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1972/09/11 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第47号
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1972/09/11 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第47号

#1
第071回国会 公害対策並びに環境保全特別委員会 第47号
昭和四十八年九月十一日(火曜日)
    午前十時三十四分開議
 出席委員
   委員長 佐野 憲治君
   理事 登坂重次郎君 理事 林  義郎君
   理事 小林 信一君
      小澤 太郎君    田中  覚君
      戸井田三郎君    阿部未喜男君
      岩垂寿喜男君    大原  亨君
      土井たか子君    木下 元二君
      岡本 富夫君    坂口  力君
      小宮 武喜君
 出席政府委員
        環境庁長官官房
        長       信澤  清君
        環境庁水質保全
        局長      岡安  誠君
 委員外の出席者
        参  考  人
        (水産庁南西海
        区水産研究所環
        境研究室長)  村上 彰男君
        参  考  人
        (東海大学教
        授)      岡部 史郎君
        参  考  人
        (新居浜市長) 泉 敬太郎君
        参  考  人
        (中国工業技術
        試験所所長)  福田  保君
        参  考  人
        (岡山大学教
        授)      河野 通博君
        参  考  人
        (全国漁業協同
        組合連合会副会
        長)      及川 孝平君
        参  考  人
        (兵庫県副知
        事)      楢崎 四郎君
        特別委員会調査
        室長      綿貫 敏行君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月十一日
 辞任         補欠選任
  岩垂寿喜男君     大原  亨君
同日
 辞任         補欠選任
  大原  亨君     岩垂寿喜男君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 公害対策並びに環境保全に関する件(瀬戸内海
 環境保全問題)
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○佐野委員長 これより会議を開きます。
 この際、去る九月八日より三日間瀬戸内海環境保全問題の実情調査のため委員を派遣いたしましたので、派遣委員の報告を聴取いたします。登坂重次郎君。
#3
○登坂委員 瀬戸内海環境保全問題の実情調査のため議長の承認を得て去る九月八日から十日までの三日間、山口県、広島県、愛媛県及び兵庫県に派遣されました。派遣委員を代表してその調査の概要を御報告申し上げます。
 派遣委員は、委員長佐野憲治君、登坂重次郎君、林義郎君、小林信一君、島本虎三君、本下元二君、岡本富夫君及び小宮武喜君の八名でありまして、ほかに現地参加として、委員戸井田三郎君、土井たか子君、並びに地元選出議員多数の参加を得たのであります。
 調査団は、山口県、広島県等の地方自治体関係者と瀬戸内海の環境保全の問題について忌憚のない意見の交換を行なうとともに、響灘並びに瀬戸内海の環境保全の実態をつぶさに視察したのであります。
 また三井石油化学株式会社等の石油化学コンビナート、山陽国策パルプ株式会社、大王製紙株式会社等の紙パルプ産業等々の瀬戸内海沿岸に立地している企業の産業排水の処理状況等の実態をもあわせて調査してまいったのであります。
 このたびの調査を通じて、地方自治体関係者等から赤潮の被害等、年を経るごとに汚染されていく瀬戸内海の実情を聴取し、その実態を視察するにつけ、われわれ調査団一同瀬戸内海環境保全特別措置法の立法化の必要性を痛感してまいった次第であります。
 時間の都合もありますので、その調査結果の詳細については、委員長のお手元に報告書を提出しておきましたので、本日の会議録に掲載されますようお取り計らいを願い、この際省略させていただきます。
 以上、御報告申し上げます。
#4
○佐野委員長 以上で派遣委員からの報告聴取は終わりました。
#5
○佐野委員長 おはかりいたします。
 ただいまの登坂重次郎君の御提案のとおり、調査報告書は本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○佐野委員長 御異議なしと認め、よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#7
○佐野委員長 公害対策並びに環境保全に関する件、特に瀬戸内海環境保全問題について調査を進めます。
 本日お招きいたしました参考人は、水産庁南西海区水産研究所環境研究室長村上彰男君、東海大学教授岡部史郎君、新居浜市長泉敬太郎君、中国工業技術試験所所長福田保君、岡山大学教授河野通博君、全国漁業協同組合連合会副会長及川孝平君、兵庫県副知事楢崎四郎君、以上七名の方々であります。
 この際、委員会を代表いたしまして、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、また遠路にかかわらず、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 御存じのとおり、白砂青松と澄んだ海をうたわれてきました瀬戸内海が各種の公害によって汚濁され、近来深刻な問題となっているところであります。
 本委員会といたしましては、美しい自然に恵まれた瀬戸内の環境を守るための法制化について、鋭意努力を重ねておるところでありますが、去る九月八日から三日間現地の視察を行ない、本日は、日ごろこの研究に当たられ、また関係されている方々の御意見を承り、もってその対策に万全を期したい所存でございます。
 何とぞ参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきたく、お願いいたします。
 なお、議事の整理上、午前中は村上参考人、岡部参考人、泉参考人からまず御意見を承り、続いて、以上の参考人に対し質疑を行なうことといたします。
 また、午後は、福田参考人、河野参考人、及川参考人及び楢崎参考人から御意見を承り、続いて質疑を行ないます。
 なお、御意見の開陳はおのおの二十分程度に要約してお述べいただき、その後委員の質疑にお答えいただくようお願いいたします。
 それでは、村上参考人からお願いいたします。
#8
○村上参考人 村上でございます。
 まずこの瀬戸内海環境保全に関する法律ができようとしていること、私二十五年間瀬戸内海の海域環境の推移を見守ってきた者として、非常にありがたく存じ、感謝にたえない次第でございます。私、海域環境の研究者という立場から、このいま審議されております法案に対する意見を申し上げます。
 もとより、法律の条文の解釈等については私全くのしろうとでございまして、以下申し上げることがあるいは解釈上的はずれな点がございましたら、どうぞその旨指摘賜われば幸いだと存じます。
 まず最初に、瀬戸内海の海域環境の破壊されている概況、これただいま承りますと、皆さま親しく現地をごらんいただいたんだそうで、さぞ印象も鮮烈だったと存じますが、現状を申しますと、汚染の負荷量あるいはそのよごしているものの因子、ファクター、それから破壊されている程度の強さ、あるいはその範囲の広さ、それからそれに伴う影響が非常に深刻であるといったようなすべての面から考えまして、どうも残念ながら現在の瀬戸内海というのは、世界の各海洋の中にありましても最右翼にランクされるのではないかといったような状態だと存じます。瀬戸内海が海洋としての自然の海域環境、これをかろうじて保ち得たとみなされますのは、おそらく昭和三十年代もきわめて早いころ、そのころが最終時点ではないかというふうに考える次第でございます。こういった破壊の原因が、要するに人間の手によって瀬戸内海に加えられた汚濁の負荷によるといったことは幾多の例証がございまして、いまさら云々するまでもないことと存じます。特に産業排水あるいは生活排水による負荷量の絶対量としての大きさ及びその負荷量のふえ方の急なこと、そういったことが最大の原因ではないか。すなわち昭和三十年代の後半ごろから破壊が目立ってきたのでありますが、ちょうどたまたまそれが三十年代後半から進められましたコンビナート化ということと、くしくも軌を一にしているわけでございます。
 ちょっと数字のことを申し上げますと、私どもが瀬戸内海における汚濁の負荷量、これを工場から、発生さしているほうの側から、そういうところから計算しました数字をちょっと申し述べさしていただきますと、昭和四十四年時点でCODの発生負荷量が一日に二千五百トンございました。そのうちの九〇%は産業排水によるものであります。さらにその産業排水によるもののうち半分、五〇%が紙パルプ工業によっております。次いで化学工業からのものが二〇%、鉄鋼業からのものが一二%、食料品からのものが九%、これらの四つがほとんど大部分を占めております。そしてこの量は、昭和三十七年の同じ計算のちょうど二倍に当たっております。
 それから、窒素でございますが、これは昭和四十四年には産業排水からのものが四七%、生活排水からのものが三六%、農地から肥料などのものが流れて出てくるもの、これが一七%という割合になっておりまして、同じく三十七年の一・七倍になっております。
 それから燐のほうは少し趣が異なりまして、これは生活排水が一番多くて五三%、産業排水が四〇%、家畜の排水が三%、農地からの流出が四%、そして昭和三十七年の一・九倍というごとになっております。特にいま申し上げました窒素の負荷量のうち産業排水は、四十四年は四七%でございましたが、この比率は三十七年に比べまして四十四年は三倍というふうに、驚異的に躍進しております。
 こういった汚染負荷の増大及びその急ピッチ、それがいろいろの面にあらわれておりまして、その中でも最も瀬戸内海の海域環境の破壊をよく訴えている、それからだれにでもわかるという意味では、赤潮の発生がございます。赤潮の発生については、本日は時間がございませんので詳しいことは避けますが、少なくとも三十三年時点から現在困っているような赤潮が出だした。そうして四十四年時点からは、非常にそれが広域化した、とともに漁業被害が激増したといった経緯がございます。
 もう一つ、瀬戸内海でとれる漁獲物の組成がすっかり変わってしまった。つまり水域が汚染されますと、底次の階級つまりプランクトンなどを食べる草食性の魚といいますか、そういったものが非常にふえまして、そういう魚を食べる肉食性の魚、こういうものが減るのであります。これは湖沼などでもすでに認められている現象でありますが、こういった事態が瀬戸内海でもすでに昭和四十年前後から認められております。すなわちカタクチイワシとかあるいはイカナゴの漁獲量が激増する、それに反しましてタイ、サワラ、そういったものが激減する、こういったことが何よりも海域環境の破壊を物語っていると存じます。
 そしてこの海域環境の破壊のメカニズム、これは実は人間の手で負荷が入りながら、その一たん入った負荷が海の中であるいは川の中で、そういったところで破壊を起こしていくというメカニズムは、全く自然科学の原則に従って行なわれます。したがいまして、われわれがこの対策を考える場合、やはりそういった自然科学的なメカニズムを十分に心得まして、いわゆるつぼを心得た対策というものをやっていく必要があると存じます。
 大体の概略でございますが、なお時間の関係で詳しいことは省きましたので、私、岩波書店から「世界」という雑誌が出ておりますが、昨年の十月号に「瀬戸内海に救いはあるか」という小文を載せておきました、この中にいま述べたようなことを詳しく書いておきましたので、あとでごらんになっていただければ幸いと存じます。
 さて、今回御審議になっておられますこの法案についてでございますが、実は私、環境庁のほうからいただいたものに基づいて申し上げますが、まず条文に対する意見を申し上げます。
 そのうちの第一点は、海域でございます。第二条を見ますと、「「瀬戸内海」とは、次に掲げる直線及び隆岸によって囲まれた海面並びにこれに隣接する海面であって政令で定めるものをいう。」というふうにきめられております。この「政令で定めるもの」というのはどこになるか、いまの時点では私毛頭存じませんが、私の意見としましては、この隣接海面に豊後水道及び響灘をぜひ入れていただきたいというふうに思います。もちろん、これがその次の第四条にもかかってくることと存じますが、と申しますのは、御承知のように瀬戸内海の水というのは、黒潮の分かれが豊後水道と紀伊水道を通って中へ入る、そして東西から進んで中央部の備後灘で離合する。しかしながら豊後水道からのほうが非常に量が多いものですから、最終的には西から東へ抜けていく。そして豊後水道には、現在のところ幸いなことに汚染負荷があまりきびしくかかっておりません。したがいまして、いわば正常な海水の供給源でありますその量もばく大でありますので、将来豊後水道に汚染負荷がかかるということは、単に豊後水道のみならず、瀬戸内海全域に対して影響を及ぼし、その回復が非常に困難になるであろうと思うからであります。
 もう一点の響灘に関しましては、これは先ほどの御報告で響灘を見てきていただいたということでございましたが、実はここは御承知のように洞海湾その他からばく大な汚染負荷量が響灘に入っております。そしてこの響灘の沖合いには対馬暖流がちょうど壁のように流れておりまして、入ってきたものがその辺でたまっているのであります。たまったものがそのままいれば、まだ瀬戸内海にはそう影響はないのでありますが、御承知のように関門海峡を通る流れが非常に強うございます。そこを通って少なくとも周防灘の西部、こことは出入りしております。したがいまして、これは区域の外にある汚染源が瀬戸内海に影響を及ぼすといった意味で非常に重要なことであります。その一つのあらわれとして昭和四十六年以来響灘の山口県沿岸、ここには恒常的に赤潮が発生しております。
 次に、これは第四条のCOD負荷量の問題でございます。法文には四十七年の産業排水によるCOD負荷量を二分の一程度に減らすというふうにございますが、この「二分の一程度」というのは実は数字的に何トンを意味するのか、これを私つまびらかにしませんが、聞くところによりますと、昭和四十七年の産業排水が千三百トン・パー・デー、その二分の一、六百五十トンだというような説もあるやに承っておりますが、これは流入負荷量であります。つまり排水口の出口で濃度をはかって排水の量をかけ合わせてそうして入ってくる量を求めていくというやり方でありますので、私が先刻申し上げました、工場からどれだけ入るだろうか、処理もするのでありますが、どれだけ入るだろうかという発生負荷量とは計算の根拠を異にしております。したがいまして、数字としては食い違いますので、以下私は私どものやりました発生負荷量による数字を申し上げます。先ほど申し上げました四十四年の産業排水だけによるCOD負荷量は二千トンになっております。これに対しまして昭和三十七年は同じく九百トンであります。つまり四十四年時点の半分以下になっておるのであります。それから冒頭述べました昭和三十年代の前半、このころがもう海域環境としてぎりぎりであるということから申し上げますと、おそらくその時点では、これは直接には計算しておりませんが、三十年代初めにはこの発生負荷量が五百トン前後であろうと存じます。したがいまして、四十四年から現在、つまり四十七年まで、これは幸いなことに排水規制がきびしくなりましてぐっと濃度が減りました。しかしながら、当然その間における生産の増大を考えますと、総量としては逆にふえたわけであります。これもつまびらかに計算しておりませんので、概略を申し上げますと、おそらく四十七年時点というのは四十四年とそう変わらないだろう。私どもカット率を想定しまして五十年を算定してみたのですが、これはやはり同様なんでありまして、おそらくそう考えますと、まあ理想としては五百トンがよろしい。つまり四十七年の四分の一ということになりますが、これが三年間の時限立法で当面の目標ということになりますと、まあおそらく五分の二程度がよろしいのではないかというふうに思うわけであります。
 次に、これは第五条の二項に許可の条件がいろいろ書いてありますが、六のところに「特定施設から排出される汚水又は廃液の処理の方法」となっております。私はでき得ればここに「処理の方法及びそれによって予測される水質」ということをつけ加えていただきたいと思います。と申しますのは、処理の方法は当然計画するのでありますが、その時点で予測される水質はわかっているわけであります。したがいまして、将来ともその規制による他動的な取り締まりでなく、排出者側の自主的な取り締まりと申しますか、そういうことを義務づけるという点でもこの予測水質ということを入れていただければと思います。同じく五条二項の八に「排出水の汚染状態その他」ということになっておりますが、実は水だけでございませんで、たとえば鉱山から出る鉱かす、こういった水でないもの、そういった排出物も大きな汚染源でございます。したがいまして、これは「排出水及び排出物の汚染状態」というふうに挿入していただければと存じます。
 それからさらに、十二条の関係でありますが、これは鉱山保安法あるいはその他の水質汚濁防止法と並んで現在活用されている法律のことが書いてあるわけでございますが、私法律的な経緯は存じませんが、ただ瀬戸内海の海域環境の汚染因子の状況から見て、これらの法によって取り締まられている鉱山関係の廃水、廃棄物あるいは発電関係の温排水、それから廃油、そういったものも全くほかの汚染因子と同様に環境破壊に貢献しているという立場から考えますと、こういったことも一括してこの法律で他の因子と同様に扱っていただくというほうがよろしいのではないかと思います。
 次に、各条文を離れまして一般的な意見でございますが、実は瀬戸内海の海域の環境容量の測定、これは口で言うと非常に簡単なんでありまして、環境容量の範囲内に汚染負荷を押えるということは原則でございますが、それじゃその環境容量というのは一体どうやってはかるのかということになりますと、きわめてむずかしい問題であります。現在たとえば水の動きあるいは物質循環による汚染物質の軽減、そういったことからそれぞれの分野で研究が進められているわけでございますが、なおこれはまだまだやらなければならないことがたくさんございます。したがいまして瀬戸内海の保全をする上においてこういったことの研究の促進と申しますか研究が非常に大切であろう。
 同じことは先ほどから申し上げております汚染負荷量がどれだけ入っているか、これを算定する方法にいたしましても、たとえば農地に肥料を入れてその肥料が川から海に流れてくる、その間に当然吸着されたり自然浄化される、そういったことの算定方法についてはまだまだ研究しなければならない問題がたくさんございます。
 そういった問題、あるいは先ほどの水の動きというのは、水に溶ける汚染因子、CODのようなものの行動はそれでわかるのでありますが、もう一つの水に溶けない、つまり沈降性の物質、そういったものが海に出されてからどういうふうになっていくか。たとえば現在周防灘の南側の海の底は非常によごれておりますが、これが南岸には直接排出される汚染負荷はきわめて少ない、したがいましてこれはどこかからくるものがそこへ舞い下がってきたんだと思わなければならない。そうしますと、そういったことの経緯に関する研究というのはまだまだやらなければならない点がだいぶございます。
 それからカドミウムとか水銀のような毒性物質が海に出る、そしてそれが生物体に入りそして人間に入る、これが汚染魚の恐慌を引き起こしたわけでございますが、そういったことの転移のメカニズム、大体重金属類は特に水にはあまり溶けない、しかしながらそれが溶けた分がプランクトンからそして魚あるいはカキというふうに転移するのでありますが、そういったことの量的な詰め、これもまだ幾らでも研究すべき問題が残っております。
 それから汚染を測定する技法でございますが、これも現在のように各県が船を出して定期的に調査していく、あるいは環境庁でおやりになったように年四回一斉にやるといった方法、現在そういう方法がとられておりますが、実は常時の全く質のそろったデータ、これをとりたい。そうなりますと、その代表点でたとえばブイロボットのような自動観測施設を備える。瀬戸内海の海域環境から考えまして、瀬戸内海に最低三十点程度の代表点、つまりそこにブイロボットを置く、そして常時の観測、これはCODにしろいろいろなものがいま自動観測できますので、そういったものを集中的にテレメーターで集めてそして解析する、そういったことが一番好ましいのではないかと思いますが、そういったことに対する基礎研究あるいは分析の技法にしましても、現在問題になっておりますCODがいいのか、TODがいいのか、あるいはTOCがいいのか、そういったことの問題いろいろな点につきましてまだまだ基礎研究を促進せねばならない問題が多々あると存じます。
 処理技術にいたしましても、窒素の処理はどうするか、まあ燐のほうが簡単だと思いますが、そういった点の研究も必要だろうと思います。
 次に富栄養化の防止であります。御承知のように現在の瀬戸内海の赤潮の発生基盤の一つとして富栄養化があげられております。その富栄養化の程度は目をおおうばかりでありますが、まあ本年から屎尿の海洋投棄が瀬戸内海では禁止になりましたので、その点ではだいぶ救われているのでありますが、まだまだ富栄養化していく。したがいまして窒素、燐をどうやって規制するかという方法、これは非常にむずかしいと存じますが、少なくともCODに並びまして富栄養化の根源である窒素、燐を規制する方法、これは学問的にもあるいは法律的にも研究しなければならない問題だと思います。
 もう一つ、汚染負荷を再検討する。実は現在の汚染負荷というものは、工場でいろいろな薬品を使う、それが排水口に集まる、そしてそこで排水処理をする、そこでカットするだけしてそれから流していくという方法なんでありまして、実は汚染負荷を軽減するのに排水処理の除去率を上げていくということはもちろん必要でありますが、と同時に排水処理に入ってくる汚染物質を減らす。これはたとえば工場の工程で、まあ不必要というと語弊があるかもしれませんが、必ずしもそれだけの薬品がなくてもできるのだったら、その薬品がかりに半分に減らされればとりもなおさず負荷量は半分に減るわけであります。したがいましてそういった工場内での検討、これは自主的な排水負荷の軽減という意味からいっても排出者のほうは特にその点を再検討されて同じものをつくるのに少しでも汚染が少なくなるようにという努力をすることが肝要だと存じます。
 以上でございますが、結局海域環境の保全、この一番のあらわれは、何といいましても水域生産が健全に行なわれていること。つまり、瀬戸内海でいえば、瀬戸内海の漁業生産が、かつての白砂青松の海の当時のように、健全に漁獲物が揚がっていく、これが一番のあらわれでございます。したがいまして、単に漁業を守るというだけのみならず、瀬戸内海における漁業生産あるいは水域生産の健全ということが実は瀬戸内海保全の何よりのシンボルだと存じます。
 原則的には、環境容量においては負荷を入れるということは原則でありますが、瀬戸内海だけに限らず、日本周辺の環境容量というものを測定して、それに見合うだけの汚染負荷量を入れていく。逆の立場で申しますと、それに見合うだけの汚染負荷量で済ませるような日本の歩みを続けていくということが実は国民として一番願わしいことではないかと思います。
 現在の段階ではもはや自然に従うものだけが自然の恩恵にあずかれるんだという時点に達していると思います。願わくは、自然環境保全の精神にのっとりまして、国民のコンセンサスによる瀬戸内海の保全が一刻も早く実現いたしますようお祈りして、私の意見を終わりたいと存じます。(拍手)
#9
○佐野委員長 ありがとうございました。
 次に、岡部参考人。
#10
○岡部参考人 ただいま御紹介いただきました岡部でございます。
 私は、現在、東海大学海洋学部において海洋化学を専攻しております。本日、本委員会におきまして、私の平素考えていますことの一端を申し上げる機会を得ましたことをたいへん光栄に存じます。
 話は少しさかのぼりますが、昭和四十四年五月に、当時の経済企画庁国民生活局が主管いたしていました水質審議会がございます。この専門委員に私は任命せられまして、愛媛県の三島・川之江地区、兵庫県の播磨灘、それから山口県の宇部・小野田、及び徳山・笠戸、それぞれの部会に関係いたしました。また、先ほど村上博士からお話ございました豊後水道の入り口にございます大分県の佐伯湾の部会にも参りまして、瀬戸内海の主として紙パルプの排水の規制に関係してまいりました。
 その後、機構が変わりまして、環境庁が設置されましてからは、広域分科会が設立され、水質部会の専門委員として瀬戸内海の問題に関係してまいりました。
 一方、私の海洋学部の立場から、本年四月なくなられました速水学部長、宇野木教授、渡辺教授とともに瀬戸内海の直流の問題について議論してまいりました。また、一昨年は、私の大学の調査船望星丸で、学生の海洋実習の際に、豊後水道から紀伊水道まで、三日間かかりまして見てまいりました。
 これらのことは、すでに私自身が「沿岸水域の水質汚濁」と題しまして、日本海水学会、あるいは日本分析化学会の関西支部等において特別講演いたしました。そういう背景から、若干の問題を申し上げたいと存じます。
 まず第一番目は、瀬戸内海は御存じのように水深が百メートル以浅でございます。そして干満の差が、ちょうど夏のころ、いわゆる大潮のころになりますと、数メートルにも及ぶわけでございます。この水深が百メートル以浅であるということ、及び干満の差が大きいということは、先日私の大学の望星丸で総合調査いたしました有明海と全く同様でございます。
 しかしながら、瀬戸内海が有明海と異なる点は、速水教授らの研究によりますと、豊後水道及び紀伊水道から入りました海流は、いわゆる恒流として紀伊水道及び豊後水道に抜けることが現在明確に認められない点でございます。この点は、瀬戸内海の水の海洋構造が実はたいへん問題になる、非常に大きな意味があるわけでございます。
 同時に、瀬戸内海は、先ほど村上博士のお話にございましたように、非常に水の静かなところで、しかも浅いために、長い間かかりまして工業生産あるいは臨海工業地帯が発達したわけです。同時に、そこに起こりますもう一つの問題は、こういうような海洋構造から考えますといわゆる汚濁されやすい、すなわち、陸上及び海上から瀬戸内海に投入された汚染物質は、瀬戸内海から外に出ることはあまり考えられないということでございます。この点は、日本の他の沿岸海域と構造が異なるということが銘記されなければならないわけです。
 そのように考えてまいりますと、まず、瀬戸内海の水質汚濁において指摘される問題が具体的にあらわれる一つとして、いわゆる透明度の低下がございます。この透明度の低下を若干申し上げますと、一九三〇年代と一九六〇年代を比較いたしますと、たとえば大阪湾では透明度が七メートル程度から四メートル程度に低下いたしました。それから播磨灘では十メートル程度から七メートルあるいは六メートル程度に低下いたしました。さらに備讃瀬戸では六メートル程度から四メートル程度に低下いたしました。このようないわゆる透明度の低下の経年変化が、先ほど申し上げました速水先生及び宇野木教授らによって指摘されておるわけです。
 この透明度の低下は一体何によるかと申しますと、一つには海水中に含まれている着色物質によるわけです。もう一つは海水中に存在している浮遊懸濁物によるわけです。浮遊懸濁物の起源は二つございまして、無機性の浮遊懸濁物及び有機性の懸濁物がございます。有機性の懸濁物につきましては、先ほど村上先生のお話にございました工場排水または都市下水、そういうものが主として有機性の懸濁物の起源であると考え得るわけです。一方、無機性の懸濁物といたしましては、瀬戸内海沿岸におきますところのたくさんのしゅんせつあるいは埋め立て、そういうところから流出してまいりますところの土砂及び粘土質がこれらの海水中の浮遊懸濁物の起源をなしています。
 浮遊懸濁物が大きくなりますと、いま申し上げました透明度が低下いたします。透明度の低下は直接どういうことに関係するかと申しますと、いわゆる海洋の生産力の低下に関連してまいるわけです。この意味におきまして、瀬戸内海における最近の急激な透明度の低下は、先ほどもお話がございましたいわゆる生産力に関する重要な問題と考えざるを得ないわけです。
 今回の法案につきまして若干私の意見を申し上げたいと思います。
 一つは、第四条の、二分の一にCOD負荷量を軽減するということでございます。これが一体どうして二分の一になったのかは、先ほどのお話のとおりでございます。
 しかしながら、もう一つここに考慮されなければならない問題は、私がいま申し上げました浮遊懸濁物の軽減の問題です。これについては別段条文にはございませんけれども、何らかの形で、もしこの法案が通りました暁には政令その他で浮遊懸濁物の問題は考慮される必要があろうかと思います。
 それからその次の問題としては、埋め立てについては云々という条項がございますけれども、これについても十分な考慮を払っていただかなければならない問題だろうと思います。
 次に、十八条に「排出水の規制に関し、量規制の導入について検討を加え、」云々とございますが、この問題はやはり瀬戸内海全体のいわゆる環境制御ということから考慮をいたしましても、どの程度の量が適切であるか、その辺が十分今後検討されなければならない問題であろう、こういうように思うわけです。
 最後に、全体の条文を通しまして感じたことを一つ申し上げます。それは、先ほど申し上げました瀬戸内海の一斉調査を昨年環境庁が主管いたしまして各府県及び政令都市が行なったわけです。その水質調査を始める前に、いま申し上げました府県及び政令都市から二名あるいは三名の方々が私の学部へ集まりまして、いわゆる分析の実験講習をいたしました。そしていわゆる環境庁が主管いたしました海洋調査がスタートしたわけです。しかしながらその経過を考えてみますと、実は各府県、政令都市によって非常に能力差があるということでございます。ある県では非常に優秀な技術者がいらっしゃる。しかしながら一方では非常に貧弱であるという、格差が非常に大きいということを痛感いたしました。そのことから考えましても、この条文を拝見いたしますと、各府県知事あるいはそれに関係する地方公共団体の責任及び義務がかなり重いような感じがいたします。そういたしますと、もしこれで瀬戸内海の浄化のほんとうの仕事をスタートされるためには、かなり人間的な面あるいは資金的な面を考慮しないと、かなり問題がむずかしいんではないかと思います。
 実は話が変わりますけれども、私、静岡県の公害対策審議会の委員及び水質審議会の委員を現在やっています。そしていわゆる田子の浦のヘドロの問題に長年関係してまいりましたけれども、やはりそういうことから考慮いたしましても、いま申し上げました瀬戸内海に関係する各府県及び水質汚濁法に基づく地方の政令都市に対する国のてこ入れと申しますか、そういうことを十分考慮していただきたい、そのように思います。
 以上です。(拍手)
#11
○佐野委員長 ありがとうございました。
 次に、泉参考人。
#12
○泉参考人 愛媛県新居浜市長の泉敬太郎でございます。
 このたび瀬戸内海環境保全臨時措置法案が議員立法として今国会に提案される運びとなりましたことは、地元の首長の一人として、また私ども新居浜十三万市民としてまことにありがたく、心から感謝をいたしておるものでございます。しかし、この法の制定ということは、いろいろな意味から考えますともっともっと早くしていただきたかったということが地域の住民の考え方でもございます。今後さらに抜本的な瀬戸内海の環境保全に向けまして一歩前進と喜んで、高く評価をいたしておるものでございます。
 私どもは、自分のおります新居浜市というもののことをおもに申し上げて、これとの関連において御参考になるようにと申し上げたいと思うのでございますが、緑と太陽とそして新鮮な空気、そしてまた清らかな水に囲まれた土地として、わが新居浜市は魅力ある田園工業都市を理想像といたしております。そういうことでございますために、企業ともでき得る限り共存を可能にするということでございますが、公害のない町への市民のひたすらな願いを具現いたしたい、このように存じておるのでございます。
 今日新居浜市が吐き出しておるものは、ごみは一日に九十トン、屎尿は一日に百三十キロリットル、また走っている車は一日二万三千台、企業の使用いたしております油は一日に四千キロリットルでございます。
 工業都市でございますために、住民の緊急かつ最大の課題は、この都市産業公害をいかに克服するかということでございます。私ども新居浜市としては、このことに対しまして行政の総力をあげて対処をいたし、市民の監視体制を強めながら、水質の汚濁、大気汚染の測定網と分析研究機能を近代的に整備する努力をいたしております。特に産業公害に対しましての企業の社会的責任を明確にし、企業と市民及び行政が一体となって無公害都市を目ざして万全の体制を確立することを目標にいたしておるのでございます。
 しかしながら地方自治体としての悩みは少なくないのでございまして、公害に関しましては自治体がもっと強い権限を持たなければ対処できない、こういう感じが深いのでございます。これがないと公害に向かっていく場合に基本的な解決にはならない、こういうふうに受け取っておるのでございます。それと同時に、財源というものが非常に大きく立ちはだかっておるのが現状でございます。とにかく公害対策には一つには金がかかるということでございますが、特にこれら公害対策に関しまして国の財政的な配慮というものを強く要望いたすものでございます。
 今日、私たちは祖先から伝承をされました偉大な自然環境をこれ以上破壊してはならない、こういうことで、現状では極限に来ておる、このように思うのでございます。瀬戸内海はだれのものかといいますと、これは瀬戸内海をめぐる住民のものでございます。政府のものというと、そういう考え方だけでは解決できない、このように思います。都市づくりの根源は市民に豊かな生活でありますが、私たち人間は自然の恵みの中でしか生きられないものであることを冷厳に認識する必要があるときに至っております。人類はいつまで生き延びられるかというようなことが一部で議論をされ始めております。確かに大気や水、魚の汚染というものは激しく不気味に広がっておるのでございます。ここ、これが安心と気軽にいえるものはないようでございます。皆さま方もよく御承知をいただいておりますとおり、いまや瀬戸内海は死の海と変わろうとする、こういう段階に来ておるのじゃないかと危ぶまれておるのでございます。瀬戸内海における水質汚濁地域は五十八水域、百七市町村に及ぶといわれておりまして、工場排水による汚染、油による汚染、赤潮の発生等、この瀬戸内海の汚染は広がる一方でございまして、一刻も放置できない状態ではないかと思います。いまや世界的には全人類がかけがえのない地球を守るため、人間環境問題の重要性に気づいて立ち上がっておるのでございます。日本列島を公害から守ることは、社会のまた政治の大きな使命でございます。またこの法案に関係いたしまする瀬戸内海を昔の美しい景観を誇る青い空、青い海の、もとの内海の姿に返すことは私どもの念願であり、また実現をすべき使命も持たされておると思うのでございます。
 瀬戸内海の環境保全に関しましては、国もまた私たち地方自治体も新しい法律や条例をつくって努力はしておりますが、なかなかもとのきれいな海になりません。最も大きな汚染源である工場はきめられた基準値という一応の範囲内でたれ流し、排出を続けております。自然の生態系には一定の秩序と容量があるのでございますが、それが結果として無視されているように思われるのでございます。したがいまして、今回の法案の骨子となっております排出水の汚濁負荷量を二分の一に浄化するということは、自治体にとりましては一歩も譲歩できないぎりぎりの要望である、このように存ずるのでございます。しかしそれで満足できるかというと、必ずしもそうではなくて、さらに抜本的な解決へ向けて御努力を要望するものでございます。
 九州の有明海沿岸に第三の水俣病が発生していたという熊本大学第二次水俣研究班の報告はまさに衝撃的でございました。そしてその後全国各地で次々に明るみに出たおそるべき水銀汚染の実態につきましては、わが国の環境汚染の深刻さと、これに対する行政の決定的な立ちおくれというものをまざまざと見せつけられました。汚染騒ぎの起こった各地では、魚の売れ行きが激減いたしました。私ども新居浜における水銀使用工場は大きい規模の工場でございまして、現在その工場では食塩電解槽の陰極として水銀を使用しておるのでございます。汚染魚による問題は新居浜市におきましても漁民の休漁問題、魚の売れ行きの激減から小売り業者の休業など深刻な問題を生じまして、一時は市民に対して不安のどん底におとしいれられはせぬかと危ぶまれたのでございます。瀬戸内海のみならず、これからの環境問題に対処するためには、すでに汚染された地域に対して有毒物質の排出水の規制、無計画な埋め立ての規制、ヘドロの除去、大型タンカーの航行規制、工場の増設規制など、種々の規制を強化することはもちろん必要なことだと存じますが、これらにつきましても直接関係いたしております住民の意思を、住民の意見を十分聴取して対処を願いたいと思うのでございます。今後これら未然防止に最大の重点が置かれなければならないと存ずるのでございます。
 さらに瀬戸内海のように三つの水路で外洋と結ばれ、水が入れかわるということには数十年を要するという特殊な内海であるということを十分意にとめまして、もとのきれいな海にするためにはいろいろな努力が要ると思うのでございます。何としても浄化をしなければならぬと思うのでございますが、まず瀬戸内海は瀬戸内海の中でよくするということが大事じゃないかと思います。これをどこかへ運び出して、そしてどこかから新しい水を入れていくということも一つの方法と思います。しかしながらその汚染された水が出てくるところを引き受けてくれるところがあるかないかということも十分考慮に入れて対処をすべきではないかということも考えられるのでございます。
 公害の被害に苦しんでおります国民の生活や健康、さらには公害補償等を考えました場合に、一つの考え方としていろいろあろうと思います。憲法第二十五条に規定をされておりますように、すべての国民は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障されておるのでございます。こういうことでございますが、私どもといたしましては大まかに申し上げまして公有水面の埋め立てにはぜひとも住民意思を十分尊重して取り組んでいただきたい、こういうことでございます。
 なお、自治体はやむを得ず埋め立てをするということもございますが、それ以外は、これは強い力で認めないというようなことにしていただかなければならぬのじゃないか、このように思うのでございます。
 次に、排出量の制限についてでございます。先ほども申しましたが、総量で規制をしていただかなければならぬということでございます。排出量は薄められて出せばいいという考え方も巷間では流布されております。薄めればよいというのは、海に出ましたらまたたまるのでございます。集積されましたら濃いのが出たのと同じ結果になると思うのでございます。でございますから、出す量そのものの中の含有排出物を総量によって規制するということが何より大事じゃないかと思うのでございますが、これらも二分の一はもうぎりぎりであるということをお考えいただきたいと思うのでございます。
 なお、瀬戸内海に影響のある工場の営造物につきましても、特に十分な御調査の上での御決定をいただきたい、この影響を十分踏まえての許可をしていただきたい、こう思うのでございます。
 なお、瀬戸内海を現状よりもよくするということにおきましては、地域の自治体がこれに協力をしなければならない。自治体に大いなる協力を要請してほしい、こう思いますが、そのためには自治体に対する下水道の、また終末処理場その他これと同じ性質のものに対しましての国の助成策を再検討していただきたい。いままでたいへん助成が少なかったのを、助成をうんと思い切ってふやしていただかなければ、市町村の力ではこの作業には取り組めないというのが現状でございます。一刻早ければ一刻瀬戸内海の汚染が防げるということでございますので、補助額は二分の一は三分の二にするとか、三分の二のものは四分の三にするとか、あるいは四分の三は五分の四にするとか、こういうふうな進め方をぜひとも国において考慮していただきたい、このように存ずるのでございます。
 あらためて重ねて申し上げますが、瀬戸内海はどこまでも瀬戸内海をめぐる住民のものである、こういう認識の上に立たれまして、瀬戸内海をめぐる住民のための政治ということで、特別立法としてそれらの配慮を、先ほど申しました汚水、排水の処理等に関しまする終末処理場、あるいは下水道等に対する補助の助成の増大をもあわせまして御配慮をいただきたいと思うのでございます。
 なお、もう一歩進めてお願いいたしますならば、この瀬戸内海をいかにして瀬戸内海の住民のものにし、日本列島の改造の大きな一つの役割りを果たさすためには、研究機関を瀬戸内海にもっともっと強化してほしい。三年前の魚の汚染を本年になって検討して、そして警鐘を乱打したというようなかっこうのものになったのでは、住民が納得しかねるということを踏まえていただきたい、このように存じます。できれば国立の公害研究所を岡山にということも伺うておりますが、こういうものにつきましては十分な御検討をいただいて、そして一カ所でなくても何カ所、ぜひともこの瀬戸内海対策のための機関を設置していただきたい、このように存じまして、私の参考人としての意見を終わらしていただきます。ありがとうございました。(拍手)
#13
○佐野委員長 ありがとうございました。以上で、午前中の参考人からの意見聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#14
○佐野委員長 引き続きまして、参考人に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
#15
○林(義)委員 参考人の三先生にはいろいろと貴重な御意見、どうもありがとうございました。現在当委員会におきまして、瀬戸内海環境保全臨時措置法というものをやっておるわけでありまして、いまお話を聞いておりまして非常に得るところも多かったし、またこれからやらなければならない点も当委員会としてもたくさんあるだろうと思いますが、言うならば、きょうは私のほうは立案者というか、の立場で、まあお話も少し申し上げなければならないと思うのであります。
 この法案を考えますのに、私は自民党でありますが、自民党の中でもいろいろとありました。各党ともそれぞれみんな考えておられるわけです。私は、この瀬戸内海の環境をきれいにしていくというのは、イデオロギーをこえた、各党共通の立場においてこれを議論しなければならないというのが一つの基本的な考え方でなければならないだろう、こう思うのです。やはり国民的にいって、瀬戸内海をきれいにしていくということは、祖先から伝えられたこの白砂青松の瀬戸内海のきれいなところを後代に伝えていくという、われわれ現代に生きておる者の責任だろう、こう思うのです。そういった点から考えるならば、いろいろな点を除いてもぜひこの立法をやりたい、こういった形で私たちは取り組んでいるわけであります。ですから、内容的には現実の環境汚染をどうしていくかということになりますと、これはもう完全に、この法律ができたからたちどころに瀬戸内海がきれいになって昔のようになるということは、私もなかなかそうはいかないだろうと思うのです。しかしながら一歩前進であることは間違いないし、またこういった法律をつくることによりまして、瀬戸内海関係の住民の一致した瀬戸内海の環境汚染に対して目を向けることができるという一つの大きな目標があると私は思うのです。そういったことも一つの大きなねらいとして私たちは考えておるわけであります。
 そこで、実は村上さんからもお話がありました、二分の一がよくわからないというお話であります。岡部さんのお話も、二分の一というのはどうしてであったかということでありますが、これも確かにおっしゃるように、私たちとしてもいろいろとまた考えてみたのです。昭和三十年当時、三十年の初めごろはここもやはり非常にきれいでありました。あの辺に生きている住民としては、海岸に行きましても十分に海水浴もできたし、いそ釣りもできた、こういうことであります。その後の高度成長の結果、やはり工場が非常にできてきて、工場ができてくれば汚染物質も流れる。私の記憶では、たしか昭和三十五年から四十五年までに全国民の所得倍増というものがありましたけれども、瀬戸内海の特に中部地区の工場生産というものは五倍ぐらいになっているのではないかと私は思うのでして、そういったものも当然出てまいります。それをどうするかということでありますが、工場ができてくることによってやはり労働者の生活水準というものが上がってきた。その辺も考えていかなければならないことだろうと思う。ところが、そんなことを言っておりましたら環境保全法になりませんから、そこをまあ調整していく。実はどのぐらいのところに持っていったらいいだろうかと、大体感じとして昭和三十年ぐらいまでいけばよろしいだろうとみな考えたんですが、実は昭和三十年当時の具体的なCODの資料であるとかなんとかというものがない。まあさっきお話のありましたようなかっこうのことは大体検討したのですが、これはやはり立案者といいますと、あっちもこっちも行って説明しなくちゃならない。五分の二と言いますと、なぜ五分の二にしたんだ、三分の一にどうしてしなかったんだという議論があるし、二分の一にどうしてしなかったんだ、もう少し――大体いまの情勢からすると三分の二ぐらいだ、いろいろな議論が出るわけであります。そこで思い切って、しようがないから、二分の一といっちゃったら非常にわかりやすいから、二分の一にしておこう。二分の一にしておけば当たらずとも遠からずのところに持っていけるんじゃないか。本来そういう数字がわかりませんからやらなければならないし、ほんとうは瀬戸内海というものは環境容量というものがどのくらいあるのだ、それをはじいてみて、それからその浄化をしていく。瀬戸内海が六十年に一ぺんぐらいしか水がかわらないとか、浅瀬がいろいろあるとかというようないろいろな研究をした上で正確な数字を出すべきだろうと思いますが、そんなことを待っておったんではできませんから、そこは非常に卑俗なことばでいえば、二分の一でええやっとやっちゃったわけです。そういうふうな考え方でこの法律というのはひとつつくられておるわけです。そういった意味でまさに臨時措置法である、こういうふうに御理解をいただきたいと思うのです。そういうふうなことでございますから、その点につきまして立案者の意図もわからないからということでしょうから、先生方のお話がありましたけれども、その辺については何かぜひこれをこうやったら、こういう点があったならばこういうふうな話ができただろうとかなんとかというようなお話があるのかどうかという点をまずお二人にちょっとお尋ねしておきたいと思います。それが第一点です。
 それから第二点は、予測される水質というものにおそらくSSを入れてくれ、こういうふうなお話だろうと思うのです。SSの問題も確かにありますけれども、SSの問題は、私は省令で書くか何かすれば書けることになるかもしれませんし、概して言うならば、あまりこまかなことをがたがた言うよりはCOD一本でばあっとやっておけば、SSというものとCODというのはある程度までの相関関係もありますから私はいいんじゃないか、こう考えておったんですが、そういったことでないのかどうか、その辺につきましてもちょっとお尋ねをしておきたいと思います。
 それから泉さんからもお話がありまして、水銀問題とかいろいろあります。ところが考えますと、水銀問題とかPCB問題というのは瀬戸内海だけの問題ではないのでありまして、全国的な問題である。そうすると、その全国的な問題を瀬戸内海だけ特別取り扱いをするわけにいかない。水銀というものは検出されないことということが一つの基準になっておりますから、それをやはり瀬戸内海だけ特別にどうだこうだというわけになかなかいかないと私は思いますから、それは一般の水質汚濁防止法なりその他の対策でやっていかなければならない、こういうふうなことで実は考えたわけであります。
 それからあともうちょっとお尋ねしたいんですが、PとN、窒素と燐の問題でありますけれども、赤潮の発生原因である。これはなかなか、現在でも環境庁のほうでいろいろな基準をつくるとかなんとかというような作業をしておられるようであります。この辺というものをやはりどのくらいにしていったらよろしいかというのも一つの問題ですけれども、まあ基準がないうちにこちらのほうで早急にというわけになかなかいかないと思うのです。これをこれから規制もしていくためには、工場排水もさることながら、下水道の整備というものをやっていく必要がありますが、この下水道の整備というのを、特にPにつきまして下水道の整備というものを考えたときに一体どういうふうな、具体的に何かいい方法があるのかどうかという点をちょっとこの際教えておいていただきたいと思います。
 下水道のほうもことしはひとつ補助率を大いにアップしてやりましょうという話になっておりますし、そういうことですから、私はこのPとNとを分離したり何かする、あるいはPだけを非常に下げるというようなことを考えていくことも一つの方法じゃないか。現実問題としてですよ。それは全部やるにこしたことありませんけれども、金との問題その他の問題ありますし、一気になかなかそう簡単にできませんから、そういった点も考えなくちゃいかぬので、そういったいいお知恵があれば教えていただきたい、こう思います。
 それから田子の浦の例を引かれまして岡部先生お話がありましたけれども、まあ新居浜でもそうでありますし、きのう、お隣ですか、伊予三島も行きましたが、やはりあれだけ大きな埋め立てというものを――埋め立てをするかしゅんせつをするか、ヘドロの処理場をつくるということでありますけれども、これは具体的にやはり田子の浦のような方式がいいのか、もう少し何かやる方法はないのか。財政資金、財政資金とおっしゃいますが、それはやはり金がかからないで被害が出ないような方法というものもひとつ考えていかなければならない、こう思いますから、その辺で岡部先生、海洋科学のほうですから何かいい方法ないのか、お教えをいただきたいと思うのです。
 以上でございます。
#16
○村上参考人 最初の第一点の汚染負荷量の二分の一でございますが、御事情よくわかりました。
 私、申し上げたいのは、結局現在のところでは、環境容量というものは確実に何十何トンというところまで算定する域に達してない。したがいまして、環境破壊の状況と対比して当時の環境汚染負荷量ということでやらざるを得ない。実は三十七年以前については、私どもがやりましたような発生負荷量の算定は現在いたしておりません。したがいまして、これは早急に同じ方式でやって、はたして三十五年あるいは三十年時点でどのくらいか、これはやればできるわけですから、それに基づいて考えるべきなんでありまして、私四分の一と申し上げましたのは、三十七年以前については工業生産の伸びから見た推定にすぎません。ですから、理想は四分の一だということだと思います。
 第二点のN、Pについてなんですが、結局これも発生負荷量は全部計算してあります。したがいまして、どのくらいに押えたらいいかといったようなことも、まあCODと同じ考えでやればやれるのですが、ただ除去というのは非常にむずかしい。現在その技術レベルがまだまだ及ばないということを考えますと、これはCODと同一に扱ってはまずいんだろうということからなんでありますが、ただ富栄養化の限度という意味から申しますと、やはり赤潮の発生が一つのめどでありまして、そうしますと、三十三年に徳山湾で出て、それから四十四年から大発生したということになりますと、やはりこれは三十年代の後半といった富栄養限度をめどにすべきだ。それからまた水産環境水質基準では、内海、内湾において長期の赤潮発生を避けるためには、たとえば燐でございますと〇・四五マイクログラム・パー・リッターといったような目じるしがございます。したがいまして、これも一つの尺度になります。
 ただここで考えなければならないのは、N、Pに関しては、必ずしも入ったものがすぐに富栄養になるんじゃなくて――その部分ももちろんあります。しかしながら、底へ一たん沈んで、それが海底に酸素がなくなると溶け出していくという点がございます。したがいまして、私はN、Pの除去法としましては、NよりもP、これは絶対量も少ないし、化学的な反応もたやすい。たとえば石灰、重金属などで固形化して溶け出さないようにする。そうして排水処理ではその段階でとる。それからまた海へ沈んで、いま申しました再溶出による分はそういうことで押えていくという方法で、私はPについてまず三次処理というものを実行していくといったほうが賢明ではないかというふうに思っております。
#17
○岡部参考人 ただいまの村上参考人とダブる点は省かせていただきます。
 私、一つ申し上げたいのはSSの問題でございます。もし御考慮いただけるならば、一番の問題はやはり紙パルプ業から海域に入るSSだと思います。このSSが海域へ入りますと、御存じのように海水中の硫酸根が還元されまして硫化水素が発生いたします。硫化水素が発生いたしますと、海水中の溶存酸素を消費しまして、いわゆる魚が呼吸できない。同時に海底の底棲生物が生息できないということが起こってまいりますので、ぜひこのSSについては御考慮いただきたいと思います。
 田子の浦の例を申し上げて恐縮なんですけれども、現在田子の浦では約八十万トンぐらい堆積しております。これを事業者負担法で現在しゅんせつをしております。昨年いろいろ事業がございましたけれども、本年やる予定です。これくらい堆積しますととても手に負えませんし、一度しゅんせつしまして、そしてまたいわゆる上のせ排水基準を次から次へかけざるを得ないということが起こってまいりますので、ぜひ今回の瀬戸内海の前には現在から上のせをかなり厳しくしていただいて、特に紙パルプについては後顧の憂いのないようにしていただきたい、そのように思います。
 それから田子の浦ではPCBの問題がございました。これはいわゆる家庭紙の製造工場から出てまいりましたいわゆるノーカーボン紙系統でございますけれども、これをやむを得ず富士川の河川敷に現在封じ込め作戦をしています。私はこれしか現在方法ないと思っております。
 以上です。
#18
○泉参考人 お尋ねをいただきましたことについて確めさしていただいて、御答弁申したいと思います。
 まず第一点は、水銀とかPCBは瀬戸内海だけの問題ではない、全国至るところの問題であるということでございます。これは私もそのように同感をいたしております。しかし私の申し上げましたのは、他の地区と違いまして瀬戸内海では海水の交流というものが非常に限られておるということから、特にこれについての対策としては瀬戸内海は瀬戸内海でひとつ何とか取り除きをする方策を立てたいものだということを強調さしていただいたわけでございます。
 次に埋め立ての問題でございます。これは先ほどの岡部先生の御答弁とダブるというかっこうにもなりますので御遠慮申したいと思いますのと、もう一つは瀬戸内海で私どものところと製紙工場のある三島、川之江が比較的近いところにございます。私どものところもたくさんそういうものもございますけれども、これは市民の出しまする生活用水の廃棄物ということでございます。
 以上でございます。
#19
○佐野委員長 土井たか子君。
#20
○土井委員 お三人の先生方からまた市長さんからお聞かせいただいた御意見は、それぞれ貴重な御意見として私たちこの法案の審議にあたりまして生かしていきたいということでありますが、特にお伺いしたい点をそれぞれ二、三点質問させていただきたいと思います。
 先ほど林委員のほうからのここでの御意見の中でももう出たわけでありますが、きょう村上先生のほうからたいへんに貴重な意見が出されたわけです。それは昭和四十七年現在の汚濁負荷量の二分の一ということの中身がこのままでよいかどうかということについての再検討を迫られる中身であったわけですが、端的に申し上げまして、先生のお考えからしますと、四十七年九月現在ということで、あれは問題になっているわけですが、汚濁負荷量の二分の一にした場合のメリットははたしてあるのかないのか、この点についてのお考えをひとつ端的にお伺いしたいと思います。
 それからいま家庭排水等々の問題が少し出たようでありますが、第三次処理ということを、これはしきりに下水道の終末処理についても急がなければならないと私たちも申しておりますし、いま現に検討されているわけですけれども、最近家庭排水の中でも特にABSがかなりの部分を占めているというふうなことが言われているわけでございますが、岡部先生、一体このABS、どの程度のウェートが、いまこういう海水汚濁について考えていった場合に、考えられてしかるべきか。そしてまた、それに対しての対策はどういうふうにとっていくことが一番望ましいとお考えになっていらっしゃるか。これ、やはり今後の課題としてさらに大きくなるのではないかということを私たちは思うわけですから、ひとつこの問題をお聞かせいただきたいと思うのです。
 それからさらに新居浜の泉市長さん、先ほどやはり企業からの排水については排水量をふやすことによって水増しをして希釈するというふうなことが十分に考えられてしかるべきだ、したがってその点に対して十分な規制というものをしておかなければしり抜けになるのじゃないかというふうな意味の御発言がございましたが、私たちもそれはそのとおりに考えます。したがいまして、これはいろいろな手の打ち方があるわけでございますけれども、やはり排水量の規制ということで総量規制については手を打っていかなければならないのじゃないか。そこで企業の排水量の規制についての監視体制ですね、これやはりいろいろございますが、一々排水口に出向いて四六時中横で監視しているわけにもいきません。そこで、零細企業については無理であるかもしれませんが、自動測定器を排水口に取りつけることを義務づけて、そして常時そこに、だれでもが行った場合にどれだけの排水量を出しているかということが一目瞭然わかるような措置をとってはどうだろうというふうなことも最近意見として出るわけです。この自動測定器を義務づけるというふうなことについてどういうふうにお考えになるかということと、もう一点は埋め立ての問題なんです。
 当初、私は社会党に属する議員でありますが、社会党は、この埋め立てについては全面禁止をもって法案を用意し、そしてこの場に臨みました。しかし現に検討中の案の中では、埋め立てについては公有水面埋立法の免許にあたって、その水質の保全であるとか、自然の景観や漁業施設の保全などを十分配慮しなければならないということを前提に置いて、そうして特に埋め立てについてのこの規定の運用の基本となる方針を、瀬戸内海環境保全審議会できめるというふうになっているわけです。そこで問題になってくるのは瀬戸内海環境保全審議会なんですがね、この瀬戸内海環境保全審議会ということのあり方ですね、構成メンバーというのも含めて、あり方について特にこうあってほしいというところを、ひとつ市長さんからお聞かせいただければ幸いだと思います。
 それからヘドロの処理、先ほど問題が出ましたが、ヘドロの処理についても、これはヘドロと一口に申しましてもいろいろございまして、中に有毒、有害の物質が含まれていることがはっきりしている場合、むしろしゅんせつをすることによって拡散させる危険性というのもはらんでいるわけです。そこでヘドロの処理についてはどうしたらよいかというのが悩みの種になるわけですが、現にイタリアあたりではもう実用化されていると聞きますポンプ吸入式の清掃船の実用化ということも一面問題にされているわけでありますけれども、これが日本ではまだまだ実用の段階じゃないわけですね。そこでいまどうしても早急にということになると、やはり押し込め、埋め立て方式ということでなければどうにもならないのじゃないかということをよく聞くわけですが、このヘドロの処理につきまして村上先生と岡部先生、お二人の先生からお伺いをしたいと思います。
 それからさらに今度はタンカー規制、これは特に瀬戸内海の環境保全をやる措置法の中でも含めて考えなければいけないじゃないかという声も内々あったわけですが、今回このタンカーの規制は漏れております。漏れておりますというよりも、むしろ別のこれに対する交通安全を念頭に置いた問題として取り上げて、海上交通安全等々についての規制法の上で問題にしていったほうがいいじゃないかというふうな意見がおおよそを占めたといういきさつもあるわけでありますが、タンカーの規制がはずされておりますが、この事柄についてひとつ御意見がもしおありになるならばお聞かせいただきたいと思うわけです。これは村上先生も岡部先生も泉市長さんも、お三方いずれでもけっこうでございますからお願いいたします。
 そして最後に、これは「日本列島改造論」あの中にも出てくるわけでありますが、こういう意見があるので考えてみる必要があるという趣旨で述べられているわけですが、こういう意見といいますのは学者の中にある意見であります。それは四国の高知県から香川、愛媛の県境にかけて水道を切り開いて、太平洋の黒潮を瀬戸内海に引き入れる。そうして瀬戸内海を浄化するという構想なんでございますが、こういう構想についてどういうふうにお考えでいらっしゃるかということを村上先生、岡部先生にひとつお尋ねしてみたいと思います。
 以上です。
#21
○村上参考人 お答えいたします。
 最初の二分の一にしたらどういうメリットか。私どもの計算でいきますと、二分の一というのはおそらく昭和三十七年ごろの時点です。そうしますと、大規模赤潮はまだ発生していない。ですから、それなりのメリットはあるわけであります。ただし、ここでちょっと注意しておかなければいけないことは、現在海底にたまっているいわゆるヘドロ、それから出る負荷、これはプラスされているわけです。ほかから入るのは三十七年だけど、その当時プラス海底からの二次汚染、これは考慮しなければならないと思います。
 それから第二点のヘドロ処理なんでありますが、なるほどシルシポンプによるイタリア式の吸い取り、これはやっております。実はヘドロの処理というのは散らさずに取るほうはまだ技術的によろしいのであります。その取ったあとの始末が実は非常にむずかしい。どうやって水を分離するか。その分離された水にもし毒物があれば、それをどうやって処理して海に戻すか。あるいは分離してしまった今度はいわゆる沈でん物、そいつをどうやってそれから溶け出さないように固化してうまく処理するか。これが実は非常な難点であります。ですから、こういった一連の方法がやはり技術的に開発される必要があると存じます。
 それから次のタンカーの規制でございますが、これは私は少なくともタンカーの場合には事故による大量漏油、これがおそろしいと思います。したがいまして、交通安全の面からの規制でもけっこうです。極力そういった事故の大量漏出がないようにということが肝要であろうと思います。
 それから最後に列島改造で実は四国をぶち抜くという、これは確かにそういうことをお考えになっていらっしゃる方があるやに承っておりますが、私は実はこれはあまり賛成できません。
 その理由、三つございまして、一つは先ほど私、意見の中で申しました豊後水道からの浄化水、これに比べてかりに――かりに関門トンネル程度のものが掘れたとしても、これは量としてはあまり問題にならない。それからまた潮位差から考えて、その水の勢いですね、勢いはそうは強くはならない。したがいまして、そこの水がすうっと瀬戸内海の汚染を外に吐き出すということにはならないんじゃないか。これはもちろん私、学問的に検討しておりませんので、勘だけで申しておりますので御容赦願いますが、そう強いエネルギーは期待できないだろう。逆効果として汚染物質のある湾入域、たとえば大阪湾、広島湾、そういうところへ逆に押し込めるような作用が起きるのじゃないか、少なくともそういうおそれがありますので、これは十分に御検討、実験を重ねられた上でないと何ともいえないのじゃないか。
 それからもう一点は、太平洋の水が直接瀬戸内海に入った場合、塩分濃度が違うわけです。少なくとも塩素量にして一プロから二プロ違います。そうしますと、瀬戸内海の水族に対して非常な影響を与える。何年かたてば太平洋と同じようなものが住みつくでしょう。それまでの間大混乱を生じるといったようなこと。
 それから最終的には私は、これは根本的な考え方なんですが、よごすだけよごしておいて、あとこういう特効薬があるといったことでは環境保全ということはなかなかできない、やはりよごさないほうが先決だというふうに存じます。
#22
○岡部参考人 まず一点ですが、ABS、アルキルベンゼンスルフォン酸の件でございます。これにつきましては、現在私たち文部省の特定研究で東京湾の汚染物質の地球化学的研究を行なっております。その中にこのアルキルベンゼンスルフォン酸の項目が水産庁の東海区水産研究所の新田博士によって測定されております。しかしながら海水及び海底土のABSの測定法は非常にむずかしゅうございます。そして現在まだ量が非常に少ないもので、明確でございません。ただ瀬戸内海は太平洋あるいは東京湾と異なりますので、この辺は将来大いに研究していただきたいと思いますけれども、現在ABSについて規制云々の問題はもう少し先でもよろしいのじゃないかと思います。ほかにもう少し急ぐべき問題があるのじゃないか、そのように思えます。
 それからヘドロの問題ですけれども、一度海域に入りますと、特に紙パルプのヘドロでございますけれども、これはもう処置はございません、残念ながら。その場合には、ちょうど田子の浦でやっていますように、ポンプで吸い上げて他の場所へ持っていくかあるいはまたはそこを埋め立てるか、もう二つしかないと思います。やはり先ほど私申し上げましたように、そういう浮遊懸濁物が海域に入る前に処理するということしか方法がないと思います。
 それからいまの日本列島改造論に伴う議論でございますけれども、実はいまお話しございました問題は、私たちの学部と日本地球化学研究協会が霞が関講座を三カ月に一回やっています。その第一回の講座が昨年の十二月霞が関の三十三階の私の大学の校友会館で開かれました。この際に、この議論が出てまいりまして、海洋学者全部集まりまして徹底的に議論いたしました。その結論はいま村上先生がおっしゃったとおりでございまして、これは考えることは可能ですけれども、海洋学的には意味もないし、不可能である、そういうことでございます。
 以上でございます。
#23
○泉参考人 ただいまお尋ねいただきました工場の排水の測定についてでございます。企業の排水の中に含有されております毒物の規制ということから申しまして、これを薄めて、これによって濃度が低いからということで出してしまうということになりますと、意味がないということでございます。私ども、先生の御意見と同感でございます。でございますから、これを規制するということでございますが、規制の方法としては御指摘のように測定器を排水の口につけるということがいま考えられる最もよい方法だと存じまして、ぜひこれは義務づけをいたしたい、このように私どもも考えております。そのようにおきめいただければまことによいことのように存ずるわけでございます。
 次に埋め立ての問題でございますが、埋め立てについては全面禁止というのが本来の行き方であろう、このように思います。ただ、自治体などが終末処理場をつくる、こういうことからすれば、むやを得ぬというものが残されると思うのでございます。これらに対しては、自治体のやむを得ないというようなことについてはこれを法の中に考えてほしいということがございますのと、それ以外においてはもう禁止をしていただきたいということでございます。このようなことから、ぜひ私ども今後の規制というものは強化していただきたい、こういうふうに存じます。
 なお、審議会というものにつきましては私どもも十分に存じませんので、今後の状態というものを見せていただきましてこれに対しての考え方をきめたいと思います。
 以上でございます。
#24
○佐野委員長 木下元二君。
#25
○木下委員 まず泉参考人に伺いますが、現地視察をいたしまして、新居浜は素通りをしただけでありますが、そのお隣の伊予三島には行ったのであります。新居浜のほうでは赤潮の問題、それから漁業被害の問題、これごく簡単でけっこうでございますが、ごく最近の、ことしになってからの状況を一言でけっこうでございますから伺いたいと思います。
#26
○泉参考人 赤潮は新居浜の海におきましては本年に入りまして七十回ほど出ております。そうしまして、その八割までは六月に出ました。
 なお漁業関係の紛争でございますが、これにつきましては、新居浜において大きな紛争が起こりまして、全国的な漁業紛争の端を開いたというかっこうになっております。大体解決はできております。
 以上でございます。
#27
○木下委員 実はその現地視察に行きました際に、伊予三島で愛媛県と伊予三島市と両方から事情を伺ったんです。そのときの、いま手元に資料を持ってきておりませんが、愛媛県から出ておりました資料によりますと、赤潮の発生回数は十四件、四十七年度までの分が書いてありましたけれども、四十八年は十四件で回数が最も多い、こういうふうに出ておったんです。ところが――間違いがございましたか。
#28
○泉参考人 どうも失礼いたしました。本年は九回でございます。
#29
○木下委員 九回と言われたのは新居浜の沖合のことですか。愛媛県全体でなくて……。
#30
○泉参考人 愛媛県じゃないんです。愛媛県の中の新居浜……。
#31
○木下委員 新居浜の沖合いだけで九件、先ほど私言いましたように、愛媛県全体で十四件というふうに聞いたわけであります。しかも被害の額は非常に少ない。百数十万円の額である。これは赤潮の範囲がずっと縮小してきておるからだ、こういう説明を聞いたのです。その日の夜実は私、漁民の人たちと会ったんです。それは委員会においてではなく、私が個人として会ったわけですが、その話によりますと、十四件どころかもっともっと多い。範囲も決して狭いものではなくて、広範囲にわたっておる。漁民の人たちは、これは「青い海を守る会」という組織をつくっておりまして、その人たちが二十名ほど来て私話を伺ったんでありますが、赤潮が発生したつど図面をつくっているんですね。したがってその面積も回数も歴然とわかるような記録をとっているわけであります。私はコピーを送ってもらうようにお願いをして別れたんでありますが、どうもその点からいうと、県や市の説明というものが何か額面どおり受け取れないという感じを強くしたんです。新居浜市は別でありますけれども、そういう感じを非常に強くしたんで、私はあなたにあらためて伺ったわけであります。よくわかりました。
 そこでもう一つ伺いたいのは、瀬戸内海全体としては、赤潮はことしあたりから非常に減っておる。響灘あたりでも赤潮は、昨年まではあったけれどもことしになってからは発生していないという説明も聞いておるんです。そういう状況であるのに、この伊予三島とかあるいは新居浜とか、湾になっておりますね。この沖合いに非常に激発をしておるという状況のようです。一体それはどういう理由でしょうか、これも簡単でけっこうでございます。
#32
○泉参考人 御答弁を申し上げます。
 ただいまの伊予三島また新居浜に赤潮の発生が多いということは、原因として考えられるものは何かということでございますが、私どものところでは化学工場がございまして、そこから出ます窒素と燐、これが影響しておるということのようにわれわれとして受け取っております。
 以上であります。
#33
○木下委員 村上参考人に伺いますが、先ほどのお話に、瀬戸内海の汚染を進めている因子、ファクターとしていろいろある。CODばかりではなくで窒素や燐もある、あるいは水銀、PCBの問題もある、あるいは温排水といった問題もあるわけであります。そういったお話があったわけでありますが、確認をいたしておきたいことは、そうしたいろいろな汚染を進めておる因子に対してきびしく規制を強めていくことが必要である。これを法律によって規制を強くしていくということが必要であるという御意見と伺っていいわけですか、確認をいたしておきます。
#34
○村上参考人 そのとおりであります。法律によってどういうふうな技術的な問題があるかは私は存じませんが、汚染因子と環境破壊との結びつきの関係、それから見るとやはりこれらの環境破壊因子も同列に考えてしかるべきであろうという意味であります。
#35
○木下委員 それからもう一点村上参考人に伺いますが、企業の排水口で汚染物質をチェックする、このことも必要でありましょうが、同時に言われましたのは汚染物質、特に薬品などの使用を企業に対してチェックをするという必要があるのではなかろうか、こういう御意見を伺ったのですが、たいへん貴重な御意見だと思います。それは企業が使用する薬品の種類であるとか量であるとかあるいは排煙や廃液の種類、量、こういったものが明らかでないとそういったことができないと思うのですが、そうした薬品の種類、量あるいは排煙、廃液の種類、量というものを公表する必要があるのではないかと思います。さもないと対策が後手後手に回ってしまう、こう思うわけでありますが、この点はいかがでございましょう。
#36
○村上参考人 取り締まり的なことは私よく存じませんが、ただ汚染負荷の経路から考えまして、工場内に自主的に汚染負荷量を減らす余地がまだまだ残っているはずだ。一例を申し上げますと、これはかなり古い話で恐縮ですが、たとえばメッキ廃液が外へ出る、これは処理してやるわけですが、メッキ液へつけたその物体を、メッキ液の上へつるして水を切ればいいものを、わざわざメッキ液槽の外へつるして水を切っておる。そのために工場の床にメッキ液が散ってそれを掃除する結果シアンとかクロムとかそういうものが大量に出るといったようなほんのちょっとの注意で済む問題、こういう点の注意がまだまだ工場自体としてやり得るのではないか、やはり減らすということを前提に総点検すればそういう余地が多分にあるだろう。私はむしろ排出者側の自主的な努力の余地がそこにあるのではないかということを申し上げたわけであります。
#37
○木下委員 いまの問題ですね。それば第一に企業の側の自主的なそうした問題に対する責任の問題だと思いますが、ただ社会的に、そうした薬品等は一体どういうものが使われておるのか、現在そうしたことが全くわからないような状況ではないかと思うのです。そういうことでは因るので、そういう危険な薬品等の使用量、またどのように使っておるか、そういうことを社会的に明らかにしておくことが必要ではないかということを伺っておるのです。
#38
○村上参考人 私どもたとえば排水の毒性に関する生物試験をやって一番困りますことは、排水中に毒性物質としてどういうものが含まれておるのか、排水そのものをもってきて分析した場合、たとえば窒素とか燐とか簡単に分析できるものはよろしいのです。ところが、近年の合成化学のように非常に複雑なものができてくる。ものによっては工場で使った単独の薬品だけではなしに、それらが化学変化した結果全く形の違ったものが出てくる。そうしますと、そういうものを突きとめるということは、実はデータ等では非常に困難なのであります。そういう意味で、いまおっしゃられたように、工場側としても御自分のところでわかっていれば、でき得ればこういうものが出ているんだということを教えていただければ、それは私どもとしては非常にやりやすい、そういうふうに考えます。
#39
○木下委員 最後に岡部参考人に伺いますが、埋め立て問題でありますけれども、埋め立て自体によって海の汚染をもたらし、漁業に対して大きな悪影響を及ぼす、これは明らかになっておると思います。藻場の消失が非常に激しくなるとか、あるいは稚魚の産卵場が失われるとか、こういった問題があると思うのです。先ほど参考人が浮遊懸濁物の減少の問題として述べられましたのもこのことだと思います、有機性はともかく、無機性の浮遊懸濁物というのは埋め立てによる土砂の流入などによって生ずるんだということでありますから。この埋め立てに対してどういう態度をとるかということでありますが、結局特殊な例外をきびしくしぼって原則的に禁止をする、これが正しい態度であろうと私たちは考えておるわけであります。この点について一言でけっこうでございますから、御意見をお伺いしたい。
#40
○岡部参考人 先生のおっしゃるとおりでございます。しかしながら、埋め立てという問題は単に海域保全ということのみで解決し得ない場合もあろうかと思います。その場合にはやはり瀬戸内海全域をもう一度見直していただいて、そしてたとえば漁業水域、それからいわゆる生活水域と申しますか、レジャー水域と申しますか、国民休養水域と申しますか、もう一度瀬戸内海全体の地形、海流などを総洗いしていただきまして、そして埋め立ての問題もそういう観点から考えていただきたい、そういうふうに思います。
#41
○木下委員 それから私きのうまで現地視察をいたしまして、埋め立て問題が各地で起こっているということを知ったわけであります。特にたとえば伊予三島でもあるいは高砂でもヘドロ除去のための埋め立て問題が起こっておる。先ほども土井先生から質問がありましたけれども、ヘドロ除去のための埋め立てということが、一体ヘドロ除去のための最もよい、しかもただ一つの方法なのかどうかということは非常に問題であろうと思います。特に技術的な問題もからむと思うのでありますが、ヘドロの撹乱による魚に対する悪影響、こういった問題もあろうし、あるいはまた私専門的なことはよくわからぬのでありますけれども、埋め立てをしましても、雨が降ったりあるいは台風などがありますと、埋め立てをされたそこのヘドロが外に流れ出るということがある、あるいは埋め立てのヘドロ等の中に水銀等の危険物があればそれも流れ出る、こういう懸念か多分にあるように思うのでありますが、こういうものをなくする確立した技術的な方法というものはあるのかどうか伺いたいと思います。
#42
○岡部参考人 全く申しわけないのですけれども、ございません。こういう場合にはこうしていいという場合は、いわゆる海洋学的と申しますか、そういう基準というものは全くございません。それで私たちは、それぞれケース・バイ・ケースによってヘドロの中に含まれておる物質の成分、それからヘドロの量、そこのヘドロの存在している海域の水の動き、それから背後地、そういうものを考慮して考えざるを得ない。たとえばある場合にはもうそのままにしておいたほうが埋め立てるよりも非常にいい場合もあろうし、それからまた埋め立てたほうが、そのままにしておく場合よりもいい、そういうあらゆることを総合して、埋め立てるかあるいはそのままにしておくか考慮せざるを得ないと思います。
#43
○木下委員 埋め立てがよくないことはこれは明らかだと思うのですが、ヘドロを除去するためにやむを得ずやるのだ、そういう錦の御旗でやられることがあると思うのですが、ヘドロ除去の方法として埋め立て以外にもっと方法があるように思うのですけれども、そこらの点について伺いたい。
#44
○岡部参考人 おっしゃるとおりでございまして、埋め立て以外には今度はもう一つの方法、私の知っている範囲ではしゅんせつをする。パイプで輸送してしかるべきところへ持っていく。しかしながら、その持っていく場合にはかなりの面積を要する。そしてまた持っていった場所の環境にもよる。非常に周辺が住宅が密集しておるところでございますと硫化水素が出たりあるいはPCBの問題がございますので、そういうことを考慮して、しゅんせつしてどこか他の場所へ運んでいく場合にはそういうことを考慮する必要があろうかと思います。
#45
○木下委員 終わります。
#46
○佐野委員長 岡本富夫君。
#47
○岡本委員 どうも参考人の先生方にはたいへん御苦労さまです。
 そこで、私二、三点お聞きしたいのですが、まず村上先生にお聞きしたいのですが、赤潮の発生原因、これがはっきりしておるのかどうか、これが一点。
 それから今度出そうとしている法案では、いま濃度規制になっておりますが、今度はこれを現在の半分にしよう、容量も半分にしようというわけで濃度を半分にする。そうすると水をよけい出せば薄まるのだからいいだろう、しかしそれを今度施設で押えようということで、容量も押えよう、こういう考え方なんです。しかもこれは一日五十トン以上排出する工場にそれはやっていく、こういうことでありますから、計算の上からいけば、理屈の上からはそうだろうということはありますが、はたしてそういうことで現実に三年以内に二分の一になるであろうか、これが一つであります。
 それからもう一つは、瀬戸内海の全部の環境容量、この計算はたいへんむずかしかろうと思うのですが、一日千七百トンですか、そのうち工場排水が千三百五十トン、家庭排水が三百五十トン、こういうような計算をして説明しておりますけれども、そこで大切なのは、全部とめてしまうわけにはいかないわけですから、どうしても自然浄化力というものが必要だと思うのです。この自然浄化力に見合ったものでないと、それ以上出すとよごれるにきまっておるわけですから、そういった点で環境容量というものが計算がきちっとできるのかどうか。
 もう一点は、もうすでに港湾なんか埋め立てを全部やっておるのですよ。瀬戸内海をずっと回りますと埋め立てたところばっかりになってしまっておるわけですが、すでに埋め立てたところに対して自然浄化力をつける方法、たとえば私は科学技術庁の話を聞きますと、水は砂浜があって初めて自然浄化するんだ。コンクリートの港湾なんか自然浄化しませんですわね。こういうことがはたして可能なのかどうか、これについてひとつお聞きをしたいのです。
 次に岡部先生に、あなたはあっちこっちの瀬戸内海の状態をお調べになったそうですが、響灘の問題、響灘は今度の法案の中の政令に入れたい、こういうように考えておりますが、入れるつもりしておりますけれども、私ども視察に行きますと、響灘がちょうど洞海湾の入り口のところにすでに埋め立てが行なわれまして、それにまた埋め立てをやろうとしておるわけです。これが福岡県側ですね。北九州市です。それをやってもらうと困るというのが山口県側なんです。それをやると洞海湾のきたないのがどんどん今度は山口県側に流れてくる。いろいろ海流調査をやっておりました。北九州市側は迷惑をかけないのだというようなことでありまして、この点についてのお考えはどうなのか、おわかりになりましたらお知らせいただきたい。これはもし村上参考人のほうからわかればお知らせいただいてもけっこうです。
 次に、岡部先生から、各県で技術者の能力が非常に格差がある。確かにそうだと思うのです。国のほうでてこ入れせいということでありますが、なかなか人材がいまのところ環境問題に対しては少ないわけです。今度大学にも環境部をつくってもらいたいと私は言っておるわけですが、しかしもう三年でやってしまわにゃいかぬわけですから、やはり各県協力させることも必要ではないかと思うのですが、その点についての御意見をいただきたい。
 泉市長さんに、私ども視察に参りましたら、新居浜におけるところの大気汚染のデータが出ておりました。90にいたしますと、大体国の環境基準が二十四時間平均として〇・〇五PPMですが、あなたのほうでは〇・〇六五あるいは六八というようなあれが出ておったように思うのですが、環境庁でいま考えておりますのが、近く基準が出ますが、約三分の一ぐらいということです。これがはたして新居浜でできるのかどうか。
 もう一つは、あなたのほうは地方自治体の力が、要するに権限が少ない、こういうお話がありましたが、こういう権限を私たち公害国会におきましてやかましく言って、地方自治体に権限を委譲するようにしているわけですが、したがって上のせ基準もできるわけです。しかし、あなたのほうでは住友王国と申しますか、住友さんが非常に企業の力が強い。その点どうなっておるのか。公害防止協定を各市ではつくっております。そしてこの基準を上のせいたしましてきびしく条例あるいはまた監視をしておりますが、その場合あなたの市ではどういうような隘路があるのか。新居浜へ私先般参りまして調査いたしましたところが、どうも非常に悪いように思うわけです。市長さんは先ほどからもいろいろお話しされましたが、もう少し力を入れてもらわなければならぬと思うのですが、その点についての御意見をできましたら承りたいと思います。
 以上です。
#48
○村上参考人 お尋ねの第一点の、赤潮の発生原因はわかっているかということでございますが、現在学問的には赤潮の発生要因といたしまして、水があまり入れかわらない、ある程度滞るという停滞性、それから赤潮生物によっていろいろな生物の種類がございますので、それぞれ違いますが、急激な大量増殖を起こすきっかけとなる増殖刺激要因、あるいは物質の場合もございます、こういったもの。それから最後に、これはすべてに共通で、基盤条件と私ども呼んでおりますが、富栄養化、これも強度の富栄養化という三点があげられております。
 そういったことで、個々の赤潮につきましてそういった発生のメカニズムは大体のところはつかまれておりますが、やはり一番の問題はそういった増殖刺激要因というものが非常に複雑である、生物種によっても違うというところにまだ研究上の問題点が残されていると存じます。
 それから第二点の、濃度規制から総量規制にということなんですが、総量規制もちろん必要でありますが、一方、濃度規制も決してゆるがせにはできない。量が合えばそれだけでいいか。じゃ濃いものをどこかにこそっと出してもいいかというと、これは困るのでありまして、やはり濃度のほうも十分これは考えなければならぬというふうに思います。
 それからもう一つは、総量として規制する場合もう一点考えておかなければならないのは、先ほどお話しになりました環境容量との対比ということから考えても、当然その量があるところへ集中的に出されたら困る。規制された量が集中的に出されたのでは何にもならないということがやはり肝要であろうと思います。それから環境容量つまり自然の浄化力を計算し得るのかというお尋ねでございますが、これは理屈の上からはできるはずであります。しかし、私、意見の中で申しましたように、環境容量を計算する基本としてはやはり水の入れかわり、それから沈降性物質の行くえ、それから生物循環に、物質循環に組み入れられてそれがどういうふうに回り回るか、そういったことを克明に積み上げていくという必要がございます。現在私ども研究グループで燧灘について実はその物質循環のほうの検討というか、研究をいたしております。しかし現状では、水から植物プランクトンに入る、それから動物プランクトンに入る、その段階までは、たとえば窒素を目標にして循環の速度と申しますか、効率と申しますか、そういうものが数字的につかまえられております。しかしそれから上の魚になりますと、実は魚の現存量を現地でつかむ。これは実際問題として現地でやらなければ何にもならないことでありますから、実験的にはできましても、じゃある海域でどうかということになりますと、現存量をつかむということが非常にむずかしい。そういった点がございまして、目下そこのところを攻めている段階でございます。したがいまして、環境容量をつかむということは必要であるし、やればできるはずのものでありますが、現状ではまだまだ完全に数字的にあらわすまでには至っていないという程度であります。
 それから、すでに埋め立てられたところに自然浄化力をつける方法があるかということでございますが、これは私は専門外のことでございまして、つまびらかにいたしませんが、ただおっしゃるように浅海というものが人工的に回復できるならば、これは環境保全の上にとって非常に力がある。しかしながら現在の埋め立て地の周辺に浅海を人工的につくるということは、これはまだまだ技術的に多分に検討の余地があるのではないかというふうに考えます。
 以上でございます。
#49
○岡部参考人 第一点の点につきましては、残念ながら私お答え申し上げる資料がございませんので、御了解を得たいと思います。
 それから第二点の、各県の技術者の問題でございますけれども、御存じのように地方公共団体におきましては工業試験所あるいは衛生試験所、こういう試験所がかなり完備いたしまして、いわゆる工場排水であるとかあるいは河川水、そういうものの分析についてはかなり精度のいいデータが出ておると思います。しかしながら、残念ながら海洋の調査といいますか、海域の調査は、そういういままで行なってまいりました調査とはかなり様子が違います。やはり海洋の調査は、瀬戸内海の調査において私たち行ないましたように、いわゆるインターナショナルな海洋の調査方法でなければならないわけであります。そうしませんと、あとのデータの整理ができませんし、海洋学的な解釈もできない。そういう意味では、先ほどお話ございました各県のいわゆる海洋の専門の技術者を早急に国の機関において研修していただきたい。しかも、できましたならばそれぞれの機関の海洋観測船に乗せまして、おそらく私は一カ月あるいは二カ月あれば十分できると思います。国においてもかなりの優秀な観測船がございますので、これでトレーニングしていただく、具体的に瀬戸内海でトレーニングする、これには私もう一つお願いがございますけれども、まず一つは海洋化学的なトレーニング、それから二番目は、村上先生が御専門でございます海洋生物的なトレーニング、それから第三番目は海洋地質学的なトレーニングでございまして、いわゆるドレッジであるとかあるいはコアサンプラーによって海底土をとる仕事、それから四番目は、流速、流向をはかる仕事、こういう仕事を、私は、二カ月あれば十分にトレーニングできると思うのです。まずこういうトレーニングを各県の技術者においてやっていただきたいと思います。
 以上でございます。
#50
○泉参考人 新居浜を御視察いただきまして、まことにありがとうございました。
 亜硫酸ガスの濃度、年平均におきましては、従前の法のときは基準以内ということでございましたが、四十七年度各測定所における最大の年平均排出量というものの測定値は、〇・〇三五が一番大きゅうございました。なお、これらにつきましても、今後なお規制をする考え方でございます。
 なお、新居浜で、どうしても市の権限というものを大きくすべき必要があろうということでございます。これは御指導のとおりでございます。ただいまは規制の範囲が県にのみあるわけでございます。この辺、市町村として……(岡本委員「防止協定はやってないのですか。」と呼ぶ)防止協定につきましては、市は会社とつくっております。これらにおきましても規制をいたしております。なお今後法が新しくなるにつれて、そのつど改定をしたい、このように存じております。大きい企業であるから、いろいろ隘路があろうということでございますが、この隘路は大体打開をいたしつつあるという現状でございます。
 以上お答えを申します。
#51
○佐野委員長 小宮武喜君。
#52
○小宮委員 村上先生に質問しますが、赤潮の問題ですね。これは何も瀬戸内海だけが発生しているわけではなくて、全国至るところに発生しているわけです。そのつどわれわれは委員会において、赤潮の原因は何だということを質問してきておるところですが、なかなか水産庁のほうも、赤潮の原因はこれだということについては、現在調査中であるとか、いま研究中であるとかということで、明確な答弁がこれまでないのです。いま村上参考人が答弁された中で、抽象的で私もぴんとはこないのですけれども、先ほどの話で、泉参考人からはやはり産業排水の問題が言われておるし、たとえば響灘でいったら山口県側は埋め立ての問題をいっておられた。そういうような意味で、われわれもまだ明確にいまの答弁で赤潮の原因はこれだという自信を持ち得ないのですが、そういうように抽象的であってももしそういうふうなお考えであれば、たとえば瀬戸内海だけではなくて、たとえば有明海にしろ大村湾にしろ、いろいろなところで発生しているわけですから、そういうようなことの考え方に立って、たとえば発生した地域によってこれは何が原因だというようなことが判明するのではないかというふうに考えられるのですが、それは可能ですか。
 それからもう一つ、そのために、埋め立ての是非についても先ほどからいろいろ出ております。そういうような意味では、やはりこの埋め立ても赤潮発生の原因ではないかというふうに考えておるわけですが、その点をひとつ確認しておきたいと思います。
 それからもう一つ、これはみな村上参考人にまず質問しますが、瀬戸内海の汚染度の問題ですけれども、先ほど岡部参考人からも、各府県によってそれぞれ能力の問題、格差の問題、いろいろ言われたのですが、ただこの中で、私が考えるのは、やはり国の水質基準の上に上のせしておる県がそれぞれあるわけですが、それがまた各県によってまちまちであるし、きびしいところ、ゆるやかなところ、いろいろあるわけです。その点をぼくは岡部参考人は指摘したのじゃないかというように考えておったわけですが、それでは村上参考人に質問しますが、瀬戸内海の汚染度に最も寄与しておる府県というのは、大体どういうような府県ですか。特に専門的なことでしょうから、どこの県が瀬戸内海の汚染度に一番寄与しておるのか、それを各県からひとつ全部言ってください。
 それから発生負荷量の問題ですが、これも二分の一を先ほどの話で大体四分の一か五分の二というような話がありましたけれども、これは学問的な立場からは可能であるとしても、現在の公害防止技術の程度からいって、このことができればわれわれもやりたいと思うし、ぜひやらなければならぬと思いますが、ただ学問的な立場からだけかくあるべきだということと、現実にそういうような技術が開発されているのか、また可能であるかというのがちょっと疑問がありますから、その点現在の公害防止技術の中で四分の一あるいは五分の二にすることが可能であるかどうかということを、村上参考人に御質問します。
 次は、岡部参考人に質問しますが、先ほども岡部参考人も埋め立ての問題については考慮してもらいたいということを意見の中で言われているわけですが、この問題がこの法律を策定するにあたっての一番大きな中心でございますから、その意味ではそれぞれの立場によってそれぞれ意見が違ってくるのです。たとえば泉参考人の意見と、お隣の伊予三島の市長さんの言われることとはまた違う。だから、そういうような意味で、われわれも実を言えばこの煮詰めをどうしたらいいのかということについて非常に関心を持っておるものですから、そういうような意味で岡部参考人から埋め立ての是非についてどうなんだということをひとつお答え願いたいと思います。
 それから透明度の問題を言われました。やはり一番問題になりますのは、製紙工場から排出される廃液の問題ですね。これが、水質そのものがどうかは別として、たとえば国がきめた水質基準以内であっても、非常にあれはアズキ色の濃い、どす黒い色をしておるということで、これが非常に魚の成育度に影響があるということを、いろいろ説明を聞いているわけですけれども、このパルプ工場から排出される廃液の着色ですね、これを除去する方法は全然ないものかどうか、これもひとつお聞きしておきたいと思います。
 それからPCBの――これは先生に聞くのはちょっとなんでしょうね、PCBの問題は。(岡部参考人「いいですよ。おっしゃってください。」と呼ぶ)
 PCBの処理技術についていま高温焼却をやっておるんですが、これを今年一ぱいぐらいに通産省あたりでPCBの処理方策についても何か結論が出されるようでありますが、先生の立場として、この高温処理以外にPCBの処理方策があるのかどうか、その点ひとつ知っておったらお答えを願いたい。
 それから、泉参考人ですが、先ほど言いましたように、これは伊予三島でも、たとえば、うしろは山で平地が全然ないということで、学校をつくるのにも、人口がふえて住宅をつくるのにも、やはり埋め立て以外にないということを市長さんは言っておるわけです。それと、いわゆるいまのヘドロの処理のためにもやはり埋め立てをやって、そこに学校をつくる、あるいは住宅もつくるということを考えておるので、やはり埋め立てについては考慮してほしいということを言われておるんですが、特に地方自治体の泉参考人は、長として、先ほど、原則として禁止してしまったらよろしいというような意見も言われて、皆さんの新居浜ではそういうような計画は、たとえば埋め立て計画は全然ないものか。将来あるとした場合にはどうなるのか。そういった条件がないからないというふうに言っておるのか。これは各地方自治体それぞれの事情でやはりいろいろ違うのです。その意味での立場は抜きにしても、それでは公害問題を考えた場合に、埋め立てはもう一切禁止してほしいというようなお考えをなされておるのかどうかということですね。
 それからもう一つは、特に伊予三島あたりでは、埋め立てをやろうとしておるんですが、その場合に加害者負担の原則ですね。PPPの原則をやはり企業に負担させるのか。それとも自治体もそれに幾らか負担するのか。あるところでは、国にもひとつ何とか見てくれというような問題も言われたですが、こういうような地方自治体としてヘドロ処理のために埋め立てをやる場合のPPPの原則については、地方自治体の長としてどのように考えられるのか、いろいろありますけれども、先ほどからの質問とダブった点もありますので、これくらいにして、参考人の方々の御答弁をひとつお願いしたいと思います。
#53
○佐野委員長 速記をちょっととめて。
  〔速記中止〕
#54
○佐野委員長 速記を始めて。
 村上参考人。
#55
○村上参考人 お尋ねの第一点の赤潮でございます。
 個々の赤潮について、原因は指摘し得るのかどうかという御質問でありますが、これは現実の問題として非常にむずかしいと思います。ただ、共通して言えますことは、現在のような大規模赤潮、これの発生の共通的な基盤条件としては、強度富栄養化がある。つまり、共通原因としてこれを除くわけにはいかない。プラスアルファがあるんです。これがケース・バイ・ケースで違うので、十分研究あるいは調査を重ねないとわからないという段階であろうと思います。
 それから、それに対して埋め立てば関連するかどうかという御質問でございますが、これは場合によっては当然関連し得ると思います。と申しますのは、埋め立てによって、まず流れのほうから考えても、停滞域というものができる。これは延べに埋めた場合は別としまして、従来の工場用地造成というものは必ずくし型に埋めてまいります。そういう例が多かったわけです。そうすると、その間が当然停滞する。そういった点。それから、さらにこれは埋め立てそのものではないのですが、埋め立てたところに新たな汚染負荷、少なくともN、Pなどが加わるケースが従来はしばしばあった。こういった点から、そういう点では関連があると思います。
 それから汚染度の点は、いまの委員長の御発言で省かせていただきます。
 それから発生負荷量の問題でございますが防止技術だけでできるかという御質問でございますが、たとえば私どもが先ほどの発生負荷量を算定するときに用いました産業別の排水原単位、排水の、たとえばCODでいえば何PPMぐらいで、浄化しない場合に出しているのかという平均値をちょっと御参考までに申し上げますと、一番大きいのはなめし皮、毛皮、そういった製造業でございまして、これが一、四四五PPM、それから紙パルプ加工、これが九二三PPM、食品製造が七五三PPMであります。こういったものを除去するわけでありますが、現実に紙パルプのようなものは一〇〇PPM以下に規制されているわけでありますが、こうなると除去率は九〇%ははるかに上回ります。そうしないとやっていけないわけです。ですから処理技術からいって、私、そのほうの専門でございませんので、まあ従来のこういったことの知識だけで申し上げますが、処理技術からいってCODは比較的除去率を上げ得るものだと思います。もちろん物理的にゼロにするということは、これはだれが考えても不可能なんで、たとえば九十数%に上げ得る。ただし、これは汚染因子によって、たとえばCODと、それじゃ窒素類はどうか、SSはどうかということになりますと、それぞれの因子別に処理技術の技術としての段階は違ってまいります。ですから、たとえば二分の一に減らす場合、場合によっては、まあCODの場合はおそらく問題はなかろうかとも思いますが、汚染因子によっては処理だけではやっていけない。そうすると、今度はそういったものを出さないようにするということをやはり考えていかないと追っつかないというふうに存じます。
#56
○岡部参考人 まず埋め立ての是非の問題でございますけれども、これは瀬戸内海のような浅海でございますから、やはり埋め立てをしないほうが一番いいと思います。しかしながら、そこにはまたいろいろ問題があろうかと思います。
 それからその次のパルプの廃液のチョコレート色の脱色でございますが、これはかなり困難な技術でございます。しかしながら、努力をすれば徐々に着色が少なくなっていくということは十分可能でございます。実は私の県ではすでにそういう例もございます。ただし、この場合には塩素を使いまして、塩素で着色を除去してございますので、それについての付帯の二次公害を十分考慮しなければいけない。その辺のことを技術開発しますというと、今後可能だと思います。
 三番目のPCBですが、私はこれにもずいぶん悩まされてまいりました。おっしゃるとおり高温焼却が現在のところ、考え得るいい方法であると、そういうように思います。
 以上でございます。
#57
○泉参考人 御答弁を申し上げます。
 まず第一点の問題は、伊予三島と新居浜の立場というものでございます。すでに御指摘のとおり、伊予三島は非常に狭隘な市街地で、学校とかその他住宅を建てるにも、埋め立てをして用地を造成しなければならぬというところへ追い込まれておりますので、やむを得ぬところがあると思います。これらについては、私どもとして、地域の住民の声というものを十分くみ取った政治に基づいて判断していただきたいということを、先ほど来申し上げましたのでございます。新居浜におきましても、将来埋め立てを計画いたしております。これは市として埋め立てを計画いたしております。これは市の政治として当然お願いをしなければならぬという立場でございます。ただ企業その他は、企業においては今後埋め立てを計画いたしましても、これらについては十分規制をしていただきたいということでございます。
 なお加害者負担にするかどうかという、ヘドロが原因での処理ということでございますが、埋め立てをするについてヘドロを出した者に対して負担をさすかということでございますが、この辺は私どもととしてはちょっと判断に余るものがございます。企業をどう見るかというようなところに立ち至ると思いますが、企業から申しましたら、かつて為政者が許可をして、そして指導して進めておるという言い方になると思うので、その責任は指導者であり、許可者であるところへもある程度、あるいはある程度じゃなくて、まるまる戻ってくるのじゃないかというような考え方もあるのじゃないかと思います。この辺、私どもの範囲と違いますので、判断いたしかねるところでございます。
 以上であります。
#58
○小宮委員 終わります。
#59
○佐野委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後一時二分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時三十六分開議
#60
○佐野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前中に引き続き、参考人から御意見を聴取いたします。
 この際、委員会を代表いたしまして、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ、また遠路にかかわらず本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 御承知のとおり、白砂青松と澄んだ海をうたわれてきました瀬戸内海が、各種の公害によって汚濁され、近来、深刻な問題となっているところであります。
 本委員会といたしましては、美しい自然に恵まれた瀬戸内の環境を守るための法制化について、鋭意努力を重ねておる次第でありますが、去る九月八日から三日間、現地の視察を行ない、本日は、日ごろこの研究に当たられ、また関係されている方々の御意見を承り、もってその対策に万全を期したい所存であります。
 何とぞ参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきたくお願いをいたします。
 なお、議事の整理上、御意見の開陳はおのおの二十分程度といたしまして、あとは委員の質疑にお答えいただくようお願いを申し上げます。
 それでは福田参考人からお願いいたします。福田参考人。
#61
○福田参考人 私、ただいま御紹介いただきました福田でございます。私は、通商産業省の工業技術院中国工業技術試験所長をしております。
 当所は、昭和四十六年の七月に工業技術院の第十六番目の試験研究所といたしまして、広島県の呉市広町に設立されたのでございます。現在まで二年余り経過いたしましたが、この間に、お手元にお配りいたしましたような瀬戸内海の大型の水理模型を建設いたしまして、実験を開始したところでございます。去る八月三十一日には竣工式を行ないまして、非常に盛会でございました。
 そもそも瀬戸内海のこの大型の水理模型を建設するということに関しましては、大規模な臨海工業地帯の開発が進みまして、また並行いたしまして、都市化が進展いたしまして、これらの進行とともに瀬戸内海の水質汚濁が進んでまいったのでございまして、通産省の内外で昭和四十三年ごろから水理模型実験を行なってはどうかというふうな意見が出ておったのでございます。四十五年度に調査費がつきまして、これでもって大学、研究所、関係省庁、関係府県の専門家を集めまして、瀬戸内海全域を含みます水質汚濁防止のための研究会を通産省内で開きまして、いろいろと討議されたのでございます。その結論といたしまして、瀬戸内海の汚濁を防止いたしますためには、科学的に汚濁の解明をしなければならない。そのためには水理模型実験というのが、最も有効な手段であろう。そのために水平縮尺二千分の一の、瀬戸内海全域を含む大型の模型を建設することが必要であるというふうな結論が得られまして、これがもとになりまして予算要求が行なわれました。四十六年度から二年間にわたって鋭意建設にかかったのでございます。
 そもそも水理模型実験と申しますのは、現在でもやはり行なわれておりますが、昔からダム工事であるとかあるいは河川の治水工事であるとかあるいは海岸の防潮堤の工事であるとか、こういった主として強度実験あるいは防災を目的とするための実験的な一つの手法といたしまして、古くから利用されておったものでございます。ところが、海洋汚染の解明に最近利用され出してまいりまして、特に米国におきましては、東部のデラウェア河口あるいは西部のサンフランシスコ湾といったようなところでの実験が有名でございます。それから、日本におきましても工業技術院の公害資源研究所の東京湾、東三河湾の実験がございます。それから、運輸省の港湾技術研究所で大阪湾等の実験が行なわれております。そのほか最近数個所でこういった関連の実験が行なわれておるのでございます。それでこういう実験手法でもって汚染のいろいろな解明をしようというのでございます。
 ところが、海の問題と申しますのは非常に複雑でございまして、そう簡単なものではございません。実際に実験を行ないますには、やはり何らかの簡単化した考え方でもって実験を行なわなければならないわけでございます。それで、特に汚染物質の拡散という問題を取り上げます場合に、最も大きな力となりますのは潮流でございます。潮流と申しますのは潮の干満、これを潮汐と申しますが、潮汐によりまして動く海水の流れのことでございます。
 そこで、私どもの水理模型実験では、潮汐発生制御装置というのを設置いたしまして、これでもって潮の干満を起こさせます。そして潮流に相当する水の動きをつくるわけでございます。もちろん、潮汐及び潮流が実際の瀬戸内海の潮汐、潮流とどれだけ一致しているかということを、まず基本的に確認してかからなければならないのでございまして、現在そのような実験を行なっておるところでございます。
 それで、水理模型実験と申しますのは、模型の水面に染料を溶かしました水を流してまいります。そしてその染料水を、たとえば工場排水の代用というふうに考えるわけでございます。そういう汚染水を流しまして、その汚染水がどのように広がっていくか。たとえば大阪湾に流しました水が、どのように播磨灘のほうに入っていくか、あるいはもっと奥まで影響があるのかどうか、そういったことの実験を行なうわけでございます。また豊後水道のまん中あたりに汚染水を流しますと、われわれの考えておりますところでは、大体豊予海峡を通過いたしましてこれが瀬戸内海全域に広がっていくのではないかと予想されております。ところが、その豊後水道で流しました染料水が何年くらいかかりますと紀伊水道のほうに出てくるか、こういうふうなことを実験的に調べようというわけでございます。これは瀬戸内海の海水交換という問題の基礎的な実験として非常に有用であろうと考えておる次第でございます。
 さらに埋め立ての模型をつくりましてこれを模型の中に装置いたしますと、置く前と置きましたあととで潮流の変化がどういうふうになるかということを確かめることができます。また、そういうところから、先ほどの染料水を流しました場合、こういう拡散状況がどういうふうになっていくのか、こういうことを調べようというわけでございます。
 かいつまんで申しますと、以上のような実験を行なうわけでございますが、こういう実験を行なうにいたしましても、当所で建設いたしましたところの瀬戸内海の水理模型は瀬戸内海全域を含むものでございまして、もちろんこのいま問題になっております瀬戸内海法案において定義されておるような範囲を全域含んでおるのでございます。さらにその外側をもう少し余分に包含いたしております。
 それで、模型の縮尺は水平方向が二千分の一となっておりまして、垂直の方向、つまり深さの方向が百六十分の一でございまして、模型を囲みますところの建物の長さは二百三十メートル、それから幅が内海部分で五十メートル、水道部分を含みますと約百メートルにも及ぶという、非常に広大なものでございます。面積は、実験場の全面積が一万七千平米ございます。また模型の海に相当いたします部分の面積は約七千五百平米でございまして、その中に入ります水の量は約五千トンという大きさでございます。
 このような大きな模型の特徴といたしまして、従来行なわれております実験では、たとえば東京湾の模型を考えますと、東京湾の奥に流しました染料水が、約一週間ほどいたしますと東京湾の入り口にまで到達してしまいます。これ以上実験をいたしましても、結局、湾の境界にたまるだけでございまして、これ以上どうなるのか、あまりはっきりしたことがわからないのでございます。このためには東京湾の模型という一つの例を考えましても、外側に相当広いふところのある模型でもって実験をやる必要があろうかと思います。私どもの瀬戸内海の今度の模型におきましては、相当広大なものでございますので、大阪湾の実験が一年以上くらいの期間の実験ができるだろうと思います。もちろんこの一年と申しますのは実験上での一年でございます。実際の一年間が大体約五十五時間、二日半余りという時間で実験が行なわれるわけでございます。約十年間分の実験をやろうと思いますと、約二十三日、三週間少しということで実験が行なわれるわけでございます。
 こういうことでございますので、たとえば瀬戸内海のちょうどまん中あたりのところに燧灘というのがございます。この辺のところが現在でも一番問題になっておるところでございますが、ちょうど東は紀伊水道、西は豊後水道のほう、両方から水が出入りいたしまして、ちょうどこのあたりがデッドスペースになっている、水の交換が非常に悪いというふうに考えられております。こういうところの実験をやろうと思いますと、やはり非常に長期間の実験を行なう必要があろうかと思います。そのような長期間の実験を行ないますためには従来の実験とは異なった技術的な方法をとる必要がございまして、私どももそういう方向でいろいろと仕事を進めておるわけでございます。現在までのところまだ十分とは申せませんが、本年度じゅうにさらにコンピューターを導入いたしまして、これとオンラインでもっていろんな制御、データ収集等を行ないたいというふうに考えております。さらに来年度にはデータ解析等にまでコンピューターを利用しようと思っております。と申しますのは、これだけの実験を行ないますと、データの数にいたしましてもばく大な量にのぼりまして、もう人間の仕事としては不可能に近いようなことになってまいります。また非常に時間がかかります。御期待されておるような早期に答えが出ないと思いますので、こういうふうなことを考えておるわけでございます。
 現在この方面を担当いたしております研究員は定員で二十一名でございまして、行政機関や地方自治体、民間団体からの御要望にもこたえまして実験を行なおうというふうに考えておりますが、これだけの人数ではどうにもならない状況でございまして、幸い技術的な面に関しましては、大学の先生方あるいは研究機関の専門の方々、そういう外部の先生方の御協力を得まして瀬戸内海大型水理模型技術委員会というのをつくりました。これは所長、私の諮問機関でございますが、これらの先生方の御協力を得まして研究テーマの選定であるとか、あるいは得られました結果の評価といったことを十分討議いたしまして、的確な結果として公表したいというふうに考えている次第でございます。
 それで、私どもは研究者としてこういう研究を行なっておるのでございますが、研究を進めますためには、今回この大型水理模型に関しましてはかなり大型の予算をちょうだいいたしました。そのおかげでりっぱなものができ上がったのでございますが、やはりそれと同時に人材の確保と研究のための時間をいただく必要があろうかと思います。これだけお金を使ったからもうすぐに結果を出せといわれましても、なかなか研究というものはそういうふうにまいらないのでございまして、かなりの人数でもってプロジェクトチームをつくりまして、これで基礎的な問題から取りかかりませんと、実際的な応用的な結果としては正しい結果が出るかどうかわからないのでございます。そういう点で少々時間をいただきたいというふうに考えております。
 それからこの水理模型実験と申しますのは、先ほどもちょっと申し上げましたが、これは海洋現象の中の一つの非常に大きな力でございますけれども、一つの要素を取り上げた実験でございます。ほかにはまだいろんな要素の問題がございます。そういう問題に関しましても、やはり基礎的に少し究明をいたしまして、どれだけの――たとえば地球の自転の影響という問題がございますが、こういうことが実際に数値的にどれだけの影響力があるか、こういうことをもう少し的確に把握をしなければなりません。そういった問題はあとのデータ処理の折りに補正として取り扱うのが可能でございます。
 それから波浪というのがございまして、風が吹きますと波が立ちます。こういった問題に関しても一応ネグレクトしております。ところがこういう問題は日々変化がございます。あるいは季節によっても非常に変化がございます。ですから、非常につかみにくいわけでございます。平均的に一年間の影響力というのはどれくらいであるかというふうな試算をやはりする必要がございます。そういった関連した問題がございますが、そのほかにやはり海の化学的な問題、それから生物学的な問題といったものもあるわけでございまして、私どもの水理模型実験というものがオールマイティではないということでございます。ある一つの側面から汚染問題を考えていくというものであるということを一言お断わりしておきたいと思っておる次第でございます。
 以上、大体時間のようでございますのでこれで終わらしていただきます。またあとで質問にお答えしたいと思います。(拍手)
#62
○佐野委員長 ありがとうございました。
 次に河野参考人。
#63
○河野参考人 岡山大学の河野でございます。私は瀬戸内海のほとりに生まれまして、育ちまして、昭和二十五年以来瀬戸内海の中にございます島々に暮らしております農民、漁民の暮らしの変化を地理学の立場からずっと見続けてまいりました。きょうもそういった観点から御報告を申し上げたいと思います。
 現在、中国、四国の国立九大学では、瀬戸内海の環境汚染を心配いたしまして、その環境の改善のために共同研究を実施いたしておりまして、現在研究班が十三個班ございまして、百名をはるかにこえる研究者が共同研究を実施いたしております。また日本科学者会議の中国、四国の各支部も、近畿、九州の関係支部と協力いたしまして瀬戸内委員会というのをつくっておりまして、すでに二回にわたって瀬戸内シンポジウムを開き、続いて第三回の瀬戸内シンポジウムを来年一月に開く予定でありまして、公害をなくし地域住民の要求に基づいた開発のあり方についての研究活動に努力をしてまいっております。
 今回の瀬戸内海の環境保全に関する臨時措置法につきましては、私どもも多大の関心を払っておりまして、今回の問題につきましても仲間がいろいろと意見を出してくれておりますので、そういった意見を取りまとめて御報告を申し上げたいと思いますけれども、ともかく今回の措置は確かに一歩前進という点で歓迎すべきものでありますし、私どもが昨年以来お願い、希望をしてきておりましたところのこういった措置がとられるということは非常にうれしいことであります。しかし、なお幾つかの点におきまして、私どもとして希望しなければならないあるいは御考慮を願いたいという点がございますので、次に個条書きでこれを申し上げたいと思います。
 第一点は、現在瀬戸内海を汚染しておりますところの物質は、実は瀬戸内海で生産されたものではございません。その大部分は周辺の陸地でつくり出され、そこから廃棄されたものであります。直接海に捨てられたものもございますけれども、河川、下水道、農業用水といったものを通じて排出されるものも多量にのぼっております。したがって、海だけをきれいにしようとしても無理でありまして、淀川をはじめとします瀬戸内海に流入いたします河川の水質を清浄に保つよう厳重な規制措置を講ずる必要があります。特に内陸工業地帯の工場廃棄物あるいは都市の生活排水による河川水の汚染をなくす必要があります。
 第二点、瀬戸内海は大きな袋にたとえることができます。この袋はわずかに三つの出口を通じて外海と連絡するにすぎません。しかも、瀬戸内海という袋には明石海峡、備讃瀬戸、芸予諸島といった幾つものくびれがございますために、狭い海峡では潮流が激しいように見えましても、実際には海水の入れかわりはたいへん困難であります。これが、瀬戸内海が一たんよごされるとなかなかきれいにできない大きな原因となっております。だから、これ以上瀬戸内海をよごさせないように断固たる措置をとる必要があるわけですが、同時に、三つの出口につきましても、これ以上袋の口を狭くしたりあるいは水をよごしたりすることのないようにする必要があります。現在、徳島県では鳴門海峡の出口付近の海面を埋め立てまして大きな人工島をつくる計画がございます。そういうふうに聞いておりますが、これが行なわれますと、瀬戸内海の水の入れかわりがますます困難になると思います。
 また、昭和二十七、八年ごろでありましたか、豊後水道の出口に当たります宿毛湾付近に火薬製造に伴う廃棄物が投棄されまして、愛媛県の宇和海沿岸のイワシの回遊がぱったりととまりまして、愛媛県側のイワシ船びき網が大打撃を受けたという事件がございます。このように海峡の出口が汚染いたしますと海峡全域に影響をもたらしますし、持続的な汚染でありますならば、水の通じております瀬戸内海の水域にも広く影響が及ぶはずであります。特に豊後水道の場合には、先ほどもお話がございましたように、ここを通じて出入りいたします海水の影響範囲は大体福山市の沖より西、瀬戸内海中部以西でございますが、ほぼ三分の二の海域にわたっております。したがって、瀬戸内海の環境を浄化いたしますためには、瀬戸内海だけではなくて紀伊水道、豊後水道、関門海峡、特に関門海峡の場合にはその外側の響灘まで含めまして規制しなくてはならないと考えております。
 第三点、瀬戸内海の水を入れかわりやすくするために、土佐湾から海水をポンプアップいたしまして響灘に送るという提言をした研究者もありますが、これは午前中の御発言にもありましたように、それほど大きな力を持ちません。特に内湾部の汚染水の入れかわりにはあまり効果的と思われません。
 現在汚泥が厚く堆積し、重金属などの沈でんも進み、最も汚染の激しいのは内湾部であります。ここを浄化しなければ瀬戸内海はきれいになりません。内湾の出口には島がありましたりみさきがありましたりしまして、小さなこの水域が特に汚染濃度の高い水域になっておる場合が多いわけであります。したがって、汚染を規制いたしますためには、瀬戸内海全体の平均値あるいは播磨灘全体の平均値といったようなものをとるのではなくて、やはりこういった入り江の個々につきまして汚染度を低下させるという観点から規制する必要があると思います。
 第四点、瀬戸内海の汚染はCODであらわされる有機物による汚染だけではございません。水銀、カドミウムその他の重金属類あるいは油、PCB、いろいろなものによる汚染が存在いたします。したがって、COD値の低下だけで汚染が浄化されるとすることは非常に危険であります。重金属類その他につきましてやはり個別的に厳重な排出規制が必要だと考えます。
 また、CODであらわされる汚濁負荷量につきましても、具体的な事例をあげますと、三田尻湾では六〇〇ないし八〇〇PPMに達するといわれます。これを半減してみましても、やはり三けた台の汚濁ということになるわけであります。これを少くともその十分の一以下にする必要があるのではないか。場所によってもちろん異なりますが、いま申し上げました場合には十分の一以下にする必要があるのではないかと思います。これでやっと実は屎尿浄化槽並みであります。六〇PPM。また工場排水の負荷率を半減してみましても、すでに海底に多量の汚泥が堆積しておりまして、それから出てくる物質により海水が汚染されますために、環境濃度は二分の一にはなりません。現在のところ負荷率を何分の一にすると環境基準が何分の一になるかということが科学的にまだ十分に確かめられているとは言いがたいように思われるのでありますが、これを瀬戸内海全域について早急に明らかにして、それに基づいてやはり規制を強化していくべきであると考えます。
 また、瀬戸内海浄化の基準は、沿岸の急速な工業化がまだ進行せず、かつ屎尿の海中投棄も行なわれず、藻場が消滅していなかった時点の水質に戻すことに置かるべきであると思います。これを具体的な年次で申し上げますならば、ほぼ昭和二十六、七年前後の水質ということがいえるのではないかと思います。ただし大阪湾、兵庫県の高砂付近、山口県の岩国付近並びに岡山県の下津井付近では当時すでに汚染が進行していたのでありまして、これらの水域につきましては、同年次の他の水域並みにまで浄化する必要があると思います。
 第五点、瀬戸内海の水産資源に与えました被害というのは、水質汚濁によって起こったものだけではございません。戦後大規模に施行されました干拓、埋め立てによりまして浅い海が陸になりました。その結果、水産生物の卵を産む産卵場あるいは子供の魚、稚魚でございますが、稚魚の育成場の大幅な消滅をもたらしました。埋め立てに伴うところの微粒子状のどろやヘドロの沈でん、これも海底に住む生物の生活の場を奪いました。産卵場の消滅に伴いまして、現に漁場に卵を持つ成魚がいるのに、翌年の春から夏になりましても子魚がさっぱり見かけられないという状況は各地で見られますし、また岡山県の児島湾あるいは笠岡湾、もとはエビの子供が秋になりますと群れをなして播磨灘や燧灘に泳ぎ出ておりましたが、それの姿を見なくなってからまた久しいものがあります。つまり埋め立ては局部的な漁場の喪失だけではないのでありまして、広範な海域にわたる水産資源の増殖、繁殖に甚大な被害を与えております。特に一九六〇年代以後のように各地で一斉に大規模埋め立てが行なわれますと、代替産卵場というものが見つからなくなってしまう。その上、水質汚濁のために、卵を産んでも育たないといった状況が生まれているわけであります。したがって、大規模な干拓、埋め立てを禁止しないと、水産資源確保の上から重大な事態が起こるというわけでありまして、瀬戸内海全体を自然保護区域とし、基本的には今後は埋め立てを許さないということにすべきだと思います。ただし農林水産業のための小規模な埋め立てだけは、例外的に許して差しつかえないと思います。
 また、重金属類、PCBはもちろんでありますが、ヘドロの原因になっておりますパルプかすにつきましても、今後は陸上で処理をして、海中への廃棄は厳禁すべきであると思います。陸上の処理につきましても、廃棄物をそのまま河川敷、池、谷間に捨てたのでは当然二次公害が起こるわけでありまして、二次公害の起こらないような処置を望みます。
 第六点。海水汚染に伴いまして藻場が大幅に消滅をしておりますが、それに乗じて建設用の骨材といたしまして海底の浅瀬の砂の大量採取が行なわれており、それによる漁場の破壊が進んでおります。特に今後中四国の連絡架橋のために大量の骨材をもしも海底から採取するということになりますと、これは海を濁し、そして底に住んでおります魚の生息地を破壊し、産卵場を消滅させ、さらに岩石を破砕しますと、漁礁になっている岩場までこわしてしまうということになるわけでありまして、これはもしそういうことが行なわれる予定であるとするならば、厳禁すべきであるというふうに思います。
 第七点。以上のような汚染、埋め立てによる漁場破壊によりまして魚がとれなくなりました水域では、従来操業しておりました漁民がやむを得ず府県の境界を越しまして他の海区に侵入して操業するために、漁場をめぐる紛争が次第に激化いたしております。備讃瀬戸では香川海区漁業調整委員会が岡山県漁民の入漁を拒否するという事件が起こっております。実は岡山県南端の下津井という町をとってみますと、港から二、三百メートル沖がもう香川県の海域でありまして、香川県の海面に入らなければ生きていくことができないという死活の問題になってくるわけであります。また広島県と山口県の間、広島県と愛媛県の間、香川県と愛媛県の間にもこのような漁場をめぐる紛争がただいま起こっております。瀬戸内海のように漁場の利用の権利関係がきわめて複雑な水域では、具体的な各水域の実情を反映した環境保全対策が必要であります。そのためにも審議会に海区漁業調整委員会の代表を加えるべきであると考えます。
 第八点。瀬戸内海、特に島々の自然景観を保全することは、自然美の保全だけではなくて魚つき林、魚が寄ってまいります林でありますが、魚つき林の確保ということからも必要であります。現在岩国・大竹地区から出ます煙によりまして、宮島の松がまっかになって枯れております。同様な植物に対する被害というのが沿岸各地区で見られるわけであります。ですから瀬戸内海の環境保全のためには、水質の浄化だけでなくて、大気汚染を防ぐことも同時に実施していただきたい。
 第九点。従来汚染調査を実施しておりますところの研究機関は、これは午前中に村上氏からもお話がありましたように、対象工場の使用しておりますところの薬品や原料の組成とか種類とか量とか、あるいは排煙、廃液の成分、量につきまして十分な情報を得ておりません。そのままで手探りで調査をしている。そのために研究がおくれ、したがって、対策がおくれているわけであります。これら各工場で使っておりますところの原料、それから排出物の種類、量につきましての報告を各工場ごとに義務づけないと、いつまでも対策が後手後手に回るということになります。工場の立ち入り検査をやりますことも必要でありますが、その対策を事前に立てるためにも上記の報告を義務づけるべきであると考えます。
 第十点。審議会には十分地元住民の生活経験に基づくところの要求をくみ上げていただきたい。特に漁業の場合には、漁業の実態というのは、行政担当者を含めまして陸上だけで暮らしている人たちからは十分に理解してもらえないというもどかしさがあります。それが逆に今度は政府機関あるいは審議会というものに対する不信感という形で、いままで実は積み上げられてきております。ですから審議会に地元漁協の代表を加えるかあるいは現地での公聴会をひんぱんに開くといった方法をとりまして、やはり地元の実情を絶えず的確に把握し、これを施策の上に反映するということを考えていただきたいと思います。
 第十一点。このほかに小さいことでありますが、緊急に措置していただきたいことを幾つか申し上げます。
 一、船舶からの廃油たれ流しを厳禁していただきたい。特にタンカー、小型タンカーでありますが、クリーニングセンターで船倉をきれいにしてから出航するということを義務づけていただきたい。これが一つであります。
 二、工場からの温排水、高温な排水であります。高温と申しましても百度以上という意味ではなくて、四十度、五十度といったような排水、それの放流を禁止し、必ず冷却した後に排出することをやはり義務づけていただきたい。ところが場所によりますと、海面から湯げが上がっているなんという場所があるわけであります。
 三、港湾内及び沖合いの油泥、油のまじったどろ、これを除去していただきたい。現在油くさい魚が生まれてくる。特に水温の高い油泥で冬眠をいたします魚が着臭するわけでありますが、その着臭の原因となっております。
 四、これは内陸部で廃業しております鉱山、廃鉱でありますが、廃鉱から鉱毒水が出て、これが水質汚濁の原因になっている場合があります。この鉱毒水の浄化を実施させるようにしていただきたい。
 五、廃棄物処理施設の設置による二次公害の発生の危険を防止していただきたい。
 第十二点、以上の観点に立ちまして、瀬戸内海全域にわたる科学的な汚染状況の調査を全面的に、しかも緊急に実施していただきたい。その場合、地元農漁民、あるいは市民の生活体験に基づいた公害実態の認識を十分にくみ取って、オープンな調査をやっていただきたい。その調査に基づいて、従来の開発計画の再検討を行なう必要があります。住民の中にはその開発計画を一時凍結をして、そして本格的な環境浄化措置をとってほしいという強い要求を持っておる者もかなりおります。
 第十三点、今回の措置は文字どおり臨時措置法であります。過渡的なものであります。その意味で確かに一歩前進であることは認めるわけでありますが、一日も早く水産資源が豊かで、安心して食べられる魚がたくさんいるきれいな瀬戸内海に戻すために特別措置法を制定していただきたい。
 瀬戸内海では、戦後従来のとる漁業から一そう生産性の高い育てる漁業に切りかえるために、漁民たちは真剣に努力をしてまいりました。ところが、工業化の進展によりまして浅い海を奪われて、ノリの養殖もむずかしくなる、水質もよごされるということで、育てる漁業どころか、実はとる漁業までが大打撃を受けておるわけであります。特に本年度六月の水銀汚染は決定的なダメージになりまして、とった魚が売れない、買ってもらえないというので深刻な事態に現在追い込まれているわけであります。しかし他方、兵庫県の家島、岡山県の日生、広島県の走島、阿多田島あるいは山口県の柱島、香川県の伊吹島といったように実は沖合いの島々にまだ二十代の青年を含めて、多数の漁民が残っております。この漁民たちがいま必死になって瀬戸内海の漁業を守ろうとしているわけであります。これら瀬戸内海漁業復興のいわば核になる島々、それがたとえば阿多田島、柱島の場合には岩国、大竹の汚染により、家島の場合には高砂のPCB汚染によりどれもいま苦しめられている状態にあります。瀬戸内海のように、元来魚の種類も多く、生産性の高い海というのは世界でも例を見なかったわけであります。この海を汚染から救い、そして昔のように豊かな海にすることができるかどうか、これは日本だけの問題ではなくて、実は世界の水産業を救い得るかいなかという問題にもかかわる重大な問題だと思います。世界の公園といわれる白砂青松の瀬戸内海、これを単に観光資源の開発というだけではなくて、やはりもう一度豊かな海を取り戻す、そうして、より一そう進んだ漁業生産の場にすることによって、いま申しましたような島々をはじめとして、漁業生産に必死で取り組んでいる漁民たちに明るい長期的展望を与えていただくように、臨時措置法に続いて特別措置法によって瀬戸内海の海をきれいにするための措置を講じていただきたい、これをお願いして、私の発言を終わらせていただきます。(拍手)
#64
○佐野委員長 ありがとうございました。
 次に、及川参考人。
#65
○及川参考人 瀬戸内海の現状につきましてはただいま河野参考人から申されたとおりでございまして、私もそのことを申し上げようと思いましたけれども、時間の関係もありますから、おおむね河野先生のおっしゃった現状のとおりだと私は思います。
 瀬戸内海は先生方も多数の方々が現地を最近視察なされておりますから、現状については十分なる御認識を持たれておると思いますので触れることを避けますけれども、昨年のハマチの大量発死ということが瀬戸内海がもう極限にきたということの一つの証左であろうと思います。世間では瀬戸内海は死の海だとよく言いますけれども、これは私は非常にいやなことばでありまして、死んではおらない、まさしく重傷であるけれども、死んではおらない。これから施策を施すことによって、昔の海に返せないまでも政府の努力によってはできるという確信を持っているものの一人でございます。したがいまして、今般瀬戸内海の漁民が非常に要望しておりました瀬戸内海の環境保全に関する法律案が、しかも議員立法によって先生方の手で成案されたということにつきましては、漁民側は非常な敬意と感謝をささげておる次第でございます。一日も早くこれが法律として制定されることを望んでやみません。
 私も法律の内容等につきまして一応目を通してみましたところ、大体失礼な言い分かもしれませんけれども、この法律は政府がこれから何をしようとするかという一つの方針が明示された段階であろうと思います。したがいまして、この法律についていいとか悪いとか、評価というものは、これから肉づけ、盛られていくところの政府の措置、計画内容、そういうものによってこの評価がきまる。したがって、法案そのものについてとかくの意見をいま申しがたい状況じゃなかろうかというふうに判断いたしますので、この点については申し上げません。
 ただ、われわれも非常に重大な関心を持っておる法案でございますから、先生方の今日の成案までの過程についてもわれわれなりにいろいろ承知をいたしております。どの点において先生方が非常に御苦心をなされたかということも実は承知いたしております。私は、現状につきましては、先ほど申しましたとおり河野先生のおっしゃったとおりでございますので申し上げませんが、ただ、この際特に申し上げたい点を簡単に二、三の点に触れてみたいと思います。
 ということは、私も実は中公審の委員などもしておりまして、環境庁の御案内で各地を視察する機会も得ております。あえて名前等をあげますと、こういう席上でございますからいかがかと思いますが、私最も寒けがする問題がございましたのは、確かに廃棄物というようなものを何か処理しなければならぬ、なまごみを捨ててはならぬということはだいぶ徹底しておりまして、これは皆さんわかっておる。ところが、企業の側はこれこれに処理しておりますと言うのですけれども、燃えかすだとかそういう一番最後に残ったものが一体どこに行くのか、これを私視察のたびに聞いてみますと非常に不分明でございます。結局やっているところは捨て屋、あの掃除をする捨て屋ですな。その捨て屋さんにやっているというわけで、企業はそれで終わりでございまして、自分の責任が免れておるわけでございます。確かに企業はちゃんと処理をいたしました。だれにやったかといえば、それは捨て屋さんにやった。じゃ捨て屋さんはどこへ捨てたのだろう。そうすると市の御当局に、この市においてはそういう廃棄物を捨てる場所があるのかと聞きますと、どうもないようですね。そうしますと、察するに、これはどういうことになるか。人のことを疑ってはいけませんけれども、捨てる場所がないのですから、これは暗夜ひそかに河川敷きに持っていって捨てたりしている。ところが捕えようもない、私は、ある人に聞きましたら、この市において六十何軒かの廃棄物を処理する専門家がおるそうです。しかしながら、県が認定をして、これこれとおまかせできるのはわずかに十何軒、あとの大部分の人たちは二トン車一台のトラックを持った捨て屋さんだそうでございます。捕えて処罰しようとしても、把握のしようがない。これは実は、よく考えてみますと、この処理がどうなのかというと、ほとんどむだな中間処理をしている。公害の防止措置を講じているというのは言いわけにすぎないことになりませんでしょうか。私は、今後この種の問題について、公害行政は表面上のことじゃなくて、先々どこまで一体施策が徹底するか、きめのこまかい施策をしないと、ぼこんと肝心なところで穴が抜けておるという感じがいたしました。
 たとえば、水質の問題につきましても、なるほど水銀等につきましては、クローズドシステムとかというております。クローズドシステムということは、水を海に出さぬかもしれませんけれども、かすは出るはずです。そのかすをどこにやるのかということでございます。したがって、私は、有害物を捨ててはならぬとかなんとかという法律も必要でございまするけれども、そういうことをきめるならば、捨てていい場所だとか、処理する場所を国なり県なりの責任においてやって、それでもなおかつ変な捨て方をするなら処罰をすべきであって、捨てる場所もつくらぬでおいて、そうして一方的に言うことは、やはり政治としては無理があるじゃなかろうかという感じを実は私強く持ったのでございます。ややもすると、最近あまり問題になるようなものは下請にやらしたりというようなことを耳にいたしますので、ほんとうに企業本体というものは、それがあったところのものが最終的にどう処理されるかということまで責任を持つという体制でなければ、ほんとうの意味の公害防止はできないんじゃないかという考えを私は持っております。
 それから、例の、ただいまの河野先生のお話にもありましたけれども、赤潮の問題、これも原因、きわめてまだ定かではない。しかしながら、おおむね、いわゆるこの犯人は燐と窒素であろうといわれております。なかなか学者の先生の結論は出にくいのでございまして、われわれしろうとならば早わかりはするのでございますけれども、先生方になりますと、いろいろ微に入り細をきわめまするので、なかなか結論出ません。しかし、おおむねわれわれの間においては、燐、窒素というものが一つの原因者である。だとするならば、下水道の整備、終末処理場の整備ということをやかましくいわれておりますけれども、この中において燐、窒素の処理ということをあわせてやりませんと、瀬戸内海の赤潮の絶滅にならないと思います。これは技術開発というような問題ございましょうけれども、ぜひこれらの点に御着目願いたいと思うのでございます。もちろん、下水道の整備といい、いろいろ法案においては、政府は努力しなければならぬとか、目標を掲げておりますけれども、要は、どれだけの予算と、どれだけの技術陣、そういうものを持っているかということであろうと思うのでございます。
 それから、この際、非常に大切なことは時間の問題でございます。いつまでにやるかという時間という問題をかみ合わせませんと、何ぼりっぱなことを書いておりましても、自然によごれてくる速度のほうが早うございますから、これは。やはり時間ということを重大なファクターにしていただきたい。そのためには当然、先生方に申すまでもなく、予算の問題、そういう問題でございましょう。
 それから、その際に、私しみじみ感じますことば、日本の公害に対する技術のおくれというものを深く感じます。きょうは環境庁の水質保全局長もおられまするけれども、私、水質審議会に出ておりましても、いろいろ議論の過程において、日本の科学技術のこの種のおくれを非常に感じます。たとえばあれだけ騒がれているPCBを検出する濃度をはかる技術さえもやっと昨年の秋ぐらいに技術が固まったじゃありませんか。各種の人間の健康等に関する問題も、悪いことはわかっておるけれども、それを測定する技術さえも人によって違ったり統一的な技術がない。いまはだいぶ進んだと思いますけれども、そういう実情でございまして、それに逆に役所的感覚からしますと、取り締まりとかなんかというのを非常に憶病にしております。いわゆる技術分析そういうものに自信がないから、ある大学ではいやノーだという、いやこれはイエスだという、こういうことでございますので、日本は物をつくる技術、そういうものにつきましてはこれは世界一の水準に達したと思うております。したがって公害をつくる技術もこれは世界一だと思います。しかしその反面に、公害を防止する技術というものはきわめて立ちおくれておると思います。今日、役所の方々が、いやだいじょうぶだよといったって、国会の先生がだいじょうぶだといったって国民は承知しません。何らかの形で科学的な立証をしなければ、今日の国民は承知しません。したがって国民に安心を与え、無用な心配を避けるためにも、またほんとうに公害の犯人というものを追放するためにも、科学技術的に立証するりっぱな機関がなければならぬと思います。もちろん政府も若干それをやっておりますけれども、特段にこの点については予算措置も大きくし、また朝野の人材を動員しまして、この研究体制というものを確立していただく。このことが実は抜本的に、非常におそいようでございますけれども、本質的な問題じゃなかろうかと私考えております。
 それから最後に、これはやや先生方に申しわけないのでございますけれども、あるいは全漁連の副会長という立場から陳情なりあるいはお願いになるかと思いまするけれども、例のPPPの原則でございます。私はいままでいろんな企業公害に相対峙しまして、政府当路に話を持っていきますと、いやPPPの原則だから、諸君が損害は企業に対して要求すべきであるというふうにはね返ってまいります。しかしながら一体海の――PPPということは、御存じのとおり、請求するほうが証明しなければなりません。これこれの損害があった、それはおまえのせいだ、おまえとおまえのせいだということをこちらで立証しなければなりません。まさに大海の中におけるアワ粒をさがすようなものです。それは漁民の責任になっております。しかも法律はそれをもって公正の原理、いまの日本の民法はそうなっています。しかも今日の公害というものは一つに限らず、複合汚染でございます。何がどうなってどうなるか、これを漁民に証明させて、そうして加害者に対して責任を負わすといっても無理だ。こういうことで何かPPPの原則というものは――しかられることを私は覚悟して言いますが、政府当局の逃げ口上のような感じがしてしかたがありません。確かに企業の責任というものを政府その他の手によってそれをあとぬぐいすることは、私は賛成はいたしません。しかしながら漁民にそれを立証して、損害の補償を受けろということは一体どういうことでございましょう。不可能なことです。裁判をすれば十年も二十年もかかる、こういうことが現実でございます。しかも赤潮といい何といい、いろんな原因は多少はありましょうけれども、おおむね公害であるということはわかっておる。そういうような状態において、PPPというものをあえて言うということは、われわれ漁民の立場からすると、何か責任のがれのような感じがしてなりません。これはあけまでPPPの原則は否定しませんけれども、同時にやはり漁民対策というものを立てなければならない。それが金を貸してやるから、利子安く貸してやるからそれでいいじゃないか、そういう程度のことでは、これはまことにわれわれふんまんやる方ないと思います。やはり私は政府において所要の措置をとって、そうして企業が悪いんだったら、企業からあとで政府が取っていただきたい。まず漁民に対して当面の措置をとっていただくことをやっていただかなければならない。このことを、立証は非常にむずかしいというような海の条件でございますので、特段にそういう御配慮がなければ漁民は助からない。理屈の上では勝っても、何やらわあわあわめいてもどうにもならない。結局は実力行動、われわれも実力行動というのはいやです、この法治国家において。それ以外に残されたる道がないというようなことは、これは政治でございましょうから、その点私は非常に、先生方にこの点は訴えたいのでございます。そうでなくて済むような制度を別に創設していただきたい。これが私のみならずわれわれの、いま公害にさらされておるところの漁民の切なる願いでございます。たとえば最近PCB、水銀といいますけれども、しかしPCBと水鉄が退治されればあとはいいんでございましょうか。今後何が出てくるかわからないという状況でございませんか。その状況において、新聞等においてその騒がれると、一ぺんに打撃をこうむるのはわれわれです。漁民です。そのときに、無利子で金を貸してやるから、そんなことで済まされてはかなわぬ。やはり基本的に、先ほども河野先生も言われておりましたけれども、そういう場合に備えた一つの基本立法というものは別に、れっきとした別な法律が要るような感じがいたします。その点をお願い申し上げまして、私非常にざっぱくで、このような委員会におきまして失礼かと存じますけれども、私の参考人としての意見は終わります。(拍手)
#66
○佐野委員長 ありがとうございました。
 次に楢崎参考人。
#67
○楢崎参考人 本日この特別委員会に、瀬戸内海の沿岸にございます十一府県と三指定市の構成いたしました瀬戸内海の環境保全知事・市長会議の御意見を聴取していただきますことはありがとうございます。
 実は、この会議の議長でございます坂井兵庫県知事がただいま海外出張中でございます。私副知事でございますが、かわりまして陳述をさしていただきたいと思います。
 かねがね、この四十六年にこの会議をつくりまして皆さま方国会のほうにもいろいろと御陳情を申し上げまして、その成果といたしまして瀬戸内海の水質汚濁の総合調査、それから油の回収船だとか清掃船の建造というようなものが四十八年度の予算にもつきまして、また大阪湾におきます海底の沈積物、こういうものの除去の調査ということも始まっております。こういう面につきましては、国の御当局また国会の先生方に対しまして心からお礼を申し上げたいと思います。
 なお、昨日特別委員会の先生方には当県の高砂市のほうにお見え願いまして、鐘化の工場におきましていろいろと現場も御視察を願い、関係の漁業者その他のいろんな御意見を御聴取賜わりましたことにつきましても厚く御礼を申し上げたいと思います。
 われわれ行政の立場でございますので、問題点はいままでの参考人の方がいろいろと仰せになりましたが、とにかく昨年の赤潮の問題こういう問題につきましても先ほど及川参考人がおっしゃっておりましたが、この原因がなおわからないということでございますが、昨年は特に兵庫、香川におきましてハマチの赤潮問題につきまして七十五億というような大きな被害をこうむったわけでございます。これに対します措置もやっていただいたわけでございますが、ことしは赤潮がないと喜んでおりましたところ、最近PCBの問題水銀の問題等が惹起いたしたわけでございます。こういうことで、一日も早く瀬戸内海の問題につきましての解決を積極的にやらなければならないというのが私どもの会議の趣旨でございます。
 特に本県のことにわたりますが、PCBの対策につきましては、鐘淵化学の生産が全国の九〇%というシェアを占めております。そういうことから、県の議会におきましてもまた県におきましても、これにつきましては緊急にこれを解決すべきだということで、県の当局におきましてはPCBの対策本部を設置いたしまして、県議会におきましても現在PCBの対策の特別委員会を設置をいたしまして、この問題の解決に現在当たっておるところでございます。いずれこの二十八日から始まります県議会におきましても、いろいろとこの特別委員会におきます論議が発表されるということになろうかと思います。いずれにいたしましても、こういう問題で、当県につきましても大きな問題でございます。
 なお、この七月の二十一日にこの知事・市長の会議が開かれまして、国のほうからも皆さん方御出席を賜わりました。その際、出ましたときに申し合わせが出たわけでございます。この法案にも盛られておりますが、いわゆる汚濁を二分の一にやっていこうというようなこと。この問題につきましてはこの七月に申し合わせをいたしたわけでございます。特に本県と大阪府の間では、もうすでに大阪湾におきましてこれをやろうじゃないかという話し合いもいたしております。具体的に事務当局が詰めておりますので、この三分の一というものにつきましても積極的にやろうという申し合わせをいたしております。これも各県によりましていろいろ規模その他違いますけれども、これらにつきましてはお互いに連絡をし合えばこれは私は可能であろうと考えております。特にいま申し上げましたように、死の海ということばを使うのはいやだということをおっしゃいましたが、私も同様でございます。いまにしてこういう措置をしなければ、瀬戸内海がいままでのような形にはならないという認識は、十分私ども自治体も考えております。そういう面では、積極的にこの法案に盛られておりますような三分の一の対策につきましてはできる限りのことをやりたい、かように考えております。
 なお行政の面で一番問題になりますのは、埋め立ての問題であろうかと思います。埋め立ての問題につきましては、私ども行政の面におきましても、過去の臨海埋め立てにつきましては反省をいたしております。しかしながら、当時全国的な問題でございますが、経済力の回復ということ、これがやはり全国的な使命であったのではないかと思います。財政的な面をやはり裕福にするということが何か戦後間もなしの国の使命、また私どももそのように考えまして工特、新産という制度につきましては、私どもも血の道をあげましてそれの指定に走ったわけでございます。しかしながら、これは役所だけが走ったわけではなく、私どもはやはりその当時は県民もこれを応援してくれたというように考えております。しかしながら、その結果があまりにも急激な埋め立てその他工場誘致ということでこういうような現況をもたらしたわけでございますが、こういう面につきましては私ども大いに反省をいたすところでございます。あの当時いま少し環境というものについての認識、そういうものを持ってやっておれば、いまのような段階には少なくともなっていなかったのではないかという反省に立っております。
 考えてみますと、三十七万平方キロのこの狭い国土の中に一億の民がいる、しかも可住面積が二〇%ということでございます。人口がどんどんとふえております。その中でやはり住む場所、働く場所というものは求めなければなりません。そういう面におきますと、私どもそういう場所をつくるのは、やはり山を削るか、農地を転用するかまたは海を埋め立てするかというようなことになろうかと思いますが、そういう意味でいままでのような埋め立てということはおかしいわけでございますが、総合的な中で一部やはり埋め立てというものはやらざるを得ないという段階になるのではないかというふうに私どもは考えております。これが、たびたび申し上げますように、いままでのような考え方ではいけない。たとえば、私どもは阪神間におきます埋め立てを現在やっておりますが、これには産業廃棄物と申しますといかにも何かきたないもののようでございますが、産業廃棄物の七〇%以上は建築廃材でございます。建築廃材をこなごなにいたしますと土石類でございます。土石の埋め立て、いわゆる廃材、産業廃棄物とは申しながら埋め立てに適するものであるならば、これはやはりどこかに持っていかなければならない。いま山のほうに捨てておりますけれども、これは限度がございます。やはりそういうものの捨て場というものも考えなければならないのではないかという気がいたします。それから下水道処理場、これらも現在の都市の中につくるとなりますとなかなかむずかしい問題でございます。これはもう全国的に過密いたしました都市の中で下水の処理場をつくるというのは、総論賛成で各論反対ということで、私どものほうでもなかなかそれに頭を痛めております。そういう問題につきましてもやはり新しい埋め立て地というようなものを利用するということも必要ではないかと思います。それから、足りない公園緑地でございますが、こういうものも新しくつくらなければならないという問題もございます。そういう形でやります新しい造成地、これはもちろん山はそのまま残せばいいというようなこともございますが、そういう意味におきまして、総合的に長期の展望に立ちました高度な都市政策というものの中で、やはり一部埋め立てというものはするということのケースがあるのではないかという感じがいたしております。むしろ私ども議会におきまして、現在私どもの論点になりますのはこの埋め立ての問題でございますが、私どもの考え方といたしましてはそういう考え方を持っております。しかしながら、これは各県によりましてそれぞれ事情もございまして、多少のいろんな問題は相違点もあるということはやむを得ないと思いますけれども、大筋におきましては、基本的には瀬戸内海というものをやらなければならないという気持ちには意見が一致いたしております。
 そこで、私はこういうものの調整ということも必要だと思いますし、それぞれの府県で話し合いはいたしますけれども、なかなかこれを調整することはむずかしいわけでございます。一つの例を琵琶湖の水にとりましても、下流の府県と上流の府県とのいろいろ競合する問題がございます。そういう意味におきまして、やはり瀬戸内海にこういう国の調整といいますか、マスタープランをつくっていただくわけでございますが、そういう出先機関というものがぜひ必要ではないかという気がいたしております。ぜひこういう出先機関の問題につきましてもお考えを願いたいという気がいたします。
 ざっぱくなことを申し上げましたけれども、いずれにいたしましても、私どもがいろいろとこの議会で申しております要請の中で残されております問題は、この特別立法をぜひ早く成立していただきたい。幸い、超党派でこの問題に取り組んでいただいておりますので、個々のこまかい問題につきましては、私ども積極的にこれに協力もし、県みずからもやっていくという心がまえをいたしておりますので、どうか一日も早くこの法案を通していただきますようにお願い申し上げまして、簡単でございますが、最後の参考人としての陳述を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
#68
○佐野委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの御意見の聴取は終わりました。
 引き続きまして、参考人に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
#69
○林(義)委員 福田参考人、河野参考人、及川参考人、楢崎参考人、お忙しいところきょうわざわざ御出席いただきましてありがとうございました。また、貴重な御意見を賜わりまして心から感謝しております。
 実は、きょうは参考人の方々にお越しをいただいたわけでありますけれども、問題になっておりますのは、瀬戸内海環境保全問題ということでお越しをいただいたわけでございます。もう少し申し上げますならば、瀬戸内海環境保全臨時措置法についてどうかということについての御意見を聞こうということでございます。
 この法案は、皆さま方御承知のとおり議員立法でやろう、こういうことでありまして、言うならばわれわれのほうが立案者でございますから、われわれのほうが御説明を申し上げて、それから皆さま方の御意見を聞くというほうが筋だろう、こう思うのでありますが、実は立案者の一人といたしまして、私申し上げておきたいことがあるのです。こういった環境保全の問題で瀬戸内海を相手にしてやろうということでありますから、この広い地域を相手にしてやろうということでもあるし、環境保全の、水質汚濁防止法であるとか大気汚染防止法であるとか、いろんな法律がありますが、その中で特定地域だけを限ってこうしてやろう、しかも相当トータルな考え方をやっていこうというのは、実は立法の形としては初めてであります。と同時に、議員立法という形でも初めてでありますから、そこでいろんな意見の調整をしていかなければならない、こう思います。
 立案の過程におきまして私たち考えましたのは、やはり環境の保全、瀬戸内海をきれいにしていこうということは単に一党一派の利害に関係する問題ではない。やはり党派を越えて、イデオロギーを越えてこれをやらなければならない問題であろう、私たちこういうふうに考えたわけであります。したがいまして、いろんな点、確かにまだまだやらなければならない点が御指摘のようにあるかもしれませんけれども、やはりその辺を考えますと、当面いますぐやらなければならない問題と、それから恒久的、将来的にわたってやらなければならない問題と分けまして、御指摘がありましたような問題の中で、将来の検討にゆだねた事項がたくさんあるわけでございます。そういったような法律の体系になっておりますので、ひとつこの点は御批判をいただきたい。法律の中でも瀬戸内海環境保全基本計画というものの策定を政府に義務づけております。それまではこの臨時措置法という形でこういうふうにやっていくということでございますから、私は参考人の御意見に反論するわけではありませんけれども、先般からの油のたれ流しであるとか、油のくさい問題であるとか、工場からの高温排水の問題であるとか、沿岸における廃坑の坑水のたれ流しを禁止するという問題、さらには最近問題になっておりますところのPCB、水銀の問題、こういった問題は実は言うならば全国的な問題でございます。特に瀬戸内海に限ってだけPCB、水銀をやらなければならないということではないと思うのであります。坑廃水の問題にいたしましても私は同じような問題がいえると思う、これは全国的な問題としてひとつやっていかなければならない問題だろう、いまこういうふうに考えております。この点はひとつ御了解をいただきたい、こう思うのであります。
 そこで私はちょっと、非常に法律案の中身も実は詰まってきておりますので、お尋ねをしたい点があるのですが、福田さんからお尋ねをしたいのですが、あの水理模型、りっぱなものができまして、私もひとつぜひ見せていただきたい、こう思っておりますが、あの水理模型で、いわゆる響灘でございますが、響灘の辺の問題というものが、一体水理模型的に相当やれるような仕組みになっておるかどうかという点が一点であります。
 それから午前中にもお話がちょっと出ておりましたが、四国の高知沖のほうから穴を掘ってこちらに持ってきたらどうだ、これは海洋学的には非常に問題だ、むしろノーだという意見のほうが強いというお話でありましたけれども、福田さんは工学博士でもございますし、一体そういった工学という観点から実はそういったことがやれるものだろうかどうだろうか、この辺についての、役所の立場を離れての個人的なお考えでもけっこうでございますから、お話を聞かせていただきたい。
 それから、瀬戸内海は昭和三十五年以来からずっと高度成長をしてきましたおかげで、相当にヘドロ等がたまっております。いまから出るものを少なくしていくという問題もありますが、やはり実際にたまっておるところのいろいろなものを取り除いていくこともやらなければならない、いまから出てくるところの悪を防ぐと同時に、下にたまっておるものをのけていくということもやっていかなければなりませんが、そういった工法では、どうも午前中のお話を聞いておりますと、埋め立てをやるか、しゅんせつをやるか、ほかに方法がないではないかと、こういうようなお話であります。一体そのほかにいい方法がないものかどうか、この辺を福田さんにお尋ねをいたします。河野先生にも、もしもその点につきまして、最後の問題でもけっこうでございますが、御意見がありましたら聞かせていただきたいのでございます。
 それから河野先生のお話の中で、海区調整委員会の代表を入れてくれ、こういうお話がありました。私は御趣旨は非常によくわかるわけでありますけれども、実はお隣に全漁連の副会長も来ておられるのですが、全漁連の代表と海区調整委員会の代表と両方二人出せというお話なのか、何か漁業界代表というものを出せというお話なのか、その辺をもう少し詳しくお話を聞かせていただきたい。海区調整委員会の代表というのは何か特別な意味があるのか。水産資源の保護というのは法律の中にはっきり書いてあります。ですから水産界を当然代表する、沿岸漁民を代表する人たちは当然これは入らなければならないと私は思うのです。これはあとで政府が任命することでありますから、私たちがどうこう言うことではありませんけれども、そうだと思いますが、そのほかに特別に海区調整委員会の代表というのは何か特に意味があるのかどうか、この辺についてお尋ねをしておきます。
 それから及川さんのお話ですが、PPPにおける立証の問題、最近いろいろと問題が起こっておりますし、大衆行動については必ずしも自分も賛成でないけれどもやむを得ない、こういうようなお話のようであります。これもやはり、言うならば瀬戸内海だけの問題ではない、有明海にも東京湾にもずいぶんたくさんありますから。こういった問題ですが、これはやはり一つの社会的な力の関係をどうするかという問題にもからんでくるだろうと思います。単に公害問題で、あるいは環境保全という問題だけで解決できる問題ではないような気が私はするのであります。この辺につきまして、何か具体的に案でも考えておられたならばお話を聞かせていただきたいと思います。この問題はあるいは当面瀬戸内海環境保全臨時措置法と関係ないかもしれませんが、一般論としてお尋ねをしておきます。
 それから楢崎参考人にお尋ねいたしますが、実はいろいろと問題がございまして、援護当局のほうにも御尽力をいただいておることに対しまして、私も心から感謝をいたしたいと思います。実はいろいろと考えますと、私、この土曜日から各県を回ってまいりました。山口県のところで見ますと、福岡県が非常にきたない、けしからぬとこう言う。西のほうでは福岡県が非常にけしからぬと言う。広島県へ参りますと、山口県が非常にけしからぬと、こういう話である。それから、四国に渡りますと、香川県のほうから、愛媛県は非常にけしからぬ、きたないものを流しておるではないかという話である。もう一つ言いますと、岡山県のほうから広島県を責められる、こういう話である。やはり天災の問題というのは非常にむずかしい問題だろうと私は思うのです。その辺の問題は、やはりお互い同士で話をしていただかなければならない。初めに各県にお話を申し上げたときは、なかなかその辺の話がつかぬぞと、こういうふうなお話でありましたが、やはり審議会なり何なりを通じて各県で話をしていただく。実を言いますと、環境保全の関係のいろいろな規制というものは、県当局でいまやってもらっておりますから、私はその体制はくずすべきではない。これを引き上げて全部国でやるということになりますと、かえってまずい点が出てくるだろうと思います。やはり県当局で、住民の意向も聞きながら、また企業のほうのいろいろな問題も聞きながら、県がそこをうまくやっていただくということが私は一番必要なことだと思いますが、天災の問題になりますと、とかくほかの県に押しつけてという話になると思うのです。この辺は、ひとつ県同士でぜひ調整していただきたいのですが、いまお話にありましたように、大阪と兵庫との間でお話し合いをするというような話が各県の間でできる機運にあるのかどうかということをひとつお尋ねします。
 それから、どなたでもけっこうでございますから、私はたびたびいろいろなところで申し上げているのですが、単に法律をつくったから、それで海がきれいになるということでは一つもないと思うのです。やはり国民がほんとうに瀬戸内海をきれいにしていこうという気持ちを持ち、お互いがそれに対して努力をしていくことが必要だろう。及川さんの話にありましたけれども、ごみを捨てたといってもどこか下請けにまかしちゃったということ、これも私もお互い同士、ごみを捨てるときにごみくずの中に入れる、あるいは自分はちょっと家内に渡して、捨てておいてくれよと言っただけでは、これは済まないのであります。やはり最終のところまで処理をするということをしないと、ほんとうにきれいにならない。部屋の中を掃除しておけと言って命令するのが法律でありますから、命令しただけできれいになるわけでは一つもないのであります。やはり住民の間で、あるいは市町村の間で、また県の間で、そういった機運が盛り立ってくることが私は一番必要なことだろう。これが何よりも大きな問題だろうと思う。こういった問題につきまして、県なりその他のところで、これからモラルの運動というか、そういったものも起こしていただくことが必要ではないかと思いますけれども、この辺につきましての何かお考えがあればお教えいただきたいと思います。
 以上でございます。
#70
○福田参考人 林先生からの御質問に御返答したいと思います。
 水理模型実験におきまして、現在、私どものほうでつくりましたものの響灘の問題でございますが、一応現在、模型としてつくっておりますのは、山口県の蓋井島、北の端があそこまで、それから西側が福岡県の遠賀川の河口、あの線まで一応つくっております。ただ、そのすぐ近くに起潮装置というようなものがございまして、したがって、少しその周辺部では水の流れが問題があろうかと思います。厳密に水の流れを合わせるということが少し問題があろうかと思います。そういう意味で、響灘の実験をあの水理模型で行なうことは、少し困難な問題があるのではないかと思います。現在、福岡県側で、あれは建設省でございますか、おやりになっておるものがございますが……(林(義)委員「運輸省です。」と呼ぶ)運輸省でございますか、そちらのほうの設備を少し増強されておやりになったらいかがかというふうに考えます。
 それから第二点の、太平洋の側からの水を四国の山をぶち抜きまして引き入れる、こういう計画の問題でございますが、これは第三の問題とも関連するのでございますが、やはり先生がおっしゃいましたように、陸地からの水の流入をできるだけきれいにするということは、確かに必要でございますが、現在までにたまりました汚濁物質というのは一向に減らぬわけです。ですから、これをいかにするかということにかかってこようかと思います。そのためには、第三の問題で、私午前中おりませんでしたが、お話しになったらしゅうございますが、ヘドロをとる。そのために、ヘドロをとることにもいろいろ問題がございますが、とるために海の底をかき回しまして、汚染を拡散させる、こういうことがございますので、その方法もいろいろ検討する必要があると思います。さらに、そのヘドロを取り上げてそれを一体どこへ置くのか。だれも自分の家の前へヘドロを投げ出されて喜ぶ人はおりませんで、やはりそれはどこかあまり人家の少ないところじゃないと困るだろうと思いますし、しかも瀬戸内海の沿岸地域ではあまりそういうところがございませんので、むしろ非常にヘドロの多いところを仕切りまして、埋め立て工事をやることによって、一部はその中に取り込み、さらに、そこを埋め立て造成をしましてヘドロの処理場にするとかいうふうなことを考えなければとれないのじゃないかと思います。そういう意味では、やはり埋め立てということはどうしてもそういう目的にはやらなければならない問題ではないかと思っております。
 それで、そのほかのもう一つの問題としましては、これは底をさらうということと、現在一海水の中に含まれている成分をどうやってきれいにするかという二つの問題になってこようかと思います。ですから、その海水をきれいにしようと思いますと、これはきれいな水で薄めてやらなければどうにもならないのでありまして、その方法としましては、外洋水を何らかの方法で引き入れて薄めてやるという方法以外にはないと思います。もちろんこのことによりまして、薄めるのですから、それはどこかへ出ていくわけでして、このことによりまして、太平洋の水をよごしまして、全世界じゅうを汚染させるのではないか、こういう危惧も持たれております。はたしてそれではこれが一体どの程度の量になるのか、そういったことまで詳しく議論をしなければならないんじゃないかと思います。
 そういう一つの方法といたしまして、これは徳島大学の今野先生というお方が、直径十メートルのパイプを二本太平洋側から通しまして水を運ぶ、こういう御計画がございます。確かにそういう計画でかなりの浄化が可能であろうということも考えられます。こういうこともわれわれのほうで実験はやってみようと思っております。
 それからさらにそのほかの考えといたしまして、豊予海峡の佐田岬半島というのが四国の西端のほうに突き出しております。あれを一部ちょん切りまして、そこから少し水を入れるということを考える。あるいはそういう部分から配管工事をいたしまして水を入れてやるとか、あるいはさらに黒潮の中に、これは海中土木工事でもって堰堤のようなものをつくってやりまして、一部流れを黒潮の――黒潮というのは非常に大きな川みたいにかってに流れておりますので、そこへちょっと壁をつくってやりましてちょっと水をちょうだいする。そういうことでもって瀬戸内海のほうに流入する水の量をふやしてやる、こういう考えもあるようでございます。
 そのほかいろいろなアイデアがあるようでございますが、はたしてどういう計画がどれだけの効果があるのか、あるいは経済性も同時にやはり考える必要がございます。そういった面も含めまして、いろいろ検討する必要があろうかと思います。
 それから一般的な事項でございますが、私もまだ二年と少々でございますが、瀬戸内海沿岸の一住民でございまして、近くの奥さん方ともいろいろ話をする機会もございますが、そういう一住民といたしまして、今回のこの立法ができるだけ早期に、正式に立法化されますことを非常に期待をしておるのでございます。
 それで、こういう汚染防止という問題は、私自身はそう何も瀬戸内海に対して悪い影響を与えていない、そういう考えもないことはございませんが、しかし私自身が使っているもの、新聞をずいぶん読んでおります。その新聞はどうやってできるか。これはパルプ製紙会社でつくっておられるわけです。ところが、その製紙会社から出る排出物が問題になっている。ということになりますと、これはわれわれ自身の問題である。そういう意識で、これは一例を申し上げたにすぎませんが、今後はやはり資源節約という考え方をできるだけ教育面でも――資源節約という、われわれ戦時中に育った人間は節約時代を過ごしましたので、そういう経験がございますので、すぐに理解できるのでございますが、戦後の若い方々はそういう思想は全然ないと思います。ですからそういう面で、新しいそういった考え方を植えつけるようなこともやらなければ、これはなかなかむずかしいことではないかと思います。そういった考えを持っております。
 以上でございます。
#71
○河野参考人 続きまして……。先ほどは黒潮の流れを変えるというたいへん規模壮大なお話が出ましたが、私どもはそこまで大きなお話はよういたしません。
 まず、林さんのほうから御質問のございました調整委員会の代表か漁民の代表かということでございますが、先ほど申し上げましたように、かなり、汚染に伴う漁場紛争、海区調整委員会相互の懸案事項というのはふえてきております。やはり調整委員会との間にかなり太いパイプを通しておきませんと、実情に即した汚染対策というものは組めないという問題がございますし、それから漁調委のほうに対しても審議会からの意向の反映、意思の疎通ということが必要だと思いますので、そういう意味からも実は調整委員会ということを申し上げたわけであります。
 それからヘドロの問題でございますが、確かに御指摘のとおり、非常にむずかしい問題でありまして、特に埋め立てという場合、多くは石を海中に投下してそれをずっと積んで障壁をつくっていくわけでございますが、石を投下しただけでは、海水がその石の間から自由に出入りするわけでありまして、それに伴ってヘドロの中に含まれている毒性物質というものが外に漏れて出てしまうという危険性があるので、埋め立てをやるとするならば、その障壁のつくり方をかなり厳重に検討しておかないことには、障壁をつくったというのが見せかけだけに終わってしまうという危険性が多分にあると思います。
 それからなお水俣などの場合を聞きますと、障壁はつくったけれども、ヘドロのほうがはるかに高くたまってしまって、雨が降りますと、ざあっと流れ出て、まわりの海が黄色くなっているという話も聞いております。これではやはり見かけ倒しになるわけでありまして、そういった、一たん中に入れたものを絶対に外に出さないということ、できれば上に土をおおってしまって、上方に対しても防ぐ、そういうかまえを十分にやった形でないと、埋め立てというのは許可してはいけないのではないかというふうに考えるわけであります。そしてその埋め立て後の利用につきましても、確かに公害防止用の施設をつくるというのは一案でありますけれども、先ほども申しましたように、しばしばそれが第二次汚染の原因になることが多いのでありまして、この点も十分に考えてでないと、やったらいいだろうというふうには申し上げかねる。その点を慎重にしていただきたいというつもりであります。
 それから第三点で、法律はつくったけれども、それだけできれいになるわけではないとおっしゃいます。まさにそのとおりでございます。ただ瀬戸内海の具体的な例を申し上げますと、たとえば岡山県東部の日生漁協では、すでに漁協の組合長以下全員で海をきれいにしようという運動を始めております。そして、魚市場に上がって処理します魚がございますが、それの残りかす、あれもいままで海に捨てていた。これじゃわれわれが海をよごしていたんだというので、それをやめようということをやっているわけです。漁民のほうはそういうふうに真剣になって海をきれいにしようとしているし、それから同じく岡山県西部の白石島では、各県がおやりになり出すよりも二年以上前から、例のビニールシートを引き揚げさせて段ボール箱一ぱい十円というので引き取っているということもやっているわけです。それに比べますと、いかにも企業の対応がにぶいのでございまして、私に言わせるならば、現在の企業がああいった有毒物質をたれ流しているというけれども、実はカドミウムにしても水銀にしても日本にはきわめて少ない、きわめて貴重な資源であります。そういうきわめて貴重な資源をああいう人間の生活に害を与えるような形で捨ててしまうということ自身が資源の浪費なんでありまして、先ほど、倫理を正さなければならない、特に戦後世代の青年はというお話をなさいましたけれども、私に言わしていただくならば、企業がまず身を正せというふうに申し上げたいのであります。
#72
○及川参考人 林先生の御指摘のとおり、私は、参考意見を申しましたときに、この法案そのものについては何ともいまの段階で申し上げようがないと申しまして、せっかくここは公害対策の委員会でございますので、多少御参考までに申し上げたのでございますけれども、私らはPPPの原則というものをわかっておりますけれども、現にもう一つの問題は、企業に負担力がなかったらどうするのかという問題はあります。
 きょうも、なまなましい事件でございますけれども、いわゆる水俣の漁民代表が私のところに来ております。その様子を聞きますと、知事が仲裁に入りましたけれども、漁民側の要求についてチッソ側が、要求額そのものは否定いたしません、そのとおりでございましょう、しかしながらわが社はもはや支払い能力がございません、こういうことになった場合に、一体PPPだ、PPPだといいましても、私は言いたくはないけれども、日本の今日の企業のあり方というものをきめ、やや理屈ばりますけれども、いわゆる高度成長をささえてきたところの政策背景というものは企業の中にあったはずだと思います。そうならば、企業に金がないからしようがありませんで、一体企業だけが、どろぼうしたとかなんとかいうのなら別ですけれども、何らかの形で、ある時代においては国の姿勢なりそういうものに呼応してやったことでございますから、国にも何かあるのではなかろうか。単に、企業に金がありません、もうチッソは振っても鼻血が出ませんということで、漁民が泣き寝入りしなければならぬとなれば、結局われわれに残された道は、あとは、いやでございますけれども、法治国家としてはあるまじきことをやらざるを得ないというところに追い込まれる。
 そういうことで、せっかく林先生お骨折りになったこの瀬戸内海の環境保全法にも漁民の救済ということが入っておりましたが、これは私は非常に感激いたしました。もちろんこれには「赤潮、油」と書いてございましたけれども、「等」となっておりますので、その他のことも含まれるのであろう。また瀬戸内海にそういうことが起きないとも限らぬ。ましてや、今度の九月一ぱいの環境庁その他の調査が終わりますと瀬戸内海の中にも、どこと申しませんけれども、確実に漁業の禁止をしなければならぬところは出てまいります。こういうときに、PPPだ、PPPだといわれたのでは、これはどうにも漁民は救いようがない。このことを申し上げます。
 それからもう一点の、例の廃棄物の最終処理の問題でございますけれども、この点は先生、もう一ぺん聞いていただきたい。
 というのは、家庭の奥さんやわれわれが、かん詰めのからと紙くずと一緒にしてこうやるというような性質のものではございません。私ずっと実は公の立場で回ってみまして、ある廃棄物処理工場を二カ所も三カ所も見ました。そして工場長さんに聞きますと――これのあとのかす、どこへやるの。ここに何が入っているの、この一番燃えかすの最後に。すると、わかりません。これは分析をすると発表しなければなりませんからな。そこで分析もこわくてできないということを耳にしました。私、名前は申しません。
 それから、あるところへ行きましたら、きれいにやっておるのです、あるものを分解しまして。これなるかな、これが今日の、資材を大切にする、資源を大切にすることだ、私喜んで行きました。ある産業廃棄物を中小企業が協同組織で集めまして、それをば分解して、硫化鉄と塩酸でしたか、分解しまして、もう一ぺんそれを協同組合に返しましてね。これはまことにりっぱな話だと私は感激し、一体最後に残るものをどうしたのですかと聞いたら、聞いてくださるな。どうするのですと言ったら、捨て屋さんにやっている。そういうことがある。
 これは中小企業のことでございますから、私は別に柳眉もさか立てないですけれども、そのようなことが行なわれていったのでは、中間処理は何にもならない。だから徹底的に、もともと本来を、流したものを、あくまで責任を負わして、その業者にあずけたならば、その業者の責任、直罰主義で、捨てた者が罰せられるだけでなくて、もっとやはり企業本体に責任を負わせる立場をとらなければ、いたずらに責任回避でずっといってしまう。
 したがって、先生、私は非常にこの点については重大関心を持って、きょうの本委員会でもこれだけ申し上げようと実は思ったくらいなんです。
#73
○楢崎参考人 先ほど申し上げました大阪府との関係でございますが、実は三年かかりまして大阪府と兵庫県で共同調査をいたしました。いま負荷量につきましては大阪が二で兵庫県が一と、大体二対一ぐらいだという調査の結果も出ております。これを半分にするのにはどうしたらいいかということをおいおい協議をいたしておりますが、いまのところ、本年度から出発いたしまして五十年に三〇%ほど減らそうじゃないかという感覚でおりますけれども、この法案が出まして三カ年で五〇%ということになりますれば、これをもう少し早くやらなければならないということも考え得ると思います。これにはやはり各河川におきます流域の下水、いわゆる流域下水、この下水処理というものも一つ大きなファクターだろうと思います。淀川におきましても、各流域の下水をそれぞれおやりになる。兵庫県におきましても、おいおいやっておりますし、各河川ごとに環境を整備するための、環境基準に合うように、両岸にあります市長、地元の代表の方々、各種団体の方々で委員会をつくっていただきまして、河川浄化につきましての対策も考えておりますので、私どもは、そういうことになろうかと思います。
 なお、岡山県との関係、これは年々隣県の知事会談をやっております。これは個々の問題、交通の問題もございますし、環境の問題もございます。いろいろ年々やっておりますので、岡山県との問題につきましても、そういうことで、調査をやりまして、岡山県との話をいたしますれば、私は、できるのではないか、かように考えております。
#74
○佐野委員長 大原亨君。
#75
○大原委員 各参考人に簡単に質問いたしますので、簡潔にお答えいただきたいと思います。
 きょうはどうも御苦労さんでございました。
 中国工業試験所の所長の福田参考人にお尋ねするのですが、私どもは、この法律、臨時措置法をつくる前に、保全法というのを出しておるわけですが、そのときに考えましたことは、環境行政と研究、公害研究調査についての、つまり一元化ということを主張いたしたわけです。大体環境庁がやるべきであるということです。つまり中国工業試験所が瀬戸内海の大型模型をおつくりになるということで、まあ失礼ですが、たとえば通産大臣が、これはいけないぞ、発表するなとか、この研究は延ばしておけ、あと回しにしておけとか、そういう介入をするということになれば、これは環境行政の一元化の基礎となる研究調査の一元化に役立たないのではないか、こういうことで私どもの法律はちゃんとそういうふうにいたしたわけです。しかしよく議論をしてみますと、環境庁には技術者その他のスタッフがないわけです。それからおたくの研究所は、やはり工業技術院の系統でもありますし、専門家の一つの集団でもありますから、私も、私どもの案がいいということは確信いたしておりますけれども、当面はこれでもしかたがないだろう、私はこういうふうに思っております。
 そこで問題は、瀬戸内海の大型模型の、水利模型の運営のしかたですね。これは通産大臣の考え一存で密室の中で研究されるのではないか、テーマや評価あるいは調査の結果の発表ですね。それであってはならぬわけです。その点についての、これは臨時措置法ですから、将来の特別措置をつくる際にはどうするかということもあるわけですので、その点についてのやり方についてあるいは考え方について御答弁いただきたいと思います。
 それからたとえばこの法律ができますと、埋め立てについて、これが環境にどういう影響を及ぼすかという、埋め立てをするものは影響調査が必要なわけです。そのときに、ここでいまお話がありましたが、研究所のほうへそういうデータをくれ、こういうふうな場合等で、そういう影響調査等のデータは最も権威のあるデータがここで出るように思われますが、たとえばそういう問題についてはそういうお仕事をおやりになるのかどうか、こういうことです。
 それから岡山大学の河野先生の御意見はたくさんお聞きいたしたわけですが、こういうふうに解釈してよろしいですか、これは三年の臨時措置法であるから、三年の間にできるだけ可能なぎりぎりの措置をとりながら、そのうちに環境保全の全体的な計画をやる、私どもが環境保全法を出しておりますが、その問題の本体的なものもそういうものをつくるということを義務づけておる臨時立法、法律であるから、私どもはよかろう――よかろうということでなしに、できるだけ前向きで処理をしながらつくっていこう、大体これは社会党の案をもとにしてつくっておるわけです。途中で行ったり来たりしておったわけです。圧力がかかりまして行ったり来たりしておったのですが、やや、まあメリットがあるというふうに私どもは考えましたので、これは終始積極的にこれを進めるというふうにいたしたのですが、結論的にいえば、この臨時措置法についてはあなたの御意見は、ともかくもこれは通す、通すべきである、こういうお考えかどうか、たくさん注文を出されましたが、そのことはあとの第二段階のところで処理すべき問題がほとんどであるという見解にお立ちになるのかどうか。
 全漁連の及川孝平参考人にお尋ねしたい点は、私は最近方々を聞いたり見たりいたしまして、この法律でないところがあるのですが、埋め立て規制はかなり議論いたしたのですが、海底の土砂を採取いたしまして他の埋め立てをやるわけです。その場合に、きたないところへ持っていって拡散する場合もあります。意識的にやる場合があります。しかしたくさんの下請業者が入ってやっておりますね。それと藻場との関係、水産資源の保全、第三条との関係について規制をすべき問題があるのではないかというふうに私はこれを議論しておるうちに思いまして、これは考えるところじゃないかというふうに思っております。それは漁業の水産資源の保護という観点から、この問題についてはあなたはどういうお考えをお持ちになっているのだろうか、こういう点です。
 それから兵庫県の楢崎副知事にお尋ねいたしたいわけですが、この法律が通ったときに、第四条によりましてCOD二分の一の規制を三カ年間にやるわけです。その際にこれは各県に分配いたしまして、各県が現在の法律の上のせ条例をつくって各工場に割り当てるということになります。そういたしました際には、私も実態を見てみまして、たとえば広島県と山口県を見てみますと、同じような工場で上のせ条例をつくって、あるいは協定をつくって規制を広島県側がきびしくしている面があります。そういたしますとうんと差があるわけですね。そういうふうな場合に、私はたとえば南北問題で後進県とは言いませんが、香川とか愛媛、これはいまは逆に先進県になっておりますが、あのほうがりっぱだということになっております、自然がたくさん残っておりますから。だからそういうところはもちろん県知事さんやその他の立場があるわけですが、大体知事さんの間でうまく話がいくものですか。この法律ができてもうまくいかぬということになれば、結局審議会ということになりますが、もちろん総論賛成、各論反対ということはどこでも間々あることですけれども、この点を自主的に処理される、まあ統治能力と言うては失礼ですが、知事会議等がかなりこれは特定施設についても埋め立てについてもよほどの決意をもっておやりにならぬと私はできないのじゃないか。この点についてひとつ確信のほどをお示しいただければ私どもも勇躍して立法するということになります。
 たとえばこの廃棄物の処理のときに一般的に廃棄物をヘドロの処理と一緒に、その中にPCBとか有機水銀とかカドミとかいうふうないろいろ重金属や有害物質があるわけですね、たとえば兵庫県ではPCBの一つの言うなれば本場のようなものでありますが、それを回収いたしましてこれを処理するのに具体的にやはり私は大問題があると思うのです。そういう場合にこの問題は有機水銀でもPCBでも絶対的に出してはいけないというものですから、ここの法律にはないわけですけれども、一般にヘドロを回収する際にそれが入っておるわけです。だからそういう問題の処理で単にタンクをつくって埋め立てて、埋め立てるときに地下水通ったりよそへ出たりするというような二次公害の問題、二次汚染の問題が当然出てくるわけですが、その問題はともかくとしまして、当面PCBの問題についてどういうふうに国としてこれを処理すべきかという問題について御意見があれば参考に聞かしていただきたいと思います。
 たくさんあるのですが以上で私の質問を終わります。
#76
○福田参考人 大原先生の御質問に対しまして御答弁いたします。
 初めの環境行政の一元化という問題でございますが、確かに環境庁ができます以前はいわゆる縦割り行政というものがございまして各省庁で別々にそれぞれの考え方で進めておったのでございますが、環境問題に関しまして環境庁で一元化されましていろいろ相互の調整を行なうということで非常に意義があろうかと思います。それでたまたま環境庁ができます以前に、また環境庁をつくろうという話が出る以前から私どものこの水理模型の建設という話が通産省内で出ておりまして、それでもってまあ通産省でつくられたものと私は考えておるわけでございます。それで、それを是非を私に問われましても何とも御返答のしょうがないわけでございますが、運営の問題に関しましてはいろいろ御心配のようでございます。先ほどもちょっとお話しいたしましたが、大学の先生方それから研究所の専門家等専門の先生方による技術委員会というのを発足させまして、この先生方でもっていろいろ御討議をお願いいたしましてしかるべき、重点的にテーマを取り上げるとかあるいは研究成果の発表等に関しましても、一応、まあ行政上問題になる点がございますので、誤った発表をするということになりますとこれは非常に影響力が多うございますので、十分検討した上で公表をさしていただく、そういう立場をとろうとしておるわけでございます。まあ大臣の考えでもってやられるのではないかというふうな御心配もございますが、そこまで大臣が干渉されることはなかろうかというふうに思っております。
 第二の埋め立て影響調査の問題でございますが、もちろん行政上心要な問題に関しましては当所で実験を行なうつもりはございます。それでその結果に関しましては、先ほど申しましたように諸先生方の御討議を得た上で公表さしていただきたい、こういうふうに考えております。そういったデータは先生方からの御要望がございますればいつでもお渡しいたしたい、こういうふうに思っております。
 以上でございます。
#77
○河野参考人 たくさんの御注文を申し上げたものですから結論としてイエスかノーかはっきりしろというあれでございましたが、もちろん一番最初に申し上げましたように、画期的な環境関係の立法の第一歩ということで高く評価させていただきたい。特に議員立法という形でこれが提出されましたということはすばらしいことだと思っております。ですからノーではございません。しかしやはり三年しか期間はないわけです。ということは当然そのあとでの特別立法、社会党のいわれる特別措置法でございますね、それを前提とした立法であるということで、そのための準備を同時に始めていただかなければならない。特に瀬戸内海のような非常に複合した環境汚染が行なわれておりますところでは、総合的な科学的な調査というものを臨時措置法と同時に発足をさせてやるというぐらいの意気込みでないと、三年間はすぐたってしまうと思うのでありまして、やはり科学的な調査に基づいた本格的な特別立法というものを前提として鋭意臨時措置法を進めていただきたいというふうに申し上げたつもりであります。
#78
○及川参考人 実はこれが政府提案の法案でございますと附帯決議等をいろいろとお願いしたい点もあったのでございますけれども、私、何か議員の先生方が皆さん相談して立法されておるのでございまして、いろいろそういう法律上注文をつけるということは何か気おくれがしまして実は申し上げなかったわけでございます。
 ただ、御指摘のいわゆる砂を掘る、この問題は実は私のほうで相当に問題になっております。しかも瀬戸内海というところは浅いところで大体水深が二十メートルないし二十五メートル、深いところもありますけれども、そんな深いところから砂を掘るはずはございません。おそらく藻場もしくはそれに準ずるところからでございますから、自然保護の立場からはこれは非常に重大なことでございます。その点は私率直に申し上げてよかろうと思います。しかしそれがないからこの法案を通しちゃいかぬというまでは申しませんので、そのように御理解願いたいと思います。
#79
○楢崎参考人 第一の二分の一にする問題でございますが、冒頭ちょっと申し上げましたように、各県ともこれは積極的にやらなければならない、ねばならぬという段階でございますので、隣同士まずやはり話し合いをする、たとえば私のところと大阪のほうは同じような状態でございます。愛媛と香川だとか、いろいろそれぞれの事情はあろうと思いますけれども、これは十一府県三市長の話し合いでどうしてもやらざるを得ないという申し合わせをいたしておりますから、これは私は必ずできるものと考えております。
 それからPCBの問題でございますが、現在高砂の鐘淵工場にほとんど集めつつありますけれども、ここでいっときに焼却するということにつきましてはまだ完全な焼却方法というものが開発されておりませんので、私どもといたしましては、全国的に分散をしていただきたい、そういう管理の方法をとっていただきたい、かように考えております。
#80
○佐野委員長 木下元二君。
#81
○木下委員 まず主として河野参考人に伺います。
 今度の法案づくりで一番重要な問題になっておるのが埋め立ての問題であります。埋め立ての問題について、先ほど意見の陳述があったわけでありますが、これによりまして一体どのような被害が起こるのか、具体的な実情等についてもう少しお述べしていただければお願いいたしたいと思います。
 それからまた、このヘドロ除去のための埋め立てということが一体賢明な方法であるのかどうか、また技術的に見てこれがどうなのか、こういったことについて伺いたいと思います。
 それから、単に海水をきれいにするというだけでなくて、瀬戸内海の環境保全のためには大気汚染の規制ということが大事な問題だと思います。たとえばカドミウムの問題など見ましても、これが空気中に飛散をいたしまして、これが土地にしみ込んで、雨などによって海中に流れ込むというような問題があるやに聞いております。今度の法案に間に合わないにいたしましても、こうした問題についても抜本的な対策が必要ではないかと思いますので、この点についての御意見も承りたいと思います。
 それから、昨日まで私瀬戸内海を回ってみたのでありますが、船でずっと回ってみまして感じたことから質問をしたいのでありますが、瀬戸内海の島々の山が削られまして、もう地はだがあらわにされておる状態であります。特にひどかったのは伊江島あたりがひどかったと思うのですが、こういう状況を放置しておいてよいのかどうか。
 それからさらに、先ほどの質問にもありましたけれども、海底の砂利採取、それもたくさん船が出まして砂利採取をやっておる場面に何度も出くわしました。水産資源の保護とかあるいは環境保全のために一体こういうことを見のがしておいてよいのかどうか、こういうことを伺いたいと思います。
 それから、一方こういうことが放置されておりながら、海底にはビニールがたまったりあるいはあきかんなどによって荒されておるということを聞いておりますが、そのほうの清掃こそ必要だと思うのですけれども、それは一体どうなっておるのか。それこそ早急にやるべきことだと思いますが、そうしたことについての御意見を伺いたいと思います。
 それから福田参考人に伺いたいのですが、先ほどのお答えの中に、例として言われたのですが、私たちが新聞を読む、この新聞というのはパルプ工場から出ておるのだ、われわれ自身の問題だということを言われましたけれども、これはとりようによっては一億国民全体に公害の責任があるととれるような発言であったのであえて聞くわけでありますが、決してそういう意味で言われたんではなくて、公害問題を一人一人が真剣に考えるということと、それから現に起こっておるこの深刻な公害、その発生源である企業に対する責任をきびしく究明をしていくこととは厳密に区別をして考えるべきだと思うのですけれども、その点についてのお考えも承っておきたいと思います。
 それからなおもう一つ、先ほど陳述の中で言われました瀬戸内海の模型でありますが、これがどのように使われておるのか、またこれから積極的に汚染防止のためにどのように使われていくのかということでありますが、これは先ほどの御意見の中にもあったと思いますが、ほんとうに瀬戸内海の環境保全に役立つように使われなくてはならないと思います。ただ瀬戸内海の行政を進めていくためにこれが利用されるということではなくて、真に環壊保全をはかっていくために使われるべきだと思いますが、この点について所長としての御決意を承りたいと思います。
 それから最後に楢崎参考人に承りますが、昨日兵庫県に来たのでありますが、巡視艇で高松から飾磨港に入ったのです。飾磨港に入るとき、距離の正確なことはわかりませんけれども、沿岸から一キロか二キロ近づいたところで海の色がさっと変わっているのですね。青い海が急に茶褐色に変わっております。それも一線を画するように変わっているのです。これはひどいなと思ったのですけれども、しかも今度は港内に入ってみますと、ほとんど赤潮に近い状態でありました。前日伊予三島の紙パルプの工場を見たのですけれども、そのパルプ工場の排水口の排水の状態と同じような状態が、この飾磨港の港内の状態であります。あるいはもっとひどかったかもわかりません。飾磨、姫路の住民の人たちから、排水基準をもっときびしくするようにという要求がされておると私は思いますが、瀬戸内海の環境づくりの法律をつくることも大事でありますが、何よりも大事なことは、こういう要求を踏まえて、この環境保全について抜本的な施策を行政当局がとっていくことだと思うのですけれども、企業寄りといわれるような批判がいささかもないように、強くこの点は要請をする次第であります。もしお答えがございましたらお願いいたしたいと思います。
#82
○河野参考人 お答えいたします。
 まず埋め立ての被害の実情について御報告するようにということでございます。先ほども若干申し上げましたが、瀬戸内海沿岸は、昭和三十年代に入りまして大規模埋め立てが次々と行なわれました。その結果といたしまして、ちょっとさっきも申しましたように、たとえば浮き魚資源であるイワシなどを見ておりましても、卵を持っているという状態の親魚がいるのに、普通でしたら夏になりますと例のシラスがわいてくる。シラスというのはあの小さい魚でございますが、シラスが群をなしてわいてくるのでありますが、それが見られないという状況、これがたとえば鞆の沖でも漁民がそういう話をしておりましたし、あるいは広島湾の出口のあたりでも同じことを言っておりました。つまり埋め立てがあまりにも急速に進行したために、産卵場を奪われて、水産資源の拡大再生産というだけではなくて、水産資源の再生産すら不可能になってきているという状況が見られるのだということが言えると思います。
 さらに燧灘沿岸ではヘドロによって、これは埋め立てじゃなくてヘドロによる堆積でございますが、ヘドロによる堆積のために海底付近の海水が溶存酸素、溶けております酸素を奪われまして無酸素状態になっている。そのために底魚が死滅したりあるいはヒレが溶けている状態が出てきたり、あるいは呉の広湾あたりでは大量の貝が海の底から逃げ出しまして、岸のほうに逃げてきて、そこでぱっくり口をあいて、みんな万歳――万歳してしまったというとあれですが、死んでしまっていた。たくさん貝がいるというので喜んで拾って帰った人たちがおつゆにしてみたら緑色になったのでびっくりしたとか、うっかりして食べたために翌日下痢をしたとかいったような人体に対する被害が出てきているという状態でありまして、こういったヘドロの堆積によるところの被害というのは、単に動植物だけではなくて、人間のからだにまで及んでいるということがいえるわけであります。これは大気汚染でも水質汚濁の場合でもいえることでありますけれども、そこに生息しております植物ないし微細な動物に影響が出ているということは、必ず私どものからだにも大きな被害をもたらしているわけでありまして、人間の健康を守る一つのバロメーターという意味を持っておりますので、十分に注意をしなければならないというふうに考えております。
 こういった有毒なヘドロを除去するためには、埋め立てか、どこかよそへ持っていって捨てる以外に方法がいまのところないというふうに午前中にも専門家の方からお話がありました。私は専門は土木工学でもございませんので、十分な見解を申し述べる自信はありませんが、ただ先ほど林先生のほうにもお答え申し上げましたように、ヘドロを埋め立てます場合、障壁をしっかりしておきませんことには水によってあるいは雨水によって流出する危険性というものは多分にありますので、やはりそういうものの流出をいかにして防ぐかという、施設につきまして十分な注意が必要であるということがいえると思います。
 それから大気汚染の問題でありますが、先ほど宮島の松が枯れたということを申し上げましたが、現在瀬戸内海の沿岸で松が枯れている。あるいは松の樹勢が弱りまして、マツクイムシにやられているという地域が非常に広く広がっております。戦争後一時マツクイムシにやられた時代がありますが、これは戦時中に松根油で根を掘りまして、松の樹勢が弱っていたからでありますが、現在の松の樹勢が弱っているのはそういった物理的なものではなくて、やはり化学的な大気汚染によりましてやられていると思わなければならないわけで、その被害地域というものは新居浜の周辺、水島の周辺それから岡山県の玉野市の周辺というふうに出ております。いずれも亜硫酸ガスを排出している工場のまわりであります。そういうところから見ましても、大気汚染によって植物に非常に大きな被害が出ているということはわかっております。また水島では梅の実がなりません。これは一年目には、農民が県に持っていきましたところが、ことしはなり年ではないんだろうという返事であったのでありますが、二年目にはさすがにもうなり年ではないんだろうという逃げことばは使えなかったという、いわば笑い話でありますけれども、連年梅の実がならない。よく調べてみると、めしべが枯れてしまっているという状態であります。こういうふうな植物を痛めておりますところの大気汚染というものが水島におきましても四日市と同じようなぜんそく患者を生み、さらにそれが、高煙突によって逆転層より上に突き抜けたらいいだろうというので高煙突をつくったために、かえって拡散する結果を生みまして、現在では水島の周辺ではなくて宇野線の沿線、岡山市内でございますが、そこまで被害が拡大していっております。
 そういった大気汚染の中に、先ほど御指摘がありましたようなカドミウムも含まれるわけであります。群馬県の安中工場の場合にも、あの周辺の農地にかなり煙突から出されたカドミウムが降下いたしまして、それによって土壌が汚染をされているということは、岡山大学の小林純教授も報告をいたしておりますが、それと同じ状態はたとえば広島県の竹原、契島にありますところの製錬工場の場合にも見られるわけであります。現在あの地域では海中のカキがカドミウムによって汚染をされているということで、たいへんな問題になっております。カドミウムは普通の水には溶けないけれども、海水には溶けやすいといったような調査結果が、広島県の側の研究機関で出されたということも聞いております。ですから、単に海水汚染だけに目を縛られることなく、大気汚染を防ぐということもあわせて行なわないと、瀬戸内海の汚染を防ぐということにはならないというつもりで申し上げたわけであります。
 これはPCBについても同じことであります。現在PCBのうちで海に流れ出ている分量はまだわずかでありまして、これからますます増加するというふうに言われているわけであります。この点についても、大気汚染を厳重に防ぐことがPCBのあとにあらわれてくる公害物質についての対策としても必要であると思います。
 それから島の山の地はだがこわされているという問題、これは瀬戸内海の場合に石切り場が多いものでありますから、その石切り場の山はだが荒れているという問題もありますが、最近特に採石によるところの山の斜面の露出、森林資源の破壊が進んでおります。先ほど来お話が出ております兵庫県の家島の場合には、こういった捨て石が島のまわりにこぼれて海底にたまりまして、それをとるための船が海底をかき回わして水産資源を保護したいという漁民の要求と矛盾するために、漁民との間に争いを生じているといった事例も生まれているわけであります。採石場につきましてもある程度の規制が必要であろうと思います。
 それから海底の砂利につきましては、先ほど来もうすでにお話がございますが、この砂の採取が瀬戸内海で始まりましたのは昭和三十八年か九年であったと思います。小豆島の北方にダンゴノ瀬という瀬がございます。これに大阪の業者が目をつけまして、実は全然許可も得ないで、無許可で盗掘をやったという事件に始まります。最近では岡山県の児島半島の南端部のあたりでかなり激しい砂の採取が行なわれております。その中には岡山県西端の神ノ島の大干拓、笠岡湾の大干拓でありますが、その大干拓の堤防をつくるための砂の採取という問題もあって、これが一時新聞紙上でも取り上げられて問題にされたことがあります。本来水産資源を保護する立場にありますところの農林省がやっておりますところの干拓事業で、海底の砂を使うというのはあまり感心したことではないと思うのでありますが、ともかくそういった形で土木工事に海の砂を使うことによって水産資源の増殖の場、産卵の場である部分が地形を変えられてその機能を失なうという状況が各地で出ている、非常に遺憾なことであります。
 それから最後のビニールの問題でありますが、ビニールとあきカンが非常にたくさん海の底に沈でんしておりますし、それからまたプラスチック製品、たとえば洗剤のあきびんだとかそのほかいろいろなプラスチック製品の容器でありますが、これが海面をただよって、白砂青松の海水浴場にただよい着きまして、まるでプラスチック製品の墓場のような観を呈しております。たとえば淡路島の南岸あるいは岡山県の日生付近の砂浜、至るところでこういう状況を見ることができるわけであります。と同時に、漁民に聞きますと、大阪湾あたりでもかなり湾の中央部にあきかんが堆積して山のようになっているというようなこともいっております。それで、またビニールを兵庫県あたりでは現在引き上げを奨励していられまして、ところが漁民のほうはあれはあまり愉快なことではないというふうにいっている。なぜかと聞きますと非常にくさいというのですね。どろがまじって非常にくさい。どろがまじって非常にくさいということは、要するに、ビニールシートが海底に幕のように張りつきまして、海底のどろの中にあります有機物の正常な分解を妨げているわけでありまして、そこから硫化水素が出てきているという証拠であります。これがやはり海底の生物相に非常に悪い影響を与えているということは容易に考えられることでありまして、やはりビニールを徹底的に掃除する必要があると思います。最近になってようやく、瀬戸内海沿岸の各県では各漁協に依頼して漁民を動員しての大掃除をやっておりますけれども、やはり年に一回ぐらいではこれは意味がないんじゃないかと思うのでありまして、もっと徹底的に掃除をしていただくという必要があるように考えます。
 以上です。
#83
○福田参考人 先ほど私の答弁の問題でございますが、発生源の問題に関しましては、これはやはり当然取り締まるべき問題が多々あろうかと思います。これは私が申し述べるまでもなく当然でございまして、特に最近起こっております水銀問題PCBの問題、こういった有害物質のたれ流しというふうなことに関しましては、今後はやはりあってはならない問題ではないかと思います。したがって行政当局で十分こういう点は取り締まりをしていただきたいと思っております。これは、私自身は行政官ではございませんで、研究者でございますので、一人の人間としてそういうお願いをしたいと思うわけでございます。
 それからパルプの問題をちょっと出しましたのは、これは一例でございまして、パルプ工場からの排水というのはCOD、いわゆる汚染指標の非常に大きなものでございますが、CODの影響の一番大きなものだというふうにされております。ですからCODを今回三年間に二分の一に減らそうというわけでございまして、これを減らそうと思いますと、やはりパルプ工場の排水を相当きつく規制をしていくということが必要になってこようかと思います。そのためにはもちろん工場内のいろいろな公害防止施設の改善、製造法の改善、いろいろなことをやっていかなければならないと思いますが、同時に、製造量を少し減らすということによってもCODの排出量を減らすことも可能なわけでございます。こういう点から考えますと、紙の製造を少し減らす、もちろんこうなりますと紙は高くなるかもしれませんが、しかしそういう点をわれわれがやはり節約をしていくというふうな精神を持って、これは一例でございますが、プラスチックにいたしましてもできるだけ節約をして何もかも使う、こういう考えを徹底さしていきますと、すべての製品をもう少し製造量を減らせる、減らすことができる。そういたしますと、排出量も減らしやすくなる、こういう立場でちょっとお話しをしただけでございます。
 それから第二の、模型がどのように使われておるかという問題でありますが、現在はまだ基礎実験中でございまして、応用研究にまで至っておりませんので、当所の職員だけの手でもって実験を行なっておりますが、一応基礎実験が終わりました段階で、いろいろな要求に応じた研究をしたいというふうに考えております。もちろんその要望と申しますのは環境保全についての問題でございまして、私どもは、現在環境庁で一括計上していただいております公害防止関係の特別研究の一つといたしまして瀬戸内海環境保全に関する研究という特別研究のテーマを掲げておりまして、そのテーマの中で研究をやりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 以上でございます。
#84
○楢崎参考人 昨日の飾磨港外の汚染の問題でございますが、これは私現地へ行っておりませんのでわかりませんが、最近大々的な赤潮はございませんけれども、部分的な赤潮というものはございます。昨日のがその赤潮であったかどうか、これはちょっとつまびらかではございませんけれども、いずれにいたしましても飾磨港なり明石港、この付近では海流が非常にきついわけでございまして、港湾から付近の、ある距離を離れたところからは海流が非常にきついということから、汚染の拡散が非常にされにくいというのは事実でございます。昨年環境庁が拡散の調査をしていただきまして、この結果がまだ出ておりませんけれども、そういう汚染拡散がどうなるかという問題もこれによって解明されるのではないかという気がいたします。これによりましてどういう方途をしたらいいか。しかしながら基本的にはやはり汚染源というものを押えるということが当然でございます。私どもの環境基準というものは、上のせ基準というものは非常にきびしいものを持っております。他府県よりもきびしいと思いますし、先ほど申し上げましたように各河川ごとにそういう問題につきましての地元の住民を踏まえました河川の浄化というものに取り組んでおりますので、この法案が出ましたら、また当然これによります上のせというものもいたしたいと思いますが、昨日の原因が何であったかということはちょっとわかりませんが、いずれにいたしましてもそういう問題につきましては積極的にこれをなくすような方向でいきたいと考えております。
#85
○木下委員 きびしいのに海があんなによごれているというのはどうも納得できないんですが、時間がありませんので……。
#86
○佐野委員長 坂口力君。
#87
○坂口委員 どうもおそくまでありがとうございます。
 福田参考人からまずお聞きをしたいと思うわけでございますが、二千分の一という模型でいろいろの研究をいまからなさろうとしておるのでありまして、今後非常に期待をさせていただくわけでございますけれども、私どもしろうと考えで聞かせていただくと、汚染物質の拡散等につきましては、これは模型である程度わかるのではないかということがしろうとなりに理解もできるわけでございますが、先ほど先生がおっしゃった時間的な短縮ですね、たとえば十年間分を二十三日とおっしゃったんですか、短い期間で時間的な短縮の状態も見ることができる、こういうふうにおっしゃったようにお聞きしたわけでございますが、もしそういうことができ得れば、これはかなり研究的な成果が期待できるのではないかというふうに一応思ったわけでございますが、その辺のところをもう少し聞かせていただきたいということを思いますのと、それから非常に瀬戸内海は水がかわりにくい状態になっておることはもう皆さん方が御指摘になっておるとおりでございますが、たとえば埋め立て等をするとさらに出入りが悪くなる。その実験で、逆に水をより多く入るような方向への、たとえば荒っぽい言い方をすると小さな島一つ削るくらいなことをしたら入りやすくなるとか、その入りやすくなるような方向への研究計画というものがあるのかどうかということをひとつお聞きをしたいと思います。
 それから河野参考人には、もうすでに先生方からかなりたくさんの御質問が出まして、私お聞きしたいと思っていることがほとんど重なったりもいたしておりますが、先ほどのお話で、昭和二十六、七年ごろの水質に戻すべきではないかというお話がございました。そのためには海だけをきれいにしようとしてもだめで、やはり河川をきれいにしなければならないというお話がございました。たいへんごもっともなお話だというふうに承ったわけでございますが、そういたしますと、内陸部の工場についてもかなりきびしい規制をしていかなければならないと思いますし、人口の増加ということも、これも工場の問題とひとつ別ワクではございますけれども、今後考えていかなければならない問題の一つに入るのではないかと思いますが、その辺のところどういうふうにお考えになっているか、ひとつお聞きをしたいと思います。
 それから及川参考人に対しましては、国の責任で捨てる場所をひとつさがせというお話がございました。けさからも、どういうふうな形で捨てたらいいのか、あるいはどこに捨てたらいいのかということがかなり議論になっているわけでございますが、名案というものが出てこないというのが現状までの議論ではなかったかと思います。及川参考人御自身はどういうふうな形で捨てるのが、国なら国の責任でどういう形で捨てるのが、一〇〇%とはいかなくてもまず現在考え得る中では一番漁業等に対してもいい方法であるとお考えなのか、その点もしもお考えがございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
 それから楢崎副知事さんに対しましては、先ほどのお話で、いろいろ条件はあるけれども一部埋め立てもやむを得ないという御発言がございました。軽率にやるという意味ではもちろんないと思いますが、及川参考人もおっしゃったように漁業に対しまして非常に大きな影響を与えることでもございますので、これはやはりやられるとすればそういうかなり突っ込んだデータをもとにしておやりいただかないといけないと思うわけでございますが、あえてもう一度、埋め立てをおやりになるときのこれこれの条件だけは踏まえてやるという、もう少し突っ込んだ御意見を承れたらお聞きしたいと思うわけでございます。
 以上でございます。
#88
○福田参考人 時間縮尺の問題でございますが、これは一応私ども水理模型を建設する前に、通産省で行なわれました研究会でもっていろいろ議論が行なわれております。それからさらに外国の文献等にもこういった模型の相似論というのがございまして、基本的には、模型をつくると申しましても地形の模型をつくるのじゃございませんで、中へ水を入れたときの模型でございまして、ですからその中で実際に水が動いているという段階でほんとうの模型なんです。ですから水のない状態では、模型ではありますけれどもこれはわれわれの目的の模型ではないということでございます。
 それで、そういう模型というのはやはり水の力学的な点からいろいろと考えていかなければならない。いろいろな考えがございますが、そのうちの一つの考え方に立ちますと、水平縮尺をどれぐらいにしますと垂直、深さの方向ですね、その縮尺はどれぐらいになるかというのは数式で出てまいります。それから時間の縮尺はどれぐらいになるか、こういうものも出てまいります。それから同時に、流速でございますね、水の流れる速さ、こういうものの縮尺がどれぐらいになるか。いろいろな条件の縮尺の比率というものが計算で割り出せます。そういうものをもとにいたしまして模型の建設にかかったわけでございます。その理屈によりますと、一応二千分の一という水平縮尺にいたしますと時間の縮尺は百五十九・幾らになります。約百六十分の一というふうな時間縮尺になるのでございます。それで、それを勘定いたしますと一日が約九・四、五分というふうなことになりまして、一年間が約五十五時間、こういうふうな勘定になってくるわけでございます。
 それで、そういう時間の縮尺というのはそういういろいろな条件がございますが、その中でそういう時間縮尺をとると、つまりそういう時間によりまして、潮汐が一日に大体二回満潮、干潮がございます。一回が十二時間と何十分かあります。ですから、二十四時間と何十分というのが二回の潮汐になります。これは半日周と申しまして、月の出方に関係するわけでございます。こういうのが一番大きな潮汐になるわけでございまして、それの時間の間隔がそういうことになる。こういうことで、水の動かし方をそういう時間間隔によって動かしておるわけでございます。そういたしますと、約五十五時間同じ実験をやっておりますと一年分の実験ができる、こういうふうなことでございます。
 それから第二点の埋め立ての問題、それから水を多く入れるような方向への研究計画ということでございますが、現在の情勢ではもちろん工業立地のための埋め立てということは非常に困難な情勢だろうと思います。それで、先ほどもちょっと申し上げましたが、ヘドロ処理というふうな問題そのほかの公害処理といった立場での利用計画についての埋め立てというものは、やはり瀬戸内海をきれいにするという目的の埋め立てというのは当然やらなければならない問題じゃないかと私どもは思っているわけです。そのためにまた被害が出れば困りますので、先ほどほかの参考人からの御意見もございましたが、そういう点はいろいろ注意をしなければならないし、また水理模型での実験も必要ではないかと考えております。
 それから水をたくさん入れる、これは先ほど林先生のほうに対する御返事に申し上げましたとおり、幾つかの大規模な計画がございまして、島を取るという計画は私ちょっと考えておりませんでしたが、一つの島を取りましても水の量がふえるというのはごくわずかでございまして、ですから、そういう考えよりは、むしろやはり外洋水を導入するという考えのほうが水をたくさん入れるという方向ではいいんじゃないかと思っております。
#89
○河野参考人 まず昭和二十六、七年ごろの水質に戻せということにつきましてでありますが、なぜこういうことを申し上げたかと申しますと、実は、まず都市の屎尿の問題でございますが、いままで農村で肥料として使っておりました都市の屎尿というものが農村での化学肥料の導入によりましてほとんど引き取ってもらえなくなりまして、やむを得ず海中投棄を始める時期というのが大体二十八年ごろからであります。
 それから、ちょうどそのころ私実は瀬戸内海の各漁村を回っておりまして漁業組合長から聞かされましたのが、まず藻がなくなってきたということであります。藻場の消失にはいろいろな原因があると思いますので、一つの原因だけで言うことばできないと思います。埋め立てに伴って、それから出てまいりますところの微粒のどろですね、それが表面に被膜をつくることによって藻場が消失をしていったというケースがあとになると出てまいりますけれども、最初の段階として出てまいりましたのは、昭和二十八、九年ごろからだったと思います。それからまた、これは岡山県の吉井川という川の川口にちょうどかんてん状の非常に粘っこい物質が海の底にたまって、それが網にひっつきますものですから網の目が詰まって非常に重く、引きにくくなったという話もそのころから出てきております。どうもこれはまだはっきりした原因がわかっておりませんけれども、パルプ工場がある付近でそういったかんてん状の物質の存在というのがかなりあるように思われます。たとえば徳島県で申しますと、那賀川の川口の少し南のあたりで出てまいります。それからまた広島県と山口県との県境のあたりでも同じような現象があったと聞いております。こういったような海底に汚濁物質が沈でんをする、あるいは藻場が消失をする、さらに海水中への窒素分の供給源のうちで工場排水が六割、それから屎尿が約三割というふうに言われておりますが、その三割の屎尿の投棄が始まった時点より前の状態に戻していただきたいということであります。
 それから次に川をきれいにしてほしいということを申し上げたわけです。それに伴って、内陸工業地帯とともに都市の問題、特に人口増の問題を御質問いただきましたが、最近、住宅団地がどこにでもできております。かなり大規模な住宅団地ができております。岡山県でも同じようにやや内陸部に大規模な住宅団地を設立するという計画が、地方自治体によりましてもまた民間企業によりましても行なわれております。地方自治体のほうは、かなりその場合の下水の問題、特に屎尿浄化槽などの排水処理の問題については真剣に考えているわけですけれども、民間企業の場合、たとえばこういった排水処理について必ずしも十分でないわけでありまして、これはちょっと汚染とは関係ありませんが、樹木を切ってしまって丘陵部を宅地に変え、そして道路は全部舗装してしまうということになりますと、雨が降りました場合の流出率が非常にふえてまいります。洪水の危険性が出てくるわけです。と同時に、その洪水を防ぐために本来なら残しておかなければならないはずのため池をつぶしてしまうといったようなこともやるわけでありまして、ますます危険が増してまいりますが、それと同時に、こういった浄化槽からあふれ出ます水が付近の用水に入って、用水を通って河川に流入をしていくという状態になっている場合がほとんどであります。岡山県東部のある住宅団地の場合には、それが支流からずっと大きな本流のほうに出てまいります。その排出口のすぐ下にあるビール会社の水をとる地点、取水点がございまして、これじゃたいへん困るじゃないかということで、その位置を変えるように要求したことがあるのでありますが、そういった住宅団地の造成などによる人口増ということが、やはり窒素分の増加、それによる河川の水の汚染といったような問題を生む場合があるわけでありまして、やはり御指摘のとおり、内陸部の都市の下水をいかに浄化するかということも十分に注意しなくちゃいけないわけで、そこから流域下水道といった考え方も出てくるわけであります。ただ、流域下水道につきましては、下水にすべての水をとってしまうということになりますと、実は河川水がかなり減ってくることになるはずなのでありまして、やはり内陸部の都市で一たん使用されました水をもう一度浄化して、そしてさらに利用をするといったような形での水の浄化技術というものを、今後さらに効率を高めていくという必要があるように考えておりますが、これは今後の課題として皆さま方に特に御配慮いただきたい点であります。
 以上でございます。
#90
○及川参考人 大体海に物を捨てるということは原則的に、現在の海洋汚染防止法その他においてもこれはタブーなことになっておりますけれども、御承知のとおり、やむを得ざる場合に限りまして、一般廃棄物は五十マイル先とか、あるいはもっと有毒なるものについては海区を指定してやっておるのが現状でございます。私たちは、捨てられる場所があるかないかという問題につきまして、ややもすると、そこに経済観念が出てくるわけです。だれも国有地なんかあるわけではありませんし、そうすると土地を確保するためには金が一ぱいかかる、だから場所がないのだという議論は、これは私は今日の世界状態では許されないと思います。それで必らず陸地の内部にもそういう経済的な、土地が高くてそれだけのものを施設するのには金がかかるからということは、これは議論にならないのではないかというふうに考えております。
 そこで、それでもなおかつ日本の国は狭うございますから、陸地面積も小さいし、どうにもならぬという場合には、私は海の埋め立てもやむを得ない、海を埋め立てるということもその場合にはやむを得ないという判断を持っております。ただし、埋め立てが先生方が言われるとおり各種のいわゆる公害のもととなっております。もちろん、その埋め立てた上にまたいろいろな大きな産業の設備をつくったら、これはいかぬことはわかっておりますけれども、埋め立てそのものからくる海の条件の変化ということは先生方がるる申しております。
 私は、最小限度、かりにどうしても捨てる場所がなくて、いわゆる産業廃棄物を捨てなければならぬという場合に、なぎさをつくってほしいということです。いわゆる打ち寄せて、こうやっておるなぎさです。これが実は海洋の自然浄化力でございます。これがなくなって、ずっと埋め立ててしまうから、どぶになっちゃうのです。浄化されない。この自然の浄化力を破壊しないように人工的にでもなぎさをつくって、そして公害防止のために、どうしてもやむを得ない廃棄物を捨てるならば、これは埋め立てもやむを得ない。ただし、埋め立てそのものが害を及ぼすようなことでは困る。これはやはり適当ななぎさをつくって、自然浄化力を保持するということをあわせてやっていかなければならぬ問題と考えております。しかし、原則としては海洋に――やむを得ずいま五十マイル先なんかに捨てておりますけれども、私はいろいろなものを海に捨てるということは、おそらく国際的にも将来問題になると思います。
 しかし、それよりももう一つの問題は、使い捨てのいまの日本の産業構造からくる、あるいはまた日本の消費構造でございますけれども、もう少しこの産業廃棄物の再生を考えて、ほんとうに廃棄物というものを少なくするという一つの努力をすることが基本でなかろうか、こういうふうに考えております。
#91
○楢崎参考人 埋め立ての問題についてお答え申し上げたいと思います。
 基本的には、私は環境のアセスメントといいますか、やはり事前によくいろいろと調査をして地元の方とのコンセンサスを得るということがあると思います。
 しかしながら、私が先ほど申し上げましたように事情がいろいろございます。ある市におきましては、工場の分散といいましてもやはり工場は出してほしくない。いわゆる新しい用途地域に従って工場を集めたい。しかも中小企業でございますと、これをすぐに工場をこわして持っていくというわけにいかない。やはりどこかにつくって、それも工場の地帯につくって、そして新しい機械を入れて公害のないような工場にしてそして移転したいというようなことがございます。よその都市に持っていくことを欲しないというところもございます。そういうところにつきましては、やはりそういう工場地帯の埋め立てということがあり得ると思います。
 それからまた、御存じと思いますが、阪神間ではもう土地が二十万、三十万といたします。高等学校の設置一つやるにいたしましても、これはもう用地の確保ができません。一万坪、二万坪という用地を買うのは、用地費だけでもたいへんでございます。そういうような地域につきましては学校用地を確保するということもございます。いずれにいたしましても、新しい埋め立てというのは都市の再開発ということにやはり必要だ。いままでのような、ただ埋め立てをして工場を持ってくるのだという感覚はもう間違っておる。しかしながら、必要なもの、どうしてもそういうものでなければしかたがないということがあると思います。
 また一つの例を申し上げますと、兵庫県は皮革の産業が全国の六〇%以上占めておりますが、これのヘドロが海岸にたまっておりまして漁業ができないというところがございます。そういうところはむしろ埋め立てをしまして、上にそういう新しい都市づくりをするという考え方もあるのではないかという気がいたします。
 いずれにいたしましても、事前の評価というものが私は一番大事だ、ただし、できる限り環境を悪くしないようなことは当然でございますが、そういう評価のもとに埋め立ては一部やらざるを得ないところが出るのではないかということでございます。
#92
○坂口委員 ありがとうございました。
#93
○佐野委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人各位には、御多用中のところ長時間にわたり貴重な御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。
 次回は、明十二日水曜日、午後一時理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後四時三十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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