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1972/04/26 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 物価問題等に関する特別委員会 第11号
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1972/04/26 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 物価問題等に関する特別委員会 第11号

#1
第071回国会 物価問題等に関する特別委員会 第11号
昭和四十八年四月二十六日(木曜日)
    午後零時三十二分開議
 出席委員
   委員長 山中 吾郎君
   理事 稲村 利幸君 理事 木部 佳昭君
   理事 小坂徳三郎君 理事 坂村 吉正君
   理事 竹内 黎一君 理事 井岡 大治君
   理事 松浦 利尚君 理事 小林 政子君
      上田 茂行君    内海 英男君
      大村 襄治君    粕谷  茂君
      近藤 鉄雄君    塩崎  潤君
      高橋 千寿君    羽生田 進君
      三塚  博君    山崎  拓君
      金子 みつ君    中村  茂君
      渡辺 三郎君    野間 友一君
      有島 重武君    石田幸四郎君
      和田 耕作君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  田中 角榮君
        法 務 大 臣 田中伊三次君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      小坂善太郎君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     高橋 俊英君
        公正取引委員会
        事務局長    吉田 文剛君
        経済企画政務次
        官       橋口  隆君
        経済企画庁調整
        局長      新田 庚一君
        経済企画庁国民
        生活局長    小島 英敏君
        大蔵省主税局長 高木 文雄君
        大蔵省銀行局長 吉田太郎一君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  石井  一君     塩崎  潤君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  上田 茂行君     内海 英男君
同日
 辞任         補欠選任
  内海 英男君     上田 茂行君
    ―――――――――――――
四月二十四日
 木材、建設資材の異常価格の引下げに関する請
 願(正木良明君紹介)(第三三五九号)
 同(松本忠助君紹介)(第三三六〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊
 急措置に関する法律案(内閣提出第八六号)
 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規
 制措置等に関する法律案(松浦利尚君外三名提
 出、衆法第一三号)
     ――――◇―――――
#2
○山中委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案及び松浦利尚君外三名提出の生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する規制措置等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
#3
○松浦(利)委員 きょうは、閣法と野党四党の法案のいよいよ大詰めに来ておりますので、総理の御出席をいただいた上、本委員会としての最後の詰めを行なっていきたいと思いますから、総理もぜひざっくばらんに、ひとつ御答弁をいただきたいと思うのであります。
 まず第一点は、田中総理は、よく物価を安定するということを言っておられます。歴代総理も常にそういったことを言っておられるのでありますが、かつて佐藤総理は、昭和四十六年の六十五国会で、佐藤総理個人としての物価安定ということばの上昇率は三・五%以内であるという御答弁を本院で行なっているわけでありますが、総理は、物価安定という、その物価安定は何%以内なら物価安定と理解しておられるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
#4
○田中内閣総理大臣 物価安定というのは指数であらわせるものではないと思うのです。これは国際的ないろいろな国との比較もございますし、ある一定の水準で安定をしていくという見通しが立てば、そのときに適当な数字がおのずから出てくるわけでございます。前総理が三・五%と言ったのは、これが望ましいものであるということは、三・五%というのは郵便貯金の金利より低いわけでございますし、世界各国から比べてみても低いわけでございますから、これは間違いなく安定物価、物価の安定の数字に合致するものだと思います。
 いま、何%ならいいのか、四%ならいいのか、五%ならいいのかというと、政府は今度ことしの物価の見通し五・五%、こう言っておるわけでありますから、五・五%以内におさまれば、これは安定的な物価の指数である、こういえると思います。しかし、理想的な個人的な見解とか、いろいろなことを長期的に見れば、四%台ということは、これは公式な数字になっておるわけです。これは経済社会基本計画の中で、昭和五十二年までの物価の平均水準を四%台に押えたい、こういうことをいっておるわけでありますから、そういう意味ではことしは五・五%、それから願わしい数字は四%台、こういうことで、しいて御質問に答えてということになれば、そう答える以外にないと思います。
#5
○松浦(利)委員 実は、かつて政府がずっと出してきた物価指数を調べてみたのです。昭和三十九年から四十三年にかけて中期経済計画では、平均二・五%というふうになっております。昭和四十六年度の経済社会発展計画では三%、昭和五十年までの新経済社会発展計画では三・八%、そうしてだんだんと水準が上がってまいりまして、今度の経済社会発展計画では五十二年までに、いま言われたように消費者物価は四・九、大体四%台、こういうふうに、ずるずると物価安定という上昇率が変化をしてきておるわけであります。
 そこで、私が非常に心配いたしますのは、今度の消費者物価の四十七年度から四十八年度にかけての繰り越しのげたが、いまの調子でいくと四%をこえるだろうというのが、大体統計学者なり何なりが言っておることなんです。そういたしますと、昭和四十八年度の目標は五・五%ですから、四%以上ですけれども、かりに四%と押えた場合に、一・五%しか目標値がないわけですね。そのうち国鉄の運賃値上げの率が、政府案どおり通ると大体〇・三四%の寄与率だということになりますと、四十八年度の政府が行なう施策というのは一%に押えなければならない、アローアンスは一%しかないという、たいへんむずかしい状態が私は出てくると思うのです。
 そこで、総理にずばりお伺いをしておきたいのは、一体政府の政策目標である五・五%を、アローアンスが一%しかないということを踏まえて、ほんとうに国民に向かって、四十八年度以降年度末に、いや、このとおりだと言える自信があるのかないのか。途中で変更するのじゃないか、こういう気がしてならないのですが、総理のほうか明快にお答えしていただきたいと思います。
#6
○田中内閣総理大臣 五・五%に押えたい。げたが四%台であるということはそのとおりでございますが、まだ、四十八年度の予算が執行が始まろという段階でございまして、また、物価情勢等も勘案をしながら強力な金融政策その他も行なっておるわけでございます。そういう意味で、年度間を通じて五・五%の目標数値に押えるように格段の努力を続ける。いまから、これはもうとても見込みがないのだというような及び腰では、物価政策をやる者の態度じゃありません。どんな困難があっても物価というものは国民のために押えるのだ、そういう責任にあるわけでありますから、そういう意味で――これは私たちだけが幾らそんなことを言っても、皆さんからも御協力を得なければならないわけです。国民的理解と支持を得ながら当初の目標達成に最善の努力を傾けるということで、ひとつ御了承いただきたい。
#7
○松浦(利)委員 総理、率直に、むずかしいということだけおわかりになりますでしょう。総理として、むずかしいことだ、しかしその線に押えるのだということなのか、やはりむずかしいということは理解しておられるのですか、非常にむずかしいということは。
#8
○田中内閣総理大臣 五・五%はすこぶる問題がむずかしいと言ってしまえば、物価を押し上げる発言になってしまうのです。総理大臣が五・五%に押えるのはむずかしいと言っておれば、もう六%に上がるなということになるので、そんなことは責任の地位にある私が言えるわけはありません。そんなことは言えません。ですから、たいへん困難な仕事でありましても不退転の決意をもってやっていきたい、所期の目的を達成したい、そういうことであります。
#9
○松浦(利)委員 歴代の総理が不退転の決意でやって、数字合わせではないのですが、絶対にそのワクに入ったためしがないのです。そのことを私、正直にいま質問をしているわけなんです。私は、非常にむずかしいということだけ総理に申し上げておきたいのです。
 そこで、この前、四月十三日に物価閣僚会議を開きまして、そして七項目の物価対策を発表しておられるのですが、その点についてちょっと明確にしておきたいのでありますが、総理も施政方針演説の中で、過剰流動性を押えなければならぬ、こう言っておられるのです。ところが、一体過剰流動性が幾らあるのかということについては、明快な把握がお互いにできておらぬと思うのです。施政方針演説で、過剰流動性を押えなければならぬという御発言をしておられるのですから、総理としては、一体いま過剰流動性というのはどれくらいの量があるんだというふうに理解しておられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
#10
○田中内閣総理大臣 過剰流動性というものが存在するということは、これは事実でございましたが、これは見方によって捕捉は非常にむずかしいわけであります。ただ、常識的に、過剰流動性の原因をなしたものは何か、こう言うと、外為特会から円として市中に放出され、しかも企業の手元に資金が潤沢になったことは事実でございます。四十六年の下期から四十七年一ぱいには、百億ドル以上も外貨が積み増しをされたわけでございますから、そういう意味でも、これに対する裏づけになった円が企業のもとに入った。これが、金融の緩慢基調のときでありますので、金融機関には返済されなかった、また金融機関からは日銀にも返済されなかったということで、これが手元流動性を増大したものである。これは常識的に考えてもそういわざるを得ません。一年間に八百億しかなかったところの土地の売買に対する税金が、一〇%に押えたら三千億になったわけでございますから、少なくとも土地を売った人に三兆円の金が入ったということは、小学生でもわかるわけであります。そういうために、三兆円というその資金が民間にあったということも事実でございます。
 それから、円平価の調整ということで、中小企業や零細企業に対する救済融資も行なっております。そのためには、当初お互いが非常に苦慮したものは杞憂に終わったような感じがいたします。これは倒産も少なかったし、景気の浮揚も非常に早かった、そういうようないろいろな角度から考えてみますと、これは公定歩合も史上最低まで引き下げられたというような事情もありましたから、これらをあわせて見て、一部には、流通貨幣が多いからインフレが高進しているんだとさえ御指摘を受けたような状態でございまして、そういう意味で流動性というものが――過剰流動性という定義は非常にむずかしいものでございますし、一定の定義はないわけでございますが、常識的にいって過剰流動性というものが存在したということは事実でございます。
 これが、その手持ちの品物が放出できるような状態が見れれば、過剰流動性はなくなったということになるわけであります。ですから、いまちょうど決算期でございまして、五月には、法人税四兆何千億の約半分以上のものが納められるわけであります。しかも、この一−三月は非常に大幅な揚げ超期でございます。そこへもってきて公定歩合の引き上げが行なわれた、そういうことを考えてみますと、中小企業に対する二千億の融資その他を全部差し引いてみましても、窓口規制やいろんなことをやると相当な引き締めが行なわれておるということであって、ぽつぽつ、手金は打ったが残額の支払いはできないというような状態もございますし、このままではともかく税金が納められないということも企業で出てきておるわけでございますので、過剰流動性は相当収縮した、こう見るのが常識だと思います。
#11
○松浦(利)委員 それでは、実際に預金準備率を引き上げたり、あるいは窓口規制をやったり、公定歩合を引き上げたりしてきたわけでありますが実際には、われわれが把握しておる範囲内では、過剰流動性というのは大体五兆から六兆くらい出ておるんじゃないか、しかもこれが投機に使われておりますから、これが回転が一年間に一ぺん回転しておれば、これは五兆円でありますけれども、逆にこれが二回回転をいたしますと十兆という過剰流動性があばれたということになるわけですね。だとすると、実際に過剰流動性を、そういった形で幾ら規制し、幾ら吸収することができたというふうに総理として判断しておられるのか、その点をひとつお聞かせいただきたい。
#12
○田中内閣総理大臣 過剰流動性というものの定義そのものがむずかしいのだということを申し上げたわけでございまして、実際に希いて、私がいま指摘しましたように、百億ドルの裏づけになるものを簡単に考えても三兆六千億、これはまあ当時の金で、四十七年度一ぱい見ますと四兆六、七千億の散超になったわけですから、そういう問題とか、土地が日本人同士の間で動きながら結局三千億の税が一〇%で納められておるわけでありますから、四十七年度で三兆円の土地の売り代金が入ったことは事実なんです。それで金融緩和ということで、とにかくこれは、平価調整の国内措置でありますからやむを得なかったわけでございます。そのかわりに、四十六年度六%ないし七%の実質成長率が、昨年の下期になればもう一〇%をはるかにこえる、年率にしても一〇%、こういうことになっておるわけですから、相当な資金が動いておったということは事実なんです。
 それで、貯蓄性向も変わっておらぬし、依然として預貯金もふえているじゃないかというけれども、過去の指数では見れないと思うのです。これは国民全体として持っておる金を合わせると、なかなかのものなんです、現実問題として。ですから、そういうものをこまかく計算はできないのですよ。こまかく計算はできませんが、こまかく計算できないものを何十%吸い上げたかということは、なおわからぬわけです。しかし、金融が詰まってきた、投機も行なえなくなってきた、株式などはとにかく急速に千円も下げておるわけであります。だから、そういう事態というものは、これはもう詰まってきておるということは事実だと思うのです。
 ですから、私は、過剰流動性というものは相当部分が吸収されつつある、だから、これからあげれるようなことはそう心配しないでいいんじゃないか。ただ、土地の代金三兆円というものは、これはどう使われておるのか、いま調べておるのです。これは大蔵省にしても、銀行別に一体どれくらい預金になったのか、どれくらいどうなっておるのかということを、こまかく追跡調査もやっておりますが、さだかに報告できるような状態にはありません。ありませんが、相対的に金融が詰まっておるということは事実であります。
#13
○松浦(利)委員 それで、総理は決断と実行をキャッチフレーズにしておられるのですが、いま総理が御指摘になりましたように、やっぱり七項目が少しおくれたんじゃないか。あまりに固定為替相場にこだわり過ぎて、そして外貨の流入を多くしたり、あるいは昨年公定歩合を引き下げることによって景気拡大政策をとる、そうすると実質的には逆の目が出まして、そういったことが過剰流動性を呼んで、実は国民経済に重大な影響を与えたというふうに私たちは理解をしておるわけです。
 そこで、総理にこの際、お尋ねしておきたいのですが、西ドイツの過剰流動性の吸収対策としては、もう総理御承知のように、直ちに迅速に法人税の引き上げとか、あるいは安定公債の発行、凍結といったようなことを行なって、過剰流動性の吸収というものを実は行なったわけですね。わが国もそれに見習って、さらに法人税の引き上げというようなものを年内に実施をする、四〇%の法人税引き上げを年内にやってしまう、そうすることによって、これから幾らあるかわからないとはいいながらも、そのことによって過剰流動性の吸収というのはさらに可能だと私は思うのです。そういった点について、総理の見解を簡単にひとつお伺いしたいと思うのです。
#14
○田中内閣総理大臣 西ドイツと日本は違うのです。西ドイツは御承知のユーロダラーの中心でございまして、なかなか為替管理がやれるような状態にないのです。日本はもう為替管理が完全、完ぺき過ぎて、どうも弾力性がないといわれておるようなことでございまして、弾力化に対して特別法をお願いしなければならぬじゃないかとさえ考えておるわけでございますから、それはもう全く状態が違うということが一つございます。
 それから、西ドイツのように、日本はまだ年率七%、八%というふうで、どうにもならないような状態ではないのです。これは一種のスタグフレーションというような状態にまでなっておるような状態でございまして、日本はそれをやる前に金融措置もできますし、一般会計、特別会計、政府関係機関、公社、公団、それから地方財政の純計が三十七兆五千億くらいあると思います。三十七兆五千億の中の二カ月分繰り延べれば七兆円繰り延べられるわけでございますから、それは機動性はあるのです。これはもう御承知のとおりでございまして、機動性は十分、日本の財政の仕組みの中では、西ドイツとは全く違う機動性があるのであって、ただ慎重にやっているのは、平価調整をやって一年二、三カ月である、またとにかく、変動為替相場制によって三百六十円が二百六十円に、三分の一近く縮まっているときに、やはり中小企業や零細企業という特殊な状態を持つものを――そこへもってきて春闘があり、週休二日制がある。労働条件をみんな押えるようなそういうことを先にやるべきじゃないのですよ。やはりちゃんと春闘のほうも労使間で話し合いをつけ、上げるものは上げ、それからいままでは公害防除施設やああいうものはやらなかったけれども、公害もあるから、さあこれからこういうようにしましょうという状態のときに、ばんと法人税をぶっかけてしまうというようなことは非常に危険であって、これは、やはりかすに時をもってしなければならない。これは四十九年度の税制改正までひとつ時をかしていただきたい。
#15
○松浦(利)委員 それじゃ、時間がありませんので、総理、ひとつたいへん恐縮ですが簡単にお答えいただきたいと思います。
 あとは一問一答でけっこうですが、実は私たちは、法人税の引き上げは来年四〇%だと聞いておったのです。ところが、どうも最近になると、三七%台に落ちてきたという新聞報道を聞いておるわけであります。そういった点で、来年度法人税を上げようとする政府の方針は何%なのか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
#16
○田中内閣総理大臣 私がいま申し上げられる問題は、来年の四月三十日でもって期限が切れる一・七五%の暫定税率がございます。一・七五の暫定税率は基本税率に繰り入れるということは、私は申し上げていいと思います。これは政府がそういう腹をきめていまできることでございますから、これはまあいいと思います。
 暫定税率を恒久税率にするということでございますが、その他の問題は、これは税調の御意見を聞かなければならぬわけでございますし、野党の皆さんの御意見も十分しんしゃくしなければならぬので、これはいま、三八%とか九%とか四〇%とかいうようなことは申すべき段階ではないと御理解願いたい。
#17
○松浦(利)委員 さらに、七項目についてお尋ねをするのですが、その中で、昭和四十八年度の予算の運営について調整、弾力的なものを持たす、こういうことです。これは、ことばを正直に判断いたしますと、四十八年度一般会計予算、財投その他を調整をして支出をしていく、執行していくということだと思うのです。だとすると、明らかにこれは四十八年度から四十九年度に繰り越すという分もあるのではないかと思うのですね、調整ですから。そういった面を含めると、国会で通った予算を、いま直ちに七項目の中で弾力的に運営するというようなことを言うのは、どうも国会の議論を通じてみても問題があるのじゃないかという気がするのですが、その点について、総理の御見解を簡単にひとつ承っておきたいと思います。
#18
○田中内閣総理大臣 予算の執行に関しましては、
 一般会計だけではなく、継続費の制度もございますし、後年度に繰り越すというものもございます。
 これはいい例ではございませんが、この間、参議院で財投の内訳をつまびらかにいたしましたときに、六〇%近くも繰り越しておるのがあるじゃないか、どういうことなんだ、こういう御質問がございましたが、事実そういう事態もございます。ただ、新年度になって、予算執行の過程において弾力的運用がいかぬということではないと思うのです。これは種目別に分けてやっておるわけでございまして、何も四十八年度の予算を九年度に繰り越すということをあらかじめ考えておるわけでは全然ございません。そうではなく、これは四月−六月の第一・四半期に対して、セメントの不足だといわれておる中国地方で新しく仕事を始めることはないだろう、セメントの見通しがつく七月の初めまで契約をしておるものも着工を延ばせばいいじゃないか、こういう弾力的な考え方でございまして、年度間に消化をするという考え方は全く変わっておらないわけでございます。
#19
○松浦(利)委員 もう時間がありませんから、おまりそのことで議論できませんけれども、量が非常に大きいから、それを年度内に幾ら調整してみても、やはり私は大きな影響を与えるのじゃないか。特に冒頭申し上げましたように、五・五%のアローアンスが一%しかないという状態の中で、大型の一般会計なり財投の運営というものはたいへん大きな影響を与えてくるのではないかということだけ申し上げておきたいと思うのです。
 それから、七項目に限定して申し上げるのですが、実は毎国会議論されることでございますけれども、一つは、いまの独禁法でどうにもならない管理価格というものが、実は価格の中に非常に大きなウエートを占めておるのです。総理はいつも現在の独禁法の中で寡占価格的なものを取り締まれるのだ、こういうことを言っておられますけれども、実質的に公取としてはそういうことは手が出ないという状況だと思う。そこで、寡占価格旧制法といったような法律を物価対策としておつくりになるお気持ちが現在あるのかどうか、この点が一つです。
 それからもう一つは、いま多岐にわたっておる経済活動の中で、カルテル行為というのが、独禁政策の裏側で非常にたくさん行なわれておるわけであります。ところが、私は公正取引委員会の言を持つつもりはありませんが、それほど物価対策で重要な公取でありながら、人員の配置を見ましと、昨年度からことしにかけてふえたのはたった九名なんですね。たいへんなやみカルテルというものが横行しておる、それが物価を引き上げておる、そういった意味で、この寡占価格規制法というものをつくる御意思があるのかないのか。四十九年度に向かってほんとうに物価を安定させる意味で、公取の人員配置、そういったものについて抜本的にメスを入れて国民の期待に沿えるような公取機能を持たす努力をなさる御意思があるかどうかですね、この点をお尋ねし、もう時間がありませんから、最後にもう一つ、実はいま商品投機関係の法律を私たちは議論しております。ところが、御承知のように、商社の代表もここへ来て、参考人として私見を述べたのですが、いままでは水ぎわから水ぎわまでの商社活動であったものが、逆に内陸に上陸してまいりまして、流通機構まで支配をする、末端まで支配をする、そしてまた、外国で天然資源の買いあさりをやってあらゆる海外諸国でひんしゅくを買っておる、そういった意味で、この際商社活動というのは――いま商社の中でも、何か商社活動の基準法というか、商社活動の基準的なものを商社内部でつくっておるのですけれども、もはやこの際、商社というものはこういうものだ、商社活動というものはこういうものだという意味での、商社法というのですか、これは仮称でありますが、そういう商社活動についての一定の規律を求めるという商社法というものの制定、特に資源を――いままで重化学工業中心の政策でしたから、政府が当然手当てすべき衣食住について、天然資源についてはほとんど商社にまかせておったわけですね。その商社を規制するものがなかったために、商社がメリットのある相場的な方向に走るのは私は当然だと思うのです。そういった意味で、こういう商社に対しての規律を求めた商社法についての制定のお考えがないかどうか、この三点について最後に伺っておきたいと思います。
#20
○田中内閣総理大臣 寡占価格というものに対しては、たいへん重要だと考えておるわけでございまして、政府もこれが実態把握というものにつとめておるわけでございます。管理価格というものに対しては定義があまりないわけでございます。特に、いわゆる管理価格というものを戦後調べてみると、これはいろいろ問題にはされておりますけども、管理価格といわれるようなものは比較的値上がり幅は少ないのであります。これはビールにしろ何にしろずっとございます。しかし、これが第二の問題のいわゆるやみカルテルというような問題にだんだんとつながってくると、これはなかなか大きな影響がある。公取がどうかしなければならぬという問題が当然出てくるわけでありますが、公取に人が集められない。構成の不備ではないと思うのです。とにかく公取に人材を集められないということは事実でございます。なかなか公取に行き手がない。公取に対しては特別職にしたらどうかというようないろいろな問題もあるように、特別職にするからどうこうというわけじゃないのですけれども、いろいろ待遇を改善したり身分の保障をしなければならないということだと思うのです。この間も私も、深刻な問題でありますから、国税庁からあがる人たちに公取に少し行ってもらえないかということを真剣に発言をしなさいというようなことも言っておるわけでございます。公取の活動範囲というものは、これから非常に多様化し業態が複雑化してくる経済界の中に入って所期の目的を達成するためには、いままでどおりの考え方ではだめだということで、新しい視野と角度から公取の拡充ということは考えていくべきだと思います。
 それから、商社法でございますが、商社法というのは自民党でも議論したのでありますが、これはどうもよくないという感じでございます。銀行法とかそのほかのものもありますが、やはりこれと商社とは別でございまして、これは商法とかそういう基本法があるわけでございますので、行政的に十分誘導してまいるということが正しいことだと思います。それで、開発輸入までしなければならぬというのは、これは時代の趨勢でありますし国際的な方向でありまして、マイナス面だけを押えていかなければならぬわけでありますから、私は、これは政府の行政指導で十分できると思います。それから、業者が現地で買いだめをしておって入れてこなければ物価は上げられるじゃないかという議論がありますが、木材なんかもそうだと思いますが、そういう場合は政府が備蓄公団をつくって入れるということも一つの手でありましょうが、そうではなくて、政府の事業団やその他に、年間を通じて幾ばくかのものを予約をしておいて、それを絶えず備蓄的な形で放出ができるという制度をとれば、公団をつくらなくてもできるわけでございますし、そういう問題をいろいろいま考えております。考えておりますが、商社法というのは、どうもいま商社がいろいろ問題になっておるので商社法をつくったらいいんじゃないかということは、官僚統制を助長することでございまして、望ましいものではない。これは、そういうことでおしかりを受ければ大臣が商社を呼んで十分調整いたしますし、また、ときどきここへお呼びになって実情をお調べになれば、商社法をつくるより何倍も実効をあげることができるわけでございます。そういう意味でも、米の取り扱いは辞退いたします、こういうことになっておるわけですから、そういう意味で百貨店法もやめて届け出にしよう、こういうときに、商社法をつくることを考えるよりももっと効率的なことをひとつお考えいただきたい、こう思います。
#21
○松浦(利)委員 もう時間がありませんから最後に申し上げておきたいと思うのですが、実は、本委員会で参考人を呼んだりして、確かに木材、羊毛、綿糸その他鎮静してまいりました。ところが、今度はほかに投機が走っておる。たとえばパルプとかあるいは紙とかこういったものがどんどん値上がりして、いま不足ぎみなんであります。ですから、投機というのは、一ぺん表に出たものは鎮静するけれども、また次に移るのですね。そしてそれが鎮静すると次に移って、またもとに戻る。それが常に商社というものの輸入――資源がありませんから、輸入というものを前提として行なわれてくるわけでありますから、いま大臣が言われたように、政府自身が備蓄するということ、商社と予約をするということ、このことは必要なことだと私は思います。さらに同時に、商社に対して何らかのモラル的な規制を加えていくという意味のことは将来しておかなければたいへんなことになるということだけ、これは意見として申し上げまして、時間が来ましたから終わらせていただきます。
#22
○山中委員長 次に、小林政子君。
#23
○小林(政)委員 最近の異常なまでの諸物価の上昇に対しましては、国民生活はもう耐えられないというところにまで多くの方々の不満の声が強まってきております。しかも今回の価格上昇は、すべての生活関連物資にわたって特徴的なことが一つあると思います。それは何かといえば、いわゆる在庫量あるいはまた輸入量、そういうものが例年に比べて特別にそう大きな変化はない。また需給関係についても特別の変化はない。価格についても、国際価格は若干上がりましても国内で三倍、四倍にはね上がるというようなことは説明ができない。こういう事態の中で、生活関連物資について異常な価格の上昇が起こったわけでございます。一体、このような状況を、総理は具体的にどう受けとめていられるのか、そのお考えをまずお伺いをいたしたいと思います。
#24
○田中内閣総理大臣 これは率直に申し上げると、海外がインフレ的な傾向にあるということで、日本も例外でないのではないかという一般的な考え方がまず前提にある。それでまあデノミネーション議論なども出たわけでありまして、いずれにしても換物運動ということが起こりやすい前提条件があったということは一つございます。
 それで第二の問題は、一つには過剰流動性といわれておりますように、第一回目の平価調整、引き続いて短時日の間に変動相場制に移らなければならない。特に日本は為替管理は非常にしっかりしておりますが、中小企業それから零細企業という特殊な状態がございます。その対策としてはどうしても金融緩和をせざるを得ない。まず病人を出さないようにしなきゃならないというところにウエートを置いたわけであります。もう一つは、国際収支対策として輸出を内需に向けなければならないというために、四十六年度あれだけ下がった経済成長をとにかく内需を拡大するという緊急な課題があったわけでありまして、そういう意味で金融緩和政策をとった。そういうことで企業だけでなく国民全体の手持ち資金は、ある意味で常識的なものさしからいうと過剰ぎみであったことは事実でございます。
 これは、そういう意味でそれが換物運動に動いたということでございまして、その後相当きびしい金融政策等々続けてきておりますので、まあ山は越したという感じでございます。一−三月は大幅な揚げ超でございますし、また五月には法人税の納期でございますし、輸入は非常に大きく拡大しておりますし、そういう意味から考えまして、私は、これからは政策的効果というものは相当あがっていくという考え方でございます。
 ただ、一つ残っておるのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、土地の売買だけでも一年間に三兆円も手元資金に渡ったわけであります。二年間にすればきっと五兆円も六兆円も動いたと思うのです。そういう面を一体どうして吸い上げるのかということで、郵便貯金の金利を引き上げたりし、いままたいろんなことが出ておりますが、中期的な定期預金を認めようとかいろんないわゆる吸い上げるものも考えなければ、なかなか金融を引き締めるだけでは――一般国民は、家にはならない、自動車にはならないが、幾ばくかの金はある。それを集めればそれが六十兆になるというような面にまでメスを入れてみないと、短時日の間にすべてのものを把握することはなかなかできないわけでございまして、しかし、相当引き締めの状態に入っておるということは事実でございます。
#25
○小林(政)委員 根本原因は全く国の財政金融政策にあったということを、まさに総理自身の口からいまお伺いをいたしたわけでございます。また、いわゆる大型予算あるいはまた公債の発行など、まさにここにこそインフレを一そう促進させていく政府の基本姿勢があった。しかし、当面の問題としては、先ほど私がお伺いした問題の一つの主要な大きな原因は、このようにだれが考えても需給関係に特別の変化がないものが急上昇したということは、膨大な資金を持ちあるいは在庫や、価格の操作を行なう力を持っている商社がこれを動かし行なったんだということは、これはもはやだれの目にも相当明らかになってきております。この点にこそ根本的なメスを加えなければほんとに物価を押えることはできないのではないか。そのための取り締まり規制――単なる行政の補完措置などということではなくてもっときびしい、いわゆる買占め、売惜しみに対してはこれを規制していくというような姿勢こそ総理が強く持たれることが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
 特に、生活関連物資と同時に、最近土地の暴騰も目に余るものがあります。これを放置している政府の責任もまた重大だと私は思います。特に田中総理自身にやはり大きい責任があるというふうに私は考えますけれども、あなたが日本列島改造論の構想を発表してから地価は一そう急騰しています。そして、この政治責任について、総理自身どのようにお考えになっていらっしゃるのか、率直に私は御意見を伺いたいと思います。
#26
○田中内閣総理大臣 日本列島改造論がどの程度物価上昇に影響があったのか、どの程度なかったのかという証拠がありませんから、私はあなたの御意見を聞いておくだけでありまして、反論できないのです。反論できないのですが、常識的な議論として経済理論として言えることは、日本列島改造ということを表に出したために、少なくとも需給の関係から出てくる大都市における地価というものは幾らかセーブされたということは言えると思うのです。そうでなければ無制限に集まってくるということを前提にすれば、都市の周辺における土地は幾らでも上がるということで、もっと投機が行なわれたと思います。そうではなく、今度田中は少なくとも日本列島全部を使おうということであるから、その意味では都市の周辺を買っておってもそう上がらなかったかもしらぬという、これはもう経済人ならだれでも考えることであります。しかし、その意味で北海道でも買っておけば、これは幾らかいままでよりも率がいいと考えたかもしれません。これはまた経済人が当然考える帰結でございます。ですから私は、「日本列島改造論」というものが発売されたころ、地価上昇の数字がちょうどあったかもしれませんが、私自身が日本列島改造によって地価をあおったものだという議論はいささか首肯できない、こういうことでございます。
#27
○小林(政)委員 列島改造論と地価の急騰というものは、私、具体的に何件か調べてみましたけれども、関係が深い関係にあるという事実が明らかになっております。たとえば一つには、新幹線や高速道路または地域開発というようなものが、その計画が出されますと、その周辺の地価が相当やはり目に見えるほどの急騰をいたしているわけでございます。総理は、このような状態を放置しておいたままでよいというふうにお考えになっていらっしゃるのか。このような問題について計画が発表される以前に情報をいち早くキャッチして、その地域を資金を持っている者が買い占めていくというようなこういう行動に対しては、これは至るところに起こっておりますけれども、規制をすべきではないだろうか、このように考えておりますが、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
#28
○田中内閣総理大臣 規制をしております。二つの面から規制をしておるわけです。一つは、土地を買い入れるようなものに金を貸せないということで窓口規制を行なっております。ですから、土地は、持っているものは吐き出さなければならない状態になりつつある。これは事実でございます。もう一つは、この国会で法律を御審議いただいておるわけでございます。国土総合開発法というのでございます。これを今度やると、値上がりをすると思って買っておったところでも、知事が特定地域に指定をしますと移動を禁止されますし、売買もできなくなるし、開発も規制をされるわけでございます。そのときに、ただ規制をしっ放しということになると、個人の財産権に対する憲法上の侵害になるおそれがございますので、公共団体に対する買い取り請求権を認めておるわけでございまして、法律としては完ぺきでございます。
#29
○小林(政)委員 上越新幹線の上毛高原駅が発表になった昭和四十六年の十月以前に土地が相当あの近辺で買われているという事実が、私の調査によっても明らかになっております。その土地は上毛高原駅からわずか一・五キロメートル以内の山林、原野、ここが具体的に昭和四十三年から四十四年にかけて、群馬県利根郡のいわゆる月夜野町の字石倉地区という地域が相当土地を買われているわけでございます。しかも、買い主は株式会社のいわゆる上牧荘という旅館といいますか、旅館だけではなく、そのほかのこともやっておりますけれども、旅館であります。現在上牧荘の取締役は、いわゆる室町産業の代表取締役の入内島さんという方がこの代表取締役をやり、あるいはまたその奥さん、そしてむすこさんがやられているわけでございますけれども、田中総理とは、新聞をいつでしたか見ましたときに、たいへん古くからのお知り合いで、親しい間柄だということがいわれております。
 また、田中総理は、昭和三十六年に鉄道建設審議会の委員をやられておりましたし、その後も自民党の幹事長としての要職にあって、いわゆる上越新幹線を含めた全国のいわゆる新幹線網あるいは新全国総合開発計画などの具体的な日本列島改造を進めていく、こういう計画、構想、こういうものに非常に密接にタッチをされていたわけでございます。私はこういうことを考えますときに、当時村の人たちは、あんな山の中、しかもほとんどお客もないようなそういうところに広大なビルが建つ、こういうようなことはおかしいんじゃ左いかということを、当時村の人たちが言っているのを私は聞いておりますけれども、また総理自身が、そういう事前にここに新幹線をというような情報をいち早く知る立場におられたわけでございますし、このことは荒舩衆議院元副議長が、暴言問題として国会でも問題になりましたけれども、昨年の、四十七年一月八日、荒舩さんが御自分の後援会の、何かそういう荒舩会の旅行会のときに、車の中で、上越新幹線をつくる問題については、新潟県では通産大臣をやっている田中角榮氏、群馬県では外務大臣の福田赳夫氏、埼玉県では荒舩清十郎だということを、この三人がどこにとめるのかというような、そういうふうにどう通していくのかというようなことも特別委員会できめたわけでございまして、ということをバスの中で話をしたということは、これはもう有名な事実でございます。しかも、田中さんが、あなたもかつて上牧荘のいわゆる取締役をされておられたわけです。登記では、昭和三十五年の七月二十四日から三十七年の七月十八日まで二期も当時取締役をされていた会社でございますし、こういう点からも、非常に深い関係のある企業の問題ということで、一体総理がほんとうにあのような山の中を、しかも当時村の人たちがあんなところにビルを建てて何になるのだろうか、こういっていたようなそういうところに、たまたま新幹線計画が発表された時点の中で、そのすぐ近くに駅ができるというようなことはいろいろと――しかもその近辺の土地が、山林、原野が相当買われているというような事実については、私はやはり田中総理の当時の――いままでの実情からいって、この問題について責任をお感じにならないかどうか。この点について一国の大総理が、みずからの政治的地位を、その当時は総理ではなかったにしても、その地位を利用されてこのようなことがやられたんじゃないか、こういう問題等につきまして、私は非常に大きな疑問を持たざるを得ないのでございます。そうして日本列島改造論の、この問題を契機にいたしまして、そのほかまだまだ私どもは、時間がないので申し上げられませんけれども、具体的な事実を明らかにいたしております。
 一国の総理大臣が、この点についてほんとうに政治姿勢を改めると同時に、そのようなことをやっていたのでは、いまの不当な商社のこの買い占め、本気になってこれを取り締まり、やめさせていく、こういうことができるだろうかどうだろうか、明確な答弁を要求いたします。
#30
○田中内閣総理大臣 非常に不愉快な発言をお聞きしました。しかし、これは公的なものでございますから、その事実を調べて、責任を負っていただきたい。私は、入内島金一君とは、四十年来の親友であります。これはもう刎頸の友であります。この世の中にある三人の一人であるというぐらいに刎頸の友である。しかも、上牧荘というものに、私が当時二十四年間も実質的に経営をしてまいりました交通会社が経営をしておったことは事実でございます。入内島君にこれを継承して、今日、入内島君がこの上牧荘の経営者であることも事実であります。しかし、上毛高原駅などの近くに土地を買収している事実は、全く私は知っておりません。知っておらないばかりではなく、そんな事実はないはずであります。(発言する者あり)これは、あなたはこの席上で、あなたも新潟県の人であり、私は、同県人でありながら、党が違えばこんな無責任な発言をされるのかと思って、ほんとうに不愉快なんです。だから、事実をお示しください。この問題は、ひとつ委員長、十分お調べの上、国会議員の発言として明確にされたい。
#31
○小林(政)委員 上牧荘のいわゆる近辺に相当の――何も田中総理の個人名の土地を買ったというのではなくして、すでにあの山の中にビルが建つなどということがおかしいと言われるほど、そしてあの近辺の土地が、山林、原野が買われているということ、こういうことは……(田中内閣総理大臣「だれが買っている」と呼ぶ)上牧荘の所有者が買っているということは、しかも、その新幹線駅がそこから距離にして約一・五キロというようなところに通って、これはもういろいろと私どもも具体的に調査をした上で、いやしくもここで発言をする以上は、そう無責任なことを私どもは言っているわけではございません。こういう点は、事実を明らかにすると同時に、いやしくも政治的なそういう立場にある方が……
    〔田中内閣総理大臣「委員長」と呼ぶ〕
#32
○山中委員長 田中内閣総理大臣。
#33
○田中内閣総理大臣 私が申し上げたとおり、入内島君という人は、そういうことをする男ではありません。四十年間私は――事実は知りませんよ。知りませんが、いずれにしても、そんな事実は絶対にある男じゃありません。ですから、お調べください。お調べの上……(発言する者あり)お調べの上、そういう事実がなかった場合には責任を負っていただきたい。
#34
○小林(政)委員 私は、先ほども申しましたけれども、このような政府あるいは田中総理の……(発言する者あり)みずからの姿勢を改めるという、こういうやはり態度で、謙虚な態度に立たなければ、こういうことは……(発言する者あり)私は、ほんとうの意味で、商品投機を、不当な投機をほんとうにやめさせるということはできないと思います。(発言する者あり)うわさではなくて、私は、事実を調べた上でもって、いま申し上げたことを強く要望いたして、委員長に申し上げまして、私の質問を終わります。
    〔田中内閣総理大臣「委員長、ちょっと待ってください」と呼ぶ〕
#35
○山中委員長 田中内閣総理大臣。
#36
○田中内閣総理大臣 国会議員の重大な問題であります。いやしくも、政府の責任者に対してそのような発言をするときには、事実を提示してやってもらいたい。そうでなければ責任を負っていただきたい。
#37
○小林(政)委員 ですから、登記簿を――いま二十分という時間だから私はやらなかったのですよ。それだったら、登記簿を持っております。
#38
○山中委員長 小林君の発言については、速記録を調査の上、事実の上、善処いたします。
 次に、有島重武君。
    〔発言する者多し〕
#39
○山中委員長 静粛に願います。
 有島重武君。
#40
○有島委員 生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案というのが出されているわけでありますけれども、およそ法律の運用は人にあるわけであります。この種の法律につきましては、特に厳格な運用ということが、これは大前提とならなければならないと思います。ところが、この法案につきまして、ちまたでは、まだ、ざる法じゃなかろうかというようなことがささやかれておる。また私どもも、ある商社の関係者が、この法案を見まして、こんなものはおそろしくはないというようなことを豪語しておるのも聞きました。こういうことがあっては非常に残念だと思うのです。この法律案の説明の中に、本法は、商品取引所法あるいは独占禁止法、物価統制令等のこうした経済法との補完関係によってこれが運用されるんだということを説明されておりますけれども、従来の運用のしかた、独占禁止法それから商品取引の問題にしろ、そういったことから考えて、こういったうわさがされるのも無理からぬことじゃないかと思われる節もあるわけでございます。
 そこで、最初に総理にお聞きしておきたいことは、昭和四十六年の下半期の政治資金の収支報告書によりますと、三菱商事が国民協会を通じて一千四百二十四万円の寄付をしております。それから一二井物産も同じく千三百七十四万円、それから丸紅が一千百万円、伊藤忠が一千万円、こういうふうに寄付をしているものでございます。けれども、特に、警察権の介入を受け、社会的な責任を問われているようなこういった商社からの政治資金というものは、今後、これは受け入れるべきではないと私は思いますけれども、総理の御意見はいかがですか。
#41
○田中内閣総理大臣 私は、いま御指摘になったような事実があるかないか、これはつまびらかに承知しておりません。おりませんが、届け出書類から抜き出しての御指摘だろうと思いますから、事実だろうと思います。しかし、自民党も、百億近くの年間の政治資金を拠出を受けておるわけでございますし、自民党よりも共産党も、少ないですけれども、去年の上期は私たちよりもはるかに多くお届けになっておるわけでございます。公明党の皆さんも相当な政治資金を届けられておるわけでございまして、政治活動を続けていくためにでございますから、ただ、公明党や共産党の方々のように、個人からというわけにはなかなか――自民党の届け出た数字はそのとおりなんです。事実に基づいて発言をしているのです。そういうことでございまして、それはほかの党と違って、法人から受ける部分が多いということは御指摘のとおりでございます。しかし、いま御指摘を受けているように、これは国民協会に対するものでありまして、国民協会は、財界を主体にしてつくられておる機関でございます。国民協会はその中から自民党に相当程度の拠金をしてもらっておるということでございまして、直接政党が資金を個別の会社から受けることは、これはやはり政府・与党として正されなければならぬのでということで、全然国民協会が受けたものと関係なく自民党が――国民協会から拠金を受けるというふうになっておるわけでございます。そういうような状態でございまして、国民協会がどこから受けてはいかぬということを私が申し上げられるような段階ではない。これは皆さんも、こういうところからお受けになっちゃあいかぬと思いますがどうでございますかという質問と同じことで、これは国民協会の皆さんに、そういう発言があったことはまたいずれお伝えする機会もあろうと思いますが、国民協会の運営に関して私が申し上げられる地位にないということで、御理解いただきたいと思います。
#42
○有島委員 いろいろと、どういう経路でもってどういうことであるというお話がございましたけれども、結論として、丸紅等の大商社からの政治資金というものはこの際おやめになるべきじゃないか、そのように自由民主党の総裁としても、それからこの法律を出され、今後も国民経済を守っていこう、しかも国民の中にはまだ疑惑がいろいろある、そういったような状態のときに、この問題になっている大商社からの政治資金というものはこれは控えられるべきではなかろうかと、私はそう申し上げているわけなんです。その結論だけ伺いたい。
#43
○田中内閣総理大臣 政治資金というのは、憲法で定める国民の政治参加の相当大きな権利でございまして、これは宗教団体に寄付をするのも同じことでございまして、善意の問題であって、それをしかも国民協会に対して私が答弁のできる段階にありませんということを申し上げておるわけでございます。
#44
○有島委員 わかりました。今後とも丸紅等の大商社からは大いに政治資金をとると、そういう御見解ですね。
#45
○田中内閣総理大臣 発言は正確に御認識をいただきたい。そういう御自分かってな受け取り方じゃ困るのです、公の席上ですから。
 国民協会というのは、自民党の機関ではないのであります。財界がつくった機関でございます。ですから、そういう機関の運営に対して私が答える立場にないということでございます。あなたの貴重な御意見に対しては、機会があれば国民協会にも、こういう御発言がございましたということをお伝えいたしますと、誠意をもって答えておるわけでございます。
#46
○有島委員 この問題でそんなに時間をとるわけにいきませんけれども、私はいま、国民協会を通じてとというところに力点があったわけではないのです。私の申し上げたいのは、賢明な総理はおわかりだと思いますけれども、政治資金が大商社からどういう経路をたどるにせよ流れているようでは、これははなはだおぼつかないというような不安を国民が持っておる、そういうやさきであるということを申し上げたいのですよ。それはおわかりくださいませ。
#47
○田中内閣総理大臣 貴重な御意見として拝承いたしておきます。
#48
○有島委員 次の問題にいきます。
 先日、二十一日の物価の委員会におきまして、私は、商品取引で通産大臣と農林大臣から、商品取引所法についてはこれは厳密な運用をするというようなお約束をいただいたわけであります。ところが、それが二十一日の土曜日でございまして、それからまたすぐにこういった問題が起こってきたわけです。これは石川県の羽咋郡の、ある――これはお名前を伏せます。K・Rとしておきましょう。これは奥さんであります。この方が、株式会社第一商品の社員に生糸のもうけ話を不法に勧誘されまして――こまかいことはもう言いません、よく聞いてみると、ほんとうに不法なんです。結果として、四十七年八月からことしの一月までに三百六十万円の損害を受けているわけです。それで、このことについて商品取引所法が問題にせられたということがあったせいと思いますけれども、二十三日の月曜日に、同社の社員がこのKさんのうちに来たわけです。強引に上がり込んでしまって、手数料の五十万円、その半額の二十五万円で示談せよ、そういう話を持ち込んだのです。この奥さんの御主人は教員でありまして、もしこれにさからうならば、教師の立場がいかないような宣伝を全県にしてやるぞというようなことを言われたそうです。それでとうとう示談書に判こを押したという、こうした報告があるわけです。
 それから、同じような事例がほかにもございまして、北海道の夕張でも未亡人が、これはSさんという方ですけれども、やはり生糸と毛糸、これも三百万円以上ひっかかって、これは老後のためにお金を持っていたわけなんですけれども、これが結果的には百八十万円の半額でもって示談を承知させられておる。これは、このことで人にも言えず、自殺しようとまで思い詰めたということです。今週になってまだこういうことが起こっているわけなんです。
 これはほんとうに大衆保護の立場から、商品取引所法の一部法改正をしなければならぬのじゃないか。それで、不当勧誘、これは確かに罰則があります。無断売買、一任売買あるいは指示違反ですね、そういったことが、この前もそこは詳しく問題にしたわけでありますけれども、このことを、結論として国民が損害を与えられないように――それは途中の段階では確かに、判を押しちゃったからしかたがないやというような、そういうようなことがいまもって行なわれている。これを法改正するなり、運用をほんとうに厳密に強化してもらいたい。いかがですか。
#49
○田中内閣総理大臣 法改正を必要とするというと、なかなかむずかしいのです。これは法律で、すべての法律を、事こまかく規定をするということはなかなかむずかしい問題でございます。ですから、保険の勧誘、それから再販の問題のときに議論になったように、分割でもって売り込む場合の勧誘のしかた、それから株式の従事員、それからいまのように仲買い人というような商品の問題、こういうものに従事をする人たちのモラルの問題、それから、やってはならないもの、行政指導をこまかくやっておるのであります。業界でもたいへんな自粛をやっておりますが、いまのような問題、これは法律でもって規制をするといっても、事実むずかしいのです。これは相手の意思によって、自由な意思によって契約を行なう、協定を行なうということに対して、こまかく限定条文をつくるということは、事実むずかしいわけでございます。
 それからまた、そういうようなものの起こらないように、行政指導と業界の自粛を求めるということを絶えずやっておるわけでございます。
    〔委員長退席、井岡委員長代理着席〕
しかし、アズキ相場でもって自殺をしたとか、生糸の相場でもって自殺をしたとか、いろいろなことを私も承知しております。そういう意味で、結局法律でもってどこまで規定できるかというと、なかなかむずかしい問題なんです。ですから、政府は、これからの業界、これらの従事員のモラルの問題等に対しては最善の努力を傾けてまいりたい、こう思うわけでございます。
#50
○有島委員 最大の努力を傾けてください。
 それで、従来ともこういった方面には努力を傾けてきたとおっしゃるけれども、そういうような苦情ないし訴えがあとを断たないということは、非常に遺憾なことであると思うのです。そうなりますと、それを補完していくこの法律がどんなであろうとも、これはだめじゃないかという声もまた残ると思うのです。ですから、申し上げるわけであります。総理が運用をほんとうに強化していくと、しっかり言ってくだされば、あとはどのように強化させるかということは、またやりたいと思いますから、その点はしっかりお約束をいただきたい。
 次に、三月一日に本会議があって、この法案以前の議論があったわけでありますけれども、そのときに法務大臣の田中さんが、物統令の話を出されて、物統令があるから罰則は要らないのだ、新しい法律をつくることは要らないということを言われました。私は多少の疑義がありましたので、先日、委員会で経済企画庁のほうにただしましたところ、経済企画庁では、物統令は厳然と生きておりますというお答えでございました。
 ところで、昭和四十六年の一月十日の朝日新聞にこれは御記憶があるかどうかわかりませんが、ちょうどお米を物統令からはずすということがあったときでありまして、総理はたぶん幹事長でいらしたと思うのでけれども、そのときに、物統令は死んだネコみたいなものだ、こうおっしゃっている。役に立たぬ。――御記憶がありますか。これはほんとうに証拠がある。これは朝日新聞に載った話なんです。私はそれを覚えているわけなんです。これはやはり総理として、それは間違いであった、少し言い方はよくなかったということをこの際表明なさるべきだろうと私は思う。
#51
○田中内閣総理大臣 物統令は厳然として――厳然としてとまで言わなくてもいいと思いますが、ちゃんと物統令は生きていることは事実でございます。それを死んだネコと表現をしたとすれば、それは、前もうしろもなく突然、死んだネコと言ったわけじゃないと思うのです。前がずっとあって――私も日本語には相当きびしいほうでございますから、そういう者が死んだネコと言うのにはそれだけの前提があって、そうしてそのときにはぱっと言ったのだろうと思いますが、いずれにしても、生きている法律を死んだネコだ、こう言ったのは、法律の効果を言ったのじゃないと思うのです。言ったとすれば、ふろ屋の料金とかアルコール、それぐらいしか残っていないのであって、つくったときから考えるともう非常に少なくなったということを言ったのだろうと思います。思いますが、いずれにしても、私がさだかな記憶がないときにあなたが証拠をもって責め立てられれば、生きているものを死んだネコと表現したことは、どうもやはり適切でなかったように思います。いずれよく調べます。
#52
○有島委員 これは軽く聞き流せばそれまでの話ですけれども、物価を自由にするのが政府の目的なのか物価の安定が目的でないのかという質問に対してなされたお答えだったんですよ。これはやはり軽く聞くには適当でないように思います。こういう問題は、これは間違いであります、申しわけないと言ったっていいと思う。
#53
○田中内閣総理大臣 国務大臣としての発言じゃございませんし、少し余裕のある――自民党の幹事長のときであったという御指摘でございますから、そういうことだったと思います。思いますが、その場合、前提があったと思います。突然、死んだネコと言ったわけじゃないと思います。死んだネコと言ってふさわしいような環境で私は話をしたのだろうと思います。しかし、大体そういう新聞に載ったような問題に対しては記録があると思いますから、よく調べてみますけれども、何でも、指摘されたからといって、そうでございます、あやまりますというわけにはいかないのです。私が先ほど申し上げたように、法律は生きております。そういうときに対して死んだネコと言うのは、どういう事態で表現したか知りませんが、御指摘ありとすればあまり適当でないと思いますと、こう言っているのですから、それ以上のことは――頭を下げて取り消しますと言えば、それじゃ何もしゃべれなくなりますから、ひとつそこらは御理解いただきたいと思います。
#54
○有島委員 何もしゃべれないと極言されればそれまでですけれども、このことばかりしゃべっていたくないが、幹事長時代に言ったことには責任をとらないというようなこともないでしょうね。
#55
○田中内閣総理大臣 それは政党政治でございますから、議院内閣制のたてまえから考えてみても、自民党はほんとうに政府と一体でございまして、責任をとらないなんという――あなたもそんな意地の悪いお考えをする人じゃないと思いますが、そこらはひとつ御理解のほどを……。
#56
○有島委員 後刻お調べの上、ほんとうに適切なる処置をとってくださいよ。言われた人たちは、非常に印象に深く残っている人たちがいるわけです。
 あとは公取の問題でありますが、いま物統令の問題も出しました。それから商品投機も出しました。公取が警察におくれて経済問題に介入していくというようなことは、日本は警察国家じゃないわけでありますから、むしろ公正取引委員会が率先してそうしたことにタッチしていく、そういうふうにしていただきたいと私は心から思います。
    〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕
それにしても、いまの独禁法のあり方あるいは公正取引委員会の扱い、分野ですね、そういうことについて、いまこうした法律が上程されているこの際に、もう一ぺん公正取引委員会のあり方、それから独占禁止法について、現時点において考え直すべきではないか、そのように私は思いますけれども、これを最後の御質問にします。
#57
○田中内閣総理大臣 いま独禁法の問題とか公取の範囲とかそういう問題に関しては、非常に大事な問題でございますから、慎重に勉強してまいりたい、こう思います。
#58
○山中委員長 次に、和田耕作君。
#59
○和田(耕)委員 私は、この委員会で六大商社の会長並びに社長の方をお招きしたときに、このようなことを申しました。今度の問題は、皆さん方にも当然責任があるけれども、半分以上は政府に責任があるんだということで、六大商社にいろいろと御質問申し上げました。その政府に責任があるんだということは、そのときは評しく申し上げなかったのですけれども、きょうはちょうど田中総理お見えになって、いい機会でございますから、ひとつお気持ちを聞かしていただきたいと思います。
 先ほど問題になりました列島改造論の問題ですけれども、私は、田中総理みずからを個人的にどうのこうのということを申し上げておるわけじゃありません。また田中総理が、たしか昭和四十三年、都市政策調査会の会長をなさったときから、都市問題等について非常に熱心な姿勢で対処された、都市政策大綱というものをおつくりになって、当時の都市問題に対する世論をリードするような貢献もされた、これはよく記憶をいたしております。したがって、その当時からできた発想として、日本列島改造論は、ある合理的な、そして日本の国民にビジョンを与えるという意味はあったと思います。しかしながら、田中さんが総理におなりになったあの前後から、この日本列島改造論というものを大きく打ち出された。いよいよこれを実現するんだなということを国民も受け取った。マスコミもそのように報道をした。全国幾つかの場所で、中心の開発地域も御指示になられた。こういうふうなことが前提になって、まっ先に土地の買いあさりというものが行なわれた。過剰流動性ということで、商社あるいはいろいろな会社、機関がたくさんの資金を持っておる。設備投資等の使用の先もない、こういうときに土地の買占めが行なわれたというわけでございまして、このような意味で、いわば政治的な意味の責任なしとしない、こういう意味で申し上げておるわけです。
 私、いま質問をしながら思い出すわけでございますけれども、戦争前に、たとえば皇居の近くで天皇陛下に不敬な行動があった場合には、内閣は総辞職をした。こういう事例は一回、二回ではとどまりません。現在は、天皇の地位に当たるのは国民です。国民が非常に大きな迷惑をするような事態を引き起こしてきた。しかし、それは総理が直接知ったことではない。前に天皇に対する不敬罪の場合に、その当時の総理が不敬罪のことを知っているわけじゃない。しかし、大きな意味の政治的な責任というものは免れない。現在、最近この半年間の異常な物資の高騰によって、国民がたいへん迷惑をしている。こういう事態ですから、そういう意味の政治的な責任というものは確かにあるのだと私は確信いたしております。そういう意味でいまお伺いしているのですけれども、総理の御所見を賜わりたい。
 これは総理、現在物価問題というのは、総理も御指摘になるように非常に重要な問題です。いままでは、物価が大事だと言っても、私どもが選挙運動で物価の問題を話しても、みな居眠りをしています。何を言ってるのだ、そんなことを言ったってできやしないんだということでした。最近は違います。物価問題になると、目をぎらぎら輝かして話を聞く、ものを言うという状態でございます。そういうときですから、総理としての政治的ないま申し上げた意味での責任というものは、私はあるはずだと思う。総理は、列島改造論は正しいのだ、これを正しくやれば物価は下がっていくのだということを御主張なさった。その理由もわかります。しかし、先ほど申し上げたようなことで土地が値上がりをした。多くのサラリーマン、勤労者は、家を建てようと思っても、なかなか買う状態にない。買えない。こういう状態があるわけでございまして、そういう意味で、列島改造論というものの内容は正しかったといまでも確信されておると思いますけれども、出し方なりそれに対する手当てなりというものが非常に不十分であった、そのためにいろいろと国民に迷惑をかけたという趣旨の御所見があってしかるべきだと私思うのですけれども、いかがでしょうか。
#60
○田中内閣総理大臣 二つの問題を御指摘になったわけでございますが、一つに対しては、円平価の調整後しかるべく、外貨の裏づけになった円の吸い上げとかいろいろなことをしなければならなかった。しかし、そのときには中小企業や零細企業というものの状態にウエートを置いた。それから、国際収支改善対策として輸出を内需に振り向けなければならないというためにはやはり万全の対策を講ずべきであったということで、その面にウエートを置き過ぎたために過剰流動性問題が起こったということは、これは前内閣、私が通産大臣時代から今日に至るまでの問題でございまして、これに対しては、政府の施策というものに対してもっとやり方があったのだなという感じはいたします。そういう面から考えると、これは万全の対策であったというふうに胸を張るということは、現実の上から考えて、それは反省をすべきところはあったと思います。
 列島改造に対しては、私は全く違う考えを持っているのです。これはよく考えていただけばわかると思うのですけれども、列島改造に対して私は先ほども述べましたが、どの程度物価に影響させたのか、どの程度物価に影響させなかったのかということは、これは水かけ論でどうにもならないのです。ただ観念的に言うだけの話なんです。現実問題として物価が上がったときに、土地が上がったようなときと、時を同じくして列島改造論が出た。しかし、それは土地だけではなくほかの商品もみんな見て、土地がそれよりもうんと上がったならば別であります。それでなければ、とうふが上がったのと列島改造と何の関係があるのか、そういうことになるのです。もっとも、政治的に相手を攻撃するための言辞を弄するなら、これは私は甘んじて受けますし、私たち自身だってそんなこと言ったことがあるのですからいいですが、そうではなく、根拠なくして、何か感じで、列島改造論というものが土地の価格を引き上げたんだということには、非常に抵抗を感じております。
 なぜならば、列島改造というものは、先ほどあなたが指摘されたように、四十三年からもう出ておるのです。同時にその細目は、もうすでに山村振興法、離島振興法、工業地帯整備法、地方開発法それから新産都市建設法、農村地帯工業導入法、あらゆるものが出ておるのであります。ですから、そういうようなところで、結局需要と供給のバランスの関係によって地価はきまるわけでございますから、そういう意味で、都市集中を無制限に是認をしておく限りにおいては、公害も水も、地価を押えることもできない。しかも、国民の税金をもってまかなう効率投資というものが行なえなくなる。だから、東京に一本だけ道路を通すことを考えれば、その金を考えれば、北海道全道の道路が全部倍に拡幅舗装ができるじゃないかという議論は、政治家として当然なすべきことであります。鉄道の計画を出すときには、全国の年次計画を国会に提出せざる限り承認をしないと言われておるじゃありませんか。道路の十カ年計画を出すときには、十カ年の計画を提出しなければ国会はこれを承認しないと言っておる。そういうようなことであって、私は、政策を実行するときには、国民に訴えるときには、全貌を明らかにする一つの試算数字をつけるということは当然のことだと思っている。
 ですから、列島改造というものが地価上昇に拍車をかけたということを言われるならば、それは少なくとも、私は端的に申し上げておりますのは、東京や大阪の拠点中心主義ではなく、全国の水のあるところ、一次産業比率の高いところ、そういうところもあまねく開発をしなければならないと言っておりますから、いままでは過疎地帯であって二束三文であったものが、やがて工場が来るな、売らないでおこうということで地価が幾ばくか上がることに影響したかもしれません。しかし、そうではなく、東京や大阪の需給のバランスというものはこれからは調整をされるのだということになれば、その半面、未利用地が開発をされるときには、既成開発地は下がっているはずであります。これは経済原則であります。そういう意味で、列島改造ということでもって全国の地価の平均が上がったという数字と東京や大阪でもって上がっている数字というものと比較をして、東京や大阪のものよりもよそのほうがうんと上がっているというような数字が出れば、それは列島改造論も幾ばくか影響したといわざるを得ないという議論は成り立つと思います。成り立つと思いますが、そうではなく、東京周辺の地価が一番上がっているのですから、東京には人を入れない、東京はとにかく全面的に区画整理を行なって、道路は無料で提供させます、こういっているところの地価が一番上がっているのでしょう。そういうときには、私は、少なくとも列島改造論というものをよし明らかにしたことによって、地価に影響した責任は列島改造論であるという考えは首肯できません。
 これならもう、国会に対しても全貌は提示できませんということになります、それは。当然そうなるわけであります。そこで、(「そんなところで開き直ったってだめだ」と呼ぶ者あり)開き直っているのじゃありません。これは私も、いろいろな報道機関やいろいろなものにまた出ておるのかということぐらいに――私も人の子でありますから、感情は幾ばくかあるのです。ですから、そういう意味でむかむかもします、実際において。しかし、必要なものを提示をして国民に――民主主義というのは、国民に材料を提供して判断を仰ぐことが大前提じゃありませんか。私は、そういうことをやったことが地価暴騰の元凶であるというような、そういう御発言に対しては、遺憾ながら首肯できません。
#61
○和田(耕)委員 いまの総理の御発言ですけれども、計画を国民に示して、そして審議をしてもらう、考えてもらう、これはいいことだと思います。ただ、こういう種の問題は、そういう計画を示すと同時に、当然土地の値上がりが起こってくるということも考えなければなりません。それについての対策が不足あるいは誤ったと言うと、総理は目の色を変えておこるようですけれども、たいへん不足であった。その証拠に、それが済んで、この一月からやっているじゃありませんか、対策を立てられて。これをなぜ早目に考えなかったかということの議論のほうがいいかもしれません。
#62
○田中内閣総理大臣 私は、和田さんの人格を非常に高く評価をしておる一人でございまして、個人的にはファンでございますから、あなたが一面だけをとらえて議論をされる方でないことは理解しておりますから、いまの御発言はよく理解いたします。
 それだから、私は、おそまきながらも国土総合開発法をつくったり、それから値上がりがするであろと思って買ったところでも、特定地域に指定すれば移動も禁止もできるし、そして合理的に開発もできるし公共の用に供されるというものを出したわけです。一日も早く成立さしていただきたい。
 私が列島改造論を出しましたときは、公害とかいろんなものを中心にしておる通産大臣であったわけであります。それで公害の問題、コストは上がる。そして労働者住宅を提供しようと思っても全然できない。平面都市でもって六時間、七時間働くのに往復三時間かかる。水は不足をする。労働は五対一であり、求人はどうにもならないような状態である。そういうことを考えたときに、やはり狭い日本全体を改造するということが望ましいことであって、そうしなければ物価の安定もできないし人間社会そのものの整備ができないんだ、こういう考え方で出したわけです。
 しかし、今度私は内閣の首班として、責任者として、国民に責任を負わなければならない立場にありますから、列島改造政策が政府の政策として取り上げられている以上、これはもう完全なものをつくらなければならない。
 私は、あれを出すことによって受け皿をまずつくらなければいかぬと思ったのです。そうすれば、東京へ出ようという人でも出なくなる。もう村ごとに離村をしようという動きがたくさんあったわけですが、あれを出すことによって、そういう人たちはとどまろうという感じだったのです。
 そういう考え方によって、私は相当高い視野で考えたつもりでございましたが、確かにあなたが言うように、閣員の一人として、個人的な著作であっても世に公にするときには、やっぱり少なくとも受け皿に対する具体的施策は次号に続くというぐらいな配慮は必要だったのではないかということは、これは首肯いたします。これはもうそういう意味では、少なくとも列島改造ということは必要であるという立場に立っておりますから、その意味においては受け皿をつくりいろいろなものをやらなければならない、こういう考え方だけは、これは当然私も持っております。
#63
○和田(耕)委員 もう一つ、同じ種類の問題ですけれども、六大商社の社長方に申し上げた直接のきっかけは、丸紅さんがモチ米を買い占めたという問題と関連しまして、この昭和四十五年、六年、七年と、大体モチ米は年間六十万トンぐらい、そのうちの自主流通米、つまり検査米というのは大体十五万トン前後、農家の手持ち、自家消費が大体二十万トン前後、あとの二十四、五万トンが事実上未検査のやみとして流れておるという状態が続いたわけです。この状態を政府は黙認をしたわけです。そうですね。昭和四十四年に自主流通米をつくって、その制度から黙認をした。当然、この二十四、五万トンはやみに流れておるということは政府、農林省、食糧庁としては見当をつけておかなければならない。これがどういう売買をされておったかということは黙認をされた。そういう状態が続いたあとで、この半年前からの異常な商品の買占めというものが起こってきた。そこで、丸紅あるいはその系列のものが出てきて、こいつは不当だということで検挙をされた。
 そのとき、私はこういうことばを使ったのです。いままで政府は黙認をしてきておったのに、ある日突然あなた方は告発をされた。私は、あなた方はいいことをしているとは思っていない、悪いことをしていると思っている、しかし半分以上は政府の責任だ、こう申し上げた。この点は総理、いかがですか。
#64
○田中内閣総理大臣 自主流通米制度をとったときに、余り米ということが公然と国会で議論されておったわけでございますから、そういうものに対して、食管法が厳然として存在する限り、これはルート以外のものを禁じておるわけでありますから、これは適切な措置をとるべきだったと思います。
 私は、当時からの持論でありますが、食管法というものは、もう都合のいいような法律にできております。政府が必要なものは売らなければならない、政府は買いたくないものは買わぬでいい、おかしいと私は思うのです。政府以外に売ってはならないという法律の体系になっているのです。政府以外のものに売ったら処罰をすることになっている。体罰があるわけです。政府は資金上、必要でないときには買わないでいいんだという考え方、これは条文がどう解釈されても妥当性のない解釈である。だから、食管法の条文は、少なくとも売る意思がある者に対しては政府は全部買わなければならない、政府に売る意思のない者に対しては、これは明確にルート以外に自由に販売を認めるべきである、そうしないと責任が起こってくるということを私は指摘したのです。
 それが今日あなたに指摘されておるわけでありまして、食管法というものが数少ない統制経済法時代の法律で、日銀法、食管法、幾つも残っておらないわけでございますが、そういうものに手をつけがたい法律であったということもあるでしょう。ですから、現行法のままでもって合理化を行なおうというところにこういう問題が起こったわけでございまして、私はある意味で、指摘をされる政府の責任というものも感じております。感じておりますが、米にまで手を出さないでよかったろうという感じでございます。それで、とにかく、こういうことをやったことによって米の取り扱い業者としては権利は放棄するというところまでになって、社会的制裁は十分加えられたと思います。思いますが、あの問題だけで政府がそれでいいんだというわけじゃないんで、やはり法制上の整備、どんなに国会で困難であっても事実を述べて、避けて通るようなことをしないで、やはり措置をすべきはすべきであろうということをまじめに考えております。
#65
○和田(耕)委員 これは特に特別な措置を講じておきませんと、丸紅さんあるいはその他の大商社も、米なんかには手を出さないという御意思は発表されましたけれども、二十数万トンというやみになる米は現にあるわけです。そして、あられ屋さんその他の小さな菓子屋さんを入れると一万何千軒という、ほしい人がおるわけです。そこに当然やみが行なわれてくる。あの全農が扱っておる十四、五万トンのものは、この中にもそういうことが行なわれておるといううわさがたくさん流れております。こういうときですから、この問題について政府がある種の措置をしないと、また第二の丸紅が出、第三の丸紅が出てくるということになるわけです、状況は変わっておりませんから。こういう問題について、つまり今後食管法というものをそのような意味で強化していくというお考えになるのか、あるいは食管法というものは、もうこのごろ米の需給状況が変わりましたから新しい考え方が出ると思いますけれども、そういうことについて総理の基本的な考え方、これをお聞かせいただきたい。
#66
○田中内閣総理大臣 これは三つの考え方がございます。
 備蓄というような考え方、食管法制定時代からの精神をそのまま抜本改正を行なうまで堅持するということであれば、これは全額政府が買い入れる、余り米というものは、自主流通でもってきめたもの以外はすべて政府が買い上げるということに踏み切らざるを得ません。いまのように、政府が必要な量だけを買い上げてあとは野放しにしていくんだ、そうすれば政府以外に売ってはならない、また自主流通以外に売っては罰則があるということで、国民の権利を制約しているわけですから、これはやっぱり国民の売る意思があるものは国家が引き受けるというところにまず基本的な原則を確立するという手が一つあります。
 もう一つはその逆の手であります。これは、需給の計画に乗ったものは食管で行なうのと自主流通のルートに乗せるものと、他は自由にこれを売りさばいてよろしいという問題。
 第三は、すべてを自主流通に乗せなければならない、こういうふうに明確にする。
 これは予算にすぐ響きますから、これはある意味においては、余り米というものを黙認していることによって予算からはずしておるわけでありますから、そういうことをしないで、どっちか三つのものを踏み切ればいいんだ。ただ、その三つのうちのどれにウエートを置くのかということは、いまにわかに申し上げられない問題でありまして、四十九年度の食管の予算を編成しなければならぬわけでありますので、それまでには何とか結論を出したい、こう思います。
#67
○和田(耕)委員 これで終わります。
#68
○山中委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後二時十分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二十二分開議
#69
○山中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 これにて内閣提出の生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#70
○山中委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。井岡大治君。
#71
○井岡委員 私は、日本社会党を代表して、政府案に反対の討論をいたします。
 最近の物価の値上がりというものが国民生活を大きく圧迫し、しかも今日では、この物価の値上がりというものに対する国民の声は、怨嗟というよりはむしろ怒り、こういうものになってきております。こういうことからこの法案が提出されたと思うのでございますが、私たちは、この法案を審議していく中で幾つかの問題点を指摘いたしました。しかしながら、これらの問題についてはなお精神条項ともいうべき条項であって、具体的にこれを実行するためには多くの問題点があると思います。それだけにわれわれは、政府当局あるいは関係行政機関に、この法案審議を通じて戦わされた意見を十分認識していただくと同時に、指摘された問題については具体的な措置をとっていただきたいと思うわけであります。
 特に私たちが問題といたしまするのは、この法案の中にある、内閣が検査をするということは、いままでにないことでありますから高く評価をいたしておりまするけれども、これを勧告する、あるいは公表する、こういった精神規定だけではたして実効があがるのであろうか、こういう点を私たちは疑わざるを得ません。したがって、私たちは、これらについて売渡命令というようなものを置くべきではないか、こういう議論を展開いたしたのでございます。政府のほうといたしましては、勧告する、公表する、そのような精神的な制裁によって十分効果があがり得る、こういうようにいわれておりまするけれども、私たちは、この点について多くの疑問を持っております。さらに、都道府県知事の意見をどうするか、こういうようなことも必要でありましょう。あるいは、生活関連物資規制のための審議会、そうして国民の多くの意見あるいは知恵をかりることによって所期の目的が達成できるのではないか、こういう点等々を考えまして、私たちは遺憾ながら、政府の御努力というものについては敬意を表しまするけれども、なお不十分である、こういう点を考慮いたしまして、反対、このことを表明して、私の討論を終わりたいと思います。
#72
○山中委員長 次に、野間友一君。
#73
○野間委員 日本共産党・革新共同を代表いたしまして、政府案に対する反対の討論を若干試みたいと思います。
 私たちが反対する理由は幾つかございますけれども、大体四点ばかりあげまして討論をしたいと思います。
 第一の反対の理由は、先ほどの討論にもありましたけれども、政府案には買占め、売惜しみの禁止条項がないということであります。この種の法案の屋台骨と申しますか指導理念として、これを入れなければならぬというふうに思うわけでありますけれども、これがないということは、これが悪いというふうには見ていないんじゃないか、ここに大きな問題があるんじゃないかというふうに私たちは考えております。買占めあるいは売惜しみを規制する上で、この条項がないということはやはり決定的なことである。政府案の中には、立入検査等について処罰規定を設けてはおりますけれども、私たちは、それはあくまでポーズにしかすぎない、厳重な取り締まりあるいは監視の姿勢が期待できないんじゃないかということを、まず御指摘申し上げたいと思うのです。
 二番目には、売渡命令のないことであります。
 これまた、政府案と野党四党の提案との根本的な違いだというふうに考えます。これでは投機を目的として買占めあるいは売惜しみをする業者に対して打撃を与えることができない、このように考えておるわけであります。商社など投機に走るものが勧告あるいは公表くらいで引き下がるなどとは、私たちはとうてい考えるわけにはまいりません。
 本委員会におきましても参考人調べをやりました。あの中で私たちは、各商社に対してかなりの資料の提出を要求したわけであります。しかし、要求しておるにもかかわらず出してない資料があります。たとえば丸紅のやみ米の件についてであります。これについては、警察である程度押収はされておりますけれども、コンピューターの資料などはそのまま残っております。また担当の職員もおるわけで、やろうと思えばできることですね。特に本委員会あてに上申書が出されております。それによりますると、押収をされておるけれども、担当者等に聞き取りをしたり、いま現に書類をつくっておる、こういうような上申書が出ておるにもかかわらず、今日に至るもまだこれが出されていない。さらに、出された資料を分析いたしますと、通産省のまとめられた報告書と六大商社が出した資料、これらにはかなりの数字の食い違いがあることが明らかになったわけであります。はたして通産省の報告が誤っておるのか、あるいは商社の報告が虚偽のものであるのか、これは当委員会から通産省に対して報告を求めたときの原資料を出すように要求したわけでありますけれども、まだ出されていない。こういう段階で、十分の分析ができておりませんけれども、いずれにしてもこれだけ買占め、売惜しみが問題になり、国会の中で、国民の期待の中で参考人を調べたわけでありますけれども、それにもかかわらず、いま申し上げたように、出すべき資料をまだ出していない、あるいは出した資料が通産省の統計と違う、こういうような不十分なままで今日まで経過しておるわけであります。
 この法案が、経企庁のほうからもいわれますように、行政指導が主で、この法案は補完的なこういう措置として位置づけておる、こういうふうにいわれるわけでありますけれども、私はここにやはり問題があるんじゃないかと思います。商社は悪いことはしない、つまり性善説、これを前提とすればそういう議論も成り立つかもしれませんけれども、いま若干の指摘を申し上げただけでも、これだけ大問題になりながら、なおかつ正直に、あるいは真実を当委員会に報告しようとしない、こういう態度を私はきびしく追及し、あるいは抗議をしたいと思うのです。こういう意味から考えましても、やはりすみやかに売渡命令を発することによってこの生活関連物資が流通のルートに乗る、これこそ国民のすべてが期待しておる条項である、こういうふうに考えるわけです。
 三つ目は、国会に対する報告義務、これがないということであります。
 定期的に国会に報告する、これなしに、この買占めあるいは売惜しみの実態を国会あるいは国民がこれを知ることができない。これがないことは、これまた政府案の大きな欠陥である、実態の把握ができないということになりますから。そういうふうに考えます。
 特に、先ほども若干触れましたけれども、通産省の六大商社の集計報告書、これが土地とかあるいは国公社債、これらの点について六大商社の資料と全く食い違いがある。その他にも数字の誤りがたくさん、検討の結果出ておりますけれども、こういうことで一体通産省はどうしておったのか、こういうふうに疑惑を持つわけなんです。
 さらに丸紅のやみ米の件について、これは食管の事項、つまり農林省の所管事項になるわけでありますけれども、農林省自体がこの実態をまだ明らかにしていないという点、当委員会で私も質問したわけでありますけれども、食糧庁の統計では、たとえば丸紅の場合、四十七年度産のモチ米についていいますと、七千八百トン、これは金額にして約十三億円ぐらいになると思います。ところが、丸紅の社長の話によりますと、扱った数量が約二万四千トン。一万六千トンの違いがあるわけです。これは金額にしてもたいへんな違いなんです、二十数億。しかも自主流通以外のものが、これはやみ米だということは容易に推測がつくわけでありますけれども、このようなことすらも、まだ農林省では実態が把握できていない。こういう姿勢に私は疑いを持つわけなんです。ほんとうにこの法律を効果あらしめて国民の生活を守る姿勢があるのかないのか、私は非常に疑問に思っておるわけであります。
 そういう意味で、この報告義務、これはぜひやはり加えるべきだ。
 四つ目は、公表について非常に経企庁、政府は期待をしておるわけでありますけれども、私は、先ほどから申し上げておりますように、いまに至る商社の態度からして、公表にすべてをかけるというようなことは、これはまさに幻想にしかすぎないというふうに考えるわけであります。むしろ、そのような公表をするなら、この議院における証人の宣誓等に関する法律、これによって証人としてこの場に呼びましてそこで調べる、この場合には、法律によりまして、証言の拒否あるいは資料提出の拒否、これらについては、みずからあるいは一定の親族が犯罪によって訴追されたり処罰されるというような特別の場合を除いては拒否はできない、こういう仕組みになっておるわけですね。ですから、むしろ公表よりも実態をここで明らかにすること、証言や資料の提出の拒否を許さない、こういう強い姿勢で臨んだほうがまだむしろましじゃないか。不十分な資料でありましても、参考人の段階で一定程度は出しておるわけですね。これである程度は実態が明らかになりましたけれども、むしろこのほうが私は期待ができる、こういうふうに考えるわけであります。
 以上四点ばかり御指摘申し上げたわけでありますけれども、こういう点から考えまして、この法案はざる法ではないか、こう思わざるを得ないわけであります。むしろ大切なのは、先ほどの質疑にもありましたように、商社からの政治献金、これらをやめるとか、あるいは六大商社を中心として独占に対する特権的な減免税、こういうものをやめて、ほんとうに姿勢を正していく、こういうことがなければ、取り締まることは非常に困難じゃないかというふうに私たちは考えるわけです。この際ほんとにえりを正して、国民の生活を守るという立場に立って、さらに、いま申し上げたような欠陥、欠点、これらを是正しなければ、とうてい私たちはこの法案に賛成することはできないわけです。
 以上をもちまして日本共産党・革新共同の反対の討論といたします。
#74
○山中委員長 次に、石田幸四郎君。
#75
○石田(幸)委員 私は、公明党を代表いたしまして、生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案に対し、次の理由により反対の討論をするものであります。
 その第一点は、法律案が、国民生活の安定に資することを目的としながらも、買占め、売惜しみに対する緊急措置にとどまり、あくまでも行政措置の補完的な役割りを果たすことを主眼としていることであります。ゆえにこの法律案は、不当な利益を得ている企業に対する強い規制措置ではなく、企業擁護の立場から少しも脱却していないと判断せざるを得ません。
 今日までの高度経済成長政策が社会の至るところにひずみを生み、国民が望む、より豊かな生活の基盤が脅かされているのが現実であります。国民は、成長政策が逆に生活を脅かすのであるならば、その伸び率を押えることもやむを得ないという議論が出るほど、生活の安定を求めているのに対し、法律案が緊急措置という微温的なものにとどまっていることは納得できません。
 第二点は、商社や大企業が、利益獲得のためであるならば、国民生活を犠牲にする不当な商行為をもいとわない姿勢が見られるにもかかわらず、買占め及び売惜しみ行為の禁止規定が欠落していることであります。
 政府の怠慢によってつくり出されたインフレ経済は、本質的に投機的な体質を内在していることから、生活関連物資が投機の対象にならないようにするための明確な禁止措置が見られないのは、世論の批判をかわす糊塗的な対策といわざるを得ないのであります。
 第三に、この法律案のかなめともいうべき売渡勧告が発動できる条件として「多量に保有していると認めるとき」となっておりますが、多量の概念が明確になっていないことと、当該物資が市場で逼迫している場合、多量に保有しているという条件のもとでの売渡勧告しかできないのであれば、流通の各段階で通常の在庫量の場合は売渡勧告はできなくなってしまいます。供給が逼迫しそうな物資を流通の各段階で通常の在庫量よりも少量でも上積みしておれば、特定物資の逼迫状態は著しいものとなり、また価格が大幅な急騰を見ることも、いままでの経過からいっても明白であります。多量、少量の保有にかかわらず、需給の逼迫が見られる場合売渡勧告をなし得るものでなくては、真の効果は望めないと思うのであります。
 第四に、法律案は、売渡勧告に従わない場合、公表するだけにとどまっており、売渡命令が欠落していることであります。
 公表でも社会的な制裁効果は若干はあるにしても、今日のインフレのもとにおいては、企業に対してどれだけ投機行為の歯どめになるかは、はなはだ疑問であります。食管法で禁じられている米に手を出す、また、公明党が行なった土地の買占め総点検で、企業名をあげてその実態を公表しても何らの終息も見られなかったことからも、売渡命令を含む強い措置をとらなければならないのは当然といわなければなりません。
 第五には、虚偽の報告や検査の拒否などに対する罰則は、一年以下の懲役または二十万円以下の罰金となっておりますが、あまりにも弱い罰則となっていることです。
 罰則の効用の一つは、強い罰則規定があるため反社会的な行為に対する歯どめとなることです。法律案の罰則では、国民生活を破壊する投機行為で巨大な利益を得たものに対し、はなはだ弱いものといわざるを得ません。
 以上の理由で、本法律案に反対をいたします。
#76
○山中委員長 次に、和田耕作君。
#77
○和田(耕)委員 私は、民社党を代表いたしまして、この買占め、売惜しみの緊急対策についての政府提案に対して、反対の討論をいたしたいと思います。
 この半年間の状態を振り返ってみまして、確かに政府提案の中にいわれておる幾つかの項目は相当の効果のあるものだという認識を持っております。たとえば立入検査をする、そして必要な勧告をする、そして公表をするというのは、いまのマスコミの報道状況から見ても、これらは相当の効果があると思います。
 しかしながら、一番肝心の点は、しばしば参考人をお呼びして参考人の御意見を聞いたときに述べられたことは、これは一般的に効果はあっても、緊急の事態に対処できない。つまり、これが発動される時分にはもう物はごそっと上がり、そして国民はたいへん困った状態が出てきておる、こういう状態に対して、調査をして、そして勧告をして、そして公表をするということでは、間に合わない事態がしばしば考えられるのではないか。この事態に対しては、どうしてもこの放出命令のような項目がなければ、いわゆる画竜点睛という、つまり目を入れるところが欠けておる、そういうふうな感じがいたします。
 そういう点で私どもは、この法案が、政府がとにかく熱意をもって実行する、そして私ども野党案の中心点である放出命令という問題を実際上できるような心組みを持ってもらう、そういうふうな意味で、私どもは、ここで反対の立場をもってそのような態度を表明したいと思います。
 以上です。
#78
○山中委員長 これにて討論は終局いたしました。
 これより採決をいたします。
 内閣提出の生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#79
○山中委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 おはかりいたします。
 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#80
○山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#81
○山中委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。午後二時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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