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1972/03/13 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第8号
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1972/03/13 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第8号

#1
第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第8号
昭和四十八年三月十三日(火曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 佐野 憲治君
  理事 稻村左近四郎君 理事 菅波  茂君
   理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君
   理事 小林 信一君 理事 島本 虎三君
   理事 中島 武敏君
      染谷  誠君    田中  覚君
      中山 正暉君    村田敬次郎君
      岩垂寿喜男君    浦井  洋君
      岡本 富夫君    坂口  力君
      小宮 武喜君
 出席政府委員
        環境政務次官  坂本三十次君
        環境庁長官官房
        長       城戸 謙次君
        環境庁企画調整
        局長      船後 正道君
        環境庁自然保護
        局長      首尾木 一君
        環境庁大気保全
        局長      山形 操六君
        環境庁水質保全
        局長      岡安  誠君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
        自治省行政局長 林  忠雄君
 委員外の出席者
        警察庁交通局交
        通規制課長   久本 礼一君
        法務省民事局参
        事官      古館 清吾君
        通商産業省重工
        業局次長    北村 昌敏君
        運輸省自動車局
        整備部車両課長 飯塚 良政君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月十三日
 辞任         補欠選任
  木下 元二君     浦井  洋君
同日
 辞任         補欠選任
  浦井  洋君     木下 元二君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公害対策並びに環境保全に関する件(大気汚染
 及び水質汚濁対策等)
     ――――◇―――――
#2
○佐野委員長 これより会議を開きます。
 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩垂寿喜男君。
#3
○岩垂委員 私は、最初に総量規制の問題について伺ってみたいと思います。
 環境行政をつかさどる環境庁が、濃度規制、いわゆる個別の濃度規制から総量規制への移行を検討し始めてからかなり時間がたっています。大石長官以来ずっとその努力をなさってこられたと承っております。三木環境庁長官も、総量規制への移行について明らかな態度を示されました。かなり時間がたっておりますが、その総量規制に基づく環境容量の具体的な数値は、一体いつごろ、そしてまた何年計画というふうなプログラムでお進めになるのか。排水問題を含めて、この際伺っておきたいと思います。
#4
○山形(操)政府委員 大気関係について先に御説明いたします。
 総量規制と申しておりますのは、一般には環境基準を維持達成する見地から、地域における汚染物質の排出許容総量と申しますか、いわゆる環境容量を定めて、その総量以下に汚染物質の排出を抑制するという規制の方式とされております。
 現在、大気に関しましては、私どものほうで、水島地区をモデルにして、工場との関係で作業に入っております。また、すでに大阪府、神奈川県あるいは三重県等で、それぞれのやり方を現在やっておりますが、私ども一番むずかしいと思っておりますのは、自然の浄化能力と地域の範囲の設定などを、環境容量の算定にあたってどういうふうに定めるかという問題点が非常にむずかしい問題とされておりまして、それらについて、個別の発生源に対する汚染物質の排出限度の割り当ての方法、それから監視の測定の方法など、まだ技術的な問題が残っております。したがって、現在その検討を引き続きやっておりますが、大気のほうに関しましては、なるべく四十八年度にその手法についての結果を何とか出したいと、いま考えておる最中でございます。それらに伴ってまた法規制その他の問題が次々出てまいりますので、できるだけ早く作業を進めたいと思っておりますが、いまはまだいつごろということを申し上げる段階ではないので、御了承いただきたいと思います。
#5
○岡安政府委員 問題点はいま大気保全局長からお話があったとおりでございますが、水質については二、三問題がございます。一つは、環境容量は自浄能力等を勘案してきめるという問題は同じでございますけれども、環境容量がきまりまして、それを個々の企業に割り当てる場合に、大気以上に水質の場合には千差万別といいますか、非常にバラエティーに富んでおりますので、やはりその間におきましては、工場の汚濁の原単位といいますか、その調査をやはりあわせて進めなければならないという問題がさらにございます。それからもう一つ、大気と違いますのは、やはり量の規制でございますので、水量と濃度と同時に測定する機器の開発というものがぜひとも必要でございますが、これは現在まだ開発の途上でございます。その問題は機械的な問題のほかに現在BOD、CODという手法でもって汚染濃度をはかっておりますが、手法の変化というものは当然必要でなかろうかというふうに考えております。そういう新しい手法の開発もあわせて行なわなければならない問題がございますので、やはりもう少し時間がかかるというふうに考えております。
#6
○岩垂委員 手法の開発をまってということでありますけれども、たとえば大阪がプロジェクトチームを設定をして環境容量案について一つの見解を示しました。この見解についてはどのようにお考えになっているか、この点を伺っておきたいと思います。
#7
○山形(操)政府委員 大阪府におきまして、先般、硫黄酸化物と窒素酸化物による大気汚染を克服するための環境容量に基づく規制問題を取り上げました。これは大阪府を四つの地域に分けまして、それぞれの地域について硫黄酸化物と窒素酸化物の削減必要量を電子計算機を用いて算出したものであります。先ほど申しましたように、私どものほうでも現在水島地区をモデルとして現にやっておりますが、大阪でやりましたやり方に関しましては、非常に長い年月と大きな予算についてやられましたので、その手法については高く評価しております。
 ただ、これは一応の環境容量についての数値の設定をきめてやりましたものでございますので、それらをもとにして、いかに排出削減をやるかという、その辺の具体的な規制手法についてはまだ触れられておりません。したがって、環境容量を出すための基礎的なデータとして私ども高く評価しておりますが、その削減実施の手法についてはこれからまだ問題が残っておりますので、これからの仕事としてまだ幾つもの問題点があると評価しております。
#8
○岩垂委員 いまの規制の手法について方法がわかっていないという御答弁でありますけれども、確かにかなりむずかしい問題があろうと思います。しかし、今日まで防止技術の開発についての見通しがさまざまな形で、たとえば固定発生源についてはどうである、あるいは自動車についてはどうである、そういう議論が行なわれております。それらについて、その可能性と見通しについてやはり一定の見解を示すべき時期が来ているのではないか。そして国民に対してそれらの問題について国民的な理解と協力を呼びかけていく、こういう態度が必要なように思われますが、これらの点について伺ってみたいと思います。
#9
○山形(操)政府委員 先生御指摘の趣旨は十分私どもも承知しておりますが、硫黄酸化物については現在その作業がわりあい進んでおります。しかも現在、前にきめました環境基準の見直し作業に入っておりますので、それらができ上がってさらに規制の方法をどうするかという作業に入る場合でも、今回の大阪等で行ないました環境容量に基づく総量規制をどう当て込んでいくかという点については、硫黄酸化物については私は作業がわりあいスピーディにいくのではないかと思いますが、窒素酸化物については現在まだ環境基準づくりができておりませんし、規制の問題がまだ全く見当がついておりません段階でございますので、それらを全部含めて環境容量と総量規制に持っていく段階でなかなか一緒にできない点がございますので、さしあたり硫黄酸化物についての結論を早く出そうという準備体制で作業をしておる最中でございます。
#10
○岩垂委員 硫黄酸化物の見直しについてのいわば結論がいつごろ出るのかということが一点と、それからもう一つは窒素酸化物、NO2の閾値としてこの前中公審の専門委員会から示された二十四時間平均の〇・〇二PPMという基準が昨年九月ごろ決定になるという話が伝わったり、あるいは年度内にはそれを決定をするという態度が伝わったり、今日まできておりますけれども、この基準を決定するのはいつであるか、この点について伺っておきたいと思います。
#11
○山形(操)政府委員 前半の硫黄酸化物につきましては、現在中央公害対策審議会の大気部会の中の専門委員会において作業していただいておりますが、この結論を今月中に何とか出していただくようにいま作業を進めておりますので、それをいただきました暁は、審議会の答申をいただきましてさらにそれから規制方式の段階に入ります。ただ、硫黄酸化物に関しましては通産省のローサルファの部会との関連がございますので、それらと十分協議をしてまいって、低硫黄分の燃料の問題とそれから脱硫装置の普及ぐあいの問題等をかね合わせて作業に入りますので、これはまだいつとは言えませんが、わりあい早く計画ができるのではなかろうかと考えております。
 後半の窒素酸化物に関しまして、環境基準の設定が確かにおくれております。専門委員会の数字はすでにいただきました。それで現在中央公害対策審議会の答申を得るべく作業をしていただいておりますが、御承知のとおり排出防止技術の問題がどうしても開発困難な問題がたくさん残っておりますので、しかしそうはいっても光化学スモッグ対策の緊急性等がございますので、私どもは早く答申を得次第、環境基準を早急に設定したいと考えております。それで現在部会の中に小委員会を開きまして排出規制の検討をすでに開始してまいりましたので、環境基準の数字がきまり次第排出規制の問題の作業にもすぐとりかかれる、こういうふうに作業を進めておる最中でございます。
#12
○岩垂委員 亜硫酸ガスの規制、つまり〇・〇五PPMについてももっときびしくという意見があることは御存じのとおりであります。いま御検討なさっている課題の中にはこのことが含まれていることも理解をしておりますが、その見通しについても一点伺っておきたいと思います。
#13
○山形(操)政府委員 亜硫酸ガスを中心とする硫黄酸化物の環境基準は、四日市の裁判以後、健康を維持できる本来の環境基準の目的にせよという話がたくさん起こりまして、私どももかねてからその問題について検討を加えて見直しをやっている最中でございますが、それらにつきましては当時、厚生省時代でございましたが、生活環境審議会で出しました数値がございます。閾値とか閾濃度とかいわれておりますが、それらをつくりますときには非常にデータが不足でございました。その後いろいろな疫学データがいままいっておりますので、それらをいま検討していただいておりますが、いずれにしても今度出します環境基準の手直しの数値は、まだ植物、動物まではまいりませんが、人の健康の保持という点についての守れることのできる値を出していただこう、こういう点で先生方にお願いしておる最中でございます。
#14
○岩垂委員 大阪のプロジェクトチームの環境容量案と関連をいたしまして神奈川県が――東京と千葉とそれから神奈川、埼玉、埼玉は南部ですが、これが同時に基準をきめてその規制を始めよう。それはむしろ、大阪が大阪市、北大阪、東大阪、南大阪というふうに分けてやるやり方に対するいわば若干批判的な気持ちを込めていっているわけでありますけれども、この神奈川県が環境庁に提案をするということを県議会やその他の場所で明らかにしているわけでありますが、環境庁にはもうその提案が届いているかどうか、届いているとすればそれをどのような形で受けとめようとなさっておられるのか、その点を承っておきたいと思います。
#15
○山形(操)政府委員 いま先生のお話の点につきましては、まだ正式に神奈川県から私どもには届いてはおりません。ただ、新聞紙上あるいは電話連絡等でその中身を承知いたしました。今回の大阪の問題に対して、一つの地域の範囲をどのように考えるかという、確かに大きな問題がございまして、基本的には汚染の広がりが一体となっている地域については、その一体性を考慮して環境容量の設定をするのが妥当であるということでございます。大阪府におきまして今回やりました環境容量の設定にあたっては、大阪府は尼崎の汚染の相互影響を考慮してきめたということを承知しております。それでいいかどうかの問題が根本的にまだございますが、神奈川県で申しておられる首都圏地域についての大気汚染、これは相当に広域化しておることは事実でございます。一昨年来、私ども、光化学スモッグに関しての低層大気の移動というものについて、一都三県共同して作業をしてまいりまして、それらの虚実を確認しておりますので、首都圏地域における大気汚染についても、その大気汚染の規制にあたって、広域的な観点から十分検討しようという考えを私ども内部に持っておりますので、神奈川県の主張しております問題等、今回、四十八年度総量規制並びに環境容量の設定をきめるにあたって十分それらをいれて勉強していきたい、こういう考え方でございます。
#16
○岩垂委員 四十八年度ということなんですけれども、できるだけ早い機会に、環境庁がイニシアをとって、その具体的な作業と取り組みを始めていただきたいと思います。もうそれは環境庁が御存じのとおりに、いま局長が申されましたとおりに、汚染物質の相互削減をしない限り、一つの県だけの規制では効果が薄いという結論が出ているわけであります。したがって、地方自治体が自主的にということもありますけれども、環境庁がそのイニシアをとっていただきたい。そしてその上でそのスケジュールを早めていく、このことを要望しておきたいと思います。
#17
○山形(操)政府委員 御趣旨に沿って検討してまいりたいと思います。
#18
○岩垂委員 次いで川崎市の問題について若干御質問を申し上げたいと思います。
 一つは大気汚染による指定疾病が四つきめられています。しかし、これはいわば呼吸器だけでございます。しかし、最近いろいろなところで調査が進められているわけでありまして、私どもの川崎市の教育委員会、これが調査をしたところによりますと、この公害地区で、特に児童の調査でありますけれども、アンケ−ト調査と問診と検診を行ないました。まず内科では小学生が二千二百八十六人、中学生が千二十三人、これがいわば第二次検診の対象になっています。公害地区では、小学生五百十四人、中学生では八十四人が気管支ぜんそくまたはぜんそく性気管支炎と診断されています。それは川崎の内部でも、いわば北部といいまして中原とかあるいは多摩とかという地域と比べれば、かなり上回っております。同時に、この数字は、全国のぜんそく有症率から見てもかなり水準が高い。それはともかくとして、次に、たとえば眼科では、第一次で目のかゆいあるいは目やに症状などが、公害地区では小学生の中の一八・五九%、中学生では二二・七二%など、たいへん多くなっています。精密検査の結果では慢性カタル性結膜炎にかかっている者は小学生四・六二%、中学生四・九一%などなど、たいへん多くなっている。あるいは耳鼻咽喉科では、のどがいがらっぽい、声がかれると訴える児童生徒が公害地区では二倍ないし三倍に及んでいます。精密検査の結果咽頭炎にかかっておることが判明した小学生はなんと千五百四十六人、中学生は七百五人であります。これは同じ川崎の市内でも北部のほうに比べれば、小学生で四・九倍、中学生で四・一倍というふうに高くなっているのであります。このような疫学的な調査をまだ十分行なっていないわけでありますけれども、大気汚染によるところの指定疾病を拡大する、なかんずく耳鼻咽喉、そういうところにまで拡大をしていくという見解をいま環境庁はおとりになっていらっしゃるかどうか、その点を承っておきたいと思います。
#19
○船後政府委員 特別措置法による大気系の指定疾病は、御指摘のとおり慢性気管支炎等四つの疾病とその続発症に限られておるのでありますが、これ以外の疾病につきましても、大気汚染との関係によって指定すべきかどうかという問題があるわけでございます。これらの問題は環境庁では専門家に委託いたしましてずっと調査を続けておりますので、その結果集りまして、これ以外の疾病でもなお大気汚染の影響によって多発しておるというような実情がありますれば、指定を拡大しようという考えを持っております。
#20
○岩垂委員 疫学的な調査をいまやっているというふうに理解してようございますか。その結果、もしその因果関係が明らかになれば拡大をする意思である、このように理解してようございますか。
#21
○船後政府委員 御指摘の耳とか目、鼻、これらの疾病、急性のものがおもでございますけれども、こういうものに大気汚染の影響として指定を拡大するかという問題は、専門家に委託いたしまして毎年度調査をいたしております。このような調査の結果、大気汚染による影響ということがはっきりする、しかも多発しておるというような事情がございますれば、指定の拡大という点は検討いたしたいと思います。
#22
○岩垂委員 特に川崎では子供だけではなくておとなも含めて耳鼻咽喉関係の患者が実はふえているわけであります。これは当然公害との関係、大気汚染との因果関係というものが十分考えられるわけであります。でありますから、これらの認定疾病の拡大について政府が一そうすみやかに結論を出して、住民の生活不安にこたえていただきたい、このことを要求したいと思います。
 次に、地域指定の拡大について申し上げたいと思います。
 御承知のとおりに、川崎は線路を隔てまして海のほう、大師、中央、田島、この三地域が認定地域の指定を受けております。それから鶴見がやはり指定を受けておるわけであります。この谷間に実は幸区というのがございます。この幸区は道路一つを隔てまして認定地域ではないわけであります。しかも、最近のデータによりますと、たとえば大気汚染の状況というふうなものを調べてまいりますと、亜硫酸ガスでも、昨年のデータによりますれば、昨年の六月以降川崎区、いま言った認定地域よりも亜硫酸ガスの濃度は幸区のほうが多くなっているという傾向が顕著に見られます。むろん月別の最高濃度の比較においても減ったりふえたりしておりますけれども、大体ふえておる。そして実は川崎地区を上回っているのであります。とりわけ県や市の調査によっても、海側の汚染物質が幸区の上空をおおってくるという傾向についても調査がもうすでに済んでいるわけであります。あるいは特に最近公害病認定患者がこの地域でふえておりまして、この二、三年、ここでこまかくデータを申し上げるつもりはありませんけれども、ふえているのであります。市としてはやむを得ず、国の指定を待つことがなかなかできない、市としての独自の地域認定を行ないました。そして、国と同じような措置をとっているわけでありますが、こういう状況を考えてみて、特に認定患者が二百名に及んでいます。その立場から地域指定の拡大について、環境庁にぜひ見解を承りたいと思います。
#23
○船後政府委員 現行法によります地域指定は、御承知のとおり、大気汚染が著しくてかつ指定疾病の有症率が高い、こういう地域につきまして全国的に調査を行ない、そして逐次指定するという方針をとっておるわけであります。川崎地区につきましても、当初大師、田島地区のみが指定地域でございましたが、その後横浜の鶴見と同時に中央地区も指定したわけでございます。御指摘の御幸地区でございますが、御幸地区のこういった客観的な汚染状況あるいは有症率といったものから判断いたしますと、現在やはり全国的には他に指定の緊急性が非常に強いという地域も残っておるわけでございまして、これらの地域との関連から、御幸地区をいま直ちに指定するという考えはございませんけれども、しかし、この問題は私どもにおきましても引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。
#24
○岩垂委員 これはどこの場合でもそうなのかもしれませんけれども、道路一つ隔て、線路一つを隔てただけで、あるところは認定地域、あるところは認定地域でないというこういう状況が生まれています。しかも幸区の場合は取り囲まれていろわけであります。片方は鶴見で片方は川崎区でありますから、その中にあってどうして認定されたいのかということは、データの問題ももちろんでありますけれども、いわゆる立地条件あるいは右症率の問題から見て、どうもやはりおかしいのではないかということは市民感情としてもあるし、ぼくらとしても非常に強い。そういう市民の気持ちというものを生かしていくことが政治の要諦ではないか、このように思うわけでありまして、昨年調査をなさったわけですね。幸区については何月ですか。
#25
○船後政府委員 先ほど申し上げましたように、四十七年の二月に中央地区、それから横浜の鶴見を追加していたしておるのでございますが、その際に御幸地区につきましてもあわせて調査いたしまして、調査の結果といたしまして、先ほど申し述べましたような理由から御幸地区は除外した次第でございます。この大気汚染と閉塞性呼吸器疾患との関係は、やはり疫学的な調査によりまして集団現象としてとらえていく、そういったことからどうしても地域指定という制度の導入が必要でございますが、その結果といたしまして、確かに御指摘のとおり道路一つ隔て、あるいは川一つ隔てて指定地域とそうでないというところが出てくる、これはどこまで範囲を拡大いたしましても、やはり同じような問題が残るわけでございますが、ただ、それにつきましては、客観的なデータというものをとる必要があると思います。でございますので、私どもは四十七年の指定の際に、これは四十六年の調査でございますが、その調査によりまして御幸地区は除いたのでございます。
#26
○岩垂委員 ごく近い機会に再調査をなさることを要請しておきたいと思います。
 次に、公害に係る健康被害損害賠償保障制度に関する問題について御意見を伺っておきたいと思います。
 この問題については、特に横浜市長、川崎市長をはじめとして、十の市長からこの制度に対するさまざまな意見が具申されておりますが、このことは環境庁として検討なさっておられるかどうか、承っておきたい。
#27
○船後政府委員 新しい損害賠償保障制度につきましては、昨年の暮れに中公審の特別部会から中間報告が出されまして、私どもはこの中間報告の趣旨をそれぞれ関係方面に配付いたしまして、これに対する意見を求めたわけであります。それによりましていま先生御指摘のように、大気系公害被害者救済法指定地域連絡協議会、これは横浜、川崎ほか十市で構成されておりますが、この協議会からも意見が出てまいっております。非常に貴重な意見でございますので、私ども今度この制度を組み立てるにつきましては、このような意見の御趣旨を十分に検討した上で組み立ててまいりたいというふうに考えております。
#28
○岩垂委員 たいへん恐縮ですが、いまその作業が続けられておる過程でありますので、少し細部にわたって承っておきたいと思うのですが、いわゆる制度における地域性の問題、特に環境汚染の原因者及び被害者の所在が、先ほども議論があったわけですが、市町村の行政区域のみならず、府県の行政区域をも越えた、いわゆる複合汚染を形成しているという経過にかんがみて、全国一本の制度にしてほしいという要求が出されていますが、この辺の作業はそのようになっておりますか、承りたい。
#29
○船後政府委員 御指摘の問題は、中間報告におきましても汚染が府県の行政区域を越えておるというような点と、さらには制度自体が、あまり地域別に構成いたしますと、資金的にも非常に基礎が脆弱な制度になりまして、弾力性が失われるという点から、全国一本の制度が望ましい、こういう結論でございます。かつまた、各方面から寄せられました御意見も全国一本の制度というのが大勢を占めておりますので、私どもはその方向で制度を組み立てたいと考えております。
#30
○岩垂委員 制度の構成の問題でありますが、これはかなり前から議論がある問題でありまして、健康被害だけではなくて、いわゆる財産の被害についても賠償制度をつくってほしい、これは実はかなり昔からそういう要望が非常に強く出されているわけでありますが、この点についての見解を伺っておきたいと思います。
#31
○船後政府委員 財産被害、その中でも特に農業、漁業等のいわゆる生業被害、これについて、人の健康と同様に損害賠償を保障する制度を組み立てるべきだという御意見は、まことにごもっともでございまして、私どももあわせて検討しておるのでございますが、ただ、この生業被害という問題は、被害の態様がさまざまでございまして、かつまた赤潮の例で見られますように、因果関係それ自体の究明がまだ不分明な点が残されております。こういった問題は費用負担をだれに求めるかという問題ともからんでまいりまして、今回財産被害もあわせて制度をつくるというまでには至らなかったのでございますけれども、長官もかねて申しておりますとおり、まず人の健康の救済という点を中心といたしまして、損害賠償を保障する制度をつくる、これに引き続きまして生業被害につきましても基礎的な調査を重ね、そして引き続きこの制度の構成に取りかかるということで、四十八年度から早々に検討を開始したい、かように考えております。
#32
○岩垂委員 つまり二本立てになさるという意味ですか、今度の制度の発足のあと、財産の問題については別々に考えていくというお考え方でありますか。
#33
○船後政府委員 ただいま申しましたように、生業被害につきましては、原因と結果との困果関係で究明すべきものが多く残されておりますが、ただいま想定されます限りでは、おそらく費用負担の求め方が健康被害とは違うであろう、かように考えております。したがいまして、制度の立て方は似たようなものになるであろうと思いますけれども、費用負担の範囲あるいは給付の内容、これは全く違いますので、別個の制度として構成しなければならない、かように考えております。
#34
○岩垂委員 次に、現行法においても一定期間、これは有期認定の問題でありますが、再検査を制度化するというふうに要望してまいりましたが、この方式を導入なさるようになっておるかどうか。
 それからもう一つは、これはさきに参議院の公害対策特別委員会ですかで問題になったわけですが、公害病認定患者が公害病指定区域外に転居したあと、三年たってもなおらないときでも医療費などは打ち切られてしまうわけでありまして、これはまだ人数としてはそう多くはないわけでありますけれども、やっぱり一つの問題点として指摘をされて、国では前向きに検討するという態度を明らかにされたようでありますが、国がこの前向きというのは一体どういうことを意味しているのか。つまり年限を延ばすということになっているのか、あるいはもう一つは、この制度が発足するまでの間つまりそれをつなげていく、そういう考え方があるのかどうか、その点を伺っておきたいと思います。
#35
○船後政府委員 まず、現行特別措置法の扱いでございますが、これは大気系の疾患につきましては、その患者が指定地域外に住居を移しまして三年を経過いたしますれば給付を打ち切るというたてまえになっております。これはこの制度をつくりました際に、汚染地域外に移転いたしますればたいていは治癒される、そういうケースを想定いたしまして、三年という条件をはめたのでございますが、しかし、最近の調査によりますと、そういう方につきましてもなおかつ治癒されないという例があるわけでございます。
 したがいまして、私どもこの点につきましては早急に根本的な検討はいたしますが、さしあたり、四十五年の二月に第一回の指定をいたしておりますので、ちょうどことしで三年になるわけでございます。そういった方々が治癒されないのにもかかわらず、現行制度の給付が打ち切られるというのはいかにも不合理でございますから、その点の給付が続けられるような何らかの措置をとりたいと考えております。
 で、それをこの新しい制度との関連で考えるかどうかという問題が残るわけでございますが、一応現行制度上、そういった治癒されない方々の給付は続けるという措置を、他方、新しい制度は新しい制度としてひとつ発足を考えていく。ただし、新しい制度ができますと、現行法による認定患者の方々、これが大部分が引き継がれるわけでございますから、その経過措置をどうするかという問題は新しい制度の経過的な措置として考えてまいりたい、このように考えます。
#36
○岩垂委員 人数はそれほど多くないわけでありますけれども、患者にとってはたいへん深刻な問題であります。つまり、またもとに戻ってこなきゃいかぬことになるわけでありまして、転地が意味をなさなくなる。その点についてきちんとした措置を、患者の皆さんに安心していただけるように御指導を願いたいと思います。
 次に、これも質問書の中に出ていますけれども、いわゆる慰謝料というふうな種類の問題に関連をして――慰謝料という問題の考え方がこれはかなりふえているわけでありますが、この問題について、具体的な給付の種類と給付の水準の決定に際してこのことを配慮願いたい、こういう要望が出されております。この点について一点。
 それから、児童について補償費は支給しないということになっていますけれども、特殊手当の中で、親の休業補償の要素と、母親の疲れ、その他の慰謝料的な要素を正常な健康状態に戻すまでの間考えるべきではないか、検討してほしいということが提起されています。
 川崎市などでは、児童手当的な要素として療養手当を二千円、市として出しています。これらの問題について、今度の制度の発足の中にどのような配慮が生かされようとしているか、この点について伺いたいと思います。
#37
○船後政府委員 新しい制度におきます給付の内容としてどういう給付を取り上げるか、逸失利益の補償的なものと給付とそれからさらには慰謝料という要素が考えられるわけでございますが、慰謝料につきましては精神的な要素というものも多いわけでありまして、これを制度的に一つの定額給付として構成するのはがなりむずかしい問題がある。裁判例におきましても、被害者の方が逸失利益の補てんとそれから慰謝料と二本立てで争われる場合もございますし、すべてを慰謝料一本にしぼられるというような場合もあるわけでございまして、この点慰謝料として給付科目を構成することはきわめて困難でございますので、中間報告におきましても、慰謝料的な要素というものを給付の種類なり給付水準を検討する際にできるだけ織り込むという趣旨になったわけでございます。
 ところで、児童につきましては、御指摘のように中間報告では、児童は成人するに伴いまして治癒するケースが比較的多いといったことに着目いたしまして、この補償費も支給しないでいくという考え方をとったのでございますが、これに対しましては、この協議会の意見書にも出ておりますように、親の休業補償的な要素はあるではないか、あるいはまた、児童につきましても、正常な健康状態を取り戻すまでの間の補償的な要素はあるではないかという御意見がございますので、こういう御意見を児童に対する給付の中に反映させていくように、現在検討しておるところでございます。
#38
○岩垂委員 財政運営の問題について、これはもう私どもが言うまでもないわけでありますけれども、この制度の事業に要する費用の負担というものは原因者の負担にする、つまり公費の企業の公害のしりぬぐいをやることのないように強く要求したいと思いますが、この財政運営の方法についてどんな考え方を持っているか伺いたいと思います。
#39
○船後政府委員 新しい制度の運営に要する費用はやはり原因者負担という考え方で貫くべきである、かように考えております。ただ、範囲も該当者も一番多く、金額もかさむであろうと考えられます大気汚染系につきましては、大気汚染の原因となっておりますものが必ずしもいわゆる固定発生源の事業者に限らない、移動発生源もございますれば、一般家庭等から出てくる汚染物質もあるといった点を費用負担にどのように反映させるかという点等、非常にむずかしい問題が出されておりますので、現在その点の検討をいたしておるところでございます。
#40
○岩垂委員 いまのことに関連しますけれども、やはり賦課徴収方式の問題にこれはやや関係が深いわけであります。つまり汚染負荷量に比例をしてこれを賦課していく、つまりことばをかえて言えば、企業の公害対策努力を評価し得る方法、そんなことを考えるべきだというふうに指摘をされているわけでありますけれども、この点についてはどんなようにお考えでございますか。
#41
○船後政府委員 中間報告におきましては、事業者に対する賦課の方法といたしまして、一つはただいま御指摘のように汚染物質の排出量等いわゆる負荷量に応じた徴収のしかた、いま一つは一般的に原燃料に着目いたしまして原燃料そのものに賦課を求める方式でございます。いずれの方式を採用するといたしましても、御指摘のとおり、この制度の費用負担の仕組みが同時に事業者にとりましては公害を少なくする、汚染物質の排出をより少なくするという努力に結びつき、かつそのための刺激、インセンチブになるというような仕組みにすることが必要でございます、中間報告以後、この二つの方式を中心に種々検討してまいったのでございますが、ただいまのところは、事業者につきましては汚染負荷量というものに着目して賦課を求めるという方向で制度の組み立てを検討しておるところでございます。
#42
○岩垂委員 その場合に、いうところの中小企業、つまり一定規模以下の中小企業の扱いという問題をやはり考えないといけないと思いますが、その点について考慮する余地があるのかどうなのか、その点について多少今度の議論の中で加味された議論が続けられているかどうか。この辺について伺っておきたいと思います。
#43
○船後政府委員 中小企業の扱い、中小企業なるがゆえにこの制度の費用負担から免れるということにはならないとは思います。ただし、汚染負荷量に着目して賦課するということになりますと、非常に零細な発生源まで賦課を求めるということは技術的にもほとんど不可能に近く、かつまた徴収コストとの関係から非常に不効率な制度になるということもおそれられますので、あるいはある程度以下の規模の発生源に対しましては、すそ切りというような手法が必要ではなかろうかということで、検討しておるところでございます。
#44
○岩垂委員 いまの公害病の認定審査会の問題でもそうなんですけれども、事実上事務費が自治体の負担になっております。今度の制度が発足するについて、その人件費やら事務費やらというものを地方自治体に押しつけていくということのないようにしてほしい。これは地方財政の現状から見てやむを得ない要望だと思います。その点についても配慮が払われているかどうか、御意見を伺いたいと思います。
#45
○船後政府委員 新しい制度の賦課、徴収及び給付の機構をどのように組み立てるかというのが基本でございますが、少なくとも給付の事務につきましては現行制度とほぼ同様の制度として、地元の市町村あるいは都道府県という地方団体に担当してもらうほかは合理的な機構は考えられません。したがいまして、これらの給付に要する費用は、当然この制度の事業実施に要する費用でございますから、この制度が負担するわけでございますが、他方また、こういった制度の実施に要する事務費をだれが負担するかという問題は、その問題として別途に検討してまいりたいと考えております。
#46
○岩垂委員 別途というのは、つまり地方自治体に迷惑というか、負担をふやすことのないように努力をするということで理解をしてよろしゅうございますか。
#47
○船後政府委員 この制度の給付に要する費用そのものは、先ほど申しましたような汚染原因者が負担するという考え方で制度を組み立てるべきである、かように思いますが、ただ、事務に要する費用ということになってまいりますと、広く国の社会保障制度あるいは労働保護の制度、こういった諸制度におけるこの種の給付の制度があるわけでございますから、そういった制度とのバランス上も事務費はいかなる方式で負担するかという問題は別途の問題としてあるわけでございますから、それを国、地方公共団体あるいは関係の事業者等の間でどのように合理的に分担するかという問題は、その問題として検討してまいるという趣旨でございます。
#48
○岩垂委員 まあこの問題はこれからの問題ですから、ここで詰めて議論するわけにいかないと思いますが、最後に――この問題に関連しての最後ですが、公害病認定患者のうちの、生活保護法の規定によって保護の適用を受けている患者が含まれているけれども、新しい制度による患者の補償にあたって生活保護法による収入認定の対象から除外されることのないように配慮されたい。これは実はいま問題になっているのです。これはこの制度とは関係ございませんけれども、いまも現実に公害病認定患者の療養生活扶助費等助成制度というのが川崎で実はできました。この問題が問題になっているわけですが、少なくとも生活保護を受けている人たちが、この給付を受けたことによって生活保護法によるところの収入認定にこのことが加味されるということのないように御努力をいただきたいと思いますが、御答弁をお願いいたします。
#49
○船後政府委員 生活保護法の収入認定は厚生省の問題でございますが、私ども承知いたしております限りでは、国の特別措置法に基づくところの手当も、これは生活保護法の収入認定から除外されております。ただ地方で独自にそれに付加しておやりになる給付ということになってまいりますと、これが生活保護との関連はやはり法律上の問題ではなくなりますので、別途厚生省のほうにおきまして、その給付の趣旨にかんがみ、生活保護法上の収入認定の取り扱い方を考えていただきたい、かように思っております。
 なお、新しい制度になりますと、実費弁償的な手当のほかに損害賠償的な給付が行なわれるわけでございまして、かなり給付金額は現行の給付よりも額が多くなります。これを生活保護法とどのように扱うかという問題は、厚生省とこの制度をつくります際に十分詰めてまいりたいと思います。
#50
○岩垂委員 制度の恩恵を受けたわ、生活保護は打ち切られたわということでは、まさに政治的な一貫性がございませんので、政府がそういう態度について生活保護を打ち切るようなことのないように、措置を、この際、この制度の発足にあたって望みたいと思います。
 またこの制度についていえば、いま地方自治体がやっているさまざまな施策、たとえば、これは川崎のことを言ってたいへん申しわけないのですけれども、川崎の場合には幾つかの全国に見られない制度があります。たとえば公害病認定地域として、さっき申しましたとおりに、幸区を指定しておりますが、それの医療費、医療手当がプラスになっています。さらに公害病認定患者に市のバスの無料の乗車証を交付しております。また私営バスの定期券も交付しています。あるいは転地療養交通費も支給をいたしております。また死亡見舞い金の支給も行なっております。新しく市民療養所というものをつくって、その使用料をいわば補助しているというふうなことあるいは特に公共住宅への優先入居、これらの問題あるいは医療手当を通院二日、三日について適用をしていくというような制度あるいは今度新しく実は療養生活扶助費の支給や療養手当の支給、弔慰金の支給、その他の付帯事業についても新しい制度の拡充を目ざしているわけであります。実は、全国にもまれな公害地帯として市の行政がそれに対応しなければならないという必要性から、市独自の立場でこのような制度が続けられているわけでありますが、政府は、これらの自治体がいわば先取りしている患者に対する対策について、この制度を包括的に引き継ぐことができるように、十分に吸収できるように、さらに検討していただきたい、このように要望をしますが、船後さんの御見解を承りたいと思います。
#51
○船後政府委員 現在、地方公共団体で独自の制度として公害による健康被害者の救済をしておられるところが多いのでございますが、これは地方ごとに給付の種類あるいは給付の程度にかなり差がございまして、国の現行制度に準ずるような給付にとどまっておるところもございますが、さらに付加的に種々の給付を上乗せするという制度もございます。私ども、新しい損害賠償保障制度をつくりますと、これらの地方で独自にやっておられます制度の中で、補償的な金銭給付の面はかなり新しい制度に吸収されるもの、かように考えておりますけれども、さらに地域の実情に合ったきめこまかい施策ということになりますれば、これはやはり地方独自の施策として残る範囲があるのではないか、こういう考え方のもとに国の制度と地方独自の制度との調整を考えてまいりたいと考えております。
#52
○岩垂委員 損害賠償保障制度の問題についてはその辺にいたしまして、これは予算に関係があるわけですけれども、公害病の患者あるいは公害に対する対策として、単に生活保護、生活保障ということだけではどうにもならないのじゃないだろうか。いま必要なことは、治療を受けてなおっても、体力が回復しないとか、あるいは職場復帰がむずかしいとか、あるいは転職も思うようにいかないとか、こういう方々の対策を考えなければいけない。つまり金では買えない患者の健康回復、健康人としての社会復帰対策など、そういう対策が必ずしも十分でないというふうに申し上げなければならないと思います。その意味で、医療とか生活とか転職というような問題全体を含めた、言うところの公害救済センターというふうなものをつくったらどうだろうかということを、個人的にも、あるいはそういう公害関係の団体とともに川崎や横浜の市長に提起をしてきました。まだその具体的なプログラムは完全に煮詰まっているわけではございませんけれども、今度横浜と川崎の両市で共同で、仮称でありますが、公害救済センターというふうなものをつくろうではないかという努力が続けられています。そしてその中には、たとえば一般の医療機関ではそろえることがむずかしい医療検査器具であるとか施設を装備するとか、あるいは専門の研究員が養成できるようなことを考えるとか、これまでほとんど行なわれなかったリハビリテーションや職業相談、あるいは公害病の専門のケースワーカー、こんなものを置いていったらどうだろうか、こんなことも実は議論の対象になっているわけです。
 できれば、これらの問題を国が積極的に取り上げていく。今度の予算の中でもそれらの検討が加えられるべきだと私は思う。というのは、公害病というのは全国的に広がってきておりますから、もう非常に特殊なケースではないわけであります。それらの問題について政府がどのように考えているか。少なくともことしぐらいのプログラムでその検討を始めるべきではないか、これが一つ。それから、地方自治体がもしそのようなものをつくろうとすれば、国が積極的にこれに対する助成をすべきであると思うが、その助成の手だてというものが保障されているかどうか、この点について承っておきたい。
#53
○船後政府委員 公害による健康被害者の救済の問題は、御指摘のように医療の給付あるいは補償の給付という問題にとどまるものではございません。そういう患者の方々が、一日も早く病気がなおって社会復帰されるというところまで考えていくのは当然でございます。現在も、そのようなリハビリテーション的な施設につきましては、これは広く社会保障制度の一環といたしまして、厚生省にそのような社会福祉施設というものに対する補助、援助の制度があるわけでございますが、この制度に乗りまして一部御指摘のような施設、たとえば水俣市で設立したというような例もあるわけでございます。広く大気汚染系の疾病につきましてもこのような制度をいかに考えていくかという点は、厚生省と十分打ち合わせをいたしまして、国からも積極的に援助ができますように考えてまいりたいと思っております。
 なお、新しい損害賠償保障制度におきましても、やはりそのような趣旨から法定給付とは別に、この制度の付帯事業といたしまして、その種のリハビリテーションといったようなものに対する援助ができますような仕組みも、この新しい制度で考えてまいりたいというように思っております。
#54
○岩垂委員 まだ時間があるようでありますから、お願いしたいと思うのです。
 次に、光化学スモッグと四十八年度自動車排気ガス規制及び低公害車の問題について承っておきたいと思います。
 杉並の立正高校で光化学スモッグが発生したのは昭和四十五年であります。その後、実はますます激化、多発の様相を呈しているわけでありまして、それが社会問題になっていることは御承知のとおりであります。また、最近の読売新聞によれば、光化学スモッグで脳波の異常を来たしている、三十八人中六人の高率で入院して三カ月もけいれんを起こしているというような、そういう後遺症が残ることなども憂慮されているわけでありますけれども、光化学スモッグ対策は四十八年度予算において若干の経費の増額がありまして、政府として積極的な姿勢を示しているように見受けられるところもありますけれども、環境庁は昭和四十八年度において光化学スモッグによるところの被害が発生しないと考えているか、すると考えているか、その点について伺っておきたいと思います。
#55
○山形(操)政府委員 お答えいたします。
 光化学スモッグ問題に関しましては、現在社会問題になっていることは十分承知しておりますが、御承知のとおり現在わが国で報告されております光化学スモッグの事例というものは、従来アメリカ等で初めからいわれておりました光化学反応によるオキシダントの濃度の上昇、それに伴う人体の影響並びに植物等の影響、こういったもののカテゴリーからちょっとはずれるものが症状的に出ております。これがはたして光化学反応によるものかどうかという根本問題が、正直言ってまだ解明されておりません。その点は、特に人の影響に関して、しびれがきたりあるいは重篤な呼吸困難等の急性症状を起こして倒れる学童等の事例がございまして、このときのオキシダントの濃度が上がっていないという、根本的にわからない問題がございますので、私ども国におきましては都道府県と一緒になりまして、まずその根本的な解明問題を中心に来年度も臨みたいと思っております。
 具体的には、発生源のシラミつぶしの調査とかあるいは低層大気の問題を特に調べたい。立体的な調査を十分にやりまして、東京湾地区は重ねてやりますが、さらに大阪湾地区も一体としてやってみよう、あるいは人体の影響につきましてはさらに克明な調査をしていこう、こういうふうに取り組んでいくつもりでございますが、御承知のとおり、都市型の大気複合汚染の問題ともからみますので、外国におきます事例とは、日本の場合やや複雑になっておるという点もございますので、これらの解明を待ってできるだけ処置していきたいと思います。
 御承知のとおり、光化学スモッグの主原因は、窒素酸化物と炭化水素ということになっておりますので、それらの出す事業場あるいは移動発生源としての自動車、これらに対する対策を各方面からやるために、現在、各省庁間における光化学スモッグ対策の推進会議を開いておりますので、それらで、現在四十八年度の具体的な作業をいま検討しておる最中でございますが、御指摘のように、四十八年度は事例が起こるかどうかという推論は、残念ながら起こり得る。どの程度起こるかという点に関しましては、まだ規制方式が、なかなか実を結ぶには時間がかかる点がございますので、どういう形態で起こるかという点は、私からはっきり申し上げられませんが、なお軽減には努力しますが、事例としては起こり得ると考えています。
#56
○岩垂委員 長い間調査をして、いまだにその原因究明が十分でない、そして一方で被害者がふえてきている、そしてその被害者が後遺症のことまでも心配しなければならない、こんな状況なんであります。これは政府の責任もきわめて重大であるといわなければなりません。
 そこで、これは運輸省に関係があることなんでありますが、その原因が、特に東京、大阪などでは自動車によるところのいわば汚染という問題がかなりウエートを占めていることは明らかであります。四十八年度新型車規制、使用過程車規制を運輸省では実施することになりましたけれども、この規制によって汚染物質の減少というのはどの程度見込まれるかということについて、多少検討なすったことがあるか伺いたいと思います。
#57
○飯塚説明員 お答え申し上げます。
 光化学スモッグの主原因と申しますのは、窒素酸化物と炭化水素というふうに現在考えられておりますけれども、自動車の排気ガス中からこの種のものが出るわけでございますが、現在中古車規制を道路運送車両の保安基準で、本年の一月に規則改正をしてすることにしております。その結果、効果といたしましては、現在のところでは、炭化水素につきましては一〇・一%減、それから窒素酸化物につきましては一七・九%減、これは今年の八月現在でございますが、これだけ減るものと現在考えております。
#58
○岩垂委員 この程度の汚染物質の減少では、光化学スモッグの発生を防止することはできないと思うのです。また発生した場合、その被害を防止することはできないと私は思うのです。したがって、平常時及び高濃度の緊急時において――これは警察庁おられますか。交通規制の問題、このことを本格的に考えなければいかぬと思うのです。いままでのような形をもっと強めていく、そのことについて……。
#59
○久本説明員 光化学スモッグによる被害の防止についての交通規制につきましては、一昨年、昨年とすでに具体的な事例もございますので、すでに一線の交通規制に対しましてはいろいろ指導しているところでございますが、基本的な考え方といたしましては、まず恒常的には、やはり車がこれだけ都市内を走り回る、したがって、その交通量を減らすということの規制を平常からやっていかなければならぬ、これが緊急時において具体的な規制をやる場合においてもやはり基盤であり、またそれによって緊急規制というような、たとえば災害時にも類するような規制をしなくても済む条件がつくられるであろう、これがまず第一でございます。しかし現実には、おそらく非常に高濃度の光化学スモッグが発生して、健康並びに環境に重大な被害を及ぼすということもあり得る。したがって、そういう場合におきましては、いろいろ副作用もあり得ると思いますけれども、こういう場合には、現状ではやはり直接臨時に車の通行を規制するといったような直接規制もやらなければならないだろうというふうに考えております。
 ただ、これが具体的などういう場所にどういう事例をやるかという点につきましては、都道府県各予想地域の条件によって状況が違いますので一がいには申せませんけれども、そういうような点を各都道府県警察が具体的に想定をして、これを一たん、不幸にしてそういうような状況が生じました場合には、どういう対象に、どういう時間帯で、どういう規制をするかという点についての具体案を平生から検討していくという指導をいたしております。直接そういう事態が生じました場合においては、そういうような平生準備をしましたところに従って、できるだけ適切な規制処置を講じてまいりたいというふうに考えております。
#60
○岩垂委員 いままでどっちかというと、原因が完全に判明してないから、あるいは交通を規制すれば混乱が起きるから、国民の日常生活に影響を及ぼすから、交通規制は好ましくないというふうにおっしゃった時代もありました。その過程の中でいろいろな意見があって、駐車禁止や違反取り締まりやバスレーンの拡大などによって交通規制を行なってきたことは、私も承知しております。緊急の事態、その場合の交通規制というものをやらなければいかぬ、つまり国民の健康を守る上で、どうしてもそういう緊急な措置をとらなければいけないときがあるだろう。そのことを警察庁としても十分考えて、地方自治体と十分連絡をとって、そのような措置を積極的に講じてほしい、このことを強く要望しておきたいと思います。
#61
○久本説明員 御趣旨、まことにごもっともだというふうに存じております。できるだけ、そういう線に従って指導してまいりたいというふうに考えております。
#62
○岩垂委員 さて、四十八年度の使用過程車の規制について、各県別にどのような規制をやっていくのか承っておきたいと思うのですが、たとえば大阪、東京は五月一日、隣接県は光化学スモッグがもう過ぎてしまう九月一日で、光化学スモッグの対策となっていないのではないか。この点について、なぜ五月一日から全国一律に実施できないのかという点について、これは運輸省のほうに承っておきたいと思います。
#63
○飯塚説明員 対策といたしましては、現在の自動車の原動機に新方式の排気ガス清浄装置をつけるというのが基本的な対策であります。ところが、この数量が、生産が、現在の中古車約二千万両の需要を供給するほど一ぺんにできないということが一つあります。そのために、段階的に排気量の多いものと過密都市から実施をするというふうなことにしてございますけれども、これよりも前に、全国の中古車約二千万台につきまして、点火時期の遅延調整作業を四月末までに全部一斉にいたしまして、これによってかなりの効果を得よう、そういうような対策をまず行なって後に新方式の排気ガス清浄装置を取りつけさせようということでございます。
#64
○岩垂委員 生産、取りつけのための最低必要限度の日数を置いてやらなければいけないということは、だからその製造が間に合わないということだろうと思うのですけれども、五月一日から中古車規制を行なうと発表したのはいつですか。
#65
○飯塚説明員 運輸省が光化学スモッグ対策をできるだけ早くしようと発表したのは昨年の八月でございます。
#66
○岩垂委員 そうですね。運輸審議会で答申があったのはいつですか。
#67
○飯塚説明員 昨年の十月の十二日でございます。
#68
○岩垂委員 保安基準を改正したのはいつですか。
#69
○飯塚説明員 保安基準を改正いたしましたのは、これは本年の一月の八日でございます。
#70
○岩垂委員 こういうスケジュールを見ますと、もう少し早く全国一律にやるという条件を確保することはできるように思うのですが、こういうふうに何か非常に後手後手みたいに、おくれおくれになっている感じがするわけですが、その点について運輸省はどのようにお考えになっておりますか。
#71
○飯塚説明員 光化学スモッグの防止対策でこの種の装置をつける場合には、やはり生産にある程度リードタイムがどうしても必要でございます。それで、そのために、生産量数というふうなものをいろいろ調査した結果、最高、現在では八万個数というふうなものがせいぜいであろうということで、現在では五、六万ぐらいの生産個数でございます。そういうふうなことで、中古車が現在約二千万ございますから、あとは府県別それから原動機の大きいものからというふうなことになりますと、東京、大阪を一番先にやる、あとは千葉、埼玉、神奈川、愛知、兵庫というふうなものをその次にやる、それからそれ以外の県というふうなスケジュールにこれはなるわけであります。
#72
○岩垂委員 保安基準に適合してない車というのは走行できないことになると思うのですが、その点はいかがですか。
#73
○飯塚説明員 保安基準には適合していないということになります。したがってこれは警察庁の関係になると思いますが、道路交通法で整備不良車両というふうに認定されるものであろうと思います。
#74
○岩垂委員 総排気量一八〇〇ccをこえる乗用車において点火時期制御装置または触媒装置の取りつけを、規制が実施される五月一日において済ませなければいけないとなっているわけでありますが、どういう装置が指定されているか承りたいと思います。
#75
○飯塚説明員 本年の五月末までに新方式の排気ガス清浄装置をつける対象車両と申しますのは一八〇〇cc以上の乗用車で、東京都とそれからあと大阪府でございます。そして、現在その点火時期の制御方式の装置でございますけれども、これが現在、三月三日に三十四型式を指定しております。それから触媒反応方式の装置というふうなものは近々申請書が提出されることになっておりまして、現在、申請準備中の会社が八社ございます。したがって、この申請を受け次第調査をいたしまして、すぐに指定すべきものは指定するというふうな段取りになっております。
#76
○岩垂委員 五月に実施することを前にして、まだ装置の指定が終わっていないということで間に合うのですか。特にその触媒方式の場合は三月の下旬になってしまうわけですね。一カ月しかないわけですよ。間に合うのかどうか承っておきたいと思います。
#77
○飯塚説明員 この触媒方式のやつは三月一ぱいには指定されると思いますけれども、現在のところでは、取りつけば全国約六万四千に及ぶ整備工場が取りつけ作業をいたします。それで点火時期の制御方式の装置とそれからこの触媒方式のやつを併用いたしますと、東京、大阪の三十四万両の自動車には現在のところでは備えつけられると思います。
#78
○岩垂委員 聞くところによると、アメリカの環境保護局ではこの点火時期制御装置、デバイスについてはいま生産を中止しているというふうに承っておりますが、つまりそれは追い抜き、追い越しのときにスピードが落ちて対面車と衝突する可能性が、危険が非常に多いというふうにアメリカではいっているというわけでありますが、その点については運輸省御存じですか。
#79
○飯塚説明員 そういう資料、そういう話は私ども現在耳にしてはおりませんけれども、現在米国ではカリフォルニア州で点火時期の制御方式の装置を義務づけをしておるというふうに聞いております。
#80
○岩垂委員 運輸省の中で点火時期制御装置、デバイスについては早目に機種指定をして、触媒装置についてはいろいろな意見があって、たとえば有効性だとか二次公害のおそれがあって、指定は考えてないという見解であったわけですが、この触媒方式をもいわば指定をするという考え方に立ったようであります。そこには若干の変化が見られると思うわけでありますが、今日のようにおくれて押せ押せになって一番迷惑するのはやはりユーザーだと思うのです。だからそういう点については運輸省は一体今日までの経過について反省をしておるのかどうかですね、この指定の問題がおくれている問題は。この点についての御見解を承りたい。
#81
○飯塚説明員 残された期間でできるだけ早急に処置するように努力するつもりでございます。
#82
○岩垂委員 聞くところによりますと、ある自治体では、このいわば規制についての行政的な措置あるいは装置の取りつけなどについて住民に知らせるためにたいへんな努力をしているわけであります。そしてそのためのPRを行なわなければならないということなんでありますが、この問題はやはり国が責任を持ってやっていかなければいかぬと思う。国が今日までどのようなPRの努力をしているか、承っておきたいと思います。
#83
○飯塚説明員 私どものほうではポスター類それからちらし類、そういうふうなものを制作いたしまして、私どものほうの出先の機関に配布をしたり、また一般にはそういうふうなものをもって周知したりするということをしておりますのが一つと、それから自動車関係業界がございますが、そういうところにもいろいろな方策で周知をしていただいておりますのと、それから整備工場には中古車が必ず修理で入りますので、その段階で一般のユーザーの方に十分知っていただくように、そういうPRをしておるところでございます。
#84
○岩垂委員 今度の中古車規制の問題というのは、どちらかというと地方自治体に突き上げられてようやく政府が実施に踏み切ったということなんであります。しかも実施にあたっては、そのPRをどっちかというと自治体にまかせている。いまおっしゃったようにおくればせながら努力をしようとしていますけれども。これはやはり政府の公害対策の基本的な姿勢というものを伺いたいと思います。その点についてどうお考えになるか、これはぜひ伺いたい。
#85
○飯塚説明員 自動車の排気ガス防止対策と申しますのは、現在、ただいま先生お話のございました中古車対策と、それからあとは昭和四十八年規制並びに昭和五十年規制の新車対策というふうなものと並行しまして、できる限り自動車の排気ガス公害を減らすような努力で今後施策を進めたいと思っておるところでございます。
#86
○岩垂委員 アフターバーナー触媒装置というものは炭化水素と一酸化炭素を減少させることしかできないということを国でもいっておりました。最近の調査によると、窒素酸化物についても減少することができるということが確認されたように伺っております。このことについては国は承知していますか。
#87
○飯塚説明員 現在の触媒装置は炭化水素とそれから一酸化炭素にきく酸化触媒というようなものが使われておるわけでございまして、昭和四十八年規制あるいは五十年規制、これに対応するためにはNOxを減らすためには還元触媒というようなものを使う必要性があるということでございますが、現在新聞等でその情報は承知しております。
#88
○岩垂委員 新聞で知っている程度で、開発の現状について、国はつまり運輸省はデータを持っていないのですか。
#89
○飯塚説明員 還元触媒につきましては、現在技術的にはそういうふうな試作的なものができたという段階でございまして、これを現実に使うというふうな点では、まだかなりの技術開発が必要であるというふうに私どもは思っております。
#90
○岩垂委員 民間が開発したものはできるだけ早くこれを取り上げて、そして公害を防止する、自動車を規制する、そういう努力をしなければいけないと思う。それを地方自治体がやっているわけですね。たとえば東京都がいまの調査をきちんとしています。私どもデータを拝見しております。そういうことを考えるならば、地方自治体の役割りじゃないのです。国がやるべきなんです。運輸省が。この点についても国の公害対策の消極性がうかがわれるわけでありますけれども、その点について、今後中古車対策の中で、これらの措置を取り上げていくことについて対策を承りたい。
#91
○飯塚説明員 触媒反応方式、そういうふうな装置あるいは点火時期の制御装置、そういうふうなものの今後の技術開発を十分検討いたしまして、積極的に対策に取り組んでいくつもりでございます。
#92
○岩垂委員 自動車による大気汚染を絶滅するためには、どうしても無公害車を開発することが急務であることはいうまでもありません。アメリカで現実にマスキー法を定め、それの基準に合格する車として、EPAにおいてはすでに日本の自動車メーカーを二社指定していることも、これはもう天下周知の事実であります。問題は、そういうことをアメリカがやっているのじゃなしに、日本の側でも積極的にその政策を取り上げなければならぬ。現実に、この前も私はこの委員会で質問をいたしましたけれども、東京都ではこれらの幾つかのメーカーの中から資料を取り寄せまして、申請を受けてそして車の低公害車を指定している。そういう状況があるわけであります。この東京都の措置に対してあちこちから実は問い合わせがある、こういう状況を新聞で承っております。国がやはり積極的にそういう指定をしていく、こういう政策をとるべきではないか、こんなふうに思いますが、運輸省はどんなふうにお考えですか。
#93
○飯塚説明員 低公害車の開発につきましては、これはいろいろ税制面での問題もありますし、それから技術開発の問題もあります。私どものほうといたしましては、昭和四十八年度から五カ年計画で都市用の中型の低公害バスの開発というものを推進していくというふうな方針をとっておるところであります。
#94
○岩垂委員 この前私はこの委員会で、国や東京都、地方公共団体がこの低公害車を買い入れていく、そして積極的にそういう誘導政策をとっていくということについて三木環境庁長官の見解をただしたのですが、政府もこれを積極的に取り上げていくという方針を明らかにしたことはいいことだと思います。しかし現実には、新聞などはこの政府のいわば立ちおくれみたいなものについて非常に皮肉っているところがあるわけであります。たとえば朝日新聞でも東京新聞でもそうでありますけれども、アメリカ政府の場合はマスキー法によって、値段が少し高くても基準合格車を優先的に買うことが義務づけられているが、日本政府の公害対策というものはここでもまだ腰が入っていないというふうに朝日で指摘されております。東京新聞でも社説の中で「低公害自動車の実現と普及のためには、有効なあらゆる手段をとる必要がある。自動車を使う人の側には、公害の加害者であるという意識は、残念ながら薄い。従って低公害車の単価が高くなるなら、物品税その他の税制の面からの優遇措置をとるべきだし、逆に公害自動車には高い税金をかけることも必要であろう。」こういう見解が述べられているわけであります。これらについて、これは政務次官に伺いたいのですけれども、税制上の措置が多少今度の税法の改正でとられようとしておりますけれども、もっと積極的にこれらの誘導政策をとる必要はないのかどうか。その点について承っておきたいと思います。
#95
○坂本政府委員 ただいまのお説のとおり、低公害車の普及といいましょうか、奨励につきましては、政府としては積極的にこれから前向きにがんばっていきたいと思っております。
#96
○岩垂委員 前向きにということだけで、たとえば公害を出す自動車に高い税金をかける一種のペナルティーみたいな考え方、そういう政策をとらないと、これはいつまでたってもどうもならぬような感じがするのです。確かに値段は高いです。だからその点について、片一方でてこ入れをしながら片一方でそういう公害を出している車についてはある意味の税金をかけていくというような考え方はないのかどうか。
#97
○坂本政府委員 おっしゃる御趣旨については全く賛成であります。そういうような方面につきまして、これから具体的に政府としてもつとめてまいりたいという姿勢を申し上げたわけでございます。
#98
○岩垂委員 いまの自動車から排出されるところの有害物質によって実は国はもちろんでありますが、地方自治体もたいへんな財政の支出を余儀なくされているわけであります。だからいま申し上げたとおりに、排出ガスの高い車についてはやはり増税をしていく、こんなことを考えませんと、承るところでは、たとえば日産、トヨタの決算の状況は一株当たり半期で五十数円もの利益をあげておる。株主には二割近い配当をしているということであります。こんなことを考えたとき、そしてますます生産を拡大しているわけです。こんなことを繰り返していく、つまり大企業の利益を守っていく政治では国民はどうにもならぬのではないか。したがってメーカーに対して高額な税金をかけるということは当然でありますけれども、やはり大幅な減税をやっていく、こういう政策をぜひ強調したいと思うのであります。さきの税制調査会の答申によれば、物品税、取得税において五、六万円の減税になります、計算をしたところによれば。しかしある社で低公害車を開発したところが十万円のコストアップだというのですね。これも新聞に出ているわけですけれども、最初月産千台を計画したにもかかわらず、たった四台しか役所に売れなかった、そういう状態があるわけでありますから、政府が今後低公害車普及対策をどのように考えてどのように実施していくのか、その見解を承っておきたいと思います。
#99
○坂本政府委員 低公害車の奨励ということにつきましては、政府みずから範をたれてそして政府がまず購入をする、その姿勢を進めていくということについてはまことに賛成でございます。
#100
○岩垂委員 最後に、四十八年五月一日から実施される使用過程車に対する措置については、これはさっきから議論があるわけでありますけれども、お尋ねしたいと思います。去年の夏の光化学スモッグから東京都は触媒装置の勧奨制度というものを実施をしてきています。実はもうやってきたわけですね。ところが今度、これはいわば実際の積極的な政策として私たちは奨励すべきことだというふうに考えているわけでありますけれども、通産省は全国の自治体にこの触媒装置の取りつけを勧奨するように通達したという事実はありますか。
#101
○飯塚説明員 昨年の夏の光化学スモッグの関係省庁との連絡会議が開催されまして、その結果、環境庁とそれから運輸省の連名で使用管理が十分行き届くところ、たとえば官庁とか大会社だと思いますが、そういうところで触媒浄化装置というふうなものを取りつけるということを勧奨する通達を出しております。
#102
○岩垂委員 そういう趣旨に基づいて自動車所有者は法の規制に先がけて行政指導を信頼して、多額の費用を負担して公害防止に実は協力してきたわけです。そして触媒装置を取りつけてきたわけです。政策のほうが、政治のほうが一歩おくれているわけです。これについてすでに措置をしたものについて、これは当然法によって措置したものと考えるべきだと思いますけれども、その点についての見解を承りたいと思います。
#103
○飯塚説明員 現在の触媒反応方式の装置というふうなものは安全装置、たとえば触媒装置をつけた場合に周辺がどうしても熱を帯びるものですから、その火災防止対策だとか、あるいは急に温度が上昇しますと中の触媒の粉といいますか粒というのでしょうか、そういうふうなものがすぐ劣化をしてしまうというふうなことがございます。そういうふうなものに対する防止装置というものを現在のものではつけております。それで従来のはそういうふうなものがまだ十分ではないと思いますけれども、昨年から勧奨しておるようなものにつきましては、いま先生おっしゃいましたように、今度の対策でも使えると申しますか、そういうふうな方向で検討してまいりたいと思っております。
#104
○岩垂委員 時間をオーバしましたので、最後に一つだけ低公害自動車のいわば認定についていわゆるモードを、四モード、十モードというふうな測定方法があるわけでありますけれども、承るところによると、とりあえずは運輸省は十モードでいこうということを採用しているわけでありますが、固定的に今後ともそういうふうに考えているわけですか。
#105
○飯塚説明員 現在の低公害車の認定基準の測定モードというふうなものは、環境庁で行なわれております中央公害対策審議会での自動車公害小委員会のその答申を拝見しましてから、環境庁と御相談してきめたいというふうに思っております。
#106
○岩垂委員 以上で終わります。
#107
○佐野委員長 島本虎三君。
#108
○島本委員 きょう私はおもに霞ケ浦その他の湖水の水質保全と長野県の霧ケ峰の環境保全、これに重点を置いてひとつ政府の態度を伺いたい、こういうように思います。
 まず、その前に昨年制定された自然環境保全法、これは一年以内ということでございますが、いつから実施される予定ですか。
#109
○首尾木政府委員 先生の言われましたように、法律におきましては、昨年六月二十二日に公布されましたので、一年以内ということでございますと、ことしの六月二十一日ということになるわけでございますが、私どもといたしましてはできるだけ早くこの自然環境保全法の施行に進みたいと考えておりまして、現在ことしの四月一日からの施行ということを目途にいたしまして、最終的に関係の政令等につきまして、法制局とただいま審議をいたしておるところでございます。
#110
○島本委員 その施行までの間は、自然公園法、これはもう四十七年改正されて、この分は施行されておるわけでありますけれども、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園、こういうようなものに対しては、環境庁としては今後これを減らす考えですか、ふやす考えですか、現状維持でいる考えですか。
#111
○坂本政府委員 法の精神に照らしまして、ふやすべきところがあればふやしていきたい、こういうふうに思っております。
#112
○島本委員 ふやすべきところがあらばという、これはどういうことですか。あるならばもう積極的にふやすのがあたりまえじゃないですか。あらばということは、それまでは消極的な態度だという意味ですか、政府は。
#113
○首尾木政府委員 現在国定公園につきましては、すでに候補地にのぼっておるところもございまして、これにつきましては具体的に審議会で候補地の選定につきまして一応答申を得ております。そのような地域につきましては、その地域の確定等の事務を急ぎまして、これを具体的に拡張といいますか、そういう地域を新規に指定をしてまいりたい、かように考えております。
 また、国立公園等につきましても、必要な地区につきまして拡張等のことが具体的な問題としてもございますので、今後検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#114
○島本委員 それで利用の制限という問題も当然それに対して付随するわけですけれども、おそらくはレクリエーションの普及によるところの荒廃、公園内の湖への鉱山の排水、工場排水、下水、屎尿等の流入、こういうようなことが現在いわば制限つき野放しであります。したがって、自然公園に指定されながらもそのよごれが進行して、もうすでに死の湖になりつつあるものもあるわけです。その実態は十分御存じでしょう。したがって、この自然環境保全法をせっかくつくって、この実施を、一年の猶予期間があるからといって、黙ってじんぜん日を過ごすようなことがある場合には、これはせっかくの法の精神が生きない。これは十分皆さんおわかりだと思うのです。いますでに、公園等国有地、公有地等どうされるのではなくて、利用の制限が付されこの程度である。だって、いままであった施設そのまま、下水であろうと工場排水、鉱山排水、屎尿の流入、こういうようなのがそのまま認められた場合にはとんでもないことになるわけです。それに対する手を何ら打っておらぬ。いま芦ノ湖、北海道でさえも洞爺湖、それから諏訪湖、それに近所では霞ケ浦、こういうような湖のいわば汚濁、法律があって規制するならばもっときちっとしないといけないのじゃありませんか。これはいまどういうふうな規制をしてどういうふうな状態になっていますか。
 これとあわせて、長野県の白樺湖、蓼科湖、これは山の中腹にある湖ですが、この水質の状態、どういうふうになっていますか、事務当局からの報告を求めます。
#115
○岡安政府委員 ただいまおあげになりました湖沼のうち、一番よごれていると考えられますのは諏訪湖でございます。それから、その次がやはり霞ケ浦というような順序でよごれておりまして、洞爺湖、芦ノ湖等につきましても、それぞれ理由は違いますが、それぞれ汚染が進んでいるというふうに聞いております。最後におあげになりました白樺湖、蓼科湖等につきましては、ちょっといま資料がございません。
#116
○島本委員 それでは事務当局のほうで、この質問が終わるまでに報告できるようにすぐ手配してください。一時間もあったらできるはずです。これは山の中腹にあって諏訪湖のほうに注いでいろ湖です。その汚濁の状態はどうなっているのか。これに対して県なり環境庁はどういうふうに指導してきたのか。この二つだけきちっとさせてください。汚濁の状態と指導、いいですね。
 そうして、いまそういうふうな状態でございますけれども、これは新しい法律が改正されて、いま公園の自然環境保護に関するいろいろな規制があります。
 それから水質汚濁防止の観点からは、これはもう重要でありますから、いろいろの廃水、汚水の排出の規制、こういうようなものもなかなか厳重にきめられております。この第一番の、特別地域及び特別保護地域内における規制として、環境庁長官が指定する湖沼等及びこれらの周辺の区域内において当該湖沼等に接続する水域もしくは水路に汚水を排出しようとする者は、国立公園にあっては環境庁長官の、国定公園にあっては都道府県知事の許可を受けなければならない、こうなっているはずであります。もうすでに自然公園法がりっぱに施行されて、許可を受けなければならないはずのこれらの湖沼が、何でよごれるのですか。何で、もうこれ以上のよごれはないだろうと思われるほどに汚濁をそのままにしておくのですか。たとえば諏訪湖の場合なんかどういうような指導をしていたのですか。霞ケ浦なんかの場合にはこれはどういうようにしていたのですか。
#117
○首尾木政府委員 ただいま仰せになりました諏訪湖でございますが、これは国定公園の地域外になっておりまして、これにつきましてはこのような法律の規制がとられておらないわけでございます。
 それから霞ケ浦でございますが、これは先生のおっしゃいました法律の条文から申しまして、環境庁長官の指定をする湖沼という、その指定の湖沼ということになっておりませんで、これにつきましては特に公園法からのこの条文による規制というものが行なわれておらないというのが現状でございます。
#118
○島本委員 そうするとこれは、諏訪湖、霞ケ浦、こういうようなのは幾らよごしてもいいということなんですか。
#119
○首尾木政府委員 幾らよごしてもいいという考えでは毛頭ございません。私どもといたしましては、やはり湖というものがきれいな、清浄な状態で残っておるということが公園といたしまして望ましい点でございますので、このような諏訪湖――諏訪湖は公園地区ではございませんが、霞ケ浦といったようなところにつきまして、その付近に非常に集落あるいはそういったような人口がかなり張りついておるというようなところにつきましては、これは一般的にやはり下水道を整備するとかそういったようなことによりまして、当該湖の水質がさらに汚濁しないようにということからまず手がつけられるべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
#120
○島本委員 手がつけられるべきだと考えている、だれが指導するのですか、これ。
#121
○首尾木政府委員 私の申し上げましたのは、この問題につきましては一般的な水質の保全という観点から下水道の整備ということにつきまして、特に水質保全という観点からの指導を加えるというのがまず着手すべき問題であるということを申し上げたわけでございます。
#122
○島本委員 指導を加えたんですか、加えないんですか。
#123
○首尾木政府委員 私ども自然保護局の立場におきまして、具体的に指導をいたした事実はございません。
#124
○島本委員 どこが指導すべきなんですか。
#125
○岡安政府委員 水質につきましては、先生御承知のとおり環境基準を定めまして、その環境基準の維持、達成のために諸施策を実施をするということになっております。たとえば霞ケ浦につきましては先般、現状といたしましては非常によごれておりまして、CないしBというような環境基準にしかならないような状態でございますけれども、これをA基準に持っていくというような環境基準の設定をいたしまして、そのためには工場排水の規制、家庭排水の規制、畜産排水の規制等を行なうということで、私どもは目標を定めまして、現在その規制を進めるということを関係各省とも相談をいたしまして、施策を進めておるというのが現状でございます。
#126
○島本委員 いま聞いているのは、よごれないとそういう規制を加えないのですか、よごれないような措置をしなければならないのですか、どうなんです。
#127
○岡安政府委員 おっしゃるとおり、よごしてしまいますと、これをきれいにするには非常に困難な問題が発生いたしますので、よごれない前にこれを押えるということでなければならないと思っております。そこで私どもは、全国のおもな水域につきましてはできるだけ早く環境基準を設定いたしまして、それを維持をするということの指導をいたしておるわけでございます。
#128
○島本委員 これからの指導はわかるのです。これは公害対策基本法ができてから何年になりますか。水質保全、汚濁、こういうような問題は典型公害の中にはっきり入って規制をしなければならないはずなんです。それがきたなくなるまで霞ケ浦なんか黙ってほっちゃらかしてある。そして公園の指定がないからといって諏訪湖もそのままだ。こういうようなことで環境庁の存在価値があるのかと言っているのです。こんなのそのままにしておいていいのですか、皆さんは。そういう事務的なものではだめだから、副大臣、答弁してください。
#129
○岡安政府委員 おっしゃるとおり、私どもは特に水質の環境の汚染をそのままに放置するつもりはございませんで、全国のおもな水域につきましては国がみずから環境基準を設定するということで、これも今年度中もしくは四月一ぱいまでにはすべて設定を終わることにいたしております。それ以外の水域につきましては都道府県知事がこれを設定をすることにいたしまして、これもできるだけ早く設定をするようにということで指導いたしておりまして、現在までにほぼ百二、三十の水域につきましては設定が終わっているわけでございます。
#130
○島本委員 ちょっと念のために霞ケ浦、それから諏訪湖、この環境基準もしくは排出基準があったらそれを明らかにしておいてください。
#131
○岡安政府委員 霞ケ浦の環境基準はAでございますが、これは直ちに達成ができないで、区分からいいますと五年をこえてできるだけすみやかにというようなものでございますけれども、Aでございます。それから諏訪湖もAということになっていますが、これも直ちに達成できない、五年をこえる期間でできるだけすみやかにということになっております。
#132
○島本委員 調査をしたりあるいは視察をしたり、この問題については再々この委員会等によって注意を喚起しているはずです。ようやくこれから重い腰を上げて五年以内にこれを考える、私が言うのはそれじゃ少しおそいのじゃないかということです。それより先に、よごれないうちになぜ手を打たせないかということなんです。何でもかんでも工業優先じゃありませんか、産業優先じゃありませんか。よごしてしまってからあと追っかけて歩くようにして環境庁が出ていって、今度AだかBだかきめている、その姿勢が悪いんじゃないかというのです。よごれないうちに手を打つのが一番いいんじゃありませんかというのです。そういうのを根本的に調査して、よごれてからではだめですから、せっかく自然環境保全法、これができてから一年間じんぜん日を過ごしているじゃないか。なぜその間にちゃんと手を打って、調査をして、そしてこういうようにあとから指摘されることがないようにできないのですか。どうも環境庁は二転、三転して、貸し家札を張るような大臣が出てきたりして困るのです。今度の大臣はもうすべての日本国民が期待していますから、副大臣を含めてこの点等は十分対処しておいてもらいたいと思うのです。やはり官僚だけに言ってもいろいろ圧力を加えられてできないでしょうから、やはり皆さんのほうできちっと指導してやるのが一番いいと思います。
 この長野県の白樺湖、蓼科湖、この指定はどうなっていますか。
#133
○岡安政府委員 白樺湖につきましては、環境基準の指定はA、それから蓼科湖もAでございます。達成の時期はそれぞれ口になっておりますので、五年以内に湖沼のAという基準を達成をするというような環境基準になっております。
#134
○島本委員 山の中の最もきれいな諏訪湖の国定公園地帯にあるこういうような白樺湖や蓼科湖、これは何のためによごれるのですか。山の中にある湖が、何のためにいまさらAの指定をして五年以内にきれいにしなければならないようにしなければならないのですか。環境庁は都道府県の県知事のやっていることを黙って見てだけいるのですか、皆さんは。ほとんどうちもないきれいな環境の湖ですよ、これは。いつの間にこうよごれちまったのですか。それを知らなかったのですか。知らないなら知らないでいいんですが、これ覚えていたのですか知らなかったのですか。ちょっと答弁してください。
#135
○岡安政府委員 先ほど御質問ございまして、現状の水質等につきましては現在調査中でございますので、後ほどお答えさせていただきたいと思います。
#136
○島本委員 最近私どものほうへ参りましたいろいろな文書や報道によると、霧ケ峰、これは国定公園も含みますが、国の天然記念物指定となっている霧ケ峰高原の踊場湿原ですか、池のくるみと俗称言っているようですね、その隣接の山林九十三ヘクタールが約十七億有余の値段で大阪の財閥に売却された。そうして別荘地開発に乗り出す予定である。そして国定公園地域を除いて、諏訪、茅野、この両市にまたがる高原の大部分は民間デベロッパーが手中にして、一般の市民や一般観光客を締め出すことになる、こういうような報道があってびっくりしたのですが、霧ケ峰の乱開発、こういうようなことについて環境庁は知っておりますか。知っておったとするならば、どういうような手を打ちましたか。
#137
○首尾木政府委員 霧ケ峰の先生おっしゃいました地域の開発でございますが、これにつきましては問題になっております茅野市の財産区になっておりますところ、及び諏訪湖側の地域につきまして、いずれも国定公園外になっておりますので、現在のところ自然公園法による規制ということは、これは法律上及ばないところでございます。現在その問題につきましては、私ども地元の方から、特にそこの茅野市あるいは諏訪市の水源地帯であるというようなことから、その水を守るということ、及び先ほどお話に出ました国定公園内の特別保護地区でございます踊場高層湿原の自然というもの、これを破壊するおそれがある、こういうような陳情がございまして、私ども長野県に対しましてその件について、現在長野県の見解というものを求めておるところでございます。これについては長野県から聞きました限りにおきましては、現在長野県といたしましては県で自然保護条例をつくっておりまして、その中に開発調整地区というものを設けておりまして、この開発調整地区におきましては自然と開発の調整のために、その地域につきまして自然保護協定というものを結ぶということができるようになっておりまして、この開発地区、先ほどお話に出ましたその対象になっている開発地区の一部分が開発調整地区にかかっておりますので、それを中心にしまして、現在自然保護協定のほうでこれについてできるだけ自然を守るような形で長野県知事と開発協定をやるということで、これを規制といいますか守っていこうというような方向で検討しておるというふうに聞いておるわけでございます。しかし、今後自然環境保全法の適用ということになりまして、この地域を調査をいたしまして、その地域が自然環境保全法による自然環境保全地域あるいは都道府県の自然環境保全地域に該当するということでございますれば、その要件に該当をいたしますればこれを指定をして、そこの地域の開発について規制を行なうということができるわけでございますから、そのような点につきましても、さらに今後長野県当局と検討を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
#138
○島本委員 この中には生物学上でも貴重な高層湿原地帯があり、限られた水源と天然記念物の保護上からも、開発による枯渇や汚染がひいては湿原の絶滅にもつながるおそれがある、こう学者によって指摘されている点がありますが、これはもう本来ならば自然環境保全法、これができた場合にはこのままに置かれない個所です。当然調査に入って、そういうような点を残さなければならないはずの地域、これがことしの四月ですか、そのころまでにやる――それまでの間に売却が全部済んでしまっているのだ。売却が済んでもう着工しようとしている。いまこの指定がおくれればおくれるほど、こういうようなのは全国に広まってくるのですよ。何のためにあの法律を急いで三日間ぐらいの審議で上げてしまったのですか。早く指定させてこういうようなことがないようにするためなのです。じんぜん日を過ごしているじゃないですか。寝る間も惜しんで三日間で徹夜審議でしょう。こうまでしてやったのは、こういうような乱開発を防止するためなのですよ。それは知っているでしょう。それなのにこういう貴重な湿原地帯、こういうようなものさえもいま荒らされようとしているでしょう。もう売買は全部終わってしまったでしょう。まだ法律の実施ができないでしょう。規制の対象にならないでしょう。こういうような一つの抜け道をつくってやっているのです。これは住民自身に言わせると、霧ケ峰は共有の財産で、開発そのものは大局的見地から考えてもらいたい。こういう住民の声も来てますよ。私の手元にも届いています。きわめて危険な乱開発が民間デベロッパーまたは土地所有者、限られた機関に解決をまかされているという点、これはきわめて危険です。それだけじゃないです。国定公園内の蛙原(げえろっばら)一帯の、これは一等地を持つ下桑原農協では売却に支障になっている公園指定のワクをはずして一括売却したい、こういうようなことさえいっているではありませんか。おそらくこれも大事な問題だと思うのです。この問題等についても八ケ岳、蓼科高原それから白樺湖、霧ケ峰につながる八ケ岳中信高原国定公園、せっかくこれが県立自然公園から昇格して国定公園になったのは三十九年の五月でしょう。それがもうすでに開発のために今度は国定公園返上論、こういうようなものさえも出て、逆に住民の憤激を買っているでしょう。こういうようなことからして、民間デベロッパーや一部のこういう土地所有者がただもうけの対象にだけして、こういうようなものをやりたい、売り払いたい、環境庁あたりからこういうようなことに対してもっと啓蒙すべきです。知事の考え方を是正すべきです。どうも皆さんの場合にはこの点なんかだと、官庁があってもさっぱり権限――権限なくても調整権はあるでしょう。これは発動すべきですよ。どうもこの点手薄のような気がしてならない。政務次官、法律をつくっても実施される前にこういうような動きがあるということはとんでもないことなんです。この点はよく考えておいてほしいのです。住民のほうからは、こういうような動きがあるから、これは環境庁自身この点については十分指導してほしいのだというふうにわれわれのほうに来ているのです。その環境庁が動かないのではどうにもならぬ。それだけではございません。信州大学の助教授櫻井善雄さん、これは長野県の公害水質委員もやっていらしゃいますけれども、この方のいろいろ調査された結果、それを私は入手することができたのですが、それによると、いまこれから調査をいたしますというこの白樺湖と蓼科湖、すでに諏訪湖の二倍以上のアンモニア性窒素が含まれた状態になっていて汚濁されておる。大量の細菌及び大腸菌群が検出されておるというのです。これは霧ケ峰水系に比べてはるかに著しい汚染を示していることになるのです。ところがこの霧ケ峰も、新田次郎さんの「霧の子孫たち」ここに書かれていろいろ世に有名になっておるようでありますけれども、この山の上にビーナスライン自動車道路がつくられる。これがつくられてから、はなはだしい自然破壊、環境破壊、こういうようなことがもたらされた。それによって旧来の植物の死滅をもたらしておる。その上に最近このビーナスライン、これに沿って千四百ヘクタールの土地、これはもう諏訪湖の面積にひとしいくらいです。霧ケ峰の六〇%をこえる面積なんですけれども、この千四百ヘクタールの土地が不動産会社に全部買い占められ、または借り上げられていて、この標高千三百から千五百メートルの高原に不動産会社は約六千戸の別荘またはゴルフ場、こういうようないわゆる観光施設をつくる計画を進めているというのです。ところが信州大学の櫻井助教授の調査によると、芳野市と諏訪市の上水道の水源、これにこの霧ケ峰の水が主要な水源になっている。したがってこの水質は霧ケ峰の開発によって汚染をもろに受ける立場に立つ。のみならず櫻井助教授はこの霧ケ峰で地下水を観光業者が取ってしまった場合、茅野市や上諏訪の水源地帯の水量に及ぼす影響はきわめて重大な問題であると指摘しているのです。そうすると環境庁、こういうようなものに対してやはり放任していいことにもならないだろうし、厚生省、やはりこの立場に対しては飲料水の問題でありますから、これはほっておかれない問題じゃないかと思うのです。これに対してどういうような態度をとりましたか、環境庁、厚生省。
#139
○岡安政府委員 先生のお話のとおり霧ケ峰でいま計画されておりますレジャーランド計画によりまして、南のほうで現在茅野市が水源として利用しております大清水の水源地に対します影響等が憂慮されますので、私どもは県並びに市に対して、必ずしも現在開発の用途等が明らかになっておらないようでございますけれども、それらの用途いかんによりましては水源が汚染されるおそれがございますので、十分事前に調査をし、必要な規制ができるならば規制をするように現在茅野市、長野県等を指導しておるというような関係でございます。
#140
○浦田政府委員 御指摘の開発によりまして上水道水源として影響を受けると思われる個所は、茅野市の上水道とそれから下諏訪町の上水道でございます。諏訪市はいま御指摘の開発計画からは幸いにして汚染を受ける心配はないようでございます。
 茅野市につきましては従来大清水水源、これは湧水でございますが、そこから毎秒六十リットルの水を受けておるのでございますが、これが四十リットルにされたといったことでございます。
 それから現在水質及び水量がどうも悪影響を受けるのではないかということで、茅野市の水を守る市民の会が反対運動をいたしております。これらのことが保証できるまでは工事をストップしろということで、現在工事は中止されておると報告を受けております。私どもはもちろん茅野市の例にいたしましても、下諏訪町の例にいたしましても、上水道に悪影響があるような、そういったおそれがあるような開発については、これは住民の生活を守る上から適当でないと考えられますので、現在地元において関係者間の協議が進められておりますが、さらに県を通じまして十分にこれらの協議を進め、悪影響がいやしくも生ずることのないように処置するように指導いたします。
#141
○島本委員 この霧ケ峰開発に見られるように、水源をそのようにして、いわば横取りされるといいますか、上流のくみ上げをそのままにするということに対しては、歯止めは十分しなければならないんじゃないかと思います。法的にもこれはもう地下権というものが、日本の民法では二百七条によって「土地ノ所有権ハ法令ノ制限内ニ於テ其土地ノ上下ニ及フ」こういうようなことになっておるようでありまして、昭和十三年六月二十八日の、「井戸を深くしたため隣の井戸の水が出なくなった」という東京の損害賠償請求事件で、「他人の権利を侵害しない範囲で」という大審院判決が出た。それ以来制限つき許可ということになっているようであります。したがって、この地下権という考え方は当然空間権と呼ぶべきもので、日照権と同じである。日照権も昨年最高裁で認められましたけれども、たまたまAという地主の地下を水が流れているからといって、その地下水全部がAさんのものであるとは限らない、下流でこの水をくみ上げている住民がおるならば、水はこれら住民にも権利がある。したがって地下水が横取りされたり、横取りされるおそれが出たときには住民はこれに「待った」がかけられる、裁判でも住民側に軍配をあげるケースと見られる、こういうふうに大学の教授の論文も出ておるわけであります。したがって、この地下権というもの、これが存在する限り、デベロッパーがかってなことをするということは認められないはずじゃないかと思うのです。これは自信を持って堂々と、厚生省なり環境庁なりはこれを規制してもいいのじゃないかと思うのです。この地下権に対して法務省ではどのようなお考えでございましょうか。私がいま言ったようなことであるならばいいのですが、もしそれに補足し、なおわれわれを大いに指導できるような一つの根拠がほしいと思いますので、ここで御高邁なる御答弁を願います。
#142
○古館説明員 ただいま先生のお話しの地下権というおことばでございますけれども、その内容がよく理解できないわけでございますけれども、民法二百七条によりますと、土地の所有権はその地上地下に及ぶということになっております。したがいまして、土地の所有権者につきましては、その所有権の内容としてその地下及び地上、それを自由に使用することができることになっております。したがいまして、そういった権利の行使を侵害する場合には、事案によりましては所有権の侵害あるいは妨害ということで、妨害排除等の請求が認められておる。したがいまして、そういった妨害排除請求権、通常物上請求権といっておりますけれども、そういった物上請求権の要件を満たすような場合には、それを侵害する行為については、その侵害を排除するとか予防するとかいうふうな法的救済が理論的に認められておるということは言えようかと思います。
#143
○島本委員 なかなか明快であります。無過失賠償責任法審議の過程から見たら大いに前進をした御答弁でございます。その答弁で満足いたします。
 霧ケ峰高原を切りくずして、いま大観光施設や別荘をつくってしまうということによって、茅野市と諏訪市の水源に今後は合成洗剤や各種のバクテリアやゴルフ場の消毒に使う有害薬品が流れ込むということも考えられるわけであります。こういうようなことについては、ストップしてあるというならいいのですが、そのままにしてあるとなるとこれは重大な問題になります。これは水源の汚染だけじゃなくて、今度はもうこういうような一つの病気発生のおそれさえも感ぜられるような状態に追い込まれることになります。これについても十分厚生省では考えておかなければならないんじゃないかと思いますが、厚生省、調査は十分してございますか。
#144
○浦田政府委員 茅野市の水源は、これは湧水でございます。したがいまして、先生の御懸念の、またわれわれ当然問題といたしますのは、開発によりまして地下水がどのように汚染されるか、それがいま取水しております湧水にどのような影響を与えるかということでございますが、この点も、これはまず地下水あるいはそれを汚染するもろもろの水質汚濁の源といったようなものにも調査を進めまして、湧水との関係は明らかにしなくてはならないと考えております。
 また下諏訪町の水源は東俣川の表流水、これは一日約一万トンの量でございますが、それと一部湧水に、これは毎日六千トンでございますが、仰いでおります。したがいまして、表流水でございますから、これに注ぎ込むいろいろな排水、汚染水というものの状況というものは十分把握しなくてはならない。もちろん、取水について及びおのおのの湧水そのものにつきましての水質の検査というものは十分にいたさなくてはならない。私どもはこのような観点から、県を通じまして今後とも水質の検査、それの変化というものについて注意させるようにいたしたいと思っております。
#145
○島本委員 こういうような環境の破壊そのものが人命の損失までもたらすおそれがあるのです。去年の七月に諏訪市のこの霧ケ峰の下にある住宅が集中豪雨の鉄砲水で流されて、四名の命が奪われた、こういうケースがあったわけです。これは霧ケ峰の開発、ビーナスラインですか、これによるものであったわけです。この上に霧ケ峰の六割にも及ぶ土地を荒らしてしまうということは、下に住む人は今度は命の危険にさらされるということも考えなければならないわけです。当然そういうおそれがあるのです。もうすでに前例があるのです。これをそのままに野放しにしていいと思いますか。これは環境庁政務次官。
#146
○坂本政府委員 開発の詳しいことは私、存じませんけれども、いま御指摘のような水源の問題があるということになりますると、人の健康にまで重大な影響を及ぼします。そういうことになりますると、やはり自然の開発についてその全貌が明らかになるにつれて、いままで湧水でもって生活をしておられたような下の皆さま方について、やはりきれいな飲料水が確保できるような、そういう立場というものも尊重をしていかなければならない。そういう開発につきましても、やはり水源などにつきまして十分に調査をして、そして汚染のないように、私どもも関係の県についてはいろいろとアドバイスをすることが適当だと思っております。
#147
○島本委員 当然、それを野放しにして乱開発をさせることによって、人の命にもかかわる問題ですから、飲料水の問題それだけじゃなく、人命に関するおそれもある、こういうようなことです。ですから、これは十分考えておかないとだめなことですから、こういうようなことのないように十分県当局に配慮させなければならない。環境庁は調整権をそういうようなときに発動してもいいはずであります。したがって、住民の健康や命、その生活に及ぼす科学的な調査や影響というもの、こういうようなことを少しも考えないで、これをやっているわけです。いわゆる開発推進をオンリーにしてやっているわけです。こういうようなやり方に対して懸念する学者も多いわけです。さっきから言ったとおりです。これに対して、やはり環境庁も放任しておいていいということには当然ならないし、きょうは自治省も来ておると思いますが、自治省のほうでも、これに対しては当然指導もしていると思うのです。
 諏訪市の水は以前は水質がよくて、良質の酒、こういうようなものに使っておった。最近はここの水を使用できないで、遠くの釜無川の水をタンクローリーで運んできて使用しなければならないという話です。こういうような状態になっている。まして、霧ケ峰の乱開発で水源地帯が汚染されては飲料水や醸造に当然困ることになり、地域の開発自体にもこれは重大な影響を中小企業に及ぼすことになるわけです。こういうような点も十分考えての行政を行なわなければならないのですが、自治省が来ていると思うのですが、こういうような点に対しての住民の訴えというものはないのですか。それに対して長野県としてはいままで何ら手を打っていないのですか。自治省ではどういう指導をなすっておられますか。
#148
○林(忠)政府委員 個々の行政問題の内容については、環境あるいは飲料水あるいは道路というふうにそれぞれの所管省がございますので、そういう所管省から各県あるいは市町村に対しては一般的な心がまえその他について常々指導はやっていただいていると思います。
 自治省といたしましては、住民のそういう要望、希望ないしはいま先生が御指摘のような今後の開発についてのあとの弊害の問題、その他について常に、十分に住民の意向その他をくみ入れるようそれぞれの県、市が具体的な事情に応じて対処していただいていると思います。また、そういうことを政府として指導はしております。
#149
○島本委員 ここで自治省ももっと行政の面から留意してもらわなければならないこともあるのです。というのは、土地の買い上げ価格もあるのです。四十七年十二月十七日に坪三千五百二十円であった周辺の土地の値段が、四十八年一月十日現在で隣接地帯が八千三百円、これだけにもう暴騰をしているわけです。不動産商によって土地の投機が意識的にこれは行なわれていることになるのです。これは放任しておいてもいいということにはならないはずです。これは政治的にも重大な問題点があると思うし、これは政務次官、こういうようなことをやっているのですから、これは黙っておけませんわね。一大鉄槌を加えなければならないのじゃないですか。ひとつ決意を伺います。
#150
○坂本政府委員 先ほどからも申し上げておりますように、確かに開発一点ばり、そういう姿勢はやはりきびしく反省をせられるべき時期に来ておる。具体的な個々の問題いろいろございましょうけれども、要するに、やはり開発一点ばりという姿勢はこの際厳重な反省を必要とするという気持ちにおいては、私は島本委員と同様な考えでございます。いろいろ個々の問題につきましても、各県あるいは関係各省につきましてもひとつ連絡をよくいたしまして、そして環境庁ならば環境庁としての使命に対しまして、さらにこの反省の上に立ってこれからもひとつ善処をしていきたいと思っておるわけであります。
#151
○島本委員 これは霧ケ峰と水を守る市民会議から環境庁長官へあてて陳情書が出されております。「霧ケ峰乱開発防止の緊急措置を求める陳情書」これが出されている。これによると「大手デベロッパーによる霧ケ峰高原買占めと大規模別荘地造成が進められようとしていますが、」という書き出しで、ずっと五項目にわたる要請をしておられます。これをお受けし、これに対してどのような処置をなすっておられますか。
#152
○首尾木政府委員 私ども自然保護局といたしましては、この陳情がございましたので、先ほども申し上げましたが、長野県に対しましてまずこの地域の実情について聴取し、また長野県として当面どのような考え方であるのかということを聴取をいたした段階でございます。ただ、長野県当局におきましても、なおこの地点についての十分な調査をなしておらないようでございますので、その点につきましては、さらに県当局を通じまして調査を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#153
○島本委員 せっかくこういうような陳情書、これは、あなたの所管する自然環境保全法の趣旨にのっとって、これは推進するような陳情書でありませんか。これはまだ施行前だからといって、やはりこういうような趣旨についてはほっちゃらかしておいちゃいけません。十分この内容を吟味して、この趣旨に沿うようにやってこそ自然環境保全法が生きるのです。政務次官も十分これは考えて、この趣旨を十分実施するようにしてやってほしいと思います。これは、そうするとあなたの手元だけですか。三木大臣のほうにいっていますか。
#154
○首尾木政府委員 秘書官を通じまして、三木長官のところにお渡しをしてあります。
#155
○島本委員 このうちの第五項目に「水源・自然保護のための地方自治体の土地先買い優先権を認め、国の補助金の交付と起債を認める措置」を講じてもらいたい。これの説明もずっとしておるわけでありますが、これについては自治省のほうではどのようなお考えですか。
#156
○林(忠)政府委員 自然保護あるいは大都市近郊の土地の値上がり防止その他いろいろな目的のために、公共団体の土地をふやす、つまり公有地の拡大ということにつきましては、私の省の現在の相当重要な行政項目の一つになっております。今回公有地拡大に関する法律の一部を改正する法律案も国会で御審議願うようにしておりまして、こういう公益目的のための地方公共団体の土地の獲得ということについてはできるだけの手を打つよう、現在も配慮いたしております。
#157
○島本委員 この「霧ケ峰乱開発防止の緊急措置を求める陳情書」これはなかなか具体的であって、これはもう環境庁あたりでも、この線に沿って長官と十分吟味して、そして行政を進めてもらいたい、このことを強く要請します。
 なお、長野県の西沢知事に対しては、行政不服審査法に基づいて賃貸借契約の取り消しと開発工事の執行停止を求める審査請求書を出しておるようであります。そして県側は、これは微妙な態度だといって、判例や自治省の考え方を参考にして結論を出す方針のようであります。これは環境権をめぐって行政不服審査、こういうようなものについては、いままで公害防除、環境保全、こういうような日本的な見地からして住民サイドの公害裁判のいわば判決と、こういうようなものが見られておることは御承知のとおりでありますが、こういうような行政不服審査法に基づいてのこの審査請求書、これにはうしろ向きにならない指導が最も大事だと思うのであります。最近の判例それから公害行政に対する政府の態度、こういうようなものからしてうしろ向きにならないような指導が必要じゃないかと思うのです。これに対しては、自治省のほうではどういうようなお考えですか。
#158
○林(忠)政府委員 先生御指摘の御心配については、私も全く同感ではございます。ただ、現在問題になっておりますこの件に関しましては、行政不服審査請求の対象が、土地の売却ないしは地上権設定の処分ということになっております。行政不服審査法の主管官庁は行政管理庁でございますが、そちらのほうの御意見もできれば伺っていただきたいのでございますが、現在、長野県で内容を検討しておるということは聞いております。これは一種の準司法的な行為でございますので、この経過が出るまでは第三者が口をさしはさむべきではないと思いまして、経過をいま見ている最中でございますが、実は行政不服審査法上の行政処分ということには、どうも土地の売却とかあるいは地上権設定という民法上の行為は入らないというのが現在までの考え方でございますので、この手続によって救済をすることは法的に非常にむずかしいのではないかと思っております。
#159
○島本委員 これはやはり地方自治法第二百九十六条の五「財産区は、その財産又は公の施設の管理及び処分又は廃止については、その住民の福祉を増進するとともに、財産区のある市町村又は特別区の一体性をそこなわないように努めなければならない。」の条項に違反しておる、こういうようなことでこれは出されておるわけであります。ましてこれはもうこういうような重大なことを知事権限でかってにやってしまったということに対する住民の不服審査だ。こういうようなものがやはりうしろ向きな解釈をされるということになると、これは重大だと思うのです。どの点が困難なんでしょうか。
#160
○林(忠)政府委員 いま先生が御指摘になりました条文は、まさに自治法にそのとおり書いてございまして、地方団体が財産処分その他をするについては、そういうふうに心がけなければいけないことは、御指摘のとおりでございます。私、いま困難であると申し上げましたのは、純法律的な意味で、財産の売却というのはいわゆる行政処分でないということ、行政不服審査法の手続で救済できる行為でないわけです。その点で、この手続によってはむずかしいということを申し上げたわけでございまして、むしろ地方団体の議会なりその他でもってそういうことを政治的にいろいろ問題として、是正すべきところは是正させるというのが正しい道でございまして、行政処分であればこれは行政不服審査法でいけまして、法律に違反するところがあれば取り消しその他もできますけれども、財産の売却とか賃貸借の設定ということは、私人と私人との間で民法上の契約、これと同じ性質のものでありまして、いわゆる公権力の行使に当たる行政処分ということで行政不服審査法でその対象とするものには当たらないのではないかという懸念を持っているわけでございます。
#161
○島本委員 これはこつ然として生まれたものでなくて、住民側の意思に反して知事がそれを行なった、それに対する住民のいわゆる不服であるということで、この措置を要求してくるわけであります。それも、地方自治法によって成規の手続によってやるわけです。これを、むずかしいということがあり得たならば議会のほうへかけれ。議会のほうでは、もうあなたも知っているでしょう、保守が絶対多数なんていうのは、幾ら住民がやったってだめですよ。どうしてもやれというならば、赤軍派でも投じてこれをやるよりほかしようがなくなるじゃありませんか。そうしないがために、こういうふうな合法的な手でもって不服審査を要求してくる。こういうようなことに対して、もっと反省の上に立ってこれを取り上げるように指導すべきだと思います。若干それは向こうのほうでございます、こちらのほうでございますというべき問題ではないと思うのです。もう少し原点に立ち返って、この問題に対してこういうようなものが出ないようにするのがほんとうなんだ。出た以上、いかなる方式であろうと、自治法にのっとったところの住民の要求でしょう。それも、知事のいわば独断専行に対する一つの抗議でしょう。こうだとするならば、これはやはり受けてやるというような態度が正しいじゃありませんか。
#162
○林(忠)政府委員 問題の中身はまさに先生の御指摘のとおり、非常に重大な問題でございますし、住民の福祉にもたいへんかかわることでございます。ですから、これを知事がどういう形で取り上げるか、あるいは県会が問題にするか、あるいは行政指導をするか、町村長とよく話をするか、いろいろな方法があると思います。ただ、行政不服審査法というのは、公権力の行使、いわゆる行政処分に対する救済の手続でしかないものでございますから、地上権を設定するというような民法上の行為に対してはこれは動かないということでございまして、ですから知事がやる処分が、なすすべがないということではございません。おっしゃるように住民の福祉の原点に立ってよく町村長と話をし、よく指導をし、それから水道がよごれたということになればほんとうに健康に関する問題でございますから、そこにおける知事の責任というのはたいへんあると思います。ただ法的な意味で、行政不服審査法というのは行政庁の処分、これを争う手続でございますので、山を売ったとか地上権を設定したとかいうのは処分じゃございません。そういう意味でこの手続には乗りがたいということを申し上げておる次第でございます。
#163
○島本委員 どうも、あなたの説明は私を納得させるところまでいきません。私はやはり住民が少しでも不服であり、それが公に及ぼす影響が甚大である場合には、当然これによってできるものである。またやってしかるべきである。この精神を十分反映もできないような状態にしておくということはいけないことですので、これはもう少し十分考えて、この精神を十分反映させるように、行政のあやまちをなくするようにしなければならないのです。問題はそこでしょう。はっきりしているのですから。「財産又は公の施設の管理及び処分又は廃止については、その住民の福祉を増進するとともに、財産区のある市町村又は特別区の一体性をそこなわないように努めなければならない。」そうなっているから、こういうようなことによってやっているわけですから、住民の血の叫びです、これは。どうも手続上の問題であなたは遅疑逡巡されるのは私の納得しないところである。これはそのままやっていても水かけ論であります。
 先ほどの調査、もう終わりですか。できましたか。
#164
○岡安政府委員 先ほどお話しの蓼科湖、白樺湖の水質でございますが、蓼科湖につきましての最近の水質は三PPMをこえております。しかし年間ではほぼ三PPM程度ということになりますと、ほぼ現状でAの前後ということになるわけでございます。しかし白樺湖のほうは最近の水質が四PPMをこえる水質も出ております。年間平均いたしましては、やはり蓼科湖よりもよごれておりまして、三PPMをこえる程度、したがいましてAを満たし得ないような状態にあるということでございます。原因でございますが、いままでの調査によりますと、この周辺は必ずしも旅館等が多い地域ではないようでございますが、にもかかわらずこのようによごれておりまするのは、いろいろあると思いますけれども、考えられますのは、まず土質が相当悪いような土質であるということ。それから湖底に木の葉等が沈んでおりましてその腐敗が発生をする。それからこの両湖はほかの湖に比べまして流入水量が非常に少ないということのようでございます。そこで現在、県といたしましては一般的に上乗せ規制条例を考えておりまするが、この湖につきましては上乗せ条例は必ずしもきかないということもございますので、私ども四十七年度におきまして旅館の排水につきましてこれを特定施設にし、排水規制をかけるという調査をいたしております。できればできるだけ早い機会に旅館の排水規制をいたしたいと思っております。
 その他につきましては、さらに調査を進めたいと思います。
#165
○島本委員 調査はあと追い、あと追いであってはいけないんじゃありませんか。もうすでにこの桜井教授の指摘にもよって、諏訪湖の二倍のアンモニア性の窒素、これも含まれているというのです。大量の細菌及び大腸菌群が検出されているというのです。旅館が少ない。もうすでにその辺は以前の状態とは変わってしまっているじゃありませんか。何のために大腸菌ですか。大腸菌というのは、これはもう旅館の多いところにはよく検出されるでしょう。旅館が少ない。これはもう土質が悪い。湖底の木の葉の腐敗だ。湖底の木の葉の腐敗なんかでこんなことになりますか、それは調査不十分だ。そしてこれは流入が少ない。当然でしょう。湖底の木の葉の腐敗なんというのは、これはつけ足したような理由ですよ。湖底の木の葉の腐敗によってアンモニア性の窒素がよけいになるのですか。どうもこれじゃいけないです。したがって、開発してからの調査や対策ではおそいのです。ですから、開発してからの調査や対策ではおそいから、前もって調査して、汚染のおそれのあるような場合には、デベロッパーや不動産会社の開発に対してチェックする、ストップさせる、こういうようなことさえするのでなければ、無限によごれちゃうのです。いまの調査、これは十分じゃありません。もう一回調べてください。私はしろうとですよ。しろうとの私でもわかるような調査、これをくろうとのあなたが出すなんというのはもってのほかです。どうもこの白樺湖の四PPMは多過ぎる。蓼科湖の三PPM、平均だ。これはもう一回周辺を全部調べてみてください。旅館が何軒あるのか、どういうような開発をされているのか。これでないとだめです。
#166
○岡安政府委員 おっしゃるとおり、私どもがこの二つの湖につきまして環境基準を設定する場合、できればAAにいたしたいということでいろいろ調査をいたしたようでございますが、なかなかAAには持っていきがたいということで、残念ながらAという環境基準を設定いたしております。そこでおっしゃるとおり、なお原因につきましては至急調査をいたしてみたいと考えております。
#167
○島本委員 じゃ十分調査をして、後ほどでも資料として私は要求いたします。そして、ほんとうに、さっきから何回も言うように、開発してからの調査や対策ではおそい。したがって前もって調査して、汚染のおそれのあるような場合には、デベロッパーや不動産会社に対して開発を阻止させるような行動をするのでなければだめだ、こういうことなんです。これは企画調整局長、あなたのほうでこういうような点は十分考えてやってもらわないとだめなんじゃないですか。まあひとつあなたの意見を聞きましょう。
#168
○船後政府委員 あらゆる開発に先立ちまして、事前にその開発行為が環境に及ぼす影響というものを十分調査をいたしまして、環境破壊あるいは環境汚染をしない範囲内においてしか開発行為が認められないというのが環境庁といたしましては基本的な姿勢でございます。ただ、これを種々の具体的な行為に当てはめるにつきましては、法制的な規制というものがあるわけでございまして、ただいま種々の土地利用に関する法制等におきましてはそのような手続が入るように、環境庁といたしましては関係各省庁と協議いたしまして努力いたしておるところでございます。
#169
○島本委員 いよいよ自然環境保全法の実施も近いのであります。環境保全に対しては格段の努力を払って、日本の今後の公害対策、環境保全、これは環境庁ができてから日本がすばらしくなった、こういわれるところまで指導を徹底させ、おそらくは皆さんには調整権があるはずですから、どのような法律に対しても環境破壊または公害の防止のためにはそれを実施できるはずですから、それを大いに行使されるように心から要望いたします。
 これはほんの一例でありますけれども、もうすでにこういうようなことが現在行なわれておるのだ、このことを十分脳裏に刻んで、今後の開発行政、環境保全行政に対しては、ひとつ十分意を尽くしてもらいたいことを心から要請いたしまして、いままでいろいろな無礼な言があったことをおわび申し上げまして、これで終わります。
 ありがとうございました。
#170
○佐野委員長 次回は、来たる三月十六日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後一時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
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