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1972/05/10 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号
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1972/05/10 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第12号
昭和四十八年五月十日(木曜日)
    午前十時二十一分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 藤本 孝雄君 理事 前田 正男君
   理事 粟山 ひで君 理事 嶋崎  譲君
   理事 原   茂君 理事 瀬崎 博義君
      湊  徹郎君    井上 普方君
      清水 徳松君    近江巳記夫君
      北側 義一君    内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       山田太三郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子力の安全性
 確保に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
    〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
#3
○原(茂)委員長代理 原子力の安全性確保に関する問題について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石野久男君。
#4
○石野委員 昨日、原子力の安全性に関する問題で、多数の参考人の方に来ていただきまして、約六時間に及ぶところの、長時間にわたっていろいろな意見を聴取いたしました。
 その中で出てまいりました問題の大別は、参考人は、特に政府機関に関係していると見られる方々の意見と、そうでない方々との間に、たいへんな見解の相違のあることもはっきりいたしました。
 それから、なおまた、原子力につきましての問題で、特に炉の関係とかあるいは廃棄物、排出物等についての問題、あるいはまた、それのあと処理の問題等についての見解でも、やはり相当な違いのあることがはっきりしたわけでございます。
 で、私ども科学技術の振興対策特別委員として考えなければならないことは、こういう情勢の中でわれわれは、科学技術全般もそうでございますが、特に原子力問題についてこれから開発促進をするにあたっての安全性の問題をどういう立場でこれを見るべきかということ、特に国民の立場でこれを見るか、あるいは開発に当たっておる業界、産業界とかあるいは政府の立場だけでこれを見るべきかということについて、相当深刻に考えなければいけないんじゃないだろうかということを、実は深刻に私は感じたわけでございます。
 長官は、科学技術政策をそういう立場でいろいろと行政面で扱われるわけでございますが、特に科学技術政策というものを、内政の立場と、外政の外交等の中でどのように位置づけて処理なさっておられるか、行政の任に当たっていられるかということについて、まず最初に私は長官の考え方をひとつ聞いておきたいと思うのです。所見をひとつ承りたい。
#5
○前田国務大臣 昨日は参考人の方に御来会をいただきまして、長時間にわたって非常に熱心にあらゆる観点から御検討をいただきましたということを実は政府委員からもよく承りました。私、どうしてもやむを得ない所用がございましてお伺いできなかったので、非常におわびを申し上げたいと思います。
 いま委員長から御指摘のとおり、見解の相違と申しましょうか、原子力についての安全性の認識の問題につきまして見解の相違もあったようでございますし、また、ただいま御指摘のように、廃棄物、排出物の処理の問題等についてもいろいろ意見があったということも私聞いております。けさの新聞ではその一部が報道されておるようでございますが、いずれにいたしましても、しかし電力危機と申しましょうか、エネルギー危機というものは迫ってきておるわけでございまして、そのうちにおきまして原子力発電というものがやはり大きい役割りを演ずるであろうということは、これはどうもそういう趨勢であるということは委員長もよく御存じいただけると思うのでございます。
 しかし問題は、いかにしてその安全性を確保するか、国民の同意を得るか、理解と協力を得て推進していくかという問題に帰するであろうというふうに考えます。まあ、ちょっと私、外交との関係という点はどういう御質問かと思ったのでございますが、ともかく政府の立場、企業の立場というものと国民の立場というものとそれが相対立するものであってはならない、国民の立場を考えずに原子力発電を推進するということは、もうそういうことは考えられないことでございまして、国民の立場というものを考えて、政府の立場としてそういう方針を推進すべきであるというふうに基本的に考えておる次第でございます。
#6
○石野委員 科学技術政策が教育、産業の政策とどのように結びつくかということはきわめて重要だと思います。特に科学技術の果たさなくてはならない役割りというのは、産業政策との結びつきの中で、最近のように産業公害というものが非常にやかましく言われるようになってまいりますと、その産業公害を排除するための科学技術政策というものがきわめて重要だと私は思うのです。そういう観点からしますと、科学技術政策をリードされる長官の立場というのは、産業政策なりあるいは文教政策に対して、科学技術庁長官としてどういうような立場で対処するかということも非常に重要になってくると思います。長官は、そういう点でどういうような考え方をお持ちになっておられるか、そういう点をひとつ聞かせていただきたい。
#7
○前田国務大臣 ただいま委員長御指摘の産業政策との関連でございますが、まことに科学技術というものと産業との関係というものは非常に深いというふうに考えており、科学技術につきましては、従来、敗戦以来日本の国の経済の復興に非常に大きい役割りを果たしたということが認識され、評価されると同時に、その反面、公害問題とかいろいろな問題が出てまいりまして、もう科学技術に対する不信感と申しましょうか、簡単に申しますと、「くたばれ科学技術」というふうな考え方が出てきておることも事実でございます。いろいろな公害のいろいろな病気も出ておりまして、その点につきまして、まあこれは委員長に申し上げるほどのことではない、委員長もとっくに御存じのはずでございますが、結局テクノロジーアセスメントと申しましょうか、技術再評価といいましょうか、再点検といいましょうか、どういうふうに訳したらいいか知りませんけれども、そういう姿勢ですべての科学技術にわたって進んでいきたいということで努力をしている次第でございます。
#8
○石野委員 産業公害をなくするために、いま長官は鋭意努力しているというお話でございますが、これは産業公害に対する科学技術政策について、科学技術庁長官という立場でとられる対策というのはもうはっきりしていると思うのです。いわゆる国民の立場に立たなければならない、それははっきりしているのだが、しかし、実際には産業公害というものは、国民の立場というよりもむしろ産業資本なりあるいは商業資本あるいは金融資本という、そういうような資本の側の要請を押えることができないことから出てきている面が大きいのだと思います。私は、やはりそういうようなことがはっきりしておりますと、当然、政策はその側面に対してそれを押えると言っては語弊がありますけれども、公害発生源をとめるような政策がなされない限りは、とても公害をなくするということはできないだろう、こう思うのです。科学技術政策はやはりその側面に対して何か触れていないといけないのじゃないか、こういうように私は思っておるのですが、長官は、そういう点ではどういうふうにお考えになりますか。
#9
○前田国務大臣 確かに、委員長御指摘のとおり、産業公害というものを国民の立場からチェックしていくということは、もちろん大切な、基本的な姿勢でございます。ただ、それがやはり生産ということも――生産第一主義であるとか輸出第一主義であるという、そういう考え方はもちろんとりはいたしませんけれども、さればといって、やはり生産ということも考えつつ、それはしかし、あくまでも産業資本の代弁者であってはいけない。その辺の調和と申しましょうか、調和するということは、別に産業側に重点を置くという意味ではございません。けれども、国民のしあわせという点から考えて、やはり生産というものがある程度確保されるということも、これもしあわせの一つではないかと考えます。また、さればといって、公害が出ては、幾ら物ができても意味がない。そういう意味で、その辺が非常に現実の運用においてはむずかしいと思いますけれども、ただ、それが先生御指摘のとおり、産業資本の代弁である、企業サイドに立ってものごとをすべて判断していく、そういう姿勢は絶対排除すべきであるというふうに考えております。
#10
○石野委員 長官は、私の言っておることを誤解されてはいけないと思うのです。私は別に科学が産業政策に寄与することを否定しているわけではない。ただ、科学技術が産業公害に対してなさねばならぬ問題は、もうすでに幾つか提起されてきておる。特に六〇年代の高度成長の中で、生産第一主義をとったために出てきておる公害というものは、各所、随所に出てきていると思うのです。そういう問題について、行政上の立場からしましても、特に科学技術の立場からしては幾つかの問題があると思うのです。すでに出てきているものについて、それをどういうふうに処理するかという科学技術の指導も一つあるだろうし、それから、これから予見される公害を未然に防ぐために科学技術政策を指導するという問題もあろうと思います。そういう問題について、長官の立場が、たとえばことしの一月五日でしたか、長官は原子力産業会議に出たときに、新聞の報ずるところによると、「原子力委員会は原子力産業会議と一心同体でなければならない。」こういうような発言をなさったと報道されております。この考え方は、これは長官がいまおっしゃったような意見とは全然違うと思うのです。これは完全に産業資本の代弁なんですね。こういう考え方が、かりそめにも長官のことばとして出るということは、日本の行政の上からいったらたいへんな誤りだろうと思うのです。私は、こういう考え方がいまでももし長官にあるとしたら、長官はやめるべきだと思います。ほんとうにそう思います。そういう点についての長官の考え方を、いまでもそういうふうにお考えになっておるのか。なぜああいうような発言をしたのか。もうだいぶん時間もたっておるのだけれども、しかし、まだ一年もたっておりませんから、この際ひとつ長官からお話を承っておきたいと思います。
#11
○前田国務大臣 非常にいい御質問をいただきまして、私も感謝しております。
 実は、一心同体ということが非常に誤解を受けまして、私も二十二日に着任いたしまして、一月の五日までで着任早々でございましたので、その表現のしかたも非常にまずくて誤解を招いたということを非常に遺憾に思っております。私の一心同体という意味は、産業エゴイズムはいけないのだ、原子力委員会の基本的な考え方に、産業界が原子力委員会と同じ心を体してほしい、そういう意味で言うたわけでございます。別に原子力委員会が産業界と癒着して一体になるという、なれ合い、そういう意味では全然ないのでございまして、その点はどうぞひとつこの機会に――私は、いつかそれを申し上げたいと実は思っておりましたので、どうぞひとつ委員長、誤解なきようにお願いいたしたいと思います。
#12
○石野委員 私は、もう数カ月たった今日、そんなことをあえて長官に聞きたくはなかったんですよ。だけれども、あなたの配下にある、たとえば原子力委員会なり原子力委員会の安全審査に携わっている方々のものの考え方が、ちょうど長官が一月に言ったことと同じような立場に立っているように、実はきのうの参考人の話から私はそういうふうに読み取ったわけであります。だから、長官がもしそうでないというならば、あなただけがそういうふうなことを言っておったのではだめなんですよ。やはりあなたの指導下にあるところの、指揮下にあるところの各機関に対してもそれは徹底させなければいけないのではないだろうか。それでなかったら、それはただ口頭禅としたものであって、われわれにとっては何にも長官の意図を理解する素材にはならないと思うんですよ。この点は、もう少しはっきりと、やはり指揮、指導をされるべきだ、こういうふうに私は思います。その点について、あとでまたいろいろ聞きますが、そういうような長官の信念的なものがあるのかどうなのか、この際ひとつ聞いておきたいと思います。
#13
○前田国務大臣 ただいまいろいろ御注意をいただきまして、またいろいろ御激励をいただきましたことを御礼申し上げます。従来とも私は、原子力行政は原子力基本法の考え方に沿って進めてまいったと思いまするし、私は今後ますますその姿勢を強めて、ほんとうに国民の立場ということを考えつつ行政を推進していきたい、そういうふうに考えている次第でございます。
#14
○石野委員 科学技術政策というのは、やはり文明の進歩発展、文化の向上のために非常に役立つことは、だれも否定することではありませんけれども、また同時に、それがあまり一方的に片寄った活用のされ方をされるというと、逆に人類の悲劇になる危険性をはらんできている。これはもうローマ会議のときにもはっきり指摘されているところなんですね。ですからわれわれは、やはりここで一番大事なことは、科学技術があやまられて社会的弊害を伴ってくるような利用のしかたをされている場合は、それをどこかでとめなければいけない。それをとめるについて、やはり政治が非常に大きな役割りをするんだと思うんですね。ことに、わが国の政治の中では、科学技術の活用面で通産省の分担が非常に大きいわけです。あるいは教育の面では、文部省関係がそれに携わっているわけですが、しかし、科学技術庁というものが一つ置かれている。こういう立場から、長官の果たさなければならない仕事というのは、こういう通産行政とかあるいは文教政策とかそういうものに対して、科学技術庁長官としてどういうふうにこれらのものに対処するかということを明確にしていませんと、これはいろいろな誤りが出てくるだろうと思うのです。今日の段階では、科学技術庁長官としてのそういう政治的役割り、任務というものは非常に大きいと思うのですが、長官はそういう点について、他の諸官庁との関係ではどういう態度で臨もうとしておるのか、この際、ひとつはっきりと長官のお考えを聞かしていただきたい。
#15
○前田国務大臣 科学技術が文明の進歩、文化の向上に寄与いたしておりますことは、委員長御指摘のとおりでございますが、これが一方に偏しますると人類の悲劇を招くということも御指摘のとおりでございます。現実的に、具体的には、あるいは閣内といいましょうか、日本の政治の中におきまして、科学技術庁という役所が、あるいは文部省あるいは通産省に対してどういう姿勢で臨むかという問題でございますが、これは私自体がどういう姿勢で臨むかということであると同時に、科学技術会議という会議がございまして、総理大臣の諮問機関と申しましょうか、その科学技術会議で日本の科学技術のあり方という基本の方針というものをきめております。最近の一九七〇年代における科学技術のあり方という答申があるわけでございますが、その答申も、先生御承知の答申でございますが、その答申に基づいて、各省庁に対してそういう姿勢で臨みたいというふうに考えておる次第でございます。
#16
○石野委員 答申に基づいて各省庁に臨むということは、それは順序としてそういうことになることは当然なんですが、ただ、やはり問題は、長官はロボットじゃないわけだから、だから当然能動的な政策、施策をしなければいけないだろうと思う。そういう意味で、能動的にどういうふうに通産行政なりあるいは文教政策に対して臨むかということが、長官としての一番大きな任務だろうと思います。そういうような点で、もし態度が不明確であるとすれば、科学技術庁長官というのはほんとうに不要なものになってしまうだろうと思います。そういう点では、ひとつはっきりと長官が態度を示される必要があるんじゃないだろうか。単に、答申に基づいてというようなことだけでは、私のいまお聞きしたことに対する答弁にはならないのじゃないか、こう思うので、もっとはっきりした考え方をひとつ聞かしていただきたい。
#17
○前田国務大臣 具体的にどういう姿勢で臨むかというお尋ねでございますが、先ほど申しました科学技術会議の五号答申に基づいた基本姿勢に基づきまして、具体的にはケース・バイ・ケースという、逃げことばではありませんけれども、そういう姿勢で、いろいろな問題が出てきた場合対処していく姿勢でおります。しかし、あるいは公害問題とかそういう問題については、いつもこれをチェックする姿勢をくずしていない。そうして、たとえば原子力につきましては、原子力基本法の平和利用に相反するような、そういう傾向が閣内あるいはその他の場で出てきた場合は、断固としてこれを阻止していく、そういう姿勢でいっておるわけでございます。
#18
○石野委員 ケース・バイ・ケースで臨むといわざるを得ない、それは問題が非常に多般にわたりますから、それはそれで私は受けとめます。
 そこで問題になるのは、たとえばケース・バイ・ケースとして、原子力問題でそれじゃどういうふうな態度をとられるかということについてですが、私は、産業公害の問題は、出てきてしまってから処置したのではまずいということは、長官もお認めだろうと思うんです。出たものについてはどういうふうに対処するかということは当然とられなければなりませんが、科学技術庁の長官として、すでに出た公害に対しては、少なくともあと処理をするための科学技術の政策指導をやらなければいけないだろう。そういう点では、長官はいまどういうような着意をなさっておられるか。出た公害というのは幾つもあると思うのですが、たとえば水俣の問題にしても、イタイイタイ病にしましても、あるいは四日市の問題にしましても、公害は多種多様に出ておるわけですよ。そういう問題についてのあと処理をどういうふうに処理するかというようなことについての科学技術指導というのは非常に大切なんだろうと思うのです。これはそこまで手が及ばないというふうに考えているのか、それを具体的に指導しようとしているのか、その考え方をひとつ聞かしていただきたい。
#19
○前田国務大臣 あと処理につきましては、いろいろ公害の問題もあるわけでございますが、あと処理につきましては、あるいは補償の問題とかいろいろな問題が出てまいりまして、それは別に逃げ口上ではございませんけれども、各省庁でそのあと処理というものはやっていただいております。そしてわれわれは、そういう公害がさらに発生しないようにチェックしていく、公害を繰り返さないようにという、むしろ予防的な観点に非常に重点を置いておるわけでございまして、あと処理につきましては、たとえば水俣病にしましても、そのほかにしても、科学技術庁と通産省、そういうところでやっていただいておる場合が多いように私は考えております。
#20
○石野委員 私は、問題は非常に広範にわたるし深いものがありますから、なかなか簡単じゃないと思いますけれども、しかし、たとえば通産省関係――公害が出るのは産業公害でほとんど出るのですから、ほとんどこれは通産省だろうと思うのです。通産省でそういう問題の処理を、たとえばそれは企業を指導してどうにかさせるという問題があります。たとえば、水俣病でいいますならば、チッソが出したところの公害をなくしようとすれば、海をきれいにしなければならぬという問題が出てくると思うのですよ。これは非常にむずかしい問題ではあるけれども、海をきれいにするという問題を通産省に何とか処理させるような方法、そういうふうにさせよう、こういうようなことなんですか、各省庁でやってもらうという意味は。
#21
○前田国務大臣 これは水俣病の例でございますが、別に、科学技術庁として、特にそのあと処理というものを実はやってはおりません。ただ、一般的に海をきれいにする問題、これは環境庁がいま主管になってやっておりますが、それに科学技術というものを利用するという場合は、これに対しまして協力をする、あるいは研究促進調整費を利用いたしまして、水面にたれ流されましたタンカーの油を吸い上げる研究であるとか、そういう一つの例でございますが、そういうことをやりまして、海だけの一つの例でありますが、そういう姿勢で臨んでおるわけでございます。
#22
○石野委員 この問題は、たとえばこれは水俣湾そのものをいうだけじゃないのですよ。安中なら安中で土壌が非常に汚染しているとか、各地で汚染がずいぶん出ておるわけですよ。そういう問題は、自然に汚染度が減少するのを待つような体制でいくかどうか。これは総理大臣自身の一つの考え方もありますけれども、少なくとも科学技術庁というのは、そういうような問題について何らか取り組むような姿勢はあるのかどうなのかというようなことを、私は長官に何か腹案があるのかどうかということを聞いておるわけなんです。なければないでかまわないのですよ。
#23
○前田国務大臣 具体的にそれは水俣に例をあげること自体がどうかと思いますので、いま先生が安中の問題等もいろいろお話しになりまして、そういう緊急に、あるいは各省庁にまたがるとか、いろいろそういう問題で研究を必要とするというふうに要請があり、また、われわれが判断したときは、研究促進調整費を活用いたしまして、それがためにあるわけでございますから、そういう公害の除去とか研究にすぐ着手することがわれわれの姿勢でございます。
#24
○石野委員 公害が非常に多発化してきているという現段階では、公害を発生させないために、すでに水俣のようなああいうところでは、工場の操業をとめさせるとか、あるいは排出物を非常に少なくするような手当てをするとか、いろいろな問題があるでしょうし、それから、すでに汚染されたものについて、可能な限りそれの汚染度を低めるようなそういう研究開発をしていかなければならないだろう、そういうような仕事が科学技術庁の中にはいろいろ多岐にわたってあるんじゃないかというふうに私は思っておるので、そういう点は長官がもう少し創意をしていただくことが大事だろう、こういうふうに思います。問題は、公害発生がしちゃったらそういう問題が出るけれども、公害が発生しないために公害予防と申しますか、そういう予見される公害について科学政策上行なわなければならない問題がたくさんあると思うのです、科学技術の政策上。ことに私は、きのうの参考人の御意見の中には、そういうように予見されるべき公害、たとえば原子力におけるところの公害、放射能公害、そういうようなものが出てくる可能性を考えてはいるけれども、それにどういうように対策を立てていいか、なかなかやりにくい事情がたくさんあるという発言がありました。その一番大きい問題は、何といっても資料がないんだ。資料がないものだから、自分たちの資料と政府なりあるいは当局側が出すところの結論との間、自分たちの資料で出した結論と政府当局が出した結論との間にずいぶんの食い違いが出てくるんだ。だけれども、どこでどういう食い違いが出てきているかは、それを点検する素材としての資料が全然ない、こういうことが言われておるんですよ。資料がないということは、資料が出されていないということを意味しているのでございまして、原子力基本法は、平和三原則をうたっておるし、その中には公開の原則というのがあるわけですね。この公開の原則というのを、この際はっきりと長官が自分の配下の諸君に理解させて、それを具体的に実践してもらわないというと、きのうの参考人の言われたようなことが起こるのは当然だろうと私は思うのですね。資料公開について、長官はどういうようにお考えになっておるか、ひとつ御意見を聞かしていただきたい。
#25
○前田国務大臣 きのうの参考人の御意見のうちにも、公開の原則に関連しまして、資料を公開すべきだというような意見があったというようなことも聞いておりますし、また、この問題につきましては、石野委員長、いつも御指摘をいただいておることも私よく存じております。自主、民主、公開ということは非常に大事だろう、特に公開の原則というのは、平和利用の担保という意味におきましても必要であるということもよく存じておりまして、これは一番大切な原則であるということも知っております。したがいまして、とにかく公開の原則といいますか、その要望にこたえる一つの考え方といたしまして、資料室というふうなものをつくる予定で、もう部屋の割り振りまでいたしまして準備をしておる最中でございまして、この資料室なるものが、一体全体資料室をつくったって都合のいい資料ばかり集めるんじゃないかというふうな疑いもあるいはあるかもしれませんけれども、われわれはそういうことは考えておりません。とにかく資料室というものをつくって、そしてどんどん見ていただくというふうに前進したことも、私の考えの一つとして御評価をいただきたいと思うのでございます。
#26
○石野委員 資料室をつくる予定だそうですが、その資料室には、きのうの参考人のいろいろな意見を聞いておりますると、アメリカの資料は、たとえば原子力についてはいろいろな面にたいていのものはとれる。ところが、日本ではなかなか同じようなものがとれないんだ。だからどうも比較対照ができない。だから結論がいつもすれ違いになってしまうんですね。片方は原子力委員会なりあるいは安全審査会など、特に安全審査についての資料が出ない、これは私どもにとってどうも、原子力平和利用の三原則をしっかり身に体しているとすれば、そんなことはあろうはずがないと思うのに、そういうようなことが言われる。たまたま昨日内田参考人、これは安全審査会の会長をやっておられるわけでありますが、その問題について、資料の公開というものはいろいろと委員と相談したけれどもできません、こういう発言なんですね。あとで若干の訂正があって、そしてなおこういうことを言っておりました。原子力委員会の許可があれば、こういうようなことも言われておりました。そうなりますと、内田会長がきのう発言されたことは、原子力委員会の指示に基づいているというふうに考えざるを得ない。だから、そういうようなことについて長官はどういうような指導をなさっておるのか、この際ひとつはっきり聞かしてもらいたい。
#27
○前田国務大臣 先生、いろいろ御指摘になりました安全審査会の審査の様子というか、それをもっと詳細に出すべきではないかという御意見だと思います。安全審査会の意見はみな密封してしまいなさいという指導を私のほうはしておるわけではございません。ただ問題は、安全審査というものは、やはり自由心証といいましょうか、安全審査会のメンバーが自由に、ほんとうの信念というか、ほんとうの考え方を述べるという独自性といいましょうか、独立性といいましょうか、それを認めないと、あまりわれわれのほうで、こうしなさい、ああしなさいということを指導というか、安全審査会につきましてはそういう指導をいたさないで、安全審査会は審査会としての独自の判断というものを持たして、そして審査機能を発揮してほしいというふうに考えておりまして、その点で、たとえばAの審査委員がどう言いました、Bの審査委員がどう言いました、ということを言うと、いろいろな自由な発言というか、それがそれにチェックされまして、やはりできない。自由にフリートーキングをするというところに非常に意義があるのだ。審査機能をむしろそれで発揮できるのだという考え方に立ちまして、私のほうは、原子力委員会としましては、審査会にどうしなさい、こうしなさいということは言わない方針で従来ともずっと進んでおるわけでございまして、その点、あるいはあき足らぬじゃないかというふうな御指摘もあるかと思いますが、私たちの意図するところはそういう次第でございます。
#28
○石野委員 私の聞いているのは、長官が原子力委員会の委員長として、そういう自由に発言させる態度をとることは別に何とも思っていないのです。問題は、そういうようなことを一般の他の学者とか、あるいは一般の国民にわからせるような方法をとらなければいけないんじゃないか。特に、安全審査について、昨日の参考人各位の意見は、ほんとうに対立するようなまっ二つに分かれるような意見の開陳があったわけです。そうなってくると、われわれが判断するにあたって、片方の意見は案外に聞けるけれども、片方は聞けないのだというようなことではいけないし、また、立場の全然違った形で平和利用について、あるいはまた安全性の問題についての意見の相違が出た。出た理由は何なんだと聞くと、それはやはりわれわれの持っている資料と、向こうの資料との間の対比がなかなかできないところからきているように思われる、こういうふうに言っているわけです。だから資料があれば比較がもう少し明確に出るのだ。われわれの言っている資料はこういう根拠に基づいてこういうふうなことになっている、こういうわけです。政府側なりあるいは当局側の出しているもの、あるいは業界が出しているものの資料とわれわれの資料との間の対比ができません、こういうふうに参考人は言っているわけです。だから、そういう点について明確に対比のできるような資料提供がどうしても必要なんじゃないか。原子力委員会の委員長としては、そういうことの資料は、ちゃんと学術的にも対比できるようにさせなければいけないと思うのですよ。そうすることが非常に大事だと思いますが、委員長はどういうふうに考えますか。
#29
○前田国務大臣 資料がなくてこれがいいかどうかという判断ができない、それですれ違いがあるのではないかという先生の御指摘でありますが、私はその資料というものは出しておるというふうに思っております。この点はどういうふうな資料をさしているのか、その点は政府委員から一ぺん答弁いたします。
#30
○石野委員 資料は出ているはずだと委員長は思っているけれども、事実は出てないということになると、これはたいへんな上と下との食い違いが出ているわけですね。特に、成田局長はきのう、審査会のそういうものは出せないということも言っておるわけですよ。だから私は、そういうような審議過程を知ることが学問研究の上からいっても、あるいは安全性を確保するために一つの結論を出す上からいっても大事だという参考人の意見は私は尊重しますし、それは妥当だと思います。そういうようにわれわれは考えるから、その人たちが要求しておるところの審議過程をはっきりと知らしてほしい。そうすれば、われわれの考え方の間違いがあればまた改めよう、こういうふうに言っているのですから、それは遠慮しないでやはり出すようにしたらいいじゃないか。それを出せない理由は何なんだということを、委員長は出せると言っているし、原子力委員会の委員の方々は出さないということになると、それは指揮命令系統に何か一つ短絡しておるものがあって、おかしなことになりはせぬか、こう思いますが、どうですか。
#31
○前田国務大臣 あるいは私の答弁が誤解を招いたかと存じますが、私は安全審査会の審査したそういう資料といいますか、その結論をお出ししておるということを申し上げたわけでございますが、その審議で、たとえばA委員がどう言った、B委員がどう言ったということは、これは自由心証で安全審査をやっていただくためにはかえってそれはぐあいが悪いという点から、それを公表はいたしませんということは、別に私と政府委員との間に食い違いはないわけでございます。
#32
○石野委員 私は、いま長官の答弁は非常に重大だと思うのですよ。特に、長官は通産大臣とは違うのですから、科学技術庁長官ですから、科学技術を非常に客観的な立場で見なくちゃならない任務にあると思うのです。したがって、わが国における原子力政策、あるいは産業政策もそうですけれども、その中で科学技術が背負わなければならない客観的な立場というものは、もう私たちと長官との間に違いはないと思うのですよ。それで、われわれの望んでいるのは、やはり科学技術の開発が、特に原子力の場合では、いろいろといい面と悪い面とがあるのだ、それを利用すれば無限にエネルギーがとれるだろうというような説もあるし、われわれは、無限でなくとも、少なくともいままでの石油や石炭とかいうものよりももっと有効に使える面があることは知っています。同時にまた、そこから出てくるところの放射能公害の面の処理がまだ十分できてないのだから、そういう面の危惧を考えると、これはなかなかたいへんなことになるぞ、こういうような見方をわれわれはしているわけです。したがって、そこをもう少し科学技術政策の中で調整し、解決するということが一番大事なのだ、こう思いますね。したがっいて、安全審査委員会で述べた委員の発言は、これは一つには審査の問題でもありますけれども、一つには学問的な立場での論争過程にもやはり活用されなければいけないのだ。そうでなかったら、科学技術政策の役割り、科学の指導政策というものは何もないと思うのですよ。私は、それまでも押えたら、これはもう学問の発展もないし、科学の発展も出てこないだろうと思う。長官がそういう態度をとっておりますと、とてもじゃない、それではわが国におけるところの科学なり技術の進歩発展というものはできないだろうと思うのですよ。どうもそういう立場が一月の発言とやっぱり同床異夢の形になってしまう。そこのところをちゃんとはっきりしてもらわなければ困るのじゃないかな。
#33
○前田国務大臣 確かに、先生御指摘のとおり、科学技術というものは主観的であってはいけない。客観性を帯びていなくちゃいけない。その点は国民がAの人もBの人もすべてが同じである、全くそのとおりでございます。別にわれわれ企業サイドに立ってものごとを判断しようという意図は毛頭ございません。ただ、安全審査会のやり方でございますが、それは審査を公正に、自由に、拘束を受けずにやってもらわんがために、その討議の内容、Aの人がどう言った、Bの人がどう言ったということは、表には出さないということにいたしております。ただ、どういう点を問題にしたかということについては、あるいはその発表といいましょうか、それはある程度――ある程度というとえらい渋っておるようでありますが、どういう審査をやりましたというテーマ等については、それは私は御報告してもいいんではないかというふうに考えております。
#34
○石野委員 長官、安全審査の問題は、ただお義理に結論を出すような態度であってはいけないと思うのですよ。安全審査というものは、直接地域住民の安全性にかかわることを論議しているわけですからね。だから、委員の諸君が気休め的なものをやられるようなことではいけないのであって、それはやはり反対をとる人々に対してもきびしい対決のしかたをしていくべきものだろうと思うのです。したがって、論争の一分一厘にわたるまでも明確に表示されないと、今度は論争する片方の側が、どこにどういう焦点を合わせていいかわからなくなっちゃうでしょう。別に論争のためにそれをやれと言うのじゃないですよ。安全性を確実にするためにそれが必要なんだ、こういうふうに私たちは思うのだ。それがなかったら、ほんとうの安全性を確保するような論点が明確になってこないと思うのですよ。長官は、そういう点については、かりに委員のA、B、Cのだれがどういうふうに言ったということは差しさわりが出てきていけないとかなんとかいうようなことを長官みずからが言うことにも、私は疑念を持つのです。なぜそういうふうなことになるのだろうか。そういうことを危惧される方だったら、やめさしたらどうですか、国民のために。委員会は国民のためにあるのであって、企業のためにあるのじゃないでしょう。私は、そういう点は、長官はやはり態度を明確にすべきだと思います。それでないと、とてもあとに出てくる問題の処理には対処できないだろうと私は思うのですよ。長官、どうですか。
#35
○前田国務大臣 安全審査会が国民のためにあるべきである、そうして安易な態度ではいけない、きびしい態度で臨むべきである、全く先生の御指摘のとおりでございます。ただしかし、安全審査というものが公正にといいますか、自由に討議してもらうためには、その一々、だれがどう言った、かれがどう言ったということは発表しないで、討議の項目等は御報告申し上げる、そういうふうに私は考えていきたいと思います。
#36
○石野委員 項目だけを出すということもいいことですよ。出さないよりはいいことなんです。ただ、学問論争とか科学技術に関するいろいろな論争というのは、私たちは学者じゃないからわかりませんけれども、技術追求にあたっては、ほんの微妙なところの観点の違いが大きな差になってくると思うのですよ。だから、こういう問題ではどなたがどういうような考え方を持っているかということを、別に名ざしでなくてもいいんですよ。だけれども、意見はこういう意見があった、こういう意見があったということが明確になってこなければいけない。そして、どうしても、だれがそういうことを言ったのかということが必要になる場合は、これは別個に明示すればいいのであって、どういう意見がどういうふうにあったかということぐらいははっきりしなければ、これはとても公正な、客観的な、いい方向での結論は出てこないのじゃなかろうかと思う。私はやっぱり長官のその考え方は変えてもらわなければいけないと思うのだ。特に科学技術政策を論議するこの委員会としても、そういう長官の態度であるとすると、どうもわれわれは、ほんとうの国民のための論議ができなくなっちゃうですよ。長官は、そういう点はもう少し国民の立場に立つべきだ。そうじゃありませんか。
#37
○前田国務大臣 国民の立場に立つべきことは先生御指摘のとおりでありまして、とにかく従来の安全審査会の報告というものが、少しく簡単過ぎるという点も私はあると思っております。その点につきまして、討議の項目を、項目といっても書き方でありますが、それを報告するということも私は前進ではないかというふうに考えております。
#38
○石野委員 長官が前よりも一歩前進した態度をとることは別に悪いと言っているのじゃないのですよ。われわれが考えられないようなことなら別ですけれども、考え得られることについては対処すべきだと思います。それから、指摘されたことについてはそれに対する対策を立てるべきだと思います。私たちはきのう参考人をお呼びしていろいろな意見を聞いた。その中でいまのような問題が出てきておる。われわれもかねてからそういうことは心配しておったが、具体的に出てきておる。だとするならば、その意見が間違っているという反論が政府当局のほうにあるなら別であります。そうでなくて、いまのように、そういう意見もあるけれども、それをはっきりさせるというと差しさわりが出てくるのだというようなことで、政府が論議された審査過程というものを明確にしない、そして、だいじょうぶだ、だいじょうぶだというようなことを言われたんでは、周辺、そこから出てくるであろう安全を脅かされる人びとの立場に立ったら、たまったものじゃないですよ。だからそういう態度は、長官の立場としてよくないと思う。
 そこで、これはもう長官、とにかくそういう点をはっきりと態度を変えてもらいたいと思うのですが、しかし依然としてやはりまだ個人個人はなにをしてはいけないとかなんとかというような立場に立つとすると、これはちょっと不信を持たざるを得なくなるのですが、長官はそういう点について、方法は幾らもあると思うのですよ。個人の名前を出さなければ出さないで、ABCでやったってかまいはしない、何だってかまいはしないですよ。どんなやり方だってあるのですよ。具体的に審議過程を、名前を出してはいけないのならばいけないでいいのですから、審議過程の内容は逐一、やはり反論する人々に対して信憑性を持っているようなそういう素材として資料を出してもらわなければいけません。それを出してもらうことがどうしても私は必要だと思うのですが、それはだめなんですか。
#39
○前田国務大臣 たびたび委員長から御指摘をいただきましたが、決してクローズドシステムで隠してしまう、そういう姿勢では全然ございません。討議項目を、従来は審査会の経過報告というものを私、事実を見ましたけれども、これは簡単なようでありますけれども、討議項目を述べて、どういう点を討議したということを述べて、そしてできるだけ安全性というものについて御信頼いただけるようにしていきたいと考えております。しかし、まだこれから先の問題でありますので、一歩でもそういうふうに前進するという点、これも御了解をいただければありがたいと思いますけれども、どうぞひとつその点は、われわれがただあまりいろいろ――AがBがと同じことばかり言いますけれども、それでかえって審査会というものが自由に意見が発表できなくなるということをおそれて、それは委員長とあるいはわれわれとの見解の相違だというふうに、あるいはそれはだめだというふうにおっしゃるかと思いますが、その点は、われわれもできるだけ国民に理解をしていただきたいという熱意を持っておるわけでございまして、その点まず一歩前進という点でも御理解をいただけるかと思います。
#40
○石野委員 長官と私とは立場が違うということははっきりしたようです。私は国民の立場からいろいろな要請をしておるのだし、長官はどうもそういう立場はとりにくい、それがちょうど一月の談話と同じようなことになるように思いますが、ただこのことだけはひとつ長官に約束しておいてもらいたいと思うのですが、アメリカで出している資料に相当する資料は日本でも出せるはずだと思うのです。だからアメリカの原子力委員会が出しているような資料に見合うだけの資料は、日本でも出すということだけは言えますか。
#41
○前田国務大臣 実は委員長、私申しわけないのですが、アメリカの資料というものはどういうものをさしておるかちょっとわかりませんので、政府委員からお答えを……。
#42
○石野委員 長官、そういう逃げ方しないで。私の言うのは、どういう資料かということはわからなくても、それはいまわからなければわからなくても、とにかくアメリカの原子力委員会が出しているものは、どういう資料であっても日本の原子力委員会も出すような決意があってしかるべきだと思うんですよ。それを否定したのでは、ことさらに原子力基本法を設けて、自主、民主、公開の原則を打ち立てておるこの権威にもかかわってくると思うのです。だから、アメリカの原子力委員会が出している資料に見合うものは日本でも出すという基本原則は、やはり長官守ってもらわなければ、それくらいのことは守ってもらうべきじゃないかというのが、これは科学技術特別委員会としては当然考えるべきことじゃないのですか。
#43
○前田国務大臣 アメリカと同じようにするかというお尋ねでございますが、アメリカと日本と国情も違いますし、それぞれ違うと思います。しかし、内容的に同じようなものは出せるのではないかと思いますが、ちょっとその点は政府委員から補足して……。
#44
○石野委員 長官、その点非常にむずかしいかもしらぬ、長官の立場はね。だけれども、こういうことは言える。先ほども私は何べんも言ったように、科学は客観性の中に生きているのです。主観の中では科学というものはないと私は思うんですよ。だから、客観性という問題は、日本であろうとアメリカであろうとちっとも変わらないんですよ。全世界を包括する意味を持っていると思うのです。アメリカで出されるものが、同じ原子力についての安全性の問題は、アメリカ人だからこれはこわいけれども、日本人にはこわくないんだということはないはずなんです。アメリカで危険だと思うことは日本だって危険なんですよ。そうでしょう。だったら、アメリカで出しているものは日本の原子力委員会が出せないという理由はない。もし出せないという理由があるなら、どういう理由なんだということを明確にしなければいけないと思う。そういう意味で、それは政府委員やなんかでなくたっていいのです。大臣は答えられるはずなんです。
#45
○前田国務大臣 科学技術は客観性を持ち、世界的に共通であるという考え方は、御指摘のとおりでございます。したがいまして、アメリカと内容的に同じものは、そういうものは出していきたいというふうに考えております。
#46
○石野委員 なぜこういうことをきつく聞くかといいますと、まあ大臣は出すと言うんだからそれでいいのです。そうしてください。なぜそういうふうに聞くかといいますと、実はきのうの参考人の所見の中には、たとえば原子力発電は非常に大事だということは皆さん認めているのです。だけれども、原子力発電をいま日本がやっているようなやり方でやると非常にあぶないという意見が出ているわけです。それはどういうことかというと、炉についても、たとえば構造の問題で、ECCSの問題もありますし、それから廃棄物についてその処理をどうするのだという問題があるわけです。あるいは気体処理の問題についてもそうでしょう。クリプトンの問題にしてもそうですし、いろいろな問題があるわけですよ。ドラムかんにたまっておるものをどうするのだという問題が出てくるわけです。昭和六十年の段階で一定の量の発電量を出す、六千万キロワットを出すというときには、少なくとも再処理工場は、現在の規模のものが七つなければならぬということまで言っているわけでしょう。そうすると、その七つの再処理工場をどこへ設けるのだということの対策も何もないままに、発電所だけはどんどんできてしまうんだ、こういうことになれば、みんなが心配していることは、もう黙っていてもその日その日積み重なって出てくるのじゃないですか。だから私は、原発の乱開発というやつはよくないと思うのですよ。こういう問題についてそこで私が一番最初に聞いた、科学技術庁長官として通産省やなんかに対してどういう態度をとるかという問題が非常に重大になってくるのです。いま業界は、電気が少ないから原子力発電を盛んにやらなければいかぬということで、現に法律案も出してきた。発電用施設周辺地域整備法案なるものを出して、一昨日本院で一応趣旨説明があったわけです。この意図は結局、電源が必要だからということで、原子力発電がどんどんやられることも含まれてくるのだ。だから私は、こういう問題について、少なくとも長官は一定の歯どめをきかせなければいけないのではないか。科学技術庁の長官としてそうしなければならないんじゃないだろうか。再処理工場をどうするんだ、いわゆる廃棄物の処理はどういうふうにするのだというような問題について、長官は全然放任されたままでいいというのか。長官は一昨日の本会議場でこういう答弁をなさっておる。わが党の渡辺君の質問に対して長官の答弁は、私もこれを聞いて、長官はほんとうに科学技術庁の長官という立場でこの答弁をしたのだろうかということを、私はほんとうにびっくりしたのだ、率直に言って。長官はこういうように言っているのですね。とにかく「地元の振興に対するメリットが少ないということは、火力、原子力共通の問題でございます。」「各種の公共用施設の整備事業の推進をしてほしいという要望がされております。この点から、原子力発電などの施設もこの法律の対象にしたわけでございます。」簡単に、こう対象にした理由を言っているわけですよ。そして、特に渡辺君が聞いた原子力施設の設置、運転についてのいわゆる安全性の問題については「安全性の確保、平和利用の担保につきまして、原子力基本法並びに関係法令によりましてきびしく規制をいたしております。」これが長官の答えですよ。私は、原子力発電所と火力発電所との相違点を長官はどういうように見ているのかということをまず最初に聞きたい。
#47
○前田国務大臣 この間の趣旨説明に対し、渡辺先生からの御質問に対しましては、いま委員長御指摘のとおりお答えをいたしました。それは、火力発電と原子力発電というものは、あるいは公害
 の態様におきましても相違をいたしております。ただ、その発電施設というものが参りましても、メリットがないと申しましょうか、そういう点においては共通でございますということが一つ。
 それから、原子力発電の現在施設のあるところからは、地帯をもっと整備してもらいたい、公共施設を整備をしてもらいたいという陳情書、要望書等が非常にたくさん出てきておりますので、それで、発電という点から同じような立場にあるという意味におきまして、われわれも中に入って一緒にしたわけでございます。
#48
○石野委員 電気が起きるということにはもう変わりがないのですよ。電気が起きるということでは変わりがないから同じに扱うのだということなら、何も原子力基本法をやかましく言って、平和利用の三原則だなんということをここでやかましく論ずる必要はないと思うのですよ。問題は、その一つの電力は、火力で起こしても原子力で起こしても電力には変わりがないのですよ。同じものであるけれども、その過程が違うから問題になるのでしょう。われわれはその過程が違うところに問題の焦点があるということで非常にきびしい論議をしているわけです。ところが、こういう観点からいくと、もう発電炉はこの立場で全部できてしまうのです。現実にこの法案が出てきたのは、地域における反対運動があるからだ。反対運動というものが、いまここで言われるように、メリットがないから反対運動が起きているというようにお考えなんでしょうか、長官は。
#49
○前田国務大臣 反対の姿にはいろいろな態様があるかと思います。メリットがないから反対をするという理由はごくその一部の理由であろうというように考えております。その点、メリットだけで反対いたしておるものじゃないというふうに考えております。
#50
○石野委員 メリットの問題はごく一部分だということはそのとおりなんですよ。それは全然ないとは言いません。だけれども、主要な反対の論点は、特に原子力については安全性の問題なんですよ。それに対する信頼感が置けない、理解ができないというところから反対運動が起きている、私はそう見ているのです。そういう観点は長官も違わないと思うのですが、どうですか。
#51
○前田国務大臣 同じでございます。
#52
○石野委員 だとするならば、やっぱりその安全性を配慮するための対策というものが、原子力発電基地における最大の課題だと思う。そういう立場で対処しなければいけないだろうと思う。長官も御存じのように、これは長官じゃなくても、だれだってわかることだが、発電所ができてしまってから発電をするなと言ったってとめるわけにはいかないでしょう。だから原子力発電については、少なくともきのうの参考人も言っているように、たとえば廃棄物はどうするのだとか、再処理工場はどうするのだ、そういう方策も何もないままでどんどんやっていく。特に炉については、ECCSのような問題で非常に問題が大きいものがあるのだ。それらの問題についてもまだ未解決のものがある。いろいろ雑多な問題の解決を要するものがあるのにもかかわらず、産業界は次から次へと今後どんどん開発をするというようなことをやっていることはけしからぬという意見がきのうあったわけです。政府に政策がないのかということまで言われているわけですよ。私は、やはりこの段階で、科学技術庁長官は特に原子力委員長として、こういう問題について明確な態度をとらなければいけないと思うのですよ。
 私は、あとでまたこの法案については、これは商工委員会でやるわけですから、そこで論議をさしてもらいますけれども、しかし科学技術委員会としても、この問題は、法案自体はわれわれには要請はないけれども、われわれはこの内容についてはたいへんな問題があると思うのです。だから、当然ここで論議しますけれども、しかし、いずれにしましても、長官の原子力基本法に基づいておる原子力政策という観点が、私から見るとどうも信頼が置けないのだ。だからそういう点で、長官はもう少し原子力基本法に基づく原子力政策についての確信ある態度をとってほしいと思う。これは要望しておきます。
 そこで、きのうの委員会の中で、特に放射能障害については参考人の立場でみな観点が違いました。政府側に立って、政府側と言っては悪いのですけれども、政府機関に関係している方々とそうでない方々との観点は違ったけれども、しかし、ローマ会議でも言われているように、放射能における微量な線量被曝というものについての危険というものは、これはやはりわが国においても同じような観点から見るべきだろうと思うのですよ。
 そこで私は、長官にこれははっきりした態度を聞きたいのですけれども、安全審査がいろいろ行なわれてきて、安全はだいじょうぶですよ、こう言われた。言われたけれども、その後いろいろな観点から見て、どうもそのままではよくないというようなことから、長官はこの前、再処理工場については無公害の状態にまで持っていきたいという発言をしたわけですよ。この無公害まで持っていこうということをことさらに言わしたものは、水俣裁判の結果だったと思います。水俣裁判と原子力災害の問題は同次元では考えられませんけれども、しかし、少なくとも再処理工場の問題で安全審査委員会が出しておる結論について、私たちはこのままこれを容認しておっていいかどうかが問題だと思うのですよ。たとえば安全審査委員会は再処理工場についての結論をどのように出しているかといえば、それはいわゆる包括する結論としては、「本再処理施設の設置に係る安全性は、十分確保し得るものと認める。」これが審査結果なんですよ。ところ、が、ずっと審査の内容を、少なくとも私たちが持っている資料だけで見てみまして、「放射性廃棄物の処分とその周辺に対する影響」の段階ではこういうように書いている。これは全部読んでいると時間がなにしますが、気体廃棄物については、「一日当り〇・七トンで年間三百日処理すると仮定した場合、一日当り約八千キュリーである。」こういうように言っているわけですよ。これは常に言っているように、クリプトンなどが出るわけでしょう。それらの放射性物質、そういうものが出て、そしていろいろ「「原子炉安全解析のための気象手引」を参考にして計算した結果、最大の濃度があらわれる地点は主排気筒から約二キロメートルの地点であり、その地点における被ばく線量は、全身に対し三二ミリレム毎年、甲状腺(成人)に対し〇・〇三ミリレム毎年となり、法令に定める周辺監視区域外における許容被ばく線量五〇〇ミリレム毎年に比して十分低い。」こういうような見方をしております。これは気体からくるものなんです。
 ところが、今度は液体の問題でいきますと、液体問題では、一日に〇・七トンで三百日処理した場合は、そこからの年間に放出される放射性物質の量は二百六十キュリー以下であって云々と、こうあります。
 そういう問題をずっと集計してまいりますと、その液体から出てくる被曝線量は、海岸線に出ていきますから、海岸線に出ていって、海岸でいろいろなモだとか海産物から体内に入ってくるもの、あるいは海水浴なんかによって身体被曝をするもの、外的に被曝をするもの、そういうものをずっとこの量だけで集計してみましても、全部集計すると年間約五〇ミリレム以上になってくるのです。それでも、その個々のものではだいじょうぶだ、だいじょうぶだ、こう規定している。
 その後、アメリカの原子力委員会の許容量がやはり百分の一ということになってまいりました。年間五ミリレムという形になってくる。日本がもしその年間五ミリレムを採用すれば、これはもう明らかにこの地域住民はたいへんな被曝線量にさらされることになってくるのですよ。こういう実情が出てくれば、審査委員会のこの結論をもってして再処理工場を設置するということになると、われわれはこういう危険をあえて承知の上で再処理工場の操業を認めなければならなくなってくるのです。
 周辺地域住民がどんなに心配するかということは、長官自身おわかりになるだろうと思うのですよ。もし長官がこの問題についてこれでいいと言うならば、再処理工場が操業したときにあすこへ家を建てられて、長官はあすこへお住まいになってくださったらいいのです。たいへんなことだと思うのです。場合によったら私は、自治体の諸君と相談して別荘でもつくって、各電力会社の社長さん連中を全部あすこへずっと置くようにしますよ。そういうふうにして居住していただくといいと思うのですよ。これはこのまま放置できるものではないと思うのです。当然、四十四年三月二十五日に判決を下したところの再処理施設安全審査専門部会の結論について再検討すべきじゃないだろうかと私は思いますが、長官はどう思いますか。
#53
○前田国務大臣 安全審査委員会のその審査結果につきまして、四十四年三月でございますか、詳しく先生から御指摘がございましたが、現在の安全審査委員会でも、排出基準は安全であるという結論は得ておりますけれども、いつも申しますように、アズ・ロー・アズ・プラクチカブルというか、低いように、その意味において、いやそうじゃないんだ、ゼロにしたいという姿勢を私は強く打ち出して、できるだけその研究をやってほしいというわけで、現に東大の木村助教授を私のところへ呼びまして、この研究をしてもらいたい、現在の安全審査委員会はそういう基準を出しておるけれどもということを実は申し上げた次第でございます。
 なお、その点につきましては一ぺん山田委員から……。
#54
○石野委員 これは長官、長官は委員長としてどうだということを私は聞いているのですよ。もうすでに安全審査委員会はこう結論を出したのですよ。出して、これによって施設が進められておるわけです。五十年になれば再処理工場は操業を開始をするわけですよ。それどころか、やはりいまの電力産業界が計画している発電炉がどんどんできますから、いやでもおうでも再処理工場はこれ一つだけでは足りない、こういうものが六十年の段階では七つなければならぬというぐあいに計算されているわけです。いやでもおうでもこういうものはつくられるわけです。そのときに、この東海にできるところの再処理工場というのが基準になりますね。だから、もしここで一つ大きなあやまちをおかしまして、やはりそれに見習う形で七つのものが各地でできたとすれば、それらの及ぼす影響というものはたいへんなものになってしまう。だから、出発点にかかわる東海村の再処理工場は、長官がかねて言われているように、無公害な状態にまで持っていかなければならないと思う。無公害な状態にいくまでの間操業すべきじゃないと思うのです。それにもかかわらず、現在施設が進んでおるんだが、施設はしてもいいけれども、操業はやはり無公害の状態でやらなかったら、これはだれのために操業するんだ、再処理をするんだという問題が出てきますから、この点は長官の決意の問題だ。だからその点については、長官がはっきりと意見を述べていただきたい。
#55
○前田国務大臣 その点は、再処理工場の稼働の時期を変更する意思はないかという端的なお尋ねだと考えますが、その排出基準、安全審査の結論につきましては、私は現在別に疑っておりません。これで安全であるという認識に実は立っているわけでございます。しかし、できるだけそういう疑いを持つものは低減しなければいかぬ、そしてゼロにしなければいかぬということで、私は一生懸命にやっておるわけでございますが、廃液につきましては低減化の研究が成果をあげまして、放出放射能を七分の一に低減化する見通しを得ておりまして、稼働までにその実現をさせる予定でございます。
#56
○石野委員 それはきのう成田局長からも聞きました。海に出ていくものはそれで一応七分の一か十分の一かにするというのですから、その努力は多とします。だけれども、煙突から出てくるクリプトン85については、五十年代においてもまだその可能性はなかなか見通しができないということを、きのう局長は言っているわけですよ。そういう事情がわかってまいりますと、たとえば二キロの地点では最大濃度で降下していくわけですよ、クリプトンにしてもその他の廃棄物にしても。しかも半減期は、クリプトンだけとりましても十年八カ月あるわけでしょう。十年八カ月というのは、毎年毎年累積していくわけでしょう。累積して、そこでできてくるところの農産物とかあるいはその地域に住んでいる人々の被曝とかいうものが出てくるわけですよ。だから、そういうことがあらかじめわかっているのに、安全性はだいじょうぶだという長官のことばは、無公害にいたしますということとの間に食い違いがある。それはあまりにも大きな食言ですよ。都合のいいことをときどき言って、行き詰まって壁にぶつかったときに、もうこれ以上は待てないからというのでがんばるというような、そういう態度はよくないと思う。やはり原子力災害というものは、他の災害と違って、もう何べんも言うように、身体障害のほかに遺伝的障害が出てくる。ほんとうに遺伝的障害がわかるのは二十年、三十年先でしょう。そこまでほうっておいて、それで事態が出てから処理しようといったって、もうあとの祭りでどうにもならなくなるのです。少なくとも原子力についてだけは、公害予防の対策を立てなければならぬ。そういう意味でもシビアーな上にもシビアーでなければならないのに、現実に安全審査委員会が、放出されるべきものはこれだけのものであるということで線量を出しておるのです。それがわかっていて、なおそれで安全だという大臣の考え方を私は疑いますよ。そういうような態度で少なくとも原子力政策をリードされるということになったら、われわれはとてもじゃない、産業界に不信を持つだけじゃなくて、政府、科学技術庁長官自身に不信を持たざるを得ない。この再処理工場についての審査報告を出された四十四年三月二十五日から今日まで、ことしは四十八年ですからもう四年たっております。その間にいろいろな認識の違いが出てきましたし、対処するしかたも違ってきております。しかし、審査内容はちっとも変わっていませんよ、現状では、あそこの構造は。たまたま廃液の問題で七分の一になる処理方法ができただけである。だから、その点については再点検をすべきだ。これはもう他の政府委員に聞かなくても、長官自身が答弁のできることですから、明確に答弁してください。
#57
○前田国務大臣 再処理施設につきましては、先生御指摘のとおりの問題もこれあり、シビアな態度でわれわれは臨まなければいかぬということは、たびたび申し上げておるとおりでございます。廃液につきましても、ただいま申し上げましたような見通しを持っておりますし、廃棄につきましても大いに努力をいたしておりまして、できるだけそれを低減化するように今後つとめていきたいというふうに考えております。
#58
○石野委員 つとめていきたいということと――私は問題を具体的に提起しているのですよ。一般論で聞いているのじゃないのですよ。審査結果がこういうふうになっているけれども、これは危険じゃありませんかということを私は言っているのです。だからもう、長官が安全だと言うなら、それならぼくら、長官のことばについて不信を言うよりしようがないのですよ。だけれども、これだけのものが具体的に出ておって、地域住民に対しては、これを甘んじて受けなさい、こうおっしゃるのかということを私は聞いているわけだ。しかもこれから七カ所、六千万キロワットの、各地においてできていくものについて再処理工場が、ことに今度は民間がやるということになれば、東海村の動燃団がやるのと違いますから、民間でやればもっともっと規制がきかなくなってくると思うのです。そういうようなことについてのあらかじめ長官の決意が明確になっていませんというと、将来非常に心配されますから、私は、ただ考慮しますとか、善処しますだけではよくないと思うのです。この点については、いろいろと問題があろうけれども、長官の決意をこの際国会に対して明確にしておいてもらいたい。
#59
○前田国務大臣 たびたび同じようなお答えになって恐縮でありますが、この再処理施設の廃棄物につきましては、シビアな態度で臨みまして、極力、稼働までにこれを低減化していきたいという姿勢で、将来民間がこういう施設をするにあたりましても、徹底的にきびしい態度で臨みまして、安易にこういう施設が行なわれないようにしていきたいということを、はっきり申し上げておきます。
#60
○石野委員 安易にこういう施設ができないようにと言うたって、審査委員会が、こういうことで十分安全性は認められますという結論を出してしまえば、安易もくそもないでしょう。出ちゃうでしょう。だから、この審査委員会がとっている態度について、この態度を改めなければならぬじゃないかと言っているのです、私の言っているのは。しかも、長官は原子力委員会の委員長なんですから、その委員長の決意がなかったら、幾らあれこれ言ったって、類似のものがどんどんできてしまいますよ。だからその点を、私はやはり長官、ただ便宜主義で答弁をなさらないで、ほんとうに、われわれは国民の安全の問題について環境の保持という立場からこのことを提起しておるわけですから、長官はそれについて答弁をすべきだと思うのです。
#61
○前田国務大臣 安全審査会につきましては、安全審査会の独自性といいましょうか、その点を尊重いたしまして、審議をしてもらっておりますので、その審査に基づいてわれわれは判断をしていっておる次第でございます。
#62
○石野委員 ちょっとわからなくなっちゃう。当時は、再処理施設安全審査専門部会長高島さんがやはり回答をなさったわけです。だれに回答したかというと、原子力委員会の委員長木内四郎さんに回答を出している。やはり原子力委員長ですよ、科学技術庁長官ですよ。いまで言えばあなたに対してこの答申が行なわれているわけなんでしょう。だから、委員長が独自性を持たしてと言って、自分の配下におるものに対して規律する力がなかったらどうにもならぬじゃないですか。
#63
○前田国務大臣 お答えいたします。
 実は、「動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の設置に係る安全性について」四十四年三月二十五日、再処理施設安全審査専門部会というものの答申を受けております。この答申を尊重いたしましてこの施設の設置を許可したわけでございまして、同じようなケースも、外国の場合も参考にいたしまして、外国の場合も同じようなコンディションにおいて許可をしておるようでございます。
#64
○石野委員 いままた外国の問題、とんでもないことに……。ほかでは、特にアメリカあたりでは、もう考え方がものすごくきびしくなってきているのですよ、この時点から見れば。もっともっときびしくなっているのですよ。従来安全だと思っているようなところでも、いろいろの事故例が出てきたりしまして、またたとえば炉のECCSの問題なんかについては、そういう点で当時よりはもっときびしいなにをするようになったでしょう。
 ですから私は、専門部会からの答申を受けた科学技術庁長官が、原子力委員長が、それによって認可するという、それは筋道だからそれでいいのです。ところが、この問題が出ておるところの、こういう放射能の周辺に対する影響というものはこういうものだということは、これは長官がいま持っておるものと同じなんですから。同じようなものが出ている。そのことについて、周辺住民の立場からすれば、がまんができないということを言っているのですよ。がまんができないだけならいいのだけれども、そこからくるところの被曝線量によるところの障害が出てくる可能性がありますから。特にクリプトンなんというのは、半減期が十年八カ月ということを私は何べんも言っているでしょう。十年八カ月、その年だけでは線量としていいかもしれぬけれども、翌年翌年、十倍、二十倍になっちゃうのですよ。三十二ミリレムだって、最初に受けたものが十年のちのころには三百二十ミリになるのですよ。体内に濃縮されていけば。そうじゃありませんか。そうなったら、これはたとえば五百ミリレムということを限度にしましても、もうたいへんなことになっていくじゃありませんか。だから、そういうようなことでは、特に微量汚染の問題が非常に重要だということが、ローマ会議の中でも出てきているのだから、それを受けたら、大臣はとにかく無公害ということまで言っているのだから、この答申の内容について再検討すべきだ。しかも地域住民は再検討を要求しているのですよ。どうしてそれを遠慮するのですか。
#65
○山田説明員 ただいまの問題につきまして、アメリカと日本の状況の比較等がございましたが、アメリカにおきましては、依然として放射線のレベルについての基準は五百ミリレムでございます。変わっておりません。ただし軽水炉の発電所の場合だけは五ミリレム・パー・イヤーにできるであろうということからそういう方針をとっておるのでございます。したがいまして、アメリカにおきましても、再処理工場についてはきまっておるわけではございません。
 なお、日本の場合におきましても、環境安全専門部会の環境放射能分科会におきまして、軽水炉の問題、さらにはその再処理工場の問題まで検討いたしておりますけれども、その答えはまだ出ておるわけではございません。しかも最近においてICRPが、この五百ミリレム・パー・年というものについては、この勧告を変えるつもりはないということを言っております。しかしながら、先生御指摘のように五百ミリレム・パー・イヤーだからいいじゃないか、そんなことは考えておりませんので、できるだけの努力をしていきたいと思いますが、アメリカが五ミリレムであるのに、日本の再処理工場は三十二ミリレムは不届きだということにはならないと思います。
#66
○石野委員 いまの答弁は私も聞いたし長官も聞いた。これはやはり官僚答弁。私どもは生きた政策をやらなければいかぬと思うのですよ。現実に地域住民が安心感を持たなければ、炉の設置自体もできないのです、実を言えば。再処理工場だって同じことだと思いますよ。だから先ほどは、長官はアメリカと日本との国情が違うということを出してきたりしましたが、いまこの問題で、国情が違うから私は違うとは言いませんよ。言わないけれども、しかし、少なくともICRPがどうだからとかなんとかいうことよりも、より多くこういう具体的事実についての危惧感、そしてこれが累積する、やはり累積加算していく場合の危険性、こういう問題は、科学技術庁としては、特に長官は考えなければならないのじゃないかということを私は言っているのですからね。そういう点について長官が配慮をするならば、この問題は一たん出したものであって、すでにもう施設はこの路線に沿ってずっとやられておるから、だからいま再審査なんかをやったらたいへんなことになる、そういう心配から答弁ができないのだと私は思っているのですよ。だけれども、地域住民からすれば、これはたいへんなことなんです。
 それで、私の見るところでは、いまは〇・七トンのところでおいておくということを言っていますけれども、しかし六千万キロワットの発電をするようになれば、〇・七トンの処理のものに相当するものを少なくとも七カ所つくらなければならぬというのは大体算定が出ているわけです。しかし七カ所どこでもここでも、これは民間でやるのだからということで、民間は自由かってにやるかもしれませんけれども、そんなことを放置できないでしょう。
 それで、それよりもむしろあそこの地域では、射爆場返還というような問題もあったりしまして、私の見るところでは、再処理工場の施設をもっと倍加していくようなことになるのじゃないだろうか。ほうっておけば、もう一日三トンやるくらいまでやるのじゃないだろうかと思ってさえいるのだ。だけど、ただ地域の方々との約束があるからできませんという答弁はしているよ。しているけれども、しかしそういうことだけでは信頼はできない。なぜなら、再処理工場がそんなに七カ所も八カ所も簡単にできるとは思えないから。地域住民は許さないと思うのですよ。そうなれば、どこかへ集中的に処理する方策をやはり考えなければならない、そういうように思う。
 だから、そういうことはともかくとしまして、現在この〇・七トンを処理する中で出てくる放射性危険物というものをこのまま放置できないという私の考え方、それに対して長官は、だいじょうぶだ、もう言い切るならしかたありません。私は、そういう長官の考え方は、われわれとしては信頼できないのだから、これは今後いろいろな問題について、そういう観点で処理していかなければならぬ、こう思います。そしてまた、そのことを国民に明確に知らすことが必要だと思うのです。われわれはそういうPRをせざるを得ない、こういうように思います。だから私はそういうことをしたくないのだ。それよりも、あえてやはり長官のほうで、できるだけ事前に対策をとっていただきたい。そしてこういう問題については、ただ善処するだけじゃなしに、具体的に処置する方策というものについての長官の意思表示を聞いておきたいと思う。それで私はもうくどいほどこれは聞いているわけだから、たいていこの辺のところでしっかりした答弁をすべきだと思うのだ。
#67
○前田国務大臣 この問題につきましては、地元の茨城県知事から七項目の要求が出ておりまして、それに回答して地元の了解といいますか、一日当たり〇・七トンの能力ということで了解を得ておることは先生御承知のとおりでございますが、まことに歯切れの悪い答弁じゃないかという御指摘があると思いますけれども、再処理施設から出る廃液、排気の低減化については、全力をあげて低減をするように努力していくということできょうの回答にいたしたいと思います。
#68
○石野委員 私はそれでは納得しない。ただ、努力するということに若干の前進はあるとしても、しかし施設はできるし、操業は、やはりこの審査結果に基づいでの操業を行なうわけですから、努力をするのであって、結果が出なくたってかまわないのだ、その長官のことばについては。そんな無責任な答弁なんてありはしませんよ。だから、具体的な効果の出るようなことを、まだこれからも長官に対しては追及しなければならぬだろうと私は思います。
 とにかく再処理工場というのは、炉と違いまして、平常時もそういう危害を多量に地域住民に与えるわけですから、そういう意味では炉の場合と違った観点で見なくちゃならないものなんです。そういう考え方は長官にはつめのあかほどもないということは、これではっきりしたわけだ。全く無責任ですよ、安全性については。口の先ではうまいことを言っているけれども、何にもそれに真剣に対処しようという態度がないことが、いまの論議で私にはよくわかったような気がします。残念ですよ。非常に残念です。
 炉の問題についてもう一つだけ、時間が非常に長くなってしまいましたからなにしますが、炉の安全審査の際に、仮想事故の災害評価を具体的に行なっていないといわれているのですけれども、これはどうなんですか。
#69
○山田説明員 仮想事故という定義がいろいろ問題ありますが、原子力委自身におきましては二つの事故を考えて安全審査をやっております。一つが重大事故でありまして、これは冷却管破断の問題に際しましてもECCS系統が働くであろうということを考えた前提で計算しておりますし、それから仮想事故と申しますのは、ECCSの効果が非常に薄いという状態について考えておるわけでございます。ですから、いま先生のおっしゃられました仮想事故というものについては、同じ名前になっておりますので、そういう意味でいいますと、仮想事故の計算はやっておるということになると思います。
#70
○石野委員 大事故はまだ起こらないだろう、だからあまり大事故については考えないでということで、言われるような仮想事故の評価はしております、そういうことであるならば、そういうことをやっているという過程を一応公表することがいいだろうと思うのですがね。それは公表しますか。
#71
○山田説明員 これにつきましては、相当詳しく各原子炉の安全審査を行なったあとで出ます審査会の報告書に載っております。
#72
○石野委員 そういう審査を当然公表すべきと同時に、今度は大事故が起こらないであろうということについての、この考え方がいいかどうかの問題ですね、それは山田委員じゃなくてむしろ私は長官に聞きたいのですが、大事故が起こらないだろうということでそういうものについてはあまりやっていませんというのがいまの実情なんですよ。それがあるから、たとえばきのうの参考人の発言の中からも出てくるような、ECCSの問題についての見方もまた違ってくるし、いろいろ違ってくるのだと思うのですよ。だから、この考え方はやめなければいかぬ、私はこう思うのですが、長官どう思いますか。
#73
○前田国務大臣 あるいは先生の御質問、私聞き違えたかと思いますけれども、現在の審査のやり方は、重大事故、仮想事故ということをもちろん考えて、ふだん必要としない設備まで用意しておるというふうに私は考えております。
#74
○石野委員 それでしたら、その重大事故の場合もすべて審査過程とかなんとかというものの詳細を公表するということになりますね。
#75
○成田政府委員 重大事故、仮想事故、いずれの場合についても審査結果で詳細に出ております。
#76
○石野委員 そうすると、もう一。へん戻りますが、審査過程はいまみんな出ておる、こういうわけですよね。そこで前に出た資料不足という問題とまたからんでくるのですよ。ですからいまの答弁は、もう非常にみな出しておりますということなんだが、先ほどは、審査過程についてはなかなか出せませんという答弁があったわけだ。この食い違いが出てくるわけですよね。ですから私は、こういうふうに器用な答弁のしかたはやめなければいかぬと思うのだな。だから、形の上では十分出しておりますと言うけれども、片方では頑強に出しません、こういうような何かごまかせるところがあればどこでもごまかしてやろうという態度は、科学技術庁の態度としてはもってのほかだと私は思うのですよ、長官。すべて公表しておるというんですから、やはり審議過程の問題についても、個人の問題に差しさわりがあるなら、それは差しさわりのないような公表のしかたがあると思うのですよ。だから、資料公開はすべきじゃないんですか。問題ないんでしょう。
#77
○前田国務大臣 委員長御指摘のように、別にわれわれ食い違いがあるように器用に答弁している意思は絶対ございませんので、その点はひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。
 私が言いましたのは、Aの審査委員がどういうことを言いました、Bの審査委員がこういうことを言いました、そういうことを審議の過程で公表はいたしません、それを申し上げたわけでございまして、別に食い違いはないというふうに考えております。決して言いのがれで、臨機応変に、適当にお答えしておるというふうには考えないわけでございますが……。
#78
○石野委員 長官、Aの人はこうだ、Bの人はこうだ、固有名詞を出すことはいたしません、だけれども審議過程は全部出しておる、というふうにどちらかというと聞こえるのですよ。そうじゃないでしょう。長官はちょっと変にとちっていると思うのですよ。山田委員や局長も首を振っているように、実際は出していないのです。だから、長官が考えているような資料としての審議過程は出ていないのですよ。だから、出すようにしなさいと私は言うのだ。
#79
○前田国務大臣 その点について何か食い違いがあるようでありますが、食い違いは私はないと考えております。さらにその点、山田委員並びに成田局長からもう一ぺん答弁してもらいます。
#80
○山田説明員 安全審査会において審議が行なわれまして、それによって申請者側の言うことが納得できるものはそれでもちろん問題ありませんが、納得できないものについては、新たに資料を要求して、その結果で新しく設計変更等が行なわれたものはすべて申請書の中にやはり書き加えられていくわけでございます。したがいまして、審議の経過そのものではございませんが、審議の結果はこれから――まだいま出しておりません、先生におこられますが。公開資料室ができてからのことになりますけれども、それはすべて審議の結果は十分に反映したものを公開資料室に出したい、こういうふうに考えております。
#81
○石野委員 委員長も山田委員も、どちらもどうも資料を出すことをこわがっているのですよ。なぜこわがっているのか。やはり立場が違うのですね。委員長も山田委員もすべて国民の立場に立っていない。みんな産業界、施設者の立場に立っている。それが基本的に問題があるのだと思うのですよ。これは平行線のようですから、私はこれ以上はもう言いませんけれども、しかし長官は、ほんとうに科学技術庁長官としてその任務を達成しようとするならば、ほんとうに国民の立場に立って、産業開発はもとより大事ですけれども、その開発のために人々が正常な生活ができなくなるよりな、特に身体に障害が及ぶような問題については、もう少しまじめな立場で対処してもらわなければいかぬということを私は申し述べて、一応私の質問を終わらせていただきます。
#82
○原(茂)委員長代理 この際、関連質問を許します。井上普方君。
    〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
#83
○井上(普)委員 大臣、まことに失礼でございますが、もう一度確認させていただきたいと思います。
 アメリカの原子力委員会が公表しておるぐらいの内容は、それに見合うだけはほんとうに出して公表していただけるのですな。大臣、どうなんです。あなたはいま、石野委員に対しましてはそういう御答弁をされた。アメリカの資料に見合うだけは出していただけるのですな。
#84
○前田国務大臣 先ほど委員長にお答えしたとおりでございます。
#85
○井上(普)委員 それでは私はこの問題はおいておきます。
 もう一つの問題といたしまして、先ほど来、議事録を公開できない理由として、各人がこういう意見を出す、あるいはその人に迷惑がかかるというような御意見があった。迷惑がかかるなんて私はけしからぬ話だと思う。少なくとも、自信がなければ、すなわち国民に対し、あるいは学問的にも自信がなければ、安全審査の審査はやるべきじゃないと思うのです。自信があった上で、学者としての良心に基づいて自信があったことに対しては、堂々と公開するのが審査委員の任務じゃありませんか。また国民に対する責任でもありませんか。どういうところが迷惑がかかると考えられるのです。それでは学者としての態度じゃないじゃないですか。どうでござますか。
#86
○前田国務大臣 その点は井上先生とあるいは見解というか考え方を異にするかもしれませんけれども、審査会に自由に公正な審議をしてもらうがためには、その討議を、Aがどう言いました、Bがどう言いましたということを詳しく報告するということは、かえって審議の自由、公正な結論を得るに都合が悪いという観点から、従来はそういう態度をとっておるわけでございます。
#87
○井上(普)委員 そこです問題は。なぜ公正にできないのです。安全審査会の委員は、学問的に自信を持ってその討議に参画しておるものだと私らは思う。したがいまして、公表して会議の内容に対しては当然責任を持ってもらわなければならない。これが学者の良心であり、技術者の良心でなければならぬ、私はこう思う。これが国民に対して責任を持つと同時に、学問に対して責任を持つ態度でなければならぬと思うのです。アメリカにおいてはこれはやられておるのですよ。ところが、各人に迷惑がかかるというような、迷惑がかかるので私は公表するのはいやだというような審査委員はやめさせてしまったらどうです。自信のある人たち、自分の言動に対して自信のある学者だけを安全審査の委員にさせたらどうですか。
#88
○前田国務大臣 たいへん井上先生からきびしい御指摘でございますが、審査会の委員は、自信を持って、縦からでも横からでもこいというふうな自信を持っていくべきであると思います。しかし実際は、いろいろAがどう言った、彼がどう言ったということを言いますと、いかに自信がありましても、やはり人間というものは……(井上(普)委員「だめだよ」と呼ぶ)いや、それはそういうものはございますけれども、やはり多少おそれをなして、自由にものが言えないのが現状でございますので、そういう点から、そういうものを公開しないというふうにしておるわけでございます。
 そうして、この審査会におきましても、これをどうしようかという意見を、審査会の内部でも相談したようであります。しかしそれはわれわれの自由な意見、討議ができないというわけで、それは困るということだったようであります。それはあとで聞いたのでございますけれども……。
#89
○井上(普)委員 安全審査ということは事、学問的な事柄なんであります。学問的な事柄、科学的な事柄なんです。であるから、迷惑がかかる、あるいはまた、そういうようなことをだれそれが一言ったけれども、これに対して人から言われたら恥ずかしいというような、あるいは内心じくじたるような審査委員がおられることは、国民にとりましてもはなはだ迷惑であります。また学問的にも迷惑であります。そしてまた、その討議の内容が、学問的にいえば甲論乙駁するところに学問の進歩というものがあるのであります。
 科学技術庁は科学技術の振興のためにあるのでしょう。科学技術庁長官の任務というものは、科学技術の振興をさして、国民の福祉に寄与するためにあなたの責任ポストというものがある。これはちゃんと設置法に書いてある。であるならば、学問の振興のためには、当然学問的にここで切磋琢磨しなければいかぬ。すなわち、反対論があっても、その反対と賛成とが当然学問的に論議される中から、科学あるいは学問というものは進歩するのが、これは古今の常道であります。どこへいってもそのとおりであると私は思う。これはあなたも否定しないと思う。ただ、それに俗事が巻き込まれるから、学問以外のものが巻き込まれるというようなことでおじるような学者であったならば、私はこれはたいへんなことだと思うのです、安全審査について。いまの安全審査委員会が、もし合議の上でそのような結論を出しておるのでありますならば、私は学問的にも安全審査委員会それ自体の権威を疑うのであります。また、国民に対する責任においても、私は権威を疑わざるを得ない。これが第一点であります。大臣の御答弁をお願いしたい。
#90
○前田国務大臣 井上先生御指摘のとおりでありまして、学問というもの、科学というものは、信念を持つというか、自分が確信を持つ限りは、千万人といえどもわれ行かんというような気持ちで
 いくのがあたりまえだと思います。しかし、井上先生おっしゃったように、俗事と申しましょうか、俗事もやはり相当この世の中には考えていかなければいかぬのじゃないかと思いまして、俗事の部類の一つに、これは私も具体的な名前は知りませんけれども、ある審査委員がいろいろ暴力というか圧迫を受けたということも、そういう過程もいつか聞いておりまして、そういうことがあっては自由なる心証でいろいろ討議することもできない。したがって、Aが言いました、Bが言いました、切磋琢磨もけっこうでありますが、こういうことが討議されたという討議項目を私は出したいというふうに考えておるわけでございます。
#91
○井上(普)委員 私は、学者というものがそれほどまでに堕落しておるのか、そして安全審査委員の学者がそれほど堕落しておるのか、まことに嘆わしい次第だと思います。少なくとも事安全審査というのは科学的な事柄です。このことについて、自信があるならば、これこそ百万人といえどもわれ行かんの気概がなければならぬ。そしてまた、自分の所論が間違っておるならば、これこそ百八十度転換していただかなければならぬ、これが科学的態度でなければならないと思う。ところが、俗事によってそういうようなことが変えられるということは、はなはだもって不届きといわざるを得ない。さらにまた、きのうの内田会長の発言の中には、企業秘密も関係しますから公表できないというがごとき発言がありました。まことにもって不届きしごくといわざるを得ません。
 日本の原子力基本法は、御承知のように自主、民主、公開という原則を立てておる。この公開の原則はなぜ立てたか。これは軍事利用の否定の面もあります。さらにはまた、人類の英知がつくった第三の火といわれるこの原子力を、いかにして人類共通の利益に還元さすかという崇高なる精神もこの中には含まれておる。この原子力エネルギーに関して、少なくともこれをもって金もうけの道具にする、あるいは企業の利益に供するというようなことがあってはならない。また、日本においては、原子力によってあれだけの悲惨な目にあった世界ただ一つの民族です。これをいかにして公共のといいますか、全人類の利益のために転換するかというところから公開という原則が私は入ったと思う。また事実、議事録にはそう書いてある。にもかかわらず、安全審査の委員会の中で企業の秘密が云々されるというがごときは、まことにもって不届きしごくといわざるを得ない。
 大臣、こういうような企業秘密のために公開を妨げるような委員がもしおるならば、これこそあなたは罷免すべきであると思いますが、どうでございますか。
#92
○前田国務大臣 確かに井上先生御指摘のとおり、自主、民主、公開というのは原子力の基本原則であるということはもちろんでございます。その公開に関連いたしまして、内田委員がどういうふうな発言をしたか、私政府委員から聞き、けさのニュースでもいろいろ聞いたのでありますが、どういう説明をしたかは存じませんけれども、公開の原則という意味も、それじゃもう何でもかんでもみな公開していいというわけでもないと私は思うのです。別に私は企業サイドに立って、別に企業の秘密を拡大解釈して、何もかも秘密ですと、くさいものにふたをするようなそんな考え方で言うんじゃございません。けれども、たとえば特許申請前の問題というふうな問題は、そういうものはやっぱりその秘密というか、それを、特許法があるというたてまえから見ても、特許前の問題であるとかそういうふうな問題は、やっぱりすべてが公開でそれをみなカバーしてしまうんだというわけではないと思います。きのうの内田委員の企業秘密というものはどういうものをさして言うたのかは私は存じませんけれども……。
#93
○井上(普)委員 安全審査委員会で、企業秘密があるから、これは議事録を公開できないという論拠になっている。不届きだと思う。原子力基本法の第二条にどう書いてあります。これは、「自主的にこれを行なうものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。」と書いてある。すなわち、日本の民族が開発した成果というものは進んで世界に公開するんです、そして全人類の福祉のためにこのエネルギーは使う、これがわれわれ、原子力によっての被害をこうむり、洗礼を受けた民族としての、ここに誓いがあるんです。ここには企業秘密というものはあってはならない。ましていわんや、安全審査の場において企業秘密があるから公開ができないと言った会長ですか、当然これは基本法の精神にもとるものであるから、原子力委員長であり、かつまた科学技術庁長官としては、罷免すべきであると私は思いますが、どうでございます。
#94
○前田国務大臣 どういう御質疑に対してどういうように答えたか、私、議事録は調べておりませんけれども、おそらくは、公開の原則ということはもうそれは第一原則であるということは、安全審査会の会長が認識しないはずはございません。ただ企業秘密であるというわけで何もかもみな隠してしまうという、そんな姿勢ではないというように私は考えております。
#95
○井上(普)委員 私はそれじゃ、まあ人の一身にかかわることでございますので、議事録をあなたが十分に審査されて、早急に次の機会にあなたの見解を発表するとと同時に、それまでに、あなたが不届きと思うならば処置されんことを強く要求しておきたいと思います。これが第一点。
 もう一つは、今後の原子力委員会並びに原子力委員会に関与する事柄については、少なくとももう一度原子力基本法の精神にのっとって公開される、この原則を貫く用意があるかどうか、その点を伺っておきたいと思うのです。いままでの日本の資料というものは、原子力に関する限り、しかも政府関係の資料に関する限りは、一般に公開されておらない。アメリカよりもはるかに少ないのであります。これはもう原子力に関係する学者の一致した意見であります。これこそ公開の原則を打ち立てたこの基本法、基本法というのは世界にもないのです、これにももとる結果になると思うのです。その点のあなたの決意のほどを承りたいと思うのです。
#96
○前田国務大臣 ただいまの御質疑に対しましては、今後原子力行政を進めるにあたりましては、原子力基本法というものを尊重することは従来と同様でございまして、ますますこの精神にのっとって推進をしていきたい。資料の公開等につきましても、資料室というものをつくるのもこの一つの考えであるということを御理解をいただきたいと思います。
#97
○井上(普)委員 いままでやっていないから言うんです。われわれは、このことをもう一度、その精神にのっとって、新たな決意のもとに、すべて公開する方針で臨んでいただきたいことを強く要求いたしておきたいと思います。
 さらにまた、きのう嶋崎委員が、科学技術庁に対しまして資料の要求をすることがある、こういうことを申しました。ところが、その場合に成田局長は、われわれ国会議員の資料の要求に対してもチェックするがごとき答弁をされたのであります。まことにもって不届きしごくといわなければならないと思う。大臣は、国会議員のわれわれが資料要求いたしました際には即刻出す用意があるかどうか、この点をお伺いしたい。
#98
○前田国務大臣 国会は国権の最高機関でございます。その点は、国会から御要求があれば極力これに応ずるということは基本姿勢であろうと私は考えます。
#99
○井上(普)委員 極力じゃない、ある資料、おたくに持っておる資料をわれわれが要求した場合、しかも公開の原則を打ち立てておるこの原子力に関しましては、すべて出していただくことをお約束できますね。どうです。
#100
○前田国務大臣 もちろんその姿勢はそういう姿勢で進みます。しかし、国政調査権と国会提出資料との関係は、その国政調査権の範囲というものはどういうふうに範囲が及ぶべきであるかということは、ケース・バイ・ケースで、私も別の委員会でございますが委員長をやったこともございますけれども、なかなかむずかしい場合もあるかと思います。何でもかんでも、もう全部というふうなわけにいかぬ場合もあると思います。あるいは、個人の名誉であるとか、そういう場合もございまして、その点はひとつ私の基本姿勢というものを御了解をいただきたい、こう思います。
#101
○井上(普)委員 国会審議権の場合と、もう一つある。それは、原子力基本法にいう公開の原則があるのです。この二つで私らが要求した場合、事、学問的な問題につきましては、あなた方が持っておる資料は全部出していただけますね、どうでございます、学問的な資料。
#102
○前田国務大臣 御要望に沿いたいと考えます。
#103
○井上(普)委員 もう一つ。聞くところによりますと、浜岡の原発をこの土曜日に安全審査で結論を出すといううわさが流れておるのであります。これはうわさでありますが、おたくのほうで御存じだろうと思う。きのうも、公聴会におきまして、住民に対する公聴会を開いて結論を出すべきである、それに賛成する方々も多うございました。にもかかわらず、この土曜日でございます、あるんでございますか、どうでございます。
#104
○成田政府委員 今週の土曜、十二日に安全審査会があることはきまっております。その日に中部電力の浜岡の審査がかかることも予定に入っております。ただ、そこで決定的に結論――終わりになるかどうかは、安全審査会の問題として十二日の審議で討議されてきまる問題だと思います。
#105
○井上(普)委員 そこできのうも、こういうようなものをつくる場合には、住民の不安に対して、どういうような不安があるか、地元の公聴会をやるべきである。それがまた原子力政策をスムーズにいかすゆえんでもある。したがいまして、公聴会を開けという強い要求があり、かつまた、政府委員の間におきましては、それは検討いたしますと、こうおっしゃっておられる。また大臣も、そういうようなおつもりでおられるでしょう、うなずかれるところ。そうするならば、これは早急に結論を出すことなく、地元の公聴会を開いた上で結論を出されるべきであると私は思いますが、どうでございます。大臣。
#106
○前田国務大臣 その公聴会の問題は、ただいま鋭意、どういう方法で、どういうスタイルで、どういうふうにやるかということをいま検討中でございまして、近くその検討をいたしたいと思います。(「もう一年かかっているじゃないか、何を検討しているんだ」と呼ぶ者あり)その点は極力急いでやります。
#107
○井上(普)委員 そうすると、浜岡の場合は、それをやったあとでなければ、結論出しませんね。
#108
○前田国務大臣 その点は、どれからどういうふうに適用するかという点は、現在のところまだきめておりません。
#109
○井上(普)委員 きめておりませんか。ここできめていただきたい。
#110
○前田国務大臣 現在のところ、まだここでお答えする段階ではございません。
#111
○井上(普)委員 それでは、あさっての場合は結論を出さないと考えてよろしゅうございますね。
#112
○成田政府委員 安全審査会として結論を出すかどうかは、十二日の安全審査会の会議できまる問題だと思います。
 それから、公聴会をどういう場合に、あるいはどういう形でいつから実施するかというのは、現在原子力委員会で具体的に検討しておりまして、これはこの前、大臣が国会の答弁にもありましたように、その結論は今月中に出したいという答弁をしておるのでございます。
#113
○石野委員長 近江巳記夫君。
#114
○近江委員 きのうは各学者から種々の問題につきましていろいろな問題が提起されたわけであります。
 まず、公開の問題でございますが、内田さんは、この審査過程の公開はできない、それを安全審査会で決定したということをおっしゃっているのですが、安全審査会の決定というのは、それだけもう政府の決定にイコ一ルなるのですか。どこにそういうことが法律にうたっているのですか。
#115
○前田国務大臣 別にそういうことは、近江先生、法律にどこにもございません。したがって、安全審査会の決定はそのまま政府の決定とか、そういうふうに私は考えておりません。ただ、安全審査会というものがやはり原子力委員会の中にある機構でございますけれども、私たちがそれにいろいろ干渉するということが安全審査の独自性というか、それを阻害しちゃいけないと思って、積極的にいろいろコーチするとか、そういうことはしないようにしておりますので、それで安全審査会は審査会としてそういう討議をしてそういう決定をしたのだろうと考えております。
#116
○近江委員 そういう安全審査会の方々のやりやすいようにという配慮、それは政府がやるということはわかるわけですよ。しかし、はっきりと法律でも自主、民主、公開の原則がうたってあるわけでしょう。事そういう法律違反になるかどうかという大きな問題でもあるわけですよ。それを審査会の会長は、審査会で決定したから出せませんと何回も言い切っているんですよ。そういうことを、いま大臣がおっしゃったようなそういう一般のことと同一視したらだめだと思うのですね。これについてもう一度お答えください。
#117
○前田国務大臣 別に、審査会の決定がそういう法的根拠に基づいたものでもございませんので、それを金科玉条として、そのとおりだというふうには私は考えておりませんけれども、審査会に独自性といいましょうか、それを持たさなくちゃいかぬ。それでないと、すぐ原子力委員会に呼んできて、学者先生――たとえ原子力委員会の内部機構にいたしましても、やはり一種の独立性を持たさなければいけないという考え方を持っておることは事実でございます。
#118
○近江委員 私がいま申し上げているのは、独立性と公開ということとは一緒にならないということを言っているのですよ。公開ということは法律でもうたってあるわけですからね。おそらく、こういう原子力の問題におきましてこれだけの原則をうたっているのはわが国だけでしょう。それを私は言っているわけです。ですから、きのう、そういうように審査会で決定したからできないということについて、これは政府の決定ではないわけです。ですから、今後はそういう討議資料等は全部出しますね。
#119
○前田国務大臣 先ほども石野委員長並びに井上先生にもお答えいたしましたように、討議項目とか、現在の発表は簡単なようでありますので、そういう討議項目というものを、だれが言うた、これが言うたという、それは発表はいたしませんけれども、そういうものを発表いたしたい。あるいはもっと、もう一つ胸がすくようじゃないじゃないかという御指摘があるかもしれませんけれども、私は前進であるというふうに考えております。
#120
○近江委員 その、だれが何を言った、これが何を言った、そこまで出すべきですよ。そうでしょう。これは純粋な安全性の問題であり、科学者として当然の良心をもって、またそれだけの責任をもって発言しているわけです。そうでしょう。当然そういうことは今後あらゆる学者がそれを検討する大きな資料になるわけです。そこまでやるべきじゃないですか。
#121
○前田国務大臣 先ほど、この点はたびたび申し上げましたように、やはり審査会がそれを発表することは、だれが言うた、これが言うたと発表することは、いろいろな学者先生が自信をもって科学的なものに関する限りは千万人といえどもわれ行かんの意気でやるべきだということは、そのとおりでございますけれども、事実いろいろ心理的影響を受ける場合も多いようでありまして、その点は、公正なる審議というものを、結果を期待するがために、Aの議論、Bの議論というものを出さないわけでございまして、その点は決してそれをクローズドシステムで隠してしまおうという意図ではございません。
#122
○近江委員 どうも大臣のお話聞いておりますと、そうするとその決定に際して、純粋な安全性、また科学者としての良心、また責任の上においてのそういう積み重ねの上で決定されたということですが、何か政治的な配慮があってそっちのほうに動かされているように思います。そんな人ばかりがこの審査会に入ったらこれは大問題です。いま長官おっしゃったように、千万人といえどもわれ行かんという、そういう気概に燃えてやっておる人ばかりにやってもらわなければ困るわけです。これはそういう政治的な配慮というので動くのですか。そういうことで決定しているのですか。この点どうなんですか。
#123
○前田国務大臣 政治的な配慮というものは、この審査会の先生に関する限りは全然ございません。それだけははっきり申し上げておきたいと思います。
#124
○近江委員 それがないなら、一人一人が責任をもって発言しておることは全部公開しなければいかぬじゃないですか。そうでしょう。そのすべての討議あるいは全資料の公開について、原子力委員会でもって、これはあなた方が法律違反するかどうかの大きな問題ですよ。法治国家である以上は法律を守らなければならぬことは赤子でもわかっているわけです。重大な問題だと私は思うわけです。原子力委員会としてどうするのですか、これは。
#125
○前田国務大臣 確かに、そういう自信を持っていくべきであるということは先生の御指摘のとおりです。しかし、実際いろいろ過去においても、何か安全審査会委員に対してもいろいろ心理的圧迫を加えられたような場合もあるようでありまして、したがって、討議の項目とかそういう点を発表していきたいというふうに考えておるわけでございまして、個々の、Aが言うた、Bがどう言うた、どうだということよりも、そういうふうにしていきたいというふうに考えておるのでございます。
#126
○近江委員 そういう審査会のメンバーの人が、心理的な圧迫を受けるということについては大問題ですよ。だれがそういう圧迫をしているのですか。お聞きになったことを言うてください。だれが圧迫しているのですか。
#127
○成田政府委員 前にも国会で、安全審査会の個個の人がどう言ったか、議事録を出すべきではないか、という御質問がありまして、それに対しまして政府側からは、いま安全審査会の会議は非公開、そして個々の議事録は出しておらないというたてまえでやっておりますが、それについては原子力委員会でも検討するということで、委員会等でも検討しまして、安全審査会の先生方が活発な意見を出してもらうためには、個々のだれが何と言ったかという速記録、議事録はつくることはむしろ適当でないという安全審査会の考えが委員会にも出され、それによって委員会としても、個々のだれが何と言ったかという速記録はつくって発表することは適当でないという判断をして、ここでもお答えしているはずでございます。そういう経緯がありまして、われわれは決して――ただ国民が原子炉の安全性について必要なデータは、申請書の中身あるいはそれが変更ある場合には変更後の申請書、あるいは安全審査会の結論については重大事故、仮想事故等の評価の結論も出ておりまして、それからどういう点が議論になったかという、大臣がおっしゃったように従来よりも詳しいものをつくる、そういうことによって、国民が必要とする安全審査に対するデータは十分足りるのではないだろうかという判断をしておりまして、そういう意味から安全審査会の自由な発言が多少制限されるような、個々の速記録は発表することは適当でないという考えをとっているわけでございます。
#128
○近江委員 審査会のあり方自体が、ほんとうにそういう純粋な安全性の審査をやっていけるという雰囲気でない、これは審査会自体のあり方を大きく問われる大きな問題だと思うのです。今後この審査会のそういうような現状を――このままでいいんですか。そういう何となしに圧迫があり、公開されると困るというような人ばかりで審査をやってもらったら、ほんとうの審査はできませんよ。審査会自体今後どうやっていくのですか。このままじゃだめですよ。いまみたいなこんな審査会でやる審査なんて信用できませんよ。
#129
○前田国務大臣 その点は私たちも公開の原則というものを、これは別に軽視するという考え方ではございません。私たちが考えておりますところは、審査会に十分自由に活発な議論といいましょうか、だれに遠慮もなく自由な意見を言うてもらいたいということから、こういうAがどう言うた、Bがどう言うたということを発表しないわけでございまして、私たちが考えておることは、むしろ自由に結論を出していただきたいという意図でそういうようにやっておるわけでございまして、いやそれは逆じゃないか、むしろ表に出して、じゃんじゃんやったほうがいいじゃないかというお考えもあると思います。しかし、なかなか現実にはいろいろな――私の表現が適当かどうか知りませんけれども、いわゆる圧迫というよりも、いろいろな影響を受ける場合もあるようでありまして、その点において、むしろ私たちの意図するところは、隠してくさいものにふたをするというのではなくて、自由に討議をして、いい結論を出してほしいということでこういう発表のしかたをしておるのです。しかし、その発表のしかたが、先ほども話がありましたように、少しくいまの発表のしかたは簡単過ぎる。だからその点で、こういう点で討議されましたという討議の項目等を出すべきではないかということを私は言うて、そういうふうにしたいというふうに考えておるわけでございます。
#130
○近江委員 いずれにしても、この審査会の運営のあり方自体、長官みずからが審査会のメンバーの人たちと一ぺん真剣な討議をなさって、今後の運営ということを考えるべきですよ。やりますか。改革をやりますか。改革をしてください、改革を。
#131
○前田国務大臣 その審査会のやり方等につきましては、近江先生の御指摘もございましたので、私は審査会のメンバーともよく話をいたしたいと思います。ただ、これは原子力委員会自体が独立性の、中立的な機関でありますし、そのうちにおいても審査会が、要求そのものがそういう性質を持ってもらうために、私どもあまり委員長室に審査会委員を呼んだり、その点はあまりやってかえって独自の判断を害してもいけないと思って、むしろ従来はわりあい、その審査会の委員を私の部屋に呼んで、いろいろ話もしていないというのが現状でございます。この点は、近江先生の御指摘もございますので、どういうように審査会はあるべきかということを今後よく検討していきたいというふうに考えております。
#132
○近江委員 だから、その審査を決定するという、何も長官が会ったということでその方向が決定するわけではないでしょう。ただ、この運営のあり方について、また公開のあり方について、これは私らだけが言っているのではない。きのう来た多くの学者先生がそれを言っているのです。そういう問題であるわけです。運営であり公開の問題であるわけです。幾らでも原子力委員長は、ほんとうに腹を割って真剣に話し合いをして、そしてわれわれの主張している方向に持っていくべきでしょう。何も遠慮する必要はないと思うのです。そう思いませんか、長官。
#133
○前田国務大臣 御指摘のとおり、何も遠慮せずに、安全審査会というもののあり方について、さらに腹を割っていろいろな意見を交換したいと思います。
 ただ、審査会の委員をわれわれのところに呼んだりしますと、多少長官の顔色を見てやらなければいかぬのかいなというふうにもし考えられたらいかぬと思いまして、実はそういう点を考えて、むしろこっちはタッチしないという姿勢をとっておったわけでございます。その点、よく近江先生の御指摘の点も踏まえまして、審査会の機能を十分発揮できるようにいたしたいと考えております。
#134
○近江委員 そんな、長官の顔色を見て態度を変えるような委員であれば、そんな人だったらやめてもらったらいい。長官おっしゃるように、あなたがお選びになったんでしょう。千万人といえどもわれ行かんというくらいのき然とした学者を選んだらどうですか。ほんとうに研究者としてそれだけのすばらしい人を選んだらどうですか。そういうようにやってもらいたいと思うのです。
 それから、ちょっともとに戻りますけれども、いままでそういう安全審査の公開につきまして、きのうも学者が言っていましたけれども、全部アメリカのマイクロフィルムなり資料をとって、それを勉強するんだ。日本の報告なんか見たった中身は何もない。アメリカの場合、何も自主、民主、公開なんていっていない。その国で数千ページに及ぶそういうものが報告されている。わが国は何ですか。法律にもこれだけうたっておって、いままでなぜこういうずさんなやり方をやってきたのです。それに対する反省ありますか、どうですか。
#135
○前田国務大臣 その点につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、資料室を公開するとかその他安全審査会の討議の項目等についても、現在の報告を拡充していくとか、そういうことを考えて、公開の原則に沿うように処理していきたいと考えております。
#136
○近江委員 そうすると、いままでそういう点については至らなかったと反省されているわけですね、どうなんですか。
#137
○前田国務大臣 別に、従来の前長官がみな自主、民主、公開に反しておったという意味ではないと私は思います。みなりっぱな方ばかりでございました。その点は、別に反省して過去がみな悪うございましたと言うわけにはまいりません。けれども、とにかく原子力基本法の精神を体して今後とも進んでいきたいということで御了解いただきたいと思います。
#138
○近江委員 きのう私も参考人の方に聞いたのですけれども、要するに計算コード一つにしても、あるいはコンピューターにしても、あるいは審議する部屋もない、大体こういう一事を見ても、安全審査というものに対する政府の姿勢というものがなってないからそうなるのです。そうでしょう。企業から出てきたデータを、まあアメリカがこういっているからこのぐらいでいい。われわれが外から見ておって、何となしにそういう感じがするわけです。そういう点、政府としては真剣な取り組みをやっておったといえますか、そういう一事を見ても。どうなんですか、この点は。
#139
○前田国務大臣 御指摘のコンピューターがどうだとか、そういう問題、実は私、きのうそこまでの詳しい報告を聞いていなかったのであります。白状しますが……。実はけさプレスのほうでそれを見まして、そういう物的設備あるいは人的設備等において、そういうもので遜色があってはいけない、こういうものは拡充していかなければいかぬということを、きょうのプレスの討議のあの報道を見まして痛感して、これは拡充していかなければいかぬということを私は感じておりますので、今後ともそういう点は十分整備できますようにやっていきたいと考えております。
#140
○近江委員 そのように長官はいま気がつかれたわけです。その一事を見ても、いかにこういう安全審査に対する政府の取り組みが足らなかったかということがわかるでしょう。その点は反省されていますね。
#141
○前田国務大臣 原子力行政につきましては、安全性ということにつきましては、常に私は反省しつつ、いかに前進すべきものであるかというふうに考えておりまして、常に前進前進、反省反省ということで――なまぬるいじゃないか、放出量も低減化すべきじゃないか、そういうように叱糟励を受ける、あるいは御指摘を受ける、学者先生からいろいろ言われること自体、きのうの委員会にしても非常にいい勉強になったと考えまして、実はゆうべおそく政府委員からその報告を聞きまして、非常にありがたい、感謝しなければいかぬと実は言うたわけでございます。その姿勢で今後とも進んでいきたいというふうに考えております。
#142
○近江委員 いずれにしても、真剣な政府の取り組みを強く要望しておきます。このままではだめです。おっしゃった以上は、ほんとうに真剣に、われわれがいま意見を出したわけですから、それを実現させてください。
 それから、もう一つ問題になったのは、非常に甘い審査や基準ということです。これは意見がまっ二つに割れたわけです。結局この安全審査のあり方という問題ですが、設置者がみずからの利潤のために行なったエンジニア的な安全解析を、ほとんどそのまま流用しておるというようなことをわれわれは聞いているわけです。したがって、この結果、これまでの仮想事故は概念上の手続のものとされて、現実に発生することはほとんど考えておらない、こういうことがいわれておるわけです。基本としてのそういう姿勢もあるわけです。
 この中身におきまして重大事故が発生した。この場合に冷却装置等も動くんだ、こういうことでわが国としては審査している。ところが藤本教授などは、きのうもそういう話の中で、米国のマサチューセッツ工大のケンドール教授の話を引いて、そういう冷却装置等は動かないんだ、こういう立場に立っておられるわけです。ですから、そういう一つの問題を取り上げても、この基準なり考え方なり内容というものについて、そういう甘い行き方でいっていいのですか。
#143
○山田説明員 ただいま御指摘のアメリカのケンドール教授とは一体どんな人か御存じであるかどうか、私にはわからないのですけれども、この人は、核物理学者といいますか、ハイエナージー・フィジックスの先生でありまして、この人が原子炉の中のことがわかるとは思いません。したがいまして、そんなに権威のあるものではないわけです。しかし、ECCSの問題につきましては、ほかにも、ケンドール教授以外にいろいろな意見がありますから、それについては、日本の安全審査会におきましても独自の検討を進めておる。そのために、アメリカの暫定基準とは違った基準によって日本は審査をしているということでございます。たまたま最近になりまして、アメリカが暫定基準の変更をしつつありますけれども、それが大体日本でやっておった線に近づいておるということを申し上げます。
#144
○近江委員 それで今後、日本のそういう審査については非常に甘い、あるいは基準についてももっとシビアにすべきである、こういう意見も強く出されているわけです。今後そういう問題について長官としては検討なさって、シビアな、また中身等におきましても、安全の審査等についても十分な改革をなさいますか。
#145
○前田国務大臣 その前に、安全解析にしても、業者の出したものをそのままうのみにしておるというふうなことで実はけしからぬと思っております。そんなことはないはずであります。
 それから、安全基準でありますが、これを常に勉強いたしまして、シビアにシビアにという姿勢でいくべきであるというふうに考えて、これでよろしい、これでもういい、安全であるという解釈は私は断じてとりたくないというふうに考えております。
#146
○近江委員 ですから、藤本論文等も出たときでもありますし、国会でもこのように問題になっておるわけでありますから、やはりその辺の全面的な再検討をなさいますね。
#147
○前田国務大臣 全面的な再検討と申しますか、再検討ということばが適当であるかどうか知りませんけれども、きのうの委員会の御意見であるとか、学者先生の論文であるとか、そういうふうなものも全部いつも踏まえまして、基準等についても常に検討して、できるだけきびしくしていきたいという姿勢でいきたいと考えております。
#148
○近江委員 それから、きのうも廃棄物の処理計画のずさんなことが各参考人からも指摘があったわけです。この問題については、局長の答弁も、五十年ぐらいまでに考えて、それからやるんだというような答弁でありましたが、非常になまぬいと思うのですよ、そういう点は。この点について山田さん、それからもう一度局長に、それから大臣に、具体的にひとつ答弁してください。
#149
○山田説明員 近江先生御指摘のように、廃棄物処理というものが非常に重大な問題になるということは、先生の御指摘のとおりでございまして、これは、日本におきましては海洋投棄だけを考えておったわけですけれども、ほかの方法もあり得るかどうかというようなことについても検討しております。実際に問題が起こってくるのは先でありますけれども、そんなことを言っておったらたいへんでございますから、早急にこの対策を立てなければならない。しかし、これは片や世界的な問題でもございますので、世界的な情勢もあわせてフォローしていきたいというふうに考えております。
#150
○成田政府委員 廃棄物は、発電所が増加してまいると同時にだんだん数がたまってまいっております。それで、これを長期計画におきましては五十年代の初めころまでに研究、検討をやりまして、どう処理するかという見当をつけるべきであるということを、委員会の長期計画でもうたっておりまして、四十七年度から海洋処分、陸上保管の予算をとって、いろいろ鋭意検討、研究をやっておるところであります。これはひとり日本だけの問題でなくて、現在世界で三千五百万キロワットの原子力発電所が動いておりますが、これを各国ともどう処理するかというのを共通の悩みとしていま検討をやっておりまして、IAEA、国際的な原子力関係の会議等においでもいろいろなディスカッションを日本が非常に積極的に提唱して、この研究をやっておりますので、五十年代の初めごろまでには、世界の科学技術の総力をあげて取り組んでおりますので、解決できるのではないだろうかというふうに考えております。
#151
○前田国務大臣 大体同じような答弁になりますけれども、確かに放射性廃棄物の問題は、私これが一番問題であるというふうに考えております。現在は厳重に保管はいたしておりますが、だんだんこれはふえてくるわけでありまして、これをどうするかという問題、これは委員長からも御指摘がございましたけれども、先ほどからも御指摘がございましたように、また近江先生の御指摘のとおりでありまして、これはいま政府委員並びに山田委員から御答弁いたしましたように、五十年代にできるだけ早く処理をいたしますということを言うております。それからまた、世界的に検討しますということを言うておりますけれども、ほんとうにこれは大問題でありますので、単に国会答弁でうまいこと言いのがれるというのではなくて、私ども非常に真剣にこの問題と取り組んでいきたい。
 それじゃ具体的にどういう方法がありますかということを聞かれても、私はここでよう答弁はいたしませんけれども、この問題は、非常な問題になると実は考えまして、世界の各国ともよく相談をして、どういうふうにすべきか、全力を傾注して処理すべき問題であるというふうに考えております。
#152
○近江委員 それから、きのうも、われわれもいままでの国会でもその問題を大きく論議してきたわけですが、きのう問題があったことは、環境汚染、公害の問題ですよ。それで結局、われわれもいつも思うのですけれども、そういう公害問題、環境汚染という問題について、環境庁がやっておるとか、どうもその取り組みの姿勢というのがぼくははっきりしないと思うのです。安全審査に真剣にこれからやっていくというなら、そういう問題についてこそ、さらにまた両者同等の力を入れてやっていくべきじゃないですか。いまのあり方自体を考えて、私は大きくそういう機構等についても当然考える必要があると思うのです。安全性と同等以上の考えを持っていますか、また、具体的に今後どうやっていくのですか。こういう問題について、まず局長と大臣にお聞きしたいと思うのです。
#153
○成田政府委員 放射能の安全性の問題と同じように、温排水をはじめとする環境問題、非常に大きな問題になっております。将来公聴会を開催するとなりますと、地域的な問題として環境問題、温排水問題、これはおそらく一番大きな問題になるのじゃないだろうかと思っておりまして、原子力委員会としても、この問題について積極的に取り上げていきたい。
 ただ、日本の法的なたてまえがありまして、温排水については、基準は環境庁が水質汚濁防止法によってつくり、その実施は通産省が電気事業法によって実施するというたてまえになって、現在基準ができてなくて、基準をつくるための調査を、ことし各省にわたって一億円近いほどの調査費でいろいろ検討をやっておりますが、そういう環境庁、通産省その他水産庁、あらゆる関係の行政機関の検討結果を原子力委員会としては取り上げまして、そして総合的に判断してこれを処理していくという方針でございます。
#154
○前田国務大臣 局長と同じような答弁になりますけれども、これは近江先生、別に環境問題を原子力委員会として軽視するなんという考えは毛頭持っておりません。ただ、環境庁という専門の役所もありまして、いろいろなスタッフもそろえておるというわけでありまして、原子力委員会というのはすべての官庁の上にあるというふうに私は考えておるわけでございます。環境庁もあるいは通産省等そういうすべての役所の上に原子力委員会が存在しておる。そして、そういう専門の省庁の意見というものをよく聞き、その上に立って判断するというやり方をとっておりますので、あるいはなまぬるいじゃないか、原子力委員会の中に環境専門の研究機構をつくったらどうかという意見も、私非常に貴重な意見だと思いますけれども、現在はそういうやり方でやっておるわけでございまして、その点、あるいは全部そういうものを原子力委員会でやったらいいじゃないかという意見でありますが、やはりスタッフとかいろいろな専門家とかいうものをそろえるにしても、環境庁というか専門の役所なり、いろいろな設備だとかそういうのがありますし、それを利用して、それと相談しつつ、その上に立って判断していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#155
○近江委員 この環境問題は公聴会でまた具体的なそういうことが出てくるということを局長おっしゃったのですが、それでこの公聴会の制度について、いよいよわが国でも新潟の柏崎を最初にスタートさせるということを聞いているわけですが、この具体的な公聴会の制度の内容についてどういうことを考えているのですか。
#156
○成田政府委員 日本でも公聴会は法律によってあらゆる場合にやるという制度になっておりませんが、やはり国民の理解と協力を得ることが原子力発電所の設置について一番大事なことでありますので、原子力委員会としても公聴会をやろうではないか、やるべきであるという判断に立ちまして、いろいろ具体的な検討を現在原子力委員会でやっておるわけでございます。
 それで、問題としましては、どういう場合に公聴会をやるか、公聴会のやり方をどういうやり方でやるか、場所をどこでやるか、いつやるか、大体公聴会というのは申請が出た初めの時期においてやって、そうして安全問題あるいは環境問題その他の地域開発との関連の問題等を、安全審査会あるいは環境の調査等に反映させて、そうしてその結果を原子力委員会が取り上げて検討、結論を出すという考え方でありますが、どの時期、どの発電所から公聴会をやるか、そういう問題等について現在原子力委員会で詳細にわたって検討中であります。先ほど言いましたように、大臣もこの前国会で、その結論はおくれておりますが、五月中には出させるというふうな御答弁をしておりますが、五月中には出るべく現在検討の最中でありまして、具体的な内容については、いまはっきりした形でお答えできないのが残念でございますが、現在具体的に検討中である、そして五月中に結論を出す方針になっております。
#157
○近江委員 聞くところによりますと、公聴会というものが集中立地地点については地点主義をとって、最初の公聴会で論議を尽くした後は、特に問題がない限り、各原子炉ごとに重ねて公聴会を開くことは避けたいということを聞いているわけです。わが国の立地状況からしても、今後の原発の建設というものは、集中建設の可能性がきわめて強いわけです。すでに設置許可をしたところについては公聴会をやらないということであるならば、公聴会をやるべき個所を不当に制限することになるのじゃないかと思う。御承知のように現在の集中の状態を見ましても、若狭湾では一千五百万キロワット、柏崎が、これはこれからですけれども一千万、福島が一千万。たとえば大気中に放出される放射能一つ見ましても、そういう集中地域については、いま申し上げた地域等については、年間三百万キュリーの放出が予想されるわけです。したがって、この予想外の濃縮がありますと許容線量さえ上回ることは十分に考えられるわけです。こういう一つの問題を考えましても非常に大きな問題がある。これをいわばいま考えておられるような、そういうサイト主義をとっていくということになると、先ほど申し上げたように、公聴会をやる個所を不当に制限することになる、こういう点についてはどう思いますか。
#158
○成田政府委員 去年公聴会問題が国会で討議になった際、木内前長官が、集中化の場合あるいは大型化の場合等、必要な場合には公聴会をやるという答弁をなさっておりますが、集中化の場合、やはり周辺の住民に非常に不安を与えるケースでありますので、最も公聴会をやる必要のある場合だろうと思います。ただ集中する場合、一千万とか六百万キロワットの計画があるサイトにつきまして、最初の一基について公聴会をやったら、その間六基、七基等までやらないというような方式じゃないかというお話がきのうもありましたが、その点は一回しかやらないということもきまっておりませんし、集中化の場合の住民の不安の解消という趣旨からしまして、決してサイト一カ所について一回しかやらないということは考えておらないのであります。
#159
○近江委員 そういう点は非常に心配される点でありますので、これは十分、何回もそういう公聴会の開催をして、住民の意思を反映できるようにしていただきたいと思うのです。今後公聴会であるとかいろいろな問題が出てきますと、原子力委員会等の仕事も非常に多くなってくると思うのです。こういう点、今後委員会の体制というものについて考える必要があるんじゃないかと思うのですが、これは実際やっておられる山田さんにその御意見をひとつお伺いしたいと思うのです。
#160
○山田説明員 確かに、非常に仕事がふえてくるということは御指摘のとおりでございまして、今年度は必ずしもその問題だけではございませんけれども、安全の研究につきましてもかなりいままでと違った抜本的な態度をとらなければならぬというようなことで、安全問題については相当重点的に予算前に検討したいと思いますので、よろしく御声援願いたいと思います。
#161
○近江委員 いま山田さんもそうおっしゃっておりましたし、委員長としてはどういうように今後対処なさいますか。
#162
○前田国務大臣 ただいま山田委員がお答えいたしましたように、安全性の問題であるとか地域住民の理解と協力を得るためのいろいろな制度の問題だとか、実に原子力委員会、原子力行政の仕事が相当重加されると私は思いますので、その点は予算的にも定員的にも、別に役人をふやすのが能じゃございませんけれども、十分拡充していかなければならないと実は考えておる次第でございます。
#163
○近江委員 最後に、井上委員からも話が出ましたが、浜岡原電の安全審査会、これは土曜日に開かれるということを聞いておりますが、住民の公聴会が済むまで委員会として結論を出さないように、その点もう一度確認をして、私の質問を終わりたいと思います。
#164
○前田国務大臣 その点は、先ほども井上先生にお答えいたしましたように、公聴会というものをどういうスタイルでどういうふうにやっていこうかということを実はいま鋭意検討いたしておりまして、したがいまして、どの炉からこれを適用していくかということを現在このときにお答えするのはちょっとごかんべんをいただきたい。この月じゅうには公聴会のあり方、姿、方法等について決定をいたしたいと思いまして、それを通じて具体的には処理をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#165
○近江委員 その方向が出て、それからやるというわけでありますから、結局土曜日に開いても、そのときはもちろん決定をしない、こういうことですね。そう理解してよろしいですね。
#166
○成田政府委員 安全審査会が土曜に開かれて、中部電力の浜岡二号の問題を審議するわけでございまして、そこで結論が出るか出ないかは安全審査会の審議の結果によると思います。それで安全審査会が終わりますと、今度原子力委員会に報告があって、原子力委員会の審議になるわけでありまして、それは土曜にあがるとしても、安全審査会の報告、委員会はそれからの問題でございます。
#167
○井上(普)委員 公聴会のやり方が、今月中に大体成案が得られる、公聴会のあり方について。当然来月からは公聴会を開いていく、こうわれわれは理解する。そうするならば、浜岡原発の問題につきましても、原子力委員会は公聴会をやって結論を出すのですね。どうでございます。
#168
○前田国務大臣 その点は、井上先生の疑義、浜岡とかそういう具体的なものは一応ちょっと別にしまして、公聴会そのものをどういうふうなかっこうで、どういうふうなところへ適用してやっていきますということを、現在一つの寸法をきめるわけであります。そのものさしをきめて、それによって具体的なものをこれに適用していくとか適用していかないとか、そういうことになるわけでございます。したがって、まずその公聴会という制度を先に、今月中にその制度について原子力委員会としてきめていきたい。具体的なAとかBとかという問題は、これは公聴会ができて、われわれこういう制度にいたしますと決定して、取捨選択をしていく、そういうことになっているわけでございます。
#169
○井上(普)委員 大臣、あなた方は公聴会の制度をつくりますと言ったのは去年ですよ。それをあなた方はサボっているんです。はっきり言って、われわれ国会で、ここで、公聴会の制度をつくりますといってお約束になったのが去年の半ば過ぎです。あなた方はいままでサボっているのでしょうが。そして片一方は、どんどんと安全審査のほうはやられる。これでは浜岡の場合、もし安全審査会が結論を出し、原子力委員会が結論を出した直後に公聴会制度ができたら、住民は何と思います。これでは困るので、少なくとももうあとわずか二十日しかないのですよ、あなた方サボってサボり抜いた結果。結局、公聴会制度をつくるのがこの月末とおっしゃるのですから、それなら今後二十日くらいのことは急ぐことなく、原子力委員会が公聴会を浜岡の原発についてもやるべきではないかと私は思う。どうです、それくらいはお考えになるでしょう。何も公聴会をいやがるために、わざわざその際に決定してしまうようなことはないでしょうな。
#170
○前田国務大臣 別に公聴会を逃げるために言っているわけではございません。ただ、くどいようでありますが、公聴会というものをどういう場合にどうして行なうかということを、いま鋭意検討いたしておりまして、それがこの月末ごろまでに結論を出したいというわけでございまして、それに基づきまして、どういう場合に具体的に適用していくかということを判断するわけでございますから、別に公聴会にかけるのがこわいから早いところぱっぱっとやってしまおう、そういう意味ではございません。
#171
○井上(普)委員 私は言いたいのは、あなたのほうがサボっていたのですよ。公聴会というのを、国会で、すなわち国民に去年約束した。しかし、その後どういうような方法でやるというのは、こんなもの、それこそどういうふうにやるかということを一年もかかるということ自体が、これはもう科学技術庁が科学的な事務処理ができておらない証拠だと私は思う。そうですね。いままで引っぱっておって、ようやくことしになります、今月中にできます、こうおっしゃる。それまでの間に、この間に国民に約束しておる公聴会制度というものにかけないというのは私はおかしいと思う。ましていわんや、二十日くらい前に結論を出すというようなことはやらすべきではない。原子力委員会が国民の理解を得る原子力政策をとるならば、私は公聴会にかけたあとでやるべきだと思うのです。このことぐらいは原子力委員長としては約束できるでしょうが。それすら約束できぬような原子力委員会であれば、もう何のための原子力委員会か、国民のための原子力委員会か何かわからないという結論を出さざるを得ないのです。どうでございます。
#172
○前田国務大臣 公聴会制度を早くきめるべきじゃなかったか、まことに怠慢じゃないかというおしかりを受けたわけでございますが、怠慢というか、別に特にサボっておったわけではございませんけれども、とにかく鋭意公聴会として理想的な公聴会をつくりたいという熱意に燃えてやっておったわけでありまして、それが現在までに至って、そしてこの月一ぱいにはこの公聴会という一つの制度のスタイルというものをきめようというわけであります。それによって、あるいは公聴会を行なう場合はいろいろケースが考えられるわけです。こういうケースの場合やるとか、こういうケースの場合やるとかということがあるわけでありまして、何でもかんでもみな公聴会にかけるということになるかどうかは私はわからぬと思います。その点はやっぱり、ずっと大型化、集中化するときとか、いろいろそういう場合もありますし、その点をいま鋭意、その公聴会のあり方について検討しておる最中でありまして、それをきめて、それから具体的にその規矩準繩に照らしてやっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
#173
○井上(普)委員 大臣、鋭意という字はどんな字を書きます。鋭い意という漢字じゃございませんかな。一年間も公聴会一つがともかくできなかった、しかもサボっておらなかったとおっしゃるんだから、科学技術庁の事務能力というのはもうこれでようわかる。しかも鋭意いままでやってきたんだそうだ。鋭意というのは、ともかく私はこれから帰って辞書を引いてみますけれども、あなたも帰って「広辞林」でも引いてみてください。それくらい事務能力のない原子力委員会だとは私は思わない。そうするなら、これはその間、この一年間の原子力の安全審査あるいは認可について、これをかけまいとする努力があったのじゃなかろうかと、私は気を回さざるを得ないのです。ましていわんや、今月のこの土曜日、あと三日に迫った土曜日に安全審査会を開く、しかもそれは浜岡の原発、初めてつくる原発をです。それが今月末には安全審査の――おそまきながら鋭意やられた、おそまきながら審査基準がつくられるんだ、それにかけぬというのは、実際国会に対しましてあるいは国民に対しまして、約束した原子力委員会としては、科学技術庁としては、これは国民に対して不親切であり、そういうところから住民の思わざる反撃があることを御理解願いたいと思うのです。まさに行政の、もしこれをこの月末までに結論を浜岡で出した場合には、不測の事態が起こり得ることをわれわれは警告しておきたいと思う。大臣どうです。それくらいは延ばしたっていいでしょうが。どうでございます。
#174
○前田国務大臣 鋭意ということばが非常に先生のお気にさわったようでありますが、私もその点は、鋭意ということばは気持ちをあらわしたわけでございます。お許しをいただきたいと思います。
 その浜岡の問題を別にどうこう言うておるわけじゃございません。とにかくその公聴会という制度を早く、どういう制度にするか、つくらなきゃいかぬじゃないか、どういうスタイルでどういう方法でやるということをつくらなきゃいかぬじゃないかということで、急いでおりまして、それを拒否する、うまいこと逃げるために、具体的な発電所の計画を早いところぱっぱっとやってしまおうとか、そういう意味ではございませんということを御理解をいただきたいのです。
#175
○井上(普)委員 そうとります。われわれはとる。そのことだけは申し上げて、終わります。
#176
○近江委員 それから、いま科学技術庁が考えているのは、特に集中化、大型化、新型化などの予想される原発新規立地地点を対象とするというような考え方が非常に濃厚なんですね。これに当てはまらない、そういう原子力発電所はもう公聴会はやらないのですか。あなたは、さっき局長は、私が環境の問題を言ったときに、それは公聴会でパイプが結ばれて、そこでもまた大きくいろいろな問題が出てくるでしょう。そうでしょう。ポイントに考えているところ以外の原子力発電所の場合であれば、それはパイプも切れるじゃありませんか。環境問題等についても、何も重視していないじゃありませんか。大問題ですよ、これは。その点について基本的な考えをお聞きします。
#177
○前田国務大臣 公聴会をどういう場合に行なうかという点につきましては、いま検討中であります。具体的に申し上げる段階ではございません。けれども、従来の科学技術庁長官も、大型化、集中化あるいは新型、そういう場合に公聴会という制度を設けたいというふうなお答えをしておるようでありまして、私も、そういうときにこそ公聴会というものを適用すべきであるというふうな考え方で進んでおりますが、この点はまだ、具体的にいまここで発表するような段階ではございません。
#178
○近江委員 アメリカでは、もうすでに制度化されて、公聴会を全部やっているわけですよ。これでは非常に逃げ手がありますよ。やはりすべての原発について公聴会をやるべきですよ。そうしないと、こんなもの何もならぬですよ。何もならぬことはないにしたって、これでは住民の意思は反映できませんよ。
 これは委員長、非常に大きい問題でありますので、これはひとつ理事会として決議もして、申し入れするとか、何らかの対策をお考えいただきたいと思うのですが、お願いできるでしょうか。
#179
○石野委員長 私、いま近江委員からの質問の件についての長官の答弁はやはり問題があると思うのです。近江委員から、あとで理事会等にもはかるようにというお話もありますし、私もそういうふうに思っておりますので、理事会としてもその辺考えたいと思います。
 この機会に、ちょっと長官にただしてだけおきたいと思うのですが、公聴会を持つということは、本来、原子力の施設をつくるときに必要なものだけれども、特に委員会の強い要請から政府が動き出したという形になっていると思うのです。委員会の要求しているのは、ある時点とかある場所というようなことでなくて、すべての施設に対してそれが必要でないかということの要求であったので、ただ集中化が行なわれているからどうだとかいうことじゃない。施設をするについては、地域住民の意見を十分聞き取るという民主の立場からこの公聴会というものは要請されている、こういうように委員会は理解しているわけです。御答弁を聞いておりますと、原子力委員会では選択をしておるようです。この選択というのが、いま近江委員の心配されるように、非常に危険性をはらんでくるわけですから、いわゆる理解のしかたにたいへんな食い違いがあるというと、これは私たち理事会でまた論議する場合でもたいへん問題が出てきますので、この際、長官の御意見が、どういうような形で公聴会を考えておられるのか。いま私が考えたようなものはそういう二つの側面があると見受けられますが、どういうような立場で公聴会を考えておられますか。
#180
○前田国務大臣 別に、公聴会を選択してできるだけ逃げようという趣旨でおるわけではございません。しかし、まだ公聴会のあり方というのはいま検討中でありますが、従来とも、大型化、集中化あるいは新型とか、そういう場合に公聴会を催すということを考えたいというふうな考え方を従来とも持っておったようでありまして、その点の決定が非常におくれておるというわけでございますので、その点に私は重点を置いてそういう制度を進めていきたいと思うわけでございます。
 具体的にはそれじゃこの施設をどう適用するのかという点については、まだきょうはお答えする段階ではございません。
#181
○石野委員長 もう一度お尋ねいたしますが、そうすると、長官としては、前の長官が答弁しているその趣旨に重点を置いて公聴会の問題を審議している、そういう立場に立っておられる。長官はやはりいま私がお尋ねしましたことや、あるいは近江委員、各委員が聞かれているようなすべての問題について、すべての施設について公聴会ということの観点はとっていないということなのですか、どうですか。そこのところだけちょっと聞かしていただきたい。
#182
○前田国務大臣 この問題はたいへんむずかしい問題だと思いますけれども、別に私どもは安易に公聴会制度をやろうというのじゃなくて、ただ、公聴会というものは必要である、地元の了解しておるというふうなものについては特に公聴会は開く必要がないのじゃないかということも考えておりますけれども、そういうふうに簡単に処理するわけもいかない。しかし、従来の長官もその意向を述べておりますように、大型化あるいはは集中化、新型の場合とか、そういう場合に公聴会というものを活用していきたいという考え方でございます。その点は、その制度さえもが従来――先ほど井上先生からおしかりを受けたように、鋭意じゃないじゃないかということでありましたので、これを鋭意というか、早く制度化して、その方法で適用していきたいというわけでございます。まだもう一つ胸がすかぬじゃないかというふうな御指摘があるかと思いますが、その点は私、従来能率があがらなかったものを、ひとつこの月じゅうには結論をつけたいと思うわけでございまして、まだしかし、具体的にその点を詳しくどうだこうだというところまでは、きょうはお答えできないのはまことに残念に思っております。
#183
○近江委員 じゃ、この問題につきましては、すべての施設に公聴会を開催する、これを強く要望しておきます。委員長も理事会で検討するとおっしゃっていただきましたので、私の質問は、時間ももう、本会議もありますので、これで終わりたいと思います。
#184
○石野委員長 次回は、来たる十六日水曜日午後一時より理事会、一時十五分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
    午後一時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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