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1972/04/25 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第9号
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1972/04/25 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第9号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第9号
昭和四十八年四月二十五日(水曜日)
    午後一時三十分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 木野 晴夫君 理事 藤波 孝生君
   理事 藤本 孝雄君 理事 前田 正男君
   理事 原   茂君 理事 瀬崎 博義君
      石原慎太郎君    稲村 利幸君
      加藤 陽三君    梶山 静六君
      羽田  孜君    近江巳記夫君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁研究
        調整局長    千葉  博君
        科学技術庁振興
        局長      田宮 茂文君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
        特許庁長官   三宅 幸夫君
 委員外の出席者
        通商産業省企業
        局沖繩国際海洋
        博覧会管理官  中沢 忠義君
        参  考  人
        (海洋科学技術
        センター理事
        長)      石倉 秀次君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興対策に関する件(海洋開発及び科
 学技術の国際交流に関する問題等)
     ――――◇―――――
#2
○原(茂)委員長代理 これより会議を開きます。
 委員長所用のため、委員長の指定により私が委員長の職務を行ないます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 海洋開発に関する問題調査のため、本日、海洋科学技術センター理事長石倉秀次君を参考人として、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○原(茂)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行ないますので、さよう御了承願います。
    ―――――――――――――
#4
○原(茂)委員長代理 質疑の申し出がありますので、これを許します。近江巳記夫君。
#5
○近江委員 まず初めに、いま中国の廖承志団長をはじめとしまして、五十名の大型訪日団が来られておるわけです。全国各地で非常に日中友好のそうしたいろいろな行事等も計画されておるわけでございますが、今後、中国との交流という面におきましては、政治、文化、経済、科学、あらゆる分野にわたって友好を盛り上げていかなければならないと思うわけでございます。
 そこで、まず初めにお伺いしたいのは中国の科学技術の問題でございますが、こういう現状につきまして、科学技術庁としてはどのように把握をされておりますか。
#6
○田宮政府委員 中国の科学技術事情につきましてはいろいろと調査もしておりますが、現在のところ調査はまだ不十分でございます。概略のところは、二、三のピークの技術はあるようでございます。たとえば、御承知のようにウラン濃縮の問題とか、そういう問題はあるようでございますけれども、一般的な技術レベルにつきましては、まだ十分に把握しておりません。
#7
○近江委員 私も昨年、党の第二次訪中団で中国へ行ってまいりました。非常に日数も少なかったものですから、特に科学技術という点ばかりを見てきたわけじゃございませんが、非常に進歩したところもたくさんあると思うのです。たとえば工業地帯等を見ましても、公害等には非常に配慮をいたしておりまして、気流の関係等も考慮して工業団地を設けるとか、あるいは公害防除技術等は、非常に公害の少ない中にあっても配慮をして、そういう技術開発をどんどん進めております。そのように、一例をあげても、われわれとしても見習うべき点が非常にたくさんあるように思うわけです。また、医学の面にしましても、たとえばはり麻酔等は、初めはほんとうにそんなことがあるのかなというようなことが、現実に、はり一本で大手術もするというような、そういう非常に進んだ医療技術等もあるわけであります。今後そういう科学技術の交流という点を積極的にやっていくということは、両国にとりましても非常に大きなプラスじゃないか、このように私は思うわけです。
 そういうことで、いままでは国交回復しておらなかったものですから、把握ができてなかったということは一応は理解できるわけですが、少なくとも国交回復してもうだいぶたつわけでございますし、一歩もそういう点においてまだ進んでないということは、両国の友好を高めていく上におきましても、やはり今日、国際協力ということが非常にいわれておるわけですし、そういう点において、私は、もう少し科学技術庁が積極性を持ち、認識を持って、現状の把握ということについてもやらなければいけないのじゃないか、このように思うわけです。
 それで、国交回復されておるわけでございますので、もう情勢は一段と変わっておるわけです。今後この科学技術協力についてどういう具体策で対処されていくのか。たとえばいま廖承志団長も来られておるわけですし、科学技術庁長官が接触されて、そうして長官自体が中国へ調査団長となってまた行かれるとか、あるいはわが国の大使館も設置されておるわけでございますし、そういう点で科学アタッシェを置くとか、そこには一歩も二歩も前進した姿というものが私は必要じゃないかと思うのです。
 そういう点、長官も特に最近は国民の立場に立った姿勢でおられますし、非常に具体的な、また前進的なお考えをお持ちだと思うのですが、長官の考えておられることをお伺いしたいと思うわけでございます。
#8
○前田国務大臣 ただいま近江先生御指摘のように、中国でははり麻酔あるいは公害防除、そういう点におきまして、私は他の国に比較してやはりユニークな科学技術を持っておると思うのです。その点におきまして、中国との技術交流というものにつきましては、私も私なりにたいへん意欲的でございます。先生から御指摘、激励をお受けしたわけでありますが、具体的に、それではいま廖さんがお見えになっておるので、廖さんと会うてどうしようかということはいま考えておりませんけれども、実は私は、先に事務的にこれを積み上げていって――ただ単に廖さんと会うてぱっとするのじゃなくて、事務的に少し積み上げてみたいと考えまして、実は日本におりまする中国の大使館と事務的折衝を開始いたしております。おそらく明日あたり、向こうの参事官あたりと、これは前の代理大使だと思いますが、私この間も、これは別に事務的な話じゃありませんけれども、ちょっと会っておりますし、またあしたあたり、あるいは二、三日うちにもさらに折衝いたしたいと思っておりまして、そうして事務的なものを積み上げまして、中国との技術交流というものに前向きに――と言うと、えらい前向きうしろ向きというようなことを言いますけれども、ただそういうかっこうだけじゃなくて、ほんとうに積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
#9
○近江委員 それで、大使館の接触を始められたということは非常に評価するわけです。これをほんとうに具体化していただきたいと思いますし、そういう場合、中国へ行かれるときは、名前はどうなるか知りませんが、やはり団長は長官が行かれるのが一番いいのじゃないか、こう思うのですけれども、長官はその点についてはどういうお気持ちでおられますか。
#10
○前田国務大臣 たいへん力及ばぬ長官を御支持いただきまして、ありがとうございます。できますれば、そういうことを私も希望いたしております。
#11
○近江委員 長官も非常に前向きでおられますし、今後日中の友好を高める上におきましても、一日も早い機会にひとつそれを実現していただきたいと思うわけです。そこまでの気持ちでおられるわけですから、当然大使館におきましても、欧米諸国においてはアタッシェが置かれておるわけですし、そういうようなこともお考えになっておられるわけですか。これは定員の問題もあるわけでございますが、その辺ちょっとお聞きしたいと思います。
#12
○前田国務大臣 別にいまどういうふうに置くということをはっきりお答えはできませんけれども、もちろんその姿勢で臨んでいきたいと思います。
#13
○近江委員 それで、それが具体化していきますと、いろいろな問題も今後は出てくると思うのですが、いま、特にこういう技術の問題になってきますと、特許等の問題もからんでくると思うのです、これは一つの具体的な問題ですが。きょうは特許庁長官も来られておりますし、こうした特許につきましての今後の展開におきましていろいろな問題があろうかと思うのですが、長官としてはどういうような点を今後改善していくべきであるとお考えでございますか。
#14
○三宅政府委員 ただいま御指摘のとおり、日中の国交回復に伴います経済、技術の交流が盛んになりますと、特許の問題は当然重要な問題でございます。そういう意味におきまして、昨年の十一月から十二月にかけまして、事務レベルのミッションが先方に行きましたときに、私のほうの特許庁からも総務部長が参っております。現在、先生もうすでに御承知だと思いますが、中国ではいわゆる特許法がなくて、発明者証制度、これは日本で申し上げますと国家公務員の職務発明の奨励、こういったような感じの発明者証並びに広い意味の技術改善に対する表彰制度だけがございまして、これらの表彰に対しては、栄誉的なあるいは物的な賞金が出ておるわけでございますけれども、他の社会主義国は、発明者証のほかに、主として外国人を意識して特許法を持っておりますけれども、中国は一九六三年までは特許法があったといわれておりますが、現在はございません。そういう意味で、われわれはこの特許の問題あるいは工業所有権全体の問題を非常に重視いたしまして、いち早く昨年のミッションにわがほうからも随員を参加させまして、先方とも接触をとりまして、日本が接触の初めのステップで工業所有権問題を取り上げたということは、向こうにとって非常に印象的であったと思います。ただ、先方の工業所有権は、特許のみならず商標も含めまして何かいま変革期にあるのではないかと思われます。といいますのは、私どものほうから日本の現状についてのいろいろの説明をいたし、同時に中国側の説明を伺いたかったのでございますが、先方はしばらく回答を留保させてほしい、私のほうから先方の実情について相当質問しましたけれども、しばらく返答は待ってほしいということになっておりますので、そのままこのミッションはわがほうのルールの説明を詳細にして、先方の認識を深め、かつはこの問題に対する日本の関心が深いことを印象づけて帰ってまいったわけでございます。今後も引き続きまして接触をとってまいりたい、かように考えております。
#15
○近江委員 それで、またちょっと元に戻って恐縮ですが、いま廖承志さんがこっちに来られまして、全国各地へ、ずっと行かれると思うのですが、そこまで接触されておるわけですし、いずれまた東京のほうへも帰ってこられると思うのですが、この機会に、ぜひとも長官も、何とか機会を見つけていただいて、直接また会っていただいて、やはり最高首脳部が会われるということが私は一番手っとり早いように思うのです。事務レベルで両方やるということが非常に大事だと思うのですが、そういう接触の機会をお持ちになるお考えはございませんか。
#16
○前田国務大臣 確かに事務的、政治的、両々相まって進めるのが理想的だと考えます。ただ、二、三日うちに元代理大使の現参事官、この方にもお目にかかりまして、いろいろその辺の呼吸とといいましょうか、様子を伺いまして、できるならばそういう両々相まって効果をあげるようにいたしたいと考えております。
#17
○近江委員 そうすると、その参事官がお見えになるという話で、そういう機会ができるようであれば、長官としてはお会いになられるわけですね。
#18
○前田国務大臣 さようでございます。
#19
○近江委員 一つは、積極的に、早い機会に、長官がおっしゃったそうした調査団を含む――調査団というのですか訪中団というのですか、科学技術の交流を目ざしてのそうした訪問が一日も早くできるように努力をしていただきたいと思います。
 次にお伺いしたい問題は、科学技術庁のビッグサイエンスの一つとして海洋開発の問題があるわけでございます。いろいろな問題があるわけですけれども、一つの問題としましてシートピア計画についてお伺いしたいと思うわけです。
 まず、シートピア計画の進捗状況につきまして、概略の説明を願いたいと思うわけです。
#20
○千葉政府委員 シートピア計画は、御案内のとおり昨年の夏、水深三十メートルの実験を行なったわけでございます。静岡県の西伊豆の田子港で行ないました。おかげさまで各界の御支援を得まして、飽和潜水技術の確立を目的としますシートピア計画の第一段の段階は、まずまずの成果をあげまして終了されたわけでございます。
 それで、この三十メートルの実験によりましていろいろな問題がわかってまいりましたし、また実際にやってみますと、いろいろな点でこの改良その他訓練等でございますが、今後の六十メートルだとか百メートルだとかいうものをこなすのに、こういった点を改めたらいいじゃないかというような点がいろいろと出てきておるわけでございます。
 それで、今後の計画といたしましては、六十メートルの潜水実験を、三十メートルの結果を踏まえましてことしの秋口に行なおうということに相なっておるわけでございます。
 それから、シートピア計画の最終目標としては、百メートルの実験をするということに計画ではいまなっておりまして、これにつきましては、六十メートルの実験の結果を踏まえまして今後進めようという段取りになっておるわけでございます。
 こういったものを進めるにあたりまして、実は最大の問題は、人身事故を起こすということでございますので、安全の確保に万全を期するというような趣旨で、科学技術庁の側に一つの安全の検討会を設けております。それからいま一点、実施者側でございます海洋科学技術センターにおきましても、安全の審査委員会というものを置きまして、学識経験者の方を集めまして、それで二重に安全性をチェックし、それでこのシートピア計画を進めるというような段取りに相なっておるわけでございます。
#21
○近江委員 このシートピア計画を見ますと、当初、水深最大百メートル、そして設置の期日が最大三十日、建造の総額が三億五千万円かかっておるわけですが、昨年の第一段階で実施した海底三十メートルの設置実験も、最終目的のための予備的なものであるということをお聞きしているわけですが、先ほどちょっと局長も触れられましたが、実際にもぐってみて多くの問題点が出てきておるということをおっしゃっておられましたが、具体的にはどういうような点があったわけですか。
#22
○千葉政府委員 まず第一でございますが、設置場所にもよるわけでございますが、この実験をいたしますのに一番の中心になりますのは支援のブイでございます。このブイが波によって動きますと、水中エレベーターをおろす際にもいろいろと問題が起きますし、上げ下げにも問題が起きます。これを安定させるということがまず第一点でございます。そういった問題が一つ。
 それからいま一点は、海中に置いてあります居住区でございます。これがいわゆるおもりをつけて沈めてある、こういったものと浮力とのバランスアップをもう少し改良する余地がある。
 それからいま一点は、支援船の中に置いてございます減圧タンクがございます。これは、御案内のとおり、アクアノートが入りますときに、減圧、加圧両方するわけでございます。入りますときに加圧をしていきまして、水中と同じ圧力にまで持っていくわけでございますが、それも加圧のスピードを上げませんと、何か水中におりますアクアノートに事故が起きましたときに、お医者さんを送るのに時間がかかってしまう。ですから、なるべくこれは早く加圧できるような装置にする必要がある。
 それから、水中エレベーターにつきましても、これも減圧タンクと同様な機能を持たせるということが非常に安全性を増大しますし、こういった点もさらに改良すべきであるということが明瞭になったわけでございます。
 そういったようなことが主たる改良点でございまして、そういった点をまず改めるべきであるというようなことが安全検討会のほうからも出ておるわけでございます。
#23
○近江委員 きょうは石倉理事長も来ていただいておるわけでございますので、いま局長が大体おもな点をお答えになったと思うのですが、ほかにどういうような問題があったのでしょうか。
#24
○石倉参考人 昨年の三十メートルの実験の際に、このシートピア実験を実施いたしますのに使用いたしました支援ブイ、その支援ブイの上にございますDDC、減圧タンク、それからPTC、水中エレベーター、それから、水中にございますハビタット、この三点の主要な機器的な問題点につきましては、ただいま千葉局長からの御説明で大体尽きておるかと思いますが、そのほかにいろいろな計測機の信頼性の問題がございます。たとえて申しますと、DDCあるいは海底の居住区のガスの調整をやりますが、その際にガス分析をいたしますのにガスクロマトグラフという機器を使います。これが、従来の目測のものでございますと、目測をいたしましてからガスの実際の濃度を計算して出すのに時間がかかる。したがって、今後やる場合には、それを電子化いたしまして、直接読み取りができるようにするということがございます。
 それからまた、諸般の通信関係でございます。三十メートルの段階におきましては、先生も御承知のヘリウムボイスの問題はそれほど困難ではなかったわけでございますけれども、深度が上がりましてヘリウムの濃度が上がりますと、ひずみが強くなることが予想されます。そういう点についても、今後手を打っていく必要があるかと思います。
#25
○近江委員 そういうことを踏まえられて、本年の秋口に、九月ごろということをお聞きしておりますが、この予定されておる六十メートルの潜水実験にあたって、いまおっしゃった各所のそういう改造を行なうようでございますが、私がいまちょっとお聞きしておるのは、費用が大体一億六千万円くらいになるということをお聞きしておるのですが、これについてどのようにお考えになっておられますか。それは、実験というものにつきましては、いろいろなことが出てきてまた改良していくということはわかるわけですが、総額三億五千万円で建造して、また改造費に一億六千万円かける、この辺についてどういう反省があるわけですか。
#26
○千葉政府委員 この改造の内容を申し上げたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、一番改造費のかかる点は支援ブイの長さを大きくしたわけであります。これは一億少々かけまして大きくいたしまして、それで波に対して強くする、七十センチくらいの波に対しても、そう動揺が来ないで支障なくエレベーターの上げ下げができるという程度のものにするという点が第一点でございます。
 それから第二点が、エレベーターを二つ用意する、と申しますのは、一つでやりますと、万一にもそれがよく作用しなくなるというような場合には、いま一つのエレベータをつり下げて持っておりまして、それをおろしていく。それから、おろしますときに、先般の実験でわかりましたのですが、ちょっと波がありますと、自分のからだにエレベーターがぶつかってきて非常に危険であるというようなことがありますので、そういったショックをなくすような装置もつけようというようなことをやったわけでございます。
 それから、先ほど申し上げましたように、お医者さんがすぐ飛んでいけるような加圧、減圧装置、こういったものへの装置の改造。それから、さらにエレベーターを改良して安全性をうんと高めるというようなところが主でございます。
 それから、もちろん先ほど申し上げました居住区も、おもりとか浮力とかいう点を改良するというようなことになっておりまして、内容を見ますと、これは先生のおっしゃいますように、費用が一億数千万かかることになっておりますけれども、六十メートルを実施する場合には、湾の中でも少し波のある深いところに出てまいります。将来の百メートルの場合にはもっと波のあるところに出るかと思いますので、今後のあらゆる安全性を考えますときに、どうも当初からそういった点がわからなかったという点はまことに残念でございますけれども、この際一億数千万かけまして、万全を期して、事故のないように、そういったような装置で実験をさせていただきたい。こういうような考えでおりますので、ぜひ御理解を願いたいと思います。
#27
○近江委員 これだけの改造をして、次の六十メートルの実験はほんとうに安全な実験ができるという点におきまして、それだけの確実性というものにつきまして自信があるわけですか。
#28
○千葉政府委員 先ほど来申し上げましたように、このシートピアの実験は、人間が実際にもぐる、しかも飽和潜水というようなことは初めてでございますので、非常に危険なことでございます。したがいまして、こういった点を十分踏まえまして、安全審査委員会を二つまでいまつくってチェックいたしまして、こういった点をやればまあ安全は確保できるだろうという線でございます。私自身も、潜水の問題につきましては、五年間サルベージのほうを所管しまして、潜水技術についてはいろいろと非常にあぶないという点をよく認識しておりますので、大事の上にも大事をとって、いろいろといま安全審査委員会で結論を出していただいたわけでございます。まあまあこの安全は確保されているもの、こう私は考えておるわけでございます。
#29
○近江委員 それで、当初の計画を見ますと、三億五千万円かけて設計もしてこれはできあがったわけですが、少なくとも一億数千万円、つくった金の約半分以上をかけて改造しなければならぬということにつきまして、当初の計画におきましてもそういう大きな改造が起こるというようなことは考えておられたのですか。やはり、この計画を立てられたときに、完璧であるというように、あらゆる点をチェックなさっておると思うのですけれども、その点はどうなんですか。
#30
○千葉政府委員 当時、私はおりませんでしたが、いろいろな資料を読みますと、実はこのシステムにつきましては、委員会をつくりまして、関係各方面の方を広く集めて、このシステムとそれから詳細のいろいろな設計をしておるわけでございます。それから海外のいろいろな技術につきましても見てさましたり、それから、日本の造船の技術を主といたしますけれども、そういった技術をバックにいたしまして、外国の技術を入れてきて、それでそのシステムをつくり上げたというようになっておりますので、当時としては私は最大限の努力をしたと思います。それで、そんな改造なしにこれは済むのではなかろうかというような状態だったと私は推測しておるわけでございます。
#31
○近江委員 そのときには局長はおられなかった。それで、そういう推測の答弁しか出なかったわけですが、このことは局長さんだけにいえることではないと私は思います。当初このシステムを検討なさっておった、最初からやっておられた人がいま科学技術庁におりますか。正直いってわかっておる人がおられないのと違いますか。当然、こういうような計画をなさるときには、もともとからやっておった人を絶対残して、そうして引き継ぎなり何なりをやっていくべきですよ。いまおらないでしょう。これだけの国費をかけてやる実験ですよ。それが、当初から携わっておる人が一人もおらない。こういう点についてはどう反省されていますか、局長は。
#32
○石倉参考人 私も科学技術庁におりまして、経過は多少知っておるのでございますけれども、科学技術庁の中にも、現在職員として、四十三、四年ごろこのシートピアの建造研究を始めるころに担当された方はおらないかと思います。ただ、先ほど局長からお話のございました委員会をつくって、各方面の衆知を集めたというその委員の方々につきまして、私のほうのシートピアの実験をやりますのにお手伝いをいただいておりまして、その委員の方々にいろいろお伺いをして、改造すべきところも詰めてきたということでございますので、技術を持った人につきましては、前からつながりがあるというように御理解願いたいと思います。
#33
○千葉政府委員 実は、このシートピアの問題は、性格が普通のものとちょっと違っておったと私は理解しております。と申しますのは、海洋科学技術センターはおととしの十月にできまして、それ以前にやっておりましたのは海中技術開発協会でございます。そこが委託費を受けていろいろ計画をしておる。途中で性格の変わったものが引き受けてやっておる、こういったところに連続性を欠いたというようには私は思っておりません。今後はセンターでずっとやることになりますので、ずっと連続的にこれをよくトレースしていくことができるかと思います。実施主体が変わったというところに、私は先生の御指摘の点があるのではないかと思っております。そういった点は今後はないというように私は考えておるわけでございます。
#34
○近江委員 そういう外郭団体でやってきたその接続が、だから切れたんだということをいまおっしゃっておるわけなんですが、少なくとも海洋開発の目玉であるということで科学技術庁としてはよくおっしゃっておったわけですね。当然、これだけのシステムをやっていくわけですから、当初から科学技術庁内におきましても責任者をぴしっときめて、そして一貫してこれが一つの結果が出るまでやらしていく、そういう体制が骨になって、そして石倉さんのほうの協会等がやっていく。そうでないと、いろんなコントロールにしろ何にしろ、こんな外郭団体だけでやっていっていいかどうかという問題がまた出てくるわけですよ。いずれにしても、これだけの国費をかけてまた改造する、しかも責任者もおらない、そういうずさんなことをやっておって、これじゃもう、これはかっこうだけですよ。こういうことではこれはほんとうにむだづかいですね。しかも、始めた動機も、ことばを悪くして言いますと非常にいいかげんじゃないかということが言えるのじゃないかと思うのです。そうでないとおっしゃるなら、たとえばシミュレーションもやったか。やらずにやっておるわけですよ。そうして突っ走っておる。当然、やる前には外国の調査等もやって、それからやっていくという慎重な配慮――それはやるという意欲はいいけれども、そういう慎重さを欠いて突っ走っていくということについては、結局あとでまたこういう問題がたくさん出てくるわけですよ。そういう点につきまして、これは何もシートピアだけでなくして、いろいろな科学技術庁がいまやっている問題にも全部つながってくる問題だと私は思うのです。こういうずさんなあり方に対して、長官はその当時長官ではなかったわけですけれども、最高責任者とされてこれをどう思われますか。
#35
○前田国務大臣 私も海洋開発の仕事をずっと勉強しまして考えるのですが、日本の海洋開発というのは、外国に比べましてやはりおくれておる面が相当あると私は思います。現在の計画も、よその国に比較しておくれて出発したわけでございまして、その計画は、やはり常にチェックしデビューしていくという姿勢でいかなければいけない。その意味において、また一億程度の金をかけていろいろ安全性という見地から――積極的に推進はしなければいけない、しかし安全でなければいけない。万一人身事故があったらたいへんだというような点から、これをさらに経費をかけてよきようにわれわれ企画したわけでございまして、その点はそういう意味に御理解をいただきたいと思うのでございます。
 ただ、いま先生御指摘の、こういう長期的な計画、大事なプロジェクトを遂行するにあたって、担当の役人がしょっちゅうかわるのはおまり芳しくないじゃないかという御質問だと思うのでございますけれども、私もそう思います。確かに、役所のことでありますから、そう長期にわたって一カ所に拘束するということも、現実にはなかなかむずかしい問題でありますが、役人がかわりましても、その考え方、方針というものは別に変わることはございませんけれども、望むべくは、なるべくその人々ができるだけ長くその計画を推進し、そうしてその成果を見守っていくということも、私、行政を遂行する上において必要な姿勢ではないかというふうに考えます。その点は、単にこの海洋開発の問題だけではなくて、ほかのあるいは宇宙、あるいは原子力、すべての点においてもてきるたけ――そのとおりにはいかない場合もございますけれども、そういう考え方で人事等を考えていくのも私いい方法ではないかというふうに考えております。
#36
○近江委員 それで、石倉理事長は、私が先ほど申し上げましたように、そういう責任者、きちっとまとめておる人がおらないというような問題、あるいはシミュレーションもやらずに突っ走ってしまった、やる前に外国の事情調査等もやっておらなかった、あげればこういう何点かのいろいろな問題が出てくるわけですが、この点についてはどういうように反省されておりますか。
#37
○石倉参考人 ただいまの最初の、こういう仕事をやりますのに、だれかほんとうに、何といいますか、仕事と心中するぐらいの熱意を持って長い期間やる人が必要である、私も全く同感に思います。私自身に触れて恐縮でございますけれども、私の研究経歴でも、そういうような体験をいたしております。私もセンターをお引き受けしている間は、センターの中では責任者は一切かえないということでやっていくつもりでございます。
 それから、シミュレーションをやっていないということでございますが、シミュレーションは実は昨年もやってはおるのでございますけれども、シミュレーションの回数が少ないということは私も同感でございます。幸いセンターの中に、現在、世界でも有数の潜水シミュレーターの建造が進んでおりますので、これができますと、飽和潜水技術の開発に対して非常に大きな威力になろうかと考えております。
 それから、このような仕事をやりますのに一番大事なことは、機器の整備もさることながら、やはりこれに従事いたしますいろいろな層の研究者、技術者、それから場合によりますと技能者、こういう方々の間に共同意識が出るということが必要でございます。また、そのような人たちが実際の作業に入りまして一糸乱れず自分の持ち場に即して動くということが必要でございます。そのような訓練ないしは経験は、やはり作業をやってみませんとなかなか出ません。将来は単にシミュレーションばかりでなく、六十メートルの段階におきまして海面における総合訓練というものを入れまして、そうして練度を上げるように心がけて計画を立てております。
#38
○近江委員 六十メートルの実験をなさるわけですが、これが成功したとしても、さらに百メートルの実験をするとなりますと、より以上の改造をしなければならぬ点が出てくるのじゃないかと思うのです。三十から六十にするだけでこれだけの欠陥ですからね。もういま欠陥シートピアということでだいぶ巷間うわさされているわけですが、当初計画の何十倍もの費用をかけて改造しなければならなくなるということが予想されております。一説によりますと、改造には数十億円要るのではないかというようにもいわれておるわけですが、こういう点、システム自体に私は問題があるんじゃないかと思うのですけれども、その点につきまして、局長、石倉さん、大臣、三人の方にお伺いしたいと思います。
#39
○千葉政府委員 実は百メートルの実験につきましては、御案内のとおり、実験の海域をまたほかに求めなければならぬだろうということもあるわけでございます。それから、実験のためのいろいろな諸条件も、相当きびしくなるというふうに考えております。したがいまして、六十メートルの実験の結果を踏まえまして、なおかつ先ほど申し上げました二つの安全審査委員会で十分に審議していただきまして、それで無理をせずに百メートルの実験を安全確実に行なうように持っていきたい、このように考えておるわけでございます。
 それで、システムにつきましていろいろあるんではないか、いまのようなシステムを放棄してほかのいろいろなシステムのことまで考えたらどうだろうという御指摘かと思いますが、システムは確かにいろいろございます。それで、シートピアで計画しておりますようないわゆる居住区を海中に置いておく、こういったようなことと、それから上に支援ブイを置いて、その間をエレベーターでつないでいくというようなシステムは、これはこれなりに、いわゆる海中での人間の作業能力、作業方法等についての研究とか海中作業基地の安全性の基準確立を目ざしたような研究には、これは一つのタイプであって、この点から言いますと、いまのシートピアはりっぱなシステムだと私は考えておるわけでございます。
 そのほか、海外ではいわゆる経済性を重んじまして、実際のいろんな機動的な作業をしようというようなことで、下の居住区をなくしまして、それで作業員は支援ブイの上の減圧タンクの中で生活をして、必要があればエレベーターでおりていって、下で作業して、またそのエレベーターに乗って戻るというようなシステムも、これは先ほども申し上げましたような趣旨からいま考えられているし、また現実に行なわれているということでございます。
 そのほか、米国あたりが、深いところではなしに、もうちょっと浅いところで長期間滞在する、数カ月も中で暮らそうというようなことで、この居住区をたいへんなお金をかけてつくるというようなシステムもございますし、いろいろあるわけでございます。そういったようなシステムは、おのおの目的によって違ってくるかと思います。現在におきましては、そういったシステムも頭には置いておきます。
 それから、いま一つつけ加えておきますと、先ほど申し上げましたような非常に機動的な作業をやるようなシステムにつきましては、現在のシートピア、今度改造した結果出てくる支援ブイと水中エレベーターを使ってもやり得る可能性があるというようなシステムでございますが、そういったようないろいろなシステムがございますけれども、現在といたしましては、六十メートルを一生懸命やりまして、その結果で、安全審査委員会に十分はかりまして、できることなら百メートルの実験もいまのようなシステムで行なえたらというように私は考えております。
#40
○前田国務大臣 海洋開発につきましては積極的な姿勢で進まなければいかぬということは、先生御指摘のとおりであります。ただし、その条件として安全ということが第一条件であるという意味において、安全性を確保しつつ積極的にわれわれは計画を進めていきたい。それがためには、別にその経費を惜しむわけではございませんけれども、むだな経費といいますか、あるいは重複する経費といいますか、そういうような国費の使い方をしたくない、すべきではないという考え方も、また御指摘のとおりでございます。
 それでは、この際思い切って現在の計画、考え方を変えて、いま外国で一、二やっておるような計画に変えたらどうかというような考え方もあるかと思いますが、先ほど来局長が御説明申し上げましたように、現在のシステムを変えるというような考え方は持っていないのでございます。
#41
○石倉参考人 先生の御質問の第一点の、百メートルをどうするかということでございますが、その点につきましては、私どもの考えは、先ほど千葉局長の申し述べられたお考えと同様でございまして、今度六十メートルをやってみますと、改造いたしましたブイの耐波性の問題がかなりはっきりすると思います。残念ながら、現在耐波性について詳しく計算をして云々というわけにまいりません。やはりある程度実海面でのそういう経験を積んで、このブイならばどの程度までPTCがうまく揚収できるかということを判断するよりはかなかろうかと思います。
 それから次に、百メートルをやります場合の海面と時季の問題がございます。いかなる海象条件のもとでも、またどのような水温そのほかの海況のもとでも、百メートルが実施できるかと言われますと、現在のシートピアのシステムあるいはよその国で開発されておりますシステムでも、ほんとうに安全にできるということは確言できないのが世界の潜水技術の開発の現状だろうと存じます。したがいまして、われわれの考え方は、改良されました装備に見合った海域をさがす。そしてそこで好適な条件のもとに百メートルをやってみる、そういうような考え方で進めてまいりたいと思います。
#42
○近江委員 それで、石倉理事長は、欧米の海洋開発の動向の調査に団長で参加されたと聞いておりますが、アメリカやフランスはどういう状況であったか、また、そうした事情を比較して日本のシートピア計画をどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
#43
○石倉参考人 昨年、私のほうのセンターが主宰いたしまして、十一月から十二月にかけましてフランス、ドイツ、米国におきます海洋開発の事情調査に参りました際に、当センターといたしまして、シートピアの実験が大きな課題でございますので、各国におきます海底居住の事情をあわせて調査してまいりました。
 御案内のように、この海底居住実験が始まりましたのは一九六二年、現在からわずか十一年前、米国とフランスでそれぞれスタートしたわけでございます。それ以来、国の数で申しますと、米、仏両国のほかに東西のドイツ、ソビエト連邦、ポーランド、ブルガリア、キューバ、ルーマニア、オーストラリア、イタリア、たくさん海底居住計画というものがあるわけでございます。
 ところが、米国とフランスの計画を除きましては、みな十メートルとか二十メートルとかいう、空気を使って居住ができる深度でやっておりまして、このシートピア計画の目的としておりますヘリウム酸素の混合ガスを中心として使用いたしました大深度の居住計画ではございません。
 したがいまして、シートピアの問題と外国の状況を比較するということになりますと、勢いヘリウム酸素ガスを使いました大深度の潜水技術開発について比較するのが妥当であろうかと存じますが、この点につきましては、各国ともシステムの概念としてはそれほど違っておりません。ただ、シートピア計画と現在の米国及びフランスの開発状況を比較しまして、先方は何せかなり早くから手がけておりました関係もありまして、すでに一般的な実験段階を終了いたしまして、海底石油の掘さくとかそのほかの商業潜水のほうに飽和潜水技術を使うというほうに向きつつございます。しかし、聞いてみますと、このヘリウム酸素を使いまして実際に商業潜水としてやっておりますのにも、作業の関係からいってそう長期間の飽和潜水が実際化しておるということではないようでございます。
 ただし、フランスは深度に挑戦いたします意欲が非常に強うございまして、昨年度すでに二千一フィートという大々深度とでも申しますか、深いところまでの、これはシミュレーターの中でのシミュレーションの実験でありますけれども、潜水に成功しております。
 反面、アメリカでは御案内のNOAAができましてから沿岸問題がうるさくなりました。沿岸開発に対して潜水技術を使おうというようなことで、先ほど千葉局長のお話にありましたテクタイト計画、あるいはNOAAが主宰いたしましてハイドロラブ計画というものをやっております。これは浅いところでございますので、われわれが最初に意図しましたヘリウム酸素によります飽和潜水技術の開発とは別個の線を走る開発計画というように私たちは受け取ってまいった次第でございます。
#44
○近江委員 それで、現在のこういうシステムで百メートルまでの海底居住実験をすることが適当であるかどうかという問題なんです。これは、しろうとの私らでも、正直いって何か非常にあぶなっかしい感じがするわけです。こういう点、具体的に検討なさったことがあるのかどうか。さらに、日本のようなこういう方式でやっておるところはほかにないわけですね。ですから成功の自信があるかどうかということなんです。また、このセンターでも新しいシステムでやりたいというお考えもあるのではないかと私は思うのです。その点は、きょうは長官もおられるし、言いにくい点もあろうかと思いますけれども、やはり、やる以上は成功させなければなりませんし、そういう点はどういうようにお考えか、もう一度理事長にお伺いしたいと思うわけです。
#45
○石倉参考人 大深度に対する飽和潜水技術の確立ということは、近い将来わが国の沿岸海域の海中土木、あるいは海外におきます石油資源そのほかの海底資源の開発に関連いたしまして、日本といたしましてかなりの技術を持たなければならないということは、先生も御承知のように、空気潜水の限度が大体三十から五十メートル、それ以上になりますと、もぐれないことはございませんけれども、浮揚する間の中途での減圧時間、アセントタイムといっておりますが、アセントタイムが非常に長くなりまして、実際上はほとんど実用性がないということになりますので、その意味では飽和潜水技術を確立するという必要があろうかと思います。
 その飽和潜水技術の確立に関連いたしまして、シートピア計画だけをやっておって、それで全部できるかということになりますと、私どももそうは思っておりません。これは飽和潜水技術の本質的な問題は、現在検討中の潜水シミュレーターを使用しました潜水医学あるいは潜水生理の基礎研究ということが非常に大きな意味を持つだろうと思います。それから、実際に海での作業に必要な潜水技術ということになりますと、その段階でその作業の内容に見合いました新しいシステムを開発していくという必要があろうかと思います。
#46
○近江委員 こういう海の中というものは、私もちょっと学者に聞いたことがあるのですが、貝一つでもわからないというのですね、上を向いているのか、下を向いているのか。水でもくみ上げたら、上へ上げてきたらもう変わっているというのですね。ですから、ほんとうにそういう中で調査研究をやるということは、非常に大事なことだと思うのです。
 それで、先ほど石倉さんも、アメリカ等でも沿岸の研究ということが非常に進んでおるとおっしゃっておりましたが、そういう点からいきますと、わが国ほど沿岸の研究がおくれておるところはないわけですよ。たとえば宇宙にしましても、アポロが終われば次は衛星だということで、ERTS衛星をはじめとして、いろいろそういうようになってきておるわけですね。今後のそういうようないろいろな波及効果といいますか、そういう点を考えていきますと、やはり沿岸のこういう研究というものは私は非常に大事だと思うのですね。この新しい計画を立てて、沿岸のそういうような環境であるとか、生態であるとか、海のもっと大事なことを研究する方向にさらに力を入れていくという点において、こういういまなさっておるシートピアも非常に意義があるわけなんです。しかし、全体のそういう沿岸研究という点においてはもうはるかにおくれております。こういう点においてはもっと力を入れるべきだと思うのですよ。この点について、石倉さん、また局長、長官、どのようにお考えですか。
#47
○石倉参考人 沿岸の定義がなかなかむずかしいのでございますけれども、先ほど申しましたように、近い将来の海中土木あるいは海底鉱物資源の採取ということになりますと、やはり大陸だなの深度、言いかえますと、二百メートルまでの潜水技術は産業的に成り立たせる必要があろうかと思います。その場合に、五十メートルをこえますとやはりヘリウム飽和潜水が主体になってくる。また、場合によりますとヘリウム酸素の不飽和潜水も――短時間潜水でございますね、短時間潜水の技術を確立しておく必要があろうかと存じます。それから比較的浅いところ、これはヘリウムを使いますとかえって非常に高くなります。現在の空気潜水で私はいくべきだろうと思うのでございます。
 ところが、この空気潜水につきましては、日本の潜水技術並びに潜水人口というのは非常に多うございますので、潜水そのものから見ますと、私はそれほど心配はなかろうかという感じがするわけです。ただ問題は、従来の潜水を業とされます方々が、ほかの科学技術についての知識がない。したがいまして、技能者としては使えるけれども技術者としては使えないという問題がございますので、浅い沿岸海域の科学技術的な調査あるいはそれに基づきました開発をするということになりますと、現在の潜水技術者に対しまして特殊の工学的あるいは化学的な知識を付与するという必要があろうかと思います。
#48
○千葉政府委員 いま理事長がいろいろとお話しになりましたが、先生のおっしゃるとおり、わが国の海洋開発は何といっても沿岸でございます。それで、いま海洋開発審議会におきまして二年にわたって日本の海洋開発の振興方策を審議していただいておるわけでございますけれども、やはりそれの一番の焦点はこの沿岸の問題でございまして、これに関する科学技術、こういったものは今後の海洋科学技術振興の一つの焦点になるかと思います。それ以外は、どっちかといいますと未知の、まだ手があまりついていないところ、深海の探査でございます。
 そういったような点でございますので、科学技術庁といたしましても、海洋開発の焦点を沿岸に当てまして、これの科学技術振興をはかりたいというようなことでございますが、それでは具体的にどうかと申しますと、いわゆる沿岸の深さは大体二百メートルぐらいというようなお話でございます。その辺までは非常に長時間もぐっていろいろな作業ができるということは、海洋開発、海洋科学技術振興の基本的な課題であると存じます。したがいまして、海洋科学技術センターが発足しまして、シートピアを中心にいたしましていわゆる潜水技術、潜水作業技術の確立をいまはかっているところでございます。私どももそこに焦点を合わせまして、センターにもそういった潜水技術の部をつくりまして、この技術を確立し、そういった技術を広く国内の関係の向きに広めていきたい、かようにいま考えておるわけでございます。
#49
○前田国務大臣 海洋開発は、深海あるいは海底等ではございません。確かに、沿岸の開発を科学的に行なわなければいけないということは、先生御指摘のとおりでありまして、海洋開発審議会の答申も、できるだけ早く答申してもらうように働きかけたいというふうに考えております。そして、その答申を待ち、それを待つばかりでなくて、沿岸の開発等を含めまして、今後われわれよく検討していきたいと考えます。
#50
○近江委員 私は何も深海をやめておけということじゃないんです。深海もやらなければいけないけれども、特に諸外国に比べて、沿岸のそういう基本的な環境の問題であるとか、生態であるとか、肝心なことの調査が進んでいない。海洋日本といわれるわが国が、諸外国よりもおくれておる、恥ずかしい限りですよ。そう思いませんか、長官。うんと力を入れるべきだと思うんですよ。
#51
○前田国務大臣 御指摘のとおり、うんと力を入れたいと思います。
#52
○近江委員 それで、百メートルにする場合、改造には数十億円必要だ、こういうようにもいわれているわけですね。それは六十メートルを終えてみないとわからないとおっしゃるかもしらぬけれども、そういう点からいくと、数十億円もかけてやるのが妥当であるのか、その段階で判断をなさるとは思うのですけれども、六十メートルに成功すれば、これは私は幾らでも次へのいろんな使い道はあると思うのです。たとえば沖繩で海洋博が行なわれますが、非常に海もきれいだし、ああいう浅海において海底の研究をするとか、ダイバーの訓練に使うとか、私はいろいろ価値的な使い方があると思うのです。まあ六十メートルを終わってから判断されると思いますが、その判断の時点で、百メートルはやっぱり無理だ、新しいシステムを開発していこう、その場合においては、私が申し上げたような案についてどう思われますか。沖繩の海洋博にこれを置いて、常時ここで研究していく。どなたでもけっこうです。
#53
○千葉政府委員 いま沖繩のお話が出ましたのですが、実は百メートルの実験を終えてから沖繩に持っていきたいというふうに考えておるわけでございますけれども、百メートルの実験をやめて持っていったらどうだ、こういうような御指摘かと思いますけれども、その点につきましては、いま先生のおっしゃるとおり、六十メートルの実験を踏まえまして、この百メートルの実験をどうするか、実際、具体的にどういった準備をしてやるかということは考えることだと思っております。当然、これはまず安全をベースにいたしまして、それでその安全を十分に確保しながら、しかも成果をあげるという点のやり方を見出しまして、百メートルの計画へと向かっていくということでございます。
#54
○近江委員 常にこういう実験においては危険が伴うものでありますし、無理な実験はあえてやる必要はないと私は思うのです。安全性を十分に確かめて万全の体制で実験に当たっていただきたいと思うのです。これは長官も何回も決意を表明されておりますので、強く要望しておきたいと思います。
 きょうは通産省から沖繩国際海洋博管理官も来られておるわけですが、沖繩海洋博が非常におくれておるということで、われわれも、特に科学技術庁は大いに関係があるわけですし、その点心配しておるのですが、進捗状況等はどうですか。
#55
○中沢説明員 御説明申し上げます。
 五十年三月から六カ月間行なわれます海洋博につきましては、すでに二年間ございませんので、現在政府部内に推進対策本部を設けましてその準備に当たっておるようなわけでございますが、四十八年度の予算を中心に四十八、四十九両年度にわたります全体の予算もきまりましたので、博覧会の準備、運営の主催団体でございます博覧会協会におきまして、現在最終的な会場計画を策定中でございます。会場計画の最終案が、現在の予定では五月の中旬には作成されまして、その後本年の夏から秋にかけまして設計及び建設工事に入るという予定になっております。
 このスケジュールによりまして、五十年の三月までに会場関係あるいは会場に至りますまでの道路、港湾、空港その他の関連事業計画を、非常にタイトなスケジュールではございますけれども間に合わせるというスケジュールで進めております。したがいまして、関連事業につきましては、政府部内の推進本部で資材あるいは労務の対策を詰めておりますし、博覧会の会場内の計画につきましては、協会が中心になりまして、現在最終案の最後の詰めに入っておるという状況でございます。御指摘のように、沖繩現地では非常な資材不足あるいは労賃が上がったというような状況から、間に合わないのではないか、はたして間に合うのかというような不安の声も一部に出ておりますけれども、四月あるいは五月までに全体のスケジュール及び対策を確立いたしまして、予定どおり五十年三月までに間に合わせたい、かように考えております。
#56
○近江委員 それで、あなたがいま政府の責任者として特に心配な点というのはどういう点ですか。
#57
○中沢説明員 最大の問題は、五十年三月までの期間が、大阪で行なわれました万博の経験から申しますと、非常に期間的に短いという問題がございます。しかしながら、現在資材なり労務なりの対策を詰めておりますけれども、四半期別にそのような建設工事にかかわります対策を立てまして手順よく事を運びますれば、五十年三月までに間に合うということでございますが、問題点としてあえて申しますと、現在、本土でも同様でございますけれども、セメント等の供給力の不足という問題がございまして、沖繩の復帰以前の建設工事の総体に比べますと博覧会の関連事業等の規模が非常に大きいということもございまして、現地のこれらの建設工事に要しますセメント等の資材あるいは木材、砂利、砂、そういうような資材を沖繩以外からも、本土あるいは海外から円滑に輸入もしくは移入をして手当てをしなければいかぬという問題がございます。この点の問題が一番の問題でございますけれども、これにつきましては、政府部内に推進本部を設けまして、その中に関連施設部会という部会を設置いたしまして、沖繩開発庁、建設省、運輸省、通産省、それに地元の沖繩県あるいは海洋博覧会協会というような関係省庁が集まりましていまその対策を練っております。これが五月に入りますと、その資材、労務対策というのが確立いたしますので、それによって時期的な困難性を克服するというふうに考えております。
#58
○近江委員 あなたは、期間が短かいとか材料が足らぬとか言われますが、それは確かに当事者としてはよくわかるわけですが、やはり万博の場合でも、周辺の人の協力を得るということが一番大事なんですね。あの当時も、万博公害というものがたくさん出たわけですよ、交通の問題から物価の値上がりから。やはりそれを努力しないことには協力は得られないということです。それを放ったらかして工事だけ進めようということ自体が根本的に誤りなんです。そういう点におきまして、沖繩は復帰してみな大いなる期待もしておったと思うのですけれども、こういうことであれば、もちろん物価は上がる、人件費は上がってくる、そういうようなことでたいへんな被害も沖繩県民に与えておるわけですよ。こういうことにつきまして、科学技術委員会ではちょっとはずれる話だと思いますけれども、まず県民生活を安定させる、そこにほんとうの推進があるのじゃないかと私は思うのです。
 これは政府部内で早急に対策をお立てになって、協力を得られるような安定した状態に一日も早くやっていただきたいと思うのです。大臣はしょっちゅう閣議で総理以下全部会われているわけですし、この点は強く言っていただけますか。
#59
○前田国務大臣 確かに、沖繩の海洋博が成功するか否かは、地元の理解と協力を得なければできないと私は考えます。その意味におきまして、ただいまの点は、閣議等におきましてもよく田中総理並びに関係閣僚にも話をいたしたい。大阪の万博の成功も、私は全く地元の理解と協力が得られたからであるというふうに考えております。
#60
○近江委員 沖繩海洋博につきまして、科学技術庁としてまたセンターとしてどういう姿勢なり具体的な計画を持っていかれるのですか。
#61
○石倉参考人 沖繩の海洋博につきまして、私どもセンターが発足いたしましてからまだ一年有半で、なお非力でございますけれども、いろいろ技術的な問題が今後出てくるようでございますので、それらのに点につきましては十分御協力を申し上げたいと思っております。
 なお、先ほど千葉局長からお話のありましたように、シートピア計画が済み、あれを歴戦の勇士として展示してほしいということであれば、またその段階でシートピアの諸施設の展示につきましても御協力を申し上げたいと思っております。
#62
○千葉政府委員 実は、沖繩博の構想の段階から科学技術庁は積極的に協力いたしまして、それでいわゆる海洋科学技術といった面をなるべく海洋博の構想の中に反映させていきたいということで、通産省中心の関係各省、いろいろな関係者の会議に、調整局の海洋開発課長を出しまして積極的に協力してきたわけでございます。ただいま石倉理事長がお話しましたように、それから先生の御指摘がありましたこのシートピアのいろんな諸施設を、できたらこの海洋博に陳列いたしまして、それでわが国の海洋の科学技術の一端でもいろいろお披露目していきたいというふうに考えておるわけであります。
#63
○近江委員 歴戦の勇士といえば非常にかっこういいわけですけれども、傷だらけ、欠陥だらけなんですね。その勇士に最後の花を飾ってあげたいということで、沖繩に持っていってはどうかというような意味で言ったわけです。
 いずれにしても、もとへ戻りますけれども、科学技術庁がそういう計画を立ててやる以上は、やはりもっと事前の調査なりをし、国民の血税を使ってやるわけですからね、科学技術にかける期待というものは大きいわけですよ。ですからこそ国民も認めているわけです。だけれども、それがこういうずさんな形で行なわれていくということは、これは大きな問題ですよ。これからいろんなことをやっていかれると思うわけですけれども、うんと慎重に事前調査もして、そして国民の期待にこたえていただきたいと思うのです。ひとつ大臣の決意をお伺いしたいと思うのです。
#64
○前田国務大臣 国費を有効に使用するように、むだ使いにならぬように慎重な姿勢で努力いたしたい、かように考えております。
#65
○近江委員 あと一つお伺いしたいのは、問題は違うわけですが、放射線の照射によって公害因子であるNOxあるいはSO2を除去する技術が開発されたということを聞いているわけですが、その実情はどうなっておるかお伺いしたいと思うのです。
#66
○成田政府委員 先般四月十七日の原研の発表によりますと、原研の高崎研究所と株式会社荏原製作所が共同で、去年の五月から放射線照射による排煙処理の研究を行なってきましたが、このほど重油の燃焼排ガスを電子線で連続的に処理することによって、排ガス中に含まれている亜硫酸ガスと窒素酸化物とを同時に除去することに成功したということになっております。
 その中身を見ますと、重油の燃焼排ガスを一時間当たり大体十立方メートル――規模としては非常に小さな規模でありますが、その早さで流して、そして二百万電子ボルト等の電子線で連続的に照射したところ、亜硫酸ガスにつきましては九〇%、それから窒素酸化物につきましては一〇〇%除去することができたということであります。それで、照射条件を変えることによってこの除去率をさらに引き上げることも期待できるということであります。こういう点では、窒素酸化物の除去については、従来確立された方法がなくて公害対策上非常に困っておりますが、この方法によりますと、亜硫酸ガスと一緒に窒素酸化物も同時に除去できるということで、これは画期的な方法だと思います。
 それから、従来の方法は湿式法でありまして、水溶液にSO2を吸収させる方法でありますが、この方式は、集じん機で固体として有害物質を捕集するのでありまして、乾式法でありますから廃水処理の問題が起きないというメリットもあるわけであります。
 ただ、非常に問題は、従来のマンガン法とか活性炭法等の排煙脱硫方式に比べましてまだコストが高いということで、これはこれからいろいろ検討すべき点であって、その点のデメリットは考えられるのでありますが、実験段階の技術、公害除去方式としては画期的なものだというふうに考えております。
#67
○近江委員 今後この研究の実用化にあたってどういうような見通しをお立てになっているのですか。研究計画であるとか、あるいは期間であるとか、予算であるとかですね。どうなんですか。
#68
○成田政府委員 今後の方法としましては、原研と荏原製作所が第二期の共同研究を早急に開始する予定になっております。
 ただ、これは経済性を考えますと、照射線量を低減することが必要でありまして、その低減化と、それから集じん機で集めますと若干の硫酸ミスト等が出てまいるのでありますが、この個体生成物をどうやって処理するか、あるいはその利用方法、それをどうやって活用するかという問題をテーマにして、第二期の共同研究を両者でやることになっております。
 そして、この研究が行なわれたあとでさらに――さっき言いましたように、この実験は十立方メートル・パー・アワーという非常に小さな規模の実験でありますので、中間規模試験とかあるいは実用規模の試験等が今後必要になってまいるのでありまして、これをどういう形でやるかというのは今後の問題として早急に検討をしたい。そして、金額的にも、第一期の研究とこの実用化のための中間的な規模試験等入れますと十億円程度金がかかるんじゃないかといわれておりまして、これについても早急に、この第二期の成果を見ながら具体化をはかっていきたいというふうに考えております。
#69
○近江委員 最後に、この研究のほかに公害防止対策としてどういうふうな研究があるんですか。テーマであるとか、研究のねらいであるとか、研究計画であるとか、今後の進め方等ありましたら、具体的にお聞かせいただきたいと思うのです。
#70
○成田政府委員 放射線の公害除去のための利用としましては、大体三つの形が考えられるのであります。
 一つは、放射線を使いまして、いろいろ大気中の汚染状況あるいは河川の流況とか公害物質の拡散状況等を追跡して調査するところの、RIをトレーサーとして利用する方法であります。これは各試験場、各事業体等でも一般化されておる方法であります。
 それから第二は、空気中とか水中とかあるいは土壌等の環境中にありますところの公害物質、まあこれは有害微量元素でありますが、その分析測定をRIを使ってやる方法でありまして、いわゆる放射化分析とわれわれはいっておりますが、これにつきましては、四十七年度等において原子力平和利用委託費予算から二千万円程度の金をつけてこの研究の促進をはかっております。
 それから第三番目の問題としましては、先ほど原研の研究にありましたように、公害を直接に除去するためにRIを使う方法でありまして、これは原研と荏原製作所が亜硫酸ガスあるいは窒素酸化物をとる実験的な成功をやっております。
 そのほか、たとえば大阪府立の公害研究所あるいは東京都立の公害研究所等におきまして、水の中のPCBとか、シアン化合物とか、あるいは有機水銀等の公害物質を、放射線照射によって破壊してこれを除去する方法等の研究が行なわれておりまして、大阪の公害研は上水道を中心にして、東京都の公害研は下水道を主体に考えて研究をしておるようでありますが、いま研究の途中でありまして、実際実用化に至るという見通しはまだはっきり立っておらないのであります。しかし、原研におきましても、また、高崎研でさっきの研究のほかに工場排水処理の基礎研究等も行なっておりまして、そういう意味で放射線利用が公害除去のために十分活用できるという見通しが出るように、原子力予算あるいは実験において成功した場合は、その実用化のために大いに積極的に助成する方法を今後強力に進めたいというふうに考えております。
#71
○近江委員 もう一問だけお伺いしたいと思いますが、これは原研であればこそこれだけクローズアップされてきたと思うのですけれども、民間でも非常にすばらしい研究をしているわけですよ。ところが、科学技術庁の研究補助金というものは非常にワクは少ないし、そして限られたワクだからということで、そういうものがあってほとんどはねられてしまう。やはりいままでの日本の行き方は、輸入技術でそれに改良を加えるという、どちらかというと非常に依頼心の強い行き方であった。これからはやはり自主技術の開発ということが非常に大事になってくる。日本のような、公害問題等もたくさん出てきておるわけですし、やはりその国の実情に合わした技術というものを私はほんとうに育成していかなければいかぬと思う。この点、科学技術庁にこの制度があるのは非常にいいのですよ。だけれども、非常に中身が薄いのです。だから、もっとこういうものを拡充して、すばらしい発明であればどんどん実施化させてあげる、こういうことが一番大事なのと違いますか。口では自主技術開発をやりますと言っていますけれども、いつもそれは抽象論なんです。それでは具体的にどのように自主技術開発を育てていくのか、その具体的なことになりますと非常に中身が乏しいわけです。こういうことでいいのかということですね。こういう点については、大臣として今後ほんとうに、大臣は非常に前向きの大臣だと思いますし、画期的にこういうところをうんと拡充して、どんどんと発明実施化を進めていく、こういうことが一番大事だと思うのですよ。その点、大臣どう思われますか。
#72
○前田国務大臣 ただいま近江先生御指摘の、原子力の放射線照射によりましてNOx、SO2の除去、この研究関発でございますけれども、これは私も非常に高く評価いたしまして、日本原子力研究所はよくやってくれたというわけで、私は実は至るところでこれをよく説明をし、そして、こういう方向に政治の姿勢を向けていかなくちゃいけない、これは官といわず民といわず、すべてがそう向いていかなければならないというわけで、実はこの発表以来、私は毎日これを言うて歩いているわけでございます。原子力の平和利用は単に発電だけではない。そのほか公害防止に役立つという点を非常に高く評価しまして、なお、現在研究中のもの、先ほど局長も御説明をいたしましたけれども、これをさらに推進していきたい、原子力研究所については、そういうように考えております。
 また、民間の問題でありますが、これも確かに私も先生おっしゃるとおりだと思います。私も着任以来科学技術庁が何で民間の技術の開発に積極的にリードしないのかという気持ちを持ちまして、実はもうむずむずいたしまして私も取り組んでおりますが、微力にして胸のすくようにはまだいきません。しかし、特にいま一番問題は公害の問題でありますから、いろいろあれもしたいこれもしたいという目標がございます。しかし、まず環境保全あるいは公害の除去、そういう点に重点を置いて、研究調整費もその方針にのっとって調整を行なうと同時に、新技術開発事業団等において新技術を助成する場合も、それに重点を置いて思い切ってひとつやっていきたいというふうに考えております。
 科学技術庁で、大体民間にどれだけの公害除去の技術が開発されておるのかということを早く調べなさいといって局長を叱糟励して、どういう開発があるのか、私も私なりに、まことに貧弱な知識でありますが、毎日新聞を読んで、その技術関係の記事を切り抜いて実は集めておるというぐらいに張り切っておりますが、どうもしろうとのせいでなかなか力が及びません。どうぞ今後ともいろいろ御指摘をいただきたいということを特にお願い申し上げます。
#73
○近江委員 もう一つだけ。新技術開発事業団も、それは確かに外郭団体であって活動なさっているわけですよ。ところが中小のなかにほんとうにすばらしい研究者がおりまして、そういう人が発明して実施化するというのは、これははっきり言ってなかなか金が出ぬわけです。ほとんど大企業とかそういうところになっているのです。そうすると、中小零細にあるいは優秀な発明家がおりまして、それを実施していくのはやはり科学技術庁が窓口になっている発明実施化補助金ですね、ここに小口がみな来るのですよ。だけれどもすばらしい技術がある。もう涙を流して、ほんとうに発明者はみな泣いているのですよ。ワクがないからはみ出された。あなたのはいいんだけれどもと、一応科学技術庁は激励だけしてくれるけれども金は出さぬわけですよ。そんなことじゃだめだというわけです。だから、そこのところをうんと、そういう新技術開発事業団を手厚くしてもらうのはいいけれども、肝心の窓口のところでうんとしてもらいたいと思うのです。これはやっていただけますか、長官。
#74
○前田国務大臣 せっかく一生懸命になって研究開発をいたしました、特に中小企業の研究開発に私はすばらしいものがあると思います。その点、何としても花も実もあるような援助をするように積極的に取り組みたいと考えます。
#75
○近江委員 それじゃひとつ、花も実もあるように、ほんとうに充実したものにしていただきたいと思うのです。これは官房長もずっと聞かれているわけですから、よろしくお願いしたいと思うのです。強く要望しまして終わります。
     ――――◇―――――
#76
○原(茂)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。
 地震予知に関する問題調査のため、明二十六日、東京大学名誉教授萩原尊礼君、東京大学教授力武常次君、東京都立大教授中野尊正君及び気象庁総務部図書資料管理室補佐官根本順吉君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#77
○原(茂)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、明二十六日午前十時理事会、十時十五分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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