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1972/06/28 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第33号
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1972/06/28 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第33号

#1
第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第33号
昭和四十八年六月二十八日(木曜日)
    午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 佐野 憲治君
   理事 菅波  茂君 理事 登坂重次郎君
   理事 林  義郎君 理事 森  喜朗君
   理事 渡部 恒三君 理事 小林 信一君
   理事 島本 虎三君
      江藤 隆美君    小澤 太郎君
      田中  覚君    戸井田三郎君
      羽田野忠文君    松本 十郎君
      村田敬次郎君    森下 元晴君
      吉永 治市君    土井たか子君
      馬場  昇君    木下 元二君
      津川 武一君    中川利三郎君
      岡本 富夫君    小宮 武喜君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 三木 武夫君
 出席政府委員
        警察庁刑事局保
        安部長     綾田 文義君
        環境政務次官  坂本三十次君
        環境庁長官房
        官房長     城戸 謙治君
        環境庁企画調
        整局長     船後 正道君
        環境庁自然保
        護局長     首尾木 一君
        通商産業省公
        害保安局参事官 田中 芳秋君
        運輸大臣官房観
        光部長     中村 大造君
 委員外の出席者
        大蔵省主計局主
        計官      禿河 徹映君
        大蔵省銀行局総
        務課長     徳田 博美君
        文部省大学学術
        局研究助成課長 手塚  晃君
        厚生大臣官房審
        議官      福田  勉君
        厚生省児童家庭
        局障害福祉課長 金田 伸二君
        水産庁漁政部長 増満 二郎君
        水産庁研究開発
        部漁場保全課長 前田  優君
        通商産業省化学
        工業局化学第一
        課長      高橋  清君
        運輸省港湾局機
        材課公害対策室
        長       加藤 勝則君
        海上保安庁警備
        救難監     貞廣  豊君
        自治省財政局指
        導課長     福原  深君
        特別委員会調査
        室長委員会   綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十八日
 辞任         補欠選任
  大石 千八君     森下 元晴君
  染谷  誠君     江藤 隆美君
  橋本龍太郎君     吉永 治市君
  岩垂寿喜男君     馬場  昇君
  木下 元二君     中川利三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  中川利三郎君     津川 武一君
同日
 辞任         補欠選任
  江藤 隆美君     染谷  誠君
  森下 元晴君     大石 千八君
  吉永 治市君     橋本龍太郎君
  馬場  昇君     岩垂寿喜男君
  津川 武一君     木下 元二君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第一二一号)
 公害対策並びに環境保全に関する件(水俣病問
 題)
     ――――◇―――――
#2
○佐野委員長 これより会議を開きます。
 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。
 水俣病問題に関する各省庁に対する要望事項について、昨日各省庁から説明を聴取いたしましたが、これに対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
#3
○林(義)委員 昨日の各省からの御説明につきまして、細部にわたりました質問を行ないたいと思います。
 昨日、また一昨日でありますか、厚生省のほうから食べられる魚の安全基準につきまして資料の発表があり、その資料が訂正されるという事態がありました。私は、国民の健康を守るためには、公害対策を、健康を最重点にして進めなければならないことは当然のことであるが、同時に、魚というのは、わが国国民にとって五二%を占めるところの有力なたん白資源であります。魚が安全に食べられるかどうかというのは、単に公害病問題だけではない、国民全体の保健、栄養という観点からしてもたいへんな問題であります。その点につきまして、厚生省当局のほうにおいても十分配慮をして、ひとつ国民にわかりやすいところの発表をしていただきたい、こう思うのであります。
 そこで、まず厚生省当局にお尋ねいたしますけれども、魚の種類が限定して出してありました。それ以外の魚につきましてもどうするかという問題がある。魚というのはあそこに書いてある魚だけではない。いろいろなほかの魚もありますけれども、概していいますならば、あそこに列挙してありましたようなものは、問題となった水銀汚染地域においてとれるおもな魚を書いたものでありまして、外海でとれるものあるいは遠洋でとれるようなものにつきましては、常識的にいうならば食べても差しつかえない、私はこう考えておるのですが、この辺についてはどういうふうに考えておられるか、まずお尋ねいたします。
#4
○福田説明員 ただいまお尋ねの件は、厚生省が水銀の許容基準を発表いたしましたときに、参考資料としてつけましたいわゆる手引き書の中に引用いたしました魚の種類及びこれに伴う問題というふうに存じますけれども、これは発表の際、いわゆる摂取許容量というものが主婦の皆さんあるいは消費者の皆さんにわかりやすくするために、一応たとえばということで、これをグラム数から匹数に置き直してみたわけでございます。
 この点、非常に誤解も生んでいるようでございますけれども、匹数の問題はさておきまして、種類でございますけれども、種類につきましては、この手引き書の中に一週間の組み合わせのメニューの実例をそれぞれ置いております。なおそのほかに、栄養士会等とも相談いたしまして標準献立というのを取り上げておりますが、たまたまこの標準献立の中にありました魚の種類をここにたとえで持ってきたわけでありまして、必ずしもこの魚がいわゆる含有量の多いとかいうような引き方ではございません。その点非常に誤解を与えたことは申しわけありません。したがいまして、今後これを直ちに訂正いたしまして、当時はこれは未定稿でございますが、正式なものにいたしまして誤りのないようにいたしたいと存じているわけでございます。したがいまして、ここに書いてございますのは汚染の濃度とは関係ございませんし、まして、これ以外のものがだいじょうぶだという意味でもありません。また、これの中にももちろんきれいなのも、あるいは濃度の濃いのも入っている。魚の種類は特に自分のほうで限定して書き上げたということではございません。
#5
○林(義)委員 たとえばノリであります。ノリはいまからシーズンに入るわけであります。
 ノリというものは、いままでの有明海、徳山湾その他の摂取状況から見ますと、水銀量の含有量は非常に少ない。ところが、有明海が汚染されている、八代海が汚染されている、したがってあの辺でとれるノリもきわめて危険ではないかということから、ノリの作付もやめたらどうだというようなおそれも実は出ているのです。そういった意味で、ノリは、いままでの環境調査の報告によりましても、ほかのものよりもはるがに少ないのですから、非常な栄養源でありますから、どんどん食べてもらったらよろしいし、積極的にそういったものは安全ですということを言われるような、そういうことを直接言うのも厚生省の立場としてどうかと思いますけれども、そういったような資料を積極的に発表されたらどうか、こう思っております。その辺どうですか。
#6
○福田説明員 先日、環境庁を中心にいたします対策推進会議で、いわゆる問題九水域の環境調査を実施する、これはすみやかに実施することになっておりますので、それと並行いたしまして産地市場等の検査、これは厚生省ですみやかにやることになっておりまして、その際あわせて検討するということになっております。いずれにいたしましても、そういう黒白をはっきりつける、いいものはいいと早く安心して流通できるように当然措置すべきだと思います。その辺を含め考えてまいりたいと思っております。
#7
○林(義)委員 水俣湾、徳山湾等でいままで県段階でいろいろ調査されたデータがあるのですね。そのデータがなかなか信憑性がどうだ、やはり国のほうでいろいろ調査しなければというようなお話でしょうけれども、私は当面の問題としては、ノリの種苗を買うのはいまごろからでありますから、それがあぶないということになりますと、やはりノリのいかだを組む、どうだこうだというようなこともありますから、やはりこの際、いままでの調査をデータにすればこうだという前提をつけておやりになっても私は差しつかえないのじゃないか、こう思うのです。そこを精密に環境調査しなければわからないという議論はわかるのです。その議論をいたしますと、ノリの中にどのくらい、どういうふうなメカニズムでもって水銀が入っていって、ノリがどのくらいおかされるかという、人体について水俣病を研究するような、同じような調査をしなければほんとうのことは言えないということでありましょうから、私は、データというものはあくまでもデータでありますから、こういったデータを前提にするならば、いまのようなことが言える。ノリはまずまずのところはだいじょうぶである、こういうことが言えるのではないかというような発表をされても、私は一つもおかしくないと思うのですけれども、どんなものでしょう。
#8
○福田説明員 確かに先生おっしゃるように、いままでのデータ、これは環境庁の調査によるものでございますけれども、見ますと、わりあい少ない量で、ノリはほとんど水銀が入っていないような感じでございます。
 なおそのほか、地元のほうの県あるいはその他のデータ等があろうかと思われます。これらについては、全部一応データも集めまして、場合によりましては魚種別にそういうものを検討してまいるということも、これはしなければならない、そういうことも含みながら早急に検討してみたいと思います。
#9
○林(義)委員 今回のやつも暫定基準でありますし、あくまでも暫定的な措置でありますから、迅速果敢なる政府の態度が一番必要だと私は思うのです。お役所ですからなかなかに慎重を期せられなければならないことは当然のことでありますが、やはりその辺はひとつ踏み切りをしていただくということを私は強く要望をしておきます。
 その次に、実は今回のものは、いまも申し上げましたように、ノリの例をとりましてもきわめて不安におちいっている、非常に水銀に汚染されているのではないかという疑惑があるものですから、その疑惑を払うことが非常に大切なことであります。最初に厚生省で発表されました暫定基準にいたしましても、平均〇・三PPMのものであったならばアジはこうである、何である、こう書いてある。ところがその辺は翌日の新聞を見ますと、少なくとも大体の新聞においては、平均という字がみな抜けておる。それから、場合によりましてはその注釈をつけたところのものではなくて、アジが十二匹であるとかイカは二・三枚であるとかというだけの数字が出ておって、ほんとうの厚生省の意図というものは伝わっていない。それで非常に不安になってきている。私は、こういうものがありのままの姿だろうと思うのです。そこで昨日か一昨日御訂正になったのだろうと思いますけれども、これは一つには、やはり報道する側においての情報の欠落とか欠如というものも、私は率直に申し上げてあるのだろうと思うのです。そういった点に関連して、やはりそういったなかなか政府がほんとうに考えているところのものの正確な発表というものが全部、官報でありませんから出せないというところに問題がありますから、やはりその辺の発表のしかた等についても、私は考えていただかなければならない問題がたくさんあるのだろうと思います。今回のチッソの判決、それから武内教授の発表、その後一連の事件を通じてみましても、やはりそういった問題が方々に見られるわけであります。ところが現実には被害がたくさん出ておる。被害が出ておりますのはその当該水域、たとえば水俣湾であるとか、あるいはいろいろと問題がありましたところの大牟田の東洋高圧の排出溝の下であるとか、あるいは日本合成のところの川のもとであるとか、あるいは徳山湾であるとか、そういったいわゆる問題がある地点以外のところにもいろいろ波及しているのであります。そこで政府は、漁業者に対するところのつなぎ資金の発表をされたんだろうと思いますけれども、このつなぎ資金の融資にあたりまして、どういう形でこれをやっていかれるのかというのを私、お尋ねしたいのです。
 水俣湾、徳山湾というふうな特定の地域について、相当程度汚染されているようなその地域の漁業者に対するところのつなぎ資金では、私は足りないと思います。それは、いま申し上げましたようないろいろな情報の伝達の欠落というような問題からして、方々にいろいろ波及しているわけであります。山口県の例を引きまして恐縮でありますけれども、水銀が出ているのは、徳山湾において徳山曹達か東洋曹達かの二つであります、それが流れておりますのは徳山湾内でありますから。ところが徳山湾内の魚については一応問題がある。したがって、そのためのつなぎ融資ということでは私はどうにもならないだろうと思う。実は徳山湾の中ではそうしたことがあります。そうすると、徳山湾の魚だけではない。お隣の富海であるとかあるいは防府であるとか、また宇部であるとか、さらにずっと言うならば、瀬戸内海を徳山から下関のほうまで全部魚はこれはいかぬと、こういう話になってきている。そういったところの対策はやはり考えていかなくちゃならぬ。地元で聞きますと、山口県というのは水産県であるということできわめて知られている、なぜそういうふうに魚が売れなくなったかといいますと、魚を出している先が、山口県の魚はあぶないからとにかくこれはとめておこうと、こういう話であります。流通機構に乗って魚というものは売られているわけでありますから、大阪市場あるいは東京の市場で、山口県の魚はとにかくちょいと押えておけというような話になりますと、これは徳山のものだけではない、その沿岸のものは全部とまるし、それからさらに言うならば、山口県でとれる魚というのは内海沿岸だけではない、北浦のほうまで広がるわけであります。それも全部とにかくストップされちまう、こういうふうなのが実態になってきている。つなぎ資金でありますから、私はこの辺は少し弾力的に考えてもらいたい。単に徳山の水銀、その辺の水銀なんだからそれはつなぎ資金というだけでなくて、いま申し上げましたように、情報の伝達という形で非常に広がった被害が出てきておるのでありますから、やはりそこをひとつ広がりというものを考えてもらわなければならないんではないかと思うのです。この辺について政府御当局のほう、どこでやられるか知りませんが、どういうふうに考えていられるのか、御答弁いただきたい。
#10
○増満説明員 お話のつなぎ融資につきましての貸し付け対象者をどの程度に考えるかという御質問でございます。この点につきましては、水銀またはPCBの汚染によりまして、漁獲または漁獲物の販売が困難になったことによりまして収入が著しく減少し、生活に支障を来たしている漁業者等に対して貸し付けるということで方針をきめまして、ただいま各関係県のほうから資料を出してもらうように手続を進めておるところでございます。従来の考え方では水俣湾、徳山湾等の直接問題になっておりますところという考え方でございますが、なお実態をよくそういう方針に照らしまして調べました上で関係省庁とも相談をして検討してまいりたい、こういうふうに思います。
#11
○林(義)委員 今回のつなぎ資金はこういった問題が起きたことに伴うところの被害、現実には徳山湾だけの魚の値段が下がっているわけじゃないのです。魚価が低落する、暴落する、魚が売れなくなる、そういった形での被害についてやはりつなぎ融資をやろうということなんでありますから、やはりその辺は少し考えてもらいたい。一つはやはり生活補償的な問題があると思うのです。漁業者にとりましたら、ある日突然に何か発表されてどこか出ているらしいということで、全然おれのところ関係ないけれども魚が売れなくなったということは、これは私は天災以上のショックだと思うのです。天災以上のショックでしょう。天災でしたら、自分のところに暴風雨があり、がけくずれがあっても、天災だからしようがないわというふうな印象も受ける。ところがそういった天災ではなくて人災である。どこかの工場から流れ出ていることは明らかである。そういったものが影響してきたのですから、全くどこかに訴えたい、どこかからもらいたいというのは当然の気持ちだろうと思うのです。そういった気持ちを察して私は対策を講じてもらいたい。申し上げますけれども、あくまでもつなぎ資金であり、生活補償的なものですから、当面対策で私はいいと思うのです。一人に百万円も五百万円も貸す必要は全然ない。私は、マキシマム五十万円政府が貸されるという話でありましたが、五十万円も貸せば当然私はいいと思います。やはりそういった生活補償的な、あるいは漁業経営補償的な意味での融資であるということで、できるだけ広くやっていただくということが私は当を得た措置ではないかと思います。
 山口県の話を申し上げて恐縮でありますけれども、瀬戸内海沿岸のみならずぜひ北浦のほうも御検討いただきたい。農林大臣がおられれば私は申し上げたいのですけれども、農林大臣は島根県なんです。島根県のほうにも実はときどきそういうふうな話があるのです。そういうふうなことを考えてやっていただくのがほんとうの政治というものではないだろうか、こういうことを私つとに感じているものでございますから、事務当局で御検討されました上で、ぜひ大臣の御裁断を仰いでできるだけ広く行なわれる――広く厚くということが一番いいでしょうけれども、その辺は広く薄くてもいいから金を融資をしていただくことが必要だろうと私は思います。こういった見解につきまして水産庁か大蔵省、どういうふうにお考えになりますか。
#12
○増満説明員 現地の実情をよく調べまして検討さしていただきます。
#13
○林(義)委員 いまの問題は横の広がり、同じ漁業者の中の広がりでありますが、縦の広がりというか、関連の事業者の問題があります。漁業者に対するところの融資につきましては発表されましたけれども、関連業者に対するところの融資は新聞で一ぺん拝見いたしました。一昨日の本会議で質問したらまだ検討中であるというようなお話であります。一体、大体どの程度の金額を目安にしてどういった形でお出しになるということで考えておられるのか、政府のほうの御見解を承りたい。
#14
○増満説明員 お答えいたします。
 鮮魚商等のつなぎ融資の問題でございますが、漁業者につきましてのつなぎ融資、先ほど申し上げましたけれども、これを十分配慮いたしまして、これと同様の措置が講じられますように関係省庁、通産省等にもお願いをし、大蔵省のほうと相談していただくように目下検討しておるところでございます。
#15
○林(義)委員 大蔵省おられますが、大体いつごろにめどがつけられるのか、もしおわかりでしたら御答弁いただきたいと思います。
#16
○徳田説明員 お答えいたします。
 水銀、PCBに基因する水質汚染によりまして漁獲に著しい支障を来たしておる水域で漁獲された魚介類を扱っている中小企業のうち、売り上げ高が著しく減少している業者に対しましては、国民金融公庫に対しましてとりあえず現行制度のもとにおいてつなぎ融資に入るように、また返済が困難な者に対してはこれまた据え置き期間あるいは返済期間の延長をするように処置をとったところでございます。先生御指摘の漁業者に準じた特別措置を行なう、こういう点につきましては、ただいまの答弁にもございましたように、関係省庁と鋭意詰めているところでございまして、一両日中に結論を得たい、このように考えております。
#17
○林(義)委員 いまの御答弁だと、とりあえずは国民金融公庫を使ってこういった魚価の低落についての融資を行なう、こういうふうなお話でありますが、私はこの問題もやはり相当広く考えていただいてもいい、国民金融公庫の性格からいたしましても生業的な資金を出すというところでありますから、私は相当広く考えていただいてもいいだろうと思うのです。たしか熊本に行ったときだと思いますけれども、熊本県の旅館組合から御陳情がありまして――水俣でしたか、水俣か何かで、水俣というところにはお客さんがもう来なくなった。一つには、早く水俣病という名前を変えてくれ、そうでないと旅館の営業ができなくなる、こういう話でありますが、とにかく旅館の営業ができなくなる。それから魚が売れなくなる。それから有明海の沿岸では魚の立ち売りをしているから、魚の立ち売りについて生活融資をしてもらいたい。それから旅館の関係で、旅館のあんまもできなくなるからやってもらいたい。旅館の芸能もひとつやってもらいたい。何とかかんとか、こうなのです。私はこういったものは、いずれにしてもどこまでやるかということになりますと非常にむずかしい議論がほんとうはあるのだろうと思います。あるのだろうと思いますが、いろいろな事態に対して生活補給というか生活補償というような考え方というものは国民金融公庫自体の中にあるわけでありますから、そういった観点でわりと幅広く融資先対象というものを考えてもらいたい。水俣だからいいとか有明海の橘湾のほうに面しているからどうということではなくて、私はその辺は少し弾力的に考えていただいてもいいのではないか、こう思うのであります。こういうふうな考え方は、一体どういうふうにお考えになっておられるか。私の考え方はおかしい、もう少し厳密にやるべきであるというようなお考えかどうか、その辺についてお尋ねいたします。
#18
○徳田説明員 お答えいたします。
 ただいま一両日中に検討を急いでと申し上げました漁業者に準じます特別措置につきましては、実は商工組合中央金庫それから中小企業金融公庫、国民金融公庫、この三つを通じて行なうことを検討しているわけでございます。ただ、こういう特別措置につきましては当然漁業者との関連もございますので、いろいろな対象につきましては必要な制限を加えられることになると思いますが、ただ私が先ほど前段に申し上げました国民金融公庫を通じます一般的な融資につきましては、先生御指摘のような幅の広い業種につきまして必要な融資を行なうように十分に指導いたしたい、このように考えております。
#19
○林(義)委員 そういたしますと、漁業者につきましては一つの形で資金を流していく。関連事業者については国民金融公庫で一般的な融資のものをやる。それから漁業者に準ずるものがある、大体そういうふうな形でやるのですか。それとも漁業者につきましても、水俣病によって被害を受けたものを中心にしてやる、それから漁業者の中でも非常に幅広いところの融資をするというふうな形で、こう分けてやられるのですか。それとも漁業者は一本、関連事業者は二本立て、こういう形でおやりになるのですか、どちらですか。
#20
○前田説明員 お答えいたします。
 漁業者の関係につきましては、一般的にはいわゆる農林漁業金融公庫で経営安定資金、これは五分資金でございますが、これが出る窓口が開かれております。したがいまして、先生御指摘の、いわゆる問題になりました水域並びにその周辺の問題につきましては、先ほど私どもの部長のほうからお答えいたしましたとおりでございます。あと、その周辺の範囲をどの程度までで押えるのかという問題につきましては、いわゆる現地のほうと十分よく検討いたしましてとお答え申し上げたわけでございます。その他の一般の漁業者の方につきましては、いま申し上げました農林漁業金融公庫の資金の活用ということが適切であろうかと考えております。
#21
○林(義)委員 私は、昨日の御説明をちょっと聞き漏らしたのですが、明水園の国への移管、充実という問題が出ております。あそこに国立水俣病研究センター、緊急診断センターをつくるというふうな話もありますが、これはどういうふうな形で実現をされていかれるのか。国に移管をされるのか、それから新しい研究所というような形で整理統合されるのか、どういうふうな方針になっておりますのか、御答弁いただきたい。
#22
○金田説明員 お答えいたします。
 ただいまの水俣病の診断治療センターの問題につきましては、環境庁におきまして専門家会議を設けて検討されているというふうに伺っております。ただ、関連してお話のございました明水園につきましては、これは児童福祉施設でございますが、重症心身障害児施設として設立された施設でございまして、水俣市が設置をいたしておるということで、その経営を社会福祉法人明水園に委託しておる、こういうことでございます。私どもといたしましては、施設ができましたのが昨年の十二月でございまして、開所してまだ間もないというようなことで、その運営について今後十分見守っていきたいと思っておりますけれども、その運営につきましては、児童福祉施設でございますけれども医療機関でございまして、基本的には医療費で運営が行なわれておるわけでございますけれども、そのほかに重症施設ということで、特別に重症児指導費というものが運営費として加算されておるわけでございまして、この金額が児童一人当たり月額三万九千円というものが医療費の上に上積みされまして、その運営費の助成を行なっておるというようなことでございまして、私どもとしては、今後ともこの重症施設につきましては、その運営費の重症児への増額ということで対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#23
○林(義)委員 ということは、逆にいうと国への移管はしない、こういうことですか。
#24
○金田説明員 私どもとしては、当面そういったことでなくて、水俣市あるいは県とも協力をして、現在のままの形で運営というものを国としては助成してまいりたい、こういうことでございます。
#25
○林(義)委員 わかりました。この辺は問題点ですから、一応の御答弁を聞いてから、あとまた詰めたいと思います。けっこうです。
 水俣湾内の水銀ヘドロの早期処理というものを促進しなければならない。確かにあの海はよごれていて、水銀も相当たまっているようでありますから、早急な処理対策をしなければなりません。漁獲も自粛的な制限によってやられているということでありますから、それの補償措置もさることながら、水俣港というものをこれからどうしていくのかということです。公式的なお話になれば、環境基準を設定して、調査をしてどこからどこまでをやってという話でありますが、私はそういうことじゃなくて、とにかく締め切りをするのか埋め立てをするのか、やはり基本問題をきめないといけないのだろうと思うのです。そういう点につきまして運輸省のほうではどういうふうに考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
 あわせてお尋ねをしておきますが、この水俣港の埋め立てなり締め切りというのは、この十二月末までにというような話があったり、あるいは年度中にというような話があったり、それからまた少し延びるのだというようないろいろなお話が出ているようであります。これは政府当局としてすぐに御答弁できないというのは、こういった港湾ですから、事業は県でやるということですから、すぐには御答弁できないのかもしれませんが、やはりこれだけ問題になっているときですから、国がいろいろな援助をしてあげたり何かいたしまして、やはりほとんど国が全面的な支援のもとに、できるだけ早くあすこを締め切るか埋め立てをするか、やるべきだろうと思うのです。そういった意味で、やはりそのためにはタイムターゲットをつくっておく必要があるのではないかと思うのです。それに向かってがむしゃらに邁進していただく以外方法はない、こう思うのです。それでないといろいろなことをいったら、あちらで引っかかった、こちらで引っかかったというのでは、いつまでたっても埋め立てができないのではないかと私は思うのです。そういった意味で、最終時期はいつごろに置いてやられるのですか、これを御答弁いただきたいと思います。
#26
○加藤説明員 御質問の中にもありましたように、底質の除去基準がまだきまっておりませんので、処理する範囲がまだわかりません。この範囲がきまれば、締め切りをするか、埋め立てをするか、あるいはしゅんせつをするかというふうなことを具体的に詰めていくわけなんですが、やはり二次公害をできるだけ避けるという意味で、しゅんせつを少なくして、締め切りとか埋め立てというものを大規模なものにするほうが安全であろうというふうに一応考えております。
 それから、御指摘のように一応工程計画は立てておりまして、努力目標としましては年内にいろいろな二次公害を起こさない工事とか、そういったものを準備を終わりまして、終わり次第着工したいというふうに考えております。
#27
○林(義)委員 着工は四十八年度にはできる、こういうことでございますか。
#28
○加藤説明員 着工は四十八年度中にやろうという目標でがんばっております。
 それから、大規模な工事であるから国が全面的に応援しろというお話でございますが、私どももそのつもりで、どうやったら県が一番仕事がうまくできるか、そういったことを具体的にいま県といろいろと相談をして詰めております。たとえば技術者を派遣するとかあるいは受託するとか、いろいろな手段があると思いますが、どういった形が一番この仕事をうまくやれるのかということを、具体的に相談している段階でございます。
#29
○林(義)委員 水俣湾の水深は深いところは二十メートルくらいでありますから、そう問題はないんだろうと思いますが、もう一つ私がたいへんな問題になると思いますのは、徳山湾の問題であります。
 やはりあそこにも相当に水銀がたまっておる。それから、海底のヘドロの除去も技術的になかなかむずかしいんじゃないかと思います。徳山湾につきましては、いまのところどういうふうな計画でどういうふうな処理をしていこうと考えておられるのか、お尋ねいたします。
#30
○加藤説明員 四十五年の一斉点検の結果では、それほど底質の中に含有量がなかったというふうなことと、除去基準がまだきまっていないというようなことで、具体的に除去対策がまだ計画されておりませんが、今度の環境庁の再点検によりまして、結果が判明し次第、計画を立てて対策を考えるということになろうかと思います。
#31
○林(義)委員 そうしますと、徳山湾の問題については、いまから環境調査をやって、底質の基準ができて、それから埋め立ての問題を考えていく、こういうことでありますか。
#32
○加藤説明員 仰せのとおりであります。
#33
○林(義)委員 そういたしますと、徳山湾内では相当魚が汚染をしているということでありますから、やはりここも相当急いで実は対策を立てていただかなければならない。
 私は、基本として考えるべきなのは、魚に対する不安を早く除くということが必要だと思うのです。県のほうでも調べておられますし、そのデータを全面的に信頼するのはなかなかむずかしいという話があるのかもしれませんが、やはり一応のデータでありますから、そのデータをもとにしていろいろな計算をする。データが出てきてからということでなくて、やり方は、あるデータがある、これでたとえば一・五というデータが出た、そのときにはこうしましょう、それから三と出たときにはこうしましょうというような、大体同じようなアプローチというようなものは、私は近代科学のもとにおいてはできるんだろうと思います。したがいまして、データが出たらすぐに、こういった状況ならばこうします、こういった状況ならばこうしますというような大体のことは、私は言えるだろうと思います。データが〇・一PPM底質で違ったところで、私はたいした差はないんだろうと思うのです、やり方、工法のほうとしましては。そういった意味で早くやっていただきたい。そうしませんと、やはり徳山湾のような問題は、はっきり申し上げてなかなか解決しない。これはひとつお願いしておきます。
 それと同時に、徳山湾のようなところにつきましての漁業はどういうふうな形でやられるのか。自主的な繰業停止という形でこれからも指導していってやられるのか、ほっておくのか。今度は県がやるのかもしれませんけれども、徳山湾における漁業はこれからどういうふうに指導されるおつもりなのか、この点についての水産庁当局の御見解を賜わりたいと思います。
#34
○前田説明員 お答えいたします。徳山湾内の魚介類につきましては、先生御指摘のとおり、県が調査いたしました資料はある程度ございますが、いわゆるメッシュを引きましての調査という形ではございませんものですから、あらためて国も調査をするという段階になっておるわけでございます。なお、現在の漁獲の状況につきましては、県からいろいろ問い合わせ等もございまして、県が現在漁業組合と話し合いをいたしまして、自主的な操業停止というような形で対処しておるわけでございます。
#35
○加藤説明員 徳山湾の汚泥処理対策につきましては、いま先生御指摘のとおり、港湾管理者のほうでも対策を立てなければいかぬということで準備に入っておりまして、再三にわたって私どものほうにいろいろと相談に参っておりますので、いま具体的に検討を進めておる段階でございます。
#36
○林(義)委員 最後にお尋ねいたしますが、熊本でもそうでありますが、水俣病の患者の認定につきまして何が足りないかといえば、医者の診断をするところの問題ではない、むしろそれまでのいろいろなデータを分析し解析し、データを備えるところの人手が不足をしている。さらに、いろいろな機械設備が足りないということがいわれているのです。いろいろな検査をいたしますにあたりましても、原子吸光法というような新しい方式でいまやられておるわけであります。ところが、話を聞きますと、これでやると頼んでから二カ月も三カ月もかかるというふうな話なんです。
 ところで、各県ともその機械を備えつけたいというのですが、これは原子吸光法でありまして、原子力規制法の関係での審査が必要である、こんな話であります。機械を一台買うにいたしましても、その辺でたいへん時間がかかる。県当局で早く機械を買ってやりたいというような話でありますけれども、原子力安全というような観点でやられている。こういうようなことでありますが、私は、このガスクロマトグラフィーというものはすでに一般化した機械ですし、その放射線の影響というものは十分に審査されているのでありましょうし、大体つくるメーカーが一台一台別の機械をつくるわけではないと思うのです。同じような機械をメーカーがつくっているのですから、こういったものは少し審査手続も早急にして、できるだけ分析体制、研究体制というものを促進される必要がある。それでないと、わあわあ騒いでおってなかなか資料が整いませんとかどうだとかいう話でありますから、この辺につきまして政府一体としての努力がやはり必要だろうと私は思うのです。この辺につきましてどういうふうに考えておられるのか、もしおわかりでございましたならば御答弁いただきたいのと、先ほど来のいろいろお話によりますと、県の数字あるいは各省の数字が、それぞれ目的の違った調査でありますから、実際に自分のところでやらなければ、なかなか自分のところでやるものについてはノーとかイエスとか言えない、こういうふうな話のようであります。県のやった調査もいろいろとデータのとり方が違うとかいうような問題があります。やはり環境調査というのは、私は、政府も地方自治体も一体になってやっていかなければならない問題だと思うのです。また、それぞれの目的に従って調査をされるのですが、やはり調査をするときにはたいへんに金がかかる。同じ調査を二へんも三べんも繰り返す必要はないと私は思うのです。調査全体についての相当広いプログラムをつくられてこれを進められなければならない。今回、水俣なり有明海また熊本県に参りまして、私はその点を非常に痛感したのであります。山口県でも実は同じような問題がある。非常にセクトになっているという感じが私は非常にしているのであります。しかしながら、やはり目的は、国民の健康に最大限に重点を置いて公害対策を進めるということでありますから、その観点に立ってやる調査において、あそこの調査はどうだこうだということではないだろうと思うのです。そういった意味で、調査につきましても各省ばらばらにやるということでなくて、せっかく水産庁でやられるならば、ついでに通産省のほうの調査もあるいは環境庁の調査も、県の調査も、一緒にやってまとめていくということをこれからやっていただかなければならない。それでないとどうもばらばらの調査になっているというような感じがするわけであります。
 この二つの問題につきまして、政府難局のほうから御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#37
○船後政府委員 まず、今回計画いたしております調査でございますが、大きく分けまして環境調査と健康調査に分かれるわけであります。
 環境調査のほうは、水銀その他重金属及びPCB、この機会でございますので、およそ危険性の考えられますものにつきまして、これを水質、底質、魚介類、さらにプランクトンといったようなものにつきまして、全国的な規模で調査いたしたいと考えております。それにつきましては、当然各省庁で分担して実施するわけでございまして、環境庁、厚生省、水産庁、建設省等の役所が当たるわけでございますが、これはもうすでにそのような総合的な観点から、どの地区にどのような検体数をとって、いつごろの時期までに調査を完了するかということを各省庁統一した計画をつくっておるわけでございます。
 このような環境調査の結果といたしまして、環境の汚染がかなり進んでおりまして、人の健康に危険がある、このように判断される地域につきましては、健康調査に入るわけでございますが、この点は、いずれにいたしましても環境調査の結果を見なければ、現在のところどの程度の地域が該当するか判断がつきません。ただ、八代海及び今回の熊大報告におきまして指摘されました有明海につきましては、現に人の健康が問題になっておるわけでございますから、これらの地域につきましては、沿岸の漁民を対象といたしまして、広範な健康調査を実施することといたしております。これらは環境調査から健康調査に至るまで、いずれも総合的に一貫性を持った調査でございまして、分担はそれぞれの省庁が行ないますが、計画はすべて統一いたしておるものでございます。
 それから、次に測定能力あるいは審査能力の問題でございます。
 環境調査につきましては、これは対象が魚介類であれ底質であれ、いずれも検体といたしまして、水銀でございますと原子吸光等の方法を用いて行なうわけでございますが、この測定能力、これは各県が持っております農林ある、いは衛生関係の試験場はもとより、地元の大学あるいは民間の検査能力、これらを動員いたしまして調査いたすわけでございます。なお県等におきまして検査器具等の不足がございますれば、これは各県と相談いたしまして対処いたしてまいりたいと考えております。
 それから健康調査のほうにつきましては、特に審査の問題でございますが、このほうは特別措置法に基づくところの認定審査の仕事と、それから疫学的調査としての健康調査と、いずれも調査の内容が異なるわけでございます。認定審査のほうは、現に熊本、鹿児島両県でかなり多数の認定申請患者が滞留いたしております。このほうの隘路は、何と申しましても水俣病という特殊な病気を診断するにつきましては専門的な知識を要するのみならず、内科、眼科、耳鼻科等の各科の総合的な判断を要しまして、一人の患者を診断するには相当の時間がかかるという問題がございますので、ただ単に機械をふやすというだけでは解決がつきません。したがいまして、この認定審査を促進いたしますためには、何とかして専門の知識を持った方をこのほうにできるだけ充当する措置をとらなければなりませんが、具体的な手段は、現在地元におきまして大学等と協議して対策を練っておるところでございます。
#38
○林(義)委員 先ほど最後にと申し上げましたが、熊本でお話を聞きましたときに、医者がなかなかたいへんでしょうという話を申し上げたのです。診断をするのに耳鼻科もあるし、神経科もあるし、内科もあるし、いろいろだろうという話をしたところが、あそこの審査会長をしておられる武内さんから話がありましたのは、医者の数もさることながら、それをするところのデータを整理するのに実は人がたいへん足りない。データを分析するところの人が足りない。また機械器具等が足りない。いろいろな実験分析の用具が足りない。こういうふうな陳情があったのです。そのことを実は私は申し上げたいのです。そういったことになっているのかどうか。私らも実はしろうとなものですからよべわからぬけれども、そういったことを聞いてきたわけでありますが、もしもそういったことがあれば、私はよく調査していただきたい、これをお願いしたいと思います。環境庁のほうではいかがでしょう。
#39
○船後政府委員 認定申請患者の審査を促進するためにどこに隘路があるかという問題を突きとめねばならぬわけでございまして、現在私ども現地の県、市及び大学にその点をお願いしておるわけでございます。
  〔委員長退席、菅波委員長代理着席〕
問題は患者の生活歴、職業歴、いわゆる水銀に対する暴露歴でございますが、このような点を調べますのは大体行政官の職員でございます。それから、実際に患者を診察するあるいは検査をするのはお医者さん、あるいはその他審査器具の取り扱い技術者の問題、さらにそういったデータを整理するというような仕事に分かれるかと思いますが、それぞれにつきましてどこに隘路があるのか、これは早急に確かめまして、できるだけの措置を打ちたいと考えておる次第でございます。
#40
○菅波委員長代理 島本虎三君
#41
○島本委員 各省庁の皆さんにまず私が個々に質問してまいります。
 その前に、何ら罪も責任もない漁民が休業している、加害者たる企業がフル操業を続けている。このような姿が異様に映らなかったほどにいままでは政治の良心が麻痺しておったんだ。そして汚染魚として工場が買い上げる。食べられない魚をとるのはもはや漁業ではないし、それをやるのは漁民ではないんだ、あたかも香港フラワー、造花に水をやるようなもので、こんなばかげた話があるか、これが漁民のことばなんです。そのような漁民対策を融資だけでお茶を濁してはならないし、同時に貧しい漁民に対して借金をしいることは政治でも行政でもない、これがいまの実態であります。それをもとにして今後やはりその救済策が当然考えられておるはずだ、こう思うわけであります。したがって私は、もう休漁を余儀なくされているこういうような漁民の人、そして魚価の低落を余儀なく押しつけられている漁業関係の人、こういうような人たちの経済的な損失に対する補償措置、そういうようなものが一番いまや大事な段階になってまいりました。その窮状をやはり救済しなければならないわけであります。これが全般に通じますところの一つの私の基本的な考え方であります。
 したがいまして、まず通産省のほうにこれを聞くのでありまするけれども、環境庁長官おりますか。――まだですか。いや、あとでやりますから長官いますぐ来なくてもいいです。こういうような状態ですから各省の、ことに通産省の皆さんはいままではもう言を左右にしてやってまいりましたし、水俣の場合は十七年の間公害排出企業をいわば守ってきたわけであります。今後はこういうような業者擁護の姿勢はきびしい批判の前に改めなければなりません。したがって通産省、今度第三水俣病、これが発表されましたが、汚染源の徹底究明、これは皆さんすべての人の答弁であります。しかし違反企業に対してはすみやかにこれを操業停止、こういうような措置をとるつもりなのかどうなのか。いままでと同じように指導する、まだこういうような考えなのかどうか。電力、給水、こういうようなものの停止はそれぞれ通産省並びに地方都道府県段階でできるはずでありますから、そういうような規制さえも今後は考えてやるのかどうか。通産省のこれに対する基本的な態度を伺います。
#42
○田中(芳)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、私どもといたしましては、たいへん重大な事態の発生しておりますことについて深く責任を感じておるところでございます。
 このような公害企業に対しての通産省の指導の姿勢でございますが、私ども公害を発生することのないように今後とも全力をあげて企業の指導厳格化を期してまいりたいと考えております。
 現実に違反企業に対してどのような措置をとるかという御指摘でございますが、種々問題になっております企業につきましては水質汚濁防止法等に定めます基準を現在は守っておる形でございます。これらの問題につきましてもし違反事実があれば、現在法律的には都道府県知事に施設の改善命令あるいは操業停止命令がゆだねられておる現状でございます。したがいまして私どもといたしましてはこうした都道府県の意向も十分徴しながら地方公共団体と一体的に指導を厳格にやってまいりたい、このように考えております。
#43
○島本委員 重大であります。もうすでに違反企業が出ても、それに対する徹底的な一つの手段さえ通産省はとれない、依然として指導していこうとする、そしてそういうような事態になっている企業に対しても自分の責任じゃない、都道府県の責任である、そういうような態度では公害撲滅にはなりません。まず企業の姿勢が悪い。だめです、そういう態度では。第四、第五の水俣病も当然出ます。環境庁長官を呼んでもらいます。通産省は、依然として指導する、その指導のもとにいままで十七年間こういうふうにして公害を排出してきたんじゃありませんか。こうなっても依然として排出基準を守っていくような指導をしていく、こんな態度で一体公害の撲滅ができると思うのですか。通産省の態度は悪い。
#44
○田中(芳)政府委員 ただいま法律的な形、仕組みを申し上げました。あるいは非常に誤解をいただいたかと思いますが、私どもといたしましてもこうした都道府県と十分連絡をとりながら厳正な指導をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#45
○島本委員 もう一回ちょっと。公害事犯には加害者と被害者しかないのです。いま通産省は加害者弁護をしようとしているのです。そんなんじゃだめです。もうこれは答弁要りません。
 安全性を究明するために立ち入り検査ということに対してはやはり都道府県に十分要請して協力させるように通産省はしているのですか、していないのですか。
#46
○田中(芳)政府委員 安全性ということにつきましての御質問の趣旨を的確につかみかねたわけでございますが、私どもといたしまして環境庁とも連絡をとり、かつ都道府県とも連絡をとり、企業に十分それを順守するよう指導をいたしておるところでございます。
#47
○島本委員 安全性を究明するために要請があるならば立ち入り検査を進んで協力させるように指導しているのかしてないかというのです。的確に答えてくださいよ。
#48
○田中(芳)政府委員 指導をいたしておるところでございます。
#49
○島本委員 三井東圧では逆に、日本学術会議の学者、かつてここで参考意見をわれわれが聴取したそういう人でさえも一定の場所まで連れていってもこれより先はお見せできません、拒否しているのです。いま問題になっている三井東圧です。どうしてこういうようなのを皆さん指導してやらぬのですか。それで公害なんかなくすることができると思いますか。企業の態度が悪いのですから。通産省の態度はなおさら悪い。
 それと同時に、企業の情報交換それと公開、こういうようなものをさせて、少なくとも何をつくっているのか、どこに排出口があるのか、その工程については一切秘密をなくすることが、今後工場としても、公害を出させない、大衆の前にはっきりさせる、そのきめ手になると思うのです。企業の情報交換並びにこの秘密をなくするための公開、これに対して通産省はよろしゅうございますか、こういうふうに指導しますか、指導しませんか。
#50
○田中(芳)政府委員 ただいま御指摘になりましたような生産品目であるとかあるいは公害処理施設、排水口の位置等につきましては、当然、企業といたしまして地元住民にも公開すべきものでありますし、私どももそのように指導をいたしてきておるところでございます。
 ただ、生産工程の中の技術面に、国際的な意味で特許等がございます場合は、そうした国際的制約がややございます。
 しかし、これにつきましても、そうした制約の範囲をのがれる限りは、できるだけ企業としてこれを公開すべきものとわれわれは考えておりまして、その面で今後とも強く指導をしてまいりたいと思っております。
#51
○島本委員 まだまだ、これは国際的であるというようなことばのもとに隠そうとするのです。何をつくっているのか、どういう工程でやっているのか、排出口は何本どこを通っているのか、それくらいはっきり公開させないといけません。
 もうすでに県知事も知らない排出口ができておったというこの事実、知らないのは通産省だけ。住民によってこれははっきりあばかれた例があるじゃありませんか。したがって、いまやもうすでに情報交換によって企業の工程は公開させるべきです。これをも通産省が指導できないようであったら、第四、第五の水俣病は必ず出る。黙っていても出るのですけれども、今後続々と出ることは皆さんの態度によってはっきりする。まことに遺憾です。しかし、これはもう当然やるべきです。これをやらないから、何をつくっているのか、どういうものを出しているのかわからないのです。どこかへ行ったならばこれはわかるというようになぜしないのですか。環境庁でもいい。通産省は隠しに隠しているのです。こういうようなことではだめです。もう一回これに対する的確な答弁を求めます。
#52
○田中(芳)政府委員 御指摘になりましたような事項、隠し排水口があったということはまことに遺憾でございます。私どもそういったものにつきましては、当然企業が地域住民にも公開あるいは情報を与えるべきである、こういうことで強く企業を指導してまいります。
#53
○島本委員 水産庁、この有明湾に面して、そうして汚染企業を持たない佐賀や長崎、その方面にも漁業被害は、当然魚価の低落その他によって受けているわけです。企業はそれに対してある程度補償措置を講じているように思われますが、魚価の低落の対策、その生業の補償の対策――直接この当たる企業を持たない、こういうような場合の対策は、通産省、農林省、十分考えておりますか。
#54
○前田説明員 お答えいたします。
 有明海におきますところの佐賀、長崎等、直接に企業は持ってはおりませんけれども、水域が一体となっておりますので、汚染源がはっきりいたしますれば、当然有明海におきましてはその汚染源に対して求償という形になる前提のもとに、私どもは県の水産試験場並びに県をそのような形で指導している次第でございます。
#55
○島本委員 そのために被害を受けておる日本全国の漁業関係者に対してはどういうふうにしておりますか。
#56
○前田説明員 先般発表になりました第三水俣病の問題から全国的な魚価の低落を来たしておるわけでございます。とりあえず私どもといたしましては、一般的には、農林漁業金融公庫の経営安定資金ということで急場をつなぐという姿勢でやっておりますし、なおかつ、汚染の激しいその影響を受けたところにつきましては、いわゆる天災融資法に準じた緊急融資という形で対処していきたいということで進めているわけでございます。ただ、全般的な問題になってまいりますと、なかなか手の打ち方もむずかしいわけでございますけれども、直接影響があったところ、またその周辺の問題等につきましては、いま申し上げたような形で対処しているわけでございますが、北海道または沖繩に至るまで影響を受けておりますことにつきましては、今後十分また検討を進めてまいりたい、そういうように考えております。
#57
○島本委員 これは全般に及ぶのでありまして、この辺の対策は行政的にも十分考えないとだめなんであります。
 それと同時に、一貫性のないような指導であってはならないと思います。いま環境庁長官も、水銀を使うことを今後やめさせて、隔膜法に切りかえる。その年次も、五十年に極力ということば。極力じゃないんだ、「までに絶対」でないとだめなんです。これも通産省の横やりで極力ということばを入れてしまって、もうすでに大手メーカーあたりでも、それまではできませんよということを新聞に堂々といわせているのです。なぜ極力ということばを入れるんですか。なぜ、絶対にそれまで変えさせないのですか。この辺は問題なんです。
 またそれと同時に、同じ通産省の中でも統一がとれていないじゃないか。東洋曹達では、苛性ソーダに対する設備の増設に対して、第四槽というんですか、その許可願いが出されている。一方これをやめさせるというのに、一方これをやる、これをまた審議している、こういう一貫性のない態度は、これはやはり内閣の姿勢の問題だと思いますから、そういう点については、長官、もうやめさせるというなら、そういうような願いが出た場合には取り上げない、こういうようにして、これはしっかり、一本の姿でこれに当たらなければならないのじゃありませんか。そういうようなことは私は望ましくないと思う。長官の意見を伺います。
#58
○三木国務大臣 東洋曹達のお話でありまして、通産省の政府委員から事情を徴しましたところ、そういう希望が一時あったけれども、いまはそういうことはないということでございます。
#59
○島本委員 そういうようなことに対してやはりき然たる態度で、一たんもう環境庁長官が総力をあげてそれほど決定したということに対して反対の動きなんか出るようなことは絶対ないようにしてもらいたい。
 なお、通産省、この水銀媒体の製法から隔膜法に変えるのに何が障害になるのですか。何のために五十年まで絶対これはやれないで、極力努力するというようなこれを入れなければならないのですか。その障害をちょっとこの際はっきりさしてください。
#60
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 私どもといたしましては、やはり先生御指摘のように、極力水銀を使わない製法に転換したいことは重々でございますが、残念ながら現在までのところ、隔膜法につきましては国産技術、特に大型の隔膜につきましては国産技術がございません。そのために早急に外国から技術導入する必要がございます。加えまして、金属電極等の所要資材も、これまた残念ながら供給者の数が制限されておりまして、いっときにこれを大量に確保することも現時点ではいろいろと制約条件がございます。加えまして、隔膜法にいたしますと多量の蒸気を必要といたしまして、大型のボイラーも設置する必要がございます。こういった点でやはり大型のボイラーの設置でございますとか、それに伴いますまた地方公共団体との折衝等もございますし、加えまして残念ながら隔膜法の製品は塩分等が若干ふえまして、製品といたしましては品質が少し劣ります。そのために需要業界等と十分に話し合いをする必要がございます。しかしながらいずれにいたしましても、私どもといたしましては、こういった制約がございますが、これを一日も早く解決して、極力隔膜法への転換が推進されますように、業界に対して強く指導しているところでございます。また業界といたしましても最近このための特別の組織もつくりまして、一つ一つこういった問題を現実的に解決いたす姿勢に業界としても現在なっております。
  〔菅波委員長代理退席、委員長着席〕
#61
○島本委員 その理由はおそらくは通産省で十分調べた上での理由だと思うのです。しかし私はそれは理解できないのです。安保条約はじめアメリカ一辺倒であって、アメリカでは七二%まで隔膜法でやっている。それを日本ではできないのだ、そういうような考え方がわからないのです。品物は若干落ちるだろう。品物の質が落ちるのと人命にかかわるのとどちらが大事なんですか。通産省のこの指導のしようが悪いですよ。熱意も足りない。やはり業者本位であって、業者との癒着がまだ取れない。こういうような指導では困るのです。この辺は今後三木副総理としてもがっしりやってもらわなければ困るのです。通産省に振り回されるような環境行政ではだめなんです。この点については私はほんとうに残念なんですが、ほんとうに五十年の九月までにこれはできないのですか。
#62
○田中(芳)政府委員 私ども期限を切りましてお約束いたします以上は、絶対通産省として責任を持ちたいと考えておるわけでございます。
 ただいま申し上げました中でボイラー等の問題、これはやはり新たな大気汚染という問題を生じますので、この点につきましては、これを監視しておられます地方公共団体の長とも十分協議をして転換をしていかなければならぬ。したがいましてそういう協議の時間もかかる。
 それから国産技術につきましては、私どももすでに産業構造審議会等にはかりまして、水銀法から隔膜法への転換をしたいという中で、工業技術院におきまして昨年度より国産技術によります隔膜法の技術を開発中でございます。残念ながらいまその開発途上にございます。したがいまして、これが技術が向こう二年間で達成するといたしますれば、やはり外国から技術をもらってこなければできないという、まことに遺憾な状況でございます。やはり外国の会社との間に種々技術導入の交渉をしていかなければなりません。
 そういったもろもろの面から考えまして、一応目標といたしましては五十年九月という形を極力達成することといたしておりますが、今後詰めの段階におきまして、この時点までにできるだけ転換を完了できるように私ども最善の努力を払ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#63
○佐野委員長 関連質問の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
#64
○土井委員 先ほどから隔膜法への切りかえを五十年までに極力進めたいという御答弁が続いているわけでありますが、当初私たちが聞かされたところによりますと、五十年までには一応三割程度隔膜法に切りかえていくという方針であったらしいのが、五割、つまり五割五割の割合にしたいというふうに変わってきたわけであります。先ほどから極力極力とおっしゃいますけれども、その中身については、やはりいま考えられております五割五割の割合で隔膜法への切りかえを考えられていらっしゃるのか、それとも五割五割というあの中身に対しては再検討して、極力の中身は五割ではありません、できたら七割である八割である、あるいは先ほど島本委員の質問の中にもありました絶対ということでなければ困るというところに近づけたいという御趣旨のことであるのか、その中身を少しお聞かせいただきたいと思うのです。
#65
○田中(芳)政府委員 私どもといたしましては、五割五割にこだわっておりません。いま会社から転換計画を提出させております。それに基づきまして、私ども先ほど申し上げましたようないろいろな諸手続等に要します期間を考え、できる限り五十年九月までにでき得れば全面転換をできるようなかっこうを私どもとしてはぜひやらせたい、そこをいま詰めておる、こういう現状でございます。
#66
○土井委員 そうしますと、大蔵省から四十八年度について税制に対する特別措置、固定資産税の問題であるとか特別償却制度に対して指定したものについてのいろいろな処置があったはずでありますが、これはやはり中身は三割七割の割合から五割五割に切りかえられて、四十八年度については大蔵省との折衝で中身はきめられてきているはずであります。これについても、いまの御答弁からすると、相当程度に大蔵省に対しては予算、いわゆる税制の上での措置の中身が違ってくるだろうと思うのですが、これについても確信のほどがおありになるわけですね、いろいろ折衝の上であるいはいろいろそういう交渉をお進めになる上で。いかがですか。
#67
○田中(芳)政府委員 転換計画の数字が固まり、そして四十八年分としての数字もまた固まりました段階で、私どもは財政当局と十分協議をして、これが転換の円滑化をはかってまいりたい、このように考えておるところでございます。
#68
○土井委員 あと一問。それではそういうことに対しての財源支出というのは一体どういうことになるわけでございますか、四十八年度分については。固まってそのうち大蔵省と折衝して、そして固まった中身に対して変更された部分については大蔵省にさらに変更を要求していくということでありましょうが、財源についてどういう支出のやり方をお考えでございますか。
#69
○田中(芳)政府委員 通産省といたしましては、財源につきましてどうこうするというお答えを申し上げる立場にございません。したがいまして、私どもといたしましてはそのような数字が固まり次第、大蔵省にぜひこういう形が円滑に進められるようにというお願いをいたしたい、このように考えておる次第でございます。
#70
○島本委員 どうもいまのおことばでは、通産省はことばでは言っても、業者本位なり企業癒着の態度がまだ脱却できない。ほんとうに皆さんやる気だったら、大蔵省だって来ていらっしゃるし、そのつもりだというようなことを言って、中曽根通産大臣もいるじゃありませんか。なぜそういうような重要な決意までしてやらせるようにしないのですか。どうも私としては、その点では通産省の姿勢がまだまだはっきりしないということは遺憾です。
 それと同時に、今度は厚生省、魚の水銀の汚染度を測定する能力の現状は、齋藤厚生大臣は胸を張ってそれを言っておりますが、汚染度を測定する能力の現状はどうなっておりますか。同時に、今後の対策等についてもはっきりさしてください。
#71
○福田説明員 お答え申し上げます。
 水銀の汚染問題にからみましても、地方の検査能力ということは非常に大事なわけでございまして、現在衛生関係におきましては、地方衛生研究所を中心にいたしまして検査体制を整えておりますが、現在のところはガスクロマトグラフィーが百二十五台、それから原子吸光光度計及びポーラログラフィーが合わせまして九十台。なおそのほかに、各府県におきましては公害センター等におきまして水銀等の重金属の分析器を持っておるようでございます。なお民間検査機関及び地方大学等も今度の場合は全部動員いたしまして対処してまいりたいと思います。
 なお今後の問題といたしましては、これだけでは完全でございません。かねがね厚生大臣が申しておりますように、検査機関の充実は緊急の要務でございますので、厚生省といたしましても国の検査機関、国立衛生試験所における毒性研究センターの設置等を踏まえまして、さらに民間の指定検査機関、これを各県別にセンター等もつくるという構想でもって現在鋭意検討中でございまして、ぜひ実現方努力したいということでございます。
#72
○島本委員 もう一つ、その場合に汚染九水域からの魚に対してはそういうような測定を強化するような方法をとるんだ、こういうように言っておりますが、その他の地域のものに対しては現行どおりで何ら測定しない、こういうような意味ですか。
#73
○福田説明員 現在問題になっております水域は、これはもう早急にやるということでございまして、そのほかにおきましても全国的に、産地市場それから一般の流通市場を中心にいたしまして厚生省の検査を実施してまいりたいと思っています。なお、そのもとになりますのは水産庁で実施されるわけでございますので、それと協力いたしましてぜひ強力な検査を進めてまいりたいと思っております。
#74
○島本委員 やはりその場合にはいろいろ機械の操作なりその性能なりによって――魚は鮮度をとうとぶから、それをすぐに測定して、わかるようにしてすぐ出せるのですか。それをやるのに四、五日もかかって鮮度が落ちてしまってどうにもならなくなるような調査、測定機関なのかどうか。何分か何時間で終わるような測定機関になっておりますか。
#75
○福田説明員 今後いわゆる魚の汚染につきまして検査体制をどう整備するかということに伴いまして、ただいまの御質問の点は、特に早くしなければ、流通してしまったらそのまま口に入るのではないかという問題であろうかと思いますけれども、検査はただいまお尋ねのように、メチル水銀等で約三日間かかるのが現状でございます。これを縮めるわけにまいりませんけれども、いわゆる汚染地点を限定してしまう。早く限定してそこをきれいにするということが目的でございます。したがって、その間汚染地区と思われるようなところは環境調査を早急に実施いたしますし、統計的に見ましても、ここの汚染地点はだめである、必ず濃度を越えるということになりますれば、そこを封じ込めてしまいます。その他のところにつきましては順次検査してまいりまして、だいじょうぶであるというような状況で市場に流通させていますので、その点では、たまたまその時点にやりましたものがひつかかりますれば、そのものがある程度出回ることはいましばらくはございますが、その検査体制が充実できますれば、そういうことがなくなってまいるというふうにして処してまいりたいと思います。
#76
○島本委員 魚類の流通機構また漁業協同組合や市場、こういうような点を見る場合には、とれた魚を場所をかえて遠くの市場へ揚げることもできるわけです。そういうようにしてやった場合には、国民が今後魚を買うときに市場に出ている捕獲海域別の表示、当然これを見て参考にすることだ、こう思うわけでありまするけれども、そういうような場合に、現在の市場のあり方、流通機構、これを考えた場合に、それを信用してもいいのかどうか、国民に対してはこれは健康の問題になります。したがって、国民が信用できるような体制づくりがほんとうにやられていなければならないのです。口だけで言ってもだめなんです。市場に船は移動しますから、自由にこれを揚げることはできるでしょう。魚はその場所にとどまっておりませんから、その辺から移動するでしょう。そういうような場合に、捕獲海域別の表示を見て健康上の参考にすることができるかどうか、厚生省、農林省いかがなものです。
#77
○福田説明員 厚生省といたしましては、ただいまおっしゃいましたように、産地表示をいたしますれば――それが正しくその産地を表示しなければ意味がないわけでございまして、この点は水産庁のほうとも協議いたしまして、的確に国民が選択できるような正しい表示ができますように協議してまいりたいと思います。
#78
○前田説明員 ただいまの御質問の点でございますが、魚が移動いたしますことは確かに移動いたしますわけでございます。PCBの精密調査をやりました段階でもある程度判明いたしましたことは、やはり汚染源に近いところの魚ほどその含有量が非常に高いということがはっきりしてきたわけでございます。PCBに比べまして、水銀という金属はいわゆる重たいものでございます。したがって、底にいる魚等にといいますか、わりあいに遊泳しにくい定着性の魚等に多く含まれている公算が非常に高いわけでございます。
 どのようにして規制するかという問題でございますけれども、これは先般先生も水俣でごらんいただけたかと思いますけれども、水俣の場合等は、やはり水俣湾並びに恋路島を含みますそのまわりにロープを張り、ブイを浮かせ、その中では一切漁業をやらないというような形でやっているわけでございます。と申しますのは、しからばほかから入ってきてとるじゃないかという問題等もあろうかと思います。ただ沿岸地域におきます漁場は、ほとんどが漁業協同組合の共同漁業権が設定されている場所でございまして、その漁業協同組合以外のものが入ってきてとりますと、これはまさに県の規則に違反するという形にもなります。したがって、その漁業協同組合が総会で決定しまして禁止した場合には、ほかから入ってとるという危険性は一応考えなくてもいいんではなかろうか。もちろん監視体制も十分やらなければならないということは当然かと思います。またあわせまして、どこから出荷されたものかということにつきましても、私ども十分表示を指導してまいりたいと考えておりますし、また検査、調査等につきましては、厚生省とも十分協議をいたしまして、万全を期してまいりたい、このように考えております。
#79
○島本委員 今度住民が自分の健康を保持するためにいろいろと魚なり食品なりこういうようなものを、疑わしいと思って検査する。この検査してもらう場合には、やはりこれを容易に検査できるようにしておかなければだめじゃないかと思われるわけです。いま検査をしてもらうのにすぐやってもらえるのかどうか、またそういう体制があるのかどうか、その場合にはやはり必要に応じて手数料等についても簡単にやれるくらい配慮しているかどうか、この点についてひとつお伺いいたします。これはどっちの省になりましょうか。
#80
○三木国務大臣 各地に魚介類に対して不安な気持ちが起こっておりますから、明日各県から呼んであるわけです。やはり地方自治体の協力を得なければいきませんから、そしてこの全国的な魚介類の調査を七月一日から開始したい、そしてメチル水銀の含有量なんかを調べましてそれを公表をしたい。魚介類がよごれておるとしたら、どういう状態にあるかということを公表をしたい。そういう費用は全部政府と地方自治体で負担をいたす考えでございます。
#81
○島本委員 住民が自分の健康を思うあまり、これを食べていいかどうかやはり検査を要する、こういうような場合に、それを持っていってもすぐそれを検査できるような体制が整っているかどうか、こういうようなことです。
#82
○福田説明員 現在住民が、魚等も含めまして食品全般について検査してほしいというような申し出がございます。その場合は保健所から地方衛生研究所を通じまして検査ということになるわけでございます。ほとんどがそういうケースです。
 もう一つは消費生活センターの窓口を通しまして、やはり検査といたしましては地方衛生研究所に持ってくるというケースが非常に多いと存じます。この場合、地方衛生研究所におきましても、できるだけその希望に沿えるような検査をしているわけでございますけれども、行政上の検査のほかにそういう任意検査というものも、そのからみで非常におそくなるという場合もございますので、今後はそういう住民の窓口ということの検査も含めまして強化してまいりたいというふうに考えております。
 なお、検査手数料は、現在メチル水銀の場合は先生御指摘のとおり、わりあい高い委託料、検査料になっているようでございますが、この辺につきましても県等と協議を続けてまいりたいと思っております。
#83
○島本委員 いろいろありますけれども、ちょっと急ぎます。
 警察庁も来ておられることと思います。海上保安庁も来ておることと思うのです。最近やはり住民が、現在のような政治や行政にあきたらず、公害の加害者である企業に対して直接交渉に訴えております。また裁判の判決、それらを見ましても、すべてこれはもう住民サイドであります。そういうようなことから、私は、今後公害行政に対する警察権力並びに行政の方面から見ましても、これは十分その点を見ておかなければならないと思うのでありまするけれども、最近船が工場のまわりを回る、これを保安庁のほうで出ていって規制する動きがある。そうしてこれまた田辺海上保安部警備救難課長をしておった田尻さんという優秀な――保安庁につとめて四日市でもこの先駆をつとめたような人、これは四日市から他のほうへ左遷されて、それも東京都に今度またスカウトされる、こういうような事態、いわゆる油濁のみではなく、水質汚濁の防止のためにも保安庁としての役割りは重大だと思うのです。そうして体制を強化して今度は当たらなければならないことは、保安庁としてもこれからは重大な立場にあると思うのです。しかし何か最近の保安庁の動きはそうでないように思われる。
 それと同時に、警察庁のほうでも、いままでは民事不介入の原則である、こういうようなことで、公害の場合には特にこれは加害者と被害者しかありませんから、そういうような場合には民事不介入の原則でこれは見守っておった。しかし今度は何か一歩踏み出して、警察が行政機関の役割りを発揮してアドバイスや仲介的な役割りを果たす、こういうような新方針をきめたというわけです。これは公害紛争に警察が介入することになる。これは重大な問題だと思うのです。やはり従来の警察がとってきたような、いわゆる公害は加害者と被害者、こういうような立場にしか国民はない。したがって公害トラブルに対するいままでの姿勢は、交渉が煮詰まっていない段階の多少の不法行為はあっても黙認しているというこの態度、そうして交渉が煮詰まったあとの危険な対立においては出動する、こういうような態度をいままで堅持してきた。しかしそれより一歩出して、民事不介入の原則があるにもかかわらず、公害紛争に警察が仲介する、こういうような決定をした、また新方針を出したという、これは私は重要だと思います。
 私は、こういうような場合には、東大の刑法学者である藤木英雄教授が言うように、越権行為になるおそれがある、こういうふうに思います。まして伊達火力の問題等にしても、機動隊を出して、両方に話し合いを十分させなさいと、環境庁長官がもうその日にも、前の日にも出してある、それにもかかわらず、話し合いをさせるために両方引かせるというならいざ知らず、そのまま機動隊が出ていって、そうして被害者側を排除して、そうしてそのまま加害者と思われるほうに味方するような動きが最近あった。これは警察権力としては重大な一つの公害に対する介入であって、これは今後の行政上私は重大な問題点をはらんでいると思う。この問題に対して警察庁並びに海上保安庁の解明を求めます。
#84
○綾田政府委員 公害闘争で最近各地でそういう事案が発生しておりますが、それに対する警察の基本的姿勢は、ただいま先生の言われるとおり、民事不介入の原則、それから厳正中立という立場は堅持して、そうしてそういう誤解がないようにしていきたいというふうに考えております。
 一部の新聞にその問題が出ておりますが、警察としては防犯的立場といいますか、非常にこれが激化いたしまして、治安上も大問題になるということをできるだけ避けるということは必要でございますので、警察のできる範囲の助言なり警告は、関係行政機関なり当事者にお話しするということでございまして、一歩踏み出して従来の規制よりも強く介入するという考えは毛頭ございません。警察のなすその点についてはおのずから限界があるというふうに考えております。
#85
○島本委員 この問題については警察も十分知っておられると思うのですが、警察法の第一条、第二条にそれぞれはっきりきめられておるわけです。この一条や二条、これらに違反することになるのじゃないか。この問題等について東大の藤木教授も言っておるわけでありますけれども、企業と住民の間の激突が予想される場合には、当然警察が中に入って、双方に手を引かせ、休戦の交渉の場をつくってやること、これが民事不介入の原則に触れるとは思わない、この程度ならいい、しかしそれ以上はもう越権行為になるということをはっきり言っている。まして警察法の一条、二条を見ます場合には、ことに公害紛争の場合には加害者と被害者しかない、これははっきりしているのですから、警察が加害者に手を貸すような行為は断じてとってはならない。まして個人の生命、こういうものは一番重視しなければならない問題です。個人の生命が侵されるか侵されないか、こういうようなことに対する一つの意思表示、これを警察が排除するということは公害行政の中で断じて許さるべきではないと思います。警察法の一条、二条違反のおそれもある。こういうような状態でありますから、これは行き過ぎである、警察としてなすべきじゃない、私はこういうように考えますが、環境庁長官の意見を伺います。
#86
○三木国務大臣 警察庁からもいま民事不介入の原則のもとに厳正中立であるという答弁があった。当然のことだと思います。警察はしかし秩序を守らなければなりません。いろいろな場合に予防的措置をとることはある。しかし民事に対して加害者、被害者どちらの味方でもあるべきではないわけでありますから、厳正中立である、民事不介入の原則ということで当然であると思うのでございます。
#87
○島本委員 警察のその態度は今後私としては十分監視しなければならないし、いままでの答弁では了解できません。まして新たに方針を打ち出したということに対しては公害紛争に警察が介入することになるものであり、これは政府の態度、長官の言うこととまつこうから対立することになりますので、私はこれは反対であります。それと同時に、今後これはやはり重大な問題点をはらむということをあらかじめ私からはっきり警告しておきたい、こういうように考えます。
 なお、保安庁あたりでもそういうような動きが見えてきたということに対してはどういうわけですか、海上保安庁。
#88
○貞廣説明員 お答えします。
 先ほど警察からも御答弁ございましたが、海上保安庁においても民事不介入、厳正中立は当然のことでございますけれども、現象として港がふさがれるということが間々ございます。この問題につきましては、出先において県その他のあっせんそれから両当事者で話し合いをつけるように――現象的に法律違反として考えられる点がある場合もありますけれども、それでもって検挙というふうなことは根本的な解決にはなりませんので、そういったあっせんを進めつつ事態を解決するように指示してございます。
#89
○島本委員 これは保安庁のほうの態度としても私は今後積極的にこの公害問題と取り組んでもらいたい。まして今後は技術陣も整備したはずです。しかし海洋汚染、いわゆる油濁、これだけに限らず、どういうような行政指導をしても企業そのものはやはり利潤の追求を行ないますから、少しでも中間マージンを排除するためにはたれ流しもやる、幾らその汚染源を規制しようとしても夜陰にまぎれてやりかねません。そういうような場合には、水質汚濁防止の見地からも油濁のみではなくて、保安庁としても十分あらゆる機能を発揮して探索に当たらなければならないはずであります。それにもかかわらず、一生懸命やっておる人を左遷してやるとか、またついに東京都のほうにスカウトされてしまった。こういうようなことは体制そのものが物語る公害に対する取組みの甘さじゃないか、こういうように思うわけであります。私はこの点はまことに遺憾なんですが、保安庁はどうなんですか。
#90
○貞廣説明員 いま先生が申されましたように、海上保安庁は公害関連法が施行されるに及んで、まず第一に海洋汚染防止法に基づく管理、取り締まりに全力を注ぎましたが、昨年半ば以来水質汚濁防止法が全面施行になっておりまして、最近社会問題になっておりますこれらの事案のあることは十分予想いたしまして、管下に水質汚濁の違反取り締まりは重点的に行なうように指導してきたわけであります。今度の第三水俣病の状況を知るに及びまして、直ちに全国一斉に、水銀を製造工程に使っている工場はいままでリストアップはしておりましたけれども、さらに見落としのないようにリストアップいたさせまして、製造品日別延べ約五十くらいな工場のうち、実数三十六工場の排水口、いろいろな排水口がございますが、約六十二の排水口を一斉検査をさせました。
 それから次の問題につきましては、言われるように、まことに遺憾な事態ではございますけれども、私どもはそういう現象が起きたことにかかわらず、従来の姿勢をさらに正して、現在の水銀問題について十分管下に理解を深めて、一斉点検の結果にかかわらず、いつまた夜陰にまぎれてどういうことをするかわかりませんから、随時監視を続けるように、いま厳に指導いたしておるところでございます。
#91
○島本委員 通産省にまたお伺いいたします。PCB対策でありますが、現在熱媒体に使用することは禁止したようであります。これは八〇%ほどは転換したようでありますが、どういうようにして今後の転換後の指導をしておりますか。これを伺います。
#92
○田中(芳)政府委員 現在熱媒体として使用しております工場につきましては、幾らおそくとも年内にこれを代替物質に取りかえるように強く指示をいたしておるところでございます。
#93
○島本委員 どういうような方式を採用するように指示していますか。
#94
○田中(芳)政府委員 熱媒体の回収につきまして、他のサームエス、KSK等の安全な代替品にこれを早急に交換すること、そしてまたその際に新たな環境汚染等を絶対生じないように十分留意してこれを回収すること、以上の二点を指示いたしておるところでございます。
#95
○島本委員 KSK、これはアルキルナフタリンオイルに転換しようとしているようでございますが、このアルキルナフタリンが主成分であるKSKオイル、ネオSKオイル、それからKMCオイル、こういうようなものについてはその一部についてたった六カ月間の簡単な試験がなされただけで、肝心な二年以上要する発ガン性の試験や催奇形性の試験が全然やられておらないじゃありませんか。それをもうこの代替品として採用しようとしておる、これはきわめて危険であります。特にアルキルナフタリンのような構造物質に発ガン作用、催奇性の作用の強いものがあるわけであります。疑わしきは使用させない、販売させないという原則を公害の場合はことに守らなければならないということは十分知っておるはずです。にもかかわらず、これまた十分科学的に試験が行なわれておらないものを使用しようとしておるわけであります。これは実験室で一定の温度の条件のもとでバクテリアを繁殖させる活性汚泥法によるところの試験であって、自然の川や海に流れ込んだ場合の条件は異なって、もう分解速度はおそいと見なくてはならないはずのもので、これをPCBに比べて若干分解速度が早いから安全なんだ、こういうように言っているわけでありますけれども、決してこれは早いわけではなくて、自然界では食物連鎖を経て人体に侵入するおそれは十分ある。まだその辺までしか十分調べられておらないのに、すぐ代替品としてこれを使おうとする。この安全性の問題、発ガン性の問題、催奇性の問題、これを十分調べた上で通産省はこれを代替品に使わせようとしておるのですか。
#96
○田中(芳)政府委員 PCBの代替品としていま御指摘になりましたアルキルナフタリンあるいはアルキルジフェニルエタン等につきましては、分解性につきましてはPCBよりもきわめて早く、灯軽油程度の分解性というふうに聞いておるわけでございます。
 なお、慢性毒性につきましては目下大学、国立研究機関等を通じて試験を行なっておるところでございます。現在、本国会におきまして化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律案の御審議をお願いしているわけでございます。私どもといたしましてはこういった点を通じまして、十分PCBのこうした代替品の安全性につきましてさらに突き詰めた検討を行なってまいりたいと思いますが、現時点におきましてはまず代替品としては安全なものであろう、このように考えておるわけでございます。
#97
○島本委員 これでもう時間になりましたから、まだまだ大蔵省その他にあるのでありますが、これ以上もう許されませんのでこれで終わることにいたします。
 ただ、長官は先ほど来ておりませんでしたから、その部分だけもう一回私から言わせてもらいますが、これは漁民の声です。何ら罪も責任もない漁民は休業して、加害公害企業がフル操業を続けているこの姿が異様に映らなかったほどに政治の良心はいままで麻痺していた。汚染魚として工場が買い上げるこの食べられない魚、これをとるのはもはや漁業ではないのだ。香港フラワーや造花に水をやるようなもので、こんなばかげたことをやるやつがいるか。漁民対策は融資だけでお茶を濁そうとしてはならないし、貧しい漁民に借金をしいることは政治でも行政でもない。これは漁民の声なんです。それを考える場合には水俣十七年の過去を反省して、いまこそ徹底的に政府独自の立場で、これも休漁を余儀なくされているあわれなこの漁民の立場、それから魚価の低落、こういうようなことによって生活を奪われている漁民のこの立場、これをすべて考えて、経済的損失に対する補償の措置、こういうようなものも今後十分考えなければならないということであります。同時に、いま罪もない人が被害者として坤吟しているのが水俣病患者であります。いまだにまだはっきりした療養の方法も開発されていない、こういうような点は、まだまだ政治も行政もこの方面に対して不十分であることの証拠であろうと思います。いままでの質問を通じて、公害に対してはっきり取り組む姿勢が各省まちまちであって、やはりいままでのようなセクト的な感じがとれておらない。これは私はほんとうに遺憾であります。一漁民の声をちょっと言いましたが、最後に長官の決意を伺って私は終わります。
#98
○三木国務大臣 これだけ大きな公害問題が全国的な問題として提起されたわけでございますから、この機会をとらえて、公害という問題に対するその場の応急策というよりかは根源を断つという、そういう決意で対策を推進したいと思っておるわけでございます。
 そのために七月の一日から全国的に魚介類、水質あるいは底質、こういうものに対しての環境調査を行なって、そしてヘドロなどに対しては暫定的な除去基準というもの、これは一日、二日のうちに発表することになると思いますが、その基準に照らして有害物質を含んでおるヘドロはこれを処理する、また企業側に対しても、公害を出してそのことによって非常な社会的な問題を起こすようなことのないように、化学工業はクローズドシステムにできるだけ短期間の間に切りかえていって、そういう点で汚染の原因をそういう面からも断つ、またこういう不安の中にいろいろな損害を漁民にも与えましたから、こういうものに対しては政府も応急的な措置としては、つなぎの資金というものを激じん地災害並み、非常災害並みの条件で融資をいたしましたが、根本的には生業補償の制度、田中委員が予算委員会で御質問になって四十九年度からこれは取り組みますという答弁をいたしております。こういう田中委員にいたしました答弁、こういうふうな問題について制度として実現を期するという方向で取り組みたいと考えておるわけでございます。公害問題は、これはどうしても全党的な協力のもとに推進しなければならぬ問題があります。そういうので、各位の協力を得て、そして公害問題のこういう問題の解決、根本的な解決に当たる、こういう決意でございます。
#99
○佐野委員長 土井たか子君から発言の申し出がありますのでこれを許します。土井たか子君。
#100
○土井委員 先ほど島本委員の質問の中にございました警察権の発動については、私はこれはたいへん重大な問題だと実は考えているわけであります。特に最近公害をめぐります住民と企業、官公庁などの対立が頻発いたしておりますときに、警察庁では、世上伝えられているところによりますと、行政機関の役割りを発揮してアドバイスや仲介役的な役割りを果たすということの新方針を打ち出されるやに聞いておるわけであります。本来警察の職務やあるいは警察の任務からすると、このアドバイスとか仲介的な役割りというのは、その法律の根拠をお示しいただきたいという部分もあるいは出てこようと思うのであります。したがいまして、私はこの席を通じまして委員長にひとつ資料要求を申し上げたいことがございます。これは世上では検討中というふうに伝えられているわけでありまして、おそらく中身については警察庁長官をはじめ警察庁の内部で煮詰まった場合にひとつこの方針で行こうということが具体化されるであろうと思うのであります。現にされているならばその中身を、あるいはされるということになっておりますならばその時点でけっこうでありますが、ひとつそれを文書化して資料として本委員会に御提出あらんことをこの席を通じてお願いいたします。
#101
○佐野委員長 警察庁のほうは、資料要求に対しましていいですか。
#102
○綾田政府委員 ただいまの問題はまだ全然資料がございませんで、実際検討中といいますか、われわれとしては公害、特に公害犯罪に対する姿勢というものが最近の公害のきびしい現状から見てやはり一罰百戒といいますか、悪質な企業に対してはもう少し取り締まるべきじゃないかという議論があります。そういう点、それから先ほど申し上げましたように民事不介入あるいは中立という立場でございますが、やはりその一部の新聞に載っておったのでありますが、私どもといたしましては、やはりどこまでも一方では民事不介入、それから厳正中立というのがございますけれども、一方ではまた先ほども大臣が言われました国民の生命、身体、財産の保護という基本的な任務がございますので、やはり警察としては激化した乱闘といいますかそういうことにならないということが防犯上は望ましいわけでございます。そういう観点から考えておるということは事実でございますので、もしそういうことがきまれば資料として提出いたしたいと思います。
#103
○土井委員 ただいまは現段階におけるいろいろ状況の進展についての御説明だと私は受け取るわけでありますが、しかし行政権発動という意味での警察権にはおのずから限界があるわけでありますから、その点をどういうふうに考えてこういう問題に対して対処なさるかということは、国家の行政機構一般に及ぼす影響は非常に大きいわけであります。肝心かなめの国民の基本的人権、これは憲法にはっきりと保障されている中身でありますが、このことに対する保障が一体どういうふうに考えられていっているのか、忘れられてはならないという基本的な問題も含めまして、一つはこの問題については全国民的な立場から検討を要求されていると私は思うのです。したがいまして、まだそういう資料がございませんということでありますが、やがてこれは大きな問題ですからひとつはっきりとその基本方針なり具体的な中身というものを文書化されて公にされる必要があると私は思うのです。そのときそのとき、ケース・バイ・ケースで長官の指導にまつということではない。長官のいろいろな伝達、命令に従うということにゆだねられていくということになりますと、やはり私は不安がどこまでもある問題だと思いますから、ひとつはっきりこれは文書化して御提出願います。できますか、どうですか。
#104
○綾田政府委員 警察の権限ないしは業務執行というものは、法律上権限もちゃんときまっておりますし、それをこえてやれないことはもちろんでございます。これはもうずっと事情が変わっても同じだと思います。ただ、たとえば事実行為的に申しますと、街頭で警察官が地理案内をしております。道を尋ねられた場合には、あるいは家庭争議その他苦情処理といいますか、民事の相談を警察官が受けております。これはやはり警察法からいいますと、第二条になりますけれども、事実行為的な行為として警察は民事不介入にならない範囲において家事相談その他いろいろな相談を、苦情処理をやっておるわけであります。そういう事実行為面も非常に警察活動の中には多いわけですが、もう一方には公権力の行使という業務も多いわけでございまして、私がただいま申し上げましたのは、行政機関として権限としてそういう権限は警察にはございませんので、警察はやはり公害問題については、先ほど申し上げました悪質事犯を取り締まるとかそういう問題であろうと思います。ただ、それまでに至る過程において実態をよく把握する。そして警察のそういう民事不介入にならない限度で警告なりあるいは助言をするということは、これは私、可能であると思います。しかしそれはおのずから限界がありまして、たとえば先ほどの新聞だと思いますが、補償額を幾らにしろとかなんとか、そういうことは警察としては絶対にやってはいけないので、そういう点で警察のでき得る範囲で事案を解決していくということは、これは一般の民事問題と私は理論は同じだろうと思います。そういうことで、検討といいましても新しく方針を出すということはこれは何もないわけでありまして、ただ警察の姿勢というものをこの際はっきりするということは、姿勢といいますか、全然ノータッチということもありますけれども、相談を受けた場合には相談するということが私は必要ではないかと思うのです。たとえば知事部局からいろいろ相談を受けた場合に、それは警察としてはこう考えるということは必要でありまして、全然それは知らない、先般の岡山の水島の問題もいろいろ県から相談を受けて、事態を海上封鎖に至らしめないで解決したようでございますが、そういうことがございますので、いずれ――いずれといいますか、そういう点でもし文書になし得るものがあればこれは差し上げたいと思います。
#105
○土井委員 文書になし得るものがあれば提出したいという御返答でございますが、先ほどからるる御説明賜わりましたが、これは交通事犯じゃないわけであります。交通事犯として警察権の発動がなされているような場合じゃございません。大体これの担当部局は、警察権の発動の中でも、どこでありますか、交通係じゃないと思うのであります。したがいましてこれに対してやはり私たちは、この普通の交通事故についてもこれはたいへん重大問題でございますけれども、同じような感覚では見ていないということ、同じような問題としては見ていないということをひとつ念頭においていただいて、基本方針でけっこうでありますから、ひとつ御提出あらんことを再度ここで要求いたしまして終わりにしたいと思います。
#106
○佐野委員長 この際暫時休憩いたします。
 本会議散会後直ちに再開いたします。
   午後零時五十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時十二分開議
#107
○佐野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出の自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 内閣提出の自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。
 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案について直ちに採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#108
○佐野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
    ―――――――――――――
よって、本案は原案の 次に、本案に対し、菅波茂君、小林信一君、中川利三郎君、岡本富夫君、小宮武喜君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。小林信一君。
#109
○小林(信)委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表して、内閣提出の自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を付すべしとの動議について御説明いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
   自然公園法及び自然環境保全法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
  政府は、各種開発行為による自然環境の破壊が進行している現状にかんがみ、人間を含めた生態系の保全が急務であるとの基本的な認識に立ちながら、自然環境保全のための制度を体系的に整備し、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである
 一 自然環境保全地域及び自然公園内の民有地買上げ制度を拡充強化するとともに、先買い制度及び買取り請求制度等につき検討すること。
 二 自然環境保全地域及び自然公園内の国有林野について、自然環境保全等の見地から適切な森林施業を行なってその保護育成を図るとともに、国有林野事業の公益的業務分野に係る費用負担の改善を図ること。
 三 国立公園等の普通地域及び自然環境保全地域の普通地区においても許可制とすることにつき再検討すること。
 四 自然環境保全法及び自然公園法の施行に当っては、次の事項について措置すること。
  (一)自然環境保全法第五条の規定に基づく基礎調査を実施するために必要な経費を十分に確保するとともに、地方公共団体が自然環境保全のために支弁する経費については、当該地方公共団体の財政事情にかんがみ、国はその財源について、十分な措置を行なうこと。
  (二)国立公園等の地域において、自動車道、レジャーランド等の大規模な開発行為がすぐれた自然環境を破壊している現状にかんがみ、公園計画の定期的な見直しを行ない、保護管理の方針を明確にするよう検討すること。
    また、国立公園の保護管理の現地実施体制については、管理員の増員等その強化に努めるとともに、国定公園及び都道府県立自然公園に関しても都道府県を十分指導援助すること。
  (三)自然環境保全法の本格的な施行体制を整備し、同法による地域の指定をすみやかに行なうとともに、都道府県の自然環境保全条例の施行についても十分な指導援助を行なうよう努めること。
  (四)自然環境保全法および自然公園法に基づき許認可等を行なうに当っては、その基準を明確にすること。
  (五)自然環境保全地域の普通地区又は国立公園等の普通地域における届出を要する行為について届出があった場合には、所定の期間内に審査ができるようその体制を整備すること。
  (六)自然環境保全地域及び自然公園の区域内の生業の維持と自然の保護との調整を図ること。
  (七)自然保護のための研究体制を整備するとともに、自然保護思想の普及強化を図ること。
以上でありますが、この動議の趣旨につきましては案文中に尽くされておりますので、省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#110
○佐野委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#111
○佐野委員長 起立総員。よって、さように決定いたしました。
 この際、三木環境庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。三木環境庁長官。
#112
○三木国務大臣 ただいまの御決議に対しまして、決議の趣旨を十分に体しまして努力をいたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#113
○佐野委員長 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#114
○佐野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#115
○佐野委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
#116
○馬場委員 水銀並びにPCBの環境汚染の緊急対策について質問をいたします。時間が限られておりますので、要点を簡潔に御答弁願いたいと思います。
 五月二十二日に、熊大の武内教授を長とする水俣病の研究班が第三の水俣病の発表をいたしました。それから約一カ月以上を経過したわけでございますが、すでに政府も御承知のとおりに、有明海沿岸だけでなしに日本全国といっていいぐらいに、漁民がまさに死活の問題に追い込められておるわけでございます。そうしてまた、その関連企業もまたしかりでございますし、まさに日本国民全体を、食生活を含めまして不安のどん底におとしいれておる、こう言っても過言ではないと思います。こういうように漁民並びに関係企業者を死活の状態に追い込んだ、日本国民全体を不安のどん底におとしいれた、こういう原因というものはどこにあるのか、そういう点につきまして、最初に大臣の御見解を承りたいと思います。
#117
○三木国務大臣 これから環境の精密な調査をいたしたいと思っておりますが、不安を全国的に与えましたのは、長い間に蓄積された公共水域の汚染ということでございます。これに対するばく然たる国民の不安が高まってきた。それはやはり水銀とかPCBとかというような有害物質による汚染というものに対する国民の不安ということが、こういう問題を引き起こしたものと考えます。
#118
○馬場委員 汚染の原因、だれが汚染したか、犯人はだれか、こういう点についての大臣の御見解を聞きます。
#119
○三木国務大臣 まあいろいろとたくさんな原因があると思いますが、一番大きな原因は工場排水であるということだと思います。
#120
○馬場委員 第一水俣病が、チッソ工場が排出いたしました水銀によって起こったんだ、こういう研究発表が公式に出ましたのが昭和三十一年です。そしてまた政府も、昭和四十三年には公害病としてこの水俣病を認定されておるわけです。私は昭和三十一年、さらには四十三年、工場が排出した有害物質によって水俣病が起きたということがはっきりしておったわけですから、そのときに政府が水俣のチッソ工場は言うに及ばず、全国のそういう工場等に対して適切な手を打つ、あるいはよごされた海をきれいにする、そういう対策をとっておったならば、おそらく第三の水俣病というのは起こらなかったのではないか、こういうぐあいに思います。そういう観点からいうならば、政府並びに地方自治体というものが今日のこの事態を引き起こしたということに対する政治の責任、行政の責任というのは非常に重大であろう。率直にその責任を認め、国民に対して申しわけなかったということを政府並びに地方自治体、この場合は政府ですけれども、そういう国民に対する責任の表明、施策の足らなかった反省の表明というものを公式になさる必要があるのではないか、こういうぐあいに思いますが、いかがですか。
#121
○三木国務大臣 公害問題に対しては、公害問題というものがこれだけの大きな関心を呼んできたのはここ数年である。したがって水俣病の経緯なども私もよく調べてみたわけでありますが、企業はもとより自治体も政府も、どういう事態が起こるかという深刻な事態に対する予測というものに対して、どうもやはり何か十分な予測をし得なかったということは、これは責められてしかるべきだと私は思います。また学界も、そのときはほかの原因を言った人もあってなかなか意見も一致しなかった面もあるわけですね。しかしいずれにしても将来どういう事態を起こすかということに対しての見通しというものを欠いたことは事実であります。こういう点では責められてしかるべきだと思っておるわけでございます。またその反省から出発した今後の公害対策というものを講じなければいかぬと考えております。
#122
○馬場委員 これだけ深刻な事態が起きているのですが、いま長官のことばの中に、三十一年水俣病が水銀が原因だと熊大が発表いたしました、そのころのことだと思うのですけれども、学界にも意見がいろいろあったというふうなことを言われましたが、私はその当時から現地水俣におきまして精一ぱいこういう問題に努力してきた一人ですが、その当時学界に違う意見があった、これは企業並びに政府、特に厚生省なり通産省というものは、その原因を企業サイドに立って隠蔽しようとした。そういう幾つかの例がございます。爆弾をあすこに投げ込まれた、それが原因だとかいろいろなことが出てまいりました。それで原因ははっきりわからないのだという中から、せっかくこの熊本大学が精一ぱい努力して発表したのにけちをつける、それを政府サイド企業サイドから行なわれた、そういうことがやはり今日の事態を引き起こしたという一つの大きな原因にもなっておるのではないかと思うのです。
 いま一つは、その時期から水俣湾はよごれているということがわかっていたわけです。たとえば昭和三十一年から三十二年にはどうした、三十五年にはどうした、四十三年公害病と認定したあとはどうした、そういう具体的な対策がはたしてあったのですか、どうですか、お聞きしたいと思います。
#123
○三木国務大臣 これはどういう事態が将来起こるかということに対して深刻な見通しが欠けておったですからね。だから昭和三十四年ですね、有機水銀中毒であるという見解がもたらされたのは。それから経済企画庁にこの問題が、所管の官庁が移って、その数年というものはやっぱり目新しい対策はなかったですからね。そういうところは私もまことに残念だと考えておる次第でございます。
#124
○馬場委員 次に、具体的に当面の問題について質問をいたしますが、もう大臣はけっこうです。ほかの人に聞きます。
 五月二十二日第三水俣病の発表があったあと、今日に至るまで全国的に漁民が休業をしておる、こういう実態が起こっておるわけです。具体的に二十二日直後から、あるいは数日経てから、あるいは最近になってからどれだけの漁民が休業しておるか、そういうデータ、資料を発表していただきたいと思います。
#125
○増満説明員 刻々事態が動いておりますので、正確ではございませんけれども、大体全国で約五万人くらいが操業を休んでいるというふうに理解しております。
#126
○馬場委員 五万人というのは漁民の数ですね。
#127
○増満説明員 世帯数です。
#128
○馬場委員 刻々動いているのは私もわかるのですけれども、この数字を海域的に、たとえば不知火海域では何世帯休んでおる、これはいつからいつまでだ、あるいは有明海ではどうだ、あるいは徳山湾ではどうだ、こういうぐあいに休業しておる漁民の世帯数と、何日から何日まで休業しておる、そういう具体的な数字をさらに明らかにしていただきたいと思うのです。
 その次に、関連企業です。魚市場あるいは仲買い人あるいは鮮魚商あるいはそういうところにある旅館業、こういう関連企業が休業に追いやられておる具体的な実態というものについての数字を明らかにしてもらいたいと思います。
#129
○前田説明員 お答えいたします。
 魚の小売り商等につきましては、零細なものからいろいろ千差万別にわたっておりますものですから、なかなか実態の把握がむずかしゅうございますけれども、現在県に対して照会いたしまして資料収集中でございますので、近く総数が出るかと思います。
#130
○馬場委員 関連企業につきまして全然政府は休業しておる実態というのを把握していないという答えです。これは無責任もはなはだしいと思います。あとで補償の問題も質問する予定ですけれども、それでは正確な数字を近く出すとおっしゃいましたけれども、関連企業が休業に追いやられた数字というものをいつはっきりされるのか。さらにはそういう答弁には納得できません。政府が全然知らないはずはないと思うのです。現在把握している正確な数字はないかもしれませんけれども、大体どのくらいの関連企業がいま休業しておるか、わからないはずはないと思うのです。そういう問題について、さらに答弁を求めます。
#131
○前田説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、正確な数字につきましては、実は明日水産庁の関係とそれから厚生省の関係、環境庁の関係の全国の三省庁関係の課長会議を開きまして、そういう面につきましても詰めをやる段取りになっているわけでございますけれども、いま御指摘の点につきましては、大体これは漁業者をつかまえるよりもう少しむずかしい仕事でございますけれども、大体五万前後かというふうに私ども判断しているわけでございます。
#132
○馬場委員 それではこの関連企業、さらにはさっきの漁業の休業、この二つについて、あす正式な休業した数というのは出すとおっしゃいましたが、たとえば市場が何日ぐらい休んだとか、仲買い人とかあるいは鮮魚商が何世帯ぐらい休んでおるとか、こういう具体的な数字についてはあす出るといういまの答弁でございますので、出た場合には資料でもってお知らせいただきたいと思います。
 そこで、次の質問ですが、具体的な損害額についてどう推定しておられるのかということを質問いたします。漁業が五万世帯休んでおるといわれましたが、一日でどのくらいの損害が出ておるのか、あるいは二十二日以来一カ月以上たっておりますが、この一カ月間に漁業者の損害はどのくらいか。さらに関連企業の損害額というものについて大体五万世帯前後とおっしゃいましたから、それに対するそういう人たちの損害額というのはどのくらいと予想しておられるのか、損害額について明らかにしていただきたいと思います。
#133
○前田説明員 先ほどあす三省庁の担当者を集めましての会議をやる段取りになっておりますと御説明申し上げたわけでございますが、それはあす県によってはわかるところもございますし、またおそらくわからない部分も相当あるかと思います。その点につきまして再度県に再調査という段取りになるのではなかろうかと存じますので、あすわかるということではなかろうかと思うわけでございます。その点私のことばが足りませんでしたようでございますので、つけ足させていただきたいと思います。
 なお、被害額につきましては、先生御承知のように、今回の場合は非常に流動的でございまして、一番最初に第三水俣病の問題が出まして、そのときにはいわゆる有明と八代というところが焦点になったわけでございます。その後いわゆるPCBの発表によりましてPCB関係の八水域というところが問題になったわけでございます。そうこうしております間にまた徳山から疑似患者の問題、また新居浜というようなところで騒ぎが起こりまして、それが瀬戸内海全般に広がっていったというようなことがございます。さらに加えまして今回の政府の方針といたしましての九水域の発表で、いわゆる山形とか富山とかにつきまして、またそこの問題も出てきておるわけでございます。たとえば直接に汚染された水域のみでなくて、いわゆる外海の値下がりと申しますか、広くいいますと北海道から沖繩までということになるわけでございますけれども、そういうふうに非常に流動的に出てきております。したがいまして、被害額というものの押え方につきましても非常にむずかしいわけでございまして、あすの課長が集まった段階で、被害額をどう算定し、融資額をどう算定していくかという打ち合わせも十分その場でやってまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
#134
○馬場委員 そうしたら、現在、被害額というものは全然つかんでいない、あすになっても、県が報告をするところもあろうし、しないところもある、だからあすになってもはっきりわからない、こういうことでは、政府の非常に怠慢だと思うのです。まさに漁民は死活の問題で、きょう食う米にも困るという状況が関連企業も含めてあるわけです。そういうときに、そういう実態を政府が知っていないということは非常に問題だと思うのです。そしてまた、県が報告しなければわからない。国はこういう被害額調査というものを現に具体的に指示をしましたか、どうですか。
#135
○前田説明員 問題が発生いたしまして直ちに、これは文書等では間に合わないということで、県に対しまして電話等によりまして、至急まとめて提出するように指示いたしました。出てきている県と出てきてない県といろいろあるわけでございます。
#136
○馬場委員 漁業者の損害額も推定がついていないのですね。
#137
○前田説明員 先ほど申し上げましたように、一つの問題といたしましては、この問題がいつまで続くであろうという一つの見通しの問題もございます。いつになったら回復の方向に向かうかという算定の問題もあるわけでございます。県におきましても、初め、汚染水域だけと申しますか、PCB等の場合のように、非常に限定された水域という形で計算をしていたわけでございますけれども、順次範囲が広まるにつれまして、県の数字も三日おき四日おきという形で流動しておりますものですから、その計算方法と申しますか、被害額に対します融資の額というようなものにつきましても、あす十分打ち合わせをしたいということで、あす緊急会議を開くことになったわけでございます。
#138
○馬場委員 私は、将来の見通しまで聞いておるのじゃないのです。少なくとも、二十二日発表がありましたから、二十二日から今月二十二日まで一カ月間、それでけっこうなんです。将来まで幾らということをいま答弁求めておりません。そしてまた、流動しておるのはわかります。しかし、何日何日と言いますと、過ぎ去った一カ月の間のことはわかるはずですよね、これは動いてきたのが積み重なって出てきておるわけですから。だから、この一カ月についてもはっきりわかっていないのですか。
#139
○前田説明員 お答えいたします。
 範囲が順次ただいま申し上げましたように広がってきておりますが、その過程の数字はないわけではございません。ただ、過程の数字を申し上げますことがいいのか悪いのかわかりませんけれども、漁業者の現在の希望からいいますと、その過程の数字というのはわりあいに小さな数字になってしまいますということで、まとまってから申し上げたほうがよかろうかと存じまして、そういうふうに御説明申し上げたつもりでございます。
#140
○馬場委員 それでは、一カ月分の額はあるけれども、小さい、だから発表しないんだ、こういう意味ですか。
#141
○前田説明員 そういう、あるけれども額が小さいから発表しないと申し上げているのじゃございませんで、三日おき、四日おきというふうに県から出てまいっております数字が動いておりますものですから、なかなかぴちっとここでといいましても、県によって出し方のテンポが違っておる場合もございますので、なかなか一カ月これだけという数字がつかみにくいものですから、一カ月分幾らということよりも、五月二十二日に発表になりまして、それによりまして最初にショックを受けましたのはいわゆる九州の側でございます。それから順次範囲が広まってきておるわけであります。九州の側と申しましても、たとえばいわゆる八代海に面した漁業者とそれから八代海の反対側にありますところの漁業者、一番最初のころには八代海の漁業者のみとっていたわけでございますけれども、順次範囲が広がってまいりまして、八代海の外側というふうに、たとえば熊本県一つとってみましても、報告のたびに数字が動いてきておるものですから、いましばらくお待ちいただければということでお返事申し上げたつもりでございます。
#142
○馬場委員 天災があった場合、直ちに被害額というものを国なり県は握って、それに対する対策を立てておられるわけですね。今度の場合、私は天災を越す広域にわたる人災だと思うのです。こういうものの数字の把握というものが非常に国はおくれておる。言うならば、天災のときには、明らかになってもその責任というものは天にあるわけですから、人災的天災というのもありますけれども、今度の場合、明らかに人災です。早急に対策をとらなければならないのに怠慢だったということは、やはりこれが明らかになると、企業なり政府の責任というものが直ちに出てくる。そういう意味において、邪推かもしれませんが、責任のがれ、責任があるからという意味において対策が不十分、おそい、こういうような感じがしてなりません。だから、あすさらに会議をやられるというのでしたら、海域別にあるいは期日別に、魚種別にいろいろ可能な限り明らかにしていただいて、ぜひお知らせいただきたい、こういうぐあいに思います。
 次に、あなた方が損害額をはっきり握っていない間も、現地におきましては、補償交渉というのが行なわれております。毎日の新聞をごらんのとおりに、漁民は漁を休んでおりますから、何千名という人たちが工場に行って、漁業補償の交渉を至るところでいまやっておる。はなはだしいときには、封鎖をしてみたりすわり込みをしてみたり、私は、この成り行きいかんによっては、ほんとうに暴動でも起きるのじゃないかという緊迫した状態があると思うのです。これにつきまして、現在漁民があるいは関連企業者が企業に対して損害補償の交渉をやっておりますが、この状況を十分知っておられるのか。この現在各地で行なわれておる実情がどうなっておるのかということについて政府の把握されております状況、実態をお知らせいただきたいと思います。
#143
○前田説明員 漁業者が原因工場と思われる企業に対しまして、各地におきまして交渉いたしております状況につきましては、県からの報告によりまして私どもも承知しているつもりでございます。たとえば有明海におきますところの三井東圧並びに日本合成と長崎県漁連、佐賀県漁連、福岡県漁連、熊本県漁連との交渉の経緯等も、県から入っております。また、徳山の徳山曹達等に対します漁業者の交渉の経過も、県から受けております。
#144
○馬場委員 交渉しております漁民はあるいは関連企業は、自分たちで自分たちの損害額を出して具体的にやっております。たとえばいま例にあげました有明海沿岸の四県の漁連が三井東圧と日本合成に交渉をやっております。あるいは不知火海沿岸の漁協がチッソ工場とやっております。こういう実態を、幾ら要求して現在どうなっておるということについて政府は調査をされておりますか。
#145
○前田説明員 有明海の三井東圧等につきましては、これはあくまで国が環境調査をやると同時に、原因者究明の調査を陸上から通産省のほうでおやりになるわけでございます。それが確定するまでの間のつなぎというような形で十五億円という段階で話がきまったというふうに報告を受けておる次第でございます。
#146
○馬場委員 これは違うんじゃないですか。毎月十五億円という要求ではないですか。なにも原因者がきまるまでのつなぎ融資として十五億円でおしまいということでないと私は聞いております。毎月十五億円と聞いておるのです。
#147
○前田説明員 私がつなぎと申し上げましたのは、それで終わりという意味ではございませんで、とりあえずということでございますので、はっきりきまりましたら、再度正確な数字を積み上げまして要求する。その中でとりあえずという意味で申し上げたつもりでございます。
 で、報告も月に十五億円ということで第一回目の話がきまった、そういうふうに伺っておるわけでございます。
 またその他の詳しい問題につきましては、あす、先ほど申し上げましたように各県から担当者が出てまいります。そのときに資料を持参するということになっておるわけでございます。
#148
○馬場委員 これは毎月十五億円ですよ。だが、この十五億円を、たとえば四県漁連が出しておる、あるいは不知火海のチッソにも十五億円要求しております。この十五億円の根拠は御存じですか。
#149
○前田説明員 電話での連絡でございますものですから、こまかい点につきましては、あすの会議の際に県の担当課長が持参して説明をいただくという段取りになっておるわけでございます。
#150
○馬場委員 先ほども、当初言いましたように、まさに漁民は、特に有明、不知火を例にあげますと、零細漁民ですよね、言うならば一本釣りをして、それでとった魚を売ってそれで米を買って生活をしておる、こういう状況です。そしてまた魚を売りに行ったら、毒を売りに来たとか、毒を店頭に並べておるとか言って、売りに行った人なんかはまさに泣いて帰ってくるという状況なんです。まさに死活の問題になるときに、政府がそういうような交渉をしておるというものに対して具体的な数字を現在までも知らない。私はまさに怠慢のそしりは免れない。さらに交渉だってうまくいっていないんです。非常に漁民は苦しいですから多額を言う。工場側はそれに誠意を持ってこたえない。非常に難航をきわめているという部分もあります。こういう漁業者がいま交渉を工場、企業としておる。こういうのに対して政府はどういうような行政指導をたとえば漁民に対して、あるいは企業に対してなさったかどうか。現在まで企業に対してこれだけの金は出しなさいと言われたのかどうか。漁業者に対して安心するような交渉の手だてというものを指導されたかどうか。そういう行政指導を政府がしたかどうかについてお伺いいたします。
#151
○前田説明員 漁業者の漁業被害に対します問題につきましては、国としても県といたしましても、やはり早急に調査を前提にして被害額を算出するのがいままでの通例でございます。したがいまして、早急に調査をやることによって、漁業者が被害を受けた正確な額というものはそこから出てくるわけでございますが、先生いま御指摘のように、あす食う米もないという状態下におります場合には、その数字が確定いたしますまではやはり何らかの措置をとらなければならないということで、県漁連をはじめといたします漁業者の団体が県を中に入れていろいろ相談した結果、その企業に対して話し合いを申し入れた。なかなか企業がいい返事をしなかった。そういう場合に団体交渉の挙に出たというような事例があるわけでございますけれども、そういう意味で国といたしましては早急に調査をいたしまして、PCBの際にいわゆる汚染区域というものを明確にすることによって、だれから見ても漁業者がごね得だというようなことではなくて、やはり正確な根拠に基づいた被害額というものを出して交渉することがより妥当だと存じまして、県をそのように私どもはいままで指導してきたわけでございます。
#152
○馬場委員 あなたはまさに非常に問題なことばを言われたのです。いまの交渉とか、あるいは将来の交渉もごね得ということばは何ですか。損こそすれ得をすることはないですよ。漁業者というのは魚をとって生きるのが生きがいですよ。それがとれなくなった、売れなくなった。そういうときにごね得をするような要求をする漁民はいないですよ、関連企業者はいないですよ。ごね得とは何ですか。これについてはどんな要求をしても、もうけるような要求はできませんよ。金を取ったにしても損しますよ。それをごね得の要求があるからと言って、正確な資料があるのですか、いまの政府の態度というものはもってのほかだと思うのですよ。いまのを訂正しなさい。
#153
○前田説明員 ただいまの私の発言でごね得というような誤解を生むような発言をいたしましたことを取り消させていただきます。申しわけございません。
#154
○馬場委員 政府の姿勢というものが、非常に調査調査ということばかりなんですよ。漁民のあるいは国民の気持ちというのは、調査もよかろう、同情してもらうこともよかろう、しかし一日も早く金を出してくれということなんですよ。そういうことを十分理解してもらわなければ困ると思うのです。
 そこでいまひとつ問題になりましたが、簡明に言いますと、調査というのは、調査だけではなくて、きちんとした数字を具体的に握って、そうして具体的行動に移すということが大切です。そうしてまたいま漁業交渉をやっておりますけれども、汚染源がはっきりしないという問題がございます。これは私も何回か聞きました。環境調査をやる、健康調査をやる、そうして汚染源をきめるのだ、こういう政府の態度は、政府見解を出すと言われることは知っております。しかし、それはいつまでに汚染源がはっきりするのか、何月の何日くらいまでには汚染源をはっきりします。これはたとえば有明海だけでもけっこうです。何日までに汚染源がはっきりできるのか、それからさらに私どもの主張としては、もう有害物質を排出したということは事実です。福岡県知事も、熊本県知事も、日本合成あるいは三井東圧が原因者だということは一〇〇%そうだということを言っている。にもかかわらず、政府はまだ言わないという状況もございます。私は調査の前に健康調査、環境調査の前に有害物質を出しておったという、過去、現在そういうことがあれば、おまえのところが原因者だということを直ちに政府は言うべきだと思うのです。
 二つの質問です。有害物質を流しておったのは、日本合成もわかっております。三井東圧もわかっております。わかっておれば、いま直ちに君のところが汚染源だと政府は言うべきだということについての見解と、調査調査と言っておられますが、調査をした場合にいつ汚染源がはっきりするのか、この二つについて申し上げます。
#155
○田中(芳)政府委員 汚染源の究明につきましては、通産省といたしましても、現在、その過去におきます排出状況等につきまして調査中でございます。御指摘の地域につきまして、私どもといたしましては、環境庁の環境調査も急いでやる、こういうことでございますので、あらゆるデータを公表いたしまして、できる限り早くこの究明をいたしてまいりたい、このように考えております。
#156
○馬場委員 質問したっていつもそうでしょう、できるだけ急いでやる。具体的に言ってください。いまこうこういうことを何月何日にやって、あるいは何日間それがかかって、それをこうこういうぐあいに集めて、それでその検討はどれくらいかかって、大体この日くらいまでには汚染源がはっきりします、現在何、何、何をこうやっている、それをいつやっている、それがわかったらいつ発表するのだ、そういう具体的な経過、さらにその後の展望、それをはっきりしてください。抽象的な答えではわかりません。
#157
○田中(芳)政府委員 当委員会の御質疑にお答えをいたしておりますように、通産省といたしましては、有明地区につきましては六月中に現地調査を完了し、七月中にこれをまとめたいと思っております。このデータを環境庁に提出いたしまして、環境調査とあわせて汚染源を明らかにしてまいりたい、このように考えております。
 環境庁の環境調査のスケジュールにつきましては、環境庁のほうからお答えがあろうかと思います。
#158
○船後政府委員 現在、調査といたしましては、ただいま通産省から申し上げましたように、水銀関連工業につきましてその水銀の使用状況、あるいは物質収支の状況等につきましての点検を急いでおります。
 他方、環境調査につきましては、全国的な規模で水質、底質、魚介類等につきましての環境調査を行なう予定でございますが、このほうは全国的規模でございますので、すべての結論を得ますのにはかなりの時日を要するだろうと思います。したがいまして、とりあえず現に現地で魚介類の水銀汚染をめぐりまして問題の生じております地域、八代、有明、徳山等でございますが、こういう地域、九水域を選びまして、これにつきましては最も優先的に取り上げて、おそくともこれらの九つの水域すべてにつきましては、九月末を目途に調査を完了して結論を出したい。もちろんこれはおそくともでございますので、水域の状況によりましてはかなり検体数も少なくて、それよりも早く調査が完了し得る場合には、当然調査の完了と同時に結論を出したい、かように考えております。
#159
○馬場委員 そうしますと、先ほどのやつは七月中に片方は終わる。環境庁のほうは九月末までという話がありましたが、急ぐという話もありましたが、たとえば有明について言うならば、やはりこれは大臣とも話をしましたときに、ここだけでも急ぐのだという回答があっております。私も申し上げる時間がありませんが、少なくとも有明海につきましては汚染源の指定というものは八月中には間に合うのだ、こういうぐあいに考えていいですか、先ほどの答弁いまの答弁を見てですね。
 それからもう一つは、こういう調査をせぬで、私は、有害物質を流しておったところは調査をするまでもなく指定をしなさい。熊本県知事も、福岡県知事も一〇〇%汚染源だと言っておるのです。そういう状況もあるのに、まだまだ調査だといって引き延ばしておるということで、ただちにする気はないかということと、あなた方のペースで行っても八月には汚染源ははっきりするな、こういうぐあいに私はいま聞きましたけれども、そう把握していいですか。
#160
○船後政府委員 先ほど御説明いたしましたのは、全国的な規模の環境調査の結論を得るためにはかなりの時日を要すると思います。年内、あるいは場合によりましては来年にずれ込むかもしれません。したがいまして、現在特に地元で問題の生じておる地域を選んでこれを急ぐという趣旨でございます。これらはおそくとも九月の末を目途に結論を出したいと考えております。
 なお、その中で有明は特に水域が広範でございまして、おそらく一番時日を要する部類のほうに入るのではなかろうか。その調査の検体数から考えますと、有明海一水域で他の七、八水域分くらいの検体数を調査しなければなりません。したがいまして、有明について八月中に結論を得るという見通しはきわめて困難であろうと思います。
 ただ、この環境調査と工場側の排出状況の調査とあわせまして、各水域の水銀汚染の状況を明らかにし、その汚染の原因は何であったかということについての結論を得るのは、このような時日を要するのでありますが、しかし通産省のほうで現在急いでおられます工場の総点検の結果、それぞれの工場につきましての水銀の排出状況というものは、もう少し早く把握できるのではないか、かように考えております。
#161
○馬場委員 通産省は六月中に終わって七月中にまとめて出すと言っておる。環境庁のほうは九月末くらいかかるのではないかと言っている。環境庁のほうがおそいじゃないか。そうすると両方あわせて判定するというのだったら、いまの答弁を聞きますと、汚染源の指定というのは、少なくとも九月以降にずれ込む、こういうような状況になっておるのですね。こういうことでは話にならないと私は思うのです。熊本県知事、福岡県知事が、あの二つの工場が汚染源だと県議会で表明しております。言っております。これについては通産省なりあるいは環境庁はどう理解しておるのですか。早まったことをしたと言っておるのですか。不正確なことを言っておると思っておるのですか、正しいと思われますか。
#162
○三木国務大臣 この汚染源の究明は補償問題と結びつくから、われわれとしてもこの究明というものは早い期間にやりたいと考えておるわけでございます。ただ、政府の見解として述べるわけですから、これに対してちゃんとしたデータといいますか、調査の結果に基づいていたしたいので、用心深く九月の末と言っておるのですが、それより前においても政府の見解を述べる、いろいろなデータを通じて政府の見解を述べていい時期が来たならば、それよりもできるだけ早めたいと考えております。
#163
○馬場委員 一つも質問に答えてないのですがね。調査する前に、生業被害漁業被害というものが出た、その地域に有害物質を過去に、現在も、流した工場がある。そうしたら、もう直ちにそこにやはり原因者としての補償義務を負わせる、調査の前に負わせていいのじゃないかと思います。
 それから熊本県知事、福岡県知事は言っておるのですから、これに対してはどうなんですか。
#164
○三木国務大臣 熊本県知事がそういうことを言っておるとすれば、有明海の場合は常識的に見れば原因者というものはわかるわけですから、そういうことの発言があったのだと思いますが、しかしやはり政府が見解を述べる以上は、これは相当な補償も伴うわけですから、ちゃんとしたデータを通じて政府の見解を述べたほうが適当だと思いますが、その間漁民などに対しては政府もつなぎ資金を出しておりまして、その利子というものに対して三分の金利をつけておりますが、最終的には漁民に負担させない考えでございます。ああいうような状態におってなおかつ金利を払うということは、漁民の感覚にも一致しないでしょうから、それは原因者に元利とも負担させますから、実際問題としては漁民の負担にならないようなつなぎ資金の支出もいたしまして、そんなに何年もでないわけですから、しかも環境調査はおそくとも九月末といっておるのですから、それを早めると、こう言っておるのでありますから、そう長期にわたるわけでないわけです。漁民に対して非常に迷惑はかけるけれども、たいへんな長期にわたってということにはなりませんので、今後の問題もありますから、政府が見解を述べるときはできるだけちゃんとしたデータによりたい、こういうことを考えておるわけでございます。
#165
○馬場委員 非常に用心深くやっているという話ですけれども、第一水俣病が起きたときに非常にやはり用心深過ぎて何にも行なわれなかった。どこに用心深いのかというと企業に用心しておる。住民サイドではないという経験を持っております。だからこんなに用心深くやられるということは、やはり企業に用心するのであって、そして被害者の立場をある程度ないがしろにしている、そういう政治姿勢に受けとられてなりません。そういう意味におきまして一日も早くやってもらいたいということを、あまり長く議論すると時間がございませんので、要望しておきます。
#166
○三木国務大臣 その点は誤解のないように願いたいと思うのは、企業サイドに立っておるというわけでないのです。政府の見解に対してはやはりちゃんとしたデータの上に立って見解を述べることが適当だということで、その間たとえば漁民あるいはまた水俣病のような症状を呈する患者に対する健康調査だとか、そういうことに対しても、患者側のサイドに立ってできる限りのことは私はいたすつもりでございますから、多少の時間がかかるということは企業側に立ってということではありません。最終的には企業に対して全責任を負わすわけですから、そういうことの誤解のないように願いたいのでございます。
#167
○馬場委員 私は第一水俣病が起きたときに通産省なり厚生省が企業の側に立って隠蔽しようとした経験を知っている。そういうことが起こらないようにということを念を押して言っておきます。
 次に漁民に対する補償の問題、つなぎ融資の問題ですけれども、二百五十億、三分、一年据え置き、四年償還というのを二十二日閣議で決定されたということを聞いております。漁民に対してはこれだけでございますか。ほかにはどこからか融資をするとか、つなぎ資金を出すとかいうようなことはありませんか。いまの対策はこれだけですか。
#168
○増満説明員 お答えいたします。
 つなぎ融資はいまお話しございますように二十二日にきまりまして、早急に県のほうに通達をいたしまして、こちらのほうに資金需要等をあげてくるようにいま通達しておるところでございます。
 そのほかの融資といたしましては、すでにことし、四十八年度から新たに開けましたが、農林漁業金融公庫から、五分でございますが漁業経営安定資金という制度が設けられております。これはすでに通達が済んでございます。そういうことでございます。
#169
○馬場委員 つなぎ資金の二百五十億という計算の基礎を、どうして二百五十億のワクにしたのか、この計算の基礎をひとつ聞きたい。
 いま一つは関連企業に対する融資ですね。これは三木さんの推進本部等でもあるいは閣議等でも議論になったということは知っております。関連企業に対する融資はどうなっておるのか。いつごろ結論を出して、一世帯当たりどのくらいの額になるのか、トータルどれくらいになるのか、それをいつきめるのか、この二つについて答えてください。
#170
○禿河説明員 漁業関連中小商工業者に対するつなぎ融資の問題でございますが、むしろ中小企業庁のほうからお答えするのが一番いいかと思いますが、漁業関連の中小商工業者に対します融資の問題につきましては、現在私ども関係省庁と実は鋭意検討いたしております。これにつきましてはやはり実情に応じまして、私ども現在漁業者に準じた特別融資の措置が必要であろうということでその方向で検討いたしておりまして、一両日中にも結論を得たい、かように考えております。
#171
○馬場委員 漁業者に対して二百五十億円のワクがあるのですが、この計算根拠というのが明らかにされませんでした。私は当初質問をいたしましたときに、五万人の休業者が出たというような事態もあったのですが、二百五十億というワクが出ております。非常に少ないと思います。いま関連企業、鮮魚商とかあるいは市場だとか仲買い人だとかそういう人については漁民に準じて行なうということですから、たぶん三分だということだと思いますが、これはやはり一世帯当たり非常によけい金が要るわけです。だからほんとうに少ないワクでは話にならないと思いますから、一両日中に出すということですから相当大きな資金を用意していただきたい。
 私はさらに時間があれば質問したかったのですが、四十六年のドル・ショックですが、ああいうときには相当な額がそれに対する対策費として国からいろいろ援助されておるのです。それ以上の全く零細な、あすにも食うにも困るというような人たちが日本全国にいるのですから、あのドル・ショックのときの対策の何十倍、何百倍というような真剣さをもってこれに対して対処しなければいけない、私はこういうぐあいに思っております。だから漁民に対するワクの拡大だとかさらにはそのほかの方法、さらに関係企業に対しましても一両日中に出すというならば、そういう意味におきましては抜本的な飛躍的な、そういう人たちが安心するような額をぜひ出して、決して焼け石に水にならないようにしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 いろいろまだあったのですが、時間がありませんので、最後に一つ患者サイドの問題を申し上げます。
 現在熊本県だけを例にとってみましても、申請したいという人が数千名おるのです。そこで申請した人が千名以上実は認定を受けずにおります。こういう中で、やはり熊本県の審査会の能力をもう越しておると私は思うのです。だから、国が少なくともこういう審査あるいは認定に乗り出す必要があるだろう、こういうぐあいに思います。
 具体的に御質問いたしますけれども、審査手続が非常にめんどうで、医者の診断書が要るのです。それを医者が書いてくれない。これは、長官も行かれて十分知っておられると思います。医者は書くと言っておりますけれども、実際問題として書かないのです。申請したならば精密検査が行なわれるのです。どうせ精密検査をするんだったら、申請手続から医者の診断書を省くということに踏み切ってもらいたいということが一つ。
 それから、熊本県で千名以上も、申請をして認定を受けていない。非常におくれておる。何年かかかるのです。こういうものを一日も早く認定しなければならない。そうした認定のスピードアップについてどう考えておられるのか、具体的にどういう対策をとられるのか。
 この二つについて質問いたします。
#172
○三木国務大臣 先般も私、熊本に参りましたときに、検診の速度を速めなければならぬということで、知事ともいろいろ相談をして、そして、国のほうとしても医師団などで協力をしたいと思っているのです。そういうことで、国としても診断の速度を速めるという点でできるだけ今後協力をしたい。厚生省もすると申しておるわけでございます。
 それから、申請の場合には、馬場議員も御承知のように、検診センターというものを水俣市につくったわけですね。診断書を書く場合にこの検診センターを大いに利用してもらいたい。あそこへ行けば、総合的にいろいろ診断できるような施設もあるわけですから。そういうことで、いままでのような、地方の医師団が診断書を書くのに非常に手間がかかって困るという状態をできるだけ緩和したいと思っておるのです。それはどうしてかというと、患者の診断書を書く場合には、内科なら内科だけというものではいけませんから、そういう点で検診センターをできるだけ活用できるように持っていって、診断書を書くことをいとわないように、医者の手数をできるだけ省きたいと考えております。
#173
○馬場委員 長官の前向きの姿勢はわかるのですけれども、具体的な方策が出てこないのですね。水俣病なんかになるのは苦しみですよ。だから、おれもおれもなんて申請はしません。医者の診断書なんか省いてしまったらいい、申請したらどうせ精密検査が行なわれるのですから。しかも、検診センターをつくられましても、開業医なんかはそこに行くのもたいへんだ。だから、申請は自由にしておいて――自由にしておけば、将来おれもおれもと申請を出すんじゃなかろうかと言うけれども、そういうことはありませんよ。ほんとうに水俣病になるのは苦痛ですから、だれでもなりたくないのです。心配だから出すのですから、診断書を省いていただきたい。これは行政指導でできると思うのです。
 もう一つは、実際に千名以上、熊本県の審査会に実はたまっているのですね。これをどう解消するか。いま千名以上おる人には、あなたはいつごろになったら認定できますよということを明らかにしなければ不安なんです。だから、この千名おるのを国が引き取って、分散しながらどうするとか、そういう具体的な対策を出さなければいけないと思うのです。不知火海だけでも一万名くらい出るんじゃないか、有明海だったら二万名ぐらい出るんじゃなかろうか、こういう推定さえもあるのです。そういうものに対して、いまのような審査の方法では、これはもう申請しておいて死んでしまうという状況も起こります。
 ちょうど時間が参りましたので、これは要望として申し上げておきます。ぜひひとつ十分御検討いただきたいと思います。
 これで質問を終わります。
#174
○佐野委員長 津川武一君。
#175
○津川委員 三木長官、私この間、長官が現地を見られるちょっと前に現地を見まして、そこに、対策をも含めながら報告を兼ねた小さな所見を書いておきましたので、じっくり読んでいただいて参考にしていただければと思いますが、きょうはその中から若干の問題をとらえてみたいと思います。
 一つは人権の問題です。私たち四、五日歩いてみましたが、若い娘さんがいるうちでは水俣病のことがタブーなんです。そこでお医者さんにも見せない、もちろん申請もしない、こういう状態があるわけです。それから、実際にぶつかったのは、高等学校の野球の選手のうちのおとうさんが水俣病の認定申請をした。そのためにむすこさんが学校に行かない。そのうちに水俣病が出ると、これからの進学と就職に影響してくるわけです。そこで、そのおとうさんの認定が保留になったら、その高等学校の学生が万歳して喜んだ、こういう状況が出ておるわけです。それから、娘さんが水俣病になって認定申請をした。そのおとうさんは漁業協同組合の有力幹部で、どんなことがあってもトップで当選している人なんですが、それが次の選挙で落ちた。このうちは水俣病でたいへんなことになっているわけです。ここでは非常に大きな人権の問題、差別の問題、将来に対する不安の問題があるわけであります。そこで、個々の例を扱うためには、その人の人権を十分に考えていかなければならぬ。国政がこれから水俣病を扱う場合の配慮の第一義的な点はそこにあるんじゃないか。これが一つです。
 二つ目には、年ごろの娘さんが水俣病であっても、胎児性水俣病の認定申請もしないし、水俣病としての治療もしない。この子はぐんぐん症状が進んで取り返しのつかない状態になってしまう。したがって、どんなにしてでも、ひがみを突破してでもこの子に国政を当てていかなければならぬ。こういう配慮が必要になってまいります。
 第三番目の問題は、漁業協同組合の理事が自分のうちから出たものを申請すると、そこの地域の魚が売れなくなるから、そこで落選という状態が起きてくるわけです。仕事ができない。したがって、これを突破するためには、その将来になっておる重荷というものを全力をあげて解決する体制、水俣病だといって申請しても被害が起きないような状態をつくっていかなければならぬ。
 私はハンセン氏病の人たちの苦悩をいやというほど扱ってもきたし、知ってもきました。また広島の原爆被爆者の差別された状態も見てきました。かつては結核患者がその十字架を背負ったし、いまなお背負っておるのは精神病院を退院した人たち、この人権を尊重していく点でのお考え、それから、この差別、ひがみ、不利をどう解決していくかという点、また、実際に損害がないようにどう国政を運営すべきかという点、この三つに対してお気持ちなり施策なり決意なりをまず表明していただきたいと思うのです。
#176
○三木国務大臣 水俣病に対する世間の認識というものは非常に深まってきて、伝染病などではない――昔は伝染病だということで、御指摘のようなことがあったんですけれども、これは原因というものが非常に明らかになってきております。そういうことで、せっかく政府としてもいろいろな検診制度などもしておるわけですから、それが水俣病患者が隠れて治療の機会を失うということはたいへんにわれわれとしても不本意なことでございますから、水俣病というものの症状があればみんながやっぱり隠さないで診断を受けるし、また地域社会の人もそのことが、みんなが同情しこそすれ何もそれを排斥する理由にならぬですから、そういう点では地域社会のそういう面はだんだんとなくなってきておると私は思いますけれども、御指摘のようなことがあるならば、これはやはりわれわれとしても啓蒙する必要があると思います。
#177
○津川委員 長官、伝染病だとか、そんななまやさしい考え方ではないのです。現実に胎児性の水俣病が出ているときに、十九歳の娘さんがあると、ここのところで、医療に行かない面が出てくる。この点が一つ。なぜかというと、胎児性の者がここにあるとすれば、この娘さんも結婚した後に水俣病にかかるんじゃないか、こういうことなんです。したがって、水俣病にかかった人、かかる心配のある人の全運命というものをここで背負っていくという考え方がなければ、伝染病なんというなまやさしい考え方で、世間にそういう誤解があればなんという考え方では、長官が行って何見てきたか、その認識に対して私はふしぎに思う。必ずここは人権の問題、徹底的な啓蒙の問題。出た場合に国が責任を負うから皆さんが必要な社会的行動に出なさい、こういう保証がなければ私は水俣の問題が引っ込んでしまう。もう一回、長官のお気持ち……。
#178
○三木国務大臣 しばしば言っておるように、水俣病というふうに認定を受ければこれに対して補償の責任は原因者にとらす。政府はまたいろいろな治療とかあるいは研究とかリハビリテーションとか、そういうものの社会復帰に対してもできるだけのことをしようということを明らかにしておるわけでございます。したがって、強制的にみな検診というようなことはまた新たなる問題も起こってくるわけですから、どうかわれわれの意のあるところを皆さんの側においても――政府としてもやはりそういう決心でおるから、何も包み隠さないで、この際この問題を表に出して解決しようじゃないかということにみんなも協力してもらいたいと思いますよ。人権の問題、こう言っても、やはり本人がひとつそういうふうに考えないで、むしろ隠れた形で治療の機会なども失うことこそ人権というものが侵されるわけですからね。表面に出て、これに対する一つの責任というものを追及するほうがずっとやはり人権が生かされるわけですから、どうかそういう患者に現地でお会いになったときには、その趣旨をやはり皆さんの側でも説明をして表に出してもらいたい。隠れた場合というのはかえって人権がなかなか守られないんじゃないかということで、先般もこの委員会で水俣病という名前を変えたらどうだ、こういうことがありましたけれども、やはり学問的なことばでありますから、名前を変えたからといって解決する問題でもありません。だから、今後はやはりそういう水俣病が再び発生するような原因をつくらないようにする。いま現に被害を受けておる人たちに対してはできるだけの、いまの時代で医学にも限界がありますけれども、最大限度にそういう人たちの、患者の苦痛を軽減するための努力をするということでこの問題の処置をしていくことが人権を守る道だとわれわれは考えて、努力をいたしておる次第でございます。
#179
○津川委員 長官の気持ち、聞いていて正直なところじれったいのです。これは質問の最後にもう一回問題を掘ってみたいと思います。
 そこで、水俣病のいま出た検診――把握ですか、これはあらゆる犠牲を払っても急がなければならない。全的に把握する。したがって把握する体制をつくらなければならぬ。差別みたいなものを持つとやはり把握できない。この点では、水俣のお医者さんは水俣病を扱うことがいやなんです。なぜいやだかというと、水俣地方におけるチッソの力というのはものすごく強い。町をどうにでもできる体制がある。したがって、かなりお医者さんもやりづらい。さっきの質問者からも出していましたけれども、お医者さんは、何人か会ってみましたが、いやだと言っています。そこで、どうしても早い時期に全貌を握っておかなければならない。なぜかというと、森永砒素ミルクです。あれほど砒素だということがわかっていながら十四年、十七年ほったらかしておいたために、取り返しのつかない状態まで症状が進行した。いま水俣病は非常に軽い人がある。重症であす死ぬ人もある。水銀を食べたために早く出た人もある。なかなか時間がかかっている人もある。そういう点で、これらをすべて把握してそれに対して必要な処置を施す、こういうことが必要なんです。長官が繰り返し検診をすると言っている。だが、この検診をじゃましているものはさっきの差別の感情、水俣市におけるチッソの力の強いこと、こういうことが非常にある。そこでいまはしなくも出た検診センター、私も行ってみましたよ。これはできません。なぜできないかというと、お医者さんが足りない。水俣の市立病院の胎児性を扱っている小児科の先生、二人、一人半、一生懸命やっておって、外来で来る、入院してくる普通の患者さんで手一ぱい。非常に熱心な人です。胎児性水俣病に対して非常に高い愛情と識見を持っている人ですが、どうにもなりません。ここのところに一つ非常に問題があるわけです。実際に一番よく見ているのは開業医の先生です。手がしびれてくる、少しここいらがだめだ、そうすると、これは水俣センターに行きません。一番最初に行くところは開業医です。その開業医の先生が、水俣病に対するチッソの実際のその地域における力の強さというものは、いままでの開業医は、私も医者ですが、われわれはどちらかというと支配層、上層部に近い、したがってこれが意識の中にあってなかなかめんどうだ。しかも何が水俣病であるかということがわかない。したがって、こういう症状を持っておれば水俣病だということが、医者の中に知識が、経験があればここで非常に問題が片づく。鹿児島大学の井形という教授は項目をずっとあげて、これこれのものがあれば水俣病だと言っている。そこで、第一線のお医者さんたちに対する非難はここではいけない。どうしたならば第一線のお医者さんたちを検診に出せるかということ。そこで、お医者さんや官庁の人たちが行くと、ここでまた官庁から来たということで実際のことが出なくなる。そこで必要なのは保健婦です。私はあの現地でお医者さんたちや専門家と話してみたら、ここにも書いてありますけれども、水俣では五十人の保健婦が要る。そうすれば把握ができる。行政が上から行ったらとか、届けてほしいと長官はいま言っているけれども、これでは片づかない。したがって、端的に伺います。いますぐできるだけたくさんの人を、疑いを持っている人を検診すべきだと思います。この決意はあると思います。繰り返さなくてもいい。繰り返して返事をしていただいてもよろしいけれども、そのための体制をしくということ。その体制をしくために一番有力なのは、お医者さんもさることながら、保健婦だということ。そこで長官、あなたに差し上げた本のページを読んでいただきます。一八ページの二段目、一から十九、そこで患者さんが症状を自分であげているのですよ、これが水俣病だといって。それで、関係者の中で進んでいた人は非常によく覚えている。開業医の人たちがそんな中にある。したがって、保健婦をふやすことが一つだ。ここですみやかに英知を集めて、ここで水俣の教育をする、そして治療指針を出していく。そうでないと、いま治療方法はなかなかめんどうなんだ。だから、来られるから、症状を訴えられるから適当なことをしているのだが、これはむだな骨折りになっている。こういう体制について、保健婦のこと。それからいまあなたたちの言っている治療センター、検診センターでは役に立たないので、特別な対策を講じなければならない。この特別な対策が必要だということ。もう一つは、開業医を再教育をするということ。三つ目には森永の砒素ミルクの場合、厚生省が途中で手をあげちゃった。阪大の先生方がやったが、これは先生方の私的ないわば――大学というのは教育の場である。研究の場である。したがって、自分たちの教室に与えられている使命から研究する、独自の勉強をするのであって、たまたま水俣病というのが出てきたから、学位論文もたくさん出る。世間の注視を浴びる。やったでしょう。だがこれは副次でしょう。これは大学に水俣病の研究を強制するわけにまいりません。必ず熱がさめます。現に熊本大学の武内先生の教室も、もうぼくらは水俣病飽きたという。これが大学の一つの本質です。大学の研究はその研究室の私的な自主的なものです。国家の仕事で、これはやれません。大きな意味からいって、私的な研究が続くことが国家的な任務ではありますが、今後のことでは間に合いません。したがって、特別に国なり県なりの行政の面で特別研究班をつくらなければいけないという、こういう四つのことです。保健婦それから検診センター、人員をふやして、看護婦をふやしていく、三つ目には開業医の問題、それから独自の国か県の研究体制をつくる、この四つのことをお答え願います。
#180
○三木国務大臣 前段の検診制度というものは、私も前に行ってみましたけれども、検診センターがまだ実際に業務を開始しない。これは、いろいろ検診の面でこれを促進するのに役立てることが必要である。開業医だけでは、いろんな各方面の診察が必要です。しかし、いまのお話ではなかなか予定どおりに行なわれていないというお話でありました。これは何かやはり検診センターの拡充を考えて、まあ医者の問題というのがあるのでしょうが、検診を促進するようなことについては検討を加えてみたいと思うのでございます。ただ、水俣病というのは特異な疾患でもありますから、だからだれでもすぐに水俣病に対しての専門医になるというわけでもないわけですから、そこにいろいろむずかしい問題がありますが、いずれにいたしましても、健康診断、これがあまり長期にかかるということは、診断を申請している人たちに不安を与えますから、この促進については、現状がいいとも私は思っていないのですよ。これはくふうを加えます。
 それから、研究に対して行政ベースでやれ、こういうお話でありましたが、やはり大学の協力は得たい。そうでないと、行政ベースといっても、やはり研究の主体になるものは医学者ですから、そういう点で、われわれとしてはできるだけそういう施設とかあるいは財政的な面とか、そういうのは行政面でいろいろとやれる余地はありますけれども、研究の主体というのはやはり大学の協力を得たいと思いますので、それは何か自主的に研究するというような体制が学者の場合は必要でありましょう。それでもう水俣病は飽いたと言わないで、これだけやはり大問題が社会的に未解決のまま残っておるんですから、そういう水俣病にいままで経験を積まれた大学の方々の協力もぜひとも得たい。そういうことで近くわれわれも専門の人たちの委員会をつくって、水俣病の研究、治療、リハビリテーションのセンターなんかをつくりたいという意気があるわけです。そのためにはどうしても大学の協力を得たいわけですから、そういう委員会を近く発足させて、できるだけ理想的なセンターができないか、そういう研究をいたしたいと考えておるわけでございます。
#181
○津川委員 そこで大臣、センターのことももう少しあとで伺います。やはり一番必要なのは保健婦なんです。これは考えていただかなければならない。
 それから、めんどうだと言うけれども、内科の問題、神経科のこともある。それから眼科のこともある。ところが、結核では保健所ごとに結核の国の補助を出して治療をする委員会がある。精神科では県単位で鑑定というのがある。これは国のそれぞれの資格を与えられて、委嘱されてこういうことをやっているんです。何といっても一番大きく接し得るのは保健婦、その次には開業医、これを抜きにして、国政が特殊のベテランだけを相手にするから、開業医にそっぽを向かれているのが現状なんです。思い切ってこの対策を、開業医集まれというて、開業医の中に内科の先生、神経科の先生、眼科の先生、その他で、これ四人で委員会をつくる。いまの開業医はばかでありません。水俣病の診断の把握、このくらいはできます。この点はぜひたくさんの人が要るので、この点を二つ繰り返して答えていただきますが、私は答えを強制しませんけれども、しかし大臣から漏れた一番大きなことは、いま直ちにできるだけの検診をやる体制を、予算を組むこと、このために、保健婦やそういうものを動員するということ、大学の研究室一つや二つではどんなにしてもできません。この点を再度お答え願います。
#182
○三木国務大臣 お説のように、保健所、むろん開業医、そういう協力を得なければできないことでありますから、保健所などに対しては、厚生省もこれを拡充しようという方針のもとに、これは新しい年度を待たずして保健所の拡充ということをああいう問題の地域ではやりたいという。そういうことで、われわれとしても保健所あるいは開業医、こういう総がかりの協力を得なければ、こういう問題はなかなか解決できない、そういう考えでおります。
#183
○津川委員 極論するならば、あの地方の開業医に政府が一人ずつ保健婦を配置すると全部きまりますよ。私は具体的にここまで長官に提言します。これは後刻ゆっくりその気持ちになったら答えていただいて、ここで無理に私は答えを迫りませんが、そこのところが一番大事な中心課題になってくる。
 その次に、先ほどの馬場委員も話していましたけれども、審査を二カ月に一回開いている。一回に五十名、よくて八十名。この二カ月の間に新しく申請してくる人は百人から二百人。だから、いまの馬場委員みたいに、千人たまっちゃっている。たまってもいいよ。認定を申請している間に症状が悪化している。死んでいる。こういうことをどうするかという点なんです。したがって認定は岡山の大学から来てますよ。鹿児島大学から来てますよ。そうして熊本大学、そうして水俣の市立病院のお医者さん、これは二カ月に一ぺんを早めるといっても、大臣、早まりません。それぞれ御事情を持っている人ですよ、大学の先生というのは。それを水俣病の調査に動員するというのは無理な話です。そこで端的に、結核の場合のように保健所ごとのお医者さんを審査会に入れて、精神衛生法における鑑定、これは再教育すれば資格は幾らでもやれる。ここのところにやらなければいけないという、この点をひとつもう一回考えていただきたいと思います。
 二番目には、認定を待たずに申請だけで病状が悪化しておる人、死んでおる人をほったらかしておく。開業医の先生のところに行く。認定申請していますか、はい、――それっきり見てくれません。なぜかというと、その人の医療費はあとで別な形で出てくるし――これはお医者さんが悪いのじゃない。そういう現実の形がそこにある。それじゃ認定している人、終わった人、入院できるかというと――あなたがテレビに出て見られた患者さん、大臣が面接見ていた患者さん、私も、そこに名前を出しております二二ページ、月の浦の池田弥平さん、テレビで大臣があの家に行っているのを見ていました。あの奥さん、手がふるえておったでしょう。そしてさしみを持っても思うようにいかない、骨に肉がついちゃって間違えますよ、自分の指を切って傷つけたり、ころんで倒れたりしている。あの人と大臣がテレビに出ていたのを私は見て、ああ、とうとうあそこまで行ってくれたなと私、意を強くして見ていたのです。あの家では娘さんがときどき来て、患者さんの弥平さんのおしりから指で大便をとっているのです。奥さんが買いものかごを持ってお使いに行っても、神経がいかれているからみんな忘れてきていますわな。こういう人たちを収容しないでいるのです。これから収容所をつくるといっても、建物をつくってもお医者さんはどうなるか、ここのところを考えていただかなければならぬ。あなたの、本会議や委員会での答弁を聞いていると、なるほどなと思う。しかし、現地に行ってみると、あなたの言っていることは何も実行される体制がない。したがって、これをいますぐ収容するのにどうするか。国立の結核療養所であいているところがあるでしょう。日本の病院の患者の収容定数というのは大体百ベッドといわれているが、八十か八十五くらいしか入ってないところがたくさんある。こういう点で、あきベッドをさがすという点が具体的に国政の場での行動にならなければならぬ、この点が二つ目です。
 だから、審査会をどうするか、審査を早めることが一つ。収容が二つ目一それからあの池田さんのような家にホームヘルパーを回さなければならぬ。娘さんが自分の指でおやじさんのおしりから大便をとっているわけですね。ホームヘルパーという制度が国にありますよ。そこでホームヘルーパーを回すとやはり人とお金の問題が出てくる。このホームヘルパーは比較的早く養成できるのです。私、三つのことを繰り返しますけれども、認定申請の過程を早めること。あの岡山や鹿児島の人たちに研究していただいているこの認定の中に、やはり地元の人が十分やれるという体制をつくっていただかなければならぬ。収容のためにすぐベッドを委託していただかなければならぬ。それまでにホームヘルパー、保健婦――ここでも保健婦がまた問題になります。この点、三つ所見を伺わせていただきます。
#184
○三木国務大臣 検診制度というものは研究しております。速度を早めるのに、何かいままでのような方法に加えてどのようにすればもっと検診の速度を早められるかということを研究をいたします。
 それから結核療養所のあいているところに収容せよということ、これはそういう水俣病の治療というものはなかなか特殊な面もありますから、明水園なども私見ましたけれども、相当ベッドもあいているようですが、私、言ったのは、患者の人たちにその施設を見せて、こういうことになっておるということをよく徹底さしたかというと、そうでないということを言っていましたがね。これはやはり徹底をさせますと、あの施設というのは、そういう結核のあいたところへ収容というよりか、ああいう専門の療養所のような形のほうが患者の人たちにも便宜なのではないか。それが、こういうところが気に入らぬということだったらかえていいわけですから、患者のためにあるわけですから、無理に結核療養所のあいたベッドというよりも、ああいう施設々活用することが必要である。それが患者の気に入らぬ点があったから、これはくふうを加えたらよろしい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 それからホームヘルパー、そういうのがあったら必要なのかもしれません。それは熊本県とも相談してみます。そういう制度があって、各患者の家庭を回るようなことがあれば、非常に患者の人にも便宜かもしれませんので、これは研究をいたします。
#185
○津川委員 そこで検診体制、やはり岡山や鹿児島から来ていただいている先生は、これは無理なんですよ。したがって、保健所ごとにもしくは県ごとでもいいですよ、検診体制をつくっていくか、精神衛生法みたいに二人の専門医が――これは精神衛生法二十九条でございますね。二人が判を押すと診断ができる。水俣病もそういう体制をつくらなければ、大臣は検診体制を進めると言っても、私は、はいそうですかといって引き下がるわけにいかなくなってくるのです。この点。
 それから結核療養所――いま結核療養所はほんとうに肢体不自由児の収容所に転換しつつあるのです。それは、肺結核の患者をそこに入れろ、それをぼくは言っておるのではなくて、そういう体制が一本の現状です。その点を見ていただければいい。あの明水園、あれもひどいです。胎児性の子供さんと、かなりの年配の御老人と一緒に入れておる。これは子供の住む環境じゃないですよ。子供にとってみれば、そういうおとなの、だれてしまって清新さを失ったようなおとなの生活の中に子供さんを入れておく、この体制もいかぬ。あれはすみやかに小児科は小児科として分離しなければならぬと思います。ところが、同じところに小児と老人が一緒でしょう。大臣見られたとおりですよ。
 それからあそこにおける看護婦さんは定員六名、現在それが四人、一人が不調、三人で――十九歳から二十三歳の娘さん三人で三交代で夜勤をやっています。一カ月十三日。十九歳から二十三歳までの青春が一カ月に十三日そこで夜勤をするために費やされている。私は、何となく、あすこの看護婦さんにありがたいと手を合わせて拝みたい気持ちと、これだけ犠牲にしなければならぬのかという憤りと二つ出ているわけです。この体制を救わなければならぬ。したがって、繰り返し言うけれども、保健婦さんも、看護婦さんも、ホームヘルパーも、一番多くある開業医ということばが私のほうから出てくるわけです。熊本県の都合もあるでしょうけれども、わざわざ岡山や鹿児島からお出ましになってくれることはありがたいけれども、そのかわり二カ月に一回しか審査会をやれない。この体制を、簡略にするとは言いませんけれども、そのほうが密度が濃くなるわけです。大先生よりもそこにおる開業医に専門家が育ちつつありますので、この点もう一回答弁願います。
#186
○三木国務大臣 馬場委員からも御質問がありましたように、長期にわたって申請をしてその診断が下らないということは、これは患者の人たちに対しても親切な道でありません。いろいろお話もありましたけれども、われわれはわれわれとしていろんな面の意見も参酌をいたしまして速度を早めて、しかもそれはぞんざいにするわけにいきません。いまお話のあったように密度を高くして速度を早めるという方法を検討いたします。
#187
○津川委員 私も国会に出てから医学の勉強が少し粗略になりましてね。だからいまはやぶ医者になっちゃったんですが、それでもまだ医者なんです。お医者さんでない国務大臣の三木さんをつかまえて専門的に詰めようといってもしかたない。しかし私はかなり実行できる提案をここで出しております。この提案がいいか悪いかをいま大臣に即答を求めても無理だから、私がいままで提案したことを議事録で見ていただいて、それを検討していただいて、その結果を私に返していただきたいと思うのです。いま私が質問しているほとんど全部はこの中にも書いてあるのです。
 そこで、検診されて認定申請をしている。その間に症状が進んで、認定申請中に死んでいる人が何人かいることを私も聞かされてきた。これはひどい。そこで、認定申請をしたら、中には患者でない人もあるでしょうが、ほとんど大部分はそうなっているから、この時点において医療の補償、生活の補償、援助の保護を加える。こうしなければ、さあ認定がきまったときには取り返しのつかない状態になっている。認定がきまったけれどもその前に死んでしまった、こういう状態にあるわけです。この点はいかがでございます。
#188
○船後政府委員 公害病患者に現行特別措置法による医療手当等の給付を行ないますためには、やはり法律に定めるところに従いまして認定という行為が必要でございまして、認定申請という段階でもって法に定める給付を行なうことばできないわけでございます。
 したがいまして問題は、認定申請から認定までの期間をできるだけ詰める。これが大気系の疾病でございますと、幾ら待っても大体一月程度には行政的に処理をいたしておるようでございますが、水俣病の場合は最近特に認定申請の患者の数がふえまして、これに対しまして審査能力が追いつかないというところに問題があるわけでございます。私ともも現在、どこにネックがあるか――おそらくネックは方々にあるのだろうと思います。
 津川先生御指摘のように、たしか岡山大学は荒木先生、鹿児島は井形先生だったと思いますが、そういうふうにかつて熊大に勤務されまして、水俣病の専門家でいらっしゃる方に熊木県では引き続き委員をお願いしているわけでございます。これが二カ月に一ぺん開かれておりますのは、岡山の方をお迎えするから二カ月に一ぺんというのではなくして、実際の検査が月に四、五十名程度しかできずに、したがって二カ月一ぺん程度の開催で足りるというほうがむしろ真実に近いんじゃないかと思うのでございます。といたしますれば、私も医学は全くしろうとでございますが、実際に内科、眼科あるいは耳鼻科等各科にわたる検査を、これは手抜きするわけにまいりませんけれども、どうすれば早められるか。それはおそらくお医者さんの人手の問題、検査事務の問題あるいはお医者さん以外の検査技師あるいはその補助員といったところにあるわけでございまして、いま熊木県及び水俣市に、どうすれば打つ手があるか、先生の御提案も私ども参考にさせていただきまして、認定事務が少なくとも毎月毎月たまりっぱなしという状況はすみやかに解消したいということで努力しておるところでございます。
#189
○津川委員 水俣病のそういうかわいそうな犠牲者を国の手であたたかくしてあげるということは、それは法治国家だから法体系はつくっていただかなければならぬけれども、大臣、いま私があなたに質問していることはそういうことじゃないのです。現実に、申請はしたが治療されないままにほったらかされておる患者さんが一千人もたまっておる。これを突破するところにこそ三木さんのお仕事がある。それを局長が答えて、法体系がそうだからということでは事は済まされない。ここで何らかの行動に出なければならない。あなたも現地で見られて、あなたの現地での民衆とのやりとりをテレビで聞いておりまして、この大臣ならだいじょうぶだと思った。いまここで局長の答弁を聞いて私いささかあきれたわけですが、大臣いかがですか。すぐ行動を起こさなきゃならないと思います。
#190
○三木国務大臣 まあ、いま言われますことを早く解決するためには、認定を早くするということが一番の解決の道であります。申請をしてから認定までの期間が長くかかるというところに不安があるわけで、認定が出ればこれに対する補償の道というものはいろいろあるわけですからね。だから認定を延ばしておるといういまのような状態で置きますと、それに対する救済措置というものは考えても不徹底なものですよ。認定を受ければこれに対しての補償、救済の道が講じられておるわけですから、問題の解決は、中途はんぱなことよりも認定を早くして、この問題に対して決着をつけることだと思います。したがって、しばしば申し上げておるように検診制度というものは、これはいろんな御意見も参考にしなら検討を加えますということを申し上げておるわけでございます。
#191
○津川委員 天下の副総理に口を返すわけじゃないけれども、今度は、PCB、第三水俣病で加害者がはっきりしていれば加害者に責任を負わせるというんでしょう。加害者がはっきりするまでは国が融資するというんでしょう。企業にはこれですよ、長官。患者に対しては、あなたのことばで言うと依然として認定されるまでほうっておく、こういうことなんです。ここはほんとに腹を割ろうじゃありませんか。これが一つ。
 それから局長の話ですが、認定が間違って水俣病でない人を水俣病だとすると一生涯レッテルを張られるということになる。これは慎重でなければならない。だから既往歴調べます、生活史調べます、どのくらいの魚のとれるところに住んでいたか、どのくらい魚を食べていたか、いままでどんな症状があったかということをかなり詳しく調べる。それがものすごい苦労だということは、これは審査医をされているお医者さん、立津先生や井形先生と話してきました。水俣市立病院の副院長先生、この方も審査医ですが、相談してきました。ところが審査委員会でそれをやっている。だから能力が落ちるのです。私は保健婦を使いなさいというんです。全部の患者さんの既往歴調べてくれております。家庭生活調べております。生活史調べております。おかあさんの状態、胎性であるか調べております。こういうものをお使いなされば、いまのあなたの悩みなどというものは解決されていくわけです。したがって、こういう形で正しく早くもっとたくさんの人を認定できる体制、これはお医者さんでないあなたからいま無理に答弁聞きませんから、これは提案として聞いていただいて後ほど返事をしていただきますけれども、いま、認定を早める、それまでには国の保護の手を伸べないとあなたの発言は受け取れる。もう一回ここのところで私はあなたとやり合わなければならぬと思います。
#192
○三木国務大臣 何にもそれまでの間手を伸べないということではありません。できるだけのことはいたしますけれども、しかしやはり認定をすれば補償の問題も解決するでしょう。認定がないときには、補償問題というのは解決しない。結局は医療費とか生活上の救済とかそういうものはいろいろやるにしても、どうしても認定というものがはっきりしない以上は徹底を欠くと思うのです。そういうことで、根本の問題は認定を促進することである。それまでの間、国民の生活に対して大局的には責任を大きく負うておるわけですから、できるだけのことをしなければならぬのは当然であります。しかし水俣病患者の場合にはやはり認定を早くすることが一番必要なことであるということを言っておるので、何もしないでほったらかしだというふうなことではないわけでございます。
#193
○津川委員 認定を正確に早めることに対して私は幾つかの提案を申し上げましたからこれは検討していただきますが、大臣やはり問題がありますよ。認定を早めることは賛成です、何も反対ありません。認定してから生活の補償も医療の補償もするというが、人間の生身、病状が進行していくのを、認定を申請した患者の病状が進行していくことを黙って見ているしか能がないとおっしゃるのですか、大臣。ここのところは何ぼ大臣のおことばというても受け取りがたい。何としてもここは押さなければならない立場に私は出ています。
#194
○三木国務大臣 あなたの質問を聞いておると、いかにもほったらかしておくというような感じだが、そういう考えはないのですよ。現行の医療制度だって水俣病の申請をしてそして検診を受ける間、その間に対してはいろいろなことができるでしょう。健康保険の面においても、そしてまた生活上の保護についてもできるわけでありますが、最大のことはするけれども、結局においては水俣病患者の場合はそういう認定の早いということが一番、そうすればいろいろな総合判断をして、本人も自分の病状に対してお医者さんが見て結論がどうであるかということは非常な重大な問題ですから、単にいろいろつなぎのことといっても、本人としては病気に対しての総合的な診断の結論が下される前は安心できないでしょう。だから気持ちの上においても不安ですよ。そういうことで、できるだけ検診の速度を速め、その間に対してはそういう人たちが医療とか生活上のことに対して非常に困るようなことのないようにできるだけのことをすると申しておるのであります。しかし、水俣病としての本格的な補償を受けるのはやはり認定することが必要である。それまでのことは医療とか生活に対してできるだけのめんどうをわれわれが見ようという考え方は変わりはないわけでございます。
#195
○津川委員 私も大臣が現地を見られたからもっと話がかみ合うと思っていましたけれども、水俣病で認定を申請している患者さんは生活保護法で申請していきますが、普通の基準で断わられています。そこで、大臣にもっと端的に提案します。認定を申請して認定を受けたならば、認定を申請された時期にさかのぼって医療補償、生活補償をやるというのであれば、そこで医療費は借金もできます。私はこういう形で認定を申請した時期にさかのぼっていろいろな恩恵というものを施していくならば、すべてが解決されていく方法もあるわけです。この点はいかがでしょう。
#196
○船後政府委員 現在特別措置法の取り扱いといたしましては、申請と認定との間に時間的なずれがあるわけでございますから、認定されますれば申請時にさかのぼって医療費の支給あるいは医療手当の支給ということをいたしております。なおまた、これは厚生省の所管に属する分でございますが、医療保険あるいは各種の公費医療制度あるいは生活保護制度、これは認定の申請とか認定とかいうこととは一切関係はございません。したがいまして、認定の申請があろうがなかろうが、別途社会保障あるいは医療制度の観点から必要ならば、それぞれの制度による保護給付というものは受けられることになっております。
#197
○津川委員 それではちっとも問題解決されないのです。開業医の先生方は何と言っているかというと、認定を申請してきた。だがその時点で医療費が払われていない。それから認定を申請したときに却下されたり保留されたり、そういう場合がたくさん出てきているわけです。したがって、現実にここで診療がストップされている。局長がそういう通達を出してみんなに教えるならいいけれども、現実にストップしている。この状態を切り開いていかなければならぬ、ここに問題があるわけです。大臣、それをどうして切り開いていくか。
#198
○三木国務大臣 いかにも何か申請をしたらいろいろな社会保障的な措置がストップされてしまうという御発言ですが、そういうことがあったら言うてください。私はすぐに改めます。そんなことはありませんよ。申請したら一切の生活保護あるいはまた医療の点も、申請したからといってそれで打ち切るということはありません。実例があったら直ちに改めます。おっしゃってください。
#199
○津川委員 認定申請中に実際死んでいるのです。これは後刻二例くらい私は届けますよ。生活のことはまだいいですよ。着るものや住むところは多少荒れておってもまだいいですよ。現実に患者が申請をして進行していくこの過程をとめなければならぬ、命だからね。ここのところは衣食住とは違うんです。衣食住だったらがまんせいといわれればそれはがまんさせますよ。だが病状が進行していくのを阻止する、この点はどうしてもやらなければならぬ。そこは国が何とかしなければならぬ。この点は私は譲れませんが、大臣いかがでございますか。
#200
○三木国務大臣 私はよくわからないのですがね。そういう実例があれば――申請したということによってそういうようないろいろな公的な保護が打ち切られるということはどうしても考えられないのです。あればおっしゃっていただければ――それはその申請をした間のからだに対していろいろな症状があれば、これはもう医療の公的な扶助の道もございますし、実際そういう例があったら、非常に気の毒ですから、私自身でも解決しますよ。また認定があれば申請時にさかのぼって医療費に対しても、あるいは補償も行なわれておるのですから、あなたの言われておることは、どうもわれわれとしてはよくわからない点がある。こういう実例がある、こういう気の毒な実例があるといったら、私自身で解決しますよ。申請したことによっていろいろな生活保護や医療上の一つの給付がそれでストップするということは信じられないことで、あれば直ちにこれを改めますよ。
#201
○津川委員 そうですが、少し私との食い違いもわかりました。
 水俣病にかかる症状が出てきて申請する、そうすると認定まで時間がかかりますね。その間生活費が足りない場合がうんとある。医療費がない。そうすると、これを生活保護を申請するが、その場合水俣病で認定を申請したということはちっとも考慮にならない。この後水俣病で生活が苦しくなっていくことなんかちっとも考慮にならない。そこで現状でばっさり、生活保護なんかに認定されるから、特別な保護でも特別な差別でもない。この場合、認定申請しているから、生活保護を先のことを見て許すとか、それから医療費の貸し付け制度がある、こういうものをやればいいんだけれども、認定するまで待たされるのですよ。
 現実がこうなんです。したがって、お医者さんにかからずに死んでいる事実があるということを申し上げまして、時間も来てしまいましたので、これは後刻皆さんの当局と私はゆっくり話して、その結果によって大臣が答弁していただきたい。
 最後の質問になりますけれども、テレビに出た月ノ浦の池田弥平さんと奥さんのナツエさん、あのうちを見ていると、だんなさんは寝たきりでしょう、奥さんも何にもできないでしょう、娘さんがときどき来ては世話をしているという状況。これはやはりすぐ年金的な生活補償というもの――あなたのお気持ちはわかると繰り返し表現していた、これをいつ発動するか。私が少しせっかちなのはそこなんです。あのうちを見ていると、生活保護法でやるのか、その加害者の補償でやるのかということ。すべての、新潟にも、第三水俣病にも、水俣の水俣病にも――これからまたPCBで出なければいいのですが、出るとああいうこと、またたいへんになりますね。こういう点をすみやかにやるべきだ。この点の環境庁の作業体制、スピード、情熱というものをお伺いしまして、私の質問を終わります。
#202
○三木国務大臣 私も現地を見て、たいへんに気の損な状態、いままでも、間接的ではありますが、テレビとか新聞とかいろいろな記録を読んで、それはある程度現地の状態というものを私も承知いたしておりましたけれども、現実に患者の人たちに会ってみて、この状態というものは何とかしなければならぬという感じを非常に深くしたので、この問題に対しては、いまになってきては生命も健康も取り返しがつかないけれども、何とかこの段階においてできる最善のことをしたいというのが私の決意ですよ。
 そういう点で、いまいろいろお話のあったようなことも――一つ私が承服できぬ点がありますよ。申請したらいろいろなものが全部打ち切られて、いかにも政府がそういう人たちに対して薄情なようなお話であった。そんなことはありません。だからそういう例があったらおっしゃってください、私は解決をいたすと申しておるわけでございます。その他のことについては、現段階でできる最大限度の患者の苦痛を軽減してあげたいと私が思っておることは、事実でございます。
#203
○津川委員 大臣、そこまで言うなら、認定を申請して、認定がきまらないうちに、何らの医療も受けないで死んでいったという人間がいるという事実だけは、やはり私はまげることできません。この事実にやはり立脚して、発病したときに、症状が出た瞬間に、申請するまでもなく、その瞬間に保護の手が伸べられるような形のものを大臣に強く要求して、私終わります。
#204
○佐野委員長 青永治市君。
#205
○吉永委員 私が熊本県の出身であるということで、先ほど二十分ほど前にぜひ質問をするようにというような御配慮をいただきましたことを、深く感謝申し上げます。
 御承知のように、水俣病発祥の地としまして、熊本は現在の時点におきましてはたいへん困窮の底にあえいでおります。
 ただいまから申し上げますことは、環境庁長官としてではなくして、副総理の三木先生とされてどのようにお考えになっておりますか。まず第一点の問題をお尋ね申し上げます。
 熊本県と称します県が産業的には相当に後進性をたどっておる県でありますことは、御存じのとおりでございます。その後進県の熊本に、工場群の最大の雄として君臨をいたしておりましたのが、実は水俣のチッソであったわけでございます。今日は規模をある程度縮小しておりますが、その二番目か三番目かに位をする会社が、宇土の日本合成の工場であったわけでございます。この二つの大きな工場がまことにはからずもこのような害毒を流す元凶になってしまったということは、熊本県民にとりましては、実に青天のへきれき以上のどうしようもない世紀の大きな不安なできごとでございました。
 元来、熊本県民と申しますのは、非常に勤勉で、まじめで、がまんの強い県民性を持っておる県民でございます。任務のためには、あるいは責任のためには命をもおかすというような、あるいは封建的な一面もございますけれども、そうした非常に実直で、温厚で、勤勉なというのが、私は県民性の特性であるというように考えてまいったのであります。
 副総理は、先般来つぶさにチッソや合成化学の工場をごらんをいただきました。今日チッソを中心に展開されております漁業従事者の方々の大きな動揺、それに関連するいろいろな不安な状態というものを見ますときに、私は、日本の産業が、あるいは日本のそうした企業、工場というものが衰弱に向かっておる、これじゃいけないという、何かしら歴史的な大きな転換点に立っておる、またそのように余儀なくされておる、ことばをかえて申しますと、そのために県民の、あるいは国民の魂の崩壊の現象を来たしておる、そのような本質的な問題として目に映っておるわけでございます。
 このようなことに関しまして、三木先生のお考えをいただきたいと思います。
#206
○三木国務大臣 吉永さん、いろいろと今日の社会情勢というものを御心配になって、私も非常に心配をしておるものでありますが、しかし私はそう悲観的には見ていないのであります。それはなぜかといえば、敗戦の直後にああいう荒廃した中から、とにかく食えるような日本にしなければならぬということでみな一生懸命に働いたわけです。そういうときに、産業の立地にしても、どういう影響を環境に与えるかということまで先を見通して対策を講じなかったということは、私は責められるものがあると思います。これはしかし日本ばかりでもないのですね。世界的にもそういう傾向があって、公害問題というものがやはり世界的に取り上げられるようになったのは最近でありますから、ここで私はこういうしわ寄せといいますか、産業の発展というものが日本にこれだけの国民の所得を高め、雇用の機会も与えて非常にプラスの面をもたらしたわけですが、反面においてそういう環境に対しての悪い影響もあったわけですから、いい点は伸ばして、悪い点、環境の破壊とか公害の発生とか、こういうものに、われわれ日本人が過去に示したようなエネルギーや英知を傾けてやれば、世界の中においても公害防止に対しては日本が一番進んでおるというような状態に日本を持っていくことは可能だし、そうしなければならない。そういう点でこの問題をわれわれが解決するという能力を日本人は持っておると思いますから、それが解決されれば、だれもいま産業というものを敵視しておるわけではないわけです、まあ敵視して近代の社会は成り立たないわけですから。ただ公害問題を起こしておるという一面に対して、この問題はやはり人間の生命や健康に関連をしますから、これは大きな関心を呼ぶことは当然であります。それをもう処置がないんだというふうにあきらめてしまうということは私は賛成できないし、またそれは現実的でもないわけですから、みながこれからは、企業も、公害の防止ということを十分に目的を達成しなければ企業の発展はできないんだということに徹して、そして公害の防除ということに企業が生産に投資するくらいの熱意で、むろん金額には非常な差がありますけれども、ウエートとしては公害防除に対して産業が今後やはり思い切って投資していって、社会的な迷惑をかけないで、いい面、産業の発展していくということによって国民の物質的な面あるいは日本の経済の面におけるプラスの面を伸ばして、マイナスの面をなくするというようなことに努力をするならば、ほんとうに日本の発展というものはもう少しバランスのとれた一いままでのはバランスがとれてなかったことは事実ですよ。このバランスを取り戻しさえするならば、今日、やはりある意味において国民の非常な混乱を起こしておるわけですが、このことが次の日本の第二の発展の出発点になれば、日本の将来の発展というものはより堅実なものになるのではないか。いままでの発展の中にはどうもやはりいろいろなアンバランスの面があった。そういう反省の上に立って、日本はこれからバランスのとれた発展をしていく一つの出発点である、産みの悩みでもあるのだということに考えてみることが必要だし、またそうすれば、今日のこのお互いに受けておる苦しみというものは、これは次の飛躍の一つの出発の土台になるのではないか、そういうふうに私は考えておるわけで、日本の前途に対して悲観的な考え方はしていないものでございます。
#207
○吉永委員 ただいま三木先生のお話では、バランスのとれた公害のない産業を育てていく新しい出発点にしなければならないと、非常に高度な国策の御指示がございましたが、熊本にしょっちゅう帰ってみて感じますことは、どうも公害の問題ということが、そのように端的に公害を排除し、新しい新生の産業に持っていくんだという新しい息吹きの姿としてとらえられずに、どうもイデオロギーの論争あるいはイデオロギーのそうした面におけるところのいろんな紛争というものがあとを断たない。ますます根深く、根強くはびこっていくというような状態でございます。少なくとも公害が起きたということは、これは絶対どうしようもない事実でございますし、官民一緒になって、また働く人たちも一体になってこの公害の防除と新しい産業立国の方向への門出というようにとられると非常にありがたいし、また心強いことでございまするが、どうもこういうかつて経験をしなかったような大きな試練の前に立ちますると、県民性が、あるいはそういうことに、試練にたえ得なかった過去もあるかわかりませんが、非常に動揺が激しゅうございます。私はときどき病める国アメリカということばを思い出しますが、もともとは非常にああして積極進取の国民性でありましたのが、反戦、反国家とかあるいはイデオロギーの論争とか特に柔弱、惰弱な青年層が育っていって、勤勉ということが失われている。これはいろんな理由もございましょうけれども、アメリカというものが病んでおる姿がまざまざと見えるのでございますが、日本がこういう道をたどるようなことがあったらたいへんだ。ただいま副総理おっしゃいましたように、ここに大きな転換点と申しますか、ここで一新紀元を画したような大きい新しい文化の、文明の創造のステージになるというようなそういう心組み、そういう政治、そういう国家の向かう理想というものがほんとうに今日は一番大事な時期じゃなかろうか、このように考えておる次第でございます。しかし、先祖ど先生の御指示の中で十分、この私の不安の気持ちも非常に消磨されましてありがたいと思っております。
 実は先般でございますが、水俣市に隣接をします津南木という町がございます。それから、津南木という町に隣接をいたします芦北という町がございます。その町長さんたちが参りまして、水俣の市長さんも一緒でございましたが、さらに潜在患者とおぼしき患者が、おおよそではございますが、水俣に二百五十名くらい、その津南木町に二百名くらい、さらに一つ手前の芦北町に四百名を過ぎると思いますということを申しておりました。これは水俣病が底知れずにどこまで進展していくかわからないという非常に深い危惧を覚える次第でございますが、政府とされましては、ここでは抜本的な、今度はほんとうに勇気のある、ほんとうにこれを抜本塞源ができるような徹底的な処置がございませんと、私はこれから先なおさら取り返しのつかないような事態になっていくんじゃなかろうかと思っております。その辺に関しましての御見解を承りたいと思います。
#208
○三木国務大臣 私は先ほど申したように、これはいつかは日本が通らなければならぬ試練の時期である。世界的に見ましても、どこの国でも経済成長というのは五%を何とかして達成できぬかといってみな苦心をしておるのに、一〇%をこえる成長が戦後ずっと続いてきたのですからね。このままで日本がアメリカを追い越し、世界を追い越して圧倒的な生産力を持つということは、それは許されるわけではない。いっかは日本も試練を受ける時期が来るような方向にあったことは事実で、そういうことで、まあこれを何か日本が衰弱していくんだととらないで、伸びる日本が受ける当然の試練の時期である、これをやはり乗り越えなければならぬということがやはり必要であって、吉永さんのような熊本県に影響力を持った方方がどうか県民の元気を鼓舞してください。これを通らなければ日本のいままでの成長というものは本物にならぬと思いますね。世界のどこにもないような成長が何の試練も受けずにいつまでも続いていくはずはない。やはりどこかで日本が試練を受ける時期がある。それはやはり日本の発展にバランスを取り戻すということですよ。そういうことですから、この機会に試練の時期だと考えて、あなたの言われるように徹底的な処置を講じたらいいと思うのです。だから水俣湾も、ヘドロなんかの処理に対しても、将来に禍根を残さないようにヘドロも処理するし、水俣だけでなしにわれわれが全国の公共水域に対して環境の調査をやろうというのは、こうしてこの際、将来再び今日の事態を起こさないように、その禍根を根源から断っておきたいということなんですよ。それから健康の問題についても水俣について不安があるような人に対してはできるだけ広く検診をやって、そうして健康に対する不安を解消していくことが必要である。こういうときには小細工をしないことが必要ですよ。徹底的に、これは試練を受けたんだという考えのもとに思い切った処置を講ずることが必要である、そういうことで困難に立ち向かっていこうと考えておるわけでございます。その間にはいろいろなことがありますよ。それはやはり乗り切っていかなければ――やはりいつかは受ける試練でなかったか、そういう考えでございますから、どうか吉永委員も、あの優秀な熊本県人、日本の中においてもいままでいろいろな意味において歴史的な役割りを果たした名誉ある県でありますから、元気を落とさないように鼓舞していただきたいと願う次第であります。
#209
○吉永委員 ただいま小細工を罪さず、小細工を排して徹底的な処置を講じて、ほんとうにここは狂瀾を既倒にめぐらさなければならないと仰せられる副総理のおことばに満腔の信頼を寄せるものでございます。
 私は、とかく政府・自民党の政治に信頼が薄れがちであったと昨今の状態を見ております。あながち政府・自民党だけでなくして、野党諸君の立場も含めまして、あまりにも小細工を弄し過ぎる。ほんとうに国家の推進力になる、国家の建設に邁進するというそうした意欲が一体となって国会を包む、そういうものが出てこなければうそだと思ってまいったのでございまするが、ただいまおっしゃいましたように、ほんとうに小細工じゃなくて、徹底的な施策をやる。公害ということに対しては日本が一つのかつてない試練の段階、試練の時期に立ったわけでございますが、これを徹底的に既倒にめぐらしていただくということでございましたら、私は政治に対する国民の信頼というもの、政治というものはこういうものか、こんなに国民のためのものとしての政治があったのかというその立場を示せます。政治の権威を高揚するところの絶好の機会であろうと思っております。ぜひともただいま仰せのとおりに徹底的な御施策のほどをお願いを申し上げたいと存じておる次第でございます。
 先ごろちょっと、被害者というものに対しまして国家の恩典と申しまするか、補助施設がどのようになっておるかということを調べてみたわけでございます。被害者に対しましては、国家は補助金あるいは負担金、医療手帳とか医療費の支給とかあるいは公害防止事業費負担法に基づくところの被害者に対する救済措置、さらに今度は公害防止事業団を通じての交付金、その防止事業団は都道府県の知事を経て被害者に行くという組織、知事において公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法に基づく認定をした上で被害者に対してそのような恩典を及ぼすというようなこと、さらにまた反面には公害に係る無過失責任法によりまして損害賠償というものがおのずからそこに支給されていく、このような仕組みになっておるということを一応自分で図解をしてみたのでございまするが、この行き方、こういう方式というものが繁文縟礼と申しまするか、まことにややこしい。届け出の書類だけでも、数えてみますると八つになります。こういう行き方というものはもっと生きた行政指導、ストレートにできないものか、このように思っておる次第でございますが、いかがなものでございましょう。
#210
○三木国務大臣 今回、健康に対する被害補償制度というものを考えまして、国会に提案しておるわけでございますが、この制度が活用されてきますとややこしくなくなってくるわけでございます。端的に公害病の患者の人々に対する給付というものが非常に太い線でもっと単純になるわけでございまして、いまの場合のように社会保障制度の一環としてやりますと、社会保障制度というものはいろいろな面から積み上げていくものですから、吉永委員の御指摘のように、何か太い線で困っておる人に対してこれを救済したり補償したりするという線が非常に出にくいんですね、社会保障というのはこまごまあるから。そういうことで公害病に悩んでおる人たちをもっと端的に救済しようというのが今度の健康被害に対しての損害補償制度でありますが、これを将来はいろいろな生業の面にもこの制度を拡充するかあるいは別の制度をつくるか、御指摘のようにもっとわかりやすい単純明瞭な形で公害病患者に対しての救済に当たりたいと考えておる次第でございます。
#211
○吉永委員 昨日でございましたか、水銀またはPCBの汚染による被害漁業者等に対する緊急つなぎ融資措置について、第一が「水銀またはPCBの汚染による被害漁業者(漁協を含む。)に対し、その生活資金および経営資金につき、緊急つなぎ融資を行なうこととする。」第二、「貸付対象者は、水銀またはPCBの汚染により漁獲または漁獲物の販売が困難になったことにより、収入が著しく減少し、生活に支障をきたしている者とする。」第三、「その主要な貸付条件は、(一)貸付金利三・〇。パーセント(二)貸付限度五〇万円(五人世帯)(三)償還期限五年以内(うちすえ置期間一年)とする。」第四が、「融資機関の基準金利八・五。パーセントと末端金利三・〇。パーセントとの金利差につき地方公共団体が利子補給した場合に、国はその六十五パーセントを補助する。なお、原因者が明確になったときは、当然原因者負担となる。」という応急の措置を講じられたわけでございます。
 このことでお尋ねをしたいのでございますが、チッソの場合をとってみますと、これはチッソの幹部から聞いたわけではございませんが、いろいろな新聞の方々から聞いたような状態で、あと大体三百人ぐらい出ましたときにおそらくチッソの負担能力というものはもうほとんど限界に達してくるというような事態を聞いております。もちろん企業の公害に対する負担の責任のあり方ということに関しましては、これは鉄則として貫かれなければならないと思いますが、現在環境庁それから通産省でおやりになっております全国のいわゆる汚染被害地域の調査の結果というものは、これはある程度の時日を要するかとも存じますが、たいへんなことになるのじゃなかろうか、このように考えておるわけでございます。漁民等の意向を聞きましても、あるいは漁業組合等の指導者の意向を聞きましても、現実の問題としましては、五百円の魚が五十円に売れておりません。三十円とか二十円とか、ほとんど運賃にも満たないような状態で売られておる。そういう状態で金利負担ということは実際上不可能なことでございます。とてもじゃございませんが、結局これは生活資金に消化されてしまうというのが大体の実情であろうかと思っております。
 このような状態を見まする場合に、さらに予見し得ざる将来の大がかりな被害者が予見される場合におきまして、私はこういうときこそ間髪を入れずに国家の予備費の中から支出さるべきではなかろうかということを考えておるわけでございます。予備費というのは、四十五年に約百億でありましたのが、四十六年はちょっと減りまして九十五億、四十七年は一けた上がりまして千百億、四十八年は二千三百億ということに相なっております。予見し得ざる事態とある程度予見のできる事態がございますが、私はこの予備費の款項目の使用許容限度にあると思います。この予備費の使用ということがこういうときには手っとり早くて一番緊急に間に合う、大事な局所にこれが充当できる、そのように考えるわけでございますが、その点についていかがお考えでございましょうか。
#212
○三木国務大臣 PPPの原則、これは国際的な原則にもなっておるわけでございます。それはなぜかといえば、公害の対策費を国が出して、そして製品が安くなってそれが輸出をされるということになれば、やはりフェアな競争でないという感じがあるわけですから、企業者がそういうものを負担しながら国際的に競争力を持つようにすることが公正な競争ではないかという考え方にこの原則は出てきておるわけですね。そういうわけでありますから、補償の問題で予備費の支出ということは政府の財政的資金ということになるわけですが、お話でございますけれども、この原則は政府はくずす意思はないのです。ただしかし、健康調査であるとか環境調査であるとか、いろんな応急的な措置、あるいはまた漁業者の場合においても低利の融資というものは――最終的にはやはり加害者が負担することになっておりますが、とりあえずのつなぎ資金というものは政府がいろんな機関を通じて出すわけです。こういうように、行政的にはあらゆることをしたいと思っているのですよ。ただしかし、補償の問題だけは、この原則をくずしますと日本の国内においてもけじめがつきませんし、これは国際的な大きなルールのようなものですから、それを日本がくずすということになれば、日本が公害のダンピングをしておる国であるというような汚名を受けないとも限りませんので、補償問題は加害者が負担するという原則はくずさない。しかし、それ以外の行政的な措置をとらなければならぬものは、予備費から支出しましてできるだけの措置を政府がとるというのが、政府の考え方でございます。
#213
○吉永委員 ただいま副総理から、事業者負担の原則はどこまでも貫く、これはしごくごもっともなことであろうかと思います。これは、いろんな意味で日本の企業というものは大きな試練に立っておると私は思います。しかも、その企業の社会的良心、社会的責務という自覚の上に立って、骨の髄まで経営理念というものをここで持たなければならぬ、そういう時期にきておると思っております。別にこらしめのためというわけでもございませんが、その方式はぜひとも貫いていただきとうございますが、予見し得る事態と申しますのは、その一企業が企業の全財産を投入いたしましても補償ができなくなる事態が私は必ずくるような気がいたします。そのような場合に、政府としましてはどのようなお考えでございましょう。
#214
○三木国務大臣 現在の段階として政府が考えておるのは、全力を尽くして加害者負担の原則を履行してもらう。それは、いま能力が欠けても、将来その事業というものが有望な事業であれば、今日の負債は長期にわたって償還することが可能な場合もございますし、金融機関も動員して、現在の企業があらゆる努力を傾けて原因者負担の原則を貫いてもらいたい、また、そうすることがこれからの企業者の企業経営の一つの態度でもある、こう考えておりますので、いまいろんな仮定を設けて、こういう場合ああいう場合ということで、その場合にいろいろ考えておりますというような立場に政府はないわけで、あらゆる努力をして加害者負担の原則というものは貫いてまいりたい、こう願うものでございます。
#215
○吉永委員 最後に一つだけお願いをかねてお伺い申し上げておきます。
 熊本の立場でございまするが、宇土の日本合成にいたしましても水俣のチッソにいたしましても、その他一、二怪しい工場もございまするけれども、この工場群というものが操業停止をするあるいは撤収をするというような事態になりまするというと、これはいわば角をためて牛を殺してしまうというようなことに相なることを私はおそれるものでございます。それでだに過疎県といたしまして、現在一年間に十七万人余の人が東京や大阪あたりに出かせぎに出ております。この点、政治の衝に携わります現地の者としまして非常に苦慮をするところでございます。熊本にそれだけのまじめな堅実な遊休労働力がある、いままでの工場がわずかばかりであった、しかるにもかかわらず十七万の人がどんどん出かせぎに出かけていく、それが現況でございます。できればこのことにこりずに公害のない工場、これは工業再配置法に基づいてけっこうでございますが、そういうものはどしどしこの県に誘致しなければならない。それでなかったら、過疎地ということで、ちょうど田中正造先生の足尾銅山における谷中村と申しますか、あのように流民としてあるいは北海道にあるいはブラジルに行かざるを得ないという仕儀に立ち至る。先ほど副総理から健全で公害のない、ほんとうにいい産業がこれからの大きな活路として出発しなければならないというおことばがございましたが、熊本の場合にはそれが一番必要でございまして、そういう趣旨で現在打ちひしがれております熊本の漁民の方々あるいは農漁村の方々に対して大きく活を入れ、呼び水をやり、大きな希望の炎をかざしてあげるという立場から見ますときに、私は公害のない工場をできるだけ堅実にたくさん誘致をするということが喫緊の必要事であるし、また大きな希望を持たせるあかしになる、このように考えておる次第でございます。地元の者としましても精一ぱいの努力をいたしまするが、政府最高首脳の方々もこの点についてひとつぜひとも緊急の御援助をいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
#216
○三木国務大臣 熊本県の選出代議士として吉永議員が、熊本市の持っておる労働力あるいは県の持っておる経済力、そういう点から一切の公害問題で企業が熊本を引き揚げるようになったらたいへんだという心配は非常によくわかりますが、日本の企業はあの敗戦のどん底からここまで、世界と競争しても負けないだけの実力を持ってきたのですから、日本の企業はこの試練に私は耐えないものだとは思わぬのですよ。必ずやこの試練に耐えてさらに将来の発展をしていくような、いままでよりもずっと堅実な、国民の理解と支持を受けられるような堅実な形で企業は発展していくに違いないと思いますから、われわれもそういう工場に対しては注意をいたしますが、必ず日本の企業はこの試練を乗り切るものだと私は信じておるものでございます。
#217
○吉永委員 厚生省の方にひとつお伺いしておきます。
 先ほどちょっと触れましたが、魚が全然売れない。これは一種の恐怖症というか、食べない、売れないというような空気がびまんをしております。これは安全だという一つの宣言の基準はお示しになりましたけれども、どうしてこれから市場において、あるいは使用する個々人、店におきまして、安全なものだという証拠を一般に示されるか、そういう基準なり抱負なり、お考えがあるのかどうか、それを承りとうございます。
#218
○福田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生おっしゃいましたように、ただいまの状態では非常に不安が広がっておりまして、これを早期におさめましてすべて安全な魚が食卓にのぼり安心して食べられるという状態を一日も早くわれわれの努力でもたらさなければならないと思っております。そのためにはまずとりあえず汚染源を早くはっきりさせる、そして黒と白とをはっきり分けまして、黒のほうは早くふさいでしまってそこを浄化する、白のほうはどんどん流通過程に乗せるということが一番大事だろうと思います。そのために、環境庁のほうでも各省相寄りまして、七月一日から九月末日までの間に環境調査一般を早急に行なうことになっておりますけれども、それと並行いたしまして厚生省としましても生産市場の検査を直ちに実施いたします。そして調査の結果が出る前に少なくとも魚の流通ということに関しましては、その検査の済み次第順次公表していくということでもって対処してまいりたい。一日も早くそういう不安をなくする努力を懸命にいたしたいと思っております。
#219
○吉永委員 市場に出た魚は安全だと言えるようにするということでございますか。
#220
○福田説明員 そうです。
#221
○吉永委員 終わります。
#222
○佐野委員長 田中覚君。
#223
○田中(覚)委員 時間がございませんので、三、四点だけ問題を限りまして関係各省にお伺いをいたしたいと思います。
 その第一は、厚生省が発表せられました二回にわたる魚介類の水銀許容量、いわゆる安全メニューにつきまして、厚生省としては、PPMとかあるいは何ミリグラムといったような国民生活に直結しないような数字ではわかりにくかろうという趣旨をもちまして、魚何匹一週間これだけ食べてもよろしい、こういう配慮のもとになされたのでありますが、しかし当初の発表が逆に国民全体の大きな誤解を招いて、そのために九つの汚染されておるといわれておる水域ばかりでなく、全国的に津々浦々の魚に対しまして一極のいわゆるパニック的な現象を起こして、国民の消費生活に非常な不安と動揺を与えたばかりでなく、関係の漁業者あるいは関連の業者等に対しまして、不測の損害を与えたことはまことに遺憾であります。しかも第二回目に訂正の発表がございましたが、これによって国民あるいは関係業者がこれで一安心だという感じももちろん一部にはあったようでありますけれども、しかし結果的には、こういったどろなわ式の行政に対する国民の不信感というものがかなり根強く残ったような気がいたしまして、厚生省の責任はまことに重大である、かようにいわざるを得ないのであります。そういう意味におきまして、国民の信頼を回復するための対策というものを急速に講じてもらう必要があるわけでありますが、これに臨む厚生省の基本的な姿勢というか、そういったものをもし伺えたらまず最初に伺いたいと思います。
#224
○福田説明員 ただいま田中先生おっしゃいましたように、水銀の許容基準ということをきめます際に、従来この種の基準は学問的に非常にむずかしい問題もございまして、何ミリグラムであるとかあるいは何PPMであるとかいうような学問的な立場を貫いて、行政庁がそれをもって指導するあるいは規制するということが基本的な取り扱い方になっていたわけでございます。今度のいわゆる第三水俣病といわれるものが発生以来、私たちはいわゆる魚に対する恐怖というものがやはり潜在的に国民の間に広まっているということを身をもって痛感いたしておりまして、この点今度の基準をつくるにあたりましても、暫定的ではありますが、これを一日も早く国民の前にお出しして、安全な魚が安心して食べられるような状態にほんとうに一日も早くいたしたいということで作業に従事をしたわけでございますが、そのためには何ミリグラムであるとかあるいは何PPMということでは、国民、消費者の皆さんにも非常にわかりにくい。できたら、こういうものが何匹であるとかあるいはどれくらい食べたらいいかというような具体的な数字が目の前に浮かぶような方法でもってしたら一番痛切にわかるんじゃないかというような希望も非常に多かったわけでございます。私たちも、できるだけそういうような趣旨に沿った基準を発表したいということで念願していたわけでございます。
 先ほど、少し弁解がましくなりますけれども、一日も早くということで、六月一ぱいをその基準策定のめどにしていたわけでございますけれども、全国から集まっていらっしゃいます専門家の先生方の一日も早く結論を得たいと思いまして、去る二十三日及び二十四日の土曜、日曜日を当てまして、その結論を急いだわけでございます。先ほど申し上げました趣旨から、週間摂取許容量、それからそれを担保いたしますために、個々のいわゆるPPMというものを、十分の安全率をもってきめたわけでございますが、それを発表するに際しまして、先ほどの趣旨から、何PPMを何ミリグラムにする、あるいは何ミリグラムから何匹に換算するという作業も、この早々の間にやったわけでございます。そのときに一応前提を置きまして、〇・三PPMというのがメチル水銀濃度の規制値でございますけれども、魚全部が〇・三PPMぎりぎりまでよごれていた場合にどれくらい食べられるか。逆にいいますと、それだけはどういうような魚でも食べられるんだ、それ以上になれば――それ以下の含有量、いわゆる含まれてないという魚なら、ばもちろんそれ以上に食べられるというような意味をもちまして〇・三ぎりぎりまでよごれている場合、たとえばアジにいたしますと十二匹食べられるというような考え方であれをつくったわけでございますが、先生おっしゃいますように、それがいかにも十二匹しか食べられないというような逆の感じを与えていた、これはおそらく表現のしかた等についても不適切なところがあったものと思っております。その結果、おっしゃるような事態を回避しますためにも、われわれはその説明を十分補わなければいけないということで、その後いわゆる実測値をもちまして、これは四十五年から四十七年にわたります厚生省及び環境庁の調査によります魚の実測値でございますけれども、これをもって実測値の平均で行ないますと、〇・〇八PPMというメチル水銀濃度になるわけでございますので、少なくともいわゆる調査した地点がいずれも汚染されていると思われる地点でございますけれども、そういうような地点の魚が出回っていても平均〇・〇八PPMである、そうとすれば、〇・三PPMから見ればかなり低い濃度になっているので、そういう計算をすればこうなるんだということを第二回目に追加して説明の補充をしたわけでございます。したがいまして、基準そのものは緩和もいたしておりませんし、週間摂取許容量及びPPMについては当初のとおりでございます。ただ、そういうようなことが、私どもの事務的な配慮の不足からそういう事態になってまいりましたことは深く反省をしておりますし、今後すみやかにこの事態を直してまいりたいと思っております。そのために、今後こういうような手引きにつきましても、早急に現在内閣の専門官のほうにもお願いいたしまして、もっとほんとうの趣旨がわかりいいような手引きをつくるということで準備しておりますし、さらに行政的な措置といたしましては、とにかく市場に出回る魚が規制値を越えないものが出回る、そしてそれがどこのものであるかはっきりわかる、そのために産地市場におきまして厳重な検査をいたしまして、合格したものが出ていくというような措置を早急にとりたいと思っております。その準備を各省とも協議いたしまして、直ちに始めたいと思っているわけでございます。
#225
○田中(覚)委員 その間の事情はよく聞かしていただきましたが、要するに国民の目から見ると、今回の措置をめぐる厚生省のやり方というのはいかにも周章ろうばいをしているという感を免れませんので、今後まだいろいろな事態の発生も予想されるところから、いかなる事態に対処してもひとつ権威ある数字を、あとから訂正せぬでもいいようにその準備をぜひ整えてもらいたい。
 それから同時に、いまお話しのように、これから産地市場で常時魚の検査体制をしいて含有水銀の測定をするということをおやりいただくようでありますが、これは結局地方自治団体に相当の負担がかかると思います。現にそれぞれの県におきまして、自県産の魚の安全を宣言するために分析などの一斉開始をしておるようでありますが、自分の県の持っておる専門家あるいは機材では分析ができないというようなことで、特定の専門機関に分析を依頼をするというような事例も相当出ておるようでありまして、こういう事態になりますと地方自治体の財源というものをかなり国のほうでめんどうを見てもらわないといかぬのじゃないか。昨日ですか、自治省のほうからも交付税で人件費に百四十億ですか事業費に百九十億というふうに伺いましたが、これは間違いのない数字かどうか。交付税に算入しておるというお話でございますが、おそらくこの数字は今日のこういう事態を予想しない措置であろうと推察をいたしますので、全国的にこういう状態になれば当然に地方の財源対策を特別考えてもらう必要があると考えておりますが、この点につきまして簡単に結論だけでけっこうですから、伺うことができればありがたいと思います。
#226
○福原説明員 生産市場の常時検査等が行なわれますと、それに要します機械器具の問題あるいは職員の問題等が当然出てくるわけでございまして、一応現在の地方財政計画におきましても公害対策経費といたしましてかなりのものを計上いたしておりますが、もちろんそれによって十分にまかなわれるとは考えられないわけでございまして、厚生省はじめ関係各省の積極的な施策と相まちまして、地方自治体に要します財源につきましても自治省といたしまして十分配慮してまいりたい、このように考えております。
#227
○田中(覚)委員 私は次にお伺いいたしたいのは、いま申し上げたように、厚生省の発表だけが原因だとは言いませんけれども、今回のこういう一連の騒ぎによりまして汚染されておらない水域の魚介類が市場で汚染水域の魚介類と同一視されて、そのために価格が非常な値下がりをする、あるいはそのために荷が動かなくなる、市が立たない、仲買いも休むというような現象がかなり全国的に起きておるようであります。私の県では、もらい公害ということばがありますが、これは一種のもらい公害である。本来汚染されておるという心配のない魚までが巻き添えを食らって同じようにそういう被害を受けておる。これは結局汚染水域のように原因者が工場とか企業とかというわけにはいかぬわけでありますからしりの持っていきようがないわけであります。ただいま聞くところによりますと、県によりましては漁業者が相当騒いで、県に対して特別の対策を強く要求しているというような状況にあるようでありますが、これは本来からいえば当然国がめんどうを見るべきものじゃなかろうか、こう思うのでありますが、これについての関係省の御所見なり対策をお伺いをいたします。特に私が聞くところによりますと、先般閣議決定をされました水銀だとかPCBの汚染による被害漁業者等に対する融資の緊急措置はとりあえず汚染九水域だけしか適用されないというようにも仄聞をしたのでありますが、もしそういうことになりますとたいへんな片手落ちである。一種のパニック現象が起きて、汚染されておるといなとにかかわらず魚の値下がり、荷動きの停止等から起きる一連の被害が全国的に起きておるわけでありますから、当然こういう緊急融資の措置は全国的に適用をさるべきもの、かように考えておりますが、その点も含めましてお答えをいただきたいと思います。
#228
○増満説明員 今回の天災融資法に準じます三分のつなぎ資金、これは先生お話がございましたように、緊急を要します水銀、PCBの汚染魚が出ました水域あるいはその周辺の水域ということで考えております。その他の地域におきます魚価の値下がり等のこともございますが、別途農林漁業金融公庫に沿岸漁業経営安定資金という制度もございますし、十分県のほうとも協議してまいりたい、そういうふうに思っております。
#229
○田中(覚)委員 その点はむしろ、ほんとうに原因がないのに被害だけを受けたということでありまして、いまの一連の騒ぎの中で起きておる被害でありますから、それについて三分の融資、しかもあとで国が一部財源措置をする、この緊急対策の恩恵が受けられないというのはいかにも片手落ちのように思いますが、いかがでしょうか。
#230
○増満説明員 非常に緊急を要するということで激甚災に匹敵するような生活または経営に非常に支障を与えるというような対象者につきまして貸していこうということで考えておりますが、なお実態をよく調査しまして検討したいと思います。
#231
○田中(覚)委員 緊急を要する点においては全く区別をする理由はないわけです。現にもう休業をしておる、関係県の県庁に漁民が押し寄せておるというような状況でありますので、これは緊急性においては変わりはない。同じ騒ぎの中で起きたことであり、しかも政府の不手ぎわ等が大きく影響して被害を受けておる面も相当あるわけでありますから、この点はひとつとくと関係者の間で御相談をいただいて、緊急でないということは全くないわけですから、そういう認識はこの際是正をしていただいて、国としての責任ある対策をとってもらいたい、もう一度お答えをいただきたいと思います。
#232
○増満説明員 お答えをいたします。
 先生の御趣旨を体しまして検討してまいりたいと思います。
#233
○田中(覚)委員 なおこれに関連して伺っておきたいのですが、水産庁の調査の結果では、大体汚染度の高い魚は発生源の近くでとれた魚のほうが高いという結果が出ているというようなお話でございますが、一部回遊魚ですね。どこで汚染をされたかわからない。またカツオとかマグロのような外海産の魚介類、こういったものはいわゆる人為的な汚染に必ずしもよらないわけでありますが、これは今回の騒ぎの中で値下がりの被害を受けたりいろいろしておるわけでありますが、こういった原因者に対して責任の追及のできないような漁業者の被害に対しまして、国として今後どのように一体対処されるのか。これは私の個人的な考えですが、いま国のほうで準備をしておられる健康被害の損害補償法の中で、いわゆる非特定疾患に対して考えられておるような構想がこういう場合にも、将来考えられないといけないのではないかというような感じもするわけでございますが、これはほんの思いつきでございまして、いずれにしてもこういう原因者に対して責任の追及のできない、しかしこういう騒ぎの中で相当被害を受けているこういったものに対する対策について御所見を承りたいと思います。
#234
○前田説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、特に今回の問題に限らず、油の問題にいたしましてもまた赤潮の問題にいたしましても、今回のいわゆる重金属等の問題にいたしましても、いろいろ原因不明者によりますところの漁業被害というのが最近とみに多発している次第でございます。この点につきまして、特に油、赤潮、重金属類ということで何らか基金的なものをつくって、このいままで泣き寝入りをしている漁業者の救済をはからなければならないというふうな必要性も十分感じておりますので、現在内部的にまた関係各省ともいろいろ検討中でございます。
#235
○田中(覚)委員 今度は観点を変えまして、文部省にちょっと伺いたいと思います。
 きのうの御説明でございましたか、国立大学における公害病の研究医療体制の強化についてのお話がいろいろございましたが、そのお話を承っておりますと、従来あるところの科学研究費ですか、この予算の増額をはかると同時に、その適切な運用によって対処をしたい。同時にまた国立大学に健康調査だとかあるいは検診に協力をさせるというようなことで当面いきたいというお話がございましたが、これにつきまして、これだけ全国的に大きな問題に公害問題もなってきておりますし、ことに人間環境の保全という観点から、長期的また国際的に対処していかなければならぬという大きな課題でもありますので、単に従来からの科学研究費の増額等の措置ばかりでなしに、大学に、ことに地方の大学、熊本大学なんかも一つの例だと思いますし、私どもの三重大学なども従来からそういう産業医学研究所などを持ってやっておりますけれども、こういった地方の大学に公害学科というかあるいは公害学部といいますか、名前はどうでもいいのでありますが、そういったものをむしろ設置して、公害に関する専門的な人材の養成もはかっていくといったような前向きの姿勢をひとつこの際打ち出してもらえないものか。少なくとも四十九年度の予算等におきまして、いきなり学科とか学部まではいかぬでも、講座ぐらいの新設をして、地方の大学が真剣にこういう問題に取り組んでおる、そういう体制を強化するというふうなことがお考えいただけないものかどうか、ひとつ伺いたいと思います。
#236
○手塚説明員 お答え申し上げます。
 昨日申し上げましたように、科学研究費ももちろん増額し、その適切な運用もいたしますと同時に、研究面におきましては新しくいろいろ研究施設を設けたり研究所を設けたりして、あるいは既存の研究所、研究施設の部門の拡充をいたしたりいたしまして、こういうふうな問題につきましては特に社会的要請の非常に強い重要な分野として重点的に整備をはかる考えを進めております。
 本年度におきましても、そういうふうなことは実際上かなりの数にのぼる拡充をはかっておりますし、またそれから昨日は教育問題は特に申し上げませんでしたが、学科等につきましては、四十八年度に二学科新設しております。そういう意味におきまして、学科等の新設につきましても、こういうふうな環境問題に関しましては積極的に配慮するかまえをとっておりますし、その他環境問題は社会科学ももちろんですが、それ以上に、当面は自然科学関係の、たとえば理学部でございましても工学部、医学部、薬学部、農学部、ほとんど全部の学部にそれぞれこういうふうな関連の問題がございますし、しかもそれが総合的に全部にかかわり合うような幅の広い問題でございます。そういう人材養成につきましても、いきなり学部といいますよりは、ある学科を中心とするとか、ある講座を中心として、こういうような総合的な教育研究体制をできるだけ強化する方向につきましては、できるだけ重点的に配慮したいというふうに考えております。
 先生おっしゃいましたような地方大学等で、そういうふうな適切な計画があるもので十分熟したものにつきましては、その教育研究体制の整備をはかることにつきましては、文部省といたしましてはここ数年来かなり前向きに対処しておるつもりでございますが、今後ともそういう方向を堅持してまいりたいと思っております。
#237
○田中(覚)委員 時間がございませんので、最後にもう一つだけ。
 熊本の水俣病に関連をいたしまして出されておる要望事項について、関係各省から具体的な考え方や対策を昨日またきょうの質問を通じて承ったわけでありますが、補償費とか福祉事業あるいは事務費、こういったものにつきましては環境庁のほうでいま提案準備中の健康被害にかかる被害補償法の中で、一応負担区分をはっきり予定をされておりますね。水俣病の場合はかなり特殊な事情が内在しておるように思われるのでありますが、この負担区分については、いま少なくとも健康被害に関する部分につきまして環境庁が提案準備中の法律で考えておる負担区分によってこの水俣病対策も処理されるのか、あるいはこの水俣病につきましては何か特別に御考慮をいただけるものか、その辺のところをちょっとひとつお聞かせいただきたいと思います。
#238
○船後政府委員 現在公害健康被害補償法案を国会に提出いたしておりますが、この法案におきましては、現在の水俣病あるいはイタイイタイ病のようないわゆる特定疾患は第二種地域にかかわる疾病ということになるわけでございまして、したがいまして、この法律が成立いたしますと、現行特別措置法が廃止になりまして、水俣病も新しい法律によるところの第二種地域にかかわる疾病に指定されるわけでございます。したがいまして、水俣病の認定あるいは医療費、障害補償費等の給付に要する事務費につきましては、国及び地方公共団体の折半負担、給付費につきましては原因者である企業の負担、それから福祉事業につきましては原因者の負担と地方公共団体の負担、こういうことになるわけでございます。
#239
○田中(覚)委員 そうしますと、要するに一般的ないまの法律で予定しておる原則によって処理する、こういうふうに理解していいわけですね。この法律の施行になるまでの間の経過的な措置も同様に考えていいのでございましょうか。
#240
○船後政府委員 現行特別措置法が存続いたします限りは、特別措置法による認定ということになるわけでして、この認定の事務費は、御承知のとおり、これが政令市で行ないます場合と県で行ないます場合とで二者負担もしくは三者負担になっておるわけでして、特別措置法があります限りは、いろいろな事務費の負担区分は現行どおり、それから給付費のほうはもちろん原因企業が損害賠償をいたしておりますのですべて企業の負担と、こういうことになっておるわけでございます。
#241
○田中(覚)委員 時間が参りましたので、これで質問を終わります。
#242
○佐野委員長 次回は、来たる六月二十九日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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