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1972/03/29 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 石炭対策特別委員会 第5号
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1972/03/29 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 石炭対策特別委員会 第5号

#1
第071回国会 石炭対策特別委員会 第5号
昭和四十八年三月二十九日(木曜日)
    午前十時二十二分開議
 出席委員
   委員長 田代 文久君
   理事 金子 岩三君 理事 田中 六助君
   理事 山崎平八郎君 理事 山下 徳夫君
   理事 多賀谷真稔君 理事 渡辺 惣蔵君
   理事 多田 光雄君
      愛野興一郎君    荒木萬壽夫君
      戸井田三郎君    渡辺 紘三君
      岡田 春夫君    塚田 庄平君
      瀬野栄次郎君    松尾 信人君
      稲富 稜人君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  中曽根康弘君
 出席政府委員
        通商産業政務次
        官       塩川正十郎君
        通商産業省公害
        保安局長    青木 慎三君
        通商産業省鉱山
        石炭局長    外山  弘君
        通商産業省鉱山
        石炭局石炭部長 佐伯 博蔵君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 桑原 敬一君
 委員外の出席者
        通商産業省公害
        保安局石炭課長 原木 雄介君
    ―――――――――――――
三月十六日
 炭鉱離職者緊急就労対策事業の存続等に関する
 請願(吉田法晴君紹介)(第一二〇六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する
 法律案(内閣提出第六三号)
 石炭対策に関する件(三井鉱山株式会社三井砂
 川炭鉱の災害等に関する問題)
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○田代委員長 これより会議を開きます。
 石炭対策に関する件について調査を進めます。
 この際、三井鉱山株式会社三井砂川炭鉱の災害の実情調査を行ないましたので、派遣委員から報告を聴取いたします。山崎平八郎君。
#3
○山崎(平)委員 去る三月十六日及び十七日にわたって行なわれました三井砂川炭鉱災害現地調査の概要を御報告申し上げます。
 日程は、三月十六日十七時四十分羽田発にて空路札幌に向かい、同夜は札幌市内に一泊、翌十七日早朝より現地砂川鉱業所におもむき、札幌通商産業局、札幌鉱山保安監督局より説明を聴取した後、会社側、労働組合、職員組合及び地元上砂川町当局よりそれぞれ説明並びに、要望等を承ってまいりました。
 参加委員は、田代委員長はじめ塚田庄平君、松尾信人君、稲富稜人君と私の五名でありまして、そのほか多田光雄君、三枝三郎君が現地参加されました。
 次に、災害の概要について報告申し上げます。
 災害の発生は、三月九日午前十一時五十分ごろろ、砂川炭鉱登川坑において大規模な落盤が起こり、当時当該区域で作業していた二十二名のうち、十六名は脱出したものの、残り六名が崩落した坑道の中に閉じ込められたのであります。
 その後、直ちにこれら行方不明者の救出に当たったのでありますが、崩落の規模が予想外に大きく、さらに山鳴りが続き、救出作業は難航し、十一日に至り二遺体を収容、翌十二日、災害発生約七十七時間後の十六時四十分、奇跡的に一名の救出がされましたが、残る三名は遺体として収容されたのであります。
 ここに、とうとい犠牲となられました五名の方々の御冥福を衷心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族さま方の御悲嘆に心からお悔やみを申し上げる次第であります。
 なお、原因につきましては、二十日、政府より東大教授伊木正二氏を団長とする技術調査団を急遽現地に派遣する等により、鋭意原因の究明について調査を行なっているのでありますが、結論を得るに至っておりません。しかし、急激に地圧がかかり、瞬時に坑道が崩落したものと見られております。
 次に、現地における要望事項等について申し上げます。
 会社側は、原因を究明し、当該地区の安全性を確認した上、早期に生産が再開できることを望んでおりました。
 また、労働組合は、一般的な問題として、一、各炭鉱の保安確保体制の確立、二、保安面のみでも国家管理とするよう検討されたい、三、監督指導体制を徹底的に強化されたい、四、保安委員、補佐員の権限を強化されたい、五、保安教育の徹底を期すとともに、各炭鉱の骨格構造を改善されたい、六、保安確保のための補助金を大幅に増額されたい、七、炭鉱災害が発生した場合、炭鉱再建救済のための立法を検討されたい、以上のほか、砂川炭鉱の問題としては、一、災害原因の徹底的究明と保安対策の早期確立、二、今次災害を理由とする縮小合理化は行なわないこと、等の要望がなされ、職員組合からは、特に遺家族対策につき万全を期せられたいとの要望がありました。
 なお、地元上砂川町からは、砂川炭鉱が縮小撤退しないよう、国の強力な援助を希望する旨の陳情がありました。
 われわれが現地に参りまして感じましたことは、第一に、炭鉱における災害の発生はある程度避けられないものであるという沈滞したムードがあるのではないかという点、第二に、特に当砂川炭鉱が、他の炭鉱に比べ坑内骨格構造の改善も進んでおり、採炭方式も近代的な水力採炭方式を採用する等、保安には十分留意し、優良炭鉱とされているにもかかわらず、今回のごとき災害発生を見るに至ったことについても、関係者は一様に戸惑いを感じているのではないかということが推察された次第であります。
 炭鉱災害の悲惨な実態に思いをいたし、人命尊重の見地からも、今後原因の究明を早急に行なうとともに、国においては、さらにきめのこまかい保安体制の確立に全力を傾注し、保安意識の向上につとめ、炭鉱から災害を払拭するよう、特段の努力を払うべきであると考えます。
 また、現在第五次答申の線に沿って石炭対策を進めつつあるとき、このような災害が、業界、関係当局に対しその前途に暗い影を投じないよう一段の配慮をするよう、政府当局に対し強く要望するものであります。
 なお、遺家族対策につきましては、われわれが現地に参上した十六日、労使双方の話し合いの結果、会社よりの弔慰金は六百万円ときまり、遺家族の今後については労使において万全を期すよう検討を進めることに決定を見ております。
 なお、砂川炭鉱の稼行状況、災害発生の詳細等につきましては、別途文書をもって委員長に提出することにいたしておりますのでよろしくお取り計らいをお願いいたします。
 以上で御報告を終わります。
#4
○田代委員長 これにて派遣委員の報告は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○田代委員長 なお、ただいま御報告がございました派遣委員から、内容の詳細についてその調査報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○田代委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#7
○田代委員長 次に、三井砂川炭鉱の災害、石炭鉱山の保安問題等について質疑の通告がありますので、順次これを許します。塚田庄平君。
#8
○塚田委員 今度の災害で、私も現地へ派遣されまして、つぶさに現地事情を調査してまいったのでございます。
 この際、大臣にお伺いしたいのですが、大臣は、この委員会が最初に開かれたときに所信の表明をされました。その所信の表明の堅頭は、保安行政面において今後一そうの努力を払って災害の絶滅を期すという意味の所信表明。それからあわせて、きょうは労働大臣来ておりませんが、通産省と一体となって、この件についてはこれまた万全を期すという意味合いの所信表明をした。すぐ直後にこういう事故が発生したわけですが、この際、あらためて大臣として今度の災害についてのこれからの対策等も含めた所信の披瀝をお願いいたしたいと思います。
#9
○中曽根国務大臣 先ほどは渉外関係のために遅参いたしまして、御迷惑をおかけいたしました。以後注意をいたします。
 先般、石狩鉱の事件がありまして、ああいうような災害、悲惨な事故を再び起こしてはいけない、そういう強い気持ちから、監督官を集めまして、保安についてはさらに厳重に監督して再びああいう事故を起こさないように指示したところでございますが、また、今回このような事件が起きまして、まことに残念に思い、かつ申しわけない次第であります。
 「保安なくして生産なし」というのが私たちの指導方針でございます。人間の命を大切にするということは一切に優先する、そういう考えを持ちまして、今後とも、再びああいう事故を繰り返さないように、現地の者を引き締め、政策を推進してまいりたいと思います。
#10
○塚田委員 「保安なくして生産なし」と、こういうことばですが、私どもは、こういう災害があると、必ず合同慰霊祭をやる。二度と再びこういう事態は繰り返しません、率直に言いますと、耳にたこのできるほど聞かされていることばですが、いまの大臣のいろいろな所信表明を聞いておりましても、どうも従来の災害に対する態度から一歩も出てない。
 そこで私は、今回のこれを契機にして、ひとつ「保安なくして生産なし」これを一体具体的にどうあらわしていくかということ等について、以下二、三大臣の所信を承りたいと思います。「保安なくして生産なし」。しかし、現実の山の状態というのは、いまのエネルギー構造の中で、私ども残念ながら率直に言って、非常に無理な採炭、場合によっては、保安を無視しても生産第一ということでいく、あるいは経営者にとってはまたいかざるを得ない、そして残念ながら、これまた労務者にとっても、いまのこういう情勢の中で非常に無理をした仕事をやらざるを得ない状態に追い込まれておるという事態は、これは見のがせないわけです。たとえば、今度の砂川でも、先ほどの報告にありましたとおり、これは道内でも優良炭鉱として何度も表彰を受けておるところなんですよ。そういうところにこういうほんとうに初歩的な――ここは水力採炭ですから炭車事故はないわけです、炭車がないから。そうすると、落盤というのは炭鉱の事故の中で最も初歩的な事故なんですよ。そういう初歩的な事故が優良炭鉱において起きるということは、やはり石炭全体の構造の中で非常に追い込まれている事態があると思うのです。やはり基本的にそこのところを行政指導としてきちっとしなければ、こういう災害はやまないのじゃないか、こう考えるのですが、その点でひとつ大臣の所信を聞きたいと思います。
#11
○中曽根国務大臣 保安関係につきましては、いまのような御指摘の点もありまして、経営が苦しくなるというと、そちらのほうに手抜きのようなことが起きてはいけない、そういう考えを持ちまして、予算も、補助金等について昨年よりもたしか、昨年が十六億に対してことしは二十億、たしか四億くらいよけいにふやしておるはずでございます。ともかく、いまのように経営が苦しくなれば、保安の方面に悪い影響が出てきてはいけない、そういう考えを持ちまして、特に保安方面に重点を置いて政策を進めておる次第でございます。
 具体的には局長から答弁を申し上げます。
#12
○青木政府委員 今回の砂川事故に対しまして、従来監督を担当しておる者としまして、非常に遺憾でございます。
 いま先生御指摘のような、今後どういうふうに保安監督体制を強化していくかというお話でございますが、昨年の石狩の事故以来、私どもも、非常に事故の多発に頭を悩ましておりまして、各炭鉱における保安状況の総点検を行ないますと同時に、保安監督の強化をしております。ことに、昨年の石狩炭鉱の事故はガス爆発でございますので、ガスに対する規制を非常に強化しておりまして、昨年末以来、ガスの多いところの部分につきましては、操業の停止を命じた個所もございますし、ハッパ停止をかけた場所もございます。そういうようなかっこうで、いろいろ保安監督の強化の面は、実際面では実施しておったつもりでございますが、今回のような事故が起きましたのはまことに遺憾でございます。
 それから、予算面におきましても、ただいま大臣から申し上げましたように、保安関係の補助金の補助率の引き上げとか、あるいは新しい補助対象を加えるというようなことで、鋭意努力しておる次第でございます。
#13
○塚田委員 私はこの際、時間がございませんので、端的に、この「保安なくして生産なし」ということ、これを貫徹するためには、先ほど現地の労働組合あるいは職員組合等からの陳情の中で、要望の中で、とにかく保安は国が責任を持って確保するという体制を、具体的にはしかしどういう体制になるか、とにかくそういう体制の中で保安対策というものをもう一ぺん洗い直してみる必要があるのではないか。われわれはかねがね、炭鉱全体、経営も含めてもう企業としての限界を越えておるという観点から、この国家管理という点を主張してまいりましたが、今度の災害を契機にして、とりあえず保安については、国が全幅的に責任を負う体制を逐次とっていくということがいま何といっても必要だと思うのです。たとえば組合からの要請のありました保安委員の位置づけ、身分の関係、あるいはまた各山に配置する監督官の増員、できれば大手の山にはぜひひとつ監督官を配置していく、こういうような国の体制を、国が保安を見るのだというたてまえから強化をしていく、こういう考え方で進むべきだと思うのですが、これはひとつ大臣から、総体的な問題なので御答弁を願いたいと思う。
#14
○中曽根国務大臣 保安の責任者は、やはり第一義的には企業であるだろうと思うのです。企業が従業員のためを思い、従業員の生命を確保して、その福祉厚生にめんどう見るというのは、いまの日本の企業体制、経済体制の基本でございますから、やはり企業がまず第一に全責任をしょうべきであります。しかし、その企業が行なうことを監督して、そうして足りないところを補い、あるいは不十分なところを指示し、そういう事故を起こさせないようにする点に国の責任があるだろうと思います。そういう基本点はやはり責任を不明確にしておいてはいけませんので、そういう基本点ははっきりしつつ、国として十全な策を講じていく、こういう考えに立ってやっていきたいと思います。
#15
○塚田委員 ちょっと具体的になってまことに申しわけないのですが、今度の第五次の石炭対策の中では、管理委員会の設置の構想が出ております。これは国の炭鉱に対するいろいろな施策を一手にそこで集約して管理していくという体制だと思うのです。と同時に、これと並行して、保安についての管理体制というか、そういう機関を国としても設ける必要があるのではないか。最も現実的な提案としてそういうことが考えられるのですが、これはどうお考えですか。
#16
○青木政府委員 第五次政策におきます管理委員会と並行しまして、保安に関して管理委員会を設けたらどうかという御提案でございますが、保安に関しましては、現在三者構成からなります中央鉱山保安協議会というのがございまして、保安全体の運営、それから保安関係の規則、法規の審議というようなことをやっております。現在の体制で、こういう三者構成の場を通じまして今後の保安について十分協議していくということが、私どもとしては現実的ではないかというふうに考えます。
#17
○塚田委員 協議会の体制も私は知っておるのですが、どうも協議会の具体的な活動状況というのは、たとえばおおまかな方針はきまりますけれども、具体的な山々における機動体制というのはできていない。こういう点から、ひとついまの提案について検討を進めてもらいたいと思うのです。
 時間もございませんので次に移りますが、災害の起きたのは登川夾炭層、ここの災害は今度初めてではなくて、この前も、数年前ですが、砂川で起きております。これはガスです。そのあと、御承知のとおり歌志内で大きなガス突出がありました。今度、まさかと思っていた水力採炭という高度の技術をもって採炭しておるこの砂川でまた起きた。いま、私ども現地でいろいろ聞いておりますと、砂川のこの事故を契機にして、登川夾炭層で採炭するということについての一種の恐怖心といいますか、あれはあぶないのだというような空気がだんだんと広まってきておる。もちろん現地の砂川では、どうもこのままの状態では操業はむずかしいのじゃないか。御承知のとおり砂川は、一坑の出炭と、それから登川の出炭と合わせ混炭して出しております。だから登川坑がだめになれば、これは片ちんばと同じで、やはり先行きについて心配するのは当然だと思うのですよ。そういうことで、かねがねこの山については分離経営等のうわさ等もたっていて、それに加えてこの事故ということで、いま急速に離山ムードが高まっておる。むしろそういう面から、砂川危機じゃないかということさえ言われておりますので、この点について、私どもはとにかく第五次の答申の線にのっとって、砂川のような炭鉱についてはこれを確保し、絶対に経営形態を変えたりあるいは閉山するということは、もちろんないのだというやはり印象、確信を与えないことには、これからたいへんな事態がこの山にも起きてくるのではないかと思うので、その点についてのきちっとした考え方をここでひとつ表明していただきたいと思うのです。
#18
○青木政府委員 お答えいたします。
 今回の砂川の事故は、比較的保安体制の完備しております砂川炭鉱で起こりましたので、関係者が非常にショックを受けていることはよく理解できるところでございます。
 私どもとしましても、こういう事故でございますので、災害の原因につきましては、技術的に十分解明する必要があるというふうに考えております。したがいまして、先ほどの調査団の御報告にもありましたように、学識経験者によります技術調査団、これは東大の伊木教授を団長にいたしまして、北大の磯部教授、早大の磯村教授、東大の山口助教授という、現在の日本の学界では最高の権威の方々でございますが、この方々による技術調査団を編成いたしまして、三月二十日に調査を行ない、翌日の二十一日と三月二十六日の二回にわたりまして、団員の方にお集まりいただいて、調査結果に基づく検討会をいたしておるわけでございます。
 まだ最終的な結論を出すに至っておりませんが、およそのことを申しますと、この災害の原因は、事故現場の近傍に何らかの応力解放が発生しまして、これに関連して、炭層部に集中的、瞬間的に応力が作用したということによる崩落が生じたという見方のようでございます。これをさらに詰めまして、どういうこれに対する対策があるかということを十分検討していただきまして、十分な対策を得た上でこの区域の採炭の再開をするかどうかをきめてまいりたいと思っております。
#19
○塚田委員 時間もありませんので、最後に大臣にお聞きいたしますが、いよいよ第五次石炭対策が本格的に進んでくるのですが、第五次石炭対策の答申作業、それから、それを受けての対策の樹立という過程の中で、国際的に、エネルギーを包む諸情勢というのは急速に変わりつつあるのではないか。その変わりつつあるいろいろな原因というものは、それぞれ指摘されるだろうが、とにかく大まかに言って燃料不足というか、特に石油については、これから石油をめぐっての争奪戦といいますか、国際的に相当熾烈に行なわれるのではないか。
 そういう情勢の中で、アメリカあたりでも、ピーターソンなんかの発言を聞きますと、アメリカにある石炭の新しい使用のしかた、たとえばLNGについても、石炭を何とか液化して、公害のない、そういう燃料化の研究を急ごうじゃないか、こういうことが言われていますし、イギリスあたりでも、石炭に対する新しい対策を打ち立てる、こういうことで、その国の固有エネルギーについての確保といいますか、これが各国それぞれ行なわれてきておるという情勢の中で、第五次対策というのはいま始まったばかりですけれども、この際、石炭対策というものを、そういう国際的な燃料、エネルギー環境の中でもう一ぺん見直していく、新しく位置づけていくという、こういう考え方に立つべきだと思うのです。
 残念ながら、エネルギー白書なんか見ますと、原子力あるいはまた石油、電力、こういった関係についてのいろいろな研究はありますけれども、石炭については石炭のせの字もないということで、これでは私は、日本のエネルギー対策としては、将来非常に心配される面があると思いますので、この点、いますぐ第五次を改めるとかなんとかいうことじゃなくて、そういう国際的なエネルギー環境の中で、国内固有資源である石炭をもう一ぺん洗い直し、見直していくという観点から検討を進めるべきだと思うのですが、大臣はこれについて一体どういう考え方を持っておりますか、伺っておきたい。
#20
○中曽根国務大臣 御指摘のとおりであると思います。日本に現存する非鉄金属、あるいは石油あるいは石炭というような資源は非常に貴重な資源でございまして、この一定量を日本の国内で最小限確保しておくということは、長い目で見て、民族の生存を考えてみた場合に、いわゆる生存の安全保障の面からも、政府としては心がけておかなければならぬところであると思っています。ですから、いろいろ景気や経済情勢の変動によって短気な気持ちを起こさないで、長い目で見て、国民全体の生活を考えていかなければならぬと思うのです。
 いい例が米の問題で、米が余り過ぎた、食管制度をどうするかなんという議論もありましたけれども、やはりある一定量の米というものは常にランニングストックで持っていなければならない、そういうことが感ぜられてきましたし、あるいは鉄道の問題にしても、赤字線だ赤字線だといっていろいろ排斥されたときもありましたけれども、自動車がこうはんらんしてくると、自動車で行くより汽車で行ったほうが早いという時代にもなってきて、貨物輸送等の面から見ましても、地域開発の面から見ましても、地方線というのは見直される時代にもまたなりつつあります。
 石炭も同じことでありまして、それ以上のまた国家的な意味が私はあると思っておるのです。ですから、第五次答申におきまして、五十年、二千万トンを下らざるということを書いたことは、経済条件から見たら、あのときはなかなかむずかしい予想もあったかもしれませんが、私は正しいと思っておるのです。そういう意味において、国はある程度費用をかけても、民族的エネルギーの一つの基幹的な部分としてこれを大事にしていかなければならない、そう考えております。
#21
○田代委員長 多田光雄君。
#22
○多田委員 大臣に申し上げたいのですが、御承知だと思いますが、私は、二十日前の三月七日の当委員会で、通産大臣はじめ政府側に対して、石狩炭鉱の災害を中心に質問を行ないました。その際、保安重視の立場から幾つかの提言も行なって、政府側からも何点かの点について積極的な回答もありました。ところが、その二日後の三月九日に、砂川炭鉱の登川の災害が起こって、五名の生命が奪われる、こういう悲惨な事故が起きたわけです。
 ついでに、ここで大臣にひとつお耳に入れておきたいことがあるのですが、実は本年一月末に、砂川の炭鉱の一労働者から、これは無記名ですが、私に投書がありました。その投書の内容は、ガスや保安日誌のつけ方などで何点かについて会社側に手抜きがあるのじゃないか、そういう意味の投書であったわけです。そこで、私は田代委員長と二人で青木局長に会って、このことを伝えて善処をお願いしたのですが、局長はすぐ手を打っていただいたようであります。抜き打ち検査も行なわれました。この点については、私どもはたいへん喜んでいるわけです。しかし、事故が起きた。しかも、砂川の地元も含めて、当時、事故の前に、無記名の一片のはがきに対してそうまで大騒ぎしなくてもいいではないか、こういう声もあったやに私は聞いているのです。しかし、私にとっていま重大なことは、そのことではないのです。投書をした労働者が、国会議員にそのことを伝えても、現実に――事故の種類は確かにガス爆発ではなかったようです。崩落とも言われております。しかし、現実に事故が起きて、数名の労働者の命が奪われているというこの事態に対して、この労働者がどういう信頼感を国会議員に持つだろうか、どうやってこの労働者に、一体、名前がわかった場合に、私が対処したらいいのだろうか、こういういわば議員としての道義的な責任も私は感じています。これは大臣もおわかりになっていただけると思うのです。
 先ほど質問にもありましたけれども、大臣の答弁を聞いていますと、やはり二十日前の大臣の答弁とあまり変わってない。つまり、人命尊重について魂の入った回答、納得させる回答を私は聞くことができなかった。おそらくいままでも、多くの大臣やその他の要路の方々の発言は、そうではなかったのかというふうに、私はいま感じ取っておるわけです。
 そこで、大臣にもう一度念を押して伺いたいのですが、ほんとうにこの炭鉱の悲惨な災害を防止していくという意味で、何が一番欠けているのか、何をいま当面しなければならないのか、このことについて大臣の率直な意見を、簡単でけっこうでございますが、ひとつお願いしたいと思います。
#23
○中曽根国務大臣 政治家にとりましては、無名の一片のはがきというものは非常に大事なものであると私は思います。そういうはがきをいただいて、一緒に災害を防止しようというふうに私たちも常に考えておりますので、そういう御注意をいただけば非常にありがたいと思います。
 それから、やはりいまのような災害の問題を考えてみますと、会社の責任者、特に保安関係の人がほんとうに張り詰めた気持ちを持って、生命を大切にするために常に点検を怠らず、繰り返し繰り返し注意を払うということが一番大事ではないか、また、そういうことをやらせるように、監督官庁である通産省が常に現場を回ってみてそれを催促し監視していく、そういうことが一番大事ではないか、そういうように思います。
#24
○多田委員 実は、ここに日本炭鉱労働組合の出した資料がございます。これはおそらく役所の資料と一致しているだろうと思っていますが、違ってもたいしたことはないと思います。これは、去る十二月十八日から一月十三日の約一カ月にわたって、炭労が、保安点検月間というのを設けて、全炭鉱にわたって下から保安の問題を点検して、それを集約をしたものです。
 それによりますというと、十七支部からの報告で、延べ一千四十五件、一支部当たり平均六十件の違反事項、問題点があった。そうしてこういうふうにこの文章では言っています。「これらの指摘事項のうち、相当数のものは、石炭鉱山保安規則や各山元の保安規程に違反する事項であり、炭鉱の職場には依然法規違反が常態化していることを示している」監督官の方がこれを聞いてオーバーだというふうにお思いになる方もないわけではないと思います。しかしながら、もう一つのこの資料には、第一次石炭合理化が始まって以来、つまり昭和三十八年以来わずか十年足らずです。その間に何人の労働者が一体死んだと思いますか。私の計算で、この間に何と炭鉱労働者の生命が三千三百七名。よろしいですか、三千三百七名昨年までに殺されているのです。あえて殺されていると言うのは、労働者はみずから死を選んでいるわけではありません。保安の最高の責任を負っている会社、ここのこの保安の体制あるいは保安無視というか軽視というか、そこから生まれている事故死です。このうち、ガス爆発が二千三百三十名です。過疎が進行している中でいま二千名、三千名の村が幾つかあります。一村が炭鉱事故で命を失っているのです。しかも重傷者は何人いるか。十五万二千六百四十四人です。皆さん、航空機で百人の人が死ぬとこれは大騒ぎになる。われわれのデスクワークのところで一人の労働者が何かの事故で死ねば、大騒ぎになって、そこの管理者が刑事責任さえ問われているのです。ところが、これだけの人が死んでいるのです。
 そこで、一体保安の責任はどこにあると思いますか、これをひとつ伺いたいのです。
#25
○青木政府委員 鉱山の保安の責任は、第一次的には鉱業権者にございます。それに加えまして、私ども監督しておる者としても、その行政上の責任はもちろんございますし、そこに働いておられる労働者の方々にも、保安規則を十分順守していただく義務が課せられておりますので、御協力を願わなければ事故の根絶はなかなかできないと思います。いずれにしましても、第一次的には鉱業権者、すなわち、その炭鉱を経営しておる会社にあると考えております。
#26
○多田委員 そこでちょっと質問を変えますが、今回の砂川炭鉱の事故の原因については、御報告によれば、目下進行中ということであり、先ほどの局長のお話によりますと、応力の解放から事故が起きたのではないかという話でありますが、その応力が起きる場合、いわゆる震源地というか、それは一体何でしょうか。そういう問題について論議されませんでしたでしょうか。
#27
○原木説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げますが、砂川で起きました災害の第一義的な応力と申しますか、そこの災害現場に起きましたのが、連鎖的に起きたという判断でございまして、そのもう一つの大きな応力と申しますのは、近傍と申しますから、そこの数カ月前ぐらいまでの採掘あとの天盤の崩落、あるいはその辺の断層等の自然的な地殻活動といったようなものも考えられておりますが、いまのところは、払いあとの応力の解放ではないかというふうに考えられております。
#28
○多田委員 この山は、御承知のとおり、日本でただ一つの水力採炭をやっているところです。そして水力採炭は、石炭をとったあとの坑道は埋めないで、崩落その他によって自然に埋まってくる。しかし、ここは山鳴りがあるほど岩盤がかたくて、相当長期にわたり、また、大きな面積にわたって、いわば空洞ができていたということになるわけです。現地に入ったときに、「山鳴りが鳴っている間は安全だ」と言った保安監督官がおりましたということです。これは私が直接聞いたのではなくて、私の秘書が聞いてきております。私は非常に単純だと思うのです。地圧がバランスをとっていくというその山嶋りの中には、同時に、場合によれば不測の事故が起きるということも内包しているわけです。つまり、この程度のことが、五年も六年も前の問題なら論外としても、最近山嶋りが激しい、頻度が多くなってきたということは所長も言っているのです。そういう中で、会社がそれを察知できなかったというわけでもないだろうし、また、保安監督の責任に当たる皆さんがこのことを耳にし、これに対してどういう技術上、行政上の指導に当たられたのか、これを伺いたいと思います。
#29
○原木説明員 山鳴り全般について申し上げますと、最近、災害が起きた現場の五百六十レベルに参りまして、山鳴りが増加の傾向にあったということは確かのようでございます。その山嶋りと申しますのは、いろいろな要因で起きておりますし、あるいは上部のほうでも起きているケースがございます。したがいまして、山鳴り自体の頻度というもので的確に落盤の予知はできないという現状でございまして、大きな山鳴りあるいは小さな山鳴りと申しましても、いまのところこれを科学的に計測する方法がございません。みんな主観によります。あるいは場所によっての感覚も違いますといったようなことで、非常にむずかしゅうございますが、今後は、一応山鳴りというものを検討いたしまして、今後の災害防止対策に活用させていただきたい、こういうふうに考えておるわけです。
#30
○多田委員 私は、ある科学者に聞きましたら、すでに十年前に、ソビエト、フランスで地震計をその炭鉱に配置して、ガス突出その他について有効な成果をあげておる。そしてその後数年して、これはポーランドだったと思いますが、そこでは山鳴りに対しても有効な効果をあげている。したがって、たとえば地震計を置くことですべてわかるわけではないけれども、有効な装置であるということは国際的にも言われておるそうです。砂川では数年前、一時ごく短期間置かれたことがあるそうですが、残念ながらもうこれはない。いまどこか別な炭鉱に置かれているそうですが、価格は千二百万程度だそうです。この程度のものすらもあれだけの大きな山が置かない。ここに私は、いまの保安の事故に対して会社の持っている責任の一端を感ずるのです。
 それからいま一つは、これも私の秘書が、事故直後に入って、無名の労働者、それからあのレベル3の東側にいてかろうじて脱出した労働者、この人たちの話を聞きました。一体あなた方は、そういう人たちに会って聞いたのでしょうか。私の聞いたことによれば、あの日、三番方から一番方にかわる番がわりのときに、係員が、きょうは山鳴りが激しいから注意したほうがいいよと言って、保安日誌には書いてないけれども注意したということも耳にしました。そしてまた、無線機で連絡しているのですが、「おいそっちのほうだいじょうぶか。」こういう連絡をし合ったということも私は耳にしているのです。こういう事実を監督官の皆さんは、会社を通じてではなくして、積極的に働いている現場労働者の皆さんからお聞きになりましたか。
#31
○原木説明員 ただいまの件については、いまのところまだ聞き取りを終わってはいないと思いますが、逐次係員をはじめ関係の労働者からも、全部聞くことにはなっております。その結果については、手元にはまだ報告が参っておりません。
#32
○多田委員 問題はそこにあるのです。私は不可抗力というものが絶対にないということは言っていません。そのときの社会の進歩、科学の進歩の状況によって、やがてわかるであろう真理もわからないという時代があることは事実です。あるいはまた、とうてい予測し得ない原因でもって起こるということもあることは事実です。しかしながら、ほんとうに原因を究明しようとする科学的な態度とあわせて、いま一つ何よりも大事なことは、人命を尊重するということです。その場合に、現場の一番先頭で働いている者が、極端なことを言うと、動物的な本能で危機を感ずることが多いのです。そしてまた、アブノーマルを察知できるのです。これはいままでの災害でも無数にあったことです。事前にそういう話がよく耳に入るのです。
 だから、私はいまここで皆さんを責めているのじゃないのです。ほんとうに人命尊重の立場に立つならば、科学的な解明とあわせて、この切り羽の一番先で働いている労働者の皆さんに、最近の山の傾向、坑内の荒れ方あるいはガスの状況、こういうことを聞くことが、ほんとうに災害を事前に防止していく上で大事なことであり、私は、そのためにこそ監督官の監督の権限と、抜き打ちの検査、あるいはまた巡回検査というものが行なわれているのだろう、こういうように思います。
 時間がありませんので、あと一、二点だけ最後に申し上げておきます。
 実はこの点、もう少し詳しくお伺いしたかったのです。先ほど大臣は、「保安なくして生産なし」ということばを言われました。一般的な字づらとしてそのとおりです。あるいはまた、会社はこういうことを言っています。「保安と生産は車の両輪である」これも一般的にそのとおりです。しかしながら、いつか大臣も言われましたように、今日の炭鉱は私企業です。しかも残っている山の大半は、私企業の中でも、いわゆる三井コンツェルンとか三菱コンツェルンの一翼をなす有力な独占的な企業であります。炭鉱でどの程度もうけているかは別問題にして。しかも、私企業というのはあくまでも利潤の追求が第一であります。この利潤追求の会社で生産と保安が必ずしも両立しないということは、これはいままでの経験ではっきりしている。つまり、ほんとうに保安を守ろうとするならば、会社の利潤第一主義、生産第一主義と抵抗してでもいかないと、ほんとうにこの保安を守れない。これは海外の経験を見てもそうです。ここに労働者が命を守って戦う民主主義の発展の根本があるのです。
 私は、そういう意味で、保安を守るためには何といっても現場からの点検が大事だと思う。私は保安が要らないというのではないのです。非常に御苦労をなさっていて、最近は一定の成果をあげていることを私は否定しません。それを一そう実りあるものにするためには、命を的にして現場で働いている労働者の保安に対する発言、権限を強めていく、このことをもっと強化する必要があるのではないか。
 私は前回幾つかの提言を行ないましたけれども、たとえば今度の上砂川の労働組合でも、保安委員の補佐員に対して、胃袋を会社に預けておったのではほんとうのことを言えないということを言っておりました。そのとおりです。国が、わずかな人間ですから、経費を払って、そして場合によっては、多くの労働者にかわって、その場における操業を中止する、勧告だけではなく、権限を持たしていく。この程度のことは、大臣、どうでしょうか。ほんとうに命を守ろうとするならば、私はそれぐらいのことをいま思い切ってやっても、これは私企業をおかすものでもなければ、むしろ、水俣裁判に見られるように、ほんとうに人命を尊重するというこの立場からいって、最低限度のやることではないか、こういうように思いますが、大臣、どうでしょうか。
#33
○中曽根国務大臣 保安上手落ちがあり、生命に危険が生ずるおそれがあるというような場合には、それぞれ保安規程によってしかるべきポジションの者が警告しあるいは操業停止をすることもできるという形になっていると私は思います。問題は、それを厳重に励行していくか、会社と監督側のものがその法規の命ずるところに従って忠実に厳重に励行していくかどうか、そういうことにあると私は思います。
#34
○多田委員 それができないから事故が起きているのです。会社につとめたりなにかした者はよくわかるはずです。会社につとめていて、胃袋をそこに預けておる。しかも、炭鉱は最も非近代的な請負業の残っているただ一つの山です。働かなかったならばあすの米が当たらない。無理してでも働くのです。この特徴をわからなければ、幾ら法律でそれがあったとしても、労働者は言えないし、私は災害は絶滅することはできないと思う。
 したがって、いま大事なことは、いままでの経験から見て、一体どこを補強したらいいのか、どの法律の条文を強化したらいいのか、なぜそれが守られていないのか、これを私ははっきりと科学的に分析をして、私の見るところによれば、いろいろまだありますけれども、一番大事なことは、労働者に対してその権限を持たしていくということが一つのかんぬきになるのではないか。その方法はいろいろあるでしょう。私も一点不満があります。時間がありませんから、このことについて申し上げるいとまがありません。ともかくそういう面でぜひひとつ御検討を願いたい。砂川の炭鉱は、今回の事故は決して不可抗力ではありません。まさに人災であり、会社の新たな段階における保安の軽視、これがあると思います。
 最後に私は、炭鉱労働者の労働条件、このことについても質問をいたしたいと思いましたけれども、他の委員の発言にも若干食い込みましたので、私の質問をこれで終わりたいと思います。
#35
○田代委員長 松尾信人君。
#36
○松尾委員 具体的な問題につきましてちょっと聞きたいのでありますけれども、私も砂川炭鉱へ参りまして、いろいろ事情も聞きました。そのときに現場にあります支柱、坑木ですね、これがあったわけでありますけれども、一部非常にぼろぼろになっておりました。これは何年前にそこにこのような支柱が施されて、どのくらい年限がたっておるかということでありますけれども、まず最初にその点を聞きたいと思います。
#37
○原木説明員 あそこの現場でございますが、M3サブレベルにつきましては……(松尾委員「時間がないから簡単に」と呼ぶ)せいぜい数カ月でございます。
#38
○松尾委員 数カ月であのようにぼろぼろになるのですか。
#39
○原木説明員 災害の当時、急激な応力がかかりましたもので、したがいまして、あのように下のほうがささくれ立ってぼろぼろになっている、このように考えられます。
#40
○松尾委員 それからもう一つは、三番方でありますけれども、どうもこれは危険な状態にあるようだということで、時間を繰り上げて抗内から出ておる、このようなことは私のほうは聞いておりますが、会社のほうに聞きましても、そのような事実は存じません、こういう答えであります。これはなかなかそのようなことがありましたとは言えないと思うのです。そういうことを言えば、災害の起こりそうな状態でありながらも採炭を続けた、このようになりますから、言えない。言えないからそのようなものが日誌にも書かれていない。それがいろいろあるのじゃないか。先ほど多田さんもそういうことを聞いておりましたけれども、私もそう思うのです。これはやはりどうしようもない。行政指導もできがたいし、そういうことを知って、そして未然に災害の起こらないような手を打つというようなことも考えませんと、会社サイドの答弁になりまして、それを受け入れなくちゃできない、実態の究明ということもできないのじゃないか。いまのような行政指導のあり方では、これはうんと反省しなければ私はいけない問題であろうと思います。
 それから、先ほど大臣も言われましたけれども、企業者が責任を持ってやるべきである、これは当然であります。それを幾ら繰り返しておりましても、災害というものは現実に起こっております。ですから、政府の行政指導というものが、もう一段深く入っていきませんと、このような議論をたびたび繰り返すだけでありまして、災害はやまない。腹をきめて、この保安、監督、指導、予見、そういうものにつきまして、ひとつうんと政府の行政指導のあり方というものを再検討して実施していかなくちゃ、事故というものは予見もできないし防ぐこともできない。必ず繰り返していくであろう。こう思いますけれども、このような点における政府の今後の考え方はいかがですか。
#41
○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は、第一義的には、会社のその現場にある人たちが細心の注意を払って、常に点検をして危害を防除していくという心の張り詰め方であるだろうと思います。それから第二に、やはり監督官庁である通産省の出先の者たちが常時回ってみて、そうして正しく行なわれているかどうかを点検していくということだろうと思います。それと同時に、やはり災害を予知し得るような方法を発見していくという努力を科学的にもさらに究明していく、そういういろいろな努力を組み合わせて災害を防除していきたいと考えます。
#42
○松尾委員 そのとおりでありますけれども、それだけではやはり現実の問題としては災害はなくなりません。ですから、たびたびいままで質疑がされましたとおりに、会社というものはやはり採算でありますから、そこのところで、大臣のお答えというものは現実には大きく阻害されている。これは事実なんです。ですから、起こってから原因を究明していく、災害補償をするというようなことを繰り返しておってもだめでありますから、やはりもう二度とこういうものを起こさないというところからの、今度は基本的な発想というものを出しませんと、理論的なお話だけではこれはだめだろう。そこに政府の発想の転換というものを求めておるわけでありますから、二度と起こさない、そのためには具体的にこうしていくというものを煮詰めて、しっかりおやり願いたいのです。これはもうお答えは要りません。いいですか。その点はしっかりお願いします。
 それから、私、論点を変えますけれども、この罹災者、死亡者に対する補償の問題であります。それは五百万円プラスアルファで六百万円ということであります。しかし、そのようなことでいいのかどうか。私は、航空事故の場合における補償の額、交通事故による場合の補償の額等々を具体的に調べてまいっておりますけれども、これは時間の都合上省略いたします。省略いたしますけれども、わずか五百万、それに恩恵的にプラスアルファで六百万というようなことでは、これは問題にならぬであろう。基本的には人命の問題であります。全部が幼い子供を持っていらっしゃいます。ある奥さんは二回目。前回も自分の主人が炭鉱事故でなくなっております。今回の御主人も炭鉱事故でなくなっております。一人で二回も自分の主人を失っているわけです。そして本人は、どうしようもない立場のものでありまして、不注意だったとかなんとかいうようなことはありません。そういう点から申しますれば、十分なる補償というものをなされなくちゃいかぬのじゃないか。あらゆる他の事例における補償額というものを御検討なされまして、炭鉱で苦しい条件で働いていらっしゃる方々の人命尊重のために、今後政府としてはどのようにやっていこうとお考えになるか、これは大臣からお答えを聞きたいと思います。
#43
○中曽根国務大臣 いまお話しの五百万円プラスアルファという水準は、他のいろいろな水準に比べてみて低いように思います。したがいまして検討を加えてみたいと思います。
#44
○松尾委員 検討もいいですけれども、これは必ずほかの補償に準じていくように、実現するための検討をしてもらいたいということを要望しておきます。
 それから、いろいろの問題が起こってまいりますけれども、これは社会党からも先ほどお話が出ましたとおりに、何といっても石炭というものは日本のエネルギー資源です。この大きな観点から、もう一回石炭鉱業、石炭政策というものは見直していかなくちゃいけません。そういう立場で、今回の事件もありますけれども、基本的にはこういう事故というものが縮小につながり、ひいては閉山につながっていくわけでありますから、ここらあたりで大きく日本のエネルギー資源政策というものを確立されまして、保安の確保、事故の絶滅、それから、炭鉱の整理縮小というものを一連として防いでいく基本的なものがいま要求されておると思いますけれども、これは大臣のお考えを聞いておきたい。これで私の質問を最後にいたします。
#45
○中曽根国務大臣 石炭政策につきましては、国のエネルギーという大所高所からの大きな問題から、いま御指摘のような保安の監督の問題に至るまで、非常に多くの問題をかかえておるように思います。特にいま御指摘になりました保安関係の問題というものは、これはゆるがせにすべからざる問題でございまして、今回、その調査報告もいずれ出てくると思いますけれども、綿密にこれを点検いたしまして、改善すべきものは直ちに改善するように措置いたしたいと思います。
#46
○田代委員長 稲富稜人君。
#47
○稲富委員 私の持ち時間二十分が食い込まれまして、五分しか残っていないそうでありますから、いろいろお聞きしたいことがありますけれども、集約いたしまして一、二点だけお尋ね申し上げたいと思います。
 炭鉱の保安対策に対しましては、政府といたしましてもいろいろ努力をされておるし、さらに予算等に対しましても予算づけをされておることは十分承知しております。しかしながら、なおまたこういう炭鉱災害が生ずるということは、いままでの努力においてもまだ足らざるところがあるということが立証されたものだということを言わなければならない。私たちはこの際、いままでのことはいままでとして、新たにひとつこの保安対策というものをあらゆる角度から検討する必要があるのじゃないか、かように考えております。
 そういう意味で、これは先刻からもいろいろ論議された問題でございますが、こういうような災害に対して常に考えることは、ガスの場合でも今度の落盤問題にいたしましても、これをもっと早く予知し得るような保安施設、こういうことができないのであるかどうか。これは当然私はできると思うのであります。ただ、これをやるためには、相当な財政処置が要ると思うのでございますから、こういうことに対して、ことに御承知のとおり、炭鉱というものは今日経済的には非常に困難な状態でございますので、国から財政措置や援助処置をやるというような、こういう問題でももっと積極的にやる必要があるのじゃないかということが一つと、さらにまた、今日この保安監督にあたりましては、保安対策に対しましては、国がひとつ保安の対策費用は負担するのだ、このくらい積極的に保安対策に取り組む必要があるのじゃないか、かように考えるわけでございますが、これに対して大臣はどうお考えになっておるか、承りたいと思います。
#48
○中曽根国務大臣 保安の問題は、先ほど申し上げましたように、第一義的には企業が全責任を持ってやるべきことであり、国がそれを監督して遺漏なきを期する、そういうことであると思います。しかし、企業がやるにいたしましても、いまのような企業会計の情勢から見ますと、なかなか苦しいところもあるし、万一にも手抜きや手落ちがあってはいけませんから、その点については厳重な監督を加えつつ、国としても相当な補助金を用意して、そういう災害が万一にも起きないように、今後とも強化していきたいと思っております。
#49
○稲富委員 もちろん炭鉱というものは、その企業のほうに責任がある、またそういうことのないようにしなくちゃいけないことはわかります。しかしながら、いま大臣もおっしゃるように、現在の経営状態等から非常に足らざるところがあるので、これに対しては会社側に責任があるのだと、こういうようなことではなくして、もっと手を差し伸ばして、先刻からもしばしば話があっておりますように、石炭産業の重要性から考えて、国はひとつもっと積極的に取り組むべきだ、かように考えております。これに対する大臣のいま一つ答弁を願いたい。
 さらに、これもまた先刻からお話がありましたが、保安確立の問題でございますが、今日、保安対策といたしましても、経営者にその責任があること、また、監督指導の方面にも第二の責任があるということは、大臣も言われております。ところが、この災害をこうむって一番打撃をこうむるのは労務者でございます。これは先刻も多田君とも話し合っておったのでありますが、この保安委員というものを労働者側からも出して、そしてその保安対策の万全を期するというような積極的な政府の指導があってしかるべきじゃないか。しかもこの労働者側から出した保安委員というものに対しても、相当な責任を持たして、権限を持たした保安委員としてこういう活動をさせる。そうすすると、やはり保安に対しましても、これは経営者側あるいは労働者側両方がこれに対して当たられる。こういうような積極対策をやることが非常に必要じゃないかと思うのでございますが、これは先刻からお話しになっておりまして、どうも大臣は、経営者側に関係がある、責任があるのだ、そしてこれに対する監督をする側に第二の責任があるとおっしゃっておりますが、さらに一歩進んで、労働者にその保安に対する責任じゃないけれども、やはり十分責任を持たしていく、これに対する権限を持たせる、こういうことはひとつ考えるべきじゃないかと考えるのでごいますが、どうでございますか。
#50
○中曽根国務大臣 会社は炭鉱を経営、管理し、かつ労働者と契約をして会社を運営しているものでございますから、やはり何といっても労働者の生命の安全、福祉厚生の責任者は会社でなければならぬのでありまして、この点があいまいになるというと保安上ゆゆしいことが起きてまいります。そういう意味において、この責任の所在というものは明確に会社にあるということを私たちは指摘しなければならぬと思います。
 しかし、それを監督する国家は責任がないというのではないのでございまして、これを監督してそういう災害を起こさないように会社を督励する、そういう責任があると思います。
 それから労働者の問題は、保安委員会に労働者の代表の方も出ておるということであります。したがいまして、保安委員会をうまく運用いたしまして、労働者の発言に十分耳を傾けて運用すべきものではないか、そういうふうに思います。
#51
○稲富委員 今回の砂川問題を見ましても、労働者の発言の権限というものがやはり非常に弱かったようなことも聞いておりますので、いま言われたような労働者の保安に対する発言、これに対してもっと発言力を増させるような、こういうような行政指導というものが必要じゃないかと思います。
 さらにまた、鉱山監督局の保安に対する検査の問題でございますが、これは砂川に行ってみますと、鉱山保安監督局から一月に一回ぐらい来られたということを言っておったのでございますが、これは非常にあそこが安全なところであるという、こういう点からあるいはそういうことになったかと思うのでございますけれども、災害というものは常に安心しているときに生ずるのでございますから、やはり不意打ちにひとつ監督局からも検査をやる、不意打ち検査をやる、こういうことにして、保安に対する緊張感を持たせる、こういうことが必要じゃないか。私たち今度砂川へ行って聞きましても、あの崩落したところは一つの同じ層なんです。その層が何か微弱であったか、そういうようなことに気がつかなかったか、こういうことも考えられますので、やはり不意打ちに鉱山保安監督局からのこれに対する監督等が必要じゃないか、こういうことを感じますので、この点もひとつ十分お考えいただきたいと思いますが、お考えを承りたいと思うのでございます。
#52
○青木政府委員 保安の巡回検査でございますが、あぶない山で、現在大体月一回くらいは行っておることになっております。
 不意打ちの検査でございますが、これも極力、事前通告をしないで、ときおり不意の検査をいたしまして、十分炭鉱の実情をつかんだ上で、りっぱな監督をしてまいるように運用してまいりたいと思っております。
#53
○稲富委員 時間がありませんので、一点だけ最後に。
 今回の砂川の災害の状態から見ますと、蔵谷さんですか、一人生命を助かっておりますが、聞きますと、この人はやはりいままでも保安に対しては非常な努力家であるし、かつては海外までその指導に行ったということを聞くのでございますが、こういう点から見ましても、保安教育というものに対してもっと日ごろよりやる必要があるのじゃないか。そういう経験のある方が今回助かった。こういう点から見ましても、日ごろから保安教育というものをもっとやるべきじゃないか。こういうような考え方をするのでございますが、これに対しては、ひとつ監督官庁としても、そういう点はそういうような行政指導というものが必要じゃないかと思うのでございますが、この点承りたい。
#54
○青木政府委員 御指摘のとおり、現場に働く労働者が保安意識を十分持つということが、この保安問題に対して一番重要なことだと思います。従来から保安教育に関しましては、いろいろと監督、指導しておりますが、今後なお一そうその教育を充実させるように、行政指導してまいりたいと思います。
#55
○稲富委員 それじゃ、時間がありませんから、今後もこの保安問題に対しましては、いつでも申しますように、こういう災害は安心しておるときに生ずるのでございますから、常に緊張してひとつその監督、指導に十分当たっていただきたい、さらにまた、積極的に政府もこれに取り組んでもらいたいということを強く私希望申し上げまして、私の質問を終わります。
     ――――◇―――――
#56
○田代委員長 次に、石炭鉱業合理化臨時措置法等の一部を改正する法律案を議題として審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。田中六助君。
#57
○田中(六)委員 石炭審議会の答申を、昭和三十八年の第一次答申から昨年夏にかけて五回やっているわけですね。しかもそれは、一次から五次まで、ほとんどそのとおりに、時間切れで次の答申ということはないわけで、今度の五次答申も最終年次が次の初年度になっているというような状態ですが、このように石炭全体の答申が、まるで米価審議会みたいに、二年に一回くらい平均ですが、毎年起こるというような答申ぶりでございます。こういう原因、それはいろいろ石炭、それから経済の不足なこと、いろいろ石炭の持つ性格もございましょうが、こういう原因はどういうところにあるのかということにつきまして、局長はどういうふうにお考えですか。
#58
○外山政府委員 確かに御指摘のように、第五次答申までに至る経過は、そういった批評を招いてもしかたのないようなかっこうで逐次答申が行なわれたということになっております。これはそのつど、やはりその点の説明がございます。今回もそのとおりでございますが、情勢の変化が非常に激しい中で、もともと基本的にも、長期的にもそのあり方が問題になることから、当面の短期的な政策を考えるわけでございますが、その情勢の変化が激しいために、やはりそのときにとった政策が一、二年で合わなくなる。合わないまでも、もう一度やはりここで練り直したほうがベターであるというふうなことが多かったんだろうと思います。私も、全部前からの経緯を勉強しているわけではございませんが、今回のことに関する限り、情勢の変化の中でやはりこうした今度の第五次答申というかっこうで新しく勉強し直すということが必要であったと思います。
#59
○田中(六)委員 いまの局長の御説明、常識的でございます。私は、こういう原因をつくるのは、やはり一次からずっといままで、石炭問題に対するものの考え方、つまり発想法がずっと同じだからこういうことになるのであって、時代とかあるいは人間の意識とか、そういうもの、あるいは石炭の持つ性格そのものについて根本的なメスを入れ、何か発想の転換をしなくちゃいかぬのを、同じベースでずっとやってくるから、こういう調子になるのではないかというふうな気がいたしますが、それはどうですか。
#60
○外山政府委員 御指摘のような点に一つの問題があるようにも思います。しかし、今回の第五次答申では、一つの新しい内容といたしまして、需要の確保という点をうたっております。この点が今度の答申の基本となっておりますが、二千万トンを下らないということに一つの大きな中心的な概念を置いておるわけでございます。そういった点は、先生のおっしゃるような発想の転換ではないかもしれませんが、私どもとしましては、今回はかなりそういった面での新しい要素があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#61
○田中(六)委員 そういう需要の確保というようなことも一つの問題でしょうが、私の言いたいのは、たとえば保安確保につきましても、ただいま人命の尊重が各同僚議員から述べられたわけですが、保安委員会に労働者代表がおるからいいというようなお答えがベースにあるようですが、はたしてそれでいいだろうか。今回の合理化事業団の改正法の中に管理委員会というものが設けられているわけでございますが、これはあくまで経営者、資本家、そういうものに対して有利な、そういうものを配慮した管理委員会だと私は思うのです。それでは少しも発想の転換には実はなっていない。いま、非常に時代が進みまして、人間の意識が多様化しておるし、多極化しておるわけですが、そういう中で、鉱害問題というものは非常に先に進んでおるというような時代のとらえ方をしておるのかどうか。管理委員会とかいうようなもは新しいもので、需要の確保あるいは企業の助成、運営あるいは助言、そういうものに対する一つのとらえ方としては管理委員会というものがある。それなら保安確保というような面で、保安委員会だけにまかしておっていいかということです。いま炭鉱がだんだん規模が縮小せざるを得ないのは、いろいろな点もありましょうが、やはり労働者を定着させるということが私は第一じゃないかと思うのです。そういう面がネグレクトされて、ただ掘ったものの需要を確保しておけばいいのだといっても、経営者というものはやはりそろばんをはじくわけですから、コストというものを考える。そうすると、どこに走るかということになると、一次から五次までにあらわれておりますように、五千万トンが三千万トンになり、今度二千万トンを下らざるといっても、あなたたちの計算は千五百万トンになっている。しかし二千万トンを何とか確保しようという一つの至上命題を出しているのですが、はたしてそれが実現できるかどうか。今回の法律の中でも、最後に皆さんがむしろ整理をするという観点から予算を組んでいる面があるのですが、そういう点を考えると、すでに二千万トンを下らないものを確保するようにしつつ、不時の炭鉱の閉山に備えるという文言になっておりますけれども、多くの閉山の金を準備しておる。むしろ葬式をするほうにウエートを置き、経営者のほうにウエートを置く、そういうような発想方法が昭和三十七年の第一次答申からずっと流れておる。それは私に言わせれば、少しも発想の転換になっていない。そういう点はどうでしょうか。
#62
○外山政府委員 経営者の立場を考えた態度が一貫している、あるいは先ほどのように数量につきましても、減らすことについての考え方がやはり重きをなしているのではないか、こういう御指摘でございます。確かに一次、二次、三次、四次までの考え方の中にはそう言われてもやむを得ない要素が多かったと思います。今回もその点先生のおっしゃるようなかっこうでの転換をしているとは思いません。確かにその延長の中で新しい情勢の中での考え方を出しているということでございまして、先ほど申しましたように、一つは二千万トン体制を下らないということで、需要の確保に一つ大きな柱を立てたこと。それからもう一つは、今後のその確保体制をとるにあたりましても、単に従来のように政府と合理化事業団がやるということにもう一つ加えまして、合理化事業団自体がもう少しきめのこまかい指導なり助言なにができるように、その中の組織も強化する。もう一つは、いろいろな補助金行政を事業団に移すということ。こういった二点の改善を加えまして、事業団が、管理委員会という組織の強化をはかりながら、きめのこまかい指導なり助言なりが業界に対してできるように、そういう配慮をしたわけでございます。
 もちろん発想の転換というほどの大きな変更ではないと思いますが、やはり情勢の変化の中で、私どもも従来の考え方を少しずつ改善を加えているというふうに御認識願いたいと思います。
#63
○田中(六)委員 そういう認識にできるだけ立ちたいと思っておりますが、やっぱり正直に言うと、なかなかそう割り切って考えられないんです。こういう管理委員会は、あくまで石炭企業に対する各種の助言と、それから適切な助言、指導ということだと思うのですが、ひとつ保安の確保というようなことで、保安委員会だけじゃなくて、炭鉱災害対策委員会というようなものを設けて、もう少しシビアに、もう少し強化して義務化するというようなこと、そういう面の考えはないのでしょうか。保安局長どうでしょうか。
#64
○青木政府委員 現在、各山の保安委員会のほかに、一般的な問題といたしましては、地方と中央に鉱山保安協議会というのがございまして、たとえば規則の改正その他につきましては、そこで議論することになっております。その委員会の構成は、学識経験者と経営者、労働者三者同率の構成になっておりまして、そういうところで基本的な問題については検討することになっておりますので、そういう問題を含めまして、中央鉱山保安協議会の石炭部会で今後検討してまいりたいというふうに考えております。
#65
○田中(六)委員 これから先十分検討していくということでございますので、問題を先に延ばしているわけですが、できるだけそういう点を考慮してやってもらいたいと思います。
 それから、今回のこの法律の改正案の中で、管理委員会というものを新たに設けて、これが非常に大きな権限を付与されておるわけですが、この管理委員会の管理体制というか、これはどういう責任を持つのか。
 それからこれ自体、法律を見ますと、管理委員会の性格というものがぼけておりまして、ただ「次の事項」ということで「収支予算及び決算」「事業計画」それから「貸付計画、貸付譲渡計画及び保証計画」というようなものが一つの大きな業務みたいになっているのですが、この性格そのものについての文言が見られないのですが、これはどういうことになっておりますか。
#66
○外山政府委員 組織論上で申しますれば、合理化事業団の内部機構でございます。
#67
○田中(六)委員 内部機構であるから、「次の事項」になったということになるのですが、もう少しこの管理委員会の性格というものをはっきりさせておくべきじゃないかと思いますね。これは、たとえば自民党の石炭特別委員会あたりのクレームもあったようなことを聞いておりますが、やはり強く出るところは出るというようなことも必要じゃないかと思います。
 それから、この事業団の構成でございますが、委員四名及び理事長をもって組織するといっておりますが、事業団の理事は委員になれるのか、なれないのか、この点はどうですか。
#68
○外山政府委員 事業団の理事は管理委員会の委員にはしないというつもりでおります。
#69
○田中(六)委員 そうすると、理事長がこの委員に一応なれることになっておりますが、これはどういうことからそういう発想が生まれているわけですか。
#70
○外山政府委員 先ほど組織論上の問題として、単なる内部機構というふうな印象を申し上げましたけれども、実は今回の法律の内容にも、いろいろな権限を管理委員会に付与しているわけでございます。内部的な運営ではございますが、権限を付与することによって、管理委員会というものを、事業団の新しい運営の中での位置づけにおいて少しでも強化していくということでございます。そうしますと、管理委員会だけが今度は事業団の意志と遊離して動き出すというふうなことになっても、これはまた二元化して問題になってしまう。事業団の理事長が管理委員会の委員の一人として一体的な運営をするということ、両方で知恵を出し合いながら、組織としては一体化し、内容としては管理委員会が十分なきめのこまかい指導と権限を持つということ、こういうふうな構成を考えたわけでございまして、そういう面から見まして、事業団の理事長が管理委員会の内部に入るということが必要ではないかと考えた次第でございます。
#71
○田中(六)委員 そうすると、さっきあなたがおっしゃったように、ただ機構の面からだけじゃなくて、かなり意味があることになるわけで、理事長が委員長を兼任する場合はあり得るわけですね。これはどうですか。
#72
○外山政府委員 委員長は互選でございますから、制度としてはあり得るわけでございます。
#73
○田中(六)委員 そうすると、これは非常に問題が起こるんじゃないかという気がするわけでございますが、そういう点の、そこが二重構造になるとか、屋上屋を重ねるというようなこと、そういう解釈にもなるし、また一面、一応管理委員会というものを設けておって、しかも中立みたいな風を装っておるが、理事長が委員長を兼ねる、あるいは委員になるというようなことから問題が起こるような気がしますが、そういう点の配慮はどういうふうになっていますか。
#74
○外山政府委員 御指摘のような問題点についての批判を受けるような運用にならないように、私どもは運用面で十分気をつけたいと思います。
#75
○田中(六)委員 一応、そういう行政指導あるいは運用面でうまくやっていくという自信を聞きまして、私も多少もやがとれたような気がしますが、そういう点では、十分配慮をしてこの法律案の運用に当たってもらいたいと思います。
 本日は、これで終わらしていただきます。
#76
○田代委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時五十四分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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