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1972/04/05 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号
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1972/04/05 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第7号
昭和四十八年四月五日(木曜日)
    午前十時二十七分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 嶋崎  譲君 理事 原   茂君
   理事 瀬崎 博義君
      稻葉  修君    加藤 陽三君
      梶山 静六君    羽田  孜君
      清水 徳松君    山原健二郎君
      近江巳記夫君    北側 義一君
      内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        防衛庁参事官  岡太  直君
        防衛庁装備局長 山口 衛一君
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁研究
        調整局長    千葉  博君
 委員外の出席者
        宇宙開発委員会
        委員      山縣 昌夫君
        環境庁企画調整
        局公害保健課長 山本 宜正君
        厚生省環境衛生
        局食品衛生課長 三浦 大助君
        厚生省環境衛生
        局食品化学課長 小島 康平君
        郵政省電波監理
        局審議官    高田 静雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(宇宙開発に関す
 る問題等)
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。近江巳記夫君。
#3
○近江委員 きのうアーツ衛星から送られたデータの検討会による報告がされたわけですが、これについて概略の説明をお願いしたいと思います。
#4
○千葉政府委員 本件につきましては、けさの新聞に詳細発表したわけでございます。これは御案内のとおり、アーツ衛星を米国が打ち上げまして、世界の主要国に対しまして、この利用方法につきましていろいろ案内があったわけでございます。
 わが国におきましても、科学技術庁がその窓口になりまして、米側とこのアーツ、すなわち地球資源探査衛星でございますが、これのデータの判読をいたしまして、これをどういうふうに利用するかという点につきまして、二、三のやり方についての申し入れをしたわけでございます。米側の受け入れるところと相なりまして、それで二つの点がございます。
 一点につきましては、環境関係への利用でございます。それからいま一点は、気象に対する利用、この二点が受け入れられるということになりまして、前者のほうは丸安教授、それから後者のほうは気象庁の土屋技官、この二人を中心にしたこの提案を受け入れていただくことになりまして、アーツ衛星からの写真が逐次当庁、それから気象庁に送られてきたわけでございます。
 それで、この体制といたしまして、科学技術庁の研究調整局でこれの検討会をつくりまして、関係の学者方あるいは専門の方々を集めまして、鋭意利用の検討をしてもらったわけでございます。それで、昨日発表したような数点につきましての利用のやり方への端緒が開かれたわけでございます。
 それで、この内容についてのおも立った利用の成果と申しますか、今後の手がかりはどんな点にあったかと申しますと、まず第一が、環境関係に対するものでございますが、新潟海岸の侵食に関するような研究でございます。これは信濃川の河川の改修工事などの人工的な干渉が加えられるということによりまして、新潟海岸には信濃川による新潟海岸への土砂の供給の激減、海岸侵食が始まっております。アーツの映像によりまして、その搬出する土砂の分布あるいは人工的な構造物が搬出する土砂の挙動に与える影響を調査した結果、海岸侵食の状況の一部が解読できたというようなことで、最終的には、海岸の侵食から新潟海岸を保護するような対策が期待できるのではないかというようことがわかってきております。
 それから、気象につきましては、いろいろ航空の面で問題となっております晴天の乱気流の問題でございます。こういった点に関します予報の精度と申しますが、これに役立つことが期待されそうだという結論が出ております。
 これの内容は、薄い絹雲と申しますか、絹状の雲でございますが、これが地上なりあるいは従来の衛星からの観測ではなかなか明確に把握できなかったのでございます。こういった薄い絹雲でございますが、これが判読できるということがわかってきたわけでございます。これはいわゆる乱気流の把握に役立つということが従来わかっておったのでございますが、これが明確になってきたというような点もございます。
 あるいは、この検討会では、関東地方の緑の状況、それから、その緑の破壊と申しますか、なくなっておる状況、こういった点もわかるということが明らかになったわけでございます。
 その他関西地方におきまして、大阪湾あるいは紀伊水道におきます海水のよごれもある程度わかるのではないかというようなことが写真から解読され得たわけでございます。その他いろいろといま検討しているところでございます。昨日いろいろ発表いたしましたのはそういった点でございます。
 以上でございます。
#5
○近江委員 こういう衛星の利用というものは、もう新聞報道でもされておりますけれども、非常に鮮明に、新聞写真でもこれだけはっきり写っているわけですね。そういうことで、今後環境保護の問題であるとか、汚染防止であるとか、土地利用とか、このデータの解析が精密にいくならば、たいへんな利用ができると私は思うのですね。これは私はすばらしいことであると思うのです。ところが、わが国の場合、このデータの解析する体制というものは、弱体というよりもほとんどないわけですよ。たとえば、このNASAと検討会をつなぐ科学技術庁の運営費は、四十七年度までゼロであるということを聞いております。四十八年度は特調費をつけるということを聞いておりますが、これは幾ら何につけるのですか。
#6
○千葉政府委員 この問題につきましては、もう御案内のとおり、ベースとなるこの技術につきましては、リモートセンシングの技術でございます。それで、こういった技術は国土管理のために非常に必要であるというようなことで、先般大臣が、四十八年度の予算の中で、国土管理技術を進めていくということを述べられましたけれども、これ自身そのものでございます。それで、四十八年度におきましては、特調費の中で約一億程度を使いまして、こういった技術を進めていこうということでございます。
 それで、いま先生の御質問のとおり、このアーツの写真の利用技術でございます。こういったものを中心にいたしまして、それだけではございませんで、これはどっちかといいますとリモートセンシングでも非常に高いところから、九百キロもの上空からとった写真でございまして、こういったものだけではなしに、もうちょっと低いところからいろいろとリモートセンシングの技術を使いまして、先ほど私が述べましたようないろいろな方面への利用も考えられる。こういった点、全体をあわせまして進めていきたいというように考えておるわけでございます。
#7
○近江委員 この新聞報道でもされていますけれども、過去十年以上の問各国の研究者が発表したおもな論文も集めていない、どういう研究者を集めたらよいかの見通しも立ってない、こういうお粗末な状態ですよ。それは、宇宙開発事業団をつくって宇宙開発もいまやっているわけですね。やっておっても、現実にこの日本列島がどんどん汚染されておるし、いろいろな問題がたくさんあるわけです。ですから、こういう利用ができるものについては、最大限の体制をとって、そしてそれを利用して、どんどんとまた対策を打っていく、こういうことが私は非常に大事だと思うのです。一番足元のいまやらなければならないことに対して、もうほんとうに取り組みが弱い。これでは話にならぬと思うのですね。いま一億円つけるとおっしゃったけれども、その中身は何ですか。これは具体的に何を考えているのですか。
#8
○千葉政府委員 実は、この内容につきましては、一番の焦点は衛星の写真の解読というところが問題だということでございます。これをどういうふうに解読、しかも精密に解読して、いま申し上げましたようないろいろなところに使えるかというところが問題でございますので、そこに焦点を合わせまして、特に日本がおくれいると思いますような機器の開発でございますが、そういった解読のための必要な機器の開発につきましてこれを強力に推し進めていくという点が中心になるわけでございます。
#9
○近江委員 いまごろ機器の開発とかというようなことを言っておりますけれども、アメリカなんかは、もう非常に精密に分析をする体制もあるわけですね。そういうのはどんどん技術交流すればいいんですよ。そんなフィルムの処理機か何か知らぬけれども、要するにそういうものを開発する。そういうことでは、これは利用じゃありませんよ、いまごろそんなことをやっておったのでは。ですから、その辺の考え方をもっと切りかえる必要があるのと違いますか。しかも、そのアーツ衛星がとった写真だけでは、いろいろと解析していく上において非常にむずかしい点もあるわけです。ですから、並行して地上での調査、中高度あるいは高高度の飛行機による探査とかをやっていく、そうすると相当大がかりなものになってくるわけです。こういうことをどんどん進めていってこそ、やはり科学技術庁がやることがほんとうに現実に生きてくると私は思うのです。こういうお粗末な取り組みでどうしようもないと思いますね。こういうすばらしい、利用できることについては、うんと力を入れるべきですよ。長官は率直にどのように思われますか。
#10
○前田国務大臣 全く近江先生御指摘のとおりでありまして、あるいはちょっと蛇足になるかもしれませんけれども、申し上げたいと思うのであります。
 アーツ衛星一号といいますのは、去年の七月に打ち上げられております。高度は九百キロメートルでございます。そうして解像力は八十メートルから百メートルの解像力を持っております。しかもその衛星にはだれも人が乗っておりません。無人でございます。しかし、その性能は非常によろしいというわけでありまして、私が着任いたしましてから、この衛星を利用しなければいかぬじゃないか。大体わが国の宇宙開発計画といいますのは、とにかく自主性ということをまず第一に考えております。しかし、非常に有効なものあるいは緊急性のあるもの、そういうものにつきましては、必ずしも日本の国産国産ばかりでは考えていかないという考え方もとっております。その意味におきまして、私が着任してからも、この問題に精力的に取り組まなければいかぬというわけで、このアメリカのアーツ衛星でありまするけれども、とにかくこれを利用しようじゃないかという意味におきまして、科学技術庁の研究調整局が中心になりまして、これとの連絡を持つことにしたわけでございます。
 先ほど局長が御説明申し上げましたように、現在のところは、こういうアーツ衛星によってとりましたる写真をどうして解読するかということの勉強と、それからその機器の開発の問題に取り組んでおるわけでございますが、取り組んでばかりおってもおそうなってしまいます。したがいまして、この衛星を利用して、日本列島の各地区、あるいは関東地区であるとか、あるいは近畿地方であるとか、あるいは北九州地方であるとか、私も先生も近畿地方でありますが、あの辺も相当汚染しております。そういうふうな地区、いろいろなところを、日本列島のそういうところもよく写していきたい。そうして日本列島の改造については、いろいろな意見もございますけれども、とにかく科学的にもそういう検討の材料にして、何か有効にこれを利用したいというふうに考えて、実はこのアーツ衛星に、当庁といたしましては、まことに現在のところは、まだ先生御指摘のとおり、もっと馬力をかけてやるべきじゃないかというのでありますが、とにもかくにもこういうふうに馬力をかけてやった次第でございます。
 なお、この機会に、これもひとつぜひ御審議をいただきたいのです。それはスカイラブと申しまして、ラブというのはラボラトリーという英語らしいのですが、宇宙実験室。宇宙実験室という人工衛星より大きいものでありましょう。それがことしの五月にアメリカで打ち上げられることになっております、その高度は四百五十キロメートルであります。したがいまして、アーツ衛星よりは少し低いところを飛ぶわけでございますので、解読力といいますか、地上の映像物体の解読する力が非常に精密にいくわけでございまして、三十
 メートル――三十メートルというとほんとうに小さい部分でございますが、その三十メートルまでの解読ができるという非常に精巧なものでございます。しかもそれには人が三人乗っておる。アーツ衛星は無人でございますけれども、今度の宇宙ラブにつきましては、人が三人乗っておるというわけでございまして、これは五月中旬に打ち上げまして、二十四時間、一日待ちましてからまた別に打ち上げられた衛星から、その三人の人がドッキングによりましてこの宇宙ラブに乗り組むわけでございます。そしてその宇宙ラボラトリー、宇宙実験室が二週間、地球の周囲をぐるぐるぐると回るわけでございます。それからひとまずおりてまいりまして、また六十日たちまして、今度はその宇宙実験室がぶっ続けに八週間、七、八 五十六日回るわけでございけす。それからまた一ぺん地上におりてきまして、三十日たちましてから、今度は八週間、七、八、五十六日間回る。そして、この回っておる間に、それにもやはりわれわれはタッチをいたしまして、日本列島の環境状況といいますか、そういう問題についても、こういう宇宙ラブを通じてでもわれわれは十分調査をいたしたい、そういう姿勢で取り組んでおる次第でございます。
 なお、今後とも先生御指摘のとおり、こういうものは自主性自主性ばかり言わないで、利用できるものはどんどん利用していきたいという姿勢でいきたいと思います。もちろんわが国の開発にも全力を尽くしたいと思います。
#11
○近江委員 自主開発という、そういう姿勢は当然持ち続けるべきであると思うわけですが、いま長官もおっしゃったように、それは国民のためにも非常にプラスになるわけですから、利用できるものはどんどん利用していく。また、その利用のしかた自体も、まだまだ科学技術庁は混迷しておるわけですね。ですから、もう根本的に暗中模索でスタートをするという、ほんとうに近代国としては恥ずかしい姿ではないかと思うのですね。各国の状態を見ましても非常に力を入れているわけです。カナダ等におきましても、解析センターもつくりましたし、あるいは未開発地域の調査をねらうブラジルの受信局もことしの夏に完成すると聞いております。イランあるいはメキシコ、これもセンターの設置に動いておりますし、インド、インドネシアは、技術者の養成センターをつくろうと国連に運動しておる。また、ヨーロッパにおきましても、欧州宇宙研究機構がセンターの設置を検討中である。このように各国は非常に力を入れているわけです。そういう点におきまして、いま長官もおっしゃったように、このスカイラブの計画もあるわけですし、これはおっしゃったように五月ごろでしょう。ですから、もう早急にそういう体制を整えて、こういうものを大いに利用していただきたいと思うのです。
 いま長官は、スカイラブの問題につきましても、非常に意欲的によく勉強なさっておると思いますし、それでその姿勢はいいわけですが、それじゃほんとうにこれを利用するためにも、もたもたしておれば、もう四月ですからどうなさるのですか、具体的にこれの受け入れば。
#12
○千葉政府委員 先生御指摘のとおりでございますが、私ども微力ではございましたけれども、実はこれは積極的な姿勢でこの利用方法をいろいろ検討していただいたわけでございます。いま申し上げましたように、これが使えるということがやっとはっきりしたわけでございます。大臣がいま申し述べましたような線で積極的にこれを進めよう、要するにこの成果を見てスタートしようというので、また一面金も用意しておいて、それでこの利用の検討をしたわけでございます。今後は大臣の姿勢のとおりでございまして、この体制を、要するに非常に広範に利用され得るのでございますので、政府関係機関を中心にいたしまして、あるいは大学の先生なんかも入っていただきまして、こういった人が十分に活動でき、大いにこれで国民の生活の向上に役立つように、そういったような点に効果のあるような体制をつくっていこうということでいま検討中でございます。
#13
○近江委員 それではもう少し具体的に聞きますと、このデータの解析センターあるいは資料センター等を設置もしていく、そういうようなことも考えていますか。
#14
○千葉政府委員 センターとなりますかどうか、現在は当庁では資源調査所がこの写真を受けて、それでそれを各方面に利用していただくような、いまセンター的な役割りをしております。それで、いまの体制の解析センターでございますが、これにつきましては今後どうするかという点は、資源調査会のリモートセンシング特別委員会で検討中でございます。その結果を見て、当庁としての体制の内容が明確化されるということになると存じます。
#15
○近江委員 この問題につきましては、いま長官も、今後積極的にその体制を整えるというお話がございましたので、一応平行線になると思いますので、これは強く要望しておきます。
 それから、宇宙開発計画の問題でありますが、今回見直しをしたわけでありますけれども、その背景及びそのポイントについて、宇宙開発委員にお伺いしたいと思います。
#16
○山縣説明員 御承知のように、私どもは、宇宙開発計画、これは原子力の場合と違いまして、毎年見直しをするというたてまえをとっております。そこで、四十七年度におきましても見直しをすべく、四月ですか、新年度、四十七年度早々から始めたわけでございます。いろいろな事情がございまして、この見直しは最終的な決定がおくれてまいりました。そこで、今回の四十七年度の見直しというのは、従来非常におくれた関係でやむを得ないのでございますが、すでに政府は四十八年度、今年度の予算案を決定いたしました。したがいまして、それに見合ったと申しますか、四十八年度の予算の政府原案、これに見直しは限りまして、時間的な制約もございましたので、見直しを終わりまして、先般、新しい四十七年度の計画を決定したわけでございます。
 そのおもな点は三つございまして、一つは東京大学でやっておられますMロケット、これは御承知のように四段の固体ロケットでございますが、過去におきます東京大学の衛星の打ち上げ、四回成功しておりますが、その結果によりまして、これを三段でいいのではないか、と申しますのは、いままではM4Sというロケットでございますが、次の第三号科学衛星の打ち上げはM4SC――Cはコントロールでございますが、要するに制御装置をつけたもの。制御装置をつけますと非常に複雑になってまいりますので、従来の計画では二段目と三段目に制御装置をつける、二次噴射をつける、こういうことでございました。けれども、ただいま申し上げましたような過去の打ち上げの実績から、これは三段でいくんではないかというので、従来の四段ロケットを改めまして三段ロケットにいたしまして、二段目にいまの二次噴射をつけまして制御をする。そうなりますと、システムと申しますか、それが簡単になりまして信頼性も上がるということ、あるいは価格も下がるかもしれません。そういうねらいでもって従来の計画のM4SCというものをM3Sに変える。これが一つの点でございます。したがいまして今年度におきまして科学衛星の三号を打ち上げる計画でございましたけれども、それを一年延ばしまして本年はM3Sのための実験をやる。ですから結局一年おくれになる予定でございます。
 それから第二番目は、これまた御承知のとおりに例の気象衛星の関係でございますが、従来、気象衛星につきましては、まだ研究段階であるというので気象庁に予算がついておったわけでございますが、過去二カ年間約三億五千万円ほどの経費を使いまして概念設計、それから予備設計を四十七年度で終わりまして、それを踏まえまして本年度、四十八年度以降におきましていわゆる開発に入る。したがいまして、仕事が気象庁から事業団に移る、こういう手はずになっておりますので、それに対応いたしまして開発に入る。それで五十一年度を目途として打ち上げる、こういう計画の改定をいたしました。
 それから第三におきましては、これまた御承知のように、昨年秋の初めごろから郵政省から中型の通信放送衛星、これは実験衛星でございますが、これを打ち上げるべきであるという強い御要望がございました。私どももいろいろ郵政省ともお話し合いをいたし、また事業団ともお話し合いをいたしました結果、郵政省は四十八年度の終わりごろからいわゆる開発段階に入りたい、それによって五十一年を目途として通信放送衛星を打ち上げるという御要望でございましたから、われわれといたしましては、諸般のことを考えまして、四十八年度におきましてはいわゆる概念設計及び予備設計にとどめまして、それを踏まえまして四十九年度以降に開発に入る、こういう考え方で委員会は意思統一をいたしまして、それによりまして、計画におきましては、従来は通信放送衛星につきましては研究段階であったわけでございますが、四十八年度におきましては、ただいま申し上げましたような郵政省の御要望もございますので、そういうことを考慮に入れまして、五十一年という御要望がございますが、五十一年という御要望にもなるたけ沿うような姿勢で、四十八年度におきましてはそういう打ち上げということを前提といたしました具体的な研究に必要な経費を予算でいただいたわけでございます。それに伴いまして、計画におきましては、これは従来あまり使っておらないことばでございますが、原子力なんかで使っておりまして、開発研究と申しますが、開発をするための具体的な研究に入る、こういうことを新しく計画の中に入れました。以上三点がおもな今回の見直しの要点でございます。
 先ほど冒頭に申し上げましたように、今回はいわゆる時間切れでございまして、十分検討はしたのでございますけれども、一般的にもっと広く見直しをするということは――実はただいま申し上げたようないろいろの予算をいただますと、総理が基本計画をお示しになるわけです。その基本計画は、四十七年度末までに総理が基本計画をお示しにならなければならない事情がございます。そのために、その前提となります計画を三月の中旬ごろまでにはきめなければならない、そういう事情がございましたので、冒頭に申し上げましたように、予算関係のものだけに今回の見直しは限る。もう四月に入りまして、すでに昨日も委員会決定をいたしましたが、さっそく四十八年度の見直しに着手いたすことに昨日決定いたしました。これによりまして、もっと広く、また、さらに先までをいろいろ検討いたしまして、四十八年度の見直しをできるだけ早く、大体秋の初めごろを一応の目標にしておりますが、その時期に根本的な見直しをいたしたい、こう委員会としては考えております。
#17
○近江委員 特に今回、中容量の通信及び放送衛星の開発研究をこの計画の中に追加した点につきまして、従来の宇宙開発計画中のECSとどういうような関係があるのか。またこれは、宇宙開発委員会自体の要請に基づくものであるかどうか。この辺の事情についてお聞きしたいと思います。
#18
○山縣説明員 ただいまのお話でございますが、例の昭和五十二年度打ち上げを予定しております実験用静止通信術兄につきましては、昭和四十四年ごろから郵政省の電波研究所においていろいろ検討しておったわけでございます。ところが、先ほど来のお話のように、昨年の九月に郵政省から、通信放送衛星についての御要望がございまして、これは新しい事実でございます。それでいままでいろいろお話を承っております、この実験用静止通信衛星の内容につきましては、まだ予算化されておりませんので、はっきりきまったものではございませんけれども、先ほども申し上げました電波研究所その他事業団でいろいろ御検討になっております実験用静止通信衛星の目的と申しますか、これは第一に静止衛星の設計、製作、こういった技術を確立したいということが一番大きなねらいでございます。
 要するに、最初に静止衛星となるものでございまして、御承知のように人工衛星の本命は静止衛星でございますので、われわれといたしましても、静止衛星の技術を早く確立したい。それには、先ほど申し上げました、ECSといっておりますけれども、実験用静止通信衛星を五十二年に打ち上げたいということでございます。
 そういった技術の確立が一番大きな目的でございますが、この衛星につきましては、たとえば衛星の追跡管制技術、それから姿勢制御の技術、こういったものも確立したい。この点につきましては、今回の実験用の中容量通信衛星も同じ目的を持っております。それから、ECSにつきましては、ミリ波、準ミリ波、マイクロ波帯による伝送試験をやる。これにつきましては、実験用の中容量重言衛星、こればミリ波は除いておりますけれども、準ミリ波、マイクロ波帯における伝送試験をやりたい、こういう御希望があります。それからさらに、ECSにつきましては、ミリ波、準ミリ波、マイクロ波帯による伝搬特性の調査、こういう目的がございますが、これに対応いたしまして、中容量通信衛星では準ミリ波帯についてこれをやりたい、こういうことを伺っております。
 いま申し上げましたような四つの目的、これが従来のECSの目的でございます。中容量通信衛星はそれと非常にダブっておる点がございます。しかし、中容量通信衛星につきましては、そのほか衛星通信システムとしての運用技術をこれによって開発したいという目的、あるいは離島回線、臨時回線、移動体回線、こういったものの通信実験をやりたい、こういう従来のECSにないミッション、目的があるわけでございます。
 御参考までにいままで考えられておりますこの二つの衛星、両方通信衛星だけでございますが、これにつきまして通信能力を比較してみますと、ECSでは電話で五百回線、テレビでワンチャンネル、通信区域は関東地域、こういうことに従来考えられております。それから中容量通信衛星につきましては、電話は四千回線、したがいまして八倍になります。それからカラーテレビは八チャンネル、テレビが八つでございます。それで通信区域はマイクロウェーブの場合には日本全体、それから準ミリ波では本州、四国、九州、こういったような通信能力の差がございます。
 われわれといたしましては、ずいぶん検討いたしまして、先ほど来申し上げておりますように、目的では、オーバーラップしていると申しますか、同じ目的のものもございますので、これらをやはり整理しなければならぬ。で、昨年の九月に郵政からお話がございまして、こういう点は今後十分検討しなければならないじゃないかという私どもの判断でございまして、この四十八年度の政府の原案となっております予算によりまして、こういった二つの衛星をいかにかみ合わせるか、そういったことも、概念設計その他をやりましてはっきりさせたい、こう思っております。
 したがいまして、現時点におきましてECSをどう変えるか、あるいは郵政省が御要望になっております中容量通信衛星をどう変えるかということは、この四月以降各方面のお話も承りまして、われわれも判断いたしまして、最終的に少なくとも今年度末までにはきめたい、こういう段取りを私どもは一応考えております。
#19
○近江委員 いまお聞きしまして、郵政省なりNHK等の強い要請があったということは明らかになったわけですが、きょうは郵政省も来られておるわけでございますし、郵政省の見解もひとつお聞きしたいと思います。
#20
○高田説明員 ただいまECSと通信衛星との関係につきまして御質問がございましたが、山縣委員のほうから御説明のございましたとおりでございます。
 私どもといたしましては、最も大きく違うと考えております点は、ECSにおきましては、主としてミリ波帯におきます、電波の伝搬実験を行ないたい、それに対しまして通信衛星のほうにつきましては、最も実用に近いような形での実験を行ないたい、そうした点が最も大きな違う点だというふうに考えておるわけであります。
#21
○近江委員 それで、このECSの調査費を考えなかったのはどういうことなんですか、山縣さん。
#22
○山縣説明員 ECSにつきましては、先ほどお話し申し上げましたとおりに、搭載機器その他につきましては、四十四年から電波研究所でやっておられまして、引き続き四十八年度におきましても電波研究所で検討をすることになって、おそらく電波研究所の予算の中に組み込まれておると思います。いままでの計画では、四十八年度末までに電波研究所でいろいろ御検討になりましたことを、四十九年度に事業団に移していわゆる開発に入るという段取りでございます。したがいまして、ECSにつきましては、事業団ではまた研究の段階でございまして、開発の段階に入っておりませんので、予算措置はしておりません。
#23
○近江委員 確かに、いろいろお話を聞きまして、通信放送衛星の実用に近い形でのそういうようなメリットということもわかるわけですが、こういう衛星については、本来、宇宙開発計画の趣旨からいきましても、ECSの中で考えていくべき性格のものじゃないか、このように思うわけです。
 それで、本来のそういう計画というものが、郵政省の意向にそのままずっと押されておる。別に私は悪いと言っているのではないんですけれども、計画を立てながら何かそこにひよわいというか、そういう感じがするわけですね。その辺についてはどう思いますか。
#24
○山縣説明員 近江先生のお話でございますが、要するに、私どもの現在までの宇宙開発計画の主体は、いわゆる開発という段階でございます。これはいわば宇宙開発の基礎的技術の確立、よく私ども言っておるのですが、教育でいえばいわば義務教育というふうに考えております。
 ところが、昨年来の中城の通信衛星、放送衛星、これは、御承知のように、将来の通信需要の増大あるいは難視聴対策、さらには国際協力、そういったいわゆる利用機関で御判断になりまして、将来のことを考えまして、将来につながる中間の段階として、中容量の通信あるいは放送衛星を御要望になる。私どもその御趣旨には全面的に賛成でございます。
 ただ、昨年度の状況におきまして、郵政省が御要望になります、五十一年度を目途にして打ち上げるということにつきましては、まだ不確定要素が多いと判断されますので、委員会といたしましては、五十一年打ち上げということを昨年度におきまして決定するということは無理であろうという判断でございまして、そういったような事情で、郵政省の御要望をそのまま、少なくとも昨年度においては受け入れがたい。そこで、今年度、四十八年度に、衛星の概念設計、さらには予備設計をやりまして、その結果を踏まえて四十九年度以降に開発したらいい、そういうふうに考えたわけでございます。要は、一方において、ことばは悪いのでございますが、義務教育をやっておる間に、一方において宇宙衛星を利用されるほうの機関から非常に強い御要望があった場合に、これはやはりわれわれとしても十分考えなければならぬ。
 ただ、私どもとしてはそれを、なるほどけっこうでございます、しかしそれが開発という面から、たとえばこうやったほうがいいではありませんか、あるいはその打ち上げはこういう方法でやったらいいじゃないか、あるいはその時期はこうしたらいいじゃないかということは、われわれが判断して、いろいろ利用官庁とお話し合いをするという段取りでございまして、あくまで利用という面になりますと、イニシアチブは利用官庁がおとりになる、委員会はそれを受けて立つというのがたてまえになっておりますので、今回もまさに、一方において義務教育をやり、一方において利用官庁がこういうことをやってほしいといいますと、その調和をとりながら計画を立てていくというのが、私どもの任務ではないかと私どもは判断したわけであります。
#25
○近江委員 山縣さんからいま基本的な考えが表明されたわけですけれども、長官として、今後わが国のそういう宇宙開発計画を推進していく上におきまして、どういうビジョンといいますか、どういう基本的な考え方でやっていこうとしているのですか。
#26
○前田国務大臣 近江先生御承知のように、宇宙の開発につきましては、わが国は率直に言いまして相当おくれております。ソ連のスプートニクが打ち上げられましたのは、たしか十七年前だと思っております。また、アメリカのアポロによる月探検が四年前でございます。わが国の宇宙開発委員会が――それまでももちろん宇宙開発はやっておりました。しかし、本格的に宇宙開発委員会が発足いたしましたのは四十三年でございます。宇宙開発事業団ができたのは四十四年でございます。そして、宇宙開発計画の最初のものが本格的にできましたのが昭和四十四年。それが昭和四十五年に改定されまして、現在の宇宙開発計画は昭和四十五年のものが基礎になっております。
 しかし、その当時の宇宙開発計画を読んでみましても、宇宙開発というものは非常に流動的である、したがって、その流動化する宇宙利用の情勢にかんがみまして、毎年毎年その見直しをしなければいけない、計画の修正をしなければいけないということが書いてございます。したがいまして、その精神に沿いまして、毎年毎年修正といいましょうか、つくろいといいましょうか、それをやっておるわけでございます。
 それで、昭和四十七年におきましても、その修正の一つとして、いま問題になっております中容量の二百五十キログラムの重さを持っております通信衛星、放送衛星を打ち上げてほしいという要望がございました。実はその要望につきましても、いろいろ要望の段階でおくれたり、交渉もおくれまして、実は一般の宇宙開発関係の予算の見積もりにちょっとおくれたのです。それで、予算の要求あるいは手続を早くしなければいかぬというわけで、実は中容量の通信あるいは放送衛星についての予算の見積もり方針につきましては――一般の見積もり方針は、たしか四十七年十月十三日だったと思いますが、できたのでありますが、中容量の通信放送衛星につきましては、おくれまして、年が明けてからたしか一月の十二日か十三日にきめたわけでございまして、その間、別にすったもんだしてもめておったわけではございません。いずれも熱意のある人々ばかりでございまして、しかし、もちろん宇宙開発委員会というのは中立性を持った委員会でございます。したがって、そういう不当な圧力に対しては屈することはできない、われわれは断固としてやるんだという姿勢も必要であります。さればといって、ただ中立性ばかり言って、ユーザーの意見といいましょうか、利用する側の意見というものもよく考えなければいけない。それが山縣先生が両方を中和するような発言をされたゆえんだろうと思いますけれども、やはりユーザーの意見というものもよく尊重しなければいけない。そして、実は私はその考え方をもちまして中容量の通信衛星、放送衛星の提案というものをよく検討いたしましたところ、これは私からるる御説明しなくても先生御承知のとおり、確かに電波権益の確保とか、あるいは静止軌道上に一定の場所を確保しなければいけません。赤道の上に三百六十度全部打ち上げるわけにはいきませんから、せいぜい二度に一発ずつ打ち上げましても百八十しか打ち上げることができませんので、そういう点から見ても、なるべく早く打ち上げたい。あるいは難視聴地域の解消であるとか離島通信であるとか、いろいろな面におきまして早く打ち上げたいという、郵政、電電公社、NHKのユーザー側の御希望もよくわかる。よくわかりますけれども、ただその点はよく意見の分かれるところでありまして、何か技術庁がじゃましておるんじゃないか、あるいは宇宙開発委員会は、中立性を金科玉条として、石頭じゃないかというふうな非難もずいぶんございました。また、一方においては、われわれがこれだけ張り切っているのにわからぬのかという意見もございまして、その間、別に悪意はなかったのでありますが、相当の熱意でやりとりがございました。
 しかし、私たちは、そのユーザーの意見というものを尊重しつつ、しかもそういう予算の見積もりにおきましても、ほんとうに中立性の立場をもって冷静に考えてやらなくちゃいけない。決して五十一年に打ち上げたいという郵政省等のユーザー側の要望を無視するものではありません。これは大いにその要望に沿っていきたいという熱意に燃えております。しかし、ただ予算をがんがんつけただけでは意味がないじゃないか。やはり予算をつける以上は、実は気象衛星だって四十六年と四十七年、二年かかって予備設計、概念設計をやっておるわけですから、通信衛星だって、相当な技術はまだ外国にお願いすると思いますけれども、それにしても一年間ぐらいは開発のための研究というものに精力的に取り組んで、そして結論は五十一年に上げるようにすればいいんでしょうというのがわれわれの考え方でありまして、ただステップだけあせっても、まことに堅実に進んでいかなければいかぬということでそういうふうになったわけでございます。八億七千万がついたわけでございまして、新聞報道では、何か二十億ついたのに宇宙開発委員会がえらい力で削ったとか、いやその間どういうけんかがあったとか、いきさつがあったとか言うておりますけれども、別にそういう問題ではございませんで、ただ、にぎやかにそういうことは言われましたけれども、私たちのほんとうの真意は、いま申し上げたとおりでございますので、どうぞひとつよろしく御理解をいただきたいと思います。
#27
○近江委員 宇宙開発の平和利用という原則があるわけですが、その旨を厳守するということは常々おっしゃっているわけです。しかしながら、今後ソー・デルタロケットの本格的な技術導入、また製作段階に入るわけですが、片や四次防という軍事力を持とうとするわが国の防衛政策を考えていきますと、危惧にすぎないことを望むわけでございますけれども、やはり多少の不安というものを覚えるわけです。
 きょうは防衛庁も来ておられますし、防衛庁のほうでもロケット兵器を開発して製作もやっておるわけですが、どういう種類のものをどこにつくらしておるか、それをひとつ防衛庁からお聞きしたいと思うのです。
#28
○山口(衛)政府委員 お答えいたします。
 ただいまの先生の御質問に対しまして、御質問の範囲とぴったりと合わないかもしれませんが、研究開発部門につきましてはその面で御説明をさせていただきたいと思います。
 四十八年度のところでまず申し上げますと、現在予算上に考えております四十八年度のミサイル関係でございますが、御承知のとおり主力はホーク及びナイキの二つでございまして、そのほかに航空機に搭載いたしますいわゆる空対空誘導弾を三種類ばかり現在考えております。たとえば一つは、現在予算で御審議をいただいておりますF4EJにつけますスパロー及びファルコンの生産の分でございまして、もう一つは、現在すでに生産はしておりませんで予算には計上しておりませんが、これまで装備をしてまいりました、戦闘機のF86F及びF104に載せますサイドワインダー、この辺がいわゆる空対空関係の誘導弾でございます。それ以外に、艦船から発射いたしますいわゆる艦対空誘導弾がございまして、これはターターと称しておりますが、現在ターターを積んで就役しております護衛艦に「あまつかぜ」というのがございますが、このような艦対空誘導弾というようなものかございます。
 大体以上のようなものが、いわゆるミサイルといたしまして防衛庁で予算に計上して、それに基づきまして現在生産もしくは輸入の対象となっている主要な誘導弾関係でございます。
 また、現在開発をしております誘導弾関係がございます。これにつきましては、今度は空から艦船に対して発射いたします空対艦誘導弾、ASMでございますが、これは現在開発中でございます。それからまた、過去において開発いたしました地対地誘導弾、これは戦車を主とします誘導弾でございますが、このようなものを開発いたしまして、すでに開発を終了しておるものもございます。
 以上のようなものが、概括いたしまして防衛庁として考えております誘導弾の概要でございます。
#29
○近江委員 それで、輸入のものもいろいろあろうと思うのですが、発注している会社はどこですか、いろいろな種類ごとに。
#30
○山口(衛)政府委員 ただいま申し上げました種類につきまして申し上げますと、まずホークでございますが、ホークは現在ライセンス生産をしております。これは米国のレイセオンと技術提携をいたしまして、国内でライセンス生産をしておりますのは三菱電機と東芝でございます。その次はナイキでございますが、これもライセンス生産をしておりまして、技術提携先は米国のマクダネル・ダグラス社でございます。日本で受けておりますのは、三菱重工がこの技術提携先になっております。それから、国産のほうだけ先に申し上げますと、スパローを国産いたしておりますが、これは相手方はレイセオンでございまして、技術提携の日本側は三菱電機でございます。あとのものは輸入でございますが、この輸入は米国政府と日本政府との間の公文によりまして、いわゆるFMS軍事援助協定に基づきまして輸入という形をとっておるものでございます。
 以上でございます。
#31
○近江委員 それで、この宇宙開発事業団がいろいろロケット製作をやっておるわけですが、どことどこでやっているのですか。
#32
○千葉政府委員 宇宙開発事業団におきましては、地上施設、それからロケット、それから衛星と、いろいろ各方面にわたっております。それで、それによって受けておるところが違っておりまして、ロケットについて申し上げますと、これは三菱重工が全体の取りまとめでございまして、それからエンジン類、こういったものが石川島が中心、そのほか日産自動車、それからいろいろな電子機器類、こういったものは日本電気、三菱電機、そういったところでございます。そのほか地上施設関係もいろいろございまして、川崎重工あるいは日立製作所など、それから富士通、そういったところも入っておるわけでございます。
#33
○近江委員 この三菱重工あるいは三菱電機等は、これはやはり宇宙開発事業団が発注しておるところ、また防衛庁がつくらしておるところ、同じなんですね。
 それで、いつも申し上げておりますけれども、結局、ノーハウなりそういうものが実際に使われないとはいうけれども、われわれには全然わからぬわけですよ。ほんとうに使われているのか使われていないのかですね。そういう辺のことにつきまして、特にこの宇宙開発などというものは両刃の剣になっておるわけであります。ですからそういう点を非常に心配するわけです。その歯どめといいますか、あるいはまた、そういうことについて心配ないかどうかですね。そういう各企業が軍事利用をしないための具体的な措置としてどういうことを考えているのですか。いままでそんな心配ありませんか、別にこれは。
#34
○千葉政府委員 先生からの御質問で、従来からいろいろ当庁から御答弁申し上げておりますが、その内容につきましては、再度繰り返してもいたしかたございませんので、基本的に申し上げますと、この契約で、要するに事業団と三菱重工なり石川島で、ほかへは転用してはいかぬのだ、承認なしにはこれはしてはいかぬという契約が入っておりまして、これを順守させるべく事業団は努力しております。
 それでは、いや、順守させておっても、三菱なり何なりがかってに使ったのをどうやって見ているのだという点が問題かと思います。その点につきましては、これは事業団法がとにかく平和目的に限っての業務を行なっておりますので、その点を具体的に、各企業がそういった転用をしないようにまず監視を行なうべきであるということで、名古屋に駐在員が二名行っております。東京にまた二名おりますが、来年度は名古屋の駐在員をさらにふやしまして、四名程度になるかと思いますが、そういったような駐在員を派遣いたしまして、それでほかの用途に供されることのないように、いま監視を行なっておるわけでございます。そういった点で、監督している立場の当庁といたしましても、そういったような指導をして、それでほかに使われないように努力いたしておるわけでございます。
 また、こういった点は米側も非常に気にしております。と申しますのは、日米交換公文でも、平和の目的に限ってこの技術は使われるんだということで技術の導入がされておるわけでございます。そういった点からして、また逆を返しますと、米側としても、直接軍事利用にされるようなものは、機密の技術は出さないという方針でもございます。その点からいうと、N計画に入ってきております技術は、直接的な軍事利用にはされないものが入ってきておるのでございますけれども、私どもといたしましては、いま申し上げましたように、監視員の制度をつくりまして監視しておるという現状でございます。
#35
○近江委員 監視員を置いておられるということなんですけれども、そんな少ない人数でチェックできるんですか。人数ですね。要するに、監視体制といっても私は非常に弱体だと思うんですね。歯どめにしても、もっと納得できる強力なものが必要なのと違いますか。今後どう考えていますか。いままでどおりでいいと思っていますか。
#36
○千葉政府委員 御案内のとおり、やっております内容がNロケット――これの中心となりますのがNロケットでございます。これはそう種類も多いものじゃございませんし、まあこの程度の監視員が行けば把握できるという判断でございます。
#37
○近江委員 いずれにしても、こういう問題につきましては、これはもう神経質になるぐらいやっていいと私は思うのですよ。長官はいまのようなそれでいいと思われますか。長官は常々、私は平和のことに限るということを表明されているわけですね。ところが、実際はもっと非常に不安に思っているわけですよ、みんないまのままであれば。今後どういうように強化してその点を守っていきますか。
#38
○前田国務大臣 宇宙利用といいましょうか、特にこういう衛星関係の打ち上げとかそういうことが軍事目的に転化されてはたいへんだ、先生御指摘のとおりでございます。その点につきまして、私も技術の専門家じゃございませんけれども、日米宇宙交換公文というのをよく読み、よく説明を聞きいたしましたところ、アメリカとしても、これはよその国にたよっておるわけではありませんけれども、この内容を読みましても、相当神経質でありまして、機密的な部門、それから宇宙再突入の技術とか書いてありましたけれども、そういう問題については絶対秘密にして、実にブラックボックスというか、それ以上の扱いをしておるというふうなことを私も具体的によく聞きました。それからまた、平和目的に限るという、平和利用に限るということを、宇宙交換公文でも書いてあるわけでありまして、その間、あるいはその仕事をいたしております業者が、その技術を利用して、あるいは軍事目的に利用するというふうなことはないように、もちろん政府といたしまして――全部は科学技術庁だけでできるものではございませんけれども、政府といたしまして、わずか二人の監視員でできるのかという先生の御質問でありますが、それは悪いことをやろうと思えば、十人置いたって私は同じようなことだろうと思いますので、その点は、結局平和利用という精神というか、それに徹するということが一番必要であると思います。
 この平和利用についてそれでは心配かと申しますと、私は、とにかく宇宙開発事業団法というような法律のたしか第一条に、「平和の目的に限り、」ということも書いてあり、従来、宇宙開発委員会の前身の宇宙開発審議会の第一号答申というのを私も読んでみましたけれども、これも平和利用平和利用ということを盛んに強調している。それから附帯決議といい、あるいはまた附帯決議といったって足りないじゃないか、これは、それを言えばそういう意見もあろうかと思いますけれども、その間、歴代政府として口をすっぱくして平和利用平和利用と言うておりますので、その点は私、別に心配はいたしておりませんということを申し上げます。
#39
○近江委員 それは政府が、その姿勢にほんとうに立っておるといいますけれども、たとえば事業団法ができたとき、「平和の」という文字を入れろ、政府はどれだけ抵抗しましたか。それを入れなければこの法案は通さぬ、与野党強硬にその点はぶつかりまして、やっと政府が折れて、「平和の」という文字を入れた。ほんとに国民を安心さすのであれば、何も抵抗する必要はないでしょう。あの字を入れるのにどんなに苦労しましたか。そういう経過を見ても、決して「平和の」という観点に、強い精神に立っておるということは私は疑問がありますよ。あぶないですから、政府は。ですから私は言っている。心配ないというようなことは、これはやはり平和を守っていかなければならない長官の立場として、あなたはのんき過ぎますよ。私は心配だ。だから、今後はさらに強化しますというのがあたりまえと違いますか。いまも宇宙開発委員会が、それは郵政省あたりからいろいろ言うてきて、それはいいことだから別にかまいませんけれども、そのように計画を変更している。だから、ほかから圧力があってまた変更する、こういう心配もまた一つ出てくるんですよ。そんな心配がないというのは、長官、あまりのんき過ぎますよ。もっと国民に対して不安を与えない、しっかりします、こういう体制をとりますということをおっしゃったらどうですか。いまの答弁はだめです。
#40
○前田国務大臣 少しのんき過ぎるんじゃないか、特に宇宙開発事業団法の立法のときのいきさつ、私は実は知りません。先生、その当時から非常に御関係になって、私もいまそういうお話を聞いたんでありますが、おそらくどういう趣旨で「平和」という文字を入れることにすごくこだわったか、私は実はおかしいぐらいでありまして、そういう宇宙開発というものを軍事目的に利用するというようなことは、私としてはとうてい考えられない。また、現在の情勢でそういうことを私、考えられないと実は思うのです。思いますけれども、とにかくその問題につきましては、宇宙開発委員会といたしましても、それが第一条件であるという姿勢で進んでいきたいと考えます。と同時に、通信衛星、放送衛星、くどいようでありますけれども、実は先生、この点はやはりユーザーといいましょうか、そういう線は聞いて見直しをしていかないと――どうして単なる人工衛星の打ち上げのための打ち上げということでもありませんけれども、そういう国産の衛星をつくり、国産の打ち上げ技術を持つというだけ、それだけでも技術の波及的効果というのは相当ございます。システム工学とかそういうことに非常にいいんだそうでありますけれども、しかしそれだけでもいかぬ。やはりユーザーの要請というものを聞かなくちゃいかぬというわけで、気象衛星は、国際的な要請から引き受けた、また通信衛星、放送衛星も、急いで実用に向く通信放送衛星を打ち上げたいという要望も、これは真剣に検討していかなければいかぬというわけで取り入れたものでございます。また、おそらく測地衛星とか、先ほどの新衛星とか、そういう問題もできれば日本独自でどれも打ち上げたいぐらいに考えておりまして、それもおそらく今後の見通しにおいては出てくるのではないかと思います。しかし、そういうことはともかくといたしまして、平和利用という点については、金科玉条として大いに尊重してまいりたいと思います。
#41
○近江委員 私は、誤解のないように言っておきますが、別に計画を変更したのが悪いと言っているのと違うのです。当然そういうことはユーザーと常に協議しておれば、計画を立てる段階でそんなものは組み込んでできるはずなんです。それを言っているのです。だから計画を立てるときには、あらゆるユーザー側とも相談して、あらゆる総合的な判断に基づく計画をぴしっと立てて、権威のあるものに今後してもらいたいということなんですよ。それを言っておきます。そういうことで、非常に心配な点がたくさんあります。
 それから、さらにアメリカでは、日本に対するロケット輸出等は非常に心配をしておるわけですね。改造すれば核も積める。上院小委員会におきましては、リビコフ米上院財政委員会国際貿易小委員長は、日本に対する人工衛星打ち上げ用のソー・デルタロケット輸出が重大な安全保障上の問題であると同時に、米国の軍事産業に見のがし得ない影響を及ぼすものである、小委員会としては徹底的に検討するつもりである、こういうふうにも言っているわけですね。
 アメリカの世論というものは、そういうことで非常にきびしいことを言っているわけです。何も日本がほんとうに平和に徹していくというようなことであれば、こういう心配はせぬわけです。日本はひょっとしたら何をするかわからぬ。あなた、いま安心だなんて言ったけれども、とんでもないことです。世界じゅうはみな危険だと見ているわけです。こういうアメリカの世論に対してどう思いますか。
#42
○前田国務大臣 実は、そのニュースといいましょうか、それもちらっと私は聞きました。聞きましたけれども、それは何と取り越し苦労するものだなあぐらいにしか私自体は思っておりませんでした。しかしこれは、私の単なる個人的な考えかもしれません。しかし、そういう心配のないように、平和利用ということを何べんも何べんも強調しておるつもりでございますけれども、さらに今後ともその姿勢というか、その基本方針というものは十二分に尊重してまいりたいと思っております。
#43
○近江委員 あと一点。
 厚生省や環境庁も来られているわけですが、わが国のそうした鉛なりカドミなり、米の基準値というものは非常に国際的な基準とわが国の基準というものは差があり過ぎるわけですね。小島課長さんは、国際会議にも出られてこられましたし、その間の経過なりそういう問題についてどのようにお考えか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#44
○小島説明員 昨年の四月でございますが、国連の世界保健機構と農業食糧機構の合同の食品添加物専門家委員会がございまして、そのときに先生のいまのお話の鉛、水銀、カドミといったようなものの許容量、つまり人間が一日にどれだけとっても差しつかえないかというような問題について議題に取り上げられたわけでございます。
 その際に、日本側からその会議に出席いたしましたのは、私はFAOから選ばれまして委員として出ましたが、そのほかに新潟大学の椿教授、それから当時OECDに行っておられました橋本博士がオブザーバーで出席しております。そのほか、これらの重金属類のほかに添加物の安全評価等も行なわれたわけでございます。
 先生のお話は、この金属類についてと存じますので、金属類について申し上げますと、結局こういった、食品を汚染いたしまして、それがわれわれのからだの中に入ってくる物資につきましては、たとえば水銀で申しますと、こういったものは人間のからだには全く必要もございませんし、食品の製造上も必要ないものでございますので、本来ならば、理想的にはゼロであるべきでございますが、しかし、こういった金属類は、天然にもどこにでも存在するものでございまして、一般の食品を分析いたしますとそういうものがでてまいりますので、そういった面も加味いたしまして許容量がきめられたわけでございます。
 先生のいまお話しの、日本の基準がゆるいのではないかというのはカドミウムについてのお話と存じますが、その委員会においてきめられましたものは、カドミウムについて、これは暫定的な基準値といたしまして、一週間の一人当たりの摂取量を四百から五百マイクログラムに押えようという数字を出したわけでございます。しかしながら、実はこのカドミウムにつきましては、動物実験あるいはその他いろいろな資料が、非常に不明確な資料が多うございまして、たとえば分析方法にいたしましても、この分析の際の誤差が、たとえば食塩等が入っておりますと非常に多く出るというような問題があって、昔からの分析値の中には、採用をする際に非常にちゅうちょするようなものがある。あるいはまた、各国の摂取量のデータにいたしましても、たとえば日本では以前に山形、重松両博士によります報告では、大体日本人の一日の摂取量は六十マイクログラム程度だ、こういたしますと、一週間で四百マイクロちょっとでございますから問題ないわけでございますが、そのほかに、その後日本公衆衛生協会のほうで行ないました資料によりますと、六十から百十程度までというようないろいろな資料がございまして、そういった面で日本の摂取量はWHOの数字よりも幾分高いのではないかということも言えるわけでございますが、その審議の過程におきまして、いま申し上げましたように非常に不明確なデータがある。
 それから、われわれが食べものを食べましたときに、それをからだの中にどのくらい吸収するか、あるいはどのくらい排せつするかというものにつきましても、世界じゅうでいろいろな説がございまして、そういう中の一番高いといいますか、一番不利なほうの数字をまずとるということと、それからそういったデータがいろいろ不明確でございますので、とにかくいまのカドミウムをとっておりますレベルをこれ以上上げないようにしようということを、まず暫定的な基準として打ち出しました。そして今後、いろいろな資料を整備した上で、そういうものを参考にこういう数字を改定していこうということで出された数字でございまして、実は四月に会議がありまして、その報告書ができましたのが昨年末でございます。私といたしましては、その委員会以後いろいろな新しい資料につきまして検討しておるわけでございますが、日本におきましては、環境庁のほうでおやりになっている調査でございますが、広い調査の結果、カドミウム中毒というものが、カドミウムで汚染しているような地域でもほとんど起きていないというような研究報告もまとまっておりますので、そういったものは今後の委員会における再検討の資料として非常に重要なものになるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#45
○近江委員 これはもう一度確認をしておきたいのですけれども、基準値ですね、WHOと、それからわが国の基準値をもう一度おっしゃってください。特に米について。
#46
○小島説明員 WHOとFAOの委員会におきましては、米についての基準値というものはきめておりません。そちらできめましたのは、人間が一週間にこれだけはとっても健康に全く影響がないだろうという許容量でございまして、これは一週間一人当たり四百から五百マイクログラムという数字でございます。
#47
○近江委員 そうすると、これは米に直しますと大体どのくらいになるのですか。
#48
○小島説明員 これは、一週間、五百マイクログラムが一番上の数字でございますので、一日に直しますと大体七十マイクログラムになるわけでございます。そういたしますと、人間が一日に三百グラムの――まあ日本人の場合大体三百グラムの米を食べるといたしますと、日本人の場合には米からくるカドミウムが一番多いわけでございまして、その七十マイクログラムのうちの六十マイクログラムくらいが米からくると考えまして、三百グラムの米というもので考えますと〇・二PPMというくらいの基準値になるということになるわけでございます。
#49
○近江委員 わが国が米できめているのは幾らですか。
#50
○三浦説明員 わが国の米の基準は、昭和四十五年の十月にこの基準値がきめられておるわけでございますが、玄米で一PPM未満という数字でございます。このとき出されました根拠は、国民栄養調査というのがございまして、その結果によりますと大体米の一日の摂取量は三百三十四グラム食べておることになりますが、これを大き目に見て五百グラムと計算して、これが一PPMのカドミウムを含有していたとしますと大体五百マイクログラムということになっております。
#51
○近江委員 まあ国際的に見ますと非常に高いわけですね。こういう問題は非常にむずかしい問題であろうかと思うのですが、少なくとも国際的な基準の点からいきますと非常に高い。そういうことで、こうした一PPMというものをさらに引き下げていく、こういうことは政府で検討していますか。
#52
○三浦説明員 WHOとFAOの合同専門家委員会できめました今度のカドミウムの許容量でございますが、これをわが国でどういうふうに考えておるかということですが、この報告書は専門家の意見であって、WHOの勧告という性格のものではないわけでございます。先ほど小島課長からお答えいたしましたように、その内容にはかなり推論が多うございまして、この暫定中間許容量の四百ないし五百マイクログラムは、さらにデータが得られたときは改訂すべきであるというのが中について記載されておるわけでございます。したがって、厚生省といたしましては、この意見は一つの試案であるというふうに現在のところ受け取っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、中の数字については、わが国の考え方とこの意見との間に相当な相違がございますので、この報告書の内容につきましては、われわれのほうでも専門学者の意見を聞いておりますし、また近く先生方にお集まりをいただいて検討会をすることになっております。
#53
○近江委員 それはいま短兵急には結論が出ないと思いますけれども、あくまで、こういう健康の問題という点におきまして重大な問題でありますし、これはシビアに検討してほしいと思うのです。これは特に要望しておきます。
 こういうことも科学技術庁は真剣に――常に長官はライフサイエンスということをおっしゃっているわけですから、これは厚生省がやるんだ、環境庁がやるんだ、そういう傍観しているようなことじゃならぬと思うのです。傍観はなさっていないと思いますが、長官はこれをどう思いますか。
#54
○前田国務大臣 確かに先生御指摘のとおりでありまして、この基準について妥当でありますかどうかは、主管といいますものは、それは厚生省でおやりになっておることでありまして、科学技術庁で判断する立場ではございませんけれども、閣議等もございますし、この点は、そういう所管というのに関係なく、厚生省にも十分私の意見も申し上げたいと思いますし、また、そのカドミウム等も重金属ですね、重金属が人間のからだに及ぼす影響についての研究でございますが、これにつきまして科学技術庁は、先般もちょっと発表したんでございますけれども、安全評価方法ですね、はたして一体全体安全であるかというその評価方法が、いまラット、マウスというようなものを使ってやっておりますが、その安全係数というものが、はたして人間に適用されるのであるかどうかというふうな点に真剣に取り組みたいと思いまして、抜本的な安全性の評価方法というものを確立する必要があるんじゃないか。たしか、これはずっと前の委員会で、近江先生も御指摘になった問題だと思いますが、そういうお考えも体しまして、こういうものも特別研究促進調整費を用いまして、昭和四十七年度から五カ年計画で約十億円の研究費を投入いたしまして基礎的研究に取り組みたい。これは別に自慢で言うんじゃございませんけれども、ほんとうにそのメンバーだけ見ても、各大学はじめ、もうオールスターキャストということばがございますけれども、そういう者を動員いたしましてこれに取り組んでおるということも、ひとつ御評価いただきたいと思います。
#55
○近江委員 それから、前に琵琶湖の周辺のPCB、また琵琶湖の汚染問題も取り上げたわけですが、滋賀の草津工場のたんぼにおきましてPCBで非常に汚染されてきておる。そういうところにまた追い打ちをかけて鉛が発見をされておるということになっておるわけです。
 環境庁にお聞きしますが、この鉛の規制基準はどうなっておるかということです。それから今後どうするのか。さらにPCBと鉛の相乗作用について検討しているのかどうか、この二点についてお聞きしたいと思います。
#56
○山本説明員 草津のPCBの汚染と同時に先般鉛の汚染の問題が出たわけでございます。私ども安全性という問題にかんがみますと、たんぼでございますので、特に食品としての米というのが考えられます。御承知のように、いまも厚生省のほうからお話がございましたように、食品の安全の問題といたしましては、厚生省のほうでいろいろ安全性について所管されるわけでございまして、私どもといたしましては、そういった食品その他大気の汚染による健康影響という問題についての調査等につきまして、県を指導してまいっておるわけであります。
 なお、大気中における鉛の環境基準につきましては、大気保全局の所管でございますが、現在検討が進められておると私聞いております。正確には大気保全局のほうからお聞きいただきたい、かように存じます。
#57
○近江委員 そうすると、この土壌の鉛の規制基準というのはどのようにするのですか。
#58
○山本説明員 お答えいたします。
 これはまことに申しわけございませんが、水質保全局に土壌農薬課というのがございまして、土壌農薬課では、聞きましたところでは、現在土壌のカドミウムによる米の汚染の問題につきまして、いろいろ土壌汚染防止法による処置をしておるわけでございますが、鉛等につきましては、現在その基準等について検討中である、こういうぐあいに私聞いておりまして、正確には、恐縮でございますが、土壌農薬課のほうにお聞きいただきたい、かように存じます。
#59
○近江委員 鉛についてはまだ基準もない、これはけしからぬと思うのですね。こういうことを科学技術庁は各省庁をいろいろと指導していく、そういう立場にあるわけですよ。どう思いますか、こういう問題を。
#60
○千葉政府委員 近江先生は、昨年からPCBにつきましていろいろ御指摘ありまして、まだPCBがやかましくなる前からの御指摘で、それに応じまして科学技術庁におきましていろいろPCB問題について特調費を出しまして、その調査研究を推進しておったわけでございまして、この点敬服いたしておるわけでございます。
 実は、いろいろ御指摘のPCBですとか、それから重金属の問題につきましては、これはいろいろと各省で研究していただくように、生活環境の問題を特に取り上げるということで各省に基本方針を示して、見積もり方針の調整のときに、特に厚生省を中心といたしまして、さらに環境庁にも重点的に研究を進めるようにということで、最重点の事項として取り上げております。それで、こういった重金属の問題につきまして、さらにこのPCB等の化学物質等につきまして、実はさらに総合的な研究が必要であればいつでも取り上げる、いつでも特調費をもちまして専門家の先生方を集めまして、これを総合的に推進しようということにいたしております。
 したがいまして、いま先生御指摘のカドミウムあるいは鉛の問題につきましても、これは担当省庁はございます。しかしながら、担当省庁だけではどうももてあますというような点が非常に多いのでございますが、御指摘のとおり当庁といたしまして、まあ第一義的には環境庁がやってくれると思いますけれども、さらにその上に立ちまして、これらの研究を総合的に取り上げるつもりでおるわけでございます。
#61
○近江委員 もうだいぶ時間も経過しておりますので終わりたいと思いますが、厚生省さん、環境庁はまだ鉛の規制基準については、土壌等については考えていない、こういうのんびりしたことを言っているのですけれども、国民の健康を一番守るべき立場におられる厚生省でありますので、こういうのんびりしたことでいいのかどうか、この規制基準を設けるべきであるのかどうか、あるいはまた、PCBと鉛の相乗作用等についてさらに研究を今後促進されていくのかどうか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
#62
○三浦説明員 現在厚生省といたしましては、微量重金属汚染というものを非常に重視しておりまして、現在国立の試験研究機関、それから地方の大学にお願いしまして調査をしておるわけでございます。きまったものから順次食品の規制基準をきめる方向で検討しておるわけでございます。PCBにつきましても、カドミウムにつきましても、一応食品についていま規制基準がきまっておりますので、なおかなり汚染の可能性のあるものについても順次きめていきたい、かように考えております。
#63
○近江委員 特にこの鉛等そうした重金属の問題につきましては、やはり早急にやっていただく必要があると思うのです。大体のめどはお立てになっていますか。
#64
○三浦説明員 この微量重金属の毒性試験というのは、急性中毒と違いまして慢性の中毒でございますので、かなり毒性試験も長期間かかるわけでございまして、いまここでいつごろできるかと言われましても、ちょっと私どもはっきりしたお答えを申し上げるわけにまいりません。
 PCBにつきましては、特に汚染の被害の大きい魚類を中心としてきめてまいりましたが、近く米、野菜等についてはきめる予定でございますし、また、カドミウムにつきましても、麦等の基準につきましてもいまデータが煮詰まってきておるわけでございます。そのほか鉛等につきましても、かなり国立衛生試験所等でいろいろ毒性試験、また天然に大体どれくらいあるかということもやっておりますので、ちょっとここでいま時期を申し上げるわけにまいりませんが、なるべく早い機会に設けていきたいというふうに考えております。
#65
○近江委員 厚生省さんも、いまその点は非常に前向きにお答えになりまして、非常にけっこうだと思うのです。一日も早くそうした基準を出して、国民を安心させてもらいたいと思うのです。先ほど局長は、幾らでも特調費は出すということを非常に明確におっしゃいましたし、その点、厚生省さんも安心してどんどん――こういうことは幾ら使ってもよろしいですよ。野党としても反対するところはないはずですし、これは与党だって賛成するはずですから、ひとつどんどん進めてもらって、一日も早く基準を出していただきたいと思うのです。最後に長官の決意をお聞きして終わりたいと思います。
#66
○前田国務大臣 ただいま御指摘の点につきましては、研究調整局長からも御弁答いたしましたとおり、積極的に取り組みたいと考えます。
#67
○近江委員 終わります。
#68
○石野委員長 次回は、来たる十二日木曜日午前十時理事会、十時十五分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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