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1972/03/08 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 物価問題等に関する特別委員会 第3号
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1972/03/08 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 物価問題等に関する特別委員会 第3号

#1
第071回国会 物価問題等に関する特別委員会 第3号
昭和四十八年三月八日(木曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 山中 吾郎君
   理事 内海 英男君 理事 木部 佳昭君
   理事 小坂徳三郎君 理事 坂村 吉正君
   理事 井岡 大治君 理事 小林 政子君
      石井  一君    上田 茂行君
      近藤 鉄雄君    高橋 千寿君
      三塚  博君    山崎  拓君
      金子 みつ君    中村  茂君
      渡辺 三郎君    石田幸四郎君
      和田 耕作君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      小坂善太郎君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     高橋 俊英君
        公正取引委員会
        事務局長    吉田 文剛君
        公正取引委員会
       事務局経済部長 三代川敏三郎君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 熊田淳一郎君
        経済企画庁長官
        官房参事官   北川 博正君
        経済企画庁調整
        局長      新田 庚一君
        経済企画庁国民
        生活局長    小島 英敏君
        農林省食品流通
        局長      池田 正範君
 委員外の出席者
        大蔵大臣官房審
        議官      大谷 邦夫君
        通商産業省繊維
        雑貨局原料紡績
        課長      堺   司君
        建設省計画局宅
        地部長     河野 正三君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  坂井 弘一君     有島 重武君
    ―――――――――――――
二月二十三日
 物価安定対策の確立に関する請願(鈴木善幸君
 紹介)(第三四二号)
三月一日
 公共料金の値上げ反対に関する請願(多田光雄
 君紹介)(第八四〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 物価問題等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山中委員長 これより会議を開きます。
 物価問題等に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石井一君。
#3
○石井委員 昨年世界の三十四都市で物価動向を調べたところ、モスクワを除いては、すべて物価の騰貴ということで非常に困っておる、こういうことでございますから、これはわが国だけの問題ではございませんが、それにしても国民の関心のほとんどがこの問題に集まっておる、もう少しきめ手はないか、こういう感じがいたすわけでございます。昨日の新聞にも、商社のマグロ大量買い占めの問題が出ておったかと思うと、けさの新聞には、順法闘争から暮らしにたいへんな打撃を与える、消費者物資の輸送が遅延し、ほとんどの物価に影響を与えるだろうということが報道されておりますし、食肉の問題についても書いてある。こういうことだと、政治不信というのはますますつのってくる、こういう感じがいたして、私も苦慮いたしておる一人でございます。
 そこで、先日、小坂長官が当委員会で、今後の物価政策に対する決意をお述べになっております。あらゆる問題を網羅した、そつのない御意見でございますけれども、また、その反面、どこに重点が置かれておるのかというふうなことを考えてみますと、何かそつなく全体的な問題をカバーしておられる。私は、小坂大臣の就任中にこれとこれとは処理するというふうな重点的な施策を取り上げ、それに対する決断と実行ということを強く望みたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 与党の最初の質問でございますので、各論は次回以降にいたしまして、きょうは総括的に、長官が言われでおります問題点について、もう少し奥深く御意見を伺ってみたい、こう思うわけでございますが、抽象的なお答えよりも、できるだけ具体的に意欲を示していただきたいと思います。
 そういう意味で、まず最初に、いわゆる輸入品の価格の円の切り上げということが行なわれておるわけでございますから、当然消費者にその差額というものは還元されなければならない。この問題は一年前の円切りのときにも起こったわけでございますが、そうして政府は追跡調査などもいろいろなさったわけでございましたけれども、流通機構に吸い上げられたりなにかして、政策上大きな効果というものがあがっておらない、消費者になかなか還元されてないという面があるわけでございますけれども、この点について、具体的にどういう対策を今度は打ち立てられようとしておるのか、この辺からひとつお話を願いたいと思います。
#4
○小坂国務大臣 石井委員と同じように、私も物価の問題について非常に心痛をしておるわけであります。むしろそういった責任のある立場にありますだけに、一そう深刻に悩んでおるわけでございます。
 ただいまの御質問の最後のくだりについてお答えいたしたいと思いますが、輸入品が安くなるべきものである、円の実質的な切り上げ、目下フロートしておるわけですけれども、実際切り上がっているわけで、このデフレ効果をそのまま消費者に持っていくためにはどうするかということでお答えしたいと思いますが、前回の場合は一六・八八の切り上げ、大体一%くらい下がっていいものであったのでありますが、それがその間にいろいろ流通機構等に吸収されてしまうという面で、実際は〇・三ぐらいではないかというふうなことをいわれておるわけでございます。その対策としましては、もう石井委員すでによく御承知のように、流通機構に吸収されるのをできるだけ少なくするようにすることのほかに、輸入総代理店というものに対して独占的な支配を認めないような、第三者による真正品の並行輸入ということをやったわけでございます。これは昨年の十月からやりまして、相当にいま効果が出てきておるわけでございます。
 それから今度は、そうした経験がございますだけに、ひとつこの経験を生かして消費者に広く利益を還元するようにということでは、通産省のほうにおきましていろいろ通産物資について考えておる、農林省のほうでは農林物資について考えておるということで、企画庁に物価担当官会議というのを設けまして、各省から物価関係の担当官に集まってもらいまして、いろいろデータを出しているわけでございます。大体この月末ごろには一応の結論が出ると思われますので、これをひとつ、新しい試みといたしまして公示いたしまして、消費者のための情報提供をしようということを考えております。
 情報提供だけにとどまりませんで、これは私がいまひそかに考えており、ぜひそういうふうにしようと思っておるのは、今度ひとつ輸入商社に少し協力をさせて、それからデパートとチェーンストアに協力さして、輸入品の安売りのフェアをやってはどうか、見本市をやってはどうかというふうに考えておるわけでございます。これではっきり輸入品が安くなったということを、実際家庭の奥さん方に買いものしてもらって、その実感をつかんでもらうことはどうであろうかというふうに思っておるわけでございます。
 それからさらに、まあ泣きごとみたいになりますけれども、いま冒頭に石井さんおっしゃいましたように、海外でも非常に物価が高騰しております。いままでと同じ価格であればすでに安くなるべきところを、先方の値段が上がっておるので、そのまま円の切り上げ分だけ安くなるにしても、それほど安くならぬという面もあるわけでございまして、どうもその点がぱっとした効果がなかなか出にくいのじゃないかと思いますけれども、それにしてもそのまま、流通関係のむだないろいろな経費というものをとらなければこれだけ安くなるということを事実において示して、そして消費者の皆さんに買いものしていただいて、安くなったという実感を持ってもらうということをやってみようという気持ちを持っておるわけでございます。
 長くなりまして恐縮ですが、もう一つ、私としましては、いま、非関税商品の一部になると思いますけれども、結局輸入品というものは非常にぜいたくなものなんで高いものなんだという頭がございまして、その意味からか、たいへんに利益を上のせして売る傾向がございます。この間、北欧のある国の大使が参りまして、北欧の家具というのは御承知のように非常に人気があるわけでありますが、これをデパートで売っているのを見たら四倍だと言うのですね。何でこんなに高くする必要があるのだということを言ったら、いや、もうそういうことでお客さんが買うんだからいいんですよ、こういう話だったのですね。それじゃ君、ひとつ知恵を授けるが、ほかのデパートへ持ち込んだらどうだと言ったところ、いや、それはデパートの間でみんな話がついておって、これだけかけて売ることになっていますと言う。じゃチェーンストアはどうだと言ったら、いや、場所がない、家具だから場所をとります、そういうことを言っておりましたので、こういう問題はひとつお互いに、先生方のお知恵も拝借して、何か輸入品を安く売らせることを検討してみることはできないかというようなことも考えておるわけでございます。
#5
○石井委員 たいへん卒直な御提案なりあるいは実情をお訴えいただいたわけでございまして、たとえばいまの安売りのフェアなどというのは、やはり一つの政府の意欲を示しておる。そういうことを消費者に見てもらうというふうな意味で、ぜひ実現していただきたいと思います。
 それから最後の、家具を例にとってお話しになりました件でございますが、これなどは、当然行政指導で十分でき得ることであります。したがって、これらに対してももっと強い施策を打ち出していただきたい、こう思うわけでございます。
 一年前のあの追跡調査をいたしましたときに、私の記憶では、約三分の一ぐらいの商品は確かに値下がりをして、消費者に十分な還元をされておったと思うのでございます。ところが、やはり一番数の多かったのは横ばいの商品。ということは、やはりそれだけの行政指導がどこかで欠けておった。従来の低生産性部門に吸い上げられたということも言えますが、この点は今度はひとつ排していただきたいと思うわけでございます。それから第三に、ごく一部の商品は値上がりをしておったものがあります。これは牛肉その他特別な生産地における事情もありますけれども、やはり私たちが調べておる限りでは、政府機構の中でもう少し簡素化を進め得る面もあるので、第三番目の範疇に入るようなものは今度は絶対ないようにしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、政府関与物資がかなりあります。これは外国製のたばこであるとかそのほか酒類であるとか、それから国際郵便、航空郵便等々、いわゆる政府が即座に手の打てるものがあると思うのでございますが、これらに対して、この問題をどういうふうに処理されようとしておるのか、この点ひとつお伺いいたしたい。
#6
○小坂国務大臣 まことに仰せのとおりでございまして、政府が直接扱っておるものはそのまま安くできるわけでございます。いま例示されましたもののほかに塩などもそうでございます。それから小麦があるわけでございますけれども、これはまさに政府自身がそうすればできるものでございますから、関係いたしておりまする、たばこなら大蔵省、あるいは小麦なら農林省、塩なら専売公社ということになりましょうか、また航空郵便料金等に対しましても、それぞれの官庁において、この点は如才なくやっておるわけでございますが、なお、具体的なことにつきましては局長から答弁させます。
#7
○小島政府委員 先ほどの担当官会議におきまして、政府関与物資についていま総洗いをいたしております。大体三月中には各政府関与物資について、レートの幅が一つ前提でございますけれども、いまの予定ではやや変動制の期間が長くなるということもございますので、これがしかし、いつまでもきまるまでほっておくというわけにはまいりませんので、ある時期で一つの前提的なレートを置いて、その場合にどれだけのプラスが出てまいるかということを総洗いいたしまして、それからものによりましては、先ほど大臣が申しましたように、向こうの価格が非常に上がっているというものがございますので、政府関与物資が全部計算どおりの値下げになり得るかどうかという点は別問題でございますけれども、極力値下げの線で、おっしゃるような線で値下げを実施いたしたいと思います。
#8
○石井委員 これ、ちょっと重要な問題ですがもう少し具体的に商品の名をあげて見通しが言えませんですか、この時点で。
#9
○小島政府委員 航空運賃の件はちょっと間接的になると思いますけれども、あと、いままでお話に出ましたものが大体政府関与物資として考えておるわけであります。
#10
○石井委員 これはとかく議論はあるところでごさいますが、まず政府が姿勢を示す、こういう意味で、これ以上お伺いしてもこの時点ではいたしかたないと考えるわけでございますが、長官、これはぜひひとつ長官みずからが勇断をふるって、こういう問題に対しては一つの決断を示していただきたい、これをお願いを申し上げておきます。
 それから次に、私は都市の議員として、いつも農産物の自由化ということで抵抗を示す農林省に対して腹が立ってしかたがない。それはもちろん、畜産振興などというふうなことも大切なことでございますし、それをされておる過去の経過から現在の畜産事情というのもよくわかりますが、たとえばチーズを入れてそれを消費する人々の数と、それから牛を飼っていてチーズをつくる生産者の数と比べただけでも、私はもう少し前進をしてもらわなければ、企画庁が何ぼいいことを言われたって具体的にはその成果はあがらぬ、こういう感じがしてならぬわけでございまして、いわゆる輸入制限物資の自由化、IQ品目に対するこういう問題に関しても、政策マンとしての小坂長官がきびしく当局と対決し、この辺で決別しなければいかぬ問題に対してははっきりとした態度を示してもらいたいと思うのでございますが、この問題に関して、何か非常にやりにくいという御感触をいまでも持っておられますか。それとも、今回は在任中にひとつこの程度まではやってみたいというお考えがございますか。この点はいかがですか。
#11
○小坂国務大臣 石井委員御承知のように、現在三十三品目残っておるわけでございます。その中で二十四品目が農林関係物資でございます。その三十三のうち十くらい自由化を考えてみたらどうかということが研究課題として、いま田中総理からも示されておるわけであります。私ども、できるだけ御趣旨に沿うように考えたいと思っておりますけれども、何ぶんにも農産物の場合は、やはり自給率というものを相当見ていかなければならないという問題がございまして、しかし、そうかといって消費者のためには安いものが入るのがいいにきまっておるわけでございますから、国内のそうしたものについて、どの程度そうしたことのショックから守る方法ができるかどうかというのがかぎであろうと思います。これは結局、不足払い制度というものをもっと拡大するということが必要ではないかと思います。
 先ごろ、大豆の問題でたいへんな混乱があったわけでございます。これなども、大豆の輸入は三百二十万トンくらいは入る予定になっておって、特にその点のディスターバンスはないのですが、アメリカの中西部で大雪が降って大豆が三分の一雪の下になったとか、中国産の大豆が船積みがおくれたとか、そういうようなことから投機が起きてくると、国内産の大豆が五万トンくらいしかないものですから、心理的に悪い影響があるわけでございます。私の選挙区なんかも大豆をあぜ豆でつくっておるわけですが、実はこんなのは、遊休しているたんぼに奨励金を出すことを考えれば、たんぼで大豆をつくって奨励金を少し出す、それを不足払いという形で考えればやり得るのではないかというふうに思うわけでございます。そういうような問題が雑豆などの問題にも多少あると思いますが、どこまでできるか、いま石井委員のお述べになりました御趣旨はそのとおりだと思いますので、その御趣旨の原則と、国内の農村を健全に維持育成していくという政策の実際の必要とどこでかみ合わされるかということを、非常に精力的に意欲的に検討し、できるだけその結論を得たいというふうに考えておるわけであります。
#12
○石井委員 いわゆるワクの拡大と申しますか、自由化の推進ということも必要でございますが、食料品あるいは野菜その他の価格の急騰という、最近起こっておりますいろいろな問題に対処するためには、新しい制度を創設しながら、いわゆる輸入制度を活用するとでも申しますか、具体的に、たとえば大豆の場合ではもう少し備蓄制度というものが創設できないだろうかということ等、これが事前に何か考えられるはずである、こういう感じがいたします。
 それから牛肉の価格が、物価問題としては一つの焦点にいつものぼってきておるわけでございますけれども、これに関しても、昨今議論されております口蹄疫の問題もありますが、やはり輸入先の多角化ということをどうしても推進していく必要があると思いますし、それから野菜とか魚の生鮮食料品を最近韓国から緊急輸入するという話がございますが、この点に関しても、私は政府がなすべき措置はいろいろあるのではないかと思います。
 私はいま三点御指摘を申し上げましたが、これらはある程度進んでおるやに聞いておりますが、まだ論議の段階であるかもわかりませんが、私はぜひ進めていただきたいと思うのです。そういう気持ちを込めて、コメントがありましたらひとつ……。
#13
○小坂国務大臣 まず大豆の備蓄の問題でございますが、これはぜひそういう方向でやりたいということで、寄り寄り協議を関係省庁といたしております。これは備蓄のきくものでございますから、当然やるべきであると思っております。
 牛肉の問題は、これはやはり輸入先を多角化していくということが必要でございまして、アルゼンチンなどもやはり口蹄疫の問題があるわけでございますが、これは煮沸肉という形で一応解決しているわけでございます。問題は中国でございまして、中国との関係は、先方は非常に売る余力があるわけでありますので、できるだけこの話を進めたいと思っております。問題は口蹄疫のことでございますが、先方は、そういう話は全然心配はないんだ、そういうことがあるなら、香港あたりで口蹄疫が蔓延するはずなのに、現にそういうことはないじゃないかという話です。これは非常に説得力のあることだと思います。こちらのほうは、何か科学的にそういうものが立証されないと困るというふうに技術者の方が言っておられるという話でございますので、それでは日本の技術者と中国側の技術者とが、この問題についてできるだけ早く話し合ってみるということが必要なんじゃないかということで、農林省にもそのような措置をとっていただいておりますので、これは解決に向かって非常に速いスピードで進んでいくと思っております。ぜひこれはそうしなければいかぬし、ことに肉がいまの一部の物資に見られるような高騰でもいたしましたら、非常に政治問題になるので、真剣に取り組んでくれということを農林大臣にお願いいたしておるわけでございます。
 それから、韓国からの野菜とか魚の輸送の問題、これもできるだけ、それこそ流通機構をよくするということが必要でございまして、韓国側のほうも、日本に持ってくればいい商売になるというわけでございますけれども、何せそこに過当競争の弊があらわれまして、結局、競争して安くなるならいいですけれども、競争して不当に買い値をつり上げて、それがまた流通機構の不完全の中に埋没して、消費者の手には高いものが渡るということになり、あるいはまた、定期的な継続的な供給が不安定になることになると困ることでございますので、ぜひこの点の改善をいたしたいと考えております。
 ただいまの石井委員の御指摘は、私どもとしてまことにありがたい御指摘であると考えておるわけでございます。
#14
○石井委員 公取委員長お見えでございますから、ひとつ、先ほど経済企画庁長官のほうから、並行輸入をやったことによって総代理店制度の弊害が相当解消した、こういうふうなお話でございましたが、その後の並行輸入の効果がどの程度あがっておるというふうにお考えになるのか、総代理店制度というものにさらにメスを入れる必要がないのかどうか、この点、簡潔にお答えいただきたいと思います。
#15
○高橋(俊)政府委員 並行輸入につきましては、さきに大蔵省のほうから、むしろ関税の関係、並行輸入は真正品については自由であるべきだという見解をお示しになりました。私のほうはそれに基づきまして、並行輸入を含めまして輸入総代理店に対する認定基準というものを設けまして、独占的にならないように、総代理店が輸入する場合に他のものの並行輸入を阻害してはならないというふうな条項も入っておりますし、あまりに多くの分量を同一に扱うということにならないように注意しております。
 その後の監視状況等から見ますと、他の、つまり並行輸入を行なおうとする業者が明らかに妨害を受けたという事実は、あまりはっきりつかまれておらない。しかし、若干あるのじゃないかという推測はなされておる。ただし、この総代理店制度は、結論として認めないというわけにはいかない。というのは、日本に物を輸入する場合に、こちらからいえば輸入であるし、相手国からいえば輸出でございますが、そのためには総代理店という制度を使ったほうが、こちらからいえば輸入は促進されますし、ただし、広告その他の面においても、総代理店はいわば責任をもってそれを果たすという義務を負わされるわけですから、これはけっこうなことだと思うのです。ただ、総代理店制度によって輸入が独占的に行なわれるという点に問題があるのですが、他と同じような製品が並行して輸入される。たとえばスコッチウイスキーを例にとりますと、まあラベルのもの、ブランドのものを輸入すること、これは総代理店でけっこうなんです。しかし、他に同じような競争品がたくさんある。国内にもある。こういう場合に、それはけっこうだということでありまして、完全排他的にならないように厳重注意している次第でございます。
#16
○石井委員 円切り上げに伴って輸入品が非常に問題になっておるわけでありますから、その点、物価政策上その辺の指導その他を特に注意してやっていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで大臣、公共料金はどういうふうに取り組まれるのですか。私、リストを持っているわけですが、昨年度すでに値上げしたもの、たとえばガス料金、営団地下鉄運賃、公営交通運賃、国立大学授業料というようなものがあります。それから米価に関しても、売り渡し価格が多少やられておる。必ずしも公共料金といえなくても、非常に消費生活といいますか、それに関連の深いものがたくさんある。ここの長官の御所信の中には、国鉄はやむを得ないからということでありますが、ほかは上げないような、上げざるを得ないような、この辺に対して、もう少し基本的な姿勢をお示しいただきたいと思います。
#17
○小坂国務大臣 公共料金というものは他の料金の一つの誘導指標みたいなものになりますので、この物価問題は、極力これを上げないという姿勢を基本として貫きたいと思っておるわけでございます。
 昨年上げました、いま御指摘のガスの問題等につきましては、ことしの四月からの税制改正に伴いまして電気ガス税というものも引き下げるということにいたしまして、税率を一%下げたり、それから免税点を引き上げたりいたしておるわけであります。そういう点では、昨年のガスの値上げをカバーしたいというくらいの意欲をただいま示しておるわけでございます。
 他の問題につきましては、いまの基本的な態度を貫きたいと思いまするが、どうも国鉄だけは、これは昨年もやって、その後の状況も改善されておらぬわけでございまするので、いたし方なかろうかと思っております。要するに、公共料金といえども経済行為の具体的なあらわれがそこへ出てくるわけで、賃金も上がり、諸物価も上がりということになりますと、もう何でもかんでもただ押え込むというだけで済まぬという面もございまして、結局はそのサービスの低下ということになってあらわれてくる。そこで、国鉄だけはやむを得ないと思っておりますが、他のものは極力これを抑制したいと思っておるわけであります。
#18
○石井委員 国鉄以外は、本年は公共料金は値上げしない、こういうふうに受け取っていいのでしょうか。
#19
○小坂国務大臣 どうも生きものでございますので、経済の諸事情が、たとえば春闘でどういう相場が出てくるか存じませんが、非常に賃金が上がるとか、あるいはいまの物価の状況が、私どもは皆さまに御批判をいただいておりますような経済目標をきめまして、消費者物価が五・五、卸売物価が二・〇というのが四十八年度の目標ということにしておるわけでございますが、これが著しく動いてくるようなことになって、行き足らぬからというようなことでいろいろ出てくる場合に対して、何でもかんでもということを言い切るのもこの際ちょっとなんでございますが、あくまで基本的な姿勢としては上げない姿勢を貫きたい、こういうことを申し上げたいと思います。
#20
○石井委員 私は、やはり物価担当の最高責任者としては、もう絶対上げないという姿勢を当然貫いていただかなければいけませんし、その基本的姿勢以外の例外的措置があり得るという見通しは、われわれの態度としてはもう必要ない、こういう感じがするわけでございます。どうかひとつ、そういう点でその初志を貫いていただきたいと思うのであります。
 時間がだんだん迫ってきておりますので、次へ進ましていただきますけれども、この物価問題で特に最近いわれておることに、いわゆる過剰流動性を吸収するために金融面での措置をやらなければいかぬ、預金準備率の引き上げであるとか公定歩合の引き上げというふうなこと、この間も予算委員会その他でかなり議論されておったようでありますが、そういう問題よりも、これはちょっと極端な意見でありますが、いま政府の物価上昇の見通しが五・五%であり、それに対比して定期預金の一年の利息というのが五・二五%である。これだと、黙っておったって庶民は、金を銀行に置いておったのでは損をするということになっちゃうわけです。これはある面では非常に矛盾した政策である。しかもインフレ含みであるというふうなことを考えた場合に、これは外国でも、フランスあたりはこういう施策をとってきておるようでありますが、預金の金利の引き上げということ、これは企画庁長官だけでできない問題ではございますが、少なくとも物価という立場からはこういう姿勢を示すというふうなことも考えられることではなかろうか、私はこう思うのでございますが、この点は何か御所見がございますか。
#21
○小坂国務大臣 四十五年度のことでございますが、見通しとしてはたしか四%台ですか、だったと思うのですが、やってみたら七・三%上がっちゃったということで、こちらといたしましては、ことしはもう五・五ぎりぎりに押えて、それを守り抜こういう気持ちを出したわけでございますが、まあしかし、石井委員御指摘のように、一体預金利子よりも高い物価の上昇を当てにするというのはおかしいじゃないかという御議論は、確かにそのとおりあっていいと思います。ただ、私のほうは、経済の実態に即しまして、努力目標としてせいぜいこのくらいまでしかなかなか努力できぬという気持ちを出したわけでございます。
 これをどうするかということでございますが、いま問題になっておる過剰流動性の問題と関連いたしまして、やはり預金の準備率の引き上げだけではどうも足りぬのではないか、やはり公定歩合の引き上げにいくのではないかというふうなことが一般にいわれております際に、貸し出し金利を上げるということになりますれば、やはり預金金利もしたがって上げるというのが筋であろうと思います。そうなりますと、いま御指摘の問題は変わってくるわけだと思いますが、公定歩合を上げるということを私は言い切る立場ではございませんが、どうもいまの金のだぶつきの状況を見ておりますと、これはやはりもっと締めたほうがいいという気持ちがいたします。ただ、それによって輸出関連の中小企業だとかそういうものが打撃を受けるということがございます場合には、それはそれとしてまた別の観点から手当てをするということにいくべきであるというふうに私は存じます。一般的にだぶつかせておいて、そのだぶつかせる理由に、中小企業の困るものがあるからだぶつかせるというのでは、やはり実際に中小企業というものが利益を受けるよりも、もっと端的に、そのだぶついた金を非常に投機的なものに利用するものによって利益が占められていく、やはりそれはそれで締めるということをやらなければならぬのではないかというふうに思っております。
#22
○石井委員 金融面での措置としてもう一つ、これは少し議論が飛躍いたしますが、これは経済論でありますが、所得政策の導入ということも、物価政策には非常に大きな関連がある。最近の生産性本部の賃金白書などを見ておりましても、大幅の賃上げというものが必ず物価に響いてくるということを予測しておるわけでございますが、私は、こういう方向に残念ながらいくのではないか、こんなことを考えますと、賃金と物価の悪循環を断ち切るということも、やはり政府の基本的な姿勢として検討をされていくべきである。これは非常に長期的な問題ではございますが、アメリカの例を見ても、一つの物価政策としてこういう制度を導入しておる、他国でもこういう例がある、こういうことでございますが、所得政策に関して長官はどういうお考えをお持ちでございますか。
#23
○小坂国務大臣 所得政策というのは、いわゆるインカムズポリシーでございますので、賃金だけではなくてあらゆる所得を凍結するというか、それに対して計画的な値を与えていくということだと思います。御承知のように、アメリカの場合はニクソン大統領が、いわゆるあらゆるインカムを凍結したわけでございます。昨年の八月十五日から九十日間凍結いたしました。その後にこれを一応解除しまして、物価については二%ないし三%、賃金については五・五%ということをガイドラインとして、第一の関門をつくったわけであります。これがことしの一月十四日に至りまして第二段階に入りまして、いまのガイドラインというものだけにしておいて、そしてあとは労使の間で話をしてくれというふうに変わってきたわけでございます。他にもそういうことをやっておる国はございますが、なかなか成功しておらない。アメリカは成功した唯一の例ではないかというふうに思います。
 これを日本で考えた場合にどうかというふうに考えてみますと、日本では、やはり所得政策というと賃金凍結というふうな、そういう観念がもうすでにできておりまして、かりに私どもなどが所得政策がいいなどと言おうものなら、翌日は、政府、賃金凍結に踏み切る、総評あげて反対という記事が大きく出てくることは、当然予想されるのです。どうもそういうことをやることは、あまり好ましい政策ではないのではないかというふうに思うのでございます。やはりそういう政策は、すべて国民の間に理解が浸潤しまして、国民の間にこれをやったほうがいいという空気ができたときには、これは別の問題でございますが、いま日本がかりに所得政策というものを唱えて考えてみても、成功することはおそらく不可能であろうというふうに思われますので、この段階ではそういうことは考えないほうがよろしいのではないかというふうに思います。
#24
○石井委員 時期が時期ですから、この点は、御意見もよくわかる気がいたしますが、ただ、これだけの物価の高騰というふうなことを考えた場合に、政策面の問題としてやはり長期的に検討していくべき課題である、こういうふうに私は考えるわけでございます。
 そこで長官、わが国は卸売物価だけはあまり上がらなかったのでございますが、最近はそうじゃない。こういう意味では、この点についても欧米型の方向にどんどん進んでおって、物価構造自体が大きく変化してきておる、こういう感じがいたすわけでございますけれども、四十八年度の消費者物価上昇率の見通し五・五%というのは、そういう背景から見ても非常に困難ではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。昨日、予算委員会の分科会などでも、いわゆるげたという議論もだいぶ出たようでございますが、そういうことを考え合わすと、さらに五・五%の達成というのはむずかしいと思うのでございますが、自信がおありでございますか。
#25
○小坂国務大臣 その前に、四十七年度の問題にちょっと触れさせていただきますと、御承知のように、昨年の十二月までの暦年で申しますと四・五%ということでおさまったわけです。これは最近にないことでございます。この三月末の年度の見通しは大体五・一%ぐらいではないかというふうに思っておりまして、予定の五・三%より下回るということでございます。したがいまして、その点からいいますと、五・五%はまあまあなのでございますが、ただいま御指摘のように、卸売物価が非常に上がっております。卸売物価が上がって小売物価にどうはね返るかというと、中にはテレビなどでたいへんな、三倍にもはね返るような御説を述べられる先生もおられますけれども、私どもはそうは思ってないのでございます。直接には、はね返るのは大体三割くらいのものじゃないか、あとは卸売物価が上がることによって影響を受けていくもの、たとえば生糸が上がれば織物が上がる、綿が上がれば繊維の価格が上がるというような、そういう段階ですと、やはり半年ぐらいずれていくものがございます。それから、もっと固定的に、影響が少ないものもございまして、全体とすれば三割ぐらいの影響を受けるだろうというふうに考えております。
 そこで、卸売物価を何とかもっと征伐しなければいかぬのでございますが、これはやはり過剰流動性を退治するということが一番でございましょう。これは最近、日銀あたりが考えを新聞等に出しておられますが、ニクソンショックのときに相当ドルを買ったわけでございますね。あれがもとになっているという考え方と、日銀のほうはそうじゃなくて、その後の銀行貸し出しがふえているのが問題である、こういっている。数字で申しますと、四十六年度で言いますと、あのドルを買いささえた結果の外為の払い超が四兆三千億円くらい、それで銀行の貸し出しが十二兆四、五千億でございます。四十七年度になりますとこれがずっと減りまして、外為の払い超が一兆三千億ぐらい、銀行の貸し出しが十六兆円ぐらいになっていると思います。そこで問題は、銀行の貸し出しをもっと締めねばいかぬのと、今後はドル買いささえということはないわけです。いまクリーンフロートで、日銀が買いささえてないで変動相場制をとっているわけですから、その面からは来ないのでございますから、これをもっと締めていかなければいけない。この点については先ほど触れたわけでございます。そこで今度は、あとは行政指導をして、それで妙な売り惜しみとか買いだめをやっているものについては、これを正道に戻すような行政指導を政府がやらねばなりませんし、またそれで足りない面がございますれば、これを補完するにはどうすればいいかということで、国会内でもいろいろ御心配をいただき、自由民主党としてもいろいろ御検討願っておりますので、ほどなくその結論が出ると思いますので、それを踏まえてひとつ適切な措置をとってまいりたい。そして、いまの五・五%は何とかしてこれを達成したいという意欲を持っております。
#26
○石井委員 それでは、あともう少しでございますが、物価局を経企庁の中に新設される、これは新しい一つの意欲のあらわれであります。人と予算というものを獲得された。しかし、これまでの経企庁は、どうも調整機関としてなかなか実施の力というものは発揮できないために、議論倒れになってしまった。今度この局ができてどれだけ攻め込むかということが、私は一つの重要な問題であり、当委員会としてもここに大きく期待をしておるわけでありますが、どうですか、条文の中には、物価局というのは、各省の計画と政策立案に勧告するということであるが、その条文で、その権限で十分に物価に対して、これまで以上の攻め込みということができるとお考えになっているのか。どうも各省にやはり縄張りというものがありまして、そこへなかなか踏み込んでいけないというのが従来の経企庁のお立場であった、私はそう思うのですが、この点はいかがですか。
#27
○小坂国務大臣 なかなかむずかしい点がございますわけです。物価局ができまして、物価に対する調整機能というものを企画庁に持たせていただいたわけでございますけれども、しかし、実際の品物をつくったりこれをさばいたりする権限を持っているのは、これは企画庁じゃございませんので、その意味でなかなかむずかしい点がございます。私はむしろ、それもそうでございますけれども、企画庁というものは、ひとつちゃんとした――ちゃんとしたと言うとおかしいてすけれども、各省の寄り合いじゃなくて、企画庁というのは企画庁自身としてやっていくんだという気がまえを持ってやってもらわないと、いろいろ調整機能をやっているつもりであっても、実はそれは後を向いて、おもやのほうに顔を向けてやっておるようじゃ、物価の調整なんてえらそうなことを言ってもなかなかできない。その心がまえを企画庁の諸君も持ってもらうことが、まず必要だというふうに思っております。せっかく努力したいと思いますが、どうぞ先生方の御支持をお願いしたい。非常に大切なことでありながら、やはり、言うだけ言わしておけ、やるのはおれらがやるんだということになってしまいますと、企画庁のせっかくの意気込みも画餅に帰してしまうと思います。物価の問題に真剣に取り組む役所として大いにお育てを願いたい、こう思っておるわけでございます。
#28
○石井委員 大臣、率直に、むずかしいことだと最初に前置きされておりますように、むずかしいことなんですが、そのまま放置しておれば、結局、物価局ができてもそう変わらぬ、やはり直接売り買いしているところが強いんだということになれば、その権限の縄張りで押し切られてしまう、こういうことでございますから、私は、この辺で蛮勇をふるっていただくということを、やはり政府の姿勢としては一歩も二歩も前進してつくり出していただきたい。ちょうどそのいい機会じゃないか、こういう感じがいたすわけでございます。
 本年度のいわゆる物価予算というものでありますが、金額としては一兆幾らという非常に大きなものが計上されております。しかし、「国民生活」ここらにもはっきりと批判を書いておるように、物価対策そのもの、プロパーの予算というものは非常に少ない。長期的な低生産性部門に対する援助とかなんとかということも、物価の観点からは非常に重要ではありますけれども、ここにも書いてありますように――これは国民生活センターが出しておるわけでありますから、政府自体がそれをある意味では認めておられるという、そこまで言えるかどうかわかりませんが、ここに「手薄きわまる物価対策」という中には「要するに福祉対策は少し前進といっても、消費者行政と物価対策を置き去りにしたのが四十八年度予算」「物価対策もキメ手を欠く状態だ。」こういうふうに記載されておるわけですが、こういう指摘も私はある意味では正しい、こういう感じがしてなりません。
 それだけむずかしい問題ではあるのですけれども、このままだとなかなか物価対策の効果があがらぬという感じがしてならないわけでありますが、そこで、本年度の予算の中に二億円の物価対策特別推進費、こういうのがあります。それをどう使うかということはいまだきまっておらないようであります。物価局ができたらこれは一つのプレゼントだ、こういう感じでつけられたともいわれておるわけでありますが、これをどう利用されるかというのが、これは私は、長官の一つの政治的識見とでも申しましょうか、非常に重要な――重要でない予算であるかもしれないが、やり方によって非常に重要な予算だ、こういうふうに思うのですけれども、それにはどういうふうに対処されるお考えですか。
#29
○小坂国務大臣 非常なポイントでございまして、私どもも仰せのとおりに考えております。新しい予算を決定していただきました場合に、やはり情報の提供ということが非常に必要であって、物価モニターというものを全国につくりたいと思っています。やはり消費者の立場から企画庁に対して情報を逆にいただく、企画庁のほうもまた情報を流すという、こん然一体となったモニター制をつくりたいと思います。それからパイロット事業というような、各省が所管している物価対策があるわけでございますが、それの総合的な効果を確保するための事業を行ないたいと思います。たとえばサービスの価格の安定対策あるいは個別物資の不当な値上げを抑制するというような、物により場所によってスポットライトを当てていく、そういうようなことを推進したいと考えております。
 この二億円は、額は少ないのですけれども、極力利用して、新しい物価政策に光を当てる二億円にしたいというふうに考えております。
#30
○石井委員 最後に、最近木材、大豆、生糸、羊毛、綿布その他、非常に国民的関心を集めておる非常な重大な問題が起こっておる。商社の買い占めに対する規制というものを立法措置をとって何とかしようという動きもございますし、われわれも非常に関心を持って見ておるわけでありますが、そのほか、あらゆる面で行政措置をとっていくという、そういうことも強化していかなければならぬと思いますが、これに対する長官の御所信、これはまあかなり論議されておる問題でございますから、最近のお考えが何かありましたら、ひとつ御披露いただきたい。
#31
○小坂国務大臣 まことに困ったことで、最近は嫁入りの家具も十分に買えぬじゃないかというようなことまでいわれておりまして、家はできない、家具が買えないといったようなことじゃ、そんな政治でどうするということの一つのフラストレーションも起きてくると思うのです。これはもうほんとうに真剣に私どもとして取り組まなければならぬ。自民党とされても非常に御心配をいただいて感謝しているのですが、あの法律ができましたならばそれだけの効果はあると存じますけれども、やはり根本的には行政指導をできるだけ強めていくということが必要だと存じますが、これはまあ率直に言って、各省ばらばらであってはいけない。やはり政府として一つの強い線を持って行政指導に当たらねばならぬというふうに思うのでございます。三月一日に通商産業省が十六商社を集めていろいろ行政指導に乗り出しているわけですが、今後おりに触れそういうものを強めていく必要があると思っております。しかも、これは時期が非常に大切であって、ゆっくりやっていいものじゃない。いまが非常に大切な時期だ、こう考えておりまして、せっかく努力したいと思っています。
#32
○石井委員 以上で大体質問を終わりますが、最近、私たち党内の若手が集まりまして、都市対策議員連盟というものをつくりまして、このままの状態では、政治というものが国民なり都市の住民に適したものに動いておらぬという、そういう一つの危機感を私たち持ってやっておるのですが、物価政策などがまさにその一つの非常にいい例だというふうに私たち考えておるわけです。しかし、われわれが議論いたしておりましても、なかなかきめ手がない。それだけむずかしい問題である。ほんとうに特効薬というのはないという感じがいたすわけでございますけれども、結局は、きょう議論がありましたような、こういう一つの大きな激動する経済情勢の中で、具体的な問題を一つ一つやるかやらないかということに最終的には尽きてくるという感じがいたしてなりません。そういう意味で、きょうは長官、比較的忌憚のない意見を、希望的観測を交えながら決意を言われたわけでありますが、われわれ与党議員といたしましても、今後それがどういうふうに行政的に実行されていくかを見守っていきたいと思います。そして、在任中には必ず何らかの実績をあげる、こういうことによってのみ問題の解決へ一歩でも前進する、こういうふうに考えますので、どうかひとつそういう意味で――非常に政策通の長官を迎えておるわけでありますから、われわれの期待というものは非常に大きい。その期待にこたえていただくという意味で物価対策に真剣に取り組んでいただきたい、このことを私要望いたしまして、質問を終わります。
#33
○山中委員長 井岡大治君。
#34
○井岡委員 きょうは、個々の問題はできるだけ省いて、私は、長官の所信表明のごあいさつを中心にお尋ねをいたしたい、こう思うのです。
 いま同僚の石井君にもお話しされておりましたように、物価の問題はきめ手がない、こういうことで今日まで来たのが現状じゃないか。そこに大きな問題を残している。たとえば、ちまたで私たち、おかみさんと話をしておりますと、一ぺん、大正七年のような米騒動が起こったらいいんだ、こういうことを最近平気で口にされるようになりました。政治にあずかっておるわれわれとして、これほど政治家にとって不名誉なことばを聞くということは、たいへん心づらい気がいたします。それだけに、この問題については真剣に取り組んで、一つでいいから――これもやる、これもやると言ったって、なかなかそうできるものじゃないわけなんです。しかし、こうなった一つの原因というのは、これは最後に申し上げますけれども、今日の経済の仕組みというものが、単に自由経済だということで放任し過ぎてきた、こういうところにあるんじゃないか、こう思うのです。これらの問題はおいおい、これからまた長官のお話などを聞きながら、委員会もずっとあることですから、お聞きいたします。
 そこで最初に、長官はごあいさつの初めに「わが国は、米国のドル切り下げに伴い、去る二月十四日、変動相場制に移行いたしました。わが国経済は、現在、本格的な景気上昇過程にありますので、変動相場制への移行に伴うデフレ効果はかなり吸収されるものと思われます」こう言っておいでになりますね。これはどういうことなんですか。
#35
○小坂国務大臣 われわれの経済活動の基準になっております円の値打ちが上がったということは、逆にそれだけ物が安くなるわけです。その意味で不景気が来るということが、一般的な経済見通しとしてはあるわけです。いわゆるデフレ効果があるわけです。ところが、いまの日本の経済の実態は、昭和四十六年に不況であった、そこで一生懸命不況からの脱出の政策をとったわけでございますが、昨年の中ごろ以降、ことに昨年末から、非常な勢いで景気が上昇過程になってきております。正直なところを申し上げて、このままほうっておいたらかなり景気が過熱するおそれすらあるというふうに思って、心配をしておったのでございます。そこで、今度の円切り上げのデフレ効果によって、その過熱の心配はなくなってきた、こういうことでございます。
 ただ、一つつけ加えますと、これは一般的な景気の話をしているのでございまして、したがって物価もそういう趨勢であると思うのですが、このごろのように、かやのつり手みたいにあっちこっちで物価が上がる、こういうことは、また別の問題と考えております。一般の消費者物価なりあるいは卸売物価、それの水準について私はそこのごあいさつで言っている、こういうことでございます。
#36
○井岡委員 経済原則というんですか、経済の動向という一般論としては、私わからないことはないんですよ。しかし、現実の問題はそうでなくて、軒並みに上がっていっているわけですね。そうすると、「デフレ効果は、かなり吸収されるものと思われます」というような視点から問題をとらえておったのではいけないのじゃないか。だから、これを契機に物価対策というか産業政策というものをどうやっていくかということが具体的に示されない限り、私は、これはやはり作文になってしまうと思うのです。たとえばこの前の円切りのときに、これでかなり輸入物資の価格は下がる、こういうふうにいわれてきたわけですけれども、現実には一つも下がらなかった。それはどこにあるかといえば、総代理店という制度にあったわけですね。ですから私は、こういう問題は単にデフレ効果が吸収されるんだというだけでは作文に終わって、うまいこと言うけれども実際は何もないじゃないかということになりはしないか、こう思うのですが、この点、いかがですか。
#37
○小坂国務大臣 これは一般論を申し上げているわけでございまして、本来、円の切り上げでもすると、すぐに中小企業はじめ非常に困って、不景気になるのじゃないかという心配がまずあるわけでございますが、いや、そうでない、実際の景気はむしろ過熱の方向に向かっていたので、これが鎮静されますよ、こういう一般論を言うたわけでございます。先ほど私が申し上げましたように、一部の商品に思惑買いのごときものがあらわれている。これは別途の方法でこれに対処しなければならぬ、こういうふうに考えているわけでございます。
 ただ、一昨年の切り上げによって物価は全然影響を受けなかったかというと、そうではございませんで、この十二月の卸売物価なり消費者物価なりを見てみますと、たとえば消費者物価が四・五%という上昇にとどまった、これは近来ないことなのでございまして、やはり切り上げの影響が出ていると言って差しつかえないと考えております。
#38
○井岡委員 昨年の十二月でなくて、円切りをやったのは一昨年の十二月なんですね。そこまでは野放しにしておったわけなんです。われわれはこの問題について昨年の国会でやかましく言って、それからちょっぴり下げた、こういう程度なんですね。ですから私は、今度のこの問題は、昨年の十二月にこうなっているから、これは一般的な論議としてこう言っていいんじゃないかということは、少し早計ではないか、言い過ぎではないか、こう思うのです。
 同時に、いわゆる個々の問題、こう言っておいでになりますけれども、私は個々の問題じゃないと思うのです。たとえば、いま鉄はどこにもない。御承知でしょう。そのために中小企業は困っているのです。これは、いまの鉄の販売方法それ自体に問題があると思うのです。いままでだと、その支店が需要先を求めてやっておった。これを全部商社にまかしておるんですよ。ですから、Aの商社とBの商社が話し合ったら、これはみんなかかえてしまう、こういうかっこうなんです。そういう意味で、私はこれはもう、公取の委員長お見えになっていますから、現在、商社それ自体にどのような手を打っておいでになるか、一ぺんお聞きしたいのです。
#39
○高橋(俊)政府委員 たまたま鉄の話が先に出ましたので、そのほうから簡単に申し上げます。
 鉄は必ずしも商社だけが扱っているわけではないのでありますけれども、いわゆる仲間相場というものがありまして、これが飛び上がっちゃった。ところが、やはり需要と供給とのバランスがややとれなかったというところが根本でありましたので、これは国内の問題でありますから、増産しようと思えばある程度できるわけであります。そこで、カルテルをやっているときでも、もっと増産するようにということで、一カ月にしてはかなり大きい、粗鋼ベースですが八十万トン以上の増産をさせた。そのときには下がらなかった。その後高炉メーカーも、中小といいますか中堅メーカーがやっている平電炉メーカーの製品をつくれというところまで、私どもは主張しまして、通産省もやっていただいた。そういうところから、棒鋼を中心にいま下がっております。店頭の仲間相場と称するものは、メーカー側がもともと動いておりませんが、総じて弱くなっていますから、その点はうまくいっているほうじゃないかと思います。さらにもっと下がるのがあたりまえと思いますが、とにかく、上がるところが、はっきりと弱い方向にいっております。
 これが一般的な傾向ですが、ただ――(井岡委員「上がっていますよ、そんなうそ言ったってだめだ」と呼ぶ)いや、商社のやっているいろいろな投機的な行為ですね、まあこれは確かにおっしゃるとおり、目に余るものがあるのじゃないか。ただし、商社だけがほんとうの犯人なのか、他の専門店が加わっているのかという点は、私どもにはまだ、いまのところでは把握されておりません。そういう問題について、ただいま調査は行なっております。調査は行なっておりますけれども、いまこれをどうこうと申し上げる段階ではありませんので、御容赦願いたいと思います。
#40
○井岡委員 長官、公取委員長はたいへんじょうずな御答弁をなさいましたけれども、いまここで長官が言っておいでになります、「特に中小企業等への影響に対しましては、これによって混乱が生じることのないよう」こう言っておいでになりますが、いま中小企業は仕事はあるのですよ。仕事はあるのですが、いま鉄なら鉄の問題を取り上げて申し上げましたが、材料がないのです。鉄がないのですよ。これが入ってこないのです。そのためにいま倒産していっているのです。ぼくは、これはおそらく近年最大の倒産が出るだろう、こう思います。そうはお思いになりませんか、長官。
#41
○小坂国務大臣 私は、実は井岡委員ほどよくそれを知らないのでございますが、私の聞いておる範囲はいま公取委員長の言われたようなことでございまして、どうも一部に妙なのがあらわれまして、それが仲間相場をつり上げたり隠しちゃったりして、そういうことが非常に影響しているのではないかというのでありますね。棒鋼が問題になりますが、棒鋼というやつは大企業はつくっておりませんわけです。そういうのを製造している者と取引している者との間に何かがあるんではないかというふうなことも聞くのであります。
 これはもう私もできるだけ調べまして、いまおっしゃるとおりたいへん物がなくて困っておる、これは事実でございますので、何によってそれが出ているかということを、ひとつ大いに探求して、詰めてまいりたいと思います。またお知恵も拝借したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#42
○井岡委員 知恵を拝借するのでなくて、あなたは行政を担当されておるのですから、行政の立場から――ですから私は言ったのですかね、これもやるあれもやると言ったってなかなかできるものではないから、一つでもやるという仕組み、いわゆるかまえ、こういうものがないと、やはり商社に振り回されている、こういうかっこうじゃないですか。これは一部と言うけれども、私は必ずしも一部じゃないと思う。明らかにカルテル行為をやっている。カルテル行為をやっているのですから、公取としては、カルテル行為としてこれを摘発する、そこまでいかないと、これはなかなかできるものじゃない、こう思うのですよ。それを、わかりません、わかりませんと言っている間に、どんどん値段をつり上げていく。つり上げたのはなかなか下がりませんよ。そうでしょう。先ほど言っておられた流動性の問題、資金がだぶついているのですからね、どんどんなにしますよ。おそらく、長官が言っておる、政府がいまとっておいでになる金融政策、これだって、半年かそれから先でないと効果はないでしょう。直ちにありますか。そうだとすれば、その間にどうなるんです。上がっていく、倒れていく、こういうことになりゃしませんか。この点どうです。
#43
○小島政府委員 鉄につきましては、本年の初めかなり上がりましたけれども、最近は通産省が指導して鋼材あっせん所などをつくって、中小企業に材料が入るようにということをやっておりまして、ごく最近、動きはかなり落ちついてきております。最近はむしろセメントが非常に品不足で上がってきておりまして、特に中国地方あたり、これは輸送の不円滑ということがございますけれども、建設資材関係が、毎年相当の勢いで需要がふえてきておりますから、供給力とのバランスが一ぱいになって、基本的になかなか強いという点を心配いたしております。
 それから、金融引き締め効果というものは、確かにおっしゃるように、そう半月、一月で出てまいるものじゃございません、じわじわときいてきて、やはり三カ月から半年くらいで表にあらわれてくるものじゃないかと思っております。
#44
○井岡委員 この問題は時間がありませんから、次にいきます。
 そこで、「一方、変動相場制のもとで円の実勢レートが高まることは、物価の観点から見れば、輸入品の直接的な価格低下をはじめとして、その安定に寄与し得るものであります。」こう言っておりますが、私は、これは先ほどと同じだと思うんですね。だけども、これはやはり行政の立場で、下がる、安く買えた、この行く先を追跡をしていかなければ、決して下がるものじゃない、私はこのように考えるのですが、この点どうです。
#45
○小坂国務大臣 追跡をすることは非常に重要だと思います。その方向で努力しております。
#46
○井岡委員 これは大臣じゃなくて、じゃ局長にちょっと聞きますが、その追跡方法でどんなことを考えていますか。
#47
○小島政府委員 前回のレート切り上げの際には、経済企画庁と通産省と農林省が手分けをいたしまして、委託調査等も使って相当多くの品目を調査いたしました。その経験で申しますと、企画庁が調査いたしますと実態把握の面ではかなりわかるのですけれども、そのあとに続く行政指導面が、物を直接持っておりませんものですから、どうしても思うようにいかないという面もございまして、今度の第二回の際には、通産省、農林省の、つまり現物を所管しておる役所で、行政指導を含めて、品目をふやして調査をしていただくという方針で、現在すでに通産省が、二十品目でございましたか、品目をきめまして調査にかかっております。それから農林省も、今週中に品目がきまりまして追跡調査をいたす。それから、追跡調査だけではございません。先ほど申しました趣旨にかんがみまして、行政指導を強力にやってまいる。企画庁は、両方の品目がきまりました段階で、漏れがないかどうかということを調査いたしまして、漏れのないようにあとをカバーしてまいる、そういう方針で考えております。
#48
○井岡委員 長官、いまお聞きのとおりなんですが、その品目について、これとこれとこれを追跡調査する、こういうことを発表されますか。そうしないと、内々でやっていたって、一つも追跡調査にならぬのです。
#49
○小坂国務大臣 それは天下に公表いたします。
#50
○井岡委員 そこで、次にお尋ねしますが、輸出優先の貿易、産業構造を福祉指向型の構造へ転換をはかる、こう言っておいでになるのです。ことしの予算はそうだ、こういうようにおっしゃるかもわかりませんけれども、私は、円切り、変動相場制の問題はこのままではいかないだろうと思うのです。欧州の動きで政府はたいへんあわてておいでになるようですけれども、具体的に産業優先、輸出優先の貿易構造、産業構造を福祉優先にするにはこういうようにするんだというように、具体的でなければいかぬと思うのです。この点いかがですか。
#51
○小坂国務大臣 いまわれわれは、貿易の黒字が多過ぎる国ということで非難されております。ことに日米間では、アメリカの赤字の半分以上の大きなものを持っておるわけでございます。われわれとしては、やはりこの行き過ぎというものは是正する必要があると考えまするが、しかし、それにはやはり国内の消費購買力というものをもっとふやしていく必要があるということで、国民所得関係で申しますと、個人消費をもっとふやしていく、住宅投資をもっとふやしていく、海外への輸出を減らして、公共投資みたいなものをもっとふやすということが必要だというふうに考えております。ただ、あまり急激にこれをやっても、なかなかそれについていけませんものですから、先般お届け申し上げました経済社会基本計画という五カ年計画をつくりまして、大体九十兆円の投資を、いま申し上げたような公共関係のものにしようということを考えておるわけでございます。そういうような方向で、財政の働きによってこの経済構造を転換していくようにしよう、こういうことを考えておるわけでございます。
#52
○井岡委員 これは長官の所管でありませんから、私は長官に望もうとは思っておりませんけれども、国内受注を多くするということであれば、私は大幅な減税をやるべきだ、こう思うのです。人間の数は金持ちより貧乏人のほうが多いのですから、この貧乏人がもっともっと物を買うようにしなければ、国内受注なんて言ってみたって、それはどうにもならない。だから、もっと思い切った減税をやる、こういうことのほうが手っとり早いと思う。これは長官の所管ではありませんから、長官にそれを答えていただこうとは思いません。しかし、経済企画庁として日本経済をどう仕組んでいくか、こういうことになれば、長官として考えていただきたい、こういうことだけ申し上げておきます。
 そこで、いまの問題ですが、ここにこういうことがあるのです。これは三月五日付の朝日新聞の記事ですが、産業構造を一つも変えようとしていないということを――これは米国の話ですが、「激化する木材戦争 日本商社に高まる批判」ということで大きく出ておる。最後だけ読んでみます。「米国の製材業者は日本商社の組織的な入札」ここに私は、やはり彼らはカルテル行為をやっているということがあると思うのです。「買付け方に追いつけない。シアトルの住宅建築協会のある幹部は「日本商社の入札値段のつり上げ方は猛烈だ。もっと自粛してくれなければ正面衝突するだけ」といった。」
 私は、こういう記事を読んで、いまの貿易構造、産業構造というものを変えなければいかぬと思うのです。ですから、いま長官は、公共投資等にやるんだ、こう言っておいでになりますけれども、私は、公共投資だけでなしに、日本の産業構造をもう少し総点検をしてみる必要があるんじゃないか、こう思うのですが、この点はいかがですか。
#53
○小坂国務大臣 産業構造をいろいろ考え直してみるということはけっこうだと思います。ただ、いまの計画で住宅投資をもっとふやさなければいかぬといっても、これはまた、一ぺんに住宅住宅ということになって、木材が不足する。国内にはないから、みんな方々で買いあさるということになる。これもやはり、もう少し計画的にやっていきませんといかぬのじゃないかと思います。
 それから、もう一つは日本の産業構造の問題でございますが、いまや日本は先進工業国になっておるわけで、そのタイプに従った輸出入の構造を持つ必要があると思うのです。いま日本の輸入構造を見ますと、製品輸入が二八%で、原材料輸入が七二%です。これは先進工業国型としては非常に珍しい形です。製品輸入は、アメリカが七〇%、イギリスが五六%、西独が六十何%というふうに、みんな五〇%以上でございますね。そこで、いまの木材の問題でも、原木で買い付けるということじゃなくて製材で買い付けるということにすれば、これはやはり向こうは非常に喜ぶわけでございますし、摩擦は少なくなると思うのです。ところが、規格が違うんだそうです。日本の規格とアメリカの規格というのは違うので、製材では買えないというのです。しかし、そんなことはまた両方の国で調整すればいい問題でございますから、やはりもっと製品を輸入するという考え方に変えていかないといけないというふうに思っておるわけでございます。
#54
○井岡委員 時間がもうありませんから、次に進みます。
 「卸売物価は、昨秋来、景気の拡大、一部商品の海外市況高、過剰流動性を背景とした投機的動き等によって強い騰勢を示しており、」こう言っておいでになる。これはいま言われたとおりだと思うのですね。ですから、セメントにしても、鉄にしても、最近家庭の主婦がやかましく取り上げたとうふ――この間、皮肉なことを言われました。消費団体の方が私のところへおいでになって、田中さんが内閣をとって低くなったものが一つあるというのです。何だといったら、とうふの背の高さが低くなった。こういうふうにみんないわゆる商社の思惑買い、これは過剰流動性を背景にやっているわけですから、この点について特に気をつけていただきたい、こう思うのです。
 そこで、地価の問題ですが、田中総理は、施政演説の中でだいぶ思い切ったことを言っておいでになるのです。全部を読んでいたら時間がありませんから……。「土地問題は、政治が直面している最大の課題であります。土地は、財産であり、財産権は、憲法によって保障されております。しかし、財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律で定めるものとされ、また、正当な補償のもとでは、私有財産を公共のために用いることができることとなっております。」こう言っておいでになります。
 そこで、宅地部長、おいでになっておりますね。――いま土地はどんなふうにして買われているか御存じですか。
#55
○河野説明員 御質問の趣旨が、最近土地がどのような買われ方をしているかということだと思います。
 御承知のように、昨年、建設省といたしまして、一部、二部上場会社に対しまして調査をいたしましたが、昭和四十一年に比べますと、昭和四十六年におきます企業の土地取得状況は約三倍になっておりまして、企業による土地取得という量が非常にふえているという感じがするのでございます。この内訳を見てまいりますと、たなおろし資産、つまり商品の素材として買いまして仕上げて消費者に転売するというようなたなおろし資産関係の伸びよりも、事業用資産、つまり会社が工場その他の敷地用という名目で買う量の伸び率のほうが多いというような形にもなっておるわけでございます。
#56
○井岡委員 それはそのとおりなんですが、その取得をするのに、方法としてどんな方法で彼らが買っているか、こういうことを御存じですか。わからなければ言います。時間がありませんから言いましょう。
 町の何々商事会社、たくさんある。空中写真でとって、ここが土地がある、こうしますと、Aの会社、Bの会社、Cの会社に、おまえはどこの部分を買いなさい、おまえはあそこを買ってくれ、おまえはあそこを取得してくれ、こうやります。そうすると、末端の商事会社と称する人はみんな買い付けに行くわけです。そして買い付けが終わりますと、そのまん中の人に報告をするわけです。その報告を受けたまん中の人は、いわゆる大きな商事会社ですが、それは、買おうとしておる会社、そこに報告をします。そういたしますと、銀行がだっと金を出すのです。ですから、いわゆる土地会社も中間のものも末端のものも、金は一銭も要らぬのです。そうして、これは登記面積で買うわけです。ところが、売るときには今度は実測で売るわけです。そういたしますと、農地の場合は大体二割出ます。山林の場合は四割出ます。その出た分は末端の人に、一番買おうとしている親会社は、おまえはよくやってくれたということで金を出すわけです。帳簿には一つも載っていません。商事会社はこういった方法で買っているのです。
 ですから、これらの問題についてメスを入れていかない限り、土地取得なんというものは押えることはできません。したがって、土地の価格というものはまだどんどん上がります。そういうふうに思いませんか。
#57
○河野説明員 大体、先生おっしゃるとおりの土地取得の状況でございます。つまり、ある親会社がありまして、適当な空地を選択いたしまして買収したいという場合には、総括ディーラーともいうべき中間のディーラー会社を使いまして、その中間のディーラー会社が、さらに地上げ業者というような末端業者を使いまして土地を取得していく。それが大体、帳簿面積を中心としてなされる場合が多い。したがいまして、山林のごときは非常にそのなわ延びがあるということであろうかと思うのでございます。ひどい場合には、衆議院の決算委員会等でも問題になったことがございますが、一つの物件を最終的に需要者に開発造成する主体が手に入れるまでの間、一年半くらいの間に転々とそういった売買が行なわれる場合があるわけです。先生のおっしゃったような場合はおそらくはダミーを使い、総括ディーラーを使って親会社が直接取得するという例でございまして、比較的まだいい例だと思いますが、場合によりますともっと転々売買が行なわれる場合がある。そのたびに雪だるま式に地価というものが上がるという実態がございます。
 それで、今回の税制の改正におきましては、特にこの点に、投機的な投資の抑制という意味合いから着眼をいたしまして、土地を買いまして何らかの開発造成を行なって、庶民のためになる造成をやり販売をやる場合は適用除外といたしますが、土地をただ買いまして、ころがしてその利益を得るという仕組みに対しましては、分離した高率課税を編み出したわけでございます。土地の譲渡益だけで当該年度の法人の利益が生み出されている場合には、現行の法人税法、地方税法等の規定による税額に二〇%プラスするということでございますから、約七〇%が国、公共団体に還元されるという仕組みをとったわけでございまして、相当の効果がそういう方面にはあがるものと思うわけでございます。
 なお、税制面だけの誘導施策だけでは足らないかもしれないというようなことから、御承知のように全国にわたりまして、国土総合開発法の改正案の中で一定規模以上の取引の届け出、勧告制度というものも、現在作業中でございます。
#58
○井岡委員 長官、いま長官は宅地政策、こうおっしゃいましたけれども、このような状態でですから、宅地政策をやろうと思えば、これはまた物価の値上がりになってくるわけなんですが、一番の物価の値上がりの元凶というものは土地ですよ。ですから、宅地政策をおやりになるのなら、この土地政策をもっと根本的にメスを入れなければいけない。ただ、今度の税制の面で、とこう言っておいでになりますけれども、私は、税制の面だけで幾らやったって――私の家の隣が、隣といっても十軒ほど離れていますが、そこが土地会社の人ですが、この間私のところに来て、税金かけたら、それだけまたよけいもらうから一緒ですよ、こう言うのです。先生、そんな税金のことなんか考えなさんな、こう言っていました。私は、みんなの考え方はそうなのではないかと思うのです。その人はお酒を飲んでおって言ったんだから、本音をはいたんだろうと思うのです。そういうことじゃないかと思うのです。ですから、土地問題については根本的に考えていただきたい。まあ大臣だったら言おうと思っていたが、宅地部長ですし、もう時間がありませんから、最後に言っておきます。
 総理もこれだけりっぱなことを言われたんですからね。土地国家管理法、土地の管理法、こういうものをつくるぐらいな気持ちでない限り、土地の問題なんて解決しませんよ。これは私有財産じゃないです。主権があって、国民がおって、土地があって初めて国というのはできるのですから、当然これを管理したって差しつかえない、こう私は考えます。私有財産を取るんじゃない。管理をしているんですよ。こういう規定をする、こういうところまで踏み切ってもらいたい。このことを申し上げて、時間が来ましたから、私の質問を終わります。
#59
○山中委員長 小林政子君。
#60
○小林(政)委員 企画庁長官の所信表明の中でも、今回のいわゆる消費者物価の問題あるいはまた卸売物価の問題、この問題について抑制をはかっていくということは非常に重要だという意味のことが述べられておりますけれども、過去数年来五%も消費者物価が上昇をし続けてき、しかも最近の商社の買い占めあるいは投機の問題等を通じまして、国民生活に関連の深い木材だとかあるいは大豆だとか、そしてまたお米だとか繊維、羊毛、こういった生活物資が非常な暴騰を来たしているわけでございますけれども、この物価の問題の解決ということは、いま政治に課せられている緊急の課題であろうというふうに私は考えます。この問題を真に解決しようとするためには、投機の取り締まりということに対しての緊急対策と同時に、私は、根本的な、いわゆるインフレ防止、物価の安定ということに重点を置いた財政金融政策、こういうものをはかっていかなければならないんではないかというふうに考えますけれども、長官のお考えをお伺いいたしたいと思います。
#61
○小坂国務大臣 いま日本の当面している幾つかの問題の中で、福祉指向型の経済にしていくということ、国際収支の均衡をはかっていくということ、それから物価の問題、この三つを同時解決するということを考えて、トリレンマということばも出ているわけでございますが、私は、その中で一番重点に指向すべき問題は物価の問題であると考えております。インフレ対策、インフレになってはいけないということが一番重点とさるべきものであって、それなくしては、福祉指向と申しましても福祉にならないわけでございます。これが最も私どもの力を入れるべき問題である、こういうふうに考えております。
#62
○小林(政)委員 昨日も日銀当局などから、金融政策の問題についていろいろお話を伺ったわけですけれども、その中で、現在の通貨の総量の増加率というものは国民総生産、経済の実質成長を上回る膨大なものですね。こういうことであってはむしろインフレを促進していくんじゃないか。あるいはまた、通貨総量の増加と同時に、銀行の貸し出しというものも対前年比で一兆三千億ぐらいふえておりますし、あるいはまた日銀券の発行も、対前年比では二四%ぐらい増になっておる。約二兆円ふえているわけですね。そのほか国債の発行というようなこともやられておりますし、財政規模の膨張というようなことからも金が相当だぶついている。この問題について、実際に過剰流動資金などということもいわれておりますけれども、これに対して経企庁長官としては、いまのこのお金のだぶつき、これをほんとに物価という立場からどう対処していこうとされているのか。私、この問題については、根本的な見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
#63
○小坂国務大臣 昭和四十六年が不況だったんで、その不況からの脱出ということを考えまして、金融機関の貸し出しというのが非常に行なわれたわけでございます。先ほど井岡委員のお話の中にも、土地の問題で銀行が幾らでも金を貸すというお話がございましたが、これはまさに、経済が非常に上向いてきたにもかかわらず不況脱出という姿勢で銀行が貸しておったということが、大きな問題点であると私は思っておるんです。
 私は、この役を拝命しましてからすぐに過剰流動性ということを言い出しまして、何とかこれに対処したいということをいろんな面で言い続けてきておるわけでございますが、ちょっときざな言い方しますけれども、いま経済学の分野では、御承知のようにケインズが全盛なわけです。それで通貨の問題というのは、例のアービング・フィッシャーの貨幣数量説なんというのは非常に古いんだということをいっておったわけでございますが、私は最近、そうではないんだ、やはりマーシャルのKというような問題も、これは古くして新しき問題で、どうしてもこれを考えていかなければならぬということを言っておるわけでございます。
 それで、通貨数量をGNPで割ったいわゆるマーシャルのKというものは、四十六年半ばごろから非常にふえておりまして、最近は三三%から三五%ぐらいでございまして、従来マーシャルのKというのは大体二四、五%で来たものが、ここへ来て急にふえておるんですね。これは明らかにだぶつきでございます。それから日銀券の発行残高も、前年の同月比で二四、五%増、これも私ははなはだ遺憾としているところでございまして、これをもっと締めなくちゃいけないということをしきりに言っておるわけです。
 それで、これは大蔵大臣並びに日銀当局がそのほうの主管でございますから、私はそれを直接やる権限はないわけでございますので、それをおりに触れては言っておりまして、ようやく最近、二度にわたりまして預金準備率の引き上げも行なわれることになりましたし、それから銀行の窓口の指導もいろいろな面で行なわれておるわけであります。まあ、その効果が多少出てきておると思っていますがね。コール市場の金利なども多少締まってきました。しかし、だんだんに効果があらわれてくるというようなやり方でございまして、まあ、熱が高いが、これはくたびれているんだから、絶対安静にしているのが、一番熱がさめるというようなやり方でございますね。これはやっぱり、よくきく注射を一本ぶち込んだほうがいいんじゃないかという気持ちもあるわけでございますが、それこれのメリットもありデメリットもあるわけでございますので、私の立場からは金融当局にこれを強く要請しながら、この過剰流動性対策を真剣にやっておるわけでございます。
#64
○小林(政)委員 そうしますと、現在のいわゆる過剰流動性の問題も含めての非常な通貨の増発ということがインフレを促進させる要因であるということを、お認めになっていらっしゃいますか。
#65
○小坂国務大臣 一般的にいってそういう原理であると思いますが、いまのやり方については、そういう増発がないように極力やっておる、こういう段階でございます。
#66
○小林(政)委員 預金準備率も、一月に引き続いてまた〇・五%の引き上げが行なわれたわけでございますけれども、私ら、数兆円にも及ぶというふうにもいわれておりますこの過剰流動性をほんとうにここで吸収していくということであれば、預金準備率の引き上げというものは、物価の観点からもっと引き上げていくべきではないだろうかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
#67
○小坂国務大臣 いろいろ見方があるわけでございまして、預金準備率の一番上がるところは二〇%までいいということを国会できめていただいているわけでございます。いま、御指摘のように非常に低いわけですが、ただ、これはあまりやっていいかどうかということになりますと、さっきの病人の話じゃございませんけれども、熱が高いというので注射を打って副作用を起こしてしまうということも考えなければなりません。われわれの一番気にしなければならぬところは、賃金は上がります、物価もなかなか下がらぬ、そこで経済が不況になる、不況下の物価高ということになりますと、これはやっかいなことでございますので、できるだけ好況を維持しつつ物価を上げないようにするという、そのさじかげんと申しますか、かね合いと申しますか、これが一番むずかしいところであろうかと思っておるわけでございます。
#68
○小林(政)委員 私は、預金準備率の点についても、結局、景気対策としてのいわゆる資金調達を金融政策上の手段としてどうしていくのかというようなことでこれが使われていて、ほんとうに物価抑制とインフレ防止という立場からの金融政策というものは、何か景気対策ということに重点が置かれていて、物価対策はほとんど放置されてきている、こういうことが言えるんじゃないかと思うのですけれども、むしろ経済企画庁としては、いまの金融財政の問題についてはどこに重点を置くかといえば、長官もいま物価に最重点を置きたいということでございますし、そういう立場から見るならば、現在の状況というものは経済政策の上でももっと手直しがされてしかるべきじゃないだろうか、このように考えますけれども、この点について、もう一度お伺いをいたしたいと思います。
 具体的には、国債の発行なども、二兆三千四百億円ですか、これもやはり結局は、予算規模の拡大と同時に通貨の増発ということにもつながるわけですし、景気の手段というよりも、このようなインフレをこれ以上どう押えていくかというような立場から、この問題について根本的な計画や対策をお立てになるお考えがあるかどうか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
#69
○小坂国務大臣 私は、金融の問題は、たとえば準備率を引き上げるにしましても公定歩合を引き上げるにいたしましても、機動的に考えるべきだと思うのです。いま景気が過熱しておれば、思い切ってそういう措置をとったらいいと思いますし、これが行き過ぎたと思ったら、またゆるめればいい。そこが金融のいいところであって、もっと大胆に機動的にやることが考えられないか、こう思っております。同一の政府の中でございますから、大蔵省とも、よくそういう話をしておるわけでございます。
 そこで、公債の問題にお触れになりましたが、今度の予算の中で御審議をお願いいたしております公債は、結局、福祉関係の経費を出すということに、私どもこの予算の非常に大きなねらいを置いておるわけでございまして、全体の財源調達のために建設公債を、二兆三千四百億でしたか、入れておるわけでございます。これがそのまま資金の増加になるかというと必ずしもそうでないので、結局いま、銀行に公債を持ってもらうわけでございますね。これは一般の市中消化が原則でございまして、個人の消化というのはわりあい少ないものですから、結局銀行に持ってもらう。それを今度は日銀が買い上げるようなことをしなければ通貨の増発になってこないわけなんで、これはむしろ通貨の収縮に役立つと思います。
 そういうやり方において考えれば、公債が多いということは必ずしも不安の原因じゃないと思います。ただ一部に、これはもう私は絶対反対ですし、いまの政府はそういうことをとっておりませんが、調整インフレという考え方があるわけですね。物価が高くなっても、それによって日本の輸出は阻害されるし輸入はふえるんだから、結局国際収支正常化の意味からいえばいいのじゃないかというような議論が一部にあるわけなんです。いまはこういうのが大体消えてしまったと思いますが、その意味からすると、日本のいまの景気を押えると、結局輸出にドライブがかかって輸出がふえる、だからという意見も一部にはあったのであります。しかし、いま御承知のように為替相場がフロートしておる、変動相場制でございます。輸出が多くなれば、為替の段階でこれに調整機能が働くことになります。心配ないんだ、ないんだから、もうほんとうに物価抑制の一点に視点を集中して努力すべき段階になっているんだから、大いに金融を締めてくれということを、私はいま言っておるわけであります。
#70
○小林(政)委員 物価対策、インフレの抑制というものが金融だけでできるものだというふうには、私どもも考えておりません。この問題は総合的な対策ということが必要でございますし、むしろその中では予算規模の増大というようなことも、ただいたずらに増大するというようなことは、やはり物価の上昇あるいはインフレ促進という問題につながってくる財政上の問題であろうというふうに私は考えております。むしろこの問題については、ほんとうに物価を抑制するという立場で、この今回発行している公債というようなものは、経済企画庁長官の、物価をほんとうに抑制していくという立場からは、ここで取りやめるべきではないか。そして福祉政策の財源というものは――日本列島改造論の中でも幾つか減らせる問題が相当組み込まれております。あるいはまた、防衛費の削減というようなことによって財政規模を縮小していく。こういうことで余ったお金を福祉のほうに回していく。こういうようなことによって財政規模の縮小をはかっていくのが至当ではないだろうか、このように考えておりますが、この点についても長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#71
○小坂国務大臣 まあ予算というものは、国民の所得との関連で考えたらいいと思うのでございまして、これが大型であるか小型であるか、これはやはり、現実に持っておる国民の力との関係で考えたらよろしいと思います。ただいま国民所得は御承知のように九十四兆円で、今度初めて百兆円をこえ百十兆円になるというふうにいっておるわけであります。その限度で考えますと、いま御審議をわずらわしております予算は、別に景気を刺激する形のものじゃない、景気に対しては中立型の予算といってもよろしいと思うわけであります。ただ、これを国民の税金に財源を求めてやるかということになりますと、やはり減税をしたいわけでありますし、これには限度がある。そこで、建設公債というのは財政法上も正当といわれているところでございますので、これをもって財源に充てるというのはよろしいことであるし、四十八年度の予算は、こうしたいろいろな問題があるだけに一日もすみやかに成立をさせていただきたい、私どもはこう思っておるわけでございます。
 防衛費につきましても、これはもう世界じゅうにないようなわずかなシェフを国民所得に対して占めておるのでございまして、GNPの中で〇・八%という程度が自分の国の防衛に充てられているからといって、特別に異を唱えるべきものではないというように思っておる次第でございます。
#72
○小林(政)委員 私は、時間がなくなってまいりましたから先へ進みたいと思いますけれども、しかし、やはり物価という観点から、現在のインフレを促進するような動きに対しては、極力これを押えていかなければならない。そういう点からいたしますと、先ほど大臣が言われました、物価を最重点にしながらも、いわゆる国際収支あるいは福祉という、こういう立場で今後進めていくとするならば、経済構造の根本的な考え方を変えていかなければ、国際収支の問題を解決していくことはできないと思います。ただ輸入をふやせばいいということでなくて、国際競争力を強めていくような体質をそのまま認めて、財政面でも金融面でもそういう点がそのまま放置されて、そして国際収支の問題の解決といっても、これを解決するということにはならないのではないか、この点だけを申し述べまして、次に入りたいと思います。
 長官は、所信表明の中で、実質的な円の切り上げとの関係でもって、輸入価格の低下分を適正に消費者に還元するため各般の施策を講じるということをおっしゃったわけでございますけれども、一昨年の一六・八八%の円の切り上げが行なわれたときも、政府は、これと全く同じようなことをいっているのです。しかし、実際には物価は下がりませんでした。それに、二〇%の関税の引き下げだとか、あるいは輸入の自由化だとか、あるいは追跡調査を行なうとか、総合商社に対する対策だとか、これと同じようなことは前回にもいわれていたことでございますけれども、先ほどの御答弁では、この問題に対しては新たに物価担当官会議というようなもので協議をして、その実態を調査すると同時に、公表もしていくということでございますけれども、輸入価格の低下分を、価格そのものを下げさせていくというような対策については、具体的にはお考えになっていらっしゃらないのですか。間接的な対策だけですか。
#73
○小島政府委員 政府が直接決定し得るものは政府関与物資だけでございまして、コストが下がります分は直接消費者価格に反映させるということが申せるわけでございます。その他のものは、やはり自由経済をたてまえとしております以上、行政指導によって極力消費者価格に反映させるように万全の努力をするということでございまして、そのためには十分データを調べて、実際にこれだけコストが下がるではないかということを詰めまして、各省が物資担当省別に強力な行政指導をして、消費者価格に反映させるようにするということでございます。
#74
○小林(政)委員 それによって効果が相当あがるということをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。この前のときにも行政指導も含めて行なうということがいわれていたけれども、実際には、ごく幾つかの品目に限っては若干下がりましたけれども、しかし主要なものについては、ほとんどそのまま横ばいを続けているというのが現状です。そこらの点について国民は非常に納得をしていないと思いますし、具体的にお答えをいただきたいと思います。
#75
○小島政府委員 前回の場合に、国民の間にやや誤解されておりましたのは、一八%なら一八%レートが上がれば、輸入品の末端価格が一八%下がるはずであるというふうに思ってしまうわけでございますけれども、実際はそうでございませんで、レートが上がるときに、向こう側としては必ず輸出価格の引き上げをはかるわけでございます。これが相当きいてまいりまして、実際に去年の春ぐらいまで輸入価格がどんどん下がってまいりましたけれども、どのくらい下がったかというと、ピークに比べて八%くらいしか下がっていないわけです。これは全平均の輸入価格でございますけれども――。
 それからもう一つは、アメリカから輸入するものはレートの上で十何%大きく響きますけれども、それ以外の、日本ほどではありませんけれども、むしろ切り上げをした国もあるわけでございまして、そういうところから輸入する場合には決して一六%も一八%も、もともと下がるべきはずがないということもございます。
 それからもう一つは、輸入価格が下がりましても、実はその輸入品価格の消費者価格の中に占める割合というものは半分とか、ものによっては三分の一ぐらいしか、もともと占めていないわけでございます。したがって、輸入価格がかりに八%下がったといたしましても、ほかの利潤とか流通コストを一定といたしますと、輸入価格が半分しか占めていない場合には、またその半分になってしまうわけであります。輸入価格が八%下がりましても、それが末端価格に影響するときには四%になってしまう。
 ですから、なかなかいろいろなファクターがございますので、十何%レートが上がれば末端価格が十何%下がると期待するのは、やや過大な期待であるということでございます。
 その上、われわれ遺憾なことは、人件費も上がるし、どうせ苦しくなるからというので、ほんとうはコストとしてさっきの四%なら四%下げてもいい場合に、下げないでネコババしてしまって横ばいにしてしまう、そういうものも確かにあるわけでございます。今回の行政指導で極力コストの低下を末端価格に反映させるようにやるというのは、その部分でございます。
 前回に比べて今回のほうがきくだろうと思われるファクターというのは、去年の秋に並行輸入がありましたので、前回のレート切り上げのときにはきかなかったのが、今回はそういう意味の流通機構の一種の合理化というものが進んでおります。この点は前回よりもプラスだろうと思います。もう一つは、輸入のウエートというものが最近製品輸入がかなりふえておりますから、それだけきき方がやや大きくなるということもございます。それからもう一つは、やはり輸出品の影響でございまして、レートの影響というのは輸出品にも影響するわけで、どうも輸出がいままでどおりにはいかなくて内需転換というような影響が出てまいります。これは前回よりも今回のほうが、軽電機の関係とか雑貨の関係とか影響が大きいのではないかと思います。
 これらの点は前回よりプラスのファクターでございますけれども、マイナスファクターとしては、輸入価格自身、海外価格自身が最近非常に上がっている。これでレートの切り上げによる影響が相殺される面がございます。
 これらのプラス・マイナスがございますから、全体としてどうなるかということは、いまの段階ではなかなか的確に申し上げかねるわけでございますけれども、物価の面にプラスが出る限りは、私どもとしては、極力これを末端価格に反映させるように努力いたしたいと思います。
#76
○小林(政)委員 消費者物価の上昇については、四十八年度消費者物価を五・五%に押えたい、それを政策目標、努力目標としていきたいということでございますけれども、今後、毎年消費者物価が五・五%前後上がっていくということになりますと、これは十年間で一五〇%になりますし、結局は円の価値というものが十年でちょうど半分になる、半減するという結果を招くわけでございます。
 そういう点から考えますと、政府が政策目標、努力目標として物価の上昇を考えていく場合に、五・五%で何とか押えたいということは、むしろこれは非常に高い水準を示すものではないか、このように考えます。逆に、いまの国鉄運賃あるいは公共料金の値上げ、こういうようなものがもし実施されるということになれば、おそらく物価の上昇は五・五%ではおさまらないのではないか、こういうことも反面考えられますし、いまの体質の中ではそのようなことが言えると思いますけれども、一体政府として、これを非常に高いというふうにお考えになりますかどうか、この点お伺いをいたしておきたいと思います。
#77
○小坂国務大臣 経済の全体の成長を一〇・七%と見まして、その中で物価はそういうふうになるであろう、こういうことを言っているわけでございます。物価の面だけ考えておっしゃいますと、そのようなことになるかもしれませんけれども、やはり所得全体が経済の成長に従って上がってくる、その中における物価であるというふうに御理解を願いたいと思うわけでございます。
 日本の場合、生産性も二けたに上がっておりますので、賃金も二けたに上がっておりますが、欧米の国では、もう賃金なども非常に低いし、生産性も低い。経済成長率はせいぜい三%程度という国もたくさんあるわけでございます。それから見ると、一部には、日本の経済成長が高過ぎるじゃないか、こういうような批判もあるわけです。御審議の参考までに出しております経済社会基本計画、これの中では、今後五カ年間に経済の成長を九%に押え、物価の上昇も消費者物価の場合は四%台に押える、こういうことをいっているわけです。さらに、成長そのものは、昭和五十二年以降から六十年にかけては六%か七%台の成長にしよう、こういうことも申しておるわけでございまして、やはり成長の速度と賃金、俸給の値上がりあるいは物価との関連というものは一連の関係があるというふうに思っているわけでございます。
#78
○小林(政)委員 物価上昇に対する国民の恐怖というものがいま非常に問題になっているわけですけれども、物価を安定させるということで、今年度いわゆる一兆三千五百二十六億円の物価対策というものが組まれておりますけれども、これも先ほどすでに問題になっておりますけれども、ほんとうに物価を押えるという立場から見てみますと、私は、これで物価が押えられるだろうか、名目だけは物価を抑制するということで組まれている予算であるけれども、一体これでほんとうに物価対策になっているんだろうかと、実は驚いたわけでございます。
 なぜかといえば、外貿埠頭公団の出資金が三十一億だとか、あるいはまた日本開発銀行、あるいはまた日本自動車ターミナル株式会社だとか、あるいは京浜、阪神の外貿埠頭公団の出資金だとか、こういうものが全部物価対策として組まれているわけですね。そうして、ほんとうに物価対策としての調査経費というのはわずかに三億五千四百万円。これも前年に比べれば三・三倍というように大きく伸ばしたということがいわれておりますけれども、実際、物価対策という名目でこういうものを組むということはちょっと問題じゃないかと私は考えております。外貿埠頭公団の出資金というようなものについても、これはコンテナ船のいわゆる専用埠頭をつくる、こういったような事業を行なうための出資であって、回り回れば、それは外国からの船が専用埠頭に着くんだ、公共埠頭を利用していたんじゃ間に合わないから、いわゆるコンテナを積んだ船は外貿専用埠頭につける。こういうことをすることが物価に関係して出てくるのだろうということでおそらく組まれた予算であるというふうに思いますけれども、私は、これではたしてほんとうに物価が下がるか、国民のだれが見ても、物価を下げるために政府がこれだけの努力をしているというような予算になっているかどうか、この点について、ひとつ国民が納得できる御説明をしていただきたいと思います。
#79
○小島政府委員 この物価対策関係経費と申しますのは予算の分類の上で、たとえば社会保障費とか文教費という形と同じレベルで並べたものではないわけでございます。つまり、各種の公共事業その他各種の対策でございますものを、物価対策の観点からながめ直してみればこういう取りまとめができますということで、数年前からこういう形の取りまとめをいたしておるわけでございまして、したがって、おっしゃるように、非常に直接物価にきくものから非常に間接的なものまで入ってくるわけで、ですから、ここに計上されているものは、ほかのところと二重計算になっているものが大部分でございます。そういう意味から申しますと、おっしゃるように非常に迂遠で、くつの上からものをかくようなことがなきにしもあらずということだと思いますけれども、ただ、一つ、私ども最近痛感いたしておりますことは、低生産性部門に対してお金を投ずるというのは、生産者のためであって消費者のためではないという議論もございますけれども、実際は、最近の野菜など見ておりますと、昨年からことしにかけて比較的野菜が落ちついておりますのは、確かに天候のせいが非常に大きいと思いますけれども、同時に、昨年あたりから非常に野菜対策というものが重点化されて、昔のように、ある年に非常に上がりますと農家の方がこれはいいというのでたくさんつくる、そうすると翌年は暴落してしまう、そういう野菜サイクルというものがあったわけでございますけれども、現在は予算措置によって、非常に値が下がった場合でもある程度、八割、九割のものは補償されるという制度ができておるわけでございまして、そのために、最近のように二年続いて野菜の価格が比較的安定しているということにかなりきいているわけでございます。そういう意味で低生産性部門の予算というものが、やはり非常に重要な物価対策であるというふうに思っております。
#80
○小林(政)委員 物価対策の観点からながめ直してみるならばということでございますけれども、私は、実は物価委は初めてでして、この予算を見て、物価を抑制するという立場で一兆三千五百二十六億円も政府が予算を組んでいる。どれほど大きな力をここに注いでいるのだろうかということで実は中身を見ましてほんとうにびっくりいたしたというのが現状でございます。まして公正取引委員会の職員の人件費六億五千七百四十八万五千円までが物価対策という形で組まれるというようなことが、確かに物価と重大な問題のある仕事をしているということは事実だと思いますけれども、しかし、その人件費までが、基本給から手当までがこういう予算の中で組まれるということは、私は問題だと思うのです。こういう立場から、今後この予算というものは、ほんとうに物価を具体的に安定させていくあるいは抑制していく、こういう中身のあるものにやはりはっきりとさせるべきではないだろうか。ただ額だけ一兆円をこえるというようなことでふくらませるということは、これは私は改めるべきではないかというふうに考えますけれども、長官の意見を聞かせていただきたいと思います。
#81
○小坂国務大臣 実は、局長のほうから申し上げたように、物価対策関係経費という集計のしかたは、従来こうやってきているわけでございます。そこで、ことし田中総理の演説の中に、これは一兆円をこえるという文句がありましたが、私が、これはおやめになっていただいたほうがいい、こう言いまして、たしか演説の中にはこれは入っていないと思います。ただいまも御指摘の点は、そういう見方をすればそういう言い方が確かにできるものでございますから、特に一兆円をこえた物価関係経費があるということをあげつらうようなことは言わないでいただくようにしたわけでございます。これはひとつ、われわれの気持ちもおくみ取りいただきたい。
 そこで、実際の物価に影響いたします、たとえば卸売市場の整備、これは六十四億円、これは約六〇%増でございます。それから総合食料品小売センター、これは約五億でございまして、さらに新規で約五億のものは七四・三%増でございます。それから大規模冷蔵施設、これは新規で二億三千万ばかり。これは金額として必ずしも多くありませんけれども、新しいものが予算に入るというのはなかなか苦労でございまして、それをとにかく入れているということであります。これなどは、従来生産地に冷蔵庫を大体つくっておったのですが、今度ひとつ団地の近くにもそういう施設をつくって、できるだけ新鮮なものを消費地の皆さんの手にきわめて楽に入るような、そういうことも考えようということでやっておるのでありまして、なかなか一気にいかない点で隔靴掻痒の感があるかもしれませんけれども、そういう方向でできるだけ今後も努力したい、こう思っておるわけでございます。
#82
○小林(政)委員 きょうは私は、長官の所信に対する質問と、それから個別の問題で特に商品投機等を含めての大豆の問題について、実は質問をいたす予定でございました。しかし、きょう一時からの本会議ということでもございますので、個別の問題については後ほどにまた譲るということにいたしまして、長官に対する質問だけにとどめたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わります。
#83
○山中委員長 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時三十分再開することにし、この際休憩いたします。
    午後雰時五十分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時十七分開議
#84
○山中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。石田幸四郎君。
#85
○石田(幸)委員 物価問題特別委員会におきまして初めてのことでございますので、基本的に、経企庁長官の先般の所信表明からお伺いをしたいと思うのであります。
 御存じのとおり最近は、たいへんな商品投機等いろいろな問題が起こっておりまして、消費者物価に与える影響が非常に強いわけであります。そういう消費者物価の高騰に対して、輸入政策を弾力的に活用するということがいつの場合も問題になり、また、今回の場合もその問題が、政府の各大臣からもお話があるわけでありますが、まず最初に考えられることは、海外にすでにインフレーションの傾向が強くあらわれております。商品投機の問題になった木材にいたしましても、あるいはまたその他の問題にいたしましても、たいへんに物価騰貴が海外において強くあらわれております。羊毛等もそうでございますし、麦等におきましては、ソ連、中共の凶作から、大量買い付けというようなことで国際価格が非常に上がっておる、こういう状況は御存じのとおりでございます。また、羊毛にいたしましてもオーストラリアにおいては、大量買い付けのために羊毛に主体性を置くあまり、マトンの生産が減少してきている、こういうような問題等も起こってきているわけであります。それからヒノキ等は、日本はアメリカにその供給先を求めておるわけですが、これは前回の円切り上げのときには、その分だけ価格を向こうが上げてしまったということで、実質的な恩恵は受けておらない。さらにまた今回、木材の輸出を規制するというようなこともアメリカ側から報道されております。
 こういうような状況にございますと、せっかく輸入政策を弾力的に活用するといっても、海外におけるそういった商品投機の傾向もありますので、非常にむずかしいのではないか。ここら辺に対して今後どのように対処されていくのか、お伺いをいたしたいと思います。
#86
○小坂国務大臣 ただいま石田委員がお述べになりました全くそのとおりの状況でございまして、本来、価格が海外において動かないで、そのまま為替の差益だけが消費者の値下げとして還元できるという状況でございますと、たいへんに心強いわけでございまするが、全般的に見て、ヨーロッパあたりで消費者物価が六%から八%くらい、最近は八%を若干上乗せするような勢いでございまして、そこへまた、いまおっしゃいましたように、日本の需要がたいへん強いものでございますから、たとえば羊毛などでも、羊毛が要らぬというようなことでたいへん羊の頭数が減ったところで、肉牛に転換したようなところへもっていって非常に買いをあおりましたものですから、はなはだしきは三倍の値段で買ったような例もいわれておるわけであります。ソ連でも最近また値上げをするということが新聞等でも伝わっておりまして、たいへん困ったことであるわけでございます。私ども、政府の輸入しているものは直接政府でやるわけでございますから、たとえばたばこであるとか塩であるとか、あるいは小麦であるとかいうものを、ぜひそのままの、流通の経費による増高をなくしてその分だけ、為替の分だけ安く消費者の手元に入るようにいたしたいと思っておりますが、小麦につきましては、御承知のような事情でやはり上がっているというようなことでございます。
 全般的に申しまして、まず、政府のやれるものは極力いたします。それから、一般的な行政指導で中間経費をなくし、あるいは中間によるマージンのふえる分を抑制できるというものについては極力行政指導でやってまいるという考えで、できる限り消費者物価の高騰を押えるような手だてを尽くしてまいりたいと考えておるわけでございます。
#87
○石田(幸)委員 いま大臣から答弁がありましたが、その輸入価格が、さらに流通経費が加算をされまして消費者のもとにわたってくるわけですが、いまお話のありました、流通段階において政府が何らかの施策を講ずることができるという部分もあるということでございますが、具体的に言いまして、そういうものはどういう品目でございますか。
#88
○小島政府委員 最近とられました政策では、昨年の秋に行なわれました総代理店の品目を並行輸入を認めるという措置でございまして、これがレートの切り上げそれから関税引き下げとあわせて効果が出てまいりまして、個々の政策の直接の寄与率がどのくらいということはなかなか計算できませんけれども、ウイスキーが一番典型的な例でございますが、そのほか腕時計とか万年筆、香水なんかも比較的そうですけれども、外国の有名ブランドといわれるようなものが軒並みにかなりの値下げがございまして、やはり並行輸入の効果というものが一番大きかったのではないかと思っております。これは一見、舶来品の高級品だけで庶民にはあまり影響ないじゃないかという御議論もございますけれども、実は舶来の高級品がそういうふうに大幅に値下がりいたしますと、それと競争関係にある国産の高級品もどうしても圧力がかかりますし、そういたしますと、やはり中級品、低級品に及んでくる。一種の価格体系というものがございますから、低級品などは値上げをしにくくなるという効果が出てまいると思います。そういう意味では、決して表面にあらわれました現象だけでなく、相当大きな効果がございましたし、今後もかなりそのように期待できる。特に、公正取引委員会等で今後とも代理店契約のチェックと申しますか、一そう強化するということでやっているわけでございまして、この面の効果が期待できると思います。
#89
○石田(幸)委員 それでは、国民生活局長さんに引き続きお伺いしますが、本年に入りまして、輸入物資で国際価格が高騰しておるというような品目について、大体のところ御存じですか。たとえばコーヒー、これは欧州市場では急ピッチに価格上昇が見られるということで、この影響はそろそろ日本にあらわれてくるのではないかといわれております。それから小麦については、御存じのとおり九〇%値上げでございますので、この影響が一体いつごろ出るのかということも一つは問題だろうと思います。それから、いわゆる灯油、ガソリン、こういうようなものにつきましても、一月ですか、出光等におきまして値上げが発表されましてから、そういう騰勢が強まっているわけであります。そういう品目がわかればお知らせいただきたい。
 もう一点。一月十九日の日銀発表によりますと、十二月の輸入物価指数を見てみると、輸入物価の総平均指数は一〇一・三である、前月に比較して二・七%の大幅上昇であり、十五カ月続騰の状況である、こういうことが発表されておるわけであります。そして去年一年間の輸入物価は、年当初から比べますと全体で六・二%の上昇である、こういうふうにいわれておるわけであります。しかも、これは四十七年度の後半の海外商品の急騰によるものでございますので、一昨年の円切り上げによる輸入価格低下の影響は、ここで消えてしまったわけですね。
 そこでお伺いしたいのは、一体、本年度の前半においてはどの程度の上昇率が考えられるか。これは予測数値でありますから明確には言えないと思いますけれども、わかりましたら御答弁を承りたいと思います。
#90
○小島政府委員 第一点につきましては、現在手持ちの資料がございませんので、至急に調べまして後ほど申し上げます。
 それから、第二点の輸入価格の動きにつきましては、確かにいままでのところ、非常に目ざましい上昇傾向が続いておりまして、物価の観点から申しますと一種の神風といってもいいかもしれませんけれども、レートの変動相場制への移行というものがございまして、これがやはり今後、輸入価格の面にかなりいい効果を及ぼすはずでございます。ただ、それが、先生おっしゃるように、もともと向こうの海外市況がどんどん上がっているものについては、レート変更の影響というものが相殺されてしまうとか、ものによっては、レート調整を計算に入れてもなおかつ上がるというものもあると思います。したがいまして、現在の段階でどれだけということはなかなか申し上げかねるわけでございますけれども……。
 それからもう一つ、この前のレートもそうでございましたが、一六・八八%といっておりましても実効切り上げ率という概念がございまして、全部をアメリカ圏といいますかドル圏から輸入すれば一六・八八、さらに三百八円ならば一八・何%ということになるはずなんですけれども、その他のヨーロッパにしろ、アジアにしろ、ポンド圏もございますし、切り上げをした国もあるわけでございまして、そういう点を考慮いたしますと、実はこの前の経験が大体一二%くらいの実効切り上げ率といわれております。それにさらに向こう側における、先生がさっきおっしゃいました輸出価格の切り上げということが当然相伴ってまいるわけでございまして、石油などは、レートが切り上げられれば、それに伴って向こうの輸出価格を上げるという動きがございますので、それによってもかなり吸収されるということがございます。それらの各種のファクターがかみ合わさるものですから、なかなかどうも先行きの見通しができませんけれども、大きな傾向としましては、やはりこれから、まさに変動相場制移行後の影響というものが輸入価格の面に最も顕著にあらわれてきて、おそらく、やはり傾向としては上がるものもありますけれども、平均すれば下がりカーブをしばらくたどるのではないかと思います。ただ、それが時間がたてばたつほど、また海外市況の上昇傾向というものに吸収されていって、ちょうど前回の場合に、昨年の七月くらいまでじりじり下がってまいりましたのが、その後また上がっておるわけでございます。やはりどうも、ある期間が過ぎればレート調整の影響というものがなくなって、また上昇傾向になりがちだというふうに思います。
#91
○石田(幸)委員 いまの問題を踏まえて大臣にお伺いをしたいわけでありますが、いま円の再切り上げの問題がございまして、実勢二〇%という話も出ておりますが、一体、固定相場制に移動した場合どの程度のアップ率になるのか、そこら辺をどう想定していらっしゃるか。その想定と同時に、輸入物資等の海外市場の急騰との関連ですね。一体、今度の変動為替相場制の実勢力と将来出てくるであろう固定相場制のドル対円の比率、こういう問題から考えて、どうも私は、輸入価格の上昇は、そういう円の力が上がるわけではありますけれども、相殺されるような感じがしてならないわけです。相殺されるということになりますと、今度消費者物価指数の問題とからんできて、五・五%に押えるということはかなりむずかしくなるのではないか、このようなことを思いますが、この関連性から消費者物価指数五・五%いけるかどうか、ここら辺の御答弁をお願いしたいと思います。
#92
○小坂国務大臣 二月十四日の変動相場制移行後、わりあいにいわゆるダーティーフロートでなく推移しておりまして、一応の安定した価格が出かかっておりましたのですが、御承知のように最近の事情でまた変動してまいりまして、この金曜日の国際会議でどういうふうな結論が出ますわけでございましょうか、ちょっとこれは見通しを何ともいま申し上げにくいのでございますが、ただ、アメリカのほうとしては、昨年のIMFの会議でシュルツが提案をしていることがあるわけでございまして、それは、やはり黒字国も責任を持ってもらいたいという言い方をしているわけであります。われわれのほうは、赤字国の責任というものもあるんじゃないかというようなことを言ってきているわけでございますが、これがどういうふうな形で落ちついてまいるでございましょうか、ちょっといま私、ここで何とも申し上げにくいのでございます。
 しかし、いずれかの時期にはある程度の円切り上げはもう不可避だと思われますが、その際に輸入物価の低落等どうなるかということにつきましては、これもどうも、はなはだそっけないことを申し上げるようですが、こうなるでありましょうということは、私の立場でいま申し上げにくいのでございます。しかし、石田委員の御推察も決して離れた御観測ではないというふうに私も思いますが、その場合にどうであるか、五・五は達成できるかということでございますが、御承知のように、昨年の一−十二月の消費者物価は四・五ということで、近来になく落ちついたわけでございます。年度中の見通しも五・一くらいにおさまるであろうというふうに企画庁の専門家は見ておるわけで、私もそういうことで申し上げておるわけでございます。
 そこで、今後の、来年度の問題でございますが、私、やはり一番そこに出てくるのは、輸入価格の問題もございますけれども、いま問題になっている、いろいろな投機的な値上がりを見せております物資の問題であると思います。たとえば羊毛であるとか繊維であるとか、あるいはまた生糸であるとか、あるいはまた鉄鋼の製品、ことに丸棒とか、あるいはセメントであるとか、こういうものがどういうふうに影響していくかということと、それから土地の問題ですね、これはやはりインフレマインドをあおっておるものでございますから、どうしても土地の問題というのは、いまぼこぼこ値上がりしている投機的なもので、これと取り組んで押え込まなければいけない。ぜひひとつ押え込んで、五・五でもずいぶん高いわけでございますから、その目標だけは何とか越えないように努力したいというのが、私の率直な気持ちでございます。
#93
○石田(幸)委員 いまの問題に関連をしましてお伺いをするわけですが、先ほど申し上げております海外の商品高騰の状況の中に、たとえば木材とかそれから羊毛は、アメリカなりオーストラリアなりに日本の商社が現実に出かけていって、現地で日本商社同士が競争しておる。それによって市場価格が上がるというようなことが、現実にアメリカの木材の場合――名古屋は木材が多いものですから、私も現実に聞いております。こういう問題に対してまでも何らかの措置を講ずる必要があるのじゃないか、非常にむずかしい問題だとは思いますが、その点についてどうでしょうか。
#94
○小坂国務大臣 全く石田委員のおっしゃるとおりでございまして、その問題に対してもっと有効な手がないものかということで、実は苦慮しておるわけでございますが、根本的には、どうも金がたくさんあるということが問題であろうと思いまして、やはり過剰流動性の問題これをもっと締めなくてはいかぬと思います。しかし、締めて中小企業、特に輸出関連の中小企業が困るということはいけませんから、それに対してはまた別途に手を打つということが必要だと思うのでございます。商社も非常に資金が潤沢であれば、その潤沢な資金を持っていって海外で競争して、むだな過当競争からくる問題が起きてくるということがありますので、やはりそういう点も、行政指導の一環として指導していかなければならぬというふうに思っております。いずれにしてもこういうことは、だれも利益を得ない問題であります。過当競争で値をつり上げて、そして消費者に負担をかけて、だれも得をするものがないものでございますので、これはぜひ強硬な手を打たねばならぬと思っております。それにつけましても、国会でもいろいろ御審議をわずらわしております立法の問題、そういうことも考えなければならぬというふうに思っておるわけでございます。
#95
○石田(幸)委員 それでは、さらに話を進めまして、消費者の生活を守る物価安定のためのいろいろな施策が、政府としても考えられておるわけであります。いまの輸入問題に関連をしてお伺いをいたしますが、アメリカあたりからかなり強く、輸入制限品目の自由化をいわれております。しかし、実際にデータをとって、二十三品目全部調べてみますと、オレンジ等の影響は、これはかなり強く出ると思いますが、それ以外はそう影響はないように思うのでございますけれども、もし二十三品目全部自由化をした場合に、どういうところにひずみが出てくるというふうに大臣はお考えになっていらっしゃいますか。
#96
○小坂国務大臣 なかなかむずかしい問題でございますが、特にオレンジは、これはまた、いまのかんきつ類の生産の状況から申しまして、ちょっとむずかしいと思いますが、他のものは、やはり仰せのように、くふうのしようがあるように思うのでございます。ただ、問題は、やはり不足払いの制度というものをもっと拡充いたしまして、影響を受ける農業については、一般にそれの影響を遮断することができるような財政措置がとれるかどうかという問題であると存じておるのでございます。しかし現実には、これは国会の先生方の御意見も各様にあるわけでございまして、なかなか簡単にはいかぬのでございます。しかし、輸入ワクを拡大するということは、これはもう、ことに肉等に対してはもっとやらなければいかぬと思います。それはできると思うのでございます。
 それから、アメリカあたりの不満は、やはり日本の輸入が少ないということですが、これはやはりくふうのしようがあるのじゃないかというふうに私は思っております。というのは、製品の輸入関税をもっと下げれば買ってやることができるものがかなりあるというふうな意見もございまして、どうも日本は、何でも自分でつくらなければ気に入らぬ、それで原材料を買ってそれを加工して出すという、いままでの終戦直後からの経済復興的な形を見直して、もう先進工業国型になっておるんだから、それにふさわしいような輸入のポリシーというものを検討してはどうか。そういたしますと、いまの自由化の問題に対する不満も別の面からやわらいでいくのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
#97
○石田(幸)委員 それから、卸売市場関係の問題について一つ伺っておきたいのですが、総合食料品小売センターの増設、大規模冷蔵施設の設置など流通機構の改善をはかると、このようにおっしゃっておるのでございますが、いままでの例からいきますと、この大規模冷凍施設というのは、しばしば、むしろ商品投機や価格つり上げのために特定業者に利用されるケースが多いのですけれども、そういった点、もう少し公共性を中心にしたやり方に改められないのか。私も、選挙区の中にそういう業者の方がいますので、かえって突き上げられるかもしれませんけれども、どうしても消費者側の立場から考えますと、そういうものは逆に作用しているような気がしてしようがないのでございますけれども、ここら辺に対する行政指導はどのようにお考えでございますか。
#98
○小島政府委員 確かに業者のためにむしろ利用されてしまうというケースもなきにしもあらずだと思いますけれども、やはり大局的に見ますと、ある季節、ある時期にかたまって多量に生産されたものがならされて消費者に届くことによって、価格の乱高下を防ぐという効果は確かにあるように思います。ですから、決してマイナスだけではなくて、長い目で見ますと、やはり冷蔵能力を高めるということは物価安定のためにプラスになると思います。
 それからもう一つ、今度企画庁に、先ほど話がございましたが、物価対策関係の促進費といたしまして二億円の予算が認められまして、これが実はパイロット事業といたしまして、新年度になりましたら各都道府県と連絡をして、都道府県の中で消費者団体が計画するいろいろな産直の事業だとか、あるいはいまおっしゃった冷蔵能力の問題とかいうようなものにつきまして、パイロット的に補助を出してそういう事業を推進しようというふうに考えております。この場合は、業者のために利用されるというようなことではなくて、直接消費者のためにプラスになるようなストックが可能になるのではないかと思っております。
#99
○石田(幸)委員 それから、あちこち話が飛びますけれども、この間のお話の順番に従って若干御質問をしておるわけですが、先ほど大臣がおっしゃった金融の過剰流動性ですか、この問題に対していろいろな措置を機動的に講じていこうというような方向であることは、はっきりしているわけでありますか、一体今後――いままでもいろいろな対策はございました。さらに円の状況が強くなれば、今後どういう措置を予測しているのか。また、機動的にとおっしゃるのはどういう場合を予測しておっしゃっているのか。この辺の問題についてお伺いします。
#100
○小坂国務大臣 その前に、いま局長が申し上げたことでございますが、冷蔵施設というのは、従来生産者側の施設をつくったわけでございますが、今後は少し、消費者団体の近所と申しますか、たとえば団地の付近というようなところへ冷蔵施設を置いて、そのことが消費者に直接役に立つような、そういう方向を考えようではないかということをいろいろ関係者と話し合っておりますので、そのようにだんだん持ってまいりたいと考えております。
 それから、全体の過剰流動性の問題は、やはり引き締めの方向がいいんだと思います。それには銀行の預金準備率の引き上げとか、それから公定歩合も、もうそろそろ考える時期であろうかと思います。従来は、金融を引き締めますと、輸出のほうにドライブがかかって黒字がふえるということが非常に懸念されておったのです。その意味で、総需要の抑制ということを非常に憶病に見ておったわけでございますが、今後は、為替がこういうふうに変動しておりますので、総需要が減ったために輸出がドライブがかかってくるようになれば、為替が平衝作用をしてくれるだろう、その点はいまがやりどきではないかというふうに思います。
 それから、いつごろ為替が固定するかということですが、これは、私は相当先になるんじゃないかというような気持ちを持っております。というのは、アメリカが交換性を回復するのは、なかなかそう簡単じゃございません。そうしますと、片方が、ドルががっちりしないところで、そのまわりを回っておるいろいろな通貨がこの地位を固めようとしても、なかなかできない問題だと思います。その意味で、為替管理を強化しながらフロートしていくという方針を当分続けるのがいいんじゃないかというように私は考えておるわけであります。
#101
○石田(幸)委員 最後に、この所信表明の中におきまして――先ほど私も、本会議におきまして国鉄の問題をやったのでございますけれども、政府も大幅な財政措置を講じておるというのですが、利用者の必要最小限度の負担という問題が、なかなか議論を要する問題だと私は思うのです。今回の再建計画、十年のうち四回の値上げでございましょう、四六・七%とか。総合原価主義という立場は私もよく調べてみましたが、その理由はわかるのでございますけれども、これは要するに完全な社会的な要因なんですね、運賃値上げ決定の段階においては。先ほど、つかみ金的なということで表現をしたのですけれども、これより表現のしようがない。いわゆる社会開発事業をおくらせれば、今度は逆に運賃値上げの必要はなくなってしまう。必要がなくなってしまうということはないでしょうけれども、非常に軽減される。どうもはっきりしないわけなんですね。
 一体、経企庁長官として、消費者負担の原則というものは立てられないというふうにお考えなのか。あるいはまた、今日の状況は十年前の状況とは全然違いますので、そういう今日の状況を踏まえた新しい原則論というものを立てる必要がある、そのようにお考えなのか、この点はいかがでしょう。
#102
○小坂国務大臣 国鉄の問題は、まことに私どもとしては頭の痛い問題で、これはどうも攻守、所をかえるといいますか、与野党の立場をかえて考えていただいたら、私どもの苦しい気持ちもわかっていただけるのじゃないかと思っておるわけでございますが、いまの国鉄の赤字の現況というものはほんとうに困ったものでございまして、大体二万一千キロあるうちの約半分、一万二千キロが主要幹線で、一万八千キロというのが地方線でございますね。その赤字は地方線にあるわけでございます。そうすると、その地方線を全部国民が税金で持てばいいんじゃないかという議論は、どうも負担の公平の原則からして問題があるように思います。たとえば、私が東北の地方の山の中の地方線に、これは一生に一度も乗らぬだろうと思うところが何個所かあるわけでございますね。また、石田さんが、鹿児島の先のほうのローカル線にお乗りになる機会もないわけです。そうすると、やはりその線を利用しておる人と、それから全く一生に、いままでも利用しないし、将来も利用する可能性のない人が、全然同じ負担をしていいかという問題もあろうかと思うのでございます。どうしてもそういう見地から、やはり三方一両損と申しますか、国も国民の税金で出す、国鉄自身も御苦労願って、人員の合理化等も考えてもらうし、利用者もまた、ということにならざるを得ないように思うのでございますね。これはまことに一つのやっかいな節で、国鉄というものは、持っている以上は、どうしてもこれを何とかしなければならぬというふうに私は考えておる次第でございます。
#103
○石田(幸)委員 これは議論をすれば切りがないのでございますけれども、そういうような考え方での利用者負担というのは、私はほんとうは成り立たぬと思うのです。ですから、フランスあたりがいわゆる経常経費の支出を明確にしておるわけですね。通勤定期の割引については政府が補助する、あるいは交通事故対策、いわゆる踏切工事についてはこれを助成するというような社会政策的な問題については、これは助成するということを基本的にきめているわけですね。ところが、政府のほうは、先ほども御質問申し上げましたけれども、そういうような姿勢がない。ですから、資本収支に対する助成を行なう、これでは社会的要因を吸収できないのですね。その証拠には、四十八年度の支払い利息が、たしか二千二百五十三億くらいありますね。それが十年計画の最終においては六千四百十何億ですね。このような、支払い利息がどんどんふえるようなやり方というのはまことにおかしいと思う。
 この議論をしているわけにいきませんからやめますけれども、その中で一つ問題なのは、先ほども本会議で申し上げたのは、経企庁で出されました総合交通体系の中には、地方閑散線は縮小しよう、それに対して対策費を経常経費として支出をしようとなっていたわけですね。ところが、今回はこれをやめてしまった。それで私は、今回の再建計画は拡大型である、総合交通体系と違うじゃないか、こういうふうに申し上げたわけですが、事実、方向としては違うんです。一体、総合交通体系というものを改定せずに、あの再建計画の方向がとれるのかどうか、あるいは総合交通体系をお変えになるおつもりなのか、ここら辺のことについての御見解を承りたいと思います。
#104
○小坂国務大臣 総合交通体系というのは、交通のネットワークを確立する、そして地方都市といいますか、中距離の輸送というものは鉄道でやる、それから大都市の通勤等の大量旅客輸送は鉄道でやる、貨物の中長距離輸送は鉄道でやるというようなことで、鉄道の役割りということは非常に大きく見ているわけでございますね。ところが、山のほうの地方閑散線というものは、時代とともにバスの運送等も非常によくなったから、それはひとつ変えていこうじゃないか、鉄道赤字線というものははずしてバス輸送その他にかえようじゃないかということで、昨年に出ました計画では、御承知のように、はずす場合には幾ら出すとかいうようなことがあったわけでございます。
 ところが、あれをやってみましたところが、私は、実は自民党の政調会長として当時あれを手がけたわけですが、総務会で猛反対でございまして、地方閑散線などと失礼なことを言うな、明治百年以来やっておるものを、先輩の苦心を何と心得るというような、たいへん強硬論が圧倒的でございまして、どうしてもこれを削らざるを得ない。はずす場合にはやはり地方住民の納得を得てはずせ、こういう一項が入ったわけでございます。地方住民の納得というのは、結局地方の自治体の責任者がよろしい、こう言ってくれるということになるわけでございまして、そういう納得を得る前に、予算として、これこれはずしますという予算をつくって出すということは、あるいは計画の中にそういう数字を入れるということは、これは趣旨と違うじゃないかということで、今度はそれが入ってないという事情でございます。したがって、出てきた字づらでごらんになりますと、石田委員の御指摘のとおりでございますが、そういうことに至った経過は、いま私の申し上げたようなことでございまして、したがって内容は変わってない、こういうことを申し上げているわけでございます。
#105
○石田(幸)委員 あとの方の質問もありますので、その議論はこれで打ち切ります。
 公取関係についていろいろお伺いをしたいのでございますが、消費者物資、特に大豆、木材、羊毛、この三品目を、すでに公取として商品投機の対象として調査を開始している旨、いままでの国会の中では、各委員会等でお伺いしますと答弁をしておられるようですが、具体的にどのような調査を、またどのような権限に基づいて行なおうとしていらっしゃるのか、ここら辺の御見解を承りたいと思います。
#106
○高橋(俊)政府委員 私は、この場では大豆等ということで、品目を個別に全部あげることをお許し願いたいのでございます。実は調査の都合がございますので……。
 確かに現在やっております。ただし、いまやっておりますのは、独禁法の四十条の規定に基づく権限でございます。四十六条の場合には、ほぼこれは独禁法違反の疑いありという場合にそれを用いるわけでございます。四十条でやりますと、ですから立ち入り検査の権限がございません。ただし、業者その他関係の者を出頭を命じまして、必要な事項を尋ね、また帳簿その他必要な資料を持ってくるようにということでこれを命ずることができるようになっておりまして、違反すれば罰金が課せられるという権限がございます。そういうことで、現在すでに着々と調査を進めております。
#107
○石田(幸)委員 いま申し述べられた大豆等の問題について、一体いつごろまでに結論が出る見通しをしておられるのか、この点いかがでしょう。
#108
○高橋(俊)政府委員 私どもも、これは申し上げざるを得ないのですが、結局は独禁法の違反というものにつながっておる面があるのではないか。全然ないかどうか、これは疑わしいわけでございます。普通は、商品投機の場合に、お互いに共謀して、相通じて共同行為としてやるという例は少ないだろうと思います。しかし、全部が全部そうであるかどうか、これはわかりませんから、いわばその端緒を得るために必要な範囲において調査をしている。したがいまして、お尋ねの、いつごろまでに結論が出るかということについては、何ともいまのところお答えできませんし、あまりあせってみても種がうまくつかめるわけじゃない。この点については、はっきりした答弁を申し上げない点、お許し願いたいと思います。
#109
○石田(幸)委員 いろいろ業務の性格上御答弁できない点もあろうかと思いますので、それはやむを得ないと思います。しかし、いずれにしても、こういうような問題を公取としては権限をもって調査をなさり、取り締まりをされるわけでございますから、一体、これらの問題に対して、特に商品投機の問題に対して現在行なっている担当の課はどこで、何人くらいでおやりになっておりますか。その程度は言えるでしょう。
#110
○高橋(俊)政府委員 これはもう業者も呼んでおりますから、別に隠してもしようがないですが、経済部の調整課を中心に行なっております。経済部の調整課というのは、カルテルの認可など、そういう業務を行なっておりましたが、最近ややそのほうは仕事が少しすいているということで、仕事の性質上、これは審査のほうで担当するのじゃなく、経済部で担当するのがよかろう。その経済部の筆頭課に当たるのが調整課でございまして、何人とおっしゃいますが、経済部の女性などは除きますが、相当の人を動員して、班を編成してそれぞれの品目を当たるというふうに処理しております。
#111
○石田(幸)委員 調整課のほうで行なう、何班か編成の上で行なっていらっしゃる。これは十三名ですね、いまいらっしゃるのは。たいへんに心もとない感じがするのでございますけれども、本年度の予算を見ますと、定員の拡充につきましては、経済部調査課が一名、経済部国際課が二名、取引部の取引課が一名、取引部景品表示指導課が二名、それから取引部景品表示監視課が二名、審査部が一名、合計九名の増になっておるわけでありますが、これ、どうですか、公取の責任者といたしまして、こういう程度の充実でいいのかどうか。私は、もう現在のこの状況を見て――公取委員会は三百五十八人というふうになっておりますけれども、官房等はこれから除かなければなりませんね。それから、特にここら辺のところは、いわゆる純然たる事務局でございますので、経済部、取引部、審査部等見ましても、非常にこの人数が少ないのじゃないか、特に審査に時間がかかり過ぎて、これではどうにもならないのじゃないか、少なくともこの倍くらいは要るんじゃないかという気がするのです。これはたいへん素朴な考え方で申しわけないのですが、一体、公取委員長として、現在の業務を十二分に遂行するために何人くらい必要だと思っていらっしゃるのですか、総体的に。
#112
○高橋(俊)政府委員 予算定員は、おそらく各省ともみなふやしたいという気持ちでございましょう。私のところも、そういう意味では多々ますます弁ずるということになりますが、仕事のやり方、分量、その両者をかね合わせまして、私どもは、いまの人員ではかなり不足しているということは言わざるを得ないと思うのです。
 いまおっしゃいました、たまたま審査について仕事がおくれているではないかというふうな点についても、確かに審査によって、いろいろ独禁法違反事件を扱っておる、だけども処理が非常に手間どっておる、結局実効が薄れてしまうというふうな場合もしばしばございましょうし、景品表示関係におきましても、これは都道府県に委託して、都道府県四十七に各県一名ずつの予算をまあやっとつけて、それもことしの当然増の中に半年分が一年分になったのです。三千何百万か入っておるのです。これを除きますと私どもの予算は一五%もふえてないのです。そういうことで人員は、純増では五名です。九名増でマイナス四名でございますから、五名しかふえていない。これではいかに何でも、やはり不足の程度はなはだしかろうと思いますが、また行政管理庁、予算当事者からいわせれば、それでもめんどう見てやっているほうだ、こうおっしゃいますので、なかなか――私も実は、昨年概算要求するときにはおりませんでした。まあ今度の要求にあたりましては、仕事をどうやるか、どれだけやるかということをよく私のほうで研究いたしまして、そのためにこれだけの人間がぜひ必要であるということで、一ぺんに百人といってもこれはだめでございますから、そこは可能な範囲で適当に増員を認めてもらうように努力したいと思います。
#113
○石田(幸)委員 もう少しお伺いしますが、この間、公明党の参議院の黒柳君が追求した事件に、輸入ハムの中にいろいろな有害食品が入っておったということが話題になっておったのですけれども、これは一体、どういうところでこういう問題は調査をされ、摘発されるわけですか。
#114
○高橋(俊)政府委員 お尋ねの、輸入ハムの中に不純なものがあったという点は、これは所管としては厚生省であろうと思います。
#115
○石田(幸)委員 わかりました。
 いずれにしても、これらの業務を遂行するためには非常に人数が足らないということを、経済企画庁長官よく御存じだと思うのですけれども、たいへんに心もとないと思います。経済部の各課を見ますと大体十数名前後ですね。そこの中には女子職員もいらっしゃるでしょうから、十人くらいで仕事をしておる。そうすると、商品投機といいましても、今日の場合いろいろな問題が出されているわけでございますから、こういうことではとても審査が進まないんじゃないかと思うのです。
 それからもう一つ、やはり公取の全体の予算を見てみますと、人件費がまあ主要部分でありますけれども、その他の予算にしても非常に少ない感じがしてならないわけですね。ここら辺は、もう少し、消費者生活を大所高所から守っていくお役所としまして充実すべきではないか、何とかならぬものか、こういうたいへん素朴な感じがするのですけれども、いかがでしょう。
#116
○高橋(俊)政府委員 経企庁長官に御迷惑をかけてはなんですから、私がお答えいたします。
 確かに四十八年度の案でございましても、まだ十億にいっておりません。九億六千万円余りですか、そのうちのまさに八〇%が人件費でございます。調査その他に必要な経費はその余の二億円にも満たないという状態でございまして、業務の執行上非常につつましやかにやらなければならぬという障害をわれわれ感じております。しかし、もう少し充実する必要があるのではないか、そういうふうに思っております。
#117
○石田(幸)委員 それでは、次の質問者の予定もありますので、だいぶ時間を超過しましたので、以上で終わります。
#118
○山中委員長 和田耕作君。
#119
○和田(耕)委員 きょうはごく短い時間で御質問申し上げてみようと思っております。
 長官、過剰流動性という問題がいまあって、現在、物価という面から見ると、これは文字どおりに諸悪の根源だというふうに思うわけですけれども、三つほどお伺いしたいんですが、まず第一に、この一年間、株式――その前に土地へずっと集中して、土地をずっと引き上げて、そして株式のほうへ今度は流れていって、株式を上げた。大体この一年間に、十二月の数字を見ると、一部上場、約倍になっておるという数字もあるのですけれども、しかもこれをつり上げておるのは、これはどこの調査を見ても、個人ではなくて法人、しかも大企業だというような情報が流れておるんですけれども、これは事実ですか。
#120
○小坂国務大臣 株式の場合、やはりその会社同士が持ち持ちで株を非常に少なくしている。そこへ買いが入ると非常にふえて高値を呼ぶというような状況のように聞いております。まあ個人というものは非常に少ないんだろうと思います。
#121
○和田(耕)委員 まあ、何ぼあり余る金があるといって、メリットがないと法人は株を買わないと思うのですけれども、法人が株を買うメリットというのはどういうふうに思われるのでしょうか。
#122
○小坂国務大臣 ちょうど大蔵省の証券局から来ておりますから、専門のほうから……。
#123
○大谷説明員 お答えいたします。
 昨年来、法人の株式取得が非常にふえておりますが、これは一般には、国際化に伴います株式の安定化工作あるいは系列化のための取得が非常に多いといわれております。
#124
○和田(耕)委員 ここで私、若干問題にしてみたいのは、いまの系列強化という問題なんですけれども、こういうときの過剰流動性というものを持っておる会社が系列を強化していくと、これは単に関係の会社間の持ち合いということだけでなくて、この系列を強化していくという流れは、つまりある意味での独占ですね。横ではなくて縦。あるいは横もありましょうけれども、独占の強化ということになりはしませんか。
#125
○高橋(俊)政府委員 法人の間同士で株式を持ち合うということはいろいろな意味がございますが、現在行なわれておりますのは、とにかく非常に金融がゆるんでおる、――最近はちょっと違いますが、銀行へ金を返そうといたしましても受け取らないということさえざらにあるようでございます。そういうことから、社債は買うだけ買った、あと結局考えてみたら土地か株しかないということで、土地も買うし株式も買うというふうなことが、今日のいろいろな弊害を生んでおる。したがって、それは非常に意欲的に系列を強化しようとか、同じ系統の持ち合いを強化しよう、これもそれはないわけじゃない、それの目的もありますが、とりあえず株式を買って、それぞれが浮動株をうんと減らしてしまう。ですから、浮動株が減れば株はうんと上がるわけですが、それの名目は、外資の乗っ取り行為といいますが、外資の進出に対して対抗するというふうなことをいっております。
 しかし、要するに金が非常に余っているから法人買いがふえたというふうに見るのが一番すなおであろうと思いますが、私どもの関係で申しますと、同業者同士が非常に多く株を持ち合う、これは結局共同行為のもとになる。合併まで至らなくても非常に強い提携関係を結べば、やはりこれは独禁法に触れることになる公算も大きいわけでございます。これは注意しなければならぬ。私どもは、いつも定期に法人の株式の取得状況、これは届け出をさしておりますから、監視しております。縦の系列につきましてはもともとこれは自動車会社とか電機メーカーというものは、下請の段階においてもあり、また販売の系列においても株式の持ち合い、これがあるわけでございます。これそのものについては、他との競争関係が厳然と存在する限りは、それ自体は独禁法に触れないというふうな解釈でおりますが、しかし、場合によっては好ましくないとして注意をする場合もあると思います。
#126
○和田(耕)委員 だけれども、いまの大蔵省の審議官ですか、のお話によると、やはり系列化というメリットもあるということを第一の条件にあげておられるわけですね。いまおっしゃるような関連の会社の株の持ち合い、そして共同動作ができるようにするということは、ある程度までは、これは普通の経済行為として容認できると思うんですけれども、最近の場合は異常ですね。たとえば今度の円の切り上げの問題でも、非常にショッキングな事件です。それにもかかわらず、ちょっと乱高下はありましたけれども、依然として株は下がらない。ということは、本来、株式市場というのは、自由な株式の取引が行なわれて、一つの株式で表示される企業の力というものはここで評価されてくるというのが、株式市場の一番大きなメリットですね。これを阻害しているのは、つまり過剰流動性というものを背景にして、あり余る金、銀行に預金にいっても銀行はいい顔をしないというような金を、どこへでも使うのでなくて、一つの系列化あるいは縦、横の独占的な状態をつくりあげるためにこの過剰流動性が利用されておるという事実は、これは否定できないですね。これは公取委員長、どういう御認識ですか。
#127
○高橋(俊)政府委員 いろいろな形態が考えられますが、私どもが現在これを厳に監視しなければならないとしておりますことは、競争関係にある、その競争に影響を及ぼす、こういった種類の持ち合いはよくない。全然異なった同士、ただし、これは旧財閥の名前を冠したものがございますが、これは全然違った商売をしておる、それらが自分の陣営を固めるといいますか、時によっては、株は高いほうが一般に有利でございますが、建て株会社にとりましても高くなって困るという場合もなきにしもあらずですけれども、一般的には高くなると、おっしゃるように品薄的な相場になってくるわけです。そういうことが証券市場全体をおかしくしているということはわかりますが、全然違った商売をしているものが、それぞれ株式を持ち合っていわゆる安定化工作をするということだけでは、独禁法には触れない、こういうふうに解釈いたします。
#128
○和田(耕)委員 全然違った商売というふうなことを言われておりますけれども、きのう私は、日本の大商社といわれる、名前はあげませんが、二つくらいの会社に調査に参りました。その一つの大商社は、関連の企業はどれくらいあるかといえば、そうですね、ざっと百二、三十あります、ということです。それは、同じような系統の会社、商売をしているところもあれば、つまり親子でやっているところもあれば、あるいはその商社の関連した事業である製造、品物をつくらしておる、あるいは外国から輸入さしておるところもある。あるいはまた、外国で資源を開発するためのいろいろなところもある。違った商売とはいえるけれども内容的には非常に関連した仕事、そうであるから、その商社は百何十の関連商社を持っているわけです。そういうことですね。これがつまり大企業ではなく、中のほうにも、どんどん金を持ってくると独立したがるような空気も出てくる。これをチェックするために系列化を強くしていく、こういう面もなきにしもあらずなんです。ほっといたら一人立ちしていく。自分の言うことを聞かない。したがって、この際、大きな金を投じてその会社の株を取得する。そして自分の言うことを聞かせるようにする。これも、ある程度まではあたりまえの商行為の一つだともいえます。しかし、度を越すと、何ともならない独占的な一つの企業体ができ上がってくる。この度を越したところを私は問題にしているわけです。
 現在の異常な株価の値上がりというものは、経済の実際を離れて株価が上がっておるというこの事実は、具体的には私はよく知りません。それでお伺いしているんですけれども、全体の指標としてあらわれてくる株価の値上がりというものは、そうもうけてもいない、それくらい高くなる理由もないにもかかわらず株価が上がるというのは、つまり、先ほどから申し上げているとおり株の持ち合いだ、持ち合いが上下になる、離れていこうとすれば押えるための株式の投資になる、こういうことが一般的に行なわれておるのではないかという判断を私は持つわけです。このことは、いまあなたは、違った商売をやっているものが何ぼ持っても、というお話ですけれども、そういう単純なものじゃないと思います。もっとこの問題を、公取としてその実態を把握するために努力すべきだと私は思う。いかがですか。
#129
○高橋(俊)政府委員 いまおっしゃられたことは相当核心をついた問題でございまして、結局非常に大きな資本力を持っている場合、問題がおこるのはそういう場合に起こると私は思います。その例が一つは大商社であろうと思いますが、世界にも例のないこういう大資本――私は、資本金は非常に小さいと思いますね、二、三百億の資本金で年間五兆円の商いをしているんですから、まさに驚くべきことだと思いますが、使用総資本の額が大体半期の売り上げにひとしい。いま一番大きいほうは、二兆六千億か七千億になっていると思います。こういうものが、いろいろ複雑な使用資本のあり方がありますが、その中でたくさんの、百をこえる企業の株式を保有しておるということ、これは従来も、私どもは問題なしとはしておりません。しかしながら、あまり大型のものを持っているんじゃなくて、どっちかというと中以上の規模の業者の株を持っている例が多いのです。
 これは私どもも実は調べておるのです。そういう大商社が、どのように株式による支配をしておるのか、役員をどうやって送り込んでおるのかということを突っ込んで調べておるのですが、これはまだ明らかに持ち株会社にはなりませんし、株を通じての行き過ぎた企業の支配が独禁法に直接触れるというケースはなかなか見つかりにくいのです。
 しかし、いまのような株式市場――これからの企業の収益がにわかに伸びるとは思われないのですが、一たんは伸びても、ドルショックなどでまだ悪くなるかもしれない。そうすると、業績にかかわらず株式が高い。なぜかと申しますと、増資ができないから。増資をしないからいよいよ品薄である。そこへ流れ込む金が常に超過しておれば、株はなかなか下がらない。それを悪用して時価発行することもあるでしょう。いろいろおもしろくないことがある。株式があまりにも法人間にはめ込まれ過ぎているという状態は、株式市場そのものとしても好ましくないし、また、われわれ公取の立場からも好ましくない現象が必ず出てくるのじゃないかというふうに懸念しておりますので、要するに、日本経済をもう少しうまく運営して、株式も収益に合った株価水準に落ちついてくれば、こんなばかなことにはならないと思う。法人がめちゃくちゃに株を持ったら、その結果法人が大損することがあってもいたしかたないと思います。そういうことを期待しておるのですが、いまのところは、まだこの品薄状態がしばらく続くのではないか。しかし、過剰流動性を退治するのに相当強力な政策がとられましたならば、これは一ぺんに瓦解する性質のものでありまして、法人がいつまでも金不足のまま株式をかかえておると申しますか、そういう点は政策のいかんによるのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
#130
○和田(耕)委員 長官、いまの問題、どのようにお考えになりますか。
#131
○小坂国務大臣 いまの株式のことは、私も昔ちょっとそういうことをやっておったことがあるものですから、会社の名前とその実態というのは、見ると大体わかるような気がするのですが、絶対配当など将来にわたってできっこない会社の株が、たいへんに高いわけですね。私は役所でも言ったのですけれども、こんなに利息を生まない株がこんな値段なら、国債を発行したら何ぼでも消化できるのじゃないか、これはおかしいじゃないかという冗談も言ったのでありますが、いまの状態は、まさに公取委員長の言われるとおりだと思いまして、結局は、何といいますか、砂上の楼閣のような経済であるように思えてしかたがない。日本自体は小さくて、そんなに資源があるわけじゃありません。それを非常にあるような錯覚を持って、そして非常に高度成長を謳歌している。ところが、資源なんというものはそんなに急に金になるものではないので、すぐに外国でもって日本の過剰な需要というものがヒッチを起こしている。われわれとしては、この辺でもう少し考えを変えて、ほんとうに文字どおりの安定成長という施策をとらなければいかぬのじゃないかというふうに思うわけでございます。
 いままで高度成長はいけないとか安定成長がいいとか言いましたけれども、やってみる結果は同じで、ずっと二ケタの成長をやっているのでございまして、これはわれわれとしてはよほど考え直さなければならぬ時期に来ているのではないかと、率直に思っております。
 そうするには、いまの過剰流動性から来るいろいろな物価の騰貴があちらこちらに出ておる、もうこの辺で押え込みませんと、ほんとうに国民の生活上の不満が表面化してくるおそれがあると思います。何としても強い決意で過剰流動性を退治しなければならぬ。その結果いろいろな、かりそめの繁栄というものは瓦解することになると思います。しかし、それはしようがないというように思います。
#132
○和田(耕)委員 この問題は、経済企画庁も公取も大蔵省も、実態を調べておられるとは思いますけれども、もっとよくお調べいただいて、ひとつその結果についての御報告をいただければありがたいと思うのです。委員長、ぜひひとつこの点は、資料の提出方をお願いします。
 もう一つ、次の問題は、つまり過剰流動性を押えるための手が打たれればそのような問題は氷解していくというお話なんですけれども、いまやっておられる日本銀行の窓口による規制、あるいは準備率の引き上げ、最近また再引き上げをやるようですけれども、このような形だけで押えられると思いますか。企画庁長官、どういうふうに思いますか。
#133
○小坂国務大臣 いままで、あまり押えますと輸出ドライブがかかるという問題がございました。やはり国際収支の正常化との関連でいろいろさじかげんがあったと思いますが、もうフロートする段階になりますと、その点はあまり懸念しなくていいと思います。そこで、第二次の準備率の引き上げですが、これはある程度まで引き上げてその上でございますから、かなりきいてくるように思います。ただ、その効果のあらわれ方が急に来ませんものですから、やはり即効薬をもう一服盛るほうがいいのではないか、それはやはり預金準備率の引き上げではないかと思っております。いずれにいたしましても、そのほうは、私は大体そう思うだけで、やるのは日銀がやるわけでございますから、その辺を十分強く要望してまいりたいというように考えております。
#134
○和田(耕)委員 この問題は、第一回の円の切り上げのときから、すべての対策が後手後手になったと私は思いますけれども、この後手後手は、あながち政府を責めるわけにもいかないと思います。最初の経験であるから、どうなるかわからないという心配があって、いろいろな可能性を見ながらびくびくして、タイムリーな政策が出なかったという面があると思います。また、前の円の切り上げのとき――この次はまだやっていないのですけれども、そのときに私どもも、中小企業を中心として大いに金融を拡大して援助しろという主張もしてきた。そういうことも、過剰流動性というようなムードをつくり上げる一つの背景にもなったと思うのです。せっかく第一回の経験がありますから、今度の場合はよく問題を把握されて、間違いのないようにやってもらわなければいかぬと思っております。
 その一つの大きな問題として輸入の価格の問題を、前の佐藤総理は、輸入価格は必ず見合って引き下げるように措置をしますということで、大げさな調査をやりいろいろなことをやったのですけれども、結局のところは何も役に立っていないという結果があるわけです。一昨年、私はドイツへ参りまして、この問題を中心にドイツとフランスを調査したのですけれども、そのときに、ドイツでも同じようなことがあったようです。非常にむずかしい問題だと思います。しかし、むずかしいからといって、今回はどうなるかわからないのですけれども、やはり大幅な再切り上げがあった場合に、輸入価格の引き下げというものが何か目に見える形にあらわれてこないと、これは国民はなかなか承知をしないという問題があると思うのです。
 そこで、第二の質問に入りたいと思うのですけれども、せんだって本会議で自民党の渡辺君から、豪州で羊毛の値段が上がった、この値段をつり上げたのは豪州の商人ではなくて日本の商人だという御指摘がございました。これは私は非常に重大な発言だと思っております。
 日本には非常に大きな過剰流動性がある。しかも、いま日本の各ところどころの原料あるいは製品の買い付け量というものは、非常に大きなものになっている。これは単に豪州だけではなくて、他のところにもそういうふうなものが起こる可能性がずいぶんある。たとえばドルにしても、公式に登録したドル以外に、百億に達するようなドルがいろいろな形で持たれているといわれておる。そういうようなことを背景にしておりますので、政府は、輸入価格をできるだけ引き下げるようにいたします、しかし外国で上がってきたものは何ともできませんというようなことをよく言っておる。総理もそんなことを言っておることがありますけれども、それはたとえば、いまの小麦だとかあるいは木材もそうでしょう。品不足で、不作で、食料品が外国で上がってくるという例はたくさんあります。ただ、いまのように豪州の羊毛の例は、羊毛が不作だとかいうのではなくて、日本の商社が現地で買い上げてそれをつり上げて、これを日本に持ってきているというこのケースは、重大視していかなければならないと私は思います。
 その問題について、ひとつ通産省の、あれは何課ですか、当時の現地で羊毛をつり上げた状況について御報告をいただきたいと思います。
#135
○堺説明員 豪州の羊毛、原毛の状態をちょっと申し上げますと、実は数年前に羊が一億八千万頭ほどおりましたのが、最近は大幅に減っておりまして、一億五千万頭からことしの末には一億三千万頭に減るのではないかという話がございます。これは豪州でひどい干ばつがございまして、羊が大幅に死んでしまったというようなこともございますし、それから昨年、一昨年のわが国の不況、その他諸外国の不況もございまして、日本側を中心にする羊毛の買い付けが大幅に減りました。そのために豪州の牧羊業者が羊を殺してしまったというような事態もございます。したがいまして、現在私どもが、特に商社が、豪州ではシドニーとかニューカッスルとか、競売場から品物を購入するわけでございますけれども、本年度一月−六月に競売場から購入できる羊の原毛の数量は、大体前年の六割程度に減るのではないかという見通しがございます。このような事態なものですから、商社は昨年の七月−十二月、半年の間に大幅に、先を見越しまして購入したということが実態のようでございます。実は、豪州におけるわが国の羊毛の買い付け量は、大体豪州の産毛の四割程度でございましたけれども、昨年七−十二月期においては六割程度に上がっております。
 以上でございます。
#136
○和田(耕)委員 数字はわかりましたが、ちょっと要領を得ないのです。結局投機、現地で値段をつり上げたという事実はないとお思いになりますか、あるいはあるとお思いになりますか。
#137
○堺説明員 私ども、まだ正確にその辺の実態をつかんでおりませんけれども、そういううわさが一部に聞こえることは確かでございます。ただ、現地の情報その他を総合いたしますと、必ずしもわが国の商社だけが買っているということではございませんで、ソ連側が購入を始めたというようなうわさもございますし、やはり先行き高を見越しての購入ではないかというふうに感じております。
#138
○和田(耕)委員 先ほど申した、公式に登録したドル以外の商社の手持ち、あるいはその他で持っている額は、大体どれくらいですか。これは大蔵省の関係の方、いらっしゃいますか。
#139
○大谷説明員 私のほうに出てくる書類は有価証券報告書と申しまして、三月、九月期決算の数字の報告でございます。したがいまして、期中の動きというものは、私どものほうでは判明いたしません。
#140
○和田(耕)委員 経済企画庁長官もそれは御存じでしょう。
#141
○新田政府委員 御質問の趣旨は、外貨準備高として計上されている金額以外のドルがあるかという問題かと思いますが、これは正確な数字は通貨当局でないとわかりませんが、大体外貨の預託とかあるいは長期債の購入とかそういったもので、約四、五十億ぐらいそのほかにあるというふうに聞いておりますが、正確な数字は、ただいまここに持ち合わせておりません。
#142
○和田(耕)委員 この問題、私の調べておるところでは八十億から百億近いということを聞いておるのですけれども、これはまあいいでしょう。
 いずれにしても大臣、輸入価格の問題についてもっとひとつ厳重に目をみはっておかないと、外国で上がったのだからしょうがないというふうな形で、この円の切り上げという問題が物価の面で相殺をされるということになりますと、田中総理も相当胸を張ったような、円の切り上げというものはマイナスばかりではないのだ、大きなメリットもあるのだ、そのメリットは、価格を引き下げる、あるいはインフレを鎮静させるというようなメリットがあるのだと言っておられるけれども、これは言うだけのことになってしまう。これは二年ほど前の円の切り上げのときの実績があるわけだ。これは国内流通機構の問題その他の国内的な面もありますけれども、こういうふうに国際化してきて、日本の買い付けのウエートが非常に大きくなってきているという状態から見ると、この問題は決して架空の問題ではない。ぜひひとつ、この問題について調査をなさると同時に、外国の事情等についてもお調べを願いたい、このように考えます。
 第三の問題は、私、いままでここの質問を通じて、経済企画庁も公取も、自由な取引条件をつくるのだ、これが政府の物価に対する、商品の流通に対する基本的な政策だということをおっしゃってこられたのですけれども、最近の幾つかの重要商品、これはもうだいぶワクを拡大していくようですけれども、投機のような形にエスカレートしてきた状態からすると、自由な取引条件を整備するということだけでは、物価に対する基本政策にはならない。むしろ自由な取引ということで、実態は縦、横の独占的な状態が築かれてきている。あの株式もそういう一つの例だと思います。そういうときですから――こういう質問をすると、自由な取引条件をつくればいいのだと。学者諸君もそうです、物懇以後の物価安定政策会議の現在の状態でも、むずかしい問題になると、自由な取引条件をつくればいいのだとこうなるけれども、それでは問題のきめ手にならないような状態になってきている。むしろ正しい政府の介入、正しい政府の計画統制というふうな面を重視してこないと、いまの物価の問題は解決できない、こういうふうな新しい段階に入りつつあるように思うのですけれども、こういう問題についての長官の御見解を承りたい。
#143
○小坂国務大臣 私は、やはり基本的には自由な取引というものが根底にあるべきだろうと思いますけれども、その自由が、やはり公共の福祉を阻害するような野放図な形になっている面がございますから、それは規制をする必要があるのだというふうに思っておるわけであります。その規制の方法も、価格というものをきめてそれで押っつけるということは非常にむずかしものでございますので、取引の態様によって規制をするというのはどうであろうか、それは結局寡占という問題になってこようかと思うのでありますが、そういう自由な競争を阻害するような条件を排除して、真に公正な取引ができるような指導をしていくというのが必要ではなかろうかと思います。
 もう一つ、総需要の面から、先ほど来いろいろ御指摘がございました過剰流動性というものは、今度国内でも問題を起こしておりますし、外国に行って物を買いつける場合にも問題を起こしておるということでございますから、やはり根本の問題として、この問題には政府が介入して、総需要というものをある程度抑制していかなければならない、こういう段階ではないかというふうに思っておるわけでございます。
#144
○和田(耕)委員 もっと問題を聞きたいのですけれども、私自身の理由で時間がございませんので、この問題はあと二、三回続けて、具体的な問題の例を引きながら御質問いたしたいと思います。
#145
○山中委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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