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1972/04/04 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号
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1972/04/04 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号
昭和四十八年四月四日(水曜日)
    午後二時五十一分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 木野 晴夫君 理事 藤波 孝生君
   理事 藤本 孝雄君 理事 嶋崎  譲君
   理事 原   茂君 理事 瀬崎 博義君
      渡辺美智雄君    堂森 芳夫君
      山原健二郎君    近江巳記夫君
      北側 義一君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁計画
        局長      長澤 榮一君
        科学技術庁研究
        調整局長    千葉  博君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
 委員外の出席者
        環境庁企画調整
        局研究調整課長 川口 邦供君
        環境庁水質保全
        局水質規制課長 太田 耕二君
        建設省都市局下
        水道部長    久保  赳君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
#3
○嶋崎委員 先週は毎日新聞でしたが、今週は朝日新聞で少し御質疑をお願いしたいと思います。
 朝日新聞の三月三十一日号に、東海村の核燃料再処理工場から大気中や海中に放出される放射能廃棄物をゼロにするよう、技術開発に全力を尽くし、昭和五十年の同工場運営開始までに間に合わせたい、という趣旨のことが報ぜられておりますが、この御趣旨は、長官どういうことなのか、その事実を申し述べていただきたいと思います。
#4
○前田国務大臣 私、その新聞を正確にまだ実はちょっと――非常に不勉強で、どういうふうに表現されているか読んでおりませんが、私はこういうふうな趣旨で申し上げたことでございます。
 現在建設中の動燃の再処理工場は、原子力委員会の安全審査によりまして十分安全性は確保されるという答申に基づきまして設置が許可されまして、その安全性は十分確保されるというふうに信じております。しかし、いずれにしても、この放射性物質についてはいろいろな意見が言われますし、特に再処理についてはいろいろ話題の多い施設でありますから、再処理工場の建設にあたりましては、ICRPの基準を尊重することはもちろんです。もちろんでありますが、国といたしましては、技術的に可能な限り、できるだけ放射性物質の放出を低減化するための研究開発の推進、設備の強化をはかりまして、そのゼロ放出ということを目標として進めていきたい、そういう気持ちで申し述べたわけでございます。
#5
○嶋崎委員 朝日の解説によりますとこういうふうに書いてあります。「この工場から大気中や海中に放出される放射性廃棄物をゼロにするよう、技術開発に全力を尽し、昭和五十年の同工場運転開始までに間に合わせたい」というふうに長官が語られたという引用の文句になっておりますが、これと趣旨は同じですか、違うのですか。
#6
○前田国務大臣 それは、放出ゼロにしたいという私の気持ち、私の姿勢を申し上げまして、特に何年度までというその限度は私言っておりません。しかし、一日でも早くやりたいという気持ちで積極的に馬力をかけたい、そういう熱意を十分表現していただいたんじゃないかと私も思っております。
#7
○嶋崎委員 そうしますと、昭和四十四年に、核燃料の再処理工場を東海村につくるということについて許可されているわけですけれども、その時点で大気中並びに放射性廃液等々について、許容量以下ならば放出してもよいという考え方に立って許可した、その考え方よりも、今後はさらに環境汚染の条件をきびしくするという方向を打ち出されたと解していいのでしょうか。
#8
○前田国務大臣 私はいつも思うのですけれども、とにかくICRPの基準以下ならばそれでよろしいという姿勢では、原子力問題を処理する場合、もういけない。私は、基準というものは一応のめどでありまして、できるだけそのめどを下回って、できればもうゼロにしていくという意味において、毎日毎日、それが原子力行政の中心じゃないかと考えております。その意味においてそういうふうに申し上げたわけであります。
#9
○嶋崎委員 そうしますと、従来までの許容量以下ならば放出してもよい、許容量以下ならばよかろうという考えが片一方にありながら、他方で環境汚染をゼロにするように全力を尽くす、そういう姿勢や方向を打ち出されたというふうに解していいのでしょうか。
#10
○前田国務大臣 現在のICRPの許容量というのは一応の、科学的に安全と、私どもはしろうとでありますけれども、認められている一つのめどではないかと思うのでありまして、そのめどはめどとしてわれわれは、こういうものはなければ一番いいのですから、とにかくゼロということを目ざしていくべきであるという意味において、それがために予算においても安全性の研究、低減化する研究の予算をつけておるわけでございまして、たしか四十八年度においても何がしかの予算が出ておると思いますが、こういう努力は今後も精力的に続けていくべきじゃないか。とにかく基準を下回ったらそれでよろしいのだという姿勢は私どうもよくないと思って――一ぺんにはなかなか思うとおりにいきませんけれども、そういう姿勢でいくべきだということを考えておることを率直に申し上げたのでございます。
#11
○嶋崎委員 そうしますと、この朝日の解説で、長官が今後放射性廃棄物をゼロにしていくという姿勢を示されたことを受けまして、したがってその「「許容量以下なら放出してもよい」という考えを捨てて「環境汚染をゼロにするよう全力を尽す」との方向を打出したもので、」というふうに理解して解説しておりますが、この解説はどうお考えなんですか。
#12
○前田国務大臣 ちょっと私もうっかりしていて、詳しくはいま忘れましたけれども、とにかくそういう方向で進みたい、しかし、ゼロになるまではそういう原子力発電などは何もかもやらないのだというふうではございません。とにかくゼロの目標に向かって行政を進めていくのだと、そのことを何度も、くどいようでありますけれども、言ったわけであります。
#13
○嶋崎委員 そうすると、ここで朝日が言っている「新たな方針を明らかにした。」という、新たな方針ではないわけですか。
#14
○前田国務大臣 別に私、新たな方針ということは申しておりません。朝日新聞社の方がおいでになって話したときも、別に新たな方針ということは申しておりませんけれども、ただICRPの認める許容量ならばいいんだ、その基準ならばいいんだという考え方に甘んじないで、ゼロ放出というところまで努力するという、そのことを私が非常に強く言うたものですから、おそらくそれにベトーネンというか力点を置かれてお書きになったんじゃないかと、私は解釈いたしております。
#15
○嶋崎委員 そうしますと、朝日の解説は、長官の考え方の一面をかなり強調して書いたということになるわけですけれども、そういうことでいいですか。
#16
○前田国務大臣 それは、言論の自由でありますから、別にどういうふうに御解釈になっても私はけっこうでございますけれども、私の気持ちをあらわしていただいている面も相当あるように思います。
#17
○嶋崎委員 というのは、朝日のこういう解説を見まして、そしてそのほかに、同じ新聞で、核燃料再処理工場と放射性廃棄物に関するゼロ化の意義という解説記事が並行して載っているわけですね。前段の朝日に書かれた長官のこの発言は、いま現実に動き出そうとしてきている再処理工場については、特に安全性という問題に対して相当きびしく対処しなければならない、そういう判断に立って、いわばいままで許認可してきた際の基準よりももっときびしい態度で今後は安全審査に当たらなければならない、そういう意味にとれる。そういうふうな内容を含めた解説になっているんですけれどもね。
 事はかなり重大だと思います。言論の自由だから朝日が書いてもいいということじゃなくて、やはり朝日新聞が、長官の再処理工場に関する原子力委員長としての新方針みたいなものを、いままでの経過の反省の上というか――いままでの経過は、許容量以下ならば人体に対して影響もないと判断をして、ある意味では放出してもよいという考え方に立っていたんだけれども、環境汚染をゼロにする、これはクリプトン85だとか、トリチウムだとか、そういう放射性物質と放射線をゼロにしていくということになりますと、いままで許認可してきた場合の安全審査の基準と相当違ったきびしいものが打ち出されたというふうに理解されるし、この新聞のそういうふうな解釈の持つ意味は、今後建設されていくであろう全国の原発並びにその再処理工場の審査にあたっては、いままでよりも相当きびしく対処していくというふうに、国民全体に理解できる内容のものだということになると思うんです。
 だから、長官が言っている趣旨は、努力をするという姿勢を示したのであって、実際には、ゼロにするために再処理工場、たとえば東海村の再処理工場なら再処理工場について、そういう技術開発ができない限りとか、そういうゼロにする方向がはっきりしない間は稼働させないとかいうんじゃなくて、当面はとにかく走らしておいて、そしてゼロになる方向に向かって努力をしていく、そういう趣旨で説明されたのとでは、行って帰るほど話が違うと思うのですね。ですから、こういう形で解説されているものの世論に与える影響という観点から見て、長官の発言がここに書かれているものと違うとしたら、これは事がかなり重大だと思うんですが、いかがでしょうか。
#18
○前田国務大臣 嶋崎先生に対するお答えとしてまことにくどいようでありますが、結局、安全審査というものの基準を具体的に現在よりもよりきびしくしていくんです、はっきりいまからするんです、という意味にとられてもちょっととり過ぎじゃないかと思うのです。さればといって、それじゃ安易にやる、安易というとちょっと言い過ぎるようでございますが、もうこれでよろしい、現在の基準でよろしいというんじゃなくて、常にわれわれはゼロという面に向かって安全性のために予算もできるだけ取り、われわれも、いろんな学術会議なんかありまして、新しい研究が発表されれば、それも――とにかく五十年にどうしてもこれは開設するんだというその目標はきまっておりましても、その問において新しい技術が発表されれば、できるだけそれを取り入れていこうじゃないか。そういう面についての積極的な姿勢というものは、まあ普通なら安易な考え方でいいじゃないかという――まあそうでもありませんけれども、そういうふうになっちゃいけませんから、とにかくわれわれの姿勢としては、もうゼロにするんだというふうなそういう相当強い、迫力のある姿勢でいかなければいけないと私は思っておりますが、それかといって、それじゃ基準を変えるんですかと逆に聞かれると、基準は具体的にはいまは変えるつもりはございません、と答えざるを得ないのでございます。
#19
○嶋崎委員 この前は、毎日新聞の藤本論文には、すかさず原子力局は対応したということについて私は非難を申し上げたのですけれども、今度のような朝日のこういういわば理解――先ほど言ったように、特に再処理工場の場合には、いままでの原発とは違った、あとでもいろいろお聞きしますけれども、原子物理学の学会でも、ないしはドイツでも、それからまたアメリカでも、再処理工場に関しては放射性物質を規制していく、放射能もいろんな公害対策をより精密にやっていくという世論が世界的にありますわね。だから、そういう情勢なるがゆえに、長官のこの発言の持っている意味が、西ドイツやアメリカといった世界の動きや日本の学会や、そういうもろもろの動きから見て、特に再処理工場に対しては特別な規制を新たな方針として打ち出す客観的な情勢がある、そういうふうに判断されて発言をしているというふうに理解されるわけですね。
 そうなりますと、かつて、たとえば昭和四十四年ころに認可した当時の基準と、世界的にもそれよりももっときびしく事態を考えなければならないという世論や考え方やデータが出てきているだけに、この委員長の発言というものは、朝日でこういうふうに書かれるそういう情勢があるんじゃないかというふうにぼくは思うんです。その点いかがでしょうか。
#20
○前田国務大臣 たびたび申し上げておりまするように、これは解釈のしようでありまして、いろいろ解釈はなされますけれども、確かに先生御指摘のとおり、再処理施設の出すところの放射性物質についてはいろいろな問題がございます。いろいろ言われております。その点、私もよく知っております。特にそういう動きがあるからああいう発言をしたというわけではございません。私は平素から、この原子力行政というものを一部担当させていただくようになってから、とにかく基準というものにいつも満足しちゃいかぬ、常に前進前進で、それがために予算が要るんなら、どんどん惜しげもなくつけるべきだということを言っておるのです。ややもすれば、予算編成の段階におきましても、なかなかこういうものは直接にすぐにリターンのある予算でございませんから、いろいろ反対もある。そういう場合でも、やはり安全性ということを私は強調して、四十八年度予算もその点は私、強調しましたし、今後の予算においてもそういうことをうんと強く打ち出していかなければいけないという意味において、別に予算編成のための前哨戦としてこれを言うたというわけじゃございませんけれども、私のほんとうの気持ちを申し上げたのが新聞でいろいろなふうに解釈されたんだろうとも考えています。
#21
○嶋崎委員 いまの時期に、先月の三十日という時期に、こういう新聞社の意見の聴取があったのでしょうけれども、この時期に発言したというのは、ずっと前から考えていらしたことをただ述べただけですか。
#22
○前田国務大臣 特にこの時期にという、私選んで言うたわけじゃございませんで、私も去年十二月二十二日就任いたしましてから、だんだんこの原子力の方面を勉強いたしまして、就任当初とは多少変わっておると思います。しかし、元来私は、原子力については安全性ということが第一である。原子力の平和利用という大前提には、安全性というものがなければならぬのだ。これがためには幾ら努力しても努力の尽きることはないんだ。幾ら努力してもよろしい。安易に考えてもらっちゃ困る。何か日本人は、原子力アレルギーがあるのへちまのと言うが、その考え方はけしからぬ、私もそういうふうに初め思っておりました。だけれども、それが、自分が原子力行政というものを担当してから、そういうような安易な姿勢じゃいかぬのだという考え方に立ちまして、いつもそういう考え方を持っておりましたが、たまたま朝日新聞社の方がお見えになって話が出たので、私のほんとうの気持ちを申し上げた、そういうことでございます。
#23
○嶋崎委員 ちょっとくどいようだけれども、ここをけりをつけるために……じゃ、新方針ではないのですか。いままでの原子力行政、特に再処理工場に対して許認可してきた基準というようなものを、今後はゼロにしていくという方向に向けて再検討するとか、そういう新方針を打ち出された意見を述べられたわけではないのですね。
#24
○前田国務大臣 先生から、新方針かどうかということを、単刀直入にいずれだと聞かれますと、別に私、ここで新方針を発表するのでしたら、もうちょっと別の姿においてあるいは発表するかもしれません。しかし、たまたま私の持っておる気持ちをこの時期にはっきりと言うた――はっきり言うたといいますか、率直に私の気持ちを申し上げたという意味において、新方針か何か知りませんけれども、とにかく従来から考えておったことを、この機会に話したということだと思います。
#25
○嶋崎委員 どうも、朝日新聞がこういうふうに長官の発言を新方針と書いたその趣旨は、新聞を通じて国民に与えた世論という意味ではかなり重大だと思うのです。それに対して長官は答弁なさる用意はありませんか。
#26
○前田国務大臣 それは嶋崎先生、新聞社でいろいろお書きになることがあるわけでございまして、別に何新聞がどういうようにお書きになったということを、一々私、特にそれを取り上げてどうしようという意思もございません。
#27
○嶋崎委員 たとえば先日水俣判決が出ましたね。その水俣判決の中の文章にこういう判決文がありますね。「化学工場が廃水を工場外へ放流するときは、常に最高の知識、技術を用いて安全性を確認し、万一安全性に疑問を生じた場合はただちに操業を中止するなど、必要最大限の防止措置を講じ、地域住民の生命、健康に対する被害発生を未然に防止すべき高度の注意義務がある。いかなる工場でも、その生産活動を通じ環境を汚染し破壊してはならず、いわんや地域住民の生命、健康を侵害し、犠牲にすることは許されない」、こういう判決の中での文言があります。この考え方は長官はおとりになりますか。
#28
○前田国務大臣 全く賛成でございます。
#29
○嶋崎委員 そうしますと、もとに返りまして、いまの時期、この今日の時期に――再処理工場という問題は、計画的に原子炉のいわば廃棄物を捨てるわけですから、意識的に捨てていくこの廃棄物に関しては、特に慎重な対応をしなければならないということがいろいろ叫ばれておると思うのですね。ですから長官が、こういういまの時期に「この工場から大気中や海中に放出される放射性廃棄物をゼロにするよう、」今後技術開発を通じて努力する、こういうふうに言われた趣旨と、水俣判決で言っている趣旨とは、相通じているといいましょうか、その長官の主張は、まさに高度の科学技術を使って、そして公害に対する予見、可能性というものを察知してそうして対処していかなければならない、そういういわば考え方と、長官の将来ゼロにしていくというこの考え方とは、相一致しているものというふうに判断してよろしいですか。
#30
○前田国務大臣 そのとおりでございます。
#31
○嶋崎委員 そうしますと、さっきから長官が発言されておりましたICRPの勧告の趣旨も、いままでICRPがいろいろなところでいろいろな勧告をしてきておりますが、要するに、放射線の総量というもので、いわば許容量ですね、許容線量というものはこれ以下だから安全だというような目安なんじゃなくて、それに付随するいろいろなほかの利益と比べてみると、まあ大体がまんできる総量だというような判断に立って、数値を基準にして、それ以下ならばよろしいという趣旨じゃなくて、その数値を背景にしているものの考え方だとか、その数字の使い方だとか、そういうところに非常に重点を置いて考えなければならないという、そういう精神的な勧告の意味があるというふうに勧告の趣旨を理解して、いまの長官の発言と符合さして理解してよろしいでしょうか。
#32
○成田政府委員 国際的な放射能基準、ICRPの基準がありまして、このICRPの基準というのは、年間五百ミリレムとか値が出ておりますが、現在の知識の程度からして、この値ならば実際の被曝その他遺伝的にも悪い影響は与えないと考えられる、現在の知識の段階ではそういう考えられる値であるという考え方を出しておりますが、同時に、放射能というのは、極力少ないほうがいいんで、アズ・ロー・アズ・プラクチカブル、できるだけ低くするための努力を進めるべきであるという考え方をとっております。したがいまして、大臣の再処理の排出に関する考え方も、アズ・ロー・アズ・プラクチカブルという一つの考え方に基づいて、将来の方向、そして現に動燃事業団に四十八年度からクリプトン85気体の低減化の予算、それから液体の低減化の予算等も、合わせまして三億ほどついておりまして、昭和四十四年の再処理施設安全審査専門部会においては、ICRPに照らして、気体、液体とも十分低いレベルであるから、安全は確保されているというて許可が出ておりますけれども、そういうICRPのアズ・ロー・アズ・プラクチカブルという考え方に基づいて、さらに研究開発を進めて、気体、液体とも低減化をできるだけやるという考え方から四十八年度予算を動燃につけまして、極力早くその実効をあげるべく方針を打ち出したわけでございます。
#33
○嶋崎委員 それでは、二、三お尋ねしますけれども、昨年度の原子力の問題に関する国際的な年次大会で、西ドイツのシュバルツァー環境部長が次のような発言をしたということについて、ちょっと聞きますが、放出されたクリプトン85は対流圏の低い層で濃縮される。安全に貯蔵するよう設計されていない限り、再処理工場の商業プラントは認可すべきではない、というような発言があったということはいかがでしょうか。
#34
○成田政府委員 われわれも正確には把握しておらないのでありますが、大体それに似たような発言があったという情報は聞いております。
#35
○嶋崎委員 再処理工場の放射性ガスのクリプトン85や、それから放射性廃液のトリチウムやコバルト60というような放射能が、大気並びに海水に放出されることの持つ危険性といいますか、そういうものが少なくとも問題にされている発言だというふうに理解してよろしいでしょうか。
#36
○成田政府委員 西ドイツの学者のお話もありましたが、ただ去年フォーラムでも、再処理問題、特にクリプトン等の問題が非常に大きな議題として取り上がっておりまして、ただその際の議論といたしましては、いまさしあたって再処理工場一つ二つつくるというよりも、将来、たとえば二〇〇〇年の場合の原子力発電所が幾らあって、それに伴う再処理工場が世界的に幾らになるか、そういう計算をやりまして、将来再処理工場が非常に集中するとか相当な数になった場合は、クリプトン85等の問題が相当大きな問題になるので、いまからそのための対策を十分立てるべきであるというような考え方が一般的に述べられておるのであります。
 したがいまして、日本の東海の再処理工場の排出量というのは、世界的に比べても決して高いものではないのでありますが、世界各国とも、クリプトン85の低減化回収方法あるいはルテニウム等の低減化方法についていろいろ技術開発、研究開発をやっておりまして、廃液の場合の方法に動燃がやっておりますのは、当時昭和四十四年の審査の場合には、液体の廃棄物が一日〇・七キュリーという計算で安全であるというのが出ておりますが、これはトリチウムを除いた液体廃棄物全体の値でありますが、四十八年度から動燃に予算をつけまして、二億二千三百万円ほどのマル債と六千万円の研究開発費を四十八年度につけまして、これができますと、〇・七キュリーが〇・一キュリーぐらいまで低減化される。そしてこれは、おそらく五十年四月の操業には間に合うであろうというふうに見られて、このプラントの建設あるいは研究開発の研究を極力早めるようにさせておるところであります。それから、気体のクリプトン85の希ガスの回収技術につきましても、動燃に一億七千万ほどの予算をつけまして、いろんな方法、たとえば液化してクリプトン85を除去する方法とか、あるいはフレオン等の特殊な溶媒を用いて吸着除去する方法とか、あるいは活性炭を使って活性炭に吸着させる方法とか、いろんな研究が民間あるいは学者等でも行なわれておりまして、動燃がこれらの研究をいろいろ助長する意味で、動燃の予算もつけて、クリプトン85の回収技術の開発を、動燃の予算あるいは原子力の平和利用委託費の予算等でやっておりますが、ただクリプトン85に関しては早急に低減化回収できるかどうか。できるという確信の得る段階まではまだ至っておりません。ルテニウム等の液体放射性の場合と違いまして、目下研究開発を推進中ということでありまして、そういう意味では、アズ・ロー・アズ・プラクチカブルの原則にのっとって、四十八年度から馬力をかけて低減化を行なっておるということはいえると思います。
#37
○嶋崎委員 私の質問はそこまでの回答をいままだお待ちいただく予定じゃなかったんだけれども、西ドイツのシュバルツァー環境部長がそういう発言をした云々ということについて、この事実をどう評価するかということをお聞きしたかったのですが、こういう趣旨のことがあったということが確認していただければ、もう一つ、二つお聞きしますが、アメリカの遺伝学者や日本の遺伝学者の中では、ICRPなどできめている最大許容線量以下の場合でも、遺伝染色体に異常が生ずるということを述べている学者があるわけですけれども、その点については御存じですか。
#38
○成田政府委員 ICRPのレベル以下の低レベルであっても、これが長い期間にわたって影響を受けますと、年をとりてから発ガンとかの晩発障害が起こるとか、あるいはその世代には起きなくても、子孫に遺伝的な障害が起きるという説をアメリカでも唱えている学者がおりますし、また日本においても、そういう学説を唱えている学者がおることは確かでございます。
#39
○嶋崎委員 先月ありました年次大会でアメリカのゼネラル・エレクトリック社が、放射性廃液をゼロにする再処理工場を五月ごろから運転するということを説明されたことは、これは事実を確認してよろしいでしょうか。
#40
○成田政府委員 そのような発言があったというふうに聞いております。
#41
○嶋崎委員 国連の科学委員会ですね、そこでは、放射性のガス、特にクリプトン85が、大気中に相当濃度が濃くなってきて、将来国際的に大きな問題になる可能性を述べておられるわけですけれども、日本原子力研究所東海研究所の押野昌夫さんという方が、数日前の日本原子力学会の年次大会で、次のような発言をされておられますが、この点についてどうお考えかお聞きしたいのですが、この人の説明によりますと、「クリプトン85の半減期は約十年八か月と寿命が長く、呼吸とともに肺にはいり、遺伝病や白血病をふやす恐れがある。これによる大気汚染は一九五五年に十兆分の一マイクロキュリーだったのが、六〇年には一兆分の一、六五年には一千億分の一とひとケタずつ増加してきた。二〇〇〇年には現在の約五百倍に達するだろうと国連科学委員会は警告している。」そして、押野氏がこの警告した基準と日本での千葉の袖ケ浦でやった調査とを比較して、次のように言っております。「押野氏は昨年三月と七月に千葉県・袖ケ浦町で採取した空気を、同氏が開発した「シンチレーション型高感度モニター」で測定したところ、三月の試料から一t当たり一千億分の一・六二マイクロキュリー、七月の試料から一千億分の一・七四マイクロキュリーのクリプトン85を検出した。国連科学委員会が昨年秋に報告した北半球各地の濃度一千億分の一マイクロキュリー前後をすでに上回っていることになる。」つまり、千葉の袖ケ浦でやったこの調査によると、日本のわれわれの上空の空気の中にも、すでに国連が警告しておるところの一千億分の一マイクロキュリーに相当する濃度が現実にある、こういうことを報告した記事が載っておりますが、御存じでしょうか。
#42
○成田政府委員 この原研の押野昌夫氏の論文は、来月の原子力学会で発表予定のものと聞いておりまして、ここへ出ておる、千葉の分析の結果が一千億分の一・七四マイクロキュリーであるというような発表もしておりますことは、われわれも聞いております。
#43
○嶋崎委員 だとしますと、私があげた、たとえば西ドイツのシュバルツァー環境部長の発言、それからアメリカや日本の遺伝学者の発言、アメリカのゼネラル・エレクトリック社が、再処理工場に関して、いわば放射性廃液をゼロにする再処理工場を五月から稼働すると言っている。そこへもってきて、国連の科学委員会が世界的な警告を発している。こういう一連の状況から判断して、科学的なデータに基づいた議論ではないにせよ、いわばこういう状況からして、今後日本につくられていく原子力発電所や、それに伴う再処理工場というようなものが想定されますと、非常に環境汚染の危険性というものを感ずるわけですが、その点について、長官が最初に、今後はゼロにしなければならぬ、努力する、そういうことと符合して、これからの原子力委員会のあり方というものを確認するということでよろしいでしょうか。
#44
○前田国務大臣 ただいま嶋崎先生から、いろいろ世界の学者の提言とかそういうものを御引用いただいて、いろいろ御注意いた、だきました。私、全くそのとおりだと思います。とにかく従来の科学技術の水準で現在の許容線量というものがきまっておるわけでありますから、今後においても、それに満足するどころか、いつも前進前進で、私は一刻も早くゼロにしたいという姿勢で取り組みたい。全く気持ちは同じことであります。
#45
○嶋崎委員 そうしますと、昭和四十四年の段階で東海村の再処理工場を認可した段階と、その後の世界の科学者たちの意見やなんかを判断して、委員長が最初に、今後は放射性廃棄物をゼロにするように技術開発に努力するというふうにおっしゃったことは、その四十四年の段階から見れば、今日やはり新しい段階としてそういう問題に積極的に取り組まなければならぬということを意思表示したというふうに理解してよろしいでしょうか。
#46
○前田国務大臣 従来のものにつきましては、とにかく、現在の科学技術の水準によって一応許容線量というものはきめたものだと思いますが、今後はとにかくその許容線量をできるだけ下回って、何度も申し上げますように、ゼロにいくように技術開発もし、そしてまた、われわれは十分具体的に努力をしていくべきであるという、そういう姿勢で行きたいと思うわけでございます。
#47
○嶋崎委員 そこで、お尋ねしますが、現在のこの再処理工場が動き出すのは五十年からでしょうが、この再処理工場の運転開始までにクリプトン85や放射性廃液、トリチウムだとかコバルト60だとかエトセトラですね、そういうものをゼロにしない限り再処理工場の運転を開始しないというようなことはないのでしょうか、どう考えていらっしゃるのでしょうか。
#48
○前田国務大臣 先ほどもお答えしたかと思いますけれども、ゼロにしない限り再処理工場の発足はしないという意味ではございません。再処理工場の設置につきましては、いろいろ安全性というものを基準にいたしまして、現在の技術において安全であるという判断から許可をしたわけでございまして、したがってその許可は依然として私は支持していきたいというふうに考えております。しかし、その許可を支持していくということと、これからゼロにする努力ということは、これはまた別でありまして、私は、それについても安全ということに対して、先生御指摘のように、いろいろな意見があろうかと思いますから、もう安全であります、安全でありますというふうに、突っぱねるようなそういう態度はいけない。とにかく、いろいろな御忠言等に対しては、ほんとうに虚心たんかいに耳を傾けるべきである。また、新しい技術の開発につきましても、いま先生御指摘のように、ゼネラル・エレクトリックですか、そこで開発された技術についても、私は事務当局にも、これは至急にひとつ勉強しようじゃないかと言うて――どういう話があったかということも、私聞いたら即座に電話を自宅にまでしたくらいでありまして、とにかくぐずぐずするわけにいかないのだという姿勢で私はおるわけでございます。
#49
○嶋崎委員 ゼネラル・エレクトリック社が、今年の五月からゼロにするような形で稼働すると言っているんですね、国際的な水準は。ですから、東海村の再処理工場が稼働するまでの間に、そういう国際的な水準まで技術開発してやるように、原子力委員会は積極的な姿勢を示すことが必要なんじゃないですか、いかがですか。
#50
○前田国務大臣 実は、そのゼネラル・エレクトリックのどういう技術であるかということも、私はまだそんなに正確に確認しておりませんけれども、これは耳よりな話であると思いまして、即座に事務当局の自宅まで電話した、そのくらいあわて込んだわけでございます。これはもう現在の基準が金科玉条でありますと、金科玉条のつもりでやっております、やっておりますけれども、それでは安心はできない。いろいろ水俣判決の趣旨もございますし、私はあの精神は全く同感でございますので、その姿勢でいきたい。まことにたよりない御答弁かと思いますけれども、どうぞひとつ私の気持ちをお察しいただきたいと思います。
#51
○嶋崎委員 御努力の姿勢はわかるんですが、五十年の段階で、そういう技術開発が十分でなくとも、いままでの許容量という基準を頭に置いて運転を開始しながら技術開発し、ゼロにしていくというふうに理解してよろしいですか。
#52
○前田国務大臣 運転をしながら技術開発という、結局ずばり言えばそういう解釈もできると思います。しかし、運転をしながら――運転するまでにも大いに技術開発をやりたいという姿勢を特に私申し上げておきたいと思います。
#53
○嶋崎委員 そうすると、乱暴な言い方をしますと、朝日にこういう記事があって、ゼロにするという姿勢を示された。アメリカでも、まだ技術的に――さっぱり私もわかりませんが、そういうケースがあるらしい。そして実際には、稼働する段階では、まだ対応ができない、そういうことであれば、やっぱりこの新聞に載った記事からすれば、国民をだましているという印象を受けるのですが、いかがでしょうか。
#54
○前田国務大臣 それはやはり表現の自由の問題でございまして、私特に新しい方針をこれからどういうふうにいたしますという弁舌を別にぶったわけでもございません。ただ、私のほんとうのすなおな気持ちを述べて、そうしてゼロ方式というのを特にベトーネンといいますか、しただけでございまして、これを称して新方針といえば、あるいは従来の方針はじゃ非常に悪い方針であったかということにもなりますし、その解釈のしよう、表現のしかただと思いますけれども、特にだますような意思はさらさらございません。
#55
○嶋崎委員 やっぱり段階の違いということがあり得るんじゃないでしょうか。四十四年当時から比べてみて、ここ数年のうちに進んでいる世界の技術開発の現状、それからそういう特に再処理問題に関してあらわれる放射能公害の危険性というようなものが、これだけ煮詰まりつつあるのですから、やはりそれに対する積極的な姿勢というものが、原子力行政のあり方の段階の一つの特徴としてとらえるとでもいいましょうか、そういう姿勢が要るんじゃないかと私は思うのです。
 かりに、さっき長官が言われましたけれども、一方で稼働しながらそういう技術開発をしていくということになれば、クリプトン85やトリチウムが一定量常に放出されていくわけですね。しかもこれは何年も続く、一定程度の期間続くということになりかねないわけですね。
 そうしますと、水俣病の判決を私たちはもう一ぺん思い起こしてみなければならぬと思うわけだけれども、水俣病やイタイイタイ病について、二度とああいう轍を踏んではならない。しかもこの放射能物質に関しては、水俣病やイタイイタイ病よりももっと深刻な遺伝的な影響や発ガン率の増大等、そういうたいへん重大な問題を持っているわけですから、水俣病やイタイイタイ病で問題になってきた予見、可能性ということをわれわれが考えれば、やはり現段階において国際的な警告もあることだし、クリプトン85やそういう放射性の廃棄液体等々に伴う問題に対しても今日から対処していくということでなければ、これは水俣病の判決の精神を了承したということにはぼくはならないんじゃないかというふうに思うんだけれども、いかがですか。
#56
○前田国務大臣 原子力行政は、とにかく世界の技術開発の動向であるとか、あるいはまた遺伝学界のいろいろな御意見であるとか、そういうようなものを十分取り入れつつ――だんだんと原子力に対する研究というものは進んでいくわけでありますから、その研究を取り入れつつ原子力行政を進めなくちゃならぬということを一般的に私は考えます。先生の御指摘のとおりでございます。ただ、しからばその再処理工場をどうするかという問題になってくるのであろうと思いますけれども、再処理施設の問題につきましては、えらいくどいようで頑迷固陋のようでありますけれども、とにかく安全性を十分確認した上で――私は別にその当時許可したわけではありません、しかし許可されたわけでありまして、その当時のいきさつも私聞いています。けれども、こういう疑心があるので、私も技術のことは専門家じゃありませんけれども、十二分にその点は私確認したのです。しかし、先生御指摘のように、クリプトン85の問題であるとか、あるいはトリチウムの問題であるとか、いろいろな問題、まことに話題のにぎやかな施設でありますので、私はこれで安心しておるというわけにいかない。さればといって、従来の警告がそのまま進んでいる、しかし、それまでにでも一刻も早く、原子力産業会議ですか何か発表になったこの問題も取り入れて、とにかくゼロ方式ということでいこうじゃないかということを実は強く言うたわけでありまして、同じようなことを何べんも申して恐縮でありますが、そういうことでございます。
#57
○嶋崎委員 いままでのイタイイタイ病等の公害の経験に学ぶならば、稼働以前にゼロにする技術を開発して、そしてそれができないならば稼働をとめるというぐらいの、いわば気持ちはおありではないでしょうか。
#58
○前田国務大臣 まことに、私の技術水準というか科学に対する自分の無知識なるがゆえに、その判断があるいは間違っておるかもしれません。しかし、とにかく現在の段階の安全基準というものを私一応尊重しまして、予定どおりの計画で進みたいと考えております。しかし、その予定どおりの計画で進むということは、何べんも言いましたように、それでよろしいという安易な態度になっちゃいけない、特に水俣病の判決もございましたし、この際嶋崎先生の御指摘の点、そういう気持ちで私はできるだけ早く精力的に対処していきたいというふうに考えております。
#59
○嶋崎委員 時間もきょうはあれですから、あと少しお聞きさしていただきますが、再処理工場で放射性の固体廃棄物の量は東海村等々の場合にどの程度だと見ておりますか。その場合に、放射線のハイレベルのものと中レベルのものとローレベルのものというふうに分けて、それぞれどの程度稼働中に出ると考えておられますか。
#60
○成田政府委員 固体廃棄物の量はちょっといま……、あとで調べて申し上げたいと思いますが、実際運転の場合に、再処理工場から排出する気体放射性廃棄物は、クリプトン85がそのうちでは一番多くて、パー・デー八千キュリーというふうに四十四年の安全審査の際になっております。ただ八千キュリーといいましても、これは安全審査の分析によりますと、百メートルの煙突から排出して、一番影響の多い地点が二キロぐらい離れたところが多いということで、そこに一年じゅう人間が裸で立っておっても、一年間で三十二ミリレム、しかもこれはべータ線でありますので、ICRP等のガンマー線に直すとさらに何十分の一という影響だということになっておりますが、そういう式になっております。そのほかにトリチウムが五十キュリー等、ヨードその他が若干出ております。
 それから、液体廃棄物につきましては、先ほど言いましたように、トリチウムを除いた廃棄物が毎日〇・七キュリー、そしてこのうちの半分ぐらいはルテニウムであります。それからコバルト、セリウム、ストロンチウム等でありまして、これも先ほど言いましたようにまあ〇・七キュリー、外国に比べましても決して多くないのでありますが、四十八年度からの動燃の液体廃棄物の低減化の研究予算によって稼働時までに、大体七分の一、〇・一キュリーというふうに低減化できるという見通しをもってプラント等の建設をやっているところであります。
 それから、トリチウムにつきましては、これはパー・デー百七十キュリーということでありますが、これはまだいろいろ方法が十分でないのであります。ただ、トリチウムの影響というのは、四十四年の安全審査においていろいろ検討したのでありますが、トリチウム自体の影響というのは、水に溶けて魚の濃縮のおそれはなく、また魚網で魚を一年間に二百日やった場合の影響等も調べまして、その場合でも〇・〇八ミリレムとか非常に低い、手に対する被曝影響は非常に少ない程度であるというような、そういう安全審査をやりまして、そして全体として、ICRPの基準から見て、かなり下回っておるからだいじょうぶであるという答申が出たわけでございます。ただ、先ほど言いましたように、クリプトン85と廃液の低減化のために四十八年度から動燃に数億円の予算をつけて、そして廃液のほうの低減化は稼働までに七分の一に下げることは間に合うであろうという状況にあるわけであります。
 それから、再処理工場から出ますところの高レベルの放射性廃液、これは非常に直レベルでありますので、排出しないで内部に貯蔵しておくべきものでありますが、これはパー・デー三百五十リットルという計算になっております。
#61
○嶋崎委員 再処理工場に、いろいろな機械の部品みたいなものから、手袋みたいなものから、衣類から、それからイオン交換樹脂みたいなものから、処理が重大だと思うのですけれども、それの処理方法というのはどうしておりますか。
#62
○成田政府委員 再処理工場からは、発電施設等から非常に高いレベルのものが出ますので、これを現在構内に貯蔵して、あるいは固化等をして、そしていろいろ研究開発――どういうふうに最終的に処分するかというのは、これは世界各国ともいろいろ研究中でありまして、長期計画におきましても、五十年代の中ごろまでにそういう見通しを得るべく研究開発を強力に進めるべきであるという考え方を打ち出しておりまして、これは国際会議等でも、国際協力等によって、共通の問題でありますので、強力に研究開発を進めていくという方針でございます。
#63
○嶋崎委員 いわば処理方法が決定されていないというか、それからまだ安全な処理方法が確立されておらぬという段階で再処理工場を建設したり稼働したりするということは、国民の安全性というものに対する願いから見て、やはり水俣病の教訓を学ぼうとしない態度とでも言わざるを得ないような気がしてしかたがないわけです。
 たとえば海中に投棄するというようなことを考えてみましても、日本はまわりじゅう海で、そしてまた魚を食べるわけだし、どこにどんなふうに処理するか、こういう固体廃棄物の処理という問題については、相当慎重な処理のしかたが要ると思うのです。特に、いまのところ原子力発電の電力の中に占めている位置はまだ小さいけれども、いまからどんどん計画されている原発ラッシュとでもいいますか、そういう状態の中では、アメリカとは比較にならないくらいに日本の場合には慎重な取り扱いが要ると思うのです。何といったぞ原発の過密度というのは、これはもうたいへんに高いように考えられるし、しかも人口がたいへんな密度であります。そこへもってきて私たちは原爆の経験を持っているわけですから、放射線の国民総量とでもいいましょうか、そういうものは相当高いと考えなければならぬし、それから日本人は魚を食べるわけですから、そういうもろもろの条件を考えれば、アメリカに比べてはるかにきびしい安全性の基準の審査がなければならないし、そういう形で対応していかなければならぬというふうに思うのです。そういう意味でアメリカの原子力委員会なんかも、これは原子炉についてですけれども、やはり公衆被曝の限度というものを下げてくる。これは原子炉の問題であるにせよ、再処理工場は別だなんということは当然ありっこないわけです。だから、そういう意味で日本の原発の今後の計画というものの持っている日本の特殊性とでもいいましょうか、それだけに安全性という問題をシビアにとらえて対処していかなければならぬというふうに思うわけです。
 それで、もう時間が来ましたから、またいずれ再処理問題を、使用済み燃料の再処理が確立していない場合に、発電所を建てるということに関連してまた幾つか問題を質問さしていただきますし、特に地帯整備の法案が問題になっておりますから、それとの関連でさらにまた討論を深めさしていただきたいと思います。きょうはこの辺で終わります。
#64
○石野委員長 この機会に、ひとつ長官に、私から朝日新聞の記事についてお聞きしておきたいと思うのです。
 それは、ほかではありませんが、朝日新聞の記事というのは、これは相当画期的な記事です、原子力政策につきまして。朝日新聞は、その記事の中で、長官は「三十日「この工場から大気中や海中に放出される放射性廃棄物をゼロにするよう、技術開発に全力を尽し、昭和五十年の同工場運転開始までに間に合わせたい」と、新たな方針を明らかにした。」こういうふうに言っております。そして、これは「原子力の安全性に関する最大級の政策転換として注目される。」、こういうふうに言い切っております。
 先ほどからの嶋崎委員に対する御答弁を聞いておりますと、新聞社は表現の自由だからということばで、長官の気持ちを誤られた報道だ、こういうふうな印象に受け取られるような御答弁でございました。しかし、これを見まして、実は私どももたいへん喜んだのですよ、これはすばらしい決意だと思いましてね。これだけの決意で臨んでいただくことを望んでおりましたが、先ほどからの答弁を聞きますと、まあ許可したものは許可したものだ、そのうちに技術開発ができればそれも取り入れましょう、私はとにかくゼロ公害というものを期待しております、こういうことにすぎないのであって、この朝日新聞社の取り上げた、長官の発言を書かれた記者さんの取り上げ方というものは、全然違った観点で記事を書いているということになります。しかし、一般の国民大衆はこれを――朝日新聞というのは非常に大新聞でございますし、しかもトップ記事でございますから、これは非常に信憑性のあるものとして受けとめていると思うのです。
 今度原子力発電所または火力発電所の地帯整備と申しますか、なかなかその地域における反対運動が多いものだから、それを確保するために新しい法案ができる。その法案をつくる最大の理由というのは、現地における地域住民が原子力発電所なりあるいは火力発電所の設置に強い反対運動があるからなんですね。それをどういうふうに解消するかということがあの法案の趣旨、目的だと思います。
 ところが、火力にしても、原子力にしても、地域住民の反対する最大の理由というのはやはり安全性の問題なんです。環境汚染ということに対する問題が解明されなければ、これは地域住民は納得しない問題なんですね。長官がこの朝日新聞の記事を提起したということと、この住民の気持ちはぴったり合うわけですから、安心してしまいます。ところが、いまの答弁だと、全然これは安心するどころか、同じことだ。にもかかわらず、朝日新聞の記事は、依然として国民の中にはそのまま通っていくわけですからね。そうなりますと、朝日新聞の記事はもう全然見当が狂っているということになりまして、たいへんなことになるだろうと思うのですよ。
 ですから、あらためて私がお聞きしておきたいのは、ここに書いておりますように、「昭和五十年の同工場運転開始までに間に合わせたい」、これは単なる希望なんで、責任はとりません、こういうことなのでございますか。それとも、この間に合わせたいという積極的な意見は、政策の面で何か方向を出すという意味なのか、そこのところをはっきりしておいていただきたいということでございます。
 それともう一つは、クリプトンにしましても、あるいはルテニウムにしましても、あるいはトリチウムにしましても、再処理工場から出るものはもう危険なことには間違いないのでございますし、嶋崎君からいろいろ例示されたようなことも考え合わせますると、何としても再処理工場については、ゼロ放出ということにまでいかなければならないという考え方を持っている地域住民の運動もありますので、そういう面に対する大臣の所見も同時に聞かしておいていただければと思います。
#65
○前田国務大臣 ただいま石野委員長からいろいろ御指摘をいただきまして、先刻来の私の嶋崎先生に対する答弁は期待に反するじゃないかというお尋ねでございますが、期待に反するといえばあるいは期待に反するというふうに御解釈をいただくことに相なるかもしれません。このゼロ放出になるまでは五十年に稼働いたしませんという、そういうふうに、お伺いをされると、やはりそういうふうにゼロ放出にならなければ五十年には稼働いたしませんという意味ではございません。五十年には稼働いたしますが、ゼロ放出に向かって五十年までに間に合うように努力をしつつ進めていきたい、そういう意味でございます。
 これを政策転換じゃないじゃないか――政策転換かどうかということは、私は別にこれから政策転換をしますという趣旨で発言したわけでもございませんけれども、これはいろいろ表現とかいう問題があると思いますので、その点はひとつ、いろいろ書き方の問題で、私がいろいろ批評すべき問題じゃないと思いますけれども、とにかく、それじゃどんな努力をするのだというお話でございますが、何もしないでただラッパだけ吹いているんじゃないかという話になっちゃいかぬと思います。私は実は、まことに乏しい知識でありますが、この間の原産会議のときに、ゼネラル・エレクトリックですか、そのゼロ放出の技術の発表があったということも聞いておりますし、また、名古屋かどっかで、原子力学会ですか、その席上でもこういうふうな問題が少し出たようにも聞いておりまして、まだその詳細は存じておりませんけれども、そういうような点も精力的にすぐひとつ調査して、できれば早くこれを取り入れたいというふうに考えておることをあわせて申し上げたいと思います。
 それから、ただいま石野委員長が御指摘の、電源周辺地帯整備法の問題でありますが、これは、実際こんな法律をつくって、悪く言えば、こんな法律をつくって、あめ玉を上げて安全性にすりかえるんじゃないかと、悪く考えればそういう考え方、そういう批評もあるかと思います。しかし私は、安全は安全で、別に、地帯整備は地帯整備で、地帯整備もやってもらう、そして地元にメリットももらう、道もよくしてもらう、公園もつくってもらうということも必要じゃないか。しかし、安全性はそれとは別に――もちろんある程度の関連はあると思いますけれども、安全性は安全性として、あくまでもゼロ放出という方針で進んでいきたいということを考えておる次第でございます。
#66
○嶋崎委員 ちょっと一つ忘れたんですけれども、第一回目の委員会のときに、アメリカのネーダーの件についてお尋ねしましたけれども、どういう趣旨でネーダーの発言があったかについての資料を取り寄せてくれということを発言しましたが、その後調査はどうなっていますか。
#67
○成田政府委員 ネーダーのAECに対する要求の要旨あるいはその背景等、いま資料を取り寄せておりまして、かなり集まっておりますので、まとまり次第御提出したいと思います。
#68
○嶋崎委員 私のところにも来ていますから、調べてないのなら、私のところにこれだけ来ているということを逆に言って怠慢をあれしなければならないのだけれども、早急に解説のコメントしたものを提出していただきたいと思います。集めているんですね。
#69
○成田政府委員 集めておりますので、そのようにしたいと思います。
#70
○石野委員長 次に、瀬崎博義君。
    〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
#71
○瀬崎委員 科学技術庁長官の所信表明によりますと、科学技術振興の緊急性は、環境問題の早急な解決など社会からの新たな要請に基づき、豊かな社会の建設、国民生活の充実のため、人間尊重の基本理念にのっとったものであるとしておられるわけです。そして四十八年度強力に推進する施策の第二の柱として、国民生活に密接に関連する科学技術をあげておられるわけです。しかも、現下の最重点政策課題の一つとも言っておられます。具体的にどうですか、四十七年度までこの分野でやってこられたことで、とりわけそういう所信表明に基づいて四十八年度新しい内容に前進された点があるんですか。
#72
○前田国務大臣 特に、従来とにわかに方向転換したという意味では、ございません。それは、科学技術会議の五号答申というのが先生御承知のようにございまして、「一九七〇年における総合的科学技術政策の基本について」という科学技術会議の五号答申という答申がございます。その答申に従って、一九七〇年代はその方針に従うように従うようにという行政をとっておるわけでございまして、確かに、簡単に申しますと、生産指向型から福祉指向型というふうなことだろうと思いますけれども、それでは予算の面でどういうふうにあらわれておるかというと、胸のすくほどあらわれてないじゃないかという点もあるいは御指摘あるかと思うのですけれども、とにもかくにも国民生活に密着した研究開発というものを進めていきたい。これは当庁がやっておるだけの研究もございますし、あるいは通産省において、あるいは農林省、あるいは厚生省において、科学技術全体の立場からその方向に向かって科学技術行政を進めておるというふうに私考えておりまして、あるいは大気汚染の問題だとか、あるいは水質汚濁の問題だとか、あるいは廃棄物の問題だとか、あるいは騒音の問題であるとか、あるいは食品の問題でございますとか、大きく分けましてそういう健康に関する問題と安全に関する問題でございますね。安全に関する問題といたしましては、やはり災害の問題あるいは雪害の問題、火災の問題、そういう点に力を入れまして取り組んでおるという次第でございます。なおまた、ライフサイエンス等についても、いま科学技術会議の懇談会の意見をまとめ中でございます。
#73
○瀬崎委員 いまいみじくも予算の面まで触れて、胸のすくようなというお話があったけれども、十二億余りの特調費では、胸がすくどころか、胸がつかえてしまうと思うのです。それはおいおい話して、結論でまたあれするといたしまして、現在特調費を活用する研究テーマというものはどういうふうな手順、どういうふうな基準で設定をしておられるわけですか。
#74
○千葉政府委員 特調費につきましては、御案内のとおり、このテーマの選定の基準でございますが、これは、各省庁に対しまして当庁の基本方針を示しまして、そして要望のテーマを提出させる。まず、こういったことを毎年やっておるわけでございます。
 それから第二段階といたしまして、当庁で独自のテーマを作成いたしまして、これをもとに当庁独自の判断も加えて選定するということもやっておるわけでございます。それで、その設定する際に、それでは基本的な考え方は一体どういうテーマになるかということでございますが、御案内のとおり、特調費の基本的な考え方は、いわゆる多数部門の協力を要しますような総合的な研究で、要するに各省で単独にはこれを進めることができにくい、そういったような命題のもの、それともう一つのほうは、基礎的な、あるいは先行的なものでございまして、そういったようなものにつきまして進めていくというのが、この特調費のベースになっておるところでございます。
#75
○瀬崎委員 そのもう一つ奥にある、少なくとも国民生活に密接に関連する科学技術の推進とうたっていらっしゃるのですから、そういう点で国民に求められている科学技術といいますか、国民的な要請になっている科学技術が一体何なのかというふうな点については、どういうふうにしておたくのほうでは求めておられるのですか。
#76
○千葉政府委員 これにつきましては、御案内のとおり、先ほど大臣からお話がありましたように、科学技術会議の第五号答申に、今後のいろいろな科学技術振興の方向がうたわれておりまして、ある程度具体的にその項目が出ているわけでございます。そういった点を十分に尊重するようにということで、それがまず第一点。
 そのほか、科学技術庁中心にいろいろな審議会がございます。たとえば電子技術審議会、それから航空関係の航空技術審議会、そういったようなものもございます。それからさらに、関係各省におきましては、関係各省の所管の範囲内でいろいろな科学技術振興に関します審議会もございまして、そこからもいろいろとテーマが浮かんでくるわけでございますが、ベースといたしましては、科学技術会議の五号答申をベースにいたしまして、それでそれをどういうふうに周知徹底させているかということでございますが、これにつきましては、当庁におきましては毎年科学技術の振興費に関します見積もり方針の調整を行なっておるわけでございます。これは科学技術庁の権限の中にあるわけでございます。その際に、要するに見積もり方針の基本方針を明示するわけでございます。その方針の中に、いま御指摘の、国民生活に密接に関連するような科学技術につきまして具体的に明示しているわけでございます。
#77
○瀬崎委員 問題は、この間もちょっとどなたかの質問にあったと思うのだけれども、科学技術会議の構成メンバー等から見て、そこへ国民の要請が十分届いているかどうか非常に問題だろうと思うのです。国民というのは一人一人は別に科学技術の専門家でないから、なまに自分の要求が出てくる。ただし、その要求を解決する科学技術の開発が実際にはなおざりであるか、全く行なわれていない。いろいろな問題が出てくると思うのですね。こういうようなことがどこかで十分検討されているのですか、こういうふうに申し上げているわけですね。だから制度上、科学技術会議が受けてこうこうだと言われるけれども、その科学技術会議そのものの問題ではないですかというふうに申し上げているのですね。この国民生活に密着した科学技術というテーマから見た場合ですよ、その点いかがでしょう。
#78
○長澤政府委員 科学技術会議のメンバーには、御承知のとおり吉田富三先生であるとか、あるいは藤井隆先生であるとか、あるいは黒川眞武先生というような常任の学識経験者がございますが、いずれもライフサイエンスであるとか、ガンであるとか、あるいは公害であるとかの御専門家でございます。そのほか、私ども国民生活に密着した研究開発の研究目標という作業をいま科学技術会議でとりまとめておりますが、広く各界の専門家の意見を聞きましていろいろテーマをとりまとめておる、こういうことでございます。
#79
○瀬崎委員 あとで具体的な例でいろいろまた質問したいのですけれども、そういう科学技術会議の制度を経る道と、いま一つ長官御自身が科学技術の振興及び資源の総合的利用をはかるため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、必要な資料の提出及び説明を求めることができる、こういう権限を持っていらっしゃるわけだから、そういう点で広く国民に求められている科学技術が確かに取り上げられ研究が進められているのかどうか。また、そういう求められている水準から、研究体制が非常におくれてはいやしないかどうかというふうなことについて報告を求め、総合的に検討されたことはあるのですか。
#80
○前田国務大臣 それは、特に別に各省庁にそういう意見を聴取したというのではなくて、予算も科学技術振興経費の見積もり方針というものをつくりまして、そのときに各省庁がどういうことを希望しておるという意見を聞きまして、私どもがまとめ、たびたび会議を開きまして、そして日本の国としてどういう方向で科学技術行政というものは進むべきであるか、それには厚生省の問題、あるいは農林省の問題、運輸省の問題も全部ひっくるめまして、科学技術につきましては全部それで見積もり方針というものをきめまして、それによって各省庁の意見を聞きまして、そして各省庁は各省庁で大蔵省に予算を要求いたします。そのときに私たちは、総合行政官庁としてその意見を大蔵省にやはり連絡をして大いにこれを推進するように側面的に援助する。私ども一括計上ではございません。各省庁で別々に……。
#81
○瀬崎委員 一括計上せよとは言ってないのですよ。そういう抜け穴がないかどうかをお調べになったことがありますか、こういうことですね。
#82
○前田国務大臣 私のほうで総合調整といいますか、見積もり方針で、その点はまとめておるつもりでございます。
#83
○千葉政府委員 いまの御指摘の点でございますが、大臣の申し上げたとおりでございまして、もっと具体的に申し上げますと、たとえばライフサイエンスを進める。これの範囲は非常に多うございます。非常に広範囲でございます。それで、厚生省が主であるはずでございます厚生省、これに非常に穴がある、そういったような点がいろいろございました場合に、当庁としては当然、いま先生の御指摘のように、資料を求め、それでその穴のあるところ、それからそれをもうちょっとまとめて大きく取り上げたほうがずっと効果がありそうなところ、そういったような点は各省とも十分連絡し、資料も提出していただきまして、そういったようなテーマを当庁としてもつかんで、それを推し進めるということはやっております。
 たとえば、先般発表したものの中には、微量の重化学物質が一体どういうふうに人間に悪い作用を及ぼすのか。動物実験でやったものと、人間に対してどういった影響があるかという、この相関関係の辺を総合的に取り上げる必要があるんじゃなかろうかということが、これは学界のほうからいろいろ出てまいりました。関係各省でも、これは非常に各方面に関係いたしますので、こういった点は当庁といたしまして、もう基本的な問題ですし、ライフサイエンスということよりも、いま問題となっております環境問題の基本的な問題であります。こういった点は、先生のおっしゃるような方向で、科学技術庁が中心となりまして、命題を設定して、それでこれを推し進めるということをやっているわけでございます。
#84
○瀬崎委員 なるほど、わかりました。
 じゃ、そういう立場で、こういうことならどうなるでしょうね。二月の二十八日に建設委員会で、琵琶湖総合開発に関して一般質問を行なった際、金丸建設大臣は、琵琶湖の水質汚染に対しては相当な処置、琵琶湖の下水道の問題等については、三次処理をして、それでもだめだという場合には別のほうにこの水を流すことも考えなければならないだろうということ、それから、いろいろとあると思いますが、重大に考えております、と答弁されたわけなんです。
 この琵琶湖の水質保全のために三次処理をやらなければならぬという前提のもとにずうっと論議は煮詰められていった結果、下水道の三次処理を実行する上で、政府側の見解によれば、二つの問題点のあることが明らかになったわけなんです。つまり、吉田都市局長が答弁されたわけなんですが、結論的にこう言ったわけです。三次処理が必要であり――これが一点です。必要であり、かつ実行可能である――実行可能かどうかということが二点目です。ということになれば、琵琶湖総合開発計画は改定することになって、三次処理はやる、こういう結論なんですね。
 そこで、まず後者のほう、下水の三次処理の技術が可能であるのかどうかという点について、その点を、きょうおいでと思うのですが、久保下水道部長が説明されました。こうおっしゃっているわけです。「三次処理につきましては、そのような問題のほか、技術的にはまだまだ未解決の問題がございまして、現在、その三次処理にかかわる室内実験あるいはパイロットプラント等による実験を継続いたしておりまして、近い将来には実用化できるように鋭意調査研究中というのが実態でございます。」とこういう回答だったのです。
 まず、長官よりも先に下水道部長にお伺いしておきたいのだけれども、そこで言われた近い将来とは、一体いつごろがめどになっているのか、それから、鋭意調査研究中の実態は一体どうなのか、そういう点について少しお答えいただきたいと思うのです。
#85
○久保説明員 近い将来ということを御答弁申し上げましたが、これにつきましては、技術開発そのものと、それからそれを実際のプラントに適用していく、こういう問題を含めて近い将来ということを申し上げたつもりでございます。
 実際の技術開発等につきましては、室内実験あるいはいろいろな小規模の実験等を重ねると同時に、それをスケールアップした実際に適用していくやり方が必要になってまいります。したがいまして、四十八年、本年度でございますが、本年度に大型のプラントを、東京都の流域下水道の南多摩下水処理場というのが現在稼動いたしておりますが、二次処理でございます。この二次処理をさらに三次処理をするという意味で、大型の実験プラントを四十八年度にする予定にいたしております。この計画はかなり大型でございますので、一応二年間の大型実験をする予定にしております。したがいまして、その大型の実験プラントのいろいろな成果を経た上で三次処理の実用化に入りたい、かように考えておるところでございます。
 それからなお、ただいま琵琶湖の問題に関連してお話がございましたが、三次処理といいましても、この除去する対象物が非常に違う場合がございます。現在の環境基準に対応する処理で、二次処理で不十分で三次処理までしなければいけない、こういう分野がございますが、これにつきましては、現在の環境基準そのものが、たとえばBODであるとかCOD――湖沼、海等につきましてはCODでございますが、それとSSを中心にした環境基準でございます。そういうような場合には、主としてSSを二次処理以上に除去する、あるいはBOD、CODについては二次処理以上に除去するものをも三次処理の領域である、こういうふうに考えておりますが、そういうもの以外に、将来、あるいは現在でも問題になっておりますが、たとえば湖等の富栄養化の問題、これらにつきましては、BOD、CODだけの問題ではなくて、さらにそれ以外の栄養塩類の問題が入ってまいりますので、それらをも取るというような三次処理の領域に入りますと、これはまだ実用化の段階までの間にかなりな調査研究が必要である、かように考えておるところでございます。
 それから、なおもう一つ非常に大きな問題は、実際に実用化するといたしますとお金がかかるわけでございますが、建設費プラス維持費――維持費が相当かかります。したがいまして、そういう財源の問題を一体どういう形でまかなうかという問題につきましても、これは慎重なる検討が必要であると思いますので、それらの検討をも経た上で、そういう程度の実用化に入ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#86
○瀬崎委員 その燐、窒素なども含めた環境基準との関係、つまり下水道の三次処理の必要性の問題は、あとでもう一度環境庁の方のお話も聞きながら進めるとして、問題は、鋭意調査研究中とおっしゃる実態ですね、いまいろいろ御説明がありましたように、技術的には相当困難な面が残されているのですね。これは私たちとしても別に否定するものではないのです。ただ、それを政府が積極的に技術的に打開していく手だてを講じているかどうかということが問題だろうと思うのです。その点で私どもが見聞した限りでは、政府が直接行なっている三次処理技術開発に関する研究は、いまもお見えになっております土木研究所の赤羽支所におけるものだけのように見受けるのです。この赤羽支所における研究の体制なんですが、四十七年度までは河川部の中の水質研究室の研究員、室長を含めて三人の方が、本来の研究課題、これは再曝気と河川の水質自動監視装置とかおっしゃっていました。こういう本来の研究課題のかたわら三次処理技術の研究を進めてきたというのが実態のようなんです。これは私の認識不足で、いやほかにもこういうふうにやっているんだというふうにおっしゃるならば、そうおっしゃっていただいたらいいのですが、とにかくいま政府が直接技術開発につとめている機関としては、一体どうなっているのですか、ちょっと御回答いただきたいと思います。
#87
○久保説明員 三次処理そのものの研究は、これは二次処理の研究が無関係のものではございません。二次処理の研究を含めて、あるいは二次処理の研究のベースに立って三次処理の研究というものが、研究開発、技術開発というものがなされるわけでございますから、そういう意味では、研究のテーマだけをごらんいただいてそれで判断するということは、私は適当でない、こういうように考えます。政府機関で行なわれておりますそういう処理に関する研究は、同じく建設省土木研究所の中に下水道研究室というのがございます。下水道研究室で従来下水道全般の研究をやってまいったわけでございますが、特にそれの範囲を広げるという意味におきまして、昭和四十六年度に下水道研究室に加えて水質研究室というものをつくって、そしてさらにその範囲を拡大をしたわけでございますが、四十八年度からは、それに加えまして三次処理研究室というものを新たに新設をするということが予算案の中に入っておりますので、予算案が通りましたならば、そういう体制になるかと思います。
 それからなお、国の機関の直接な研究のほかに、関係者とのいろいろな関連研究をやっております。と申しますのは、下水道の分野におきましては、実質的には事業の実施は地方公共団体でやっておりますので、地方公共団体関係のこの分野の研究者との定期的な意見の交換あるいは定期的な共同研究というようなことをも実施をしております。これは定期的にやって、建設省の土木研究所の方が中心になってやっておる会合でございますが、これなどもやはり三次処理の研究に大いに役立っているところでございます。さらにはまた、これは国そのものの研究ではございませんが、三次処理に関する技術交流という意味で、アメリカの環境保護庁の三次処理研究所の方々との知識の交流ということも実施いたしておりまして、これらを総合化した形で現在の三次処理に関する技術開発を鋭意やっておるつもりでございます。決して十分とは申せませんけれども、土木研究所だけの開発ではないということをつけ加えて、御説明させていただきたいと思います。
#88
○瀬崎委員 この間、私ども実は赤羽の支所へおじゃまをしているのです。そのときに直接お聞きしたお話の中にも、実は三次処理をあわせて研究するということについては、体制が整わないから一年待ってほしいんだということを研究所の側から申し上げたのだけれども、本庁のほうでは、そうはいかぬのだということで、もう手不足、行き届かぬことは承知の上ながら始めたんだ、非常に体制として不備であることを嘆いておられたわけですね。
 それからまた、地方自治体で現実に下水道問題で一定の技術者もかかえ、少なくとも三次処理の技術開発に役立ち得るような体制を持っているところといえば、東京都しかないんだそうですね。そこで、東京都の技術開発課長の藤井秀夫さんにもいろいろとお話をお伺いしたわけなんです。東京都は、全部で三千八百二十一人の下水道関係の職員をかかえておられるようでありますけれども、そのうちの技術者というのは、土木関係千三百五十三人、建築関係十四人、機械関係三百三十七人、電気関係二百八十八人、水質関係八十四人、こうなっているわけです。あとは運転の方とか巡視の方ということですね。しかし、この中にはんとうにこの三次処理の設計とか理論を開発できる技術者というのは一人もいない、こういうお話なんです。つまり、つくられればあとの維持管理は可能である、こういうことなんです。
 そういう点では、いまおっしゃっている久保さんのお話とは非常に食い違った回答が、実際やっていらっしゃる自治体から出ているわけなんです。ですから、私は専門外で何とも言えないのですけれども、ちょっといまの取り組みで三次処理の技術開発が国民的な要請に間に合うというふうに考えられないわけなんです。その点いかがでしょう、私の思い過ごしですか。
#89
○久保説明員 先ほども御説明いたしましたように、三次処理の定義が明確にされて、こうこうこういうものが三次処理であるというものが必ずしも明確にされていないうらみはございますが、一応二次処理以上の高度の浄化ということを三次処理であるというふうに一般には解釈されておるわけでございます。
 その中で特に緊急に実用化が急がれる分野は、先ほども御説明いたしましたように、環境基準がきめられておりまして、SS、BODというものを除去するということが当面の三次処理の目標でございます。その三次処理のSS、BODの二次処理以上に取る、除去する、こういう技術開発につきましては、多摩川の流域下水道で大型の実験を始めるということを、そのものはそれだけの設計をできる状態にある、こう言っていいと思うわけであります。
 しかし、それ以上のたとえば窒素を取る、燐を取るというような問題になりますと、これはなかなかそう簡単にはまいりません。したがいまして、そういう意味で先生御指摘の、東京都の方が、六大都市でもなかなかそういうことをできる人は少ない、いないのだというふうに答弁されたのであろうというふうに思います。したがいまして、三次処理の中でも直ちに実用化を要請されている分野のものと、それから若干時間をかけて、これからの技術開発の調査研究を続けた上で慎重に実用化すべきものに分けられると思うわけでございます。その前者のほうは、これは先生御心配いただきましたけれども、ほぼ実用化に踏み切っていけるというふうに私ども判断をいたしております。後者のほうにつきましては、まだ若干の時間はかかるだろう、その間にいろいろそういう技術開発の成果を各設計関係の技術者の方々にも十分御連絡を申し上げまして、実用化するまでの問に準備をすれば可能である、こういうふうに考えているところでございます。
#90
○瀬崎委員 私が三次処理ということばを使う場合には、いまおっしゃっている後者、つまり窒素、燐の除去を対象にした高度処理を含めて考えておりますので、といいますのは、瀬戸内海問題などのところでまた触れますけれども、政府自身もそういうことを含めて三次処理という概念でことばを使っていらっしゃるようですから、そういう点でひとつ今後の御回答をお願いしたいと思います。
 四十六年八月にはすでに建設省都市局下水道部発行の「下水の三次処理に対する対策」というパンフレットで「土木研究所と指定都市の技術専門職員による三次処理技術開発に関するプロジェクトチームを編成済である。」こうおっしゃっていますね。これは一体どういうメンバーなんですか、またどんな活動を行ない、どんな成果を現在まであげてきておられますか。
#91
○久保説明員 ただいま御指摘の三次処理技術開発のプロジェクトチームでございますが、これのチームはすでに編成済みでございまして、随時会合を開いておりますが、一番最初に開きました会合が昭和四十六年九月三日でございまして、そのときにチームを編成をいたしました。そのメンバーは、建設省の下水道部、それから同じく建設省の土木研究所、それから都市側といたしましては東京都、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、北九州市、横須賀市、これらの専門家の方々がメンバーとして参加いたしております。
#92
○瀬崎委員 いまおっしゃったのがプロジェクトチームだとおっしゃるとすれば、結局私がここに持っているこの五通の議事録の内容が、そのプロジェクトチームのいままでの研究経過になっていると思うのですね。一番最近の第五回で――去年の九月五日で終わりであります。それ以後はないと聞いているのですが、この内容も、私は専門家じゃないから何とも言わないけれども、まだデータを集めているような段階で、積極的に三次処理の理論を構成するとか、あるいは設計に取りかかっていくとかというふうな内容は、これで見る限りは出ていないように思うのです。その点は、プロジェクトチームは編成済みだとおっしゃった四十六年から見て、すでに二年になるわけなんですが、もう一つ積極的に推進されたと言えるような状態ではないように思うのですが、いかがでしょう。
#93
○久保説明員 このプロジェクトチームは、それぞれの市がそれぞれの段階において三次処理を実用化していかなければいけないという情勢を踏まえて、それぞれの市の状況に合わせて、建設省のほうでパイロットプラントで実験した成果、それを皆さんに御説明をし、それに基づいていろいろな質疑討論をいたしておりますので、それらの基礎データが積み重なることによって、基本的な設計の一つのファクターというものが出てくる、こういうふうに思っていますので、一ぺんにこれでもうあしたから設計できるというところまではまだ来ておりませんけれども、これらの積み重ねを今後とも続けていくことによりまして、先生ただいま御指摘の設計の段階にだんだん入っていけるというふうに考えております。
#94
○瀬崎委員 きょうは別に建設省を追及しようという気持ちは毛頭ないわけなんです。三次処理という非常に必要な技術開発がどういう段階に来ているのか、それを御認識いただければいいわけなんです。
 いま一つの問題、その必要性の問題なんです。先ほども引用した四十六年八月の下水道部発行のパンフレットによりますと、「環境基準が設定された水域によつては、現在の二次処理以上の処理、すなわち三次処理が必要である。」と言い切っていますし、さらに「諏訪湖、琵琶湖、相模湖などにおける緑藻類の異常発生、瀬戸内海の赤潮などで問題となつている富栄養化を防止するには、窒素、燐の除去を含む三次処理が必要である。」とはっきり最初に必要性を四十六年八月に認めておられるわけですね。さらにそのあと出ております四十七年十二月の「新国土建設長期構想(試案)」、この中でも再度そういう問題を確認をしておられます。この中では、「昭和六十年における全汚水量の約五〇%について三次処理を行なうこととする。とくに琵琶湖、霞ケ浦等の湖沼および瀬戸内海、東京湾等の閉鎖海域については、富栄養化対策としての三次処理を積極的に推進する。」「総合的な水管理計画を目途として、利水が必要とする水質に応じた三次処理を推進する。」こういうことになっているわけですから、事建設省の方針に関する限り、できればやるということじゃなくて、もうやらなければならないということを認めておられるように思うのです。
 ところが、この間の建設委員会の吉田都市局長の答弁の中では、下水道五カ年計画の改定等も検討中でございますが、三次処理の点を新しい五カ年計画に入れるかどうか、こういうふうな非常にあいまいな表現になっているわけなんです。この新五カ年計画というのは四十九年度から出発されようとしているんで、もしこの中に入らないということになれば、ずいぶんと先の話、こういうことになるんです。じゃ、瀬戸内海や琵琶湖は一体どうなるんだろう、こういう問題が出てくるわけなんです。この点では、片一方でははっきりした方針が出ながら、一番最近の答弁では非常にあいまいというふうなことなんで、もう一度私、念を押して、建設省はどういう御方針なのか、一言聞いておきたいと思います。
#95
○久保説明員 下水道整備の整備の目標の一つに環境基準があるわけでございます。その環境基準を達成していく場合に、大都市等の河川にも環境基準がきまっております。たとえば、たいていの都市内河川におきましては、環境基準の類型Eというのがきまっております。類型EというのはB
○Dにして一〇でございます。しかも都市内の河川には、例外もありますけれども、大体において河川そのものの保有流量があまりない、こういうところでございますから、そういう河川に下水処理水を放流する場合には、少なくとも一〇以下にしなければならないということがもう明らかでございます。
 そういう意味からいきますと、現状の二次処理がBODにして大体二〇PPMを処理水の処理基準といたしておりますから、それでは不十分であって、三次処理をしなければならないという実態はすでに出てきております。先ほどの都市局長の答弁にありました三次処理という意味は、湖沼等を意識しておられた、湖沼等に対する質問がその前段にございましたので、窒素及び燐を除去する意味の三次処理、そういう内容で答弁していると思います。
 そういう窒素、燐を除去するには一体どれだけ除去するかという目標値が、現在では先ほど私が申し上げましたようにきまっておりません。それを除去しなければならない、こういう実態は出てきておりますけれども、量的にどれだけ、設計の上でどれだけ除去するかということは、そういう問題が環境基準の上に明らかになった時期に設計に入る、あるいは実用化する、こういうこともその裏にあるわけでございまして、そういう段階が次の五カ年計画の改定その他の時期におそらくは入るだろうと思いますが、少なくとも現状ではまだそういう形になっておりませんので、そういう答弁になったものと私は解釈いたしております。したがいまして、そういうことが非常に明瞭になった段階では、当然次の五カ年計画の中に三次処理を入れて、必要な浄化をはかっていくということが建設省の方針である、こういうふうに考えております。
#96
○瀬崎委員 この間の久保部長の答弁もそういうことでしたね。ですからその答弁を繰り返すと、「三次処理を行なう必要ありやなしやという問題につきましては、先ほど環境庁から富栄養化の問題等について調査のお話がございましたが、その調査の結果並びにそれに伴う水質の基準の問題、それらを受けまして、それに対応して三次処理を計画する、」そういうことになっているわけなんです。ここで結局環境庁の出番になってくるわけなんですね。
 その環境庁の話が、じゃ、いつそういう富栄養化の問題も含めて調査が完了するのかという点については、この間は岡安さんだと思いますけれども、あいまいであったわけなんです。ですから、あらためてそういう点での環境庁の態度を少し明確にしていただきたいと思います。
#97
○太田説明員 いまの御指摘の点でございますが、実は富栄養化の問題につきましては、閉鎖水域、具体的には霞ケ浦、諏訪湖、琵琶湖、瀬戸内海と、いろいろ大きな問題になっておるわけでございますが、環境庁が調査し始めましたのが昭和四十七年度、すなわち昨年度からでございまして、特に琵琶湖につきましては、昨年度、四十七年度で、まだレポートがまとまっておりませんが、本年度、四十八年度と継続実施する予定でございます。
 そこで、いつ結論が出るかということでございますが、実は窒素、燐のいわゆる収支の問題、それから、それがどういった水質汚濁に直接結びつくか。またデータがきわめて少ない時限でございます。二年間の四十七、四十八年度の調査結果に基づきまして、一応の結論を得たいとは考えておりますけれども、あるいはその時期になりまして補足調査する必要が出てくるかもわかりません。
 それから、話がちょっと飛びますが、瀬戸内海につきましては、昭和四十七年度、広域の一斉調査ということで四回にわたりまして瀬戸内海に注ぎ込まれます流入負荷量、それから水質、それとあわせまして窒素、燐の状態等を調査してございます。それも第一回、第二回の調査の結果は出ておりますけれども、全体の四回の調査の結果は、夏ごろまでにまとめる予定にしております。
 それで、瀬戸内海につきましては、非常に大きな海域でもございますし、かかわり合いました府県も十一府県にまたがるわけでございます。本年、四十八年度は五回調査を考えております。それらをまとめまして瀬戸内海の富栄養化についての対策を立てたい、かように考えております。
#98
○瀬崎委員 瀬戸内海の問題は、あとでまたそれだけ別にお尋ねしますが、いままでに大体状況はおわかりいただいたと思います。
 ここで科学技術庁長官にお尋ねをしたいわけなんですが、下水の三次処理の必要性については、結局、環境庁と建設省にまたがって、しかも相互に微妙なからみ合いを持っているということは御理解いただけたと思います。また、その処理技術の開発の可能性については、広い意味での土木技術全般以外に化学技術、それから機械及び電気工学の技術、さらには汚泥の処理等、これは肥料に再使用することが可能かどうかということも研究対象だそうですが、農林関係の技術、こういうものも総合的に組み合わせされることがないと解決しない問題なんだ。これは東京都あたりの専門の方がおっしゃっている話であります。それぞれ、現在の研究担当者の方は、少ない人数、少ない予算で精一ぱいの努力を重ねていらっしゃるわけなんですけれども、いまずっと話し合われてきたような現状の研究体制や予算等で、はたして要求されている水準に、要求されている時期に到達できるであろうかどうかという問題、さらには必要性の時期の問題についてもこれがぼけてくるのは、つまり富栄養化などの問題を含んだ環境基準の調査がいつ仕上がるかわからないということから出てくる。そういう点で、ちょっとこれは科学技術庁長官に乗り出していただくような問題ではないかなと私は思うのですが、いかがですか。
#99
○千葉政府委員 いまの御指摘の富栄養化の問題でございますけれども、実はこの問題につきまして、科学技術庁はだいぶ前から特調費をたくさん出しまして、このメカニズムの解明について調査研究したわけでございます。非常にむずかしかったのですが、この富栄養化の問題につきましては、まあまあ大体の方向がつかめた程度だと思っております。
 それで、琵琶湖の問題につきましては、かつて近江先生からもいろいろお話がございまして、こういったような調査について取りかかろうというところで環境庁ができましたので、私のほうのお金を全部環境庁に持っていきまして、それで環境庁中心に、この汚染機構の解明の問題をやろう、それで調査もしようということで準備してやっておるわけでございます。
 そういうような状況でございまして、この問題は非常にむずかしい問題だと私ども思っております。いわゆる汚染機構の解明、この富栄養化の実態、なぜこういう調査でそういうふうになってくるかむずかしいんだということは、先ほど環境庁から話がありましたけれども、私のほうも、これは環境庁が総合調整官庁で、環境面でございますので、そこが中心となって建設省も協力する。それから建設省が中心となってやることは環境庁がまたいろいろ応援するという体制で、いまこの分野はやっているわけでございまして、当庁としては、これに対しましてさらに上の観点から協力するという体制にいまなっております。
 それから、特に三次処理を中心にいたしまして関係各省の体制が不十分じゃないか、こういうことを一体どう考えているかということでございますが、御案内のとおり、全体の国立試験研究機関の体制は十分とはいえませんけれども、御指摘のような分野の体制の問題につきましては、たとえば建設省は現場を持っておりますし、相当な技術者がおられるし、何もこの研究所自体だけではなしに、そういったような公共事業をやるような分野がございますし、そういった総力をあげれば、いま先生の御指摘のような問題につきまして相当強力に進み得るような体制が整えられるのではないかというような見方をしておるわけでございます。現状として、実際になさっている人間は、先生の御指摘のとおりであると私どもは考えておるわけでございます。
#100
○瀬崎委員 私が聞いたのは、そういう現状は、所管していらっしゃる各省からすでに話が出たわけですよ。その結果が現在のような水準になおとどまる。それから、環境基準の調査の問題、富栄養化の問題につきましても、もちろんそういう基準をつくるのは、社会的な要因だとか政治的な要因も加えて考えなければいかぬから、これは環境庁がお考えいただく問題だけれども、とにかく燐や窒素を含めた富栄養化のメカニズムとかあるいはその度合いの調査というものは、純粋に科学的に行なわれるべきものなんです。そういうことについて環境庁がやっていらっしゃるが、実は建設省も近畿地建が京大に依頼してやったりもしている。それは各方面でやられていいと思うけれども、せっかくのそういう専門学者の研究の成果を何らかの形で交流し、あるいはこういう問題はいろいろ違った結果が出てくるのですが、そういうものについて、最終的に正しい科学的判断をどこかでつけるということが必要で、そういう点ができればほんとうのプロジェクトチームということになるのではないかという点では、そういう科学的技術という側面から見て、長官がひとつこういう段階で乗り出そうというふうな考えでもお持ちになれば、さらにこの前進のテンポが早くなる性質の技術開発の問題じゃないか、こう申し上げているわけです。いかがでしょうか。
#101
○前田国務大臣 先刻来瀬崎先生から、琵琶湖の問題、下水道の問題、非常に詳しい御説明を私もずっと拝聴しておりまして、全く同感でございます。
 ただ、現在の行政機構というものが、各省庁それぞれの研究機関を持っておりまして、それぞれの縦割りでやっているわけです。それに関連しましては、環境問題という点に目標をしぼりまして、あるいは環境庁がやっておる、科学技術庁も総合行政官庁である、その辺でどういうところに線を引くべきであるかという現実の問題が実はあるのです。そういうなわ張りの問題であるとか――そんなことは別にやっておるひまはなくて、われわれはもっと早く問題に取り組まなければならぬ。役所の組織というものは、どうも人に譲ってみたり、また取り合いしてみたりいろいろするものでありますが、そういうことにこだわらないで、とにかく、それこそ科学技術の面については、科学技術庁が総合行政の総合調整をする官庁という本来の立場に立ちまして、私はこういう問題にも実はちょっかい出しにいきたいという――ちょっかいというと失礼でありますが、ぜひ私はしたいという姿勢であります。
 しかし、なかなか、具体的なケース、ケースによりましては、いやこれはもう私のほうでというか、十分それはやっているというものを、われわれが各省庁にまたがってあるいは調整がとれないというときはわれわれも乗り出すのでありますが、その点、すべてもう科学技術だから、私のほうで何もかもみんな調整しましょうという、それだけの能力もわれわれにはございませんし、人員もございませんけれども、とにかく総合調整機能というもの、そういう何か問題がある場合は、私も別に、そういう各省庁の権限とかなわ張りにこだわらぬで乗り出してみたいと思いますので、いまの問題もよく一ぺん――私、実はあまり詳しく知りません、はっきり言いまして。もっと突っ込んで、どういう点が隘路があるのかということを研究しまして――ただ調査検討中でございます、検討検討ばかり言って、そのうちにだんだん水がきたなくなっていってはいけませんから、その点をさらに勉強したいと思います。
#102
○瀬崎委員 特調費で、四十七年度から四十九年度の研究年度で行なわれている都市排水の質的制御システムに関する総合研究というのが科学技術庁にありますね。この研究テーマの内容なり研究対象になっている地域なりについて、これはごく簡単にちょっと説明してください。
#103
○千葉政府委員 内容でございますが、これを実施いたしますのは厚生省の国立公衆衛生院、三カ年計画で四十七年から四十九年にまたがりまして、総額で六、七千万かと思います。さらに大学の先生方も入ります。それから建設省の近畿地方建設局の専門の方々が入りまして、そのやります内容は、微量有害物質の効果的な除去の方法に関する研究、微量有害物質の除去の装置の実用性、それから経済性に関する研究、それから三番目が自然浄化作用の微量有害物質の除去能力に関する研究、四番目が都市の排水の高度利用システムに関する研究ということでございまして、この対象といたしましては、淀川を対象としているわけでございます。これは一つの川の自然の浄化する作用を利用いたしまして、それでこれが実際にどの程度の効力があるかというものを中心にして、その微量有害物質の効果的な除去の全体のシステムをひとつ見当をつけてみようという趣旨でございます。
#104
○瀬崎委員 これは、私も担当課長に内容の説明を求めたのです。そういうふうな内容の研究をやるんだったら、なぜ思い切ってより根本的に――要は、これもやはり近畿全体の水確保ということが一つの対象になっていると思うのですよ。そういう見地から、琵琶湖、淀川水系全体について、全分野を含めた、つまり窒素、燐はもちろんのこと、重金属汚染等も含めた水質調査、それから汚染のメカニズム、都市排水も含めて、全体としての汚染防止及び水質保全の科学的な対策というふうなことで、総合研究らしいテーマにしてやられなかったんだろうかと思うんです。ほんまにその一部分ピンセットで引っぱり出したようなところだけやって――六、七千万は小さい金であり、また血税でもあるわけです。そういう点では私は、これはテーマの設定として、しろうと考えにもどうかなという気がするんです。そういう点で長官、こういう点は少し考えられたほうがいいんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
#105
○前田国務大臣 ただいま瀬崎先生御指摘の、淀川だけちょっとピンセットで引っぱって、あと琵琶湖のほうは忘れておる、そういう点も単なる御例示だと思いますけれども、その点はテーマの設定のしかたも私まずいと思います、率直に言って。取り上げる以上は、もう少し広く取り上げたらどうかという御指摘だろうと思いますが、その点は積極的に検討してみたいと思います。
#106
○瀬崎委員 京都の排水を浄化してまた大阪のほうで利用するような、何かそんなメカニズムの研究とかを聞いたのですけれども、しかし淀川の自然浄化作用ということになりますと、淀川に流れている流量その他がものすごく影響するわけなんですね。そうなってくると、いま御承知のように、琵琶湖の場合は琵琶湖総合開発特別措置法によって下流への放流を毎秒四十トンふやしていく、それに伴って琵琶湖の水位は一・五メートルまで下げ得る、こういうふうな事業が着手されているわけなんですが、こういうふうな大幅な水位低下が、琵琶湖の水質、それから生物、地下水、地質等にどういうふうな影響を与えてくるのか、そういうことをすることが淀川本流に対してどういうふうな影響をかもし出すのかというふうなことが、私の知っている限りでは、政府が責任もってやったというふうに聞いていないわけなんです。長官はお聞き及びかどうか、それもお尋ねしたいし、あるいは建設省のほうにもお尋ねをしておきたいと思うのです。
 そういうことを抜きにして、いまの話です。ごく一部分、京都の排水の自然浄化作用を研究してみたって、これはちょっと主客転倒のような感じがするわけですね。どうでしょう。
#107
○千葉政府委員 実は、川の浄化作用は、何も淀川だけの話ではないわけでございまして、これは、日本じゅうにこれが応用できるというところに意義がございまして、必ずしもこれを、琵琶湖一円からずっと大阪湾にかけての全体の調査研究をしたほうがこれよりもはるかにいいという点は、ちょっとそれだけからは言えないと思うのです、価値判断は。たとえば多摩川で、ある一定の区間に限って、それに淀川での研究をアプライすることはできるでしょうし、ほかの川におきましてもいろいろアプライできるという考え方で、これはどっちかといいますと、学問的、技術的、科学的な観点から、いわゆる川の一定量の流量と水質、その他物理的ないろいろな条件、そういったような条件がこうだとこの程度の自浄作用があって、それがどういうふうに利用できるかというような点が明確化されるわけでございまして、これ自身は相当な――相当なと申しますか、きわめて重要な研究だと思います。また、先生のおっしゃるような、非常に広地域についての水のいろいろな流れ、それと汚染との関連、こういったようなものを地域別に、霞ケ浦の辺とか琵琶湖の辺とか、そういったような、大きく取り上げての総合的な研究という点も、これも私はきわめて重要な研究であろうと認識しておるところでございまして、環境庁が、いわゆる公害防止等の調査研究費で琵琶湖、霞ケ浦、それから児島湖、これは岡山県でございます。あと鳥取県の東郷湖、栃木県の湯ノ湖、この五カ所についての湖沼の富栄養塩類収支調査費をもちまして調査をやろうとしております。こういったものを踏まえまして、出てきたいろいろな結果によりまして、関係各省ともいろいろ打ち合わせしまして、大臣がお答えしましたように、積極的な姿勢で、どうやってどういった点を研究していったらいいかという点を見きわめまして、取り上げたらいかがかというように考えています。
#108
○瀬崎委員 一つ答弁が抜けているのですが、私がいまお尋ねしている中には、特別措置法がつくられる段階で、水位の一・五メートル低下というふうなものが琵琶湖の汚染その他にどういう影響を与えるのか、琵琶湖の汚染はそれこそ都市排水の制御どころの騒ぎではない大きい影響を与えるわけですね。そういうことが十分調査をなされた上でのことなのかどうか、そういうことをお聞きかどうかという点をお答えをいただきたいことと、いま一つは、阪神地帯の水不足を琵琶湖の水位低下でカバーしようという考え方そのものに対して、学者によっては、そういう水位低下をしなくても対策はあると言っている方もあるわけですね。きょうはそういうことを論議するつもりはありませんので、ごく簡単にその主張を申し上げますと、琵琶湖から淀川に流れている水の量は毎秒百六十八トン、その他の河川から流れているのが百四十九トン、合わせて淀川全体の流量は毎秒三百十七トン。このうち大阪、兵庫が利用している水量は、河川維持用水の七十トンを含めて毎秒百六十二・七トン。したがって、あとの百五十四・三トンは、無効水量としてこれは洪水なんかのときにどおっと大阪湾に流れている、約半分はむだな水として流れているというふうな、これは一見信頼すべき統計資料もあるわけなんです。ですから、この無効水量百五十四トン毎秒の有効な利用の道を講ずる。それには、淀川水系全体にわたって、これは琵琶湖も含むでしょうが、より有効な貯水対策あるいは治山治水の対策等で技術改善が進むということ、あるいは琵琶湖も含め、淀川水系全体の河川の水質がうんとよくなれば、毎秒七十トンもの河川維持用水が要らなくなる、もっと少なくていいということも言えるという点で、もっと総合的な研究をそれこそやってみるべきではないかという意見があるわけです。ですから、そういう点では、政府機関だけじゃなしに、民間あるいは各大学などのいろいろな専門学者の意見なども集約するような形で、こういう問題をひとつ、ああいうとりあえずの何か一部分の調査をやっておられるわけですから、今後科学技術庁あたりで考えて、大型プロジェクトでやっていただけないかなと思うのですが、いかがでしょう。
#109
○千葉政府委員 ただいまの御指摘の問題でございますが、非常に重要な研究課題だと思います。しかもこれは、御指摘のとおり非常に各方面にわたっておりますので、環境、それから直接御担当の建設あたりの基本的な問題でもございますので、十分前向きに、国民的な要請を的確に把握いたしまして、それで今後の研究のあり方をどうしたらいいかという点を十分検討してまいりたい、かように考えております。
#110
○瀬崎委員 また答弁が抜けているのですが、琵琶湖総合開発特別措置法がつくられる以前の時点で、そういうふうな調査が曲がりなりにも行なわれたというふうなことは聞いていらっしゃいますか。
#111
○千葉政府委員 存じておりません。
#112
○瀬崎委員 ぜひこれは報告を求めて、必要があればいまの局長の答弁どおりやっていただきたいと思うのです。
 大臣の所信表明の中にこういうことがあるのです。国土管理技術、こういうものの開発推進が必要というふうにおっしゃっています。この国土管理技術という概念を、私は私なりにとって、いま申し上げたようなこと、こういうことを言っていらっしゃるのかなと思ったのですが、そういう理解でいいのですか。
#113
○千葉政府委員 この国土管理技術というのは非常に新しい概念でございますので、人人によりましてこれの概念が違っているかと思うのです。従来、国土の開発に伴います環境破壊の問題がいろいろ問題になってきております。それで今後は、この国土の保全について万全を期しながら国土の開発を行なうということが必要になってきたわけでございます。このために、国土と環境とを一体として把握して管理する、こういったような技術の開発が最近非常に必要になってきた、そういったような概念でございまして、それでは具体的にはさしあたり一体どういうことがあるのかという点でございますが、陸上及び海上におきますいろいろな自然現象、動植物の生態とか、汚染の状況とか、こういったものを立体的かつ広域的、連続的に測定するような技術の開発がいま必要であります。これにつきましては、いわゆるリモートセンシングの技術などを活用いたしまして把握するというふうなことができるようになってきましたので、こういった点が具体的な技術のポイントになるかと思います。
#114
○瀬崎委員 私の理解とそう大差はないように思うのです。いまいろいろと提起いたしました琵琶湖、淀川水系全体について、それこそ総合的に立体的に一ぺん手始めにやっていただきたいと思うのです。瀬戸内海の問題もそういう概念の一つのようにも思えるのですが、その瀬戸内海問題については、環境庁が中心になって瀬戸内海環境保全対策推進会議が設置されておりますね。もちろんこれには科学技術庁も委員として入っていらっしゃるようです。ですから、その内容等については大体御存じだと思うのです。これはもちろん最終結論をまだ出してはいないわけなんですけれども、中間報告によれば「このような大規模な調査は、全くわが国で初めての試み」だと自画自賛されながら、しかしこういう点に留意して報告を見てほしいという注釈もついております。「一時点における瀬戸内海の水質汚染状況を把えたものである点、留意しておく必要がある。」ところが、そういうふうな条件つきですらこう言っていますね。「瀬戸内海の水質は臨海工業地帯および都市の地先海域にとどまらず広く汚濁が進んでいることである。とくに大阪湾、播磨灘を中心とする水質汚濁の規模は予想以上でC類型(漁業環境として望ましくない)すなわちCOD三PPMを上まわる地域がその大半を占めていることである。」という警告があるのです。全体を目を通していらっしゃるかどうか知りませんけれども、こういう中間報告の全体をながめて、さてこういう推進会議というものがつくられたことによって、ほんとうに瀬戸内海の汚染の状況なり、あるいは汚染に至るメカニズムなり、あるいはそれに対する科学的対策なりがほんとうに緊急に打ち立てられ得るとこの報告を見ていいのか。それとも、こういうふうな推進会議のような形だけでは、とてもじゃないが追いつかないというふうに、この報告を評価すべきなのか。そういう点はどうでしょう。これは主として科学技術庁の立場から見て――環境庁も答えてください。両方お願いします。
#115
○太田説明員 ただいまの中間報告につきましての御質問でございますが、確かに非常に汚染が進んでおります。そこで私どもは、昨今瀬戸内海の浄化に関する議員立法等を各党で御検討の由も伺っております。で、私どもといたしましては、その推進会議の場で瀬戸内海汚染対策のマスタープランを早急につくろう、かように考えておるわけです。
 実は、三木長官から事務局に指示がございまして、四十九年度を初年度といたしまして、年次的に五カ年ぐらいで、高度成長経済以前と申しますから昭和三十五年度になるかと思いますが、三十五年度までの水質に戻すためにひとつ具体案をつくれというような指示がございまして、現在、先ほど申し上げました瀬戸内海の広域の一斉調査のデータ、それから本年度行ないます補足調査、それからシミュレーションによります、流入汚濁量と水質との関係のシミュレーションの作製、そういったことで一つの具体的な案を立てたい、かように考えております。
#116
○瀬崎委員 この瀬戸内海の問題に対する政策を一歩誤れば、これは田中内閣の命取りとは言わぬまでも、重大な汚点になることば事実だから、環境庁長官がこのマスタープランのしりをたたかれるのは、それは政治的意味からいえばあるいは当然かもわからぬのですけれども、しかし私が見ている範囲内の中間報告で、はたして政治的配慮からきたマスタープランをつくり得るだけの科学的資料が一体そろっているかどうかという点について、非常に疑問を感ずるわけなんです。特に、そういうマスタープランをつくる上で必要な調査の課題とか当面の対策を、四十六年十二月二十一日の各分科会中間報告でまとめられたんじゃないかと思うのです。
 一例をあげれば、「当面実施すべき対策」の中には「昭和四十八年度を目途に、赤潮発生の予察および防除抑制技術の開発に研究成果が得られるよう措置することとする。」こういうふうにも出ておりますし、また「し尿処理施設の整備促進を図る」として富栄養化問題がここにも出てきて、この三次処理技術は当然早く実施をせなければいかぬと出ているわけです。時間がありませんから一々読み上げませんけれども、その二、三引き抜いただけでも、どうですか、科学的に決定的な成果は得られているのですか。
#117
○太田説明員 実は、四十六年度からそういった調査研究が始まりまして、四十七年度の中間レポートを待つというような段階にあるわけでございます。
 そこで、一応逐次、たとえば一斉調査をやりました資料等によりますと、流入負荷量と水質の関係が一部明らかになっておりますし、瀬戸内海に注ぎます窒素量、燐量等も一応一時点においては把握してございます。しかし、最終的にどうするかという問題は、いわゆる経年変化、具体的に申しますと、環境容量を定めましてその範囲内に汚濁量を押えないと実は浄化されないわけでございます。ところが、その環境容量という概念が、まあ非常にまだ新しい概念で、実はできておりません。しかし、逐次時々刻々得られますデータにのっとりましてできるだけ早い機会に、その計画、マスタープランを立てよう、実はかように考えております。また、ちゃんとしたマスタープラン、非常に長期的な――五カ年という短期的なものでございませんで、長期的な問題と別にいたしまして、実は先ほど申し上げました四十九年度を初年度とする五カ年計画的なものを、これは目的は高度成長経済の前までの水質に戻す計画でございますが、そういった具体的な案を、実は可及的すみやかにと申しますか、できれば夏ごろまでに、かように考えておる次第でございます。
#118
○瀬崎委員 私が言っているのは、社会的な要因もいろいろ含めた対策、政策を立てるには、まず基礎に科学的な調査とか科学的な対策というものがなければつくれないじゃないか。結局は非常に主観的な政策にならざるを得ないと思うんですよ。そういうふうな点で現在のこういう推進会議のやっているようなことだけでは追いつかないような気がする。こういう点を問いただしているわけなんです。これは科学技術庁も知らぬ顔できないのです。いまの特調費の対象になっている研究課題の一つに、汚染物質の環境生態系に及ぼす影響に関する研究がある。これは例の赤潮なんかを研究しているようですね。これは一体いまの環境庁のマスタープランなんかに間に合うような調査が進んでいるのですか。
#119
○千葉政府委員 実は、先生御指摘のような問題につきましては、もう四十二年ごろから赤潮問題については科学技術庁が手をつけまして、そのメカニズムの発見と申しますか、こういったものには非常にお役に立ったと思っております。実は、いま先生の御指摘のテーマにつきましては、環境庁ができたときに移管をしまして環境庁でおやりになっておる、こういうような状況でございます。
#120
○川口説明員 ただいま先生御指摘の研究につきましては、科学技術庁のほうから移しかえになりました特調費をもとにいたしまして、昭和四十六年度から赤潮研究としてやっておるわけでございます。
 先ほど来お話の出ております富栄養化問題につきまして、特に予察技術であるとか、あるいは魚介類の被害機構であるとか、そういうメカニズムの解明等につきましては、きわめて積極的に、農林省あるいは運輸省の水路部等におきまして、各大学機関等の協力も得まして、相当その成果と申しますかその研究が逐次煮詰まっておる状況でございまして、特に昨年、昭和四十七年度の研究成果につきまして、三月に私どものところで、各研究機関から集まっていただきまして、いままでの段階で何がわかったかということをみんなで検討し合ったのでございます。
 その一例として申し上げますと、赤潮の中の最近特に数の多いミドリムシにつきましては、その斃死機構がどこにあるかということで、いろいろ酸欠の問題であるとか、従来いわれておりますえらに赤潮が詰まりまして窒息死するのではないか、あるいは化学的に赤潮の毒性のために魚介類が死ぬのじゃなかろうか、いろいろそういう面について研究しました結果、ミドリムシにつきましては、いわゆる窒息死によるものである。一口に言いますと赤潮による窒息が主因である。もう一つは、赤潮の近辺におきましては魚の呼吸が非常に速くなりまして、いわゆる酸欠状態になるというようなこともございます。逐次そういういままでの斃死機構につきましても解明されつつあります。
 ただ、赤潮の種類もいろいろございますので、最近特に多い赤潮の種類につきまして、それのもたらす被害というようなこと、あるいは今後の防止技術の関係にいたしましても、燐、窒素をいかにして除去するか。この場合に藻類を植えまして、それによって燐、窒素を吸収する。最近の研究結果によりますとオゴノリという種類の藻類が非常に燐、窒素を吸収し、これによって相当除去できるのじゃなかろうかというような成果も出ておる状況でございまして、逐次われわれとしましては、この研究の成果を踏まえまして、積極的に瀬戸内海等富栄養化対策に資したい、このように考えておる次第でございます。
#121
○瀬崎委員 私どもその道の専門家でもないし、また専門家にいまからなれるわけでもないのですが、要は、瀬戸内海全体の環境を保全していくにあたって、政策を打ち出さなければならないのだけれども、その裏づけになるような科学技術の調査なり技術開発が間に合っていくような体制になっているのかどうか。そういう点を聞いているわけなんです。だから、赤潮そのものについて、こうすれば赤潮というものは防ぎ得るのだという政策を出す前提の調査は一体どの程度の水準かというふうにお聞きしているわけなんです。ですから、いろいろ個々にはそういう成果はあがっているでしょうけれども、全体として、じゃ赤潮はきっぱり防止できる対策が、さっき今年の夏ごろまでにマスタープランを立てるとおっしゃったが、問に合うのですか、こういうことになるのです、いかがでしょう。
#122
○太田説明員 お答えの中で最初にちょっとお断わりいたしたいのですが、マスタープランというのは長期な問題でございまして、それはちょっと夏までには間に合いません。私、夏ごろまでにやりたいと申し上げましたのは、実は高度成長経済の以前、昭和三十五年度の水質に五カ年くらいかけて戻す具体的な案をつくりたいというふうに申し上げた次第でございます。
 問題は、その赤潮も含めまして、瀬戸内海の水質を早急にやるために、いろいろな技術の開発状況とか、それから今後の発展はいかがかというふうな御質問でございますが、確かに瀬戸内海の汚濁機構の技術と申しますか、それに関するデータがきわめて少ないわけでございます。私の承知している限りでは、いろいろな具体的な数字を伴って出てまいっているのは中国地方経済連合会が出しました昭和四十四年の数字を承知しておりますが、それと、やはり総合的な数字といたしましては、先ほど申し上げました四十七年度に行ないました瀬戸内海の一斉調査による数字きり実は持ってないわけです。これは、瀬戸内海全体の汚濁流入量と水質の関係、窒素量、燐量との関係、そういったものでございます。四十七年度に四回やりましたわけでございまして、そのうち実は二回の中間のデータきり持っておりません。四回やりましたデータも、夏ごろまでにまとめまして、先ほど申し上げました瀬戸内海浄化の具体的な計画の中に織り込むべく現在解析中ということでございます。
#123
○瀬崎委員 大体いまの答えでおわかりになったと思うのですね、瀬戸内海に対してどの程度の科学技術的な調査なり開発が進んでいるかという問題は。だからここで重要な問題が浮かび上がってくると思うのです。
 一つは、高度成長以前の三十五年度基準にとりあえず戻すのだと言われるけれども、それだったらこういう問題はどうなるんだろうかということです。山口県だけをとっても、昭和六十年までに約二百万平方メートルの新規の埋め立て計画がいまなされているのです。これの中身は新全総の周防灘総合開発計画、これは県のプランです。それから、四十七年二月に同じく県が出した第二次県政振興長期展望による埋め立て。さらに工業再配置を見込んで民間が宇部、小野田等々で埋め立てるあるいは埋め立て予定、こういうものを合わすとそのくらいの数字になるのです。これが、瀬戸内海の、それでなくても時々刻々ひどくなりつつある汚染にどういう影響を与えるのか。だから、ほんとうに三十五年以前の状態に戻すということが実際にきまっているのだったら、順序としては、まず環境保全という立場からそういう埋め立てをやったら、これが水質にどういうふうな影響を与えるかという科学者の検討を受けて、その結果が出た上で、埋め立ての計画というものはどの程度にするか、やめるのかするのか、これが順序ではないかと思うのです。こういうような点は、私はそれこそちょっと長官に御意見を承りたいところですね。
#124
○千葉政府委員 いま御指摘の点はまことにごもっともな点だと思います。要するに、埋め立てを瀬戸内海でやる場合、これをもっと科学的によく調べて、それで環境その他にどういうふうな影響があるかという点を見きわめてからやるべきだという御指摘でございますが、こういった点につきましては、御趣旨ごもっともと思いますが、これは環境庁がそういった点を総合的に調査するということに政府部内の所管の関係からなっておりますから、環境庁のほうから答弁があると思います。
#125
○瀬崎委員 私の見ている資料にはそういうふうなことに対する検討事項がないわけなんです。だからいまお聞きしたのです。いかがですか。
#126
○太田説明員 ただいま御指摘の問題は非常に大きな問題で、実は私がお答えするのが適当かどうかわかりませんですが、確かにその埋め立てが一番大きな汚染の原因に過去にはなっておったわけです。今後ともなるだろうと思います。そこで、常々環境庁長官がいろいろな機会に表明しているところを繰り返すようになろうかと思いますけれども、そういった公有水面の埋立法の改正に伴いまして、環境庁長官の協議の事項を入れるというような問題、それから一般的に環境庁の姿勢といたしましては、新規の埋め立てにつきましては非常にきびしい態度で臨むというふうな問題、そういったことのあらわれが、実は二月十四日でございましたか、環境庁長官が瀬戸内海関係の十一府県知事並びに、三政令市長を招集いたしまして、環境庁の瀬戸内海水質保全に関する十項目にわたります考え方を披瀝した次第でございます。
#127
○瀬崎委員 私は、おたくの回答できる範囲は心得ておりますから、大臣のかわりの回答を求めようというのじゃないのです。ただ、そういうふうな埋め立てに対するきびしい規制を行なう前提条件として、埋め立てた場合にこういうことになるのだぞというきわめて厳密な、正確な、科学的な結果が出ておれば、これはいかにもうけのためとはいえ、あえてそういう反社会的な行為は科学的結論を押してはできにくくなるわけです。だから、そういう点では埋め立てと汚染との関係について科学的な調査が十分なのか、こういう点を、これは環境庁でも科学技術庁でもどっちでも答えられる問題なんですね。いかがでしょう。
#128
○前田国務大臣 ただいまの先生の御指摘の点は、私は全く痛いところをおつきになったというふうに考えます。この点につきましては、別に逃げるわけではございませんけれども、現在環境庁が中心になって御検討いただくものだと考えております。しかし、別にそういう所管を言うのじゃなくて、私も環境庁長官等にも私どもの責任においてそういう意見を申し上げて、こういう埋め立てと汚染との関係というものを、単にわれわれの感じで言うのじゃなくて、科学的な根拠があれば非常に強いものだと思いますので、その点、私のほうとしてはそのように検討したいと考えております。
#129
○川口説明員 環境庁の一括計上の中で、瀬戸内海の環境保全に関する総合研究というのを四十八年度にいたしておりますが、その前提となります通産省の中国工業試験所におきまして、瀬戸内海の水理模型、長さ二百三十メートル、幅百メートルの世界一の水槽をいま建設中でございまして、四月あるいは五月に完成する見込みでございます。経費も十数億かけて三カ年で建設されたわけでございますが、四十八年度からはこれをフルに使いまして、まず瀬戸内海の海況その他、シミュレーションを行なわなければなりません。事前の準備も相当かかると思いますけれども、今後の埋め立てその他の問題につきましても、もちろん前向きにこの水理模型を使いまして拡散実験その他をやることによって、科学的なデータが出るものというふうにわれわれは期待しておる次第でございます。
#130
○瀬崎委員 私は、通産省のやることについてここでとやかく言おうと思わないのですけれども、はたしてそういう体制で、この埋め立てと汚染との科学的な因果関係というものについて、政治的な一切の考慮なしに結果が生まれるかどうかという点については、私なりの考えはあるわけなんです。時間もありませんから、それだけ申し上げておきます。
 その点で、いろいろ出てくる問題を総合して、ほんとうに瀬戸内海の環境保全が進められるような科学的調査研究というものを進める体制としては、いま行なわれている推進会議のような中で、分科会が四つほどつくられてやるというだけでいいのかどうかという点で、わりと正しい指摘をしていると思うのです。十二月十七日に環境庁が出しております第二分科会の中間報告ですね。これはちょっと長い文章ですが、読んでみますと、「瀬戸内海の水質汚濁問題は、瀬戸内海が内海という特殊環境にあるため、その汚染を局地的な問題として把えるべきでなく広域的な汚染問題として処理していかなければならない。しかし、瀬戸内海の調査は従来東京湾および大阪湾等で手がけてきた単位では考えられない超大型プロジェクトであり、かつその汚濁メカニズムは、内海の潮流、降雨状況、風向、地形、外洋の黒潮の状況等数多くの条件によって支配され、極めて複雑なパターンを示し、その調査研究は技術的に多くの解決困難な問題点を有するため、長期的な視点に立ち、種々の角度から検討を行なっていかなければならないといえよう。そのため、各省庁により、水質汚濁の実態究明およびメカニズム解明の調査研究が立案され、科学的な手法による検討が進められてきたところである。これらの調査研究は、それぞれ瀬戸内海の水質汚濁メカニズムの解明に有効なものであるが、個々ばらばらに行なわれたのでは、効率的な運営が期し難いと考えられるので、」「有機的な連けいを保たせつつ有意義かつ効果的な調査研究の推進を図ることとする。」こうなっておる。これはまさにそのとおりだと思うのです。
 問題は、この推進会議の構成がそれにこたえているかどうかというふうな点について考える必要があると思う。確かに、環境庁が中心になって――先ほど言いましたような、科学的な面だけで考えられない社会的要素がいろいろあります。そういう点については、それなりに環境庁中心に考慮されたらいいけれども、そういう考慮をする必要のない科学技術者の集団で行なう科学技術的な調査については、やはり長官が一ぺん、意見も出しながら、また出せる権限もあるんだから、考えていただきたいと思います。
 いまの推進会議のメンバーを見ますと、議長でしたか副議長でしたかね、それから委員、全部各省庁のえらいさんばっかりが並んでいるわけですね。科学技術者というのは全然顔を出していないわけです。その下にいらっしゃるんでしょうけれども、それにしたかてどの程度――瀬戸内海の問題についていままで研究してこられた学者なり関心のある学者なりを結集し得ているかどうかという点になったら疑問だし、地方自治体の総力が集められているかどうかも疑問だし、あるいは報道関係の人たちの中でも相当これを研究している人もあるというふうな点で、ほんとうに研究を進めようというのなら、いま一度そこらを検討し直される必要があるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。これは科学技術的な側面についてのお答えでけっこうです。
#131
○前田国務大臣 いまの推進会議は役に立っていないじゃないか、こんな機構では能率があがらぬというふうな御指摘だろうと思いますが、私もその推進会議のメンバーはいまちょっとわかりませんけれども、ほんとうにそういう会議が、ただ看板だけあってあんまり能率のあがらぬ場合もあるわけでありまして、はたして、一体全体、推進会議はどの程度の効果をあげておるかという点を、私も私なりに一ぺんよく検討して――そんな、ただおざなりの会議では意味がありません。また、ばらばらであっても意味がない。あくまでも科学的でなければいかぬという点は私も同感でありますので、この場で明快にお答えはできないかもしれませんけれども、御趣旨を体してよく検討したいと考えます。
#132
○瀬崎委員 最後に。その際つけ加えていただきたい点は、瀬戸内海に生活を託している地域住民が一番よく現状を知っていると思うのです。あっ、魚が死んだ、たいへんだ、何が原因だろう――そこはわからないにしても、そういうふうな住民のなまの声が反映するような構成ですね、研究体制というものも大いに考えていただきたい。それから大臣には、総合官庁として、勧告権だとか、また勧告して報告を求めるとか、総理大臣にも意見が言えるというふうな非常に大きな権限が与えられていますね。ですから、ぜひそういう権限を駆使されまして、いまここで具体的な回答はされなかったけれども、後日そういう具体的な施策が行なわれるであろうということを私は期待して、質問を終わります。
#133
○原(茂)委員長代理 近江巳記夫君。
#134
○近江委員 きょうはだいぶん時間もおそうございますので、何点かお聞きしたいと思うのですが、一点だけお伺いしまして、あとはあすの委員会にしたいと思います。
 そこで、お聞きしたいのは、嶋崎委員のほうからもお話がございましたが、長官は放出ゼロというすばらしい考えを発表されたわけでございます。この新聞報道でいきますと、東海村の原子力核燃料再処理工場から放出される放射性廃棄物をゼロにする、そういう技術開発に全力を尽くすということが大きく報道されたわけであります。先ほどいろいろ質疑がございましたので重複するかと思いますけれども、その点、重ねるようで恐縮ですが、もう一度お聞きしたいと思うのです。
 長官としては、この発言をされたことは事実なんですね。それと、こうした発言をされたその背景ですね、また基本的な認識についてお伺いしたいと思うわけです。
#135
○前田国務大臣 お答え申し上げます。
 ただいまの御指摘の点でございますが、先ほど嶋崎先生の御質疑に対して御答弁をいたしましたけれども、そういう意味の発言をしたことは事実でございます。ただ、その表現のしかたにおいて、やはり新聞としての表現もございましょうから、そういう表現をされたという点もあるかと思いますけれども、そういうことを話したことは事実でございます。
 その背景でございますが、特に私は、別にその考え方がにわかに急角度に私の頭の中で方向変更したという意味ではございません。けれども私は、もちろん昨年十二月二十二日、私が着任いたしましたときよりは私の考え方は非常に変わっております。
 二十二日に着任いたしましたときは、もちろんずぶのしろうとでありますから、ただほんとうに白紙に字を書くような姿で実は着任をいたしました。しかし、その後いろいろ勉強し、あるいは研究し、あるいは世論の動向、あるいは学者の勉強等の意見を拝聴いたしまして、私は、原子力行政というものが非常に重要である、安全の上にも安全をはからなければいけない。もちろん、安全という点は、これまでの行政においても十分配慮されておることは事実でございます。しかしながら、それだけでは決して十分とはいえない。目標はゼロに向かって進めなければいけない。しかもそのスピードは、できるだけ早く進めなければいけないということを、だんだん、ますます私の意識のうちに強くなってきたということを背景としては申し上げたいと思います。
#136
○近江委員 いままでの何人かの長官も私知っておりますが、長官のそういう姿勢というのはかつてない非常にいい姿勢だと私思いますし、それは政治的な単なるアドバルーンであってはならないと思うんです。
 そこで、あくまで大臣は、これは最高の立場におられる人でありますし、それでまた大きく報道されたわけでありますし、国民は、全部その方向に行くんだということで非常にみな喜んでいるわけですね。そういう点において、やはりゼロに向かってのそういう真剣な努力を重ねていかなければならぬと思うわけです。この再処理工場は、昭和四十四年に原子力委員会の安全審査を受けておるわけでございますが、このゼロにするという方向で、いよいよまた設計も変えなければならないし、技術開発も促進していかなければならない、こういうことになるわけですが、その放出の防止計画ですね、それについて原子力局長はさっそく着手の努力をしておりますか。
#137
○成田政府委員 東海の再処理工場は、昭和四十四年専門部会で安全審査の結果、安全であるというので許可が出ておりますが、先ほど言いましたように、アズ・ロー・アズ・プラクチカブルというICRPの基本的な考え方に従って、なるたけ放出レベルを下げる、そういう配慮で四十八年度の予算から気体廃棄物については、これはクリプトン85が中心でございますが、この除去のために一億七千万円の予算を計上し、またルテニウム等の廃液のレベルを下げるために、マル債として二億二千万円、現金として六千万円の予算を計上して、この廃液のレベルは大体〇・七キュリー・パー・デーというのが七分の一、〇・一、これは五十年一月の稼働に間に合うようにするという方針で、四十八年度からその低減化に着手したわけでございます。
#138
○近江委員 予算は、大体昨年末におきましてほぼきまってしまうわけでありまして、長官は、この目標ゼロということを発表されたわけですね。そうすると、やはりそこには相当大きなギャップがあるわけです。しかし、長官がおっしゃった以上は、ゼロに向かってのスタートを切らなければいけないと思うのです。そういう点で、いま局長がおっしゃったように、〇・七を〇・一にする。それから気体は何ぼになるのですか。大体いま八千キュリーということをわれわれは聞いておるわけですが、クリプトンの場合ですね、これはどのくらいまで下がるのですか。それからトリチウムは、あなたのその計画でいけばどうなるのですか。
#139
○成田政府委員 気体のクリプトン85、これはパー・デー八千キュリーでありまして、これについてはいろいろな方法によって各国とも研究をやっているわけでございますが、先ほどゼネラル・エレクトリックの工場の話もありましたが、これもまだ詳細、われわれほんとうにクリプトン85がゼロ放出になるのか、まだ実証を得ておらないところであります。したがいまして、溶媒を使ってクリプトン吸収とか、あるいは液化して吸収するとか、あるいは活性炭に吸着させる、いろいろな方法を動燃でいまやっておりますが、ただ、これがクリプトン85をどのぐらい回収できるかというのは、まだ技術的な自信を得ておらない。極力少なくするようにしようというのでいま馬力をかけてやっておるところでございます。
 それから、液体につきましては、先ほどのトリチウムを除いて〇・七キュリー、これは七分の一に下がる確信は得ております。ただ、トリチウムにつきましては、これはまだ技術的に十分な解明がなっておらないのでありまして、これから研究する問題だと思いますが、先ほども言いましたように、トリチウムというのは非常に人体に及ぼす影響が少ない。年間二千時間漁網を操作して漁業をやっても年間〇・〇八ミリレムほどの手に被曝影響する程度であるというようなデータも出ており、また水に溶けやすいので海産物等には蓄積、濃縮しない。そういう意味で、魚のシラスに一番その汚染――トリチウムの影響があるんじゃないか、一日二百グラム食べた場合どうだとか、そういう計算もやって、影響としては非常に少ないというような結果が出ております。
 ただ、これもそれでいいという考えでなくて、研究開発の方法が、着手して極力早くこの問題も解明したいというふうに考えておりますが、トリチウムにつきましてはいまのところ一番おくれている状態でございます。
#140
○近江委員 局長が第一線の長としてそうやって努力されていることについてはよくわかるし、なかなかたいへんだということもよくわかるわけです。しかし、この許容量以下の場合はやむを得ないという考え方というものがやはり前提に立っている。ところが、長官の場合は、国民的な要望に立ってゼロにするんだ、ここに大きな差があるわけですよ。ですから、そもそも予算の編成からスタートしている、それを基礎にして局長はいろいろ対策をいまとっているわけですが、それは、先ほど申し上げたように、許容量以下であればやむを得ないという立場に立たれているわけですね。ですからゼロという差は非常に大きいし、それをゼロに持ってこなければならぬわけです。そうするとやはり、いま局長がいろいろな対策をお述べになったけれども、それは当然さらに強力な施策を加えてゼロにする、それだけの戦いを展開しなけりゃいけないと思うんです。したがって、当然そのためには、私は補正予算の中へ入れても、これは国民は文句をいう人は一人もおらぬと思うんですよ。われわれ野党も全力をあげて応援しますよ、こういう点は。ですから、これは計画変更してもらわなければならぬわけです。いまのままであれば、これは決してゼロにはならぬわけでしょう。その点についてどうお考えですか。
#141
○成田政府委員 廃液についての問題は、見当がついて、クリプトンについてはいま研究を展開中である。ただ、トリチウムにつきましては、いろんな手法がまだ十分解明になっておらない。基礎的な研究がまだ十分でない。もしもこれが手法等が見当がつきますと、これは平和利用委託費、数億円のまとまった金もありますので、その中からテーマを選んで――予算上は、予算がないためにやれないということはないような仕組みになっておりますので、適当なそういう手法が見つかって、これを国として予算的に助成する必要があったら、平和利用委託費、あるいは動燃の予算の使用によって十分推進するたてまえになっておりますが、ただ、まだ基礎的な研究の段階の手法等が十分はっきりしないという点でございます。
#142
○近江委員 それは、確かに基礎的な手法とか、そういう点についてはいろいろ言う人があるわけです。幾ら金をつぎ込んでもらっても、それとはまた別だと言う人もあるわけですけれども、しかし、総力をあげるという力の入れ方ですね、これを総力戦に持っていったときには必ず効果が出てくるはずです。いまのような体制で、どれだけの手を打っているのか知らぬけれども、それで手法が見つからないという漫然としたことじゃならぬと思うのです。ですから、ゼロという目標に対して総力をあげなければならない。そのためには、いまのとっておられる体制であれば、これはもう絶対にゼロにはならぬわけですね。ですからこれは、さらに強力な体制をとる必要があると思うのです。これに対して、長官としてさらに追い打ちをかけて、あなたがおっしゃったそのことをほんとうに示していく。これはもう国民は拍手かっさいを送りますよ。もう前田長官の名前は歴史に残ると私は思うのです。これに対して、あなたもかけてもらわなければ困る。ですから今後、ただあなたの決意だけではなく、ほんとうにこれはやりますか。具体的にひとつおっしゃっていただきたいと思うのです。
#143
○前田国務大臣 先ほどの成田局長の答弁は、おそらく実務家としての答弁でありましたがために、あるいは少し熱意に欠けるというふうな御印象を受けられるかもしれないと思うのでありますが、われわれはよき技術を、ゼネラル・エレクトリックの技術といい、あるいは名古屋の原子力学会の学者の意見といい、そういうものを精力的に、よき技術をできるだけ発見していきたいという実は熱意に燃えて、私も事務当局に指示をいたしております。そうしてまた、そういう技術が見つかれば、一刻も早くそれを実現化するように、もう予算の問題じゃないと私は思っております。ただいま近江先生からも、補正予算でも何でもいいじゃないか、全くそのとおりであります。補正予算とかそういう金の問題ではないと私は思っておりまして、その点は十分に、単なるラッパに終わらぬように、今後原子力行政の上に生かしていきたいということを申し上げてお答えにかえたいと思います。
#144
○近江委員 長官の決意がそこまで固ければ、法律におきましても、ゼロにする、そこまで改正するという、そういう決意はありますか。
#145
○前田国務大臣 ただいまの法律を改正するかという御意見でございますけれども、法律改正は、これはやはり相当機が熟しまして、技術開発もでき、相当可能性があるようになってからこの基準というものはきめるべきであって、一応のめどでございますから、それをゼロということにしますと、おそらく何にもできないというふうなことにも相なるじゃないかと思います。しかし、原子力行政という目標は、あくまでもゼロという目標にして進軍――ちょっと言い過ぎますけれども、進んでいかなければいけないということで、単なる法律の基準というものをとりでとして安易に考えていくという姿勢は、われわれは厳に慎むべきであるというふうに考えております。
#146
○近江委員 あのマスキー法のように、何年以後はここまでしなければだめだ、要するに、五十年までにゼロにしなければ絶対に使わすことをさせない、そこまでの強力な長官命令を私は出すべきだと思いますね。そうするとやはり動燃だって必死になるし、成田局長も科学技術庁の総力をあげて取り組むと思うのです。その点どうですか、そこまで決意はありますか。
#147
○前田国務大臣 ゼロに向かってどういうプロジェクトといいますか、どういう長期計画で進んでいくべきであるかということを、実際私もそういう胸のすくような計画をつくりたいと思います。しかしこれは、私も全く残念でありますが、技術のほうはしろうとでありますので、ただその熱意に燃えて大いに督励して、私も実は田中内閣においてもこの問題を総理にも言おうと思っております。詳しく言うて、とにかく政治の姿勢として進もうじゃありませんかということを、内閣の方針として持っていきたい。これは、単なる自民党がどうだ、社会党がどうだという問題じゃないと思うのです。その意味においてどうぞひとつむしろ御声援をしていただきたいと思います。
#148
○近江委員 なまはんかな専門家ばかりが寄ってやっておりますと、どうしても現状に引っぱられてくる、そういう点で新しい感覚で長官がそれをおっしゃったということは、私は拍手かっさいだと思いますよ。もうわれわれは拍手かっさいして応援もしますし、それは自信を持ってもらっていいと思うのですよ。ただ、それをほんとうにゼロにしていくための戦いを展開してもらわないと、いまとえろう変わらない軌道の上を走っておって、これは行くところもわかっておるのですから、この軌道修正をしてもらわなければならぬわけですね。それはやっていただけますね。長官、もう一度くどいようですけれども……。
#149
○前田国務大臣 軌道修正というと、実はこのことばにこだわるわけではございませんけれども、修正といいますと、あるいは従来の軌道が非常に間違った軌道を歩んでいたのじゃないかということになりまして、私も現長官として歴代の長官の姿勢が間違っておったのじゃないかということになりますので、とにかくそういうゼロ目標に向かってその軌道を進んでいきたいということを申し上げます。
#150
○近江委員 それから、これは再処理工場の場合ですけれども、商業用原子力発電所の放出量、これも当然長官としては、ゼロにすべきであるということはもうお考えになっておると思うのですけれども、そういう考えに立っておられますね。
#151
○前田国務大臣 それは、再処理工場であろうと一般の発電所であろうと、その考え方においては同じでございます。アズ・ロー・アズ・プラクチカブルというのですか、そういう英語は言いたくありませんけれども、アズ・ローではなくて、できるだけゼロにするという、そういう気持ちでいきたいというふうに考えております。しかし、意欲は非常にあれどなかなか進んでいかないという、まどろっこしい気持ちはいたします。しかし、さればといって、じっと、もうこれで安全でありますという姿勢であれば、どうも原子力行政というものは現状で甘んじておるのじゃないかと言われて、国民の福祉というか安全を守る点においては欠けるところがあると思います。十分努力をしていきたいと思います。
#152
○近江委員 商業用原子力発電所のほかにも、たとえば最近どんどん使われておりますアイソトープですね、これなんかも水で薄めて流せばいいということをやっておるわけですけれども、これなんかも当然同じ考えでいかなければいけないと思うのですが、長官どう思いますか。
#153
○前田国務大臣 放射性物質といいましょうか、そういう問題についても同様でございまして、そういう点についてはたしか予算にも計上いたしまして研究もいたしております。研究もいたしておりますが、さらにその研究を推進していきたい。またアズ・ロー・アズ・プラクチカブルというのですか、そういう趣旨で、それをできるだけ早く進めるように今後の姿勢をとっていきたいと思います。
#154
○近江委員 ゼロにしていくためには、当然設計変更であるとかなんとかいう問題が起きてくると思うのですが、これについてはまた再許可というような形もとるわけですか。これはひとつ局長にお伺いしたいと思うのです。
#155
○成田政府委員 廃液のレベルを下げるために新しいプラントを隣接してつくるというふうに、ルテニウム等の廃液についてはそういう形になると思います。その場合は部分変更の形として規制法上の扱いになると思います。
#156
○近江委員 まあ、こういう放出ゼロというものは非常に大きな影響を与えておりますし、その科学技術庁の一挙手一投足を国民が見守っておるということです。ですから、それだけにさらに今後はひとつ力を入れていただきたいと思うのです。
 それから、仮想事故の評価ですけれども、原子炉につきまして、安全審査の点におきましてこの点が非常に過小にしか見ておらない。これを原研の元理事長も批判しておるわけですね。こういうような問題、あるいは再処理工場につきましても、こういう仮想事故の評価について、いままでどういうようにやってきたのですか。
 この再処理工場の問題と、それから原発大事故を無視しておる現在の安全審査のあり方について、どういう反省をしておるか、ひとつお聞きしたいと思います。
#157
○成田政府委員 原子炉の安全審査におきましては、技術的には、最悪の場合に考えられる重大事故の場合、それから仮想事故、これは技術的には考えられないような事故が万が一発生した場合にどうなるかという二つの事故を想定しまして、そして非居住区域あるいは低人口地帯としてその二つを原子力発電所の構内にとって、外には重大な影響のないようにという、非常に厳密な審査基準でやっておるわけであります。
 ただ、これにつきまして、前の原研の理事長の菊池正士博士が今度の名古屋大学における原子力学会に提出した論文によりますと、菊池先生のお考えは、原子力発電というのはエネルギー対策として、あるいは安全性の面からも、火力発電よりも非常に有利な条件にあるという前提で、原子力発電を推進していかないといけないという考えには立っておるわけであります。ただその原子力発電を進めていく場合に、やはり国民の理解と支持を得る必要があるので、そういう意味のパブリックアクセプタンスということばを使っておりますが、そういう国民の支持と認識を得るためには、この仮想事故でとっている事故確率というのは、やはりゼロに近いものになるだけしていく必要があると思いますが、ゼロにするということは、いろんな意味で非常に困難な事情にあるので、国民の不安をなくする意味で、いま仮想事故の重大事故の計算でやっておりますが、そういう国民の不安をなくして、パブリックアクセプタンスを得るために、原子力発電の規模を出力制限をする必要があるかないかという問題を提起して、原子力学会でそういう原子炉の発電規模について出力の制限をする必要があるかどうかという特別の委員会でもつくって検討したらいいんじゃないかということで、まあ菊池先生のお話は、原子力発電は火力発電以上に安全、環境上からも有利であるから進めないといけないが、ただ事故の解析において、国民の不安をなくする意味で、なるたけ確率をゼロに近いところへ考えると、原子力発電の規模の制限が必要であるかないかをいろいろ検討すべき必要があるのじゃないかという御趣旨だというふうに見ております。これについては、またいろいろわれわれとしても早急に検討して、従来の仮想事故というのは、ほんとうに考えられないような事故を考えてやっておりますが、さらにそれをきびしくする必要があるかどうかという問題、これは十分に慎重に検討してみたいと思っております。
#158
○近江委員 それで、いま原子力委員会は、原子力発電所の炉心が解け、中の放射性物質が外に放出される、いわゆる最大仮想事故はまず起こらないという立場をとって炉の安全審査をやってきたわけですね。だから、これに対して重大な警告を発しておられるわけですね。ですから、こういう考え方をいままで委員会がとってきたことを、科学技術庁長官が、こういう放射性廃棄物につきましてもゼロという、ゼロへの挑戦を一応されたわけです。ですから当然、こういう重大事故というものについては、ひとつ最大の考え方に立つ、これが一つと、規模におきましても、この大飯町の大飯発電所、これはもう百十七万五千キロ、アメリカでも百三十万キロ以上はもうつくってはいけない、そこまでの規制をしようとしてきておるわけです。ですから、最大のそういう規制をするということはやりますか。ひとつ長官にその二点についてお伺いしたいと思います。
#159
○前田国務大臣 私も実はけさの新聞を拝見いたしまして、元原子力委員で元原研理事長の菊池先生がこういう御意見だという新聞の記事を拝見しまして、何ぶん原子力行政に携わった人の発言でありますから、私も熟読いたしましたけれども、まだその全貌というものは実は、先生にお目にかかったりしないとわかりません。おそらく論文か何かお出しになるんだろうと思いますけれども、しかし、いずれにしても、非常に重大な御提言でありますので、その点は原子力委員会といたしましても十分検討していきたい。別にこれは逃げ隠れする意味じゃございません。先生のその論文の全貌も一ぺんよく拝見し、また、できれば先生にも私なりだれかがお目にかかるとかして、また十二分に先輩の御注意、御提言もいろいろ聞かなくちゃいけません。ただ単に、これはもうわれわれ限りでぱっぱっとやってしまうべきものじゃないと思います。慎重に、ほんとうに文字どおり慎重に、この点検討いたしたいということを現段階ではお答え申し上げます。
#160
○近江委員 では、時間がもうだいぶおそいですから、これで終わります。またあしたにします。
#161
○原(茂)委員長代理 次回は、明五日午前十時理事会、十時十五分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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