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1972/03/07 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第8号
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1972/03/07 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第8号

#1
第071回国会 本会議 第8号
昭和四十八年三月七日(水曜日)
   午前十時十三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第八号
  昭和四十八年三月七日
   午前十時開議
 第一 資金運用部資金並びに簡易生命保険及び
  郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措
  置に関する法律案、所得税法の一部を改正す
  る法律案、法人税法の一部を改正する法律案
  及び租税特別措置法の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 第二 国務大臣の報告に関する件(昭和四十八
  年度地方財政計画について)
 第三 地方税法の一部を改正する法律案及び地
  方交付税法の一部を改正する法律案(趣旨説
  明)
 第四 国家公務員の寒冷地手当に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、故議員水口宏三君に対し弔詞贈呈の件
 一、故議員水口宏三君に対する追悼の辞
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、日程第一より第四まで
 一、国会議員の秘書の給料等に関する法律の一
  部を改正する法律案(衆議院提出)
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 小平芳平君から海外旅行のため来たる十二日から三十二日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(河野謙三君) 議員水口宏三君は、去る一日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞は議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 議長において起草いたしました弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は議員水口宏三君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 弔詞の贈呈方は、議長において取り計らいます。
     ―――――・―――――
#7
○議長(河野謙三君) 高田浩運君から発言を求められております。この際、発言を許します。高田浩運君。
   〔高田浩運君登壇、拍手〕
#8
○高田浩運君 三月一日午後三時十分過ぎのことでございました。水口宏三君は、本院議員面会所前で、請願陳情の列を前にして演説をされておりました。熱のこもった演説でございました。突如、声が細り、君のからだはくずれて倒れられました。君の生命の火が消えたのは、それから間もなくのことでありました。
 急の知らせを受けて私がかけつけたとき、君のからだは院内医務室のベッドの上に横たわっていました。しかし、それはすでにもの言わぬ君でありました。あまりにも突然のできごとで、哀切悲痛のきわみであります。
 私は、ここに、同僚議員各位のお許しを得、本院を代表して追悼のことばを申し述べたいと思います。
 水口君は、大正三年七月、都内本郷に生まれられ、東京府立高等学校を経て東京帝国大学農学部に学ばれました。昭和十三年、卒業とともに農林省に入られ、自来、十三年間、農林行政に専念されました。
 この間、終戦直後の昭和二十一年には、当時ほうはいとして起こった労働運動の先頭に立ち、いち早く同志とともに全農林職員労働組合を結成して初代委員長に選ばれ、次いで、全官公職員労働組合の初代委員長にも就任されました。時に君は若冠三十一歳。そして、翌年のいわゆる二・一ゼネスト問題に際しては、その中心的指導者となられたのであります。
 さらに、二十七年には、農林省食品課長の職を退き、農林事情研究会を結成して農村問題に取り組まれ、次いで、二十九年には、憲法擁護国民連合の事務局長に就任して護憲運動を推進、三十四年には、安保改定阻止国民会議事務局長に就任されて、六〇年安保闘争のリーダーとして活躍ざれました。また、三十七年には、内閣臨時行政調査会の専門委員となり、行政制度の改革のため尽瘁されました。
 君は、この多忙な中で、「六〇年安保闘争史」など、あまたの著書をも残されております。
 この献身的な活躍は、君の人柄と相まって、広く人の信頼と期待を集めるところとなり、一昨年の参議院議員通常選挙にあたり、推されて全国区から立候補され、みごと当選の栄を得られました。
 君は、当選の直後、立候補した目的と今後の抱負を、こう語っておられました。「私は二つの目的をもって立候補いたしました。その一つは、長年憲法問題に携わってきたので、わが国の安全保障問題についてじっくりと取り組みたい。その二は、私は公務員出身であり、その労働組合の設立にも関与したので、わが国の行政制度の改革を抜本的に検討したい。」と。
 かくて、本院においては、終始、内閣委員会に席を置かれ、その理事として委員会の運営に携わる一方、一貫して、真摯かつ熱心に審議に当たられました。長年の研さんと実践を通じて体得された豊富な知識と、卓越した識見に基づき、現実を見詰め、現実の中から問題を的確に把握して論議を展開され、その風格は独特のものがありました。
 特に、安保防衛問題については、流動する国際情勢の推移に伴って派生するもろもろの問題をとらえ、時にきびしく政府を追及し、また、広く行政制度のあり方について鋭く究明するなど、たんねんな質疑を通じて成果をあげられました。また、決算委員会での活躍も、鋭い分析による質疑であったと承っております。君の、この活躍ぶりは、国会の会議録が雄弁にこれを物語っております。
 また、君の属する日本社会党での党活動におきましても、国会対策役員のほか、外交防衛問題委員会、労働基本権確立特別委員会、社会主義理論委員会、その他、数多くの委員会の委員として精力的に活躍され、すぐれた業績を残されたと承っております。
 かくて、君は、当選後、日は浅かったにかかわらず、残された御功績は、まことに大きかったのであります。
 君は、笑みをたたえる温顔の中に、強い正義感にあふれ、身を持すること清廉、辺幅を飾らず、信ずる道を一筋に邁進する信念の人でありました。しかも、何の気負いもなく、また、てらいもない独特の風格を持っておられました。まさしく、大衆のための政治家水口君の面目と魅力であります。
 君は、平素、心臓と肝臓が悪いと健康を気にしておられました。昨年の通常国会終了後、しばらく入院の上、検査と静養につとめられたのはそのためであります。その後、いたく元気で、いや、だいじょうぶのようですよと笑っては、席のあたたまるいとまもなく東奔西走しておられた昨今でございました。
 急逝されたその日も、宮城県知事選挙の応援から帰京されたばかりで、党の勉強会に出席、さらに、その席から議員面会所にかけつけ、演説のさなか、赤だすきをかけた姿のまま倒れて、五十八年の生涯を閉じられたのであります。あらためて、政治家の生活のきびしさと人の世の無常を思い知らされたことでありました。
 現下、わが国は内外ともにきわめて重要な時期に当面し、政治に対する国民の関心が大きく高まっております。この時にあたり、君を失いましたことは、まことに惜しみても惜しみても余りあることであります。
 ここにつつしんで君が生前の御功績をたたえ、その人となりをしのび、心から哀悼のまことをささげ、追悼のことばといたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#9
○議長(河野謙三君) この際、国家公務員等の任命に関する件についておはかりいたします。
 内閣から、鉄道建設審議会委員に荒木茂久二君、五島昇君、駒井健一郎君、日向方齊君、西村健次郎君、田實渉君、麻生平八郎君、片岡文重君を任命することについて本院の同意を求めてまいりました。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#10
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#11
○議長(河野謙三君) 日程第一 資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 四案について、提出者の趣旨説明を求めます。愛知大蔵大臣。
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(愛知揆一君) 資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用は、従来から財政投融資計画の中心をなすものとして、わが国の社会資本の整備、民間経済活動の誘導等に大きな役割りを果たしてまいりました。最近、財政投融資計画の規模が拡大し、また、その対象とする機関の数が増加してまいりましたのに伴い、これら資金及び積立金の長期の運用は、確実かつ有利な運用という性格に加えて、財政的資金の配分という性格を兼ね備えるに至ってきております。
 このような現状にかんがみ、国会においてかねて行なわれてまいりました財政投融資計画と国会の審議のあり方についての論議の経過を踏まえ、資金及び積立金の長期の運用について、その適正かつ効果的な実施に資するため、その予定額につき、国会の議決を経るものとする等の措置を定めることといたしました。これが本法律案の趣旨であります。
 この法律案の内容といたしましては、
 第一に、毎会計年度新たに運用する資金及び積立金のうち、その運用の期間が五年以上にわたることを予定されているものにつき、予算をもって国会の議決を経なければならないことといたしております。また、その際、運用を予定する金額を、資金及び積立金の別に、かつ、運用対象区分ごとに区分することといたしております。
 この規定に基づき、昭和四十八年度における資金及び積立金の長期運用予定額を昭和四十八年度特別会計予算の予算総則第十四条に掲記し、別途御審議をお願いいたしているところであります。
 第二に、資金及び積立金の運用は、その相手先である公社公団等の事業の進捗の状況に応じて弾力的に対処する等の必要がありますので、国会の議決を経た長期運用予定額につきまして、議決を受けた年度内にその運用を行なわなかった場合には、翌年度に繰り越して運用できるものといたしております。
 なお、同様の見地から、予算総則に弾力条項を設け、予見しがたい経済事情の変動に対処するため、個々の機関につき、その運用予定額を五〇%まで増額し得るよう措置しております。
 第三に、毎会計年度の運用の実績を明らかにする必要がありますので、この点につきまして所要の措置を講ずることとしております。
 以上、資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案につきまして、御説明申し上げた次第であります。
    ―――――――――――――
 次に、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 初めに、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 第一に、最近における所得・物価水準の推移を考慮して、中小所得者を中心とした所得税負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げを行なうことといたしております。
 すなわち、基礎控除及び配偶者控除についてはそれぞれ一万円、扶養控除については二万円引き上げるとともに、給与所得者について、その負担を軽減するため、給与所得控除の定額控除を三万円引き上げるほか、定率控除部分についても適用金額の範囲を拡大することといたしております。この結果、給与所得者の課税最低限は、夫婦と子供二人の場合では、現行の約百三万円から約百十四万円に引き上げられることになります。
 まだ、老人扶養控除等については三万円、障害者控除等についてはそれぞれ一万円引き上げることといたしております。
 第二に、退職所得者の税負担の軽減をはかるため、退職所得の特別控除をおおむね五割程度引き上げることとしております。その結果、たとえば勤続年数三十五年の場合では、現行の五百万円から八百万円に引き上げられることになります。
 第三に、白色申告者の専従者控除を三万円引き上げることとし、また、寄付金控除の控除限度額の引き上げ、勤労学生控除の対象となる勤労学生の範囲の拡大をはかるとともに、予定納税を要しない予定納税基準額を現行の二万円から三万円に引き上げる等、所要の改正を行なうことといたしております。
 これらにより、昭和四十八年度におきましては、三千億円をこえる所得税減税が行なわれることになります。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 法人税法におきましては、中小法人の税負担の軽減とその内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得課税についての控除額を引き上げるほか、役務の提供についても割賦基準による所得計算を認めることとしております。
 最後に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 まず第一に、土地に対する投機的取引を抑制するため、法人の譲渡益について重課することといたしました。この重課による税負担は、通常の法人税を含めた総合税負担がおおむね七〇%となることを目途とし、通常の法人税とは別に二〇%の税率で課税することといたしております。また、収用等の譲渡所得の特別控除の引き上げ及びその適用対象範囲の拡大を行なうことといたしております。
 第二に、重要産業用合理化機械等の特別償却の廃止、価格変動準備金の積み立て率の引き下げ等、産業関連の特別措置について整理合理化を行なうとともに、交際費課税の強化をはかるため、交際費の損金不算入割合を引き上げた上、適用期限を二年延長することといたしております。
 第三に、国民の福祉の向上をはかるため、老年者が受ける公的年金及び恩給については、六十万円の老年者年金特別控除制度を創設し、また、心身障害者を多数雇用する企業の機械等についての割り増し償却制度を創設することといたしております。
 第四に、公害防止に資するため、無公害化生産設備についての特別償却制度を創設し、さらに、低公害乗用車の開発普及を促進するため、物品税の暫定軽減措置を講ずることといたしております。
 第五に、勤労者財産形成・住宅対策の見地から、勤労者の持ち家取得を促進するため、勤労者財産形成貯蓄にかかる住宅貯蓄控除制度の控除額を引き上げる等の措置を講ずることといたしております。
 第六に、中小企業経営の近代化合理化をはかるため、青色申告者について、みなし法人課税の選択による事業主報酬制度を創設することといたしております。
 第七に、農林漁業者の健全な経営の充実をはかるため、農業協同組合等の留保所得の特別控除制度の対象範囲を拡大して適用期限を延長するほか、農業信用基金協会等の債務保証にかかる抵当権設定登記の登録免許税を軽減することといたしております。
 以上のほか、それぞれ実情に応じ、所要の措置を講ずることといたしております。
 以上、所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
#13
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。川村清一君。
   〔川村清一君登壇、拍手〕
#14
○川村清一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま政府から趣旨説明のありました資金運用部資金並びに簡易生命保険及び郵便年金の積立金の長期運用に対する特別措置に関する法律案について、田中総理並びに関係大臣に対し質問をいたします。
 政府は、今回の特別措置法案の成立をもって、財政投融資計画を国会議決事項に付したものとして、野党の要求にこたえたと弁明しようとしております。しかし、この措置は、長い間のわれわれの主張に沿ったものではなく、また、財政民主主義を発展させるものでもありません。財政投融資計画が第二の予算ともいえる実態と機能を持っている現在、政府は、それを予算審議の単なる資料として提出するのではなく、いわゆる第四の予算案と位置づけて、国会の審議、議決を受けるべきは当然の措置であります。財投原資が任意性の預貯金であることや、財投の弾力的運用が必要なこと、あるいは産投会計、政府保証債など一部原資が二重議決になることを理由に、政府は、財投を国会の審議対象にすることに反対し続けてまいりましたが、まことに遺憾なことでありました。
 今回、政府が、新たに財投原資の一部を議決事項とする法案を提出してきたことは、一歩前進として評価できますが、従来の反対理由を全面的に撤回したものではなく、ましてや、財投を政府の意のままに運用し、産業基盤整備、大企業本位の運営姿勢を改めたものでもありません。政府は、今度の措置をどのように自己評価されているのか、まず、総理の御見解をお伺いします。
 次に、特別措置法案の内容に即して、その問題点を指摘し、御見解を伺います。
 第一に、財政計画のうち、資金運用部資金、簡保資金、郵便年金積み立て金に限って国会議決を経ようとすることは、一部をもって全体を認めることになり、国会議決を形式化、空洞化する危険な審議方式となるものであります。
 政府のやり方は、財投原資をとってみても、全体を一体化して審議議決するのではなく、各個ばらばらに分散して審議対象にするもので、これは一体的審議と合一的審議では質的な相違があることを解しない後退的方法であります。その上、投融資の大部分が使用されている各種公団、事業団の予算が、事実上国会の審議議決からはずされ、設置法による主務大臣の認可でこと足れりとする状態では、財投の国会議決を完全に骨抜きにするものであります。二重議決という三百代言的論理に固執することなく、民主主義の確立こそ第一に据えられなければなりません。総理の御見解をお伺いします。
 第二には、特別措置法のワク外、すなわち、四十八年度特別会計予算の予算総則第十四条の2に規定されているいわゆる弾力条項についてであります。
 財投の弾力的運用目的のために、予見しがたい経済事情の変動により、特別の事由があるときは、長期運用予定額の当該項目及び予定額合計額の五〇%まで増額できる規定が設けられておりますが、これは国会審議権を実質的に無視するやり方で、行政専権事項の範囲を拡大するものであります。五〇%ワクはあまりにも大きく、これまでの運用実態から極度にかけ離れた水準であります。現代は、財政の持つ景気調整機能の比重は高まり、財投の弾力的運用も必要ではありますが、四十年代のわが国経済において、財政の弾力性発動の実態は、最高の四十六年度でさえ総額で一八%でありました。したがって、弾力性の規定はせいぜい一〇%程度にとどめ、それ以上必要とされるに至った場合には、そのつど補正予算を提出して国会審議を求めることが、財政民主主義の本旨にかなったものであります。これに対する御見解を伺います。
 第三には、特別措置法案の第三条に規定されている長期運用予定額の繰り越し、その自動的運用規定の危険性であります。
 財政法第十四条の三にいう繰り越し明許費は、「その支出を終らない見込のあるものについては、予め国会の議決を経て、」と明記されており、原則的には、事後的、結果的繰り越しを許しているものではありません。毎年度国会の議決を経て認められるべき原則を無視することは、年度独立原則の例外規定である繰り越し明許費を拡大し、国会議決を空洞化することになり、ゆゆしき官僚行政の逸脱行為であると考えますが、これに対する率直な御見解を伺います。
 第四は、財投原資の構成内容に関してであります。
 四十八年度の財投計画は、六兆九千二百四十八億円の大型のものであり、そのうち実に八一・二%を資金運用部資金が占めております。運用部資金は、郵便貯金、厚生年金、国民年金その他からなっているが、特に問題にしたいのは、「その他」の項目であります。この内容不明な原資は、一兆六千百六十億円と、厚生年金の一兆四千五百億円を上回っております。政府は、「その他」の大部分は償還分であるといろ理由で、その詳細区分を明らかにせず、大蔵省の聖域とされております。四十八年度の財投計画の伸びは二八・三%でありますが、この「その他」資金は四四・一%の伸びであり、前年度に比較して五千億円も増額されております。一体、今後、毎年度、どれだけの償還分が見積もられるのか、明らかにされるべきであり、運用についても明確にすべきであります。大蔵省の自由裁量、独断行政は絶対に許されません。このことに対し、明確な御答弁を求めます。
 次に、財投計画そのものについてお尋ねします。
 財投計画が第二の予算として運営されてきたことは、一般会計予算に対する比率の高まりに明瞭に示されております。昭和三十年度には三二・五%、一般会計の約三分の一にすぎなかったものが、四十八年度には四八・五%と、一般会計のほぼ半分に及ぶほど大規模化したのであります。しかも、この間、一貫して、大企業、独占企業への低利融資、産業基盤投資に優先運用されてきたのであります。原資の大部分が、大衆の貯蓄、年金の積み立て金である以上、当然に、生活環境整備、厚生福祉施設重点の運用が行なわれなければならないにもかかわらず、四十八年度には、住宅を入れても三七・四%にすぎないのであります。厚生年金及び国民年金の預託増加額の還元融資比率を、従来の四分の一から三分の一に引き上げる改正が見られても、原資の性格からいえば、依然として資金配分の本質は変わっておりません。このような配分を根本的に改め、生活基盤投資を五〇%以上に引き上げ、生活福祉中心の財投計画に組みかえるべきであります。これに対する御見解を伺います。
 また、原資に関していえば、厚生年金、国民年金を、現行の積み立て方式を賦課方式に切りかえ、厚生年金受給者のわずかに一割、八万人の該当者をもって五万円年金の実現などと誇大宣伝して国民を愚弄することはやめ、抜本的年金制度の改善、給付水準の引き上げを、決断をもって実行すべきであります。これに対し、厚生大臣の御見解を伺います。
 最後に、わが国経済の大企業・独占中心の体質、生産第一・輸出優先の産業構造を、国民生活優先、人間尊重の経済に転換することが、今日、最も緊要な課題となっておることは、言うまでもありません。しかるに、財投の内容はそれに全く逆行しております。すなわち、田中内閣の看板政策である日本列島改造は、過密過疎の同時解消をスローガンに二十五万地方都市を建設し、それを高速度鉄道網、高速度道路網で結び、全国を一日行動圏にするというのでありますが、まさに人間生活を無視したブルドーザー的政策であり、この政策は、財投計画にきわめて露骨に示されているのであります。
 国土総合開発公団は三百三十五億円で発足の予定ですし、日本道路公団へは五千億の融資で千四百億を増額、日本鉄道建設公団へは四百五十億増の一千二百億の融資等々に明らかであります。さらに、また、わが国の貿易収支の黒字基調は、四十年の二十億ドルを起点として、来年度は八十一億ドルも見込まれております。これまで、財投から基幹産業に一兆四千九百億、貿易・経済協力として二兆五千二百億の運用がはかられ、来年度もそれぞれ二千四百六十億、六千百九十億が追加されることになっております。これを機関的に代表するものは、日本開発銀行と日本輸出入銀行であります。明年度にも、資金運用部資金から開発銀行に三千九百億、輸出入銀行に四千九百億が貸し出されることになっており、四十六年度末では、累積貸し出しが、開発銀行に一兆五千七百億、輸出入銀行に一兆三千六十億の巨額に達しているのであります。このような財投の運用が、高度経済成長をささえてきた背景であります。国民大衆の資金である財政投融資資金が、あるいは経済開発、産業開発という名目で、あるいは貿易振興という名目で、ばく大な資金が開発銀行、輸出入銀行を通じて基幹産業の大企業に長期資金として低利で融資してきた経済政策が、劣悪な労働政策、社会福祉政策と相まって、わが国経済の今日的状態をつくったのであります。国内的には、インフレの高進、公害の拡大、交通戦争、住宅問題等々、いまや国民の命と暮らしは危機にあると言っても決して過言ではありません。国際的には、エコノミック・アニマルの悪評を受け、わが国に対する円の切り上げの要求、貿易に対するもろもろの風当たりが強まり、ついに円の変動相場制に移行を余儀なくされることになったが、政府の責任はきわめて重大であります。いまや、経済政策の大転換が必要であります。しかも、急速に断行すべきときです。財政投融資の原則を、成長優先、輸出第一主義から、福祉優先、生活第一主義へ、勇断をもって切りかえなければなりません。具体的には、開発銀行、輸出入銀行の役割り、使命はすでに終わったのです。両銀行を解散し、それにかわって、中小企業の体質強化、公害対策、生活環境の整備等を目的とする強力な政府銀行を新たにつくるべきであります。政府にその意思がないかどうか、決断と実行を売りものにして総理の座につかれた田中総理の御見識を承って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(田中角榮君) 御指摘もございましたように、財政投融資計画には、資金運用部資金及び簡保資金のほか、産業投資特別会計の支出及び政府保証による資金調達が掲げられておるのでありますが、産投会計の支出につきましては同会計の歳出予算として、また、政府保証による資金調達につきましては一般会計の予算総則におきまして、それぞれ国会の議決を受けることになっておりますので、これらをさらに議決対象といたしますことは、二重議決の問題を生ずることになるわけでございます。この点を考慮し、今回、資金運用部資金及び簡保資金の運用を国会の議決対象としたものでございまして、これによって財投計画の内容はすべて国会の議決の対象になったわけでございます。
 なお、財政投融資計画を一体として見るべきだとの点につきましては、財政投融資計画表は従来どおり作成をいたしまして予算審議の御参考に資することにいたしておりますので、その計画を全体としてとらえることができると思うわけでございます。
 なお、輸銀や開銀を解散して、中小企業や生活環境整備などの新需要にこたえる新しい政府関係機関をつくってはどうかという御説に対してお答えをいたします。
 輸銀及び開銀が果たす役割りは、時代の流れとともに変化をしており、そのときどきに要請される政策自的に即応した業務の遂行に努力をいたしておるわけでございます。
 輸銀は、船舶を中心とした輸出金融から、エネルギー、鉱物資源の確保を目ざした輸入・投資金融、経済協力のための直接借款へと重点が移っておることは御承知のとおりでございます。また、開発銀行は、いわゆる産業金融から、公害の予防、公害の防止、流通の近代化、大都市の再開発、国民生活改善など、社会開発、国民福祉の向上に重点を置いて融資を行なうようにその焦点を動かしておるわけでございます。
 なお、中小企業、公害、生活環境整備の分野では、国民金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫、住宅金融公庫等が積極的に融資を行ない、その役目を果たしておるわけでございます。
 輸銀、開銀等の改組問題につきましての御説がございましたが、現時点においては、いま申し上げたような状態であることを御理解賜わりたいと思います。
 残余は、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 まず第一に、財政投融資計画の、入ってくるお金づまり原資でございますが、これは郵便貯金なり簡易保険なり、いわば受動的なものであり、有償的な国民からの大切な預かり金でございます。いわば金融的な資金であって、租税とは全然性質が違うわけでございます。ですから、本来、全体としての数量的規制にはなじまない性格のものであるということを御理解をいただきたいと思います。
 そういう性格のものではございますが、提案の理由で御説明いたしましたように、規模も大きくなりましたし、また、運用計画は財政的な機能を大きくいたしましたので、何とかして、こういう性格のものではありますが、国会の議決の対象にして、そして国民的に大いに御理解をいただくべきであるということで、非常に検討を続け、権威者の御意見も伺いまして、今回の案を最善として御提案をいたした次第でございます。
 それを前提にいたしましてお聞き取りを願いたいと思います。
 具体的には、まず、長期運用の予定額の弾力性の問題でございますが、弾力条項は、いま申しましたような資金運用部資金及び簡保資金の別に、かつ運用対象ごとに長期運用予定額をきめるわけでございますから、増額の限度の割合、弾力条項の割合を五〇%ときめることが適当であると思いますので、これは、たとえば、公庫の借り入れの弾力、それから政府保証の弾力がいずれも現在五〇%でございますこととにらみ合わせていただければ、御理解がいただけるのではなかろうかと思います。また、現実に弾力条項を発動する場合に、全部の運用対象について同時に五〇%の増額を行なうような事態は予想しておりません。予見しがたい経済事情の変動によって有効需要の創出、社会資本の緊急整備等の必要が生じた場合には、両資金の資金事情等を勘案しながら長期運用額を増額してこの必要に応ずる措置をとることが要請されるのではなかろうかと思います。したがって、この五〇%の限度を一〇%程度にとどめるというようなことには賛成をいたしかねるというのが政府の見解でございます。
 次に、自動繰り越し運用といわれた規定がございます。これが財政民主主義に反するものではないかというお尋ねでございますが、これらの資金の運用先のうちで、公団、事業団等の事業は、性質上、年度を越えて継続されるものが相当多いわけでございます。また、融資機関につきましては、金融情勢等によりましてその融資計画が影響を受けることもございます。このような資金の運用対象事業の特質にかんがみまして、運用の実行も弾力的で機動的に行なう必要がありますので、国会の議決を経ました長期運用予定額については繰り越し得ることとしておくことが、実際上必要であり、また、適切な措置ではなかろうかと思います。
 なお、繰り越し明許費は、財政法十四条の三にありますように、歳出予算の経費のうち、その性質上または予算成立後の事由に基づいて年度内にその支出を終わらない見込みのあるものについて、あらかじめ国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用することができるものでございまして、いま申し述べましたような性格の資金の長期運用予定額の繰り越しにつきましては、このような意味での繰り越し明許費の形式にはよりがたいということは、やはりこの性格から御理解がいただけるのではなかろうかと考えます。
 その次は、財投計画の運用の問題、運用政策の問題でございまして、生活基盤整備のための運用を大いにふやすべきである、その転換が必要であるという御質疑でございます。
 先ほど来申しておりますように、これらの原資は、広く国民全体から集められた資金をその源泉としておることから申しまして、財投計画は国民福祉の向上や社会資本の整備促進に重点を置いて作成されなければならないということは当然であると思います。そこで、住宅、生活環境整備、厚生福利施設、文教施設、中小企業並びに農林漁業、これに対する資金供給は年々そのシェアを高めてまいっております。昭和四十八年度計画におきましては、ほぼ六割に近い計画がされておるわけでございます。
 また、年金積み立て金にも御言及がございましたが、年金積み立て金の分をとってみますと、その運用の対象は、八五%までがいま申しましたような関係でございますし、また、基幹産業とか貿易、経済協力、つまり、輸銀とか、あるいは海外協力基金であるとか、大企業であるとか、そういろ面に配当しているものは、年金積み立て金の計画では全然ございませんように四十八年度はなっておりますことも御理解をいただきたい点でございます。
 以上、私に対する具体的な御質問にお答え申し上げました。(拍手)
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(齋藤邦吉君) 現在の年金制度につきまして採用いたしておりまする修正積み立て方式をやめて賦課方式に切りかえるべきであるとの御質問にお答えいたしますが、当該年度に必要な給付費用をその年度の保険料でまかなうということにいたしますれば、被保険者に比べ受給者数が少ない現段階においては、当面は比較的軽い負担で給付改善を行なうことも可能かと思います。しかし、わが国の老齢化傾向は急ピッチに西欧先進諸国並みに進み、今後受給者が急増いたしまするので、保険料負担は今後高額なものとなることが予想されるのであります。したがって、二十年、三十年と長期にわたり物価スライド制を背景にした五万円年金の支給を確実にするためには、長期的視野に立った財政運営、すなわち必要な積み立て金を持ちながら、特に急激な負担過重を避けつつ運営することが必要であると考えておりますので、現在の修正積み立て方式を改め、賦課方式に切りかえることは、考えておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(河野謙三君) 野々山一三君。
   〔野々山一三君登壇、拍手〕
#19
○野々山一三君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました税制改正三法案に対し、田中総理並びに関係大臣に基本的な問題について若干の質問をいたしたいと存じます。どうか、簡明率直に御答弁をいただきたいことをまずもってお願いをいたしておきます。
 第一に、所得税法の改正についてであります。
 今日、勤労者の税に対する不満、それは、常に政府は減税する減税する、こういうふうに言い続けていらっしゃるのでありますけれども、率直に言って、一向減税感というものはわいてこないのであります。物価がどんどんどんどん上がっているじゃありませんか。前の年よりもさらに税金は高くなっているじゃないか、これが素朴な市民、勤労者の、総理自身のおっしゃる減税はしますというものの受けとめ方なんであります。きわめて残念なことであります。これは、つまり、税金が相変わらず生活費に食い込んでくるばかりで、物価高の中で実質的に増税になっているからなのであります。つまり、これまでの所得税減税は、せいぜい名目賃金の上昇に見合って、それと税負担率の上昇が同じになるようにしようとする、いわゆる負担調整的なものでしかないということなのであります。したがって、物価騰貴が著しいわが国にあっては、物価調整すら十分に行なわれていない、こういうふうに断定せざるを得ないのであります。その結果、自然増収はふくれ上がり、四十八年度は所得税だけで一兆一千五百九十六億円にのぼり、所得税が二年越しに行なわれるということを考えると、所得税の自然増収は二年分で二兆四千億に達するのであります。しかるに、いかがでしょう、減税額はわずか三千百五十億円じゃありませんか。これでは、減税というのはことばだけだというのを、文字で言ったとおり、音で言ったとおりなんです。
 ちなみに、消費者物価が五・五%上がれば、政府の計算によっても、千三百七十億円の物価調整減税が必要だとされております。この数字はやや過小な見込みの感が強いのでありますが、私みずからの計算では、物価は五・五%、所得税の弾性値というものを考えてみて二・〇とするならば、物価調整必要額は三千七百四十億円、物価を七%ということにするならば、四千七百六十億円の減税が必要と推計されるのであります。
 今回の減税は、物価値上がりによる名目所得増加を調整する分を除いたならば、物価調整にもなっておらぬのであります。
 田中さん、愛知さん、いま私が申し上げたことだけをもってしても、いかにあなた方がいままで減税減税とおっしゃることが間違いであるかがおわかりいただけるでありましょう。自然増収は二兆四千億もあるのでありますから、この際、四人家族は百五十万円ぐらいにまでは無税にするということを思い切ってやっても勘定が合うのであります。一兆円ぐらいの減税をすると言ったら、初めて減税というものが実感がわいてくる。そこに、決断と実行というものが、あなたの国民に対する約束として信頼されるのじゃありませんでしょうか。
 以下、各項目について所見並びに決意を順次十九項目にわたって伺いたいので、関係各大臣の誠意ある御答弁をいただきたいと思います。
 第一に、実質減税というならば、物価調整減税と一般減税というものを二つに分けたらいかがでしょうか。どんぶりに一勘定にするというやり方をやめたらいかがでしょうか。
 さらに、物価調整減税については、ある程度自動スライド的な減税ができるような制度に改正するくふうを行なうべきではないでしょうか。根本的な問題です。御見解を承りたいのであります。
 また、すなおにいって、これまでのような減税のやり方は、それこそ文字どおり再検討の時期に来ていると思うのであります。相変わらず低い課税最低限を押しつけている間に、中学新卒の労働者の初任給にまで情け容赦なく税金がかけられることになっている事実なんです。総理、御存じでしょうか、あなた、御存じですか。私と一緒に調べましょうよ。このために、雇用者の八〇%が納税者になっており、四十八年度の源泉徴収納税者だけで二千八百四十七万人にもなっておるのであります。しかも、せっかくの減税の恩典は所得の高い人ほど高い、こんなばかなことがあるでしょうか。たとえば同じ一万円の控除を引き上げても、四人家族年収百五十万円ぐらいの人は、せいぜいその一〇%の千円なんです。年収一千万円の者は五〇%も減税がふえるのであります。片びっこです。
 私は、この際、減税とは低所得者層を重点にすることに切りかえ、中卒初任給のような若年労働者には税をかけないということにすべきであると思うのであります。
 同時に、率直に申し上げましょう。納税者の数を減らして、せめて雇用労働者の六〇%くらい、つまりあなたがやっていらっしゃった当時の三十六年ころの水準にまでぐらい減らしたらどうでしょう。そのくらいのものまでは税金がかからなくてもいいようにするということになさったらどうでしょう。
 さらに、高額所得者には、諸控除の引き上げを足切りするような控除消失制度ないしは他面、税額控除制度を採用するなど、文字どおり抜本的な再検討を行なうべきではないかと提案をしたいのであります。総理並びに大蔵大臣の所見を伺いたいと存ずるのであります。
 さらに、ここで特に私が取り上げたいのは、給与所得者の天引き課税問題であります。給与所得者は、課税最低限度が低過ぎる上に、源泉徴収による天引き課税がいやおうなしに実施されるのであります。サラリーマンは、年末調整が行なわれるだけで、税額に不服があっても直接税務署にかけ合う何ものもないのであります。まことに納税者をばかにしているというやり方と言う以外にないのであります。
 本来、源泉徴収制度は、昔のいわゆる戦争中のものじゃないでしょうか。現行の所得税法は、本来のたてまえは自主申告納税、そうでしょう。私は、法のもとに平等の精神を貫き、給与所得者も自主申告の原則をちゃんと据えて、逆に源泉徴収をどうするかということを選択するように、この際、本来のたてまえに抜本的に返るということをいたしたほうがいい。所見を伺いたいのであります。
 これと関連いたしまして、今回、青色申告者については、事業主報酬制度が設けられ、いわゆるみなし法人課税というものが行なわれることになりました。私は、この制度には賛成です。しかし、これに伴って白色と青色との格差が一そう拡大する。さらに、給与所得控除が、今回、定額部分が三万円引き上げられて、定額部分が若干拡大されるのですけれども、これは給与所得者の特典ではない。給与所得の源泉が裸一貫の労働者の肉体そのものであることを考慮して、定額部分を給与所得者に対してはさらに引き上げるべきだと考えるのであります。そのお考えはいかがでしょう、具体的な対策並びに所見を伺いたいのであります。
 なお、退職所得非課税が、三十五年勤続で八百万円までは税金をかけないようにするというのであります。しかし、みみっちいじゃありませんか。三十五年も働いた人に八百万円まで引き上げてあげるんだからいいじゃないかというのはみみっちい話でして、せめて一千万円、十五年勤続というぐらいのところまで減税をするということになったら、働いた者が働いた価値を認め、生きがいを感じて老後に未来をつくるのじゃありませんか。心からあなたの腹の中を伺いたいのであります。所見を伺いたいのであります。
 第二に、法人税の改正についてであります。
 今回の改正では、同族会社の留保所得について、定額控除を若干引き上げております。私は、同族会社の特別課税制度自体がいつまでも続けられていくことに問題があると思うのです。これは法人擬制説のたてまえから発した制度でありますけれども、今日、法人擬制説をたてまえとする行き方は、悪い部分だけを残している、こう言わなければなりません。たとえば、このほかにも、法人間の受け取り配当には税金をかけない。他方では、収入が配当だけの場合、四人家族二百七十五万円までは税金がかからぬ。つまり、法人擬制説は、並べれば切りのないように、悪い部分だけが残されて乱用されているということじゃないでしょうか、大蔵大臣。なまな実情を御検討の上で見解を承りたいのであります。
 このようなことをやってまいりますために、このごろでは、株式投機ブーム、こういうものを背景として、いかにも強い者が得をする、そうして不均衡はさらに不公平を拡大する、こういう制度になっておるのじゃありませんでしょうか。再考を求めたいし、その所見を承りたいのであります。
 また、外国に比べても不当に低い法人税率には手をつけていません。法人税率は、付加税を入れて三六・七五%、地方税を合計して四五・〇四%であります。これは西欧諸国の五〇%程度に比べて非常に低いと言わなければなりません。その上、租税特別措置などを利用すると、実効税率はざらに下がってしまって、三七ないし三八%程度にされてしまっておるのであります。
 今回の円フロートに至る日本経済の構造は、この低い法人税率構造が、租税特別措置の温存、拡大と相まって、税制面からの主軸になっていることは、論をまたないところであります。これを、またしても円切り上げに備えるなどと口実をつけて見送るということにするならば、世界の非難を浴びるだけでなく、日本経済の転換をはかるということはとうていできないと私は思うのであります。これまで、法人税率は、不景気のときは下げられっぱなし、好況になっても引き上げようとはしない、これがいままでの保守党内閣の常套手段なんであります。私は、この際、法人擬制説に立った仕組みを改め、法人税率は基本税率の四〇%に引き上げるべきであると思うが、その見解を承りたいのであります。
 第三に、悪名の高い租税特別措置についてであります。
 今回の税制において、この際、総理、大蔵大臣、通産大臣に、それぞれの分野から、以下申し上げることについて見解を承りたいのであります。
 今回の改正において、重要機械などの特別償却制度や、価格変動準備金の積み立て率の一部縮減、交際費の一部課税強化などでこれまでやり玉にあがっていたものが約百五十億円、しぶしぶ整理、合理化されることになってまいりましたけれども、そのかわり、公害防止施設、自動車産業対策、資源対策へ国際環境の改善などで、特別償却制度や引き当て金制度などを約百四十億円今度は逆に拡大をしておるのであります。これでは、減税分が帳消しになるだけでなく、特別措置の内容は実質的に大企業にはほんとうに手厚いものだなということがよくわかる。ここに国民の非難があるのであります。
 私は、租税特別措置があたかも既得権化して、一方では評判の悪いものを削ったかと思うと、他方ではそれを埋め合わせて余りのあるような特別措置を新設するやり方は、国民を愚弄しているというのはこのためにあることばではないでしょうか。特別措置を拡大する正当な理由、根拠をとくと示していただきたい。お答えをいただきたい。
#20
○議長(河野謙三君) 野丸山君、時間が経過しております。簡単に願います。
#21
○野々山一三君(続) ちょうどやくざが強奪的になわ張りを占拠して市民を痛めつけておきながら、立ちのきを命ぜられるとかえ地を要求するようなものであります。これで社会正義は一体守れるでしょうか。その点をとくと私はこの際お考えをいただいて、この際、租税特別措置については三年くらいの計画でこれを全廃するという考え方を持ってもらいたい。
 以下、時間がないようですから、二、三点について簡単に申し上げます。
 租税特別措置を受けている企業では、いわゆる準公共法人みたいに、政治献金、利潤等を制限する、こういうことを明らかにしたらいかがでしょうか、私は見解を承りたいのであります。
 土地の問題、これについては税制で解決するという考え方のようですけれども、これでは問題の解決はできません。税金を上げたら、その分だけ値を上げてしまうということになるでありましょう。抜本的な解決をお示しをいただきたい。見解を承りたいのであります。
 最後に、いま税制調査会というのがありますね。あれは、ほんとうに正直言って、私ども見ていますと、まさに政府の隠れみのみたいなものですね。根本的な改組をするということによって市民の意見が十分に入る、そして、なるほどなということがわかるようなものであること、そして出たものについてそれを政治的に責任をもって処理するということが必要だと私は思うのであります。抜本的な改正が必要だと考えるけれども、その所見を承りたいと思います。
 時間がないようですから、以上をもって質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(田中角榮君) 昭和四十八年度におきましては、特に中小所得者の負担軽減をはかるため、課税最低限の引き上げ、給与所得控除の拡充などにより、御指摘のとおり、初年度三千百五十億円、平年度三千七百億円に及ぶ所得税減税を行なうことにいたしたわけでございます。
 このような減税の結果、夫婦子二人の給与所得者の場合は、課税最低限は平年度百十四万九千六十円、御指摘の百五十万円には至りませんが、アメリカを除き、イギリス、西ドイツ、フランスの例を上回るようにようやくなったわけでございます。
 なお、今回の改正により、標準家族の課税最低限は、昭和四十八年分で八%上昇することになりまして、消費者物価上昇見込み五・五%を上回ることになっておるわけでございます。
 また、課税最低限の大幅な引き上げは、低所得者に対して、より多く恩典を与えるものであります。
 御指摘がございましたように、三十六年の給与所得者数は約二千三百万人でございましたが、四十八年度は確かに三千五百万人近いのでございますから、人数はふえております。所得水準も上昇いたしておりますので、納税義務者数が増加をしておるということは、やむを得ないことだと思われるわけでございます。
 租税特別措置を全廃せよという問題でございますが、租税特別措置につきましては、従来から、各種の政策目的の合理性、有効性の見地から常に見直しを行ない、既得権化や慢性化の排除につとめて、その弾力的な改廃を行なっておるわけでございます。
 それから第三は、土地の問題でございましたが、土地は税制だけでは解決をしないのでということでございまして、そのとおりだと思います。土地につきましては、公益優先の原則に立ちまして、全国的に土地利用計画を策定し、一定規模以上の土地取引の届け出・中止勧告制を創設し、開発規制を拡充強化いたします。また、特別の地域における土地取引の許可制も検討しておるのでございます。土地融資を抑制するとともに、公的宅地開発事業の促進、農地の転貸方式の活用等、各般の施策をあわせ行なうことによって土地問題の解決をはかろうとしておるのでございます。
 なお、四十八年度の税制改正は、所得税の課税最低限を大幅に引き上げる半面、法人税におきましては、産業関連の特別措置を整理縮小し、さらに、土地に対する投機を抑制することを主眼とする新土地税制を創設するなど、租税の公平という観点からも一歩を進めた改正を行なっておるわけでございます。しかし、今度の所得税減税などが、これ以上どうにもならないものである、また完ぺきなものであるとは考えておりません。私も、四十九年度、五十年度もあるわけでございますから、引き続いて税制各般に対しては勉強を続けてまいり、なるべく国民負担を軽減するように努力を続けてまいりたい、こう考えます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(愛知揆一君) 御質問の第一は、課税最低限度、これに関連して物価調整減税に対する考え方、これが中心の所得税に対する御意見と御質疑でございましたが、率直に申しまして、政府の見解といたしましては、もとより、物価の上昇というものを国民の税負担を考えますときに重要な要素として考えていることは、申すまでもないところでございます。しかし、今回の減税案においてもそうでございますが、これは、経済情勢、あるいは財政情勢、社会情勢などを総合的に取り上げて、そうして課税の最低限度を引き上げるということでこの問題に対処するという考え方をとっております。特に物価調整減税という考え方をとっておりませんことは、数年来の政府の考え方でございます。
 したがいまして、ただいま総理からも話がございましたように、四十八年度の改正案で申し上げますならば、標準家庭の課税最低限度が年百十三万ないし百十四万になるということは、ただいまの百三万から見れば少なくとも八%は最低限度が上昇するわけでございますから、消費者物価の五・五%と比較をしていただけば、その間に相当のマージンがあると、こういう考え方でございます。
 なお、税制調査会等におきましても、物価調整減税という考え方は、この数年来は、やはりこれは総合的にいろいろの指標からとって課税の最低限度というものを引き上げるという方向で所得税の減税問題は考えるべきものであるという説が圧倒的に多いことも、御承知のとおりかと思います。
 それから次の問題は、源泉徴収の納税者の数、これはただいま総理からお答えもございましたが、給与所得納税者の数は、昭和三十六年は千三百万人、四十八年では二千八百万人に非常にふえるわけでございます。しかし、反面におきまして、雇用者の数を見てみますれば、昭和三十六年当時は二千三百万人でございましたが、四十八年では三千五百万人程度に増加しております。また、一面におきまして、初任給の水準をとってみましても、実質的な引き上げは相当に行なわれておりまして、これらを反映しておるわけでございます。
 現に、給与所得者の課税最低限は、独身者の場合、三十六年当時は十二万九千円でございましたが、四十八年では、今回の改正によりますと、四十三万九千円と、約三・四倍に引き上げられておるわけでございまして、この間における消費者物価の水準が約二倍ということと比べましても、十分実質的な減税が行き渡っているということが御理解がいただけると思うわけでございます。
 次は、高額所得者についてはいわゆる控除消失制度というものを設けて、低所得者については所得控除を税額控除に改めることについてどうかという御趣旨の御質問でございましたが、課税最低限の効果は所得が大きくなるにつれて漸次消失していくべきであるという、いわゆる消失控除の考え方については、これも政府といたしましてはずいぶん慎重に検討してまいりましたが、たとえば四十三年の税制調査会の答申を見ましても、こうした考え方は、高額所得者層の実効負担をいかに定めるべきかということで取り上げるべき問題である、それに吸収されるのではないか、特に意識的にこの分だけを取り上げて控除消失制度というようなことを考えるのはいかがかと思うということが指摘されておりますので、政府といたしましても、そういう見解に従って、今日のような改正案と申しますか、税制をとっているわけでございます。
 また、基礎控除や扶養控除等は、一般的な生計費を、老年者控除とか障害者控除というような一般的な人的控除を補って追加的な費用をしんしゃくする趣旨から設けられているものでございまして、そういったことを考えましても、税制上の措置としては、所得控除ということに集中することが適当であるというのが政府の考え方でございます。
 それからその次は、サラリーマンの源泉徴収制度はけしからぬという趣旨の御質疑でございましたが、政府といたしましては、源泉徴収制度は、国の側から見れば、税収を確保ができますし、徴収手続が簡便でありまして、そうして費用と労力を節約することができることを率直に申し上げます。また、源泉徴収を受ける給与所得者の側におきましても、申告や納付などに関する繁雑な事務を免れることができます。また、申告時における一括納税による負担の集中を軽減するなど、納税者側にも相当な便宜を供与し得る合理的な制度でございますし、また、諸外国の例で見ましても、これがなじんだ制度になっておりますことは、いまさら申し上げるまでもございません。
 それから次は、事業主報酬制度と白色申告者あるいはサラリーマンとのバランスの問題でございますが、今回の事業主報酬制度を採用いたしましたのは、いわば同族会社というようなものと類似しておる個人企業につきまして、法人に類似した課税方式による道を開いて、いわば奥と店の経理を区分するというようなやり方を選択された場合に、法人に類似した課税方式をとろうとするものでございます。したがって、これは、企業経営の近代化、合理化を推進していくことにもねらいがあるわけでございますから、白色申告に対してこれと同様の措置をとるということはなかなかむずかしいわけでございまするし、その権衡も考えまして、白色申告者の負担につきましては、控除を十七万円から二十万円に引き上げることにしておりますことも、御承知のとおりでございます。
 次は、退職所得非課税が八百万円では低過ぎるというお考えでございます。今回、昭和四十二年度の改正後初めて手をつけるわけでございますが、この間における動向等を勘考いたしまして、結論として、おおむね五割程度引き上げるということを目途にいたしましたので、御意見もごもっともと思いますが、まず、今回の五割程度というところが、今日におきましては、他との権衡も考えまして、まずまずのところではなかろうかと考えた次第でございます。
 それからその次の同族会社の留保金課税の廃止という点にお尋ねが触れておりますが、同族会社の社内留保が一定限度を越える場合に、これをいわば株主の所得の留保と見て課税する現行の留保金課税制度が不当であると、こういう御趣旨かと解しました。しかし、この制度は、会社と同族株主の利害が一致しております同族会社では、社内に留保することによって、累進税率による所得税の課税を免かれ、租税負担を不当に軽減することができるので、これを防止するために設けられていることを御理解いただきたいと思いますし、この制度をにわかに廃止することは適当でないと存じます。
 それからその次は、法人税率の引き上げの問題でございます。この点につきましては、当本会議におきましてもしばしば申し上げておりますように、法人税負担の今後のあり方については、御指摘のように、福祉充実等のための財政需要がきわめてこれからも大きくなりますから、漸次この負担を引き上げていくべきであると私も考えます。しかし、四十八年度におきましては、まず、税率は将来の問題として、課税所得の範囲を拡大する、そして、御指摘のございました特例措置をできるだけひとつ整理をしたいということに意を用いたわけでございます。その整理についてはまだまだ行き届いていないという御質疑でございましたが、そして、特に新たに広げたのはけしからぬというお話でございましたが、広げたものは、たとえば、現下わが国の最大の問題であります公害防止等のために若干広げたのでございまして、整理をいたしましたものが税額にして約四百億円以上、そして、固定資産税の税率調整、あるいは、来年度の問題になりますけれども、土地税制の重課というようなことで、法人に対しては負担を重課していこうという考え方は、政府としても、今後の問題として積極的に検討していきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
 それからその次は、交際費課税でございます。交際費支出抑制の必要性については御説のとおりでございますが、このような税制上の特別措置の役割りはあくまでも補完的なものでございまして、主体は企業経営者のモラルの問題であると考えるわけでございます。本来、所得課税である法人税制を活用してのこのような抑制方法による限り、今回の引き上げ後の損金不算入割合七五%という率は、すでに相当の水準に達しているものと考える次第でございます。
 土地の税制につきましては、ただいま総理からも御答弁がありまして、特につけ加えることもございませんが、税制だけで土地問題が改善できるものとは思いません。しかし、税制の面におきましても、法人の譲渡利益に対する相当の高率の課税、そして自治省でやっていただきます保有税とあわせまして、税制におきましてもできるだけのことはやってまいりたいと考えております。
 最後は、税制調査会の改組についてのお話でございましたが、政府といたしましても、ただいま御指摘のように、できるだけ国民各層の意見を反映するように配意しておるわけでございます。また、異なった背景を持った各界で税制についての見識を持つ学識経験者を幅広く含むように現在も構成されておりますので、御質問の御趣旨は生かされていると考えますが、なお今後の運営その他にりきましては十分考えさしていただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(中曽根康弘君) 租税特別措置に基づく減税の根拠いかんというのが第一の御質問でございます。
 租税特別措置と申しますのは、社会経済的要請に基づきまして、ある一定の政策目標を達せんための誘導政策として行なわれる租税上の措置でございます。今回、政府は、公害対策、消費者行政、それから中小企業対策、こういう三つの点を中心に考えまして通商産業省としてこの措置をお願いしたところでございます。
 具体的には、公害対策といたしましては、無公害化生産設備に対する特別償却、あるいは先ほど御指摘になりました低公害自動車に対する物品税あるいは自動車取得税の軽減、これは低公害自動車を普及させようという趣旨からでございます。
 それから消費者行政の推進といたしまして、製品の安全確保向上のための製品検査設備に対する特別償却、あるいは流通合理化、住宅供給などの民生安定向上に資するための機械設備に対する特別償却、それから入場税の引き下げ、さらに、日本列島の改造といたしまして、工業用団地造成等のための土地の特別控除の創設、それから工場緑化計画に基づくスクラップ、そのための加速償却の創設、こういうことをやっております。
 中小企業対策としては、御指摘になりましたように、同族会社に対する措置とか、個人事業主報酬制度の創設とか、あるいは中小小売り商業近代化のための特別償却の創設とか、あるいは白色申告者についての事業専従者控除額の引き上げとか、あるいは事業税における事業主控除額の引き上げとか、こういう措置をやっているわけでございます。
 第二に、租税特別措置を受けている企業に対して、準公共法人として利潤等の制限を行なうべきではないか、こういう御質問でございますが、租税特別措置は、ただいま申し上げましたように、そういう政策的、誘導的目的で行なう税制上の措置でございます。メリットを与えてそして誘導しようという考えでございますので、そういう面からこれはとらうべきでございまして、ただいま御指摘になりましたような政治資金とか、あるいは利潤とかという問題に関する規制は、別個の観点から別の体系で行なうべきであって、この租税特別措置を受けているがゆえにそれを当然かけるという考え方は、適当でないと考えます。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(小坂善太郎君) 私に対しましては、物価調整減税を物価にスライドすべしということでございまするが、この点は、大蔵大臣からお答えがありましたわけでございますけれども、また、私も同様なことを申し上げるわけでございますけれども、一般的に、減税といいますものは、そのときどきの財政事情や経済事情というものを反映いたしまして、総合的に考慮して、各方面に及ぼす影響を慎重に考慮した上実施いたすべきものでありまして、物価調整減税といえどもその例外ではないと考えておるのであります。その意味におきまして、物価の上昇率にスライドして減税するという方法によることは、適切ではないと考えておるわけでございます。
 また、物価の上昇とともに、名目的な所得の増加がございまして、累進的な租税効果が働くことになるわけでございますから、そういう点では、国民の負担の増加をしないような考慮をすべきであるということは、これは当然であると考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(河野謙三君) 白木義一郎君。
   〔白木義一郎君登壇、拍手〕
#27
○白木義一郎君 私は、ただいま答弁の最中に、どこからともなく、のんきなことを言っているなあと、こういう声を聞きまして、私も同じような気持ちで公明党を代表いたしまして、ただいま議題になりました税制三法に対し、総理並びに大蔵大臣に対し質問を行なうものであります。
 田中内閣が初めて手がける昭和四十八年度の税制改正については、組閣当時の一兆円減税、日本列島改造に伴う各種の新税及び増税プラン等、まさに百家争鳴の形で打ち出され、国民はひとしく何かやるなと大きな期待と希望でこれを見守り、生産第一主義の産業優先政策から、福祉優先、国民生活第一主義への転換、そして税負担の不公平の是正と所得再配分の推進等、政治、経済の流れが大きく変わることを待ち望んでいたのであります。
 しかるに、今回の改正案は、全くそれらの期待や公約を裏切るばかりでなく、依然として大企業優先、大法人優遇の税制は変わらず、高度成長のパターンを踏襲して、大衆課税はますます重くなる一方であります。
 あなたの一枚看板である日本列島改造論と、これを裏づけ推進する財政資金の先行的、効率的運用と税制機能の活用という二本柱の中で、特に税制については、禁止税制と誘導税制を積極的に活用すると主張されておりましたが、一体これらはどうなったのでありましょうか。
 しかるに、数々の税制改革案の中で、四十八年度の税制改正で取り上げられたのは、わずかに有価証券取引税の税率引き上げ、交際費の課税強化、それに物品税の若干の手直し程度であります。
 一方、所得税減税のほうは三千百五十億円にすぎず、初めの大ぶろしきの一兆円減税とは似ても似つかぬさびしい姿と変わり果てたのであります。
 このように、税制の積極的活用という大みえを切った税制改正としては、まさに大山鳴動してネズミ一匹であり、公約違反でもあると思いますが、一体この新税構想はどこへ行ってしまったのでしょうか、総理の御所見を伺いたいのであります。
 次は、所得税の減税についてであります。
 四十八年度の租税の自然増収分は約二兆六千億円、さらに、地方税を含めると約三兆二千億円程度が見込まれる中で、所得減税分に前述のごとくわずか三千百五十億円にすぎません。そのような中で、私の試算によれば、物価上昇率を七%と押えたと見ても、約三千五百七十億円の物価調整減税が必要と見られ、これでは物価上昇分さえもカバーすることはできないのであります。
 政府は、減税という定義をどのように理解されているのか。少なくとも、国民の側から見るならば、前年度の税額よりも本年度分の税額が少なくなってこそ減税と言えましょう。また、実質的に減るような税制改正をさすものではないかということであります。しかるに、これまで行なわれてきた減税とは、取り過ぎた分を一部調整するというものでしかなく、減税というにはほど遠い単なる調整であります。現在のような物価急上昇のもとでは、毎年名目的な所得の増加は当然であります。そうすれば、所得税は名目価値に課される以上、累進課税なるゆえに、当然、所得の上昇以上に増加することとなり、実質的には増負担となり、この増負担分がすなわち自然増収となってあらわれ、結局は納税者にとっては増税と同じ結果となるのであります。
 さらに、わが国の租税負担率が諸外国のそれと比較して低いことを主張されますが、国民から見れば決して軽いとは言えないのであります。国民は、現行の租税構造の中身が不公平きわまる矛盾に満ち満ちていることに著しい不満を感じているのであります。すなわち、大法人、高額所得者、利子・配当所得等の不労所得者など、担税能力の高いところには諸外国と比べても税負担はきわめて低く、逆に負担能力の低い勤労者などに主として税負担を高く依存しているという不平等があります。もし、政府があえて諸外国との例を引かれるなら、単に租税負担率、課税最低限の比較だけでなく、給与、賃金、労働条件、年金、福祉等、社会保障水準等は一体どうなのかという比較を明確にお示しいただきたいのであります。
 さらに、このような低福祉・高負担の中にあって、政府主導の公共料金の値上げ、特に国鉄、健保の値上げ、年金掛け金の値上げを含めて約七千億円、そして大幅減税と称しながら約三兆二千億円にのぼる膨大な自然増収の吸い上げ、一方ではインフレによる著しい物価の高騰、これは実質的には政府のインフレ政策によってその所得の一部を国民から吸い上げるという形の増税と異ならず、国民は高負担と高物価による税金のはさみ打ちであります。総理府統計局の国民の家計調査によれば、四十六年度の数字で、四人家族標準世帯で百二十四万円であり、四十八年度の数値は当然これを大幅に上回るものと思いますが、生活費非課税の原則から見ても、政府の標準世帯の課税最低限百十三万円ははるかに低く、当然、わが党が早くより主張しておる百五十万円までに引き上げるべきと考えるが、政府の御見解を伺いたいのであります。
 次に、法人税及び租税特別措置についてお尋ねいたします。
 所得税が実質的な増税となっている一方で、負担の軽減がされ続けられているのが現行の法人税制であり、税制の公平な面からもその税率を引き上げるべきであるということは、現代の日本の経済学者の大半がひとしく主張している事実であります。また、その基本税率についても、諸外国との比較では、表面税率は最も低く、実効税率でも英国を除いて最低であって、税調の答申からも、国際的に見ても低過ぎると、しばしば指摘され問題とされてきたのであります。しかるに政府は、それらの意見や答申には耳をかさず、今回の改正案についても、法人税率には全く手を触れず、租税特別措置の一部の手直しとか、固定資産の評価調整とか、答弁にならぬ詭弁を弄しているのであります。
 本来、租税特別措置という名の諸外国にもあまり例を見ない大企業、大法人に対する各種の数多い政策減税措置は、負担公平の税制の根幹に触れる問題であります。
 また、固定資産税の調整については、地方税法に基づいて三年ごとに資産の再評価を行なうことが規定されており、たまたま四十八年度がそれに該当したまでのことで、単に企業や法人のみに加重されるものではないはずであります。
 現行法人税制の最大問題は、その税率が昭和三十年代以降、連続低下し続けているという事実であります。しかるに、政府は、このような法人に対する減税を行なってきたのは、企業の体質を強化し、国際競争力を高めるためであると、そのつど答弁されてきました。特に四十年、四十一年と続いた不況対策を名目にして大幅な税率引き下げを行ない、その後、景気の上昇と国際競争力の過剰化にもかかわらず、低税率が維持されて、四十五年度においてようやく一・七五%だけ、それも臨時措置として引き上げられたにすぎません。企業は常に税の軽減を政府に求め、また、政府は最大限にこの要求にこたえてきたというのがこれまでの偽らざる姿であります。したがって、高度成長の過程でこの税率は引き下げられ、円の大幅再切り上げが目前の問題となり、国際競争力が著しく増大した今日、まず、もとの税率に引き戻すのは当然であり、また、政府が単なる口先だけでなく、高度経済成長のパターンを改め、国民生活の安定の福祉優先にとその流れを変えるというのならば、現行法人税制、特に大法人に対する法人税率の改正は当然のこと、法人の受け取り配当の益金不算入制度、支払、配当への軽減税率の適用制度の廃止、さらに、各種の償却制度、準備金制度等、大企業に対する特別有利な、租税特別措置を徹底整理もしくは廃止すべきであると考えますが、どうでしょうか。
 最後に、現行税制についての執行上の不公平についてお尋ねいたします。
 過日の、国税庁が発表した昭和四十六年度のごまかし所得は、実に千五百億円以上にも達しており、脱税額は三百六十億円といわれておりますが、これはたまたま摘発を受けたものだけの数字であって、ほんの氷山の一角にすぎないと国民は見ております。
 最近では、特に新たな輸入商社の関税の脱税や、暴力団の脱税等が目立っておりますが、国民大多数の善良な納税者は、課税上では著しい不公平を受け、一方では徴税という執行上の不公平という二重の差別を受けているが、このような国民の納税意欲を著しく減殺する課税と執行上面の不平等をどう解決しようと思われるのか、国民の理解と納得のいく説明を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(田中角榮君) 第一は、昭和四十八年度の税制改正における減税でございますが、間々申し上げておりますとおり、給与所得控除の拡充などによりまして、初年度三千百五十億円、平年度三千七百億円の減税を行なうことにいたしたわけでございます。
 一兆円減税ということばがございましたが、一兆円減税ができることは望ましいことでございますが、私は、一兆円減税ということを申したことはないのでございます。五千億円減税と、こういうことでございまして、五千億という数字は、国、地方あわせて実施をいたすように努力をいたしたことは、ひとつ御理解をいただきたい。政府としては、できる限りの努力をいたしましたということで御理解を賜わりたいと存じます。
 また、追い出し税の問題については、どうしてやらなかったのかということでございますが、これは、構想としては必要なものとして、現に引き続いて検討しておるのでございますが、企業の移転先、すなわち、受けざらとなる地域の基盤整備を早急に進める必要がございますので、新税の創設にはなお十分機が熟しておらないということで、引き続いて勉強をいたしておるわけでございます。
 それから次は、所得税減税は物価上昇分をカバーできないということでございますが、三千百五十億円に及ぶ初年度の所得税減税を行ないましたし、また、夫婦子二人の標準世帯の課税最低限は、先ほどから述べておりますとおり、百十五万円弱に引き上げられたわけでございます。しかも、最低限は、四十八年度分で八%上昇いたしておりますので、消費者物価上昇見込みを五・五%とすれば、これを上回っておるということでございます。
 法人税の問題について二、三申し上げますが、法人税の負担を高める道は、税率の引き上げだけではなく、課税所得の拡大もその一つの方法でございます。また、四十八年度の改正におきましては、産業関連の租税特別措置の改廃によりまして、平年度四百億円の増税措置を講じたわけでございます。また、固定資産税につきましても、その負担を高める措置が講じられておりまして、この面からも法人の税負担は加重されることになるわけでございます。
 また、租税特別措置につきましては、従来から、各種の政策目的の合理性、有効性の見地から、常に見直しを行ない、既得権化や慢性化の排除につとめ、その弾力的改廃を行なってきておるところでございます。
 最後に、課税と徴税の二重の不平等な問題について言及をされましたが、課税のみならず、徴税面でも不公平があってはならないことは申すまでもないところでございます。政府といたしましては、適正公正な税務の執行に全力をあげており、脱税に対しましては厳正な態度で臨む所存でございます。
 残余の問題につきましては、所管大臣からお答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(愛知揆一君) 第一の私に対するお尋ねは、所得税減税と物価上昇との関係と承知いたしましたが、昭和四十八年度におきましては、所得税については、給与所得控除をはじめとする所得控除の引き上げ等によって、全体としての減税を考えたわけでございまして、その結果、給与所得の課税最低限が少なくとも八%引き上げられたことになりますので、これは、四十八年度の消費者物価の上昇率の見込み五・五%を十分上回るものと考えておるわけでございます。
 調整減税という考え方につきましては、政府といたしましては、過去においてこうした考え方についても十分に検討いたしたのでございますが、税制としては、全体の要素を勘考いたしまして、課税の最低限度をできるだけ引き上げていく、それから所得に関する控除をできるだけ引き上げていって、総体として税負担を軽減するという考え方をとっておりますわけでございます。
 たとえば、御質問の順序に前後いたしますが、課税最低限を百五十万円にしてはどうかという趣旨の御質疑がございましたけれども、その百五十万円というのが、たとえば総理府の昭和四十六年の家計調査で消費支出が百二十万円程度となっております。それにある種の指数を掛けて、四十八年度は百五十万円程度と、これをお見込みになって基準にしての御所見であるとかりに仮定いたしまするならば、この家計調査の中の消費支出の中には、たとえばレジャーに向けられる支出も、あるいはたとえばカラーテレビの購入費というようなものもあるわけでございまして、これが最低の生計費ということにはならないのではなかろうか。それを、課税の最低限がこれと同様にならなければならないという議論には私はならないのではなかろうかと思います。これは御趣旨を取り違えておるかもしれませんけれども、かりにそういうことであるとするならば、にわかに御賛成申し上げるわけにはいかないのではないかと思われます。
 それから減税額につきましては、ただいま総理からもお話がございましたが、自民党といたしましては、昨年夏から五千億の減税をどうかして実現したいということを考えておりました。そして、今回御提出いたしております減税額は、地方税を合わせれば、初年度では減税額は五千三百五十億円になります。通例、政党で減税案を発表いたしまする場合には、平年度の減税分を申し上げるのが通例でございますけれども、試みに平年度を申し上げますならば、地方税を合わせますと、実に六千四十億円の減税になるということも御理解をいただきたいと思います。
 それからその次は、減税とは何であるか、今回の減税では実質増税ではないかという御説をまじえての御質疑でございました。
 結論から申しますと、それならば前年度の税額よりも今年度の税額は少なくしなければならないという、極端に言えばそういう御議論になるのではなかろうかと思うわけでございまして、租税負担のあり方というものは、国民福祉充実のために、歳出面での施策の充実が一方において必要でございます。そして、所得水準の上昇に応じまして、ある程度の負担が上がっていくのはやむを得ないのではなかろうかと思います。そうしてそこに勤労控除その他の方法を用いまして所得減税をはかっていくというところから、いま申しましたような数字の減税が現実に行なわれるわけでございます。私は、前年度の税額よりことしの税額は少なくなければいけないというような御趣旨がもし入っているとするならば、これは私はやはり賛成いたしかねるということを率直に申し上げる次第でございます。
 それから租税負担率が低いというのは負担の不平等を無視しているからである、こういう御議論でございますけれども、今回の税制改正におきましては、法人については税負担を高めるという方向に即しまして、四十八年度は、税率には手をつけませんでしたけれども、所得対象、課税所得、これの拡大をはかるということに念を入れましたことは御承知のとおりで、これに対しましていろいろの御批判がありますことも、よく承知いたしております。そういったような御趣旨のお考えにつきましては、政府といたしましては、漸を追うて、たとえば、四十九年度以降におきましては、そういう御趣旨を取り入れてまいるべきであろうか、十分税制調査会等の御意見を徴して法人税率の引き上げ等について今後の問題として前向きに検討いたしたいと考えておりまするし、また、租税特別措置は、ただいま総理も言及されましたけれども、これは、一たんできたからといって、既得権になってしまったのだ、あるいは慢性化してしまったのだ、こういうふうには絶対に考えるべきものではございませんから、現在の国家としての政策的な要請に基づいて、廃止すべきものは遠慮なく廃止する、あるいは必要なものはまた必要に応じて新しく考える、こういう考え方でいくべきものである、かように考える次第でございます。
 最後に、徴税執行上の公平についてのお話でございました。
 徴税の公平ということについては、もう念には念を入れていかなければなりませんが、ただいま御指摘がございました数字というようなものは、昭和四十六年分の申告所得税の調査の結果をお示しになったと思いますが、税務調査は実は申告漏れというようなものの事案を重点的に調査することにしておりますので、申告漏れの金額が大きいのは、ある意味では当然でございます、この調査に示されるものは。そして、それだからといって、調査されなかった納税者についても同じように申告漏れがあるのではなかろうかと御想像になることは当たらないのではないかと思いますが、いずれにいたしても、こうした御指摘をいただくような点につきましては、この上とも十分戒心いたしまして、適正公正な課税の実現をはかってまいりたいと、かように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#30
○議長(河野謙三君) 萩原幽香子君。
   〔萩原幽香子君登壇、拍手〕
#31
○萩原幽香子君 私は、民社党を代表して、ただいま提案になりました租税三法に対し、さきの方々の質問とり重複を避け、平凡な一主婦の立場から具体例によって総理並びに関係閣僚にお尋ねをいたしてまいりたいと存じます。御答弁もまた、家庭の主婦にもよくわかりますように、具体的に親切にお願いを申し上げたいと存じます。
 まず、第一に、所得税の税率についてお伺いをいたします。
 大蔵大臣は、今次の所得税の改正は、いわゆる中小所得層の税負担の軽減をはかるためとの御説明でございましたが、それがどうも私にはうなずきかねるわけでございます。課税所得四十万以下の一〇%に始まり、それからの上積みは四十万ごとに二%刻みで、二百万から二百六十万で二一%、それからは六十万ごとに三%ふえ、三百八十万から四百四十万で三〇%というように、現行税率は中小所得階層のところで刻みが小さく、したがって、累進税率がきびしいと考えられるからでございます。
 最近のように物価の値上がりの激しい時代にあっては、低所得層に対して、よほどのあたたかい配慮がきめこまかくなされない限り、名目賃金が上がっても、それは物価上昇に食いつぶされてしまうわけでございます。戦時、戦後の苦しい日本をささえてきた中小所得層の課税率を、その生活実態に即して改正すべきだと考えますが、総理、大蔵大臣の御所信のほどを承りたいと存じます。
 さらに、こうした基本的な課税率の改正とあわせて、当面の問題として、教育貧乏といわれるほど子女の教育費の増大に悩む中小所得者について、特に義務教育に準ずる幼稚園、高等学校における必要経費を、課税対象から落とし、また、家賃の一定額を控除するなど、物価高をもろにかぶり、苦しんでいる人々への救いの方途を講ずべきだと考えますが、いかがでございましょう。
 さらに、わが党が従来から主張し続けてまいりました勤労未成年者控除については、最低限の引き上げがあったと承りましたが、それにしても、なお課税される未成年のあることを考え、なお格段の配慮を行なうべきと存じますが、あわせて御答弁をお願い申し上げます。
 第二に、妻の寄与分に対する控除についてお伺いをいたします。
 今度の改正の中で、配偶者控除がわずか一万円で押えられた理由は何でございましょうか。また、妻に対する贈与税にいたしましても、婚姻期間二十年以上の、しかも居住用不動産に限って、別途改正が予想される六百万円の控除が認められるにすぎません。これは、現在の地価の高騰、物価の上昇には全く合わない低さではございませんか。その上、夫から妻への預貯金の譲渡などには配偶者控除の配慮は全くなく、婚姻期間五年から十年の妻には、基礎控除四十万円以外には何の控除も認められていないこともまことに遺憾のきわみでございます。そもそも、夫の労働に対する妻の内助の功は、実に車の両輪とも言うべきものではございませんか。夫婦財産に関する法制は一般法制とは違った法体系で律すべきものだと存じますが、いかがでございましょう。この問題は、いずれ機会をあらためまして詳細にお尋ねをする所存でございますが、まず、基本的なお考えを総理、法務、大蔵各大臣より承っておきたいと存じます。
 さらに、私は、昭和四十五年、四十六年と引き続き、予算委員会におきまして、妻の座の正当な評価に関してお尋ねをしてまいりましたが、その中で、税制について二分二乗方式の提案をいたしました。この二分二乗方式については、幾多の問題点のあることは私も十分承知をいたしておりますけれども、いまの段階ではこれまた必要性のあることを主張いたしまして、四十六年には、当時の福田大蔵大臣から、税調にはかり検討する旨の御答弁をいただいたわけでございますが、その後どのようになっておりますか、また、今後の見通しはいかがですか、承りたいと存じます。
 次いで、法人税についてでございますが、この問題はさきの質問者の方々からお触れになりましたので、私は割愛をいたします。ただ、一つ、ここで、法人税率を世界水準並みに引き上げ、租税特別措置の廃止分とあわせて福祉充実に回されることは、総理の決断と実行で国民を喜ばせる晴れの舞台となることを申し上げておきたいと存じます。総理、もしお考えがあれば、お聞かせをいただきたいと存じます。
 続いて、租税特別措置についてお尋ねをいたします。
 一体、税制上で特別措置の持つ意義はどこにあるのでございましょうか。特別措置による政策目的の実現が、負担公平の原則を犠牲にすることによるデメリットを上回る国民的利益がなければならないと考えますが、いかがでございましょう。その意味から、納得しかねる例を申し上げ、政府の御見解を承りたいと存じます。
 聞くところによりますと、某大手企業の昭和四十七年三月期の課税対象所得が約九十億円、したがって、法人税率三六・七五%で算定をいたしますと、税額は約三十三億円となるはずでございますが、実際の税額は約十四億円にすぎなかったということでございます。それは、税額の中から、配当控除、所得税額控除、試験研究費の税額控除などの措置がとられたからでございます。九十億円の利益に対して十四億円というのは、実に一六%にも満たないわけで、日本株式会社という外国の批判は、こうした政府と財界の癒着の状態から出たのではございませんか。
 また、世界最悪といわれる交際費非課税についても、私たち主婦から見れば、とうてい納得のいかぬことがまことに多いわけでございます。ある大会社の重役さんお一人の年間交際費が三千万円とか、私どもが一生かかっても見ることのできない額でございますが、こうした多額のお金がどこでどのように使われておりますか、大臣は御存じでございましょうか。その結果が物価高にもつながり、家庭破壊にも無関係でないとすれば、家庭の主婦にとってもゆゆしき問題でございます。
 看護婦は、准看を含めて三十二万人といわれ、その不足が嘆かれておりますのに、それに対して、バーやキャバレーのホステスは五十万人、しかも、その収入も、日額十万円の人もあるとか聞き及びますが、これもまた歯どめのない交際費と全く無関係と言い切れるでございましょうか。厚生大臣いかがでございましょう。
 このように考えてまいりますと、このたびの損金不算入の割合を七五%に引き上げるということだけでは、納得いたしかねる次第でございます。大体、わが国における交際費の規定は、まことに明確ではございません。
 そこで、総理にお伺いをいたしますが、東京の会社が箱根や伊豆へゴルフの御接待をなさるのも交際費としてお認めになるのでございましょうか。西ドイツでは、本店、支店の所在地以外では一切交際費は認められないと聞いております。私は、この際、思い切って交際費非課税を欧米並みに実額申告制度とし、会食程度の内容にしぼって、規定を明確に、ガラス張りにすべきことを提案いたしたいと存じますが、いかがでございましょう。
 この実額申告による交際費非課税制度を採用されれば、どれほどの増収が見込まれましょうか。この増収分を六十五歳以上のわびしい生活に明け暮れている老未亡人たちの生きがい対策の費用にお使いくださるわけにはまいりませんか。そうした配慮がなされてこそ、福祉元年への意義があると考えるわけでございます。
 最後にお尋ねをしたいのは、医師の社会保険診療報酬に対する課税の特例が今次の租税特別措置改正案に全然触れられていない理由を承りたいと存じます。
 この制度が昭和二十九年に認められたのは、社会保険診療報酬の適正化実現までの暫定措置でございました。それからすでに十八年の歳月が流れております。その間に、税調からもたびたび改正についての答申がなされたと承りますが、今日まで改められなかったのはどういう理由からでございましょう。人の命を預かる医師は、当然すべての人々から尊敬されるべきはずでございますのに、現在の国民感情は必ずしもそうでないことに対して、私は医師の方々のためにも惜しみたいことだと考える次第でございます。政府は、すみやかに診療報酬の適正化をはかり、あわせて七二%の非課税制度を善処すべきだと考えますが、いかがでございましょう。総理、大蔵、厚生各大臣の御所見をお聞かせ願いたいと存じます。
 なお、今次政府より御提案になりました土地税制につきましては、まことに重要問題でございますので、別の機会に詳しくお尋ねをいたしたいと考えております。
 以上、私は、提案をまじえて若干のお尋ねをしてまいりましたが、税は国民が不平不満なく納めるようにすることこそ、平等を基調とした民主政治の基本であることを銘記して今後の問題解決に当たられますことを強く要望をいたしまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(田中角榮君) 第一に、所得税の問題について申し上げますが、四十八年度の所得税減税は、課税最低限の引き上げ、給与所得控除の拡充などに重点を置いて行ないましたことは、先ほどからるる申し述べておるとおりでございますが、税率の緩和等につきましては、今後も努力を続けてまいりたいということを申し上げておきます。
 それから教育費や家賃等の所得控除についての問題でございますが、この問題につきましては、かねてから税制調査会でも審議を願っておるところでございますが、所得税制としては基礎控除や扶養控除などの一般的な課税最低限の引き上げで対処することが望ましいというのがその結論でございます。
 第三点は、二分二乗方式等の採用についてでございますが、この問題も、なお掘り下げて勉強を必要とするものと考えておるのでございます。
 それから次は、法人税の問題でございますが、法人税について四十八年度にどうしたかという問題はるる申し上げておりますので、法人税率の引き上げという問題に対して申し上げたいと思いますが、法人税率の是正につきましては、これは是正というのは引き下げという意味ではなく引き上げということになるわけでございますが、四十九年度の、すなわち来々年度になりますか、四十九年度の税制改正という場では考えていかなきゃならない問題だというふうに理解をいたしておるのでございます。
 交際費課税の問題につきましては、これは先ほども御指摘もございましたが、損金不算入割合を現行七〇%から七五%に引き上げまして、これは相当引き上げておるわけでございますが、具体的には、支店で行なったゴルフ招待等は一体どういうのかという具体的な問題は大蔵大臣からお答えがこまかくあると思いますが、これは限度額の中であれば当然非課税になるわけでございますが、限度額を越せば損金不算入は認められない。具体的な問題は、またいずれ十分御意見を聞きながらお答えを申し上げてまいりたいと、こう考えます。
 租税特別措置の問題に対しては、大蔵大臣から答えてもらいます。
 医師の社会保険診療報酬課税の特例措置の問題につきましては、税制調査会におきまして引き続き審議が行なわれております。政府といたしましては、その答申を待って適切な措置を講じてまいりたいと、こう考えるわけでございます。
 残余の問題につきましては、所管大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(愛知揆一君) まず、第一のお尋ねは、税率の四十万円刻みは低所得者層にきびしいという御趣旨でございます。これは御案内と思いますが、昭和四十三年当時に、課税所得の最初の段階に適用される税率は、大体三十万円ごとに五%アップするということになっておりました。それを、現在では、四十万円ごとに二%ずつアップするように改正いたしたわけでございます。したがいまして、四十三年当時と四十八年を比べて見ますると、かなり御指摘の点が改善されているように思います。
 次は、教育費や家賃の控除についてどう考えるかという御質問でございますが、これらはかねて御要望の強い問題でありまして、いろいろ税制調査会等でも御意見をいただいて積極的に検討いたしておるわけでございます。政府といたしましては、ただいまの考え方は、これらは個人家計における生計費の一部をなすものでありますだけに、所得税制としては、基礎控除それから扶養控除等のやはり一般的な課税最低限の問題で処理いたしますことが適切であるという考え方であるわけでございます。
 なお、たとえば教育費控除の問題等になりますと、課税最低限がだんだんこう上がってまいりますと、課税対象以外になっているところの教育費の負担というものをどうするかというような不均衡の問題も出てまいりますので、これは、教育費控除という角度からだけでは、すなわち税制の上からだけではなかなか扱いにくい面もあるのではなかろうか。それらの点もあわせまして真剣に検討をいたしたいと考えておる次第でございます。
 なお、これらのことも考え合わせまして、今回も多人数世帯の負担の軽減ということを考えまして扶養控除を引き上げたのも、こうしたことを考えた一つの考え方でございます。
 そこで、次に、配偶者控除一万円は低いではないか。これもごもっともの点でございますが、今回の税制改正にあたりましては、実は、最近の所得や物価の動向、それから先ほども問題になりました納税者の増加傾向というようなことを勘案いたしまして、課税最低限を全体として一〇%程度引き上げたいということを基準にいたしまして、これを基礎控除と配偶者控除等の個別の所得控除の組み合わせによって実現しようといたしましたのが政府の考え方でございます。このような観点から、今回の改正では、配偶者控除だけをとりますと、基礎控除と同様に一万円で少な過ぎるという御批評が出てまいったわけでございますが、全体としての一〇%の中の組み合わせとしてこういう考え方に出ておりますことも御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 それから同様の問題が、夫と妻との関係についても御指摘、御質疑があったわけでございます。
 まず、この問題は、私ども、非常にごもっともなお考えと思います。そもそも、憲法の要請しているところから見ても非常に考えなければならないところであると思いますが、他面、身分法、すなわち民法の規定などとはまた異なるところもございまして、夫婦同権同等ということを税法の上から身分法の規定とそぐわないようなやり方をいたしますこともなかなか考えなければならない点もございますので、そういうふうな環境の中で考え得ることは少しずつでも実現していこうと、こういうふうな考え方でございます。したがいまして、配偶者につきましては、最も必要な居住用財産については、贈与税の特例がすでに認められておりますが、本来、配偶者に対し何らかの優遇措置を講ずるといたしましても、それは夫婦間の協力関係の清算として相続税の段階で行なうのが現在のいま申しましたような環境の中では筋であると考えざるを得ない。結婚途中での生前の贈与につきましては、必要最小限の配慮をするというところにとどまっておるわけでございます。
 それから贈与税の配偶者控除の範囲を拡大して、一般的な財産にも認めよということになりますと、今度は、これは税のほうの問題でございますけれども、所得の分割による所得税の負担回避の問題が起こりたり、あるいは相続税課税との関連から申しまして税務執行上困難な問題もあるというようなことで、いま申しましたような、気持ちは大いに持っておるのでございますけれども、こうした法制上の制約、あるいは税務執行上の観点などから、さらに克服しなければならない問題があるわけでございます。
 同様、ただいま御指摘の中には、結婚五年から十年の妻について贈与税の控除が四十万円しか認められない理由を説明せよというお話でございました。贈与税の配偶者控除を設げております理由は、残された妻の老後における生活の場をまず確保する意味合いにおいてでございます。そのために、対象も、生活に最も必要なただいま申しました居住用財産に限っておるわけでございますし、かつ、相当の長期間にわたって夫婦としての協力関係が持たれてきた者の間における贈与に限定したと、こういうわけでございまして、このような期間に達するまでの途中において小刻みな控除を認めますことは、この趣旨から申しましてあまり意味がないというようなことになろうかと思います。また、居住用財産の贈与ということからも、一回限りこの控除を認めればよいのではなかろうかというような配意からこうしたわけでございます。
 また、さらに、二分二乗方式の検討の経緯、今後の見通し、このお話でございますが、これまでの検討の結果から、この方式の採用は、現行の稼得者単位課税のもとにおける片働き世帯、共かせぎ世帯、それから後家さんの世帯、独身者の世帯の間の税負担のバランスを変えることとなるものであることや、源泉徴収制度面での技術的困難などがございますので、もう少しさらに掘り下げて検討を加える必要があり、また検討を加えたいと、こういうふうな態度でございます。
 それからその次の御質疑は、租税特別措置等に関連いたしまして具体的な例をおあげになっておりますが、これは特定の例でございますけれども、その実例の中身がさだかでございませんけれども、想像いたしますと、所得税とかあるいは外国の税額等の控除が法人税に認められておりますのは二重課税の回避のためでございますので、あるいはいまの御指摘の問題は特例措置とは関係のない場合もあり得るのではなかろうかと思います。いずれにいたしましても、特例措置につきましては、先ほども申しましたように、これが慢性化したり既得権化したりすることは絶対に防ぎたい。今回の場合においてもそうでございますが、特例措置というものは、できるだけ排除する考え方に立ってまいりたいと思っておるわけでございます。
 それから交際費の問題でございますが、元来、わが国の税制の上におきまして、交際費に課税の問題を取り上げておりますのは、交際費支出の抑制という政策目的のために、本来事業を行なっていく上においてのコストであり、企業会計の面から見ても当然損金である支出について、一律に損金を否認して法人税の課税対象とすることとして、その否認割合というものを逐年増加していくというのが基本的な考え方でございます。で、交際費支出を抑制しなければならない、その必要性の御認識や御主張は、お説のとおりであると思います。このような税制上の特別措置の役割りはあくまで補完的なものでございまして、先ほど申しましたが、主たる点は企業経営のモラルの問題とも関連すると思います。
 それからさらに具体的に、ゴルフ場に招待することはこの特例が認められるのかどうかというお話でございましたが、これは、税の関係から申しますれば、一定の認められた範囲内で交際費に充当することは認められておるわけでございまして、これを具体的に何に使ったかというところまで突きとめてまいることはできないと申しますか、そこまでは、いっておりませんわけでございます。したがって、税制よりも、慣行あるいはこれの援用をされる立場の方々のモラルと申しますか、そういうことにもかかるところが多い問題であると言わざるを得ないと思います。
 それから外国では一体どうしているのかというお尋ねもございましたが、交際費の取り扱いは各国で事情が非常に異なっているようでございます。外国の実例等につきましては、いずれ委員会等におきましてお答えすることが適当かと存じますが、非常に慣行が違っておるということは事実のようでございます。
 大体、以上で私に対する質疑はお答えしたかと思います。(拍手)
   〔国務大臣田中伊三次君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(田中伊三次君) 配偶者控除問題と税金の問題をめぐりまして、およそ夫婦の財産制度はどうあるべきかということの問題を提起されたわけでございますが、この問題につきましては、原則としてこれを措置いたしますには法制審議会を通さなければなりませんが、法制審議会の民法部会の中に身分法小委員会なるものを設けまして、ここで主として相続問題について検討を加えております。その結果、夫婦の相続権、相続分などの諸問題につきましては、遠からず結論が出るものと期待をしております。
 ただ、私の所見も申し上げなければなりませんが、わが国の憲法は、法律上すべて国民は平等でなければならない、かつ、夫婦は対等である、こういう明文が強く設けてあるところから、結婚をいたしました以後においてつくりました財産というものにつきましては、夫婦共有で当然である。共有であってはならぬという理屈はどこからも憲法上は出てこない。こういうことを考えますときに、夫婦の財産制度は共有制度であるべきだという御所見につきましては注目すべきものがあると、こう考えます。そこで、法制審議会でよい結論を出してくれることを期待するのでございます。(拍手)
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げます。
 まず、最初に、看護婦さんを確保するということは、国民医療の上から申しまして、目下緊急な問題であると考えております。これがためには、看護婦さんの待遇改善をはかるとともに、看護婦の養成、潜在看護婦の活用など、総合的な対策を講ずる必要があると考えております。これがために、昭和四十八年度予算案におきましては、国立病院、療養所等におきます看護婦さんに対する夜間手当の大幅な引き上げ、看護婦養成所の整備の促進、運営費の助成などの施策を総合的に講ずることといたしておりますが、さらに、看護婦不足解消のために、早急にその養成確保に関する長期計画を策定し、これに基づき施策の推進につとめたいと考えております。
 なお、診療報酬の課税特別措置についてのお尋ねにお答えいたしますが、この問題は、現在、税制調査会特別部会で審議されていると聞いております。その意見をも反映して主税当局においてこれについての取り扱いが検討されるものと考えております。
 なお、お尋ねにありました診療報酬の問題につきましては、中医協の建議、答申に基づき、改定のつどその適正化につとめてまいったところでございますが、なお今後とも適正化をはかるべき問題もありますので、引き続き改善につとめてまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#36
○議長(河野謙三君) 須藤五郎君。
   〔須藤五郎君登壇、拍手〕
#37
○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 今日、公害のたれ流しや、大商社の買い占めによる物価の大幅な上昇など、大企業の横暴は目に余るものがあります。
    〔議長退席、副議長着席〕
このようなときに、政府が依然として日本列島改造計画など、大企業本位の高度成長政策のために、国民にますます重い税金をかけ、しかも、大企業にはばく大な減税、免税を行なっていることは、がまんのならないところであります。
 現在、勤労者の家計は、激しい物価上昇のために苦しく、たとえば、年収八百五十万円以下の家庭では、収入の一割以上を内職や借金でやっと穴埋めしている状態であることは、総理府の調査も示しているところであります。ところが、政府は、このような家庭に給与所得税総額の四割近くを負担させ、月給三万円の独身労働者からさえ税金を取り立てている始末であります。
 政府の四十八年度減税案なるものも、実は、勤労者その他の名目収入の増加に伴う税負担の増加一兆千五百九十六億円をわずか三千百五十億円ほど軽くするという程度のものにすぎず、しかも、給与所得控除の定率分を大きくして、比較的高級のサラリーマンを優遇したものではありませんか。憲法二十五条が「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と定めているように、本来、生活費非課税こそが課税の原則でなければなりません。
 総理は、福祉経済への転換などと公言しておりますが、そのことばがもしほんとうのものであるなら、所得税は、基礎控除、配偶者控除、扶養控除などの人的控除を四人家族百五十万円まで引き上げるべきであります。また、給与所得控除は、低賃金の労働者を守るために定額控除を大幅に引き上げるべきであり、さらに、すでに外国で実施されているように、家賃や高校以上の教育費の一定額や、医療費、通勤費などの全額を生活必要経費として特別に控除する制度をつくるべきであります。
 総理は、二千二百万人の低所得の労働者、サラリーマンを無税にするこの措置を実施する意図がおありかどうか、答弁を求めるものであります。
 また、現在、住民税、事業税などの地方税が、政府の政策のために、国税以上に国民を苦しめていることは、議論の余地のないところであります。政府は、住民税の均等割りを廃止し、個人の住民税、事業税の免税点を、前に主張した所得税に準じて大幅に引き上げ、所得税を含めて二兆円の大衆減税を断行すべきであります。その決断と実行の意思がおありかどうか、総理並びに自治大臣の答弁を求めるものでございます。
 次に、入場税についてであります。これが戦費調達のための戦時税制であり、国民の文化、芸術活動に耐えがたい重圧となっているために、その撤廃請願が本院においても二度にわたって採択されたことは、総理も御存じのことでございます。ところが、政府は、税率を五%下げるという小手先のごまかしで逃げようとしております。総理、これがあなたの文化国家でございましょうか。歳入からすれば、F4Eジェット戦闘機四機分にすぎないこの悪税は、直ちに撤廃すべきであります。総理の明確な答弁を求めるものであります。
 次に、現在、国際通貨危機は一そう激化の様相を深め、円の大幅切り上げによる中小企業の打撃がきわめて深刻になっております。政府は、中小企業対策に万全を尽くすなどと宣伝しておりますが、提出された税制は、最も打撃の大きい零細企業を主体とした白色申告者を除外した事業主報酬制度にすぎないではありませんか。しかも、この制度さえ、中小零細企業の要求とはほど遠いものであります。これが万全の措置であるとするならば、自民党政府は中小零細企業を見殺しにしようとしているのだと断じても差しつかえございません。政府は、苦境にある中小業者を救済するために、白色・青色の差別なく、個人業者の自家労賃を認め、事業主、家族専従者の給与は、全額経費として控除すべきであります。また、中小企業の法人税率を平均して五%引き下げ、中小同族会社の留保所得に対する特別課税を全廃し、数千億円の中小企業減税を断行すべきであります。総理並びに大蔵大臣の責任ある答弁を伺いたいと思います。
 次に、私は、歴代自民党政府が大企業、大資産家に不当にも与えてきた特権的なばく大な減税、免税をきびしく糾弾しなければなりません。今日、租税特別措置、さらには法人税法の引き当て金などによる大企業の特権的な減免税の額は、国税だけで実に三兆円にも及ぶありさまであります。これこそ国民に対する不当きわまる重税の一因であり、税負担の公平の原則をまっこうから踏みにじるものであります。また、このような特権的な減免制度が、法人税率の低さと相まって、大企業の異常な国際競争力の源泉の一つとなり、今日の円切り上げを招いたことは、世界の世論の指摘するところであります。
 さらにはまた、現在許すべからざる反社会的行為として世論のきびしい指弾を受けている大企業の投機が、この特権的な税の減免を重要な源泉とした手持ち資金のだぶつきにあることも明らかなところであります。ところが、政府は、産業税制を改廃合理化するなどと世論をあざむきながら、実は、大企業の海外資源開発やその他の海外投資に特別な減免措置を新たに行なおうとしております。破廉恥きわまりない態度と言わなければなりません。政府は、税負担の公平のためにも、また、円対策、投機防止対策のためにも、大企業、大資産家に対する租税特別措置その他による税金の特権的な減免制度を全廃し、さらに大企業に対する法人税率を四三%にまで高め、また、大資産家に対する所得税率も七五%まで引き上げるべきであります。
 総理は、さきの総選挙を通じて国民の政治に対する期待や不満を痛いほど感じとりましたと述べておられますが、もしもそうならば、いまこそこの大企業奉仕の税制とはっきり手を切るべきであります。その決断がつくかどうか、答弁を求めるものであります。
 最後に、政府は、受益者負担などのごまかしによって、社会経済基本計画においても、国民の税及び社会保険負担率を五年間に五・七%も高めることを計画するなど、重税政策を今後の基本としております。このために、物価に織り込まれて国民生活に大打撃を与える付加価値税制導入の企てを依然として捨てようとはしておりません。私は、このような政策が自民党政府の命取りになることを警告し、その撤回をはっきりと要求して、質問を終わるものでございます。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(田中角榮君) 第一点は、四人家族の課税最低限を百五十万に引き上げよということでございますが、先ほどから申し上げておりますとおり、今年度は、課税最低限は、平年度で百十四万九千六十円ということになったわけでございまして、アメリカを除いて、イギリス、西ドイツ、フランスの例を上回るところまでようやくたどりついたという事実を御理解いただきたいと思うのでございます。
 また、所得税、特に低所得者に対する減税につきましては、過去も毎年実行してまいったわけでございますが、将来の問題としても、これが軽減に対しては努力を続けてまいりたいと、こう考えるのでございます。
 家賃、医療費、教育費などの特別控除については、先ほど萩原さんにお答えをしたとおりでございますが、税制調査会で御審議をいただいております。しかし、調査会としましては、所得税制としては、基礎控除や、扶養控除などの一般的な課税最低限の引き上げで対処するのが望ましいというのがその結論でございます。医療費や通勤費につきましては、特別控除を設けるなどの措置を講じておることは、御承知のとおりでございます。
 なお、二兆円減税はいかにということでございますが、二兆円減税の前には一兆円減税があるわけでございますし、まあそこまですぐお答えできるような状態ではございませんが、しかし、減税や適正な税制につきましては、引き続いて勉強してまいっておるわけでございます。
 入場税を全廃せよという趣旨の御発言でございますが、御指摘のとおり、入場税につきましては、料金千円以下の映画及び二千円以下の音楽、演劇につきまして、税率を一〇%より五%に引き下げたわけでございます。今度はたいへんいいことをやってくれたということで関係者からほめられておるわけでございますが、しかし、これをゼロにすることが望ましいというお考えは、承っておきます。
 それから事業主報酬制度を白色申告者にも適用せよというような問題につきましては、大蔵大臣からお答えをいたします。
 それから中小企業の法人税率を五%引き下げよという問題でございますが、一億円以下の法人に対する税率は、年三百万円までの所得については二八%となっております。資本金一億円超の法人に対する税率三六・七五%に比し、相当大幅に軽減をされておるわけでございます。
 それから租税特別措置については、大蔵大臣から申し上げます。
 それから今度の租税特別措置の中で、改正をいたしたり、それから整理合理化を行なうために四百億円近くの増収をはかったりというだけではなく、固定資産税につきましてもその負担を高める措置をとっておりますし、土地の譲渡益について、通常の法人税、地方税に加えて二〇%の土地の譲渡税を課税することにいたしておるというようなことで、法人に対しては重課の方向にあることは、御承知のとおりでございます。
 なお、大企業四五%に法人税を上げよとか、大資産家に対して七五%の増徴を行なってはどうかというような問題については、いまここですぐどうこうと答弁できる問題ではございません。しかし、法人税につきましては、四十九年はしかるべく考慮をしなければならないだろうということは、先ほど申し上げたとおりでございます。また、大資産家といいますけれども、大きな所得者は累進課税率が適用されておっていろいろな問題も存在することは事実でございますので、御意見として承っておきたいと、こう存じます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(愛知揆一君) 総理からだいぶお答えいただきましたので、あるいは重複するかもしれませんが、御容赦いただきたいと思います。
 第一は、所得税と各種の控除の問題、それから負担軽減をもっと大幅にすべきであるという御趣旨の御質問でございますが、政府といたしましては、所得税の軽減につきましては、いろいろの観点から考えまして、課税最低限をできるだけ引き上げることにしたことは累次御説明のとおりでございまして、その限度の引き上げが八%以上になっておりますので、物価との関係においては私は説明がつくと考えておるわけでございます。
 そこで、四人家族百五十万円に最低限度をすべきである、そのためには人的控除を各方面にわたって引き上げるべきであると、こういう御意見でございます。これは、そうしたお考えに私は決して反対ではございませんので、順を追うて将来にわたって特に勤労階級の所得減税をはかっていきたいと考えることは、私も御同様でございます。しかしながら、試みに今回の所得税の減税を見ていただけば、自然増収額をいろいろ御指摘になりますけれども、その二七%以上を占める減税額というものは、これまでしばしば行なってまいりました減税の歴史から申しましても、決して劣るものではない。むしろ、十分の成果であるということが言えると考えておるわけでございますし、また、税額三千億円を初年度でこえるということは、実は最近における過去の例のないところであるということも御評価をいただきたいと思います。財政需要等を考え、そして財政を組んでまいりますために、税源の関係から申しましても、この程度のところがぎりぎりのところであり、また、私は、減税を現実に相当に納税者側からも評価していただけると考えておるわけでございます。
 給与所得控除につきましては、今回の改正においても特に考えたところでございますが、低所得者に影響の多い給与所得控除、この定額部分というのが御承知のようにございますが、これを十三万円から十六万円に引き上げて低所得の所得者の負担軽減に配慮したことも、御承知のとおりかと思います。
 それから家賃控除、授業料などの生活費について個々に特別控除を設けることの御提案でございますけれども、個人の生活態様は、申すまでもなくきわめて多種多様であります。その生計費の中から特定の費目だけを取り上げて特別な控除を認めるということはいかがであろうかという政府の考え方でございまして、むしろ、これは、一般的な先ほど来申しておりますような課税最低限の引き上げで総合的に対処していくべきものと考えておるわけでございます。
 なお、それならば、医療費や通勤費はどうかと。医療費や通勤費は、なるほど一般的な生計費の場合と性格を異にしておりますところから、特別控除を設ける等の措置をすでに講じておることは、これも御承知のとおりでございます。
 老年者控除や障害者控除等は、基礎控除、扶養控除等の人的控除を補って追加的な費用をしんしゃくする、こういう趣旨から設けられているものでありまして、その意味から、税制上の措置としては所得控除とすることが適当であると考えまするので、それまで税額控除であったものを、昭和四十二年度に税制改正をいたしまして所得控除に改めることにいたしたわけでございます。こういう考え方をこれからも一貫してとってまいりたいと考えます。
 入場税につきましては、総理から言及されましたが、映画、演劇、音楽等を催す場所への入場者に対しまして、その消費支出に着目して課される性格のものでありまするし、通行税それから地方税でございます娯楽施設利用税、料飲税などとともに、わが国のサービス課税の一環をなすものとして今日まで行なわれてきたわけでございますから、いま直ちに入場税を全部廃止するということはいかがであろうか。他との均衡を失するということにもなりまするので、さらにその内容等にわたりまして――今回も相当改善をいたしましたが、内容等にわたりまして将来ともによく検討いたしたいと思います。
 事業主報酬制度を白色申告者に適用すること、それから同族会社の留保所得課税を廃止して、中小企業に対する法人税率を五%引き下げること、これらの御提案にお答えいたします。
 今回認めることにいたしました事業主報酬制度は、同族法人と類似している個人企業は相当多いわけでございます。これに対して、みなし法人課税方式を選択する制度を設けたことは御案内のとおりであって、この意味は、いわゆる店と奥との経理区分を明確にして、企業経営の近代化、合理化を推進するという政策目的も実はあるわけでございます。したがって、こういう点も考え合わせますと、これを直ちに白色申告にも及ぼすということはいかがであろうかという考え方から、別途白色申告につきましても若干の軽減措置を講ずることといたしまして、現在青色に限定をしてやってまいりたい。それからサラリーマン等に対する均衡等につきましては、いまいろいろ申し上げましたような点でできるだけ均衡をとりたいと、こう考えたわけでございます。
 中小法人につきましては、これも総理から言及されましたが、一億円以下の法人に対する税率は、年三百万円までの所得については二八%となっており、一億円超の法人に対する税率三六・七五に比しまして相当大幅に軽減されている実情でございます。中小法人の税負担につきましては、これまでも十分配意しているつもりでございますが、なお、今日の状況下において輸出関連中小企業等に対してはどうしているのかと。これは、累次申し上げておりますように、非常に大切な問題でございますから、政府としては真剣に連日取り組んでおるわけでございまして、財政上の措置、これは予備費を活用する、それから金融上の措置については財投を大幅に活用する、それから税制の面におきましては納税の猶予その他の措置を現実に講じつつあるわけでございます。あわせてお答え申し上げておきます。
 それから同族会社の留保金課税を廃止せよと。この制度は、会社と同族株主の利益が一致している同族会社では、恣意的に所得を株主に分配しないで、社内に留保することによって累進税率による所得税の課税を免れるという場合がございますので、租税負担を不当に軽減されることがないように、これを防止するために設けておるのでございますから、この制度をにわかに廃止するということは考えておらない次第でございます。
 なお、個人の株式等の譲渡所得の非課税についても若干言及されたかに聞き取りましたので、一言お答えいたしておきますが、株式等の譲渡所得を一般的に課税することは、その前提条件が整備されているとは言えませんので、また、一方において譲渡損の問題もございますので、考えようによってはかえって負担の不公平を招く結果ともなりかねないので、いま少し慎重に検討いたしたいと考えております。
 それから最後に、近年における有価証券市場の状況等に顧みまして、今回の税制改正にあたりましては、株式等にかかる有価証券取引税の税率を二倍に引き上げることにいたしておりますので、これもあわせて御審議をいただきたいと思っておる次第でございます。(「付加価値税の問題」と呼ぶ者あり)
 失礼いたしました。付加価値税につきましては、一つの大きな問題として真剣に検討をいたしておりますけれども、いろいろこれについては利害得失その他の考え方もございます。現在、政府が付加価値税をやるということを表明するような考え方には、まだその時期ではございません。(拍手)
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(江崎真澄君) お答えを申し上げます。
 住民税、それから個人事業税、それから住民税の均等割りは廃止しろということについてのお尋ねでございまするが、自治省といたしましても、国民生活の水準、それから地方財政の状況等々を十分考慮いたしまして、課税最低限の引き上げを行なってまいりました。今度も、八十万円から八十六万円ということで引き上げを行なったような次第でございます。(「少ないぞ」と呼ぶ者あり)いや、それは少ないから百五十万円にしろ、こういうお話でございます。これは所得税等と見合いながら、なるべく課税最低限を引き上げろと、こういう御趣旨のように承りまするが、所得税というのは、これは御承知のように、所得再配分の思想に基づくものであります。それから住民税は、自分の最も密接に関係する地方公共団体の一翼をになう、負担をする、こういう考え方に立つわけでありまして、税率も所得税の累進課税とは比較にならないごく低いものでございまして、まあ今日の状況ではこの程度が最も適当であろうかというふうに考えておりまするが、なお今後の国民生活水準等々十分配慮いたしまして課税最低限を引き上げていくことには検討を加えてまいりたいと思っております。
 それから均等割りはなくしたらいいのではないか。これは、衆議院の場面でも共産党の方から御要請があったわけでありまするが、御承知のように、この均等割りは、県民税の場合で、わずか一年を通じて百円でございます。それから五十万以上の都市で六百円、五万から五十万が四百円、それ以下の市町村ではわずか二百円、一年間を通じて見ますると、府県分を合わせましてもわずか五、六百円、これはやはり最も密接に関係をする地方公共団体の一翼をになっていく、自分も何がしかの税負担はしておるんだというその自覚から考えまして、存在することのほうが妥当であって、全部免除をする、何でもただほどいいということは当たらないのではないか。
 それから個人事業税につきましても先ほど大蔵大臣から詳しくお答えがありましたので、重複を避けまするが、事業主控除を六十万円から八十万円、二十万円引き上げをはかる等々、いろいろ配慮をいたしております。これも、中小企業事業主が地方のサービス、開発に応分の税負担をするという趣旨に基づく税であります。しかし、なお、今後、これらの税率につきましては、十分配慮を加えてまいりたいと考えます。(拍手)
#41
○副議長(森八三一君) これにて質疑を終了いたしました。
     ―――――・―――――
#42
○副議長(森八三一君) 日程第二 国務大臣の報告に関する件(昭和四十八年度地方財政計画について)
 日程第三 地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以上両件を一括して議題といたします。
 まず、自治大臣の報告及び趣旨説明を求めます。江崎自治大臣。
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(江崎真澄君) 昭和四十八年度の地方財政計画の概要並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和四十八年度の地方財政につきましては、現下の社会経済情勢の推移と地方財政の現状にかんがみ、国と同一の基調により、財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、適切な行財政運営を行なうことを基本とし、地方財源の確保に配慮を加えながら、長期的視野のもとに、積極的に住民福祉の充実向上をはかる必要があります。
 昭和四十八年度の地方財政計画は、このような考え方を基本とし、以下申し上げます方針に基づいて策定することといたしました。
 第一は、地方税負担の現状にかんがみ、個人の住民税及び事業税、電気ガス税博についてその軽減合理化をはかることであります。
 また、土地に対する固定資産税の課税の適正化をはかるとともに、特別土地保有税を創設することとしております。
 第二は、地方税及び地方交付税の伸長の状況等を考慮しながら、昭和四十七年度において講じられた地方交付税の特例措置がなくなることによる影響を緩和するため、交付税及び譲与税配付金特別会計において資金運用部資金から九百五十億円を借り入れることとするとともに、引き続き沖繩県及び同県市町村に対して交付すべき地方交付税の財源に資するため、臨時沖繩特別交付金三百八十八億円を国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れることとしております。
 第三は、福祉優先の基調に立脚し、社会福祉施策等を充実するとともに、住みよい生活環境を整備するため、国庫補助負担制度の拡充並びに地方交付税及び地方債による財源措置の充実をはかることであります。
 まず、老人福祉、児童福祉等の社会福祉の充実、教育の振興をはかるとともに、地域住民の生活環境の改善と安全の確保の観点から、公害対策、交通安全対策、消防救急対策を推進することとしております。
 次に、児童生徒急増市町村における義務教育施設に対する国庫負担率の引き上げ等により人口急増地域における公共施設の整備を推進するとともに、過疎及び辺地対策事業債の増額、集落の移転整備等の過疎地域対策を促進し、あわせて広域市町村圏の振興をはかることといたしております。
 第四は、各種の長期計画の改定に即応しながら、地域の特性に応じて、地方道、上下水道、廃棄物処理施設、厚生福祉施設等の社会資本の計画的な整備を推進するとともに、公共用地の先行取得の拡充等公有地の拡大を促進することであります。
 第五は、地方公営企業について、地下鉄事業に対する助成措置の拡充、路面交通事業にかかる新たな再建制度の発足等その経営の健全化を積極的に推進する措置を講じ、経営基盤の安定をはかることであります。
 第六は、地方財政の健全化を促進するとともに、財政秩序の確立をはかることであります。
 以上の方針のもとに、昭和四十八年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は、十四兆五千五百十億円となり、前年度に対し、二兆八千十二億円、すなわち二三・八%の増加となっております。
 次に、地方税法の一部を改正する法律案について、その趣旨と内容を御説明申し上げます。
 明年度の地方税制の改正にあたりましては、地方税負担と地方財政の現状にかんがみまして、
 第一に、個人の住民税、個人の事業税等について負担の軽減合理化をはかること、
 第二に、宅地等にかかる固定資産税について、課税の適正化をはかるため所要の措置を講ずること、
 第三に、特別土地保有税を創設することをその重点といたしております。
 以下、その概要について御説明申し上げます。
 まず、個人の住民税につきましては、住民負担の軽減をはかるため、課税最低限を引き上げることとし、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除の額をそれぞれ一万円引き上げるとともに、特に低所得者層の負担軽減をはかるため、市町村民税の所得割りの税率の緩和を行なうことといたしました。
 次に、個人の事業税につきましては、個人事業者の負担の軽減合理化をはかるため、事業主控除額を八十万円にするとともに、電気ガス税につきましては、住民負担の軽減をはかるため、税率を六%に引き下げることといたしました。
 また、固定資産税につきましては、宅地等にかかる固定資産税の課税の適正化をはかるため、住宅用地につきましては軽減措置を講ずるとともに、税負担の激変緩和の措置を講じながら、評価額に基づいて課税を行なうことといたしました。
 さらに、土地税制の一環として、土地の投機的取得を抑制することを目的とする特別土地保有税を市町村税として創設することといたしたのであります。この場合において、農林経営規模の拡大、工場の地方分散等の施策等に適合する用途に供されている土地等につきましては、非課税とすることとし、また、市町村ごとの面積の合計額が一定面積に満たない場合は、課税をしないことといたしました。
 このほか、料理飲食等消費税、固定資産税等の免税点等の引き上げ、不動産取得税等の非課税範囲の拡大等各税を通じて負担の適正合理化ないし地方税制の合理化をはかるための規定の整備等所要の改正を行なうことといたしておるものであります。
 以上の改正により、昭和四十八年度においては、個人の住民税における千六十二億円をはじめ合計千七百十七億円の減税を行なうこととなりまするが、一方、固定資産税の課税の適正化等により四百八十五億円の増収が見込まれまするので、差し引き千二百三十二億円の減収となります。
 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明を申し上げます。
 昭和四十八年度分の地方交付税の総額については、ただいま昭和四十八年度の地方財政計画の概要で御説明を申し上げましたとおり、現行の法定額に交付税及び譲与税配付金特別会計における借り入れ金九百五十億円を加算する特例規定を設けることといたしました結果、総額二兆九千七十四億円で、前年度に比し四千百三十五億円、一六・六%の増加となります。
 また、昭和四十八年度の普通交付税の算定にあたっては、地方財政計画の策定方針に即応して、住民生活に直結する各種の公共施設の計画的な整備を促進し、社会福祉水準の向上に要する経費の増額をはかりまするとともに、引き続き過密・過疎対策、公害対策、交通安全対策、消防救急対策等に要する経費を充実するため、地方交付税の単位費用及び算定方法の改正を行なうことといたしております。
 以上が昭和四十八年度の地方財政計画の概要と地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
#44
○副議長(森八三一君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。神沢浄君。
   〔神沢浄君登壇、拍手〕
#45
○神沢浄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明のありました昭和四十八年度地方財政計画並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案に関連して、田中総理及び関係大臣に対して若干の質問をいたします。
 まず第一に、総額十四兆五千五百十億円にのぼる昭和四十八年度地方財政計画についてでありますが、政府の国際経済情勢の見通しの誤りと経済政策の破綻にもかかわらず、何ら是正することなく、ただ単に数字のつじつまだけを合わしたにすぎないまことに無責任な計画と言わざるを得ません。すなわち、一昨年のドルショックによる経済情勢の悪化に対してとられた地方財政対策は、総額五千億円の八〇%を占める四千億円が地方債の増額と交付税及び譲与税配付金特別会計の借り入れ金でありました。引き続いて、昭和四十七年度の財政対策は、切り詰めた約八千億円の必要不足財源に対して、これまた、その八〇%を安易に地方債の増額と配付金特別会計の借り入れ金に依存しているものであります。四十八年度計画においても全く同様な構造が引き継がれておるにすぎないものでありまして、地方財政は四十六年以来常に不安定な要因の上にすわらされ続けているのであります。
 しかも問題なのは、四十八年度計画においては、いま、わが国経済を大きくゆるがしている円のフロートについての影響が全く無視されているという点であります。きょうもなお、外為取引市場は閉鎖をされたままのようでありますが、円の変動相場制がとられたのは二月十四日であります。この地財計画が閣議で決定をされたのはそのあとの十六日であります。まことに無責任と言わざるを得ないではないですか。この計画では、地方税収の伸びを前年比府県税二九・七%、市町村税二四・一%としております。中でも、府県税のうち、法人事業税は三六・八%、住民税の法人税割りは三六・七%と、政府はたいへん強気の見込みをしておるのでありますが、円の切り上げが大きく景気に影響して税収の大幅減少をもたらした事実は、きわめて最近において経験済みのことであります。政府はこの計画にあくまでも自信があると言えますか。あるとするならば、十分納得のいく説明をまず総理にお尋ねをいたします。そして、もしもないとするならば、そのため混乱と動揺を招くのは政府ではなくて地方公共団体でありますから、この際、政府は責任上、当然四十八年度地財計画の組み直しをすべきだと思いますがいかがですか。この点、総理及び自治大臣に所見をお伺いをいたします。
 次には、地方交付税についてであります。
 政府は、昨年に引き続き、四十八年度についても臨時沖繩特別交付金三百八十八億のほかに、交付税及び譲与税配付金特別会計において九百五十億円を借り入れて、これを法定額の計算に加えて措置をしているのであります。四十六年来の経過は、現行交付税制度では、もはや地方の増大する財政需要に応じ切れないことがきわめて明らかになってきたと言わざるを得ません。この点に関して昭和四十七年末の地方制度調査会は次のように答申を行なっているのであります。すなわち、国における公共事業の拡大等に伴う財政需要の増大や一般財源の不足を補うための地方債による振りかえ措置など、明年度はあとう限り一般財源によって措置をするよう地方交付税の所要額を確保すべきである。以上が調査会の答申でありますが、政府はそのうち何一つとして実現をしていないではありませんか。それのみか、四十八年の借り入れ金九百五十億円さえも四十九年分から減額をするというのであります。
 言うまでもなく、地方交付税は地方の有力な一般財源であります。国の補助金ではないのであります。問題は、政府が自己の財政の都合で左右する補助金化した現状の運用の姿勢が大きな誤りであることを私は指摘せざるを得ないのであります。すでに制度的赤字は三年間連続をしております。しかも、四十八年度においては地方制度調査会が指摘した点ばかりではございません。義務教育職員の一〇%ベースアップに必要な地方費百四十三億、地方自治法改正による特別区の完全自治体化の所要増五百数十億など、重要な制度の改正を政府が意図しておる以上、この際、当然交付税率の大幅な引き上げと配分についての抜本的改革が断行されるべきだと思いますが、この点自治大臣及び大蔵大臣の所信を伺いたいと存じます。
 次に、地方税制についてお尋ねをいたします。
 今回提案されている地方税法の一部を改正する法律案によれば、個人の住民税、個人の事業税及び土地にかかわる固定資産税について住宅用地に対し軽減措置を講ずるとともに、特別土地保有税を創設する等となっておりますが、改正案によっても、個人住民税の課税最低限は、夫婦子供二人の標準家族で所得税が百三万七千八百六十円となっておるのに対し、住民税は八十六万五千七百六十六円となっており、その差はいまだに十七万二千九十四円と、大きく開いております。なるほど逐年近づきつつある点は認識するところであり、所得税と住民税との性格論についても、もとより意見のあるところではあります。先ほどこの点についての御答弁もありましたが、納得のいかないのは、住民税といえども、税の性格がいかになるといえども、国民の生計費に食い込む課税はきわめて不合理と言わざるを得ません。早急に一致せしめるよう是正すべきであると思いますが、所見を伺います。
 また、特別土地保有税については、日本列島改造論が列島買い占め論と化しておる今日、大企業等の土地投機を抑制することはもとより必要であります。しかし、保有百分の一・四、取得百分の三という低率で、はたして税の目的が達成できるかどうか。しかも容易に抜け穴ともなりかねない除外条項が五十余も付帯するというに及んでは、その上、取得の課税の基準日を四十八年七月一日としたことは、ことさらにいわゆるかけ込み買い占めの便宜を供与することになり、法の空洞化を政府みずからの手によって行なうことになりはせぬか、この点の解明を求めたいと思います。
 次に、私はこの際、農地並み課税の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。この問題については、昨年の一部改正以来の経過にかんがみましても、いまや既定の事実として、政府・与党間でも検討がされていたものであります。それにもかかわらず、今国会に地方税改正案として提案されていないということは、はなはだ無責任と言うべきだと思うのであります。何ゆえに政府が責任を持って提案しないのか、政府の所見を伺いたいと存じます。
 自民党政府の土地政策の不在を農民に押しつけるということは、断じて容認できるものではありません。また税の原則からしましても、市街化区域内といえども営農耕作が継続されておる限り、その固定資産税はあくまでも農地並み課税が保障されるべきものと考えますが、これまた、あわせて見解を伺っておきたいと存じます。
 次に、私は、地方税財源の強化の点についてお尋ねをいたしたいと思います。
 地方税の歳入に占める比率は、過去においては四〇%以上を占めてきたところでありますが、四十七年、四十八年と三七%台に低下をしてまいっております。地方自治はいよいよ転落の方向に向かっているわけであります。特に市町村税の伸び率の低下ははなはだしく、四十八年度計画においても、前年比、道府県税が二九・七%、市町村税については二四・一%と、大きく差が生じてきておる現状であります。地方自治のにない手が市町村であり、福祉行政推進の中心が市町村であるべきことは、論をまたないところであります。それゆえに、地方税の拡充、特に市町村税源の強化こそ、急務中の急務と言うべきだと思います。
 さらにはまた、国の経済政策の結果、人口、産業等の異常な大都市集中が生じ、それによって増加する財政需要の問題すなわち大都市税源の充実も、これまた喫緊の問題と言わざるを得ないと思います。この点に関しては、第十四次、第十五次の地方制度調査会も繰り返し指摘を行なっておるところであります。すなわち、事務所・事業所税の創設をはじめ、都市新税の創設、さらには法人に対する非課税及び租税特別措置の撤廃とともに、法定外普通税、不均一課税の問題が提起をされておるのであります。ところが、これに対して、政府は、何らの実現もはかろうとしていないのはなぜでありますか。これでは政府は、地方行財政の問題をことさらに軽視しようとしておるようにしか思えません。特に事務所・事業所税の問題は、すでに一昨年来の懸案であるのにもかかわらず、放置したままでおるのはどのような理由からでありますか、その点をも伺いたいと思うのであります。
 次に、地方債について若干お尋ねをしておきたいと存じます。地方債の歳入に占める比重は、年々増大しつつあるところでございます。しかも今日、地方の行政が強く求められておるのは、生活関連社会資本の拡充の問題であります。そのための単独事業や公営企業投資等の推進については、地方債の持つ役割りはますます大きいわけであります。このような観点からも、地方債の国による許可制を廃止することは、地方公共団体がすでに多年にわたって主張しておるところでもあり、政府としてもいまや断行すべき時期と情勢に立っておるものと考えるのでありますが、御見解を伺いたいと存じます。また、地方債の自由化とともに、政府資金の充当率を高めて良質な地方債を確保することは緊急な課題だと思います。この際国は、地方財政への圧迫を避けるために、政府資金の構成比を高め、償還期限の延長等、貸し付け条件の改善をはかるべきだと考えますが、これまた御所見を伺いたいと存ずるのであります。
 以上の点につきましては、自治大臣並びに大蔵大臣より責任のある御答弁をいただきたいと存じます。
 さて、最後に私は、地方行財政に対する政府の基本姿勢を、これは総理にお伺いをいたしたいと思うのであります。
 先ほど承りました趣旨説明は、まことにおみごとな作文でございました。しかし、私はあたかも羊頭を掲げて狗肉をひさぐの感を受けざるを得なかったのであります。すでにいままで個々に指摘をしてまいりましたように、今日、政府・自民党の財政政策によって、地方財政の国に対する従属の度合いはますますひどくなっておるのであります。たとえば趣旨説明では、地方財源の確保とその重点的配分をうたっておりました。しかし、この計画の数字が実は正直に示しておりますように、著しく伸びておるのは国庫支出金であります。たいへん落ち込んでいるのは交付税であります。どこに財源の確保と重点的配分がありますか。これこそいわゆる補助金政策の構造的拡大を意味する以外の何ものでもありません。政府は今日までこの補助金政策を通じて、地方財政の国への従属化を押しつけてまいりました。政府の補助金政策による地方支配は、地方財政をがんじがらめにして、行政の自主性、自律性を奪ってしまっているのであります。それのみか、現状では地方自治の本旨をうたった憲法も地財法も、実は国自体の手によって全く空文化してしまっているのであります。
#46
○副議長(森八三一君) 神沢君、時間が経過しております。
#47
○神沢浄君(続) 私はこの際、この点に関して、政府に真剣な反省があるかどうかをまず伺いたいのであります。
 政治は作文ではありません。政府が真に福祉行政への転換に熱意を持っておるならば、その政策推進のにない手である地方行政に対してはどのような姿勢で臨もうとしておるのか、この点をお尋ねをいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(田中角榮君) 基本的な二点に対してお答えを申し上げます。
 円フロートによる影響を無視している地方財政計画を組み直せという趣旨の御発言でございますが、円の変動相場制移行に伴う国内経済への影響につきましては、流動的な要素が多く、現段階で年度を通じた経済全体に及ぼす影響を的確に把握することは困難であります。今後の経済の動向及びその地方財政に与える影響につきましては、十分注視をしてまいりたいと存じます。なお、最近の経済の実勢から見まして、昭和四十八年度の地方財政計画を組み直しする必要はないと考えておるのでございます。
 それから第二点は、地方財政に対する基本的な姿勢でございますが、地方財政につきましては、従来から地方自治の本旨を尊重し、地方団体が自主的な財政運営を通じて、地域の実情に応じて、社会福祉の充実、社会資本の整備など、住民福祉の向上をはかることができるよう地方財源の確保をはかってきております。今後とも高福祉社会の実現の要請にこたえ、地方団体が自治の本旨に立脚してその施策を推進し得るよう、地方財源の一そうの充実強化に努力をしてまいりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#49
○国務大臣(江崎真澄君) お答え申し上げます。
 第一点の地方財政計画を改める必要はないかという点については、いま総理からお答えがあったとおりでございまして、私どもも、今後の経済情勢の推移については的確に把握してまいりたいと思いまするが、幸い景気が上向きになっておりまするので、相当程度吸収されて、歳入等に欠陥を生ずることはまずないというふうに考えております。
 それから地方交付税率についてもっと増強をすべきである。これはよく前から議論される点でありまするし、また税制調査会、地方制度調査会等においても、地方財源の拡充強化ということを常に言っておられるわけであります。しかし、幸い、いまの交付税率がきまりました昭和四十一年以来、二〇%以上の順調な伸びを示しております。来年度におきましても、地方税において二七%程度の増が予想されまするほか、国の一般会計歳出予算における地方交付税等順調に見込まれておるというわけであります。ただ、御指摘の、九百五十億円をこの資金運用部資金から借りておるではないか、そのとおりでございます。これは昨年の特別対策に見合って講じた措置でありまするが、幸いこれは本年度うちの自然増収分をこれに充てておるわけでありまして、決算とともにこれは返却するという手だてが講じてございます。しかし、今後とも、地方財政につきましては、十分経済情勢や財政状況の推移等を見きわめまして、配慮をしてまいりたいと考えております。
 それから義務教育職員給与を一〇%ほど引き上げるという政策を打ち出しておることについての地方財政に及ぼす影響いかん。これにつきましては、今後人事院の裁定にまつわけでありまするが、お尋ねの所要経費は約二百八十億円、一〇%とかりにいたしますると、地方負担は百四十五億円、御指摘のとおりになります。したがって、これは地方税、地方交付税によって措置をしてまいりたいというふうに考えております。
 それから住民税の問題につきまして御質問がございました。これは先ほどの須藤議員にもお答えをしたとおりであります。もう税の性格等を踏まえての御質問でございまするから、重複を避けますが、当然政府といたしましても、課税最低限の問題につきましては今後もよくよく配慮をいたしまして、国民生活の水準、地方財政の状況等々にらみ合わせて、適切な配慮や軽減措置をとってまいりたいと考えております。
 なお、特別土地保有税について、かけ込み期間を設けておるではないかというような疑問を持ってのお尋ねでありまするが、この施行日を昭和四十八年七月一日といたしましたのは、新税が、取引の実態を確実に把握することのできる市町村にゆだねて、市町村税としたということにあります。したがって、市町村において、この法案が通りましても、すぐ明日からといいましても、これはやはり一応の準備期間が要りまするので、最低の期間をこれに考慮をして、七月一日からということにいたしたのが真相でありまして、なお、今後この御指摘のような一部土地につきましても、これはその土地の保有にかかる課税を行なっていこうという方針でおります。
 それから農地の宅地並み課税について、政府提案にしなかったことは不見識ではないか。私は一つの御指摘だと思いまするが、昨年の共産党を除く各党による一年間の暫定措置という、議院の法修正がございました。そのときに御指摘がありましたので、農地の課税についての研究会に委嘱をして、A案、B案――時間の関係もありまするから、もう御承知でしょうから詳細説明することは避けまするが、政府は二つの案を答申いただいたわけであります。これに基づいて立法措置を講じておったわけでありまするが、昨年の経緯等にかんがみまして、国会尊重という意味も含めて、しばらく国会側の考慮、判断ということも考えられたいという要請が私ども自治省にもあったわけであります。そこで、もしこの話し合いが、たとえば年度内につかない場合には、現在の法律が現存しております。もとより、現存する法律を尊重することは政府のたてまえですから、たてまえ論を言いまするならば、各党間の話し合いがっかなければ、これは一年間の暫定措置がとられておったわけでありまするから、これが消えて本法に戻ることになるわけでありまして、政府といたしましては一応差しつかえのない状況になっておるということは、念のために申し上げておきたいと思います。
 それから地方財政計画によって、特に市町村税の伸びが低い、そこで事務所・事業所税、こういった税構想があったがその後どうしたんだということ、これにつきましては慎重に検討を加え、なお現在に至っておるというのが率直な実情でございます。それは課税団体をどういう形にするのか、また課税標準、特に課税標準を具体的にどういうふうに位置づけるか、このあたりなおなお慎重に検討を要する点があります。そればかりか、地方中核都市構想や、いわゆる列島改造税制と申しまするか、そういったものも一応の関連がありまするので、来年度発足ということにはなりませんでしたが、これは今後にかけて十分ひとつ検討をし、実現の方向、実行の方向で検討を進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
 なお、法定外普通税の創設とか不均一課税を行なうよう地方税法を改正しろ、こういうお尋ねであります。法定外普通税につきましては、国、地方を通ずる租税負担の適正水準の確保、二重課税の防止、経済の安定成長等を担保する見地から、その創設については許可を必要といたしておりまするが、支障のない場合には、もうすべてこれは許可をしております。また、不均一課税の制度は、地方団体において、その区域内における租税負担の具体的公平のために認められておるものであることは御承知のとおりであります。そこで、地方団体は、法令に違反しない  違反しないというこの条件、そういうみずからの判断に基づいて行なうことができるということになっておるわけでありまして、いまあらためて法改正の必要はない、こういうふうに思います。
 地方債の許可制度を廃止すべきではないか。これは「当分の間」というただし書きになっておるわけでありまするが、これは、地方債の場合、国と地方の財政をやはり自治省が一括してこれが調整をはかっていくということは、いつの場合にも必要だと思います。また、第二番目には、このごろ過密過疎の問題が好むと好まざるとによらず現実にあるわけです。これをどう解消するかというのが、いま政府の苦心して対策をしておるところでありまするが、この地方債についても、特に縁故債等におきましては、取得しやすい市町村は比較的簡単に取得できる。取得しにくい過疎地帯などはなかなか取得がむずかしい。まあ過疎債とか辺地債などでカバーはいたしておりまするものの、やはりこれは、手の及ぶ市町村、及ばない市町村等を十分調整する意味からも、当分の許可制度が望ましい。また、三番目には、地方財政の健全性というものをやはり自治省が十分把握しておるということは、今後福祉行政を推進してまいりまするたてまえからいっても、当分は必要である、こういう見解に立っておるものでございます。
 以上お答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#50
○国務大臣(愛知揆一君) 総理大臣、自治大臣から詳細なお答えがございましたから、私は特に申し上げることもないようでございますが、私が強調いたしたいと思いますことは、ただいまいろいろの角度から御質問がございましたが、政府におきましては、自治省と大蔵省がますます緊密一体になりまして地方公共団体の行政が円滑に執行されるように、これを一番の念願にいたしておるところでございます。四十八年度の予算編成にあたりましても、一番先に地方財政計画との関係を取り上げまして、自治省との間の考え方を一致をさせ、そして相協力いたしまして各般の措置をさばいてきておるわけでございまして、この関係が非常に円滑にいっておりますことについては御安心をいただきたいと思います。
 そこで、ただいま、国が地方行政をがんじがらめにする、大蔵省はけしからぬではないかというような趣旨のお尋ねでございましたが、一例をあげますと、いわゆる地方の過重負担と申しますか、超過負担と申しますか、この点につきましても相協力して実態調査をいたしまして、最も大切な六つの事項について、その共同調査の結果を四十八年度と四十九年度の二カ年で解消するよう、四十八年度の国の予算も編成しておるわけであります。その中には、御承知のとおり、国の補助率の引き上げを含みまして、基準面積や単価やいろいろの点が取り上げられておりますようなわけで、がんじがらめにするなどということは毛頭考えておりません。
 同時に、地方債につきましても、ただいま自治大臣から御説明がありましたとおりでありますが、特に、最近の状況におきましては、縁故債の問題が市町村等におかれましても非常に関心の深い問題であります。この縁故債の問題を含めまして、地方債の消化、あるいはその円滑な執行ということについては、大蔵省としては地方部局をもあげまして、あとう限りの協力をいたしておるような状況にございます。
 さて、その次は、交付税率の問題でございますが、これは時間の関係もございましょうから、詳しく申し上げてしかるべきでございますが、ただいま自治大臣からもお話がございましたが、この交付税の税率というものは私はきわめて重大な問題であると思います。この点については、自治大臣からもお話がございましたように、当面これを引き上げるというようなことは考えておりません。
 それからその次は第四点、租税の特別措置、これと地方税へのはね返り等についてのお尋ねでございましたが、国の租税特別措置につきましては、先ほど来申しておりますように、慢性化になったり既得権化することがないように合理的な改廃をすべきものと考えております。これがまず第一点で、四十八年度国の予算においては、その合理的な改廃につとめておることは御承知のとおりでございます。
 第二は、国税の租税特例措置の中には、地方税においても同様の措置を講ずることが適当と考えられるものもございますし、また、国税の特別措置の影響を地方税で回避することが困難なものもございます。これらの事情を十分検討いたしまして、個々の特別措置において地方税にも及ぼすことが妥当か、回避することが妥当か、これは問題のそれぞれの立場、性質におきまして、十分に検討してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#51
○副議長(森八三一君) 藤原房雄君。
   〔藤原房雄君登壇、拍手〕
#52
○藤原房雄君 私は、公明党を代表して、ただいま説明のありました昭和四十八年度地方財政計画、並びに地方税法の一部を改正する法律案及び地方交付税法の一部を改正する法律案について、総理並びに関係各大臣に質問を行なうものであります。
 田中内閣は、日本列島改造論を掲げ、決断と実行を旗じるしに登場し、国民からは大きな期待が寄せられたにもかかわらず、一年足らずで早くも日本経済に不安を招き、ひいては四十八年度地方財政に危機感を与えようとしておるのであります。特に、昭和四十八年度における地方財政計画の大きな問題は、計画策定後に起こったドル切り下げや円の変動相場制移行、相次ぐ外国為替市場の閉鎖など、一連の通貨問題が与える景気変動からくる影響であります。
 去る四十六年度の途中で起きた円切り上げで、地方財政は二千億円の減収になったのであります。これから見てもわかるように、法人事業税、軽油引取税などの地方税、また、国税三税の三二%を配分される地方交付税などは、いずれも景気の変動により相当減収が予想されるのであります。したがって、来年度の地方財政計画は、計画と実態との間にかなりの狂いが生ずることは、当然予想しなくてはならないところであります。このような現状からして、国際経済環境の急速な悪化、円再切り上げ等の影響で地方税、地方交付税の減収が生じた場合、政府はどのように地方財政の確立、強化に対処するのか。
 さらに、こうしたきびしい事態に対しては、地方債の増発、借り入れ金措置等、こそくな手段によらず、交付税率の大幅な引き上げ、もしくは、地方交付税制度の抜本的な改革をなし、地方の自主財源強化の方途を講じて、地方財政の強化を推進すべきと思うが、この点について、総理並びに大蔵大臣の明確なる答弁を求めるものであります。
 次に、人口急増地域問題についてお伺いしたい。
 大都市周辺の人口急増市町村では、義務教育学校の施設整備をはじめとし、公園、街路、上下水道、保育園、幼稚園などの生活関連施設整備が急がれているのは、周知の事実となっております。私どもは、これに対する財政特別措置の必要性を前々から主張してまいりました。しかし今回は、人口急増市町村に対して義務教育学校施設整備の補助率を引き上げただけであります。生活関連施設の整備を強調しているこのたびの地方財政計画の策定方針に照らし合わせても、立ちおくれの著しい人口急増市町村に対する財政特別措置法を立法化すべきであると考えるが、政府の所信を伺いたいのであります。
 質問の第三は、地方公営企業についてであります。その中で、特に経営の悪化を招いている交通事業再建についてでありますが、すさまじい勢いで進むモータリゼーションにより交通渋滞はますます悪化し、年々バスや路面電車の速度は落ちるばかりであります。東京や大阪を走るバスの平均スピードは時速十二キロを切っております。一般的にバスの採算に見合った速度は十六キロから十八キロといわれております。こうした交通渋滞によるノロノロ運転や定時制の混乱が、バスや路面電車の乗客数の減少を招き、同時に運行単価をつり上げる結果となっているのであります。四十六年度末の累積赤字を見ると、バスが八百五十三億円、地下鉄が六百三十四億円、路面電車が四百三十一億円と合計一千九百十八億円となり、さらに、四十七年には、赤字が上積みされ、確実に二千億円を上回るものと見られるのであります。ところが、政府は、このような公営交通の現状に対し、四十八年度予算の中で、路面交通に対し、過去の赤字については、再建債を発行してその金利を一部国庫で負担し、また、現に進行している路面交通の機能低下、赤字の増大に対する措置としては、バス購入費について、わずかな補助を行なっているにすぎません。政府は、このような微々たる措置で、路面交通の赤字再発防止ができると思っているのでしょうか。
 地下鉄への建設補助金の補助率も、二分の一から三分の二に引き上げておりますが、過密都市の路面交通に対しても思い切った対策が必要であると思います。また、路面交通の赤字の再発を防止するため、渋滞道路の全域にバスレーンを設置して、バスの機能を回復することであり、運営費等についても、補助金制度を確立すべきと思うが、自治大臣、大蔵大臣、運輸大臣より御答弁をお願いしたいのであります。
 また、公営、民営、国鉄を問わず、大量公共輸送機関の全般にわたって、都市交通はいかにあるべきかを洗い直す必要があると思うが、総理に、これについての構想をお示し願いたいのであります。
 質問の第四は、超過負担の解消についてであります。従来から、超過負担に対しては国と地方とが見解を異にしており、多くの問題が残されております。去る昭和四十三年度予算編成の際に、地方財政対策の最終段階において、当時の水田大蔵大臣と赤沢自治大臣との間に、四十六年をめどとして、超過負担解消についての覚え書きが取りかわされ、これに基づいて超過負担解消措置が講ぜられたのであります。しかし、これらの措置は全く焼け石に水の感があり、このようなことから再び大蔵、自治、関係省庁の三省による共同調査の結果に基づいて、四十八年度から二カ年で解消することがきまったようであります。超過負担は国と地方との財政秩序を乱し、地方財政を不当に圧迫するものであります。今日、超過負担はすでに二千億円をこえるといわれております。しかるに、地方財政計画にあらわれた超過負担の解消措置は、わずかに二百八十三億円を計上しているにすぎません。
 政府は、二百八十三億円というだけの措置で、四十八年度の拡大された福祉優先を主眼とする公共事業の推進が、地方自治体に不当な財政負担を課することなく達成できると考えているのでしょうか。しかも、最近の著しい地価の高騰、さらに、建築資材等の値上がりにより地方自治体は将来の計画も立たない状態であります。このような現況から、今後超過負担がますますふえることは必定であります。政府は、この点について、正確な認識を持ち、抜本的な措置を講じなければ、住民福祉のための公共事業は失敗するおそれがあります。総理はこの問題をどうとらえているのか、所見を伺いたいのであります。
 質問の第五は、電気ガス税についてであります。電気ガスは申すまでもなく、今日の住民生活には欠かすことのできないものであります。これに課税する電気ガス税は、悪税と言わねばなりません。前佐藤総理も、電気ガス税は悪税であると明言されておりますが、田中総理、あなたはどのように考えておられるか、伺いたいのであります。
 さらに、今回は、十年ぶりに税率を引き下げてはいるものの、このような悪税は撤廃すべきであります。総理の答弁を伺いたいのであります。
 最後に、固定資産税について伺います。
 今回の地方税法改正案では、住宅用の固定資産税は評価額の二分の一で課税することとなっています。住宅用の宅地については、宅地評価の著しい値上がり状況から見て、その課税標準となる価格をさらに引き下げるべきであると思うがどうか。また、サラリーマンなどが所有している住宅用地と企業や大地主が所有している利益を生ずる事業用の用地との間に不公平のないよう適切な処置を講ずる考えがあるかどうかお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#53
○国務大臣(田中角榮君) 地方財政対策についてまず申し上げますが、先ほども申し上げましたように、最近の経済の実勢から見まして、四十八年度の地方財政計画を修正する必要はないものと考えております。
 なお、交付税率の引き上げ等特別の措置を必要とするとは現在考えておりません。
 それから地方公営企業の再建問題等に対しての御発言にお答えをいたしますが、大都市における、過密地域における公営交通事業等非常に困難な状態にあることは十分承知をいたしております。地方公共団体の自主的努力だけでは経営の健全化をはかることは困難な状態にある、このため国におきましても、総合的な対策を緊急に講ずることとし、四十八年度予算においてできるだけの財政措置を講ずることにいたしたわけでございますが、この地方公営企業の赤字対策だけではなく、都市における交通そのものを抜本的に検討しなけりゃならない問題が起こっておるわけでございます。高速度鉄道をつくろうとしても、また通勤鉄道をつくろうとしても、土地の問題、たいへんな問題がございまして、これらの問題を総合的にやはり検討して、国も地方公共団体も住民も一体になって、都市の合理的な交通体系の整備というものに結論を出さなければならないということで、国民各位の深い理解と協力をいただきたいと、こう考えておるのでございます。
 超過負担につきましては、毎年度の予算編成に際しまして、いわゆる超過負担が生じないように配慮をしてきたところでございますが、四十八年度予算におきましても、四十七年度に実施をした関係各省による実態調査の結果に基づきまして、計画的に超過負担を解消することにいたしておるわけでございます。
 次は、電気ガス税の問題でございますが、電気ガス税につきましては、その消費の実態、地方財政の状況等を考慮しながらその軽減について検討してまいったわけでございます。四十八年度においては、現行税率七%から六%に引き下げるとともに、免税点の引き上げを行なったわけでございますが、この問題に対して現内閣はどう考えておるのかということでございますが、これは、くしくも一〇%の税率を私が池田内閣の大蔵大臣時代に三年間にわたって三%引き下げたわけでございます。昭和三十八年、三十九年、昭和四十年度予算において各一%ずつ引き下げて七%にしたわけでございます。ところが、その後、有力な地方財源としてなかなかこれを引き下げるということができなかったわけでありまして、私がちょうど大蔵大臣の職を辞したその年から七%に据え置きになって七、八年ばかりきたわけでございますが、今度せっかく新しい内閣も編成したのでございますから、これは二%引き下げたいと思っていろいろ努力をしたのですが、いずれにしても、一%だけ引き下げようということで七%から六%になったという歴史的経緯をひとつ御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
 固定資産税につきましてのお話がございましたが、住宅用地の固定資産税につきましては、今回の改正において課税標準をその価格の二分の一とする特例を設け、税負担の軽減をはかることにいたしたわけでございます。
 残余の問題につきましては、所管大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#54
○国務大臣(江崎真澄君) お答えを申し上げます。
 第一点の地方財政計画の修正の必要ありゃいなや、これはもう総理からお答えがあったとおりでずし、前の神沢さんにもお答え申し上げたとおりに考えております。
 なお、地方公共団体の特に過密地帯、人口急増地帯において措置しなければならない重要な問題が山積しておるじゃないか、学校はどうだ、下水道はどうだ、保育所の整備は、あるいはじんあい処理場は……、お説のとおりに私どもも痛感をいたしております。それぞれに対して懸命な協力体制をとっておるわけでありまするが、とりあえず本年度は、義務教育でありまする生徒、児童の急増地域、義務教育学校の助成体制を強化する。御承知のように、昨年は小学校のみこれを三分の一の国庫負担率を二分の一にいたしました。今回は小、中学校――中学校を含めて国庫負担率を二分の一から三分の二に引き上げるというわけで、急速に対策をとっておるわけであります。もとより下水道であるとか、このごろ保育所が人口急増地域では特に家庭的な事情等を含めて強く要請されております。これらの対策は十分今後も財政的に配慮すべく検討をいたしたいと思います。
 地方の公営企業につきましては、総理からも御答弁がありましたが、何と言いましても、これは地方の努力と相まって問題を解決するということでない限り、国がただ助成措置を講ずればそれでいいというていのものではないと思います。やはり国は微々たるということでしたが、相当今度は胸を張って相当な大規模な助成措置をしたものということが言えるのではないかと、政府としては考えておるわけでありまするが、何といっても地方公共団体において、この再建方途について、よほどこれは努力をしていただかなければならぬというふうに考えております。すでに特例債の発行とか孫利子の補給等々については御質問の中に御指摘されたほどで、よく御存じのとおりであります。いずれ、現在法案として提出いたしておりまするので、また十分御審議をわずらわしたいと思いまするが、今回の政府措置によって相当難問題は解決されるものというふうに期待をいたしておるような次第でございます。
 超過負担につきましても、これまた総理から御説明がありましたが、これは御承知のように、全く国と地方の財政秩序を乱すことにもなりかねません。また、地方公共団体の財政基盤をゆるがすというようなことになってはたいへんでありまするので、各省庁と協力をして、本年度調査をし、来年度と四十九年度の二カ年にわたってこれが措置をすることにいたしたわけであります。
 二千億に及ぶのだ、こういう御指摘がありました。これは、県知事会等において調査された経費が二千億。で、私どもが調査いたしましたのは六種目、六項目に限っております。県知事会等は、国の補助を受けるものを全項目にわたって累計をし、しかも、これに人件費、運営費、事務費等々すべてを加味したものが二千億という数字であります。これも、政府から見まするというと、千五百億円程度ではなかろうかというふうに思っておりまするが、多少積算の根拠に違いがありまするので、この点は御了承を願いたいと思います。
 電気ガス税につきましては、総理からお話がありましたとおり、まことにゆかりの深い税というわけで、二%程度減税したらどうだというお指図がございましたが、これが地方税源として非常に安定的、固定的な要素を多分に持っております。そこで、ことしは一%ということで決定をしたわけでありまするが、しかし、大衆課税になってはならぬ、これは御指摘のとおりだと思います。で、これは、所得の多い人は電気をよけい使う、あるいは所得の多い人はガスをよけい消費する、一種の消費税的なこれは性格を持つ税金で、要するに、支出面からその担税力を捕捉するという意味もあるわけであります。したがって、大衆課税になってはならぬという点では、電気の場合は八百円を千円に、ガスの場合は千六百円を二千百円にする。ですから、今後はやはりこういう点を十分考えまして、免税点を措置することとして、税率については、いま地方の安定した税金という点で、これを廃止するということはちょっと現在の段階では考えておりません。
 以上お答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#55
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 四十八年度の地方財政におきましては、地方税及び地方交付税等の一般財源が四十七年度に対しまして約一兆六千百億円の増加を示すと見込まれるわけでございますが、これは、四十六年度から四十七年度への増加額が七千八百億円余りでございますので、これと比較いたしましても相当な伸びでございますし、これはだいじょうぶ確保されると見込んでおります。このような状況を背景にいたしまして、四十八年度の地方財政は順調に推移するものと考えております。したがいまして、当年度においてはもとよりでございますが、地方交付税制度の趣旨から申しましても、交付税率というような大切なものはみだりに変更すべきものではない、かように考えておる次第でございます。
 四十七年度に、超過負担について関係各省の協力によって実態調査をいたしましたことは、私は非常に意義が深かったと思います。そうして共同の実態調査の結果を二分いたしまして、四十八年度と四十九年度に国の予算の上でも処理をはかることといたしましたことは、いわゆる超過負担の問題は相当前進することになったと思いますが、今後にきおましても超過負担のできませんように、一そう関係各省の意見を聞きながら補助事業全体の推進をはかりたいと、かように考えております。
 公営交通対策につきまして、国がもっとやるべきではないかという御趣旨の御質問でございましたが、これは、ただいま総理からも御答弁がございました趣旨に基づきまして、たとえば路面交通、バス、市電の関係で申しますならば、財政再建債に対する利子補給を拡充をいたしました。それから再建事業に対するバス購入費の補助も新たに国の予算で考えることにいたしました。それから路面交通の関係におきましても相当の援助をすることにいたしました。さらに、大きなのは地下鉄の関係でございますが、建設費補助金の補助率の引き上げ、これは先ほど御言及になった点でございますが、三三%に引き上げる。それから六年分割、従来は八年分割でございましたものを六年にいたします。
 また、特例債、これは建設債の利子借りかえ債でございますが、それの利子補給の拡充もすることにいたしまして、地下鉄だけの計で申しましても百五十億円という、国といたしましては相当の努力を前向きに四十八年度予算の上で示したわけでございますが、今後こういう考え方で協力をいたしたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣新谷寅三郎君登壇、拍手〕
#56
○国務大臣(新谷寅三郎君) 大都市における交通が非常に渋滞しておりまして、国民の方々に御迷惑をかけておりますことは、まことに遺憾にたえません。これを打開いたしますためには、各交通機関にはそれぞれ非常な特色がございますから、その特色を生かしまして、バス、地下鉄、私鉄、国鉄等の大量公共輸送機関を十分に活用いたしますことによって、国民に便利で快適な輸送サービスを提供するように配意をしなければならぬと考えておるのでございます。との場合、国鉄及び私鉄につきましては都市間の旅客輸送、大都市の通勤通学輸送、地下鉄につきましては大都市内の交通、バスにつきましては都市鉄道の補完、地域住民の足の確保というような観点に重点を置きまして、それぞれその機能を十分に発揮させるように措置することが必要であると考えております。
 これらの国鉄、地下鉄、私鉄、バス等につきまして、四十八年度予算におきましていろいろの財政措置を講じておりますことにつきましては、いま大蔵大臣から詳しくお述べになったとおりでございます。
 一つ補足をして申し上げますが、御質問の中に、過密都市における路面交通対策についてお触れになりました。特に、バス事業についてお触れになったように聞いたのでございますが、この問題につきましては、運輸省におきまして、大量公共輸送機関としてのバスの機能を回復、向上せしめるために、昨年の末にバス専用レーン、優先レーンの設定とか、路線網の再編成、それから、都市用の車両の開発などを内容といたしまして、大都市バス輸送改善対策を策定いたしたのでございます。今後この対策に基づきまして、各都市ごとに具体的にその計画をきめまして、関係機関の協力のもとに、おおむね五カ年を目途にいたしましてその達成をはかることにいたしております。(拍手)
#57
○副議長(森八三一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#58
○副議長(森八三一君) 日程第四 国家公務員の寒冷地手当に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長高田浩運君。
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   〔高田浩運君登壇、拍手〕
#59
○高田浩運君 ただいま議題となりました法律案は、昨年十二月二十七日の国家公務員の寒冷地手当についての人事院勧告を完全実施するため、北海道に在勤する職員に支給する寒冷地手当の基準額に加算する額を、甲地及び乙地についてそれぞれ引き上げ、昭和四十七年八月三十一日の基準日から適用しようとするものであります。
 委員会におきましては、今回、定額分を引き上げなかった理由、加算額引き上げの根拠、世帯区分の変更に応ずる支給額の調整等について質疑が行なわれましたが、その詳細は、会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、附帯決議が全会一致をもって付されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#60
○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#61
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#62
○副議長(森八三一君) この際、日程に追加して、
 国会議員の秘書の給料等に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○副議長(森八三一君) 御異議ないと認めます。
 まず、委員長の報告を求めます。議院運営委員長植木光教君。
   〔植木光教君登壇、拍手〕
#64
○植木光教君 ただいま議題となりました法律案は、第一に、国会議員の秘書の勤勉手当にかかる在職期間の計算上、議員の任期満限または衆議院の解散により退職し、四十日以内に再び秘書となったものは、その期間引き続きその職にあったものとすることとし、第二に、期末、勤勉手当の基準日前に、議員の任期満限または衆議院の解散により退職し、基準日後に行なわれた選挙後直ちに再び秘書となったものに対し、基準日まで引き続き在職したものとみなして、これらの手当を支給することとし、その他、これらの措置に伴う所要の整理を行なおうとするものでありまして、昭和四十七年十一月十三日から適用しようとするものであります。
 以上が本法律案の内容でありますが、委員会におきましては、審査の結果、全会一致をもって可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#65
○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#66
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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