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1972/02/22 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
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1972/02/22 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第2号
昭和四十八年二月二十二日(木曜日)
    午前十一時十二分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 木野 晴夫君 理事 藤波 孝生君
   理事 藤本 孝雄君 理事 前田 正男君
   理事 粟山 ひで君 理事 嶋崎  譲君
   理事 原   茂君 理事 瀬崎 博義君
      稻葉  修君    梶山 静六君
      羽田  孜君    堂森 芳夫君
      山原健二郎君    近江巳記夫君
      北側 義一君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       伊藤宗一郎君
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁長官
        官房会計課長  高須 儼明君
        科学技術庁計画
        局長      長澤 榮一君
        科学技術庁研究
        調整局長    千葉  博君
        科学技術庁振興
        局長      田宮 茂文君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
    ―――――――――――――
委員の異動
一月二十六日
 辞任         補欠選任
  森山 欽司君     石原慎太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 最初に、新たに科学技術庁長官に就任されました前田国務大臣より、科学技術行政に関する所信を聴取いたします。前田国務大臣。
#3
○前田国務大臣 第七十一回国会にあたり、科学技術庁長官としての所信を述べさせていただきます。
 最近におけるわが国社会・経済の発展はまことに目ざましいものがあり、科学技術が、その原動力の一つであったことは、だれしもが否定できないところであります。科学技術の発展は、社会・経済の高度化の基本的条件であるとともに、未知の領域を開拓し、人類の夢を実現するための不可欠の要素であります。
 今日、経済の国際化、社会の高度化、情報化が急速に進展するとともに、環境問題の早急な解決など社会からの新たな要請が生じてきておりますが、このような情勢に対処し、豊かな社会を建設し、国民生活の充実をはかっていくためには、人間尊重の基本理念にのっとり、科学技術の一そうの振興をはかることが緊要であります。
 このような観点に立ちまして、私は、昭和四十八年度において、次のような施策を強力に推進してまいる所存でございます。
 第一は、科学技術振興基盤の強化であります。
 わが国の科学技術を総合的、計画的に推進するため、科学技術振興基本計画の策定を進めるとともに、研究公務員の処遇改善、国内、海外研修の充実をはかるなど研究環境整備のための施策を推進してまいる所存でございます。特に、研究環境の画期的な向上を目的として、昭和五十年度までに概成することを目途に筑波研究学園都市の建設が進められておりますが、科学技術庁といたしましては、所管研究機関の移転、建設を進めるとともに、共同利用施設として新たに研究交流センターの建設に着手するほか、科学技術に関する総合調整官庁としての立場から、理想的な研究環境が整備されるようその建設に力を尽くしてまいる所存でございます。さらに、国民の科学技術に対する正しい理解を得ることが、科学技術振興をはかる上で重要であることにかんがみ、科学技術全般にわたる普及啓発活動の一そう強力な推進をはかるほか、科学技術の望ましい適用をはかるため、テクノロジーアセスメントの手法の開発と科学技術政策への導入について検討を進めてまいる考えでございます。
 第二は、国民生活に密接に関連する科学技術の推進であります。
 環境・防災・医療問題など国民生活における諸問題の解決は現下の最重点政策課題の一つであり、これらの諸問題の抜本的、効果的な解決には、科学技術面からの寄与が不可欠であります。このため、ライフサイエンス、ソフトサイエンス、都市科学技術、防災科学技術、国土管理技術をはじめとする国民生活関連科学技術を一そう強力に推進する考えであります。特に、生命現象、生物機能を解明し、医療の充実、環境の保全などに資するとともに、今後の技術革新の芽となるものと期待されるライフサイエンスの振興に力を注いでまいりたいと考えております。
 第三は、原子力の開発利用の推進であります。
 近年における原子力発電、放射線利用の急速な実用化の進展、濃縮ウランをめぐる国際情勢の展開などにかんがみ、次の施策を重点的に推進する所存でございます。
 まず、動力炉の開発につきましては、昭和四十九年臨界を目標に高速増殖炉の実験炉の建設を、昭和五十年臨界を目標に新型転換炉の原型炉の建設を、それぞれ進めるとともに、これらに必要な研究開発を推進いたします。
 次に、核燃料対策につきましては、ウラン濃縮技術の研究開発の推進、国際共同濃縮計画への参加の検討、海外ウラン資源の調査及び探鉱開発の促進、使用済み燃料の再処理施設の建設などの核燃料対策を総合的に推進いたす所存であります。特に、遠心分離法による濃縮技術につきましては、昭和六十年までにウラン濃縮工場を稼動させることを目標に、その研究開発を国のプロジェクトとして強力に推進する考えでございます。
 また、原子力開発利用に欠くことのできない原子力施設の安全対策及び環境保全対策に万全を期する所存でございます。すなわち、原子力委員会の機能強化、原子炉安全専門審査会の審査機能の充実をはかるとともに、放射性廃棄物処理処分の方策確立のために必要な調査研究を推進するほか、原子力施設の工学的安全研究、低レベル放射線の影響の研究を実施し、さらに原子力施設が多数立地する地域における監視体制の強化をはかるなど、万全の措置を講じてまいりたいと考えております。
 さらに、核融合など新しい分野の研究開発に力を注ぐとともに、原子力発電所などの立地の円滑化をはかるため、公共事業の促進など原子力施設周辺地域の整備に関し、必要な法的措置を講ずべく検討を進めるほか、原子力第一船「むつ」の実験航海を実施する所存でございます。
 第四は、宇宙開発の推進であります。
 宇宙開発につきましては、宇宙開発計画に基づき、昭和五十年度打ち上げを目標に、技術試験衛星T型及び電離層観測衛星の製作を行なうとともに、昭和五十一年度打ち上げを目標に技術試験衛星U型の開発に着手する所存であります。これら人工衛星打ち上げのためのNロケットについては、第一号機に引き続き、第二、第三号機の製作に着手するとともに、打ち上げ施設、追跡管制施設等の整備をはかる考えであります。
 また、国際的な地球大気開発計画に参加協力するため、気象衛星の開発に着手するほか、通信・放送などの実用衛星開発計画の策定に必要な調査及びこの計画に関連する長期ビジョン確立のための調査を行なうとともに、宇宙開発に関する国際協力を一そう強力に推進する所存でございます。
 第五に、海洋開発につきましては、海洋開発の総合的推進の要請にこたえ、海洋開発審議会において海洋開発推進の基本的方策について審議を進めるとともに、海洋科学技術に関する中核的推進母体としての海洋科学技術センターの機能の拡充・強化をはかってまいりたいと考えております。また、海中作業システムの確立を目的としたシートピア計画の推進、潜水調査船「しんかい」の運用をはかるほか、新たに水深六千メートルまでの深海での調査能力を有する潜水調査船の開発に関する調査研究を進める所存でございます。
 第六は、研究開発一般の推進であります。
 これまで述べてきた措置と並んで、基礎的、共通的な研究を進めるとともに、独創的な新技術の開発を促進するため、新技術開発事業を一そう強力に推進し、また、研究開発の実施にあたって必要とされる科学技術情報の増大に対処して、科学技術情報の全国的流通システム構想の整備をはかるほか、最近の資源をめぐるきびしい情勢に対処し、資源の総合的利用方策の確立を目ざして調査研究を進めてまいります。
 また、科学技術に関する国際交流の重要性が一そう増大していることにかんがみ、先進国との協力の拡充をはかるほか、アジア諸国をはじめ発展途上国との科学技術協力を進めるなど国際交流の強化につとめてまいる所存でございます。
 以上、昭和四十八年度における科学技術振興施策の概要について述べてまいりましたが、これら諸施策を実施するため、昭和四十八年度政府予算案におきましては、科学技術庁分として、国民生活に密接に関連する科学技術等の研究開発のため約十四億円、原子力開発のため約六百二十七億円、宇宙開発のため約三百四億円、海洋開発のため約九億円など総額千八十三億円を計上いたしました。
 私は、科学技術振興の衝に当たる者といたしまして、その使命の重大性を十分認識し、いま申し述べました諸施策の実現を期して全力を尽くす決意でございます。
 ここに委員各位の一そうの御支援と御協力を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
#4
○石野委員長 この際、伊藤科学技術政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。伊藤政務次官。
#5
○伊藤(宗)政府委員 科学技術政務次官になりました伊藤宗一郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
#6
○石野委員長 引き続き、昭和四十八年度科学技術庁関係予算について、説明を聴取いたします。進官房長。
#7
○進政府委員 昭和四十八年度一般会計政府予算案におきまして、科学技術庁の予算案は、歳出予算額一千八十二億七千三百万円、国庫債務負担行為額三百四十六億一千三百万円を計上いたしております。これを前年度当初予算額に比較いたしますと、歳出予算額百九十三億二千四百万円、国庫債務負担行為額六十九億二千二百万円のそれぞれ増額となっており、歳出予算額はその比率において二一・七%の増となっております。
 次に、予算要求額のうちおもな事項につきまして、その大略を御説明いたします。
 第一に、科学技術振興基盤の強化といたしまして十二億九千二百万円を計上いたしました。
 これは、わが国における科学技術を長期的な観点に立って、計画的、かつ、総合的に推進するため基本的な計画策定の一環として行なう各種調査検討及びソフトサイエンスの振興をはかるため必要な経費並びに科学技術会議の運営をはかる経費として一億五百万円を計上いたしました。
 また、筑波研究学園都市の建設の促進につきましては昭和五十年度までに概成することを目途に、計画的に推進することとし、国立防災科学技術センターの研究本館、無機材質研究所の無塵特殊実験棟及び共同利用施設として科学技術情報サービスと研究者の交流の場の提供を行なう研究交流センター(仮称)の建設に着手するなど、施設及び設備の整備に必要な経費といたしまして六億九千五百万円を計上いたしました。
 次に、科学技術普及啓発活動の推進につきましては、科学技術に関し、国民の正しい理解を深めるための広報活動として、科学技術映画の製作、テレビの放映、科学技術普及啓発資料の作成配布などに必要な経費として一億六千五百万円を計上いたしました。
 さらに、優秀な人材の養成確保をはかるため、国内及び海外への留学、研修及び国際研究集会への派遣などに必要な経費として三億二千七百万円を計上いたしました。
 第二に、国民生活に密接に関連する科学技術の推進といたしまして、まず、特別研究促進調整費の活用をはかることとし、ライフサイエンス、都市科学技術、防災科学技術等の総合研究を重点的に推進いたしますとともに、不測の事態に対処し緊急に行なうべき研究の円滑な実施をはかるため必要な経費として、十二億四千万円を計上いたしました。
 次に、ライフサイエンスの振興といたしまして、ライフサイエンスの本格的な振興方策の確立をはかるための調査費と、当面重要な研究課題について理化学研究所が行なう研究に必要な経費として一億二千七百万円を計上いたしましたほか、前述の特別研究促進調整費十二億四千万円のうちから相当の研究費を充当することといたしております。
 第三に、原子力開発利用の推進といたしまして、六百二十六億五千七百万円と国庫債務負担行為額九十億一千万円を計上いたしております。
 まず、動力炉・核燃料開発事業団におきまして、高速増殖炉実験炉及び新型転換炉原型炉の建設を進めるとともに、高速増殖炉原型炉に必要な研究開発など、動力炉の開発に必要な経費として、三百二十二億七千三百万円と、国庫債務負担行為額四十五億四千万円を計上いたしました。また、同事業団の核燃料開発関係の業務といたしまして、遠心分離法によるウラン濃縮技術の研究開発に五十二億百万円を計上し、その研究開発を強力に推進するとともに、海外ウラン資源の調査、使用済み核燃料再処理施設の施設の促進をはかるなど、動力炉・核燃料開発事業団に対する政府出資金と補助金を合わせ四百二十四億八百万円と、国庫債務負担行為額五十一億一千百万円を計上いたしました。
 次に、原子力船「むつ」の開発につきましては、実験航海を行ない、その安全性及び性能の確認を行なうとともに、定係港の施設の整備などに必要な経費として、日本原子力船開発事業団に対し、政府出資金及び補助金を合わせ、十三億二千四百万円を計上いたしました。
 また、日本原子力研究所におきましては、反応度事故実験装置の設置等により、原子炉施設の安全性研究を強力に推進するとともに、前年度に引き続きガス拡散法によるウラン濃縮技術、核融合及び食品照射の研究開発並びに各種原子炉の運転整備などに必要な経費として、政府出資金及び補助金を合わせ百四十四億九千四百万円と国庫債務負担行為額三十八億五千八百万円を計上いたしました。
 さらに、放射線医学総合研究所におきまして前年度に引き続き医療用サイクロトロンの建設を進めるとともに、新たに低レベル放射線の影響研究等を行なうため二十一億五千三百万円を計上いたしましたほか、国立試験研究機関等における原子力試験研究、放射能測定調査研究及び民間に対する原子力平和利用研究の委託など、これらに必要な経費として十七億六千八百万円を、また、原子力委員会の調査運営、核燃料物質の借り入れ及び原子力関連の各種行政費等として三億四千百万円と、国庫債務負担行為額四千百万円を計上いたしております。
 第四に、宇宙開発の推進につきましては、宇宙開発計画に基づき、ロケット及び人工衛星の開発を中心とし、これらに必要な経費として三百三億五千八百万円と国庫債務負担行為額二百五十六億三百万円を計上いたしました。
 まず、宇宙開発事業団につきましては、宇宙開発計画に基づくNロケット及び技術試験衛星I型、同U型、電離層観測衛星の開発を進めるとともに、種子島宇宙センターに建設するNロケット打ち上げ施設の整備、筑波研究学園都市に建設するロケット及び人工衛星の開発試験施設の整備並びに人工衛星の追跡管制施設の整備を行ないますほか、新たに地球大気開発計画(GARP)の第一次全球実験へ参加、協力するため静止気象衛星の開発に着手するなど、これら事業に必要な経費として同事業団に対し政府出資金、補助金を合わせ、二百九十三億二千五百万円と国庫債務負担行為額二百五十六億三百万円を計上いたしました。
 次に、航空宇宙技術研究所の宇宙開発関連研究として、新たに人工衛星の三軸制御の研究を開始するなど、宇宙開発の基礎的、先行的研究を行なうに必要な経費として六億六千八百万円を計上いたしております。
 第五に、海洋開発の推進につきましては、まず海洋科学技術に関する試験研究の推進、大型共用施設の設置及び運用、人材の養成等を行なう機関として設置された海洋科学技術センターにおいて、高圧実験水槽を前年度に引き続き建造するほか、新たに潜水技術者の研修訓練事業を開始することとし、これに必要な施設の整備を行なうなど、同センターに対し、政府出資金、補助金を合わせ五億九千七百万円を計上いたしました。
 また、海中作業システムを確立するため海中作業基地による実験の準備、潜水調査船「しんかい」による大陸だな資源の調査を行なうほか、新たに水深六千メートルまでの深海における調査能力を有する深海調査船の開発に関する研究を開始するなど、これらに必要な経費として三億三千百万円を計上いたしました。
 第六に、研究開発一般の推進といたしまして、新技術開発の推進、科学技術情報流通の促進、国際交流の促進及び資源の総合的利用方策の調査並びに試験研究機関の整備として百二億九千四百万円を計上いたしました。
 まず、新技術の開発につきましては、新技術開発事業団に対する政府出資金、補助金を合わせ十一億二千七百万円を計上することにより、研究開発委託契約限度額を二十二億円に引き上げるなど、その業務の拡充をはかることといたしました。また、このほか発明実施化試験費の補助金につきましては三千四百万円を計上いたしております。
 次に、科学技術情報流通の促進につきましては、日本科学技術情報センターにおける内外科学技術情報の収集、整理、提供業務の充実をはかるとともに、新たに広島に中国支所を設けるなど、これら業務に必要な経費として政府出資金、補助金を合わせ十三億一千三百万円を計上いたしました。
 またこのほか、科学技術情報の全国的流通システムの具体化計画の策定などに必要な経費として一千七百万円を計上いたしております。
 次に、国際交流の促進につきましては、経済協力開発機構に所属する原子力機関の共同研究への参加、外国技術者の招聘、二国間の科学技術交流の促進等をはかるため一億三千八百万円を計上いたしました。
 次に、資源の総合的利用方策の調査につきましては、水資源の広域的多面的な循環システムの開発に関する調査等資源調査会を中心とする調査を実施するとともに、資源調査所における基礎的調査の充実をはかるため一億六千五百万円を計上いたしております。
 最後に、試験研究機関の整備強化につきましては、七十五億円を計上いたしましたが、これは当庁付属試験研究機関のうち、航空宇宙技術研究所の二次元風洞の整備、金属材料技術研究所及び無機材質研究所の研究機器の整備、並びに国立防災科学技術センターの地震防災の研究等各種研究の実施及び運営に必要な経費のほか、理化学研究所の研究運営等に必要な政府出資金及び補助金であります。
 以上、簡単でございますが、昭和四十八年度の科学技術庁予算案のうち、重要項目につきまして、その大略を御説明いたしましたが、このほか、一般会計予算総則におきまして、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を三百七十五億円にいたしますとともに、また、動力炉・核燃料開発事業団法第三十四条の規定により、政府が保証する借り入れ金等の債務の限度額を四十四億円及びその利息に相当する金額とし、これを使用済み核燃料再処理工場の建設資金の一部に充てることといたしております。
 以上でございます。
#8
○石野委員長 以上で説明は終わりました。
 質疑は後日に譲ることといたします。
 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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