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1972/02/28 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
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1972/02/28 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第3号
昭和四十八年二月二十八日(水曜日)
    午後一時十八分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 木野 晴夫君 理事 藤波 孝生君
   理事 前田 正男君 理事 粟山 ひで君
   理事 嶋崎  譲君 理事 原   茂君
   理事 瀬崎 博義君
      羽田  孜君    井上 普方君
      山原健二郎君    近江巳記夫君
      北側 義一君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁計画
        局長      長澤 榮一君
        科学技術庁研究
        調整局長    千葉  博君
        科学技術庁振興
        局長      田宮 茂文君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 北川 俊夫君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       山田太三郎君
        環境庁水質保全
        局水質規制課長 太田 耕二君
        厚生省医務局総
        務課長     山高 章夫君
        工業技術院総務
        部技術参事官  木下  亨君
        参  考  人
        (日本原子力船
        開発事業団理
        事)      堀  純郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興対策に関する件(科学技術振興の
 基本施策)
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 科学技術振興の基本政策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
#3
○嶋崎委員 私、科学技術委員会に所属しまして、これからいろいろ質疑をさしていただいたり、いろいろわからないことばかりでございますから、たくさんの先輩のお教えやお知恵をおかりしまして、いろいろ勉強さしていただきたいと思います。
 きょうは、先般、科学技術庁長官の七十一国会にあたりましての所信の表明がございましたので、この所信の表明に関連して、いろいろお教えを願いたいし、また、お聞きしたいことを申し上げたいと思います。
 何さま自然科学の問題に関しては全くのしろうとでありまして、いまから、たいへんな日本の科学技術振興について、自然科学的な知識の勉強をしながら、委員としての仕事をさしていただかなければなりませんが、さしあたって、そういう専門外の人間としまして、この所信表明の中に述べられたことに関して幾つか御質問をさしていただきたいと思います。
 最初に、きょうは主として日本における科学技術のあり方といいますか、日本の社会経済の発展の中に占めている科学技術振興ということのあり方という方法論の問題について、いろいろ所信に関連して質問をさしていただきたいと思います。
 最初に、長官の所信表明の前文が、全体を貫いていく考え方がここに提起されているのではないかと思いますので、二つの文章によって構成された前段と後段の論理的関係について少しお聞きさしていただきたいと思います。
 ここには、「最近におけるわが国社会・経済の発展はまことに目ざましいものがあり、科学技術が、その原動力の一つであったことは、だれしもが否定できないところであります。」とこうあります。「科学技術の発展は、社会・経済の高度化の基本的条件であるとともに、未知の領域を開拓し、人類の夢を実現するための不可欠の要素であります。」こういう文章がありますが、これからいろいろ議論をしていくときに、ことばの統一、ことばが全然お互いに違った理解で討論が行なわれたのでは討論になりませんので、最初にちょっとお尋ねをしたいのは、最初の文章である科学技術が日本の社会経済発展の原動力だという、その「原動力」の意味をちょっとお聞きしたいのですが、簡単に御説明願えますか。
#4
○前田国務大臣 私の所信表明に関連いたしまして、ただいまの御質問でございますが、この「原動力」という意味でございますが、とにかく、御案内のように、日本の経済の発展というものは、嶋崎委員も御承知のとおり、非常にすばらしい発展、GNP自由主義世界の第二位というふうな経済の発展でございまして、その原動力は、もちろん国民の皆さんが汗水たらして勤勉に労働したということもあると思いますが、それと同時に、科学技術の力というものがやはり相当大きい役割りをしておるのではないか。そういう意味におきまして原動力ということばを使ったわけでございます。
#5
○嶋崎委員 私なりに、生産力とでもいいましょうか、社会の発展の基礎になる生産力というものを考えたときに、人間の力と、もう一つ片面にある科学技術という二つ、両々相まって生産力というものが構成され、社会の大きな力になるわけですから、そちらの側面での原動力という意味に理解してよろしいかと思いますが、さてその二番目の文章にあります「科学技術の発展は、社会・経済の高度化の基本的条件であるとともに、」とありますが、ぼくはこの内容がよくわからないものですから、「社会・経済の高度化」というのはどういう意味でございましょうか。
#6
○前田国務大臣 高度化というのは、とにかくわれわれの生活の程度といいましょうか、俗なことばでありますが、科学技術の発展によって、われわれの交通を例にとりましても、だんだん便利のいい自動車であるとか、あるいは飛行機であるとか、そういうふうにだんだん、飛行機がプロペラからジェット機というふうにだんだん高度化というか進歩していく、そういうふうに私はとっておるわけでございます。
#7
○嶋崎委員 私もこの「高度化」というのは、科学技術の発展というのは、同時に、生産をめぐる人間社会の関係というものが並行的に発展していくことが必要なわけで、ただ科学技術がどんどん発展しても、人間と人間の関係や、人間の住みよい環境や、そういうものが破壊されたり、または福祉が犠牲になったり、または憲法にいっているような平和の方向と逆行するようなことがあったのでは、これは、高度化といっても、その高度化の内容には、生産力の発展は当然生産をめぐる社会関係が豊かでなければならないということが基本になるのだと思いますが、そういう「基本的条件であるとともに、未知の領域を開拓し、人類の夢を実現するための不可欠の要素であります。」というふうに理解をさしていただきたいと思います。
 さて、その次の文章に参りまして、「経済の国際化、社会の高度化、情報化が急速に進展するとともに、環境問題の早急な解決など社会からの新たな要請が生じてきておりますが、」「が」ですからこれは全体の文章の主文ではありませんね。インパクトがあったという意味で「が」になったのだと思います。「このような情勢に対処し、豊かな社会を建設し、国民生活の充実をはかっていくためには、人間尊重の基本理念にのっとり、科学技術の一そうの振興をはかることが緊要であります。」たいへん失礼なんですけれども、この文章の主語が何であって、どこに力点があるのか、たいへん不可解なんですけれども、この前段に言っている「環境問題の早急な解決など」というのはどういう内容なのかということと、「情勢に対処し、豊かな社会を建設し、国民生活の充実をはかっていくためには、人間尊重の基本理念にのっとり、科学技術の一そうの振興をはかる」というこの二つの内容によって、今日の科学技術のあり方についての理念をお示しになっていらっしゃるのだと思いますが、環境問題の早急な解決などの社会的要請という意味と、あとにいう「国民生活の充実をはかっていくためには、人間尊重の基本理念にのっとり、科学技術の一そうの振興をはかる」ということとのつながりについて、どこに力点があるのかわかりにくいので、ちょっと御説明を願いたい。
#8
○前田国務大臣 この表現が、嶋崎先生御指摘のとおり、あるいは文章としてまずいのかもしれませんけれども、実は私の考えておることを申し上げたいと思います。結局、先ほど申しましたように、科学技術の力が非常に大きい貢献をいたしまして経済が成長いたしました。しかしその反面、公害の問題が出てまいりました。大気が汚染をいたします。水質が汚濁いたします。三日に一ぺん東京から見えた富士山が、何か相当な期間、十日間ぐらいに一回しか見えないとか、俗な例でありますが、隅田川の水が非常に濁っておる、魚釣りもできない、そういうふうな、環境が非常に破壊されたというデメリットというか、悪い面が出てまいりまして、とにかく、その結果、科学技術というものに対して――私も実はまだ就任して二カ月でございますけれども、科学技術というものに対して、科学技術とは一体何であるかということを、私自体もときどき懐疑的になることがあったのです。そうして、よくくたばれ科学技術だとか、科学技術は人類の敵であるというふうな考え方まで持っておる人もおると私は思うんですね。それはしかし、ほんとうにわれわれは厳粛な態度でそういう考え方に対しましては臨まなければいけない。何か原因があるのだろうというわけで、われわれも一生懸命に勉強しておるのですが、とにかく科学技術というのは、ほんとうに簡単なことばで言うと、もろ刃のやいばである。メリットとデメリットがある。そうして、メリットがあって、そういう生産性の向上をいたしました。しかし、デメリットの面が非常に大きく出てきて、われわれの人類の福祉というか、われわれのしあわせのために、むしろ科学技術のためによりひどい目にあっておるのじゃないか、そういう考え方があるものですから、それで、とにかく環境問題の早期解決ということがどうしても必要じゃないか。あるいは環境破壊を防止する環境保全の技術、あるいは破壊された環境を回復する技術ですね、そういうふうな点、これは役所の所管から言いますと、環境庁とか厚生省とかそういう方面になるのですが、そういう方面にとにかく馬力を出して、環境問題の早期の解決をしなければいけないというのが社会の強い要請だと考えております。そうして、科学技術のデメリットの面をできるだけ消していくようにして、メリットの面を伸ばしていくということが必要じゃないか。もろ刃のやいばのいい切れる面だけを残していきたいという考え方に立っていきたいと思っております。そうして、ほんとうに人類のしあわせをつくるのはやはり科学技術であるんだというふうに、科学技術のいい面を助長していきたいという考え方でございまして、特にこれは、御質問に対して少し先走った御答弁になるかと思いますが、ちょうど科学技術会議という会議がございますが、四十六年の四月かに「一九七〇年代における総合的科学技術政策の基本について」という科学技術会議の五号答申というのをいたしております。これは、いろいろ書いてございますけれども、結局科学技術を真に人間福祉のために役立てるということがこの基本をなしておるように思うのです。あと、そのほかいろいろ目的指向的な研究開発をすべきであるとか、あるいは科学技術相互間の協力を推進するとか、あるいは国際協力を推進するとか、いろいろなことが書いてございますけれども、私は、やはり主眼点は人間福祉のために役立つ科学技術というふうにあるべきであるという答申を受けておるわけでございまして、こういう考え方に基づいてこれからの科学技術の振興をはかっていきたいという意味でございます。
#9
○嶋崎委員 いまの御答弁では、そうしますと環境問題の早急な解決などという、ここに非常に大きな、いま日本の科学技術のあり方を考えた場合に、大きな力点をかけねばならない社会的要請もあり、また科学技術の発展は、環境問題や公害の問題や人間の命や健康に関係する、そういう側面を同時に科学技術の発展として保証しなければならないという考え方でいい、そういう御趣旨でございますね。
#10
○前田国務大臣 さようでございます。
#11
○嶋崎委員 ところが、ここでは非常に抽象的ですから、そういう内容ともとれるし、それからあとのほうへいきますと、そうでないんじゃなかろうかというふうにもとれるようなことになっているように思うのです。たとえば、科学というものや科学技術のあり方というものを考えたときには、やはり現代の社会では、どんなに公共性ないしは国民的な性格の企業というもののあり方や、それから生産というものを非常に公共的なものとして、たとえば企業の社会的責任というような観点から見て考えなければならないにもかかわらず、企業のメカニズムが、せっかく技術開発をやっているのに、それを企業に適応させない、コストの問題や何かの問題をめぐって。そのために科学技術のあり方というものが、確かに企業の生産並びに利潤の追求という観点では開発され適用されながらも、実際にはここで言っているような環境問題の早急な解決というようなものに対してチェックしているような機能が、現実の社会にずいぶん見受けられると思うのです。そうした場合に、技術開発では、たとえば一定の原子力の安全の問題であれ、それからまた火電の問題であれ、それから食品の問題であれ、相当進んでいても、企業メカニズムの問題でチェックされた場合に、これが本来日本の科学技術のあり方かどらかという大所高所に立って議論をしたときには、それが本来の科学技術のあり方であるのかどうかということをやはり問題にしてかかることが、この委員会の重要な課題なのではなかろうかというふうに私は考えるんですが、いかがでしょうか。
#12
○前田国務大臣 ただいま御指摘のように、たとえば環境の問題を例にとりましても、公害防止技術あるいは防止された公害を回復する技術等、いろいろ技術開発を一生懸命にわれわれが努力いたしましても、現在のこのメカニズムではやはり利潤追求ということが企業経営の一つの大きな力になっておる関係上、あるいは採算がとれないからそういうコストのかかるものはなるべく使わないようにするとか、そういうことがあり得ると思うのでありまして、そういうことがないように、とにかくわれわれの行政指導というものは、私、科学技術庁だけでできるものではございません。けれどもこれは、政府一体となってわれわれは技術開発の面で努力し、あとの各省庁とともに力を合わせて、そういう企業の社会的責任というものを十分認識してもらうように進めていきたいというふうに考えております。
#13
○嶋崎委員 では、ちょっと印象でけっこうなんでございますが、いまの日本の高度成長の中で、確かにGNPは世界二位になりました。また、日本の最近の変動相場制から円の切り上げの問題とエネルギー政策というものは無関係だとは私は考えません。そうしますと、いままでの日本の高度成長の中で、確かに日本の経済成長というものをささえていくのに、ここでいう生産力の発展としてその原動力が、科学技術の開発、科学技術の発展にあったということは一方で言えながらも、今日日本が世界から日本列島公害列島と言われ、私の地元でも――あとでまた御質問いたしますけれども、石川の能登です。私の選挙区ではございませんけれども、内灘に火力発電所をつくろうとしてもつくれない、七尾でつくろうとして問題を起こすでしょう。赤住に原子力発電所をつくるといったってつくれない、そういう立地難の問題が全国至るところにあらわれてきている。こういう実情から考えてみると、確かに日本の科学技術というものが日本の経済成長をささえるのに原動力になったという点を強調することができても、これからの日本の科学技術のあり方ということを考えたときに、いままでのような、経済成長をささえたような科学技術のあり方が問題であるというふうには、たとえば通産行政を見ても、環境庁が設置された経過を見ても、一切の国のあり方というものがそういうものに対応せざるを得ないようにあとを追っかけている。そういう事実は、いままでの科学技術のあり方に問題があったのでしょうか、なかったのでしょうか。
#14
○前田国務大臣 ただいま御指摘のとおり、エネルギー問題一つをとりましても、確かにアメリカあたりでも、エネルギー不足で、いま新聞にいろいろ書いてございますけれども、日本もおそらく同じような問題が遠からず起こるだろうと思うのです。とにかく、エネルギー確保のためには、あるいは火力発電所を増設しなければいけない、あるいは原子力発電をふやさなければいけない、いろいろ問題があるのですが、ほんとうにこの立地には事実上非常にむずかしい問題か――環境との調和の問題であるとか、安全性の問題、いろいろな問題が起こっておることは御承知のとおりでありまして、その意味において、ただ科学技術が成長成長と成長一本やりで、スローガンが成長だけでいくのじゃいけません。これからはやはり人間の福祉ということに主眼点を置いてこれからの科学技術というものを進めていかなければいけない、そういう基本姿勢で進めていきたいと私は考えております。
 くどいようでありますが、先ほどの五号答申の線に沿っていきたいと考えております。
#15
○嶋崎委員 たいへんけっこうな御意見です。さてそれなら各論に入らしていただきます。
 そういう総論の上に立って、第一は科学技術振興基盤の強化、二番は国民生活に密接に関係のある科学技術、三番目に原子力の開発、そうして以下宇宙開発、海洋開発、研究開発一般、こういうふうに項目がそれぞれ今年度の、いわば四十八年度において次のような施策を強力に推進するということで各論の展開があります。
 そこで、第一の科学技術振興基盤の強化ということに関連して、この文章をすなおに読みますと、「わが国の科学技術を総合的、計画的に推進するため、科学技術振興基本計画の策定を進めるとともに、」とあります。科学技術振興基本計画というものの何か構想や考え方というものはございますか。
#16
○前田国務大臣 科学技術振興の基本計画があるかというお尋ねでございますが、これは、嶋崎先生御承知のとおり、かつて科学技術基本法案というものが五十八国会に出されまして、六十国会に審議未了で廃案になっております。この科学技術基本法案がはたして現在なおかつそのままでいいかどうかという問題もあると思います。その当時は、国民経済の発展と国民福祉の向上に寄与する、あるいは国際社会の発展に寄与するというようなことが主眼点だったように思うのですが、こういうことではたしていいのかどうかと思いますが、とにかく、科学技術行政というものを行なう上において、われわれはこういう基本法というものと真剣に取り組んでいかなければいけない、検討しなければいけないと思いまして、科学技術会議等にも、こういう問題を検討してもらいたいという意思は表示しておりますが、いまのところは、とにかく先ほど申しました科学技術会議の五号答申という線で進めていって、おそらく基本法をつくるにいたしましても、基本計画をつくるにいたしましても、結局こういう趣旨を織り込んだものに相なるであろうと考えております。
#17
○嶋崎委員 さてそこで、このの問題に関連して、これは私、文教でも取り上げますけれども、特にここで日本語を読めば、「研究公務員の処遇改善、国内、海外研修の充実をはかる等」云々「推進してまいる所存であります。」とありまして、「特に」ときましたね。「特に」ですから、以下は今年度特に重要なわけですね。「特に、研究環境の画期的な向上を目的として、昭和五十年度までに概成することを目途に筑波研究学園都市の建設が進められておりますが、科学技術庁といたしましては、所管研究機関の移転、建設を進めるとともに、共同利用施設として新たに研究交流センターの建設に着手するほか、科学技術に関する総合調整官庁としての立場から、理想的な研究環境が整備されるようその建設に力を尽くしてまいる所存であります。」
 ここでちょっとお聞きしたいのですが、特に筑波学園都市に、科学技術振興の基盤を強化するにあたって、今年度、科学技術庁として、ここの共同施設として研究交流センターの建設に着手するというその趣旨――これは質問がばく然としているとあれでしょうから、お聞きしたいのは、科学技術を振興させる場合の国の科学技術振興の政策というものと、科学技術を進めるにあたっての研究の自由という問題並びに科学技術を促進するにあたりましての研究のあり方といいますか、そういう問題にかかわる問題ではないかというように考えるわけでありますが、単にここでは、研究に必要なフィジカルな、物的なものや条件を与えるのが科学技術庁だということではないはずで、科学技術の発展というものが日本の生産の発展や社会全体の発展に非常に重要な要素であるとすれば、その科学技術の発展のための研究基盤というものは、いま民間でやられたり、研究所でやられたり、大学で行なわれたり、いろいろなタイプがありますけれども、特にここでは筑波学園を問題にし、そこで研究交流センターというものを建設することが今年度の重点施策になっている。そこの意味について、いま言ったことに関連してちょっと御意見をお聞きしたいと思います。
#18
○前田国務大臣 この筑波研究学園都市につきましては、たしか五十二年までに概成することが目標だったと思うのですが、昨年の八月ですか、二年繰り上げまして、五十年になっておるように私も聞いております。
 これは結局、研究環境の画期的な向上といいますか、東京とか大阪の都会のごみごみしたところではなくて、やはり筑波学園都市のような静かな環境のところで研究することが非常によいということも、素朴な意見ですがあるのだろうと思いますし、それから研究学園都市に行くいろんな政府機関というのは、たしか四十三機関あると思うのです。これは科学技術庁は関係しておりませんが、その機関が別々に行くわけです。しかし、どうも最近の科学技術というものは、いろんな科学相互間に非常に関連性があるように思うのでありまして、その意味において、やはり一カ所に集まっておるのがあらゆる面において便宜であるのじゃないか。その意味から、この研究交流センターというような共同利用施設も当庁で建設に着手いたしたいというふうに考えておるわけでございますが、ただいま先生の御指摘の、研究の自由とかあるいは研究のあり方について科学技術庁がチェックするとか、そんな不遜な考え方は毛頭持っておりません。
#19
○嶋崎委員 きょうはここでそう立ち入った議論をするのは間違いでもありましょうからあれですけれども、つまり学問研究のあり方というものを考えたときに、やはり憲法の前提になっておりますところの学問の自由はこれを保障するという考え方や、また、それに関連して大学の自治とかいろんなことがございます。また同時に、憲法でいう学問の自由というのは、平和の問題とも深く関係を持てば、民主主義の発展とも不可分の関係を持っているものだというふうに思うわけでありますが、いま閣議決定されましていよいよ問題になってきている筑波学園の構想というものを見ますと、開かれた大学というのは大いに論争しなければならぬことだと思いますけれども、研究と教育が分離されて、学系、学群に分かれて、そして片一方の研究者集団というものはもっぱら研究していく、片一方の教師は、教育者として教えるほう専門の教師集団と一応分ける考え方に立っておりますし、また同時に、副学長の制度の問題だとか、人事委員会の問題だとか、大学管理のあり方についてたいへん大きな問題をはらんでいる法案であります。
 科学技術というもののあり方を考えたときに、前段の方法論のところでも問題になりますように、科学技術というのは、憲法でいっている平和のための科学技術の発展というような大ワクがまずあって、同時に、この科学技術というものは、人間社会の環境や、また人間の命や健康というものに支障を来たさない形での発展というものが行なわれなければならない。そういうときに、国の政治のあり方や行政のあり方をここしばらくずっと見ておりますと、先ほど長官が御説明になったように、やはり高度成長をささえていく原動力としての科学技術のあり方については、かなり振興はしてきたかもしれないけれども、その反面の、実はデメリットでなくて、本来科学というものはその両面が並行しなければいけないのであって、こっちが出てきたからこっちに対策を立てるというような性質のものでは本来ないと思うのですね。そういうような立場から科学技術振興の基盤というものを考えるときに、この筑波学園構想なる大学に国がいろんな形で予算をつけて、そこに重点的に研究の諸条件というものを与えていくということと、いまの筑波学園構想にあらわれているような大学の管理のあり方、そこでまた問題になる学問の自由や研究の自由というような問題と深くかかわってくることがあるのではないかということを、私はたいへんおそれるわけであります。
 それはどういうことかというと、たとえば、いまでも日本の大学の予算が非常に少ないために、企業からいろんな研究テーマをもらう、そして金をもらう。そのために、教授がある企業と結びつく、そしてそこで教授がその研究テーマについて研究をする。そうしますと、助教授がそれに見習うわけです。助手がそれに見習ってくるわけです。いわば一つの大学の研究の仕組みが、予算の制約やいろいろな社会的要請と結びついて、そしてその全体が一つの教授の専攻していく研究の体制に編成されていくということから、若手研究者の研究の自由というものがたいへん問題になる。また同時に、企業からの要請である研究というものは、やはり企業が持っている利潤追求にいわば役立つ、実用性のあるものが常に要請されてくる。それにこたえていくことから、大学研究のあり方にも、問題がいろいろたくさん出ていると思うのです。
 それと同じように、今度は国家が、国家ないしは国の立場から、日本の科学技術のあり方というようなものについての中身は云々しないといいながらも、一定の、つまり科学技術の発展を促進していくに必要な方向性といいますか、そういうようなものを与えながら、研究の条件をつくっていくような大学のあり方等をやりますと、研究の場合には、悪いですけれども古手教授というのは、もう新しい問題意識を持たないものですよ、これは経験主義なんですから。特に科学なんか、自然科学の場合でしたら、三十代の初めくらいから三十四、五歳ぐらいまでで、すぐれた研究業績を出す人は出してしまうと思うのですよ。四十代にいきますと、総合的研究ですよ。そうなっていきますと、同じ科学技術においても、方法論の問題ですけれども、そういう若手研究者の研究の自由、若手研究者の創造性というようなものをどれだけ保障していくかというような――大学のあり方の問題と科学技術の振興というのは密接な関係があると思うのです。ですから、そういう意味で、人事権がいままでの学部教授会と違ったところに持っていかれたり、それから副学長みたいな、大学の行政の専門家かもしれぬけれども、研究教育についてしろうとの人が大学の管理運営に携わったりしていくようなことと、ほんとうにこの科学技術振興の基盤を育成していくということが矛盾することが現場では出てくる可能性というものを、たいへんおそれるわけであります。
 ですから、こっちはいずれ文教委員会で、大学のあり方、大学管理のあり方という問題と学問、研究のあり方というようなものとの関連は議論をいたしますけれども、ここの委員会におきましても、やはり科学技術研究の基盤というものを育成していくという場合には、当然そういう大学のあり方というようなものと密接なつながりがある問題だということを御認識いただいて、今後ともいろいろ内容について討論をさせていただきたいというふうに思うわけであります。
 そこで、もうあまり時間もありませんが、先ほどの長官の説明のところでも、たとえば一ページの「環境問題の早急な解決など社会からの新たな要請」ということが非常に重要な社会的インパクトになっている。だから、それに対応しながら、科学技術の振興と人間尊重の基本理念に立つのだ、こういうふうに、さっきの内容をおっしゃったことを御理解するとして、たとえばこういうこともどういうつながりがあるのか私わからないのですけれども、自然科学の知識がありませんから、いまから勉強させていただきますけれども、第二番目の「国民生活に密接に関連する科学技術の推進」という場合に、たとえば最近問題になった石油たん白というような問題を一つとってみる。で、ライフサイエンスが微生物科学みたいなものとどんなふうにかかわりがあるのか、そういうこと、ぼくはまだよくわかりません。いまから勉強させていただきます。
 まださっぱりわかりませんけれども、たとえば石油たん白の例を一つとってみても、国が石油たん白なら石油たん白の研究について助成し、そしてその開発をやり、そしてそれを実際に実用化した、そしてここに問題を起こしてくるということになりますと、実際に科学技術を振興していくというときに、いつも企業の利潤と企業メカニズムに適応したかっこうでそれが動かされて、そして人間の生命や健康なんかにかかわり合いのあるような問題についての技術開発や研究というものが、あと回し、あと回しにされていっておるという現状があるのではないかという気がしてしかたがないのであります。
 抗生物質の問題でも同じでありまして、科学技術庁がここで取り扱うライフサイエンス、ここで見ますと、都市科学技術だとか国土管理技術だとか、こういう新しいことば、新しい科学の内容は、私はさっぱりわかりませんから、いずれまた勉強してだんだん内容を詰めさせていただきますけれども、そういう傾向というものをとにかく感ずるわけです。
 それから第三番目の原子力の開発利用の推進というところをちょっと読んでみますと、おっしゃったこととここに書いてあることが、どうも力点の置き方が依然としてたいへん違うのじゃなかろうかという疑問を持つわけであります。第三の原子力の開発の利用の推進というところでも、「近年における原子力発電、放射線利用の急速な実用化の進展、濃縮ウランをめぐる国際情勢の展開等にかんがみ、次の施策を重点的に推進する所存であります。」とこう言っている。それはいい。そしてあとを見たら、「動力炉の開発については、」云々でしょう。それから次、核燃料対策、ウラン濃縮技術の開発でしょう。国際共同濃縮計画への参加、海外ウラン資源の調査、それから探鉱開発の促進、今度は使用済み燃料の再処理施設の建設ですね。こう一連見ますと、依然として原子力の問題でも、このエネルギー資源、それからエネルギー開発ということにずっと前段の力点がかかる。これが施策だ、こういう論理の立て方だと思うのです。そうして、そのあとに出てくるのは、「原子力委員会の機能強化、」云々がありますが、次の四ページに入りまして、「放射性廃棄物処理処分の方策確立のために必要な調査研究」であります。もう現実に廃棄物は蓄積されていっているわけでしょう。それにもいろいろな問題があるということがいろいろ言われる。そういう問題にどう対処していくかということについての科学技術的な研究のあり方、それから、そちらのほうよりもやはり前段の、この、生産力説とぼくは呼ぶとすれば、生産力説に見合ったいわば行政のあり方といいますか、そこに力点がかかっているのであって、前段で言っているように、「環境問題の早急な解決など社会からの新たな要請が生じてきておりますが、」というような「が」でつないであるのであって、その後段の言うところのいわばことばというか、その中身としているものと、貫いているものと、ここに書かれているあり方との間に、どうもそういう意味でのつながりですね、生産力説と私は呼びますが、そういうつながりがなかろうかという気持ちで読んだわけであります。
 そして、そのあとに、「さらに、核融合等新しい分野の研究開発に力を注ぐとともに、原子力発電所等の立地の円滑化をはかるため、」であります。円滑化とは何だろうか。円滑化というのは、立地の条件をうまく――内容はちょっとよしましょうか――前段と後段の、いろいろな資源開発、国際共同計画への参加の検討、それから云々というこの前段で、原子力開発利用の推進について述べており、後段の「放射性廃棄物処理処分の方策確立のために必要な調査研究」とのかね合いの中で、最初に言っている科学技術のあり方という問題に関連して、ここの文章をどう読み取ったらいいのか。そして、それに関連して、ここで言っている「原子力発電所等の立地の円滑化」というのは、これは何を内容としていることばなんだろうか、そのことをちょっとお聞きします。
#20
○前田国務大臣 三ページの第三の原子力の開発利用関係のこのパラグラフと科学技術のあり方の関連の問題の御質問でございますが、先ほど申しましたように、科学技術は人類福祉のためにやるのだということが基本でございまして、人間尊重の立場でいきます。しかし、人類の福祉というものは、やはり豊かな生活というか、それが私は大きな一つの条件じゃないかと思いまして、それが一方に偏しちゃいけません。けれども、全体が調和のとれた姿で豊かな生活をするということも、福祉のためではないか、われわれのしあわせというものはそういうものじゃないかと思うのであります。
 それに関連して原子力の問題でありますが、原子力は、エネルギーの安定的供給のためにはいろいろ方策があるわけでございますが、石油資源もだんだん枯渇の状態になってくる。結局、だんだん原子力というようなものに、第三の火というものにいかなければしようがないんじゃないかというような考え方で、それで結局、それがためには原子力発電、それから放射線の利用の急速な実用化の進展、濃縮ウランの問題そういうふうな問題に重点を置いて原子力の平和利用ということを進めていかなければならない。これが私は、人類の福祉とこのこと自体が矛盾するようには、どうも嶋崎委員と考え方が違うかもしれませんけれども、思わないのです。やはりこれは、われわれは人類がしあわせな生活を送るためには、エネルギーも多分に安定供給がなければいけない。原子力の安定的供給がなければいけない。新しい動力炉も、燃料効率の高い高速増殖炉であるとか新型転換炉等も開発しなければいかぬ。しかし、それもなかなかすぐにはいかないから、やはり濃縮ウランの確保等にも力を入れなくてはいかぬということを原子力の初めに書いてございまして、そうして、しかし、さればといって人間尊重の意味から、こういうパワー、原子炉の開発とかあるいは核燃料対策だけではいけません、原子力の安全、環境保全ということに力を入れなさいということを書いて、確かにその書き方といたしましては、初めの面が非常に強くぐっと出ておるものですから、そういうふうな御印象を与えるかとも思うのですが、これは、決して初めのほうにえらい馬力を置いたという意味でもございませんけれども、その書き方がそういうふうになっておるということと、それから、この円滑化をはかるというのは、結局、現在原子力発電等の発電所をつくりましても、地元にほんとうにメリットというか、ないわけですね。ただ心配だけがあるといいましょうか、原子力施設、発電所ができましても、関連産業も何もございませんし、地元に対しても固定資産税とかそういうような面でもたいしたことはない。地元にいろいろな生活関連環境施設であるとか、あるいは産業関連施設であるとか、あるいは道路をよくするとかいろいろな問題そういうものを地元の人々が非常に要望しておる、そういうことを希望しておると思うのでありまして、そういうことに関連しまして、原子力の施設の周辺地域の整備を考えるべきじゃないかという点から、こういうふうな表現にもなっておるわけでございまして、円滑化というのは確かに、別にあめ玉を食べさせてうまいことやろうという意味じゃこざいませんけれども、そういう希望というか、地元にも、いろいろなそういう施設に来てもらってもメリットもないというのじゃいけないという意味から、こういう表現にしたわけでございます。
#21
○嶋崎委員 この立地の条件というのは、私まだ自然科学の勉強も始めたばかりでさっぱりわかりませんけれども、いろいろ学者の意見や文章を読んでおりますと、排除地域の問題だとか、低人口地域の問題だとか、そういうものを含めて立地の条件というものは考えなければならない問題もありますし、それにからまって原子力の安全性という問題が当然議論されなければなりません。
 そういう問題は、追って勉強を始めていまして、私まだ勉強が足りませんから立ち入っていろいろなことを御質問する力を持っておりませんけれども、それに関連してちょっとお聞きしておきますが、アメリカのラルフ・ネーダーが新聞記者会見をやりまして、一月四日の朝日と毎日と、ここには東京新聞の切り抜きのコピーですけれども、内容についてまだ私も自然科学的な問題についてわからないことが一ぱいあるのですけれども、原発の建設中止をアメリカの原子力委員会に提起した。きょうはいわばこの内容についてまだ私もわからぬことだらけですから、このネーダーの発言の趣旨、それの原文――向こうでインタビューしているのですけれども、その内容ですね、そしてそれに対して、日本のわれわれとしてはどういうふうに考え、たいしたことないのか、それとも重大な発言なのか、そのことについて調査をして御報告願って勉強させていただきたいと思いますので、このネーダーの発言の趣旨を原文に即して、できれば原文を翻訳していただいて皆さんに配布して、一つの材料にしていただきたいと思います。
 それから、時が一致したわけかどうか知りませんが、毎日新聞だけですけれども、藤本教授らの分析の結果が、これはスクープか何か知りませんが、ほかの新聞には載りませんでしたけれども、載っている。これに対して、けさ見たので、ぼくはまだ内容はひとつも読んでいませんが、「原子力特報」、「藤本陽一早大教授らによる原子炉事故想定の分析結果について」という、こういうものが私の手元に届いております、まだ読むひまがなくて参りましたけれども、それからまた、毎日によると、藤本警告に対して原子力発電株式会社が、茨城県庁で記者会見をして、これに対する発言をしております。こういう日本の科学者――これは資料が古いとかいうような意見もあるようでありますが、せいぜい私は、この委員会では科学論争が必要だと思うのです。科学者たちが来て、そしてここでお説を聞いていくだけではなくて、科学者が論争しながらいけるような場を与えて、そして、この安全性という問題についてどういうふうに詰めていったらいいのかということについて、われわれが一定の意思統一をする、そして、わからないところを理解していく、そういう意味でも、将来そういうことが行なわれるほうがいいのではないかなというのが私の新米の印象でありますけれども、そういう意味で、この藤本教授らの分析結果で岩波の「科学」ですか、あの「科学」という雑誌に連載されている、そういう一連の業績というようなものと、それから原子力局での見解ですね、そういうものも並行して、一定の時期に討論の材料にして、いろいろ御教示も仰ぎたいし、説明も願いたいというふうに思います。それに関連して、アメリカのネーダーのほうをぜひ調べて、原文に即してわれわれも討論させていただくような資料の提供をお願いしたいと思います。
 もう時間もあまりありませんので、私はきょう初めてこういう科学技術委員会に出てまいりまして、わからないことばかりなんで、もう一つだけ、ちょっと私の専門の領域からアプローチさせていただきたいのですが、日本の高度成長という問題と日本のエネルギー政策とのつながりの中で、現在問題になっている円の変動相場制、切り上げという、日本の経済の体質が輸出第一主義であって、福祉やそういうもののほうを向いていなかった、そういう日本の経済の体質がいま問われている。一昨年の暮れに円の切り上げをやって、わずか一年一カ月ぐらいにしてまた変動相場制から円の切り上げが問題になる。こういう日本の経済の体質というものを考えたときに、この日本の輸出第一主義といういわば経済のタイプですね、これをどう転換しなければならぬかという問題があると思うのです。このことが、たとえば日本の鉄鋼なんかをとってみましても、原料はアメリカから輸入をしておりますけれども、鉄鋼というのは相当程度輸出をしております。また、同じく機械金属もそうであります。それからまた、化学がそうであります。そうなりますと、いまの日本の電力とかエネルギーというものを考えてみますと、やはり八割ぐらいが重化学工業に向いているのであって、民間といいますか、われわれ市民に必要なものは大まかにいって二割ぐらい。そして電力の料金だったって大企業のほうは安いわけですね、キロワット時を見ましても。そうしますと、日本の今日あるような高度成長政策というようなものを前提にして、そしてエネルギーの開発の計画というものが総合的に行なわれている、そういったいわば経済成長のあり方というものと日本のエネルギー政策といいますか、それが密接にからみ合っているその中に、いまの日本の持っている円・ドル問題に関連してくる深いつながりというものを――私はいずれこまかい議論を、数字を持ってきて論争いたしますけれども、そういう日本経済の体質というようなもののあり方、日本の高度成長というもののあり方、それに関連して日本のエネルギー政策のあり方、こういう問題を抜本的にもう一ぺん議論をし直さぬことには、日本の今日の経済のあり方の問題と科学技術のあり方というものが深い関係を持っているように思えてならないわけであります。それだけに、最近の円・ドル問題にあらわれているような日本の経済の体質というもの、たとえば高度成長から安定成長へというふうに考えるとして、そして経済企画庁が、長期に言っていますように、ことしは九・数%に押える、来年は八%台に押える、そして先には日本の経済が安定成長の方向に移行していくというようなことに関連させながら、日本のいままでのエネルギー政策のあり方というものをもう一ぺん検討してみる。そして、その中で、水力、火力、それから原子力というようなもののいわば開発のあり方、エネルギー政策、そういうものを検討してかかっていくことか――ここの委員会の問題でないように見えるけれども、実は非常に密接な、ある意味じゃ科学技術のこの委員会というものは、そういう日本全体の生産力に関係するかなめの委員会なんでありますから、そこまで視野を広げて、全体的に、トータルに問題をとらえながら、しかも科学技術の専門的なアプローチをやっていくというようなあり方に討論が発展していくことを願うわけであります。いずれ資料をあげながら日本の経済の体質とエネルギー政策との関連を、私なりにまた問題にして討論さしていただきたいと思いますけれども、そういう問題についても今後討論の場を与えていただくことが、この委員会と無関係ではないと思いますので、よろしく取り計っていただきたいというふうに考えるわけでございます。
 まだ幾つかありますけれども、私ばかりしゃべるわけにもまいりませんから、きょうは考え方と方法論の段階でしか御質疑ができませんでしたが、今後とも幾つかの問題について御教示も願いたいし、討論もさしていただきたいと思います。
#22
○石野委員長 次に、山原健二郎君。
#23
○山原委員 最初に、昨日商工委員会におきまして、私の党の寺前議員が原子力研究所の問題について質問をいたしておりまして、成田局長から答弁があり、そして大臣の見解を聞きたいということで終わっておるということを聞いております。
 そのことについて最初に触れてみたいのですが、大臣の見解を伺いたいのです。これはきわめて簡単に質問をいたしますが、原子力研究所のある東海村の村議会が、原子力研究所の所員を招きまして、講師として二人の方を招請しているわけです。ところが、これに出席をした中島さんという所員に対して、出席をしたという理由をもって賃金カットが行なわれるという事件が起こっているわけですね。これは新聞にも出ましたし、そのことについて局長のほうから、就業規程第七条によって理事長の許可がなければそういうところへ出てはいかぬのだ。それを無視して出席をしたためにそういう処分、処置を受けたのだ、というような話があったそうですね。最初に局長に伺いたいのですが、就業規程第七条というのはどういう条項ですか。
#24
○成田政府委員 原子力研究所の就業規程第七条は、理事長の許可なくしていろいろな発表とかあるいは講演とか、そういう職員が外部に対して講演とかあるいは出版の結果の発表とか、そういう行為をしてはならないという就業規程で、これは内部の秩序を維持するための内部規程としての規則でございます。
#25
○山原委員 この就業規程そのものに私は非常に問題を感ずるのです。というのは、原子力研究所というのは、御承知のように、発足の当時から、自主、民主、公開の原則に基づいて研究を行なっていく、こういうもののですね。それが就業規程によって、いまお話があったように、新聞、雑誌に寄稿すること、あるいは出版、講演する場合などは理事長の許可を得なければならない。日本の原子力研究の中枢であるところの職員、しかも研究員、そういう者が、みずから研究したことを、新聞にも発表できない、雑誌にも発表できない、あるいは出版、講演する場合も理事長の許可を得なければならない、ということになると、これは公開の原則ということから考えましても、この就業規程第七条というのは、きわめて問題を持っているのではないかと私は思うのです。これについて大臣のお考えを伺いたいのです。いま嶋崎先生のほうからもお話がありましたように、学者間の論争ということも出されているわけですね。当然そういうことを国民は期待をしているわけで、そのことができない。しかも新聞、雑誌にも寄稿もできないなどということば、研究の自由あるいは発表の自由、公開の原則からいってきわめて重大な問題を持っていると私は思うのです。
#26
○前田国務大臣 いま山原委員の御質疑でございますが、私、具体的にその事実をまず存じませんが、一般的にこの問題は、私思いますのに、やはり原子力研究所というのは、特殊法人と申しましょうか、そういうふうな人格を持ったものでありまして、また、その就業規程というものは、おそらく内部の規律じゃないかと私は思うのです。それで、それは原子力の三原則、自主、民主、公開という原則には背反しないんじゃないかというふうにいま感ずるのですが、どういう具体的事実があったのか、実は私まだ聞いておりません。
#27
○山原委員 局長に伺っておきたいのですが、理事長が、こういう場合に、たとえば原子力研究所の所員が――今日ほど原子力問題についての国民の疑念とか不安とかいうことが頻発しておるときはないわけですから、それについて学問的な研究の成果を聞かしてもらいたいとか、あるいは意見を聞かしてもらいたいとかいう要請が出てくるのは当然でございまして、それではこの就業規程第七条によって、いままで理事長が許可をしたり許可をしなかったりしたことが具体的事実としてありますか。ありましたらちょっと示していただきたいのです。
#28
○成田政府委員 具体的には、就業規程第七条によって許可をしたりしていないケースがかなりあると思います。たとえば一つのテーマをきめまして、そのテーマの講演会をやるのでこの人に来てもらいたいという地元の団体等からそういう要請がある場合が往々あるのでありますが、その場合、原研としましては、このテーマにつきましては原研の仕事で内部のなにがしが非常に適当だと思う、そして向こうが指名してきた人が原研の仕事としてそのテーマに適当でないという判断をした場合は、これは原研の職員として出す場合でありますので、それは許可を認めがたいという場合があると思います。ただ、その人が学者であるとか、一個人としてその人の研究成果あるいはその人の個人としての身分でそういう講演会から要請があった場合は、それは賜暇の願いとか、そういう方法で行く場合は、原研としては、それは個人として自由でありますので、許可を押えているということはないと思います。ただ、原研の職員として行く場合には、いろいろその人の仕事の状況から、日にちがきまってきた場合は、適当であるか、許せるかどうか、あるいはテーマとの関連で適当な研究員であるかどうか、そういう判断をして運用しているというように聞いております。
#29
○山原委員 理事長が、このテーマについてこの人物が適当であるとかないとかいうことを決定するということ自体にも、たいへん問題があると私は思うのです。それと同時に、いま言われました、相当数あるという局長の発言ですから、いまわかればいま発表していただきたいのですが、どういう事例があったのか、あとで示していただきたいのです。よろしいですか。
#30
○成田政府委員 いま具体的にどのケースでどうというデータを持っておりませんので、あとで網羅して出したいと思っております。
#31
○山原委員 大臣に伺いますが、新聞、雑誌に寄稿あるいは出版――講演の場合もそうですけれども、講演の場合は、いま言われたことを認めるわけではありませんが、講演の場合を除きまして、それぞれ個人は研究者としての研究の成果もあるでしょうし、発表する機会はこれは当然与えられなければならないわけで、それを抑制するなどということは、何人にも許されない憲法上の私権でもあります。そういうことから考えまして、新聞、雑誌に寄稿すること、あるいは出版のことに関してまで理事長が許可をしなければならぬということ、これは適切なことですか。
#32
○前田国務大臣 先ほど申しましたように、具体的にどういうケースがあったか、実は私知りませんけれども、いまの御質問に対しまして、個人としては私自由であろうと思います。しかし、やはり組織人としては、どういう場合、どういう場合と一々私もわかりませんけれども、組織人としてはある程度制約がある場合があるのじゃないかというふうに一般的に考えますが、それはその場合の運用の妙といいますか、運用の問題じゃないかと思うのです。
#33
○山原委員 これは非常に大事な問題だからしつこくお聞きしているわけですが、個人と申しましても、みな肩書きを持っておられる方だと思うのです。たとえば私が何かものを書くとすれば、私の持っている職業あるいは私の持っている現在の任務といいますか、あるいは党における私の仕事の関係、これを書くわけですね。東海村原子力研究所所員何のだれべえということば、これはまたそのことによって一定の権威もあるわけですね。だから、新聞がそういう名前で寄稿していただきたいといった場合に、理事長個人の許可を得なければ書けないなどという就業規程というものははたして適切なのか。おそらく、こんなことは日本の今日の社会では通用しないことだと私は思うのです。大学の場合とはそれは違う性格を持った点があるかもしれません。しかしながら、そこまで就業規程で規定するというこの原子力研究所の考え方、ここに言うならば企業が今日原子力発電所その他をつくろうとするときに、都合の悪いものはここでチェックをして押えていくということが起こるわけですね。そういうことが起こる限り、原子力の安全性の問題についても国民は不安を解消することはできないという問題にもつながっていくわけです。したがって、この第七条というのは、私はこれは憲法違反じゃないかという考え方を持っているわけですが、これについてはかなり明確な回答ができる体制をとっていただかないと、これから先も、安全性の問題についてずいぶん問題が起こるわけですから、そういう統一した見解といいますか、しっかりした見解というものを示していただきたいと思うのです。
#34
○前田国務大臣 話はまた前に戻るようでありますが、どこまでを個人、どこまでを組織人として考えるかというその限界の問題これはなかなかむずかしい問題でありまして、はっきりと、一般的にこういうものはこうだということは、私はなかなか明確な定義はむずかしいと思うのです。結局それは運用の問題ではないかというふうに考えますが、運用の問題であり、常識といいますか、一般の理念によって考えられなければしょうがないのではないかというふうに考えますし、就業規程の考え方等につきましては、これは別に憲法違反とかそういう大それた考え方でやったものではないというふうに私は考えますが、別に特にこれを研究、検討したわけでもございませんけれども、そういう大それた考え方は持っておらないのではないかというふうに考えております。
#35
○山原委員 たいへんたよりない答弁であれでございますが、憲法に違反するというようなことを初めから考えて条文をつくる人もなかろうと思います。しかしながら、これはそういう点で私は常識的な運用、あるいは運用のしかたということを大臣が言われているわけですが、重要な機関である原子力研究所の規定としてはこれはたいへん不十分な問題でありますから、この点についてはぜひ検討をいただきたい。またあらためて質問するつもりです。
 ところが、では常識的運用というようなおことばでありますけれども、この場合、私が最初出しました事例というのは、東海村の村議会が議決によって、村会議長が正式の招請状を出しているわけですね。東海村村議会議長宮内忠雄が東海原子力研究所長山本賢三殿に対して、講師派遣方依頼についてという文書が昨年の十月二十三日に出されておるわけです。それで、その講師として指名されておる方が副主任研究員の中島篤之助さんと保健物理部部長宮永一郎さん、この二人に、原子力発電炉について御講義をいただきたいという要請が文書で来ているわけですね。ところが、東海村というのは一体何かといいますと、これは大臣も御承知のように、原子力研究所が存在をする場所ですね。しかも原子力研究所としては、東海村においてはしばしば事故が起こったりして迷惑をかけられておる村民でもあります。また、この設置にあたっては協力をしてきた村民でもあります。そういう不安を持ち、なおかつ協力もしてきたその村議会が、村民の意向を代表して、そして村議会の議決によってこの講師を依頼してきている。おそらくこの二人の方を依頼したということば、いろいろな意見を聞きたいということで依頼をされ、指名をされたのだと思うのです。だから、こういう東海村の村民の不安や、あるいは将来についてのいろいろな疑問を解消するためには、私は、東海村における原子力研究所は、積極的にこの要請にこたえて、そして村民の方々が納得できるような論議がそこで行なわれる、そういうこたえ方をするという体制がいま原子力問題では必要ではないのか。それに対していろいろ逡巡をしてみたり、あるいは出席を拒否してみたり、あるいは出席した者を処分するというような非民主的なあり方は、原子力基本法の精神と違う、この点を私は申し上げているわけです。
 だから昨日も私は、原子力研究所ができましたときの議事録を読んでみたのです。当時、提案者である中曽根康弘氏がこれに対して、こういう問題についての公開性ということを非常に強調しているわけですよ。そういう原子力研究所の設立の趣旨、さらに、その基本になる原子力基本法の趣旨から申しましても、こういう研究所の態度というもの、また就業規程第七条というものは、ふさわしくないという考え方を持っているわけです。これについて大臣からお答えいただき、また、私のこの疑問に対して今後どういうふうに検討されるか、伺っておきたいのです。
#36
○前田国務大臣 ただいま御指摘の原子力基本法、原子力の平和目的利用並びに自主、民主、公開の原則、これはもう私、至上命令であるというふうに考えておりまして、不摩の憲法というふうにその点は考えております。しかし、やはり一つの組織には組織としての規程というものがあるのが普通じゃないかと私は思うのでありまして、具体的には、どうこうという規程は私見ておりませんけれども、組織にはそういう規程というか、やはり組織人としてのそういう規程があるんじゃないか。したがって、その組織のルールというか、それに準拠しないというかよらない場合は、やはり何らかの処置というか処分というものがされたのだと思いますけれども、そういうことがあったんじゃないかというふうに考えております。
#37
○山原委員 一つの組織に規程があり、あるいは内規があり、運営上の約束事があるというのは当然のことなんです。そのことを私はさしておるのではなくして、その規程が過度に、先ほど言ったような研究その他を抑制するかのごとき問題が出てきたときに問題があるわけで、そのことを具体的に私は言っているわけです。したがって、この規程についても、この規程がはたして正当なものであるか、あるいは適切なものであるかどうかについては、ぜひ研究をしていただきたいと思うのです。これは今後、私は必ず質問をさせていただきたいと思っておりますから。
 次に、大臣の所信表明について、先ほどもお話がございましたが、その中で一つだけ質問をいたしたいのです。
 それは「原子力委員会の機能強化、原子炉安全専門審査会の審査機能の充実をはかる」というのが所信表明の中に出ております。この原子炉安全専門審査会あるいは原子力委員会の機能というものについては、いままでいろいろ問題があったわけですから、それにこたえておそらく大臣は、審査機能の充実をはかる、こういう方針を今度出されたのではないかと思うのです。これについてはかなりの期待もあるわけでございますから、どういう点を改善されるのか、また、これまでの安全審査と具体的にどういうふうに変わるのか、その点検討されておると思いますが、それについて伺いたいのです。
#38
○前田国務大臣 原子力の安全性ということは、原子力発電の大前提であるというふうに私は考えております。したがいまして、原子力行政は、とにかく安全ということにいつも力点を置かなければならないと考えております。以下私がお答え申し上げることは、あるいは山原先生、その程度かというふうにおそらくお考えになるかもしれませんけれども、ひとつ、私たちがいま努力してきたことを申し上げたいと思います。
 まず、原子力委員会は現在六名おります。そのうちで四名が常勤でございます。それを原子力委員を一名非常勤から組みかえまして常勤を五名にいたしました。これはまことに小さい問題のように、あるいは一名程度の増員で何だというふうにお考えになられる方もあるかと思うのでありますが、実はわれわれ、この点非常に力を入れまして、常勤委員をふやしたわけでございます。この常勤委員は、安全対策、環境保全対策に特に力を入れてもらうという趣旨をもってこの常勤化を一名ふやしたわけでございます。
 それから次に、原子炉安全専門審査会の審査機能の充実という問題でありますが、これはコンサルタント制度というものを活用いたしまして、そのための経費を新しく計上いたしました。何か問題が起こりますと、安全審査会だけではやはり知識が足らぬというか、十分じゃないという場合は、コンサルタントの制度を活用したいというふうに考えております。
 それから、専門職一名増員をいたしました。
 次に、安全研究の大幅な――予算の面でありますが、FBRの安全ということを除きまして、それ以外の安全施設におきまして約三十一億の安全研究の予算を計上いたしました。
 そのおもなものは、予算書をごらんになればわかるのでございますが、一応申し上げます。
 原子力施設の安全研究の推進、十四億でございます。それから、放射性廃棄物処理処分の方策確立のため必要な調査研究の推進、二億九千万円でございます。それから、低レベル放射線の影響の研究の推進、これは五億でございます。そういうふうなものを予算的にも計上いたしまして、一生懸命にやっておるつもりでございます。
 それから次に、連絡調整官というのがございますけれども、連絡調整官の常駐化ということを考えたわけでございます。原子力施設が多数立地する地域におきまする監視体制及び地元との連絡調整の強化をはかりまするがために、福島に原子力連絡調整官を常駐させることにいたしました。
 その他原子力委員会の中に環境安全専門部会というようなものをつくっておりますが、この部会におきまして、原子力施設の環境保全と安全性の確保ということに重点を置いて施策を検討させております。この検討した結果をもとにして、具体的方策をさらに進めていきたいというふうに考えております。
#39
○山原委員 安全の問題について、この体制が少しでも前進することに対して私ども賛成なんです。しかし、それで十分であるとはもちろん思いませんし、それからまた、そういう改善策をとられるということが、いままでの安全審査についてやはり不備があったということを認識されての上だと私は思うのです。
 ところで、いままでの安全審査の問題についてこれに関連して触れておきたいのですが、まず一つは、安全問題についていろいろ学者間の意見が出されています。昨年の十二月二十五日には、日本科学者会議が原子力委員会に対して、原子力発電所の安全審査についての申し入れを行なっております。さらに一昨年の八月二十五日には、原子力発電の安全性に関する公開質問書というのが出ておりまして、また、昨年三月八日、これは福井の大飯と美浜の原子力発電所の安全性についての質問書というふうに、非常に大型化された原子力開発の問題が起こるたびに、それに対する質問が出ているわけですね。
 一々その内容は申し上げることは省略をいたしますが、そのほかにも、いろいろ科学技術庁のほうには見解その他が出ておるかもしれませんが、これらの学者間の疑問とかそういうものに対して、私はやはり堂々と答えて、そしてその論争が発展をしていくことが必要な時期を迎えておるのじゃないかと思うのです。しかし、これをお聞きしますと、まだこれに対する回答というのが出ていないというような状態ですね。これは回答される御意思がおありですか。これはまとめて、こういうものは意見は違おうとも出されたほうがいいんではないかと思うのですが、いかがですか。
#40
○前田国務大臣 ただいま御指摘の日本科学者会議からの公開質問状の点だと思いますが、正式な回答はいたしておりません。しかし、御指摘の内容につきましては、国会における審議であるとかいろいろな説明会を通じまして、原子力委員会、科学技術庁の考え方をその御質問に対して、一、何々、二、何々というふうに答えてはおりませんけれども、その内容につきましてはお答えをしておる、というよりも、そういう見解は表明しておると思うのであります。
 しかし、そういう疑問というものは、できるだけ解消するということが非常に必要でありますので、それだけの努力をわれわれせなければいかぬ。実はたくさんお手紙なんかも来るようでありまして、一々全部これに対して御回答申し上げるということもできない場合があろうかと思いますけれども、同じような質問も幾つかあると思うのでありまして、そういうときには、そういう見解というか、氷解するような措置といいますか、姿勢を示すべきであると考えます。
#41
○山原委員 私は、それをぜひやっていただきたい。というのは、国会における質疑応答の場合、これは率直にいって、私どもはしろうとで学者ではございません。学者の方もおられるわけですが、そして皆さん方は、それを専門に研究されておる方を背景に持っておられるわけです。しかし、これはわれわれもいろいろ知恵をしぼりながら質問をするわけですけれども、しかし、学者間の直接討論とかいうものですね、また国の考えておる方針と学者の持っておる疑問ということについては、いまどこの地域に行きましてもものすごく関心を持っておるのですね。この問題はどうなったか、この問題はどうなったかと、みんな聞かれるわけです。それに対して私たちは、国会の中ではこういう答弁があったというようなことでいくわけですけれども、しかしこれは、問題を深部にわたって論議するためには、学者間の討論というものを、これは公然と行なわれる必要があると思いますから、この点についてはぜひ回答を与えていくようにしていただきたいと思います。
 ところで、この国会の質疑の中でも、原子力委員長がこういう発言をしておられます。これは安全審査の問題と許可の問題ですが、安全専門委員会の安全審査だけで許可するのではない、その上に地元の理解と協力が必要である、という答えをいたしておりまして、これは私自身も聞いているわけです。そこで、各地の問題が、たとえば新潟県柏崎の問題とかいろいろありますが、愛媛県の伊方の問題についてちょっと伺っておきたいのですが、この原子力委員会の答弁からしますと、愛媛県伊方町における四国電力の原子力発電所に対する地元住民の理解と協力を得るような努力というものがなされたのかという点ですね。先日異議申し立て申請が出されておりまして、これは初めての例だそうですが、そういう状態が起こっているのです。しかも許可は内閣総理大臣の名前で昨年十一月二十八日に出されておるということですね。しかも地元では異議申し立てが行なわれる。その辺の住民との理解と協力というようなことについてはどういう体制で行なわれているのか、伺っておきたいのです。
#42
○前田国務大臣 ただいま先生御指摘の伊方の発電所の問題でございますが、これは四十七年十一月二十九日に内閣総理大臣がこの発電所の許可をいたしまして、その後一月の二十七日に異議申し立てが出ております。これにつきましては、目下慎重に検討、審査中でございますが、その前にとにかく地元の理解と協力のために努力をしたのかというふうなお尋ねでございますが、私、就任前でございまして、その点をいろいろ私なりにトレースをいたしました。私の聞いたところでは、相当地元の理解と協力というものを得ておるように実は聞いておりまして、具体的に水の問題はどうだ、土地の問題はどうだ、あるいは漁業権の問題はどうだという点につきましては、私から御答弁申し上げるよりも、政府委員から御答弁さしていただきたいと思います。
#43
○成田政府委員 御指摘のように、四国電力の伊方発電所は、四十七年の五月に設置許可申請がなされたのでありますが、この設置につきましては、取水の問題あるいは土地の売却問題あるいは漁業権入漁権の問題等いろいろの問題があって、これに関連して反対の方々の陳情等もずいぶんわれわれも受け、また原子力委員会等でもいろいろ報告してまいってきたわけでございます。
 そういう意味で反対派の意見も聞き、そうして具体的に、たとえば水の問題は、はたして保内町からの地下水をとることによって住民の飲料水その他に支障があるのかどうかという問題については、県あるいは町長等の地方公共団体の代表の方の意見も十分調べまして、反対側の御意見についても問題点は十分調べて、その上で安全審査会のほうから、安全性はだいじょうぶであるという答申が十一月の十一日、最終報告がありまして、この安全審査会におきましても、伊方の部会をつくって二十回にわたって、部会として非常に慎重な審議を重ねてその結論が出ているようでございますが、そういう意味で安全審査会の答申と、それからいろいろ地元との社会的な問題水の問題、入漁権の問題、あるいは土地売却の問題等の問題も、地方の代表の方等、あるいは関係の人の意見を十分聞きまして、まあ最後まで反対、あるいはわれわれの考え方に十分納得しない方もあったことは確かでありますが、県知事等あるいは関係公共団体の長とも十分相談しまして、原子力委員会としても地元の大かたの了解がついたという考え方で、十一月の二十九日に内閣総理大臣の許可が出たわけでございます。
 その後これに対して異議申し立てをやりましたのは先ほどのとおりでございまして、異議申し立てにつきましても、いろいろな問題が指摘されておりますので、決定をする前に十分な審議を尽くして処置したいと思っておるわけでございます。
#44
○山原委員 この異議申し立てといいますか、地元の方たちの持っておる問題は、先ほど環境保全の問題を大臣から出されましたが、当然、安全性の問題あるいは土地、水、漁業権あるいは温排水などの問題が出てくるわけですね。これは当然のことでございまして、しかもこの安全性について、世界各国における事故例、日本の事故なんというものは、これはいまさら申し上げるまでもありませんし、事故が起こらないという保証はないわけで、これは原子力総合シンポジウムのこの中にも出ておりますから、もう十分御承知のことと思います。したがって、現地の人たちが、これは単に愛緩県の伊方だけでなくて、どこの地域においても疑問が出てくるのは当然であって、それに正しく答えるというのは当局としての仕事だと思うのです。
 ところで、その一例としての伊方町ですが、御承知のようにこういう経過をたどっているわけですね。もともと四国電力が伊方町に原子力発電所をつくるということは、最初は単なる火力発電所ということで土地の買収を始めて、そして土地の買収契約に判をつかせて、そしてついてついてしまったあとで、実は原子力発電所である、こういう出発から、企業のきわめて不遜な態度、謀略的な態度が問題になっているわけです。これを私どもは非常に重視しておるわけです。
 そうして、この許可申請が出ましたのが四十七年の五月八日です。昨年の五月八日なんですね。そして、わずか六カ月間の安全審査で、四十七年の十一月十七日に最終報告が出されまして、その四日後、四十七年の十一月二十一日に原子力委員会が内閣総理大臣に対し設置許可の答申を行ない、そして十一月二十九日ですから、それからわずか八日間で内閣総理大臣の設置許可が行なわれた。ものすごいスピードですね。アメリカにおいてさえ二十二カ月の安全審査が行なわれるという事態の中でこういう状態です。しかも瀬戸内海がいまどういう状態になっておるかということは、これはもう皆さんも御承知のとおりですね。そういう中で、企業から申請があってわずか六カ月間の審査によって安全だという答申がなされて、その四日後には原子力委員会がこれを認めて、そして八日後には内閣総理大臣の許可が出る。いまこのような問題が至るところで起こっておるときに、こういうものすごいスピードで安全性などというものがはたして審査できたのかどうか。先ほど申しましたように、幾つかの事故が起こっておるという状態の中で、こんなスピードではたして住民が納得できるような安全審査ができたのか。私は不可能なことをやっておると思うのですよ。そういう安全審査というものについて私は非常に疑問に思っています。これは実際にできるのですか。たった六カ月でそういうことが可能なのか。
 水の問題だって、安全審査会は調べていません。四国電力の資料で調べているんじゃないですか。そんなことで住民が犠牲にされてはたまらないわけでございまして、アメリカの例と比べて、今度の伊方町の場合、わずか六カ月の審査、そしてもう四日後には原子力委員会の決定、そして八日後には内閣総理大臣の決定、やってよろしい。工事は始まっている。こういうスピードアップされた安全審査というものが可能なのか、私は伺っておきたいのです。
#45
○山田説明員 ただいまの御指摘の中の、審査期間が短いではないかということについてだけお答えをさせていただきます。
 これは比較の問題でございますが、アメリカでは二十数カ月あるいは三十カ月という例がございます。しかし、その内訳をながめてみますと、どういうことであるかといいますと、アメリカにおきましては、例のカルバートクリークの判決が出ましてから、アメリカの原子力委員会は、それまで準備しておらなかった環境についての検討ということをやることに相なったわけでございます。これには一年以上の時間がかかった、これが一つでございます。
 それから第二は、アメリカにおきましては公聴会が非常に長くかかるという点がございます。これが数カ月あるいは一年というふうにかかるわけでございまして、実質的な検討の期間というものは、この結果にあらわれました六カ月と二十二カ月あるいは三十カ月といったものとはだいぶ違うというふうに申し上げられると思います。
#46
○山原委員 それこそあなたの答弁は、日本国民の立場に立たない答弁じゃないですか。公聴会をやるほうが正しいわけでしょう。いいわけでしょう。そういうことがないから早いんだ。じゃ、環境保全の問題にしましても、ほんとうにやるならばそれだけの時間をかけてやる。何で企業の要請に基づいて半年間ぐらいの審査で決定を出さなければならぬのですかね。しかも安全審査会の審査によって決定を出すのではない。まだその間にいろいろな環境保全の問題についての調査がなされて総理大臣の決定にいくんだということを、あなた方いままで言ってきているわけですよ。それがたった四日間で原子力委員会の答申、そして八日間、一週間で内閣総理大臣の決定。あの選挙のまっ最中ですよ。だれが考えたって、こんなことは納得できないと私は思うんですよ。だから、あなた方が出されておるところの、原子炉安全専門審査会が四十七年十一月十七日に出されましたところの「原子炉の設置に係る安全性について」というのは、環境保全の問題は何一つないじゃないですか。温排水の問題がありますか。ないんです。だから、こんなもので総理大臣の決定がなされても、地元の方たちが異議申し立てをするのは私は当然だと思うのです。実際、考えてみましたら、当然だとお思いになると私思うのですよ。この中には安全問題あるいは温排水の問題しかもあそこは漁業地帯です。しかも瀬戸内海における最も美味な魚、海草類がとれる。その他養殖漁業もあり、いま一番大事なところになっているわけですね。しかも、その周辺は有名な愛媛ミカンの産地でありまして、ここは水が要るわけです。ところが、その水についても、安全審査会の報告書によりますと日量一千トンの水を使うというわけですね。この保内町というところは水がないところでありますが、保内町自体が使う水は大体一万トンであろうというふうな数字が出ているわけです。しかし、現地の住民の方たちは、国の安全審査会よりははるかに綿密に、自分の生活の問題にかかわりますからおそらく必死の思いで資料をつくられたのではないかと思いますが、それについては十年間の水の量とか、そういうものもみずから出しています。また、愛媛大学に対しても水の調査をたのんでおります。一こういう水の問題しかもこれから先、保内町の発展のためにはこれだけの水が要るんだ、屎尿処理施設にはこれだけの水が要るんだ、あるいはこの工場にはこれだけの水が要るんだ、ミカンに対して水を撒水するためにはこれだけの水が要るんだ、ということを出しておるのを見ますと、実に日量二万数千トンの水が必要になるわけですね。そういうことも無視して、日量一千トンの水をコンスタントに取っていく、こういう状態なんですよ。しかも深い井戸を掘って地下水をくみ上げると、こういうんです。現地へ行かれたと思いますけれども、保内町における喜木川というのはもうほんとに小さな小川なんですね。そういう状態の中でこんなにばく大な水を取り上げていく。しかもこれは一号炉だけなんですね。四国電力の計画は二号炉があるわけです。二号炉ができたときには水をどうするのか。そんなことまでなぜ考えてくれなかったのか。これは私は、ほんとに住民の方たちが必死の思いで異議申し立てをしたり、あるいはもっと聞いてくれ――私自身、柏崎の場合にも環境庁にも参りましたし、科学技術庁にも参りました。そしてまた、この伊方の場合にも、ここの住民の方たちにお供をして陳情に行ったわけですけれども、こういう要請、こういう住民の声というものに対して、もっと誠実な態度はないのかということを感じているわけです。だから、この安全審査報告書の中には環境保全の問題については何もないわけですから、これに基づいてなぜ原子力委員会が答申を決定し、しかも内閣総理大臣がそういう決定をしたのか、私はどう考えても納得がいかない。その神経に対して理解ができないのです。少なくとも科学技術庁は科学の問題を論ずるところですから、そういう場合に、ほんとにそれに対して科学的にもこたえていくという姿勢をなぜとっていただけなかったのか、このことについて伺っておきたいのです。
#47
○山田説明員 先ほどの件で、公聴会につきましては山原先生の御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましても、公聴会というようなはけ口もないままに進めるということについてはよろしくないと反省しております。したがいまして、近いうちに公聴会をぜひやりたい、やるような規則を現在つくりつつございます。これからの原子力発電所の申請に対しましては、公聴会を開いて地元における実際の要望、主体は原子炉自身の安全問題でございますが、しかし当然地元におけるいろいろな問題もここで取り上げることに相ならざるを得ない。原子力委員会の権限自体は、この原子炉の放射線に関する安全性でございますけれども、原子力委員会はまた別のもう少し総括的な機能がございますから、それを活用いたしまして、広い範囲の問題についても公聴会において取り上げてまいりたい。しかし、そのやり方につきましては、必ずしもアメリカ流でやるというふうには考えておりませんで、ほかの国の状態その他もいろいろ検討いたしまして、適切な案を出していきたい、こういうふうに考えております。
#48
○成田政府委員 御指摘の水の問題でございますが、取水の問題は非常に大きな問題で、これは当初からいろいろ検討してまいったのでございます。それで、われわれのほうの考え方は、これは決して四国電力という企業のデータによったのではなくて、県等の地方公共団体等のデータによって検討した結果でございますが、供給余力につきましては、十年に一回くらいの非常に渇水の年において平均三万三千トンのパーデー能力があるという計算が出ております。ただ、これは平均でありますので、最も最低の場合は一万六千トンくらいに短期間には落ちる場合もあるようでありますが、平均としましては三万三千トンであります。需要につきましては、保内町周辺の将来の需要増も織り込みまして、大体一万トンというくらいの――パーデー一万トンの需要という見込みでありますので、需給からしますと、しかも四国電力が貯水池もつくって時間的な調整も考えておりますので、需給の面からすると、こういうデータによって、心配ないという考え方をとっておるのであります。
 ただ、水の問題は、非常に地域住民にとっては大きな問題でありまして、われわれが県のデータ等によって、需給上問題ないという結論が出ておりますが、しかし地域住民のいろいろな心理的なあるいは社会的な影響というものを考えますと、非常に重大な問題に思われますし、また、現にいろいろまだ不安であるという動きもありますので、許可と同時に、原子力局長名をもって県知事、保内町町長及び四国電力社長に対して、取水計画は地域住民の生活と密接に結びついた問題であり、原子力委員会は、当該発電所の設置許可を答申するにあたって、関係行政機関及び申請者において十分の措置を講ずることを希望して、その旨を要請することとしております。したがって、県知事あるいは町長等においては、この点に関して十分留意して適切な措置を払われることをお願いいたします、という要請書も出しておりまして、これに対して知事、町長等から返事が参っております。
 知事の返事等に見ますと、地域住民に不安感を与えないように上水道の施設等も考えてやっておるという、返事の中にはそういう点も入っておりますので、水についてはそういう状況でわれわれは判断したわけでございます。
#49
○山原委員 いま初めて前進した、公聴会に対するお話を伺いましたが、確かに、私も一月二十一日の毎日新聞見せていただきまして、これによりますと、科学技術庁の見解だと思いますが、「住民とじっくり対話を」という見出しで、「審査前に公聴会」「安全めぐる紛糾避ける」ということで、いろいろ学界その他からの要望もあって公聴会をやりたいということが出ているわけですね。これは皆さん方のお考えだと思います。これは私は大きな前進だと思いますし、また、公聴会の持ち方等につきましては、いろいろ配慮される点もあると思いますが、十分住民の方たちの声も聞かれるようなそういう配慮をしていただくべきではないかと思います。これは、いま伊方の問題もお聞きしましたが、たとえば柏崎のような場合、こういう公聴会も開くべきだというお考えを持っておられるでしょうか。
#50
○前田国務大臣 公聴会を、ただいまその新聞記事に関連いたしましてお尋ねでございましたが、原子力委員会といたしましては、公聴会のやり方、どういうふうな方法でやるか、どういう時期にやるとか、そういう点につきましても、原子力委員会として目下検討――と言うといかにもだらだらしておるようでありますが、検討いたしております。これをいつ柏崎のときに適用するか、何を適用するかということは、はっきりといま申し上げるわけにいかないと思いますけれども、とにかくできるだけ早く公聴会のそういう方法、手続等を原子力委員会としてきめたいというふうに考えております。
#51
○山原委員 私は、これは皆さん方の考えの一歩前進だと思って評価をいたしたいわけでありますが、この柏崎の問題またその他にもございますが、伊方の問題を含めまして――伊方の問題につきましては異議申請も出ておりますので、大体、異議申請につきまして結論を出すのは、今度初めての経験ですから、大体どの程度の日数がかかるものかよくわかりませんが、しかし、大体皆さん方としては、これに対する結論についての見通しというものを持っておられますか。
#52
○前田国務大臣 できるだけ早くその結論を出すべきだとは思いますけれども、いろいろ申し立ての内容も相当多岐にわたっておりますので、慎重に検討いたします関係上、大体三カ月程度はかかるのじゃないかというふうにいま考えております。
#53
○山原委員 通産省のほうへもお聞きしておるわけですが、水の問題につきましては、たとえば東京とか千葉、埼玉の場合、深井戸を掘って地下水を取水する場合には、大体七百五十メートル以上でなければならないというようなことで、地下水の大量くみ上げによる環境の変化ということも起こり得るわけなんですが、その点については、昨日通産省のほうへお聞きしますと、伊方の場合、地下水をくみ上げた場合にどういう変化が起こるかということについては、まだ調査してないという御返事もあったわけです。これは当然そうだろうと思います。また、そういう場合に、地下水くみ上げの許可権はだれが持っておるのかといいますと、県とか町とかというお話がありましたが、こういう地点では地下水くみ上げの深井戸を掘る土地所有者の許可が要るのだというお話もあるわけです。そのことがいま私の伺っているところでは正確な御答弁だと思っております。
 ところが、そのほうもまだ進んでもいないように思いますし、また、原子力発電所ができました場合の大体周囲七百メートル、これは危険地帯というのが今日までの常識なんです。ところが、その伊方原子力発電所のできる地点の七百メートルをコンパスでやってみますと、その中には土地未買収のところがたくさんあるわけです。こういう問題もあるわけでございまして、そういう点でしかも異議申請が出ておる。そして結論を出さなければならない。その間、当然公聴会が開かれるものと私は思うわけですが、そういった問題あるいは漁業問題、あるいはこの周辺の農業問題などにつきましてもつぶさに検討をしていただきたい、これがいままで私が質問してきた趣旨でありましたし、また科学技術庁も、そういうふうに答弁をしてまいっておりますから、ぜひそれを精密にやっていただきたいということを要請するわけでございます。
 とにかく、自然環境あるいは社会的環境ということについては、どこの住民も、一体どこへ言っていったらいいのかということですね。原子炉の安全性については、いろいろ話を聞かされるけれども、それに付随する諸問題については、どこへ話をしていいかというような不安もあるわけですから、そういう意味で、いまお話のあった公聴会というのは、非常にある意味では大きなコンセンサスを得る中身にもなると思いますので、ぜひこれを成功できるような体制でやっていただきたいということを要請をいたします。
 それからさらに、原子力開発の問題につきまして、膨大な原子力発電所による電力構成を考えているわけですね。そうしますと、たとえばもう四国なんかの場合でも、あるときは愛媛県の津島町へつくると、こう言う。あるときは、徳島県の海部町へつくる、あるときは高知県の佐賀町へつくると言う。もう企業がかって気ままに発表するわけですね。そうすると津島町では大問題が起こりまして、そしてここはついに四国電力側としては、地盤が悪いのでやめたと、こう言うわけです。それから徳島県の海部町では、町がまっ二つに割れて、とうとう町長選挙が行なわれて、賛成派、反対派で町が割れるという事態、四国電力というたった一つの企業の恣意的な問題の与え方によって、もう住民が振り回されているというような状態まで起こっているわけであります。しかもその間に、何一つ官庁が調査もしてくれない。四国電力がかってにきめて、分町騒ぎまで起こさせておいて、ああ、ここは地盤が悪いんだからやめたと、そのまま帰ってしまうというような、企業の持っておるところのきわめて横暴な姿勢、あるいは謀略的な姿勢というものに対しては、今後全国的に起こる問題でありますので、そういうことは許さないという体制をつくる必要があると私は思うのです。少なくとも、そういう姿勢を科学技術庁、原子力委員会が持つ必要があると思うのです。そうでなければ、やはり当局側が、企業と密着しておるという住民のもう一番底にある不安というものを、解消することはできないわけですから、そういうことがもう起こらないような体制、姿勢というものをぜひ確立をしてもらいたい、このことを最後に長官にお伺いをしまして、私の質問を終わります。
#54
○前田国務大臣 ただいま山原先生御指摘の、企業の横暴にまかしちゃいかぬという御発言でございますが、企業の横暴にまかすべきではないというふうに、私も全く同感でございます。
 ただ、私思いますが、原子力発電の立地の場合、従来、電源開発促進法という法律がありまして、そして電源開発の基本計画をきめる場合に、関係都道府県知事の意見を聞くというふうな規定もございまして、全然かってに置いておるわけでもないようでございます。先生、もちろん御存知だと思いますけれども、そういうこと、あるいはわれわれは、別に法律に規定もございませんけれども、そういう場合、いつも地方公共団体に連絡をいたしまして、そして、あるいは市長とか町村長とかとよく連絡をして、電力会社が言ってきたからそれに乗ってすすっとやるような姿勢には全然していないつもりでございます。その点非常に大切な点でございますから、今後重々注意いたしたいと思います。
#55
○石野委員長 次に、近江巳記夫君。
#56
○近江委員 きょうは、大臣に対して初めての質問であるわけです。時間が許されれば、あらゆる角度から多方面にわたってお聞きしたいと思いますが、限られた時間の中でございますので、何点かお伺いしたいと思うわけです。
 それで長官は、この所信表明におきましては、六項目の考えをお述べになっていらっしゃるわけです。それで第一は、科学技術振興基盤の強化です。この中には、筑波研究学園都市の建設等も述べられておりますが、これは環境整備等の問題でいろいろお聞きしたいことがございますが、いずれにしても、研究員の処遇の問題であるとか、前向きにおっしゃっているわけです。それから、国民生活に密接に関連する科学技術の推進、あるいは原子力、宇宙、海洋開発、研究開発一般の推進をお述べになっていらっしゃるわけです。
 具体的なそういう課題の第一に、長官は、「国民生活に密接に関連する科学技術の推進」ということをおっしゃっておるわけです。その中でも、ライフサイエンスの振興に力を注いでいきたい、こうおっしゃっております。「生命現象、生物機能を解明し、医療の充実、環境の保全等に資するとともに、今後の技術革新の芽となるものと期待されるライフサイエンスの振興に力を注いでまいりたいと考えております。」このようにおっしゃっておられるわけです。
 そういうことで、私は特に、こうした問題について何点かお伺いしたいと思うのですが、この間から問題になっておりました石油たんぱくの問題でありますが、われわれ非常にこれをいろいろと検討しておりまして、今回の件に対して、国民の皆さん方が、政府に対するそういう不信といいますか、それを非常に強めておるんじゃないかと私は思うのです。この石油たんぱくの安全性につきましましては、非常に多くの疑問が出されておるわけであります。企業にしましても、大日本インキあるいは鐘淵化学等は中止をしたわけでありますが、しかしこの石油たんぱくの安全性につきましては、決して納得はしていないわけですね。ただ世論に押されてやめたということだけであって、要するに、その考え方、基本的なことが私は非常に問題だと思うのです。しかも今回、実験というのは各企業がやっておるわけですね。たとえばネズミを使って検査をしたと言っておりますが、サンプルにしたって、何匹使ってどういう影響があったか、そういうようなことについて実際に政府では、そういうような基本的な実験についても、そういうものはきまっておるかどうかということなんです。ただ、企業のほうでかってに実験をやっておる。実験の方式も確立されていない。基準もはっきりしていない。結局、推計学的な判断をしておるわけですね。そういう一つ一つの問題をこう見ていきますと、一体このままで、今後どんどんと新製品等も開発されていくわけです。しかも、御承知のように、地球全体に環境汚染が拡散しておりまして、そういうような問題もからみ合って、これは私は非常に大きな問題じゃないか、このように思うのです。
 今回の石油たんぱくの問題につきまして、科学技術の行政について一番かなめになるところは科学技術庁でありますし、長官の所信表明でも、ライフサイエンスということを一番トップに、具体的な項目の中でうたわれているわけですね。これについて長官としてはどういうような感想を持たれたか、それをひとつお聞きしたいと思うのです。
#57
○前田国務大臣 ただいま御指摘の石油たんぱくの問題でございますが、この石油たんぱくの問題一つをとっても、この処理いかんによっては、政治に対する不信というものが出ると思うのでありまして、この問題については、石油たん白がどういう影響があるかということを十二分に検討しなければ、ただネズミとかウサギを実験材料にして検討するだけでは、とうていいけないという考え方に私も立っております。
 ただ、科学技術庁でこの石油たん白についての研究は実はいたしておりません。けれども、これは一つの例でございますから申し上げたいと思うのでございますが、とにかく石油たん白の例一つをとってみましても、企業の横暴というか、利潤追求主義のために一般国民大衆が犠牲になってはいけないという基本姿勢でいくのが政治の姿勢であろう、大事な点であろうと思うわけでございまして、その点は近江先生と全く私、意見は同様でございます。
 この点に関連いたしまして、先ほど嶋崎先生の御質問にもお答えしたわけでございますが、結局、科学技術といいましょうか、これはやはりもろ刃のやいばであるということをいつも私念頭に置いておるのでありますが、これは非常に人類のしあわせになる、一歩誤まれば人類の破滅になる、あるいは破滅まではいかなくても非常に悪い影響がある、おそるべき影響があるという点を常に考慮しなければいけない。それがこれからの科学技術行政の基本姿勢であろうと思うのでありまして、その点に関連しまして、御承知のように、テクノロジーアセスメントというのがございますけれども、技術事前評価といいましょうか、総点検といいましょうか、そういうふうな姿勢で臨みたいと考えまして、この間も国会でPCBの問題が出ました、あるいはまた、そのほかの化学物質の問題等につきましても、すべてテクノロジーアセスメント、技術再評価というふうな姿勢でわれわれはいきたい。それで、科学技術庁といたしましては、このテクノロジーアセスメントの手法といいましょうか、どういう方法でやるかということを本年度の予算で検討する。予算はわずかばかりでありますが、実は計上いたしております。
 それから、ちょうどあれは一月の二十日過ぎだったと思いますが、政府関係の試験研究所の所長、各省全部集まっていただきまして、こういうテクノロジーアセスメントというか、先生いま御指摘のような、そういう化学物質あるいはこういう新しい食品等についての評価をするという、どういう方法でやったらいいだろうかと、話は簡単に申し上げてはなはだ恐縮でありますが、そういうふうな姿勢でそういう会議も実は聞きまして、今後こういうふうな態度で科学技術行政というものに取り組んでいきたいというふうに考えております。
#58
○近江委員 きょうは厚生省の浦田さんも来られておりますので、お聞きしたいとお思いますが、浦田さんは厚生省のその部門での最高責任者として、そういう浦田さんの言動についてはよくみんなが関心を持って見ておるわけですか、今回のそういう局長の一連の発言を見ておりますと、これはもうだれしもやはり行政当局に対する不信感というものは強まってくるんじゃないかと思うのです。今回のこの件について、浦田局長としてはどういうように判断をされたのか、ひとりお伺いしたいと思うのです。
#59
○浦田政府委員 結果から申しまして、国民の皆さま方に、いわゆる石油たん白の安全性については非常な不安と申しますか、不信の念を与えたということについては、あとから私どものその不安、不信を晴らすための努力が足りなかったということを反省しております。
 いきさつを申しますと、まさに近江先生あるいは国民の皆さま方の石油たん白に対する不安、不信というものを、厚生省といたしましては受けとめ、代表いたしまして、昭和四十三年前後から日本国内で、石油たん白を飼料として企業化するということについての研究が非常に活発に行なわれておったという段階におきまして、厚生省はその所管とか、あるいは法律上の権限はともかくといたしまして、たとえ飼料として使用するものでありましても、いわゆる食物連鎖あるいは生物体の中における濃縮といったような問題を考えますと、最終的に人間の食品として取り上げられた場合に、安全性というものについて十分に検討する必要があるというところから、食品衛生調査会は四十四年十月八日に石油たん白特別部会を設置いたしまして、どのような観点から石油たん白の安全性を確認するかという点についてまず検討を開始したのでございます。
 その結果、一年余りかかりまして、二十二項目にわたる検査事項というものをきめまして、その二十二項目について検討をしていけば、飼料としての石油たん白の安全性に対する黒白の判定はできるであろうというふうに考えまして、企業のほうにもこの旨を通知したわけでございます。
 その結果、それまで企業のほうといたしましては、ある程度安全性の検討に関する資料を持っておったのでございますが、さらに必要な資料を整え、必要な調査研究をいたしまして、食品衛生調査会のほうに意見を求めてきたといったようなことでございます。
 手続といたしましては、昭和四十七年九月二十日農林省畜産局長より文書をもって、炭化水素酵母、いわゆる石油たん白の飼料化についての安全性についての見解の照会がございました。これにこたえまして、四十七年十二月十五日、食品衛生調査会常任委員会におきまして、飼料としての石油たん白の利用についての安全性と題する見解が示されたところでございます。これに基づきまして十二月二十六日、農林省の照会に対して、私の名前でもってこの見解をもととした意見の回答をいたしております。
 ところで、この食品衛生調査会のいわゆる見解なるものでございますが、これはかいつまんで申しますと、実験段階における石油たん白を飼料として用いるということにつきましては、これは安全性が確認された。しかしながら、工業化するにあたっては、再度国の機関でチェックする必要がある、国の機関で検査する必要がある。その他企業側の監視体制等々につきまして条件をつけた見解でございます。
 以上でございまして、おことばを返すようですけれども、厚生省といたしましては、この問題について積極的に取り組み、そうして見解を示したものでございまして、見解も条件つきでございまして、その点一、二御批判がございました。たとえば、企業側から提示されたデータのみに基づいて判断したとかいったような御批判もございましたが、しかし、最初から厚生省の姿勢がこの問題について積極的に取り組むということでございましたし、また、いろいろとその後石油たん白の企業化をめぐりまして国民の皆さん方の御不信、御不安を巻き起こしました段階においても、厚生省はやはり企業側の良識と申しますか、そういったものに訴えまして、結果として事実上、石油たん白は企業化を中止するといったような結末に相なったのでございまして、この点は、私どもは国民の皆さま方に対する厚生省の考え方、姿勢というものを十分に訴える努力が足りなかったという点については、きわめて残念に思いますが、今後もこういった問題については積極的に、たとえば飼料の段階における最終局的には生物体濃縮あるいは食物連鎖によって食品のほうに影響のある、人間の健康に影響のあるという問題についても、各省庁とも十分に協議いたしまして、できれば法規制ができるように検討をいたしていきたい。大臣からもそのように命ぜられておりますので、目下その作業の準備にかかっておる段階でございます。
#60
○近江委員 そういう議論の中で、行政当局自体が、石油たん白の飼料化あるいは食品化、こういうようなことを議論なさっているわけですね。これ自体が食品行政に対する一貫性のなさを非常に示しておると思うのです。
 それで、こういうことを考えていきますと、ここには非常にいろいろな問題があるのですが、科学技術庁におきましては、千葉研究調整局長がこの面の担当をなさっているのですけれども、厚生省が一生懸命中心になってやっておるからというような態度ではおられなかったと思うのですが、科学技術庁としてはどういうようにその件についてタッチをなさり、いままで見てこられたのですか。
#61
○千葉政府委員 いま御指摘の化学物質の人体に対する影響でございますが、PCBはじめその他の化学物質のいろいろな影響につきましては、近江先生からつとに昨年来いろいろと御質問がございまして、そのつど科学技術庁の立場を明らかにしてまいったわけでございます。先ほど大臣からも科学技術庁の立場をお答えしておりますので、最近の私どもの積極的に取り上げている姿勢でございますが、その辺のところをお答えしたいと思います。
 実は、いま御指摘の点も含めまして、化学物質のいわゆる直接的な点と、それから非常に基礎的な点がございます。それで、いわゆる直接的な人体に対する影響その他につきましては、PCBその他で私どもが行ないましたような特別研究促進調整費を厚生省を中心に、あるいは通産省に渡しまして、そういった点を中心にいたしまして、いまこの研究を推進しておる最中でございます。
 それで、当庁といたしましては、いわゆる化学物質の基礎的な面で化学物質が人体にどう影響するかという点は、ネズミその他の動物による実験によりまして、それの状況から見て、ある安全率をかけて、人間に対してこうだろうという行き方でございますが、こういった点が非常に研究する余地がありまして、その辺の持っていき方をどうするかという点などはまことにむずかしい点でございます。当庁といたしましては、そういった基本的なところを明快にする総合的な大きな研究をしようということで、それでもうほとんど準備したのでございます。十数億をかけましての大研究をひとつしようというような地点にいま来ております。
 そういった点を進めますと同時に、石油たん白のような問題につきましては、厚生省といろいろ打ち合わせまして、もしも足らないところがあるならば、いつでも特調費あるいは私のほうの見積もり方針の調整、こういったような権限を使いまして御協力しようということで、各省連絡会の場あるいは直接厚生省といま対策を練っておるわけでございます。
#62
○近江委員 今度はもう少し具体的に聞いていきたいと思うのですけれども、各企業がやった実験、いま千葉局長もちょっとお述べになりましたけれども、たとえばネズミを七十匹使って一匹死んだというのと、百匹使って一匹死んだというのでは、これはまた意味が違うわけですね。そういうような、たとえばサンプル数等の問題、要するに実験をどういうしかたでどういう角度でやっているのか、こういう実験方式が確立されていないわけですね。基準もはっきりしていない。そして、先ほど申し上げたように、推計学的な判断をしている。ですから私は、こういう基準そのもの、あるいはまた、実験方式そのものを国がやはり明確化していく必要があると思う。企業にまかせっきりなんですね。これは私は非常に重大な問題だと思うのですよ。実験がそんな野放しでいいかげんになっていて、安全でござる、そんなことじゃこれは安心できませんよ。これは国として明確にシビアにやるべき問題ですよ。これにつきまして、浦田局長、そして千葉局長、大臣に、きょうは時間の関係もありますから、簡潔にひとつ骨を答えてもらいたいと思うのです。
#63
○浦田政府委員 食品関係あるいは石油たん白の関連についてお答えいたします。
 私ども、制度的には確かに近江先生が御指摘のようなきちっとした扱いはしておりませんけれども、石油たん白の問題あるいは添加物の安全性の問題につきましては、食品衛生調査会で基準をつくりまして、これは国際的にも十分通る基準でございますが、つくりまして、安全の確保をはかっているところでございます。ことに、確かに推計学的にはいろいろな実験の評価ということについていろいろと御疑義があるようでございますが、添加物につきましては、その辺も含めまして、いわゆる安全率というものを十分にとりまして、できるだけ危険から遠ざかるということでもって、たとえば最大無作用量の百分の一をもって、あるいは二百分の一をもって基準値とするといったような方式を用いまして、これは世界的にも確立された方式でございますが、食品添加物あるいは食品の中に含まれておるかもしれない有毒物についての規制を行なっておるところでございます。
#64
○千葉政府委員 ただいまの点は、厚生省専管の分野でございますけれども、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、厚生省に手を貸しましたり、あるいはさらに総合的な見地から、ほかの省とも組んで、それからさらに大学の連中まで集めて、総合的に積極的に進めていきたい。必要とあらば、先ほど申し上げましたような特調費あたりも大いに活用したい、かように考えておるわけであります。
#65
○前田国務大臣 同じような御答弁になるかと思うのでありますが、実験方式をどういうふうな姿において確立するかという問題、ネズミの実験からそれを類推いたしまして、人体に考えるというような考え方、これは非常に問題があろうと思うのであります。重大な問題であろうと思うのであります。こういうことも先ほど申し上げました技術再評価というか、テクノロジーアセスメントといいますか、この手法のうちにもそういうようなことを含んでこういうことを考えていきたい、そういうようなふうに考えております。
#66
○近江委員 浦田さんは、添加物等についてはそういう基準もあるとおっしゃっているのですが、しかし、この石油たん白の場合は、何もないわけですね。だから、先ほど私が申し上げたように、企業側が判断していまやっているわけですね。それをもちろん食品調査会で検討なさったということをおっしゃっておりますけれども、そういう非常に、どういうのか、種類によって隘路があるわけですよ。ですから、その辺をどうするかということなんですね。今後どうされますか。
#67
○浦田政府委員 私どもやはりこういった点については、いわゆる一〇〇%の安全性が確認されるという方式はいかにあるべきかということについて、ことに飼料といたしましても、間接的には人間の食品になるということでもって、これはひとつそこまで強い規制が及ぶように、もちろんその安全性のチェックについてはしっかりした基準に基づいてやれるように、法改正その他を検討しておるということでございます。また、前国会で近江先生から非常な御示唆がございましたように、家庭用品等につきましても、やはりそういった観点から衛生基準を設けまして、安全性を確保していきたい。その立法措置も、いまほとんど準備が終わりまして、今国会に提出する運びになっておりますので、申し添えておきたいと思います。
#68
○近江委員 それで、厚生省が食品添加物の安全性の点検をなさっておるわけですが、私の聞いておる範囲では、年に二、三例しかないということを聞いているのですね。アメリカなんかでは、たとえば一事例の検査にしても億単位の金を使っているわけですよ。ですから、私はいつも、千葉さんは一昨年とおっしゃっていましたが、私は、国会に出していただいて六年間このことを皆さんに訴えておるわけですけれども、そういうように非常に取り組みの姿勢というものがあまりにも弱過ぎるわけですね。ですから、手をつけておるということをおっしゃっても、そういう微々たることであってはどうしようもないわけですよ。ですから、この辺のことについては、うんと力を入れてもらわなければ困ると思うのですね。私がいま申し上げた点につきまして、浦田さんと大臣にお聞きしたいと思います。
#69
○浦田政府委員 先生からいつも御激励とおしかりとを含めましていろいろと御指示いただくわけでございますが、私どもたしか、まだまだこういった安全性の確保という点における研究費あるいはその陣容、予算等については足りない点が多かろうかと思います。毎年幾ぶんかずつは改善されてきているところでございますけれども、さらに私どもは、いま御指示の個々の問題を踏み越えて、先生がおっしゃっておられるライフサイエンスというより広い観点からの検討というものにまで進むべきだ、これについては科学技術庁あるいは関係の省庁とも十分に御協議いたしまして、今後とも推進に格段の努力をしていきたいと思っております。
#70
○前田国務大臣 ただいま御指摘の点は、私も非常に精力的に取り組みたい問題の一つでございまして、実はことしの予算を見ましても、これは当庁だけの予算であります、当庁だけの予算を見ましても、大きなプロジェクトの予算は相当大きい量を占めておる。しかし、国民生活に密接に関連する科学技術というのは十三億かその程度でありまして、これをもっとふやすようにしていきたい。私は精力的にやりたいと実は思っておりまして、ことに先生御指摘の問題も含むと思うのでありますが、ライフサイエンスの問題、この問題にはライフサイエンスセンターというか、そういうものも実は来年度はぜひひとつつくり上げるようにしたい。そうして、このライフサイエンスの研究のために私のほうの安尾審議官をアメリカに一月近く出張させまして、向こうの状況等も調査を命じましていま行っておりますので、帰ってくればさらにこの問題に精力的に取り組みたいと考えておりますので、現在はまことに微々たる予算だとお考えになると思うのでありますが、これがほんとうに将来発展をする技術の芽となるように、ぜひ先生にも御支援をいただきたいと思います。
#71
○近江委員 先ほど浦田局長は、そうした食品の安全性を確立するために立法措置をしたいということをおっしゃったわけです。それであともう一つ、食品環境等を守るための事前調査機関、こういうものを早急に私はつくるべきだと思うのです。いま大臣がお述べになりましたそのライフサイエンスセンターというのは、その事前調査機関等も含むわけですか。また、厚生省もどのようにお考えか、それをひとつお聞きしたいと思います。
#72
○前田国務大臣 ただいま考えておりますライフサイエンスセンターというのは、研究の総合推進、それから研究の支援、そういうことを目標に考えております。
#73
○浦田政府委員 ライフサイエンスにつきましては、科学技術庁が非常に前向きの姿勢で御検討いただいておりまして、私どもは、私どものできる範囲内でいろいろと御協力申し上げたいし、また御相談にもあずからせていただきたいと考えております。
 また、従来あります厚生省の試験研究機関、これが、日本はどちらかと申しますと、食品関係の部門は、行政需要のわりには弱体であった点はいなめないと思います。それを重点に置きまして、今後とも施設の強化拡充、同時に、民間の同種試験研究機関の育成、あるいは順序は違ったかもしれませんが、各都道府県におきますこの種試験研究機関の拡充というものもあわせて努力してまいりたいと考えております。
#74
○近江委員 この事前調査機関は、私は早急に確立をして、いまおっしゃったライフサイエンスセンター等の充実を強力にひとつ行政の一環としてやっていただくと同時に、やはり全体のそういう行政の充実ということに全力をあげてやっていただく必要があると思うのです。この点につきましては、また閣議等でも、ひとつ長官のほうから、ぜひともこういう強いあれがあったということははかっていただけますか。
#75
○前田国務大臣 御趣旨を体しまして十分努力いたしたいと思います。
#76
○近江委員 それで、いまこういう問題が非常に大きくなっているわけですが、たとえば肝硬変という病気があるわけです。これは非常に死亡率が高いのですけれども、西日本に非常にこれが集中しているわけですね。これは大阪府の衛研でも発表したわけですけれども、大阪府としてもほっておけないということで、今年度から千二百万円をかけて原因究明の調査をする、こう言っておるのですが、何せ大阪府衛研といってもやはり大阪府にほぼ限られるようなことがあるんじゃないか。これは、やはり非常に広域的な、もう西日本のこういう異常な発生を考えますと、放置できないと思うのですね。原因というのは、西日本が二毛作をやっているところが非常に多いし、農薬の量も多いということ等もいろいろいわれておるわけです。普通、肝硬変というのは酒飲みに多いんじゃないかといわれておったのですけれども、寒冷地のほうでは、どちらかというと非常に寒いものですからよくお飲みになるんじゃないかと思うのですけれども、非常に少ないわけですよ。西日本に比べると半分以下なんですね。西日本では十万人当たり十四人以上、東日本のほうは七人以下というように非常に少ないわけです。こういうような報告は聞いておられますか、厚生省と科学技術庁。
#77
○浦田政府委員 以前から西日本のほうに肝硬変の死亡率が高いということは承知いたしております。
#78
○千葉政府委員 先生からお話がございましたのでさっそく調べたのでございますが、一般的に西日本には肝硬変の者が多いということだけでございまして、原因その他についてはよくわからぬという程度にいまなっております。
#79
○近江委員 原因等についてはよくわからぬというのですけれども、わからなければそのまま放置するのですか。厚生省はどういうように……。私はこういう一つ一つの事例を通じて皆さん方のそういう根本的な姿勢を問うておるわけですよ。どうなんですか、厚生省。
#80
○浦田政府委員 正直申しまして、いささか私の守備範囲と違うところでございますが、厚生省で、健康を守るという立場でいろいろと話も承知しておりますので、この事実につきましては、さらにこれはやはり当初は疫学的なアプローチが必要であろうと思います。ひとつ専門家の御意見等もお聞きいたしまして、そして原因の究明に努力するようにいたしたいと考えております。
#81
○千葉政府委員 実は、この肝硬変の問題につきましては、別の立場から、ライフサイエンス的なアプローチでひとつこの究明をはかろうかということで、実はこの方面の大家に、これは慈恵医大の先生でございますが、アプローチして、これにつきまして科学技術庁としても厚生省に協力して、ひとつ先生がそういったような中心人物になっていっぺん解明してくれぬかというお願いをしたわけでございます。その先生は、非常にこれはむずかしいので考えさしてくれということになっておりまして、この三カ月ばかり、いま考えていただいておるわけでございます。
#82
○近江委員 こういうように、いま異常なことが次から次へと起きているわけですよ。化学物質の汚染であるとかいろいろがことが言われているわけですよ。こういうことこそ、ほんとうに積極的に先取りをしてやってもらわなければ困ると思うのですよ。その辺のところは大臣、どうなんですか。結局、いろいろと環境庁であるとか厚生省であるとか、いろいろわが省がこれまた中心になってやっていけば、いろいろな問題をかかえておるのに、山積しておる中でかなわぬというような気持ちが、非常に各省強いと思うのですよ。こういうような問題が、敬遠するような中で放置されていっている。こういうことこそ、科学技術庁自体が音頭をとって、そしてどんどん特調費なども使って、こういうことには幾ら金出したって、国民の皆さん賛成してくれると思うのですよ。どう思いますか、こういうふうなことは。
#83
○前田国務大臣 肝硬変のお話をされましたが、これは一つの例だと思います。肝硬変というのは非常におそるべき病気であると私も存じております。また、ガンであるとかリューマチであるとか、とうてい現在の医学ではほんとうに解明されていない分野が相当多いのではないかと思うのでありまして、どうも私、最近の勉強でありますが、こういう病気はほんとに医学の面だけでは解明できないんじゃないか。すべての科学がオールスターキャストといいますか、全部動員してはじめてできるんじゃないかと私思いまして、その意味においてライフサイエンスということに本格的に取り組みたいと実は考えておりまして、すでに遺伝性の病気、あるいはガン、あるいはリューマチ、それは遺伝するかどうかわかりませんけれども、そういう点につきましても、科学技術庁といたしまして、特調費を使いまして、すでにこの研究に着手しておりますが、そういうものを含めて、肝硬変も入れまして、あるいは私、老後の問題もあると思うのです。「恍惚の人」といいますか、そういう人も非常に多い。われわれも「恍惚の人」になるんでしょうけれども、そういうふうな問題をとにかく解決するために、ただ年金をふやすんだとか、あるいは医療を無料にするんだ、それも大事です。しかし、それと同時に、それ以上に私は、このライフサイエンスという問題に取り組んでいかなければいかぬというふうに考えております。
#84
○近江委員 長官自身も非常に切実な問題としてお感じになっておられますし、いま決意を表明されたわけですから、全力をあげてそういう問題をひとつやっていただきたいと思うのです。
 それから、もうちょっと具体的に聞きたいのですけれども、私は前から言うておりますが、相乗作用ですね。たとえばPCBとかBHCの相乗作用とか、それはうんとやってもらいたいということを言っていたのですが、PCBとBHCの相乗作用として、低濃度でも発ガン性がある。これは奈良の県立医大でマウスの実験をしている。これは厚生省でもお聞きになっておられると思いますが、こういう相乗作用の研究についてはどのように進めておられますか。科学技術庁もどのようにバックアップしていますか。
#85
○浦田政府委員 PCB、BHC、これは根本的にはすでに使用が全面停止されておるということでございますので、問題は将来に向かってはだんだん薄くなると思いますが、先生の御指摘もございまして、現在児童家庭局で身障研究費というものをこれに充てまして、主として慢性毒性あるいは発ガン性、こういったものを中心にいたしまして、現在国立公衆衛生院の林部長を中心にして研究を進めておる段階でございます。
 その他DDTとの相乗性等につきましても、目下これは九大の田中教授を中心といたしまして研究が続行中でございます。また、PCBとガンの関係でございますが、これにつきましても奈良医大のこの研究をなすっておられます伊藤教授を中心に、それに国立衛生試験所の池田部長を加えまして、これも現在研究が続行中でございまして、いずれも時間が多少かかるのでございますが、さらに四十八年度についても継続研究をしなくてはならない、そのように予算を充てる予定でございます。
#86
○千葉政府委員 当庁といたしましては、四十七年度の特調費に入れまして、PCB等の汚染防止に対処するための、慢性毒性などの人体の健康に及ぼす影響に関する特別研究ということで四千二百万円を支出いたしまして、労働省、厚生省にその担当機関になっていただきまして、研究グループをつくりまして、これの特に複合作用と催奇性の問題それから発ガン性の問題をいまやっていただいておりますけれども、それは、いま浦田局長がお話しましたのは、この四千二百万円がその一部に入っていると思っております。それで、これの結果がどうかということでございますが、いままだ研究中でございまして、その結論は得ておりません。
 以上でございます。
#87
○近江委員 それからまた、第二のPCBといわれておりますフタル酸エステル、これはいろいろ研究もなさっておるのではないかと思うのですけれども、これも、こういうような事例を見ておりますと、これが事実であるとすると、私はPCB以上の大きな問題である、このように思うのです。この問題は前の委員会でも申し上げたわけでありますが、その後研究の経過としてはどうなっているか、浦田さんにお伺いしたいと思います。
#88
○浦田政府委員 フタル酸エステルのいわゆる発ガン性等につきまして、一部新聞紙上に、カナダの研究ということでもって発表されたことがあったやに記憶しております。その後私どもはこの問題につきまして現地にも照会いたしまして、これはどうも一部報道のほうの誤りと申しますか、それもございましたようで、フタル酸エステルそのものについての問題はないというふうに承知しております。しかし、私どもはすでに食品添加物としてのフタル酸エステルにつきましては、昨年十二月にその指定を取り消しておりますが、ほかの器具で使われております、たとえば医療用器具に使われておりますものなどにつきましては、やはり溶出試験、その他今後とも十分に検討して、その安全性を確保するように努力してまいりたいと考えております。
#89
○近江委員 研究なさっているということをおっしゃっているのですけれども、年間これは三十万トンどんどん生産されているわけでしょう。そういう多方面の使用を考えていきますと、さらにこれが拡大していくわけです。それをいままでのようなぺースで、ただ漫然と研究を進めていっていいかという問題なんです。そういうことでは私はいかぬと思うのです。だから、これだけ心配しているわけですから、強力な体制をとって、国民のそういう不安や不信に対してこたえていかなければいかぬと思うのです。それについてはどうですか。環境庁も来られていますから、お聞きしたいと思います。
#90
○浦田政府委員 先ほど私が申し上げましたのは、私の守備範囲である食品の問題について申し上げたわけでございます。先生の御指摘は、おそらくは第二のPCBということをおっしゃるところから見ますと、これが新しい環境汚染物質としてどうなるかということでございますので、環境庁のほうからお答えをいただけると思っています。――環境庁お見えになっていないようでございます。私どものほうも回り回りまして、食品汚染の問題、あるいはその他のいろいろな問題として出てくる可能性もございますので、環境庁のほうに十分この問題につきましては先生の御趣旨を申し入れて、政府全体としても対策がとれるように、措置できるようにいたしたいと考えております。
#91
○近江委員 結局これが問題なんですよ。環境庁にも言ってということを言っておるわけですね。結局これは、私は一つの事例でいま言っているのですけれども、そんなことではよくないわけですよ。これは、科学技術庁にも私は先ほど言いましたけれども、前の委員会でも言っているわけですよ。そんな、各省が順送りするような、そういうやり方を科学技術庁としては指示しているのですか。科学技術庁、それじゃどのように取り組んできたのですか。前のときは力一ぱいやりますということをおっしゃったでしょう。千葉さんに私はお聞きしたいと思うのです。
#92
○千葉政府委員 この点につきましては、見積もり方針の調整によりまして、科学技術庁といたしましては、厚生省、さらに環境庁に十分にやるようにということで、環境庁が中心になってこれを推進するものと、そういうふうに理解しておるわけでございます。
#93
○近江委員 だから、その指示をしておりますということなんですけれども、ばらばらではこういう問題についてはよくないと思うのですよ。各省庁も同じように熟知して、一体となって進めてもらう、私はその体制が大事じゃないかと思うのですよ。一連の、こういうことをお聞きになっていて、長官も、こういうあり方でいいのですか。これだけ問題になっているのですよ。
#94
○前田国務大臣 近江先生御承知のとおり、現在の役所の組織は縦で割り組織になっておりまして、一つの問題をとらえて全体をやはり総合調査するといいますか、全体を科学技術行政の面から、縦で割り行政を全部科学技術という面から統一的に見るという考え方は必要だと思うのです。それがために科学技術庁というのはあるのだと思うのでありまして、科学技術行政の総合推進をはかるということがわれわれの主たる仕事であろうと思うのです。
 その方法といたしまして、先ほど局長が言いました予算の見積もり方針の調整といいますか、そういうこともやっているわけでありますが、私もこの問題ちょうど近江先生と同じような考え方で、一体、科学技術庁で、たとえば環境保全の技術はどうなっているか、あるいは保健衛生の関係の技術はどうなっているか、そういうことを一覧のもとに、われわれがすぐ手にとるごとくわかって、一冊の本――そういう一つの例ですか、見ればすぐわかるようになっておるかということを、私は着任すると同時にその点を調べてみたのです。しかし、なかなかその点は、各省の従来のいきさつとかいろいろな立場もありますし、われわれは別にどの役所の仕事もみんなとってしまおうという意味じゃないのです。しかし、ちょうど近江先生おっしゃったように、科学技術という面から全体をレビューするというか、そういう姿勢が必要じゃないか。そうして、たとえばPCBならPCBの問題をとっても、この研究については、あるいは理研でやっております、どこでやっております、厚生省でやっております、どこでやっておりますということを、全部総合的に科学技術庁が見て、そうして予算を編成する場合も、たとえば大蔵省に乗り込んでいって、この問題はぜひ四十八年度の予算でとってくださいというふうな、そういう強力な行政が必要じゃないかと思いまして、はなはだわれわれ力は不足でありますが、そういう面に向かっております。具体的に言いますと見積もり方針の調整なんですが、ただ方針を調整しておくだけで来ておるんじゃ、あまりにゆるいゆるふんになってしまいます。さればといって、あまり強くやるというのは、なかなか一度にいかぬものです。しかし、そういう姿勢で今後いきたいと思っておりますので、どうぞひとつこの点についてもいろいろ御指導いただきたいと思うのです。
#95
○近江委員 長官も非常にその点は前向きにおっしゃったわけですが、ぜひとも科学技術庁として一歩も二歩も乗り出してやっていくという、そういう姿勢でこれはやってくださいよ。単なる長官の希望だけではなくして、長官は非常に力をお持ちなんですから、必ずそれを実現さしてもらいたいと思うのですね。
 それで、きょうは時間の関係もあってなんですけれども、このフタル酸の問題については、浦田さんも強力にやっていただけますね。それから環境庁は、問題が違うからということで出なかったそうですけれども、水質規制課長も来ているのですよ。だからその辺のことも、あなたは課長として聞いておるわけですから、その辺についてはどうなんですか。
#96
○太田説明員 ただいまフタル酸エステルの問題につきまして御指摘がございました。正直に申し上げまして、現在水質規制の立場からは、まだフタル酸エステルは検討の対象には入っておりません。しかし、いま御指摘もございましたし、各省と連絡の上、今後の方向を検討してまいりたいと思います。
#97
○近江委員 中性洗剤の問題は、何年も委員会でも問題にしてきているわけですけれども、これは学者が次から次へとその危険性を警告しておるわけですね。この間も三重大の三上教授等が指摘されております。これは皆さんの御承知のとおりですけれども、こういう問題について河川や海のABSの水質規制が野放しになっておるわけですね。水道法による飲み水中の許容基準濃度も非常にルーズであるわけです。ですから、これをもっときびしい規制をしないと取り返しがつかない状態になるのじゃないかと思うのです。この辺の中性洗剤に対してもいつも並行線をたどっておるのです。ですから、いま申し上げたそういう規制の問題等について環境庁にお聞きしたいと思いますし、またこの中性洗剤について厚生省、科学技術庁はどういう取り組みをしておるか、それについてお聞きしたいと思うのです。
#98
○太田説明員 中性洗剤の規制の問題でございます。先生の御指摘のとおり、あわ立ちによる川の美観の問題と、それから実は下水道処理上これは非常に問題でございます。環境庁といたしましても、実は四十七年度から規制の方向で調査を実施してございます。四十八年度も引き続き実は調査費を計上いたしまして、まだ四十七年度の報告を得ておりませんので、ここでちょっと軽々に申し上げられませんですが、可及的すみやかに規制の対象として取り組むということでまいりたいと思います。
 実は、現在調査しておりますのは、クリーニング業と、それから工場におきまする機械の洗浄用排水のこれを規制の対象にするということで取り組んでおるわけでございまして、ABSの用途でございますが、これは何といいましても家庭用が圧倒的なシェアを占めておるわけでございます。この処理につきましては、排水規制の立場からいいますと非常にむずかしい問題でございますので、下水道普及の面でこれをカバーしなければいけない、かように考えておる次第でございます。
#99
○浦田政府委員 洗剤、ことに食器及び食品の洗浄に使用される洗剤につきましては、先生御案内のとおり、昭和三十七年に科学技術庁の特別研究調整費によりまして研究が行なわれ、食品衛生調査会において検討した結果、中性洗剤を野菜、くだもの類、食器等の洗浄に用いることは、洗浄の目的からはなはだしく逸脱しない限り、人の健康をそこなうおそれはないとの答申がなされておるのでございますが、その後いろいろと使用条件などによりまして、手が荒れるとかいったようなことも考えられましたので、昭和四十年の五月には各都道府県に通達を出しまして、使用上の注意を指導しております。
 また、その後さらに慢性毒性あるいは催奇形性等について調査研究をいたしておりますが、いずれも否定されております。しかしながら、私どもはやはり洗剤の占める位置、その重要性にかんがみまして、法律によりまして品質規格基準というものを設けて規制をしてまいりたいということで、ことに、新しくこれから先開発されるものにつきましては、その発売される前に十分に安全性について基準を設けて確かめてまいりたいというふうに考えております。
 それから、加えて申しますが、衣料用の洗剤につきましては、今回提出予定の家庭用品の安全の立場から規制を加えていきたいと考えております。
#100
○千葉政府委員 実は、私のほうは、つとにこの点につきまして前向きに取り組もうということで、三十七年度の特調費でABSの研究費千五百万円を出しまして、実はこれは厚生省中心でございますが、それでABSの毒性、取り扱いの問題について研究した結果、まあ取り扱いに注意すればこれはだいじょうぶなんだというような結論が出たわけでございます。その後もしばしば、たとえばいろいろな発しんができるとか、事実私の家族も、洗剤で発しんが出まして非常にかゆくなった経験がございます。この点につきましては、私自身も非常に関心を持っております。それで実は、環境庁がこれを前向きに取り組むという点もございます。見積もり方針の調整で私のほうも積極的にこういった面も取り上げるべしということで、大蔵省あたりにも十分に話して、これの基本的な研究を進めたらどうだという態度でいま対処しておるわけでございます。
#101
○近江委員 厚生省は家庭用品の安全の立場で規制を加えていくとおっしゃっているのですが、どういうことを考えておられるのか、それが一点。
 それから、結局、これ自体のそういう危険性だけを言っておりますが、環境汚染という問題水道水の中にも流れ込んでいるわけですから、しかも河川、海にどんどん流れ込んで、また生物汚染、それがまた食品としてわれわれの体内に入ってくるわけですね。そういうことを考えると重大な問題なんです。その二点につきまして、浦田さんと環境庁から簡潔にお答えいただきたいと思います。
#102
○浦田政府委員 洗剤の安全性の検討項目といたしましては、やはり皮膚アレルギーとかそういった面までも含めまして、十分に安全性が確保される基準を設けたいと思っております。
 それから、確かに水道用水、上水道への影響ということがございます。それは、従来の考えといたしましては、発泡しない程度ということであの基準値が定められておりますが、もちろん私ども水道法の立場からしますと、さらに低いほうがよろしいのでございまして、この点は、環境庁におきましても十分に御検討いただくということでございますし、私どももできるだけそのような方向でもって協力し、また努力してまいりたいと考えております。
#103
○太田説明員 環境庁の立場から申し上げますと、ABSにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、現在のところ規制項目に入っておりません。それで早急に入れる必要があるということで、実は四十七年度から調査を開始したような次第でございます。その結果を待ちまして、環境基準、それから排出基準をなるべく早くきめたい、かように考えておる次第でございます。
#104
○近江委員 じゃ、力を入れてください。
 時間の関係がありますので、あと一問だけお聞きしますが、きょう来ていただいておりますので、放射線医療の被曝の問題ですけれども、いろいろここに報告書も出ておるわけですが、この医療関係、治療、検診のために受ける被曝についてはもう対象外になっておるわけですね。これについてはどういう理由か。それから今後使用上、患者に対して使用基準とか使用制限を設けていくのか。そういう放射線を使用することについて、何らの考慮もされていない、こういうような実態をどう考えておるか。あるいはまた、医療被曝者手帳をつくれというような声もあるのですけれども、こういう点についてはどう考えるか。その辺のところをまとめてひとつ担当官からお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#105
○山高説明員 ただいま先生から御質問のありました点につきまして御答弁申し上げたいと思います。
 患者に対する被曝防止の問題というのは非常に重要な問題でございます。特に、放射線による検査とか治療の機会がふえてまいりますので、私ども大きな関心を払っておるところでございます。ただいま先生のお話のありましたものにつきましても、すでに科学技術庁でも御検討いただいておるようでございますし、私どもも科学技術庁と十分連絡をし、また専門家の意見も十分聞きながら、できるだけ積極的に検討してまいりたいと思います。
#106
○近江委員 もうこれで終わりますけれども、積極的にやっていきますという抽象論だけを私はお聞きしておるのと違うのですよ。こうこうこういうことについてはこうします、ということをお考えをお聞きすれば私はこれで終わるのですよ。だから、あなたと科学技術庁とお答えになって、これで終わりますから……。
#107
○山高説明員 ただいまの点でございますが、特に患者の被曝につきましては、そのデータもございませんので、さしあたりはまず研究を進めていきたい。そういう点につきましても科学技術庁に十分御相談してやらせていただきたいと思っております。
#108
○成田政府委員 先般、科学技術庁の個人被曝登録管理調査検討会の報告書ができておりますが、その中でも、医療被曝問題は非常に国民遺伝線量への影響が高い点を考えると、この医療被曝の問題も考慮しないでいくことは問題があろうという指摘が出ております。それで、その点の検討をこれから十分やるべきであるという指摘がありますので、これは担当庁であります厚生省とよく相談をして、この問題をどうやって処理していったらいいか、十分前向きに検討していきたいと考えております。
#109
○近江委員 もう時間がありませんから終わります。
#110
○石野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 原子力船開発に関する問題について、本日、日本原子力船開発事業団理事、堀純郎君を参考人として意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#111
○石野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行ないますので、さよう御了承願います。
 質疑を続けます。内海清君。
#112
○内海(清)委員 時間がだいぶたっておりますし、皆さんかなりお疲れのようでございます。なお、私も五時過ぎから常任委員会のほうにまた出なければなりません。大臣の所信表明に対する質疑ということになっておりますが、いろいろございますけれども、私の立場で少し考えております問題につきまして二、三お尋ねしたいと思います。
 その一つは、原子力船「むつ」の問題であります。いま一つは、これはあるいは通産省の工業技術院のほうが主になるかもしれませんけれども、原子力製鉄の問題でございます。この問題につきまして簡単にお伺いいたしたいと思うのであります。
 原子力商船「むつ」の問題につきましては、実はこれはこの委員会で最初に取り上げられました当時から、私はこれに関係してまいり、しかも昨年には、大体燃料の装荷も終わりました。そうして十月の二十六日ですか、いわゆる原子力の日には臨界試験に入ろうかというふうな状況にまでまいったはずであります。
 しかるにその後、これは事業団のほうの関係になりますか、陸奥湾におきまする漁業組合、漁民との交渉がデッドロックに乗り上げた。そういうことでいまだに臨界実験にも入らないで係留されておる、こういう状態なんです。おそらくこれが順調にいっておれば、昨年の十一月の終わりごろになりますか、その辺になれば、あるいは海上の航海試験にも入るのではなかろうか、まことにはなやかにデビューしようとしておりましたときに、全くそのはなやかな舞台から引きおろされた、こういう状態にいまなっておるのであります。
 しかも、その後なかなか漁業団体との交渉が進まないで、いま私どもがいろいろ新聞その他で調べてみますると、報道するところを見てみますると、あるいは青森県の県議会にむしろ舞台が移されておるのではなかろうかというふうなことも思うのであります。はなはだ遺憾しごくであります。
 それでなくても、この原子力商船の計画が行なわれました最初においては、ドイツのオットー・ハーンよりもむしろこっちが先手を打つはずであったのに、それがオットー・ハーンはすでに御承知のとおりのいろいろの活動をやっておる。それにこちらはまだ係留したままということは、はなはだ残念であります。こういう事態に対しまして、長官はどういうふうな御所感を持っておられるか、それをまずお聞きしたい。
#113
○前田国務大臣 原子力船「むつ」が動かない理由といたしましては、ただいま内海先生が御指摘のとおりでございます。地元の漁業関係者から、陸奥湾内での臨界・出力上昇試験の実施を中止するよう、去年の九月でございましたか、要望されましたために、臨界試験の開始を延期しておる状態でございます。その間、別に私の着任する前でも拱手傍観しておったわけでもないようでございまして、いろいろ地元漁業関係者との間に了解が得られるよう努力しておったようでございます。また私、着任後も、この点はいろいろ地元の県知事その他等ともよく連絡もし、われわれも一緒になって、誠意をもって、了解を得られるように努力を続けてまいりましたし、また今後も強力に続けていきたいというふうに考えております。
#114
○内海(清)委員 それでは、もう一つ端的にお伺いしてみますが、この臨界試験の開始の見通しはどうなんですか。
#115
○前田国務大臣 その点は政府委員から述べさせたいと思います。
#116
○成田政府委員 技術的には、燃科装荷が去年の九月終わりまして、いま技術的には臨界可能な状態になっておりますが、いま長官から言われましたように、地元の漁業組合からの湾内での臨界・上昇試験の実施を中止するようにという反対の要望のために、実際の臨界に入れないという状態であります。したがいまして、いま県知事と事業団の地元説明あるいは県知事にも入っていただいて、いろいろ漁業組合の幹部との話し合い等をやってもらっておりますが、漁業組合の理由としましては、一つは、原子力船というのは放射能が出て、それが陸奥湾の漁業に対して悪影響があるということで、あそこの魚等が非常に売れなくなるのじゃないかというような理由、もう一つは、陸奥湾でホタテ貝等の養殖漁業があるのでありますが、それの実際の仕事に影響を来たすのじゃないかというような二つの理由があげられておりまして、前の問題については、安全審査会で十分安全であるという立証が出て結論が出ておりますので、これは、その安全性について十分説明をやることによって解消するのじゃないか。それから、ホタテ等の養殖漁業との関係については、これは湾内の航行で影響のない地点もいろいろあるのでありまして、その点は調整ができるという考えで、いま県当局等のあっせんの成果を期待しておるところであります。したがって、いつこれが話し合いがまとまるかというのは、県知事等からまた十分相談してあれしないといかぬのですが、最近のところではかなり時間はかかるのじゃないかということでありますが、われわれとしては、臨界の段階に達しておりますので、なるたけ早くそういう地元の漁業組合の心配の点は、説明してわかっていただいて、早く解決してもらうということを非常に念願しておるところでございます。
#117
○内海(清)委員 これは、いろいろ長官も極力努力しておるというお話ですし、原子力局長のお話もわからぬことはないのであります。しかし、この陸奥湾が定係港、いわゆる母港にきまったのは四十二年十一月です。このときには、もちろん事業団は科学技術庁の指導によって、この事業団と青森県知事とむつ市長の間でこれができておるはずです。しかも定係港というのは、これは私がいまさら申し上げるまでもない、専門家ですから、燃料の装荷と、そうして炉の臨界と出力上昇の試験をやるためのこれは定係港のはずなんです。したがって、そういうことはこの五年間に、それじゃ漁民に対してはどういう啓蒙をやるか、理解を得られるか、どういうことをやったか、ということを疑わざるを得ぬのですね。五年余たっておる。私はその点がどうしてもわからない。それは、地元の新聞もずいぶんここにありますが、そういうふうなのを見ても、事業団と漁業組合の間がそれぞれ言いたいことを言っておる。なかなかそこに調整ができておらぬようにも見受けられる。こういう問題は、どうしてもやはり地元民の了解を得なければ、スムーズに進まぬことは明らかである。じゃ、この五年間何をしておったか、こういうことを疑わざるを得ぬのですね。これはどういうことなんですか。
#118
○前田国務大臣 ただいま内海先生から、過去この原子力船「むつ」にいろいろ御関与くださった御体験から――御関与というと失礼ですが、五年間、あまり努力してないのじゃないかというふうな、簡単に言いますとそういうふうな御発言でございまして、私ほんとうに胸を裂かれるような気がいたします。ほんとうにこの点はわれわれも謙虚に反省しまして、もっと積極的な姿勢で、安全性とかあるいは了解を得るためにもっとPR、というといかにも宣伝のようでありますが、そういうふうな了解するような措置もさらに講じていかなければいかぬという、私、ただいまの五年間、たいしたことしてないのじゃないかというふうなお話を聞きまして、一そうその感を深くいたした次第でございます。
#119
○内海(清)委員 もちろん、その間ほっておかれたのではないということは想像いたしますが、さっき申しましたように、定係港の任務というものは初めから明らかなんです。この三つのことは当然その母港で行なわなければならぬということは初めから明らかなんです。それが、いま臨界に入ろうかという直前において、漁民からそういうふうな反対が出るということは、いままでどういうふうなPRをやっておったか、地元民の理解を得るためにどういうことをやったかということが疑われるわけであります。あるいはまた、新聞などを見ますと、青森県の理事者の態度が変わったとか、あるいはどっちがどうしたとかいうようなことをいろいろ書いてありますけれども、そういうことは、ここを母港にしたという最初にさかのぼって考えれば問題にならぬはずであると私は考える。ですから、聞くところによりますと、イタリアの原子力委員会からも見学者が来ておるということであります。あるいは、その他の国からも、これには非常に注目しておりますから、どんどん参るだろう。これは、国家の体面からいっても、この段階でそういう臨界試験にも入れぬようなことでどうするかというふうな気持ちが私はいたすのであります。いままでどういう点で一あそこにちょうど母港がきまった当時からですか、ホタテ貝の養殖をやっておった。したがって、それが放射能ホタテ貝になったらもう売れぬのではないかというふうな心配が出ておるようでありますけれども、そういうことは初めからさらに関係ない。なお、こういう新聞などを見ますと、「古文書に頭かかえた事業団」というようなことを書いておって、何か最初にあそこではそういうふうなものはやらないのだ、少なくとも港の中では原子炉は停止しておるのだというふうなことがいわれたとか、いろいろあるようでありますが、そこらの点は、率直に、いままでどうなってきておるのですか、その点をお伺いしたい。
#120
○堀参考人 御説明申し上げます。
 ただいま大臣も、それから局長もおっしゃったことと多少重複いたすかもしれませんが、まずわれわれがあそこへ定係港を設定いたしましたのは、先生もおっしゃいましたように、昭和四十二年の十一月でございます。いまから申しますと五年半前でございますが、その当時、実はあそこへ定係港を設置いたしました一つといたしまして、非常に港湾の条件がいいのと、それから漁業がそれほど盛んではないということがございました。当時といたしましてはそれほど盛んではございませんでしたが、漁業の方の御了解も得まして、十分のPRをいたしまして、県にも市にもそれから住民の方、これは漁民の方を含めてでございますが、受け入れていただくということをいたしたのでございます。
 ところが、その後になりまして、ホタテの養殖にあの地が適しているということがわかりまして、ホタテの養殖が非常に盛んになってまいったのでございます。これに対しまして、われわれはもちろんそういうホタテの養殖業者その他の方に、あそこが原子力船の母港であるということについてのいろいろのPRをいたしまして、十分努力はいたしてきたのでございますが、しかし、結果において見ますと、先ほど先生の御指摘にございましたように、いよいよ昨年の十月ないし十一月に原子炉が臨界に達しまして、それから出力試験を進めようというやさきに、原子炉を動かさないでくれという申し入れを漁業団体から受けたのでございます。これは、結果から見ますと、確かに先生の御指摘のように、われわれとしてはPRが十分でなかった、こういうことを当事者として非常に反省いたしております。
 それでは、それからどういたしたかということでございますが、要するに、漁業団体の方が原子炉を動かさないでくれとおっしゃる理由は、この原子力船から何かきたないものが出るという心配がある。きたないものが出るとすれば、それはタービンの冷却水でございますが、冷却水からきたないものが出て、それで水がよごれる。あるいは船内で出てきた放射性の廃棄物を外へ捨てるのではないか、そういうことで非常に水がよごれてホタテが汚染されるということから、漁民の方が必配しておられますので、それに対してわれわれは、そういうことはしないのだ、タービンの冷却水に放射能がまじったり、あるいは船内で蓄積された放射性の物質を外に捨てたり、そういうことは一切しない。それは、船内で多少放射性の廃棄物が出ますのは、これはすべて船の中にためておきまして、決して海に捨てることをいたしませんで、陸上に荷揚げいたしまして、それから処理するということを御説明しまして、御了解を得るようにつとめておりますが、何ぶんにも漁業の方には非常に専門の異なる原子力のことを御説明しますので、なかなか早く御理解願えない。いろいろ百方説明を続けておりまして、そのために、御指摘のように時間が延びている次第でございます。
 しかし、これは私どもの観測でございますが、徐々におわかりいただいておりまして、これはいつとお聞きいただきましても、相手さまのことですからはっきりわかりませんが、そう遠くない時点において漁民の方の心配は解消していただけるのじゃないか、こういうふうに考えております。
#121
○内海(清)委員 もちろん、直接は事業団が交渉に当たっておられると思うが、科学技術庁としても、いままで事業団に対するいろいろ行政指導をされたと思うのです。なお、新聞などにいっておる古文書というのはどんなものですか。
#122
○堀参考人 その古文書と申しますのは、昭和四十二年の十月、日にちはちょっと覚えておりませんが、十月に事業団が青森県知事あてに出した文書でございますが、これは定係港を受け入れるについて、いろいろな問題点について知事が事業団の理事長に対して質問をしてきた。一回ではございませんで、たしかこれは二回か三回に文書がわたっておりまして、項目別にいたしますと十幾つかあったかと存じますが、そのうちの一つに、原子力船を定係港に停泊させたときは原子炉はどういう状態にしておくのか、という質問がございました。これに対して、原子力船は定係港に停泊する場合には原子炉を停止する、こういう回答をいたしておるのでございます。これは先ほど申しますように、いまから五年半前の状態でございまして、原子力の技術もそれだけまだ未開と申しますか、未開といっては少しオーバーかもしれませんが、そういう状態でございまして、まだ世界に原子力船というものが動いていない状態でございましたので、やむを得ず、当時のわれわれ技術者としてはそういう判断をいたしたのでございます。それからもう一つは、政府の安全審査その他のスクリーニングも済んでおりませんのでそういうことを申しましたが、その後安全審査等においてもこの原子力船の安全が確認されますし、それから世界の原子力の技術も進みます。それからその後にアメリカにはサバンナ、ドイツにはオットー・ハーン、それからソ連にはレーニン、こういう原子力船が動き出しまして、それらが実績を積んでまいりまして、これまでのところ、ソ連のことはよく事情がわかりませんが、アメリカとドイツについては、サバンナなりオットー・ハーンは、定係港に停泊中その他も原子炉を一切とめていないという状態になっておりますので、将来はわれわれの原子力船「むつ」も、そういう状態で動かすのが適当じゃないかと思いますが、何ぶん五年半前とはいえ、知事に対してそういう約束を事業団がいたしておりますので、先方からこれを守ってくれというお求めがあれば、当然われわれはこれを守る義務がある、かように考えております。
#123
○内海(清)委員 どうも、いまのはなかなか納得しにくいのですが、少なくとも事業団は専門家の集まりであるわけですね。それから、あの時点でサバンナはもう動いていた。それからレーニンはもちろん動いていた、こういう状態で、それから原子力船を御存じなら、何ぼ港に入っていても、船内に必要なあれがあるのですから、これをとめるわけにはいかぬじゃないですか。専門家がそういうことを知らぬわけはないんです。それになぜそういうふうな文書を出したかということ、そういうふうなものを出す時分には、これは事業団独自でやられて、科学技術庁はそういう文書を出すことについてはタッチしないということですか。
#124
○成田政府委員 その文書につきましては、当時にさかのぼっていろいろ調べたのでありますが、科学技術庁、政府としてはタッチしていないということが判明しております。
#125
○内海(清)委員 その当時の事業団の関係の人は――堀参考人はその当時からおられたですかな。
#126
○堀参考人 当時在職いたしておりました。
#127
○内海(清)委員 そうすると、その文書を出したことはよく御存じなわけですね。
#128
○堀参考人 はい、存じております。
#129
○内海(清)委員 そうすると、どうもその辺納得いかぬわけですがね。少なくとも堀参考人もそのほうの専門家でございましょう。われわれはしろうとで、三十八年からでしたか、この委員会で取り上げたのは。その当時から、われわれしろうとでさえそのくらいのことは知っておったはずなんです。だから、そういうものが出ておれば、あとでどう言うたって、それはそれに対する不信感が出ることは当然でしょう。地元住民からいえば当然だと思うのです。そういうことはさらにお考えにならないで、こうやっておいて、とにかく母港ときめてしもうたら、その後はもちはだんごにでもなるというようなお考えがあったんですかな。いかがでしょう。
#130
○成田政府委員 当時の事情をいろいろ調べてみますと、まあ当時地元の非常な反対もありまして、これを誘致してもらうために、当時の段階としては、県当局その他もそういう形で、まあ最初心配な地元民の関係も考えて、そういう考え方を事業団もまた県等もとったんじゃないかと思います。ただ、そういう考え方は、安全審査が終わった以降等においては前提がいろいろ変わってまいっておりますので、その点の地元住民に対する説明が十分なされてしかるべきだったんじゃないかというふうに、結果的には考えておる次第でございます。
#131
○内海(清)委員 これは、済んだことですから、いまさらそれを論議してもしようがございませんが、いずれにしても科学技術庁の指導なり事業団の措置というものに非常な欠陥があったということ、あやまちがあったということは、これは否定できぬと思います。それは県当局はいわばしろうとですよ、やっぱりこれは。ですから、科学技術庁からそういうものが出れば、それを信じて地元民にそのことを伝えておるのに、地元民の理解を得るのにそのことを使っておるのは間違いないだろうと思う。だから、その後の事情が変わったということはこれは通用しませんよね、このことは。原子力船そのものから考えていけば通用せぬと思うのです。だから不信感が出るのは当然だと思いますね。しかし、これは何とかして早く地元民の理解を得て、せっかく燃料装荷も終わって待期しておるのですから、一日も早く臨界に入れるように措置していただくことを私は強く要望いたしたいと思います。
 同時に、そういうふうな非常な政治的なような問題になっておるのだから、これは自治省とも関係が当然生まれてきたんじゃないか。そういうものを処置するのに、もう予算がちゃんときまっておりますから、いまさらどうもならぬが、予算の編成期にでももっと自治省あたりと十分話をして、四十八年度の予算等で何か地元の了解を得られるような話し合いもできたんじゃなかろうかというふうなことも考えますが、これもあとの祭りだ。同時にまた、説得をされるのに、御承知のような第三者補償の問題等も原子力関係にあることは明らかなんでありますから、もしそういうことで漁民の心配するようなことができた場合には、これに対する処置もできる、私はこう考えておるのです。それらの点はいかがでございますか。
#132
○成田政府委員 漁業関係のいろいろな予算的な措置は、四十八年度予算において、もちろん具体的な話になっておりませんので入っておりませんが、ただ、いま県当局のあっせん等において、原子力船の航行等にほんとうに原因して損害等を与えた場合は、当然それに対して原因関係がはっきりしたものについては、何らか考えないといけないという考え方は当然とられておりまして、われわれもその際は、予算的な方法等も十分緊急の措置として考えないといかぬというふうに考えております。
 ただ、まだいま漁業組合との話がそういう具体的な条件の段階に入っていない。それ以前のいろいろ根本的な見解の違い、その調整にいま直面している段階のようでございまして、これが県当局等のあっせんでさらに早く進展していくことを期待しておるのでございます。
#133
○内海(清)委員 予算段階でいろいろ考えたが、それは予算に組んでない。しかし、今後具体的になってくれば考えなければいかぬだろう。こういうことは、予算だけが具体的に考えられるわけはないのでありますから、私がさっき申しましたように、四十八年度の予算編成においてこれをもっと政治的に解決するかなんかということなら、これは自治省とも御相談の上で予算措置もある程度のものは考えておく必要があったのではないかと私は考えるわけであります。
 まあ、いずれにいたしましても、一日も早く地元の了解を得て、そうして臨界に入れるように格段の御努力を願いたいと思うのであります。これはまだいつかわからぬようでございますから、いまさらそれをお尋ねしても返事はできぬと思いますけれども、しかし、大体いまの話の進行状況から、どのくらいすればというふうな確たるものではなくても、およその見通しはつきませんかね。
#134
○成田政府委員 その点は、この前も知事等とお会いしていろいろ話し合いましたが、非常にデリケートな段階でもあるので、県当局もいつまでということは明言できないし、これはやはり今後原子力船「むつ」を運航していく場合には、地元民の全面的な信頼と協力がないと、今後母港としての機能も十分発揮できませんので、知事等はこの際十分理解を深めてもらう、そのためには、時間も多少かかるかもしれないという考え方でありまして、いま、いつまでということは、そういう事情にありますので、まあ私たちもはっきり予測もできませんし、また、県当局あるいは事業団の説得の結果を期待するだけという現段階でございます。
#135
○内海(清)委員 そうすると、これはいつになるかわからぬという結果になりますね。そういうことですが、それではいかぬと思います。さっきも申しましたように、イタリアの原子力委員会からも見学者が来ておるというのです。これは、これほど科学技術の進んだ日本の体面からいっても、そういうことは申しわけないことだと私は考えるのであります。時間がありませんからあれいたしますが、どうかそういう点で格段の御努力を重ねて要望しておきます。
 それでは、原子力第一船がこういう状態では、もう第二船の問題を取り上げることはむしろどうかと思いますが、第二船の問題、これはどういうふうにいまなっていますか。
#136
○前田国務大臣 第二船につきましては、民間企業としてこれを開発していただきたいという構想でわれわれは臨んでおります。西独と共同で、原子力コンテナ船等の研究開発をいま民間でやっていただいております。
#137
○内海(清)委員 これは、第一船はあくまでも実験船でありますから、第二船を、いわゆる商船として経済船をつくっていかなければならぬ、こういうことに相なるわけであります。したがって、この問題もやはり考えていかなければならぬ時期だろう。ところが、ほとんどこれは考えられていないようであります。第一船で頭が一ぱいかもしれません。いま長官のお話の日独の共同研究でありますが、これはいわゆる業界で、造船業界と海運業界、こういうふうなものが中心になってやっておるようでありますが、これに対する政府の協力はどういうふうにお考えになっておるか。
#138
○成田政府委員 日独の共同研究に対して、直接の予算上の助成等はいまやっておらないのでありますが、ただ、民間の造船技術協会等への国の委託費、これは数千万円でございますが、そういう予算を出して、一体型加圧水炉を主体とした日本の舶用炉の設計研究を、長年にわたって委託調査をやっておりまして、こういう点が、日独の協力関係が具体化してまいりますと、また新しい角度の国の援助も考えないといけないと思っておりますが、いまのところは、いろいろな技術的、経済的な調査等の研究をいままではやってまいりまして、これは業界が中心になってやっておるのであります。
 舶用炉については、造船技術協会に対する委託費、あるいは運輸省の船舶技術研究所に対する原子力予算としても、数千万円が舶用炉の研究費としてついておる状態でございます。
#139
○内海(清)委員 これは委託研究になっておるようでありまして、研究費をある程度援助されて、そして造船技術協会が大体やっておるようであります。これも近くレポートができ上がるのじゃないかと思いますが、ドイツは、政府が五年計画の一部にこれを入れておるということも聞きました。もしドイツもそうであるならば、この舶用炉というものは、これはまた発電炉と違って特別のものでありますから、これに対してはやはり政府の十分なる協力が必要であろう、こう思うのであります。その点について、重ねて大臣ひとつ。
#140
○前田国務大臣 舶用炉は、私それほど技術の知識はございませんけれども、一般の原子炉と異なりまして、コンパクトな小さいものでなくてはいかぬのだろうと思いますので、この点については、政府におきましても相当積極的に助成というか、そういうふうな姿勢も必要であろうかと思います。
#141
○内海(清)委員 この点もひとつ強力に進めていただくように、いずれにしても舶用炉の問題はきわめて重要であります。ことに第二船問題にはこれがどうしても必要でありますから、そういう意味合いにおきまして、ひとつ政府の十分なる指導助成を重ねて要望しておきます。
 時間がございませんから、原子力製鉄の問題ですが、通産省が、これは工業技術院でしょうけれども、大型のプロジェクトとして本年度新しく取り上げられたということであります。これは第一期として、四十八年度から五十三年度までに約七十七億円を投入してやろう、本年度は三億五千二百万円の要求で、一億七千万円になっておるようであります。これはまことにけっこうで、私は思い切って取り上げられました通産省に対して敬意を表したいのでありますが、これは資源の問題からいい、あるいはエネルギーの問題からいい、さらに公害の問題からいって、日本の製鉄が公害で非常な問題になっておることは御承知のとおり。
 こういう点からいって画期的なものだと思います。しかし、そうなかなか簡単なものでもないと思いますが、これにつきまして、今後これを開発していくスケジュールはどういうふうになっておるか、それをちょっとお聞かせいただきます。
#142
○木下説明員 先生御指摘のように、このプロジェクトは六年間で第一期計画と考えております。したがいまして、第二期を実は想定しておりますが、さしあたりまして六年間で、この原子力製鉄の最初のそれぞれ開発要素、たとえば熱交換器、ガスの発生、耐熱材料、鉄の還元、そういった開発要素がそれぞれありますが、これをそれぞれの形で開発をしていきたい。それから全体のトータルシステムをその間に開発する、こういう形で第一期を進めたいというふうに思っています。
#143
○内海(清)委員 そういうふうにしてそれぞれ開発していかれるわけだと思いますが、これは、大体のシステムは通産省、それから高温のガス炉は原研ということになっておるようです。それを進めていくのにつきまして、どういうふうな形で進めていかれるか、そのスケジュールがわかっておれば……。
#144
○木下説明員 工業技術院でやります大型プロジェクトにつきましては、むろん原研の高温ガス炉の開発を大いに期待しておるわけでございますので、原研とよく相談をしながらやってまいりたいと思っております。
 ただ、高温ガス炉のほうは、かなりいまいろいろと原研の中で御研究をされておると聞いております。実際の実験炉、これは五万キロワット程度を想定されておると存じますけれども、その実験炉のできますのは、少なくともこの大型プロジェクトの第一期が終わるころか終わったあとかといった時期ではなかろうか、こう思います。その間に少なくともそういった高温ガス炉から出てくるであろう千度、四十気圧という熱を利用して製鉄をするという、利用技術のほうをとにかく第一期として最初に目鼻をつけておきたい。それで第二期は、でき得るならば、原研が実験炉ができるならば、それと組み合わせた形で第二期のプロジェクトに進んでまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#145
○内海(清)委員 それでは、これは高温ガス原子炉は原研でやる、その他、たとえばガス発生炉であるとか、あるいは熱交換器であるとか、あるいは還元鉄製造装置であるとか、こういうふうなものは、それぞれ通産省の関係でこれを進めていかれるわけですね。これを研究開発するのはどういうふうななにでやられますか。一般にこれを公募してやるのか、それとも通産省において特定のものをあれをするのか。そういう点はいかがですか。
#146
○木下説明員 研究の進め方の御質問でございますが、これは原則的に公募でございます。ただ、大型プロジェクト制度は、国の研究機関でなし得るものは国の研究機関でやり、民間の力を利用したほうが効率的なものは委託でやる、こういう制度でございますので、たとえば耐熱材料、特に耐熱合金等に関しましては、科学技術庁の金属材料技術研究所にお願いできるものはしたい。特にそのテスト、これはいろいろの鋼種を開発しなければなりませんので、鋼種の開発は民間のほうが力がといいますか、まあかなり人手も多うございますので、そちらに委託をしてやるにしても、そのテストは金材技研のほうにどうしてもお願いしなければならぬ。そのほかのたとえば熱交換器とか、それから還元ガスの製造とか、そういった部門につきましては、これは民間委託の形でやりたい。その選び方は、こちらのこういうものを開発すべきであるということを示した上で公募をいたしたいと思います。公募の結果、最も技術的にりっぱなところ、経済的にも――途中でやめられるようなところでは困るわけでございますけれども、そういうりっぱな企業に、技術力のすぐれたところに委託をしてやってまいりたい、かように考えております。
#147
○内海(清)委員 もちろん政府機関でできるものはそれでやるということで、これは材料開発などは当然いまお話しになりましたような金属材料研究所あたりをお使いになることは当然だと思うのですが、その他については、委託だけれども公募による。その公募というのはどういうふうにやられるわけですか。やはり最終的には一つのものは一業者、一種一業というふうな形でやられるのか。それとも、少なくとも新しい開発でありますから、応募したものはできればそれに参加さす。少なくとも政府がプロジェクトというものを考える以上は、そういうのが私は当然だと思うのでありますけれども、その点はどう考えるか。
#148
○木下説明員 公募のやり方は、私のほうでまいりますと、「通産広報」というのを出しておりますので、「通産広報」でこういう研究開発をやりたいところは手をあげてほしい、こういうことを公示いたします。なお、詳細にわたってはいつ説明会を開くから、という形でこれも公示するわけでございます。その上で提案書――こういう開発を自分のところはこういう形でやりたいという提案を提案書の形で出してもらいまして、その最も適切なものを選ぶという形をとりたいと思っております。
 それで、幾つかのところにやらせるか、こういう御質問でございますが、これはできるだけ少数に限ってまいりたいという考え方でございます。ということは、たとえば還元ガスの製造技術といいますか、製造装置の開発といいますか、これに例をとって申し上げますと、まあ、いろいろな方法があると思います。そのうちで、技術的な観点からしぼってまいりまして、ずば抜けてこの方法がよかろうということになれば、これはもう一つにしほれる。それから、どうしても甲乙つけがたいものが二つ残ったという場合には、少なくともさしあたり一、二年間は競争といいますか、どちらをとるべきかを判断するためにも、しばらく両方に研究をさせるということになるかもしれません。ただ、なるべくならば、その提案書の提出されました段階でしぼれるだけしぼっていきたい。これは予算の効率的な使用という面と、それから、技術的な競争はけっこうでございますけれども、たとえば応募したところが五社あって、その五社で共同でやるというようなことにいたしますと、まあお互いにほんとうの技術を出してやっていくというわけにはいかない、共同研究の悪い面が出てくる可能性がございます。特に化学工業等は秘密の多い分野でございますので、そういうこともございますから、なるべく一つないし二つにしぼってまいりたいと思っています。
#149
○内海(清)委員 そこはいろいろ意見の分かれるところだと思うのですけれども、一種一業にしぼる、こういうふうなことになると、これは企業の独占を許すことになりますね。したがって、これは政府の開発するプロジェクトとしてはどうだろうかという考え方があるわけです。だから、できるだけこういうものは、今後に備えるわけでありますし、機会均等で開発するということが私は必要なのじゃなかろうかというふうに思うのです。共同開発でいままでもそういう例はいろいろあるわけですね。あるわけでございますから、そういうふうにさせるべきではなかろうか、こういうふうに私は考えるのであります。これは意見の分かれるところかもしれません。分かれるところかもしれませんが、少なくとも政府のプロジェクトとしてはそう考えるのが当然であろう、こういうふうに思うのであります。
 それからさっき申しましたようにいろいろな、製鉄のシステムというのは通産省であり、それから高温ガス炉は原研という、結局、科学技術庁関係ということであります。この相互の連携、これはどういうふうにお考えになっておるのだろうか。このつなぎですね、つなぎはどう考えるか。この相互の連携が十分でないと、大型プロジェクトとは言いにくいのじゃなかろうかというふうに私は考えるのであります。通産省と原研の――科学技術庁でもいいですが、この連絡はどういうふうにするのか、また、その調整はどうやっていくのか、こういう点を考えるわけであります。これはいままで科学技術庁の動燃事業団がございますが、動燃事業団は、これらが一本化した組織になっているわけです。私は、こういう形が最もスムーズにいくのじゃなかろうか、こういうふうに考えるのであります。それらの点についてお伺いしたい。
#150
○木下説明員 大型プロジェクトのほうといいますか、私どもの進め方といたしましては、一番原研と現時点で接触点の多くなりますのは熱交換器の部門だと思います。それで熱交換器、要するに原子炉とそれから利用する製鉄とのつなぎ目が熱交換器であります。それで、熱交換器のところが一番さしあたりのポイントだろう、こういうふうに考えております。それで、原研のほうとも十分お打ち合わせをしながら、新しい熱交換器用の材料、全く新しい合金の開発というような面につきましては大型プロジェクトでやり、それから既存の合金で原研でいろいろループテストをされるというような面につきましては、原研に大いに期待をしたい、常に連絡をとりながらやっていきたいと思っております。
 それで、いわゆる公的な立場で申しますと、大型プロジェクトの推進のためには、通産省に工業技術協議会という審議会がございますが、その下部機構にこの大型プロの推進のための分科会がございます。それから大型工業技術研究開発連絡会議というような組織もこの推進のために持っております。そういったところに原研の幹部の方、研究員の方に入っていただきまして、十分連絡調整をとりながらやってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#151
○内海(清)委員 そうすると、いま動燃事業団のような組織は考えてないということですね。
#152
○成田政府委員 いま高温ガス炉について原研が行なっておりますところの研究は、燃料、材料、あるいは設計研究等の基礎研究段階でございます。したがって、通産の大型プロジェクトとの協力は、そういう基礎研究をやっている研究員が直接にタッチするという形でやっておるわけであります。ただ、実験炉をつくるプロジェクトが原研についてはまだ認められておらないので、将来原型炉をつくるプロジェクトがもしも設定されてプロジェクト化した場合には、通産との利用面のプロジェクトとの連携というのは、動燃方式がいいのか、どういう方式がいいのか、具体的に検討しないといけませんが、その段階では相当組織的な連携という方式を考えないといかぬと思っております。
#153
○内海(清)委員 時間がありませんからこれでやめますが、その点は、大型プロジェクトという以上は、十分連携をとってやりませんといかぬ問題だと思います。これは今後の問題になるかもしれませんけれども、われわれしろうとでありますけれども、そういう気がいたすわけであります。動燃事業団のときにもずいぶん議論をいたしましたが、やはりああいう形に落ちついたわけでありますので、そういうふうに思います。
 それから、公募は大体三月ごろにやれるのじゃないか、また七月ごろには研究組合が発足するのじゃないかというようなことも聞きましたが、その点はどうなんですか。
#154
○木下説明員 三月に入りまして始めるわけにもいかぬと思いますが、三月上旬までには公募を求める公示をいたしたいと考えております。それで、委託会社が決定した暁には、その委託会社を主体とした研究組合をつくっていったほうが、たとえばエンジニアリング会社、機械の製造メーカー、それから製鉄会社といったところがいろいろ入ってまいりますので、その連携をよくするためにも研究組合を形づくって、全体の調整のとれた開発を進めるということのほうがいいというふうにわれわれは考えております。
#155
○内海(清)委員 その点はわかりました。わかりましたが、大体三月ごろに公募しようということのようでありますが、これは「通産広報」に出ておるのかもしれませんが、私それを存じませんので尋ねたわけでありますが、公募のしかたにつきましては、私がさっき申し上げましたような、少なくとも政府がやるんであるから、企業の独占を許すべきではないであろう。できるだけ機会均等で開発さすようにすべきであると私は思っておるわけであります。この点は通産省とちょっと意見が違うわけでありますけれども、その点は重ねてひとつ十分御研究をいただいて、これは、わが国全体のそういう方面に対するレベルを上げるという関係から申しまして、そのことは政府がやるプロジェクトとしては当然であろうというふうに考えるわけであります。ひとつ重ねて御研究願いたいと要望して、終わります。
#156
○石野委員長 最後に、私から大臣の所信表明についてお尋ねしたいのです。四点ほどございますので一括してお聞きします。
 第一点は、科学技術振興政策についてですが、田中総理が施政演説のときに、地域の住民や職場で働く人々の生命、健康を害することのない産業と技術を開発することが緊急に必要だ、こういうように演説されましたし、大臣も、人間尊重の基本理念にのっとって科学技術の一そうの振興をはかる、こういうふうに言っておられますが、六〇年代の科学技術振興政策と今日の政策とでは、その方向において非常に違うものがあるだろうと思うのです。したがって、その点について四十八年度の予算を見ますと、公害のない産業と技術の開発、いわゆる科学技術の開発ということについて、大臣は相当思い切った決断をもってやらないと、予算の実行にあたっても、また具体的な問題でも、なかなかできにくいのじゃないかと思います。そういう点についての所信を聞かしていただきたい。
 それから第二点は、これは前の委員の方々も全部触れておるのですが、原子力の平和利用についてであります。この点について、原子力の平和利用の三原則は、大臣のことばで言えば、これは平和利用の憲法、至上命令だ、こういうふうにおっしゃっておりますが、この平和利用の問題について一番問題なのは、やはり公開の原則、民主の原則、これをどのように具体的に実行するかということだと思うのです。
 そこで、公聴会の問題等に積極的に取り組むということを言っておられるのですが、公聴会は、極力地元で、あるいはまた、学界等において意見のある人たちをこれに参画させるようにすることがきわめて大切であろうと思います。原子力委員会などでいろいろ作案されているようでございますが、そういう点についてどういうような所見を持っておられるかということを、ひとつお聞きしておきたい。
 もう一点は、公開の原則についてでございますが、特に、公開の原則では資料を公開することが原則的に取り上げられるべきだと思うのです。先ほども山原委員からお話があったのですが、実験の方式とか基準を明らかにするということ、こういうことが十分でないと論争がかみ合わなくなると思うのです。そういう点で、公開の原則について、大臣は従来よりも一そう積極的な指導が必要じゃなかろうかというように思いますので、そういうことについての所信をお聞きしておきたい。
 もう一点、原子力について申しますと、原子力の施設の立地問題というのは、原子力平和利用についての安全性確保の観点できわめて重要な問題だ、こういうように思います。大臣は所信表明の中で「立地の円滑化をはかるため、公共事業の促進等」とあって、地域整備に必要な法的措置を講ずる、こういうようにおっしゃっておりました。これは、おそらく電源地帯整備法案のことを言ったものだと思います。原子力を電源の側面だけでとらえるということは、原子力の平和利用について最も大切な安全性の問題が、何かこう置き去りにされるという心配を実はするわけです。私は、この電源地帯整備法案の中に安全性問題を非常に重要に取り上げていただくことが大事だろうと思うのです。大臣のこの所信表明を聞く限りにおいては、「公共事業の促進等」云々ということで、それでこの安全性の問題を解消させてしまおうというやに聞こえるのです。これはあたかも、地域にあめを与えて、しゃぶらせて、うまくひとつ問題を解決しようというふうに見受けられる。安全性問題がどうも観点にないような気がいたしますが、これらの点について、大臣からいま一度所信表明に関連しての考え方を聞かしていただきたい。
 次に、第三の問題点は、総合エネルギー計画についてでございます。
 原子力の電源についての問題点というのは、この総合エネルギー計画に関連すると思いますが、六〇年代の高度成長のときに想定しました、日本経済の実態と現在の安定成長の情勢、特にまあ今日のようにドル・円問題が非常に微妙に動いてきておる段階では、わが国の経済について、総合エネルギー計画についていま一度見直す必要があるのじゃなかろうか。その問題は、電源の問題にも関連し、特に原子力発電の問題に関連してくる。そういう観点で、総合エネルギー計画について、大臣はどのようにいまお考えになっておられるか。この点をひとつ第三番目の問題としてお聞きしたい。
 いま一つ、第四番目に聞きたいことは、大臣は、科学技術の開発については人間尊重ということを言われました。で、本年度予算の中に、海洋開発の問題がございます。これは小さなことのようでございますが、また重要だと思います。水深六千メートルの調査船をつくる、こういうふうに計画のようでございますが、この計画の中で、この六千メートルの調査船に人を乗せるのかどうなのか。遠隔操作をするような計画でおられるのかどうか。そういう点について、人間尊重の観点からどのようなお考えであるか。以上の点について、ひとつ大臣から……。
#157
○前田国務大臣 ただいま石野委員長からのお尋ねに対しまして、お答えを申し上げたいと思います。あるいは御質問のとおりのびたりとしたお答えになるかどうか知りませんけれども、最初は、たしか田中総理の施政方針演説においても、人間尊重というか、そういう趣旨の――どういう表現か知りませんけれども、そういうくだりがあった。また、私の所信表明におきましても、そういうものがあったという御指摘でございまして、確かに私も、一九七〇年代の科学技術というものは、科学技術会議第五号答申、何べんも申しておりますが、五号答申にあるように、やはり人間尊重の立場に立って科学技術行政というものを進めていきたいというふうに考えております。
 公害を除去する技術の開発につきまして、どれだけの予算を計上したかというお尋ねがたしかいまあったように思うのでありますが、いま実は正確な数字は、私ちょっと手元にございませんけれども、公害の除去、環境の保全という点に重点を置いてやってくれ、やってほしいということを、四十八年度予算の編成の過程においても、見積もり方針の調整といいましょうか、そのときにおいても、私はそういう趣旨のことを述べたわけでございます。今後もその方向において進めていきたいと思うのであります。しかし、あるいは予算の数字をごらんになって、何だこの程度かというふうにお考えになるかもしれませんけれども、ちょうど転換期でありまして、われわれこれからむしろ積極的にそういう姿勢で進んでいきたい、ほんとうに、わずかながら第一歩であるというふうにお考えをいただきたいと思うのであります。
 次は、原子力の平和三原則でございますが、平和三原則というのは、原子力基本法は全くこの原子力の憲法であるというふうに私は考えております。民主的でなければならないということに関連しまして、公聴会の形式をどういうスタイルでやるべきであるかという点でございますが、この点につきましては、原子力委員会を中心といたしましていま検討しておりまして、そのうちに成案を得ると思うのでございますが、できるだけそういう皆さまの御意見をよく承るというか、いろいろな意見があると思うのです。反対の意見もあり、いろいろな意見があると思うのでありまして、そういう意見についてもてきるだけ――まあよくわれわれの考え方も申し述べる、いろいろとにかくどういう姿でこういう公聴会をやるかということは、非常にむずかしい問題があるだろうと思うのでありますが、その場合並びに方法等につきまして、目下慎重に検討中であるということを申し上げたいと思います。
 次に、公開でございますが、確かに公開するということは平和利用の担保という意味において非常に大事だと思うのでございます。この点につきましては、科学技術庁の一室を実は資料室として用意をいたしたいというふうに考えております。
 次に、立地問題でございますが、立地問題につきましては、確かに委員長御指摘のとおり、電源周辺地帯整備法というふうなものをいま考えております。これは、ただ電源だけを考えないで、もう少し広く考えたらどうかというふうな御指摘だったように思うのでございますが、この点は目下いろいろ政府部内において、あるいは通産省ともいろいろ折衝、打ち合わせをしておる段階でもありまして、はっきりしたことは実はお答えできませんけれども、まあとにかくそういう電源だけに限らずに、とにかく安全性というような点からよく考えたらどうかという点、そういう点はよく検討いたしたいと思うのでございます。そうして立地が、とにかくあめ玉をしゃぶらすだけでなくて、よく円滑にいきますように、あめ玉というと語弊がありますけれども、そういうメリットだけ、道をよくします、産業施設をつくりますというだけで、ただそういう意欲を起こさすというのではなくて、安全性ということをよく加味した考え方も、この法律案の立案過程においても、そういう意見もよく検討していきたいと思うのでございます。
 次に、総合エネルギー計画を改定する必要があるのじゃないか。現在は高度経済成長というか、そういう時代から安定成長の時代に移る時代である。転換期である。また、輸出第一主義から福祉第一主義というか、そういう時代においては少し考えたらどうかというような、改定する必要があるんじゃないかというような御意見でありますが、これは非常に重要な御提言だと思うのでございまして、まだまだ国際経済といいますか、円を切り上げてから間もないときに、またフローティング、変動制に移らなくちゃならぬというふうな、非常に経済情勢か国際的にも流動的であるという時代でありまして、ここ一、二カ月、経済の変化を見ても非常にいろいろな変化があるように私、思うのでありまして、そういう点をよく見きわめまして、これは私、科学技術庁長官だけでどうすることもできませんが、政府部内においてもこの点はよく検討すべき問題であるというふうに考えております。
 次に、海洋開発で六千メートルの潜水船の問題であったかと思うのでございますが、これは六年間にわたりまして調査研究する計画になっておるわけでございまして、人間を乗せるのかどうかという点、人間を乗せる点も含めて検討することにしたいと思っておりますが、その結果によりまして、その後具体的な設計、製造の方針をきめたいというふうに考えております。
#158
○石野委員長 再質問はおきます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後五時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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