、今度の改正においてさらに拠出年金との結びつきの措置を講じてまいりたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
 さらに、老齢福祉年金でございますが、これは、御承知のように、全額国庫負担の無拠出年金でありますので、拠出制年金と差がありますことはやむを得ないと思います。しかしながら、老齢福祉年金の受給者が大宗を占めているということを考えまして、福祉年金の給付改善につきましては努力をいたしておるところであり、四十八年度におきましては、御承知の月額三千三百円から五千円、さらに昭和五十年度におきましては月額一万円に引き上げるということでございますので、御了承願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(大平正芳君) 私につきましては、経済協力の問題と、アジア外交の問題と、基地問題、三点にわたっての御質疑がございました。
 経済協力の原則につきましては、総理から御答弁がございました。私が補足いたしたいのは、御指摘の政策決定機関、その実施にあたっての調整機関についての御質疑に対してお答えいたします。
 現在、わが国の経済協力は、関係各省が協議するたてまえで、対外経済協力閣僚懇談会等が調整に当たり、その実施は、経済協力基金、輸出入銀行、海外技術協力事業団等が当たっておるわけでございます。
 なお、御指摘の点につきましては、今後検討の上、改善すべきものあれば、鋭意改善してまいりたいと考えております。
 第二の点は、北ベトナムに対する援助をどうするかという問題でございますが、これは、きのう、占部議員の御質疑にもお答えいたしてまいりましたとおり、南北を問わず、今回の和平協定が忠実に守られる限りにおきましては、ベトナム全域を対象といたしまして援助を考えてまいりたいという方針でございます。
 それからアジア外交につきまして、国連アジア本部を設けたらどうかという御構想、この構想は、渋谷さんの属する公明党の御主張にかかっておる構想であることは、われわれは前々から承知しております。一つの興味ある構想であると思いますが、現在、国連は、ニューヨークに本部を持ちました機構といたしまして、鋭意世界全体の状況を反映するような機構に改めるべく努力を傾注しておるときでもございまするし、また、国連財政の現状は必ずしも楽でない状況でございますので、この問題をいま政府として取り上げて推進するという考えは持っておりません。
 それからエカフェを発展的に解消して、国連アジア経済技術教育開発機構を設置してはどうかという御提案でございます。私ども、エカフェは国連の地域経済委員会で最大のものでございますし、アジア・太平洋地域のほとんどの国を中国も含めて網羅しておる唯一の地域協力機構であり、米国、英国、ソ連等の域外先進国も加盟してその活動に参加していただいておるわけでございまして、これは現在の段階ではこのエカフェを有効に活用してまいるのが適切でないかと考えておるので、その発展的解消ということにつきましては、現在まだ考えておりません。
 それから安保条約に改変を加えることは新たな緊張を生むおそれがあるではないかということについて、そういうことはないじゃないかという御指摘でございますが、私が申しました趣旨は、世界の平和の維持に大きな責任を持っております大国が、相互に対決的姿勢を改めまして、対話と交流を通じて平和を確保しようという政策を展開するようになりまして、その結果、こういう緊張緩和の状態が出てきたわけでございまして、この傾向を一そう確実なものにすることがすべての国の努力の目標でなければならぬと思うのであります。そのためには、急激な変化は必ずしも賢明でないのでありまして、欧州の諸国の例にも見られますように、緊張緩和をもたらした国際政治の基本的なワク組みは変えないで、鋭意この緊張緩和が定着するような方向に持っていくことが望ましいという趣旨でございまして、全体の基本的なワク組みの一環をになっておる安保条約も軽々に改廃すべきものではないと、こういう趣旨でございます。
 それから先般の基地の統合でございますが、これは基地を半恒久化するようなもので、それをはかったものでないかという御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、この間、全体の基地面積の五%余の整理を断行することに日米間の合意を見たわけでございますが、この特徴は、本土では関東平野、沖縄では那覇市周辺という、国民にとりまして一番経済的にも社会的にも重要な、しかも人口稠密な地域での整理統合をねらったものでございます。安保条約を堅持する一方、基地の提供と地域住民との間に緊張が高まるようでは困りますので、それを砕いていかなければならない。したがって、一番緊張の高いところがら整理統合をはかるということに力点を置いたものでございまして、基地を半恒久化するというような意図でやったものでないことは、御理解をいただきたいと思うのであります。
 それから今度の計画に伴う基地施設の移転費等につきまして、地位協定違反のおそれがないかという御指摘でございますが、地位協定第二十四条第二項には、施設・区域を協定の存続期間中、米側に負担をかけないで提供することを義務づけておるわけでございまして、この協定の存続期間中提供するわけでございますので、代替施設の提供に限らず、既存の老朽施設の修改築等についての適正な負担も、私どもは地位協定違反であるとは考えていないわけでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(河野謙三君) 向井長年君。
   〔向井長年君登壇、拍手〕
#13
○向井長年君 私は、民社党を代表して、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 まず、私は、田中総理の政治姿勢についてお伺いいたしたいと存じます。
 田中総理が総理になられて、コンピューターつきブルドーザーと称せられ、日本列島改造論等をぶち上げて、長年の自由民主党の政権に対する国民の不信感が若干薄らぎ、ほのかな期待感が出て、一応田中ブームが出たかに見えましたが、総選挙を経て、再び田中内閣発足と、あなたの施政方針を聞いて、何ら新鮮味がなく、国民はがっかりいたしております。超インフレ予算、福祉は看板のみで全く不十分、土地対策も骨抜き、四次防、安保等、アジアの趨勢と国民世論に逆行する政策等、田中内閣に対するほのかな期待感は消え、急速に人気が落ちつつあることを知らなければならぬと思います。しかし、今日までの自民党歴代総理と多少異なる点は、実行できなければ責任をとりますと、責任を強調しておられることはたいへんその心がまえはよいと私は評価をいたします。
 しからば、政策以前の問題として、先般の総選挙の際、あなたの率いる自由民主党候補の悪質選挙違反が非常に多いことについて、あなたはその責任をどう考えておられますか、お尋ねをいたします。とりわけ、最年少当選の滋賀県選出の上田茂行君は、御承知のごとくマスコミの問題になり、田中派に属し、もとはあなたの秘書であったと聞いております。言うなれば、田中門下生ではありませんか。彼の選挙では、地元滋賀県東浅井郡湖北町が町会ぐるみの悪質選挙違反が摘発されて、同町議会は、十七議員のうち、正副議長を含め十四人が検挙、逮捕され、議会を開くこともできず、全く町議会そのものが麻痺し、昨年末には全議員が総辞職して町民にわびることをきめており、議会の自主解散を行なうことになっていると私は聞いておるのであります。この件は、供応、買収等の悪質違反であり、ほかにも百人以上の容疑者を出したといわれております。田中総理、これに対してあなたはどう責任を痛感されますか。
 昭和三十四年、本院参議院通常選挙において、いまは亡き鮎川義介参議院議員と御子息の金次郎氏が立候補され、そろって当選されましたが、その後金次郎君の選挙違反が続出し、国民の批判を受けるに至りますと、父義介氏は、辞職して国民にわびよと、金次郎君に辞職を勧告いたしたのであります。金次郎君は、私自身直接の違反がないから、直ちに辞職しようとはしなかったのであります。しかし、潔癖な父義介氏は、つらいだろうが、それならばぼくもともに辞任しようではないか、こういって金次郎氏をさとし、親子そろってやめられたことをいま私は思い浮かべるのであります。実にりっぱな態度であったと私は思います。少なくとも国民の選良たる者はかくあるべきだと思いますが、あなたは上田茂行君の政治家としての育ての親ではありませんか。このままではまことに許せないものを感ずるのであります。総理というよりも、田中さん、この際、あなたが上田君に辞職を勧告し、国民にわびさすべきではありませんか。このことは、総理の政治姿勢にもつながる問題であると思います。国民の名において決断を私は要求いたしたいのであります。総理の答弁を願います。
 一連の選挙違反というものは、何をやっても勝てばよいという選挙に国民は大きな疑惑をただいま持っております。このことは政治資金につながっており、総理、政治資金規正法の改正は国民の強い要求であります。いまや決断の時期ではありませんか。田中総理の答弁をお願いいたします。
 次に、私は、今日火急の問題となっております土地対策について、政府の考え方並びに政府が講じようとしている施策を質問いたしたいと思います。
 政府は、去る一月二十六日の閣議決定で土地対策要綱を明らかにされましたが、これを一読すると、まず第一に、田中総理自身がしばしば発言されていた土地の所有権に対する制限論、特に一月二十二日の内閣記者団との会見で、土地は商品でないという思想を持っている、あるいは、私権の制限についても、法制局で検討した結果、問題はないとのことなので、思い切った政策をとると言われ、田中総理の信念とも受け取られていたのに、土地に対する私権制限がこの土地対策要綱には一つも生かされていないのは、一体どういうことなのか。行政の最高責任者たる総理大臣の方針がその内閣の施策において実現されないというのは、閣内意見の対立があるのか、それとも、総理の指導力が弱体なのか、そのいずれかでありましょうが、これでは土地を求めるに切なる庶民の願望をとうてい実現することはできない政府といわざるを得ないのであります。土地所有権に対する総理の確固たる信念を、今後どのように施策の中に取り入れようとするのか、ここであらためてお伺いをいたしたいのであります。
 第二は、今回の要綱に基づき土地政策を実施するといたしますならば、課税された分が地価に上のせされ、かえって地価の上昇を促進すると思うのであります。すなわち、特別土地保有税を見ますと、取得価格に対する年率一・四%程度の課税では、十分上のせさせ得る範囲の額であります。法人土地譲渡税にいたしましても、二〇%を法人税の上に課税する程度では、土地の譲渡価格に容易に上のせすることが明らかであります。要するに、政府の発想は、われわれ野党の案を借申しながら、その中身においては、土地投機でばく大なもうけをねらう大法人の利益を巧みに擁護する施策にすぎないと思います。われわれは、このような政府の施策には、断じて賛成するわけにはまいりません。
 総理、土地問題の根本的な解決は、何といっても、土地の自由な売買を廃止し、公的機関、すなわちわが党のいう土地利用公社を通す以外、一切の権利移動ができないようにすることしかないのであります。私は、まず、土地利用公社制度を早急に確立すると同時に、住民参加の民主的な手続を経て公共的土地利用計画を全国的にわたり策定し、少なくとも、五十年が長ければ二十年間でも、この計画外の用途変更を認めない基本的な土地政策の断行を主張するものであります。
 土地は全く商品にあらず、この基本に立って画期的な政策が展開されてこそ、特別土地保有税や土地譲渡税の税制も生きた役割りを果たすのでありまして、単なる微温的な税制程度では、より一段と高い価格水準での土地投機が行なわれる結果にしかならないと思うのであります。
 総理は、土地関係会社等にタッチされた豊かな経験からしても、土地問題の本質的な面は十分御承知のことであろうと思いますので、私の主張に対し、その見解を伺いたいところであります。明快な答弁をお願いいたします。
 次に、私は、国民生活を常に苦境におとしいれている物価問題について質問をいたします。
 明年度の政府予算案を見ましても、これといった根本策がありません。かりに若干のものがあったといたしましても、それは従来から行なわれてきた施策の延長にしかすぎません。
 まず、私は、政治家田中総理が、物価問題に対し、官僚の手による施政方針演説以外に、真実どう取り組まんと考えておられるのか、確信するところを伺いたいのであります。
 最近続々と値上げされております公共料金に対する政府の甘い態度を指摘しないわけにはまいりません。私があらためて言うまでもなく、今日の社会経済の仕組みからすれば、公共料金の引き上げが直ちに他の諸物価値上げを誘発するようになっているのを、政府は百も承知のはずであります。したがって、公共料金というものは、単にその企業体の理由からだけ見るべきではなく、納税者である国民の立場に立って、二重の負担をいかに少なくするか、そして他物価への影響をいかに断絶させるかという高い次元において公共料金施策を講ずべきであります。
 一例を国鉄にとってみましても、政府の説明は、国も十年間で三兆円程度の金を出し、国鉄自身も合理化につとめるのだから、国民も四回の料金値上げを負担してくれということでありますが、国の出す三兆円といっても、それはやはり国民の納める税金ではありませんか。明らかに国民は過大な二重払いをしいられておるのであります。だれが政府のこの説明を心から納得するでありましょう。
 いま、国民が痛切に感じ取っているものは、自民党政府のやることは、常に国民に負担増を強要する政策、つまり国民への責任転嫁政策でしかないということであります。なぜ、利益が増大しつつある企業に対し、法人税の引き上げや、各種の優遇措置をきっぱりと廃止して、取れるところから税を取ろうとしないのか。私のラフな計算によりましても、法人に対する課税の強化を行なうならば、少なくとも二千数百億円の増額が見込まれるのであります。明年度の国鉄運賃値上げ予定は、千八百億円を大幅に上回る財源を確保できるのであります。これを国鉄に回すことは不可能な施策ではないと思います。要は、田中内閣が看板とする決断と実行を発揮するかいなかにかかっているのではありませんか。
 私は、このような立場から、一般公共料金はもちろん、国鉄運賃問題についての、田中総理並びに大蔵大臣にその見解と御所信を伺いたいのであります。
 次に、現在の物価上昇の大きな原因である管理価格について、総理の所信をいただきたいと思います。
 管理価格とは、申し上げるまでもなく、たとえばビール、板ガラス、時計など、一つの産業の生産が数社に集中している寡占産業において、その製品価格は下方硬直的なものであります。また、その価格決定に際しては、ある中心的企業の先導のもとに、一斉に値上げを行なう特徴を持っておるのであります。われわれは、したがって、昭和四十六年の通常国会において、今後ますますこのような管理価格が蔓延することを憂えてその対策を政府に迫ってきたことは、御承知のとおりであります。ところが、政府は、その後何らの対策を講ずることなく現在に至っております。政府は、この怠慢に対し、責任を痛感しなければなりません。いままたこれら寡占産業の値上げが日程にのぼってきているではありませんか。
 具体的には、ビールの値上げ問題であります。一月二十五日の新聞報道によると、麒麟麦酒の社長は、しょうゆや清酒等が値上げして、ビールだけ据え置くということはできない、ことし中に値上げせざるを得ないと、早ければ四月中にもビールの値上げが行なわれることをほのめかしておるのであります。いまさら申し上げるまでもなく、ビール業界は典型的な寡占業種で、管理価格の最たるものであります。さらに、その中でも、麒麟麦酒は、毎年そのシェアを拡大し、いまでは一社で六〇%をこえ、他の三社を断然引き離しておるのであります。たとえば昭和四十六年を見ますと、他の三社は軒並み対前年比で出荷を減らしているにもかかわらず、麒麟のみは九%の増加を示し、年間利益も九十六億円にのぼっているのであります。このように、生産量もふえ、シェアも増大し、年間利益も増加している企業が、いままた値上げの口火を切ろうとしていることは、国民感情からしても全く納得のいかないところであります。ところが、このような傍若無人の企業に対して、具体的措置は全く放置されているではありませんか。これに対し、わが民社党は、管理価格規制法を立案し、国会にも提案してきたことは、御承知のとおりであります。
 そこで、田中総理に質問いたします。最近のビール業界の値上げについてどのような見解を持っておられるのか。また、このような管理価格の値上げを抑制するため、独禁法の改正なり新規立法を行なうべきと思うが、どうか。少々の難点があっても、管理価格規制法ができないはずは断じてないのであります。田中総理の言っておられる決断をもって実行すべきであります。総理の所見をお伺いいたします。
 次に、私は、福祉問題についてお伺いいたします。
 老人、身体障害者、その他の社会福祉施設はできたが、そこに勤務する職員の不足はどう対処するのか、この点を伺いたいのであります。
 私は、まず、何をおいても、このような施設に勤務する職員には、他の職業分野に働く者よりも高い報酬を与えることと、それにあわせ、多くの人材を確保して、一般公務員や会社員と同様の労働時間制を実現させることを当面の緊急目標にすべきだと思うのであります。また、社会福祉施設の現状を見ますとき、その九割近いものが民間施設であって、国及び公立の施設が極端に少ないのがわが国の現状であるのに対し、いまだ政府が国や公立の福祉施設の増設計画等を立案されていないことは、はなはだ遺憾であります。今後いかに対処するつもりか、伺いたいのであります。
 しかも、九割にもなる民間施設職員の労働条件を見ますと、四十歳で妻子のある者がわずか四万円程度の月給であります。女子職員に至っては、安い月給のみならず、養護勤務のため、何と月に十七日も夜勤をしなければならないということであります。その実態を政府は知っておりますか。要するに、政府の社会福祉政策とは、施設の建設や運営は民間にまかせて、そこに働く職員には、その善意と奉仕を利用し、犠牲をたよりにする政策に終始している無責任なものといわなければなりません。にもかかわらず、政府は、福祉重点の政策展開とか、福祉型予算の編成などと宣伝しているけれども、一体どこからそのようなことばが出ているのですか。ちなみに、明年度予算では、厚生省予算が二兆九百億円に対し、施設職員の待遇改善費がわずかに六十二億円にしかすぎません。その中でも、民間施設職員の給与改善費が七億円しか増額していないことを見ますとき、残念ながらこれでは現状を改善することができません。
 私は、現在の民間依存、職員の犠牲にささえられた社会福祉政策の抜本的な改革を強く要求すると同時に、福祉施設職員の身分及び給与等に関する特別措置法を早急に制定し、政府の明確な責務としてこれが抜本的な改善改革の実施を求めるものであります。総理並びに厚生大臣、大蔵大臣から、私の提案に対しどのように対処されるか、御答弁を願いたいと思います。
 次に、防衛についてお伺いいたします。
 ベトナムの和平実現と、それに伴うわが国の外交防衛路線の再検討についてであります。
 その第一点は、日米安保の問題ですが、政府は、これまで、日本は安保条約により米軍への補給の義務を負っている、この点でベトナムとの関係は否定しないとの見解を国会の答弁を通じて明らかにしてまいりました。こうした政府のこれまでの見解からしても、ベトナム戦争が停戦となった今日、日米安保並びにそれに基づく在日米軍基地のあり方は、再検討されるのが理の当然であります。しかるに、政府は、安保堅持の一点ばりで、これまでに対する何らの反省もなく、また将来への展望もないことは、きわめて遺憾といわなければなりません。われわれは、ベトナム和平により在日米軍基地の存在理由が大きく後退しつつあるいまこそ、安保の再検討をすべきときであると考えるが、どうか。
 昨日、衆議院で、わが党の受田議員の質問に対しての総理の答弁によれば、日米安保条約を保険契約のように考えているらしい。総理はアメリカを保険会社と考えているのか、御答弁を願いたいと思います。
 また、同時に、われわれは、この際、政府がわが国とベトナムとのこれまでの軍事的かかわり合いを清算するため、安保の極東範囲について、とれまでのような周辺地域というあいまいな拡大解釈をやめるべきであると考えますが、総理並びに外務大臣の所見を伺いたい。
 第二点は、米軍のベトナムからの撤退に伴うわが国への責任分担問題についてであります。田中内閣発足以来、安保防衛に対する基本姿勢は、一方では、米軍戦車輸送に伴う車両制限令の独断的改正、横須賀の空母の母港化、そして安保運用協議会の新設等に見られるごとく、昨年の日米ホノルル会談できめた安保の円滑な運用という方針のいわば強行であります。その反面、国民に公約した安保の事前協議制の再検討や、平和時の防衛力の限界について、この約束を全くほごにしたのであります。こうした田中内閣の安保優先からして、今後一そう懸念されるものは、アメリカのベトナム撤退に伴う、アメリカからの日本へのしわ寄せ的な責任分担要求であるのであります。すでに、在日米軍基地の集中強化あるいは基地の移転費用の分担は具体化されつつあり、また、昨年十月の日本記者クラブでの兵器の国産化にこだわらずとの増原防衛庁長官の発言、あるいは、本年一月八日のアメリカの議会で、日本は防衛費を増額し、米国の国際収支に力をかすべきというレアード前国防長官の発言など、一連の動きとなってあらわれつつあるのであります。もとより、われわれは、アメリカの国際収支改善にわが国としてもでき得る限り協力すべきでありましょうが、しかし、このような米国のベトナム戦争失敗のしわ寄せ的な性格を持つ兵器の購入、基地移転の費用分担、自衛力増強の要請等は断固排除するとともに、米軍基地の整理縮小を計画的に推進するため、日米間で整理縮小の年次計画を早急に作成すべきであると考えるが、総理並びに関係大臣の所見を伺いたいのであります。
 最後に、この際、ベトナム復興援助費を大幅にふやすとともに、この資金は、南北両ベトナムに公平に配分されること、また、特に南ベトナムに対しては、その窓口をサイゴン政府だけに限定しないように、慎重に配慮すべきであると考えるが、政府の方針を伺いたいのであります。
 同時に、インドシナ復興をめぐって各国がばらばらに競合するのを押えるため、この際、わが国がイニシアチブをとって、米・中・ソを含むインドシナ復興基金というような国際協力機構を設けるべきであると考えるが、あわせて総理、外務大臣の所見を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(田中角榮君) まず、政治姿勢についてお答えをいたします。
 さきの総選挙を通じ、国民の政治に対する期待と不満を私は痛感しておるのでございます。この期待にこたえて、新しい時代の課題に挑戦し、国民のための政治を決断し、実行してまいりたいと存じます。
 なお、選挙は公正明朗に行なわれなければならないことは、論をまちません。議会制民主主義の発展のために、これからも、制度の改善をはじめ、十分に効果をあげるように努力を続けてまいりたいと考えます。御指摘の件につきましては、慎重に考えてまいりたいと存じます。
 第二は土地対策でございますが、私は、憲法が認める範囲内で最大限に公益優先の原則を確立し、土地が広く公正に国民に利用されるように努力をいたします。
 自由販売の禁止、権利移動は公的機関を通じてのみ認めるべしという御意見についてでございますが、土地利用規制につきましては、一定規模以上の土地取引に届け出を義務づけ、投機的なもの、合理的な土地利用を阻害するもの等について、都道府県知事が中止勧告を行なうとともに、開発行為に対する規制を強化することといたしております。また、合理的な土地利用を誘導するため、土地税制の強化をはかっておることは、御承知のとおりでございます。御提案のように、一切の権利移動を土地利用公社のような公的機関を通じて行なわせることにつきましては、民間の土地売買件数が年間約二百九十万件――四十六年度でございますが、そのような実態から見まして、売り手、買い手の事情及び販売価格について公正な判断を行なうことは事実上困難であると考えられますので、いまの御提案は現実的ではないと考えられるわけでございます。
 土地問題の根本策を忘れた微温的な土地税制だということでございますが、今回の土地税制は、土地譲渡税と保有税とを組み合わせることによって、土地投機の抑制をはかりつつ、あわせて宅地等の供給の促進に資することを目的といたしておるわけでございます。
 間々申し上げておりますが、土地譲渡税については、二〇%の税率を予定しておりますが、通常の法人税、地方税に上のせして課税をされるものでございますから、両者を合わせればその負担は約七〇%となりまして、相当な重課であり、土地の国有化というような考え方がない以上、この程度の税負担が限度であると考えられるのでございます。
 土地保有税については、今回実施しようとしている特別土地保有税は、いわゆる未利用地税ではなく、利用度のいかんにかかわらずこれは一律的に課税するものでございますから、その税率をあまり高くすることは適当でないと考えられるのでございます。
 物価問題に対しては、今年最大の課題であると申し上げておるとおり、諸般の施策を実行してまいらなければなりません。特に、その中で、公共料金につきましては、従来からも極力抑制的に取り扱ってまいっておるわけでございます。しかし、公共料金も価格体系の一部を構成するものである以上、人件費等が上昇する中で長期にわたってこれを抑制することは困難な面があることも御理解願いたいと思うのでございます。
 国鉄運賃の改定につきましては、累積赤字一兆二千億にのぼる現状でございますし、国鉄は過去百年間にわたる日本の国民の足でございます。特に、地形、地勢上の制約を受けておる日本としては、理想的に申し上げれば、近距離は陸上輸送に、中距離は鉄道に、長距離は海運にというような、三位一体の交通網の整備をはからなければ国民生活に重大な影響を及ぼすであろうことは、論をまたないわけでございます。国鉄が、過去百年に、日本経済の発展、国民生活の向上というものに果たしたウエートは、私が申し上げるまでもなく、全く国民生活とは切り離せないほど重要な問題でございます。また、これからも、国鉄の国民の足としての持つ責任、持つ地位は、大きくなっても低下してはまいらないわけでございます。そういう意味で、十カ年において、一般会計約三兆六千億円、財政投融資約九兆三千億円という大幅な政府からの助成もあわせて考えておるのでございます。
 国有鉄道というものは、国有鉄道法成立の由来を説くまでもなく、無料公開の原則に立つ道路と、また一般の利益を追求する私企業との中間ぐらいを行くものだと思います。ある意味においては、赤字でも、政策目的を達成するために必要であればどうしても敷設をし運行しなければなりません。これは、いまの三公社五現業という制度の中で位置づけが行なわれておることを見れば明らかなことでございます。そういう意味で、すべてを利用者負担に求めるということではありません。国も大きな援助を行ないますとともに、最小限度の負担を利用者に求めるということでございますので、御理解を賜わりたい、こう思うのでございます。
 なお、法人の税負担については、昭和四十八年度の税制改正において、産業に対する租税特別措置の積極的な改廃を行なったほか、別途、固定資産税についてもその負担を高める措置を講じてもるところでございます。法人税負担の増加を国鉄問題など個別の財政需要に結びつけて論ずることは、適当でないと考えておるのであります。
 ビールをはじめとする管理価格規制についてのお尋ねでございますが、自由経済体制のもとで政府が直接企業の価格形成に介入することには慎重でなければならないと考えるのでございます。したがって、独占禁止法の厳正な適用によって不当な価格形成の排除につとめるとともに、寡占の実態調査に即しつつ監視体制の整備等を含めて対策のあり方を検討してまいりたいと考えます。
 社会福祉施設等について申し上げます。
 社会福祉施設職員の待遇改善につきましては、昭和四十七年度に職員給与の大幅な引き上げをはかり、ほぼ国家公務員並みの給与を支給するのに必要な予算を計上いたしました。また、四十八年度には、職員の勤務条件の改善対策として、保母、寮母をはじめとする職員の増員をはかるなど、かねてから努力をしてまいったわけでございます。今後とも、職員の待遇改善については引き続き努力をいたしたいと考えます。
 現在、社会福祉施設は、全体の約六五%が公立となっており、最近の傾向は、公立施設の占める割合が漸次増加しつつあるのでございます。これら施設の増設計画については、昭和四十六年度に策定した社会福祉施設緊急整備五カ年計画に基づき、鋭意努力をしてまいりたいと考えます。
 福祉施設等の職員の身分及び給与に関する特別措置法の制定につきましては、社会福祉施設等の職員の身分などについて目下、中央社会福祉審議会において審議中であり、その結論を待って必要な措置を講じてまいります。
 ベトナム停戦に伴う安保、基地のあり方等についての御質問にお答えをいたします。
 日米安保体制は、わが国の安全を確保し、アジアの平和と安定をささえる重要な柱でありますので、軽々に安保体制を再検討するつもりはないのであります。
 基地につきましては、日米安保条約の目的達成と基地周辺の開発の要請との調整をはかりつつ、今後とも整理統合をはかってまいりたいと考えます。
 最後に、インドシナ復興基金について申し上げます。
 わが国は、社会体制の相違を越えて援助を行なうつもりであります。インドシナ復興は大事業でありますから、国際協力が必要であります。復興基金の設置について、関係国とも相談をしながら検討してまいりたいと存じます。
 残余の問題に対しては、関係閣僚からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(愛知揆一君) 公共料金と物価の関係、その負担の関係でございますが、国鉄に例をとりましても、四十八年度だけで、一般会計から千七百億円、財投からは六千六百七十六億円という巨額な財政援助をいたすわけでございますし、十年間になりますと、昨日も言及いたしましたが、一般会計で三兆円をはるかにこえます。財投では九兆円をはるかにこえます。こういう状況でございますから、消費者物価のことしの値上がり見込みは五・五%で、その中で〇・四%の寄与率といいますかシェアになる程度の今回の国鉄再建案の中の運賃値上げについては、受益者の負担としてぜひ御協力をいただきたい。また、こうした公共料金も価格体系の一部でございますから、他の価格とのバランスをとりながら、同時に、国鉄自体でも良質のサービスの円滑な供給に期待をするという考え方でございますことは、ただいま総理からも詳しく申し上げたとおりでございます。
 これに関連して、法人の税をもっと重課すればいいではないかと、こういう御意見でございましたが、法人税については、これは税率だけで論ずるのもいかがかと思うのでありまして、今回の税制改正では課税所得を相当大幅に拡大いたしております。そして、輸出関連、産業関連の特例措置をやめますので、その関係で、法人関係からは約四百億円の増収が予期されるわけであります。さらに、固定資産税の調整が行なわれますから、この面からも法人の税負担は相当加重されることになると存じます。
 第二の問題は、老人ホーム、保育所等の職員等の待遇の問題でございますが、これは詳しく総理から御説明がございましたが、四十八年度におきまして、国家公務員並みのベースアップに応ずる改定で百八十四億円、保母、寮母等の増員をいたしまして勤務条件を改善をする、この関係で五十五億円、それに、お話がございました民間施設の特別の給与改善費を計上いたしまして、これらの関係で二百四十六億円が計上されております。それから社会福祉施設緊急整備五カ年計画、これも財政当局といたしましてもその趣旨を尊重いたしまして四十八年度におきましても所要の予算を編成いたしております。これらをパーセンテージで申しますと、昨年度に比べ五五%あるいは四一・七%というような増額の比率に相なるわけでございますが、さらに、これらの問題につきましては、御趣旨を体し、厚生省と十分に協議をいたしまして善処いたしたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(齋藤邦吉君) 社会福祉施設の問題につきましては、総理大臣並びに大蔵大臣から御答弁がございましたので、それにつけ加えることはございません。御趣旨を体しまして、大いに努力をいたす考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(大平正芳君) 外交問題につきましては、総理からあらまし御答弁がございまして、残された問題といたしまして極東条項についてのお尋ねがございましたが、極東条項についての、極東の範囲及びその周辺の地域についての考え方は、安保国会以来、政府はその考え方を変えておりません。
 それから基地の整理につきまして、計画的な年次計画は立たないかという御質疑でございました。これはアメリカとの間の調整がございまして、年次計画を立てるということは容易じゃないと思うのでありますが、少なくとも今後の基地整理につきましては、できるだけ御趣旨に沿って、将来の展望をできるだけ明らかにしつつやってまいりたいと思います。(拍手)
#18
○副議長(森八三一君) 内閣総理大臣から答弁の補足があります。田中内閣総理大臣。
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(田中角榮君) アメリカを保険会社と考えておるのかという端的なことでございますが、これはそのように考えておるわけではございません。安保条約が非常に大切であるということに対する一つのたとえ話的な考え方を述べたわけでございます。日米安全保障条約は、日本はアメリカに基地を提供いたします、そしてアメリカは日本の安全に協力をするということになっておるわけでございますが、有事駐留ということになると、必要なときだけ来て助けてくれと、こういうことに平たく言えばなるわけでございます。そういう意味で、有事に対して保険制度がありますように、やはりお互いは協力をしなければなりません、その意味では基地は提供しなければなりませんということを短い間に申し上げたわけでございまして、言わずもがなであったかもしれませんが、いずれにしても、安保の必要であって、有事駐留というようなそのときだけ来てもらうというような協定がなかなか行なえるものではないという問題に対して言及をしたのでございまして、アメリカを保険会社とは考えておるわけではないので、御理解のほどを切にお願いをいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○副議長(森八三一君) 河田賢治君。
   〔河田賢治君登壇、拍手〕
#21
○河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、総理の施政方針演説について、主として内政問題を質問いたします。
 まず、財政経済政策についてであります。今日、国民は、物価のとめどもない値上がり、重い税金、社会保障の極端な立ちおくれなどに苦しみ、このような事態を生み出した歴代自民党政府の財政経済政策の根本的な転換を強く要求していることは、さきの総選挙の結果も示しているところであります。総理も、国民の政治に対する期待や不満を痛いほど感じ取ったと述べておられるのでありますが、それならば、歴代自民党政府のアメリカ追随、大企業奉仕の経済政策を、国民の命と暮らしを守る政策に根本的に転換することこそ、まじめな態度なのであります。
 ところが、昨日の衆議院本会議でのわが党の村上議員の質問に対する総理の態度は、今度は、過去の大企業本位の高度成長政策を無反省にほめたたえ、日本列島改造を大いに進めるという趣旨のものでした。
 私は、国民の苦しみをしり目に、ひたすら大企業の利益に奉仕する総理のこのような姿勢をきびしく批判するとともに、生活優先、日本経済のつり合いのとれた発展への大きな転換を強く要求するものであります。
 この立場から、以下、幾つかの緊急な問題について総理の考えをただします。
 まず、物価、インフレの問題であります。
 わが党は、ずっと以前から、物価上昇で大もうけするのは大企業であり、苦しめられるのは働く国民だということを明らかにしてまいりました。そして、物価上昇の根本原因は、政府が大企業本位の高度成長政策のために、インフレ政策、公共料金の引き上げ政策を続け、大企業の独占物価のつり上げを放置してきたことにあると指摘し、ここにメスを入れなければだめだと言ってきたのであります。ところが、政府は、物価上昇の根本原因は、農業、中小企業の生産性のおくれや、労働者の賃上げにあると言って、物価上昇で苦しめられている側の国民に責任があるようなことを言ってきたのであります。根源を明らかにせず、根源にメスを入れない政府の物価政策が、実は物価つり上げとインフレ政策をおおい隠すものであったことは、十年来の経過を見れば全く明らかではありませんか。総理は、物価上昇の原因がどこにあると思っておられるのか。また、これまでのごまかしはもうやめて、独占価格、インフレ政策、公共料金引き上げなど、物価上昇の真の根源にメスを入れる政策をとるべきであると思うが、総理の回答を求めます。
 物価上昇の根源にメスを入れる政策の一つは、言うまでもなくインフレ防止であります。政府が二兆三千億円をこえる史上最大の長期国債を発行して予算を急激に膨張させることは、きわめて危険なインフレ促進策であります。政府は、建設公債であって赤字公債ではない、市中消化で余裕資金を吸い上げるからインフレを防ぐと言いわけをしています。しかし、何と名づけようと、これは国の借金であり、公債発行なしには一般会計は赤字となるのであり、事実上の赤字公債であります。金融機関に眠っている資金を吸い上げて財政資金としてばらまくことが、通貨の増発とインフレ高進をもたらすことは当然ではありませんか。しかも、大銀行が持つ公債が、やがて日本銀行に引き取られて通貨増発の原因となることも、過去の実際が示すとおりであります。私は、今日、インフレ抑制には、事実上の赤字公債発行をやめるべきだと思いますが、発行してもインフレにならないというなら、その理論的、政策的根拠を総理に示してもらいたいと思います。
 さらに、インフレ抑制のためには、日本銀行の放漫な金融政策を改めさせることが急務であります。日本銀行の金融政策は、通貨価値の安定をおもな任務とするはずでありますが、実際は大企業のための卸売り物価の安定に重点を置き、消費者物価の上昇はあたかも通貨価値の低落とは無関係であるかのごとくこれを放置してきたのであります。私は、インフレ抑制と通貨価値の安定のために、日本銀行の政策目標を消費者物価の安定に置き、放漫な金融政策を根本的に改めさせるべきだと思いますが、総理にその意思があるかどうか、伺いたいのであります。
 さらに、総理も、演説で、企業の手元資金がふんだんになって、土地などの投資に向けられたことを認められているようですが、それならば、大銀行の過度の貸し出しを強く規制することが急務であります。私は、預金準備率の引き上げは、これまでのような申しわけな程度でなく、思い切って大幅に引き上げるべきだと考えます。また、土地投機への貸し出しを直接きびしく規制する具体的な措置をとるべきだと考えますが、総理の見解を伺うものであります。
 次に、税金の問題であります。
 今日、所得税総額の八割以上を年所得百五十万円以下の納税者が負担していることなどでも明らかなように、税金はますます重い大衆課税になっております。しかも、政府は、国民の税負担率をさらに高めることを公言し、さらには物価に織り込まれて国民に重税を課する付加価値税制を創設する準備まで進めております。ところが、この反面、大企業、大資産家に対しては、政府は租税特別措置や種々の引き当て金などによって、たとえば四十六年度には、トヨタ自動車百三十四億円、日産自動車百億円、富士銀行百十三億円など、ばく大な特権的な税の減免を行なっております。大企業の税負担率が諸外国に比べてきわめて低いことは、すでに常識といって差しつかえありません。私は、このようなおくめんもない大企業擁護の税体系、税負担の不公平を根本的に是正することを政府に強く要求するものであります。
 私は、所得税、個人の住民税、事業税の免税点を四人家族年収百五十万円に引き上げ、また、中小企業の法人税率を引き下げるなどの措置を講じて、来年度二兆円の大衆減税を断行すべきだと思いますが、総理にその意思がおありでしょうかどうか。また、付加価値税創設の企てをやめるべきだと思うがどうか。総理の明確な回答を求めるのであります。
 さらに、大企業、大資産家に対する租税特別措置その他の特権的な減免税をやめ、大企業の法人税率の引き上げ、土地投機や証券投機による資本利得への高率課税を決断し、実行すべきであると思います。総理の見解を求めるものであります。
 次は、農業問題であります。
 現在、日本農業は、歴史上最大の危機に落ち込んでいます。これは、歴代自民党政府が、農産物の貿易自由化の促進、米作減反の強制、零細農民切り捨てなどの農政を強行した結果であります。日本農業の病状は、おもな農産物の自給率の急速な低下にはっきりと示されております。とりわけ、みそ、しょうゆ、とうふ、納豆など日本人の貴重なたん白源である大豆の自給率は現在わずか三%に過ぎず、小麦もわずか九%であります。おもな農産物の自給をはかることは、自立的な経済発展にとって一つの基本であり、長期的に見れば、物価安定のためにも不可欠の政策であります。最近の大豆、牛肉、飼料の値上がりや、ミカン農民の直面している重大な困難は、いたずらに経済効率のみを強調して、アメリカなど海外農産物輸入に食糧を依存させる政府のやり方が、日本経済にどんな混乱を生むかをはっきりと示しております。政府は、国会の答弁で、自給率の向上をはかるなどと言っておりますが、政府が実際にやろうとしていることは、それとは逆でありませんか。そのことは、総理が施政方針演説で関税の引き下げや自由化の促進を強調されていること一つとってみても明らかであります。また、本年度予算案において、おもな農産物の価格保障制度の上で目立った改善は何ら見られないことを見ても明らかであります。
 私は、日本農業の自主的な発展のために、農産物輸入自由化をやめ、外国農産物依存政策を改めること、さらに、食管制度の改悪をやめ、農民が安心して適地適作の作物をつくれるように、米だけでなく、おもな農産物にわたって生産費を保障する価格保障制度を整えるべきであると考えますが、総理の見解を求めるものであります。
 次に、私は、総理の著作「日本列島改造論」が、将来の超高度成長に必要な非農業用地をいまある農地から先に切り取ってしまうこと、このために農地法の廃止を提唱していることを、農業破壊のきわめて重大な構想だと指摘しなければなりません。しかるに、総理は、農地収奪の列島改造をあくまで強行する態度をとっております。
 私は、日本共産党の代表として、大資本の土地買い占めをきびしく取り締まるとともに、農地を積極的に確保する政策をとり、国費で大規模な農用地の造成を進めるべきことを強く主張し、総理の答弁を求めるものであります。
 経済問題の最後に、国際収支不均衡の問題について質問をいたします。
 私は、この問題は大きく言って二つのところがら生まれていると考えております。まず、その最大の原因は、アメリカが、戦争と侵略の政策のための海外支出を重大な原因として起こっている国際収支の赤字とドルの危機を自分自身の責任で是正しようとせず、日本に対して、労働者、農民、中小企業に犠牲を強要する結果となるさまざまのしわ寄せを執拗に押しつけてきていることであります。ところが、総理の演説によると、政府のいう国際収支の不均衡の是正案とは、相変わらず関税の引き下げ、輸入と資本の自由化の促進など、もっぱらアメリカ政府のおどかしも交えた注文に対していかに従うかというところがら出発した対策ばかりであります。アメリカのほうでは、ウイリアムズ委員会報告などが示すように、いかにして日本に攻勢をかけるかという方針を詳細に明らかにしているのに、日本政府の口からは、不当な対日攻勢にどう対抗するか、アメリカ政府に何を要求するかなどの方針は一言も聞かれないのであります。これはまことに驚くべきことであります。はっきり言って、国際収支不均衡問題は、わが党が主張するように、対米従属、大企業本位の経済政策をやめ、日本経済の自主的、平和的発展の道、生活優先とつり合いのとれた産業発展の道に政策を転換してこそ、真に抜本的に解決する糸口をつかむことができます。
 したがって、私は、第一に、対米従属の経済調整をやめ、アメリカ政府がまず力の政策をやめ、アメリカ自身の責任で国際収支不均衡問題を解決する措置をとるよう要求すること、第二に、わが国としては、国民の低い生活水準を基礎とした高度成長政策をとるのではなく、賃下げなしの四十時間労働制、本格的な最賃制の確立など、働く国民の所得を大幅に引き上げ、福祉の急速な向上を推し進める日本経済に政策を転換させることが大切で、以上のことをわれわれは提案しますが、総理の回答を求めるものであります。
 次に、教育問題についてであります。
 いま、多くの父母が心を痛めている問題は何でしょう。テスト、テストの差別と選別の詰め込み教育で、子供たちの心はすり減らされています。高校生の自殺もまれではありません。私立大学の授業料などの学費値上げが続き、中には入学時に合計二百万円を必要とする学校も出ております。ところが、政府は、これらの問題にはほとんど手を打っておらず、文教予算の予算総額に占める比率は年々低下し、ついに四十八年度は一〇%を割るに至っております。
 私は、中教審の反動的な教育改革をやめさせ、憲法、教育基本法に基づく教育制度の民主化を主張するとともに、文教予算を大幅に増額し、国民の期待にこたえるための計画を立てて、少なくとも次のような点で教育施設や人員の拡充をはかることを提唱するものであります。
 小中学校では、過密地域の不足教室をなくすとともに、一クラス児童・生徒数を三十五人以下にし、行き届いた義務教育のできるように教師の増員をはかることであります。高校教育では、すべての希望者が全員高校に入学できるだけの全日制公立高校の増設をはかることが急務であります。また、私立大学学生への授業料の補助をはじめ、大学間の格差を是正し、各府県に最低一つの国立総合大学をつくるなど、大都市と地方のつり合いのとれた教育の発展をはかることであります。これらの点について、総理並びに文部大臣の見解を求めるものであります。
 最後に、私は、外交、防衛問題に関連して一言しておかなければなりません。
 昨日、衆議院で、わが党の村上議員が、ベトナム、安保問題について質問いたしましたが、総理は、これに対して、全く論点をそらした答弁に終始しました。しかし、その中でも、あらためて明確になったことは、田中内閣がベトナム人民の自決権を認めて、ベトナム協定が調印された今日に至っても、ベトナムでの侵略と干渉をはじめ、アメリカのアジアでの行動を全く無条件に正当化し、そのための在日基地の提供を安保条約上の当然の義務だとしてきた立場には少しの反省も加えようとしていないこと、そして、ニクソン政権の力の政策への追随をわが国の軍事、外交の基本方針としていることであります。これは、日本の安全とアジアの平和に背を向けて、アメリカのアジア戦略に日本の運命を結びつけることにほかなりません。私は、田中内閣のこの対米従属の外交姿勢をきびしく糾弾するものであります。
 わが党は、日米安保条約を廃棄し、平和、中立の日本を実現するために、いよいよ全力をあげて奮闘するものであることを述べて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(田中角榮君) 物価の上昇の原因等についてお答えをいたします。
 わが国の物価上昇の主因は、経済成長の過程で重化学工業など、生産性の高い部門と、農業、中小企業、サービス業など生産性の低い部門との間に、生産性上昇率の大幅な格差が生じ、これが労働需給の逼迫による賃金、所得の平準化と相まって、低生産性部門のコストを上昇させ、価格上昇を招いたことにあります。
 公債の発行については、民間資金を活用して、立ちおくれた社会資本の整備を推進するという観点からも、その活用をはかっていく必要があります。昭和四十八年度においては、公債発行規模を二兆三千四百億円としておりますが、建設公債、市中消化の原則を堅持をしておりまして、いわゆる赤字公債という性格のものではありません。
 通貨価値、物価の安定は、従来から金融政策の基本的な目標であります。先般、日本銀行が預金準備率の引き上げを行なったのも、過剰流動性の是正をはかるためでございます。また、金融機関に対する貸し出し指導も強化しており、企業別の手形買い取り限度額制度を創設するなど、金融機関融資の行き過ぎ抑制について、十分手段を尽くしておることは御承知のとおりでございます。
 さらに、今回、土地取得関連融資全体の増勢が一般に比べて高い点にかんがみ、その増勢を、他の一般貸し出しの増勢と均衡のとれた、妥当な水準に抑制することを目途として、昨日、銀行局長通達を発し、各金融機関に対して強力な指導を行なうことといたしたわけでございます。
 次に、税金問題についてお答えいたします。
 昭和四十八年度の税制改正においては、中小所得者の負担軽減をはかるため、所得税について、課税最低限の引き上げと、特に給与所得者に重点を置いて、給与所得控除の拡充を行なうなど、初年度三千百五十億円、平年度三千七百億円に及ぶ減税を行なっておるのであります。
 また、住民税について、課税最低限の引き上げ、税率の緩和を行ない、個人事業税についても、事業主控除を二十万円引き上げ八十万円にするなどの措置を講じておるのでございます。
 大企業に対する特権的減免税の廃止等についての御指摘がございましたが、租税特別措置による減税は、各種の政策目的から設けられたものでありますが、それが慢性化、既得権化することのないよう、常にその弾力的な改廃につとめておるところでございます。特に、いわゆる産業税制については、来年度の税制改正においても、積極的に整理縮減を行なうことといたしておるのでございます。
 累進課税は、所得再配分機能に役立つものでありますが、それは所得税や相続税などにおいて端的に適用できる性格のものでありまして、法人税においては本質的になじまないものと考えております。
 また、所得税率の累進性の問題については、国民の所得水準や、所得階層分布に見合って適切な累進性を確保することが必要であり、この点については、かねてから、税制調査会の答申を尊重しながら、随時措置してまいったところでございます。
 それから、株式投資、土地投資などの資産所得に対して一言ございましたが、これは高率課税をせよということだと思います。今回の土地税制において、法人の土地譲渡益については、通常の法人税に上のせして、税負担が約七〇%になるように重課をいたしておるわけでございます。個人の土地譲渡益については、すでに短期譲渡について重課をいたしております。株式につきましては、今回の税制改正において、有価証券取引税の税率を二倍に引き上げておるわけでございます。
 付加価値税の問題についても一言お触れになりましたが、これは、消費税あるいは付加価値税の問題は、今後におけるわが国の税体系のあり方、特に直接税と間接税のバランスはどうあるべきかという問題に関連する大きな問題でありますので、勉強しておるという程度のものでございます。
 外国農産物への依存政策を改めるべしということでございますが、食糧は国民生活の基本をなすものでありますから、国内生産が可能なものは生産性を高めながら、極力国内でまかなうべきである、安易に外国に依存することは国の政策としてとるべきでない、こう考えております。
 食管制度その他についての御発言に対してお答えをいたします。
 食管制度につきましては、国民経済の各分野に大きな関係を持っておりますので、必要な管理を行ない、米の需給及び価格の安定をはかっていくという基本的な考えに変わりはありません。しかし、事態の変化に即応して米の管理の適正を期し得るよう、その制度・運営の改善について研究を行なう必要があることもまた事実でございます。また、農産物価格政策の運用にあたっては、所得保障に偏した価格形成を行なうと、需要を上回る供給、物価の上昇等種々の問題を引き起こすおそれがあることも否定できないわけでございます。
 農地についてのお話でございますが、優良農用地を確保するため、農業振興地域の整備に関する法律及び農地法の適正な運用によって、農地の買い占めはきびしく規制をいたしております。
 ドル危機に対するアメリカの責任等についての御発言でございますが、政府は、国際協調のみならず、国民福祉向上の見地からも、多国間通貨調整の一環として円平価の切り上げ、輸入の拡大、輸出の内需への転換等の諸施策を実施してまいりました。これは、米国に追従して行なった経済調整政策ではないことをひとつ知っていただきたいと思います。米国に対して、生産性の向上、米国産業の国際競争力の強化、日本市場調査の改善、輸出拡大等に対して勧奨していくつもりでございます。
 円対策等については、対外均衡の達成のためには、従来の生産輸出優先の貿易経済構造の転換をはかっていくことが基本的に重要でございます。なお、社会資本の整備、社会保障の充実等、国民福祉に重点を置いた予算を組んだのもこのためでございます。
 また、公害対策、産業構造の知識集約化等により、国際的に調和のとれた産業構造への転換を推進してまいりたいと考えております。
 教育に対しての御発言に対してお答えをいたします。
 中教審の答申は、幼稚園から大学まで学校教育全般にわたって、教育が人間形成の上においてこれから取り組むべき基本的な課題とその改革の方向を示した画期的なものでございます。その基本的な立場は、人間一人一人を大切にして、それぞれの能力を最大限に発揮させることこそ教育の使命であるとの考え方に立っておるわけでございます。これからの教育のあり方にとって、このような中教審の考え方を十分尊重しながら、教育政策を進めてまいりたいと、こう考えるわけでございます。
 他は関係大臣から御答弁を申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣奥野誠亮君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育の問題につきましては、全人的な教育に留意いたしてまいりますと同時に、社会の学歴主義に偏した、見る目のゆがんだ点につきましても是正されるよう、努力を払ってまいりたいと、かように考えているわけでございます。
 具体的に御提案になりました三点についてお答えをいたしたいと思います。
 第一点は、学級編制の標準を三十五人以下に引き下げるという問題もございます。一学級四十五人編制の標準は、教職員定数改善の第三次五カ年計画が達成されます昭和四十八年度をもって完全に実現することになるわけでございます。ところが、四十九年度から第二次ベビーブームが始まるわけでございます。しかも、この影響が過密地域に集中してまいるわけでございますので、これらの地域におきましては、学校増設に非常な困難を感ずるのではないかと心配をいたしております。土地の入手難などが特に激しいようでございます。そういうことにこの標準を引き下げますことが拍車をかけてまいるわけでございます。
 もとより、教育学部の定数増などを通じまして、先生の増加養成、こういうことにも努力を払ってまいるわけでございますけれども、量的な拡大とあわせまして、資質の充実につきましても最善を尽くしたい、こういう考え方を持っておりますので、いま直ちに三十五人以下に引き下げることは妥当ではないのではなかろうかと、こういう考え方を持っておるわけでございます。
 第二は、高等学校につきまして、希望者は全員入学できるように、国公立の高校を増設しろということでございました。現在、高校への入学志望者の九八%は、国公立だけじゃございませんで、私立も加えまして、入学しているようでございます。現在、私立に入っておりますのが三一%ぐらいではなかったかと思います。私たちは私立の存在を高く評価しているものでございまして、いろんな学校が競いあって学風を高めてもらう、多彩な人間を養成してもらう、これが社会を押し上げる強い活力になっていくのじゃないかと考えておりますので、国公立の学校を増設する場合にも、私立の学校がどこに位置しているかということにつきましても、十分な配慮を加えながらやっていただきたいものだと、かような考え方を持っておるわけでございますので、国公立だけで全員を入学させるというような行き方につきましては賛成しがたいわけでございます。
 第三は、大学の格差是正をはかれということでございました。
 先ほど来、総理からお答えになっておりますように、四十五年度から、私学に対しまする経常費助成を計画的に高めてまいってきておるわけでございまして、これを計画どおり達成したいと考えております。同時にまた、施設に対しまする融資につきましても、量を引き上げ、貸し付け条件を若干今回改善をしたわけでございます。下を引き上げることによって、格差をできるだけ少なくするような努力を払っていかなきゃならないと思っております。同時にまた、国立大学の配置につきましても、均衡に留意しながら、御指摘のような方向で努力をしていきたい、かように考えておるわけでございます。(拍手)
#24
○副議長(森八三一君) これにて休憩いたします。
   午後零時三十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十五分開議
#25
○議長(河野謙三君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。安永英雄君。
   〔安永英雄君登壇、拍手〕
#26
○安永英雄君 私は、日本社会党を代表して、総理大臣の施政方針演説に対して、具体的に質問を行なうものであります。
 去る二十七日、ベトナム和平はついに調印の運びとなり、一九六四年八月、アメリカのトンキン湾事件でっち上げに始まるベトナム戦争は、問題を残しつつも一応の終わりを告げました。
 顧みていま言えることは、ベトナム戦争は世界史上最強の大国アメリカがうそとデマをもってアジアの一小国を侵略した戦争であったということであります。そのアメリカが明らかに敗北したことであります。そして、日本政府は、アメリカのうそに加担し、きたない戦争を援助してきたことであります。
 本日出席の総理はじめ閣僚各位に申し上げますが、皆さんはその手で米軍戦車を相模原からベトナムへ送られました。皆さんの手はベトナム人民の血でよごれているのであります。そのことを、べトナム人民はもちろん、日本国民も忘れることはないでしょう。
 ともあれ、アメリカの敗北によってベトナム戦争が一応終わったことは、安保体制を基本とし、アメリカの軍事体制に従ってきた政府の外交路線の基本が破綻したことを意味するのであります。
 国際関係のみならず、国内においても内政の基本の姿勢が問われています。
 田中総理は、選挙を通じて政治の流れを変えることを掲げてこられました。しかし、国民は、政治の流れの方向を、田中総理のそれではなく、われわれ社会党の流れを変える方向を選びました。このことは、高度成長政策による国民の命と暮らしの著しい破壊が、国民の怒りを深めたことを意味するものでありましょう。
 内外のこのような情勢の変化の中で、これからの政治の最も重要な課題は、福祉であります。
 今日、成長から福祉への転換という形で福祉問題が取り上げられています。しかし、総理の施政方針演説や質問への答弁を聞く限りにおいては、真に福祉を考え、政策のあり方、基本というものを根本的に転換する熱意は感じられません。依然として、成長のひずみを是正することによって成長と福祉をともに実現されると言われるのであります。これは全く誤った認識であり、ごまかしの理論であります。部分的なひずみ是正ではおそいのであります。また、これは、池田内閣以来立証済みであります。成長の陰に都市生活環境の急激な悪化、公害の激発、交通地獄、住宅難がもたらされ、また、中小企業、農業、漁業等の低生産部門の資本不足は、生鮮食料品をはじめとする消費者物価の高騰をもたらしたのであります。さらに、一人暮らしの老人の悲惨な生活が毎日のように報道されていますが、総理はよもやお忘れではないと思うのであります。
 私は、福祉を国政の柱にするという場合に、その意味するところは、国民に文化的生活を保障することは国の責務であるという、その基本を政治の原則に置くということであると考えるのであります。その意味では、戦後自民党政府の政治の基本は、国民生活を忘れたことにあると申しても過言ではありません。そのことを立証する事例として、私は、最近、一つの報道に接しました。それは、大阪市で八十一歳の老女が死後三日たって発見されたということであります。その居室は、電気をとめられてまっ暗やみ、暖房もなく、マットが一枚あるっきりでありました。老女は、肌着にセーター一枚という姿であったそうであります。生活保護を受けていたこの老女が死体で発見されたのは、福祉の向上がうたわれた四十八年度予算が閣議決定された十五日の夜のことでありました。ここには、国民生活に対する政府の責任のかけら一つ見ることができません。
 今日、社会保障をはじめ、住宅、交通、教育、医療、公害など、国民が健康で文化的な生活をしていく上で欠かすことができず、しかも国民が個々の力では解決し得ない問題が山積をいたしておるのであります。福祉とは、これらの課題について、政府の責任と国の費用で解決していく、こういうことであります。総理の御見解を承りたいと思うのであります。
 福祉の中でも、現在最も重視されるのは、老後生活をどう保障するかということでありましょう。
 政府は、いま、年金改正案を立案中と聞きますが、予算案に見る限りでは、いわゆる五万円年金の構想は完全に破綻していると見なければなりません。何となれば、実際に四十八年度に五万円レベルの給付を受ける者は、六十万人余りの厚生年金受給者のうち、わずか三万人にすぎません。いま平均して月一万六千円ほどの給付額が、三万五、六千円になったにすぎません。他方、国民年金では、いま受給しているいわゆる十年年金受給者およそ八十万人に対し、月五千円を一万二千五百円に引き上げるにすぎず、夫婦五万円は昭和六十一年度にならないと実現されないのであります。加えて、予算案は、国民に高負担を押しつけること、これを前提条件といたしております。たとえば厚生年金の保険料は、現行の二割ないし三割方引き上げられ、国民年金に至っては、六割増し以上のものにされようといたしておるのであります。これに対して、事業主負担割合や国庫補助率にはほとんど手をつけようといたしておりません。
 そもそも、年金制度とは、何を目的としておるのでしょうか。それは、国民年金法第一条に見るとおりであります。すなわち、「憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、廃疾又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止」することなのであります。
 そこで、まず田中総理にお尋ねいたしますが、四十八年度から老齢福祉年金が月五千円、あるいはまた十年年金が月一万二千五百円、こういう金額で、一体、国民生活の安定がそこなわれることを防止できるとお考えかどうか、はっきりさしていただきたいと思うのであります。今日の年金水準が、憲法第二十五条第二項にも、さらには国民年金法第一条にも違反していない、こういうならば、その根拠を国民の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。
 厚生大臣、あなたは、わが国の年金制度が、真の所得保障、老後の生活保障の機能を持たない原因は一体どこにあると思われますか。いまの制度では、拠出期間の短い者や拠出できなかった者には給付しないか、してもたばこ銭程度でよいではないかということになるのでありましょう。積み立て方式ではこうなるのがむしろ当然、応益負担原則による保険主義ではこのような限界が生ずるのもやむを得ない、そういうふうに思われておるのではありませんか。今日、国民が期待しておるのは、このような制度の基本を根底から改めることであります。拠出したかしないか、幾ら積み立てたか、こういうことに一切かかわりなく、すべてのお年寄りが年金だけで一応の暮らしが立てられるようにすることなのであります。このような国民の立場で考えると、政府案のような負担先行と指弾されるものでは、とうてい国民多数の理解や納得を得られないというべきではないでしょうか。
 厚生大臣、八兆円にものぼる積み立て金を活用して給付先行のものにすることがなぜできなかったのです。お年寄りをはじめ、すべての国民に、ああこれならと満足してもらえるレベルにして、しかる後、必要ならば負担の増大をはかる、これが民主主義の常道ではないでしょうか。
 社会党は、年金制度をこの際根本的に考え直すべき時期だと考えております。すなわち、年金に生活保障の機能を持たせるため、新たにすべての年金に共通した最低保障額をすべてのお年寄りに給付し、拠出比例部分をこれに上のせする、こういう考え方であります。そうして、その最低保障額は前年度における全産業、全労働者の平均賃金の六〇%にすることによって、平均賃金上昇率が直ちに給付改善にスライドするようにすべきだと思っております。この考えですと、四十八年度の最低保障額は月四万円、年々の賃金上昇率を一四%と見込みますと、五年後にはこれが七万円近くになるのであります。
 さて、問題は、このような根本的な改善を、国民の負担増を伴うことなく実施できるかといえば、これがりっぱにできるのであります。私たちの試算では、保険料負担も国庫負担も現行のままでこのような給付改善をしたとしても、ここ当分の間、給付は単年度収入の範囲内であり、積み立て金を取りくずし始めるのは、国民年金で五十年度、厚生年金に至っては五十二年度からであります。五年後の五十二年度で見ますというと、両方の積み立て金を合わせてなお十兆円の残が出る勘定になるのであります。政府は、このように積み立て金を利用した給付優先先行方式をなぜとれないのか、国民の前に明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、住宅問題についてであります。
 言うまでもなく、住宅問題は、まことに深刻な問題であります。そこで、具体的事例を取り上げてお伺いしたいと思うのであります。
 去る一月十二日、つまり正月早々のできごとであります。できごとと言ってはまことに暗いニュースであります。東京都葛飾区立石の上野義郎さん方の六畳一間で、長男の義達ちゃん(生後二カ月)は、次女の美智子ちゃん(二つ)が寝返りをして、義達ちゃんの上におおいかぶさったために窒息死をしたというむごい事故であります。上野さん方は、台所つきの六畳一間に、夫婦と美智子ちゃん、義達ちゃん、義成ちゃんの五人暮らし、部屋には家具、ベビーベッドやテレビが置かれてあり、スペースはわずかに畳三畳しかなかったということであります。長女の敦子ちゃんは、家が狭いために他人に預けて生活をしていての惨事であったということであります。私は、このことを聞きまして、またかと耳を確かめる思いでした。率直に申しますが、このような事故は他の国にはないのであります。わが国の住宅政策の貧困、いな、自民党政府の住宅政策の貧困を物語る以外の何ものでもないのであります。この犠牲にあえいでいるのが一般庶民と言わなければなりません。政府は、このような惨事を再び繰り返さないために、そのための何らかの具体策をおとりになるお考えがあるかどうか。
 ただいま申し上げたような例は、他にも起こり得る、また、現実に数多く起こっている問題であります。そこで、これらの危険を未然に防ぐという意味で、住宅難の実態を調査され、現状を的確に把握することが緊要かと思うのであります。実態調査に基づいた国のきめこまかな住宅政策、すなわち住宅難の底辺から順位をきめて、住宅に最も困っている人から都営住宅あるいは公団住宅へ国が責任を持って入居できるような措置をとられるお考えがあるかどうか。現行の公共賃貸住宅の入居基準は、単に所得の高低制限による抽せん方式であるために、ほんとうに困っておる人たちが実際に入居できる保証がありません。困っている人たちから優先的に確実に入居を保証していくためには、現行の抽せん方式を改め、実態調査に基づく入居保証を考えてみてはどうか、建設大臣の御見解を伺いたいと思うのであります。
 さて、現在の住宅難を解決していくには、何といっても国が基本的に住宅問題に責任を負うことであります。つまり、国の義務において国民に住宅を供給していくことが確認されなければならないと思うのであります。ところが、政府は、住宅は基本的にいって個人の力で解決すべき問題だとして、戦後一貫してその姿勢を変えていません。政府の現行住宅建設五カ年計画も、そのように全く変わっていません。政府は、こうした個人まかせではなしに、住宅供給には国が基本的に責任を負うという体制を確立する考え方があるかどうか。また、住宅需要が急激に増大している現状にかんがみ、現行五カ年計画を手直しする考え方はないか。木材の値上がりによって、建設の需要は政府計画では対応できなくなっておるというのが現状であります。道路建設計画は、需要の増大に合わせて、ひんぱんに計画半ばで手直しされようとしておりますが、住宅建設計画についても、実情に沿わないならば手直しすべきと思います。政府は、成長優先から国民生活優先を語るならば、現行計画を抜本的に改め、いまこそ政府施策中心の住宅政策に転換すべきであると思うのであります。この点について、明確にお答えを願いたいと思います。
 御承知のように、住宅問題は、一面では土地問題でもあります。日本列島改造論にあおられた土地投機、買い占めは、目をおおうものがあります。このため、地価は消費者物価の三倍以上のテンポで上昇を続けているのが現状です。昨年九月のある証券会社の調査によりますと、これら買い占めの主役は大企業であり、これら大企業によって全国土の市街地面積と同じ面積が保有されていますが、わが党の調査においても、首都圏、すなわち一都四県で、三井不動産、三菱地所、西武鉄道、東急、京浜急行など、大手十六社が買い占めている土地は、宅地だけで約一万五千ヘクタールあることが明らかになっております。列島改造論が土地投機をあおり、資金力のある大企業は、金にまかせて土地を買い占め、そのことによって地価は高騰し、庶民は住宅の建設ができない、この弱肉強食を許してよいはずはございません。政府においても、いささかその反省があるからこそ、総理の施政方針演説の中でも、土地対策につきまして、土地利用の規制、土地税制の改善、宅地供給の促進について述べられました。しかし、一般国民が切望しておる住宅地の適正な価格での取得にはほとんど効果がないと思うのであります。立地する大企業には安い土地を保障してやり、あわせて大規模公共事業のための地価はある程度抑制できても、安い一般住宅地の供給は期待できないのであります。大都市周辺に向こう十年間の需要を満たせるだけの土地を緊急整備地域として指定をし、公的機関への先買い権を適用し、地主には買い取り請求権を与え、適正な価格で買い取る制度に思い切ってこの際踏み切るべきではないかと思うのでありますが、総理並びに建設大臣の前向きの答弁をお願いしたいと思うわけであります。(拍手)
 次に、税制について質問をいたします。
 昭和四十八年度の租税自然増収は約二兆六千億円と見込まれているのに、政府のやろうとする減税総額は三千七百八十億円、所得税減税は三千百五十億円にすぎません。これでは、物価上昇に伴う調整減税分にも足らないわけであります。しかも、政府は、一方で、年金掛け金の引き上げと健康保険料の引き上げで五千億円も国民大衆から吸い上げようといたしております。減税ではなくして大増税であります。総理は、総選挙中に、五千億円の減税を打ち出されたはずであります。これは全く公約違反であります。減税財源がないはずはありません。これまでの高度成長経済で大企業は大きな利潤をあげております。企業は交際費だけで年間一兆四千億も使っておるのであります。この大企業に対する法人税は、昭和三十一年に四〇%であったものが、現在では三六・七五%、わが国の企業の国際競争力が強くなり、貿易収支は大きな黒字をあげているのに、法人税率は下げられたままで、アメリカ、フランス、西ドイツなどと比べて、実質五%も低いのであります。法人税率を一%引き上げれば、税収は一千億円近い増収になるのであります。私は、法人税率を四〇%まで引き上げるべきだと考えておりますが、この点についての総理の明快なお考えを述べていただきたいと思うのであります。
 また、企業に対する租税特別措置による減免税は八千億にのぼっており、四十八年度に七百五十億円増税の改正を行なおうとしておりますけれども、なお七千億円も残っております。
 このように、大企業中心に減税措置を残しながら、勤労所得税減税は、選挙公約さえ破って、わずか三千億そこそこしか行なわず、逆に実質増税を行なう政治が、どうして生活優先に流れを変えたと言えるでありましょう。特に、最近の株の値上がり、土地の値上がりによる大会社、大資本のもうけぶりは、目に余るものがあります。最近一年間の土地の値上がり三十兆円、株の値上がり二十兆円ともいわれております。しかも、この不労所得に税金らしい税金がかけられておりません。投機を野放しにしておるのは政治の怠慢と言わざるを得ないのであります。(拍手)
 一方で、中学校を卒業したばかりの労働者でも、年収四十四万円で所得税がかかり、株の配当で遊んで暮らしておる者は標準世帯で三百四十二万円まで税金がかからないという、こういう不公平であります。また、法人間の配当金や利益の受け取りは全く非課税になっておるというのは、一そうの不公平であると思うのであります。
 このような不公平を是正し、株や土地の投機を押えるために、税制を大幅に改革し、有価証券取引税を十倍程度に引き上げること、大口の有価証券譲渡所得は個人についても課税すること、法人の受け取り配当にも課税すること、また、土地については、かねてから社会党が主張してきた法人所有地の含み資産の再評価を行ない、五〇%程度の土地増価税を課すること等の改革を断行すべきであります。真に政治の流れを大企業優先から国民生活優先に切りかえるために、また、富と所得の不公平をなくし、まじめに働く者が正当に評価され、老人や病人など弱い者があたたかく保護される人間尊重の社会を築くには、この程度の改革は断行すべきと思いますが、総理は、口先だけの決断と実行なのか、この際、決意を披瀝していただきたいと思うのであります。(拍手)
 さらに、昨年の不況のおりに中小企業の倒産がありました。大企業の下請系列下であえぎ、景気変動に弱い中小企業を保護育成していくために、政府資金の思い切った投入をはじめとする育成策を講ずべきでありますが、最低限、個人事業税の撤廃など減税を断行すべきと思いますが、総理、いかがでしょう、勇気のある決断がここで非常に必要なときと私は思いますが、明快な答弁をお願いしたいと思う次第であります。
 次に、農業についてお尋ねをいたします。
 総理は、施政方針演説の中で、農業については、高能率農業の育成と農村環境の整備について触れただけで、日本農業を国民経済の中にどう位置づけるかについての基本的な姿勢を全く明らかにしていないのであります。
 御承知のとおり、政府は、農基法農政以来、果樹農業を奨励し、これに沿って農家が増産に励んだ結果、昨年秋には、温州ミカンが大暴落し、出荷経費を差し引けば農家手取りはゼロに近くなり、関係農家は施設資金の返済にも行き詰まっておるという、こういう状態であります。これは、果樹の選択的拡大を口にする一方で、農産物輸入の自由化を進めるなど、無責任な政府の姿勢に責任があります。また、昨年は、世界的に農業生産が停滞し、穀物不足の状況が起こり、わが国の輸入する小麦、飼料の価格上昇が起きております。このような国際農業の情勢を考えるとき、工業優先、農業軽視の政策のもとで、優良農地が次々につぶされ、農村の基幹的な労働力が急速に減少する状態を放置してよいものかどうか。政府は、農業を国民経済の中にどう位置づけるかを明らかに示すべきであると考えます。
 そして、食糧自給度向上の目標を示し、競合する農産物の輸入自由化をやめること、おもな農畜産物については、国の責任で価格支持制度を確立し、農民の生産に対する意欲を高め、生産と生活の改善を推進すべきであると思いますが、総理の責任ある答弁をお伺いしたいと思うのであります。(拍手)
 最後に、教育についてお尋ねをいたします。
 第一は、いま、先進諸国のGNPに占める公教育費の割合を見ますと、一九六八年以来わが国は最低となっております。高度経済成長政策の結果、GNP世界第二位となり、経済大国となったとわが国は言っていますが、まことに遺憾であり、だからこそエコノミック・アニマルと世界各国からひんしゅくを受けるのであります。
 一方、国の一般会計予算における教育費の推移を見ますと、まず、一般会計の伸びと教育費の伸びを比較すれば、昭和四十五年度一八%に対し一三・七%、昭和四十六年度一八・四%に対し一六.五%、昭和四十七年度二一・八%に対し一九・九%と、年々下回っております。明年度予算案においても、二四・四%に比し二〇%をやっと維持するにとどまっておるのであります。その上、見のがすことのできないのは、教育費の一般会計に占める構成比は、それでもこの二十年来一〇%を割ったことがなかったにもかかわらず、明年度はついに九・九%という予算案であり、一〇%を割ってしまったのであります。一般に、家計の場合、収入がふえ、豊かになればなるほど、飲食費つまりエンゲル係数が下がり、教育文化費の率は高くなるものであります。ところが、教育費の国の予算に占める割合は、年々低下するばかりであります。これは、政府が、国の教育費を家計における飲食費と同様に考えているからであると思うのであります。初等・中等教育をただ単に知識の詰め込みをやればよいのだとする教育観や、大学教育にしても、官吏養成機関であったり、産業社会にすぐ生かせる技術の習得所だという限りにおいては、飲食費の域を出ません。このように教育の役目を小さく見るようでは、総理の言う教育尊重などお題目にすぎないのであります。
 来年度の教育費のうち、学校教育の分野以外におきましても、たとえば文化財の保護や文化の普及をはかる文化予算はわずかに百四十六億であって、これでは上地ブームによる史跡の破壊や劣悪な文化のはんらんを前にしてあまりにも貧弱であると言わなければなりません。
 このような教育費の状況から見れば、総理は、施政方針演説の中で、教育の振興を重視していると述べられたり、あるいはまた、衆議院の代表質問に対して、私は教育が一番大事なこととしみじみと考えておりますと言われたことばは、実に白々しいと言わざるを得ないのであります。(拍手)総理の教育の振興に関する基本的な考え方を承りたいと思うのであります。
 第二は、学制改革に関する問題であります。これも総理が触れられたのであります。昭和四十六年六月、中教審は、「今後における学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策について」答申を行ないました。この答申は、明治初年の学校制度の樹立、終戦後の六三制現行学制の改革に次ぐ第三の教育改革を目ざすものであると述べております。しかし、なぜ今日第三の教育改革を行なわなければならないか、その理由は全くあいまいであり不明であります。この答申が発表されてから一年有余が経過しましたが、この間、文部省自身も広く各界各層の意見を聞いてまいりました。それによりますと、関係三十九団体のうち、答申支持は経済同友会と日経連だけであります。他はことごとく反対で、いまや中教審答申に対する幅広い国民の批判と民主的な教育要求運動が発展し、国民的な統一した力になりつつあるのであります。しかるに、政府与党は、答申実施の方向で調査、研究、準備作業等の経費を予算化し、着々中教審路線を貫こうといたしております。平常時の学制改革は、いたずらに平地に波乱を巻き起こし、国民を混乱におとしいれるだけであります。
 以上述べましたように、国民の広範な反対があり、国民的合意が得られないにもかかわらず、なぜこの答申を実施に移し、学制を改革しなければならぬのか、その積極的な理由の理解に苦しむものであります。私は、それよりも、現行制度を維持しながら、学校の施設設備を一そう整備充実し、テスト教育をやめ、入学試験方法を改善するとともに、学習指導要領の拘束性を脱し、教師に創意くふうの自由を認めるほうが先決であると思うのであります。総理のこの中教審の答申に対する基本的なお考えを承りたいと思うのであります。
 第三に、現在の学校教育は、その本筋をはずれて、知育偏重、テスト横行という選別教育になっております。そうした中で、文部省の定めた学習指導要領の基準についていけない子供が半数以上もおり、中学の学科テストの序列によって振り分けられ、高校に入学した普通科の二人に一人、職業科の三人に二人の生徒が、志望違いのところへ回されたとしぶしぶ通学し、中学、高校の生徒の九五%が何らかの不満や悩みを抱いているというのであります。これが文部省の調査報告であります。との現象はまことにショッキングで、暗然とするのは、私のみならず、国民共通の悩みであり、不満であると思うのであります。どうしてこんなことになったのか、いまこそ政府は真剣に反省してもらいたいのであります。ピラミッド型の教育構造が入試競争を激化させ、テスト教育や知育偏重を招いていることや、文部省と教師集団の間には相互の理解協力よりも権威と強制が見られるというOECDの教育調査団の批判報告もあります。しかし、私が根本的に指摘したいことは、今日の教育問題の背後には、朝鮮戦争後、力を回復した経済界や政府が、教育を経済利潤の追求と政治支配の道具としてとらえ位置づけようとしてきたことが大きな原因になっておるということを申し上げたいと思うのであります。(拍手)
 具体的に申し上げますならば、国民の教育要求を正面から受けとめず、安上がりの私学増設で間に合わせ、受験地獄を全国に拡大し、一方では、経済界の要求によって学習指導要領を盛りだくさんにし、高校を多様化し、子供を不消化な病人に仕立て上げているということであります。
 このような憂うべき状況をつくるために、政府は、教育委員を任命制に切りかえたり、学習指導要領に法的拘束力を持たせ、教科書の検定を強化するなど、次々と手を打って教育をがんじがらめにし、教師や子供たちを窒息状態に追い込んだのであります。
 田中内閣発足早々、私の追及に対して、稻葉前文部大臣は、知育偏重是正と指導要領の弾力的運用を約束され、昨年十月末、学習指導要領の一部を改正されました。私は、さすがに決断と実行をモットーの田中内閣の一員だと感心したかったのでありますが、その内容は、何をいまさらという感想を抱かせる程度のもので、全国の教師、父兄は、むしろ根本改正を主張しておるのであります。
 私は、以上申し上げました立場から、第一点に、憲法第二十六条の国民が教育を受ける権利とは、基本的人権の一部であり、小中高校生の場合には、その権利を親がかわって直接教師に信託するもので、したがって、教師はその責任を果たすために、研究と教育に専念する責任と自由があると考えるのであります。つまり、もっと教師に創意や自主性を与え、教育界を活力あふれる場にするお考えはないかどうか。(拍手)
 第二に、したがって、学習指導要領に法的拘束力を持たせることは憲法上も疑義があり、むしろ昭和三十三年以前に戻して、これを指導の手引き書とすべきではないかと思うのであります。
 以上、二点について、文部大臣に明快な答弁を求めるものであります。
 第四は、私学振興、大学運営等の問題であります。
 わが国の大学教育の大半は私学がになっています。特に戦後の高等教育の目ざましい普及は、ほとんど私学によって達成されたといってよいのであります。しかし、今日の私大財政の逼迫に伴う私大教育研究の危機は、まさに日本の高等教育の危機そのものといって過言ではありません。総理並びに文部大臣は、学校教育に占める私学の位置づけ並びに私大財政の危機をどのように把握しておられるのか、まずお伺いしたいと思うのであります。(拍手)
 次に、慶応、明治、中央など多くの私立大学では、四十八年度から大幅な学費の値上げの決定がなされておるのであります。たとえば、慶応、明治の文科系の授業料は、八万円から十二万円と五〇%、慶応医学部では二十万円から一挙に五十万円と二・五倍の値上げ幅であります。これは、学生や父兄にとって大きな負担を招くばかりか、教育の機会均等の立場からもゆゆしき問題であります。同時に、このことは、現在の国の助成が私大の学費値上げに歯どめをかけるどころか、私大財政の改善にほとんど役立っていないという証拠を示すものであります。
 私大に対する四十八年度予算案を見てみましても、四百六十六億円という金額は、若干増加されたとはいえ、学生一人当たり年間三万四千円にすぎず、国立大学の四十分の一にしかすぎないのであります。また、この金額は、私大の累積赤字にも達しておらないのであります。政府は、現在、私大の経常的経費の二分の一を補助するために五カ年計画を実施中でありますが、第四年目に当たる四十八年度予算案ではとうていその遂行は困難と思われるのであります。政府は五カ年計画を完遂する決意があるのかどうか、また、累積赤字の利子、補給金をなぜ政府は認めなかったのか、文部大臣にお伺いをいたしたいと思うのであります。
 次に、政府は、筑波大学の創設をはかるために、今国会に国立学校設置法等の一部改正案の提出をきめようといたしております。そう伝えられておるのでありますが、管理運営につきましては、学長への権限集中、学外者の管理運営面への参加などを盛り込み、さらに、これらの規定は、筑波大学に限らず、他の国公私立大学でも取り入れることができるような内容だと聞いております。事実だとすると、日本の大学教育の基本である学問研究の自由と大学の自治にとって重大な危機と受け取らざるを得ないのであります。本改正案は、大学の管理運営についてどのようなことをきめようとするのか、文部大臣にお尋ねをする次第であります。
 現在、各大学では、管理運営を含む大学改革に自主的かつ真剣に取り組んでおります。このようなときに、この新構想を他の大学に波及させるようなことは、大学の自治をはなはだしく侵すものではないでしょうか。また、新大学においても、新しい教職員の自主的な創意によって新しい管理運営方式を生み出すような方途をなぜ講じさせないのか、一方的になぜ法律で押しつけようとするのか、これらの点について文部大臣の見解を伺いたいと思うのであります。(拍手)
 また、文部大臣は、就任の際、現状では大学運営臨時措置法の期限が切れたからといって法律が不要になるような客観的情勢にはない、こう言われましたが、同法を延長されるのか、新しい立法措置を考えておられるのか、明確に答弁をお願いしたいと思う次第であります。
 最後に、心身障害児の教育の問題であります。
 在宅障害児は、教育の機会を失い、発達の可能性を奪い取られたにとどまらず、閉ざされた生活環境、人間関係の中で、自傷行動、対人・集団恐怖等の神経症的な行動におちいっています。さらには、子供の権利のみならず、家族の人権も侵害されていくのであります。買いものに出るにも、柱に帯でつなぎ、走って行っている、食べものはすべてかみ砕いてから子供に与えるので、自分の食事のときにはもうつばも出ない等々、家族の生活、労働権まで奪われ、日夜にわたる介護で互いに生きることさえ疲れ果ててしまうというのが現状でありますし、ともに死んでいくというその姿を毎日の新聞報道では報じておるのであります。こうした重い障害を持った子供たちの世話、教育を親だけに依存することは、どだい無理なことでありましょう。したがって、社会福祉施設の整備こそ、まさに福祉優先の姿勢を打ち出したとみずから言われる田中内閣の最大の責務といわなければなりません。しかるに、これらの施設の現状を見てみますと、きわめて貧困であります。いまだに県の中に一校の養護学校も設置していない県があるというのであります。この問題の解決なくして福祉を論ずる資格はありません。何の日本列島改造論かと言いたいのであります。
 そこで、端的に総理にお聞きしたい。今後これから希望者全員の入所がいつまでに実現するのか、その計画と時期について明確にお示し願いたいと思うのであります。(拍手)
 以上、私は、教育問題についての質問を終わります。
 最後に、さらにつけ加えますが、心身障害者の親あるいは身寄りは、ほんとうにこの問題について今日までの政府の持っておるこの計画では待ち切れないのであります。次々に心中するあの悲惨な状況をお考えになって、総理の明快な前進の方向での決断を期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(田中角榮君) まず第一、経済の高成長と福祉は両立しないのではないかという問題にお答えをします。
 政府は、従来の成長優先の発想を改め、社会保障の充実、社会資本の拡充、公害の防除等、国民生活に直結した福祉政策を推し進めることといたしておるのであります。しかし、成長か福祉かという二者択一式の考えは誤りであります。福祉は、日本人自身の力をもって経済を長期安定的に発展させ、その経済力によってしか必要な資金の出どころはないのであります。そのため、政府としては、今後五カ年間の実質経済成長率を九%程度に維持することが適切であると考えておるのでございます。そして、今後の政策運営にあたっては、経済成長の成果を国民福祉のために積極的に活用してまいりたいと考えます。
 国民の福祉を国の責任と予算の中で解決していく決意についての御発言に対してお答えをいたします。
 国民の福祉を向上することは、現内閣の最大の課題であります。四十八年度予算においても、社会保障の充実、社会資本の整備など、国民福祉向上のための施策を強力に推進しておるのでありますが、今後とも、国民の要請にこたえ、緊要なものから着実に実現をはかってまいりたいと考えます。
 次に、年金制度について申し上げます。
 年金については、四十八年度予算において、五万円年金の実現、物価スライド制の導入など、画期的な措置を講じたのであります。国際的に見ても遜色のない水準であります。わが国の公的年金制度は、いまだ歴史が浅く、したがって、被保険者に対し受給者が少ないという実態でありますが、今後老齢人口の急増に伴い受給者も増加してまいるのであります。年金制度をわが国老後保障の根幹に据え、長期的視野に立って制度の整備充実をはかってまいりたいと考えます。
 大都市地域における廉価で良質な一般住宅用地の供給促進についてお答えをいたします。
 良好な宅地を大量に供給するため、公的機関による宅地開発事業を強力に進めてまいります。その際、公有地の拡大の推進に関する法律による先買い制度を有効に活用してまいります。また、農業協同組合などを通じて、土地賃貸方式も早急に導入する考えでございます。
 住宅は、公営住宅法制定後、公営住宅は大量に建設をされたのであります。公営住宅法は、成立当時の事情は、御承知のとおり、議員立法をもって行なわれたものでございます。このような議員立法で行なわれた公営住宅法において、公営住宅と民間の住宅は多量に建設をせられておるのでありますが、家族基準の細分化や、人口や産業の都市集中によって、住宅の不足が現にまだ深刻になっておるのであります。一部においては、住宅を維持するに困るというような過疎地帯の現象と、大都市においては、つくってもつくっても足らないという住宅の状況があるわけでございます。限られた土地で住宅を供給するのでありますから、当然立体化をはからなければならぬことは言うを待ちませんが、自然の日照権、通風等の問題でこの立体化も順調に行なわれないという実態でございますので、これらを国民の理解を深めながら調和をはかってまいりたいと、こう考えるのであります。
 法人税の税率の引き上げ提案につきましては、税率の引き上げを取り上げるよりも、まず、課税所得の拡大を取り上げるべきであると考え、産業関連や輸出に関する特別措置を廃止することにいたしました。この関係で、今年度四百億円の法人税負担が重くなるわけでございます。さらに、今回は固定資産税の調整が行なわれますので、法人の負担はかなり加重されるのでございます。したがって、今後、法人税率を直ちに引き上げることは考えておりません。
 有価証券取引税の十倍程度の引き上げということに御言及がございましたが、有価証券取引税は、有価証券の譲渡の際に課せられる流通税であります。その税率は比例税率でありますので、取引金額の増加に応じて税負担も増加するものでございます。今回、この税率を二倍に引き上げることにいたしております。比例税率の引き上げ幅としては相当なものであると御理解をいただきたい。
 大口の有価証券譲渡は、個人についても課税したらどうかという御発言に対しましては、有価証券の譲渡所得に対する課税については、政府の税制調査会においても審議をお願いしたのでございますが、譲渡益に課税をすると、譲渡損に対した場合どうするかという問題が当然起こってまいります。そういうことでございまして、譲渡損の問題がありますので、かえって不公平感を招く結果となりかねないという問題でございまして、引き続き勉強課題といたしておるのでございます。
 法人の受け取り配当に対する課税につきましては、従来から法人税の基本的なあり方に関連する問題として課税は不適当であるとされており、これも今後の研究課題でございます。
 法人所有地の含み資産の再評価に対しての言及に対してお答えをいたします。
 現に保有する法人の土地について、強制的に再評価させ、課税するという御提案については、最近において投機目的のために取得した土地には税負担が相対的に低く、古くから保有し本来の事業の用に供している土地ほど税負担が重くなるなど、むずかしい問題がありまして、にわかに賛成できません。
 五〇%程度の土地増価税の問題があったようでございますが、御質問の土地増価税の内容が必ずしも明らかでありません。かりに一定基準の土地評価額を上回る部分の土地譲渡益に対して重課せよということでありますと、基準となる標準地価として何が適当であるか、明確な基準がないので、その実行は困難なのでございます。
 中小企業の個人事業税を撤廃または減税せよという問題については、中小企業者の個人事業税負担の軽減をはかるため、明年度は事業主控除を八十万円に引き上げることにいたしました。
 農業の位置づけについては、農業及び農村は、国民に食糧を安定的に供給するだけではなく、国土と自然環境を保全し、健全な地域社会を維持する上での重要な役割りを果たしておるのでございます。このため、高能率農業の育成をはかるとともに、農村の生産と生活を一体として農村環境の総合的な整備を進めてまいりたい、こういう考えでございます。
 教育振興に対する基本的な考え方についての御質問に対してお答えをいたします。
 教育は、次代をになう青少年を育て、民族悠久の生命をはぐくむための最も重要な課題であると信じます。したがって、これからの時代における教育のあり方を展望し、長期の見通しに立って、教育環境の整備には思い切って施策を進めてまいりたいと考えます。
 特に、人間形成の基本は小中学校で定まることを思うとき、義務教育を充実し整備することが大切であります。このため、そのにない手である教師の給与の増額予算を計上し、子供を導く先生によき人材を得て、先生がその情熱を安んじて教育に傾けられるような条件を一日も早くつくりたいと願っておるのであります。
 中教審答申に対する考え方についてでございますが、中教審の答申は、これまでの学校教育の実績を十分に分析評価した上で、今後における改革の基本構想を明らかにするとともに、具体的施策について提案した画期的なものと考えます。すなわち、戦後の教育改革による現行六三制は、教育の機会均等を促進し、教育の量的拡大に大いに寄与しましたが、学歴偏重の傾向や入試の弊害など、質の面においてさまざまの課題を生じておることは、教育関係者をはじめ一般に指摘されておるところでございます。中教審は、これらの分析評価の上に立って、人間尊重の精神にのっとって、その個性を伸ばし、個人の可能性を最大限に発揮させ、平和な国家、社会の形成者の育成を目ざして教育改革を提言したものでございます。私は、この答申を高く評価し、国民の期待にこたえて教育改革が達成されるよう努力を傾ける決意でございます。
 私学の位置づけと助成についての御発言に対してお答えをいたします。
 わが国高等教育の振興のためには、私立大学の教育の振興をはかることが重要であります。しかしながら、私立大学は、国公立大学に比して、人的、物的な整備の状況が十分でないのみならず、学生納付金もかなり高額になっており、その経営は困難な状況になっております。このような状況にかんがみ、国は、昭和四十五年度から、私立大学等に対する経常費助成を行ない、これを年々拡充し、私立大学等の教育研究水準の向上につとめておるのであります。
 最後に、重症心身障害児の問題等に対してお答えいたします。
 重症心身障害児に対しては、国として手厚い援助を行なうべきものと考えており、特に緊急に施設入所を必要とする者については、昭和五十年度末を目ざして全員が入所できるよう施設の整備を推進してまいります。
 また、養護教育の義務化については、昭和四十八年度中には、すべての都道府県に養護学校を設置する計画でありますが、今後とも施設設備等の拡充をはかって、できるだけすみやかに義務制を施行したい所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(齋藤邦吉君) 年金につきまして、私を名ざしての二つの御質問にお答え申し上げます。
 従来の年金水準は、厚生年金、国民年金とも二万円水準でございましたが、今回の改正におきまして、拠出年金につきまして五万円年金を実現しよう、次に、既裁定年金、さらに国民年金につきましては、十年年金につきまして思い切った改善を行ない、さらに、こうした年金額につきましては、スライド制を導入しようということでございますので、まさしく画期的な年金の改善であると考えておるものでございます。
 この年金制度につきまして、先ほどの御提案は、すべての老人に一律に最低保障年金を保障すべきである、こういう御提案と思うのでございますが、現在の年金制度は、社会保険方式を採用いたしておりますので、この方式とは根本的に相いれないものでございまして、賛成いたしかねることを申し上げておきたいと思うのであります。
 次に、年金につきまして、積み立て方式をやめたらどうかというお尋ねがございました。
 由来、年金というものは、二十年、三十年と長期にわたって計算をしなければなりませんし、しかも、今回は、物価スライド制を採用いたしておるわけでございます。こういうふうなことになりますと、当該年度に必要な給付費用をその年度の保険料でまかなうということになれば、被保険者に比べ支給者数が少ない現段階においては、当面、比較的軽い負担で給付改善を行なうことも可能かと思います。しかし、老齢化傾向は西欧先進諸国並みに進み、今後、受給者が急増するのでございまして、かりに給付改善を行なわないといたしましても、保険料負担というものは、今後、急激に高額過重なものとなることが予想されるのでございます。したがって、二十年、三十年と長期にわたって物価スライド制を背景とした五万円年金の支給を確実にいたしまするためには、長期的視野に立った財政運営、特に急激な負担過重を避けつつ運営するということが必要であると考えておるわけでございまして、賛成いたしかねるのでございます。(拍手)
   〔国務大臣金丸信君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(金丸信君) 深刻な住宅の実態を十分に調査して、きめこまやかな住宅政策を行なう必要があるが、政府の具体的な見解を明らかにせよという問いでございます。
 現在、政府は、第二期住宅建設五カ年計画を基本として住宅政策を実施しておるのであります。この計画は、住宅事情の実態及び将来の住宅需要の動向等について詳細な調査分析を行なった上、策定したものであります。したがって、政府といたしましては、基本的には、現行の五カ年計画を着実に実施していくことにより、住宅難の解消、居住水準の向上等の目標を達成することが可能であると考えております。
 なお、その実施にあたりましては、その後の住宅事情の変化、国民の需要動向等を十分に把握して、実態に即したきめこまやかな住宅の供給につとめていくという考えでございます。
 抽せん方式を改めて、実態に即した、必要な者から入居順位をきめろというお話でございますが、私も、この問題については、安永先生と同感でございますが、ただ、公的住宅を必要とする世帯を選定するために、国民一人一人の住宅困窮度や居住状況を的確に把握する方法をいろいろ検討してみると、そのいずれもが全面的に行なうのには膨大な管理機構と多額な費用が要るというところに問題があるわけでございますが、しかし、私は、この問題につきましては、いま公共団体が公営住宅で実施しておるいろいろの施策もあります、そういうものも十分に取り入れ、前向きでこの問題には取り組んでまいりたい所存でございます。
 次に、第二期住宅建設五カ年計画を抜本的に改正しろというお話でございますが、第二期住宅建設五カ年計画は、三百六十万世帯にのぼる住宅難世帯の解消と、世帯の細分化等による新規の住宅需要の充足をはかるため、計画期間中に九百五十万戸の住宅を建設することとし、このうち、自力のみでは適正な水準の住宅を確保し得ない者には公的援助を行なうものとして公的住宅建設戸数を算定し、全体の四〇%に当たる三百八十万戸をきめたものであります。政府といたしましては、この計画の目標を確実に達成することが急務であると考えております。このため、計画の促進のために最大の努力を払っていることでありますので、現段階ではこの計画を改定する必要はないと考えておりますが、以後この問題につきまして十分に実態的にも調査して、この改定をするかしないかという問題には対処してまいりたいと思うわけでございます。以上。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(櫻内義雄君) 総理の御答弁に一、二補足して申し上げます。
 安永議員から、食糧自給度の向上などの御所見を承ったのであります。現在の国際的な食糧事情などを勘案いたしますときに、私としても同感の点がございます。昨年十月に、農林省として、「農産物需給の展望と生産目標の試案」を発表しておるのでございます。この試案につきましては、農業団体の各方面の御意見を徴してつくったものでございまして、今後十年の間に、米、野菜、肉、果実、乳あるいはその加工品などにつきまして、完全官給ないし八〇%の自給を目ざそうということでございます。私は、この試案を参考にいたしまして、堅実に自給度向上のためにつとめてまいりたいと思います。
 それから価格支持制度についての御指摘がございました。これは、安永議員御承知のように、現在主要農産物の七割程度は対象になっておるのでございまするが、しかし、不十分な点は私もこれを認めておりまするので、今後価格安定制度、支持制度の拡充には極力つとめてまいりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣奥野誠亮君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育予算の拡大について、たいへん御熱意のある御意見をいただきました。
 一つ御理解をいただいておきたいと思いますのは、文部省予算の対前年度伸び率は着実に伸びているということでございます。四十三年度が一一・六%、四十四年が一三・八%、四十五年が一三・九%、四十六年が一六・五%、四十七年が一九・九%、ことしが二〇・二%でございます。
 次に、生徒の希望する学校に行けない、職業科は三人に二人は志望違いのところへ回されたという御指摘がございました。
 だんだんと普通科を志望する傾向が非常に強まっているようでございますし、また、激しい社会の変化があるわけでございますので、学校のあり方につきましても、絶えずくふう改善を加えていかなければならないと考えておるわけでございます。
 知育偏重とからみまして、学習指導要領を弾力的に運用するということについて御意見がございました。
 いわゆる知育偏重やテスト教育の問題は、単に学校教育だけの問題ではなしに、根本においてはわが国の社会的環境や国民の考え方にも深く関連するものがございますが、学校教育の面においては、人間として調和のとれた育成ができますよう、かねてから教育内容の適切な改善をはかってきているところでございます。
 学習指導要領につきましては、すべての国民に一定の水準の教育内容を保障する必要があるところから、最小限の基準として定められているものでございまして、地域や学校の実情等に即して、教師の指導面での創意くふうは十分生かせるものと考えておりまして、現在このたてまえは変える意思は持っていないわけでございます。
 私学の助成に関しましていろいろお話がございました。
 私学の現在の役割りは非常に重要なものだと考えているわけでございます。そのために、財政面での助成も四十五年度から五カ年計画を立てて遂行しているわけでございまして、これはそのとおりに進行いたしているわけでございます。四十八年度におきましては、理工学部につきましても十分の五に引き上げますし、その他のものにつきましても十分の三を十分の四に引き上げるわけでございます。これを計画どおりに進行させまして、さらに引き続いて私学助成の拡充を私たちとしてはぜひ達成していきたい、かように考えているわけでございます。
 さらに、累積赤字のお話がございました。
 今回は、いま申し上げましたような計画的な助成をそのとおりに進めていく。さらにまた、いわゆる貸し付け計画の点につきましても、金額をふやしましたり、条件を若干改善をいたしましたりしたわけでございまして、赤字の問題につきましては引き続いて検討させていただきたいと考えているわけでございます。
 その次が、大学改革についてのお尋ねでございます。
 茨城県に筑波大学をつくるわけでございますけれども、この筑波大学の設置にからみまして、新しい方式もひとつ加えてみたい、こういうことで考えているわけでございまして、この方式を全大学に押しつけるというような考え方は持っていないわけでございます。現在の大学におきましていろいろとくふうを講じていただいておるわけでございまして、そのくふうで現在の学部自治も十分に成果を発揮するように私たちは期待しているわけでございます。
 ただ、現在の学部について問題点を申し上げますと、特定の学問分野に関しまする研究と教育とを一体的に行なう組織になっているわけでございます。その結果は、教育と研究のいずれもが不徹底になるおそれが出ているわけでございます。たとえて申し上げますと、研究上の必要性から考えますと、こまかいところを掘り下げていく必要がございます。教育上の必要性から考えますと、包括的に教えていく必要がございまして、その間に矛盾が出ているというような問題もございます。あるいはまた学部の閉鎖性が強い場合には、学部の利害関係が大学全体の正常な意思決定を妨げて、その運営を困難にしている場合もあるわけでございます。そういうようなところから考えまして、筑波大学の場合には、研究のための組織と教育のための組織を区分したい。研究のための組織を学系、教育のための組織を学群として、区分して編成したいということなどを考えているわけでございます。
 その次に、大学の運営に関する臨時措置法が来年八月で失効するわけでございますが、あとをどうするのかということでございます。
 現に、早稲田大学に見られますように、私たち、いまの大学につきましてはたいへん心配も重ねているわけでございます。しかし、このあとをどうするかということにつきましては、まだ時期もあることでございますので、経過を見ながら十分考えてまいりたいと、かように存じておるわけでございます。
 次に、心身障害児に対しまするお尋ねがございました。
 心身障害児に対する教育を進める上で、医療福祉の分野等と十分連携を保ってこれを行なう必要がありますことは、御指摘のとおりでございます。現に、学校におきましては、病院あるいは福祉施設などと密接な協力関係のもとに、障害児に対する教育を行なっているところでもございます。
 国におきましても、中央心身障害者対策協議会等を通じまして、関係行政機関相互の連絡調整をはかってきているところでございまして、引き続き心身障害者に対する施策を総合的に推進していくことにしたいと考えます。(拍手)
#32
○議長(河野謙三君) 野末和彦君。
   〔野末和彦君登壇、拍手〕
#33
○野末和彦君 私は第二院クラブを代表し、土地問題について総理に質問します。
 東京のある小学校の話ですが、四年生の生徒に、先生が、百万円あったら何がほしいと聞いたところ、土地がほしいと答えた生徒が何人かいたという話を聞きました。子供らしくないといってまゆをひそめるのは、これは簡単ですけれども、その子らにとっては土地はこれほどに切実な要求だったわけで、政府の土地政策の貧困が子供の心をここまで荒廃させてしまったということができるかもしれない。
 経企庁の数字によれば、職場まで四十五分の通勤圏内で、百五十平米の土地を平均的サラリーマンが手に入れるには、その収入を全部飲まず食わずで注ぎ込んで、何と五年半かかるそうです。同じ条件で、アメリカは四十五日、フランスでは二年半といいますから、わが国の地価がいかに高いかということがよくわかる。ですから、この調子では、勤労者が普通の生活をしながら貯蓄して買う場合には三十年、四十年もかかって、かりに一生を担保にしてもなお買えるかどうか、非常に疑問である。私はそう思う。
 一方、土地を持つ人はどうかといいますと、何にも努力しない、頭も使わないで、寝ているだけで、もうかってもうかって笑いがとまらないというような現状、いまの日本は土地を軸にして、持てる者と持たざる者の格差がどんどんと広がって、不公平、不均衡は増大するばかりです。そこへ悪性インフレの波が襲い、福祉どころではなくなってしまいそうな、そんな現状になっています。だから、総理、国民はあなたを当てにしているわけです。特に、土地なき庶民は、ひょっとして田中さんならば何とかしてくれるかもしれない。自分で買えないまでも、まじめにこつこつやっていれど、やがて土地が持てるようになるかもしれないと、そういう気持ちで総理の土地政策に大きな期待を寄せていると思います。そこで本来ならば、総理の総合的な土地対策が効力を発揮した場合にどの程度に地価の抑制ができて、そしてまたどのくらい土地の値段が下がり、そして何年先に庶民にも土地が手が届くようになるか、肝心な点で具体的な見通しをお聞きしたいところなんですが、これまでの総理の御答弁を聞く限り、残念ながら私は国民の期待がまるで裏切られるような不安を抱くわけです。なぜなら、総理の政治姿勢に非常に疑問がある。一例をあげますと、NHKのあと地売却問題ですが、あれは正当な商取引であるかどうかはこの際問題ではなくて、坪一千百万円というばか値が地価上昇に拍車をかけるという、この社会悪を生み出すことへの反省がなくてはいけないと思うわけです。ところが、総理は、聞くところによりますと、NHKの会長に、もうけた分は慈善事業に寄付したらどうかとお話しになったとか、新聞で私は読みました。これが事実とするならば、総理は、この取引を是認しているわけで、異常な値段による土地売買に対する批判とか反省とか、それがまるでないと、これが私には非常に残念です。イギリスあたりでは、土地で金をもうけるのは紳士のやることではないと言われています。ここには何の経営努力も企業頭脳も要らないからでしょう。この意味からNHK問題に対する総理の肯定的態度、私は大いに疑問がある。おまけに、もうけた分を貧しい人に恵んでやるという式の福祉感覚、これが総理を信用できない理由なんです。福祉は国民の権利でしょう。政府は国民の福祉を保障する義務と責任があるのですね、それが十分できていない。それをカバーするために、何かぼろもうけの中からおこぼれを恵んでやるというような発想は、国民をばかにしてると私は思う。先日、私は総理の私邸の近くを歩いてみました。私は驚きました。総理の私邸がだだっ広いから驚いたわけではありません。そこに日本の土地問題の縮図を見たからです。土地を持つ者と持たざる者の極端な落差とゆがみというものをそこに見て、私は驚いた。総理の私邸は東京の目白台一丁目十九番地。三千坪近い敷地を有するといわれます。私が台帳で調べましたところ、三千坪はないようでしたけれども、ざっと計算して、その同町内の六%、約十七分の一が総理邸の敷地でした。住宅用に、これは広過ぎはしないでしょうか。総理としての来客が多いというならば官邸がありますし、かりにあなたの御家族が、同居人を含めまして、かりに十人として一人当たりの土地の広さは二百坪以上になる。ところがですね、あなたの私邸の裏に当たる、道一つ隔てたところに高田一丁目というのがありますけれども、そこでは狭いところにアパートがひしめいています、御存じだと思いますけれども。六畳一間で暮らしている世帯が幾らもある。この人たちは何と言っているか。田中さんのように広い土地や家を持とうとは思わないが、せめてゆっくり寝れるスペースがほしいんだと、新しい物を買った場合にそれを置く場所がほしいと、こう言っている。このささやかな土地なき庶民の願望と、片や総理の大邸宅、この不公平な現実を、あなたはどう考えるか。これこそあなたが演説の中でおっしゃった、片寄った国土の利用の典型ではないかとさえ私には思える。言うまでもなく土地は再生産がききません。母なる大地と言うごとく、一般の商品とは違います。これは総理もお認めになっている。個人の所有ではあっても国民共有の公的財産でなければならない。それゆえに、一部の人が金と力にものをいわせて必要以上に土地を独占し、私権をほしいままにすることは、いまや許されない時代になっていると私は思います。
 人間は、生まれてきた以上、天の恵みと地の恵みを平等にだれしも受ける権利があります。
 天の恵みとは、太陽を含めた青空と空気であります。何ぴとといえどもこれを独占はできない。現に日照権をおかすことはできなくなりつつあります。地の恵みとは、もちろん土地です。地の恵みはだれにも平等で、そしてだれもが自分の土地を持てるようになるのが理想です。かりに所有はできなくても、マイホームのために利用できるような姿が望ましいのは言うまでもありません。
 そこで、総理、地方の広々としたところならともかく、都会のまん中の一等地に、一個人が必要以上に土地を私用に独占することは、それ自体が罪悪だと私は思うのですが、いかがでしょうか。このほかにも土地をたくさん持ち過ぎる総理としては、そのことで良心がとがめないのかどうか、私はふしぎでならない。
 そこで、私はあなたに提案したい。広過ぎるあなたの敷地の一部を庶民に開放してはいただけないかどうか。公園でもいい、住宅でもいい、とにかく公共のために、所有権はそのままでけっこうです。利用権だけ、利用権だけ庶民に開放してほしいと思う。あなたもおっしゃっている、私権よりも公共の福祉を優先させる。そして、演説の中でも、片寄った国土の利用を改め、土地が広く公正に国民に利用されるよう努力する、これが土地政策の基本であると発言しておられるではありませんか。
 参考までに私が聞きましたところ、西欧諸国では、総理大臣が都市の一等地にだだっ広い邸宅をかまえているような例はあまりないそうですね。ロンドンとかローマなどはアパート暮らしだそうです、総理大臣が。もちろん、かなり広いアパートですから、われわれが言うアパートとは違うと思いますが、少なくも土地の独占は許されていないという話を聞きました。もし、私が間違っていたら訂正をしていただきたいと思いますが、外国に例を求めるまでもなく、身近にもいいお手本がある。いまはなき浅沼稲次郎氏は、最後まで粗末なアパートに暮らしておりました。これがいまだに政治家として浅沼さんが尊敬を集めているゆえんであることは、総理もおそらく御理解いただけると思う。
 総理のお気持ちはもうきまっていると思います。まず隗より始めよということばがありますが、総理みずからが範を示さずして、どうして土地問題の解決がありましょうか。みずから公益優先の見本と原則を示さずして、大企業や土地業者の買い占めを非難し、これを規制することが、はたしてできますか。ましてや、持てる者から土地をはき出させるような芸当が可能とは私には思えません。決断と実行を誇る総理です。総理にできないはずがないと思う。
 念のため誤解なきように言っておきますが、これはプライバシーの問題ではありません。私は総理の政治姿勢の根本に言及しているわけです。土地問題の解決を国民から期待されている総理にして、あのように広大な土地をみずからが持ち過ぎることが、はたして許されるのかどうか、私はモラルの面から総理にお聞きしているわけなんです。
#34
○議長(河野謙三君) 野末君、時間です。
#35
○野末和彦君(続) はい。そうして、これは一田中総理のみの問題ではなく、法外に土地を持てる者の持たざる者に対するモラルとして、私はこれをはっきりさしておきたいと思います。
 総理、目白台の私邸の敷地の一部を開放することに賛成か反対か、イエスかノーか、それだけを質問したい。そのお答えで、私は総理が土地問題に本気で政治生命をかげているかどうかを判断したいと思います。お願いします。以上です。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(田中角榮君) まず第一に、土地問題は非常に重要でありますので、政府も全力をあげてこれと取り組むつもりでございます。
 第二は、NHKの土地問題に対して、その一部を恵まれぬ人に恵んでやってはいかんとの発言があったとは、どこで、たれから聞いたのですか。確信のない発言は慎んでいただきたい。(拍手)
 第三は、私の私宅の問題について種々御意見をいただき、感謝をいたします。私有の宅地について御指摘の数字はその半分余りだと記憶をしておりますので、念のために申し上げておきます。私は二十六年余も代議士の職にありまして、毎日たくさんの方々が出入りをいたしておるのであります。私宅というよりも政治事務所の一部を形成しておるのであります。出入りの車や人が多いことで近所や通行の方々にたいへん迷惑をかけている現状に恐縮をしておるのであります。現在は外国の方々の公私にわたる訪問もあり、公職にあるため警護の方々も多く、現在直ちに御説のようにできない状態にあることを理解してほしいのであります。なお私も市民の一人として、高層アパートの一室でゆっくり勉強する一日を持ちたいという人並みの希望もあります。将来責任の地位を離れることができたならば、私宅の敷地もアパートか何かにして、世のためにもと、夢と希望を持っていることを、この際申し添えます。(拍手)
#37
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#38
○議長(河野謙三君) 日程第二 参議院予備金支出の件を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長植木光教君。
    ―――――――――――――
   〔植木光教君登壇、拍手〕
#39
○植木光教君 ただいま議題となりました参議院予備金支出の件について御報告申し上げます。
 今回御報告いたしますのは、昭和四十六年十二月二十九日から昭和四十七年十二月二十一日までの間に支出されたものでありまして、支出額は昭和四十七年度分二百七十二万一千円であります。
 これは第七十回国会の開会に伴いまして、応召帰郷旅費の既定予算の不足を補うため支出されたものであります。
 この支出につきましては、あらかじめ議院運営委員会の承認を経ておりますが、ここに国会予備金に関する法律第三条の規定により、本院の承諾をお願いする次第であります。(拍手)
#40
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 本件は、委員長報告のとおり承諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本件は承諾することに決しました。
     ―――――・―――――
#42
○議長(河野謙三君) この際、常任委員長の辞任についておはかりいたします。
 法務委員長阿部憲一君、逓信委員長杉山善太郎君から、それぞれ常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#43
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
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#44
○議長(河野謙三君) つきましては、この際、日程に追加して、常任委員長の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
#46
○竹田現照君 常任委員長の選挙は、その手続を省略し、いずれも議長においで指名することの動議を提出いたします。
#47
○峯山昭範君 私は、ただいまの竹田君の動議に賛成いたします。
#48
○議長(河野謙三君) 竹田君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、法務委員長に原田立君を指名いたします。
   〔拍手〕
 逓信委員長に茜ケ久保重光君を指名いたします。
   〔拍手〕
     ―――――・―――――
#50
○議長(河野謙三君) この際、おはかりいたします。
 鈴木省吾君、増田盛君、田中寿美子君から、それぞれ裁判官訴追委員予備員を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
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#52
○議長(河野謙三君) この際、
 裁判官訴追委員予備員三名、
 検察官適格審査会委員、同予備委員、
 東北開発審議会委員、
 九州地方開発審議会委員、
 北陸地方開発審議会委員、
 豪雪地帯対策審議会委員、
 離島振興対策審議会委員、
 台風常襲地帯対策審議会委員各一名、
 北海道開発審議会委員二名、
 鉄道建設審議会委員一名の選挙を行ないます。
#53
○桧垣徳太郎君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官訴追委員予備員の職務を行なう順位は、これを議長に一任することの動議を提出いたします。
#54
○竹田現照君 私は、ただいまの桧垣君の動議に賛成いたします。
#55
○議長(河野謙三君) 桧垣君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#56
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、裁判官訴追委員予備員に原文兵衛君(第二順位)、斎藤十朗君(第三順位)、中西一郎君(第四順位)を、
 検察官適格審査会委員に後藤義隆君を、
 同予備委員に中村禎二君を、
 東北開発審議会委員に山崎竜男君を、
 九州地方開発審議会委員に川上為治君を、
 北陸地方開発審議会委員に辻一彦君を、
 豪雪地帯対策審議会委員に杉山善太郎君を、
 離島振興対策審議会委員に玉置猛夫君を、
 台風常襲地帯対策審議会委員に上田稔君を、
 北海道開発審議会委員に河口陽一君、西田信一君を、
 鉄道建設審議会委員に平井太郎君を、それぞれ指名いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時五十二分散会
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ソース: 国立国会図書館
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