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1972/03/28 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
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1972/03/28 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第4号
昭和四十八年三月二十八日(水曜日)
    午後一時十九分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 木野 晴夫君 理事 藤波 孝生君
   理事 藤本 孝雄君 理事 粟山 ひで君
   理事 嶋崎  譲君 理事 原   茂君
   理理 瀬崎 博義君
      加藤 陽三君    湊  徹郎君
      清水 徳松君    山原健二郎君
      近江巳記夫君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       伊藤宗一郎君
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       山田太三郎君
        文部省大学学術
        局医学教育課長 齋藤 諦淳君
        厚生省医務局国
        立病院課長   佐分利輝彦君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子力の安全性
 確保に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
#3
○嶋崎委員 前回の委員会から少し時間がたっていますが、最近全国的に原発反対運動とでもいいましょうか、そういうものが全国的に広がっている現状にあると思いますが、その原因についてどうお考えか、御説明願いたい。
#4
○成田政府委員 原子力発電所の設置につきましては、各地で非常に広い範囲にわたりまして反対運動が見られております。この原因につきましては、いろいろな要因があると思いますが、一つは原子力の安全性に対する不安感、これがあると思います。で、われわれ原子力の安全性については、いろいろ厳重な審査をやって、そして個々の許可をやっておりますが、また一方では、安全性研究というのに最も重点を置いて安全性の研究の追求ということもやっておりますが、新しい分野でありますので、いろいろ学問的にも少数意見等異論を唱える方もあるし、また、そういう意味で住民の不安感というのは否定できない状態でございます。
 それから、第二の問題としましては、最近原子力発電所の温排水等の環境に対する影響、こういう問題が新しい問題として登場してまいりまして、温排水を中心とした環境問題に対する十分な詰めが行なわれてないという、環境から来る一つの反対、特に漁業組合あるいは周辺の住民からのそういう原因が見られます。
 それから、第三番目の理由としましては、過去数年前は、僻地におきましては、原子力発電所を誘致して地域開発の拠点とするというような考え方もありまして、かなり発電所の誘致運動というのが見られたのでありますが、最近のように非常に交通網が発達する、あるいはレクリエーションが非常に普及する等がありまして、僻地におきましても、従来のような発電所を誘致することによって地域発展の拠点にするという考え方でなくて、むしろ原子力発電所が来ましても、あまりその地域に対して経済メリットがない、そういう意味で、地域に対するメリットが少ない、あるいは地域の発展にかえってマイナスになるのじゃないかというような、そういう地域開発との関連の反対論と、大きく分けまして、反対運動の理由としては三つほどあげられるのではないかと思っております。
#5
○嶋崎委員 第一にあげられた安全性の問題というのは、本委員会でも今後重視していかなければならない一番の当面の課題だと思いますが、最近全国的にも、たとえば伊方の一号炉だとか、東海の二号炉だとか、静岡の浜岡の二号炉だとか、福島の第二発電の一号炉だとか、そういうところで公聴会の要求が出ておりますが、これに対してどう対処されるか、御説明願いたいと思います。
#6
○成田政府委員 原子力発電所の設置に関連しまして公聴会を開催すべきであるという意見が、地元あるいは中央においてもだんだん強くなってまいっております。
 御承知のように、日本の制度におきましては、原子炉等規制法という法律がありまして、この中にも公聴会を開く制度が入っておらないのであります。公聴会によらないで、民主的な、あるいは公開――原子力基本法の三原則に沿った運営をやってきておるとわれわれは考えておりますが、最近公聴会の開催について非常に強い要望がありますので、去年の七月ごろ木内長官が、あらゆる場合に公聴会を開くとなると、当然規制法を改正をして制度化しなければいけませんのですが、必要な場合、特に集中化をする場合、あるいは新しい形の原子炉を設置する場合、あるいは従来にないようなスケールの大型化の場合等、必要な場合には地元で公聴会を開催することを前向きに検討するという、国会で見解を発表しておりまして、そして、具体的な公聴会のやり方については原子力委員会で検討をさせるということを言明されておりまして、以来、原子力委員会で、公聴会をどういう場合にやり、またどういう形でやるかというのを検討してまいっております。
 近く結論が出ることになっておりますが、ただ木内長官もおっしゃいましたように、今後申請されるケースについて、そういう必要がある場合には公聴会を開く、そういう形で現在検討をして、近く委員会の最終的な決定がなされることになっております。
#7
○嶋崎委員 最近のこの公聴会要求というのは、やはり原発の安全性をめぐっての不信感とでも、大げさに言えば言われるようなところにあるわけですから、公聴会の要請には積極的にこたえるという姿勢で結論を急いでいただきたいと思います。
 さて、もう一つその原発の問題に関連して、民主という原則がたいへん公開の問題に関連して問題になっていますけれども、過ぐる三月二十四日に石川県の能登の赤住で、五年間ぐらい凍結されていた原発設置の動きが解除される――部落の総会がありまして採決があったことを御存じでしょうか。
#8
○成田政府委員 新聞等で聞いておりまして、それによってまた関係者からも情報を集めて聞いております。
#9
○嶋崎委員 これについては、いずれもっと詳細に考え方についていろいろお聞きしたいのですが、そこで、公開、民主というこの原則を確認して、これから原子炉の安全審査という問題に立ち入って議論をしてみたいと思います。
 去る二月の前回の委員会のときに私は申し上げましたが、二月二十四日に、科学技術庁原子力局の名前で「藤本陽一早大教授らによる原子炉事故想定の分析結果について」という表題のもとに、日本原子力文化振興財団の「原子力特報」三巻三号に一つの文章が発表されておりますが、この文章に関連して二、三質問をしたいと思います。
 この文章に原子力局は責任が持てますか。
#10
○成田政府委員 あの文章を「原子力特報」に原子力局の名前で出しておりまして、内容については原子力局として責任を負っております。
 ただ、あの原子力局の見解というのは、ある新聞に出ました内容記事を中心に書いておりまして、まだ岩波の「科学」に藤本論文が正式に掲載になる前の新聞記事によっての内容でありますので、あるいは内容的に、その後藤本論文が詳しく雑誌に出ましたので、その内容に対する反駁、性格が、そういう形でなくて、むしろ新聞で紹介された記事に対する考え方を原子力局として述べた次第でありまして、そういう意味で局としての責任は感じております。
#11
○嶋崎委員 そうしますと、あの論文を書くときには、「科学」の藤本論文を読んだ上での反論といいますか見解ではないわけですね。
#12
○成田政府委員 あのときはまだ「科学」が出ておりませんので、論文の内容を詳細にわたっては知らなかったわけでありまして、ただ新聞にかなり内容の広範な紹介記事がありましたので、それをもとにしてつくった考え方でございます。
#13
○嶋崎委員 では、あの論文といいますか、あの見解を執筆するにあたりまして、だれと相談されたのですか。
#14
○成田政府委員 実は、新聞の記事を見たのでありますが、これにつきまして関係の公共団体、市町村長とかから非常に照会があったわけでございます。そういう意味で、新聞記事を見ましていろいろ照会あるいは地元の不安等がありましたので、われわれは、市町村長とか府県等に対して、文化財団の発行しておりますところの「原子力特報」を使っていろいろわれわれの内容の紹介をいつもやっておりますので、この際非常に照会が多かったので、これに対してまとめてここへ発表したほうがいいんじゃないかという判断で急いでやったわけでございます。
 内容につきましては、これは局の名前でありまして、局内でいろいろ相談をしてやったのでありまして、決して安全専門審査会の先生とか、そういう方とは、論文がまだ出ておりませんので相談したのではなくて、局内でいろいろ担当者が集まってそしてつくって出したのでございます。
#15
○嶋崎委員 そうしますと、あの反論は、科学技術庁長官には全然連絡がなかったわけですね。
#16
○成田政府委員 長官に対してはあるいはあとからになったかもしれませんが、こういう形で「特報」等に書くということは、原子力委員会には了解をとっております。
#17
○嶋崎委員 そうしますと、あの文書は原子力局長の責任の文章というふうに理解していいのですか。
#18
○成田政府委員 あの文書に関してはそうでございます。
#19
○嶋崎委員 別に安全専門審査会にも御相談はなさらなかったわけですね。
#20
○成田政府委員 内容については出す前に相談しておらないのであります。
#21
○嶋崎委員 内容についてはまたいろいろそれに関連してあとで資料や何かお願いしたいと思いますけれども、その発表の経過から見ると、確かに関係市町村やなんかから問い合わせがあったかもしれませんが、非常に急いで発表したという印象を受けますが、いかがですか。
#22
○成田政府委員 新聞に大きく出ましたので、関係市町村あるいは県等から非常に照会、問い合わせが多かったので、そういう意味で早く発表したほうがいいんじゃないかという判断で手続をとった次第でございます。
#23
○嶋崎委員 ああいう文書、つまり藤本論文が岩波の「科学」という科学専門雑誌に発表されるその日に、新聞記事を材料にして急いで反論されている。こういう経過が、何か藤本論文のような問題の提起のしかたがあったときに、もっと慎重に――原子炉の今日の安全という問題に対して、関係する地元の住民や多くの科学者やなんかが、日本の原子炉の安全審査に対していろいろな疑惑といいますか、そういうものを持っているのですから、そういうときに、ああいう形ですかっと対応したというその対応のしかたに問題があるとは思いませんか。
#24
○成田政府委員 先ほども言いましたように、われわれは藤本論文自体を読んだ上での反論ではなくて、新聞の報道記事に対する見解を出したのでありまして、そういう意味では決して藤本論文に反論したということではないのであります。
 それで、藤本論文が岩波の「科学」に出まして、いま詳細検討して、できたら適当な学者の見解をつくっていただいて、学者の論文に対する見解でありますから、学者の名前で、「科学」になるか、どういう雑誌になるか、いまいろいろ折衝してもらっておりますが、そういう意味でまた学問的な考え方を学者の名前で発表したいというふうに考えております。局としてやりましたのは、新聞に大きく出ましたので、これに対して県とか市町村からいろいろな照会がありましたので、それに対してとりあえずの処置としてとった次第でございます。
#25
○嶋崎委員 いまのお話ですと、一度は原子力局の責任において文書を発表していて、そして、いずれまた、藤本論文は学者のものだから、それに対応して学者の見解を発表する、そういう方向で対処したいというお考えなんですね。
#26
○成田政府委員 適当な学者に引き受けていただけるかどうか、あるいは適当な雑誌がそれを掲載してくれるかどうかというのはこれからの問題でありますが、われわれとしては、そういうふうに藤本論文も非常に深い内容のものでありますので、そういう方面の専門家の学者に深く検討してもらって学者の見解を出してもらいたいというふうに考えております。
#27
○嶋崎委員 いま問題にしていることは、藤本論文は学者の一つの見解というふうに考えていらっしゃると思うのですけれども、その新聞記事は毎日新聞だけですね。よその新聞も一斉にとらえたのではなくて、毎日新聞が提起した、そういう記事に対して地元からの要請が非常にあったのですみやかに対応した。その対応のしかたが、しかも科学技術庁長官との連絡や、またはその内容に関係しますけれども、安全専門審査会等との連絡のないまま対応したという、原子力局のいまのあり方がこれでいいのかということが問題だと思うのです。つまり、そういう発表のしかたの中には、いろいろな要請があったかもしれませんけれども、原子力局として答えるには手続的に問題がないだろうかという疑問を持つわけです。つまり原子力問題に関する行政のあり方という問題と関係していると思うので、ああいう形で見解を発表するには、科学技術庁長官だとか責任者との連絡の上で発表すべきだと思うのですが、いかがですか。
#28
○成田政府委員 大臣には事後報告になりましたが、原子力委員会には、詳しい内容でなくて、こういう形でやりたいという了承は得ておりますので、あるいはもっと内容について詳しく委員会に見てもらうべきだったかもしれませんが、手続としてはわれわれは踏むべき手続はとっているというふうに判断しております。
 それから、内容につきましても、新聞記事からの推定でありますので、こういう結論は、そういうことが前提でなされたのではないでしょうか。これについては、いまの日本の安全審査はこういう形でやっておりますという、従来安全審査会等でいつもやっていることを披露した限りの内容でありますので、それほど内容的には問題ないと思っておるわけであります。ただ、藤本論文が正式に出ておりませんので、論文の内容との関連が十分であったかどうかという点は、新聞記事だけをもとにしてやっておりますので、その点は不十分な点があったかもしれないと思っております。
#29
○嶋崎委員 諸要請があったにせよ、あの非常に短期間に対応した対応のしかたの中に、何というか、日本の原子炉の安全審査に関して異論を唱える科学者の発言を封ずる――と言うと乱暴かもしれませんが、封ずるような非常に急いだ対応のしかたというふうに判断できますが、いかがですか。
#30
○成田政府委員 学者の自由な見解の発表を封ずる、私たちはそういう意味で考えたわけでは決してなくて、むしろ原子力関係の市町村、県等の地方公共団体等からの不安、照会、これに対して、この際局の考え方を述べておいたほうがベターであるという判断でやったのでありまして、学者の自由な見解を封ずる――またそういう結果にも決してなってはいないというふうに考えております。むしろこういうものは、いろいろな角度からの学者の意見が、お互いに何回もディスカッションし、反駁して、そしてそこからまた正しい結論が出ていくのが望ましい問題であって、学者の自由な見解を封じたいという意図でやったのでは決してないのであります。
#31
○嶋崎委員 長官がお見えになりましたから……。いま質問しているのは、去る二月二十四日に原子力局の名前で――毎日新聞に載った藤本論文に対して、毎日新聞の記事を前提にして、いろいろなところからの要請があったにせよ、非常にすみやかな対応をして文書が発表されている。この文書に対して長官は責任が持てるかということに関連して質問しているのですが、その事実は御存じですか。
#32
○前田国務大臣 ただいま嶋崎先生御質問の藤本論文でございますが、私もあの論文を毎日新聞の紙上で拝見しまして、非常にショックを受けたといいましょうか、その衝に当たる者としまして、非常にびっくりしまして、専門家じゃございませんけれども、私は私なりに一生懸命に読みました。読んで、これはたいへんなことだと、実は私自体が思って役所に出ましたのですが、ほんとうのことを言いますと、これは新聞の記事だけではちょっと内容はわかりません。「科学」という雑誌に論文が載せられるということを聞いておりましたので、そうしなければ、ほんとうのそれに対する議論といいましょうか、反駁といいましょうか、弁明といいましょうか、そういうものはできないと私思いまして、私はその点については特にどうしろという指示は実はしなかったのです。
 これは、私も非常にショックを受けて、すぐ何か発表すべきであるという考えは持っておりました。しかし、いやしくも藤本先生がお書きになったものは相当な御研究の上だろうと思いましたので、軽率に私がそういうことを指示してはどうかと思いまして、そういう指示は私はいたさなかったのです。しかし局長として、原子力局としては、いろいろな質問とか、いろいろな電話がかかってきたり、いろいろ連絡があったようでありまして、私、その間聞いていないのですけれども、局は局として、その間こういう処置をいたしましたということを実は私聞いたわけです。
 そうかといって、しかしこれは、藤本先生の論文というのは相当学問的根拠があるんだろうから、その点についてはやはり正式に何らかの解明をすべきではないだろうか。ところが嶋崎先生、これまた考えようによりまして、あっちこっちでいろいろな論文を発表されますね。それが毎日新聞へ出たからすぐ一々役所で反駁するというのも、これもあっちこっちでどんな論文が出てくるかわかりませんから、それに対して一々答弁することもどうかということも考えたり、実のことを言うと、いろいろそれについては考えておったのです。しかし、局長は局長なりに、いろいろな陳情を受けたりするので、急いでこれは解明しなければいかぬということで、一応の見解というものを「原子力特報」でございますか何かに発表したようでございまして、その点実は、私こういう処置をいたしましたということを聞きました。しかし、それに対して私、特にその点は責めずにおきました。別に責任をとるとかとらぬとかという問題よりも、とにかく私は、すべて局長がやったことも、役所のやったことも、みんな責任があると思います。しかし私は、そのときに言いました。やはり藤本先生のようなりっぱな方がお書きになった論文だから、「科学」という雑誌に載ったものを見て――これは一々学者の先生の論文に反駁するというのはどうかと思うけれども、とにもかくにも、一応これについては責任あるというよりも、学者でこれについて別に変わった見解を持っておる人も相当多いようでありますので、その人に依頼して、堂々と論争を展開すべきである、それがむしろこれからの原子力行政の行き方であろう。私はあまりくさいものにふたするように、何でもよろしゅうございますという調子でやるのはきらいなんです。だからそういう考え方を持っております。
#33
○嶋崎委員 いまの長官の発言だと、毎日新聞に載った藤本教授の論文に原子力局がすかっと対応して文書を出したということは、たいへん軽率だったということになりませんか。
#34
○前田国務大臣 軽率といえば軽率、嶋崎先生、そういうお考えもあるかもしれませんけれども、やはり臨機即応といいましょうか、そういう一応の見解を発表したということで、私は実はそんなに原子力局というものを責めなかったわけなんです。あるいはその責めないこと自体が、原子力委員長として非常にけしからぬというお考えがあるかもしれませんけれども、またその後の国会におきましても、たしか参議院でございますか、その問題が出まして、やはり先生と同じような御指摘がございましたおりにも、「科学」の論文を見て正式には意見を申し上げたいというふうに私は答えたわけでございます。
#35
○嶋崎委員 だとしますと、やはり論文の発表があって、ぽっと原子力局が答えた、そういう対応のしかたは正規の対応のしかたでないわけですね。
#36
○前田国務大臣 いわゆる正規の対応のしかたじゃございませんけれども、さればといって、嶋崎先生、これからも学会の雑誌とかいろいろ出るだろうと思うのです。それで、原子力委員長として、一々それを全部見て、そして権威のある答えを一々にしておったら、これまたどの程度出てくるか、どういうようになるかわかりません。しかし私は、あの記事が新聞に出て、しかも非常にショッキングな記事だったものですから、これはこのままじゃいけない、やはりこれについての見解というか、国民の皆さんが安心して、あるいは心配するものなら一緒に心配する、いろいろな問題があると思いますので、しなければいかぬということは、あの論文については感じました。けれども、これから、その点出たから一々全部答えをするということじゃなくて、その意味において、ちょっと何か火が出かかったらすぐにポンプを出したという意味にとる、そういう意味じゃないと思いますけれども、何か少し軽率というよりは、やはり原子力局でも、局として――専門家もおりますから、その中において、こっちはどんなりっぱな学者がおるか知りませんけれども、おそらく原子力局においても、ただ局長がさっとその結論を出してああいう発表をしたのじゃないと私は考えております。しかるべき専門家にも意見を聞いて出したのだろうと思っております。
#37
○嶋崎委員 いみじくも長官は、くさいものにふたをすると言いましたけれども、まさにくさいものにふたをするという印象で対応しているところが、原子力問題というか、安全審査に対する不信というか、そういうものの出てくる一つの条件だと思うのです。
 そこで、公開という原則からして、そういう藤本さんの論文が毎日新聞で報道されたというようなことをきっかけにして、すかさず対応してきたような対応のしかたじゃなくて、一度そういう文章が出たのですから、もう一度科学技術庁の責任のある立場で、「科学」三月号の論文ですね、これはまたあとの問題にも関連しますけれども、藤本陽一、依田洋さんの「原子炉事故の災害評価」という論文がありますけれども、それも含めて科学技術庁として責任のある見解を出すという意思があるかどうか。出していただきたいと思うですが、いかがですか。
#38
○前田国務大臣 いま先生御指摘の論文ですが、二つ出たわけでございましょうか。そのあとのほうの論文は中島さんの論文ですか。
#39
○嶋崎委員 いえいえ、藤本陽一さんと依田洋さんの論文です。
#40
○前田国務大臣 それは先生、一月と三月ですか。
#41
○嶋崎委員 藤本さんのは一月ですね。
#42
○前田国務大臣 一月は毎日新聞のほうで……。
#43
○嶋崎委員 いや、毎日新聞のは三月号です。
#44
○前田国務大臣 そうですか、わかりました。
 いずれにいたしましても、その詳細はちょっと私も調べますけれども、先ほども申しましたように、論文が出たつど、それは藤本先生とかあるいはまたそのほかの大先生がお出しになることもあろうと思いまして、その先生に一つ一つ答えるという姿をとっていくと、おそらくこれからたいへん――たいへんと言うと悪いのですが、別に逃げる意味でも何でもございませんけれども、そういう姿じゃなくて、それも含めましていろいろな問題点があるわけですから、当面のそういう問題点に何らかのかっこうにおいて見解を発表するということも必要だと思います。しかし、現在私たちが考えておりますのは、藤本論文に対して、いろいろその間、われわれはまた別の考えを持っておるということを言っておる人もあるわけです、そういう方の意見も近く発表されるように聞いておるものですから、そういう見解を、少し論争というかそういうものを見て、それから私のほうはさらにまた見解発表をするとか、そういうふうに持っていきたいと思うのです。とにかく学者先生相互間の――学者先生というよりは専門家の方々の意見というものを一ぺんじっと、さればといってそんな永久にほっておくわけではありませんけれども、とにかくそういう論争というものは大いにけっこうだと思いますので、大いにやっていただいて、その論争のうちからわれわれはいいものを判断すればいいのですから、そういうふうな姿勢でいきたいと思っております。
#45
○嶋崎委員 すでに原子力局の名前で、科学技術庁の責任において文書が出ているわけです、しかも毎日新聞の記事を材料にして。だから、その態度が軽率だと思われるがゆえに問題にしている。だから今回は、そういう原子力局の名前で、そういう新聞の記事を材料にして書いたような見解じゃなくて、これに関してはちゃんとケリをつける意味で、今後そういうふうな一つ一つの学者の意見に原子力局長の責任において――科学技術庁長官にも連絡があとで来たり、安全専門委員会との連絡もない、そんな形で文書がぼんぼん出ているような原子力行政のあり方そのものが国民から不信を買っているわけですから、だから今回は、原子力局の責任において、長官の責任において、前に出た新聞記事を材料にした文書ではなくて、「科学」の論文をちゃんと目を通して、その上でそれに対する対応の公式文書を出して、一度ケリをつけておくということが必要だと思うのだけれども、いかがですか。
#46
○前田国務大臣 確かに、そういうような、嶋崎先生御指摘のようなやり方というか、行き方をすべきであるというふうな考え方もあると思います。しかし私は、この藤本先生の論文に対するいろいろな意見というのも出るやに実はその後聞いておるのでありまして、その意見を、まず学者先生相互間で専門家同士でのいろいろな御意見の討議というものも一応ちょっと見て、それから――もちろん私どもは現在考えておることはあるのです、考えておりますけれども、もう少し学者相互間の意見というもの、お互いの論争というもの、それをしばらく拝聴しまして、それから何か、いろいろ原子力についての不安な点、どういう点が不安であるかということを、原子力委員会として解明するようなことは発表したいと思いますが、いまのところは論争の段階でありますので、その論争をもう少し、できれば私は藤本論文のような論文がまたどんどん出てきて、「科学」の雑誌でも、そのほかの雑誌でもやるのかと思ったのですよ。三月号に出たから今度は四月号に出るとか、それが何か、そういう声はいろいろ聞いておるのです。聞いておるけれどもまだ出てこない。しかし、近く出るということを聞いておりますので、もう少しそれを見て――決してわれわれは逃げ隠れはいたしません。そういう姿勢でいきたいと思うておりますが……。
#47
○嶋崎委員 そうすると、藤本論文に対して原子力局が対応したのは一つの論争なんですね。原子力局の立場で藤本論文に対して一つの論争的な対応をしたということになりますね。
#48
○前田国務大臣 まあ先生、論争といえば論争ですが、こっちは論争するほどの学者じゃないかもしれませんけれども、しかし原子力局にもそれぞれの専門家がおるわけでありますから、その専門家が、ああいう論文が出て、しかも毎日いろいろと問い合わせてくる、これはもうじっとしてはおられぬというわけで、原子力局長として、これはとにもかくにも不安を持たないようにしていただきたいという意味でおそらくしたのだろうと私は考えます。しかし、その点については、本人からもあるいは御説明したかも知りませんけれども、一ぺん聞いていただきたいと思います。
#49
○成田政府委員 「原子力特報」に載せた原子力局の見解は、決して藤本論文に対する論争の始まりという意味でなくて、ただいま大臣からもお話がありましたように、関係市町村、府県等から、どういうこと、どういう内容であって、あるいはあの記事についてはあのとおりであろうかというような問い合わせが非常に多かったので、これに対してまとめて返事を出したという形のものでありまして、決して学問的な論争というふうにわれわれは考えていないのであります。
#50
○嶋崎委員 まあ、今後科学者の論争というものは、原子力の安全性の問題をめぐって大いにあっていいし、また最初に述べた公開の原則で、公聴会の要求などに積極的に対応しながら公開の原則を貫いていくという過程でも、また同時に、そういう問題が明るみに出ていくだろうと思うのですよ。いまここで言っているのは、原子力局が要請に応じて答えたという文書が、内容的にもいろいろあると思うが、単なる説明ではなくて、やはり科学技術庁の責任において出された文書ですから、そういう対応のしかたが何かくさいものにふたをしたり、軽率なと思われるような態度であるとすれば、一度これも、こういうような対応のしかたは今後しないということで、正規な回答を出したらどうですか、こういう趣旨なんです。
#51
○前田国務大臣 先生御指摘のように、原子力局として少し急いでそういう見解を発表したという、そういう感じがしないでもないと私は思います。したがいまして、今後こういう問題に対処するためには、特にいろいろな論文がまた出るかもしれませんし、今後においても十二分にその点は注意しつつ、それに対する対応策を考えていきたいというふうに考えております。これに対して原子力委員会ですぐに、それでは回答をいつしますということは、いま現在は考えておりません。けれども、私はもうしばらくその論争というものをちょっと見守ってみたいと実は思っているのです。
#52
○嶋崎委員 そうしますと、いまの藤本論文に対して原子力局が出した、それで当面はそのままにしていて、科学者の論争を見守るという態度でいきたい、こういう御趣旨ですか。
#53
○前田国務大臣 まあ、そういうことでございます。
#54
○嶋崎委員 何かぼく自身の真意がうまいこと伝わらないところもあるのですけれども……。役所の責任において文書に対応したのですね。そういう対応のしかたが非常に軽率であるという印象を与えたり、またはくさいものにふたをするような印象を与えるような原子力行政のあり方が問題なんですね。だからそういう対応のしかたをしたことに対して反省があるとすれば、その対応のしかたをもう一度――反省を一つの文書の形にして、そして反省する、しないじゃなくて、長官の責任において、前の文書に対してもう一度正規の文書を出すということができないか、それを要求したい、こういうことなんです。
#55
○前田国務大臣 その点は、先ほども申しましたように、決してこのまま別にほおかぶりで通すという意味ではございません。その論争というものをもう少し――別にそれは半年も一年もかかるものじゃないと思いますので、論争というものはやはりAの論争に対してBの論争というふうに、いろんな学者先生の論争をちょっと見きわめて、しかる後にわれわれは、そういう誤解の――安易に、ほんとうに軽率というとちょっと言い過ぎでありますが、わりあい簡単に考えてやったことについて、どうも少し慎重さを欠くじゃないかというお考えだろうと思いますから、その点の誤解のないように処置をしたい、こう思っております。
#56
○嶋崎委員 正規の文書を出すことを私は要求したいのですけれども、そしてこの問題に一度ケリをつけて、そういう対応のしかたを今後しない、しないという意味じゃなくて、文書でもう一度長官の責任において出れば、二度とこんなようなケース――がさっと何か地元から、いろんなところの要求があったらぽっと対応していくという、そういう対応のしかたが、日本の原子力の安全審査に対する住民の不信の一つのあらわれだ、こんなふうに思うものだから、本来、藤本論文に対する正規の回答を科学技術庁長官の責任において出していただくということを要求したいのですが、それは出せないということが――どうも、なぜ出せないのかよくわからないのですが……。
#57
○前田国務大臣 決してそれを出すことをおそれているわけでも拒否しているわけでもございません。ただ、ほんとうのことを言いますと、学者先生がいろいろ雑誌や新聞でおっしゃったことを、原子力委員会として全部取り上げて一々応対するということ自体も、これはちょっと考えなくちゃいかぬと思うのです。ただ、天下の大新聞の毎日新聞にそういうことが出て、みんな非常に不安を持っておるから、これは何とかすべきだなという、私は実はそういう考え方を持っておりました。そして、役所へ参りましたとき、局長から、そのあくる日ですか、こういうことを出したという話を聞いて、ああ、そうかと言ったのです。私はおそらく局長がじゃんじゃんと、機会あるたびにそういう措置を急いでおったのだろうと思いますけれども、その点はあの藤本先生の論文に対するお答えとしては、原子力行政の立場からもう少し慎重にやったらいいのではないかという考え方、確かに嶋崎先生のおっしゃるとおりだと思います。しかし、何べんも言いますように、とにかく藤本先生の論文、これはもう大先生で権威のある先生ですが、この先生の論文に対してまた別の先生もいろいろ意見があるということを、私その当時聞いたのです。聞いたものですから、すぐに、おそらくまた「科学」という雑誌かどっかの雑誌に答えが出るだろうと思ったのです。そうしたら、一向出ませんし、それでどうも、出るのか出ぬのかということを聞いておったのですが、しかしそういう意見を持っておる人がおるのだ、相当あるのだということも聞いておりました。しかし、これがまた出し方によってかえってよほど誤解を招いてもいかぬ。いろいろ考えまして、もう少しとにかく様子を見ようじゃないかといって、他の学者先生の意見のあることも、何か論文をお書きになるという話をちょっと聞いたものですから、その論文を一ぺん見て、また何か言うかもわからぬ、どんなことを言うかわからぬ、その論文を見て、そしてそういうふうなものをまとめて、一応甲論乙駁したものをまとめて原子力委員会としては意見を出すべきではないかというふうに考えておるのが現在の心境でございます。決してずっともうほっておくという意味ではございません。
#58
○嶋崎委員 原子力局が学者の論文に対して対応したのですから、そして、そのやり方が長官から見ても慎重を欠くということなんですから、あと科学者で論争させて対応するというふうに見ているというのではなくて、そのやり方自身に反省があるとすれば、その反省をどこかできちっと整理して、そして国民に科学技術庁のあり方というものを明らかにするというようなことが、実は今日非常に微妙な原子力問題に関して住民に対する対応のしかた、国民に対する対応のしかたじゃないかというふうに思うから、あと科学者の論争というものはいろいろな形でいろいろな条件はたくさんあるけれども、一回対応してしまったのですから、それに対してやはり一つの責任ある態度というものをとるということが必要だというので、そういう意味の、たとえば岩波の「科学」なら「科学」をもう一度正規に見てその上で対処する、科学技術庁としての考え方を出しておくというふうにするほうがいいという趣旨でお願いをしておるのです。
#59
○原(茂)委員 関連して。
 長官、私は原子力局がああいう藤本先生の意見に対して遅滞なく対応しておることに、ある意味では適宜な措置だと思っておるのですよ。いまのお話を聞いてみますと、ではあるけれども反論をしたわけではない、藤本論文に対する学者的な、あるいは論理的な反論をしたのではないということが一つ出てきたのですね。そして、長官の答弁によると、したがって、反対あるいは違った意見の学者の意見がやがて出てくるだろうと聞いているから、それが出てきたら十分に両方の意見を見た上で、しかる後に原子力委員会のまとまった反論なり意見なりを出したい、こういうお考えのようなんです。
 そこをどうして飛躍して逃げてしまうのか、私わからないのですが、長官に妥協したにしても、ほかの意見のある学者というものはわかっているのですから、その学者の意見を原子力委員会で早期に聴取をして、自然に出てくるのを待たないで、いまのお話だと、自然に出てくるのを待っているようなことなんですが、この最高の機関である国会で、嶋崎委員から、少なくとも原子力問題に関する限りは適時にしかも早期に、意見があるものは出して知らせろという貴重な意見の提案があったわけですから、したがって原子力委員会が、それほど慎重に他の学者の意見を待とうとおっしゃるなら、進んで意見を求めて、早くそれをお聞きになって、原子力委員会として正式に、藤本先生の意見に対してこう思うという意見を、早期にまとめる必要があると思うのですね。どうも長官の話だけだと、反対の意見の学者がやがて意見を出すと聞いているから、それがうんと出て、ディスカスをさんざんやった後になんと言われたのじゃ、来年になってしまうかもしれませんからね。そういう適時適切に原子力局が一応行政上の立場で意見を出したというほうが、その処置も軽率であったにしても、長官は認めておるわけですね。そのことがあやまちだった、取り消すというのじゃないのですから、そのことは一応とにかく長官もお認めになったという前提がある限り、それに対する終止符を打つ責任は、原子力局すなわち科学技術庁長官、すなわち原子力委員会がお持ちになるのは当然なんで、それをいまのこの段階で、いま長官が言ったように、やがて学者の意見が出てきたら、うんと論争を聞いてから、自分の意見を出そうなんということを言ったのでは、なおさら何かくさいものがあって、ふたをして逃げて、ことによると原子力委員会そのものが反論ができないというふうに憶測されてもやむを得ない、そういう疑いを残さないような答弁なり措置を、嶋崎委員の要求に対してはお答えになってしかるべきだ、こう思うのですが、どうですか。
#60
○前田国務大臣 両先生から、原子力行政が国民から信頼される行政であるべきだという趣旨の激励的御注意的御発言だと思いまして、たいへんありがとうございます。確かに、そういうふうに原子力局の見解というものを発表して何か中途はんぱじゃないか、確かにそういうふうな考え方もあると思うのです。私も実際そういう気持ちなんです。はっきりとこういうようなものはびしびしと反論していくべきじゃないかというようなことを私も一時は思いました。とにかくあの藤本先生の論文を見て、これだけのデータに対してわれわれはすぐ対応できないのか。われわれにそれだけの研究者というか学者というか、技術者はいないのかということを、実は私は考えたぐらいなのです。すぐ――すぐというか言うたぐらいであります。私もそうじっとしておるのはきらいなたちでありまして、言うたのです。しかし、とにかく先生、くどいようですけれども、いろいろな雑誌に出たのを一々論駁しておると、(「一回したじゃありませんか」と呼ぶ者あり)それも原子力局ではしましたけれども、一々原子力委員会としてそういうことをやっておるというのはどうもと思って、実はそういう考え方もあるわけなのです。
 それで、従来から原子力問題についていろいろな意見があった場合、一々言うて答えはしていませんですね。そういうこともあるし、と言うておるうちに、原子力局で見解を発表してしまったということなんで、原子力局の意図も、えらいおとがめをいただきますけれども、別にそう悪い意味じゃなくて、いま申し上げたような気持ちでやったわけでありまして、責任は全部私にあるわけなんです。
 結局私は、そのときに、それじゃ藤本先生の論文に対して学者はみんな賛成しておるのだろうかということを言ったら、いやそうじゃありません。相当反対の意見を持っておる人も多いのですということを聞いて、具体的に名前はあげませんけれども、そういう人の名前まで二、三聞いた。聞いて、ではその人たちは出すのかと言うたら、出すようですな。しかしそんなものは、こっちから別に頼みにいくべきものじゃないし、私は学会というのはそういうところだと思いまして、何か盛んに甲論乙駁してやるのが学会だと、私は実は雑誌なんか見て思っておったものですから、何か出るのじゃないかと思っておったところが、一向に出ない。何かはっきりしないねということを私は何べんも言うたのです。
 どうもはっきりしないじゃないか、藤本論文に対して反駁できるなら、はっきり反駁しようじゃないかということを私、言いました。ところが、原子力委員会としては、あまり学者の論文にやってはどうかというふうな意見もいろいろあって、実はそのうちにまた藤本論文に対する反駁の論文を書くという人があるということも聞いたものでありますから、それではどうせ甲論乙駁が出るでしょうし、またその人がどんなことを言うかわからぬ。それに関連した論文を待っておって、みなそろったところで、その論文を拝見し、その論文を踏まえて原子力委員会として見解を出そうじゃないかということを考えておるのが現在の心境でございまして、ただ原先生おっしゃるように、いつまでも「鳴くまで待とうほととぎす」で、じっと待っておるつもりもございません。この点は、確かにただいまの御注意、御激励の趣旨に沿って、とにもかくにもできるだけそういう権威のある回答というか、そういうようなものをするようにしたいと思います。
#61
○石野委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#62
○石野委員長 速記を始めてください。
#63
○嶋崎委員 いま長官が最後におっしゃったように、責任ある回答をすみやかにしたいということで、その回答をすみやかにお願いしたいと思います。いいですね。
#64
○前田国務大臣 たいへん嶋崎先生並びに原先生から、原子力行政はしっかりやれ、原子力基本法の精神にのっとってやりなさいという激励のことばだと思いまして、非常にありがたく拝聴いたしました。御趣旨を体して今後とも真剣に取り組んでいきたいということを申し上げておきます。
#65
○嶋崎委員 回答していただけるのですね。
#66
○前田国務大臣 その回答の時期はいつということは申し上げません。けれども、さればといってずるずると長く引っぱっていくというような考えではございません。ただ、くどいようでありますけれども、私は、とにかくまた論文が出るということを聞いておるものですから、その論文でまた何か言うかもわからぬ。そういうことを一々心配しては切りがないのですけれども、やはりこの論文に関して何かまた言う人があるかもわからぬということもちょっと聞いたものですから、一応その論文を待って、そして甲論乙駁の様子を見て、そして原子力委員会としての見解を述べたほうがいいのじゃないかと思いまして――それを別に半年も一年もほっておくという意味ではございません。私もきらいなんです。そんなぐずぐずと国民に不安を与えて、そして何かいつも出るのは藤本論文の話ばかりなんですよ。ほんとにわれわれも、藤本論文というものについてはよく関心を持っておりますので、できるだけ早く国民に安心していただけるように、また、安心のできないものなら、それに対する対応措置を講じなければいけませんし、国民の不安というものを解消していきたいというふうに考えております。
#67
○嶋崎委員 一週間か、そんな時間もかからぬことですから、ここ来週か次回の委員会、まあ今週中の委員会には無理でも、その次の委員会くらいまでには回答ができるよう要求をいたします。
#68
○前田国務大臣 御趣旨を体してできるだけその努力はしますけれども、あと一週間とか二週間とか、先生、そういまから御期限をお切りになると、やはり、いやしくも原子力委員会として今度お答えする以上は、相当権威のあるものにしなければいけませんから、その点は、できるだけ早くということで、一週間とか二週間とか期限を切ることだけは、ひとつ私の誠意にまかせていただきたいと思います。
#69
○嶋崎委員 では、誠意を期待をいたしましてお待ちします。
 原子力局長、いま長官の発言が最後にありましたけれども、やはりこういう原子力の安全性という問題について、原子力委員会といいますか、原子力局の名前でそういう文書を出すときには、単なる、こういう見解に対してこういう判断ですというような文書ではいかぬと思うのです。つまり、行政には挙証責任というものがあるわけですから、そういう意味で、単なる判断に対する判断というような論争的なものではなくて、行政の立場から見たそういう挙証責任ということを頭に置いて、一度出た文書に対しては、長官のおっしゃるような回答に対して、一定の見解を出すように御努力願いたいという要望を申し添えておきたいと思います。いかがですか。
#70
○成田政府委員 大臣がおっしゃったように、その趣旨に沿って処置してまいりたいと思います。
#71
○嶋崎委員 そこで、局長にお尋ねしたいのですが、要するに藤本論文に対する反論の趣旨といいますか、原子力局の見解は、藤本論文が、日本の原子炉の安全審査会の評価方式による仮想事故時のヨード131の放出量は、アメリカ方式による評価に比べて甘くて、十分の一以下であると判断している、原子炉の安全審査の評価がアメリカの方式よりも十分の一以下の放出量の評価をしている、そういうふうに判断しているようだが、その根拠は一九六二年当時のアメリカの原子炉の立地基準をきめたTIDを基本として計算しているという趣旨ですね。
#72
○成田政府委員 「特報」に載せましたのは、そうではないだろうかという、そういう推定に基づいた見解でございます。
#73
○嶋崎委員 そこで、現在のアメリカの原子炉の安全審査に関する評価は、TIDにかわりまして一九七〇年に出されたセーフティーガイド軽水炉に関する安全指針とでもいいましょうか、これによって行なわれている。したがって藤本論文のいわば問題にした基準は古い。日本の原子炉は、そういう意味で安全審査にあたってはアメリカのそのセーフティーガイドを前提にして、より科学的な安全審査が行なわれているのだから、藤本論文の仮説そのものが問題なんだ、こういう見解ですね。
#74
○成田政府委員 新聞記事に関する限りそういう推定をしまして、そして日本は、その後の新しいいろいろな工業施設の効用を織り込んで検討しております。またアメリカも、最近はそういう新しい施設の工業効果を織り込んでやっております、そういう見解を出しております。
#75
○嶋崎委員 どうもアメリカの安全審査の基準と日本の安全審査の基準との間には、比較しても比較のしようのないといいますか、データーそのものが公開されていないし、われわれも手元に十分つかんでいないものですから、その安全審査の比較論もはっきりせぬので、そこで一九七一年の六月以降アメリカの原子力委員会が原発の建設にあたって許認可した全基の資料みたいなものを提出できるかどうか、いかがですか。
#76
○成田政府委員 一九七一年の六月以降、ECCS問題が起きたあとですが、アメリカの原子力委員会が許可をした原子炉、われわれ大使館等から取り得る情報によって、どういうのを許可したか、資料を早急に提出いたします。
#77
○嶋崎委員 国会図書館のマイクロフィルムの調査をやってみましたら、やっぱり七〇年どまりなんですね。だからわれわれがいろいろなものを調べるときには、図書館にそういう資料というものを入れておいていただかないと、いろいろなものを議論するときの材料がありませんから、そういう意味でできるだけわれわれに資料を届けると同時に、国会図書館にもそういう原文が手に入りやすいように資料をつくっておいていただきたいという要望をしたいのです。
 さてそこで、その資料を集めるにあたりまして次の点に留意していただきたいのです。
 仮想事故の事故解析の詳細を知りたいのですけれども、特にヨード131、セシウム137、ストロンチウム89並びに90、それから希ガス及びトリチウム、こういう一連のものがどのように放出されると計算しているのかということについての資料を特に留意していただきたいということなんです。いかがですか。
#78
○成田政府委員 いまあげました放射性物質の個々のデータ、早急に集められるかどうかわかりませんが、時間をかけましても、そういうデータも詳しく集めてお届けしたいと思います。ただ時間的に、いま早急にそういうデータが集まるかどうか、至急当たってみて、大使館あるいは安全関係の団体等を当たってみまして、できるだけ集めるようにしたいと思いますが、時間的にはちょっといつまでということは言えない状態でございますが、できるだけ努力してみたいと思います。
#79
○嶋崎委員 アメリカ大使館を通じてそういう資料やら何かをお願いすると、どのくらい期間がかかるのですか。
#80
○成田政府委員 われわれはむしろ日本のワシントン大使館を通して、アメリカのAECの資料等をもらう方法をやっておりますが、向こうも原子力担当がたった一人しかおりませんので、いろいろなたくさんある資料の中からどれだけ拾ってどれだけ時間がかかるか、簡単なものならすぐ入ってくるのでありますが、いまのような調査項目については、早急に当たってみて御返事したいと思います。
#81
○嶋崎委員 放射性物質全体は時間がかかりましょうけれども、たとえばヨード131だとか、そういうものについてだけとか、そういう早く出せるものはできるだけ早く出していただいて、そしてその他についてもお願いをしたいと思います。
 それから、その際に、原子炉のどういう装置で機能しているのか、それぞれについての、たとえばフィルターだとかスプレーだとかそれからECCSだとか、それぞれについて放射性物質そのもののいわば反応が微妙な違いがあるでしょうから、どういう装置で、そしてそれぞれがどういうふうに吸収されるのか、しかもその点についてできるだけわかる資料をお願いをしたい。
 また同時に、原子炉内部に、仮想事故に際してどれだけいろいろな放射性物質が内蔵されるのか、そしてそれがどういう段階でどの程度放出されるのかというような点についての計算、これを留意していただきたいということです。いいですか。
#82
○成田政府委員 この問題も非常に専門的なめんどうな問題のようですが、まあ大使館等情報網を極力使って努力してみたいと思います。
#83
○嶋崎委員 そこで、ちょっとお尋ねしますが、計算の基礎になっている実験データとでもいいますか、そういうものですからたいへんだと思いますけれども、なるべくそういう趣旨でお願いしたいと思います。日本の場合と、今度アメリカと比較していく際にお尋ねしたいのですが、日本では緊急冷却装置、ECCSが機能しなくても燃料棒がとけないという仮定があるのでしょうか、ないのでしょうか。
#84
○成田政府委員 従来はECCSが燃料棒の破損、ブローダウン中には機能するという前提でやってまいりましたが、一昨年のアメリカのアイダホの実験等で、これの機能に対する懸念があらわれましたので、これはアメリカでもいろいろその後実験研究もやり、日本でも安全審査会を中心にいろいろな検討をやって、そしてその後日本では、冷却材喪失事故時にブローダウン中の瞬間においてはECCSの機能が発揮しないという前提で審査を現在はやっておるのであります。
#85
○嶋崎委員 そうしますと、ECCSが機能しないという、そういう前提ですね。そして燃料棒がとけるという判断ですか。
#86
○成田政府委員 ブローダウンの瞬間においてECCSが一部機能しない、そしてその機能しない範囲においてフィッションプロダクトが燃料棒に出てまいる、そういう前提でございます。
#87
○嶋崎委員 そうしますと、とけることをある程度前提にして、そしてスプレーやフィルターの作用というようなものがそこに放出される量が少量だという、そういう判断ですか。
#88
○成田政府委員 全部とけてしまうということでありませんが、そういう前提でガスが出るという、そういう想定のもとに計算しておるということでございます。
#89
○嶋崎委員 そうしますと、日本の場合に、安全審査に関する資料をあわせてお願いしたいのですけれども、仮想事故が起きて、何分後に何度ぐらいになって、そしてどの程度の割合に燃料棒がとけると仮定するのですね、その点についてのデータを日本の安全審査のデータとしていただきたいと思いますが、いかがですか。
#90
○成田政府委員 日本の安全審査のデータでありますので、その件については早急に資料を提出いたします。
#91
○嶋崎委員 ただ、その場合でも、仮想事故に際してスプレーやフィルターが十分に作動するかどうかたいへん疑わしいと思うのですね。いかがですか。
#92
○成田政府委員 過去におきましてはスプレーとかフィルターの機能に対してかなり懸念もありましたが、最近のそういう技術的な向上によって相当な、これは国際的にそうでございますが、相当な機能を働く。アメリカ等においては九九%から九〇%働くという、そういう見解が世界的になされておりまして、そういう意味ではかなり機能するという前提をとっておるのであります。
#93
○嶋崎委員 そうしたら、日本の安全審査に関する事故解析のもろもろのデータについて、まず最初にデータとしては、さっきアメリカに向けて要求しましたね、その基準に従って日本の資料を提出していただきたいと思いますが、いかがですか。先ほどの放射性物質のそれぞれについてどのように放出されると計算しているか、それについての日本のデータを提出していただきたいということです。
#94
○成田政府委員 まあアメリカの安全審査の基準と日本はかなり違う点もありますが、アメリカはセーフティーガイド等の基準でやっております。また日本もいろいろな審査基準がありますので、できるだけ照合した形で、比較した表で説明いたしたいと思いますが、多少制度的な違いもありますので、その点は資料をつくった上でまたお話ししたいと思います。
#95
○嶋崎委員 その点を、初めにアメリカに向けて要請した、その資料の基準を頭に置いておくことが一つと、先ほどの局長の話ですと、フィルターなんかがたいへん性能のいいものだと言っているのですけれども、たとえば日本はたいへん地震が起きると思うけれども、その地震みたいなものが起きた場合、やはりそういうような場合を兼ねて、特に日本列島は小さい、カリフォルニア州みたいに小さいところに、いまからの原子力発電所の計画を見ますと、日本列島のすみずみにたいへんな原発の設置計画というものが実際に進んでいる。しかもこれはたいへん大型のものが、百万以上のたいへんなものが計画されている。西ヨーロッパの国々に比べて、アメリカ型を日本は走っているというふうにぼくは思いますけれども、そういう状態ですから、この日本列島にかりにいつの時点か地震があるというようなことを想定しない安全装置のあり方というものはないだろうと思うんですね。そこで、たとえばそのフィルターがたいへん優秀だとおっしゃるが、それならばデータとしてぜひお願いしたいのは、このフィルターの耐震性についてのデータですね、どういうふうな耐震性に対応したものが使われているのか、それについてどのような安全審査の中で検討が行なわれているのか、その点をあわせて御提出願いたいと思います。それを頭に置いていただきたいということです。日本の科学者の中には、スプレーやフィルターがかりに精密であっても、仮想事故に際しては気休め程度だという批判がありますが、それについてはどう思いますか。
#96
○成田政府委員 まあ学者の中にはそういう意見のある方もおりますが、世界各国の審査基準を見ましても、日本の仮想事故、重大事故、仮想事故の想定というものはかなりきついものであるというふうにわれわれ考えておりまして、これは安全審査会等の長年の経験からしましても、われわれはこの考え方でまあ問題ないというふうに考えておりますが、ただ当然いろんな深い学問の世界でありますので、いろんな意見のあることも確かでございます。
#97
○嶋崎委員 まあアメリカのお願いした資料と、日本の今日までの――さてその辺をどういう時期にとりますか、アメリカは一九七一年の六月以降というふうにしましたが、日本の場合には、国内問題ですから、一度日本で許認可した原子炉の全部についてそのデータの提出をお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#98
○成田政府委員 アメリカの場合は最近のデータ、日本の場合は許可をした全体というお話で、われわれもそういうふうにしたいと思いますが、ただ、現在許可をしたのが二十一ぐらいありますので相当時間がかかるかもしれませんが、全部まとめて出したいと思います。
#99
○嶋崎委員 最後に、委員長にお願いいたしたいのですが、いまの資料要求についてのこととか、最初に科学技術庁長官に回答をお願いしたこと等々について、委員長が責任をもって資料の提出並びに科学技術庁長官の回答をいただくようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#100
○石野委員長 嶋崎君から御要請については、委員長が責任をもって適当に取り扱うことにいたします。
#101
○嶋崎委員 これにて終わります。
#102
○石野委員長 近江巳記夫君。
#103
○近江委員 この前の委員会は、非常に時間も限られておりまして、用意しておったのですが時間切れになってしまったものもあったわけです。きょうは、初めに放射線医療の被曝問題からお伺いしたいと思います。
 この二月十四日に科学技術庁が個人被曝登録管理についての検討会の報告書を発表されたわけですが、こういう検討がなされるに至った理由、あるいはまたこの背景についてまず初めにお伺いしたいと思います。
#104
○成田政府委員 二月の初めに個人被曝登録管理調査検討会の結論の報告書が出ておりますが、こういう検討を始めました背景について御説明いたしますと、最近、原子力発電所がだんだんふえてまいっておる、あるいはその関連の燃料加工業者も非常に増加して、事業所が増加しておる。そういう原子力発電あるいは原子力の開発利用の進展に伴いまして、これに従事する従業員の数も相当ふえてまいっておるわけでございます。
 それで、大きな会社の従業員の場合は、大体ちゃんとした管理をやっておりますが、たとえば従業員が転々と事業所を移動して歩く場合、あるいはそういう原子力関係の事業所が倒産したり企業がつぶれたりした場合に、この従業員が仕事からどれだけ被曝を受けているか、そういう経緯がどうもはっきりしないということが心配になるわけでありまして、その点は原子力事業従業員災害補償専門部会におきましても、昭和四十年ごろそういう指摘もありまして、ひとつそういう従業員の個人被曝線量の登録管理の必要性がありやなしや、あるいは、ある場合にはどういう形で考えたらいいかという検討を行なうべきであるというので、この検討会を四十七年の二月につくりまして検討を重ねてまいりまして、そしてこの報告書ができたわけでございます。背景、経緯は以上でございます。
#105
○近江委員 この報告書を見ますと、医療関係の治療、検診のために受ける被曝については対象外になっているわけですが、これはどういう理由ですか。
#106
○成田政府委員 従来、医療関係の放射線被曝は、われわれの規制法なり障害防止法の法体系の規制外でありまして、そういう意味で医療被曝はこの検討の外になっておるわけであります。
 ただ、この検討会が従業員被曝の問題をいろいろ検討してまいっている過程におきまして、医療被曝というものも現在相当なレベルになっているのではないだろうか、この状態が現状のままでいいかどうかという問題もいろいろ指摘があったようでございまして、この報告書におきましても、医療等による放射線被曝の実態把握に何らかの調査をやることを期待する、そして、その具体的な把握の方策については別途慎重に検討する必要があろうというような考え方が、十の「医療等による被曝」として指摘しておるところでございます。
#107
○近江委員 それで、対象外になっておるということでそういう点が野放しになっておるのじゃないかと思うのですが、きょうは厚生省あるいはまた文部省も来られておるわけでありますので、両省からその現状について、また、そういう被曝の問題についてどういう見解を持っておるか、お聞きしたいと思います。
#108
○佐分利説明員 医療被曝につきましては、それによりまして診断がきまり、治療が行なわれ、生命を守るという長所がございますと同時に、御指摘のように、いろいろな放射線障害を起こすという短所がございますので、その両者のかね合いによって被曝量をきめることになるのでございますけれども、ケース・バイ・ケースにきめるという性格が強うございますので、従来は統一の基準を設けず、主治医にその判断をまかせておったところでございます。しかしながら、こういった考え方も、医学、生物学の進歩、疾病構造の変化、世の中のものの考え方の移り変わりというようなものに従いまして、時代とともに変わるのではないかと思われます。
 要するに、私どもといたしましては、さらに一そう、医療関係者に対しまして、医療被曝の量を少なくするように注意を喚起いたしますと同時に、近く適当な医療被曝に関する打ち合わせ会のようなものを設けまして、被曝の規制のあり方とかあるいは規制の方法、こういったことにつきまして、諸外国の例をよく勘案しながら検討を進めてまいりたいと考えております。
#109
○齋藤説明員 国立大学には、本院で二十六の病院がございます。ほかにも分院とかあるいは歯学部の病院なんかもございまして、それが全部で四十八の国立大学付属病院がございます。そこにそれぞれ、大学のほうとしましては、放射線科の構座、診療科を置いておるわけでございます。
 なお、他方放射線部というのがございまして、これには四百九十人の放射線技師がおるわけでございます。医者のほうに対しましては、放射線科関係の先生方が中心に、内科とかそのほか関係の各科の先生方に十分その点の指導をしていただくように、病院長会議などでも私ども絶えずお願いしておるわけでございます。具体的に、放射線治療なりあるいは診断を行なう際には、必ず放射線部の技官なり技師が原則としてつくことになっておりますので、そういう意味におきまして、具体的に診断治療される際に、必要以上の被曝をさせないようにする。特に技師の方々にお願いする。毎年私どもとしましては、一週間の講習会を行ないまして、それを技師大体五十人ないし六十人を集めております。そういう際にも十分、技師の立場から、必要以上の被曝を与えないようにということで、絶えず私ども講習をしておるわけでございまして、そういう直接医師並びに間接技師を通じまして、十分その点慎重な配慮がなされるように努力いたしておるつもりでございますが、今後ともなおつとめたい、このように考えておるわけでございます。
#110
○近江委員 国立病院の場合は、そうやって技師の講習なり何なり、医師との連携もとれているわけですけれども、町医者の場合なんか、医師がレントゲンのボタンを押すというのをやっているわけですね。ですから、それは医者のことですから、ある程度の知識は当然持っておられると思うんですけれども、そういう辺の指導についてはどうなっているんですか。
#111
○佐分利説明員 開業医の方々とか民間の病院に対しましては、厚生省といたしましても、各都道府県の衛生部、保健所を通じまして指導をいたしますと同時に、日本医師会とか日本歯科医師会にお願いいたしまして、各都道府県の医師会、歯科医師会の講習会等の機会を通じて、強力な指導をしていただくことにいたしております。
#112
○齋藤説明員 現在、大学における医学部教育におきましては、放射線医学の授業時間が、講義の時間あるいは実習の時間があるわけでございます。これが八十時間ないし九十時間ぐらい行なわれておるわけでございます。この教育の内容におきまして、十分学生の間に、この間の知識を得るように、今後ともなお一そう内容の充実、改善につとめていきたい、このように考えております。
#113
○近江委員 それで、検診の場合、胸部エックス線撮影あるいはガンですね、胃の撮影、こういうのは集団検診でやっているわけですが、集団検診はいま大体どれくらいの数をやっているのですか。胸部あるいは胃部ですね。
#114
○佐分利説明員 結核の集団検診は、毎年三千八百万人程度やっております。また、胃ガンの集団検診は、毎年二百二十万人程度検診を実施しております。
#115
○近江委員 特に小さい子供なんかは、レントゲンをかけますと下腹部まで写りますね。照射するわけでしょう。そうすると、こういうエックス線などというものは、生殖腺といいますか、非常に大きな影響を与えるということは、これはもう学会においても研究発表やなんかもされておるわけですね。そういう点で、国民のほぼ四割近い人が毎年こういうエックス線を浴びておる。また子供たちも浴びておる。あるいはまた、妊婦の場合なんか、特にそういう腹部なんかの撮影をやりますと、これは胎児にまともに当たるわけですね。病気によって病院をまた回ったりいろいろするたびに撮影する、やはり相当大量の照射を受けることになるわけですから、そういうような影響というものを考えますと、これはしろうと考えからいきましても、やはりいろいろな点に相当影響が出てくるんじゃないかと思うのです。そういうような影響調査というものをやっていますか。
#116
○佐分利説明員 厚生省といたしまして実施したことはございませんが、各医学会あるいは都道府県の衛生当局等において行なわれたものはございます。
#117
○齋藤説明員 大学病院におきましては、よく通常の市中の診療機関から回されてくる患者が多い。その場合に、一たん市中の病院、診療所で撮影されながら、もう一度また診断のため大学病院でとらなければならない。そういう問題が生じたりいたしますので、先ほど申しました講習会等におきまして、できる限り、もし医者をかえられるようなことがあれば、その際には過去にとったその関係のフィルムを持ってくるようにということを指導いたしまして、むだな照射をすることのないように心がけておるわけでございます。
#118
○近江委員 そういう指導通達はなさっているか知りませんけれども、たとえば一つの病院のやり方を見てみましても、外科とか内科とか産婦人科とかいろいろあるわけでしょう。やっぱりそのたびにとるわけですよ。日にちがたっているとか、いや何だとか、実際は、そういう指導通達をやっておると言ったって違うのですね。同じ病院であっても各科でそういうのをとる。ましてや病院が違ったりなんかしますと、病院がまた出し惜しみをする、持ち出しをどうもきらう傾向もありますし、行くたびに写したりするわけですね。そういうようないろいろなケースを考えていきますと、こういうことが野放しになっておるということは、きわめて大きな問題であると私は思うのです。
 こういう問題につきまして、現在は何の基準もないわけですね。そして使用制限も、できるだけ慎んでほしいというだけのことであって、どの程度慎めばいいのかという何のそういう制限、歯どめもないわけでしょう。これは非常に大きな問題であると私は思うのです。したがって、そのためには法的な規制なり、あらゆる対策をとらなければいけないんじゃないかと私は思うのです。一般の原子炉等の被曝につきましては、そういう基準もあるわけですね。こういうものについては基準もない。この辺については、先ほどちょっと課長さんお述べになりましたけれども、それは関係各省でよく検討されていますか。
#119
○佐分利説明員 厚生省といたしましても、従来から省内では検討いたしておりましたけれども、この問題の重要性にかんがみまして、先ほども申しましたように、近く検討会のようなものを設けて、正式に調査研究をいたしたいと考えております。
#120
○近江委員 それで、この基準ですね、それからそういう規制ですね、それは明確にきちっと出しますか。そして、それはいつごろを予定していますか。
#121
○佐分利説明員 医療被曝の場合には、先ほども申しましたように、個々のケースによって評価が変わってくるわけでございます。そこで、一律に規制基準をつくるということはなかなか困難ではないかと思われますけれども、一応のメルクマールのようなものはつくりまして、あとは主治医の判断にまかせるというようなことになるのではないかと思います。
 また、そういった基準をつくります時期でございますけれども、ただいまのところは、できるだけ早くという程度のことしか御回答できないと存じます。
#122
○近江委員 一定の基準値を設けて、それでケース・バイ・ケースでそこは医師の判断にまかせる。その一定の基準というのは当然集団検診といいますか、そういうようなところが一つの線で考えられるわけですか、いまお考えになっているのは。
#123
○佐分利説明員 これは、国民が健康管理あるいはいろいろな健康診断、そういったものを受けますことも考えまして、年間平均としてどれぐらいの放射線量まではだいじょうぶであろうか、望ましいかといったような基準を考えることになろうかと思います。
#124
○近江委員 それでは、規制につきまして、いまおっしゃったのは基準のことですけれども、そういう規制の問題ですね、これについてはどういうようなお考えなんですか。
#125
○佐分利説明員 この点は、まだ諸外国にも先例もないようでございますので、直ちに法的規制をするということはなかなかむずかしいのではないかと思われますが、関係学会あるいは関係団体等の意見を十分に聞きまして方針をきめたいと考えております。
#126
○近江委員 それで、この医療被曝の記録を残すそういう手帳みたいなものをつくればいいじゃないか、そういう意見も最近強くなってきておるわけですが、その辺の考え方について具体的に何か考えておられますか。
#127
○佐分利説明員 医療被曝手帳につきましては、実施面でいろいろ問題がございます。そのような手帳を発行いたしましても、ほんとうに活用されるであろうかどうかというようないろいろな問題があるわけでございますので、そういうふうな点もよく考えながら検討を進めてまいりたいと考えております。
#128
○近江委員 これは厚生省なり文部省の管轄ということになっておるわけですが、科学技術庁もあまり知らぬ顔をすることは私はよくないと思うのですよ、これは非常に重大な問題でありますし、ひとつ責任をもってその辺の具体的な進め方について力を入れていく必要があると思うのです。局長はどう考えますか。
#129
○成田政府委員 先ほどの検討会の答申もありましたので、その点は非常に重要な問題であって、今後検討を進めていくべきだと思っております。
 ただ、これは厚生省と十分連絡をとって適切に処置していきたい、そういうふうに考えております。
#130
○近江委員 これは非常に重大な問題でありますので、野放しではなく、規制も強固なものを考えていただきたいし、基準もすみやかにひとつつくっていただきたい。特に要望しておきます。じゃ政務次官、このことにつきまして、あなたの考え方をひとつお聞きしたいと思うのです。
#131
○伊藤(宗)政府委員 先ほど来の近江先生の適切な御指摘、私もあらためて事の重大さを認識したような次第でございますので、またおことばにもございましたように、わが役所といたしましても、厚生省、文部省とも緊密に連絡をとり、できればひとつ関係各省の協議会などのような形もとりまして、さっそく御趣旨に沿いたいと思っております。
#132
○近江委員 それから、こうした放射性物質の管理とかそういうことが最近またずさんになってきておるように私は思うのです。たとえば横浜から横須賀まで放射性アイソトープを輸送しておる途中に紛失をしたという事件も聞いております。あるいは岡山大学で未承認施設でコバルトの治療をしておった、こういうような事件もあるわけですが、最近科学技術庁がそういう事故なりいろいろ報告を受けた例をひとつ報告してもらいたい。
#133
○成田政府委員 先生御指摘のように、鎌倉にありますところのシンロイヒ株式会社から東芝の横須賀工場へプロメチウム147、九十六ミリキュリーを二月の十三日に発送したのでありますが、それが三月の八日になっても荷受け人である東芝工場から受領の通知がないので、それを調べましたところ、シンロイヒ株式会社から輸送委託した日本運送株式会社の藤沢営業所が下請の運輸会社に配送を依頼して以来その行くえが不明になっているという連絡が、これがかなりおくれて役所のほうに連絡があったのであります。それで、連絡を受けまして、さっそく新聞等にもこれを連絡しまして、目下捜査中でございます。それで、いままでのところ、まだ発見されておらないという事態でございまして、非常に連絡も悪い、また、そういう輸送の途中で紛失してなくなるという、輸送途中の管理問題にも非常に大きな問題がありますので、われわれ非常に遺憾に思っておりますが、いま十分捜査をしておるところでございます。
 その他岡山大学の問題、これは去年ですか、ありまして、これも十分立ち入り検査をやり、また善後措置等も厳重にとらせております。
 それから、武蔵工大の原子炉の問題等も新聞にも出ておりまして、われわれもこの点厳重に立ち入り検査をやりまして、そして厳重な検査、指示をやっておるところでございます。
#134
○近江委員 こういう安全性につきましては、本委員会におきましても各委員からも常に指摘しておるわけであります。しかし依然としてこういう事故が随所で起きておるわけであります。これは、通達はしてある、指導はしてあるといっても、結局それが実際に実行されてないということでありまして、やはりこれは科学技術庁の責任というものは私は非常に大きいと思うのです。こういう点、政務次官はどのように反省していますか、こういう事故の続出につきまして。
#135
○伊藤(宗)政府委員 事故の内容、程度その他にもよりますけれども、いずれにいたしましても、わが国において、原子爆弾を受けた世界でただ一つの国という、そういう国民感情なども十分考えますと、たとえ些少な事故でも、また事故までに至らないような問題でも、十二分以上に慎重に防止もし、また対処もしなければならないと思いますので、これらの問題につきましては、担当官庁といたしましてなお一そうえりを正して対処をしていきたいと思っております。
#136
○近江委員 いま政務次官は、その姿勢についてお述べになったわけでありますが、具体的に局長は、こういう事故の続出についてどうやっていくのですか。
#137
○成田政府委員 具体的な措置としましては、大学、病院とか、検査官の立ち入り検査をやらせて、管理体制が十分になっておるか、保安管理規定のとおりにやっておるかという立ち入り検査を励行させたい。それから、検査の検査員にも人的な制約もありますので、通達を出しまして、われわれの関係の事業者等に十分保安を守るような通達も出しております。その他、いろんなそういう関係の団体等の会合においても、担当課長等から厳重に、絶えず、保安、安全の管理徹底をはかるように指導しておるところでありますが、まあ非常にケースも多い関係もありまして、先ほどのシンロイヒ株式会社の例等も最近起きまして非常に遺憾に思っておりまして、さらにそういう措置の徹底強化をはかりたいというふうに考えております。
#138
○近江委員 この点は強く要望しておきます。
 それから、昨年の八月、動力試験炉の放射能水が漏れた事故の件につきまして、報告書が三月の二十七日に原研から発表されたようでありますけれども、この概略の説明をひとつ聞きたいと思います。
#139
○成田政府委員 原研の動力試験炉JPDRの水漏れ事故、これが原研で調査結果をきのう発表しまして、全貌が発表になっておりますが、この経緯を申し上げたいと思います。
 原研の東海研究所にありますところのJPDRにおいて、JPDR−2の出力上昇試験の計画に基づきまして、通産省の使用前検査を受けるため、所内検査を実施しておったのであります。そして、その場合に、これは去年の八月でございますが、JPDRにおいてこの試験実施中に、配管部分から一次冷却水の漏洩があった。ただ、作業従事者の被曝汚染等はなかったのでありますが、冷却水の配管からの漏洩があったということを発見しまして、以後炉をとめましていろんな検査を行なった結果、亀裂の発生を確認したのであります。
 それで、原因が何に基づくかということを調べるために、漏洩個所を切断しましていろんな検査を行ない、また原研内部に、去年の十一月でございますが、専門家による調査委員会を設けて原因の究明を行なってきたわけであります。
 その原因の究明結果によりますと、原因は、配管の溶接しました溶接周辺部に過大な力が加わった上に腐食が広がったため、亀裂が発生して、この亀裂から冷却水が漏洩したのであるということが判明したのでございます。
 それで、これはまあいろいろ、昭和三十五年に着工しました古い型の炉でありまして、溶接等にもいろいろ――昭和三十五年に着工しまして、昭和三十八年に臨界になった古いときの、しかも実験炉で、いろんな圧力を加えたり、いろんな実験をしておる炉でありまして、その結果、溶接部門に相当大きな力が加わって、その応力の関係から亀裂が生じたということであります。だからこれをもって最近の商業炉にそういう問題がないかという点がよく問題になるのでありますが、商業炉につきましては、この昭和三十五年につくりましたJPDRと違いまして、最近建設中の、あるいは許可をしました運転中の軽水炉は、非常に安全度の高い、熱応力を含めました詳細な応力解析を行なって、そしてそれに基づいてさらに安全余裕のある設計をしておりますので、この動力試験炉が水漏れ事故があるからといって、最近の運転中、許可中、建設中の商業炉については、まあわれわれは問題はないというふうに判断しております。
#140
○近江委員 いずれにしても、米社の設計ミスとパイプの溶接不良ということになるわけでありますが、いずれにしてもこれは、緊急冷却装置に連なる一次冷却水が漏れたわけでありまして、安全対策上きわめて重要な意味を持つものじゃないかと私は思うわけです。
 この藤本教授の、これも問題になったわけですけれども、この安全審査をする場合には、最大の仮想事故を想定して解析をするわけですけれども、その最大の仮想事故というのは、炉心から熱を取り出す一次冷却水の配管が破れ、冷却水は急激に膨張して蒸発し、燃料棒が溶けて、死の灰が外部に放出された、こういうケースなんですね。ですから、これは重大な事故につながる問題なんです。これが設計ミスとパイプの溶接不良である。これはもうたいへんな問題であると私は思うのです。こういうことで、日本にもこうしたGE社の設計のものがほかにもたくさんあると思うのですけれども、この点についてどう考えているか。また、今後原子力委員会はこの事故をどのように受け取っておるか、この点をひとつお聞きしたいと思うのです。
#141
○山田説明員 近江先生御指摘のとおり、この冷却管に事故が起こるということになりますと非常に重大な事故に発展するということが考えられますので、非常に慎重でなければならぬということは明らかでございます。
 それから、原研はわれわれの日本の原子力開発のメッカでありますから、そういうところで、設計が悪かったこともわからなかったとか、操作が悪かったのがわからなかったというようなことでは、どうにもならないというふうに考えております。しかしながら、現在のパイプラプチャーといいますか、パイプの破断に至ります過程におきましては、この原研の例でもわかりますように、事前に何か徴候が出てくるということが考えられます。今度の場合には、水が漏れたというので非常にまずいのですけれども、その前に常時検査をすることによって、どこかがパイプが薄くなっているか、あるいはクラックができているかというようなことを、非破壊的に調べることができるわけであります。まあそういうことによって、このパイプラプチャー、パイプの破断というような大きな問題に至ります前に、十分な注意が払われておるということになっておるわけでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、この「原子力特報」というのは私まだよく読んでおらないのでございますが、これは非常に重要な意味を持っておりますので、この問題について十分な検討をしていかなければならぬと思います。
 それから、現在の新しいものについては、確かに局長から申し上げましたように、いろいろな注意がされておると思いますけれども、やはり念には念を入れたことをしなければいけないというふうに考えております。
#142
○近江委員 まあそれは、念には念を入れなければならぬということは、これはもうそのとおりでありまして、このGE社設計のものはどことどこですか。また、それに対してどうするのですか。
#143
○成田政府委員 日本で現在運転しておるのは、これはメーカーがGEの場合で、BWRという東京電力の一号炉、稼働しているのはそれ一つでございますが、いま建設中のものが東電の福島の五号炉まであり、また中部の浜岡等もありまして、相当な数になっております。ただ、JPDRと同じように古い形の炉というのは、商業炉につきましてはありませんで、このJPDR、原研の炉だけでございます。その後は、先ほど言いましたように、非常に厳重な設計審査のもとで審査を終わっておる炉でありますから、そういう懸念はないというふうに思っておりますが、その点も、念には念を入れて、厳重に注意してまいりたいと思っております。
#144
○近江委員 厳重に注意するということは、設計の見直しをし、再検査をするということですか。
#145
○成田政府委員 原子力発電等の施設については、定期的に、炉をとめて性能検査をやっておりますので、その際厳重に――JPDRも定検の前の検査で発見したのでありまして、商業炉についても、その点厳重に注意したいと思っております。
#146
○近江委員 他の型のものも非常に心配なことになってくるわけですが、GE社でないものについてはどうですか。
#147
○成田政府委員 ほかのPWR等についてもそういう問題があるかどうか、これは定期検査の際に十分注意してまいりたいと思っております。
 ただ、先ほど言いましたように、これはBWRで、しかも昭和三十五年着工の古い型であるということでありますので、その点、最近の新しい炉にはないと思いますが、しかし定期検査等においては、あらゆる炉について厳重に注意したいと思っております。
#148
○近江委員 原子炉に使われております緊急冷却装置につきまして、見直しをする計画はあるのですか。
#149
○成田政府委員 緊急冷却装置の問題がアメリカで起きて、その後日本でも、アメリカ等へも調査団を出しまして検討して、その際、過去の炉についても、そういう心配がないか厳重な検査をやって、心配ないということを確認しております。
 それから、新しく審査して許可をするものについては、ECCSの一部が機能しない、ブローダウン中は機能しないという仮定に立って、また燃料棒の最高温度等もアメリカよりもかなり低いところに押えたかっこうで、非常に安全をとって許可をしておりますから、そういう問題、あらためて再検討ということは必要ないと思います。
#150
○近江委員 山田さんは、現在運転中の商業用の発電炉というものは、設計基準もきびしく、技術的にも進んでいるから心配ない、このようにおっしゃっているわけですけれども、技術なんというものは完ぺきというようなことはあり得ないわけですね。そういう点からいきますと、初めにつくった原子炉ほど危険であるということはやはり言えるんじゃないかと思うのです。そうでしょう。現在は進んでおる、前のほうは技術が低いということをおっしゃっているのですね。そうすると、最初に着工してきた原子炉というのは非常に危険ですよ。これについてはどうお考えですか。また、技術が進んでいるから安全なんだという、そういう考え方自体が非常に甘いと私は思うんですよ。その辺の姿勢についてもお聞きしたいと思います。
#151
○山田説明員 原子力の技術が進歩したという意味は二通りございまして、一つは、従来はたとえば五万キロしか出せなかったものが、六万キロになり七万キロになるというような性能の向上と、それから同時に、いろいろなことがわかってきて、材料の発展とかいろいろなことがございます。それで、確かに古い時代のものは――その後の検査等で、もちろん問題点は明らかにしていくわけでございますが、古いものは元来、出力密度と申しますか、その設備自身の持っておる能力が低い、すなわち、常時におきましても温度が低いというようなことがございまして、事故に至らないもの、あるいは事故におきましても、その際における非常に問題になります温度の上がり方というものは少ないというような点で、大体においてカバーされておるわけでございます。特に、最近ECCSが問題になってまいりましたのは、その出力をたくさん出したい、あるいはバーンアップをたくさん上げたいというような問題から出てまいりますので、それに対応した技術が大体伴っておるので、表現としてはややいいかげんで申しわけないのですけれども、それらがバランスして現在運転されておるというふうに考えていただきたいと思います。
#152
○近江委員 それから、これはこの前にもお聞きしたのですけれども、最近は百十万とか百十七万とか、非常に大型化してきておるわけですね。この辺につきましては、設計ミスであるとか溶接の失敗であるとか、こういうわれわれが一番たよりにしておるところがだめであったというようなことを聞きますと、もしもこういうところで商業炉で実際に事故があったとき、一体どうなるのかということですね。アメリカだって、こんなごついものつくってないですよ。こういう大型化また集中化していくことについて、どう考えておるのですか。
#153
○山田説明員 大型化と申しましても、実際の原子炉におきましては、たとえば原子炉のパイプといいますか、ループといいますか、そのあたりの出力というものが大体きまっておるわけでありまして、その意味におきましては、技術的にむずかしい状態になったということは必ずしもいえないわけであります。たとえば五十万キロですと、パイプの数あるいはループシステムが二つであって、八十万キロぐらいになりますと三つになり、百万をこえると四つになるというようなことでございまして、一本当たりに割ってまいりますと大体同じような状況でございます。それを一緒に合わせておりますから、そこにもちろん問題はございますけれども、熱の冷却というような問題につきましては、ある意味でユニット化されておるという考え方になると思います。
 なお、非常に大出力の発電所ばかりどんどんつくっておるではないかという御指摘でございますが、これは何も日本だけの傾向ではございませんで、現在世界一を誇っておりますのはむしろドイツでありまして、ドイツのビブリスあたりが一番大きくて、百二十万から百三十万近いものをつくりつつあります。そういう意味で日本が特別大きいということではございません。アメリカでももちろん非常にたくさん、百十何万キロのものをつくっております。しかし、ドイツなんかは、数が少ないのに世界一を誇っておるというようなことがございます。
 それから、集中化の傾向でございますが、これまたいろいろ御意見があると思いますけれども、平常時の運転につきましては、数が多くなればなるほど平常時の近辺における放射能が増すことは明らかでございます。しかしながら、これも先生よく御存じのとおりに、平常時の放射能レベルにつきましては、日本の基準そのものは年間五百ミリレムというような基準になっておりますけれども、現実のものはそれより二けた以上低くなっておるということになっております。たとえば原子炉の周辺におきまして五ミリレム以上になってはいけないというようなことになるといたしますと、五台ありますと、一つのコントリビューションが大体一ミリレムぐらいにならなければ五台はつくれないというような形にいたしておりますので、平常時的な面からは、特別過密というような状態にはなり得ないというふうに考えております。
 事故につきましては、もちろん原子炉の数がふえますとそれだけよけい回数の事故の確率が存在するということになるのは明らかでございますけれども、この確率が、一つの原子炉の事故の確率が非常に小さいものですから、それが五台になったからといって、特別事故の回数が確率的に非常にふえるということにはならないというふうに考えております。
 しかし、もちろん放射能の面ばかりからわれわれ言うことはできませんで、御承知のとおりに原子力発電所におきましては、同じ出力におきましても火力発電よりよけいな冷却水が要りますので、それが効果についてはまだ十分わかっておりませんけれども、温排水の影響が非常に大きくなるというようなことになりますと、やはり問題が出てくる。そういったいろいろな面を考えまして、どの程度の集中がよろしいかというようなことを考えておる次第でございます。
#154
○近江委員 どの程度の集中がよろしいかと考えておると、考えておる段階でこうやって許可を出しているじゃありませんか、福井にしたって、どこにしたって。そうでしょう。そういう影響調査にしろ何にしろ、そこまで調査ができていないのに、そういう集中させていくという安易な姿勢というのはよくないですよ。そう思いませんか。もう一ぺん聞かしてください。
#155
○山田説明員 放射能につきましては、われわれとしてはいま申し上げましたような基準の範囲に入るということによって、それ以上になる場合は考えておりません。したがいまして特別の問題は起こらない。
 それから、温排水につきましては、これは必ずしも原子力委員会がきめるべきことではございませんし、どういう基準でなければならないかということもまだ実はきまっておりません。しかしながら、現在の温排水等に対する影響等を調べてみまして、どのくらいの範囲に発電所から出た温水が海面の温度を上げるかというようなことを一応考えております。それで、その際に、何度ぐらいであるならば影響するし、それ以下は影響がないであろうというような、これはやや腰だめで申しわけないのですけれども、これは基準がございませんので、大体いままでの経験からやっておるわけでございますが、そういう範囲が想定されます。しかしながら、実際の漁業問題等との話し合いにおきましては、それをはるかに越えた広い範囲において補償等が行なわれておりますので、特別その問題が出てくるとは考えておりません。しかしながら、いまの話は、補償ということだけでは将来の日本全体のことを考えてみますと、あるいは意味がない、あるいは重要な点が抜けておるということになる可能性がもちろんあると思います。それは、日本の水産業に対して非常な影響を与えるということになりますと、これは実は非常に困るわけでありまして、現在の段階では非常に局地的であると考えておりますけれども、現在原子力委員会の中にあります環境安全専門委員会の中で温排水分科会というのがございますが、そこで短期的ではなく長期的にじっくり調べていきたい。しかし、目に見えた大きな影響というものは、もちろん現在までにせいぜいノリとかそういった漁業につきましての影響がわかっておりますけれども、実際のわれわれがよく食べる魚その他については、むしろはっきりした影響はまだわかっておらない段階でございます。
#156
○近江委員 原子力委員会は温排水とは関係ないということをいまちょっとおっしゃったのですけれども、環境問題というのはいまやたいへんな問題なんですよ、そうでしょう。希釈されたもの、それもその地域に滞留して、またそれをプランクトンあるいは生物、人間と連鎖反応を起こしていくわけでしょう。この辺の関係とか、大気汚染のクリプトン85の問題もあるし、いろいろなそういう環境問題というものはたいへんな問題ですよ。それを原子力委員会はあまり関係ないというような、こんなことでいいんですか、行き方が。
#157
○山田説明員 環境ということばで実は二つ意味がございますが、一つは環境放射能でございます。これはいま先生御指摘のクリプトンといったような問題、あるいはアルゴンといったような問題、あるいは沃素といったような問題がございます。これはもちろん原子力委員会の責任でございます。しかし、温排水、実際に発電所から出てくる水の中には、温度と一緒に放射能が入ってまいりますから、それの実際の区別はむずかしいわけでございますけれども、発電所から出てまいります排水による放射能的影響についてはわれわれの責任でございまして、これははっきり言えます。しかしながら、この温度の影響というものにつきましては、これは原子力委員会の専管事項ではございません。元来がこの温排水につきましては、環境庁におきましてどういうことにしなければいかぬという基準がつくられまして、その基準に従って通産省が原子炉の温水の影響がどうであるということをきめることになるわけでありますが、現在の基準ができておらない段階におきましても、通産省がその問題をタッチし、責任を持つべきものであると思っております。もちろん原子力委員会は、別な意味で、通産省のやることあるいは環境庁のやることについて、勧告とかあるいは資料をもらうことができますけれども、しかしそれは直接ではございません。そういう意味でわれわれが直接でない、こういうふうに申し上げたわけでありまして、環境放射能につきましてはもちろんわれわれの責任でございます。
#158
○近江委員 そんな、温排水は環境庁と通産省の問題であると――大体この原子力発電所を置くところから出ているんでしょう。そんな無責任な言い方というものはよくないと私は思うのですよ。あくまで環境という問題の中には、温排水なんて、これは大きな項目として入れるべきですよ。そして設計の段階で、これだったらどこまで押えられる、そこまで見るべきじゃありませんか。これは成田さん、あなたはどう考えていますか。山田さんのおっしゃるのを肯定するんですか、あなたは。
#159
○成田政府委員 原子力発電所をつくる場合、環境問題として温排水も非常に社会的な大きな問題になっております。したがいまして、たとえば原子力委員会が公聴会等をやる場合には、当然地元から環境問題として温排水の問題もいろいろな意見として出てまいると思います。しかし、温排水の行政的な所管というのは、いま山田委員が言われましたように、環境庁が、まだできておらないのでありますが、水質汚濁防止法によって基準をつくり、通産省が電気事業法によってその基準に合っているかどうかを実際監視する、そういう法律的なたてまえになっております。したがって、温排水問題というものは、環境庁なり通産省の行政的な責任の体系になっておりますが、原子力委員会は、また一面では原子力の開発利用について一元的な非常に高い責任を負わされております。したがいまして、原子力委員会が、環境問題等について地元からいろいろな意見があった場合には、通産省あるいは環境庁の上に立って、通産省、環境庁がどう考えるかという点を意見を聞いて、その意見を委員会として判断して、そして総合的な判断をする、そういうたてまえになるというふうに考えておりまして、狭い意味では原子力委員会は放射能関係、環境放射能を含めまして。安全審査会は特にそうでありますが、しかし、日本の原子力行政、原子力開発利用の最高の責任機関である原子力委員会としては、各省の上に立って、環境問題を含めていろいろ判断していくというふうにすべきであり、またそういう考え方になっております。
#160
○近江委員 そういう考え方は違いますよ。温排水は関係ないと、極端にいえばこういう言い方ですよ、山田さんのおっしゃったのは。だからその温排水も含めて、原子力委員会はもう当然審査の段階でやるべきですよ、これは。
#161
○山田説明員 少し表現がまずかったと思います。しかし、実体的な責任といいますか、行政上においては通産省がやりますが、原子力委員会は、まあ温排水だけじゃないと思いますけれども、その他あらゆる官庁に関係する問題について、原子力発電といったものについては、それを上から見て責任のあることは明らかであります。しかし、直接ではございませんので、そういうところで十分にやってもらわなければいけない。しかし、それがいいかどうか、行政でやっていることがいいかどうかというような判断をもちろんわれわれしなければならぬというふうに考えております。
#162
○近江委員 これはやはり責任あるわけでしょう、結局。その辺のところを、最高の責任者の山田さんの頭の中に、温排水は関係ないのだ、いみじくもあなたの思っていることが出たわけですよ。だから、これはもうはっきりと、法律でそうなっているからというなら、法律改正をしたらいいじゃないですか、温排水も入れると。そうでしょう。そういうふうにやりますか。
#163
○成田政府委員 原子力委員会の環境問題に対する所掌といいますか関係については、私先ほど申し上げましたような考え方で十分対処していけると思いますので、いまの段階で原子力委員会設置法を変えるとか、基本法関係の法令を変える必要はない、そういう考え方で対処していけるというふうに考えております。
#164
○近江委員 それじゃ、運用の点で、その温排水問題は大きな問題として今後はやっていくのですね、確認しますけれども。
#165
○山田説明員 先ほども局長から申し上げましたように、将来公聴会を開くことを考えています。その際におきましては、主体は、原子力規制法によって原子炉の安全性そのものについての問題を検討いたしますけれども、しかし、当然そこでは、たとえば発電所の冷却する水の問題であるとか、あるいはいまの温排水の問題であるとかいったようなものが当然出てまいりまして、それらを全部カバーしてやってまいります。
 その際の経過が、いま申し上げましたように、原子力委員会設置法にあります権能によりまして、原子力委員会が他の官庁に対して、たとえば水の問題であるとかあるいは温排水の問題についての意見を求めるとか、あるいは何か勧告するというようなことができますので、それを含めて全的に原子炉に関連する審査といいますかを進めてまいるというふうに考えております。
#166
○近江委員 これはひとつ強力にやってもらいたいと思うのですよ。
 政務次官、いま温排水の問題が出まして、初めはそんなことは知らぬというような話から、今度は責任持つということにだいぶ変わってきたわけですけれども、これは、ひとつ強力に科学技術庁として、その審査項目の中に重点的に入れてもらってやってもらいたいと思うのです。あなたの決意をお聞きします。
#167
○伊藤(宗)政府委員 先ほど来申し上げましたのは、温排水の基準等につきましては、まあわが役所は専門家ではないというような意味で申し上げたようでございまして、その基準がきまった場合において、それを原子力委員会の審査等の重要な、しかもきわめて重要なテーマとして審査の基準にすることは、いまの御答弁あるいは問答でも明らかになったわけでございまして、なお近江先生の環境問題に対しての御指摘等も含めまして、これからの審査あるいは許可等につきましては、十分な配慮をしてまいるつもりでございますので、よろしく御指導いただきたいと思います。
#168
○近江委員 それから、原子力発電所が全国各地に建設のものがあるわけです。運転しておるものもだいぶあるわけですが、審査中のものもある。そうしますと、一例を申し上げてみたいと思うのですが、新潟県の柏崎に東京電力が考えていますね。まだ審議会には出てないと思いますが、これは日本最大の基地になるでしょう。これは一千万キロワットくらいになるでしょう、七基か八基。それでかつて向こうは大地震があったわけです。しかも柏崎なんというところは、一日三百万立方ぐらいの天然ガスを抜いているんです。沖合いでは石油を掘っているでしょう。当然そこには空洞が考えられる。陥没、地震ということも考えられるそういう地形的な配慮とか、そういうことは考えているんですか。まだあなたのほうは、書類が出てないからと言うかもしらぬけれども、出てくるのはきまってますよ、そういう地形なり何なり、やはりあらゆる事故の想定ということは、設計だけを完ぺき、もうほぼ間違いないとか、そんなことを言っておったってだめなんです。やはり自然条件の、こういう地震であるとかそういうようなことが非常に大きな要素になっている。こういう点において非常に不気味な感じが私はするんです。まだ書類が出てないかしらぬけれども、お聞きになっているはずです。そういう発電所建設用地等についての基本的な考え方を一ぺん聞かしてください。
#169
○山田説明員 日本の立地指針と申しますものがございますが、原子力発電所をつくるにはどういうところでなければいかぬとか、そういう中にも、ただいま先生御指摘のように、地震の問題も多いとか、津波が多いとか、あるいは風が非常に強いとか、いろいろな条件、すなわち事故を誘発するような地点は悪い地点であるというのが、まず第一に立地を選ぶ場合の先決問題となっております。ですから、一般論といたしまして、いまお話しのように、設計だけよければいいということではございません。ただ、先生に先回りされて困ったのですが、まだ出てまいっておりませんので、それの詳細については調べたわけではございませんけれども、一般論として、場所を選ぶという中においては、設計だけではなくて、その土地が原子炉設置に適しているかどうかということも当然検討いたします。
#170
○近江委員 そういう点は十分検討してもらわないと、これは万一の場合取り返しのつかないことになります。だから、これはほんとうに最大の基地になるわけですから、こういう点については、ひとつ十分慎重な検討をされるように前もって申し上げておきたいと思うのです。
 それから、原子炉の燃料棒の破損の問題でありますが、まず、原子炉等の規制法による事故届け出義務の中に、燃料棒の破損及び異常についての届け出というのは含まれているんですか。
#171
○成田政府委員 燃料棒の破損につきましては、規制法によりまして、原子炉がストップするようなそういう破損の場合には事故届けを出すことになっております。漏洩事故と微量の場合には届け出はないのでありますが、原子炉をストップするような場合には事故届けになっております。微量の場合も保安規定によってどの程度の場合はどうというような規定になっておりますので、これは届け出をしなければならないことになっております。
#172
○近江委員 年間の現在使用しておる燃料棒の数と破損数を言ってください。
#173
○成田政府委員 燃料棒の破損の事故届けがありましたのは、昭和三十八年から四十七年の間二件でございます。それで、その間全体の届け出事故としましては三十三件ありまして、そのうちの二件が燃料棒の破損による事故届けが出たケースでございます。
#174
○近江委員 燃料棒の各製造会社別の破損傾向について検討したことがありますか。
#175
○成田政府委員 燃料棒の破損したメーカーというのは、原研のJRR3原子炉の燃料体の破損があり、これは国産のメーカーになっております。いまわかっておりますのはJRR3、これは国産のメーカーでございます。
#176
○近江委員 昨年末アメリカの原子力委員会で燃料棒の破損について各種の検討が加えられておるということが報道されたわけですけれども、これは聞いておりますか。
#177
○成田政府委員 アメリカの原子力委員会が去年の七月の二十七日、PWR型炉の非加圧型燃料棒の一部に変形しやすいものがある、それでいろいろ各炉について検討中であるという発表を、去年の七月の二十七日に行なっております。これは公電等で入っております。この検討はアメリカのニューヨーク州にあるジナ発電所で使用された燃料棒を検査したところ、少数の燃料棒が扁平化しているということがわかったことによるものでありまして、その他の非加圧型の燃料棒を使っているアメリカの発電所全体について、アメリカの委員会がその後調査を行なっておると聞いております。
#178
○近江委員 スイスとアメリカの原子力発電所の数カ所で、原子炉の燃料棒の破損が次々に発見されているわけです。緊急用の冷却装置について、原子力発電所の安全性というものが問題になってきておるわけですが、アメリカ原子力委員会でもその調査に乗り出しておるわけです。アメリカのAECにおきましても、発電所の出力をむやみにスケールアップすることを反省しているわけです。安全性の問題が解決するまで出力増加の認可を無期限延期すべきだ、こういう意見が出てきているわけです。
 こういうような状態の中で、そういう大型化また集中化を日本はしようとしておる。特にウエスチングハウス社製の燃料棒に多くの欠陥が発見されたということがいわれておりますが、わが国の場合でも関電の美浜の一号炉に同じウエスチングハウス社のものを使っておるわけですけれども、こういう点についてはどう考えているのですか。
#179
○山田説明員 先生御指摘のとおり、スイスのベズナウという発電所で最初にこの燃料の扁平化がわかりました。その原因は、燃料のペレットが収縮いたしまして、燃料の中に空間ができ上がってその部分がぴしゃんとひしゃげるということでありまして、その調べられたのは大体非加圧型燃料と申しまして、燃料の中に圧力を加えない状態の燃料に起こったわけでございます。その後大部分が加圧型と申しまして、中に事前に若干の圧力を加えておくという型になっております。それで、ベズナウの場合と、それから先ほど局長から申し上げましたジナという発電所の二つだけであると思ったのでありますが、その後、たしかターキーポイント2という発電所でもそういうことがわかったということになっております。しかし、それにつきましては、アメリカの調査によりましても、大体燃料の先ほど申しましたペレットの密度がわりあいに低いものに多いということでありまして、日本のいま御指摘の美浜第一発電所は、これまた非加圧型燃料を若干持っておりますけれども、これはペレットの密度がわりあいに高いものでございます。それで、アメリカにおきましても出力をあまり上げておらぬというお話でございましたが、アメリカの出力を上げる許可のしかたが日本とはやや違っておりまして、段階的に上げていくものでございますので、たとえば二〇%あるいは五〇%の出力といったように上げてまいりますので、その段階でとめたということでございます。その状態でとめたのでありますけれども、過去において運転しているものについては出力を下げたという例はございません。しかし、この美浜の燃料につきましては、やはり問題が多いわけでありますので、現在定検でとまっておるわけでございますが、この定期検査中に残存しておる非加圧型燃料については全部取り出してしまうことになっております。
#180
○近江委員 こういうことが非常に重大な事故につながるわけでありますし、こういう燃料棒に至るまで政府は厳重な監督をしてやっていかなければいけないと思うのです。その点、対応のしかたというものは、何か言われてからやるという従来のそういう傾向があるわけです。この点は特に強く要望しておきます。
 それから、放射性の廃棄物の問題でありますが、現在全国で貯蔵されている放射性廃棄物の総量、これをドラムかんに直すとどれだけになるか、また今後の見通しについてお聞きしたいと思うのです。
#181
○成田政府委員 現在、これは昭和四十七年末における廃棄物の量でありますが、二百リットルのドラムかんで八千五百本でございます。そうしてこれが、今後原子力発電所が増加するにつれてこの廃棄物の量もふえてくるわけでございまして、たとえば昭和五十年におきましては一年間で四万本ぐらいのドラムかんが発生する計算になっております。
#182
○近江委員 昭和六十年度におきましては六千万キロワットという計画になっていますね。この時点ではどれだけになるのですか。
#183
○成田政府委員 昭和六十年度におきまして六千万キロワットの原子力発電所が動くとしますと、一年間で、二百リットルドラムかんで約三十万本ぐらいの廃棄物、そういう見通しになるわけでございます。
#184
○近江委員 廃棄物の将来のそういう膨大な量、これは一体どうするのですか。この検討についてはどのように進んでいますか。
#185
○成田政府委員 放射性廃棄物の処理、処分問題、これは日本においても大きな問題であり、また原子力発電をやっておる世界各国共通の問題として、いろいろ国際会議等でも検討しているところであります。これをどうやって解決するかという問題、これは昨年原子力委員会がつくりました原子力長期計画におきましては、低レベルの放射性廃棄物については、陸地処分及び海洋処分を組み合わせて実施する方針で臨みたい。そうして前者、陸地処分については五十年代の初めごろまでに見通しを明らかにしたい。後者、海洋処分については、試験的な海洋処分を経て五十年代初めごろまでにその見通しを得ることとしたい、そういう考え方を長期計画ではうたっておりますが、これを具体的に海洋処分、陸地処分をどうするかというのは非常に大きな問題でありまして、四十七年度の予算からこの海洋処分の研究あるいは陸地処分の研究を計上しておりまして、四十八年度においても一億五千万ぐらいの予算を計上して、これに今後数年の計画でいろいろな、具体的にどこへ処分するかということでなくて、処分あるいは保管する場合の考え方、最も安全な処分のしかたがどうであるか、あるいはそういう基準をどうやってつくるべきであるかという、まだ全くの試験研究段階でございますが、四十七年度の予算で計上し、今後引き続いていろいろな研究をやって、そして解決をしていきたい。また同時に、これはアメリカもヨーロッパ諸国も同様な問題で悩んでおりますので、国際会議等においても、日本等も率先してこれを国際間で解決する方法も提案して、いろいろな国際会議で検討を始めているところでございます。
#186
○近江委員 海中投棄のことが前にも問題になったのですが、館山沖にほうっておりまして、本委員会で私が質問したときには、ほうっていない。しばらくたってから、若干ほうった。参議院ではもっと膨大な量を出してきた。隠蔽するそういう姿勢を私は科学技術庁に大いに反省を求めたことがあったわけですけれども、試験的にまたほうるのですか。この前に指摘されてからほうっているんですか。また、今後試験的にほうるのですか。
#187
○成田政府委員 廃棄物の海洋投棄については、放同協等で昭和三十年ごろから投棄しておりますが、その後そういう試験的投棄も全然やっておらないのであります。むしろ本格的な問題としては、四十七年度から予算を取って、太平洋の非常に深いところに候補地をきめまして、現在水産庁、海上保安庁、気象庁等で海流、地形あるいは気象、魚族の生息状況等いろいろな基礎調査をやっております。そして一方では、海洋投棄した場合に安全であるかどうか、これは固化技術の問題、その他海底における挙動の問題とか、いろんな研究を原研その他でやらしておりまして、その具体的な地形の調査とそれから安全性のいろんな研究、この二つを今後にらみ合わせていくべき問題で、その見当がつかない間に、試験的なものであっても投棄をするということはあり得ないのであります。現在は、いろんな基準をつくる場合の前提となる試験研究をやっておるという段階でございます。
#188
○近江委員 OECDの原子力機関は、過去四回大西洋に海洋投棄を行なったわけですが、ことし予定した五回目の海洋投棄は見送ることになるであろう、このようにいわれているわけです。そして、放射性廃棄物を海洋投棄する際の新しい安全基準を審議する、こういうふうにいわれているんです。だけれども、科学技術庁のいまの話は、海中投棄をするための準備の調査をしておる。それはまあ非常に前向きにやろうとしているわけですね。これは、国際間のこの辺のことはわきまえておるのでしょうな。
#189
○成田政府委員 ヨーロッパの原子力機構で海洋投棄を数回にわたってやっておりまして、そして最近は、この試験投棄に日本の研究員も参加させていろいろ勉強さしております。ことし北海ですかでやるかどうかというのは、いろいろ研究のためにやるべきであるという意見と、やめてくれという沿岸地区の意見がいろいろいま論議中であって、まだやるともやらないともきまっておらないというふうに聞いております。日本もこの計画にはいろいろ研究のために参加しておるところでございます。
 それから、日本の試験研究が国際的にひとり前向きであるというお話ですが、決してそういうことではなくて、いろんな安全性の研究、これは固化技術の問題だけではなくて、地形とか気象条件、海流との関係、いろんなデータをとるための試験研究をいまやっておる段階でありまして、決して本格的投棄に対して前向きであるというふうにはわれわれは考えておらないのであります。
 ヨーロッパの情勢については、研究員も参加させ、いろんな情報を積極的にとって今後の研究に資したいというふうに考えております。
#190
○近江委員 それで、予算を取ってこれから研究していこうというあれなんですけれども、陸地処分というのはどういうようなことを考えているんですか。
#191
○成田政府委員 海洋処分と陸地処分、この二つを長期計画でうたっておりますが、陸地処分というのは特定の場所に永久に保管するという形になるんではないかと思います。
 それで、どういう場所がいいのかというのは、これまたいろんな研究を要する点でありますが、たとえば人が住んでいない離島のほうが望ましいんではないかとか、あるいは地震が少ない場所とか、あるいはあんまり山岳地帯でなくて平地の部分が多い場所とか、あるいは地盤が安定しているところとか、地下水が少ないところとか、いろんな要件がありまして、そういうデータを得るための研究を、陸地処分の予算をとっていまいろいろしているところでございます。
#192
○近江委員 大臣が来るまでと思っておりますが、まだちょっと終わりそうにありませんね。その場合はあした時間をちょっといただくことにして、保留することにいたします。
 それから、最後にお聞きしたいのは、発電放射能の中でトリチウムあるいはクリプトン85、これがいま非常に大きな問題になっておるわけです。これについて、もう一度聞きますが、原子力委員会としてはどう考えているんですか。
#193
○山田説明員 最近の原子力発電所の周辺あるいは再処理施設の周辺といったようなところの平常時の放射線に対する安全問題ということにつきましては、御承知のとおり、基準といいますか指標的な値が前よりますます小さくなってまいりますので、そういう意味ではあらゆる面で、いままで外へ出ていたものがほとんど外へ出ないというような形に持っていく形になると思います。
 それで、いま先生御指摘のクリプトンあるいはトリチウムといったようなものにつきましては、大量に出ますのは再処理工場でございますし、将来大発電所あるいは大発電所群というところになりますと、やはり同じように問題になると思いますが、そういうものについては、これを外へ出さないということを考えております。そういう研究をことしから始めたいというふうに考えております。
 それで、その技術開発につきましては、来年度予算でございますが、動燃事業団におきましてその研究開発をやりたいというふうに考えております。
#194
○近江委員 まあ、こういうものは現在の技術では取り除くことはできませんね。できるんですか。その技術開発についてどう考えていますか。
#195
○山田説明員 まだ実験室的レベルということではありますけれども、とり得るということはわかっております。実験室的な問題以外に現場になるといろいろ問題があると思いますが、実験室的にはとり得るというふうに考えておりますし、これを現場に適用する技術開発を進めていくということでございます。金はもちろんかかりますけれども、原理的にはとり得るということになると思います。
#196
○近江委員 トリチウムなどは分離廃棄できないので、蓄積して遺伝子へのそういう影響が非常に心配されておるわけですね。こういう大きな問題を残したままで原発の開発がどんどんと進んでおる。こういうことにほんとうに真剣に力を入れて研究をやらないと、これはもう将来においてたいへんなことになりますよ、局長はこの問題についてこれからどういう取り組みをしていくんですか。
#197
○成田政府委員 クリプトンとかあるいはルテニウム等のこういう放射性物質の除去、低減化の研究開発、これはことしから動燃事業団の予算として計上しておりまして、本格的に取り組んでいこうということで、これはことしからの研究予算として計上になったのでありますが、本格的に取り組んでいこう。それから一方では、民間の研究に対しても委託費等を使って民間の研究の助成もやっていきたい、こういうふうに考えておりまして、まず研究開発の面からこの低減化をはかっていきたいというふうに考えております。
#198
○近江委員 それはほんとに十分力を入れていかないと、もうたいへんな問題になりますので、特に要望しておきます。
 大臣、予算委員会に行かれておりましたので、一応ざっと質問を終わったわけですけれども、一つは放射線医療の被曝問題、この前私は、ちょっと触れただけで時間がなくて終わったのですけれども、きょうは文部省も厚生省も来てもらいまして、その基準あるいはその規制について早急にそれを出すということをお答えになったわけですが、科学技術庁としても決して無関心ではおれない大きな問題でありますし、その点特に科学技術庁としても力を入れてもらいたいということを申し上げたわけですが、長官から一言その決意をひとつお聞きしたいと思うのです。
#199
○前田国務大臣 先刻来参議院の予算委員会に出ておりまして、たいへん失礼をいたしました。
 ただいまの一般人の放射線被曝の問題でございますが、この問題につきましては、近江先生から先般の委員会でも御指摘をいただいて、私はこれは非常に重要な問題だと思っております。厚生省とよく相談してこの問題に積極的に取り組みたいということをおそらくお答えしたのだろうと思いますが、現在ではいろいろ困難な問題が予想されますので、具体的把握の方策につきましては、別途放射線審議会で慎重に検討する必要があるというふうに考えておる次第でございます。
#200
○近江委員 慎重に――非常に大臣の答弁は後退していますよ。厚生省や文部省は、基準なり規制をやるということを言っておるのですよ。それをバックアップする意味において、要するに科学技術庁長官としても今後力を入れていかれるのかどうかを私はお聞きしているのですよ。
#201
○前田国務大臣 突然入ってまいりまして、前からのいろいろの御討議の様子がわからなかったものですから、多少とんちんかんなお答えになったかもしれませんけれども、決して後退する意思ではございません。非常に大事な問題ですから、簡単に申しますと、積極的に取り組むということをはっきり申し上げます。
#202
○近江委員 そうすると、厚生省、文部省の答弁をさらにバックアップして力を入れていく、こういうことですね。
 それから、放射性アイソトープが輸送途中に紛失したり、大学での事故が起きたりいろいろある。そういう安全性という問題につきまして申し上げたわけですが、こういうことでは非常に国民も心配しますし、安全性についての大臣の決意をお聞きしたいと思うのです。
#203
○前田国務大臣 確かに、近江先生御指摘のように、原子力平和利用の一番大前提は私は安全であるということだと思います。それがためには、十分その安全性を確保するように、何か新聞に出ておりますような、紛失したとかどこかへ行くえ不明になったとか、いろいろな記事を読んで私もまことにその点を心配いたしまして、そういうことが今後ないようにしなければいかぬ。特に、先刻もたしか御指摘があったと思いますが、武蔵工業大学の問題とかいろいろな問題にいたしましても、そういう安全性に不安感を持たせるというふうな行き方は、断固として取り締まっていかなければいかぬと思うのでありまして、今後とも安全研究という、研究ばかりではなくて実際の行政の面においても、安全ということを中心として強く進めていきたいというふうに思っております。
#204
○近江委員 それで、この前の動力試験炉の放射能水が漏れた事故、これは結局設計ミスであり、溶接ミスであったということがわかりまして、現在稼働中の原子炉に対する安全性の疑問というものが一そう深まったわけですが、こういうことについては、今後さらに科学技術庁としては力を入れてもらいたい、これが一つです。
 それから、原子力廃棄物の問題ですけれども、この問題についても局長は力を入れていくということをおっしゃったわけですが、こういう山積するいろいろな問題があるわけです。そういう点、建設がどんどん進んでおるけれども、問題が極端に言えば置き去りにされておる、環境問題につきましても。こういう姿勢であってはならぬと思うのですよ。だからそういうことの推進以上にそういう問題に力を入れなければ、将来に重大な禍根を残す、これを申し上げたいわけです。これに対する大臣の今後の決意を聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思うのです。
#205
○前田国務大臣 ただいま御指摘の、原子力発電ばかりかけ声かけて推進するのではいけません。その前提として、まず安全、環境との調和あるいは放射性固体廃棄物の処理の問題、こういうふうな大きな問題がたくさんあるじゃないか。あるいはむしろこれと一緒に、あるいはこれのほうが前進して先にやるべきであるというようなお考えでありまして、全く私も基本的には同じ考えでございます。御趣旨を体して一生懸命取り組みたいと思います。
#206
○近江委員 終わります。
#207
○石野委員長 委員長から一言聞いておきたいのですが、あす山田原子力委員がおいでにならないようでございますので申し上げますが、先ほどの質疑応答の中で、特に温排水の問題等に対しての山田委員の御答弁は、原子力の安全性を確保したりあるいは立地問題等を今後われわれが考えていかなければならぬときに、非常に重要な問題だったと思うのです。あとで答弁を入れかえられましたから、もうそれは追及することもないと思いますけれども、しかし原子力委員会が、原子力発電所から出る温排水の問題は所管外だから云々というような、そういう考え方で当たっておったのでは、今後原子力発電所の立地問題とかあるいは安全性の問題あるいは環境整備の問題等について非常に著しい障害も出てくるであろうし、原子力行政の上からいっても許されないことだと思うのです。私はこの際山田委員に、この考え方の基礎になっている考え方をもう一ぺん再検討しておいていただきたいと思うのです。
 特に、またもう一つ私のお尋ねしておきたいことは、原子力局が局長をはじめとして、古い設計だったから、新しい設計はもうそういう心配はないのだ、こういう考え方ですべて答弁をなさっておるようですけれども、これは原子力に対する安全性を危惧する質問者に対しては非常に不誠意な答弁のしかただと思います。これらの点についても十分考えていただかなければいけないのではないか、こういうように私は思いますので、そのことについての所見をひとつお伺いいたしておきたいし、最後に大臣からも、それらの点についての所見を聞いておきたいと思います。
#208
○山田説明員 原子力発電における安全の問題という表現の中には、法律そのもので申しますと、確かに放射線の問題になりますけれども、しかし原子力発電所そのもの全体として考えます場合には、それに伴う周辺のもろもろの問題、たとえば冷却用の水の問題であるとか、あるいは温排水、さらには漁業との関連といったような問題が、この原子力発電の推進に絶対必要であるということは明らかでございます。
 そこで、現在の段階におきましては、たとえば温排水に例をとりますと、これ自身は現在基準がございません。それから、法律的に申し上げますと、この問題は通産省で所管するということになっておることも御承知のとおりでございます。そういう意味では、狭義に解釈いたしますとそういうことになりますけれども、しかし原子力委員会は、その設置法におきまして、各省に対して意見を述べることがもちろんできますし、あるいは各省からの重要な資料の提出を求めることもできますので、そういう機能を活用いたしまして、原子力発電所の今後の安全審査全般に関しましては、総合機能を発揮して全体的な責任を負っていきたいというふうに考えております。
#209
○成田政府委員 いま委員長から御指摘のありました点でございますが、たとえば非加圧型の燃料棒の変形の問題、あるいはJPDRの水漏れの問題、あるいは藤本論文の、事故の場合の放射性物質の放出の問題等、その点は時間的に古い形の炉であるからという意味で申し上げたのではないのであります。ただ実際非常に技術が進んでおりますので、JPDRは過去の設計、過去の溶接技術のもとでやったという説明をしただけでありまして、特に原子力の場合は、技術的にあり得ないような仮想事故、万が一の場合を想定していろいろな安全をはかっておりますので、そういう立場からも、現在の炉が新しい設計、新しい技術によるから安全であるという考え方でなくて、定期検査その他の際も、そういう総点検の意識で厳重に管理に注意をしていくようにしていきたいと考えております。
#210
○前田国務大臣 委員長から御指摘の点でございますが、環境安全問題は、これはもう通産省の所管でありますというふうな考え方は、われわれは持っておりません。現に原子力委員会の中におきましても、環境安全部会なる部会を置いておりますのは、原子力委員会において、やはり環境安全問題を、安全審査と同じように非常に重視しておる考え方でございます。
 委員会の中に、環境審査機構と申しましょうか、そういうものを置いてはどうかというふうに、ちょうど委員長もそういうことをお考えになったんだろうと思いますが、私も実は考えましたけれども、これはやはり火力と同じように、温排水の問題を一緒に検討しようというふうな、電気事業法の考え方といいますか、それに従いまして、その環境審査というものは形式的には通産省、発電立地計画のときやるわけでございますが、そのほかまた環境庁の意見もございましょう。そういうふうな意見の上に立って、われわれは総合的な立場から環境審査ということをやりたいというふうに考えておりまして、原子力委員会では環境問題は関係ございませんという意思では決してございませんので、その点どうぞ誤解のないようにお願いをいたしたいと思うのでございます。それから設計が、どういうふうに答弁したか存じませんけれども、あるいは古い設計であるからよくありません、新しい設計ならよろしいのでございます、簡単に言えばそういうふうに答弁したかと思うのでございます。確かに、技術の進歩とともに新しい機械というものはよくなっていくんであろうとわれわれは一般的に考えます。しかし、新しいもの必ずしもいいとは私思っておりません。すべての技術の場合においても、新しい技術でもやはりテクノロジーアセスメントというものをやらなければいけない場合があるわけでございますから、その点、委員長の御指摘の趣旨を十分体しまして、今後新しいといえども十二分に点検する姿勢で臨んでまいりたいと思います。
#211
○石野委員長 なお、いま一つ長官に配慮してもらいたいことは、先般近江委員からの質問で、医療における被曝線量のことがたいへん問題になりました。この点について、科学技術庁のそれに対する関心といいますか、管理監督とまでいえるのかどうかわかりませんが、科学技術庁の権威というものは非常に大きいと思います。そういう点でこれから努力するとか積極的にやるとかということでなく、やはり文部省とか厚生省等に対する意見を出されて、内閣全体としての処置を積極的になさることが非常に大事でないか、こういうふうに思いますから、そのような態度をひとつ長官にとっていただきたいと思います。
#212
○前田国務大臣 ただいま委員長御指摘の点は、御趣旨を体して、ただ善処するというのじゃなくて、積極的に推進をいたしたいと思います。
#213
○石野委員長 次回は明二十九日木曜日午前十時より理事会、午前十時十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後四時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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