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1972/06/28 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第21号
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1972/06/28 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第21号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第21号
昭和四十八年六月二十八日(木曜日)
    午前十時十七分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 藤波 孝生君 理事 藤本 孝雄君
   理事 粟山 ひで君 理事 原   茂君
   理事 瀬崎 博義君
      稻葉  修君    稲村 利幸君
      加藤 陽三君    梶山 静六君
      羽田  孜君    北側 義一君
      内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
 委員外の出席者
        通商産業省公益
        事業局技術長  和田 文夫君
        参  考  人
        (名古屋大学教
        授)      長谷川正安君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所理事長)  宗像 英二君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所理事)   山本 賢三君
        参  考  人
        (日本原子力研
        究所労働組合中
        央執行委員長) 大杉 茂治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(日本原子力研究
 所の業務運営に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 日本原子力研究所の業務運営に関する問題調査のため、本日、名古屋大学教授長谷川正安君、日本原子力研究所理事長宗像英二君、同研究所理事山本賢三君及び同研究所労働組合中央執行委員長大杉茂治君、以上四名の方に参考人として御出席願っております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多用のところを本委員会に御出席くださいましてありがとうございます。どうか、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べくださるようお願いいたします。
 なお、御意見の聴取は質疑応答の形で行ないますので、さよう御了承願います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
#3
○原(茂)委員 去る六月十三日に当委員会におきまして、中島篤之助氏の問題に関して、長官、原子力局長などの出席をお願いいたしまして、その経緯についてお伺いをいたしました。問題が中島氏の出した論文に関係をいたしまして、これをある意味では懲罰委員会といいますか懲戒委員会にかけるという事態になったわけであります。そのことは、わが国の原子力に関する三原則並びに憲法にいう言論の自由という問題にかかわりがあると考えまして、それを底流としてこの問題をもう少し掘り下げてお伺いをして、将来のあやまちをおかさないかてにしたい、こう考えて、きょう、参考人の皆さんの御出席をいただき、長谷川先生までおいでをいただきました。厚くお礼を申し上げます。
 問題は、もうすでに御存じだと思いますが、原研の東海研究所の副主任研究員をやっております中島篤之助氏、この人は学術会議の会員でもあり、理学博士でありますが、この人の出した論文が月刊誌の「科学」二月号に掲載をされたわけであります。問題になりましたのは、中島氏の「原子力施設の事故例について」という論文の中、当局では五カ所不穏当な個所があるという御発言がありました。もっと調べてみますと、考えようによっては七カ所も八カ所もあるんじゃないかと、しろうとの私など、この論文を見ますと、五カ所をあげつらうなら、むしろ八カ所ぐらい問題にしていいんじゃないかとすら実は考えます。私は立場が違って、これは問題にすべきではないという立場でございますから、したがってそういう立場でお伺いをしたり御質問をいたしたいと思うわけであります。
 問題になりました個所全部を申し上げることはできませんが、いずれにしても、きょうも御出席いただきました山本理事が、この論文を中心にして五月十一日、科学者としてアドバイスをしたいということを中島氏に申し入れをした。科学者としてアドバイスをしたい、そうして会いましたときに、この論文はよくまとまっていて読みやすいが、まあ端的にいうとそういう表現で、しかし幾つかの間違いがある、こういう御指摘があったと聞いております。そのとき、好ましくない個所としては五カ所だという指摘があったそうであります。
 その一、二を申し上げますと、山本所長のチェックいたしましたその個所のうち、四十三年に東海研のJRR3、これは国産第一号の研究用の原子炉でございますが、これに発生いたしました燃料破損事故について、この燃料のモデルとしての「一次燃料をただの一度も解体して調べたことはなかった」中島氏の論文でございますが、「また二次燃料納入後、原子炉に装荷するまで一年以上も期間があったのに、所内での検査や試験は行なわれなかった。」これは「科学」の一一七ページにあるところでありますが、そういうふうに述べておりますことや、またこの事故を職場新聞に書いた労組員が三人処分されました。その結果、「原子炉の安全運転について最高の発言権を持つべき原子炉主任技術者までが、一般職制」――部長ですね、「によって沈黙させられるにいたった。」という告発に通ずるような個所があるというようなところを五カ所指摘をされて問題にされたわけであります。
 私は、いま宗像さんあるいは山本さんにお伺いをしたいと思いますが、技術者の集団であり、この種の国家目的のいまは追求を行なっている場所である、そういう原研における仕事で、しかも論文を中心に問題が起きたという限り、全職員がその内容を十分に知って今後に対処してもらうためにも、いろいろな意味で、いい意味の活用ができるようにということを配慮することが当然だと思います。単に、問題があった、処分をした、その内容はよくわからないという状況であってはいけない。少なくとも大半が技術者であり、しかも国家的な使命を帯びた重要な原子炉に関係しての仕事をする人々でございますから、どんなささいな事故なり、あるいは安全性の問題なり、あるいはそれに対する措置の問題なり、あるいはそのあと理事者と実際に仕事をする職員との間のやりとりの内容に至るまで、十分知ってもらうということが非常に重要だ、たいへん必要なことだ、こういうふうに考えるわけであります。その意味におきまして、前回も原子力局長に強くこの点は申し上げておいたわけでありますが、この種の論文中心の問題に対しましては、文書によってやりとりをなすべきではないか。山本所長が口頭によって中島氏にものを言うという程度で終わってはいけない。したがって、たとえば懲戒委員会、懲罰委員会等における何らかの処分が行なわれるとするなら、なおさらその原因はかくかくのものであるということを詳細に書いて、そのことが本人に手渡され、それがまた学者、研究員としての本人を中心の多くの研究者の中で論議をされるということが、前段申し上げた必要な措置でありやり方だというふうに考えます。
 そういう意味からいっても大事なことは、口頭でどの程度伝えたか知りませんが、どうもお聞きするところでは、五月十一日の山本さんと中島さんとの話し合いというのは、これはやはり個人的な話し合いで、原研を代表して正式に注意を行なうといった種類のものではなかったように聞いていますが、この点も多少問題になりますのでお聞かせをいただきたいのです。
 いずれにいたしましても、自来処分が行なわれております。処分というのかどういうのか私わかりません.が、とにかくここに写しがございますが、厳重注意の書類が六月五日、本人に手渡されているわけであります。この写しを見ましても、何ら具体的に文書による――科学技術者同士のこの種の問題であり、しかも国にとっての重要な原子炉に関する安全性を中心とする問題である限り、一字一句もゆるがせにしない、文書によって、かくかくの理由によって厳重注意を行なうという、それがなければ、「今後、このようなことのないよう厳重注意する。」こんな抽象的なまとめでは、くどく申し上げるようですが、「今後、このようなこと」とは一体何だということが浮き彫りにされていない。こういうやり方は、この種の問題に関する限り、特に冒頭申し上げたように言論の自由の問題もあり、三原則の問題もありということをあわせ考えましたときには、断じて放任できない。これは文書によるべきであるという強い原子力局長への要請をしておきましたが、六月十三日以後今日に至るまで、一体原研の宗像さんなり山本さんに、そのような注意が長官なり局長からありましたかどうか、二点お伺いをしたい。
#4
○山本参考人 ただいまのお話にお答えいたしますが、先般六月十三日のこの委員会で、どの程度局長からお話があったか存じないのですが、概略はその指摘個所についてのお話があったと思います。私は、この問題全体を通じてまず申し上げておきたいことは、この問題の本質をよく理解していただきたいと思うのです。それで、先ほど三原則、言論の自由ということにかかわる問題であるということでございましたけれども、もとより私ども、三原則、言論の自由ということは非常に大切に尊重しております。
 最初にその本質的な問題を申し上げますと、これはそういう次元の問題でございませんで、事実関係でございます。それで事実が間違ってとられているということ、特に原研の研究三号炉につきまして、記述されているところは一ページ半でございますが、その中で図面がかなり大きいのが入っていますから正味一ページぐらい、そこにおいて、先ほど先生は四カ所とか五カ所とかいうことに限らないだろうと言われました。そこで、私どもがかりに四カ所程度おもだったものとして指摘しておりますが、つまり非常に短い、正味一ページぐらいのところに、そういう事実を間違えてとらえた、ないしは非常に不正確であるということが四カ所あるわけです。それをずっとつないで読んでみると、明らかに事実を間違えたために読者に間違った印象を与えやすい。どういう印象かといいますと、それは原子力研究所が安全に関してやるべきことをやってないとか、非常に無理をしている、そういう印象を与えるわけでございます。
 印象については、これは個人的なものでございますから、これは私の印象と言っていいと思いますが、これは私だけでなしに、多くの人からもそういう印象があるわけです。そういうことでございますので、私は特に原子力の安全問題というのは非常に大切な、慎重であるべきでありますので、特に中島君は科学者であり、またこの問題が原子力研究所の問題でございますから、調べれば幾らでも正確を期すことができるわけです。つまり、そういうときに科学者としてやはり反省して自戒していただきたいと思ったわけです。そういうことから、厳重注意ということになったわけです。これは懲戒処分というものではない。原子力研究所で就業規程による懲戒処分というものではない。これが大体今回の問題の全貌でございます。
 ただ、その問題のとらえ方として、とらえる前にやはり本質を理解するには内容の問題が非常に大事だと思うのです。これは、いかがいたしましょうか、委員長。前回局長がいろいろと御説明いただいたわけですが、もう一回私から説明させていただくと、一そうはっきりすると思うのです。要点だけでも説明させていただきたいと思います。
#5
○石野委員長 あまり時間をとらないでひとつ……。
#6
○山本参考人 それじゃそういうことで、五点と言いましたけれども、こちらで五点、局長も五点ということを言われました。原先生に言わせると、いやまだほかにもあるけれども、それはとらえ方が違うんだと言われますけれども、いまかりに、五点について申し上げたいと思うのです。それを、私どもはどういうふうにとらえたかということがこの問題の本質であろうかと思います。
 それで、一つだけ先に保健物理の活動ということについて要点を申し上げますと、「最近の保健物理と安全管理には、このような事故例が記載されなくなっている。」と書いてあるわけです。これはそうではない。ちゃんと事故例は記載されております。ただ、記載のされ方が、多少編集を変えているということでございますが、詳しいことは省略いたします。したがっていつでも調べようとすれば調べられるようになっているわけです。これを見ると、これは文章としてとらえなくてはいけないので、個々の字句をあげつらっているわけではないのでございまして、要するにここにこのような事故例が記載されなくなっているということは、それ自身何か事実を公表しないかのような印象を与えるわけです。ですからこういう書き方は私は不適当であろうということが第一点でございます。
 それから、あとの四点につきましては、研究三号炉についての記述でございます。その中で私が一番重大に思ったことは、先ほど先生御指摘のとおりでございまして、「原子炉の安全運転について最高の発言権を持つべき原子炉主任技術者までが、一般職制によって沈黙させられるにいたった。」ということは、これは私、たいへんゆゆしいことだと思うのです。主任技術者というのは、原子炉等規制法によりまして炉の安全運転について最高の責任を法的に保障されているわけでございまして、その主任技術者は厳重なる資格試験を受けており、私どもとしてもそういう人物を尊重しているわけでございます。これは、もちろんその主任技術者当人にとっても、もし沈黙させられたということは義務を果たしてないことになりますし、一方、原子力研究所においてそういうことをしたということは、もしあったとすれば、これはたいへんな問題だと私は思っております。事実は全くそうでないわけでございまして、その点はやはり事実に違反しているということ。
 それからあとは、そこの記述に先ほどもその例をあげていただきましたけれども、「脳腫瘍の原子炉治療が強行され、その結果、燃料の大破損が生じ、つづいて従業員の大量被曝が生じ、」というような文章がございます。これは、その当時のいろいろないきさつを詳しく申し上げるわけにいきませんが、とらえ方がこれは時点的に逆でございまして、原子炉治療が強行されたために大破損が生じたのではないので、大破損は一月の二十八日に起こり、二十九日にそれが発見されているわけです。それから脳腫瘍の治療というのは、三月六日に行なわれているので、その結果ということにはなってないわけです、その大破損は。何かこの文章を読みますと、脳腫瘍を強行したためにこわれたということが、何か非常に強引にやったような感じがするのでございますが、実はそうではないという非常に明白なる事実関係でございます。かつ「従業員の大量被曝が生じ、」ということは、実はこれをどういうふうにとらえていいかわからないのでございますが、私どもとして、わりあいに大量であるというようにとらえたものは、むしろその破損前の問題が非常に多いのです。そういう点で、どうもこれ自身、読む人の印象というのが、原子力研究所がこういうやり方をしているということで、やはり非常に間違った印象を与えるということでございます。
 それから、先ほどやはり先生が御指摘になりました燃料試験でございますが、これは技術的なことでございますから簡単にさせていただきますが、燃料については原子力研究所とか、現在の動燃事業団でございますが、当時の燃料公社あるいは大学の専門家にいろいろと審議してもらいまして、それでどういうように試験をするということについては、当時として最善の努力を尽くしてきておるわけです。ですから、何かこの文章を読みますと、すべきこともしなかったというような、そういう印象を非常に与えるわけです。
 それから、一次燃料について解体試験も行なわなかったというのですが、解体試験をすべきであるかどうかということについては、先ほどのように委員会でよく検討してもらいまして、当時の一次燃料という外国から来ている燃料を基準にしまして、製作データもあり、あるいは仕様書などを検討して、特に解体する必要はないというように考えたわけです。それから二次燃料について何ら試験を行なわなかったというようなことが書いてありますけれども、一通り所定の試験は全部しているわけです。それが十分であるか不十分であるかというのは、これは技術上の問題でございまして、この「科学」というこういう一般雑誌においての一般の記事としてこれを見ると、何かするべきこともしなかったというような、そういう印象を非常に与えるということで、私どもはそれに対してたいへん遺憾に思ったということでございます。
 それから、もう一点につきましては、やや技術的になりますので簡単に申し上げますれけども、先ほど申し上げたことにかかわるのですが、何か燃料破損が起こったために急に放射線のレベルが上がったということになっておりますが、実は測定値は破損前からかなり上がっているわけです。これは破損と関係ない。コバルト六〇というのが、要するに金属の粉がたまってきまして、放射化するために特定の場所にたまってくるわけです。つまり、そういうことから、もう破損前にかなり上がっているわけです。もちろんその破損に伴う放射線レベルの増加というのは若干ございます。ですから、それは全然ないと言っているわけではありませんが、破損に関連してそういうことをあまり強調し過ぎているのかどうか知りませんが、何かすべて破損のために放射線のレベルが上がっちゃったというようにそこにとらえるように書いているということは不正確だと私は思っているわけです。
 そういうことが事実でございまして、要するに私が申し上げたいことは、完全にもうすでに公表されているそういう技術的、科学的な事実関係でございます。ですから、これは、議論するとかいうそういう余地がむしろない問題でございます。
 そういう事の本質でございまして、したがって私はそれを見まして、先ほどは科学者としてアドバイスをしたというように先生は言われましたけれども、私はそのときに、はっきりと覚えておりますけれども、所長として注意をしたいというように言っております。これはほぼ一時間半をかけて中島君と対談しまして、それでいま言いました主として五点でございますが、それに対して、ある個所については繰り返し二度も、あるいは三度ぐらい言ったかもしれません。そのくらい説明すれば、いまの個所は、中島君も科学者でございますから、十分に私の指摘していることはわかったと思うのでございます。
 そういうことですから、それからあとでもう一回その指摘の場所をちゃんとしるしをつけてくれということでございますので、あとから中島君にお届けいたしました。別刷りについて、この個所とこの個所とを私はそのときに注意したのである。内容はずいぶん長きにわたっておりまして、これは科学者として、私の注意している個所はどういう個所と、私はわかってくれたと思うのです。
 ただ、御当人はたいへん不満であったということは申すまでもないのですが、私はそこで指摘したわけでございますから、それに対して、その場ですぐにああそうですかというわけにいかない場合がございましょうから、あとでもし異論があるんなら私のところに言ってきてくれるなりあるいはもっと議論として出していただければ私はいいと思う。しかし現在まで何もレスポンスがないわけです。私はこれは実は個人的に当人に注意する段階であったわけですから、個人的に注意をしたということでございます。
 それから、この問題についてもっと所内に知らしたらいいではないかということは、実は私もずいぶん考えたわけでございます。これは個人的な問題でございますし、注意ということは芳しいことではないわけです。ですから、そういう意味では、なるべく個人に注意して、しばらく様子を見ているほうがいいと思ったわけですが、最近この問題がたいへん発展してまいりまして、所内の人が知らなくて外のほうに知られるなんということになると、たいへんこれは、私どもとしても、研究所の所員にもっとこういうことはわかってもらうべきであろうというように考えましたので、所内のそういう部長会議とか事務関係の連絡会議ではおおよそのことについては内容は知らせております。それから、もうちょっとそれを簡略に書いた内容についても、近く所内の皆さんに知らせるつもりでおります。
 そういうことでございまして、しかし何といいましても、こういう問題というのは個人の注意深さということが非常に大事なんでございまして、いろいろと所内で慎重に審議した結果、これを懲戒処分ということにはしないで、よく注意をする、その注意も、やはり社会的な影響もありますので、厳重に注意したということであります。ですから、いわゆる懲戒処分的にとらえることはおかしいのでありまして、巷間懲戒処分というようなことが書かれておりますが、そうではないので、あくまでも注意であります。そういう次元としてこの問題をとらえていただきたい。さしあたりこれだけ申し上げます。
#7
○原(茂)委員 一応のそういう説明をお伺いしたほうがいいと思いまして、お聞きしておりました。中島さんといえどもあやまちがあることは当然だと思います。人間である限り、どんな学者先生であっても、あとで振り返るとどうも考え足りなかった、言い足りなかった、あやまちがあったという個所がずいぶんあるだろうと私は思います。これは人間だれしも通常だと思います。ですから中島さんの側に何らのあやまちがないという立場をとっていないのであります。たぶんあったと思う。先ほどもお伺いした急所は、中島さんからレスポンスがなかった、こうおっしゃいますが、やはりこの種の問題は、個所の指摘をチェックをして渡したというだけでなくて、やはり科学者に対して科学者が注意をしよう、これだけはこういうものだということが、条文的に親切に書かれて、それに対してまた応答があるならその応答に対してまたアナウンスしていく、こういう態度が文書によって精密に行なわれないといけない、これはもう前例としてぜひ必要だと思う。そのことを原子力局長からあるいは長官からの委員会における要請が伝わっていないようなんです。山本さんのお話ですと、概略を聞いただけだ、これは原子力局長が責めを負うのか長官が負うのか知りませんが、いやしくも委員会でそのことを強く要請をしたときに、何らそういうことはしないという答弁のない限り、完全に行なうのが義務だと思う。でなければ国会あるいは委員会における威信というものをおのずから傷つけていく、軽んじていくたいへんな問題だと思うのでありますが、これは長官なり局長からお答えをしていただきたい。
 宗像さんに先にお答えをいただきたいのですが、前段申し上げたように、この種の問題は、こまかい文書によってきちっと注意すべきは注意する、特に一度チェックをして、ここだと、相当長文のものにチェックをしてやったからというだけで、厳重注意のこういう書類を送達するときに、そういうこまかい個条書きのないということは、これは今後のためにもよくない、こう思いますが、どうでしょうか。
#8
○宗像参考人 詳しい文書をいま配りつつあるところです。
#9
○成田政府委員 厳重注意の理由について文書で詳しく出すべきじゃないかという御指摘が前回の委員会でありましたので、私、その次の日だったか、副理事長に来てもらいましてその旨伝えております。ただ、原研側では、これは懲戒処分ではなくて注意であるから、理由について文書で出す必要はないというふうに考えるという意向でありました。
#10
○原(茂)委員 宗像さんの答弁も、時間がありませんから一応お聞きしておきますけれども、近く文書を出すのではない、とにかく懲戒処分ではないのだ、厳重注意なんだ、何も個条書きに書かなかったなんということが許されてはいけないと思うのです、この種の問題に関しては。非常に重要なんです。こんなものを出しておいて、今後このようなことのないように厳重注意する――このようなこととは一体何だ。これが具体的になければ、いやしくも原子炉の安全性を中心にした論文をまないたにのせて論議をするときに、こんな個条書きのない、注意の項目が書いてないものなんか出して、やがて出すからいいという態度はよろしくない、こう思います。
 それから、局長が一応伝えてあったにもかかわらず、原研の側は、いまの宗像理事長の答弁にあるように、それでいいんだという考えが先行していますから、考えがあるから、少なくとも今日のこの半月以上たつまでにまだ個条書きのそういうものが出ていない、こういうふうに考えますが、これはまた来週の委員会において当局ともよく話をしたいと思います。
 実は私の時間が十一時十八分までなんであります。参考人の皆さんにも協力いただく意味でお考えおきをいただき、できるだけ簡略にひとつ御答弁をいただきたいと思います。
 そこで、原研の側に対しては、あとでまた時間がありましたら質問をいたしたいと思いますが、少なくともこの種の処分が――処分というのか何か知りませんか、懲戒委員会にかけて、そこで厳重注意という結論が出たのに、懲戒処分ではないんだ、懲戒とか処分とかには値しないんだという山本さんのお話ですが、私は、社会通念上、懲戒委員会にかけて出た答えが厳重注意だというときには、懲戒委員会のいわゆる意思が結集して何らかの処置を講じた、その処置の一つだろうと思うのでありまして、これが懲戒でもない、処分にも値しないなんという言い方で、この厳重注意というものが、前例があるのかどうか知りませんが、およそ私にとって、いままでの常識の範囲では理解ができない。そういう答弁ではおかしいと思いますが、時間がありましたら、あとでお伺いをいたします。
 大杉さんにお伺いしたいのですが、いまお聞きになりましたように、山本さんから論文の五カ所について簡略な説明がありました。これに関しましても、どうも理事者の皆さんと直接論文を書いた御本人かここでかみ合うようなことはうまくないんじゃないかという配慮が委員長その他にありまして、私どももそうだというので、きょうは中島氏をこの委員会にお呼びしないことにして、労組の、中島さん方を含めて常にこの問題を考えておられる代表として大杉さんに来ていただきましたので、御本人ではございませんから、冷静に、しかもある意味では厳格な態度で、言うべきことは十分におっしゃっていただいて、この委員会における審議のあやまちなきを期さしていただきたいと思います。端的にもしおっしゃることがありましたら、時間の許す範囲で、いまの山本所長のお話に関してもひとつ御発言をいただきたい。
 そのほかに、私から二、三お伺いをしておきたいのですが、第一には、論文の趣旨というものを中島氏にかわって簡潔に説明をしていただきたい。これはやはり山本氏からお話があれば、大杉さんからもお話があったほうがよろしいという意味でお願いをしたい。
 二つ目に、今回の研究所のいわゆる処分に対する労組側としての見解を述べていただきたい。これに関しては、この問題だけでなくて、過去一連のいろいろな事象があることを聞いております。そういう問題にからめて、ひとつ端的な御発言をいただきたい。
 三つ目に、過去の事例として一体どういうものがあったか、私がいろいろお聞きしている範囲でも、安全性を中心にした問題、あるいは当局と職員との間の問題等に関してずいぶんあったことを聞いています。聞いていますが、それも簡潔に大杉さんのほうからお答えをいただきたい。
 それから、先ほど申し上げましたJRR3燃料破損事故当時の状況について、これは大事なところですからひとつ御説明をいただきたい。
 その次に、原子力発電講師、こう言えばおわかりになると思いますが、弾圧ということが当たっているかどうか知りませんけれども、いろいろな意味でやりにくい、出ていきにくい、言いにくいことを含めて、何かこう一つの圧力がいままでかかっていたように聞いていますが、こういう事実があるかどうかを述べていただきたい。
 最後に、原研における事故報告の現状について。先ほど山本さんからお話がありました。形が変わっているんだというお話でございましたが、そういう現状は一体どうなっているんだろうか。内容、時間等も含めましてお答えをいただきたい。
 あまり時間がありませんのでお気の毒ですが、以上申し上げました数点について、端的にひとつお答えをいただきたい。
 それから、申しわけありませんが、長谷川先生に、いままで私の申し上げましたこと、あるいは理事者の側でお述べになりましたこと、これから労組の側がいろいろと話をいたしますのをお聞きいただきましたあと、次の二点についてお考えおきをいただき、御発言をいただきたいのであります。
 内容はごらんのとおりのものですし、一応ごらんになっていると思います。この種の論文を爼上にのせて懲戒委員会に付するというようなことか、先ほどから私が申し上げておりますようなわが国の原子力三原則なり憲法にいう言論の自由というような問題とからめて、いわゆる言論の自由が保障された範囲で、こういう論文の取り上げ方がされていいんだろうか、これもひとつ端的に、当局の態度に反する御意見であっても十分にお聞かせをいただきたいと思います。
 それから二つ目には、この内容の行き違いがあったにいたしましても、安全性に関してこれほど真剣に、常に考え、常に研究を行ない、これに対して論文を出すまでの労力を惜しみなく使っている中島氏の今回のこの種の論文というものは、いやしくも国民の求めている安全性を確立するためには必要な学者としての態度なんであって、その内容の指摘があったときに、あやまちはあやまち、勘違いは勘違いといって山本さんにもきっとお答えをしたと思います、十一日に。そういうようなことがあるので、いろいろの経過があったにいたしましても、これが研究所の名誉と信用をそこなうんだというような当局の考え方は誤りじゃないかと私は思いますし、むしろこの種の論文を出す真剣な態度に対しては、懲戒ではなくて褒賞、ほめていいんじゃないかというふうにすら考えますか、この点に関して長谷川先生の御意見をお伺いしたい。
 先に大杉さんからお答えをいただきたい。
#11
○大杉参考人 大杉でございます。
 最初に、この中島さんの論文の論旨を簡単に申し上げたいと思いますが、これは、原子力の過去の国内外の事故経験から学んで今後の事故防止に役立てよう、こういう趣旨で書かれたきわめて傾聴すべきものだと思っております。
 今日、科学者も国民も、原子力安全問題に大きな心配や関心を抱いております。そういう心配をほんとうの意味で取り除いて、健全な原子力開発が進むように、しっかりとした安全管理ができるようにということで、具体的提案までして主張しているものでございます。
 特に二つの面が強調されておると思います。一つは、事故例を記録、公開して流通させるということの必要性であろうと思います。このためアメリカのAECのWASH一一九二とか、あるいは「ニュークリアセーフティー」という雑誌、あるいはNSICのシステムといったものとわが国の現状とを比較いたしまして、わが国でも原研あたりで原子力安全情報センターを設けてはどうかというような具体的提案などもしております。
 もう一点は、事故における人的要因、たとえば教育訓練でありますとか、組織体制でありますとか、安全に関する考え方、自覚といったようなものでありますけれども、こういうものの重要性を指摘しております。この点で、イギリスのウインズケール事故における徹底した体制までさかのぼった調査と、わが国での先ほどから例にあがっておりますJRR3燃料破損事故のときの態度などを対比いたしまして、特に技術的原因だけではなくて、体制上の原因までさかのぼった事故調査の必要性といったものを指摘している、こういった論文であろうと思います。
 次に、処分に関する労働組合の態度でございますけれども、先ほど来論文を懲戒委員会にかけることはたいしたことじゃない、あるいは処分の程度問題だという御認識が出ておるわけでございますが、こういう感覚で研究所が運営されておるということ自体が私どもにとっては実に驚くべきことであります。しかも、先ほど原先生も御指摘ありましたが、「今後、このようなことのないよう厳重注意する。」「このようなこと」というのはどういうことかわかりませんけれども、何らかの禁止命令が出されておるわけであります。論文に対して権力をもって処断したり禁止を命ずる、こういうことは本質的に科学技術、学問とは相いれないというふうに私は思います。−山本先生のほうからいろいろと御指摘があったわけですけれども、直接的に一体どこが気に入らないのかという点は、私ども、また中島さんも理事会から聞いていないわけであります。要求しておりますけれども、今日現在まだいただいておりません。大体論文内容に異論があるのなら、学問の場で、論議の場でやるべきことだということは申し上げておるとおりですけれども、ですからこれはこの場で論議されるにふさわしいこととは思っておりません。しかし、先ほど来あるいはこの前もそうでありますが、国会などで大まじめにどことどこが間違っておるというふうにがんばられますものですから、そうがんばられます以上、火の粉を振り払わなければならぬという気もいたしますが、一言だけ申し上げておきたい。
 たとえば、JRR3燃料破損問題を扱っておる個所で、脳腫瘍治療強行の結果燃料の大破損が生じたというのが間違っておるというお話でございますけれども、事実は燃料破損続出の中で脳腫瘍計画が進められて、大破損が発見された後に脳腫瘍治療照射を実施した、こういうのが事実であります。こういうのをあげ足とりというのじゃないかと私ども思います。しかも燃料破損の事実経過については、論文のすぐ隣のところにきちんと日付入りで記載されておるわけです。しかもこの事故例研究の各論に入る前置きにこう中島さんは書いておられる。「事故の忠実な記述が目的ではなく、事故から何を学ぶかについての筆者の所見であることをあらかじめ断っておきたい。」、こういう前置きで書いてございます。実にばかばかしいと言っては失礼かもしれませんけれども、ほんとうにあげ足とりという感じをせざるを得ないわけです。
 ほかの指摘個所も、われわれがいま検討いたしましたところでは大体似たようなものと思っております。しかし、この点はいずれ学問の場で科学的事実をもってはっきりさせるということにしていきたいと思いますので、ここではこれだけにとどめておきますけれども、ただ言えることは、一部事実と相違したから云々で処罰されておるのではない、逆に、中島さんを処分するために一生懸命種をさがされた、こう判断せざるを得ないという感じを受けるわけであります。このことは処分後二週間もたった今日、論文のどこがいけないか催促しているにもかかわらず、まだいただいていない、きちんと文書で書いてよこさない、それをいまおつくりになっているこういう状態、そういう状態そのものが証明しているのじゃないでしょうか。これでは処分のための処分だと見られても当然なんじゃないでしょうか。
 どうしてこんな異常なことが原研でまかり通るのかということ、過去の事例などでございますが、何度かこの国会でも問題とされましたように、枚挙のいとまがないほど安全軽視一三原則軽視が重ねられてきておって、ついにこういう論文に処分をするというところまで立ち至ったわけであります。
 若干の事例を申し上げたいと思いますが、昭和四十三年三月に研究所が動力試験炉にロックアウトをかけた事件はあまりにも有名であります。研究所側は、電力会社からの意向があったということ、及び政府から人を減らせという意向があったというようなことから、当時五班三交代の勤務態様は四班三交代に変えるのだということで、一方的に業務命令で変更されました。しかもこれは労働協約に反して一方的にやりました。ですから、裁判の結果、昨年の十月研究所側は完全に敗訴いたしました。しかし、ここで争われたのは、いわゆる労働条件の問題だけではないわけであります。労働組合が主張しておりましたのは、原子炉の安全運転を確保し、運転者あるいは技術者の技術向上という観点から見て、五班三交代という勤務態様を変更する必要はない、守っていく必要があるということを主張したのでありますけれども、これが無視されたというのが事実であります。
 さらに、研究所が原子炉のまわりにさくをめぐらし、監視小屋を建ててロックアウトという狂暴な手段に奔走していたときに、労働組合は何をしておったか。労働組合は、当時起きておりましたJPDRの圧力容器のひび割れの問題を取り上げまして、安全を守るための検討、研究を進めておったわけです。
 今日なお裁判が続いておるわけです。しかも昨年の夏以来、この原子炉は配管のひび割れでもう十カ月もとまっているという状態でございます。所員多数がもう裁判を続けるのをやめてほしい、こういう希望をいたしましたけれども、所側は、がんとして受け付けられないで控訴されました。控訴と同日付で労務担当の理事がやめてしまわれるという異常もあったわけであります。
 四十三年八月に再処理署名弾圧事件、これも国会で取り上げられております。こういうのが起きておりますが、これは地元の住民団体が、動燃事業団の再処理工場の安全確保などを要求する東海村議会への請願署名を集めましたけれども、その際日曜日に原研住宅へも来たわけであります。原研職員、家族の三百名余りが署名いたしました。この署名簿を研究所当局は手に入れまして、署名した職員一人一人を呼びつけまして、場合によっては自宅へ行って家族にまで、なぜあんたはこんな署名をしたのだと詰問したわけであります。さらに理事長は、十一月一日付の文書をもって、動燃事業団に協力すべき研究所の方針に反する者があったことは遺憾である、厳に軽率な行動を慎むよう注意せられたい、こういう訓示を全所員にたれた。この事件は同年十二月の参議院法務委員会で取り上げられまして、人権局長は明瞭に請願権の侵害だと答えておられます。
 この再処理問題でありますが、原研ではこの再処理に関する研究はこのころ打ち切られてしまったわけであります。膨大な放射能を放出する再処理工場に問題はないという態度をとり続けてこられたわけであります。労働組合は何をしておったか。われわれは独自に再処理工場の安全のために各種の検討、研究を重ねてきたわけであります。幾つかの論文や討議経過が発表されております。昭和四十七年一月には、「原子力工業」という雑誌に再処理工場からの放射能放出をゼロにする必要がある、またそれが技術的にもできるという建設的な論文を、前の委員長の舘野氏の名前で発表しております。これはたいへん大きな反響を呼びまして、ほかのいろいろな公害問題の社会情勢もありましたけれども、原子力委員長も、このような方向で努力するということを打ち出されたというふうに聞いております。
 四十三年十一月から四十四年二月にかけまして、いまこの論文で問題となっているJRR3の燃料破損事故と技術者の処分問題が起きておるわけです。このときの経過については、先ほど御質問ありましたので別に触れたいと思いますけれども、とにかくこのときも、研究所当局が処分のための犯人さがし、原子炉運転の強行にやっきとなっている中で、労働組合は一生懸命に燃料破損の原因究明や体制上の問題を検討いたしておったわけです。そのためにたくさんのまた論文集が出ております。ですから、先ほど幾つかJRR3の問題で御指摘になりました個所につきましても、技術的な論文は私どもたくさん持っております。
 もう時間がありませんので簡単にいたしますけれども、この数年来、各地の原発地元住民から原子力安全問題で講演してほしいという依頼が労働組合に相次いできております。この前も町議会の議長から労働組合に説明してほしいという話がまいりました。こういう依頼がまいりますと、研究所は何のかんのといってじゃまだてをするというような行為が出てくるわけです。たとえば中島さんの例でありますけれども、講師に呼ばれた当日に東京へ出張命令を出される、理事長室に出張命令を出される、こういった事例があります。こういう事例はもう枚挙にいとまがないわけでありますが、たとえば、またあとで別途詳しくあれしたいと思います。それから、四十六年十月には、北日本経済漁業学会というところからの発表依頼を差しとめた事例もあります。
 それから昨年の十一月ですか、東海村の村議会から、中島さんが原子力安全問題で講演してほしいと頼まれました場合に、研究所は、この人は適当でないといってお断わりになった。重ねての村議会からの要求で出席いたしますと、その当日賃金がカットされる、こういう事件もありました。
 この間研究所は、軽水炉安全問題につきましては実証済みであって、安全問題であまりがたがた言ってもらっては困るというふうな姿勢であったと思います。つい二、三年前まで、いわゆるECCS問題がこんなになる前までは、軽水炉の冷却水破断事故研究については早く打ち切ってもらいたいというような指示を理事長みずから出されておったわけです。労働組合はその間どういう態度をとっていたか。原子力開発は、三原則を守り、公害を起こさないよう慎重に行なうという方針でやってきております。われわれは昨年末からことしにかけまして研究を行ないまして、「軽水型発電炉をめぐる諸問題」という本をつくりました。皆さんもお持ちになっておりますけれども、こういう本でございます。一冊三百円です、実費ですけれども。まだまだ充実させなければいけないものでありますけれども、これは勤務時間外に研究者が一生懸命がんばってつくったものです。労働組合がこういう仕事をしなければならぬということはきわめて残念だと思いますが、本ができますと、研究所の職制も争って買われる。研究所当局も七十数冊を買われる、こういう状態でございます。
 われわれのこういう安全への努力に対して、今回のような事件が出ましたということを、私は安全の問題への敵対だと見ないわけにはいかないわけです。安全を守ろうとする者、三原則を守ろうとする者に対して、こういう弾圧に加えて不当な差別処遇というものもいろいろと重ねられております。原研では労使紛争が多いということをしばしばいわれますけれども、いま幾つかの事例をあげましたように、この紛争というのはわれわれは何一つ起こしたわけじゃないわけです。すべてどれもこれも研究所当局のほうで引き起こされた事件、こういうことになっております。
 国際的にも知られた、わが国の原子力研究のセンターでもある原研でこういう異常な状態が続いてはならぬ、抜本的に改善しなければいけないというふうに私ども痛感しております。このままでは原研は、その学術的、公共的使命は果たせなくなるおそれがある、そういうふうに考えております。結局、安全を最終的に保証いたしますのは、権力によるのではなくて、わが国の科学技術者の持つ高度の技術であろうと思います。抑圧するのではなくて、これを伸ばし育てるという保証をしていただきたい。そのためにも今回の処分はぜひとも撤回して、伸び伸びと進取の気風に富んだ研究所にしていただきたい、そういうふうに私はお願いするわけであります。
 なお、最後の御質問にありました事故例の報告状況でございますが、先ほど来ありましたように、米国ではたとえば「ニュークリアセーフテティー」という雑誌が出ております。それからWASHというのが出ておりますが、この「ニュークリアセーフティー」というのは、日本で年間千八百五十円で入手できるわけです。これは年間六冊出るわけです。われわれ労働組合も、センター的なものをつくって交流制度をつくるようにということを、研究所にも要求いたしております。これに対しては研究所は、答える必要がないということで、これは断わっておられるというのが現在の状態であります。
 若干例を申し上げますと、原研での事故報告というのは、JAERIメモになっておったりJAERIレポートになっておったりいろいろいたしますけれども、全部がこういう公式の印刷物になっているというわけではありません。たとえば昭和四十三年に起きましたJRR2の制御台焼損事故に関しては、これの事故報告というのはいわゆる公式のレポートに登録されていないのではないかという気がいたします。あるいは廃棄物処理場建家内火災事故、こういうものについてもレポートに載っていないのではないか。あるいは、これも四十七年に起きましたプルトニウムボックス内の火事、こういったものもレポート類になっていないのではないか。あるいは同じく四十七年に起きましたJRR4の火災事故についても載っていないのではないか。この点はまだ研究所でどういうふうに扱われるか知りませんけれども、現在の状況では公式のレポートにはなっていないのではないかというふうに考えております。
 以上です。
#12
○山本参考人 先ほど原先生からのお話もあり、いま大杉委員長からのお話もありまして、たいへん時間が少ないようでございますから、非常に簡直に御説明させていただきたいと思います。
 まず第一に、懲戒委員会にかけたという姿勢ということを言われました。これは私どもは懲戒委員会でなしに、表彰懲戒委員会といっておりまして、これにかけたものはそれに値するというようなことでなしに、そういう幾つかの問題をここで扱っているわけでございまして、予断をもって懲戒するとかいうようなことでは今回の場合はなかったわけです。
 例をあげれば、表彰の事例などたくさんありましてもそれがすべて表彰されないとか、懲戒の場合でもそうでございまして、ただ問題がその科学的内容、先ほど論文の内容と言われましたけれども、むしろそういう科学的内容でなしに、研究所の信用とか名誉にかかわるというようなことについてどうであろうかという疑義がありましたので、この論文をどう取り扱うかということで、要するに取り扱い方について表彰懲戒委員会にかけたということでございます。
 それから、先ほど大杉委員長からのお話で、いろいろとお答えしたいことがあるのですが、中島論文の記事についていろいろと提案をしているということで、提案はたいへんけっこうでございます。安全訓練などについてというのも、これも研究所として大いにやってておりますし、それからウインズケールの調査委員会が体制までさかのぼって調査したのに、原研はお粗末であるというような御意見のようですが、ウインズケールの事故というのはたいへんな事故でございまして、近隣に放射能をまき散らした。まあそれだから私どもは軽視しているわけでございませんで、この当時、原子力局長からもいろいろそういう意味の御注意がありまして、原子力研究所のJRR3の燃料破損についてはずいぶん慎重に検討し、体制その他についても十分に見直し、改善を行なっております。
 それから中島君の記事の中に忠実な記録でないという前置き、これはエクスキューズを求めているその求め方によるのでございまして、私は中島君と話しましたときにこのことについてもよく聞きました。忠実な記録でないというのは、長々と書けないので簡略化するというような意味ですねということを言いました。そのとおりである、まあ別に荒筋が合っていればいいとかいう、そういうことになると荒さの問題になりますけれども、間違ったことの言いわけではないということを、中島君もはっきりそこで認めてくれたと思うのでございます。で、先ほどからこの問題の本質はどこにあるかということに結局かかわるので、個々のそういうささいなあげ足取りではないかというのに対して、私どもはそうではないということを言っているわけです。
 それからJPPRのロックアウト問題その他いろいろ大杉委員長からお話がありまして、それをひっくるめてちょっと原子力研究所の方針について御説明させていただきたいと思います。
 それはたとえば原発講師問題というやつですが、原子力研究所は原子力研究所法に定められているように、国の原子力開発を責任を持ってやる唯一の、唯一といいますか、基礎的な研究をやるところでございまして、それぞれの専門があります。ですから、研究所あてにいろいろと講師の御依頼があるときには、研究所としてその専門の方を出すというたてまえになっております。というのは、つまり原子力研究所の意見を代表している、大げさにいえば代表しているのですが、衆知を集めている人を出すのが適当であるということで出しているのでございまして、中島君はいろいろと範囲の広い知識を持っていらっしゃることは認めますが、分析の専門家でございますので、そういう原子力研究所がみずからやった研究ないしはそれに伴う経験、知識というものをもっていろいろと外部の御要請に応ずるという責務を果たすためには、私どもとして専門家を派遣するという立場でございます。個々に御依頼を受けた人については、もちろんそれを差しとめることはしておりませんで、ただ、原子力研究所の意見を代表しているかのごとくにならないように、個人の責任ないしは組合の責任でやっていただきたいということで、決してそれを押えつけたりということにはなっていない。一連のお話は大体そういう趣旨で処理しているということを御説明させていただきたいと思います。
 それから、先ほどECCSという重要な問題を理事長が打ち切れと言われたのは、これはおそらく誤解であろうと思うのです。軽水炉というのはかなり商業的に確立しておりますので、軽水炉そのものの技術はもうすでに産業的なレベルにいっていると思いますが、安全性の研究はずっと陸続として続けておりまして、ECCS問題とNSRR問題というのは、数年前から予算を出して、私どもとしては継続してやっておるのでございまして、たぶんこれは何らかの誤解であろうかと思います。
 それから、安全運動に対する態度でございますが、もとより安全運動に対しては、私ども、非常に重大であり、原子力研究というのはともかく安全を無視してはできないという点で、十分そういう点については尊重し、最大重要と考えてやってきております。
 それでは、時間がありませんので……。
#13
○長谷川参考人 それでは先ほどの原委員の御質問に簡単にお答えいたします。
 第一の問題は、論文を素材にして懲戒その他業務上の処置がなされたことについてでございますが、私は学術会議で学問思想委員会の委員をやっておりますし、また大学でも二十数年論文を書いて発表してきた経験からいいますと、戦前はともかく、戦後に学術論文を学術雑誌に発表して、その内容について行政上の処分がなされたり、あるいは業務上のいろいろな処置がなされるということについては、私は聞いたことがありません。ただ一例、論文が全く人のを剽窃して書いたものがあって、そういうものについてある私立の大学でその身分が問題になったということは聞いたことがございますけれども、論文に記載されている事実あるいは学説の当否をめぐって、行政的にあるいは業務的に処置がされたということは聞いておりません。また私もそういう経験はございません。
 ただ、私は公務員でありますが――私は憲法と原子力基本法に基づいて回答したいと思うのですけれども、原子力研究所の所員というのは一体どういう身分があるのか、私も詳しくは存じませんけれども、少なくとも原子力研究所は、原子力基本法によって政府の監督のもとに運営されている、法律上そうなっておりますが、政府の監督というのは、原子力基本法に書かれている民主的な運営とか、あるいは自主的とか、あるいはその成果の公開とか、ともかくいわゆる原子力基本法の三原則に基づいて政府は原子力研究所を監督しているはずでありますし、また研究所も、この三原則に従って運営がなされていると思うのです。そういう三原則に従って監督され、三原則に従って運営されている研究所の所員が、学術論文を学術雑誌に発表したときに、外部に学術論文を書いて発表すること自体は全然問題にならないで、発表されてしまった論文の内容について、その誤りが所長の名において、要するに科学者と科学者との問題として話し合われるのではなくて、所長と所員という形で問題になるということは、私にはおよそ理解のできないことであります。
 発表するかしないかとか、あるいは論文を書くのに勤務時間が使われたかとか使われないかとか、そういうことでしたらまだ幾らかわかりますけれども、発表すること自体は認めておいて、また問題にしないで、発表された内容について、たとえば事実問題であろうと、あるいは学説の理論的な問題であろうと、学術論文というのは、事実とそれに対する評価が一体となってできているのがあたりまえであって、その内容について、所長の名において所員についてそういうことが問題にされるということは、私にはわかりません。たとえば原子力研究所がその論文によって名誉を棄損されたと思われるならば、これは「科学」という雑誌を発行している発表機関――これは編集権を持って編集をして、それを発表しているんですから、発表した責任はまさにその雑誌にあるわけですから、あるいは発行者にあるわけですから、そことの間で直接に、名誉棄損されたその論文の内容の訂正を求めるなり、あるいはそれを通じてそれの著者との関係が問題になるべきであって、すなわち公に発表された論文を原子力研究所が、あるいは名古屋大学でもいいんですけれども、問題にする場合には、発表されたものを発表した人間と書いた人間を相手にして公式に問題にするのがいまの社会通念でもありますし、また法律的な処理のしかただと思うのです。したがって、その扱い方にかなり問題があると思います。
 また、その懲戒委員会あるいは表彰懲戒委員会というものを開いてそこで問題にしたというんですが、表彰はともかくとして、少なくとも懲戒の問題を問題にする場合には、その機関がもし民主的に運営されているならば、懲戒を受ける人間からヒヤリングをする、すなわち、その意見を公式に聞くというのが、いまの民主的な行政手続、当然のことであります。全く意見も聞かずに審議がなされるということは、民主的な運営とはとても言えない。
 それからまた、そういう外に発表された論文の内容自体を問題にすること自体が私は原子力研究所の業務の中には入っていないと思うのです。また、入っていないことをおやりになって、そして懲戒規定に書かれてない厳重注意という全く根拠のないことをおやりになっている。しかも、それを私的にやるならともかく、所長の名でやるということは、全く権限のないことを、規定のないことをおやりになっていると私は思います。したがって、私は法律家としてこの論文についての一連の措置は理解できません。
 それから第二の問題は、そのことが研究所の名誉と信用にかかわるかどうかという問題でありますけれども、少なくともほかの官庁なりほかの特殊法人あるいは私的な団体と違って、原子力研究所というのは、先ほど言いましたように、三原則に基づいて運営されているはずであります。したがって、民主的に運営されているか、あるいは自主的に運営されているか、あるいは研究の成果――もちろんその成果を生み出すに至ったそのプロセスが一般に公開されているか、少なくとも科学者に公開されているかということが、研究所の名誉と信用の一番基礎であります。したがって、研究所がたまたま事故をやったとかやらないとか、その事故のやり方がどうであったというような事実が知れるということが、あるいはそれが誤り伝えられるということが、その名誉と信用なのではなくて、原子力研究所の名誉と信用というのは、憲法あるいは原子力基本法に従って運営されているかどうかということが私は基礎だと思いますので、どうもこの名誉と信用というようなやや法律にはなじまないことばでありますけれども、こういう抽象的一般的な理事者の主観的な判断でどうにでもなるような理由で今度の措置がなされたということは、法律家にとっては理解できないことであります。
 そういうような点で、二つの点、私は憲法の特に科学者に認められている学問の自由、それから言論出版の自由、それから原子力基本法の三原則に照らしてみると、原子力研究所の処置というものは、原子力研究所をいろいろ規制している法令あるいはその業務規程に合致しないことをおやりになっているような印象が強いということをお答えしておきます。
#14
○原(茂)委員 どうもありがとうございました。
 時間がたいへん長くなりまして、個々にまだお伺いしたいことはたくさんあるのですが、あと瀬崎委員にまたいろいろとおやりいただくことで、問題の本質的なことに関しまして、原研のあり方、原研の理事者の思想性の問題等に関しましても、来週の委員会でまた長官あるいは局長等を中心に私の意見を申し上げ、改むべきは改めていただくようにしたいと思います。
 いずれにしても、処分であるかどうかわかりませんが、厳重注意のごときことは断じてすべきではない事柄であるというふうに考えておりますことだけ申し上げ、来週の委員会でまたひとつ締めくくりをいたしたいと思います。どうもありがとうございました。
#15
○石野委員長 山本参考人、簡単にしてください。
#16
○山本参考人 たいへん時間がないようでございますから、いまの長谷川先生の御意見に対してちょっと私の所見を述べさせていただきますと、長谷川先生の御説というのは、まさに学説とかそういうことについて、要するに学問の自由とかそういうことから発想されていることだと思うのです。ここに述べていることは、あくまでも事実を誤って書いているという、要するに科学者の態度というものに対して注意しているので、これは規定にないといいましても、これは理事長が監督をするための一つの指導行為であります。そういうことであります。
 それから、実は発表するときに、たとえば大学でも教授がよくそれを見るとかいうことで、発表に対しては、一応原子力研究所としては手続的に部長なり何か上司の者が見ることになっているわけです。そういうものがあるということをちょっとこの際申し上げておきます。中島君のはそういう手続を踏んでいなかったのであります。ちょっと簡単にそれだけ……。
#17
○石野委員長 瀬崎博義君。
#18
○瀬崎委員 参考人の諸先生、御苦労さまでございます。時間が非常に制約されておりますので、委員長にもお願いして、こちらが御指名した方以外の御返答はもうあらかじめひとつされないようにお願いしておきたいと思います。
 まず、長谷川先生にお伺いをしたいのであります。
 先ほども原子力研究所の名誉と信用とは何ぞやというお話の中で触れられましたが、いま一度総括的にお答えをいただきたいのでありますが、日本原子力研究所法では、設立の目的にはっきりと原子力基本法に基づいてということが定められてありまして、その業務の範囲の中では、原子力の基礎的研究、応用の研究、原子炉の設計、建設及び操作にかかる成果を普及すること等も定めているわけなのであります。さらに、これらの基礎になる憲法との関連も含めまして、原子力研究所で研究過程で起こった事故や危険事例及びその調査、分析の成果等も含めて、こういう研究の成果のあるいは過程の原則的な取り扱い方はどうあるべきなのか、この点をひとつ要領よくお答えをいただきたいと思うのです。
#19
○長谷川参考人 私は、二つ問題があると思います。一つは原子力研究所並びに原子力研究所の所員が勤務上業務として行なう仕事としてどうあるべきかということと、それから原子力研究所に勤務している科学者が科学者として勤務外に自分の一人の科学者の良心に基づいて学問的意見を述べるという問題と、二つ問題があるのじゃないかと思います。
 第一の問題について言いますと、原子力基本法は、先ほど私が繰り返し申しましたように、原子力の研究について、平和目的、そして民主的な運営とか自主的とかその成果の公開ということをうたっておるわけですから、たとえばどういう事故例があったか、あるいは事故が起こりそうな危険があるかとか、そういう予測も含めて、原子力研究所自体ができるだけ国民一般に、それから特に同種の研究をしている科学者のすべてに問題がわかるように運営してくれることが一番法律の趣旨に合致しているのじゃないか。そういうたとえば事故例とか、あるいは何か危険性とか、そういうものを隠して、ただ安全だという印象をみんなに与えることが原子力研究所の任務ではないので、むしろ科学者が集まっている集団ならば、最近の公害の問題なんかみんなそうですけれども、当時は安全だと思っていたのが危険だったというようなことで、あとから言ってもどうしようもないことが多いわけですね。ですから、そういうことを考えると、やはり科学者が大多数集まっておられる研究所ならば、将来を予測した、危険性を加味したことについてまで明らかにすることが法の精神だと思います。
 それから第二の問題は、そこにつとめている研究者は、やはり原子力なら原子力についての専門家でありますから、その人が自分の良心に基づいて、自分の知り得たデータによって学術論文を書くということは全く自由であって、もしそれの内容について問題があるならば、それは同じ発表された学術雑誌で逆に、所長も科学者ならば、一人の科学者としてそこに原稿を出して、要するに「科学」という雑誌を読んだ人に対して、また同じ読んだ人に違う反論を出すなり、そうやって科学というのは進歩すべきであって、所長の身分とかあるいは所員というような肩書きつきで科学の問題、事実認識の問題についてば争い合うべきじゃないと思います。
 特に、事実の問題だということを先ほど強調されましたけれども、まさに科学というのは事実をどう評価するかという問題なのであって、先ほど言いました、たとえば主任技術員が沈黙したなどという事実ですね、これは管理者ならば、そんなことはないと言うのはあたりまえのことなんで、ただそれを組合なら組合的に見ていけば、黙ったという、たとえばその人間が黙ったのか黙ってないかということは、まさに政治的な評価の問題であるし、その人はまさか一言も言わないわけじゃないのですから、何かは言っていても、言ったことがどういう意味があるかということは、理事者の判断と組合の判断とは、これはどこでもそうですけれども、対立するのがあたりまえなんです。だから、その対立を客観的に見て、それがどういうものかということは、まさに科学的にお互いに議論を戦わせなければわからないことであって、これは事実の問題だから科学の問題ではなくて、これは業務上の、所長がおまえが間違っていると言えば済む問題だなんというようなそういう評価は、たとえばさっきの一例でいえば、主任技術員が黙ったか黙ってないかなんというのは、きわめて政治学的な、社会学的な重要な問題点なんであって、自然科学者が事実だといって済むような問題でないということをお答えしておきます。
#20
○瀬崎委員 よくわかりました。
 では、その中島論文が全体としていわんとする真意は、われれわどういうふうに見たらいいのか。これは一言で大杉委員長にお答えをいただきたいと思うのです。
#21
○大杉参考人 過去の事故例から教訓を学んで、事故防止のためにどういうことが必要かということを研究するというのがこの論文の真意だと思います。
#22
○瀬崎委員 これはひとつ前田長官にお伺いしたいのですが、いまの長谷川先生のきわめて基本的な観点のお話と、それから中島論文がいわんとする全体の流れについて、どうでしょう、御記憶にとどめておいていただけるか、御確認いただけますか。
#23
○前田国務大臣 先刻来のいろいろな問答を私、聞いておりましたら、発表された中島研究員のその論文のうちに、事実に反したといいましょうか、そういう点があるというふうな御指摘であったわけでありますが、私は中島研究員もなかなか勉強家だと思います。しかし、これは原子力研究所という一つの組織でありますので、その組織の人として何らかのチェックを受けるということはやむを得ないんじゃないか。もちろん科学というものは真理を追求しなければいけません。しかしながら、事実に反することについてはチェックを受けなければいけない、私はそういうふうに考えております。しかもそれは、非常に慎重に――それについて先生方は、いやそうじゃないんだ、これはこらしめのためのやり方だというふうな解釈をされておるようでございますけれども、私の聞いておるところによりますと、表彰並びに懲戒委員会ですか、そういう委員会でよく相談をして、これは別に初めから中島君をどうしようこうしようという意図じゃなくて、慎重に審議をいたしました結果、事実に反しておるけれども、懲戒はしないんだ――処分も懲戒だというように広く解釈する考え方もあるかと思いますけれども、これはそういう懲戒という意味じゃなくて、厳重に注意するという処置をとったというふうに私は思っております。しかも、その処置をとるにあたりましても、簡単に厳重注意というものを行なったんじゃなくて、一時間以上もよく話をした。お互いに知り合った仲でありますから、にわかにその人に会ったのじゃなくて、しょっちゅう顔を合わしているんだろうと思うのです。毎日会うておるのかどうか知りませんが、心安い仲ですから、そうかしこまって言わなくても、お互いにようコミュニケーションというものがあったんじゃないかと思っておりまして、そこまで念を入れてやられたということも私は聞いたわけでございます。しかし、もちろん言論の自由、原子力基本法の三原則というものを守らなくちゃいかぬということはよく存じております。
#24
○瀬崎委員 私もこの間原子力研究所へ現地調査に行かしていただきまして、理事者側、組合側からいろいろお話を承った上で、特にこのJRR3の破損燃料に関する詳しいデータは、一応私たち、専門外といえども、どういう形で扱われたのか目を通す必要があるというので、このJAERIメモ三七八二号の資料提出を求めたわけでありまして、やっとこれが出てきたわけであります。
 まず第一に、このJAERIメモ三七八二号は一体何部出ているのですか。部数だけ答えてください、山本所長。それ以外のことは言わないでください。
#25
○山本参考人 メモというのは約五十部だと思います。
#26
○瀬崎委員 これは「未公開」という注釈がついておりますが、このJAERIメモはすべて未公開ですか。
#27
○山本参考人 未公開と公開がございます。それで、未公開といえども別に秘密というのでなしに、評価が十分でないとかいうインターナルレポートの状態のときには、特に未公開的な扱いをしております。
#28
○瀬崎委員 所員であれば、この未公開といわれているメモ、五十部のメモの存在は常に知り得る状態にあり、かつ、いつでも目が通せるような状態になっているのか。これは大杉委員長にお答えをいただきます。
#29
○大杉参考人 これは図書館に登録されておるということですから、見ようと思えば見れると思いますけれども、実際にはこういうふうにメモになっているものとなっていないものがあるということを申し上げておきたい。
#30
○瀬崎委員 同じく原子力問題を研究していらっしゃる方々一般が、つまり所員外の研究者が、こういう燃料破損事故について一度よく知ってみたいという意思をお持ちになったときに、こういうメモが出ているということは、簡単に知り得るような情報伝達のルートがあるんですかないんですか。大杉委員長、重ねてお答えいただきます。
#31
○大杉参考人 JAERIレポートについてはそういうルートはあると思いますが、未公開のJAERIメモについては、おそらくタイトルの紹介程度のものが何か出ているのかもしれませんけれども……。たとえばアメリカの「ニュークリアセーフティー」とか、そういうもののように広く流布しておるということにはなっておらないようです。
#32
○瀬崎委員 いまの事実は、所長お認めになりますか。
#33
○山本参考人 ただいまの所内資料に関係したものは図書館に置いてあります。それから毎月、研究成果抄録集というものが出ておりまして、これはずいぶん広く配られておるのでございます。これにその概要といいますかアブストラクト、抄録されたものが出ている。これは研究員に配られておりますから、そういう存在はつかむことができるようになっております。
#34
○瀬崎委員 この「要旨」は、「照射にともない、SIH」Sは住友、Hは日立だそうでありますが、「ウラン棒表面にシワが成長し、アルミ被覆管を突上げた。アルミ被覆管の展延性が乏しかつたため、シワ成長に追従できず小さな亀裂を生じた。その亀裂を滲透した重水がウランと反応してウラン酸化物を作り、体積膨脹して破損開口に進展した。」という結論なんです。ですから、一定の結論が出ているにもかかわらず、まだ研究不十分だというふうな理由のもとに未公開、広く一般に公開されない、そういう態度自身がどうも私には解しかねる。先ほど言われました、まだ十分な調査結論を得ていないという理由のもとにたった五十部程度の出版しか行なわれず、かつ未公開という条件がついている。ちょっと読みますと、「このメモは、日本原子力研究所でなされた研究の、所内における検討と利用のために作成された報告書です。公刊物への引用・レファレンス・転載は原則として禁じますが、やむをえずおこなう場合には著者の承認と未公開である旨の注記が必要です。」こういうことが書いてある。こういうことは、先生のお立場から見てどういうふうにお考えになりますか。
#35
○長谷川参考人 私は、先ほどの三原則からいうと、よほどの理由がない限り、公開することによって学術的にもあるいは社会的にも非常に損害を与えるというような理由、かない限り、何か原子力研究所の、所の理由づけでもって未公開というものをつくるというのは、公開の原則に反すると思います。また、原子力基本法では、「その成果を公開し、」となっているのですけれども、学問的なあるいは研究の成果というのは、失敗したのも一つの成果でありまして、要するに、これは結果を公開するということでありますから、何か、うまくいったのだけが発表されて、失敗したのは公開する必要がないというふうに、もし原子力基本法を読まれると、私はこれは非常に間違った考えになると思います。
#36
○瀬崎委員 私どものほうからJAERIメモ三七八二号の提出を再三要請したのでありますが、工藤総務課長は、この資料の提出にあたって二度も渋ったのであります。その理由が、先ほどの所長の理由とは違って、企業の機密と関係があるので、企業側の了解を得なければならないから、こういう理由であったわけであります。先ほど説明された、未成果の研究結果について未公開になったとおっしゃったが、一体どっちなんですか。
#37
○山本参考人 たとえば、ただいまのJAERIメモに関してでございますけれども、これはあくまでも臨時的なレポートでございまして、それでこれが未公開になるというのは、ときにはその内容が、工業所有権、パテントに関係する、しかし、ある程度の人に配って十分議論をしてほしいというときに関係の方面に配るという、そういうような意味で未公開になっているわけです。
 それから、企業との共同研究というのは、これはどうしても、原子力研究所としては一つの仕事の中に入っておりまして、これはやはり、その成果についてはある期間公表しがたいという場合が出てくるかと思うので、それで企業との了解を得なくてはいけないということもあるわけです。現在、そういう種類のものはすべて、先ほど大杉委員長が言いましたように、図書館に来れば見られるようになっております。
#38
○瀬崎委員 ごまかしちゃいかぬです。私が聞いておるのは、このJAERIメモ三七八二号の未公開の理由は何かと先ほど山本所長にお尋ねをしたら、十分な研究の最終的結論が得られていないようなものについては未公開なんだ、こうおっしゃったのですよ。ところが、工藤総務課長は、工業所有権等の問題を理由に、企業側の了解が必要だから、こういう理由だった。違いがあるから、一体どっちなんだと聞いておるわけです。未公開の真の理由は一体どっちなんですか。
#39
○山本参考人 ただいま申しましたように、やはり企業の秘密といいますか、そういうものもありますので、完全に公開できない場合があるということでございますが……。
#40
○瀬崎委員 長谷川先生に再度お伺いいたします。
 先ほど所長は、研究が一定の到達点に達していない場合に未公開ということがあり得る、こういう話。いまは言いかえて、今度は企業機密というものを出された。こういう企業機密と公開の原則との関係について、ひとつ先生の立場から基本的な見解をお願いしたいと思うのです。
#41
○長谷川参考人 まず第一に、原子力研究所の研究が自主的に行なわれなければいけないということは、たとえば、日本の原子力研究が、外国、ある特定国の要請によったりそこに依存したりしてはいけないということと、それから国内においては、これはやはり政府の監督のもとに公的に政府の資金が出されて行なわれている機関ですから、私企業の影響によって研究が左右されてはいけないという二つの意味を含むと思います。したがって、もちろん企業と共同で行なうことがかりにあったとしても、その企業がすでに法律で守られている、たとえばパテントのようなものを、この原子力研究所のほうでその秘密を暴露するというようなことばもちろん問題があると思いますけれども、企業秘密といっているのは、企業できめていることであって、原子力研究所では、ある会社の企業秘密が何であるかということはわかりませんし、またそれは企業できめることですから、原子力研究所がかってに、これは企業秘密であろうというふうに憶測したり、あるいは企業秘密だと言われたことを、企業秘密だと思ってそれを未公開にするということは、私は自主性に欠けるやり方だと思います。
#42
○瀬崎委員 さらに、工藤総務課長は、この資料提出にあたってこういう条件をつけているわけであります。中島問題の件が終わったら、この文書は返してほしいということ、それから、この中島問題の件以外には使わないでほしいということ。私どもは、いま未公開の理由に企業機密の問題を出されたり、これが研究途上だという理由を出された、こういうこと自体が、ほんとうにそうなのかどうかということを、やはり専門学者に目を通していただいて意見を求めたいと思うのだが、そういうこと自身も暗に禁ずるような条件がすでに、出されている。こういう点は、われわれは別に何もパテントを悪用しようと思っているのでも何でもないのであって、国権の最高機関である国会論議に必要だからこれの提出を要求したのです。こういう見地から見て、国会に資料を提出するにあたって、いろいろそういう条件をつけてくること自体について、恐縮ですけれども、再度長谷川先生の御意見を承りたいと思うのです。
#43
○長谷川参考人 私は、少なくとも国会に関する限り、企業秘密を守るために国会に資料提出しなかったり、提出したものについて使用の制限を加えるというようなことはおよそ考えられないことだと思います。
#44
○瀬崎委員 長官、ひとついまの問題をここではっきりと確認しておいていただきたいと思うのです。今後こういうことを二度と起こさないように、われわれ国会が要求した資料は完全に公開しすね。
#45
○前田国務大臣 ただいまの、国会から要求した資料については全部提出せよという御質問に対しては、全部提出するということは私言いかねると思います。といいますのは、もちろん原子力基本法は公開の原則はございます。けれども、私ども、企業秘密ということば自体が何だか非常にいやな印象がするのですが、少なくとも、特許法というふうなものがありまして、そうしてやはり個人のそういう財産権というか、そういうふうなものをいま保障しておるわけでありまして、それで特許申請前のそういう秘密については、やはり出すことはできないというふうに私は考えております。
#46
○瀬崎委員 問題は、これが長官の言うようなことに値する報告書なのかどうかということをわれわれが検討しようと思ったときに、これを中島問題の件以外に使わないでほしいなどというふうな条件をつけて私どものところへこの資料を出してくる、こういう原研の態度がどうなのか。その点でいま長谷川先生の御回答があったわけです。その長谷川先生のお答えを長官はどう受けとめるのか。もっともだとおっしゃるのか、それとも、私はそれに従いませんとおっしゃるのですか、どうですか。
#47
○前田国務大臣 ただいまの瀬崎先生御指摘の資料でございますが、それがどういうふうに企業秘密が入っておるのか、私もいま聞いたばかりでございまして、その点ちょっと、よく聞いて御返事をいたしたいと思います。
#48
○瀬崎委員 この燃料破損という、これはきわめて重要な事故、しかも今後の原子力の安全性の研究の上にはこれは欠かせない報告書だと私は思う。しかも私がばらばら見たところで、企業機密に抵触するようなものはそんなに出ていないように思うし、さっき長谷川先生のように、原子力研究所のほうがかってに、これは企業機密だろうと想定して資料云々すること自身が本来おかしいんだというお考えもあるわけなんです。ですから私は、こういうものが企業機密に値するものなのかどうなのか、これは一ぺん専門学者にも大いに検討してもらいたいと思っているのです。そのことはここではっきり申し上げておきたいと思う。その上で、原研の主張なり態度に対して、あらためてわれわれはもっと反論していきたいと思いますね。ただ、こういう資料一つの提出にそんないきさつがあったということをこの場で明らかにしておきたいと思うのです。
 さて、先ほどから山本所長も、前田長官も含めて、厳重注意というのは、慎重な態度をとったので、処分じゃないというふうな印象をつけようとされてみたり、あるいは所長名だから一種の処分であるようなニュアンスを出してみたり、われわれも全く理解に苦しむんだけれども、先日現地へおじやましたときに、過去にこういう事例があったというところの説明があったものだから、じゃ、どういう事例があったのか出してくださいと言ったら、何か所内で小さな火事、ぼやだね、そういうものがあった、そういうことに対して、これはけしからぬという厳重注意書が出てきたんです。
 さて、これも長谷川先生をわずらわすようになるのですが、今回のこの「科学」に意見を発表した学者に対して、名誉と信用をそこなったといって注意してきていることと、火事を起こしたからそれに対して厳重注意だということと、これを同質に論ずるような、また同一の資料として出してくるような、この所側の態度をどうお考えになります。
#49
○長谷川参考人 ぼやと論文を同じに扱うということは、あまり常識に合致してないと私は思いますし、また、先ほどから研究所の名誉と信用ということが非常に問題になっておりますけれども、私は、一人の科学者として、処分規定にない、要するに業務規程にないわけですね、厳重注意というのは。だから処分だと言えないわけですけれども、業務規程にないような厳重注意がなされて、それが新聞にもいろいろ発表された、その科学者の名誉と信用というものは一体どういうことになるのか。それをむしろ――私は聞く立場ではありませんけれども、私は、研究所の名誉と信用ということが言われるならば、その所員の名誉と信用というものをもっと考えておやりになるならば、ちゃんと業務規程に従って、そしてもしその業務規程が民主的でなければ民主的に改革して、そして処分をするならする、しないならしない、やはり原子力研究所としては法的にきちんと運営されるべきだというふうに思います。
#50
○瀬崎委員 先ほど大杉委員長から、いろいろ組合がこの安全問題の研究等々のために尽力されたことをお伺いいたしました。特に中島篤之助氏をはじめ、そういう点で非常に真剣な努力をされてきた人々、また勇気を起こして発言をした人々が、逆に不当な差別扱い、特に賃金等で非常に差別扱いを受けているんだということも聞いているんですが、ひとつこの顕著な例として、もう時間が何ぼもございませんから、一、二例だけ、こういう事実があるんだということを、そういう差別問題として明らかにしていただきたいのです。
#51
○大杉参考人 中島さんは、おそらくその実績からいきますと、部長あるいは主任研究員というクラスに相当するのでありますけれども、現在まだ副主任研究員という状態でございます。同様に、福田さんという人がおりまして、この人についても、理事長はいつかの国会で、この人は人となりが心配だということを言われたわけでありますけれども、北日本経済漁業学会の発表を禁止された方でありますが、この人もまだ副主任研究員にとどまっておるというような状態でございます。
 それから、期末手当、ボーナスでありますけれども、いつも四人のメンバーが一割低いわけです。その人の名前を申し上げますと、中島さんと福田さん、それからもう一人は、いま東海村の村議会議員をやっております坂本さん、それから現在労働組合の中央委員をやっております大野さん、これはいずれも副主任研究員でありますけれども、この人たちは常に成績が悪いということでボーナスは一割減になっております。なお、組合員でない人については、こういう一割減をされている方は、たとえば昨年十二月の期末手当を見ました場合に、ゼロであります。
 それから、もう一つだけ例を申し上げますと、この中島さん、大野さん、福田さん、坂本さんの四人は、この数年来、定期昇給が毎年三号であります。三号といいますと、標準は四号でありますが、この人たちはずっと三号であります。
 以上、簡単ですがお答えいたします。
#52
○瀬崎委員 私たちはしろうとですから、常識的に考えて、今日、利潤を追求することを至上命令にしている一般の民間企業でも、労働組合運動を一生懸命にやったというふうな理由でもし賃金差別をしたら、たちどころにそれは不当労働行為だといわれるような時代と心得ておるわけなんですが、この原子力研究所の中において、われわれ国民の側から見れば、昭和六十年度に六千万キロワットの原子力発電所をつくるのだと言って、住民のいろいろな不安や反対を押し切ってしゃにむに建設を進める中で、住民のサイドに立っていろいろ相談なり話に乗ってくれる人を一度派遣してもらいたい、また、そういう人の意見を聞きたいというふうなことで努力された研究員、学者がこういう状態に置かれているということは、これは一国民として見過ごせないと思うのです。こういうふうな原研内部に大きな賃金問題等を含めて研究員に対する差別扱いが行なわれているということに対して、これは長谷川先生、こういう現状をどういうふうにお考えになりますか。
#53
○長谷川参考人 私は、その事実について専門的にあるいは詳しく調べておりませんから、これは学術会議でいま原研の組合から提訴がありまして、原子力特別委員会というところとそれから学問思想自由委員会という二つの委員会で、この事実は、いろいろな客観的な資料に基づいて調査しておりますので、その調査に基づいて学術会議の意見はまた発表されるでしょうし、私もそれに基づいて意見をきめたいと思いますので、ただいまの点については一般的な感想は控えさせていただきます。
#54
○瀬崎委員 では、時間が参っておりますから、最後に、きょうの私どもの質問なりお答えなりをずっと聞いておられて、私たちは、個々の問題ではなしに、全体として憲法や憲法に基づく原子力基本法、それに基づく原研の民主的な運営ということについて、もっともっと原研が国民のために民主的な運営が行なわれたいと望みたいのです。ひとつ宗像理事長にその決意を聞いて、私の質問を終わりたいと思うのです。
#55
○宗像参考人 基本的には、民主的に選出された国会の同意を得て任命されている原子力委員が、民主的な合議制によって日本原子力研究の基本について企画、審議、決定して、原研はこれに基づいて研究を進めることを確保されているのでありまして、私もこれを守って、よく先生方がおっしゃる原子力の研究に関係して自主、民主、公開を守ってやっていくということは、先年、私もここにいられる先生のある方にもよく御説明申し上げましたし、また、あらためて申し上げることもしたいと思うのでありますけれども、時間がありませんからいたしませんけれども、しかし、とにかくきめられたとおりにきちんとやっていく。しかし、原子力研究所は目的を持った研究をする機関でございます。ですから、それを民主的に内部の運営をしていくことももちろんやっておりますし、それから職制を通じて職員の意見を十分聞いて、そして指導もしております。
 しかし、私はそれ以上に、研究所がりっぱに育っていくためには、研究所員がりっぱに育たなければいけないということが私の信念であります。これについては、私はもう自信を持ってその研究員を指導することをしております。ただ、この間もおもしろい一例があるのでありますが、私、実はここ数年、こういうふうにすれば皆さん育つのですよ、こういうふうにすれば研究は進んでいくんですよということを、私、自分の長い体験から割り出したも一ので、よく研究員の人たちに、たとえば朝行って、午前中二時間、午後四時間、その間昼めしも一緒に食い、晩めしも一緒に食って、質疑応答しながら、ことに若い人を指導しているわけです。
 そういうふうにして、研究所というものは、もちろん予算をもらって設備をりっぱにするということも、研究所を運営する上に非常に大事なことでありますけれども、中にいる人たちがりっぱに育って、そして研究所を盛んにしていくことをぜひしたいと、これは念願しております。
 日本の国のいままでの研究が、先ほども先生がちょっとおっしゃいましたのに触れますが、今までどうしてもコンファーメーション・サクセスという行き方ばかりしておる。これが日本の科学研究を非常にまずいものにしておりますね。片寄ったものにしておりますし、いつも後進性です。日本の研究がトライ・アンド・エラーでいくようなやり方に持っていかなければいけない。それはどういうことをすればいいのかということを若い人によく話をしているのですがね。
 そのときにおもしろいことがあった。大体――それじゃもう時間がありませんから、また先生とお話ししましょう。
#56
○瀬崎委員 最後に、これはお答えを求めるわけではありませんが、いま目的を持った研究機関だとおっしゃった。その目的とは何ぞやといえば、また繰り返しになるけれども、「原子力基本法に基き、原子力の開発に関する研究等を総合的かつ効率的に行い、原子力の研究、開発及び利用の促進に寄与することを目的として設立される」、ここに尽きるわけなんです。おそらく理事者側も職員の方々も全部この趣旨に沿って一生懸命やっていらっしゃるわけです。理事長の若い人々の育成は多とするけれども、しかしそこは科学者だから、もっと客観的に所内をながめていただきたい。現に国会で争われなければならないような大きな問題が所内に起こっているわけなんでしょう、同じ目的を追いながら。だからやはりそこはなぜかというところをもっともっと科学的な目で見ていただいて、ほんとうにそういう理事長の理想が生きているとするならば、こんなことにならないはずなんだ。そこのところからもう一度原点に立ち戻って考えていただきたい、私はこういうことを要望して、質問を終わります。
#57
○石野委員長 北側義一君。
#58
○北側委員 先ほどからの論議を聞いておりまして、大体の事件の概要とか経過はわかったわけでありますが、原研側はどうなんでしょう。中島論文について、「科学」に掲載することについては御存じだったのでしょうか。
#59
○山本参考人 お答えいたします。
 ただいまの件につきましては、私どもとしては発表前には知りませんでした。
#60
○北側委員 私、思うのです。実は原研の就業規則があるのですがね。これは次に長谷川先生にお尋ねしたいのですが、科学者というのは、その専門分野において自分の意見なりまた自分の考え方なり、そういうことを広く発表して、特にこの原子力の安全性の問題につきまして非常に住民の関心が強いわけです。そういうところからこの就業規則を見た場合に、こういう一項があるのですね。たとえば「(許可を要すること)」第七条です。その中に「業務に関して新聞、雑誌等に寄稿し又は出版し若しくは講演等をすること。」こういうことをやっちゃ、結局許可を得なければいけない、こういうことになっているのですね。そうしますと、私思うのですが、そういう専門分野の問題について寄稿を依頼されたり、講演を依頼されたり、そうした場合に、その当事者としては許可をもらわなければできないという考え方ですね。これははたして、原子力基本法の三原則に照らして、学問の自由という考えに照らして、また表現の自由という考えに照らして、妥当なものかどうか、こういう疑念がわくわけなんですが、この点についての先生の御意見がありましたら、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#61
○長谷川参考人 ただいまの規程で考えなければいけないのは、「業務に関して」ということですね。これを非常に広く解釈しますと、原子力研究所につとめている原子力研究の専門家は、自分の学術論文は一切、発表する場合に研究所の許可が要るということになります。しかし、先ほどお伺いしていますと、懲戒委員会を開いて討議されて厳重注意されたそうですけれども、そのとき許可を得ずに外に発表されたということは全然問題にならなかったそうですから、そのことは、やはりあの論文は別にこの規程でいう業務にかかわるものというふうにお認めにならなかったのだろうと私は推察いたします。
 また、私の考え方ですと、この業務に関するということは、その業務に関係している人以外には知り得ないような事実、そういう事実を発表する場合に、研究所の許可が要るということであって、別にそこにつとめていなくても、科学者であるならば調べればわかるような事実に基づいて論文を書いて外に発表するということは、これは全く業務と関係のない、勤務時間中に論文書いていれば別ですけれども、そうでないならば、全く業務と関係のない、これは学問の自由の問題であって、われわれ公務員だってそういう自由があるのですから、ましてや研究所の所員がそういう自由がないというふうには私は思いません。
 また、先ほど来問題になっている組合とか、そういう外部団体から、ある特定の個人の意見を求められている場合に、これは別に原子力の問題だからといってすべてが業務になっているわけではないのであって、その人が、たとえば原子力開発について賛成か反対かとか、なぜ反対かとか、なぜ賛成かというようなそういう特定の意見を持っていれば、組合であろうと政党であろうと、どんなところへ行ってしゃべるかしゃべらないかということは、その人の自由であって、原子力研究所が、勤務外のことまで一々監督する権限なんというものはありようがない。私は、公務員ですらそういう自由を保障されているのに、公務員でもない職員が、そんなことまで、身分的なことまで監督を受けるということはあり得ない。
 だから、先ほどちょっと言いましたけれども、科学者としてその人の書いた論文の事実、内容について、間違っているぞということを中で話し合うことは、これは科学者の任務でありますけれども、行政的にこれを処置する、所長と所員という形で扱うべきものではない。もし扱ったら、そういうものを許可もなく外に発表したことを不問に付しておいて、事実が間違っておることだけを厳重に注意するということは、全く研究所としては自分の責任を果たしてないということになります。私はそれを不問に付したのは正しいことだと思いますからそうば追及しませんけれども、私の意見はそういうことです。
#62
○北側委員 山本さん、いかがですか。
#63
○山本参考人 ただいまの問題でございますが、業務に関して発表するときに許可が要るということですが、中島君の論文は不問に付しているのではないのでございます。そもそも、こういう許可をする許可事項といいますか、承認事項になっているというのは、もともとその研究の成果、つまり業務に従って行なわれた研究の成果というもの、それはいろいろの問題を含んでいるわけです。たとえば学問的な内容とかあるいは工業所有権に関するとか、そういう点で上司の人がよく見て、これが適当であるかどうかということをブラッシュアップする。これは大学でも教授が指導の意味でやる場合もありますし、いろいろな意味でそういうことをやるわけです。ただし、そういうことをすることは、学問的とかそういうことでいえば非常に内容が大事なんでありまして、内容に関してというのがもっとエッセンシャルだと私思っているわけです。ですから、中島君のこの記事については、むしろエッセンシャルな内容についてまず注意をしているのでありまして、その許可事項についてどうこうということは現在保留したいと思います。
#64
○北側委員 私思うのですが、たとえば中島さんが論文を出して、その内容が間違っておった、こういう問題であるならば、学者としてはそれに反論するための論文をやはり出すべきだろうと私は思うのですよ。それを行政的な処分をするというのは、私はどうしても解せない。これは私けしからぬと思うのですよ。科学者として、そういういわゆる原子力の基本法、三原側があり、発言の自由がある以上は、あなたのほうも、当局側も発言の自由を行使されたらいいわけです。それが民主主義だと私は思うのです。でなければ、こういうい、就業規則によっているものでもないので、あくまでも指導的意味であるということで、それが、組合の人といいますか、あるいは御当人といいましょうか、納得できないとすれば、そういうことについてもっとわかってほしいというように今後つとめたいと思います。
#65
○内海(清)委員 その点につきまして、ひとつ組合の委員長さんの御見解を承りたい。
#66
○大杉参考人 労使紛争をなくしたいというのはわれわれの念願でありますけれども、今回の事件につきましても、私ども処分が出るということを知りまして、六月十一日に、ここにおられる山本理事に対して、とにかくこれは大問題になる、だから事を起こすのはやめていただきたいということをお願い申し上げたわけです。話し合いをしたいということを申し入れたわけであります。しかし、これに対して実際やられたことはどういうことであったかというと、逆に、あわてて翌日配達証明つきで厳重注意書を自宅へ送られた、これが事実でございます。私ども、何事も研究所にほんとうにお願いしたいのは、所員の意見を大事にして、無理押しをしないで、納得づくで事を進めていただきたい、これが私どもの念願です。ですけれども、実際に権限を持っておられますので、次々といろいろ事をお起こしになる。起こされればわれわれそのまま放置しておきますと、これは先ほど先生も御指摘になりましたとおり、全国的な原子力安全の問題にかかわるということで取り上げざるを得ないという立場になっております。そういうことを申し上げておきたいと思います。
 それから、懲罰に関しましては、私ども研究所に対しまして、懲戒委員会には労組代表者の立ち会いを認めろ、また当事者には介添え人をつけて釈明の機会を与えるようにという要求書をちゃんと出しております。しかしこれに対してはお答えをいただいておりません。
 以上でございます。
#67
○内海(清)委員 就業規則の中には懲罰事項もあると思います。しかし、これは所のほうでは懲罰ではないという御見解、表彰懲戒委員会ですか、これにがかったのだからこれは懲罰であるという御見解、その辺にまず食い違いが私はあると思うのです。でありますから、そういうことにつきましては、ことに就業規則にない事項であるならば、一そうこれは十分なる話し合いをしていただけばよかったと私は思うのであります。これは今後ひとつ十分お考えいただきたいと思うのであります。これが就業規則の懲罰事項にかかっておるのなら問題ないと思うのです。就業規則というものは労使ともこれを承認しておられると思う。なお、この就業規則に十分民主的な運営ができにくい面があれば、これは労使で御相談になりまして、就業規則の改正というものはできるわけでありますから、そういう点を労使間で虚心たんかいに話し合われて、今後の運営にあたっていただきたいということを切に要望いたします。
 それから、今回の事項は、これは原子力基本法のいわゆる原子力三原則を基本的な態度としてのこの問題とかかわりがあると思うのであります。まあ私は、簡単に言いますならば、原子力基本法というものは、わが国の原子力の平和利用にこれを開発推進していく基本になるもの、こういうふうに思うのであります。したがって、もっと簡単にいえば、この三原則を基本的な態度といたしまして研究成果を発表して、そうしてわが国全体の原子力開発を進めていく、こういうことに私は相なるのではなかろうかと考えるわけであります。
 そういうふうな意味合いで、この公開の原則というものは尊重されなければならぬと思います。まあしかし、わが国は原子力はあくまでも平和利用であります。したがって、そのためには公開の原則というものをどういうふうにわれわれは見るべきであろうか。研究所は研究所で一つの事業目的があると思います。事業目的を達成するという立場から見ましたときに、そこに問題が出てくる。いわゆる言論の自由という問題が一つあるわけであります。この間をどう調整といえば語弊があるかと思いますが、事業目的を推進するという立場から、そこの従業員はいつでもどこでもだれでも何でも発表していいかという一つのあれがあると思う。しかし、原子力研究所の職員の方は、一面におきましては科学者という一つの問題がございます。その辺に非常にむずかしい問題があると私は思うのであります。私どもしろうとで、その二つをどういうふうに調整していけばいいかということは、ちょっとわかりません。事業目的達成ということと、言論の自由ということ、ただ私が一つ思いつきますのは、そういう場合に、この二つを考え合わしたときに、法の保障の限界というものはどこにあるのであろうかということを思うのであります。私どもよくわかりませんので、憲法学者であります長谷川先生に、その点をちょっと簡単にお伺いしておきたいと思います。
#68
○長谷川参考人 私は、先ほどからの討論を聞いていまして、たとえば企業秘密があるから公開できないというようなことがありましたので、非常にびっくりしたのですが、それは原子力研究所が研究のテーマをきめたり、それをどのようにして行なうかというときに、もしその研究のテーマの研究過程で、ある会社の企業秘密をおかすような、あるいは企業秘密といわれたものを尊重しなければならないような形であるところから研究費が入ってきたり、そういうことがあるとすると、もうそもそも原子力研究所というのは、この原子力利用の三原則に従って運営されていないのじゃないかと思うのです。企業というものは営利事業ですから、企業で持っている研究所が営業上の秘密を持つということは当然のことですが、しかし先ほどのお話では、まだパテントにもなっていないような最初の研究過程で企業のために秘密にしなければならないということになると、原子力研究所はある企業のために国の費用を使って、そうして職員を使って研究をやってあげている。国のためにもなるかもわからないけれども会社の役にも立つ、そのことが秘密を生み出しているとしたら、これは全く最初に研究のプランを立てる段階で、およそこの原子力三原則が守られていないのじゃないかという感じがいたします。だから企業秘密の問題は、これは別問題として守らなければならないけれども、三原則に従って監督され、運営されている原子力研究所で、特定企業の秘密が問題になるなどということは、私はきょう初めて知ったことで、びっくりしております。
#69
○内海(清)委員 その点につきまして、ひとつ所側の御見解を……。
#70
○山本参考人 先ほどの最初のお話から申し上げますと、原子力研究所の使命として、大いに研究成果を発表せよ、公開せよ、これはずいぶんたくさん原子力研究所としまして発表といいますか、デーリーレポートという式のものないしはデーリーメモというものを出しておりますし、それから学会にも論文を出し、ずいぶんたくさんそういう点では成果を出していることでございます。
 それから、言論の自由ということとの関連、つまり個人的なそういう問題というのは、これはいろいろとまた問題が長くなりますけれども、やはり原子力研究所という組織としてやっておりますので、それとの調整といいますか、そういうところでチェックされるということがあるわけです。
 それから、企業の秘密というのは、私たいへんことば足らずでございまして、ある会社と共同研究をするという場合には、あくまでも原子力研究所が自主的に判断して、適切であるという課題について企業と共同研究をしているのでございまして、その秘密というのは絶対的な秘密という問題ではなしに、むしろある時期、それをいろいろと工業所有権その他ノーハウとかそういう関係で、しばらく押えておいたほうが国として利益であろうというそういう判断、必ずしも一企業という問題ではない、そういう問題になるわけです。
#71
○内海(清)委員 お二人のお話をいただきまして、私はしろうとですからなかなか十分な判断がつきません。いままでも原子力関係ではノーハウはいろいろ論議されたこともあるわけです。もう時間がございませんから、きょうはそういう御意見をお伺いしてとめておきたいと思います。今後ましたところ、ドレン弁の締め残しがあり、さらに一階床面にあるドレン配管が詰まっていたため、廃液が建物一階の床にこぼれて、その一部が屋外に流出し、敷地内の土壌に浸透した、屋外の流出廃液量は約〇・二立方メートル、浸透面積は約二十八平方メートル、深さは約五センチということで、汚染密度は最大5・5×10−3乗マイクロキュリー・パー・平方センチメートルであります。
 この事故の原因としましては、先ほど言いましたように、ろ過作業を六月二十三日に終了して、系統のドレン排出を行なったあと、作業員がドレン弁を手動で閉じたが、このドレン弁の閉じ作業が十分でなかった、十分締まってなかったということが一つ考えられます。さらに、このドレン弁の締めが十分でなかったから漏れたのでありますが、その廃液のパイプが詰まっておった、それが詰まってなければドレンの配管から正規のルートで流れるのでありますが、それが詰まっておったために、床の上に一部こぼれて屋外に出た、そういう作業上といいますか、運転上の二つのミスがあったというふうに考えております。
#72
○北側委員 いま聞いておりますと、ドレン弁が完全に密閉されておらなかった、そこから漏れた廃液が、いわゆる管が詰まっておってオーバーフローした、このようなことなんですね。これは聞いておりますと、全然初歩的な非常なミスだと思うのですよね。こういう問題が安全管理体制ですか、それが一体どうなっておるのか、こういう疑問を、これを知ったときに私は持ったわけですが、そこらはどうなんですか、大臣。
#73
○成田政府委員 御指摘のように、これは非常に作業上の、あるいは運転上のミスということでありますが、われわれいま考えてみますと、やはりそういうバルブの締め方が十分でない場合は事前にわかるようなチェックする方法、それからドレンの配管の詰まっていることが事前にわかるようなそういう事前チェック、あるいは自動的にわかるような装置等があれば、こういう問題は起きなかったのじゃないかという装置上の問題も一つあると思います。これはいま東電等にも十分検討させています。
 それからもう一つは、やはり保安教育といいますか、そういう面の作業のなれといいますか、非常に作業員の、これは無人運転の装置でありますが、その運転に入る前のチェックが十分でない。これは保安規定、保安教育の問題で、東京電力におきましてもこういう作業員というのは厳重な研修をやり、そうして二年以上の現場の実績を持った者に限って、そういう経験者に十分な保安教育を徹底してやっていると言っておりますが、この点の問題もやはり十分でなかったのじゃないか。そういう保安教育上の問題二つの問題がありますので、きょう午後も、原子力施設安全管理連絡会議というのを毎月一回、科学技術庁、通産省、原研、動燃、電力会社の安全の責任者を集めてやっておりますから、東電から事情を聞き、二度とこういうことがないように、あるいは他の施設においてもこういうケースのないように、厳重に調査をして厳重な処置をとっていきたいというふうに考えております。
#74
○北側委員 このドレン弁の下のオーバーフローしたパイプはなぜ詰まったんでしょうか。
#75
○和田説明員 昨日さっそくうちの検査官並びに科学技術庁のほうからも検査に行ったわけでございますが、ドレン弁の詰まりの原因はまだ正確にはわかっておりません。
#76
○北側委員 正確にわかっておらないということなんですが、そうなるならば管理安全体制をとる上からも、先ほど言われたとおり、たとえばパイプが詰まったら別のパイプから抜けるとか、たとえば注意の赤ランプがつくとか、いろいろな管理体制が必要だと思うんですね。こんなことはしろうとでもわかるような管理体制じゃないかと思うのです。そこらがおろそかになっているということになりますと、これは非常に問題だと思うんですよ。その点どうでしょうか、大臣。
#77
○前田国務大臣 ただいま北側先生御指摘のとおりと私も考えます。その点については、先ほど原子力局長も御答弁をいたしましたが、きょう午後、定例の原子力施設安全管理連絡会議というものを開きますので、その席において、東京電力のその間の事情をまず説明をきびしく聞きたいというふうに考えております。そうして、ただいま先生のそういう御指摘もございましたが、私もそういう事故がよくわかるように、施設、そういうふうな点についてもいろいろ研究すべきであると思いますし、こういう事故がまたほかの施設においても発生してはたいへんでございますから、その責任は、先ほど局長が申しましたような関連の者がみな来ますので、こういう事故が再び発生しないように、細部にわたって安全対策の点検を行ないたいというふうに指示したいと考えております。
#78
○北側委員 では、この結果が出ましたら、そのパイプが詰まった原因等をひとつ明らかにしてもらいたいと思うのです。それとあわせて、その後どのような安全管理体制をとるのか、また、全国のいわゆる原電に対して、同じような事故がありますとたいへんですから、そういう点もひとつ考慮に入れて措置していただきたい、このように思います。
 以上で終わります。
#79
○石野委員長 内海清君。
#80
○内海(清)委員 一時から本会議がございますので、非常に時間がございません。したがって、いろいろ参考人の御意見なども伺う時間がないと思いますので、簡単に二、三お尋ねしておきたいと思います。
 今回の問題原子力研究所の中でこういう問題が起き、これがここまでいろいろ発展してきていること、私はたいへん遺憾に思うわけでございます。大体労使間の問題でありますから、第一義的には、やはり労使間で十分話し合われまして解決されることが望ましかったのであります。ここまで参りますと、なかなかそういうわけにいきにくい面もあるかもしれません。私は最初に要望しておきたいと思いますのは、ひとつ労使間で平和的、民主的に、ほんとうに腹を割って話し合われまして、今後こういうふうな問題が起きないように、十分運営に注意していただきたい、これをまず要望しておきたいと思うのであります。
 しかし、何と申しましてもわが国の原子力開発の中核であります研究所の問題であります。したがって私どもは、問題の性質によりますとこれは非常な問題である、ただ原子力研究所内部の問題としてのみ処理できぬ場合もあるだろう、こういうふうに考えるのです。それは、そのことが結局国全体の原子力の開発に影響するようなことがあるならば、これは等閑に付されない問題であると思うのであります。そういう意味におきまして、まずもっていまのことを要望しておきたいと思います。
 そこで、今回の事件は、研究所にもおそらく就業規則というものがあるだろうと思うのです。ところが、今回の問題は、所側ではこれはいわゆる懲戒処分ではない、厳重注意である、自戒を求めたのである、という御見解のようであります。組合側ではこれは懲罰であるというふうな御見解もあるようであります。まずその辺に事の始まりがあるように思うのであります。そういう意味から申しまして、いま申しましたようなことを強く要望するわけであります。ただ、研究所の運営に、そういう面から考えて、いわゆるほんとうの民主的な運営ができておったであろうかどうかというふうな点も考えざるを得ないのであります。こういう点につきまして、まず所側にひとつお伺いいたしたい。
#81
○山本参考人 いま先生のおっしゃることは、すべてたいへんごもっともだと思います。私どもとしてといいますか、私、東海研究所の所長になって一年半ですが、やはり労使間の問題とかお互いの対話ということが一番大事であろうというように考えております。
 それから二番目に、処分かどうかということについては、先ほどから繰り返し申し上げておりますけれども、決して行政的な意味のものでもな姿を見た場合に、大杉さんから先ほどいろいろ発言がありましたが、やはり圧力を当局がかけておるんではないか、このようにとられてもいたしかたない、このように私は感じるわけです。
#82
○山本参考人 行政的な何か処分というのではなしに、厳重注意というのは、繰り返し申し上げますけれども、部下の指導でございます。
 それで、反論すべしという御意見が先ほどほかからもありましたけれども、非常に重大な問題の場合には、私は適切なる反論をすべきだと思うのでございますが、非常に簡単な――簡単なというか、内容は事実関係でたいへん簡単でございますので、私は中島君に会ってそれを述べていくという、その程度にとどまるものだというように私はこの問題は考えておるわけであります。
#83
○北側委員 所長さん、それはあなた事後相違ですよ。最初あなたが言われたことは、重要な間違いがあるからこのように指摘なさったと、さっきあなたは答弁なされたのですよ。いまは重要な相違じゃない、こう言っている。それだったら何もそういう表彰懲戒委員会にかけてはかる必要はないと思うのです。そういうことはあくまでも話し合いでやられるべきなんです。こういうことが国会で論議されること自身が醜態です。それだけで所長としての責任を問われますよ。そこはどう考えておられますか。
#84
○山本参考人 私は、事がこういうふうに発展することをきわめて遺憾に思っておりまして、こういうことになったことを、こうでなしに、この問題自身、事実を間違えて伝えているということは、内容的には簡単であるけれども、しかし事は重大なものを含むということで、かつ、私は所長としてというのは、これは所員を代表しての話でありまして、非常に多くの人からそういう意見があるわけです。特に一生懸命にその安全性とかJRR3の問題についてやっている人がいるわけでございまして、そういう人がやっているのに、やっていないかのごとくに思われるということに対しては非常に遺憾であります。ですから私は、そういう点で事をそう大げさに考えておるわけでありませんで、御当人に注意をしたわけであります。これは決して行政的な立場で私はやったわけではございません。それからまた、厳重注意というのも行政的なものでなしに、あくまでも理事長の部下に対する指導という意味で、自戒してくれ、こういうことはもっと慎重に科学者としてやってくれと、そういう意味のものでございます。
#85
○北側委員 だから、先ほどから申し上げますとおり、なるほど懲戒処分では項目が入っておりません。こちらもわかります。しかし、そういう問題はいままでのいろいろな積み上げが来て、こういう問題が起きてきたんじゃないかと思うのです。でなければ、たとえば大杉さん、あなたの労働組合から出している「あゆみ」ですね。これには中島氏賃金カット事件と、こう書いてありますが、これは一体どういうことですか。
#86
○大杉参考人 これは昨年の十一月でございますが、東海村の村議会から当時東海村に設置が予定されておりました原子力発電株式会社の原電東海二号炉問題について、これに関する講演を聞きたいということを村議会の原子力特別委員会がきめました。それでその依頼状が原子力研究所あてに議長名で来たわけです。あて名は中島篤之助さんともう一人は宮永一郎さんです。これに対しまして研究所側は、中島さんについては、これは団交でその後聞いたわけでありますが、適当でないからということで村議会にお断わりになったわけです。宮永さんについては、これは都合で石川さんという方にかわりましたけれども、この方はお認めになったということで、結局村議会は困りまして、もう一度中島さんに直接今度はお願いしたのです。で、中島さんは、そういう依頼が直接参りましたので、研究所にそれを出しまして写しを渡しまして、公務扱いで出たいと思うがということを言いましたところ、やはりあなたは適当でないから公務扱いでは出せぬということで出さなかった。で、中島さんは当日――まあその間、その扱いをどうするかについて労働組合と研究所の間でトラブルというか、話がついておらなかったわけですけれども、当日、じゃ行ってくるよということで職制に断わって行ってまいりました。そういたしましたら、その日の賃金が、あとで知ったことですが、カットされておったという問題であります。石川さんについてはそういう扱いは受けていない。中島さんについてはそういうふうに賃金カットという措置を受けたというのが、この事件でございます。
#87
○山本参考人 ただいまのいわゆる賃カツ問題ということについて、経緯はいま大杉委員長の話されたのにほぼ尽きているとは思うのでございますが、先ほど私申しましたように、原子力研究所に依頼が来たときには、その専門家を私どもは派遣するというような、そういう方針をとっているわけです。村の議長から最初研究所のほうに講師派遣の依頼が参りましたときに、その文面の中には発電炉東海二号炉について意見を聞きたい。そうしますと、二号炉についてはこちらとしては専門家を推薦する。当初宮永、中島両氏に来ていたのですが、宮永氏は当時不在でございますし、たしか中島氏も不在であったと思うのですが、当方としては専門家である石川氏を出すということで返事をしたわけです。したがって村としては、中島君個人に対して講義をしてくれということで別途に参ったようであります。これは研究所に直接来たものでございませんので、石川君については、研究所に依頼があり、それを派遣する形をとったわけでございますが、中島君については、個人的に来たものだから、いわゆる有給年次休暇をとって、要するにそういう届けを出して行ったらいいんではないかということに対して、中島君はそれを拒否して、そのまま出勤簿へ判をつかなかったということで、あとは事務的に賃金がカットされた、そういう経過でございます。
#88
○北側委員 いま両方の意見を開陳してもらったのですが、そういう問題等いろいろ問題があるのじゃないかと思うのですよ。これは双方の言い分はいろいろ違うでしょう。しかし、いずれにいたしましても、そういう問題がやはりずっと積み上がってきてこういう問題に発展してきた、このように私は見ざるを得ないわけなんです。そういう面から見るならば、あくまでも原研としては、最初述べられたとおり、原子力基本法の三原則なり、また学問の自由なり、こういう問題を根本的な立場に置いたところの就業規則なり、考え方、こういう考えでなければいけないのじゃないか、このように私は思うわけなんです。特に原子力施設の安全性の問題、こういう問題はいままで私ずっと見ておりますと、大体個人の研究とか努力、こういうところに非常に負った研究、こういうものがやられておるのじゃないかと思うのですが、もっと組織的にこういう問題はやっていって、そうしてこういうトラブルが原子力施設の安全性の一歩前進の姿になっていかなければならない、このように考えておるわけなんです。
 そういう点で、この問題につきましては、時間がもうあと四十四分と言われておりますのでありませんので、この問題はこれで終わりますが、ひとつ原研としても、こういう問題についてはよく反省してもらいたいと思うのです。大体、こういうことは原研当局の恥ですよ。こういうところで論議されて、しかも基本的な問題、就業規則にしましても、いま長谷川先生の意見を聞きましたら、あまり民主的に運営されておるとは言いがたいのじゃないかと私は思うのです、そういう面から、次のちょっとこれは時間がありませんから、福島の原子力発電所、この事件について少しお尋ねしたいと私は思うのです。
 この事件は、ちょうど二十五日に東電の福島発電所の放射性廃液が漏れた事件があったわけです。これにつきまして、その概略を簡単に説明してもらいたいと思うのです。
#89
○成田政府委員 福島の原子力発電所一号炉は定期検査のため四月十四日より停止中であったのであります。六月二十五日午後五時ごろ、一号炉、二号炉用共用のフィルタースラッジ、地下貯蔵タンクの廃液の上澄み液のろ過作業を行なっておりも役所関係とまた十分な論議が行なわれることと思いますので、この程度にとどめておきたいと思います。
 それからなお、この中島問題以外にもいろいろ労使間の問題があるようであります。これは、先ほど申しましたように、就業規則にのっとってこれが行なわれれば問題はないだろうと私は思う。問題が起こるとすれば、就業規則を改正することについて労使間で十分話し合われることであると思います。でありますから、さっきの賃金カットの問題もございましたが、これがやはり就業規則に照らしてどうかということが一番判断の基準になるわけでありますから、その点十分私は研究所の就業規則を存じませんから、ここで論評は避けますが、いずれにいたしましても、こういうふうな問題は、ひとつできる限り所のほうも、きわめて民主的な運営をされ、労使間で十分話し合われまして、そうして信頼関係を確立してやっていただかないと、何と申しましても日本の原子力推進の中核でございます。いろいろな問題があれば、これがわが国の原子力の開発に影響することは当然であります。どうかその点を御留意をいただきたい、以上強く要望いたしまして、終わります。
#90
○石野委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
  本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査のためたいへん参考になりました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。
  次回は、来たる七月四日水曜日午後一時より理事会、一時十五分より委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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