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1972/03/02 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第7号
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1972/03/02 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第7号

#1
第071回国会 本会議 第7号
昭和四十八年三月二日(金曜日)
   午前十時三分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第七号
  昭和四十八年三月二日
   午前十時開議
 第一 国家公務員等の任命に関する件
 第二 緊急質問の件
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 田中茂穂君から病気のため三十日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(河野謙三君) 日程第一 国家公務員等の任命に関する件
 内閣から、人事官に島田巽君を、
 宇宙開発委員会委員に山縣昌夫君、吉識雅夫君を、
 中央社会保険医療協議会委員に圓城寺次郎君、土屋清君を、
 労働保険審査会委員に三浦義男君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、人事官、宇宙開発委員会委員、中央社会保険医療協議会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、いずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(河野謙三君) 次に、労働保険審査会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#9
○議長(河野謙三君) 日程第二 緊急質問の件
 佐藤隆君から、最近の商品投機等の対策に関する緊急質問が、小野明君から、商社等の投機規制に関する緊急質問が、峯山昭範君から、最近の商品投機等による物価高騰に関する緊急質問が、藤井恒男君から、最近の商品投機と物価高騰に関する緊急質問が、塚田大願君から、商品投機などによる最近の異常な物価高騰に関する緊急質問が、それぞれ提出されております。
 これらの緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。順次発言を許します。佐藤隆君。
   〔佐藤隆君登壇、拍手〕
#11
○佐藤隆君 私は、自由民主党を代表いたしまして、国民生活に密接な関係を持つ物資の価格の急騰と、これに対処する政府の対策について、総理並びに関係各大臣の御所見を承りたいと思います。
 さきに、ドルの一〇%切り下げに伴い、円が変動相場制に移行して以来、経済界には、国際経済、日本経済の将来についていろいろな不安や懸念が生じ、政府・与党が責任をもってしっかりした対策を講ずることを望む強い期待感があります。
 大豆、木材、羊毛など、生活必需品の最近の異常な値上がりについてもまた同様でありまして、国民はすみやかに効果的な対策がとられることを期待しているのであります。しかし、政府がやっていることと、国民が政治に期待するところとは、その間にとかくギャップを生じがちでありまして、私の見るところ、そうしたギャップは残念ながら次第に大きくなりつつあるように思うのであります。できないことはできないと言い、できることはすぐやる、これが田中内閣の特徴であります。しかし、それが必ずしも国民には十分に理解されていないうらみがあります。たとえば、今度の商品投機の問題にいたしましても、その元凶は大商社であるという商社性悪説が流され、政府はその商社と癒着している、だから思い切った対策がとられないのだというような中傷さえも行なわれているのであります。政府が何らかの措置を講じようとする、また講じたにもかかわらず、この種の中傷がまかり通るというのも、政府が国民の理解を求める努力にいささか欠けているからではないでしょうか。
 私の乏しい政治経験から申しますと、世論にこたえて画期的な対策を打ち出す場合、対応策を急ぐあまり、大きな期待感だけを持たせ、そのあとで結局失望を与えるような、いわゆる思いつき構想に終わるようであっては、かえって国民を落胆させかねないという体験をしたことがございます。これ以上はできない、しかし、ここまではいかなる障害があっても実行できるし、実行する、ということを見きわめた上で構想を打ち出すべきだということを学びました。また、国民のためにやるべきことをやっても、そのまま理解されない。それは、広報活動に欠くるところありとも考えさせられたのであります。今度の商品投機の問題にいたしましても、このように慎重な姿勢と十二分な配慮で臨むことが必要であろうと思うのであります。
 さて、具体的に、まず第一に総理にお尋ねをいたしますが、国際情勢を見ますと、ドル不信に基づく金投機など、一連の通貨不信が高まっているおりから、わが国もそのらち外にいることはできない状況であります。たとえば、わが国の場合、円の大幅切り上げがほとんど現実のものとなっており、輸入物資の値下げに大きな期待が持たれているにもかかわらず、思ったほどの値下がりもなく、期待はずれになる公算が大きく、商品相場の急騰など、きわめて理解しにくい状況が生じております。これは、わが国にも通貨不安を底流に置いた経済面での混乱が現実化しているからでありましょう。そこで、こういった激動期を迎えたわが国の経済の先行き見通しについて、政府はどう考えておられるか、お伺いをいたしたいのであります。
 第二に、総理、農林大臣、経企庁長官にお尋ねをいたします。
 最近数カ月間に、大豆、木材、生糸などが急激に上昇いたしました。たとえば、大豆は近ごろやや落ちついたとはいうものの、それでも昨年十二月の二倍に近い価格であります。その結果、町には百円とうふまであらわれるような始末であります。木材にいたしましても、卸値三万八千円の杉の柱が、一時は八万五千円、最近でも六万円といわれておるのであります。こうした生活必需品の値上がりはいかにも異常であると考えますが、政府としてはこの事態をどう見ておられるのか、お伺いをいたします。
 第三に、総理、農林大臣、経企庁長官、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 政府は、この異常な事態を解消するために、これまで、金融政策も含め、いかなる措置をとってこられたのか、お尋ねをいたします。しかるべき対策を講じたにもかかわらず、その対策が微温的であったがために、あるいはまた、現行法制のもとではそれ以上のことはできないがために、目立った効果をあらわさず、今日の事態を招いたのか。それとも、対策は徐々に浸透しつつあるのであって、いましばらくすれば相当な効果があらわれることを期待してよいものか、お伺いをいたします。
 特に商品相場が急騰している背景には、過剰流動性があるといわれておるのであります。政府は、その吸収策として、一月に預金準備率の引き上げを行ないました。もとより適切な措置であります。過剰流動性を吸収することによって、株価や地価の上昇に見られるインフレマインドを冷却させる点で、一般的に物価安定に役立ち、大豆等々の騰貴を押えることになりましょう。さきに行なわれた預金準備率の引き上げによって、二千九百億円の過剰資金が吸収されるものと見込まれておりまするが、実際の効果はどうであったでしょうか。また、近く行なわれるという再引き上げによってどれだけのものが吸収されるでありましょうか。
 第四に、通産大臣、農林大臣、経企庁長官にお尋ねをいたします。
 それは、一部大企業の投機行為についてであります。世上には、一部大企業の買い占め、売り惜しみこそが、最近の物価急騰の元凶であるという意見もありますが、これについて政府はどう見ているのでありましょうか。しかるべき調査を行なったでありましょうか。その結果はどうか、お聞かせを願います。
 現行法規のもとでは、おそらく調査も十分に行ない得ないのではありますまいか。だが、火のないところには煙は立たないと申します。何らかの形で買い占めや売り惜しみが行なわれていることを否定するわけにはまいらないでありましょう。政府は、物価対策の一環として、十大商社への融資の規制を行なうとのことでありますが、これはあたかも右の推測を裏づけるかのごとくであります。
 私は、この際、一部商社のもうけ主義、利潤第一主義に強い反省を促すものであります。商社に対しては、自分らの利潤追求が広く国民の利益をそこなうことになりかねない場合には、進んで自粛するだけの商業道徳の確立を強く訴えたいと思うのであります。この点、御所見をお伺いいたします。
 第五に、食糧問題等について農林大臣に特にお尋ねをいたしたいと思います。
 豊凶変動が大きく、供給面での弾力的対応が困難な農産物、しかも、国民日常生活の基礎物資である農産物について、単なるコスト計算だけで安易な国際分業を進めることは非常に危険であり、国内で自給できる農産物、自給すべき農産物については、十分な措置を施して国内自給の体制を確立するということが必要であると考えるのであります。主要農産物の需給の見通しはどうでありますか、これらの国内自給の体制は万全であるかどうか、お伺いをいたします。
 なお、これに関連し、気象その他自然条件等に左右されやすい農産品の備蓄を真剣に考慮すべきだと思うのであります。米など主要食糧は言うに及ばず、飼料などについても、たとえば政府関係機関としての備蓄事業団をつくるなど、積極的な備蓄対策を打ち出すべきではないでしょうか。その是非を明らかにしていただきたいと思うのであります。
 さらに、わが国は、主食用小麦、飼料用麦類などの穀物及び木材の海外依存度が高く、これらの物資の不足感が世界的に高まる状況下でその安定供給を確保することは、国民的関心事となっております。そこで、今後も海外からの供給に依存せざるを得ない穀物及び木材等については、長期の契約ないし協定に基づき、多元的かつ安定的な輸入ソースを確立すべきであると思いますが、いかがでございましょうか。
 また、わが国の一部の商社などが海外で各種の資源を買いあさり、資源の枯渇による反発を招いている状況にかんがみまして、わが国政府が低開発諸国に対し積極的な経済協力、技術協力を行ない、これを通じていわばギブ・アンド・テークの形による開発輸入の体制をつくり上げていくことは、エコノミック・アニマルという海外からのそしりを避けるとともに、農産物の安定供給を確保する意味からも必要と考えますが、いかがでありましょうか。
 なお、国民生活にとって一日も欠かせない主食――米の需給はだいじょうぶでありますか。かりにも、世界的な穀物の逼迫感が広がる中で、米の需給に不安があるとするならば、ゆゆしき事態であります。このような状況のもとで、本年の米の生産調整に変更はないのかどうか。
 また、伝えられるところによれば、モチ米等については、昨年暮れ以来、市場出回り量が少なく、一部商社等による買い占めや価格の騰貴も目立つようでありますが、これは、モチ米だけの話か、米全体の需給に不安はないのでしょうか、お答えを願いたいのであります。
 また、さらに、過剰流動性が問題となる状況下で、豊富な資金が投機や思惑で米にも集中されることが予想されます。万が一にもかかる動きが起こるとするならば、国民生活にとってはもちろん、農政を適確に遂行していく基盤がそこなわれることになります。かりにも米が投機の対象にならないよう、政府の需給操作や適正な流通を維持していくことが肝要であり、これがためには、食管制度の基本を維持するとともに、運用の強化によって、国民消費生活の安定と農業再生産の確保という基本目的を厳然として貫くべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 第六に、物価抑制の新しい立法の問題について、総理、通産大臣、農林大臣、経企庁長官にお尋ねをいたします。
 先ほど、私は、政府はちゃんとした調査をしましたかと申しました。しかし、政府には、もともと突っ込んだ調査を行なう権限はないでしょう。事態がここまで来た以上、特定の物資について、必要な調査、質問、立ち入り検査などの権限を持って、不当な買い占め、売り惜しみを行なっていると認められる者には一定価格での放出を勧告し、従わない者はこれを公表して社会的制裁を加えるというような新しい立法が必要であると思います。わが党におきましても、こうした立法の内容につき成案を得つつありますが、政府のお考えはいかがでありますか。
 最後に、自由経済のあり方について、私は、この際、次のことを提唱するとともに、総理の御見解を伺いたいと思うのであります。
 いま茶の間の議論としてささやかれているのは、次のようなことであります。選挙になると、どこの政党でも経済政策など区別がつけにくい、なるほど脱イデオロギーの時代かな、先々どうなることだろう、これが一部の茶の間談義であります。だが、これは、単なる茶の間談義として済ますわけにはまいりません。投機抑制のための新しい立法につきましても、実は、私自身、ついこのごろ、自由経済の原則はどうなるのでしょうかという率直な問いかけを受けたものでございます。一部の悪質な投機行為は規制しなければなりません。しかし、自由経済の原則に照らして、そうした規制をどこまで行なうか、その限度もまたはっきりさせておく必要があるのであります。もとより、自由な創意を伸ばしながら優先するのは、公共の福祉であります。戦中戦後の統制経済については、われわれは苦い経験を持っております。統制経済あるいは計画経済は、社会主義の国であるソ連などにおいても必ずしもうまくいっておらず、近ごろはいろいろとむずかしい問題が起きておるようであります。
 いわんや、自由主義経済のわが国において、統制経済めかしたことは、つとめて避けなければなりません。ここにむずかしさがあります。したがって、われわれは、いま、大衆福祉社会における公共福祉優先の資本主義はいかにあるべきかという新しい経済原則を求められているのであります。
 われわれは、自由主義経済社会体制の基盤の上で、公共と国民福祉の大義を旗じるしに、時代の要請にこたえる社会政策を果敢に実行していかなければならないのであります。われわれの国は社会主義とは別な自由主義経済社会体制の国である、そのことをはっきりさせることを国民は望んでおるのであります。この私の提言について、御見解を承りたいと思います。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(田中角榮君) 第一に、円の実質切り上げの状況下での日本経済の将来の見通しについて申し上げます。
 変動相場制下における円レートの実勢高により、輸出関連産業や輸出品との競合産業等には、中小企業を中心にかなりの影響が出てくるものと思われるのでありますが、一方、国際収支や物価面に対しては、好ましい影響を与えるものと期待をされるのであります。
 政府としては、当面、輸出関連中小企業等に対し万全の措置を講じますとともに、変動相場制移行に伴う経済面への好ましい効果を十分活用しながら、国民福祉と国際協調を軸とする経済運営につとめてまいりたい、こう考えるわけであります。
 第二は、生活必需物資高騰の評価と対策等に対しての発言に対して答えます。
 最近、過剰流動性や世界的な農産物の不作等を背景に、一部市況商品について投機的動きが強まっておることは事実であります。これに対して、政府は、緊急輸入の促進、政府在庫の放出、関係業界への協力要請、商品取引所の規制等、各般の対策を実施いたしますとともに、流動性過剰の状態を是正するため、本年に入って、預金準備率の引き上げ、日銀の窓口指導の強化、日銀の手形買い入れ限度額制度の創設、土地融資の抑制措置等の諸施策を講じておるのでございます。今後とも、事態の推移を監視しつつ、所要の対策を講じてまいりたいと考えておりますが、これら行なった施策の効果は漸次あらわれてくるものと期待をいたしておるのであります。
 第三は、投機抑制の新立法等についての発言に答えます。
 政府としましては、現在の事態に対しては、基本的には行政的措置で対処するというのが考えでありますが、これを補完するための立法措置につきましても、各方面の意見を徴しながら現に検討を進めておるのであります。
 第四点は、自由経済の原則のもとでの問題に対しての御発言がございましたから、お答えを申し上げます。
 もちろん、わが国は自由主義経済体制が最も望ましいものであるという考えは、全く変えておらないわけでございます。戦後、世界の歴史に例のないような成長を続けられたのも、自由主義経済を基調としてきた政策が功を奏したものであることは、言うをまたないわけでございます。しかし、自由主義経済のもとであっても、企業活動の自由が確保されねばならないことは当然ではありますが、過度の投機などの反社会的行為を放任することはできないわけでございます。政府は、企業に社会的責任を自覚した行動を求めるとともに、正常な商行為が行なわれるよう、適切な指導、監督を強化してまいりたい、こう考えるわけでございます。
 また、政府は、経済成長の成果がより一そう社会のすべての階層に行き渡り、国民がひとしくゆとりと潤いのある生活ができるよう、社会保障の充実、生活関連社会資本の整備、豊かな自然環境の確保などにつとめてまいりたい、こう考えております。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(櫻内義雄君) 最初に、農林関係物資の高騰の原因についてのお尋ねでございました。
 御指摘のような、買い占め、売り惜しみ、商社のこういう行為が大きな原因になっておることはもとよりでございまするが、また、同時に、国際的な需給の逼迫ということも頭に置いておかなければならないと思います。
 この商社の行為を把握できるかどうかということを言われましたが、米、麦などにつきましては、食管法の法令に伴いまして立ち入り調査などができまするが、その他の点につきましては、現行法では困難な面がございまするので、後段でおっしゃいましたような新規の立法措置の必要を認めておるところでございます。
 それから、これらの高騰に対しましてどのように対処したか、こういうことでございまするが、まず、大豆につきましては、二月三日に緊急対策を発表いたしまして、製油業界の五万トンの放出とか、あるいは、中国に対しまして外交ルートを通じて糧油公司の協力を求めるとか、米国への要請など、つとめてまいったわけでございます。
 飼料につきましては、この週の火曜日に緊急対策を発表いたしまして、麦類二十五万トン、古々米五十万トンを上期に集中的に放出をするという施策、また、全農、全酪の行なっております安定基金が非常に効果がありまするので、これらの安定基金に対する政府の出資あるいは利子補給、それとともに、商社系につきましても同様の措置を講じまして、でき得る限り飼料価格の値上がり幅を少なくするようにつとめておるところでございます。
 また、生糸の関係につきましては、生糸企業の生産の増強や、織物業者の自粛を求めますとともに、中国よりの生糸の輸入促進方につとめておるようなわけでございます。
 木材につきましては、現在価格がやや鎮静化いたしてまいっておりまするが、一番農林省として頭の痛いことは、木材関係では、こういう機会に国内の国有林、民有林をどんどん切るというわけにいきません。国土保全、自然環境の保護という見地から、これはできかねます。それかといって、輸入の促進と申しましても、アメリカにおけるようなああいうきびしい情勢下にございまするので、今後、カナダ、ソ連、インドネシア等に対しまして輸入の促進を求めるとともに、御指摘のありましたような開発輸入の促進などをいたしまして対処してまいりたいと思うのでございます。
 それから食糧の自給についてお話がございました。工業品と違って、国際分業でいけばいいというものでない、でき得る限り国内において自給すべきものである、こういうことで、昨年十月の試案によりまして、米、野菜、果実、肉、鶏卵、牛乳、乳製品等、完全自給ないし八割の自給を目ざして施策を進めていくということを申し上げておるわけであります。
 農産物の備蓄についての御意見がございました。これは、私といたしましても、昨年のああいう国際的な天候不順による需給関係の逼迫で、それで日本が大きな影響を受けるという事態は好ましくないのでございまして、これは備蓄のための何か適当な方策を関係省とも協議をいたして考えてまいりたいと思うのであります。
 それから米の需給について心配はないかというお尋ねでございました。本年度の場合で申し上げますると、十月末日現在の予想は、古米五十万トンを保有いたしまして、そして、そのころには本年度の新米が二百五十万トン程度は確保できるという状況で新しい米穀年度に移ってまいりまするので、不安感はないと思います。しかしながら、今後さらに手持ちの米をふやすために、生産調整等についても、現在の事態に応ずるような、また、生産調整そのものが当初画一的な調整をやりましたので、農業の経営上実態にそぐわないところもございまするから、その辺の新しい考え方を加えながら、少なくとも古米は二カ月分は保有しておくことが好ましいのではないかと思う次第でございます。
 モチ米についてのお尋ねがございました。これは昨年不作でございまして現在高騰をいたしたような事態で、まことに申しわけないのでございまするが、これについては、政府の手持ちを放出をいたしますとともに、極力タイなどからの買い付けを交渉いたしまして成約を見ておりまするので、これが反映をして現在価格が落ちついてきておると思うのであります。
 なお、米の投機についての御心配がございましたが、食管法に基づき、政府が物量的にも制度的にも米の流通を支配しておるということは、佐藤議員もよく御承知であろうと思うのでございまして、米の投機が起こらないように努力をしてまいりたいと思います。以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(小坂善太郎君) 総理大臣あるいは農林大臣から御答弁がございましたので、これと重複しない範囲で申し上げたいと存じます。
 まず、過剰流動性対策のことでございます。これは御承知と存じまするが、一昨年のニクソン・ショックの際に、相当にわがほうがドルを買いささえたということから顕著になってきておると思うのでありますが、昭和四十六年度の外為の支払い超が四兆四千億円ばかりございます。また、同年度の銀行の貸し出し増加が十三兆一千億円でございまして、四十七年になりまして、この一月までを入れまして、外為の払い超が一兆三千億、銀行の貸し出し増加が十五兆五千億でございます。ちなみに、四十五年度の分は、外為の払い超が六千七百億円で、銀行の貸し出し増が九兆一千億円でございます。こうしたものが非常に過剰流動性となっておるわけでございますので、今年の一月十五日から日銀の預金準備率の引き上げという措置になりまして、これで大体三千億円ぐらい吸収したわけでございますが、これは乗数効果がございまして、三倍ないし五倍に働くと、こういわれておりまするが、さらに、今日、日銀の政策委員会で第二次の預金準備率を引き上げるという決定がなされると思います。しかし、これは限界効用の点から見ますると、すでに第一次の吸収があったあとで、また、その上積みでやるわけでございますから、さらにこれは五倍以上に働く、相当の効果があると思うわけでございます。そうした全般的な引き締めと、御承知のように、日銀の窓口指導を、あるいは土地の金融においてやり、あるいは大口の貿易商社の手形の割引の制限等においてやったり、いろいろ窓口指導をやっておるわけでございます。これは逐次効果が出ると考えております。現に、コール市場等では、少し金利が締まってきておるわけでございます。
 それと並行いたしまして、政府として、いろいろな面で行政指導をやっておるわけでございまして、私どもの立場からいたしますと、御指摘がございましたような大豆、木材に発した値上がりが、羊毛、綿糸、あるいは生糸というような国民の生活必需物資に及んでおる、はなはだこうしたことが行なわれることを遺憾に存じておりまして、何とかこうしたことを事前に食いとめるように私の立場からいろいろ申し上げておりまして、通産、農林御当局において御努力いただいておるわけであります。
 それについて、まずその行政指導をもっと強化しようということで、現在、実は昨日も通産省において大手商社を集めたりしていろいろ施策を練っていただいておりますわけですが、この行政指導の及ばざる点について、これを補完するものとして、新しい立法が必要ではないかということでございます。政府も、それはけっこうであろうと考えておりますが、これは各方面の御意見を伺いましてそうしたものをつくっていただいたらどうかということで、国会内の各党におかれましても、また、自由民主党におかれましても、いろいろと御努力いただいていることは承知しておりまして、ぜひひとつこの案をおまとめをいただきたい、こう考えて御期待を申しておるような次第でございます。政府といたしましては、全面的に賛成でございまして、できるだけの政府としての御協力をさせていただきたいと考えておるわけでございます。
 そういうことと関連いたしまして、一体、自由主義経済というものは、今後こういう事態を生むことに関連してどこへ行くのだろうという茶の間の御心配があるという点にお触れになりましたが、私は、私どもの立場からして、あくまでも個人の自由というものを中心とした経済が、わが国の国民生活をよりよくする上に適しておるのだと、こういう信念を持っております。ただし、この自由というものも、やはり公共の福祉というものによって制限され、また、公共の福祉のために用いられなければならないということは、佐藤さんの御意見と全く私は同様に考えておるわけでございます。そこで、マル公という価格を一般の権力によって公定する、公定価格をきめる、そしてそれによってさばいていくということではなしに、やはり取引の態様、行為そのものが、いま申し上げたような公共の福祉に反するようなことがあれば、これは規制しなければならないと、こういう行き方で行くのが適当ではなかろうかと、かように思っております次第でございます。
 以上をもちましてお答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(愛知揆一君) ただいま企画庁長官から御答弁がありましたとおりでありますが、具体的な点を二、三申し上げてみますと、金融政策の上で、大手の商社十社に対しまして、このほど、貸し出しの増加を、昨年の十月から十二月の三カ月に比較いたしまして、一月から三月までの期間は二分の一に融資量を圧縮することにいたしました。
 それから大手商社、これは二十社でございますけれども、日銀の手形買い入れ限度を圧縮することにいたしました。
 それから金融機関による時価発行増資株の応募を抑制することにいたしました。
 それから同じく金融機関の株式取得に関する規制を強化いたしました。
 その他、業種のいかんを問わず、土地に関連する融資の規制をやっておりますことは、御案内のとおりでございます。
 こうした措置は、計量的に直ちにこれで何が幾ら下がったということを的確に表示することは困難でございますけれども、逐次各種の指標の上にその効果があらわれてくるものと思います。
 それからこれもただいま長官から触れられましたが、第二次の預金準備率の引き上げは、本日中にも日銀政策委員会で細目を決定されて、すみやかに実施に移るはずになっております。これらは相当程度の効果を発揮すると思いますが、反面におきまして、中小企業等に対しましては、この引き締めのしわが寄らないように積極的な対策を講じなければならない、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣中曾根康弘君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(中曽根康弘君) 大企業の投機取り締まりの問題でございますが、商品取引の一部についてそういう疑いが持たれたことがございました。その場合、通産省といたしましては、内面的に注意喚起をいたしまして、その重役を呼び出したりしていろいろ指導したところでございます。商品取引については、特にそういう疑惑もございましたので、証拠金の引き上げ、建て玉報告、あるいは情勢によっては立ち会い停止もやるぞと、そういう通告をいたしまして、順次、鎮静に帰しております。建て玉報告がわりあいにきいてきているようでございまして、売買の委託者の氏名を報告させるということをやっておるわけでございます。
 それからきのう十六社の商社の社長にお集まりを願いまして、通産事務次官から、自粛を求め、また、実態調査を行なう場合の協力を要請いたしました。それに対して商社の社長から、社会的責任を痛感して自粛をいたします、それから実態調査にも協力いたします、なお、小委員会を設けて商社の活動の基本姿勢について申し合わせをいたし実行いたします、こういう報告がございました。
 通産省といたしましては、今後も情勢を見つつ実態調査を行ないまして、物価に悪影響を及ぼすような行為がありましたら、行政指導でこれを是正するつもりでおります。(拍手)
    ―――――――――――――
#17
○議長(河野謙三君) 小野明君。
   〔小野明君登壇、拍手〕
#18
○小野明君 私は、日本社会党を代表し、いま国民生活の最大脅威となっておる商社等の投機行為とその抑制策について、政府の見解を求めるものであります。
 まず、総理に政府の基本姿勢についてただしたいのであります。
 すでに物価騰貴と商品投機の根幹とも見られてまいりました土地価格は、総理御存じのとおり、あなたの一枚看板ともいうべき「日本列島改造論」が発表され、あなたが「決断と実行」の政治スローガンを掲げて総理になられて以来、全国的に著しい値上げ運動を続けているのであります。そして、土地から株に、さらには大豆や米など国民の日常生活必需物資にまで投機の波は拡大をしてまいりました。大企業の土地買いが日本の全市街地面積よりも広く、ゴルフ用地として買収された土地が四国の全面積にもなろうといたしております。
 また、通産省の調査によりましても、大手十七商社の株式保有は、四十七年上期には四千八百九十六億円と、四十五年下期の十倍にも達しており、上場主要株式の約三割を占めるに至っておるのであります。企業の有価証券報告書を見ると、ある大手商社は、四十七年九月期決算で株式保有額を四百二十億円もふやしております。他の商社も十万株単位で買い集め、軒並み二百数十億円程度ふやしておるのが実態であります。
 これらの大企業や大手商社は、いずれも平然と、政府が金融緩和を続け、手元資金がだぶついたのを有利に運用したまでで、何が悪いんだと、もっぱら自己の社会的責任を回避しているのであります。
 さらに、最近における商品相場の異常な高値は、たとえば一俵三千円であった輸入大豆が一月末には一万四千円にもはね上がり、木材の二倍前後の値上がり、鉄鋼相場のうち小形棒鋼などは一年前のトン当たり三万二千円が五万円にもなっているなど、いずれも急激な高騰を示しております。
 綿糸の高騰は、医療用ガーゼにまで影響し、大都市周辺の病院では、このままでは交通事故などの緊急手術もできなくなるとさえ心配されるに至っておるのであります。この医療用ガーゼの不足は、何と言っても買い占めによる暴力市場とさえいわれてきた商品取引所の綿糸相場の高騰が元凶であり、もうけのためにはなりふりかまわない投機的な商取引がついに人間の命をさえ脅かしているのであります。
 総理、私は、こうした大企業や大手商社を主犯とする一連の投機行為について、積極大型予算、日本列島改造でインフレをあおり上げたあなたの政治責任というか、あなたの共犯関係について、自覚をされておるのかどうか、率直な御発言を求めたいのであります。
 総理、また私は、いま大豆や木材など国民生活に直接関連する分野にまで投機が拡大してしまい、国民世論が大企業と政府の責任追及に立ち上がってから、あわてて効果の疑わしい行政指導をしようとしておる政府の怠慢について、少なくとも政府の重い責任と深い反省とが必要だと思いますが、これについても総理の明確な態度表明を求めるものであります。(拍手)
 これに関連して、私は、通産、大蔵、農林、経企の各大臣にも個別にお尋ねをいたしたい。
 まず、通産大臣、いまあなたが行政指導で可能な投機規制の手段とその可能性を、主要物資について見解を明らかにしていただきたい。ただし、昨日の衆議院本会議におけるような十六商社代表を集めての自慢話はもうけっこうであります。また、通産大臣は、さきにエコノミックアニマルと批判されてきた海外進出企業の規制と取り締まりについて、やや積極的な御発言をされてまいりました。その具体的な内容、それが実行できなかった経緯等についても明らかにしていただきたい。繰り返して聞きますが、通産大臣、いまの政府に、大企業や大手商社に対する効果ある投機規制が可能かどうか、ひとつ責任ある御答弁をいただきたい。
 農林大臣、あなたにも同様の質問をいたしておきます。特に、家畜飼料、生糸、米について若干の御説明がありましたが、今後の効果ある対策について御抱負があれば承りたい。
 次に、大蔵大臣、あなたにも政治責任を明確にしていただきたい。今日の輸出第一主義の奇形児的な日本経済を生み出すのに、大蔵と通産とが最も大きな責任を持っていると思います。あなたは、口先では福祉優先への転換を言いながら、依然として政府の税、財政、金融などは大企業に手厚い保護を加えており、この事態を招いた財政当局の責任はのがれることはできません。すでに、法人税の企業優遇特別措置の撤廃をはじめ、投機の根幹である土地や株などの大口売買に対する政府のきびしい態度を私たちは一貫して要求をしてまいっております。大蔵大臣、いま一大企業、大手商社等の目に余る不当行為を目前にして、それでも大企業優遇措置を続けていくのかどうか、ここで国民の批判にこたえる明確な態度を示していただきたい。繰り返しますが、大蔵大臣、法人税の企業優遇特別措置をどうするのか。また、土地、株などの投機的取引についてどう対処をしていこうとされるのか。さらに、資金のだぶつきをどう処理していこうとされるのか、責任ある御答弁を求めます。
 次に、経済企画庁長官、あなたは、この明らかな投機運動の拡大を目前にして、これを商社性悪説や規制、取り締まりの有効性を責任をもって言うわけにはいかないと思いますが、こうした経済の動向、あるいは資本の論理について、基本的に対応できる経済政策は一体何であるのか。あなたの先任者でもある与党の宮澤喜一君は、すでに今日の資本主義運営の原理ともみなされてきたケインズ理論の限界を指摘しつつ、これにかわり得る経済原理が必要である、こう述べております。今日の事態は、あなたは信念であると言われておりますが、はっきりと計画経済の優位性が証明されつつあると思いますが、この際、御見解をいただきたいと思います。
 次に、私は、商品の投機、物価の騰貴に対する当面の緊急対策について、幾つかの提案を行ない、総理の見解をただしたいと存じます。
 現状における投機という名の不当経済行為は、何といっても企業や商社等のあくなき利潤追求の姿勢と社会的責任の欠除によるものであり、同時に、政府の国民生活を中心とした公共政策の貧困によるものでありますが、その底流をなし、基調をなすものとして、過剰流動性の問題と、土地や株など投機的商品の乱れがあると思います。したがって、対策の第一は、資金のだぶつきを生み出している過剰流動性をどうするかという点であります。すでに、昨日の本会議、あるいは本日の本会議でも、若干の見解を示されておりますが、いずれもびぼう的であります。きめ手になり得ないことは明らかであります。
 なお、本日、外為市場が閉鎖をされ、国際的通貨流動性の危機が再び明らかとなってまいりました。これについて、国内緊急対策が必要と思うが、これについて大臣の見解を明らかにされたい。
 私は、預金準備率の引き上げと同時に、公定歩合の引き上げなど、強力な金融引き締めが不可欠と思います。これに伴う中小企業などへのきめこまかい政策が必要なことは、申し上げるまでもございません。この点について、政府の抜本的な対策を求めるとともに、これに関連した国際通貨政策の確立、さらにその長期展望を明らかにすることをこの際要求したいと思います。特に、過去二年間に、政府と日銀は約六兆円にも達する過剰ドルを買い取っており、これが過剰流動性とインフレを拡大してまいりました一つの大きな原因とも思われますが、総理の御見解を明らかにしていただきたいのであります。
 第二の重大な問題点は、土地、株など投機行動の底流にある問題に対する総理の政治姿勢であります。
 私ども日本社会党は、この国会に土地対策緊急法案を提案し、政府の日本列島改造論に基づく土地流動化政策の転換を求めるとともに、銀行や民間大資本の投機的土地売買をきびしく制限していく方針であります。総理のこれに対する基本的な姿勢を示していただきたい。
 第三に、当面の課題になっております緊急立法の問題であります。本来、政府の基本的立場から見て相当に深刻な問題であろうかと思います。政府の経済社会基本計画では、企業に対し、単なる利潤追求でなく、社会的公正を尊重し、国民福祉に寄与するよう指導する必要があることを強調し、これを閣議決定したばかりであります。しかるに、企業の経済活動は、政府の企図に全く逆行して加速的に動いております。総理、これをどのように理解されますか。企業が一体けしからぬのか、政府の政策が現実離れをしておるのか、あるいは当面の行政措置のみでこれを解決し得るのか、政府の見解を示していただきたい。
 私は、当然のことではありますが、投機規制立法による大企業、大手商社の経済活動に強い公共的なルールを要求し、真に国民福祉のための経済活動に徹する方向づけを行ない、これに反する経済活動には企業及び責任者に重い社会的責任と義務とを課すべきと考えます。したがって、私は、この投機規制立法においては、特定の問題商品に対して有効に発動されるようにするとともに、特に大企業、大手商社等の資本操作の根本的な社会的責任を明らかにし、そのために調査機関の立ち入り権を含む権限を強化し、物資の放出を義務づけ、また、企業の報告義務並びに社会的責任について法制化し、これに反する行為に対しては、体刑を含むきびしい罰則をもって臨み得るようにいたすべきであります。総理の御見解を求めます。
 最後に、私は、総理、あなたの無為無策によって苦しめられておる国民を代表し、今度こそ徹底的な対策を打ち立てられることを要求いたします。今日の事態は、総理の優柔不断と、労働者の低賃金、労働強化、福祉の貧困等の産物でもあることに思いをいたされ、真に国民生活優先、福祉優先の政治を確立するためには、悪徳企業をぶつつぶすぐらいの勇気をもって対処される決意のほどを示されることを要求し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(田中角榮君) 第一には、過剰流動性の問題でございますが、四十六年下期から四十七年上期に至る外貨増加による円資金が企業の手元に蓄積され、その資金が土地、株式等に投入されたことは、いなめない事実であります。なぜこのような資金に適切な吸収方法等や金融の引き締めがなされなかったかという問題がございますが、当時は、御承知のとおり、初めての円平価調整の直後でございまして、国内には景気の不況感というものが相当あったわけでございますし、しかも、中小企業対策が必要があるということで、国会においてもこの円平価調整に対する国内対策を急がなければならないという背景があったことは御承知のとおりでございます。また、国際収支対策として、輸出の内需への転換を促進しなければならなかったということもございます。
 しかし、その結果、土地や株式というものに余剰な金が投入をされて、一部経済に混乱をもたらしておるという現況に対して、土地に対しましては、諸般の措置を講じ、今国会で御審議をお願いしておるということでございます。また、市況商品である木材、大豆、繊維などにつきましても、価格の高騰が見られるということは、御指摘のとおりでございます。これに対しましては、政府は、先ほども述べましたとおり、緊急輸入の促進、政府在庫の放出、関係業界への協力要請、商品取引所の規制等の措置を講じておるわけでございます。
 また、過剰流動性対策としましては、一月以来、預金準備率の引き上げ、また、きょう第二段目の引き上げを実施するわけでございますが、そのような措置に加え、土地関連融資の抑制、日本銀行の窓口指導による貸し出し抑制の強化等の措置を講じておりますし、特に商社については、大手商社等に対する日本銀行の手形買い入れ限度額制度の創設や、商社向け貸し出しの抑制という、かつて行なったことのないような強い措置をとっておるわけでございますので、これら諸般の措置の効果は次第に浸透していくものと考えておるのでございます。日本の経済が非常に大きくなっておりますので、急旋回をして効果をあらわすということはなかなかむずかしい状態にございますが、しかし、これだけの措置が矢つぎばやに行なわれていくのでございますから、その効果は次第に浸透していくものと考えておるのでございます。過剰流動性の吸収には今後とも配意をいたし、投機的活動の排除には十分つとめてまいりたいと、こう考えております。
 それから立法に対してどう考えるかということでございますが、先ほども申し上げたとおり、今回の事態に対しましては、基本的には、緊急輸入の促進とか、政府在庫の放出、関係業界への協力要請、商品取引所の規制、過剰流動性の吸収などの諸施策を中心とした行政的措置の活用で対処してまいることが正しいと思いますが、これを補完するための立法措置につきましても、各方面の御意見を徴しながら検討してまいります。正常な経済活動の確保のためには、皆さまの御意見も徴しながら、また、国民の英知を吸収しながら、適時適切なる措置を果敢に採用してまいりたいと、こう考えます。(拍手)
   〔国務大臣中曾根康弘君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(中曽根康弘君) 投機抑制等についてどの程度行政指導が行なわれるかと、こういう御質問でございますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、商品取引等においてその疑いがあった場合に内面的に注意を喚起いたしましたり、あるいは商品相場等について、政府といたしましても、取引所に対していろいろ警告を発したり、あるいは証拠金がごときは一枚七十万円という最高値までに証拠金を引き上げたり、あるいは建て玉報告をさせたり、いろいろやっているところでございます。
 それで、羊毛は最近鎮静に帰してきまして、豪州物で一キロ大体三千六百円ぐらいしておったのが二千七百九十九円ぐらいに落ちてまいりました。鉄は商品取引のものではございませんけれども、これも緊急増産を指令いたしまして、二カ月ぐらい前までは丸鋼がトン五万二千円ぐらいしておったのが、最近は四万七千円ぐらいまで落ちてまいりました。ただ、綿糸と原毛がまだ横ばいでありまして、これはわれわれ特に力を入れなければならぬ分野であります。
 次に、そういう商品取引以外の、一般の買い占め、売り惜しみをどうするか、こういうことでございますけれども、これは、きのうも商社の社債を呼んで協力を求めて、協力するという約束も得ましたものですから、これから情勢によりまして資金並びに商品の流動につきまして立ち入り調査も辞さない。情勢によっては立ち入り調査も帳簿検査もやる考え方でおります。ただ、われわれは、社会公共の利益に反する自由の乱用を抑制しようというのであって、自由というものは思想においても商売においても非常に重要なものである、そういう基本的考えに立っております。
 第二番目に、海外企業活動の規制の問題でございますが、これは非常に重要な問題であると思いますので、少しお聞き願いたいと思います。
 私は、タイへ参りまして、日本の企業の実態をいろいろ調べ、また聞きまして、これは非常に考えなければならぬことがあると思いました。タイのような国は、日本と戦争した国でもありませんし、同盟国であった国です。その国に反日的な動きが出るということは、将来、東南アジア全般にこれが波及する危険性なしとしないわけです。日本の企業の実態等を調べてみますと、まず第一に、得た利益を本国に送還してしまう。そのお金を、たとえば、対日輸出の産業に使うとか、あるいは第三国輸出に向かう企業に再投下するとか、そういうことをすれば、そういう非難もなくなります。
 第二に、現地の人を採用するについて、重役に抜てきしたり部長に抜てきするということが、欧米に比べて非常に悪いようです。特に留学生の取り扱い等については、欧米等の留学生は、かなり課長とか何かに抜てきいたしますが、日本の場合には、給料が高いというので、現地の高校卒業ぐらいをいろいろな仕事に使う。日本留学生を使うチャンスがわりあい少ないために、自動車の運転手なんかをしておって、日本に対する評判が必ずしもよくない、そういう実態もございます。あるいは、日本の商社員のビヘービアを見ますと、白人のパーティーには出ているけれども、現地人のパーティーに出る機会が少ないとか、そういういろいろな非難がございます。
 そういう面を見まして、日本の将来を考えてみますと、日本のセールスポイントは、軍需でもなければ、そういうものではない。やはり、経済協力ということが、日本の世界における非常に大事な貢献する部面です。そこで、大事な東南アジアで排斥されるようでは、日本の青年の前途に非常に暗い影を投げかけます。今日ただいま、そういう意味において、海外経済活動の基本についでかまえをつくる必要があろう。それで、政府は何をするか、民間商社は何をすべきか、政府・民間合体して何をすべきか、そういう基本憲章のような、いわば教育基本法みたいな、そういう基本的な方向をきめて、必要あらばそれを法律的に個別的に具体化していく。そういう形で、日本の商社活動を時代に合うように転換していく必要があると思うのであります。
 そういう考えに立ちまして、通産省におきましては、通産省顧問をしている大慈弥前次官に頼んで、どういうふうに具体的にそれをこなしたらいいか、いま研究してもらっております。それと同時に、海外経済活動をやっている団体とも連携をいたしまして、まあこういう重大問題は、急に急いでやるということも過早であるとも考えるので、じっくり腰を据えて、そうして一年ぐらいの間に成案を得るようによく調査を綿密にやって案をつくってもらいたい、そういうことで、案ができ次第、私はそういう基本憲章的な立法をいたしたい、そう考えておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(櫻内義雄君) 小野議員から私へのお尋ねは、大豆、米、飼料、木材等の緊急対策を詳しく述べろと、こういうことでございました。
 先ほど御答弁を申し上げましたが、若干重複することはお許しを願いまして、大豆の場合の問題点は、実は、量としては、四十六年と四十七年を比較いたしますると、十分確保されておったわけでありまするが、残念ながら食品用の大豆というものが不足を来たした。それは、中国産のものが手配がおくれましたのと、米国ものの五大湖付近のものが降雪が早いというようなことで出荷が促進されないという影響を受けたわけでございまするので、そこで、やむなく製油業界の協力を得ましたのは、微選別で搾油用のものであるけれども、とうふ、しょうゆ等に使えないこともないと、こういうことで緊急に五万トンの放出を求めたわけでありまするが、同時に、中国、米国に対しては、すでに報道で御承知のように、協力を求め、中国側は快くこの一、二、三に各月二万トンずつ送るという約束を取りつけたわけであります。
 なお、投機による暴騰のことにつきましては、取引所の規制などを講じたわけでございまするが、長期的に申しまするならば、何といっても食品用の大豆の確保は、これはきわめて大切でありまするので、当面、稲作転換に際しましては、食品用大豆の増産を奨励し、また、御承知の不足払いについて十分考えたいと思う次第でございます。
 それから米の問題でございますが、モチ米の高騰については、先ほど政府の放出とタイとの契約による鎮静化をいま現在しつつあるということを申し上げましたが、幸いにして食管法というものがございまするので、そこで食糧事務所が立ち入り検査などが行ない得られるわけでございます。これらの与えられておる権限によりまして、米の売り惜しみとかあるいは高騰のないようにつとめてまいりたいと思います。
 木材のほうについては、これは先ほど詳しく申し上げたのでございまするが、十一月、ヒノキ一立方メートル十四万、杉八万五千のものが、二月末では、十一万とか六万とかに落ちつきを見せておりまするが、決してこれで満足するものではございません。そこで、先ほど申し上げたように、たとえば一番輸入の大手であるアメリカ側の情勢が非常に変わっておるということでございます。丸太ではもう出さない、製材でなければ困る、しかし、その製材も日本の寸法に合わぬというようなことでございまするので、これは現在担当官をして現地において種々交渉もさせております。さらには、もっとハイ・レベルの使いを出して、腹蔵のない意見を交換して、少なくとも何とかアメリカからの安定供給を得たい。その他については、カナダ、ソ連、インドネシア等からの輸入に依存をいたしたいと思うのであります。
 なお、国内の問題につきましては、売り惜しみ等があってはならないということから、木材の大きな基地になります清水、天竜、東京等につきましては、消費地、生産地を問わず、加工、流通段階における在庫状況等を調査いたしまして、かりそめにも売り惜しみ等がないように行政指導をいたしておるようなわけでございます。
 それから飼料についても、先ほど詳しく申し上げましたが、農家がこれからの経営の上において非常に問題があるのではないか、激変緩和のために三月から六月までの低利資金の融通措置を講ずるとか、あるいは既貸し付け金の償還猶予等の条件緩和を試みるとか、それから輸入促進の上におきまして、何といっても飼料についてはなかなか国内増産がはかられない、非常に生産性が格差があるのでございます。できても非常に高くなってはいけませんから、そこで輸出国との長期契約に努力をするとか、アメリカからの安定供給を求めるわけでございますが、買い付け国の多元化という必要もあろうかと思うので、今回の苦い経験にかんがみまして、アルゼンチンなどとの問で交渉をいたしましたところ、十五万トンの緊急輸入の成約をみておるような次第でございます。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(愛知揆一君) 私に対するお尋ねは、第一は、大企業優遇の租税特別措置を廃止することをはじめ、税制の問題についての意見はどうかということでございました。
 租税特別措置による特に減税については、御案内のように、各種の政策目的から設けられてまいったものでありますが、政府といたしましても、これが慢性化する、あるいは既得権化するというようなことは絶対に避けるべきであると考えておりまして、今回の税制改正におきましても積極的に整理、縮減を行なうことといたしたつもりでございます。これによりまして、少なくとも四百億円程度の増税措置になりますことは、御承知のとおりでございます。
 また、将来の税制につきましては、法人税の税率の引き上げ、あるいは反面において勤労階級の所得税の減税というような点につきましては、前向きに大いに検討いたしたいと考えておる次第でございます。
 それから次は、土地との関係、あるいは株式との関係で、税制においてどう考えるかというお尋ねでございましたが、今回の土地税制は、いろいろの点から検討をいたしまして、法人の土地譲渡益については、通常の法人に関する税に上のせをいたしまして、総合負担が約七〇%になるような措置を講じようとしておりますことは、御承知のとおりでございます。また、これとの関連で、個人の不動産業者等の土地譲渡益につきましても重課措置を講ずることといたしておりますことも、御承知のとおりでございます。
 なお、また、近年における有価証券市場の状況等に顧みまして、税制改正におきましては、株式等にかかる有価証券取引税の税率を二倍に引き上げることといたしておる次第でございます。
 準備率引き上げとの関連で公定歩合引き上げの意思はないかというお尋ねでございました。
 佐藤議員の御質問にもお答えいたしましたが、過剰流動資金の問題は、日本の今日の状況から申しますと、いわゆるマネーサプライの状況は、何といっても金融機関を通ずる供給が圧倒的に大きいのでございます。したがって、預金準備率の引き上げということが最も効果がある。これを背景にいたしまして、きびしい対象別、たとえば大商社を対象にし、そして目的的な金融規制、すなわち、証券、土地といったような目的に対するきめのこまかいきびしい金融規制をするということが最も適当であると考えておるわけでございまして、早ければ今日にも第二次準備率の引き上げが行なわれると思いますが、流動的な今日の段階におきまして、公定歩合操作にまで行くかどうかということについては、まだ私はその時期ではない.と、こういうふうに当面のところ考えておる次第でございます。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(小坂善太郎君) まず、過剰流動性と公定歩合の関係でございますが、これはただいま大蔵大臣からお述べになりましたとおりでございまして、従来の一昨年の半ばごろから出てきたこの過剰流動性の問題は、ドルを買いささえたというところから出てきておるわけでございまして、目下御承知のように変動相場制をとっておる、フロートしておりまするので、しかも国内的には為替管理を強いものを持っておるということで、今後の過剰流動性というものは目下のところふえていかないわけで、いままでのものをどう処理するかということに重点があるわけであります。したがって、いまやっておりまする預金準備率の引き上げというようなものを通じて、その効果を見ながら判断したらよかろうと思いますし、また、これをあまり急激にやりまして、いわゆる不況下の物価高というような事態を生ずることは、これは、はなはだ警戒しなければならぬことである、こう思っておるわけでございます。
 それから、次の点はケインズ理論が行きづかえたのではないかということでございますが、私どもは、市場競争原理というものを基本にいたしまする自由経済体制をとっていくことが、資源配合の適正化の上からも、経済効率の能率化の上からも、こういうことをやっていき、国民福祉を最も効果的に向上させる道であるというふうに確信しているわけでございます。ただ、その際、先ほども佐藤議員にお答えいたしたように、社会的な責任を企業も感じてやってもらわなければならぬ。公共の福祉に反する行為をとってもらっては困るので、それは規制をしなきゃならぬと考えておるわけでございます。
 ケインズ理論というものは、いろいろ批判が最近あるわけでございますが、私の個人的な意見でございますけれども、やはり貨幣に関する側面をないがしろにしているというところで、私は今日批判があるとすればその点であろうかと思います。現にフリードマン教授などもその点を言っておるのでございまして、先般も私はこの席からマーシャルのKという問題を申し上げましたが、貨幣数量というもの、あるいは流通速度という貨幣面を、ケインズ経済学というものはもう古いのだと、こう言っておったわけでございます。しかし、今日の事態を見ると、やはりこれはその側面から見直す必要があるのではないかと、かように考えておるわけでございます。(拍手)
#24
○議長(河野謙三君) 大蔵大臣から答弁の補足がございます。愛知大蔵大臣。
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(愛知揆一君) 答弁が漏れまして失礼いたしました。
 外国為替市場の件でございますが、ここ一両日、ヨーロッパの通貨情勢がきわめて流動的になってきたことに顧みまして、わが国の為替市場を開いた場合に生じ得べき不測の混乱を避けるために、三月二日及び三日の両日、銀行間の為替取引の一時停止を行なうことにいたしました。変動相場制度を現にとってまいったわけでございますが、変動相場制度によりまして、すみやかに市場機能が再開するように期待いたしておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(河野謙三君) 峯山昭範君。
   〔峯山昭範君登壇、拍手〕
#27
○峯山昭範君 私は、公明党を代表して、最近における異常な商品投機に関して、総理並びに関係大臣に質疑を行なうものであります。
 田中内閣は、発足当初より、日本列島改造論を振り回し、バラ色の未来を宣伝してきたが、結果的に、土地、株価の異常騰貴を招き、最近は、国民生活に密着した米、大豆、木材、ゴム、生糸等まで、投機買いによる異常な高値を示し、ついに、一丁百円もする歴史始まって以来の高いとうふを庶民の食ぜんに与えるような結果となり、いまや物価値上げの田中内閣に対する庶民の怒りは極度に達しているのであります。
 このように国民の生活必需品が異常に急騰した裏には、ドル不安に伴う外資の流入や、系列銀行の大量の融資等により、だぶついた資金を手中におさめた商社、大企業の買いだめ、売り惜しみの投機買いが活発に暗躍していることは、連日報道されているとおりであります。しかしながら、商社や大企業をしてかかる投機に走らせた根本は、歴代の自民党政府の輸出第一、大企業優先の高度成長政策によって推進されてきたわが国独特の経済体質、産業構造に基因することも、きわめて明確であります。
 本来、わが国の経済活動の究極的な目的は、国民生活の安定、福祉の向上にあるにもかかわらず、これをあと回しにして、経済成長オンリーで、輸出の増強に寄与するような経済の仕組みにしてしまった結果として、今日のように二百億ドルも外貨のため過ぎという現象を招来し、対外的には平価の調整となり、国内的には調整インフレ政策をとらざるを得ず、その過剰流動性により、異常な商品投機行為を招いたことは政府の責任であり、早急にかかる経済体質、産業構造を福祉経済に百八十度転換せしめなければならないと思うが、その対応策と今後の決意のほどを田中総理にお伺いしたい。
 次に、投機規制に対する立法内容について伺いたい。
 政府・自民党は、大企業、商社等による商品投機抑制の具体策の一環として、初め、体刑も含めた罰則規定を盛り込んだ新規立法を構想として持っていたようですが、その後、後退に後退を続け、関係省庁に立ち入り検査、悪徳企業の公表、放出勧告程度の権限を与え、ただ単に行政措置の補完的な法形式にとどまるようであります。しかし、現在の商社等に見られる買い占めの実態は、物価上昇や土地高騰の被害者である庶民の感覚からすれば、最近の不当な利益追求のための売り惜しみなどの商社の企業行為に対する庶民の怒りは、きわめて大きいと言わなければなりません。
 およそ、資本主義経済体制下の商品取引についても一定のルールがあるはずであり、憲法でも自由の乱用は戒めている。国民の大多数を不利益におとしいれても、大企業や商社だけが巨利を得るという行為は、反社会的行動と言わなければならない。そういう観点から、特に国民生活物資については、不当な買い占め等による暴利をむさぼる企業に対して、放出命令権と、体刑を含む罰則も取り入れた立法措置を行ない、商社の社会的責任を目ざめさせるような対策を講じてもよいのではないか。また、商品取引所の改革にメスを入れる考えはないか、田中総理の見解を伺いたい。
 第三に、投機の元凶といわれる商社、大企業の投機行為と、過剰流動性の吸収策についてお伺いしたい。
 一昨年以来の通貨不安と貿易収支の大幅黒字によるドル流入による外為会計の大幅な払い超、これに加えて、ドルショック後の金融緩和で企業間信用が縮小し、一段と商社の手元資金がだぶついてきた。それにもかかわらず、商社に対する銀行貸し出しは回収されず、逆に銀行の外国為替取り扱いのシェア争いなどから、対商社貸し出し競争が激化し、昨年十月から十二月の都市銀行の十大商社向け貸し出し増加は、前年同期増加額の二倍に当たる千八百億円にのぼったのであります。これを裏づけるごとく、昨年の前半までにも、通産省の調査によると、十七商社の株式保有は四十六年度上期で二千四百四億円、四十七年上期は四千八百九十億円と二倍にはね上がっております。これは、上場主要企業が保有している株式の約三割になる。また、企業別に見ても、四十七年九月決算で株式保有額が四百二十億円もふえた大手商社もあります。
 このように、商社、大企業が自由になる巨大な手持ち資金の運用の一環として、株や土地に投下し、投機が行なわれていることが明確であります。政府は、当然、国民生活を守る立場から、融資引き締め、あるいは超過利益を法人税の重課税等により国庫へ吸収するよう、租税措置の新しい構造を練るべきであると思うのであります。大蔵省、日銀は若干の預金準備率の引き上げや融資規制をしているが、こうした今後の金融税制等による効率的な過剰流動性の吸収策についていかなる対策を考えているか、大蔵大臣の見解をお伺いしたい。
 第四に、商社の米の買い占めの対策についてであります。
 商社の投機買いは、国民の主食である米にまで及んでおります。モチ米は、従来、六十キロ一万一千円で推移してきたのでありますが、最近では一万五千円にまではね上がっておるのであります。これは明らかに商社や米ブローカーの買い占めによることが、食糧庁の調査によっても容易に推測されるところであります。大手商社の資本力を背景とした消費者不在の買い占めを可能にしたのは、政府の無責任な物統令の適用廃止等による食管制度の形骸化によることは明らかであります。ある商社の幹部は、今度の円の実質的再切り上げによって商社は大打撃だ、その穴を埋めるのに大豆や米に手を出してどこが悪いとうそぶいているとの話もあります。現に、米菓業者や酒屋などの委任代行という名目を利用して買い占めをやり、また、米菓業者が、直接産地の集荷業者から買うことは、食管法違反とされているのに、現実には、未検査のまま米が動いていたといわれているのであります。このような違反行為が野放しになっている事実を農林大臣はどのように認識しているのか、伺いたいのであります。
 またその反面、取り締りのほうは、四十年の八百八十件をピークに、四十三年百四十件、四十六年に九十七件と減少し、事実上野放しの状態にあります。こういうやり方が商社に買い占めの機会を与えたことは明らかであります。酒米に始まり、現在大きな問題となっているモチ米に次いで、四十八年産米の作柄いかんによっては、飯用米、つまりウルチ米までがその危険にさらされることも大いに考えられるのであります。
 農林大臣は、この食管制度が国民生活の安定に大きく貢献してきた見地から、食管法の運用を再認識し、きびしく法を守る立場に立つべきではないかと思うが、商社等の米の買い占め、投機買いに対する農林大臣の見解と国家公安委員長の取り締まり対策について伺うとともに、現在不足が伝えられている六万トンのモチ米の供給と今後の対策について、御所見を伺いたいのであります。
 最後に、輸入物資の価格動向についてであります。
 昨年における卸売り物価の上昇は、年初来、八・五%にも及ぶ急騰を示したのであります。その要因を探れば、第一に輸入物価の高騰であり、第二に鉄鋼カルテル等に見られる生産調整であり、第三に公共投資を中心とする建築資材の上昇であります。これらは、いずれも政府の無策に基因するものと言わざるを得ません。しかも、この上昇は、今日の変動相場制移行後にも及んでいるのであります。実質上、円の一七、八%に及ぶ大幅な切り上げにもかかわらず、商品市況の異常な暴騰に便乗して輸入食肉はこの一カ月で約二〇%も値上がりしており、輸入インフレの色彩がきわめて強まっているのであります。
 政府は、口を開けば、輸入物資の価格引き下げの恩典を国民に還元すると言っておりますが、実情はまさに反対になっているのであります。政府は、今日まで、これらの輸入商品の高騰に対していかなる対策を講じてきたのか、お伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
 〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(田中角榮君) 商品投機を招いた政府の責任及び産業構造の転換等に対して、まずお答えをいたします。
 木材、大豆、繊維などの市況商品につきまして価格の高騰が見られますので、先ほどから述べておりますとおり、過剰流動性対策を含む各般の施策を講じておるわけでございます。
 なお、政府は、経済社会基本計画においても明らかにいたしましたように、輸出優先の経済構造から、国民福祉指向型の経済構造へ転換をはかることが基本的に必要であると、このように考えておるわけでございます。このために、経済成長の成果が一そう社会のすべての階層に行き渡り、国民がひとしくゆとりと潤いのある生活ができるように、社会保障の充実や生活関連社会資本の整備などを推進をし、豊かな自然環境の確保などにつとめてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 投機の規制立法等につきましては、先ほどから間々申し上げておりますように、現在の事態に対しては、基本的には行政措置で対処したいという考えでございますが、いずれにしても、買いだめ、売り惜しみ等によって暴利を得ようとするような行為は、これを排除するために、あらゆる角度から適切な措置をとらなければならぬことは申すまでもないわけでございまして、これらの行政措置を補完する意味での立法措置につきまして現に検討を進めておる次第でございます。
 第三点は、商品取引所の改革にメスを入れよというような具体的な問題でございますが、商品取引所制度は、商品の価格の形成、取引の公正化をはかり、商品の生産及び流通を円滑にすることを目的としておるわけでございます。政府としましても、この目的を達成するために、従来から商品取引所の運営の健全化につとめてまいったわけでございます。さらに、この制度の基本的なあり方につきましては、現在産業構造審議会の場において、広く有識者を集め、調査審議をいたしておるのでございますが、この結論に基づいて制度の改善をはかってまいります。
 また、価格騰貴の著しい商品につきましては、これまでもきびしい規制措置を講じてきておるのでありますが、今後の価格の推移によっては、他への影響も配慮しつつ、立ち会い停止の処分を含む万般の対策を機動的に講じてまいるつもりでございます。
 第四については、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(愛知揆一君) 過剰流動性の解消のためには、いろいろの方々からいろいろな御意見を伺いまして、たいへん参考になるわけでございます。
 ただいまの峯山議員の御意見は、まず一つは、法人税の重課によって対処できないかという御趣旨であったのでありますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように、法人の税負担を多くするということについては、将来ともに政府としても積極的に考えてまいりたいと思っておるところでございますが、四十八年度においては、まず、課税所得の拡大を取り上げて、税率の引き上げは四十九年度以降の問題といたしたいと考えておるわけでございまして、四十八年度におきまして特例措置を相当積極的に改廃いたしましたので、かなりな法人に対する重課になり、また、別途、固定資産税につきましても、その負担を相当に高める措置が講ぜられておりますことは御承知のとおりでございまして、こうした面から法人の税負担というものは、四十八年度におきましても相当考えられておるということを御理解いただきたいと思います。
 また、そのほかにも、金融的あるいはその他の手段によって過剰流動性を解消する方法はないであろうかという御趣旨もございましたが、たとえば、ごく最近の、今年に入りましてから一月と二月の二カ月間を見ましても、政府の対民間収支というものは、外為会計の若干の払い超を差し引いても、相当多額の引き揚げ超過になっておるわけでございます。三月は、通例、支払い超過の月ではありますが、これを見込みましても、一月から三月の間のいわゆる揚げ超というものは相当な額に達するものと認められますので、この期間を取り上げてみましても、特に、たとえば中期国債であるとか、あるいはこれに準ずるようなものを民間のある種のものに強制的に持たせようと、こういう案も一部には考えられておりますけれども、こういう実情から申しましても、その案というものは必ずしも適切でない。かような考え方から、結局、先ほど申しましたように、日本のマネーサプライの現状に応じて、何としても金融機関を通ずる資金の供給というものが圧倒的な量を占めておりますから、これを総量的に規制をする、そしてその中できめこまかく対象別、目的別にきびしい規制をする。そうして、他面においては、中小金融その他の正常な経済活動に支障を与えないということをやるのが過剰流動性対策でもあり、また当面とるべき妥当な金融政策である、こういうふうに政府としては考えておるわけでございます。どうか御理解をいただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(櫻内義雄君) モチ米、酒米を取り上げて、米の行政のあり方についてきびしい御批判があったわけでございますが、モチ米については、先ほど来御説明を申し上げましたが、昨年の不作から値上がりを来たしまして、それに伴う商社の投機の行なわれたことは、まことに遺憾に存じます。幸いにして、政府の手持ち米がございましたので、二度にわたって放出をいたし、また、タイ国との契約を促進いたしました結果、やや鎮静化しつつある次第でございます。
 商社の売り惜しみにつきましては、警告をいたしたり、関係倉庫の調査を進め、実需に応じた売却が進められるよう講じつつある次第でございます。
 四十七年産のモチ米は、御指摘のように、需給六万トン程度が不足と推定されまして、このような事態はまことに申しわけないことでございます。今後、このようなことがないように、モチ米につきましては、契約栽培をことしからしたらばどうか、そして自主流通米として正しく流通するようにつとめたいと考えておる次第でございます。
 酒米については、大部分が正規の自主流通米のルートによっておると思いますが、その一部については、商社が実需者の代行として買い付けを行なっておるということは御指摘のとおりでありますが、これが大体三〇%程度になると思うのでありまするが、そのことに籍口して不当な買い占めが行なわれておるとは見られないのであります。
 それから食管法について、適正の運用をせよというお話がございました。私は、就任以来、昨年の食糧事情等から考え、国際的な関係を頭に置いて、食管制度を堅持し、お話しのとおりに適正な運用につとめたいと、こう思っております。(拍手)
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(江崎真澄君) 商社の思惑対象が木材から大豆へ、飼料からモチ米へ、だんだんこう対象が変わっていくことを聞き及びまして、公安委員長として実情を十分把握するように、これは商社筋への警告を含めて、二月初めに警察当局と協議をいたしたような次第でございます。
 御指摘のように、一万一千円のモチ米が一万五千円でもなかなか入手できないという当時の背景のもとでの私の発言という形になったわけでございます。御承知のように、警察も、物統令の統制額がありまするころは、価格を中心にそれを十分心得ておるベテランがおったわけでありまするが、物統令の統制額の廃止後は、流通面において捕捉するという形になっておりまするので、ややもすればこういうことに手ぬかりがあってはならぬというので、かりそめにも国民の必需物資が投機の対象になるなんということは、これは国民の側に立っても許せないことでありますので、警告を発し、厳重に実態把握に努力をしておる、こういうわけでございます。
 御指摘の、取り締まりをどうしておるのかという点でありまするが、これは、ただいま申しましたように、流通秩序を撹乱したり、管理の適正運営に大きな支障を来たすというものを対象にしまして、ちょっと先ほどあげられました数字と違いまするのは、昭和四十七年じゅうにおきましては、百三十九件、百五十名を検挙いたしておるわけであります。もとより、警察力の介入によってこういうものが取り締まられていくということは、私ども望ましい姿とは思いません。やはり行政指導によってきびしくこれが行なわれていくということが第一義的でなければならぬと思います。私ども、過剰介入にならぬ程度に、しかし、必要とあらば、これは厳正な態度で対処していく決意でおります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(中曽根康弘君) 輸入価格の引き下げをどうして消費者価格に反映させているか、前回いかなることをやり、今回いかなることをやるか、こういう御質問でございますが、前回は、一昨年円調整のありました十二月に、関係業者に対しまして直ちに通達を出して、引き下げを行なうように指示をいたしました。昨年四月には、さらに、消費品目十一品目につきまして価格の動向、価格形成の実態を調査して、消費者団体に対して情報提供を行ない、この結果、乗用車、エアコン、万年筆、腕時計、書籍、ゴルフクラブ等の引き下げが行なわれました。また、輸入総代理店に対する政策につきましては、並行輸入を認めまして、この結果、特に万年筆や腕時計、ウイスキー等が一そう低下したところでございます。
 今回は、前回の措置を行なうと同時に、さらに、消費者価格モニター制度を活用しまして、スポット調査をときどき行なう。それからその引き下げの実態を見まして、輸入業者等を集めて消費価格問題懇談会を開いてその引き下げをさらに行なうように要請する。そうして、この実態調査に基づきました結果を三月中旬に情報提供として消費者にお知らせする。さらに、前回の十一品目のほかに、今回は、電気冷蔵庫、じゅうたん、石油ストーブ、ハンドバッグ、羊毛、綿花、原油、鉄鉱石、銅鉱石の二十品目について調査を実施する予定でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#33
○議長(河野謙三君) 藤井恒男君。
   〔藤井恒男君登壇、拍手〕
#34
○藤井恒男君 私は、民社党を代表して、目下最大の社会問題である商品投機の問題について、総理並びに関係大臣の御所見を伺うものであります。
 昨年十一月、突如として木材価格は対前月比八割という異常な高騰を見せ、これにつられて、十二月には、モチ米、生糸、羊毛、鉄鋼、綿糸布に至るまで、軒並み高値を呼び、本年一月、二月に至って、いずれも最高潮を示すに至りました。このため、一般国民は生活を脅かされ、二次加工業者は操業を停止するのやむなきに至り、いまやこれが大きな社会問題に発展しているのであります。
 この異常な物価騰貴は、年間総需給にさして過不足もないのに、売り惜しみ、買いだめを誘発し、軒並み価格をつり上げ、いまやわが国は完全に悪性インフレの軌道に乗ったのであります。
 これらの原因は、政府が前回の円の切り上げに対処するため、公定歩合を引き下げ、市中の金融を緩和し、さらに十四兆二千八百億円にものぼる超大型予算を編成し、景気刺激策をとったのに加えて、九十億ドルに及ぶ輸出超過と相まって、過剰流動性を招いたことにあります。
 かくて、不動産会社、大商社、はては銀行までが、その余剰流動性のはけ口を求めて、土地と株を買いあさり、はては商品投機になだれ込み、国民生活の破綻には目もくれず、ひたすら利潤追求にひた走ったのであります。かくのごとくして、国民の生活を窮地に追い込み、社会の混乱を引き起こした政府の責任は、きわめて重大であると言わねばなりません。
 そこで、総理にお伺いいたします。さきに閣議できまった経済社会基本計画は、企業に対して、単なる利潤の追求ではなく、社会的公正を尊重し、国民福祉に寄与する活動を心がけるべきであると述べております。今回の商社などによる商品の買い占め、売り惜しみなどは、資本主義のたてまえである以上、それが法律に触れなければ何をしてもいいんだと言わぬばかりのしぐさであり、まさに企業モラルの低下によると言わざるを得ません。しかし、一面、現在の資本主義社会の構造のもとでは、企業が存立するからには、企業にはノルマが課せられ、経営者はその職務上利潤追求に没頭し、このことが過当競争を呼び起こす、この手順を改めることは、まことに至難のわざと言わざるを得ません。かといって、この経済構造にメスを入れぬ限り、このことが、外にあってはエコノミックアニマルといってきらわれ、また、内にあっては今日に見られるような異常な投機を誘うことになると思うのであります。
 総理、モラルを高めるための具体的な措置とは何であるか、これを示していただきたいのであります。また、モラルを欠いた商行為に対してはどのように対処しようとなさっているのか、これもお示しいただきたいのであります。
 私は、この際、企業の社会的責任、企業の社会的公正という時代の要請にこたえるには、現在フランスなどで取り入れられているところの社外重役制、つまり産業界、労働組合、学識経験者、一般消費者などの代表を取締役会の諮問機関に位置さすといった制度を導入し、企業活動、さらには公害防除などの措置を中からチェックする機能を持たすべきだと思うのですが、この点について総理並びに通産大臣の御所見をお伺いいたします。
 次に、このたびの商品投機の直接のきっかけとなった過剰流動性の対策について、大蔵大臣にお伺いいたします。
 今日的な問題として、個々の企業、商社や地主の手元資金がだぶついており、これが投機を誘っているのでありますが、この資金をどのように措置なさろうとしておるのか、お伺いいたします。
 次に、これまでも、不動産融資の規制及び商社に対する融資の窓口規制を実施してきたのでありますが、私はこれをさらに強化すべきだと思いますが、その実効性について具体的にお示しいただきたいと思います。
 次に、政府が貸し付け規制の方針を打ち出したことへの対応策として、商社などで手元流動性を高めるために株の時価発行の動きがあり、ある社ではプレミアム収入だけで二百億円、また、ある社では百億円にものぼるプレミアム収入を得ると聞いております。これらの資金が再び投機資金に振り向けられるなら、さきの規制を強化しても、まさにしり抜けにならざるを得ないわけですが、大臣は株の時価発行を規制するお考えであるのかいなか、お伺いいたします。
 次に、この際、過剰流動性を吸い上げるために、わが党がかねて主張しているごとく、大企業の法人税率を四〇%に引き上げる御意思があるかいなか、お尋ねいたします。
 次に、この際、主として土地の売買などにより超過利得を得た企業等に対して、国債を振り向けるなどの措置により、過剰流動性吸い上げの効果を見出すと思われるのでありますが、いかがでございましょうか。
 また、この際、分配の公平を期するため富裕税を新設してはいかがかと存ずる次第でございますが、御所見を承ります。
 次に、主要輸入物資の安定供給並びに備蓄対策についてお伺いいたします。
 石油、非鉄金属などの資源及び農産物等の安定供給をはかるために、輸入先の多角化、あるいは長期契約による開発輸入を一そう促進させるべきだと思うのですが、その現状と今後の施策について、さらに国内における物資の備蓄対策を、通産大臣並びに農林大臣にお尋ねいたします。
 次に、輸入品の国内価格について経済企画庁長官にお尋ねいたします。
 ドルの切り下げを積極的に物価政策に生かさなければならないのでありますが、輸入物資の価格引き下げの現状と今後の施策についてお伺いいたします。
 さきに申したごとく、主要輸入物資の安定供給と備蓄体制を整えるために、政府出資による総合輸入公社を設立し、その施策の一元化をはかり、効率をあげるべきだと思うのですが、いかがでございましょうか。
 百九十億ドルにも及ぶたまり過ぎた外貨を、この際、思い切って開発途上国ヘアンタイイングによる援助資金として振り向けるべきだと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
 また、田中総理が通産大臣でいらっしゃったおり、ドルの有効活用のために第二外為構想なるものを打ち出されたことがありますが、現時点でドルの有効活用が必要なおり、この第二外為構想はいかがお考えになっておられるか。
 以上四点について大臣の御所見をお伺いいたします。
 最後に、総理にお伺いいたします。
 これまで申し述べてきました今日に見られるもろもろの現象は、言ってみれば、外貨がたまり過ぎ、ために手元流動性がだぶつき、それが投機に拍車をかけ、国民生活を脅かすまでに立ち至ったものにほかなりません。したがって、投機の元凶をただすなら、それは、外貨がたまり過ぎる経済体質を放置していたことと、たまり過ぎた外貨の活用を怠っていたことと、円の切り上げ時期を予見し得ず、また、それを防ぐためにとった手がことごとく後手後手に回り、加うるに、あなたの提唱する列島改造なるものがインフレに拍車をかけていると言わざるを得ません。
 田中総理、あなたは、政治はすべからく先見性を持たねばならない、これまでの政治はあと追い調整機能しか果たせなかったところに問題があったと過去に私に述べられたことがあります。今日に見られる諸悪現象は、まさにあと追い調整が累積し、もはや持ちも下げもならないところにまで進み、そのために国民を不安と苦境に追い込んでいるのです。総理、この政治責任はきわめて重大であります。総理が、この重大な事態に処してどのように責任を感じておられるのか、また、これからどのような姿勢でこの事態を乗り切るのか、その決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(田中角榮君) 私は、三点にわたってお答えをいたします。
 企業活動の公正化や社会化をはからなければならないという問題に対して、まずお答えをいたします。
 自由主義経済体制のもとで企業活動の自由が確保されることは当然でありますが、過度の投機などの反社会的行為が許されるものでないこともまたあたりまえのことだと考えておるのでございます。政府は、企業に社会的責任を自覚した行為を求めますとともに、正常な商行為が行なわれますよう、適切な指導監督を強化してまいりたいと考えております。行き過ぎに対しましては、規制を受けることもまたやむを得ないことだと考えておるのであります。
 第二は、御指摘ございましたように、外国で行なっておる社外重役のような制度についてでございますが、いま申し上げましたように、自由主義経済体制のもとで、企業の創意くふうに基づく自由な活動が原則ではありますが、企業活動には、社会的責任という観点からおのずから制約があることは、申すまでもないことでございます。企業の社会的責任に関しては、各企業が自主的にみずからのあり方をチェックするのが最も適当であるとは考えますが、政府としても、御説にありましたように、各国の諸制度も十分参考にしながら、企業活動が適正かつ節度あるものになるように指導してまいりたいと考えます。
 もう一つは、一番最後に述べられた円平価の調整等による過剰流動性の問題等に対する基本的な姿勢についてでございますが、間々申し上げておりますように、四十六年から四十七年、一年間に外貨が急増いたしたわけでございまして、この裏づけによる円が、各企業の手元資金を潤沢にしたことは事実でございます。政府も、国際収支対策の観点から、輸出を内需に振り向けなければならないという一つの面もございましたし、もう一つは、中小企業、零細企業の不況対策という政策を行なわなければならないような状態にあったわけでございます。また、大かたの見方も、九%、一〇%という年度間の成長率が確保できるというような見方にはなかったわけでございます。それはなぜかというと、初めての多国間調整であったということでございます。そういう意味で、一面においては公定歩合の引き下げを行なったりしなければならないというような状態にあったことも事実でございます。それが、財政資金を主導として、次に民間の設備投資がついてくるというような過去のパターンではなく、設備投資に投資をすることもなかったので、企業は勢い土地や株式に投資をするというようになったわけでございます。それが、今度の木材とか、生糸とか、いろいろなものにあらわれておる市況商品につきましては、これは非常に市場が小さいのでこんな現象が起こったわけでございますが、しかし、いろいろな状態を調査をしてみますと、必ずしも輸入が減っておるわけでもないという面もあります。ですから、やはり、御指摘にあったように、商行為を行なう人の社会的な責任、モラルというものを考えなければならない。いままでは国外においていろいろ批判が起きたわけでございますが、今度は国内においても受けるということでありますから、国の内外から批判を受けるような商行為が国民の容認するものにならないことは、これは申すまでもないわけでございまして、政府も、企業の自粛を促しながら、ほんとうに望ましい、国際的にも国内的にも望ましい企業形態というものをつくるべく努力を続けていかなければならぬと思います。
 私は、弁解になるかもしれませんが、しいて申し上げると、日本の企業体制、経済体制が非常に大きくなったので、やはり一カ月、二カ月というものの実勢を見てからでないと安全な手は打てないというところに、後手になったと指摘を受ける面があるかもしれません。同時に、開放下という新しい体制を迎える過渡期における一つの現象であるということは事実だと思うのです。しかし、そういう状態だけでもって看過できる問題じゃありません。これは生活必需物資でございますし、国民生活に直ちに影響するものでございますので、しさいな観察をしながらも、機動的な政策運営を行なうことによって、国民に御迷惑のかからないような状態をつくってまいりたいと、こう考えます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(中曽根康弘君) 企業の社会性の問題については、総理がいまお答えになったとおりでございますが、ドイツにおいては共同決定法とか、フランスにおいては商法等によりまして、監査役会、あるいは社外重役等で社会性を維持することをやっておるようでございます。日本の場合は、これはやはり商法の改正を含むような大きな問題でございますので、これを慎重に検討してまいってみたいと思っております。
 それから第二に、備蓄公団のような、備蓄対策について御質問がございました。
 私は、お話を承っておりまして、そういう必要を感じております。一月までにどの程度の外貨貸しをやったか、調べてみますと、一億八千五百二十五万ドル、円貨を含めますと二億六千四百六十一万ドル、約二百三十四件でございます。ちょっとこれは金額が少な過ぎるように思うのです。なぜこうなったか、いろいろ調べてみますと、ドルと円とかみ合わせでやらせるとか、あるいは手続とか、あるいは金利とか、そういう問題があるようでございます。そこで、いま、そういう外貨貸しをやっている機関は、経済協力基金、あるいは委託でやっているのは外為銀行、それから貸しをやっているのは石油公団、あるいは金探事業団、あるいは輸出入銀行等がやっておるわけでございますが、こういう時代になってまいりますと、食糧とか、飼料とか、農林水産物、あるいは非鉄金属等々については、やはり総合的な政府の備蓄機関を持ったらどうか、そういう考えがいたします。この点については、よく内部で相談してみたいと思うのでございます。
 それから第二に、外貨を開発途上国に対して援助をしたらどうか、アンタイイングにせよと、こういう御質問でございましたが、方向としては賛成でございます。
 まず、開発途上国内部におけるアンタイイング、つまり、先進国がビッドに参加しない、しかし開発途上国は自由に参加して日本はひもつきしない、そういうようなやり方から始めまして、プロジェクトごと、国別に順次全面的アンタイイングを将来考えていきたいと思います。この間、タイへ参りましたが、タイについては、プロジェクトごとに全面的アンタイイングをやってまいりました。
 第二外為構想については、趣旨として私は賛成でございます。最近の情勢、変動等も考慮いたしまして、検討してみたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(愛知揆一君) 第一のお尋ねは、窓口規制をもっと強化せよというお話でございまして、基本的には同感でございます。
 企業の手元の資金も相当に増加しておりますが、特に、そうした場合においても、金融機関からの貸し出し、融資額が相当多かったというのが昨年中の特色でございますので、やはり商社等に対しましても金融機関からの貸し出しを引き締めるということが、商社等の本来の活動に専念をしてもらうゆえんである。こういう点から申しましても、きめのこまかい、商社等に対する規制の強化ということが非常に必要なことであるということにつきましては、同感でございまして、先ほど来申しておりますような具体的な措置も、そういう気持ちで運営しておるつもりでございます。
 次のお尋ねは、法人税率を四〇%以上に上げるべきではないか。これも、私は、先ほど来申しておりますように、将来の税制のあり方といたしましては、法人については、現状よりはもっと重課をする、そして、反面におきましては、勤労階級の所得税というようなものを軽減をしたいということを考えまして、今後とも検討を続けてまいりたい。ただ、四十八年度の税制におきましては、税率に手をつける前に、課税所得を拡大しよう、特例措置をできるだけ整理をしようということで考えましたことは、先ほど来申し上げているとおりでございます。
 それからその次は、土地にかかるキャピタル・ゲインを公債の発行等によって吸い上げることについてという御提案でございましたが、この点も、先ほどちょっと言及したところでございますが、キャピタル・ゲインを公債を買わせて持たせるということにいたしますと、まず、この保有を強制しなければならない。それから強制して持たせた国債に流通性を与えないことが必要であります。こういったようなことは、法制上も実行上もなかなかむずかしい問題ではなかろうかと思いますし、また、国の財源調達上の必要性と無関係に、投機を押えるということだけのために国債を発行するということは、いかがなものであろうかというようなことで、政府といたしましては、これは、にわかに賛成しがたい御提案であると言わざるを得ないのでございます。
 それから富裕税の御提案がございましたが、これは、御案内のように、過去においての経験もございますし、また、これは、所得税、相続税等の関係もございますので、一つの御提案としてまじめに検討をしてみたい、こういうふうな考えを持っておるわけでございます。
 それから最後のお尋ねは、株式の時価発行によるプレミアムの課税の問題、あるいは時価発行それ自体に対する所見を問われたわけでございますが、経済社会が多様化しておりまするし、また、企業が本来自己資本を充実するということはけっこうなことであって、時価発行というものが適正に行なわれる場合には、これは私はけっこうなことだと考えるわけでございます。そして、商法におきましても、こうした場合のプレミアムというものは資本準備金として積み立てることを強制しておりますし、欠損の補てんに充てる以外には原則として取りくずしが禁止されている。また、その取りくずしの順序も、利益準備金を取りくずしたあとでなければ取りくずすことができないというふうに規定されておりまして、実質的には資本金と同じ性格を有するものである。こういう時価発行というものであるわけでございますから、適正に行なわれるように当局といたしましても指導に遺憾なきを期しておりまするし、また、先ほど申し上げましたように、金融機関による時価発行増資応募等を適宜に抑制をするという措置も今回の金融政策の中の一つとして取り入れておるようなわけでございます。
 さような考え方でございますから、本来の適正な時価発行による場合におきましては、プレミアムに課税するということは、こうした商法のたてまえ等からいっても適正でない、適当な考え方ではないというのが、現在政府の持っておりまする考え方でございますことを御理解いただきたいと思います。
 以上お答え申し上げました。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(櫻内義雄君) 木材、飼料等、農林産物についての輸入先の多角化、あるいは開発輸入について考えるようにという御意見でございました。
 先ほどからお答え申し上げておりますように、木材の場合で申し上げますると、米国の先々の状況というものは非常に悲観的であります。したがって、私どもとしては、ソ連、カナダ、インドネシア等、それらの国から輸入を促進をしていきたい。この場合に、日本側の希望するとおりの樹種が円滑に輸入できるかどうかということについては、もとより問題があると思うのでありまするが、しかし、また、日本のように木材資源の不足する側におきましては、それなりの国内的なくふうもしていかなければならないと思うのであります。
 それから飼料の場合で、大豆などを取り上げてみますると、御承知のように、米国産が従来九割、中国産が一割というようなことで、両国に大量に依存をしておるようなわけでございまするが、濃厚飼料の原料たるトウモロコシやコウリャンなどにつきまして、今後、アルゼンチン、ブラジルなどとの間で輸入をするというようなくふうは、当然すべきであると思うのであります。
 開発輸入につきましては、現在、農林省としても、好ましい施策として考えておるのでございまするが、ただ、このことは、非常に言うことは簡単でございまするが、それぞれの国の事情というものを十分考えまして、へたをして経済侵略のように言われてみたり、相手国の感情をそこねたりしてはならないのでございまするから、開発輸入は好ましいことではあるが、しかし慎重にこれを進めていかなければならないと思っております。
 備蓄対策については、先ほど通産大臣からもお答えがございましたが、昨年あたりの国際的な天候不順というものにこれが大きく影響を受けるということではいけませんし、また、国内で自給が十分できない食糧について備蓄をある程度やるということは、国民生活安定の上から好ましいことでありまするので、通産、経済企画庁、大蔵省関係当局との間で何か新たなる機関をつくるように、前向きな検討をしてまいりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(小坂善太郎君) 私に対する御質問は、変動する為替と輸入物資の関係でございまして、これはもっと何とか安くならぬものかと、こういう御趣旨でございました。
 これにつきましては、まず、政府が直接扱っておりまする塩であるとか、たばこであるとか、小麦であるとか、こういうものは、当然政府の責任としてこれを安く配給するようにしなきゃならぬ、消費者に届けるようにしなきゃならぬわけでございますが、ただ、海外におきまする市場価格が高騰しておるとか、また、船賃が高くなっておるとかいうような面もございますので、その分の吸収される点はやむを得ないかと思いますが、さらに、一般的に輸入総代理店と称するものを、第三者による真正輸入品の並行輸入を認めまして、さらに独禁法による総代理店の監査等を行ないまして、できるだけ引き下げるようにいたしております。
 なお、政府としまして、物価担当官の会議を持ちまして、輸入される物資がどのくらい安くなるかということについて、いま寄り寄り精査をさせております。この結果、先ほど通産大臣がお答えになりましたが、三月中ごろころにはある程度の情報が出てくると、こう考えられておりますので、私は、一つの提案といたしまして、そういう情報が基礎になりましたら、百貨店とかスーパーとか、そういうものと協力してもらいまして、商社も十分にそこに協力してもらいまして、安売りフェアをやってみたらどうか、輸入品の安売りを一般の消費者の目の前でやってみてもらったらどうかということを一つの考えとして持っておるわけでございます。根本的には、やはり、輸入物資をふやすということが必要でございまして、実は、けさの会議でも、豚肉の輸入をふやすという点で関税を引き下げるということを決定したようなわけでございます。
 そこで、日本の輸入パターンでございますが、これはたいへん製品の輸入が少ないのでございまして、製品輸入は二八・六%しかございません。これを工業先進国型というのと比べますと、たとえば、アメリカは七〇%が製品輸入、イギリスが五二・二%、西独が六一・七%、フランスが六三・三%でございまして、日本の二八%台というのは非常に少ないのでございます。これはどうしてこうなるかというと、製品の輸入関税がたいへん高いわけでございます。やはり、この関税を引き下げる、そして外国の品物でも安く手に入るものは安く入れて、消費者に安い品物を提供するということが必要であると考えておりますのでございます。
 なお、総合輸入公社という御構想も承りまして、よく検討したいと思いますが、ただ、やはりまじめな商社による輸入の競争原理というものは尊重するほうが、安い品物がよけい消費者に届くのではなかろうかと、こう考えておりますが、十分検討させていただきたいと思います。
 それから余剰ドルの活用方法については、これは先ほど通産大臣がお答えになりましたとおりでございます。
 また、第二外為という構想も、私は、非常に検討すべき、むしろ積極的にこれを行なうような方向で検討したいと考えておる次第でございます。
 以上お答えいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#40
○議長(河野謙三君) 塚田大願君。
   〔塚田大願君登壇、拍手〕
#41
○塚田大願君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 現在、大商社、大企業による木材、大豆、米、羊毛、綿糸、肉など、おもな生活必需物資に対する買い占め、投機がきわめて重大なものになっております。昨年来の土地投機、株式投機に引き続く、国民生活を踏みにじって顧みない大商社、大企業のこのような横暴を放置しておくならば、インフレの悪性化、消費者物価の一そうの全般的な大幅な値上げを避けることができないことは、議論の余地のないところでございます。
 しかも、これらの大商社こそ、一昨年の円の変動相場制移行にからんで、大規模なドル売り、円買いの投機によって、数千億円と推定される為替差益を手に入れ、大蔵省の外為会計と日本銀行にばく大な為替差損を背負わせた元兇でございます。
 総理は、自由経済体制なるものを強調して、大企業のこのような横暴をきびしく取り締まることを避けようとしておられます。政府がこのような態度をとり続けているのは、自民党がこれら大商社を含む財界から多額の政治献金を受けているからだと国民が考えるのはきわめて当然であります。今日、大商社、大企業のこのような反社会的行為をきびしく取り締まることこそ、社会正義であり、国民の要求であります。
 ところが、総理は、いわゆる投機防止法案なるものを単に行政指導を補完するものと言明しているありさまであります。しかも、報道されている自民党案も、買い占め物資の放出などを単に勧告するだけであり、罰則も五万円以下という子供だましのものにすぎません。
 総理、あなたは、こんなことで横暴な大企業を押えることができると本気で考えておられるのかどうか。
 わが党は、昨日の衆議院本会議における小林議員の質問を通じて、大商社、大企業の買い占め、投機を取り締まるために、一、買い占め、投機の行なわれている物資の輸入、購入、及び販売についての契約内容、実際の売買の数量、価格、在庫高等の報告を義務づけ、必要に応じて国が立ち入り調査を行なうこと。二、買い占め、投機の行なわれている場合は、商品の値上がり前の価格による販売、もしくは在庫品の放出を命令し、これに従うことを義務づける。三、以上の命令に服さない場合に、きびしい罰則を適用する。
 以上のような内容を持つ臨時措置法を緊急に制定すべきことを要求しました。総理は、これについては明確な答弁を避けられましたが、わが党は、このような緊急政策こそ、いま最も切実に求められているものであると考えるので、総理の見解を求めます。
 また、総理はいままでも投機は好ましくないとの趣旨のことを繰り返し述べておられます。もし、そのことばがごまかしでないならば、今日重大問題となっている大企業の同じような土地投機に対しても、きびしい、実効ある対策をとるべきであります。総理は、すでに閣議決定された骨抜きの土地対策を改め、最低限、不動産業を含む大法人の土地売買、土地所有の実態を国の権限で調査すること、大都市圏における大法人の買い占め地を適正な価格で収用して生活用地に充てること、商社、銀行、私鉄などの土地売買を事業用資産を除いて禁止することなどを根幹とする緊急措置を講ずべきだと思うが、総理並びに建設大臣の答弁を求めます。
 特に今日必要なことは、以上のような緊急措置とともに、二度と再びこのような事態の起こることを防ぐ根本的な対策であります。
 この点につきましては、まず指摘しなければならないことは、今回の投機による異常値上がりの中心が、木材、大豆、繊維原料など、輸入農産物であるということであります。その根本原因が、たとえば輸入大豆の七割近くを三菱、伊藤忠、三井、丸紅、日商岩井の五大商社が扱うなど、輸入が大商社に独占されていること、また、他方では、現在大豆の国内自給率がわずか三%にまで急落していることにあらわれているように、政府の外国農産物依存政策というものが国内農業に致命的な打撃を与えたことにあることは、すでに衆目の見るところであります。今回の投機も、農産物の輸入拡大や円の切り上げが物価安定に役立つという政府の宣伝のごまかしを完全に暴露したものであります。
 政府は、大企業の投機を押え、物価を安定させるためにも、外国農産物依存政策を根本的に改め、おもな食糧の自給をはかるため、思い切った農産物生産奨励対策を実行すべきであります。このために、特に大豆などのおもな農産物に対して、農家の所得を安定させ、その再生産を確保し得る価格保障制度の抜本的拡充が必要であると考えますが、総理並びに農林大臣の見解を伺いたいと思います。
 同時に、今回のモチ米や一部銘柄米の投機は、自主流通米制度を利用した大商社の買い占めと、消費者米価に対する物統令の適用廃止の措置を原因として起きており、政府の責任は重大であります。政府は、米の投機を防ぐため、食管制度の改悪をやめ、物統令の適用を復活させるべきと考えます。また、米以外でも、大豆など国民生活にとって重要な食糧については、食管法を適用し、政府の責任で必要な管理、統制を行なうべきであると考えますが、明快な答弁を求めます。
 今回の事態は、大企業の横暴こそが物価値上がりの根源の一つであることを明々白々と証明いたしました。また、大企業に資金を供給するために、日本銀行や大銀行の放漫な金融政策を促進させ、さらには建設公債という名の赤字公債を大増発させている政府のインフレ政策もまた重要な根源であることは明らかであります。
 しかるに、政府は、これまで、物価値上げの原因は農業、中小企業の生産性の低さや労働者の賃上げにあるなどと、責任を国民になすりつけ、ついに今日の事態を引き起こしたのであります。政府の責任はまことに重大であると言わなければなりません。政府は、物価政策を根本的に改め、大企業の独占価格の引き下げとインフレ抑制を物価政策の最重点とすべきだと考えますが、総理並びに企画庁長官の見解を求めるものであります。
 最後に、以上のような事態にかんがみ、わが党がかねてから主張していたように、大企業、大商社の不当な価格引き上げ、投機等を調査する必要な権限を持った特別の委員会を国会に設けることがきわめて緊要であることを重ねて強く主張して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(田中角榮君) まず第一は、今回の事態に対しましては、政府としては、緊急輸入の促進、政府在庫の放出、関係業界への協力の要請、商品取引所の規制、過剰流動性の吸収等の諸施策を中心とした行政的措置の活用で対処してまいりたいと考えておることは、間々申し上げておるとおりでございます。これを補完するための立法措置につきましても、各方面の意見を徴しながら検討しておる次第でございます。
 第二は、商社などの土地買い入れの禁止や土地買い占めの実態調査等についてでございますが、土地対策につきましては、さきに政府が決定をいたしました土地政策大綱に基づき各般の政策をいまとっておるわけでございますが、これらを強力に実施をしてまいりたいということでございます。
 農産物の国内自給体制を高めよということでございますが、最近の国際的な需給情勢を見ても、国民が必要とする食糧については、国内で効率的な生産が可能なものは、生産性を高めながらできる限り国内でまかなうべきであり、安易に外国に依存すべきものではないという考えでございます。
 第四点は、米について物統令からの適用除外をやめよというような問題でございますが、食管制度その他に対しては農林大臣が答えることといたしますが、米の販売価格に対する物価統制令の適用を廃止しましたのは、良質米に対する消費者の需要が強まっている中で、米の品質に応じた価格形成を進めるとともに、良質米の供給の増大をはかるためでありまして、物統令を復活することは考えておらないわけでございます。
 最後に、独占価格引き下げ等に対する問題でございますが、物価問題は、わが国が当面する最大の課題であります。政府は、過剰流動性吸収のための金融措置、輸入の積極的拡大、生鮮食料品の生産・流通対策の強化、競争条件の整備など、各般にわたる施策を強力に実施をしてまいりたいと考えます。(拍手)
 〔国務大臣金丸信君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(金丸信君) お答えいたします。
 法人等による土地の投機的取引は地価騰貴の原因の一つとなっており、この抑制をはかることが現下の急務であることは、御指摘のとおりであります。そのために、土地取引についての届け出、あるいは中止勧告その他の規制制度を創設いたします。
 法人の土地譲渡益について、通常の法人税とは別に二〇%の土地譲渡税を課することとするとともに、土地の取得及び保有については、取得価格に対し、取得にかかるものは三%、保有にかかるものは一・四%の税率で課税する特別土地保有税を新設いたします。
 最近の金融緩和が土地の投機的取引の原因となっていることにかんがみ、金融機関による土地取得に対する過当な融資を抑制することなどの施策を講じているわけでございます。
 御提案の、土地買い入れの禁止、国の立ち入り調査などについては、いろいろ問題が多いので、慎重な検討を要するものと考えます。
 首都圏、近畿圏等の住宅難の著しい三大都市地域につきましては、特に居住環境の良好な住宅用地の供給の増大をはかる必要があります。このため、必要な要件を備えた土地につきましては、地方公共団体等の公的機関が、新住宅市街地開発法、新都市基盤整備法等を活用して、適正な価格で住宅用地その他公共施設用地を取得する所存であります。この場合においては、企業の買い占めた土地でありますといなとを問わず、必要な場合には土地収用法も発動いたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣機内義雄君登壇、拍手〕
#44
○国務大臣(櫻内義雄君) お答え申し上げます。
 国内で主要食糧をできるだけ自給するようにという御意見は当然なことでございまして、ただいま御審議をお願いしておる四十八年度予算で、基盤整備事業、構造改善事業、あるいは価格安定対策の推進につきまして、積極的に取り組んでお願いをしておる次第でございます。
 自主流通制度の導入や物統令の適用廃止は、これは国民生活の向上、米の需給状況の変化に伴って、消費者の選択に応じた米の流通と米の品質に応じた価格形成を進めるために実施したものでございまして、お話しのように復活することについては考えておりません。
 大豆その他を食管制度によって国が直接買い入れ、売り渡すことにつきましては、今回のような大豆等の世界的な需給逼迫のもとでは、本質的な需給緩和の条件がない限り、大きな効果を期待することはできないと思うのであります。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(小坂善太郎君) 政府といたしましては、独占価格等の不当な価格形成があります場合には、独禁法の厳正な適用など、競争条件を一そう整備することによりまして、その是正につとめるようにいたしたいと思いますし、また、いわゆる管理価格の問題につきましては、実態の把握が基本的に必要でありまして、現在、関係機関において、そういう問題があればその調査を進めるということをやっておるわけでございます。
 以上お答えいたします。(拍手)
#46
○議長(河野謙三君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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