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1972/06/13 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第12号
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1972/06/13 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 交通安全対策特別委員会 第12号

#1
第071回国会 交通安全対策特別委員会 第12号
昭和四十八年六月十三日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 久保 三郎君
   理事 大竹 太郎君 理事 中村 弘海君
   理事 野中 英二君 理事 井上  泉君
   理事 太田 一夫君 理事 紺野与次郎君
      足立 篤郎君    阿部 喜元君
     小此木彦三郎君    加藤 六月君
      片岡 清一君    佐藤 守良君
      斉藤滋与史君    野田  毅君
      野坂 浩賢君    平田 藤吉君
      沖本 泰幸君    松本 忠助君
      渡辺 武三君
 出席政府委員
        内閣総理大臣官
        房交通安全対策
        室長      秋山  進君
        運輸省自動車局
        長       小林 正興君
 委員外の出席者
        警察庁交通局参
        事官      寺尾  繁君
        大蔵省銀行局保
        険部長     安井  誠君
        参  考  人
        (日本損害保険
        協会専務理事) 山口 秀男君
        参  考  人
        (全国共済農業
        協同組合連合会
        常務理事)   黒川 泰一君
        参  考  人
        (全日本交通安
        全協会専務理
        事)      今竹 義一君
        参  考  人
        (交通遺児育英
        会専務理事)  玉井 義臣君
        参  考  人
        (全日本交通運
        輸労働組合協議
        会事務局長)  穐山  篤君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 自動車事故対策センター法案(内閣提出第七〇
 号)
     ――――◇―――――
#2
○久保委員長 これより会議を開きます。
 自動車事故対策センター法案を議題といたします。
 本日は、お手元に配付いたしました名簿のとおり参考人の方々が御出席になっております。
 各参考人には御多用中のところ御出席いただき、厚くお礼を申し上げます。
 本委員会は、ただいま自動車事故対策センター法案を審査いたしておりますが、本日は、各界で御活躍の皆さん方にそれぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、本案審査の参考にいたしたいと存じます。
 御意見の開陳は、山口参考人、黒川参考人、今竹参考人、玉井参考人、穐山参考人の順で、お一人十分程度お願いいたします。その後委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、山口参考人から御意見を伺うことにいたします。
#3
○山口参考人 参考人の日本損害保険協会の専務理事をしております山口秀男でございます。
 このたび自動車事故対策センター法案がこの国会に提出されまして、この委員会において御審議なさっておるわけでありますが、私どもも保険をやっております関係上、深い関心を持っている次第でございます。
 自動車事故の発生を防止する、また、自動車事故による被害者の救済に対して諸先生方が非常に御熱意を持って御審議になっておりますことに対しましては、深く敬意を表するわけでございまして、また、この法案の作成その他につきまして御努力をなさっております政府職員の方々に対しましても、深く敬意を表するような次第でございます。
 御承知のように、日本のモータリゼーションは、昭和三十年の後半ごろからでございますが、非常に急速に進んでまいりまして、自動車の台数がいま人口四人について一台というぐらいまで非常な普及をしております。そういうことになりますと、それにつれまして自動車事故も非常な上昇を来たしておるというようなことでございまして、そんなことから大きな社会問題になっていることは、先生方御心配になっているとおりでございます。こんな状態でございますので、私どもは損害保険という仕事をしておりますその保険の機能を通じまして、保険の事故による被害者をいかに保護救済するかというようなことで、保険を通じて日常努力を重ねているような次第でございます。
 そこで、現在、日本の保険会社は全国に全社を通じまして営業店舗約二千三百ぐらい持っております。その店舗の窓口に交通事故相談所というものを設けまして、加害者の方あるいは被害者の方、その両方の方々から種々な相談を受けまして、そういうのを整備するような体制をいま整えておるところでございます。私どもの損害保険協会というものも、協会の中に保険相談室というのをいち早くつくっておりましたが、ことに自動車の保険金請求というものが非常にむずかしいと申しますか、そんなことがございましたものですから、昨年の一月以降、自動車保険請求相談センターという名前のものでございますが、そういう事務所を設けまして、全国各地にこれを拡充していくつもりでおりますが、ただいまのところ二十八カ所ほどつくっております。そして、各地で弁護士会の応援なんかを得まして、そしてこの保険金の請求、これは非常にむずかしいわけでございますので、そういうことについて何かの、被保険者の方々あるいは被害者の方々のお力添えができるのじゃないかというようなことを考えておる次第でございます。業界といたしましては、自動車の事故防止とか、それから被害者の救済ということに対しては、幾分かの資金も拠出するというようなことをしまして、いろいろな各方面の方々の御協力を待って、自動車の事故に対する軽減といいますか、そういうふうなことをやっておること、これは詳しくはなんでございますが申し上げておきます。
 この法案の第三十一条によりますると、自動車事故対策センターというのは、運転者の方々の適性検査というのが非常に大きな業務の一つの柱になっておるようでございます。これは、自動車運行管理センターさんがただいままで全国九カ所ぐらいあるようでございますが、そういうところでおやりになっているようなことでございますが、それをもっと拡大して運転者の適性検査というようなことをここで取り上げてあるわけでございますが、これは非常に重要な要素だと思っております。これによって事故防止ができるというふうに私ども感ずるわけでございます。最も時宜を得たものだと思っております。
 また、この法案が被害者家族の救済と申しますか、そのために特に交通遺児の育英問題を取り上げておいでになるようでございますが、これはまことにとうといお仕事でございますので、けっこうなことだと存じておる次第でございます。
 私どもは、この法案が作成されます過程におきまして運輸省から御相談をいただきましたが、私ども先ほど申し上げましたような観点から、その御趣旨に賛成をしておるような次第でございます。
 そんなわけで、この自動車保険の仕事をやっておりますわれわれ業界といたしましては、この法案による事故対策センターが設立されたような場合には、応分の出資に応ずるという気持ちでおります。また、このセンターをやるために三年間ぐらい施設拡充計画がおありのように承っておりますので、その節も応分の御協力はいたしたい、こんなことを考えております。そういう出資をいたすというようなことも、かねて自動車保険のほうの審議会の答申に出ておりますが、われわれはその答申の趣旨と申しますか、それに沿ったものだと思いまするので、こういう出資にも応ずるというような気持ちでおるわけでございます。
 そこで、いよいよこの法案が通りまして、そして設立されるというような場合には、もう私どもも業界あげて、これは相携えまして、自動車事故の防止とかあるいは事故の軽減、被害者保護というようなことに邁進したいというふうに考えておりますので、どうぞ皆さん、この上ともに御指導、御鞭撻をお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)
#4
○久保委員長 次に、黒川参考人。
#5
○黒川参考人 全国共済農業協同組合連合会、略称全共連と申しておりますが、そこの常務理事の黒川でございます。
 先生方には、いつも農協の共済事業に関しましていろいろ御高配を賜っておりますので、この席をかりまして厚くお礼を申し上げます。
 おかげをもちまして、農協の生命共済を中心とした長期の共済の保有高が現在十八兆円、それから短期の共済が契約料にして二十一兆円、そのうちの自動車共済が十七兆円、これが中心でありますが、さらに自賠責共済の事業の契約台数がいま三百二十四万台ということでございます。
 このたび、交通事故対策を一そう積極的に推進するために、自動車事故対策センター法案を御審議いただいておるわけでありまするが、私ども自賠責共済事業を担当しまして、交通事故被害者救済に携わりまする農協の共済といたしましても、まことに時宜を得たものと深く敬意を表しておるものであります。
 全共連と申しますのは、全国的な農協の共済事業の危険分散をはかるための全国組織でございまして、全国の市町村にあります農業協同組合約五千五百組合、それに四十七都道府県共済連、これらと一体となりまして事業の運営に当たっておるわけでありまして、全共連は、昭和二十六年に設立されまして二十三年目、こういうところでございます。
 最近、農村地帯におきまする自動車の台数が非常に増加してまいりましたが、それに伴いまして、交通事故も農村で非常に増加傾向にございまして、都市部におきましては事故が低下傾向に入っておりまするけれども、農村としましてまことに憂慮すべき状況になっております。特に、私ども自賠責共済事業が自動車事故の被害者救済制度の中核をなしておるものでありまして、自賠責制度の社会的責任と国民の福祉的向上に果たす役割りがきわめて大きいということで、私ども非常に責任の重大さを痛感いたしておるわけであります。
 最近、共済事業の発展とともに、共済事故の発生時におきまして共済金を支払うというのが共済事業の第一次的な使命でございまするが、その使命遂行だけでは満足できませんので、交通事故絶滅のためのいろいろな対策全般にわたって努力をしております。その概要につきましては、お手元にお配りいたしておりまするが、「望まれる交通安全総合対策」という中に一通り掲げてございます。
 たとえば、昭和四十一年の自賠法改正の際に国会から強く要請されまして、それ以来七年になっておりまするが、その間懸案事項になっておりました交通事故被害者の社会復帰をはかるためのリハビリテーションセンターを、静岡県の中伊豆とそれから大分県の別府、この二カ所に建設をいたしまして、去るこの四月にそれぞれ開設を見たわけであります。この二つのセンターの建設資金は大体約四十億円、その原資は自賠責共済事業にかかりまする運用益の一部等をもって充てておるわけであります。
 このほかに、系統の共済連におきましては、交通安全教室の開催、ドライバーの性格診断、車両診断及び交通遺児募金への協力運動等、幅広く総合対策をやっておりまして、これは自分たちの問題であるということにしまして、農村地帯における交通事故のゼロ作戦を展開しておるわけであります。とりわけ農村地帯におきまして救急医療施設の整備がおくれておりますので、それをはかるために、このたび道府県の厚生農協連に所属いたしておりまする八十五の総合病院、その他の公的病院九十八、合わせて百八十三の病院における救急医療施設の整備、それにすぐれた専門スタッフを確保するということに努力をしたわけであります。そのほか、地方自治体の救急搬送体制を確立するために、救急車を約百八十台その他を寄贈いたしたわけであります。
 これらの原資はいずれも自賠責共済事業の運用益等を充てたものでありまして、その総額、いろいろなものを合わせますと、この三年間に約百億円になっておるわけであります。
 このような、私どもといたしましてはわりに大がかりな救急医療施設の整備をやっておりますというその背景、理由を申しますと、交通事故の発生から救急車がそこに到着する、救急車が走ってまいりまして、それからその被害者を搬送して救急病院施設等に連れてまいりますその時間が、これは消防庁の調査でありますが、東京都の場合は三十分以内に収容する者が約八〇%、こういうことになっておりまするが、農村地帯における実態を見ますと、これは私どもの自賠責共済事故のいわゆる事故者カードから追跡分析をしたわけでありますが、それによりますと、三十分以内に収容される者は三〇%、三十分以上二十四時間までかかる者が三七%、しかも二十四時間以上経過するという者が実に三三%にもなっておるという、まことに悲しむべき実情に農村はあるのであります。交通事故被害者の生死の分かれ目は十分以内の手当てをするかどうかということにきめ手がかかると言われておるわけでありますが、交通事故によります農村の人命の取り扱いに関する実態は、以上申し上げたようにきわめて憂慮すべきものがあるのであります。
 次に、このたびの事故対策センターの設立にあたりましては、私どもの事業の使命にかんがみまして、このセンターが設立されました暁には、日本損害保険協会と一緒に、私どもも応分の出資の御協力をいたしたいというふうに考えております。
 この自動車事故対策センターの行なおうとする適性診断業務、交通遺児に対する貸し付け等の業務は、いずれも交通事故の発生防止に大きな効果を果たす、また被害者救済にも大きく寄与すると考えられますし、私どもといたしましても、単に自賠責共済収支の改善ということにとどまりませず、広く国民の福祉の向上に貢献することが大きい、そういう意味で、これに対する期待を寄せている次第であります。
 最後に、希望を率直に申し上げさせていただきたいと存じますが、その要点は次の三点であります。
 まず第一点は、このセンターの出先機関といたしまして、約五十カ所設置される予定ということでございまするが、設置にあたりましては、都市部に偏在するということのないように、その体制と運営の円滑化をはかられまして、農村地帯にも恩恵が受けられまするように特別の御配慮をお願いいたしたい。
 第二点は、このセンターの業務につきまして、事業用自動車の運行安全の確保に関する指導及び講習、並びに事業用自動車の運転者に対して適性診断を行なうということになっておりまするけれども、希望のある場合には自家用自動車の運転者に対してもとなっておりますが、積極的にこれは、そういう希望者に対して同様の指導あるいは適性診断の機会を十分に与えられますることを、特に切望を申し上げる次第であります。
 第三点は、私どもの設置いたしました農協共済の中伊豆、それから別府の二つのリハビリテーションセンターとこの事故対策センターとの有機的な連携をはかりまして、交通事故被害者救済に万全をはかってまいるために緊密な関係を保持できるようにお願いいたしたい。
 私ども農協共済事業関係者といたしましても、将来ともこのセンターに対する協力を惜しまないつもりでございます。
 以上であります。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍子)
#6
○久保委員長 次に、今竹参考人にお願いします。
#7
○今竹参考人 全日本交通安全協会の専務理事の今竹でございます。この委員会に参考人としてお招きいただいたことを光栄に存じております。
#8
○久保委員長 おそれ入りますが、少し声を大きくお願いします。
#9
○今竹参考人 まず、この法案が、貸し付け等の被害者の保護はもちろんでございますが、特に高い安全水準が要請される事業用自動車について安全対策を徹底させること、そのための資金として保険の運用益を活用されることは、まことに時宜を得たことと存じます。この保険の益金を交通安全対策に利用するということは、諸外国においても、民間の保険会社のそれをも含めまして、最も大きな安全対策の資金の一つと考えられているようでございます。
 それにつけて実情を申し上げて、諸先生方の御配慮を得たいのでございますが、私どもの全日本交通安全協会が自賠責再保険特別会計からいただいている補助金は、昭和四十五年度から毎年一千万円でございまして、これに毎年四百万ないし五百万の自己負担金を加えまして、一例を昭和四十七年度について申し上げますと、千四百七十九万円で、安全運転管理者指導員講習会、交通安全推進地方講習会、学童の交通安全教育用のための壁新聞、交通安全フォトニュースの発行等の事業を行なっておるのでございます。
 私どもは、こうした事業を大きく伸ばしたい、安全運転管理者や指導員の講習、青少年の二輪車の乗り方の指導者の講習などを数多く実施したい、その他いろいろと交通安全キャンペーンを展開したいと考えておるのでございますが、その場合の問題は、事業費の三分の一の自己負担金でございます。自己負担金の要らないような、補助事業の執行そのものに必要な経費は何とか全額補助していただきたいというのが第一のお願いでございます。
 交通事故を減少させるためには、これはもう私が申し上げるまでもなく、教育、取り締まり、工学の、いわゆる三Eの広い分野にわたる総合的な施策が必要であるといわれておりますが、その一つの教育の分野についてみましても、一つに偏しない、幅の広い施策が大切であると存じます。私ども財団法人全日本交通安全協会は、四十七の都道府県交通安全協会を会員としまして、これを通じて全国津々浦々の千二百五十九の地区の交通安全協会とも手を携えて、三千万人の運転者はもとより、一般住民の方々に対して幅広く教育と宣伝活動を実施しております。
 新年早々の交通安全国民総ぐるみ中央大会、春と秋の全国交通安全運動に民間団体としてただ一つ共催いたしております。また、御承知の、運転者向けの「せまい日本 そんなに急いでどこへ行く」などの、街頭で見られる交通安全年間スローガンを募集し、これを普及させること。さらには「幼児交通安全教本」の普及を中心として、母親を通じての幼児の保護と教育、自転車の安全な乗り方教室による小中学生に対する交通教育の問題、あるいは高校生、青少年に対するモーターバイク、オートバイ等の二輪車の安全運転教育の推進、最後に、自動車の運転者に対するいろいろの再教育の施策と、こうつながる一連の安全教育活動、さらに老人、家庭の主婦をはじめとする一般地域住民に対する交通安全思想の普及宣伝等、多岐にわたる活動を総合的に行ない、数多くのポスター、ビラ、印刷物、絵本等、さらにまた映画、スライド等の教材、安全宣伝用の資器材の普及につとめているのでございます。
 こうした交通安全協会の活動の資金は、一つには民間の会費または寄付金、二つには国、地方公共団体等の補助金、三つには事業の益金、この三つでございまして、これは欧米の安全協会においてもほぼ同じでございます。もとより国によってそのどれに重点があるかの違いはございます。たとえばイギリスの例を申しますと、多額の国費が、国の補助金が王立事故防止協会の活動に与えられております。またスイスでは、事故防止協会の運営活動資金はすべて政府管掌保険と民間保険が折半負担されておるようでございまして、私ども交通安全協会に対して、国の補助、先ほども申しましたように自己負担を必要としない、国の補助金の飛躍的増大を要望申し上げる次第でございます。
 それとともに、同じく民間団体で私どもとともに働き、交通安全に関する科学的研究及びその成果の応用についての協力推進をはかっている社団法人日本交通科学協議会や、また正確かつ詳細な道路交通情報を迅速に提供し、もって交通の安全及び円滑化をはかっている財団法人日本道路交通情報センター等の活動にも補助の御配慮をお願いいたしまして、私の意見を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
#10
○久保委員長 次に、玉井参考人。
#11
○玉井参考人 財団法人交通遺児育英会の専務理事の玉井でございます。四十二年以来交通遺児の救済運動をやってまいりましたジャーナリストとしても発言を許していただければと思います。
 きょうは交通遺児の問題に限定しまして、これから私の意見を述べたいと思います。
 最初に、交通遺児の実態について、私がとらえております数字を、非常にラフで恐縮でございますが、申し上げたいと思います。
 総理府の調査では、小中高、それに乳児院、幼稚園のようなところの調査がございますが、私はゼロ歳から十八歳の遺児はいま大体全国に十万人いると思います。そして、九〇%が父親を失っております結果、三人に二人は貧困家庭であるというふうに考えております。そして、毎日三十人、年間一万人の交通遺児が間断なく生まれてきているというふうに考えております。それで、貧困化につきまして、私はやはりこれは政治の責任であるというふうに考えるわけですが、まず交通事故の発生率は、諸外国に比べまして、過去十年間ぐらいを見ますと、たいへん多かったということはいなめない。この辺につきまして、交通遺児の多発化も日本の場合は諸外国に比べまして政治の責任の部分が多分にある。
 それで、次に、その子供たちが貧困化する過程でございますが、一つは自賠責の制度が十分でなかった、三十万円、五十万円、百、百五十、三百、五百万円と上がりましたが、三十一年以来の交通遺児がまだ十分に大学を出る年になっていないということを考えますと、やはり自賠責制度が十分でなかったし、任意保険もそれをカバーして十分に機能していなかったということで、個々に対する被害者救済制度がかなり立ちおくれていたということを、私の意見として一応申し上げたいと思います。
 それから、今回の自動車事故対策センター法案につきましては、私は積極的に賛成でございます。いままで交通遺児の救済機関としましては、私どもの財団法人交通遺児育英会だけしがなかった、ちょっと極端な言い方かもしれませんが、全国的にカバーするものはこれだけしかなかったというふうに思うのでございますが、今回、中学卒業までの子供に対して生活資金の貸し付けをされるというようなことで、交通遺児救済の受けざらとしてこれは非常に意義のあることだと思います。
 しかし、私は次の二点で注文をさせていただきたいと思うのです。
 一つは金額が少な過ぎやしないか、五千円という額はいまのインフレの中では決して多いとは思えない。それから、千五百人という数字はあまりにも少な過ぎる、私が十万人という推定をいたしましたそれを十九で割っていただきましたら一歳当たりの子供が出ますが、十五歳までの子供は、この計算でいきますとおそらく八万人近くになると思いますが、八万人の子供に対して千五百人はいかにも少な過ぎる。私どもは高校生三学年に対して約四千人の救済活動をしておりますから、数字の点で非常に不満でありますので、今後十分にこれを整備、拡充していただきたい。
 そして第二点は、被害者代表の発言の場を常に確保しておいていただけるように御配慮願いたいということでございます。
 それから、私どもの財団法人交通遺児育英会につきましては、実は当委員会、衆議院の交通安全対策特別委員会が生みの親であります。四十三年十二月二十日の本委員会で、「政府は、すみやかに、交通遺児の修学資金を貸与する業務を行なう財団法人の設立及びその財団法人の健全な事業活動を促進するため、必要な助成措置等について配慮すべきである。」旨の決議が行なわれ、政府は、その決議の趣旨に沿って、十分に検討し、努力することを言明され、四十四年一月三十一日の閣議で閣議了承をされたわけです。ということで、まさに育英会はこの委員会から生まれたということをまず御記憶願いたいと思います。
 諸先生方、あのときにいらした方々がまだずっといらっしゃいますが、それ以後の経過を簡単に説明してまいりますと、私どもは四十四年五月に発足したわけですが、それ以来、高校生に月五千円の奨学金を貸与をして、四十七年度までに四千三百七十五人を採用し、千七百五十九人を卒業させ、ことしの分を合わせますと、五千四百八十四名を通算で採用していることになっております。しかし、昨今インフレが高進してまいりまして、高校生の教育費が急激に増大しております。四十四年発足当時、私どもの感じでは高校教育費は四千円台だったわけです。それが四十七、八年あたりでは八千円前後になってきております。せんだって、四十八年六月八日でございますが、読売新聞の報道するところによりますと、都内の私立高校生の学費は授業料、積み立て金などで月六千円ないし八千円、昼食代、参考書、交通費などを含めますと一万四、五千円はかかるというふうに報道されております。大体私立学校に関してはそのような金額になっているのではないかと思います。
 ところが、次は私どものほうの募金状況でございますが、各方面の御協力を賜わりまして、いままでのところ三十億のお金が集まっておりまして、手持ち資金は約二十六億でございます。三十億の内訳について申し上げますと、自動車工業会が設立の年に十億円、自動車を除く財界が五億七千万、国民各層の善意の募金が九億一千万ほどございます。そして政府補助金、これは自賠責の保障勘定からいただいておりますが、四十四年、四十五年、四十六年各二千万円、四十七年三千万円で、九千万円でございます。その九千万円を含めまして、政府補助金、公営企業関係から五億四千万円ちょうだいしております。しかし、いま四十八年度から、インフレの高進に伴いまして、一部高校生に一万円貸与の制度を新設したわけです。そして、大学生に対しましても、一学年五十人、これはきわめて優秀な者だけにしぼって月額二万円の貸与の制度を発足させたのでありますが、これを将来、教育費の実態に合わせて、高校生にすべて一万円、大学生に二万円を出しますと、教育奨学金だけで五億強のお金が要ります。ですから、五億ないし六億のお金を今後調達するには、基金としては膨大なお金が要る。私どもの希望としましては、政府関係で二億、公営競技関係で二億、一般の寄付基金から二億、こういうぐらいの振り合いでないとなかなかうまくいかないというふうに考えております。
 時間がなくなりましたが、最後にもう一点、今度は、交通遺児貧困化の原因であります自賠責の引き上げについてお願いいたしたいのでございますが、自賠責五百万はいかにも低きに過ぎる。私は自賠責千万プラス任意保険二千万、総額三千万の強制保険を新設されてはいかがかと存じます。これは任意保険の強制化と、従来の無過失責任保険に近い自賠責を組み合わせて、すべての自動車に三千万円の補償能力をつける、それによって今後生まれてくる交通遺児の貧困化は避けられるというふうに考えております。
 そして、つけ加えますれば、ここで自損事故に対する保険制度も考えていただきたい。アメリカではノーフォールト保険がもうすでに各州で非常な勢いで広がっております。政府も上院で可決寸前のところまでいったわけです。これは、自損事故も被害者救済のために補償を出そうという非常に新しい画期的な考え方でございますが、当委員会におかれましても、そういう方向で新しい保障制度の新設に御努力されるように期待して、とりあえず参考人の陳述を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
#12
○久保委員長 次に、穐山参考人。
#13
○穐山参考人 私は、全日本交通運輸労働組合協議会の穐山というものでございます。通称全交運といいまますが、いわゆる鉄道、バス、トラック、タクシー、飛行機など、運転者を中心とします労働組合の結集体でございます。
 私どもの運動としましては、当然、労働者の労働条件の向上というものを任務にいたしますが、もう一つは、公共輸送の確保あるいは交通安全の確保というものにつきましても、私どもの運動の重要な目標としまして、運動を行なっているわけであります。そういう立場から、今回出されました自動車事故対策センターあるいはそれに関連する問題につきまして、意見と要請を申し上げたいと思っております。
 一つは、このセンターの資金が自賠責の特別会計から出資をされるということでありますので、そこの部分について若干意見を申し上げたいと思います。
 いま玉井さんからもお話があったわけでありますが、昭和四十四年の十月に、自賠責につきましては、保険金額の改正なりあるいは料率の改正というものが具体的に行なわれました。その際に、医療費の支払いの適切化など、八項目にわたりまして答申がされているわけであります。私ども運転労働者あるいは事故をなくすという立場からいいますと、この八項目の実現について非常に関心を持っていたわけであります。しかし、この八項目につきましては、政府全体の問題といたしましても、厚生省とかあるいはその他にかかわり合いがあるためでしょうか、まだ全体として実現をされていない。
 それからもう一つは、五百万円が最高限度でありますけれども、死亡の場合、今日では、飛行機の場合、鉄道の場合、その他の場合を考えてみましても、一千万円というのはほぼ常識になっているわけです。ですから、私どもといたしましては、せっかく自賠責特別会計から出資をするという機会でありますので、この八項目の答申なり、それから保険金額あるいは後遺障害に対します最高金額というものをこの際大幅に引き上げていただく、そのことが重要ではないかと思いますし、また、それが先決ではないかというふうに率直に大きく期待をしているためでしょうか、そういうふうに私どもとしては考えるわけであります。
 それから、この事業内容、第三十一条に触れられているわけでありますが、三十一条の前半の事項につきましては、主として事業用の運転者を対象にされているようであります。ところが、昨年の交通事故のことにつきましてはつい最近白書が出ました。それから一昨年の交通事故白書についても勉強をさしていただきましたが、昭和四十五年を境にしまして、交通事故の件数なりあるいは死亡者、負傷者が減ってきているということは、お互いに喜ばしいことだというふうに思います。統計上見ますと、事業用の交通事故あるいは事業用の運転者によります事故によって死亡したり負傷したりする事故と、それから自家用車との割合を見ますと、確かに自家用車――たとえば一昨年の例でありますが、自家用車一万台当たり二百三十六件に対しまして事業用が千百三十六というふうに非常に多いということは、統計の上では明確であります。しかし、これは一万台当たりとかあるいは人口十万当たりというふうなもので比較をすべき事柄でなくして、実際は走行キロあるいは走行状態で比較することのほうが正しいのではないかとは思いますが、いずれにしても、事業用の割合が多いことは事実です。しかし、絶対数におきましては、事業用の道路交通事故よりも自家用によります道路交通事故及び死傷者というもののほうが圧倒的に多い、これはいなめない事実であります。それも、自家用の場合、具体的に数字を調べてみますと、昨年の場合あるいは一昨年の場合にも約四十万件あるわけであります。俗称マイカーなりあるいはトラックというものがそれの大部分を占めているわけであります。
 そこで、私どもは昨年の十月に東名高速道路で一晩実態調査をしたことがあります。それは青ナンバーとかあるいは白ナンバーにかかわらず、実際に東名高速を走っておりますトラックについてほとんど全車両を当たりました。あるいは全運転手に聞きまして取材調査を行なったわけでありますが、東名高速を走っておりますトラックの半数以上が実は過積みをしているわけであります。五トンの車に八トン、あるいは十トン車に三十五トンというふうに過積みをしているわけであります。そういうふうな過積みによる事故というものが絶えない。ですから、私ども事業用の運転労働者としても十分に注意をしなければなりませんし、また、当然だと思いますけれども、事業用もさりながら、自家用の問題につきまして、十分交通事故対策といいますか、安全輸送対策を講じていただかなければならないというふうに強く念願をしているわけであります。
 そういう例をはしょってちょっと申し上げますが、四十六年の実績で、バス、これは営業用でありますが、千三百八十九件事故がありまして、なくなった運転者が三百八人、タクシー三千百七十九件と、件数は非常に多いわけですが、四百三十四人、トラックが千八百九十件と、件数はバスより少し高いわけですけれども、死亡している者は千二百八十人というふうに、過労とか過積みという問題が非常に大きく原因をしているというふうに私どもとしては考えるわけです。
 それからもう一つ、統計の上でも、あるいは私どもの調査でもそうでありますが、無免許運転あるいは酔っぱらい運転ということについて、私どもとしても非常に関心を持ち、具体的にそういう事業者がある場合については、私ども十分経営者と交渉をしているわけですけれども、昭和三十七年の国会の中での記録によりますと、鉄道の機関士に鉄道を卒業したOBの方が臨時雇用員として運転をするということはよくないということで、十年前そういう議論がされた記録を読みましたけれども、無免許運転と酔っぱらい運転が最近一、二年の例でいいましても八%から一二%くらいあるわけであります。ですから、私どもこういった過労、過積み運転とかあるいは基本的な無免許、酔っぱらい運転というものを撲滅することによって相当部分の事故は解消できるんじゃないだろうか。そういう意味で、現行法を十分に活用していただいて、私ども自身も努力をしていきますけれども、ぜひそういう面についての御配慮、御検討をお願いをしたいと思っているわけです。
 時間がありませんから、最後に、私ども交通事故をなくす立場ということをつくづく考えるわけです。そういう意味でこの法案全体を読ましていただきますと、交通遺児の問題について非常に独創的な考え方が盛られているということについては、十分に理解がいくところでありますけれども、やはり事故が起きたあとの始末というふうな感じがしてならないわけであります。ぜひ、根本的に事故をなくしていく、こういう立場で先生方の御努力をいただきたいし、また、私どもぜひその道について努力をしていきたいということを申し上げまして、簡単でありまするけれども意見にかえる次第であります。(拍手)
#14
○久保委員長 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#15
○久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。片岡清一君。
#16
○片岡委員 本日は、各参考人の方々にはお忙しいところにかかわりませず、おそろいでおいでいただいてたいへん貴重な御意見を拝聴いたしましたことを、衷心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 私に割り当てられました時間、たいへん短うございますので、簡単に質問を申し上げて、お答えもなるべく簡単に、ひとつ時間のかからぬようにお願い申し上げたいと存じます。
 まず最初に、山口参考人にお伺いいたしたいのでございますが、わが国の状態として、自賠責のほか任意保険というのが非常に普及率が悪かったと思うのですが、最近相当普及してきていると思うのでございますが、その点はどの程度伸びつつあるか、ちょっとお伺いしたいのであります。
#17
○山口参考人 お答えをいたします。
 ただいま片岡先生からお話がございましたが、いままで自動車保険、特に人身賠償保険の伸びはわりあいに少なかったわけでございますが、ここ十年くらいの間に、いま一番このほうを主にして伸ばしておりますもんですから、大体いま五〇%ちょっとこしたというところじゃございませんでしょうか。それでもう少しやらないといけません。先ほど玉井さんがおっしゃっておりましたですが、自賠責が少し足りない、だからもう少し任意を金額をふやせということでございました。この点で、金額ばかりでなくて、皆さんにひとつ任意保険に入っていただくということに努力をしたいと考えております。
#18
○片岡委員 ただいま五〇%程度に伸びたと伺いましてたいへん心強く思いますが、これは諸外国に比べましてまだまだこの任意保険の加入率が少ないと思います。これはもっともっと伸ばしていただかなければならぬと思います。先ほど玉井参考人からもお話がございましたように、五百万円に対して三千万円くらいという見当はたいへん貴重な御意見だと思います。したがいまして、この差額についてはやはり任意保険で埋めていくということが、被害者救済の立場からもたいへん大事なことだと思います。
 つきましては、私は、先ほど山口参考人からお話がございました事故防止、被害者救済の点についても、協会としていろいろお骨折りをいただいておるということでございますが、諸外国の例を見ますと、保険会社の交通安全運動に対する投資というものが相当大きなものになっております。そういう点から申しまして、先ほどいろいろ御説明がございましたが、全共連の黒川参考人の御意見では、かなりいろいろの点でリハビリテーション施設とかその他いろいろの交通事故ゼロ対策ということで相当強力な事業をおやりになっておるようでございます。それに比べて、どうもそのことを言いにくいのでございますが、損保協会のほうでは、その方面における関心が薄いといいますか、あるいは具体的な事業に対する助成といいますか寄付といいますか、そういう面にもっと思い切った措置を講じていただく。ことに最近、この数年間非常に事故が減っております。これは私は、交通安全運動が相当定着をしてきた、そういうことだと思います。それが、交通安全運動をやっておるいろいろな諸団体、ことにさっきお話しの全日本交通安全協会は一番中核になっておると思いますが、そういう運動の結果生まれておると思いますので、そういう方面に対する御関心をいままで以上にお持ちいただくわけにいかぬのか。私はその点を御意見を拝聴したいと思います。
#19
○山口参考人 お答えをいたします。
 たいへん手痛い御質問でございます。実は私どものほうも、こういうことに対してはもう当然のことながらたいへん関心を持っておりますし、またやっておるつもりでございます。ただ、何と申しますか、非常にまとまった大きなものでどかんとやるというようなことを実はやっておりませんものですから、そういう先生のようなお話があったのじゃないかと思いますが、それでは、私ども実際やっておりますようなことを申し上げたいと思っております。
 この自動車保険というのは、先生方も御案内のように、始めましてから任意保険も自賠責の保険もずっと赤をやっておりまして、ようやく二、三年来黒字に転向してきたというようなことでございます。したがいまして、人情と申しますか、どうしても赤字であればいろいろな寄付もちびるというようなことに実はなるのでしょうか。そんなことでございますが、しかし、われわれ損害保険会社としまして、また、協会といたしましては、協会というのは六十年ずっと続いているような協会でございますから、やはり人並みなおつき合いということはしなくちゃならぬ。そういう意味で、各団体でいろいろな、交通に限って申しますると、交通関係でいろいろな運動をなさっている諸団体があるわけでございますから、そういうことに対しましては、そのつど幾分のことをずっとやっておりました。しかし、それではやはり何となく目につきませんものですから、昨年から、自動車保険料のうちから、あるものをここへ出しまして、そして、これで寄付を申し上げることにしようということになっております。昨年も約二億、ことしも二億ということです。これはおそらく少しずつ金額が上がっていくと思いますけれども、それはやはり各種団体に対しての――その各種団体と申しまするのは、たとえば今竹さんのところと申してよろしいかどうか知りませんが、そういうところで何か運動をおやりになるとか、あるいは官庁でもじきじきに交通安全のための運動をなさるというようなときの寄付とか、そういうふうなもので大体二億円ぐらいのものは出ることになると思っております。これは主として交通安全の教育とかあるいはキャンペーンとかいう、そういうふうなことに使われると思うわけであります。もちろんNHKに対してもそれを差し上げるとか、NHKの事業団ですね、そんなことをやっております。
 それからもう一つ、交通債というのが実はございますが、これは昭和四十年に、実は各都市で交通事故の多いところに交通信号機をおつくりになって、そしてそれを改良したいというようなお話がございました。昭和四十年に、これは地方債でございますけれども五億円、毎年毎年ずっとそれを重ねてまいりまして、今日まで約八十億円ぐらいな交通債、これは信号機の設置、改善というようなことに使われておる。このために相当に交通事故が減っておるということを確信しております。これも毎年続けるわけでございまして、ことしは十五億円応募しております。
 それからもう一つは、自賠責審議会で出たことでございますけれども、自賠責のほうの滞留資金がございます。それに対する運用益というのがございます。ですから、これは政府のほうでもそれに対するいろいろな御事業をなさっているわけでございますが、私どものほうといたしましては、これを全部区分経理を明確にいたしまして、これはその会社がかってには全然手をつけてはいけないことになっている。ですから、そういうことにいたしまして、それを利用するということになっております。昨年はちょうど日本赤十字社関係、これは交通災害の救急医療が非常に手薄になっているようでございますので、それに十億円、それから社会福祉法人の恩賜財団済生会、このほうもやはり救急業務のほうでだいぶ手薄のようにお聞きしましたので、このほうに五億円差し上げております。おそらくこういうのはずっと続いて差し上げることになると思います。また、警察庁あるいは消防庁関係で、白バイをおつくりになるとか、それから救急自動車、そういうものを差し上げるというようなことにしております。
#20
○片岡委員 ただいま前向きの姿勢にだんだん移行しつつあることを承りまして、心強く思う次第でございますが、何と申しましてもヨーロッパ各国でも、いろいろ調べてみましてもクラトリウムというような組織をつくって、そして交通安全に対する大きな費用は、やはり保険会社が主となってほとんどこれを負担しておる。これは結局、運動が効果をおさめて事故が減れば、それだけ収益が多いのですから、やることに大いに意味があるのでございます。そういう意味で、ひとつ従来以上に目を開いておやりをいただきたい。
 たとえば、私は、もう時間もございませんので申し上げませんが、玉井参考人のお話を聞きましても、例の遺児育英資金の募金のときでも、自動車工業会のほうは十億を出しておる。財界から五億七千万。国民一般という中へ入っているのかどうかわかりませんが、私はこの中へ大きく保険会社というものが入っていただきたい、こう思っておったのが、顔を出しておらぬ点が残念なんでございます。しかし、いまお話を聞きますと、いろいろあちらこちらと福祉施設その他に御寄付をなさっておられるようでございますからけっこうですが、さらに一そうその点について大きな開眼をお願いいたしたい、こういう希望だけを申し上げておく次第でございます。
 それから、交通安全協会の今竹参考人にお伺いしたいのでございますが、先ほど、お話によりますと、非常にいろいろの事業をやっておるが、そしてまたいろいろの団体から若干の寄付金なり援助資金をもらっておるけれども、手持ち資金を出さなければいけないというような運用のしかたなので非常にやりにくい、こういうことでございます。安全協会はもともと会費制度で、各交通安全協会からの会費でわずかにやっておる協会でございますから、大きなものは、手持ち資金というものはないと思います。国際的にいろいろ交通安全運動というものが大きく伸びつつあります。ことに自転車の、例の少年の自転車乗りの優勝カップ国際大会というようなものは、これは各年度出ておると思いますが、あれは日本も参加してからだいぶ長いことたっておりますから、日本で開催するというような段取りにもなると思います。そういうことがどうなっておるのか。そういうときなどに、これらの運動にも相当の金が要ると思いますが、そういう金の準備というのはなかなかできないと思いますが、どうなっておりますか。
#21
○今竹参考人 私ども事業を実施いたしますについて、たとえば船舶振興会あるいは自転車振興会等からも補助金をいただいていろいろやっておるのですが、これはもう当然のこととして、自己負担金を負担しなければ補助はいただけませんので、自己負担金を出してやっております。せめて国の関係だけでもと、こういうお願いをいたしたわけでございます。
    〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
 ただいま御質問のございました自転車の安全な乗り方教育の問題、これは国内的にはたいへん盛大にやっておって、いろいろと改善、くふうを重ねてまいりたいと思います。
 実は外国の関係につきましては、先年来東京で開催してもらいたいという希望があるのでございます。この場合のヨーロッパ諸国の交通安全協会としては、金がないので日本側で東京−パリ間の航空賃を持ってもらいたい、こういう要望がありまして、それはおかしい。私どもが参加する場合は、常に日本の交通安全協会が費用を調弁してきておった、外国の場合、相互主義でそちらで費用を負担してもらいたい、こういうことでまだはっきりいたしておりません。
 それから実は、ことしアフリカであったのでございますが、いままでの実情を見ておりますと、子供がたいへん疲れます。このことについてはいろいろな問題もあるので、国際的な参加をしばらく取りやめて、そのかわり、その精力をもって日本の国内における参加校を広くして、自転車を通ずる交通安全を普及させるという方向に持っていきたい、かように考えております。
#22
○片岡委員 私は、子供の自動車乗りの国際競技というものは、あれはたいへん子供に対する国際知識を増すということのみならず、子供の時期から交通安全を通じて仲よく手をつないでいくという空気をつくっていく上において、非常に大きな影響があると思うのでございます。いまのお話のように、疲れたとかいろいろな弊害も若干出たということならやむを得ませんが、できれば、あれはやはり一つの子供のオリンピックのようなものでございます。ですから私は、やはり御理解のあるそれぞれの御寄付によって、ああいうものが日本の国で行なわれるということは一つの大きな意味を持っておると思うのでございますので、その点またお考えいただきたいと思います。
    〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、もう時間がないので簡単にお伺いいたしますが、交通科学協議会は、政府からいろいろ補助をもらって研究をやっておられるようでございますが、これは朝野のいろいろの方面の交通技術に関する学者がほとんど網羅されておると思います。あの方たちが、研究費が非常に不足しておるので弱っておられると思いますが、それらの点の実情をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#23
○今竹参考人 私は、日本交通科学協議会の非常勤理事をつとめておりますので、その関係で御説明申し上げます。
 交通科学協議会の財源は、学者等の会員、これは社団法人でございまして、そのわずかな年会費が主たる財源、そのほかに民間企業その他の篤志家の若干の寄付をいただいておる。そこで、いま先生からのお話のありました科学技術庁その他、各方面からの委託研究を実施いたしておるのでございますが、この委託研究というのは年度によりましてあったりなかったりということで、ある年はたいへんにいいのでございますが、ない年はたいへんに困る。しかも委託研究は、研究費は全額いただけるのでございますが、やはりこの研究を実施いたしますには、事務的ないろいろな職員の人件費でありますとか、そういういろいろな問題があるのでございますが、そこまでは委託研究費で出していただけないというような問題がありまして、いわば、事業規模の不安定とか、あるいはそういう職員等の事務運営経費という問題についてどうすべきかということを、関係者の間でたいへんに悩んでおる状況でございます。
#24
○片岡委員 他の方にもお伺いしたいのですが、時間がありません。
 それで、結びといたしまして、私は、要するに最近交通事故が非常に減ってきた。最近出ました、いま、手元に配られました昭和四十七年度の交通事故白書、統計を見ましても、去年よりさらに事故件数、死者、負傷者ともに減っておるということは、たいへんよいことだと思います。これは、交通安全運動がようやく定着をしてきて、国民の間にも理解を得るようになってきた。ただ、いま新しくいなかで道路が舗装されて、あるいは拡幅されてりっぱな道路ができる。そうするとそのとたんに事故がふえるという現象がいつもつきまとっておるのですが、それがしばらくたつと定着をしてまた事故が減る、こういうことでございます。ということは、施設の整備拡充とともに、やはり交通安全教育というものを今後一そう徹底しなければならぬ、そのことによって交通事故を、絶滅まではいかなくても減らすことができるという、一つの大きな希望が出てきたと思うのでございます。そういう意味において、各方面でこの交通安全運動がさらに大きく伸びていかなければならぬと思いますので、そういう意味で、今回自賠法の運営益金が黒字に転化した、そういう点で、まあ諸外国でも、英国でもスイスでもさっき話がありましたように相当多くの国費をこれにつぎ込んでおる。これは政府自体が、官制の運動になってはまずいので、やはり下から盛り上がる交通安全運動でなければならぬ。したがいまして、民間のそういった交通安全運動のいろいろな諸団体、諸機関にさらに大きな一つの運動資金を提供することによって、私はこの運動がもっと大きく伸びていく、こう思いますので、ひとつこの自賠法の益金の運営についても、また、保険のほうの益金その他についても、ぜひ格段の御配意をお願いして、この運動がもっと大きく伸びるようにしていただきたい。これを希望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
#25
○久保委員長 井上泉君。
#26
○井上(泉)委員 全国共済の黒川さんにお尋ねするわけですが、全国共済が自動車の損害保険を始められ、そしていま三百六十万台というたくさんの車の保険を扱っておられて、そうして交通安全、自動車事故その他に対するいろいろな施設経費として今日まで約百億程度のものが支給をされておるということを聞きまして、非常に感心をしておるわけですが、これは別段無理な、これによって行き詰まるとかいうような御心配はないでしょうか。
#27
○黒川参考人 井上先生のお尋ねの点でございますが、そんなに一生懸命にやって、おまえのほうは行き詰まる心配はないのかという、そういう御趣旨のように承りました。私どもやはり農協の中の共済事業をやっておりますので、その制度自体がつぶれては困る、経済的な問題ですね、それは十分考慮いたしておりまするが、まあとにかく、自賠責勘定という独立した区分経理の中で、いわゆる掛け金の滞留している間の金利が出る、それと、最近は五カ年間の契約が経過して、普通ですと、それで終わって、残ったものは剰余金となるわけですが大体支払いが終わっている、なお残ったものも将来のために手をつけないで別に積み立てるというので、調整準備金という名前で運用益準備金と調整準備金と二つ積み立てております。その中から、監督官庁と御相談を申し上げまして、これこれにこれをこういうふうに使うからその経費をそれに充てることを御承認願いますという相談をして、承認を得てやってきておりますので、その範囲でしか実はやれないのでありますが、しかし、やろうと思うとずいぶんたくさん、ことに農村はいろいろおくれておりますので、幾らでもやらなければならぬのですが、そういう一つの限度があっての上でやっておりますので、そういう運用益準備金なり調整準備金というものが今後どれだけ出るか実はわからぬのですが、出た場合にはできるだけそういうことに使わしてもらいたい。私どもの希望としては、国のほうの再保険勘定に六割行っておりますから、そのほうにも相当出るわけで、それも相当積極的に模範的にやっていただきたいというのが、実は日ごろの念願でございます。
 それだけです。
#28
○井上(泉)委員 非常にけっこうな考え方であるわけですが、そこで、いまの農協共済が扱っておる自賠責、自動車保険は、損害保険協会のほうで扱っておられるたとえば日本じゅうの業者のランクからいうとどれくらいになっておるでしょう。これは保険協会のほうでお調べになっておられると思いますが、山口専務さんにお尋ねしたいと思います。――黒川さんのほうでもどっちでもわかっておるほうでけっこうです。大体何番目ぐらいですか。
#29
○山口参考人 お答えいたします。
 農協のほうの数字は私ども実際よく把握しておりませんので、(「商売がたきじゃなあ」と呼ぶ者あり)商売がたきで……。そんな状態でございまして、いま黒川さんと私とでお打ち合わせをいたしまして、大体八と二ぐらいの割合で、私どもが八で黒川さんのほうが二というようなところかと思います。
 それから、いまの順位ということでございましたが、この順位ということになりますと、上のほうから、いま損害保険のほうでこれをやっておるのは十九社が窓口をやっておりますが、そのうちで、見当でございますけれども、三、四番というようなところじゃございませんでしょうか。どうぞひとつこういうことで……。
#30
○井上(泉)委員 私の資料で保険上位十社の関係と農協の関係と、こう調べましても大体そういうふうな程度になるわけなんですが、ところが、そうなりますと、共済が百億出せる、それでまだ、運輸省がもうちょっと考えてくれれば、もっといろんなやりたいことがやれると、こういうことを言われておるわけですが、それから比較すると、保険会社ですから、これは株式の配当もしなければならぬだろうし、あるいはまたいろいろの方面への寄付、その中には国民協会への寄付もあろうと思いますし、そういう点から一がいにはいけないと思いますが、いま農協共済の常務さんのお話を聞いてちょっと恥ずかしい思いがしやせぬか、こう思うわけですが、保険協会のほうではもっと思い切った、二億ぐらいどこへどう出しておるかわからぬということではなしに、もっとこの金を交通災害の対策のために使うような、そういう御心境にならないものかどうか、御見解を承りたいと思います。
#31
○山口参考人 ただいまの御質問でございますが、私どものほうも、最初申し上げましたように、滞留資金の利息でございますね、それは別経理をしてまだずっとためてあります。これはいま手を触れていないというだけでございまして、これは当然、これをどういうふうにするかということは、昭和四十年の十一月自賠責審議会の答申になっておりますが、保険料を下げるとか、救急医療に使うとか、それから交通の事故防止と、そういうふうなものに使えということになっております。これをどういうふうに使うべきかということは考えておりますが、まだ、実は結論を得ませんでそのままにしてあります。当然、何かにまとまって使わなくてはならぬ、こんなふうに考えております。
#32
○井上(泉)委員 何かにまとまって使う。農協が大体全体の二割くらいの扱いで百億いままでに出しておるのですから、まだ出そうと思えば出せる余裕がある、こういう黒川さんの御意見であるし、私は出せると思います。私も農協の仕事に関係を持っておる者としても、これは十分出せる余裕はあると思うわけですが、ひとつ思い切ったものを、目に見えるような出し方をひとつしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 そこで、いま交通遺児育英会の玉井さんからいろいろお話を承ったわけでありますし、過日は新聞紙上でもそのことが、いわゆるもう善意だけにはたよれない、こういうことで非常に苦境を訴えられておるわけですが、今度の事故センターが交通遺児の問題についての奨学資金を出す、こういうようなものを育英会に業務を委託をするとかいうようなことをやる場合には、それを受け入れてやれるだけの体制があるかどうか、その点を承っておきたいのです。
#33
○玉井参考人 たいへん失礼ですが、先生若干混乱されているのじゃないかという点があるのです。いまのセンターでお考えの分は中学卒業までの人たちの生活資金で、私どもが高校、大学を受け持っているわけですが、私どもがもし委託を受けましたときは、十分にやる能力がありますし、たいへんこれも僭越ですが、私どものほうでは、ただ単に金を貸すだけじゃなしに、いろいろな機関誌を通じたり、卒業までに一泊二日の研修を行ないまして、交通遺児との精神的なつながりを密にしておりますので、そういう意味ではセンターよりも、まことにてまえみそですが、教育には適している団体だというふうに考えております。
#34
○井上(泉)委員 センターは義務教育の育英資金、こういうことになっておる、それであなたのところは高校。だから、義務教育の育英資金の分も引き受けてやれる、いわばセンターから委託を受けて、センターでやる事業をあなたのところで委託を受けてやるということができるかどうかということをお伺いした。
#35
○玉井参考人 小中学校につきましては、義務教育でもあり、たいへんな数の生徒さんがいらっしゃる。まあお金をお送りするという限度におきましては私どもで十分まかなえますが、こまかく気を配って教育面での配慮をするということは、今後の検討材料になると思いますが、このセンターの案としましては、教育費オンリーという形でもなさそうなものでございますから、ややセンターのほうが適しているのではないかという気はいたします。
#36
○井上(泉)委員 そうですか。
 それでまた保険の関係に戻るわけですけれども、こういうふうなセンターをつくられるということの中で、やはり自賠責の引き上げということが、いま何か任意の引き上げのようなことを片岡さんが質問の中で言われておったようですけれども、むしろ自賠責のいまの五百万を七百万なり八百万に引き上げて処置をされるような、そういうお考え方というものが、保険協会の間で頭に、構想の中で出されていないかどうか。やはり任意の限度額を引き上げて扱いをふやしてから、自賠責の限度額を、私どもも一千万以上ということを言っておるわけですけれども、巷間伝えられるところは七百万とか八百万とかいうことをいわれているのですから、そういう点について保険協会の山口専務さんはどうお考えになっておられるか。
#37
○山口参考人 お答えをいたしたいと思います。
 いま、自賠責保険の限度額は、死亡、後遺症の最高額が五百万、それから傷害の場合、上限五十万ということになっておるわけでございまして、この金額をどうしたらよかろうかということであります。先生方から御指摘がございますように、幸いにしましてだいぶ事故が減っております。そういう状態でございますので、それでは、事故が減ったということになりますれば、その保険料を少し安くするとか、あるいは内容を改善して支払いがいわば多くなるようにするとかいうようなことを講じなくてはならぬと思っております。それで、そういうふうなこと万般につきまして、先ほどの運営費の問題や何かもございましたものですから、いま慎重にいろいろ考慮しておるようなことでございます。
 ただ、五百万という数字が、私どもはこれで十分だというふうなことは決して実は考えていないわけでございますけれども、またそれかといって、これを急に大幅に引き上げていただくというようなことになりますと、これはわが身かわいさで言うわけでございますが、率直に申しまして、われわれがずっと長いこと自動車保険をやりまして、それから、自賠責保険も仕事をさせていただいてから十八年たっておるわけであります。そして、この自賠責保険というのが、もう国民の間にはほぼ定着しているのではないかと思いますものですから、その内容をいかに改善していくかというようなことを主眼に置いてひとつ考えていっていただきたいと実は思っております。
 それで、このごろ、この内容の改善というようなことにつきましては、自賠責の上積みになっております任意保険でも、昔は酔っぱらい運転とか、それから無免許運転とかいうようなのは支払わないで済んだのですが、このごろではやはりそういうものも払うというようなことに、だんだん自賠責に近づけたようなことにしております。内容の改善をはかったわけでございます。そんなことにしておりまして、ですから、これは内容の改善その他全般を含めまして、慎重に限度額の引き上げというようなことにも対処していきたいと思っております。どうぞ諸先生方も、いろいろな事情を御勘案くださいまして、ひとつよろしく御勘案を願いたい、こんなふうに考えております。
#38
○井上(泉)委員 それと同じようなあれですけれども、自賠責の限度額、たとえば傷害の場合にはわずか五十万というようなことですが、自賠責の限度額を、やはり責任額を引き上げるということは、交通安全対策上も非常に大切なことだと思うわけですし、そういう点からも、そして、交通遺児の対策をいろいろ考える中でも、自賠責の限度額を引き上げるということは、今日任意を引き上げるとかということとは違って、大切なことではないかと私は思うわけですが、その点、玉井参考人の御意見を承りたいと思います。
#39
○玉井参考人 先ほどの片岡先生の発言の中に、若干やはり誤解があったような気がするのです、私は短い時間に三つ提案をしたものですから。もう一度繰り返させていただきます。
 一つは、自賠責に関しましては、私は一千万に引き上げるべきだと思います。これは、七百万円という説が新聞あたりで出ておりますが、四十四年来四年たって七百万円というのは、単に物価にスライドしただけで、実質的な引き上げにはならないのではないかという点で一千万円を主張しております。それが第一点です。
 第二点は、任意保険も含めて、私はその一千万に任意保険の二千万円を強制させ、三千万の保険を強制するという新しい制度の検討が必要ではないかと申し上げたわけです。任意保険を強制するというのは、一見奇異な感じを受けられるかもしれませんが、ヨーロッパあたりでも、フランスで三千万円を強制しておりますし、西ドイツは五千万円を強制しております。イギリスは青天井でございます。所得水準からいいますと、一人当たりの国民所得がほぼ同じくらいあるいは抜いているフランス、ドイツ、イギリスが、そういうふうな高額の保険を強制しているということを考えたときに、わが国では自賠責というものと任意保険、自動車保険というものが二本立てで、多少わずらわしい手続はありますけれども、自賠責が無過失責任主義にあるという、非常にこの自賠責のすぐれた点をそのまま残して、民営の任意保険をそこに上積みすることによって、補償能力を強くするということを申し上げたのです。これが第二点です。
 第三点の新しい提案としましては、自損事故に対して従来は保障がなかった、そのために遺家族が非常に困っている、交通遺児の中にもそういう子供がおります。今後自賠責が引き上げられましても、いまのままですとそういう自損事故の子供たちは救われない。先ほど申しましたように、アメリカのノーフォールト保険という考え方の根底にありますのは、罰則は罰則、保障は保障と区別して、遺家族の保障に当たろうではないかという、従来の英米法の罰するというところから、発展した考え方でございます。これを取り上げてはいかがかという、この三点を含めた新しい保険制度を考えていけばいいのではないか、こういうふうに申し上げたわけでございます。
#40
○井上(泉)委員 もう時間がありませんので、ほどなく終わりたいと思います。
 そこで、任意と自賠責との関係で、保険協会の加盟の保険会社の関係では、自賠責のほうが多くて任意のほうの金額が少ないですが、農協共済の場合には自賠責の金額より任意のほうが比率は格段の大きさを示しておるわけです。私の資料では、自賠責が百九十七億五千八百万、それから任意のほうが三百二十一億、こういうことで、これはいわゆる保険加入を勧誘するときの何か、それとも農村の人の意識の向上のあらわれかどっちか、ひとつ黒川さん……。
#41
○黒川参考人 いまお尋ねの自賠と任意の関係についてでございますが、四十六年度の自賠の掛け金総額が百九十七億、それは純保険、いわゆる純掛け金でありますが、それと、任意のほうが同じく四十六年度は百九十八億、金額では大体同じなんですね。ただ、台数につきましては自賠のほうが多いと思います。ここではちょっと資料が欠けておりますが。ということは、自賠の場合は、農村はモーターバイクですね、原動機つき自転車がまだ比較的多い。その次は軽自動車、こうなっておりますが、自賠にはそういうものは入りますが、任意の自動車共済にはなかなかモーターバイクまで入ってこない。その差があろうかと思っております。概して、私ども始めてからまだ数年しかたっておりませんけれども、自賠の場合には強制保険であるということでかなりみな入ってくるわけですけれども、任意の場合はそこまで必要はないというふうな、農村の間では一般にそう思っておったのですが、最近になって、さっき申し上げましたように農村の事故も非常に高まるし、それから損害賠償も非常に高額化したというので、おそれをなして任意のほうにぜひ入りたいという、気分的なものはどんどん変わってきております。いまのところは、台数の点では自賠のほうが多い。しかし掛け金で計算してみれば両方が同じぐらいである。したがって台数は任意が少ない。こういうふうに考えられておるわけでございます。
#42
○井上(泉)委員 私の調査が間違っておったと思いますし、また、この関係についてはいずれ機会を得て勉強させてもらいたいと思うのですが、いずれにしても任意と自賠責との関係では、非常に任意をかけておる。ところが一般の保険会社の関係では、自賠責はどうしてもやらなければいかぬからやっておるけれども、任意のほうはあまり無理にしてないというところに交通被害を受けた者が困る原因があると思うのです。そういう点からも、自賠責の限度を引き上げて、そうして交通被害を受けた者に対する補償が十二分にされるように、これは保険協会のほうではぜひひとつがんばってもらいたいと思うわけです。
 最後に、保険協会はずいぶん金が、農協なんかとは比較にならぬほど年間保険料があるわけですが、大体この金は、いま加藤君がやじで言っておったですけれども、土地買いの資金とかいろいろな関係ですが、これはどういう方面に運用しているのですか。
#43
○山口参考人 お答えいたします。
 いまの保険料をいかに運用しているかということでございます。これは自賠責の金も任意自動車保険の金も、それから火災保険の金もすべて一緒にして、実は運用ということはやらしていただいておるわけでございます。御案内のように、保険会社の金というのは、不時に大きな金を即日出さなければならぬというようなこともございます。それで、できるだけすぐ金になるような換金性のあるものというようなものにやっておるわけです。そういうふうにすぐにということになりますと、一番いいのは銀行預金でございますから銀行、それから国債その他の公債、大体、資金の三分の一ぐらいはそういうことになっているのじゃございませんでしょうか。それから有価証券、株式でございますね。それから、先ほども申しましたが、地方債とかそういうふうなもの、そういうものがやっぱり三割とか三割五分ぐらい。三割ぐらいでございましょうね。そういうふうなことで、それから貸し付け金ももちろんあるわけでございます。銀行預金と申しますか、そういうふうなものにわりあいに多く実は運用さしていただくということでございます。そういう次第でございます。
#44
○井上(泉)委員 もう終わりますけれども、大体事故があってから保険金をもらうまで、そういうことで金利かせぎのためかどうかしらぬが、非常に保険料の支払いがおそい、こういうことをよく言われるわけですが、死亡事故なんかの場合に、事故発生後保険料が支払われるまで、平均して大体どのくらいして支払われておるですか。今度の事故センターでもそれがためのいわゆる立てかえとかいうようなことをやるようなことになっておるわけですが、これはいわば、これに要する立てかえの金利ぐらいは保険会社が負担しなければいかぬ性格の金になると思うのですが、平均してどれくらいになっておるのか、そのことをお示し願うと同時に、保険金の支払いというものは迅速にやってもらわなければならぬわけですので、最後にその点についての保険協会の専務さんの御意見を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
#45
○山口参考人 お答えいたします。
 事故があった場合に、支払いをおそくするというようなことでは実は非常に困るわけでございまして、この点は厳重に私どもとしましては、即時できるだけお払いをするようにということを心がけてやっております。しかし、火災なんかの場合にはわりあいに早く済みますけれども、自動車事故、特に人身事故の場合には、お互いの間の示談と申しますか、加害者と被害者の間の示談がうまくととのわないとか、それから非常な重傷を負ったために手続がおくれるとか、そんなようなことのために、火災保険の場合と比べましてたいへんおそくなります。そういうことで、ただいま井上先生からおしかりをこうむったと思うわけでございますが、統計で見ますると、大体一カ月以内に七〇%ぐらいを処理しております。それから三カ月以内に済むということになりますると約九〇%、こんなことになっております。ただしかし、けがの場合には一カ月ならばとにかく、二カ月も三カ月もということでは困りますものですから、この点は各社によく注意をいたしまして、なるべく査定要員を早くたくさん投入するとか、そんなことをいたしまして、できるだけ早くお支払いをするようにということにつとめておりますし、これからもそういうふうにつとめさしていくつもりでございます。
 ただ一つの例でございまするが、昭和四十六年度の末に自動車事故の未処理のものがございました。それが、書類の受け付けをしてから三カ月をこえているというのが実は三万三千件あったわけでございます。事故は、御承知のとおり、そのときは七十七万五千件ありますから、八十万件あるうちの三万三千件でございます。それでその三万三千件、大きな数でございますけれども、どうかと思っていろいろ調べてみましたところが、そのうちで二万九千件は被害者がまだ治療を継続しておいでになる。ですから、その継続中は、内払い金だけは差し上げているけれども全部の処理ができないというようなことのために、二万九千件ぐらいそういうのがございます。その他まだ四千件ぐらいがそれじゃどうなっているかということでございまするが、これはやはり書類の提出がありましても、書類が少し不備であるとかそういうふうなことが原因になっているようでございます。いずれにいたしましても、被害者の方に対してできるだけ早くお支払いをするということが大事なことでございますので、先生方の御趣旨をよく拝聴いたしまして、各社に対してその点は厳重にひとつお願いをするということにしたいと思っております。
#46
○井上(泉)委員 どうかよろしくお願いいたします。
#47
○久保委員長 次に、平田君。
#48
○平田委員 交通事故問題、やはり何といっても事故をなくしていくという問題が大事な問題だろうと思うのです。自動車が非常にふえた、モータリゼーションでどんどんふやされたというような状況のもとで起こっているので、先ほども穐山さんのほうからもお話がありましたけれども、何といいますか、決して事業用だけに事故が集中しているのじゃなくて、比率としては多いといえるけれども、絶対数はやはりマイカーといわれる自動車による事故も相当数にのぼっているというお話がありました。
 そこで私は、まず最初に穐山さんにお尋ねしたいのですけれども、過積みの問題、これはいろいろ問題になっております。なぜ起こるのか。どうしたらいいのか。それから当然のことですけれども、賃金制度をめぐる問題も、スピード運転その他に影響をもたらすだろうと思うのです。そのことは労働条件をめぐる問題に深いかかわり合いを持っていると思うのです。したがって、この三点について穐山さんの見解をお伺いしたいと思います。
#49
○穐山参考人 過積みの問題というのは、簡単にいえば積載オーバーなんですけれども、最近は、大手の事業者よりも、どちらかといいますと中小零細企業のほうが多くなっています。大手の事業者は、ある意味では社会的な責任というものもあります。それから労働組合もある意味では強い。最近は、時間短縮ということもありまして、事実上大手の事業者は少なくなってきた。しかし、そのかわり、需要がたくさんあるわけでございますから、中小零細が非常に過積みを行なっている。これは私どもの調査でも、特に白ナンバー、営業類似行為をやっていると思われている白ナンバーに非常に多い。この点は十分に御配慮をいただかなければならないというふうに思うわけであります。
 これはいろいろな原因があるわけですけれども、一つには、業界の過当競争あるいはもっと具体的にいいますと、運賃のダンピングをお互いにやりまして、自分の会社で輸送力を確保していく、こういう悪い習慣がそのまま過積みという問題になってきているわけであります。
 それから労働条件の面でいいますと、賃金は、大手のトラックの場合におきましては、大体固定給という傾向が強いわけですけれども、中小零細の場合には、固定給と歩合給で半々あるいはオール歩合給というふうに、賃金の支払いの体系からいいましても、たくさん急いで運ばなければ銭にならない、こういう制度が実はあるわけです。これは私どもとしても非常に困った問題だというふうに考えます。これは、なくしていくいろいろの対策があるわけですけれども、青ナンバーの場合につきましては、率直に申し上げまして、事業主なりあるいは運行管理者の要請なり運転者に対する安全教育というもので、ある程度克服はできると思います。しかし、その他の一台限りとかあるいは三台限りというような、そういった両数を持っている白ナンバーの事業者あるいは個人で持っているような場合につきましては、これはある意味では生活がかかっていますから、そう簡単に過積みはけしからぬというだけではどうにもならない。もっと抜本的な問題について御検討いただく必要があるだろうというふうに思います。
 それから私ども、冒頭申し上げましたように、昨年の十月過積み問題を調査しました。その後、運輸省なり警察庁なり警視庁なり、いろいろなところの御協力をいただきまして、過積み取り締まり強化月間といいますか、そういうものがあちこちで出るようになりましてから、相当過積みが減ってきたというふうには思いますけれども、しかし依然としてそれは残っている。具体的な対策について、私どもとしても努力をしたいと思いますけれども、ぜひ行政官庁の御努力、現行法を徹底的に行政の責任として追及していくというこの立場は、強く踏襲していただきたいというふうに私どもとしては考えるわけです。
#50
○平田委員 いまの過積み問題の点についても、私が幾つか調べた結果では、やはり大企業がみんな下請におろして、元請があって、それが白ナンバーを使っている。かなり無理をさせる。無理をしなければ、おまえさんはあしたからけっこうだというふうに断わられるという事態の中で過積み問題が起こっているという意味で、やはりこれはおっしゃったようにかなり重大な問題だと思っているわけです。
 それから労働条件の問題にしても、歩合制がかなりのウェートを占めていて、これがさまざまな形で運転者に無理をさせる結果を生んでいる。もちろん、都市部においてほとんど自動車が走れない。少しすいた道を通らなければならぬ、裏道を通らなければならぬということで、スピードを出して走るなどの問題も、事故を多くしている大きな要因の一つになっていると思うのですけれども、こうした点で総合的にやっていかなければならないと思います。
 第二点としてお伺いしたいのは、いま、運行管理センターというものがございまして仕事をしているわけですが、この役割りについてどうお考えか、また、問題点は何かということについて、穐山さんの御意見をお伺いしたいと思います。
#51
○穐山参考人 現在の運行管理センターについては、私は、現行の予算とか機構その他の中では、まあ精一ぱいのことだろうというふうにいわざるを得ないと思うのです。しかし、自家用車を含めて事故を徹底的になくしていくということになりますと、現在の機構あるいは予算その他では、私は無理ではないかというふうに考えます。
 本来、営業用の車を持っているところにつきましては、社会的な責任だとかあるいは安全輸送という見地から、十分にとはいいませんけれども、それぞれくふうをしながらやっていることは間違いないし、また、管理センターの協力によって一定の成果はあると私は思います。しかし、交通事故の具体的な中身を分析してみますと、マイカーあるいは白ナンバートラック、なかんずく最近ではマイクロバスとか、それから旅館の場合のマイクロバス、それから類似行為をやっております運転者あるいは中小零細の企業者というところについて、もっと抜本的な手が届くような方法をとらなければ、交通事故の絶対数を減らすということは不可能じゃないかと私は考えます。そういう意味でぜひ御検討いただきたいと思います。
#52
○平田委員 もう一つ穐山さんにお伺いいたします。
 今度のセンター法案の中に、適性診断を行なうということがかなり大きなウエートを占めている。これは先ほどもお話ありましたように、遺児対策のための金よりも体制をつくる金が大部分を占めてくるというような状況にあるわけですけれども、適性診断というものの有効性について、実際に事故を防止していく上で役割りを果たし得るんだろうか。しかも適性診断が事業用自動車の運転者に限られているという点から見てどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
#53
○穐山参考人 この適性診断といいますのは、現に運輸省も行なっておりますし、それから、たとえば国鉄の労研であるとかあるいは大学の研究所というところで、車の型に応じ、あるいは道路の種類に応じ、いろんな適性診断というものが行なわれておることは事実でございます。私は、現在行なわれております適性診断というものが全部いいとは言いませんけれども、しかし、それぞれ文献に出されたりあるいは発表されたものをどれだけ活用していくか、運輸省のものにしろ大学のものにしろ、お互い運転者なり事業者がそれを十分に活用していくという努力があれば、かなりこの適性診断という問題は評価をされるというふうに思います。しかし、もし自家用の運転者を含めてやるということになれば、たいへんな対象になるわけでありまして、結局は薄く広くということになる心配があるわけでありまして、これは私どもの立場からいいますと、この適性診断のやり方、あるいは活用、あるいはこれの適用いかんによりましては職業を失うという問題が起きかねない可能性もあるわけでありまして、そういう点でいきますと、この中身についてはもっときめこまかく詰めていただくことのほうがいいのではないかというふうに考えます。
#54
○平田委員 次に、玉井さんにお伺いしたいのですけれども、運転者の免許証というのは国家試験で行なわれているわけですけれども、免許証を与える際の、適正に行なわれているかどうかなどについて考えられたことがあるかどうか、もしあるとすればお考えをお聞かせいただきたい。
#55
○玉井参考人 免許証の問題につきましては、私はむしろしろうとといってもいいと思うのですが、私自身のささやかな体験といいますのは、三十三年に自分が免許をとったわけでございますが、かなりきびしくやられたという印象があるだけでございます。ただ、免許証の再交付ですか、免許の書きかえ時におきます検査につきましては、その後三年ごとに参りまして、年々簡単になってきているという点に若干疑問を感じておりますが、先生にお答えするだけのものは私持ち合わしておりませんので……。
#56
○平田委員 この問題はこの法案とかかわり合いを持っているというふうに私も考えているわけですけれども、実際上免許証を与えておいて、あとで適性検査をやって、そしていいとか悪いとかという話になってくるわけですね。これ自体も二重の仕事ではないのか。書きかえをやる際にもきちっと適性診断ができていいはずなんだというふうに私は考えているわけです。――これは玉井さんにお聞きしたのがまずかったのかもしれません。失礼しました。名前を間違ってしまって……。
 次に、もう一つ玉井さんにお伺いしたいわけですけれども、千五百人の対象というのは、私もどう考えてみても――そして体制づくりにかなり金がかけられている。もっとも限られた予算ですから、これは体制づくりに一定の金が必要ですから、そっちへ回せばなくなるのは無理ないですが、道路の建設では七兆円以上の金を使っているのですね。ばく大な金をかけるのですけれども、起こってくる人間の苦しみについて金が回されないという状況、これはたいへんな問題だというふうに思うわけなのです。千五百人というので、これはどうしてこういう数字が出てきたのだろう。自賠責のほうから持ってこれる金はこれだけだから、その中で施設をこれだけつくるというと千五百人になってしまうのだ。こういうやり方では、しかも何百万人も対象があるわけじゃないですね。限られたものなんですよ。ですから、これ自体おっしゃるように、ほんとうに国会で審議する上でたいへんな問題だなというふうに思うのです。
 そこで、先ほども玉井さんおっしゃいましたけれども、さしあたり少なくともこれくらいのものは何とかならないかという希望や御意見がおありだと思うのです。これは先ほどおっしゃったように、あなたがおっしゃった数字でぴしっと出ればまあまあというところなんだろうとは思うのですけれども、そういう状況の中で、千五百人という数字はいじくってみてもしようがないのじゃないかなという気がするのだけれども、そこら辺はどうお考えか。
#57
○玉井参考人 先ほど申し上げたとおりでございますが、かりに義務教育終了までの子供を八万人と見ます。そして極貧層三分の一、ボーダーライン三分の一、普通の生活状況の子供三分の一と見ましたときに、極貧層の三分の一を救済できるだけのものはしていただけるのが、数の上では最も妥当な考え方ではないかという気がしますから、八万人のうちの三三%なり三〇%なり、少し下げて二〇%なり、いずれにしましても万という単位があがってこなければちょっとお寒い感じがいたします。
#58
○平田委員 次に、山口さんにお伺いしたいのですけれども、この金は自賠責のほうから出てくることになっておるわけですけれども、そこで、自賠責それ自体の仮渡し金の利用状況はどれぐらいになっておるのか、これが一つ。
 それから、たいへん支払いがおくれるのですね。十カ月ないし一年何カ月というトータルが出ておるのですが、私もずいぶん事故問題を持ち込まれててこずるのです。こんな時間のかかる仕事はないし、やっかいな仕事はないと思っておるのですけれども、まず、両者の間で話の合うのにえらい時間がかかる。その上今度は、手続をしてえらい時間がかかるわけですから、そういう意味で、もっと早くならぬのか、なぜおくれるのだろうかという点について、第二点はお伺いしたいと思います。
 それから、先ほど御意見が出ましたけれども、強制で一千万の補償、任意で二千万の補償をつけるべきだ、少なくとも、これくらいは必要だろうというふうに言われたわけですけれども、これは一体保険協会の立場から見てどうなるのだろうか。それから、先ほども玉井さんのほうから御意見が出ました自損の保険について、これまでなぜなかったのか、これからつくる考えはあるのかどうか、その点ひとつあわせてお伺いしたいと思います。
#59
○山口参考人 お答えいたします。
 第一番目が、内払いとか仮払いでございますね、その件数はどうかというようなお話でございます。
 実は手元にはっきりしたなにを持っておりません。しかしながら、この金額が、だんだん治療をしておりまして十万円いま払わなくちゃならぬということになりますと、すぐに内払いは御請求なさってよろしゅうございますから、そういうのは自然に内払いをするということになっておりますので、これもかなりな利用があっている、こういうふうに考えております。
 それから第二番目は、非常に支払いがおくれるのではないかというお話でございます。先ほどもちょっとお答えはいたしましたけれども、この人身賠償の支払いというのはなかなか簡単にいかないことが多いのでございますね。加害者と被害者のほうがお互いに譲り合うというふうなお気持ちになっていただけばよろしいのですけれども、そうでない場合には非常に長引くというようなことがあるものですから、これは自然におそくなる。しかし、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましても、できるだけ早く被害者の方に保険金をお払いするということが大事であって、またそれは心がけてやることにいたしております。先ほども申し上げましたけれども、大体書類が出てから一カ月以内ぐらいにしているのが七〇%、詳しくは六九%何ぼでございますけれども、七〇%のものはもう一カ月の間にできております。それから三カ月のうちに支払いがあったというのは大体九割ということになっております。そんなことでございます。
 重複しますからどうかと思いますが、この前も申し上げましたように、非常におくれておる期をずっとしさいに検討してみますと、どうも内払いや仮払いは受けているのだけれども、最後の締めくくりというのが支払いがつかない、最後の決算がつかぬというようなことのために非常におくれている。形の上ではそういうことになっております。
 それからまた、書類の不備というようなこと、しかし、ただいま平田先生おっしゃったように、この世間ではやはり一番苦しんでいる方がそれを訴えてこられますると、ほんとうにお気の毒だという事情が非常に私は多いと思います。ですから、そういうものをお聞きになり、また頼まれると申しますか、いろいろ泣きついてこられると、先生方もたいへんにお困りであると思うのでございますが、これはできるだけ自賠責保険の本質と申しますかね、つくられましたときの事情ですね、そういうものをお考え願って、そしてその方々はあまり無理のない程度のところでやはり解決に進んでいくということに、私としては、日本国民全体としてこれはぜひやっていただきたいというような心を持っております。
 それから、自損のことがございました。これはいまのところまだやっておりません。ただ現在は塔乗者の保険、ドライバー保険というものがございますから、自賠責以外にそういうものを利用していただく、あるいはまた傷害保険を利用していただくとか、別途、いままでありましたようなけがの保険でございますね、それで今日までやっていただいているような状態でございます。これをそれじゃいまの自賠に取り入れるかどうかということは、これは先生から御指摘がございましたとおり、重要な問題だと思いますが、ただいま実は検討をしておるような、いろいろな制度が変わりますときにあらわれてくる問題じゃないか、こんなふうに考えております。
 それから、ただいま自賠責を、いま五百万でございますが、これを一千万にしたらどうか、それからまたそれに任意を二千万にしたらどうかというようなお話でございます。
 これは大体、いまついておる実情を申し上げますると、まあ五百万の自賠責の上に千五百万、ある方によっては二千万とか二千五百万とかいうのもございますが、大体は千五百万程度のものが平均になっておりますでしょう。そんなことでございます。ところが御案内のように、このごろはいろいろな水準も上がってきておりますが、この賠償の金額水準もだんだん、だんだん上がってきているようでございます。それから裁判所あたりでも、非常によくそういう事情を勘案しながら判決が出ているような状態でございます。そういうことになりますと、どうしてもその五百万のままではいけない。それからまた任意も、千万や千五百万円では足りないというような感じでございます。それで、この自賠責と、その上に強制保険みたいなことにして任意のものをつけたらどうかというようなお話が先生からもございますし、また先ほど玉井さんからもあったと思います。これは自賠責の強制保険というのは日本だけにあることでございまして、もう諸外国では自動車を運転する人は必ず保険は、十分な補償能力を持つように保険をつけておくのがあたりまえだということにもなっておりますし、また、その保険を強制しておるようなわけでございますね。ですから、そういう意味で申しますると、いま自賠責と、それから任意保険もほとんど強制的なものにしてやはりおつけ願うということが必要じゃないか、こんなふうに考えている次第でございます。
#60
○平田委員 もう時間もなくなりましたので、これで終わりたいと思うのですけれども、最後にお願いしたいのですが、私ども、少なくとも強制は一千五百万必要なんじゃないかというように、今日段階では、とんとん、とんとん上がっておりますから、いつまでも追っつかないようなことをしていたのじゃしょうがないじゃないかというふうに考えているわけですけれども時間もございませんので次の質問をさせていただきます。
 黒川さんにお聞きしたいのですけれども、農協のほうでは病院も経営していらっしゃる。先ほどのお話ですと、非常に重要な問題が出されていると思うのですけれども、やはり、まず事故が起こったこのときが決定的に重要なようでございますね。そのときの処置のいかんで助かるか助からないかはきまるといわれているぐらいなんです。そういう意味で、この救急体制の現状について、まあ全般的でなくても、農協関係から見られた現状についてどうしたらいいとお考えか、どんな状態でどうしたらいいとお考えか、これが第一点。
 それから第二点は、病院経営もしていらっしゃるわけですから、この病院の体制ですね。救急病院だからといってそこへ運び込んだ、ところがそこのお医者さんがいない、あるいはいるけれども、このけが人については自分では手の打ちようがない、それじゃ次だというような状態が当然あると思う。そういう意味で病院の体制、これは当然救急病院の整備や数の拡大の問題にかかわり合いが出てくるのだろうと思うのですけれども、そこいら辺をどうお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
#61
○黒川参考人 農協の病院の関係についての平田先生のお尋ねでありましたが、農協の病院関係は厚生農協連というので、各県ごとに連合会でやって、全国または厚生連でいろいろまた統括してやっております。私どもは同じ農協で共済連。だから、流れとしては二つ別になっておりますが、私どもの仕事の関係からいきましても、きわめて厚生連の活動は重要でございます。非常に関心を持っておるわけでありまするが、まず救急体制のことで、医師の体制がどうだろうか、それに関連したお尋ねでございましたが、厚生連関係の病院を見ておりますと、大体、厚生連の病院は総合病院になっております。それが分院、診療所を幾つか持っておる、こういうかっこうで、いま申し上げますのはその本院に当たる総合病院の場合ですが、これはその地方においてはいわゆる医療の中心、メディカルセンター的な役割りをどこでもほとんど持っております。設備も、非常に金をかけまして更新して、さらに新しい医療機械なり施設が出てまいりますと、そういうものを入れる。ということは、そういうものを完備いたしませんと、まず第一に患者に申しわけないんだが、その以前に、お医者さんがなかなか来てくれないということもあるわけですね。とにかく農村の病院では、お医者さんをどうして確保するかということが実は一番大きな問題、悩みの種でございます。それで、救急体制で、一番そういう急を要する、緊急体制に間に合うというには、いわゆる脳外科がなければならぬ、こういわれておるわけですけれども、どうも日本では脳外科専門のお医者さんというのはきわめて限られた数で、そうどこの厚生連の病院にも迎えるということは実は不可能で、これをわれわれの農協の手でそういう専門家を養成するということも、これまた問題にはなっておるのですが、農村医科大学をつくるという案が出ておりますけれども、なかなかこれは容易じゃないし、つくっても七、八年先でなければ実際のお医者さんが出てこない、緊急の間に合わない、これは結局国にやってもらわなければならぬということで弱っておるわけですが、そういうことで、スタッフの点でとにかくほんとうに必要なものが十分得られない。しかし、それにしましても、救急医療体制をちゃんと整えて、そういう患者さんがかつぎ込まれればいつでも手当てができるというための体制は、いま各厚生連の総合病院も全国的な方針として非常に努力をいたしております。そういうこともありまして、私、先ほど申し上げましたように、今回、自賠責の運用益等の資金から、そういう厚生連の病院、あるいはは厚生連のない県も実はまだありまして、そういうところは、公的な病院にそういう緊急医療施設をつくってもらう。必要な設備をまずつくる。設備があればそういうスタッフも十分来てくれるだろうということもあって進めたわけなんです。そういうことで、全国の厚生連の病院も、非常にそういう問題は努力をいたしておりますし、共済連系統としましても、自賠責の問題と関連してこれを積極的に推進をいたしたい、こういうことで緊密な連絡をとっておるわけであります。
 いま、あとでお話しの、そういう被害者が出てかつぎ込んで、お医者さんがいない、あるいは専門じゃないからここはだめだ、あそこに行け、よくそういうことは私どもも聞きますが、厚生連のいまの病院の場合ですと、総合病院でございますから、とにかく必ず当直医が夜でも泊まり込みをしております。ただ、外科の人が毎晩泊まる、整形外科の人が泊まるとは限りませんので、内科の人が泊まり番になったり、小児科が泊り番になったり、産婦人科の人が泊まり番になったり、いろいろあります。そういう場合には、すぐ緊急に電話連絡をしまして必要な専門医を呼び寄せて病院に来てもらう、そういうやり方の体制はとっております。これはきわめてよくいっているかどうかは、私いまちょっとそこまでわからぬのですが、一応そういう用意をいたしておるということでございます。
#62
○平田委員 いろいろお聞きしたい点がたくさんあるのですけれども、もう時間を超過してしまいました。以上で終わりたいと思いますが、いずれにしましても、この法案が実際に運用されて生きていって役に立つだろうかという点でたいへんな不安を持っておるわけです。というのは、救急体制については何もない。病院についてももちろんない。それからいま申し上げたように、遺児対策といってもスズメの涙にひとしい状態。それで、体制だけがつくられる。つくられた体制で事業用の運転者の適性診断だけが行なわれる。これが悪用されたらえらい事態になるし、非常に問題の多い、不安の多い性質の法案だというふうに考えております。われわれもさらに十分検討を続けていきたいというように思っております。
 きょうはどうもありがとうございました。
#63
○久保委員長 沖本君。
#64
○沖本委員 私は、平田先生が結論みたいなことをおっしゃってしまいましたので、あと質問しにくいようなことになってしまったわけですが、まず最初に山口参考人にお伺いしたいのです。
 先ほど平田さんの質問に対して、おくれていることに対しておくれないようにするというお答えがあったわけですけれども、私もいろいろこういう事件を扱うわけですが、もう少し窓口の事務をはっきりしていただいたらある程度そういうものが片づいていくんじゃないか。お役所的に中身を知らしていただけないということのために、被害者がいら立ちを持っておる。ですから、こういうことはこういうことだからこういう方法をとっていけば支払い方法は早くなるとか、あなたの場合はこういうところにひっかかっているんだとか、そういうような内容をもっと具体的に請求している人に示していただくということでなければ、どうしても今度は被害者の意思が反映しないで、間に入っている人が手続だけとって、そうして一番最終的に被害者が金額的なものを受け取る、こういうようなかっこうになって、間は何もわからない、こういうことがよくあるわけなんです。そうなると、被害者は不満を持ったまま終わってしまうということになるわけですから、文書にしましても、最近こういう事件を扱う人がたくさんおるわけです。ですからほんとうにサービス機関として十分被害者の満足を得られるような扱い方をしておるか、あるいは中間的なことでサービスをしながら間をとってしまう、こういうことになる場合も、手続をとる方の中にはあるわけです。そうなると、むずかしいからあなたまかせになってしまっている。そのために被害者は受け取る金額なんかが全然得られないというような事態もあるわけです。ですから、そういうところは、あなた方の側でもう少し窓口業務を十分やっていただければ、もっと請求している人に内容的にもわからせることもできるし、満足を得られるような答えが出てくるんじゃないだろうか、私はそういうような考え方を持っておるわけです。
 それからもう一点は、いわゆる自賠責の限度額についてのお答えの中で、ヨーロッパのほうでは、運転する人が当然強制加入し、強制賠償もしていかなければならないような考え方というものが定着しているというお答えがあったわけです。任意保険の場合はいまのところ一千万円なり一千五百万円なりというものの内容はあるというお答えなんですけれども、それを強制にする場合のお答えとしていま言ったようなことをおっしゃっておったわけです。そうしますと、これは玉井先生にも同じ角度からお答えいただきたいと思うのですけれども、それではヨーロッパ的な考え方、いわゆる車を動かす人は、もうすでにそこに事故の対象ということを考えて、それだけのことをやるべきであるという思想、考え方が日本に定着しているかどうか、どの程度まで来ているかという点ですね。その定着の度合いによって、自賠責の限度なり、あるいは玉井先生がおっしゃったところの任意保険を強制的にしていくというものの考え方の進め方、こういうことの基本になってくると思うのですが、そういう点についてお答え願いたいと思います。
#65
○山口参考人 お答えいたします。
 第一番目は、支払い関係の苦情と申しますか、そういうことだろうと思います。先生から御指摘がございましたように、各保険会社でもう少し親切にサービスをして、よく教えてやってくれたらどうだというようなことだと思います。これはおっしゃるとおりでございまして、サービスが十分でないということは、実は私どももそのことを認めるわけでございます。しかし、私ども仕事としてこれをやっております以上は、サービスができないからというわけにいきませんので、この自動車保険のことにつきましては、ことに急な膨張をいたしましたために、いままで幾ぶん手薄だったというような点もあるかと思いますので、極力この方面に人を投入するようにいたしまして、これは各社において大体手当てが行き渡っているのじゃないか、こんなふうに考えております。ただ、実際問題といたしまして、窓口の人が十分な知識に欠けていたとかいうようなことのためにお客さんに対して不満足感を与えているというようなことは、これはまことに相すまぬことだと思っております。十分に注意させていただきたいと思います。
 それで、ただいま、保険会社の手が足りなくてサービスが十分でないために、ある特殊な人たちが中に入って保険金の請求をしてやったところが、それがどうもうまくいかなかったというようなお話かと思うわけでございますが、そういうことがあってはたいへんでございますので、私どもといたしましては、これは何をおいても保険会社が自分の手でお客さんと直接に交渉をして、そして支払いを済ますということでないといけないと思います。もちろん、仲介にお立ちになる方もりっぱな方であって、被害者の方の親であるとか子であるとか兄弟であるとかいう方がおいでになる場合にはそんなこともあまりないと思いますけれども、そういう点は十分に注意をいたしまして、せっかくの保険金が十分な効力を発揮しなかった、何となく変なところに流れたというようなことのないように、大いに注意したいと思います。
 こういうことのために実は各社の窓口強化ということも大いに呼号しているわけでございますが、それ以外に、先ほどもちょっと申し上げましたかと思いますが、会社を離れた損害保険の請求センターというものをつくっております。ただいま二十八カ所つくっておるわけでございますが、これをなるべく全国的に普及させていくというようなことにしたいと思っております。そうしますと、そこには弁護士さんも来ていただくことになっておりますが、こういう場合にはこういう手続をしたらいいだろうというようなこと、そんなことをひとつ親切によくお教えして、そして保険金請求がうまくいくように――うまくというとことばが悪いかもしれませんが、スムーズにいくように指導していきたい、こんなふうに考えております。
 それから、限度額のアップの問題で先生から御指摘がございましたが、日本の自動車を運転する人が、はたして自分が運転した車によって人をけがさしたりなんかしたときの賠償を十分にやる、やらなければならぬというふうな自覚、それがあるかどうかどいうことは、いろいろな観点があると思いますが、大体日本人であり、人間であるということであれば、これは当然自分があやまちで人にけがをさせたというような場合には、これは補償しなければならぬということは知ってもらわなければならぬと思うわけでございます。しかし、そういうことにつきましても、考え方はそうであっても、まだまだ十分じゃないというようなこともあるかと思いますので、そういう点から申しますと、どうしてもいまの自賠責保険というようなものがないと実際の運用ができないというようなことになるのじゃないかと思っております。
 それで、そういうことにつきまして、それじゃ自賠責保険とそれから民営と、いままでの二本立て、上積みになっておりますが、そういう形のままでいいかというようなお考えもあるかと思います。これは十八年前にできました自賠責が今日まで制度としては定着しておるわけでございますから、なかなかこれを急に改めるというわけにはいきませんでしょう。それからわれわれ民間としては、このごろ民間保険会社もそれぞれ人もふえますし、それから体制も整ってきております。保険と名前がつく以上は民間でやってやれるのじゃないか、こういうような気持ちを持っているということを申し上げてお答えといたしたいと思います。
#66
○玉井参考人 沖本先生の御質問の答えになるかどうかはわかりませんが、私はこういうふうに考えております。
 自動車は本質的に凶器である、しかし、非常に便利だし、経済的にいろいろな利益をもたらすので使用が許されておるのだ。いわば許された危険である。これはヨーロッパあたりでもそういう解釈だと思いますが、許された危険、つまりその使用を許す限りは、政府がきちっとその保障体制というものをしなければならない、そこから強制保険という考え方が出てくるのではないかと思います。
 それからもう一つ、さっき申しましたアメリカのノーフォールト保険の法案作成の原案を書いた弁護士に会ったときに言いましたのも、アメリカの調査によると、ちょっと数字は忘れましたが、自損事故のかなりのパーセンテージはその運転者には罪がないというような数字を出して説明しておりました。つまり自動車というものは、国民がこのようにたくさんの自動車を使いますれば、ある程度の確率で必ず事故が起こる。それに対してやはり社会全体でカバーしょうということをしなければならぬ、それが強制保険だと思う。ですから、ドライバーの意識がどの程度進んでいるかどうかということは別にしまして、自動車の使用を大幅に許すとすれば、やはり国が事後、事故を起こしましたあとの保障対策について十分なるものをしておかなければ、これはやはり政府の責任になるのではないか、こういうふうに考えております。
#67
○沖本委員 最初にも玉井さんおらしゃっておられたのは、ここまでいろいろ問題点が出てきたのは、政治の責任であり、自賠責の制度が十分でなかった、それから任意保険が十分でなかったために、その被害者の救済が十分行き渡らなかった、こういう点についてお話しでございましたが、平田さんがおっしゃったとおり、私たちの党も、自賠責は一千五百万くらいにしたほうがいいという考え方を持っておるわけです。
 そこで、いま御説明になった点とあわせてみまして、言いにくい点もあるのじゃないかと思いますけれども、いままでの経過で、数字の上からは政府から出るものは非常に少ない、こういう御指摘があったわけですけれども、それでは一体政府自体は、いまの御意見のとおり、全体的に国が保障するなり、あるいは国民全体としてこういう問題をカバーしていかなければならないという考えのもとに、いろいろな機構なり考え方が動いているようにお見受けになりますか、あるいはずっと後退したものの内容であるか、そういう点について御意見を伺いたいと思います。
#68
○玉井参考人 ずっと後退した内容だと思います。それはやはり交通遺児が貧困であるということがすべてを物語っていると思います。私はやはり、自賠法ができましたのは、これは世界に誇っていい法律だと思います、無過失責任主義に近いという点で。しかし内容が非常にお粗末である。内容といいますか、数字が実際からは非常にかけ離れた低いところで終始してしまっている。それで、交通遺児が貧困であるというのは、まさにその保障政策の貧困さをそのまま移したものであるということで、私は交通遺児に対する自賠責からの補助金、これは育英会に対して年額三千万でございますし、ただいまのセンターでは毎月五千円を千五百人に支払うということになっておりますが、これはやはりもう一けたくらい多くあげないと、いままで十七年間にわたって自賠責が救い得なかった者に対する償いはできないというふうに考えております。
#69
○沖本委員 先ほど玉井参考人のお話の中で、閣議了承のあと、遺児の育英会ができたわけですけれども、それについて民間からの出資が三十億集まったというお話があり、自動車工業会から二十億、あるいは一般の国民から集まったのが九億とか、こういう御説明があったように、メモの点の違いはありますけれども、そういう中にあって、政府は四十四年、四十五年、四十六年、ずっと二千万ですか。それで四十七年になって、これはちょっと金額をメモしそこなったわけですけれども出てきた。こういうことで、発足したのは、いろいろな経過を経ながら政府できまって発足したわけですけれども、そういう民間からあるいはいろいろなところからの救済の基金と政府とのにらみ合いですね、そういう点で非常に少ないという点をいまも御指摘になったわけですけれども、そういう関係はもう一つ納得できないわけなんですが、その状況についてお答え願いたいと思います。
#70
○玉井参考人 政府からいただいておるお金は四年間で九千万円でございます。全国の学生さんが街頭で、あるいは小中学校で一円玉一つの一円募金をされた金額が一億二千七百万でございます。それから、黒田さんのところの全共連さんからいただいた金が二億二千万でございます。そして先ほども申し上げましたように、国民の零細なお金が集まって九億幾らになっているわけでございます。子供たちが一円玉一つ持って学校で募金をしてくれた。学校の数も一万校をこえております。そういう国民の善意が九億で、政府のお金が九千万であるということについて、それが多いか少ないかは皆さん方の御判断におまかせするわけですが、いずれにしましても、こういうインフレの中で教育費が二倍になった。もうこの善意というのは、おそらく千万人から二千万の国民から寄せられた善意が九億の半分は木の葉になった。こうなってきますと、私たちは、日々募金をしておりましても、非常なむなしさと不安を覚えるわけです。やはり先ほど申しましたように、保障制度の欠陥から生まれた貧困遺児というものはやはり保障制度で救っていただきたい。自賠責の安さから出てきた遺児の貧困化というものは、やはり自賠責からお金をいただくのは決しておかしくないというのが私の考え方でございます。いずれにしましても、高進するインフレの中で、私たちとしましては、実態に合う教育費を出しますと、つまり高校生に一万円を出すと五年しかもたない、こういうことでございます。一千万から二千万の国民に対してこれでいいのかということでございますが、よろしくお願いしたいと思います。
#71
○沖本委員 いまのお話で胸を打たれるような思いがいたしまして、何とかしなければならない、こういう考えに立つわけですけれども、先ほど数字をおあげになりました一番悲惨な交通遺児ですね。遺児の教育の問題についていまおっしゃったわけですが、交通遺児全体について、救済するに一番必要な点はどういう点なのか。お金の面も御説明いただかなければなりませんが、われわれが一番考えなければならない点についてお答えいただきたいと思うのです。
#72
○玉井参考人 交通遺児の問題というのは、先ほどの九〇%が母子家庭であるということで、母子家庭全体の問題になると思います。交通遺児になりますと成績が落ちてまいります。これはおかあさんが働きに出ます、かぎっ子になります。精神的に非常に不安定になります。成績がはっきり一般人と区別しますと悪くなります。性格がやや暗くなります。そういう問題につきましては、ですから経済的な救済策とは別に、やはり何か国民全体としての精神的なサポートをするというような民間のボランティア活動の必要性があると思います。私たち育英会が生まれましたのも、交通遺児を励ます会という青年たちのささやかなボランティア活動の中から生まれてきたわけです。やはりこういうものが全国に広がっていかなければならないのではないか。そのボランティア活動といいましても、これは強制するわけにいきませんから、たいへんむずかしい問題だと思うのです。おかあさんのつとめが非常に不安定なためにその傾向を助長しているとすれば、おかあさんに安定した職場を与える。たとえば地方公共団体の職員というような、安定し、かつその給料の面でも民間の中小企業より先行きよくなるというようなところで雇用するような対策が必要かと思いますが、いろいろほかにもあると思います。とにかく経済的な安定がまず解決しないと、非常にほかのいら立ちが多くなりますので、その辺はさっきの教育問題――交通遺児育英会とかこのセンター法案の問題もさることながら、広くやはり交通遺児に対する御理解をいただきたいと思うのです。そして、先ほど来申し上げてます交通遺児育英会に関しましては、この委員会が生みの親でございますから、子捨てでは困るのです。あと始末をちゃんとしていただきたいということを繰り返して申し上げ、お願いしたいと思います。
#73
○沖本委員 限られた時間でございますから、また機会をあらためていろいろ御意見を伺ってみたいと思うのですが、一番最後のほうでおっしゃいました自損事故に関する保険についてもう少し詳しく、これを導入する場合にはどういうふうな方法をとって導入したほうがいいのか、お考えがありましたら、お述べいただきたいと思うのです。
#74
○玉井参考人 これは自損事故を強制保険に導入するか、任意保険に導入するかの議論はあると思いますが、非常に単純に申し上げますと、強制保険に――自損事故以外のは重大なる過失がない場合はほとんど全額出すということで、事実上はほとんど全額出ておりますね。あれと同じようなかっこうで、とにかく事故が起こったときには一千万なら一千万、七百万なら七百万出す。それはどういうケースにつきましても、その遺家族のために生活保障的な、あるいは社会保障的な意味で出すというふうにしていただいて、あとの任意保険の部分につきましては従来どおりきびしい過失相殺をやっていかれればいい、こういうふうに考えております。
#75
○沖本委員 では、もう時間がまいりましたのでこれで終わりたいと思いますけれども、いまはからずも、予定して質問をしていたわけではないのですけれども、悲惨な事情を聞きまして、委員長にお願いがあるわけです。
 いま玉井参考人のお話の中にもありましたように、育英会は当委員会が生みの親だということになりますし、もう五年もすれば持っている資金がなくなる、こういう窮迫した問題もあるわけでございますから、委員長の採決でこの問題を重要視していただいて、政府に大幅な増額の申し入れをしていただきたい。取りきめをお願いしたいわけでございます。
 以上お願いしまして質問を終わります。
#76
○久保委員長 わかりました。
 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 次回は明十四日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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