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1972/09/20 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第29号
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1972/09/20 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第29号

#1
第071回国会 科学技術振興対策特別委員会 第29号
昭和四十八年九月二十日(木曜日)
    午前十時二十分開議
 出席委員
   委員長 石野 久男君
   理事 木野 晴夫君 理事 藤波 孝生君
   理事 藤本 孝雄君 理事 粟山 ひで君
   理事 嶋崎  譲君 理事 原   茂君
   理事 瀬崎 博義君
      稲村 利幸君    梶山 静六君
      山原健二郎君    近江巳記夫君
      内海  清君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      前田佳都男君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     牟田口道夫君
        科学技術庁原子
        力局長     田宮 茂文君
 委員外の出席者
        原子力委員会委
        員       井上 五郎君
        科学技術庁原子
        力局次長    伊原 義徳君
        科学技術庁原子
        力局放射能課長 柴田 昌文君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 科学技術振興対策に関する件(原子炉の設置に
 係る公聴会制度に関する問題等)
     ――――◇―――――
#2
○石野委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。嶋崎譲君。
#3
○嶋崎委員 きょうは本七十一特別国会のどうも最後になりそうなので、今次国会の委員会の中で私が幾つかの資料要求をしたこと等々の締めくくりをさしていただき、次の国会での討論の材料や何かをお届けしていただきたいということが一つ。
 それから、十八日、十九日に行なわれました公聴会の問題を最初に二、三お尋ねしまして、あと締めくくりの質疑をさしていただきたいと思います。
 朝早くとんでもないところで局長とお会いをいたすことになりましてたいへん失礼を申し上げましたが、原子力委員会としては、十八日、十九日この二日間の公聴会についての総括とでもいいましょうか、そういうものについてはどうお考えになっておられますか。
#4
○田宮政府委員 実は井上原子力委員長代理、山田原子力委員、それと私、昨夜十一時過ぎに帰りましたので、大臣には電話で御報告してございますが、原子力委員会としての統一的な見解をまとめる時間がございませんでした。それで、井上原子力委員長代理が二日目の終了後に記者会見で述べましたことの要旨を申し上げまして、先生の御質問に対する御答弁といたしたいと思います。
 正確には記憶しておりませんが、井上委員長代理の申し上げましたことは、一つは、この公聴会をやって非常によかった、その理由は、賛否ともそれぞれ御自分の意見を御自分のことばで表現されて、そして、その現地にあります原子力発電に対しますいろいろな期待とか不安というようなものを率直に聞けたことは非常によかった、そして原子力委員会としましては、そのように直接お聞きしました地元の方々のなまの声を今後の行政に反映していくことが非常に大事だというふうな趣旨のことを述べられております。
#5
○嶋崎委員 私ども社会党のほうでは、前々回の委員会で申し上げましたように、原子力委員会と現地の原発反対の共闘会議とでもいいますか、県労評を中心にしたグループが地元知事と交渉を行なった際との了解の違いみたいなものが一つきっかけになりまして、おかしな姿になってしまったのはたいへん残念に思うわけでありますが、その前日に、そういうわけで正規の十八、十九日の公聴会に参加できなかった、参加しようないしは傍聴したいと思う人で参加できなかった人たちが、全国の原発問題にいろいろな関心を持っている人たちの代表者会議をやりました。その際に、いろいろな意見をお聞きしたのですが、私たちがやりました原発問題の全国代表者会議と原発問題の討論集会は、何と全国から十八の団体、さらに二十二の県、八つの労働団体並びに政治団体が参加して、盛会裏に行なわれたわけであります。ここではやはり、今度の政府、原子力委員会が主催する公聴会に対しても、公聴会を開くということは一歩前進ではあるけれども、公聴会の中身についてたいへん批判的な見解が多かったわけであります。
 御承知のように、日本で今後動き出すであろう原子力発電所の場合には、B型とP型の二つの型で、ウエスチングハウス、GEと技術提携をしたものが入ってくる。今度問題になった福島の第二発電所の一号炉、これがB型だとすれば、美浜のほうはいわばP型だ。そういうわけで、今日日本で計画されつつある原子力発電所の二つの軽水炉の型について、最近ひんぱんに出てきた事故の問題について突っ込んだ議論がいろいろ行なわれましたし、科学者も参加しておりましたから、それについてたいへん多くの議論が行なわれました。こういう事故ないしは故障が頻発している現状では、軽水炉型の原子力発電所は依然としてまだ実験段階なんじゃないかという、この委員会で議論された問題が全国共通の話題になったわけであります。
 そういうわけで、この前日に開かれました全国十八団体――十八団体というのは、福島県だけじゃなくて、原子力発電所が今後つくられるであろうところにことごとく原発反対のいろいろな組織ができておりまして、その代表が全部集まりましたから、その十八団体と二十二県、八つの労働・政治団体、そこで出てきた意見を頭に置きながら、今度の政府、原子力委員会主催の公聴会を考えてみますと、私どもが心配しましたように、地元の意見を聞くという点に原子力委員会はそのねらいを持っていたんだと思いますけれども、アメリカでやっているような、意見を述べ、また委員会から答弁を聞くという、往復の討論が行なわれるような性質のものではない。そのために、あとでお聞きしますけれども、おそらく幾つかのタイプに分けた議論にしかならざるを得ないだろうというふうに判断するわけであります。
 そこで、あの公聴会は、前々回の委員会でも私申し上げましたように、かなり組織されたといいますかつくられた委員会だという性質を持っている側面がいなめないのではないかということに関連して、私たちが向こうに行っておりますときに地元の新聞に出ましたが、福島県の富岡町の毛萱地区の部落で、あとで助役さんが釈明しておられますけれども、本人が陳述するという届けも何にも出してないのに、陳述人の申し込みをしたことになって、そして実際に、陳述人として出ろというはがきが本人に来たということが部落の総会でたいへん問題になりました。結局、だれがそういうことをやったんだと言ったら、助役さんが言うには、この地区は数年前まで三年間ぐらい原発の反対運動をやって、土地買収でだいぶもめた地域だそうであります、私も行って調査してまいりましたけれども。そういう点があったもんですから、なるべく公聴会に出たほうがいいということで、助役さんが善意でその陳述人を申し込んで、本人がそれを出していないのに申し込んだかっこうになっているということがいろいろ問題になっておりました。
 こういう一つの事実を見ましても――この人は佐藤弘明さんという方ですが、この方にもお会いをしましたけれども、結局出席なさらなかった。出席なさらないことの理由は、単にそういう形式的なことだけかということをお聞きしましたら、そうじゃなくて、私の申し上げた事実にもあらわれているように、今度の公聴会は、かなり東電側がいろいろな地元の有力者を動かして、そして傍聴人にしても陳述人にしても、かなり組織的な行動をとっているということを私は実際に経験した、だから自分たちの意見をすなおに述べるといってみても、多数の意見というのは組織された意見だということに対する批判の意味で私は出席することを実は拒否したんですと言っておられました。いま一人、やはり届け出ない人が出ていて、その人は実際に陳述人として出ることにしていたんですが、当日は出席なさらなかった。その方にもお会いしたのですけれども、この方は、最初ははっきり意見を述べようと思ったけれども、公聴会の中身のあり方が、どうもかなりあちこちで力で組織されているということを強く印象づけられたので、最後の段階で私は出ることをやめましたと言って公聴会に対する批判をしている。地元の新聞の世論調査等もありますけれども、そういう意味でやはり仕組まれた公聴会という批判が現地にはかなり濃厚であったということを私の参加した側面からは感じたわけです。そういう点については、原子力委員会のほうでは、ないしは科技庁のほうでは、どういうふうに実情を把握しておられますか。
#6
○田宮政府委員 先生御指摘のように、四十二人の陳述人を選びましたけれども、欠席の方が先生の御指摘になりました佐藤弘明さんほかもう一名ございました。この方々はお二人とも反対の立場の方でございます。
 その組織云々のことでございますけれども、先生御承知のように、地元には賛否両方の団体がございまして、ある程度賛否ともにいろいろ御連絡をとっておられるように聞いております。そして原子力委員会のほうの公聴会といたしましては、そういうことに関係なく公正な選び方をし、地元のなまの声をお聞きしたというふうに考えております。
#7
○嶋崎委員 そこで、私はこっちのほうに用事がありまして、あくる日すぐ帰ってしまいましたので、公聴会には参加できなかったのですが、公聴会に出た意見の中で特徴的な二、三の意見を分類的に、あまり時間がありませんから簡潔に聞かしていただきたいと思います。
#8
○田宮政府委員 私どもまだ整理ができておりませんが、私が感じたままを申し上げますと、特徴的だと思われますのは、反対の方であそこの地点におきます水の問題を数字をあげて述べられた方がございました。この点については、数字をあげておられますので、よく検討いたしたいと考えております。
 それから、これも反対の方でございますが、第一発電所の煙突の下に住んでおるという方がおられました。女性の方でございますが、東風が吹くと放射能が太平洋にいくのか、雨が降ったら頭の上に降りてくるのではないか、そういうことで毎日非常に心配だという率直な感じを述べられた方がございました。
 それから、賛成の方では、これは御婦人の方でございますが、原子力発電というものはエネルギー源として必要なものであるし、安全その他の問題があるけれども、話し合いで解決できないものだろうか、宣伝カーが練り歩くような状態は非常に嘆かわしい、この公聴会はその話し合いの場と思って出てまいりました、こういう方がおられました。
 いろいろございますけれども、私自身に印象的でございましたのはそれぐらいでございます。ほかにもございますが……。
#9
○嶋崎委員 たとえば今度の第二発電所の第一号炉は――第一発電所の六号炉はすでに審査が終わっていますね。そういうことに関連して、実際にいま福島にある原発、つまり第一発電所の一号炉には中レベルの放射能漏れの事件がございましたね。それからまた、三十二本の燃料棒の破損事故というものがございましたですね。そういう実際現地、福島で起きている現実の動いているところの原発の事故というような問題を想定して、今度の安全審査委員会にはそういう問題について十分な配慮をしてほしい、ないしはその原因を問いただしながら、何とかしてくれという意見はございましたですか。
#10
○田宮政府委員 先生の御指摘のそのとおりではございませんけれども、やはり安全審査に対しますいろいろな御意見、それから燃料棒の破損とか廃液漏れ、放射性液漏れの問題について、これは賛成の方も、そういうものは原子炉の安全性そのものにじかに関係することではないとは承知しておるけれども、そういう住民の不安を除くために人間が機械をよくならしてそういう故障のないようにしてくれ、特に設置者に対して要求するという声はございました。
#11
○嶋崎委員 この委員会でも私最初に取り上げました、たとえばECCSというようなもののいわば機能、構造ですね。そういうような問題についてアメリカでたいへん議論がある。わが国でも最近になってECCSの機能の位置づけ方というものが構造的にここ数年少しは変わってきていると思います。たとえばそういう緊急冷却装置というようなものに関連して、仮想事故なら仮想事故というものについて安全審査の現状はどうなっていて、そしてこういう点について検討してほしいというような、ECCS問題なんかは意見として出ましたですか。
#12
○田宮政府委員 私の記憶ではECCS問題に触れられた方はたくさんございますが、そのECCSの機能に関連いたしまして、仮想事故等についての審査のやり方を具体的に指摘された方はおられないと考えます。
#13
○嶋崎委員 今度の公聴会には東北大学の先生でしたか、もう一人東大の助手の先生とお二人科学者がお見えになりました。この二人の科学者の御意見の中で――最初にこの会が主催されましたときに、私が局長とお会いしている間の話ですけれども、初めの開会がわからなかったのですが、あくる日の新聞で、開会のとき東電側が三点について説明をされておられました。安全性の問題と、それから何でしたか、私正確にいま記憶してないのですが、たいへんけっこうずくめの言い方だと私は判断したのですけれども、そういう主催者側特に設置者側の東電の考え方、そういうものに対して科学者たちは――賛成の方は東北大学の先生ですか、それは設置者と同じ意見でしょうが、安齋さんのたとえば安全性という問題について、東電側がいわれているような主張に対して、何か批判的な御意見はございましたですか。
#14
○田宮政府委員 安齋さんの御意見の中で先生のいまのあれに触れますところはないようでございまして、ちょっと安齋さんの御意見の要約を申し上げますと、「原子力委員会はこの度の公聴会開催に際して民主的な措置をとらなかった。」その理由としましては、「工事が進められている中で、これを中止することなく、公聴会を開いている。」第二点は「科学者の出席をこばんでいる。」それから第三点は「私達六十人が希望したにもかかわらず、その一部の者にしか陳述を許されていない。」この六十人というのはちょっと説明を要するのでございますけれども、六十人の方が集まられまして、反対陳述を希望されたわけでございますが、その中で十数名しか陳述人として選ばれなかった、こういうことであります。それからあとは「安全性優先か経済性優先かについて」でありまして、「現行のような超高度経済開発体制下の原子力発電所建設は明らかに経済優先である。」それからあとは「自主的、民主的な地域産業とのむすびつきについて 安全性について安易に考え開発している。」「軍事利用について 原子力発電所から多量のプルトニウムがでるが、この平和利用が具体的に措置されていない。」「安全性確保について 従業員、公衆の安全性確保、環境保全の問題が放置されている。」大体そんなようなところです。
#15
○嶋崎委員 そこで、私たちがすでに公聴会のあり方についていろいろ前回の委員会で問題にしてまいりましたが、二人の科学者ですね、今度の公聴会には。新聞でも、結局意見としてはすれ違いですね。聞きおくことですから、討論にはなっておりませんけれども、すれ違いですね。そのすれ違いになる、たとえば安全性という問題に対して科学者がすれ違いになっている根拠はどこにあると、いままでの委員会や今度の公聴会の経験から、たとえばここの委員会でも科学者の参考人を呼びましたね。そのとき学者の意見がまっ二つに分かれた。それからまた、今度の公聴会でも、二人しか出ておりませんけれども、大体まっ二つにすれ違いの意見になっている。こういうことになっている現状の根拠はどこにあると総括されておられますか。長官でも局長でもいいです。
#16
○田宮政府委員 先ほど来申し上げておりますように、まだ公聴会を開催いたしましてその検討を原子力委員会あるいは原子力局として正式にやっておりませんので、私の個人的な感想を述べさせていただきたいと思います。
 一つは、故障と事故に対する定義の問題でございますが、そういう点、それからもう一つは、科学と技術と申しますか、それの相違、つまり、先生御承知のように、科学であれば非常に完全なことを望まれるわけでございますが、技術というのはオプティマイゼーションの問題でございましてこの前の本委員会でございましたか、都甲参考人が述べましたように、たとえば燃料棒の破損の問題でも、軽水炉におきましては設計上一%ないし五%の破損が許容されておる。それが破損しまして――破損と申しますかこわれまして、その放射能が一次冷却水に出ましても、それを検出しながら安全に運転ができる、こういうデザインフィロソフィーが片方にありまして、これは技術の問題だと思います。しかし、科学の立場ではそういう破損が一本もないほうが望ましい、こういう立場の、まあ考え方の差という点が一つあるのではなかろうか。これはたいへんにむずかしい問題でございまして、一般大衆といたしましては、一方、燃料棒の破損が一本もないほうが望ましいのはそのとおりであります。しかし、その一本もないようなエンジニアリングにすることも、その工学上の達成目標でございますけれども、しかし、それに参ります前には、ある限度、一%ないし五%の燃料棒の破損があっても安全に運転ができるという一つのトータルシステムを考えている。その辺のところにいろいろな問題点があるやに私個人としては感じております。
#17
○嶋崎委員 時間も非常に限られていますので、はしょって問題の核心に早く入りたいんですけれども、私はいつでしたか、三月二十八日の委員会に、原子力委員会に対して資料の要求をいたしました。その資料の要求はあらためてここでは申し上げませんけれども、要するに、たとえば最大仮想事故というようなものを想定した場合の安全審査における事故の解析ですね、その際にいろいろな、たとえばヨード131だとか、セシウム137だとか、ストロンチウム89だとか、そういう一連の放射性物質がどういう状況の中でどのぐらい放出されるかというようなことについて、アメリカではどのような安全審査の中でそういうデータがつくられておるか。そうしてそれに関連して、日本のそれと比較するために、日本で安全審査に際して、そういういわば放射性物質の放出の度合い、それから中にたまった放射性物質の量、それから外に出ていく割合、核燃から外、それから中というふうにして、それぞれの段階のいろいろなデータを、安全審査に際してのものを提出できないかということを要求して今日に至っています。たいへん時間がかかる問題でむずかしいのでという話でありましたけれども、途中科技庁から私のところに資料が来ましたけれども、これに答えるような資料では全然ありませんでした。
 そこで、いまの問題に関連して、科学者たちがすれ違っているというのは、そういう科学と技術という方法論の問題もありましょう。しかし重要なのは、原子力委員会の安全審査委員会がどういう安全審査をやっていて、そうしてその安全審査についてどのような過程で、たとえば最大仮想事故の事故解析の場合であれ、それからまた今度もろもろの起きてきている事故に関連してみて、設計上どんな問題があるのか、材質にどんな問題があるのか、そういうようなことについての安全審査委員会における審議の過程というものがいまだに公になっていない。そういうことから、科学者が今日の軽水炉というものが実験炉なのか実用炉なのかということを論争していくときに、客観的に判定していくデータが国民の前にはっきりしていないために、科学者たちが一定の仮説を立てながら議論する以外に方法はない。そのために、ここでも私と長官の間に、これは片方は実験炉である、片方は実用炉だというかっこうのすれ違いになってしまっている。そういうところで資料の要求というものを実はしなければならぬと考えてまいりました。それで、参考人の方々もそういう意見を、いつか学者の参考人をお呼びしたときにもそういう共通の意見が出たと思います、資料の公開ということ。
 そこでお聞きしますが、安全審査にはそれぞれの審査の段階でどのような書類や資料が出されているんですか。
#18
○田宮政府委員 安全審査におきましては、当初、申請書、それから添付資料に基づいて審査が行なわれるわけでございますが、その審査の進展上追加の資料が必要であるという審査会の結論になりました場合には、それを申請者に要求するということで追加の資料を要求するという形になっております。
#19
○嶋崎委員 つまりぼくが三月の科技特委員会で要求した資料は、かなり事故解析上の専門的な観点からの側面にしぼってデータを出せと言ったから出せなかったんだというふうにいまのところ判断しています。たとえばアメリカに大使館を通じてやっても、専門家が非常に少なくて、それも一々答えてくれる余裕もないでしょうし、そういうこともありましょう。そこで、いま角度を変えまして、そういう資料の公開という観点からしまして、いまおっしゃいましたその安全審査の過程で、まず企業の申請書がありますね。これが一つ。それからそれに添付書類がありますね。それから審査の過程でのその審査の資料といいますか、そういう適宜に資料を要求して出てくるもの。それに最後に報告書がありますね。それから審査の過程での議事録がありますね、資料としてですよ。残っているはずですね。これ、五つですか。
#20
○田宮政府委員 ございますものは、御指摘のような申請書、添付書類、それから私の申し上げました、審査資料といっているようでございますが、それと、それから報告書でございまして、議事録というものはないわけでございます。
#21
○嶋崎委員 議事の要録はありませんか。摘録でもいいです。
#22
○田宮政府委員 議事概要というものはあるそうです。
#23
○嶋崎委員 そうしますと、いま原子力委員会が安全審査をやるときに、大体議事要録ですか、概要ですか、それを入れますと五つの資料がありますね。その五つの資料のうち、われわれ国民に公にできる資料は大体何点ぐらいになりますか。報告書とあれは別にして、それぞれ、たとえば百万キロワット以上の場合とか、それぞれありますね、大飯の場合とか東海の場合とかありますが、かなりの量のものですか。
#24
○田宮政府委員 申請書と添付書類については先生御存じだと思いますが、問題は審査資料だと思います。これは大体五十から六十点あるそうでございます。
#25
○嶋崎委員 そこで、自主、民主、公開という原則からしまして、いままで科学者たちがそういう安全審査に関連して、アメリカでマイクロフィルムになっているやつを本にしますとこんな厚いものになりますね、図書館のやつをやってみると。お金がないから、私、本にしていませんがね。えらい金がかかるものだなと思いますがね。日本の企業の申請書と添付書類というのはこのくらいのやっと薄っぺらなものですがね。そのほかの審査の過程での資料ですね、四、五十点のもの。それから議事の概要、報告書、これを公開できますか。
#26
○田宮政府委員 そのほかに工事認可の書類が通産省にございます。それで、実はこの問題につきましては、私、従来からの議事録を拝見いたしまして、いろいろ従来から問題になっているように思っておりますので、私個人といたしましては――申請書、添付書類はもちろんいま公開して供覧に供しております。あと審査報告書が従来ややともすれば少し簡単に過ぎて、審査の過程を科学的にたどるということがむずかしい面もあったと思いますので、今後は審査報告書を充実いたしまして、そしてその審査報告書をお読みいただけると一応論理の過程がわかるというような形にいたしたいし、それから、それをお読みいただきまして、審査資料等について読んだけれどもここがわからないという具体的な御要求があれば、差しつかえない限りその具体的な御要求に応じましてごらんに入れるということにいたしたいと思いまして、いま局内でそういう方向で検討するように命じているところでございます。
#27
○嶋崎委員 そうしますと、もうすでに、たとえば典型的な場合は、P型の場合ですと、加圧型の場合は大飯の一号炉、二号炉がありますね、もう審査が終わっているやつが。それからB型の場合ですと、あれは東海二号炉ですか、あれは終わっていますね、百万キロワット以上の場合を考えてみて。そういう場合にある資料ですね。現在までの資料ですね。これから先は、公聴会で事前にそういう、たとえば企業の申請書類みたいなものから添付書類みたいなもの、そういうものについてすらもいままで公になってなかったし、それから特に安全審査に関する資料や報告書というものは、非常に全体的に討論する材料として公にされてないということのために、今日稼働しているものと、すでに審査が終わっているものと、これから申請し許可していくものと三つの段階に分けてみて、私たちは、すでに過去のものについても、安全審査の内容についていま知っておかなければならないことがたくさんあるように思うんです。というのは、現実に動いているものの中に、故障であれ事故であれ原因不明と称せられるものがかなりあるということから、そこでそういう資料の公開という問題ですけれども、いま局長ちらっと許される限りとおっしゃいましたね。それはここの委員会でもかつて問題になりましたが、企業機密ということですか。
#28
○田宮政府委員 企業機密と申しますか、工業所有権の問題もございますし、それから私、先ほどできるだけ報告書を拡充して御要望にこたえたいと申しましたのは、審査資料のあるものは非常にスポットな資料でございまして、たとえばこういう仮定で計算してみたらどうなるかというふうな問題もございまして、それが審査の判断にはなりますが、最終的な報告書の判断の中には入らないというようなものもございますし、それから審査委員の手持ちの資料みたいなものもございますので、そういうことを、ですから全体といたしまして科学者の方が審査の内容を御判断ができるという形にすることが第一だと思いますので、報告書と添付書類の拡大という方向で、第一次的には申請書、添付書類、報告書をごらんになれば、一応審査の論理的帰結がたどれるというかっこうにいたしたい。その上さらに、この点について不明なところがある、こういう資料があれは見たいとおっしゃれば、可能な限りごらんに入れる、こういうことにしたいと思っております。
#29
○嶋崎委員 そこで、原子力委員会の安全審査委員会が安全審査に関していろいろな資料を要求しているときには、これは行政の立場から企業の申請書なり添付書類その他についていろいろとって内容、実体をつかみながら判断していくわけですから、行政の立場で原子力委員会がそういうものを審査するに際しては、企業機密と関係なしに資料を取り寄せることはできますね。
#30
○田宮政府委員 申請者に対しまして、安全審査上こういう資料が必要であるからということで要求をいたしますと、申請者は、電力会社でございますので、それがGEとかウエスチングに相談をいたしまして、そして同意を得れば提出するという形でございます。
#31
○嶋崎委員 それはどういうことですか。原子力基本法で自主、民主、公開という観点からして、そして行政の側が、たとえば企業のほうが企業機密だといっても、国益だとか人権だとか生存権――まあ原子力の問題なら安全性ですね、こういう観点から審査をするにあたって資料を出せと言うことはできるのじゃないですか、それはやっているわけでしょう。
#32
○田宮政府委員 現実問題といたしましては、そのような形で安全審査会が要求をいたしますと、いわゆる商業機密のようなものでも出てまいります。
#33
○嶋崎委員 今度はわれわれ立法府の側が――安全審査委員会が審査するにあたって、かりに企業機密といえども安全審査上必要なものを取り寄せたりしていますね。今度われわれ立法府の側からそういう資料を要求していく場合、どこまで要求する限界といいますか、そういうものがあるのですか。
#34
○田宮政府委員 たいへんむずかしい問題でございまして、私すぐ御返事できませんので、検討さしていただきたいと思います。
#35
○嶋崎委員 いつかこの委員会で長官お約束した記憶を思い出していただきたいのですが、アメリカの原子力委員会が公開している程度のものはわが国の安全審査委員会においても公開できるということを約束なさいましたですね。いかがですか。
#36
○前田国務大臣 そのような趣旨の答弁をしたことは確かに記憶いたしております。
#37
○嶋崎委員 では、その後科学技術庁並びに原子力委員会は、アメリカでは何が非公開でどこまで公開しているかということについて調査をされておりますか。もう私が質問してから三カ月以上になりますが、いかがですか。
#38
○田宮政府委員 調査をしております。
#39
○嶋崎委員 しておりますじゃなくて、アメリカでは非公開の資料と、その中で公開しているものはどういうものだということをつかんでいますかと聞いているんですよ。もうずいぶん時間がたっているのですから。
#40
○田宮政府委員 いまちょっと手元に資料がございませんけれども、従来まで調査いたしましたところによりますと、ちゃんとした報告書として発表されておりますものの中には、いわゆる商業機密は入ってないということでございます。
#41
○嶋崎委員 そうしますと、アメリカ並みに長官が、少なくともアメリカの原子力委員会が国民の前に公にしている程度のものは、わが国の安全審査委員会においても今後は公にしたいというふうに主張されてきたことを前提にしまして、いま出されたもろもろの資料の中で、今度からは審査のいろいろな資料みたいなものを報告書の中にもっと充実したもので発表するとおっしゃるけれども、アメリカでは百万キロワット以上のものについてすでに安全審査が行なわれて公開されている資料があるわけですね。わが国では加圧水型のP型ならば大飯のやつがありますね。それからB型ならば東海二号炉がありますね。そうですね。それはもう百万キロワット以上のものは審査を終わっているわけですね。そうしますと、アメリカで公にされた程度の資料は公にするという前提に立つならば、日本の百万キロワット以上のウエスチングハウスとGEの二つのタイプ、この二つの、過去において審査が完了したもののデータについて、アメリカと比較検討してみて、基準を前提にした資料を公にするということは約束できますか。
#42
○田宮政府委員 そのUSAECが発表しておるものと同程度ということを踏まえまして、今後の安全審査におきましては、私が先ほど申し上げましたように、その申請書、添付書類、それから報告書を充実いたしまして、そして第三者の方がそれを読むことによってその審査過程がわかるようにいたしたいと考えております。
 それから、すでに済んだものにつきましては、すでに報告書が発表されておりますので、具体的な御要望があれば、できる限り審査の内容がわかるような資料を具体的な御要求に応じてお見せしていくというふうにいたしたいと思います。
#43
○嶋崎委員 そうしますと、もう一度はっきり聞きますが、大飯の一号炉、それと東海二号炉、百万キロワット以上のものですよ。この資料は、私たちが要求をすれば、いまの百万キロワット以上の二つのすでに審査が完了しているもの、これについてはアメリカ並みの基準を頭に置いて、資料を要求すれば公にしてくださるという約束ですね。
#44
○田宮政府委員 具体的にどこのところの資料がほしいという御要求であれば、できる限り御要望に応じます。
#45
○嶋崎委員 やはり、現に局長がおっしゃるように、たとえば報告書というものはいままでのは非常に結論だけのものであって、その審査の過程がわからないところに、安全審査の科学的根拠とでもいいましょうか、ないしは技術的な根拠いそういうようなものについて共通の土壌が科学者の中にないところに、安全性をめぐってまっこうからすれ違っていく背景があるとぼくは思うんです。ですから今後、報告書を充実されるという形で対応されていくのは一歩前進だと私は思いますけれども、たとえば今度浜岡のやつをひとつ考えてみますと、浜岡のこの間五月に通したやつですね、浜岡二号炉ですか。そうすると去年美浜ですでに事故が起きていますね。美浜で燃料棒の事故が片方にあった。それから蒸気発生器の事故があった。そういう事故があって、そうして同じタイプのやつがすでに片方では通っているという際に、その安全審査にあたって、同じ型の炉の現在動いているものについて事故ないし特に故障の場合は――故障といえば別ですけれども、まあ事故ですね。そういうものについて安全審査委員会はどう対応をしながらその過程を審議したかということは、依然として私たちの疑問に残ることですね。すでにもう審査は完了してしまっている。しかしその資料について、たとえば過去との関連、現在動いているもので起きている事故が、今度の審査に際してはどのように議論されて、どういうふうに対処されているのか、どういう審査内容になっているか、そういうことをわれわれが国民の前に明らかにしていくことが、B型ならB型、P型ならP型の原子炉について、こういう新たな対応をしつつ安全の方向に前進しているということになるわけですね。
 ところが、過去のものについても、そういう意味での資料を国民の前に公にしていくという立場をはっきりさしていくことが、さっきから問題になっている科学者の間の論争のすれ違いや、安全性の問題でまっこうから意見が対立していくものについて幾らか――まあ実際には最後まで結論が出ないにしても、幾らか共通の土壌というものが出てくることになると思う。
 そういう意味で再度長官にここで確認しておいていただきたいのは、過去の百万キロワット以上のもの、まあB型とP型とタイプを二つに分けて、その典型的なものについて現在あちこちで起きている事故ですね。そういうものに関連してどのような安全審査の過程が行なわれているのか。それから報告書が、いままでと同じような結論だけの報告書でしょうけれども、その報告書では内容がよくわからないので、たとえば審査の過程でいろいろ提出された資料なんかでわれわれが要求したものは資料として提出していただくということは長官お約束していただけますね。
#46
○前田国務大臣 できるだけ御要望に沿いたいと考えております。
#47
○嶋崎委員 したがって、これは三月の下旬だったと思うのですけれども、私は委員会で放射性物質を個別的にあげて、そしてかまから、格納容器の中の外ですね、それから格納容器の外に向けて、そういう段階を追って放射性物質というのは仮想事故の場合にはいわばどういう計算が行なわれて安全審査が行なわれているかということについてのデータを出してくれと言ったのに対して、まあ出すとおっしゃったんだけれども、いまだにそういうものは出てこないわけです。それで、その要求が無理だったのかどうか私はわかりませんけれども、その要求は要求として残しておきますから、局長、議事録をごらんになって、その資料を提出できるかどうかも検討しておいていただきたいと思います。
 もう一つ、まあこの公聴会の問題からはずれますが、今国会中の委員会の中で私が質問をした際に、これもたいへんあいまいなかっこうになっておって結論が出ないままになっているように思うのです。それで、時間もあまりありませんが、もう一度あらためて意見を聞かしていただきたいと思うのですが、それは再処理工場の問題に関連してです。
 かつて例の再処理工場の問題について、大気中の廃棄物並びに廃液に関連して、それを長官がゼロにするように努力するということを言われたことが朝日新聞で問題になったことがあります。その朝日新聞の記事をめぐって私が長官に質問をしたことがありますね。それでアメリカのGEでは放射性廃棄物について、特に廃液についてはゼロにするということで稼働していくということとか、ドイツの環境部長が、クリプトン85なんかについても押えていくという立場に立たないと商業プラントを認めないということとか、国際放射線学会で、クリプトン85についての大気中における汚染度はもう限界にきている。だからこれに対してかなりシビアに規制していかなきゃならぬという最近の諸情勢の中から、クリプトン85の規制なんかについての基準をもっとぐっときびしく押えなければならぬ、ゼロにするように努力しなければならぬというようなことについてのやりとりをやった記憶があります。長官、記憶されておられますね。
#48
○前田国務大臣 記憶しております。
#49
○嶋崎委員 そこで再度御質問をしますが、東海の「動力炉・核燃料開発事業団の再処理施設の設置に係る安全性について」という、再処理施設安全審査専門部会からの報告書が四十四年の三月二十五日に出ていますね。この当時は、昭和四十四年の段階ですね、今日はだいぶそれから時間がたって、そしてアメリカやドイツやその他において、いろいろな新しい情勢の変化がかなり出てきているということをこの前はいろいろ議論してあるわけです。そこで、いつかも委員長がここで質問をされた記憶が私はあるのですけれども、結局結論が出ないままになっていたように思いますから、再度これを確認できるかどうかについて御質問させていただくのですが、この中に「放射性廃棄物の処分とその周辺に対する影響」というところがあります。
 これは昭和四十四年の段階ですよ。そこでは、この再処理工場については、最初の「審査結果」のところには非常にはっきり「本再処理施設の設置に係る安全性は、十分確保し得るものと認める。」という結論になっているわけですね。安全性は十分に確保できる、その前提に立ってそういうふうに結論づけているわけです。そしてその過程で、いろいろな審査の結果が報告されているのですが「放射性廃棄物の処分とその周辺に対する影響」というところで、これは長官にお聞きしますが、「本施設から放出される排気中の放射性物質の量は、」云々とあって、そして「冷却日数百八十日の燃料のみを、一日当り〇・七トンで年間三百日処理すると仮定した場合、」とあって、そして一日当たり約八千キュリーのものが放出されるということをいっているわけであります。この数字はたいへんな数字ですね。これは一日当たり現在実際に動いているものの一年分に相当する量ですから、これはたいへんな量であります。
 そして、ここから放出される放射性物質の量の内訳を説明して、そしてクリプトン85が何ぼだというようなことをいって、そして最後に「原子炉安全解析のための気象手引を参考にして計算した結果、最大の濃度があらわれる地点は主排気筒から約二キロメートルの地点であり、その地点における被ばく線量は、全身に対し三十二ミリレム毎年、甲状腺(成人)に対し〇・〇三ミリレム毎年となり、法令に定める周辺監視区域外における許容被ばく線量五百ミリレム毎年に比して十分低い。」したがって安全だ、こういっているわけです、排気中の放射性物質、特にクリプトン85を中心にしたこの内容については。
 そこで、お聞きしますが、確かにアメリカでは、軽水炉の場合についてですけれども、この許容被曝線量というのを年五百ミリレムを百分の一に落としていくという方向がきまっているやに聞いております。御存じですね。
#50
○田宮政府委員 いわゆるアズ・ロー・アズ・プラクチカブルの原則によりまして、軽水炉に関してそのような実際上の規制をしておるわけであります。
#51
○嶋崎委員 軽水炉について規制していって、百分の一ですから、年間五ミリレムですね。そうしますと、この全身に対し三十ミリレムだって計算上たいへんいろいろ問題が出てきますね。ともかく百分の一にしているというのは、軽水炉の場合だとしまして、再処理工場と軽水炉とは区別することができますか。
#52
○田宮政府委員 先ほど申し上げましたアメリカの五ミリレムというのは、許容量ではございませんで、設計の目安でございまして、訂正いたします。アメリカでも許容基準は五百ミリレムでございます。
 それからアズ・ロー・アズ・プラクチカブルの問題でございますが、これは先生よく御承知のように、アメリカの考え方は、要するに自然以外の放射能というものはできるだけ少ないほうがいい、ただしそれは、たとえば五百ミリレム以下が現実的に有害だということではなくて、できるだけ少ないほうがよろしい。軽水炉につきましては技術的に五ミナレム、百分の一というものが達成できる状態になったので、設計基準といたしまして周辺地区で五ミリレムというふうにしたわけでございまして、非常に実際的な考え方です。でございますから、再処理工場につきましても技術的にそういうことが可能になれば、そういうふうな方向にいくと思いますけれども、現状ではまだそうでございませんので、アメリカにおきましても、五百ミリレムを基準といたしまして、その範囲内であればよろしいということになっております。
#53
○嶋崎委員 そうしますと、軽水炉の場合には技術的に百分の一に押えるということを努力目標にしているということは、確かに許容被曝線量は年間五百ミリレムだというのは変わっていないけれども、百分の一にまで落とすという努力をしているということは、これはやっぱり放射能公害というものを最大限に押えていくという考え方に立っているということでしょう。
#54
○田宮政府委員 この点につきましても、先生御承知のようにいろいろ議論があるわけでございますが、問題はICRPに発しておりまして、ICRPで五百ミリレムというのがきめられておりますが、これは何と申しますか、コスト・ベネフィットのバランスの数字だという議論もございますし、片や実証されました放射線公害のデータといたしましては、百レムとか二百レムとかそういう高いところにありまして、それを現状の知識では、数百ミリレム以下のところの低レベル放射能については、閾値があるかもしれない、つまりそれ以下は実際に害がないのかもしれないという意見を持っている委員も大ぜいあるということがICRPの勧告に書いてございます。
 しかし、安全サイドをもちまして、自然以外に発生する放射能はできるだけ少ないほうがよろしい。それで軽水炉につきましてはステート・オブ・アーツといいますか、現状の技術で設計基準として五ミリレムぐらいにすることが可能であるのでそういうふうにしたということでございますので、単純に、軽水炉では五ミリレム、再処理施設は三十ミリレムだから六倍の危険性がある、そういうことにはならないと考えますけれども、再処理施設等につきましても、技術開発等によりまして、できるだけ外部に出ます放射能は少ないほうがよろしい。事実わがほうの東海の再処理工場につきましても、現在排水中に出ます放射能を十分の一にする……(嶋崎委員「七分の一でしょう」と呼ぶ)七分の一ですか、それにするという努力を行なっておりますし、クリプトン等につきましても、まだここではっきりと確約できる段階ではございませんけれども、何らかの捕捉方法を考えるということで研究中でございます。
#55
○嶋崎委員 しかし、これもやっぱり四十四年の段階の審査結果のわけでしょう。そして、その後そういうふうにアメリカで軽水炉の場合であれ、技術的に対応しつつ、低く押えよう低く押えようと努力してきている。ところが、この審査のときには、それ以前の段階を頭に置いて、被曝線量を五百ミリレム、こういってきているわけですね。大気中にあるクリプトン85というのは、半減期は御承知のように十年八カ月ですよ。ですから年間三十ミリレムであれば、これはずっとそれを加算していくわけですね、機械的にはそうはいきませんけれどもね。ですから、四十四年の段階のアメリカの安全審査の段階で問題になっていた許容被曝線量というものを頭に置いて、当時の段階で十分に安全が確保できる、こういうふうにいっておいて、そしてその後アメリカでそういう努力が行なわれつつあるということですから、当然再処理工場の場合においても、かつてのこういう審査結果について、今日の段階でどういうふうに、特に再処理工場の場合の一日八千キュリーもの大量のものを出していくわけですから、そういう観点からそれをチェックしていくということについて、積極的な技術開発をやった上で押えるということが前提にならなければいかぬと私は思うのです。そうしますと、再処理工場は再来年動き出すのでしょう。昭和五十年に動き出すのですから、四十四年の段階で審査結果があったものから、今度五十年の段階までに、アメリカの情勢もドイツの情勢もいろいろ変化が起きてきている。国際的なICRPにおいてもいろいろな新しい提言が行なわれてきている。ですから、そういう情勢にあるとすれば、この審査の内容について、今日の段階でもう一度再審査ないしは再検討してみるということは必要じゃございませんか。
#56
○田宮政府委員 先ほど来申し上げておりますように、アメリカにおきましても、軽水炉につきましても環境放射能の許容基準というのはICRPによります五百ミリレムでございます。しかし軽水炉の設計技術、加工技術等が発達いたしまして、それで設計基準といたしましてそれの百分の一にすることが可能になってまいりましたので、実際上そういうふうにしております。わが国の原子炉も御承知のように同様でございます。でございますから、再処理施設につきましては、技術の進歩をはかる、研究開発をはかるという方向でその三十ミリレムというのを少なくする方向に進むべきでありまして、その点につきましては先生のおっしゃるとおりだと思いますが、しかし基準といたしましては五百ミリレムであり、三十ミリレム・パー・イヤーということであればその中に入りますので、現実の技術開発をはかりましてその三十ミリレム・パー・イヤーということをできるだけ少なくする努力をすべきでありますし、事実してもおります。ですから、現実の問題として、その線量を少なくするという努力をしたい、こういうふうに考えております。
#57
○嶋崎委員 わが国でも、今度の七十一特別国会の段階で水俣判決が出ましたですね。あの中でも言っているように、少々ぐらいはいいかもしれないという考え方がああいうたいへんな事態をつくり出してきた。だから水俣判決では、予測される可能性というものを予見して、世界最高の技術と科学というものを駆使することによって対処していくということが企業の責任だという判決がありましたね。ですから、やはり四十四年の段階と今度の七十一特別国会の中で公害問題がたいへん取り上げられた今日の情勢とでは、同じ原子力の放射性物質に対する公害の問題でも、そういう新たな段階での対応のしかたに積極的に取り組むべきいま段階に来ていると私は思うのですよ。ですから、四十四年の段階でいわれていた許容被曝線量というようなもので、アメリカでも実際はそれなんで、実際のことときめていることとは別なんだという、努力はしている、アズ・ロー・アズ・プラクチカブルなんでしょうけれども、そういう努力をしているということであれば、再来年動き出す再処理施設に関して、それを最大限に押えていくということについての努力が行なわれなければ、世界最高の技術と科学を駆使して予測される可能性というものを予見して、それにどう対処していくかという、そういう観点で原子力委員会は対処すべきだと私は思うのですが、長官、あらためてもう一度意見を聞かしてください。
#58
○前田国務大臣 再処理工場から放出されまする放射性物質につきましては、ICRPの基準に照らしましても、四十四年度の審査報告でいま先生がお読みになったものでも、安全は確保されておると私は考えております。しかし、実際アズ・ロー・アズ・プラクチカブルといいましょうか、実用可能な限りすることが望ましいわけでございまして研究開発を積極的に推進いたしまして、内外の、嶋崎先生御指摘の最高の技術を駆使いたしましてゼロ放出を目ざしていきたいというのが私の考えでございまして、先生おっしゃったような水俣判決ということもございましょう。とにかくこれでもうよろしいというのではなくて、ほんとうにゼロを目ざすのだという姿勢でいきたいというのが私の気持ちでああいうふうな答弁をしたわけでございます。その意味におきまして、先ほど田宮君から御説明いたしましたような液体廃棄物、気体廃棄物等につきましていろいろ研究を四十八年度からも相当精力的に進めておるわけでございます。
#59
○嶋崎委員 わが国の昭和六十年までの原発の建設計画、それに伴って再処理工場というものを考えたら、大体七つくらい必要になるというのはもう常識になっているわけです。そしてそれが、先では、六十年になれはゼロになりますよとおっしゃりたいのでしょうけれども、最初の再処理施設が動き出す再来年までにおっしゃるようにゼロにするという努力を、とにかくクローズドシステムの考え方で封じ込めるという、そういう考え方をとらなければもう問題にならない段階だと思うんですよ、事公害問題に関しては。ですからそういう意味で、封じ込めるという意味で、やはりゼロにしていくという努力をしてみて、まさに世界最高の科学技術を駆使して、そしてそこまでいかないならば、やはり稼働することを急ぐのじゃなくて、その時期に来てもまだこういう問題についての対処が十分ではない、クリプトン85の問題というのはそう簡単ではないとぼくは思う、セシウムの場合だとか何かの場合を考えてみましても。だから、それだけにたいへんではあっても、そのゼロにする努力というものを十分にできないまま、そのうちに動き出していく中でやればいいというような対処のしかたであっては困るというふうに思うのです。
 ですからそういう意味で、これから委員会で年じゅう、常にこの問題の経過をフォローしてまいりますし、そして長官が一度ゼロに努力するということを、努力ですが、ゼロにすると言ったというので、えらい政策の方針が変わったのじゃないかということに私は判断していたのですが、努力するということだったのですから、その努力の経過を見守りながら、できれば五十年の段階でそういう技術的な体制ができなければ、稼働するのは一時取りやめてでもやはり対策を講じていく、そういうことをやらないと、これから先、再処理施設だけの問題ではなくて、今度はさらに廃棄物の問題が残るのですから、これはもうたいへんなことになります。それに対する対策が一つも立たぬままとっとことっとこ原発だけは走っておるわけです。ですから公聴会で、公聴会の対象になった安全審査というものが原子炉だけに限っているというのは、この原子力発電所の全体のシステムというものを考えてみれば、再処理の問題から廃棄物に至るまでの全体の見通しを立てながら、こういう原子力に関する科学技術行政というものは進んでいかなければいかぬと思う。そういうところがずいぶん片手落ちになっていると思うがゆえに、再度四十四年に出された再処理工場施設に関する安全審査の結果が十分に安全だと言っている言い方でいいかどうかをあらためてただしてみたのです。
 そんなわけで、五十年の段階にまでこの問題を、私もフォローしてまいりますが、ゼロにしていくという努力が実らなければ稼働させないというぐらいのかまえでやっていただきたいと思いますが、長官に最後に決意をあらためてもう一度聞かしていただきたい。
#60
○前田国務大臣 放射性廃棄物に対しましては、気体、液体とも安易な対処はわれわれは慎むべきであるということは全く先生の御意見と同様でございます。しかし私は、再処理工場の審査にあたりましては、安全性の確保という点においては十分自信を持っております。しかし、先ほども申し上げましたように、これでいいんだというのではなくて、ゼロにしたいというのが私の熱意でございますので、その熱意にさらに拍車をかげて精力的に研究を進めていきたいと思います。したがって、この稼働の予定は変える考え方はございません。
#61
○嶋崎委員 それなら今後公聴会に際して、その対象に再処理施設を問題にしていくということはできると思いますが、いかがですか。
#62
○田宮政府委員 先生御承知のように、現在のところ、御指摘のとおり第二再処理工場の計画はまだございませんので、その計画が出ました時点で原子力委員会で十分議論をいたしたい、こう考えております。
#63
○嶋崎委員 長官、いかがですか。今後全体のシステムを考えてみて、再処理施設の問題が、まあ、現在のものでも一回いろいろな角度からやはり議論してみる公聴会的なものを、いまの原子力委員会の公聴会ではありませんが、住民自治という観点から見た公聴会として私は問題にすべきだと思うのだが、いわばいまの原子力委員会の公聴会のあり方の中で、今後再処理施設という問題についてはその対象にし得るということはお約束できますね、先の話になりますが。
#64
○前田国務大臣 再処理工場の設置の申請が出た段階で考えるべき問題ではございます。しかし、いずれにいたしましても、住民の理解と協力を得ることが最も必要な施設であると考えますので、その点はひとつ、私、常識をもって判断していきたいと考えております。
#65
○嶋崎委員 その段階では、公聴会の対象にし得るというふうに理解していいですね。
#66
○前田国務大臣 そういう趣旨に御了解いただいてけっこうです。
#67
○嶋崎委員 では、これで終わります。
#68
○石野委員長 次に、山原健二郎君。
#69
○山原委員 たしか三年前であったと思いますが、原子力船「むつ」に関する法案の審議にあたりまして、これと関連してアメリカの原子力潜水艦の航行中の事故、あるいは放射能汚染というような問題が、ずいぶんこの委員会で論議をされまして、私も、たとえばチャーリー、あるいは土佐湾などの米潜水艦の演習の指定区域の問題を取り上げて、その際も放射能問題はどうなるのかというようなことを論議したことを記憶しているわけです。ところが、航行中の原子力潜水艦の問題、あるいは日本近海における演習については、どうも手も足も出ないというようなことも科学技術庁のほうから説明があったわけですね。
 御承知のように、いまわが国の原子力船「むつ」の場合にしましても、これだけ大きな論議をかもしておりますし、また、それなりに住民の不安もある。また、政府としても、これに対して慎重な態度をとらなければならぬという、こういう状態の中で、アメリカの原子力潜水艦の問題についてははたしてどうなのか、この問題についてきょうは伺いたいんです。
 御承知のように、今度の九月十六日のフラッシャー号の入港によりましてちょうど百回目を迎えているわけですね。日本寄港百回目という状態ですから、この際、この問題については、私はかなり精密な態度をとってもらいたいと思っているわけです。御承知のように、昭和三十四年にシードラゴンが入ってまいりましてからちょうど百回目になる。それが年々増加しまして、特に昭和四十七年、昨年度はずいぶんたくさん寄港しています。昨年の場合、横須賀だけで二十一回ですね。百五十日という、約半年間の長きにわたってアメリカの原子力潜水艦が滞在をしておるというこの事実ですね。
 こういう状態ですから、この中で御承知のように幾つか問題が起こったわけですね。これは昭和四十三年五月六日には佐世保で異常な放射能が測定をされた。また同じ年の六月には、那覇におきまして、土砂の中にコバルト60が蓄積をされておるということが判明をいたしました。こういう国民の不安を解消するために、そのつど科学技術庁としては、安全だ、異常はないと報告をしてきたのでありますけれども、私はこの問題について幾つかの懸念を持っているわけです。はたして科学技術庁のこの発表が正しいのかどうか、その点について私どもなりに調査を今日までしてまいりました。
 まず第一番にお聞きしたいのは、沖繩ですね。これはホワイトビーチ、それから佐世保、横須賀で科学技術庁がどのような放射能の測定をしているか、これを具体的に示していただきたい。
#70
○田宮政府委員 原潜の寄港時の調査は、寄港時に科学技術庁、海上保安庁及び県、市の職員からなる現地調査班を編成いたしまして、科学技術庁から派遣された調査班長の統括のもとに当たっておりますが、その場合、サンプルといたしまして海水、海底土、生物等の放射能調査を行なっているわけでございます。
#71
○山原委員 大体現地における、たとえば横須賀の場合、米原潜が入ってくる場合には二十八時間前ですか、二十四時間前ですか、通知があるわけですね。それからその現地における体制はどういう体制なんですか、具体的に言ってください。
#72
○田宮政府委員 たとえば沖繩には二つ、横須賀には四つ、佐世保には四つのモニタリングポストがございます。それから沖繩にはモニタリングカーがございます。それからモニタリングポイントといたしましては、沖繩が十カ所、横須賀六カ所、佐世保十カ所でございまして、そのほか波高分析器をもちまして海水のガンマ線エネルギー分析をしておりますが、この波高分析器は沖繩に一つ、横須賀に一つ、佐世保に一つでございます。そしてモニタリングポストにおきましては、空間及び海水中の放射能の測定をいたします。ただし沖繩については空間だけでございます。で、モニタリングカーでは海水中の放射能の連続測定をやっておりますし、モニタリングポイントにおきましては、空間の放射線集積線量の測定をやっております。
#73
○山原委員 日本分析化学研究所に対して、その際、どういう試料、サンプルを送っておりますか。
#74
○田宮政府委員 寄港時におきます海水及び海底土のサンプルの分析をいたしております。
#75
○山原委員 海水、海底土の分析ですが、そのサンプルを送る。そして分析化学研究所ではどういう測定を行なっているのですか。
#76
○田宮政府委員 コバルト、マンガン、ストロンチウム等五核種につきまして核種分析をやっております。
#77
○山原委員 大体横須賀の場合を考えまして、一般的にそのサンプルが分析化学研究所に届く、そして測定結果が出る、その経過、大体どういう日数になっておりますか。
#78
○田宮政府委員 その核種分析に一サンプル当たり約一カ月ぐらいかかります。ただし、異常があれば直ちに報告がございます。
#79
○山原委員 ちょっとそこのところですね、海水また海底土の採集が行なわれて、それが採集されますね、採集して化学研究所へどれくらいの日数で運ばれるわけですか。それから、化学研究所においては、そのサンプルをどういうふうに分析をして、大体その結果が出るのはどれくらい……。
#80
○田宮政府委員 海水、海底上等は採集後約二、三日で分析化学研究所に運ばれまして、コバルト、セシウム、マンガン等の核種分析が完了いたしますのが、一サンプルについて一月ぐらいでございます。
#81
○山原委員 この分析化学研究所の測定結果について、科学技術庁としては点検をされておりますか。
#82
○田宮政府委員 同一サンプルにつきまして、放医研その他の分析結果と突き合わせるクロスチェックをしておりますし、また、国際原子力機関等ともサンプル交換をいたしましてクロスチェックをしております。
#83
○山原委員 科学技術庁に測定結果の報告があるわけですね。その際に、たとえば実際に測定したときの原簿と対照してこれを点検するというふうな状態なんですか、それとも報告書が来たらそれをそのまま受け取って判定をされるということですか。局長、おわかりにならない点がありましたら、係の方でもけっこうですからお答えいただきたいと思うのです。局長がわかる範囲では局長に答えていただきたい。
#84
○田宮政府委員 ちょっと私こまかいこと存じませんので、チェックさせたいと思っております。
#85
○柴田説明員 お答え申し上げます。
 分析化学研究所で行ないました結果につきましては、異常がない限りにおきまして半年ごとに科学技術庁に報告がございます。その段階におきまして内容のチェックをいたしまして、さらにその結果の評価もいたしまして、異常がないかどうかということを十分確かめているわけでございます。
#86
○山原委員 実際に測定したときの記録された原簿と照合して、その正確性を保っておるかどうかですね、それはどうですか。
#87
○柴田説明員 分析研の技術につきましては、専門家等にお願いいたしましてその検討をしておりますし、それから、今回不祥事もございましたので、あらためまして十分にその内容を検討しているところでございます。
#88
○山原委員 具体的に申し上げてみたいと思うのです。昨年の――昨年といえば先ほど申しましたように、非常にたくさん原子力潜水艦が横須賀に入港したときです。これは資料も持っておりますが、皆さんもおわかりだと思うのですね。昨年のたとえば一例です。ほかにもたくさん資料はあるわけですけれども、きょうは一つの例だけにしぼって、昨年の三月十九日に入港しましたシードラゴンの場合ですね、その資料をお持ちでしたらちょっとそこへ焦点をしぼってお尋ねしますから……。
 私のほうから説明しますと、このシードラゴンの科学技術庁に対する日本分析化学研究所の報告書、これは科学技術庁のほうからこれをいただいたのです。これは公式に科学技術庁に対して出されたところの報告書です。
 シードラゴンにしぼって申し上げますと、その八四ページにあるわけですね。「海水中の放射性核種分析結果報告」、これは日本分析化学研究所から報告をされているわけです。この報告書によりますと、三月十九日に入港しまして四月一日に海水の採集が行なわれております。そうして、その試料、サンプルに基づきまして測定が行なわれたのが、四月二十日から四月二十四日に行なわれたと記載している。わかりますね、そうなっていますから。「測定年月日」です。ところが、先日分析化学研究所に私も直接参りまして、いわゆる測定結果の資料を見せていただいたのです。そうしますと、非常な食い違いが出てくるわけです。これはちらっと見せていただいたわけで、私どもちょっと意外だなと思って幾つかの事例をメモにして帰ってまいりましたし、また、かなり違うわけでちょっと驚いたわけでありますが、たとえばこの測定結果の原簿によりますと、このシードラゴンの測定日は四月二十日から四月二十四日の報告になっておりますけれども、実際は違うわけです。たとえばセシウム137の場合ですね、これが五月二十三日に行なわれているのです。一カ月おくれて測定が行なわれたことになっているわけです。ところが、科学技術庁に対する報告は四月二十日から二十四日とこうなっているわけです。それからセリウム144の例を見ますと、これが五月二十日の測定でありまして、これも違っています。それからコバルト60の場合が五月三十日であります。それからストロンチウム90が六月七日であります。それから亜鉛65の測定が五月二十七日となっているわけです。そうしますと、五月二十二日から六月七日までの間に行なわれている。言うならば、すべての測定が一カ月以上ズレがあるわけですね。そういう報告が科学技術庁に行なわれているわけでして、これはいまシードラゴンの場合だけを例にとりましたけれども、私どもの見せていただいた範囲では、ほとんどこういうかっこうなんですね。そうするとこれは一体何なのか。つくられた報告書ではないかという重大な疑問が生じてきたわけであります。これは一体どういうことでしょう。
#89
○柴田説明員 お手元の資料につきましては、まだ科学技術庁といたしましても検討中の段階でございます。それで、御指摘のシードラゴン号の場合に関しましては、御指摘のとおり、そのあたりで非常に潜水艦の出入りが多くて試料の分析がふくそうしていたという事実がございます。そのような点を踏まえまして現在調査中でございます。
 この分析には相当日数がかかるわけでございますし、ふくそうしておる場合には、分析操作の手間がかかりますので、多少その分析操作に時間がかかるということもあるわけでございます。
 四月二十日に測定したというのは、分析研の説明によりますと、四月二十日ごろに測定を開始し、この場合に分析にやや疑問の点があったので、分析のし直しもして五月に分析を終了した、そういうふうに説明しておりますが、なおこの点につきましては十分調査したいと思います。
#90
○山原委員 いま私がこういう疑問を出して、シードラゴンの場合についてはそういう疑問の点が出てきたから、何か日数をかけるとか、あらためて測定をするとかという御説明でありますが、これは私はシードラゴンを例に出していますけれども、実際に現地で見せていただいたものには、他のものも日付が違うわけですね。だから私いま申し上げているのは、何でこんなことが起こるのか、科学技術庁がこの膨大な報告書を受け取る場合に、国民の安全にとって実に重大な問題ですね。しかも原子力潜水艦のそばへは国民が寄れないわけです。横須賀だって佐世保だってホワイト・ビーチだって――私もホワイト・ビーチの調査をしたのでありますけれども、あぶなくて近寄れない時期もあったわけですね。しかも、今日でもなお米原子力潜水艦のそばには一般の住民が寄れない、そして各地に原子力潜水艦の寄港反対という住民の声もあります。そういう中で、ほんとうにそこへ立ち入って調査できるのは科学技術庁を除いてほかにはないわけですね。いわば国民の安全というものはすべて科学技術庁にまかされておる。しかもそれは立ち入って調査する権限すら国際的に与えられておる科学技術庁ですから、その出てくる調査結果に基づいて皆さんが安全だと言われれば、国民はそれに従わざるを得ないという、全く国民全体がつんぼさじきの中で、窓口はただ一つ科学技術庁にあるという、そういう重大な責任を持っておるのが科学技術庁なんですね。
 これは認識していただかないとどうにもならぬわけでございまして、そういう状態の中で、しかもこれが科学技術庁がこの報告書に基づいて、安全だ、異常がないという報道をされる、あるいは学者の皆さんも専門家の皆さんも、この報告結果によってものごとの判断をされるという、これは全く重大な資料なんですね。それが日にちが違うということは、これはただごとではないわけでしょう。放射性物質の半減期の問題を含めまして、これは専門家の方たちに私はずいぶん意見を聞かせていただいたのでありますけれども、日にちが違うということは決定的な問題だとこう言っているわけですね。
 そういう状態の中で一カ月もおくれて実際の測定が行なわれておるという資料、原簿があるわけです。そして科学技術庁のほうへはそれよりも一カ月前に測定したという報告が出てきておる。これは測定結果の信頼度において決定的な問題であって、いままでの測定結果報告書というものは全く信頼できない。これは単なる日付の記述の誤りではないわけです。したがって、この日付の問題から考えましても、今日まで報告されておるものは、私は全部と言い切ってどうか、それは自信がありませんけれども、ほとんど架空のものが作成をされて科学技術庁に報告をされておる、そういうように断定をせざるを得ない重大な気持ちをいま持っているわけでございますが、この点説明ができますか。いま調査中だというわけですけれども、現在まで調査したところでどういうふうなお考えを持っておるか、伺っておきたいと思います。
#91
○田宮政府委員 御指摘の分析の日にちの違いにつきましては、現在調査しておりますので、もしそのようなことがあればまことに申しわけないことだと思いますが、現在調査中でございます。
 申し上げておきたいことは、先ほど御説明いたしましたように、海水、大気等のトータルアクティビティーに異常がございますれば、瞬時にモニタリングポスト等ではかれるわけでございまして、この核種分析はその確認のためのものでございます。したがいまして、モニタリングポスト等では異常が出ておりませんので、トータルアクティビティーの異常はなかったわけでございます。
 それから、第二点に申し上げたいのは、先生御指摘のように、こういう放射性物質の分析につきましては、時間の問題は大事でございますけれども、それは半減期の非常に短いものについて重大な影響があるわけでございまして、ストロンチウム90は約二十八年の半減期でございますし、それからセシウム137は三十年の半減期でございます。したがいまして、こういうふうなロングライフのものにつきましては、時日の違いというものの影響は比較的少ないわけでございます。
 重ねて申し上げますが、原潜の外部に出ます放射能につきましては、その空気異常がありますれば空間線量、それから水中のトータルアクティビティーというものにまず出ますので、ここのところには従来まで異常が出ておらないということを申し上げておきます。
#92
○山原委員 いろいろいまの御答弁で半減期が長いとかいうようなことは、これは科学技術庁の答弁にはならないと私は思うのです。半減期が二百数十日のものもあるわけでございますし、その一つ一つをここであげるわけにはいかないわけですけれども、しかも、要するに微量なものの測定でございますから、そういう点でそんなことをあいまいに過ごすべきものではありません。同時に、この測定結果が報告をされまして、これにはとにかく百回も米原子力潜水艦が寄港しておる。一方、わが国の原子力船「むつ」の場合はあれだけ慎重な態度をとらなければならぬ。そういう関係から見ましても、これに対して国民の関心というものは非常に高い。しかし国民は何ら知ることができない。知り得るのはただ科学技術庁の調査結果を待つ以外にない、こういう状態の中でこの問題を指摘をしているわけですよ。だからそのことは銘記をしていただかないと困るわけです。
 しかも、私どもこれを見まして、一体どういうふうに測定されて、安全だ、異状がないというふうな結論が出るのだろうかということで、ほんとうにこの分析化学研究所へ参りまして、実際にサンプルに対して測定をされておるその原簿を見せてくださいと言って見せていただくと、私どもでもすぐこの重大な日付の違いがわかるわけなんですね。科学技術庁がほんとうにそれを点検をしてその正確性を期すという場合には、こんなミスといいますか、そういう誤差というものは直ちに気がつくはずのものでありましょうし、しかもこの分析研と科学技術庁の残念な事件が起こったのはほんの数カ月前のことでございますから、そういう点でなぜこういう点を正確にチェックをされないのか。それで科学技術庁の責任が果たせるのかという感じを持つわけです。
 調査しますとか、いろいろ言っていますけれども、いま電話で聞き合わせたらいいんですよ。違うのですから、日数が。シードラゴンだけでなくて、ほとんど全部違うんですから。ほとんど全部があなた方のところへ報告に出されたものと日付が違う。その日付というものはまさに決定的な問題だといわれておる。それが違う。そうすると一体、私もいまいろいろ資料を持っていますよ。持っていますけれども、これは実際に測定をしたものではなくして、およその推測や架空の数字が並べられてどんどん報告されておる、こういうことではないだろうかという疑問を、私単に疑問じゃなくて、ほぼ断定的な疑問をいま持っておるわけですが、どうですか。
#93
○田宮政府委員 よく調査をいたしますが、そのようなことはないと信じております。
#94
○山原委員 その調査の結果は、原簿を直ちに当委員会に提出をしていただきたい。長官、よろしいですか。
#95
○田宮政府委員 分析の原簿でございましょうか。
#96
○山原委員 実際にサンプルに基づいて測定をしましたいわゆる測定結果ですね。実際に分析化学研究所で分析をされました測定結果というのがあるんです。これは日付も書いてあります。何月何日に測定したという数字もずっと並んでおる。そして計算式もあるわけです、それに基づいて。これはどんなに改ざんしたって改ざんできないですよ。だから、その原簿というものは、当然政府の発表する安全性異状なしという公式発表の基礎になっておるものですから、それとこれとが一致しないとなると重大な問題です。そのことが一致していないから私、指摘をしておるわけですが、その原簿を直ちに提出していただきたい。これは委員長にもぜひお願いしたいと思います。
#97
○田宮政府委員 山原先生に提出をいたしたいと思いますが……。
#98
○山原委員 いや、私にいただくこともけっこうですけれども、当委員会は原子力問題について論議をし、先般来公聴会の問題についても、安全性の問題についても、ずいぶん皆さん熱心に論議をしておるところでございますから、私だけでなくして、これは公然と論議されることが必要だと思いますので、これは私に提出をするということはわかりましたけれども、委員長にぜひお願いしたいのですが、全委員の問題としてこの問題を正しく処理していただくように委員長に要請をいたしたいのですが、委員長のお答えを承りたいと思います。
#99
○石野委員長 私から山原委員にお答えする前にいま一度田宮局長の御意見をちょっと聞かしていただきます。
#100
○田宮政府委員 現在の時点におきまして、その原簿等どういう形式になっておりますのか、私ちょっと知識がございませんので、至急調査いたしまして山原先生に御提出したいと思います。
#101
○石野委員長 あらためて委員長から発言さしていただきますが、局長からはいま山原委員に提出するという御意向でございましたが、山原委員からも要望があるし、委員長としても、この資料はいただきたいと思います。山原委員に出せるものが当委員会に出せないことはないと思いますので委員長としても山原委員の要望どおり当委員会に出していただきたい、このように思います。
#102
○田宮政府委員 委員長のおっしゃるとおりにいたします。
#103
○山原委員 それでは、その調査原簿が出ましてからまた日をあらためて質疑をいたしたいと思います。
 それで、次にこの測定にあたりまして科学技術庁が支出をされております分析研に対する予算は大体どの程度でございますか。
#104
○柴田説明員 本年度の予算につきましてはフォールアウト関係あるいは軍艦寄港時のサンプル分析という関係で約六千万円でございます。
#105
○山原委員 私は分析研に参りまして、実際に測定をされておられる職員の皆さんがたいへん苦労しておる姿も見せていただきました。私が参りましたときはちょうど車のラッシュ時でございまして、午後二時に参るつもりでありましたけれども、着いたのが三時半こして四時近くなっていましたが、それで研究所内のいろいろな施設の案内を積極的にしていただきまして、現在たくさんふえておる公害あるいは全国から集まってくるヘドロその他の分析、そしてこの放射能の分析を含めたいへんおそくまで分析をされておる姿を見せていただいたのです。その点で私は、これは非常にたいへんなところだなあと思いました。実際にその研究所の分析しておるところは、私が行ったのは数日前ですから、もう九月も半ばを過ぎているわけですけれども、暑いのです。ところが、全く冷房も何もないような状態の中でやっておられる、その苦労をされておる姿を見せていただきまして、こういう研究所というのはたいへんなんだなあということを感じたわけでございます。
 しかし、その職員の方たちの苦労と別に、やはりこういう重要な問題に対する科学技術庁の姿勢というものに対して非常に疑問を持ったわけです。実際に測定の部屋も見せていただきました。しかし、これではたして原子力潜水艦の放出する放射能の測定ができるであろうか。いろいろ勤務の状態などもそれなりにべっ見させていただいたわけですけれども、これではできないだろう。できるような体制をほんとうにつくれば十分できるであろうけれども。だから、そういうようないろいろなことを考えてみますと、この報告書というのはこれはもう全くつくられたものだ、架空のものがつくられておる。その一つの決定的な資料としてこの科学技術庁に報告された測定年月日と実際の測定とが食い違っている。しかも一カ月以上も食い違っているというところからそのことを発見したわけです。そうして、これに基づいて科学技術庁が安全だというようなことを報告されるわけですから、国民はそれを信頼する以外にはないわけですね。ここに科学技術庁の非常に重大な責任があるわけです。私はこれはいま申しましたようにうその報告書だ、大体推測でつくられた報告書だというふうにほぼ断定的に判断をしているわけです。そうであれば、これはますます重大な問題でありますし、科学技術庁の責任はほんとうに重大だと思っています。この点についていままで事実をあげて申し上げたわけです。
 ことに長官にもお聞きしていただきたいのですけれども、私も原簿をちらっと見せていただいて確めたのです。あまりにも意外なものですから、この数字は間違いありませんかと言って、部分的なものですけれども、ほかにも多少そのときに写したメモは持っていますけれども、シードラゴンの場合だけ一つの例として日数をまた再度確めました。そして、それは間違いないということでございましたので、これは明らかに誤った報告がなされておるという、非常に意外な感じがしたわけです。これでは、国民の安全という問題、非常に重要な問題でありますので、私の質問に対する長官の見解を伺いたいのです。
#106
○前田国務大臣 ただいま山原先生から御指摘の点、非常に重大な問題だと私も考えます。科学技術庁は、放射能から国民を守るという大きい使命を持っていることは御指摘のとおりでございます。したがいまして、分析研で行なう調査も厳正でなければならぬということは申すまでもございません。私はそういう作為的な、つくられたる資料であるということは毛頭考えておりませんけれども、その日が違うとかそういう点につきましては、十分調査をさせたいというふうに考えております。
#107
○山原委員 もう一度申し上げておきますけれども、測定の日付というものは、これは長官もお聞きになったらよくわかると思いますけれども、科学者や専門家の皆さんにとっては非常に重大な問題だそうです。私もそういうふうに思います。だから、これは日付に象徴されておる問題として私は日付の問題を出したのです。だから、そういう点で、ほんとうに正確な資料を国民に与えて、安全だ、異状はない、そして不測の事態は起こらないという、ただ一つの機関としての科学技術庁の責任からするならば、これはどれくらい正確度を期したってかまわないわけです。
 ところが、こういう報告書が出てまいりますと、そのままうのみにして原簿との点検をしない、ここに問題がある。だから、この前もああいう不祥事件が起こったのも、そういうところの正確性、科学技術庁らしい姿勢の欠如というところに私は問題を感じているわけです。したがって、これ以上この問題の追及はいたしませんが、委員長が御裁断になりましたように、資料が出てまいりましたあとで、あらためてこの問題について、わが党の政策とからめまして科学技術庁の責任を追及をしていきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わります。
#108
○石野委員長 次に、近江巳記夫君。
#109
○近江委員 公聴会が終わったわけでございますが、井上五郎委員長代理が感想として、地元の人たちのなまの声を聞くことができた、非常に満足そうであったし、大成功であった、こういう評価をしておるわけでありますが、原子力委員長としての科学技術庁長官は、どういう感想をお持ちであるか、まずお聞したいと思います。
#110
○前田国務大臣 われわれの考えておりました公聴会について、いろいろ御指摘もあり、いろいろ御批判もありました。私ども非常に心配をいたしました。しかし、最初の公聴会としては、なまの声を聞くことができて非常によかったというふうに解釈をいたしております。
#111
○近江委員 現地のなまの声を聞くということでありますが、地元の住民がほんとうにこの問題を理解するための資料も十分に提供されておったかどうか。しかも専門家でないそういう人たちになまの声をといったところで、実際にそれがなまの声であるのかどうか。実際こういう公聴会のあり方というものは、原子炉の安全性を信ずるか信じないか返事をしろというような形の公聴会ではないかと思うのです。まず十分な判断の材料を提供することが先決じゃないかと思うわけですが、今回の場合も、東電がつくったわずか三冊の報告書だけであって、こういうことでほんとうに判断ができるかどうかという問題なんです。また原子力委員会から見たそういう問題点であるとか解説もないわけですね。そういう判断の材料というものが非常に乏しい状態である。こういう中でほんとうになまの声が聞けたかどうかという問題なんです。こういう点についてはどう思いますか。
#112
○前田国務大臣 確かに、専門家の御意見を拝聴するというのも、私非常に大事なことだとは思いますが、純真な地元の人々のほんとうの気持ちといいましょうか、そういう点を聞くことも大きい意義があると考えております。
 それから、材料が少なかったのではないかというふうな近江先生の御指摘でございますが、とにかく従来こういう公聴会制度がなかったわけでありまして、こういう公聴会というものは初めて――いろいろ御批判はございますけれども、公聴会に踏み切ってした点におきまして非常に意味があったというふうに私はむしろ考えておるわけでございます。
#113
○近江委員 長官は、原子力委員長として非常に成功であった、井上さんと同じ立場に立っておられるわけですね。あなた自身、この第一回の公聴会をやられてみて、その問題点なり反省点なり、今後検討しなければならぬ問題はどういうことであるか、こういう問題についてはどのようにお考えですか。
#114
○前田国務大臣 実はぎのりのきょうでございまして、詳しいことは私具体的にまだ、井上委員長代理並びに原子力局長からも聞いておりません。しかし私は、いまの気持ちといたしましては、われわれの現在考えております公聴会の開催要領の趣旨に沿って、なまの声を聞くために公聴会というものを正しく進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#115
○近江委員 田宮原子力局長、それから井上さんのお二人からちょっと……。
#116
○田宮政府委員 先生の先ほどの御質問にも触れますが、資料といたしましては、東電の申請にかかわります申請書並びに添付書類を地元において公開しております。それで事実陳述者の中にも、その内容を引用いたしまして、その当該原子炉から出ます放射性物質の量等について疑問を述べられた方もおられます。それから非常に端的に、先ほども申し上げましたけれども、第一発電所の煙突の下に住んでいるという御婦人からは、雨が降ると放射能が降ってくるのではないかという非常に素朴な御疑問もございました。また、反対者の方では、具体的に水の問題等を数字を並べて述べた方もおられます。それから賛成者の方々からも賛成であるけれども、こういうことをしてほしいという具体的な御要望もございました。そういう意味で、何と申しますか、皆さん自分の考えを自分の口調で述べられたという意味で、地元のなまの声を聞くという趣旨は非常に達成されたのではないかと考えております。
#117
○井上説明員 ただいま長官並びに田宮局長からお話し申し上げましたと同様なことを申し上げることになると思いますが、第一回のことでございます。若干不備の点があったかも存じませんけれども、私の印象を申し上げますならば、第一、公聴会を開く場合にこれだけ大きな反響があるということは考えておりませんでした。御承知と思いますけれども、公述希望者が千四百名、傍聴希望者が一万をこえた。何か今後公聴会を進める上において考え直す必要はないかといったような御意見が出たようでございますが、第一、会場が狭過ぎたのではないか、せっかくの御希望があったのにかかわらず、きわめて少数の方々を選び、また傍聴人等も多数の方の御参加を得られなかったといったようなことは、これはわれわれとしては考えなければならない点であると存じますけれども陳述の内容等につきましては、いずれ速記録等もできることと存じますが、私どもは、学者あるいは専門家の意見は別に、地元の方々がいかに高い関心を持ち、これらの点について失礼ながら非常な勉強をなさった御陳述をなさった、それを直接に私どもが聞き得た、原子力委員会としての職責も非常に重大さを痛感した次第でございますが、一方から言えば、こうして公聴会を開いたことは非常に意義があった、やってよかったというのが私の率直な印象でございます。
#118
○近江委員 井上さんからは、会場が狭過ぎた、意見の陳述にしても非常に少数にしぼられ、また傍聴人についても四十人に一人というような、そういう希望者にこたえることができなかった、そういう反省の御答弁がいまあったわけですが、そうしますと、たとえば公聴会の会場等につきまして、また傍聴人あるいは陳述人等につきましても、これは今後数を多くするなり会場を大きくする、こういう方向でお考えになるわけですか。
#119
○井上説明員 今後そこまで会場をふやすかふやさないかということは、私一存でお答えをするには、委員会あるいは事務局を通じて検討を加えたいと存じますが、今回はさようなことで御賛成の方もあるいは反対の方もできるだけ公平な人選をいたしまして、数から言えば、きわめて少ないパーセンテージではございましたけれども、さような意味で両者の御意見を十分聞き得たものと考えております。
#120
○近江委員 地元の人たちというのは、要するに安全性という問題、環境の問題、そういうことに一番みんな心配もし、関心も持っているわけですね。ところが、実際に出されておる資料も非常に少ないし、一方的な陳述だけで終わる、こういう形の中で、一番の問題点である安全性の論議であるとかそういうような問題が十分尽くせるかということなんです。こういう点におきまして、地元の人たちの声は、もっと専門家の討論もしてもらい、そしてそれをさらに勉強もさせていただき、判断の材料としたい、こういう声が非常に強いわけであります。
 今回の公聴会は、どう見てもお義理の公聴会というような感が非常に深いわけです。実際に安全性の論議にしても、ほんとうに中身があったのか、こういう点からいきますと、専門家がほとんど行ってないわけですね。そういう中で一番の問題点がそこで論議されるかという問題なんです。こういう問題、公聴会を一回開けばいいんだ、そういう姿勢でいっていいのか。あるいはまた、別にそういうような専門家の討論の場を設けるとか、何らかのそういう公聴会のあり方というものをやはり考えるべきであると私は思うのです。こういう点についてはどのようにお考えですか。どなたでもけっこうです。
#121
○田宮政府委員 安全性の問題につきましては、ECCSの問題、燃料棒破損の問題それから平常時の環境放射能の問題等、いろいろ現在議論されております問題につきまして、陳述人の方は触れておられます。そして、その点につきましては先生御承知のように安全審査会にはね返しましてそして原子力委員会がまとめます最終報告書の中で一々の疑問に対して御回答をすることになっておりますので、その点についてはある程度の議論が尽くされるということになると考えます。
#122
○近江委員 そうすると、その公聴会で出た意見をほんとうに反映できる体制にいまなっておるのですか。またそういう可能性があるかという問題なんです。たとえば、それじゃ原子炉の設計であるとか、変更であるとか、設置許可の取り消し等が、そういういろいろな意見が出た中でそれを反映して具体的な形にできる可能性はありますか。
#123
○田宮政府委員 当該原子炉につきましては、現在安全審査中でございますので、公聴会で出ました安全性に関します疑問につきましては、その安全審査の過程において答えていく。それでその安全審査の結果は、あるいは許可をしないということもあり得るわけでございます。
#124
○近江委員 GE社にしてもウエスチングハウスにしても、その原子炉をそのまま輸入しているような現状なんですけれども、問題がある、そのように指摘されたとしても、そういう炉の設計の変更であるとかそういうことができますか。
#125
○田宮政府委員 安全審査会の審査の過程におきまして、この点はこのように変更すべきであるという意見になりますれば、設計変更を命ずることになります。
#126
○近江委員 そういうように一応制度としてはなっておるということでありますけれども、実際にそういうようないろいろな意見の反映ということは、今後どういう形でほんとうにされていくのかどうか。その辺のところは非常に疑問なわけなんです。今後そういう意見が十分生かされるわけですか。
#127
○田宮政府委員 せっかく初めての公聴会をやりましたことでございます。先生御指摘のように、制度上にはそういうことがちゃんとできるようになっておりますので、私どもといたしましては、原子力委員会の意を体しまして、誠実にこの問題の処理に当たりたい、こう考えております。
#128
○近江委員 実際そこまでの、設計変更であるとかあるいは取り消しであるとか、そこまで持っていくためには、これはもう応急に勉強した――言うならば地元の人というのは専門家はほとんどおらぬわけですね。言うならばしろうとであるわけです。われわれもみなそうですけれども。そういう中でそこまでの重大な変更を迫るだけの意見が出されるかどうかということなんですよ、問題は。そういう点においてもっと専門家の論議ということが私は一番大事じゃないかと思うのです。ですから、そういう専門家の賛否両論のそれぞれ学者もいるわけですね。だから、十分な論議の場をつくるべきだと私は思うのです。その辺、専門家の論議の場の設置についてはどのようにお考えですか。
#129
○田宮政府委員 原子力委員会といたしましては安全問題に関しましては、安全研究推進会議というふうなものを今年度中に設けるつもりでおりますので、このような場を通じまして十分に専門家の意見を徴したい、こう考えております。
  〔委員長退席、原(茂)委員長代理着席〕
#130
○近江委員 安全研究推進会議という案を発表されたわけですけれども、これはどういう中身になるのですか。
#131
○田宮政府委員 御承知のように、また先生が御指摘のように、軽水炉の安全性につきましてはいろいろ議論のあるところでございます。また、軽水炉がアメリカでできました原子炉でございますので、わが国といたしましては、安全研究等がやや立ちおくれているという御指摘もしばしば受けております。そこで、わが国におきます安全研究を、いろいろな諸機関、メーカー等を込めまして十分に漏れなく組織的に行なって、いろいろな問題点を至急に解明するというための、何と申しますか、そういう点について専門家のお知恵を拝借いたします機関でございます。
#132
○近江委員 それも要するに、いままでの安全審査のあり方等を見ておりますと、要するに開発推進をやっていくためのささえになるような意見の収集、こういう形であってはならぬわけですね。むしろブレーキをかける、そういうくらいの中身でなくてはいかぬと思うのです。そういう点で非常にいままで政府がやっておることにつきましては、全部推進の母体みたいなものを、要するにここで討議しましたから、こういう意見でしたからといって、それを背景にむしろ推進をしていくというような形態が多いように私は思うのです。むしろブレーキをかけるくらいな意見が出るようなそういう場でなければいけないと思うのです。そういう点についてはどう考えておりますか。
#133
○田宮政府委員 先生の御意見を十分に体しまして、安全研究推進会議の運営に当たりたい、こう考えております。
#134
○近江委員 これは大体何名ぐらいの学者でやるのですか。
#135
○田宮政府委員 まだ事務局で案を練っている段階でございますので、何名ぐらいというのがちょっと申し上げられませんが、あまり多くなりましてもいろいろ問題でございますが、また反面、安全研究につきましてはその分野がいろいろございますので、いま私の頭にございますのは、親委員会は十数名くらいにいたしまして、またその下に分科会をつくって、いろいろな専門家の方がお集まりいただく案はどうか、こう思っております。まだ事務局で検討中でございます。
#136
○近江委員 ここで議論されたことは、これはほんとうに反映されるのですか。どうなんですか、その点は。
#137
○田宮政府委員 その安全研究推進会議において議論されましたことは、原子力委員会で議論をしていただきまして、具体的な方策をとりたい、こういうふうに考えております。
#138
○近江委員 そうしますと、そこでいろいろ検討をされることにつきまして、それは公開でされるわけですか。全部内容は公開しますか。
#139
○田宮政府委員 報告書等は公開いたします。
#140
○近江委員 公開の場のそこに傍聴を入れるとか、そういうことについてはどうなんですか。
#141
○田宮政府委員 通常、原子力委員会の各種のそういう会議は、特に傍聴を制限しておりませんが、会場等の関係で傍聴の方を制限するというようなことがございます。これは物理的な問題でございます。
#142
○近江委員 そうすると入れるわけですね、公開ということですね。
#143
○田宮政府委員 原則として公開でございますが、大講堂でやるというふうなことは考えておりません。
#144
○近江委員 そういう形の学者の討論の場をつくられるということは、これは一歩前進だと思うんです。しかし、それをただ単なる、いま申し上げたように、ゼスチュアだけのそれでは何にもならぬわけですね。ほんとうに真剣に討議のできる、そういう制度というものを考えてもらわなければいかぬと思うのです。こういう点は、特に要望しておきたいと思います。
 それから、今回の公聴会におきまして、資料の問題ですけれども、たとえばみんなの一番関心になっておったのは安全性、環境問題ですね。ところが、この環境等の問題を見ましても、環境に関する調査資料として特に問題になっております環境放射能の問題については、わずか一ページしか書いてない。こういう資料の薄いことにおいて、これを参考にしてもらいたいというようなことでは、いかにもお義理的に、一番ついてもらいたくないところについては資料を出さぬ、これはけしからぬと私は思うんですね。こういう点についてはどういう反省をしていますか。
#145
○田宮政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、今後は申請書、それから付属書類、それから最終的に出します報告書の内容を充実いたしまして、一般の方にもよくわかるような方向に行きたい、こういうふうに考えております。
#146
○近江委員 それで、こういう公聴会のあり方につきまして、アメリカの場合で見ますと、AEC等におきましては、同じテーマで何回でも公聴会を開いているわけです。ですからその点、これは一回限りで終わるのか、今後また何回も開く用意があるのか、その点についてお聞きしたいと思います。
#147
○田宮政府委員 本件にかかる公聴会につきましては、十八、十九日に行ないましたものをもってそれ以上に再度やることは考えておりません。
#148
○近江委員 それはそんなに簡単に考えておりませんということでなくして、これはやはり今後の問題として、原子力委員会また政府の間で今後そのことを検討するというふうにお考えになられますかどうですか。いまぶっきらぼうに、考えておりませんと、そんなことではよくないと思うんです。
#149
○田宮政府委員 私といたしましては、まだ本件公聴会の件につきましても、十分に原子力委員会に報告をしておりませんので、この段階ではいまのようなお答えしかできないわけでございます。
#150
○近江委員 それじゃ、それはひとつ政府、原子力委員会で十分検討していただきたい。検討しますか、その点をお聞きしておきます。
#151
○井上説明員 この問題は、昨日第一回の公聴会を終わったばかりでありますが、私は、当初から原子力委員会の考えておりました、現地の方々のなまの声を聞くという意味においての公聴会は、両日にわたりまする、四十人にわたる陳述人の直の声を聞いたということで、十分私どもは現地の方々の意をくみ取り得たものと考えております。さような意味で、同様の趣旨の公聴会を二度三度繰り返す必要はないと考えております。
 ただ、御指摘がありましたような、学者その他の方々の意見をもっと別途取り入れるべきではないかということにつきましては、御指摘の点もございましたので、委員会としても考えてみたいと思いますけれども、先刻田宮局長がお答えをいたしました現地の方々の直接のお声を聞くという意味においての公聴会を二度、三度聞く必要はない。アメリカの公聴会のあり方が御指摘になりましたけれども、アメリカの公聴会と私どもが考えております公聴会とは若干性格も違っております。いまさら申し上げるまでもないのでありますけれども、アメリカの原子力委員会と日本の原子力委員会とは本質的に性格が違っておるものと私は了解をいたしております。
#152
○近江委員 それから、現地でこういう声をずっと聞かれたわけでありますが、しかし電調を通って現実にこの基礎工事が進み、その周辺の整備が行なわれておる。こういう中におきまして、現実の問題としてそういう住民の声を反映させるという余地はあるのですか。公聴会というのはもっと早い時期にやるべきじゃないのですか。この点についてはどう考えていますか。
#153
○井上説明員 公聴会のあり方をきめますときにいつやるべきであるかということを私どももいろいろ検討いたしました。アメリカ式の公聴会がもしいいとするならば、いまわれわれが考えておるよりももっとずっとおそい時期にアメリカではむしろ開催されておるように私は了解をいたしますが、私どもは現地の方々の意見を審査に反映するという意味において、安全審査委員会その他の検討に十分間に合う意味において早目にやる。一昨晩NHKで放送がございまして、ごらんになったかどうか存じませんけれども、そこでもさような意見が出たのでありますが、現地では道路は若干できておりますけれども、発電所設置地点は松のはえた原野であるということがNHKのルポにも出ておりました。
 私どもは、これは第一回の開催でございますから、規定でたとえば六十日とかいったようなことについて若干それが縮まった、さような意味で少しおくれたという意味ならばさように考えますけれども、現実には私は今回の公聴会は十分私どもの審査には問に合うものである、かように考えております。
#154
○近江委員 私は全般的なことを言っているわけですよ。現実にまだ審査をやっておる段階であって、周辺の整備が行なわれておるところは何カ所もあるわけです。もちろんそういうところは公聴会も開かれてないわけですね。ですから、全体の問題として、私は要するに公聴会というものについては、その時期ということについて十分審査に反映できる時点で今後あらゆる地点においてやっていかなければいかぬ。全般的なことを言っておるわけですよ。そういう点についてもう一度確認しておきます。
#155
○井上説明員 御指摘のとおりでありまして、私どもはさような時期に公聴会を開くべきだと考えております。
#156
○近江委員 特にこの福島の地域につきましては非常に巨大な集中化ということになるわけですね。
 そこで、アメリカの場合は、特に独自の調査機関であるとかスタッフ等も持っておるように聞いておるわけですが、わが国の場合そういうものは何にもないわけですね。こういう点について、今後原子力委員会の充実という点についてはどのようにお考えですか。
#157
○田宮政府委員 本年度から原子力局の中に安全審査室というのを設けております。さらに来年度におきましては、その安全審査室を拡充すること並びに安全審査会の委託によりまして計算等を行なう委託費等を要求しております。
#158
○近江委員 そういう中身であればまだまだ不十分だと思うのですよ。今日これだけ今後原発が増設されていく中において、いまの原子力委員会というものは、非常に皆さん一生懸命やっておられることと思いますけれども、私はそういう体制においてもっと強力なものにすべきだ、このように思うのです。そういう点、体制においてはアメリカのAEC等に比べますと非常に乏しいということは、だれの目から見ても言えるのじゃないかと思うのです。そういう点、これはひとつ大臣に、今後の原子力委員会の充実についてどうお考えであるか、お伺いしたいと思います。
#159
○前田国務大臣 たびたび御指摘を受けますように、いろいろ故障とかそういうものも出ておりまして、軽水炉に対していろいろな不安感も出ておることも事実であります。したがいまして、われわれといたしましては、従来も安全研究のためには、原子力委員会はほとんどそれに全力を集中してやってまいりましたけれども、さらにもっとこの点、近江先生からもいつも御指摘をいただいておりますが、原子力行政としては安全ということにさらに重点を置いてやる、その意味におきまして、予算のことを言うと少し先走るようでございますけれども、来年度予算でも、ことしは五十一億の安全研究でございましたけれども、来年度はさらに二、三十億ふやしたような安全研究の予算を要求しておりますし、また、その安全の学者のそういう意見といいましょうか、そういう専門家の意見を反映するために、安全研究会議といいましょうか、先ほど田宮君がお答えいたしましたようなことも考えておりますし、さらにまた機構的にも、そういう現在の安全審査会そのものが独立性を持っておりまして、われわれは安全審査会にどうこうという干渉は一切いたしておりません。しかし、その安全審査会にさらにまたそれ以外にも、体制的にも機構的にも安全というものを反映するような考え方、これも先ほど田宮君が言うたような点、これはまだ不十分という先生の御指摘でありますが、そういうふうな点に今後とも力を入れていきたいというふうに考えております。
#160
○近江委員 この公聴会の問題につきましては、開催時期の問題あるいは会場の問題、意見陳述人の人数の問題とか傍聴人の問題であるとか、今後改善するというお話があったわけです。また、安全性の論議等についても安全研究推進会議等でやっていくというようなことで、前向きの話もあったわけですが、今後こういう公聴会の問題につきましては、すべての原子力施設等においてこれはやっていくべきである、しかもそのやり方、中身等の問題につきましても、今後さらに前向きにやっていただきたいと思うのです。これについてはどう思いますか。
#161
○前田国務大臣 これはよく委員会で問題になる点でございますが、公聴会はどういうときに開くんだ、公聴会を開く場合についていろいろ御指摘がございました。その場合に私が答えておりますのは、決して原子力委員会が恣意的に、専断的に、今度は開きましょう、今度はやりませんというふうなものじゃなくて、大型、集中あるいは新型並びに地元の知事の要請というふうな場合には公聴会を開くということを考えておりまして、知事の要請というものが、どうももう一つ初めから賛成の推進のための要請じゃないかとかかっこうだけとか、いろいろな御批判がございますけれども、私は、民主政治で知事というものは地元の意見を代表するものだというふうに、選挙によって選ばれる知事でございますから、その点、現在の公聴会の開催要領といいましょうか、それに書いてある線で今後とも進めていきたいというふうに思っておるわけでございます。
#162
○近江委員 このことをまたやりますと時間が経過すると思いますので、これは特に今後ひとつ問題点として検討していただきたい。特に要望しておきます。
 最後に、島根の原発でさかさの欠陥燃料制御棒が発見されたことになっておりますが、こういうばかげた、しかも重大事故につながる、こういうようなことをやっておるわけです。こういう点について、常に安全性については十分な監督もし、指導もしてやっていきますと政府は言っておりながら、こういうことが現実にあるわけです。こういう点についてはどう反省しておりますか。
#163
○田宮政府委員 その点につきましては、伊原次長に御説明させたいと思います。
#164
○伊原説明員 島根の、ただいま先生御指摘の燃料制御棒の一部が設計どおりでなくて逆に入っておったという件につきましては、科学技術庁及び通商産業省で連絡をとって十分検討いたしております。
 本件につきましては、すでに八月一日に通商産業省がプラント点検をするようにという指示をいたしております。その指示に基づきまして、中国電力が検討中でございます。検討と申しますのは現在あります制御棒のうち何本にそのような逆に入ったものがあるかということを検討しておるわけでございます。ただし、この問題は、安全性の基本に非常に深くつながる問題ではございませんで、制御棒の一部があべこべでございましても原子炉を停止する余裕は十分にある、こういうことが確認されております。
 しかし、こういう製造過程でのミスがあるということは好ましいことではございませんので、今後こういうことがないように十分注意はいたしたいと思っております。
#165
○近江委員 重大性につながらないから、これは局部のそれであるというようなニュアンスが非常に強かったのですよ。私が言っておるのは、こういう安全性に対する配慮がないということについては、すべて原子力の重大事故につながる、私は局部に至るそういうところにまで細心の注意をしろということを言っているんですよ。この時点だけがそういう重大な事故につながらない、そういう言い方は非常によくないですよ。だから私は、反省ということを聞いているわけなんです。そうでしょう。違いますか、局長。もう一ぺんあなたからお聞きします。
#166
○田宮政府委員 制御棒のあべこべの問題は、性質的にはいま伊原次長の申したとおりでございますが、先生御指摘のように、制御棒というのは原子炉の中の重要な部分でございますので、一つは製造上のクォリティーコントロールのミスということでございます。第二は検収いたしますときの検収ミスということでございますので、今後検収を厳重にするように指示もしまして、こういうことのないようにいたしたいと思っております。そういう意味では反省をしております。
#167
○近江委員 最後に、これで終わりますが、いずれにしても長官、こういうことが次から次と起きておるわけですね。こういう点については十分な監督指導をやっていただきたいと思うのです。最後に、長官のその辺の決意をお聞きして終わりたいと思います。
#168
○前田国務大臣 近江先生御指摘のとおりでございまして、原子炉につきましては、たとえささいなミス、手違いといえども、重大なる結果を起こすわけでございますので、厳重に注意、戒告といいましょうか監督をしてまいりたいというふうに考えております。
#169
○近江委員 終わります。
#170
○原(茂)委員長代理 次に、木野晴夫君。
#171
○木野委員 この委員会におきまして原子力行政に関していろいろ議論されてきたのでありますが、会期末を控えまして、基本に関するいろいろな問題があったと思うのであります。
 まず、先般、新聞紙上で住民の意思をどのように考えるかということで記事に載りまして、それをめぐりまして問題が起こりました。長官から特に発言を求められまして、わが国の原子力行政の基本的なあり方は、原子力基本法にのっとって従来からもやってきたし、今後もやっていくんだという御意見がありまして、したがってまた住民の意思を十分に尊重してやっていくんだというふうな発言があったわけであります。私は、このことは非常に大事なことであるし、これがそれでは実際にどのように行なわれておるか、これをまたわれわれとしては追及すべきである、このように思っておるのであります。
 ちょうどまたそれと時を同じくいたしまして、十八、十九日、わが国で初めての公聴会が開かれたということでございました。私は、初めての公聴会でもありますし、非常な関心を持ち、またその意義を考えまして現地に二日行ってきたのでありますが、ただいま各委員から、この公聴会をどのように考えておるか、またどうであったか、またその意見をどのように取り入れるのかというような点について、いろいろ質疑があったと思うのであります。これの評価と申しますか、最初の公聴会をやってみて、非常に心配もしておられると思いますし、またどうなることかと思っておるかと思いますが、どうであったかということをお聞きしたいと思うのであります。
 たしか井上議長は、現地の人たちのなまの声を聞くんだ、これに一つの重点を置いてやってきた、そうして、現地に行きましてなまの声を身近に聞いて非常によかったというふうな評価をしておられます。これも一つのなにであると思いますが、私たちはまた、この意見をばどのように取り入れて、どのようにこれを実施するか、これがまた大事であると思うのであります。
 まず話の初めといたしまして、議長として行かれました井上委員に、今回の公聴会をどのように自分としては評価しておるか、このことについてお伺いしたいと思います。
#172
○井上説明員 ただいま近江先生からの御質問にもお答えを申し上げたのでありまして、結論的には、私は、第一回の試みであったにかかわらず相当な効果があったと申しますか、期待にこたえ得たものであるというふうに考えます。
 実は率直に申しまして、この公聴会のあり方についてはいろいろの御反対もございました。形式だけのものではないかとか、官製の公聴会であるとか、ないしは聞きっぱなしの公聴会ではないかとか、いろいろな御意見がございまして、私どもも深く反省をすると同時に、さようなことであってはいけないということで、第一、公聴会に対して地元の方がいかような反響を持っておられるであろうかということにも若干の注意を払ったのであります。これは、たまたま福島地方の新聞に出ておりまするアンケートをとりました報告、まあ世論調査とでも申すのでありましょうか、それを見たのでありますが、地元六カ町村の住民に対するアンケートの結果が、六八%は公聴会の開催を知っておる。そして、そのまた二七%半は、公聴会が開かれたことはたいへんけっこうなことである。公聴会を開くことは意味があるというお答えをなさった方が三五%。したがいまして、全体としては六二・五%の方が公聴会に対し何らかの期待を持っておった、あるいは賛意を表しておったということが言えるのではないかと思うのであります。一方、あまり意味がないとお答えになった方が一二・三%、絶対に反対であるという御回答をなさった方が三・八%である。こういったアンケートの調査がたまたま地方新聞に出ておりました。
 これだけでいいとか悪いとかいう意味ではございませんけれども、先刻申しましたように、私どもが当初予期したよりも非常に多数の陳述希望者並びに傍聴希望者が出た。そういうようなことをあわせて考えまして、この公聴会には、一〇〇%とは申しませんけれども、地方住民の方々の御意見が相当反映し得た。私どもといたしましては非常に幸いであった、かように考えております。
#173
○木野委員 現地の人たちが、今回の公聴会につきまして非常な関心を持ち、またただいま井上委員から話がありましたが、新聞で世論調査したところ、こういうことであったということを聞いたわけでありますが、実は当日、外部におきましていろいろデモがあったわけでありますが、そういった人たちの言っている一つの理由として、公聴会を知らなかったのだ、こういうことを言っておる意見もあったと思うのであります。知らなかったならばその席上に来てないわけでありまして、知っておったから来ておったのではなかろうかと思うのでありますが、要するにPRが十分でなかった、ないしは初めてのことであったので、陳述人、傍聴人、そういった手続がわからなかった、そういうのであります。
 公聴会をやるからには、十分その趣旨の徹底をはかりまして、そうして議長が言われました、なまの声を聞きたいというならば、それが十分に反映をするようにやるということではなかろうかと思います。私は、おそらく今回初めてでありましたので、そういった手違いがあったのじゃないかと思いますが、ただいま新聞ではこうだ、現地では非常に関心を持っておるということを聞きまして、その点は安心したのであります。
 次に、たしか井上委員は、その日のテレビないしは記者会見で、非常によかったということを言っておられたと思います。また最終日には、やって非常に成功であったということを言っておられたと思うのでありますが、私も、陳述人は非常に熱心にその意見を述べ、また傍聴者はその意見を聞き、公聴会としては成功であったと思うのでありますが、最初の日のあいさつに、第一回目のしかも第一日目のことで、勝手もわからぬものだから、内部においては非常によかったが、外部においては多少騒々しくてという話をしておられたと思います。外部の人たちがデモをやるないしは大声をあげるということは、外部の人たちの意見でありまして、ここでは申し上げません。内部につきましては、私も公聴会としましては非常によかったと思うのでありますが、実は翌日の新聞を見てみまして、議長が定刻どおりに来れなかった、そういった段階で開かれたということが載っておるわけであります。
 私は、全体としまして非常に順調に、円滑にいったと思うのでありますが、新聞に、議長が来られないままに山田委員が代行してやった、こんな状態で行なわれたと一行書いてあるわけでありますが、そのために、知らない人は、雰囲気としましてどうであったのだろうかと思うわけでありまして、私は議長がやはり定刻どおりきちっと来てもらいたかった、また井上委員も、その点は残念だと言っておられますが、記事を見てまいりますと、科学技術庁の職員は、朝六時から議場に行って整理に当たっておったということを書いてありますが、議長が定刻どおり入れなかった、この点についてどういったなにがあったのでございますか。
#174
○井上説明員 私自身の不手ぎわもございますとは存じますが、宿舎に一部御反対の方が来られました。ごまかし公聴会は反対であるという旗じるしと申しますか、御主張のもとにスクラムを組まれまして、定刻に出席ができかねてたいへん残念なことと存じますが、やむを得ませんので、副議長として考えておりました山田委員に議長をつとめていただきまして、定刻に開催をすることができた次第であります。
 公聴会の実施細目をきめますときに、委員会は委員の中から議長となるべき者を選定する。そしてその第二項におきまして、委員会は、委員を補佐しまたは議長に支障がある場合に、議長として当該公聴会を主宰する者を指名しておくということがきめてございます。さようなことで、八月の二十八日であったと思いますが、原子力委員会のときに、私が議長をつとめ、山田委員並びに田宮局長が私を補佐して議長の代理をつとめる、かようなことを決定いたしておる次第でありまして、一部新聞に何かさような報道があったかは私存じませんけれども、公聴会といたしましては、手続的に問題はなかったと存じます。
 ただ、私自身といたしましては、せっかく地元の方があれだけ御熱心な御主張をなさったわけでありますから、当初から出席できなかったということは残念に存じまするけれども、以上のような問題でございまして、手続的には不備はなかったものと考えております。
#175
○木野委員 私も公聴会が定刻どおり開かれたということは十分に承知いたしております。ただいま井上委員から話がありましたが、細則に、公聴会の議長はだれがやるのだと指名する。そして議長が都合の悪いときには代行する者が議長となってやる、こういうふうに明記してありますから、私は山田委員が定刻に開会を宣せられまして、公聴会は定刻どおり何ら滞りなく開かれたということは承知いたしておりますが、ただいま申し上げておりますのは、新聞記事なんかでは、議長が来ておらないので、議長が来れないままにあったというふうな記事が誤って伝えられるといいますか、知らない方は、そういった点非常に心配するのじゃないかと思います。そういった場合に、議長も、いまの公聴会の点はそのとおりでございますが、自分が議長として開会の宣告をしたかった、それができぬで残念だと言っておられますが、私もあとで新聞なんか見ますと、こういった点はやはりきちっとしたらよかったと思っているわけであります。それで、押しかけてきたとかそういったのは、これは外部の人がやるのでありますから、それはかってといたしまして、井上委員の関係で申しますと、朝出るのは、九時の定刻に間に合うように出られたのですか。それとも初めからおくれるようなときに出ておるということだったら、これはもちろんしっかりしてもらわなければいけない。定刻に間に合うように出られる予定であったわけでありますか。
#176
○井上説明員 私、実は宿舎を出発いたしましたのは七時半ぐらいであったと記憶するのでございますが、開会は九時半でございますから、十分な余裕をもって出発したわけでございます。実は、そのときすでにデモと申しますか、ピケと申しますか、そうした方々に取り囲まれまして、どうにも自動車が動かない、こういった事情でやむなく遅延をした次第でございます。その間、国会の方々あるいはまた地方の県会その他の方々もおいでいただきましてごあっせんをいただきました。自分らと話をつけてその上でピケの人たちも退散をしてもらうから、しばらく話をするようにということで、私お話に応じました。さようなことで、ごあっせんを願ったのでありますが、にもかかわらずデモ隊の方々がスクラムを組んでどうにも動けなかったといったような事情で、残念ながら若干時間におくれたというのが実情でございます。
#177
○木野委員 私が先ほど申し上げますとおり、外部の方々がピケを張っておる、それは外部の方々の問題でありまして、それをどのようにするかということは、適時適切な処置をとっていただいたらいいわけでありまして、議長の関係で申しますと、出発しようというときにそもそも時間がおそかった。これは議長の責任であります。また出発するときに話し合いをするということ、これも議長の判断でされたならば、もう九時に始まるというようなときにそういった話し合いをするというようなことは、やはり十分に考えて、常識をもって判断をしていただきたいと思うわけであります。またそうでないと、話し合いを頼んだ方も、委員と話をしながらもあとのほうの責任はとれませんから。だから、そういった会議が何時に始まる、そしていま出発しようとしておるようなときに話をしたいというようなときには、ひとつ常識をもって判断をしていただきたいと思うわけであります。そうしないと、話し合いを申し込んだ方もあとの責任はとれないというふうなことになってくると、おそらく困ったことになったなあと自分で思っておられるだろうと私は思いますし、また議長も、科学技術庁の職員が六時なり七時に行っておるのでありますから、それはそういった不測の状態を考えて行っておるわけでありますから、一時間あるからというのでなくして、そういったときにはやはり会のほうを優先するというような判断、これは御当人の常識で判断していただきたいと思いますが、やっていただきたい。
 私がこれを繰り返し申しますのは、あれだけ皆さんが熱心にやって、非常によかったと思うのでありますが、ただ一、二行、開会のときに議長が来られないままで始まったというようなことを書かれますと、いかにも何かあったのではないかと思われるわけでありまして、そういった点、点睛を欠かないようにやっていただきたいと思うわけであります。
 もちろん、そのときに議長が会われたということも私はそれは了承いたしておりますし、その点はいいのでありますが、ただ結果としましてそういうことでありますので、今後はひとつ十分に開会には間をもって準備されるというふうにお願いいたしたいと思うわけであります。
 次に、賛成の意見、反対の意見、いろいろあったと思うのでありますが、私聞いておりまして、賛成の意見にも条件つきの意見がございました。また、反対の意見のうちにも、反対というふうに新聞で書いてありましたが、聞いておりますと、安全性さえちゃんと説明してくれるならば賛成するんだと言うている人もあったわけでありまして意見が賛成、反対と二つに分けずに非常にいろいろな意見が出た。また、いろいろな意見が出るように公聴会を開いたわけだと思うのでありますがこういった意見が聞きっぱなしになる、この点を私は非常に心配するわけであります。先ほどの各委員の御意見も、聞きっぱなしではいけないということを言っておられましたが、この点が一番大事でありまして、今回の公聴会の評価というものの一番大きな点はここにあるのじゃなかろうかと思うのであります。
 それで、たとえば新聞で四十二人の方が出られまして、そして反対、賛成いろいろ書いてありましたが、反対であろうと賛成であろうと、その意見につきましては十分に検討されて、これを取り入れるものは取り入れていくというふうにひとつお願いしたいと思うのでありますが、この点につきまして議長としての御意見、繰り返しになると思いますが、お聞きしたいと思います。
#178
○井上説明員 第一の点でありますが、ただいま木野先生から御指摘がありました点、全くそのとおりでありまして、私といたしましては、十分時間をもって宿舎を出発したつもりでございますが、残念ながら若干遅延をいたしたことにつきましては、今後十分さようなことのないようにいたしたいと思います。
 それから第二の問題、この公聴会でせっかく出た意見が、賛否いずれであるとしても、これが十分反映され、聞きっぱなしの公聴会にならないようにしなければ公聴会を開いた意味もない、全く同感でありまして、いま御指摘がありましたように、私どもは、賛成であるとかあるいは反対である、これを単純に分けて、あるいは数の上で賛成が圧倒的に多かったからそれでいいといったような考え方は毛頭いたしておりません。はっきり申しまして、千四百通の公述希望者の中で、反対はわずかに六十であるというにかかわらず、公述人を選ぶ場合におきましては、私どもといたしましては、むしろ付近住民の方々の中で御反対の方々の御意見をこそ聞くべきである、こういう観点から、算術的な、比例的な考え方を全く考えずに、そうした方々の御意見を重点的に公述していただく、かような配慮をしたつもりでございますが、これまたただいま御指摘がございましたように、一口に賛成といってもある条件つきである、あるいは要望を添えられるといった点がございましてまた反対の御意見の方の中にも、ただいまのように安全性さえだいじょうぶなら、自分はあえて反対するんではない、かような御発言等々ございました。これらは私は非常に貴重な御意見であると考えております。これは現場でもお答えをしたのでありますが、これらの御意見を全部私どもは安全審査委員会あるいは関係省庁に諮問いたしまして、これらの意見を総合いたしまして最終的に私どもが判断を下すと同時に、その報告書を公表をする、かような形において、この公聴会が聞きっぱなしではないという実をあげてまいりたいと考えております。
#179
○木野委員 公聴会を通じて感じました一つの点は、原子力委員会の委員の方々は、技術的な関係の方が多いわけでありまして、安全と申しますと原子炉の安全。理論的実際的にそういった問題をどういうふうに考えておるかということかと思うのでありますが、議論として出ましたのでは、環境の安全ということ、むしろ温排水はどうなるんだ、魚はどうなるんだというふうなこと、それからそれがまた付近住民にどのように地域の発展に結びつくのか、また福祉に結びつくのか、そういった問題、これにふえんした話が非常に多かったように思うわけであります。さらにまた、そういった場合に国なり県なりがどのようにそれを行政的、財政的に援助するか、どういうように考えているんだ、これを望むというふうな点が多かったと思うわけであります。井上先生なりまた他の委員なりの専門専門ございますが、それをもっと含めまして、まあ非常にいろいろな意見が出たように思うのでありますが、私はそういった意味で、こういった環境の安全、それから地域発展の場合に国の財政的、行政的な援助をどういうようにするかというふうな点が出ておりますが、これにつきましては井上委員としてはどういうふうにされるわけでございますか。たしか原子力委員会は、機関としましては諮問機関である。行政委員会ではない。しかしながら単なる諮問機関ではない。だから場合によってはそういった点を勧告するんだという勧告の点もございますが、いま申しました環境の安全、温排水の問題ないしは国の財政援助、そういった問題になってまいりますと、それは勧告というふうなところまで考えるわけですか。いろいろ問題ありましたが、こういった問題については聞きっぱなしじゃない、こうするんだといったときに、大体の考え方を聞かしていただきたいと思います。
#180
○井上説明員 ただいまの問題は非常に重大な問題でございまして、私がお答えするよりか前田委員長からお答えを願ったほうがあるいはいいのかと存じますが、私の意見を述べさせていただきますならば、原子力委員会といたしましては、もちろん原子炉設置の安全につきましては全面的な責任を持っております。しかし、公聴会の陳述の中には環境問題あるいは社会問題、地域の将来の発展問題、それも福島県の中では比較的後進地域と申しますか、県内でのチベットであるといったような御発言もございまして、したがいまして若い人の離村が多くて困るんだ、これをこうした機会に農工一体の発展ができるということに大きな期待をしておるのである、ついては、やはり発電所付近地帯整備法でございますかの早期開発その他国の財政的な援助がもっと強化されるべきである、あるいはまた、当の施設者である東京電力からもっと十分な協力をするべきであるといったような御要望等ございまして、いずれもごもっともな地元の方々の御発言であると存じます。これらの全部につきまして、委員会でありまする原子力委員会は全面的な力を持っておるはずはございません。しかし、ただいま御指摘がございましたように、原子力委員会設置法の四条並びに五条の中には、関係省庁に勧告をしあるいは報告を受けるということが書いてございます。
  〔原(茂)委員長代理退席、委員長着席〕
できるだけかような――法律で措置する意味ではございませんけれども、そうした道を通じまして、委員会としてはできるだけ多くの地元の御要望にこたえ得る形に解決をしていきたい。
 たとえば、ただいま御指摘がございました漁業の問題につきましても、温水が出る、これはもう事実でございますが、その温排水の結果がはたして漁業に対してマイナスである、あるいはプラスの面もある。具体的に申しますと、漁業関係者の数人の御陳述が必ずしも一致しておりません。たとえばワカメが非常にふえた。毎日の漁獲が三百万円でございましたか、ちょっと数字を忘れましたけれども、非常にふえたという方と、いまもうこれは死滅に瀕しておるという御発言がございまして、これらはたとえば水産庁の専門の方々の御意見を徴するといった方法をとりまして、施設者が単に金銭的な補償をしたからそれでいいんだというような安易な考え方はとりたくないと私どもは考えております。
#181
○木野委員 いや井上委員から話がありましたが炉の安全というだけに限らずに、住民の意見といいますものは非常に広く、多岐にわたっておるわけでございまして、それがこの公聴会で取り入れられることを期待しておる、こういうことかと思うのであります。ところが、原子力委員会は、分野としまして限定されておりますので、どうか、この勧告権というものもありますし、また内閣に原子力委員会があるということ、こういった点を非常に活用されまして、住民が安全といった場合には、炉のことだけではなしに環境その他万般にわたっておるわけでありますから、さらにまた、安全といったときにすべてについてのことを総合して述べているわけでありますから、十分に反映するように一段のくふうをお願いいたしたいと思うわけであります。
 次に、私聞いておりまして、原子力につきましての不安と申しますか、そういったのがいろいろ出てくるわけでありますが、現に各地でいろいろ事故があったといいます場合に、そういったのが非常に住民の方々に危惧を与えておると思うのであります。この委員会で、そういった事故がありますといつもその点につきまして質疑が行なわれておりますが、初歩的ミスが多いということでありますから、初歩的ミスは絶対に起こさないと――もちろん重大なミスは困りますが、初歩的ミスを絶対に起こさない。また、先ほど近江委員が指摘されましたが、それは実害がないんだからということですが、そういうことじゃなしに、そういったことが非常に一般の方々の不安のもとになるわけでありますから、そういったことが大事ではなかろうかと思うわけであります。科学技術庁がそういった意味で権威と信用を得るということが大事でありまして、いま申しました初歩的ミスはもちろんのこと、この前出ましたような松田事件、ああいったことも私は非常にこういったときに信用をそこなうものであると思うわけであります。それで科学技術庁にお願いしたいのでありますが、こういった点のないように特段の注意をされることを強く要望しておきたいと思うわけであります。
 最後に、私から申し上げておきたいのは、今回の公聴会に出席いたしまして感じましたことは、住民の方々が、地元の発展ないしは自分たちの生活の向上、それと原子力をどういうふうに考えるのだということでいろいろ地元の方々の御意見があったように思うわけであります。私もなまの声を聞きまして、賛成、反対というのじゃなくして、ほんとうに百人百様の意見が出たと思うのでありまして、こういった点をどのように皆さん方のほうで取り入れて、そうしてそれにこたえるか、これが今回の公聴会の評価の一番の大をなすものだと思うのであります。
 それで、先ほど申しました、反対であろうと賛成であろうと、その意見は十分に検討し、十分にそれにこたえるという姿勢を貫いていただきたいと思いますのと、それから原子力につきましては放射能の問題がございますので、私、井上委員の話をずっと聞いておりまして、原子力委員の責任と申しますか、行政と離れて、ひとつ国民のために原子力委員として独自の判断を下して、かつ総合的に全体としてよくなるようにということでやっていると思うのでありますが、こういった点につきましては、他の行政以上に、ひとつ独自の信念とそれから方針をもって当たっていただきたいと思うわけであります。原子力委員会が単なる諮問機関ではないんだ、行政機関ではありませんが、しかしそうかといって単なる諮問機関じゃないのだ、いわゆる八条機関といたしまして勧告もできるようになっておるというふうな点があるのでありますから、どうかひとつ十分にその権威と信用とを貫いていただきたいと思うわけであります。
 最後に、前田大臣の今回の公聴会に対する感想と、それから今後の原子力行政についての基本的なあり方について所信を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#182
○前田国務大臣 先刻来木野先生から公聴会についていろいろ有益な御意見をお漏らしいただきましてありがとうございます。また、現地に御臨席をいただきましたことも御礼を申し上げる次第でございます。
 公聴会におきましては、先生も御指摘のようにいろいろな意見が出るわけでございます。あるいは安全の問題、環境の問題、財政の問題とか、いろいろな問題が出ると思います。原子力委員会で何でもかんでもみなやるというわけにはとうていまいらないわけでありまして、千手観音のように何もかもできるというわけではございませんので、われわれは、公聴会において述べられましたる御意見をよく承りまして、それぞれ関係の向きに、あるいは環境庁だとか、あるいは通産省であるとか、あるいはその他の省庁に、法律で申しますれば四条、五条、こういう点を活用いたしまして、調査あるいは検討を依頼し、あるいは勧告をするという方法によりまして、原子力委員会設置法に規定されておりまする機能を十二分に発揮して、先生御指摘のように、単なる諮問機関ではないぞというその心がまえをもちましてこれから対処していきたい、公聴会というものをほんとうに生かしていきたいという心で一ぱいでございます。
 なお、御指摘のありました原子力についての事故は、たとえ初歩的なミスといえどもほんとうにこれを注意する姿勢で、こういうことが絶滅するようなきびしい姿勢で進んでいかなければいけない、政府はもとより、関連の会社等におきましても、その点を十二分に徹底せしめていきたいと考えておるわけでございます。
#183
○石野委員長 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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