くにさくロゴ
1947/09/26 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 水産委員会 第9号
姉妹サイト
 
1947/09/26 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 水産委員会 第9号

#1
第001回国会 水産委員会 第9号
  付託事件
○魚の自由販賣に関する陳情(第百三
 十二号)
○魚價引上げに関する陳情(第百三十
 六号)
○漁業法並びに漁業協同組合法の制定
 に関する陳情(第百六十七号)
○漁業用資材の確保に関する陳情(第
 百六十八号)
○資金融通準則の一部改正並びに水産
 金庫設置に関する陳情(第百六十九
 号)
○沿岸漁業者用加配米に関する陳情
 (第百七十一号)
○機船底曳網漁業取締に関する陳情
 (第百七十二号)
○海中沈没物速時引揚に関する陳情
 (第百七十三号)
○魚價引上げ並びに高級魚の自由販賣
 に関する陳情(第百七十四号)
○漁業用綱索原料マニラ麻の輸入懇請
 に関する陳情(第百七十九号)
○かつを、まぐろ並びにさめの價格引
 上げに関する陳情(第百八十一号)
○漁業権の漁業組合共有に関する陳情
 (第二百四号)
○大衆向き魚類價格の引上げその他魚
 類の自由販賣に関する陳情(第二百
 五号)
○魚業用燃油の配給に関する陳情(第
 二百六号)
○魚價引上げに関する陳情(第二百八
 号)
○魚價引上げに関する陳情(第二百十
 二号)
○熊本縣牛深漁港修築に関する請願
 (第百三十三号)
○熊本縣牛深漁港修築に関する請願
 (第百四十五号)
○魚の自由販賣に関する陳情(第二百
 四十三号)
○魚の自由販賣に関する陳情(第二百
 五十四号)
○生鮮魚介の配給促進に関する陳情
 (第二百六十一号)
○魚の自由販賣に関する陳情(第二百
 九十二号)
○八木漁港改修築に関する請願(第二
 百十九号)
○江名漁港改修工事費國庫補助に関す
 る請願(第二百二十五号)
○中之作漁港改修工事費國庫補助に関
 する請願(第二百二十六号)
  ―――――――――――――
昭和二十二年九月二十六日(金曜日)
   午後二時二十三分開会
   ―――――・―――――
  本日の会議に付した事件
○水産廳設置問題及び漁網の資材の放
 出状況等に関する件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(木下辰雄君) 只今から水産委員会を開会いたします。
 開会に当りまして、新らたに当選せられました鹿兒島縣の中島君の後任に前之園君を御紹介いたします。
 本日小委員会が同じ時刻に二つありましたが、これは速記の都合、或いは事務局の都合、或いは専門調査員の都合で、小委員会の委員の方は違つておりますけれども、そうするといろいろ支障がありますからして、今後は時間を繰り合して開会されるように希望いたします。
 本日は農林大臣もお見えになる筈でしたが、他の会議のために欠席されまして、ここに井上政務次官がお見えになりました。それから水産局長、商工省の繊維局長もお見えになつております。いろいろ資材の配給状況等について、皆さんの方からいろいろの御要望なり或いは御意見なりを、この際御発言願いたいと思います。
 それからこの前の委員会で平野農林大臣から水産廳の問題で直接運輸大臣に折衝するように仰せられましたが、実は本日大臣から直接その話を承るつもりでおりましたけれども、お見えになりませんからして、井上政務次官からその後の折衝の模様をお聽きしたいと思います。
#3
○政府委員(井上良次君) 水産廳設置に関聯いたしまして、御承知の通り運輸省と農林省との所管の問題で、いろいろ関聯事項が沢山ございますので、これらの問題について運輸大臣と農林大臣との間で、いろいろ交渉をせなければならん、このことに関して、農林大臣が運輸大臣と折衝する、そうしてその折衝の結果を本委員会で詳細に報告するということをお約束をしたそうでございまして、実は本日この委員会へ参りまして、その経過について詳細に報告する予定でおりましたが、急に差支えができまして、出席できませんので、私からその経過について話して置いて呉れ、こういうことでございましたが、大体大臣といたしましては、その後兩三囘程運輸大臣に会いまして、水産廳設置に関聯いたします漁船の建造問題、或いは漁港等の問題に関聯いたしまして、いろいろ折衝を続けておりますが、今日尚これらの問題について、然らば具体的にどの程度どうするかということについては、經つた結論を得るに至つていないということは誠に遺憾の至りでありますが、尚一層熱意をもつて折衝を続けるつもりであるから、是非一つ水産委員会におきましても、この上とも御協力願いたい、こういうことを御報告を申上げて置いて呉れという言づけでありましたから、この際皆さんに御報告申上げます。
#4
○千田正君 先般平野農林大臣に対しまして、水産委員会から運輸省との折衝方を懇請いたしておりましたが、只今のお話を承りますというと、未だ十分その答えを得ていない。ところがこれをよく検討して見まるすというと、運輸省の問題は、これは一つの行政機構の問題であつて、我々が要望するのは三百万漁民の、國民の声として要望しておるということをはつきり認識して頂きたいということを、特にこの際政府御当局にお願いしたいと思うのであります。運輸省の問題は言うまでもなく運輸関係の機構の問題であります。我々の要求するのは三百万漁民の代表として我々は要求しておるという点を十分その点を誤解のないように、特にお願いしたいと思います。
#5
○丹羽五郎君 私不肖ですが、水産廳設置に関する委員長をいたしておりまして今日の報告も実は水産廳設置委員会において御報告を願う筋合のものであろう、而して又我々の結論を得たことを本委員会において御報告申したい、かように考えておつたのを、委員長の方で非常に促進をされてやつて頂いたことは結構なことだと考えております。今千田委員の申しますごとく、過日平野農林大臣には、運輸省或いは商工省而も一番窮極の面におるのは運輸省である、若しもこの運輸省が反対をした場合においても、水産廳設置に対してはやるかという……私は際どい質問をした結果が、農林大臣は、若し運輸省が絶対に反対しても、この水産廳設置に対しては実行するという強い言葉を得て、我々はそれに依存をするわけである。依存をして今日まで実はお待ちをしておつたのであります。ただ今千田委員の言われる、現在陳情においても何十種という水産廳設置に対する陳情が來ております。又毎日々々各漁場におきましては、漁民大会を開いて、この水産廳設置を熱望しておる次第であります。ただ一囘、二囘、三囘においてまだ話も經らなかつたというので、この問題が余りに長くなつて行きますと、相当漁民を失望させると同時に、我が水杉事業に対しても大きな影響を來す、かように私は考えておりますので、運輸省が若し反対しても成るたけ早くやるという強い信念があるならばやる一つの方途もお考え置き願つて進んで貰うことを、私はここに希望する次第であります。
#6
○政府委員(井上良次君) 大臣のこの委員会における御言明は、非常な決意をもつての御言明でありますし、我々農林当局といたしましても、御承知の通り我が國の食糧事情から考えまして現在のような主要食糧を中心にする食糧行政では、当然行き詰る現状でございますので、どうしても綜合食糧の見地をとらなければならん、その綜合食糧の見地をとります場合は、どうしてもこの蛋白、脂肪を豊富に取り入れるという見地から、水産の飛躍的な発展を期すことに國が力を入れなければなりませんという見地を私共は堅持しておりまして、このことは國の政治の上にあらゆる面に強く私は主張をいたしておりますし、又閣議の場合におきましても、あらゆる面でこの点を強力に主張いたしておるわけであります。ただこれが我が國の政治の上で、又行政機構の上で、いつでもこれは解決できる問題であるにいたしましても、單に簡單にそれは片付く問題であるにいたしましても、何といいましても占領されておる日本の國といたしましてはやはり聯合國の意向が、そこにどう動くかという関係も、一應考慮せなければなりません関係がありまして、それらの問題が、全体的に了解をされませんと、この問題は解決されませんのでそれらの問題も併せて了解をして頂きますように、熱意を以て三百万漁民が要望されます水産廳が、眞に名実共に伴う水産廳を設置できますように、今後も皆さんの御協力を得て、一日も速かに実現するように努力をして参りたいと考えておりますから、その点はどうぞよろしく御願いしたいと思います
#7
○矢野酉雄君 今の政務次官の御答弁は非常に儀礼的な御答弁でよく分りませんが、どこまで一体見通しがついておるか、そこを御説明願いたいと思います。而もこれは建設的の立場から参議院の水産委員会は積極的にこれを建設するために、政府をむしろ大いに鞭撻し、協力的の態度を終始持しておるのですから、何も御遠慮の必要はないのです。一体GHQとの交渉の経過においてもどこまで進んでおるか、私はやはり小委員会において主張したごとく、殊に今囘の水害等を奇縁として建設院のごとき、まるで生半可な、農林省の持つておる土工事業の一つの行政権限と、内務省のそれとが実に対立して同じ國土の開拓、その他河川の問題、或いは漁港等いろいろな面において二つの行政官廳が互いに対蹠的に相対立しておるということは、私は実にこれは不都合千万である、是非これは建設省という獨立したる一單元によつて、これから著々新らしい日本建設のために邁進しなければならんと同じように水産廳のごときも、どうせ現在のごとき構想の下でやれば、結局は運輸省並に商工省と行政上の摩擦が生ずることは自明のことである。だからこういう機会には、むしろ構想を大きくして、水産省のごとき、或いは海洋省のごとき構想を以て、敢て拙速主義を採る必要はないと思う。通常議会に出してもよろしい。否、昨日の総理大臣の要請からすれば、恐らく会期は十一月の二十日頃まで延長されるように、常識的に判断を下すことができるような事態であるので、私はこの水産廳の推移が奈辺まで進んでおるかというようなことから、更にもう一度出発点に帰つて農林当局が構想を練り直して行くというようなことも、決して不適当でないと思うのでありますが、一体大体どこまで交渉は進行しておるのか。そういう点をもつと責任ある、秘密主義でなくしてお話し願いたいと思うのであります。
#8
○政府委員(井上良次君) 実はこの水産廳設置に関する経過につきまして、聯合國当局と我が政府とのいろいろの交渉につきましても、先般政府当局からこの委員会においても、詳細にいろいろ説明した筈であります。ただ矢野さんはその時御出席がなかつたらしいのでありまして、その経過をよく聽かれなかつたかと思いますが、後程局長から矢野さんにお話しいたさすつもりでございます。ただ政府といたしましては、どうしても水産廳を設置したいどんな困難を排しても、今日の我が國の食糧事情からどうしてもこれはやらなければならんという、非常な熱情を以て掛かつております。從つて仮に運輸省とのいろいろな行政上の困難が横わつておりましても、それを突破いたしまして是非これは解決して、一日も速かにやりたい、ただやるにつきましては單に名目だけの水産廳を作つたつて意義はありませんから、やるならやはり統一した立派な一元的な水産廳を作らなければいけません。今あなたが御指摘のように、何もそんなにあはてて名目だけの廳を作つたつて、意義がないのですから、本当に立派な相当の仕事のできる役所を作らなければなりません。そういうつもりで十分納得しまして、仕事のできる廳を作ることにいたしたい、こういうつもりでおります。
#9
○丹羽五郎君 今の農林政務次官のお話、一應御尤もに考えておりますが、理想的なる水産廳設置は、無論我々の希望するところでありますが、無想を実現するために、時を失うということも私は考えなければならん、かように考えております。実はこの陳情書も殆ど山をなすごとく沢山來ております。又東京におきまして、全國の漁民の水産廳設置に対する大会を開くというようなこともあるのであります。私共は國内において行政部面の摩擦を多くさせてもいかんということで、実は参議院の水産廳設置委員会は、むしろ涙を呑んでここで待機の姿勢をしておるのであります。ただ我々は大臣の言葉を信じて、それに依存をしておるわけではないのであります。その点をよくお考え置きを願いまして、私は理想の実現これはもう何人も反対の者はないと思いますが、若しもその理想を実現ができずに、根本まで破壊をするというようなことになつて來ますと、恐らく私はこの水産廳を設置をするか設置をせんかというこの問題が、日本の水産事業の進展か破壊かというときに來ようと私は考えておりますので、十分その点をよくお考え置きを願つて、私は一時も早くこの問題のポイントを握つて貰うことをここに希望して、私は今獅子が跳ばんとする一歩前の靜かな眠りをしておる、かように考えて頂きたいと考えておるのであります。
#10
○遠山丙市君 大体運輸省の関係は今承わつたのでありますが、水産廳というものを速かに実現して頂きまする前提として、商工省との繊維関係について御交渉もあつたろうと考えるのでありますが、その経過、見通し等についての御説明を願いたいと思います。
#11
○政府委員(藤田巖君) この問題は私からちよつとお話し申上げた方がよかろうと思います。運輸省と並んで商工省の関係もあるわけであります。いずれもこれは私ざつくばらんに申上げますと、只今見えております商工省の鈴木繊維局長とは高等学校時代からの同期の友達でございます。互によく氣心も分つておるわけであります。この問題につきましては繊維局長のところに参りまして、話をしたことはあるわけでありますが、結局運輸省に参りましたと同じように、なかなか事務的には話は解決はいたしておりません。我々としてはやはりこれは大臣同士の御折衝によつて最後には決定をして頂きたい、かようにまあ思つておつたわけであります。その後水産廳の設置の問題が、その重点が運輸省との関係に係つております。先ず一番大きい運輸省の問題を解決をいたしまして、そうして更に進みまして、又この繊維関係について商工省との方面の話合いを進めて参りたい、かように考えておる次第であります。
#12
○千田正君 先程から政務次官並びに局長のお話を聞いておりますというと一はGHQと交渉の問題もあるから、すぐお答えはできないと言う。又一面只今の局長のお話からすると、商工省の繊維関係も運輸省と同じように了解が十分ついていない。これで一体、食糧増産しなければならない、現在の日本は食糧危機で、十七日目に、魚類まで主要品目の中に入れて、七千万の國民が生きなければならんという現実に直面して、而も漁民は何百年の間農民と共にこの食糧増産をしておつて、今日血の叫びを挙げて水産廳設置問題を叫んでおるときにおいて、行政機構の問題が十分行き届かない、了解がつかないからということで、投げやりにやつておるということは、僕は政府の怠慢としか思えない。若し本当に熱意があるならば、三百万の漁民を犠牲にして運輸省なり商工省の今までの行政機構を堅持しなければならないというところがどこにあるか。我々からいえば三百万漁民の血の叫びを一日も早く解決してやらなければならないじやないか同時に食糧問題の危機突破の際においても、すベての資材においても、或いは航行においても、若しくは金融関係の問題においても、獨自の立場において水産廳が設立されて、そうしてこの日本復興のために危機突破をやらなければならないというところに、我々は國民の声を代表して叫んでおるに拘わらず、未だに適当なる囘答を得られないということは、僕は政府の怠慢としか思えないのであります。この点において十分もう一歩突込んで、なぜ商工省が繊維の面において十分にこちらの方に渡すことができ得ないのかなぜ運輸省が漁船の航行にのみ重点を置いて、三百万の漁民の生活の声を受入れないのか。どこにそういう頑張らなければならない理由が各省ともあるのか私は先程申し上げた通りこれは從來の機構の問題であつて、三百万の漁民の現在の血の叫び、食糧突破という重大なるところの日本の復興の危機に際して、各省の了解が十分でないのじやないか。私は農林省当局にお願いしたいのは、只今のところは主として農民方面に主力を注いでおります。勿論当然のことでありますけれども、一面においては漁民の問題は忘れられておるがごとき感がするのでありまして、この点においては、この際もつと鋭く、もつと本当の漁民の声を聞いて、一日も早くこの問題を解決して頂きたい。特に政府御当局にこの点を要望する次第であります。
#13
○矢野酉雄君 最前政務次官は、矢野委員がその話を聞いていないからというようなお話ですが、話を聞く聞かんは問題として、八月二十九日、平野農林大臣が委員会に來て説明した。そのときの情勢から相当時日を経過して、矢野は九月十日までいたので、休会の内には委員会は開かれていないから、八月二十九日の平野君がこの委員会に出て説明した以後というものは、委員会は開かれていない筈だ。そうすると八月二十九日に平野君が本委員会で説明せられてから後、結局衆参兩院の輿論をバツクとして、大いに水産廳設置に邁進したいけれども、事ここに至つて暗礁に乘上げておるような姿であるがこの問題については運輸省とも直接交渉し、更に本問題を閣議に載せて、そうして常に輿論に應えるよう努めるというのが、八月二十九日の農林大臣の所論の大要であつたと思う。それ以後すでに休会のときも政府は働いておる筈で、約一ケ月の間を経過しておる。千田君も政府当局について要望しておられましたが、果してその後閣議に一体取上げて、閣議ではどういうようにこの問題について諸公は意見を述べ、閣議として何か確定的な結論に達したかどうか。更に運輸大臣と交渉して了解を求める、或いは商工大臣と交渉してその了解を求める、そういう方面のまず対内的の交渉の結果、今日現在の情勢においてはどこまで到達しておるか、対外的にGHQとの関係においてはどういうようなふうに経過が発展しつつあるか。これについて率直なる眞相を御披瀝願いたいと思います。
#14
○政府委員(井上良次君) 大臣がおりますと、その点がよく分るのでありますが、私の承つておるところによりますと、一應運輸大臣と具体案について折衝いたしまして、兩者の妥協点が見つかりましたならば、その妥協点というか、一つの試案を以て、それでいよいよ閣議の了解を求めるという手順に大体行くのでないかと思います。ところが今日まだ兩者の意見が一致をみていないのであります。從つてまだ閣議の決定をみることには至つておりません。又関係筋と折衝する段階にも至つていない。これは運輸大臣が旅行していた関係上、落ち着いてこの問題についてじつくりと相談をする機会がなかつたことにも原因をいたすのでありまして、今日この委員会で非常に熱烈な御意見があり、且つ又三百万漁民からの水産廳設置に関する要望もあり、且つ大臣からこの委員会に対する言明もあつたことですから、政府といたしましては一日も早く結論を見出だしまして、一日も早く水産廳設置の具体案を見出だすように、私からも大臣に篤と傳えまして、皆さんの御期待に副うようにしたいと思います。
#15
○矢野酉雄君 どうも政務次官の答弁に対しては、單なる矢野の主観的感情ではなくて、いわゆる國民を代表する水産常任委員として遺憾千万の意を表せざるを得ないのであります。すでに一ケ月を経過して、而も運輸大臣が何のためにどこに行つたか知らないが、その理由のために折衝もできない、片方は三百万漁民の血の叫びを以て、その生活権を確保すること、即ちそれは日本を興すところの根本的の解決の問題である、そういう重要な問題を八月二十九日からすでに一ケ月、そうしてそれが閣議にまで乘せ切らないというようなことだつたらば、これは一農林省の問題でなくて、勿論突発事件もあるから、会期の延長ということも起るけれども、こういう農林省のいわゆる事実上の熱意をもたざるやり方であつたならば、会期は十一月末まで延して或いは通常議会の会期に交錯するようなところまで引延ばしても、私は解決点はなかなか出ないと思う。千田委員なんかの、政府の怠慢であるという意見というものは、單なる千田君自身の主観的、獨断的断定ではなくて、この一つの事実から推定しても、余りにもこの問題を事実の上に、主観的には或いはしつかりやつておるというように思つていらつしやるかも知れませんが、これを客観的な立場からみたならば、爾來一ケ月の間何ら進捗をみていないということは、これは正に政治的道徳の立場から怠慢であると言わざるを得ないのであります。一体今一日も早く、一日も早くという重疊法で政務次官が答弁されましたが、一体この一週間のうちに大体運輸大臣と面会する交渉がすでにされておるかどうか、或いは商工大臣といつ会うという交渉をされておるか、又閣議にはいつ頃これを上程して、そうして閣議の満場一致を得まして、これをいよいよ國会の方に提案するというような、何かもう少し親切に、我々七千五百万の國民がここに結集しておるというつもりで、我々の公務を遂行すると同じように、政府はその行政の重責のある以上は十分の答えをせねばならんと思う。そんな單なる政治的な、儀礼的な言葉で、こういう困難の際に一切の事柄を解決して行くようなことは絶対に不可能だと考えております。もつと眞劍な一面においては敬虔な態度を以て直面せるところの困難な問題を解決して行く、幸いにも参衆両院の水産委員会は積極的に政府を協力するという実に喜ばしき傾向を示しておるのであるから、もつと農林当局は十二分に誠意をもち、又熱意をもつてこの問題に当つて頂きたいと思うのであります。
#16
○政府委員(井上良次君) 矢野委員の政府当局に対する御忠告は肝に銘じて分かりました。我々としては決してこの問題を等閑に附しておるわけではありません。大臣といたしましても、いかにしたならばこの問題が本委員会が要望されるように、一日も速かに解決するかということにあらゆる角度から檢討を加えて、その解決に全力を注がれておると考えます。今御注意のありました点は十分に大臣に傳えまして、一層皆さんの御期待に副うように私からも申し傳えて置きたいと思います。
#17
○遠山丙市君 大体分りました。そうすると矢野君からもいろいろお話がありましたが、今期中には大体政府の方で曲りなりにも片が付くという見通しでおられますかどうか。又は進んで会期延長というお話も出ておるようでありますが、延長にでもなるという見通しが、その間にでも片付けてしまうというつもりであるか、それともそういうことを言い出したら引つ込みがつかなくなつてしまうから……どうも交渉したらそういう内容を盛り上げた水産廳というものは近いうちにはできそうもないという見通しになつておるかどうか。そういうことせよく承つて置きたいのであります。本委員会も細かく水産廳設置の小委員会を設けて、非常に研究をし、先般來も進んで水産省まで作らねばならんというような非常に強い意見も出、矢野君の言われたような非常な協力ということについては惜まないでおるのでありますから、ただだらだらと言訳的なことを続けられるよりは、やつてみたが、初め程にはいかんから往生をして止めるのだ、今直ぐはできんが、できるとすればいつまで日を藉して貰えばできそうだという見通しがあるというようなことも、政府当局では分つておると思いますが、お聞かせを願いたい。
#18
○政府委員(藤田巖君) 見通しの問題になりますとなかなか判断がむづかしいのでありますが、関係筋に話をしたときの経過を申上げたいと思います。
#19
○委員長(木下辰雄君) 速記を止めて……
#20
○委員長(木下辰雄君) 速記を始めて……
#21
○矢野酉雄君 只今水産局長のお話を伺つたのでありますが、私はそういうような交渉でも、例えば運輸省との交渉においても、或いは商工省との交渉においても、これは政務次官は特に政治的立場から、一層眞劒にお聽き願いたいと思います。事務当局が折衝しても、結局それは摩擦を多くし、そのギャップを深めるという結論しか生れないと思う。そういう事務的交渉をやらせる方法を第一手段としてとるべきかむしろ初めから政治的交渉をやつて、それから後に事務当局の事務交渉に入らしめるか、或いはGHQとの問題においても、いわゆる実際の農林行政を主管しておる大臣が、政治的立場において我が政府の所信を訴え、そうしてGHQの占領下における農林行政として、これが適当であるかどうか、サゼッション或いは指導をお受けするというような、政治的交渉を起すか、水産局長等を派遣して事務的交渉をやつて、それから後政治的交渉に入るか、こういうことについてのもつと眞劒な御檢討を必要とすると私は思うのであります。一旦事務当局においても、或いは関係当局との交渉においても、暗礁と見えるものに乗上げてから、そうしてこれを打開するということは非常に困難なことであります。これは一農林省でなく、あらゆる点において、政務次官は閣議にも或る場合には発言権を有せられると思いますが、現内閣の態度において、一つ重大な問題として御檢討願いたいと思います。
 それからこの機会に、幸い商工省の繊維局長もお見えになつておりますので、いささかお尋ねを申上げたいと思いますが、今まで無い中から重大なる水産業を開発するために、漁網その他いろいろの纎維類を、恐らく國家としてできるだけのマキシマムまでいろいろ配給をして頂いておることに対して敬意を表するのでありますが、いよいよ水産廳ができるような場合に、主管せられておる纎維局の、或いは漁網或いは麻繩、その他一切の資材関係に関する行政と主管事項というものを水産廳に快く移讓される、いわゆる行政事務当局としての腹をお持ちであるかどうか。客観的立場から考え、又商工省の立場から考えて見て、水産廳の方に移讓することが國家の主要食糧を増産するために必要であるというような積極的肯定の意見を持つておられるか。或いは消極的否定的意見を持つておられるか、どうか。國家重大の秋でありますから、一つ率直に御意見を御発表願いたいと思います。
#22
○政府委員(鈴木重郎君) 商工省といたしまして、この食糧問題解決の重要一部門であります水産増産の問題につきましては、私からお答えするまでもなく、全面的に重点を置きまして、漁業用の資材の確保に当つておるわけでございます。
 私の担当いたしておりまする纎維製品の中におきまして、特に関係の深いのは漁網及び漁網糸でございまするが、これらに対しまする資材の配当は、御承知の通り大きな全体の枠といたしましては、現在は経済安定本部におきまして、漁業用の資材、例えば棉花ならば棉花、麻ならば麻の枠が決定されるわけでございますが、これを漁網若しくは漁網糸といたしまして、直接漁民の手に渡りまするまでの措置といたしましては、これの現物化竝に生産について、私共の方において重点を置きまして取扱つておるわけでございます。
 大体のやり方は御承知かと存じますが、先ず全体といたしましての、仮に棉花について例を申上げますれば、棉花の枠が決まるわけでございまして、仮に一期一万梱という枠を決定されますとこれを漁網用の糸にまで全部仕上げるために各紡績工場或いは撚糸工場に持つて行きまして、それぞれの工程を経まして糸にするのであります。この糸になりましたものを御承知の通り漁網を編むところの工場に配当するわけであります。今お話のございましたように、漁網そのものの漁業会或いは漁民に対する割当は、すべて農林当局の指図によりましてそれぞれ割当が決定せられるわけでありまして、この割当られました漁網の註文はそれぞれ漁網工場において、どこの漁網工場でもその割当られた切符によつて註文を受けまして、大体において註文生産をいたしまして、そのでき上りました網を引渡すというようなやり方でございます。ただ從來は御承知のように、これらの漁網工場におきます能力も不十分でございましたので、これは農林当局とも十分に御相談いたしまして、いかなる種類の網を造る設備を増加すべきかという点につきましても御相談いたしましていわゆる漁網工場の整備拡充計画を編成いたしまして、着々その線に副つて進んでおるわけでございます。ただ本年の初めから大体春頃までは、その工場の能力も不十分でございましたのでむしろ割当てた糸が網にならないというような結果でございましたが、その後は相当に工場の整備もできまして、現在のところでは安定本部の割当てる糸がすべて網になつて漁民に渡るわけでありまして、生産能力といたしましては、むしろ糸の割当が足りないというようなところまで現在のところは整備されて参つておるわけであります。
 ただ商工当局といたしましては、今申上げましたような経緯によりましてわれわれといたしましては割当られたこの漁網が一日も早く生産されて漁民に渡ることが先決問題でありましてこの紡績にかける糸、紡績に配当する棉の問題、或いはこれを漁網工場に配当する糸の割当というような手続よりも、むしろ早くこの造り上げたものを速かに渡すことに重点を置いておるわけであります。現在のところは、私共もこの水産重点主義につきましては何ら異存を持つておるわけでございません。今申上げたように、できた糸は直ちに漁網工場に渡り、漁網工場は農林当局の割当てた切符によつて速かに生産して現物化するようになつております。
 ただこの行政につきまして、いろいろと御意見もあるやに承つておりますが、要はこれらのその漁網工場の監督指導の行政若しくは漁網の生産行政というものを水産廳の水産行政と一元化するかどうかという問題にあるやに察せられるのであります。現在のところでは、今申上げましたように、漁網工場の生産確保をいたしますためには、どういたしましても根本は糸の生産であり、その糸は漁網用の糸或いは漁網糸に適する糸の生産でありますが、これらはすべて棉花から紡績工場を経てそこで生産するわけであります。又漁網工場におきましても單に漁網ばかりではなくして、他の漁網も沢山生産をいたすわけであります。又多くの場合に撚糸工場がこれに從属すべきでございまするが、漁網用の糸は多くの場合この撚糸工場にこれを配当し、漁網用の撚糸にする必要があるわけであります漁網生産の確保をいたしまするためには、少くとも一つの原料関係だけから見ましても、棉花から綿糸、或いは漁網工場における一貫した一つの原料の確保の行政を持つことが必要であるわけであります。これらは他の一般の纎維工業との関聯におきまして、むしろ繊維当局においてこれを一貫司掌し、漁網用の糸、或いは漁網にでき上りましたものを速かに現物化して、これを心要方面に入手させるということが最も心要であると考えるのであります。仮に漁網工場を前に申上げましたような意味でこれを水産廳に別に切離しますると、糸の行政、撚糸の行政、或いはそれに関聯する他の糸、或いは他の織物等との行政がここに分化いたしまして、水産方面の漁網用撚糸の確保が却つて阻害をされるような点が出ては來ないか。むしろその点はそれぞれの司掌業務に應じまして、安定本部の割当に從つて関係方面の全面的な協力によつて進むことが、原料資材の確保に有利であるというふうに私共は考えておる次第であります。
#23
○矢野酉雄君 今の商工繊維当局の意向は十分それで意を盡して分りました今日は時間がありませんので、その批判的意見は差控えますが、折角お出でになつておりますので承りたいと思います。私は昨日安本長官の和田君といろいろな國家問題について語りましたが、本月末を以て新物價体系によるところの、その範囲に属する物價は全部出揃わせる根本方針が決定したそうであります。これは遅かつたのですけれども、國家のため一日も早かれと念じておつた私は非常に喜んでおる次第であります。まあそういうような一つの見通しもある関係でありましようが、今繊維当局は漁網を心要なる……心要どころじやない、熱望しておる、水産業界の要望に拘わらず、その漁網の値上りを見通して官廳自体がこれを出さないように抑制しておる傾向やに聽くのであります。これは得てして大藏当局が酒類やその他專賣事業の品物の値段を上げる前に、相当これを抑制して市場に出さない。市場に出さないというのは、國民の熱望に應えない非民主的なやり方である。ただ國家の租税の収入を上げるといようなことに執著し過ぎておるやうに見受ける。殊に漁網のごときいろいろと当局は新工夫をされるかも知れませんが、統制、マル公の配給制度の機構を御改正になる度に私たちの食膳からは実は魚の姿は消えて行くばかりであります。実に残念至極である。私は水産委員として出張して一昨日帰りましたが、もうこれで足掛け四日、本当に一切れの魚も現に……世田ヶ谷一丁目の住人でありますが、配給を受けていない。そういうようなものは政治上の一つの失政の然らしめるところである。いわゆる政治の失敗の然らしめるところであるが、若しそれ海から直接取る絶対に必要な漁網なら漁網の値上りを見通して、これを熱望しておる水産業者に対してその配当を怠る、抑制するというようなことは、いわゆる主食と同位に位すベき魚介の収獲をそれだけマイナスするということになる。これは実に不都合千万なことである。これこそ一つの各省官廳の割拠主義、官廳利已主義の私は非常な弊害であると思う。こういうようなことこそ近來の陋習であつて、徹底的にこれは清算せらるベき運命に置かれておると私は考えておる。そういうような声が実際の業界から私の耳に達したのですが、これは一片の風聞に過ぎないかどうか、繊維局長の責任のある御挨拶を願いたいと存じます。
#24
○政府委員(鈴木重郎君) 商工当局といたしましては、價格改訂の場合におきまして、價格改訂を見通して、業界が生産されたものを賣惜しみをするということにつきましては、極力あらゆる方法をとりまして、配当割当の終りましたものに対する出荷督励に当つておるわけでありますが、御指摘のように、具体的にどこの工場にこういう事実があつたということは私は目下は聞いてはおりませんが、実際問題としてあることは想像に難くないのであります。現に、これは必ずしも漁網の問題ではございませんが、全般の問題といたしまして、例えば紡績工場は糸の出荷を差控える、織物工場はでき上つた織物を差控えるというような事実があることは、全般的に統計の上に現れて参つております。本來生産割当をし、それに対する出荷計画を持つておるわけでありまするが、今囘の價格改訂を機にいたしまして、例えば七月改訂されるということでありますと、七月の当時においては、相当に出荷が減退しておるということは事実でございますこの点は誠に遺憾なことでございまして、いろいろの方面を通じまして、出荷督励には当つておりまするが、結果といたしましては、今申上げたように統計的に出荷が遅れていることは事実でございます。
 尚漁網の方面の原糸の配給につきましては、これは配給機構の問題も関聯がございまして、從來配給しておりました割当制度が、今囘の新らしい切符制度による切替の関係もございまして一時糸商の持つておりまするものの出荷を停止をいたしました。これはただ整理の関係上、暫定的に停止をいたしたのでございまして、その後今囘の新らしい制度も制度として実施を見ることにいたしましたし、尚漁網増産のためには、速かに原糸を渡す必要もございますし、尚又これに対する割当も決定をいたしましたので、速かにこの漁網工場に対する割当を決定し、糸商の持つているものの出荷をするよう今月の上旬に指令を出しましたが、從來出荷を停止したものを解除いたしまして速かに漁網工場への出荷を指令をいたしました。尚今般の價格改訂もございまするが、漁網の緊急生産につきましては、特に関係司令部方面からも、漁網の方に対する原糸の配給を速かに充足するようにという指示はありましたそれからも業界に徹底させまして、出荷を督励、実施しております。
#25
○江熊哲翁君 今の繊維局長の御説明は、まあ役人としては至極御丈もの御説明だと思うのですが、実情は矢野議員が指摘した以上に、業者は絶対に漁網糸を渡さない態度を執つておる。私は一應委員長にお願いいたすことは、この前の小委員会であつたかと思うのですが、重要なる漁網工場の調査班を組織して、徹底的にこの非を摘発して適当なる措置を講ずる。そうしなければ今日の漁業生産は覚束ないということを或る議員から言われたというふうに記憶したしております。このことに対して委員長は今の繊維局長の御説明を聞いて、想い合せていかにお考えになるか。実際そこまで我々は行かなくちやならんのじやないか。政府としてはすでにいろいろ処置を講じたとおつしやる。業者たちはそれは馬の耳に念佛で平氣であつた。而も今日最も重要な水産食糧の増産という面に影響のある、その方の実際の仕事は、資材関係において行詰つてしまつておるという事実に直面しておるのでありますから、そこで委員長としてのお氣持を伺いたいと思う。この前、議員からああいう要求もあつたようでありますから、私たちはこの際今少しはつきりと突進んだ仕事をしなければ、漁民に対して申訳ないと思う。
#26
○丹羽五郎君 今日は幸い繊維局長も來ておられるので、私は一應お尋ねしたいのは現在製網工場は全然僅かな被害を受けておるだけであります。ただ戰前製網工場の機械を、戰爭目的の軽工業に換えたということがありましたが、今日ではその轉換を又再び製網工場に還元している。而も戰災における工場の被害割合というものは、他の生産工場から見たら極く軽微な割合になつておるように私共調査して考えておりますが、そうすると日本の國の製網工場は、ここに儼然として備わつておる。これに僅かな原糸を與えたらここで私は相当網ができると思う。今日日本の國には製網工場はあり余つておる。あくびをしている。原糸をやらないから他の仕事をやつておるしいう工合で、私はこの場合國家として、今政務次官も申された通り、蛋白質を國民に食わさなければならん、現在の千二百五十カロリーにおいては國民は起てないのだ、それを殖やすにはどうしても蛋白質を與えなければならん、それが魚が主食の中に入つた原因であります。私はこの場合に特配というようなことで繊維局からこの網にやるべき原糸を少し多く出して貫つたならば、ここで漁民の網はある程度潤いがつくのじやないかと考える。ただ現在與えられる原棉の中で輸出ということがあります。輸出に対する裏附物資として繊維製品を造らなければならんこともあろうとは思いますが、そこを何とか聯合國に要請して、原棉の輸入と輸出の割合を少し待つて貰つて、これに流して貰つたならば、工場があり人手があり原棉を少し渡して頂いたならば、現在日本の國に使うべき漁網というものは九〇%私は完備することができやしないかと考えますが、そういう方法ができないものか、局長から一應はつきりお尋ねしたい。
 それからもう一つ、今この水産廳に対して棉糸の割当行政権を與えることは、却つて一害を生むというお話がありましたが、漁業には漁期がある、鰯が來ない折に鰯網を持つて行つたつて何ら效用をなさん、こういうことが水産廳ならばその事毎にマツチするようになる、水産廳に仕事を移管して貰いたい、これが水産廳設置に対してのすべての意見であろうと考えておりますまだ現在いろいろ聞いておりますのに相当含蓄あることがあつて、都合によつては水産廳へ渡してもいいような、言外に含みのあることも出ましたのでその点はいささか意を強うする次第でありますが、是非とも皆の委員の本当の血の叫びであることをお聞きになるならば、私は奮然として今日只今からでも水産廳に渡すべきものだということは、繊維局長としてもはつきりお分りになつておることであろうと、私は確信しておる次第であります。今お尋ねするのは、少くも輸出製品に対する幾分の原棉をこちらに與えたならば、私は九〇%の製網ができることを、ここで局長に一つお尋ねをして局長のお答えを得たいと考えております。
#27
○政府委員(鈴木重郎君) 第一の現在の漁網の生産能力の問題でございますが、これは今お話もございましたが、その点はいささか事情は相違しておりまして、これは漁網生産能力に非常な不足を來しておつたのでございます。本年の初め頃から漁網工場の整備を着着と進めて、資材の優先的配給或いは漁網織機の増産等に力を注ぎまして最近におきまして漸く必要な設備が整備しつつあるのでございます。尚現在でも日を追いまして建設の途上にあるわけでございます。本年の初め頃に比べますと、現在は約二倍ぐらいの能力になつておりますが、尚更にこれをもう少し拡充いたしたい。細かい数字は今持合せてございませんが、その程度に整備いたす予定でございます。固よりこの漁網の中におきましても、比較的重い太目の網は相当余力があるのでございますが、何分にも割当が少い関係上、比較的軽い細い網を希望される向きがあります。これは生産方面の能力に制限があつたわけでございます。從つてそういう方面の織機、蛙股、本目もじりそれぞれの織機を整備いたすことにいたしまして、現在作業を進めております。固よりこれらの漁網生産工場の整備計画につきましては、申すまでもなく農林当局と十分に御相談いたしまして、いかなる種類の織機を増加すべきか、どういう種類の網を作るべきか、十分な聯絡の上、これらの工場の整備をいたしておるわれでございます。從つて現在、先程申しました通り、糸はその能力に対してもう少し増産はできる状態でございますが、この漁網用に振向けらるべき糸、即ちその元である棉につきましては、安定本部を中心といたしまして、司令部から國内用に使用すべき、國内に放出せられるべき輸入棉花の許可を得るわけでございますが、これは御承知の通り現在のところ主として輸出に重点を置いております関係から、從來は、この第二・四半期迄に、昨年の七月以來に入つて参りました棉花につきましては國内の紡績し得た数量に対しましては、その二割だけが漸く國内用に放出されておるわけでございます。大体一期に僅かに一万八千梱だけが國内用に放出されておるわけでございまして、あとは輸出用でございます。その一万八千梱の放出の中で、昨年はやや少のうございますが、本年の一月、三月の間から四月六月というようなときに、一期に一万梱ずつ配当を漁網用にされておるわけでございます。相当その点は重点を置きまして、この漁網用の棉花確保に当つておるわけでございます。尚更にこれを増加いたしたい。國内用の國民の衣料の関係もございますし、或いはタイヤ、コード、或いは電線テープ生産の資材もございますので、國内の事情からいえば、もつと多くの許可を必要とするのでありますが、いろいろの関係からこの許可を得ておりません。尚この國内放出の増加につきましては、安定本部或いは商工省或いは農林省当局等とも御連絡をいたしまして強く懇請をいたしておるのであります。現状はこういう事情でございます。
 從いまして現在の能力を一杯を動かしましても、漸く一期一万梱から一万二、三千梱しか消化できないわけでございまして、実際の需要量から申しますれば、一期二万梱、これは少くとも要るわけでございます。更に現在のところは尚長い間配給が杜絶しておりまするので、差当りは特に需要が多いのでありまして、少くとも一期二万梱くらい必要である、こういう考えでございます。特に今農林当局の御要求だけの数字をざつくばらんに申上げますれば、現在では平均して参りますれば二万梱から二万五千梱であります。こういう差当りの需要を充たし得るものとしては、一期四万梱くらいの需要があるわけでございます。それに対しましてはいろいろ原棉の関係もありまして、今申上げましたような状況でございます。
 尚漁期と生産の状況でございますが今申上げましたような状況でありまするので、固より品種別にいかなる網がどういう時期に要るかということにつきましては、これは飽くまでも現在農林当局の割当になつておりまして、先程も申上げた通り、その割当に從つて業者の御希望に從つて注文生産をいたしているわけでありますので、その点は漁期或いは需要者等の都合によりまして適当に生産をされる。從つて今後我々の方から漁網工場に原糸を配給いたしまする場合にも、そういう農林当局の割当られた切符による注文によつて、これを加工生産するということで見込生産、勝手な生産をいたさないようにいたしたいと考えております。
 尚先程他の方から御質疑のございましたストツクがあつて而も割当があるに拘わらず出荷をしない、この問題は私共としても当然十分監督指導いたしておるのでございますが、今後も今囘施行いたしました新らしい切符制度はそういうことの弊害を全部排除するのを目的といたしておるのであります。從つて今後におきましては、仮に割当の切符を持ち、而も注文された製品ができておるに拘わらず出荷をしないという場合には、当然法規上の処罸もあるわけでございますし、場合によりましては今後における生産割当の停止と申しますか、そういうふうな手段も場合によつては考えておるわけでございまして、今後はこの工場に割当られた数量、生産されておりまする数量というものを極めて明確に公表いたし、それに対して賣惜みができないことになりましたのは、繊維製品の配給規則はその点を狙つて施行いたしたのでありまして、今後も仮に品物があつても渡さないということがございましたら、当然法規上の制裁も受けるわけでございますので、この点は一面監督指導と併せまして、これらの法規の嚴格な施行を図りたい、こう考えておる次第でございます。
#28
○千田正君 大分お話を伺いましたが緊急にお願いしたいというのは、丁度井上政務次官並びに水産当局、商工当局もお見えのようでありますので、実はこのたびの水害に関しまして、水産関係の点について特にお願いしたい件がございます。というのは関東は勿論のこと、東北におきましても第三囘目の被害でありまして非常な被害を受け現実においては農民は施す術もなく、茫然として明日の食糧をどこから得るか、どこからも入る方法がないので誠に困つておる事情でありまして、隣縣の各方面に頼みましたところ、これは農林当局、いわゆる水産当局の指示があれば、臨時処理として鮮魚或いは塩干魚その他のものを特別配給ができる方法があるけれども、未だ当局からの指示はない、而も農民は食糧もない、こういう状況でありますので、是非これは関東並びに東北のこの度の水害に際しましては、特別の臨時処置を講じて頂いて、枠の点を……隣縣若しくは北海道のような所から特別処置を講じて頂きたい、この点を特にお願いしたいと思います。
 尚繊維局長にお願いしたいと思いますのは、これは私の手許に入つておりますのは、茨城縣だけでありますが水産関係だけでも二億一千五百万円という損害の見積りであります。而も定置漁業におきましては百三ヶ統が流れてしまつてもうない。漁船は百八十三隻。或いは「かき」の養殖地、こういうものがこの度の水害によつて殆ど壊滅に帰しておる。こういう状態で、漁場は漁場において、食糧もなく、漁をすべき材料もない、資材もない、こういう非常な態勢に陥つておりますのでこの際特別なる臨時処置を講じて頂いて、水産関係におきましては、漁網若しくはその他の資材の点について特にお願いしたい。この点の臨時処置を特に当局にお願いして置きたいと思います。
#29
○政府委員(井上良次君) 今囘東北並びに関東の水害によりまして、災害地の縣民の方々が非常に大きな被害を受けられまして、このために地元の被害に対應して政府といたしましては、それぞれこれに対する対策を緊急に立てておりますが、何分被害地域が非常に廣いのと、それから交通その他が非常なる損耗を受ましたために、思うような救援の手が延ベられんために施策が徹底しないことを誠に遺憾に存じております。併し政府といたしましては、食糧その他いろいろな手当を加えております。ただ関東地方に対しましては、それぞれ救援物資を送り、又東北地方に対しましても、必要に應じてやつておりますが、海産物及び加工水産物等につきましては、例えば岩手縣、宮城縣のような地域につきましては、この地域から生産されます海産物は、これを主として今まで関東地方に輸送をしていたのでありますが、輸送ができん関係上、地元でこれを消費いたすことになつておりはしないかということと、それからいま一つは、若しそれさえうまく行かない場合は、非常処置といたしまして、北海道地方の加工水産物なり、冷凍魚なりをこれらの地域に一時急送する手当をいたしていいと考えておりますから、具体的のことをお示し願いましたならば、直ちに具体的にその地域に向つて手当をいたすことにいたしますから、あとでお示しを願いたいと思います。
#30
○丹羽五郎君 もう時間も参りましたから、最後に一言ちよつと申上げて自分の質問を打切つて置きたいと思います。商工大臣の水谷君は清濁合せ呑むといつた雅量を持つた人で、炭鉱の視察に対しても、褌一つの裸になつて炭鉱視察をするというような人でありますから、恐らくこの水産廰設置に対して、農林大臣から話をして行けば、もうぼんと胸を叩いて、一遍に問題は解決するだろう、かように考えておるわけであります。繊維局長にも先から申上げたごとく、矢野委員その他の委員から水産廰設置ということは、國家の現在の國策上、最も大切であるということを力説しておるので、今日は本当に我々漁民を代表しておる声を今聽いて頂いたので、釈然として今日までの考えを直して行くだけの雅量のあるお方だと、僕はかように深く信じ且つ考えておりますが、尚この水産廰設置問題に対して水産局長とは学生時分からの同僚であるというようなことも非常に何かの不思議な縁だとも考えておりますので、お互いに隔意のないところを、いいところを、そうして一日も早くこの水産委員会の要望しておる水産廰設置に対しては理想的なもののでき上るように、特に繊維局長の盡力をここにお願いしまして、私の質問を打切る次第であります。
#31
○委員長(木下辰雄君) 先に江熊君の委員長に対して質問された点についてお答えします。資材の小委員会においてその問題は善処することになつておりますからして、さように御了承を願います。もう御質問はありませんか……。それでは本日の委員会はこれを以て閉会いたします。
   午後三時五十二分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     木下 辰雄君
   理事
           遠山 丙市君
   委員
           大畠農夫雄君
           丹羽 五郎君
           松下松治郎君
           加藤常太郎君
          前之園喜一郎君
           青山 正一君
           岩男 仁藏君
           江熊 哲翁君
           三好  始君
           矢野 酉雄君
           千田  正君
  政府委員
   農林政務次官  井上 良次君
   農林事務官
   (水産局長)  藤田  巖君
   商工事務官
   (繊維局長)  鈴木 重郎君
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト