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1972/06/27 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第23号
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1972/06/27 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第23号

#1
第071回国会 本会議 第23号
昭和四十八年六月二十七日(水曜日)
   午前十時三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十五号
  昭和四十八年六月二十七日
   午前十時開議
 第一 緊急質問の件
 第二 国際労働機関憲章の改正に関する文書の
  締結について承認を求めるの件(衆議院送
  付)
 第三 電離放射線からの労働者の保護に関する
  条約(第百十五号)の締結について承認を求
  めるの件(衆議院送付)
 第四 機械の防護に関する条約(第百十九号)
  の締結について承認を求めるの件(衆議院送
  付)
 第五 水源地域対策特別措置法案(内閣提出)
 第六 農業近代化資金助成法及び農業信用保証
  保険法の一部を改正する法律案(内閣提出、
  衆議院送付)
 第七 農水産業協同組合貯金保険法案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第八 農林中央金庫法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第九 農業協同組合法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 日程第一 緊急質問の件
 中西一郎君、工藤良平君、小平芳平君、栗林卓司君、渡辺武君から、PCB、水銀汚染等に関する緊急質問が、それぞれ提出されております。
 これらの緊急質問を行なうことに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。順次発言を許します。中西一郎君。
  〔中西一郎君登壇、拍手〕
#5
○中西一郎君 私は、自由民主党を代表しまして、最近連日のように新聞その他のマスコミで大きく報道されています漁業海域の汚染、水銀やPCBなどによる被害をはじめとする問題を中心としまして、関係各大臣に御質問いたしたいと思います。
 まず、農林大臣にお尋ねいたします。
 今日、水銀やPCBに関連して何よりも急がれておりますことは、魚介類についての安全宣言であります。
 すでに御承知のとおり、水産庁において昨年の暮れから精密調査をされ、六月四日にPCB汚染の状況を発表されましたが、それによりますと、計十三県十四水域、調査区域五十四、さらに、それらの調査の中で汚染度の強い小地域の発表もございました。
 ところで、約十を数える府県におきまして、それらの指定地域以外の魚介類は安全であるという宣言をしておるのですけれども、魚という魚は全部汚染されているかのように一般には受け取られているのが実情であります。その結果、漁業者はもちろん、魚類を取り扱う流通業者も大きな打撃を受け、さらには、消費者もこれまで日常親しんできました魚介類に対して大きな不安を抱かされているというのが現状であります。
 そこで、農林大臣に早急に実行していただきたいことが二つあります。
 まず、六月四日の発表にかかわる海域での漁獲禁止措置の強化がその一つであります。同時に、その他の海域での魚介類についての安全宣言がその二つであります。この二つを実行していただけるかどうか、明快なる御答弁をお願いいたします。
 次に、魚介類の採取によって生計を立てている関係漁民をはじめ、魚介類の卸売り、小売りに携わっておられる多くの人々の生計に対する救済措置であります。
 最近、関係府県がそれぞれの配慮によって緊急の融資を行なうほか、水産庁におきましても二百五十億円、年利三分、一戸当たり五十万円という天災融資に準ずる融資の道を開くなどの対策が進められてはおります。全く自分たちの責任とかかわりのない汚染という異常事態に巻き込まれた漁民に融資するのは、それなりの措置として評価するのでありますが、しかし、五年たっても融資を受けた漁民に返済能力ができない、そういった場合に、政府としてどう対処するのか。あくまでも返済を迫るのかどうか。PPPの原則から考えてこの点をどう措置されるか。また、たとえ三%という低利とはいえ、金利負担を被害者である漁民に負わせることは何としても納得しかねるところであります。農林大臣としては、これらにいかに対処しようとしておられるのか。
 また、汚染に伴う漁獲不能、漁獲高減少に対して、目下衆議院に提出されております公害健康被害補償法案に準じて、漁業者の財産被害に対する補償制度を確立する必要があろうと思うのでございますが、いかがでしょうか。
 さらに、水産庁は、汚染海域での検体を年二回行なうと聞いておりますが、その回数をふやすことはできないのでしょうか。特に、汚染されていないと地元自治体が調査の上確信している海域、それらの海域が汚染海域として指定されておるところがございます。そういった地域では特に強い要望がありますが、あわせて明快な御答弁をいただきたいのであります。
 また、魚介類の流通に携わって生計を立ててきた人々、さらにそれら汚染海域にある中小零細業者など、その影響を受けている人口は数え切れないほどあるのでございますが、直接または間接に被害をこうむっているこれらの人々に対する救済策はどうなっているか。いまなお具体策が決定されていないということははなはだ遺憾でありますが、国民金融公庫、商工中央金庫など中小零細企業に対する金融機関に対して、いかなる指示、指導をなさっておられるか、通産大臣にお聞きいたします。
 次に、厚生大臣にお伺いしたいのであります。
 去る二十四日、水銀汚染に関連しまして暫定的な週間許容基準量を発表されました。新聞、テレビ等で全国民がその報道に接したのでありますが、その報道の内容、方法がはたして適切であったのかどうか。総水銀〇・四PPM、メチル水銀〇・三PPMという数値を前提にして、われわれになじみの深い魚類について週何匹という表現を用いられたのでありますが、総水銀〇・四PPM、メチル水銀〇・三PPMに該当する個体は非常に低い確率でしか存在しないといわれているのであって、厚生省のこの発表ははたして適切であったのかどうか。
 ところで、本日の新聞によりますと、陳情団に対しまして環境衛生局長が昨日、別の数値を示したと報道されております。このことも含めて、厚生大臣から、以上の経緯、今後の措置について明らかにしていただきたいのであります。あわせて、今回の発表で、マグロ、川魚等が計算の基礎から除外されておる理由を伺いたいのでございます。
 なお、マグロの水銀についてでございますが、アメリカのウィスコンシン大学で行なわれました動物実験によりますと、マグロはむしろ水銀の毒性を少なくし、延命作用さえあるので、人間に対しても予想されるほど危険ではないのではないかと、同大学のガンサー氏ら七人が述べておると伝えられております。この作用は、フィッシュミールや海産物にも含まれておりますセレンという成分によるものであろうといわれているのであります。また、同じ米国のカリフォルニア大学の報告では、約五十年前に標本として保存されているマグロと、最近とれたマグロについて、熱中性子放射化分析の方法で分析したところ、いまも昔もマグロの水銀含有には変わりはなく、人類は昔からマグロを食べ続けているにもかかわらず、格別中毒状況にはならなかったと証言していると伝えられています。
 こういった方面の研究実験を、ぜひとも厚生省でも取り上げていただきたい。研究不足のために関係者に不安を与えることは許されないからであります。
 次に、通産大臣にお伺いいたします。
 水銀やPCBを排出してきた企業につきましては、すでに政府の定めた排出基準があり、それが守られているたてまえはよくわかるのですが、それらの企業のうち、なお有害物質を排出しているものがあるかどうかについて、検出体制と技術を整備、強化していただきたいのであります。さらに、有害物質排出企業の企業指定を行ない、場合によっては、操業を停止することを主張するものであります。これは、被害者である漁業者が操業をやめなければならないときに、加害者である企業が操業をやめないのはおかしいではないかという考えに基づくものであります。また、有害物質の排出を絶無にするとした場合、わが国の国民経済にはどういう影響があるのでしょうか。計算方法にいろいろ問題があろうかと思いますが、国民全体が知りたがっているところと思われますので、御答弁をお願いいたします。
 ところで、わが国のPCB、水銀などを処理する公害防除技術の水準は、世界の先進的な水準から見てどの辺のレベルにあるのか。同列なのか。そこまでいっていないのか。そこまでいっていなければ、できるだけ早くその水準まで持っていかなければならないと考えるのでありますが、その見通しはどうか。これも通産大臣にお尋ねいたします。
 次に環境庁長官に一点だけお伺いいたします。
 公害防止事業団が発足して数年経過いたしましたが、現在こそ、この事業団の機能を十分に発揮させなければならない時期だと考えるのでありますが、いかがでしょうか。長官の明快な御答弁をお願いいたします。
 さて、最近地球が小氷河期に入った、そして気温はまだ下がるのではないかといわれているのでありますが、このところ、地球上に気象異変が続出し、人間も動物も飢餓に迫られている地域が少なくありません。それに加えて、たん白質資源の約五〇%を魚介類にたよっております日本民族にとりまして、魚介類についての不安が重なってくるということは、その生存にかかわる大問題と言えると思うのであります。他面、アジアモンスーン地域での緑の革命も、さらに社会主義諸国での増産計画も目的どおりには円滑に進んでおりません。また、人口爆発の問題もあり、国によっては穀物の輸出を規制する動きさえも見られ始めました。政府は短期的にも、さらに長期的にも食糧の不安をなくするよう万全の策を立てるべき時期に立たされていると思うのであります。魚類摂取の不安をなくすこととあわせて、真剣に食糧問題と取り組んでいただきたい。農林大臣の御所見を伺いたいのであります。
 最後に総理大臣にお伺いいたします。
 ここ約三百年の間、物質文明、西洋文明が続き、わが国も追いつけ、追い越せとがんばってここまでのぼり詰めてまいりました。ところで、人類がこの地球という限られた物体の上に生きていくための条件を、この文明という怪物が破壊するかもしれないとすれば、これは一大事であることは申すまでもありません。したがって、公害対策は各般にわたって強力に推進されねばなりませんが、いま、全国の数十万の漁民と二千万世帯の消費者が不安と心配を余儀なくされているこのときにあたりまして、総理が陣頭に立って早期にこれらの問題を解決されることを信じて疑わないものでありますが、その決断のほどを伺いたい。
 あわせて、追いつけ、追い越せ、消費は美徳といった物質文明の行き過ぎに対して、新しい政治経済運営のパターンを打ち立てなければならないと考えるのでありますが、公害問題を踏まえての総理の御所見を伺うものであります。
 以上をもって私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(田中角榮君) 中西一郎君にお答えをいたします。
 物質本位、効率本位ではない発想による政治経済の運営をはかる必要があると思うがどうかという趣旨の御発言でございます。
 明治百年を経過した今日、わが国経済は、世界にもまれな完全雇用を達成し、国民総生産、国民所得も向上いたしましたことは御承知のとおりでございます。特に戦後の経済復興、これは国民全体の力であり、世界に誇り得るものだと考えておるのであります。しかしながら、経済発展の過程において、環境汚染等各種のひずみが生じてきたこともまた事実であります。
 私どもは、この事実を認識いたしまして、経済活動のあり方については、これまでのような狭義の経済効率を追求したものから、公害の防除、自然環境の保全、無秩序な大都市集中の防止などを前提としたものに改めていく必要があると痛感をいたしておるのであります。つまり、当面しておる諸問題の根本的解決のためには、わが国経済社会につちかわれています潜在的成長力と活力を生かしつつ、既存の経済社会に内在する制度、ルールを全般にわたって見直し、新しい時代にふさわしいものにつくり変えていく必要があると考えます。政府は、諸般の施策を積極的に進めてまいりたいと考えます。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(櫻内義雄君) まず、PCB汚染の調査につきましては、昨年五月から十二月の間に百十水域の全国調査をいたしました。そして、その中で汚染度が高いと思われます十四水域につきまして、四十八年二月から三月にかけまして精密調査を行ないました結果が、八水域が汚染されておる。こういうことで、たとえば兵庫県の場合で申し上げますると、播磨灘沿岸水域においては、高砂市地先沖合い五百メートル以内が汚染されておる。そしてそこには、ボラ、コノシロ、スズキ等の魚が三PPMをこえておった。あるいは姫路市の白浜地先沖合い五百メートル以内が汚染されておって、コノシロ、スズキの魚類が三PPMをこえておった、このように汚染地域も、また汚染された魚も明白にいたしておるのでございます。したがって、その他の地域におきましては、この八水域以外におきましては、水産庁の関係としては、現在のところ汚染されておるというように考えておらないのでございまして、これらの点から考えていただきまするならば、PCB汚染につきましては、六月四日の精密調査による八水域以外、しかもただいま限定された水域以外の魚類につきましては、安全であると一応見ていただいてよろしいと思うのであります。
 今後につきましては、PCB調査のほうは年二回行なうことにいたしております。中西議員からは、二回の調査はどうかと、こういうことでございまするが、試料の採取あるいは分析能力からいたしまして、これ以上の能力は現在まずないのではないかと思うのであります。
 また、水銀につきましては、第三水俣病の問題が起こりまして、水産庁としては有明海、八代海等の緊急調査をいたしたいと、こういう方針をきめておりますが、さらに水銀等汚染対策推進会議の決定によりまして、環境庁中心で全国調査を行なう。しかし、その中でも特に水俣、有明、八代、徳山湾地先等の九地域につきましては、本年九月末を目途に至急に調査をしようと、こういうことになっておるわけであります。なお、特に問題がある水域につきましては、必要に応じて鋭意検討いたすことはもとよりでございます。
 次に、水銀またはPCB汚染による被害漁業者及び水産業協同組合に対しましては、その生活資金及び経営資金につきまして、天災融資法に準ずる緊急つなぎ融資を行なうことにいたしたのであります。この被害については、御承知のように、原因者によるということが、これが原則でございます。したがいまして、これらのつなぎ融資につきましても、原因者によって元本、利息を、これがわかり次第負担をしてもらう。また、五年後不明の場合はどうかと、こういうことでございますが、それはその時点で検討をさせていただきたいと思うのでございます。
 なお、地球が寒冷期を迎えておって、世界の食糧不足について御心配の御発言がございました。これらの点につきましては、農産物の国際需給の関係は、何としても各国の農業政策というものが大きく影響いたすのでございまするから、農林省といたしましては、経済企画庁のほうに、関係諸国に対しての精密な調査をいただきたいということをお願いをいたしておるのであります。
 それらのことを踏まえまして、現在相当量の食糧を輸入に仰いでおる日本でございまするので、その輸入の安定的確保をはかるために、長期輸入契約の締結、開発輸入の推進、輸入先の多角化等、これを進めまして、食糧不足に対処する国際的な関係について万全を尽くしてまいりたいと思う次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(齋藤邦吉君) 先般、暫定基準発表の際に、暫定基準の説明資料として配布をいたしました水銀の週間摂取許容量は、例示いたしました魚が、かりに、すべて暫定的規制値の〇・三PPM満度まで汚染されているとしても、それだけ食べても心配はございませんと、こういう趣旨を実は表明したものでございます。しかしながら、実際はどうかと申しますと、魚がすべて〇・三PPMまで汚染されていることはございません。市場においては汚染されてない魚、規制値以下の魚がほとんどを占めているのが現状でございます。汚染地域の魚は排除されておりますので、市場における魚は安全であると考えておるものでございまして、先般のその数字は、摂取量の限度を意味するものではないことは言うまでもございません。しかし、これらの点については、説明がやや不十分のきらいがありますので、今後は、御趣旨のように、誤解を与えないように説明をし、PRをしてまいりたいと考えている次第でございます。
 次に、マグロの点について申し上げますと、今回の魚介類の水銀の暫定基準の設定の目的は、汚染水域の浄化をはかるということにもあるのでございます。マグロの水銀は自然に含有されておるものでございまして、人工的汚染の他の魚種とは異なっておるのでございます。そこで濃度規制を適用しないことといたしました。魚の水銀の週間摂取許容量のワク内で規制すれば足りると判断をいたしたわけでございます。しかしながら、こうしたマグロの天然水銀の研究につきましては、今後ともさらに検討を続けてまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(中曽根康弘君) 関連中小商工業者に対する手当ての問題でございますが、国民金融公庫等を通じまして、低利のつなぎ融資をいま考慮しております。原因者がはっきりしてない場合には、これらの関連中小商工業者の場合にPPPの原則を適用することは困難でございますが、原因者がはっきりして直接責任があるという場合には、それらの責任者にこれらの金利その他を負担させる考えであります。
 操業停止の問題でございますが、水質汚濁防止法による基準を厳守させておりまして、そして、九月末までに特定水域につきましては、汚染の有無、実態の調査を完了する予定でございます。目下、操業停止を命ずるというところまでは考えておりません。
 電解ソーダにつきましては、水質基準を厳守させると同時に、特定水域については四十八年中――本年中、その他の水域については来年の九月までに、いままでの水のサーキュレーションを変えまして、クローズドシステムとして外に水を排出しないような体系に転換させるように、いまやっております。そして五十年九月を目途に、水銀によらない方法、いわゆる隔膜法による工場システムに変えるように、極力努力しておるところでございます。
 検出体制及び機器につきましては、公害防止技術レベルは、日本は外国に対して遜色のないところまで発展しております。特に重油脱硫の方法等については、技術は外国から初め導入しましたが、世界でも最初に企業化した国でもありますし、排水処理等につきましても、世界的に見てかなり高い水準にございます。工業技術院や民間の研究団体に対して相当の補助金も与えまして、プロジェクトとして開発させておるところでございます。
 国民経済に対する影響の問題でございますが、電解ソーダ工場におきまする苛性ソーダは、現在中和処理に使っております。各化学工場における中和処理、紙パルプ、アルミナ、化繊、石油精製等の重要な資材でございます。また、塩素につきましては、プラスチックの原料でもあり、水道の滅菌、殺菌等にも使っておるところでございまして、これらが急に足りなくなることは、非常に大きな影響を国民経済に与えます。
 以上で御答弁申し上げました。(拍手)
  〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(三木武夫君) 中西議員にお答えをいたします。
 私に対しては、公害防止事業団についての御質問でありますが、公害防止事業団は、御承知のように、昭和四十年に公害防止の施設のために融資をする目的で設立されたものでありますが、四十八年度末で事業規模が七百三十億円になっておるわけでございます。しかし、公害防止の重要性にかんがみて、公害防止事業団はさらに拡充することが必要である。事業の規模、対象、これを拡充していきたいという所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(河野謙三君) 工藤良平君。
  〔工藤良平君登壇、拍手〕
#12
○工藤良平君 私は、日本社会党を代表いたしまして、水銀をはじめといたしました有毒物質の汚染の問題につきまして緊急質問をいたします。
 米と魚を常食としてまいりました私どもが、魚を食べることによって生命が奪われるとするならば、自分で海をよごし、自分で魚を食べられないようにした、それは悲劇と言うべきか、喜劇と言うべきであろうかという、ある新聞の記事を私は読みました。水俣病というおそろしい公害病の発生は、人間のしあわせのための科学が、だれかの利益の追求のみに使われることによって、それが凶器と恐怖に変わるという現実を知らされ、りつ然といたしたのであります。
 いま全国各地で連日のように怒りに燃えた漁民の抗議が続いております。一昨日、大分県の佐賀関町では、二百隻の漁船が港を封鎖をし、日本鉱業の溶鉱炉の火はとめられました。きのうまた水島でも、近代設備を誇る工場が、漁民の怒りの抗議の前に操業停止という措置をとらざるを得なくなったのであります。工場の責任者がどんなに土下座をしてあやまったとしても、失われた人間の命は返ってこないのであります。おかされたからだはもとに戻らないのであります。漁民の積年の恨みは消えないのであります。企業の今日まで犯してきた人類への責めと事の重大性を、いまあらためて認識しなければならないのであります。水銀をはじめカドミウムなど重金属が、米や野菜、そうして魚など、口を通じて人の体内に入り、蓄積をされ、人の生命までもおかすというメカニズムが明らかにされて、すでに十数年の歳月が流れているのであります。その間も被害は拡大をしました。つい先ごろ、有明海沿岸における第三の水俣病の発生が確認をされ、そうして第四、第五と数限りなくその危険が迫るにつれて、政府もようやく本格的な対策を講ずるポーズを示しつつあるのであります。今日までたゆまぬ努力によって研究を進められた良識ある医師と住民からの告発によって、対策を迫られるに至った行政の怠慢はおおうべくもございません。
 総理は、ここに被害者をはじめ全国民の前に深い反省を示すべきであると思いますが、いかがでございますか。
 第二の問題は、今回厚生省より示されました魚介類における水銀の暫定基準についてであります。
 昭和三十一年、水俣病の発生が確認されて以来、実に十七年目のことであります。しかも、それはあくまで安全の目安であり、安全基準そのものではないという注釈つきのものであります。一説によれば、きわめて短期間に検討されたとも伝えられておりますが、今回の基準が、一応国民の間に広がっている不安をやわらげ、漁民の強い抗議の行動に対処するためのものであるとするならば、事は重大であります。WHOで定められている水銀の暫定基準は、体重六十キロの人の一週間のメチル水銀許容摂取量は〇・二ミリグラムであり、これを体重五十キロに換算すると、ほぼ今回の暫定基準に近いといわれております。百七十マイクログラムの週間摂取許容量から割り出した数値は〇・二二三PPMになり、それを〇・三PPMに切り上げたことも問題があると指摘をされております。さらに、自然汚染の高いといわれるマグロや川魚などが除外されておりますが、これらは政治的判断のにおいが強く、科学的判断がゆがめられているのではないかといわれているのであります。
 また、今回の基準設定にあたっては、メチル水銀が脳から排出される期間を二百三十日とすべきであると主張をした武内熊大教授の新説は、裏づけとなるデータがないとの理由で退けられ、結局従来どおり七十日説が採用され、問題を今後に残しているのであります。今回の基準は、WHOの数値に権威づけを求めた感が強いものといわれておりますが、水俣病をはじめ人類史上例のない残虐な公害病の人体実験という悲劇の中で積み重ねられた貴重な資料をもとにした最高の権威ある基準とすべきではなかったかと思うのでありますが、この点いかがでございますか。
 さらに、汚染地域や汚染魚の調査は一部の地先や一部の魚に限定をされておりますので、これをもって画一的に評価することは困難と思われます。この暫定基準の例示は、汚染度〇・三PPMを仮定し、各魚の一種だけ食べる場合の量が示されています。魚以外の他の有毒物質を含む食物との関連は配慮する必要はないのでありましょうか。もし配慮する必要があるとするならば、この暫定基準はいつごろまでのもので、当然安全基準が示されると思いますが、その展望について明らかにしていただきたいと思います。
 第三の問題は、被害者の発見に全力をあげなければならないということであります。
 水俣病認定患者五百五十八人をはじめとして、重金属による汚染された認定患者は、予想を上回るきわめて多数にのぼっているのであります。しかもそれは、死者までいたという第三水俣病の確認は、国民に大きなショックを与えました。このような相次ぐ新患者の発見は、潜在的患者を含めますと、かなり広範な分布になっていると判断をされます。同時にまた、水銀だけでなく、PCB、BHC、カドミウムなどあらゆる汚染物質で全国民が汚染されており、その汚染度は世界の百倍とも言われているのであります。汚染源の徹底的な究明はもとより論をまちませんが、患者の把握は人道的問題としても重大であります。政府はこれまでにどのような方策で患者の発見に当たり、そしてまたその対策を講じてこられましたか。潜在患者対策も含め、広範な地域で一斉検診等によりその対策に万全を期するべきであると考えますが、いかがでございましょう。
 第四は、国民の不安を取り除くための対策についてであります。
 今回の暫定基準は、不安と恐怖におののく水銀、PCBをはじめとした重金属汚染に一服の鎮静剤の役割りを果たし得たかもわかりません。しかし、今回の基準を示しただけでは問題の解決にはならないと考えます。当然、今日まで積極的な手だてを講ずることなく、被害者救済をサボリ、逆に企業擁護の立場にあった政府の責任は、企業責任とともにきびしく糾弾されなければならないのであります。(拍手)
 それと同時に、いま政府の緊急対策の樹立を国民が強く望んでいます。
 その一つは、通産省は先般、水銀を触媒としたアセトアルデヒド製造工場、塩化ビニール製造工場の使用水銀の未回収量などについて発表いたしました。苛性ソーダ製造法には、水銀を使わない方法と水銀を使う水銀法とがありますが、戦後は特に水銀法が多く用いられ、四十七年の苛性ソーダ生産量三百万トンのうち九五%は水銀法が使われております。アセトアルデヒド製造工場は四十三年五月から水銀を使わないエチレン法にかえていますが、それまでに使用されました水銀のうち、七仕入工場で三百五十二トンの水銀が未回収とされております。これらから判断されることは、調査が進むにつれてその水銀の使用量は増大をし、未回収量も全くつかめないという現状にあります。そのことはまた汚染のひどさを物語るものであって、第四、第五の水俣病の発生へとつながるものであります。
 衆議院公害環境保全特別委員会における参考人の発言は、このことを裏書きするものでありまして、通産省といたしましては、水銀をはじめとした有毒物質の製造、使用、たれ流しの的確なる把握を急ぐとともに、使用禁止等の措置について万全の対策を行なう必要があると思いますが、いかがでございますか。
 その二は、その流出が明らかになっている有毒物質の回収とヘドロの処理等を急ぐことであります。
 広い海は意外に狭く、予想以上に汚染が進んでいたのであります。すでに使用が中止された水銀もPCBも海へ流れ込んだあとであります。海の中の有毒物質は、いわゆる生物濃縮を続け、人の体内に入ってきています。高度成長に伴う大量生産、大量消費の排出物は、海の持つ自然浄化作用の限度を越えて、沿岸の海中に蓄積をされ、それが被害拡散の原因をつくり出しているのであります。一たびよごされた海は戻らないともいわれます。しかし、あらゆる科学、あらゆる総合力を発揮して、水銀、PCBなどの回収のため、技術の開発とその処理について万全を期すべきであると考えます。
 その三は、汚染水域における漁業を中止させ、その安全性を確保するとともに、さらに密度の高い水域調査を実施する体制をとることであります。
 六月四日発表された水産庁のPCB汚染調査は、大分川河口のウナギ一三〇PPMを最高に、敦賀湾のボラ一一〇PPMなど、PCBの汚染が一般の予想を上回って広がっていることを示したものとして注目しなければなりません。水銀をはじめPCB、カドミウムと、二重三重の汚染は、すでにからだまでおかされている直接の被害者は言うまでもありませんが、漁業を生活の柱として生活をささえてきた漁民にとっても、最大の被害者であることを何人も否定することはできません。魚を常食としてきたという健康面の不安がつきまとっているということ、汚染をされた水域の魚はもちろん、他の水域でとれた安全な魚といえども、その識別が困難であるということから汚染魚というらく印を押され、買いたたかれ、あるいは廃棄処分にしなければならないという現実に漁民の皆さんは突き当たっているのであります。これらの犠牲ははかり知れないのであります。汚染魚の識別の方法、検査制度の充実、表示の方法等、安全性確認の方策に緊急な対策を講ずる必要があると思いますが、その点について伺います。
 その四は、汚染源の徹底的な追及と、加害者への補償を行なわせなければならないということであります。
 「渡良瀬川沿岸に被害あるは事実なれどもその原因明らかならず」とは、かつて田中正造代議士の質問に対する政府の答弁書の内容であります。すでに一世紀に近い年月を経た今日といえども、その原因究明の本質は変わっていないのであります。
 魚をとってはいけない水域は示されました。食ぜんに供しては悪い基準も示されました。しかし、汚染源は発表されてはいないのであります。異常に発達した高度成長のしわ寄せが、漁民といろ弱い者の犠牲の上に積み重ねられ、それが泣き寝入りのまま済まされてはならないのであります。すでに住民の告発の前に、企業の横暴は許されない情勢となっているのであります。被害のあるところ必ず原因者があります。それは徹底的に究明され、明らかにされなければなりません。そして、事態の深刻さを国民各層に知らせ、対策を立てることこそが必要であります。漁業補償を見舞い金などの安易な形で妥協するのではなく、漁民補償における法的措置を講ずる必要があると思います。(拍手)
 次に、汚染された水域の予防対策と救済対策についてであります。
 その一つは、今回の基準が示していますように、それはあくまでも暫定基準であって、安全基準ではないといわれております。この基準が不安定要素を持っている以上、これ以上海をよごしてはいけないという予防措置が必要となります。これだけ水質が汚濁され、大気の汚染が進んでいる中で、経済の不均衡是正という名のもとに工場の地方分散が進められ、公害が拡散をされています。この際、既成工業地帯はもちろんのこと、新産業都市指定地域の総点検を行なうとともに、新規の埋め立てを中止させ、立地企業の再検討が行なわれなければならないと思いますが、その点についての御見解、さらに、汚染物質の総量規制についてもすみやかにその対策を講ずる必要があると思いますが、いかがでございますか。
 その二は、今日もなお漁業における重要な部門を占める沿岸漁業対策についての所見を伺いたいのであります。
 近年、魚族の減少は著しく、かろうじて養殖漁業によってささえられてきました。今回の汚染は、養殖漁業にさえも決定的に打撃を与えようとしております。関係漁民には死活の問題であります。当面する沿岸漁業の対策を示すとともに、恒久対策の樹立についての方針を明らかにしていただきたいと思います。
 その三は、漁業者に対する当面の生活再建の救済措置であります。
 さきにも述べましたように、汚染魚の問題が発生して以来、各地の漁民は出漁を停止し、国の対策に期待しつつ、企業への抗議を続けております。高度経済成長の犠牲を一身に受けながら、耐えるだけ耐えてはきたものの、働く場所を失うという追い詰められた状況の中で、いま必死になって戦っている漁民に対して、すでに二百五十億のつなぎ資金が準備されているとは言いますが、それは単なる申しわけにしかすぎません。前に述べましたように、長期安定した恒久対策とともに、生活補償、損害補償に対する緊急措置についての態度について伺います。
 最後に、わが国の食生活の中で、たん白資源の危機について触れなければなりません。大豆の自給率はわずかに三%にしかすぎません。国際市場の逼迫は、常に価格の不安定を来たし、投機の対象にさえなっております。畜産についても、もちろん素畜の減少傾向と、濃厚飼料の八〇%を外国に依存しているという現状から、飼料の自給体制は危機に瀕しております。さらに、農薬、土壌汚染によって飼料や肉類の汚染が高まり、現在のまま推移すれば供給増は望めないという見通しであります。加えて、たん白の唯一の供給源である魚の汚染は、今後の食糧対策にきわめて重大な影響を及ぼすものであると考えます。輸入食糧依存の政策は、世界の食糧事情の供給不安定から、国内自給の大方針へと転換しなければならない時期に立ち至っております。きわめて安全な食糧を十分に供給し得る体制の確立は、日本の食糧危機が世界の食糧危機とともに深刻になりつつあるときだけに、声を大にして叫ばなければなりません。
 重ねて申し上げます。たん白資源の開発について、その抜本策を最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(田中角榮君) 工藤良平君にお答えをいたします。
 まず一番目は、有毒物質による汚染に対する行政的措置がとられたかどうかという趣旨の御発言に対してでございますが、水銀、PCB等の有害物質による魚介類等の汚染問題が広範な海域で発生したことは、まことに遺憾であります。政府としては、水銀等汚染問題の重要性と緊急性にかんがみ、先般、水銀等汚染対策推進会議を設けまして、総合的、かつ、効果的な対策を強力に推進しておるところでございます。すなわち、国民の不安をすみやかに解消するため、魚介類の暫定的基準を設定し、また、被害漁業者に対し、つなぎ融資を行なうことにいたしたのであります。
 今後、さらに全国的規模の環境調査、関係工場の総点検、問題地域の住民の健康調査、汚染ヘドロの除去事業等、各種汚染対策を強力に実施をしてまいる予定でございます。
 次は、被害者救済及び海の汚染を防止するための対策についての御発言に対してお答えを申し上げます。
 健康被害者に対する救済策としては、まず、治療方法等の研究、地域住民の検診を進めてまいりたいと考えます。また、健康被害者の損害を補償することを目的とした公害健康被害補償法案を今国会に提出をいたしておるわけであります。漁民に対しましては、その生活資金及び経営資金につき、天災融資法に準じ、低利の緊急つなぎ融資を行なうことにいたしました。小売り業者等につきましては、目下、関係省におきまして、緊急融資措置について検討させておるのであります。
 海の汚染を防止するための対策といたしましては、現在、排水基準の強化、下水道整備の促進、屎尿処理施設の整備、水質の監視測定体制の整備などを鋭意進めてまいります。また、全国的な規模で漁場調査を実施することとなし、汚染状況の把握と、汚染源の究明により、海の汚染が生じないよう、万全の措置を講じてまいります。
 第四は、人間優先の行政方針等についてでございますが、戦後、政治の目標は職を求める者に職を与え、生活水準を引き上げることでございました。四半世紀を経たわが国経済は、世界にもまれな完全雇用を達成し、国民所得も増大をしてまいったことは御承知のとおりであります。これは国民全体の力であり、世界に誇り得ることでもあります。第一段階の政治目標はりっぱに達成されたと思うのであります。この経済成長の過程において、環境破壊など各種のひずみが生じておることも事実でございます。また、わが国の工業化は百年余に及んでおるのであります。この事実を認識をし、環境破壊の未然防止をはじめ、総合的な環境保全施策を推進してまいりたいと考えます。
 わが国の経済力、技術力をもってすれば公害の防除は実現可能でありますので、学問的にも科学技術の総力を結集して、公害の絶滅と環境保全に万全を期してまいりたいと考える次第でございます。
 たん白資源確保のための長期対策につきましては、わが国における食糧需要は、国民所得の増大に伴い着実に増大を続けており、特に、畜産物、大豆、魚介類等のたん白質食品の消費量は年々増大をしておるのであります。このため、国内生産が可能なものは、生産性を高めながら、極力国内でまかなうこととし、輸入に多くを依存する飼料穀物等につきましては、輸入の安定的確保につとめてまいりたいと考えるのでございます。
 また、水産資源の確保をはかるためには、沿岸海域においては、極力漁場汚染防止の措置を講じますとともに、沖合い、遠洋においては新漁場開発を促進してまいりたい。
 以上。(拍手)
  〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(齋藤邦吉君) 今回の暫定基準の設定にあたりましては、わが国における権威ある専門学者を集めて御検討をいただき、国立衛生試験所の実験、水俣病の研究の結果、あるいはWHOの安全基準、こういったふうな内外の科学的研究の資料、知見に基づきまして、十分な安全率を見込んで設定いたしたものでございまして、先ほどお述べになりましたような体内滞留期間、こういう問題等も含めて慎重に検討いたしました。この専門学者の間には、全然意見の相違なく結論を得たものでございます。かようなわけでございまして、しかもこの基準に即応した対策としては、汚染地域の魚はこれを排除し、市場に出回らない、こういうようにいたすわけでございますから、この安全基準設定によって市場から買う魚は絶対に安全である、かように申し上げることができるわけでございます。
 なお、汚染地域につきましては検査体制を緊急に強化いたしまして、その結果につきましては発表いたし、市場に出回らないようにいたしたいと考えておる次第でございます。
 なお、河川魚につきましては、市場流通性もございませんので、地方の基準におまかせすることとし、マグロの含有しておる水銀につきましては、先ほどもお答え申し上げましたが、自然汚染のものでございますので、魚個別についての規制値の設定はいたしませんで、総量規制、すなわち週間許容量の範囲内においてこれを措置することで十分であると判断いたした次第でございます。
 次に、御質問のございました水銀のほかに、その他の有害物質を含有する食物を同時に食べた場合の関連についてのお尋ねでございます。
 最近の公害等により、PCBあるいはBHC、水銀、カドミウム、こういうふうな人体への影響につきましては、個々についての研究を進めてまいっておりまして、これらの有害物質については十分に安全率を見込んだ食品の基準の設定を行ない、その安全性を確保することといたしております。しかしながら、こうしたもろもろの物質の相乗作用につきましては、今後とも研究を推進していかなければならないと考えておる次第でございまして、今後とも検討を進める考えでございます。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(中曽根康弘君) 有害物質の規制の問題でございますが、これには公害諸立法を順守するということ、特に、水質汚濁防止法の基準を厳守させるということが当今重要であると思います。しかし、有害物質そのものは使用せずということを原則にしていま指導、転換をやっております。
 PCBにつきましては、代替品による転換をいま実行しておりまして、ただ、熱媒体の一部だけが本年中まだ使用を認めておりますが、来年以降はこれを禁止いたします。
 新幹線のトランスにつきましては、本年度中の出荷を認めますが、それ以後は出荷はもう禁止いたします。これで大体PCBの使用は終わるわけでございます。
 水銀につきましては、代替物がなかなか見つかりませんので、全面的禁止をいま行なうことは困難でございますが、水銀ソーダ工場につきましては、先ほど申し上げましたように、特定水域については本年中、他の一般水域については四十九年九月、クローズドシステムにこれを転換させる、そうして五十年九月を目途に隔膜法に全部転換させる、いまやっている最中でございます。
 回収の処理につきましては、水銀等汚染対策推進会議におきましていま対策を練っておるところでございますが、水俣湾については、本年、埋め立てに着工するという予定でありますし、他の一般河川水域については、本年計画を立てて、来年から浄化事業を実施いたします。
 汚染源の究明につきましては、PCB及び水銀について、使用状況、出入りの検査を関係工場ごとに、県と一緒にいま立ち入り検査をやっております。水銀については、六月中に現地調査を終えて、七月中に結果を取りまとめて発表できる予定でございます。PCBについては、七月中旬までに調査を完了する予定でございます。
 なお、新しい埋め立て工場立地の問題がございますが、通産省としては、重化学工業化より知識集約型産業にいま転換しつつありまして、この観点からも、工場立地法をいま国会に提案して御審議を願っておるところでございますけれども、自然環境を重視して、そういう観点から工場立地をいろいろ新しく規制していく考え方でおります。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(櫻内義雄君) 工藤議員にお答え申し上げますが、まず、汚染魚か汚染魚でないか、この判断をするということは、なかなかむずかしい問題でございます。
 そこで、第一には、公害関係諸法の厳正な実施と監視体制の確立をはかることによりまして、漁場汚染を防止する、これに徹底しなければならないと思います。
 第二には、汚染漁場と汚染魚種を、これを明確にする。そうして汚染魚の流通を防止するため、漁獲の自主規制を講じて、生産者及び消費者の不安解消に最善の努力を尽くす所存でございます。
 先ほども申し上げましたように、PCB調査については、その能力のあとう限り年二回、また、特別な地域について調査をしていく。水銀調査につきましては、全国調査を環境庁でお願いするわけでありますが、まず、汚染の疑いのある九水域の徹底調査をしていただく、こういうようなことで対処していくわけでございます。
 漁業者についての補償問題等について御意見がございました。つなぎ融資のことを申し上げておるのでありますが、私どもは原因者負担の原則というものを、これを確立しておるわけであります。この原因者を追及していく、その原因者と被害者との間の補償を、これをわれわれとして仲介の労をとっていく。その間にどうしていくのかというところに、そのつなぎ融資ということで、ただ、これはことばの上から、融資だけじゃないかということになりまするが、そうでない。これは原因者がわかれば元本、利息は見るのである。また、とりあえずのところでも据え置き措置等がございまして、被害者に御迷惑をかけるわけではございませんし、かりに一年たって利息の支払い期が来るならば、それにはそれに対応することを考えておる、というわけでありますから、これは原因者がわかるまでの措置としては、私は不十分であるということにはならないと思うのであります。
 また、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金の活用とか、現に有している債務については、関係金融機関に対し、貸し付け条件の緩和措置等を講ずるよういたしておるわけでございます。
 なお、沿岸漁業の対策につきましては、これはもう農林省といたしましては、従来やっておりますところの沿岸漁場の改良、造成とか、栽培漁業の推進等の施策を、これを講じてまいりたいと思いまするし、なお、たん白資源の確保についてのお尋ねがございましたが、これは先ほど総理からお答えを申し上げたとおりでございます。(拍手)
  〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(三木武夫君) 工藤議員にお答えをいたします。
 第一番に、公害病患者の実態についてお尋ねがございましたが、御承知のように、公害による健康被害救済の特別措置法があるわけであります。この特別措置法によって、公害病患者を認定をいたしておるわけでございます。現在、昭和四十八年の五月末でございますが、慢性気管支炎等の非特異性の疾患患者――普通の特異性でない患者の数が一万九十八名、それから水俣病等の特異性の疾患患者が八百三十二名、合計一万九百三十名というのが公害病患者として認定を受けた患者の数でございます。ところが、熊本、鹿児島両県においては、水俣病に対する新規の認定申請患者がございます。これも五月末の数字でありますが、約千名であります。いま新しく認定を申請している患者に対して、最終的にいろいろと精密な検査をいたしておるところでございます。
 また、熊本大学の水俣病研究班によって、有明町などに水俣病類似の症状を呈する患者が発見されたという報告がありまして、有明海の沿岸の住民には少なからぬ不安を与えておるわけでありますから、そういう有明海あるいは八代海、こういう地域の住民、特に漁民に対しては、一斉に健康調査をいたす考えでございます。そうして公害病に悩む人たちの、隠れた患者というものをなくしたい。したがって、そういう問題の水域というものは健康調査をいたしますが、さらに、全国的な環境調査をいまやろうとしておりますから、この環境調査をやって、問題のあるような地域は健康調査も行なう。そういうことで、公害病患者の隠れた患者がいないような努力を今後いたしていきたい所存でございます。
 また、ヘドロの処理についてお話がございましたが、これは、どうしてもヘドロは処理しなければいけない。そうでなければ、汚染の禍根は断たれないわけでありますから、いま、全国的な環境調査を行なうとともに、そしてヘドロの調査もやろうと思う。どういう有害物質がヘドロの中に含まれておるかを調査をして、一方においてはヘドロの除去基準というものを設けたい。暫定的な基準を設けたい。その基準に照らして、この公共水域はその基準をこえるようなヘドロがあるというところは、これは大仕事でありますけれども、どんなに経費がかかっても除去したい。これは除去しなければ汚染源は断たれないわけでありますから、ヘドロの処理をいたす。早いところは、水俣では今年からかかる所存でございます。封じ込めるか、埋め立てるか、あるいはしゅんせつするか、いろいろな方法を、第二次汚染を起こさないような方法でこれはやりたい。そうして一方においては、もう汚染物質を水域に出さない、過去の蓄積は取り除く、これからは汚染源を出さないということで、公共水域の浄化を推進したいという所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○議長(河野謙三君) 小平芳平君。
  〔小平芳平君登壇、拍手〕
#19
○小平芳平君 私は、公明党を代表をいたしまして、ますます深刻化するPCB、水銀等の汚染問題について、総理並びに関係各大臣に若干の質問をいたします。
 連日の新聞報道の見出しを二、三あげてみましても、「怒りの漁民実力行使、住化の排水口封鎖」「漁民、専用港を封鎖、水銀汚染徳山曹達」「有明海の漁民デモ、補償求め海と空から」等々と、日本列島はまさしく公害列島と化してしまいました。
 漁民にとっては、何百年来生活をしてきた海と魚を公害に奪われ、とれた魚も値下がりしたり、全然売れなくなって凍結されたりしております。さらに、町の鮮魚商さんは売り上げが激減し、一般市民は魚を食べてよいのか悪いのか、不安な毎日を送っております。
 田中総理、あなたが通産大臣のときも、私は幾度か公害問題を取り上げて質問をいたしました。また、国会では数多くの法律が制定されたにもかかわらず、わが国の公害はますます深刻化していく現状について、総理はどのような認識を持っておられますか。漁民たちが、もはやたよりになるものはないと見て、実力で港を封鎖したり、工場の排水口を実力でふさいでしまわなければならなくなったという今日の姿を、総理はどのように理解しているのか、率直な御見解を伺いたいのであります。
 通産大臣は先ほどの答弁で、こうした汚染物質の企業に対し、操業停止はしないと言っておりましたが、佐賀関をはじめ各地で、住民の実力行使によって企業は操業を中止している現状ではありませんか。そういう現状を総理はどう見ているのか、企業の責任を総理はどう考えているのか、お伺いしたいのであります。
 すでに政府の公害病認定患者は一万一千人に達し、そのほかにも、地方自治体で政府の認定を待ち切れないで独自の救済事業を実施しているところもたくさんございます。しかも公害病認定患者の中には、カネミ油症患者や砒素ミルク中毒事件の被害者は含まれておりません。
 田中総理の言う日本列島改造、それは、まず第一段階で現在の公害を徹底的に絶滅するところから出発しなければならないではありませんか。工場の地方分散、高速道路や新幹線の建設などという甘い夢を描いているときではありません。いまこそ公害絶滅と取り組む考えはないか。現代の文化は、自然を人間に従属させ、人間の欲望は限りなく自然を破壊してきた。すなわち、現代社会の繁栄は、欲望追求の文明によってもたらされたものであります。しかし、それは人間のために自然を、現在のために未来を犠牲にした繁栄であり、いつかはくずれる幻の繁栄にすぎません。したがって、近年になり、物質文明や経済のとめどもない成長に疑問を持ち、自然と人間の調和こそ第一に求められなくてはならないことに大多数の人が気がついてきております。田中総理は、この調和をどこに求めようとしているのか、お伺いしたいのであります。
 伝統的な資本主義社会のアメリカにおいても、土地は商品でない、土地は社会生活に必要なものとの思想が高まってきております。このためには、土地を買い占めて大きな利益をあげようなどというのはもとより許されない。さらに、工場立地にあたっても、地域社会や自然環境との調和をいかに達成するかが先決条件となるべきはずではありませんか。このような基本姿勢について総理のはっきりした御所信をまず承りたいのであります。
 それにはまず、公害に取り組む企業と行政の姿勢が、私は、根本的に正されなくてはならないと考えます。
 具体的な事例をあげて私はいま質問いたします。
 静岡県の田子の浦港は、ヘドロの沼と化し、県の数次にわたるヘドロ処理の結果でも、いまだに港の機能が十分に果たせないほどであります。この港へ流入する工場排水は、岳南排水路から港内へ流入しております。この工場排水は、県当局の発表の数字でも、港内へ流入する段階で水質汚濁防止法の排水基準に明らかに違反をしているのであります。というのは、排水路へ廃水を流す企業が、もし全部基準を守っていると仮定した場合のSS、COD等の数値を県当局が計算して発表していますが、先ほど指摘するように、実際にはその基準を大幅に上回っているのであります。しかも、五月七日の正午から五月八日の正午まで、二十四時間にわたる県の調査では、SSで午前零時三十五分、午前八時五分、CODでは午前二時二十分というように、夜中の汚濁が急上昇しておりますが、これはどういうわけでしょう。やっぱり企業は汚濁の廃水を夜中に流しているのでしょうか。また、このような違反の事実を証明する調査が、たった一晩しか行なわれていないというのもおかしいではありませんか。昼間の調査はずっと発表されておりますが、夜中の調査は一回しか行なわれていない。この資料は、環境庁からいただいたものでありますので、環境庁長官のはっきりした御見解を伺いたい。また、このような違反の事実に対し、環境庁長官はどのような措置をとられるおつもりか、あわせて伺いたいのであります。
 現行の水質汚濁防止法が国会で審議される段階で、政府はこの法律には直罰規定があること、したがって、違反する企業は防止法の罰則に照らして罰せられるのだと説明していましたが、この適用はどうなっているのでしょうか。個人が法律に反すれば直ちに罰せられるのに――自動車のスピード違反でも罰せられますが、企業ならば、このように何カ月も何年も堂々と違反していてよいのでしょうか。国家公安委員長に明確な答弁を願いたいのであります。(拍手)
 次に私は、水銀による汚染について若干の質問をいたします。
 政府の水銀等汚染対策推進会議では、水銀の排出規制について発表いたしております。それは水銀を排出するおそれのある工場――ソーダ工業について、第一にクローズドシステム化、第二に隔膜法への転換、この二つがあげられております。すでに政府からは、アセトアルデヒト製造工場における水銀消費量、塩化ビニールモノマー製造工場における水銀消費量などが発表されていますが、水銀法電解ソーダ工場については、これらの水銀消費量等がさっぱり発表されておりませんが、これはどうしたわけですか。しかも、現在の水銀使用量は、苛性ソーダが群を抜いて多いのであります。こうした発生源をまずなくすことが先決問題であると考えます。それにしては、対策推進会議のクローズドシステム化、隔膜法への転換ともに、まだまだ努力の余地があるのではないか。先ほども答弁がありましたが、一億国民が公害の総汚染にさらされている今日の事態を直視して、通産大臣の明確な答弁を承りたいのであります。
 また、通産大臣は隔膜法への切りかえを、先ほどの答弁では、極力やるというのか、あるいは全部やるというのか、はっきりいたしませんでしたので、明確に御答弁願いたいのであります。
 次に厚生大臣に、魚介類の水銀暫定基準について質問をいたします。
 厚生省は、水俣病が公害病として大きく取り上げられた昭和四十三年当時に暫定対策要綱をきめ、百匹中二十匹の魚に一PPMをこえる水銀が検出された場合、精密検査をするということをいたしましたが、それから五年間もそのままにして打つ手もなかったことは、いかにも行政の手おくれを痛感するが、いかがですか。
 そして今回発表された暫定基準によれば、総水銀で平均〇・四PPMというが、はたしてこれでよいのかどうか。さらに、マグロと川魚を対象外としているところにだれしも疑問を持つが、いかがですか。今後とも対象外としていくのかどうかお伺いいたしたい。先ほどのような御説明では納得するだけの答弁が出ておりませんが、いま、大多数の国民は、小さなアジなら一週間に十二匹、マグロさしみなら四十七切れというような発表があったら、けさはまた献立表のつくり直しが発表になったり、一体これからの日本人の食生活はどうなることかと、大きな不安にかられております。厚生大臣は、国民の生命と健康を守るという立場から、もっときびしい姿勢で汚染の絶滅に立ち向かっていただきたいのでありますが、大臣の基本姿勢とともに責任ある答弁をお願いいたします。
 次に、PCBによる環境汚染対策について質問いたします。
 去る六月二十三日、公明党の琵琶湖調査団として私も琵琶湖へ参りました。まず、同地のPCB汚染の汚染源と見られる工場をたずねましたが、日本でも超一流の近代工場と言われる工場で、要らなくなったPCBを燃焼させていたというかまどがありました。これは実に原始的なかまどで、こんなところでPCBを燃やしていたら、そのまま環境を汚染していくことがだれの目にも明らかでした。このような事実は一、二の工場に限られたものではなく、生産の拡大には技術と資金を惜しみなく投入し、そこから出る廃棄物の処理は一向おかまいなしに、環境を無限に汚染してきたのであります。私はこれより先に、別の近代工場と言われる工場をたずねましたが、その工場では昭和三十九年からPCBを使っていたけれども、毒性があるとは知らなかったと言います。工場側も知らないから何の注意もしなければ、働いている労働者もPCBを手に触れ、その手で平気でたばこを吸っていたというのであります。このようなことではとうてい公害の絶滅は期しがたい。
 まあ、過去のことは過去のことといたしましても、PCBを使用した家庭電化製品が、いまなお山をなして市町村の廃棄物処理場に積み上げられております。通産大臣、この点について私は他の委員会でも取り上げましたが、そのときに通産省は、近日中にPCBを使った家庭電化製品の機種を公開して、市町村のごみ処理に協力すると言っておりましたが、結果はまとまりましたかどうか、通産大臣に伺いたい。
 また、厚生省は家庭電化製品のような……
#20
○議長(河野謙三君) 小平君、時間が参りましたから、簡単に願います。
#21
○小平芳平君(続) いわゆる粗大ごみをいままでのようにただ市町村のごみ処理にまかしておくのかどうか。メーカーに回収させる等の処理について検討すべきだと考えますがいかがですか。
 さらに、通産大臣は先ほどの答弁でPCBの使用を一切禁止すると答弁しておられますが、たとえばアメリカからコンピューターの売り込みがあった場合、そのコンピューターにPCBが使用されていたら、輸入を許可しないかどうか、あわせてお伺いしたい。
 以上、政府の誠意ある答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(田中角榮君) 小平芳平君にお答えをいたします。
 まず、第一は、公害防除、環境保全行政について、政府の所見ということでございますが、わが国経済の発展過程におきまして、環境破壊など各種のひずみが生じてきましたことは、否定できないのであります。
 政府といたしましても、この事実を認識いたしまして、その解決に全力を尽くしますとともに、長期的、広域的観点から国民共通の資産である美しい国土、清浄な生活環境の実現に全精力を投入してまいりたいと考えておるわけでございます。
 このため、今後の環境保全施策の実施にあたりましては、発生した環境破壊の事後処理という受動的政策にとどまるのではなく、環境破壊の未然防止を最重点として、各種施策を総合的に推進をしてまいりたいと思うのでございます。
 世界におきましては、工業水準の向上は即人類の生活向上につながってきたことは歴史の示すとおりであります。また、戦後の前の明治初年から百年を顧みますと、日本の工業化は急速に進んでまいったわけでございます。その工業化の向上、発展の過程にわれわれの生活が向上してきたこともまた事実なのであります。しかし、高度の化学工業の発達や新しい化学物質の出現というようなことによる工業発展の過程では、種々の弊害も起こってくることはまた事実なのでございます。その意味で、生産か人間の生活環境を守ることが先かというと、生産は必要であります。しかし、生産はあくまでも人類の生活向上への手段でなければならないわけでありますので、公害というような、生産の過程によって起こり得る、また起こるマイナス面の防除や除去に対して全力を傾けなければならぬことは言うをまたないのであります。これは、ただ一つの学問的な力だけによってできるものではありません。全世界の英知を傾け、人類の学問的、科学的、技術的力を結集することによってこれらは十分排除できるのでございまして、政府は全力を傾けてまいりたい、こう考えるのであります。でありますから、生産と生活の向上と公害防除の三つの問題を十分果たし得るように実をあげてまいりたい、これが政府の所見であります。(拍手)
  〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(三木武夫君) 小平議員にお答えをいたします。
 私に対しては岳南排水路、田子の浦港の汚染について御質問があったわけでございますが、田子の浦港はたいへんに問題のある個所でありますから、環境基準に上のせして排水の規制を行なっておるわけでございます。静岡県としても、最近はたいへんにきびしい態度を工場に対してとっておるわけであります。監視体制も静岡県は強化してまいって、夜間の立ち入り検査を含めて、違反の事実があれば操業の停止、改善命令等も出しておるわけでございます。六月には、大昭和製紙吉永工場に対して操業の停止を命じたわけでございますから、政府としては、このような静岡県のきびしい態度を支持していきたいと思っております。環境庁自身としても、工場の排水に対する監視の体制というものは特に今後強化をしてまいりたいと思っておりますが、とにかく静岡県のこういうきびしい態度を支持して、今後とも、工場排水というものがいろんな公害を起こすような原因をつくらないように指導してまいりたい。公害をたれ流して生産の能率をあげるということは、今日許される時代ではないということでございます。(拍手)
  〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(江崎真澄君) 水質汚濁防止法の違反につきましては、悪質な事犯を重点として積極的に取り締まっております。
 いま御指摘の岳南排水路、環境庁長官から御説明がありましたが、これは全くけしからぬ話で、実態調査をしたところが、昼間はきれいな浄化した水を流すが、夜になるというと十分浄化しないのを流しておる、こういう現実を把握いたしました。そこで、県当局も非常に熱心でありまするが、県当局と十分連絡を現在とりながら、中にきわめて悪質と目されるものが、これは数社あります。したがって、厳重に捜査中でありまして、これらについては間もなく結論を得たいというふうに考えております。
 それから御参考までに申し上げますと、昨年七月に水質汚濁防止法、これが発効いたしまして以来、書類送検をいたしましたのは四十四件あります。それから本年の五月末までで四十工場、四十件を数えておりまするが、悪質なものはどんどん取り締まる、厳重に取り締まるという態度で臨みたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(中曽根康弘君) 水銀の使用量の問題が第一点でございますが、この点につきましては、先ほど御答弁申し上げましたとおり、いま現地立ち入り検査をやっておりまして、六月中に現地調査を終わり、七月中に結果を取りまとめて公表したいと思っております。PCBについては、七月中旬までに調査を完了する予定でございます。
 なお、クローズドシステムに努力する日程を申し上げましたが、隔膜法に全面的に転換するのになぜ時間がかかるかと申し上げますと、第一は日本に国産技術がないわけでございます。それで外国技術を導入することをいまいろいろ手当てをしている。それから金属電極等資材の入手の点について問題が一つございます。さらに、隔膜法に転換する場合には、ボイラーをかなり増設する必要がありまして、その場合に大気汚染の問題等も出てまいりまして、それらとの関係をいろいろ考慮しつつ、五十年九月を目途に全面的に転換するように努力していこう、こういう考えに立っておるわけでございます。
 第二に、家電製品PCB回収の御質問がございました。過去においてPCBを使ったコンデンサー等が家電製品にかなりございました。しかし、コンデンサーは密閉型でございまして、使っている限りは外には漏れないことになっております。そうして量にいたしましても、総使用量の一%程度でありまして、かなり量としては少ない量でございます。これらの廃棄物の処理等については、御答弁申し上げましたように、家電製品別に、工場別に、品物別に膨大なリストをいまつくっておりまして、これがあと二、三週間かかります。それで、これができましたら、市町村と連絡いたしまして、その製品をえり分けてこれを特別に処理する方法をいま考究中でございます。PCB処理協会というようなものをつくって、それに専門的に処理させるということもいま検討しておるところでございます。
 次に、PCB入りのコンピューターの輸入禁止の問題でございますが、国産品のコンピューターは昨年三月に使用を中止いたしました。外国品につきましては、−同じく昨年三月以降、日本機械輸入協会及び輸入会社に、回収処理体制を確保し得る場合を除いては輸入を中止させる、いまそういうように行政指導をしております。なお、一部輸入コンピューターでPCBコンデンサーを使用しておるものもございますが、これはレンタル販売を通じてユーザーが特定しておりますので、回収処理については問題はございません。しかし、これらについても代替品に切りかえることをいま指導中でございまして、IBMからの報告によりますと、ことしの秋のうちに全部切りかえを完了するという報告でございます。(拍手)
  〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(齋藤邦吉君) 今回の暫定基準の設定は相当きびしいものがあるのでございまして、国立衛生試験所のいままでのいろいろな実験、あるいは水俣病の研究の結果、あるいはWHOの安全基準等を十分頭に描きながら、わが国の権威のある専門学者を集めてまとめたものでございまして、週間摂取許容量は〇・一七、規制値につきましては総水銀で〇・四、メチル水銀で〇・三、こういうことでございまして、これなどは、アメリカ、スウェーデン、カナダのよりは相当きびしい規制値を設けておるような次第でございます。こうしたことによって私どもの食ぜんの安全を確保する、こういう考え方でこの基準が設定されておることを御了承願いたいと思います。
 なお、マグロに含有されておりまする水銀でございますが、これは自然に含有されておる水銀でございまして、人工的汚染の他の魚とは、その種類、性質を異にいたしておりますので、規制値を設けないけれども、週間摂取許容量、そのワクの中で十分規制をすることができると判断をいたしたからでございます。
 次に、冷蔵庫、テレビ等の家庭電気製品につきましては、市町村が法律に基づいて処分することになっておりまして、専用の処理施設の補助等もいたしておりますが、市町村がこういう粗大ごみを処理することが著しく困難でありますときには、メーカー等に対して回収その他の措置をとるよう指導することができることになっておりますので、指導の措置の具体的内容については目下通産省と協議いたしておるところでございます。(拍手)
#27
○議長(河野謙三君) 内閣総理大臣から答弁の補足があります。田中内閣総理大臣。
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(田中角榮君) 先ほどの御質問の中で、二点、私が答弁を落としたものがございますので、追加して申し上げます。
 第一点は、漁船が工場への入り口を実力で封鎖するような深刻な事態まで招いた政府の責任をどう考えるかとの趣旨でございますが、水銀、PCB等の有害物質による魚介類等の汚染問題が広範な海域で発生し、関係漁民に不安と動揺を与えていることは、まことに遺憾であります。政府といたしましては、水銀等汚染問題の重要性と緊急性にかんがみ、先般、水銀等汚染対策推進会議を設けて、総合的かつ効率的な対策を強力に推進しておるところであります。すなわち、国民の不安をすみやかに解消するため、魚介類の暫定的基準を設定し、また被害漁業者に対し、つなぎ融資を行なうこととしたところでありますが、今後さらに全国的規模の環境調査、関係工場の総点検、問題地域の住民健康調査、汚染ヘドロの除去事業等、各種汚染対策を強力に実施してまいるつもりであります。
 次は、漁民、鮮魚商等に対する対策いかんという趣旨の御発言に対してお答えをいたします。
 水銀またはPCBの汚染による被害漁業者及び水産業協同組合に対し、その生活資金及び経営資金につき、天災融資法に準じ、緊急につなぎ融資を行なうことにいたしておるのであります。国は利子補給につき高率の助成を行なって、漁業者等の救済措置を講じてまいります。なお、原因が明確となったときは、原因者負担の原則によってその経費を支弁させることにいたします。小売り業者、その他流通業者については、漁業者に対する緊急措置との関連に配慮しつつ、目下関係省において緊急融資措置について検討させておる次第であります。以上。(拍手)(「休憩」「議事進行」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
#29
○議長(河野謙三君) 先刻の小平芳平君の緊急質問に対する田中内閣総理大臣の答弁につきましては、速記録を調査の上、議長において適切な措置をとります。
    ―――――――――――――
#30
○議長(河野謙三君) 栗林卓司君。
  〔栗林卓司君登壇、拍手〕
#31
○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、魚介類の水銀汚染問題を中心に、総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。
  〔議長退席、副議長着席〕
 去る二十四日、魚介類に含まれる水銀について、暫定許容基準が発表され、あわせて厚生省の標準週間献立表が報道されました。
 そこでお伺いをしますが、今回の許容基準及び魚の食べ方指導を発表した政府の真意について、われわれ国民はどのように理解したらよいのでありましょうか。厚生省の指導によると、食べてもよい魚介類の量は、一週間としてみると、アジなら十二匹までということになっております。もっとも、きょうの報道によると、この数字が変わったそうでありますが、だからといって問題の本質が変わったわけではありません。したがって、すなおに理解すれば、アジが幾ら好きでも、一週間に十二匹をこえて食べてはいけないということでありましょう。では、国民が、この厚生省の指定に反して、アジをもっと食べて病気になったら、それは国民が悪いので、政府の責任ではないと言いたいのでありましょうか。
 しかも、このアジは、許容基準、すなわちメチル水銀〇・三PPM以下の小アジ十二匹でなければなりません。しかし、われわれ国民にとってみると、目の前に出されたアジが〇・三PPM以下の濃度であるのかどうか、どうやって見分ければよろしいのでございましょうか。第一、月曜日から数えて、これが何匹目のアジなのか、勘定するだけでも容易なことではありません。しかも、厚生省筋では、妊婦については、より厳重な運用が必要である、乳幼児の場合は慎重な配慮がされなければならないと述べているようであります。そこまで言われれば、気になるのが人の常であります。では、一体国民は、その厳重で慎重な食生活の指導を、ただいま現在、だれにどのような手続で頼んだらよいのでございましょうか。明確な御答弁をいただきたいと思います。
 今日、われわれ国民が水銀ということばからまず連想するものは、水俣病の悲劇であります。これに対し、政府は、週間献立表まで教えたのだから、あとは国民の皆さんにまかせますというつもりなのでございましょうか。もちろん政府は否定されるでありましょう。厚生省では、さらに六カ条からなる魚の食べ方心得をつくってPRをする予定とも聞いております。しかし、そこでお伺いをするわけですが、一体このようなものが対策なのでございましょうか。政府は、基準をつくる仕事と、基準にかなったものを国民に提供する仕事との違いを、どのように認識されておいでなのですか。このところ、熊本大学の発表、水産庁の発表と、国民の不安をつのらせる報道が相次いでまいりました。したがって、もし今回政府が基準を発表するとすれば、そのねらいは、国民の不安をやわらげ、安心を約束することに置かれるべきであります。しかし、実態はどうでありましたか。
 基準の発表によって、われわれ国民が安心感を抱くためには、少なくとも三つの条件があります。すなわち、第一は、だれがその基準を守るかが明らかであること。第二には、基準を守ることが確実に保証されていること。そして第三は、その結果、だれでもよけいな心配をせずに、そのものを自由に利用できること。この三つであります。
 では、今回の基準は一体だれが守るのですか。漁民や販売業者に求めてできる仕事ではありません。また、この基準が確実に守られる保証は一体何ですか。政府はそれをこれから調べようというわけですから、今日現在その保証が存在するわけはありません。では、基準に合格していれば、だれでもよけいな心配をせずに魚が食べられますか。なおかつ、標準週間献立表に従わなければならないわけですから、心配は、高まることはあっても、減ることはありません。一体、このような基準の出し方があってもいいのでしょうか。政府としても、おかしいとお考えになりませんか。
 私は、だれが基準を守るのかと伺いました。そこでお尋ねしますが、われわれ国民は、自分の健康を守るために、せめて食べるものの安全保障ぐらいは国に期待してはいけないのでございましょうか。国の安全保障とは、子々孫々にわたる民族の生命を守り、育てることにほかなりません。それは政府がになうべき当然の義務であります。しかるに、事、魚に関しては、妊婦に対しては厳重な、乳幼児に対しては慎重な取り扱いが、なぜ国民に求められなければならないのでございますか。民族の安全保障とは、戦闘機だけの問題ではありません。しかも、いま問われているものは、国民の日常の食生活であり、父祖伝来の漁業の存立であります。このように考えてみれば、基準を守り、確保する責めを負うものは、政府以外にはないではありませんか。すなわち、政府の仕事は、国民の前に安心して食べられる魚を提供することであって、標準週間献立表をつくることでは絶対にありません。この意味で、私は、今回の政府の態度は、政治の原点を踏み違えたものと判断せざるを得ません。しかも、国民が求めているものは、専門家でなければわからないこまかい数字ではなく、生活の安定感であります。しかも責任を他に転嫁し、基準をつくれば足れりとした政府の心ない態度により、国民の食卓は救いのない不安感に包まれ、魚介類の売り上げは激減いたしました。ところが一方、新聞によると、許容基準の作成に関与した者の一人が、日本のほとんどの魚はだいじょうぶである、要するに、汚染水域をふさいで、そこの魚は食べないということだ、という趣旨の発言をしたと伝えられております。もしそれがほんとうなら、基準づくりで無用の混乱を起こす前に、なぜ汚染水域対策を急がないのでありますか。事は厚生省だけの問題ではありません。以上について総理並びに厚生大臣の見解をお伺いします。
 次に総理にお尋ねします。
 私たちが暮らしているこの社会は、お互いの暗黙の信頼関係の上に成り立っております。電車に乗れば、安全な運行については、運転手をはじめとした関係者を信頼して一切をゆだね、魚屋の店頭にある魚についても多くを心配しようとはいたしません。しかし、今回の政府の態度は、この信頼関係を全国的に脅かす結果になったのではございませんか。なぜなら政府は、政府の許容基準を守っていてもなお魚が危険であることを国民に教え、国民がみずからの健康をみずから守ることを求めたからであります。このことに対し、政治の最高責任者としてどう判断しておいでなのか伺います。
 次に、今後の汚染水域対策について、総理の基本的な構想をお伺いしたいと思います。
 過去の農薬使用がもたらした水銀の蓄積を考えると、対策も広域にわたる取り組みが必要でありましょう。また、今後の排出規制について、今年末、あるいは来年九月までに、クローズドシステムに転換する方向と伝えられておりますが、この程度の取り組みで、すでに不安と不信に色どられた国民感情が解消するでありましょうか。この際、思い切って関係企業の全操業を停止し、汚染水域の浄化事業を国の事業として実施すべきだと思いますが、総理並びに環境庁長官の御見解を伺います。
 次に農林大臣にお尋ねします。
 端的にお伺いしますが、漁民及び魚介類販売業者は、加害者なのでありましょうか、被害者なのでありましょうか。また、こうむった損失の補償と責任の所在についていかがお考えでございますか。また、今後のたん白資源の国際的需給見通しとの関係で、どのような漁業政策を進めていかれるのか、御所見を伺います。
 次に通産大臣にお尋ねします。
 企業にとって操業の一時停止はゆゆしい大事と感じられるでありましょう。しかし、企業が、言われるごとく社会の公器であるとすれば、正当な補償のもとに操業停止という手段を活用すべき時期にきていると思いますが、いかがでしょうか。
 また、資源産業及び資源関連産業について、資源多消費型産業構造を改め、公害を抑制するために、生産量及び生産物の利用に立ち入った公共管理を徹底すべきだと思いますが、御見解を承りたいと思います。
 最後に、総理並びに環境庁長官にお伺いをいたします。
 私は、魚介類の水銀汚染の問題にしぼって質問してまいりました。しかし、PCB汚染の問題も含めて、一事が万事であります。この高度に発達した社会において、国民一人一人がみずから守り得る分野は決して広いものではありません。自分の守備範囲を越えた、より多くの働きを政治に期待したとしても当然でありましょう。この意味で、国民の切実な願いは、人並みに働いていれば人並みのしあわせが約束される世の中をつくることだと考えても、大きな間違いはございますまい。しかし、現実は、衣食住のうち住すなわちマイホームの夢は、地価の高騰によってむざんにも打ちくだかれ、いまや、食にまで不安が及ぼうとしております。これまで国民は黙々として働き、いつかはよくなるだろうと思いながら待ちわびてまいりました。しかし、現実は、衣食住の三つのうちで、二つまでがだめになりつつあります。
 一体、今後政府はどうしていくつもりなのか、待ちわびてきた国民の待つ身のつらさをどのように理解しておいでなのか、総理並びに環境庁長官の御見解をお伺いして、質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(田中角榮君) 栗林卓司君にお答えをいたします。
 第一は、魚介類に含まれる水銀の暫定許容基準を発表した真意、国民の不安を解消するため何をするつもりかとの趣旨と解しましたが、今回、政府は魚介類の水銀の暫定基準を発表いたしましたが、これは国民生活にとって最も重要である食生活の安定性に対する国民の強い期待にこたえたものであり、その内容とするところは、定められた規制値以下の魚介類の摂取については、絶対に健康上の不安がないことを明らかにする趣旨でございます。したがいまして、規制値を上回る魚介類が流通市場に入らないよう検査体制を強化することとなし、特に汚染のおそれのある水域の魚介類については重点的に検査を行ない、その結果についてもすみやかに公表するなど、食生活の不安を解消するため万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
 次は、国民はきょうまで信頼できる対策の実施を待ちわびておるがという趣旨の御発言でございますが、水銀、PCB等の環境汚染に見られるように、科学技術は、プラスの効用と同時に、社会的に思いがけない悪影響を及ぼす場合があることを強く認識する必要がございます。こうした認識に立ちまして、科学技術のもたらす環境破壊等の悪影響を未然に防止するためには、新技術、新物質の開発にあたって、その技術、物質がもたらす効用と影響を事前に予測、評価するという、いわゆるテクノロジー・アセスメントの考え方を各方面に適用していくべきであると考えておるものであります。
 なお、公害研究所は今年度中には発足をいたしますが、大学にも公害防止技術に関する学科の新設を行なうとともに、広範な研究を進めるための民間機関として、公害学会のごときものを設置してはどうかというようなことについても検討を進めてまいりたいと、こう考えておる次第でございます。
 最後は、汚染水域対策についてでございますが、有害物質の排出については、水質汚濁防止法により、きびしく規制をいたしておることは御承知のとおりでございます。汚染された水域のヘドロはすみやかに除去して、水域の浄化をはからなければならぬと考えております。水銀につきましては、近く設定される暫定除去基準に従いまして、すみやかに封じ込め、埋め立てなどの対策を講じていくことといたしたいと考えております。また、PCBにつきましては、さきに指示をした暫定的な除去指針に従いまして、現在、鋭意除去作業を進めておるところでございます。
 この費用につきましては、公害防止事業費事業者負担法に基づき、汚染原因企業の責任に応じて負担させるよう、関係地方公共団体と協議をいたしておるのであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたします。(拍手)
  〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(齋藤邦吉君) 今回の暫定基準は、科学的なものをつくろうということで、専門家の方々にお集まりいただきまして、内外の資料、知見をもとにいたしまして、きびしい安全率を設定いたしたわけでございます。
 ところで、この基準の発表の際に配付いたしました資料、すなわち水銀の週間摂取許容量につきまして例示いたしたのでございますが、その際に例示いたしました魚が、かりにすべて暫定的規制値〇・三PPM満度まで汚染されておるとしても、それだけ食べても心配はない、こういう趣旨で申し上げたのでございます。しかしながら、実際を見ますと、魚が〇・三PPMまで汚染されているということは考えられませんし、また、市場においては非汚染や規制値以下の魚がほとんどを占めていると思われる現状でございますので、市場における魚は、汚染されておるおそれのある魚は市場に出回らないようにしようと、こういうことでございますから、市場における魚は安全であると確信をいたしております。しかしながら、こういう点については説明がやや不十分のきらいがありましたので、今後は、御趣旨のように誤解を与えないように説明をいたしてまいりたいと考えております。
 そこで問題は、汚染されておるおそれのある魚を市場に出回らないようにする、これが何といっても根本でございまして、全国の各流通市場における魚介類について監視を一そう強化充実する、汚染地域の生産市場はじめ各市場における検査を行ない、基準を越える魚介類を市場から排除するとともに、検査結果をすみやかに公表することなどいたしまして、安全性を国民の前に明らかにしてまいりたいと考えておるわけであります。こうすることによって、暫定規制値以上の魚類が市場に出回ることのないように努力をいたしてまいる考えでございます。
 なお、汚染地におきましては、都道府県、市の保健所が全面的に努力をいたしまして、乳幼児あるいは妊産婦、こういう方々についての食生活の指導については厳重にやってまいり、安全を確保いたしてまいるようにいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(三木武夫君) 栗林君にお答えをいたします。
 水銀、PCB等の有害物質が国民生活に非常な不安を与えておる、たいへん遺憾なことであります。しかし、公共水域の汚染という現実があるということであります。これに立ち向かうということが、今日の最大の課題である。そのためには、私は先ほどもお答えいたしましたが、全国的に環境調査をやろう、だから水質から底質、魚介類、プランクトン、これの全般的な環境調査をやって、しかもヘドロ等の、これを除去する基準というものをつくりたい。その基準に照らして環境調査をやって、基準を越えるところのヘドロはどれだけ経費がかかってもこれは除去したい。これを除去しなければ汚染の禍根は断てないわけでありますから、汚染の原因であるヘドロを処理する。早いところは、水俣は今年度からやりたいと申しておるわけでございます。(「たい」じゃないか」と呼ぶ者あり)やるということであります。水俣は今年度から着工するということであります。
 そうしてまた、今後よごさないようにしなければいかぬ。そのためには、有害物質の製造禁止とか、あるいはまたクローズドシステム、あるいはまた排出物に対する規制の強化、これ以上よごさぬという措置を講じていきたい。その上へもってきて、さらに美しいよい環境をつくるための浄化の措置がとられなければならない。そのためには今後の開発は、事前に環境の保全というものを前提にしてアセスメントをやりたい。開発をしてからあとから環境の保全が追っついていくのでは、これはもう元に返らない。ですから、環境の保全ということを前提にして開発が行なわれるような事前調査というものをやって、そのようにして、この今日の不安の原因である公共水域の汚染というものに対処していきたい。
 われわれがあの敗戦のどん底から、今日のような日本を築いたエネルギー、英知、これで公害の防止に取り組めば、必ず公害問題は解決をできる、こういう確信でございます。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(櫻内義雄君) 漁民及び魚介類販売業者は加害者なのか被害者なのか、端的に答えろと、こういうことでございました。これらの方々が、汚染の原因とは何ら関係もなく、漁獲の規制、魚価の暴落、売り上げの減少により大きな被害を受けておるということはきわめて遺憾であり、御同情にたえないところでございます。被害者に対しましては、原因者負担の原則によりまして、現に各地域において話し合いが行なわれ、解決を見ておる場所もあるわけでございまするが、この原因者というものが現に追及ができない、そういうことを考えまして、緊急措置としてのつなぎ融資等を講ずることにいたした次第でございます。
 なお、今後のたん白資源の供給についてのお尋ねでございました。
 水産物が、昭和四十六年で見まして、国民の動物性たん白質消費量の五二・四%を供給しておる。四十七年における生産量が千七万トンに達しておるということを考えまするときに、国民にとっての非常に重要な動物性たん白質の給源であると思います。そこで、沿岸漁場の環境安全をはかりますとともに、漁場の造成、改良、栽培漁業、沖合い、遠洋における新漁場の開発の促進等の施策を講じまして、この動物資源の確保につとめてまいりたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(中曽根康弘君) 操業中止の問題でございますが、電解苛性ソーダ工場、その他の問題になっておる工場については、水質基準を順守させておりまして、水質汚濁防止法の基準を順守している限り、それをいま直ちに操業を停止させるという考えはございません。しかし、政府といたしましては、特定水域について九月末を目途に、いま汚染の有無あるいは汚染原因の究明等をやっておりますが、その結果によりまして、われわれは次の対策を検討したいと考えております。
 第二に、資源多消費型の産業構造を根本的に改めて、産業に対する公共管理を強化すべきではないかという御指摘でございます。
 産業構造の省資源、省エネルギー化は、今後の経済運営の最重要課題の一つと考えておりまして、との基本姿勢は、先に閣議決定した経済社会基本計画においても明らかにしているところでございます。政府としましては、この基本的考え方に立って、現在、産業構造の知識集約化を基調とする省資源、省エネルギー施策の実現につとめております。公害等の点も十分考慮いたしまして、一方、国内的には、現在御審議願っております工場立地法を運用いたしまして、国内における工場立地を厳重に規制すると同時に、海外におきましても、海外における中間精錬や中間処理等も考慮いたしまして、日本の国内における公害問題を根本的に解決する方法も講じていきたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#37
○副議長(森八三一君) 渡辺武君。
  〔渡辺武君登壇、拍手〕
#38
○渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、総理並びに関係大臣に緊急の質問をいたします。
 今日、漁業関係者と沿岸住民、さらには全国民をまで重大な不安におとしいれている魚介類の深刻な汚染の根本の原因が、長年にわたる大企業の横暴きわまりない公害たれ流しと、この大企業に奉仕する歴代自民党政府の高度成長政策にあることは議論の余地のないところであります。ところが、総理大臣は、衆議院での答弁の中でも、今日の事態を招いた自民党政府の責任について一かけらの反省のことばさえ述べておりません。それのみか、日本列島改造計画など大企業奉仕の高度成長政策を引き続き進めることを公言するありさまであります。無責任きわまりない政治姿勢と言わなければなりません。総理には、今日の事態が、みずからの引き起こした公害のおそるべき深刻化であり、国民の最大のたん白源をおかす全国的な汚染であり、全国民の健康が重大な危険に見舞われていることであることがおわかりにならないのか。総理の耳には、大企業の手によって水俣病で殺された八十三人の方々と、生きたまま年ごとにしかばねとされつつある六百七十名をこえる認定患者の方々の、いや、いまでは同じ危険に直面させられている全国民の声が届かないのか。総理は、このような事態をもたらした自民党政府の積年の政治責任をどう考えておられるのか。また、すべての犠牲者とすべての国民にいまこそ率直に謝罪し、経済政策を国民福祉優先に根本的に転換して、日本列島改造計画などの大企業奉仕の高度成長政策をやめるべきであり、これこそ政治家としてのまじめな態度であると思うが、総理の明確な答弁を求めるものであります。
 特にいま、わが国の国民が直面しているものは、どんな国にも例がないほどに親しみ、常食としてきた魚介類の全面的な汚染であり、それゆえに国民の生命を脅かす危険であります。ところが、厚生省がさきごろ発表した許容基準なるものは、水俣病の実態を最も熟知した権威ある学者からの異論があり、しかも、最も影響の大きい胎児や子供を問題外とし、また、特別に汚染の強いマグロを除外するなど、きわめてずさんなものではありませんか。政府は、公害企業に対する国民の批判が少しでもやわらぐなら、子供たちが生けるしかばねになってもかまわないと考えておられるのか。
 しかも政府は、このずさんな許容基準に基づいて、しかも、現在流通している魚の十分な調査もせずに、きのう、安全宣言なるものを発表し、ほんの数日前の発表の三倍以上の量の魚を食べてもだいじょうぶと言い出す始末であります。政府は、全国の集荷市場と必要な水揚げ地で十分な汚染調査を、自治体まかせではなく、国の責任で継続して行ない、汚染魚介類の出回りを厳重に防ぐべきであります。また、このための国の調査機関、特にその施設と人員の現状はどうなっているのか。厚生大臣と環境庁長官の答弁を求めるものであります。
 国民がいま切実に求めているものは、このようないかがわしい許容基準ではありません。厚生大臣は、アメリカ、スウェーデンなどの許容基準よりもきびしいなどと答弁しておられますが、あなたは、日本の国民が、これらの国よりもはるかに多量の魚を常食としていることを御存じないのですか。大臣は、すべての魚介類について、科学的根拠があり、食品衛生法に基づいて規制力のある安全基準を設定すべきであり、その審議に、日本学術会議や消費者と漁民などの推薦する科学者を加え、審議経過と全資料を公表すべきであると思うが、あわせて答弁を求めます。
 特に、漁業関係者と汚染地域の全住民の健康調査は急務であり、さらに、人体の汚染調査を全国的に実施することが必要であります。また、全国の沿岸漁場に徹底した汚染調査を国の責任で行ない、さらには汚染水域の浄化、漁場の回復を徹底的に行なう体制をとるべきであります。そのような考えがおありかどうか、御見解を求めます。
 また、今回の事態で特に大きな打撃を受けている漁民、魚市場の仲買い、小売り商、すし屋さんなど、関連企業に従事する者の救済もまた緊急に必要であります。政府は、天災融資法などによるつなぎ融資を行なうと答弁しておりますが、これでは十分ではありません。政府は、財産被害を含め、すべての損害を公害企業に負担させること、また、公害企業が特定できるまでは、生活費、生業資金、転業資金などを含め、被害者の生活と営業を完全に補償するよう、立てかえ払い制度を行なう緊急措置をとるべきであると思うが、農林大臣並びに通産大臣の見解を求めます。
 次に、私は、総理大臣と通産大臣にきびしく指摘しなければなりません。それは、以上のような国民の大きな犠牲をしり目にかげながら、今日この公害の元凶である大企業が、依然として有害物質のたれ流しを続けているという横暴な態度についてであります。通産大臣は、水銀などの使用にクローズドシステムを採用させ、水銀を原料とする苛性ソーダの製法を転換するなどと宣伝しておられます。しかし、そのクローズドシステムの採用さえ、向こう一年間の猶予期間を与え、その間、総量規制のない現在の水質汚濁防止法のしり抜けの許容基準によって、事実上この有害物質のたれ流しを許していることは、国民の絶対に許すことのできないことであります。政府は、有害物質の排出を即座に厳禁し、厳重に監視すべきであり、また、被害を受けた漁民に対し、誠意を持って接するよう公害企業を指導すべきであります。大企業奉仕の田中内閣に、その誠意がおありか、明確な答弁を求めます。
 最後に、総理に伺います。
 以上に述べた現在の深刻な事態は、また、政府の公害対策が何の効果もなかったこと、これを根本的に転換することこそが急務であることを物語るものであります。わが党は、以前から、公害は企業の責任で、発生源で厳重に防止し、特に危険物質の排出は絶対に許すべきではないこと、財産被害を含むすべての公害被害を企業の負担で完全に補償すべきこと、公害防止活動に関係住民を参加させ、自治体の権限を一そう強化することなどをおもな内容とした、徹底した科学的な公害対策を発表しておりますが、今日の現実は、このわが党の政策を全面的に実施に移すことこそ根本的な解決の道であることを明白に示しております。総理は、わが党がすでに国会に提出している、以上のような内容を盛り込んだ公害関係法の抜本的な改正案を真剣に検討し、採用すべきであり、これこそが国民の要求に真にこたえる道であると思うが、どうか。また、もし採用しないとするなら、年ごとは激化する公害を防ぐどのような対策によって国民に責任を果たそうとされるのか、明確な答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
  〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(田中角榮君) 渡辺武君にお答えをいたします。
 まず第一は、今日のような事態が生じたことについての責任をどう考えておるかという趣旨の御発言でございますが、水銀、PCB等の有害物質による魚介類等の汚染問題が諸海域で発生したことは、まことに遺憾であります。政府としては、水銀等汚染問題の重要性と緊急性にかんがみ、先般、水銀等汚染対策推進会議を設けて、総合的かつ効率的な対策を強力に推進をいたしておるところでございます。
 第二は、即座に有害物質の排出を禁止し、監視を厳格にせよという意味の御発言だったと思いますが、政府といたしましては、水質基準の強化、下水道整備の促進、屎尿処理施設の整備促進等の対策を進めてまいりたいと考えております。
 基本的には、環境に悪影響を及ぼすおそれのある有害物質は極力使用しないことが望ましいと考えており、PCBにつきましては、一部のものを除いて完全に使用を中止させ、安全な代替物質への転換を進めておるのであります。また、水銀につきましても、クローズドシステム化の推進、電解法ソーダの隔膜法への転換等について企業を強力に指導し、汚染が進まないよう万全の措置を講じてまいります。また、監視測定体制の整備、拡充につとめてもまいりたいと考えております。
 次は、工場閉鎖と被害漁業者に対する対策等、広範な御質問でございましたが、水銀等の有害物質の排出につきましては、水質汚濁防止法により厳重な規制が行なわれており、水質基準を順守しておる工場に対しては、操業を停止させる等の措置を講ずることは考えておらないわけであります。
 なお、被害漁業者及び水産業協同組合に対しましては、その生活資金及び経営資金につきまして、天災融資法に準じ、緊急つなぎ融資を行なうことといたしておりますことは間々申し上げておるとおりでございます。国は、利子補給につき高率の助成を行ない、漁業者等の救済措置を講ずる所存であります。
 なお、原因者が明確になりましたときには、原因者負担の原則によってその経費を支弁させることにいたしたいと考えておるのでございます。
 共産党提案の公害関係諸法案についてというような趣旨の御発言でございましたが、政府は、昭和四十五年のいわゆる公害国会におきまして、公害対策基本法外十四法案を改正するなど、公害関係法制の抜本的体系化を行ない、事業者責任の明確化や、地方公共団体の権限の強化など、その充実をはかってまいりましたことはすでに御承知のとおりでございます。
 公害対策基本法につきましては、現行規定の運用により十分対処し得るものであり、現在のところ法改正は考えておりません。
 また、関連個別法及びこれに基づく規制基準等につきましては、従来より必要に応じ改定強化をはかってまいりましたが、今後ともこの方針に沿って改定強化をはかってまいりたいと考えます。
 残余の質問に対しては関係大臣から答弁いたします。(拍手)
  〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(齋藤邦吉君) 今回の暫定基準の設定は、国立衛生試験所の実験、水俣病の研究の結果、あるいはWHOの安全基準、こういうふうな内外の科学的な資料、知見をもととし、日本における一流の権威ある専門学者がおきめになりました基準でございまして、しかもまた、諸外国に対しまして規制値も相当高い安全率のものでございますので、きわめて科学的なものであると考えておる次第でございまして、現在、市場には汚染されているおそれの魚はほとんど出回っていない、こういうことにつきましては、専門家会議の席上においても十分認められておるところでございます。
 そこで問題は、汚染されておる地域、おそれのある地域についての監視体制を強化する、これが一番の問題でございまして、厚生省におきましては、環境庁、都道府県と十分連絡をとりながら、問題となる水域の産地市場において集中的に監視体制を整え、監視員の動員、さらに費用を集中的に投入いたしまして、監視体制を強化し、その検査結果もすみやかに公表することといたしておる次第でございます。
 なお、暫定基準の設定に際しまして、いろいろな意見のあった点につきましては公表いたしますが、この専門家会議におきましては、学者間における意見の相違は全然なかったということをこの機会に明らかにいたしておきます。
 先ほどの御質問の、消費者の選んだ科学者を加えたらという御意見でございますが、さようなことを考える必要はいまのところないと、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(櫻内義雄君) 私には、被害漁業者等に対する補償対策についての御質問でございました。特に、政府が原因者不明の段階に立てかえ払いをせよと、こういうような御意見も交えてのことでございましたが、現在、原因者が明確でありますものについては、逐次具体的な施策が講ぜられておることは、新聞紙上の報道等で御承知であろうと思うのであります。
 そして、原因者負担の原則ということは繰り返し申し上げてまいったところでございまするが、遺憾ながらその原因者がはっきりしない、それをどうするか。そこで緊急措置としてのつなぎ融資のことを申し上げますると融資ではだめだと、こう言われるのでございまするが、これはそういう表現をしておるのでございまして、原因者がわかれば、元本、利息とも原因者がこれを補償いたします。
 それから据え置き期間が一年ございまするから、具体的に利息の必要が起こりました場合には、それにはそれなりに対応することを考えておるのでございまして、立てかえ払いとそう性格の違わない措置ということになっておるわけであります。そのほかに、県は県として、農林中金に預託して、低利の資金をごめんどうを見るとか、また、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金を活用するとか、現に有しておる債務につきましては、関係金融機関に対して、貸し付け条件の緩和措置を講ずるよう指導しておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(三木武夫君) 渡辺議員にお答えをいたしますが、健康調査のことに対する御質問でありましたが、これは問題のある有明海、八代海、こういう地域は、まず最初に広範な健康調査をやりたい。沿岸住民、特に魚介類を多食する漁民というものに対して健康調査をやって――全国的な調査をせよということでございましたが、何も公害病のたいしてそういう症状もないものを全国的に健康調査ということは、この場合の調査として適当でありませんので、環境調査をやってみる、全国的な環境調査をやって、そして非常な汚染をしておる地域、そういう地域で必要のある地域に対しては特別な健康調査を行ないたいと、こういうことでございます。その健康調査を行なう場合においては、地方自治体が中心になるわけでございますが、中央においても国立病院の医師団等できる限り協力をいたしまして、健康の調査に対する万全を期したいという考えでございます。(拍手)
  〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(中曽根康弘君) 関係業者のつなぎ融資の問題でございますが、影響を受けている鮮魚商、市場仲介人等の中小企業者につきましては、その迅速な救済をはかるために国民金融公庫等から低利のつなぎ融資を行なうことを関係省庁間で検討しておりまして、これを進めたいと思っております。
 第二に、操業停止の問題でございますが、これも先ほど来申し上げましたように、水質汚濁防止法による厳格な規制を行なわせておりまして、これを守っている限り、いま直ちに操業停止ということは考えておりません。九月に調査が一応終了いたしますから、これらの特定水域につきましては、その時点においてさらに検討を加えたいと思います。(「答弁漏れがあります」と呼ぶ者あり、拍手)
#44
○副議長(森八三一君) 厚生大臣から答弁の補足があります。齋藤厚生大臣。
  〔国務大臣齋藤邦吉君登壇、拍手〕
#45
○国務大臣(齋藤邦吉君) お答えをいたします。
 主産地につきまして、国の責任において汚染調査をやるという点についてのお尋ねでございますが、責任をもって国においては調査をいたすわけでございますが、国の調査機関としてはございませんので、各府県における指導員の方々、そういう方々を動員いたしまして、先ほど来お答えいたしておりまするように、職員を動員し、必要な経費を集中的に支出いたしまして調査をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
#46
○副議長(森八三一君) 日程第二 国際労働機関憲章の改正に関する文書の締結について承認を求めるの件
 日程第三 電離放射線からの労働者の保護に関する条約(第百十五号)の締結について承認を求めるの件
 日程第四 機械の防護に関する条約(第百十九号)の締結について承認を求めるの件
  (いずれも衆議院送付)
 以上三件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長平島敏夫君。
  〔平島敏夫君登壇、拍手〕
#47
○平島敏夫君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 まず、国際労働機関憲章の改正に関する文書は、一九七二年の国際労働機関の総会で採択されたものでありまして、加盟国の増加に対応して、理事会の構成員を現在の四十八人から五十六人に増加しようとするものであります。
 次に、第百十五号条約は、一九六〇年の国際労働機関の総会で採択され、一九六二年に効力を生じたものでありまして、労働者を電離放射線による被ばくから効果的に保護するため、各種類の労働者につき、電離放射線の最大許容線量等を国内法令等によって定めること、放射線作業に直接従事する労働者に対し、適切な指導、健康診断を行なうこと等を定めております。
 次に、第百十九号条約は、一九六三年に採択され、一九六五年に効力を生じたものでありまして、防護されていない機械の使用による危険から労働者を保護するため、適当な防護装置の施されていない機械の販売、使用等は、国内法令等によって禁止すること、危険を防止するため、労働者を指導し、適切な作業環境を形成すること等を定めております。
 なお、わが国におきましては、第百十五号及び第百十九号の両条約の趣旨は、主として労働安全衛生法及びこれに基づく規則等により、すでに充足されているところであります。
 委員会における質疑の詳細は、会議録によって御承知願います。
 昨二十六日、質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、これら三件はいずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 以上御報告いたします。(拍手)
#48
○副議長(森八三一君) これより三件を一括して採決いたします。
 三件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#49
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、三件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ―――――・―――――
#50
○副議長(森八三一君) 日程第五 水源地域対策特別措置法案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。建設委員長野々山一三君。
  〔野々山一三君登壇、拍手〕
#51
○野々山一三君 ただいま議題となりました水源地域対策特別措置法案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず本案の要旨を申し上げますと、
 第一に、国、地方公共団体、水資源開発公団、電源開発株式会社が建設するダムまたは湖沼水位調節施設で、一定の要件に該当するものを本法適用ダム等として政令で指定すること。
 第二に、内閣総理大臣は、都道府県知事の申し出に基づき、ダム等の建設により、基礎条件が著しく変化すると認められる地域を水源地域として指定し、また都道府県知事の作成した案に基づき、水源地域整備計画を決定すること。
 第三に、ダム等を建設する者等は、指定ダム等の建設または整備事業の実施に伴い、生活の基礎を失うこととなる者の生活再建のための必要な措置のあっせんにつとめること。
 第四は、国は、水源地域整備計画に基づく事業実施者に財政上及び金融上の援助を与えるとともに、特定の整備事業については国の負担割合を引き上げること。
 第五は、水源地域整備計画に基づく事業経費を負担する地元地方公共団体は、ダム等を利用することが予定されている者等と協議して、その負担する経費の一部を負担させることができること等であります。
 委員会においては、きわめて熱心な質疑が行なわれたのでありますが、その詳細は会議録によって御承知願うことといたします。
 質疑を終了、討論に入り、日本社会党を代表して田中一君より反対、自由民主党を代表して山内一郎君より賛成、公明党を代表して二宮文造君より反対、日本共産党を代表して春日正一君より反対の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、多数をもって本案は原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本案に対し、水源地域整備事業の実施にあたっては、地元の意向を十分尊重するようつとめること、整備事業はダム等の建設が完了するまでに完成するよう配慮すること、生活再建の対策について積極的に協議し、適切な措置を講ずること、ダム所在市町村の財政の安定をはかること、本法の適用を受けないダム、河口堰等についてもこれに準ずる措置を講ずるようつとめること、ダムの建設にあたっては、水源涵養林の整備等の治山、砂防事業の推進、既設ダムの堆積土砂の採掘により、治水及び利水機能の維持増進をはかることを内容とする四党共同提案による附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#52
○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#53
○副議長(森八三一君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#54
○副議長(森八三一君) 日程第六 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案
 日程第七 農水産業協同組合貯金保険法案
 日程第八 農林中央金庫法の一部を改正する法律案
 日程第九 農業協同組合法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上四案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長亀井善彰君。
  〔亀井善彰君登壇、拍手〕
#55
○亀井善彰君 ただいま議題となりました四法案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 まず、農業近代化資金助成法等改正案は、最近における農業者等の資金需要の大型化、多様化等の動向に対応し、その資本装備の高度化及び経営の近代化を推進するため、農業近代化資金の貸し付け対象者の範囲の拡大、貸し付け限度額の引き上げを行なうとともに、農業信用保証保険制度については、債務保証を受けられる者及び信用保険に付することができる資金の範囲の拡大等の措置を講じようとするものであります。
 次に、農水産業協同組合貯金保険法案は、農水産業協同組合の貯金者等の保護をはかるため、農水産業協同組合の貯金等の払い戻しを保障するための貯金保険の制度を設けようとするものであります。
 次に、農林中金法改正案は、近年における系統金融情勢の変化に対処して、協同組合等に対する金融の円滑化をはかるため、金庫の存立期間の制限規定の削除、役員選任に関する改善措置を講ずるとともに、金庫の業務については、農山漁村において産業基盤または生活環境の整備の事業を行なう法人等に対して資金の貸し付けができるようにし、また、為替業務、預金受け入れ業務に関して整備拡充する等、所要の改正を行なおうとするものであります。
 次に、農協法改正案は、最近における組合員の経済活動の多様化と、組合の事業規模の拡大等に対応して、組合の金融機能の拡充をはかり、増大する系統資金を地域開発関係資金として活用するため、資金の貸し付け範囲の拡大を行なう等、信用事業に関する制度的改善措置を講ずるとともに、宅地等供給事業の範囲の拡大、共済規程の変更手続の簡素化及び連合会の権利義務の包括承継等に関して所要の改正を行なおうとするものであります。
 委員会におきましては、以上の四法案を一括して審査し、法改正の背景となった社会経済情勢の動向と農協の役割り、改正法案によるこれへの対応、近代化資金の消化状況と貸し出しの迅速化、農協系統預貯金の動向と貯金保険、農林中央金庫のあり方、制度金融との分野調整、貸し付け対象範囲の拡大、余裕金の運用と預金準備率の問題、外国為替銀行との関係、農林中金の役員選任の改善、農協の自主性の確保と系統資金の潜在的需要への対応、負債対策、宅地等供給事業とレンタル制の導入に伴う諸問題、営農指導体制の強化、検査体制の拡充、共通役員制と系統三段階制、都市農協のあり方、共済益金の社会福祉施設への活用と課税の問題等の基本問題について質疑が行なわれ、この間、関係団体代表の三参考人から意見を聴取する等慎重なる審査を行ないました。
 質疑を終わり、討論に入りましたところ、公明党の塩出委員及び日本共産党の塚田委員から、農林中金法改正案及び農協法改正案について、それぞれ反対の討論がありました。
 討論を終了、まず、農業近代化資金助成法等改正案の採決を行ないましたところ、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 続いて、簡易、低利、長期資金の充実と融資条件の緩和、農業改良資金の貸し付け諸条件の改善、農家負債対策等、五項目にわたる附帯決議を全会一致をもって決定いたしました。
 次に、農水産業協同組合貯金保険法案を採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 続いて、保険金限度額の弾力的改定及び農漁協の検査、監査体制の整備に関する附帯決議を全会一致をもって決定いたしました。
 次に、農林中金法改正案を採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 続いて、足鹿委員提案の、組合金融に対応した中金本来の基本的性格の維持、余裕金運用の適正化、生協への融資の会員に準じた取り扱い、地域開発資金の貸し付け範囲の限定、関連産業への健全な貸し付け等、六項目にわたる附帯決議を全会一致をもって決定いたしました。
 最後に、農協法改正案を採決の結果、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 続いて、足鹿委員提案の、農協の組織、管理、運営等の再検討、資金の系統内利用の促進と庶民金融の推進及び関連企業以外への企業融資の慎重な配慮、組合員と農協との一体性を深めるための組織基盤の育成強化、生協等との提携の促進、厚生連との提携強化による農民福祉の向上、宅地等供給事業における優良農地の確保と委託方式を原則とした運用等、八項目にわたる附帯決議を全会一致をもって決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#56
○副議長(森八三一君) これより採決をいたします。
 まず、農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、並びに農水産業協同組合貯金保険法案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#57
○副議長(森八三一君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#58
○副議長(森八三一君) 次に、農林中央金庫法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#59
○副議長(森八三一君) 過半数と認めます。よって、両案は可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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