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1972/03/02 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第5号
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1972/03/02 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第5号

#1
第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第5号
昭和四十八年三月二日(金曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 佐野 憲治君
   理事 菅波  茂君 理事 登坂重次郎君
   理事 林  義郎君 理事 小林 信一君
   理事 中島 武敏君
      小澤 太郎君    大石 千八君
      田中  覚君    中山 正暉君
      橋本龍太郎君    村田敬次郎君
      岩垂寿喜男君    岡本 富夫君
      坂口  力君    小宮 武喜君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 三木 武夫君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       城戸 謙次君
        環境庁企画調整
        局長      船後 正道君
        環境庁自然保護
        局長      首尾木 一君
        環境庁大気保全
        局長      山形 操六君
        文化庁次長   清水 成之君
 委員外の出席者
        行政管理庁行政
        監察局監察審議
        官       笹倉 三郎君
        厚生省薬務局薬
        事課長     松田  正君
        農林大臣官房審
        議官      須賀  博君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
三月一日
 公害防止の抜本的対策に関する請願(松本忠助
 君紹介)(第八四一号)
 PCB公害緊急対策に関する請願(不破哲三君
 紹介)(第八四二号)
 瀬戸内海の環境保全のための特別措置法制定に
 関する請願(江田三郎君紹介)(第八九〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公害対策並びに環境保全に関する件(公害対策
 並びに環境保全の基本施策等)
     ――――◇―――――
#2
○佐野委員長 これより会議を開きます。
 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本龍太郎君。
#3
○橋本(龍)委員 きょうは環境庁長官、また文部省、文化庁のほうに主として質問をしてみたいと思います。
 実は、環境庁が設立されました当時の関係者の一人として、私どもが環境庁の創設に際して、なお各省間の権限調整をもう少し十分に行なっておけばよかったと、今日後悔をしておる部分が幾つか残されております。たとえば水質汚濁と港湾指定の関係でありますとか、あるいは下水道と生活環境廃棄物関係の行政の一元化でありますとか、私どもとして、当時環境庁発足の時点において、環境庁にその機能を集約をしておけばよかったと、今日後悔をしておる部分が実は幾つかあるわけであります。
 そうした中の一つに、当時厚生省の国立公園部を環境庁に移転をし、同時に農林省のほうから、従来の鳥獣保護行政というものを、保安林の一部の権限とともに自然保護局に集約をした時点で、文化財関係の天然記念物と自然保護の関係の調整というものが当時一つの懸案となりながら、環境庁発足の時間的な制約によりまして、論議をほとんど詰めることができないままに今日に至りました。今日、自然保護に関連した法律の、たとえば鳥獣保護法でありますとか特殊鳥類規制法、自然環境保全法、自然公園法、それぞれにすでに環境庁が所管をし、自然保護行政に当っているわけであります。文化財保護法の中に、いわゆる動植生の中で、天然記念物として残されておるものがまだ相当部分あるわけであります。文化財保護法の第二条の第一項四号、文化財の定義として示されておるものが具体的にはそれに当たるわけであります。これが実際の行政の上においては必ずしも有効な結果になっていない。わが国の自然保護、先祖伝来伝わってきた動植生の保護を後代まで続けていく上においては必ずしもプラスとは考えられない。そういうケースが実は多分に見られるわけであります。
 本年予算編成時期におきまして非常に世間で大きな話題を呼びました、たとえばタンチョウの例一つをとってみても、この二重行政の欠陥というものは実は如実に出されておったわけであります。幸い現田中内閣において環境庁長官の任にあられる三木国務大臣は同時に副総理として閣内の重要な責任をも持っておられます。私は三木大臣の御在職中に環境庁発足当時の制度のおくれを取り戻すだめに、この文化財保護法と自然保護との調整というものをぜひやり上げていただきたい。初代の山中長官、二代の大石長官、三代の小山長官、それぞれに自然保護に取り組まれながら、一つの壁にぶつかってこられた。これが原因でもありますだけに、将来を考えればぜひともこれを解決をしていただきたいと考えるわけであります。以下、私はそうした基本的な考え方に基づいて幾つかの質問をしてみたいと思います。
 環境庁では昨年、日米渡り鳥保護条約を調印をし、さらに今回は日ソ間において渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の保護をはかるための条約というものを結ぶべく両国間の専門家会議を持たれ、環境庁の大井参事官等がソ連側の専門家と十分な話し合いをしてこられておるようでありまして、国際的な協力体制のもとで積極的にその保護をはかろうとしておられるわけでありますけれども、これらの鳥獣保護行政と文化庁の記念物の中の天然記念物行政というものは、各種の面で二重行政という状態を来たしていると私は思うのであります。この点については私は、それはそれぞれ省庁ともに言い分はおありだろうと思います。これはそれぞれ事務当局からでけっこうでありますが、環境庁また文化庁それぞれの立場、どのような観点で行政を行なっておられるか、まずそれを最初にお答えを願いたい。
 先に申し上げておきますが、持ち時間が四十分でありますから、簡潔に御回答をお願いいたします。
#4
○首尾木政府委員 環境庁といたしましては、鳥獣保護の問題は、これは鳥獣が自然環境の一部をなすものであるというような観点から、特に人間の環境を豊かなものとして守っていくという観点から、鳥獣保護行政というものを強力に推進していこうと考えておるところでございます。
#5
○清水政府委員 ただいまの点でございますが、文化財保護法の観点からのお尋ねでございますが、これにつきましては大正年代からの沿革の問題もありまして、文化財保護法におきましては、先ほど先生が御指摘になりました二条の第一項四号にございますように、学術資料として価値の高いもの、こういった観点から行なっておるわけでございますが、御指摘の点につきましては、環境庁設置法の段階におきまして、文化財保護法を改正いたしまして、その間の調整をはかっているわけでございます。
#6
○橋本(龍)委員 いま文化庁次長からお答えがありましたのは、おそらく六十九条の第六項、また七十条の第二項、これをさしておられるのだろうと思います。それなら具体的な例として、ことしさんざん新聞の紙面をにぎわしましたタンチョウの保護、これを例にとってみましょう。それこそ非常にめでたい鳥として、日本の昔からの一つの瑞兆とされてきたタンチョウの保護というものを、一体どういうふうに保護しようとされているのか、両庁ともにお答えをいただきたい。
#7
○首尾木政府委員 先ほども申し上げましたように、環境庁としては、鳥獣保護の問題を環境問題の一環としてとらえて、これを守っていくという観点に立っておるわけでございます。したがいまして、そのような観点から、タンチョウの保護につきましても、まずその生息環境を保全するということが最も肝要な問題だろう、かように考えておるわけでございまして、このような問題は非常に緊急を要しますので、来年度、タンチョウの生息地のうち、釧路方面の湿原につきまして、湿原全体の生態系の実態と、特に開発が湿原に対してどのような影響を及ぼすかということについて調査をいたしまして、その調査結果に基づきまして、タンチョウも含めた湿原全体の保護をはかる、こういうような考え方で対策を今後考究してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#8
○清水政府委員 タンチョウの点でございますが、御承知のように、昭和二十七年にトウモロコシの給餌によります増殖が若干成功いたしまして、それ以来私どものほうといたしましては、給餌それから給餌施設並びに人工増殖の点につきまして力を入れてまいっておるところでございます。
 今後の点についてでございますが、先ほども環境庁からお話がございましたが、現在の生息地でございます釧路のほうにおきましては、ジェット機の騒音によりましてぐあいが悪い、こういう事態が出てまいっておりますので、この増殖施設をほかへ移しましてこれの保護をはかっていきたいということで、ただいま御審議中の予算に計上しておるわけでございます。
 なお、あの鳥の減少原因の一つといたしまして、いろいろ高圧線にひっかかって死ぬ、こういうような事態もございます。これは釧路原野の調査の結果そういうことが判明してまいりまして、電力会社等とも相談をいたしまして、いろいろな色のテープを電線に張っていただいて識別をいたしますとそれにひっかからないというような生態があるようでございますので、そういう点を講じていただいておるわけでございますが、主といたしましては先ほど申しましたように、今後湿原地帯またそれの生息地域を移す事業が釧路市のほうで計画をされております、それを助成してまいりたい、かように考えております。
#9
○橋本(龍)委員 環境庁のほうの基本的な考え方は、タンチョウそのものを含めて生息地域全体の保護をはかってまいりたいというふうに理解してよろしいですね。
 文化庁のほうのお話は、人工飼育を中心とした増というものにウエートを置かれておられる。これは文化庁文化財保護部監修「天然記念物事典」という、文化庁のたいへん自慢にしておられる御本であります。この三七、八ページにタンチョウの話が出ています。ところが、先ほど言われたトウモロコシの給餌の結果、ある程度増加をしてきたものが、二百羽を境に再び増加の勢いがとまった。同時に繁殖地域が拡大し、放散の傾向を示してきた。言いかえれば、現実に、こうした鳥獣を保護しようという場合には、その生息地域そのものを保護しなければ意味をなさないということが、この中でわざわざ「主要な繁殖地である釧路湿原は、別に天然保護区域として指定されている。」というようなことにもあらわされて、実は文化庁自身の監修で出された本にも記載をされております。これも実はたいへんおかしな話だと思う。人工飼育については文部省がおやりになる。生息地域全体の保護は環境庁がおやりになる。ずいぶん妙な仕分けのしかただと思います。これは実際の例ですから、それだけを議論するつもりはありません。ただ、動植物のように生きているものの保護をしようという場合に、人工飼育というのは一つの方法でしょう。世界的にそういう方法がとられていることも私は存じております。しかし、それ以前に、実は本来の生息環境の保全をはかることが第一であります。不法な捕獲でありますとか、そういうような行為を取り締まることが必要であります。そうしたものを離れて実は動植生の保護というものはあり得ない。これは私は文化庁としても御異論がないところだと思う。ところがいま、これはたいへん失礼でありますけれども、文化庁では天然記念物というものを記念物課の所管としてまとめておられるようであります。文化財保護法の書き方一つを見てみましても、「史跡名勝天然記念物」と書かれているとおりに、いわゆる仏像であるとか古墳であるとか、無生物を対象とした行政、物の行政、それと同時に、動植生の保護というある意味では二律背反の要素を持ったものが一つの課内にまとめられて作業が進められておる。これは私どもが見ておりまして、文化庁にはたいへん申しわけないが、むしろ文化庁の行政というものは、従来から物の観点のほうにウエートが非常にかかっていたのではないか、実はそういう気持ちが私はします。記念物課の四十七年度の予算に占めている、また四十八年度予算に占めるであろう天然記念物関係の予算の比率は一体どんなになっているか、これをひとつお知らせいただきたい。
 また、鳥獣保護の取り締まり体制というものは、そのための特別司法警察権を千人余りの県職員に持たせて、非常勤の鳥獣保護員を二千三百人置いているにすぎないし、私は、環境庁の行政そのものも決して十分だとは思えませんし、また現実に問題が起きていることも事実でありますけれども、記念物課の所管しているものの中で天然記念物の保護、動植生の保護の行政についての具体的な取り締まり体制というものは一体どんな配置になっているか、同時に、これは鳥獣保護行政のほうの観点からお尋ねをいたしますが、これらの取り締まりの関係者というのは、天然記念物の不法捕獲については一体取り締まりの対象としての権限を有しているのかどうか、これらについてそれぞれお答えをいただきたい。
#10
○清水政府委員 最初に記念物課の予算でございますが、四十八億でございます。この中には三十億の史跡買い上げ費を含めて四十八億でございます。そのうち天然記念物関係が八千万でございます。予算的には以上でございます。
 それから、管理体制等の点でございますが、文化財保護法によりまして、こちら側には何と申しますか、警察権的な取り締まりの権限はございません。そこで、天然記念物また文化財の管理体制の基本といたしましては、所有者が管理をするということが原則になっておるわけでございます。それの所有者による管理が適当でないとか、あるいはどうも離れていてぐあいが悪いというような場合に、管理団体を指定をしまして、その管理団体がまず管理に当たるというのでございます。
 天然記念物、特に動植物の場合におきましては、これは所有者に、と申しましても、土地の所有者ということにはまいりませんので、管理団体を県なりあるいは市町村という地方団体にお願いをしておるわけでございます。そこで、管理団体といたしましては、法にもございますように、いろんな標識をつくるとかというようなこともございますが、また見張り、監視員を置くということも管理行為の一つとして考えております。
 ただいま例にあがっておりますタンチョウヅルの場合でございますと、監視員が十人ということで、これに助成をただいまいたしておるのでございます。
 それから、一般的に、先先の御質問に対しましては、御指摘のとおり必ずしも十分ではないということは、これは私ども反省をいたしております。
 そこで、先ほど来申しております管理行為の一環としての見張りとか、たとえば白馬連山高山帯におきましてもそういうことをやっておりますが、そういうことの充実について努力をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
 なお、最初の質問に対する答弁にちょっと舌足らずの点があったと思いますので、補足をさせていただきたいと思うのですが、タンチョウヅルの場合におきましても、御承知のとおり二条の四号にございますように、鳥そのものと同時に生息地も含めて指定できる体制になっておりまして、ただいまのところは五千ヘクタールを天然保護区域として指定をいたしておる。今度移転をいたしますところは十六ヘクタールを含む人工養殖地、こういう考え方でおるわけでございます。
#11
○首尾木政府委員 お尋ねの点でございますが、現在、鳥類約四百七十種のうちで天然記念物に指定されておりますものがトキ、タンチョウヅル、コウノトリ等三十七種ございます。それから、獣類約九十種のうちカモシカ、カワウソ等の十種が天然記念物に指定をされています。私どものほうの鳥獣保護法によりますと、狩猟鳥獣以外のものについては一切捕獲ができないということでございますので、これによりまして、天然記念物であるといなとを問わず、すべての違法な捕獲等につきましては、先ほどお話しのございましたような司法警察員としての職務を行なう都道府県の職員等によりまして、これを取り締まっておるわけでございまして、同時に、天然記念物にそれが指定されております場合には、これを教育委員会のほうに通報をするというような状態になっておるわけでございます。
#12
○橋本(龍)委員 これはもう一度確認をさせていただきますが、記念物課の予算増額、四十八億のうちで天然記念物に充てられているものは八千万、これは間違いありませんね。四十八億の中の八千万。
 それから、文化財保護法の定める見地からの天然記念物保護というものについては、もちろん都道府県の教育委員会等を通じ、あるいは管理者あるいは管理団体を定めてその保護に当たってはいるが、司法警察権は付与されていない。これも間違いありませんね。
 環境庁のほうの鳥獣保護員、私は実は正直言って、現在の状況の中ではこの数は足りないという気が非常に強くいたします。これは別に鳥獣保護員ばかりでなく、環境庁のいわゆるレンジャー、国立公園管理員などの数にしても、現実問題としては私は非常に足りないという気が強くしておりますけれども、その数の不十分さはともかくとして、この人たちにはこれらの鳥獣保護に関する限りにおいての司法警察権が付与されている、そして現実には天然記念物の不法捕獲に対してもその司法警察権を発動している。ただし、天然記念物の場合には、その司法警察権を発動して現場での取り締まりは行ないながらも、都道府県の教育委員会のほうに一々御連絡になる、そのとおりで間違いありませんね。
#13
○首尾木政府委員 間違いございません。
 それでただいまの点でございますが、都道府県職員のほうは司法警察権を持っておるわけでございますが、鳥獣保護員のほうは立ち入り権限を持っております。
#14
○橋本(龍)委員 私はいま文化庁の文化財保護部が監修された「天然記念物事典」というものを持っておりますが、なぜ私がこういう質問をしたくなったか、原因を幾つかここで読み上げてみたいと思います。これは私は環境庁長官としてでなく、内閣全体の中で副総理としてのお立場にあられる三木大臣に特にお聞きをいただきたいと思うのであります。
 この「天然記念物事典」というものは、「監修のことば」として文化庁文化財保護部長がわざわざ記載をされております文章からいきますと、従来こういうものは非常に古いものしがなかった、今回こういうものをつくったのはたいへん役に立つ事典だと、非常に自賛をしておられる実は文章があります。ところがその中に、幾つか拾ってまいりますと、先ほど文化庁のほうから生息区域そのものの保護もできるのだという御発言があり、現にそういう保護のしかたをされておる部分がずいぶんあるのですけれども、現実にはそれでは役をなしていないという実例がこの中から一ぱい出てくるわけであります。
 たとえば富士五湖の中のいわゆる西湖、そこの「西湖蝙蝠穴およびコウモリ」という項目を見てまいりますと、「天然記念物の指定によって」従来乱獲のために減少しておったけれども、「一応それは止まったが、今は環境の変化によって急速に姿を消しつつある。」と、この文化庁自身が監修をされた、しかも部長がたいへん自慢をして世間に発表された事典の中に、「環境の変化によって急速に姿を消しつつある。」と実は明記をされております。これは現実の作業というものが、文化庁の御答弁のよしあしとは別に、環境というものによって動植生がどれくらい滅びていくかの実例の一つではないかと思います。
 あるいは岩手県の松川にいるモリアオガエル、これはモリアオガエルそのものは天然記念物として指定をされず、松川モリアオガエル繁殖地として、先ほど次長の御答弁のとおり、繁殖地そのものを指定されておる例がございます。これはわざわざ写真までも出されて監修をされておるものでありますけれども、その最後の部分には「最近、周囲の開発によりほとんどみられなくなった。」と、これも書いてあります。
 あなたの言われる、文化財保護法においても天然記念物の生息地そのものは保護できるのだ、生態環境そのものは保護できるのだと言われるそのものも、繁殖地指定をされたこの実例を一つ見ても「周囲の開発によりほとんどみられなくなった。」これは文化庁の監修されたりっぱな本であります。
 なお拾ってみましょうか。千葉県の十六島のホタルエビの発生地、これに至っては「戦後姿を消してしまったが再発見を期待されている。」これだけ水質汚濁が問題になる今日において、はたして再発見ができ得るものかどうか。私はしろうとですからわかりません。しかし、なかなかそう簡単には再発見を期待されても出てこないのではないかという気のほうがします。
 あるいは島根県の周布川のカワシンジュガイ生息地、「周布川は、寒地性のカラスガイに属するカワシンジュガイの分布の北限として指定されたが、近年絶滅した。」わざわざかっこして(指定解除の見込み)と書いてあります。水質汚濁というもの、河川開発というものと切り離して天然記念物は存在し得ないのです。ただ単に天然記念物に指定して看板をかけて、管理団体としてこの場合には金城町にその権限をお渡しになる、責任を命じておられる。河川の開発というものは、一町村だけの部分でやられるものではない。水域全体が変わっていくのです。「近年絶滅した。」かっこして、なくなってしまったから(指定解除の見込み)と書かれる。はたして、これが生態を保護するといわれた天然記念物行政のあり方なのかどうか。私はたいへん遺憾なことだと思うのです。
 あるいはエヒメアヤメの自生南限地帯、山口県の防府。これは長く書いてありますが、大分県では狩宿の山地一帯で群生して、非常に海岸に接近した小丘陵地帯で美しかったけれども、最近衰滅した、これもわざわざそういう文句をつけておられる。私は、こうした例を拾っていきますと、あまりにもたくさん出てきますので、いいかげんいやになりました。
 トキにしたってそうです。生息地の広大な山林は、別に文化庁として確保されたのではなく、国有林として確保されている。この中にも記載されております。飼育地には各種の施設が整って、自然繁殖と人工増殖とに大きな期待をかけられているといわれています。現実に、トキはほとんど姿を見られなくなった。どこで一羽を見たとか、たった一羽を見たというのがニュースになるくらい、すでに絶滅に瀕しているわけであります。
 こうして見てまいりますと、問題はたくさんありますが、いずれも、結局、文化財保護法によって生息地域そのものが保護できるんだといわれ、繁殖地そのものを指定されても、現実には、周囲の環境の変化によってその種は絶滅していく実例にしかすぎません。しかも、これは皆さんのほうで監修されている。文化庁文化財保護部監修ということで市販をされている。この序文をかりれば、本邦唯一の天然記念物に関しての事典だそうであります。その中から拾っただけでも、実例はこれだけ出てくる。はたして文化財保護法という物と動植生とを一緒にした行政の中で、動植生の保護というものが完全に今後もはかられていくのかどうか、私はどうしても疑問を禁じ得ません。現実にも、先ほど鳥獣保護、監視のところで、あなた自身が司法警察権を持っておりませんと言われたとおりに、管理者、管理団体というものにおまかせになった形で進んでいっております。むしろ環境庁の所管の中にある都道府県の一千名の人たち、司法警察権を持った管理者たちが、現実には天然記念物に指定された鳥獣そのものの保護にも当たっている。しかも文化財保護法と二本立ての法律があるために、都道府県の教育委員会に報告をするという事務上の繁雑さがふえている。私は、こういう二重行政というものはたいへん残念だと思います。文化財保護法そのものの中の七十条の二の第二項、天然記念物の保護をはかるために文部大臣または文化庁長官は環境庁に対して意見を申し述べることができるという項目を、先ほどの御答弁のとおりに環境庁発足の当時挿入されたわけでありますが、これは言いかえれば、天然記念物の保護、自然の保護というものに関し、天然記念物として指定されているものであっても、環境の問題について環境庁の協力が必要だということを、文化庁自身がお認めになったものと私は考えるのですが、そう考えてはいけませんか。次長いかがですか。
#15
○清水政府委員 ただいま非常に御批判をいただいておるわけでございますが、私どもも、いまの状態で十分だというふうには決して思っておりません。先ほども申しましたように、生息地あるいは繁殖地を含めまして、この天然記念物の保護につきまして努力をいたしておるわけでございますが、御指摘のとおり、今日環境問題と切り離して文化財保護法だけで突っ走れるというふうには、なかなか考えるわけにはまいらないと思います。
 そこで冒頭に申し上げましたように、また環境庁のほうからもお話がございましたように、それぞれ観点が違うということは各行政あり得ることでございまして、その間の連絡調整をお互いに緊密にいたしまして、そしてそれぞれの立場に立ちつつ、協調してその保存に当たってまいりたい、こういうふうに考えるわけでございますが、いま御指摘の条文につきましては、その前の条文には、また私どものほうから環境庁のほうへ指定にあたって御意見を伺う、こういうこともございまして、それぞれの立場というものを認めた上で、その連絡調整を密にしていく、こういうことであるというふうに考えております。
#16
○橋本(龍)委員 ただいまの御答弁の意味はよくわかります。確かに六十九条第六項で、文部大臣自身から環境庁の意見を聞かなければならないという条文もあります。ですから私は、この法体系の上で連係動作がとれないようにできていると言っているのではありません。法体系の上からいけば確かにりっぱにできているのです。りっぱにできているのですけれども、現実にこの中から拾い出したように、絶滅したので指定を解除するんだといわれるものもあります。これは水質汚濁と切り離すことのできない部分です。姿を見ることができなくなったが、再発見を期待していると文化庁自身が書かれたものもあります。これも水質汚濁とは切り離せない問題です。松川モリアオガエル繁殖のように、皆さん方からいえば繁殖地そのものを指定したんだと言われるでしょう。繁殖地そのものの周辺の環境が変化したために衰亡しつつあると現実に皆さんが書かれたものもあるのです。私は、どちらのお役所がいいとか、どちらのお役所が悪いとかいうつもりはありません。そして環境庁の自然保護行政そのものがすでに合格点だとも私は思っておりません。むしろなお自然保護の観点からやってもらわなければならぬ仕事というものはずいぶんあると私は思うのです。しかし現実に私は環境庁発足の当初の経緯を考えて、自分でその当時の関係者の一人として考えてみるとき、環境庁のスタートが、あれだけ期日までにスタートさせなければいかぬということで、各省との権限調整を不十分なままに発足をさせたことがはたしてよかったのか、それともなお十分な調整をはかった上で環境庁に十分な権限を付与させて発足をさせたほうがよかったのか。これで環境庁誕生以来二年を迎えようとしているわけであります。この一年半余りの環境行政というものを見ていて、私はそれを感じさせられるケースが非常に多いのです。これは重要港湾と海洋汚染防止法あるいな海中公園の指定との関係でも同じことがいえます。あるいは道路その他の行政の調整の部分でも同じことがいえます。林野庁所管の保安林、国有林と自然公園法、自然環境保全法の関係でも同じ問題が私はあると思います。あるいはまた下水道の関係もあるでしょう。ごみとか屎尿、廃棄物の処理関係ももちろんあります。しかし率直に申し上げて、それぞれ各省に付与されて残された権限はいま私どもは見ておりますと、それなりに各省の努力によって前進がはかられておるようにも思う。環境庁発足以来確かに下水道の予算というものは飛躍的に伸びました。またごみでありますとか屎尿でありますとか、いわゆる廃棄物処理の予算も大幅に伸びております。ひとりこの天然記念物行政、四十八億の予算の中で記念物課八千万円。物の保護と生きている動植生の保護とにさかれているその比率は何%ですか。なるほど法文上では文部大臣あるいは環境庁長官それぞれが意思の疎通をはかれば十分にできるような形になっている。法体系上ではなっているけれども現実になっていない証明が、あなたのところで監修をされたこの天然記念物事典そのものの中に書かれている。はたして現在の天然記念物として指定されている動植生に対する保護行政というものはこのままでいいのかどうか。このままの法体系、いまの各省の権限分与の中でそのまま推進をされていって十分な効果をあげ得るのかどうか。その実績は皆さんが監修されたこの本の中に書いてあるじゃありませんか。明治以来の沿革といわれる――明治以来環境庁があったわけじゃありません。環境庁ができたのは四十六年の夏なんだ。百年前の歴史が、今日まで沿革があってそこからはずれないんだというなら十分な行政ができるはずだ。御自分のところで監修された本の中に絶滅した。再発見を期待されている。周辺の環境によって衰亡している。そういう文言が出てくるというのはおかしいとはお思いになりませんか。私はおかしいと思う。おそらく与野党の委員の方だっておかしいと思われる。私はこんな話はしたくない。しかも環境庁のスタートの時点の責任者の一人としてこんなことを言うのは自分がばかだったことを人の前にさらしているようなものです。しかし現実に二元行政の弊は出ている。天然記念物の動植物の取り締まりそのものについても文化庁本体の指定をされた管理者が司法警察権を付与されている。環境庁自然保護局系統の中にある都道府県職員また立ち入り権限を持つ鳥獣保護員、それが第一線の取り締まりに当たっているという実例も現実のことです。私は最初三木大臣に対して環境庁長官としてではなく、副総理としてお聞きを願いたいと申し上げたのも実はこの点であります。
 私は、各省庁の権限の問題について介入することは決して好きではありません。本来ならこれは政府自身がおやりになることであります。政府自身の責任で調整をされるべきことであります。しかし現実問題として一つの実例で、私はいま環境問題、自然保護というものと現実に保護されているはずである天然記念物行政との一つのギャップを大臣に実例として申し上げました。私は副総理としての三木大臣にこうした点についての調整をぜひしていただきたい。そしてあえて私は自分の見解を申し上げるならば、率直に申し上げて環境庁の自然保護局の組織、機構、定員、予算、文化庁における記念物課の中での天然記念物のウエート、組織、予算いずれも不十分であります。これから次の世代、その次の世代へと天然記念物の姿を生きたままに伝えていこうとするなら、いずれも不十分であります。こうした生態環境の変化というものからどうしても免かれ得ない動植生の保護というものは、むしろ私ははっきりと自然保護という観点、環境保全という観点からの割り切りを行なって、天然記念物行政というものは環境庁に一元化をされる。そして同時に、これから先の組織、機構、定員あるいは予算というものを拡充強化していく。同時に民間の協力、国民全体のこういうものに対しての尊重の気風というものを育て上げていくことによって保護を行なっていかなければならない。私は個人的にそのような見解を持っております。私はこの点について環境庁及び文化庁の事務当局そのものの意見も聞きたいと思います。同時にその意見を聞きました上で、環境庁長官としてではなく、国務大臣、副総理としての三木大臣に政府としてこの行政の一元化という一これは環境保全問題の行政が多元化しておるもののごく一つの側面にしかすぎません。こうした点について政府としての今後の考え方というものをぜひこの機会に承って、今回の質問を締めくくりたいと思います。
#17
○首尾木政府委員 御指摘のございましたように、環境庁における現在の鳥獣保護行政というものの組織なりあるいは予算なりというものは決して十分ではないというふうに考えております。しかし、私どもは冒頭にお答えをいたしましたように、鳥獣というものは自然の環境を構成する非常に重要な要素であるということに着目をいたしまして、特に自然環境の保全という見地からこの問題を取り上げてまいっておるところでございますが、今後そのような要請というものは非常に高まってくるだろうというふうに考えておるわけでございます。昨年自然環境保全法が制定をされたわけでございますが、その第二十六条では特に自然環境保全地域の中に野生動植物の保護地区というものを設けることができるようになっておるわけでございまして、鳥獣のみに限らず野生動植物というものがやはり豊かな自然環境というものの中において非常に重要な問題であるということを認識をいたしまして、このような法律ができたものと考えておるわけでございます。従来の鳥獣保護行政というものに比べまして、特に最近におきましては、このように自然環境というものの保全の中で野生の動植物というものを保全し、また種の保存をはかっていくというような考え方が世界的にも広まっていっておるところだというふうに考えておるわけでございまして、私どもはそういう点から今後ますます鳥獣行政あるいはさらに進んで野生動植物の保護の行政というものが大きな役割りを環境保全行政の中で占めてこなければならないというふうに考えておるわけでございまして、先生の御指摘の点でございます文化財保護における天然記念物との調整の問題につきましては、今後よく御趣旨を踏まえまして、文化庁とも協議をいたしまして、どのように持っていくかということについて研究をしてまいりたいと考えております。
#18
○清水政府委員 私どものほうの天然記念物保護行政は、予算的、機構的、また実態から見まして、決してこれでいいんだというふうには私自身も思っておりません。御指摘の点につきましては、いま環境庁のほうからもお話ございましたが、いろいろと、行政の観点と申しますか角度がございますので、お互いよく連絡をとり合いまして、法律は法律とし、しかも運用上におきます連絡を密にして、先生の御趣旨の実現に努力をしたいと思うのでございますが、先ほどちょっと先生のおことばにございましたように、鳥などは、動いておる、生きておるものでございますので、特に今日におきましては私どももこん身の努力をしなければなりませんし、それと同時に、文化財保護法の冒頭にもございますように、一般の国民の御協力を特にお願いしたい、このように考えておる次第でございます。
#19
○三木国務大臣 橋本委員の御指摘になった問題は日本の政治の大きな課題だと思うのであります。やはり日本の行政機構というものが何か時代の進展にそぐわないものになっておることは事実であります。ことに各省間の権限争いに出発する縦割り行政の弊というものが非常にあらわれている。いまほかに緊急の課題がありますから、その問題と取り組んでおるけれども、行政機構の改革という問題は、大きな政治課題として取り組まなければならぬ必要が、近い将来にあると私は思うのであります。いま橋本委員のいろいろな御質問を承って、この問題もそういう問題と関連する一つの大きな側面を持っておると思うのであります。この鳥獣にしても、そういうものが生息しない環境というのは考えられないわけで、どうしてもこれは保護しなければならない。だから、行政機構の改革という場合に、その法律が目ざすものは何か、その機構が持っておる法律とか権限が一体どういうものを目ざしておるかという原点に返って考えてみる必要がある。文化財の保護といっても、あるいはまた環境行政といっても、目ざすものは、この場合においては鳥獣の保護ということですから、権限の争いが起こったときは、鳥獣の保護という目的を達成するにはどういう行政機構がいいかという原点に立ち返って考えることがものの整理がつく出発点になる。そういう場合に、文化庁というものは本来静的なものを守っていこうという性格のものだと思うのですね、例外はあると思いますけれども。環境庁というものは、静的というよりも、環境ですから、変化のある、非常に動的な性質を帯びておるわけです。鳥獣の保護というものを一つの天然記念物なら天然記念物として静的にとらえるということでは、天然記念物の保護というものはできない。生息の環境と離れた鳥獣の保護というものはないわけですから、そういう意味においてこの行政というものは環境庁に一元化するほうがよろしい。そうすることが鳥獣の保護という目的をよりよく達成できる道だと思います。役所は一ぺん権限を持つと放したがらないのですけれども、そういう考え方は払拭しないと――そういう行政のために日本の国も日本の国民もあるわけじゃないのですから、国、国民を主体的に考えれば、権限のなわ張り争いなど、いまはもう払拭をしなければ、日本は能率的な行政はできないわけです。それは国民に奉仕する行政にはならぬわけです。そういう意味から、文化庁の次長もおいでになっておるが、役所でもあんまりとらわれないで、鳥獣の保護という原点に返って相談をしてもらい、私もよく文化庁長官に話をして、環境庁がよその役所に渡したり――そんなものはないと思いますけれども、ある権限があったら、これはもう渡すことにやぶさかでない。しかし、いまの橋本委員のお話は論理が一貫しておる。私も傾聴をいたしたわけであります。言われるとおりだと思いますから、文化庁長官とも話をして、御趣旨のように、これを一元化するように努力をしたいと思っております。
#20
○橋本(龍)委員 多少時間を超過して申しわけありませんでした。ただ、いま副総理からそういう御発言をいただきましたので、この場合の質問としては、私はこれで打ち切りますが、なお、委員長はじめ各委員の方々におかれましても、今後、この問題の推移について、ぜひとも自然保護という観点、動植生の保護という観点から前進がはかられるように、委員会としての御協力も心からお願いを申し上げます。
 どうもありがとうございました。終わります。
#21
○佐野委員長 岡本富夫君。
#22
○岡本委員 きょうは二点お伺いいたします。
 最初に、過般の所信表明の中で、「われわれは、われわれの共通の資産である美しい国土、豊かな自然を破壊の手から未然に防止し、これを次の世代に伝える責務があります。」と述べておられますが、これは、第一に、環境アセスメントの確立によって環境が破壊されていくのを未然に防止しようという御趣旨であると思うわけであります。環境破壊を未然に防止するためには、やはり何と申しましても破壊するものを規制していかなければならぬ、こういうことでありますが、いつか長官は、総量規制をやらなければならないというようなお話をされました。総量規制の根本的な考え方についてちょっとただしておきたいと思うのでありますが、一つは、浄化能力に見合った総量規制になるのかどうか。浄化能力プラス環境基準値ということで、浄化したあと、まだよごれが残っているということではならないと私は思うのです。ですから、自然浄化力というものを計算して、そしてそれならば、ここまでよごしても、これで自然浄化はできて全部きれいになるのだというような環境容量の考え方で容量をつくるのか、こういう点をひとつお聞きしておきたいと思います。
#23
○三木国務大臣 総量規制をする場合の前提になるものは、岡本委員御指摘のように、環境容量というものがあって、それはやはり自然の浄化能力も考え方の一つの大きな要素になることは明らかであります。やはり全体としての環境容量というものそのものが考えられなければ総量規制というのはできるものではありませんから、全体としての環境容量というものを前提にして総量規制を行なうという考え方でございます。
#24
○岡本委員 そうしますと、広くいいますと、日本列島全部の、たとえば大気汚染の容量、石油は何万バーレルとか、あるいはまたいろいろな排出物、こういうものの基礎からやはり計算をしませんとだめだと思うのですが、たとえば北海道なら北海道一つ、あるいはまた東京を中心にして全国を何ぼかに分けて、しかし、大気汚染の場合は、分けた接点に立って――流動しておりますから、非常にむずかしかろうとは思えるのですが、やはりこれは自然浄化力というものをよく計算をして、そこからそういった規制を出発させるのか。たとえば瀬戸内海に一つの例をとりますと、瀬戸内海の自然浄化力というのは何ぼある、それに対して各河川、そこに今度工場がある、あるいは一般家庭排水がある、したがって、下水道の完備によってまた変わってくる、したがって、どれくらいの年月と申しますか、これはすぐにはできませんが、どのくらいのめどを立てて、年次計画を立ててそして環境容量をきめていくのか、こういう基本的な試算、こういうものはまだやっていらっしゃらないのか、ちょっと。これは事務当局からでもけっこうです。
#25
○船後政府委員 ただいま総量規制に関連いたしまして、いわゆる環境容量という御質問でございますが、実は環境容量という概念の意味するものは何かということにつきましては、これは理論的には種々まだ論争しておるところでございまして、はっきりした定義があるわけではございません。ただ考えられますことは、一定の環境基準を守ろうということにいたしますと、これは自然にはおのずから自浄能力というものがあるわけでございますから、その自然の持っておる浄化能力の範囲内に汚濁因子がおさまらなければ一定の環境基準は守れない、こういう理屈に相なってくるのであります。ところがそういう自然の浄化能力というものは、これは物理的な、科学的なあるいは生化学的なもろもろの自然力の総合でございますから、それを計量的にどのようにして把握するかというあたりに、なお学問上非常にむずかしい問題が残されておるのが実情でございます。
 ただ、将来規制の方法といたしまして、総量規制を考えます場合には、先生御指摘のように、水にいたしましても大気にいたしましても、一定の地域の、あるいは水域の環境条件というものを守るためには、そこで最大限許容され得る汚染負荷量の投入量はこれだけだ、その範囲内におさめなければならないというものを前提にしく行政規制をいたさなければならぬわけでございます。その地域をどのようにして押えるか、特に大気の場合には、先ほども先生御指摘のように境目がないわけでございます。地形条件によりましても、山がありあるいは野っ原があるというように違ってくるわけでございまして、この点は昨年科学技術庁の資源研でもって関東南部につきまして一つの作業をいたしたデータがあるわけでございます。あのデータによりますと、やはり局地気象上の条件から、ある一定地域につきましてはほぼ密室的な構造を持っておる、このように考えて、そこの汚染負荷量というものが計算できるのではないか、こういう一つの糸口をあれは与えておるわけでございまして、学問的にはああいうものをよりどころに今後考えてまいりたい。しかし現実の規制はそうはまいりませんので、四日市なら四日市、あるいは尼崎、鹿島といったような具体的な地域につきまして、その地域の環境条件というものが満たされるためにはSOxの総排出量は一時間たとえば何トン以下でなければならないというようなことを、いろいろな各国のデータ、あるいは実験値、そういったものから求めまして、それをもって規制の基準としていくという方法をとらざるを得ない、かように考えておるわけであります。この点は水質につきましても同様でございまして、広く瀬戸内海全体につきましてそういう意味の総排出許容量というものが求め得るかどうか。ちょっと瀬戸内海全域では広過ぎますので、もう少しこまかいメッシュに割りまして考えていかねばならぬのじゃないか。そういう問題がございますので、現在瀬戸内海についての汚染負荷の状況あるいは海流その他の自然条件の調査をいたしております。こういうデータをもとにいたしまして、瀬戸内海につきましては具体的にそういう排出許容量というものを維持すべき環境基準との関連で、水域別に考えていくということをいたしておるわけであります。いずれにいたしましても非常に未知の分野、まだ理論的に解明されていない問題も多い現状でございますが、ただ規制の方向といたしましては総量を押えねばならないという方向にあるわけでございます。せっかくその方向に努力中でございますので……。
#26
○岡本委員 そうしますと、私ども考えておるのは、自然浄化力によって汚染が全部ゼロになる、それによってはじめて環境が維持されるのだ。あなたのいまのお考えを聞いておりますと、環境基準に達する、それまでに自然浄化力がある、排出したものに対して自然浄化力によって、そして環境基準に達する、こういうように私いまとれたのですが、その総量規制によって出てきた環境基準は、自然浄化力によってゼロになっていく、こういう考え方ではないのでしょうか、総量規制というのは。
#27
○船後政府委員 その場合に前提となっております環境基準は、これは御承知のとおり、健康につきましては、人の健康に害がないという一つの目標水準でございますので、大気について申しますれば、やはりWHOのレベル一、これに近いような一つのレベルであろう、かように考えております。この点を、自然の浄化能力との関係を若干、簡単でございますので水のBOD、これは健康項目ではございませんが、BODを例にとりまして御説明申し上げますと、かりにある水域、これは湖という閉鎖水域を考えてもいいのでございますが、BOD三PPM以下に保とうというような環境基準が設定されておるといたしますと、その水域の水の総容量という条件あるいはそこの温度あるいは微生物の繁殖状況といったような自然条件が他方にあるわけでございます。そういった条件の中でBODを三に保つためには、許容され得る汚濁因子の総排出量は一日に何トン以下であるというのが一応経験的に出てくるわけでございます。何トン以下ならば、それはその水域にとっては自然の浄化能力が働きまして、BODは三をこすことがないというような数値があるはずであります。この数値を越してそこに汚濁負荷が流れ込むと、それがゆえにその湖はBODが一〇PPMを越すというようになりつつあるのが現状でございます。でございますから、自然の浄化能力というものを維持すべき環境基準との相関関係において考える必要がある。もう三PPMというような水質を保持することはできない。せいぜいフナかコイが泳いでおればいいのだから、八PPM程度を目標にしよう、こういうことになりますれば、許容負荷量というものもふえるわけでございまして、少しはよごしましてもフナやコイが生息するという程度の七、八PPM程度を維持するにはさしつかえない、こういうことになろうかと思います。どういたしましても環境基準とそれから排出許容負荷量というものとの相関的な関係になる、かように考えております。
#28
○岡本委員 私心配するのは、総量規制、こういうものをやろう、こういうようなお話、ちょっと聞くとこれはたいしたものだと、こういうように考えるのですけれども、結局一定の環境基準をきめまして、それでこの環境基準がいまのお話のように三PPMのものを八PPMにしてやるとか一〇PPMにしてやる、こういうことでは結局そこまでよごしていいんだ、こういうことになってしまうと思うのです。ですから、たとえば大気汚染の環境基準でありますところの、もっとこまかいですけれども、たとえば〇・〇五、亜硫酸ガスSO2、〇・〇五ではすでに健康被害が出ておるわけですね。ソビエトへ行きますと〇・〇一五ですか。一つ基準が違うわけですね。ですから、そういう場合はやはり環境基準の見直しといいますか、押えていかなければいかぬ。要するに健康、生活できる、そういうところに押えて、しかもそれが環境基準であれば自然浄化力があればゼロになっていくというくらいでなければ、相当強い環境基準をきめなければ、いかに総量規制をします、こういうふうに言われましてもうまくいかぬのじゃないか、この点についてひとつ考え方だけを長官に承っておきたい。
#29
○三木国務大臣 できる限り環境基準というものはきびしくあることが環境基準をきめる一つの大きな目標になると思いますが、しかし環境基準というものは不可能な基準をきめるということでは実際的に役立ちませんから、それはいろんな自然の浄化能力とかいろんな要素を勘案をしてきめなければならぬけれども、原則的に考えれば、あまりゆるやかな環境基準をつくってそのことが環境をよくしていこうという目的から、その意図があるわけですから、環境をだんだんとよくしていこうというその意図にそむくような環境基準をきめるのだったら意味がない。できるだけそういういろんな要素を踏まえながらきびしい環境基準であることが当然だと考えます。
#30
○岡本委員 次に、一昨々年公害国会におきまして公害罪をつくられたのでありますが、あれは刑罰ですからね。推定規定が入っているわけです。そこに到達すると推定できるものがあれば直ちに体刑を加える、あるいは罰金を課するというようなきびしいものであります。これはほんとうの刑事訴訟のほうからいきますと、疑いのあるものを罰するということでありますから、それは相当人権の問題になろうと思うのです。これに対しまして法務大臣は、当時これは公害の抑止力なんだ、公害を出さないようにするための抑止力なんだ、実際にはとてもこういうものはかけられないというような答弁があったように聞いております。そこで、私はやかましく言いまして、無過失損害賠償責任法案を何とかしてつくろうということであれしたわけですが、政府のほうでどうしても大気汚染防止法と水質汚濁防止法、これの一部改正に終わったわけでありますが、ここで無過失賠償責任ということが出ておるわけですが、この無過失賠償責任というところに、排出する物質が有害物質に限定されているわけです。有害物質でありますから、これは害があるわけですから、それによって被害があれば、これは決して無過失ではないのではないか。もともと有害なんですからね。出てきたものによって害があったときはということであれば、これはもう無過失に違いないのですけれども、有害物質が流れておるわけですから、有害物質が規定されておるわけですから、決して無過失ではないのではないかというようにも読めるわけでありますが、この点について、これは事務当局のほうから……。
#31
○船後政府委員 昨年のいわゆる無過失損害賠償責任法につきましては、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の二法の一部改正という形をとりましたのは、その際も御説明申し上げましたように、民法の特例をなす無過失責任というものを限定的に規定するという趣旨から対象を健康被害に限り、大気汚染と水質汚濁に限ったのでありますが、その際も対象となる物質をどうするかという点につきまして、種々論議のあったところでございます。政府といたしましては、この二法の改正ということでございますので、対象となる物質もこの二つの法律でもって規制の対象としている物質、これに限ったわけでございます。そこで、それならばほかに有害な物質があったらどうするか、こういうお話もあったわけでございますが、その点につきましては、大気汚染あるいは水質汚濁を通じまして人の生命身体に害があるおそれがあるというような物質がわかりますれば、これはもう当然民事に先行いたしまして、行政取り締まり法の体系でもってそれぞれ規制物質に指定するという手続があるわけでございますから、そのような御懸念はないと私どもは考えておるわけでございます。
#32
○岡本委員 私質問しているのは、ちょっと公害罪のほうが出ちゃったものですから、実は私が言っているのは無過失賠償責任というようにこの法律はうたっているけれども、有害物質だけに限定しているわけですよ。有害物質であれば、これが蓄積すれば健康に被害を及ぼすということを予見可能ですね。先に考えられることだ。それによって事故が起きた、要するに健康がおかされたという場合であれば、これはもう過失だと私は思うのです。無過失ではない。だから企業の専門家であれば、ここへ流しているものはこれはもう健康に被害があるんだということ、有害物質ですから。ですから、これは無過失でなくて、ほんとうからいえば過失なんではないか、こういうように考えられる。この点についてお聞きしておきます。
#33
○船後政府委員 無過失責任の対象としております物質は、必ずしも大気汚染防止法にいう有害物質に限らないわけでございまして、先ほども申し上げておりますとおり、この大気汚染と水質汚濁との両法によりまして規制の対象となっておる物質でございます。これは当然大気汚染防止法でございますと、いわゆる第三条に規定のございます有害物質のほかに硫黄酸化物等というような定義、あるいはばいじんといったような定義、こういった定義が出てくるわけでございますが、このように、必ずしもいわゆる大気汚染防止法の有害物質のみには限っていないということがひとつ申し上げられるかと思います。
 なお、かりにこれらの物質はすべて人の健康に害があるではないか。だからこれによって害が起これば、これはもう無過失なんか問題じゃないということには直ちにならない。やはり民法上の不法行為の成立要件の故意、過失といたしましては、排出行為の態様そのものというところに一つの故意があったか、過失があったかということが裁判上問題になるわけでして、物質そのものが有害であることを認識しておったかどうかというのも、裁判におきましては加害者サイドの故意、過失を立証する際の有力なる材料ではございますけれども、必ずしもそれだけにはとどまらない。同じ物質が人の健康に影響を与える態様にいたしましても、ごく少量とっても直ちに害があるというケースもございますし、ごく微量であってもそれが繰り返し繰り返し複合することによって初めて害が起こるというふうな形態もあるわけでございます。そこらあたりに、なかなか過失責任制度のもとにおきまして加害と被害の間に故意・過失ということの立証に困難な点もあるわけでございます。それが無過失責任制にいたしますと、そういった主観的な要件というものは一切裁判上問題とならないというところで、非常に被害者サイドにとって有利なことになるのでございます。
#34
○岡本委員 「ばい煙、特定物質又は粉じんで、生活環境のみに係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの以外のもの」をいうんですから、生活環境に被害を生ずるおそれがある物質は除くわけです。健康に被害のあるものだけがここに出てきております。ですから健康に被害がある物質ということは、これはもう健康に被害があるんだということを予見可能、したがって、私は鉱業法ですかの無過失賠償責任は物質に限定を何もしていないのですね。生活環境にかかる被害も物質に――全然企業活動によって出てきたあらゆる物質が対象になっているわけです。これが鉱業法におけるところの無過失賠償責任です。ですから、この無過失賠償責任というのは非常にあいまいである。というよりも、私はむしろ過失責任ということをここに書くのが普通ではないかと思う。次にまた二項で、今度は物質が新たに健康被害物質となった場合にここへ加えるというわけですから、健康被害物質になった場合ですから、健康被害の物質ですから、それを出してそれによって被害を受けたということは、これは過失なんですから、無過失じゃない。こう極論が出るわけですが、この点について。
#35
○船後政府委員 民法七百九条の不法行為でいう故意、過失と申しますのは、その扱っております物質自体が有害であるかという認識、この認識ももちろん重大なる要素でございますけれども、先ほども申しておりますとおり、その物質そのものが有害でありましても、それが人体に影響する程度、態様というものは千差万別でございます。ですから、個々の加害者にとりましては、たとえば硫黄酸化物というものが人体に有害であるということがわかっておりましても、非常にごく微量しか出していないというようなものは、これは他人を害そうとする故意、過失があったかなかったかという立証問題は、一々細部にわたっていたしますと、これは非常に煩にたえないという問題が残るわけでございます。そこのところを無過失賠償責任法はそういった硫黄酸化物の排出というものによりましておよそ健康被害が起これば、少なくとも故意、過失の立証は要しないということでもって、被害者保護に一歩前進したというところに意味があるわけでございます。
 その問題と大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法でこの無過失責任の対象となる物質を指定しておるというのとは、またちょっと私、別の問題ではないか。確かに大気汚染防止法で規制している物質に限るという立法論は何かということにつきましては、これは前国会におきましても種々問題があったわけでございまして、限定する必要がない。もっと一般的におよそ物質すべてにかぶせろというような立法論もあるわけでございます。その点につきましては、やはり人の健康に影響があるという物質は、すべてこれ行政が先行いたしまして、指定しておるわけでございますから、その指定しておるものにつきまして特に民事上も取り扱い注意というものを加重させようというところにこの無過失の意味があるのだということで、物質を限定する、つまり両法でもって規制の対象となっておる物質に限るという立法にした経緯があるわけでございます。
 また、新しい法律で健康被害物質となったときという表現がございますのは、これはただいま申しましたように、健康被害物質はばい煙、特定物質、あるいは粉じん、あるいは有害物質というもので、これは行政的に政令指定が行なわれるわけでございますから、そこのところをさした意味でございまして、要するに大気法の系統でもってそういう規制物質になった、そういう意味でございます。
#36
○岡本委員 時間がありませんから、それで、次に長官、この法律に因果関係の推定規定を抜いてしまったのが非常に残念でならないのですが、もう非常に世論といい、また今後の環境保全の意味からいって、やはり抑止力というものを持たなければならぬ。前のように被害があってからあわてていろいろなことをするというのではなくして、そのためには、やはり民法のほうにも、こっちのほうにも、因果関係の推定をここらでちゃんと入れなければならぬ、こういうふうに私は思います。
 因果関係の立証を必要とするのはやはり三つあるわけです。病気と物質の関係、あるいは物質が工場から排出されたか、あるいはその物質が工場から出て被害者のところへ到達する経路、こういう三点を立証しなければならぬことになっておるのです。いま裁判でも行なわれておりますけれども、裁判では、いま、たくさん、どんどん判例が出てきておるわけです。それは推定されておるわけでありますけれども、しかし少なくともいま裁判が行なわれておる水俣にしましても、神通川の水銀中毒にしましても、四日市にしましても、当時の厚生省がやはり見解を出して、この物質によって病気になったのだ、それ以外に見当たらないとか、そういう国の、公害病を認定したとか、何らかの取っかかりがあったからできたのですし、またそれができるまでの間にたくさんの被害がある。たくさんの被害者ができて初めて国のほうでそういう公害認定したりしても、それから裁判ということですから、被害者の労苦というものはたいへんなものです。したがって、そういうこともなくして、そうして推定規定をいまのうちに入れておかなければ、被害者と加害者の力関係が、被害者のほうが弱いわけです。立証したりというようなことはわからないわけですから。ですからこういう推定規定をこの辺で長官の力によって将来、いますぐというわけにもいきませんでしょうけれども、検討して法改正に持っていかなければならぬ、こういうふうに思うのですが、御決意と御感想を承りたい。
#37
○三木国務大臣 これはいま御指摘のような大気汚染防止法とか水質汚濁防止法が六十八国会で通過した際に附帯決議等もいただいておるわけであります。その附帯決議等においても、公害の事案については因果関係の認定がきわめて困難だから、したがって判例の動向なども見きわめつつ推定規定の問題は積極的に取り組めという趣旨であったと思うのであります。これは因果関係の認定がきわめて困難だという国会の決議等にもあらわれておるとおりでありますが、最近の判例の動向を見てみますと、有名な四日市の判決にしても、公害の立証を非常にゆるやかなしかたで認めていこうという傾向があらわれておることは、岡本委員御指摘のとおりであります。こういう判例の動向、そういう情勢等もにらみ合わせて今後積極的に推定規定というものについては取り組んでいきたいということでございます。
#38
○岡本委員 約束の時間が参りましたが、最後に、その判例の集積ということですが、判例の集積ということは何ぼあれば判例の集積になるのか。私は、これからいろいろな裁判が行なわれると思いますけれども、顕著ないまのようなこの四つの裁判のようなことはなかなか行なわれないと思うのです。もっとものすごい被害が起きてからでなければ行なわれない。だからまた、その判例の集積の時期といいますか、こういうものをだれがいつきめるのか、こういうことになってくるのですね。裁判にはまた若干不公平もございましょうし、裁判長の心証によると思いますが……。ですから私は、この辺で、先ほど申しましたように、公害の抑止にもなる、そうして長官が目ざしておるところの環境を保全するためには、企業がきちっと、排出なんかをしないように、クローズドシステムですか、そういうものできちっとやる。こういうようなためにもここらでひとつ勇断をもって考えなければならぬ。最有力な副総理である三木長官のときにこれをひとつ検討していただいて、そうしてぜひ今国会か次の国会かには――長官にかわられてしまったら困るわけですよ。力の弱い、力の弱いというとおかしいけれども、閣議でやられてぺしゃっとなってしまうような人はいないかもわかりませんが、ぜひ三木長官がいらっしゃるときにこの問題は何とか解決していただきたい、こういうように私は思うのですが、もう一度御決意を承って、終わります。
#39
○三木国務大臣 私は判例の集積とは言っていないのです。最近の判例の動向というものは、いまゆるやかなしかたで認定をするという傾向が判例の中に顕著にあらわれていますから、それは国会の決議等にも、その動向を見きわめつつこの問題を検討するようにという御趣旨も体しつつこの問題を、ずるずると延ばしていくというのではなくして、そういう動向を見きわめつつ、積極的な態度でこの推定の規定には取り組んでまいりたい、こう考えております。
#40
○岡本委員 終わります。
#41
○佐野委員長 小宮武喜君。
#42
○小宮委員 私は、農薬の公害問題について質問します。
 農薬の公害問題については、一昨年、昨年とあれだけ騒がれておりながらいまだにあとを断ってはおりません。この農薬公害に対して行政管理庁は、一昨年の一月、農林省と厚生省の両省に対して被害の実態掌握、安全使用対策、農薬の取り締まり、それから不用農薬の処理について早急に改善策を講ずるようにということで勧告しておるわけですが、農林省、厚生省はこの勧告に対して具体的にどのような措置を講じたのか、まず説明を求めたい。
#43
○須賀説明員 お答えいたします。
 農林省といたしましては、ただいまの勧告に対しまして、具体的な措置といたしまして、まず一つは、農薬による既被害の実態把握でございます。これにつきましては通達の実効をあげるために統一的な調査基準、それから報告様式、そういうものをきめまして都道府県に指示をいたしております。
 それから残留性の農薬が使われました農地のあと作の栽培でございますが、これは科学的な調査研究がございましたものですから、それに基づきまして残留農薬のあります農地の場合、作物にどのように農薬が吸収されるか、いろいろなデータを集めまして、それの手法を示しまして、汚染されるおそれのあるような農産物が生産されないように措置をいたしておるわけでございます。
 それから次は、水質汚濁性の農薬の安全使用でございますが、これはほとんどの県が使用しないようにというふうに行政指導をしております。使用される場合にはこれは知事の許可制になっておるわけでございまして、その使用につきまして、私どもなおこれからも実情をよく把握しまして、被害が出ないように指導してまいりたいというふうに考えております。
 それから農薬の空中散布の問題でございますが、私ども農薬が空中散布されますと相当飛散されるおそれがあるということでございますものですから、飛散性の少ない農薬、たとえば微粒の農薬でございますが、そういうものの普及ということを指導しております。それからなお散布装置の開発が必要でございますから、その点につきましても四十七年度じゅうに開発を進めておるわけでございます。
 それから都道府県におきます主管部局における農薬の残留の検査の問題でございますが、一部の県で多少事業の実施がおくれたという点は確かにございますが、四十六年度末までには各都道府県におきまして全部体制がとれたというふうに聞いております。
 なお、その告示、調査の場合には、告示技術の農林省の研修がございますが、その研修を受けた職員が配置されていくというふうに聞いております。
 それから次は農薬を販売する業者の取り締まりでございますが、これにつきましては取り締まりの実効があがりますように私ども通達を流してございます。中身は台帳の様式の統一とかあるいは立ち入り検査、それから取り締まりの結果の報告、そういうものも含めました通達を出しておりまして、取り締まりが強化されるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから不用の農薬の処理の問題でございますが、これにつきましては私ども農薬の安全処理対策事業、これは四十七年度から実施しておるわけでございまして、実態を私どもある程度つかんでおりますが、それについてちょっと申し上げますと、当初約七千トンの農薬がございましたが、これはメーカーの段階で五千トン、それから流通段階で二千トンのものがあったわけでございます。流通段階の二千トンのものにつきましてはほとんど処理が現在完了している。それから残りの五千トンにつきましては約三千トンが事業による処理によって措置されている。それから約七百トンないし八百トンが輸出されている。残り千二百トンから千三百トンあるわけでございますが、私ども昨年地方農政局の担当の係長会議を開きましていろいろ処理の問題を聞いておるわけでございますが、残りにつきましても年度内にほとんど処理できる見通しであるというふうなことを聞いております。
 以上が農林省の具体的な措置でございます。
#44
○松田説明員 行政管理庁からの勧告の中で私どもに直接関係がございますのは、毒物劇物に該当いたしております農薬についての取り締まりの関係でございます。四十六年の一月に行政管理庁から取り締まりの面についての改善強化の勧告がございました。その趣旨を受けまして明年の三月に、各都道府県担当部局に対しまして毒物劇物であります農薬に関連をいたしまして一応取り締まりの強化の通達をいたしたわけでございます。
 その内容といたしましては、毒物劇物取締法の規定に従いまして、全国で登録業者それから販売業者を含めまして約六万七千七百ほどの業者がございますが、少なくとも年一回以上は検査をする、こういう前提に立ちまして違反行為の態様、行為者の範囲等から情状酌量の余地のないような者につきましては厳重に処分の対象にする、こういった趣旨を含めましておよそ八項目の具体的指示をいたしたわけでございます。
 なお四十七年の八月になりまして、その実行等についての再度の勧告がございました。その主たる趣旨は、特に販売業者におきます改善の指示、方法、それから違反業者に対します罰則の適用、こういったものについての厳重な、適正な運用、こういう趣旨でありましたので、その旨を受けまして再度都道府県に通知をいたしました。
 なおそのほか、私どものほうで最低一回、各主管課長会議あるいは毒物劇物取り締まりの担当者の会議を開催いたしまして、この方面の運営の厳正を指示いたしておるところでございます。
#45
○小宮委員 いまの農林省、厚生省の説明を聞きますと、もっともらしく聞こえていかにも対策を立てておられるかのように聞こえますけれども、現実はただ一片の通達を各地方自治体に出しただけで、あとは追跡調査もしておらなければ報告も求めておらぬというのが実態だと私は思うのです。
 それではその点について、再度の勧告以前の第一回の勧告の場合にそのような通達を出した、それに対して各都道府県からどういうような報告が来たのか、私は疑問だと思います。その点についてむしろ行政管理庁のほうはただ通達が出されただけだというような見方もしておるし、またそういうふうに判断されております。私自身もある程度つかんでおりますけれども、その点に対する所見と、いまの厚生省それから農林省の説明に対して、行政管理庁として、再度の勧告をした場合に、いま言われておるようなことがほんとうに勧告が生かされていたのかどうか。これは追跡調査をやって再度勧告となってきたわけですから、その点についての所見をひとつお聞きしたい。
#46
○笹倉説明員 農薬の危害防止に関しまして、行政監察を第一次といたしましては四十五年に実施いたしました。四十六年一月に勧告いたしました、それに対しまして、農林、厚生両省におきましては、改善のための対策を進めておられるのでございますが、その対策を追跡し、しかも改善を推進いたしますために四十六年の十二月に第二回の監察を実施した次第でございます。
 第一次の監察は八項目に及びまして勧告をいたしましたが、第二次の監察におきましては、その八項目のうち六項目につきまして、なお必ずしも十分な改善の効果があがっていないというふうに認められましたので、再度勧告をいたしました次第でございます。
 それで、まず第一点は、農薬による危被害の実態把握という問題でございますが、実態を把握するための措置がいまだ十分でございません。統一的な調査報告様式を定めて都道府県に示して、これに基づいて実態を的確に把握するように勧告いたしております。
 その次は、農薬の安全使用対策でございますが、土壌残留性農薬による農作物の汚染防止に関しましては、農家の使用経歴調査と、それから残留毒性の分析の実施、あと作栽培につきましての指導等の点でなお不十分な点が見られます。
 次に、水質汚濁性農薬の安全使用対策でございますが、使用規制をいまだ行なっていない、行政指導も十分でないという点が見られます。
 それから、農薬の空中散布による被害防止につきましては、なお水産動植物に対する被害が発生いたしております、そういう現状を踏まえて再度農薬の安全使用の徹底を期すように勧告いたした次第でございます。
 次は、残留農薬検査の実施でございますが、現地において見ましたところが、農産食品の残留農薬の検査は、衛生主管部局では分析技術者の養成確保が十分でない県がございます。収去検査は必ずしも十分でない。そしてまた、農林主管部局におきましては、導入いたしました分析機器が必ずしも十分でない。それで、十分活用されていない県もございまして、基準設定品目に対する農薬の残留量調査が低調でございます。
 次に、農薬の取り締まりでございますが、違反業者に対する是正措置がなお不徹底でございます。これは農薬取締法に基づく取り締まりは、農林省が通達をもってその指針を示しましたにもかかわらず、まだその実績があがっておりません。それで一方、現地調査いたしました販売業者の半数が法定帳簿の記載を励行いたしておりませんなど、違反業者が多く見られましたので、厚生省及び農林省に対しては、取り締まりを強化して違反者に対する的確、厳正な是正措置の確保について指導していただきたいというふうに勧告いたしました。
 それから最後に、不用農薬の処理でございますが、販売の禁止または制限等によりまして不用になり回収された農薬が、未処分のまま大量に残されておるものがございます。これは私どものほうでは、調べました結果、四十七年三月末日現在で不用農薬およそ七千トンございますが、それに対しまして農林省では、国庫補助事業として大規模に埋没処分を計画しておられるようでございます。これらの農薬を長期間未処分のままで置いておくということは危険でございますので、早急な処理をはかるように再度勧告いたした次第でございます。これらの中で一番特に、その不用農薬の処理につきましては処理の推進率が非常に低くなっております。それで特にこれからはこの点を推進してまいりたいと考えております。
#47
○小宮委員 行政管理庁は、農林省、厚生省のいろんな思惑も考えて、大体まあ控え目に報告しておると私は思うのです。したがっていまの話からしましても、この第一次勧告が農林省、厚生省ともやはり十分に守られてはいない。ただもうお役人根性で、ただ一片の通達を各自治体に送付さえすればそれで事終われりというような態度ではないかということをしみじみ感じておるのです。特にお役所の中では、たとえばこの農薬問題にしても、厚生省がこういうような基準を出すと、農林省がいちゃもんをつけるというような問題。そういうような、行政管理庁と農林省、厚生省の問題だけではなくて、各省間にもそういった問題が非常に多い。いわゆるセクトというか、なわ張り根性というのか、そういうようなことで、せっかく国民の生命と健康を守るために行政管理庁というものができておりながら、その勧告が生かされておらぬというのは非常に問題だと思う。だからその問題については、やはり行政管理庁のほうもしっかりしてもらわなければ――幸い、行政管理庁長官も福田元大蔵大臣ですから、大ものですから、その意味では、農林省、厚生省に対してもどしどしきびしく勧告をし、またやかましく言ってもらわぬと、そういうような意味で、ちょうど各省間のなわ張りというのは、もうこれはいまに始まったことではなくて、前々からいわれておりながらも、実際は各省間のこのなわ張り問題、おれのところにはくちばしをあまり入れるなというような、こういうセクト、全くやくざのなわ張り根性と同じような考え方で、したがって、せっかくそういうような勧告が出ながらも、それを、何を言うかというような態度がありはせぬか。これは非常にけしからぬ問題だと思う。
 そういうような意味では、行政管理庁あたりの皆さん方への勧告に対しては、どういうような姿勢で取り組んでおるのか、この点をひとつまた農林省と厚生省から答弁してください。
#48
○須賀説明員 私ども前々から農薬問題は重要な問題と考えております。やはり国民の保健衛生、そういう面に関係のある重要な問題でございますから、私ども真剣にこの問題に取り組んできているわけでございます。ただ、先生御指摘のような問題がないとは私は申しませんが、これからはそういう指摘されるようなことがないように私どもつとめていきたいというふうに考えておりますし、行管からの勧告についてもこれから私ども真剣に取り組んで、実効があがるように措置していきたいとというふうに考えております。
#49
○松田説明員 厚生省といたしましても、行政管理庁の勧告の趣旨につきましてはそのとおりだ、こういうことで鋭意努力をいたしておるところでございます。したがいまして、今後とも行政管理庁の勧告の線につきましては十分に努力をしてまいりたい。各都道府県の指導につきましても遺憾のないようにいたす所存でございます。
 それからなお、農林省との関係につきましては、私どものほうの毒物劇物、農薬というダブりがございますけれども、これにつきましては平素から十分協議を重ねておりまして、できるだけ連絡を密にして粗漏のないようにつとめているところでございます。農薬の危被害防止運動につきましても、毎年農林省と両方で地方を含めて中央におきましても強力に推進をいたしているところでございます。今後とも各省が十分連絡を密にいたしまして、できるだけ適正な運営に努力をしてまいりたい、かように考えております。
#50
○小宮委員 それでは、農林省も厚生省も、行政管理庁からの勧告があればそれは忠実に守っていきますというふうに理解していいですね。
 それでは、先ほどから行管のほうからも話がありましたが、これも昨年、いま言われたように第二次の勧告をしておりますね。これはもう内容は、特に行管のこういうふうなものについては私は非常に感謝しておるのですが、いままで第一次勧告をやったけれども、どうしても勧告が勧告倒れになるようなことがあって、やはり国民の生命に被害を加えるようなことがあってはたいへんだということで、追跡調査をやったわけですね。そこで再び、いま言われたように、この追跡調査の結果、被害の実態掌握の問題、汚染農地の非食糧作物農地への転換、水質汚濁農薬の使用禁止、農薬の空中散布、残留農薬対策、それから農薬の取り締まり、不用農薬の処理、こういうようなものが追跡調査の結果再度第二次勧告となってあらわれたわけですね。ということになると、前回の第一次勧告と第二次勧告も大体同じような勧告が二度されておるということは、厚生省とか農林省が幾らここで答弁でうまいことを言ってみても、実際にその勧告が生かされていないからこそ、行管から再度勧告を受けたわけですね。したがって、その問題はそれとして、もう一度、この行管の第二次勧告に対して農林省と厚生省はどういうような姿勢で取り組むのか。そしてまた、どういうような方法で実際それが生かされておるかどうかを確認する方法の問題、また時期としては、大体どのような通達を出して、まあ報告書をやるとか、こういうようなことをしただけであとは二年かかるか三年かかるか、そういうようなことは各地方自治体から集まってくるのをただ待つということではなくて、やはりみずから乗り出して調査もし、報告を求めるとか、そういった積極的な行動をとらなければならないと思うんですが、その意味でひとつもう一回厚生省と農林省の決意のほどをお聞かせ願いたい。
#51
○須賀説明員 私ども、その行政管理庁の勧告につきましては真剣に取り組み、尊重して、これからそういう勧告が二度と起きないような措置をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 なお、具体的な措置といたしましては先ほど申し上げたわけでございますが、なおいろいろな行政指導を通じまして随時報告を求める。なお、各県の担当官、あるいは私どもの植物防疫関係の担当官がございますから、そういう担当官会議を随時開きまして、実効があがるようにいたしてまいりたいと考えております。
#52
○松田説明員 先ほどお答え申し上げましたように、すでに、再度の勧告の点につきましては重ねて都道府県のほうに通知をいたしまして、その趣旨の徹底をはかっておるところでございますが、いま先生御指摘のような今後の具体策につきましては、農林省の担当局とも十分相談をいたしまして、報告の聴取あるいは研修会あるいは講習会、そういったものを通じましての取り締まりの強化、こういった点について十分相談の上、具体的に進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#53
○小宮委員 ややもすれば、こういった委員会の答弁というのはその場限りの、その場を言いのがれるための答弁にすぎないという場合が多いのです。したがいまして、いま厚生省、農林省ははっきり、これを尊重してこの勧告を具体的に生かしていくということを言われたので、私はまた、ある機会にこの問題については取り上げますから、その点はひとつお忘れのないように。そうしてそこで行政管理庁として、いまのような農林省、厚生省の姿勢の上に立って第二次勧告がどのように生かされていくかどうかということについて、ぜひひとつ監視をしてもらいたいと思いますが、そういう点についてひとつ所見があれば所見をお聞きしたい。
#54
○笹倉説明員 ただいま先生御指摘の点につきましては、私どもの勧告が完全に実現されますように、私どももきびしく反省いたしまして、これから追跡調査ないしは追跡監察をどしどし実施してまいりたいと思っております。
#55
○小宮委員 そういうような意味で、行管は大もの長官を控えておるわけですから、厚生省とか農林省に対してもやはりやかましく督促して勧告の実をあげるように努力してもらいたい。
 それからもう一つ最後に不用農薬の問題について、これは農林水産委員会でも再三にわたって質問がなされて、私もしたことがございますが、それはなかなか徹底していない。先ほどの話では、行政管理庁の追跡調査によると、四十七年の三月末で不用農薬は七千トンあった。これはもう農水におるとき私が質問した場合も、同じような、七千トンくらいあったわけです。したがって、先ほどの答弁によりますと、メーカーが五千トン、流通過程が二千トン。だから、二千トンについては処分をした、それからまたメーカーの五千トンについてもすでに三千トンは処理をした、それから七百トン輸出をした、あと千二、三百トンは年度内に処理をするというような答弁がありましたけれども、実はそういった実態じゃない。たとえば農林省が農薬を処理する場合の通達は、結局地面を一メートルぐらい掘ってそこに埋めなさい、土中埋没方式を指示しているわけです。しかしながら、その場合にそういうふうなことをしたら、また地下水あたりに残留して、やはりまた飲料水にそれが汚染されて危険じゃないのかということも僕らは言ったけれども、ただ土中埋没方式だけを指示したために、実際の農家に行ってみれば、大体どこに埋めたらいいのか、そういったふうな場所の設定も何もない、ただこうしなさいというだけなんです。だから農家では、実際どこに一メートル掘って埋めていいのか、一つもわからぬということで、それが実際処理されずそのまま放置されておる。これはいま農林省は言ったから、私はまた調査してみますが、私はその事実を知っておるわけです。だから、ほとんどが報告だけは処理したという形になっている。しかし現実には、その問題がまだ現地には一ぱい残っておる。こういうような問題、皆さん方じきじきに行って調査したことがありますか。ないでしょう。ただ報告書だけで、だから報告書を出せというから結局書いて出しただけで、何ら処理されておらぬ。そこら、実態調査ぐらい一回したらどうですか。だから、私はいま答弁だけ聞いておって、四十七年三月末に七千トンあったということは、行管が言っておるように、これは私も知っておるのです。しかしいま農林省が言った、こういうような処理をしたということについては、非常に疑問です。疑問どころか、ただ報告しただけ。具体的に農協に行って聞いてみなさい。そういうようなことで、ただ一片の通達を出し、ただ報告を求めるということだけ、ほんとうにこういうような勧告なりそういうような処理が確実に、忠実に実施されておるかどうかということは、はっきりしておるのです。それに、農林省は、そういうようなことで土中埋没方式を指示したけれども、実際うまくいかぬものだから、今度はコンクリートをつくって、コンクリートの中に農薬を入れて、コンクリートの中に密閉してこれを土中に埋めようという計画をしている。昭和四十七年度の予算にも、そういうような予算が出ておったでしょう。農薬処理対策として七千万だったですか、出ておったでしょう。それも実際に実施されておらぬ。だから、農薬の処理については、ただ農林省が埋めろというけれども、どこに埋めたらいいのか。また埋めたらそこに地下水の水源があったらそこでまたこれが汚染されていくというような問題もあるし、困っておるのです。だから、報告だけは厚生省が言うからひとつ書いて出せというようなことがいまの地方自治体の実態です。また地方自治体もただ通達をやっただけでどこどこの農協に対してこういうふうにしろ、こういうふうに報告をしろという。農協は農協でそういうふうに報告を書いて出す。そうして県は県で農林省に報告するというだけなんです。母乳の汚染だとかいろいろな問題があって、あれだけ騒がれたときには皆さん方も真剣になっていくけれども、少しでもほとぼりがさめてくると、こういった問題はないがしろにされるというのが今日の政治の実態なんです。だからそういうような意味で、農林省も厚生省も、劇薬や農薬の問題も調べておいてください。係官ぐらい派遣して、抜き打ちに検査してみたらどうなんですか。まだ残っていますよ。
 私、まだ質問ありますけれども、時間がございませんから、次にまたいろいろ質問することにしまして、きょうはこれくらいにしますけれども、農林省も厚生省も、やはり国民の健康と生命を守るためには、そういうような国民不在の政治をやるようなことでなくて、もっともっと真剣に取り組んでもらわなければ困ると思うのです。そのためには厚生省、農林省しっかりやってもらうと同時に、行管はもっと目をみはって、そうした国民の生命をひとつ守ってもらうように特にお願いします。
 以上で私の質問を終わります。
#56
○佐野委員長 次回は、来たる三月六日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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