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1972/07/04 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第25号
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1972/07/04 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第25号

#1
第071回国会 本会議 第25号
昭和四十八年七月四日(水曜日)
   午前十時八分開議
    ―――――――――――――
#2
○議事日程 第二十七号
  昭和四十八年七月四日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(農業基本法
  に基づく昭和四十七年度年次報告及び昭和四
  十八年度農業施策について)
 第二 物品の一時輸入のための通関手帳に関す
  る通関条約(ATA条約)の締結について承
  認を求めるの件(衆議院送付)
 第三 職業用具の一時輸入に関する通関条約の
  締結について承認を求めるの件(衆議院送
  付)
 第四 展覧会、見本市、会議その他これらに類
  する催しにおいて展示され又は使用される物
  品の輸入に対する便益に関する通関条約の締
  結について承認を求めるの件(衆議院送付)
 第五 港湾法等の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 一、日本ユネスコ国内委員会委員の選挙
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、日程第一
 一、地方自治法の一部を改正する法律案(趣旨
  説明)
 一、日程第二より第五まで
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、欠員中の日本ユネスコ国内委員会委員一名の選挙を行ないます。
#4
○竹田現照君 日本ユネスコ国内委員会委員の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#5
○桧垣徳太郎君 私は、ただいまの竹田君の動議に賛成いたします。
#6
○議長(河野謙三君) 竹田君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、日本ユネスコ国内委員会委員に小林武君を指名いたします。(拍手)
     ―――――・―――――
#8
○議長(河野謙三君) この際、国家公務員等の任命に関する件についておはかりいたします。
 内閣から、漁港審議会委員に上杉武雄君を、
 運輸審議会委員に吉田善次郎君を、
 電波監理審議会委員に市原昌三郎君、田中久兵衛君を、
 労働保険審査会委員に三浦義男君を任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、漁港審議会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#10
○議長(河野謙三君) 次に、運輸審議会委員、電波監理審議会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#11
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、いずれも同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#12
○議長(河野謙三君) 次に、労働保険審査会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#13
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
     ―――――・―――――
#14
○議長(河野謙三君) 日程第一 国務大臣の報告に関する件(農業基本法に基づく昭和四十七年度年次報告及び昭和四十八年度農業施策について)
 農林大臣から発言を求められております。発言を許します。櫻内農林大臣。
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(櫻内義雄君) 昭和四十七年度農業の動向に関する年次報告及び昭和四十八年度において講じようとする農業施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和四十七年度農業の動向に関する年次報告のうち、第一部農業の動向について申し上げます。
 わが国の農業及び農村は、国内的には他産業との生産性及び所得格差の拡大、農業就業者の構成の老齢化に加え、最近においては土地、水等の国土資源の利用をめぐる農業と他産業との競合の激化や、都市化の進展等に伴う農村社会の著しい変貌など、各分野にわたってきわめて困難な問題に直面しているばかりでなく、対外的にはわが国経済の国際化に伴う農産物輸入の拡大の要請の高まりや、昨年来の世界的な穀物需給の逼迫に見られる世界市場の不安定性に対処して国民食料の安定的供給の確保をはかっていかなければならないという重大な課題に当面いたしております。
 まず、農業及び農村と国土資源利用との関係について見ますと、土地の投機的取引の増大、地価の高騰等は、農業経営の円滑な遂行と高能率農業の展開をはかる上で大きな障害となっております。農業及び農村の健全な発展をはかるためには、土地、水等の有限な国土資源について農業と他産業との間における計画的な利用調整をはかりつつ、その利用秩序の確立につとめることが今日の政策的課題となっております。
 また、農業の他産業に対する比較生産性の格差は、前年度に引き続き拡大しておりますが、農家の生活水準は農外所得の増大により勤労者世帯とほぼ均衡しております。
 さらに、農業の構造について見ますと、最近における農業就業人口の加速的減少にもかかわらず、農家戸数の減少は緩慢でありまして、農業を従とする第二種兼業農家の割合は一そう増大しており、耕地規模の拡大による農業経営の規模拡大は一般的にはほとんど進んでいないのであります。
 このような中で、いわゆる自立経営農家の割合は、近年低下傾向にありますので、その今後における存立、発展のための条件整備をはかることが重要でありますが、他方、専業的農家と中核とする集団的生産組織による作業規模の拡大と高能率生産単位の形成の動きに注目する必要があります。
 次に、農産物需給の動向を見ますと、食生活の高度化と多様化を反映して需要は引き続き拡大を続けているのに対して、農業生産は停滞的に推移しており、農産物の輸入は増加傾向にあります。また、世界の農産物貿易をめぐる環境は、拡大ECの成立や日中国交回復等を背景として、今後著しい変化を来たすことが予想され、さらに最近における世界の農産物需給事情の不安定性に対処しつつ、国民食料の安定的、効率的な供給を確保していくためには、国内生産が可能なものは、生産性を高めながら、極力国内がまかなうことが一そう重要となっております。
 最後に、今日の農村社会は、都市化の進展等に伴い複雑な変貌の過程にありますが、全国的に見て、なお大部分の農村は、依然として農家を中核とし、農村的風土を備えた地域社会でありまして、食料供給の役割りはもちろん、国土や自然環境の保全・培養の役割りなど、多面にわたる社会的役割りを果たしております。
 以上のような、農業及び農村の動向を踏まえつつ、その国民経済社会における役割りを今後十分に果たしていくためには、土地、水等の国土資源について、農業と他産業との計画的な利用調整をはかりつつ、農業生産に必要な優良農用地の確保並びに地力維持を基本としたその合理的な利用をはかるとともに、自立経営の育成と並んで専業的農家を中核とする集団的生産組織の育成等による高能率生産単位の形成を積極的に推進することが必要であります。
 また、需要の動向に対応した国民食料の安定的、効率的な供給体制を確立するため、農業生産の再編成を推進することが必要でありますが、特に、最近における世界の農産物市場の不安定性に対処して、国内農業の生産、供給力を維持強化することが重要であります。
 わが国の農業及び農村が、このような役割りを十分発揮しつつ、今後とも、農村的風土を維持した活力ある地域社会として存続、発展していくことは、わが国経済社会の健全な発展にとって不可欠であります。このような観点に立って農村環境の総合的な整備を推進し、緑と豊かさに満ちた高福祉農村社会を建設することこそ、今日最も重要な課題であります。
 以上が第一部の概要であります。
 次に、第二部におきましては、四十七年度を中心として講じた施策を記述しております。
 最後に、昭和四十八年度において講じようとする農業施策について申し上げます。ただいま御説明申し上げました農業及び農村の動向に対処し、かつ、その役割りにかんがみ、農業基本法の定めるところに従い、また諸情勢の推移を織り込みまして、農政の総合的展開をはかることといたしております。
 このため、昭和四十八年度におきましては、高能率農業の育成、農業生産の再編成、高福祉農村の建設、農産物価格の安定、農産物の流通加工の合理化及び消費者対策等の充実、農業金融の整備拡充など、各般の施策を推進することといたしております。
 以上をもちまして、概要の説明を終わります。(拍手)
#16
○議長(河野謙三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。杉原一雄君。
   〔杉原一雄君登壇、拍手〕
#17
○杉原一雄君 私は、日本社会党を代表して、農業白書等に関連し、農政の基本問題について質問いたします。
 いまや、内外はきわめて緊迫した食糧の危機、農業の危機に直面しています。
 まず第一に、農業基本法の改廃を要求する。なお、自民党政府が進めてきた農政に鋭い分析を行ない、農政の大転換を行なうべきだと思うが、総理の見解はどうか。
 その一つは、日米貿易経済合同委員会が十六、十七の両日外務省で開かれるそうだが、先月二十八日、米国政府は大豆、綿実の輸出を停止、またきのう、輸出大豆は一律五〇%に削減すると言明している。ここで特に総理から、大豆の今後の見通しについて、昨日は農林大臣が農林水産委員会に発表したことを聞いても、八月、九月はだいじょうぶ、十月末は一万トン不足などとのきわめて不安な報告を受けたわけでありますが、総理の報告と政治判断並びに事後の対策を明確にお聞きしたいと思います。
 ついこの間まで、マンスフィールドのグリーンレポートの線に沿って農産物の買い付けの増大、農産物の自由化を強く要求したアメリカ、それに協力してきた日本政府に対して手のひらを返すように輸出停止を宣言する米国の態度、国益優先のやり方に、政府はどう対処しようとするのか。
 日米の貿易経済関係の根本を規定する日米安保条約、とりわけ第二条の経済協力条項が完全に裏切られた今日、特に総理に、日米安保条約を根本から再検討すべきだと思うが、どうか、伺いたいのであります。
 なお、通産大臣に、農産物を中心とした日米貿易の構造並びに日中、日ソの貿易を想定に入れた今後の日本の貿易構造、それを明らかにしてほしいのであります。二月十三日閣議決定の経済社会基本計画に示している輸入先の多様化とは、具体的にどことどこの国と、どのような農産物の交流をしようとしているのか。いまこそ、七月二日のニクソン放送などでよろめくことなく、大胆にその構想を国民の前に示すときだと思うのであるが、通産大臣、どうでしょうか。
 その二は、FAO事務局長の勧告を待つまでもなく、世界の異常気象は今世紀末に至る長期の現象であるといわれております。しかもその規模は世界的であるといわれているのであります。西アフリカを襲う食糧危機は、木の葉を食べさせ、アリのたくわえたえさを掘り起こさせるところまで、六百万の人間を追い詰めております。食糧不足はインド、インドネシア、南米、ソ連に及んでおります。異常気象は恒常化し、氷河期の到来を思わせる徴候があるといいます。だから、減反政策に示されたる自民党農政、資源の乏しい日本、かけがえのない農地、山林原野を荒らしに荒らし、野方図に他目的に転用しておる今日の現状、企業優先の政策を大転換すべきであると思います。水田や山林を荒らすことにより、洪水調節能力の極度の低下、水害の多発、地すべり、山くずれなどの多発、人命を奪い、生活を破壊し、自然環境をめちゃくちゃにしているのであります。いまこそ農業を重視し、農民を大切にする農政に転換すべきだと思うが、総理、いかがでしょうか。
 その三として、当面する緊急課題である米価問題、総理は大胆にも消費者米価の凍結宣言を行なった。その勇気は多とします。それは単なる物価対策なのか、それとも、あすの農政を指向する基本に触れるものか。とりわけ、生産者米価の決定方針を含め、食管制度をどうするのか。食糧の自給率のめどをどこに置くのか。あわせて財政措置等について、ネコの目農政の汚名を返上するためにも、がっちりとした食糧政策を短期、長期にわたって明らかにしていただきたい。
 備蓄米制度の確立、生産調整、いわゆる減反政策の打ち切りの断行、それに伴い休耕田の荒廃を復元するための技術指導、財政援助等、明確な方針を出してほしい。休耕田はすでに三年、雑草はもとより雑木が一メートル以上に伸び、原野のように荒れはてているのを見る。痛恨のきわみである。
 総理、あなたの青森県談話によると、転作奨励するという。何をどれほどつくればよいのか、その農産物の市場の確保、価格の保障など具体的に示していただきたい。とりわけ、米作農民は、来年の作付計画を秋の収穫期に決定するのであります。つまり、種もみ注文のときまで、すみやかに、しかも的確に方針を示していただきたいのであります。
 第二点として、農林大臣に。その一として、特にさきに述べた客観情勢に立脚して、まず自主流通米制度の中止。丸紅などの投機対象になり、経済秩序を破壊し、食糧流通秩序の混乱を起こす、その根源を断つべきであると思うが、どうか。
 さきにも述べたが、生産者米価の決定はすぐれて農政問題であり食糧問題である。かかる観点にち、いつ米審を開くのか。その予定期日はいつなのか。しかも、それに臨む基本姿勢は食管法の精神に立つべきだと思うが、どうか。一%米価を上げれば百二十五億の国費が必要だなどと、けちなことは言わずに、農民に希望を与え、国民に安定的食糧の供給をするという本来的な使命に立って米価を決定すべきだと思う。ちらほら一〇%程度などとうわさされているが、敢然としてそれを打ち消し、大胆に対処されることを期待するのであります。
 その二として、四月二日に農相は、農政審議会に農産物の需給見通しを検討するように要請されたのだけれども、その後の作業は一体どうなっているのか。「九月ごろまでに」ではおそ過ぎるのであります。昨年十月、試案として提示された「農産物需給の展望と生産目標の試案」について、まず小麦、大豆など最大の輸入国であるアメリカ経済の混乱並びに気象異変などを織り込んで、その試案を大修正すべきであると思うが、どうか。
 特に一点だけ具体的に指摘するならば、昨年から今年にかけて問題になったミカンであります。三百三十万トン生産して、政府はてんてこ舞いをし、農民からきびしく批判され、農政不信の増大となったのだが、試案では、昭和五十七年生産目標四百三十万トンと明記している。その需要供給の方針の具体的算出の基礎を明らかにしてほしい。なるほど淡路島のミカン増産計画の現地も調査いたしました。計画推進と民間デベロッパーの食い荒らしとは激しい戦いを演じている実情を承知しております。問題は、いかにして生産を増強し、これをいかにして需要とバランスをとるか。ここにもアメリカの農産物自由化と正面衝突するはずであります。それとどう対決するか、明らかにしてほしい。
 かつてドルショックのとき、大豆不足、飼料不足が大問題になった。農相は小麦、大豆の増産政策を約束したはずだが、今後の施策、計画にどのように織り込んできたか、これから推進しようとしているか、明らかにしてほしいのであります。
 第三点として、大平外務大臣、あなたは去る二月十二日、エカフェ総会において、開発途上国の食糧増産を強調したのだが、真の意図はどこにあったのか、その構想の根拠は。そして日本が、アジアの米輸出国の産米を買い上げ、米不足国へ供給する、またはアジア農業機械研究所設立に対しての全面協力をすると約束されたのだが、このことは、言うまでもなく田中内閣の基本方針だと受けとめるのだけれども、どうか。ただ、ここでEC各国の農業協力の困難さ、アメリカの独善的農政、貿易などを思うとき、いま一つ突っ込んだ大臣の情勢分析と具体的方針を国民に明らかにしてほしいのであります。
 第四点として、農業者教育、とりわけ農業後継者づくりについて文部大臣の所信を伺いたい。
 大臣は、今春三月、農業教育を受けて卒業した高校生の就職、進学状況、特に直接農業に従事した者の実際の数、パーセントを示してほしい。なお、四月入学した者の中から農業教育部門を希望した者の数、つまり競争率。それから、全国高校入学志望者と入学した者のその比率は一体どうなっているか。とにかく年々七十五歳以下の農民が減少し、政府が期待する自立専業農家が減少する傾向は実に憂うべき姿と思うが、どうか。
 そこで大臣に、今年四月一日から実施された高等学校学習指導要領の中に、「農業一般 1目標」の中に、「(1)わが国の農業の特色および動向を理解させ、農業の生産や経営に必要な知識と技術を習得させる。(2)農業の社会的意義を理解させ、進んで農業および農村の向上発展を図る能力と態度を養う。」と、明確に方針を打ち出しているのだけれども、農基法農政の崩壊、総合農政への転換、これもまた米国の農産物輸出ストップに示されたように、国際分業、農産物自由化政策が大きく破綻したのであります。日本農業はがたがたであります。いま文相は、中学三年生の進学指導、高校三年生の就職指導を担当する教師の側に立って、生徒に対し、指導要領の精神を踏まえて、高邁な日本農業ビジョンを示し、勇気と自信とプライドを持って青年が農業振興のために前進できるように、この議場を通じて、生き生きとした懇切な呼びかけをしてもらいたい。
 最後に、「山路来て何やらゆかしすみれ草」の芭蕉の一句を思いしのぶのでありますが、その山路のスミレ草のようなうるわしい事実を報告して質問を終わります。
 それは、今春、一部落が集団として僻地から都市近郊に移住いたしました、富山・魚津市の古鹿熊の部落民であります。その農民が、数百年住みなれ耕してきた農地、山林を毎日のように通い続けて管理している涙ぐましい努力の事実があります。すばらしいことではありませんか。この土の精神、農民魂のほとばしるようなこの現象に対し、各大臣のこれからの答弁の中に、これを胸におさめて、誠意をもって答弁されることを要求して質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(田中角榮君) 杉原一雄君にお答えをいたします。
 第一は、日米貿易経済合同委員会にいかなる姿勢で臨むかということでございますが、日米貿易経済合同委員会に際しましては、最近における農産物の国際的需給事情及び米国の農産物輸出規制の実施という事態にかんがみまして、大豆をはじめとする国民生活上重要な農産物の安定的輸入の確保をはかるという観点に立ちまして、米国側と話し合いを行なってまいりたいと考えます。
 また、日米安全保障条約の経済条項等を引き合いに出されて、再検討することは考えていないかということでございますが、安全保障条約につきましては、再検討は考えておりません。
 減反政策、食管制度、休耕田対策、生産者米価等につきまして御発言がございましたが、国民の基本的食糧であります米につきましては、従来から、完全自給のたてまえで、国民必要量の確保に万全を期するよう措置しておるのであります。今後とも適正な政府持ち越し在庫保有も含めまして、国民に不安の念を抱かせることのないよう、十分配慮をしてまいりたいと考えております。
 休耕奨励補助金は、四十九年度以降は打ち切ることといたしておりますが、今後は、引き続き転作奨励補助金を交付し、転作を中心にして進めてまいりたいと考えております。この場合、転作につきましては、飼料作物、野菜、果実、大豆等に重点を置き、各般の関連施策の拡充強化をはかってまいりたいと考えております。
 食管買い入れ制度につきましては、今後とも必要量の確保ということを基本的な考え方といたしまして、運営をしていく必要があると考えます。
 休耕田の大部分は、そのまま耕作可能な状態か、あるいは多少手を加えることにより耕作可能な状態で管理をされております。四十九年度以降は、休耕奨励補助金を打ち切ることになりますが、特に休耕田について稲作復帰のための助成措置を講ずることについては考えておりません。
 米価につきましては、消費者米価は、物価対策の観点から、本年度は据え置く方針でございますが、本年の生産者米価につきましては、消費者米価とは切り離して、米価審議会の議を経て、食管法の規定に基づき、適正に決定をしてまいるつもりでございます。
 他の問題については、所管大臣から御答弁を出し上げます。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(櫻内義雄君) 農業基本法について触れられましたが、農業基本法の施行以来、農業出産の選択的拡大を進めますとともに、欧米に比較して遜色のない生産性の向上と農業従事者の所得の増大を果たしてきたと思います。しかし、経済成長がきわめて著しかったために、農業と他産業の格差の拡大や、兼業化の現象のあらわれてまいっておることも事実でございます。わが国農業をめぐる内外の諸情勢はきわめてきびしいものになっておりますが、農業基本法に定められております基本的目標及び根幹的な施策の方向については、間違いのないものと思いますので、基本法を手直しする考えは持っておりません。
 備蓄についてお尋ねがございました。小麦、飼料穀物、大豆等のように、その大部分を輸入に依存している農産物につきましては、その安定的確保と備蓄を考えまして、長期輸入契約の締結、開発輸入の促進、輸入先の多角化を進めてまいっておりますが、とりあえず小麦の在庫量は一・七ヵ月分より二・三ヵ月分に増加し、主食である米につきましては、需給操作上と豊凶に備えた備蓄を考え、古米百万トンを米穀年度当初に持ち越す方針で臨んでいる次第であります。
 米価につきましては、総理からお答えを申し上げましたが、生産費、物価その他の経済事情を参酌し、米の再生産を確保することを旨として決定するよう定められておりますので、近く米価審議会の議を経て、生産調整を進めてまいった事情や、物価、賃金の動向その他の諸情勢を勘案しつつ決定をいたしたいと思います。
 自主流通米制度については、消費者の選択に応じた米の流通の道を開くことにあったのでございまして、また生産者にもメリットのあることでありますし、その流通は政府の認可した自主流通計画に従ってしか販売ができないこととしているので、この制度をやめる考えはございません。
 昨年十月に発表した「農産物需給の展望と生産目標の試案」については、昨年下期の国際的需給の逼迫などの動向を踏まえて、農政審議会に、農産物の長期需給の見通しを立てるべく検討をお願いをしておるのでございます。同審議会は需給部会を設けて作業中でございまするが、その早期の結論を期待しておる次第でございます。
 ミカンについてのお尋ねでございました。ミカン生産については、昨年のような過剰生産の問題を起こさぬよう、隔年結果を防止するための摘果の指導により、豊凶変動の是正を行なうとともに、植栽については、果樹農業振興基本方針で定める植栽の範囲にとどめるよう指導してまいります。また産地貯蔵庫の設置、共同予措事業を実施することにより計画的出荷をはかるとともに、果汁工場の増設あるいは加工原料用果実価格の安定対策の拡充等、流通加工面に配慮をいたしてまいりたいと思います。五十六年度の四百二十万トンの生産目標は、消費の伸び、加工需要の増大をあわせ考えまして、大体妥当なものと見ておる次第でございます。
 農業後継者の確保についてお触れになりましたが、基本的には、農業が魅力ある産業として確立され、かつ農村の環境の整備をはかることが必要でございますので、本年も生産基盤の整備や農村環境整備の各種施策をお願いした次第であります。また、国の農業者大学校、県の各種研修施設の整備充実による地域農業振興の中核となるべき農業者の育成、農村青少年活動の推進等につとめてまいる考えでございます。
 以上お答え申し上げます。(拍手) 、
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(中曽根康弘君) 農産物の輸入の安定化、多様化についての御質問でございますが、ただいま櫻内農林大臣がお答え申し上げましたように、長期的供給の安定と、輸入先の多様化につとめております。これがため、各地に合弁会社を設立いたしまして、開発輸入を促進していると同時に、商品別の協定も締結いたしまして、これが輸入につとめているわけであります。なお、農水産物の一部のものについては備蓄制度も考えなければならぬと思っております。
 具体的なお尋ねでございますが、木材につきましては、開発輸入と長期契約をやっておりまして、相手はインドネシア、マレーシア、カナダ、オーストラリア、ソ連及び米国であります。それから牛肉につきましては、開発輸入をやっておりますのはオーストラリアとマダガスカルでございます。もちろん米国からも一部輸入しております。エビにつきましては、開発輸入はインドネシア、メキシコ、グァテマラ、インド、マレーシア、タイ、ナイジェリアでございます。トウモロコシは、開発輸入と長期契約をやっております。これは日タイ間のメーズ協定というのがございますが、インドネシア及びタイが相手であります。大豆につきましては、長期契約をやっておりますが、これは覚え書き貿易協定によりまして中国との間にやっております。ソバは、同じように長期契約をやっておりまして、カナダ、中国を相手にしてやっておるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(大平正芳君) 私に対しましては、アジア農業に対する経済協力についてのお尋ねでございました。
 アジア諸国は、御案内のように、おしなべて農業国でございます。農業経済の興廃がその国の命運に決定的な影響を持っておるという事情にあるにもかかわらず、これまでのエカフェの活動が必ずしも農業重点ではなかったといううらみがございますので、ことしの春、東京で開かれました総会におきまして、農業委員会の設置あるいは農業会議の設置、スタッフの充実等を通じまして、エカフェ全体といたしまして農業開発に重点を置こうじゃないかということを提唱いたしたわけでございます。アメリカの援助によりまして、多産性の種子が成功いたしまして、農業生産面に明るい展望が開かれたように見えたのでございますけれども、かんがいの面、あるいは農業関連のインフラストラクチュアが貧困であるというような点、さらには、農業経済に機械化が進んでいないという点等々がございますので、わが国の経済協力の方針といたしましては、そういう部面、弱体面に協力の重点を指向していきたいと考えております。
 御指摘の農業技術研究所も、当方が提唱いたしました結果、加盟国全体の支持を得まして、いまエカフェの事務局で細目を詰めておる段階でございます。
 それから米の生産国から米の消費国に対して、生産国の米を日本が買って消費国に与えるという、いわゆる米による援助でございまするが、これはKR援助の名におきまして、米を購入する力のない国に対しまして今日も実行いたしておりますが、今後も、供給国とわが国との片貿易の事情あるいはわが国の財政事情等を勘案しながら、今後も続けてまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣奥野誠亮君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(奥野誠亮君) 四十七年度高等学校の農業関係学科に関するデータによりますと、沖繩県を除いた全国の公立の農業に関する学科を卒業した者六万八千人のうち、農業に従事した者は一万五千人であり、その比率は二二%でございます。農業に関する学科を、さらに農業、園芸、畜産等、自営者の養成を目的とする学科と、食品製造、農業土木、林業等、農業関連産業技術者の養成を目的とする学科とに分けてみますと、自営者養成学科の卒業者三万九千人のうち、就農者は一万三千人であり、その比率は三三%でございます。就農を目的として高等学校専攻科や研修所等へ進んだ者を含めますと、その比率は四〇・六%となっております。また、四十七年度の公立の農業に関する学科への入学志願者の入学定員に対する倍率は一・一三倍でございます。これを自営者養成学科について見ますと一・〇四倍、農業関連産業技術者養成学科について見ますと一・二五倍となっております。昭和四十八年度の定員に対する志願者の比率も、四十七年度とほぼ同程度であると見ております。
 次に、農業は国民の食糧を安定的に供給し、国民の生命をささえる基本でございますし、また、生活環境を緑化し国土を保全するなど、国民生活の基礎をつちかう重大な使命をになっております。このような農業の使命にかんがみ、文部省といたしましては、わが国の産業構造の変動及び科学技術の進歩に伴う農業の近代化の要請にこたえ得る農業後継者の養成をはかってきたところでございます。本年度から実施されました新しい教育課程におきましても、その趣旨をさらに徹底するための改善をはかるなど、今後とも農業の近代化を推進し得る能力を持ち、広い視野と創造力に富んだ農業後継者の養成につとめてまいりたいと思います。特に、昼間のみならず、早朝、夜間にわたる自然の変化に応じて、土に親しみ、生命を育てる教育を行なうことが農業自営者の育成にとっては重要であり、こういう教育を行なうためには、寄宿舎教育がきわめて効果的であると考えます。文部省におきましては、近代的な農業経営を担当するにふさわしい資質と意欲を備えた農業後継者の養成、確保を目的として、寄宿舎と大型の農場を持つ自営者養成農業高等学校の整備拡充につとめ、現在三十四校が整備されていますが、こうした観点から、寄宿舎教育を充実、推進していくために、来年度以降財政援助等を強化する道をさがし求めてまいりたい所存でございます。
 また、農業高校を卒業して就農した者が、農業経営のかたわら継続して教育を受け、的確な判断力と高度の経営能力を身につけ得るよう、四十五年度から農業特別専攻科の設置を促進し、現在八学科が設置されておりますが、これにつきましても、さらに拡充強化してまいりたいと考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○議長(河野謙三君) 塩出啓典君。
   〔塩出啓典君登壇、拍手〕
#24
○塩出啓典君 私は、公明党を代表して、ただいま報告のありました農業白書等に関しまして、田中総理並びに関係各大臣に対し質問を行なうものであります。
 農業基本法が制定されてすでに十三年、政府は、これまで農業人口の減少は、やがて農家戸数の減少を招来し、そこから供給される農用地が専業農家の経営規模に結びつき、高生産性農業が形成され、他産業と均衡した農業所得が実現し、農産物の安定的供給が実現されると説いてきたのであります。
 しかし、現実には白書の示すとおり、農業人口の急激な減少は農家の戸数減や規模拡大に結びつかず、その結果、農業生産性は向上せず、自立経営農家の減少、国内自給率の低下、農業所得の他産業所得との格差の拡大等の姿を示し、特に専業農家ほど所得の伸びが少ないという悲しむべき現実であります。すなわち、農業基本法に示された方向とは全く逆の方向に日本の農業は進んでいると言わなければなりません。総理はこの現実について、はたしてどのように考えているのか、伺っておきたいと思うのであります。
 次に、今年の白書の大きな特徴は、特に最近における世界的な食糧不足の問題であります。
 政府は、今日まで経済合理主義に基づき、国際分業論を推進し、農産物の海外依存体制を積極的に推進してきたのであります。その結果、農産物の国内自給率は、大豆はわずか四%、濃厚飼料三七%、小麦粉八%等々、しかも、その大半がアメリカに依存しております。すでに御存じのとおり、そのアメリカが七、八月の大豆輸出を契約の半分に減らすという、まことに一方的な決定をしたのであります。
 FAOの警告を待つまでもなく、人口増に対し世界の食糧生産は追いつかず、世界的な異常気象も加わり、食糧の危機はすでに目前に迫ってまいりました。いまこそ、国内農業の生産力の維持、国内自給体制の確立、備蓄政策の導入等、国民の安心できる食糧政策を実施すべきときであることは明らかであります。総理の今後の考えを聞いておきたい。
 白書によれば、食用農産物の総合自給率は、四十六年度七四%で、前年に比べて一%低下しており、一方、昨年発表の農林省の「農産物需給の展望と生産目標の試案」によれば、昭和五十六年に八〇%を目標としております。しかし、この自給率は、輸入飼料により生産された卵、肉、牛乳等は国内生産として計算しております。これら飼料の自給率を考慮に入れ、カロリーで計算すれば、自給率は五〇%以下になるといわれております。また、この八〇%自給率が達成されても、濃厚飼料の自給率は現在の三七%より二〇%へ、小麦は九%から八%へ逆に低下する内容であります。このようなごまかしの八〇%では、国民は安心することはできません。いまこそ自給率についても再検討すべきと思うが、農林大臣の考えを聞きたいのであります。
 以下、農政の基本問題についてお尋ねをしておきます。
 まず、土地問題についてお尋ねをします。
 大企業による優良農地や山林原野の土地の投機的買い占めの勢いはすさまじく、農地は分断され、全国の耕地面積は、昭和三十七年より昭和四十七年までの十年間に四十万ヘクタールも減少しており、一方、農地の価格の高騰は農業経営の規模拡大に決定的な打撃を与えております。一方、農業の生産基盤の整備を推進する構造改善事業、土地改良事業等は遅々として進んでおりません。水田については二一%、畑地についてはわずか七%しか行なわれておらず、しかも、都市部に比べて地方がおくれているという実態が報告されております。いかに政府が高能率農業を訴え、生産を高めると言っても、から念仏に終わることは目に見えております。真に生産性の向上と高能率農業を推進していくためには、農民の負担をなくし、全額国庫による基盤整備を強力に推進していくべきであると思うが、農林大臣の見解を聞きたい。
 また、農地の購入による規模の拡大が困難な現況においては、農民が農地を購入するのではなく、貸与によってそれが可能となるようにするため、たとえば農地保有合理化法人の機能を検討する等、制度の充実をすべきと思うが、農林大臣の考えを聞きたいのであります。
 これら土地基盤整備等に大量の国家資金を導入しても、それは農業の生産性を高め、農産物の価格の安定となって、国民に還元されることは明らかであり、この際、思い切った処置をとるべきであると思うのであります。そういう点におきまして、財政を担当する大蔵大臣の御意見を承っておきたいのであります。
 次に、化学肥料、農薬を多量に使う日本農業の転換について質問をしたい。
 現在、わが国農業の生産体系は、化学肥料の多投、農薬の多量な散布、多収穫という技術体系の上に成り立っております。これが農薬公害や土壌中の微生物の消滅をもたらし、生態系バランスをこわしております。
 一方、かつては農村還元されていた屎尿や家畜のふん尿が、現在は利用されず、海洋投棄されたり、また、屎尿処理場で処理されても、窒素や燐は除去されず、それが海洋へ流入し、赤潮発生の原因となっております。これら屎尿、ふん尿の利用を促進することは、貴重な資源の再利用になり、あわせて海洋汚染の防止、赤潮対策にも通ずるものであります。このような研究を今後とも大いに推進すべきと思うが、農林大臣及び環境保全の立場から環境庁長官の考えを聞いておきたいのであります。
 次に、農産物価格安定であります。
 農産物の国内自給率を高め、生産性向上のために必要なことは、農民の意欲を燃やせる農政であることが肝要であります。暴騰、暴落を繰り返す野菜価格、全く生産費を償えない低い補償価格の現状では、農民の意欲を減退するばかりであります。大豆の価格も、六十キログラム当たり五千八百円で、十アール当たりの収入においては米の五分の一であります。これでは、現在の大豆の自給率四%をいかに上げようとしても不可能であります。一方、野菜農家が何をつくるかは農家の判断にまかせられ、暴騰のあとはつくり過ぎて暴落し、また、暴落のあとは意欲を失って生産減となり、供給不足で暴騰を繰り返してきております。計画生産、計画出荷の必要性が叫ばれながら、今日まで政府は放置してきたのであります。いまこそ、コンピューターによって需要を調査集計し、その需要の予測によって生産計画を立て、その生産計画によって生産された農産物は、生産費に見合う補償価格で買い上げる体制をつくることこそ時代の急務であります。農産物の自給率、生産性を高めるため、この際思い切った処置をとるべきであると思いますが、農林大臣の見解を承りたい。
 最後に、米価の問題についてお尋ねいたします。
 日銀の発表によりますと、五月の卸売り物価は総平均指数一一一・二と前年同月に比べ一二・三%上昇し、昨年二月以来十六ヵ月間連騰の新記録を示しました。いまこそ消費者物価の値上がりの抑制が望まれている今日の情勢から判断して、消費者米価を据え置くとの政府の方針は当然と思います。一方、生産者米価については、最近の急激な物価上昇の中で逆に農業所得が減少している現在、食管赤字を理由に生産者米価を押え、米作農民にのみしわ寄せを負担させることは全く道理に合わないことは明らかであります。政府は、この際、かなりの幅で引き上げざるを得ない状況にきていると思いますが、こうした情勢から、米審を前にしていかなる方針を持っておるのか、総理大臣に重ねてお聞きをし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(田中角榮君) 塩出啓典君にお答えをいたします。
 第一は、農業基本法の目ざす方向と現実との食い違い等について御発言でございますが、農業基本法施行以来、わが国農業は、食糧需要の高度化、多様化に対応いたしまして、農業生産の選択的拡大を進めますとともに、欧米に比較して遜色のない生産性の向上を遂げながら、農業従事者の所得と生活水準の向上を果たしたいと考えてまいったわけでございます。しかし、経済の成長が著しかったために、必ずしも需要に十分に対応できず、農業と他産業との生産性の格差の拡大、兼業化の進展等の現象があらわれてきたこともまた御指摘のとおりでございます。わが国農業をめぐる内外の諸情勢はますますきびしいものとなっておりますが、農業基本法の基本的方向は変わっていないと考えるのであります。今後とも、わが国農業を近代的農業として確立し、国民食糧を安定的、効率的に供給するため、農業の生産、構造、価格、流通等の各般にわたる施策を一そう強化してまいりたいと考えます。
 今後の食糧需給をどう見直しし、また、いかに対処するかという意味の御発言でございますが、最近における世界の食糧需給の逼迫は、昨年の異常気象による生産不振等による面が多いものと思われ、このような状況が長期的に継続するかどうかは、今後の成り行きを慎重に見守る必要があると考えておるのであります。また、農産物の国際需給は、各国の農業政策等にも大きく影響されますので、これらの諸情勢の変化を的確に把握いたしますとともに、その動向を見きわめつつ対処していく必要があると思います。
 食糧政策の基本は、国内生産が可能なものは生産性を高めながら極力国内でまかなうべきであり、安易に外国に依存すべきではないことはもちろんでございます。このため、国民食糧について、その国内生産体制の整備確立を基本といたしますが、大豆等輸入に依存ぜざるを得ない農産物につきましては、その輸入の安定的確保をはかるため、長期輸入契約の締結、開発輸入の促進、輸入先の多様化、多角化等を進めますとともに、備蓄問題につきましても、今後の国際需給の動向を見守りながら検討してまいらねばならぬものと考えております。
 このような考え方に基づきまして、最近における世界の農産物需給の実情を踏まえ、昨年十月、農林省が作成をいたしました「農産物需給の展望と生産目標の試案」を基礎といたしまして、わが国の農産物需給の長期的見通しを作成するよう、先般、農政審議会に対して検討を依頼したところでございます。
 生産者米価につきましては、先ほども申し上げましたとおり、消費者米価とは別に、諸般の事情を十分検討し、審議会の議に付して決定をするつもりでございます。
 残余につきましては、農林大臣からお答えをいたします。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(櫻内義雄君) 農産物の自給率についての御批判でございました。現に米は完全自給、野菜、果実、鶏卵、肉類、牛乳、乳製品、これらのものは、ほぼ自給ないし八割以上の自給率を確保しておるわけでございます。十年後の見通しにおきましても、ただいま申し上げました主要農産物につきましては、完全自給ないし八割以上の自給率を確保するよう試案をつくっておるわけでございますが、基本的には国内で生産が可能なものは、これは生産性を高めながら、できるだけ国内でまかなうのは当然であると思うのであります。また、ただいま申し上げた目標達成のためには、園芸作物、畑作物等需要の増大する農産物の生産振興と稲作転換の定着を進めて、農業生産の再編成をはかることといたしたいと思います。また、新土地改良長期計画によりまして、農業生産基盤の計画的整備を進めることとしておりまするが、このほか、構造、生産、流通、価格等の施策の総合的な推進につとめ、実施可能なものから各年度の予算措置等におきまして具体化をしてまいりたいと思います。
 基盤整備についてのお尋ねでございましたが、土地基盤の整備は、高能率農業を展開するための基礎条件をなすことは言うまでもございません。先般五月一日に、四十八年度を初年度とする新たな土地改良長期計画を策定いたし、営農の協業化、団地化等による農業構造改善施策と相まって、農業機械化に対応できる圃場条件の総合的整備等を積極的に推進してまいる考えでございます。これに必要とする投資額としては、補助、融資等合わせて十三兆円を計画しております。
 なお、土地改良事業は、農業者の自発的申請とその負担を基本とするものでありますので、全額国庫補助というのはいかがかと思っておりますが、事業の性格、規模等に応じて、これまでも国庫補助等の措置を講じてきており、昭和四十八年度においても採択基準の緩和、農林漁業金融公庫による融資条件の改善等を行なって、農家の負担を軽減するようにつとめてまいっておるわけであります。
 農地保有合理化法人についての御意見がございましたが、これが強化のためには、昭和四十八年度に、土地購入及び小作料前払いに要する資金の利子、業務費の補助、無利子土地買い入れ資金の貸し付け、業務運営の体制強化のための出資の助成、これらの国の費用が大体四十七億円程度に上がっておるわけでございまするが、今後とも助成措置を強化してまいりたいと思います。
 それから農業のあり方についての御意見がございましたが、農業は本来、自然の生態系の重要な一環として、その役割りと機能を果たすべきは言うまでもないと思います。最近の化学肥料、農薬の偏重、堆厩肥等の有機物の不足等による地力の低下は、農業再生産の円滑な遂行にとって無視できない問題でございます。この点は御意見と私は同感でございますが、このような事態に対応して、今後とも堆厩肥の共同生産と施用、耕種と畜産の有機的な結びつきによる家畜排せつ物の土地還元、稲わらのすき込み、合理的な化学肥料の施用等を通じ、自然の物質循環に順応した地力の維持培養をはかってまいりたいと思います。
 計画生産のお話がございましたが、たとえば野菜価格の安定につきまして、七百十九の野菜指定産地を指定し、生産と出荷の安定を期しておるわけでございまするし、現在十二品目の指定野菜について価格低落時に価格補てんを実施する。また、この補てん内容の改善につきまして、四十八年度において努力をしてまいったのでありますが、こういうようなことによりまして農家が安心して野菜をつくれるようにする、こういうような考え方で、計画生産とまではいきませんけれども、野菜の安定供給のために配慮をしておるわけでございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(愛知揆一君) 第一に、農業基盤整備事業でございますが、これは土地改良法に基づきまして、原則として受益農家の申請と同意を得て進められているものでございますので、事業費については、受益者負担が基本であるというのがたてまえと存じます。したがって、全額を国庫負担というわけにはまいらないと思いますけれども、生産性の高い農業の育成のためには、農業の生産基盤の整備が絶対的な要件であると存じますので、事業の性格や規模などに応じまして、国庫による助成、それから制度資金の融通等、できるだけの財政措置を講じている次第でございます。
 四十八年度におきましては、採択基準を緩和するということが農家負担の軽減に役立つと思いましたので、これを中心にいたしまして基盤整備事業の促進を期することとした次第でございますが、今後ともさような方向を推進いたしたいと考えております。
 次は、農地保有合理化法人の問題でございます。
 御案内のように、農地保有合理化法人の数は、現在、県単位で三十七ございますが、相当の成績をあげていると思います。本年度は、従来の補助に加えまして、新たに法人の業務運営体制の整備強化をはかるための出資と、休耕水田の買い入れについて助成を行なうことといたしましたので、四十七年度に比べますと、比率にいたしますと、約六割増の予算を計上した次第でございます。
 最後に、米価の問題につきましては、総理大臣から明確に政府の方針をお答えされたわけでございますが、財政当局といたしましては、いろいろの困難を克服いたしまして、物価対策のために消費者米価は据え置くことに決意した次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(三木武夫君) 塩出議員にお答えをいたしますが、畜産業の屎尿の処理であります。
 大部分は農地に還元をしておるけれども、一部は公共用水域にこれを流すことによって、公害の問題を起こしておる。そういうことで、環境庁としても、昨年の十月の一日に規制を行なったわけであります。その規制は、一つは、畜舎の建設については、水質汚濁防止法によって、特定施設としてこれを規制することにし、BOD最高一六〇、平均一二〇、こういう排出量の規制を行なっておるわけでありますが、地方の事情によって、都道府県の知事がそれに上のせをした規制をさらに強化をできることにもなっておるわけであります。今後とも、畜産業の屎尿からくる公害の防止に努力をしてまいりたいと考えておりますが、これはやはり土壌とか、公害防止の点からいっても、できるだけ農地に還元するような合理的方法を考えることが好ましいと考えております。(拍手)
#29
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#30
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 地方自治法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。江崎自治大臣。
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(江崎真澄君) 地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 この法律案は、第十三次及び第十五次地方制度調査会の答申の趣旨にのっとり、まず、特別区の区長の選任制度を中心として、特別区の事務・人事等の諸制度について規定の整備を行なうとともに、住民の生活圏の広域化に対応するため一部事務組合制度を充実させようとするものであります。以上のほか、地方公共団体の処理すべき事務に関する規定等につきましても、この際整備する必要があります。以下その概要につきまして御説明を申し上げます。
 第一は、特別区の区長の選任方式につきましては、昭和五十年度から公選制度を採用することとし、そのために必要な規定等を設けることといたしております。
 第二は、特別区の存する区域におきましては、都において一体的に処理することが望ましい事務を除き、保健所に関する事務並びにおおむね一般の市に属する事務を特別区に処理させることといたしております。
 第三は、特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、都区財政調整上必要な措置を講じなければならないことといたしております。
 第四は、都配属職員制度を廃止することといたしておるものであります。
 以上の改正に関連して、本年七月に予定されております都の議会の議員の一般選挙における議員の定数を現行のまま据え置くことができることといたしたのであります。
 次に、市町村が広域にわたる総合的な計画を作成し、その実施のために必要な連絡調整をはかり、総合的かつ計画的な事務を共同して処理するため複合的な一部事務組合を設け得るものとし、この組合運営を円滑に行なうため規定の整備をすることといたしておるものであります。
 さらに、この改正に関連して、地方公共団体の組合に関する直接請求の手続等について所要の規定の改正を行なうことといたしております。
 なお、これらの改正のほか、監査委員の任期等に関する規定及び地方自治法の別表の規定を改正する等所要の規定の整備を行なうことといたしております。
 以上が、地方自治法の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
#33
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。和田静夫君。
   〔和田静夫君登壇、拍手〕
#34
○和田静夫君 私は、日本社会党を代表して、政府提案の地方自治法の一部を改正する法律案に関連し、若干の質問をいたします。
 田中総理、あなたは昨年十二月十一日の記者会見で、国土総合開発庁の構想に触れて、「自治省をどうするか、自治うんぬんとやかましいことをいわず、旧内務省的な地方開発庁とでもいうものにしたらどうか」と述べたそうであります。この発言は、昨年十二月十五日付の時事通信地方行政版に記者がみずから署名入りで報じており、よもや、そのような発言をした覚えはないなどとは言えますまい。この発言にあらわれた総理の思想には、憲法第八章がそのかけらすらとどめていません。したがって私は、この発言を重視し、去る三月二十六日の参議院予算委員会でこの問題を取り上げたのであります。このとき、私と二階堂官房長官との間で次のようなやりとりが行なわれております。
 問題をはっきりさせるため速記録を読みます。
 ○和田静夫君 ……ぜひこの機会に、官房長官を通して、いわゆる自治省を旧内務省的な地方開発庁とでもいうものにしたらよい、こう述べた総理の真意について、文書で回答をいただける、そういうとりなしをしてもらいたいと思います。
#35
○国務大臣(二階堂進君) そのように取り計らいたいと思います。
 そして「総理から直接答弁があってもいいと思いますけれども、」と官房長官は付言しているほどです。
 総理は、こうしたやりとりが行なわれた事実をまず知っておりますか。知っているとするならば、なぜ私に対し総理みずからの文書による回答を今日までよこさないのか。それはあまりに参議院予算委員会の一般質問審議を無視したことになりませんか。このことについて明確な答弁をいただきたい。その上で、「自治省をどうするか、自治うんぬんとやかましいことをいわず、旧内務省的な地方開発庁とでもいうものにしたらどうか」という総理のさきの発言の真意について、明確な答弁をいただきたいと思います。
 次に今回の地方自治法の改正案でありますが、二つの柱からなっております。その一つの柱は、区長公選制の復活であり、もう一つの柱は、従来からの一部事務組合が同種の事務についてのみ許容されていたものを、異種の事務についても地方公共団体が組合を結成することができるようにする、すなわち前回の法律でいわれた市町村連合に道を開こうとするものであります。
 政府は、何か国民のためになる法律案を出すと、必ずと言ってもよいほど何か別のものを抱き合わせにする。これは政府の常套手段ですので別に驚きませんが、第一の柱はあまりに巨大化した首都東京を分割しようとする案であり、もう一つの柱が市町村を広域団体にしていこうという案であります。こうした全く相反する性格のものを一つの法律に盛り込むというのは、それにしてもあまりにも不謹慎な話ではありませんか。
 総理、御存じのとおり、この法律の市町村連合の部分は、われわれの反対によって六十五国会から六十八国会における論議を通じて廃案になったものであります。これに、都民あげての要望である区長公選制復活を抱き合わせにしたということは、政府にはもともと区長公選制を復活させる気など全くなかったと言われてもしかたがありません。やる気のないものを別のものと一緒に法案に盛り込み、いかにもやる気があるように見せかけるのはトリックであります。区長公選制復活にこのようなトリックを用いたこと、これほど都民をばかにした話はありません。あなたがたの東京ふるさと計画も、従ってそういうものではないのですか。なぜ、私たちの主張のように、区長公選制と市町村連合とを分離し、真の都民の要望にこたえようとしないのか。総理の明確な答弁を要求いたします。
 自治大臣にお尋ねをいたします。
 自治大臣御存じのように、今回の法改正には地方自治法第三編第三章「地方公共団体の組合」、この章の重大な変更を伴っております。この「地方公共団体の組合」の章は、旧市制町村制の「町村組合」からほとんどそのままその条項を引き継いでおります。旧市制町村制において、「町村組合」は、どのようにその位置づけを与えられていたか。
 明治二十一年制定の町村制第百十六條には次のようにあります。「法律上ノ義務ヲ負擔スルニ堪フ可キ資力ヲ有セサル町村ニシテ他ノ町村ト合併スルノ協議整ハス又ハ其事情ニ依リ合併ヲ不便ト為ストキハ郡参事會ノ議決ヲ以テ数町村ノ組合ヲ設ケシムルコトヲ得」。
 ここに簡潔に、町村組合、ひいては一部事務組合、全部事務組合、役場事務組合設置の根拠が明らかにされております。すなわち法律上の義務の負担にたえるだけの資力を有しない町村であって、しかも諸般の事情によって合併することのできない町村が、それら町村間に共同の事務を処理するために、合併の代替として町村組合の制度は設けられたのであります。
 現行地方自治法第三編第三章は、この旧市制町村制以来の条項をほとんどそのまま引き継いでおります。それは、自治省が戦後一部事務組合というものをどのように運用してきたかは別に、まぎれもない事実であります。こうした古い条項の上に、あなたがたは、連合という広域市町村圏推進のための制度をのせようとする。そこに私は第二次大市町村合併の到来を見るのであります。道州制への布石を見るのであります。
 田中総理は、去る四月十七日の衆議院本会議で、本地方自治法改正案が第二次市町村合併と府県を越える自治体づくりを示唆しているのではないかというわが党の議員の質問に答えて、「あくまでも、府県制度が他のものに置きかえられ、よしんばそれが道州制であり、また国の出先機関との統合等がはからわれるにしても、地方自治の基本精神は守る」と答えております。すなわち、総理は、今回の改正案が第二次市町村合併や道州制につながるということを必ずしも否定していないのであります。これは一国の総理としてきわめて率直な発言であります。この発言は、自治省がいままで言ってきたことと明らかに違います。自治省はいままで、市町村連合は地方制度の改変に決してつながるものではなく、広域市町村圏というすぐれて自治政策上の課題にこたえるための便宜的な制度にすぎないと繰り返し述べてきたのであります。総理並びに自治大臣は、この点の相違をいかに今日解明されますか、明確に御答弁をいただきたいと思います。
 市町村連合などをつくる前に、政府にはもっとやるべきことがあるのではないでしょうか。地方自治法は全体的にもっともっと考究をされなければなりません。たとえば地方自治法附則第八条の改正、すなわち地方事務官制の廃止がそれであります。自治大臣は、先日来の参議院地方行政委員会で、昭和四十九年度中の廃止を約束されました。また、直ちに福田行政管理庁長官に相談して、関係閣僚協議会をつくるとも約束されました。福田行政管理庁長官も、自治大臣の言われたこの四十九年度中廃止、そのため関係閣僚協議会をつくること、この二つを確約をされますか。
 田中総理、この地方事務官制の廃止に関する限り、歴代の総理と私たちとの間に見解の相違はありませんでした。にもかかわらず、なぜにこのように解決が遷延されているのか。言うまでもなく、厚生省なり労働省なりのセクショナリズム、官僚の抵抗があったからであります。これはお互い政党政治家としては情けない話ではありませんか。あなたはその著「日本列島改造論」で、中枢管理機能を純化するという観点に立って、「行政機関についても地方自治体に許認可権を大幅に移譲することによって機能を簡素化するのが好ましい。」と述べられております。これがあなたの真意であるならば、せめて地方事務官制の廃止ぐらいは、あなたの勇気と決断ある手で推進したらどうですか。あなたらしい率直な答弁を期待して降壇いたします。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(田中角榮君) 和田静夫君にお答えいたします。
 和田君と二階堂官房長官との質疑の状態につきましては、いま詳細に理解をいたしておりませんので、早急に取り調べて措置をとりたいと考えます。
 それから地方自治の制度を育成強化してまいりたいという考え方は、従来より私の一貫しておるものでございます。
 それから自治省の改組につきましては全く考えておりません。従来から議論のございました内務省や内政省等の考え方は、自治省が設置されるまでの過程においていろいろ議論をせられたものでございますし、また、学問的なものとして論じられたものであり、かりに改組が考えられたとしても、地方自治の精神が守られなければならぬことは言うを待たない、こういうことでございます。
 それから区長公選制の復活と市町村連合を一の法律に盛り込んだのはなぜかということでございますが、今回の地方自治法の一部改正案は、地方制度調査会の答申を受け、それに沿ったものでございます。政府が法案を国会に提出する場合、すでに成案を得ているものは、これを一つにまとめて国会に提出し、その審議を仰ぐのがきわめて自然であると考えておるのでございます。
 市町村連合は、地方自治の理念と遊離した道州制への道を開こうとするものではないかというような御議論でございますが、いわゆる市町村連合は、市町村の事務の共同処理に関する制度について、市町村の運営の実態に即し、必要な改善を加えようとするものでございます。
 私の「日本列島改造論」の中での記述は、地方自治制度についていろいろの議論があることを踏まえて私見を率直に述べたものでございまして、今回の改正によって、市町村合併や道州制の実現を意図しておると見るのは当たらないことでございます。
 地方事務官制度につきましての御質問がございましたが、地方事務官制度につきましては、行政改革の一環といたしまして、廃止のための検討を続けてまいったわけでございますが、この問題は、各省の地方行政機構のあり方や、そこに勤務している職員の身分に関連するだけに、現在までのところ廃止のための成案が得られていないことは、御承知のとおりでございます。しかし、本制度は暫定的な制度でもありますので、その廃止についての各方面の意向を十分考慮して、できるだけ早い機会に結論が得られるよう、関係省庁間で十分協議していきたいと考えておるのでございます。
 残余の質問については関係大臣からお答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#37
○国務大臣(江崎真澄君) お答えを申し上げます。
 特別区の区長の選任について公選制を採用する、事務を移譲する、これと一部事務組合制度を改正して広域行政を効果的に推進する、これは一緒に自治権の拡充と自治の内容を充実させようとする国民の期待にこたえたものでありまして、この二つが成案を得て、同じ自治法の改正案という形で出されることは何ら矛盾するものではないというふうに私どもは考えております。これは従来の国会の慣例によりましても、他の法律案にしばしば見られるところであることは、和田さんも十分御承知のことだと思います。
 今回の一部事務組合に関する地方自治法の改正なるものは、広域市町村圏に名をかりて、いわゆる新たな町村合併や道州制を考えるものではないか――道州制や新たな町村合併であるならば、堂々とそういう方向を、新たな法案として御提示することになりましょう。これはあくまで、モータリゼーションが生活の中に入ってまいりまして、時間的、距離的にも隣の市町村の間が非常に狭くなりました、したがってニュータウン構想あるいは研究学園都市、その他実情に即して道路であるとか病院であるとか、あるいはじんあいの処理、屎尿処理、こういった施設を有効適切にそれぞれの市町村が利用できるようにしよう、これも住民の期待にこたえたもので、背後に何ら別な構想があるものではございません。
 なお、地方事務官制度についての御質問でございまするが、これは私もしばしば地方行政委員会等でお答え申し上げてまいりましたように、もともと暫定措置であります。しかも、関係各省の大臣の間ですみやかに結論を得よう、そして、地方事務官は地方公務員に移譲しよう、こういう合意を得てきているのでありまするが、それぞれの省の事情によりまして遅延をいたしております。したがいまして、先ごろも私ども自治省としては、四十九年度内には必ずめどをつけて結論を得るようにという通達を出したところでありまするが、今後、福田行管長官を中心といたしまして関係各省庁が相寄って、じんぜん時を過ごすことなく、結論を得るようにしてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(福田赳夫君) 地方事務官制度を廃止すべしという和田議員の御所見、私も全く心情的には一緒でございます。ただ、権限の分解の問題等、ややっこしい問題がありまして、今日なお実現するに至っておりませんけれども、ただいま自治大臣からお話がありましたような方向を踏まえまして、鋭意努力したい。
 また、御提案がありました閣僚協を設置すべしという問題につきましては、閣僚協をこのために設置するまでもありません。必要に応じ、随時会同いたしましてこの問題の早急処理に当たりたい、かような考えでございます。(拍手)
#39
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#40
○議長(河野謙三君) 日程第二 物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)の締結について承認を求めるの件
 日程第三 職業用具の一時輸入に関する通関条約の締結について承認を求めるの件
 日程第四 展覧会、見本市、会議その他これらに類する催しにおいて展示され又は使用される物品の輸入に対する便益に関する通関条約の締結について承認を求めるの件
   (いずれも衆議院送付)
 以上三件を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外務委員長平島敏夫君。
   〔平島敏夫君登壇、拍手〕
#41
○平島敏夫君 ただいま議題となりました条約三件につきまして、外務委員会における審議の経過と結果を御報告いたします。
 まず、物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約は、職業用具、展覧会の展示品等の一時輸入に際して、通関手続きを簡易化するために通関手帳医の制度を採用し、この手帳を通関用書類のかわりとして認め、また輸入税等の担保として認めることを内容とするものであります。
 次に、職業用具の一時輸入に関する通関条約は、各種の職業活動のため締約国に一時的に入国する者が携行する報道用具、ラジオ、テレビ放送用具、映画用具等について一時免税輸入等の便益を与えることを内容とするものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。
 昨三日、質疑を終え、別に討論もなく、採決の結果、これら三件は、いずれも全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。(拍手)
 以上御報告いたします。(拍手)
#42
○議長(河野謙三君) これより三件を一括して採決いたします。
 三件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#43
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、三件は全会一致をもって承認することに決しました。
     ─────・─────
#44
○議長(河野謙三君) 日程第五 港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長長田祐二君。
   〔長田祐二君登壇、拍手〕
#45
○長田裕二君 ただいま議題となりました港湾法等の一部を改正する法律案について、運輸委員ム一における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、港湾において港湾環境整備施設及び廃棄物処理施設等の整備を推進することなど−より、港湾の環境の保全をはかるほか、港湾の計画的な開発、利用及び保全の体制の確立、並びレ航路の開発及び保全をはかるとともに、マリーナ等の港湾区域外の港湾の諸施設の安全の確保をnかり、あわせて海洋汚染の防除体制の強化等について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、地方行政委員会、公害対策及び環境保全特別委員会との連合審査会を行なうなど慎重に審査し、改正案と港湾管理権の侵害との関係、今後の港湾整備計画の方針と港湾管理者財政の健全化、港湾をめぐる公害及び環境整備に関する諸問題等、港湾並びに海洋汚染防止に関する各般の問題について熱心な質疑が重ねられましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了し、別に討論もなく、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次いで、日本社会党森中委員から、本法の運用に際し、港湾管理者の権限を侵害しないこと、港湾管理者の財政基盤を強化すること、港湾をめぐる環境整備を促進することを内容とする附帯決議案が提出され、採決いたしました結果、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#46
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#47
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時四十五分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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