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1972/04/26 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
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1972/04/26 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第10号
昭和四十八年四月二十六日(木曜日)
    午前十時十八分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 藤本 孝雄君 理事 粟山 ひで君
   理事 原   茂君 理事 瀬崎 博義君
      加藤 陽三君    湊  徹郎君
      井上 普方君    清水 徳松君
      山原健二郎君    近江巳記夫君
      北側 義一君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁研究
        調整局長    千葉  博君
 委員外の出席者
        国立防災科学技
        術センター所長 菅原 正巳君
        文部省大学学術
        局学術課長   七田 基弘君
        国土地理院参事
        官       檀原  毅君
        参  考  人
        (東京大学名誉
        教授)     萩原 尊礼君
        参  考  人
        (東京大学教
        授)      力武 常次君
        参  考  人
        (東京都立大学
        教授)     中野 尊正君
        参  考  人
        (気象庁総務部
        図書資料管理室
        補佐官)    根本 順吉君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(地震予知に関す
 る問題)
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 地震予知に関する問題調査のため、本日、東京大学名誉教授萩原尊礼君、東京大学教授力武常次君、東京都立大学教授中野尊正君及び気象庁総務部図書資料管理室補佐官根本順吉君に参考人として御出席願っております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。どうかそれぞれの立場から、忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。
 なお、参考人の御意見の開陳は、お一人十三分程度にお願いすることとし、後刻各委員からの質疑の際、十分お答えくださるようお願いいたします。
 それでは、最初に萩原参考人よりお願いいたします。萩原参考人。
#3
○萩原参考人 私は、地震予知研究が現在どこまで進んでいるか、それから、今後これを進めるためにはどういう問題点があるかということについてお話いたしたいと思います。
 御承知のように、地震予知の研究計画というのは、昭和四十年にスタートいたしまして、四十八年度には九年目を迎えるわけでございます。御承知のように、この地震予知に必要ないろいろな観測というものは、非常にたくさんの省にわたる機関が行なっておりまして、今日では、こういう各機関の間の協力という形で行なわれておるわけでございます。たとえば建設省の国土地理院、これは測量でございます。それから運輸省の気象庁、これは地震でございます。それから科学技術庁の防災科学技術センター、通産省工業技術院の地質調査所、運輸省の海上保安庁の水路部、それから東京大学をはじめ各大学でございますが、これは文部省でございます。こういうふうに非常にたくさんの機関にわたっております。
 それで、どの機関におきましても、地震予知ということを業務で行なうということには現在はなっておらないわけでございますので、本来の業務の形をくずさないで、お互いに協力するという形で進んでまいっておる次第でございます。
 昭和四十四年から、こういう研究計画を推進するために地震予知連絡会というのができまして、これは事務局は国土地理院でございますが、そのほか三つのセンターができまして、このセンターを通して地震予知に必要な資料がこの連絡会に集まり、そこでいろいろな判断を行なって、地震予知の実用化につとめるということになっております。
 地震予知の研究計画は、昭和四十八年度でいわゆる第二次の計画が終わりまして、昭和四十九年度からは第三次の計画に新しく入るわけでございます。そのときにあたりまして、従来の成果を考え、将来どう進むべきかという検討が関係者の間で行なわれているところでございます。この地震予知研究計画は、関係機関の皆さまの非常な努力によりまして、当初、計画いたしました計画、これは経費の上では十分でなかった点もございますが、項目の上ではほとんど全部昭和四十八年度に完了するという状態でございます。
 それでは、一体どの程度に研究が進んだかと申しますと、いろいろな項目がございますが、今日は、地震予知の本命であるといわれております地殻変動の調査と地震活動の調査について簡単に申し上げます。
 それを申し上げる前に、地震予知と申しましても、どのくらいの地震がどこでいつ起こるかということを言うこと歩大切なんでありますが、この起こる場所と大きさ、この場所ではどのくらいの大きさの地震が起こる可能性がある、そういうことは大体の見当がつけることができるわけでありますが、それが起こる可能性はあるけれど、これが十年先であるか、五十年先であるか、あるいはあす起こるかもしれない、こういうことでは実際の役には立たないのでございまして、もっとはっきり、いつ起こるかということ、これを言わなければならないわけで、一番大きな問題はその起こるときでございます。
 この起こるときにつきましては、実用化という点から申しますと、大体二、三年前あるいは五、六年前でもよろしいと思いますが、大きい地震が起こる可能性が非常に強くなった、そういうことを予測する、これを長期的な予報と呼んでおりますが、そういうことのほかに、もう少し差し迫った数日前、あるいはできれば数時間前に地震の警報を出す、そういうことがどうしても必要になってくるわけであります。
 長期と短期とに分けましてお話をいたしますと、長期的予報につきましては、日本の測量をひんぱんにやっていく、そうして、その地殻にどれだけのひずみがたくわえられてきて、それが限界に近づいたかどうか、そういうことを調べれば長期的な予報はできるわけですが、この測量につきましては、大体計画どおり進んでまいりました。しかも、最近の南関東に問題が起こりまして、そこで非常に詳しい測量をやりました結果などから、従来考えられておりました水準測量に加えて、光による距離測量が非常に役に立つということがわかってまいりました。
 それで、現在、国土地理院におきましては、昭和四十九年度以降の計画といたしまして、全国精密測地網という大きな計画を立てております。これは、光による距離測定を、全国の一等、一等補、二等の各三角点に――これは三角点間の距離は八キロないし十キロになるわけでございますが、そういうこまかい三角網につきまして三角点間の距離を測量しこれを測量いたしますと、前回の測量と比べると土地のひずみが、この三角形の中のひずみがわかるわけであります。
 これはたいへん大きな計画でございまして、年間十億をこえると思いますが、こういうことを行なってまいりますと、それをたとえば五年に一回の周期で全国の測量を繰り返す、こういうことを行なってまいりますと、日本のひずみがどうであるということが追及できるわけです。
 あとは地震活動、これは気象庁でやっております地震活動の調査のほかに、大学でやっております微小地震、極微小地震という非常に小さい地震の調査、これが長期予報にも役に立つと思うのであります。ところが、計画は非常に順調に進んでまいりまして、その間、地震予知研究の頭脳的中枢になっております地震研究所の紛争が長く続いておりまして、これが非常に大きな手違いになったというようなことがございましたが、おおむね順調に進んでまいっておりますが、今後のことを考えますと、地震予知の研究がここまで進んできた段階におきまして、今後もっと急速に実用化を目ざしていくとしますと、いろんなことがばらばらで行なわれているということが非常に差しさわりになってまいります。特に、いろんな微小地震の観測あるいは地殻変動の連続観測、こういうものは大学の担当になっておるわけでございますが、大学は教育と研究の場でございますので、あまりに事業的なことにこれ以上手を広げることはできないというような事情もありまして、何かここに、一どきに一元化はできませんでしょうが、何か国立の研究機関というものができて、そこでこういう地震予知に必要な観測、事業的な色彩が強い研究的な観測及び研究を行なっていく何かそういった機関がほしい。そういうものを中心にして進めていかなければならない。これは非常に大きな問題でございまして、今後の非常に大きなわれわれの課題になっていると思います。
 これが大体地震予知研究計画の現状でございます。
#4
○石野委員長 ありがとうございました。
 次に、力武参考人にお願いいたします。
#5
○力武参考人 私は地震予知ということを研究している立場からお話をしたいと思います。
 二十年くらい前は、地震予知ということは大体星占いに近いようなことでございましたが、ただいま萩原先生のお話にありましたように、予知計画というものを相当なお金をつぎ込みましてやってまいりまして、また国際的にもアメリカ、ソ連等非常に力を尽くすようになってまいりました。その結果、一応学問のていさいをとるようになったというふうに私は判断しております。
 つまり、非常に基礎的なデータがとれてきたわけでございまして、さっきのお話にもございましたが、一体地震予知とは何だというときに、もし関東地方なら関東地方で地震が起きるとすると、その大きさはどれくらいになるかという点を一応の理論に基づいてものが言えるようになってきたということでございます。たとえば、ある地震が起こるといたしまして、そのマグニチュードが六と七の間に入る確率がどのくらいである、七と八の間に入る確率がどのくらいであるということが言えるようになったということであります。地震現象というのは本来破壊現象でございまして、これはどんぴしゃと言うわけにはなかなかいかない。つまり、一様な糸を引っ張ったといたしまして、どこで切れるか、いつ切れるかということは、統計的にはフラクショネーションがあるようなものでございますが、どうしても確率というような概念になってくるわけでございます。
 一方、発生の時期につきましても、このほうが非常にむずかしいわけでございまして、まあ若干の理屈がございまして、来年起こる確率が幾らか、再来年起こる確率が幾らかというふうに、これは根本仮定があやしいということであればおかしいのでございますが、全く荒唐無稽ではなく言えるようになりつつございます。
 そういうような状態を踏まえまして今後何をやるかということが非常に問題だと思います。これには幾つかのことが申し上げられると思います。つまり、基礎的な研究というものは当然やらなければいけないわけでございまして、これは大学その他でいままでのやり方を推し進めていくということが第一かと思います。かなり芽を出しかけた研究もございまして、そういうものを助長すれば有力な地震予知の手段になり得るであろうと思うものが幾つかございます。しかしながら、おそらく社会の関心というものは地震予知の実用化ということにあろうかと思います。そういうことになりますと、いまの体制はやや不備であるといわざるを得ないわけでございまして、萩原先生のお話にもございましたいろいろな方法を、この際大規模にやるということがたいへん有効なことであると私は信じております。
 たとえば、まず距離を精密にはかる、その変化を出して地殻のひずみを求めるという、いまお話がございましたレーザー光線を使う機械が開発されまして、たいへん有効な機械でございますので、そういうものを光の波による測量、光波測量と申しますが、そういう精密光波測量網で日本全土をカバーするようにすれば、それを何年おきかにはかれば、非常に精密に地殻にひずみがたまってくる様子がわかる。そのひずみがたまってきて、たとえば関東大地震からあとでどれだけたまってきたかということがわかりますと、先ほど申し上げました地震が起こる確率といいますか、そういうものがおのずから算定できるようになるべきでございまして、ある程度はなってきたということであります。
 それから、地震の二番目といたしましては、いままでは地震観測所というものはいわば人海戦術でございまして、とれたデータを人間が読んで、場合によっては自転車かなんかで運んできて、またそれを人間が読んで地震をきめるというたいへん労力のかかることでございまして、感度のいい地震計を使うようになりました現在ではやり切れぬということがございます。
 そういう労働問題が起こるわけでございますので、これはいかぬということでリアルタイムでモニターするということをぜひやらなければいけない。これはすでにアメリカのカリフォルニアにはサンアンドレアス断層という大きな断層がございまして、そこでしょっちゅう地震が起こるわけでございますが、そのまわりにそういうリアルタイムの観測網が展開されております。これを数人の人間で非常に能率よく管理しているようであります。また、メキシコ国境に近いほうもさらにそういうものが造成されると聞いております。日本には地震研究所におきます無線地震計というのがございまして、筑波であるとか秩父であるとかの地震計から電波で送られてきた地震を人間が読むわけでございますが、処理するようなものがございまして、これはたいへん有効なことはわかっておるのでありますが、それを一段進めて全部自動化したい、こういうことでございます。
 それから三番目は、日本の大地震というのは主として太平洋の沖合いに起こります。これを事前に調べるということはたいへんむずかしいことなんでございますけれども、海底地震計というものが開発されてまいりました。これをケーブル方式でリアルタイムで観測することが第一であります。これは、ケーブルにつきましてはたいへんお金がかかるようでございますが、ぜひ実現しなければならない。あるいはケーブルが繁雑であるということでございましたならば、私はアメリカのコールマンという教授から提案を受けておりますが、海面まで持ってきて、上に静止衛星をあげてそれでモニターするというようなことまで考えてもらっていいんじゃないかというふうに考えております。
 そのほか、いろいろございますが、おもなことはそんなことではないかというふうに思います。
 一方、研究といいますか、そういう地震予知の実施体制といいますか、そういうことでございますが、現在の地震予知連絡会はきわめて不十分であるといわざるを得ないと思います。つまり、ほとんどの人がパートタイムでございまして、萩原会長もパートタイムでございます。ですから、だれが一体責任を持って地震予知のデータをにらんでいるのかということになりますと、みんな片手間仕事のような感じがするわけでございまして、それではいけません。ぜひ何かちゃんとしたものにしなくちゃいけないというふうに思います。
 また、どこそこに地震が起こりそうだというようなことがわかってきた場合に、そこへ重点的に研究といいますか観測機械を注ぎ込むというときにも、連絡会は命令するという立場にございませんので、他機関の協力をお願いしてやってきているということでございますので、これをもう少し強力にする必要があると思います。
 そういうことで、結局は萩原先生と同じように、何か国立の地震予知の研究所でもよろしいし、センターでもよろしいし、あるいはもっとちゃんとした官庁のようなものでもよろしいかと思いますが、ぜひ必要になるであろう。それをやれば、ある程度地震予知の実用化のめどがつくというふうに私は見ております。
 以上であります。
#6
○石野委員長 ありがとうございました。
 次に、中野参考人にお願いいたします。
#7
○中野参考人 私は地震予知の研究者ではありません。しかし、都市災害あるいは都市防災の研究調査の面から、地震予知の現状と研究成果には、きわめて強い関心と期待を持っている者であります。本日はこういう立場から若干申し述べたいと思います。地震予知研究の成果が逐次公開されまして、私どもにとりましてはたいへん参考になっているわけですが、しかし都市の真下に発生するいわゆる都市直撃型の地震については、まだ十分情報が公表されているとは思いませんし、これには観測上のいろいろな障害があるためとも聞いております。しかし、最近私たちの研究室で、過去長い年数かけて調べてまいりました整理をやっておりますが、東京下町から埼玉県東部低地帯の数多くのボーリング資料を整理いたしまして、その中から実は柱状図をつなぎますと、どうしてもうまくつながらない。で、差別的な運動、上下方向の差別的な運動ですが、そういうものが記録されているというふうに判断されるような結果が出てまいりました。
 この問題に関連いたしまして、私どもはさっそく東京都防災会議の地震部会――部会長は和達清夫さんですが、お願いいたしまして、その地震地質学的な検討を加えていただくように話を進めております。おそらく今年と来年でこの問題の検討をいたすことになろうかと思いますが、こういうボーリング資料だけでやりますと、どうしても確認が不十分でございますので、ぜひ観測的な方法で確認するように進めていただきたいわけです。このためにはどうしても地震予知計画にございます観測用の深井戸が、東京周辺地区に早期に設置完了して観測が開始されることが必要であろうというふうに考えております。
 過去の東京地区におけるこういった直撃型地震の発生の記録というものは、よく御存じの安政の大江戸地震、あるいはまた明治二十七年、これは神田、本所、深川付近を中心に被害が発生しておりますが、その中心は新宿付近というふうに推測されます。この当時と今日の比較をいたしますと、都市の状況は全く異なっておりますし、同じようなマグニチュードが六・五とかあるいは七というふうな地震でも、たいへんその波及する影響が大きいものと考えられます。ぜひこういう点の確認が必要であろうかと考えております。
 こういう内陸型の地震というのは、関東大震災の前後に限ってみましても非常にたくさん起こっております。あるいは茨城県の竜ケ崎とか浦賀水道あるいは水海道、丹沢、北伊豆、秩父、こういうところで群発しております。こういう小さな、小型であっても、開発が進んでいる、あるいはすでに開発された地域というもので起こりますと、鹿島臨海工業地帯あるいは東京湾岸の工業地帯等に与える影響も大きいんではないか。そういう点から、少なくともその発生の可能性があるのかどうかというような検討について的確な研究を進めていく必要があると考えているわけです。
 この種の内陸型の地震というのは、現在単に都市の周辺だけでなくて、河川構造物や発電用の構造物が多い山間部にも発生する。あるいはまた、これから大きな期待がかけられている開発地域の日本海沿岸にも発生することが指摘されているわけです。こういう新しい年代に活動の証拠を持つ活断層の全国的な総点検が必要ですが、この点につきましては、かつて地震予知研究の一環としてまとめられ、防災センターから資料が出版されております。こういう資料をさらに活用いたしまして、それにエバリューションを加えて、観測網を整備拡充して活動状況を確認していくというようなことが必要ではないかというふうに考えているわけです。
 最近、私個人は、科学技術庁で現在進めております宇宙開発事業の一つの資源衛星の映像解析のグループに加えていただきましたので、その機会に西南日本の映像について新しい断層の確認をしてみました。まだ作業が進行中でございますけれども、すでに現在までにも幾つかの新しい事実もわかってまいりました。その幾つかの中には、大阪付近あるいは神戸付近というふうなわりあい大都市付近に存在している。山間部に片寄っておりますけれども、たいへん気になる点であります。こういう点、さらに観測的な手段を加えてその確認を急いでいただきたいというふうに私は考えて
 いるわけです。
 予知の問題で時期がどうなっているかという問題については、これはいろいろ困難なことがあると思いますけれども、都市防災を考えている面から申しますと、別の面で観測網を密にするということとともに、ある程度の注意を要する地域というものを、何らかの科学的な根拠で設けて、それを要注意地域というふうな地域で指定するのがいいんではないかというふうに考えているわけです。
 終わります。
#8
○石野委員長 次に、根本参考人にお願いいたします。
#9
○根本参考人 私は全く地震の専門家ではありませんで、気象庁で三十年間研究をやってきた者であります。学者でありませんで、技術者であります。学者の方はやはりいろいろな原因結果を考えて予知というようなことをお考えになるのですけれども、私は技術者なものですから、何かうまいことがあったらばそれを使ってみようというのがまず頭にくるわけです。
 なぜこういうことになったかと申しますと、私は前に天気予報をやっていたときに、お医者さんと一緒に病気の予報ということをやりました。これはおそらく日本で最初じゃないかと思いますけれども、病気の中には非常に気象と関係のあるものがありますので、気象の条件がわかりますと、それで発病が多くなるという予報ができるわけであります。これは実際現在でもやっておりますけれども、そういうことで、病気と気象の関係を調べていたのです。その副産物として、全国各地、それから台湾などから病気のデータがたくさん入ってきましたので、そういうデータを解析しておるときに、病気というものがやはりお月さんの月齢に関係があるということがかなりはっきりしてきたのです。
 それで、たとえばどういう病気かと申しますと、腺窩性へんとう炎といいまして化膿するへんとう炎があります。そういうものとか虫垂炎、そういったものが非常に月齢に従って多くなったり少なくなったりしているわけであります。それだけですとどうも理屈がつかないからあまり取り上げられないのですけれども、ちょうどそのころアメリカでブラッドレーという人が、世界じゅうの雨の降り方を調べておりましたところが、これがやはり月齢に従ってふえたり減ったりしているのですね。それで、アメリカだけではやはり心配なんで、オーストラリアの人が調べましたら、オーストラリアでもやはりアメリカで調べたのと同じように月齢に伴って雨が多くなったり少なくなったりしている。日本では、なくなった丸山さんという方が調べたのですけれども、やはり同じように出てくる。そうしますと、雨を媒介として何か月が人間のからだに関係しているのじゃないかということが考えられるわけなんですけれども、そういったことで、私は月に非常に関心があったわけです。
 現在は気象庁で予報をやめまして図書館におりますので、たくさんの本を見る機会があるのですけれども、たまたまおととしの夏に、図書館で本を見ておりましたところが、地震学会で出しております「地震」という雑誌がありまして、それにソ連のタムラジャンという人が、日本で千人以上の人が死んだ地震を月齢に伴った変化で調べておりましたところが、それが月齢二十日を過ぎて、それから月齢の五日までのちょうど半分のところにほとんどがそれが入ってしまう。私は前から月に関心があったので、それを見て非常に驚いたのです。こんなに規則性があるならば、まず理屈ではなくて使ってみようということになりまして、その統計的な事実を利用しまして、タムラジャン氏の場合には被害ということでやりましたが、この被害というのは地震の大きさにとってはちょっと客観性がありませんので、マグニチュード七以上の地震を集めてやりましたところが、ほとんどタムラジャン氏と同じような結果が出てまいりました。それで、これを使いましてカレンダーをつくりました。
 それはどういうものかといいますと、毎日毎日を月齢で分けまして、グレード一から四までにしまして、マグニチュード七以上の地震が起こりやすいところと起こりにくいところ、そういうふうにやりまして、実はよく調べてみますと、これはソ連の人が発見したわけでも何でもないのです。これはいまから七十年前に、今村明恒先生が書きました「地震学」という本がありまして、それにちゃんと書いてある。それからあと松沢先生の書いた本、和達先生の書いた本、すべて地震の教科書には、あまり長くはありませんけれども、そういう事実があるということはもうすでに気づかれておりまして、別に発見でも何でもないわけであります。
 それをただ使ってみようということで、これをおととし気づいて去年一年つくっていたのですけれども、たまたま八丈島の地震がちょうど私のカレンダーでグレード三のときに起こっておりました。そうしましたところが、友だちが、やっぱりこれは大体当たっているんじゃないか、またことしつくってみないかということで、ことしまたつくったわけですけれども、こういったように、私のやりましたことは、医者でいえばいわゆる漢方、普通の生理学をやっていきまする近代の医学とは違います。原因がわからないで、過去の経験的の事実で非常に使えそうなもの、役に立ちそうなものを、これをただ表にしたということです。
 それから、きょうは地震の予知の委員会だそうでありますけれども、私のやりましたことは決して予知ではありません。これはカレンダーをつくったんで、カレンダーというのは、夏が暑くて冬が寒くて、つゆが来れば雨が降るという、そういったような形のものでありますから、カレンダーはだれもこれは予報とはいわないのですね。だけれども、やはりいろいろ調べてみまして、たとえば満月の前後でマグニチュード七以上の地震が起こっていないということは、これは私は、知識として知らないよりは知っているほうが役に立つと思うのです。そういった意味で、私がやりましたことは、全く経験的の事実で、理屈は何もありません。ただ、その地震学会に発表なさったソ連のタムラジャンという方は、その後自分の研究をどんどん進めておりまして、朔望月の周期のほかに近点月、遠点月の周期を入れまして、北極周辺の地震の起こり方を、これは非常に月と関係があるということを出しておりますので、理屈が全くないというわけではないように私は現在考えております。
 以上でございます。
#10
○石野委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#11
○石野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
#12
○原(茂)委員 参考人の皆さん、御苦労さまでした。時間もあまりありませんから、端的にお伺いをしてまいりますが、最初に、萩原先生のお話にはなかったのですが、あと力武先生のお話の中には、予知連絡会の不備といいますか、まだまだあれもこれも非常に不十分だという端的なお話があったわけですが、予知そのものを実用化するということが国民的な願望なんですが、端的に、現状で一体地震の予知というのはいつごろになったらできるというふうにお考えでしょうか。もちろん微小地震はわからないとしましても、少なくともマグニチュード六以上のものぐらいは予知できる、いつごろになったらやれる、ただし現状ではどうもいつとは言えないが、現在の予知連絡会というようなものをもっと権威のあるものにし、指揮命令系統をはっきりし、もちろん常駐で多くの技術者、科学者、専門家がここにすわり込む、そうして、施設としては光波観測にしろ何にしろ、予算の面でこの程度のものがあり、この程度のことをやったらまず何年ごろには六以上の予知はできるというようなことが言えるか、ひとつ端的なお答えをお願いしたいと思います。
#13
○萩原参考人 私からお答えいたします。
 地震予知と申しましても、先ほど申し上げました長期予報について申し上げますと、国土地理院が計画しております全国精密測地網が完了いたしますと、それと水準測量、あるいは地震観測、そういうものから総合判断するわけでございますが、大体長期予報は実用の段階に入っております。ただそれはM七に近いもの以上でありまして、そうなりましてもM六については多少の取りこぼしがあるかと思います。それで、全国精密測地網が軌道に乗りますのは、来年度から始めましても五年後でございます。
#14
○原(茂)委員 七以上に関してはもうすでに実用化段階に入っている。実際にその予知ができるというのは五年かかる、こういうお話ですね。
#15
○萩原参考人 精密測地網が五年後に全国に行き渡るわけでございますね。そうしましたら、七以上の長期予報はできる。六は半分ぐらい取りこぼすかもしれませんということでございます。しかし、現在ゼロかというとそうでもないので、非常に観測網とかあるいは測量が密に行なわれているところに地震が起こるとしますれば、それは予測、予報ができることもあると思います。
#16
○原(茂)委員 観測網の中心に水準測量なら測量を全国的に網を張る、それが完備した後ならまずまずできるだろうと思うのだが、その完備させるまでに五年ぐらいはかかる。ぐらいじゃなくて、これほど地震国日本といわれるような国で、国民もこれに対しては常にたいへんな危惧を抱いているわけですね。という点からいうと、私が先ほど質問したように、現在の地震予知連絡会が三カ月に一ぺん程度会合を開いて、各センターといいますか、違った機関からの情報を持ち寄ってそこで検討を加える、そこでまた解散をしてしまうというような現在の予知連絡会というものが中心でやっている限り、いまのようなばく然としたお話にならざるを得ないだろうと思うのです。
 私の聞いておりますのは、予知連絡会というものも今日までの段階では必要だったのだが、これに権能を与える。ここがはっきり命令を行なって必要な資料を収集する。常時そこでは検討を加えるというような、先ほどちょっとパートタイムというお話がありましたが、片手間仕事のようなものでないようにしなければいけないのではないかということが一つと、とにかくそういう意味の総合的なセンターがなければいけない、そのセンターを求めてみると、予知連絡会、予知の実用化に関する限りは現在は連絡会ではないかと思う。ということになるなら、連絡会を思い切って機構改組をして、これに思い切って予算を与えるというようなことをしながら、先ほど力武先生のお話にありましたような不備、欠陥というものを先生方がお考えになって、理想的にこうやれば、しかもこれだけの予算があれば、たとえば南関東の強化地域に指定をされてもう一年ぐらいになるか知りませんが、あの施設にしても、予算がないから一カ所しかやっていない。本来なら四カ所ないし五カ所はやりたいのだとお考えになっているんじゃないかと思うのですが、それも一カ所しかやってない。これは予算の問題なんだということなら、やはり前段にお聞きしたように、とにかく権威であられ、しかも連絡会の会長をおやりになっておいでになる萩原先生の立場から、理想的にはこのような権能を持つ機関にしたい、理想的にはこれだけの予算を早急に獲得してこれこれの施設をやりたい、その前提があるならいつごろからは予知が実用化できる、しかもM六とM七ではたいへんな違いがありますから、千分の一も違ってくるのですから、これはまあまあ六は無理だとすれば、当面の目標としては七でいくとして、一体、そうすればいつから予知が実用化できるのだというようなことをお伺いしたい。
 実は長官が隣においでになるのです。きょうは長官も、皆さんの御意見を聞きながら、今後の国家の方針としてもこれを取り入れるべきものは取り入れるという立場でおいでいただいていますから、いま私のお伺いしておることを端的にお答えをいただきたい。
#17
○萩原参考人 現在の地震予知連絡会というものが非常に無力であるということは私も存じております。それをどうしたらいいかということは、先ほど私も申し上げましたし、力武教授からも申し上げましたように、何か国立の研究機関、これは研究所でもセンターでもよろしいが、これが非常に十分な予算を持って十分な観測等ができるということ、それでそこが地震予知連絡会の現在行なっているような役割りも果たすということになるべきだと思います。
 それで、現在地震予知研究につぎ込まれているお金は、これはいろいろな評価のしかたはございますが、一応年間七億ないし八億といわれております。これを、私も以前から申し上げているのはとにかく倍になればいい、相当のことができるということを申し上げているのです。ことに先ほどの精密測地網が十億何がしでございますから、大体年間三十億、これだけのお金をつぎ込めば、五年後には長期予報に対しては大きなめどが立つと思っております。短期予報はそれより少し先になるかもわかりません。
#18
○原(茂)委員 七億か八億とおっしゃったのですが、本年度、たしか全体で九億ぐらいになると思うのですが、三十億あればいい。もうたいした金ではないわけですよ。地震というものを考えて予知が実用化できるということになれば、三十億なんというものは、これは長官にあとで御意見を聞きますけれども、問題にならない少額なんです。たとえばいまアメリカあたりは、地震の予知に関しては電算機を中心にしたシステムが十分に活用されているわけですね。日本では電算機が十分に駆使されている予知研究の機関というものはいまありますか。
#19
○力武参考人 東大の地震研究所にはIBM三六〇−四〇という電子計算機を地震予知研究のために装備していただいております。これはたてまえといたしましては、大学関係のデータをそこで処理をいたしまして、連絡会に取り次ぐということになっております。しかしながら、アメリカの地質調査所その他がやっております計算機の使い方とはかけ離れておりまして、直接いわゆるオンラインで地震計をつなぐというようなことはやられておりませんし、またその費用もございません。そういう意味で、残念ながら電算機の活用に関しては日本はおくれをとっているといわざるを得ないと思います。
#20
○原(茂)委員 力武先生のおっしゃるとおりなんで、日本の場合、東大地震研が使っていても、これはもう問題ならないですね。予知の実用化という点にこれが活用されるようなシステムになっていない。予算の面で、いま三十億ぐらいというお話があったのですが、私などしろうとが考えてみても、〇が一つ落ちているんじゃないかという気がするのですよ。
 いままでやってきた、だんだんコア測量が実用化されてきたために、地殻の変動というのが大体観測できるようになってきて、日本列島のゆがみぐあいなどというものもやがて近いうちにはわかるだろうというようなことを言っております、が、これもまだ非常に不的確。これに対しても、さっき萩原先生のおっしゃったように、思い切った、日本全国に対して、ある地点に対しては集中的な測量の装置というものが完備されていなければ、自信をもって地震の予知がいつできるというようなことは言えない状況なんです。というものを考えてみますと、どうも三十億程度の予算ではとてもいけない。したがってこれは、先生のお考えですからいいのですが、連絡会あたりでも、理想的に地震予知というものをほんとうに実用化するためには、どこに幾らなんというのではなくて、日本全体地図を置いておいて、こことここに集中的に地殻変動を測量することが必要だ、あるいはここには何が必要だというのを絵をかいてみて、その全体の予算がどれくらい要るのか、人的にはどういう配置が必要であり、たとえば連絡会のようなものを、思い切った、ほんとうの意味の国家的センターとしての機能を与える、仕事をさせるために、専門家を何十人、何百人置くとすれば、一体予算はどのくらいかというようなものは、もうそろそろお出しいただいたほうがいいように思う。そういうものがありませんと、南関東に何とかしてみたい、あるいは、何々地域というものを第二段階でこことここを考えている。考えるのはけっこうなんですが、予算に合わせて地震の予知というものをやっていくのではなくて、ほんとうの地震予知というものを実用化するためには、理想的には全国的に何が配置されなければいけない、現在持っている日本の科学技術からいったら、どういう機械が全国のどこに配置されていれば、全部むだになるかもしれないが、百のうち一つは有効だろう。それでもいい、地震というものは。その程度に思い切った予算というものを、人的資源の配置も考えながら、理想的にはこうあるべきだという予算が、もう国家的に検討をされる時期が来ていると思う。文部省で何を所管する、建設省でこれを所管をする、科学技術庁でこれを所管する、とにかくばらばらである。欠陥もあるのですが、その人々が全部集まって、一ぺん予知連絡会で、理想的な地震予知の実用化というテーマを考えたときにはこのとおりの予算が要るんだという、予算の思い切ったものが一度出される、その段階にもう来ていると思うのです。ぜひそれをお出しいただきたいと思うのですが、そういう検討を連絡会でひとつ思い切ってやってごらんになる考えはありませんか。
#21
○萩原参考人 たいへん力強いお話を承りまして、ありがたく感じたのであります。
 この地震予知研究計画というのは、昭和四十年に二億七千万でスタートいたしまして、われわれの立てました計画は大体十分の一ぐらいに削られて、まあ悪戦苦闘しながら、今日年間九億にこぎつけてきたのでございまして、われわれはもう、そういう予算を取ることに戦い疲れてまいりました。これ以上予算をふやしたいのでありますが、これはもう、われわれ学者の力ではどうにもならないのでございまして、政治的あるいは行政的な力によって行なわれねばならないのであります。どうぞよろしく、皆さま方の御援助によって、地震の研究が実るようにしたいと思います。なお、予算につきましては、文部省の測地学審議会におきまして、こういう各関係機関の研究を調整し、必要事項については関係大臣に建議をするということを行なっておりまして、予算の計画の審議は測地学審議会で行なうことになっております。ただいまのお話をよく心にとめまして、十分な検討をして予算の計画を立てていきたいと思っております。
#22
○原(茂)委員 私は、いまお話のあったとおりであればあるほど、地震予知連絡会が思い切って、理想的な予算はこうだ、そうすれば予知の実用化はこの程度にできるんだということを、天下に公表してもらう必要があると思う。いま世論の政治、泣きの政治といわれるような時代ですし、先生方は非常に紳士でおられるから、一人で苦労をされて、じっと、もうたまらない、よくわかります。ですが、やはりPRも大事ですから、これは国家、国民のために、日本における地震というものはおろそかにしてはいけないと思いますので、思い切って、ぜひひとつ予知連絡会で、理想的な予算、そうしてセンターとしての機能のあり方というものを、連絡会を改組するか何かは別にして、こうありたい、こうすればやれる、そのための予算はこれだけ要るんだ、初年度幾らと、遠慮会釈なく出しても、まず先生方のあれで三百億以内できっとおさまるだろうと私は思うのです。これはたいしたことはありません。ほんとうに日本の地震を予知しようというときに、三百億や五百億ぐらいのお金がたいへんだなんということになるはずがない。ただ、世間がそれを知らないのであります。だから、思い切ってそれを知らしていただくようなことを――きょう先生方においでいただいたのも、やはり地震に関してみな心配している、危惧を持っていながらどうしていいか国民はわからない。ただ不安に、ちょっとあると大きいのが来やしないか、七十年周期だなんだと、関東大震災のあと、そろそろでかいのが来るのじゃないだろうかというようなことを心配してはいるけれども、それこそ何にも知識がないから、どうしていいかわからない。したがって私は、先生方が思い切って発言をしていただき、国民にそのことを知らしていただくということになれば、ここにおいでになる大臣、長官だって、いろいろ閣議での発言のうしろだてになりますし、文部省が予算を取る、何を取るといっても、まわりの国民的な願望というものが、先生方のお出しになった理想的な絵をかいていただくと、それをもとにして大きな世論が出てくれば、急速に進めることができると思う。先生にはぜひそのことをお願いしたいと思うのです。
 それから、先生についでに冷静な立場で、私どもが聞いている範囲では、やはり気象庁と国土地理院というようなものに主導権争いみたいなものが、この地震研究の中にもあるということが、この種の阻害要項といいますかになっているというふうに聞いたり、私もそう考えるのですが、先生、どうお考えでしょうか。
#23
○萩原参考人 気象庁は、従来地震といえば気象庁といって国民から親しまれておったわけでございますが、地震予知連絡会が、測量が非常に大きな役割りをするというようなこともありまして、国土地理院についた、そういうことで一、二おもしろくないと思っている方が気象庁にはおられるかもしれませんが、全体的に見まして、別に差しさわりになっておることはないし、それがしこりとなっているようなことはなく、いろいろな連絡、協力はたいへんスムーズにいっていると私は思います。
#24
○原(茂)委員 萩原先生、そうおっしゃらなければいけないのでしょうが、私どもは指摘だけしておけばいいので、これは無理だと思います。
 そこで長官、いまお聞きになったことで、あらためては時間がないようですからお伺いしたいのですが、現在の状況でいきますと、地震の予知というものは重要でありながらその実用化は何年先だかわからない。特に一番大きな支障は予算上の問題ということになるとお聞きになったように、本年度の予算は全体で約九億円くらいですが、これを二倍にというお話が先生からあった。ちょっと考えられて三十億あればというお話があった。ずいぶん思い切って三十億と言ったと思うのですが、私が考えても三十億や百億ではとてもとてもわれわれの期待するような早期の短期の予知というのはむずかしいということを考えますと、三十億か三百億、あるいは何百億とい分多額の予算が必要だと思うのです。必要ではあるのですが、いかに金がかかろうと、早期に長期、短期の予知が実用化できるためにはやむを得ない、絶対やるべきだ、こう考えますが、長官の決意をひとつ……。
#25
○前田国務大臣 お答えいたします。
 地震の予知は、確かに原先生もおっしゃるように国民の悲願でございます。ただいま四人の参考人からたいへん貴重な意見を拝聴いたしました。私も非常に勉強になりました。予知の研究体制がいかにあるべきかというこれらの問題。それからまた、現在の予算じゃ足らぬじゃないか、もっとこれを拡充してつけるべきではないかという問題。それらの点につきましては、ただいまの参考人の述べられた御意見並びに原先生と参考人との問答されました御意見等を参考といたしまして、今後積極的に関係閣僚ともできるだけ早く相談をいたしたい。そして善処したいと考えております。
#26
○原(茂)委員 中野先生は都市災害等を中心に検討されているのですが、この間中米ニカラグアですか、あそこの首都で地震が起きました。六・二五M、あれは真下に起きたわけです。いまわが国も、どこが行っているか知りませんが、どこかの機関が調べに行っているようですが、先ほどもお話があったように、安政二年あるいは明治二十七年というような前例もあることですが、東京の真下で同じような六・二五程度のものが起きたらたいへんだろうと思うのです。先ほどもお話があったとおりであります。集中的に研究調査をしようというので南関東地方を強化地域に指定をされて現在その仕事がされていると思うのですが、私のお伺いしたいのは、予知はむずかしいようですが、先ほどもちょっと言ったように、七十年周期だ何十年周期だなんていう簡単なことから関東大震災などのでかいのがそろそろ来るんじゃないかと言っているんですが、これは妄説ですか。そんなことは絶対ないものでしょうか。その危険もあるのでしょうか。どうなんでしょうか。
#27
○中野参考人 お答えします。
 地震が近く東京に被害を与えるような形で起こるかどうかについては、私は、正統的には、一番オーソドックスな方法は、やはり現在では予知研究を強化した形の中で予知的な情報を受けて判断すべき問題だと思うのです。しかし、先ほど来いろいろ御説明がございましたように、実際問題としてすぐ予知がタイムリーに的確な情報を出し得るかどうかという問題については、なお疑念が残っているやに理解されるわけでございます。そういう点からはやはり私どもは、東京については、あるいは横浜については、あるいはまた東京周辺の京葉工業地帯とかあるいは京浜工業地帯にそういう被害が起これば、火災だけでなくて有毒ガスの問題で住民が被害を受けるというようなそういうおそれのある問題については、やはり被害を中心にして、かつ長期的、短期的な予知研究の情報というものをかみ合わせながら、地域の重要性といいますか、災害から考えての重要性というものを考えるべきだというふうに判断いたしているわけです。そういう点では、東京地区、つまり南関東地区は非常に早い時期にそういう体制に入るべき地域だというふうに考えておりますし、それから、起こった場合に恒久的対策というのはおそらく完成していないと思いますし、住民の安全というものを中心にした避難対策が、これこそタイムリーにできるようなそういう形で、その危険の予告を私は計画の中に組み込むべきであるというふうに考えております。
#28
○原(茂)委員 私の質問のほうがあまりにも荒唐な質問ですからそういうお答えになるだろうと思うのです。確かに先生のおっしゃったようなことは必要だと思うのですが、それではあとでまた関連してお伺いするとして、力武先生にちょっとここでお伺いしたいのですが、アメリカのカリフォルニア州のメンロパークに国立地震研究所がありますが、そこでこの間どこかの地域にこれだけの地震がいつごろ起こるという予知をしたわけですね。これはその研究に当たった試験所の職員が二人、正式に発表したのを御存じでしょうね。
#29
○力武参考人 その件につきましては、新聞報道で知っておる、あるいは新聞社の方がもう少し詳しい情報を私にくださったということで知っておる程度でございます。二人の研究者の名前は拝見いたしましたが、非常に若い方で、私は面識もございませんし、お名前も存じ上げておりません。ただメンロパークには毎年一回ぐらいは行く機会がございますので、そこのやっていることから推定いたしますとこういうことだと思います。
 カリフォルニアのサンフランシスコの辺には生きている断層がございまして、サンフランシスコの町の百五十キロメートル南のほうにはホリスターという町がございます。そこではいわゆる断層が年間四センチあるいは五センチメートルのスピードでずれておるところがございます。付近の話でございまして、おそらく地震の起こり方を見ておりまして、つまり断層がずれていくものですから、非常にひずみのエネルギーがたまらないのでございます。したがってあまり大きな地震は起きない。ところが、何かの拍子でひっかかりましてずれませんと、地震の回数が減って、そこにエネルギーがたまるというような感じになるわけでございます。その広さから推定してマグニチュードを予測し、その辺の地震の起こり方から申しましていつごろというようなことを言ったのだというふうに私は理解をしております。ですから、非常に観測が進んでいるところでそういうことを言えたということだと思います。ですから、日本の場合でも、もっとものすごく観測をやれば、そういうことが、松代地震のときのように言える場合も十分考えられます。
#30
○原(茂)委員 観測が進んでいる、観測を十分にやれば、すなわちお金の問題に帰一すると思うのですね。ああいうことのできたのもやはり思い切って金を使っているという一語に尽きると思うのです。これはきっと力武先生も同感だと思うのですが、結局日本は、まだそんな大胆なことはやっていないのですが、あれは信酸性があると見てよろしいのでしょうかね。数カ月ということばを使っていますけれども、数カ月以内にですから、だいぶ長いので、何月ごろじゃないのですからね。数カ月で半年ぐらいのも入ってしまうのですが、やはり信憑性ありと見てよろしいですかね。あの予知が、あの程度の予算を使い、あれだけの、しかもあれは集中的にあるところですからね。ですからやりいいところに違いない。ですから、あれだけの予算を使うとあそこなら信憑性がある。あの予知は当たるだろうというふうに学者の立場でお考えになりますか。
#31
○力武参考人 おっしゃるとおりでございまして、あの辺の地震の起こり方というものは、マグニチュードが六とか七とか大きなものは起きないところでございます。ですから、四・五と言っておけばまあ間違いないというようなこともございまして、全く荒唐無稽に言っているのではなくて、その起こる時期につきましても数カ月というようなのは、私はいいところだと思います。たぶん、あれにさらにいわゆる光の距離測量というものを組み合わせるならば、二、三カ月の精度では言えるようになる。また現に、そういうもので予報が出ておるところは、あまり世の中には知られておりませんが、その断層については二、三カ所あるようでございます。
#32
○原(茂)委員 それにつれまして、たとえば、あれと同じ程度の予算をかけて南関東に集中的にやるとしたら、どのくらい予算がかかりますか。金はどのくらい要るのでしょうか。
#33
○力武参考人 つまり、あそこでは、八十ぐらいの地震計を二百キロぐらいの距離にばらまいております。南関東におきましては、地震研究所のものは大体五つぐらいございます。それで、年間数十万円の金でやっておるわけでございますから、それを十六倍すればよろしいわけでございますから、どういうことになりましょうか、それにしてもなかなか何十億というようなお金にはならないわけであります。
 ただ、そのテレメーターのシステム、それからオンラインでリアルタイムでモニターするシステムというものができておりませんから、これを加えますと、数億の金が加わると思います。ですから、数億から十億程度つぎ込めば似たようなものはできる。ただ日本の地震の起こり方は、あそこの地震ほど簡単ではございませんので、この辺まだいろいろむずかしい点があるかと思います。
#34
○原(茂)委員 これはつかぬことをお伺いするのですが、この予知なんかに、金森教授があっちへ行きましたけれども、関係しているわけですか。
#35
○力武参考人 アメリカのカリフォルニアにおきましては、北部のほう、サンフランシスコの辺は、いまのメンロパークの国立地震センターですか、担当しております。それから、ロサンゼルスから南のほうは、国立の機関がございませんで、カリフォルニア工科大学が担当しておりまして、金森教授は南のほうの地震研究所に参ったわけでございます。ですから、直接いまの問題には関係しておらないと思いますけれども、聞くところによりますと、地震計を、二百カ所余りのテレメーターのシステムをつくることに南のほうになりまして、メキシコの国境までやることになりまして、金森教授はそれにかり出されてたいへん忙しくなっておるということを聞いております。
#36
○原(茂)委員 ちょっと角度を変えて、どの先生がお答えになったらいいのかわかりませんが、長野県の浅間山、最近ちょぼちょぼ爆発しているのですが、もちろんああいう爆発と地殻がゆれる、震動があるというものと関係があるのですが、ああいうものも地震研究の一環としては何か研究をおやりになっているのでしょうか。
#37
○力武参考人 地震と火山との関係でございますが、これはなかなかはっきりしないのでございます。最近は、地震の起こり方につきまして、いわゆる海底拡大説というようなものが出てまいりまして、日本でいうならば太平洋のほうから圧縮される。つまり年間数センチのスピードではるかかなたのところにわき出した海底が日本列島に押しかけてくるのである、そして日本列島の下にもぐり込んでいくのだというような説がいわれておりまして、これはいろんなことを非常にうまく説明できるように私は思っております。そういたしますと、その入ってくる途中におきまして、いろいろ無理があって地殻がこわれたりするのが地震である。一方、いわゆる摩擦熱といいますが、そういうもので熱が出て溶岩が溶けて上がってくるのが火山であるということで、地震と火山はいわゆる兄弟の関係であるというふうに理解されるわけでございます。
 従来は、たとえば関東における大地震と浅間山の噴火とは全く関係ないんだというような考えが学界では支配的でございましたが、むろん反対の方もおりましたけれども……。しかしながら、そういうことで考えてまいりますと、八丈島であるとか三宅島、伊豆大島、富士山、浅間山というような火山の活動というものも、やはりそういう日本全体としての地殻の活動に関係してくると思います。現在のところ、浅間山の現在の活動が一体地震とどういう関係にあるのかということがわかっている人は、おそらくだれもいないと思いますけれども、注意しながら監視していく必要があると思いますし、伊豆大島等におきましては、関東における大地震の前に噴火が起こったという例が三回ほどございます。ですから、十分監視する必要があるというの、が私の考えでございます。
#38
○原(茂)委員 長官、いまお聞きになったように、地震と火山の爆発が関係があることは当然なんです。幸か不幸か、いま浅間山はちょぼちょぼやっている。きのうもまたあったわけです。ああいうときに集中的に、いま言った研究者の立場で研究、検討を加える必要があると思うのです。
 これは、いまおいでになっている先生方ではどうやっているか、私時間もありませんし、お伺いしてもしかたがないと思うのですが、長官、一つのチャンスですから、いま非常にやっているわけですから、浅間山の爆発なんかが起きたら、しかも一ぺんでなくて、ことしになってから始終やっているわけですが、でかく噴火するだけでも四回やっていますね。こういうときに集中的に地震予知という立場からの検討を加えるような、予備費を出してでもやるというぐらいのことがなければいけないと思うのです。一つのチャンスですから、これは起こそうといっても爆発は起きるわけにいかないので、いまああいうふうに起きているときには、チャンスですからやって、同時に、そのことがもっと的確な、いつごろまた中爆発が、あるいは大きな、小さな爆発が起きるという予知にもなる。このことも必要ですから、即刻そういうことを長官の立場で関係閣僚とも話をして、思い切って浅間に対して集中的にそういう検討を加えることを行なうということが必要じゃないかと思いますが、どうでしょう。
#39
○前田国務大臣 ただいまの力武先生の御答弁で、地震と火山の爆発は兄弟関係であるということを聞きまして、特に爆発はそうしょっちゅうあるものじゃございません。浅間山の爆発につきましては、これはどこでやるのが適当であるか、私もいますぐに即答いたしかねますけれども、すぐに関係閣僚、あるいは運輸大臣あるいは建設大臣ともよく相談しまして、長期の研究体制は研究体制として、現下の当面の問題に関連して、もし調べるとすれば、絶好のチャンスでありますから、よく相談したいと思います。
#40
○原(茂)委員 最後に、根本先生にお伺いしたいことはたくさんあったのですが、時間がありませんので一つだけ、いまのいわゆる月齢と地震の関係、あるいは月齢と病気の関係、あるいは月齢と雨の関係というようなものをお聞きして、何か私も、地震予知という観点から考えても非常に範囲が狭まっていく参考になるのではないかという気がしますし、興味があるのですが、こまかいことはお伺いできませんが、いまの月齢と浅間山の爆発みたいな爆発ですね、ああいうものはやはり関係がやがて出るとお思いになりますか、関係ないとお思いになるでしょうか、どうでしょうか。
#41
○根本参考人 月齢の問題と結びついて調べたものはまだないのですけれども、大体、爆発の現象というのは非常に気圧と関係しているようなんです。気圧がずっと下がってきまして、ミニマム、一番低くなって、ちょっと上がり出したところで、火山の爆発とか炭鉱の爆発とかそういうのが非常に起こりやすくなっている事実はあります。月齢の問題は、ちょっと調べてみないと出てこないと思います。
#42
○原(茂)委員 これで終わりますが、月齢と、それからああいう、日本には多く火山があるのですが、火山の爆発の関係も、ひとつできましたら検討を願って、研究していただくとありがたいと思います。
 先生方にしろうとが質問して、おかげでたいへん勉強になりました。どうかひとつ思い切って、自信を持って、必要なものは――国民の全部の願望をひっさげておやりになっている仕事なんですから、先生方だけで小さな機構の中であまり苦しめられないで、必要があればわれわれ代議士どもにも、私信でもいいですから、とにかく役所というやつはこうなんだ、話を聞いたらこうだ、たまらないということだけでもおっしゃっていただけば、また適時適切に私どもの立場でものを言ったりお願いをすることもできますし、何かいい考えなり、こうしなければ――もう御自分だけで苦しまずに、われわれを利用することもひとつお考えをいただいて、思い切って、とにかく国民的願望をになった、国家緊急の仕事をされているという自信を持って推進していただいて、地震の予知の実用化に関しても、これが早急に完成できるようにお願いをし、同時に、先生方全部が連絡会に関係がおありだと思いますが、連絡会で思い切った絵をかいていただいて、理想的な予算、理想的な機関のあり方というものを一度早急にお出しいただくようにお願いをして、終わりたいと思います。
#43
○石野委員長 次に、瀬崎博義君。
#44
○瀬崎委員 諸先生方お忙しいところたいへん御苦労さまでございます。
 まず最初に、中野先生に質問を申し上げたいと思うのです。
 正確な地震予知をするということは、自然科学的に見れば、それ自体大きな意義を持つことだと思うのですけれども、これを社会的に見た場合、つまり、人間生活とのかかわり合いで見た場合に、地震予知というのは一体どういう意義を持つのか。私どもしろうとですから、俗な言い方をさせていただきますと、社会的に見て、地震予知は一体何のために行なわれるものなのか、そういう点について、ひとつ先生の御所見を承りたいと思うのです。
#45
○中野参考人 現在アメリカでも日本でもあるいはソ連でも行なっております予知研究というのは、純粋に学問的な興味だけの発想ではなくて、やはり人間生活との関係、特に、国によりますけれども、産業との関係あるいは都市生活との関係、そういうアクセントの置き方を変えながら、実は予知的な情報で人間の受ける災害というものを回避したい、避けたいというふうな観点で行なわれているというふうに、私は理解しているわけです。また、そうあるべきものだというように考えているわけでございます。したがいまして、現在は、予知研究と、それから予知の研究調査事業とのちょうど中間的な過程にある。ですから、大学の研究者は、予知研究面の純粋に学問的な面を強調しながら、一方では国土地理院とか気象庁とかそういう国の機関は、それに対して業務的な一環としてその協力体制を結んでいるというふうに、私は理解しております。
 この段階は、先ほど申し上げましたように、人間の生活とかあるいは産業との関係という点から言えば、予知の事業として、研究面を根底に置いた予知の調査事業として、当然国が責任をもって行なうべきものだというふうに考えております。特に私ども、地方自治体の大学におりまして、それから実際地方自治体の防災対策というような問題に助言を求められておりますと、当事者がたいへん困惑している問題は、先ほどの質問者にもありましたけれども、一体周期説は予知のグループなのか、予知のカテゴリーなのかどうかというような点で、たいへん困惑があるやに理解しております。
 そういったようなもの、やはり科学的な根拠が得られるなら、予知研究、予知調査の事業の成果として、危険を提示すべきだ、危険の規模、それから場所を提示すべきである。それを受けて当然防災的なサイドというものが、エリアが特定されますから、特定化された地域について洗いざらい総点検をするという方法をとらざるを得ない。私どもそういう発想と考え方で、実は現在東京あるいは埼玉あるいはまた千葉というような関東周辺について、微力ですけれども問題提起みたいな整理を、地方行政の方々のためにやってまいりましたけれども、いま一番私どもがほしいのは、予知のほうから的確に場所を、そして規模を――いつということはいい、いましばらくおいてもいいのですけれども、場所と規模を提示していただければ、それによってかなり防災対策、人間を救済する、人間の生命を救うという点については、ある程度の手が打てるかと思うのです。
 現実、そういう過程の中で一番こわいのは、やはり危険物とか有毒ガスの問題ですから、そういうありかを東京については全部しらみつぶしに調べたいと思います。その結果、一体どういうことが起こるかという一種のシミュレーションですが、そういうことも現在計画をしております。今年度内にはそういう問題も明らかに……。そこへ入力としての予知のデータが入りますと、ある程度一貫した予知情報に基づいた危険の提示というものができますので、ぜひそういう運びにしたいというふうに考えているわけです。
#46
○瀬崎委員 そうしますと、先生の御趣旨によりますと、いつ起こるかという確率の問題よりも、どこで、どの程度の規模の地震が起こるか、こういうことが一定正確にわかれば、それに対する対応策が講じ得る、こういうふうなお考えと理解していいのでしょうか。
#47
○中野参考人 予知研究の立場からは、いつというものを的確に出すのがゴールだと思います。ですけれども、防災対策というものは、相手が人間ですから、その理解をしてもらう時間もありますし、それから危険の大きさというものを理解してもらう必要もありますので、どうしても時間がかかる。ですからその必要な時間がかせげる程度に、いつというものが提示されれば、それで防災的には問題はかなり解消すると思いますけれども、実際にはその恒久的な対策、たとえば東京について言いますと、下町の防潮堤がすぐにこわれるという可能性がありますので、そういうものは、可能性を明らかにして何も手を打たないというのは、これはわかっていて人を殺す結果になりますが、当然対策をしなければいかぬ。その対策は応急でも二、三年は当然かかります。鋼矢板を打ってやっても二、三年はかかります。ですから、そういうことからやはり危険な場所と規模がある程度わかれば、要するに地震の型がわかれば、ある程度の対策のプログラムを組んでいくことができるわけです。
#48
○瀬崎委員 防災の立場から、予知に対して一定の規模を述べられた点については、また専門の先生にお伺いするとして、ではそういう立場で――きょうは対策を中心にということになっていないのですけれども、ではもし東京を中心に、いまおっしゃった特定な地域として総点検を要するというふうになっているのだとした場合、わかっていて人を殺すようなことになってはいかぬとおっしゃいましたが、どうでしょう、いまの東京を中心に、わかっていて人を殺さないで済むようにはなっているのでしょうか。その点ごく大まかに見ていただいて、いかがでしょう。
#49
○中野参考人 お答えします。
 自信をもってお答えするというわけにはいかない深刻な問題ですけれども、たとえばいま根拠になり得るものというのは、過去の歴史的な、先ほどの萩原先生の長期的な予知の情報、それからもう一つは、学説の当否はいろいろ意見がございますけれども、周期説というものがあるわけです。その根拠はいまのところはその二つ、それから、それにいずれあるだろうという根拠が予知情報として予知連絡会のほうから公表されている。ですから、そういうものを勘案しながら、したがって規模と場所というものが一応想定できます。その想定の中で、東京にあるいろいろな施設を実はゆすって計算をしているわけです。その限りにおいてはこわれるものがかなりあります。こわれることによって起こる対策の一つは、瞬間的に、時間的な経過に関係があるわけですが、一分以内で――下町では現在起こる可能性もありますから、理解としては。ですからそういう、現在起こりますと、一分ぐらいたちますと満潮時にはやはり水があふれ出して、割れ目から下町の低地帯に入ってまいります。これは、私ども計算したところでは、少なくともそれだけの被害で四千億円は数分のうちに発生し、それ以外に三分から五分ぐらいたちますと火災が発生しますから、その火災が一時間たちましたらどれくらい焼けるかという計算も大体終わっておりますけれども、その計算でいきましても東京の下町というのはあまり楽観はできない。ですから、最終的な精算は現在計算を進めている結果が出ますと、いずれ公表されると思いますけれども、現在七・〇ぐらい、つまり明治二十七年にあった、あるいは安政地震なんかではとてももたないと思いますけれども、その程度でも楽観できない被害がある。これは水害と火災とそれからガスの問題とこの三者が重なり合ってくるだろうというふうに私どもは考えているわけです。
#50
○瀬崎委員 萩原先生にお伺いしたいと思うのですが、確かに、学問的に見れば、先ほどおっしゃっているいつということについてもその確率を高めるということは、当然の目的だと思うのですが、いま中野先生のお話にありました防災という面から最小必要とされる予知、つまり場所と規模が明らかになれば一定の対策は立つ、期間については一応対応する期間がわかればいいんだという、その点少し大まかな御意見のようなんですけれども、そういう点で見た現在の予知技術の度合いというものは、十分防災対策がとれる程度に到達しているのでしょうか、まだそういう面から見て到達点は至らないということなんでしょうか。
#51
○萩原参考人 その起こるときを除いた地震の予測、防災面に必要なわけですが、そういう面からは現在かなり的確に言える状態にあります。
#52
○瀬崎委員 そういう立場から見られた場合、東京にこだわるようではありますけれども、確かに東京都はたいへん御心配で、昭和四十五年にすでに消防審議会から、東京地方における大震火災対策に対する答申も出ておりますし、さらに四十八年度国の予算に対する要望書の都市防災対策の第一にも、震災対策を要望しておられるようなんで、そういう点では、やはり最大の過密都市だけに、東京都が御心配なのは当然だと思うのですが、東京都でそういう対策を講ずるとすれば、大きいものになれば数十年かかるものもあると思うのですが、そういう一定の期間内に非常に危険な規模の地震が起こり得る、こういう点ではすでに予知でわかっておる段階なんでしょうか。
#53
○萩原参考人 東京に起こる地震の可能性は大いに考えられるわけであります。地震といいましても、被害を起こす地震にも、震度五、強震、これでも多少の被害、ある場合にはかなり被害が出る。それと、あとは震度六、烈震でございます。その二つをやはり分けて考えなければいけないと思います。
 強震につきましては、これはいつあるかわからない。それから烈震につきましては、これは徳川時代に六回起こっております。明治になってから二回起こっております。これを見ますと、そうすると三百年の間に八回起こっておるわけなんです。これは烈震、つまり家をとにかくつぶす、人死にが出るようなものでありますが、それがどこで起こったかといいますと、そのうち半分は東京の直下もしくは直下に近いところ、半分は相模湾の方面でかなり大規模な地震、影響を受けた、こういうふうに、とにかく徳川の初期から今日までのそれだけの回数の地震が起こっておる。そういうことだけから見まして、観測とかあるいは周期説がどうとかいうこと等から離れても、もうだれが見ても東京の地震の危険性、特に強震、それからまた烈震の危険性は大いに可能性はある、そういうことを考えていろいろ対策を立てるべきだと思っております。
#54
○瀬崎委員 いまお聞きいたしましたような内容のことが、実はこの地震予知連絡会の会報のことしの三月号の、国土地理院地殻活動調査室から出ているのと同じような内容かと思うのですけれども、この内容では、結局東京に被害を与える地震としては相模湾型の大地震と直下型の地震ということにしぼって研究課題に取り上げておるというふうにうたって、あとは三つの点でいろいろ調査研究にくふうを加えなければいかぬとか、改良を加えなければいかぬという点が提示されておるのですが、そういうことを想定して、現実に予知連絡会として予知の対策を講じておられるという面が現在あるでしょうか。できましたらお知らせをいただきたいと思います。
#55
○萩原参考人 東京でいろいろな観測をしようとしましても、非常に地盤がやわらかく、それから一帯の工場、交通の妨害があってできない。精密な機械を据えるには、非常に深い井戸を掘って固い基盤の上に据えなければならない。そういうことで国立防災科学技術センターでは、岩槻に三千五百メートルの井戸を掘りまして、そこに観測計器を入れるということを計画して、これがやっと実りまして、つい最近から試験的な観測が開始された。こういうものをあと少なくも二カ所、できればもっと東京周辺に置きたいという計画で進んでおります。
 なお、あと測量でございますが、これも非常にビルが立ちのぼり、あるいは水準測量は地盤沈下の影響がある。それから例の光による距離測量を行なおうとしますと、そういったビルがじゃまになる、あるいはスモッグがじゃまをする、こういうことで非常にむずかしい点がたくさんあるのでありますが、それを克服して何とか東京の周辺の測量をこまかくやろうということをただいま国土地理院では計画して進めつつあるわけであります。
#56
○瀬崎委員 ここで長官にお伺いしたいのですが、いまの岩槻に三千五百メートルのボーリングをやって、そこへ観測機械を入れて観測する、それは少なくともあと二つぐらいは必要なんだというお話なんですが、これは必要とあればすぐにやられますか。
#57
○前田国務大臣 実は瀬崎先生、その岩槻の三千五百メートルの地点まで機械を据えつけましたのは、ちょうど完成しましたのはたしか十日ぐらい前でございました。現在その機械がどういうふうに機能しておるかということを実は見守っておる最中なんであります。実は、きのうも私出てまいりましたデータを私なりに専門家を呼びまして見てみましたが、現在のところでは相当よいデータといいますか、わりあい観測材料としていい結果が得られておるようでありまして、もう少し様子を見て――しかしそればかり見ておって、さらに二つの井戸を掘るのがおそくなっちゃいけませんから、もうしばらく見まして、そして来年度の予算にもあとの二つの要求をしたいというふうにわれわれいま考えておる最中でございます。
#58
○瀬崎委員 私たちは全くしろうとなんで、そういう専門の方にお聞きしますと、ああいう形の井戸を掘っての測量は、最低三カ所あって初めて役に立つんだということを聞いておるのですが、その点萩原先生、理論的にいえば井戸の数は一本ででもある程度の役割りは果たし得るのでしょうか、やはり三つぐらい掘って初めて観測に役立つことになるのでしょうか、いかがでしょうか。
#59
○萩原参考人 少なくとも最低三本はほしいわけであります。(瀬崎委員「理論的にいって……」と呼ぶ)はい。ただ一本でもないよりはよろしいと思います。
#60
○瀬崎委員 お聞き及びのとおりで、何かこれは、私も深くそこまで教えていただく余裕はなかったのですが、理論的にいえば、やはり最低三本は必要だというふうに学者の方はおっしゃっているようですから、ひとつこれは、しろうと何やらにおじずですから、やはり専門の方の御意見に従っていただきたいと私は思うのです。
 長官にお尋ねしたついでに、先ほど萩原先生並びに力武先生から相当具体的に提案も出ているわけですね。一つは、やはり一定の権限が一元化されているような国立の研究機関が必要であるというお話がありました、これは制度の問題として。そういうことを長官はどういうふうに進められるのか、この点が一つ。
 それから、それほどむずかしいとは思いません、きわめて技術的な問題で、これは予算も少なくて済むと思いますが、レーザー光線を利用しての光波測量で日本全土をカバーしたい、これが一つ御提案がありました。それから無線地震計から電波で送られてきたデータをいま人間の力で処理しているけれども、これがたいへんなんで自動化したいんだというお話がございました。それからもう一つは、太平洋沖合いにおいて海底地震計でデータを収集するについて、これを海底ケーブルでリアルタイムで集めるというふうな御提案もありました。私はその三つを記録しているわけですが、こういうふうな学者の方々が現に具体的に出していらっしゃる提案について、どうですか、早急に実施するというふうなお考えはないでしょうか。
#61
○前田国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたように、この研究体制のあり方につきましては、先刻来の参考人の御意見並びに先生との問答、そういう点をよく踏まえまして、どういうふうにあるべきかということを、これは科学技術庁だけでもいけません、国土地理院も入ってやっておるわけであります。それからまた気象庁もやっております。関係閣僚とできるだけ早く相談したいというふうに考えております。
 そして、もう一つは、三本の井戸の問題は、これも私一本じゃ決して満足じゃないということはよくわかっておりますので、三本にすべきであるという考えで、そういう決意を持っております。ただ、弁護するわけじゃありませんけれども、瀬崎先生、一本掘ってみてどの程度の機能をするかということも、実は相当疑問を持っておったのです。ところが、一本掘りましてそのデータを見てみますと、相当これは機能を発揮するようだというふうに考えましたので、もうちょっと見て――まだ十日ばかりでありますから、私も一ぺん現地を見て、もちろん、見ても専門家じゃないからわかりませんけれども、データをきのうも集めて見た結果、これならひとつ三本掘ろうじゃないかということで、まあ大体どの辺というのを考えなくちゃいけません。適当な地盤も考えなくちゃいけませんが、ぜひ三本にしたいというふうに考えております。
 それからもう一つ、レーザー光線の利用、私は、大いにこれから精密測量の場合はレーザー光線でなければいかぬと思います。しかし、このレーザー光線は、御承知のように非常に短い波長でありますから、ちょっと何かじゃまものがあるといけないという欠点もあります。これをどうして解決するかというと、特に東京都あたりは大きなビルがたくさんありますので、これはむずかしい問題だと思いますけれども、その点もよく萩原先生とかその他専門家の先生にも相談しまして、これも私だけの問題じゃないので、やはり関係閣僚に相談しなければいかぬのです。
 それから、リアルタイムで、電子計算機とかそういうものを使うべきである、確かにそうだと思います。たとえば岩槻で掘っておるデータにしましても、それを一々目で見てじっとやっているというんじゃ能率が上がらぬのです。これはしょうがないじゃないか、こんなのは旧態依然たるものだ、三千五百メートルも掘ったってそれをすぐつなげなければ意味がないじゃないかということも実はきのう話をしたわけであります。その点もひとつ積極的に取り組んでいきたいと思います。
 それからもう一つ、海底ケーブルでございましたか、これは海底ケーブルでどういうふうに地震計と連絡をとってするかという問題、私もちょっといまにわかに御回答ができませんけれども、こういうような点も、専門家の御意見を聞きまして、積極的といいますか一生懸命に検討してみたいと考えております。
#62
○瀬崎委員 おそらく先生方のほうでは、もっとほかにもいろいろこういうことをやったらいいなあというお考えはあると思うのです。少なくとも現在、この場で御発表になったそういう調査技術の御要望ということは、理論的にも学者間の定説にもなって、やはりそういうことは必要だということで御発表になっておると思いますから、そういう意味でまだまだ潜在的な御要望はあるということの上に立って、おことばになった面だけでもひとつ尊重して、そういうことに万全を期していただきたい、こう思うのです。
 それから、国土地理院の「地震とその予知」という一般向けパンフレットがございますが、この中で「観測強化および特定地域」というのが地図で指定されているのですが、これと現実に地震が起こることとの関連性というのはどの程度に考えたらいいのでしょうか。これはどなたにお伺いすればいいのかわからないのですが、先生方で御相談いただきましてひとつお教えをいただけましたらと思うのです。
#63
○萩原参考人 その中にあります「特定地域」、これは地震の起こる可能性のあるところでありますが、可能性が考えられるからそこで測量なりいろいろな観測を詳しくやりましょうということで、直ちに地震の危険性が迫っておる区域ではないわけでございます。
 その強化地域のほうは、観測の結果いろいろ異常が観測されて、その異常が地震と関係があるかどうかを集約的な観測によって調べようという地域なんでありまして、これもまだ地震がすぐ起こるということとは結びつかないわけでございます。
 そこに集中地域というのがございますが、これは警戒警報に相当するわけでございます。
#64
○瀬崎委員 先ほど中野先生から、防災の面からいえば、できれば要注意地域などを指定して、そういう地域では防災の面からいろいろ対策をあらかじめ講じておきたいというお話がございましたが、そういうのはいまのお話と関係した場合、現時点では指定できるのじゃないかと思うのですが、まだ無理な時点でしょうか。
#65
○中野参考人 観測地域というものあるいは観測を強化する地域がわかり、そこに想定される地震の規模というものがわかってまいりますと、要するに被害を受ける可能性のある地域というのが防災上は設定できるわけです。ですからそれは一種のシミュレーション手法で、どの場所にどのくらいの震度が出ますということ。それから、そこにある施設の耐震性から見て、それがこわれるかこわれないかの計算も一応できるはずであります。そういう点を組み込んで、私は先ほど要注意地域というふうなもの、防災上注意を要する地域の範囲を限定すること、それを申し上げたわけであります。
 現在のところそれがありませんので、実は逆に非常にある意味の混乱が、たとえば千葉県の人に聞きますと、この次起こるのは東京地震だ、川の向こうの地震であってわれわれには関係がないというふうな、そういう印象すら受けるような結果になっている。埼玉県でもしかりです。そうではなくて、やはり一つの地震のインパクトがあった場合に、それを受けて影響を及ぼす範囲というのは、それぞれの場所の地盤の性質とか、その上にある施設の状況とか、工場とか、都市の構造とか地域の構造によってある程度そういう範囲をきめて、その地域に対して防災上の手を強化していくという、そういう手続が考えられるわけであります。
 そういう手続がありませんと、おそらく防災上必要ないろいろな諸規制はむずかしい。東京都の場合には震災予防条例があって、そういうことを都みずからが自分で義務づけたわけですけれども、これはほかの地域には必ずしもない。ですから、これはこの席の問題ではないと思いますけれども、私たちは、地震のインパクトを、それを影響を受ける地域に落として、その地域の問題を、今度は防災対策という面から無理のない安全な方向へ持っていくようにすべきだ、それが科学的な防災の考え方であろうというふうに考えておるわけであります。
#66
○瀬崎委員 また、いま震災条例の話も出て東京の話になったんですが、特に東京の地震との関係で、同じく地震予知連絡会会報の三月号で、気象庁の関谷さんという方の報告の中に「関東南部の地震活動(主として群発地震との関係)について」という論文の中に、「房総東方沖から銚子沖、茨城沖を通って福島県沖と北上して地震の群発する所があり、この中で関東地方としては茨城県沖が群発しやすい。」というふうなことをお書きになった上で、こういうことと大地震との関係などを少し論じていらっしゃるのですけれども、こういう群発地震とそういう大地震の関係があると見なければならないのかどうかということと、それから、こういう群発地震はどういうふうにして現在測量されているのか。これもどの先生にお尋ねしたらいいのか、萩原先生か力武先生かと思うのですが、ひとつお答えいただけましたら……。
#67
○萩原参考人 群発地震は気象庁の観測網でも検知できますし、さらに、非常に小さい地震、群発地震のうちの小さい地震、これは気象庁の観測網に漏れる、かからないものもありますが、それはただいまは東大地震研究所の微小地震観測網、関東地方に数点ございますが、そういうものでキャッチいたしております。
 大正十二年の関東大地震の起こる年、大地震は九月に起こったわけでありますが、その年の初めから、大地震の起こる少し前に茨城県沖で非常にたくさんの地震が群発をいたしました。これが関東大地震と関係がある、つまり前兆ではないかということを関谷さんはおっしゃっているわけであります。そういうことはあり得ることだと思います。
#68
○瀬崎委員 この群発地震を観測された東大地震研の問題について、これは前に所長をしていらっしゃった力武先生にお伺いしたいと思うのです。「科学」の二月号で浅田敏さん、これは地球物理学の先生でいらっしゃいましたかが、最近の大型化しつつある研究を進めるには、大学の定員制が非常な壁になっている。そういうところから、多数の臨時職員が採用され、そういうことが原因となっていろいろとこの非常に権威ある研究所内に紛争が起こった、こういう点を非常に心配をされている文章があるのです。しかもそれが今日に続いているということなんですけれども、どうなんでしょうか。実際そういうことが地震の予知研究に支障を来たしていると見なければならないのでしょうか。現状はいかがなものでしょうか。
#69
○力武参考人 端的に申しまして、いまおっしゃったとおりでございます。地震研究所の紛争というものが、もはや二年たっても継続しておりまして、その原因は、いまおっしゃられましたように、非常勤職員の待遇の問題からハプニングがあって、ちょっとした傷害事件があったというようなことがございます。それに基づきまして、いわゆる全共闘系といわれる諸君が地震研究所にいろいろデモをしたり、それから私どもを含めまして拘禁状態で追及を行なうというようなことが続いておるわけであります。私は前所長でございまして、たいへんその責任を感じておるわけでございますが、いまに至るまで、非常に下火にはなりましたけれども、まだ紛争が終わったと申し上げられない状態でございます。
 その結果といたしましてどうだということでございますが、観測そのものは、野外の観測所において行なわれております。それから、所内における無線地震計その他のものも支障なく行なわれていると申しますか、つまり問題にされておるのは、いわゆる教授会を構成しているメンバーがけしからぬということのようでございまして、仕事に従事している職員に危害を加えるというようなことは全然ございません。ですから職員はフリーに研究をしておりますし、また、外国から留学で来ている人々あるいは客員教授のような人は、自由に出入りしているわけであります。しかしながら、そういう研究の中心となる、特に頭脳的な意味において中心となるべき教授、助教授が、大半が外におるというような状態が続いておるということは、研究に阻害がないとはいえないわけでございまして、この点まことに申しわけなく思っております。
 一生懸命解決に努力をするわけでございますけれども、これは教授会、地震研究所だけですぐ済まない問題も含んでおりまして、どういうふうに解決したらよいかという点でいまだに悩んでおるわけでございまして、この辺は大学の学長等を含めまして、さらにどういうふうにするかという点を詰めていきたいと思っております。そういうわけでございますので、地震予知研究は若干の影響を受けたといわざるを得ないと思いまして、まことに申しわけなく、おわびする次第でございます。
#70
○瀬崎委員 私、決してそういう意味でお話を申し上げているのじゃないのです。ただ東大の地震研の存在が、日本では非常に大きい位置を占め、かつ権威ある機関で、特にまた先ほどのお話では、微小地震などは東大地震研でないととらえられないというようなものがあると聞いているのですが、特に地震の場合、私どもしろうとが聞いている範囲では、たくさん集められましたデータに対して一定の、やはり高度の判断を加える必要がある、予知の判断をするためには。そういう点から、そういう頭脳的にすぐれた権威ある教授の方々が、研究所に自由に出入りできないような状態がいまなお若干あるということは、せっかく観測されたことの成果をむだにするといいますか、役立てないようなことになるのじゃないかというふうな意味で心配するわけなんですね。
 ただ、その点で私がちょっと気がかりなのは、これはことしの衆議院だったか、加藤学長が参考人として国会のほうにおいでになりまして、この地震研の問題についてお答えになっているのです。その場合に、「閉鎖されてはおりません。職員は出入りしておりますし、助手も出入りしております。それで研究所の連絡などは行なわれております。」あまり支障がないというお答えがあるのですが、そういう点でやはり解決を必要とするものは必要とすると思うし、臨時職員の問題、手不足から臨時職員を雇わざるを得ぬというふうな問題に端を発しているということも出ているわけですから、何か文部省当局に対する御要望などがありましたら、こういう機会を借りておっしゃっていただきましたらと思うのですが、何かございませんですか。
#71
○萩原参考人 力武教授は現役教授でございますから、いろいろお答えにくい点があると思いますので、私がかわってお答えいたします。
 先ほど力武教授から、地震予知にかなり――かなりということばでしたか、支障があったかもしれないというようなことでしたが、私は連絡会長として申し上げますと、非常に大いなる影響を受けておるのでございます。先ほど原先生からいろいろお力強いおことばをいただきましたが、たとえ予算の面でいますぐ十分な予算をいただいたとしましても、中枢である頭脳が地震研究所の中に入れない状態がもう三年近くも続いているということは、要するに頭なしで、手と足だけがあるということで、全く弱った状態だと思っているのでございます。
 それで、先ほどからもアメリカでいろいろな地震予知に成功したというような情報が入っておりますが、この地震予知計画、これは日本が先べんをつけて、アメリカでも大いに始めたわけで、日本がリーダーシップをとっておったのでありますが、最近この地震研究所の頭脳の欠乏ということでほんとうにおくれをとってきているわけであります。まことに嘆かわしい状態でありまして、これは一刻も早く解決をしていただきたいと地震予知連絡会としては願っておるわけです。
#72
○瀬崎委員 私、もうちょっと質問をさせていただきたいことが残っておりますが、一応時間だという連絡を受けましたから、これで終わらせていただいて、ひとつ委員長の御配慮をまた後ほどいただきたいと思います。
#73
○石野委員長 次に、近江巳記夫君。
#74
○近江委員 きょうは参考人の先生方どうも御苦労さまでございます。
 まず初めに、地震発生のメカニズムについていろいろな学説があると思うのですが、大体、先生方マントル説といいますか、そういうようなお話だったように思うわけですけれども、どういうような学説があるのか、私どもしろうとでありますので、わかりやすく簡単に御説明をいただきたいと思います。それと、またそれに関連した予知の方法について、どういう方法があるのか、簡潔にお願いしたいと思います。
 まず初めに力武先生、それから萩原先生にお願いしたいと思います。
#75
○力武参考人 地震の原因につきましては、昔から陥没地震であるとか断層地震であるとか火山地震であるとかいったようなことがいわれておるわけでございますけれども、最近になりましてそういう考えを統一的に考え得るような学説が出てまいりまして、これが全く真であるということではないと思いますけれども、少なくとも作業仮説としてそういうものに立脚して研究を進めていくべきであるというような学説が出てまいりました。それは先ほども申し上げました海底拡大説と申しますか、つまり海底に地球の中からあたたかいものがわき出しまして、日本で言うならば太平洋のはるか沖合い、ハワイの向こうでございますが、そこで冷え固まったものが新しい海底をつくりまして、厚さ百キロメートルくらいのかたい板のようになって、それが左右に分かれて動いている。向こうの東に行きましたのはペルーとかニカラグアとかああいうところの下に入っていく。それから西に向かったのは、はるかアリューシャン、千島、日本に押し寄せてくるんだというような、たいへん雄大な説でございまして、これはどうもはったりではないかというようなことであったわけでございますが、それをだんだん進めてまいりますと、たいへんいろいろなことがうまく説明できるようになった。つまり、日本で言うならば、太平洋側からそういうものが押しかけてくるので、非常に圧縮される。つまり関東地方で申し上げますと、関東平野がぎゅうぎゅう圧縮される。これは実際の国土地理院の測量等でちゃんと出ているわけでございます。そして、あまり押されるとついに耐えきれなくて、つまり、割合でいいますと、一万分の一くらい押されるとこわれてしまいます。それが大地震である。そのときに、たまりにたまったエネルギーが地震の波となって出るんだというのが一つの説でございまして、これはわりあいに受け入れられているようでございます。ただしそれは大まかな筋道でございまして、もっと小さな地震は一体どうして起こるのか。関東地方を見ますと至るところ地震が起こっております。それはどうなんだということもございますが、それはまだ今後の研究段階だと思います。
 そういうものを作業仮説といたしますと、何をやればよいかということがおのずからわかってくるわけでございまして、圧縮されているなら、そのひずみがどの程度進行しているかはかれば、こわれる限界にどのくらい近づいているかわかるではなかろうかというわけでございます。そういうことをやるのが昔でいいますと三角測量でございまして、いまでいいますと光波測量でございます。そういうものを繰り返して差をとりますと、たとえば百キロの距離が十センチ縮んだとか二十センチ縮んだというようなことが出るわけでございますので、それに基づいて危険度を判定するというふうになっております。また押されますと、地殻に弱いところがありますと群発地震が起こるというようなこともございますので、ある特定のところに群発地震が起こってまいりますと、そこのかいわいで大きな地震も起こりやすいような状態になってきたと判定することができる場合もございます。
 その他いろいろございますが、大筋はそういうことでございます。
#76
○萩原参考人 ただいま力武教授から地震の原因について説明がございましたが、特に私から申し上げることもございません。大体力武教授と同じでございます。
#77
○近江委員 聞くところによりますと、マグニチュード七・五以上のこういう巨大地震につきまして、六十九年周期説というのがあるように聞いておるわけです。あと二十年先であるとかいわれておるわけですが、その十年くらい前にこの東京直撃型の大地震が起こるのじゃないかという説も聞いておるわけです。それで、そういうような点で非常に不安が大きいわけですけれども、先生方いろいろといままで地震予知を研究なさっておられて、日本列島全体でながめて、どういうところが今後そういう心配があるか、もしその辺を研究なさっておられればお教えいただきたいと思うのですけれども、どの辺が心配な地点なんでしょうか。
#78
○萩原参考人 日本は至るところ地震の心配がございます。むしろ北海道の北のほうあるいは九州の北部、瀬戸内海の一部、この辺を除きまして、もう至るところ地震の危険性があると思ったほうがよろしいと思います。
#79
○近江委員 力武先生は、ちょっと私読んだことがあるのですが、東海地方沖ですね、それからまた北海道ですか、あの辺が非常にあぶないというようなこともちょっと私読んだ記憶があるのですが、どうなんでしょうか。
#80
○力武参考人 それに近いことを申し上げたことがございます。その根拠は、国土地理院の測量の結果に基づいて出てまいりました地殻のひずみの状態でございまして、先ほどの仮説を信用するならば非常に北海道の東部、根室の付近、あるいは釧路と申し上げましょうか、あの辺で太平洋側から圧縮を受けていると思う証拠はあるわけでございます。そこでは一八九四年にM八クラスの地震が起こりまして、それ以後起こっておりません。そういたしますと、年間五センチぐらいのスピードで、いわゆる海底が押し寄せてまいりまして、下へもぐり込んでいくというようなことを想定いたしますと、そこにはすでにかなりのひずみエネルギーがたまっているに違いない、こう思ってよろしいと思います。
 そのまわりの区域では、六八年の十勝沖地震とか、あるいは六九年だったですか、今度はその北のほうに起こっておりまして、そっちのほうはもうエネルギーが解放されておる。ですから、いまあの辺であぶないのは根室の沖合いあたりである、こう申し上げたわけであります。それから東海地方でございますが、これも地理院の測量結果でございまして、多少論議がございますが、あの辺の、御前崎辺の三角点が内陸方向に一、二メートル移動しておる。これは七十年ぐらいの期間でございますが、というような結果が出ております。そして、その沖合いでは一八五四年、安政元年以来M八クラスの地震は起きておりません。現在もほとんど地震がないというような状態でございまして、三角点が移動しているということは、これは太平洋から圧縮されておるという証拠でございます。ぎゅうぎゅう押していながら一枚岩のようになってがんばっているわけでございまして、ここがこわれるとなりますと、たいへんなエネルギーが一ぺんに出る。やはりM八に近いものが起こるのではないかというふうに思うわけでございます。
 それがいつかということは、まだそこまで学問が行っておりませんで、非常にまだ幼稚な地震の予知論による確率というようなものは全くないわけではございませんけれども、それをどう評価するかということになりますと、まだむずかしいようなところでございまして、ただ日本列島のほかの場所に比べますと、私の申し上げているのはM八クラスのことでございますが、その二カ所が可能性が高い、こういう意味でございます。
#81
○近江委員 それで、萩原先生は比較的心配ない地域を三点ほどおあげになって、それ以外は全部危険であるという御説明をいただいたわけですが、それでいま力武先生は特に二点を、非常にひずみが目立つということをおっしゃっているわけですが、それに次ぐような地点というのは、いままでのそういう地理院から出されている資料に基づいて、先生としてどの辺がその次ぐらいに心配な地域があるわけですか。
#82
○萩原参考人 私からお答えいたします。
 あとは、御承知のように南関東が観測強化地域になっております。これは観測的事実から地震の起こる可能性があるかもしれないということで、もっと詳しく調査を進めつつあるわけでございます。あとは観測的事実から特に地震の可能性が強くなったという地点は、いろいろとさがしておるわけでございますが、おもに水準測量の結果を見てさがしておるわけでございますが、現在までそういう非常に異常があったという点は見つかっておらないのでございます。しばらく大地震も陸の中でございませんで、やがてはどこかに破壊的な地震が起こるのではないかという心配があるわけでございますが、いろいろと注意しておりますが、現在のところ見つかっていない状態でございます。
#83
○近江委員 この予知の問題について、世界各国でいろいろな研究も行なわれておると思うのですが、中国では地磁気と地下水位を分析して地震警報を出すというような方法も行なわれておるようでございますが、国際交流という点におきまして、現状はどういうように進んでおるかですね、また、それに対して先生方として、政府の協力もこういう点に足らないじゃないかというような点がございましたら、率直にひとつお聞かせいただきたいと思うわけです。
 また、自己評価ということは非常にむずかしいけれども、世界各国のそういう地震に対する研究においてわが国は世界最高の水準ということをいわれておるわけですが、先生方のお話を聞いていますと、ちょっと最近は心配なようなお話もあったわけですが、そういう点もひとつお聞かせいただきたい。研究していく上において、実際わが国としてこういう点で非常に困っておるというような点ですね。
#84
○萩原参考人 地震予知の研究は最近は国際的になってまいりました。アメリカとの交流は、日米科学協力に基づきまして地震予知の研究会議というものをすでに三回開いております。第一回は東京、第二回がニョーヨーク、第三回がカリフォルニア州でありまして、今回またこの八月にデンバー付近で行なうことになりまして、日本から数名の研究者が出席をいたします。なお、国際的にも国際測地学地球物理学連合の中の地震部会がありますごとに、地震予知のシンポジウムが行なわれておりまして、それには日本とアメリカのほかソ連その他の国が大ぜい出席して、地震予知に関する研究発表が行なわれております。こういうふうにシンポジウムが再三行なわれます結果、アメリカ及びソ連の研究の情報はかなり詳しく入手できております。また、日本の学者がソ連に行く、あるいは講演に呼ばれて行く、あるいはアメリカにも呼ばれる、そういうことがときどきございます。ところが、向こうの学者を日本に呼んで、日本でしばらく滞在して日本で地震をよく研究してもらう、日本の地震の研究をよく見てもらう、そういうふうに学者の交流ということになりますと、どうも向こうの学者をこちらに呼ぶということが、なかなかそういうお金の出道が少なく、これが非常に困ったことになっております。大体これが現状でございます。
#85
○近江委員 こういう点については、これはあらゆる部門もそうですけれども、やはりこれからは国際協力という点を大いに進めていかなきゃいけないと思うのです。大臣もいまお聞きになられたわけでございまして、こういう点は十分に配慮すべきであると思うのですが、いかがですか。
#86
○前田国務大臣 ただいまの近江先生と萩原先生との問答を拝聴しておりまして、確かに地震の研究も単に日本だけの問題じゃなくて、国際的にも大いに交流してお互いにその知識を交換しなければいけないという点は深く考えます。ことに日本は、地震国といわれる国でありますので、地震の予知につきましては、すぐれた業績をあげるように世界各国のほうからそういう知識を吸収し、また交流いたしまして、そういう実績をあげていきたいというふうに考えます。
#87
○近江委員 地震の発生に伴う地域的な被害の問題ですけれども、たとえば東京につきましては、江東地区については非常に低地帯であるということで、実際の対策は進んでいるかどうかわかりませんが、いろいろ検討はされてきたように思うのですけれども、城南地区であるとか川崎あるいは横浜方面、こういう点においては非常に不十分じゃないかと思うわけです。特に不十分じゃないかと思われる地域に、石油燃料、化学物資をはじめ、危険物資というものが大量に貯蔵もされておりますし、非常に危険な地域である、このように思うわけです。特に石油タンクであるとかパイプラインあるいは上水道、交通網について、この辺の対策は一体これでいいのかという心配が考えられるわけです。地震に対しては事実上お手あげの状態ではないか。私はしろうとですけれども、そういう不安があるわけですけれども、専門に中野先生も勉強なさっているのじゃないかと思うのですが、その辺についてひとつ御意見をお伺いしたいと思うのです。
#88
○中野参考人 地震の被害を軽減するという防災対策の問題につきましては、災害対策基本法で規定されております地方自治体の防災会議、それからその専門委員会としての地震部会というものが東京、川崎、横浜というような県ないしは市町村レベルでそれぞれ活動しているのですが、関東周辺につきましては、実は横浜、それから川崎、それから神奈川県は関東震災の経験がございまして、いち早く手をつけて、かなり力学的な、あるいは地球物理学的な、あるいは工学的な吟味をすでに終わっております。それからさらに、その危険なエネルギーという点につきましても、横浜市ではたいへん厚い、非常に貴重な資料を整理されて、そういう意味では東京のほうがむしろ立ちおくれている。それから千葉県はさらに立ちおくれている。それから埼玉も最近、私、二年ほど防災会議の委員を仰せつかりまして、急いでその対策のために基礎調査をやっておりますが、やはりそういう面で立ちおくれといいますか、まだ危機感というのですか、そういうものが行政当局者に十分でないという印象があります。それから、その面では私はやはり地方自治体の職員を含めて、そういう関係の衝に当たる方、こういう方の地震の災害の危険についての教育訓練というものをもっと徹底しないと、おそらく間に合わないと思います。
 それから、実際に施設を含めて危険物等の危険の程度についてすでに、いろいろな試験研究を含めて調査をやっておりますけれども、その中でわかっておりますことは、やはりお手あげなんですけれども、手をあげていくその程度とその順番、これが実はいまだ関係当局者に十分理解できていないという問題があります。
 これは具体的に言いますと、たとえば地震があって、何か一ぺんにその辺が火の海になるような感じをお持ちかもしれませんが、実際には一時間たたないと、二百五十、二百五十の範囲ですね、大体百二十五の半径の範囲が燃焼する、燃え尽きるということは、燃焼速度からいってありません。その間に消すことも考えなければいけませんし、それから道路の規制等、常時問題があるところについては、そういうふうにきめのこまかい対策を考えなければいけない。それから、さらにやっかいですけれども、現在吟味してまいりましたところでは、たとえば危険物の機械、施設については、一般的にある震度以内ではこわれないという答えが出てまいっております。しかし問題は、こわれないから安全というわけではなくて、まわりの火事が延びてまいりますとぼんぼん爆発を始める。それが、先ほど申しました百二十五メートルの半径の中に一つありますと、一時間以内にそれが爆発するわけです。そうしますと、実は中にたとえば塩素ガスとかシアンガスみたいな有毒ガスを発生するものもありますので、きょうのような天気で空気が動かないということになりますと、火事はむしろ安全ですけれども、――安全というのは相対的に安全ということですが、むしろ有毒ガスのほうでやられる、こういう順番になるわけです。
 その辺の仕分けが実は関係者にできておりませんと、これは単に右往左往するだけの結果になってしまって、せっかくいい研究で予知の情報が出ましても、みすみす被害を発生するのを拡大するというような問題になろうかと思います。そういう手順――要するに手をあげていくにしてもあげる順番があるという感じがするのです。その辺のきめのこまかい、これは何か日本的な対策でたいへん恐縮ですが、過密な都市地域では、どうしてもそこにかなりきめのこまかい対策をいつも用意しておかないと、混乱してしまうというふうに私どもは考えております。
#89
○近江委員 いま先生のほうから、関係者のそうした、あまり認識の足らない点であるとか、きめこまかい対策ができてないというような御指摘もあったわけですが、きょうは菅原国立防災科学技術センター所長も来ておられますし、私がいま質問をさせていただきました点等につきまして、政府としてはどういうように研究を進め、対策をとっておるのですか。
#90
○菅原説明員 防災センターは名前はたいへん大きくなっておりますけれども、地震というのは一部の中の一つの研究室でございまして、地震予知について引き受けましたのは、例の岩槻の三千五百メートルの観測井と、それから房総半島に観測井を三つほど引き受けております。それはもっと浅いものです。それで先ほど三つの穴の話が出ましたけれども、実は三千五百メートルの穴を掘りまして、その中で耐え得るだけの計測器が開発できるかどうであろうかということも非常に疑問でございまして、それは幸いにして開発できまして、いまのところ故障なく動いておりますので、ほっとしたところでございます。
 そういう技術的な開発を中心としておりまして、今後どういう位置で地震予知計画などを引き受けますかということについては、地震予知連絡会と密接な連絡を保ってきめていきたい。それから、防災対策の研究につきましては、総合研究の一環として防災の研究のシミュレーションなどを引き受けておりますけれども、また、シミュレーションというのはいろいろむずかしい問題がございまして、ある仮定のもとに得られた結果が、実際にそのとおりであるかどうかという点については、まだ問題も残っておると思います。
#91
○近江委員 そうすると、予知については、萩原さんが会長のこの連絡会が中心になってやっていかれる。ただし予算とかその内容においては、センターもないし非常に機能していくのに不足しておる。だからこういう点は、先生も先ほどおっしゃっておりましたが、さらに充実をしてもらいたい、こういうことであるわけですね。ところが、実際の防災という点につきましては、政府のどこが中心でやっているのですか。これは千葉研究調整局長にお聞きします。
#92
○千葉政府委員 実は、政府は地震災害に対しましては、御案内のとおり昭和四十六年五月に大都市の震災対策推進要綱というものを閣議で決定いたしております。それで分野分担をきめまして推進をいたしておるわけでございまして、それの中心は、御案内のとおり中央防災会議の事務局ということになっておりまして、十三の分科会を設けまして、その具体策をいま検討し進めておるということに相なっておるわけでございます。
 なお、当庁、科学技術庁におきましては、いろいろな震災対策に関する研究の開発についての取りまとめを行なうという役割りがございまして、いろいろとこの方面の研究の推進に重点を置いて研究課題の検討を行なったりしておるところでございます。
#93
○近江委員 政府としてはこの中央防災会議で一応統括してやっている。だけれども、実際に先生方にいま聞きますと、なかなかその辺のところが関係者があまり認識してないとか、きめこまかい対策がないとか、どういう手順でいけばいいか、そういうような点もまだ非常にできてない。これではもうどうしようもないと思うのですね。それで、ひとつ長官、先生方がおっしゃったことは、これは国民を代表してきょうは来ていただいておるわけでありますし、ほんとうにありがたい御意見であるとお聞きしなければいかぬと思うのですね。こういう点、ほんとうに政府が指摘されたわけですからね。これについてはもう強力にやっていく必要があると思うのです。長官としてはこういう点についてどういう考えでいくのですか。
#94
○前田国務大臣 先刻来の問答を拝聴しておりまして、関係の行政当局が、あるいはそれぞれの地方においても、防災についての認識がわりあい足らないという発言もちょっと聞きまして、これはたいへんだと私思いまして、いつ何どき地震が襲撃してくるかわかりませんので、こういう体制ではいけないということをつくづく感じております。確かに、地震の予知研究についてのあり方、現在の地震予知連絡会というものをどういうふうにすべきであるか。また、集中的な機能を持った機関をつくるべきであるかどうかという問題、そういう点につきましては、ばらばらでは、どうも何かパートタイム式でいけないというふうな意見もございました。そういう点につきまして、関係閣僚等とも急いでこの点は相談をいたしたいというふうに考えておりますということが一つ。
 それから私、自分のほうのことだけを言うようでありますが、科学技術部門の面からも、私も気がせいていろいろなこと、球型タンクの防災の問題であるとか、あるいは地下埋設管の問題であるとか、あるいは地震予知警報システムの問題であるとか、そういうようなことを科学技術庁としてはやっております。しかし、それは科学技術庁の面でできるだけやっておるつもりでありますけれども、それではなくて中央防災会議というものはあるわけでありますが、中央防災会議が単なる名前の羅列にとどまるのではいかぬわけでありますから、形だけのかっこうばかりではいけません。これがほんとうに機動的に自主的に仕事ができ、能率が発揮できるように、その点を防災会議の閣僚のメンバーともさらに私よく相談をいたしたい。きょうの御意見等もよく御報告をいたしたいというふうに考えております。
#95
○近江委員 それで、予知の問題と防災対策ということになってくると思うのですけれども、ひとつ予知の問題につきましても、関係各省、そしてまた大学をはじめいろいろな機関もあるわけですし、先ほどおっしゃいました連絡会を中心として、ほんとうにその辺が有機的にいろいろと働きができるようにやっていただきたいと思うわけです。対策の点につきましても、ほんとうにまだまだの段階のように思いますし、いま長官おっしゃったように、ひとつ本日を契機に、予知、そうして対策の万全を期して今後力を入れていただきたいと思うのです。もう時間も来ましたので、これで私の質問を終わらしていただきたいと思います。
#96
○石野委員長 次に、原茂君。
#97
○原(茂)委員 もう少しお伺いしたいのですが、先ほど萩原先生が、予算の面もさることながら、人的頭脳というものでたいへん悩んでおられる、心配だというお話だったのです。その人的頭脳についてなんですが、たとえば金森博雄博士のごときは、地球構造の権威者といいますか、そういう意味でカリフォルニアに呼ばれたのだと思うのですが、その一面、あれは吉川床一先生ですか、核融合の世界的権威といっていいが、今度は逆にプリンストン大学からこっちに帰ってきますね。私は先生方のその考えもいいと思うのですが、吉川先生なんかは、やはりアメリカにおける科学研究費の極端な縮小傾向が出てくる、そこに魅力を失って、このくらいなら日本のほうがいい、日本は核融合関係の研究には長官を中心に相当力を入れ始めているということから、日本に帰ってくるというずいぶんいろいろな理由もあるでしょうが、学問的な理由よりは、科学研究費というものが十分にあるかないかということが、学者先生にとっては非常に大きな問題になっているんだろうと思うのです。その意味では、先ほど申し上げたように、予算というものが十分あって、研究ができるという素地をつくってやることが、日本に人的頭脳を定着させる非常に大きな要素になるのだ、こう考えますので、先ほど東大に入りにくいというその問題とは別なんですが、あらためて萩原先生から、そういう点も予算というものがまず取られて、十分な研究費があるという前提ではじめて日本において育っていく学者が定着し、わが国の地震予知にも貢献するというふうに考えるべきだと思いますが、先生の御意見を聞かしていただきたい。
#98
○萩原参考人 私、全く御同感でございます。とにかく科学研究費はふえつつありますけれども、これは地震予知に限らずすべてに通じてまだまだ少ないと思います。政府はもっともっと研究投資をしてよろしいのじゃないかと思っております。
#99
○原(茂)委員 二つ目に中野先生になるのでしょうか、いわゆる強化地域を指定される、あるいは特定地域の指定が二段階として行なわれる。集中地域なんかはもうもちろん警戒信号だという萩原先生のお話があったのですが、防災の立場からいうと、この強化地域の指定をしたところには、やはり防災の面における政治的なスケジュールがきちっとできて、必要があれば予算も組んでという仕事が行なわれていなければ、強化地域の指定はしておきながら、実際にあるデータを見ると、どうもその必要があるから指定はしました、先生の専門の防災の立場からいって、では具体的に政治的な措置が予算的にも行なわれているのかという点が非常に問題だと思うのです。それができていないと困ると思うのです。
 それから、ついでに、もしそれをお考えになったり、国でもうすでに予算化もできてやっているというのなら、先生のお立場で考えて、それが十分なのか、強化地域である限りは、とにかくいつ起きるかわからないといってもいいわけですから、先生方も長期にはある程度見通しが立つとおっしゃっても、かといって来年ないとか再来年ないというようなことは言えない。そういうギャランティーはできないと思う。そうすれば、強化地域に指定をして研究をするといっても、それと同時に、防災の立場ではそれに対する手当てがきちっとできなければいかぬ、予算化もされていなければいかぬと思いますが、どうでしょう。
#100
○中野参考人 お答えします。
 一応私ども地震の防災問題を考えるときに、ぜひ考慮していただきたい問題は、災害一般にそうですけれども、地震の災害というのは特に場所が限定されるわけです。その限定される地域が、大きい場合には広くなります。それから内陸型のマグニチュード七程度のものですと範囲が小さくなります。それによって被害の出方も違いますが、やはりその場合に問題になりますのは、地域的な問題ですから、かなりこまかい問題を地方自治体が防災の問題に関しては考えなければいけないという形になるわけです。したがいまして、中央防災会議からその要綱が地方自治体に流れましても、実は地方自治体が受け取って、文章づらだけを読んで、それが自分の地域、自分の受け持っている地域の問題として砕けない。極端にいいますと消化不良で、したがってその場合に、われわれ呼び出されてどうなんだという意見を求められる。そこで、いま先ほど言われました防災の手続などこまかい点についても、地方自治体についてはある程度までこちらでプログラムを組んで説明をしないとぐあいが悪いという面が出てまいります。これは、私ども大学の研究者がやる筋合いのものではなくて、行政の一環として、科学技術行政あるいは防災対策行政の一環としてやっていただきたい。それからさらに、私どもがそれについて助言することがあるとすれば、その科学的な内容について、たとえば活断層とか、あるいはそれについての活動の状況とか、あるいは過去の記録整理等防災科学資料の整理をするということ、現在の災害科学研究総合班でやっておりますような仕事を強化して、そして役割りを果たすというふうな方向に持っていくべきだというふうに考えております。ぜひ私は行政のレベルで、そのこまかい地域に、かゆいところに手の届いた指導が行なわれる必要がある。その点では国の機関が果たす役割りはたいへん大きいと考えております。ぜひそのように配慮していただきたいと思います。
#101
○原(茂)委員 お聞きのとおりですが、長官、強化地域の指定をして研究を強化していく、同時に、いつあるかわからないのですから、せっかくいままでのデータで強化地域に指定しなければいけない危険があるという考えが一応科学的に出たわけですよ。そのときに、いま中野先生が言われたように、きめこまかな地方自治体に至るまでの指導と、必要があるならばそれに対する予算的な手当てもしながら、やはり防災という面ではもう思い切った指導を強化していきませんと、あとになって大きな地震がありました、人的被害も相当出ました、非常に大きな災害になりました、調べてみたら三年も四年も前にもうすでに強化地域の指定をし、一応も二応も、とにかくいままで及ばずながら集めたデータによると、その危険があるというので調査をしていたのだということになりますと、防災というものの日常の訓練がやはり国民的にも必要になってまいりますし、だから系統的に防災というものを、単に必要があれば先生を呼んでどうなんだろうと聞くのではなくて、もうその段階はすでに終わったし、強化地域の指定ができるという状況の中では、もし起きたらばこれだけの災害が起きるという前提に立って、最小限度に食いとめるための、無制限に予算を使うわけにいかないでしょうが、手当てはこうしてやっていこうという防災対策を、国の政治のスケジュールに乗っけていくということが必要な時期に来ていると思うのですね。全然わからないならやりようがないのですが、ある程度わかるのですから、萩原先生に言わせると、もうだいぶはっきりとある地域には危険がある、非常に警戒信号を出してもいいようなところがあるというようにお考えのところもあるようですから、そういうのを順次防災という点で、内閣としてのスケジュールにそれが入っていくような、ということは、もうすでに地方自治体に対する指導も含めて、国家的な助成、補助をも含めた予算化というものが同時に示されていく、実行されていく、それが必要だと思うのです。そうしないと、あとになって悔いが千載に及ぶ。こういう点をひとつやってもらわないといけないと思うのですが、どうでしょう。
#102
○前田国務大臣 強化地域に指定されながら、ただ指定されたというだけで安心をしておっては、せっかく指定をされても意味がございません。防災会議におきまして防災計画をつくりましても、それは単なる空文になりますから、その点、せっかく強化地域に指定されたところは、防災の実をあげまするように、どういうふうにやったらいいか、私もちょっといますぐここではお答えできませんけれども、その点よく検討してみたいと思います。
#103
○原(茂)委員 その点は、せっかくおいでになる長官に、ぜひひとつ必要な時期に発言をしていただきまして、足並みをそろえてやっていくという必要がある。これはお願いいたします。
 最後に、根本先生に、先ほど時間がないのでお伺いできなかったのですが、いまの月齢と地震の関係で、最近三月二十七日に小さい地震がありましたね。あの程度のものも月齢との関係がありそうにお考えになるのですか、あんなものはわからないのですか、ということをお答え願いながら、最近先生が調べたので、月齢と具体的にあった地震の関係を、わかりましたらこういうのがこういうときにあった、カレンダーはお示し願えないからあとで見るとしましても、口頭でひとつ……。
#104
○根本参考人 マグニチュード七以下になりますと、これは関係がはっきり出てきません。これはだいぶ前に、一年間に春夏秋冬にいつ地震が多いかというのを調べたのがありまして、そういうのを調べてみましても、大きな地震はたとえば夏多いのですけれども、小さな地震まで加えると冬が多くなってしまうということがありまして、あまり小さなところまで入れますと、今度は月齢との関係もおそらく変わってくるのではないかと思うのです。ですから、関係がはっきり出てきたのは、やはりマグニチュード七以上にしたから出たのかと私は思います。
 それから、最近であったのは、去年の十二月四日の八丈島の地震、これは私がグレード三とつけたときに起こっております。それから昭和になってからのマグニチュード七以上の地震を調べたのですけれども、これで私が危険度四と指定した日にマグニチュード七以上の地震が起こった場合を百点として、それから二十五点ずつ引いて点をつけまして採点しますと、平均六十七点ぐらいになるのです。これは全く偶然の場合の的中率が大体五十五点ですから、偶然よりはかなり的中率がいいわけです。ですから、現在の気象のほうの長期予報の的中率よりも少し下回る程度だと思います。これはカレンダーですから、あくまでも予報と考えていただくとちょっと困るので、そういった意味で利用していただければいいと思います。
#105
○原(茂)委員 もう一つ、アメリカ、ソビエトにも、月齢と地震の関係を検討している先生がいるのですか。どういう人がいるのですか。
#106
○根本参考人 これは、一番最初は日本の学者の方がやったのが昔からの教科書に出ておりますけれども、私がこの問題に取り組んだのは、ソ連のタムラジャンという人、これは何か有名な学者の方だそうですけれども、その方が日本の地震学会の雑誌に発表なさった論文を見て、それがきっかけになってやり始めたわけです。
#107
○原(茂)委員 その発表になったのはいつごろですか。
#108
○根本参考人 それはおととし、七一年です。そしてその方は、その後もデータをどんどんつけ加え、それからやり方も変えて、さらに精度のいい研究にまとめております。
#109
○原(茂)委員 アメリカにはいないのですか。
#110
○根本参考人 アメリカには、ちょっと私は存じておりません。
#111
○原(茂)委員 どうもありがとうございました。
#112
○石野委員長 次に、瀬崎博義君。
#113
○瀬崎委員 先ほどの続きで、地震研の問題についてもうちょっとだけ御意見をお聞きしておきたいと思うのです。
 私たちももちろん、大学の自治、それから学問研究の自由は、何ものによっても絶対に侵されてはならないという大前提の上に立ってものを考えていきたいと思うのですが、その点で、全共闘系の職員のやっていることを、われわれも絶対容認するものではないのですけれども、同時に、やはり事態を解決しなければならないということもまた、これは共通の願望だと思います。
 そういう点で、ここで論議の結論を出そうというのではないのですが、先ほどちょっと私が例にあげた「科学」の二月号、浅田さんの御意見の中にも、「われわれ研究者が自らの問題として改めて考え直すべき点があることも事実である。先にもふれたように、大型化し、幅広くなってきた近代的研究形態は、個人研究を基調としてきた戦前からの大学の研究室体制とは本質的に相容れない」ものがあるのではないかというふうな点で問題を提起したり、また、これは東教大の地質学の先生と聞いているのですが、松尾さんの主張の中にも「深刻な紛争はそれだけに当事者間での解決が望まれる。しかし当事者間では具体的に解決のできないこと(たとえば給与改訂などの法律改正をしなければできないこと)が介在しているのかもしれない。そのようなことは具体的に外へ出し、科学者の注意を喚起することからはじめなくてはならないであろう。」等々の、これはいずれも私見だろうと思うのですが、そういう点では、現在の研究費の問題とか定員の問題等々も含めて、力武先生に、私見という考え方でも、もしお考えがあればこの機会に承っておければと思うのですが、いかがでしょう。
#114
○力武参考人 ただいまの浅田さん、松尾さんの御議論は非常な正論でございまして、これに指摘されるとおりのことがわれわれのところで行なわれているわけでございます。
 そういうことは確かにありますが、地震研究所の教授会だけを考えましても、できない問題も多々ございまして、特に大学全体の問題、それから今度は文部省関係の研究所の問題、いろいろございます。その辺は、紛争の当事者であります私どもといたしましては、非常に申し上げにくい立場であるのでございますけれども、学長もかわられましたし、あらためて連絡をとって何とか早く解決するように措置をしたいと思っております。若干好転の気配も感ぜられております。
 それから、その中にございました研究の大型化の問題でございます。これはたいへんお金が要るということを言っていることと矛盾するようでございますけれども、大型化して半業務的、やや事業的というふうになりますと、従来の教授会中心の管理運営方式というものはどうもワークしないように思われます。つまり重要なる事項を審議するというだけのことしか規定されておらない教授会でございまして、人事管理その他教授会のメンバーの人々はみんな、われわれのところにおります連中は、少なくとも国際的に見てもりっぱな地震学者でございます。これは疑いがないのでございますけれども、この人々は自分が管理者であるとは実は思っていないわけでございまして、非常に若いすばらしい技術者の諸君の人事管理まで行なうという意識は、従来はなかったわけでございます。また、やろうと思っても、いわゆる専門ばかと申しますか、専門は偉いけれども、そういうことはどうもふえてである。そのくらい打ち込まないと研究というものは進歩しないものであるということも確かだろうと思います。そういう点で、大学でもってこれ以上大型のことをやるという点には、私も疑問を感じておりまして、この辺は萩原先生はじめ地震予知のグループの方々の適正な御判断で考えていただきたいと思います。
#115
○瀬崎委員 次に、萩原先生に、先ほどの地震と予知でございますね、この中に微小地震観測所の図面があるのですけれども、この微小地震というのは一体どこが管理している観測所なんでございましょうか。
#116
○萩原参考人 地震予知計画が立てられましたときに、マグニチュード三以上の地震、これは大地震、中地震、小地震になるわけですが、大地震がマグニチュード七以上、中地震が五と七の間、小地震が三と五の間と、そういうふうに便宜上分けたわけでございますが、この大中小地震、すなわちマグニチュード三以上の地震を全部計測できるということを目標にして、気象庁はこれからいろいろ観測の強化をしていく、そういう申し合わせをしたわけでございます。それよりも小さい、マグニチュード一から三までを微小地震と称し、それより小さい地震をさらに極微小地震といっているのですが、つまり気象庁の観測対象にならないような小さな地震は、まだ研究的色彩が強いので、気象庁の観測対象からははずして、当分の間大学が行なう、こういうことを申し合わせて今日まで進んできたわけでございます。ですから微小地震観測所は、今日までに数にしてたしか十六カ所ぐらいあると思いますが、全部大学でございます。ただ、気象庁の松代地震観測所だけは微小地震の観測をやっております。あとは全部大学でございます。
#117
○瀬崎委員 これは私専門でないので、聞いておることが間違っておれば御指摘をいただきたいのですが、この微小地震観測所は、親観測所とそれから親に対して子に当たる観測所三カ所、理想的な場合はそういうものでワンセットになるんだというように聞いているのですが、その場合、観測人員として、事務職も含めて親の場合で十名くらい、子の場合で三名くらい必要なんだというふうに聞いておるのですが、何といっても地方であるために、そういうところで観測、収集に当たる方々の確保がいまの制度では非常にむずかしいというふうにも聞いておりますし、またデータはどんどんたまるのだけれども、これの解析、消化が十分にできないんだということも聞いておるのですが、そういうことは事実でしょうか。
#118
○萩原参考人 そのとおりでございまして、微小地震観測所は、先ほど申しましたように十六カ所ございますが、それだけでは足りないので、一つの観測所が何カ所かの衛星観測点を持っております。本来の計画ですと、地震研究所あるいは京都の防災研究所のようなところでは、衛星観測点を八カ所持つ、あと学部で持っている観測所では、衛星点はその半分の四つ、そういう計画であったのでございますが、実際は、予算的にそれだけの数は与えられておりませんで、いろいろやりくりして観測点を方々でつくっているようでございます。でありますから、観測点と申しましても、かたい岩を削ってそこに地震計を置いて、何かビール箱のようなものをかぶせて、ビニールをかぶせてある。それで、それを記録する機械は農家の納屋の中にある。そういうものも幾つかあるわけでございます。
 現在、観測所、観測点を含めまして、数としては九十カ所ございまして、非常に大きな数でございます。現在気象庁の管下の地震観測所はたしか百十一カ所と聞いておりますが、それに近いような数、それを大学の研究担当者がいろいろ苦労を重ねながら観測を続けております。それで、観測所が新しくできましたときにつきました人員は非常に少ないのでございまして、研究所におきましてはたしか四人ですか、それから学部の観測所では二人でございます。
 そういうわけで、観測担当者は非常に苦労してやってきておりまして、もうデータをとるだけが精一ぱいで、それを解析することすらできない。いわんや研究もできない。こういう点で非常に大きな問題になっているところでございます。第三次の研究計画ではぜひそれを改めようといろいろ考えておるところでございます。
#119
○瀬崎委員 文部省、七田学術課長がおいでになっているのですか、先ほどからお聞き及びのとおり、微小地震の観測は非常に重要であることと、その体制が非常にお粗末で末端は苦労をしておられるし、納屋に観測機械を置いてあるというような話も初めて聞いたわけなんです。そういう点についてはどういうお考えですか。
#120
○七田説明員 いま萩原先生、力武先生からずっと御説明があったわけでございますが、私ども力の至らぬところは十分に理解しておるつもりでございます。
 それで、今度の地震予知計画でございますが、第二次の地震予知計画は昭和四十八年に終わることになっております。それで一応観測点を置くということは、ほぼ九〇%は実現できたのじゃないだろうかというふうに考えておりますが、いま先生からも御指摘がございましたように、いろいろ不備な点はまだあるということも、われわれも十分自覚しております。これにつきましてはできる限り今後整備いたしていきたい。特に問題になりますのは、そういう地震観測所関係の間の省力化の問題、自動化の問題というのがまず一つあるわけでございます。そのほかに解析能力の拡充というのが一つ非常に重要な問題としてあるというように考えております。それから同時に、先ほどからお話がございましたように、地震研究所が現在、一応観測機能は果たしているとはいいながら、なおまだ問題があるということもございます。したがいまして、大学サイドにおきます地震予知研究、これをどういうようにいたすか、実は今度文部省にございます測地学審議会のほうで御検討いただきたいというように考えております。この結論はたぶん六月末までには出していただけると思いますので、この御結論をもとにいたしまして明年度の予算に対処いたしたいというように考えております。
#121
○瀬崎委員 時間がないので深くお尋ねできないのは残念なんですが、同じような意味では、第三次長期計画の中で、国土地理院のほうの全国三角網改測ですか、これの点でも、測量の下請化が行なわれたりというような点で、やはり人員で問題があるというふうに聞いているのです。まあ萩原先生に一度お尋ねしてから国土地理院の檀原参事官に聞くのが筋だと思うのですが、時間もありませんので、直接地理院のほうにお尋ねしたいと思うのです。
#122
○檀原説明員 国土地理院におきましては、来年度から国土地理院自体の長期計画が始まります。それと同時に、地震予知のほうも第三次計画に入るわけです。ちょうどいい機会でございますから、地震予知を含めて、まあ測地事業とわれわれ呼んでおりますが、それがちょうど地震予知計画に当たるわけでございます。それでいままで、明治以来三角測量というような手段をやってまいりましたけれども、先ほどから先生方のお話しのように、光波測距儀を使いまして、非常にいい精度で観測ができるようになりました。いま繰り返しておりますのは、一等三角点三百点を大体十年ないし十五年で繰り返してきたのでありますけれども、それでは地震予知にあまり役に立たない。来年度から始まりますのは、一等点、一等補点、二等点まで含めますと大体六千点になります。その六千点を五年間でこなすことは、これは私たちの直営能力だけでは全部できませんので、ある程度直営はやりますが――まあ企業のペースに乗らないようなところは私たち直営でやりまして、測量会社がありますので、そちらのほうでかなりカバーしてもらうということで、それ自体は、作業力とかそういう消化能力にはそう問題はないと思いますが、予算的にはたしてそれだけ認めていただけるかどうか、これは私たちが大いに努力しなければいけない点であると思います。
#123
○瀬崎委員 これももう少しお尋ねしたいけれども、残念ながら割愛して、最後に中野先生に、先ほどもちょっと出ました中央防災会議のことなんですが、この中ではちゃんと大都市震災対策推進要綱もつくられている。これは幾つか項目をあげてお尋ねしたかったのですが、もう時間がないので要約すれば、震災対策の基本的な目的の中には「国土の土地利用計画にたった人口、産業の適正配置等都市における過密を解消し、建物の不燃化、オープンスペースの確保等耐災環境を整備した安全な都市を建設すること」などと書いてあるけれども、事態はまさに逆行しているように思うのですね、現在の政府のもとでは。防災会議自体が開店休業しているとか、つくられている推進要綱が単なる作文にすぎないんだというふうな批判もしばしば耳にするわけなんですが、一言で言って、もし先生、何か御意見お持ちであれば、この中央防災会議並びに大都市震災対策推進要綱等についておっしゃっていただければと思うのですが……。
#124
○中野参考人 お答えします。
 私、その印刷物を、原典を見せていただきましたのは、埼玉県庁の防災会議の席で見せていただきました。その席ではとても防災のためのほんとうの意図を説明をすることはできませんので、それから県下の職員を集めまして、私個人が考えている防災問題の考え方、それからそこに盛られている考え方を砕いて説明するという機会を設けて勉強会をやったわけです。そういう手間がおそらく国のほうでもやられていると思うのですが、それがありませんと、担当者は書だなの中に突っ込んでおしまいになってしまうということを、私ども防災問題をやっているものとしては非常に心配するわけです。ぜひ国及び国会の席で、もう少し指導が強化されるような方向に持っていっていただきたい。これは実際やってみてそういうふうに感じますので、ぜひお願いしたいと思います。
#125
○瀬崎委員 以上で終わります。
#126
○石野委員長 この際、参考人に一言であいさつ申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後一時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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