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1972/05/09 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第15号
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1972/05/09 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第15号

#1
第071回国会 本会議 第15号
昭和四十八年五月九日(水曜日)
   午前十時六分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第十五号
  昭和四十八年五月九日
   午前十時開議
 第一 健康保険法等の一部を改正する法律案
  (趣旨説明)
 第二 屋外広告物法の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、故元内閣総理大臣石橋湛山君に対し弔詞贈
  呈の件
 一、故議員赤間文三君に対し弔詞贈呈の件
 一、故議員赤間文三君に対する追悼の辞
 以下 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 松岡克由君から海外旅行のため来たる十一日から十日間請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#5
○議長(河野謙三君) わが国民主政治発展のため力を尽くされました元内閣総理大臣石橋湛山君は、去る四月二十五日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞は議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 議長において起草いたしました弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされました元内閣総理大臣従二位勲一等石橋湛山君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 弔詞の贈呈方は、議長において取り計らいます。
     ―――――・―――――
#7
○議長(河野謙三君) 議員赤間文三君は、去る二日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 つきましては、この際、同君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞は議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 議長において起草いたしました弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院は議員正三位勲一等赤間文三君の長逝に
 対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうや
 しく弔詞をささげます
    ―――――――――――――
 弔詞の贈呈方は、議長において取り計らいます。
     ―――――・―――――
#9
○議長(河野謙三君) 阿具根登君から発言を求められております。この際、発言を許します。阿具根登君。
   〔阿具根登君登壇、拍手〕
#10
○阿具根登君 私は、各位の御同意を得まして、議員一同を代表して、去る五月二日逝去せられました参議院議員正三位勲一等旭日大綬章故赤間文三君のみたまに対し、つつしんで御冥福をお祈り申し上げますとともに、君の生前の御功業と御遺徳をしのびつつ、追悼の辞を申し述べたいと存じます。
 赤間君は、明治三十二年五月三十一日、福岡県宗像郡津屋崎町に生まれ、大正十四年に東京帝国大学法学部を御卒業、その後、岡山、愛知、大阪、徳島等の各府県に御勤務なされまして後、商工省に入り、会計課長、石炭局長、近畿地方商工局長等の要職を歴任され、その間、商工事情に精通されるとともに、経済問題についての広い、そして深い御経験を積まれ、きわめて困難な時期におけるわが国の商工行政の面において、大いに尽瘁せられ、多大の業績を残されました。
 同君の政治生活は、昭和二十二年、初代大阪府民選知事に当選されてからでありますが、当時焦土と化した大阪にあって、商都大阪の復興のために、全身全霊を傾け、ことに地盤沈下に悩む市民のために、大防潮堤の建設をはじめ、堺臨海工業地帯の建設、わが国最初のニュータウンとして名高い千里ニュータウン建設の一大構想を手がけるなど、今日の大大阪の繁栄の基礎を築かれ、三期にわたる知事の重責を全うせられたのであります。
 昭和三十四年には、参議院に衆望をになって当選、次いで四十年、四十六年にも引き続き御当選になり、それまでの貴重な御経験を国政の上に遺憾なく発揮せられたのであります。
 すなわち、同君は、主として商工委員会及び外務委員会において、委員長あるいは理事、委員として、その経済、外交についてのうんちくを傾けられたのであります。
 特に、従前の御経歴が示すように、商工業の発展、ことに中小企業の振興、発展については、深く関心を寄せられており、商工委員長当時、中小企業の進むべき新たな道を明らかにし、中小企業に関する政策の目標を示すため、いわば中小企業の憲法ともいうべき中小企業基本法の制定について、御努力なさいました。
 さらに同君について忘れることのできないことは、去る四十五年、「人類の進歩と調和」をテーマとして、大阪府の千里丘陵に花と開いた国際色も豊かな日本万国博覧会の招致にあたって、何かと御尽力なさったことであります。あの万国博が、成功裏に無事終了したのも、同君の力が大いにあずかっていたことは申すまでもありません。
 同君は、各委員会で御活躍なさるとともに、自民党政調会において、重要政策の立案に参画し、昭和四十二年には、佐藤内閣の法務大臣として御入閣なされ、国政の枢機にあずかって、よくその重責を果たされたことは、各位のひとしく御承知のとおりであります。
 赤間君は、資性明朗濶達、温厚にして、常に大所高所より的確にものごとを判断し、勇断をもって実行されるという長所を持たれ、委員会等におきましては、だれからも敬愛の情をもって接せられておりました。私は、いまなお、同君の温容が眼前にほうふっとして浮かんでまいり、哀惜の情いやまさるのを覚えるのであります。
 今日、内外の情勢はますます激動下におかれており、ことに経済の面において困難なる諸問題が山積し、国会の責務、いよいよ重大ならんとするときにあたり、赤間君のように、特に練達たんのう、加うるに円熟された人格、識見とも卓越した政治家を失ったことは、邦家のため惜しみてもなお余りあるところであります。
 ここに、同君の御長逝にあたり、つつしんで哀悼の意を捧げ、その御冥福を衷心からお祈りする次第でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#11
○議長(河野謙三君) 日程第一 健康保険法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について、提出者の趣旨説明を求めます。齋藤厚生大臣。
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
   〔議長退席、副議長着席〕
 医療保険制度の問題につきましては、財政の健全化をも含めた抜本的な改善がかねてから重要な課題となっているところでありますが、制度の中核的存在である政府管掌健康保険が現在まで十年間深刻な財政難を続けてまいりましたこともありまして、昭和三十六年の皆保険達成以来健康保険においては見るべき改善が行なわれないまま今日に至っております。医療保険の分野では関係者の間で利害がいろいろと錯綜し、問題の根本的な解決をはかることが困難なものが多々あることも事実でありますが、これを何とか解決の方向へ導く努力の積み重ねが必要と考えるものであります。
 今回は、これまでの経緯にかんがみ、また、関係審議会の意向等を尊重いたしまして、国民の福祉水準の向上を求める要請にこたえるべく、福祉重点施策の一環として、実現可能なものから段階的に制度の改善に着手するとの見地に立って、改正を行なうこととしたものであります。
 すなわち、今回の改正は、制度創設以来三十年間改善されないままになっている家族療養費の給付率の引き上げ、高額療養費の支給等家族医療給付の改善を中心に、国民医療の確保に関する医療保険の側での対策を充実強化するため給付改善を行なうとともに、保険の運営上重要な問題である保険財政の恒常的な安定を確保するための諸施策を講じようとするものであります。この改正によって懸案の抜本改正の第一歩が踏み出せるものと確信いたしておる次第でございます。
 まず、健康保険法の改正について申し上げます。
 第一は、医療給付の改善でありまして、家族療養費の給付率を五割から六割に引き上げますとともに、高額な医療につきましては、家族療養費にあわせて高額療養費を支給し、自己負担とされているもののうち一定限度額をこえるものを保険から全額給付することとしております。
 第二は、現金給付の改善でありまして、本人分娩費の最低保障額を現行二万円から四万円に引き上げ、さらに配偶者分娩費について現行一万円から本人分娩費の最低保障額と同額の四万円に引き上げるとともに、家族埋葬料につきましても改善をはかることとしております。
 第三は、標準報酬の改定でありまして、その等級区分が最近における給与の実態と著しくかけ離れるに至っている結果生じている負担の不公平を是正するため、現行三千円から十万四千円までの三十六等級でありますのを二万円から二十万円までの三十五等級に改めるものであります。
 第四は、保険料の改定でありまして、政府管掌健康保険の保険料率を七%から七・三%に改定するとともに、当分の間の措置として、現在保険料の算定の基礎とされていない賞与等について、支給のつど、その一%を労使折半により特別保険料として徴収するものであります。なお、この特別保険料は、報酬月額五万円未満の者からは徴収せず、賞与等が五十万円をこえるときは、五十万円として計算することとしております。
 第五は、国庫補助の拡充でありまして、財政基盤の脆弱な政府管掌健康保険に対して、これまでの定額国庫補助を改め、定率制の国庫補助を導入することとして主要な保険給付に要する費用の一〇%を国庫補助するものであります。
 第六は、保険料率の調整とこれに連動した国庫補助率の引き上げの問題でありまして、政府管掌健康保険の保険料率について、厚生大臣は必要あるときは社会保険審議会の意見を聞いて、法定料率の上下〇・七%の範囲内でこれを調整できる規定を設け、同時に、この規定により法定料率をこえて保険料率を引き上げた場合は、先に述べました定率国庫補助の割合を料率〇・一%につき〇・四%ずつ増加することとしております。
 第七は、健康保険組合関係でありまして、それぞれの組合の規約で定めるところにより特別保険料を徴収できることとするとともに、保険料率の調整幅が現行三%から八%までであるのを三%から九%までに、被保険者の負担料率の限度が現行三・五%であるのを四%にそれぞれ改めることとしております。
 次に、船員保険法の改正について申し上げます。
 船員保険の疾病部門につきましても、先に述べました健康保険の改正に準じ、家族療養費の給付率の引き上げ等保険給付の改善を行なうとともに、標準報酬の改定等所要の改正を行なうものであります。
 また、国民健康保険法の改正につきましては、健康保険法の改正に準じて高額療養費を支給することとしております。
 次に、厚生保険特別会計法の改正について申し上げます。
 この改正は、昭和四十八年度末における政府管掌健康保険の借り入れ金にかかわる債務をたな上げするとともに、新規の借り入れを限定し、また、昭和四十八年度以前に健康勘定において生じた損失を一般会計からの繰り入れによって補てんする方途を講ずるものであります。
 なお、この法律の実施時期につきましては、本年四月一日からとしておりますが、高額療養費の支給に関する部分につきましては、諸般の準備手続等を考慮いたしまして、本年十月一日から実施することとし、また国民健康保険法の改正は昭和五十年十月一日からとしております。
 以上が、健康保険法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
#13
○副議長(森八三一君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。丸茂重貞君。
   〔丸茂重貞君登壇、拍手〕
#14
○丸茂重貞君 私は、自由民主党を代表して、ただいま厚生大臣から提案理由説明のあった健康保険法改正案について、若干の質問を行ないたいと思います。
 すでに、ILOの社会保障制度に関する勧告は、所得保障、医療保障、雇用保障を三大柱としており、なかんずく、最も大切な人命に直接影響する疾病、傷疾に対する医療保障が最重視されておるのであります。公的サービスによって補完された医療保険制度が最も望ましいとも、同勧告は指摘しておるのであります。
 わが国の医療保障においては、結核・精神・花柳病、生活保護医療、公害病等に対する公的サービスは相当充実してまいりましたが、医療保険は、まだまだ医療保障の面から見れば充実されているとは思われないのであります。
 所得の再分配効果を高めることによって医療を受ける機会を公平均等にしようとする医療保障の本来のたてまえからすれば、各職域ごとに保険が乱立している現状は、問題なしとしないのであります。すなわち、大企業は、組合保険、各公務員、公共企業体等の職員はそれぞれ共済組合を、劣悪な中小企業の従業員は政府管掌に、また、農業、自営業者は国民健康保険にというように分かれて、それぞれが独立した保険に従属しておるのであります。当然のことながら、有利な経済状態にある大企業の従業員の健康保険組合は、豊かな運営が行なわれ、大部分のむのは家族の十割給付を行なっておるのであります。その反面、劣悪な政管健保や国保は、給付が悪く、その上赤字に苦しんでおる実情であります。
 先日、テレビで「定年退職を語る」という番組の中で、健保組合の被保険者が、定年後の何よりの心配は、再就職もさることながら、収入が減ったその上で、ようやく病気をしやすい年配になってきたところで、健保組合から離れて条件の悪い保険に入らなければならないことだ、いままで組合にずいぶん保険料を積んできたが、あまり病気もしなかったのだから、この分で何とかならないか、という意味の発言をしていましたが、このような悲痛な発言を厚生大臣はどう考えられますか、お伺いいたす次第であります。
 社会保険の中ですら、所得の再分配が円滑に行なわれていないのでありますから、この被保険者の嘆きもまことにもっともなことと思うのであります。本来なら、各種の保険を一本にして完全な所得再分配をはかり、その上で給付を平等にするのが理想でありますが、一気にそこまでいけないまでも、段階的にでもそこまでいくよう努力しなければならないのではないでしょうか。
 その意味で、今回の改正案は、いままで長年、劣悪な給付条件に耐えてきた政管健保に対して、相当な給付改善をはかることで、数歩を進めたものと私は高く評価するものであります。
 しかしながら、今回の改正によっても、最も大切な受診の機会均等が、従来よりも非常に促進されるとは思われない点があります。
 第一に、多年の懸案であります僻地医療の問題であります。まだまだ全国には相当数の無医地区があり、これに準ずる地区また少なくありません。政府もこの点に思いをいたし、医師の急増対策として、医科大学、医学部の大幅な新設を行ないましたが、それはそれとして、僻地に医師が行かないという現実について、ただ医師さえふやせば無医地区はなくなるという単純な思考パターンを考え直す必要があるのではないかと思います。
 私をして言わしむれば、無医地区に医師が定着できない条件を軽視してはならないということであります。すなわち、第一に、患者の絶対数が足らないから経営が成り立たない。第二に、子弟の教育に支障を来たす。第三に、医師みずからの学問、技術の研修に不便である。第四に、看護婦等のパラメディカルが定着しない、などの克服しがたい条件が幾つかあるのであります。
 そこで、僻地の医療機関充実策として、まず、税金でまかなわれる国公立の医療機関を集中的に僻地に向けたらどうかということであります。また、一挙にそのようなことができないとすれば、とりあえず、国公立医療機関が充実するまで、たとえば無医地区の医療機関に対する特別助成制度あるいは無医地区の医師の子弟を収容する寮を都会地に設け、勉学に便宜を与えるとか、また、医学、医術の再習得に対する国の便宜供与、また、パラメディカルの職員に対する特別加俸制度等を並行的に行なえないか等、すなわち、僻地に医師や医療従業員が住みつける条件づくりに、今後全力を傾けるお気持ちはありませんか。この点に関しまして、厚生大臣、大蔵大臣並びに自治大臣にお尋ねいたします。
 さらに、最近、医療問題の中で喫緊の重大事は看護婦の不足であります。病院によって、公私の別を問わず、病床の三分の一、四分の一が看護婦不足のため空床になっているところが少なくはございません。この現象は、いまのままでは悪化こそすれ、改善される見込みはとうていありません。
 その原因としては、専門技術者としての看護婦の地位の向上、待遇の改善が、その業務内容の苛烈さに比して、全くはかられていないからであります。体力の限界を越えた夜勤、患者の愁訴に対する精神的負担等、言語に絶する心身への過負担に見合う待遇等が、他の事務職員等とあまり変わりがない実情であります。さりとて、待遇をよくしようにも、医療機関の収入は低医療費に押えられているので、限界に達し、いかんともしがたいのが実情であります。このような悪条件下、看護婦対策を厚生大臣や大蔵大臣はどのように対処されようとするのか、明確にお答えいただきたいのであります。
 また、今回の改正で、保険財政へは大幅な国庫金が導入され、保険者、被保険者ともに有利になりますが、圏外に立たされているのが医療機関の経営実態でありましょう。税金のない医療機関ですら、収入の大きな部分を差額ベッドなどにたよらざるを得ない実態であります。これというのも、医療技術に対する正当な評価が行なわれていないからであると思われるのであります。
 そこで、この際、診療報酬の中から物の対価を切り離し、技術の正当な評価による適正な診療報酬制度が確立されるよう、思い切った手を打つお考えはありませんか、厚生大臣にお伺いをする次第であります。
 次に、改正案の内容に入ることにいたします。
 さきに申し上げたとおり、わが国の医療保障は、国民皆保険体制を基盤とし、公費負担医療の充実と相まって向上発展してきております。特に近年、国や自治体においては、公害医療、老人医療をはじめ、社会情勢の変動に伴って、従来とは違った形の公費負担医療が続々と登場してまいりました。国民が安心して医療を受けられるために、公費負担医療の充実がはかられることはまことにけっこうであります。
 しかしながら、公費負担医療については、現実にこれを実施する病院、診療所においては、一つの診療ごとに保険分の請求書のほかに、公費負担分の請求書の作成も要求され、これが非常に煩瑣な事務となって、診療機能を大きく阻害しているのであります。公費負担医療の今日の発展は、これら病院、診療所の献身的な協力なくしては得られなかったと思いますが、この点に関して厚生大臣にお尋ねしますが、思い切った事務の簡素化を早急に実施する御意思はございませんでしょうか。
 また、医療保険の給付改善がおくれていたために、無秩序な公費負担医療を続発させたと言っても過言ではありません。その意味では今回の給付の改善措置は、医療保障の本道に戻ったものと言うことができるのであります心特に、被用者保険の家族給付率の引き上げは、制度創設以来初めてのものであり、単に一割引き上げられたというだけでなく、将来の医療保障制度のあり方そのものにも、大きく前進したものとして高く評価をされるのであります。ただ惜しむらくは、財政面の制約などもあって、一挙にこれを国保並みの七割にまで引き上げられなかった点でありますが、できるだけ早く、七割に引き上げるようお願いいたしたいのでありますが、この点について、総理及び厚生大臣のお考えを明確にお聞かせいただきたいのであります。
 次に、高額療養費支給制度についてであります。
 近年における医学、医術の長足の進歩により、従来は不治の病として見捨てられていたさまざまの疾病について、効果的な治療法が発見されるようになりました。しかし、治療内容が複雑化専門化するに従って、治療に要する経費も当然に増高してまいりまして、ガン、心臓病などについては、月に五十万円、百万円の治療費を必要とするような例も決して少なくはありません。従来ですと、半額自己負担でございますから、たいへんな負担となります。患者の家族にしてみれば、何としても費用をくめんして、十分な治療を受けさせたいと念願するのが人情というものでありますが、それもままならず、また、医師の側からしてみれば、経済的に豊かでない患者についても、高度な治療を十分に施すことができるようになるのでありまして、その意義はまことに大きいものがあると思うのであります。
 ところで、高額療養費の具体的内容については、政令で定めることにしてございますが、その支払い方式は、償還払い方式を採用すると聞いておりますが、一部には、これをもって将来、医療給付をすべて現物給付方式から償還払い方式に変更させる先べんにするのではないかと危惧している向きもございます。私は、そのようなことは杞憂にすぎないとは思いますが、この点につきまして、確認の意味で、将来現物給付方式を償還払い制度に変更するということがあり得るのかいなか、厚生大臣に明確にお答えいただきたいと存じます。また、あわせて、償還方式採用による医療機関の事務の一そうの繁雑化を防ぐことに対してどのような対策をお考えであるか、お答えをいただきたいのであります。
 さらに、高額療養費の制度は、国民健康保険においても三カ年計画で実施される方針でございますが、三カ年とは言わず、二年でも、一年でも、できるだけ早く全保険者が実施に踏み切れるように、行政面の指導を強く行なっていただきたいと存じます。実施を希望する保険者に対しては、特に手厚い補助の手段を講ずるなどの措置を、必要に応じて行なっていくべきですし、また、保険者全部が無理であれば、七割給付を年次計画で推進していったときと同じように、世帯主だけでもせめて切り離して実施するなどの、きめ細かい指導を行なっていくことも必要と思いますが、行政指導の方針については厚生大臣に、また予算の補助の問題については大蔵大臣に、それぞれお伺いをいたしたいのであります。
 また、給付の改善に関連して、予防給付の問題があります。平素から病気にかからないような注意を払い、健康な状態を維持するという予防面の配慮のほうがむしろ大事なことでありますので、この際、一保健予防的な要素を大いに取り入れて、疾病のためのみならず、健康の保持のための保険へ脱皮するときではないかと思いますが、いかがでございましょうか。厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
 次に、政管健保の財政健全化対策について若干お尋ねいたします。
 私は、日ごろから政管健保財政の推移については非常に興味深く見守っており、また、ここ数年来いわゆる赤字基調となっていることに対しては、憂慮している者の一人であります。今回の改正案では、標準報酬の上下限の改定、定率国庫補助制度の導入をはかるとともに、四十八年度末における累積収支不足額のたな上げ等の措置を講じたため、健保財政の健全化がはかられることになり、医学の進歩に健保制度が機動的に対処することが円滑になるのでありまして、これは非常によいことではありますが、ただ、健保財政の健全化対策としては、私は、いまだに若干の疑問の点を持っておるのであります。
 その一つは、標準報酬の上下限の改定についてであります。標準報酬の改定は、加入者相互の負担の公平をはかるという健保制度の基本的な事柄であり、むしろ当然の措置であります。近年の賃金水準の上昇傾向を考えれば、四十一年以来改正を怠ってきたということに対して、むしろ政府は大いに反省をしてもらわねばならないと考えております。健保における現金給付が標準報酬を基礎として行なわれることを考えれば、標準報酬の改定がおくれることは、むしろ国民福祉を疎外する結果ともなりましょう。それにつけても、政府はどうして、標準報酬のように機動性を要求されるものを法律事項として規定しておくのか、疑問に思うわけであります。
 そこで厚生大臣にお伺いしたいのは、政府案には、当初、上限のスライド規定があったと聞いておりました。上限スライド規定は、急上昇を続ける昨今の賃金上昇に対応し、標準報酬も実態に適合させていくためには当然のことと思っておりましたが、今回の改正案には入っておりませんが、これはどういう理由で削除になりましたか、お答えいただきたいと思うのであります。
 次に、健保財政の長期的安定化の問題であります。
 累積三千億円の赤字たな上げと、定率一〇%の国庫補助により、当面政管健保の財政は立ち直ると考えますが、給付率が改善され、高額医療費の保険負担が行なわれれば、給付費は増高し、バランスシートはくずれるおそれがあります。従来はこの原因を安易に医師の乱診乱療等で片づけてきましたが、本来は、保険である以上、収支のバランスシートは科学的に計算されなければならないと思います。その意味で、料率の調整規定、いわゆる弾力条項が設けられようとしておりますが、これは、収支の均衡が必須条件である医療保険制度にあっては当然のことと思うのであります。この弾力条項は、他の制度においても設けられているものであるし、健保法にも四十一年まではあったものであり、形式的には再度条文を設けることとなるものでありますが、実質的には、調整幅の改定と理解すべきものと思われるのであります。しかも、法定料率を上回る料率に変更された場合には、国庫補助も上乗せするなど、他の制度には全く見られない新しい仕組みを設けており、政府の苦心のあとが十分うかがわれるのであります。世間には、これをもって、あたかも政府が恣意的独断的に保険料を引き上げるがごとき理解のもとに反対されている向きがあるようでありますが、曲解もはなはだしいものであります。手続的にも専門審議会の意見を聞くこととなっている点も考えれば、適正かつ効率的な運用が担保されていることは明らかであります。この際、政府はその運用についての方針を明らかにして、一部の誤解と疑惑を一掃すべきであると思いますが、厚生大臣の御所見を伺いたいのであります。
 以上の財政健全化対策に加えて、給付の改善の見合いとして考えられている保険料の改定について若干お尋ねしたいと存じます。
 給付改善が行なわれるとともに、国も一〇%の補助に踏み切った、その事情を考えれば、改正案程度の保険料改定については、保険制度である以上やむを得ないものと考えるものであります。特にボーナスに対する特別保険料については、従来、ボーナスが保険料徴収の対象とされていなかったことにむしろ問題があったのではないかと考えておるのであります。もともとわが国独特の賃金支払い形態ではありますが、報酬そのものでありますので、負担の公平をはかる意味から、保険料の対象となるべきものと考えます。しかるに、今回のボーナスに対する保険料は、「特別保険料」という名目で、その名のとおり特別な措置として設けられておりますが、恒久的措置とはせずに「当分ノ間」の措置といたしたのはどのような意味合いなのか、厚生大臣にお伺いいたしたい。しかしながら、特別保険料のように国民に負担増をお願いする場合は、その負担が重荷にならないよう配慮することは、これは重要なことだと思います。この点に関しましても、どのような配慮がなされているか、あわせて厚生大臣にお伺いいたしたいのであります。
 最後に、本法案の早期成立についての総理及び厚生大臣の御決意のほどをお伺いして、本法案に関する私の質問を終えさせていただきたいと思います。
 本法案はすでに二月に提出されまして、四月からの実施が予定されていたのであります。その審議は遅々として進まず、すでに予定よりも一ヵ月以上も成立がおくれているのであります。今回の改正は、家族給付率の引き上げなど、給付面の改善を中心に考えられた法案でありますが、本来なら、四月から家族患者の窓口負担は一割安くなり、奥さんのお産には四万円が支給されたはずであります。明らかに国民の利益が失われているのであります。われわれは、本法案の審議を進め、一日も早い成立をはからんことを希望するものでありますが、このようにわかり切ったことに対して国会全体のコンセンサスがなかなか得られないことは、国民のためにまことに残念なことであります。私のところにも、改正の一日も早い実現を願っている多くの患者の方々からの要望がたくさん届いてくるのでありますが、このように改正案の実現を一日千秋の思いで待っておられる患者の皆さん方のためにも、ぜひとも本法案を早期に実現させるべきであると思いますが、総理及び厚生大臣の御決意のほどを最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(田中角榮君) 丸茂重貞君にお答えをいたします。
 まず第一は、家族療養費の給付割合を国保並みの七割にまで引き上げられないかという問題についてでございますが、家族給付率の引き上げは、医療保険の内容充実のため最も重要な課題であります。しかしながら、三千億円にものぼると見込まれます累積赤字をたな上げをし、なお、財政事情が逆睹しがたい状況下にあるにもかかわらず、あえて、制度創設以来初めての改善を行ない、今回は、とりあえず六割まで引き上げることといたしたことを評価していただきたいと存ずるわけでございます。
 なお、七割までの引き上げにつきましては、今回改正実現後の保険財政の状況等の諸事情を勘案の上、その実現に努力をしてまいる所存でございます。
 第二点は、本法案の早期成立をはかるべしとの御議論でございますが、今回の改正案は、福祉政策推進の大きな柱の一つとして、長い間見送られてきた医療保険の給付面を大幅に改善しようとするものでございます。したがいまして、福祉水準の向上を求める国民各位の期待にこたえて、ぜひとも今国会における早期成立をはかってまいりたいと考えておるのでございまして、格段の御理解を切に願います。(拍手)
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(齋藤邦吉君) 総理からお答えになりました部分を除きまして、私お答え申し上げます。
 まず、最初に、今日医療保険制度が各職域ごとに分立しておる問題についてお答えいたしますが、まさしく、今日各職域ごとに医療保険制度が分立しておるのでございまして、この医療保険制度を一元的に統合する、これは一つの、私、見識と考えております。しかし、各制度にはそれぞれの沿革もあり、今日までのいさきつに照らしましても、現段階において一挙にこれを実現するということはきわめて困難であると考えております。しかし、制度を一元化し、すなわち、負担と給付の両面にわたり公平を期するということは、今後、国民的合意のもとに、段階的にでも実現をはかるべく努力することは当然必要なことでございますので、今後とも引き続き慎重に検討いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 僻地医療対策の問題でございますが、無医地区に国公立病院を集中的に設置するということも一つの見識ではございますが、さしあたりといたしましては、国公立医療機関を中心に親元病院を育成し、これを拠点として医師の派遣あるいは巡回診療等を行ないまして、僻地医療の確保をはかってまいりたいと考えております。
 医師が僻地に行きたがらない理由としては、子弟の教育の問題とか、医学、医術の進歩から取り残されるということに対する不安があるということについては、御指摘のとおりでございます。御提案の趣旨につきましては、看護婦等のパラメディカル職員の処遇問題とあわせて、今後、十分研究してまいりたいと考えております。
 看護婦確保対策につきましてのお尋ねでございますが、これにつきましては、看護婦の養成数の増加、処遇改善等による離職防止など、質・量両面にわたり、総合的に進める必要があるのでございますが、当面、国公立を中心に養成施設を整備し、養成数の増加をはかること、民間養成施設に対しまして運営費の助成の充実、修学資金制度の拡充などの施策を強化してまいりたいと考えております。
 看護婦確保対策といたしましては、その地位を高め給与の改善をはかる、これはもとより重要な問題でありますことは御意見のとおりでありまして、さきに、昭和四十八年度予算において、国立医療機関に勤務する看護婦に対しまして、夜間看護手当を三百五十円から一挙に千円に引き上げる、そういう措置を講じたことも一つの改善措置でございます。国以外の施設に勤務する看護婦につきましても、国家公務員の看護婦の給与に準じて毎年給与の引き上げは行なわれている実情でありますので、今後とも国家公務員の看護婦の給与について、初任給を中心とする大幅な改善がはかられますように、関係機関と協議し、実現に努力をいたしてまいりたいと考えております。
 なお、現在の診療報酬体系の問題についてのお尋ねでございますが、診療報酬体系は、あくまでも技術料が適正に評価されなければならない、これが基本であることは御指摘のとおりでございまして、今日、中医協におきましても、適正化の問題について鋭意審議せられておるところでございますので、その結論を待って対処してまいりたいと考えております。
 次に、最近公費負担医療の充実がはかられるに伴いまして、医療機関の事務が非常に繁雑になるではないかという問題でございます。私ども、今日まで、こうした場合における医療費の請求書の様式の統一など、簡素化につとめてまいったのでございますが、ことしにおきましても、老人医療無料化ということがふえてまいっておりますので、今後さらに思い切った事務の簡素化、これにつきまして最大の努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 さらに、家族療養費の七割給付につきましては、総理からお答えがありましたとおり、今回提案いたしておりまする法案が成立いたしました段階において、今後の保険財政の状況等を勘案いたしまして、実現するように厚生大臣としても努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
 次に、高額療養費支給制度の問題でございますが、政令の定める額、すなわち三万円をこえる額につきましては、今後は保険でめんどうを見ましょうと、こういう制度を提案をいたしておるわけでございますが、この支給方法につきまして、現物給付の形で行なうということになりますと、実は事務的にきわめて複雑であり、むずかしい問題がありますので、今回は償還払い制度を採用することにいたしたのでありますが、この制度は、すでに健保組合あるいは共済組合などにおきまして、家族療養費付加金の例において定着をいたしておるわけでございますので、今回は特例的に償還方式を採用することにしたのでございますが、このことによって、将来、健康保険における現行の現物給付方式を全部償還払い制度に改める、さようなことは全然考えていないことを、この機会に明らかにいたしておきたいと思います。
 なお、この償還払い方式をとることによりまして、医療機関の事務の繁雑化を招くおそれのないように努力をいたしたいと考えております。
 さらに、高額療養費支給制度は、国保においてはどうなるのかということのお尋ねでございますが、何ぶんにも国保の保険者である市町村の数は多数にのぼっており、しかも自治体でございますので、財政事情が多様にわたっておる現状でございますので、一応三年計画をもってその実施をはかる、こういうことにいたしたものでございますが、御要望の趣旨は十分理解いたしておりますので、できるだけすみやかに全市町村において実施せられますように、きめのこまかい指導をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 次に、現在の医療保険は予防的な方向に将来向けるべきではないか、仰せのとおりでございまして、私どももさような方向で努力をいたしてまいりたいと考えております。特に政管健保におきましては、従来、財政事情が悪かったために、十分そういう点に手が伸びなかったのでございますが、幸いに、今回提案いたしておりまする法律が成立いたしました暁におきましては、さらにそういう方面に努力できるような予算の増額等もいたしてまいっておりますので、今後疾病予防の方向に推進をいたしてまいりたいと考えております。
 次に、標準報酬の上限スライド規定がなくなったではないかというお尋ねでございます。標準報酬の上限を賃金の実態に即応し、スライド的に改定する措置は、賃金水準の動きに対応することが可能となり、被保険者の保険料負担の不公平を防ぐということにおいて望ましいものであるのでございますが、今回は、厚生年金保険の上限、下限との関連等もありましたので、一応スライド制をやめることにいたしたのでございまして、今後の検討事項にいたしたいと考えております。
 次に、弾力条項、いわゆる保険料率の調整規定でございますが、この制度は各種共済制度、短期保険でありまする各種共済制度、あるいは失業保険等においてすでに採用せられておる制度でございます。健康保険におきましても、以前にはあった制度でございます。しかも、この運用につきましては、できるだけ私ども慎重にいたしたいと考えておりまして、まず、運用にあたりましては、社会保険庁長官の申し出があった場合に、そこでワンクッションを置いて、厚生大臣がさらに判断をして、そして社会保険審議会の意見を聞く、こういうふうな慎重な手続を経て行なうことにいたしておりますと同時に、こうしたものは、診療報酬の改定あるいは給付改善等、緊急な場合に限られると考えておるのでございまして、
   〔副議長退席、議長着席〕
厚生省がかってに、恣意にわたってこれを行なうという考えは全然持っていないのであります。
 次に、ボーナスに対する保険料の問題でございますが、特別保険料は、保険料率を一挙に引き上げるかわりの措置として、被保険者の負担を少しでもやわらげようと、こういう趣旨で初めて設けたものでございまして、保険財政が安定するまでの当分の間の措置といたしたものであります。
 なお、特別保険料につきましては、低額の標準報酬を受けられる方々につきましては、これを徴収しないという配慮をいたしておるのでございます。
 最後に、本法律案の成立がおくれておりますが、今回の法律案は、国民福祉という観点から立案されたものでございますので、待っておる国民のために、一日も早く御成立をお願い申し上げたいと考えておる次第でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#17
○議長(河野謙三君) この際、御紹介いたします。
 両院議長の招待により来日されましたユーゴースラヴィア連邦議会議長ミヤルコ・トドロヴィチ氏の御一行が本院に来訪され、ただいま貴賓席にお見えになりました。
 ここに、諸君とともに、心から歓迎の意を表します。
   〔総員起立、拍手〕
     ―――――・―――――
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(愛知揆一君) 私に対する御質問は三つの点でございます。厚生大臣からの御答弁と重複するところがあると思いますけれども、御容赦をいただきたいと思います。
 まず第一点は、僻地における医師及び医業従業員の定着をはかって、対策の充実をはかるべきである、まことにごもっともな御意見であると存じます。
 この問題につきましては、御案内のように、政府としては、厚生大臣からも話がありましたように、最も実際的な対策として、僻地診療所の施設設備の整備費、それから運営費に対する補助、公立医療機関を中心とする親元病院に対する医師派遣の協力助成、国立病院から医師を派遣するための経費、保健婦の配置及び駐在活動費の計上といったような、具体的に予算上のくふうを相当こらしてまいったわけでございますが、さらに、積極的な御提案につきましては、御趣旨を体し、また、厚生省その他と十分に相談をいたしまして、財政当局としてもできるだけの御協力をいたしたいと考えております。
 第二は、看護婦の不足対策の問題でございます。
 看護婦さんの処遇の改善のためには、国立医療機関に勤務する看護婦さんの給与について、例年、国家公務員全体の給与改定率を上回る改善を行なってまいりました。四十八年度予算におきましては、よく御承知のとおり、夜間看護手当を大幅に引き上げる等の措置を財政上も講じてまいったところでございますが、国以外の施設に勤務する看護婦さんにつきましては、御指摘のように、これは診療報酬の問題となりますが、従来からも診療報酬の改定に際しまして配慮してきたところでありますが、今後とも、その適正な評価につきましては、客観的に基準をつくっていただきたいという意味から、中央社会保険医療協議会の審議の中で検討をお願いしております。政府としても、遺憾なきを期してまいりたいと考えております。
 第三は、国民健康保険における家族の高額療養費支給制度の実施についてでございます。
 今回の改正によりまして、国民健康保険におきましても高額療養費の支給制度を実施することになりました。全保険者の実施を予定いたしておる次第でございます。しかし、何ぶんにも各保険者の財政事情がきわめて多様でございまして、すべての保険者について実施体制を同時に整備するということは困難でございますので、全面実施につきましては、三年程度の準備期間を置くこととしたものでございます。これは御案内のように、三十九年度から四十六年度にかけまして、家族の療養の給付率を四年計画で五割から七割に、また、助産費を三年計画で三千円から一万円に引き上げた、こういう例にならったものでございまして、このほか、制度の実施に伴いまして給付に要する費用の二分の一を補助するという新たな国庫補助金を導入することとしております。
 これらの措置によりまして着実に実現をはかってまいろうとするのが政府の考え方でございますので、御理解をいただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(江崎真澄君) お答えを申し上げます。
 山間僻地等の医療の機会に恵まれない地域に対しましては、従来、各都道府県の中心となっておりまするいわゆる親元病院から僻地病院への医師の交代派遣、それから地域の中核病院における巡回診療車、患者の輸送車といったような機動力の整備につきましては、交付税等においてめんどうを見てきたわけでございます。もとより、十分とは思っておりませんので、これは、関係各省庁と話し合いをいたして、今後も十分、充実したものにしていきたいと考えております。
 なお、僻地の医師不足、この医師をどう確保するかという点につきましては、すでに御承知のように、都道府県が中心になりまして、いわゆる自治医科大学を発足させておる次第でございます。ここにおいては、医師としての能力を確保することはもとよりでありまするが、僻地に進んで勤務する心がまえを持ってもらう、こういう教育を施しておるわけでありまして、今後、僻地の医師確保のためには大いに役立つものというふうに期待をいたしておるものであります。自治体病院の施設の整備促進等の措置について、特に僻地についてもいろんな施策を講じておりまするが、なお、今後とも関係省庁と十分連絡をいたしまして、御質問の趣旨に沿うように配慮をいたしてまいりたい、このように考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#20
○議長(河野謙三君) 大橋和孝君。
   〔大橋和孝君登壇、拍手〕
#21
○大橋和孝君 私は、日本社会党を代表し、ただいま提案されました健康保険法の一部を改正する法律案につきまして、田中内閣総理大臣をはじめ関係閣僚に対し、若干の質問を申し上げ、いわゆる決断と実行に基づく明確なる御答弁をいただきたいと存ずる次第であります。
 顧みまするならば、健康保険制度並びに医療制度の抜本的な改革をいかに行なうべきかという国民の生命と健康に関する重要な政治課題について、国会で論議が始まりましてから、すでに八年あまりの歳月を経過しておるのであります。にもかかわりませず、この間、政府に何ら見るべき施策とてなく、本日またも同じような論議を繰り返さなければならないことは、私の最も遺憾とするところであります。国民にとって、これほど不幸な事態はないということを、質問を始めるにあたり、まずきびしく指摘をしておきたいと思うのであります。
 かつて、結核医学の権威、隈部英雄博士は、予防にまさる治療なしと、こう説いておられました。予防こそ医療の最も重要な機能であることは、もはや私がここであらためて指摘するまでもありません。しかるに現在のわが国の医療の現状を見ますと、いまだこの機能が制度として実現されていない。私はここに現在の医療の荒廃といわれる最大の原因があると考えるのであります。
 政府自民党が、一方で大資本本位の経済成長をむさぼり、他方で、健康保障への責任を回避してきたこの十数年間の国民を取り巻く健康と環境の破壊は、世界にその例を見ないほどに進行し、悪化してまいったのであります。
 水銀、PCB等、重金属を中心とした有害物質による内部、外部の環境破壊は、次世代を待たずとも、すでに、現在において民族の質的低下を来たしておるといわなければなりません。いわゆる四大公害病あるいは、難病、奇病、先天性異常等の多発は、まさにその象徴であります。さらに老人や乳幼児等の弱い世代における疾病、職場労働者への新たなる健康破壊などなど私があらためて指摘するまでもなく、このような経済成長がもたらした惰性的な健康破壊の激化を前にし、いまや単なる保険いじりの医療では国民の健康をささえ切れなくなってきているのであります。もはや治療中心の現行医療は完全に野戦病院化しているというのであります。
 そこで、まず田中内閣総理大臣にお尋ねをいたします。総理は、今国会冒頭の施政方針演説において、成長なければ福祉なしと主張されております。私は率直に申し上げて、「ブルータスおまえもか」の失望を禁じ得ないのでございます。一九六〇年に始まったわが国の高度経済成長政策は、外には大資本によるどん欲なまでの海外進出、内には大資本によるたれ流し同然の公害、あるいはあくことなき利潤追求の買い占めなどによってその弊害が、国際関係上で、はたまた国民生活でその極に達しておることは天下周知の事実であります。総理はこの期に及んでも池田、佐藤内閣同様、成長なければ福祉なしとの主張を繰り返されるのでありますか。現在の所信を伺っておきたいと思います。
 次に、健康保険法改正案につきましてでありますが、長年にわたって政府自民党にしみついてきた経済至上主義、科学万能主義に対し、まず医療の側から積極的に転換がはかられなければならない重大な時期にきておるにあたって、政府が提案しております本改正案は国民の健康を金で換算しようとするものであり、従来のものと何ら変わりばえがいたしておりません。言うならば、健康保険ではなくて疾病保険だという点をきびしく主張せざるを得ないと思うのであります。
 そこで、具体的に問題点を何点かにしぼりましてお尋ねをしたいと思うのであります。
 まず第一に、政府が、制度発足以来の画期的な改善と宣伝をいたしております家族給付率引き上げについてであります。政府自身かつて七割給付を打ち出してきたことがあることを考え合わせてみますと、今回の六割給付は決して誇るべきものではなくて、むしろ六割給付を出さざるを得ない、そういうみずからの失政こそ、国民各層に対して明確にすべきであろうと思うのであります。もし、政府が現行社会保険は社会保障の中核であると標榜するならば、被保険者本人と家族の給付率は区別すべきではありません。厚生大臣は、できるところから段階的に実施すると言われておりますが、それはまさに財政主義の官僚的発想を隠蔽するための口実以外の何ものでもありません。被保険者間の給付格差がある限り、社会保険は論理的にも、また実態的にも社会保障の一環の名に値しないものであります。
 第二は、弾力条項の問題であります。申し上げるまでもなく、一国の財政は国民みんなのものであります。民主政治である限り、官僚がその運用の決定権を専有することは絶対に許されないことは、言うに及ばないところであります。そもそも弾力条項は、第六十八国会ですでに撤回されており、それを再び持ち出してくることは、国民軽視、国会軽視もはなはだしいものだと言わざるを得ません。反民主的行為と言わなければならないのであります。ましてや弾力条項に連動するところの国庫負担がわずか〇・四%という説明など、財政主義的発想を如実にあらわしておるものと言わなければなりません。
 第三は、国庫負担についてであります。定率一〇%、額にしてわずか八百七十三億円が、政府にとっていかに安上がりな負担であるかは、国立病院関係への国からの赤字補てん額との比較で歴然としております。すなわち、国立病院特別会計歳入歳出決算額によれば、昭和四十六年度の病院経営収支差額は、約四百五十四億円の赤字であります。それに対して国は一般会計より受け入れ措置で実質的に補てんをしております。この四百五十四億円という額は、政管健保への国庫補助金のほぼ五二%に相当するものであります。国立医療機関に対しては、これだけの財源の負担をしておりながら、政管健保への赤字に対しましては、十余年にわたって国民の要求があるのにかかわらず、わずか一〇%の国庫負担にとどめているのであります。その責任回避のつけが被保険者の負担増としてのしかかってきている仕組みになっている実態を無視して、三者三泣きなどというのは政管健保に対する差別政策でしかありません。さながら、本改正案は、ガンにおかされておる患者に、こう薬をべたべた張っておるという発想でしかないと言わざるを得ません。しかし、幾ら政府、官僚が知恵をしぼり、財政バランスに苦心をし、家族給付引き上げや、高額医療費支給という若干の見返りをもとに、被保険者から過重な負担をひねり出そうとしても、現行医療制度の本質にメスを入れない限り、国民の過重な負担は、あたかも砂地に水を注ぐようなものであると言わざるを得ません。
 そこで、齋藤大臣にお伺いをいたします。
 第一に、私が冒頭で申し上げましたとおり、予防にまさる治療はなし、とは、古今東西を通じて医療の原則であります。大臣は、間口ばかりやたらに広げて、わずかな補助金を総花的にばらまいて運営をしている予防行政をやめ、あらゆる疾病の予防的処置など、広く健康管理体制確立に向けて、疾病のあと追いをするような現行医療制度を脱却するような決意はおありでないでありましょうか、お尋ねをする次第であります。
 第二に、現在、厚生省の基本政策として進められておるところの中央政府中心の医療行政を、住民参加のもとにおける地方自治体中心の医療行政に転換することは、将来における医療保障を展望し、地域住民の今日的なニードに対応するため、ぜひとも必要であると考えます。大臣は、医療行政の立場からこの提案をどのようにお考えになるか、所信をお尋ねしたいのであります。
 なお、自治体行政の立場から、江崎自治大臣にもこの御見解を伺いたいと思うのであります。
 第三に、田中内閣が組閣以来、打ち出しております福祉優先の考え方は、当然、医療においても貫かれねばなりません。したがって、最も優先されるべきものは国民の健康保持であり、今回の健康保険法一部改正案はもとより、診療報酬の問題、公的病院の独立採算制の問題などに象徴されているような、この都合主義な財政優先がまかり通っていては、とうてい福祉優先とは申せないはずであります。大臣は、健保は銭金の問題という自民党内にある考え方を、厚生行政の最高責任者として、断固否定する御決意があるかどうか、お伺いをいたします。
 第四は、現在の財政優先の矛盾は、現行診療報酬体系に象徴的にあらわれております。すなわち、医療機関が当面している緊急な問題は、現行点数が実態と引き合っていないということであります。その一例として、看護料は、自治体病院の場合、入院患者一人について、その持ち出し分は約千円といわれておるのであります。このことは、医師技術料、室料、給食料等につきましても全く同じであります。今日、医療機関は、公私を問わず住民に対する医療サービスに徹底すればするほど赤字がふえていくのであります。ましてや、赤字経営が許されない私的医療機関では、診療内容に対する患者の不満が医師に直接向けられ、医師対患者の信頼関係をことさらゆがめている結果になっておるのであります。最近、厚生大臣は、診療報酬体系が実態に即していない、不合理であると、きっぱり認められております。しかし、認めただけでは、改善の基本的な方向も、具体案が打ち出されたとは、遺憾ながらまだ伺っていないのであります。できるところから段階的にということは、むしろこうした基本的な問題について始めていただきたいと思うのでありますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、自治体病院の問題について、自治大臣より御答弁をいただきたいと思うのであります。
 自治体病院は、地方自治法により固有の業務と規定されております。しかし、そのための財政的裏づけは規定されていないのであります。しかも地方公営企業法では、病院事業は、水道事業、公営交通事業と並立して、経済性発揮と公共福祉の増進という次元を異にする原則を同時に要求されているのであります。地方自治体の医療行政が健康優先を位置づけていないこと自体が、すでに実態に対応を欠いていると思うのであります。そればかりか、経済性発揮は、独立採算という形で締めつけられておるのでありまして、もともと権限と財源が奪われている地方自治体に、病院事業を固有のものとし、しかも最小の経費で最大の効果をあげようというような、買い占めの商社の経営方針まがいのものが地方自治法によって規定されているところでは、病院がヘビのなま殺しの状態になるのは当然と言わなければなりません。自治大臣に決断と実行を求める意味で、御所見を伺いたいと思います。
 同時に、愛知大蔵大臣にお伺いをいたします。税の特別措置法につきましては、これをすみやかに撤廃すべきことは当然でありますが、社会保険診療報酬に対する七二%控除については、国民皆保険を中心とする医療需要体制の社会化の進められる中で制定されたものであることは、大臣も十分御存じと思います。そして今日、国民皆保険は、社会保険という治療上のワク、定められた診療報酬、あるいはまた繁雑な事務手続等によって、一〇〇%に近い達成を見ているのでありますが、しかし、この間、大蔵省は、国民医療について、また診療報酬や事務費について、どれほどの理解と熱意を示したのでありましょうか。口は出すけれども、金は出さないに終始してきたのではありませんか。医療担当者の技術料を正当に評価するという大前提をたな上げにして、優遇措置だけを云々することは、本末転倒であると言わなければなりません。このような経緯と今日の問題の所在について、いかなる見解をお持ちか、お伺いさしていただきたいと思います。
 次に、医療担当者の養成、教育、再教育等の問題についてであります。
 各方面で看護制度の改定が検討されたのは、何といいましても、看護婦不足が危機となっておるからであります。現在の医療体制の中では、看護婦雇用への経済的基盤が弱いため、医療の場では雑務をも受け入れなければならず、本来の看護技術の発揚は著しくゆがめられておるのであります。しかし、事は緊急を要しております。まず看護教育にあたっては、国及び自治体の責任を明確にし、学校教育法第一条に基づくところの看護学校が、どうしても設置されなければならぬと思うのであります。あわせて、医療機関付属の各種学校は、いずれ独立した教育機関とするよう適切に措置されなければなりません。その際、独立機関として移行するまで、医療機関の診療報酬による養成機関の運営は避けるべきであり、施設、設備、運営のすべての費用は、公費負担とすべきであります。そして看護教員、臨床指導者の養成教育も公費で行なうこと、看護学生に対しましても、奨学金制度の拡充をはかるなどなど、政府がやらなければならないことは山積していると言わねばなりません。このような基本的な諸施策を行なわず、ただ上すべりな措置で、これまでのように終始していたのでは、国立、公立、私立を問わず、医療全般の質的低下を避けることはできません。また、准看護婦制度の問題も久しく論議されておりながら、依然として同じ看護労働の中に二重構造を二十年間も持ち込んだままになっておるのであります。看護婦不足は、まさにこの二十年間の看護制度みずからがっくり出したものと言わなくてはならないのであります。看護婦は単に医療機関が必要としているばかりでなく、地域社会でも必要としている公共的任務を持っております。この問題につきまして文部大臣の御答弁を伺っておきたいと思います。
 以上、私が今回の質問で取り上げました問題は、わが国医療をゆがめておるところの基本的な要因となっております。患者、国民及び医療担当者は、長年、そのしわ寄せをこうむっておるのであります。いまや福祉優先、健康優先への大転換のかなめは、医療を抜本的に改正するのか、それとも医療の荒廃の海に国民の健康を沈めてしまうのかにかかっておるのであると言わなければなりません。
 かかるとき、今回の健康保険法の改正を日本社会党はどうしても容認し得ざるものであるということを重ねて申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(田中角榮君) 大橋和孝君にお答えをいたします。
 私に対する御質問は、成長と福祉政策の問題でございますが、政府は、わが国経済社会の発展経路を、従来の生産・輸出を軸とした成長優先の路線から、国際協調をはかりつつ国民福祉を重視したものへと転換するため、本年二月、経済社会基本計画を閣議決定いたしたのであります。
 この計画におきましては、政策転換のための具体的な目標と斉合的な政策体系を示しておりますが、政府といたしましては、福祉社会の実現を目ざしたこの計画に基づきまして、各般の施策を強力に推進をしてまいるつもりでございます。
 これまでのような高度成長を持続することは好ましくありません。しかしながら、福祉社会の実現を目ざして、社会保障の充実や生活に直結をした社会資本の整備に重点的な資源配分を進めてまいりますためには、今後ともある程度の経済成長は必要であります。このため、基本計画では、今後五年間の実質経済成長率を年率九・四%と想定をいたしておるわけでございますが、これは政策運営の基準として適切な水準である、このように理解をいたしておるわけであります。
 他の問題は、関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げます。
 今回の健康保険法の改正は、福祉政策の一環として、実現可能なものから段階的に制度の改善に着手しよう、こういうことでございまして、まずさしあたり、家族給付率の六割の引き上げということを御提案申し上げておるわけでございます。私どもは、今回の提案の法律案が成立いたしました暁におきましては、今後ともさらに七割給付を目ざして努力をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。
 なお、弾力条項の点についてのお尋ねがございましたが、この規定は、すでに御承知のように、よその短期保険には見られておる制度でございまして、昨年の国会のいろいろな審議の経過等もかんがみまして、今回はこの規定の運用にあたりましては、社会保険庁長官が直接行なうということではなく、保険庁の長官から申し出がありました際に、厚生大臣がそこでワンクッション置きまして判断をいたし、そうしてさらに社会保険審議会の意見を聞いて行なう、こういうふうに慎重な手続をとることにいたしておるのでございまして、しかも診療報酬の改定あるいは給付の改善、こういったふうな緊急な場合に発動いたしたいと考えておりまして、恣意にわたるようなことは考えていないのでございます。
 さらに国庫負担の問題でございますが、今回御提案申し上げましたように、今日まで三千億になんなんとする赤字がございますが、これは全部たな上げをし、さらに、従来、給付費に対しましては、定額の二百二十五億の補助きり出さなかったのでございますが、今回は、さらに一〇%の負担を国がしようと、こういうことで、私は思い切った国庫負担だと考えております。これをもっと上げたらという御意見もおありでございますが、まず私どもは、国の財政から申し上げまして、二百二十五億から、一〇%、八百幾らという額になりましたことで、十分御理解をいただきたいと考えておる次第でございます。
 なお、今回の保険法におきましては、そうした給付の改善あるいは高額医療等を実施いたしまして、保険制度でございますので、国民の皆さま方にも応分の負担をお願いしたいということで、千分の七十から千分の七十三というふうに保険料率を上げるように、御提案を申し上げておるわけでありますが、この七十から七十三という率が、額にどういうふうになるかと申しますと、大体十万円の標準報酬の方は月百五十円の負担増でございますから、この程度の負担増につきましては、十分御理解を賜わりたいと考えておるような次第でございます。(拍手)
 次に、医療制度の問題につきまして、疾病の予防あるいはリハビリテーションまで含めた一貫した体制を確立すべきであると、こういう御意見、まさしくそのとおりだと考えております。まだ十分な結果は出ておりませんが、私どもは、今後とも医療制度の改正にあたりましては、疾病の予防、治療、リハビリテーション、これを全部ひっくるめた、いわゆる包括的な医療体制の確立、これを目ざして今後とも進んでまいりたいと考えておりますし、また、現在の医療行政は、政府中心の行政ではないかという御意見、御批判がございましたが、医療行政というものは、あくまでも地域住民の生活に直結し、地域医療の充実をはかるということが基本でございます。したがいまして、私どもも、今後医療行政を進めるにあたりましては、地方の実情に即して行なっていく、こういう方針で進んでまいりたいと考えておる次第でございます。
 次に、診療報酬の問題についてのお尋ねでございますが、最近における物価、賃金等の上昇の傾向等に見合って、診療報酬の適正化の問題が浮かび上がっておるわけでございまして、目下、中医協において、技術料が適正に評価されるということを基本とし、物価、賃金等の推移に見合った適正化の問題が審議されておる段階でございますので、その結論を待ちまして、対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
 看護婦の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、私どもは、その数の増加並びに地位を高めること、処遇の改善、こういう方面に努力をいたしておりますが、今後とも最大の努力をいたしてまいる考えでございます。
 なお、それに関連いたしまして、准看護婦につきまして、看護婦との身分と資格の一元化をはかる、こういう御意見がございましたが、私もこの点につきましては、十分御意見のあるところを理解いたしておるわけでございまして、今後、看護教育、業務等の問題等も含めまして、総合的な検討をいたしてまいりたいと考えておるような次第でございます。
 なお、看護婦の養成につきましては、看護婦の教育を大学あるいは短大で行なうということが望ましい、こういう御意見もありますが、現在の養成施設はだいぶ各種学校の形をとっております。しかし、この制度のあり方というものにつきましては、御意見も十分尊重いたしまして、今後検討いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 看護教員、臨床指導者につきましては、それぞれ公費で養成を実施いたしておる次第でございますし、看護婦等の奨学金と申しますか、修学資金、貸与金の増額につきましては、今後とも努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(江崎真澄君) 国立病院と自治体病院との、いわゆる責任の分担と申しますか、これについてお尋ねがございましたが、ただいま厚生大臣からも答弁がありましたように、地方の地域社会にいわゆる合致した医療機関が成長されることが望ましい、こういうことでございました。もとより医療供給体制の整備をはじめとするいわゆる医療行政のあり方を考えるにあたりましては、病院等の医療機関が医療についての住民の要請に十分こたえること、これが何よりも基本だと思います。したがいまして、安定的に医療を供給することを最大の課題としながら、医療について国の基本方針が定められ、その上で、国の施策に沿って地域社会に合った医療行政が自治体病院において行なわれていく、こういう形で私どもも十分関係省庁と話し合いをしながら解決をしてまいりたいと思います。
 第二点は、いわゆる地方公共団体が設置する自治体病院の公共性、それと経済性、この違った次元に立つ二つの要素をどういうふうに適合させるべきか、これは深刻な問題だと思います。ただ、これは何といいましても受益者がその利益を受けた報酬として診療費を払っていく、この原則は、これはやはり私ども曲げるわけにはまいらない。したがって、病院はその経営に伴う収入をもって経営をされる、この基本的なたてまえをくずすものではありませんが、御指摘のような公共性の多い病院、この運営にあたりましては、現在、自治体病院に対しまして相当財政措置をしておるわけであります。それは、第一には看護婦の養成費、次には伝染病の医療費、救急の医療費、集団検診、医療相談等のいわゆる保健衛生行政に要する経費、こういった経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費、それから病院の建設改良費、先ほど話題になっておりました僻地等の採算のとれない地区の病院の経費、それから高度医療、特殊医療に要する経費、こういった面におきましては、これはその性格にかんがみまして一般会計で負担をする。これらの一般会計からの拠出金につきましては、地方財政計画に余すところなく計上をして、それぞれ所要の財政措置を講じておるわけでありまするが、今後の問題としては、社会保険の診療報酬、それから医師の確保、こういった基本的な問題の解決が要請されておることは、これは申し上げるまでもないところでございます。
 最後に、地方公共団体の経営するいわゆる自治体病院の付属看護婦養成所についてでありまするが、これは四十六年末現在で百十九カ所、養成人員は四千五百八十人となっております。これに要する経費につきましては一般会計が負担をすることといたしまして、自治省において、都道府県立の看護婦養成所についてはことしも普通交付税で十七億円、市町村立の看護婦養成所につきましては特別交付税で七億円、合わせて二十四億円の措置をいたしております。看護婦不足という情勢を深刻に受け取りまして、今後も関係各省庁と話し合いをしながら、これが対策には努力をしてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(愛知揆一君) 診療報酬の問題につきましては、厚生大臣からお答えをいたしましたとおりでございます。これの適正化を考えなければならない、かように存じております。
 反面におきまして、社会保険診療報酬課税の特例措置が税制としては不合理な制度ではないか、こういう批判がございますること、そして長年にわたってこれが懸案になっております問題であることは御指摘のとおりでございます。
 税制調査会におきましても、昨年の四月の総会におきまして、本件についての特別部会が設置されたわけでございます。そのことは、やはり本件の重要性が強く認識された結果でございます。以来、この問題については税制調査会におきましても審議が熱心に行なわれているわけでございますが、今年度の税制改正には、その御答申を具体的にいただくには至りませんでしたので、今回の税制改正には取り上げられておりません。しかし、これはいわば継続審議になっておるわけでございまして、この制度改善のための諸方策につきましては、こうした税制調査会の意欲的な御審議の結果を待ちながら、関係の向きの御理解と御協力の中で適切な措置をぜひ講じたい、かように政府としては考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣奥野誠亮君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(奥野誠亮君) 現在、看護婦の養成は、お話しのとおり、主として厚生省所管の看護婦養成所と文部省所管の高等学校衛生看護料、専攻科、大学医学部付属看護学校で行なわれているわけでございますが、近年、医学の進歩及び医療技術の高度専門化に伴い、資質の高い看護婦の養成が必要とされており、また、看護教育の水準の向上をはかりますために、文部省といたしましては、学校教育法第一条に基づく大学や短期大学で看護婦の養成を行なうことが望ましいと考えているわけでございます。文部省は、国立の短期大学の増設を進めるほか、地方公共団体の積極的な協力による公立の短期大学等の増設を待ち、また、私学の助成策を拡充して、看護婦の資質の向上と養成数の拡充につとめてまいりたいと考えております。
 看護婦等の養成施設のうち、最も多いのは厚生省所管の看護婦養成所で、全体の八〇%を占めておるわけでございます。これらの養成所を学校教育法第一条に基づく学校に移行させることにつきましては、地域的な課題として都道府県等の関係者が取り組んでまいるべきものと考えているわけでございますが、文部省といたしましては、高等学校衛生看護科等、学校教育法第一条に基づく学校の増設を期待し、これらに対しましては積極的に助成を行なっているわけでございますけれども、今後とも一そうの拡充をはかってまいる考えでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(河野謙三君) 小平芳平君。
   〔小平芳平君登壇、拍手〕
#28
○小平芳平君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。
 まず、田中総理に伺いますが、総理大臣の所轄に属する社会保障制度審議会があります。毎月何回もこの審議会は開かれ、ことしの二月などは十回も開かれております。田中総理は政権担当以来、社会保障の充実に施策の重点を置くと言いながら、総理の諮問機関であるこの審議会にあなたは一度も出たことがありませんね。そうでしょう。この審議会の設置法第二条の2には、「社会保障に関する企画、立法又は運営の大綱に関しては、あらかじめ、審議会の意見を求めなければならない。」とあります。総理は、今回の法改正にあたり、あらかじめ意見を求めましたか。それは単なる形式だけで、健保は一月十九日、年金は二月三日にそれぞれ諮問し、両方とも二月十六日に答申を得ております。一月の終わりや二月の初めに諮問しても、予算関係法案の国会提出期限を理由に、審議日数は極端に制約され、しかも、政府の予算案はすでに国会へ提出をされております。こんなことを毎年繰り返していたのでは、少しも審議会尊重にはならないではないですか。いかがですか、総理の御見解を承りたい。
 いまの医療制度に最も緊急な課題は、制度自体の欠陥を正すことであります。昨年の国会では、政府は、まだ、抜本対策や医療基本法案に取り組む姿勢を見せておりましたが、今国会では、基本問題をすべてたな上げしてしまった。このような政府の消極策には絶対に納得できません。厚生大臣は、社会保障長期計画懇談会を持ったと報道されていますが、関係団体にいろいろと意見の食い違いのある医療制度の長期計画ができないことには、全体の計画ができないではありませんか。厚生大臣は、今回の改正が成立したら抜本策に取り組むと、先ほど答弁しておりますが、それは逆だと私たちは言っているんです。抜本的な長期計画こそ、まず必要だと考えますが、いかがですか。
 以上の基本的な観点から、今回の具体的な法改正を検討するに、今回の政府提案にも、保険料の値上げ、賞与等にかかる特別保険料の新設等が入っております。今日の緊急課題は、医療制度自体の欠陥を是正することが先決であって、大衆負担の増加をまっ先に押しつけるべきではない。とりあえずの措置としては、国庫負担を政府原案の一〇%から二〇%に引き上げれば、そのような押しつけはしないで済むわけであります。制度審議会の答申にも、「単に保険財政における総支出と総収入のつじつまあわせの程度以上に、ほとんど出てはいない。」と、政府の提案をきびしく批判しているではありませんか。
 いま、大多数の国民は、田中内閣の物価政策に対する誤りに対し、激しい失望と怒りを感じております。総理は、今国会に提案している公共料金の引き上げを、すみやかに全面的に中止し、政府みずから公共料金を一時凍結して、物価安定への努力を尽くすよう強く要求し、総理の御見解を伺いたい。
 次に、家族療養の給付率は、昨年の原案では、七割で審議会に諮問しておきながら、いつの間にか六割に下げてしまった。これに対する説明は何一つ納得できるものはないので、七割でも不満はありますが、少なくとも昨年の原案どおり七割に修正されたい。
 弾力調整条項も、昨年の衆議院ではこれをはずして法案が通過しているのに、少しばかり手直しして同じものをまた出してくるというのは、国会を軽視しているのではないかと考えざるを得ません。
 そのほかにも多くの疑問点はありますが、私は、ここで早急に手を打たなくてはならない緊急の問題点の二、三をあげて質問いたしたいと思います。
 まず第一に、診療報酬体系の是正について。
 多くの公立病院は、独立採算制をたてまえとされ、赤字経営にあえいでおります。過疎地の町立病院などは、このままでは閉鎖されてしまうかもしれない、これが現状であります。一方、町の開業医さんたちは、外来、入院の多くの患者をかかえ、その合い間を見て往診に飛び歩くなど、わが生命をすり減らして、市民の生命と健康を守っております。にもかかわらず、われわれ全くしろうとが見ても、現在の診療報酬体系はおかしいと思う。具体的には、先ほど大橋議員が指摘されたとおりと思います。このことを質問しても、厚生大臣は、中医協で審議中だと言うだけでしょう。もはや、そう言って時間を空費していることは許されない段階ではないでしょうか。
 それに関連して、私がいまここで指摘したいのは、政府の物価政策の誤りが、医療面にまで重大な危機を引き起こしている点です。ガーゼや包帯の値上がりで、外科医などが診療報酬を請求しても、それは包帯代とガーゼ代にもならない事態が起きております。政府は、このような事態をどう受け取めておられますか、御答弁を承りたい。
 第二には、無医地区の解消についてであります。
 国民皆保険とは名ばかりで、実際にはきちんと保険料を払っておりながら、病気になったときに医療機関がないという無医地区がたくさんあります。厚生省の資料によっても、全国に約二千五百カ所あるとなっております。長崎県の玉之浦町といえば、沖繩を除くと日本の一番西の端にある。不幸にしてこの町には数百人のカネミ油症患者が発生しております。油症患者に対しては、現代医学ではまだ治療方法も不明のままになっております。この玉之浦の町立診療所を中心に四カ所の診療所がありますが、この四ヵ所の診療所をかけ持ちで飛び回っている医師は、台湾生まれでブラジルに永住権を持つ王さんというお医者さんがただ一人です。王さんは日本の無医地区を一つでもなくそうと、南アメリカからはるばる玉之浦へ来てすでに五年になります。そして四つの診療所と四つの中、小学校の校医と、さらに老人ホームまでかけ持ちで、一日、一晩の休むゆとりはない。総理にはっきりとお答え願いたい、日本の医学と行政は、なぜこの世界にも類例のないカネミ油症患者に届かないのですか、行政も医学もなぜカネミ油症患者に届かないのですか、総理の御見解を伺いたい。
 かつて日本の医学界の先覚者たちは、文明未開の原始社会に乗り込み、多くの風土病や難病の治療に尽くし、多大の成果をあげられたのでしょう。しかるに経済の発展した今日にあっては、この狭い日本の国土に僻地と呼ばれる無医地区があり、解消の糸口すらつかめておりません。
 私が特にここで問題としたいことは、大都市にも同じような無医地区のあることです。たとえば東京都でも、新しい住宅団地の居住者たちは医療機関がないか、あるいはあっても混雑がひどく、そこに何時間待ち、一分か二分診療などの現象が必然的に起きてきているわけであります。このような市民はどれほど困っているかしれません。解決策があるのかないのか、はっきりと御答弁願いたいのであります。
 第三には、医師、看護婦、助産婦等の養成についてであります。
 わが国の医療が今日の行き詰まりと混乱を引き起こした原因の一つは、先ほど来も御指摘がありますように、医師、看護婦、助産婦等の養成に重大な欠陥があるからであります。私はいまここで、総理及び関係大臣に問題の本質を究明し、根本的な対策をとるよう強く要求せざるを得ません。
 新聞の投書欄に、一千万円でも不合格、ひど過ぎる私立医大、との記事が出て、また各方面でこの問題が取り上げられておりますが、文部大臣、ことしの春の私立医大の状況はどのような状態だったか、詳しくお答えをいただきたい。こんなことでは、医師として僻地で働こうなどという人が出てこないほうが当然ではありませんか。
 むしろ、前に述べた投書の例に見られますように、自分が医師になったら、長野県の僻地で開業したいとの夢を持っていた青年が、一千万円でも不合格のためにその夢をむざんに打ち砕かれてしまっているのです。これでは青年に夢を与える政治ではなく、青年の夢を打ち砕く政治ではありませんか。
 厚生省の資料によりますと、現在わが国には台湾籍の医師が三百三十五人、韓国籍の医師が二百四十四人、合計五百七十九人の方がおられるそうであります。看護婦はその数すら把握されていないとのことです。これらの台湾や韓国のお医者さんたちは、東京などにも、ある数の方がおられますが、多くの方は先ほどの長崎県の例のように、僻地医療を担当していてくださるのです。総理及び関係大臣はこの事実に対してどのようにお考えか、率直な御意見をお聞きしたいのであります。
 最後に、診療報酬請求明細書の点検についてお尋ねいたします。
 政府は、この点検のために医療専門官を置いておりますが、それは全国でわずか七十六名です。定員にははるかに及ばないでしょう。医科と歯科に分け、各県にいても、わずか一名ずつ、中には一方がゼロか、両方ともゼロの県さえあります。厚生大臣、これでは制度が形ばかりあるというだけで、十分な効果は期待できないでしょう。
 いま私は、ある市の国民健康保険の例をとって具体的に質問いたしましょう。市民課へ来たレセプトを保健婦さんが見て、すぐ不正を発見した。それは、市内のある病院から、ある一家の主人と子供が病気のため三年間も往診したようになっている。しかし、小学校に入学して間もない子供にアリナミン、安定剤のバランス、このような強い薬を与えているということが保健婦さんの第一の疑問でした。さらに、御主人は保健所で実施した予防接種を受けに来ている。そこで主人に会って聞いてみると、全然病気などしていないと言うのです。このいきさつを聞いた公明党の市議会議員が市議会で取り上げようとしたら、市民課長は、絶対に公表されては困ると言う。もしそのようなことを取り上げられたら、市と医師会の間がめちゃくちゃになり、予防接種など何一つできなくなってしまう。さらに、保健婦は、職務上知り得た秘密を漏らした罪に問われるというのです。厚生大臣、私は今回この市を訪れ、関係者の意見を開きました。市民課長は、ぜひとも国の責任で不正をただしてほしいと言いながらも、ただし関係者の名前は一切出されては困ると言うのです。大臣はこのような問題をどう処理しますか。間にはさまって悩んでいる市民課長にも保健婦さんにも納得のいく答弁をお願いしたい。
 昭和四十六年九月十三日の制度審議会の答申には、領収書及び診療報酬明細書についての意見が出されているが、厚生省は、これをどう受けているのですか。政府のなすべきことは、支出面の対策など、何一つ実行しようとしない、怠慢そのものではありませんか。
 以上、私はなるべく具体的に問題を取り上げて質問をいたしました。政府の誠意ある答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(田中角榮君) 小平芳平君にお答えをいたします。
 社会保障制度審議会への政府の諮問の時期、一月十九日はたいへんおそ過ぎたという御指摘でございますが、予算関係法案の場合は、予算編成を通じまして政府原案が策定される関係上、予算編成前に、これと切り離して政府原案を固めて審議会に諮問するということは、実際問題としてきわめて困難であると考えておるのでございます。しかしながら、今回の健康保険の改正にあたりましては、四十六年秋の社会保障制度審議会及び社会保険審議会からの答申と、四十七年末における社会保険審議会の健康保険の改正に関する意見書をしんしゃくしながら、政府原案の策定を進めることができたものと考えておるわけでございます。
 第二の問題は、保険料率の引き上げや、特別保険料の徴収は実施すべきでないという趣旨の御発言でございますが、先ほどからるる申し述べておりますとおり、今回の改正におきましては、家族療養費の給付割合の引き上げをはじめとする大幅な給付改善を行ないますとともに、政管健保の約三千億円にのぼる過去の累積赤字のたな上げ措置、及び給付費の一〇%定率国庫補助の新設によりまして、被保険者の負担を最小限度のものとするために、国として相当思い切った援助を行なうことにいたしたわけでございます。これらの改善に伴いまして、被保険者にも応分の保険料負担を求めることにつきましては、保険制度のたてまえに照らしまして、十分御理解いただけるものと考えておるのでございます。
 一〇%というものを二〇%に上げればいいのじゃないかという御指摘でございますが、これは国民の税金をもってまかなうものでございまして、いま申し上げましたような保険制度のたてまえ上から考えましても、最小限に負担を押えておるのでございますから、御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
 第三は、僻地医療対策等についてでございますが、この問題は、御指摘のとおり、たいへん重要な問題でございます。
 僻地医療の確保につきましては、国立病院からの医師の派遣、僻地診療所の整備運営の助成など、いろいろ努力をいたしておるわけでございますが、確かに全国各地において無医村地区が絶えないことは事実でございます。医者が大体無医村というような僻地に行きたがらないということが一つございます。行く人があっても、公立病院等をつくろうとしても、四十万円、五十万円の給与が払えない、こういうことでございます。そういう意味で、まず医師を養成することが先でございますので、計画を立てまして、医学部の新設、医科大学の新設等を実施をいたしておりますことは御承知のとおりでございます。しかし、それだけをもって僻地の無医村が解消するとは考えられないわけでございます。ですから、僻地に医師が参りますようにするにはどうすればいいのか、それは国が補助すればいいんだというような簡単なことで解決できる問題でありません。そういう意味で、いろいろ考えた一つの結果といたしまして、今度新しくつくります医科大学及び医学部等に給費生制度のようなものを考えて、それで全額学資を国及び公費でまかなうことによって、五ヵ年ないし何カ年間勤務地を指定するというような、こういうような新しい問題と取り組まないで僻地診療というものを解消することはできないわけであります。そういう問題とも真剣にいま取り組んでおるわけでございますので、成案ができたら、また御協力を賜わりたい、こう思うわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えを申し上げます。
 まず最初に、昨年提案いたしました医療基本法のようなものを先に出すのが筋ではないかというお尋ねでございましたが、昨年衆議院のほうに提案いたしましたところ、関係各方面から反対がきびしく打ち出され、国民的合意を得るということはなかなか困難でございますので、今回は慎重に見直すことといたしまして、当面なさなければならない保険の給付の改善を中心といたしました保険法の改正を提案いたしたような次第でございます。
 なお、それに関連いたしまして、医療供給体制の整備は緊急な問題でございますので、先般発足いたしました社会保障長期計画懇談会において、八月をめどとして根本的な案を練りたいと考えておる次第でございます。
 なお、今回の法改正による保険料率の引き上げの問題についてお尋ねがございましたが、今回の法律案改正によりまして、給付率の引き上げ、あるいは高額医療費の問題、こういうふうな給付改善に見合いまして、保険料率を千分の七十から七十三、こういうふうに上げていただくようにお願いをいたしたわけでございます。
 健康保険は保険制度でございますので、何と申しましても、被保険者の方々に応分の保険料負担をお願いしなければならないと考えておるわけでございまして、この程度の額でございますれば、消費者物価指数に影響を与えるものとは考えておりません。標準報酬十万円の方は、月百五十円という金額であるからでございます。
 国庫補助率を引き上げる問題につきましては、総理からお答えになりましたとおりでございます。
 六割を七割という問題につきましては、ただいま提案いたしておりまする法案が成立いたしました暁に、前向きに、できるだけ早く実現するように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
 次に、弾力条項の規定についてのお尋ねでございますが、医療保険のような短期保険においては、組合健保、各種共済組合をはじめ、労災保険、失業保険等の例に明らかなように、財政収支を調整するためのこういう仕組みが、全部設けることが通例になっておるわけでございます。しかし、私どもは、この弾力条項の規定につきましては、昨年の国会の審議の経緯等もございましたので、今回は上下限――上限だけでございましたが、下限も法律で定めることとし、さらにまた、保険料率の決定につきましては、社会保険審議会の意見を聞く。さらにまた、保険庁長官だけで意見を聞くというのではなく、ワンクッション置いて、厚生大臣が社会保険審議会の意見を聞く、こういうふうに訂正をいたしまして、国会に提案をいたしておることを御理解いただきたいと思う次第でございます。
 次に、ガーゼの値上がり等に関連いたし、また病院の経営等につきまして、診療報酬改定のお尋ねがございました。
 最近、ガーゼが、綿糸の価格が値上がりし、工賃も上がる、こういうふうなことで、ガーゼが大幅に値上がりいたしておることは十分承知いたしておるわけでございまして、この問題につきましては、目下通産省とも相談しながら増産体制に入っておるわけでございまして、できるだけ早い機会に価格の鎮静化につとめるようにいたしたいと考えておりますが、それはそれといたしまして、最近の病院の経営、こういうふうなことからいたしまして、診療報酬の改定ということが一つの大きな問題になってきておりますが、これがためには、関係者の十分な合意を得るということが必要でございまして、今日まででも、すでに御承知のように、中医協において建議方式というものがルールとして定着をいたしておるわけでございまして、中医協を抜きにして、厚生大臣がいま直ちにこれを決定するということはむしろ適当ではない、かように考えておるわけでございますが、最近における賃金、物価等の推移に応じまして、技術料の評価ということを基本として、目下診療報酬改定の問題が中医協において審議されておるわけでございますので、その結論を待ちまして対処いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 無医地区の問題につきましては、総理からお答えになりましたとおりでございまして、厚生省といたしましても、真剣に今後努力をいたしてまいる考えでございます。
 看護婦の養成等につきましては、先ほど来お話のありましたように、養成数の増加、あるいは処遇の改善、こういったふうな質・量両面にわたって、今後とも真剣に努力をいたす覚悟でございます。
 それから次に、診療報酬請求明細書の点検の問題でございまして、先ほどお述べになりましたような事例があったということを承りまして、私どもまことに遺憾なことでございます。こういう不正な受診は許してはならぬことでございます。私どもは、今日まで、政管健保につきましても、御承知のように、診療報酬支払基金から送付されてまいりましたこの明細書につきましては、社会保険事務所で事務点検を行ない、チェックをするというふうなことにいたしておるわけでございますが、今後一そう診療報酬請求明細書の点検調査を強化いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 なお、それと同時に、こうした例がありました場合には、私どもは地方庁に指導をいたしておるわけでございますが、県庁にはそれぞれの機関がございます。行政当局にできるだけそういうときは連絡していただきたいということを指導いたしておるわけでございますが、今後ともこういうふうな指導につきましては、一そう強化いたしてまいる考えでございます。
 なお、それに関連いたしまして、医療専門官の充足のお尋ねがございました。確かに現在定員を十分充足できない状況にあることは遺憾でございますが、今後とも処遇改善などの問題を配慮しながら、一そうこれが充足につとめてまいりまして、こうした不正な受診が行なわれないように、厚生省としての責任において努力いたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣奥野誠亮君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(奥野誠亮君) 四十八年度の私立の医科大学入学金の現状は、学生一人当たり最高が五十万円、最低が十万円でございまして、平均して二十三万五千円となっております。寄付金の実態はまだ全貌を明らかにしていないわけでございますが、四十六年度におきましては、入学者のうち、寄付いたしました者が六五%で、寄付者一人当たりの平均寄付金額が六百万円、最高が二千百万円でございます。いずれにいたしましても、このようなことは、純真な青年の心をむしばむこと非常に大きなものがあると心配をいたしておるわけでございまして、国といたしましては、今後とも、私立医科大学に対しまする助成について努力いたしますと同時に、入学時の寄付金の抑制策を積極的に考えてまいりたいと存じておるところでございます。
 同時に、これからは、私立の医科大学の設置認可については慎重を期していきたい。反面、国公立の医科大学の増設を積極的にはかっていきたいということで、四十八年度については三校、四十九年度については四校、国立の医科大学を設けることにいたしておるわけでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○議長(河野謙三君) 中村利次君。
   〔中村利次君登壇、拍手〕
#33
○中村利次君 私は、民社党を代表して、趣旨説明がありました健康保険法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問します。
 わが国が、国民皆保険となってから、すでに十余年を経ていますが、それは単なる制度上のみのことであって、政府も認めるように、この間、見るべき改善が行なわれないまま、国民医療の問題は、もはやこのまま放置できないほどのものとなって、政治の重大な決断が強く求められています。
 先ほどから指摘をされておりますように、保険料を負担するだけで、医療の機会を与えられない僻地、無医地区の問題、「三時間待って三分診療」といわれる救いがたいいら立ちをがまんさせられる都市部の現状、医師、看護婦等の不足で、あきベッドがあるにもかかわらず入院できない人たち、幸いにして入院できたとしても、差額ベッドと称する高額な支払いに泣かされている庶民、必要不可欠な付き添いをつけて巨額な自己負担に困窮する人たち、まさに皆保険いずこにありやと言わなければなりません。
 政府も医療保険制度の抜本改善を重要な課題としてとらえています。第五十五国会で、二年の期限つきで抜本改正案の提出を確約しましたのも、その緊急性を認めたからにほかならないと思います。ところが、第六十一国会では、関係審議会の結論が得られなかったとの理由で二年間の期限を延長し、さらに第六十五国会に至っては、赤字対策の値上げ法案を提出するという暴挙をあえて行なっているのであります。
 そこで、総理に質問をいたします。抜本改正を確約してすでに六年、抜本改正ができないその理由は何か、また、その責任をどのようにお考えになるのか、理由と責任について明確な御答弁を要望いたします。
 確かに医療保険の分野では関係者の利害が錯綜し、根本的な解決が容易ではありません。だからこそ、また国民は重大な政治課題として政府の決断を求めているのです。このような法案を提出する前に、まず医療基本法を制定し、それに基づいた抜本改正を行なってこそ国民の期待にこたえる唯一の道であると思います。関係者の利害が錯綜する場合、一体、政府はいずれの立場にお立ちになるのか。自民党内閣は医師会に弱いという世評にどうおこたえになるのか。あわせて医療保険制度を福祉政策、社会保障政策の一環としての位置づけをするおつもりがおありかどうか、総理の御所見をお伺いいたします。
 次に、第六十五国会に提出された健康保険法等の一部を改正する法律案は衆議院において修正されていますが、この法律案は、その修正を全く無視したものとなっています。総理はどのようにお考えか、あわせてお伺いいたします。
 さきにも述べましたが、国民のための医療供給体制の確立は、すでに指摘されましたとおり、いまや喫緊の急務というべきです。そしてその解決のためには、発想の転換による思い切った国庫補助を要するものが数多くあります。
 そこで、次の諸点について厚生大臣、大蔵大臣に伺います。
 まず第一に、僻地、無医地区の対策が叫ばれてすでに久しいのですが、これは先ほど総理、厚生大臣からの御答弁がございましたけれども、これはもう不言実行、具体的な対策をどのようにお持ちか、私は重ねてお伺いいたします。
 第二に、医療担当者の極端な不足にどのように対処されるのか。無医地区の問題も医師不足が主因でございましょう。入院希望が殺到しても、赤字にあえいでいる病院にあきベッドがあるにもかかわらず入院できないのもまた医師や看護婦の不足によるものです。私は、医師、看護婦はもちろん、あらゆる医療担当者の養成を原則として公費によって行なう以外、この問題の解決方法はないと考えますが、関係大臣の御所見はいかがでしょうか。
 第三は、いまも申し上げましたとおり、公立、私立を問わず、赤字に苦しんでいる病院経営に関する問題であります。現状では、病院は、国民に対する十分な医療サービスを行なうことができません。そこで私は、公的病院については、現行の独立採算制をやめて、一定の要件を備えた民営の病院ともども、国の助成を行なうことによって国民の医療体制を確立すべきだと考えますが、政府の御見解はいかがでしょうか。
 第四に、差額ベッドと付き添いの問題についてであります。この問題は、病院経営の赤字問題に関連いたしますが、少なくとも、差額ベッドを必要とするきわめて少数の特例を除き、医療保険制度そのものの否定にも通ずる差額ベッドの存在は断じて許すべきものではありません。政府が、かりにこれを黙認されるとすれば、政府自身、医療保険制度を食い荒らしているものといわれても釈明の余地がないと存じますが、御所見を伺いたいと存じます。
 付き添いの問題も同様に医療保険制度の根幹に触れる問題だと思います。完全看護を基準看護と呼びかえてとりつくろってみても、付き添いを必要とする患者の付き添い費が自己負担では、国民はしょせん浮かばれません。差額ベッドや付き添い費の負担にたえかねている人たちの立場に立った具体的対策をお伺いしたいと存じます。
 第五は、医薬分業の問題であります。本問題は元来すでに実施済みでなければならないはずであります。受診者が医療費の内容を確認することができない支払い制度のもとで、医療費の中に占める薬代は四〇%をこえています。営利医療によるむだな投薬が行なわれているとすれば、健保財政上からも重大な問題と言わなければなりません。この際、医薬分業を断行し、調剤センター等の設置を検討される御意思があるかどうかお伺いをいたします。
 第六に、監査についてであります。先ほど厚生大臣の御答弁の中にも若干触れていらっしゃいましたけれども、私が承知するところでは、監査要員定員百五名が、実際には大幅な欠員によって七十六名と伺っておりますけれども、したがって、当然厳正な監査を行なわれるべきはずのものが、この人員不足によって厳正な監査を行なうことが事実上不可能の状態にあるといわれますが、事実はどうでございましょう。また、その対策をどのようにお考えになるのかあわせてお伺いをいたします。
 第七に、家族療養費についてであります。皆保険下の療養費の給付は本人、家族、当然これは差別をつくるべきでなく、一律給付の方向に進むべきであると思いますが、一律給付について検討される御意思がおありかどうかお伺いをいたします。
 最後に、本法案は、従来の政府の姿勢から一歩前進したものと認められますけれども、しかし給付費の改善に要するもの五百五十三億、国庫補助八百十億に対し、保険料の値上げによるもの九百七十一億という内容を見ても、しょせんは政府が何とおっしゃろうとも、医療保険制度への基本的な取り組みを避けた赤字対策の一手法にすぎません。また、特別保険料の新設や厚生大臣による保険料率の調整、いわゆる弾力条項等は、まさに本末を転倒するもはなはだしいものというべく、断じて国民によって容認されるべきものではありません。政府はこの際、本法案を撤回し、勇断をもって抜本改正案を策定し、医療保険制度の根本的手直しを行なうことによって国民の期待にこたえるべきであると存じますが、お考えはいかがでありましょうか。同時に、私はこのことを強く政府に求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(田中角榮君) 中村利次君にお答えをいたします。
 まず第一は、抜本改正の問題と医療基本法についての御質問でございますが、医療基本法案につきましては、各方面からいろいろ意見もございまして、時間をかけて練り直すことにいたしておるのでございます。同法案が目的といたしておりました医療供給体制の整備につきましては、先般の経済社会基本計画を受けまして、現在厚生省におきまして、社会保障長期計画の策定作業を進めておる次第でございます。これと相まって抜本改正の問題も引き続いて取り組んでまいりたいという考えでございます。
 第二は、前国会、衆議院で修正された健保改正法案と今回提出された案との問題でございますが、今回は懸案の給付面の改善に踏み切ることとともに、国庫補助率の一〇%への引き上げをはじめ、特別保険料につきましては低所得者に対する免除措置を講じているほか、保険料率の調整規定につきましても、その手続をより慎重なものに改めるなど、昨年提出案についての衆議院における御審議の経過を十分検討いたしました上で、改正案の策定を行なったところでございます。
 残余の問題につきましては厚生大臣から答弁申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(齋藤邦吉君) 総理大臣からお答えになりました部分を除きましてお答えを申し上げます。
 まず、僻地医療対策の問題でございますが、先ほど来御答弁申し上げましたように、国公立病院等を親元病院といたしまして、これに対し助成を与える、こういうふうな施策、さらにまた僻地診療所の設置の問題、巡回診療車の整備、こういったふうな事ごとにつきまして、今日まで努力をいたしてまいっておりますが、今後とも私は、こうした無医村地域につきましては、医師との連携措置を各町村ごとに具体的にきめるように指導し、確立してまいりたいと考えておる次第でございます。
 医師、看護婦の確保の問題につきましては、先ほども御答弁申し上げましたが、数の増加の問題、さらにまた処遇改善等による離職の防止、こういったふうな質・量両面にわたりまして、総合的に確保対策を進めてまいりたいと考えておりますが、特に国公立を中心に養成施設を整備する、これが基本であります。さらにまた、民間養成施設に対しましては、運営費の助成を充実する、修学資金制度の拡充、こういう制度につきまして、給与の処遇の改善と相まって、今後とも一そう努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 公立病院の問題につきましては、県立・市町村立病院に対しまして、国が助成をしたらどうであろうかという御意見でございますが、御承知のように、自治体病院は、地方公営企業法において、看護婦養成事業、救急医療等その性質上病院の収入をもって充てることが適当でない経費、あるいは僻地医療、こういうふうな不採算医療につきましては、府県、市町村の一般会計において負担するということになっており、これに対しましては、自治省において御承知の特別交付税の交付を行なう、こういう仕組みに相なっておりますので、いま直ちに公立病院に対して国が助成をするというふうな措置については考えていないのでございます。
 なお、私的病院につきましては、診療報酬が常に適正な水準に保たれる、これが必要でございますので、私どもは看護婦養成に対する補助等を行なっておりますが、今後ともこれら施策の一そうの拡充につとめてまいりたいと考えております。
 次に、差額ベッド、付添看護のお尋ねでございます。特別室の問題につきましては、特別室料の負担のために、必要な医療の機会が妨げられることのないよう配慮する必要があると考えておりまして、こうした考え方から、従来とも病院等につきましては、その差額ベッドの割合を一定の割合以下にとどめるように、保険医療機関を指導してきたところでございます。しかし、最近、本人が希望しないにもかかわりませず、特別室に収容されるような事例も見られる現状でございますので、今後とも一そう指導の強化をはかってまいりたいと考えております。
 付添看護料につきましては、現在基準看護の体制にない保険医療機関において、一定の範囲で保険の給付対象としているところでございますが、最近、老人性疾患、交通事故等による患者が増加しつつある現状にかんがみまして、従来の支給要件で十分であるかどうか等について検討をいたしておる次第でございます。
 医薬分業の問題につきましてのお尋ねでございますが、なるほど、現在実施状況は日本は低い水準にとどまっておりますが、その理由は、わが国の歴史的な事情から、国民の間に医薬分業の習慣が育ちにくいということが一つの大きな原因であろうと思いますが、それと同時に、関係者の間でこれを実施する体制の整備、これが十分でないというのが一つの大きな原因であろうと考えております。したがって、政府といたしましては、今日まで調剤施設の整備など、薬局の側の受け入れ体制について指導をし強化いたしてまいっておりますが、今後とも、こうした受け入れ体制を強化いたしまして、医薬分業の基礎的条件を整え、国民に対しても十分にその意義の周知徹底をはかり、その実施を推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
 なお、医療保険の監査に当たりまする医療専門官、なるほどお述べになりましたように充足が非常に困難でございます。しかし、私どもは、この充足のためには全力を尽くさなければなりませんが、処遇改善が一番の基本であると考えておるわけでございまして、その措置を十分に配慮しながら、監査官の充足につとめてまいりたいと考えておりますし、また、保険医療機関等に対する監査につきましては、保険医療の適正化をはかるということは絶対に大事なことで、今日まででも努力をいたしてまいりましたが、今後とも、重点的に指導、監査を実施いたし、厳正を期してまいりたいと考えておる次第でございます。
 国民皆保険のたてまえから、家族の給付を一律にするようにしたらどうであろうかという御意見でございます。なるほど十分尊重いたしたいと考えておる次第でございますが、それぞれの保険においては、財政の都合等もありまして、一挙に一律にするというわけにはまいらぬものもございますが、将来の方向としては、私ども前向きに努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 なお、今回の保険法の改正は、大幅な給付の改善を行なっておるのでございまして、それに見合って、ある程度の料率の引き上げの御負担をお願いしたい、千分の七十から千分の七十三、十万円の標準報酬の方は月百五十円、こういう程度の負担の増をお願いしたいと、こういうわけでございますので、大幅な給付改善の内容と見合って、この程度はやむを得ないと考えておりますので、どうかその点を御理解いただきたいと思いますし、弾力条項の規定につきましては、先ほど来お答えいたしておりますように、各種短期保険には全部こういう制度があるわけでございます。しかも、昨年における審議の経過等も踏まえまして、慎重にこれを発動するというふうに改めておるのでございますから、どうか、そういう点も御理解いただきまして、御協力のほどをお願い申し上げたいと思う次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(愛知揆一君) 第一の僻地の問題でございますが、これは、御質問の御趣旨をまことにごもっともと考えておる次第でございます。財政当局といたしましても、先ほどもお答えいたしましたが、僻地診療所の施設設備の整備費をはじめといたしまして、親元病院に対する医師派遣等の協力、助成、国立病院からの医師派遣の経費とか、あるいは保健婦の配置や駐在活動費等々につきまして、予算に所要の経費を計上するということで今日までやってまいったわけでございますが、これでは不十分であるという点につきましては、今後とも、関係省庁等の御意見等も十分参酌いたしまして、前向きに対処してまいりたいと考えております。
 第二は、病院に対する国庫補助の問題でございます。たとえば、御質問の御趣旨からすれば、公立病院等については独立採算制を廃止してはどうかという御趣旨になろうかと思いますが、この点につきましては、私どもの考え方は、公私立を問わず病院の経営費というものは、原則として診療報酬によってまかなわるべきものであると、こういうふうに考えておる次第でございます。したがって、経営費を一般的に財政援助をするということは、財政当局としては考えておりませんことを御理解願いたいと思います。
 しかしながら、たとえば日赤、済生会といったような公的の病院は、僻地の医療や救急医療、あるいはガンの治療であるというような、いわば高度の不採算性の医療を担当いたしております。また、地域医療の確保に貢献しているにもかかわらず、とうていその収入をもっては経営に当たることができませんので、四十八年度には、新たに補助制度を導入いたした次第でございます。
 また、一般的に公立病院につきましても、その性質上、病院の収入をもって充てることが適当でない経費、たとえば、看護婦の養成、あるいは伝染病、または救急の医療、それからもう一つは、能率的な経営を行なっても、なお、その経営に伴う収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費がございます。これは、ただいま申しました僻地とか、ガンの治療でありますとか、高度に採算に乗らない医療に伴います増高経費、あるいはまた病院の建物、設備費の一部というようなものは、これは普通会計で負担することが適当であって、必ずしも厳密な意味で独立採算制をとることは適当でない、かような考え方から、ただいま厚生大臣からもお話がございましたが、普通会計負担の財源としては特別地方交付税あるいは起債の収入等を充当いたしまして、これに対処しておる次第でございます。
 第三は、医療担当者の養成機関に対して、やはり国庫補助の措置を拡充してはどうであるかということでございますが、この点につきましては、厚生大臣から詳しく御答弁がございましたから省略いたしますが、医師の養成、看護婦の養成等々につきまして、すでに相当の施策を講じておりますが、今後とも努力は続けたいと思います。
 最後の問題は、健康保険制度に対する国庫負担率をもっと引き上げたらどうか、この点については、政府といたしましては、定額補助を定率補助にして、これを一〇%にした。この関係で、四十八年度予算で申しますと、従来、定額補助の場合は二百二十五億円でございましたが、その三・六倍に達する八百十一億円の補助を四十八年度では計上いたしておるわけでございますし、また御案内のとおり、四十八年度末で約三千億円に達する累積収支不足額をたな上げにいたしまして、これを国庫補助によって補てんすることにいたしたわけでございます。これに伴いまして、今後長期にわたって多額の財政負担が必要となりますが、被保険者に過大な負担をかけることなく、保険収支の均衡を確保しようとするのが本旨でございます。
 もう一つ、保険料率の調整規定の発動につきましては、保険料率の引き上げに連動して国庫補助率をさらに引き上げることになっておることは御承知のとおりと思いますが、これは料率が〇・一%引き上げについて補助率を〇・四%引き上げることにいたしておるわけでございます。このように政管健保に対する国庫補助につきましては、相当に思い切った措置を講ずることといたしたわけでございまして、これ以上国庫補助を引き上げますことは、保険制度の本旨に照らし、あるいはまた他の健康保険制度に対する国庫補助との均衡ということから申しましても、私といたしましては、これ以上引き上げるということは適当でない、かように考えておりますことを率直にお答え申し上げる次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○議長(河野謙三君) 小笠原貞子君。
   〔小笠原貞子君登壇、拍手〕
#38
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、健康保険法等の一部改正案について、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 本来、健康保険制度を含めて、社会保障制度の根本的な理念は、勤労者の生活に対して、国と資本家が全面的に責任を負わなければならないところにあります。憲法第二十五条が「國は、すべての生活部面について、社會福祉、社會保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と、国の責務を明確に規定しているのも、この理念に基づいたものであることは言うまでもありません。このことは、今日、国民の健康が、大企業と、これに奉仕する自民党政府の高度成長政策がもたらした労働強化、公害、交通戦争などによって根本的に脅かされており、厚生省の調査でも、十年前と比較して病人が二倍以上にふえ、ついに九人に一人が病人となっているということでも明らかなところであります。したがって、社会保障の重要な柱である健康保険について、国と資本家こそが全面的に責任を持たなければならないことは当然のことと言わなければなりません。
 ところが、今回の改正案は、多少の給付の改善と引きかえに労働者の負担をますます増大させることをおもな内容としております。この方式は、自民党の国民医療大綱の中で強調された、「自分の健康は自分で守るという自己責任原理」に基づいたものであり、憲法第二十五条の精神と近代社会保障の基本的理念をまっこうから踏みにじるものであります。
 しかも政府は、二、三の点は別にしても、昨年の第六十八国会で本院において廃案になったものと基本的には同じ法案を再び提出しています。これは国会と国民の意思に挑戦する暴挙と言わなければなりません。
 政府が、真に国民の福祉を重視するというなら、何よりも、憲法の精神を踏みにじって、低賃金の中小企業労働者にさらに重い負担をかける保険料の引き上げや、ボーナスからも保険料を徴収する総報酬制はやめるべきであります。総理並びに厚生大臣のしっかりした答弁を求めます。
 特に、いわゆる弾力条項は国会無視の条項であり、健康保険制度の根本的改悪に糸口を開くものとなり、絶対に認めることはできません。厚生大臣は、社会保険審議会を経てきめるので国会軽視ではないと衆議院でも答弁され、きょうもそのような意思を表明されておりますが、大臣は一体、審議会を国会と同じものだと考えておられるのか。このような非民主的条項は、当然撤回すべきであると思いますが、厚生大臣の見解をお伺いいたします。
 政府は、保険料を引き上げなければ保険財政の赤字が解決できないと大宣伝しています。しかし、このような言い分は、社会保障制度の根本精神を踏みにじる政府・自民党の反国民的な立場を明らかに示すものであります。保険財政がこんなに赤字になった原因は、政府が当然負担すべき国の補助を怠ってきたところにあります。政府は、国民の激しい批判に押されて、今回、国庫補助を定率一〇%にしましたが、これでは憲法に定められた政府の責務は果たせません。政府は、少なくとも国庫補助を二〇%以上に引き上げるべきであると思いますが、そのつもりがおありかどうか、お答えをいただきたい。
 また、保険料の負担率を労使折半にするという資本家擁護の制度、これは健康保険制度発足以来約五十年間、一度も改善されてきておりません。すでにフランス、イタリアなど進んだ諸外国では、労働者負担をきわめて軽くしており、これが今日の世界の趨勢となっております。わが国も当然労使折半、この負担率を当面三対七とし、資本家に応分の負担をさせるべきであり、中小企業にはこのために必要な援助を国が行なうべきであります。これについての政府の答弁を求めます。
 また、健保財政の赤字を解決するためには、何よりも大製薬会社の不当に高い独占薬価を引き下げることが急務であります。過日、イギリス政府は、スイスの製薬会社の精神安定剤について大幅な値下げ命令を出しました。この薬品は、わが国では、武田薬品が「コントロール」という製品名で販売しており、その薬価基準はイギリスの価格の四・三倍、イタリアの約百八十倍という驚くべき高値となっているのであります。大製薬会社の高利潤を保障するための法外に高い薬価基準、これこそ今日、薬代が総医療費の四〇%以上を占め、保険財政の赤字を大きくさせている根本原因の一つであります。政府は、イギリス政府が断行したように、独占薬価引き下げを決断し実行すべきであると思いますが、その意思がおありかどうか、答弁を求めます。
 次に、保険給付についてであります。今日、保険あって医療なしといわれるように、国民は低い保険給付と高い医療費に泣かされています。一日四、五千円もする差額ベッド代、一日三千円からの付添料、どうして普通の国民が安心して病気をなおすことができるでしょうか、病人が出れば、保険があっても一家は破産状態というのが、国民のいまの現状であります。厚生大臣は、このひどい状態をほんとうに知っておられるのでしょうか。政府は、少なくとも、家族給付を直ちに八割に引き上げ、さらに差額のないベッドや看護婦の定員の大幅な増加をはかるなど、患者の自己負担をなくす措置を直ちにとるべきであります。また、このような事態をなくすためにも、医師の技術を十分に評価し、診療報酬は適正に引き上げるべきであります。国民が心から望むこのような措置をとられるかどうか、厚生大臣の明確なお答えを求めます。
 また私は、今日の医療の驚くべき荒廃に強く心を痛めるものです。いま病気になっても、かけ込む病院もないという状態は、決して過疎地だけのものではありません。大都市でも病院のないところ、あっても救急医療や休日・夜間診療がありません。看護婦さんが不足して、あきベッドがふえております。
 このような状態で、母親は病気になった子どもをただ抱き締めていればいいとおっしゃるのでしょうか。このような状態を解決することこそほんとうの福祉政策ではありませんか。政府は、国公立病院をはじめ、公的医療機関に十分な財政援助を行ない、必要な医療機関と医療従事者を十分に確保するとともに、開業医が地域で有効な医療活動が行なえるよう、十分な援助を行なうべきであります。特に看護婦さんの待遇と労働条件を根本的に改善することが急務です。これらはもう一日も猶予できない緊急な問題となっております。政府の真剣な答弁を求めるものであります。
 最後に申し上げます。今日の国民の健康の危機と医療の荒廃が、自民党政府、財界の高度成長政策による労働強化、公害、交通地獄、環境破壊などを根本的原因として起こっていることは、最初に申し述べたとおりであります。
 この根本的な原因をなくし、国民の生活条件、生存条件を真に改善することなくしては、どれほど社会福祉を強調されても、それが全く画にかいたもちになってしまうことは明らかなことであります。
 私は、国民の命と暮らし、何よりも子どもたちのしあわせを守る立場から、社会保障の名に値しない本改正案を撤回するよう要求して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(田中角榮君) 小笠原君にお答えいたします。
 第一問は、保険料の引き上げ、特別保険料の徴収は、やめるべきではないかという御質問でございますが、先ほどから申し上げておりますとおり、今回の改正においては、家族療養費の給付割合の引き上げをはじめとする大幅な給付改善を行ないますとともに、政管健保の約三千億円にのぼる累積赤字のたな上げ措置及び給付費の一〇%定率国庫補助の新設によりまして、被保険者の負担を最小限度のものとするため、国としては相当思い切った援助を行なうことにいたしておるわけであります。これらの改善に伴って、被保険者にも応分の保険料負担を求めることにつきましては、保険制度のたてまえに照らして、十分理解がいただけるものと考えておるのであります。
 第二は、保険料負担の割合は、使用者七、労働者三の割合で、労働者に軽くするように変更ができないかということでございますが、労使の負担割合につきましては、比較的中小企業の多い政管健保におきまして、事業主の負担を増加させることは負担能力の点で問題があり、にわかに賛同しがたいということでございます。
 残余の問題に対しては、関係閣僚から答弁いたします。(拍手)
   〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(齋藤邦吉君) ただいま、保険料率の引き上げ、特別保険料の徴収、それから保険料負担の割合の変更等につきましては、総理大臣からお答えになりましたので、その他の部分についてお答えを申し上げます。
 まず、弾力条項の規定でございますが、短期保険でこういう制度を持っていないのは健康保険制度だけでございまして、御承知のように、組合健保、各種共済組合、労災保険、失業保険、こういうものはすべて短期保険でございますから、財政収支を調整するためのこういう規定が設けられるのが通例でございます。
 しかも今回の弾力条項の規定につきましては、さきに国会に提案いたしました法律の内容を多少変えておりまして、上下限を法律できめております。しかも発動するにあたりましては、厚生大臣が社会保険審議会の意見を聞いて料率を変更するという、これは、よその短期保険にあるような調整規定とはまた違って、非常に慎重な規定をしておるわけでございまして、これは国会無視ということには当たらないと考えております。
 国庫補助を二〇%以上とする用意はないかと。現在のところ考えておりません。
 薬価基準の問題でございますが、現在の薬価基準は、自由競争によって形成される市場価格の動向を毎年薬価調査によって把握し、その結果に基づき薬価基準の改定を行なっておるところであり、なお今後は、さらに経時的変動も調査するなど、市場価格の動向をより一そう薬価基準に反映させるよう、その適正化につとめる所存でございます。
 さらに、給付を八割に上げたらどうであろうかというお尋ねでございますが、現在、政管健保は財政が苦しいのでございまして、六割給付ということをいたしたのでございまして、とても八割などに給付を引き上げることはいまの財政ではできないと、はっきり申し上げておく次第でございます。
 特別室料の問題につきましては、この差額ベッドの負担のために必要な医療の機会が妨げられることのないように指導をいたしてまいっておりますが、今後ともそうした指導の徹底をはかってまいりたいと考えております。
 さらに丁医療従事者の問題、僻地における無医地区の問題、休日診療体制の問題、看護婦の問題、給与改善の問題、こういう問題につきましては、私ども、先ほど来お答え申し上げておりまするように、今日まで相当の努力をいたしておるわけでございますが、今後の計画につきましても、社会保障長期計画懇談会において検討いたしまして、今後五ヵ年間における年次別の計画をきめ、そして問題の解決に当たってまいりたいと考えておる次第でございます。
 診療報酬の問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、中医協において、いわゆるスライド制の導入も含め、その適正化について鋭意審議されておるところでありまして、その結論を待って対処いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(愛知揆一君) 同じことを繰り返して申し上げて恐縮に存じますけれども、健康保険に対する国庫補助につきましては、今回の制度改正にあたりまして、政管健保の収支均衡に積極的に寄与しますために、財政援助につきましては、私としてはほんとうに思い切った強化をはかったところでございます。
 御案内のように、一〇%定率補助で八百十一億円になりますが、前に比べれば四倍近くの補助になるわけであります。三千億円の赤字を国庫補助で負担をするということも、これは財政当局としては非常な決心でございます。さらには、保険料率の引き上げに連動する国庫補助率の引き上げも加えられているわけでございまして、かようなことでございますから、一律二〇%引き上げというようなことについては、遺憾ながら考えることはできないというのが私どもの立場でございます。ひとえに保険制度の本旨ということに照らして、あるいは他の健康保険制度に対する国庫補助との均衡ということから考えましても、そこまでいたしますことは適切でないというのが、私どもの考え方でございますことを御理解いただきたいと存じます。(拍手)
#42
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#43
○議長(河野謙三君) 日程第二 屋外広告物法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長沢田政治君。
    ―――――――――――――
   〔沢田政治君登壇、拍手〕
#44
○沢田政治君 ただいま議題となりました屋外広告物法の一部を改正する法律案について、建設委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、屋外広告物の違反件数が増大している現状にかんがみ、規制の強化と、屋外広告業者の指導育成をはかろうとするものであります。
 すなわち、その一は、屋外広告物法に基づく条例に明らかに違反した張り札または立て看板を、都道府県知事が除却できるものとすること。その二は、都道府県は、条例で定めるところにより、屋外広告業の届け出制度を創設するとともに、営業所ごとに広告物に関する講習会修了者の設置義務を課することができるものとすること等であります。
 本委員会においては、政治活動及び表現の自由の原則にかかわる問題、講習会修了者と他の法令に基づく、同等以上と認められる資格者との関連と取り扱い等に関して熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり討論に入りましたところ、自由民主党を代表して、山内一郎委員より修正案が提出されました。その要旨は、講習会修了者と同等以上の知識を有すると認められる者の取り扱いを明確にするものであります。
 なお、賛成の討論がありました。
 次に、日本社会党を代表して松本英一委員、公明党を代表して田代富士男委員、民社党を代表して高山恒雄委員、日本共産党を代表して春日正一委員より、それぞれ反対の旨の討論がありました。
 かくて討論を終局して採決の結果、本法律案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
 次に、中村英男委員より、各派共同提案にかかる附帯決議案が提出されました。
 その要旨は、政治活動の張り紙等の手数料、市民運動、労働運動の張り紙、立て看板等の取り扱いについて慎重に指導すること。工作物に設置する広告物の危険防止について厳重に監督すること。講習会に参加受講する者の経費が過重にならないよう配慮すること等であります。
 採決の結果、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定した次第であります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#45
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
 本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#46
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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