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1972/07/19 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第41号
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1972/07/19 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第41号

#1
第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第41号
昭和四十八年七月十九日(木曜日)
    午前十一時二分開議
 出席委員
   委員長 佐野 憲治君
   理事 菅波  茂君 理事 登坂重次郎君
   理事 林  義郎君 理事 渡部 恒三君
   理事 小林 信一君 理事 島本 虎三君
   理事 中島 武敏君
      小澤 太郎君    染谷  誠君
      阿部未喜男君    土井たか子君
      木下 元二君    岡本 富夫君
      坂口  力君    小宮 武喜君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 三木 武夫君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       城戸 謙次君
        環境庁企画調整
        局長      船後 正道君
 委員外の出席者
        環境庁長官官房
        審議官     橋本 道夫君
        環境庁企画調整
        局公害保健課長 山本 宜正君
        環境庁大気保全
        局企画課長   河野 義男君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
七月十八日
 国立公園十和田湖の自然保護に関する請願(大
 橋敏雄君紹介)(第九四七〇号)
 同(沖本泰幸君紹介)(第九四七一号)
 同(大久保直彦君紹介)(第九九六七号)
 同(近江巳記夫君紹介)(第九九六八号)
 同(坂井弘一君紹介)(第九九六九号)
 同(鈴切康雄君紹介)(第九九七〇号)
 同(広沢直樹君紹介)(第九九七一号)
 同(矢野絢也君紹介)(第九九七二号)
 東京湾の埋立て中止による干潟の保全に関する
 請願(江田三郎君紹介)(第九四七三号)
 同(橋本龍太郎君紹介)(第九四七四号)
 魚介類汚染対策に関する請願(下平正一君紹
 介)(第九四七五号)
 同(原茂君紹介)(第九四七六号)
 PCB、水銀汚染防止に関する請願(鯨岡兵輔
 君紹介)(第九四七七号)
 同(大久保直彦君紹介)(第九九六六号)
 水俣病対策の確立に関する請願(園田直君紹
 介)(第九六五九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
七月十八日
 PCB公害防止対策に関する陳情書(田辺市議
 会議長久保義郎)(第六三八号)
 魚介類汚染による緊急対策に関する陳情書外九
 件(茨木市議会議長山田夘三郎外九名)(第六
 三九号)
 琵琶湖の汚染防止に関する陳情書(滋賀県議会
 議長脇坂栄二)(第六四〇号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公害健康被害補償法案(内閣提出第一二三号)
     ――――◇―――――
#2
○佐野委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出の公害健康被害補償法案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中島武敏君。
#3
○中島委員 きのうに引き続いて質問をいたします。
 障害補償費のことに関してなんですが、この障害補償標準基礎月額、これは政府としては一体幾らを予定されておられますか。
#4
○船後政府委員 障害補償費算定の基礎となる労働者の平均賃金といたしましては、全国労働者、これは全産業、全企業でございますが、それの男女別及び年齢、階層別の統計資料を用いたいと考えておりますが、これに最も適当なものは労働省が実施いたしております賃金構造基本統計調査でございます。
#5
○中島委員 額は、それを基礎とされるということですが、それの一〇〇%を予定されていらっしゃるのか、あるいは何%を予定されていらっしゃるのかということをお尋ねしたのです。
#6
○船後政府委員 この平均賃金の資料を用いまして障害補償費をはじく基礎となる金額を出すわけでございますが、その場合には、前回の先生の御質問にもお答えいたしましたように、中公審の答申で示されております線は、一方におきましては労災保険その他社会保険制度の給付水準であるいわゆる六〇%水準というものと、他方におきましては裁判例等で示されております水準というものとの中間あたりが妥当であろうという中公審の答申でございますので、その方向で検討いたしたいと考えております。
#7
○中島委員 なぜ一〇〇%支給という道をとらないのでしょうか。
#8
○船後政府委員 基礎としてどのようなレベルを選ぶかという点につきまして、中公審の審議過程におきまして、一方においてこれは民事責任を踏まえた補償ではございますけれども、やはり制度的に定型的、類型的に給付するというようなものでございますから、たとえば労働基準法における事業主の賠償責任とそれを制度化した労災保険制度というものとの間に六〇%という一つの水準があるというような事情を勘案し、他方におきましてはこの公害による被害というのは賃金労働者が職業上の地位に基づいて受けるであろう傷病とは違った面があるといったことを考えまして、労災の水準よりは高いのが妥当であろうという趣旨でございますので、私どももこの方向において考えたいと思っております。
#9
○中島委員 因果関係が明らかにあるということでこの障害補償費が出されるわけですから、因果関係がはっきりしていると申しましょうか、があるという限りにおいてはやはり民事責任を十分踏まえて出す、つまり少なくとも一〇〇%は出すというのがほんとうの筋じゃないでしょうか。
#10
○船後政府委員 この制度におきまして、特に第一種の地域でございますが、これも先般御説明いたしましたように、制度としての因果関係は指定地域、指定疾病及び暴露要件という三つの要件によって、いわば形式的、定型的に割り切っておるわけでございます。制度上はそのような因果関係の推定を基礎といたしまして公害病患者というものを認定するわけでございますが、それがいわゆる民事の場合において、たとえば裁判等におきましてそのまま法的な因果関係になるかどうか、これはまた別個の問題でございまして、裁判上の法的な因果関係とこの制度における因果関係の推定というものとは差があると考えております。
 なお、労災におきましても因果関係の点はもっとはっきりしておるわけでございまして、個々の労働者が職務上傷病にかかった場合には、労働基準法の規定によりまして事業主は無過失賠償責任がある。そういう労働基準法上の無過失賠償責任を踏まえて制度的に労災補償するというようなことになりますと、そこには賃金水準の六〇%というものを採用するわけでございます。
#11
○中島委員 「労働者の賃金水準その他の事情を考慮して、」という、その「その他の事情を考慮して、」というのはどういう意味でしょう。
#12
○船後政府委員 障害補償の給付基礎月額は労働者の賃金水準というものを有力なるよりどころにするわけでございますが、しかし先ほど私が申し上げましたように、この制度としての因果関係の割り切り、そういった特殊な事情がこの制度にはございます。そういった事情を考慮して定めたという趣旨でございます。
#13
○中島委員 老人の場合にはどうなります。
#14
○船後政府委員 通常、賃金統計は六十歳以上ということで一つの統計を設けておりますので、老人につきましてもこの階層によって基礎月額を定めたいと考えております。
#15
○中島委員 実際にはどの程度でありますか。
#16
○船後政府委員 これは四十七年の賃金構造基本統計調査でございますが、男子労働者の場合、六十歳以上になりますと、平均賃金の月額は七万五百円ということに相なっております。
#17
○中島委員 この問題に関連して、ランクは一体どれくらいのランクにするという考え方ですか。
#18
○船後政府委員 ランクの問題は二つございまして、一つは、年齢階層をどの程度のランクに分けるかということでございますが、この場合には大体五歳刻みというのを一つの目標といたしまして、なお十歳程度にこれをくくるかどうか、これらの技術的な点につきましては、中公審で御検討いただきたいと思っております。
 また、障害補償費には等級的な観念があるわけでございまして、その障害の程度に応じたランクというものにつきましては、労災保険あるいはその他の制度の例等を勘案しつつ、現在のところ三ないし四という症状のランクに分けるのが妥当ではなかろうかということで検討を進めております。
#19
○中島委員 そのランクは、最高一〇〇とした場合に最低は幾らになりましょうか。
#20
○船後政府委員 症状等級のランクの最重症のところを一〇〇とした場合に、あとをどの程度の割合にするかということにつきましては、四日市裁判におきましては最も重いのを一〇〇、次を五〇、その次を三〇、第四番目をゼロ、このようにいたしておる例もあるのでございますが、しかし、労災保険あるいは年金等におきましてはこれと違ったランクのウエートがあるわけでございまして、いずれにいたしましても、ランクの数をどうするか、また、あるランクに収容されますところの症状の程度というものをどの程度にまとめるかということとの相関関係がございますので、やはりこの点につきましても、症状等級のきめ方との関連から中公審で御検討願う予定でございます。
#21
○中島委員 どうも、あまり具体的なことは結局中公審の答申を得なければわからないというお話なんですが、これは差をあまりたくさん設けるというのはよくないと思うのですね。特に損害賠償という立場を踏まえるならば、労災などとはまるっきり違うと思うのです。そういう意味では、設けてもせいぜい二つ程度にすべきではないかと思うのです。そういうふうにはお考えにならないでしょうか。
#22
○船後政府委員 症状等級を考えます場合には、やはり労働能力の喪失あるいは日常生活の困難度といったような考え方が基礎になるわけでございまして、理論的に申せば、これは階段状をなして分布しているわけではございませんでして、普通のノルマルカーブでもって分布していると見るべきではございますが、しかし行政実務の点からいたしますと、あまりランクが多過ぎますと実際的ではございませんので、私どもとしましては、四日市等の例も勘案しつつ、三ないし四と考えておるのでございますけれども、御指摘のように、これらの点につきましては、実情というものを一方に置き、他方におきましては実際の運営ということを考えながらランクづけを考えていきたいと思っております。
#23
○中島委員 遺族補償費の問題について伺いたいのですが、遺族補償費の標準月額、これは幾らになりますか。
#24
○船後政府委員 遺族補償費の額につきましても、やはり障害補償の額と同様に全労働者の賃金水準というものを基礎に置くわけでございます。しかし、遺族補償の場合には、やはり死亡者が死亡しなかったとすれば通常支出するであろうという経費を差し引いて逸失利益等を算出するのが裁判例をはじめすべてを通ずる慣例でございますから、その部分を控除する必要があるわけでございます。そのようにいたしましてこの基礎月額を考えるのでございますが、そういった場合に、障害補償費と同様に八〇%という水準をまず考えまして、そして死亡しなかったならば支出するであろうという経費の割合、これは裁判におきましてもあるいは他制度におきましても大体三分の一程度というのが一つの水準でございますので、かりにこれを三割といたしますと、八割の七割ということで五六%ということも一つの線として考えられるのでございますけれども、遺族補償につきましては、障害補償よりは特に慰謝料的な要素を考える必要があるという考え方もございまして、初めの部分を一〇〇%に置きまして、それの七〇%、したがいまして、結論といたしましては七割というような給付水準が妥当ではないかというような考え方もあるわけでございまして、いずれにいたしましても、これらの点につきましてはさらに中公審でもって検討を続けていただきたいと考えております。
#25
○中島委員 中公審でやられるというのはわかりますけれども、政府の考えとしてはどっちをとられる考えですか。
#26
○船後政府委員 環境庁といたしましては、やはり遺族補償費の場合には特に慰謝料的な要素というものを重視する必要があろうと考えておりますので、でき得れば七割近い線ということでまとめたいと考えております。
#27
○中島委員 遺族補償の要件なんですが、たとえば結婚したらもう払わなくなるわけですね、この制度で書かれておりますことは。これはなぜそういうふうにされておられるのかということについて伺いたいのです。
#28
○船後政府委員 遺族補償費を制度的に支給いたします理由は、やはり被認定者の死亡によりまして残された遺族の生活の安定というところにあるわけでございますから、遺族補償を受ける遺族の範囲といたしましては、生計維持関係にあったということを中心に考えておるわけでございます。したがいまして、配偶者の一方が再婚いたしますれば、その時点から新たな生活が始まるわけでございますから、遺族補償費は、一応その方につきましてはそのときをもって打ち切る。ただし次順位者がおりますれば、それが転給されていくということになるわけでございます。
#29
○中島委員 損害賠償という考え方を貫くならば、結婚をしても遺族補償費が払われるのが当然だと思うのですね。私はむしろそういうふうにするべきではないかというふうに考えるのですが、いかがですか。
#30
○船後政府委員 遺族補償費を支給する趣旨が先ほど申し上げましたようなことでございますので、やはり配偶者につきましては再婚ということによって別の生活が始まるという時点でもって打ち切るべきである。したがいまして、その他の次順位以下の遺族がおりますれば、当然その者に遺族補償費が行くという体系をとるほうが妥当であると考えておるわけでございます。なおまた、遺族補償を受けておりまして、他に遺族補償費を受ける遺族がもういなくなったというような場合には、その際に遺族補償一時金というものを支給することといたしております。
#31
○中島委員 この法律が施行される前に死亡した場合に、遺族補償費は出るのでしょうか。
#32
○船後政府委員 この法律はこの法律施行の際に存する損害というものを対象といたしておりますから、法施行以前に死亡された方につきましては、制度としての補償給付は支給することはできません。
#33
○中島委員 しかしこれは非常に大きな問題ですね。遺族は生きているわけです。それで、この法律がかりに来年の七月一日に施行される、仮の話ですが、ということになるとする。六月の三十日になくなる。そうするとこれは遺族補償費は出ないわけですね。ところが七月一日の日に死んだ、なくなった、それは遺族補償費が出る。遺族は生きているわけであります。これは非常に大きな矛盾だと思うのですね。この問題を解決されようというふうなお考えはあるでしょうか。
#34
○船後政府委員 法律でもって制度的な給付を行ないます以上、どうしても法施行の前後におきまして御指摘のような問題が生ずることはやむを得ないと考えておるわけでございまして、やはりこの制度は法律でもって特定の者に費用負担させる、それによって得ました財源でもって給付をするという仕組みでございますから、法律施行日以後にある損害というものを対象とせざるを得ない。なお、法施行以前の損害につきましては、これは法律がなかった時期の状態でございますから、やはり通常の民事的解決のほかはないと考えております。
#35
○中島委員 これは法律上からいえばどうしてもそうなってしまう。しかし遺族にしてみれば、きのうなくなった遺族もきょうなくなった遺族にしても同じだという問題があるわけです。これを法律的に救済をするかあるいは別の方法で救済をするかというような意思はありませんか。
#36
○船後政府委員 法律をもって制度的な給付をする以上、法施行日前後の問題は本法のみならず労災保険につきましても法律施行のときに存したわけでございまして、この点につきましては法律的に解決することはできないと考えております。
#37
○中島委員 介護加算の問題について伺いたいと思うのです。これは一体幾らを予定されておられますか。
#38
○船後政府委員 介護加算は、介護を要する状態にあるということに着目いたしまして、特に重症の方に上積みをする給付でございますが、現行の介護手当では最高の場合に一万円でございます。この一万円という額は社会保障体系から一つの額が出ておるのでございますが、私どもはこの制度に関してはそれの二倍程度というものの介護加算を考えております。
#39
○中島委員 それをもっとうんと多くするということはできないでしょうか。もっと考え直してみる必要があるのじゃないかと思うのです。実際には公害病で非常に苦しんで、どうしても介護を必要とするという場合があるわけですね。ところがいまのお話ですと、現行の約二倍ぐらい、つまり二倍といいますと二万円ということでしょうか、ぐらいということになりますと、それでは実際にほんとうの介護を行なうことはできないわけです。この辺は考え直すという意思がおありかどうか、伺いたいと思います。
#40
○船後政府委員 金額につきましてはやはり一つのバランスというものがあるわけでございまして、私どもといたしましては現在、社会保障的な観点から、あるいは損害補償的な観点から実施されております諸制度における給付の額というものを勘案いたしまして、これに公害の特殊性を加味して、できるだけ有利な額というものを考えたいと存じておりますけれども、現在のところ二万円程度というのがやはりバランス上妥当な額ではないかと考えております。
#41
○中島委員 ごく最近ですが、きょう調印が予定されておりますイタイイタイ病の患者の皆さんと三井金属鉱業株式会社との間で、いま私が申し上げましたこの問題について調印されるということになっています。すでに合意を見ております。これによりますと、介護手当七万五千円、実質七万五千円、このことを三井金属は認めているわけであります。私は七万五千円が額として適当であるというふうには申すわけではありませんけれども、少なくとも介護には一人前の賃金、一人前の給料、それだけを払うというのが私は当然ではないかと思います。バランスということを言われましたけれども、実際にかかるのは人間一日分これだけはかかるわけですから、これをやはり盛り込む、そういう額にするという考え方をとらなければならないのじゃないか。いま申し上げましたようにイタイイタイ病の患者と三井金属との間での交渉妥結、これを実際に下回るというようなことは、現実の問題としてはきわめて不適当なことだと思うのです。どうでしょうか。
#42
○船後政府委員 イタイイタイ病患者と三井金属との協定の内容につきましては、私もけさの新聞で承知しただけでございまして、まだ詳細に存じておりません。しかしイタイイタイ病の例のほかに、最近妥結いたしました水俣病に関する例もあるわけでございまして、あるいは新潟水俣病に関する例もあるわけでございます。これらのいわゆる自主交渉と申しますか、加害者と被害者が直接民事の問題として解決するに際しましては、給付項目もそれぞればらばらでございますし、給付のレベルもばらばらでございます。しかしこれはやはりばらばらであるところにそれぞれの実情に即した具体的な解決がなされているものと私どもは考えるわけでございます。これに対しまして、この制度におきましては、やはり個々の特殊事情というものを一応捨象いたしまして定型的な給付をするというものでごいますので、イタイイタイ病あるいは水俣病等の例は参考にはさせていただきますけれども、そのものを直ちにこの制度に取り込むということは問題があろうかと考えております。
#43
○中島委員 実際に介護を必要とするという場合に、それではこの制度に期待している人たちの要求を満足させることができないと思うのです。それでもやはり二万円程度というふうに言い張られるわけですか。いまここで新しい制度を設けるという場合に、それはイタイイタイ病という個々の問題ではなくて、全国の患者の皆さんの期待にこたえる、そういうことこそいま必要だと思うのです。そういう点からいえば、私が申し上げましたイタイイタイ病の場合は一つのケースであります。しかし、そこにあらわれているものはやはり全国の公害病に苦しんでいる人たちの問題でもあるわけですから、そういう観点からもう一度これを見直してみたならば、この節二万円で介護ができるかどうか、これは道理だと思うのですね、不可能だと思うのです。ここでこの額をもっと引き上げるという方向、実際にかかる費用を支払うということが必要じゃないかと思うのです。これを妨げる理由というものは何かあるでしょうか。バランスということを聞いたけれども、これを妨げる理由は何かあるのでしょうか。
#44
○船後政府委員 先生はイタイイタイ病の例を言っておられるわけでございますけれども、他方水俣におきましては介護手当は別の角度でもって妥結しておるわけでございます。しかし、水俣の場合には、この介護手当のほかに、たとえば特別調整手当という給付項目がございまして、結局全体として補償額というものをながめますと、そこにはおのずから一つのバランスがあるのではないか、かように考えるわけでございます。ところで、この制度においていろいろな給付項目を定め、そのレベルを考えるにあたりましては、先ほど来申しておりますように、加害、被害というものの特殊事情というものを捨象いたしまして、平均的、定型的なところで給付項目を定めるというのでございますので、私どもは介護手当の額もまた療養手当の額あるいは障害補償費の額というもの等を総体といたしまして一つの給付レベルを考え、そして他事業におけると同様の制度的な給付レベルというものとのバランスを十分に考えてまいりたいと思っております。
#45
○中島委員 考え方としてはやはり私は納得できない。実際に必要とする額を支払うということが考えの中心にならなければならないんじゃないかと思います。これはイタイイタイとかあるいは水俣とかいう個々の問題ということではなくて、全体としての考え方の上からいってそうなければならないと思うのです。この富山における交渉の中で三井金属がどういうことを言っているか、三井金属はこういうことを言っております。それは、今度の契約を時限的なものにしてほしい、新しく法と政令ができることに期待をしているということを言っておるわけであります。つまり法できめられる給付が非常に安くできるという、そういう自信のあらわれでもあるし、また許さるべき企業としての態度でもないと思うのです。この点、長官、どうでしょう。こういうふうな企業の考え方、また企業の今度できる新しい制度についての期待がまさにそこにあるという、そしていまお話を聞きますと、介護手当は二万円程度を考えておる、どうお考えになりますか。今度できる制度というものはほんとうに国民の期待に沿うものでなければならない。ところが実際には企業は、もう自分のところは契約はするけれども、しかし、時限的なという意味は、今度の新しい制度ができるまでの間のものにしてくれ、そして今度新しくできるものでは低く押えてくれるに違いない、だからこの新しくできる法律と政令に期待をしておる、こういうふうに言っておるわけであります。これは私は二つの問題があると思う。一つは、企業の態度としてこういうことは一体どうなのか、許せる態度なのかどうか、それからまたこの法が持とうとしておるものが国民の期待にほんとうに沿えるものになっているかどうか、この二つの問題が提起されておるのだと思うのです。いかがでしょう。
#46
○船後政府委員 私は三井金属の当事者がどのようなことを言っておるかはよく存じておりませんが、ただ、この制度とそれから個々に民事的に解決されました額との関係について申し上げますと、特にイタイイタイ病のような場合には、これは第二種地域にかかわる疾病に相当するわけでございまして、これらにつきましてすでに補償が行なわれておりますれば、この制度といたしましてはその限度におきましては何らの給付もしない、ただ個々に民事的に解決されております補償の額がこの制度の給付よりも低いという場合には、この制度はその差額は行ないますけれども、原則といたしましては、大体民事的な解決というものに譲るという考え方でございます。
#47
○中島委員 長官、どうですか。
#48
○三木国務大臣 企業側としていろいろこの制度に対する評価はあろうと思いますけれども、この制度自体はやはり公害病の患者というものを中心にして患者に対するできるだけ迅速な補償の問題を解決をしたい、こういう法案の趣旨でありますから、企業側としてこの法案に対していろいろな評価をいたしましても、そのことがこの法案の本質自体に対して影響を持つものではないと思います。
#49
○中島委員 もっとりっぱな答弁が出てくるかと思いましたけれども、どうもそうじゃないですね。
 これに関連をしてもう一つ私は思うのですが、今度新しい制度でいろいろな給付がきまってくる、これに加えて実際はこれで満足ではない、いまの介護加算の問題にしましても、満足でないということは事実だと思うのですね。だとするならば、今度の新しい制度に加えて、それぞれの自治体で付加給付ができる、しかもその付加給付の財源は当然のことですが、企業から取る、こういう道を開くべきじゃないかと思うのです。どうでしょうか。
#50
○船後政府委員 地方公共団体におきまして、それぞれの実情に即しまして、この制度とはまた別に給付をおやりになるのは、この制度は何ら妨げるものではございません。
#51
○中島委員 認定問題について伺います。認定の効力の問題なんですが、現行法は認定時ですね、今度の新法の案は申請時となっておりますが、実際には病気はもっと前からあった、もっと前から公害にやられていたということを考えるならば、さらに進めて病気の初発時、ここから給付を行なうというのが正しいのではないかと思います。そういう意思がおありかどうか。
#52
○橋本説明員 いま先生の御質問の効力の問題でございますが、この制度におきましては御指摘のように申請時にさかのぼるということでございます。これは法律上の権利の問題を認定審査会で審査をするために受け付けたその日において、認定審査会があとで有効と認めたときに、その日から権利を発生するということでございまして、その前にさかのぼってやるということは、この制度では残念ながらできないという形でございます。
#53
○中島委員 その理由はどういうわけですか。
#54
○船後政府委員 これは制度としての給付でございますから、たとえば社会保険のように保険関係に入るというときからいわゆる受給資格が発生するという仕組みがとれないわけでございます。あくまでも被認定者の申請のときという時点から権利、義務の関係、この制度上の給付に関する権利、義務の関係を発生させるという仕組みをとらざるを得ないわけでございまして、医学的な意味における病気の初発ということにつきましては、これは時点の押え方というものが非常にむずかしく、確認できない問題でございます。したがいまして、指定地域における患者さんといたしましては、できるだけ早く申請をしていただくということが、法の趣旨に沿うものじゃないかと思っております。
#55
○中島委員 それはよくわかりませんね。よくわかりませんし、もっと救済を広くやるということから言えば、ここでそういうふうに法律できめればできることじゃありませんか。申請時じゃなくて、もっとさかのぼって、病気が実際に発生したときからを救済するということは、法律できめればできることじゃありませんか。
#56
○船後政府委員 いずれにいたしましても、これは法施行日以前にはさかのぼり得ないわけでございまして、法施行日以後の問題でございます。そういたしますと、法施行日以後におきまして指定地域、指定疾病を指定するわけでございますから、それ以後に患者さんの方々はすみやかに申請していただく。その申請の時点をもって権利、義務関係の時期、時点とみなすという制度をとるのが、この制度の運用といたしましては最も妥当な方法である、かように考えております。
#57
○中島委員 申請のときにはすでに指定地域の外に移っていた、指定地域外に移っていたという場合、しかし必要な要件は全部満たしているというときには、これはどこに申請することになりますか。
#58
○船後政府委員 認定は申請の当時に第一種地域内の区域内に住所を有しておるという場合に限るわけでございまして、ただ例外をなしますのが、指定地域に住所を有していなくとも、一定の要件に該当する通勤、通学をしておったという場合には、申請当時指定地域内に住所を有していなくとも申請ができるわけであります。それ以外の場合には申請ができないということになります。
#59
○中島委員 そのときにどこに申請するのですか。
#60
○船後政府委員 申請ができないということでございます。
#61
○中島委員 診療方針の問題について伺いたいのです。
 これは結局環境庁長官が定めるということになっているのですけれども――議論は省きます、時間の制約もありますので。私は、この問題に関しては、主治医が判断をする最も患者に必要と思う治療の方法、方針を加える、治療を行なうというのが妥当なのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
#62
○橋本説明員 御質問の趣旨は、主治医が判断をした治療は認めるべきであるということでございますが、この診療方針及び診療報酬の中で特別な治療指針を出そうというような考え方は全くございません。ただ基本的な診療方針の体系をどうきめるかというところの問題でございまして、この点につきましてはこの法律の施行までに診療方針体系をつくるべく、一つは現在社会医療調査というのを開始しようとしておりまして、現行救済法の対象となって治療しております患者さんの病気別の現在の健保の例による医療の実態を調べまして、特にこの点につきましては呼吸器系の疾患という点におきましては指定地域以外でもある疾患でございますから、特殊な疾患ではございません。そういう意味で、呼吸器系の疾患の場合には社会医療調査の結果というのが非常に具体的なその基礎になるというぐあいに考えております。
 そのほかの第二種の疾病につきましては、かなり特殊な病気でございますが、しかしこれとても社会医療ということでどれだけのことをやったかということがわかると思います。
 もう一方は主治医の意見を集めるということで、医師会を通じまして委託費を出しまして、現在の健康保険の診療でできないというような問題はどこにあるのかということを全部整理をいたしまして、その両者あわせて、公的医療としての労災の体系というのは、医療そのものとしてはこれと全く似た制度でございます。そのほうのことも勘案しながら、診療方針をきめたいというような考えを持っております。
#63
○中島委員 いまの答弁の、あとのほうの答弁は、つまり労災以上に診療方針を行なう、労災を下回らないというふうに理解していいですか。
#64
○橋本説明員 労災とこの医療との違いがどこにあるかという問題がございます。たとえば空気清浄化病棟等におきましては、労災法としてはこれを扱っていないというふうに承知しております。そういう特殊性のものはこのほうが新たなものが出てくるということであろうと思うのですが、ごく一般的な、いずれにあっても共通の医療というものにつきましては、やはり均衡問題も考える必要があろうかというふうに思います。
#65
○中島委員 費用の問題についてなんですが、この費用に対して協会に対して公費の補助金を出すということが述べられている。また地方自治体の事務費に関しても公費の負担が行なわれる。しかも公害福祉事業については企業は二分の一しか持たない。こういうふうになっているのですね。
 ところが企業はこの問題についてどう考えているかという問題ですが、企業はこの制度のことをこれは一種の保険だというふうに考えているわけであります。前に私が長官に質問をしたことがありますが、例の「商事法務」という雑誌に載った、経団連の常務理事菅元彦氏、この人がやはり同じようなことを述べているわけであります。今度の新しい賠償保障制度、これはどういう機能があるか、二つの機能がある。一つは紛争を抑止する効果がある。もう一つは経営の安定効果である。これはいわゆる民事責任の一部を免責されて肩がわりされる一種の保険のような効果があるということを述べているわけであります。
 これは経団連の責任ある人です。経団連の責任ある人がこういうことを述べている。私は、この制度について企業が保険だという感覚、こういう感覚を持って臨んでいること、これは全く違うと思います。こうあってはならないはずです。長官いかがですか。まず最初にこの問題について伺いたいと思います。
#66
○三木国務大臣 菅何がしという、それが私はこの制度に対する一般的な企業の取り組み方だとは思わないのです。やはり企業の側においてもいろんな人がおって、そういう菅何がしのような意見を持っておる人もおるわけですが、この制度の評価について一般的な企業の受け取り方は菅君と同じ見解だとは私は思わないのです。
#67
○中島委員 保険会社の事務費負担はだれが負担されますか。
#68
○船後政府委員 私は民間の生命保険なり損害保険につきましては詳しくございませんけれども、保険会社は保険料を集めて保険事故が生じた場合には保険給付をするということを営利事業として行なっておるわけでございます。したがいまして保険会社の事務に要する一切の費用というのは当然それは保険料の中に含まれている、こういうことになっておるわけでございます。
#69
○中島委員 国は補助いたしておりますか。
#70
○船後政府委員 通常の生命保険にいたしましても火災保険にいたしましてもこれは通常の経済行為でございますから何らの補助もございません。
#71
○中島委員 協会に国がなぜ補助をする必要があるでしょうか。企業は先ほどから申し上げているようにこういう考え方です。しかも責任ある人がこういう考え方を持って臨んでいる。なぜ公費を出さなければならない理由があるんですか。
#72
○船後政府委員 民間の私的保険に対しましてはこれは国と何ら関係がございませんから当然国の補助金あるいは公費というものはないわけでございます。しかし先生も御承知のとおり社会保険の体系ということになってまいりますと、健康保険にいたしましても、年金保険にいたしましても、それぞれ給付費のみならず事務費というものはすべて公費が入っておるわけでございまして、それはあくまでも健康保険なり年金保険の公的な性格あるいは社会保障的な性格というものに着目いたしまして、それぞれ実情に応じて公費を負担しておるというような仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、この制度は経団連の方がどのように受け取られておりましょうとも、これはもう保険制度では全くないわけでございまして、あくまでも公害被害者に対しまして迅速なる制度的救済をはかり、そのために原因者から汚染の寄与度に応じて賦課金を徴するという仕組みでございますから、保険の場合はどうであるからということはこの制度に何ら関係がないと考えております。
#73
○中島委員 つまり汚染者が、原因者が一〇〇%負担するのがほんとうじゃないでしょうかね。公費負担をここにかけるということは、やはり汚染者が責任をもって払うという立場からいうならば、公費負担ではなくて汚染者に一〇〇%負担させるということが当然ではないかと思うのです。
#74
○船後政府委員 汚染原因者が一〇〇%負担すべきであるというものの考え方は、これは給付の費用につきましてはすべて原因者の負担とするということでもって貫いておるわけでございます。しかしこの制度はあくまでも国が法律をつくり、そして被害者の迅速なる救済をはかるという国の公害行政に対する一つの責務というものからこの制度を組み立てておるわけでございますから、こういった制度の運営そのものに要する費用について公費を負担いたしますことは、汚染原因者が給付費用をすべて負担すべきであるという考え方と何ら矛盾するところはないわけでございまして、この点は労災保険あるいは一般の社会保険に対する国の事務費負担というものとほぼ似通ったような関係にあると考えております。
#75
○中島委員 これはあまり論争をしなくてももうはっきりしている問題ですけれども、公害の原因者が一〇〇%負担するということは私は当然なことだと思うのです。これは給付に関してはそうであるけれども、あとの事務費は国が持ってもよろしいというのではなくて、やはりなぜこういうことをしなければならなくなったのかということを考えるならば、いわばこれは何も国がそうしなければならないという理由はないわけであります。そういう制度を国が設けるということはこれは当然だと思うのですけれども、しかしそれら一切の給付だけではなくて運営にかかる費用も、やはり原因があってこういうことをやらなければならなくなったわけですから、原因者が持つというのが私は当然だと思うのですが、そういうふうにお考えにならないでしょうか。また公害福祉事業ということにつきましても、私はこれは当然じゃないかと思う。なぜこういうことをやらなければならないのかということの根本を考えれば、これはやはり企業の発生させた公害によって問題が生じてきているわけですから、そこが責任を持って一〇〇%出すというのはこれまた当然じゃないか。やはり公害をなくさなければなりませんし、公害によって痛められた健康の回復をはかるという責任はだれにあるか。これはやはり原因者に責任があることは間違いのないことだと思うのです。そういう点からいえば、これらの問題は全部企業が負担をするというそういう考え方こそが当然なんじゃないだろうかというように考えるわけです。
#76
○船後政府委員 この制度に公費がいかに負担すべきかということにつきましては、中公審でも大いに議論があったところでございまして、給付費用の面につきましても、たとえば公害が激化してこれによって健康被害が起こるというようなことにつきましては、単に企業の責任のみならずあるいは立地政策あるいは都市計画における国、地方公共団体の責任があるではないかというような議論もあったのではございますけれども、しかし私どもといたしましては、やはり直接に有害物質を排出したその原因者に負担を求める、それでもって給付をまかなうのが妥当であるということから、給付費用の一切につきましてはこれを原因者の負担とする体系をつくったわけでございます。この点は議論にわたって恐縮とは思いますけれども、労災保険の場合のごときは公害とは違いまして全く一つの職場というものの中におきましての事故でございます。そういったものにつきまして、現在給付費の一部あるいは事務費の一部につきましても公費負担が行なわれておるわけでございます。これにつきましても労働者保護といったような観点あるいは助成的な観点、あるいは国がこれを創設し管理しておる制度であるといったような観点から、現在公費による負担というものが一部行なわれておるわけでございまして、それらのことを勘案いたしますと、この制度におきまして国が一つの仕組みをつくりこれを企業に強制して金をとる、そういう制度を運営する費用そのものは、国及び地方公共団体の責務といたしまして、この事務費は折半負担するということは、いわゆるPPPに照らしましても差しつかえがない、かように私は考えております。
#77
○中島委員 私は違うと思いますが、きょう、ここでの論争は、これ以上やりません。
 次に、企業から賦課金を取るというだけではなくて、別の法律を定めるという問題が出されておりますが、この別の法律ができない間は企業が一〇〇%持つのでしょうか。
#78
○船後政府委員 この制度の費用負担は、あくまでもSO2あるいはNOxといったような有害物質の排出の量に応じて負担させるという考え方でございます。でございますから、現在客観的にこの大気の汚染に寄与しているものにつきましては、大規模な固定発生源のほかに、自動車等の移動発生源あるいは零細な固定発生源の全体としての寄与、これは無視し得ない率でございますから、これらから費用負担を求める。ただし、これはまことに申しわけないのでございますが、現段階におきましては、税制にも触れるようなこのような負担の求め方ということにつきまして結論を得ることが困難でございましたので、問題を四十九年度予算編成時に、税制等との関連も考えつつ結論を得ることにいたしたのでございます。
 この制度は、公布の日から一年以内に施行するということになっておりまして、この一年の間に、私どもは症状等級の問題とか地域指定の問題とか、種々の具体的な問題を詰めてまいりますと、その間におきまして、別の法律に定める賦課というものを確定いたしまして、それによって必要な財源を求めるわけでございますから、制度の実施には何ら差しつかえないと考えております。
#79
○中島委員 別の法律ができなかった場合には、どうなりましょうか。つまり、企業が必要な費用を一〇〇%持つということでしょうか。
#80
○船後政府委員 この法案の四十九条の第三項におきまして、第一種地域にかかる費用負担につきましては、汚染負荷量賦課金と、別に法律で定めるところにより徴収される金員の配分比率というものを定めておりますから、かりに、別に定める法律が法施行日までにできない、かように仮定いたしましても、すべてを汚染負荷量賦課金のほうに押しつけるということはできないわけでございます。
 なお、そのような事実がかりに摩擦的に生じたといたしますれば、この協会は借り入れ金規定がございますから、ごく短期間ならばそれでもって対処し得る道も考えられます。しかし、恒久的にはそれは対処し得ないわけでございます。
#81
○中島委員 企業がいやだ、この法律でこういうふうにきまりているじゃないか、それはいやだというふうに言った場合にはどうなりますか。これは論拠があると思うのですね。企業の側がいやだと言う論拠があると思うのです。そうした場合にどうなるかということです。
#82
○船後政府委員 企業全体としていやだということはないと私は確信いたしておりますけれども、しかし、この汚染負荷量賦課金の徴収は、これもまたある程度の制度的割り切りを行ないまして賦課するわけでございますから、個々の企業にとりましては、あるいは異論があるかもしれません。しかし、この汚染負荷量賦課金は、あくまで法律上強制徴収権のもとに徴収するものでございますから、最終的には国税滞納処分の例に準じても徴収するという仕組みになっておるわけでございます。
#83
○中島委員 いや、必要な額がありまして、しかも別に法律で定めるところも負担するということになっているわけですね。そうなんでしょう。そうした場合に、いまここでやっている法律が通る、ところが別の法律が通らないということになった場合には、先ほどのお話でも、一〇〇%企業に持たせるということではないわけでしょう。そうすると、必要な財源が足りなくなってくるということが当然あるわけですね。それを防ぐためには、借り入れ金というようなこともやるというお話でしたけれども、しかし、そんなことをするのはいやだというふうに企業が断わってしまうという場合には、財源不足のままになるのではないだろうかという質問なんですけれどもね。
#84
○船後政府委員 別に定める法律がかりに法施行の日までに間に合わないという場合に、それがごく短期間でございますれば、借り入れ金規定ということで一応資金的には泳げるわけでございますが、これは恒久的には絶対に泳げません。したがいまして、どうしても別に定める法律というものをつくりまして、国会の御審議を得まして、この制度が財政的に強固になるように私どもとしてはつとめますし、またお願いしなければならない点でございます。
#85
○中島委員 今度はこの別の法律のことに関してなんですが、主として移動発生源である自動車、これはどういう取り方をされる考えを持っていらっしゃるのかということを伺いたい。
#86
○船後政府委員 別に定める法律の対象となりますのは、代表的なものとしては自動車等の移動発生源がございますけれども、しかし、小規模な零細固定発生源もあるわけでございまして、個々の発生源をとってみますれば、自動車も、またそういった一般家庭も、排出量そのものといたしましては大差がないという性質のものでございます。そこで、こういう零細な発生源に、実情を無視して申しますれば、理論的には個々の汚染物質の排出量に応じて取るということになるわけでございますが、これはメーターを各自動車に備える、あるいは各家庭に備えるということは、技術的にも経済的にも不可能でございますから、それはできない。そういたしますと、あとは大気の汚染に対する寄与度をあらわすものとして何が一番妥当な尺度であるか、基準であるかということになってくるわけでございます。そこで、中公審の審議過程におきましては、一つのものさしといたしましては、そういう汚染物質が発生する原因物資であるところの原燃料というものに着目して取るというのが比較的妥当な近似的方法ではないかという御意見と、いま一つは、やはり個々に発生するものに着目して、自動車については、たとえば自動車重量税のように個々の自動車から税金を取るという仕組みがあるから、そういった仕組みに準じて取れるではないかというような御意見もあったわけでございます。しかし、いずれの案をとるにいたしましても、これは排出量そのものを正確にあらわすものでございますから、それぞれ長所、短所というものがあるわけでございます。さらにまた油にいたしましても、自動車にいたしましても、現行税制上かなり複雑な税体系になっておるわけでございまして、これらの税体系との関連も考えねばならないというような事情がございまして、結論を得るに至らなかったのでございますが、しかし、先ほども申しておりますように、別に定める法律によって賦課金を徴収しなければこの制度の財政は成り立たないわけでございますから、私どもは四十九年度予算編成時というのをデッドラインと考えまして、結論を得べく努力する所存であります。
#87
○中島委員 移動発生源である自動車の場合を考えてみた場合に、燃料に着目するかあるいは自動車重量税のようなことに着目するか、その二つのうちのいずれかをとる、答申自身がそうなっておるわけですけれども、これは自動車のメーカーに持たせるということも一つの考え方だと思うのです。私はどちらかといえば自動車のメーカーに負担させるという考え方がいいのじゃないかと思うのですが、この辺はいかがですか。
#88
○船後政府委員 中公審の答申におきましては、代表的な二つの方法を書き並べたのでございます。もちろん討議の過程におきましては、先生の御指摘のように、そもそも製品そのものに着目して、自動車という製品に着目して賦課金を取るという方法も考えられたのでございます。同じような発想を用いますれば、たとえば小型のボイラーでございますとかあるいは種々の汚染物質を出すようなストーブでございますとか、そういったものにも着目して取れるではないかというような発想もあったわけでございます。もちろんこれらの発想も含めまして、今後検討してまいりたいと考えております。
#89
○中島委員 時間も過ぎていることですから、これできょうは最後にしたいと思います。
 この法律の施行期日の問題なんですが、今度通ると仮定した場合、来年の七月。これは全国の患者の期待というようなことを考えると、この施行をもっと早めるというようなことができないかどうか。私どもはもっと早めてほしいと思いますが、いろんな過程では環境庁のほうからも、いや、年内に発足できるんだというようなことを言われた方もあるやに伺っておりますし、また来年の四月までには、もう三月一ぱいには施行できるようにしたいというようなことを言っておられるという話も私は聞いております。そういう話があったからこうだと言うんじゃありません。そうじゃなくて、国民の要望ということを考えるならば、施行の期日について再考してみるという気があるかどうか、これは長官の御答弁でしょうけれども……。
#90
○船後政府委員 長官がお答えいたします前に、私から事務的な御説明を申し上げたいと思います。
 私どもがこの制度の本格的な準備に着手いたしましたのは、昨年のいわゆる無過失損害賠償法案が成立いたしました以後でございまして、通常この種の賦課と給付とあわせ持つような制度をつくりますためには、従来の例ではやはり何年という年月がかかったのでございますが、問題の緊急性にかんがみまして、おそくはなりましたけれども、ようやくこの国会に間に合うように提出をした次第でございます。しかし、御指摘のように政令に譲っております事項がきわめて多いというのも、やはりこの制度の性格上、たとえば症状等級の問題でございますとか地域指定の基準でございますとか、こういった問題につきましてはなお専門的に詰めねばならぬ問題点が残されておるわけでございます。でございますので、私どもはそのためには最小限法律の成立以後一年の準備期間が要ると考えておりますけれども、もちろんこれは全国の被害者に待望されておる法律であろうと考えますので、私どもはできるだけ作業は急ぎたいとは考えておりますけれども、しかし年内に実施できるあるいは来年の四月にはできるということをこの段階ではお約束できないような事情にございます。
#91
○三木国務大臣 政令にゆだねておるような事項もたくさんあることは、なかなかやはり検討を要さなければならぬ問題が残されておることでもありますから、私としても七月というのは事務当局としてはもう少し時間をとりたかったのでしょうが、七月から実施したいと私は答弁をしたわけでございます。準備ができ次第、一日も早くこれを実施することは全患者の人々の希望でもありますから、できるだけ早めたいと思いますが、いまのところは七月と考えておる次第でございます。
#92
○中島委員 終わります。
#93
○佐野委員長 島本虎三君。
#94
○島本委員 これは長官もおりますが、今回この公害健康被害補償法案を提案した。いろいろいわれておりますが、時期が切迫してから出した。長年月、たとえば二年間ぐらい猶余があったにもかかわらず、そういうような状態で出した。出されたそのものを見ても、これはもう性格がはたして被害者の救済に重点を置いているのか、加害者の共同防衛組織的な自衛組織のほうに重点を置いているのか、いままでの質疑を聞いておっても何か私はもう疑問を感ずるようになってきた。この真の目的はどちらにあるのですか。長官。
#95
○三木国務大臣 公害問題に対して非常に見識を持たれておる島本委員は、そういうような疑問はひとつどうか晴らしてもらいたい。これはあくまでも公害病患者、しかも訴訟ということになれば長年月を要します、因果関係も明白でない場合もありますから、迅速に公害病の患者を救済をしたという趣旨、これがこの法案を、いろんなむずかしい問題を含んでおるにかかわらず国会に提出をいたしまして御審議の促進を願っておる理由でございます。
#96
○島本委員 早く救済したい、迅速に救済したい、裁判にかければ長くなるから、そのために低い率で、そしてこれでがまんせいというような意味が入っておるならば、これは決してほんとうの救済にはならない。司法裁判のほうへ行きなさい、そうでなければがまんしなさい、あめもしくはむち、その司法裁判のほうにいったら長くかかりますよ、これでどうですかという、こういうようないわば加害者の自衛組織のほうに重点が置かれるような、そういう意味は全然ないのかあるのか。またあってはならないと私どもは思っておるのですが、いままでの質疑の内容を聞いても、長官ももうその点感じているのじゃありませんか。それは一体どうなんでしょうかね。やればやるほど私はこの点に対して疑問を感じ、深くえぐればえぐるほどその中の血の色が資本家的な血の色に変わってきている、こういうようなにおいがするのでありますが、そういうようなおそれは全然ありませんか。
#97
○三木国務大臣 この法案はあくまでも患者側の立場に立って一日も早く補償の問題を解決したいということでございますから、鳥本委員が御指摘になるような加害者の共同防衛にわれわれが加担する考え方は毛頭ありません。
#98
○島本委員 そうあってはならないのです。しかし私は幾つかの疑念を長官を前にして言ってやらないと困るのです。
 と申しますのは、先般学識経験者による参考意見の聴取がありました、長官はおりませんでしたけれども。われわれはその意見を聞いたその中で、いろいろな大都市の不特定多数の排気ガス、自動車や工場の汚染の寄与率がわかるかどうか、寄与率の算出方法について伺ってみたのです。その際はっきりわかってきたのは環境庁では汚染寄与率を自動車工業会発行のものに基礎を置いてやっているということなんです。東京都は自分で調べておるわけです。もしこのような法律を出しても基本になるものは自動車工業会の都合のいいデータが基礎になっているとするならば、これはどっちのためにやるということになりましょうか。長官こういうような行政姿勢でいいでしょうか。
#99
○橋本説明員 いま御指摘のありました点は、私どもは費用の負担のルールをきめます場合に汚染に対する貢献度を一体どこに求めるかということでございますので、それにつきましては従来非常に資料が乏しかったわけでございますが、アメリカの環境保護庁が出したもの、それから日本の自動車につきましては、いま先生の御指摘のように、従来大気局が自動車について使いましたものは自動車工業会のものでございました。また中の一部にはアメリカの出したものでは日本の実測と合わないというものもございまして、一部はその日本の実測で補正しておりますが、何ぶんすべてのものを日本の実測でやるというところまでは時間的にとうてい無理であるということで計算をしたわけでございます。そういう御指摘もございますので、やはり将来できるだけ早く日本の実測に基づいてやるということはきわめて必要なことかと思います。実際の計算の成績から見ますと自動車工業会のものの数字を使ってやった場合には東京都下における窒素酸化物の放出量は約六割ということでございます。東京都は約七割といっております。東京都は環境庁は四割といっておるという御指摘がありましたが、あれは誤解でございまして、東京都だけの分について算出すれば約六割ということになります。四割弱という数字は東京湾全体の数字ということでございまして、汚染は広域的なものであるということで、東京都だけのもので判断すべきではない、かように考えております。
#100
○島本委員 自動車工業会はやはり工業会のためにいろいろデータを集めそれを利用しているのじゃないかと思うのです。真に公正妥当な、どこから突つかれてもいい、こういうような資料に基づいてやるのがやはり環境庁の態度でなければならないし、東京都がそれをやっているとするならばそれを参考にさせてもらうか、その資料によってやっても決して環境庁は恥ではないはずでありますが、そういうような点ではどうも環境庁の姿勢もまずよくない。それだけじゃないです。いま長官が言った答弁なんですが、加害者の共同防衛組織的に運営されてはならない、はっきりそう言ったし、私もそう思います。しかしこれはそういうような意味ではないならば、四日市の判決が出ましたが、その四日市判決、こういうような点では賃金の平均をとっているということでありますが、労災の、平均賃金の六割という基準、それから平均の基準をとって一〇〇%とするか一二〇%とするならいいが、八〇%として、これは被害者のための一つの基準であり、被害者のための支給であるということはどうしても私それは理解できないのです。一二〇%ならばそれは四日市の判決以上だということがいえると思うのです。八〇%で手厚くその点を十分に考えておりますということになるというようなその論理が私にはわからないのであります。幼稚にしてわからないのかもしれませんから、この際ことばではなく、わかるように説明してもらいたいと思います。これがわからないのでは、被害者のためだということを幾ら口をすっぱくして言われても納得できない。被害者のためなら一二〇%、四日市が一〇〇%なら一二〇%見てやって、今後四日市の判決以上の手厚い保護ができるのだから、あらためて民事訴訟のほうにいかなくてもいいだろうということが言えると思う。そうしないでおいて、八〇%にしておいて、手厚いのだという押しつけになるかそれでがまんせいというようなこういうようなやり方になるのじゃなかろうか、こう思うのでありますが、こうならないというそのメカニズムをはっきり教えてもらいたいのです。
#101
○船後政府委員 この制度の給付水準の考え方は中公審の答申で述べておるのでございます。中公審の考え方は一方におきましては、これは労災保険その他社会保険と同様に制度的な給付であるからそれらの水準を勘案する、このように申しております。例を労災保険にとりますと、これは労働基準法に基づくところの事業主の無過失責任というものを保険システムを用いまして制度的に補償しようという仕組みでございまして、この場合には個々の労働者の賃金に対しまして六〇%という給付水準をとっておるわけでございます。しかしこれが六〇%の給付水準をとっておるからといって、労災保険は労働者を保護する制度ではないと言えないわけでございまして、やはり一つの労働者を保護する制度といたしまして、労災保険は現在六〇%という給付水準のもとに補償しておるわけでございます。しかし労災におきましても、制度的な給付でございますから、やはり定型的、類型的な給付であって、個々の障害というものに着目いたしまして具体的に特別な損失があればそれはやはり当事者同士の交渉もしくは最終的には司法手続というような民事解決にゆだねておるわけでございます。こういう制度的な給付水準を一方に考えている。しかし他方におきましては、公害による被害はこれは四日市裁判でも述べておりますように、労働者のように契約関係にあるものとは違って、被害者は常時一方的に被害を受ける面もあるわけでございますから、このような特性というものも他方においては考える必要があるわけでございます。しかし労災のような災害におきましては因果関係は比較的明白でございます。ところがこの制度の中心をなす大気系の疾患におきましては、いわゆる非特異的疾患でございますから、個々に因果関係を確定することはきわめて困難でございますから、制度的な割り切りを行ないまして、一定要件のもとに患者を認定するという仕組みになっておるわけでございます。そのようなこの制度の特性及び公害の特性というものも他方に勘案いたしまして、そこで中公審は結論といたしまして社会保険に見られるような水準と裁判例で見られるような水準との中間において定めるのが妥当である、こう申しておるのでありまして、私どもも今後具体的にこの算定方法をきめるにあたりましては、この中公審答申の線に沿って検討してまいりたいと考えております。
#102
○島本委員 社会保険や裁判例によってやるのが妥当だと考えておる。問題はあなたの考え方なんです。みんなこれは中公審のほうへやってしまう。それならばあえて聞くけれども、大気系の疾患、いわゆる非特異的なものは特に困難だ。――東京は困難であるかもしれないが、川崎、四日市はどうなんですか。川崎、四日市の場合には裁判でほとんどこれが明確化されている。そういうような場合には、今後は明確にされたものに対しては手厚くなるけれども、黙っているのは東京並み、ほか並みに低く押えるという結果になるじゃありませんか。こういうようなことになりませんか。
#103
○船後政府委員 大気系の疾患の裁判例は四日市の磯津地区の被害者についてのみあるわけでございまして、川崎、尼崎等につきましては現在そのような判決例がないわけでございます。これらの場合に因果関係その他の立証がどの程度できるかという点につきましてはケース・バイ・ケースの問題とは思いますけれども、しかし四日市の磯津の場合のように非常に高濃度の汚染というものを客観的に立証する資料というものは川崎とか尼崎を一般的に考えますと、非常にむずかしいのではないかというふうに考えます。
#104
○島本委員 四日市の場合はもうすでに判例があるからそうだけれども、川崎や尼崎の場合はそうじゃないということをはっきり皆さんのほうで考えているわけですか。
#105
○船後政府委員 いやそれは裁判の問題でございまして、私どもは何らそのようなことは断定いたしておりません。ただ、川崎や尼崎のような場合には、因果関係を立証する点におきまして裁判上非常にむずかしい問題はあるのではないかと、かように考えております。
#106
○島本委員 コンビナートの場合はほとんどその点はわかるじゃありませんか。四日市がそうならば、コンビナートでやっているいわば大分のほうでも京葉工業地帯でも同じ形態でしょう。そういう多量に、大気汚染の非特異的なこういう状態にあるものに対しては、困難だからという理由でそれは低く見てある。しかしながらコンビナートのほうではもうすでに判決があったりしたところはりっぱに出ている。同じようなコンビナートがあるにもかかわらず、その辺はなべて全部下に見る、八〇%ぐらいに見る、こういうのだったら、はたしてこれは患者のため、被害者のためにあるということをはっきり自信を持って言えないじゃないか。自信を持って言えますか。言えるならもう一回聞きます。
#107
○船後政府委員 たとえば四日市の磯津地区以外の場所におきましても、当然因果関係の立証というものは裁判上できる、私はかように思っております。したがいまして、先生が御指摘のように、そういったコンビナートにおきまして、因果関係の問題も明白であり、かつまた特殊な損害というものがある場合には、これは当然今後といえども民事的な解決というものがあるわけでございまして、そのことはこの制度は何ら否定しているものではございません。
#108
○島本委員 その制度がそういうものじゃないというならば、今年の二月十四日に経団連の環境改善委員会から環境庁のほうに申し入れが来ておりますが、それはありますか。
#109
○船後政府委員 どのようなメモであったか、ちょっといま判明いたしておりません。
#110
○島本委員 二月十四日、経団連環境改善委員会がまとめて中公審や環境庁に申し入れた。その見解については皆さんのほうに聞きたいのですが、申し入れられたのですか、申し入れられないのですか。経団連は双方に申し入れたといっているのです、中公審や環境庁に。
#111
○船後政府委員 先生御指摘の資料というのは、中公審が昨年の年末に中間報告を発表いたしました以後、各方面から意見を聴取することにいたしまして、経団連あるいは患者代表といった各方面から意見を求めたのでありますが、その意見を求めました席上で経団連のほうから説明資料として配付されたものではなかろうか、かように考えております。
#112
○島本委員 その内容はわかっていますか。
#113
○橋本説明員 当時経団連の言いましたことは正確に全部は私は覚えておりませんが、概略をいま記憶をたどって申し上げますと、一つは指定地域につきまして社会的に問題のあるようなところからやってほしいということを申しておるわけでございます。それからこの認定につきましては非常に厳重にやってくれということを申しまして、特に公的医療機関だけにしぼって、そこでだけ審査をしてくれというような議論を申しておりました。それから給付の点につきましては、経団連はそのときには児童の問題を全く触れませんで、労災等を参考にしてきめてくれということを言っておりました。それからもう一点、費用の点におきましては、経団連は従来の救済法で二分の一公費は見られておった。そういうことを参考にして、少なくともいままでの法律で見ておった公費負担分くらいは参考として十分考えてくれるようにというようなことを申しておりました。また口頭ではございますが、燃料に対して負荷をするというのはいやだということを申しておる、大体以上が経団連が申しておった概要でございます。
#114
○島本委員 私の手元にある資料によると、二月の十四日に経団連の環境改善委員会がまとめて中公審や環境庁に申し入れた。「1 患者の認定やランク付けば厳正に行い、ずさんな認定を排除する必要がある、2 地域指定は資金規模と関連する重要な問題であるから、患者が多発し社会問題化している地域を重点的に指定することとし、機械的な指定によっていたずらに地域拡大を招くことは避けるべきだ、3 この制度の給付内容や給付水準にある程度慰謝料的な要素も加味する。補償費の給付水準は労災(所得の六〇%)と四日市判決(一〇〇%)の中間で検討する、4 公害の発生には企業以外の原因も寄与しており、大気汚染系疾病には一定の割合で自然発生患者も含まれるので、相当程度の公費負担は当然である、5 賦課金の徴収方法は汚染負荷量方式が望ましく、責任保険的な機能をもつこの制度の趣旨からいって公害発生への寄与度を考慮し、地域別に三〜四ランクの賦課料率の差を設ける。」こういうようなことであります。こういう五つの申し入れがある。今回出たのは、これと同じ要素じゃありませんか。そうするとほとんどが、経団連や企業防衛的な観念はありませんといっても、その要請にそっくりそのまま当てはまるじゃないですか。これは長官に聞いてもらいたいんだ。こういうような状態で出されておって、無理してこれをいろいろ操作して苦労しているのがいまの環境庁の姿なんだ。一体これはどういうことなんですか。いま私言ったのはうそであってほしいのです。こういうような実態はありませんか、ありましたか。
#115
○船後政府委員 ただいま先生が正確に文書を読み上げられましたのは、先ほど橋本君が記憶をたどって申し上げましたこととほぼ一致しておると思っております。
#116
○島本委員 じゃ経団連環境改善委員会から言ってきたのとそっくりなものをいま立法化して出したということになるじゃありませんか。これと違っている点、言ってごらんなさい。
#117
○船後政府委員 まず指定地域の定め方あるいは認定の運営の方針でございますが、これは私ども、経団連が申しておりますように何もかも財源の点ということに重点を置きまして、ともかく少なければ少ないほうがいいというような考え方でないことは先生もよく御承知のはずでございます。それから経団連は特に公費負担の導入を主張いたしておるわけでございまして、口頭説明におきましては、現行特別措置法においては給付費についても二分の一の公費の負担が行なわれておるのでありますから、こういった事情を勘案して、二分の一という現在実績をもとにして給付費についても公費負担を要望いたしたのでございますが、今回の法案におきましては給付費はすべて原因者の負担にしておるということになるわけでございます。
 なおまた給付水準の点につきましては、それは中間報告以後に意見を求めたわけでございまして、中公審の中間報告におきましても、労災保険等の水準と公害裁判の判決に見られる水準というものを勘案してきめろということを言っておりますから、経団連といたしましても、かねてから主張しておりましたような労災水準そのものということではなくて、やはり公害の特殊性に即してある程度給付レベルのアップということは考えていいという意見であったと思います。
#118
○島本委員 経団連の環境改善委員会を代表しての答弁はよくわかりました。それとそっくりだということです。
 そのあと、また問題があります。私としてはそれだけじゃないのです。制度が企業の安定のために、安全をはかるために結果的に必要だからこれを利用されるんだということ、そうなると、被害者のためにというよりも事業のためにということになる。それがおそろしいから、いまあえてこの問題を提起をしているのです。そのあとに四日市に起こった――四日市のことですから、その状況は皆さんよく知っていると思うのです。どういうような状態になっているか皆さんのほうがよく知っているでしょう。確かに昨年の七月二十四日に判決がありましたね。そうですね。その判決があったあと、磯津の住民、第二次訴訟派ですが、百四十人が、六社を相手に自主交渉を始めましたね。そして四十七年の九月一日から五回にわたって行ない、四十七年の十一月三十日に妥結しましたね。その妥結した金額は判決並みです。そしてその後、被害者救済を目的にする四日市市公害対策協議会というようなものが商工会議所を中心にしてでき上がりました。でき上がったのが四十七年十一月十三日でしょう。そして生活補給費として、死んだ人は三百六十万から八百万までを弔慰金として出す、生存者には一万円から四万円までを年金として出す、こういうふうにしてきめた。自主交渉派の八〇%の線でこれがきめられてあるわけです。先取りしてやった四日市のほうでは八〇%の線できめているのです。ちょうどそのあとを追って国のほうのいまのこの制度が発足しようとしておるのです。では四日市ではどういう現象が起きたか。結局患者と直接交渉は一切しないようにするということで申し入れを拒否するようなことが起こってきた。四十八年の二月八日に四日市の公害認定患者の会というのは九項目の要求を出したけれども、今度はその交渉に一切応じない、そして財団方式をとっているからその方面へ相談しなさいとみんなそっちのほうへやって拒否している、こういうのがいまの四日市の実態であります。結局は交渉拒否、責任回避のかっこうの口実をつくって加害企業に利用されているのがいまの実態なんです。これが公害健康被害補償法の先取りをしている四日市商工会議所を中心にした四日市市公害対策協議会協力財団の実態なわけであります。いま言ったようにしてもうすでに行なわれておる。判決のあとで八〇%の線でもうすでに地域で行なっている。そのあと国が認定するかのように、八〇%の線で公害健康被害補償法案というようなものを出してきた。業者のやっているものを追認する形で今回のこれが出されたことになるじゃありませんか。これが業者援護でないということにはっきりなるのですか。私はどうもその辺が不分明だと言うのです。環境庁が資料からこういうような制度まで全部いわゆる加害者側といわれるいまの企業側におんぶしなければならないのですか。この意見は環境庁長官に聞かせなければならない意見なんです。官僚に聞かしてもだめなんだ。ちゃんとこの意見は通産省のほうにすぐ素通りするようにできているのだから。こういうようなことになっているのです。いま三木長官は、はっきりこれは財界の要請にこたえるものではなく、加害者の共同防衛組織でもない、また加害者の自衛組織そのものとも思わない、こういうふうに言ったけれども、いまのような答弁からして、もうすでに先行してやっていた四日市では、そうじゃないというほうに傾いてしまっている。一体環境庁はどういうふうに見ておりますか。またこれと同じにならないことを明確にしない以上、私はこの問題に対しては重大な危惧を感じているのです。
#119
○船後政府委員 四日市における経過は、先生御承知のとおり昨年の七月に判決が出まして、その直後磯津地区の住民と第一コンビナートとの間で自主交渉が行なわれ、さらに磯津地区以外の四日市市の患者グループと四日市の企業グループとの間で交渉が進んでおるわけでございます。これらはいずれも四日市という特殊な場所における問題として、いわば民事的な解決として取り上げておられるわけでございまして、そのこと自体は私どもの制度とは関係はございません。
 なお四日市における患者グループと企業グループとの交渉につきましてはいろいろな事情があったようでございまして、なかなか進展を見ませんでしたけれども、最近県、市がその中に入りまして交渉の再開に持っていくように現在努力いたしていると聞いております。
#120
○島本委員 それは答弁にならないよ。これと同じような運営でないんだ、その理由はこうだからということでないとだめなんです。そっちのほうは私のほうでは関知しないと言ったって、もうすでに財界からの要請と同じような立案の骨子ができているじゃありませんか。要請と同じじゃありませんか。それでなぜ一〇〇%にしないんだと言っても、八〇%が妥当だ。妥当な根拠を何回言ってもメモを読むかのようにそれだけ繰り返して、責任は答申に載っているのだから答申を出したほうにある、こういうような逃げ方であります。どうもそれは私釈然とすることはできないわけであります。ほんとうに患者のためにある制度であるならば、それで満足できないような特殊性のあるものはその特殊性に限ってこれは民事裁判のほうへ、司法裁判のほうへ移行するのだ、これくらいの配慮があっていいのです。ところがこれだったら、みんな値切っている。四日市判決で出たこれの八〇%にして、いま先取りしたこの制度でやっているのは四日市だ。それの追認をしているのがこの法案じゃありませんか。だから、そうじゃないのだということをはっきり言ってくれというのです。
#121
○船後政府委員 四日市で現在行なわれております交渉は、磯津地区以外の四日市の患者グループと企業グループとの交渉でございまして、これに、こういった民事的な交渉に、現在緒につかんとしておるところでございますから行政的に介入する余地はないわけでございまして、やはり四日市における特殊事情に即しまして、それぞれ妥当なるところで早く問題が解決されますことを私どもとしては希望をするわけでございますし、またそういった話し合いが円滑に進められますようには県市も目下懸命の努力をしておるのでございます。したがいまして、この問題がどうなるかということと私どもの制度とは直接に関係はございません。
#122
○島本委員 少し意地悪いようですが、関係がないと言っていても、基礎になっている考え方とそれからそれはほとんど同じなんです。同じにしておいて先取り先行した四日市では、商工会議所のほうで判決の八〇%という線で押えようとしている。もう交渉にも応じておらない。今度の場合にも、いわゆる八〇%の線で立案の基礎を出している。皆さんのほうでそういうようなおそれがないのか。ありません。ないだけじゃわからない。こういうわけです。どうもどうも、私はもうわかりません。何回聞いてもわかりません。これはやはり平均賃金の水準は四日市並みの一〇〇%にすることはなぜだめなんですか。相手のほうじゃなく、こういう理由でだめだというのをひとつ……。
#123
○船後政府委員 その点につきましては私再度申し上げておりますように、これは制度的な給付でございますから、労災保険のようにこの制度と非常によく似ております制度の給付水準というのが一方におきましては一つのめどになるわけであります。労災におきましても、これは経営主との関係上弱いという労働者を保護するたてまえでつくられておる制度的な給付でありまして、そこにおきましてはすでに六〇%という水準になっておる。こういう事実が一つと、他方におきましては公害事犯におきましては労災とは違った面がある、あるいはその他の社会保障的給付とは違った面があるといったような事情を勘案するというような中公審のものの考え方につきましては、私どもも今後その方向で考えていくということを申しておるだけでございまして、やはり制度的に定型的な給付であって、特殊事情というものは加味し得ないこの制度の性格からいたしまして、私どもは判決例で示された給付水準と労災保険その他の社会保険の給付水準というものとの中間において妥当なる線を検討したいと考えております。
#124
○島本委員 長官は、大事なときにあなたはいなかったのです。もう一回やるのはだめだから、じゃ定型的、制度的であればなぜ一〇〇%を下回らなければならないのですか。
#125
○船後政府委員 定型的と申しますのは、やはり特殊事情というものは考慮できないわけでありまして、平均的にものを考えざるを得ない。かつまたこの制度の特性といたしましては、特に第一種地域につきましては、一定の地域の中にあって一定の居住要件を満たして指定疾病にかかっておるという患者はすべてこれを大気汚染の影響による認定患者とみなすというような制度的な割り切りをいたしておるわけでありまして、そういう面におきましては個別的な事情というものは考慮をする余地がないわけであります。さらにまた障害補償費の算定にあたりましても、個々の患者を考えますと、ある人は非常に高額の所得を取っておられる、他方ある人は無職である、またある人は所得があってもそれは利子所得その他であって、病気によって何ら影響をこうむらない、こういうさまざまな方を対象とする制度でございますから、平均的に考えまして、全国労働者の平均賃金を一つのめどとして考える、こういう制度でございますので、どこまでも他方において存するところの労災保険その他の制度的給付水準とのバランスというものを考える、しかし公害の特殊性もそこで加味するということで給付レベルを考えておるわけであります。
#126
○島本委員 労災と裁判の中間、定型的、制度的であればそれはやむを得ないのだ。個別的な事情はいろいろある。個別的な事情はいろいろあるならば、いままでの判決の一番上をとってやるのが現在の一番正しい態度じゃないですか。どうしても平均をとらなければならないという、平均をとって上がるならいいのです。平均をとったら下がるのです。まして、なぜ一〇〇%をとらないのか、それを聞いているのです。制度的な事情であるから、定型的、制度的、あくまでも特殊事情を加味してその平均的な傾向だ、幾ら何と言ったって、あらわれた結果は一〇〇%を下回るように、下回らせるためにこういう理屈をつけるのですか、じゃこれは。なぜ一〇〇%または一二〇%の線で出せないのですか。その点を言ってみてください。一二〇%にして出せという、じゃ出せない理由を言ってください。制度的に、定型的に言ってみてください。
#127
○船後政府委員 先ほど来申しておりますように、これは制度的な給付でございますから、やはり類似の労災保険その他社会保険体系における給付水準のレベルも踏まえまして考えねばならぬ点があるわけでございます。しかしそのようにいたしますと、その水準は賃金に対する六〇%という水準になるわけでございまして、これにつきましてももちろん六〇%がなぜ絶対に正しいのかという点につきましては種々問題があろうかと思いますが、しかし、労働基準法に対する制度的な給付としての労災保険がすでに六〇%の給付水準であるというのは一つの事実でございます。こういう事実が一方にある。他方におきまして公害事例におきましては労災と違った事情がある。それは雇用契約のもとにある労働者じゃないといったような事情があるわけでございますから、そういう事情を加味いたしますと、どうしても給付水準といたしましては、労災水準というものと判例の水準というものの中間が妥当であるという、この中公審の答申の線というものは私どもも妥当と考えて、この方向で今後作業してまりたいと考えております。
#128
○島本委員 それならばなおさらのことですが、労災の場合には雇用契約から職業上の危険の予知がある程度可能である。公害の場合には事業者からの直接的な利益は全然なくて、危険性の予知も不可能である。かてて加えて、単に同一の地域に住んでいるという関係だけにすぎない、このような被害者の立場の異なるものに着目して、賃金の平均どころか、それはもうやるならば関係ないのですから、臨時に雇う者のほうの賃金は高いのですから、もしそういうふうにして契約があってはっきりする人の場合にはそれは契約によってやって、無過失であるところのこの労災を適用する労働者ならそれはいいでしょう。全然関係ないのにその六割の労災を適用する、この考え方が正しいのだということは正しくないということです。何の関係あって、労働者でないのに労災法の適用を受けさせなければならないのですか。一体、それが高くつくならいいのです。低くつくところに問題がある。低くするための煩瑣な作業をしているのです。それだけですよ。やはりあなただって、幾ら言ったって低くついているのは事実だから、低くするためのそれは系統的な理屈づけをしているにすぎないのである、こういうようなことになるじゃありませんか。いま労働者は全部労災法の適用を受けなければならないのですか。そんな関係はないとおっしゃるならば、なぜ高いほうを押えられないか。妥当だというけれども、賃金の六〇%が少ないということはだれにもわかっている。制度的な給付は事実だ、あたりまえの話だ。雇用契約のない人にまでこれをかぶせるわけでしょう。何かその企業からは利益を受けていない人、これが住んでいるということの特殊性だけでこうむる被害でしょう。臨時に受けるならば、退職金から交通費から全部入れて一日の賃金を出さなければならない。むしろ雇用労働者じゃなくて、臨時の特定の技術者、こういうようなものを雇うものとして、平均賃金の二倍くらい出してやらぬと算定の基準にはならない。むしろ低く見るなんという考え方は使用者一辺倒、企業癒着以外の何ものでもない考え方だ、こういわれてもしようがないじゃありませんか。公害の場合には何の契約もないのですよ。それを契約があると同じ労災を適用しようとするこの考え方です。もし適用するとするならいいのです。全然関係ない人、その技術を買われ、その労働力を特に必要だと買われたならば、普通雇われている人の二倍、三倍の賃金で雇うのです。臨時です。そんならば、関係ない人ならば六〇%の二倍、なぜ一二〇%を認めないのですか。そういう計算方法だってあるじゃありませんか。それが被害者のためだといえるのですよ。そうでないと、またもう一回初めのほうの考え方、これに臓判ているのじゃないかといわざるを得ないわけです。やはりあなたは自分の考えが正しいというのですか。
#129
○船後政府委員 まず労働基準法と労災法の関係でございますが、労働者はある程度危険を予知しておるということでございます。これは事実上の問題として私はそうであろうと思います。しかし、労働基準法はあくまでも無過失損害賠償の対象でございまして、労働基準法は無過失責任でございます。したがいまして、労働者が危険を予知しておったからどうかということは、これは抗弁にならないわけでございまして、もし労働基準法の体系において労働災害が発生いたしますならば、これは労働者が予知しておるかいなかということにかかわりなく、事業主は全損害を賠償しなければならないということになっておるわけでございます。そういう労災法の体系におきまして、これを制度的に補償する労災保険は六〇%の水準であるということを私は申し上げておるわけでございます。また労働者は労働契約のもとにある。他方、公害の被害者は労働契約といったようなものはない。一方的に被害を受けるということばまさにそのとおりでございまして、そういう公害問題の特殊性があればこそ、私どもはいわゆる労災水準あるいは社会保険水準というものの水準よりも高い水準でこの給付レベルを考えておるわけでございます。
#130
○島本委員 なぜ高く考えられないかということなんですが、あなたの考え方は低く考えるほうに準拠してやってばかりいるからだめなんです。この法律を通すことはなお被害者に対する罪悪の押しつけになる可能性が出てきた。ましてこういうようなことが経団連からいわれたその条項のとおりに立法している。このことは許されない。そのメモなりそういうものを資料として早い機会に出せますか、出せませんか。
#131
○船後政府委員 経団連が中公審における意見陳述の際に出したものは手元にはございませんけれども、後刻資料として御報告申し上げます。
 なお経団連が申し述べております意見のうち、給付水準につきましては、実はこの二月十四日以前に、昨年の十二月に中公審の中間報告が出ておるわけでございまして、その中間報告におきましては、すでに判決例に見られる一つの水準と、労災保険の休業補償等でとられておる水準との間においてきめるというものの考え方を述べておるわけでございまして、経団連といたしましては、もともと給付水準につきましては何らの意見も申していなかったが、その中間報告に述べられておるような中公審の考え方を経団連としてはとるという意思表示をしておるわけでございまして、経団連の愚見が出たから中公審の答申が出たという関係でないことは御理解願いたいと思います。
#132
○島本委員 中公審の意見が出たから経団連がそんな意見を出した。これと同じ意見を出した団体はそのほかにありますか。
#133
○船後政府委員 当時そのほかにも、日本商工会議所等からも意見を聴取いたしましたが、給付レベルについて何らかの意見があったかどうかは、私現在の記憶ではさだかではございません。
#134
○島本委員 念のために聞いておきます。これを作成の段階において、二月十四日に経団連の環境改善委員会がまとめて中公審や環境庁に申し入れたその見解が先ほど言った五つの項目、こうなっておるのですが、それ以外のどこに諮問しているか、どこの意見を求めたか、これを聞いているわけです。
#135
○船後政府委員 中公審の専門委員会が昨年年末に中間報告を出して、その中間報告に対する各方面の意見聴取というのを二月、三月ころの時点で行なっておったわけでございます。この際には供述者側といたしましては、経団連のほかに商工会議所あるいは自動車関係の業界代表等の意見も聴取しておりますし、また被害者といたしましては川崎、大阪等の患者グループの代表の方の意見を聴取いたしております。
#136
○島本委員 その際のメモまたは申し入れ書はありますか。
#137
○船後政府委員 いずれも口頭で意見を述べられたわけでございまして、特にそれらのグループから文書で持ってきたようなものは私は記憶にございません。いずれにいたしましても、これは中公審の専門委員会がこれらの関係者に意見を求めたわけでございまして、決して向こうのほうから押しつけがましく意見の申し入れをしたといったような性質のものではございませんでした。
#138
○島本委員 じゃ二月の十四日に経団連の環境改善委員会から中公審や環境庁に申し入れたのは、これはどういうことですか。口頭ですか、文書ですか。
#139
○橋本説明員 中公審に持ってきましたのは、正式の文書というよりも簡略なメモというような形で経団連は持ってまいりました。それから日本商工会議所、私、いまちょっと失念いたしておりますが、別の機会に意見を持ってきたわけであります。中央公害対策審議会に対しまして書類として出してきた御意見は、審議会資料としてすべての意見を収録いたしております。患者会の意見もすべてこれに載せております。また日弁連の意見も全部紹介しております。
#140
○島本委員 経団連の環境改善委員会からまとめて出してきたものの意見は、何一つ違わないでこの中に入っている。いま聞いてみたら日弁連からも出ている、被害者からも出ているという、それらの意見は取り入れましたか。
#141
○船後政府委員 まず、経団連の意見は全部取り入れたことでないことは、たとえば公費負担の点につきましても明らかでございます。
 なお、日弁連その他からも意見の申し出がございました。中公審におきましてはこれら各方面の意見を総合いたしまして、中間報告以後に本答申をまとめたものであります。
#142
○橋本説明員 患者さんからの意見を聞きまして、具体的にそれまでの中間報告には全然あがっておりませんでした児童補償手当というのがあとで加わってきております。
 また、日弁連のほうからの御意見のあった中で、日弁連は自動車を落とすべきだという御意見でございましたが、私どもは自動車を落とすべきではないということで、私どものほうではこれを取り上げております。
#143
○島本委員 これらの問題を見ておりまして、やはり自動車の点は、私どももその点は一つだけは了解できる。ランクの問題で、患者の意見はどうでした。
#144
○橋本説明員 いまちょっとここに資料は持っておりませんが、ランクをつけるということに対しては、比較的、患者会は好ましくはないが、あまりこまかく細分化をしてくれるなということは、川崎の場合には意見がありました。それから大阪の場合にも、このランクを否定するというような形の御意見はございませんでしたが、あまりこまかく細分化されることは困るというような御意見で、患者からは意見を持ってきております。
#145
○島本委員 それに対してはどういうふうな立法上の措置を講じて出しましたか。
#146
○橋本説明員 患者会からの御意見等もございまして、そこで、私どもの中央公害対策審議会で、四日市の裁判で、大気の患者について設けられたランクというものを一つの重要な基礎の参考と考えるということを基調といたしております。現在川崎で行なわれているようなあまりこまかな細分化はやらないというような形になってきております。
#147
○島本委員 ランクは、これはやはりあまりこまかくつけたならば、そのつける方法においてまた議論が出てしまって、ほんとうの救済になる前に議論のほうが先行するような傾向がある。したがってそれは好ましくない。患者がそれをたくさん細分化せよなんて言うわけはない、そうですね。
 そういうようなことからして、私は今度出されたこの公害健康被害補償法案の運営そのものが――四日市でこれに先行して八〇%に押えられたために、なおさら紛争を起こしておるというような状態、それを追認するかのように、公害健康被害補償法がいま出されてきた。それもきのう言ったとおり、内容そのものもなかなか煮詰まっておらぬし、どうなるものかわからない、海のものとも山のものともわからない。これと同じ、両輪をなすような意味を持つところの法律さえも、まだどういうふうな内容なのかもつかんでおらない。こういうようなことであるならば、いよいよもって、もうすでに行なわれているこれと同じような四日市の組織、これの運営のほうを見る場合には、まことに望ましくない、こういわざるを得ないわけであります。こういうようなことからして、今後この運営そのものも、再び出したために問題が起こるであろうことを私はおそれます。
 なお、資料は適確に出してもらいたいと思います。私これ、意外に重要視しているのであります。
 長官、この点だけは残念です。あなたいなかったけれども、言っておきますが、今回の出された公害健康被害補償法の内容で、要綱その他で盛られているこれらのことは、二月十四日に、経団連の環境改善委員会がまとめて中公審や環境庁に申し入れたその見解とすべてほとんど同じなんです。長官は、これは企業の共同防衛ではない、こういうようにはっきり言っております。しかしこれはもう、「患者の認定やランク付けば厳正に行い、ずさんな認定を排除する必要がある」厳重に行なえ、こういうようなことは、もうすでに長官があえて行ないました水俣病の最後のあのランクの問題で、ついに長官は事実上一つ落としたようなかっこうで収拾してやった。これを今後は「ランク付けば厳正に行い、ずさんな認定を排除する必要がある」このことを申し入れてきているのが第一項にあるのです。
 第二には、「地域指定は資金規模と関連する重要な問題であるから、患者が多発し社会問題化している地域を重点的に指定することとし、機械的な指定によっていたずらに地域拡大を招くことは避けるべきだ」線を引いて、線から漏れた人を全部排除するようなこの行き方は、これまた紛争の種になるから、白であるならばこれはまずまず、灰色を含めても全部黒の面とあわせて全部救済すべきだ、これがもう公聴会や参考人の意見だったのです。線引きによってこういうような被害者を落とすことがないように、こういうのが、参考人の意見やその他の質問にあらわれている大多数の意見なんです。しかしこの申し入れの見解には、「地域指定は資金規模とする関連する重要な問題であるから、患者が多発し社会問題化している地域を重点的に指定することとし、機械的な指定によっていたずらに地域拡大を招くことは避けるべきだ」拡大せいということと反対のことの申し入れが来ている。それがまたこの立法の中にきちっとされている。
 第三番目には、「この制度の給付内容や給付水準にある程度慰謝料的な要素も加味する。補償費の給付水準は労災(所得の六〇%)と四日市判決(一〇〇%)の中間で検討する」ちょうどそういうふうにして出されておるわけです。
 四、「公害の発生には企業以外の原因も寄与しており、大気汚染系疾病には一定の割合で自然発生患者も含まれるので、相当程度の公費負担は当然である」PPPの原則はあくまで守るべきである、こういうような原則を立てていまやっているわけですが、長官も答弁されているはずですが、これにはもうすでに、いま言ったようにして公費負担は当然である、こういうようなことをいってきているわけです。それが法案の中にまたいろいろなかっこうであらわれているのです。
 第五番目には、「賦課金の徴収方法は汚染負荷量方式が望ましく、責任保険的な機能をもつこの制度の趣旨からいって公害発生への寄与度を考慮し、地域別に三〜四ランクの賦課料率の差を設ける。」こういうようなことになっているのです。全く同じであるわけです。これならばさっき長官がはっきりおっしゃったように、あくまでも加害者の共同防衛的な考え方はとらないのだ。ましてや加害者の自衛組織的なこのような運営にはならないのだ、こう言っていながらこういうような一つの行き方を採用したということ。今後の行き方においてはなぜ一〇〇%を給付においてとらないのだ。それもいろいろなことをいって、これはもう定型的だとか制度的だとかいってとれないかのように言っているわけです。しかしこれはとれないかのように言うのは一つの便法です。なぜ先に――必要だったならば一〇〇%はおろか一二〇%の線に置いて、そしてこの被害者を一〇〇%救済して、特殊事情でこれはどうしても特殊なもので認められないもので、本人が納得できなければ司法裁判に移行するのはやむを得ない、こうするのならいいんです。八〇%の線に押えて、あとは司法裁判に行くのはやむを得ないとするならば、それでがまんしなさい、それでなければ長引きますよという、あめを与えながらむちでひっぱたくようなやり方、これがこの法案の中にあるとするならば、今後の運営に多大の危惧を感ずるわけです。したがってしつこくこれを聞いたのでありますけれども、長官はそうでないという。しかしいままでの答弁では私は納得できない、こういうような状態であります。これに対する長官の見解をひとつ聞かしていただきたい。
#148
○三木国務大臣 これは先ほども申し上げましたように、経団連がこの法案に対してどういう経団連としての解釈をいたしましょうとも、国の制度としてわれわれが設けるわけでありますから、したがって、この法案が御審議の上国会で可決されれば、この立法の精神が公害の被害者を迅速に救済するという目的でございますから、その趣旨に沿ってこの法の運営を、あくまでも法の精神に合致するように運営をしたいと考えております。
#149
○島本委員 いま言った範囲は了解いたします。しかしそうであっても政令委任事項が五十四もあり、その内容もまだつまびらかでない。そしてそれができ上がる段階においてこのような強いサゼスチョンによってそれができ上がった。なるほど迅速に患者を救済する、これはもう望むべくして早くやってもらわなければなりません、そのとおりです。だから低く押えなければならないということはだめだというのです。これは低いというのです。高く押えて、そしてそれでは満足できないような特殊性がある場合だけは司法裁判に移行するのはやむを得ないとするならいいのです。早くというのは賛成ですよ。救済するというのは大賛成です。低く押えておいて、それでもって反対な者は全部司法裁判にいきなさい、こういう行き方は本意に反するのではないか。ですからもっと高くこれを認定すべきであるというのですが、そうでないのです。そこでいままでの論争してきたのであります。いま出た資料、それだけはっきりさせた上で、この問題だけは最後まで詰めさせていただきたい。そして疑念を一切払った上でこの問題と取り組ませていただきたい。このことだけば委員長を通じて私の真情を申し上げさせていただく次第です。
 これで終わります。
#150
○佐野委員長 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後、直ちに再開いたします。
   午後一時二十五分休憩
     ――――◇―――――
   午後五時十六分開議
#151
○佐野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。坂口力君。
#152
○坂口委員 昨日指定地域あるいは指定疾病についてお聞きいたしましたけれども、その中で二、三落としております点につきまして重ねてお聞きをしたいと思います。
 指定疾病による障害の程度ですけれども、これはいわゆる労働能力の喪失度を尺度とするのか、あるいはまた生活全体の能力の喪失度を尺度とするのか、あるいはその疾病の症状を尺度にするのか、それによってかなり違ってくると思うのです。この点、あらわなところをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#153
○橋本説明員 お答えいたします。
 指定疾病の障害の程度をどのようにしてきめるかという御質問でございますが、障害の程度につきましては、従来局長のほうからも三ないし四ランクと申しておりましたが、その作成の基本的な考え方ということにつきまして、御説明を申し上げます。
 この点につきましては四日市の判決の佐川鑑定書といいますのが、これは一つの私ども重大な参考になるところであろうかと思っております。四日市の佐川鑑定書の場合には、一つは病気と申しましても決して単一の病気ではなく、慢性気管支炎と肺気腫がまざっておるとか、あるいは気管支ぜんそくとそのほかの病気がまざっておるというようなこともございますので、一つは御本人がかかっておる病系の分類ということが当然入ってまいります。
 それからもう一点は、いろいろ呼吸困難であるとかあるいは喘鳴であるとかあるいは出血とか、幾つかの症状がございます。症状そのものに幾つかの重さの程度というものが、医学のグループの中では一応整理をある程度されておられるように私ども存じております。
 また客観的な手法としましては、肺機能の検査というものがございまして、すでにこの点につきましては労災補償あるいは医療関係の障害等級をきめる場合に使われているものがございます。
 以上、申し上げましたような病系の分類、症状の程度、肺機能の検査というようなものが、一番基本になるかというぐあいに存じております。こういうものを参考として私どもきめてまいりたいと思っておりますが、今年度の四十八年度の予算によりまして、全国の千数百人の患者さんを大気系につきまして調べまして、そしてそのときに一つには主治医からの御意見をできるだけこまかく伺うということで、主治医の方には診断に基づく所見、あるいは治療に対する反応、あるいは主治医として見ておられるこの病人の予後はどのようになるかというような、幾つかの主治医からの事項をいただき、肺機能の検査につきましては肺機能の専門家がその患者さんの検査をして、そしてどういうぐあいに分けるかということを最終的に整理をし、また先生特に御指摘の労働能力だけじゃなしに生活問題があるではないかという御質問の点でございますが、この点につきましては公衆衛生のサイドのほうの人に御本人の家庭とか、できれば職場でどうかということまであわせて判断をする、その三つの、主治医の御意見と検査の意見と公衆衛生のサイドから見た職場あるいは家庭における状態というものを全部総合的に勘案して三ないし四ランクというものをきめていこうというぐあいに考えておるわけでございます。
#154
○坂口委員 そういたしますと、ただ疾病の症状だけを尺度にするのではなしに、公衆衛生的な立場あるいはまた検査の結果等を総合してきめるというお話でございますし、そういたしますといわゆる労働能力全体あるいはまた生活能力全体からの把握ということになろうかと思います。たとえば現在は労働能力ないしは生活全般の能力があっても将来このままでいくと能力はだんだん落ちていく危険性がある――危険性というよりも現在の医学から見ても十分その危険性があるというふうに判定をされるような人があります場合、そういう人は現状でランクづけをしていきますと、そうするとどうしても軽い程度にしかランクづけされませんので無理に働くというようなことがあって非常に早くと申しますか、必要以上に悪化をしていくというような経過をたどることもあろうかと思うわけでございます。それはやはり主治医の意見、検査あるいは公衆衛生的な立場というような現在のいろいろの要素を勘案するだけでなく時間的な問題も加味して決定されるのかどうか、その点いかがでございましょうか。
#155
○橋本説明員 この障害等級を決定していきます場合にやはりその主治医の方の御意見が非常に大きなウエートを占めるわけでございますが、私どもの医学的な常識としましては、その人が将来なおるようにということを頭に置いて主治医の方はその指導方針というのを普通お出しになるように私は思っております。そういう意味で先ほど申しました主治医が予後をどう見ておるかというようなことも今回の調査の中に入れて考慮に入れるということでございますが、病類別とか症状の重さとか肺機能の検査というものにつきましては、これはあくまでも現在あるいは現在までの状況というものしかデータがないわけでございますので、その点主治医としての御意見をどの程度までこのランクの中に入れるかということは専門家の検討によっていたしたいと思います。ただ御心配の将来変わるのではないかということにつきましては、これは障害等級につきまして改定の条項がございまして、たとえ有効期間内でもその状況が変われば重いほうのランクにも変えられるというようなこともございますし、また当然に障害等級の政令の有効期間がございまして、それの間になおらなければその次のランクに出てくるわけでございますので、御心配の点はその点においては結果的には十分救われるものではないかと思われますが、主治医の予後の判断等も十分頭に入れて分類すべきものと思っております。
#156
○坂口委員 もう一つ、これは特異な考え方かもしれませんが、労働能力だけからもしも見たといたしますといろいろ見誤りと申しますか、その人をほんとうに救うことができない場合があると思うわけでございます。たとえば心臓病なんかの合併症を起こしてきているような場合、日中の労働は十分とまではいかなくともまずまずできるとしても夜間に非常に睡眠障害があるとかなんとかというようなことで、生活全体から見ると障害がある人があると思うのですが、そうしますと、先ほどおっしゃったように主治医の意見という中にはその人が現在どういうふうな症状があるかということだけではなしに、将来を予測しあるいは生活全体をながめたそういったものを総合的に見たものが、この障害のランクづけには入ってくる、そう解釈さしていただいてよろしゅうございますでしょうか。
#157
○橋本説明員 原理的には先生のおっしゃったようなことを当然考慮に入れてやられるべきことだと思いますが、なかなか障害等級の問題というのはむずかしい問題がいろいろ伴いまして、労働衛生のような非常にはっきりした分野でもかなり問題があるということもございます。また先生のいま御指摘の労働能力ということだけでは困る。やはり日常生活の困難と申しますことになりますと介助を受けないで御飯が食べられるとかあるいは便所に行けるとかあるいは着物を着かえられるとか、そのような要素も全部入ってまいりますので、極力総合的な判断として障害等級がきめられるような努力をいたしたいというぐあいに考えております。
#158
○坂口委員 それでは、それはひとつお願いするといたしまして、次は、私こまかなデータを決して持っておるわけじゃございませんで、ある程度仮定の問題になりますけれども、いつかアメリカのほうのデータで大気汚染の非常にひどいところ、そこではいわゆる肺ガンの発生率が非常に高いというようなデータが出たことがございました。日本で将来そういうようなことが起こってくるかどうかこれは予測がつきませんし、何とも申し上げられませんけれども、万が一長い経過の中でそういったことが起こってきました場合、肺ガン等もこれは非特異的な疾患になるわけでございますが、そういう因果関係がある程度はっきりしたらこういったものもこの中に入るのかどうかということなんですが、それはどうでしょうか。
#159
○橋本説明員 いまの御指摘の肺ガンの問題でございますが、これは学問的な研究の問題として大いに取り組まなければならない問題でございますし、また大気汚染と肺ガンとの関係があるという研究データもございますが、肺ガンの場合にはたばことの関連のほうがはるかに大きな問題としてあらわれておるということが実際科学的な事実でございますので、いま早急にこの問題を検討してこの指定疾病の中に入れるというような考えには立っておりません。
#160
○坂口委員 たばこで逃げられてしまいましたが、一応たばこの問題は別にしまして――別にしてというと差しさわりがあるかもしれません。どの地域において、たとえばAの地域、Bの地域ですね、ともにその地域に住んでおる人がそれじゃたばこを吸っておると仮定して、なおかつそれで大気汚染がありますBの地域で非常に肺ガンの発生率が荷いというようなことが将来の問題としてはっきりしてくるような場合に、これは認定の対象にするかしないかということが大きな問題になってくると思うのです。たばこの問題はもちろん十分あるでしょうけれども、たばこは双方とも同じようにあるとして、さらにそれ以外の要件としてこの大気汚染の問題が起こってまいりました場合にどうするかということは、重要な問題になってくると思うのです。これもぜんそくと同じように非特異的な疾患でございますので、判定等については非常にむずかしいと思いますが、しかし数が多いということになればこれは考えなければならない問題だと思います。その点重ねてお伺いをいたします。
#161
○橋本説明員 先ほど申し上げましたのは、将来の問題としても全然考えられないという意味で申し上げたわけではございません。この損害賠償補償というようなカテゴリーのものに入る病気であるかどうかということについての議論があるということでございまして、将来は議論の一つの問題点であろうかと思います。ただ肺ガンとちょっと性質を異にしますが、同じく悪性腫瘍の問題で、たとえばベリリウムというもので肺の肉芽腫が起こって、これは肉腫のほうでございますが、そのような場合にはベリリウムの発生源があればこれは第二種の問題として当然に考えられるべきものだというぐあいに考えております。
#162
○坂口委員 次に公害保健福祉事業、この件につきまして先日公述人の方で、特に市町村の市長さんですとかあるいは助役さんだというような市町村の代表の方の御意見を伺っておりますと、確かに重要なことであるけれども、しかしなかなかこの保健福祉事業まで市町村ではどうしても手が回らない、また経済的にもここまではなかなかいかないというお話がございました。
 この第三章の四十六条を見せていただきますと、都道府県あるいはまた市で、もしも公害保健福祉事業等をやる場合に負担をすることになっておりますが、これはやはり公害保健福祉事業というものはPPPの原則からいきまして、都道府県あるいは市町村にまかせるのは酷ではないかという気がいたしますが、これは前にも御議論があったと思いますが、もう一度ひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
#163
○船後政府委員 本法案で考えております公害保健福祉事業は、被認定者の健康の回復のみならず、進んでは被害の予防という幅広い事業を考えておるわけでございまして、具体的には健康の回復と申しますとやはり治療施設ということになりますし、あるいは被認定者の福祉の増進ということになりますと、職業訓練等を含んだリハビリテーションといったようなものから、被害の予防ということになりますと、学童を主として対象といたしました何らかの健康増進事業というように幅の広い事業を考えておるわけでございます。これらの事業の中には、本来地方公共団体が行なうべき保健事業あるいは福祉事業としての性格を多分に持つものがあり、それとの境界線もはなはだ不分明なものが出てくるわけでございますので、これらの事業を一括としてとらえまして、費用負担につきましては折半といたしたものでございます。これによりまして地方は若干の負担があるわけでございますけれども、しかし病院といいあるいは学童のいろいろなグリーンスクール的な事業といい、現在におきましてはこれは公共の事業として予算に計上して執行しておる事業でございます。これらにつきましては本法におきまして都道府県知事と政令で定める市の長が計画するわけでございまして、政令で定める市というのはやはりこのような事業を行なうに足るだけの行財政能力を持った市を選ぶ予定でございますから、地方負担が重いためにこのような事業ができないということはまずないと考えております。
#164
○坂口委員 この保健福祉事業ですけれども、これはいま御説明になりましたように、いろいろ範囲も広うございますでしょうし、その目的も多いと思いますが、これはどれぐらいおつくりになるつもりか。たとえば日本に二カ所とか三カ所ほんとうにモデル的につくられるものなのか、それとも、非常に公害で騒がれているような市、県、そういったところには少なくとも一つぐらいはつくっていくというようなスケジュールなのか、その点はいかがでございましょうか。
#165
○船後政府委員 それぞれの地方にどの程度のニーズがあるかという調査はこれからいたすわけでございますが、私どもは決して全国で一つのモデル施設というものを頭に描いているわけではございませんでして、それぞれの地域ごとに指定疾病の種類も違うわけでございますから、実情に応じた事業というものを地方ごとに選択していただきまして、これを予算化し、計画的に実施していくということで、全国的にこういう施設をつくりたい、かように考えております。
#166
○坂口委員 それから次は遺族補償の問題でございますが、遺族補償の場合に、子供が十八歳に達したとき、これはもう十八歳に達しますと支給されないわけですね。十八歳に達しましても、たとえば高等学校、大学というふうに学校に行っているようなとき、これは免除されるのかどうか、たとえ学校に行っていても十八歳で終わりなのか、この点いかがでございますか。
#167
○船後政府委員 遺族補償費は死亡いたしました被認定者と生計維持関係にあるという者に支給するわけでございますので、子供の場合におきましても十八歳未満ということで、失権するという仕組みにしてあるのでございますが、しかしこの遺族補償費を受ける者がその資格がなくなった場合には、次順位の者にそれを支給するというような仕組みをとっておりますし、さらに最終的に遺族補償費を受ける者がいないという場合には、遺族補償一時金というような制度も設けておるわけでございますので、御心配のようなことはないのではないかと考えております。
#168
○坂口委員 いまおっしゃったのは、たとえば十八歳になりましたときに、ほかの人でもらう人がなかったときに、十八歳になってそこで打ち切られるという形になりますと、もしほかにそれを継ぐ人がなければやはり困るわけです。そういった場合も考えられますので、十八歳になったとしても、続いて大学あるいは短大というような学校に進んでいるような場合にはこれはやはり特例を設けるべきであるというふうに思いますが、その点どうですか。
#169
○船後政府委員 通常この種の制度的な給付における遺族補償費はやはり生計維持関係にある遺族に着目いたしまして、子供につきましては十八歳という線をもって支給いたしておるわけでございまして、私どもの制度も制度的な給付という意味におきましてはこれらの制度と準じた扱い方をしておるわけでございます。なお、十八歳未満で打ち切られましても、すでに受けた遺族補償費の額が遺族補償一時金の額に満たないという場合にはその差額はその際に支給されるという仕組みにいたしております。
#170
○坂口委員 もう一つ最後にお聞きをしたいと思いますが、現在の医療制度の中でいろいろ問題点がございますが、差額ベッドでございますとか付き添い看護料あるいはリハビリ施設の問題等々ございます。現在は保険給付以外として差額ベッド料あるいは付き添い看護料というものがばかにならない値になってきておる。これは健保のときの議論の中にもたいへん大きな問題として議論をされたわけでございますけれども、この差額ベッド料あるいは付き添い看護料というものは本法案の場合には加味されるのかどうか、おそらく加味されないんだろうと思いますけれども、しかし普通の保険とは違った一つの形にこの法案はなっておりますし、やはり差額ベッド料あるいは付き添い看護料というものは見ていただかなければならないんじゃないかというふうに思いますが、どうでしょうか。基本的には差額ベッドだとかあるいは付き添い看護料だとかいうようなものがあるこの医療制度そのものを直していかなければならぬことはこれはもう当然でございますが、現在の状態が続くとした場合、やはりこれは大きな問題になると思います。そういう意味でひとつ差額ベッドあるいは付き添い看護料の問題についてお尋ねしたいと思います。
#171
○船後政府委員 差額ベッドあるいは付き添い看護料の問題は現在の日本の医療制度における非常にむずかしい基本的な問題でございまして、このむずかしい問題を私どもの制度だけで解決するというわけにはまいらないのでございます。しかし付き添い看護の問題について申し上げますと、現在の健保等の診療報酬体系におきましては基準看護を原則といたしまして、基準看護がとれない病院につきましては療養費払いといたしまして付き添い看護料を支給するという仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、現実にお医者さんの御判断で、この病人にはどうしても完全看護が必要であるといいました場合には、基準看護の病院で看護を受けるかもしくは基準看護をとっていないところでは、付き添い看護料の支給を受けるという仕組み自体はやはり私どもといたしましては原則として考えていかねばならない、かように思っております。
 それから差額ベッドの問題もこれも医療制度の基本的な問題でございます。私どももお医者さんの御指示によりまして、どうしてもこういう部屋がいるといったような場合についてどうするかという点につきましては、今後検討するつもりでございますが、ただ、たとえば大気汚染系の病人で現在四日市の市立病院だったと思いますが、そこでやっておりますように、空調室を設けまして特別な病室に収容しておるということにつきましては、これはやはり大気汚染系疾患の特殊な治療方法であるということになりますれば、これは私どもの診療報酬の体系の中に取り入れてもいいんじゃないかということでもって、今後中公審で専門家の御検討を願いたいと思っております。
#172
○坂口委員 確かに付き添い看護料等も現在のこの保険制度の中にも取り入れられてばおりますけれども、現実問題といたしましては、いわゆる付き添い看護料というものが非常に高額になってきておりまして、現実とのギャップがかなり大きいわけでございます。また差額ベッドにつきましては、それ以上にいろいろの問題がございます。これはおっしゃるとおりこの制度だけで解決のつく問題ではございませんで、医療制度全体の中で考えていかなければならない問題ではございますけれども、しかし新しい形の診療体系ができ得ますので、現在の社会で一つのひずみになっておりますこの問題を新しい場でもしも解決してもらえれば、それが少なくとも現状では一番いいと私は思うわけであります。これは将来は全体に変えていかなければならない問題でございますが、しかしこれも早急にできるかといいますと、そうは早急にはいかないと思うわけであります。実際問題といたしまして患者さんの立場になりましたときに、やはり患者さんが手術をしなければならないという現実は厳としてあるわけでございまして、これがある間はやはりそれに対応する制度というものを考えざるを得ないと思うわけでございます。そういう意味で、これは全体の動きと並行して考えていかなければなりませんが、まあ一時的にせよ全体の医療制度が抜本的に解決されるまでの間やはりこういったことを加味をしていくということは検討には十分値すると思う。その点、検討の中に入れていけるかどうか、その辺のところをもう少しお話しをいただきたいと思います。
#173
○船後政府委員 御指摘の問題は私どもも無視しておるわけではございませんで、冒頭に申し上げましたようにきわめて重要な問題ではございますが、ただ日本の医療制度全般に通ずる基本的な問題でございまして、私どもの制度だけで解決するにはあまりにも荷が重過ぎるという問題でございます。しかし問題があることは事実でございますから、基本的な問題は中医協等においてお詰めになるべきだと思いますが、私どもも中公審におきましてもこれらの問題は検討してまいりたいと考えております。
#174
○坂口委員 最後にもう一つだけお聞きしておきますが、この法案は五十四カ所もの政令で定める部分があるわけでございますが、いわゆる中公審の意見に従って政令で定めるという御答弁も、聞いておりますとたいへん多いわけであります。そういたしますと、この中公審というのが非常に重要な位置を占めてくるわけでございますけれども、今後この中公審のあり方について何かお考えがありましたら、この際聞かせていただきたいと思います。
#175
○船後政府委員 本法の施行の際に中公審の委員は十名増員することにいたしております。この増員される方と現在のメンバーとを合わせまして本制度の運営に必要な特別な部会を設ける予定でございますが、この中公審の委員につきましては、診療報酬の問題でございますとか症状等級とかあるいは指定疾病とか地域指定とか非常に医学専門的な分野が多いものでございますから、その方面の専門家をまず考えたい。同時にこの制度は被害者を救済する制度でございますから、その方面の専門知識を持っていらっしゃいます法律家の方々、あるいは社会保障の関係に深い知識のある方々、こういった方々もメンバーに加わっていただきたい、かように考えております。
#176
○坂口委員 そういたしますと新しく十名加わるわけでございますね。その十名の人の職種と申しますか、それは医学関係者、法律関係者、そのほかに何か特別な職種の人ございますか。
#177
○船後政府委員 やはりこの地元の問題に詳しい方といたしまして、当然都道府県なりあるいは市町村の代表といった方も考えてはおりますが、現在の中公審のメンバーにはこういう方もいらっしゃるわけでございまして、現在の方を兼務のような形でしていただくか、あるいは新たに採るか、これらは当然中名というワク内ですべてこの部会の人数をまかなうわけにはまいりませんでして、ほかのほうの部会に関係していらっしゃる方も兼務のような形で参加していただくわけでございますから、そういったことをにらみ合わせながら人選を進めてまいりたいと考えております。
#178
○坂口委員 やはりこういう中公審等の中には患者さんの意見等も十分に反映させなければならないと思うわけでございますが、患者さんの代表そのものが入れなくとも患者さんなんかの推薦をするような人が入り得るのかどうか、この点はいかがでございましょうか。
#179
○船後政府委員 現在の中公審の委員の中には、たとえば労働組合から推薦された方、あるいは消費者団体から推薦を求めた方というふうに広くあらゆる階層の方々の御意見を取り入れるように人選を考えておるわけでございますが、患者さんの立場を代表される方としてどういう方が適当であるか、これはなかなかむずかしい問題ではございますが、そのようなつもりでもって今後の人選を進めてまいりたいと考えております。
#180
○坂口委員 ひとつ患者さんの意見をよく反映できる人を私はこの中にどうしても加えていただきたいと思うわけでございます。そういう意味でこの中公審の人選というものを今後特に留意をしていただいて進めていただきたいと思います。
 以上で終わらしていただきます。
#181
○佐野委員長 土井たか子君。
#182
○土井委員 きょうはなるべく簡潔に御質問をさせていただくつもりでおりますが、中には重復する面もあるやもしれません。それはひとつお許しをいただいてできる限り簡潔に質問を始めたいと思います。
 まず、地域指定の問題なんですが、これは現行法でございます公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、あの法律が制定される以前に、すでに全国各地で地方自治体が独自の医療救済措置を施していたという場所がございます。たとえば高岡市、新南陽市などはこの問題になる地域だと存じますが、あの法律が制定されてから以後被害地域に政令指定が行なわれずに、相変わらず地方自治体が単独で医療給付を行なっていかなければならないという例として、いま申し上げた高岡市、新南陽市というのがあるわけであります。これらの場所が経過から考えまして指定地域制の運用上の問題を示す例としていつもあげられるわけですけれども、何がゆえに指定地域から漏れたかということのいきさつをまず少し聞かせていただきたいと思います。
#183
○橋本説明員 いま御指摘のあった地方自治体が指定しておって、どうして国のほうの指定にかからなかったかということでございますが、実際経験いたしましたところでは、地方自治体だけでやっていこうというところが実は初めのころ相当ございます。触れられたくないというところでございます。そういう事情がございまして、これは国の指定になるときっときびしい規制がかかってくるということから、地方自治体が避けられるケースが中にございます。そういう点が私ども見ましてありましたことと、そのほかは、もう非常に小さな規模で、資料も十分整えることなく、非常に問題があるのでというようなケースでございまして、むしろ従来の救済法のときには非常に緊急な地域が多かったものですから、そちらのほうに力が入って、またその地方自治体からのアプローチにつきましても、私どものほうに強く言ってこられるところはごくそのうちの一部にしかすぎないというところでございましたので、従来指定に至らなかったということでございます。
#184
○土井委員 先日、この委員会で公聴会を催しました席上、高岡市の患者さんが公述をされまして、その中に患者さんは言うまでもなく、市のほうも再三、再四指定地域にしてほしいというふうな要望を政府に対して持ってきた。しかし指定地域にはされなかったといういきさつの説明をお伺いしたわけであります。いま、兵庫県の場合につきましても、尼崎市は昭和四十五年の十二月に気管支系疾患について、これは指定地域になったわけですが、しかしそれも広範にわたる気管支系の疾患の方々が居住なすっているこの地理的な条件からいいますと、ごくその一部というふうなことであります。したがいまして、いまもなおかつここから漏れております患者さんは、言うまでもなく市自身も指定地域に対しての拡充を強く要望されているわけです。今回これがまた政令の中にゆだねられるということになっているわけでありますが、指定地域に対しての拡充の用意がどういうふうなぐあいに考えられているか、ひとつ指定地域に対して今後こういうふうに考えていきたいというふうな御方針なりあるいはお考えなりがありましたら、この節承りたいと思います。
#185
○橋本説明員 まず最初に高岡のケースのお話がございましたので、その点の事実関係を申し上げますと、四十六年度以降環境庁発足以降につきましては、富山県高岡市より公式の申し入れば環境庁には出ておりません。この間、初めて私どもは伺いました。問題がありました当初においては声がございました。けれどもこれは非常にローカルなことで、あまり触れられたくないという気持ちも片方にあったように私ども思っております。そういうことで、最近の時勢になりまして、やはりこれを指定すべきだというような御要望が皆さんの間に高まったのではないかというように考えております。
 それから本法の施行後、地域指定についてどう思っておるかという御意見でございますが、この点につきましては、一つは従来の地域指定もできるだけ過去にさかのぼってみるというようにいたしておりましたが、現在までのところ、よくその過去三年の数字というものを重んじてまいりましたが、現時点におきまして、四十八年から過去三年にさかのぼったころは汚染が非常によくなっているところであるということでございますので、私どもさらに積極的にその昔のデータあるいは事実というものについてどこまで明らかにすることができるかということの努力をいたしてみたいと思っております。そういう意味におきまして、一部のところでは、現在のところはわりあいにきれいになっておるが、もとのデータがはっきりしてきたので、そういうことで指定するというのが起こる可能性は私はあるのではないかというように思っておりますが、これは現在の甘い状態を認めたということではないという点は御理解をお願いしたいと思います。
 それからもう一点は、四十五年当初から地域指定をしてまいりましたのですが、四十五年から現在に至りますまでの各地の地域指定の条件というのはだんだん変遷をしております。そこで、やはり地域指定間の条件に不均衡があってはならないということは当然の問題として起こってまいります。そういう点で、本委員会におきましていろいろ御意見のありました点も十分考慮に入れて、指定地域間相互の中で非常な不均衡の起こらないようにするということをいたしますと、結果的には地域が広まるということが起こるのではないか、そのように考えておるわけでございます。再度申し上げますが、地方自治体がみずからしておりますところにつきましては、局長からも御答弁いたしましたように、できるだけ積極的にこの問題を検討してみたいというように思っております。
#186
○土井委員 すでに被害者に対してのいろいろな補償の問題については、地域指定の問題であるとか疾病指定の問題であるとか、あるいは居住期間の問題であるとか等々の規制があって、その上でいろいろな医療補償をはじめとする今回の補償の中味が考えられつつあるわけですが、何といったって発生源に対する対策というふうなことは、この前からしばしばもうこの席でも質問の中に出てまいっておりますとおり、一番大事な、忘れてならない対策だと思います。そこで、昭和四十五年の十二月のかの公害国会で大気汚染防止法も一部は改正されておりますけれども、しかしあの中で一応指定地域制が廃止になったということは一歩の前進、それからさらに都道府県知事が国の排出基準よりきびしい基準を上のせして条例化できるということも一歩の前進、ただしかしたいへん問題になる硫黄酸化物については、都道府県知事というものが相もかわらず国の排出基準よりもきびしい基準を設けることができないというたてまえになっておるわけですね。ところで、現にいろいろ排煙脱硫装置なんかについて見てまいりますと、いま全国で排煙脱硫装置の規模からいって大体最高のものはどの程度かというと、御承知のとおり十五万キロそこそこであります。最近中部電力のほうで八月中に始動するといわれている中身にしたって、これはやはりテストケースといわれているものでありまして、二十二万キロ、せいぜいその程度なんです。ところが肝心かなめの発電所それ自身は、五十万から七十五万、百万キロワットと出力のほうは大型に変わりつつあるわけで、だんだんだんだんこれはコストが安くなるというふうなことで大型化が促進されていくわけですね。それに伴って考えられているいまの排脱装置なんかについていいますと、せいぜい十五万キロ、それから初めてできるのが二十二万キロ。しかし、それ自身についても、これは出力装置それ自身よりも排脱装置のほうに土地がたくさん必要だということは常識であります。だから、既成の施設に対して排脱装置というものの中身を、もう少し具体的に十分な措置を講ずるようにといっても、なかなかこれはうまく事が進まない。だからそういうことからしますと、これは現に地域指定になっているところについては、大気汚染防止法の中で考えられている電気事業所に対する取り扱いというものを少し手直しして、あの四十五年十二月の公害国会でも、もう何べんとなくこの点は問題になって、野党側からの追及質問というのはあったわけでありますけれども、今度は地域指定というこの場所については、この点は特に配慮をもって考えるというふうな用意があっていいのじゃなかろうかとも思われるわけであります。で、いま申し上げている趣旨は、したがって、大気汚染防止法について改正の御用意というものを一つはお考えになってみることがあるのかないのか、その辺についてひとつお伺いしたいと思います。
#187
○河野説明員 大気汚染防止法の改正についての問題でございますが、大気汚染防止法におきましては、先般硫黄酸化物につきましては環境基準の見直しをやりまして、それに対応いたしまして、現在排出規制の強化を検討しております。
 その方法といたしまして、いま御指摘がありましたように、排煙脱硫装置の設置、あるいはナフサをたくとかあるいはLNGを燃料として使用するとか、そういった方法を現在検討しております。将来につきましては総量規制方式によりまして、その地域の汚染を有効、的確に押えるということを現在検討を進めておるわけでございます。その結論を待ちまして、必要があれば大気汚染防止法の改正ということを考えております。
#188
○土井委員 この点は全国電力会社九社の中で、四十八年度から四年間に八百万キロ出力に対しては増加が予定されておるわけですね。しかもいまナフサの問題であるとか低硫黄の問題であるとかいうふうなことについての御説明でありますけれども、大体石油の消費量というのが、御承知のとおり昨年は二億三千万キロの中で、一・〇以下の低硫黄分ということで問題にされているのはまことに少ないわけでして、およそそのうちの一・五割くらいあるかなしかであります。もちろんのことながら、ハイサルファの石油の量というのは相も変わらず多いわけなんで、したがって、それは脱硫装置で何とかしていかなければならないという要求が常につきまとうわけですね。それならば脱硫装置で何とか始末をしようといったところで、調べてみますと、出光なんかでは四万バーレルで、約百億の設備費がかかるというわけです。非常にこれは多額の設備費をこれにかけてやるという意思がなかなか企業者側にない。石油精製装置よりもこれははるかに高い費用がこれにかけられるということになるわけですから、なかなかこれには踏み切らないというわけですね。昨年度でも二億三千万の中の消費量を見てみると、大体石油は電力関係が一番多くて、四割二、三分から四割五分くらいが電力に充てられているという中身でありますから、そういうことから考えますと、行く行くはいまの指定地域になっている部分についてだけでも、地域指定がもうすでにかけられている部分についてだけでも、いまのこの大気汚染防止法の中で考えられている電気事業法にいう事業所に対する取り扱いというものは、やはりもっと環境保全、大気汚染を防止するという立場から考えられていいのじゃなかろうかと思われるわけです。
 いまそういう改正の用意というものが、必要とあらばお考えになるという御趣旨の御答弁でございましたけれども、どうも先行きこういう点から考えていきますと、いまのままの大気汚染防止法の取り扱いじゃこれは済まないような気がします。少なくとも今回健康被害に対しての補償を問題にしているこれは画期的な法案に対しての審議でありますから、これを機会にひとつ大気汚染防止法とか問題の水質汚濁防止法等々についても、手直しが必要であるかどうかということを、基本的にもう一度出直して考えてみるということも、この節大事な機会だと思うのですね。そこでもう一度そういう点から、この大気汚染防止法に対しての手直し、具体的にはこういうことを考えることが必要だと思うという点がもしおありになれば、それもあわせてひとつ聞かせておいていただきたいと思うのです。
#189
○河野説明員 硫黄酸化物の規制の問題につきましては、先般、先ほど申しましたように環境基準が設定されまして、これは非常にきびしいものでございます。この環境基準が維持、達成されますれば、健康への影響はないであろうという相当安全を見込んだレベルのものでございまして、それを達成するにあたりましては、五年以内にこの環境基準を維持、達成しようということでございます。したがいまして過密地域、汚染の著しい地域におきましては、その対策は集中して行なわれなければとうてい達成できないわけでございますが、その場合におきまして、先ほど申しましたようなLS化計画におきましては、その中心となるのは、御指摘のように排煙脱硫装置の設置、これのスピードアップ、そういうことになろうかと思います。通産省におきましても、その対策を強力に推進していくというふうに、両省緊密に検討を進めておるわけでございます。
 それからなお、先ほど触れましたように、改正につきましては、規制方式につきまして総量規制方式を今後導入していきたいということであわせて検討を進めておりまして、必要があればできるだけ早い時期に結論を得まして法律の改正を考えたい、こういうふうに考えております。
#190
○土井委員 その点は今回この法案について申し上げますと、たいへん設備費にかかる排煙脱硫装置をつけるよりも、今回の健康被害に対しての補償費で済ましたほうが安くつくというふうな免罪符にすりかえられないように、やはりその点はお考えいただきたいと思うのですよ。したがいまして基本的には硫黄酸化物をまき散らさない、大気を汚染しないというところが基本でありますから、ひとつその点が基本であるということを忘れないで、大気汚染防止法についても基本的にこれでいいかどうかというふうなお考えのもとに、改正についてもこれは御検討をぜひぜひしていただかなければ困ると思います。
 それからさらに、法律が変わったからいいというようなものじゃないので、やはり行政監督、指導というのがどうしてもこの節大事になってまいりますから、そういう点から考えまして、今回のこの健康被害補償の中身が裏目に出ないように、つまり免罪符に使われるのじゃなかろうかという被害者側からのいろいろな不安というものも現にあるわけでありますから、その点がほんとうに杞憂であってほしいと私たちは思うわけでありまして、そういう点からもこたえるためには、いま一つ、排煙脱硫装置は言うまでもありません。やはり脱硫装置についてもあるいは低硫黄化の問題についても、これは限度がある問題でありますから、限度があるということを謙虚に考えていただいて、一体それならば基本的にはどこからどういうふうに出直さなければならないかということを御検討いただく時期だと私は思うのです。ひとつその点をお願いを申し上げたいと思います。
 さて、認定審査会というのがありますね。これは旧法の二十条では大体十人であったのが、今回の法案では四十五条で十五人ということになっています。これは十五人ということでだいじょうぶだ、十分だというふうにお考えでいらっしゃいますかどうですか。
#191
○橋本説明員 旧法では十人の医師だけの委員でございましたが、新法で十五人になりましたのは、一つは補償に関係してまいりますので、労災の補償の関係を扱った人にぜひとも入ってもらわなければむずかしいということの観点が一点と、それからもう一つは、やはり法律上の問題が伴ってまいりますので、法律の関係の人がこれに入ってくるというようなことでなっております。
 十五名で十分かということでございますが、人数がたくさんいるということでこの審査会がやりやすいというものではないというように私たち考えておりまして、やはり一定のサイズのほうが審査会の運営としては適切ではないかということを考えておりますので、十五名は適正なサイズであろうというぐあいに思っております。
#192
○土井委員 人数がふえるということが決して機能を効率よくするものではないというふうなお考えであるらしいのですが、水俣あたりに行きましていろいろな事情を聞きますと、十人じゃとても足りないというのがいつも出てくる声であります。十人できりきり舞い。申請をしましても、認定までにこぎつけるのがなかなかたいへんなんですね。なぜかというと、審査会のメンバーは十人じゃ足りないということを現に審査会のメンバーの方がおっしゃるのです。そして今回十五人ということになった。十人から十五人に五人ふえて、はたしてだいじょうぶかというと、水俣に行って聞いてみると、これまた十五人といったって十分といえないのです。じゃどういうふうに考えたらいいかというと、やはりその場その場、その地域その地域での特殊事情というものを勘案して、少し幅を持たして考えていただいたらどうだろう。三十人必要だというふうに考えるならば、それもひとつ考えてみようじゃないかというゆとり、もう一つ極端にいうと、五十人というふうな場合だってあり得るというふうに、少しはその地域の特殊事情ということを認めてこの審査会のメンバーの構成というものを考えてみることがいいのじゃなかろうか。特に三十人、五十人規模になりますと、これはやはり機能をさらに効率よくするために十人規模くらいのグループに組んでやるということも考えられますでしょう。できたらそういうふうな幅を持たせるということをぜひ考えてもらいたいという要望が一つあるわけです。こういうことについてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。いまの御答弁では、人数がふえるということが決して能率をよくすることになりはしないというふうなことでありますけれども、現実に被害者が苦しんでいらっしゃる地域に行きますと、たとえば水俣がいい例でありまして、現に審査会のメンバーの方が十人じゃ足りないということをおっしゃるわけですから、これは事実に即応した切実な声だと思うのです。その点、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、ひとつお聞かせください。
#193
○船後政府委員 認定審査会は、知事に対しまして最終的な判断を述べるという組織でございますから、これは人数がいかに多くても能率よく動くというわけのものではございません。水俣におきましては、御指摘のように、現在非常に申請者がたまっております。これは、最近急激に申請者がふえて、申請された方々に医学的な検査をするというあたりにネックがあるわけでございまして、審査会の委員の先生の数が少ないというところではないわけでございます。つまり、いろいろな検査技師とか看護婦さんとか、あるいは専門的に検査に当たるお医者さんでありますとか、こういったところの人手が足りないというところに問題があるわけでございます。したがいまして、現在水俣でも二月に一回審査会を開いておりますけれども、要するに、二月に一回開く程度の検査しか二月間にはできないというわけでございまして、検査のほうさえ何とかできますれば、これはもう毎月でも、あるいは毎週でも開き得るわけでございます。
 水俣における申請者の滞留という問題は臨時の問題でございますから、私ども何とか早く審査を促進するということに全力をあげておりまして、具体的に、ネックがどこにあるか、どこの検査技師、看護婦さんが足りないか、お医者さんが足りないかという問題につきまして、地元の県、市の意見をとっておりまして、これによりまして、早急に対策を講じたいと考えております。
 なお、大気系の場合におきましてはこのような問題はないわけでございます。申請後一月以内に必ず認定される、あるいは棄却されるというふうに最終的な処理がついておるという実情でございます。
#194
○土井委員 いま御答弁にもありましたとおり、大気系の問題についてはこういうふうな問題がないということです。したがって私は、先ほど、特殊事情というふうなことを勘案して、この審査会のメンバーの数なんかについても少しは幅を持たせていいんじゃないかということも申し上げているわけです。十五人にこだわる必要はないわけで、場合によれば十人でもいいわけです。また、三十人や五十人も必要な場合もある。したがいまして、十五人というふうにきめられている中身について、そういうふうな意味での幅を考えられてはどうかということを申し上げている。先ほど、向こうでは数が足りないということで申請をしてから認定されるまでの時間が長引いておるわけではないというふうな御答弁がありましたけれども、しかし、水俣に行っていろいろ現場で聞いてみますと、審査会の方自身が、やはり人手が足りない――審査会の委員の数は医学専門家十人ということになっておりますが、十人では足りないということをおっしゃるわけでありますから、今回、その点についてのお考えを中に入れられて認定審査会の十五人という数が出てきたのか、それを尋ねているわけであります。ですから、そういうことでもう一度御答弁くださいませんか。
#195
○船後政府委員 水俣での問題は、審査会の先生が自分で検査をしておられる、しかも、その検査をされますのは、それぞれ、大学の教授なり、そういった常務をお持ちの方でございますから、なかなかその検査に時間が当てられないというところに問題があるわけでございます。したがいまして、そういう権威のある先生方が定型的な検査というものは何もかもする必要がないわけでございます。そこのネックの部分をいかにして解決するかという検査陣審の強化が問題でございまして、審査会の人員の問題ではございません。ただ、水俣の場合には、審査会の先生がみずから診断をやっておられるというところから、検査と審査の事務とが一緒になりまして、そのような御意見が出たのかとも思いますが、なお、実情につきましては公害保健課長から申し上げます。
#196
○山本説明員 ただいま局長から概要について申し上げましたけれども、水俣病の審査につきまして、最近非常に申請者がふえたということから、県としばしば会合いたしまして、どこに問題点があるかをつぶさに検討してみたわけでございます。その結果わかりましたことは、いま局長から申し上げましたように、審査会の先生御自身が直接患者さんを見られて、かつ審査の会を持たれる、こういう二つの面がございまして、大気系におきましては、申請書及び審査につきましては別の先生がなされまして、それを審査会は書類の上で審査していくという形をとっておるわけでございますので、水俣病の場合につきましても、その辺をいかに改善するかということで促進ができるという自信をごく最近深めたわけでありまして、今後その辺を改善してまいりたいということでございます。その辺の事情を十分御理解していただきたい、かように存じます。
#197
○土井委員 そうすると、この認定審査会のメンバーは、今回の法案では十五人ということになっておりますが、検診を行なう人たちの人数というものに対しては別に定めがないわけでありますね。これに対しては、審査会のほうから依頼をして検診を要求する。その検診にタッチする人たちの人数というものは何人でもかまわないということになるわけでありますか。いかがですか。
#198
○船後政府委員 実際に検査をされる方は、必要に応じて何人でもけっこうでございまして、その費用は給付に要する事務費ということで、費用的には支弁をすることになっております。
#199
○土井委員 そうなってきますと、現にいろいろ申請でとっておる手続の中で、診断書を必ず添えなければならないということになりますけれどもね。あれがこの前もいろいろ公述の中に出てまいりまして、もはやあの診断書を省略するということが考えられなければならないんじゃないか。せっかく診断書を添えましても、申請をして認定を受けるまでにさらに精密検診を受けるわけですから、その精密検診を受けるというふうなことで十分じゃなかろうか。精密検診を受けるということと診断書をつけなければならないということはいわば二重手間だ。したがって、これに対してはいたずらに時間がかかるということが考えられる。だから、これはひとつ手続の上では診断書を省略して、そのかわり検診の段階では、精密検診がスピーディーに、そして徹底して行なわれるような体制をというふうなことがかねてより考えられていたわけですが、この点は今回の法案ではどのようになりますか。
#200
○船後政府委員 現行特別措置法におきましても、また本法案におきましても、認定の申請を認められております者は疾病にかかったものでございます。つまり患者でございます。患者であるかないかというのは、これはやはりお医者さんの判断によるわけでございますから、患者である旨の診断書というものは必要条件であると考えております。
#201
○土井委員 その診断書というものは、疾病の名称が必ずしもここで問題になっている指定疾病でなくてもいいわけでありますか。
#202
○船後政府委員 指定疾病にかかっていると認められる者が申請され、認定審査会の意見を聞いて、都道府県知事が指定疾病である旨の認定を行なうわけでございますから、したがいまして、その申請書も指定疾病にかかっている旨の診断書になるわけでございます。
#203
○土井委員 どうもそれで手続がずいぶん長い間かかるというので患者さんから非難のあるところらしいです。認定申請までの間にずいぶん時間がかかる。申請をしてから認定までの間にさらに時間がかかる。認定されるまでに非常に長時間かかる。したがって、これが何とかならないかというのがかねてからの芹なんです。これはやはりどうしても必須要件ということになりますと、今回こういうふうな画期的な法案を考えられたけれども、この点はまだ変わらない。そうすると、これはもう患者さん、被害者の立場からすると、どうも認定を受けるまでに精も魂も尽きはててしまうというふうなことから脱し切れないという部面もあるようでありまして、何かこの点についての改善策というものはないものかというのが、これは常につきまとう問題なんです。これはどうにもならない問題ですか。
#204
○船後政府委員 指定疾病でない患者さんまでも申請書を出されますと、ますます審査事務は膨大になるわけでございまして、やはり主治医として日常その患者さんを一番よく知っていらっしゃるお医者さんがまず指定疾病である旨の診断書を書き、それに基づいて申請するというこの制度が事務処理上も一番適していると私ども考えております。
#205
○土井委員 それは地域指定のある場所ででもですか。
#206
○船後政府委員 それは当然でございます。
#207
○土井委員 これは今回の問題になっている第一種と第二種のある地域によって考え方を異にするということができはしませんでしょうか。いかがですか。やはり同様にこの問題については鉄則だ、これはどこまでも鉄則だというふうにお考えになりますか。
#208
○船後政府委員 第一種と第二種とを区別いたしましたのは、まず病気の特性として非特異的か特異的であるか、同時にその区分に従いまして、費用の徴収方法が違うというだけでございまして、あくまでも指定疾病にかかっているという患者さんに対して認定するという仕組みは両者とも同じでございます。
#209
○土井委員 この点は何とかならないかという声が多い中で、それは現在の手続からすると――また被害者からしたら、どうもこの点ひっかかるところらしいんです。地域指定がある以上、そしてそこに居住していて、しかも申請書の中で本人がこういう症状であるということを善きさえすれば申請が受理してもらえて、そこで精密な検診を受けて、そしていま指定されている疾病であるかどうかということをこの精密検診の上で明らかにすれば事足りるんじゃなかろうか。そのことのために認定審査会というものがあるのじゃないかというふうな理解を相変わらず持たれる方が多いのが実情です。したがいまして、指定疾病以外の者に対して申請をやられると、かえって繁雑になって、それ自身が、これはスピーディーに事を運ばなければならないという要件からはずれることになるというふうなお話でありますが、これは役所仕事からお考えになるとそのとおりだと思うのです。しかし現地で被害者がまさかうそを語って、私は公害病でございますなんというふうなことを持って出るケースは非常にまれだろうと私は思うのです。やはり状況から判断しまして、ほんとうに苦しんでいる人が認定申請というものをやるわけでありまして、これは公聴会の席でもその意見は出ましたけれども、自分は公害病だということを認定されること自身決して喜ばれる現象ではありません。申請をしなければならない場合だって申請を手控えてきたというふうなことが患者自身の中では実情としてあるわけです。だから、そういうことからしますと、そうでないにもかかわらず、いたずらに申請をするというふうな場合は希有の例だというふうにお考えになっていいんじゃないでしょうか。だから、そういう点からしますと、こういう手続に対してはできる限り簡素に簡略に、被害者である患者さんの立場というふうなものを最重要に考えて、そしてその立場でこういう手続に対してもできる限り安く、しかもいろいろと幅広く漏れなくやれるような体制を考えることが必要だと思うのですね。だからそういう点からしますと、先ほどの御答弁は、疾病に指定されていないようなものに対してこれは申請をなさるということ自身がたいへんな間違いだというふうな意味を込めての御答弁のように私は受け取れるわけでありますけれども、しかしこれは机の上でお考えになるところの役所仕事から出てくる感覚であります。現地に行ってみますと、この点はできる限り申請に対しては簡略な、簡素な手続をというのは率直な患者さんからするところの要求であります。だから、この点は従前どおりであって何ら変わらない、これでなければできないというふうな態度でなくて、ひとつこの点何とかならないかというふうなことの御配慮が少しはあっていいと思うのですよ。やはりこの点はどうにもなりませんか。いかがですか。
#210
○船後政府委員 後ほど橋本審議官にさらに専門的に答弁いたさせますが、ただ先生少し誤解しておられるようでございます。私は決して患者さんを信用しないとか、そんなことを申しておるわけではございません。指定疾病であるかどうかという問題は、あくまでもこれは医学上の問題でございますから、主治医であるお医者さんの診断書が必要である。主治医であるお医者さんの御判断によってその人は指定疾病にかかっておられるというのが一番その人が申請する資格があるかないかを判断する場合に重要なる基準である、かようなことを申しておるだけで、ただしろうと診断でこうではなかろうかというのではこれは話にはならないわけでございます。患者さんがうそを言っていらっしゃるとかそんなことは私は毛頭考えておりません。ただ診断書の書式その他につきましては、なお事務的に詰めるべき問題もあると思いますから、そういった問題につきましては橋本審議官から申し上げます。
#211
○橋本説明員 いまの御指摘の問題の中で、まず主治医と患者との関係が非常に重要な問題になってまいります。そういう意味で診断書を一番最初だれがつくっているかと申しますと、患者に対する主治医がやっておる。これはまず私は大気系の疾患について申し上げていますが、大気系の疾患では主治医の先生がそれをやる。そうすると、それについて認定審査会に出してきた場合に肺機能の検査というものがあるわけであります。特に今度この障害補償費の問題になりますと、やはり検査というものが問題になってまいりますが、その肺機能の検査が主治医の先生自身のところにも施設があって主治医の先生自身でもできるという場合には、一回で主治医の先生だけでこれは十分やることができます。けれども、現在のところ肺機能の検査を十分できる主治医は非常に限られております。病院としても限られております。そういう意味でこれを促進するためにはそれを検査する施設をちゃんとしなければならないということでございます。この検査する施設につきましても、この点はまだ主治医の先生方がきわめて敏感なところでございます。やはり患者をとられるというような形にとられては非常に困るところでございますので、認定審査会に出されて、主治医の先生がここで検査をしてはと考えられるところに回って検査をする。その場合の検査は認定患者になれば費用が全部持たれるということになるわけであります。そういう意味で認定審査会では診断書と検査の成績をもって認定をされるわけでございます。
 簡素化というところの問題に対しましては、この認定審査会の先生方の御意見をあちこちで聞いておりますと、慢性気管支炎という診断書だけをぱっと出されてもどうにも診断のしようがないということでございまして、やはり幾つかの慢性気管支炎の判定要件というものについての所見を書いてもらう必要があるということでございます。その中でBMRCのインタビューの調査でやることのできるようなことで患者自身が言えることもございます。しかしながら先ほど局長が申しましたように、指定疾病であるかいなかということの診断行為でございますから、これはどうしても医師がしなければならないということになりますので、患者さんから聞き得てそれが有効な面と、医師が診察をして有効な面と、またその医師の指示のもとに検査が行なわれたデータをもってこれを判断するということが全部伴ってまいりますので、私どもは診断書の方式というのはできるだけ適切に、あまり複雑にならないようにしたいというぐあいに考えておりますし、この検査の施設については、公的医療機関のみならず、中には医師会の共同検査施設というものもございます。そのようなものもやはり今後体系を整備していかなければならないということを考えておりまして、それによってできるだけ迅速に行なわれるようにいたしたい、そのように考えております。
#212
○土井委員 いまのお話ですと、精密検診について、やはり認定審査会が委託される中身がずいぶん問題になってこようと思うのですね。それで精密検診について十全を期そうとすると、やはりそれだけの予算を伴います。それでこの問題については、先ほど事務費として計上されるということになってまいりますから、この事務処理に要する費用というものが一体どういうふうな配分になるかということが当面は問題になってこようと思うのですね。それで事務処理に要する費用というものは、PPPの原則からしますと、実ははずれておりまして、産業界に対する負担はなしであります。そうでしょう。ございませんですね。国と都道府県でこれは折半するとか、それから政令市の場合は、国、府県それから政令市の間で三分分担ということになるわけでありますね。ですから、そういう点からしますと、負担割合ということをめぐりまして、産業界の負担ということをもっとこの点でも考えるべきだというふうな意見が当然出てきているようであります。PPPの原則をどの程度貫くかというふうな問題もあろうかと思いますが、事業者の費用負担の性格というのは、そこでお尋ねしたいのですが、原因者負担ということでしょうか、今回のこの法案の中身では。社会的な責務からするところの拠出金というふうに考えていいんでしょうか。いずれでありますか。
#213
○船後政府委員 この制度の給付に要する費用は、すべて原因者が汚染物質の排出量に応じて負担するという仕組みになっておりまして、しかもこの負担を強制徴収権でもって担保するという仕組みになっておるわけでございますから、制度の性格といたしましては、民事的な責任を踏まえた強制徴収の賦課金である、かように考えております。
#214
○土井委員 そうすると、それはやはり原因者負担というふうな原則に基づく拠出だということでありますか。
#215
○船後政府委員 原因者集団といたしましての責任というものを考えまして、したがって給付に要する費用を負担するという考えでございます。
#216
○土井委員 そういう点からしますと、やはりこの事務処理に要する費用というのも、事業者負担というふうな意味からして、もう少し配慮があっていいんじゃないか、考えられていいんじゃないかというふうな側面もあると思うのです。いまも、現に検診なんかに必要な費用までもこれは事務費ということになってくるわけでありますから、そういう点からすると、やはりPPPの原則を貫くということから考えていっても、事務費に対して産業界の負担全くなしというふうなことは、はたしてこれでPPPの原則を貫いているといえるかどうかというふうな点が出てこようと思うのですが、この点いかがですか。
#217
○船後政府委員 公費負担の範囲とその程度につきましては、中公審の審議におきましても種々御意見のあったところでございます。一方におきましては、たとえばこのように大気なり水質の状況が悪化いたしました一つの原因として、これは国あるいは地方公共団体の立地政策上あるいは産業政策上、都市計画上の手落ちというもんがあったので、そういう意味において公費負担もすべきであるというような御意見もあったわけでございます。しかし私どもは、かりに地方公共団体あるいは国におきましてその方面における落ち度があったにせよ、健康被害を生じましたのは、これはあくまでも事業者の排出いたしました汚染物質というものでありますから、その点につきましては、給付に要する費用はあくまでも原因者の負担とするという考え方を貫いておるわけであります。しかし、これを制度として運営するというのは、一方におきまして国または地方公共団体が、公害を防止する、そして国民の健康を保護するというような責務もあるわけでございますから、労災保険その他の社会保険制度におきましても、この種の制度におきましては、事務費については公費でもって負担するという例にならいまして、これらの事務に要する費用は国と地方の折半負担にいたしたいのでございます。
#218
○土井委員 こまかい点を質問しだしますと瞬間のほうがそれを許してくれないわけでありますが、事務負担とおっしゃるその事務の範囲は一体どういうふうに考えられるかという問題点が一つは出てこようと思うのですね。ですから、そういう問題点がいろいろありますが、これは時間のほうの都合で後に譲りたいと思います。あしたまた時間があればそれをひとつお伺いするとして、先ほどから環境庁長官がぜひ早く質問をやってほしいとおっしゃってお待ちですから、先に環境庁長官に一問お尋ねしたいのです。
 実は、今回の法案と直接関係があるということではありませんが、しかし、今回、公害健康被害に対する補償の問題を取り上げている大事な法案でありますから、そういう点からしますと、一体環境汚染、環境破壊に対して国民の健康というものをどれだけ政府としては責任をもって守るかというふうな基本的な問題提起ということにもなっているわけですね。そういう点から考えて、現実に公害の被害に苦しんでいる患者さん、それからまだ認定を受けてない被害者の方々、そういう方方からしますと、現行法からしましても、また、今回の法案の中身からしましても、いろいろきびしい規制があることは事実です。たとえば、先ほどから問題になっている指定地域の問題とか指定疾病の問題とか居住時間の問題とか等々の規制がありますね。この規制に合致しないと補償の対象にならないという基本的な問題はどこまでもつきまとう。それには手続上の問題も一つは大事な問題としてあろうと思いますけれども、先立つお金がどうしてもどこまでも問題になるだろうと思うのです。予算の中身ですね。これに対してどれだけ国のほうが予算を用意できるかという問題は常につきまとう問題だと思うのですよ。
 そういう点からひとつお尋ねをしたいのは、昨年の九月に、来年度アメリカのスポーケンで行なわれる国際博覧会に公式参加をするという閣議了解がございました。これは長官御承知のとおりであります。その後、通産省のほうが責任担当省でありますから、いろいろ用意されている文書の中身を見ますと、この博覧会は、環境問題をテーマとした第一回の博覧会として、世界の注目を浴びることが予想されるとちゃんと書いてあるのです。特に日本の出展には関心が寄せられると思われると、ちゃんと書いてあるわけですね。ところが、現にこのスポーケンの万博専門委員というものを通産省のほうでは委嘱なさいまして、そしてさらにこの博覧会に対しての出品の中身に対しては、ジェトロにいろいろと依頼をなすっているようでありますが、しかし、そのいま考えられつつある中身というのは、実は日本の四季をめぐって、四季の情緒であるとか、いけ花の問題であるとか、茶道の問題であるとか、庭園の問題であるとか、あるいはこれは万博であるから半ば娯楽的なものも織り込まなければならないということで、そういうお祭り気分というものが中身としては非常に旺盛に出ているのです。これが単に政府間のいろいろな外部とのおつき合いで問題になっていることなら、私はあえて申し上げませんけれども、やっぱりこれは世界の博覧会という意味では、日本の国家として参加するわけですから、いわば国民的な立場から考えて、日本の国家をこういう姿で、形で、環境に対して私たちはこういうふうになじんでいる、国民生活は日本の環境のもとにこういうことになっているというふうなことがこれによってはたしてはっきり出されているかどうかということを考えた場合に、国民の生活の実情からは、合っているか合わないかというようないろいろな意見が出てこようと思うのですよ。これに関して、現に関係省の連絡会議というのがありまして、その中には、御承知のとおりに環境問題でありますから、環境庁というのは、わけてもこの中では大きな役割りとして入っていらっしゃるはずであります。
 そこで、環境庁長官とされましては、この世界博覧会に臨まれる態度ですね。どういうものでなければならないとお考えになっていらっしゃるか、そこのところを実は少しお伺いしたいのです。先ごろアメリカのほうから日本に来られましたスタンフォード大学のポール・エーリック教授だって、はっきり東京での講演の中では、日本に対してカナリア列島というふうな表現でもって呼ばれているという講演内容もありますし、それから、同時に来られていたマスキー法で有名なマスキーさんの講演の中にも、もはやGNPというものは日本の公害指標だというふうに考えなければならないという発言もあったりいたします。だからそういう点ではアメリカの国民のほうが、むしろ日本の環境がどういうぐあいな状況になっているかということを有識者は知っているわけでありまして、月よ花よというような出品のしかたということになってきますと、それ自身私は日本の良識を疑われると思うのです。だからそういう点から考えまして、環境庁とされては、特に環境庁長官とされては、これに臨まれる態度としてどういうものでなければならないかということを、ひとつお考えのほどをお聞かせいただきたいと思うのです。
#219
○三木国務大臣 正直に申しますと、私のところへこの企画に参加する問題というものが具体的な問題として上がってきてないのです。しかし、幹事会等もやっておるようでありますから、この問題は、博覧会と銘打って環境問題をテーマにしてそういうものが開かれる以上は、ある意味においては、役所の管轄というよりも環境庁が相当力を入れて、どういう出品をするかということも、主として環境庁の意見というものが出品については反映されなければいけませんから、これが具体化はまだこれからの問題のようでありまして、ジェトロが中心になってやっておるようですが、今後われわれのほうとしては重大な関心をもって環境問題に――マスキー氏もこの間アメリカに帰って、環境問題に対する日本の国民の関心の深さというものに対して非常な感銘を受けたという手紙を私によこしておりましたが、これはだれが見ても環境問題に対する国民の関心は非常な高まりがあるわけで、それは一面から言えば環境を保全したいという国民的な熱意のあらわれでもあります。こういう日本人のいまの考え方というものが博覧会においても反映されて、どういうことをやろうとしておるのか、やっておるのかということも紹介されることが必要ですから、この問題については今後われわれとして重大な関心を持つことにいたします。
#220
○土井委員 それはもう重大な関心を張っていただかなければ困るという理由は、六億という国費がこれに投入されるわけです。ただごとじゃないと私は思うのですね。いまこの健康被害についての補償を問題にする際に、やはり私たちの頭にひっかかるというのは予算の問題です。それで貴重な国の予算を六億も投じられるこういう博覧会の中身に、特に環境を取り扱うテーマのその博覧会でなまはんかなものが出されたら困ると思うのです。特にいまの日本の国民感情からかけ離れたようなものを、日本の国としてはこういうふうに考えますという形で出されたら、とんでもないことだと私は思います。現に二十九国ばかりがこれに参加を予定していたところが、いま申し入れているのは四、五カ国にとどまるといわれております。ECあたりもまだ態度決定をしてないのです。なぜその辺がそういうかっこうになってきたかというその理由のほどもまだつまびらかでないわけでありますが、日本としても早々と参加をきめられて安易に考えられるのじゃなしに、これは環境博というふうに異名をとっているような博覧会でありますから、ひとつ取り返しのつかないようなことだけはやっていただきたくない、これは重々申し入れておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#221
○三木国務大臣 わかりました。
#222
○土井委員 時間もそろそろ五十分ということであと五分ですから、五分ばかりでこまかい点を聞くのも私は気が進みません。きょうはもうやめたいと思います。いいですか、委員長。
#223
○佐野委員長 次回は、明二十日金曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後六時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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