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1972/04/20 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第13号
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1972/04/20 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第13号

#1
第071回国会 本会議 第13号
昭和四十八年四月二十日(金曜日)
   午前十時七分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第十三号
  昭和四十八年四月二十日
   午前十時開議
 第一 機械類信用保険法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正
  する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 金属鉱業等鉱害対策特別措置法案(内閣
  提出、衆議院送付)
 第四 国家公務員等退職手当法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 飼料用米穀等の売渡価格等の臨時特例に
  関する法律案(衆議院提出)
 第六 法人税法の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
 第七 租税特別措置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対す
  る緊急措置に関する法律案並びに生活関連物
  資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等
  に関する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 岩本政一君、浅井亨君から、いずれも病気のため二十三日間請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(河野謙三君) この際、国家公務員等の任命に関する件についておはかりいたします。
 内閣から、日本銀行政策委員会委員に武田満作君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、これに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#7
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案
 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等に関する法律案
 以上、両案について、提出者から順次趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。小坂国務大臣。
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(小坂善太郎君) 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 最近、世界的な原材料の一時的供給不足、過剰流動性等を背景として、わが国内においても、投機的な需要が発生し、これが一部の生活関連物資にも及んでおりまして、これらの物資の価格の高騰は、国民生活の安定にとって重大な脅威となっております。
 このような現下の情勢に顧みまして、政府としては、緊急輸入の促進、政府在庫の放出、商品取引所の規制、過剰流動性の吸収等の諸施策を行なっておりますが、これらもろもろの行政措置にあわせて、これらを補完するものとして、自由主義経済における企業活動の自由との調整をはかりつつ、行き過ぎた企業活動に対し、これを抑制する措置をとることは、当面の緊急課題であります。
 この法律案は、このような観点から、生活関連物資の価格の異常な上昇を招来するような買い占めまたは売り惜しみを防止するため、特定物資について、企業に対する立ち入り検査等を行なうとともに、買い占めまたは売り惜しみを行なっている者に対し、勧告、公表を行なう等の緊急措置を定めることにより、国民生活の安定に資せんとするものであります。
 次にその要旨を御説明申し上げます。
 第一は、特定物資を指定することであります。
 生活関連物資の価格が異常に上昇しまたは上昇するおそれがある場合において、買い占めまたは売り惜しみが行なわれまたは行なわれるおそれがあるときは、その物資を特別の調査を要する物資として政令で指定いたします。
 第二は、特定物資についての調査であります。
 指定された特定物資については、内閣総理大臣及び主務大臣は、その価格の動向及び需給の状況に関し、必要な調査を行なうこととしております。
 第三は、買い占めまたは売り惜しみを行なっている者に対する勧告及び公表であります。
 すなわち、内閣総理大臣及び主務大臣は、特定物資の生産、輸入または販売の事業を行なう者が買い占めまたは売り惜しみにより、その物資を多量に保有していると認められる場合には、その者に対し、内閣総理大臣及び主務大臣の定める基準に従い、適当と認められる売り渡し先及び売り渡し価格を指定し、期限を定めて、その特定物資の全部または一部を売り渡すべきことを勧告することができるとともに、その勧告に従わない者については、その旨を公表することといたしております。
 第四は、買い占めまたは売り惜しみを行なっていると認められる者等に対する立ち入り検査等についてであります。
 内閣総理大臣及び主務大臣は、その必要な限度において、特定物資の生産、輸入もしくは販売の事業を行なう者に対し、その業務に関し報告をさせ、またはその職員に、これらの者もしくは特定物資を保管していると認められる者の事務所、倉庫等への立ち入り検査等を行なわせることができることとしております。
 このことにより、当該事業者の実態把握ができるとともに、自後の適切な措置が可能となると考えます。
 第五は、価格調査官の設置についてであります。
 すなわち、立ち入り検査等の職務を行なわせるため、経済企画庁及び主務省に価格調査官を置くこととしております。
 以上のほか、罰則等の所要の措置を定めております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。(拍手)
#10
○議長(河野謙三君) 衆議院議員松浦利尚君。
   〔衆議院議員松浦利尚君登壇、拍手〕
#11
○衆議院議員(松浦利尚君) 日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党四党提出、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 最近における卸売り物価の上昇は、残念ながら田中内閣の無策ゆえに、暴騰に一そうの拍車をかけ、日銀統計によれば、一月の上昇率は前月比一・五%高、二月は前月比一・六%高、三月は前月比一・七%高としり上がりに騰勢が強まり、終戦直後を除けば戦後最高に達し、年頭初から実に上昇率は五・一%に達しております。
 この急激な卸売り物価の上昇が消費者物価に重大な影響を与え、総理府統計局の発表によっても三月は前年同月比九%という異常な値上がりとなり、国民生活に深刻な打撃を与えています。この最大の原因が田中総理の的はずれな日本列島改造論からくる大型財政、金融の超緩和、そして巨額な過剰流動性にあることは明らかです。それが土地、株価の異常な高騰に拍車をかけ、投機とインフレ・ムードをつくり出しています。こうした中で、買い占め、売り惜しみの投機商法が助長され拡大していることを何人も否定できません。大豆、木材、羊毛、生糸、綿糸、セメント、鮮魚から米、果てはガーゼ、植樹用樹木まで、ありとあらゆる物資がいまや買い占め、売り惜しみの対象になっています。新学年を迎えた児童は高い学用品に泣き、主婦は安い食糧を求めて走り回り、請負大工は建築材の値上がりに苦しみ、公共事業や災害復旧までもセメント不足に停滞ぎみという戦後最悪の事態になろうとしています。
 特に総合商社の活動はラーメンからミサイルまで、もうかる物には何でも手を伸ばし、国税庁の発表を見ても、昨年一年間の所得番付は大手商社の急上昇ぶりを示しています。住宅建築の材料となる外材輸入は大手商社十社が輸入総量の七〇%を占め、大豆輸入についても、上位二社で三三・五%、配合飼料用原料は上位二社で六四・一%、小麦は上位二社で三六・一%、羊毛上位四社で六〇%、綿花上位二社で三一・九%等、自給率が低下し、資源を海外に依存する割合が増大し、国民生活が海外の資源供給にまたなければならないとき、大手総合商社の輸入に占めるシェアが増大すれば増大するほど、商社の売り惜しみは国民生活に重大な支障を与えます。しかも、商社の過剰流動性は十大商社だけでも二兆六千億といわれ、商社活動はますます活発化し、大商社の海外における買い占め合戦は、国際価格の高騰すら引き起こし、国際的なひんしゅくを買っています。しかも、国内では輸入物資について、大手商社がインテグレーションを実現し、巨大な流通支配が進み、物資のストック・ポイントを多元化することによって、商品価格を操作することも可能になっています。同時に、膨大な資金を使って、国内生産物資にまで買い占めの手を伸ばし、大手商社十社の取り扱い高全体に占める国内取り扱いの比率は年々上昇し、五七%近くになっています。こうした商社の活動は、生産や販売の事業を行なう者すべてに買い占め、売り惜しみを当然のように行なう風潮をつくり出し、まさしく日本列島総ギャンブル社会を現出させてしまいました。
 これほどまでに事態を悪化させ、しかも、それを放置してきた責任はだれにあるのでしょうか。それは、数多くの提言にもかかわらず、それを実行しなかった政府行政主体に問題があることは言うをまちません。国民の生活に直結する生活関連物資を安く買い占め、高く売り込んだり、あるいは買い占め、売り惜しみによって高い利得を得る企業に対して、自由経済、資本主義経済だということだけで国民が容認するでしょうか。
 国民は、価格が暴騰したからといって購入しないで済むものではなく、現物が不足しているからといって済まされるものではありません。こうした問題に対して、おのずからきめられたモラルとしてのルールを守らせること、すなわち、生活関連物資の買い占め及び売り惜しみに対する規制措置等を定めることにより、国民生活の安定の一助に資することを目的として、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な政府案との相違について御説明いたします。
 第一に、政府案にはありませんが、規制することを明らかにした生活関連物資については生産、輸入、販売業者に、買い占め、売り惜しみで不当利得をしてはならないとの義務規定を設けていることであります。
 第二に、政府案は特別調査物資指定の解除を認めていますが、野党四党案ではこれを認めていないことであります。
 第三に、政府案では勧告する場合、「多量に保有している」場合としておりますが、野党四党案では「多量」は条件としていないことであります。
 第四に、政府案にはない売り渡し命令を定めていることであります。
 第五に、経済企画庁長官に主務大臣に対する資料提出、説明要求権を認めていることであります。
 第六に、都道府県知事に意見具申権を認めていることであります。
 第七に、政府に国会に対する報告と公表を義務づけていることであります。
 第八に、総理府に学識経験者による生活関連物資規制審議会を設けていることであります。
 第九に、総理大臣及び主務大臣の権限を都道府県知事に委任できることを認めていることであります。
 最後に、売り渡し命令に違反した者は二年以下の懲役または五百万円以下の罰金、虚偽報告、検査拒否をした者には一年以下の懲役または二百万円以下の罰金を課すなど、きびしい罰則を定めていることであります。
 以上が、日本社会党・日本共産党・革新共同、公明党及び民社党提出の生活関連物資の買占め売惜しみに対する規制措置等に関する法律案の趣旨でございます。
 何とぞ十分な御審議の上、全会一致で野党四党提案に賛成されるようお願いいたしまして、提案趣旨説明を終わります。(拍手)
#12
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。伊部真君。
   〔伊部真君登壇、拍手〕
#13
○伊部真君 私は、日本社会党を代表して、内閣提出、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案に対し、田中総理並びに関係閣僚に質問を行ないます。
 最初に、この法案を提出されるに至った背景と基本的な問題についてお尋ねをいたします。
 土地は、この一年間で東京圏で三四%、大阪圏で二八・一%、名古屋圏で二五・七%も上がり、セメント、木材もここ数カ月で二倍に値上がりをいたしました。さらに、このような物価高騰の渦は国民の生活物資に広がり、繊維製品、米、大豆、マグロから庭木にまで異常な値上がりを広げておるのであります。日銀の四月十三日発表の統計によりましても、卸売り物価指数は三月現在前月比一・九%、前年同月比一一%の上昇となり、十四カ月の続騰を記録し、政府見通しの卸売り物価指数年平均二・二%をはるかにこえることは明らかになりました。消費者物価指数の政府見込み五・三%は、この三月の東京都の指数前年比九%を見ても、大幅に狂うことは明らかであります。
 このような状態を生んだ最大の原因と元凶は、はたして何であり、だれなのでありましょうか。大企業、大商社の反社会的なもうけ主義も当然非難され、追及されなければなりませんが、戦後、輸出競争力を至上のものにして生産第一主義をとり、大企業を督励し、金融、税制の面で手厚い優遇策をとり、諸外国からはエコノミックアニマルと言われながら、金の交換性のない印刷物に成り下がったドルを蓄積し、一昨年のドルショック以降も有効な政策の転換をはからなかった政府の責任は重大であると言わなければなりません。ささやかな生活の基盤を根こそぎ破壊されようとしている、そうしてそのインフレの波を必死になって防いでいる庶民が、今日の政治の仕組みに深い疑問を持ち、不信と怒りを爆発させていることは当然であります。田中総理、この庶民の怒りをどのように受けとめておられますか。
 また、日本列島改造論が土地、物価騰貴の引き金になったことは明らかであります。総理、その責任をどのようにお考えでありますか、お答えをいただきたいと思います。(拍手)
 国際収支の改善、国内経済の転換は、労働者の賃金水準の向上、年金の拡充から出発すべきであると思います。この春闘の中で、総理は進んで大幅な賃金引き上げと時間短縮、週休二日制を指導し、欧米では常識になっている公務員労働者のスト権を認めることを決断し、労使間の秩序を高めることに努力すべきだと思います。さらに、争議が社会的にも、国民生活の上にも重大な影響を与える事態となり、またはそのような事態が予測される場合には、政府の果たすべき役割りは重大と言わなければなりません。総理の所信をお伺いいたします。
 次に、経済企画庁長官にお尋ねをいたします。
 消費者物価、卸売り物価の高騰は国民生活を圧迫し、日本経済に重大な影響を与え、新年度政府予算事業計画にも支障を来たすことは明らかであります。その意味でも政府の責任は大きいと思います。四十八年度の新しい消費者、卸売り物価指数の政府の見通しを明らかにしていただきたいと思います。
 続いて、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 大企業の手元流動性を高めるような流動性過剰の状態に対し、今日まで預金準備率の引き上げや公定歩合の引き上げ等が行なわれましたが、全体として金融、為替政策が弾力性に欠け、手おくれとなったのではないかと思うのでありますが、お答えをいただきたいと思います。また、通産省調査によって明らかなように、六商社だけを見ても、四十六年八月以降九千五百億もの手元流動性が増加した上に、銀行借り入れもふえ、保有有価証券は六千七百億も増加している事実を見て、金融機関が積極的に貸し出し増の政策をとり、借り入れ金の返済を拒否するような態度があったのではないでしょうか。またそれに対し、政府の誘導、規制が甘かったのではないでしょうか。その点をお答えをいただきたいと思います。
 次に、通産大臣に、セメントの需給計画と公共投資の関連についてお尋ねをいたします。
 ある自民党の会合で言われたような、商社に物を吐き出させたし、韓国から一万トンのセメントを持ってくるようにしたし、牛肉も輸入するようにしたので、もうだいじょうぶだ、物価はぐうんと下がる、というようないいかげんな答弁では困ります。セメントの四十七年度の出荷実績は六千九百八十万トンで、四十八年見込みは八千万トンをこえます。一万トンの貢献割合は、総理が言われたように、三階から目薬程度と言わなければなりません。セメントのように保存保管に難点がある品物については、需給予測に誤りがあれば問題が起きるのは当然であります。新幹線、縦貫道路の関係で、前年に比べ、中国地方で一五〇%、暖冬異変の関係で北海道でも二〇〇%をこえる需要増が云々され、全般的な需要予測が大きく狂っておるのではないでしょうか。このような政府の需要予測の誤りと政府関係公共事業が、セメントの値上げに一役買ったのではないかと思います。そうだとすると、建築業者、このセメントをたよりにして生活をしている中小企業者に多くの倒産が出ている責任は重大だといわなければなりません。
 次に、商社の買い占め、売り惜しみに関連して質問をいたします。物価騰貴の全責任を商社にだけ負わすのは、本質を見誤ることになり、適当ではありませんが、価格騰貴率の高い品目を見ると、木材、羊毛、綿糸のように、輸入依存度が高く、商社の市場占有率の高い品物に集中している点に注目せざるを得ません。また、羊毛を考えてみますと、四十七年の羊毛輸入量は前年より二一・七%も増加し、消費の伸びは同期間で七・一%にとどまり、需給関係は均衡がとれているはずなのに品不足の声が高まったことは、明らかに流通過程で買い占め、売り惜しみがあったことを示しております。その間、六商社の経営状態は、有史以来の好成績で笑いがとまらない状態となりました。四十七年の売り上げ総額は六商社で九兆円、経常利益は五百四十二億円、利益は百四十八億円であったものが、四十八年三月末の売り上げは十一兆円、経常利益が七百十八億円、利益では八〇%増しの二百六十四億円となっていることを見ても、その異常なもうけぶりがわかります。このような企業の巨大な資金力を利用し、国民にしわ寄せをして利潤を追求する反社会的な行為は、当然追及されなければなりません。
 また一方、寡占化独占率が高まり、輸入と国内の流通、保管機構を大企業が支配するようになったとき、従来のように価格が需給を調整し、需給の円滑化によって価格を安定させるという競争原理のみにたよることは危険ではないでしょうか。寡占価格規制の立法化等の措置を考えるべきだと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
 また、商社には、もうけのためには何に手を出してもよい、取れるだけマージンを取ればよいという考え方が潜在しています。業界も反省し、行動基準を考えているようでありますが、大企業の行動基準設定に加えて流通過程を徹底的に追跡し、流通機構のあり方、マージン率が妥当かどうかということを審査をして、その審査に基づいて指導基準を設定することが必要ではないでしょうか。
 さらに、故ケネディ大統領が一九六二年、消費者白書を発表をいたしました。その中に四つの権利を宣言いたしました。すなわち、安全を確保する権利です、選択をする権利です、情報を得る権利です、主張を聞かせる権利であります。このような行政を進んで消費者に保証すべきではないでしょうか。特に情報を提供し、主張を聞くための機関と機会を持つべきであると思いますが、そのためには、商社に一定量以上の在庫量がある場合には、常に報告させる責任を負わすこと、消費者の主張を常時聞くための政府機能を持つことが必要であると思うのでありますが、通産大臣、経済企画庁長官の見解を求めたいと思います。
 次に、法案の具体的内容について質問をいたします。
 第一に、野党案では、特定物資の生産、輸入または販売の事業を行なう者が買い占め、または売り惜しみにより物資を保有していると認めた場合、売り渡しを勧告し、従わなかったときは公表、ときには売り渡しを命令する、それに従わなかった場合は罰則を適用するとなっています。私はしごく当然のことであると思います。政府案は、勧告し、公表するが、その後は業者の良識に期待するということです。良識が守られているときは問題はないのです。大企業、商社の体質の中に反社会的な良識を逸脱する危険性が存在するから、それを規制するというのがこの法案の最大のポイントであります。物統令でも、不当な利益を得る目的をもって買い占め、売り惜しみを行なったものには、罰則を適用すると明記されているではありませんか。命令、罰則のない精神訓話のような法律でほんとうにあらしのような今日の高物価、悪性インフレの流れを静めることができるでありましょうか。総理は、自由主義の原則の立場から、放出命令とその拒否者の罰則に反対のようです。しかし、一部の悪徳業者の不正不当な行為のための権利や自由を尊重し、国民全体の生活を守る権利、社会悪を告発する自由を奪ってよいといわれるのでありましょうか。良識を期待したが、裏切られて国民に大きな犠牲があらわれたとき、その責任はだれが負うのでありましょう。総理の責任ある御答弁をいただきたいと思います。
 第二に、国際的にも天然資源の確保と適正な使用が真剣に議論されているとき、オーストラリアでも羊毛が、東南アジアでもゴムが、大量買いが始まり、海外での日本の商社の大量な資源買いが問題となっています。国際信用を維持するためにも、節度のある日本商社の商行為が要請されるのは当然であります。また、外国で買い付けた品物を、商社が外国の港で多量に保管をし、需給関係の調整を行なうというふうなことで、国内の物価に大きな影響を与えるという現象が出ております。このような状態に対して、政府はどのような指導方針を持つのでありましょうか、お答えをいただきたいと思います。
 第三に、野党案には、進んで学識経験者の意見を聞くための生活関連物資規制審査会が提案されております。複雑な商取引、ダミーを使っての流通のからくり、これらを分析し、適正な価格の診断を行ない、どの部分の行為を誘導し、かつまた制限することが適正かなどの民主的な討議をする審査会は当然に必要と思います。経済企画庁長官の見解を求めます。また、物価騰貴の背景と原因を究明するならばするほど、巨大資本が持つ強力な価格形成力、市場支配力、情報の独占力の大きさを評価せざるを得ません。それだけに、規制するほうも相当の決意と力が必要であると思います。音をたてて国民の支持率を落としている田中内閣、人気下落に少しでもブレーキをかけようとお考えなら、直ちに政府案を撤回をし、野党案一本にまとめて、国民の期待にこたえるべきだと思いますが、総理の決断を求め、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(田中角榮君) 伊部真君にお答えをいたします。
 第一問は、改造論と物価との関係についてでございますが、最近における土地、株式や一部商品について見られる投機的な動きは、一つには過剰流動性の存在、二つには海外市況の高騰、及びこれに付随した仮需要等に起因するものでありまして、列島改造論が物価騰貴の引き金を引いたものとは考えておらぬのであります。列島改造は、大都市地域における交通混雑による輸送コストの増高、住宅需要の集中による家賃地代の上昇等、いわゆる過密インフレの諸要因を緩和することに役立つものでありまして、長期的には物価の安定に寄与するものと考えておるのであります。(拍手)
 もちろん、物価の安定は、国民生活の安定のための最重点課題であり、先般、物価対策閣僚協議会において決定をいたしました物価安定対策に従って、今後とも、なお一そう努力を傾注してまいりたいと考えます。
 第二は、春闘に対する基本姿勢でございますが、福祉国家の実現のためには、そのにない手である勤労者の生活改善と福祉の向上を積極的にはかっていくことが必要であることは申すまでもありません。本年の春闘において、労使はそれぞれの主張があると思うのでございますが、私としては、労使が国民経済的な視野に立って、合理的、平和的な解決をはかっていくことを期待しておるのであります。特に、国民の日常生活に密接な関係のある分野については、労使の紛争により一般国民に迷惑が及ぶことのないよう、格段の配慮をするよう切望しておるのであります。
 第三点は、強制力、罰則のない政府案で効果があがるのかとの趣旨の御発言でございますが、間々申し上げておりますように、本法案において、買い占め等をした者に対し、勧告、公表という措置をとることとしているのは、勧告違反者を公表することにより、その者に広く社会的制裁が加えられることを期待するからであります。自由経済のもとにおける買い占め等の行為に対して、行政上、機動的、弾力的に対処するには、これが最も効果的な手段であると考えておるのであります。
 なお、物価統制令十四条違反に該当する者がいれば、司法当局の手で摘発されることは言うまでもないのであります。
 最後に、政府案と野党案についての考えをただされましたが、政府案は、自由経済の原則のもとで、現行の法体系との権衡をはかりつつ、買い占め等の行為に対処するための行政手続及び措置を定めたものであります。政府としては、本来、商行為が自由に許されている経済体制のもとで、買い占め等の行為に機動的かつ有効に対処するためには、政府案が最も適切なものと考えており、撤回する考えもございません。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申し上げます。
 まず第一点は、四十八年度の物価見通しを修正する気はないかということでございましたが、最近の物価高の状況に対応いたしまして、御承知のように、公定歩合を大幅に引き上げ、預金準備率を二回にわたって引き上げるなど、総需要対策、また過剰流動性対策に万全を期し、緊急輸入の実施、商品取引所の立ち会い停止など、投機対策を講じてまいっておるなどは御承知のとおりでございまして、さらに、先般、物価対策閣僚協議会におきまして、七項目からなる総合的な物価安定対策を決定したことは御承知のとおりでございます。
 また、それをさらに補完するものとして、いま御審議いただいておりまする生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案をお願いしておるのでございまして、これを早く、われわれの手によってこの法律の趣旨を行動に移すことができまするようにしていただくことによって、相当の効果を生ずるものと考えておるわけでございます。また、消費者に対しまして、物資の生産が現在順調にいっておること、したがって、また、物価の見通し等についても誤りない情報を提供することによって、先ごろからの、何と申しますか、いわば仮需要の大波というようなものが鎮静していくことが期待されるのでありまして、現にこの波は退潮しつつあると考えるのであります。
 私といたしましても、先般、消費者団体の代表者の方とこちらから進んでお願いしてお目にかかりまして、今後月一回、この代表者の方々と物価に対する懇談会をつくるということにお願いをしたわけでございます。私は、やはり物価高によって苦しむものも消費者でございまするが、かたがた、物資を消費することによって物価をつくっていくのも消費者であるという観点において、消費者の自衛力を高めるという措置がぜひ必要と考えておるのであります。
 また、四十八年度の予算を通過させていただきましたので、今後は、テレフォンサービスとか、あるいはラジオやテレビによる物価の状況の報告とか、そういうものがよほど機動的になってくるのでございまして、こういうような対策の効果が浸透してくるにつれまして、最近の状況は、御承知のとおり、毛糸、綿糸、生糸、製材等の相場は低落の傾向を示しておりますし、また、変動相場制移行による物価面への好影響も期待されますので、この騰勢は漸次鈍化して、政府の見通しの考えている基調に戻っていくものと期待をいたしておる次第でございます。
 また、物価をめぐるこの環境には、しかしながら、きびしいものがございまするので、政府といたしましては、物価問題の重要性にかんがみて、今後とも諸般の物価対策を強力に推進するということを決意しておるわけでございます。
 次に、この法律案の内容でございますが、強制力、罰則のない政府案でこの目的を達することができるかというお問いでございます。
 私どもは、この点については、ただいま総理からもお答えがございましたけれども、やはりこの勧告、公表という措置をとる。買い占めはいかぬということはもう国民のコンセンサスがあるわけでございますから、これをやっておるぞということを公表するということによりまして、その行為をなした者に広く社会的な制裁を加えることができる。これが自由経済下におけるこの種の買い占め等の行為に対する最も有効的な措置であると考えておるのであります。また、商社のモラルというものについても、先ごろから非常にきびしい反省を求める声がありまして、これは商社自身も強く考えておることでございましょうし、また、商社じゃなくても、そうした買い占めや売り惜しみをしておると思われる者も、十分この点については反省をしておるところであろうと思います。
 そこで、また、この立ち入り検査を拒んだ者に対して、一年以下の体刑がついておるわけでございますが、こういう法律は、非常にこの種の法律としてはきびしい措置であるということを特に申し上げておきたいと思います。
 また、物統令十四条違反に該当する者がありますれば、司法当局の手で摘発されることは、これは言うまでもありません。
 また、この種の法律は、非常に機動的に動いて実効をあげていくということが必要だと思われまして、放出についての命令措置、野党案ではこの命令を出すということになっておりますが、そういうことにいたしますと、今度は反面、立証責任を政府は負うわけでございまして、行政訴訟で負けないというだけの証拠を持って、その上で命令を出すということになります。すなわち、その間に非常に手間どります。こういう手間どる調査をすることによって、現実に物資を放出させるという効果をかえってそぐことになるおそれがあるのでございまして、そういう機会を失なわないために、最も機動的にこの種の法律を活用させていただくためには、この政府案のほうがすぐれておると言わざるを得ないと思うのであります。
 最後に、審議会をつくれという問題でございますが、私どもは審議会や委員会というものをつくって、そして甲論乙駁することよりも、政府といたしましては、常に有識者の意見や消費者、国民大衆の御意見を聞いて、そしてこれをよく腹に置いて、行政の責任者として決断をするということが必要であると存じます。審議会、委員会をつくるということによって機を失うことよりも、行政当局の責任において決断して、機動性を発揮して公正を確保することがよろしい、かように考えておることを申し上げさせていただきます。
 以上御答弁といたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(愛知揆一君) 私に対するお尋ねは、物価高の一大原因である過剰流動性が生じたのは、過去における金融や為替政策等に手抜かりがあったためではないか、こういう御批判でございます。
 四十六年以降、四十七年半ばに至りますまで金融緩和政策がとられてまいりましたが、それは当時、終戦後初めて経験いたしました通貨調整の行なわれたのが、たまたまわが国の不況の状況でありました。で、この際、景気回復を促進するということが当時としては必要なことであって、また、それなりに国民的な経済的要請に基づく適切な施策であったと考える次第でございます。しかしながら、こうした過程を通じまして、流動性というものが多量に供給されたという結果になった事実は否定できないところでございます。したがいまして、このような情勢に顧みまして、ただいま企画庁長官からお話がございましたように、金融面でもいろいろの措置を講じて、量的にも対症的にもきびしく、かつ、こまかな引き締めを行なってまいりましたが、さらに公定歩合の大幅な引き上げを行なう、また、預金金利も引き上げる、こうしたような総合的な対策で民間流動性の吸収につとめておる次第でございます。
 今月の四月、来月の五月のたとえば公債発行にいたしましても、民間部門の流動性の吸収をもねらいといたしまして、四月には三千五百億円の公債を発行いたします。五月には三千八百億円程度の発行規模を予定いたします。そうして、民間部門の流動性吸収に効果をあげたいと思いますが、反面、財政の弾力的な執行につきましては、御承知のように、一般会計、特別会計等を通じ、あるいは財政投融資計画につきましても、弾力的な年度内の運用をきめこまかくいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 同時に、これまた御案内のように、最近の変動相場制移行後の外為会計と民間収支との関係をごらんいただきましても、かつて指摘されたような、外為の大幅な散超傾向というものは非常に是正されてまいりました。こうした状況と政府のとっております財政金融政策というものが、基調的に物価の今後の動向等に大きな影響を与えるものと私は信じておる次第でございますが、さらに、ただいま提案されました法律や、国土総合開発法や、あるいは土地税制や、さらには、生鮮食料品あるいは流通機構等についての四十八年度の歳出予算の執行もいよいよ始まりつつあるわけでございますから、これらが総合的に効果を発揮いたしますれば、物価の安定ということに対しては、私は大きな期待を持つことができるであろう、かような確信のもとに努力を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(中曽根康弘君) セメントにつきまして、いろいろ御心配をおかけいたしまして恐縮に存じます。天候がことしの冬は非常によかったことと、景気が急速に回復いたしまして需要が非常にふえてまいったのでございます。特に中国地方におきましては、新幹線、高速道路、災害復旧という工事量が非常にふえてまいったのでございます。中国地方の状況を申しますと、ことしの一月は四十五万九千トン、昨年に比べて三五%増しの販売量を見ております。二月が五十六万九千トン、昨年に比べて一三八・六%、三月が七十万トン、一五五・四%、昨年の約半分ぐらいのプラスを配当しているわけでございます。北海道は、一月が五十二万トン、これは二〇二%です。二月が八十四万トン、二五二%、三月が百十三万トン、二六四%、これは雪がなかったということで工事量が進んでいるという結果でもございます。
 そこで、緊急増産をやらしておりまして、現在、月七百万トンベースでフル稼働をやっております。本年の需要が、昨年に比べて約一八%増しと見まして、八千八十万トンの予定でございまして、千三百万トンばかりの増産をやらしておりまして、これは各社の社長とも了承して、できる見込みでございます。それで数量的には本年は需給が合うという考えでおりますが、第一四半期、特に四、五月は遺憾ながら逼迫傾向でございます。そこで、四、五月にわたりまして、官公需を切りまして、七十万トンばかりを繰り延べさせて、これを民間のほうに充当することにいたしております。
 それから市中の袋物、大工さんや左官屋さんが市中から購入しているものは、大体総生産量の三%でございまして、月に直すと十八万トン程度でございます。これを五%に引き上げまして、市中の袋物を緩和するようにいまやっておる最中でございます。
 なお、地域別にセメントの需給協議会をつくりまして、需給関係を調節してやっております。
 第二に、商社の問題でございますが、御指摘のように、確かに一部の商社に行き過ぎがございまして、羊毛、毛糸、綿糸、生糸等について、買い占め、少なくとも買い急ぎといわれる疑いがございました。そこで、商社に対する規制を行なわなければならないというので、今回の立法、御審議をお願いした次第でございます。
 御質問の中で、競争原理がもう立たないのであるから、立法で規制したらどうかという御質問がございましたが、なるたけ経済行為は自由にやらして、創造力を動かしたほうが適切であると考えております。しかし、それを逸脱する分については独禁法がございます。また、自由の乱用につきましては、この法律を適用いたしまして、調査、勧告等を適切に実行していきたいと考えております。
 それから流通の過程でマージンを審査する考えはどうかという御質問でございますが、一定の限度を逸脱した大幅のマージンについては、情勢により行政指導ないしはこの法律の発動によりまして、これを規制する必要があると思いますが、これは、この法律の制定を待ちまして、運用を行ないまして、推移を見たいと思う次第でございます。
 それから消費者に対して在庫報告あるいは情報を適切に与えよという御指摘でございますが、この点はまことに同感でございます。
 通産省といたしましては、試買検査とか比較テストの結果を公表して消費者団体に通知したり、それから家庭用品品質表示法に基づきまして、品質表示等をいま厳格に行なわさせるようにしておりますと同時に、国の検査機関に消費者向けのテスト室を設置いたしまして、消費者団体にこれを利用していただく。府県の生活センターにおきましても同様にしていただくように指示しております。なお、テレビ放送やパンフレットや映画やその他によりまして、適切に情報を提供することを企画庁と打ち合わせておるところでございます。
 一番大事なのは、国際商品の動向を早くお知らせするということでございますが、今回の経験にかんがみまして、正確な情報を迅速にお知らせする方法を講じていきたいと思っております。
 なお、消費・価格問題懇談会、あるいは消費生活改善監視員、全国で七百十五名おります。それから消費者価格モニター、五百十名ございます。こういう機関を通じまして、動向を調査して、その結果につきましてもいろいろ御報告申し上げたいと思っております。
 なお、四十八年度から苦情受付私書箱制度というものをやりまして、一般の皆さま方の苦情を受け付けて、迅速に反応いたしたいと思っております。
 以上でございます。
    ―――――――――――――
#18
○議長(河野謙三君) 柏原ヤス君。
   〔柏原ヤス君登壇、拍手〕
#19
○柏原ヤス君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま政府から提案のありました生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案に対し、若干の質疑を行なうものであります。
 まず最初に、この法律案提出の背後にある物価の問題、諸物価の暴騰の現状を総理はどう認識されていますか。従来、わが国の物価には、卸売り物価は比較的安定していますが、消費者物価のみが上昇するという特色がありました。しかし、この安定していた卸売り物価も、ことし三月で、十四カ月間続騰し、この三月の高騰ぶりは、前の月に比べて一・九%、これを昨年の三月と比べますと、実に一一%という上昇となり、日銀が指数をとり始めて以来の最大の上昇を記録しております。一方、消費者物価も、三月の東京都区部の上昇率は、これも九%という高率となっております。これは、四十六年九月の台風災害による急騰を除くと、昭和三十年代以降最大の上げ幅を示しているのであります。まさに悪性インフレという新局面を迎えたと言わざるを得ないのであります。
 そこで、過日発表された政府の当面の物価対策を見ますと、従来とほとんど変わらない内容であり、諸物価暴騰の現状に対して、全くの認識不足であると言わざるを得ません。なぜならば、公共料金については一言も触れていません。もし政府に、物価問題に対する正しい現状認識と、それに対し真剣に取り組む姿勢があるならば、まず、政府みずからが決定する料金についても検討するのが当然であります。物価が上がるのではないかという心理的なものを除くためにも、また、便乗値上げを防ぐためにも、国鉄運賃の値上げ、あるいは公共料金の値上げについては、一時ストップすることも十分検討する必要があると考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 あわせて、現在の商品投機の原因とされている過剰流動性の吸収に税制の活用、たとえば法人税を中心に前納制度の導入や、投資準備金の徴収及び還付制度の創設など大胆に活用するお考えはないか、大蔵大臣にお尋ねいたします。また、生活関連物資の輸入の自由化及び関税の引き下げを早急に実施する必要があると考えますが、具体的計画があれば、これは通産大臣にお示しいただきたいと思います。
 さらに、流通の問題で経済企画庁長官にお伺いいたします。マグロなどの例を見ると、市場のせりに出てくるのは、船から水揚げされたものではなく、問屋や商社の冷凍施設から少しずつ出されてくるそうであります。このマグロが保管されている冷凍施設の中には、政府が国民の血税を使い、助成をしたものもあります。すなわち、価格安定のための施設が裏目に出て、価格引き上げに利用されているわけであります。このような中間流通段階にも、この際メスを入れるべきであると思いますが、いかがでしょうか。
 次に、土地問題についてお尋ねいたします。
 先ごろ発表された地価公示価格の昨年一年間の上昇率は、全国平均で三〇・九%というすさまじい高騰を示しております。わが国の場合、この土地問題を抜きにしてインフレ対策はあり得ないと思うので、一日も早く、地価をきびしく抑制できる応急の対策を立てるべきであると考えます。残念ながら、先ほど申し上げた、政府の当面の物価対策、これには、このことについても一字も触れておりません。三〇・九%という地価の高騰は、明らかに大企業、商社による土地の買い占め売り惜しみによるものであります。したがって、当然この土地の買い占め、売り惜しみを本法案の対象にして、早急にその実態を調査すべきであると考えますが、総理の御見解を伺いたいと思います。
 さらに、商社の系列支配、市場支配についてお尋ねいたします。
 公正取引委員長は、商社などの買い占め、売り惜しみについては、独禁法を活用して規制することに無理がある、としていますが、買い占め、売り惜しみを容易にしている総合商社の株式所有や、資金援助による系列支配あるいは、総合的企業力による市場支配の現状について、競争促進政策上どのように評価しているか、また、これにどう対処するか、公正取引委員長の御見解をお伺いいたしたいと思います。
 そこで、本法案についてでありますが、政府案によりますと、買い占め、売り惜しみという行為そのものに対しては禁止条項もなく、あいまいな態度であり、買い占め、売り惜しみをしていると認められるものに対しても勧告し、それに従わない者は公表するという程度であり、買い占め、売り惜しみ行為を防ぐ強力なきめ手には絶対になり得ません。なぜならば、通産省が去る三日に、大手商社の実態調査を公表し、業界の自粛を要請しておりますが、業界にとっては、馬の耳に念仏で、逆に反発する態度すらあったと聞いております。また、通産省が不買運動を呼びかけたのも、こうした単なる行政措置の限界を示すものでしかありません。このような例からもわかるように、こうした悪質な投機に対してはどう対処するのか、経済企画庁長官にお尋ねしたいと思います。
 次に、わが党の有島議員が、衆議院において、最高裁の判決を引用し、個人の経済活動の自由は、精神的自由と異なり、合理的な規制措置をしても違憲ではない、と追及しております。総理は、投機による反社会的行為は許されないとしながらも、行政措置の補完にすぎない法律として、この法案を提出しております。
 買い占め及び売り惜しみのおそれがあると公表するだけの手ぬるい本法案を取りやめて、野党四党の共同提案の規制法案に賛成し、国民経済の健全な発展をはかるお考えはないか、総理の決断をお伺いしたいと思います。
 もし、野党共同提案に反対であれば、膨大な資金力と、張りめぐらされた情報をもとに、あくなき利益を追求していく総合商社の行き過ぎた行動を規制することはできません。したがって、商社の事業範囲を含め、商社本来の使命という点から、また、商社の活動を国民経済の利益に結びつけていくために、商社事業法といったものを検討する必要があると思いますが、通産大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
 最後に、この際、本年度の物価見通しと責任の所在についてお尋ねいたします。
 諸物価暴騰という深刻な事態を迎えている現在、政府は、悪質な投機に対して、実効のあがらない骨抜きの措置で対処しようとしております。そればかりか、物価高騰に拍車をかける公共料金の値上げだけは強行しようとしております。これで本年度の物価見通し、すなわち、卸売り物価二%、消費者物価五・五%の上昇率にはたしてとどまるものかどうか、総理の責任ある御答弁をお伺いいたします。また、その範囲におさまらなかった場合には、責任をどうとられるのか、明快な御答弁をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(田中角榮君) 柏原ヤス君にお答えをいたします。
 第一問は、物価の上昇についての現状認識いかんということでございますが、先ほども申し上げたとおり、最近の物価の値上がりは、景気上昇に伴う需要増が背景でございますが、世界的な農産物の不作による海外市況高や、過剰流動性に起因する一部市況商品の投機的動きなどが影響しておるものと考えておるのでございます。
 政府は、これまでも過剰流動性対策、投機対策等諸般の対策を講じてまいりましたが、四月初め、公定歩合を大幅に引き上げるとともに、先週、物価対策閣僚協議会におきまして、七項目の施策を決定いたしたのでございます。今後とも、これら諸施策を強力に推進をして、物価の安定につとめてまいりたいと考えるわけでございます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次は、国鉄運賃、その他公共料金についての御発言でございますが、公共料金につきましては、従来から、その引き上げについて極力抑制をしてまいったわけでございます。ただ、国鉄につきましては、国鉄が国民の足として期待されている役割りを十分に果たし得るよう、その財政再建が急務であることについても御理解をいただきたいと思うのでございます。そのため、国鉄自身の合理化努力、大幅な財政措置の拡充とあわせて、必要最小限の運賃改定について、現在、御審議をいただいておるのでございます。
 第三は、地価抑制のための緊急対策でございますが、この問題につきましても、間々申し上げておりますとおり、政府は、土地の買い占めを抑制するために、土地利用基本計画の作成や、土地取引の規制に関する制度の新設及び開発規制の強化、特別土地保有税、法人の土地譲渡益の重課制度の創設などについて、数多くの立法措置を行なって、お願いをいたしておるのでございます。また、企業による土地取得に関する融資を抑制することにいたしておることも、御承知のとおりでございます。これらの施策を総合的かつ強力に推進をいたしてまいりますので、地価抑制の効果は十分あがるものと期待をいたしておるのでございます。ただ長期的には、列島改造政策によりまして、宅地需給の不均衡を是正すること、すなわち、宅地の供給を増加させることが最も有効な地価対策である、こう考えておるのでございます。
 次は、本案よりも野党案に賛成をしてはどうかという趣旨の御発言でございますが、このことにつきましても、先ほどから申し述べておりますとおり、政府案は、自由経済のもとで、現行の法体系との権衡をはかりつつ、買い占め等の行為に対処するための行政手続及び措置を定めたものでございます。
 また、先ほど経済企画庁長官から述べましたとおり、悪質な者に対しましては、物統令の適用もあるわけでございます。買い占めをしておるということの認定や、売り惜しみというものの認定ということが非常にむずかしいということだけではなく、この種の問題に対しては、確かに戦時中にございました総動員法による非常に強いものがございました。そういうものを意味しておるとは、私は理解いたしておりません。でありますから、自由経済体制を守りながら、物価を抑制し、国民生活の安定をはかっていくためにどうするかという、具体的、最も効率的、合理的な施策を考えなければならぬわけでございますが、そうではなく、ある認定によって、買い占めを行なったもの、売り惜しみを行なっておるものとして、社会的制裁をもとにした勧告を行ない、公表を行なうということよりも、罰則を設けるということになりますと、これはただ放出命令だけでは済まないのであります。それには、公的機関として、当然これを買い受けなければならないという機関や制度を設ける必要がございます。今度の土地の問題につきましては、特定地域に対しては、移動を禁止をしたり、開発を禁止をする条文を御審議いただいておるのでございますが、そのためには、反射的に、私権が制限をせらるる土地に対しては公共機関に買い取り請求権を認めておるのでございます。そうではなく、ただ、一つの考え方によって売り惜しみ、買いだめということを認定をして、これに対して従わない者に罰則を適用するという道を開くことは、望ましいことではないのであります。これはある目的を持って、買い占めでなくとも、俗に、一つの目的を達するために土地を買っている者があります。それはある時期に上がります。そうすると、それを買いだめ、売り惜しみと認定をされて、罰則を適用されるということにも拡大解釈せられるのであります。これを一坪地主というような運動とあわせて判断をしていただけば、政府案がいかに合理的なものであるかを、御理解賜われると思うのでございます。
 なお最後の、今年度の物価見通しにつきましては、経済企画庁長官から十分述べたとおりでございまして、諸般の政策を適切に行なっていくことによって、所期の目的を達成してまいりたい、こういうことでございまして、これは政府だけでできるものではございませんので、野党も、あげて物価抑制のために御協力のほどを切に願います。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(小坂善太郎君) 柏原議員にお答えを申し上げます。
 まず第一に、物価対策として、この際、マグロの例にもあるように、流通機構に対して根本的にメスを入れる要があるのではないかということでございますが、仰せのとおりでございまして、諸物価の安定を期するためには、どうしても流通機構の近代化、合理化を促進することが必要であると存じます。また、このために、生鮮食料品につきましては、四十八年度予算におきまして、卸売り市場の改善、充実、また既設市場の施設の整備、また新市場の建設を推進するとともに、予約相対取引を中心とする生鮮食料品等集配センターの設置、消費地大規模低温貯蔵庫の設置、産地直結販売の推進等、新しい流通経路の育成をはかっておるのであります。さらに公設小売り市場の大幅な増設をはかるとともに、小売り業の共同仕入れ配送施設の設置等によりまして、小売り業の近代化をはかることにいたしておるわけでございます。
 なお、マグロのいわゆる一船買いの問題でございますが、これは航海が非常に長期化したこと、そして、そのために船員の労働条件等もございまして、水揚げ期間が短縮される、そういうことからいたしまして一船買いが生じてきたと、こういうことでありますが、しかし、消費者価格の形成に不当な悪影響を与えることがないように、今後とも価格等の動向に十分注意するとともに、必要に応じて実態を調査いたしまして、適正な価格形成が行なわれるよう、関係者の協力を求めてまいりたいと考えておる次第でございます。
 次に、土地の買い占め、売り惜しみの実態調査の必要があるし、本法で土地を対象外としたのは何ゆえかということでございますが、土地の問題は、開発に適した土地がいたずらに退蔵されたまま放置されるということが望ましくないことは言うまでもありませんけれども、土地の供給の場合には、一般商品の場合と異なりまして、土地利用規制に適合したものでなければなりませんので、本法の体系になじみにくいのであります。したがって、土地の取引の規制、供給の促進につきましては、別途、国土総合開発法案、土地税制の改正等、土地関係法制の体系の中で対処することといたしまして、本法案の対象から除いたわけでございます。しかしながら、土地の問題が重要であることはまことに柏原議員の御指摘のとおりでありますので、土地価格の問題については、今後とも、この法律を制定していただきますとともに、政府として十分適正な価格が保たれるように努力しなければならぬと考えております。
 なお、この政府案で考えている行政指導では、悪質な投機規制にはおのずから限界があって、取り締まり得ないのではないか、こういうこととともに、買い占め、売り惜しみが悪であるという規定がないではないか、こういう御指摘でございました。買い占めや売り惜しみによって社会的な公正を害するということが悪いことであることは言うまでもないことでございまして、それだからこの法律をお願いしておるわけでございます。
 この法律におきまして、買い占め等をした者に対して勧告、公表の措置をとるというのは、この勧告に違反した者に対する公表によって、その者に対して社会的な制裁が加えられるということを期待しているわけでございまして、自由経済のもとにおけるこの種の行為に対する行政的な、機動的な、弾力的な措置を講ずる上に、最も有効な手段であると考えておるわけでございます。
 なお、物統令の十四条の適用に該当する者があれば、司直の手で摘発されることがあることは申し上げるまでもないことでございます。
 なお、今後とも物価の問題に対しては極力努力いたしまして、私どもの所期の線を確保いたしたいと考えておる次第でございます。
 以上お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。
 私に対するお尋ねは、過剰流動性と税制の活用、ひいて物価対策と税制との関係ということが中心であったように思います。
 まず、企業の過剰流動性を吸収するために法人税を活用すべきではないか、ごもっともな御意見と存じますし、具体的にたとえば前納制とか、あるいは繰り上げ徴収とかいうような、具体的な御提案もいただいたわけでございます。政府としても、謙虚にこれらの御案については検討もいたしました。しかし、率直に申しまして、理論上、実際上、踏み切ることができないということが結論でございまして、御了解いただきたいと思います。
 同時に、明年度、四十九年度におきましては、法人税の重課ということを考えて、さらに税制の検討をいたしたいということを表明いたしておりますことは、御承知のとおりでございます。
 このいろいろの御提案に対しての、ただいま申しましたような政府としての結論は、確かに法人税負担を増加させれば、その分だけ企業の流動性は減ずるという理屈もありますけれども、いわゆる過剰流動性の性格あるいはその大きさというものは、法人税の課税対象になる所得の性格や大きさとは必ずしも関係がないように思われるわけでございます。したがってまた、法人税負担の引き上げによって吸収し得る流動性の量というものも、全体として見れば限られた部分であると思われますので、やはり過剰流動性というものの対策としては、金融政策を厳格に運用していくということが最も適切な措置である、かように考える次第でございます。この方向で、なお一そうの努力をいたしたいと考えております。
 それから他の税の問題でございますが、関税引き下げは直接物価に関係がございますから、すでに引き下げました関税については、これが物価に、そして消費者に益になるように一そうの努力をいたしたいと思いまするし、また、今後の関税問題についても、さらにいろいろ積極的に考究してまいりたいと考えております。
 また、これらに関連いたしまして、資本の自由化につきましては、きわめて近い機会に外資審議会の答申を得まして、政府としての具体的な方針を確立して、実施してまいりたいと考えておりますことをあわせて申し上げて、お答えといたします。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(中曽根康弘君) 私に対する御質問は二点でございまして、一つは輸入自由化の問題でございます。
 三年前まで制限品目百二十品目あったのが、三十二になったことは御存じのとおりでございますが、今回、通産省関係の物資につきましては、相当思い切った措置を講じたいと思いまして、輸入並びに資本の自由化について、外資審議会の答申等を待っておるところでございます。
 農林物資については、社会的に困難な問題がございますが、これらについても、関税の引き下げあるいは割当の増大、こういう面で対処していくつもりで、現に牛肉、イカ、ニシン等についてワクを拡大しております。
 それから国内消費物資が八%に満たないものについては、八%までは輸入を充足させる、こういう方針で進みたいと思います。
 商社事業法を制定してはどうかという御質問でございますが、確かに商社の情報力、人材の力、資金力等を乱用いたしますと、中小企業等はたまったものでもございませんし、消費者も迷惑はこうむりますが、独禁法、それから中小企業団体法等を厳格に適用いたしまして、たとえば、中小企業団体法の場合には、小売り商店や組合と摩擦が起きた場合には、通産大臣が裁定するということにもなっております。こういうことも発動し得る状態ならば発動したいと思っておりまして、今回の法律の運用情勢をよく見まして、その推移によりまして検討を加えたいと思っております。(拍手)
   〔政府委員高橋俊英君登壇、拍手〕
#24
○政府委員(高橋俊英君) 総合商社の問題についてお答え申し上げます。
 総合商社は、今日まで、わが国経済の発展に寄与する面も大きかったと思いますが、現段階においては、その機能及び営業活動の範囲があまりにも巨大化いたしまして、強力な資金調達力を利して、貿易面はむろん、国内における商取引、産業の面にわたって、行き過ぎとも見られる広範な影響力を持つに至っております。
 総合商社の個々の営業活動につきましては、目下のところ、一般論として、競争維持政策である独占禁止法に抵触するとは言いかねる場合が多いのでありますが、御指摘のとおり、総合的な企業力を基盤とする系列支配の状況等は、たとえ商社同士が激烈な競争下にあるとはいえ、わが国経済の自由かつ健全な発達をはかる目的に照らし、独禁政策上好ましくない点もなしとはしないと見ております。
 公正取引委員会といたしましては、相当の期間を要するとは思いますが、この複雑かつ巨大な総合商社問題について実態の解明につとめ、その結果、もし弊害ありといたしますれば、これに対処する方法についても十分検討を加えてまいる所存であります。(拍手)
#25
○副議長(森八三一君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#26
○副議長(森八三一君) 日程第一 機械類信用保険法の一部を改正する法律案
 日程第二 金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案
 日程第三 金属鉱業等鉱害対策特別措置法案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。商工委員長佐田一郎君。
   〔佐田一郎君登壇、拍手〕
#27
○佐田一郎君 ただいま議題となりました三法案について、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、機械類信用保険法改正案は、現在、割賦販売契約及びローン保証販売契約による取引について国が実施しております信用保険の対象に、近年急速に増大しつつありますリース契約による取引を新たに追加しようとするものであります。
 委員会におきましては、本保険制度の運用実績、リース業の実態、リース料の内容、アフターサービスの強化などについて質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対して附帯決議が付されました。
    ―――――――――――――
 次に、金属鉱物探鉱促進事業団法改正案は、金属鉱業等による鉱害の防止を促進するため、同事業団の業務に、鉱害の防止に必要な資金の貸し付け業務等を追加し、これに伴い、事業団の名称を金属鉱業事業団と改めようとするものであります。
 また、金属鉱業等鉱害対策特別措置法案は、金属鉱業等の用に供される坑道や堆積場などの特定施設の鉱害防止の事業に必要な費用に充てるため、採掘権者または租鉱権者に鉱害防止積み立て金の積み立てを行なわせるとともに、現に使用済みのこれらの特定施設の鉱害防止事業を計画的に実施するため、鉱害防止の事業計画を届け出させる等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、両案を一括して議題とし、参考人の意見を聴取するとともに、金属鉱業政策のあり方、無資力鉱山の鉱害防止対策などについて質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、両案とも全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#28
○副議長(森八三一君) これより三案を一括して採決いたします。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#29
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、三案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#30
○副議長(森八三一君) 日程第四 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長高田浩運君。
   〔高田浩運君登壇、拍手〕
#31
○高田浩運君 ただいま議題となりました国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案は、民間における退職金の実情等にかんがみ、国家公務員等の退職手当を改善しようとするものであります。
 職員が公務外の死亡により退職した場合の退職手当を改善し、また、公庫等に出向した職員の出向期間を通算する等の措置を講ずるのほか、当分の間、勧奨退職者等に対する退職手当の額を、勤続期間三十五年を限度とし、通常の規定により計算した額の二〇%増しに引き上げることとし、昭和四十七年十二月一日以後の退職者に適用しようとするものであります。
 なお、この適用日は、衆議院において、政府原案の昭和四十八年一月一日を修正したものであります。
 委員会におきましては、退職手当を含めた公務員給与決定の基本的なあり方、退職手当の目的と性格、勧奨退職の運用等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終わり、討論なく、採決の結果、本法案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、附帯決議が全会一致をもって付されました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#32
○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#33
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#34
○副議長(森八三一君) 日程第五 飼料用米穀等の売渡価格等の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長亀井善彰君。
   〔亀井善影君登壇、拍手〕
#35
○亀井善彰君 ただいま議題となりました法律案について、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、当面における飼料の価格の騰貴を抑制するため、緊急措置として、政府が配合飼料の原料用に売り渡す米穀、大麦及び小麦の売り渡し価格を大幅に引き下げる等の特例を定めるとともに、その米穀等の売り渡しを受けた者等の義務、立ち入り検査等について規定しております。
 委員会におきましては、飼料の需給の現状、本法律案の効果、飼料値下げの実効性の確保に関する措置等について質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終わり、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#36
○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#37
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#38
○副議長(森八三一君) 日程第六 法人税法の一部を改正する法律案
 日程第七 租税特別措置法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。大蔵委員長藤田正明君。
   〔藤田正明君登壇、拍手〕
#39
○藤田正明君 ただいま議題となりました二法律案について申し上げます。
 法人税法の一部を改正する法律案は、中小企業の内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得に対する課税についての定額控除額を現行三百五十万円より五百万円に引き上げるほか、役務の提供についても割賦基準による所得計算を認めるものであります。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案は、当面の経済社会情勢に即応した諸措置を講じようとするものでありまして、そのおもな改正点は、土地の投機的取引を抑制するため、法人の譲渡益に対する重課制度の創設、重要産業用合理化機械等の特別償却制度、価格変動準備金の積み立て制度等の産業関連の租税特別措置についての改廃合理化、交際費課税について損金不算入割合の引き上げ等の措置をはかるとともに、中小企業対策として、みなし法人課税の選択を認める事業主報酬制度を創設するものであります。
 そのほか、老齢者年金特別控除制度、障害者雇用企業に対する割り増し償却制度、無公害化生産設備の特別償却制度等の創設、勤労者財産形成貯蓄にかかる住宅貯蓄控除の限度額の引き上げ等をはかるものであります。
 なお、二法律案につきましては、衆議院において、施行期日を「公布の日」とする等の修正が行なわれております。
 委員会におきましては、二案について、参考人の意見を聴取するとともに、法人の税負担引き上げの方向と法人税制のあり方、経済社会の変化に即応した租税特別措置の位置づけ、土地税制と土地投機の実態、個人事業者と中小法人並びに給与所得者との税制上の均衡をめぐる諸問題等について質疑が行なわれましたが、それらの詳細は会議録に譲りたいと存じます。
 質疑を終了し、二案一括して討論に入りましたところ、日本社会党を代表して戸田委員より、二案に対し反対、自由民主党を代表して嶋崎委員より、二案に対し賛成、公明党を代表して多田委員より、民社党を代表して栗林委員より、それぞれ二案に対し反対、日本共産党を代表して塚田委員より、法人税法改正案に対し賛成、租税特別措置法改正案に対し反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終了し、二案について順次採決の結果、いずれも多数をもってそれぞれ原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#40
○副議長(森八三一君) 両案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。戸田菊雄君。
   〔戸田菊雄君登壇、拍手〕
#41
○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました法人税法と租税特別措置法の二法の改正案に対し、反対の立場から討論を行なうものであります。
 初めに、昭和四十八年度一般会計の租税収入は、十一兆七百八十六億円で、十兆円の大台を突破し、四十七年度補正後の九兆一千三百五億円よりも二一%(一兆九千四百八十一億円)増加しております。その中で、所得税の占める割合は、ますます大きくなっております。政府は、所得税の大減税を宣伝いたしておりますが、最近の地価を含む物価の高上昇を考えれば、実質増税となります。昭和三十八年、十年前の租税収入に占める所得税の割合は二五%であり、法人税は三一%でありました。法人税を一〇〇とすると所得税は八〇%の割合でありました。ところが、昭和四十八年度は所得税が三八%(四兆二千四百十九億円)、法人税が三三%(三兆五千三百八十四億円)と、その割合はまさに逆転いたしております。
 このように、所得税の増大、法人税の減少は、昭和四十年からであり、昭和四十五年以降、急速にその傾向が顕著であります。つまるところ、大衆に対する重課税の反面、資本に対しましては、徹底して高資本蓄積を行なっているのであります。
 以下、具体的な内容について、その反対の理由を申し上げます。
 まず、法人税についてであります。反対の理由は、大企業の税負担が軽過ぎるということであります。勤労所得者、特にサラリーマンの課税最低限は、最低生活費まで食い込んでいるのであります。また、地方税の住民税負担、すなわち受益者負担は過酷なものであります。しかるに法人税率そのものが低いこと、付加価値構成比、通産省企業局編の世界の企業の経営分析、昭和四六年版を見ましても、税引き純利益は、日本が二二・三四、アメリカが一三・九二で、差し引き、八・四三日本が多く、また租税公課についても、日本は一五・三四、アメリカが二五・八五で、差し引き日本は一〇・五一少ないのであります。人件費については、日本が三八・三五、アメリカが四八・一二で、差し引き九・七七、日本はアメリカの二割以上も少なく、いかに低賃金であるかが実証されているのであります。さらに減価償却でも、日本は一八・六一、アメリカが一二・五三で、差し引き六・〇八日本が多く、各般の政策で、日本の大企業は徹底して優遇措置を受けておるわけであります。結局、資本分配率では、日本は、アメリカの約二倍半多く、税負担と賃金がきわめて低くなっており、大企業は多くの高利潤をおさめておるのが実情であります。また、日本国内の他企業との比較においても、大企業は税負担率がきわめて少ないわけであります。
 社会発展計画と税制調査会答申でも税率の引き上げを明確にしており、かつ、経済成長世界第二位と胸を張り、生産能力の充足した現在は、負担公平の原則に沿うように年次計画を樹立し、直ちに法人税率の引き上げを政府は実行すべきであります。
 次に、租税特別措置法の反対についてであります。大企業は、今日まで租税特別措置で内部留保を強行して、資本の高蓄積をはかってまいりました。
 また、特定の産業経済政策の政策目的のために税制の公平の原則を無視し、今日に至っておることはいまさら申し上げる必要はございません。
 今回の改正でも若干の改廃合理化を行ないましたが、結果的には、無公害化生産設備について初年度三分の一の特別償却をはじめ租税特別措置適用の範囲は拡大をされ、かつ減収額は増大しているのであります。
 公害対策等は一般国民の税金によって措置すべきではなく、企業自身の負担で措置すべきであります。このような国民の世論に逆行し、税負担の不公平をさらに拡大し、租税特別措置による巨額の減収は、つまるところ一般大衆に対する所得税、住民税などの重課、間接税の増徴など大衆重課税を招来するものであります。
 以下、具体的にその反対の理由を申し上げます。
 反対の第一は、憲法八十三条の要請に反するからであります。租税特別措置法の役割りは、財政支出で不足するところを税制面から補完しようというのが租税特別措置の機能であります。
 日本国憲法は、財政主義を強調し、補助金のような国費の支出については、国会のコントロールは個別的かつ具体的でなければならないことを要請しているのであります。租税特別措置という巨額の補助金に対しましては、実質的には全く国会の民主的なコントロールが及んでいないのであります。つまるところ、租税特別措置は、実質的には憲法の財政議会主義を形骸化せしめているのであります。どうしても企業への助成が必要というのなら、目に見える補助金の形でなされるべきであり、それが憲法上の要請であるのであります。
 第二は、利子所得、配当所得の分離課税は直ちに全廃すべきであります。租税特別措置は、総合累進構造を形骸化せしめ、税の不公平を拡大する、その元凶が利子所得、配当所得の分離課税にあることは、いまさら申し上げるまでもございません。
 租税特別措置の改廃合理化を実行するなら、前述の分離課税の廃止こそ、まっ先に実行すべきであるはずであります。ところが今回の改正でも、所得税の課税最低限は、夫婦子供二人で百十二万一千二百六十円――四十八年度分――に対し、配当所得最低課税は二百七十五万七千二百五十円、おおよそ二倍半になっておるのであります。株を大量に持ち、大金持ちで、その配当や利子で寝食いをしている不労所得者に対しては、徹底した優遇措置をとっておるのであります。結果は、租税制度の持つ所得再分配及びビルトイン・スタビライザーの機能を著しく減殺し、一般の納税者の納税モラルを極度に低下せしめ、ますます所得税、住民税、間接税の大衆重課を促進することになっているのであります。政府は直ちにこの分離課税制度を全廃すべきであります。
 第三は、交際費には全額課税すべきであります。法人の交際費は年間一兆円をこえております。そのうち課税される部分はきわめて僅少であります。今回の改正で税率を従来の千分の七十から千分の七十五と、〇・五%引き上げておりますが、交際費課税の計算では、四百万の定額と期末資本金等の全額の千分の二・五を除いた超過額に課税されることになっております。今日の取引の交渉は、支払い金額とそれらに対する反対給付であります物の質量いかんによってきめられるものであり、交渉相手の供応贈答等は関係がないはずであります。そうした交際がはでに行なわれることは、背任汚職を生み、かつ商談交渉も非理論的、非事務的となり、商取引のモラルも低下するのであります。社会的風潮も全く好ましいものではありません。いま、国民の世論はきびしくそのことを訴えておると思います。本質的には経営上の経費にならない交際費を一〇〇%課税することは、きわめて妥当な措置と言わざるを得ません。
 第四は、土地税制の改正についてであります。地価騰貴の要因に田中総理提唱の日本列島改造論の発表が一役買っておることは間違いのないところであり、政府が今回土地税制創設に踏み切らざるを得なかった理由には、抜本的土地対策がなかったこと、内閣の命運そのものに影響すること等があったことは容易に理解できるのであります。ゆえに、予算編成の終了段階で急ぎ創設した経緯からも、全くどろなわ式の審議手続を経てまとまったと聞いているのであります。
 すなわち、市町村税としての土地保有税(取得価格の一・四%)四十九年度からの実施と、土地取得税(同三%)四十八年七月から実施の創設、国税として法人の土地譲渡所得税法(税率二〇%)施行後一年の猶予を置くことになっておるのであります。土地保有税は現行固定資産税と同じもの。土地取得税は不動産取得税と同じものであり、もし現行の二税を時価なり取得価格なりで課税するならば、課税はその中に包含される内容であります。すなわち、課税創設によって、時価課税を実行するものと調整措置を行なうものと併存し、地方税制を著しく複雑化することになるのであります。土地譲渡税については、新法施行後一年の猶予を置くことになっておるのであります。従来の開発利益はもちろん、猶予期間中に発生する開発利益に対しての特殊な負担を課さない仕組みであります。また、課税対象から民間デベロッパーを除き、ほかに除外対象の範囲を拡大している事実は、現在盛んに土地買い占めを実行しております土地投機の大企業に対しては全くの抜け穴をつくり、地価抑制並びに土地投機の抑制などと言っておりますが、全くのざる法と言わざるを得ません。当面、国民の望んでおります土地問題、地価問題の解決とは、ほど遠いものであります。
 ほかに、中小企業諸団体の多年の要望でありました事業主報酬制度の創設が実施されたわけであります。本制度設定については、わが党も賛成でありますが、特典が青色申告者に限ることになっております。事業主報酬控除の考え方は、個人企業と法人企業との課税上の均衡をはかることが目的である以上、青色申告者に限定する理由はないはずであります。事業を行なう者は、税法上すべて記帳を行ない、青色申告の特典を全納税者に適用すべきであります。
 以上、今回の改正に対する反対理由を申し上げましたが、大企業にとって重要な措置は、一切手つかずに温存されて、一貫して大企業優遇措置を持続しようとする政府の態度に強く反省を求め、反対討論といたします。(拍手)
#42
○副議長(森八三一君) これにて討論は終局いたしました。
 これより採決をいたします。
 まず、法人税法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#43
○副議長(森八三一君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#44
○副議長(森八三一君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#45
○副議長(森八三一君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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