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1972/07/11 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第28号
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1972/07/11 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第28号

#1
第071回国会 本会議 第28号
昭和四十八年七月十一日(水曜日)
   午前十時十三分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十号
  昭和四十八年七月十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の報告に関する件(沿岸漁業等
  振興法に基づく昭和四十七年度年次報告及び
  昭和四十八年度沿岸漁業等の施策について)
 第二 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を
  改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 地方公営交通事業の経営の健全化の促進
  に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 漁船損害補償法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第五 漁船積荷保険臨時措置法案(内閣提出、
  衆議院送付)
 第六 水産業協同組合法の一部を改正する法律
  案(内閣提出、衆議院送付)
 第七 郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき
  所に関する法律の一部を改正する法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、国土総合開発法案(趣旨説明)
 一、日程第二より第七まで
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の報告に関する件(沿岸漁業等振興法に基づく昭和四十七年度年次報告及び昭和四十八年度沿岸漁業等の施策について)
 農林大臣から発言を求められております。発言を許します。櫻内農林大臣。
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(櫻内義雄君) 昭和四十七年度漁業の動向に関する年次報告及び昭和四十八年度において沿岸漁業等について講じようとする施策につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 わが国漁業の生産量は年々増加し、昭和四十六年には九百九十一万トンを記録し、一千万トン台に近づいておりますが、国民経済の発展に伴う食生活の向上により、高度化、多様化しつつ増大している水産物の需要に十分対応するまでに至っておりません。このため、四十六年の水産物価格は、上昇率がやや鈍化したものの、中高級魚介類を中心に引き続き上昇しております。また、海洋の水産資源の一般的な状況は、必ずしも楽観を許さないものがあります。
 漁業経営体数は、四十五年以後やや減少しており、四十六年には二十二万五千となりましたが、その大部分を占める沿岸漁業経営体におきましては、中核的漁家層の経営が増加しており、かつ、専業化も進んでおります。
 また、就業者数は近年減少傾向を示し、引き続き高齢化及び女子化の傾向が見られます。
 沿岸漁業の平均漁家所得は、農家及び都市勤労者世帯の平均を上回っておりますが、世帯員一人当たりでは、都市勤労者世帯に比べ、格差は縮小しているものの、なお低い水準にあります。
 中小漁業経営におきましては、収益性は概して平年並みの水準を維持しておりますが、業種、規模による格差が大きく、また、経営基盤にも不安定なものがあります。
 最近におけるわが国の漁業をめぐる内外の諸情勢は、公害による漁場環境の悪化、漁業労働力の不足、国際規制の強化、発展途上国を中心とする排他的水域の一方的拡大等、一段ときびしさを加えております。このような諸情勢に対処し、わが国漁業の健全な発展を期するため、海洋水産資源の開発等により生産の増大につとめ、水産物の安定的供給を確保するとともに、漁業従事者の所得の増大により生活水準の向上等をはからねばならないと考えております。
 次に、沿岸漁業等について講じた施策は、政府が四十六年度及び四十七年度において、漁業について講じた施策を明らかにしたものであります。
 最後に、昭和四十八年度において沿岸漁業等について講じようとする施策について申し上げます。
 ただいま御説明いたしました漁業の動向に対処するために、政府といたしましては、栽培漁業の積極的な展開と新漁場の開発等海洋水産資源の開発の促進、漁業公害対策の強化による漁場環境の保全、第五次漁港整備計画の策定とこれに基づく漁港の計画的な整備、海外漁業協力による海外漁場の確保、沿岸漁業及び中小漁業の近代化、水産物流通加工の合理化、漁業従事者の福祉の向上等に重点を置いて諸施策の推進をはかることといたしております。
 以上、その概要について御説明いたした次第であります。(拍手)
#5
○議長(河野謙三君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。辻一彦君。
   〔辻一彦君登壇、拍手〕
#6
○辻一彦君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま報告のありました政府の漁業白書に対して、総理大臣並びに関係諸大臣に質問いたしたいと思います。
 まず、この漁業白書は、今日、日本漁業が直面する重大な危機、すなわち、外には遠洋漁業において近代的略奪漁業により、沿岸諸国から領海並びに専管水域の拡大によるその漁場を狭められ、また、内には沿岸漁業において、水銀、PCB、赤潮、油などの汚染公害により沿岸漁場は破壊をされ、日本国民のたん白源の五二%を供給する日本漁業がまさに深刻な事態にあるという認識が不十分であり、この二つに対する政策が具体的でないということを強く指摘するものであります。
 すなわち、わが国の食糧自給率は、価格においては七五%といわれておりますが、畜産物の生産に必要な飼料を計算に入れますと、その自給率は四割を割って三七%にすぎないのであります。この中で、国民たん白源の五二%は魚介類にたよっており、漁業の占める役割りはきわめて大であります。白書によれば、年間漁獲高は約一千万トンに達したといわれておりますが、この中で二六・四%は沿岸漁業であり、四二%は沖合いで、三七%は遠洋漁業が占めております。一番大きい沖合い漁業は四二%でありますが、スケトウダラとサバが四〇%を占めており、そのスケトウが年々小型化をしていくということは、沖合いの漁業資源が少なくなりつつあるということをあらわしております。また、遠洋漁業は、沿岸諸国のナショナリズムにより、領海、専管水域二百海里が主張されていますが、これが百海里に拡大されれば、わが国の遠洋漁業の漁獲高は約七〇%減少し、二百海里に拡大をされるならば八〇%を失うと言われております。最後に残る沿岸漁業は、GNP至上主義によりまして、公害たれ流しにより大きく破壊をされております。まさに、国民たん白の重要な供給源であります日本漁業は大きな危機に直面すると言わなくてはなりません。
 今日、世界的な異常気象の中で、国際的にも食糧事情は逼迫し、各国は食糧確保を第一に考え、大きく政策の転換を行なっておるのであります。そういう中で、わが国のみがなお米の減反政策をとり、小麦、大豆、飼料のすべてを外国に依存し、この上、魚が十分に食べられないとすれば、食糧政策としましてもゆゆしき問題と言わなくてはならないと思います。多数の国民が安く魚が手に入らなくなったら、それは漁民の問題だけではなくて、国民の食糧の問題であり、数千年にわたる魚食民族の伝統がくずれようとすることであり、国民にとってまことに深刻な問題であります。
 このような日本漁業の危機、いや日本国民の食糧問題の危機として、今日の事態を政府はどのように認識をしておるのか。また、GNP至上主義が生み出した公害たれ流しのツケが、あまりにも大きいことについてどのように考えているか。総理の所見を伺いたいと思うのであります。
 次に、わが国の遠洋漁業における近代的略奪漁業のやり方に深い反省の必要があると思います。今日、たとえばソ連では、海洋漁業資源の調査に大きな力を入れまして、わが国の三千トンに比べて、約三十万トンの調査船を持つといいますが、ソ連は、この船をもって各国に資源の調査に協力するとともに、ソ連にも漁獲を認めるよう働きかけていると言われております。アメリカは、軍艦を通してくれるならば領海二百海里を認めようと言っておるともいわれ、中国は、二百海里を主張する開発途上国に協調する方向にあります。このような中で、わが国が依然として領海三海里を固執することは、世界にもはや通用しないことであります。発想の転換が今日必要でありますが、今後の安定をした遠洋漁場確保に国際的なコンセンサスが必要であると思います。政府は、領海並びに専管水域についてどのように考えているか、これは外務大臣にお伺いをいたしたいと思います。
 三つ目に、沿岸諸国、開発途上国は、わが国の遠洋漁場確保の要請に対して、経済協力、漁業協力を要求すると思いますが、わがほうの利益を第一に考えた従来のやり方ではだめじゃないか。相手国の立場に立った経済協力、漁業協力をどのようにやるのか、その考え方を伺いたいと思います。
 第四に、漁業の国際協力を目ざす国際漁業協力財団は、十分な機能を発揮することができるのか。農産物の開発輸入等におきまして、農林、外務両省の間になわ張り争いがある、こういうことが新聞紙上でいわれておりますが、漁業開発についてはそのようなことはないのか。また、明年度予算で、この財団に十分な財政措置を講ずる考えがあるか。この点を伺いたいと思います。
 第五に、北洋漁業におきましては、サケ・マス資源の共同開発が必要でありますが、日ソ首脳会談が開かれるときに、この問題を積極的に持ち込む考えがあるか、総理にお伺いをいたしたいと思います。
 また、日中漁業資源の共同開発のために、昨年も提起をいたしましたが、大正エビ等の共同養殖などについて積極的に取り組む考えはないのか。さらに、朝鮮民主主義人民共和国との間で、日朝の漁業交流につき政府は取り組むべきときであると思うが、この点についてどうか、農林大臣に伺いたいと思います。
 次に、沿岸漁業の資源でありますが、今日瀬戸内海に栽培漁業センターが設置をされ、沿岸資源の確保に努力がされており、その役割りは大きいと思います。しかし、瀬戸内における種苗の放流を見ますと、海水の汚染によって公害が非常に大きくなり、この中で小さな魚の種苗を放流することは、かなりなリスクがあると思われます。また、放流というものの公共性から考えましても、国がやるべき性格と考えるのであります。しかるに、日本海沿岸五カ所では、今年度はなぜ府県の負担にしたのか。また、今後その栽培漁業センターの維持運営については国が負担する考えはないのか。さらに、瀬戸内、日本海沿岸からほかの水域にも拡大する考えがあるか。この点を伺いたいと思います。
 七つ目に、政府は、漁港構造改善事業あるいは栽培漁業センター等にかなりの力を入れてはおりますが、沿岸漁業では、肝心の海が汚染をされれば問題にならないのであります。沿岸漁業の盛衰は汚染公害との戦いにあると思うが、どう考えるか。また、水銀、PCB、赤潮、油などによる海の汚染、沿岸漁業の破壊は、公害源企業、そして経済高成長政策のもとに、公害のたれ流しを容認してきた政府の責任であり、その責任はまことに重大であると思いますが、通産大臣はこの点をどう考えるか、お伺いをいたしたいと思います。
 私は、去る六月の三十日、七月一日、本院の農林水産委員会の有明湾水銀汚染調査団の一員として、水俣、宇土、大牟田をはじめ九州各県を調査をしてまいったのであります。各地における漁民並びに関連業者の集まりで、水銀、PCBなどの汚染によって被害者の漁民が操業停止をしているのに、公害をたれ流した加害者の公害企業が操業しているのは、社会正義からも許せないという漁民の声はきわめて強かったのであります。また、人一人泊まらなくなった水俣の旅館の業者が、われわれは一度でも食中毒をやれば直ちに営業が停止になる、公害大企業はこれだけ公害をたれ流しをしながらなぜ操業停止をやらないのか、きびしく政府の大企業擁護政策を非難しておったのであります。これは私は、まさに民の声であり、天の声であると思いますが、いまなお水銀を排出する公害企業は、操業を停止をさすべきであると思いますが、通産大臣の所見を伺いたいと思います。
 大牟田・三井東洋高圧でいまなお水銀を排出していますが、現在の水質汚濁防止法によりますと、水銀排出基準では法的に規制ができないということであります。すみやかに政府は、水銀排出基準をきびしくすべきであると思いますが、いつ、どれぐらい基準の改定をきびしくするか、このことを明らかにされたいと思います。また、水銀の使用工場のクローズドシステム制を一日も早くとるべきであると考えます。来年の九月までということは、まことになまぬるいことでありまして、クローズドシステム制をとるまでは操業を停止をさせて、一日も早く切りかえるべきであると思います。時期切り上げについて決断を必要といたしますが、環境庁長官並びに通産大臣の所信を伺いたいと思います。
 厚生省が、前に魚の基準を発表いたしましたが、発表基準のまずさのために、すべての魚が汚染魚であるかの印象を与え、これが、魚が売れない、安心して買えない大きな原因となっております。九州各県の知事からも、この不安を一日も早く取り除いてほしい、そのために国が、各水域、生産地市場を検査をし、科学的データによって安心なものは安心と公表してほしい、県知事の名前では、安全宣言をやりましても消費者がなかなか信頼をしないので、国でやってほしいという強い要望がありました。農林省、厚生省は、大規模に、すみやかに魚の検体をやるべきであると思いますが、具体的な計画はどうなっておるのか。
 また、熊本県をはじめ、多くの府県におきまして、水銀の測定器、PCBの測定器を、いまたくさん用意をいたしておりますが、検査体制確立のため、国はこれに積極的に助成をすべきであると思いますが、どうお考えか、伺いたいと思います。
 被災漁民の補償については、原因者負担の原則を貫くべきでありますが、企業が責任を持ってすみやかに補償するよう、国も積極的に介入をするべきであると思います。このため、特別立法が必要と考えますが、これをどう考えられるか。
 生活資金のつなぎ融資にいたしましても、全国で被災漁民を幾らに水産庁、農林省は見ているのか。一軒五十万円、全国で五万の漁家、二百五十億円というワクは、有明海を見ましても五万漁家といわれておりますが、これでは九州のみで融資のワクをこえることになりますが、実態に即して融資の総ワクを拡大する考えがあるのか、農林大臣に伺いたいと思います。
 今回の水銀、PCB汚染問題は、漁民のみならず、広範なる関連業者に多くの被害を及ぼしておりますが、通産省は、関連業者とは一体何をさしておるのか、これを伺いたい。また、被害業者としてどのぐらいを対象に考えているか。
 熊本県の宇土市でありましたが、陳情団の集会で、魚の行商をやっている婦人が涙ながらに次のようなことを語ったのであります。毎朝、魚を市場で買い入れて行商に回ると、きょうも、つらの皮が厚い、水俣を持ち込んできたのか、こう言われて、売れない魚を家に持って帰ると、子供が荷の中をのぞいて、「おかあさん、きょうもまた魚が売れないのか、これからどうしていくのか」、こう言われて、母と子が抱き合って泣いている。こういう母子家庭の涙ながらの訴えを聞いたのであります。このとき、会場に三十数人の行商婦人がおられましたが、ほとんどが涙をふいておられました。
 このような零細な人々に、政府はあたたかい救済の手を差し伸べる考えがあるのかどうか、この点をお伺いをいたしたいと思います。
 さきの日米繊維協定、またドルショックのときには、政府は繊維産業、機屋さんに、織機の買い上げを含む二千億に及ぶところの緊急融資や返済資金のたな上げを行なったのであります。今日、漁民並びに関連業者の被害を深刻に直視をして、繊維並みの救済対策を大胆に打ち出すべきであると思うが、総理並びに通産大臣の所見を伺いたいのであります。
#7
○議長(河野謙三君) 辻君、辻君、時間が超過しております。簡単に願います。
#8
○辻一彦君(続) 最後に、原子力発電について、昨年、この会議におきまして佐藤前総理は、原子力発電の温排水については環境庁が中心になると、こういう答弁でありましたが、以来一年を見ますと、必ずしもそのように考えられません。温排水と環境の問題についてどの官庁が中心になるか、これは総理から明確にしていただきたいと思います。
 私は、いま一度、今回のPCB、水銀汚染をはじめとする沿岸漁場の汚染の公害が、漁民並びにその関連業者に大きな影響を与え、国民の食糧問題に及ぶ重大な結果を生んでいることを指摘をして、政府は、過去の経済高成長政策を反省をし、沿岸漁業の見直しと、公害の防止、公害企業の責任の明確化、漁民並びに関連業者への救済対策の強化などに政府の責任ある、かつ強力な措置をとられることを強く要求して、質問を終わりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(田中角榮君) 辻一彦君にお答えいたします。
 第一は、日本の漁業はどうなるかということでございますが、わが国の漁業は、国民の消費する動物性たん白質の過半を供給する重要な役割りを果たしておりますが、最近において、これを取り巻く内外の環境がきびしいものであることは御指摘のとおりでございます。これらの諸情勢に対処して、政府といたしましては、沿岸海域において公害関係諸法の厳正な適用、漁場汚染の防止、汚染漁場のしゅんせつ等による生産力の回復、公害に関する調査研究体制の強化等の対策を強力に進めてまいりたいと考えます。また、漁場の造成改良と栽培漁業による水産資源の維持増大をはかるほか、沖合い、遠洋海域において新漁場の開発、国際協調のもとにおける海外漁場の確保につとめているところでございます。
 第二は、海外漁業協力財団等についての言及がございましたから、お答えをいたします。
 わが国遠洋漁業をめぐるきびしい国際環境のもとにおきましては、関係沿岸国との協力、協調を通じまして、相互に漁業の発展をはかることが基本的に重要であると考えておるのであります。海外漁業協力財団は、このような見地から本年度新たに設立を見たものでございます。また、別途、外務省の経済開発等援助費に新たに水産ワクを計上し、政府ベースの無償援助につきましても、これを積極的に推進することといたしており、これら関係機関の緊密な協調のもとに、わが国海外漁場の確保に遺憾なきを期する所存であります。
 なお、北洋漁業等の安全操業や資源確保等についての御発言がございましたが、これは日ソとも共通の利害関係に立つ問題でありますので、日ソ首脳会談の席上では十分懇談をいたしたいと考えておるのでございます。
 次は、水銀、PCB、赤潮の発生等に対する方策に対して言及がございましたが、近年における産業の著しい発展、人口の都市集中に伴い、公共用水域の水質汚濁が進行し、沿岸漁業等に深刻な影響を及ぼしていることは御指摘のとおりであります。このような現状にかんがみ、政府といたしましては、水質保全対策に全力を尽くしているところであります。特に、工場排水の規制の強化、汚染されたヘドロのしゅんせつ、または封じ込め、下水道の整備、赤潮発生防除技術の開発等、水質保全対策の万全を期してまいりたいと考えます。
 次は、水銀等の汚染による漁民及び関連業者に対する救済策等についてでございますが、水銀またはPCBの汚染による被害漁業者及び水産業協同組合に対し、その生活資金及び経営資金につき、天災融資法に準じまして緊急つなぎ融資を行なうことといたしておるわけであります。国は利子補給につき、高率の助成を行なって、漁業者等の救済措置を講ずる所存であります。なお、原因者が明確になりましたときには、当然、原因者に対し、原因者負担の原則によってその経費を支弁させることにいたすということでございます。
 また、関連中小企業者に対しましては、漁業者に対する緊急融資との関連におきまして、同様に緊急融資を行なうことといたしておるわけでございます。
 原子力発電所の温排水対策等について御発言がございましたが、原子力発電所の温排水対策につきましては、その環境への影響が必ずしも十分解明されておりませんので、現在環境庁を中心に関係各省庁と共同で、温排水の拡散の実態、水産物への影響等に関する諸調査を実施いたしておるのでございます。これらの調査結果に基づきまして、環境庁におきましてすみやかに温排水の排水基準を設定することにいたしたい、こう考えております。したがって、今後とも温排水の規制につきましては、環境庁が中心となりまして関係各省庁とも緊密な連絡の上、その対策に万全を期してまいりたいと考えます。
 残余の問題については関係閣僚から答弁をいたします。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(櫻内義雄君) 辻議員にお答え申し上げます。
 まず遠洋漁業のあり方についてお尋ねでありますが、資源保護と国際協調の上に立って行なうことは当然でございまして、海洋法会議等を通じまして、各国とコンセンサスの上に立って行なえるよう努力してまいりたいと思います。
 漁業協力につきましては、海外漁業協力財団を通じて相手国の立場や要望に沿って協力をするとともに、国際条約や経済協力の高い次元に立って、広く各国との協調の上で進めてまいりたいと思います。
 財団の運営の上におきまして、なわ張り争いの御心配をされましたが、そういうことはございません。
 海外漁業協力財団の予算につきましては、本年の実績に基づきまして、融資のための補助金や政府無償援助費の拡大により、所期の目的達成につとめたいと思います。
 日中間の大正エビ開発についてのお尋ねでございますが、民間での話し合いは行なわれておりますが、いまだ政府間の漁業協定もないので、具体化はしておりません。今後、専門家会議などで技術的な意見交換をいたしてまいりたいと思います。
 朝鮮民主主義人民共和国との漁業上の交渉につきましては、外交関係もない立場にありますので、民間ベースによる、話し合いによる積み上げを期待いたしたいと思います。
 栽培漁業については、これを推進するにあたっては海域の特性及び漁業の実態を考慮して実施する必要があると思います。そのためには、県の実情に応じた種苗生産を行なうのが適当と考え、日本海については高率補助により、県営の栽培漁業センターを設置することといたした次第であります。また、太平洋、東シナ海等にも逐次、栽培漁業の展開をはかってまいりたいと思います。
 魚介類の汚染調査は、さきにPCBについての全国調査及び精密調査を行なったところでございますが、水銀についての調査も全国調査を行なう予定で、現在、九地域をまず行なっていることは御承知のとおりであります。今後も定期的に調査をいたしていく考えであり、その結果は当然公表し、海洋を汚染から守り、安全な魚介類の供給につとめてまいりたいと思います。
 魚の水銀、PCBの測定について、検査機器の整備は今後ますます必要となると思われますので、その助成については十分検討をしてまいります。
 つなぎ資金の融資ワクについて不足はしないかとのお尋ねでありますが、もしそのようなことがありますれば、農林省としては、十分対処できるよう財政当局に要望してまいりたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣大平正芳君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(大平正芳君) 御質問の第一は、領海の幅員の問題でございます。
 明春には、国連第三次海洋法会議の開催が予定されておりまして、その最終準備会議が目下ジュネーブで開催中であります。この問題も、他の海洋法の諸問題とともに検討が進められております。政府としては、現在最も多数の国が採用するところとなっておりまする十二海里の線で国際合意が成立するのであれば、海洋における法秩序の安定のためにむしろ望ましいと考え、従来の三海里の立場にとらわれることなく、これを支持してまいる態度で対処していく考えであります。
 第二の御質問は、漁業専管水域についてでございます。
 政府は従来より、沿岸国が領海へ隣接する水域に一方的に漁業水域を設定するということは、国際法上認められないという立場をとって反対してまいりました。しかし、御指摘のように、アジア、アフリカ、ラテンアメリカの発展途上国を中心といたしまして、最大限二百海里のいわゆる経済水域といった広範な排他的水域の設定を求める主張が強まりつつあります。政府としては、かかる排他的権利の設定は認められないという従来の立場を堅持しつつも、世界各国の動向や趨勢を注視した上で、わが国漁業全体の長期的利益ができる限り確保されるよう、妥当かつ実際的な解決が国際的に合意されるよう、今後とも努力してまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(中曽根康弘君) 工場排水による海域の汚染防止につきましては、水質汚濁防止法以下の公害諸法令を厳格に順守いたさせまして、これを監視しておるところでございます。
 なお、赤潮の対策につきましては、これが水理解明につきまして、いま鋭意検討をやらしております。
 瀬戸内海の問題につきましても、瀬戸内海の大型水理模型をつくりまして、これの海流そのほか諸般の調査をしておるところでございます。
 また、海洋廃棄物投棄による汚染につきましては、海洋汚染防止法あるいは廃棄物処理清掃法等を活用いたしまして、これも厳重に監視しておるところでございます。しかし、これらの努力にかかわらず必ずしも十分な成果をあげていないことは、はなはだ遺憾でございまして、われわれはさらに努力を続けてまいりたいと思っております。
 水銀及びPCBの問題につきましては、まず通産省といたしましては、使用の規制を行なう、それからクローズドシステムに転換させる、それから隔膜法に転換させて水銀の使用を禁止させる、こういう三段階の方法を講じて、できるだけ早期に隔膜法に転換をやらしております。
 水銀法の苛性ソーダ工場につきましては、特定九水域については本年末までに、それから一般の工場につきましては四十九年九月までにこれをクローズドシステムに転換させます。さらに、五十年九月を目途にいたしまして、極力隔膜法に全面的に転換させるように、いま督促しておるところでございます。
 それから被害を受けた鮮魚商その他がどの程度の範囲まで及ぶか、その保護の態様を示せという御質問でございますが、鮮魚商、水産加工業あるいは水産協同組合、行商人にまでもちろん及ぶのでございます。おすし屋さんにももちろん関係水域等においては及びます。で、政府関係三機関を通じまして、天災融資法に準じた高額の補助、保護を行なおうと思っております。もちろん原因者負担の原則を貫きまして、原因者に最終的には求償することになりますが、二百万円までのつなぎ融資を行ないまして、返済期限五年、一年の据え置き、金利は国及び地方公共団体が負担応援いたしまして三分といたしますが、この三分につきましても、経済団体においてこれを負担するように話し合いがついております。なお、これらの三機関に対して借り入れ残高のある関係の行商人あるいは水産業者、すし屋、鮮魚商等につきましては、既成の債務につきましても、一年間の返済猶予の措置を講じております。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(三木武夫君) 辻君にお答えをいたしますが、私に対しては、水銀の排出基準というものをもっときびしくするべきではないかという御質問でございますが、御承知のように、水質汚濁防止法によって、水銀は「検出されないこと、」という規定になっておるわけであります。しかし、「検出されない」ですから、検出に対しての分析能力というものが限界になるわけです。最近は非常に分析能力というものが飛躍的に進歩いたしまして、現在の基準は分析能力に適合しないということで、これを一そうきびしくすることにして、ただいま中公審に諮問いたしておるのでありますから、近く水銀の規制は現在の規制よりもずっときびしくいたす所存でございます。しかし、根本は、水銀を使わないということが一番の徹底した対策でありますから、中曾根通産大臣も言われたように、主要水域では、本年度末までに水銀を外に出さないクローズドシステムに切りかえる、また、触媒としての水銀を使わないような隔膜法に全面的な転換を極力進めるということで、水銀問題に対する根本的対策をとりたいと考えております。(拍手)
#14
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#15
○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、
 国土総合開発法案について提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。小坂国務大臣。
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(小坂善太郎君) 国土総合開発法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 昭和二十五年に制定され、昭和二十七年にその一部を改正せられました現行の国土総合開発法は、狭隘な国土と乏しい資源という制約条件の中で、年々増加する人口を擁しつつ、国民生活の維持向上をはかるため、戦後の荒廃した国土の保全をはかり、国土及び資源の積極的、合理的かつ効率的な開発利用を期することを目的といたしたものでありまして、国土の総合開発に関する基本法的な役割りをになって今日に至ったわけでございます。
 しかしながら、その間に、国土総合開発の課題も時代の要請とともに推移し、重要課題ごとに多数の地域開発関連の法律が相次いで制定されてまいったのであります。一方、現実問題といたしまして、六〇年代における経済の高度成長に伴って人口と産業の大都市集中は急速に進行し、過密過疎問題は一そう深刻なものとなっております。同時に土地利用の混乱、地価の異常な高騰、投機的な土地の取り引きなどに土地問題というものが特に激しさを加えておりまして、これらの問題の解決は、いまや国土総合開発にとって、最重要な課題となってまいりました。
 今日、国土の総合開発は、公共の福祉と自然環境の保全を優先するという原則に立ちまして、片寄った国土利用を将来に向かって再編成しながら、国土の均衡のとれた発展と健康で住みよい地域社会の形成を目標として、六〇年代における貴重な体験と教訓を踏まえて、現下の諸問題を着実に解決していくものでなければなりません。
 このような事情にかんがみまして、まず国土の総合開発を進めるにあたっての基本理念を明らかにし、総合開発計画の体系化をはかるとともに、土地利用基本計画の作成と土地取引及び開発行為の規則に関する制度の充実をはかり、また、特定の地域における総合開発を調整し、促進するための措置を講ずることが緊急に必要であると判断いたしまして、この際、現行法を廃止し、新たに新法として国土総合開発法を制定することといたした次第であります。
 次に、この法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 第一は、国土総合開発の基本理念についてであります。
 国土の利用、開発及び保全は、国土が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、諸活動の共通の基盤であることにかんがみまして、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全をはかりながら、地域の諸条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展をはかることを基本理念として行なうことといたしております。
 第二は、全国総合開発計画及び都道府県総合開発計画についてであります。
 国は、全国総合開発計画を定めるものとし、また都道府県においても、都道府県総合開発計画を定めることができるものとしておりますが、特に全国総合開発計画は、国土の総合開発に関しては、国の諸計画の基本とする旨を明らかにし、国土の総合開発に関する計画の体系化をはかることといたしております。
 第三は、土地利用基本計画についてであります。
 都道府県知事は、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域及び自然保全地域の五つの地域区分の設定並びに土地利用の調整に関する事項などを内容とする土地利用基本計画を定めるものとし、国及び地方公共団体は、この土地利用基本計画に即して、適正かつ合理的な土地利用がはかられるように、都市計画法、森林法その他の土地利用関係法律で定めるところにより、自然環境の保全等に配意しながら、所要の規制措置を講ずることといたしております。
 第四は、土地売買等の届け出・勧告制度についてであります。
 一定規模以上の土地の売買等を行なう者に対しては、あらかじめ、その価格、利用目的などを都道府県知事に届け出ることを義務づけ、都道府県知事は、その価格が著しく適正を欠くとき、利用目的が不適当であるときなどには、取引の中止勧告等をすることができるものとし、勧告に従わないときは、公表ができることにしております。
 第五は、特別規制地域における土地売買等の許可制についてであります。
 まず、都道府県知事は、投機的な土地取引が行なわれ、土地の価格が急激に上昇し、またはそのおそれのある地域で、その事態を緊急に除去する必要があるところを、最高五年以内の期間に限って特別規制地域として指定することができるものとしております。この特別規制地域内で土地の売買等を行なう場合には、都道府県知事の許可を受けなければならないものとし、許可を受けない土地売買等の契約は、その効力を生じないことといたしております。
 次に、許可の基準となるべき土地の取引価格は、地域指定時の価格を基準として定めることとし、また、不許可とされた土地所有者等に対しては、土地の買い取り請求権を認めるとともに、不服申し立ての道を開いております。なお、内閣総理大臣は、国土の総合開発に関し、国の立場から特に必要があると認めるときは、特別規制地域の指定の指示などの措置を講ずることができることとしております。
 第六は、特定総合開発地域制度についてであります。
 まず、都道府県知事は、関係市町村及び地域住民の意向をただしながら、新都市の開発などを主たる目的とする総合開発を特に促進する必要がある地域を特定総合開発地域として指定することができるものとし、その地域の総合開発について計画を定めることができることとしておるのであります。
 次に、地域指定後五年間は、土地売買等について一般地域の場合の特例として、届け出・勧告制を強化するほか、地方公共団体等は、届け出のあった土地について買い取りの協議を行なうことができるものとしております。また、特定総合開発計画の円滑な推進をはかるために必要な行財政上の措置を講ずることとしております。
 その他、国土総合開発審議会、都道府県総合開発審議会及び土地利用審査会を設けることとしておりまするほかに、この法律の施行に要する経費の補助、大都市に対する権限の委譲、罰則等に関する規定を定めるとともに、関係法律の改正を行なうことといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
#18
○議長(河野謙三君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。沢田政治君。
   〔沢田政治君登壇、拍手〕
#19
○沢田政治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま提案されました国土総合開発法案につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 第一は、国土開発計画についての基本的な政治姿勢についてであります。
 田中総理、あなたは、日本が戦争に敗れ、都市という都市は瓦れきと化し、住むに家なく、求めて食なしという敗戦後の混乱のときに衆議院に出られ、特に、持ち前の情熱を国土の復興と都市の建設に注いできました。私もまた、今日まで終始一貫、わが国の再び戦争に巻き込まれることなく、平和な国土の建設にそれぞれの部署で努力してきたところであります。
 あなたは今日総理となり、国の将来を負う責任ある立場に立って、わが民族、わが国民が、およそ幸福とはかけ離れた国土の破壊、人間環境の破壊につながる日本列島改造を推し進めようとしているのであります。理念の違いというものが、かほどに大きな開きを招くものかと驚かざるを得ないし、残念でなりません。それはどこから相違の出発点が出たかということであります。つまり高度経済成長政策、生産第一主義が国民の生きる道とかたくなに思い込んでいることが、現実とあるべき姿の相違の分岐点でないでしょうか。
 いまから十余年前、六〇年代には、池田さんが推進した高度成長政策は、一面から見るならば一応の役割りを果たしてきたという評価もあります。年率一〇%という国民総生産の伸びは世界の驚異であったわけです。しかし、池田、佐藤と続いた自民党内閣の歩んだ道が、GNP世界第二位を誇ったその足元から、公害世界一の悪名とエコノミックアニマルの冷笑を世界じゅうからいただいたわけであります。
 総理、あなたは、池田内閣当時から、あるいは大蔵大臣として、または党の政調会長、幹事長として、十分にその功罪を知り尽くしているはずです。あなたの著書「日本列島改造論」の前段には、高度成長のひずみを、あたかも他人ごとのように書いているのであります。ところが、その反省がどこにも見当たりません。そして、今後なお年率一〇%の国民総生産の伸びを前提とする高度成長政策を基本に置いて、成長なくして福祉なしと言い切っています。首相に指名された直後に、生産第一主義を生活第一主義に切りかえたい、政治の流れを変える、と言った、その政治の流れはどうなったのですか。あなたの閣僚の中の最も大ものといわれる福田さんは、時代は変わった。安定成長に流れを変えるべきだ、と発言をしているのであります。本国土総合開発法と、現在提案されている関連する一連の法律案は、すべて総理たるあなたが主唱する日本列島改造論の具体化であるといわれていますので、まず最初に、その基本姿勢を総理に質問をいたすわけであります。
 第二は、本法の基本理念についてであります。
 昨年六月、スウェーデンの提唱によって、国連人間環境会議がストックホルムで開かれました。その国連人間環境宣言で、「ひとは、その生活において自由であり、平等であり、かつ尊厳と福祉を保つに足る環境で、適当な水準の生活を営む基本的権利を有し、将来の世代のため環境を改善すべき厳粛な責任を負う。」ということを言っています。一体、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全をはかりつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件を配慮して、国土の均衡ある発展をはかるとしているが、具体的に何が主眼なのですか。もともと人間は、経済という一つの環境の中に存在しています。そして、それはさらに社会環境によって包まれている。また、それは自然環境によって包まれている。このような経済環境、社会環境、自然環境というような環境に包まれているのが私どもの生活なのであって、個々別々の地域に切り離されたものではないのです。人間が環境の中で生存していく限り、環境はすべての人間に対してと同時に供給され消費される公共財なのです。その公共のものを私的なものにすることによって経済行為が営まれているのです。資本主義は、私的企業の私的利潤追求の社会である限り、企業の拡大、巨大化、技術の革新に付随して解決できない公害を発生させてきているのであります。そのことは、北海道から九州、沖繩に至る、まさに日本公害列島各地の実態を見れば、いかに人間環境が破壊されてきているかがわかるのです。
 総理、あなたの「列島改造論」では、過密と過疎の同時解決をうたい、過密の分散について、長期かつ総合的な計画に基づいて社会資本を先行的に整備することが重要であり、同時に、各地域に応じて地方に工業を配置し、誘導する必要がある。工業は地域開発の起爆剤であり、主導力であると言い切っておるのです。さらに問題なことは、昭和六十年には、基幹産業の需要として、粗鋼で現在の二倍以上、石油精製を四倍、石油化学は四倍になるという指標のもとに地域開発を進め、過疎を解消しようとしていることなのです。これは公害の拡散、環境破壊を全国的に広げるということにすぎません。
 基本理念と人間環境をどのように考え、国土総合開発計画を推進していくつもりであるか、総理並びに三木環境庁長官、建設大臣の見解を求めます。
 第三点は、土地利用計画についてであります。
 第六条で、都道府県知事は、都市地域、農業地域、森林地域、自然公園地域及び自然保全地域の五区分の土地利用基本計画を定め、内閣総理大臣の承認を受けなければならないことにしています。そして土地の権利者が土地の売買契約等をしようとする際には、予定対価の額や買い主の土地利用目的などを市町村長を経由して知事に届け出しなければならないことにし、また知事は、その土地利用目的が土地利用の基本計画に合わないとか、公共施設や公益施設の整備の予定があるとか、周辺の自然環境の保全の上から不適当であるとした場合には、契約締結の中止勧告をすることができることにしています。だが、届け出制や勧告だけでほんとうに実効があげられるでしょうか。
 総理、あなたは、土地が投機の対象になっていることを十分承知をしておりながら、列島改造を公にし、投機熱をあおり、大企業、不動産業者の未曾有とも言える土地買い占めを招来させてきたのです。しかも、買い占めた七割は都市計画区域、市街化調整区域であるといわれているのでありますが、われわれが反対し、与党多数によって可決した地価公示法一部改正では、その調整区域、都市計画区域にも市価を追認するだけの公示価格を設定することにしたのです。何と、語るに落ちた手法ではありませんか。
 公有水面埋立法の一部改正案では、環境保全などに実効は期待できないが、若干の手直しをして国民の目をそらし、依然として、埋め立てが完成すると同時に企業者の所有に移るという基本的な性格は少しも改めていないのです。いや、むしろ民主的な装いをもって臨海工業地帯の埋め立て造成を促進しようと企図しておるのであります。四日市を見ても、鹿島を見ても、あるいは瀬戸内海の工業地帯を見ても、それがどれほど海水の汚濁を進め、公害をばらまき、何百人、何千人という人命にかかわる公害病患者をつくり出してきているか、名目だけの環境保全ではどうにもならないことを、総理、建設大臣、あなたたちはよく御存じのはずです。企業の埋め立て免許はやめるべきだと思います。公有水面一部改正案は廃案にして、あらためて提出するよう忠告をいたしておきます。
 総理、現在のわが国の土地問題は、もう土地の利用計画や若干の規制などということによって処理される問題ではないのであります。今日の地価の上昇を押えるには、値上がり前の時点の価格にまず地価を凍結し、自治体や公的機関が買い取り、公用地として確保する道を開くこと、そして土地は、民族生存の場として、所有は私人に属したとしても、利用は社会公共の利益が優先し、国民の受ける便益が公平であるように原則を立てることであります。総理、建設大臣、自治大臣、あなたたちはどのようにお考えになりますか、答弁を求めます。
 第四点は、内閣総理大臣の権限の強化と地方自治についてであります。
 本法の第四章では、知事が、投機的土地取引が特に激しく、また、暴騰が予想されるような地域を特別規制地域として、三年以内の期間に限り、指定することができることとし、地域内での土地売買等は知事の許可制にしています。
 ところで、区域や期間の指定は、公告によって効力を生ずることになっていますが、それには、内閣総理大臣の承認を受けなければなりません。そして、承認、不承認は、総理大臣が決定することになっています。さらに、地域の指定、解除、区域の減少等について知事に指定することができ、知事がその指示に従わなかったときには、そのことを国土総合開発審議会で確認して、みずから措置を講ずることができる規定になっています。むろん、知事側の正当な理由がない限りとなっていますが、正当な理由の判断基準、指標というものは、何ら法律に明記しておらないのであります。このことは、都道府県の総合開発計画が全国総合開発計画という国の計画のワクに縛られる上に、その利用計画も国の計画に規制され、地方自治体の自主性を制限するばかりでなく、総理大臣が事実上知事の権限を奪い、直接、開発計画に介入するということで、地方自治の否定にもつながるゆゆしき問題と言わざるを得ないのであります。この点について、総理並びに自治大臣の答弁を求めます。
 最後に、国土総合開発計画における農業についての考え方をお尋ねいたします。
 「列島改造論」の最初のほうに、「農村地域は農民にとって生産、生活の場であると同時に、民族のふるさと、国民のいこいの場でもある。人間は自然と切離しては生きていけない。世界に例をみない超過密社会、巨大な管理社会のなかで、心身をすり減らして働く国民のバイタリティーを取戻すためには、きれいな水と空気、緑にあふれた自然を破壊と汚染から守り、国民がいつでも美しい自然にふれられるように配慮することが緊急に必要である。」という美文調でつづっております。
 本文全体を通じてもそうですが、ここでは工業化社会、超過密な都市社会の日本の姿しかなく、そのために自然が羨望され、ふるさとが語られているにすぎないのであります。つまり、農業の深刻な今日的な危機が少しもとらえられておらないことであります。要するに、総理の頭の中には、高度経済成長政策への巨大工業化の発想、そのための交通ネットワークの完成、ここから発生する公害、環境破壊をいかにして食いとめ、住民、国民の反撃をかわそうかという姿勢が映ってならないのであります。はたして、そのような将来が日本民族にとって幸福な社会につながるでしょうか。
 今日、今世紀最大の人類の課題は、増大する人口に対して、その食糧をいかに確保するかということにありましょう。食糧の多くを海外輸入に依存しておるわが国の農業は、はたしてこれでよいのでありましょうか。
 高度成長のゆがみを受け、いまや農業就業人口は全就業者の一五%を切り、四十六年末には七百五十万人を割っております。政府の在庫米を見ても、本年、当年産の新米を含んで三百四十二万トンが推計されているにすぎません。食糧については、可能最大限の自給経済体制をとっていくべきではないでありましょうか。国際分業といって、食糧の海外依存は日増しに不安定なときにあたり、農林大臣の見解を求めます。
 私は、国総法は、農業を中心に据え、福祉社会への構想を新たにして次の国会に再提出すべきものと思いますが、総理の御所見はどうでありましょうか。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(田中角榮君) 沢田政治君にお答えをいたします。
 まず第一に、国土開発の基本的姿勢についての御質問でございますが、日本列島の改造は、過去の経済社会の発展の中で進行した過密・過疎問題、公害、住宅、交通難、地価高騰等、国民の日常生活にかかわる諸問題を抜本的に解決し、国土全体の均衡のとれた発展をはかり、きれいな空気と水、緑に恵まれた、住みよく暮らしよい地域社会を計画的に建設しようとするものであります。これは、生産第一主義から福祉、生活第一への政治姿勢の転換そのものであると思うのでございます。
 ここで、ひとつお聞きをいただきたいのは、首都圏には、百キロ圏に三千二百万人の人たちが住んでおることは御承知のとおりでございます。このままにしておけば、昭和六十年には、四千百万から四千五百万は避けがたいと言われる趨勢でございます。東京、大阪、名古屋という三地域の五十キロ圏、すなわち国土の一%の面積には三千三百万人の人が住んでおるわけでございます。車は、六十年展望には現在の二倍、すなわち四千万台をこす状態であることは、何人も否定できないのでございます。しかも、地価問題、一つ御指摘がございましたが、この首都圏は、すでに三千二百万人の人口が現に住み、しかも、四千五百万人に十年ほどでなるという趨勢にあるときに、現在の人よりも少ない三千万人を単位にして計算をいたしますと、この標準世帯に、五十坪、すなわち住宅の建築可能面積は約三十五坪でございます。あとは道路、緑地、公共用地に使われるわけでございますから、一世帯に三十五坪という最小の限度で計算をしても、三千万人に、標準世帯に全部土地を与えるとすると三千七百平方キロ、すなわち全関東平野の六二・五%を必要とすることは算術上明らかでございます。立体化もしない、しかも国土の総合開発もしない、集中の抑制もしないということになれば、これはもう無制限に地価が上がるということにもなりますし、大体公害でもってほんとうに処置のない状態になることは申すまでもありません。
 それだけではなく、後ほど申し上げますが、国土は三十七万平方キロございますし、日本の降雨量は六千七百億トンでございますから、河川に流入する水の量は五千二百億トンであります。そうすると、すでにマスコミが指摘をしますように、現在のままであっても、六十年展望を待たずしても、人口の抑制をはからざる限り関東、中京、近畿には生活に必要な水を確保することができないということは現実でございます。そういう状態を前提にして考えるときに、国土の総合開発が必要でないという議論は、どうしても首肯できないのであります。その意味におきまして、開発を進めるにあたりましては、地価の上昇、環境破壊のないように配慮をすることが必要でありますので、そのためにも、本法案をはじめ関連の諸法案を一括して御審議をいただいておるのでございます。以上が国土総合開発に対する基本姿勢であります。
 第二は、届け出、中止勧告制、価格凍結等についてでございますが、土地は国土を構成するものでございまして、利用可能面積にも限界がある等、特殊な性格を持っておりますことにかんがみ、土地の利用の規制は、公共優先の観点から適正に行なわるべきでございます。このような基本的認識に基づき、政府は、一連の土地対策法案において、勧告に従わないときは公表することといたしておりますが、これは相当な社会的制裁を加えることとなり、また将来の予防効果も期待できますので、規制の目的を達し得るものと考えておるのであります。さらに、特別規制地域につきましては、一定期間土地売買を許可制とし、価格の凍結を行なう制度を創設することといたしております。しかし、全国的に地価を凍結することにつきましては、その必要性についての国民的コンセンサスの確立なしにはその実施が不可能でありますし、土地供給が減少し、適正な土地利用が阻害される等、重大な問題を含んでおりますので、慎重な検討を要するものと考えられるのであります。
 なお、公有地の拡大については、その積極的九推進をはかるために、先買い制度の拡充整備を内容とする公有地の拡大の推進に関する法律の改正案を今国会に提案をいたしておるのでございます。
 知事権限の剥奪等についての御発言がございましたが、御所論とは逆に、本法案は土地利用基本計画をはじめ、特別規制地域の指定等につきましては、すべてその権限を都道府県知事にゆだねることといたしておりまして、従来の地域立法に比べ、都道府県の権限を拡充強化をいたしておるのであります。内閣総理大臣が勧告、指示を行なうことができますのは、全国的観点、広域的観点から、特に調整する必要のある場合に限られておりまして、地方自治を尊重する方針に何ら変わりはありません。
 列島改造論、農業福祉社会の構想等について御質問がございましたが、日本列島改造論は、全国的な交通通信ネットワークの形成、工業の全国的再配置、新しい地方都市の建設を三本の柱として、国土の総合開発を行なおうとするものでございます。そのねらいは、明治百年間に形成された国土利用の偏在を是正し、過密・過疎問題の同時解消をはかり、全国土にわたって豊かな地域社会を建設しようとするものであります。すなわち、土地対策及び環境保全対策を講じつつ生活環境施設を中心とする社会資本投資の拡充、農林水産業、中小企業の近代化、教育環境の整備などを含めた総合的な施策を推進することによりまして、真に豊かな活力ある高福祉社会を築くことこそ、日本列島改造政策の目ざすところでございます。
 御指摘の人口と食糧との問題につきましては、先ほど申し上げたとおり、国土は三十七万平方キロもございますが、しかし水は、河川に流入する水はわずかに五千二百億トンでございまして、一方、人口は、人口問題研究所の推計によると、西暦二〇〇〇年には一億三千二百万人、昭和四十五年の約一・三倍に達すると見込まれるのでございます。国土の資源の有限性、人口増大とのかかわり合いをどう考えるべきか、特に食糧問題をどうとらえるべきかは今後の大きな問題なのでございます。
 このような課題を解決するために、国土総合開発法に基づき策定することとされております全国総合開発計画におきまして、具体的に検討し、長期的な展望を持って、農業問題をも含めた福祉社会を目ざす国土改造の長期構想を明らかにするものでございます。
 いま困難な問題がございます。しかし、過去があり、現在があり、あしたがあるのでありますから、この現在の事実を把握いたしまして、よって来たる過密の原因を十分指摘をし、これに対する長期的展望に立った政策を繰り広げない限り、物価問題も、土地問題も、住宅問題も、農業問題も、環境の整備の問題も、すべて解決しないわけでございまして、本国土総合開発法を除いて私は、真に国民が求める豊かな社会の建設はできない、こう信じておるのでございます。
 皆さんの御協力を切にお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(三木武夫君) 沢田君から、開発と環境の問題について御質問があったわけであります。今日までの日本の開発が、経済の効率性を求めて集中的に片寄り過ぎた開発が行なわれたことは事実であります。そのために、人間の生活と環境とのバランスを失ってきた。この際、国土の総合的開発を行なって、均衡のとれた日本に取り戻さなければならない。そのためには、開発を行なうということは緊急の課題であります。しかし、その開発が環境を破壊しての開発であってはならない。むしろ開発の促進と環境の破壊が対立したときには環境の保全をとるということであります。そういうことでありますから、問題を、環境か開発かという二者択一のところに持っていかないで、開発をする場合には、事前に環境の調査、計画の当初から調査、あるいは計画の実施の段階でも調査をいたしまして、環境と開発というものを両立させるところに内閣の基本的姿勢があるということでございます。(拍手)
   〔国務大臣金丸信君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(金丸信君) 人間環境をどのように考えておるかという沢田先生の御質問でございますが、国土総合開発の究極の目的は、豊かな人間環境を創造することにあると考えます。そのためには、都市、農村を通じて自然環境の保全と公害防止をはかりながら、住宅、公園、下水道等の生活環境施設、学校、病院等の教育、文化、厚生施設を整備して、健康で文化的な生活環境の確保をはかる必要があります。一方、今日の過密・過疎問題を解決するには、より根本的な対策として、大都市への人口、産業の集中を抑制するとともに、全国土の利用可能性を拡大し、地域の特性を生かした地方の開発整備を推進して、国土の均衡ある発展をはかってまいる所存でございます。
 なお、埋め立ての問題についてでありますが、今回の公有水面埋立法の一部改正につきましては、環境の保全、埋め立て地利用の適正化等の見地から、埋め立ての規制を強化しようとするものでありまして、今後の埋め立ては、国土の総合的かつ計画的な利用をはかるとともに、真に必要とされるものについて、従来以上に公害の防止、環境の保全に十分配慮しながら、関係者の理解も得て、慎重に処理してまいる所存でございます。
 土地の凍結の問題につきましては、総理から詳しく説明がありましたので、省略させていただきます。(拍手)
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(江崎真澄君) お答えを申し上げます。
 地価の高騰を押えるために、これを全国的に凍結してはどうか。これは総理からもお答えがありましたが、私ども政府としては、土地利用計画の策定、土地利用の規制、そうして土地税制の強化、と同時に宅地供給の促進、これに伴う特別措置、これを三本の柱にして、地価対策閣僚協議会できめておりまする十二項目を中心に推進をしていこうと、こういう政策で臨んでおるわけでございます。
 第二点の、国が地方自治体の自主性を制限しないか。これについては、総理からやはりお答えがあったとおりでありまするが、御承知のように、今度は県側に土地利用計画の策定、その特別規制地域の指定、相当な権限を地方にゆだねておるわけであります。国がこれに関与する場合は、都道府県間に、たとえば地域指定の不均衡があっては、これは同じ国として困ることが生じます。あるいは各都道府県を通ずる道路をつくるような場合に、やはり国がこれをどう調整するか、これは国民に対して国が責任を明らかにするというたてまえからも、最少限の国の権限というものをここに打ち出しておくことは当然必要である、これは地方自治を侵害するものではないというふうに考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣櫻内義雄君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(櫻内義雄君) 農業問題についてのお尋ねでございますが、食糧政策の基本は、国内生産が可能なものは、生産性を高めながら極力国内でまかなうべきは言うまでもありません。農林省が十年後の生産目標を立て、米、野菜、果実、鶏卵、肉類、牛乳乳製品等は完全自給ないし八割以上の自給をはかることといたしており、これがため、新たな土地改良長期計画に基づく農業生産基盤の計画的整備や、農業団地の育成を推進し、生産、構造、価格、流通等の各般の施策を強力に推進してまいる所存であります。飼料穀物のごとく生産性が著しく低く、やむなく輸入に相当部分を依存するものについては、その輸入の安定的確保をはかるため、長期輸入契約の締結、開発輸入の推進、輸入先の多角化につとめ、食糧の確保と安定供給に万遺漏のない対策を立てておる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#25
○議長(河野謙三君) 田代富士男君。
   〔田代富士男君登壇、拍手〕
#26
○田代富士男君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました国土総合開発法案について、田中総理並びに関係各大臣に対し、若干の質問を行なうものであります。
 質問の第一は、国土開発に対する政府の基本姿勢と土地利用基本計画についてであります。
 戦後の歴代保守内閣は、産業優先、成長第一を旨とし、その結果、経済は驚異的な成長を遂げ、GNP世界第二という経済大国になったのであります。しかし、それは同時に、環境と福祉を忘れた公害列島でもあったのであります。都市は大気が汚染し、騒音に悩まされ、過疎化の激しい農山村は目をおおうほどに荒廃してしまったのであります。また、カドミウム、水銀、PCBなどによって多くのとうとい生命が奪われたり、すべての家庭の食卓が危機にさらされ、日本列島は一億国民総被害者となってしまったのであります。そして田中内閣発足以来のこの一年間に、田中総理の唱えるいわゆる列島改造論を当て込んだ大手不動産業者の土地の思惑買いがさらに進み、また、商社の生活必需物資の買い占め、売り惜しみのため佐藤内閣時代以上に諸物価の高騰が続き、国民生活が著しく圧迫を受けてきたのであります。
 こうしたわが国の現状のもとにあって、政府はいかなる目的をもって列島改造を推進されんとするのか、また、国土総合開発計画の策定についての基本姿勢は何なのか。また、総合的な土地の利用をはかる土地利用基本計画をつくることになっておりますが、それができ上がるのは昭和五十年のことであり、当面の緊急対策になり得ないと思うが、政府はこの間、いかなる対策を講ずる考えなのか、明らかにしていただきたいと思うのであります。
 次に、土地利用基本計画の中における土地利用に関する規制の制度についてであります。
 わが国の土地利用に関する規制の制度は、都市計画法、自然公園法など、五、六十にわたる法律に規定されており、まことに複雑な制度となっているのであります。したがって、土地利用という国民の大事な権利を規制するのに、まことに理解しにくい形がとられているのであります。政府は、この国土総合開発法案において、土地利用に関する諸制度の基本とするべく土地利用基本計画と銘打っている以上、本計画と他の制度及びその相互間の斉合性をはかり、統一した形に改めるため、この際、すべての土地利用に関する制度を検討し、整理すべきではないのか。また、土地利用に支障がある場合の処置に関する規定については、勧告をし、その報告を求め、従わない場合には公表するものとしているのであります。はたして、この程度の措置をもって、その本来の目的にかなう規定と考えられているのかどうか、あわせて総理にお伺いするものであります。
 第二に、開発と農林漁業との対立問題についてであります。
 青森県むつ小川原地区並びに鹿児島県志布志湾においては、当初より開発事業者と地元農林漁業者との対立があり、この長期にわたる紛争はまことに憂慮すべきことであります。その原因の第一は、開発によって当然予想される公害に対するきびしい批判のためであります。また二つには、開発に対応して講ぜられるべき生活関連諸施設がなおざりにされ、かつ、工業優先のあまり、地域産業とのバランスをくずし、生活基盤たる農林漁業が継続できなくなるという反発のためであります。鹿島開発の例にも明らかなように、いわゆる農工両全を唱えていたにもかかわらず難航しており、いかに両者の並立がむずかしいかは言うまでもありません。今後の開発については、いやしくも農業切り捨てや漁業無視など決して繰り返してはならないと考えるものであります。
 政府は、国土開発と農林漁業の位置づけを明確にすべきであると思うが、総理並びに経済企画庁長官の御所見を承りたいと思うものであります。
 第三に、現在実施されている新産業都市建設及び工業整備特別地域などの拠点開発方式についてであります。
 わが国の地方開発の拠点として、地域への産業誘導によって企業の張りつけが行なわれ、各地においてその成果が待たれていたにもかかわらず、多くは、かえって開発に協力し公共投資を続けた地方公共団体の財政を疲弊させ、地域住民に思わぬ負担を招いているとさえいわれているのであります。
 そこで政府は、この地方の拠点方式による国土開発について謙虚に反省し、各事業計画についての実施状況の調査、その地域に与えた効果の測定、生活環境の保全に必要な万全の措置等を講ずべきであると考えるものであります。もし開発拠点を現状のまま放置したり、従来の開発事業を無視して新しい開発方式を取り入れるとするならば、これまでの投資が全くむだになるばかりでなく、住民の生活環境が破壊されたままとなり、いよいよ政治不信がつのるのではないかと思うからであります。
 政府は今後どのように対処されようとするのか、総理並びに環境庁長官にお伺いするものであります。
 第四に、この法案に基づく国土開発計画のあり方についてであります。
 全国総合開発計画は、政府の国土開発関係法の施策の基本となり、今後の開発行政を方向づけ、公共投資を誘導する役目を持つものといわれておりますが、これはきわめて国民生活に関係の深い計画であると言わねばならないと思います。
 ところが、国民にとってきわめて重要な利害関係を持つこの国土計画が、国会で審議、承認されなくてもよいことになっているのであります。加えて、従来の国土総合開発審議会のメンバーとなっていた国会議員がはずされており、それはいかなる理由によるものでありましょうか。また、わが国の国土開発の基本計画であるならば、その計画を国会に提出し、十分審議を尽くし、承認を得ることこそ大切であると思うものであります。そして計画の実施状況についても、国会に年次報告を行なうべきではないか、あわせて総理並びに経済企画庁長官の御所見を承りたいと思うものであります。
 第五に、国総法と地方自治のあり方についてであります。
 法案によれば、知事が特別規制地域並びに特定総合開発地域を指定する場合には、内閣総理大臣の承認を得なければなりません。この規定は、地方自治に対する中央権力の介入のおそれがあり、地方の実情を無視し、国政の思惑どおりの開発を行なわせようとするものであります。こうした規定を設けた理由は何か、また、地方自治の精神をどのように理解しておられるのか、総理並びに自治大臣にお伺いするものであります。
 第六に、特別規制地域に関連して、暴騰する地価問題についてであります。
 政府は、特別規制地域の制度は、暴騰する地価を抑制する切り札とされていますが、なぜこの程度の制度をもってそのようなことを言われるのか、明快なる御説明をいただきたいと思うものであります。
 地域指定の範囲をシビアにしぼれば、その周辺地域と極端なアンバランスが生じることは明らかであります。また、最大五年間の地域指定の期間を過ぎると同時に起こる地価の急上昇は、周辺の実勢から見て避けることができないことは明らかであり、地価抑制について何ら実効が期待できないのであります。むしろ、第三セクターなどによって地域のスプロール化が懸念されるなど、多くの疑問が起こるのであります。総理並びに経済企画庁長官の明快なる御答弁を承りたいと思うものであります。
#27
○議長(河野謙三君) 田代君、田代君、時間が超過いたします。簡単に願います。
#28
○田代富士男君(続) 最後に、特別規制地域制など私権制限のあり方についてであります。
 わが国の憲法は、私有財産を認め、私権制限については、法律によることと定めているのであります。しかるに、重大な私権制限を伴うこの特別規制地域の指定について、地域指定の要件や指定の手続が法律上あいまいなまま、法律の手を離れた知事の公示と内閣総理大臣の承認にゆだねられており、知事の恣意が働く危険があるのであります。
 憲法が認める国民の基本的権利について重大なる制限を伴うこのような規制について、なぜ法律上厳密な規定を設けるなど慎重に配慮しなかったのか、総理にお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(田中角榮君) 田代富士男君にお答えをいたします。質問が多岐にわたっておりますから、一つずつお答えをいたします。
 第一は、列島改造、国土開発の基本姿勢についてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、日本列島の改造は、片寄った国土利用を改め、国土全体の均衡のとれた発展をはかり、きれいな空気と水、緑に恵まれた住みよい地域社会を計画的に建設をしようとするものでございまして、国民のひとしく要望する政策課題であると考えておるのでございます。ただ、国土の総合開発を進めるにあたりましては、地価の上昇、環境破壊のないよう配慮することが重要であります。このため、政府としましては、本法律案をはじめ関連の諸法案を国会に提案をし、御審議をお願いをいたしておるところでございまして、一日も早く成立をさせていただきたいと、こう考えておるのでございます。
 なお、土地問題の緊急性にかんがみ、土地利用基本計画の作成は、全国総合開発計画や都道府県総合開発計画が作成される昭和五十年を待たないで、法施行後すみやかに作成をいたしたいと、このように考えております。
 土地利用に関する制度全体を検討、整理すべきではないかという御趣旨でございますが、土地利用基本計画と都市計画等の土地利用に関する諸計画の関係につきましては、土地利用基本計画を都市計画の上位・先行計画として、土地利用に関する諸計画の調整及び方向づけを行なうことにいたしておるわけであります。また、これに伴いまして、今国会において、他の土地利用に関する計画につきましても所要の改正を行なうことといたしております。
 土地取引の届け出・勧告制におきましては、土地の取引価格や利用目的が不適当なものにつきまして、都道府県知事が土地取引の中止などを勧告することができるものとしておりまして、通常はこれだけで実効があがると考えられるわけでございます。かりに勧告に従わないときは公表することといたしておりますが、この公表制度は、現在の社会情勢から見て、相当な社会的制裁を加えることになり、あわせて将来の予防効果をも期待することができるのでありまして、十分規制の目的を達し得るものと考えておるわけでございます。なお、投機的な取引による地価の急騰を特に抑制する必要がある地域につきましては、特別規制地域といたしまして指定し、土地取引の許可制を行なうことができることにいたしておることは、御承知のとおりでございます。
 次は、国土開発と農林漁業の位置づけでございますが、これも先ほど申し上げたとおり、農林漁業及び農山漁村は、国民に食糧等を安定的に供給するだけではなく、国土と自然環境を保全し、健全な地域社会を維持する上で重要な役割りを果たしておるのであります。今後、国土の総合開発を進めますにあたっては、このような農林漁業、農山漁村の役割りを十分評価し、その健全な発達をはかってまいりたいと考えます。
 次は、新産、工特などの拠点開発方式の実施により、かえって地域住民に負担をかけないかということでありますが、新産、工特等の拠点開発方式は、人口及び産業の大都市集中の抑制、地域格差の是正という所期の目的を達成しつつあることは事実でございますが、その建設過程におきまして、公害問題、生活環境問題、地方財政問題などが一部の地域におきまして生じておることは、御指摘のとおり否定できないのであります。したがいまして、今後は、これらの諸問題を解消するための措置を積極的に講じますとともに、魅力ある地域社会の形成につとめてまいるつもりでございます。
 次は、全国総合開発計画は国会の審議、承認にかからしめよという趣旨でございますが、全国総合開発計画は、国総法案に定める国土総合開発の基本理念に従いまして作成される行政上の計画という性格を持っておりますので、国会の議決を要しないことにいたしたわけでございます。また、国会議員は最も高い地位と視野から国会の場で諸法律を審議する権限を有するものでありますから、国土総合開発審議会の委員には含めないことといたしておるのであります。さらに、計画の実施状況につきましては、種々の機会を利用して、国会に報告をしてまいりたいと考えます。
 知事が特別規制地域や特定総合開発地域を指定する場合、内閣総理大臣の承認を得なければならない規定はどういうことか、こういうことでありますが、先ほども述べましたとおり、特別規制地域や特定総合開発地域の指定等については、地方自治尊重の立場に立って、すべてその権限を都道府県知事にゆだねることにしておりまして、従来の地域立法に比べて、都道府県知事の権限を拡充強化をいたしておるのが実情でございます。内閣総理大臣の承認制をとりましたのは、都道府県間で地域指定の不均衡を生ずることがないよう、制度の適正な運用をはかることが必要と考えたからでございます。
 次は、特別規制地域で地価の急上昇は不可避ではないかというような趣旨でございますが、特別規制地域の指定は、開発事業の規模などの諸要件を総合的に勘案して行なうこととしておりまして、地域の指定後、すみやかに特定総合開発地域の指定や都市計画の決定などを行なうことといたしておりますので、投機的取引の余地が封じられ、地価の急激な上昇は生じないものと考えておるのでございます。他方、これと関連をして、政府としては、法人の土地譲渡所得税の重課、特別土地保有税の新設等、土地税制の強化などの措置を講ずることにいたしておりますので、これらの措置と相まって、地価の抑制に資することになると考えておるのであります。
 最後に、特別規制地域の指定につきましては、地域指定の要件や指定の手続を法律に厳密に規定すべきではないかということでございますが、特別規制地域の指定手続につきましては、事前の手続に日時を要して、土地の投機的取引に対してその実効性がそこなわれることがないように配慮したものでありまして、事後的に、都道府県知事は、土地利用審査会及び関係市町村長に対する報告または通知並びに内閣総理大臣に対する承認申請をしなければならないということにいたしましたのは、慎重かつ公正を期するがためでございます。以上のように、特別規制地域の指定が知事の恣意にわたることはないと考えますが、御指摘のように重要な問題でございますので、具体的のケースに応じた適正な制度の運用については、十分な行政指導をしてまいるということで御理解をいただきたい。以上。(拍手)
   〔国務大臣小坂善太郎君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(小坂善太郎君) 田代さんにお答えいたしますが、私に対する御質問は三点ございましたが、全部総理からお答えがございました。簡単に補足をさせていただきます。
 まず第一点は、開発と農業との関係でございまするが、これは農業の重要性にかんがみまして、今後の全国総合開発計画の策定にあたりましても、農林漁業の位置づけ、これを明確にしてまいりたいと、こう考えております。
 次には、全国総合開発計画と国会との関係でございますが、本法案において国土総合開発の基本理念及び計画実施を規定することになっておりまして、これに従って計画が作成されまするので、立法府の意向というものは十分に反映されるものと考えられますし、また、立法府と行政府との機能の分担という観点からも、計画の策定は行政府にゆだねられることが適当であると考える次第でございます。
 三番目は、特別規制地域と地価の上昇抑制機能との関係でございますが、これは、予定される開発事業の規模、種類または市街化の進行の度合い、形態、あるいはその地域の土地利用の動向、また、その地域の地形などの自然的な条件、さらには市町村の行政区画などを総合的に勘案して行なわれることになりまするので、指定された地域のほかにおいては、通常の場合、地価が急激に上昇されることは考えられないと思いまするが、しかし、指定後はすみやかに都市計画の決定等を行なうほか、事業の実施をいたしまして、そういうおそれをなくすように極力つとめたいと考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(三木武夫君) 田代君が、新産業都市に見られるような産業開発拠点主義に対する私の見解を求められましたが、新産業都市とか工業整備特別地域に見られる拠点開発主義というものが、工業の地方分散に役割りを果たしたことは事実でありますけれども、住宅と工場との分離が十分でない、あまりにもあらゆる産業が狭いところに集中し過ぎたというためにいろんな弊害が起こっておることは事実であります。したがって、今後は、やはり公害防止、環境全体の容量、あるいはまた災害の防止、地域住民の福祉という見地から、あまりにも過度にある地域に産業が集中するという事態は避けるようにしなければいかぬ、住宅と工場との分離もしなければならぬ、こういうことで拠点主義による弊害を是正していきたいという考えでございます。(拍手)
   〔国務大臣江崎真澄君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(江崎真澄君) 土地の利用計画、土地利用の規制、こういった都道府県知事の提出するものは、総理の承認を求めなければならぬ、これは地方自治権の侵害ではないか。先ほどもお答え申し上げましたように、これは必要最小限に限っておるわけでありまして、都道府県間で地域指定の不均衡を生ずることのないよう制度の適正かつ公平な運用ができるように、こういう意図に発するものでありまするから、これが地方自治を侵害するなどということは絶対ありません。むしろ、これは総理も申しておりまするように、都道府県知事にそういった計画の策定、規制等々大幅な根本的な権限をゆだねておる、これに御着目を願いたいと思います。(拍手)
#33
○議長(河野謙三君) これにて質疑は終了いたしました。
     ―――――・―――――
#34
○議長(河野謙三君) 日程第二 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長大橋和孝君。
   〔大橋和孝君登壇、拍手〕
#35
○大橋和孝君 ただいま議題となりました法律案は、戦傷病者戦没者遺族等援護法のほか、関連する五法律の改正案であります。
 改正の第一は、障害年金、遺族年金、重度の障害年金受給者に対する特別加給等の支給金額をそれぞれ恩給の改正に準じて引き上げ、あわせて、軍人軍属と準軍属との間の年金額の格差を撤廃すること。
 第二は、軍属、準軍属に対して、日華事変中の本邦内における勤務関連傷病に起因する障害、死亡について、軍人と同様に傷害年金、遺族年金を支給する道を開いたこと。
 第三に、戦没者の妻及び父母並びに戦傷病者の妻に交付する特別給付金を前回の国債償還が終わった後にあらためて支給すること、等であります。
 委員会におきましては、慎重に審議を行ないましたが、七月十日質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、今後一段と援護水準の引き上げをはかること、未処遇の戦争犠牲者に対して援護を拡充すること等の諸点を内容とする附帯決議を全会一致をもって付することに決定いたしました。
 以上御報告を申し上げます。(拍手)
#36
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#37
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#38
○議長(河野謙三君) 日程第三 地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長久次米健太郎君。
   〔久次米健太郎君登壇、拍手〕
#39
○久次米健太郎君 ただいま議題となりました地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律案は、地方公共団体の経営する路面交通事業の深刻なる経営危機を打開する等のため、所要の措置を講じようとするものであります。
 内容の要点を申し上げますと、路面交通事業で収支が均衡せず、昭和四十七年度末において不良債務を有する事業について、昭和四十八年度を初年度とする新たな経営の再建制度を発足させることとし、この法律によって経営の再建を行なおうとする地方公共団体は、議会の議決を経て再建の申し出を行なった上、十五年度以内の経営の改善及び効率化等に関する交通事業再建計画を定め、自治大臣の承認を得るものとしております。
 また、再建団体は、昭和四十七年度末における不良債務をたな上げするため交通事業再建債を発行することができることとし、国は、その利子のうち、年三・五%から公営企業金融公庫の基準利率までの部分と年三・五%以下の政令で定める部分を補給することとし、また、その元本及び国の補給する部分以外の利子は、当該地方公共団体の一般会計が負担することといたしております。
 このほか、再建団体は、関係行政機関の長等に対し、路線バスの円滑な運行を確保するために必要な措置を講ずるよう申し出ることができることとする等、所要の規定を設けております。
 委員会におきましては、参考人より意見を聴取する等、慎重な審査を行ないましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、討論を行ない、採決の結果、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました、
 なお、本案に対し、都市交通環境の抜本的な整備改善をはかるとともに、料金決定方式の届け出制の検討、許認可制度の整理簡素化、交通事業再建債の元金償還財源の確保、行政路線に対する行財政上の措置、地下鉄事業に対する国庫補助制度の拡充等について政府の善処を求める附帯決議を付しております。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#40
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#41
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#42
○議長(河野謙三君) 日程第四 漁船損害補償法の一部を改正する法律案
 日程第五 漁船積荷保険臨時措置法案
 日程第六 水産業協同組合法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長亀井善彰君。
    〔亀井善彰君登壇、拍手〕
#43
○亀井善彰君 ただいま議題となりました三法案について、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 まず、漁船損害補償法改正案は、漁業者の保険需要に即応して漁船保険の目的と組合員の範囲を拡大し、漁船保険能力に応じて政府の再保険金額が適切に設定できるよう措置する等の改正を行なうとともに、国の再保険特別会計に生じた剰余金のうち、三十五億円を漁船保険中央会に交付しようとするものであります。
 次に、漁船積荷保険臨時措置法案は、試験的に漁船保険組合が漁船積荷保険事業を行ない、漁船保険中央会がその再保険事業を行なうことができることとする等、漁船に積載する漁獲物等につき適切な保険制度の確立に資することとし、昭和四十八年十月一日から施行し、その日から五年をこえない範囲内で、別に法律で定める日に失効することとしております。
 次に、水産業協同組合法の一部改正案は、貯金等の受け入れの事業を行なう漁業協同組合等が内国為替取引を行なうことができることとし、信用事業を行なう漁業協同組合等に対し、手形の割引等を行なうことができることとしております。
 委員会におきましては、三法案を一括して審査し、法改正の背景となった水産業を取り巻く諸情勢、漁船等の海難防止、保険料率の引き下げ、漁船保険中央会に対する交付金の活用、漁船積荷保険と民間損害保険との関係、積荷保険の内容と本格実施の早期実現、船主責任保険の必要性、漁船保険組合、漁業協同組合等の合併、為替、手形を取り扱う漁協等の基準等について質疑が行なわれました。
 なお、この間、水産業協同組合法改正案の審査に資するため、有明海等における水銀等の汚染による漁業被害の実情調査を目的として、熊本、福岡、長崎三県に委員派遣を行ないました。
 質疑を終わり、別に討論もなく、漁船損害補償法改正案及び漁船積荷保険臨時措置法案を順次採決いたしましたところ、両法案とも、それぞれ全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 続いて、両法案に対し、漁船保険組合員の負担の平等、軽減、組合の合併、経営の改善、漁船積荷保険の内容の充実、総合的補償制度の創設、船主責任保険の早期実現、交付金の使途についての民主的運営等五項目にわたる附帯決議を全会一致をもって決定いたしました。
 次に、水産業協同組合法改正案を採決の結果、多数をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 続いて、漁業協同組合の合併の促進、為替取引、手形割引等の実施基準の弾力的運用と事故防止対策、漁業協同組合等の職員の給与及び労働条件の改善等三項目にわたる附帯決議を多数をもって決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#44
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。
 まず、漁船損害補償法の一部を改正する法律案及び漁船積荷保険臨時措置法案を一括して採決いたします。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#45
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、両案は全会一致をもって可決されました。
     ―――――・―――――
#46
○議長(河野謙三君) 次に、水産業協同組合法の一部を改正する法律案の採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#47
○議長(河野謙三君) 過半数と認めます。よって、本案は可決されました。
     ―――――・―――――
#48
○議長(河野謙三君) 日程第七 郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。逓信委員長茜ケ久保重光君。
   〔茜ケ久保重光君登壇、拍手〕
#49
○茜ケ久保重光君 ただいま議題となりました法律案につきまして、逓信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における経済事情の推移にかんがみ、郵便切手類等の売さばき人に支払われる手数料の率を若干引き上げようとするものであります。
 委員会におきましては、売さばき所業務の実態、少額売さばき所に対する料率等の改善、売さばき人団体の組織及び運営に関する問題等について熱心な質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 かくて質疑を終え、討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#50
○議長(河野謙三君) これより採決をいたします。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#51
○議長(河野謙三君) 総員起立と認めます。よって、本案は全会一致をもって可決されました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後零時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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