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1972/04/18 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 石炭対策特別委員会 第9号
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1972/04/18 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 石炭対策特別委員会 第9号

#1
第071回国会 石炭対策特別委員会 第9号
昭和四十八年四月十八日(水曜日)
    午前十時八分開議
 出席委員
   委員長 田代 文久君
   理事 金子 岩三君 理事 田中 六助君
   理事 地崎宇三郎君 理事 山崎平八郎君
   理事 山下 徳夫君 理事 多賀谷真稔君
   理事 渡辺 惣蔵君 理事 多田 光雄君
      愛野興一郎君    荒木萬壽夫君
      加藤 紘一君    三枝 三郎君
      戸井田三郎君    三池  信君
      渡辺 紘三君    岡田 春夫君
      塚田 庄平君    諫山  博君
      瀬野栄次郎君    松尾 信人君
      宮田 早苗君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
 出席政府委員
        通商産業省鉱山
        石炭局石炭部長 佐伯 博蔵君
        労働省職業安定
        局長      道正 邦彦君
        労働省職業安定
        局失業対策部長 桑原 敬一君
        労働省職業訓練
        局長      遠藤 政夫君
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  多田 光雄君     諫山  博君
  稲富 稜人君     宮田 早苗君
同日
 辞任         補欠選任
  諫山  博君     多田 光雄君
  宮田 早苗君     稲富 稜人君
同日
 理事多田光雄君同日委員辞任につき、その補欠
 として多田光雄君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
四月十六日
 福岡県金田町の残存鉱害早期復旧に関する請願
 (荒木萬壽夫君紹介)(第二七九〇号)
 同(塚田庄平君紹介)(第二七九一号)
 同(宮田早苗君紹介)(第二七九二号)
 同(吉田法晴君紹介)(第二八八四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第三〇号)
     ――――◇―――――
#2
○田代委員長 これより会議を開きます。
 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塚田庄平君。
#3
○塚田委員 これは通産のほうにひとつお伺いしますが、最近東京電力の発表といいますか、内々の意向として伝えられるところによりますと、東京電力は火力を一切やめるということの意向を表明しておるのですが、この件について通産省ではどう考えておりますか。火力というのは石炭火力です。
#4
○佐伯政府委員 毎年の石炭需給につきましては、石炭鉱業審議会の中の需給部会で御検討願うことになっておるわけでありますが、本年は、四十八年度のはまだ開いておらないわけでございますが、そこで、鉄鋼関係あるいは電力関係というようなことできまってまいります。その中を各電力会社に割り振るというふうなことで作業を毎年いたしておるわけです。したがいまして、四十八年度の電力用炭に幾らかということがまだ決定いたしておりませんので、その中の東京電力が幾らかということがまだきまっておらない段階でございます。
 ただ、東京湾周辺につきましては、亜硫酸ガスの問題あるいは粉じんの問題等でいろいろ問題があるようでございます。東京電力につきましては、非公式な話でございますが、なかなか従来どおりたけないというのが実情のようでございます。したがいまして、まだ最終決定ではございませんが、その中の一部、約二十万トンを東京電力の責任と申しますか、というとあれですが、そういうことで常磐共同火力のほうでたくということが大体内定をいたしております。そのほかに東京電力固有で幾らたくかということは、先ほど申しましたような状況でございまして、まだきまっておらない状況でございます。
#5
○塚田委員 東京電力で石炭を使っておる火力発電所はどこどこですか。
#6
○佐伯政府委員 東京湾周辺に東京電力で石炭を使っております発電所は、川崎の発電所、千葉発電所、品川発電所、新東京発電所、それから鶴見の二号でございます。
#7
○塚田委員 もうこれは千葉はLNGに変えておりますし、川崎もそうです。新東京、品川、これは石炭を全部使わない、すでにそういうことで発表されておる。東京電力は全部使わないのじゃないですか。一体これば合わせて何トンですか、毎年使っておるのは。
#8
○佐伯政府委員 ちょっと手元の資料があれでございますが、私の記憶では四十七年度、約四十万トン強使っておると思います。
#9
○塚田委員 わずか二千万トンの石炭なんだから、どこでどのくらい使うかは、特に電力なんだから、電力と鉄鋼ぐらいはいつでもつかんでおきなさいよ。
 そこで、これは記憶で大体四十万トン前後。そうすると、常磐に東電の責任において振り向けたいというのは二十万トン。私は、四十八年度中に東電は石炭火力は全部廃止する、こういうことだと思うのですよ。局長、何といってもそれは事実なんです。そうすると、あなたはさっき東電の責任において、こう言っておりますけれども、責任においてやれるのはその半分、常磐へ持っていって。これも将来のことですから、どれだけ実現性があるかわからぬと思うのですよ。これは需給対策としてはきわめて重要な問題だと思うのです。一体これについてどういうお考えを持っておるのか。こんなことをどんどん許していたのでは、二千万トンなんというのは、そんなものはもう掲げないほうがいいんじゃないですか。どうですか。
#10
○佐伯政府委員 二千万トンの中の鉄鋼分、それから電力分等につきましては、石炭審議会で十分御検討願ったわけでございます。鉄鋼業界も電力業界もそのとおり実施をするということでございまして、ただ鉄鋼でいきましたら各会社の引き取り分、それから電気でございましたら各電力会社の引き取り分につきましては、その毎年度の需給計画が組まれました後に各電力会社で総量を分け合うと申しますか、ということできめていこうということでございまして、全体といたしましては五十年度二千万トンの線に沿いまして需要を確保するということであります。
#11
○塚田委員 そう力んでも、現実に四国はもう四十七年度で石炭は全然廃止しておるでしょう。四国はそうじやないですか。関西はどうですか。四十八年度で全部終わるでしょう。やらないでしょう。違いますか。東京はやらない。北陸はもともとやってない。一体いまのような答弁は、どこを押して確信のあるあれが言えるのですか。四国は四十七年でやめる、関西は四十八年度でやめてしまう、こういっておるのですから、そこへ持ってきて東京はいまのような状態。どこを押して一体二千万トン確保するといえるのか。具体的な計画というものをはっきり示してもらわないと、ただ、やります、やりますということだけではわれわれは信用できないのですよ。現実の問題としてどうですか。しかも鉄鋼と電力というのは、この二つ合わせるともうほとんど三分の二以上の石炭の消費量でしょう。この点ひとつ明確な答弁をいただきたいと思う。
#12
○佐伯政府委員 先生おっしゃいますように、四国電力は量もわずかだったわけでございますが、石炭火力の使用がなくなりましたが、今後は東京電力、これも常磐共同火力も含めてでありますが、それから東北電力、中部電力、中国電力が主体になると思います。関西電力につきましてはまだ十分承知いたしておりませんが、従来も量がわずかでございましたし、あるいは四十八年度以降、石炭の火力がなくなるということも考えられるわけでございますが、主として東北、中部、中国、それから常磐共同火力のほうを含めました東京電力と北海道電力及び中国電力が主体でございます。
#13
○塚田委員 そういう電力会社の代弁のような答弁ではなくて、一体こういう事態を、経営が石炭火力はやりませんよと決意したら、そのまま通産省は認めなければならないのかどうか。いまの答弁ですと、そういう事実が出てくればもうそれを全部認めた、その上に立って転換政策だけを考えているのですよ。私はそうじゃないと思うのだ。この法律ができて、これだけ国民の税金を使いながら石炭を守っていくという体制は、そういう需給体制についてもきちっとした政策を立てる。それだけに、また石炭やそういうものの引き取りについては、政府はいろいろな補助なり助成はしておるはずなんですよ。だからいまのような答弁では、もうこれは限りがないですよ。だから、決意を込めた、こういうことは許さないのだということでなければ、歯どめはできないでしょう。その点を質問しておるのですよ。
#14
○佐伯政府委員 毎年度の需給につきましては、まず石炭の生産計画のほうをヒアリングをいたします。それの査定をいたしまして、それと需要とをあわせて需給部会等で検討するということにいたしております。実は生産計画のほうは、現在各社からヒアリングを実施いたしておる最中でございまして、現在約半分終わっておりまして、おそくとも今月中にはヒアリングを完了する予定にいたしております。それとつき合わせまして需給のほうを詰めてまいるわけでございます。個々の電力会社等につきましては若干あとでございますが、トータルにつきましては五十年度二千万トンを確保するということで、必ず実施をしてまいりたいというふうに思っております。
#15
○塚田委員 時間もあまりありませんので、ここではっきり言いたいのは、そういうことで決して明るいニュースは日々伝わってこないわけですよ。しかし二千万トンという線は、これは、いまの田中総理が通産大臣のときにすでにメモの形で約束しておりますし、答申、そしてそれを受けた政策というのは、とにかく二千万トンを下らないという線でまとまっておるのですから、下ったら責任を問いますよ。われわれはそういう決意で向かいたいと思うので、そういうことで、ひとつこの点については善処してもらいたい。
 次に、いまいろいろ閉山のうわさが出ておるわけで、北海道の大夕張がえらいクローズアップしている。この大夕張の事情についてちょっと説明してください。これは前にも質問があったろうと思いますが、最近新しい情勢等もありますので。
#16
○佐伯政府委員 北海道の大夕張炭鉱についてでございますが、もともと大夕張炭鉱は炭質はとてもいい炭鉱でございますが、断層、褶曲がきわめて多うございまして、そのために地圧が大きかったりいたしております。それからガスが他炭鉱に比べまして相当大幅に多い等の自然条件の不利がございます。そういうことで、鋭意相当な技術をもちまして稼行いたしておるわけでございますが、昨年の暮れごろから、予想しておりました断層が採掘部内にきわめて近くなっておるということが、坑道掘進、それからボーリング等ではっきりいたしたわけでございます。このままではうまくないということで、鋭意次のフィールドをさがしておるわけでございます。
 その辺につきましては、団体交渉等で労使でもいろいろ御検討をされておるように聞いております。私たちも鋭意別のところがあるかどうかということで検討いたしておる最中でございますけれども、現在わかっております範囲では区域がきわめて少ないということで、まだ一るの望みはかけておりますけれども、相当に苦しい状態にあるというのが偽らざる状況でございます。
#17
○塚田委員 相当に苦しい状態にあるということは、その情勢が打開あるいは少しでもいい方向に向かわない限り閉山必至だということですか。
#18
○佐伯政府委員 鋭意検討いたしておる状況でございますけれども、最悪の場合、そういうことも考えられるようなきびしい状況でございます。
#19
○塚田委員 十三日に会社側は記者会見したことを知っていますか、十三日の夜に。そうして、いま答弁のあったそのことばよりも、もっともっと切り詰めた、せっぱ詰まった記者会見をやっていることを知っていますか。
#20
○佐伯政府委員 記者会見をされたことは私存じませんけれども、先ほど申しましたように、前にときどき聞いておりましたが、十三日にも会社から状況を聞きましたが、きわめてきびしい状況だというふうに判断をいたしております。
#21
○塚田委員 その十三日に記者会見をやっているのですよ、わざわざ大夕張に札幌の人たちを呼んで。そして、こういう情勢の中で最悪の事態も予想されるという意味のことを言っておるわけですよ。十三日にそういうことを言っておりながら、監督官庁である、しかも閉山はできるだけさせないということでがんばっておる通産省の石炭局が、まだそういう答弁を言っているのでは、私はこれはほんとうに解せないのですけれども、どうなんですか、一体まだいまでもそういうことですか。わからぬというのですか。
#22
○佐伯政府委員 十三日にも、なおほかのところがないかということを具体的にいろいろ検討いたしておりまして、一るの望みはございますけれども、先ほど申しましたように、きわめてきびしい状況だというふうに判断しております。
#23
○塚田委員 私は、これはこの前も同じような質問をしましたが、会社が閉山を決意するその時点においてしか通産省には連絡がないのですか。
#24
○佐伯政府委員 炭層状況がどうなっておるとか、そのために全体の操業が苦しいというふうな情勢はいろいろ聞いております。それから炭鉱から聞くだけでなくて、主として通産局からでございますが、この場合は札幌通産局から担当をやりましていろいろ調査をして、状況を把握いたしておるつもりでございます。それらを判断いたしまして、先ほどのような御答弁を申し上げたような状況でございますが、閉山をするかどうかということは、もっぱらいわゆる会社のほうのことでございまして、事前にどうこうというふうなことはございませんが、情勢は、炭鉱からなりあるいは私たちみずからの手で調査をするなりして、状況の把握はいたしておるわけでございます。
#25
○塚田委員 私は、基本的な議論になりますが、そういう閉山するかどうかという相談は事前に何もないんだ、こういう仕組みの中に、一体何のためにわれわれはこういう管理委員会等をつくりながら、しかもこれだけの措置をやりながら、しかし一番肝心な場面になりますと、とにかく向こうの決意を待つといいますか、しかたがないんだ、これではしり抜けもいいところだと思うのですよ。そういう事態についてはずいぶん事前に、たとえば坑内の条件あるいは鉱区の統廃合はできるのかできないのか、隣にも南部というのがありますが、それに一体どういうふうにつないでいくのか、いろんな問題が私はあると思うのですよ。そういう問題の相談に具体的に乗っていかない、向こうが決意していく、これでは私は石炭行政としては、しかもほかの行政とは違ったこういう法律を持っている行政としては、まことに残念な姿だと思うのですけれども、どうですか。
#26
○佐伯政府委員 本件に限らず全体の問題といたしまして、そういう苦しい状態にある場合に、たとえば先生おっしゃられましたような鉱区調整をやればどうなるとか、いろいろなことはずいぶん検討いたしました。それをしないということでは決してございませんで、あらゆる方法を会社のほうにも検討してもらいますけれども、私たちのほうでもいろんなまわりの炭鉱の状況等もデータはわかっておりますので、十分検討しておるつもりでございまして、今後ともそのような形で努力をいたすつもりでございます。
#27
○塚田委員 きょうは労働大臣がおいでですから、いまの問題について、この地域は人口は一万一千九百三十名いるのですよ、古くから住みついて。もっとも南部という地帯にも若干吸収されておりますが、これは相当機械化されて人員は少ないです。一万二千名近くはこの山にへばりついているのです。いま答弁を聞かれてわかるだろうと思いますが、どうも自信のないへっぴり腰です。世帯にしましても三千戸をこすでしょう。これは私は、炭鉱閉山の歴史を繰り返してきておりますが、この山がもしそういう事態になれば、労働の面においてもあるいは離職者対策の面においてもたいへんな事態に直面すると思うのです。これは相当の決意でやらなければたいへんだし、大体、夕張市という市の自治体形成が一体どうなるかという問題にまで発展してくるかと思うのです。そこで、そういう事態が残念ながらいまの答弁では予想されると思う。だから、これについてひとつ、労働大臣としての離職者対策あるいはまた、その他諸般の労働対策等についての決意といいますか、方策を伺いたいと思うのです。
#28
○加藤国務大臣 そういうことが予想されるようないまの質疑応答を聞きますと、これはもうたいへんだ。これは大問題として、これに対する離職者対策を万全の措置を講ずるのは当然であります。そういう意味で、現在の離職者対策の上に各方面からこれに対して応援をいたしまして、重要問題として労働省としては対処いたしますことをここで申し上げておきます。
#29
○塚田委員 終わります。
#30
○田代委員長 次は多賀谷真稔君。
#31
○多賀谷委員 私は、筑豊における失対労働者の大会に参りましたら、そこの書記長が、どうも緊就は単価が低いから市町村はあまり事はない。むしろ緊就を廃止して開就に重点を置いたらどうかというような気持ちが市町村にあるということを報告しておったのを聞いて、実はがく然としたわけでございます。
 大体緊就というのは、石炭合理化臨時措置法ができたときにその離職者をどうするかということで緊就制度が発足した。そうして、これは炭鉱離職者を雇用する事業として発足したわけであります。そして五分の四の補助率でスタートした。開就というのはその後四十四年にできたときには、炭鉱離職着というよりも、いわば他の企業の離職者というものが相当筑豊に停滞をしておる。さらに産業振興の面も必要であるということで、身分関係は不安定なままで、いわば事業を主として発足をした制度であります。ところが労働組合が、市町村長の発言とはいえ、どうも緊就を廃止して開就にしたほうがいいんではないかというようなみずからそういう口吻を漏らした発言をしたということで、一体那辺にその原因があるか、こういうことで私は調査をしたわけでございます。なるほど補助率は高いけれども、単価の面からいうと開就と緊就はかなりの差がある。すなわち四十七年度を見ますると、予算単価で緊就は三千四百円、開就は五千六百円、四十八年度は緊就が三千八百円に開就が六千二百円になっておる。しかも男女の状態を見ると緊就のほうが男が多いわけです。しかも、技能の面からいっても緊就の労働者は監督なんかがいなくても、自分で段取りをしてワク組みをして仕事をしておる。とにかくみな十年選手以上になっておるわけです。この労働者に非常に単価を安くしておるという。本来の救済をしなければならない炭鉱離職者を、しかも石炭会計から金が出ておるのに、いじめ抜いておるという感じを私は受けたわけです。一体労働省はどうしてこういう差をつけたのか。しかも仕事の実態を見てごらんなさい。仕事の実態は変わらぬじゃないですか。ひとつ御答弁願いたい。
#32
○桑原政府委員 緊就事業、開就事業の単価その他が違っておる問題は、その発生のいろいろないきさつ等ございまして、必ずしも明確な御理解をいただけないと思いますが、私どもは、緊就事業というのは、あくまでも炭鉱の合理化によって離職された方を最も手厚くやる制度として、炭鉱離職者臨時措置法の法律を基礎において出発をいたしたものであります。それはあくまでも離職者を吸収をして、そこで生活を安定させる、こういう目的がまずあったと思います。
 開就事業のほうは、それができました段階においては緊就事業は制度的にもうなくなっております。そして手帳制度に切りかえられた。そして手帳制度によって手当を支給して、合理化離職者は手厚くいろいろな手当をして収容していただく、こういうような体系になっていると思うのです。片や開就事業のほうは、合理化離職者ではなくて、石炭関連の企業からいろいろな失業者が出てまいります。それが一定地域に多数発生された場合に、やはりその地域に企業がないというような問題を着目して、積極的に地域の開発をして、そこに早く雇用需要をつくり出そう、こういつたいわば公共事業的な性格をもってでき上がったものであります。そういったような性格の違い等から、おのずから単価が違ってきたということが言えるのではないか、こういうふうに私どもは一応考えております。
#33
○多賀谷委員 しかし現実の仕事を見てごらんなさい。変わらないでしょう。直方市役所が提出をした資料で四十七年度を見ますと、いわゆる補助単価というものが三千三百八十五円、それに対して実施単価が四千八百十二円です。開就事業は補助単価が五千二百二円、そして実施単価が五千三百五円、四十八年度の予算書を見ましても、やはり緊就につきましては千五百円くらいの、要するに市が本来の負担区分以外のいわば超過負担をせざるを得ない。すなわち四十八年度が、緊就の補助単価が三千七百八十五円、実施単価が五千三百三十一円、開就は補助単価が六千百七十四円、実施単価が六千二百五十四円、しかも私が先ほど申し上げましたように、男女別の状態を見ても、緊就は男が多い。そして技能的にいっても、緊就のほうがいわば率直にいって技能の水準が高い。ですから緊就に市町村としては持ち出しが多いわけです。緊就事業というのは監督もワク組みも要らないし、みな自分だけでやっておるでしょう。それになぜこういう差をつけるか。私はどうもこの点はどこか政策的な意図があるのではないか、こういうふうに考えざるを得ない。実際同じ仕事をしておるのに、われわれ行ってもどれが緊就か聞いてみなければわかりません、あなたは開就ですか、あなたは緊就ですかと。仕事の内容――田代先生もいらっしゃいますが、実態はそのとおりです。なぜこんなにこういう差をつけるのか。それは発生の違いとかなんとかおっしゃいましても、現実の仕事はそうでしょう。草取りしておるわけじゃないですよ。ちゃんとりっぱな仕事をしているのですよ。ですから一体今後これをどうされるのか、どうするつもりであるのか、これをお聞かせ願いたい。時間もございませんから、今後どうするかということをひとつお聞かせ願いたい。
#34
○桑原政府委員 緊就事業につきましては、私どももその事業の効果というものがやはりその地域社会に役立っていることは否定いたしません。したがって、その単価の引き上げについても努力をしてきておりますし、特に四十八年度の予算編成におきましては最大の重点を置いてやったわけでございます。過去数カ年間は三百円程度のアップでございましたけれども、四十八年度は四百円アップするということで努力はいたしておるということを申し上げておきます。
#35
○多賀谷委員 四百円アップしても、開就は六百円アップになっているじゃないですか。あなたのほうから要求する予算が少ないのですよ。努力すると言ったって、労働省が大蔵省に要求する予算がものすごく差があるじゃありませんか。あなたのほうの予算がまるまる通ったとしても知れているのですよ。ですから、労働省のこの緊就と開就の考え方ですよ。そこに問題があるんじゃないですか。
#36
○桑原政府委員 考え方を申し上げますと、開就事業と緊就事業の発生の経過というのは先ほど申し上げたような事情にありまして、そういったところからおのずから単価の差があると思います。問題は、その差を縮める理論的根拠いかんという問題になると思いますが、結果的には一応、特に四十八年度の予算では、単価の引き上げ率は、もちろん緊就のほうが高くなっておるというようなことで努力をいたしておるということを申し上げたいと思います。
#37
○多賀谷委員 大体労務費は同じでしょう。どうですか。
#38
○桑原政府委員 緊就、開就につきましては一応、三省協定によって労務費の標準単価がありますから、それに準拠いたします。したがって、それによって最終的には労賃としてきまりますけれども、おおむねよるべき基準は同じでございます。
#39
○多賀谷委員 ですから、結局事業費の問題ですよ、資材費だとか。ですから、能力があって意欲がある労働者の単価をなぜ押えるのですかと、こう聞いているのですよ。こういう問題はあなた、率の問題じゃないですよ。一つは大部分の固定費の賃金というのは同じだ。ですから、六百円一方は上がり、一方は四百円上がれば、その差はやはり二百円でしょう。率の問題じゃないですよ。これは金額の問題です。ですから、ひとつ大臣どうですか。これはぜひ改善してもらいたい。
#40
○加藤国務大臣 御指摘のとおり、緊就と開就のできた歴史も違いますし、大体緊就のほうに離職者の問題を強く持ち込んできておりますから、事業の内容が多少違うといって、いろいろ資材とかそういう方面のほうが緊就と開就によっては違いますが、しかし、単価が変わってきますと、どうしても緊就のほうが不自由になることは当然であります。この点も私いろいろこの間うちから役所のほうとも相談して、御指摘の点も私も感じまして、よく役所と打ち合わせしたのでありますが、本年は去年より、従来より百円多く上げたのだ、こういうようなことも説明を聞きましたけれども、私まだその点についてもいろいろ遺憾の点があるという気持ちでありますので、今後単価の引き上げについては、これは本腰でやらなければならぬ、また事業についてもいろいろ関係市町村とよく相談いたしまして、それに見合ったような事業を持っていくという問題もありましょうけれども、まず、当面緊就と開就との単価の相違に対しましては、本年度はもうきまったのでありますが、これから予算の問題もぼちぼち出てきますから、この点については御指摘のような線に沿って対処し努力いたします。
#41
○多賀谷委員 ひとつ本式にやってもらいたい。本腰ですか、大臣本腰とおっしゃいましたから、本腰でやってもらいたい。
 次に、一方単価は多いけれども、労働者から見ますると開就というのはまたこれは非常に不安定な雇用なんです。第一、身分が不安定です。しかも十カ月予算、雇用対策で、しかも労働省が組んでおる予算に十カ月しか予算を組んでないのですよ、大臣、人間十カ月で食えぬわけですよ。十カ月しか予算が組んでない。そうして公共事業があるじゃないか、公共事業なんかは公共事業独自に仕事がありますから、公共事業といっても二カ月という公共事業ないですよ。開就の余りが来ればおれのほうに二カ月だけ働かそうなんという事業主はおりませんよ。そんな不安定な事業はできませんよ。ですから、結局十カ月しか予算を組んでいない。しかも実際はどうかといいますと、十カ月じゃないです。実際は希望者が多いものですから、七、八カ月になっておる。あとの残りをどうしておるかというと、残りは失業保険をもらっておるわけです。私は、失業保険会計も金が余っておるからというて、何でも失業保険でやっておけば、とにかく生きておるのだからというものの考え方はけしからぬと思う。大体ほんとうは、ここへ来るような人は失業者だろうから、失業保険もいいじゃないかという。しかも失業保険は御存じのように、労働省も出しておるのですよ。ですから、失業保険会計が豊かだから、そういうものは十カ月予算を組んで、実際は七、八カ月働かして、あとは失業保険でやれ、こういう労働省の考え方ですよ。
 大体国の予算で、しかも労働省が出す予算で十カ月の予算ってありますか。あなたのほうは通年雇用というのをいま叫んでおるでしょう。林野の労働者も通年雇用をしてもらわなければならぬ。港湾も大体通年雇用でいくべきだ、いま港湾労働法が出ているわけです。それなのに、みずからやる仕事が十カ月予算という、そういう考え方はあり得ないでしょう。これは桑原さんに聞いても、知っておってやっておるのですから聞きませんけれども、大臣どうですか、これはこんな矛盾があるのですよ。労働省が出しておる予算で十カ月で食えという…−・。
#42
○桑原政府委員 これは先ほどの単価と同じようなお答えになると思いますけれども、やはり事業の性格が違うのではないかと思います。
#43
○多賀谷委員 どうして。
#44
○桑原政府委員 つまり、先ほど申し上げましたように、緊就とか失対というものは、就労保障というのが大前提になっております。開就事業のほうは合理化離職者じゃなくて、いろいろな山がつぶれることによって関係してくる失業者に対して対策を立てる。その場合に、一番やはり基本的なことは、そこの地域に雇用機会を造成しよう、できるだけ早くそこに雇用場をつくり出そう、こういうところに論点があるものですから、そういった意味で、できるだけそこに集中的に公共事業とあわせて大量の事業を起こして、できるだけそこに開発をしていく、こういう趣旨があると思うのです。したがって、十カ月予算でいいと言っているのではなくて、たくさん他の公共事業があるわけでございますから、そういうのと組み合わせて、そうしてそこに発生する失業者に臨時的な雇用の機会を与えていこう、こういう趣旨でございます。したがって、私どもは、開就事業はたまたま十カ月でございますけれども、公共事業と組み合わせて、いろいろとそういう臨時の雇用機会をつくっていく努力をいたしておるというような状況でございます。
#45
○多賀谷委員 組み合わすということは、実際問題として不可能でしょう。二カ月の公共事業はほとんどありませんよ。公共事業をやる業者は公共事業として雇用者を集めておるわけでしょう。そんなにうまくいくわけがないのですよ。そこがこれはお役所仕事というのか、知っておってやらないのか、とにかく十カ月雇用であるためにどういうことが大臣、起こっておるかというと、いま期末手当をもらわぬような労働者はないでしょう。どうですか、大臣。ほとんど労働者は期末手当をもらっておるでしょう。大臣、どうですか。
#46
○加藤国務大臣 これは緊就のほうの目的と開就の目的とは違いますので、なかなかいま御指摘のように十カ月とか、そういう問題、いろいろ不合理の点があります。前段の緊就のほうは私大いに自信とは申しませんが、何とかもう少しこれは上げなくちゃならぬという決意も持っておるのであります。開就の問題については、議論もいろいろ省内でいたしたのでありますが、なかなか困難ないろいろな事情も多賀谷委員はもう御承知と思いますが、多少これはいろいろの点で不合理な点もありますが、困難な点もありますけれども、御趣旨の点をよく検討いたします。ほんとうに心の中から……。
#47
○多賀谷委員 ぼくは日本の雇用政策からいっても、労働省が十カ月予算を組むというのは許されぬと思うのです。困難な事情なんか全然ない、十カ月で操作をしようとするから困難なんですよ。
 たとえば、期末手当を私はぜひやりたい。いま日本の労働者で、日雇いであっても、常にそこに行って期末手当の出ない労働者がありますか。期末手当というのはボーナスじゃないのですよ、正月が過ごせないのですよ、ですから、期末手当をやるのがあたりまえでしょう。手ぬぐい一本しかやっていない。こんな雇用なら使わぬほうがいいですよ、率直に言うと。こんないいかげんな雇用対策はないですよ。通産省が産業政策でやるなら別ですよ。いやしくも労働省が石炭予算から取って就労事業として銘打ってやって、こんな不安定雇用を増大したというのはけしからぬ話だ。しかも、十カ月予算の不安定雇用でしょう。期末手当ももらえない。一体こんな不安定雇用を造成するためにやったのか。一体労働省は何のために労働政策や雇用政策をやっておる。こんな不安な労働者をつくり出すこと自体が間違いじゃないですか。ただ仕事をしておればいいというものじゃないですよ、人間は。こんな不安な労働者を出した。それはそうじゃなくて、産業政策としてそこに立地の整備をするために宅地造成が必要だ、工場団地が必要だというなら、産炭地事業団がやればいいのです。わざわざ労働省がやるというならば、雇用でしょう。それならば通年雇用があたりまえです。これはいいかげんな行政ですよ、まさに。それは通年雇用でやるべきですよ。自分で十カ月予算を組んでおるなんて、もってのほかだ。
#48
○桑原政府委員 開就事業は、先ほどから申しますように、産炭地に雇用事業をつくり出そうということで始めるわけでございますから、あくまでもそこにおられる方は失業者なんです。失業者に一番望ましいことは、できるだけ早く通常の安定した雇用についていただくことが基本だと思うのです。しかし、それが必ずしも直ちにできないので、他の公共事業と組み合わせながらできるだけ常用雇用をつくっていく、こういう応急的な措置だというふうに私どもは理解しております。
#49
○多賀谷委員 応急的な措置でもいいのですけれども、これは一回発足したら、経済ですからずっとやってもらいたい。途中でやめないでもらいたい。しかし、やる以上はなま殺しのように十カ月予算なんて労働省が組む、そのセンスが問題だと思うのです。これはひとつぜひ通年雇用にしてもらいたい。もう一回大臣、努力してください。
#50
○加藤国務大臣 御指摘の点は私もよく――多賀谷議員のおっしゃるいろいろな点、また政府のほうから委員に対して答弁した、とりあえず応急の公共事業とあわせてやる。緊就と違って、これは就労のほうが五分で公共事業のほうが五分。だいぶ緊就と違って、こちらのほうを重く見たという関係で、永久に就職するという、応急対策の点で、夏期手当とか年末手当とかいろいろなものを出しておらないということも聞いておりますが、これはいまのお話を聞いても一つの不合理の点もありますので、来年度の問題に対しましては十分御趣旨を考えて検討します。
#51
○多賀谷委員 次に例の期末手当ですが、緊就の期末手当はどういう方法で出しておるのですか。
#52
○桑原政府委員 一応経緯がございまして、失対就労者と同じような額を同じ率で出しております。(多賀谷委員「財源は」と呼ぶ)財源は報奨金という形で、石炭特会で予算を組んで出しております。
#53
○多賀谷委員 単価の中へ入っておるのですか。
#54
○桑原政府委員 単価に含まれております。
#55
○多賀谷委員 そして単価をリザーブして出しておるわけでしょう。
#56
○桑原政府委員 そうでございます。
#57
○多賀谷委員 そうすると、大体開就もその単価の中に入っておるわけですね、労務費の単価の中に。そうすると開就の場合は、それは十カ月なら十カ月入っておるわけです、一人についていえば。それが払われぬというのはどういうわけですか。それは業者が取っておるのですか、だれが取っておるのですか。
#58
○桑原政府委員 そういう仕組みをしてないことが一つと、また先ほどから申し上げますように、開就事業は公共事業的な性格を強く持っておりますので、労使の話し合いできめる、こういう私どもは方針でおります。
#59
○多賀谷委員 公共事業も期末手当を出しておりますよ。公共事業は業者が出しておる、ところが開就は出してない。ところがこれはおかしなことに、緊就の業者のほうは同じ単価を払っておるでしょう、日々の労賃は。しかしあなたが組んでおる予算の労務費は大体同じですよ。そうすると、現実は開就の業者というのは、期末手当分だけをリザーブされるから、直接業者に入っておるわけですよ。そうすると、業者は期末手当を払わないから、その期末手当分だけは業者のふところに入っておる、こういうことになるでしょう。
#60
○桑原政府委員 単価全体を私ども見ておるわけでございますから、開就についてはその賃金は労使交渉できめていただきますし、設計につきましても単価に見合った設計を組んでもらっておるわけでございますから、労務費自身についてどうこう私どもは指示いたしておりません。したがって、ふところに入るとか入らぬとかいう問題は、私どもは関知しておらないのです。
#61
○多賀谷委員 頭がいい部長ですから、わかるでしょう。私が言うのは、結局労務費というのは、大体同じように緊就も開就も組んでおるわけでしょう。そうすると緊就のほうは期末手当分だけを余分に初めから渡さないで徴収しておるわけです。ところが開就のほうの業者には、労務費としてその分も一括して同じように出しておるわけですから、入っておる、入ってないは別として、結局労務費、期末手当が払われぬ分だけいっておるわけです。遠藤さんは首をかしげておるけれども、言うことがあったら言ってごらんなさい。それは私が言うのが間違いであったら、だれでもいいですよ。
#62
○桑原政府委員 結局最終的には、事業の性格の差になると思うんです。緊就事業というのは、先生も御承知のように炭鉱離職者臨時措置法で始まった制度でございますし、求職手帳制度ができない前の一つの就労対策として始めたわけです。したがって通年的に、しかも生活保障の観点から、いろいろの面を配慮しておるわけです。開就事業のほうは、あくまでも公共事業という形で一般の他の公共事業と同じように、仕組みとしては賃金その他すべて労使で話し合ってきめていただく、こういった事業の性格からきておると私どもは思います。
#63
○多賀谷委員 それは要するに緊就の期末手当分の金額は、とにかく一日分について考えれば入っておるということですね。単価は変わらないんだから、労務費は。そう考えていいんでしょう、はっきり答弁してください。
#64
○桑原政府委員 緊就についてはその労務事業費単価の中に入っている、こういうふうな考え方でございます。
#65
○多賀谷委員 次から次へと逃げられますけれども、結局どう考えても、しろうとが考えても、労務費は大体三省協定で同じように払うというのでしょう。しかも事業単価の中に労務費とするならば同じで見る。そうすると、結局リザーブをする緊就の場合はいわゆる賃金分だけしかいかない。ところが開就の場合は、それを含めて支払われておると考えていいんじゃないか、こういう論議です。そこで逃げてもだめなんですよ、あなた。福祉国家だとか人間尊重だというのに、いまごろ労働者を使って期末手当一銭も払わぬなんて、しかもそんなことを逃げてどうするんですか、労働省は。期末手当を払う――いままでだって単価の中に入れておるはずだ、なぜ指導しないのですか。ほんとうにあなたのほうは何のための行政を、どっちを向いてやっておるんだ。
#66
○桑原政府委員 いろいろな考え方があると思いますけれども、私どもいままでの事業吸収方式による失業対策、これについて、失対事業を含めまして非常に長いいろいろな体験をしてきたわけであります。そして期末手当その他を含めていろいろなそういう形でやることは、結果的にはやはり就職に結びつかないという非常にとうとい経験をいたしております。したがって、そういうようなことも含めて、やはり事業のあり方については十分考えなければならぬと思います。
#67
○多賀谷委員 わかりました。期末手当をやると再就職がむずかしいから期末手当をやらないんだ、つづめて言うとこういうことですよね。そういう情勢が許されますか、大臣。ほんとうにこの人たちは普通、盆、正月、ことに年末が越せない人が多いのですよ。そういう場合に、一般失対に行けば期末手当がくる、緊就に行けばくる、開就に行っておる人だけはこないのですよ。ですから、期末手当をやらないことによって再就職を促進しようなんで、そういう役人的な根性が大体間違っているよ。さかさになっているよ。
#68
○桑原政府委員 いろいろと議論は分かれますけれども、失業者として一番大事なことは、できるだけ職業訓練その他を受けて就職するということが大事であります。事業に二百何十日べったりそこに働くということは、結局就職に結びつかないという問題があります。そういった基本的な問題を含んでおるという意味において、この事業のあり方というものについては、やはり慎重な配慮をしなければならぬと私は思います。
#69
○多賀谷委員 通年雇用と一緒に、大臣、働いておる間だけは期末手当を出してやってください。どうですか。
#70
○加藤国務大臣 この問題も、実はこの間うちから御内でよく議論いたしたのでありますが、これを歳々と出すとなると、全部の公共事業の方々にも出さなければならぬという、こういうような理論が、この問題と別にいろいろな波及するところも相当ありますので、いま省内でいろいろ検討いたしまして、私といたしましても、いま多賀谷議員からおっしゃったような点もこれは問題もあると思いますので、これは何とかひとつ代案を出して、御趣旨のような点に沿うような方向でよく検討してみます。
#71
○多賀谷委員 業者に出させたらどうですか。リザーブせぬで業者に出させたらいい。少なくともそれくらいは言えるでしょう。
#72
○加藤国務大臣 労使が話し合って当然業者が出すという場合、これは問題がないのであります。国が出すという点に対していままで関係局長、部長もいろいろ懸念いたしておるのでありますから、業者の場合には、これは労使がよく話し合って出したって、当然労働省は押えるという気持ちはありません。
#73
○多賀谷委員 ですから業者に出すように指導したらどうですか。
#74
○桑原政府委員 先ほどから申し上げますように、事業の性格というものが一般的な公共事業でございますから、労使で話し合いをしていただく分については、私どもは大臣から申しましたように干渉する筋合いでございませんが、国が積極的にそれを指導するという筋合いではございません。
#75
○多賀谷委員 一つは、これは部長はいままで課長時代からいろいろな点で参画しておりますから、いまから変更ができないかもしれません。ひとつ大臣、構想を新たにしてぜひお願いをしたい、こういうように思います。
 次に、時間がありませんから、最近の問題を一点だけ聞きたいと思います。
 山野、漆生、平山と筑豊三山が閉山になった。そこでいま一番困っているのは、職業訓練所に入りたくても満員なんですよ。率直に言いますと、日本列島改造論で土地が高くなって、これでは都会地に就職してもとても一生家を持つことは不可能であろう、こう、いま炭鉱離職者は考えておる。そこで、幸いいままでおった社宅を会社が払い下げてくれるならば、ひとつそれを払い下げてもらって永遠の住居にしたい、こういう気持ちです。いま五十の人でも、他に転職をしてそして就職してみたところで十年。そうすると十年後には家がない。だから少なくとも、いますぐ家が安く払い下げてもらえるなら、ぜひそこに住まいとして永遠におりたいという気持ちで一ぱいです。ですから、平山にしても山野にしても漆生の今度の閉山にしても、大部分の人が移動しないと見ていいわけです。私は若い人にはどんどん移動をすることをすすめますよ。けれども現実問題として、住宅事情というものでなかなか他に移動できない。そこで職業訓練に行きたいということですが、職業訓練所がとにかく満員で入所できそうにない。ここに例の訓練手当、少なくとも失業保険のあるうちに行きたいという。ところが失業保険を延長してもらっても最大一年でしょう。そうすると、三月三十一日ないし三月三十日にやめている人は、とても来年の三月までは訓練所に入れない、四月に入ったら失業保険が切れる、こういう問題が一つある。これは一体どういうようにされようとしておるのか。みんな訓練所に行きたいというけれども満員だということです。
#76
○遠藤(政)政府委員 山野、漆生鉱の閉山に伴います離職者の中で、訓練を受けたいという希望者のアンケートをとった数字がございます。この希望者が、現在までわかっておりますのが千五十名でございます。それに対しまして、福岡県下の比較的もよりの、この人たちが入所できる訓練校の現在までの余裕状況でございますが、これは九百三十九ございます。確かに、訓練希望者の数よりも訓練校の受け入れワクのほうが若干下回っております。
 従来の福岡県下の炭鉱離職者の訓練の状況につきましては、おおむね受け入れば全部可能でございまして、いままでは少なくとも、訓練校の受け入れワクがないために訓練が受けられないというような実態はございません。今回の山野、漆生鉱につきましては、いま申し上げましたようなことで、訓練希望者のほうが受け入れのワクを上回っておりますけれども、この点については、それぞれの訓練希望者につきまして、その希望に応じてこの訓練校の受け入れを終わった後、なおオーバーする者につきましては、委託訓練なりあるいは臨時に訓練の施設を増設するなり、そういったことでその希望者が訓練を受けられないような事態の起こらないように、十全の処置をいたすつもりでおります。
#77
○多賀谷委員 それはいつから訓練を受けられるのですか。
#78
○遠藤(政)政府委員 確かに多賀谷先生御指摘のように、訓練校の入校の時期が四月であるということで、たとえば三月三十一日に離山した人は、来年まで一年の失業保険の延長期間が過ぎる、こういう御指摘だろうと思いますが、私どものほうでは、こういった訓練校の入校希望者につきましては、年一回ということでなく年二回あるいは必要に応じては年三回、四回、随時入校させるような措置をとらせるようにいま手配いたしております。特に、この訓練校以外に委託訓練等につきましては、外部の訓練施設を持ったところに委託をいたしますので、そういうものにつきましては、必ずしもそういった入校時期を特定するということでなくて、希望者の状況に応じて訓練の受け入れをいたすようにいたしたいと思います。
#79
○多賀谷委員 じゃ一年以内にはみんな訓練所には入所できるのですか。
#80
○遠藤(政)政府委員 年間通じていつでもというわけにはまいりませんけれども、いままで北海道の例も、年二回は入校さしております。今回のようなこういう特殊な状況の場合には、もう少し運用の面で弾力的に入校措置をとるようにいたしたいと考えております。
#81
○多賀谷委員 私が聞いているのは、一体九百三十九名という収容人員は今後一年間に入所できる数ですか、それとも来年の四月をこえての話も入っておるのですかということです。
#82
○遠藤(政)政府委員 ことしの四月と十月の入校可能数でございます。
#83
○多賀谷委員 そんなに収容できるのですか。どこまでいくのですか。大体どこの訓練所までいけばそのくらいあるのですか。
#84
○遠藤(政)政府委員 直方、飯塚、福岡、田川、添田、戸畑でございます。それから総合訓練所飯塚、それから香春の婦人センター、八幡の総合訓練校、小倉の総合訓練校、以上でございます。
#85
○多賀谷委員 これは時間が来ましたから、また別の機会に集中的に質問をしたいと思いますが、要するに、失業保険のある間に入りたいということ、それから数だけ合わしてもだめなんですね。自分の適職ですね、それがどれだけあるか。本来トータルで合わしたって何にもならぬですよ。しかし、それは次に残しておきたいと思います。いろいろ質問したいのですけれども、一応これで終わらして別の機会に質問したい、かように思います。
#86
○田代委員長 渡辺惣蔵君。
#87
○渡辺(惣)委員 いま多賀谷君や塚田君等から御質問がありましたように、炭鉱離職者の数はますます膨張の一途をたどっております。昭和三十六年に六百二十二の炭鉱があったのが、四十七年の暮れには全国で五十六しかない。炭鉱の労働者の数は、同年度で二十四万三千五百三十四人であったのが、いまでは三万四千三百八人しかいない、こういう状況であります。ところが反面、三十五年には石炭の一人当たりの生産能率が十八トンであったものが、いまや六三・四トンにふえておるという状況であります。山が激減し、労働者の数が激減しておりながら、労働者の労働密度が非常に濃くなって、労働強化がきびしくなり、そして生産が機械化によって合理化によって、高められておるという状況にあります。しかも炭鉱の労働者は山奥に生活して、そして素朴な生活、単純な労働生活の中で、最低の生活を営んでおる状況であります。それでもなおかつ、至上命令で山の生産を守り抜いてきておるのですが、おりからいま春闘のまっただ中にあります。労働大臣も、総評の議長と総理大臣を会談させると大いに政治力を発揮しておるようでありますが、このような全国の労働階級の状況の中で、いまの炭鉱労働者が、その生活に値する賃金を取得しておるのかどうか。
 たとえば、今度の春闘を通して炭鉱の労働者の賃金がどうなるのか。政府は、山を維持し、炭鉱の労働者の生活を高めるために、企業に一度でも勧告したことがあるかどうか。また、期末手当が他の企業に比してわずかに一万円前後のような手当の中で炭鉱を守れといっても、生活を守れといっても、守るに値する生活が与えられておるかどうか。この点について、労働者の生活に対して、労働大臣として責任のある所見を承っておきたいと思います。
#88
○加藤国務大臣 御指摘の点は、私も御趣旨の線と同様の感も抱いておるのであります。炭鉱の業績が不振になったということが最大の原因でありますが、他産業と比較対照いたしまして、必ずしもいいとは思いません。いろいろな関係においても恵まれておられない。ほんとうに炭鉱に従事したその愛着があって、大いに日本の産業に貢献しながら、報いられない点も多々あると私は思います。
 賃金の問題は労使の関係で決定すべきもので、私のほうからこの程度こうしようというような指示はできませんが、通歴省と連絡をとりまして、従来からもそれに対して何とか考えるということは再三通告は出しました。連絡はいたしましたけれども、今後とも、いま渡辺議員からおっしゃったような線について十分通産省を督励いたしまして、できるだけ他産業とあまり大きな差が生じないようなことを苦しい中でもやるべきだ、私はこういう趣旨でありますので、なお一そう善処いたす所存でおります。
#89
○渡辺(惣)委員 特に、労働大臣の一段の努力、決意を要望する次第であります。
 いま九州の多賀谷君から、九州その他の非常に重大な問題についての発言がございました。北海道に住み、炭鉱地帯に多くの仲間と一緒に居住して日常生活を見ておる私にとりましては、いまの九州の話は、身につまされてつらい思いをするわけであります。
 最近、九州の総なだれ閉山に対しまして、今度は北海道がまさにその危機一髪の状況に置かれております。ここ一、二年の間に住友の歌志内、奔別等が閉山になりまして、天下に名だたる住友炭鉱というのは赤平炭鉱一山になってしまいました。そして三菱美唄が閉山をしたあと、先ほど塚田君の発言のような三菱大夕張が閉山をしますと、三菱自身も南大夕張一山になってしまうという危機が目の前に迫っておるのであります。ことに、ここわずか三月の間に、一月には石狩炭鉱が閉山になりました。三月には赤間炭鉱が閉山になりました。三月には美唄の三美炭鉱が閉山になりました。いずれも一カ月ごとに一山ずつ閉山になっておるわけです。そしていま炭鉱の閉山の危機に迫られておるといわれておりますのが夕張の三菱の大夕張炭鉱、これは千六百名ぐらいの鉱員を擁しておる大手の山であります。また北炭の平和炭鉱も千名近い山でありますが、これも一年以内に閉山をされる。夕張の北炭新鉱開発に吸収統一されて、事実上閉山になるという運命が迫っておるわけであります。そうしますと、九州の筑豊炭田の場合と違いまして平原地帯でないし、道路、交通網もよくない、陸の孤島のような、石炭があればこそ人間が住みつきそこで働く、労働生活が営まれたという特殊な地帯が北海道の石炭産業構造の特徴をなしておるわけです。ことに大夕張などは陸の孤島もいいところで、道路も、最近ここ数年間ようやく道路が舗装されましたが、従来私鉄一本で数十キロの山奥に炭鉱があるわけです。戦前は労働者が逃亡することを防止するために道路をわざとつくらなかったという歴史を持っておるいわくつきの山です。そのような状態の山がもし一たん閉山いたしますと、完全なゴーストタウンになってしまう、目に見える悲惨な姿が予想されるわけであります。そういうような状況の中で、北海道における閉山の問題、それから炭鉱労働者の再就職の問題、残された荒廃した地帯の産炭地振興対策というものは、直ちに社会問題を形成する要素、条件を十二分に具備し過ぎておるわけです。でありますから、このような地帯では労働者が居つきません。事前に対策を講じなければ居つかないわけであります。
 先般のこの委員会でも申し上げたのでありますが、夕張市長のごときは、一年後に平和炭鉱の閉山を予想して、やがてスラム化するであろう地帯の先行処置のために、再開発手段をいまから講じさせてほしいという要望書が出てくるような深刻な始末であります。政府は、全部つぶれてしまって労働者が散らばる過程で初めてみこしを上げる、既成事実が存在しない限りうんと言わない、つぶれてしまってどうしようもなくなるとようやく動き出す。それでもなおかつ、繁るところスラム化して動いておらないというのが状況であります。だから、炭鉱の労働者は炭鉱に二度と行こうとしないのです。
 このごろ炭鉱の閉山の状況を見ていますと、労働省の諸君は主簿庁ですから特段注意深く見ておられると思いますが、いままでは、一つの山が閉山するとか縮小するというのは命がけの抵抗があったわけです。三井三池をはじめ、至るところにわれわれはその姿を体験してまいりました。今度は一カ月ごとにいとも簡単に閉山が行なわれる。何であるか。必ずしも終掘の山だけの現象ではない。もう石炭がなくなったんだという、労使ともに納得し、通産省も納得し縁る段階にきて、閉山もやむなしということで撤退が行なわれておるのではないんじゃないのか。一つは、労働者が閉山のにおいがするともうそこに居つこうとはしない。労働者も、退職手当を幾らでも要求してたくさん増額すれば山なんかやめてしまおう。山を守ろうという気魄が失われてきておるということが、月に一ぺんずつ安易に山が閉山されている姿ではないのか。いま多くの労働者がこの高度経済成長の中で、都市化の中で、山の奥でまつ黒になって命がけになって、命も保障されないような状況の中で、何で働かなければならないのかという疑問は、家族も本人も周辺の者も、同様に抱く疑問ではなかろうか。だから、まさに労務倒産です。残る山も労務倒産必至の状況に置かれておるということを厳格に反省していただきたいと思うのであります。
 一つの例として申し上げるのですが、これはごく最近、二月末日に閉山を宣言しました北炭赤間炭鉱の例であります。四月四日付で現地のレポートとして私の手元に届きました。四月四日現在であります。赤平市の赤間炭鉱であります。北炭空知炭鉱の直営の山であります。この山は、人数が総員五百十八名であります。五百十八名の人間のうちで、歌志内に親会社の空知炭鉱の空知鉱業所というのがありますが、その空知鉱業所に行くことを承認した労働者はたった四十人しかいない。四十人ですよ。五百十八名のうち四十人だけが四月四日付で同一資本の本社の山へ移ることを承認した。そのほかに、住友の赤平とか三井の芦別とか、北炭幌内あるいは真谷地、清水沢等の山、五つの山へ行く者が総員七十九名というわずかな数です。そのほかの大部分の者は道内一般とか道外に就職をしたい、職業訓練所に行きたいという者が百五十四名という状態。どこに行こうか、どこに就職しようか、あるいは高年齢で該当しないという状況の人が戸惑っておる、生活の主体を確保できないで悩み抜いておる者が現に三百二十五名おるというのです。合わせて五百十八名であります。
 こういう状況は、この山の状況だけではないのです。山での生活はすでに親子何代にわたっておりますから、人情も厚いし、公害もないし、交通事故もないし、住みよい人間社会を形成しておるのですが、なおかつ、炭鉱を捨て去ろうという人々が非常に多いということを見落としてはならない。どこかに問題があるということを痛切に感ずるのであります。
 このうち、特にここで問題にしたいのは、いま多賀谷君が質問をいたしました職業訓練所、職訓の問題であります。この職訓に、ここは地元は滝川職訓のはずでありますが、二十九名の数字が職訓に入りたいということです。超満員で収容できないというのであります。いま承りますと、四月一日から入所させるけれども、年二回入所させるとか委託入所をさせるとかいう答弁がありましたが、この一つの山で二十九名も職訓を受けよう、新しい人生をスタートしよう、こういう気持ちが出てきておりますのに、もしこれが大夕張であるとか平和であるとか、数千名の山が崩壊した場合は職訓は処置なしですね。立地的な条件からいきましてもどうしようもなくなると思うのです。そのときもあなた方の対策は、そういう社会的事態が発生し、社会問題化してから措置をする、事前予防措置を講ずる、事前の一つの展望を持って政策、措置を講ずるということは何らなされていない。やむを得ない事態が、既成事実が生まれてから措置するということでございますから、対象になる労働者の生活は非常に荒廃するわけであります。
 そこで、問題の処置として、職安のほうは建物が足らないと言いますが、委託の訓練所というのはどういうのか実態がわかりませんが、閉山の山には建物が余り過ぎているんですね。閉山をする山は建物には不足しないですよ。思い切ってこの際それを分室にして、そこにいながらにして訓練を受けられるような道がないのかどうか。たとえば、赤間は赤平市の市長自身がそれを要請しております。そうすれば、大量閉山の場合、閉山の企業の建物を利用して、そこへ講師を出張させ、施設を送って、そこで居住のままで訓練を受けられるような、そういう移動訓練所もしくは現場訓練所の分室を設けて、拡大していくというそういう臨時措置はできないのかどうか。その場合でも役所の人件費が足りないとか、あるいは講師の派遣がめんどうだとか、資材費がどうだとかいう逃げ口上があると思いますが、逃げ口上は許されない現実にぶつけられてきておるいまの状況の中で、都市周辺でなければ、通わなければ職業訓練に行かれないという状況を克服するために、そういう措置を講じられ得るように、特に労働大臣の明快な判断、答弁を要求するものであります。
#90
○遠藤(政)政府委員 渡辺先生先ほど御指摘の、赤間鉱の離職者のうち訓練を希望しておる方がいらっしゃいます。現在までに、四月から訓練校で訓練を受けている方が五十二名、そのほか自動車の運転免許等の訓練を外部で受けている人が二十名でございます。そのほかに訓練希望者がございませんので、希望者は全員訓練を受けておる状況でございます。
 そこで、従来もいろいろ閉山がございまして、訓練受講者につきまして訓練を実施してまいりましたが、今後出てまいります、たとえばいま御設例になりました大夕張等がもし閉山するようなことになりますと、確かに地域的にも偏在しておりますし、訓練を受けようという希望者につきましては、正規の訓練校、訓練施設で訓練をすることが望ましいことはもちろんでございますけれども、実際問題としまして、ただいまお話しのように、訓練校まで行って訓練を受けていただくということにはなかなかまいらない場合がたくさんございます。従来もこういう場合に、大型閉山等で訓練希望者が多い場合には、正規の訓練校以外に、山の施設を借りまして、そこに臨時の訓練施設をつくりまして、そこで訓練を受けていただくというような措置もとってまいりましたし、今後、さような過去のいろいろな実績と経験を十分活用いたしまして、こういった閉山に伴う大量離職者に対する職業訓練を十分実施してまいるようにと考えておりまして、予算や人員が足りないという逃げ口上を申し上げるつもりはさらさらございません。
#91
○渡辺(惣)委員 時間がないのでもう少し進めたいと思いますが、残念ですが、いまの答弁、大臣もお聞き取りでありますから、十分にやるということに期待をするものであります。
 そこで、炭鉱離職者の再就職の問題ですが、北海道で炭鉱の労働組合や企業側、役所等共同でつくっております社団法人北海道炭鉱離職者雇用援護協会という組織がございまして、ここでは再就職者の生活実態について詳細な調査をいたしておりますが、労働省はこの資料、炭鉱離職者再就職生活実態調査総括資料、昭和四十七年十一月三十日付の文書をお持ちになり、検討していらっしゃいますかどうですか、承ります。
#92
○桑原政府委員 北海道炭鉱離職者雇用援護協会で生活実態調査をおやりになったことを承知いたしております。資料も入手いたしまして、いろいろと検討いたしております。
#93
○渡辺(惣)委員 この資料、時間がないために、こまかな点を申し上げる時間がありませんが、炭鉱労働者の再就職をした大体千八百名の人々、おもに札幌地域を中心とした中小企業に就職する人たちや、現に失業しておる人々等を雇用促進事業団のアパートにたずねたり、就職先を訪問したりして調査をした千八百名の人々の集約が出ておるものでありますが、大体この人々の給与、炭鉱以外の地帯に流動して就職した人々の給与の平均は、家族三人で四十歳の年齢で四万九千五百円である。そうしてこの人々が毎月二十六・四時間の残業をすることによって、残業手当その他の手当を含めて、総所得が月に六万五千七百円であるとこの調査資料は示しております。労働大臣は、本俸が四万九千五百円、そうして一カ月二十六・四時間の残業でようやく六万五千七百円の給料をもらっておるという、この離職後における労働者の生活が妥当であるとお思いかどうか、ひとつ答弁を願いたいと思います。
#94
○桑原政府委員 この調査は北海道内で就職された方の数字でございます。私どもも、この数字だけではなくて、札幌安定所等にいろいろ照会してみますと、やはり五万円から六万円というのが大体の相場になっております。道外の大阪とか東京あたりになりますと、私どものデータでは七万円が大体平均になっております。多少そういった地域差があります。
#95
○渡辺(惣)委員 妥当であるかどうかを聞いているんです。地域差を聞いているんじゃないんです。食っていけるかどうかを聞いているんです。
#96
○桑原政府委員 その職種が違ったりなんかしてございますし、家族の世帯人員等もございますので、なかなか一がいに比較できませんが、炭鉱離職者が従前取っておられた賃金と比べますと、非常に低いなという感じを持っております。
#97
○渡辺(惣)委員 それですから、問題は、再離職をするわけなんです。このような就職をしたが食べていけない。就職先の七〇%までは労働組合もない。労働大臣は労働組合のないほうがいいと思っているかもしれませんが、今日、労働組合があってこそ労働者の生活を守り抜いていける。労働者の利害に関して発言する母体もない。言いなりほうだいである。それが七〇%を上回っているという状況にあります。したがって生活に値しない。生活のあらゆる努力をしても生きていけないという状況から、必然的にその職場を捨てる。再失業になる。そうしてだんだん行くえ不明になってその所在が把握できなくなり、次から次と転々として職業を変えていかざるを得ない、こういう状況になっておるのでありまして、ひとつ労働省もこの辺で、これはたまさか北海道の炭鉱離職者援護協会の諸君があらゆる努力をした自主的な調査でありますが、ひとつ政府自身も九州、北海道を含めた広範な、いままで数十万にわたる炭鉱離職者の就職先あるいは離職その他の追跡調査をされて、そのいかにみじめな生活破壊の行為が行なわれているかということの実態調査をしていただきたい、特にそれを要望するものであります。
 時間がございませんので、最後に一言申し上げたいのでありますが、まだ再就職あるいは再失業、再々就職という状況を持っている人は中高年齢層までの人たちであります。若手の将来の展望を持ち、人生を切り開いていこうとする人々は職訓に入るでしょう。そして、将来もう炭鉱の労働生活から新しい技術習得をやる条件を持たない中高年齢の人は、再び炭鉱に残ったりあるいは他に行っておる。しかし炭鉱で閉山になって、そして炭鉱で五十五の定年の時期を迎えた人々には、再雇用される場所がありません。しかも高年齢になるほど、若手の夫婦が上京しましたりして、独立の生活をしますからますます核家族化して、この地区にはかつての筑豊で見るようなスラム街が構成され、そして核家族から捨てられたお年寄りが停滞をして、三笠、歌志内、美唄等でも数百名にわたっておる状況が出てきております。
 それで、実は閉山地帯の三笠市では、市長をはじめ炭鉱離職、炭鉱関係者の有志がおもしろい構想を立てて、私のところに相談に参り、北海道庁も調査費をつけてその計画を援助するということになった一つの問題があるわけです。いわば従来の産炭地振興というのは、それは企業誘致をする条件を築く、企業誘致をするということ一本やりで、企業本位のいわゆる産炭地振興政策であったわけです。ところがいま三笠で計画され検討されておりますのは、老人部落をつくろう、炭鉱の離職者、離職して山から捨てられ、子供たちから見放されて山へ停滞しておるお年寄りたちに生活の希望を持たせ、夢を持たせ、そして生活の安定をきせていくような道を、社会福祉事業的計画の中でひとつ道を切り開こう。三笠市の奥地に住友炭鉱の閉山になったあと地が、奔別炭鉱のあと地があります。そこには堂々たる鉄筋の住宅ビルが二百むね以上が残存しております。人間が十分住める、東京にもないような住宅ですが、そういう住居がいわゆる鉱業財団組成にほうり込まれて、借金の抵当になっていたり、あるいは建物が政府から借りた金を返してないから使用できないのですね。もしそういうものが使用できれば、そこへ年寄りを収容し設備を整えれば、その六、七十ヘクタールある地帯に夢のある農場をつくったり、あるいは豚を飼ったり、鶏を飼ったり、花を栽培したり、年寄りの人々が楽しみながらそこで生活の道を切り開いていくような一つの方向をとりたい。いままでの産炭地振興法からちょっと違った一つの問題が提起されておるのです。
 そうしますと、相談を受けたわれわれ困りますのは、いわゆる産炭地振興という従来の図式の中にもない。厚生省の社会福祉法人事業にも該当する、厚生省に一番かかわりがある。しかし、六十五歳以上でなければ厚生省のほうは取り合ってくれないかもしれない、五十五歳から六十五歳までのところは労働省のつながりを持ってくる、普通の労働力ですからね、そういう人々をも収容して老人村をささえていく起動力にしたい。そういうような問題について、私も初めての提案でありますから、そのまま、素材のままぶつけるわけです。まだ未完成であります。市と道が検討しておる最中でありますから……。そういうような新しい一つの老人に対する福祉対策から再雇用対策、生産対策、生活対策を一挙に解決しようというねらいを持ったそういう問題が各地で今後起こってまいると思いますから、あらためてこの機会に通産省と労働省、ひとつ人間のことですから労働省が中心になって、通産省及び厚生省と話し合いをして、そういうことが具体的になってきた暁には、御協力をいただきたいことをあらかじめひとつお願いを申し上げまして、私の質問を終わるわけです。大臣、ひとつ一言答弁を願います。
#98
○加藤国務大臣 いまのお話、新しい構想で、卓越した御意見で、これはなかなか考えてもいいと私思います。これはどこの所管かということにつきましても問題があると思いますが、一応何といったって会社にも責任だし、道、通産省、私の省と厚生省、これはよく渡辺議員と御相談して、何とかしてこれは理想だけでなしに、これがうまく定着するように、うまくいくように、ひとつ大いに御意見を生かした方向で検討して、これはもうおじょうず言うのではなく、これはなかなかいい案と思います。よく検討いたしたいと思います。
#99
○田代委員長 諫山博君。
#100
○諫山委員 私は福岡県で生まれ、福岡県で育ちました。二十年近い間、炭労の顧問弁護士をつとめてきたし、全日自労の法律顧問の仕事もしてきました。福岡県の炭鉱地帯については、この二十年間の移り変わりを手にとるように見てきたつもりであります。私は炭鉱に行くたびに、三池争議のころ出版された土門拳氏の「筑豊のこどもたち」という写真集を思い起こします。土門拳氏は、閉山あとの炭鉱労働者の貧しさを冷厳なカメラで写し回ったわけでありますが、その中に「弁当を持ってこない子」というタイトルで、小学生が昼休みの時間友だちは弁当を食べているのに、炭鉱労働者のむすこが弁当を持たないばかりに、漫画の本をにらみながらじっとがまんしているというような写真があります。そして土門拳氏はこの本のあとで、筑豊に行くと、人々が暴動を起こさないのをふしぎに思うとさえ書いております。この炭鉱地帯のみじめさというのは、現在でもほとんどなくなっておりません。私はこれを見るたびに、炭鉱労働者をここまで追いやったアメリカと日本の大企業、とりわけ石油資本及び自民党政府の責任に憤りを覚えざるを得ないのであります。そしていまでは、かつての炭鉱王国であった福岡県は、全国でも一番失業者の多いところ、貧困者の多いところになっております。こういう状態になった最大の原因は炭鉱の閉山だ、炭鉱のつめあとだというふうに私は理解しております。この点労働大臣はどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
#101
○桑原政府委員 産炭地の失業者が非常に多いとか、あるいは生活保護者が多いということでいろいろな問題をかかえているということは、確かにやはり炭鉱閉山が一つの大きな原因になっていると思います。
#102
○諫山委員 現在でも産炭地域が失業者の一番多いところ、貧困者の一番多いところだということは否定できないと思います。これは炭鉱閉山のつめあとがいまなお残っておる証拠だというふうに理解しているのですが、いかがでしょうか。
#103
○桑原政府委員 いろいろな産炭地域振興その他の手を加えて、産炭地もようやく明るさを取り戻していると私はいま思っております。しかし、なおかつまだ相当数の失業者あるいはその他いろいろな問題をかかえている方がいらっしゃるということも否定できません。
#104
○諫山委員 私は代表的な炭鉱地帯である福岡県について質問しました。しかし、この間の事情はたとえば佐賀県、長崎県、山口県、さらに北海道の炭鉱地帯でも同じだと思います。こういう地域が全国の中でも失業者が多いところ、貧困者が多いところ、さらに生活保護者が密集しているところだということを労働省としてはお認めになるのかどうか。また、これも炭鉱閉山のつめあとがいまなお残っている証拠だと思いますが、いかがでしょうか。
#105
○桑原政府委員 私どもも全国的ないろいろな失業の指数とか、あるいは厚生省からいただきました生活保護の指数等を見ますと、なおまだそういう、滝炭地だけではございませんけれども、産炭地は、一般的に他の地域よりもそういった指数が商いという意味において、炭鉱の閉山の問題がなお鬼を引いているということは否定できないと思います。
#106
○諫山委員 今度はぜひ労働大臣にお答え願いたいと思います。
 炭鉱離職者に対するいろいろな政策というのは、私はいま指摘したような現実の認識から出発しなければならないと思います。産炭地域で失業者が多い、貧困者が多いというのは、本人がなまけたからではありません。本人が無能力だったからでもありません。本人の責めに帰すべき理由は全くないと思います。政府のエネルギー政策によって失業させられた、貧困に追い込まれた、これが実情であります。この現実の認識がなかったら、炭鉱離職者に対する正しい対策は生まれてこないと思います。いわば炭鉱閉山のつめあとがいまなお残っている、このことが炭鉱離職者に対するあらゆる政策の出発点でなければならないと思います。労働大臣いかが御理解でしょうか。
#107
○加藤国務大臣 政府の責任というよりは、これは、世界のエネルギーの推移が石炭から石油に転換した。やはりいろいろそのときどきの情勢でエネルギーの資源が変転いたしておるのでありまして、政府の責任だと、こうきめつけられますと、ないとも言えぬしあるとも言えぬというような、なかなか微妙な点もあると思いますが、御指摘のような見地を考えて、十分離職者に対しましては、これが対策を講ずるのが当然だと思います。
#108
○諫山委員 労働大臣は政府を構成している一員ですから、さすがに政府の責任だとは言われませんでした。しかし、貧困者の責任でない、失業者自身の責任でないということはお認めになられるんじゃないかと思います。このことが炭鉱離職者に対するあらゆる政策の土台とならなければならないと思いますが、この点はいかがでしょうか。
#109
○加藤国務大臣 九州なり、長崎県、佐賀なり一時は炭鉱関係が黄金時代もありましたが、自分の愛着を感ずる炭鉱をひとつ守りたい。ところがとうとうたる時の推移によって、ほんとうに犠牲的な立場に追い込まれた離職者に対しましては、これは衷心から政府も国民も全体が同情すべき立場にあることはもう理の当然で、御本人の悪かったためにさような状況になったということでないことは、これは十分私も認識いたしております。
#110
○諫山委員 この基本的な問題で、私と労働大臣の意見が一致したということを私は歓迎します。
 そうしてこの立場に立って離職者対策を考える場合に、同時に、憲法二十五条で規定している健康で文化的な最低限度の生活を炭鉱離職者にも保障するということが、もう一つの土台でなければならないと思いますが、この点はいかがでしょうか。これは労働大臣からお聞きしたいと思います。技術的な問題ではありませんから。
#111
○桑原政府委員 当然労働対策については、憲法の精神をくみながら進めてまいります。
#112
○諫山委員 そこでいま問題になっている緊就事業についてお聞きします。
 福岡県の実情を見てみますと、自治体が次々に緊就事業を存続してもらいたい、延長してもらいたいという決議をしております。これは重大な事実です。いまの不安定な雇用の実情の中で緊就が地域で果たしている大きな役割りを考えてみると、保守的な自治体でさえ、大義名分としては緊就存続を決議せざるを得ないというのがいまの福岡県の実情です。もちろん、これは福岡県だけではありません。たとえば熊本県にある荒尾市、ここでは市議会が緊就を延長すべきだということを決議しました。そして、荒尾市と組合の代表が政府に要請に行きたい、その費用は市の予算を組むようにという動議さえ市議会で採決をしております。こうしてたくさんの炭鉱離職者をかかえている自治体が、緊就事業の存続、継続を希望しているということは、労働省としては御承知なのかどうか、またこういう動きに対してどういう考えを持っておられるか、労働大臣どうぞ。――労働大臣が答えられようとしておりますから、労働大臣の答弁を聞きたいと思います。
#113
○桑原政府委員 いまの御質問の点でございますけれども、お話のように、地方自治体あるいは関係のいろいろな方から御陳情を受けております。
#114
○加藤国務大臣 この問題は前回の委員会でもお聞きされまして、当然延長すべき方向で、労働省としてはその方向でいきますが、まだ関係の大蔵省とか、そういう方面のいろいろ閣議の関係その他で、最終的な結論が出ておりませんので、大臣から必ずやるのだということは申し上げかねる点もありますが、やはりその方向の御要望のような線に沿って、労働省としては対処したいという決意は持っております。
 ただ遺憾ながら、いろいろな手続も完了いたしておりませんので、このときにおいて必ずやるのだとか、そういうことはさまったとか、そうだというような責任的なことばの御返事は申し上げられませんが、労働省としては、その趣旨に沿ったような方向でいきたい所存でおります。
#115
○諫山委員 労働大臣から前向きの答弁があったことも私は歓迎します。
 そこで、緊就の存続について、地方自治体が非常な関心を示しているだけではなくて、そこで働いている労働者もぜひこれを残してもらいたいという希望を持っていることも申し上げたいと思います。
 たとえば、全日自労田川分会緊就対策部というのが、ことしの三月十四日全員で田川市との交渉を行ないました。そして事業の存続を要求しております。それに対して田川市は、要求はよくわかる、要求実現に努力したいという答えをしたそうです。またことしの三月十七日から十八日にかけて、福岡市で全日自労福岡県支部の婦人活動者会議が開かれました。全県から百二十名の活動者が集まって、緊就事業の延長をめぐって真剣な討議をしております。満場一致で緊就事業を延長してもらいたいという要請をすることをきめたということが「じかたび」という全日自労の機関紙の中で報道されております。こうして、地方自治体だけではなくて、そこで働いている労働者もこの存続を非常に希望しているということは、労働省のほうに御理解いただけているかどうか、お聞きしたいと思います。
#116
○桑原政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、この継続につきまして御面会をいたし、いろいろ陳情を受けて、その趣旨も聞いております。先ほど大臣申し上げましたように、相当の数の方はまだ働いている現実がございますので、そういった点を十分私どもも踏まえて、検討していかなければならないというふうに思っております。
#117
○諫山委員 緊就の存続に努力するという立場を公言されたことを私喜ぶわけですが、しかし、現在の緊就制度はいろいろまだ不十分さ、問題がないわけではありません。たとえば、緊就を存続してもらいたいという決議をしている地方自治体でも、一面ではそういう意思を表明しながら、一面では深刻な悩みを述べていることも事実です。中には、大義名分としては緊就事業をぜひ残してもらいたいということを決議しながら、内心では幾らかもてあましているんじゃなかろうかということさえ感じられる自治体が現にあります。それは、いまの緊就制度がたくさんの不十分さを持っているからです。たとえば事業費の単価が非常に安い、事業種目が限られている、事業個所も制限されている、そのために必要な工事が十分やれない、勢い超過負担をせざるを得ないというような深刻な問題が発生しております。この点は多賀谷委員からも質問されたとおりでありますが、地方自治体がこういう悩みをかかえているという点は、もちろん御存じだと思いますが、いかがでしょうか。
#118
○桑原政府委員 私どもは、事業主体の市町村長の方としょっちゅうお会いをいたしております。特に御要望の点は、事業費の単価を上げてほしいというのが一つでございます。もう一つは、いまお話しのような事業種目が多少弾力性がないという点も御陳情をいただいております。
#119
○諫山委員 せっかく労働者も存続を希望している緊就、自治体もこれを歓迎している緊就、これが一方では自治体の負担になっているということも現実の姿です。ほんとうに労働者に健康で文化的な最低限度の生活を保障するという立場で、この問題を運用していこうとするなら、また、全日自労が長い間スローガンとして掲げている地域住民に役に立つ失対事業というようなことを現実的なものにするためにも、この点は抜本的に改めるべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
#120
○桑原政府委員 単価の問題につきましては、先ほど多賀谷委員のほうからの御質問につきまして、大臣のほうから御答弁がありましたように、今後とも単価の引き上げについては努力をいたしてまいりたい、こう思います。事業種目についても、いろいろ私どもも事業費単価との関係で陳情を受けておりますので、もう少し弾力的な運用ができるように、技術的な検討を加えていきたい、こういうふうに思っております。
#121
○諫山委員 事業種目の問題で、現実にどういうことになっているかといいますと、たとえば緊就労働者が住宅団地の整地作業をする場合がしばしばあります。住宅団地の整地の作業をする以上は、当然これに関連しましていろいろな必要な作業も出てきます。たとえば道路工事も必要、側溝もつくらなければならない、用水池も必要だ。しかし、いまの事業単価では、単純な整地作業程度の金しか見ていないというふうに理解されます。ですから、事業単価のワク内で仕事をしようとすれば、どうしても不十分になるわけです。ほんとうに役に立つものをつくり上げようとすれば、この単価のワクの外で、地方自治体自身が本来なら出す必要がない金を負担しなければならないというような実情であることは御承知だと思います。ここに、地方自治体としては、ぜひ緊就を存続させてもらいたいけれども、やはり同時に、この悩みを解決してくれという要求が起こるわけです。そこで、桑原さんから前向きに検討したいという答弁がなされましたが、具体的にどういう方法で前向きに処理しようとしておられるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#122
○桑原政府委員 緊就事業の設計につきましては、私ども現地に担当官を置きまして、その事業設計について十分御相談に乗るわけでございますが、現在いろいろやっております基準というものがありまして、その点が、事業主体の施工についていろいろ御不便をかけているという声も聞きますので、そういった面で私ども十分検討をしてまいりたいと思います。
 それからもう一つは、だんだん就労者がお年をとられてまいりまして、必ずしも非常に高度な事業ができないというような事業主体も出てまいっております。そういった意味で、もう少し事業種目の幅も広げてまいりたい、こういった意味で申し上げておるわけでございます。
#123
○諫山委員 事業費単価の問題でもう一つ指摘しなければならないのは、最近のたいへんな物価騰貴であります。セメントが高くなる、木材が高くなる、鉄材も高くなる、ありとあらゆる資材が急速に値上がりしたわけです。このことは当然、実際工事をする場合の経費に影響してくると思います。この問題は、労働省としてどういうふうに考慮されるつもりか、お聞きしたいと思います。
#124
○桑原政府委員 緊就の事業費単価は、資材費が幾ら、労務が幾らというふうに分けておりません。そういったことで、全体の中でやっていくわけでございますが、予算もきまりましたので、やはり予算の中で御処理いただくということになろうかと思います。もちろん、そういった面での事業費単価に見合うような事業の設計等についても、できるだけ技術的な指導をしていきたい、こういうふうに思います。
#125
○諫山委員 資材についての高騰が、いまでさえ事業費が少な過ぎるという問題に深刻な影響を与えてくることは避けられないと思います。もうすでに予算がきまってしまったという立場で答弁がなされたようですが、いまの物価高がストップし、むしろ物価が下がるというようなことになれば、あまり問題は出てこないでしょうが、どうもいまの政府のやり方から見ると、もっと上がってくるんじゃないかという気がしてなりません。この点は何か対策を考えておられるのかどうか、いかがでしょうか。
#126
○桑原政府委員 公共事業全般の問題でございますから、その面については今後関係省とも相談しながら、技術的な検討を加えなければならないと思いますけれども、現段階においては、予算の範囲内で事業設計をお出しいただいて、今後相談をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
#127
○諫山委員 今度は開就の問題についてお聞きします。
 開就というのもいまでは産炭地で定着した感じがあります。なくてはならない存在になっているわけです。私はこのたび質問するにあたりまして、開就労働者の九〇%をかかえている福岡県に実情の調査に行きました。そして、全日自労福岡県支部の組合役員からいろいろ実情を聞いてきました。そのときに、全日自労福岡県支部の本間三郎組織部長が次のような話をしております。
 福岡県宗像郡の玄海町に開就の仕事があります。ここは開就のワクは二十五名だそうです。就労日数は現実には年間六カ月といわれております。昨年は、玄海町の開就労働者が町役場建設予定地の整地作業をしています。昨年十二月に本間組織部長が玄海町長に会ったときに、町長は、開就労働者の仕事ぶりに非常に感心していたそうです。よくこれだけの仕事をやってくれたと言って喜んでいたそうです。そしていまは、開就のワクが二十五名しかないけれども、ワクを広げるなら直ちに六十名にも八十名にもなるだろうと言っているそうです。玄海町はいま神湊の駐車場の作業をやる計画を立てていますが、これもぜひ開就でやってもらいたいと言っているそうです。こうして開就というのが非常に感謝されているわけですが、しかし、町長さんは手放しで開就のあり方をほめているんじゃないそうです。玄海のような貧しい町で、町民のための仕事をしようとすると、勢い開就にたよらざるを得ない、これが現実だそうです。そして町民も開就の仕事ぶりに感謝している。しかし最大の悩みは事業費の単価が安いことだ。あたりまえの仕事をしようとすると、どうしても町が金を手助けせざるを得ない。事業費臓価を実情に見合うようにもっと上げることができないか、これが全日自労福岡県支部の本間組織部長に対する町長さんの真剣な訴えだそうであります。
 緊就について事業費単価のことを聞きましたが、開就にもやはりこういう点があるということを労働省としては認識しておられるのかどうか、またこの問題をどう解決しようとしておられるのかお聞きしたいと思います。
#128
○桑原政府委員 開就事業の事業費単価につき議しては、緊就等から比べますと、私どもは手当がいっておるというふうに考えております。もちろん毎年毎年それで満足するわけでございませんで、引き上げる努力もいたしますけれども、四十八年度の事業費単価六千二百円というのは、まあまあいいんではないかというふうに私は考えております。
#129
○諫山委員 開就は緊就よりかいいはずだと言われましたが、この開就についても事業費単価の問題が非常に大きな自治体の負担になっている。この事実を労働省はぜひ認識しなければならないと思います。あまりにも悪過ぎる緊就の事業費単価と比べていいじゃないかといって満足したのでは、前向きの解決になりません。開就でさえ、こういう深刻な問題が出ているんだということの事実認識から出発してもらいたいと思うわけです。
 そこで、開就に対して労働者がどういう見方をしているかということですが、これは開就の制度が発足した当時のことを振り返るとよくわかります。もっとも、労働省は開就の制度ということばを使うことをきらうそうですが、やはり現に開就というのがあります。この開就が始まった当時のことを振り返りますと、全日自労が中心になりまして、開就で働きたいという労働者を組織したことがあります。そのときには、たちどころに八千名からの人が集まっております。現実には、この中で就労できたのは三千二百名だけです。しかし開就への希望が依然として労働者の中にも多いということは、さっきの玄海町の例を見ても明らかだと思います。全日自労福岡県支部の文書を見ますと、開就希望者が常時千数百名ぐらい滞留しているというふうに聞いております。たくさんの労働者が開就に入りたがっているのだということを、労働省としては認識されているのかどうか、お聞きしたいと思います。
#130
○桑原政府委員 私どもは、事業設計の段階でいろいろと地方自治体と接触いたすわけでございますが、各自治体の段階で、その実態を踏まえて設計を組んで、事業計画を組んできていただいております。そういった意味で、私どもは大量の方が開就に入りたいということは聞いておりません。
#131
○諫山委員 聞いておられないとすれば、ぜひ事実認識を新たにしてもらいたいと思います。もっと勉強し調査していただきたいと思います。ただ、開就への希望者が非常に多いというのは、開就という制度がりっぱだからではありません。この点ははっきりしなければならないと思います。労働者のあこがれの的になっているというのではないのです。それでは、それほどりっぱな制度でない開就になぜ労働者が入りたがっているかというと、深刻な失業あるいは半失業の実態からきているわけです。産炭地地域で、いまなお完全失業あるいは半失業の労働者が非常に多いということは労働省もお認めのとおりです。そういう中で安定した雇用の場がきわめて限られております。そこで、欠陥に満ちた制度ではありますが、開就への希望者が多いというのが現実です。開就への希望者が多いそうだからということで、労働省が喜んでいただける状態でないことだけは認識していただきたいと思います。
 そこで、開就のやり方にどういう欠陥があるのかということを私たちは明らかにしたいと思います。この点は、多賀谷委員がいま詳細に質問されましたからあまり深入りはしません。やはり何といっても問題なのは雇用が安定してないということです。身分の保証がないということです。就労日数にしても十カ月しか働かせない。実際は玄海町の場合には六カ月ぐらいしか働いていない。これは多賀谷委員も指摘されたように、労働者をばかにしたやり方です。健康で文化的な、最低限度の生活を保障するという立場には立っていないと思います。夏、冬の手当も出さないというやり方もひどいものです。日本の全般的な常識からいって、こういう問題は直ちに改めなければならないと思っております。
 この問題で私が特に質問したいのは、就労日数を十カ月以上に延ばすとすれば再就職の意欲が少なくなるのだ、夏、冬の手当を払えば、やはり同じように再就職の努力をしなくなるだろうというような労働省の言い方についてです。なぜ十二カ月働かす、あるいはきわめてささいな夏、冬の手当を払うというだけの事実で、再就職の意欲をそぐのではないかと労働省は認識されるのか、その点少し御説明願いたいと思います。
#132
○桑原政府委員 私どもは、雇用政策と申しますか、失業対策というものは、やはり職業相談なり職業訓練を受ける機会を十分に与えるというような仕組みの中において、失業対策が進められるべきだというように基本的には考えております。そういったことで、事業吸収というものもその地域に非常に多数の失業者がおられるので、そういった原則的なこととあわせて補完的にやっていきたいという考え方を基本的に持っております。したがって、あくまでも私どもはそういう失業者が、その事業は十カ月ですけれども、その事業十カ月だけで生活できるというふうに言っているわけではございませんで、他のいろいろの事業、公害事業とか公共事業その他組み合わせて、できるだけ就労事業は確保できるように努力してまいりますけれども、その仕組みそのものは、そういう雇用、失業対策というものの基本的なものと十分調整しながら仕組みを考えるべきではないか、こういうふうに思います。したがって、そういった事業そのものも、就労日数なり期末手当等の考え方も、できるだけその事業に固定をしないで、一般的な雇用の場につけるような、そういった機会を十分御本人が選択できるような形にしていくことが望ましい、こういうふうに存じておるわけであります。
#133
○諫山委員 緊就なり開就で働いている労働者の賃金が日本の一般的な労働者の賃金水準から見たら非常に低い、また、雇用の安定という点から見てもきわめて安いという点は、労働省はお認めになっているのでしょうか。
#134
○桑原政府委員 私どもは緊就、開就の賃金のきめ方は、特に労働省で幾らと失対賃金みたいに縛るというようなきめ方をいたしておりませんで、労使間できめるというたてまえになっております。その場合に、先生も御承知と思いますけれども三省協定というものがございまして、労務費の標準単価というようなものが事業主体に示されるようでございますが、そういうものを基準としてきめられておるようでございます。私ども一応承知しておりますのは、一般的な屋外職種の賃金等から見て、特に低いというふうには考えておりません。
#135
○諫山委員 日本の労働者の賃金が諸外国に比べて非常に安いということは、今度の円ドル問題をめぐる予算委員会なんかの論争を通じても非常に明らかになりました。労働大臣にぜひ御認識いただきたいと思います。
 一九七〇年の経済白書に出ている数字ですが、牛乳一本買うのにどのくらいの時間働かなければならないかという統計があります。アメリカは一分でいいそうです。イギリスや西ドイツは二分、日本は六分です。電気冷蔵庫一台買うのにどのくらい働いているのか。アメリカは十日で買える。イギリスは十一日。西ドイツは五日。日本は三十四日です。これは賃金水準を六万四千円と見た場合の諸外国との比較です。私たちは労働者の賃金を論ずる場合に、やはりこういう冷厳な事実から出発しなければならないと思います。たとえば、地域の労働者に比べてどういう状態になっておるのかというような近視眼的な見方だけをすると、たいへんな誤りをおかすわけです。
 そこで緊就、開就の問題に戻りますが、緊就、開就という制度が非常に欠陥を持ちながらも、そこに入りたがっている労働者が多いというのは、炭鉱閉山後の失業者、貧困者の状態がどのくらいみじめであるかということを反映している数字だと思います。そういう観点から、緊就について、私は次のような要求をぜひ実現してもらいたいと思っています。
 第一は、やはり年間の就労日数をふやすことです。いまのような中途はんぱなやり方は、どう考えても憲法二十五条にかなっているとは思われません。
 第二に、夏冬の手当を払わないというのも全く不当です。この点について全日自労などは、開就について、せめて失対、緊就並みの手当を払えという要求を掲げております。私から見るとささやか過ぎるくらいささやかな要求でありますが、これさえなかなか実現されないというのがいまの実情のようです。
 同時に第三番目に、こういう不十分さを持ちながらも、開就というのはいまの現実の中では一定の役割りを果たしている。ぜひこれは延長しなければならない。田中総理は福祉ということばが非常に好きなようですが、そういう立場から見ても、開就をずっと延長するというのは当然の措置だというふうに考えておりますが、この点については大臣の御答弁をお願いします。
#136
○桑原政府委員 一番、二番の問題については、先ほど多賀谷委員の御質問に対してお答え申し上げたことで御了解いただきたいと思います。
 三番目の延長の問題ですけれども、緊就事業は四十八年度末で終わる、こういうふうになっておりますが、開就事業については、特段閣議決定でいっ終わるというふうになっておりません。これは毎年予算で勝負する、こういう仕組みになっております。そういう意味で、特に延長という問題が現在議題にはなっておりません。
#137
○諫山委員 延長ということばが不適当だとするならば、存続というふうに言いかえてもいいと思います。これはぜひ存続すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#138
○加藤国務大臣 そういうことで対処したいと思います。
#139
○諫山委員 開就の問題でもう一つだけ聞きます。それは、同じ産炭地である北海道にこれが行なわれていないということです。北海道も炭鉱離職者が非常に多い。そしてきびしい生活をしいられているということは、さっきの北海道出身の委員の方の御指摘のとおりです。そして北海道の中では、開就への希望が非常に強いと聞いております。なぜ北海道でこの制度が実施されていないのか。また、真剣に実施するという方向で検討したことがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。
#140
○桑原政府委員 北海道に開就事業をなぜ起こさないのかという問題でありますけれども、過去に緊就事業の制度発足のときに、同じような問題があったようでございます。そのときにも、いろいろと北海道道庁なり労働省でも検討いたしたわけですけれども、いろいろな問題がありまして、緊就はやらないというようなことできております。
 一番の問題は、やはり北海道では積雪寒冷の関係で、一般の公共事業もできないわけですけれども、大体七カ月程度しかできないという問題が一つございます。それ以外の雪等が降らないところでは、たとえばいろいろ御批判いただきましたけれども、開就事業を十カ月といたしましても、他の公共事業とうまく組み合わせますと冬場できるわけですから、できるだけ通年雇用ができるようにいたしたい。もし万一できなくても、失業保険を組み合わせれば生活安定に寄与するということになりますけれども、北海道の場合は、他の公共事業もできなくなるということで、全く七カ月で終わってしまうということになる。そういった失業対策として十分な機能を果たせないというのが一つであります。
 それからまた、積雪寒冷地の関係で技術的に非常に問題が出てまいります。工事設計上の問題もありますし、工事単価の問題もございます。そういうようなことでやっていないわけでございますけれども、北海道道庁その他においても技術的には検討があるようでございますけれども、私どもは、いまのところ積極的なそういった御意見は聞いておりません。
#141
○諫山委員 北海道でも九州、山口などと同じような深刻な失業状態があるわけです。そして、冬場でも開就の仕事がやれるような技術研究というのもいろいろなされていると聞いております。労働組合のほうでもそういう研究をしているようです。また十カ月という問題も、福岡県なんかを見ましても、必ずしも十カ月働いていないところがたくさんあるわけです。ほんとうにやる気で取り組めば、北海道における開就事業の発足ということもできないはずはないと思います。問題はやる方向で真剣に検討するのか、そういう立場をとらないのか、ここに分かれ道があると思いますが、将来、この問題を前向きで検討する意思はないのかどうかお聞きしたいと思います。
#142
○桑原政府委員 過去、緊就の問題も含めまして、北海道でこういった事業を興すということは、非常に技術的にも問題があるというふうに私ども考えております。もしできるとしても、失業対策上非常に問題があるというふうに考えております。
 もう一点は、北海道は福岡県の場合とちょっと違いまして、非常に奥地で、一山一村という形で閉山が行なわれますし、先ほど渡辺先生からお話しのようにゴーストタウンというものがありまして、必ずしも開発とうまく結びつくかという問題がございます。やはり基本的には、そういった山のほうから札幌その他の需要地におりてきてもらって、そしてほんとうに安定した職についてもらうというのがほんとうの対策の基本になるべきではないかと思います。その場合に、一番問題になりますのは住宅の問題でございます。北海道の福祉対策というのは、住宅を中心とした対策を組んでいくということで、そういうような基本姿勢で私どもは取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。
#143
○諫山委員 北海道の場合は閉山になったら山からおりてもらいたいというのでは、この問題は解決しないと思います。簡単におりられるならみんなおりてきます。ただ、現に炭鉱閉山のあとにたくさんの失業者、貧困者が残っているというような現実です。この点では、残念ながらまだ労働省が本気に取り組んでいないというふうに理解せざるを得ません。山からおりてくるというのも一つの方法かもしれませんが、おりられるのだったらとうの昔におりているはずです。おりられないからたくさんの失業者が残っておるという現実認識の上に立って、北海道の開就の問題をあらためて真剣に検討していただきたいと思います。これは要望として申し上げます。
 さらに緊就、開就を通じて、何といっても解決を迫られているのは、私は事業費単価の問題だと思いますから、もう一つこれに戻ります。この問題を論ずる場合にいつも出てくるのは石炭石油対策特別会計、いわゆる石炭勘定の使い道の問題であります。ここでは通産省と労働省との関係の問題ももちろん生まれてきます。この問題で私がどうしても触れなければならないと思っているのは、炭鉱離職者対策をやっかいものの事後処理だ、あるいはアフターケアだというふうに見るのは誤りだということであります。
 最近公害が深刻な社会問題、政治問題になっています。公害裁判の中では、わが国の裁判所では、公害防止をしないような企業、公害被害者に完全な救済措置をとらないような企業の運営というのは、認められないのだということをいっていると思います。公害を出さない、万一公害被害者を出したら企業が全責任をとる、これが当然の常識です。炭鉱離職者についても同じことがいえます。不幸な炭鉱離職者に対して万全の対策を講ずることなしに、石炭対策が終わりというようなことは絶対にいえません。そして炭鉱離職者対策が決して過去のものでないということは、いまなお炭鉱閉山が相次いでいるという事実を見ても明らかです。さっき北海道出身の方から、最近における北海道の炭鉱閉山の状況が指摘されました。九州においても昨年からことしにかけて、たとえば山野鉱の閉山、明治平山の閉山、あるいは第二豊州炭鉱の閉山、三菱高島炭艦の大合理化というような問題が出てきております。これは新しい炭鉱離職者を生み出しているというだけではありません。すでに数多く滞留している炭鉱離職者に対する、新しい予備軍のような役割りを果たすわけです。そういう立場から、石炭勘定の使い方そのものを抜本的に検討し直さなければならないと思います。この点については通産省もいろいろ考えがあると思いますが、いかがでしょうか。
#144
○佐伯政府委員 石炭対策につきましては、四十八年度はせんだって国会で御承認いただきましたが、昭和四十八年度から五十一年度までの四カ年間に四千七百億円ないし五千億円程度の財源を確保いたしまして、先生御指摘の炭鉱離職者対策を含めまして、炭鉱が生きられるように、少なくとも二千万トンを確保するという問題、それから滝炭地振興の問題、それから鉱害復旧の問題等を含めまして、その財源の確保をいたしまして総合的に石炭対策を進めてまいりたいというふうに存じております。
#145
○諫山委員 私の質問の冒頭で、炭鉱地帯における失業者、貧困者の発生というのがその人自身の責任ではないということを労働大臣もお認めになりました。それではこういう事態をつくり出した直接の責任は何かというと、アメリカの石油であるということはおそらく異論がないと思います。だとすると、石油資本の犠牲者である炭鉱離職者、炭鉱失業者に対して万全の措置をとるというのは理の当然だと思います。石炭石油特別会計の中から、もっとたくさんの金を離職者対策のためにつぎ込むべきではないかと私は考えるわけですが、この炭鉱離職者が発生した背景、原因との関係で通産省としては御意見はありませんか。
#146
○佐伯政府委員 石炭石油特別会計は大蔵省、通産省、労働省の共管でございまして、一次的には炭鉱離職者関係の仕事は労働省のほうで御所管なさっておるわけでございます。私のほうから、これが多いとか少ないというふうに申し上げる状態にございませんことを御了承いただきたいと思います。
#147
○諫山委員 それでは同じ問題について労働大臣に御説明願います。
#148
○加藤国務大臣 犠牲者の離職者に対しましては、当然石油石炭関係からこれは支出をいたしておるのでありますが、できるだけ離職者に対するいろいろの対策を十分やるべきは当然と思います。しかしいま通産省のほうから話があったように、やっぱり大蔵省、通産省、私どもと協議いたしまして、御趣旨に沿うように、全部沿うということもなかなかむずかしいのでありますが、なお一そう努力いたしますことを申し上げたいと思います。
#149
○諫山委員 緊就、開就の問題を中心に質問しましたが、この二つの問題について共通している労働省の考え方は、緊就、開就というのは、いまの実情から見てある程度存在はしかたないけれども、早くなくしたいやっかいものだというふうに理解しているのではないかと思われます。労働大臣は首を振られましたが、違いますか。そうでなければ私非常に幸いです。ただそういう考え方から、たとえば開就に夏、冬の手当を払わないとか、あるいは事業費単価も非常に安いということじゃなかろうかと思うのですが、そうでなかったら、ぜひ私のこの疑問にお答え願いたいと思います。
#150
○加藤国務大臣 前段の、どうもやっかい者扱いというようなおことばでありますが、さようなことはもう全然ありません。今後ともこれに対する改善すべき点は改善する。また金額の増加とかいろいろな問題、その他関係市町村と事業をどうするかというような改善の問題についても、当然今後とも十分配慮いたしまして対処いたしたい所存であります。
#151
○諫山委員 考えてみますと、緊就にしても開就にしても、奇妙な制度といえるかもしれません。しかし、こういう制度が残らなければならないという深刻な社会情勢、現実の事態があることは明白です。この点を労働省のほうでは十分認識していただいて、やはりこの人たちが健康で文化的な生活を営めるというような観点から、この問題を処理したいと思います。
 そこで、最後に、通産省に大夕張炭鉱の問題についてお聞きします。この問題については、かつて、北海道出身の多田委員が質問をしております。炭鉱の閉山というのは、石炭及び石油対策特別会計とも重大な関係があります。また、そこでの労働者や地域住民への影響というのも甚大です。その意味では、単なる一企業の倒産とは少し違うと思います。この問題について多田委員のほうから、大夕張炭鉱の閉山がうわさされているけれども、実情はどうなっているのかということをいろいろ質問したはずです。それに対して通産省としては、あまり明確な答弁はしておられません。どちらかというとそれは企業の問題だから、通産省とは関係ないというような立場をとられたのではないかと思います。しかし、最近の北海道新聞などの報道を見ますと、どうも閉山が既定の事実として論ぜられているのじゃなかろうかというふうに感ぜられます。私は多田委員にかわってこの点を質問したいのですが、こういうあり方というのは非常に不正常だと思います。石炭対策特別委員会の理事である多田さんが、深刻な事態を新聞で知らなければならないというような状態が許されていいのか。これでは何のための特別委員会かというふうにいわざるを得ません。この点について通産省はいかがですか。
#152
○佐伯政府委員 大夕張炭鉱につきましては、伝統のございます大きな炭鉱でございます。炭質もいい原料炭でございますので、過去から鋭意この炭鉱はいい炭を掘ってきたわけでございますが、もともとこの地帯、特に大夕張炭鉱地帯は断層、褶曲が多うございまして、その上にガスが多い等、保安上の問題もきわめて多いわけでございます。特に昨年の暮れごろから、予想しておりました大きな断層が、もっと遠くにあることを予想しておりましたが、坑道の掘さく、それからボーリング等によりまして、それが採炭区域にきわめて近いということが判明いたしたわけでございます。そういたしますと、採掘個所があまりないというふうな事態になってまいりました。鋭意他の地区をさがすべく努力をいたしておる最中でございまして、その間につきましては、炭鉱でも団体交渉等を通じまして労働組合ともずいぶん詰めておられるようでございますが、なかなかいいフィールドがないというのが実情のようでございまして、きわめてきびしい状態にあることは事実でございます。
#153
○諫山委員 その話は私はさっき聞きましたから、それを聞きたかったのではないのです。炭鉱が生き残るか、つぶれるかというような問題を、石炭対策特別委員会の理事である多田さんが新聞で知るというようなのは不当じゃないか、石炭対策特別委員会というのは、つぶれてしまった山のあと始末ではなくで、山がつぶれないように、いろいろ知恵を出すところではないのかという立場から、通産省がこの問題に対して、石炭対策委員会を軽視したのではなかろうかと私は理解するわけですが、その問題についてお聞きしているのです。いかがですか。
#154
○佐伯政府委員 石炭対策特別委員会は、常々石炭対策について前向きにやっていただいておりまして、そこを私たちが軽視するようなことは毛頭ございません。ただ、現状が……。
#155
○諫山委員 現状はわかりました。終わります。
#156
○田代委員長 松尾信人君。
#157
○松尾委員 この炭鉱の閉山、また合理化というものに即応いたしまして、常に問題になるのがそこの再就職であります。その中で比較的青年の働く場所は容易でもありましょうが、中高年齢層は非常にむずかしい。それで万やむを得ず失対に出たり、または生活保護にたよるというような実情でありますが、最近の炭鉱の離職者、その中でも特に中高年齢層の再就職の状況はどうか。そういうことをまず最初に聞いておきたいと思います。
#158
○桑原政府委員 四十七年四月から十二月まで、私ども一応統計を持っておりますけれども一その間に日鉄伊王島、中興福島、三菱美唄というような大きな閉山があったわけでございますけれども、炭鉱離職者の数が、合理化によって六千三百九十人の方が離職されております。この間、前年から繰り越されました五千七百六十人の方が、就職できずに残っておられる方を含んでおりますけれども、約一万二千百五十人という方が私どもの対策の対象になったわけであります。
  〔委員長退席、多賀谷委員長代理着席〕
この方たちについて、私どもとしては職業紹介とか職業相談とか職業訓練とか、いろいろな措置を講じてきたわけでございます。特に中高年齢の方につきましては、やはり特別に相談体制を組みまして、きめのこまかな対策を講じてまいりました。十二月現在の数字によりますと、安定所の紹介で五千四百四十人の方が就職されております。そのほか、会社あっせん等によって就職されました数などを合わせますと、七千三百八十人という方が一応対策済みになっております。したがって、現在残っておられる四千七百七十名という方が、現在要対策者として残っておられるわけでございますが、この方たちに対しては、手当を支給しながら定期的に就職指導等を進めております。なお、この四千七百七十名の方のうち、約七百名の方が職業訓練所に入って訓練を受けておられます。現在、炭鉱離職者の平均年齢は四十二歳以上になっておりますので、ほとんどすべての方が中高年齢者といっていいかと思います。そういった意味で、求人側に求人条件の緩和をしてもらうとかいろいろな手だてを講じて、特に中高年に中心を置いて対策を講じているようなわけでございます。
#159
○松尾委員 いま再就職の状況の説明がありましたが、四十六年度におきましても未就職の人が年度末に繰り越されておりますね。それから、やがてこれは四十七年度末におきましても明確な数字が出ると思うのです。このように年々就職のバランスがくずれておる。そして相当の人がいまだに就職できない、こういう状態ですね。これはどういうところからそうなるのか。これは未就職の残というものをもう少しなくなすように、そのような方向はどのように検討していらっしゃるか。
  〔多賀谷委員長代理退席、委員長着席〕
#160
○桑原政府委員 先ほど十二月末の要対策の残と申しますか、四千七百と申し上げましたが、四十六年度では期末求職者が五千七百六十人、四十七年度が七千九十人というわけで、特に最近悪くなっているわけではありません。特にまた今回の十二月の締めでは、明治平山等の三山の閉山という、最近新しい閉山が出てきておる関係もありまして、多少累積をいたしております。結果的には職業訓練その他をやってまいりますと、大体私どもは一年程度たてば、九割近くの方は御就職いただけるという自信を持って対策を講じているようなわけでございます。
#161
○松尾委員 それで特に中庸年齢層の方々は、いままでの生活の基盤というものがありますから、どうしても自分の生活の基盤なり自分の生活の地域内で働きたい、このような意向が非常に強いわけですね。そういうような当人たちの希望というものと、再就職の先々というものはどうか。地域に残られる方々が多いのか、それとも、やはり遠方まで行かなくちゃできないのか、そういうところの関連はいかがですか。
#162
○桑原政府委員 私ども全国的な統計では、県外就職が三割で県内就職は七割というふうに、最近はだんだん県内の就職者がふえております。ただ、日鉄伊王島とかそういうような離島におきましては、その地域に企業その他がございませんものですから、その比率はむしろ逆転をして、県外のほうが多いという実情にあります。
#163
○松尾委員 次には炭鉱従事者と他の一般産業、製造業との賃金の問題でありますけれども、これは通産省と労働大臣両方からお答え願いたい。
 何といってもこの青少年の人々の賃金をよくいたしませんと、だんだん老齢化していきまするし、そういう人々の賃金というものの格差をなくなしませんと、そういう意味において働こうという意欲の人がなくなってきまするし、詳しいことはきょうは時間の都合でもう申し上げません。しかし、男子成人労働者の賃金の格差というものがあるわけです。苦しい条件で働いている、そういうような中から非常に賃金が安い。こういうことは、いま二千万トンを何としても確保したい、それ以上努力する、こういう大きな要請が他方にございます。それに合わせてやっていこうというのが、今後三年間四年間の日本の石炭政策の基盤です。その基盤をやはりがっちり守るのは、この賃金の格差をなくさなくちゃいけないという問題になります。これはひとつ決意だけでけっこうでありますから、通産省が一言と、大臣から一言。
#164
○佐伯政府委員 先生の御承知のことになるかもしれませんが、まず炭鉱の力をつけることが一番大事だと思いますので、安定補給金とか坑道補助金の引き上げ等によりまして、炭鉱に力をつけていくことをまず第一番に考えております。
 それから福利厚生の面もなお充実をいたしたいと思いまして、炭鉱住宅等の改良等につきまして、近代化資金の制度を大幅に改善をいたしてまいりたい。
 それからやはり定着いたしますためには、保安の確保が大事だと思いますので、保安の確保についても一そうの改善をいたしていく、こういうことを通じて、先生おっしゃるような方向に向くようにいたしたいと思っております。
#165
○加藤国務大臣 先ほどお答えしたように必ずしも私、他産業に比べましていいと思いません。しかし賃金の問題は、これは労働行政の基本方針で、労使がよく話し合って、賃金を上げるとかいう問題をきめるのでありますが、しかし御指摘のような点もありますので、主務官庁の通産省とよく協議いたしまして、私のほうからこうというわけには、これはもう基本にも関しますので、よく通産省と連絡をとって、御趣旨に沿うような方向に対処いたしたいと思います。
#166
○松尾委員 これはしっかりやってもらわないと大問題であります。
 昨年長崎の柚木炭鉱が閉山になりました。そのときに、長崎県が柚木炭鉱というその山に職業訓練所の分校を開きました。これは若年の労働者とともに、中高年齢層の方々の技術の研修等をいろいろやったわけでありますけれども、これは非常に評判がよかった。それでやはり再就職の問題は円滑にしなければできない。そのためには、距離的に不便なところは、やはりそのように分校とかそういうものをこちらから積極的につくってやっていくということが非常に大事だと思うのですよ。
 それで、今後やはりそのような方策をとっていくつもりであるかどうか、そのような分校につきましては、だれがそのような経費を負担するのか、県にまかせるのか、国がちゃんと助成金を出してそれを育成強化しておるのかどうかという問題でありますが、あわせてお答えを願います。
#167
○遠藤(政)政府委員 昨年柚木と伊王島の両鉱の閉山に伴いまして、ただいま御指摘のとおり、柚木には分校を設置いたしました。それから伊王島のほうには臨時施設をつくりまして、訓練希望者の受け入れをいたしたわけでございます。先生お話しのように非常に好評でございまして、この両施設の訓練終了者は、ほとんど一〇〇%就職しているような状況でございます。
 炭鉱離職者の再就職を促進いたしますためには、やはり何と申しましても訓練を優先させることが必要でございますので、今後ともこういった炭鉱離職者の対策につきましては、必要な場合には、随時臨時施設あるいは分校を設置いたしまして、訓練を促進してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
 こういった臨時施設なり分校をつくります際の費用の負担でございますが、これは国から補助金を出しまして、県に施設をつくっていただいて運用する、こういうたてまえになっておりまして、今後ともそういう方針でやってまいりたいと脅えております。
#168
○松尾委員 補助金というのはどんな内容ですか。
#169
○遠藤(政)政府委員 国から三分の二の補助金を出して県で設置するわけでございます。
#170
○松尾委員 再就職の困難な方々があります。それはいろいろ身体障害者であるとか、または自分の夫が炭鉱で殉職した、そういう方々の未亡人、こういう方も何かの仕事をされておるわけでありますけれども、こういう方々につきまして、閉山になった、そうしてそういう人々の再就職というものをどのようにいままでやってきて、今後特にどのようにやっていこうと考えておるかということであります。
#171
○桑原政府委員 離職されます方の中では、特に身体障害者とか殉職者未亡人という人の再就職問題が非常に大きな問題になっています。特に災害が起こった山におきましては、その問題が深刻でございます。したがって、特にその方たちについては、私ども本省としてもこまかな指示をいたしておりますし、また本省からも職員を派遣いたしまして、直接指導いたしておるわけでございます。特に殉職未亡人等につきましては、やはり適職としては、地方公共団体の福祉施設等にお働きになるということが身分も安定しているし一番いいのではないかということで、積極的にそういった大都市のほうからそういう連絡求人をいただきましてやっております。たとえば名古屋民生局の老人ホーム等にお働きいただく、そういう実例も幾つか持っておりますが、あるいは民間会社の寮の管理人とか雑役等について、積極的にあっせんするというようなことも考えております。
 それから身体障害者の方につきましても、身体障害者雇用促進法というような法律も持っておりまして、炭鉱の援護だけではなくて、そういった他の対策とも総合的にやっております。先生御承知のように、雇用率の設定等もございますから、そういう問題を十分頭に置いてやっております。
 参考までに、日鉄伊王島の場合に、特に私どもこの問題が最近の事実でございましたので、手元に資料ございますけれども、この場合に身体障害者の方が二十八人いらっしゃいました。就職されました方が十六人、訓練校に入っておる方が四人、それから国に帰っている方がございまして、身障者の方は完全に御希望どおりに処理をいたしたわけであります。
 殉職未亡人の方は十七名おられまして、八名は就職されまして、訓練校に入っておられる方等いろいろと対策を講じまして、現在一人の方が問題が残っておられます。こういう方々については、またいろいろと御相談に乗っておるような次第でございまして、こういった就職対策の中では、特に問題のある方たちに対しては、さらにきめこまかな相談に乗ってもらっておる……。
#172
○松尾委員 未亡人のほうはだいじょうぶですか、残っていないですか。
#173
○桑原政府委員 日鉄伊王島の例で申し上げますと、先ほど申し上げましたようにお一人残っておりますので、その方についてせっかくまた援助をいたしたいと思っております。
#174
○松尾委員 これも問題になっておりますのですけれども、炭鉱離職者の緊急就労対策事業ですね、これが閣議決定で四十九年三月まで行なう、こういうことでありますけれども、その後どのように考えていますか。
#175
○桑原政府委員 これも各先生方から御質問を受けまして、大臣が答えましたとおりでございますが、現在緊就には三千名をこえる方が働いておられます。当該地域においていろいろ問題をかかえておりますので、今後大臣お答えいたしましたように、前向きに検討いたしてまいりたいと思います。
#176
○松尾委員 前向きということをはっきり言ってください。
#177
○加藤国務大臣 これは先ほどお答えいたしましたように、産炭地の今後の雇用関係の推移等を見まして、十分検討いたしまして、局長は前向きと言いましたが、労働省のほうは続いて存続するようにという考えでありますので、ただ、ここで責任を持って、閣議その他決定いたしておりませんので、ここで……。
#178
○松尾委員 やるつもりだとおっしゃればいいのですよ。
#179
○加藤国務大臣 そのとおりであります。
#180
○松尾委員 この雇用促進事業団の建設しました団地、全国のその団地の中にアパートがあります。これがみんな非常に二DKで狭い。友人が来ても話す場所もないし、地方から親戚が参りましても、せっかくたずねてきても泊まる場所もない、実情はこういうことであります。ところが、団地によりましては集会所というのが設置されております。これは会合等で使っていくわけでありますけれども、その集会所を使わない場合には、そういう人々の親戚だとか、そういう人々の宿泊に当てたらどうか、この希望、意見が非常に強い。どうされますか。
#181
○桑原政府委員 一応集会所については、先生御指摘のように三百戸以上の団地の宿舎についてはございます。これは、主として冠婚葬祭等、入居者の利便に供するために付属としてつくっているわけでございますけれども、御指摘のようにいろいろ面会等があって、場合によっては宿泊したいというような御希望も確かにございます。そういった点、集会所の一部を利用して何とかできないかというお話でございますが、いろいろその住宅の設計上の問題ございますけれども、十分そういった点を配慮して、今後検討してまいりたい、こういうふうに思います。
#182
○松尾委員 泊まらせてやったらいいじゃないかというのですよ。検討するとか、あいているのですから。人が来て困っていろから、せっかく、その場所に泊まる場所がないのです。そこには集会所としてあるのですから。
#183
○桑原政府委員 宿泊できるようにできるだけ努力いたしたいと思っております。
#184
○松尾委員 閉山の問題、非常に大事であります。閉山をなくしていこうということで、先般もここで非常に論議を尽くしたわけでありますけれども、心配なところが北海道にもまた出ておりまするし、長崎県といたしましても北松強粘結株式会社、これは何かちょっと心配なことを聞いたわけでありますけれども、最近のここの経営状況はどうか、簡単でけっこうであります。一瞥、どうですか。
#185
○佐伯政府委員 先生おっしゃいますのは本ヶ浦炭鉱だと思いますが、年間約九万三千トンくらい出炭いたしまして、そのうちの約半分が原料炭、半分が一般炭でございます。ここの経理状況は、私の承知している範囲では、安定補給金は原料炭については一トン当たり六百円、一般炭部分につきましては五百五十円トン当たり出ておりますが、あと坑道補助金等若干ございますと思いますが、それらの対策費を含めまして、若干の黒字で推移しておるというふうに思います。
#186
○松尾委員 そういうふうなものがあって、若干の黒字できているということが心配にたえないということがあります。ですから、やはりそういう懸念のあるところ、これが閉山してしまいますると、経済炭量の枯渇だということになって、一律にぱっと処分されてしまうわけでありますけれども、それをひとつ、政府としては補償していこうというわけでありますね。会社の行き詰まったところは、積極的に金を国が入れてでも、そこの新鉱の開発だとか、そこの閉山分でも六万トンとか九万トンとか十万トンというものが減っていくわけでありますから、それをなくなしていく、それをあわせて、今度はそのような点を考えた上の会社の指導、新鉱開発、どうせ政府がやらなければできなくなりますよ、新鉱の開発は。五千何百万トンのもう炭鉱の閉山による出炭の減でありますね。それは四十八年度も見込んである。続いてくる。石炭どうするのか。二千万トン、いろいろ問題がありますから、何としても政府が自分みずから開発主体となってやらなければならないような段階もくるだろうと思います。ですから、いまいろいろ問題になっているところは、そういう意味において、いままでの石炭政策を見直して、そして新鉱開発等には思い切った金を入れる。本予算で足りなければ予備金をうんと入れる。来年度は思い切ってそういう意味の予算を取る。そして二千万トンを二千五百万トンに持っていくのだ。これが千九百万とか千八百万だったら、それは自分たちの責任だというくらいの決意で少なくとも臨んでいきませんと、私は、じりじり、じりじり閉山が今後とも続くであろう、これを心配するのです。
 最後に、そのようなことをしっかりがんばる、あわせて、政府としても新鉱開発等は新たな意気込みでやるということをはっきり聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
#187
○佐伯政府委員 せっかく石炭対策をお願いしておりますものですから、それに沿いまして、鋭意炭鉱の健全な発展につとめてまいりたいと思います。また、新鉱開発の場所がございましたら、それらにつきましては積極的に援助をしてまいりたいと考えております。
#188
○田代委員長 ほかに質疑の申し出もありませんので、これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#189
○田代委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#190
○田代委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#191
○田代委員長 この際、本案に対し、田中六助君外四名より、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。多賀谷真稔君。
#192
○多賀谷委員 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
   炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、エネルギー資源の確保が国の内外で大きな問題となっている現状にかんがみ、わが国における貴重なエネルギー資源である国内炭について二、〇〇〇万トン以上の需要の確保に努めることにより炭鉱離職者の発生を防止するとともに、やむを得ず発生する炭鉱離職者等について、本法の施行にあたり、次の点について適切な措置を講ずべきである。
 一、炭鉱離職者は就職困難な中高年齢者が多いという実情にかんがみ、その再就職を促進するため既設の援護措置の一層の充実と制度の効果的な運用を図ること。
 一、炭鉱離職者緊急就労対策事業の予算単価を実情に即するよう引き上げについて努力すること。
 一、産炭地域開発就労事業の就労者の就労期間について改善を図ること。
 一、炭鉱離職者緊急就労対策事業の就労者の再就職の状況にかんがみ、同事業を昭和四十九年度以降も引き続いて実施すること。
 右決議する。
以上であります。
 案文の各項目の詳細につきましては、審査の経過を通じ、十分御理解いただけると存じますので、省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#193
○田代委員長 以上で趣旨説明は終わりました。
 本動議に対し、別に発言もありませんので、直ちに採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#194
○田代委員長 起立総員。よって、本動議のごとく附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議について、政府の所信を求めます。加藤労働大臣。
#195
○加藤国務大臣 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案につき、ただいま御可決をいただきましてありがとうございました。
 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましてはその御趣旨を十分尊重いたしまして、今後の炭鉱離職者対策の推進につとめてまいりたいと存じております。
    ―――――――――――――
#196
○田代委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#197
○田代委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#198
○田代委員長 この際、理事補欠選任の件についておはかりいたします。
 理事多田光雄君が本日委員を辞任されました結果、理事が一名欠員となっておりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#199
○田代委員長 御異議なしと認めます。それでは、委員長は、多田光雄君を理事に指名いたします。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後一時十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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