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1972/07/04 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第22号
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1972/07/04 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第22号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第22号
昭和四十八年七月四日(水曜日)
    午後一時十八分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 木野 晴夫君 理事 藤波 孝生君
   理事 前田 正男君 理事 粟山 ひで君
   理事 嶋崎  譲君 理事 原   茂君
   理事 瀬崎 博義君
      稲村 利幸君    加藤 陽三君
      湊  徹郎君    北側 義一君
      内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術政務次
        官       伊藤宗一郎君
        科学技術庁長官
        官房長     進   淳君
        科学技術庁研究
        調整局長    千葉  博君
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
        外務省条約局長 高島 益郎君
 委員外の出席者
        水産庁漁政部参
        事官      中島 圭一君
        通商産業省鉱山
        石炭局石油開発
        課長      豊島  格君
        運輸大臣官房海
        洋課長     新藤 卓治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(海洋開発及び日
 本原子力研究所の業務運営に関する問題)
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原茂君。
#3
○原(茂)委員 先月の二十七日に、海洋に関する問題で参考人に来てもらいました。いろいろ貴重な意見を聞かせてもらったわけですが、それに関連して最初に少し問題を、ある意味では参考人のほうからこういうことが望ましいと言われた問題について、大臣、政務次官を中心に御協力をいただくような意味でお願いをしたり御意見をお聞きしたい、こう思うわけです。そして最後に領海、いまいわれている公海の問題に関して二、三質問をいたしたいわけであります。
 先日参考人が来られましたとき、こういうことを言っていました。すべての汚染源は、その発生の場所において消滅せしめよ、陸で出したものを海へ出してはいけない。農業に至るまで、やはり間接には河川を通じ海洋に汚染を出しているのだが、農業に関しても、いろいろな汚染源というものが使用されているけれども、これも陸地で処分をしてしまうことが大事だ。確かに肯綮に値する意見だと思うのですが、現在そういう角度からの検討を科学技術庁としてしておられるかどうか。おそらく部分的にはそういう方向で努力をしていると思うのですが、しかし抜本的にそうした考えが確立をされ、それが行政の基本になって現在いろいろな政策が行なわれているというところへまだ来ておりません。
 しかし、方向としてそれがないと、根本的な汚染対策にはならないと思いますから、疑わしきはという意味で先日も申し上げたのですが、工場などの汚染源というものが海洋に出る、河川に出ると思ったときには、とにかく調査してから処分するというのではなくて、操業をまずとめる、そうして安全性が確認された後にその企業の操業を開始するというところまできびしくやりませんと、あれよあれよと言っている間に――とにかくいまの日本の状態というものは、経済大国などといえた義理か。世界で汚染大国、こういっていいほどの状況になっていて、きょうはきょうでまた魚屋さんが大会をやる。とにかく事は小さいように見えますけれども、われわれ日本人にとって大事なたん白資源というものの確保を考えますと、これもただごとでは済まない問題で、やがては政治の場面に対して、おそらく魚屋さんたちが営業補償をしろというようなところまで問題が発展してくるだろうと思うのであります。そういうようなことなどを考えますと、やはり今日この種の問題に関する抜本的な考え方、対策、これが非常に大事だと思いますが、いま申し上げたように、陸の汚染源は陸で消滅せしめる、こういう原則に立って政策をやっていく方針というものを科学技術庁は持つべきだと思いますが、そういう点でお考えをまずお伺いしたい。
#4
○千葉政府委員 いま先生が御指摘のいわゆる海洋の環境保全の問題は、要するに汚染源のところで対策を講じないと、これがいわゆる海洋の無限といわれております資源の活用――これは無限といわれておりますけれども、先般の参考人の方は、これは有限である、したがって今後大切に、それを人類のため、あるいはわが国の国民の福祉のために使うべきである、われわれ人類、あるいはわが国の共有の財産なのであるというような言い方をしておったわけでございます。いま先生御指摘のような海洋環境保全、これのためのいわゆる汚染源封じの基本的な問題、こういった問題につきましては、いま海洋開発審議会の場で審議中でございます。近々答申を得られるような運びになっておりますが、その審議過程で一番問題となりましたのは、やはり海洋環境の保全を一体どう考えるか。海洋は、従来の認識は、一般の国民の認識でございますが、自浄作用がありまして、したがいまして、ある程度の汚染源は、その自浄によりまして清くする作用がございますが、これによりまして相当いけるのだという感覚で、御案内のとおり屎尿などもしかるべきところへ捨てております。それからいろいろな工場の廃棄物も相当な量吐き出している、各種のものを吐き出している。ところが、これは海洋の利用あるいは開発の面からいいますと、きわめて問題である。したがいまして、この海洋の環境保全と利用あるいは開発は一体化していかなければならないというような観点に立っていま答申がまとめられつつあるわけでございます。
 それでは政府としては、そういったような観点でいろいろ海洋問題に取り組んでいるかどうかということでございますが、これにつきましては、従来海洋科学技術審議会の場できめられる海洋科学技術の振興というような面から五つのプロジェクトを進めておりますけれども、その中の一つには、海洋開発に共通的な技術の振興をはかろうということで、その保全対策の見方をはっきりさせておりますけれども、これにつきましては、具体的には私のほうの科学技術庁で行ないます海洋科学技術の経費の見積もり方針の調整という過程で環境の保全問題をいま重点的に取りあげましてやっております。
 それで基本的な態度としては、要するにそういったような海洋の環境保全は海洋側から見るべきである。つまり、陸側から見たことでほとんど処理されておったけれども、そうではなしに、海のほうから見ていかなければいかぬ。と申しますのは、もう少し詳しく述べますと、いろいろな土地の利用、埋め立てを行なう、さらに護岸、そういったようなことが行なわれ、それからパイプラインを敷く、それから橋をこしらえる、こういったもの、それから屎尿処理といったようなものは、みな陸側から見ている。そうではなしに、海の側からそれを計画的にものを見ていったらどうかというようなことで、いまいろいろと海洋環境保全のことにつきまして研究あるいは調査を進めておりますけれども、基本的には、先ほど申し上げましたような海洋開発審議会の場で、これはわが国として初めてそういったような基本的な問題が審議されておりますが、答申が出ましたところで、あらためて政府としては基本的な考え方を確立して進めていくという段階にあるわけでございます。
#5
○原(茂)委員 そういう抽象的な答弁になると思うのですが、現段階ではいまの方針はそれでいいとしましても、もう期限を切ってぴしっと答えを出させる、こういう態度がないと、もうどの役所もどの役所も同じようなことを言って、方針はいいのですが、期限つきではない。これはこの公害に関する限りは非常に問題だろうと思うのです。したがって、この相手に関してはいつまでに成案を得るというようなことが、具体的にスケジュールが科学技術庁としてもできていませんと――環境庁の問題だというような考え方もある面では非常に出てくるわけですが、しかし、やはり私は、この種の問題は、科学技術庁が先導的な役割りを果たして刺激を与えていないと、とてもじゃないが、環境庁だけにおんぶしていろいろまとめようということはむずかしいと思う。特に科学技術の必要な公害対策でございますから、科学技術庁としてある程度の日程的なプログラムを持ってもらう、そういうことをぜひ考えていただく必要があるだろう。これは、いますぐお答えはできないだろうと思いますが……。
 ついでに、こまかい問題を二、三お伺いしたいのですが、この間も話が出まして、私もちょっと申し上げたのですが、学術会議に対する予算がもう少しふえないと、どうも海洋問題と取り組んでいく気持ちはあっても、具体的な成果は求めがたいという参考人の意見が出たわけです。これはもう前からそのとおりだと思うのですが、来年度あたり今年度と比べると相当額ふやそうという準備があるのですか。やはり学術会議に対する予算というものは相当ふえていかないと、いろいろと理想的なことを言っても、実際にはもう成案を得るわけにいかない、こう言っておるわけです。この点に関しては、相当重要な問題ですから、できれば大臣の決意も含めてお伺いをしておきたい。
#6
○千葉政府委員 参考人が、先般、学術会議について、先生のただいま御指摘の点を申し述べておりました。学術会議につきましては、事務当局は来ておりませんが、科学技術庁といたしましては、全般的な海洋開発、海洋科学技術の振興、こういった面につきまして、実は学問的な分野が非常に多うございますから、私どもといたしましても、いわゆる学術会議ということは、各大学の研究を振興してもらいたいわけでございます。御案内のとおり、この海洋開発に関しましては各省関係、学術会議を除いた点ではまあどうやらこの数年で五倍、六倍という予算になっておりますが、学術会議系統の大学のほうはまだまだいっておりませんので、私どももぜひそうありたいと思っております。学術会議とよく打ち合わせまして、これの振興に大いに努力したい、かように考えております。
#7
○原(茂)委員 もちろん担当じゃないし、あれが違いますから、きょうどの程度にするなんていうことは言えないのはあたりまえです。大臣に決意を聞きたいというのは、この間もお聞きになったとおりなんです。したがって、学術会議の予算がふえるように閣議を通じても相当強い発言をするということが、とりもなおさずそれを通じて科学技術の振興に役立つわけですし、特に海洋に関してはああいう切実な意見があったわけですから、大臣としては、国務大臣の地位を利用してこの問題の推進に当たっていただく決意をお聞きしたかったわけです。
 ついでに、これも先日出た話でありますが、もちろん文部省の関係になりますが、海洋学生に関して特別の奨学金制度を設けたらどうか、海洋科学技術者というのが卵が少な過ぎる。これは急速に育てる必要がある。そのためには、やはり根を広げていく意味からいっても、海洋学生に対する奨学資金制度を設けたらどうか、こういう参考人の先生の御意見があったわけです。そのことが必要だと言い切っていました。私もなるほどそういう制度があることを知っております。特に海洋学生の奨学金制度なんていうものはもちろんありませんが、現在あります奨学金制度の中でそれが運用できるのか、別途にこういう奨学金制度というものを設けたほうがいいのか判断ができませんが、いずれにしても、海洋学術の振興ということを考えたときに、現在は間に合わせでいろいろな人を使っていくけれども、基本的にはそういった手当てをして根を広げる必要があるだろうというこの意見には賛成なんです。これも大臣が大臣の立場で心がけていただいて大いに推進をしていただく、もしそれができるなら、海洋学生に関しての特別の奨学資金制度というようなものをつくる必要があるのではないか、こう思います。この二つを大臣から……。
#8
○前田国務大臣 学術会議に対しまする研究費の問題でございますが、この点は私、関係大臣というか、閣議におきましてもそういう意見をよく述べたいと思います。そしてまた、われわれの予算の見積もり方針の調整という面におきましても、とにかく海洋関係についての研究の不足についての見積もり方針の調整をきめる場合に、そういう趣旨を織り込みたい。別にどこにどういうようにしなさいというのではありませんが、海洋関係に力を入れなさいということを言いたいと思います。
 それから、海洋学生といいましょうか、ちょっと語弊があるかもしれませんが、こういう人材をつくることが必要ではないか、私全く先生と同じような意見でございます。といいますのは、実はエネルギー、原子力等につきましても、実際機械も必要でありますが、どうも核融合についていま勉強しておるのでございますけれども、そういうような問題についても、やはり人材を――幾ら大きい機械をつくって予算をかけましても、ハードウェアだけではいけない。やはりソフトウェアという、結局これは人材でございますが、これの養成が非常に必要であるということは御指摘のとおりで、特に海洋についてはそういう点、私も実は、奨学金制度というものは考えておりません。けれどもそういうような御示唆もありますし、とにかくソフトウェアというような、人材をできるだけ養成するという点に力を入れていきたい。今後われわれの施策において、そういう面もあわせて検討というかしていきたいというふうに考える次第でございます。従来とも海洋開発につきましては、シートピア計画とかいろんな場合においてもそういう趣旨の意味も含めてやっておったとは思うのです。しかしそれは、海洋学生というような意味ではなくてやっておりましたけれども、研究する面におきましても、そういうふうな面でとにかく海洋開発ということについての技術というか、それに寄与する人材を養成していくという方向で進んでいきたいというふうに考えております。
    〔委員長退席、藤波委員長代理着席〕
#9
○原(茂)委員 あのとき参考人の言ったことも、結局いわゆる海洋基礎学問といいますか、いずれも科学技術に関しては基礎学問が大事なんです。基礎学問をしっかりと身につけるような、一番下の根張りからやっていく、そうして海洋工学の振興を行ない、それから海洋科学技術の振興へというその流れを――いま日本にはない、そういう系統的な流れはほとんどゼロに近い、それをつくるんだ、こういう意味ですから、ぜひいま大臣がおっしゃったように、これには相当力を入れるという前提で、系統的な海洋工学の振興、それから海洋科学技術の振興というものへの流れを、日本に一本つくるということを意識しての御協力をぜひお願いしたい、こう思います。
 それで、もうちょっとこまかい問題をお伺いしたいと思うのです。関連がないわけですが、あのときに出た問題の中の一つで私が気がついたのですが、いま日本でも地震の予知に必要な問題として三千五百メートルの井戸を掘っております。これから海洋に関する開発を考えても、やはり海底の井戸掘りというものは必要なんです。この井戸掘りの技術――井戸でない穴掘りですか、掘さくというのですか、こういう技術は日本ではどうなんですか。おそらく埼玉県の三千五百メートルというのも、日本独自の技術でやっているのかどうか知りませんが、これはおそらく私は国際的に比べたときに、この面では日本の掘さく技術は非常に劣っているのではないかと思う。その掘さく技術というようなものも、これは非常に大事になるわけですが、そういう点で日本の技術は一体世界のレベルにあるのか。やはりアメリカその他と比べたときに劣っているんだ、たとえば岩槻の三千五百メートルにしても、日本の完全な技術ではなくて、どこかの国の技術を援助してもらってやったのだとか、そういう点、参考までにお聞きしたいわけです。
#10
○豊島説明員 ただいま御質問になりました海底掘さくについてでございますが、現在日本が保有しております――石油開発公団が持っておるわけでございますが、これで新潟沖を掘っております。大体海底水深下――二百メートルまでの水深の場所で、そのさらに下を九千メートルぐらいまで掘れるという機具を持っております。これは大体わが国に二つほどございますし、さらに輸出にも出しておるものでございます。この技術そのものはアメリカからノーハウその他入れたということでございますが、その製造技術においてはもう輸出できるまでになっておる、こういうことでございます。
#11
○原(茂)委員 これはその技術を使用するのにロイアルティーか何か払うのですか。
#12
○豊島説明員 ただいま申し上げた件につきましては、技術指導料を払っております。
#13
○原(茂)委員 それはわかりました。あとの問題にします。地震予知に関係があるので、次の機会にそのことをもう少し掘り下げていきたいと思います。
 次にお伺いしたいのは、この間、やはりこれも参考人から意見が出たので、どなたがお答えになるか知りませんが、何も原子力発電だ何だという大ごとの大容量発電にばかりたよらないで、公害というものを考えたときには、ごく細いパイプを沿岸から海の中の各所に突っ込んで、潮汐の満ち干の圧力を利用して、小規模発電というか、ほんとうに小さい発電を幾らでもやったら、公害のない発電ができるのじゃないかというようなことを、あれは佐々木先生でしたかだれかがずばりとおっしゃっていましたが、時間がなくて参考人にはそれ以上突っ込んで聞かなかったのですが、そんな研究をやっているのですか。それで可能性があるのですか。たとえば一キロぐらいの長さのパイプを沿岸から海の中に突っ込んでおく、そして潮の満ち干の圧力によって発電せしめるんだ、こういうお話でした。これがほんとうに可能で、技術的にはもう確立していて、実際に試験が済んでいて、やろうと思えばできるんだ、こういうことになっているのかどうか、ずいぶんずばりとあの先生はおっしゃっていたのですが、どんな状況でしょうか。
#14
○千葉政府委員 本件につきましては、通産省がいろいろ研究は進めております。いま担当の者が来ておりませんので、海洋開発審議会の場でいろいろ審議した、その審議の中で取り上げられたいろいろな問題、これをちょっと御披露申し上げますと、いま先生御指摘のような海洋エネルギーの開発につきましては、たとえばブイに使うというための十ワットから百ワット程度のもの、これはもう実用化されておりまして、さらに百キロワット程度の海岸固定式の発電装置の開発がいま検討をされている段階である、こういったような認識でございます。
 それで、この海水揚水発電については、実施可能地の調査の段階でもある、こういったもののほか、潮の満ち干の関係の発電、それから温度差の発電なども含めたような海洋エネルギーの大規模な開発といったものを今後大いに進めるべきである、こういったような審議をしたわけでございます。私の知っている範囲でございますとその程度でございます。
#15
○原(茂)委員 これは私もこれから調べる材料にお聞きしただけです。ただ、これは通産省でやっていますと千葉さんもおっしゃるのだけれども、だれがきめるのですか、これは通産省でやるとかどこでやるとかいうのは。自動的にきまっちゃうのですか。発電に関するものは通産省だというふうにきまるのですか。
#16
○千葉政府委員 実はこの開発研究の総合的な問題につきましては、こんな重要なものについては方針だけは科学技術庁で出します。これはもう御案内のとおりの科学技術会議の五号諮問で出ております。それに基づきまして、毎年毎年見積もり方針に関します基本方針を各省に示しまして、その中でこういうものが出ております。ですけれども、こまかい具体的な問題につきましては、関係各省にお願いして、そしてそれが出てきたものをさらに意見をつけて財政当局のほうに回す、そういったような仕組みになっております。
#17
○原(茂)委員 これも参考に聞くのですが、そうすると、通産省のことはわからないでしょうが、いま石油開発課長おいでになっておるようですが、通産省でこの種の研究をする機関というのは何なんですか。民間委託ですか、通産省自身が研究機関を持っているのですか。
#18
○豊島説明員 私、直接この点にタッチしていなかったのですが、海洋開発室長としまして知っておる限りを申し上げますと、四十四年ごろ新発電方式の研究ということで民間に委託してやった、このように聞いております。
#19
○原(茂)委員 民間のどこへ委託して、どんなふうになっているのか、またあとでお聞きいたします、これはきょうお聞きしている時間がないようですから。
 それから、これもこまかい技術の問題になりますが、海水の淡水化技術ですね、この間、これも参考人から重要な問題として発言があったのですが、これは非常に必要になることは間違いない。これはどの程度進んでいるのでしょう。日本の場合と比べてどこの国がもっと進んでいるというのがあるなら、それもお聞かせいただきたい。
#20
○千葉政府委員 この淡水化につきましては、海洋科学技術審議会の場でも重点的に審議されまして、これは相当大きく取り上げております。それで政府として大型のプロジェクトをつくって進めるべきだということになりまして、四十四年から七年計画でこの研究開発を進めようということで進めておるわけでございます。担当は、これは通産省が担当するということで、いわゆる多段フラッシュ法による海水の淡水化を進めるということになっております。詳細は、これの経費は四十七年度までに予算化分として約二十二億程度使ってやっておりまして、相当いい線までいっております。
 以上でございます。
#21
○原(茂)委員 これも民間委託ですね。
#22
○豊島説明員 ただいまの海水淡水化につきましては、四十四年度以来大型プロジェクトということで、通産省の工業技術院で出しております。
#23
○原(茂)委員 工業技術院で出しているのですが、実際の試験研究の推進というのは民間に委託をしてやっているわけですね。工業技術院そのものがやっているのですか。
#24
○豊島説明員 主体は工業技術院でございますが、工業技術院の研究所が主たることをやりまして、一部民間の研究所に委託しております。
#25
○原(茂)委員 わかりました。
 それから今度は、資源の問題をちょっとお伺いしたいのですが、例の海底におけるマンガン団塊あるいはもっと大事な――もっと大事なことはありませんが、量の多い石油、石炭、日本の沿岸においてこの種の重要資源というものがどの程度あると見込まれているのですか、いままでの調査で。大ざっぱでいいのですが、その三つの種類の資源の分布の状況をちょっと簡単に……。
#26
○豊島説明員 日本周辺といいますと大陸だなになるわけでございますが、石油に関しましては、一つの計算方法で堆積盆地がどのくらいあるということで一定の比率をかけて計画しておりますが、石油、天然ガスにつきましては大体十一億トンぐらいの究極埋蔵量がある、これは全部取り出せるかどうか問題でございますが、そのくらいは保存しておる。石油、天然ガス、両方換算して、込みでございます。
 それから石炭につきましては、現在海底炭鉱というのは七つくらい操業しておるわけでございますが、これの理論的な賦存量といいますか、それは大体四十五億トンということでございますが、実際に可採、採取できるものは大体十億トンくらい、こういう勘定でございます。それからマンガンにつきましては、これは大陸だなというよりは、いわゆる非常に深い、深海のところでありまして、現在のところ、そういうような数字はありません。
#27
○原(茂)委員 いまの石炭の七カ所の操業中というのはどこですか。
#28
○豊島説明員 私、石炭担当でありませんので間違っておるかもしれませんが、一応資料について申し上げますと、三池炭田が二つ、崎戸松島、高島炭田が二つ、それから天草、釧路というふうに聞いております。
#29
○原(茂)委員 それから、これは大臣にお考えいただいたり御意見を聞くことになると思うのですが、先日の参考人の御意見で、海洋科学技術の振興を考えるときに、ちょうど原子力の基本法と同じように、海洋開発基本法というものをもう日本ではつくる必要がある、こういう強い意見の披瀝があった。私も海洋問題全体を、及ばずながらあのときお聞きしたり、ものを見たりして、海洋資源、海洋開発の重要な段階を迎えてまいりましたいま、確かに海洋開発基本法というものがわが国にあっていいのではないかというような気がするのですが、その点について大臣の御意向をお伺いしたいのと、この海洋開発基本法というようなものが、アメリカその他欧米のどこかに現にあるのでしょうか、ないのでしょうか。私調べたのですが、わからないのです。これももし御存じでしたらお伺いしたい。同時に、海洋開発基本法ができたら、海洋開発委員会というのも、やはり必要なんだという、この間参考人の意見がありました。なるほどそのとおりだろうと思いますが、その件に関してもあわせて大臣から、そういうものをおつくりになる、あるいは将来の見通しとしては必要だからやろうと思うというような御意見があったらお聞かせいただきたい。
#30
○前田国務大臣 海洋開発の基本法の問題でございますが、原先生御承知のように、国際的にも、領海の封鎖の問題でございますとか、あるいは大陸だなの範囲の問題でございますとか、あるいは深海底の国際管理の問題等、諸問題が検討されておりまして、まだ国際的に合意を見ないような段階でございます、国際的な関係からいきまして。また国内的な面におきましては、海洋開発審議会におきまして、海洋開発の基本的方策を検討中であり、おそらくこれは近いうちに、そんなに遠くないうちに答申を得る見込みでございます。そういう意味におきまして、そういうような情勢を踏まえまして、今後の海洋開発の進め方を十分見きわめるということがまず先決であると思いますので、国際情勢というふうなものも考えつつ、どういうような施策を講ずべきかという問題についてまず検討して、しかる後しっかりとした海洋開発基本法というものをつくっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#31
○原(茂)委員 大臣のお考え、それは逆なんですよ。現在、確かに領海なりいわゆる公海を中心の国際会議がようやく進展し始めた、これによってある何かがきまってくる、きまったら、わが国の海洋基本法みたいなものを考えてみたいということはおかしいので、いま世界各国がとんでもないことを言っているわけですよ。海洋管轄権なんというものをかってに拡大してしまって、一方的にいまどの国もこれはこうなんだと言って、自分の国の利益を中心にかってほうだいなことを言っているのです。この問題に関しては戦国時代です。これを第三回ですか海洋国際法会議で、これから何とかまとめて、秩序と調和を保ちながら国際的な海洋法というものをつくっていこうじゃないかという段階になって――ならざるを得ないからそうなっている。そんなときに、まわりが国際会議できめたら、それから海洋開発基本法を日本でつくるなどというばかなことはないんで、日本は独自の海洋開発基本法をまずつくって、これを基準にして国際会議に臨むということがほんとうは至当な順序なんです。日本はそれがおくれているために、おそらく三海里説をやり、ようやく十二海里説に妥協するのかどうか知りません。それでおさまるのかどうか知りませんが、いずれにしても非常に困難な状況に――これから具体的にお伺いしますが、あるわけです。そんなときに、日本というものがやはり海に取り囲まれた国でありながら、海洋開発基本法というのが先に及ばずながらあって、国益中心にこうあるべきだということを堂々と、国際会議の中では刺激しない範囲でやるのでしょうけれども、とにかくある程度の基本線というものは持っていくのが妥当なんであって、海洋会議で何かきまったら、それを参考にしてから日本の海洋開発の基本というものを考えていくなんという逆の考え方は、大臣誤りだと思うのですが、どうですか。
#32
○前田国務大臣 原先生御指摘の、わが国はわが国の主張を法律にしっかりと明記すべきだという御見解だと思いますが、しかし、海につきましては、海以外のすべての問題でもそうでございますが、特に海は非常にインターナショナルといいましょうか、国際的な、海に入ればすぐ向こうは外国でございますので、非常にインターナショナルというか、海洋についてはそういう関係が、陸の場合よりも国際的な関係が多いというふうに実は考えております。したがいまして、確かに先生のおっしゃるように、わが国の行くべき道、方向というものははっきりしなければいかぬじゃないか、それは御指摘のとおりでございます。しかし、それは法律をまずつくるというのではなくて、海洋開発審議会の答申が遠からず出ると思いますので、その答申の出た段階におきまして、さらにそれに基づいて検討して、わが国の海洋開発に対する考え方をきめていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#33
○原(茂)委員 大臣のおっしゃることも一理ありますが、私はその説をとらない。現在、国際的な動いている世界の大勢を見ますと、しかも日本にはき然たる――何も外国をそれで制約しようというのではないのですから、わが国の海洋開発基本法というようなものが筋としてあって、そういうものを中心に、できるだけそれが実現できるような国際会議に臨む態度が順序として必要だというふうにどうしても考えます。
 いまおっしゃったように、審議会で答申が出たらできるだけ早くやろうとおっしゃるなら、それもそうだろうと思います、いままでの行きがかりを一ぺんに逆にしようといっても無理でしょうから。しかし、私はそういう考えを持っていますので、そういう点も十分にしんしゃくしながら、審議会の答申なるものを早く出してもらうような努力はせめてやってもらって、――延び延びになっていますが、第三次海洋法会議も来年四月ごろにきっと開かれるのではないでしょうか。これがまた結論が出なければ、今度はジュネーブの何かの会議に持っていくとかいうようなことに、期待はしておりませんが、一応は来年の春、結論が出されるだろうという前提に立つならおそ過ぎるのです。ですから、日本の海洋に関する限り非常に重要ですから、大臣がただお座なりの答弁をされるのではなくて、国務大臣の責任においてこのことは銘記していただいて、大至急に――日本のほんとうにあしたの国益というものの主体が海洋問題に移るだろうと思います、もし極端に言いますと。そういう点では非常に重要なことだと思いますので、審議会の答申待ち、いつ出るかわからないが、出てきてからというのではない積極的な姿勢、前向きな態度というものをぜひおとりいただくようにこれはお願いしておきます。
 そこで、この問題の前段にお断わりしましたような領海問題、公海の自由の問題等にからめて少しく詳細にお伺いをしたいと思いますが、あまり私が何か多く申し上げる必要はないと思いますけれども、どっちにしても世界全体の空気というのは、沖合い水域というのはおれたちの領土なんだ、そこからとれるものは自分たちのものだ、あるいはある国が河川を持っていて、その河川にたとえばサケ・マスなどが産卵をする、それがやがてでかくなったやつは産卵をした川の所有国の魚なんだなんていうような、これは乱暴なんだかどうなんだか知りませんが、そういうこともお伺いしたいのです。
 こういうようなところまで、とにかくめちゃめちゃに、各国各様に、たいへん何かこう無秩序な発言なり要求なり主張なりが横行しておるのがこの問題の現在の状況だろうと思うのです。そういう問題を踏まえまして、端的に言うと、結論的に先に考えてみると、だんだん何だか日本のほうが身の置きどころがなくなっちゃって、まわりを見たらいろいろな利害がふくそうしておるために、日本と一緒になって主張する国がついこの間まで欧米にあったのですが、いまになると、ほとんどもうなくなっちゃって、日本だけが何かこう特別な主張を、非常に孤塁を守るような形でしておるような状況にいま追い込まれておるのではないかと思うのです。
 そういうことを具体的に考えていくと、基本的な考えの、そういう日本の立場が生まれてきた理由というのは、先ほどもちょっと千葉さんが触れられたように、現在までいわれていた公海の自由、公海の自由というものの前提には資源なり生物なりが、おそらく海洋の汚染の問題、浄化の問題にしても、無限性のものという前提がついこの間まであった。
    〔藤波委員長代理退席、委員長着席〕
それがだんだん現実的な問題にぶつかっていって、国際間の考えというものが、これは有限性のものだというところに変わってきたところから、いま日本の置かれている海洋的な立場というものが出てきたのではないか、これが底流だろうと思う。だからといってわれわれは、あれよあれよといっているわけにいきませんから、一昨日からか何か、海底平和利用委員会か何か三つある委員会の一つが開かれて八週間ぐらいやるわけですね。ジュネーブかどこかでやっているんだろうと思うのですが、こういう会議に臨むにも、外務省としては相当準備をして行ったんだろうと思うのですが、基本的に、いま私が言ったようなことが、大体情勢として正しいのかということが一つ。
 それから、一昨日から始まっている平和利用委員会に関してどういう態度で臨んでいるのか、基本的な方針、態度というものだけお聞かせいただきたい。
#34
○高島政府委員 先生御指摘のとおり、ジュネーブで来年の第三次海洋法会議のための最終的な準備会議をやっております。これは拡大海底平和利用委員会と申しておりますけれども、この委員会の中に実は三つ小委員会がありまして、第一が深海海底の制度に関する委員会、第二が漁業、領海、海峡、大陸だな、こういった問題を取り扱う委員会、第三番目に海洋汚染、科学調査、こういったものを扱う委員会、この三小委員会に分かれまして、それぞれの小委員会が一生懸命、来年四月から五月に開かれますチリでの海洋法会議のための準備をやっております。
 私ども、先生御指摘のとおりの、海洋の無限性と信じられていたものに対する一つの限界、これは一つは資源等の再生産能力の限界、それから先ほど科学技術庁のほうから御説明がありました海洋の自然の浄化力の限界、こういったものに非常に着目いたしまして、これからは公海であろうと無限に漁業を続けることはできない、また、どのような船でも自由に通行することは、やはり海洋の汚染に非常に注意しなければならないので、そういうことも許されないという情勢を踏まえまして、もともと国連でこういう海洋制度全般について再検討する必要があるということになったものだというふうに考えておりますけれども、もう一つの基本的な要因は、いわゆる世界の南北問題でございます。
 先ほど先生も非常に御不満の御意見をお述べになっておられましたけれども、私どもも確かに、いわゆる開発途上国の沿岸国の海洋に対する要求、管轄権の主張、これに対しましては、非常に無理だと思っております。何とかしなければならないと思っておりますけれども、つまり国際連合という舞台でこのような大事な、日本にとっては特に大事な海洋制度全般について再検討するという場合に、われわれといたしましては、南北問題にひそむ数の問題、特に南のほうの、海洋先進国に従来彼らはむしろ犠牲になってきたというふうに感じておるわけでございます。これはまさにそのとおり彼らは思っておるわけですから、そういう点にもわれわれは考慮を払わざるを得ない。したがって、無理だとは思いまするけれども、そういう沿岸国、沿岸を持った開発途上国の要求に対して耳を傾けるという態度でなければ、とても現在の混乱した海洋の制度はおさまらない。今度の会議、これは第一次、第二次とも領海の幅員については実は失敗したわけでございますけれども、もし今度また失敗いたしますと、これはとてつもない結果になりまして、世界の海洋制度はめちゃめちゃになります。これは私、保証してもよろしゅうございます。現に第一次、第二次海洋法会議の失敗の結果が、現在のような領海制度の一貫性の混乱を来たした一大原因だと私どもは思っておりますので、今度は何とかしていま申しました南北問題に根ざす、あるいは海洋の限界に根ざす海洋制度全般の再検討にあたりまして何とかまとめたいという立場で、基本的態度を各省とも関係官庁ともよく検討いたしまして、今度の準備会議に臨んでおります。
 問題はいろいろございますので、全般的にどういう基本方針かという御質問でございますけれども、領海については領海の制度についての基本方針、それからまた、漁業問題については漁業問題についての基方方針、大陸だなについてはそれぞれの基本方針というものがございますので、全般としては、いま申し述べましたような基本的態度に基づいて、何とか日本の長期的国益を実現するようなそういう制度を認めていきたい、こういうことでございます。
#35
○原(茂)委員 それでは、具体的にいまおっしゃったことを三点に分けて聞いてみるのですが、領海の幅に関しては十二海里の主張でいったのですか、それが一つ。それから、たとえば前回わが国の発言が否決された一番根本問題は、やはり開発途上国等の沿岸の漁業における優先権は認めようじゃないかという前提で日本の主張をしたら、冗談言うなといって、いまおっしゃったような基本的に話が合わないで否決をされた。それからもう一つは、日本に対して漁業をすることを保障してもらいたい。やらしてもらうそのかわり漁獲の利益のどのくらいはとか、あるいは向こうの何とかの設備を日本でもって無償で提供してやろうというような条件でもつけてという意味の態度を持っていったのですか。今度は、臨むのにあたっては、何か具体的に前よりは前進した条件がなければいけないはずなんです。その条件はどんなものを持っていったのですか。
#36
○高島政府委員 二つの点にお答えいたします。
 領海の問題につきましては、現在三海里という伝統的な制度をとっている国は、西欧の国をはじめといたしまして日本、アメリカを含む約二十四カ国ございます。それから、これに対しまして十二海里という制度をとっておる国が約五十カ国くらいございます。したがいまして、この国が世界の多数を制しておるという現状でございます。なおしかし、それ以外に十二海里より幅の広い主張をしている国がそれ以外に約十六カ国ぐらいもございまして、中には二百海里を領海とするという国もございまして、その犠牲となっている日本の漁船も現にございます。したがいまして、私どもといたしましては、現在多数であります十二海里にまとまるように努力したい。ただ問題は、いま申しました十二海里以上の幅をとっている国は、十二海里の領海の外における自国の権限を認めてくれなければ、十二海里にすら同意できないという立場でございますので、私どものいまの悩みは、十二海里にするために、どのような十二海里以遠のところの水域について沿岸国の権限を認めるべきであるかという点でございます。
 そこで第二の問題に移るわけでございますけれども、第二の問題につきましては、いわゆるケニア及び南米の国を中軸といたしまする経済水域という主張がございまして、この主張によりますると、領海でなくて領海以外の二百海里の水域につきまして、そこの水域にある漁業資源、地下資源については沿岸国が排他的管轄権を持つべきであるということでございます。この立場に基づきますと、わが国は、いわゆる公海でございますけれども、もうそこで漁業ができなくなる。漁業をする場合には沿岸国の許可を受けなければならない、あるいは沿岸国に何か払わなければならないということになるわけでございますので、私どもそういうことにはとうてい同意できませんということで、従来から一貫して主張しておりまするけれども、しかし、ただ単にそれに反対するというだけではとてもまとまるわけはございませんので、沿岸国にも何らか漁業についての優先権を認める必要があるのではないかということで、わがほうもそのような趣旨に基づきますペーパーを用意いたしまして、各国に提示した経緯がございます。いまの十二海里でございますけれども。しかしこれも現在のところ、ほとんど全くと言っていいくらい相手にされません。
 先生御承知のとおり、現在、世界でいわゆる遠洋漁業国と申しますのは日本とソ連くらいのものでございまして、それ以外の国はほとんど自国の近海で漁業をしておるというのが現状でございますので、遠洋漁業国に対する同情、理解というものは全然ないと言っていい現状でございます。したがって、私どもといたしましては、この会議に臨む場合に全くの少数でございまして、もちろん日本だけというわけではございません。しかし、日本と多少とも同調し得る国としましては、ソ連とかあるいはイギリス、フランス、そういった西欧の国若干でございまして、たとえばアメリカ、カナダは遠洋漁業ということは全くいたしませんで、自分の近海での日本等の漁業についてむしろ警戒しておるという立場の国でございますので、日本とは立場が逆でございます。そういう国際環境にございますので、事漁業につきましては、日本の立場はたいへんむずかしい立場にあるというのが現状でございます。
#37
○原(茂)委員 いまおっしゃったとおりで、日本とソ連が遠洋漁業国だと言いながら、そのソ連ですらが、今度の会議における立場は、先ほどちょっと触れたように、河川で産卵する魚を問題にしながら、河川の所有国の管轄権に属するというような主張を出してくる一国になっているわけでしょう。そういうことになると、これは、その面では日本と完全に利害が対立している。ソ連と日本だけでもせめて手を握れるかというと、手を握れないというような複雑な状況にあって、日本だけが全く孤立しているような感じを受けるわけですから、現在、いまお話があったように確かに苦しい状況であるけれども、第三次海洋法会議が万が一まとまらないということになると、これは重大な問題になることは間違いありません。そういう意味では非常に関心を持つわけですが、であればあるほど、やはり当面一体どうするか、長期的にどうするかというような具体的な方針というものがなければ、平和利用委員会に行こうと、あるいは最終準備会議と称していまやっているものであれば、来年の海洋法会議で何か言うんでは少しおそいのであって、現在のこの利用委員会の中で、相当突っ込んだ国としての方針が、しかも説得力を持った、具体的に財政的な裏づけを持った方針というものがもたらされていかない限り、私は前回と同じ轍を踏むんじゃないかという気がするわけです。高島さんも自信がおありでないようです。行っておいでになるのは海洋部長じゃないだれかが行っているんだろうと思いますし、国連の大使がやっているんでしょうね。どういう訓令を出したか、そんなこまかいことを言えないということになるのかもしれませんが、抽象的でけっこうですが、やはり相当予算的な財政的な裏づけというものを検討の結果、ある程度準備をしてこの会議に臨んだというのでなければ、私は問題は解決しないと思います。そのくらいのことはしているんでしょうか。
#38
○高島政府委員 財政的措置について何らか準備して今度の会議に臨んだかというお話でございまするけれども、今度の会議に臨むために特定の財政的な措置について準備した上で臨んだということではございません。もちろん農林省といたしましては、漁業の問題、特に将来の日本の漁業の問題に及ぼす深刻な影響を十分考えまして、いろいろ対策は講じております。そのことは間違いありませんが、今度の会議に臨むために特別に具体的な財政措置を講じておるということではないというふうに承知しております。
#39
○原(茂)委員 言いにくいのかどうか知りませんし、御存じないのかもしれませんが、私は何か新聞で見る限りでは、外務省が相当突っ込んで検討をしたと言っていながら、どうも前回とあまりたいした変化のない案をもって、まるで商人がもみ手で、頼みます、頼みますと頭を下げていくようなかっこうで行っているんじゃないかなという感じがしてならないからお伺いしておるわけなんです。
 高島さんもおっしゃったとおり、この問題が万が一来年の海洋法会議で決裂状態にでもなろうものなら、一年、二年先のジュネーブでまたやるんだというときには大問題になると思います。したがって、七月二日から八週間やるわけですから、この会議にはもうちょっと何か具体的な、当面、たとえば日本に対する漁業保障の引きかえ条件としては、開発途上国にこういう経済援助をやる、あるいは長期的には、やはりこれは海洋法会議の中の論議も非常に今度は大事になりますが、そこで長期的な問題として、日本の漁業の位置づけというのはどういうふうにするのだということを、基本的にぴしっと持った上で今回の会議に臨んでいませんといけないんじゃないかという気がするわけです。そういう意味では、とにかく具体的な、もうちょっと、私みたいなしろうとでも――前の会議の内容はある程度資料で全部読ましてもらいました。つぶさに知っていると言うと語弊がありますが、資料にある限りは全部読みました。あれと同じようなことでもう一度やろうという、うっかりすると日本の政府はよくそういうことをやるんだ。やはり見切りが大事なんでして、今度の問題に関する限りは、とてもそうなまやさしいものではないんだから、ここらで思い切った具体的ないわゆる経済協力案というようなものがぴしっと、裏で、表で、どっちか知りませんが、提示をされながら、相当のフラクションを行なった上で表舞台での話を進めるくらいなことをやらないと、おそらくあとでしまったということになる危険がある。前回の二回目の会議の経過を見れば見るほどその心配があるから申し上げるのですが、そういう点をひとつ十分配慮をして、八週間あるのですから、いまからでも新たにお考え願って、当面あるいは長期的な二面の対策というものを十分持った上で会議に臨むという姿勢を、補足的に強化してもらうような配慮をぜひお願いしたい。これは大臣に関係ないようですが、非常に重要な問題ですから、ひとつ十分心に置いていただきまして、閣議なんかでも相当突っ込んで御発言を願わないと、いまの七月二日からの会議というのは日本の海洋問題にとっては非常に重要な問題になることは間違いありませんから、ひとつ十分配慮をお願いしたいと思います。
 そこで、この問題でついでにお伺いするのですが、いまも高島さんのお話にありましたような二百海里、これはとんでもないと私どもは思うわけです。したがって排他的経済水域なんていう言い方がもうされるようになるほど、日本的に言うなら間違いなく排他的経済水域の考え方だ。二百海里なんてとんでもない考え方だという考えを持つわけですが、しかしこの考え方が、百三十二カ国の過半数を、いまやいわゆる南、開発途上国を含めますと占める。数の上でも採決なんかしようものなら、これが通るという見通しのほうが強いわけです。ということになりますと、いま高島さんがおっしゃったように、おそらく日本にとっての公海というのは四〇%ないし五〇%、とんでもないことになるわけですから、確かに重要な問題ではあるのですが、しかし現に、かってに、群雄割拠時代みたいに、各国が管轄権あるいは沿岸漁業権というようなものを拡大解釈して、領海に対する漁業活動その他をかってにやっているわけです。まだ海洋法会議でもって国際的な取りきめができていないにもかかわらず、わが国の漁業を行なっている漁船なり漁夫が、世界各国でいま拿捕されているということを聞いたのですが、これが一体各国別に、いつ、何隻ずつ、何人ぐらいがいま拿捕されているのか。われわれはいま漁民の拿捕といえば、ソ連だとかなんとか限られた国しかいままで考えていなかった。ところが、とんでもない国にまで拿捕されている。とんでもない国というとその国がおこるかもしれませんが、われわれにとっては想像もできないような国が拿捕している。拿捕されている漁船の数と漁民の数、それから、いつごろやられたのか、今後の釈放の見通し、交渉の現段階どうなっているのか、こういうことをひとつお伺いしたい。
#40
○中島説明員 過去五年間に、一方的に設定されました漁業水域とか領海の拡大という事態によりまして、拿捕された漁船の数を申し上げますと、これは本年度、四十八年度は七月二日までの数字でございますが、隻数で申しまして百八十九隻でございます。ただし、このうちソ連につきましては、御存じのとおりの北方水域の、領土問題に関連いたします特別な問題がございますので、この数が一番多いわけでございますが、その数字を差し引きますと五十三隻でございます。それから乗組員につきましては、約二千五百人程度――今年度に入りまして若干不明のところがありますので、約二千五百人程度でございます。
#41
○原(茂)委員 各国別に……。
#42
○中島説明員 各国別に申し上げますと、一番多いところからまいりますと、ソ連が四十四年から今年度までの五カ年でございますが、百三十六隻、次がアメリカの十七隻、その次がモーリタニアの七隻、その次がインドネシアの六隻、次がエクアドルの五隻、その次がフィリピンの四隻、あとはいろいろな国がございますが、一隻ないし二隻という状態でございます。
#43
○原(茂)委員 この総計が二千五百人。長いのは何年くらい、もう五年間くらい抑留されておりますか。
#44
○中島説明員 ちょっと私、拿捕関係の担当をしておりませんので、年数ははっきりいたしませんが、ソ連等につきましては、ある程度の期間抑留されているわけでございますが、ただ、その他の国につきましては、大体一週間ないし十日程度で釈放されているという事態が多うございます。
#45
○原(茂)委員 そうすると、ソ連以外のアメリカあるいはフィリピンにしても、エクアドルにしても、インドネシアにしても、モーリタニアにしても、もうこうやって話をしているうちに釈放されておりますか。一週間程度で釈放されるのですか。
#46
○中島説明員 その場合には、罰金を通常払いまして釈放されるということになっております。
#47
○原(茂)委員 これは外務省からお答え願いますが、いまお聞きになったように、現状間違いがあると思いますが、抑留されている理由、それから抑留されている者の待遇の状況、今後の釈放の見通し、こういうものに関しては、外交交渉上どうなっておりますか。
#48
○高島政府委員 私、この問題、全然主管しておりませんので、お答えいたしかねます。
#49
○原(茂)委員 そうすると高島さん以外には外務省来ていないわけですね。――このことをお伺いするために外務省にも連絡をお願いしたのですが、私の知っている範囲では、一週間くらいで外交交渉を行なって釈放されるなんていう状況でないのもあります。待遇の非常に悪いのがあります。一方的な罪人扱いをしているところもあります。その状況と、交渉して釈放される見通しに関しては、この委員会を通じてはっきりとお答えをいただくことが必要だと思ったのですが、それができないようです。したがって、これは外務省で調査をして、釈放の見通し等に関する資料として出していただくように委員長にお願いしておきます。
 そこで、この問題の最後に、申し上げておいたり、あるいは御意見があったらお聞きしたいと思いますのは、この海洋法というものを何が何でも成立をせしめたい、せしめなければいけないというわが国の状況にあるわけです。こういう状況の中で、確かに利害はいろいろ、ある面では一緒になり、ある面では相反するという国がありますけれども、先ほどもちょっと触れたのですが、孤立無援、どこも日本と同じ立場はないのだということなのか。あるいはソ連にしてもアメリカにしても、確かに米ソの会談が行なわれ、また日本とソビエトとの首脳会談がうわさされるというようなことで、いろいろ外交的に非常に広範な問題が取り込まれているわけでありますが、この領海幅あるいは海洋法の問題に関して、田中総理がソ連を訪問してブレジネフ書記長に会うとか、あるいはその他の外交折衝がつい近くアメリカとの間にも行なわれるとかいうようなときに、一体外務省としては、この問題に関して首脳会議の議題にするような準備があるかどうか。万が一、いまうわさされているような、新聞等で見るような範囲の日米あるいは日ソというような、ああいう議題だけで終わるとしたら、日本の政治にとって非常に大きな軽率をおかしている、そう批判せざるを得ない。この問題に関してこそ、日本の側からいうなら、必ず首脳会談の議題にしなければいけない。松前氏がこの間帰ってきた伝言だそうでありますが、ソ連側はアジア安保をまず先議したい、こういうようなことが日本に伝えられ、二階堂官房長官の談話が発表されたりしておりますが、ソ連がどんな主張をしようと、日本は日本の生きていくための国益、具体的な重要課題に関して、冗談じゃない、アジア安保よりはこれが先なんだ、こういうことを堂々と事前に、もうどんどんぶち出すというくらいのことが日本の外交として必要ではないかと思うのであります。新聞に一度も海洋法問題が出ていない、そんなことでいいのかという心配があります。特にソ連なんかも非常に重要な関係国の一つである。アメリカに至ってはもとよりでございますが、そういう意味では外務省の高島さんおいでになっていますが、一体首脳会談の議題にこの領海問題を中心の議題に出すようになっているかどうかということをお伺いして終わりたいと思います。
#50
○高島政府委員 私がお答えし得る立場にあるかどうか疑問に思いますけれども、まず第一番に、海洋法全般に関しましてわが国は、アメリカ、ソ連はもとよりのこと、西欧の各国とは常時非常に緊密な連絡をとって協調しております。これはいろいろなレベルでいろいろな会議を開きまして、十分に国際連合で共同作戦がとれるように対応措置を講じております。そのほかにAAの法律諮問委員会というような、政府レベルの会議ではございませんけれども、そういう場所でも、AA諸国の理解を得るためにいろいろの努力をしております。なお、そのほかにまた、海に面していない国も開発途上国にはかなりございまして、こういった国は、先ほど申しました沿岸国の無理な要求に対してはかなり批判的でございます。でございますので、先ほど私少し言い過ぎたかと思いますけれども、日本だけが全く孤立無援でどうにもならないという状況では必ずしもございません。これは日本として十分にマヌーバーし得る余地はあるという確信のもとに今度の会議に臨んでおるわけであります。
 それからまた、先生御指摘のアメリカ及びソ連の田中首相の訪問につきましては、これを当然議題とすべきであるという御意見に対しまして十分傾聴いたします。
#51
○原(茂)委員 大臣にこれもお願いして大臣の決意を聞いておきたいのですが、いま高島さんから十分留意するというお話がございました。しかし、この問題は非常に重要ですから、閣議で強く、やはり米ソ両首脳と総理が会うときには必ず議題にする、むしろ日本から先に、重要な議題としてこれがあるんだというぐらいのことを言うぐらいなことが非常に大事だと思う。特に国民的なそういう意味の意識を高める必要があるわけです。
 これは大臣御存じかどうか知りませんが、日ソ貿易経済合同委員会というのがありますよね。あの委員会のときも、日本は民間主導型で民間の諸君がその会議に臨むんですね。政府のどなたかが行くようなときには、オブザーバーみたいなかっこうでくっついていく。ですから、あの重要なチュメニであろうとヤクートのガスの開発なんていうものは、もう日本にとってのどから手が出るほど大事なものでしょう、これからの公害を考えると。いつだかだいぶ前に、ヤクートのガスに関してアメリカの二社とソビエトとの間で調印されましたね。つい最近になりますと、今度はチュメニのほうのガス田まで開発契約ができて、あの調印ができる、その前から日本に対しては、特にチュメニなんというのは、ずっと前からパイプラインを中心にもうずいぶん長い歴史を持っておる。ところが、日本の政府は陰に隠れていて、そうして民間が折衝しておるやつに、いやちょっとそれはまずい、いやどうしても六年でなければいけない、七年でなければいけない、てなことを言っておる間に、首脳会談、その翌日には調印というふうにどんどん進んでいくわけです。日本はチュメニの交渉中心の、あるいは経済合同委員会などを開いても、政府の責任ある立場の人が出ていかないものだから、向こうのソビエトも、何というのですか、外国貿易省次官ぐらいですかね、最高の責任者といってもそんな程度、と言うとおこられちゃいますが、とにかく米ソだあるいは何だという首脳会談における力の入れ方、問題のきまり方というようなものと比べたときに、日本も及び腰で弱いものですから、あちらさんも、ああそれはひとつ政府にまた聞いてといわざるを得ないような、次官程度の人が責任者でやってきて交渉を行なっておるから、ひとつも進まない。いま高島さんがおっしゃったように、あらゆる何とかの会議で努力しています、ものを言っています、けっこうです。これも下からやらなければいけません。やらなければいけないのですけれども、やっていればやっているほど、この重要課題に関してはやはり首脳会議の正式の議題に、これは重要課題として討議をしたいというようなことを打ち出し、事実また首脳会談の議題で問題を、日本の立場を説明しながら協力を仰ぐように、ほかの問題とのいろんなかね合いもあるのですから、思い切ってそういう発言が必要だろう。そういう態度が必要だろう。過去の事例に照らして私はそう思う。大臣が閣議等を通じてこの点を強く主張してもらうように、これは決意をお伺いしたい。
#52
○前田国務大臣 米ソとの首脳会談等におきまして、海洋問題であるとかそういう問題についても、そのトップ会談の議題にすべきじゃないかというお尋ねでございますが、私、実は自分の担当ではございませんし、外務大臣がどういうように考えておるかということは、私、現在わかりませんけれども、先刻来の原先生と政府委員との問答等をずっと拝聴しており、私の知るところによりましても、わが国の船舶が外国において相当拿捕されておる、また抑留されておる、しかもわれわれは遠洋漁業というものを続けていかなければいけない、わが権益を守らなければいけない、そういうふうな点をどういうふうに調整すべきであるかというような問題等もございますので、ただいま原先生の御指摘の点は、私は非常に重要なテーマであると思います。その点につきましては、外務大臣にもよく先生の御趣旨をお伝えして、よく考えてもらいたいというふうに考えております。
 それから、日ソ経済協力の問題でも民間主導型じゃないか、政府は及び腰じゃないかというような御指摘、これも及び腰であるかどうかということを、従来までのやり方がどうであるかというのは、私もいま別にどうとは考えませんけれども、とにかく先生のそういう御指摘、民間にみなまかしてしまって、政府はあとでついていくという姿勢がどうかという点も、ほんとうにわれわれは考えなくちゃならぬと思います。その点もあわせて担当の外務大臣にもきょうの委員会の御趣旨をよく話したいと思います。
#53
○原(茂)委員 どうもありがとうございました。外務大臣のみならず、閣議で総理にも強く発言をしていただきたいのが希望です。これは絶対に必要です。やっておかなければいけない問題ですから、ぜひお願いしたい。
 次いで、翌日二十八日に行なわれました原研の問題に関して質問を申し上げたいと思います。
 先ほどお願いした資料の提出をぜひお願いしたい。
#54
○石野委員長 外務省の方、資料提出についてひとつ……。
#55
○高島政府委員 先ほど原先生御要望の資料につきましては、善処いたします。
#56
○原(茂)委員 先日、原研の中島副主任研究員ですかの論文を中心に、厳重注意という処分といいますかが行なわれました。その件について、この間お聞きのようないろいろとやりとりがありまして、なお、おいでになりました長谷川先生からも、憲法学者としての貴重な意見などもお伺いしたとおりであります。あれ全体を考えてみまして、結果的には、この厳重注意というのは、山本さんのおっしゃるように就業規則上の処分ではないのだ、科学者として事実誤認の個所を指摘して注意したものなんだ、こういう結論になったわけであります。また、いわれているような言論の自由を圧迫したり、原子力の三原則に反対するようなことは何もしてはいない、こういう付言もありました。私は確かにそのとおりだろうと、山本さんのおっしゃることも是認したわけであります。厳重注意というのが就業規則に基づくものでない、そういう処分ではないと言ったことは、直ちに、結局厳重注意とは何だという疑問を実は持った。就業規則にないような、表彰懲戒規定にないような厳重注意というのを文書によって行なうというようなことは、これは実際には規定にないことをかってにやったのだというようにもとれるのじゃないかという考えになりました。
 しかもその上に、五月の十一日だったかに、直接中島さんを呼んで山本さんは注意をしている。その注意のしかたも、チェックポイントをある程度あげてその指摘を行なった上に、表彰懲戒委員会にかけたのは、すでに理事者側に言論の自由や三原則に対する確たる認識が欠けているために、何か表彰懲戒委員会にかけるようなことをしてしまったのじゃないだろうか、二つ目に実はそんな疑惑を持ったわけであります。
 表彰懲戒委員会にかけたからといって、全部就業規則による処分をする問題ではない。なるほどそのとおりで、案件によっては、問題なし、これは処分をしよう、ということがきめられると思いますが、確かに処分の対象にしない案件もずいぶんあるだろうと思いますから、そのことはいいのですが、私はこの種の問題を、論文中心の誤認のあるところを口頭で注意したにもかかわらず、なお表彰懲戒委員会にかけて論議をするという、その委員会にかける認識というものが、やはりその底流に、言論の自由あるいは三原則の公開の原則というものに対する強い認識が欠けているから、表彰懲戒委員会にかけるというようなことをしてしまったのではないかというようなことを、二つ目に疑惑として持ったのであります。
 もう一つは、いや、そんなことは承知の上なんだ、わかっているのだけれども、中島氏という人に対する偏見というものが何かあって、その偏見が中心でためにするいやがらせをやるとか、あるいは圧力をかけて今後の行動に何がしかのブレーキをかけようとするとかいうようなことの意図が、結局表彰懲戒委員会にかけざるを得ないほんとうの理由なんだ、そうして、かけてはみたが、就業規則による処分ではない、規則にもない厳重注意という文書を送付するというようなことをしてしまったのではないだろうか、そんな感じがするのです。
 別にこれをどうこうするという問題ではありませんが、できるだけ公平に、公正に、両者の経緯というものを聞き、あるいは私なりの最も冷静な判断をしたいなという前提でよく聞いていながら、いま言った三つの疑問、たぶんそうだろうというような考え方に私はなっていますが、これに対して同感なら同感でけっこうですし、いやそうでないというなら、具体的にお答えをいただきたい。
#57
○成田政府委員 原研の中島氏の問題でございますが、厳重注意というのは、御指摘のように就業規程違反に対する懲戒処分ではない、これは技術庁が研究所の運営管理について一般的に有している責任権限に基づいて、職員に対して行なう指導監督行為の一つである、そういうふうに解釈され、われわれもそう解釈しております。
 それから、表彰懲戒委員会にかけたのは、やはり就業規程違反のおそれがあるのではないかというので、これは雑誌が出ました一月末から原研所側でもいろんな調査をやって、そしていろいろ事実に反する内容もありますので、その点を調査して、公正に判断するために表彰懲戒委員会にかけたものと思います。
 その結果は、就業規程違反ということによる懲戒処分ではない、それに至らない、ある意味では本人に今後注意をするという意味の、反省を促す意味の、懲戒処分には至らない一般的な監督行為の一つとしての厳重注意、これは原研としては従来もそういう慣行がある。これは文書でやる場合と口頭でやる場合といろいろあるようでありますが、今回はちょっとおくればせながら文書を使った厳重注意というかっこうをとっております。
 それから、中島氏に対する偏見、こらしめのために厳重注意という形をとったのではないかという御疑念でございますが、これはやはり原研所側のこの前の説明にもありましたように、原研の安全管理体制あるいは原子炉の運転管理体制に対して一部事実と違う点がある、これははっきりしておるようでありまして、この問題だけについてのいろいろ数カ月にわたる所側の調査の結果、表彰懲戒委員会にははかりましたが、懲戒処分ではなくて、一部事実と違う点を原研の業務に関して発表して一般に誤解を受けさせる、原研の名誉、信用を害するおそれがあるということから、今後こういうことのないようにという、本人の反省を求める意味で厳重注意というかっこうをとったのでありまして、従来からの中島氏の行動に対する偏見とかこらしめという意味はない。この岩波の二月号の論文だけに限定された問題としての結論だったと思います。
#58
○原(茂)委員 五月十一日に口頭で注意を行なって、なおかつ、その後表彰懲戒委員会にかけ、しかも厳重注意というのは規定による処分ではないということになれば、口頭で五月十一日に注意をしたら、それをあらためて表彰懲戒委員会にかけるということはどうしても理解できない。そういう意味からいうと、厳重注意なんというのは本人にすること自体があやまちだという二十八日の長谷川先生の意見がありました。論文に関して何かその責めを問いたいというならば、発行した雑誌「科学」、これに対してものを言うべきである。論文に関して、科学技術者が事実誤認がある、あやまちだという指摘をしたかったら、その「科学」という雑誌を通じて論文を出して、またその雑誌を読んでいる多くの人に堂々と自分の意見を知らしめる、あやまちを指摘するということが必要ではないか。全然「科学」という雑誌を問題にしないで、中島氏に厳重注意をするなどということはおかしいという指摘がありました。お聞きになっていたと思うのですが、私はこれも妥当だと思うのです。
 なお、私の意見として、くどく言ってきましたことは、この種の問題に関して注意をする、あるいはやりとりをしようということになるなら、やはり文書によってはっきりとその指摘個所を記録して、文書によるやりとりが必要ではないかというふうにも強く指摘をしてまいりました。その上に三つ目には、この種の問題の最終結論というものが、こうこうこういうやりとりでこうなったんだということを、こまかく文書上きちっと表明をして全所員にこれを知らせるということが必要だという強い指摘をしてまいりました。これはぜひやらなければいけないと思いますし、その前段として私が申し上げたいのは、このあいまいな厳重注意なんという文書は撤回すべきだ、これは撤回に値する、撤回することのほうがむしろ厳重注意、口頭による五月十一日の注意をいい意味で生かすゆえんだ、あと追っかけて委員会にかけておいて、またぞろ文書によって厳重注意、しかも二度とこのようなことがないようにと、個条的に何も書いてないというような文書を出すような、ああいうあいまいな態度というのは、逆に前例としてはいけない。特に原子力にかかわる重要な開発研究を行なう場所であればあるほどに、日本の国にとっての今後の方針としても、科学者、技術者に最もきびしい自戒を要求する道でもあるというふうに考えるから、厳重注意という文書の撤回を私は命ずべきだと思いますし、そのことを通じて、同時に経緯というものを文書によってぴしっと示す、また組合従業員の側が要求している、文書による詳細な指摘というものもぴしっと行なって、かくかくの理由で厳重注意が実は行なわれたというようなことがいまだに行なわれていないのではないかと思いますが、これも約束どおりきちっとやる必要があるだろう、こう考えますが、いかがでしょうか。
#59
○成田政府委員 この前、参考人の学者の方が、本人に対してでなくて岩波の雑誌で反論すべきではないかという御意見、確かにありまして、われわれもいろいろ検討したのでありますが、原研側の説明によりますと、この論文は、学術的な論文の性格もある面はあると思いますが、いま問題になっておるのは、やはり原研の原子炉の運転あるいは安全管理事項等の一部事実関係が非常に事実と違う形で発表されておる、そういう意味で、学術論文としての反駁という形でなくて、書いた人が原研の職員でありますので、職員に対して原研の業務の一部について間違った書き方をしているじゃないかという指摘でありますので、雑誌に対する反論でなくて、やはり本人に対して注意をしたんだという説明を聞いておりまして、われわれも、その限りではそういう考え方が適当なんではないかと考えております。
 それから、本人に対して、厳重注意が文書でなされておりますが、その理由については何ら文書は出ていない。これは先生から二回ほど御指摘がありまして、最初は原研側も従来理由を文書で出した例が、慣行がないというので、注意だけが文書になって理由が出ておらなかったのでありますが、国会等で理由についての十分ないろいろな説明も行なわれ、また国会における先生からのそういう御注文もありましたので、七月の三日付で原研部長から本人に事実関係の違う点を含めました理由書を交付したというふうに聞いております。
 それから、経緯並びに結果について、全所員に文書ではっきりさせるべきではないかという御指摘でございますが、この点につきましては、原研側とよく相談をして結論を出したいと思っております。それから、撤回すべきではないかという御指摘もありましたが、これは原研の所内の問題として、原研の判断によるべきだと思いますが、原研の説明にもありますように、これは懲戒処分ではなくて、今後こういう原研の業務について間違ったような発表のないようにという単なる注意でありますので、しかもそれは管理者としての一般的な監督行為の一つとしてやったんで、撤回等をすることは考えてないようでございますが、この点は原研の内部的な問題としてわれわれは考えたいと思っております。
#60
○原(茂)委員 反論するようですけれども、いまの雑誌「科学」に出した論文であっても、所内の人間のあやまちだから口頭であるいは本人に注意を行なえばいいという原研の考え方だ、それは認める、こういう局長のお話。「科学」という雑誌は不特定多数に配られている。所内の人間だけに見せているものではない。それを所内の人間であるから、その人間だけに注意すればいいという無責任な態度は許されない。少なくとも原研に関して、ある意味では中島さんの誤認も確かにあります。ある面からいうと、原研の安全性に関する認識、あるいは管理体制の欠除している非常に重大な問題をえぐった個所もあるんです。全部中島が悪い、全部原研が悪いんだという一方的なものではない。そういうような、ややもするとあやまち伝えられ、誤って考えられるような課題というものが、論文の中に何カ所か指摘されて、不特定多数に見せられた以上は、わが国における原研の当然の義務として、その不特定多数に、真相はこうだということを知らせる義務を負うべきだと思う。その意味では、「科学」という雑誌が原研の中における所内報ではないんだという前提をよく考えて、もう一度原子力局長から「科学」という雑誌を通じて、その不特定多数に十分にその内容を知らせる義務を負うべきだという意味で注意をし、ぜひとも実行に移さしていただく、これは当然の義務だと思います。そうでないという考えがおかしい。この点に関してもう一度局長のお考えをいただきたい。
 次に、時間の関係でついでにお伺いするんですが、大臣にお考えをお聞きしたいと思いますが、この間、労働組合の委員長の大杉さんという人にここへ参考人として来ていただきまして、意見の陳述をお願いいたしました。国会が参考人としてお呼びをいたしましたときに、拒否をしたときにはこれに対する処罰の規定――処罰というのか何か知りませんが、理由なく拒否ができないこととなっております。このような拘束的な参考人としての出席を求められた大杉氏が、あの当日賃金カットをされたと聞いているんですが、これは全くナンセンスだと思う。これは間違いだろうと思うのですが、私の聞き違いならいいんですが、そういうことが前例になったら大問題です。少なくとも他の職員の場合にはよろしい、労働組合の委員長が参考人として呼ばれたときには賃金カットだというようなことが、もしほんとうに行なわれたとするなら、これは考え方がどうかしていますし、国会軽視というよりは、国会に対して重大な侮辱を与えたように私は感ずるんです。重大問題ですから、これがもし真実であるとするならこのままには放置しないつもりであります。どこまでも問題にいたします。大臣、これをお聞きになって、それが真実かどうかのことを私が十分に確かめていないことはまことに遺憾でございますが、どういうふうにお考えになるか。私はこんなばかげたことが行なわれていたとするならば、直ちに賃金カットなどということは取りやめにさせるようにすべきだ、こう思いますが、いかがでしょうか。
#61
○成田政府委員 岩波の「科学」に出た論文でありますので、岩波の「科学」において原研側が事実に反する点、違う点を指摘すべきであるという御指摘でありますが、これにつきましては原研とよく相談をして処置したいと思っております。
 ただ、先ほど言いましたように、この問題はこの論文の中で原研の炉の問題、安全問題等について事実と反するところがありますので、職員としての中島氏に対して管理者が注意をしたということで、ただ中島さんだけに注意するだけでなくて、一般の人もこの雑誌を読んでおりますので、その点の誤解のないように、原研が何らかのかっこうで岩波にアクションをとるべきかどうか、これは所とよく相談をして早急にきめたいと思っております。
#62
○前田国務大臣 ただいま原先生御指摘の賃金カットの問題でございますが、実は私、この問題については何も聞いておりません。この点につきましては、どういうことであるか、一ぺん真相を調べてみたいと思います。
#63
○原(茂)委員 真相を調べて、私の申し上げたことも十分にひとつ配慮をして処置をお願いしたいと思います。
 それから最後に、これは私の一つの提案なんですが、この間もあの参考人にいろいろな意見をお聞きしておりまして、これは何とかしなければいけないなという感じを、実は正直持ちました。何か安全性中心に、毎日その安全性を確認して、みずからの生命を守りながら、同時にその実績を今後の日本の原子力の開発に役立てようという職員と、ずっと上のほうにいて管理者として仕事をしている方々との間に、この原子力の安全性に対する認識の強弱があるという感じは偽らず持ちました。
 私、その点で、イギリスの公企業における労働組合の経営に参加している状況などをふと思い出したりしていたのですが、ちょうど七月一日、TUC、イギリスの労働組合会議というのが約三十五ページぐらいにわたる報告書を出しまして、労働者の経営参加の問題に関して、これはヨーロッパでは非常に関心の高い問題で、しかもTUC、イギリス労働組合会議というのは、イギリスの労働党内閣のバックをして、実際に政権の側に立って長い間組合活動をやってきたという意味では、非常に貴重な組合としての存在なんです。これがもう三年有余にわたって、労働者の経営参加に対する問題の研究をしてまいりました。そうしてようやく三年半の粋を集めて、年末には集大成できるのですが、中間報告の形で約三十五ページの、いわゆる経営参加に対する問題の提案をいたしました。それがこの一日であります。イギリスにおける労働組合会議、この傘下の組合員が約一千万、これは最大の組合でございますが、この骨子は何かというと、労働者の経営参加を、企業の経営というものの中に、経営委員会と監査委員会という二つを設ける。そうして経営委員会より監査委員会のほうがもっと強い権限を持ったものに位置づける。この経営委員会の中に労働者は入ろうとしない。そうして監査委員会の中に、TUCが推薦した労働者代表というのを十人なら十人のうちの五人、半数を参加せしめよう、こういう実は提案です。従来労働組合のかかわり合う問題というのは、やはり賃金、待遇、こういう問題が主要な問題だったのですが、そうでなくて、合併だとか企業の廃止でございますとか、あるいはその他企業にとって重要な影響を及ぼすであろう問題に関する決定には、監査委員会にいる半数の労働組合員というものが十分に発言をして、自分たちの米びつであり、とにかく働く場所というものを基本的に経営者だけにまかせずに、一緒に守っていこう、こういう提案が実はされた。こういうこととほとんど変わらないことをイギリスの公企業体はすでにやっている、というのを、この間聞いているうちにふと、イギリスの公企体の労働組合の経営参加の状態というのを日本の原研における管理体制の中に入れたほうがいいのじゃないかなという感じがしていたところへ、七月一日にその報告書が出ました。なおさら強くそれを感ずるのですが、やはり特殊法人原子力研究所というような場所において、しかも国家的な使命を帯びた現在の作業をやっている原研のようなものの管理体制を考えましたときには、経営者は経営者なんだ、理事者は理事者だ、そうして、一般経営者対労働組合と同じように、とにかく労働条件あるいはその他の条件で民間の企業あるいは日本における一般公企業と同じように、労使が紛争を起こしたり、ものを言ったり、交渉を行なったりということだけではいけないので、私は原研の経営の組織というのを、実は時間がなくてきょう見てこなかったのでよくわかりませんが、あとで見てみますけれども、ひとつ最高の管理体制という、何か委員会があるかどうか知りませんが、ないなら、つくりながら、そこに労働組合の代表を同数入れて、今後は安全性というものを中心にした十分な論議が行なわれるようにしていくことが必要ではないか。英国における公企体ですでにやっていることが日本でできないはずはないので、せめて原研がわが国における一つのはしりに近いような、完全にTUCの提案と同じでなくていいのですけれども、何かこの間の隔絶、断絶したような状況というものを埋めながら、わが国の原子力開発に大きく寄与してもらう、気持ちよく寄与してもらいながら、しかも事実働く諸君の安全性というものがほんとうに確保できるようなということを考えたときに、いずれにしても管理体制が十分であるとは、あの論文の指摘にあるように、言えないというふうに考えますので、彼らをも労働組合員をもその管理体制の中に、相当強い権限を持った委員会なら委員会の仕組みをつくった中に入れていくというようなことを、思い切ってやっていくべきではないだろうかというような感じがしたのですが、いかがでしょうか。大臣からひとつずばりとお答え願いたい。
#64
○前田国務大臣 イギリスの労働組合が経営参加するという非常に貴重な御意見でございましたが、私は、この原子力研究所に関しまする場合は、特にそういう機構の改革というようなものを考えずとも、現在すでに安全推進会議という会議が原子力研究所の中にございまして、この安全推進会議には労使半数ずつ出ておりまして、四十七年度末までにすでに数回開催して、いろいろ総点検をしておるようでございます。私はこの安全推進会議というものをもっと花も実もあるようにしていただいて、できるだけそのコミュニケーションをよくして、今度の紛争――紛争というほどでもありませんけれども、こういうことが表に出ずに、もっと安全推進会議で詰めてほしいということを希望いたしておる次第でございます。
#65
○原(茂)委員 大臣のおっしゃるような安全推進会議のあることは承知いたしております。安全推進会議を含めた原研の経営全体の問題を、管理委員会か何か知りませんが、設けて、そこへ労働者代表が入っていかないと、安全推進という問題を安全だけに限っていくと、安全を確保するために、経営全体の相当の部門のこことあそこというようなものが非常に管理体制上必要になってくるという面を考えたときに、やはりTUCというのは、もう少しこの論文を研究してみていただいて、これをただ、現在推進会議があるからそれで済んでいるんだという考え方になると、推進会議でもって何かあれをやろう、これをしなければいけないというような考え方が、直ちに上部の人間にいろいろとアタックを必要としてみたり、あるいは横の連絡が非常に必要になったりというようなことを、逆に考えていくと、その上に原研そのものの管理体制全体を考えたときのその何かができて、そこに労働者代表が入り、その下に安全推進会議があるという構想が必要ではないかという提案をしたわけですから、そういうことも十分に検討をしていただくことをひとつお願いをして、きょうは質問を終わります。
#66
○石野委員長 次に、内海清君。
#67
○内海(清)委員 先月末の参考人にいろいろ御意見を聞いたのにつきましての、きょうは役所側に一対する質疑ということでございますが、初めに原子力局長、えらいきょうお疲れだそうでございますから、いまの原研の問題について、大体原委員のほうからお話がございまして、私はたいしてお尋ねすることもございませんが、簡単にお尋ねして、このほうを先に終わりたいと思うのであります。
 科学技術庁は原研の監督庁であります。したがいまして、原研に起こりましたいろいろの問題につきましては、やはり科学技術庁にその監督の上に立っての責任もあることだと思うのであります。したがって、最初にひとつお尋ねしたいと思いますのは、今回のああいう事件に対しまして、あの事件が起きて問題になったときに、科学技術庁としてはどういうふうな処置、といったらちょっと事が大きいかもしれませんけれども、処置をとられたか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
#68
○成田政府委員 中島論文が岩波の「科学」二月号へ出ましたときから、原研側からこういう問題があるということは聞いて、原研側もその後いろいろ事情調査等もやって、あるいは表彰懲戒委員会を開催してはかるという、そういう事実関係は即時連絡を受けて、報告を聞いております。ただ、事の性質上、われわれは原研等の内部の問題として考えておりまして、内部の問題以上に基本法の問題、あるいは学問の自由とか、そういう問題と関連ある問題であれば、またわれわれもいろいろ調査して、言うべきことは言わぬといかぬのでありますが、われわれ、この問題は原研内部の問題として考えておりましたので、実情はそのつど聞いておりますが、原研内部の問題として取り扱ってきたわけでございます。
#69
○内海(清)委員 原研内部の問題だから、それに対しては別に監督官庁としての何らかの指導も行なわなかったと、原研にその処置をまかしたということですね。
#70
○成田政府委員 表彰懲戒委員会あるいは原研の理事長の処置が懲戒処分等であったら、またわれわれももっと詳細に事実関係を調べてそういう判断もすべきだったと思いますが、このたびは単なる厳重注意、懲戒処分に至らない処置ということの結論ということを聞きましたので、これは内部の問題として考えて取り扱ったわけでございます。
#71
○内海(清)委員 科学技術庁も従来から、原研におきまして労使の間にいろいろの問題がある、これは御承知だと思うのであります。この間の御意見聞きましても、私はやはりそこにはかなりの大きな断絶があるという感じを持ったのであります。したがいまして、こういうふうなことを御承知であるならば、ああいう問題が起きたときに、もう少し監督官庁としてのその処置に対する指導力といいますか、そういうものを発揮していただきたかったというふうに私は考えるのであります。今回の問題、もう過ぎたのでありますが、今後もああいうふうな問題はすべてそこの内部の問題としてお考えになるつもりであるかどうか、これは非常に大事なことだと思うのです。お伺いしておきます。
#72
○成田政府委員 問題の内容によりまして、軽易な問題は、内部の問題として考え処置してまいりますが、非常に大きな問題は、これは単なる労使関係の内部問題だけではなくて、行政庁として監督面からいろいろ意見を言うべき問題もあると思います。ただ、このたびの問題は、いろいろ経緯等をわれわれ聞いておりまして、これは内部の問題として処置したのでありますが、今後いろいろな問題、大きな問題もあると思いますが、それはそのつど判断をして、事の性質上行政監督庁として出るべきときは出て指導したいと思っております。
#73
○内海(清)委員 最初のそういう、内部の問題だから内部で処置したらいいというところに今度のあやまちがあったと思うのです。参考人として労使ともこの委員会に呼んで、そうして意見を陳述してもらって、委員からかれこれ意見を述べ、質問しなければならぬような事態というのは、そう簡単な問題と考えてもらっては困ると思うのです。そのことによって一そう問題は拡大されたと思うのであります。しかも、こういう形になることが今後の労使の間にいい影響を与えるかということです。むしろ私はこの間の空気を見れば、ますます対立的な様相を呈するのじゃないかというふうな気がいたすのであります。今後こういう問題につきましては、ひとつ十分慎重に監督官庁としてお考えいただかなければならぬ、このことをまず要望しておきたいと思うのであります。
 私は、できることなれば、この間申しましたように、労使の問題でありますから、第一義的に原研内部で処理できれば一番よかったということを思うのでありますけれども、問題がここまで発展したわけであります。だから、原研にも就業規則はございますが、今度の問題は就業規則によって処置されたものではない。今後の自戒を強く求めて、そうして厳重注意ということでやったというのであります。しかし、そのことについてこの間の陳述を聞きましても、組合側から申しますならば、さっき原委員からも御質疑ありましたけれども、何か原研がいままで中島氏に対して特別な扱いをしたというふうなお話もあるわけであります。こういう点は、平素この原研の管理体制というものに私は非常な疑問を持たざるを得ない。ことに人事管理というふうなものは、これは何についても、一つの企業から申しますれば基本をなすものであります。その人事管理に事欠いておってそこの事業がうまく目的が達成されるものでないことは、もう明らかなことなんです。そういう点につきまして、私はこの際特に今後の原研の人事管理、さらに労使間の問題につきましては、格別役所としても意を用いて、今日の状態にありますのを正常な状態に改善していかなければならぬ。簡単に申しますれば、いわゆる労使の信頼関係がここに生まれてこなきゃならぬと私は思うのであります。しかも、これは原研の従業員であり、一面からいえば、原研の従業員の方には学者が非常に多いのでありまして、いわゆる一個の科学者としてということでございますので、普通の会社などの管理よりも一そう意を用いないと問題が起こるというふうに私は考えるのであります。でありますから、これらの点につきまして、重ねて申し上げますけれども、一そうの御留意を願いたいと思うのであります。
 そこで私は、この間参考人にも、時間がございませんで十分でなかったわけですが、お尋ねした点で、一つお尋ねしておきたいと思いますのは、いわゆる原子力の三原則がございます。問題になりましたのは、それの中で特に公開の原則というのでありましょう。だから、公開の原則というもの、これは、原研も特殊法人という一つの企業と考えていいと思うのであります。これは、原研が事業目的を持って設けられておるわけであります。そこで、事業目的を達成するために、そういう立場から言論の自由というものをどう考えるかということであります。ああいう場合にも、原研の従業員であり、一面では科学者ということで非常にむずかしい問題があると思いますけれども、それがいつでもどこでもどんなことでも発表していいかどうかという問題が企業には出てくるだろうと思うのであります。ところが、憲法のいわゆる言論の保障というものがございます。それから企業の事業目的達成ということ、この二つから考えまして、法にいいますいわゆる言論の保障というもの、その保障の限界というものがあるかないか、こういう問題であります。法の言論の保障の限界というものにつきまして、ひとつ役所のお考えがございますならば、一応お聞きしておきたいと思います。これはできれば長官にお伺いいたしたいと思います。
#74
○前田国務大臣 たいへんむずかしい問題でございますが、言論は自由でなければいけないということは、憲法に保障されておるとおりでございます。また、公開の原則も原子力基本法に書いてございます。これも大切な原則でございます。ただしかし、今回の中島論文にあたりましては、中島君はなかなか勉強家のようであります。私も詳しくはそういう方面の専門家じゃございませんけれども、勉強家のようでありまして、ただ、発表されたその論文が事実に反したという点は、これはやはり原子力研究所のほうにおいて、組織人として、その原子力研究所の所員として、その点はチェックされるべきではないかという意味において、今度の一連のこういう問題が起こったわけでございまして、その点は私、今回の事件が、言論の自由というものについて別に圧迫をした、侵害をしたというふうには考えてないわけでございます。
#75
○内海(清)委員 局長、何かお考えありますか。
#76
○成田政府委員 日本原子力研究所は、日本の原子力研究の基礎的な研究所でありまして、しかも原子力基本法に基づいてできた研究所でありまして、当然原子力基本法の三原則、特に公開の原則等は徹底して守るべき立場にあると思います。ただ、原子力研究所も一つの法人格を持った特殊法人でありまして、内部の規律の問題と、また内部秩序を守るということは、一つの組織体として当然要請されておるところでありまして、原研の就業規程の七条におきましても、研究成果を含めて研究所の業務に関して、職員が外部発表を行なうことについては、理事長の許可をとることに、就業規程によってなっております。この許可をとる趣旨は、決して言論を押える、あるいは公開を押えるという意味ではなくて、むしろ特許権を、権利取得前の発明とかそういう発明、考案の保護あるいは共同研究をやっている場合は、個々の研究者の発表権の保護とか、いろいろ請負契約、委託契約等の契約上の秘密、入札価格とかそういう秘密を守る契約等のそういう要請によるものでありまして、われわれは、この許可の運用基準としては、当然内部規律を守る必要最小限にとどめるべきであって、許可の運用においては、基本法にいう公開の原則、しかも成果の発表というのは、ある途中の段階でいつでも発表というより、成果になった段階で発表して世に問うというほうが望ましいので、そういう時期的な調整の問題等もこの許可制の運用であると思いますが、これはやはり公開の原則の基盤に立ってこの許可制度が運用されていくべきだ、しかも、そういう許可制によっていろいろ調整をとるのは、先ほど言いましたような必要最小限にとどめるべき問題であろうというふうに考えております。
#77
○内海(清)委員 法の保障の限界というのは、これは学者でなければなかなかむずかしい問題だろうと思います。この間長谷川先生の御意見を伺いました。憲法学者といわれる人でも多少違う意見もあるようであります。そういう場合にあるようでありますが、私は私自身でなかなかここではっきり言明できませんが、結局中島氏は一個の科学者であるということ、それがいわゆる研究の結果を発表したという立場に立って考えるのと、それからいわゆる一企業の従業員であるという側に立つのと、ここに私は今回の問題があると思うのです。ですから、そこが解明されますれば、問題はおのずから解決するのではなかろうか。したがって、私がいま言い得ますことは、そういう点を十分御研究になって、できればそういうふうなものも就業規程で、ことに原研は科学者が多いのでありますから、今後におきましても、いろいろなものを発表するような問題があるいは出てくるだろう。いまの就業規程の七条ですか、そういうふうなものにつきましても、もっと疑義が起こらぬような明快なものにしておく必要があるのではなかろうかと思うのであります。そういう点から考えまして、これは今後原研にまかすのでなしに、役所自身もそういう点を十分御研究になって原研を指導されるべきである、かように思うのであります。そのことをもう一ぺん強く要望しておきたいと思います。時間がありませんから、きょうは一応その程度にとどめておきたいと思います。
 それでは海洋開発の問題に移りたいと思います。
 この前私は、海洋開発につきましては、これまた時間がのうてあれでしたが、私が考えておりましたことを原先生からだいぶお話がございましたので、できるだけ重複しないように簡単に聞きたいと思いますが、海洋開発をいたしますにつきましては、この間私も参考人にお尋ねいたしましたが、やはり何と申しましてもその前提は海洋の実態の把握ということであります。わが国が海洋開発をいたそうと思うならば、主としてわが国に関係のある海域の実態を把握するということであります。これが大前提だと思います。それと同時に、大事なことは、きょうも論議になりましたが、いまジュネーブで国連の拡大海底平和利用委員会がおとついから行なわれておりますが、そういうものによってきめられる――これはことしの暮れに招致されて、来年の春が本格になるようでありますが、第三回の海洋法会議がサンチアゴで行なわれる。そこで新しい海洋条約をつくろうというのでありますが、こういう海洋に関する国際条約というもの、このものと二つを考えあわせなければ海洋開発というものはむずかしくなる。ましてわが国の海洋開発は、これは基本法も含みますけれども、その両方を見なければ海洋政策というものはなかなか確立がむずかしいのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。
 そこで、いまジュネーブで行なわれておりまするこの委員会は、九十一カ国も参加しておるようでありまして、来春の第三回の海洋法会議の準備会議である。いま行なわれておるのは夏会期といわれておるようでありますが、春会期もあり、いままで五回くらいの会議が行なわれておるようであります。ところが、これは海に関するいわばほとんど全般的なものであります。たとえば深海の問題、海底の問題、領海の問題、漁業の問題、航行の問題、海峡の問題、あるいは汚染の問題、汚染の問題は最近出てきたものでありましょうけれども、こういうふうな海洋全般にかかる問題であります。いままでの海洋法会議では領海、公海、漁業、大陸だな、大体四つの条約があるのでありますが、これが今度大きく改められてくるわけです。この国際条約ができますれば、わが国もこれに規制されることは当然であります。
 そこで、日本でもこれに対しては重要に考えておられるようでありまして、国連の次席大使、小木曾さんですか、それから外務省に海洋法本部というものができて、そこの本部長の杉原という人が大体代表格として、外務、通産、運輸、水産、防衛、環境、こういうふうな役所で構成して行っておるようです。これはあらゆる面に関係があるということです。ところが、ニューヨークで行なわれた春会期、ここでずいぶん議論されたようでありまして、この小委員会を通じまして各国の立場というものが大体明らかになってきておるようであります。先ほど外務省のほうでも南北問題などもありましたが、そういう問題ももちろんあるわけでございましょう。でありますから、大体ニューヨークの春会期の小委員会を通じまして、この夏会期に議論される問題は大体集約できておるのではなかろうか、つかんでおられるのでなかろうかという気がいたします。
 そういたしますと、この夏会期は大体大勢としてはどんなことになっていくかということを、外務省としては、外務省に海洋法本部がありますから、大体総括しておられるんでないかと思いますので、外務省のほうにその点についてお伺いいたしたい。大勢はどういうふうに向かっていくか。
#78
○高島政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、今度の準備会議が来年の海洋法会議の最後の準備会議になりますものですから、過去の海底平和利用委員会におきまして審議された結果の総決算ということになるわけでございます。
 その項目といたしましては、こまかく分けますと二十五にもわたるわけでございますけれども、大きく分けますと、先ほど申しましたとおり三つの小委員会の担当しております項目、すなわち第一の小委員会では深海海底の制度に関すること。第二の小委員会では領海、漁業、大陸だな、海峡、それから群島、そういった問題についての制度を審議する。最後に第三の小委員会といたしましては、海洋汚染と科学調査に関する小委員会ということでございまして、これら主要な項目につきまして必要な条約案、こういったものを今度の準備委員会で煮詰めるというように聞いておりますが、具体的にどういう形の条約案になるかということにつきましては、これまでの春会期までの委員会におきましてはまだ具体的にまとまったものはできておりません。それぞれ各国がいろいろな案を出しておることは事実でございますけれども、まとまったものとしてはまだございません。しかし、今度の会期中にそういった項目につきましての各国の考え方を、できれば一つの統一したものにまとめたいというのが各国の希望であろうかというふうに聞いております。
#79
○内海(清)委員 先ほどもそういうふうな話があったわけでありますが、しかし今回の会議は、いよいよ第三回の海洋法会議で結着つけようということであります。したがって、いままでずいぶん議論されたけれども、いろいろむずかしい問題があって、今度の第三回の海洋法会議も一年近く延びた状況にある。しかし、先ほど申しましたように、ニューヨークでは小委員会が設けられまして、そうしてここで各国の立場というものを相当つかんでおられなければならぬ。しかもわが国にとっては、この問題は非常に重要なだけに、この会議に、さっき申しましたような構成で、いわば大きな部隊の代表団が行くので、この会議に臨むいろいろな基本的な問題をお考えになっておるだろうし、そのためには、大勢としては、さっき話がありました南北問題も一つのそれだと思う。これは非常に重要なことだと思います。これをつかんでいかれるべきだと思うのでありますが、まあいまのお話でございますので、これをちょっと具体的に少しお尋ねしてみたいと思います。
 さっき原委員の御質問で、領海の幅の問題は、いろいろお話ございましたように、日本はいままで三海里説をとった。これは漁業の問題が大きくからんでおったと思いますが、三海里説が二十四カ国くらいある。ところが、十二海里説がもう相当出てきておる。三海里説は非常な後退で、おそらく今度の会議ではこれはあきらめなければならぬだろうという状況だと思う。中国やソ連にいたしましても、日本の近く接しておる国は十二海里説をとっておるようであります。だから、おそらくそういう辺になると思います。まあ二百海里説をとっておるところも八カ国ばかりあるわけであります。チリでありますとかブラジルでありますとか。このことは、日本の今後の海洋の開発ということにきわめて重大な影響があるということであります。これらに対しましては、おそらく日本は私はもう十二海里説にいかざるを得ぬと思いますが、今回の会議に臨みましてもそういうことは別に日本としては考えておらぬわけですか。行って会議の様子を見てきめるということですか。
#80
○高島政府委員 領海につきましては、わが国は世界の多数の制度でございます十二海里ということでまとめるように努力したいというふうに思っております。
#81
○内海(清)委員 さっきもお話ございましたが、十二海里説はいま四十八カ国くらい主張しておるようでありますから、おそらくこれはまとまるだろうと思います。ところが、この領海と関連して、お話がありましたいわゆる南北問題などからいきますと、沿岸二百海里までの大陸だなとその上部の水域の一切の資源を沿岸国で管理しようというふうなことまであるわけです。お話がありましたような、排他的な経済水域というふうなものを設けよう、こういうことは、海洋国である日本としては最も警戒せなければならぬ問題だと思うのであります。もしこれが二百海里になりませば、公海はおそらく三〇%ないし五〇%、大かた公海が半分になるのじゃなかろうかということまであるわけであります。ことに公海の自由、あるいは海洋の自由ということからいたしまして、わが国は遠洋漁業を非常にやっておる。しかも遠洋漁業の八〇%程度はそういうところに相当するわけであります。これはあとで水産庁にお尋ねしたいと思いますけれども、そういうことだと思うのですね。そうするとこれはきわめて重大な問題になるわけであります。
 また、こういうふうな領海が拡大をされるということになりますと、日本にも影響がありますが、海峡の問題が出てくるのであります。これは自由な航行権というものが制限されてくるわけであります。日本に関係するものからいいますと、石油はほとんど大半が中東地域からでありますから、そうすると、タンカーはすべてマラッカ海峡を通る。ところがこれが閉ざされることになるわけですね。そういうふうな問題からいたしまして、この領海の拡大ということは非常に大きな問題である。ことにソ連とかアメリカになりますと、これは軍事的な問題に発展してくると思いますが、日本はその問題はないのでありまして、いわゆる船舶の航行ということに関係してくるだろうと思うのであります。そういう意味合いで、おそらく日本も二百海里なんというそういうむちゃくちゃなことには強く反対し、これは退けなければならぬと思いますが、いままでの会議の状況から見て、そういう点はどういうふうにお考えになるか、お伺いしたいと思うのであります。
#82
○高島政府委員 先生からいま御指摘のありましたのは、いわゆる排他的な漁業管轄権を主張しております経済水域の問題と、もう一点は海峡の問題かと思いますけれども、一つの前のほうのいわゆる経済水域という主張につきましては、これは沿岸国が排他的な管轄権を漁業資源について持つということでございまするので、いままで遠洋漁業をしていた国は、全くその二百海里なら二百海里という水域において自由に漁業できないという結果になりますので、これはわが国としてはとうてい受け入れることができない、そういう立場に基づきましていろいろ対策を練っておりますけれども、ただ、他方この沿岸国の何らかの管轄権を持ちたい、何らかの管理権を持ちたいという希望に対しましては、やはりある程度の理解を示さない限りは、とうてい今度の会議ではまとまることはできないということでございますので、日本の立場をでき得る限り多くの国に理解してもらうように努力しながら、両者の妥協をはかるような解決をしていきたいというふうに考えております。
 それから第二番目の海峡の問題につきましては、先生御指摘のとおり、米ソは主として軍事上の理由に基づきまして、海峡を従来同様に、公海と同じように自由に航行したいということで、いわゆる自由通過権ということを主張しております。これに対しまして国際海峡を持っております沿岸国は、いわゆる無害通航、従来の領海における一般の船舶の無害通航という観点に立って、何らかの沿岸国の規制権を持ちたいという立場を主張いたしております。
 わが国といたしましては、わが国自身先生御指摘のとおり、マラッカ海峡におけるタンカーの通航はもちろんございまするけれども、同時に、他方わが国自身も海峡を持っております。そういう両方の立場がございますので、沿岸国の立場とそういう海峡を利用する国の立場と両方の利益が合致するような何らかの妥協案、折衷案ということを考えざるを得ない。そういう点から申しますと、やはり米ソの主張するような公海と同じような自由通過権というのは少し無理じゃなかろうかというふうに考えております。しかし、マラッカ海峡をタンカーが全く通過できないということでは話になりませんので、これが沿岸国の何らかの規制にはもちろん応ずるといたしましても、たとえば二十万トン以下はマラッカ海峡は通せないという場合に、これはもちろん沿岸国としての懸念も十分理解し得るものでございますから、そういう立場を考えながら、日本が納得し得るような制限には服しつつ、そういう海峡を通航をし得るような、そういう制度を考えていきたいというふうに思っております。
#83
○内海(清)委員 この管轄権の問題については、日本としても利害相反する問題があるわけですね。資源の問題からいえば、管轄権を広げたほうがいいという問題があるわけだし、また、遠洋漁業の問題からいうと狭いほうがいいという問題があるわけです。だから、こういうふうなのはどういう立場になってこれを判断するかということでありますが、これは日本ではどういうふうに考えておられるか。
#84
○高島政府委員 もちろん先生の御指摘のとおり、日本も、ソ連あるいは韓国の船舶が沿海に操業に参っておりますので、そういう点からいたしますと、日本の領海及び領海に接続する漁業管轄権があったほうがいいという立場もございます。しかし、これは外務省の問題かどうか私は存じませんけれども、従来の実績からいたしますと、遠洋漁業による漁獲高というのが非常に多いように聞いておりますので、そういう点から、全体のバランスからいたしますと、やはり遠洋漁業のほうに若干の重点があるのではなかろうかというふうに思います。
 そういうことは別にいたしまして、いずれにしましても、沿岸国が領海以外の水域に対しまして非常に法外な管轄権を主張するというのは、国際法上の制度といたしまして適当じゃないというふうに思っております。したがって、排他的管轄権は認められませんけれども、漁業についての沿岸国の何らかの優先権、そういうものはどうしても認めざるを得ないという立場から妥協案を考えていきたいというふうに思っております。
#85
○内海(清)委員 これはいろいろなむずかしい立場がありますけれども、いずれにしても国益の立場に立ってこれを判断していかなければならぬ。しかし、お話しのように南北問題、あるいは沿岸国とそれから海を持たない国というふうな利害が相反する面がある。内陸国にしても船舶を持っておる国もあるのでありまして、そういうところにいろいろなむずかしい問題があると思います。しかし、すべてが日本の利益ということにもいかぬかもしれないが、できるだけわが国の国益を守る意味でこれは対処していかなければならぬと思うのであります。そういう意味において今度の会議は非常に大事だと私は思いますので、会議に臨むわが国の態度などが十分詳しく聞けぬのが残念でありますけれども、対処していただきたい。この会議が済みますならば、八週間ということでありますが、この準備会議の結果もはっきりしてくると思います。それについてまたそのとき論議せざるを得ないだろう、かように考えております。
 それから最近、海洋の汚染防止問題というものが非常に論議され出したわけでありますが、沿岸の一定水域に沿岸国の汚染防止、規制の権限を持ちたい、認めようという、これはカナダの案によりますと百海里ですか、そういうことがあるようであります。オーストラリアもこれを提案しておるようでありますけれども、これについてはどういうふうなお考えを持っておられるのか。
#86
○高島政府委員 海洋汚染の防止につきましてわが国が非常に熱意を持っておることは、先生御承知のとおりであります。いま御指摘のとおり、カナダ及びオーストラリアが非常に熱心でございまして、沿岸国は海洋汚染防止につきましても何らかの管轄権を持つべきだという立場に基づきまして、そういう趣旨に沿った条約案というものを提示しております。ただ、この汚染防止の問題は、海洋汚染防止のための方法論でございまして、沿岸国が専属的に管轄権をもって規制をするというたてまえのほうがいいか、あるいはそれ以外に、従来どおりいわゆる船舶の旗国主義というものに基づきまして、各国が国内法によって公海における海洋汚染の防止について努力をすることにするということに加えて、若干の国際的な措置を講ずるという方法がいいか、この両者に分かれるかと思いますが、わがほうはどちらかと申しますと、沿岸国に一方的に規制を認めるということについては消極的でございます。やはり原則的には旗国主義というものに基づきまして、これに加えるに若干の国際的な措置を講ずるというところが一番妥当ではなかろうかということで、各国の態度を打診しておるところでございます。
#87
○内海(清)委員 時間がもうないようでありますからこれくらいでやめたいと思いますが、特に領海の拡大ということは船舶の航行などもさっき申し上げたようなことで関係いたします。無害航行権、それから自由航行権、自由航行権が一番いいはずでありますが、これはなかなかむずかしい問題もあるかもしれません。少なくとも無害航行権というものを確立しなければ日本の船舶に大きな影響を及ぼす。マラッカ海峡はすでに油を満載すれば通過し得ない船が日本にもできております。あそこを通過しないで大きく回るということは非常な損失であります。したがいまして、二十万トンぐらいまでは通れるはずでございますので、この権利はどうしてもとっておかないと、日本の今後の問題に大きな影響があると思いますので、その点は強く要望しておきたいと思います。
 ではそこで、水産庁あるいは通産省、運輸省から来ておられるので、まず水産庁のほうにひとつお伺いしてみたいと思いますのは、いずれにしても領海がいままでよりも拡大されるという点、これは遠洋漁業に非常に大きな影響があると思うのであります。今回の会議の成り行き次第では、ことに遠洋漁業は非常な問題になるだろうと思うのでありますが、それらにつきましての水産庁の御見解があればお伺いいたしたいと思います。
#88
○中島説明員 ただいま海洋法の準備会議等で主として発展途上国を中心に主張されております領海二百海里ないしは二百海里に及ぶ経済水域ということが制度化された場合に、遠洋漁業に対していかなる影響があるのかという質問であろうかと思いますが、現在の日本の遠洋漁業の漁獲量のうち、二百海里以内でとっている漁獲量の数字をとらえてみますと、遠洋漁業の約三百六十万トンのうち三百万トンということになりまして、八割強という数字を示しております。ただ、二百海里という制度ができて、これが一挙に全部響くということはないかと思いますけれども、数字の上の計算で申し上げますとこういうことになる次第でございます。
#89
○内海(清)委員 領海の幅いかんによりましては、これは水産庁のほうは大きな影響が出てくると思う。十二海里になった時分にどの程度の影響があるか。
#90
○中島説明員 十二海里の場合には、漁獲量の比率で申しまして約三%程度でございます。
#91
○内海(清)委員 十二海里の場合はたいした影響はない、影響はあるけれども、特別に大きな影響はない、こういうことですね。
#92
○中島説明員 漁獲量の点で申しますとさようでご
ざいます。
#93
○内海(清)委員 漁獲量のみでなしに、その他のいわゆる海の生物資源、そういうものでいったらどうなりますか、二百海里の場合、あるいは十二海里の場合。
#94
○中島説明員 魚の種類によりましてごく沿岸にしか生息しないといいますか、ごく沿岸でないととれないというものもございますけれども、これは全体的に見ますとそうたいした問題ではございませんので、十二海里の場合には、日本の漁業に対してはそれほどの影響はないというふうに思います。
#95
○内海(清)委員 魚だけでないのです。ほかのコンブその他のいわゆる生物資源がありますね、これはあなたのほうの管轄だろうと思うのですが、十二海里の場合と二百海里の場合、どういう影響が出るか。
#96
○中島説明員 外国沿岸でとっております魚の種類は、主として底魚と申しますカレイとかヒラメとかあるいはイカ、タコというような底に住む魚でございます。それからあとカツオ、マグロ等の浮き魚というのがございまして、これは広く回遊する魚でございますが、これも二百海里になりますと、相当その範囲に入ってとらなければいかぬという面がございますが、コンブ等の海澡類等につきましては、貝殻島周辺の一部北方領土の特殊な水域を除きますと、外国沿岸では漁獲しておりません。それほどの影響はないと思います。
#97
○内海(清)委員 わかりました。
 では次に通産省ですが、通産省は主として大陸だなとの関係があると思うのです。これも領海の問題とも関係するわけであります。結局、わが国のこの大陸だなにおける資源の問題、これは鉱物資源が主だと思いますけれども、そういう問題が、十二海里に当然これできまるのじゃないかと思いますが、あるいは二百海里の場合どういうふうな問題がありますか。
#98
○豊島説明員 鉱物資源の場合は、大体海底ないし海底の下にあるわけでございます。特に大陸だなに関しましては大体石油、天然ガスということでございます。先ほど原先生の御質問にございました、どのくらいあるかということで、日本の大陸だなに十一億トンくらいの石油、天然ガスが賦存しておるということでございまして、むしろそういう点からいくと必ずしも狭くないほうが、ある程度広いほうが、日本の管轄権があったほうがいい、こういうこともいえるわけでございます。
 それから、相手国の沿岸の問題につきましては、若干上部水域と違いまして、海底につきましては、その沿岸国の管轄権がない場合には国際管理となるということが国連の決議でも採択されておるということでございまして、狭くて国際管理になったほうが開発のためにいいのか、あるいは沿岸国と協力してやったほうがいいのか、これは非常に微妙な問題でございます。
 ただ、この問題は、先ほど来御議論になっておりますように、いわゆる漁業の問題は国としてたいへん大きな問題があるわけでございまして、われわれとしては単に鉱物資源の問題だけでこの領海、大陸だなの問題というものを解決さるべきでない、それを総合して国として判断していただきたい、こういうふうに考えております。
#99
○内海(清)委員 お話のように確かに領海が広がり大陸だなが広がっていけば、主として鉱物資源は有利だということがいえると私は思うのであります。これは、さっきのようないろいろな他の問題がありますので、それがたとえば十二海里ならこのくらいである、二百海里なら日本全体からいえば、漁業のほうが多少侵害されてもそういう面からいえば非常に有利になる、そういう総合的な判断が国としては要るだろうと思いますね。そういう点については別になお御検討になっておることはありませんか。
#100
○豊島説明員 鉱物資源の問題については、確かに広いほうがいいということは、特に日本の近海についてはいえるわけでございますが、必ずしもその賦存状況そのものにつきまして、まあ掘ってみなければわからない点もいろいろありまして、一がいに十二海里がいいかどうか。十二海里ぐらいでございますと、いずれにしてもこれは大陸だなの中に入っておりまして、鉱物資源についてはすでに権利があるところが大部分でございますと思います。あと二百海里の問題でございますが、この点につきましては、まあこまかい具体的な数字というのはよくつかめておらないということでございます。
#101
○内海(清)委員 きょうはその程度にとどめておきたいと思います。
 運輸省関係ですが、先ほどちょっと海峡の問題などで申しましたので特別のあれはないと思いますが、運輸省でもそういうことにつきましていろろ御心配になり御研究になっておることと思うのであります。特に今度の会議で、運輸省としては、ここまではどうしても守らなければならぬというふうな問題があればお示しいただきたいと思います。
#102
○新藤説明員 将来かりに領海が十二海里ということになりますと、先ほど来御指摘がございましたように、マラッカ海峡あるいはペルシャ湾口のオルムズ海峡といったようなところの海峡がすべて領海でおおわれてしまうということで、従来の公海自由の航行ということが無害通行権の範囲の航行ということに相なるわけでございますが、わが国の海運の立場からいたしまして、もちろんこれらの海峡を抜ける商船のなるべく自由な通行の確保ということが望ましいわけでございます。ただ、こういった重要な国際海峡におきましては、狭い水域に船舶交通がふくそういたしまして、航行の安全であるとか、あるいは汚染の発生であるとか、さらにはその安全保障の問題であるとか、海峡沿岸国とそれからその海峡利用国との間でそういった面の利害のバランスということが重要ではないかということでございまして、私どもといたしましては、われわれの立場だけではなくて、そういった沿岸国の立場も尊重いたしまして弾力的にやっていく必要があるのじゃないかというふうに考えております。
#103
○内海(清)委員 大体以上で終わりますが、いずれまた今回のジュネーブの会議が終わりまして、来春は第三回の海洋法会議があると思うのであります。その結果で一応この国際条約もととのうことを希望するわけでありますが、あるいは非常に問題が複雑でありますから、なおたとえば領海の問題にしましても、いままで第一回以来これはもう解決しておらぬ、領海の幅の問題は。そういう問題がありますが、しかしこれができますれば、大体国際条約がととのうてくれば、わが国を中心としての海洋の実態というものも十分把握できる。このためにはいわゆる開発といいますか、そういうものが行なわれていって、わが国を中心とした海洋の実態をつかむ、それを開発するためにはいろいろな機器がこれまたつくられていかなければいかぬ。まあ今日の科学技術の発達でありますから、先ほどもありましたが、わが国におきましても海洋の掘さくの機械にしましても非常にりっぱなものができておることも承知しておりますが、そういうものがあわせて進んでいかなければならぬ。そういうときに初めてわが国の海洋政策というものがほんとうに確立されていかなければならぬと思うのであります。これは基本法を含めましてそういうふうに思うのでありますが、しかしこの基本法なりあるいは海洋政策なりというものは、できるだけ早くこれをやっていきませんと、わが国の海洋開発というものは、この間私は参考人を呼んだおりも申し上げましたが、決して進んでおるということにはいかないと思います。非常に立ちおくれておる。あるいは、部分的にはかなりいっている部分もありますけれども、国としての海洋開発というものは進んでいないというふうに考えるのであります。そういう点につきまして、ひとつ役所のほうの御意見をお伺いしたいと思います。
#104
○千葉政府委員 いま先生御指摘のとおりでございまして、政府といたしましても、先生いま御指摘のまず第一に海洋の実態の把握を進める、こういったようなことにつきましても従来から行なっております。特に日本周辺の大陸だな、あるいはさらに深海の実態把握、そういったような点につきまして、さらに一段と強化をしようというような考えもいまございます。さらに海洋の開発につきましては、まだこれは御案内のとおり端緒についたばかりでございますので、海洋開発審議会の答申をまちまして、政府としては強力にこの海洋開発を計画的に積極的に進めていきたいというようにいま考えているわけでございます。何せ、海洋は、先ほど大臣が申し上げましたように、非常に国際的な色彩が強いものでございます。したがいまして、先ほど来外務省のほうからいろいろ御説明申し上げましたような国際的ないろいろな取りきめ、こういったものを十分注意しながら海洋開発を効果あるように進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#105
○内海(清)委員 今回の条約の問題につきましては、外務省でこれは大体総括しておる。いよいよ開発ということになりますと、これは多くの省庁にまたがっておりますので、やはり科学技術庁が調整というふうな立場でまとめていかれるべきだと思うのであります。したがって、そういう面から申しますと、この基本法をはじめとしての海洋開発政策というものにつきましては、やはり科学技術庁がこれをまとめていかなければならぬ立場だと思いますが、これにつきましては一番おくれている部門であり、今後積極的にこれを進めていただきますように強く要望いたしまして、終わります。
#106
○石野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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