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1972/09/22 第71回国会 参議院 参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第36号
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1972/09/22 第71回国会 参議院

参議院会議録情報 第071回国会 本会議 第36号

#1
第071回国会 本会議 第36号
昭和四十八年九月二十二日(土曜日)
   午後七時五十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四十号
  昭和四十八年九月二十二日
   午前十時開議
 第一 特定市街化区域農地の固定資産税の課税
    の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法案
    (内閣提出、衆議院送付)
 第二 公害健康被害補償法案(内閣提出、衆議
    院送付)
 第三 瀬戸内海環境保全臨時措置法案(衆議院
    提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、防衛庁長官山中貞則君問責決議案(鶴園哲
  夫君発議)(委員会審査省略要求事件)
 一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)を日程に
  追加して議題とするの件
 一、内閣委員長高田浩運君解任決議案(片岡勝
  治君外三名発議)(委員会審査省略要求事
  件)
 一、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
     ―――――・―――――
#3
○議長(河野謙三君) これより会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 鶴園哲夫君発議にかかる防衛庁長官山中貞則君問質決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。鶴園哲夫君。
    ―――――――――――――
   〔鶴園哲夫君登壇、拍手〕
#5
○鶴園哲夫君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました防衛庁長官山中貞則君の問責決議案につき、趣旨説明をいたします。
 まず、決議案文を読み上げます。
   防衛庁長官山中貞則君問責決議案
  本院は、防衛庁長官山中貞則君を問責する。
  右決議する。
 理由。
 防衛庁長官山中貞則君は、日本国憲法に基づいて行政を遂行する重責にあるにもかかわらず、去る九月七日の、自衛隊は違憲である、防衛庁設置法、自衛隊法は憲法違反であるという明快な判決が示されたあとも、防衛力増強を企図し、防衛庁設置法一部改正、自衛隊法一部改正、いわゆる防衛二法案の今国会成立を強く推進をし、何らの反省もなく、また、この判決を真剣に考える政治的良心のかけらも見られません。三権分立のたてまえを堅持する民主主義国家、また、平和主義を原点とする日本国憲法下の国務大臣として不適格であります。
 これが本決議案を提出する理由であります。
 以下、若干の説明をいたします。
 自衛隊は憲法違反であるという、いわゆる違憲論議は、自衛隊発足以来、国会において二十余年にわたって熱心に、きびしく論議されてきたところであります。また、公法学界におきましても研究論議が行なわれ、九割に近い学者が違憲論者であります。合憲論者は一割にすぎません。公法学界にありましては、自衛隊の憲法違反は定説であります。かくして、最終的に裁判所が違憲の判決を下したものでありまして、学界としてはもちろん、国民大多数の憲法の理解と全く一致するものであります。文字どおり、憲法の原点に立った正しい解釈を下したもので、まさにわが国司法部、裁判所が示した初めての憲法九条に関する判断で、歴史的に重大な判決であります。
 裁判長は判決後、被告である国側は控訴するであろうが、日本国憲法を中心に解釈しようとするならば、われわれの考え以外にあり得ないと語っております。そのとおりであります。憲法に忠実な裁判官が存在する以上、自衛隊違憲の判決は避けられないことは明白であります。
 また、この判決は、四年二カ月にわたりまして、事実審理において自衛隊の実体を初めて真正面から裁判の爼上にのせ、現役の陸幕長、海幕長、空幕長の三幕僚長をはじめ自衛隊関係者二十四名が証言台に立っています。そして自衛隊の規模、組織、能力、武力等の詳細な事実審理に基づきまして、自衛隊は戦力であり、軍隊であると判断をいたしたもので、まさに画期的なものであります。
 この事件は、被告である国が控訴いたしましたので、高裁、最高裁の途中にありますけれども、このことは、この判決の歴史的な重大な意義をいささかも左右するものではありません。一国の軍事力が、一国の軍隊の存在そのものが、その国の裁判所で憲法に違反しているという判決を行なったことは、何と申しましてもたいへんな事態でございます。世界にその例がありません。このような判決をあえて下さなければならない重要さを、日本国憲法の平和主義は明確に厳然と持っていることを、あらためて防衛庁長官は深く銘記すべきであり、また、えりを正して真剣に考える必要と義務があります。
 しかるに、防衛庁長官は、すでに八月の段階から、違憲判決が出ることを想定したような、また、これを無視するような、長沼判決についてという膨大な三種類のパンフレットをつくり、これを全国の自衛隊に配布し、さらに、判決が出るやいなや、当日直ちに陸海空の三自衛隊に向かって異例の訓示を行なっております。長沼判決を無視し、まっこうから否定するがごときは許すことができません。
 昭和二十五年八月警察予備隊発足、二十七年講和条約発効と同時に保安庁に拡大、二十九年防衛庁設置法、自衛隊法の成立と同時に防衛庁、自衛隊に拡大、三十三年から三カ年間の第一次防衛力整備計画、三十七年から五カ年間の第二次防、四十二年から五カ年計画の第三次防、そして、四十七年から五カ年計画のいわゆる第四次防と、軍事力、再軍備は膨張に膨張を重ね、倍増ゲームを繰り返しています。いまや、世界有数の軍事力を持つに至っております。膨張を重ねてとどまるところを知らない自衛力について、国民大多数はだれしも深い不安を抱いております。さらにアジア諸国にあっても、日本の軍国主義化、軍事的大国化を危険視し、警戒心を強めているところであります。
 この国会にあっても、自衛力の具体的限界の論議が激しく行なわれました。政府は、国際情勢や軍事技術の進歩などにより相対的に変動するので、客観的、具体的には示せぬと答弁をいたしております。この見解は、防衛のため、自衛のためなら、いかなる武器でも、どのような膨大な軍事力でも持てるということになりかねません。いわゆる歯どめが全くないのであります。
 ここに至って、ますます平和憲法と自衛力との矛盾は絶頂に達したと言わなければなりません。ただいま国会に提出の防衛二法案は、この矛盾を格段に深めようとするものであります。二万六千名に達する膨大な欠員があり、これからもこの欠員を埋める見込みは全くない。逆にますます欠員の増大すら見込まれる。それにもかかわらず新しく約七千名の自衛官をふやそうという、常識では考えられないものであります。また、自衛隊の幹部を訓練し養成する防衛大学校は理工科系を中心にしてきましたが、今回新しく文科系の講座を二つ設け、さらに防衛医科大学校を新しくつくろうといたしております。この防衛医科大学校は軍事医学、特に医学兵器、いわゆるみな殺しの医学研究にひとり歩きをするのではないかと、深く懸念されているところであります。理工系中心の防衛大学校に文科系を、さらに防衛医科大学校を新設、このようにして、きわめて閉鎖的な膨大な防衛総合大学がつくられようといたしております。
 第四次防とともに、日本の自衛隊は質的に新しい段階に入ったと断定せざるを得ません。ある民間人はこう言っております。政府は悪質きわまる土建屋みたいなものだ、違法建築であると一審の判決が下れば、普通の建築屋ならこれを受け入れるものだ、受け入れなければ仮処分の申請を出す、しかるに、政府に対してはそれが出せないことをよいことにして、判決を無視して、これにおかまいなしにますます増築に増築を重ねようという、国民の気持ちに全く反するひどい悪質な土建屋みたいなものだというのであります。まして、建築法とは根本的に違う国の存立をきめた憲法に違反するという判決が出されたにもかかわらず、四次防の増強計画、また防衛庁設置法一部改正、自衛隊法一部改正の成立にやっきになり、また最近九月一日に、四十八年度よりはるかに膨張しました一兆一千億円という四十九年度の防衛庁概算要求を提出して、その獲得に努力をいたしております。こういった防衛庁長官の態度は許すわけにまいりません。
 自衛隊発足以来、政府は、憲法九条が禁止するいわゆる戦力とは、近代戦を遂行するに足る装備と組織のことである、これに至らない自衛力は禁止するところではないと言い、さらに自衛のための必要最小限度の実力は禁じられていない、また、専守防衛の自衛隊などと、軍事力の急膨張に伴って種々の詭弁を弄して、この二十数年にわたって日本国憲法をかってにねじ曲げ、自衛隊は合意であると強弁し続けてきました。この憲法を踏みにじってきた政府の態度は、まことに責任重大であります。政府は、口を開けば、法治国家である、国民は法律を守れ、尊法精神を持てと言ってまいりました。その政府みずからが憲法を踏みにじってきたことは、その責任はまことに重大と言わなければなりません。
 長沼判決が違憲の判決を出すやいなや、政府は統治行為論で逃げようとする気配がきわめて濃厚であります。長沼判決は、裁判所の違憲審査権の行使は慎重かつ控え目にしなければならないが、重大な違憲の疑いがある場合で、その事件の根本的解決のためには審査権の行使が不可欠であると認められるときは、裁判所はこれを行使する義務がある、そうでなければ、裁判所は、現実に重大な違憲の状態があった場合に、みずからこれを黙過する結果になるからである、一定の国家行為を司法審査の範囲から除外しようといういわゆる統治行為論は、法治主義に対する例外をなすものであるから、制限的に解すべきであると明快に述べております。
 自衛隊が憲法に違反するという憲法九条の解釈を正面から論破することは、何人といえども不可能であります。このように明白な内容を持つ憲法に自衛隊が違反しているかどうかという事柄を、裁判所に審査権がないという考え方は、裁判所の持つ憲法保障機能をまっこうから否定する何ものでもありません。
 私は、以上述べましたように、防衛庁長官山中貞則君の、何らの反省もなく、また、この判決を真剣に考える政治的良心のかけらもないのみならず、逆にこれを無視し、まっこうから否定し、防衛力増強にやっきになっている態度は許すことができません。少なくとも、当面この国会に上程されております防衛庁設置法一部改正、自衛隊法の一部改正は廃案にすべきであります。また、第四次防衛力整備計画を凍結をし、四十九年度の予算も凍結をすべきであります。
 このような立場から、日本国憲法下の国務大臣として不適格であることを重ねて強調をいたします。議員各位の御賛同を心からお願いをいたしまして、私の趣旨説明を終わります。(拍手)
#6
○議長(河野謙三君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。鈴木力君。
   〔鈴木力君登壇、拍手〕
#7
○鈴木力君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されております防衛庁長官山中貞則君の問責決議案に対しまして、賛成討論を行ないます。
 防衛庁長官山中貞則君は、かつて総理府総務長官、沖繩開発庁長官を歴任をしまして、若手閣僚としてその清新さを、実務的能力と鋭い判断力、機敏な活動力等々、名大臣としての評価が高かったのであります。特に、沖繩復帰にあたっては、沖繩県民に対して、政府における唯一の理解者として、沖繩県の置かれている数々の諸問題を、沖繩県民の立場に立って解決すべく努力いたしたことは、結果的にさまざまな条件にさえぎられて、実りはきわめて少なかったとは言え、率直に評価されるべきものがありました。また、国会におきましても、その答弁の態度は、その当時は、野党の主張に耳を傾け、それを取り入れるという真剣な態度には、私も敬意を表しておった一人であります。
 ところが、残念なことに、私のこの山中貞則観は、山中貞則君が防衛庁長官に就任したときから、日増しにくずれてまいりました。
 その第一は、あれほど筋を通し、合理的思考と行政の持ち主であったはずの山中貞則君が、常に国民を欺瞞し、カラスをサギと、サギをカラスと言いくるめて、ひたすらに軍事拡大をはかろうとしている防衛庁の陣頭指揮官になったことであります。
 若干の例をあげますならば、まず沖繩県に対する諸施策がその第一でありましょう。
 さきに述べましたように、山中貞則君は沖繩県の事情はだれよりも詳しく知っているはずであります。沖繩県の人たちが、明治十二年「抑も政府の国内経営するに当っては、その要地、所在に鎮台又は分営所を散置して、以ってその地方の変に備う。是れ政府、国土、人民の安寧を保護するの本分、義務にして、他よりこれを拒み得る権利なし、是れ断然御達相成たる所以なり」云々という、当時の政府の強権的な一片の通達で熊本鎮台分営所が強行設置されたこと、そしてこれに対して当時の沖繩藩庁が「琉球は、南海の一孤島にして、如何なる兵備を為し、如何なる方策を設くるとも、以って他の敵国、外患に当るべき力なし。此の小国にして兵あり、力あるの形を示さば、却って求めて敵国、外患を招くの基となし、国遂に危ふし、寧ろ兵なく、力なく、惟礼儀柔順、以って外に対し、所謂柔よく剛を制すを以て国を保つに如かず」云々と、住民の意思を代表して、非武装中立論を主張して反対した事実を御存じないはずがありません。
 この沖繩県民の意思が、国家権力によってじゅうりんされ、その後、第二次世界大戦争に突入することによりて、空軍を主とする軍の派遣が強められ、実に十六カ所の飛行場が建設され、広大な民有地が、国家総動員法によって強引に軍用地として接収されたのであります。
 さらに戦後、沖繩県がアメリカ軍政の支配を受け、問題の接収地は一方的に国有地として登録されたのであります。昭和四十六年四月二十一日付「沖繩タイムス」によりますと、これらの接収地は、地主たちの所有権の返還を叫び続ける声もはばまれたままで、これらの地主たちの独自の調査によって、嘉手納空軍基地をはじめ、那覇空軍基地等三百五十三万坪に及ぶ接収地が、国有地を管理する大蔵省に、国家総動員法によって接収をされたという記録もなく、国有地としての登録もされていないことが明らかにされたということであります。
 時間の都合もありますので、具体的例は多く申し上げませんが、沖繩県民が国家権力によって強引に軍隊を押しつけられ、太平洋戦争によって数十万の同胞、家族を失い、さらに、いま述べたように全く理不尽な土地の取り上げが行なわれたままになっているのであります。
 さらに、終戦後、米軍の接収によって米軍基地はますます拡大強化され、米軍の極東地域戦略基地として固定化され、米軍によって県民が数々の被害を受け、基地によって開発がはばまれ、民生不安のまま今日に及んでいることは、いまさら列挙するまでもございません。総理府総務長官時代、閣内第一の沖繩理解者としてみずから任じていた山中貞則君が、この間の事情を知らないとは言うはずがありません。
 そして現在、政府に対して沖繩県民が何を最も強く望んでいるのか。それは第一に、アメリカの軍事基地の撤去であり、自衛隊の配置のない、言いかえれば火薬のにおいのない平和な緑の島、十分に土地を利用しての開発による繁栄であることは、だれでも骨身にしみてわかっているところであります。それだけに、防衛庁長官に就任した山中貞則君の第一の仕事は、この県民の願望にこたえることではなかったのでしょうか。ところが、実際はこの県民感情をさかなでして、米軍基地の整理については、基地とも言えない小さな施設を数だけ並べて、多く返還させたかのようにごまかそうと試みているのではありませんか。
 特に許すことができないのは、自衛隊の派遣であります。さきに述べましたように、沖繩は二十七年間、アメリカの領域に組み入れられ、米軍の極東における最大最重点基地であったし、現在も変わっておりません。ここにわが自衛隊が軍事力を常駐させるということは、自衛隊創設以来かつてなかった重大な戦略、装備の変更であって、わが国の憲法上制約されている自衛隊のあり方を根本からくつがえしているのであります。
 そしてさらに、明らかに自衛隊法改正なくしては不可能な沖繩派兵を、臨時という名によって合法であるという説明は、まさにペテン師の言いぐさではありませんか。国民を欺き、同時に国会を無視するこの態度こそ、絶対に許すことができないのであります。
 さらに、さきに述べた熊本鎮台分営所設置以来の軍アレルギーを持つ沖繩県民感情を知りながら、熊本に本部のある西部方面隊の隷下に沖繩部隊を置くということは、まさに沖繩県民に対する挑発行為ではありませんか。
 私は、まず、総務長官時代の山中貞則君に立ち返って、直ちに沖繩にある自衛隊を引き揚げるべきであると思います。同時に、米軍基地の撤去のために最大の努力をなすべきであり、そうした努力の実績を国民に示すべきであるということを強く勧告いたします。
 私が怒りをもって山中防衛庁長官を問責いたしたいのは、山中貞則君の憲法に対する態度であります。去る九月七日、本院内閣委員会において防衛二法の審議の最中に、歴史に残る長沼判決が出されました。あの判決は、政府が従来主張してまいりました司法になじまないという思想を正面から否定し、憲法第九条の解釈については、その前文とあわせ考えて、立法の趣旨を追求し、さらに作戦計画、機動力、火力などの戦闘能力、教育訓練の実態、装備、編成など自衛隊の実体を、陸海空幕僚長など多数の証人調べなどによって、その実体を明らかにしたものであります。その結果、侵略的、攻撃的装備、陸海空三軍別に幕僚組織と実戦部隊に分かれた編成、三矢研究、フライングドラゴン、ブルラン作戦など、一連の日米合作による侵略的作戦計画、これを物質的に裏づける三次防、四次防などの軍事力拡張計画などを考えると、どの点から見ても自衛隊は、対外侵略戦闘を目的として組織、訓練された武装集団でありまして、憲法の禁止する「陸海空軍その他の戦力」であると断定したのであります。
 この判決は、憲法の条文に照らしても、実体論からも、一つの疑問をはさむ余地のない明快な判決であります。この判決が出るや、全国の世論はこれの意義を高く評価し、判決に従って対処すべき国民の声が日増しに拡大されているのであります。
 これに対し、山中長官は、下級審の判決に拘束されず、上訴の手続をとった政府の態度を支持し、戦力と自衛力の言語の使い分けを行なって、自衛のための必要最小限度の防衛力というような、わけのわからない解釈論を押し通してまいりました。この解釈は、本来憲法改正を企図しながらも、現在の国民世論、国会の議席差等から憲法改正が不可能であるという立場から、自民党に不利であるという全く利己的な立場からの、権力を背景にしたゴリ押し論にすぎません。
 事の合理性を主張し、国民の意思を尊重するという山中貞則君は、ここで、従来の防衛庁のとってきた立場にとらわれず、次元の高い政治家として、まず判決を尊重し、違憲の自衛隊の解体を前提にしながら、第一に、長沼ナイキ基地を解体し、伐採された保安林を旧状に回復すること、第二に、本院で審議中の防衛二法案を撤回し、一兆円をこえる明年度予算要求を白紙に戻すなどの、最低限度の措置を講ずるべきであったと思います。
 かりに、下級審の判決に拘束されないという立場に立ったにしても、少なくとも、判決を尊重して、謙虚に、現状に凍結して最終判決を待つという態度こそが重要であるべきであります。
 政府は、元来、公務員に対しては、起訴された者は休職にするという、一審判決はおろか、起訴の時点で休職を強要してまいったのに、自衛隊は全く拘束されないと抗弁するのは、やはり軍優先の権力的な姿勢であって、許さるべきことではありません。
 最後に、文民統制の直接責任者であるべき防衛庁長官の山中貞則君に苦言を呈します。
 本院内閣委員会において、わが党の前川君の、自衛隊がクーデターを起こし、あるいは徒党を組んで外国を侵略することに対する対策について質問した際、長官は、文民統制の立場に立って、文人の防衛庁長官が指揮監督の責任をとるのであるから、そのようなことはあり得ないと答弁をされました。しかし、たとえば今回の長沼判決にあたっても、長官の許諾を待たずに、判決を予想して、下級審の判決に一喜一憂することは笑止であるなどのパンフレットを作成し、配付をしたという事実があります。長官は厳重注意をし、別途のパンフレットを作成したのでありますけれども、事柄は小さくありません。制服の独走は、沖繩に対する物資輸送の前例もあり、少なくとも、あり得ないでは済まされない要素が事実として出ているのであります。
 いままでるる述べてきましたように、国民に対してあらゆる詭弁を弄しながら、軍拡大の道を歩もうとする防衛庁長官の態度を改めない限り、文民統制の保証はあり得ません。厳重に注意をしておく次第であります。
 以上申し述べました一、二の例でもわかりますように、山中貞則君は防衛庁長官として、まず第一に、長沼判決の趣旨に従って、最低限度まず自衛隊を現状に凍結し、逐次自衛隊解体の具体案作成と実行に取りかかるべきであります。今日まで特に軍事基地問題で各地で国民を欺瞞して強行してきた言動を訂正して、国民の立場に立って、国民の土地は国民に返すなど、振り出しに戻す作業を開始するべきであります。この国民の声に耳をかさざるのであれば、山中貞則君はまさに防衛庁長官として不適格であります。いさぎよくその任を去らんことを強く勧告して、私の賛成討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#8
○議長(河野謙三君) 藤原房雄君。
   〔藤原房雄君登壇、拍手〕
#9
○藤原房雄君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題になっております防衛庁長官山中貞則君の問責決議案に対し、数点をあげ、賛成の討論を行なうものであります。
 その第一は、先般の札幌地裁における長沼判決に対する山中防衛庁長官の司法権無視の姿勢は、まことに遺憾であるということであります。この判決は、自衛隊が完全なる戦力であり、憲法第九条に違反するとして、その違憲の自衛隊が建設する施設は公益上の必要性はないとの判断のもとに、長沼町の住民に勝訴の裁判を行なったものであります。これは、従来から統治行為論を振り回して自衛隊を拡大してきた政府の見解を根底からくつがえすまことに明快な判決であります。また、この判決の意味するところは深く、長年にわたって論争してきた自衛隊の合憲か違憲かの問題について、三権分立の基本的基盤に立った裁判所が、明確な司法的判断を打ち出したものであり、平和を希求する大半の国民が高く評価しているのであります。もちろん、今回の判決は一審における判決であり、最高裁のそれではないにしても、政府は厳粛に受けとむべきであります。そうして、少なくとも最終結論が出るまでは自衛隊を現状に凍結すべきであり、現在審議中の防衛二法案は、その責任者たる山中防衛庁長官みずからの手によって撤回するべきであります。ところが、山中長官は一かけらの反省もなく、この厳正な判決に傲慢にも反論を繰り返しているのであります。山中防衛庁長官は、違憲判決の当日、全国の自衛隊員に対する演説の中で、地裁の判決は重大な判断の誤りをおかしている、この判決があったからといって、自衛隊の運営や防衛力整備の方針に変更を加えるつもりは毛頭ないと言い切っているのであります。これは憲法に規定された三権分立を破壊し、司法権を踏みにじる重大な過失をおかすものであります。また、この発言は、国民に限りなき憂慮を巻き起こすものであり、国務大臣として、その責任は重大であると言わざるを得ないのであります。これでは、とうてい防衛庁長官としての任をゆだねることはできないと私は思うのであります。
 次に、私は、最近の山中防衛庁長官の憲法無視の言動に、驚きと憂慮と慨嘆を禁じ得ないのであります。昨年、あの全国民待望の沖繩返還に際しては、山中氏は、総理府総務長官として一応評価に値する活動をされ、自民党の中でも数少ない良識の人として、国民の期待を集めたのであります。上ころが、防衛庁長官に就任されるや、党の圧力に屈したのか、国民の期待を裏切って、憲法を踏みにじるという最大の罪を犯そうとしているのであります。
 自衛隊は、昭和二十九年七月に設置されるや、第一次防、二次防、三次防、そして第四次防と、軍備を拡大し、何と四次防では五兆円をこえるばく大な予算であり、来年度予算の概算要求では一兆円をこえているのであります。今日では、この軍備拡大政策を正当づけるため、自衛隊は戦力ではないという詭弁によって、いつの間にか、その勢力は世界の第七位に進出せんとしているのであります。この自衛隊を戦力と言わずして何を戦力と言うのでありましょうか。この点については、すでに法曹界の九割に及ぶ学者が、現在の自衛隊は陸海空三軍であり、明らかに憲法違反であると指摘しているのであります。あの数百万人の同胞を失った悲惨な第二次世界大戦後、もう二度と戦争を起こしてはならない、そのための戦力は永久に持たないと、国民の血の叫びとして制定されたわが国が世界に誇る平和憲法を、政府は何と心得ているのでありましょうか。
 憲法は、言うまでもなく、国家の最も重要な基本法であります。今回の長沼判決に見られるように、今日ほど平和の叫ばれる時代はありません。いまこそ、山中防衛庁長官は、過去の政府が取り続けてきた重大な誤りを深く反省し、平和憲法の原点に立ち返って職務を遂行すべきであると思うのであります。ところが、防衛庁長官は、反省どころか、ますます自衛隊を増強することのみに奔走しているのであります。これでは、憲法を踏みにじってきた歴代の防衛庁長官と何ら変わるところがないばかりか、これだけ長沼判決に国民の支持がありながら、その声を無視する長官の責任は重大であり、力で押し切ろうとする暴挙であると言わざるを得ないのであります。
 次に、私は、時代に逆行し、日本を再びアジアに対する侵略的軍事国家に仕立て上げようとする山中防衛庁長官に、深い憤りを覚えるのであります。いまや、日本を取り巻く諸情勢は、長い冷戦時代から脱却し、ベトナム和平を契機に、米ソ核不戦条約の結締等、新しい平和への幕明けの時代へと入ったのであります。しかしながら、わが国はいまだに軍国主義化が内外で危惧され、良識ある国民の最大の悲しみとなっているのであります。いまこそわが国は、平和国家の進路を明らかにすると同時に、さらに平和に徹するとの姿勢を内外に強く印象づけ、定着させる努力が目下最大の急務であると思うのであります。それにもかかわらず、相変わらず日米安保のもとで、冷戦時代の考えから一歩も出ず、四次防、五次防へと、自主防衛の名のもとに軍事力拡大政策のみに狂奔している姿は、世界平和への道を踏みにじり、日本の自主外交の重大な障害となり、これこそ国民の利益に反すると言わざるを得ないのであります。
 この国際情勢の分析をもとに、わが国がとるべき安全保障政策の方向は、外にあっては積極的な平和外交を推進することであり、内にあっては社会保障、社会福祉の充実によって内政のひずみをすみやかに取り除き、明るい豊かな国民生活を築くことが何よりも肝要なのであります。しかるに山中防衛庁長官は、四次防を強力に推し進めるため、いたずらにまぼろしの脅威のみを想定し、軍事力の強化のみに狂奔しているのは、時代錯誤もはなはだしいと言わざるを得ないのであります。それを反省せず、改めもしないで危険な道を歩む山中防衛庁長官に、一日も早くそのいすを去っていただくことが、日本の平和と独立と国益を守るためには、何よりも必要であると確信するものであります。
 以上申し上げまして、山中防衛庁長官の問責決議案に対し賛成の意を表し、討論を終わるものであります。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(河野謙三君) 上田哲君。
   〔上田哲君登壇、拍手〕
#11
○上田哲君 私は、日本社会党を代表して、ただいま提出されました防衛庁長官山中貞則君の問責決議案に、賛成の討論を行ないたいと思います。
 私がこの問責決議案に賛成をする論拠の第一は、すでに論理的にも実体的にも完全に破綻し去った日本の軍事防衛構想を、さらに強引に推し進めようとする態度そのものにあります。
 今日の日本の自衛力は、たとえば防衛費そのものについて見ましても、イギリス「ミリタリー・バランス」の示すところによれば、たとえば、かの三次防中葉においては、世界の第十三位でありました。インドの下でありました。四次防に入らんとするに至って、十一位のランクを得、今日四次防二年目にして、すでに世界の七位になろうとしております。アメリカ、ソビエト、中国、そしてドイツ、イギリス、フランス、イタリーを抜こうとしているこの大きな軍事力が、一体、いかなる構想と可能性の中に構築されているのかという点を、このように大きな税金を行使する政府としては、また担当者としては、大きく国民に説明力を持たなければならないと思います。しかるに今日、たとえばどのような脅威があるというのでありましょうか。自衛隊の防衛構想は、その当初、いわゆる戸締まり論から発足をいたしました。どろぼうが来るのに、かぎが要らないかというこのきわめて単純な設定も、当時の冷戦構造、一九五〇年代の世界情勢の中では、何がしかの説明力を持っていたことも事実であります。しかし、そのような考え方は、マクナマラ理論の徹底的な破綻にあわせ、やがてかぼそい抑止力論に変わらざるを得ない現状に到達をいたしました。しかも、今日自身は、その抑止力論すら物理的にこれを立論することができない状態の中で、わずかに、安保ワク組み論などというアンシャンレジーム保持の理論以外には立ち得ない状況に立ち至っております。
 このように破綻をした脅威論、防衛庁のことばをかりれば、年間一兆に達せんとする防衛費の根底をなすものは、諸外国の脅威の見積もりであります。しからば、そのような脅威はどこから発するのでありましょうか。いかなる国が日本に攻めてくるのであろうかという問いに対しては、政府は明確にこれを答える資料を持ち得ないのであります。このような、具体的に脅威の実存を説明することのできない中で、たとえばこの脅威に向かって説明する防衛庁のことば自身を取り上げるならば、まことにこっけいむざんな用語の羅列になるのでありまして、脅威のプロバビリティーから発足をし、やがて脅威のポシビリティーに達し、今日は脅威の潜在的ポシビリティーというところに到達せざるを得ないという、実体的、用語的破綻に到達をしております。このような状況で、なおこのような巨額な軍事費を持つことの理由は、いかにも国民に向かって説明力を持たないと言わなければなりません。
 百歩を譲って、しからばそのような外敵の侵攻がもしあった場合、どのような抵抗力を持つかという問題もすでに破綻をいたしております。
 一般に、一国が他国を攻撃をし侵略をするというのは、たとえば一つ、資源の要求であります。われわれの国に、他国がよだれをたらすようなどのような資源があるでありましょうか。この資源を工業生産力と呼びかえてみたとしても、軍隊をもって圧迫をする形の中で、日本の生産性がどのように他国に利し得るでありましょうか。資源論は笑止千万であります。まことに資源論は、小学生的レベルにおいてすら説明力を持たないと言わなければなりません。
 次に、領土の問題であります。わが国の領土が、どのような他国の利益を喚起する理由を持つでありましょうか。この狭隘な国土に、私たちは外敵の侵略の可能性を見つけることは、きわめて不可能だと言わなければなりません。
 残るところは、他国によってみずからに脅威となるべき、その国の軍事的攻撃力であります。つまり具体的に言うならば、われわれの国にあるすべての筒先が、ある一国を仮想敵として向けられているときに、向けられたその国は、事前にその基地をたたかなければならないという論理が生じてまいります。そのような状況を、実は高めることではなくて、下げることに私たちの平和構想がなければならないにもかかわらず、今日の防衛構想は、そのような一方的仮想の中においてのみ巨大な軍備の拡充に狂奔をしているという姿であります。
 また、説をなす者は、思想の輸出である、日本革命の導入であるという意見もあるようであります。ちなみに反論をいたしたい。もしそのような事態がありとすれば、そのような思想をわずかな軍隊によって鎮圧できると考えていること自体が、笑止千万であると言わなければならないと思います。(拍手)
 このような立場で、しかも千歩譲って、もしわが国に若干の脅威ありとして、しからば今日、二十六万になんなんとする三軍自衛隊が、どのような抵抗力、防御力を有するかという問題について申し上げるならば、たとえば一昨々日の本院委員会の討議においても、防衛庁当局は、具体的な数字をもって答えることを放棄したのであります。防衛局長の答弁にいわく、今日われわれの国は、われわれ防衛庁がそのような試算をすることが不可能であります。――たとえば、あの長沼判決が発表をいたされましたその二日後に、「ニューズ・ウイーク」は、日本の軍事力を称して、抵抗力をわずかに数時間ないしは数日という規定をいたしました。この例示に対しても、防衛庁当局の説明は、そのような積算をすること自体が今日の防衛庁の能力の範囲外にあるという答弁しかできなかったのであります。わずかに、もし万一、いうところの脅威が発動し、世界の一流軍事国の来冠もしありとするならば、それに対して、今日営々として築いているはずの自衛隊が防御力を発揮するその能力は、わずかに数時間ないしは数日であるということであるならば、はたして、その武力防御論の根底はいずこに保障を求めるものでありましょうか。それはすなわち、しょせんするところ、日米安保条約というかさの中での補助論理をかりなければならないのであります。とするならば、わが国の自衛隊は、ひっきょうするところ、巨大なるアメリカ軍の補助機能部隊でしかないという帰着に到達せざるを得ないではありませんか。私たちの国が単に他国の、世界の軍事国の一極をなすその一方の軍事体制の一補助機関であることによって、いかにしてわが国の主権と独立を守り得るという軍事構想が全きを得るでありましょうか。
 このようにして、完全に破綻をした防衛構想の中で、なお世界の四位ないし五位を目ざそうとする今日の防衛構想のあり方に、私は大きな破綻を指摘し、このような破綻の構想の上に立って、なお巨大な軍備増強をはかろうとする防衛庁長官の不適格について、強く論難をしなければならないと思います。
 第二に、私が申し上げたいことは、今回の長沼判決に明記された、まことに論理明快な憲法違反論についての防衛庁長官の姿勢であります。
 私はここで、去る二十七年、鈴木茂三郎氏によって提起された警察予備隊違憲訴訟の経緯を想起するのであります。あの違憲訴訟に対して、当時の最高裁判所長官横田喜三郎氏以下大法廷の判決は、具体的な問題の紛争にかかわらない限り、最高裁の判断はこれを下し得ないとして却下をいたしました。具体的な問題について、裁判所の判断がそれ以外はあり得ないという法理の虚構のゆえに、自来、警察予備隊が保安隊と化し、そして二十九年自衛隊となって今日、二十六万の大軍備が成立するに及び、北海道馬追山の農民が具体的に山林を追われるという被害を前にしなければ、日本国の司法権はこれについての合憲、違憲の判断をすることさえできなかったという実態に、二十年の歳月をかけて私は感慨なきを禁じ得ないのであります。
 私はここで、今回の判決というものが、さきの提案趣旨の中にもございましたように、たとえば一方に合憲の意見がある、他方に違憲の判断がある、裁判所が、その二つのいずれかに対して初めて意見を述べたというものではない点を明らかにしなければならないと思います。公法学者、憲法学者のすべての人々というべき方々が、この憲法九条にまっこうから違反するということを今日まで論じ尽くされておりました。それのみではありません。高等学校の教科書で、憲法九条を読む高校生の常識において、このような軍隊を持つことが憲法違反でないと論ずる根拠はありません。すなわち、学理において、常識において、二十年間それ以外はあり得なかった憲法違反論が、政治の圧力のかさのもとで、司法裁判所のはっきりした姿勢を求めることのあり得ない政治状況の中で、二十年の空白を持ったことに、私は耐えがたいふんまんを持つのであります。今日、学理と常識と、その双方がこれ以外にあり得ないとする判決は、それ以外の考え方は、いかに控訴上告の結論を待つといえども、とうてい理性をもってはこれ以外の判決を見ることはできないと論断をするのが、常識と法理の見解であると思います。このような立場に立つ限り、たとえば政府は、これに対して統治行為論を掲げるのであります。統治行為論とは、たとえば政府の答弁に言うごとく、単なるポリティカルクェッションであります。政治課題にしかすぎません。野蛮の諸国ならともかく、近代法治国家と呼ぶべきわれわれの国で、本来、司法裁判所にゆずねられている憲法八十一条、違憲立法審査権に、何の例外も原則的にあってはならないことは言うまでもありません。今日、このような違憲立法審査権に行政府が足を踏み込み、あまたの例外をつくることは、日本の法治主義を乱し、日本の近代主義を野蛮の方向に導こうとするもの以外の何ものでもないことを、国会の最高機関として、わが参議院は深く心に銘すべきであると思います。(拍手)
 このような立場で考えるならば、いかなる論点からこれをつくといえども、いかなる理性においてこれをひもどくといえども、今回の長沼ナイキ裁判の結論は、その法の定める理念と実体において、みごとに論理の完結を果たしたものと言うべきでありますし、私たちは、その立場でこそ、二十年の政治的既成事実を、いかに政府が、二十年の既成事実をどのように積み上げたとしても、憲法の命ずる原点に対してはその力を全く持たないということを、ここに確認をしなければならないと思います。(拍手)
 そのような原点に立ち戻って考えるならば、日本国憲法は明らかに軍備を禁じ、明らかに積極中立政策をとることを、二十年前この議場で確認をしたはずであります。二十年間の政府の答弁を見るならば、たとえば当時の吉田茂総理は、いかなる自衛のためといえども軍備を持つことはできないという答弁を行ない、満場割れるような拍手と、当時の議事録は記録をしております。それに対して、今日二十年、いかに年移り星かわるといえども、憲法に対するこのような解釈が、カメレオンのごとく変わることが許されていいでありましょうか。私たちはその立場で、この原点に返っての明らかな平和主義、明らかな積極中立政策を、憲法の教える方向に従って、いま、政治の最大眼目として努力すべきことを誓わなければならないと思います。
 このような立場からいうならば……。
#12
○議長(河野謙三君) 上田君、上田君、時間がだいぶたっていますから………。
#13
○上田哲君(続) 結論にいたします。
 このような立場から言うならば、司法に対する行政の三権分立の形式からして、大きく世論に対する政治のあり方からして、山中防衛庁長官は、少なくとも、われわれの立場とは別に、政府側の発意として、たとえばただいま提案されております防衛二法を直ちに撤回をし、あるいは危険な四次防を凍結する等々の立場をとられることが、政治的立場としてせめて最低限の中正でなければならないと思います。しかも、そのような声にさからって、このような強行軍備増強を続ける先頭に立つ山中防衛庁長官に対し、私は行政府としての不適格を強調しなければなりません。
 そのような立場で、防衛庁長官山中貞則君の退陣を強く要求して、私の賛成討論を終わりたいと思います。(拍手)
#14
○議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。
 これより防衛庁長官山中貞則君問責決議案の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#15
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#16
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#17
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十二票
  白色票           八十三票
  青色票          百二十九票
 よって、本案は否決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      八十三名
      塩出 啓典君    喜屋武眞榮君
      山田  勇君    内田 善利君
      藤原 房雄君    青島 幸男君
      原田  立君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    峯山 昭範君
      田代富士男君    柏原 ヤス君
      中尾 辰義君    渋谷 邦彦君
      鈴木 一弘君    宮崎 正義君
      山田 徹一君    二宮 文造君
      多田 省吾君    白木義一郎君
      小平 芳平君    田  英夫君
      上田  哲君    工藤 良平君
      戸田 菊雄君    前川  旦君
      沢田 政治君    野々山一三君
      大橋 和孝君    杉山善太郎君
      松永 忠二君    森中 守義君
      西村 関一君    林  虎雄君
      中村 英男君    阿具根 登君
      森 元治郎君    山崎  昇君
      羽生 三七君    藤原 道子君
      鶴園 哲夫君    鈴木  強君
      片岡 勝治君    辻  一彦君
      佐々木静子君    須原 昭二君
      沓脱タケ子君    小谷  守君
      神沢  浄君    鈴木美枝子君
      宮之原貞光君    加藤  進君
      竹田 四郎君    安永 英雄君
      小笠原貞子君    田中寿美子君
      川村 清一君    中村 波男君
      鈴木  力君    森  勝治君
      村田 秀三君    塚田 大願君
      星野  力君    松本 賢一君
      小林  武君    瀬谷 英行君
      矢山 有作君    茜ケ久保重光君
      渡辺  武君    須藤 五郎君
      横川 正市君    戸叶  武君
      小柳  勇君    河田 賢治君
      岩間 正男君    加瀬  完君
      吉田忠三郎君    小野  明君
      成瀬幡 治君    藤田  進君
      秋山 長造君    野坂 參三君
      春日 正一君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百二十九名
      高田 浩運君    玉置 猛夫君
      今  春聴君    熊谷太三郎君
      温水 三郎君    濱田 幸雄君
      森 八三一君    小山邦太郎君
      中村 登美君    松岡 克由君
      斎藤 十朗君    中西 一郎君
      君  健男君    細川 護煕君
      原 文兵衛君    橋本 繁蔵君
      中村 禎二君    棚辺 四郎君
      竹内 藤男君    中山 太郎君
      永野 鎮雄君    山崎 五郎君
      長屋  茂君    若林 正武君
      桧垣徳太郎君    小林 国司君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      石本  茂君    佐藤  隆君
      林田悠紀夫君    安田 隆明君
      源田  実君    二木 謙吾君
      丸茂 重貞君    河口 陽一君
      玉置 和郎君    山内 一郎君
      宮崎 正雄君    木島 義夫君
      小笠 公韶君    堀本 宜実君
      大森 久司君    白井  勇君
      植木 光教君    青木 一男君
      植竹 春彦君    木内 四郎君
      杉原 荒太君    上原 正吉君
      松平 勇雄君    剱木 亨弘君
      古池 信三君    塚田十一郎君
      重宗 雄三君    鬼丸 勝之君
      鈴木 省吾君    大松 博文君
      増田  盛君    矢野  登君
      志村 愛子君    高橋 邦雄君
      柴立 芳文君    古賀雷四郎君
      黒住 忠行君    河本嘉久蔵君
      初村滝一郎君    渡辺一太郎君
      山崎 竜男君    世耕 政隆君
      斎藤 寿夫君    星野 重次君
      上田  稔君    高橋雄之助君
      菅野 儀作君    佐田 一郎君
      佐藤 一郎君    中津井 真君
      寺本 廣作君    久保田藤麿君
      木村 睦男君    柳田桃太郎君
      船田  譲君    町村 金五君
      橘直  治君    高橋文五郎君
      岡本  悟君    徳永 正利君
      鹿島 俊雄君    米田 正文君
      柴田  栄君    大谷藤之助君
      大竹平八郎君    江藤  智君
      伊藤 五郎君    平井 太郎君
      安井  謙君    西田 信一君
      後藤 義隆君    郡  祐一君
      迫水 久常君    吉武 恵市君
      塩見 俊二君    鍋島 直紹君
      山本敬三郎君    稲嶺 一郎君
      寺下 岩蔵君    川野 辺静君
      金井 元彦君    片山 正英君
      梶木 又三君    嶋崎  均君
      今泉 正二君    園田 清充君
      山本茂一郎君    藤田 正明君
      平泉  渉君    楠  正俊君
      土屋 義彦君    内藤誉三郎君
      西村 尚治君    平島 敏夫君
      山本 利壽君    山下 春江君
      新谷寅三郎君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    田口長治郎君
      八木 一郎君
     ―――――・―――――○議長(河野謙三君) この際、日程に追加して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題とすることについておはかりいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。日程に追加して本案を議題とすることに賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#18
○議長(河野謙三君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#19
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じすす。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#20
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十票
  白色票          百二十九票
  青色票           九十一票
 よって、日程に追加して本案を議題とすることに決しました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名     百二十九名
      高田 浩運君    玉置 猛夫君
      今  春聴君    熊谷太三郎君
      温水 三郎君    濱田 幸雄君
      森 八三一君    小山邦太郎君
      中村 登美君    松岡 克由君
      斎藤 十朗君    中西 一郎君
      君  健男君    細川 護煕君
      原 文兵衛君    橋本 繁蔵君
      中村 禎二君    棚辺 四郎君
      竹内 藤男君    中山 太郎君
      永野 鎮雄君    山崎 五郎君
      長屋  茂君    若林 正武君
      桧垣徳太郎君    小林 国司君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      石本  茂君    佐藤  隆君
      林田悠紀夫君    安田 隆明君
      源田  実君    二木 謙吾君
      丸茂 重貞君    河口 陽一君
      玉置 和郎君    山内 一郎君
      宮崎 正雄君    木島 義夫君
      小笠 公韶君    堀本 宜実君
      大森 久司君    白井  勇君
      植木 光教君    青木 一男君
      植竹 春彦君    木内 四郎君
      杉原 荒太君    上原 正吉君
      松平 勇雄君    剱木 亨弘君
      古池 信三君    塚田十一郎君
      重宗 雄三君    鬼丸 勝之君
      鈴木 省吾君    大松 博文君
      増田  盛君    矢野  登君
      志村 愛子君    高橋 邦雄君
      柴立 芳文君    古賀雷四郎君
      黒住 忠行君    河本嘉久蔵君
      初村滝一郎君    渡辺一太郎君
      山崎 竜男君    世耕 政隆君
      斎藤 寿夫君    星野 重次君
      上田  稔君    高橋雄之助君
      菅野 儀作君    佐田 一郎君
      佐藤 一郎君    中津井 真君
      寺本 廣作君    久保田藤麿君
      木村 睦男君    柳田桃太郎君
      船田  譲君    町村 金五君
      橘直  治君    高橋文五郎君
      岡本  悟君    徳永 正利君
      鹿島 俊雄君    米田 正文君
      柴田  栄君    大谷藤之助君
      大竹平八郎君    江藤  智君
      伊藤 五郎君    平井 太郎君
      安井  謙君    西田 信一君
      後藤 義隆君    郡  祐一君
      迫水 久常君    吉武 恵市君
      塩見 俊二君    鍋島 直紹君
      山本敬三郎君    稲嶺 一郎君
      寺下 岩蔵君    川野 辺静君
      金井 元彦君    片山 正英君
      梶木 又三君    嶋崎  均君
      今泉 正二君    園田 清充君
      山本茂一郎君    藤田 正明君
      平泉  渉君    楠  正俊君
      土屋 義彦君    内藤誉三郎君
      西村 尚治君    平島 敏夫君
      山本 利壽君    山下 春江君
      新谷寅三郎君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    田口長治郎君
      八木 一郎君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      九十一名
      塩出 啓典君    喜屋武眞榮君
      山田  勇君    内田 善利君
      藤原 房雄君    栗林 卓司君
      藤井 恒男君    青島 幸男君
      原田  立君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    木島 則夫君
      峯山 昭範君    田代富士男君
      柏原 ヤス君    松下 正寿君
      中沢伊登子君    中尾 辰義君
      渋谷 邦彦君    鈴木 一弘君
      宮崎 正義君    田渕 哲也君
      高山 恒雄君    山田 徹一君
      二宮 文造君    多田 省吾君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      向井 長年君    村尾 重雄君
      田  英夫君    上田  哲君
      工藤 良平君    戸田 菊雄君
      前川  旦君    沢田 政治君
      野々山一三君    大橋 和孝君
      杉山善太郎君    松永 忠二君
      西村 関一君    林  虎雄君
      中村 英男君    阿具根 登君
      森 元治郎君    山崎  昇君
      羽生 三七君    藤原 道子君
      鶴園 哲夫君    鈴木  強君
      片岡 勝治君    辻  一彦君
      佐々木静子君    須原 昭二君
      沓脱タケ子君    小谷  守君
      神沢  浄君    鈴木美枝子君
      宮之原貞光君    加藤  進君
      竹田 四郎君    安永 英雄君
      小笠原貞子君    田中寿美子君
      川村 清一君    中村 波男君
      鈴木  力君    森  勝治君
      村田 秀三君    塚田 大願君
      星野  力君    松本 賢一君
      小林  武君    瀬谷 英行君
      矢山 有作君    茜ケ久保重光君
      渡辺  武君    須藤 五郎君
      横川 正市君    戸叶  武君
      小柳  勇君    河田 賢治君
      岩間 正男君    加瀬  完君
      吉田忠三郎君    小野  明君
      成瀬幡 治君    藤田  進君
      秋山 長造君    野坂 參三君
      春日 正一君
     ―――――・―――――○議長(河野謙三君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
     ―――――・―――――
#21
○議長(河野謙三君) これより内閣委員長の報告を求めるのでありますが、片岡勝治君外三名から、委員会審査省略要求書を付して、
 内閣委員長高田浩運君解任決議案が提出されておりますので、まず本決議案についておはかりいたします。
 内閣委員長高田浩運君解任決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加して、これを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#22
○議長(河野謙三君) 御異議ないと認めます。よって、本案を議題といたします。
 これより発議者の趣旨説明を求めます。片岡勝治君。
    ―――――――――――――
 内閣委員長高田浩運君解任決議案
右の議案を発議する。
 昭和四十八年九月二十二日
     発議者
      片岡勝治   黒柳  明
      高山 恒雄    野末 和彦
     賛成者
      足鹿  覺君    阿具根 登君
      茜ケ久保重光君    秋山 長造君
      上田  哲君    占部 秀男君
      小野  明君    大橋 和孝君
      大矢  正君    加瀬  完君
      加藤シヅエ君    川村 清一君
      神沢  浄君    小谷  守君
      小林  武君    小柳  勇君
      佐々木静子君    沢田 政治君
      須原 昭二君    杉原 一雄君
      杉原 荒太君    鈴木  強君
      鈴木美枝子君    鈴木  力君
      瀬谷 英行君    田中 寿美子君
      田中  一君    竹田 現照君
      竹田 四郎君    辻  一彦君
      鶴園 哲夫君    田  英夫君
      戸叶  武君    戸田 菊雄君
      中村 波男君    中村 英男君
      成瀬幡 治君    西村 関一君
      野々山一三君    羽生 三七君
      林  虎雄君    藤田  進君
      藤原 道子君    松永 忠二君
      松本 英一君    松本 賢一君
      宮之原貞光君    村田 秀三君
      森  勝治君    森 元治郎君
      森中 守義君    矢山 有作君
      安永 英雄君    山崎  昇君
      横川 正市君    吉田忠三郎君
      和田 静夫君    阿部 憲一君
      内田 善利君    柏原 ヤス君
      上林繁次郎君    小平 芳平君
      沢田  実君    塩出 啓典君
      渋谷 邦彦君    白木義一郎君
      鈴木 一弘君    田代富士男君
      多田 省吾君    中尾 辰義君
      二宮 文造君    原田  立君
      藤原 房雄君    三木 忠雄君
      峯山 昭範君    矢追 秀彦君
      山田 徹一君    木島 則夫君
      栗林 卓司君    田渕 哲也君
      中沢伊登子君    中村 利次君
      萩原幽香子君    藤井 恒男君
      松下 正寿君    向井 長年君
      村尾 重雄君    青島 幸男君
      山田  勇君
  参議院議長 河野 謙三殿
 内閣委員長高田浩運君解任決議
本院は、内閣委員長高田浩運君を委員長の職より解任する。
 右決議する。
     理 由
 内閣委員長高田浩運君は、七月十七日午後三時三十分、内閣委員会において、議会制民主主義の根幹を忘れ、参議院改革の申し合せを蹂躪する無暴な強行採決をおこない丶本院の名を著しく傷つけた。
 さらに、内閣委員長高田浩運君は、委員会審議が再開され、質疑を続行し、質疑が終つたときに賛否意見を明らかにし採決をおこなるべきにもかかわらず、充分な審議をおこなわないままに前回強行の委員長報告を本会議でおこなおうとしている。
 よつて、本院はも高田浩運君を内閣委員長の職責より解任する。
   〔片岡勝治君登壇、拍手〕
#23
○片岡勝治君 私は、日本社会党、公明党並びに第二院クラブを代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣委員長高田浩運君を解任する決議案について提案説明をいたします。
 まず、初めに案文を朗読いたします。
   内閣委員長高田浩運君を解任する決議案
  本院は、内閣委員長高田浩運君を解任する。
  右決議する。
   昭和四十八年九月二十二日
 理由。
 いまさら、ここでその理由を申し上げるまでもないことではありますけれども、事は議会制民主主義の危機を招来しているだけに、その理由を国民の前に明らかにすることがわれわれの責務であると思いますので、詳細に御説明を申し上げたいと思います。(拍手)
 さて、内閣委員会は、御承知のように、いわゆる重要法案といわれております防衛二法をかかえているだけに全国民の注視の的であり、したがって、その運営については、より民主的に、かつ、徹底的な審議が期待されてきたことは当然であります。かてて加えて、参議院が真に国民の期待にこたえ、その機能を発揮するために、全会派あげてその民主的改革に着手、その積み上げに全力を傾注しているときでもあり、いやしくも当委員会の運営いかんによって、この改革が一歩たりとも後退は許されない立場にあったわけであります。この歴史的な課題ともいうべき参議院改革は、もちろん全議員の責務でありますけれども、なかんずく、議長をはじめとする院の役員が率先垂範、態度で示さなければならないわけであります。内閣委員長ももちろんそのための重要な役割りをになっていたわけであります。
 さて、当の高田委員長は、この課題にどのようにこたえたでありましょうか。結果は、重なる背信行為と非民主的手段によって、参議院の民主的改革がなだれを打ってくずれ去り、いまその責任を追及しなければならないことは痛恨のきわみであります。
 さて、その具体的な事実を申し述べましょう。
 その第一は、七・一七事件であります。すなわち七月十七日午後、内閣委員会は、真剣な面持ちに囲まれて防衛二法の審議を開始いたしました。それもそのはず、この日初めて野党質問が、わが社会党の上田哲委員によって開始され、白熱した論議が期待されたからであります。ようやく熱のこもった質疑応答が進んできた午後三時三十分、自民党委員席から奇声が発せられるや、委員長は待ちかまえたごとく、手にしたメモで何事かを言わんとしました。一瞬大混乱、やがて拍手とともに自民党の諸君は退場していったのであります。静まり返った委員会室は、あたかも暴漢に襲われたあとのごとく、ただ驚き、やがて憎しみの空気に満ちあふれたのであります。まさに政治的暴力がまかり通ったのであります。かくのごとく議会制民主主義は汚され、踏みにじられ、参議院史上最大の汚点が残されたのであります。すなわち、力によって自己主張を貫こうとする前近代的政治暴力が、じゃま者は消せの論理が、良識の府という名の参議院の内閣委員会において、白昼堂々と行なわれたのであります。
 この時点は、実質的には会期末の最後の一週間でありました。したがって、並行審議を進めてきた当委員会は、十七日の火曜日には建設省設置法を、十九日の木曜日、定例日は防衛二法を、会期末でもありますのでへその他の定例日外はすべて防衛二法の審議をやろう、こういうことになっていたのであります。ところが、自民党は、党内の強硬意見を押えるためにも、最初の定例日である火曜日に何とか防衛二法の審議をしていただきたい、その実績ができれば、自民党内の強硬意見を押えることができるのだ、頼む、頼むと切々と訴えてきたのであります。そのかわりに、定例口外の水曜日には建設省設置法を審議してよい、こういう案が出されたわけであります。私どもも、自民党の党内事情について必ずしも理解を示さないわけではありません。そこで、いろいろ話し合いをした結果、それでは十七日の定例日の午前中は建設省設置法を、午後は防衛二法を、そして水曜日には建設省設置法を審議しようということで話し合いがついたのであります。そのときすでに強行採決のうわさがあったわけでありますけれども、自民党は、このように審議日程を振りかえてもらってどうして強行採決などでき得ようか、そういうことを繰り返し私どもに示したわけであります。そうでしょう、こうまでして、しかもなおかつ裏切り行為があるとすれば、それは正常な人間のするわざではありません。しかし彼らには、この十七日の午後は何としても防衛二法の野党質問が至上命令であったのであります。それは、文教、運輸、社労とこの内閣の四委員会の同時強行採決をたくらんでいたのであります。その謀略は、みごとに、まさに卓越せるペテン師のしわざであったわけであります。人の好意と善意を、かくもむざんに踏みにじった例はそうあるまい。国民が激怒し、政治不信をかり立てるのは当然のことであります。しかし、むし内閣委員長たる高田浩運君が、真に議会制民主主義を守り、政治的道義心、政治的良心に立ってこの危険な時点に対処していったとするならば、この政治的破廉恥行為は回避し得たと思うのであります。この行動のあと、彼らは拍手と歓声に迎えられたと伝えられております。しかし、私はふと考えました。いま悲憤慷慨をしておりますけれども、もし立場を異にしたならばと。議会制民主主義の破壊者として政治的良心に苦しむであろう、胸を張って国民の前に出ることにはばからざるを得ないであろう、そう思ったとき、彼らの歓声は民主主義破壊者への、みずからへの嘲笑と挽歌と言えるでありすしよう。このおそるべき政治暴力は、形を変えていま再びここに繰り返されようとしているのであります。
 御承知のように、七・一七事件のあと、自民党は、その行為を陳謝し、再びこのような行動をとらないこと、委員会の運営は理事会の協議によること等、いわゆる正常化のための誓約が行なわれました。この協定の趣旨は、議員の固有の権利である委員会における審議権を保障したものと言えるでありましょう。したがって、この保障された議員の権利をどのように行使させるかは、かかって委員長の双肩にあったわけであります。しかるに、委員長及び自民党理事は、事あるごとに野党質問の制限や議了を強要し、正常化の趣旨がゆがめられてきたのであります。しかし私たちは、このような圧迫と戦いながら、まさに慎重審議を続けてまいりました。しかるに、九人の野党委員の質問のうち、三人が終わり、四人目に入ったところで、このような形で実質的に質疑が打ち切られ、さきに触れた政治暴力がまたしてもまかり通らんとしているのであります。
 このような動きの中で、高田委員長は何をしてくれたというのでありましょうか。委員長が、さきの七・一七事件の深い反省に立ち、そしてその償いに一片の政治的良心があるというならば、さらには、正常化協定はあくまでも守り抜かなければならないという政治的責任を感ずるものがあるとするならば、内閣委員会の審議の中断には断固として抵抗し、委員会における委員の審議権の保障をはかるべきであります。
 七・一七事件のあと、最初の理事会において私は次のことを申し上げました。私は誠意をもって理事会に臨み、事委員会の運営については信頼関係に立って対処してきたつもりである。委員長と自民党理事は、このわれわれの行動に対して裏切りをもってこたえてくれた。私も人間であり、議員であり、政党人です。この償いを求めます。必ずこの会期中に果たしてもらいますと。よもやお忘れではありますまい。しかし彼は、この課題を果たすどころか、再びわれわれの審議権を剥奪いたしました。
 私は深く感じました。彼らにはたして政治的良心があるのであろうか、政治的道義心はいずこにあるというのであろうか。この救いのない反民主的、いや反人間的とまで言えるこの政治行動こそ、今日の民主主義を瀕死に追いやった最大の要因たることが明らかになったことを、残念ながら確信を持つに至ったのであります。一般社会においては、重大な破廉恥行為は社会から隔離され、それなりの償いを求められるのであります。政治的破廉恥行為においても当然その償いが求められてしかるべきでありましょう。このことをなさずして、その行動が黙認され、逆にこれが評価され、是認され、万歳が叫ばれるようなことがあるとすれば、それはたとえば、やくざの論理とその世界の温床を認めるにひとしく、その病根を根絶することにならないでありましょう。委員長の不退転の決意と行動があれば、このたび重なる背信行為と民主主義のじゅうりんは回避されたはずであります。これを怠り、いや、積極的にこの力の論理とその行動に加担してきた責任は、きわめて重大と言わざるを得ません。その罪は、委員長解任だけで済まされる問題ではないでありましょう。
 さて次の問題に移りたいと思います。
 去る九月七日、全国民が注目いたしておりました自衛隊の合憲か違憲かとしての争いが、長沼判決によって明らかにされました。憲法を正しく受けとめ、学界、法曹界の常識として圧倒的多数派とされている見解が、そのまま明確にされたのであります。これは、このことに対して言論界をはじめ各方面で大きく取り上げられたわけであります。これらの意見を総括的に申し上げるならば、いまこそ憲法制定の原点に戻り、憲法に定める日本の生きる道は何か、日本の安全保障はいかにあるべきかを、もう一度振り返って考えるべきときに来た、このことが強調されたのであります。さらには、年々飛躍的に膨張する自衛隊に対して歯どめをかけ、一兆円をこす来年度予算に対しても再検討を加えるべきであるということが強調されたのであります。
 ときあたかも防衛二法を審議しておる国会は、この判決に対する見解は異にすれ、この問題の審議が積極的に展開されなければならないはずであります。われわれは要求いたしました。本会議における緊急質問、衆参両院内閣委員会の合同審査、あるいはまた参議院の関係委員会の連合審査、しかし、どれもこれも自民党の拒否するところとなり、実現されませんでした。まさに半身不随の国会というべきでありましょう。参議院改革いずこにありやと言いたいのであります。かろうじて内閣委員会で八時間余が許されただけ。あとは防衛二法の審議の中でやってくれと言う。その審議さえも、いま、こうしてその道を閉ざしているではありませんか。もし委員長にこの憲法意識があるとするならば、あるいはまた自衛隊違憲という未曽有の判決の重大性という問題意識があるとするならば、内閣委員会での審議の中断などできるはずがないわけであります。たとえ一審といえども、現に国会で審議されておる法律案、しかも憲法解釈の最大の争点となっている自衛隊の違憲が明確に示された以上、その拡大、増強をねらう防衛二法は当然廃案とすべきものとわれわれは考えるわけであります。しかし、それはさておいても、少なくともこれを機会に、この問題の徹底的な審議が、国会が国民にこたえる最低の条件であると思うわけであります。
 河野議長、高田委員長、そして自民党の諸君よ、私は最後に次のことばを残しましょう。参議院改革のため、議会制民主主義擁護のため、内閲委員会の権威と機能の再生のため、いまからでよおそくはない、政治的良心を呼び起こし、お互いに確認し合った正常化の趣旨に立ち返り、良識の府たる参議院の正しい姿に戻ることを。さもなくば、あなた方の汚名は永遠に国会史上に残され、国民の糾弾を受けることになるでありましょう。
 以上で終わります。(拍手)
#24
○議長(河野謙三君) 討論の通告がございます。順次発言を許します。前川旦君。
   〔前川旦君登壇、拍手〕
#25
○前川旦君 私は、ただいま片岡勝治君より提案されました内閣委員長高田浩運君に対する不信任案につき、日本社会党を代表して賛成の討論をいたします。
 以下、賛成の理由を申し述べます。
 まず、一国の安全をいかにして保障するかは、その国の最大、かつ、最高の課題であります。事国内の政治に関しましては、たとえ誤りをおかすことがあっても、時間さえ許せばやり直しがきくのであります。しかし、事平和の問題に関する限り、絶対にやり直しがきかないことをわれわれはともに銘記せねばならないと存じます。したがって、日本の平和、防衛について論ずるにあたっては、感情的、情緒的、あるいはヒステリックな論議を絶対に排除して、きわめて科学的に、かつ、冷静に、緻密に、たんねんな論議を積み重ねなければならないことは言うまでもありません。
 第二に、長沼判決は、日本の安全と防衛はいかにあるべきか、自衛隊はいかにあらねばならないかを、その根源からあらためて問い直し、全国民の手で、日本の平和のあり方を深く考え直す絶好の機会を与えました。したがって、私は今国会におきましても、この際、実りある真剣な討論と対話が展開されるべきであると期待いたしたのであります。かかる重大な時期にあって、内閣委員長の任務とは何か、それは院の役員としての自覚に立ち、一党一派に偏することなく、慎重審議のため誠心誠意、心を配ることではなかったかと思います。
 長沼判決は、国の基本についてまことに大きな問題を提起しました。裁判官が憲法に忠実に、良心に従い独立して行なった判決は、たとえ下級裁判所の判決といえども磐石の重みを持つものであります。政府は防衛二法をみずから撤回すべきであり、もし政府がそれをなし得ないならば、国会は国権の最高機関として、防衛二法案の凍結をはかるのが至当ではないでしょうか。しかるに高田浩運委員長は、かかる義務を何ゆえか放棄せられ、さきには、論議の始まったばかりの段階で突如として採決を強行されました。そして今日、再び質問希望者九名のうち五名を残して質疑の打ち切りをはかっているのであります。
 第三に、高田浩運君は、野党の審議引き延ばしをしばしば理由にされました。しかし、私はこの際はっきりと申し上げておきたい。内閣委員会において、引き延ばしのような事実はなかったはずであります。たとえば法案審議の順位につきましては、もしそれがかって気ままにきめられるということであれば、各党派の思惑によって、いたずらに混乱を招くばかりでありましょう。かかる混乱を避けるために、法案審議は送付された日順に従うという、よき慣例が確立されてまいったのであります。ところが、与党理事諸君は、この慣例を無視して防衛二法の先議をしばしば提案し、高田浩運君もこれに盲目的に追随されました。そのために、かえって理事会は紛糾し、審議のおくれることがしばしばありました。強行採決が、結果として貴重な十数日の空白を生みました。みずからの責任は問わないで、いたずらに他を責めるがごときはまことに遺憾にたえないのであります。会期末に至りまして、われわれはひとしく高田君の意向にこたえ、審議促進のため、定例日はもとより、定例日外の日といえども連日審議に応じて協力してまいったことは、一番高田浩運君が知っているところでありましょう。野党の意図的引き延ばしなどと、われわれにはこのような意思は決してなかったことを、この際明らかにしておきます。
 第四に、わが国の防衛のあり方、自衛隊のあり方、また、法案の内容そのものについても多くの疑問点が明らかにされ、しかもほとんど解明されることなく今日捨て去られようとしておるのであります。たとえば、何ゆえにこれほど大量の人員を沖繩に配置しなければならないのか、その根拠は何か。この人員配置は何を守るのか。人を守るのか、土地を守るのか、体制を守るのか、はたまた沖繩の米軍基地を守るのか。さらに、現在自衛隊は定員不足について深刻な悩みがあります。しかも、自衛官としての適齢者、いわゆる若年労働者は不足する一方であり、隊員不足はますます深刻化していくのであります。この冷厳な事実に目をつぶり、法律定員のみを増加させるのは何ゆえか。しかも政治の信頼を極度に低下させることさえ顧みず、あえて強行採決によって押し切ろうとする真意は何か。これらの問題について何ら合理的見解も述べられないままになっているのであります。
 およそ国会の論議は内容で判断すべきであって、時間ではかられるものではありません。三十時間審議したから、四十時間審議したから十分だなどとは言えるものではありません。まして国の将来を決する重大な防衛問題であれば、十分過ぎるほど審議するのが当然であります。高田浩運君は、この大切な本末を転倒されました。私は、日ごろ高田浩運君の温厚な人柄に敬服しておりますがゆえに、私情においてはまさに断腸の思いがいたします。願わくば本決議案の採決される以前に、みずからの意思をもって職を退かれ、この際、議会制民主主義の擁護者としての名を残されるよう心から期待して賛成の討論といたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○議長(河野謙三君) 宮崎正義君。
   〔宮崎正義君登壇、拍手〕
#27
○宮崎正義君 私は、公明党を代表して、ただいま提案がありました参議院内閣委員長解任決議案に対して、賛成の立場から討論を行なうものであります。
 私たちは、国民の信頼にこたえるべく、良識の府、理性の府とする参議院の独自性と自主性の確立等について、参議院運営の改革に関して、河野議長を中心として、各会派代表と議院運営委員会理事等によって今日まで鋭意、努力検討を進めてきました。その足跡と成果が国民の期待する光明でさえあったと言っても過言でないと思っていたのであります。
 今国会会期延長後の七月十六、十七日の両日も、議長は、国会対策委員長会、常任、特別委員長懇談会等を開き、円満な話し合いによる法案審議についての見解を示し、協力を呼びかけられたのでありました。内閣委員会理事会も、委員長高田浩運君の卓越した経験とその手腕を期待され、各委員の信頼を得て、委員会の運営にあたっては、常に強行採決は絶対にしないと確約もされていたのでありました。しかるに、その期待を全く裏切ったのでありました。
 提案理由の説明にもありましたように、高田委員長は、去る七月十七日の理事会を一方的に打ち切り、委員会を強行開会し、しかも午後三時三十分、防衛二法案を強行採決するという暴挙を行なったのであります。しかも、同時刻に、運輸及び文教の両委員会でも、国鉄運賃値上げ法案、筑波大学法案の二法案も強行採決を行ない、正常な国会を混悪状態におとしいれたのであります。いまだかつてないかかる暴挙は、自民党ならではの過悪な姿を如実に示したものであると断ずるものであります。このことは、話し合いを尊重し、強行採決などの事態を避けようと、今日まで参議院改革に努力を傾注してきた河野議長に対する挑戦であり、かつ、わが国の議会制民主主義を根底からくつがえそうとする暴挙であります。この責任は、自民党並びに高田委員長が当然とるべきであります。
 今回の防衛二法案は、いまさら申し上げるまでもありませんが、国民の反対の声を無視し、自衛官の定員増、南西航空混成団沖繩配備、防衛医科大学の新設等を骨子とするもので、第四次防衛力整備計画を推進し、軍事力増強政策強化を目ざすものであって、断じて許されるものではありません。
 しかも、現時点における自衛隊の実情は、本法律案以前の問題が山積しているのであります。すなわち、隊員の充足率の点から見ても、はなはだ悪化の傾向を示しております。なお、四十六年度の応募者数は二万九千二百十七名であり、退職者数は三万五百六十名と、退職者がはるかに多く、欠員は二万六千三百六十三人にも達していると、防衛庁は現況報告をしております。それらの理由は、隊員を隊員として扱わない非人道的な処遇にあると言えます。このことは、毎年二百人以上の死亡退職者の数から見ても明らかなことであります。したがって、ただ単に数字的な定員増をはかるというよりも、むしろ、戦闘機一機、鑑船一隻つくるよりも、処遇改善をし、現役のベテラン隊員の中途退職がないようにすることがより先決であると思います。また、沖繩配備の南西航空混成団の意図するところは、緊張緩和へ進展しつつある国際情勢に全く逆行する軍事力増強政策であることを指摘するものであります。さらに、防衛医大の新設は、旧軍隊の軍医制度のような、事前養成の特殊医大を設置することとなると思うのであります。ましてや、札幌地裁の長沼訴訟判決は、陸海空各自衛隊は現在の規模、装備、能力から見て憲法に違反すると断定されました。このことを高田委員長は謙虚に受けとめ、防衛二法案の審議を中止あるいは凍結すべきものであったにもかかわらず、七月十七日の強行採決の暴挙を有効とし、本会議上程を推進してきたことのその責任は重大であります。すみやかに辞任をもって責任を明確にすべきであると思います。
 かかる理由により、高田内閣委員長解任の決議に対し賛成し、私の討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
#28
○議長(河野謙三君) 工藤良平君。
   〔工藤良平君登壇、拍手〕
#29
○工藤良平君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま片岡勝治君から説明をいたしました内閣委員長高田浩運君の解任決議案に対しまして、賛成討論をいたします。
 すでにわが日本社会党が幾たびとなく指摘をしておりますように、今日、日本国民が直面をしております最大の政治的危機は、日本における軍国主義復活の可能性が日一日と強まっているということであります。あの忌わしい第二次世界大戦、中国をはじめとするアジアの全域に対して行なわれました日本軍国主義の侵略戦争の結果は、同胞二百数十万をこえる戦死者はもちろんのこと、多くの戦傷病者、数限りない戦争犠牲者を出し、いまなお異国の地に、祖国の姿を夢に描きながら苦しい生活を続けている悲惨な事実が依然として残っているのであります。さらに加えて、広島、長崎の悲劇を経験をいたしました平和を愛好する日本国民が、こぞって軍国主義の復活を強く憎み、これに対して全力を傾け、反戦平和の戦いを繰り広げている事実を、だれも否定することはできないと思います。しかしながら、わが国には、他方、このような平和を愛し、戦争を憎む国民の願望にさからって、平和憲法を破壊し、系統的、体系的に軍備の増強と軍国主義の復活に狂奔する政治勢力が、公然たる活動を続けている事実について、きわめて遺憾と言わなければならないと思います。
 私は、あえて指摘をしなければなりません。平和を愛し、戦争を憎む日本国民の願望にさからって、平和憲法を破壊し、軍備の増強と軍国主義の復活に狂奔する政治勢力とはだれなのか、このことを国民の前にいま明らかにしなければならないと思います。それは中国、北朝鮮、ソ連などの社会主義諸国のみならず、ベトナム、カンボジア、ラオスの民族解放運動とアジアのすべての平和勢力に敵対する日米安保体制を堅持し、飛躍的な軍備の増強を目ざす四次防によって、平和憲法を根底から破壊しようとつとめている自民党政府そのものであるということを、いまここで再び強調しなければならないと思います。また、あえて言うならば、わずか数時間の審議を行なったにすぎない防衛二法案の強行採決という暴挙を行ない、議会制民主主義の確立と参議院改革の一そうの前進を一瞬にして破壊し去った田中内閣こそがその元凶であるということであります。あらためて指摘するまでもなく、国民のだれもが、このような田中内閣の政治姿勢に対し、強い憤激と失望を覚えているのであります。また、このような狂暴な手段によってその成立がはかられている防衛二法案の反動的な本質に対しても、明確な認識がいま国民の間に大きく高まっているのであります。
 田中内閣の暴挙に直面したいま、国民のだれもが、防衛二法案とは、第一に、いわゆる自衛官の定数を六千九百八十八人も増強するということ、第二には、自衛隊の沖繩派兵を正当化するために、南西航空混成団の設立をして、第三には、医官養成の口実のもとに、生物・化学兵器の研究開発を主任務とする防衛医科大学の新設を目的とする反動的で、きわめて危険な軍国主義復活法案であることを明確に認識をしているのであります。いまや、田中内閣は、日本における軍国主義の復活を推進する反動的、反国民的な政治勢力の元凶として、国民各階層の憤激に直接さらされているのであります。どのような手段を策しても、その醜い本質を隠し切れない事態であることを、はっきりと自民党の諸君は知らなければならないと思います。
 このような時期に、良識の府としての参議院の役割りは特別の意義を持つことは、いまさら申し上げるまでもございません。院の構成として、常任委員長の本来的な責務は、平和を愛し、戦争を憎み、軍国主義の復活を阻止する戦いを進めている日本国民のすべての意見を広く求め、それを聞き、田中自民党政府の暴挙を押えて、議会制民主主義の破壊を阻止することにあると言わなければならないと思います。しかるに、内閣委員長高田浩運君は、国民の厳粛な信託にそむいて、その責務を放棄をし、みずから田中内閣による軍国主義の復活と議会制民主主義の根底からの破壊という暴挙の走狗になり、さらにその小間使と成り下がったことをわが党は絶対に見過ごすことはできないのであります。内閣委員長高田浩運君は、同君が、憤激した国民各階層のきびしい糾弾の的となっている事実を率直に自覚をしなければなりません。国民に対するその背信的な行為によって、もはや一切の釈明は許されないのであります。もし内閣委員長高田浩運君の胸中に、いまなお一片の良心のうずきが残っているならば、同君を糾弾し、同君の解任を求める国民の声に謙虚に耳を傾け、みずからその職を辞することが当然でなければならないと思います。
 私は、さきに、日本国民が今日直面している最大の政治的危機は、日々増大する軍国主義復活の可能性であることを指摘をしてまいりました。軍国主義復活の危険性は、もはや単なる理論的な見通しの次元での問題ではないのであります。それは、四次防の完全達成のための法的な保障と沖繩派兵の正当化を目ざす防衛二法案となって具体的にその姿をあらわし、しかも強行採決という暴挙となって、田中内閣の本質をいかんなくむき出しにしているところに問題があるのであります。
 わが党は、このような事態を、党の命運を左右する決定的な事態であると考えるものであります。いま、この時期に戦わなければ、平和を求め、戦争を憎む国民の願望をになって奮闘してきた政治家としての伝統をよごし、踏みにじるものであると考えなければなりません。(「時間、時間だ」と呼ぶ者あり)これは、ひとりわが日本社会党のみにかかわることではないのであります。政党、党派の違いを乗り越えて、日本の平和に責任を持つすべての勢力、すべての政治家の共通の課題としなければならないのであります。日本の平和に責任を持つすべての政治家は、いまこそ結束をして、田中内閣の暴挙に対して断固とした反撃を開始をしなければなりません。田中内閣に対する国民の憤激の先頭に立ち、その実現まで戦い抜くことこそが、この時点で国民から課せられた……。
#30
○議長(河野謙三君) お静かに願います。静粛に願います。
#31
○工藤良平君(続) われわれに対する最高の責務であると考えるのであります。
 私は、最後に、内閣委員長高田浩運君に対する解任決議案の正当性をあらためて確認するものであります。すでに指摘をしたとおり、同君は、良識の府たる参議院常任委員長たるものの責務を忘れ、田中内閣の走狗となって、軍国主義復活法案たる防衛二法案の強行採決に重大な役割りを果たし、議会制民主主義の破壊にみずから加担したことの責任は、きわめて重大であると言わなければなりません。国民のだれもが、このような反動的、反国民的な役割りを演じた高田浩運君を糾弾をし、その解任を強く求めているのであります。もはや、国民のこの糾弾の正当性を疑う者は、ひとりとして存在しないのであります。思い起こすまでもなく、先ほど申し上げましたように、二百数十万に達する戦死者、戦傷病者を出し、広島、長崎の悲劇を直接経験をし、また、中国人民をはじめ、アジア各国人民の数限りない生命を奪い取ったある侵略戦争の経験に立つならば、われわれもまたその戦争に参加をした大きな罪を認識をし、再び軍国主義の復活を策謀し、それに加担するものの責任は、どれほど糾弾しても糾弾し切れないものがあると言わなければなりません。
 ただいま、ここに上程されております内閣委員長高田浩運君の解任決議案は、再び侵略戦争を許さず、軍国主義の復活を許さずと固く決意をした国民の怒りの表現だと見なければなりません。
 私は、ここに、高田浩運君の解任決議が採択をされることこそが、良識の府たる参議院が国民の負託にこたえる最良の道であることを確認をし、賛成討論を終わる次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○議長(河野謙三君) これにて討論は終局いたしました。
 これより内閣委員長高田浩運君解任決議案の採決をいたします。
 表決は記名投票をもって行ないます。本案に賛成の諸君は白色票を、反対の諸君は青色票を、御登壇の上、御投票を願います。
 議場の閉鎖を命じます。氏名点呼を行ないます。
   〔議場閉鎖〕
   〔参事氏名を点呼〕
   〔投票執行〕
#33
○議長(河野謙三君) 投票漏ればございませんか。――投票漏れはないと認めます。投票箱閉鎖。
   〔投票箱閉鎖〕
#34
○議長(河野謙三君) これより開票いたします。投票を参事に計算させます。議場の開鎖を命じます。
   〔議場開鎖〕
   〔参事投票を計算〕
#35
○議長(河野謙三君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百十九票
  白色票            九十票
  青色票          百二十九票
 よって、本案は否決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
  〔参照〕
 賛成者(白色票)氏名      九十名
      塩出 啓典君    喜屋武眞榮君
      山田  勇君    内田 善利君
      藤原 房雄君    栗林 卓司君
      藤井 恒男君    青島 幸男君
      原田  立君    上林繁次郎君
      矢追 秀彦君    木島 則夫君
      峯山 昭範君    田代富士男君
      柏原 ヤス君    中沢伊登子君
      中尾 辰義君    渋谷 邦彦君
      鈴木 一弘君    宮崎 正義君
      田渕 哲也君    高山 恒雄君
      二宮 文造君    多田 省吾君
      白木義一郎君    小平 芳平君
      向井 長年君    村尾 重雄君
      田  英夫君    上田  哲君
      工藤 良平君    戸田 菊雄君
      前川  旦君    沢田 政治君
      野々山一三君    大橋 和孝君
      杉山善太郎君    松永 忠二君
      森中 守義君    西村 関一君
      林  虎雄君    中村 英男君
      阿具根 登君    森 元治郎君
      山崎  昇君    羽生 三七君
      藤原 道子君    鶴園 哲夫君
      鈴木  強君    片岡 勝治君
      辻  一彦君    佐々木静子君
      須原 昭二君    沓脱タケ子君
      小谷  守君    神沢  浄君
      鈴木美枝子君    宮之原貞光君
      加藤  進君    竹田 四郎君
      安永 英雄君    小笠原貞子君
      田中寿美子君    川村 清一君
      中村 波男君    鈴木  力君
      森  勝治君    村田 秀三君
      塚田 大願君    星野  力君
      松本 賢一君    小林  武君
      瀬谷 英行君    矢山 有作君
      茜ケ久保重光君    渡辺  武君
      須藤 五郎君    横川 正市君
      戸叶  武君    小柳  勇君
      河田 賢治君    岩間 正男君
      加瀬  完君    吉田忠三郎君
      小野  明君    成瀬幡 治君
      藤田  進君    秋山 長造君
      野坂 參三君    春日 正一君
    ―――――――――――――
 反対者(青色票)氏名      百二十九名
      高田 浩運君    玉置 猛夫君
      今  春聴君    熊谷太三郎君
      温水 三郎君    濱田 幸雄君
      森 八三一君    小山邦太郎君
      中村 登美君    松岡 克由君
      斎藤 十朗君    中西 一郎君
      君  健男君    細川 護煕君
      原 文兵衛君    橋本 繁蔵君
      中村 禎二君    棚辺 四郎君
      竹内 藤男君    中山 太郎君
      永野 鎮雄君    山崎 五郎君
      長屋  茂君    若林 正武君
      桧垣徳太郎君    小林 国司君
      亀井 善彰君    長田 裕二君
      石本  茂君    佐藤  隆君
      林田悠紀夫君    安田 隆明君
      源田  実君    二木 謙吾君
      丸茂 重貞君    河口 陽一君
      玉置 和郎君    山内 一郎君
      宮崎 正雄君    木島 義夫君
      小笠 公韶君    堀本 宜実君
      大森 久司君    白井  勇君
      植木 光教君    青木 一男君
      植竹 春彦君    木内 四郎君
      杉原 荒太君    上原 正吉君
      松平 勇雄君    剱木 亨弘君
      古池 信三君    塚田十一郎君
      重宗 雄三君    鬼丸 勝之君
      鈴木 省吾君    大松 博文君
      増田  盛君    矢野  登君
      志村 愛子君    高橋 邦雄君
      柴立 芳文君    古賀雷四郎君
      黒住 忠行君    河本嘉久蔵君
      初村滝一郎君    渡辺一太郎君
      山崎 竜男君    世耕 政隆君
      斎藤 寿夫君    星野 重次君
      上田  稔君    高橋雄之助君
      菅野 儀作君    佐田 一郎君
      佐藤 一郎君    中津井 真君
      寺本 廣作君    久保田藤麿君
      木村 睦男君    柳田桃太郎君
      船田  譲君    町村 金五君
      橘直  治君    高橋文五郎君
      岡本  悟君    徳永 正利君
      鹿島 俊雄君    米田 正文君
      柴田  栄君    大谷藤之助君
      大竹平八郎君    江藤  智君
      伊藤 五郎君    平井 太郎君
      安井  謙君    西田 信一君
      後藤 義隆君    郡  祐一君
      迫水 久常君    吉武 恵市君
      塩見 俊二君    鍋島 直紹君
      山本敬三郎君    稲嶺 一郎君
      寺下 岩蔵君    川野 辺静君
      金井 元彦君    片山 正英君
      梶木 又三君    嶋崎  均君
      今泉 正二君    園田 清充君
      山本茂一郎君    藤田 正明君
      平泉  渉君    楠  正俊君
      土屋 義彦君    内藤誉三郎君
      西村 尚治君    平島 敏夫君
      山本 利壽君    山下 春江君
      新谷寅三郎君    前田佳都男君
      増原 恵吉君    田口長治郎君
      八木 一郎君
     ―――――・―――――○議長(河野謙三君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、これより委員長の報告を求めます。内閣委員長高田浩運君。
    ―――――――――――――
   〔高田浩運君登壇、拍手〕
#36
○高田浩運君 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法案は、第三次及び第四次防衛力整備計画に基づき、昭和四十六年度、同四十七年度及び同四十八年度の自衛隊業務計画による措置を一括して行なおうとするものでありまして、その要旨は、まず防衛庁設置法の一部を改正して、自衛官の定数を六千九百八十八人増員して二十六万六千四十六人とするほか、防衛庁本庁の附属機関として、防衛医科大学校及び自衛隊離職者就職審査会を新設すること、また、自衛隊法の一部を改正して、新たに那覇市に司令部を置く南西航空混成団を設けるほか、予備自衛官の員数を三千三百人増員することであります。
 委員会におきましては、質疑のほか、沖繩に委員を派遣して現地の実情調査を行ない、その報告を聴取いたしました。質疑のおもなるものは、国際情勢の分析と防衛力整備計画のあり方、国際情勢の変化と日米安保体制の意義、沖繩への自衛隊配備と文民統制等であります。
 去る七月十七日、採決を行ないました結果、本法案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしましたが、(拍手、発言する者多し)その後、国会正常化の趣旨に沿って質疑を続行し、日米首脳会談の内容、憲法における戦力の解釈、米国の極東戦略の変化と沖繩の軍事的地位、陸海空における自衛権発動の態様、自衛隊の定員管理と募集対策等について政府の見解をただしたのであります。
 これら前後を通ずる質疑は、沖繩復帰による新局面と現下内外の諸情勢を背景として、国の防衛の基本に関する諸問題にわたったのでありますが、その詳細は会議録に譲ります。
 以上御報告申し上げます。(拍手)
#37
○議長(河野謙三君) 本日はこれにて延会することとし、次会は明日午前十時より開会いたします。
 これにて延会いたします。
   午後十時二十七分延会
ソース: 国立国会図書館
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