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1972/03/02 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第四分科会 第1号
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1972/03/02 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第四分科会 第1号

#1
第071回国会 予算委員会第四分科会 第1号
本分科会は昭和四十八年二月二十六日(月曜日)
委員会において、設置することに決した。
三月一日
 本分科員は委員長の指名で、次の通り選任され
 た。
      仮谷 忠男君    正示啓次郎君
      野原 正勝君    細田 吉藏君
      山崎平八郎君    安宅 常彦君
      小林  進君    阪上安太郎君
      津川 武一君    坂井 弘一君
      小平  忠君
三月一日
 細田吉藏君が委員長の指名で、主査に選任され
 た。
―――――――――――――――――――――
昭和四十八年三月二日(金曜日)
    午前十時八分開議
 出席分科員
   主査 細田 吉藏君
      仮谷 忠男君    正示啓次郎君
      野原 正勝君    山崎平八郎君
      安宅 常彦君    木原  実君
      阪上安太郎君    津川 武一君
      坂井 弘一君
   兼務 奥田 敬和君 兼務 近藤 鉄雄君
   兼務 井上  泉君 兼務 楢崎弥之助君
   兼務 山原健二郎君 兼務 大橋 敏雄君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  中曽根康弘君
 出席政府委員
        科学技術庁原子
        力局長     成田 壽治君
        外務省経済協力
        局長      御巫 清尚君
        通商産業政務次
        官       塩川正十郎君
        通商産業大臣官
        房長      和田 敏信君
        通商産業大臣官
        房会計課長   岸田 文武君
        通商産業省通商
        局長      小松勇五郎君
        通商産業省貿易
        振興局長    増田  実君
        通商産業省企業
        局長      山下 英明吉
        通商産業省公害
        保安局長    青木 慎三君
        通商産業省繊維
        雑貨局長    齋藤 英雄君
        通商産業省鉱山
        石炭局長    外山  弘君
        通商産業省鉱山
        石炭局石炭部長 佐伯 博蔵君
        通商産業省公益
        事業局長    井上  保君
        中小企業庁計画
        部長      原山 義史君
        中小企業庁指導
        部長      生田 豊朗君
 分科員外の出席者
        建設省河川局治
        水課長     栂野 康行君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月二日
 辞任         補欠選任
  安宅 常彦君     木原  実君
  津川 武一君     金子 満広君
  坂井 弘一君     石田幸四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  木原  実君     安宅 常彦君
  金子 満広君     津川 武一君
  石田幸四郎君     坂井 弘一君
同日
 第一分科員楢崎弥之助君、大橋敏雄君、第二分
 科員奥田敬和君、井上泉君、山原健二郎君及び
 第三分科員近藤鉄雄君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十八年度一般会計予算中通商産業省所管
 昭和四十八年度特別会計予算中通商産業省所管
     ――――◇―――――
#2
○細田主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査をつとめることになりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。
 本分科会は、昭和四十八年度一般会計予算中、経済企画庁、農林省及び通商産業省所管、並びに昭和四十八年度特別会計予算中、農林省及び通商産業省所管について審査を行なうことになっております。
 本分科会の審査日程につきましては、お手元に配付しております日程表により審査を進めてまいりたいと存じます。御了承をお願い申し上げます。
 昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、通商産業省所管を議題といたします。
 まず、政府から説明を求めます。塩川通商産業政務次官。
#3
○塩川政府委員 昭和四十八年度の通商産業省関係予算案及び財政投融資計画について御説明申し上げます。
 詳細につきましては、お手元にお配りいたしております「昭和四十八年度通商産業省予算案等について」に記述してございますので、ごらんいただくようお願いいたしまして、概略御説明申し上げます。
 まず、昭和四十八年度の通商産業省の一般会計予定経費要求額は、二千百二億一千二百万円でありまして、前年度予算に対して、四百六十九億五千五百万円、二八・八%増となっております。
 次に、重点事項別に予算の内容を御説明申し上げます。
 第一に、無公害社会の建設のための予算につきましては、前年度比二倍強の二十二億六千九百万円を計上しております。
 なお、このほか、他の項に含まれる公害防止関連予算を含めますと八十二億八千六百万円でありまして、これも前年度比二倍に近い増額でございます。
 内容といたしましては、公害防止技術の開発、産業廃棄物対策、公害総合事前調査等の拡充をはかるほか、金属鉱物探鉱促進事業団を改組拡充して金属鉱業事業団(仮称)とし、これに鉱害防止のための融資等を行なわせることとしております。
 さらに、化学物質の安全性確保をはかるための予算も確保することとしております。
 第二に、消費生活の充実につきましては、百八十一億一千二百万円を計上しております。
 まず、新たに総合的な製品安全性確保向上対策を推進するための予算を計上いたしております。
 また、物価安定、流通合理化、消費生活の改善等の施策の充実に必要な予算措置を講ずるとともに、沖繩国際海洋博覧会につきましても、その準備に万全を期することといたしております。
 第三に、日本列島の改造につきましては、その飛躍的な前進をはかるため、九十三億五千九百万円を計上しておりますが、中でも、工業再配置対策の本格化をはかるため、九十億三千七百万円を計上しておりますほか、工業の再配置に伴う工場環境の整備を促進するための予算措置を講じております。
 第四に、中小企業対策につきましては、対前年度比二六・四%増の六百三十五億七千四百万円を計上しまして、施策全般にわたり充実をはかっております。
 中でも、四十八年度は、小規模企業に対する小口、低利、無担保、無保証の新融資制度を初年度三百億円の融資規模で発足させる等、小規模事業対策の大幅な拡充をはかることといたしております。
 さらに、中小小売り商業施策を強化することとするほか、中小企業振興事業団の事業運営に必要な経費を三百九十六億九千二百万円に増額いたしております。
 第五に、国際経済における調和の確保につきましては、対前年度比二四・七%増の百五十四億四千二百万円を計上いたしております。
 まず、日本貿易振興会に対する補助を六十二億一八千八百万円に増額しております。
 次に、経済協力については、対前年度比三七・四%増の六十五億一千八百万円を計上しまして、開発輸入、研修、経済開発調査、研究協力等各種の協力事業を充実することとしております。
 さらに、新たに中小企業の海外投資の推進のための予算を計上しております。
 第六に、未来社会への前進につきましては、六百六億円を計上しております。
 まず、情報処理、電子計算機産業、航空機産業等の振興をはかるとともに、医療機器システム、映像情報システム、住宅生産における新技術等の開発を推進することとしております。
 技術開発につきましては、大型プロジェクト制度の予算を八十三億五千万円と大幅増額いたしましたほか、重要技術開発費補助金、テクノロジー・アセスメント推進費をはじめ所要の資金の確保をはかっております。
 第七に、資源とエネルギーの安定供給につきましては、二百二十九億四千三百万円を計上しておりますが、このほかに、石炭及び石油対策特別会計に一千三百五十六億三千万円を計上しております。
 内容といたしましては、内外資源の探査、開発、電源周辺地帯の整備、造水促進対策、工業用水道の整備等を促進することとしております。
 第八に、以上の一般会計のほか、特別会計といたしまして、アルコール専売事業特別会計は、歳入百二十五億八千万円、歳出百九億二千六百万円、輸出保険特別会計は歳入、歳出とも五百億二千六百万円、機械類信用保険特別会計は歳入、歳出とも十八億七千万円を計上しております。
 また、石炭及び石油対策特別会計につきましては、すでに御説明申し上げましたように、歳入、歳出とも労働省所管分を含めまして、一千三百五十六億三千万円を計上しております。このうち、石油対策分は、二百六十四億二百万円を計上して、石油開発公団の機能の拡充等をはかることとしております。
 また、石炭対策といたしましては、一千九十二億二千八百万円を計上いたしまして、新たに第五次政策に取り組むこととし、石炭鉱業の合理化安定等の施策を推進することといたしております。
 引き続きまして、昭和四十八年度の通商産業省関係の財政投融資計画につきまして御説明申し上げます。
 総額は、二兆一千百六億円でありまして、前年度当初計画一兆七千五百七十億円に比べ、二〇・一%の伸びとなっております。
 第一は、無公害社会の建設であります。
 まず、日本開発銀行の公害防止ワクを拡大するほか、貸し付け金利についても、所要の引き下げを行なっております。
 また、中小企業金融公庫、国民金融公庫等についても、貸付ワクの拡大を行なっております。
 また、さきに御説明いたしましたとおり、金属鉱物探鉱促進事業団を改組し、鉱害防止工事に対し低利融資を行なうこととしております。
 第二の消費生活の充実につきましては、流通部門の近代化のため、引き続き日本開発銀行の融資等を行なうことといたしております。
 第三の日本列島の改造につきましては、工業再配置・産炭地域振興公団における工業再配置部門の事業規模を前年度の百四十五億円から七百億円へと飛躍的に拡充しております。
 なお、工場の緑化等を推進するため、日本開発銀行の公害防止ワクから新たに必要な資金を融資することといたしております。
 第四は、国際化に処する中小企業であります。
 中小三機関につきましては、前年度当初計画比一九・八%増の一兆六千七百十九億円の普通貸し付け規模を確保する一方、沖繩振興開発金融公庫についても所要の資金ワクを確保することとしております。
 また、中小企業金融公庫、国民金融公庫の特別貸し付け制度について、新たに製品安全性改善、小売り商業高度化等の個別貸し付けワクを設けることといたしております。
 このほか、さきに申し上げましたとおり、小企業経営改善資金融資制度を創設することといたしております。
 なお、商工組合中央金庫につきましては、四十八年度から長期貸し付け金利を〇・一%引き下げることとしております。
 第五は、国際経済における調和の確保でありますが、日本輸出入銀行の輸入及び海外投資のための融資ワクにつきまして、二千三百三十億円、前年度比二・四倍の資金量を確保することとしております。
 第六は、未来社会への前進であります。
 電子計算機産業につきましては、日本電子計算機(株)に対する日本開発銀行融資ワクを確保しております。
 また、新しい技術の開発を促進するため、日本開発銀行の国産技術振興ワクを拡大することとしているほか、住宅産業、海洋開発産業の振興、紡績業等の構造改善等のため、日本開発銀行等より融資を行なうこととしております。
 第七の資源とエネルギーの安定供給につきましては、まず、石油につきましては、石油開発公団から探鉱投融資、備蓄用原油購入資金融資等を行なうこととしております。
 また、日本開発銀行から民族系企業育成等の融資を行なうこととしているほか、新たに大陸だな石油開発についても、同行から特利融資を行なうこととしております。
 次に、石炭につきましては、工業再配置・産炭地域振興公団の事業の拡充を行なうほか、新たに石炭火力発電所の建設に対し日本開発銀行の融資を行なうこととしております。
 さらに、金属鉱物探鉱促進事業団の国内探鉱融資について貸し付け金利の引き下げ等を行なうほか、原子力発電、地熱発電を促進するため、日本開発銀行から所要の融資を行なうこととしております。
 以上、通商産業省関係の予算案及び財政投融資計画につきまして、簡単に御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#4
○細田主査 以上をもちまして通商産業省所管についての説明を終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○細田主査 これより質疑に入ります。
 この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜わりたいと存じます。なお、政府当局におかれましても、答弁はでき得る限り簡単明瞭にお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥田敬和君。
#6
○奥田分科員 本日は、私の選挙区に関連のある地場産業として、繊維問題に的をしぼって質問をいたしたいと思います。
 ドルの切り下げ、円のフロートでしばらく小康状態と申しますか、それを保っておった金融市場も、けさの新聞報道によりますと、欧州市場でのたいへんなドル売りが再燃してきたということで、私たち中小輸出関連企業に携わっている人たちに対する影響、ショックはたいへんなものだと実は思っております。おそらく私の見通しばかりでなく、大かたの予想も、マルクをはじめとしておそらくフロートするんじゃなかろうか。そういうことになりますと、現在の円の切り上げの予想がまたそれに上積みされてくるんじゃなかろうか、変動相場制も相当長期化するんじゃなかろうか、こういった懸念がされ、非常に深刻だと思いますが、きょうは通産当局もおいででございますので、むずかしい答弁はさて響きまして、通産当局は、こういう深刻さをけさの欧州市場の混乱からどういうぐあいに受けとめられておられるか。どなたでもけっこうですけれども、ちょっと所見を聞かしていただきたいと思います。
#7
○塩川政府委員 国際的に通貨が非常に不安定だということは、われわれといたしましても非常に重大な関心を持っております。一刻も早く通貨が安定いたしまして、貿易がすべて正常化し、そして国際協調のもとに繁栄を築くべきだと思うのでございますが、何ぶんこういう国際的な通貨の混乱が起こってきたということにはそれなりの深い原因があるのだろう、したがって、びほう的にこういうものを解決するのではなくて、やはり国際的な問題として根本的にじっくりと腰を落ちつけて解決すべきがほんとうであろうと思うのであります。
 そこで、おっしゃるように、昨日からまた非常なドル売りが始まっておるということに対しまして、私たちも非常に心配いたしております。現在日本がフロートしておりますこの経過をずっと見まして、この後において何らかの影響は出てくるであろう、その影響をひとつ深刻に受けとめて対処をしていきたい、このように思っておるのであります。
#8
○奥田分科員 いまの政務次官の御答弁、非常に深刻に受けとめられておられるようですから、これでこの問題は打ち切ります。私は非常に深刻だと思います。何とか二百六十円台で食いとめられるのじゃなかろうかというような私たちの予想が、今度の形によってもっときびしい条件、具体的にいえば、もう二百五十円台の切り上げのほうにまで追い込まれていくとしたら、そうなった場合に、付加価値の高い産業は別としても、とりわけ繊維とか雑貨といったような面に一番直接、深刻な打撃になってはね返ってくる。それだけに、今後の通産当局のこれらに対する緊急措置、後に質問の過程の中で触れますけれども、そういう点について格段の御配慮を実はお願いしたいわけであります。
 この国際通貨危機の張本人といいましても、いま次官のお述べになったとおりに、非常にむずかしい背景があると思います。私たち自身も、七百億ドル、それに応じたユーロダラーが国際的ギャングのような役割りを果たして、ときとしてマルクを襲い、ときとして円を襲いという形の中で、まだ非常にこの危機状態が引き続くのではなかろうか、こういうことも思います。ただ、繰り返すようですけれども、業種別に非常にでこぼこがあると思いますが、特に先ほど申しましたような繊維、雑貨、こういったものを中心としての非常に深刻な影響があるということ、また、それの対策を強く要求いたしまして、次に繊維関係に関連した質問に移りたいと思います。
 現状で見ますと、綿糸あたりが非常に投機対象になっておる。一例をあげますと、週刊誌なんかも取り上げておりますけれども、ガーゼ一つ取り上げてみましても、昨年の九月以来一反百三十円くらいのものが、もうすでに三百円を突破しておる、こういった情勢の中で、それでは、綿糸あるいはこういったものの輸入がどうなっているんだろうというような形になりますと、輸入量とか生産量は格別に減っていない。にもかかわらずそういう価格が上昇しているということは、結局、投機対象になっておるということに結論されると思います。綿糸あるいは毛、そういった繊維の概況について、通産当局から、投機対象になっておる背景も含めて、お答えを願いたいと思います。
#9
○齋藤(英)政府委員 お答えいたします。
 ただいまの御質問は、主として糸の関係の御質問のように思いましたから、それを中心にお答えを申し上げたいと思います。
 最近、綿糸、羊毛、あるいはそれに関連いたしまして人絹糸、合繊糸等、相当の値上がりを示しております。その基本的な原因を考えますと、四十六年の十二月ごろから、ゆるやかではありましたけれども、景気が上昇してまいりました。四十七年の下半期からはかなりのスピードで景気が上昇いたしております。そういう国内景気の回復ということがあげられるかと思います。
 そのうちで、さらにいわゆる天然繊維の見直しということがいわれておりますが、そういうことがございます。したがいまして、天然繊維関係の最終需要がかなり伸びてきたということも理由になっておるかと思います。
 それから三番目にあげられますのは、やはり国際的に見まして、いろいろ糸の原料になっております綿花あるいは羊毛というものの値上がりがかなりございます。これは国際的に景気が上昇してまいりますとともに、需給がタイトになってきたということが一つの原因じゃないかと考えられます。
 以上、基本的にそういう状態であるというバックグラウンドを申し上げたわけでございます。
 なお、これに加えまして、実は商品取引所の問題も私どもは十分考えなければいけない問題だと思います。商品取引所は、最初は羊毛を中心といたしまして、私どもとしては、やはりかなりの過当な投機があったのではあるまいかというふうな感じがいたしております。
 それからなお、これに加えまして、いわゆる仮需と申しまして、実際の最終需要者に渡らない、中間における需要と申しますか、品物がそういう方面に吸収されておるというふうな傾向もあるいはあるのではあるまいかというふうに思います。
 したがいまして、現在のそういうものの需給関係を考えてみますと、いま先生御指摘のように、供給面はかなりふえておりますけれども、それにつけ加えまして、いまのような需要がございますために、やはり短期的にはかなり上向いておるというふうに考えざるを得ないわけでございますが、長期的に見ますと、今回の円の変動相場制への移行等、さらに深刻な事態も予想されます事情でございますし、今後いわゆる開発途上国からの輸入の増大等いろいろ事情がございます。したがいまして、これは当然供給増大ということになります。したがいまして、長期的には、需給はバランスの方向に向かう、こういうふうに考えております。
#10
○奥田分科員 いまの局長の説明で、天然繊維に関する大体の市場動向は理解できました。
 不当買い占めもあると思います。生産は確かに伸びておるということも聞いております。いまのお答えで、その概要はわかったわけでありますけれども、これらの投機抑制に関する緊急措置に関しては、別途また後段で質問したいと思いますが、特にいま合繊の部門ですね。この合繊は、最近の日本の衣類事情から言うと五〇%以上を占めておると思います。天然繊維のほうは確かに投機的な面においても相当な対象になっておるが、この合繊も、いろいろな理由もあるでしょうけれども、ゆるやかながら上昇してきておる。これは案外気がついていない。大豆とか綿とか毛に対しては国民の批判も相当きびしくなってきておりますけれども、合繊糸に関しても、徐々に、ゆるやかではあるけれども値上がりを見せてきておる。これは将来における繊維市況の中で非常に大きな影響をもたらしてくるんじゃないか。これに対して局長はどういう形で見ておられますか。
#11
○齋藤(英)政府委員 合繊の事情は、いま先生御指摘のとおりの事情でございますが、なお詳細に申し上げますと、四十七年の一月に日米の政府間協定がございましたし、かつ円の切り上げというのがございました。そういう事情でございますから、一時は供給過剰という状態になったわけでございます。したがいまして、価格もそのときはかなり急速に低落をいたしました。しかしながら、最近に至りまして、景気の回復とともに需給のバランスが次第にとれてまいりました。一部品種は逆に需要が非常に多いということでありますから、需給が非常にタイトになってきておるということでございます。例で申しますと、たとえば四十六年の三月ごろのナイロンのフィラメントの七十デニールの価格でございますが、キログラム当たり四百五十円から五百円、現在、ほぼそういう程度の価格に一応なっておるというのがナイロンの現状でございます。それから、それ以外のものにつきましても、現在、この一月、二月は、四十六年の末から四十七年の初めにかけましての水準を少し上回りつつある、こういうふうなのが実情でございます。したがいまして、今後も合繊の価格は次第にもう少し上向いてくるのではあるまいかというふうな気がしております。
#12
○奥田分科員 合繊のメーカーは、原料難を理由にする、そういう向きもあります。先般来の行政指導によって、相当な設備縮小で構造的に不況の面もあると思います。しかし、現在、この合繊の原糸の輸入なんかは、アメリカではデュポン、欧州でも相当有名なメーカーがおるわけですが、こういう形の輸入ワクというものは制限がないように聞いておりますし、関税なんかは、いまのところ一体どういう措置がとられておるのですか。
#13
○齋藤(英)政府委員 関税につきましては、先般、昨年の十一月であったかと思いますが、円対策と申しますか、ドル対策と申しますか、そういうものの一環としまして二〇%の引き下げを行なったわけでございます。
#14
○奥田分科員 現在の輸出と内需の傾向ですね。たとえば輸出がふえておるとか、もちろん内需は増大しておると思いますけれども、そういった面の数字はありますか。
#15
○齋藤(英)政府委員 現在、合繊糸全体として申し上げますと、輸出は、四十七年の実績しかわかっておりませんけれども、その前の年と比べますと、かなりの量ふえております。内需はもちろん、ごく最近でございますけれども、非常に旺盛になってきております。
#16
○奥田分科員 いままでの話で大体合繊関係の現況というものは理解できましたが、私はここで次官にお願いするのですけれども、繊維の需要の比率が最近非常に天然物から合繊に移ってきておる。合繊時代であるともいえるくらいに非常に合繊の需要が高まってきておることは事実であるし、国民の衣類の中で占める比重というものも非常に大きいわけであります。
 ただ私は、原料難とかいろいろなものを口実にして、繊維全般の値上がりの突破口にするような気配が見えておるような気がしてならないのです。ということは、御存じのように、化学繊維の場合は、ある程度の設備、そういう構造的なもので、いまのうちに手を打てばうんと解決できる余地もあります。それはもちろん、先般来の自主規制あるいは日米間の政府間協定等々の対外的な問題もありますけれども、しかし、この値上がりを防止するという手だてはいままだ残されておると思うし、また、商社による買い占めといっても、これはほんとうに一部の大きな商社がやっておるわけですから、これらに対する指導を誤りなくやっていく形において、繊維の全般的な消費者に与える影響というものを最小限に食いとめていくことは可能である。いまのうちに万全の手当てをして指導をすれば、それは可能である。先般来のいろいろな商品投機の中に見られるようなことは繰り返さなくても済むんじゃなかろうか、そういう考えを持つわけでございますけれども、特にこういう合繊糸のメーカー、これらに対する行政指導を徹底的にやることによって便乗値上げをさせない。衣類に関しては、ともかく消費者に圧迫をかけないような基本姿勢で臨むという面について、次官の決意を一言お伺いいたしたいと思います。
#17
○塩川政府委員 おっしゃるように、たとえば便乗値上げというようなものがあるといたしますならば、これは非常に遺憾なことでございまして、そういうことはもう絶対にないように十分に注意してまいりたいと思います。
 ただ私は、感じとして申し上げたいと思いますのは、昨年の秋ごろからずっと繊維関係はいわば在庫調整に入っておるような感じがするのです。その在庫の部分があるいは一時的に品不足のような気配をつくっていった。ここに多少でも便乗があれば、私はけしからぬと実は思うのであります。幸い合繊関係の設備は、いわば需給関係を十分保ち得るだけの設備が現在あるのでありますし、またさらに需要の伸びが非常に増大しておりますから、それに対しておくれをとらないように増設をさしていくという面についても適時指導を加えてやっていくべきだ、このように思います。
 いずれにいたしましても、そういう便乗値上げというものに対する監視の目をきびしくやっていきたいと思います。
#18
○奥田分科員 そこで次官、局長にこれから具体的に、現在フロートしてから後のいろいろな緊急対策、もちろん皆さんの手元のほうには、大蔵当局とも相当煮詰まった形の具体策をお持ちじゃなかろうかと思います。しかし総理も、過般の予算委員会あるいは本会議等で、円切り上げにあたって、これら輸出関連中小零細企業に対しては万全の措置で臨むのだという決意はたびたび披瀝されております。先般の対米自主規制あるいは日米政府間協定によって、たいへんな資金と申しますか、政府は出しております。また設備買い上げ等に対しても、あるいは高度化資金に対する優先融資とか、あるいは返済猶予等に対して、これを繊維の面だけにしぼってみて考えれば、私はまさに先般の第一次の円切り上げにおいての措置というものは、まことにありがたいものであった。地場産業の実態を知る私たちにとっても、措置としてはほとんど万全に近い形でやっていただいたと思います。
 ところが、先般来の世界的な金融情勢の中で、円が、マルクなどのフロートすることによって、さらに積み上げられるのではなかろうか。変動相場制から固定相場へ移る形も、少し時間的に長期化の見通しでいかなければならぬのではないか。こういう見通しの上に立ちますときに、特に固定相場復帰いかんにかかわらず、これらの緊急対策というものを早急に煮詰めて、もう一日も早い形の中で一つの基本政策を発表してほしい。はっきり言うと、それを首を長くしていまかいまかと待っているというのが、地場産業の人たちの私たちに対する要望でもあります。
 そういう意味で、大蔵大臣は、まあ適当な時期、適当な価格にきまるだろうというような適当な答弁で、この円問題については逃げられておりますけれども、私たちは、そういうものに関係なく、ともかくこの中小輸出産業に関しての措置を急いでほしい、このことが強い要望であります。
 前回は、中小企業向けの緊急融資として千八百億ほど全体ワクで出されて、これも特利といいますか、六・五%くらいの利率でたしか緊急融資の措置がとられたわけでありますけれども、今度の場合も、この緊急融資の面に関しての総体ワクは別としても、この利息の面は六・五%以下に確実に押えられる、そういう形で大蔵当局と折衝なさっておられるのでしょうかどうか。もし答えていただけるようでしたら、私たちの地場産業にも非常に影響のある問題ですので、またデリケートな問題でありますから、御答えいただける範囲内で御答弁願いたいと思います。
#19
○塩川政府委員 おっしゃるように、前回の処置を上回る手厚い対策を講じたいと思って現在折衝いたしております。その具体的な内容につきましては、中小企業庁の計画部長も来ておりますので、ちょっと説明をさせたいと思います。
#20
○原山政府委員 現在、通産局を通じまして、九十八の産地につきましていろいろ被害状況の調査をいたしております。何ぶん短期間の調査でありますので、まだ必ずしも精査できておりません。いろいろの点で精査、分析をいたしておりますが、これと各原局を通じて産業ごとの調査をしておりますので、これらを突き合わせまして、被害額といいますか、救済すべき金額を確定次第、至急前回のドル・ショックの千八百億円の融資の返済猶予の問題、あるいは新しい緊急融資をどういうふうにすべきか、さらにはいろいろ新しい転換指導等、いろいろ現在詰めておりますので、至急被害額を確定次第折衝してまいりたいというふうに思っております。
#21
○奥田分科員 もちろん、また新事態も発生していることですし、非常に流動的だと思いますので、調査その他についてはほんとうに慎重にやってほしいと思います。
 いまお聞きするところでは、前回特別融資したものの返済猶予の問題、こういう形の要望も地元には強いということも御認識していただけるようですから、ぜひ前回の緊急融資に関する特融の面についての返済猶予の問題、これらも、繊維関係ばかりではなくて、おそらく輸出関連の中小企業の皆さんは、みんな非常にそれを望んでおられると思いますけれども、繊維の場合で言うと、この前の特別金融で、繊維だけで、自主規制のときも、あるいは日米間の政府間協定締結のときも含めて、大体千三百五十億程度が出されておるわけでありますけれども、これの延長、返済猶予の要望というものについて、通産当局は当然これは認めてやらなければいけないだろう。期間について、私たちは二年ぐらい返済猶予をしてやっていただきたいということの強い要望を持っておるわけでありますけれども、これに関してはいかがでしょうか。
#22
○塩川政府委員 各業界から非常に強い要求がございますし、また、たまたま今回のドル、円のこの関係が新しい事態に入りましたときに、返済時期がこれに重なってきた。そこでこの二重の負担というものを何とか緩和したいということで、現在大蔵と折衝いたしております。いずれにいたしましても、そういう過剰な負担が少しでも避けられるようにして、業者に返済が十分できるような事態をつくるような努力はいたしたい、このように思っています。
#23
○奥田分科員 まだいま微妙な段階にあって、大蔵当局とまさにほんとうに煮詰めておられる段階だと思いますので、これ以上質問いたしませんけれども、ただ、いまの次官答弁で、延長といいますか、返済猶予の措置はほとんど九九%間違いなくやっていただけるということを確信いたしましたので、もうこれ以上この問題はやめます。
 中小企業庁が入っておられるようなので、もう一つ聞きますけれども、高度化資金に対してやっぱりいまの特融と同じ猶予措置をとってほしい、こういう強い要望がございます。と同時に、まあ調子に乗って言うようですけれども、信用保証ワクですが、信用保証協会を通じての融資は大体五千万がいま限度だと思います。これに対してもう少しワクを増大してほしい、こういう今回のドル問題に端を発しての要求が、私たちの手元に強く届いておるわけでございますけれども、企業庁としては、この保証ワク拡大、そして高度化資金に対する返済猶予、いわば延長ですね。この問題についてどういう御見解を持っておられましょうか。
#24
○原山政府委員 前回のドル・ショックのときにおきましても高度化資金の返済猶予をいたしたわけでございます。それと、信用保険につきましては、別ワクで、まあイーハンと申しますか、現在時点よりもう倍のワクを拡大したわけでございますが、今回におきましても、精査いたしまして、被害がまとまり次第そういう措置を講ずるよう努力してまいりたいというふうに思っております。
#25
○奥田分科員 ぜひ前向きの姿勢を次官にもちろんお願いしておくわけでございますけれども、この高度化資金の期間延長、返済猶予の問題、それから現在の信用保証ワクを、前回は確かに倍にしていただいたわけですけれども、さらにワクの拡大実現の方向でぜひ努力していただきたいということを強く要望いたしておきます。
 次に、問題が変わりますけれども、最近ワーキング・パーティーというのですか、ガットの繊維WPの問題。全繊維多国間協定というのがアメリカを中心にして非常に強い形で提唱されておるわけでありますけれども、私たちにしてみると、ようやく日米間の摩擦というものが先般の政府間協定で少し火が消えた、やれやれと思っているとたんに、今度はまたこういう大きな全繊維の多国間協定問題がアメリカの非常に強い主導型の姿勢の中で起こされてきておる。おそらく先進諸国はみんなアメリカの側について、この多国間協定に賛成でしょうし、また開発途上国と申しますか、私たちにとっては一つの地場産業のライバルではありますけれども、開発途上国のあたりは、これから繊維輸出というものをふやしていこうという体制にあるわけですから、反対だと思いますけれども、日本の立場は、もちろんこういう多国間協定の形の中で、また日本の繊維産業が一つの大きな打撃というか、圧縮を受けるんじゃなかろうか。ただし、国際社会の仲間入りをしていく上において痛しかゆしのつらい立場にいま立たされていると思います。まさに日本はそういう面においても孤立化していく。ただいたずらの反対だけでもこの局面は乗り切れないんじゃないかと思いますけれども、この全繊維多国間協定の問題について、繊維局長、事態の推移とわが国のとっておる立場、そういう形の面で御答弁していただければお願いいたします。
#26
○齋藤(英)政府委員 繊維の多国間協定の問題でございますが、経緯を簡単に申し上げますと、昨年の六月にガットにおきまして、繊維産業部会、通称、略しまして繊維のWPと申しておりますが、これが設置をされました。この繊維WPの任務は事実の調査に限定されております。したがいまして、日本もそれに参加をいたしまして、自来、数回にわたりまして、事実につきまして種々議論が行なわれ、報告書が昨年の末に一応でき上がったわけでございます。それでその報告書を、二月の五日であったと思いますが、ガットの理事会に報告をいたしまして、いわゆる事実調査のWPというものは一応そこで終了いたすことに相なりました。
 したがいまして、その事実調査をいたしましたWPのそのあとをどうするかということが非常に問題でございまして、その後、これは非公式ではございますが、ガットの場におきましてほぼ三回会合が開かれたわけでございます。非公式会合でございますので、私ども正確には存じませんが、聞くところによりますれば、先生いまお話のございましたように、いわゆるアメリカを中心とする先進諸国は、この事実調査も終わったことであるので、今後新しくこれを土台にして繊維貿易の問題点をさらに深く究明し、その問題点を究明した暁にはこれの解決策を考えるべきではないか、という主張を非常に強くいたしておるそうでございます。これに対しまして、後進諸国と申しますか、開発途上国諸国はほぼ一致をいたしまして、問題点の解明ということにつきましては、それに応ずるという態度でございますけれども、その後の問題につきましては、これは現在の開発途上国諸国の産業の実情に徴しまして、何らかの制限的な協定ができるような動きに対しましては、非常に反対の意向を表しております。
 日本の立場でございますけれども、私どもは従来から、繊維貿易に関しまして、いわゆるガットの一般的な原則に反しますような二国間協定あるいは多国間協定がすでに綿製品等でもあるわけでございますが、こういう問題につきましては、私どもは原則的には非常に賛意を表しかねるというふうに考えております。したがいまして、そういう原則に従いまして、先ほど申し上げましたような非公式会合等でも、そういう意向を表明いたしております。そういう次第でございます。
 なお、御指摘がございましたように、この問題は、先ほどいろいろ御質問ございましたような通貨問題等とも微妙な関係もございますしいたします。したがいまして、一面そういうふうなガットの原則を十分頭の中に置きまして、かつ国際協調ということもやはりわれわれは考えなければいけない大原則でもございます。そういう点をいろいろ考慮いたしまして、今後の流動的な事態に対処いたしてまいりたいというふうに考えております。
#27
○奥田分科員 通貨体制と同時に、貿易のこういった面の国際協調の問題等について、いま、これから非常に苦しい立場をまた想定いたしていかなければいかぬということで、通産当局の非常に苦しい立場もよく理解できますけれども、ひとつ、すべてに手おくれにならないように、私たちはやはり万全の措置で臨まれる姿勢を特に強く要望いたしておきます。
 特にこの繊維問題に関しましても、少し内需景気にささえられておった。一部の天然繊維に関しては、仮需要にも非常にささえられて、価格面については決して悪い方向にはいっていなかった。しかし、これからの国際情勢、いま局長の言われました繊維の多国間協定等々の波、あるいは円の再切り上げによって、ボディーブロー、やられたパンチがずしんといまきいてくるというようなことが、この二、三カ月後に確実に私は出てくると思います。そういった意味で、先ほど政務次官から非常にき然とした決意のほどを示していただいたので、私たちも非常に心強かったわけでありますけれども、確かにこういう繊維というものは、国民の消費生活の面において非常に大きな影響を持っている。そういう便乗値上げはさせてはならない。そして、そういう形の中の繊維全般の値上がりの突破口にするという、私が特に強調した合繊糸の問題等々において、そういう形をぜひ未然に防いでいかれるような一そうの努力を特にお願いいたしておくわけであります。
 いま次官おいでになりましたので、私この繊維問題はこれくらいにして、お願いをとどめておきますけれども、通産省の今度の機構改革と申しますか、設置法の一部改正案が出されておりますけれども、いまちょうどここに繊維雑貨局長がお見えになっておられるので、そのことにも関連をしてお聞きしたいわけであります。
 いままで繊維、紙パルプ、雑貨あたりを所管されておった繊維雑貨局が、今度また生活産業局ですか、名前が変わって組織が変わる。しかも今度その中に、住宅関連の建材関係、セメント、ガラス、木材、砂利、骨材が入る。みんな簡単に思っていますけれども、砂利、骨材の問題というのは、いま公共投資の面で、列島改造、こういった形の一つの社会資本を充実させなければいかぬという国のプロジェクトに対しても、もちろん繊維も紙パルプも大事な点は一緒ですけれども、この砂利、骨材といった面が案外見過ごされていますけれども、たいへん深刻で大きな問題点であると思います。また国民生活にも非常に密着している大きな問題である。こういう形で、言ってみると、私がちょっと頭に考えただけでも、むしろ、あとでプラスされた建材関係とかセメント、ガラス、木材、砂利、骨材といった面のほうがうんと大きな荷ががあっとかかってくるのではないか。私たちの消費生活の面においても、国民生活の面においても、非常に大きなウエートを持つ局となるような気がいたします。また事実、この担当から言うと当然そうなると思うのですが、従来の人員内容、構成ではたしてこういう大きな部門というものを消化できるだろうかという疑問が、私はどうしても去らないわけなんでありますけれども、その点については、次官、また局長いかがでしょうか。
#28
○和田(敏)政府委員 今回二十年ぶりに通産省設置法の全面的な改正をお願いいたしておるわけでございます。従来の通産省のいわゆる原局というものは、物の生産のプロセスといいますか、商品学的分類によってこれを分けておったわけでございます。しかしながら、七〇年代の通産政策展開という時代に相なりまして、物の生産のプロセスによりまして分けると申しますより、むしろ行政のニーズ、問題の共通性、産業構造において占めております地位によりまして現在の原局を再編成いたしたものでございます。
 生活産業局におきましては、まず生活産業という概念でございますが、御指摘の繊維産業はもとよりのこと、雑貨、紙パ、住宅、窯業、建材等をもって構成をいたしております。これらの産業は、国民生活との接点にある衣服、身の回り品、日用品、住宅及びこれらと密接に関連をいたしております素材を供給する産業であるという点において共通性を持っておりますので、一局に含めまして生活産業局といたした次第であります。
 御指摘のように、衣食住とございますが、衣と食のほうは、何と申しましても戦後二十数年を経過いたしまして、一応の点に到達したわけでございますが、住の問題に関しましては、これから当面し、かつ心してまいらなくてはならない問題が多々あろうかと思うのであります。御指摘のような骨材、セメント等に関しましては、今後十分力を入れてまいる所存でございますが、繊維産業等に関しましても、ただいままでの御質疑、御答弁でいろいろ出ておりましたような諸問題がございますので、従来に劣ることなく一そう努力して、生活産業一体としてとらまえて国民生活、福祉の充実に一そう寄与したいと考えている次第でございます。
#29
○奥田分科員 これで質問を終わりますけれども、衣食住のうちの衣と住を一つの生活産業局だけで担当されていくような相当思い切った改革だと思います。したがって、そういう面において国民の消費生活に一番大きな影響を与える部門を担当なさっておるわけですから、今後とも皆さん方当局の、国民の期待にこたえるような行政施策というものを大きく期待いたします。
 ただ、最後に、次官に特にお願いいたしたいのは、この緊急融資を急いでほしい、ともかく早くやってほしい。そして金利は前回の六・七%、これ以下にするように大蔵当局と折衝していただきたい。そして一日も早くそれが実現の段階にこぎつけていただくことを特にお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。最後に次官の御答弁を賜わりたいと思います。
#30
○塩川政府委員 おっしゃるように、われわれも早急に取りまとめてその対策を発表いたしたいと思っておりますが、いろいろとまだ煮詰めなければならぬ点がございますので、しばらく時間をかしていただきたい。しかし、これもそう長い時間ではない、早急にいたしたいと思っております。
 つきましては、先ほども申しましたように、この前のドル・ショックのときに対策をいたしましたものより以上に、きめのこまかい、そして深く入ったものを実施いたしたいと思っておりますので、おおよその見当は御承知いただいておると思います。つきましては、すでに個々の業者との話し合いもどんどん積極的に進めていただくことをお願いする次第です。
 それと、先ほど官房長が言っておりましたように、通産省は今回設置法を改正いたしまして、いままでの生産第一主義、経済第一主義の考え方に立っておった機構から、いわゆる国民の生活、国民が必要とする行政水準を中心にいたしました機構に改革しよう、生産からいわば福祉へ、あるいは生活中心の機構に変えようという転換をやっておるわけでございますので、積極的な御支援をひとつお願いいたしたいと思います。
#31
○奥田分科員 終わります。
#32
○細田主査 これにて奥田敬和君の質疑は終了いたしました。
 次に、近藤鉄雄君。
#33
○近藤分科員 ただいま奥田先生からのいろいろなお話の中にもあらわれておるわけでございますけれども、まさに、円の変動相場制への再度の移行に伴って、わが国経済は非常に深刻な新たな局面を迎えつつあると思うのであります。さらに、けさの新聞にもありますように、マルク市場の再閉鎖、さらには、円市場もきょう、あすと閉鎖する、こういった事態でございますので、問題はきわめて容易ならざるものである、かように考えられております。
 このような重大な時期に、内外の激変す諸情勢の中でわが国の産業界を巧みに誘導をせられる通商産業政策の役割りは、きわめて重大だろうと私は思うのであります。通産当局は特にこのことを認識され、各般の有効な措置を適切に講ぜられておると私は思いますし、さらには今国会において、先ほども話がございました通商産業省設置法の改正を上程されて、新しい事態に対応する通商産業省の体制の整備を考えられておられることも、私はたいへんに時宜を得た措置だろうと考える次第であります。
 先ほど次官からお話がございました四十八年度通商産業省予算案に対しましては、このような新しい通商産業行政への実行の決意を秘めたものであると、私は高く評価をしておる次第であります。御説明の中にもございましたように、「無公害社会の建設」であるとか、「国際経済における調和の確保」であるとか、「未来社会への前進」といったような、そういう見出しを見ましても、新しい事態に対応せられる御当局のなみなみならぬ意欲を私はくみ取るものであります。しかしながら、同時に、このような激動する内外の情勢に対処するものとして必ずしも十分ではないような点も二、三あると考えますので、以下この点に対して順次御質問をさせていただきたい、かように考える次第でございます。
 特に、ただいまも奥田委員の御質問の集中しておりました、国際経済に対する対応のしかた、調和の問題でございますが、私もいただいておりますが、昭和四十八年度一般会計予算要求重要事項表の中の四番と五番がいわゆる国際的な変動に対する通商産業行政の姿勢の予算化である、かように考えられるわけでありますが、その五番の「国際経済における調和の確保」というところを拝見いたしますと、これに関係する予算が百五十四億四千二百万、こういうことでございますが、実は内容にわたってずっと見てまいりますと、一番大きな項目としてここに出ておりますの。が「対外均衡の実現と貿易摩擦の回避」ということで八十六億の予算の計上でありますけれども、この中で大きなのが、先ほど大臣の御説明にございました日本貿易振興会事業費補助としての六十二億八千八百万であると思います。さらには、次に大きな項目の経済協力の推進六十五億、こういうことでありますけれども、この二つの大きな項目を排除いたしますと、実は一億以上の金額のものがそう多くない。むしろ、こまかいことで恐縮ですけれども、製品輸入促進対策費として六百万とか、中国経済関係調査事業費として二千二百万、中国市場調査費補助として一億三百万、ソ連東欧貿易会事業費補助として七百万。経済協力の推進の中では研究開発協力事業費三千二百万。いろいろこまかいことを申し上げて恐縮でございますけれども、私の申し上げたいのは、先ほど来奥田委員の御質問の中にもございましたが、また、本会議なり予算委員会なり各委員会あるいは新聞その他でも問題になっております、国際経済における調和の確保という重大な問題に対して、通商産業予算として計上されている額が必ずしも大きくないということ。こまかく見てまいりますと、ジェトロに対する補助とか経済協力、これはいいですが、それ以外の金額がたいへん少ないし、ばらばらであって、何か、非常に大きな激動する経済の中で通商産業政策をおやりになる体制としては、必ずしも十全のものでないような印象を私は受けるのでございますが、この点に関して、次官、貿振局長の御説明を承りたいと思うのであります。
#34
○増田(実)政府委員 ただいま近藤先生から、こういう国際経済の激動する時期に通産省のこれに対する予算が少な過ぎるのではないか、あるいは金額的にそれぞれの項目に分かれている、こま切れになっている、こういう御指摘がございました。今回の予算は総額で大体二五%アップということになっております。その中には海外事業費が相当ございます。海外事業費につきましては、むしろ、ちょっと詳しい数字を頭に覚えておりませんが、伸び率が二五%よりはふえておる、こういうことになっております。
 それで、私どもの通産省で行なっております国際経済に関する種々の行政は、これは予算を背景としておるものもございますが、しかし大部分は、むしろいろいろな制度でやっておるわけでございまして、国際協調を保つためには、たとえば、輸入の拡大をやるとか、あるいは経済交流の促進をするとか、それから経済協力を充実する、こういうことになっておりまして、必ずしも全部予算で仕事をしていない、こういうことで、これは先生御存じのとおりのことでございます。特に、私ども、こういう激動下にある国際経済情勢に対処するための施策といたしまして、むしろ予算外の仕事といたしまして、輸入の自由化の促進、あるいは関税の引き下げ、それから現在やっておりますような貿管令その他を背景といたしております輸出の規制、こういうことを行なっております。そういう意味で、通商局、貿易振興局の国際経済関係に関する予算というものの伸び率について、確かにこういう時代なのに伸びてないじゃないかという御指摘もございますが、むしろ重点は、いま申しましたような、関税の引き下げをどうするとか、輸入自由化にあたってどういう政策を推進するかということでございます。
 今回の予算の内容につきまして、これは大蔵省と数次にわたる折衝で、私ども必ずしも十分とは申しませんが、今回の予算では、私どもがいろいろの項目というものを折衝いたしました結果、大体ついておるということで、これらの予算で今後の通商・貿易行政というものはやっていける、こういうふうに思うのであります。
#35
○近藤分科員 要するに、国際経済における調和の確保ということであるといたしますと、一つは、これはもう御承知のまず輸出入の経常収支のバランス、こういうことになると思うのでございますが、これは、ざっとこの項目の予算を考えてみまして、輸入ということばが出てまいりますのは、この経済協力の中で、発展途上国産品開発輸入促進事業費というものがございますが、あとは製品輸入促進対策費として六百万という金額がございますが、六百万で何をおやりになるかお聞きしたいのでございます。
#36
○塩川政府委員 先ほど増田局長からお答えいたしましたように、国際協力というのは単に予算の面だけで解決できない問題がございます。もちろんおっしゃるように、時代の感覚から申しまして、確かにもっとつけたらいいじゃないかということでございまして、これはわれわれも今後努力してまいりたいと思います。しかし今回の予算で、輸入促進、そしてできれば開発輸入を促進したいということ等もございまして、輸出入銀行における輸入のほうの財政投融資というものは画期的に引き上げたつもりでございまして、それは対前年度比二・四倍に上がっておるのでございまして、そういう面からも、われわれ促進していきたいと思うのです。
 御質問のございましたこの六百万円というのは、いわば行政事務を消化していくための費用であろうかと思うのでございますが、それはそれといたしまして、諸制度を活用することによって実効を期していきたい、このように思います。
#37
○岸田政府委員 これは各地へ調査官を派遣いたしまして、日本の輸入に適する商品は何であるか、こういったものの発掘をする、また現地の輸出業者といろいろと懇談をする、こういった関係の費用でございます。
#38
○近藤分科員 私は選挙区は山形でございますので、奥田分科員の話にも関係いたしますが、繊維関係産業がたくさんございます。絹織物、人絹、そして最近はメリヤス関係の仕事をしている業者が多くなっておるわけございますけれども、山形周辺などのメリヤス工場を最近見てまいりますと、従来、ああいったものは、農家の奥さん方を集めて手織りみたいなことでやっておったわけでございますが、非常に最近は機械化をしております。ある工場などは、一台の機械が二千万、三千万といったような、そういう高級なメリヤスを編む機械を入れまして、非常に生産性の高い仕事をやっておるわけでありますが、聞いてみますと、それが西独製品であったりスイス製品であったりイタリアの機械である、こういうことであります。そういう大型機械を取り入れておりますので、従来メリヤスなんかは女子型産業であったけれども、最近は男子型である。いわゆる工業高校を出たぐらいの男子を雇ってやらないと、そういった高い機械ですから、こわれてしまった場合にたいへんなことになる、こういったことであるのでありますが、私はいわゆる輸入促進ということの中で、大企業はいろんな海外を回る機会もございますので、おそらく日本の大企業の機械というのは世界最高の水準の機械を買っている。だからこれだけ輸出が伸びるわけでありますが、中小企業関係が使う機械は、中小企業自身がなかなか国際的な視野もないし経験もない。しかし、諸外国を見て歩きますと、おそらく日本の中小企業の近代化、合理化に役に立つ機械が相当あるんじゃないか。特に、高賃金、週休二日制といったような、そういった条件の中でヨーロッパ、アメリカの企業が生産をやって、全部が全部でありませんが、相当高い生産性で国際市場なり国内市場でやっておるわけであります。
 そこで私は、通産当局にぜひお願いをいたしたいわけでありますが、大企業は自分で調べて買ってこれますが、中小企業はなかなかその力もない、ことばもわからないということでありますので、ジェトロの活動を通じるなり、またまさに製品輸入促進対策費になるかどうかわかりませんが、先ほど会計課長のお話の中でも、調査官を派遣するということでありますが、そういうこれからの時代に即応する中小企業の合理化機械、まずこれの発掘と、さらに輸入促進のための税制上または金融上の手だてについて、先ほど次官の御説明の中には、輸出入銀行に相当手当てをするというお話であったわけでありますが、お考えおきをいただきたいのでございますが、いかがでございますか。
#39
○増田(実)政府委員 ただいま御指摘の、中小企業ができるだけいい機械を買えるような輸入促進という面もありますし、また中小企業の合理化という面からそういう事業の促進を現在の予算で考えておるか、こういう御質問だと思います。
 私のほうでは、中小企業者からそういう要望がありましたら、現在ジェトロが海外にトレードセンターあるいは調査員をほとんどすべての国に派遣しておりますので、中小企業のサービス機関でもありまする日本貿易振興会のほうへそういう御要望がありましたら、これに対して調査をするということは、現在の予算の中ではできるようになっております。
#40
○近藤分科員 中小企業からの要望がありましたらというお答えでございますけれども、中小企業はわからぬのですね。ですから、こっちから要望があればさがしますということじゃなしに、お願い申し上げたいのは、ジェトロなり何なりの機関を通じて積極的にいろいろな欧米の中小企業を見ていただいて、どういった機械を使っているのだ、どのくらいの賃金でどれだけ生産性をあげてということを調べていただいて、積極的に国内に持ってきて、中小企業にパンフレットその他を通じてPR、指導をしていただきたいということであります。
 それに関連いたしまして、実は通産省で機械類信用保険法の改正をお考えになっておられて、従来の割賦販売、ローン保証販売に加えて、リースについても国営の保険をつけよう、こういう考えでございますが、私もまさに大賛成でございますけれども、ひとつこのリースの対象機械の中にも、これは通産大臣の御説明があったわけですが、国内の産業機械の振興という目的、これも大事な目的でございますが、同時に、それに十分考慮を払いながら、なおかつ海外のそういう中小企業が使っているような大きないい機械のリースも適当な形の保険の対象に組み入れていただくということもお考えになっていただく必要があるのではないかと思うのでございますが、いかがでございますか。
#41
○岸田政府委員 機械保険は、ユーザーたる中小企業の合理化と、あわせて供給者側の機械工業の振興をはかるという二面の目的を持っておる。したがいまして、従来は国内機械を対象とするという方針でやってまいったわけでございますが、御指摘のように、最近の経済事情の変化等もあり、この点についてはもっと弾力的に考える必要があるのではないかということをいろいろ検討いたしておる最中でございます。したがいまして、今後の扱いといたしましては、もし非常に優秀な輸入機械があり、それが中小企業の合理化に寄与することが大きい、さらに加えて、そういった機械を入れることが日本の他の機械工業メーカーの刺激にもなる、こういったケースがありました場合には、ひとつケース・バイ・ケースに考えていったらどうかということをいま検討いたしておる最中でございます。
#42
○原山政府委員 中小企業が使う合理化機械でございますが、とかく大企業は、大量生産に適さない、あまり大量販売できないというので、中小企業に適した機械の開発に穴がある、盲点があるというようなことを勘案いたしまして、中小企業振興事業団におきまして、中小企業に適した機械の開発を行なうということで若干の予算を計上しておりますが、この予算の活用、あるいは中小企業振興事業団における、適した機械の指導ということでも、合理化機械をできるだけ取り入れるように指導してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#43
○近藤分科員 ひとつそういう方向で、繰り返して申しますが、大企業よりもはるかに合理化機械がおくれている中小企業が、先ほどの奥田先生の御質問にもございましたし、また本会議の際その他でもたびたび問題になっておりますけれども、変動相場制への移行なり、また自主的な再切り上げなり再々切り上げという事態で一番影響を受けるわけでございますから、十分御当局としてはお考えをいただきたいということでございます。
 同時に、私はここで質問の形で問題提起をしたいわけでございますが、そういうフロートなり円切り上げということによって中小企業が影響を受ける、これに対して合理化、機械化で問題を処理していままで輸出しておったものが、一応輸出がダウンするわけですから、これを合理化、機械化でもう一回押し返そう、こういう政策をいたします。これが中小企業のいわば円対策、ドル対策という行き方だとすると、考えていきますと、これはミクロの観点では確かに中小企業は救われるわけでありますが、マクロの国際収支のバランスで見てまいりますと、もとに戻ってしまうということになりかねない。
 もう一点、実は従来の御説明の中で必ずしも十分でないと思うのですが、いわゆる円・ドル問題の影響として、私は輸入サイドも考えなければならないと思う。私などの郷里の繊維業者は、もうすでに円の切り上げなんかの前から、韓国、台湾その他東南アジアからの繊維の輸入ということを脅威に感じておるわけでございますけれども、これが円の再切り上げでさらに脅威になってまいるわけでございます。そうすると、結局、輸入競合産業というものが輸入の増大によってやられてしまう。これも当然通産省として、また中小企業庁としてお考えおき願わなければならないわけでございます。
 これも、では合理化、機械化で大いにがんばろうとなると、輸入で入るべきものが入らなくなってまいりますから、そこで、たいへん逆説的なことでございますが、一生懸命中小企業対策をしても、円切りのマクロな形での効果と相殺になってしまって、通産行政、中小企業庁の行政が成功すれば、成功した段階でもう一回円の切り上げということに追い込まれざるを得ないわけであります。この点について当局のお考えをお聞かせいただきたいと思うのであります。
#44
○原山政府委員 従来の中小企業施策の主軸は、何と申しましても物的生産性の向上という設備面に非常に重点を置いて行なってきたわけでございますが、先生御指摘のようないろいろな問題がございますので、物的生産性の向上も大切でございますが、それとともに、今後はどちらかと申しますと、ソフトな面を重視して中小企業政策を展開してまいりたいというふうに思っております。
 具体的には県の総合指導所等を主軸にいたしまして、場合によれば特別なプロジェクトチームを組ませまして、きめこまかく内需の開拓、企業転換、製品の高級化という方向へ指向してまいりたいというふうに思っております。それの受けざらといたしましては、私どもは、来年度の予算におきましても、地域集約化のための受けざらとしましての融資制度というものを事業団に新しく設けております。また設備の共同廃棄あるいは共同転換の関係の予算も組んでおりますので、これらを活用してまいりたいというふうに思っております。
 なお、海外の投資の面についても、非常に重要なことだと思いますので、その辺への指導も進めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
#45
○近藤分科員 ちょっと質問が前後しますけれども、輸入競合中小企業に対して、輸出に対すると同じような形の施策、保護策をお考えになっていただけるかどうかお聞きしておきたい。
#46
○原山政府委員 中小企業は、経済の国際化に対応するような中小企業構造を持っていかなければならぬという点につきましては、輸入競合業種も、事業転換あるいは品種の高級化、内需の開拓という面について、輸出業種と同じように考えていきたいというふうに思っております。
#47
○近藤分科員 いま産業転換も考えているんだ、こういうお話でございますが、実は私、この予算にさっと目を通して、産業転換がどこにあるかと思って見たのですが、これは「未来社会への前進」の中で「(3)産業の構造改善と転換」、こういう項目がございまして、中をずっと見ますと、全部繊維工業関係の予算でございます。奥田先生も私も繊維産業地域出身でございますから、これはたいへんありがたいわけでございますが、問題が二つございまして、第一点は、ほかの予算は全部ふえておりますが、これは減でございます。それから第二点として、産業転換が必要なのは繊維産業だけであるかどうかということであります。
#48
○原山政府委員 中小企業関係の産業転換あるいは地域集約化方向への指向というふうな問題につきましては、主として中小企業振興事業団におきまして、この受けざらとしまして予算を用意しておりまして、この予算も、四十七年度で千三百五十二億円の事業費から千七百三十七億円と飛躍的に増加をはかっております。
 なお、その中で、先ほど説明を省略いたしましたけれども、来年度から新たに事業費十三億円で、新製品とかデザイン開発センターというものを対象としまして、中小企業振興事業団の地域集約化のために八〇%までの無利子融資というような点を含んでおります。それから中小企業振興事業団におきまして、設備の共同廃棄事業としまして十億円の、これも無利子の貸し付けでございますが、そういう予算を含んでおりますし、また来年度の財政投融資におきましてもその点を十分考慮して、むしろそちらのほうに重点を置いた特別貸し付けを実施いたしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#49
○近藤分科員 いま御説明がございました産業転換、業種転換の融資制度でございますけれども、最近のその制度の活用の実績がおわかりでしたらお知らせいただきたいのです。
#50
○原山政府委員 中小企業金融公庫における産業転換貸し付けというのは、ワクは五十億円とってございますけれども、遺憾ながらまだ実績が非常に少のうございます。いまちょっと数字的にはっきり覚えておりませんけれども、まあ、需要の出てくるのが非常におそいというふうな感じと、それから実際的には、それよりもう一つ大きなワクの産業構造改善貸し付けという中に相当含まれているというふうな点等もございまして、実績面ではそう大きくは出ておらないところでございます。
#51
○近藤分科員 産業構造改善貸し付けというのは、それでは実績は相当あるわけでございますか。
#52
○原山政府委員 中小企業金融公庫における産業構造改善貸し付けの四十七年度のワクは三百四十五億円でございますが、たしか私の記憶によりますと、本年度はこれのほぼ八割前後は消化できるんじゃないかというふうに思っております。ちなみに四十八年度のワクは四百六十五億円でございます。
#53
○近藤分科員 これは日本だけの問題ではなくて、世界的に先進工業国の場合に、産業転換をしなければならないということは理論的にわかりながら、実際は個々の業者としてなかなか踏み切れないということが実情だと思うのであります。
 そこで、これはむずかしい問題でございますけれども、通産省なり中小企業庁がこの問題の指導をされる場合、いわゆる窓口でどういう形で指導されるかですね。従来、工場なり会社が言ってくるのをただ受け付けるという形でおやりになっていらっしゃるのか、積極的に、おたくの工場は将来だめだからこっちのほうに切りかえなさいというふうに指導しておるのか、の点をお聞きしたいのです。
#54
○原山政府委員 地場産業を中心にしてものを考える場合、県が一番よく事情を承知しておるところではないかと思いますので、県の総合指導所を主軸にいたしまして、特に今回の場合は、場合によれば特別のプロジェクトチームを組んで、非常にきめこまかく掘り下げて検討していただくというふうにいたしたいと思いますが、具体的には私どもにおける診断関係の予算がございます。その中に産地診断という項目がございますが、来年度はむしろこれに相当重点を置きまして、その費用の点におきましても、むしろ傾斜をかけてまいりたいというふうに思っております。
 なお、これにお手伝いするところとしまして、中小企業振興事業団の指導部あるいは調査部のほうに診断担当官がおりますので、それぞれお手伝いを産地ごとに張りつけるくらいのかっこうで、今後推進してまいりたいというふうに思っております。先生御指摘の、実際個々に、この事業はこちらに行ったらいいんじゃないかという強力な指導というのは、むずかしくてなかなかできにくいかと思いますけれども、場合によれば、現在出しております転換事例集を完備しまして、転換マニュアルというものまでつくってまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#55
○近藤分科員 予算委員会における総理の御答弁、またその前の本会議においても同じことをおっしゃっておりますが、私は、総理のおっしゃいますように、円の切り下げをしなければならないような経済よりは、円の切り上げをしなければならない経済がはるかに望ましい経済であると思うのであります。特に、日本のように原材料、資源を海外に依存しているような経済におきましては、円の切り上げによって、相対的に安く、すなわち、日本の労働者の時間当たりで評価いたしましても、少ない時間でよけいの資源を海外から持ってくることができることになるわけでありますから、したがってこれは、純粋理論的に考えてまいりますと、円の切り上げは決して悪いことじゃない、むしろ望ましいことであるという判断をいたすわけでございます。しかし、そういう判断に立ってものを考えてまいりますと、先ほどの話に関連いたしますが、円の切り上げというものを、理論的には数年ごとにやっていかざるを得ないし、また一つの考え方では、そういう経済が望ましいということだとしますと、まさにもうすでに二回の円の切り上げを日本経済は経験したわけでありますが、今後、再々切り上げ、再々々切り上げ、再々々々切り上げという事態を招く可能性は十分にありますし、また、それが必ずしも悪いことではないという認識も十分あり得るわけであります。
 しかし、そういう状態の中で、日本経済の構成要因、すなわち、いわゆる大企業も、いわゆる中小企業も、そういう情勢の転換にうまく乗っていけるためには、非常に大きな条件として、産業の転換というものがスムーズになされなければならない。これが有効になされることによって、まさに日本の労働者は少ない労力で諸外国から製品なり原料をよりよけい購入することができるという望ましい状態が実現すると思うのであります。そういう観点に立ちまして、ひとつ御当局にお願いしておきたいわけでありますが、諸外国でもむずかしい問題でございますが、産業転換というものに対して、通産省として、従来もお考えのようでございますが、今後さらに強力な措置をお考えいただきたいということでございます。次官の御答弁をいただけたら幸いでございます。
#56
○塩川政府委員 確かに、いままでの中小企業のあり方は、労働集約型、資源消費型の産業で来ておりまして、付加価値が少ないものに集中しておったと思います。こういう形態でずっと進めてまいりますと、近藤先生御指摘のように、再々切り上げ、再々々切り上げというような事態が起こってまいります。そのたびごとに合理化だ近代化だということでこれは吸収し得るかといったら、私は不可能だと思います。ましてや発展途上国が、現在、日本の中小企業の扱っておりますような商品のところにどんどんと進出してまいります。そういたしますと、やはりこの際わが国の中小企業も、業種の積極的な転換をはかっていかなければならぬのは事実であります。その方向としてはやはり知識集約型に持っていくべきである。それはやはり付加価値を高めるものであり、幸いにしてわれわれの民族の教育度、技術というものは、まだやはり相当なものがあると私は自信を持っております。そういうようなものは十分生かしていくべきである。先ほどもお話がございましたように、輸入機械を十分こなしていくための知識というものも、日本の現在の教育水準ではあると思う。そうなれば、そういう教育の程度をフルに活用するような知識集約型産業に持っていきたい、こう思うのです。
 そこで、この転換は、通産省の指導あるいは府県の行政的な協力ということだけでは、やはり十分な効果はあがらない。もちろんそれは十分心得てやらなければならぬことでございますが、何といたしましても私は、その業界自体が転換に対する積極的な意欲を持っていただかなければならぬと思うのです。
 これは、農業の構造改善等に見ましてもそうでございまして、一例を申しますれば、こういうものに転換したらどうだろうということで、たとえばミカンの例を申し上げて恐縮でございますが、やりましたといたしましても、それがうまくいくまでには相当な時間がかかる。そこで、私らの希望いたしたいのは、業者が自分が扱ってまいりましたその技術と経験を生かして、その中から転換を見出していただいて、それに対しては、あらゆる協力を政府なり府県がやっていく。たとえば、融資の面、あるいは技術の開発に手助けをするというようなことをやっていきたいと思うのでございます。それが本筋だろうと私は思う。
 最近におきまして一ついい例があるのであります。それは信楽焼きなんです。あれは火ばちをずっとつくっておりました。けれども、石油ストーブあるいは集中暖房というようなものが発達しましたに伴って、この火ばちの需要がうんと減ってきた。そこで、どうするかということで、いろいろ地元の人は悩んでおりました。もちろん、滋賀県当局あるいは通産省等も積極的に技術の指導もしたのでありますが、その中で、ある業者の人が庭園ブームに目をつけまして、そういう手づくりの美しさというものを出そうというので、庭園の何とかいうテーブルといすとセットになったものがございますね。そのほか、庭園の装飾品、こういうようなものを手づくりの美しさで焼きものを出そうということになった。これが非常に人気を呼びまして、現在、信楽焼きの現地をごらんになったらよろしゅうございますが、そういう火ばちの業者は、もうほとんどそれへ転換していったということでございます。もちろん、そこに至るまでには、設備の改善なり、あるいはその焼きものの技術を転換するについて、中小企業庁なり府県が積極的に協力したことは当然でございますが、そういう例がございます。そのように、やはり業者自身、転換の方法は探索してもらいたい。私は、鐘と撞木の関係で、幾ら政府のほうで撞木でつこうと思っても、肝心の本体の鐘がボンと鳴ってくれなければいかぬのでありまして、そういう関係を見ていただきたい、このように思います。
#57
○近藤分科員 ひとつそういうことで通産御当局によろしくお願い申し上げたいのであります。これはいろいろなところでいわれておりますが、まさに日本経済の転換期でございます。日本経済はいわゆる一つの選択の時期だと私は考えるわけであります。言いかえますと、日本の国民が必要とするものを何でもかんでも国民ががつがつつくり、そして世界じゅうが必要とするものをがつがつこの日本の小さな列島でつくることをやめて、一体何を日本でつくるのか、そして何をどこでだれにつくってもらって輸入するのか、そういう選択をぜひしなければならない事態であると私は考えるわけであります。そういう観点からして、通産行政のお仕事は非常に重大だと思います。その点、優秀なスタッフをお持ちの御当局でございますので、そういう産業構造の選択というものについて、今後新しい機構のもとで十分にお考えいただきたい、かように考えるわけでございます。
 そこで、それに関連いたしますが、従来最高輸出会議もしくは貿易会議という制度があって、これは議長が総理大臣、副議長が通産大臣ということで、私も新聞なんかではときどき拝見をしておるわけでございますが、最高輸出会議について、どういう制度でどういうことをやってこられたか、御説明をしていただきたいと思います。
#58
○増田(実)政府委員 輸出会議について御説明申し上げますが、これは昭和二十九年の閣議決定に基づきまして輸出会議という名前で設置され、ただいまお話しありましたように内閣総理大臣を議長、通産大臣を副議長として官民各界の広範な学識経験者を動員いたしまして、輸出の促進について国をあげて検討する、そしてその年の輸出目標というものの決定を行なうという場でございまして、これは戦後、御存じのように日本が輸出振興というものを一つの国家目標として掲げて、それに合致するための官民あげての一つの組織をつくり、輸出の促進をするというための会議であったわけでございます。
 このときの輸出会議の構成は、その下部機構に総合部会が置かれまして、その下にさらに商品別の輸出会議を置いておったわけでございまして、これは専門部会だけでも約七十五になっておる大きな組織の会議であったわけでございます。
 ただ、最近情勢の変化に伴いまして輸出の増進以外に輸入の拡大をやって、そしてそれに基づきまして国際協調を達成しなければならない、こういう要請が出ましたのに対応いたしまして、昭和四十五年でございますが、輸入会議をこの中に設けまして、輸出会議の名前を改めまして貿易会議、こういうふうにいたしたわけでございます。四十五年から、輸出入の両面から貿易の拡大均衡をはかる、そのための施策を検討する場ということで現在も活動いたしておるわけでございます。
#59
○近藤分科員 現在も活動していらっしゃるというお話でございますが、どのくらいの頻度で会議を開いていらっしゃるのか、ちょっとお聞きしたい。
#60
○増田(実)政府委員 最高の貿易会議につきましては、去年は開いておりません。ただ専門部会その他につきましては、それぞれ問題点の指摘を業界から受けて、そして今後の輸出体制その他を検討いたしますためにそれぞれ開いておるわけでございます。ただ従来と内容が変わりましたのは、むしろ輸出の伸び過ぎ、過当競争、それによりまして海外でいろいろな摩擦というものが生じておりますので、むしろそういう問題につきまして業界でそれぞれの部門で討議する、こういう場に変えておるわけでございます。従来ですと、輸出目標をきめまして、本年度の輸出達成金額は幾らにするということを発表もいたしておったわけでございますが、これにつきましては、時代が相当変わっておりまして、むしろ外国を刺激するようなことになるということで、一応最高の貿易会議と申しますか、総理以下の出られる会議につきましては去年は開催しておらないということでございます。
#61
○近藤分科員 去年はいろいろなことをお考えになって開催されなかったというお話でありますけれども、これまで日本の輸出が伸びてまいったことの裏に、この最高輸出会議なり貿易会議の果たされた役割りはきわめて大きかった、有効であったというふうにお考えになりますかどうか。
#62
○増田(実)政府委員 戦後日本が復興しまして、原材料獲得のためにはどうしても輸出をしなければならない。ただ輸出につきましては、当時は非常に環境が複雑でございましたので、いろいろな面で官民あげて輸出の振興をやらなければならないということで貿易会議、かつては輸出会議と申したわけでございますが、いろいろの問題点というものを、業界のなまの声を出していただきまして、それを政府のやるべき点につきましてはそれぞれ実行してきたと思います。その意味で、現在の輸出があまり伸び過ぎることについてはいろいろ御批判がございますが、やはり日本の輸出を伸ばし、現在のこれだけの経済的な大国を達成するのにつきまして貢献いたした、こういうふうに思っています。ただ、先ほども申し上げましたように、輸出が伸び過ぎてどうしても輸入がそれに追いつかないという輸出入のアンバランスという問題が現在非常に問題になっておりますので、この最高輸出会議を去年開くことにつきましてはむしろ誤解を生ずるということを避けるために開かなかったわけでございます。
#63
○近藤分科員 先ほどお話をしましたように中小企業の近代化、合理化施設、機械設備を海外から輸入するような問題につきましても、ぜひひとつ輸入会議のほうでお取り上げをいただきたいと思うのでございますが、同時に私は、輸出問題についてもういいじゃないかとか、いろいろな議論がございますが、日本経済の基本的な性格といいますか、結局原料がなくて海外に依存しなければならない、そのために輸出しなければならない、この基本的な関係は依然としてあるわけでございますから、適当な形の輸出政策、これはいまお話しの中にございましたように、量的拡大だけでなしに質的なものを含めての、またマーケッティングの問題なりいろいろなことを含めての輸出問題についての適正な措置をおとりになるためにも官民あげて御協力されることは非常に大事だと思いますので、あまり遠慮しないでおやりになることが必要だと思いますが、同時に私は、このように日本の経済力をまさに官民あげて外へ向かってぶつけておる、あまりことばは穏当じゃありませんが、その体制に加えて、自由世界第二位といわれる日本の経済力をわれわれ国民生活一人一人の充実のためにぶつけていく、活用していくという体制ももう考えていいのではないかと思うわけであります。
 私は一昨年の秋に、ちょうど円の第一次フロートしておりますときに西ドイツ政府の招待を受けまして西ドイツを回っておったわけであります。当時経団連の大型使節団がヨーロッパ各地を回っておりました。聞きますと六十人くらいの大企業の社長さん、専務さんが集まってわんさわんさヨーロッパを回られておる。どうもアメリカ市場が課徴金騒動でいかなくなったので今度はヨーロッパに行くのだということのようでありますが、当時のヨーロッパのいろいろな経済界、政府筋の反響も、これは日本財界のヨーロッパなぐり込みだというような感じすら受けておったわけであります。私は当時ある人と冗談を言ったのでありますが、そういう大会社の責任者の方々は、ヨーロッパを回わられる前に、まず北海道から九州まで日本列島隅々まで回って、どうしたら日本の国内に同じものをもっと有効適切に売ることができるかをお考えになるほうが先ではないか、こういったことを申し上げたことがあるのでありますけれども、私は、いまお聞きいたしますと、この最高貿易会議というのは総理を議長として通産大臣が副議長で各閣僚みんなお集まりになって、業界のトップの方がお集まりになるだけでなしに、専門委員会をつくられて、それぞれエキスパートが集まって、まさに日本の総力をあげて外に向かって伸びようという体制を、国内に向けて同じようなものをおつくりになる意図が政府におありになるかどうか。名前はあえていえば最高国民生活充実会議、名前はこうはなりませんでしょうが、そういうことでまさに各産業別に各製品別に、たとえば教育の解決に使うのだといったらどういった形でどういった器具を開発して、それを小学校に売るのだったらどういった補助金を学校につけたらいいのか、税制上どうするのか。ちょうど皆さんが従来製品ごとに、市場ごとに具体的にマーケッティングをされていろいろな措置を考えられたと同じことを国内に向かってお考えになるという時期にもう来ているのではないか、かように考えますが、次官並びに局長の御意見を承りたいと思います。
#64
○塩川政府委員 国内で生産されるものが有効に国内で消費されるという、そういう観点から見ましても、当然そういう努力はやっていくべきだと思いますし、また内需の積極的なる開発という面からいいましても効果があろうと思います。いずれにいたしましても、国としてやはりそういうものを総合的にやっていかなければならぬと思います。
 ただ、近藤先生のお話を先ほどからずっと聞いておりましたが、輸入促進をもっと積極的にやれという御趣旨がその基本的な考えの中に流れておったと思います。輸入促進はもちろんわれわれも積極的に努力いたしたいと思うのですが、ここで私たちが外務省当局にもひとつ御協力願いたいと思いますことは、われわれが外国に輸出してきましたときには、日本の産業はたいへんな努力をしたと思うのです。それはなるほど貿易会議、輸出会議なんかやって、これが株式会社日本、日本株式会社と言われるような汚名をかぶったのであろうと思います。それほどまでに非常な努力をしてやってきた。一つの製品を売りますのについても、カタログさえ見れば、仕様書を見ればそのまま運転できるようなていねいな仕様書をつけて、しかもその国のことばで、売り込もうとする仕向け地のことばでやっていった。こういう努力をしてきたのであります。ところが一方、現在よくいわれております諸外国から日本に売り込んでまいりますのはどうか。よければ買ったらどうだというような、ついでに日本にも売ろうというような姿勢が依然としてある。特に私はこの前アメリカの人にも申し上げたのですが、日本に売り込もうとするならばそれだけの努力をいたしなさい、もっと日本人の生活というものを知り、そして日本人がそのままのテキストで使えるような、そういうものをつくりなさい。そうしてまた日本でもっとPRいたしなさい。そうしたら日本人は何ら区別いたしません。いいもの、安いもの、それには必ず需要がわいてくるに違いないのだから。その努力を積極的にやっていただきたい。われわれもそういうことについてのお助けは十分いたしましょう。決してそういうようなものにかぎをするようなことはいたしません。こういうことを申し上げたことがあるのです。そこで私たちもそういうふうに、外国の製品がこちらへ参りますについては、日本人になじみやすいような形でこなしてやろうということのお手伝いもやはりしていきたい、こう思っております。そうすることによって国際協力の実がそこに結んでくる、こういうふうに思うのですが、これは各省とも御協力をお願いしたい、こう思っております。
#65
○近藤分科員 次官のおっしゃるとおりであると思いますが、同時に繰り返して申しますように、これまではともかく輸出に全力を注いだという姿勢をまさに総理が、また通産大臣、関係閣僚が全部集まって、財界が全部集まって、こういうことでとってきたということですが、それと並行して、これからはまさにわれわれ国民一人一人の生活充実に、日本が戦後二十八年間積みに積んだ経済力、技術力を使うのだという姿勢を、やはりあえて内閣の姿勢としても示す必要があるのではないかというふうに思います。
 同時に、こういう際ですが、福祉という考え方、成長から福祉ということですが、福祉ということばはいいことばですけれども、しかし弱い面もありますので、母子福祉とか老人福祉みたいな形で、おくれているものを上げるようなかっこうでなしに、もっと前向きに、国民生活をほんとうに充実してレベルアップするのだという、そういうことで、それをすばらしい日本の科学力、技術力を官民あげてぶち込んでいくという姿勢を、この際内閣の姿勢としてお示しになる必要があると思いますので、きょうはお見えでございませんが、現通産大臣はまさに実力大臣でもいらっしゃいますし、また新しいことを積極的におやりになる大臣であるようにも私たち考えておりますので、ぜひこの問題を次官、局長からお話しをしていただいて、総理ともお話しの上内閣の姿勢としても実行していただきたい、かように要望を申し上げる次第でございます。
 時間もあまりなくなりましたので、あと一問だけお聞きしたいわけでございますが、それは今度の通産省のお仕事の中の工業再配置の問題でございます。
 これも最近はどうも工業再配置とか日本列島改造というものは諸悪の根源みたいなことをいわれている面もございますけれども、私はまさに日本列島の改造、工業の再配置というものは正しい政策であり、どうしても実行していただかなければならないというふうに考えておる次第でございます。そういうふうな観点で、今度は工業再配置・産炭地域振興公団法の一部を改正する法律案をお出しになって、この公団を国土総合開発公団ですか、そういうものに改める。いろいろ従来以上の、昨年度以上の施策をお考えになっていらっしゃることに対しまして、私は全面的に賛成をしているわけでございますが、二点問題がございます。それは、今度の改正法の中にも触れてございますけれども、公団の業務の中に「人口及び産業が過度に集中している大都市及びその周辺地域以外の地域において、地域社会の経済、文化等の中心としてふさわしい都市の開発整備のため必要な業務で次に」云々、こういうことになっておりますが、この公団でお考えになっていることが、まあ山形の例をとりますと、山形市なり米沢市なりという、まさにそういう地域の中核、いろいろな意味で中心になるような地域に限られ、そしてその地域に宅地造成するなり工場団地をつくられて、そこに工場分散をされる。こういうことだとしますと、そういう地域はそれぞれの地区のいわゆる盆地、平野の中心になっておりますので、その周辺地域というのは農業用地としてもたいへん適切な地域である。そしてそういう地域をじゃんじゃんつぶしてしまって工場を持ってくる。じゃ農業はどこでやるかというと、農業は行くところがなくて山へ上がってしまう。農業が山へ上がってしまいますと、これからの農業のまさに大規模化とか合理化、近代化というものは技術的に非常に困難になってくると思うのであります。そこで、私は、この工業再配置をしていただく際にはぜひやっていただきたいと思うのですが、そういう大都市の平野部ではなしに、もっと山間地帯で農業に適さない、しかも出かせぎの多いような地域に工場を持っていっていただいて、そしていろいろな環境保全、公害その他の問題を考えますと、中都市、周辺都市の農業は残しておいてむしろ工場のほうを山にぶち込んでいくという形の工業再配置ということもお考えになっていただく必要があると思うのでございますが、企業局長さん、御意見を承りたいと思います。
#66
○山下(英)政府委員 工業再配置法のたてまえはとくと御了察いただいておるとおりでございますが、いま先生の御指摘の案は、あの法律でいっております過疎地帯の中で、同じ過疎地帯の中でもその配置をするときにそういう配慮をしたらどうかという御提案と思います。したがって法律に直接どうこうあるわけではございませんで、法律は大ざっぱに過密から過疎へ工場を移すということでございます。その場合でも、前々から同じ過疎地帯でも工場を持っていったところに人が集まればまた近隣が過疎になるのじゃないかという問題もありますし、御指摘のとおりにいままでの地域開発は同じ僻地でありましても山合いの平野部に工場を農村、農地をつぶして建てていく。どうしても地方では農地と工場とが競合しております。ですから新しい御提案だと思いますし、一つの問題点をついた御提案だと思います。私どもとしましても、二十五万都市とか中核都市とか言っておりますのは、今度はそういったごく一部の問題、あるいは工業だけ農業だけじゃなくて、そこに住む二十五万の人が一番有効に文化都市をつくるにはどうしたらいいかという目標でございますので、そしてまたその目標に従って立地センター等にいろいろなデザインをお願いして研究しておりますやさきでございますので、山形県の具体的な例で一つのモデル山間工場地帯というのができるかどうか、研究してみたいと思います。
#67
○近藤分科員 列島改造は二十五万都市開発構想だというような形で受け取られる面もございますが、いま局長の御説明がございましたように、いろんなやり方をお考えいただく必要があると思いますので、ぜひ取り組んでいただいて、諸外国で、たとえばスイスとかどこかにもそういう山間を工場地帯にして、まさに農工一体なり農工両全でやっている面もあるのではないかと思いますので、諸外国の例も御参照になって、ぜひお考えいただきたいと思います。
 最後に一点だけ。
 こういう形で工場分散をしていただくことはけっこうでございますが、今度の法律の中にもございますけれども、中央から地方に行く工場に対しては、あと地に対して融資もしましょう、また買い取りもいたしましょう、いろいろ補助金も出しましょう、こういうことでありますけれども、その地元地方の都市にも、もういいかげん相当過密で、部分的に公害の発生している工場もたくさんございます。たとえば山形市の場合も、これは数百年続いている鋳物の産地でございますけれども、この鋳物工場が町の中心に集中している。昔はあまり気がつかなかったけれども、最近は公害公害でまわりからもいろいろ苦情が言われる。どこかに行きたいということでありますけれども、せっかく山形市の近くにこういう形で団地ができまして、さあ行こうと思っても、やはりそういう集中地帯でありますから、土地を売るにしてもだれも買ってくれない。暴落してしまう。補助金をもらうわけでもないし、税制上の特権もない。ところが、従来東京とか大都市で、言ってみればけっこううまくやってもうけておった会社が、時代の流れで、列島改造で再配置で、買い取りのめんどうを見てやります、補助金も出します、あと地もめんどうを見てやりますという形で出てくると、気持ちとしては、俗なことばでいえばトンビに油あげみたいな感じになってしまって、非常なさびしい気持ちでありますし、うっぷんを感じている面が現実にあるわけでございます。ですから、総理の考えのように、過密大都市から地方に工場を分散させる政策、これはぜひお願いしたいわけでございますが、同時に地元でも、規模は小さいけれどもそういう問題がございますので、そういう会社が、工場が適当な形にまさに再配置されて、しかも中央から来る工場と同じような条件でいい工場をつくってりっぱな機械をつくっていかないと、気がついたらまわりに工場ができたけれども自分の工場はだれもいなくなってしまったということになりかねないわけでございますが、そういう点について、中小企業庁のいろいろな御施策もございましたけれども、あわせて十分にお考えをしていただくことが、この列島改造がほんとうの意味の列島改造になって、中央の会社だけではなしに、地方の中小企業、住民もほんとうに心からこの政策を受け入れるための非常に大事な条件であると考えますが、次官及び局長の御答弁をお願いしたいと思います。
#68
○塩川政府委員 具体的な解決方法等につきましてはまた局長のほうから答弁もあろうと思いますが、私はお気持ちは当然だと思うのです。自分の近くでそういう団地ができて、誘導地域が指定されて、そちらへ全然他人と言ったら語弊がございますが、中央の都会の過密地帯の人が来る。そして自分の町でやはり公害を起こしておるような企業が吸収されていくのには条件が整うておらない、これは私は住民感情が当然あろうと思います。そういうようなのは何らかの方法で解決したいという気持ちは十分ございます。つきましては、どういう方法でということ等につきましては企業局等が中心となってやっていくと思うのでございますが、局長からも答弁いたしますので、お聞きいただきたいと思います。
#69
○山下(英)政府委員 次官御答弁の趣旨に沿ってやるつもりでおりまして、工場再配置の法律の趣旨そのものが、過密地帯から、東京でいいますれば、従来なら埼玉、群馬と移るところを、山を越えて新潟、富山に移ってもらう、その場合の負担増を援助しましょうという趣旨、これは御承知のとおりでございます。向こうへ行ってよそ者扱いされるときの負担を補助しよう。−逆になりまして、よそ者が大きな顔をするかということになりますが、御承知のように農村地域工業導入促進法にしましても過疎地域対策緊急措置法にいたしましても、加速償却、それからその他の税制、それから北東開発公庫、そのあたりも七分七厘や七分五厘の融資をすることでもありますし、私どもは具体的にそういう問題があれば、現在の過疎地域の工場に対する政策を、あるいはその方々が御存じないかもしれませんが、フルに生かして、両方が、どっちがひけ目を感じるということがないようにしていきたい、こういう方針でございます。
#70
○原山政府委員 中小企業振興事業団におきましても、来年度から新たに土地の先行取得のための費用を計上していただくことになりましたので、これらの制度を過疎地における工業団地の建設という面におきましても十分活用していただきたいというふうに思っておるところでございます。
#71
○近藤分科員 まさに内外とも非常に大きな激動の時期でございますが、この激動をうまく乗り切って、ほんとうにわれわれの生活が向上充実をするために日本の産業の役割りは非常に大きいわけでありますから、その旗手としての通産行政にわれわれ国民は非常に期待をしておりますので、どうか十分、いまいろいろ問題を私申し上げましたけれども、お考えの上、施策を大胆にお進めになることをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#72
○細田主査 これにて近藤鉄雄君の質疑は終了いたしました。上この際、午後三時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時三十分開議
#73
○細田主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。井上泉君。
#74
○井上(泉)分科員 それでは、時間がないので三つだけ質問いたしたいと思います。
 一つは、愛媛県の伊方における原子力発電所の問題ですが、これについては住民に非常に強い反対意見があるということは、これは通産省のほうでも承知をしておると思いますが、これに対して、過日の商工委員会あるいはまた科学技術特別委員会で、原子力発電所の設置については地元の意見を十分承知、把握するために今後公聴会を開いて検討する、こういうふうな答弁がなされたように聞くわけですが、そのことは、いま問題になっておる伊方発電所の建設についても公聴会を開いて是非を論議をする、こういうことになっておるのかどうか、その点ひとつ大臣のお答えをいただきたい。
#75
○中曽根国務大臣 原子力発電所の設置につきましては公聴会を開くことが望ましい、そういう方向に政策は前進してきつつありますが、伊方の発電所についてはすでに決定済みのものでありますので、この発電所の場合は開くことはむずかしいんではないか。将来の問題についてそれは適用される、そういうふうに考えております。
#76
○井上(泉)分科員 それでは、伊方の発電所についてはいま行政不服審査で異議の申し立てがなされておるわけでありますが、この異議の申し立てがなされておる中で、やはり伊方の場合でもあらためて、許可を与えておるけれども、公聴会を開くということが、いまその方向で検討しておるという精神から照らしても適当ではないか。むしろ、混乱をしておる地元に対して、公聴会を開いてその是非についての地元の意見を聞くということは、これはぜひやるべきではないか。さきに原子力委員会のほうで調査に行ったときも、ほんとうに地元では一時間ぐらい四国電力の案内で回っただけであって、地元の意見は全く聞こうともしなかった、こういう経過もあるわけなんで、あらためて公聴会もしくは公聴会に準ずるような形で地元の意見を聴取するような、そういう機会をつくることはいかがでしょうか。
#77
○井上政府委員 伊方の行政不服審査の点でございますが、これは原子炉等規制法にからみまして、行政不服審査が出ておるわけでございまして、それにつきまして通産省といたしましては、その結果を見まして電気事業法関係の処置を考えたい、こういうふうに考えております。したがいまして、伊方についての公聴会の件につきましては、先ほど大臣からもお話がありましたように、すでに電調審におきまして、地元の意見も参酌いたしまして県知事の同意を得ました上でその後の手続が進んでおりますので、公聴会を開くということにはならないんじゃないかと考えております。
#78
○井上(泉)分科員 それでは、地元の反対しておる意見、空気に対して、あるいは不服申し立ての出ておることに対しては、どういう処置をとるつもりですか。これはそのまま放置をされますか。
#79
○成田政府委員 一月の二十七日、異議申し立てが伊方の原子力発電所の設置許可に対して彫りまして、これは行政不服審査法によっていま処置手続をとっております。
 そして、公聴会の問題でございますが、原子力委員会としましては、将来公聴会の開催ということを考えておりますが、これは将来、新しい年度から申請のあった許可申請の場合でありまして、伊方の場合につきましては、許可が規制法によっておりておりまして、これに対する異議申し立てであります。したがいまして、これは行政不服審査法の手続によることになっておりまして、これにおきましては公聴会の手続がありませんので、いま、伊方の異議申し立てについては原子力委員会としては公聴会を考えておらないという状態でございます。
#80
○井上(泉)分科員 それで、この四国電力が出した許可申請というものが真実なことで、たとえば土地の契約が十分ついてないのにこれが十分ついておる、あるいは水の問題でも、水は地元の地下水を吸い上げる、こういうふうなことにしておる。しかし地元では、水を提供することに対しても強い反対があるわけですが、こういうふうな、いわば四国電力が申請を出した内容自体に非常に偽りがあって出したものである、こう思われるわけですが、そういう事実関係というものは当局のほうは承知をしておられるのかどうか。
#81
○成田政府委員 伊方の申請につきましては、いろいろ県あるいは町等と相談をしていろいろな問題を詰めたわけでございます。
 それで、大きな問題としましては、用地の売買契約の問題、それから水の取得計画の問題、それから入漁権といいますか、漁業権の問題等、いろいろ大きな問題がありまして、この点につきましては、取水計画あるいは土地の契約書等もいろいろ検討しまして、いま訟訴問題になっておる点もありますが、いろいろ検討しまして、そうして将来この実現の見込みがあるだろう、そういう見通しで原子力委員会としても許可の答申を出したわけでございます。
#82
○井上(泉)分科員 それで、この原子力発電所の設置の場合に、水のことが一番問題になるわけですが、これは地元の保内町の町議会で町長が答弁をされた中に、将来、愛媛県の野村町にダムができて、そうして高知県の四万十川の水をもらってくるから、それまでのしんぼうである、こういうふうな答弁をなされたように聞くわけですが、この水はどういうふうに取り扱うつもりであるのか、この保内町の町長が言われるような方向でこの問題は水の問題は考えておるのかどうか、その点について御答弁願いたい。
#83
○成田政府委員 伊方の一号炉の取水につきましては、保内町の喜木川及び宮内川の下流流域の地下水、パー・デー一千トン、多いときは千五百トンでありますが、そこから地下水を引っぱるという計画になっておりまして、高知県の分水計画とは関係ない、そういう計画で審査が行なわれたのであります。
#84
○井上(泉)分科員 高知県の分水とはかりに関係ないとしても、地下水を取ってこの原子力発電所がこの水を使った場合に、地元の者は塩水を飲んで、原子力発電所は真水を飲む、こういう現象になりかねない。そうしてまた、一ぺん塩水が入りましたらなかなか元の水には戻らない。そういうことから、この水を取ることについては強硬な反対があると思う。その反対に対して、私は、野村町のダムから水を取るとか――水を取ることについての是非は、これは別の機会に論議をすることといたしますが、そういうふうなことが、住民を納得さすための方便として町長が使ったのかどうかは承知しませんけれども、将来においては地下水をくみ上げるということで十分だとあなた方は承知をしておるのかどうか、その点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
#85
○成田政府委員 伊方の原子力発電所の、いま許可になりました一号炉につきましては、地元住民に悪い影響なくして十分に取水できる。これは水の需給計画を見ましても、大体その点は確信をもって問題ないというふうに考えておるわけであります。ただ、いろいろ地元住民に不安あるいはその他いろいろな社会的な問題もありますので、原子力委員会としましては、許可に際して、県知事あるいは保内町長、四国電力社長等に対して、取水問題については十分誠意をもって地元の了解等を得るように適当な措置をとるようにという要請を出しております。これにつきましては知事、町長等からも、自分たちも全力を尽くしてやるからという回答が来ておるのであります。
#86
○井上(泉)分科員 その要請を出したことに対する返事は、文書で来ておるのですか、それとも電話での連絡ですか。
#87
○成田政府委員 知事と保内町長、四国電力社長から原子力局長あてに文書で参っております。
#88
○井上(泉)分科員 そのことはいずれまたその文書を見せてもらう機会もあろうと思います。
 そこで、その場合、一号炉と言われたわけですが、伊方の原子力発電所では、聞くところによれば、二号炉、三号炉を計画しておるということであります。かりに二号炉を建設するという場合には、これはさっき通産大臣が言われた公聴会をやる事項に該当すると思うが、そうですか。
#89
○成田政府委員 公聴会をどういう場合にやるかは、いま原子力委員会でいろいろ検討しております。やはり集中化する場合とか、自然的な条件あるいは大きな問題があって県当局等からやってくれという要請があった場合等いろいろ検討しておりまして、いま伊方の二号炉、三号炉が該当するかどうかということは明言できないのでありますが、検討すべきケースだと思います。
#90
○井上(泉)分科員 その一号炉の水の問題でも、あなた方のほうからも水の問題では万遺漏ないようにということで注意を呼びかけたことから見ても、いかに水の問題が地元で切実な問題であるか。さらに、漁業公害とかあるいは付近の大気汚染、そういうふうな問題等もさまざまあるわけです。
 時間がありませんので、これ以上この原子炉の問題については申し上げませんけれども、少なくとも、伊方町の原子炉の建設については、地元と十分その話し合いをされないままに、しかも最初は、四国電力は原子力発電所とかいうようなことは伏せておいてこの問題を進めてきて、そしてそれに対しては通産大臣が、前にも科学技術庁長官と二つの頭を持っておったわけですから、自分で科学技術庁長官としても賛成をし、通産大臣としてもこれに同意を与える、こういうことになっておるのですが、これについては非常に早急のそしりは免れないと思うし、それがためにこそ地元では非常な紛糾が起こっておるわけですが、この紛糾の事態についてもほおかぶりでもう成り行きに、地元は四国電力に設置許可を与えたからこれはどのようなことでも工事を進めてよろしい、そういうことではなしに、もっと行政としては地元の住民に対してあたたかい思いやりを持って、この問題についての解明に、公聴会でなくとも説明会とかそういうようなものをなすべきではないか、こう思うわけですが、大臣の所見を承ってこの質問を終わりたいと思います。
#91
○中曽根国務大臣 地元の御了解をできるだけ得てやるということが理想でございますが、このケースに関しましては、知事さんや議会の御同意も得て、いろいろ因縁もあったあげくの果てにこういう結論になったのでございまして、将来の問題は将来の問題として、これはこれで進めていきたいと思います。
#92
○井上(泉)分科員 私たちといたしましては、伊方の問題についてもやはり公聴会を開いて、この問題を地元の人と十分話し合いをしていただけるものだ、こういう理解のしかたをしておりましたが、まことに残念でありますので、もっともっと住民運動を盛り上げてやっていかなければならぬ、こう思っております。
 そこで今度は、これによる海水汚染という問題はさておきまして、宿毛湾の石油基地化というのは通産省が前々から構想として持っておられたわけですが、これについては現在もその考えは持っておるのかどうか、その点をひとつ承りたいと思います。
#93
○中曽根国務大臣 宿毛湾のCTSの問題は、地元の知事さんや町のいろいろな意見をお聞きして、了解を得次第進めたいと考えておりますが、そういう了解が得られない場合には、無視して進める考えはありません。
#94
○井上(泉)分科員 そこで、地元では、通産省の意向を受けてかどうか承知をしませんけれども、伊藤忠商事が大規模な土地の買い占め、あるいはまた地元のいろいろな機関に対して石油基地化を進める工作を進めておる、こういうことを聞くわけですが、この宿毛湾の石油基地の構想と伊藤忠とはどういう関係にあるのか。
#95
○中曽根国務大臣 私は伊藤忠との関係というのはよく存じません。政府委員に答弁させます。
#96
○外山政府委員 だいぶ前だと思いますが、伊藤忠が宿毛湾を中心として石油基地を設ける考えを持っておるということを担当課のほうを通じて聞いたことがございます。その当時から、現地との調和ということが非常に大事である、その辺の了解がなければ進まぬだろうということで指導すると同時に、私どもといたしましても、もともと基地の効用から見まして可能ならば望ましいという考えを持っておりましたけれども、同時に地元の関係に重点を置いて指導した関係がございまして、その後何ら企業側のほうからは連絡がございません。一方地元のほうからいろいろ話が進んでいやしないかという心配の向きの表明もございましたけれども、いま大臣がお答えになりましたように、私どもといたしましては、地元との十分な了解なしに進めるということはまずい、またすべきでないという指導をいたしている次第でございます。
#97
○井上(泉)分科員 その地元との十分な了解がなければすべきでないという指導と、それから伊藤忠が地元にこれをつくりたいからということを通産省は承知した、こういうことですが、そこにやはり何か因果関係というものがあり得ると想像せざるを得ないわけです。通産省があそこは原油基地として適当なところだからあれを何とかやりたい、それがためには、それなら伊藤忠、おまえ来てまず土地を買え、地元のいろいろな工作をせよ、こういうふうなことがなされておるというふうに想像しても、これは想像するほうが無理じゃないと思うし、きわめて合理的に想像が成り立つと思うのですが、その点通産省と伊藤忠との関係というものは、ただ伊藤忠がやるよということを承知しただけなのか、伊藤忠から通産省に申し入れがあったから承知をしたのか、通産省から伊藤忠に、通産省としてはあそこは適当な候補地だからひとつ土地を押えよあるいは地元の工作をせよというふうな意思を伝えたのか、その辺をひとつ説明してもらいたいと思います。
#98
○外山政府委員 いま先生のおっしゃる内容で申しますれば、そのまん中のケースだと思います。つまり私が承知しておると言うのは、そういう説明を聞いたということでございます。それから、その後の指導はむしろ地元との調整、地元の意見をよく聞くという指導はしておりますけれども、それ以上の指導はしておりません。
#99
○井上(泉)分科員 たださえ田中内閣と大企業の癒着というものがいわれておるさなかに、私ども地元の高知県ですが、高知県のこの宿毛湾の原油基地というものでそういうことが非常にとりざたされておるわけだ。そこで、地元の了解を得られない限りにおいてはこれはやるにもやれないし、やるべきでない、こう通産大臣は言われておるわけですが、そのことで非常に問題があるわけです。というのは、通産大臣が、昨年のたしか総選挙前だったと思いますが、あるいは総選挙の過程であったか、愛媛県に来られたときに地元で記者会見をされた、そのときに、地元の意向というのはその地元の自治体の意向によって判断をする、何かそういうふうなお話をされたように聞くわけですが、この場合における地元の意思というものはどういう形で通産大臣としては把握をするのか、その点をひとつ。
#100
○中曽根国務大臣 知事さんや町村長さん及びそれらの議会の御意見を第一義的に承ります。
#101
○井上(泉)分科員 それは知事から地元の市町村長、議会の意向を第一義的に考えるということは、いまの議会制民主主義と俗にいうことばでいえば、議会の多数が賛成すればそれが地元の多数の意見だ。こういうような形に受け取られて強行されるということは、たいへん民主主義の本来のあり方からして、そしてまた住民の意思というものから考えて非常にむちゃな考え方だ、こう思うのです。住民の意思というものをそういう形で把握をするということは私は納得しかねるわけですが、その点についてもう一ぺん御見解を承りたいと思います。
#102
○中曽根国務大臣 いまの地方公共団体の理事者や議会の意見を聞き、あるいはさらに漁協、農協、商工会議所、商工会、そういう団体の意見も次に聞いてみる、こういうことでできるだけ世論を把握していくということでございます。
#103
○井上(泉)分科員 通産省はそこを原油基地として、CTSの場所としてまだ頭に持っておると絶えず問題がゆれるわけで、過般の地元の町議会の選挙の場合でも、これをやるかやらぬかについて大争いになった、こういうふうな話も聞くわけですが、少なくとも未来永劫にわたって海をよごしてしまうということが予想されるこの石油基地に対しては、いま通産大臣の言われるような関係者というものはおおむね賛成すると思いますが、ところが現実にあそこで働いておる者、漁業者やあるいはまた農民、そういう一般住民というものは、あそこでさらに公害を引き起こして海を死滅させるようなことに対して、住民の意思のとらえ方をそういう団体とかということではなしに、やはり地域住民全体の意思を問うためにも、通産省のほうとしてももっと慎重に対処してもらわぬとたいへんなことになるわけです。あそこの原油基地化についての反対の論拠というものをいろいろ申し上げておりますとずいぶん時間がたつので、その時間がありませんが、少なくともあそこの関係地元――ここに仮谷先生もおいでですが、少なくとも漁業関係者などは原油基地化を進めることについては全体的に強い反対でありますので、宿毛湾を使うことはそういう直接海で生活をしておる者の意見というものを中心に考えてもらわないと困るわけなんで、その点についてさらに通産大臣の御見解を承ってみたいと思います。
#104
○中曽根国務大臣 やはり一番密接なものは漁協、農協あるいは商工会議所、商工会、そういう団体であるだろうと思います。そのほかどういう団体が適当であるか、それは市町村長や知事さんとも相談をしまして検討してみるべきであろうと思います。
#105
○井上(泉)分科員 確かに宿毛湾の原油基地化の構想については、あれだけ漁民の強い反対の中にあるし、そしてまた将来の燃料政策の面から考えても、三十年、四十年先にかりに石油というものがなくなったという場合にはあそこは廃墟に化する、極端にはこういうことも言われておるし、むしろ高知県あるいは日本としてはああいう豊かな漁業の基地は漁業の基地としてあそこを繁栄さすような指導――通産大臣は通産省という所管の中におるけれども、かりに通産大臣が農林大臣であった場合には、あそこに原油基地を設けるというようなことは毛頭頭の中には浮かび上がってこない構想だと思うわけです。そういう点を念頭に置いて、あそこの原油基地というものについては通産省もそろそろあきらめてもらいたい、こういうことを強く要望しておきたいと思います。あきらめる気がないのかどうか、大臣は再々交代するからわかりませんが、担当の局長はもうそろそろあきらめたらどうか、その点ひとつ。
#106
○外山政府委員 いろいろ問題点を御指摘いただきまして、私も御指摘の点を十分慎重に考えまして衝に当たりたいと思います。先ほども御指摘がございましたが、瀬戸内海の周辺におけるCTSの基地としては候補性が非常に高いということは確かでございます。しかし同時に、いま御指摘のような点が多々あるということも頭に入れまして、私どもとしては慎重に考えてまいりたいと思いますが、なお、最近の情勢についてはあまり聞いておりませんので、さらにいろいろ勉強していきたい、こう思っておる次第でございます。
#107
○井上(泉)分科員 それではもう一つ。
 通産大臣も先般中国に行かれて、中国との間における話し合いをいろいろなされたわけでありますので、前に軍国主義の頭目と言われたときからだいぶ変わって評価をされておるわけですが、また中国の現状というものを見た場合に、やはりこれからの日本は中国との間において、通商関係においても文化関係においても、あらゆる関係においても緊密な関係を持つべきである、こうお考えになっておると思うのです。そこで、これからの日本の対外貿易の中では、やはり中国との貿易というものは決定的に重要性を増してくると思うのです。いま綿糸が非常に値上がりしておるような状態の中で、私は中国との関係というものは緊密にならねばならないと思いますが、そのうちでまだ関税関係で若干の差別がある。こういうことは、中国側の心証も非常に悪くしておるわけですが、もうここらあたりでそういうふうなものについてはすっきりするように、私が前に国会におったとき、吉田書簡はもう死んだものだ、こういう勇気ある発言をした通産大臣ですが、もうここらあたりで関税の障壁というものは一切ない、アメリカもどこも一緒だ、こういうような方向に進むことができないかどうか、その点ひとつ通産大臣の御見解を伺いたい。
#108
○中曽根国務大臣 自由貿易が理想でございますから、できるだけ関税障壁やNTBの障害を排除するという方向に、機会あるごとに進めていきたいと思います。
#109
○井上(泉)分科員 そこで、いま農林省が食肉の輸入については非常な抵抗を示しておるわけですが、この異常な物価値上がりの中で、そしてまた牛肉の不足の中で、いま中国の肉を入れることを拒んでおるわけですが、それについてはやはり田中内閣の閣僚として、通産大臣としてのベースにおいて、食肉の輸入ということについては、物価安定の線そしてまた国民の要望にこたえるためにも積極的な発言をして、この輸入を促進すべきだと私は思うのですが、通産大臣はどうでしょう。
#110
○中曽根国務大臣 食肉の輸入の問題は口蹄疫の問題もからんでおりまして、最近話によりますと、口蹄疫については局地的に存在する、全面的に存在するわけではない、そういう情報もございます。ですから、専門家に行ってもらってその詰めを最終的にやってもらって、そして局地的に入れられるものなら入れる、そういうその場その場に応じた妥当な措置をやったらいいだろう、そう思います。
#111
○井上(泉)分科員 中国は、衛生というのは、これは資本主義国とは違って非常に厳格にやっておるわけで、この点は通産大臣も承知しておると思いますので、口蹄疫があるとかなんとかいうことでけちをつけてこの輸入を押えるような、そういうやり方というものは廃止をしてもらいたいと思います。
 そこで最後に、通産大臣にぜひひとつ検討願いたいことは、この四月十五日から始まる広州の交易会に対して日本から千数百人の者が行くというのですが、これに対して広州への直通の航空便を出すようにひとつ田中内閣として検討してもらいたいと思うのです。これは通産省の所管の貿易業者が一番行くわけですから、その点御配慮願いたいと思いますが、ひとつ見解を承りたいと思います。
#112
○中曽根国務大臣 よく研究してみます。
#113
○細田主査 これにて井上泉君の質疑は終了いたしました。
 次に、楢崎弥之助君。
#114
○楢崎分科員 裏船主が三光汽船と思われておる八万トンあるいは九万トンクラスの中型タンカー建造計画は、隻数と大体の金額、把握されておりましょうか。――わかりませんか。じゃ、ほかの問題にいきましょうか。それでは、御答弁なさる人がお見えになってから、その問題はしたいと思います。
 実は、昨年五月に、インドネシア大統領と当時の佐藤総理のもとで結ばれました共同声明、これによるインドネシア石油借款の問題でございますが、受け入れの会社はもう発足しておるのでありますか。
#115
○外山政府委員 昨年の十二月に新しい会社を発足させまして、現在準備のだめの仕事をしております。
#116
○楢崎分科員 どのくらいのスタッフなんですか、内容は。
#117
○外山政府委員 役員を含めまして、従業員全部で二十三名だと思います。
#118
○楢崎分科員 資本構成はどうなっておりますか。
#119
○外山政府委員 インドネシア石油会社の資本構成は、半分をインドネシアのプルタミナ、つまり石油公団が持ちまして、あとの半分をトヨタ自販並びに石油精製会社のおもなところ並びに電力会社等が分担して株主構成をやっております。いま詳細の数字がちょっと見当たりませんが、大体の感じはそういうところでございます。
#120
○楢崎分科員 この政府借款二億ドル、別に民間借款供与一億ドルといわれておるわけですが、この二億ドルの政府借款のほうは、正式の協定ができておるのですか。
#121
○御巫政府委員 お答え申し上げます。
 先月の十日ぐらいから先方の代表団が東京に参っておりまして、昨日まで話し合いをいたしまして、実質的に話し合いはまとまりましたが、ただ先方は、これをジャカルタに持って帰って、政府の許可を得なければいけませんので、それまで内容については発表しないでほしいということでございます。
#122
○楢崎分科員 大体いつごろ発表の段取りになるのですか。
#123
○御巫政府委員 先方から連絡がありました段階で、こちらも国内的な手続を終えて正式の交換公文という形にいたしますので、その段階で公表できると思います。
#124
○楢崎分科員 それはあたりまえの話でして、大体いつごろがめどかと聞いておるのです。
#125
○御巫政府委員 ほぼ今月の半ば以後かと思います。
#126
○楢崎分科員 その二億ドルの借款の供与の具体的な方法は、どういう内容になるのでしょうか。
#127
○御巫政府委員 正確に申し上げますと、金額は円建てでございまして、六百二十億円、それで条件は、昨年の五月に両国首脳の問で話し合いができておりまして、年利三%、二十五年間の返済、そのうち七年間は猶予期間を与えるという形になっておりまして、しかもこの借款はアンタイドで与える。それからまたインドネシアにおける石油開発プロジェクトの実施に必要な物資、それから役務の購入という形でございます。いわゆるプロジェクトローンという形で与えられる。供与機関は海外経済協力基金、先方のプロジェクトの実施機関は、先ほど御説明がありましたプルタミナ、インドネシア石油公団でございます。
#128
○楢崎分科員 民間一億ドルの供与の関係はどうなっておるのでしょう。
#129
○御巫政府委員 民間の一億ドルとの関係は、これは全くございません。政府間の交換公文で取りきめて実施いたしますものは、この六百二十億円だけでございます。
#130
○楢崎分科員 この五千八百万キロリットルの低サルファの原油輸入は関知されないわけですか。
#131
○御巫政府委員 政府といたしましてはその供給については何ら関知いたしておりません。
#132
○楢崎分科員 共同声明の中に、十年間五千八百万キロリットルの話は出てなかったですかね。
#133
○御巫政府委員 スハルト大統領の御訪問の際におきます佐藤総理大臣との共同発表の中には、この点についても触れられておりますが、私が申し上げておりますのは、交換公文で約束される実施は、この六百二十億円の円借款の分だけでございます。
#134
○楢崎分科員 私が聞いておるのは、五千八百万キロリットルのほうです。政府は関係ないかと聞いておる。
#135
○御巫政府委員 共同発表の中にその点が触れられているという限りでは、政府も関心を持っているわけでございます。
#136
○楢崎分科員 関心を持っておるだけで、関知しないのですか。インドネシア大統領と当時の総理大臣の共同発表された内容について、関心があるだけですか。
#137
○御巫政府委員 共同発表の中に明らかにされておりますとおり、インドネシア政府がこの石油の供給について必要な措置をとることを確認しておる、そういう形になっておるわけでございます。
#138
○楢崎分科員 じゃ日本政府は依然として関知しないという御答弁のままですか。
#139
○御巫政府委員 関知しないというふうには――非常にむずかしいのですが、要するにこの石油を供給するということを、インドネシア政府がそのために必要な措置をとるということについて確認しておりますので、それがはたしてそのとおり行なわれるかどうかについては、大いに関心があるということであります。
#140
○楢崎分科員 これの受け入れのための機関として新会社を設立するというようなことまでわざわざ大統領と総理が合意しているのですね。これは佐藤総理個人がやったのですか。当時の佐藤内閣が合意したということなんですか。どういうことなんですか。
#141
○外山政府委員 共同発表の中にいま御巫政府委員がお答えしたような表現がとられているわけでございます。私どもといたしましては当然のことながら政府借款の二億ドルを提供すると同時に、五千八百万キロリットルの低サルファの油が入るということに重大な関心を持ってこれに参加しているということであります。
#142
○楢崎分科員 いままでインドネシア原油を輸入しているルートは御承知のとおり二つありますね。特にその中のファーイースト・オイル・トレーディング、これの資本構成の考え方と今度の新会社である日本インドネシア石油の資本構成の考え方はどこが違うのですか。どちらもプルタミナが五〇%出資するということになっているのです。
#143
○外山政府委員 従来ファーイースト・オイルがインドネシア原油の輸入を扱ってきたことは御指摘のとおりでございます。ただこれはあくまでも純粋なコマーシャルベースなものでございます。今回のは先ほどの共同声明にもございますように、政府借款二億ドルに関連する原油でございます。したがって、これを専門に扱う新会社を設立することが適当であるというふうに私どもは考えて新会社設立の運びになったわけでございます。御指摘のように確かに株式構成は非常に似ているかと思います。似ていると申します点は、まず第一がプルタミナが半分を持つということでございますが、先方といたしましてはそういうかっこうで日本の輸入会社をつくってほしいということを同じように考えてしてきたと聞いております。日本側の構成についてはかなり違う点もあるかと思います。ファーイーストの場合には電力三社のほかは東京瓦斯とあと石油会社十一社、そのほか若干の商社も加わった、そういうふうな株式構成になっているかと思います。今回の日本インドネシアの場合は先ほど申し上げましたように、日本側はトヨタ自販と電力三社のほかは民族系の石油会社四社が関与しているという点が石油会社の構成では若干違っているというように申し上げられるかと思います。
#144
○楢崎分科員 こまかいところの違いは知っています。考え方としてプルタミナ五〇%、日本側が五〇%、日本側の内容は商社あるいは石油業界とか電力業界、いわゆる石油を使っているところです。これが主体となっているという点は同じでしょう。要するにあなたの御答弁を聞きますと、違うのは二億ドル、つまり六百二十億円の政府借款との関連があるという点が違うのでしょう。そうでしょう。そういまお答えになったように聞きましたが……。
#145
○外山政府委員 大きな違いは御指摘のとおりでございます。したがって株式構成での違いはおそらくいま申しましたように、精製会社の入り方が若干違うというにとどまるという点はいま橘崎委員も御指摘のとおりでございますが、実はファーイースト・オイル・トレーディングの場合と違いまして、今回の場合はやはり政府借款が前提になっている油でございますから、それだけ公益性の観点からのタッチを私どもとしては指導したい、こう考えているわけでございます。これは現実に油が入ってきたらどこに販売先を求めるかという点で、私どもとしては行政指導の上で私どもの考え方をできるだけ反映させるようにやっていきたいと考えておる次第でございます。ファーイーストの場合には特にそういう点を積極的に指導したというふうには聞いておりません。
#146
○楢崎分科員 どうですか、関心がある程度じゃないでしょう。五千八百万キロリットルの低サルファ原油のほうは単なる関心がある程度じゃないでしょう、いまの御答弁聞きますと。だめですよ、そんな答弁しては。
#147
○御巫政府委員 御指摘のとおり、そういうあれから申しますと関係がございます。先ほど関心があるとかないとかいう御印象を与えたとすれば、私の言い間違いでございます。
#148
○楢崎分科員 行政指導するというのです。つまりこれは政府借款と関連がある。非常に政治的な配慮によってできた新会社である。しかしこれはその輸入代金の問題なんか細部までいま話し合われているのですか。
#149
○外山政府委員 私どもとしましては先ほど御巫政府委員が申しましたように、政府借款のほうの話がセットしておりませんので、したがって正式な交渉をしているように聞いておりません。ただ準備段階としていろいろな打ち合わせを先方側とはしていると存じます。
 それからもう一つ、行政指導を背後においてしたいと申しますのは、これは現在の情勢の中でたいへんなローサルファであります。そのローサルファの重要性は年一年と非常に高まっているわけでございます。今回はそういう点を考慮してこの共同声明ができたというふうな経緯もございますので、ローサルファの配分ということに特に重点を置いた行政指導をしたい、こう考えておる次第であります。
#150
○楢崎分科員 若干の政治的な配慮を加えられた新会社である、それはわかりますが、しかしだれが考えても、同じような会社を別につくる必要がなぜあるのか、なぜ既存のルートではいけないのかという疑問がまず起こります、これは常識的に考えて。それからいま一つは、すでにファーイーストが約七百万キロリットル程度入れておるはずですね。このほかに五千八百万キロリットル、十年で割ると平均五百八十万キロリットル、合計すれば一千万キロリットルこしますね。プルタミナが年間にそれだけのかってにできる原油があるのですか。
#151
○外山政府委員 昨年いろいろこの話が進んでいた最中にインドネシア側の事情を専門家によって技術的に調査をするというふうな機会もあったように聞いております。それからさらには、インドネシアの確認埋蔵量と申しますのはかなり高い数字が専門的には計上されております。もちろん御指摘のように今回の分がどこの油田からどれだけ出てくるかというところまでは私は詳細に承知しておりませんけれども、全体の技術的な調査なり確認埋蔵量と現実に販売している量との開きから見ての可採年数、そういった点から見まして十分可能であるという判断が先行いたしましてこういうふうな運びになったというふうに私は考えております。
#152
○楢崎分科員 ファーイースト・オイルとこの新会社との関係はどうなんです。
#153
○外山政府委員 先ほどのように、性質が別個のところがあるために別個な会社にいたしましたけれども、現実の配船とか用船とか、それから輸入手続、こういったような点になりますと事務的には非常に似ているわけでございます。したがいまして、両者問で業務提携を行ないまして、なるべく経費のかからないように、それから合理的に万事が取り運ぶように、こういう指導をしているところでございまして、場合によりましては両社で運営協議会というふうなものをつくりまして、むだのないような運用をはかりたい、こういうことも考えている次第でございまして、これはただ現実に油が入るようになりますときに、そういうふうな運用ができるように私どもとしては指導してまいりたい、こう考えている次第でございます。
#154
○楢崎分科員 民間借款と私が言った一億ドル、これはあなた方は関知しないとおっしゃいますが、そういう話は聞いたことありませんか。
#155
○外山政府委員 直接は私は聞いておりませんし、直接は私はタッチはしておりませんが、実際には金融機関との間でいろいろな話を進めているというふうに聞いております。
#156
○楢崎分科員 その一億ドルですが、われわれが調べておるところでは、五百八十万キロリットル毎年入れる。四十八年度は三百万キロリットルですか、それの前渡金だというふうに聞いておるのです。結局いまミナス原油の価格はバーレル当たり二ドル九十六セント、大体そのくらいですか。そうすると、平均して毎年五百八十万キロリットルとすると、年間に一億八百万ドルになりますね。それの前渡しとして一億ドルを出すんだというふうに聞いておりますが、あなた方の情報ではどうなんですか。
#157
○外山政府委員 民間ベース一億ドルの借款につきましては、現在おそらく日本インドネシア石油株式会社とプルタミナとの間で話し合いをしているだろうと思いますが、いま楢崎分科員のおっしゃるような解釈で、いわゆる原油の前払い代金であるというふうに私どもも理解しているわけでございます。
#158
○楢崎分科員 では私が申し上げたことは大略間違いありませんね。
 そこで、ファーイーストの資本参加は認めないけれども、業務提携を新会社はする。ファーイーストの五〇%の資金を出しておるプルタミナがこの新会社にも五〇%出している。これでは何のために別会社をつくる必要があるのです。単なる政治的な意味しかないではないか。そこにいろいろなからくりがあると私は思うのです。大体いままで私が指摘したところは合っておるようですが、その別会社をつくる一つの意味にこういうことがいわれておる。トヨタ自販の社長で日本インドネシア石油の社長神谷さん、この神谷さんが最終的な交渉の前面に立たれたわけですけれども、この方がインドネシア銀行総裁のラリウス氏とお会いになったときに、正式の書面ではないけれども、口頭でいままでのバーレル当たり二ドル九十六セントにさらに十セント上のせして引き取りたいという申し出があっておるはずです。そういう情報をお聞きになったことありませんか。
#159
○外山政府委員 全く聞いておりません。
#160
○楢崎分科員 いずれこれは形になってあらわれるはずです。いま私は指摘しておきます。そうするとどういうことになるかというと、十セント上のせするということになれば十年間に五千八百万リットルですから、その十セント上のせが変わらないとすれば、百十二億四千万円の利権がこの新会社設立のために伴うことになる。これは必ず価格となってあらわれるはずです。きょうは時間がありませんが、この新会社の設立について私は非常な疑問がある。実務的なファーイーストの協力を求めるいわばペーパーカンパニーじゃないですか。いまの会社の構成だってそうでしょう。この問題はいずれ今月の後半に正式の交換公文で政府借款のほうもきまるというし、やがてこの新会社とプルタミナとの五千八百万リットルの契約のほうも正式になると思われるから、その段階でさらに私は追及したいと思います。この問題はきょうはこれまでで保留しておきます。
 冒頭に質問いたしましたことについての御答弁をお願いします。
#161
○増田(実)政府委員 三光汽船の建造許可について通産省は把握しているかという御質問だったと思いますが、それでよろしゅうございますか。――三光汽船の建造許可につきましては、通産省のほうでは御存じのように直接タッチしておりません。運輸省のほうでやっております。それで私どものほうは、運輸省のほうの建造許可がありました船につきましてその輸出の申請が出れば、これについて承認をおろすということになっております。
#162
○楢崎分科員 大臣にお伺いしますが、円騒動があっているのは御承知のとおりです。この輸出の問題がからんでおりますが、それでいままである程度押えられておったという感じがいたしますけれども、この点について運輸大臣のほうと、この円問題とのからみにおいてお話し合いをなさるようなことはなかったのでしょうか。
#163
○中曽根国務大臣 それはどういう意味ですか、輸出許可についてドルがあまり入ってきてはいかぬというので、最近そのドルの流入を防ぐ措置を中古船の輸出等についてやっていたことはあります。頭金の流入とかその他を制限したことはございますが、しかし三光汽船の具体的な問題で話したことはございません。
#164
○楢崎分科員 そうすると、建造許可を運輸省のほうがやれば自動的に許可するという方針ですか。
#165
○増田(実)政府委員 私どものほうに輸出の申請が参りますときには、これが通常造船メーカーまたはその代理人である商社で申請が参るわけです。ですから将来それが三光汽船のいわゆる仕組み船であるかどうかということにつきましては、通産省としてはその段階ではわからないわけでございまして、現実には運輸省のほうでその点を調査されておる、こういうふうに思っております。
#166
○楢崎分科員 全然情報も把握していらっしゃらないのですか。形式的なことをおっしゃらずに。
#167
○増田(実)政府委員 私どものほうは、従来三光汽船のいわゆる仕組み船といわれますものが何隻か私どものほうの承認で出て、あとでチャーターバックされておるということは聞いております。それからまたこの問題につきましては、これは為替の問題ともからみますので、その点につきましては運輸省、大蔵省、通産省でいろいろ相談しております。
#168
○楢崎分科員 あなたはおられなかったかもしれないけれども、私が一番最初に聞いたのは、裏船主が三光汽船と思われる新造船計画八万トンないし九万トンクラスの中型タンカーの造船計画について把握されておりますかということを聞いたのです。そして何隻でどのくらいの金額になるのか、その関係はということを聞いたわけです。
#169
○増田(実)政府委員 私どものほうが運輸省から聞きましたところでは、三光汽船の仕組み船として約五十隻の建造許可が申請が出ておる。ところが現在それについては審査中であって、私どものほうにその分、がまだ回ってきてない、こういうふうに思っておるわけです。
#170
○楢崎分科員 では最後にもう一問だけにします。これはあとで運輸省に聞かなくちゃなりませんから、それは聞きますけれども、非常に変な造船計画になっておりますね。いま調べたところでは三光汽船は全然名前が出ていない、いまのところ。やがてこれが成立すれば、そのいわゆる帳簿上の船主から三光汽船が用船をして、そしてそれを外国にまた貸しする、そういう計画のようであります。そういうまた貸しするというようなときには、これは貿易管理令の対象ではなしに海上運送法の対象になるんじゃないですか。その点はどうでしょう。
#171
○増田(実)政府委員 外国間で行なわれるまた貸しと、それから日本の船会社と外国の船会社とのまた貸しがございますが、後者につきましては、これは貿易管理令の対象になりまして、所管は大蔵省になるわけでございます。
#172
○楢崎分科員 ちょっとわかりにくかったのですが、貿易管理令の対象になる……。
#173
○増田(実)政府委員 貿易管理令ではなくて外国為替管理令の対象になりまして、そして外国為替管理令の許可権限は大蔵省で、現実には日銀にその許可事務を委任しておる、こういうふうに私ども聞いております。
#174
○楢崎分科員 貸し渡しをするときには海上運送法の第四十四条の二に該当する問題じゃないかという感じがするのですが。通産大臣の承認が要る、そういう関係……。
#175
○増田(実)政府委員 もう一回申し上げますと、中古船を外国に売り渡すときには海上運送法に基づく譲渡許可が要る、こういうことになります。譲渡許可がなければ、通産省のほうでは輸出の承認書を出さない、こういうことになっております。
 それからもう一つ、いわゆるチャーターバックといいますか、さらにそれを用船契約をするときには、先ほど申し上げました外国為替管理令に基づく許可の対象になっております。これは大蔵省の所管になっております。
#176
○楢崎分科員 以上で終わりました。
#177
○細田主査 これにて楢崎弥之助君の質疑は終了いたしました。
 次に、山原健二郎君。
#178
○山原分科員 電力料金の問題について質問をいたします。
 九電力の中でどこかが引き金を引けば電力料金は軒並みに上がっていく可能性を持っています。これは国民生活にとってきわめて重大な問題であり、しかも中小企業にとってはまさに死活問題です。こういう状態の中で、いま四国電力において料金値上げの計画が発表され、すでに新聞にも出ておりますが、そういう値上げ計画があるか、最初に伺っておきます。
#179
○中曽根国務大臣 まだ申請はございませんが、そういう新聞記事は見たことはございます。通産省といたしましては、できるだけ公共料金を抑制するという方針で進んでまいりますが、申請書がもし出ますれば、よく検討いたしまして、ほんとうに万やむを得ぬものかどうか、そういう点をよく審査いたしまして処理いたしたいと思います。
#180
○山原分科員 公益事業局長に伺いたいのですが、この四国電力の料金値上げの動き、これは理由はどういうところにあるのですか。
#181
○井上政府委員 電力会社の料金は、電気事業法に基づきまして一定の原価に一定の報酬を加えましてこれを決定するということになっております。実際の原価計算につきましては非常にこまかい規定がございますが、初め現在の料金に織り込んでおりましたところのいろいろな原価要素がその後いろいろと高騰してまいりました。たとえば非常に大容量の発電所をつくる必要があって資本費が高騰するとか、あるいは燃料の値上がりがあるとか、あるいは人件費の増加とか、そういうようなことで、現在の料金に織り込んでおります原価ファクターが高騰するということでございまして、その際に現在の料金を構成したものが料金を越えるということになりますと、だんだんと経営が苦しくなってきて、実際上非常にそごを来たすということでございます。
#182
○山原分科員 一月の二十五日、公益事業局長は四国電力の経営者と会っておりますね。そのときに、四国電力の料金値上げについては理由はどうなんですか、具体的にはどういう話があったのですか。
#183
○井上政府委員 料金値上げの具体的な話をしたことはございません。一月二十五日とは私いまはっきり覚ておりませんけれども、料金値上げについての具体的な話をしたことはございませんが、原価要素がいろいろ上がっておるという話は聞いております。
#184
○山原分科員 これはおそらく四国電力の社長あるいは重役も参加しておりますが、あなたのほうは毎年やっておることだと思うのですけれども、この段階で話し合いがなされたということは、いま問題になっておる四国電力の電力料金の値上げをせざるを得ない、その理由が当然話があったと私は思うのですが、それは全くなかったのですか。
#185
○井上政府委員 公益事業局は公益事業規制をやっておりまして、各電力会社の経理内容等につきましては常時資料を見ております。ただ、料金改定をやるかやらぬかというような問題になりますと、これはやはり一定の決算が終わりましたときとかなんとか、そういうちゃんと締めくくりがついたときの状況を見ましてからいろいろと判断をすることになりますので、各社のいろいろな重役方がいろいろなことで来ますけれども、これにつきましては、それぞれ内容を伺うことはありますけれども、料金改定ということで特に問題をしぼって話をしたという記憶はございません。
#186
○山原分科員 いま四国電力は、創設以来資本金はすでに九十倍になっています。九電力会社の中で最も大きな発展をしてきた会社であります。しかも現在、昭和四十年からずっと配当金一割、これを続けておるわけですね。そういう状態の中でどうして料金の値上げをしなければならぬのか、これはもう四国の住民にとっては重大な疑問なんですね。それについてはどういうふうにお考えになりますか。
#187
○井上政府委員 電力会社の配当金の問題でございますが、公益事業規制の一方式といたしまして、総括原価方式というものをとっております。これは、一定の資産に対して一定のリターンを求めるということでございまして、その中で配当なり借り入れ金に対する利息の支払いをする、こういうことでございます。実際、一〇%の配当を維持せざるを得ないということは、一つは、電力会社の経理内容をずっと長期に見てまいりますと、非常に安定的でございます。まあ、フラクチュエートすることが少ない。落ち目になってまいりますと、だんだんと総括コストが収入を上回ってくる段階になりますとずっと落ちてくるというかっこうになるわけでございまして、フラクチュエートするということは非常に少ないわけであります。と申しますことは、大体需要の伸びなりが一定であるというようなところにも原因があると思いますが、そういうようなことでございまして、非常にフラクチュエートする会社の配当率と比較いたしますと、非常に安定性を保っていないと、電源開発のために資金の確保をすること、すなわち増資をすることが非常に困難であるというような問題になるわけでございまして、現実に過去の配当率を全産業と比較して見ますと、ずっと電気の関係は一〇%でございます。ほかの関係は一一%になったり、十二%になったり、あるときは二〇%になったりというようなことでございまして、電気事業といたしましては、一応総括原価の中で配当をカバーする。要するに、その程度の配当をするような原価になっているわけです。それを総括原価と言っておりますが、一応電源開発を安定的に行ないますために必要な増資を行なうための配当というものをフラットに、フラクチュエートしないでカバーしていきたいというところに、一〇%にせざるを得ないという理由があるわけでございます。
 それから、いろいろこまかい話でございますけれども、現在のいろんな増資の基準であるとか、それからあるいは社債の発行のベースであるとか、こういうものを見てまいりますと、どうしても一〇%程度を維持することが必要である、こういうふうに判断しておるわけでございます。
#188
○山原分科員 電気の使用量というのは、毎年膨大な数字にのぼっているわけですね。そういうわけで、いままで、赤字の理由といえば、原価のコストアップとか、さらには公害防止とか、あるいは配線の関係とかというようなことがいわれてきておったのです。
 ところで、四国電力の場合、今度香川県の番の洲に火力発電所で、二十五万キロワット四基据えるということで、百万キロワットですね、これがつくられているのです。これが何のためにつくられたかというと、これはどうも、番の洲にあるところの最も電力を消費する三菱化成のアルミ生産、そこへ流れる。これが一番大きな原因になっているのですね。ところで、その場合には、もう火力発電所がそばにあるわけですから、配線の関係も何もないのです。そのまま直通で三菱化成に入っていくわけですね。これはコストにしてもそう高いものではない。ところで、この三菱化成に対する売電契約ですね。これはどうなっているのですか。三年前に契約が結ばれています。
#189
○井上政府委員 電気の契約でございますが、これは原則的には供給規程というのがございまして、供給規程で一般的に契約をするわけでございます。これには、電灯であるとか、あるいは業務用の電力であるとか、あるいは大口、小口の電力というような料金になっています。この考え方は、総括原価からこれを個別原価に開くということでございまして、それぞれ使用の態様によりまして原価を配付いたしておるわけであります。これはたとえば電灯でございますと、一次変電所、二次変電所、三次変電所と来て……。
#190
○山原分科員 抽象的なことでなくて、幾らで売っておるんですか。
#191
○井上政府委員 これは、幾らでというよりも、算定の方式がきまっておりまして、その方式に従って電気の料金がきまってくることになりまして、四十六年度では三円三十銭程度の料金になっていると思います。
#192
○山原分科員 一般に四国電力が大口で売っておる電気料金、それはいままで幾らですか。
#193
○井上政府委員 一般の料金は、大口電力は三円九十六銭でございます。
#194
○山原分科員 三円九十六銭の大口料金が、三菱化成には三円三十銭となっておるのですね。だから、この番の洲にできておる四国電力の火力発電所というのは、もうすでに出口で赤字なんです。こういう契約形態になっているのです。だから、そういう赤字を、何で四国の住民が電力料金の値上げという犠牲によって補償しなければならぬかという問題があるのですよ。
#195
○井上政府委員 いまの三円九十六銭と申しますのは販売単価でございまして、これは発電コストではないわけでございます。発電コストではなくて、販売単価が三円九十六銭でございまして、四十六年度の三菱化成の実績が三円三十銭ということでございまして、発電炭のコストは、大体四十六年度では二円四十銭程度でございます。
#196
○山原分科員 コストが二円四十銭でしょう。それから、三菱に三円三十銭ですね。一般に、大口単価というのは三円九十六銭でしょう。なぜ最近になってこう安くなるのですか。
#197
○井上政府委員 これは、先ほどちょっと御説明申し上げかけたわけでございますけれども、電気料金は原価方式になっておりまして、たとえば簡単に申しますと、一定の固定資産がある場合に、そのロードカーブが、たとえば夜が高くて昼は安くなるという形で料金がきまっておりますが、その中で、夜使う電気が入ってきた場合には、可変費のほうは、これはまあ同じようなかっこうになるわけでございますけれども、DCのほうは、その固定費のほうは、これが安くなるというかっこうでございます。これはこまかい原価計算をしてまいりますとそういうことになりますので、要するに、簡単に言いますと、DC料金が安くなっておるということでございます。
#198
○山原分科員 大体、いろいろ言われますけれども、一般家庭の使用料金というのはずいぶん高いものですね。キロ当たり十二円であるとか、定額二十四円という時期もありましたからね。それが、大口に対しては三円六十九銭。そして、新しくできた三菱化成に対しては三円三十銭という。これはいろいろあなたは言われますけれども、われわれ住民にとってみたらたいへんな問題点です。しかも、そのために発電所までつくってやって隣へ送る電力料金を何でこんなに格安でやるのか。いろいろ計算の基礎があるとかなんとか言われるけれども、これは住民の気持ちをさかなでするようなことなんですよ。そういうところから赤字というものが生まれてくる、だから電気料金の値上げをするという、われわれはこういうふうに押えているわけですが、これは間違いですか。
#199
○井上政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、その全体の収入で全体の支出をまかなうというのが原価計算のたてまえでございますけれども、それ以外に、その中で、たとえば電灯で申しますと、さっき言いましたように、発電所から、それからたくさん変電所を通ってきて、送電線から配電線までかかってくる。なおかつ、需要家費と申しますか、集金費、その他いろいろ原価要素に入ってくるということでございまして、それがたとえば大きなボルトで使いますところは、発電所からすぐそこへ電気が行く。したがって、変電所を通る回数は少ない、それから電気のロスも少ない、負荷率も非常によろしいということで、そこは全部こまかい原価計算になっておりまして、個別原価計算要綱というものがございまして、それに従いまして、総括原価を個別原価に展開するわけでございます。これは電気事業法の十九条というのがありまして、各需要家について公平でなくてはならないということで、これが料金の根本的な指針になっておりまして、需要の形態に従いましてそれを種類分けいたしまして、そして原価を配付しておるということでございます。ですから、ほんとうにやかましく言えば、需要家は全部、電灯需要家でもほんとうは一軒一軒違うべきなんであります。これは発電所からの距離も違い、変電所からの距離も違うし、全部違うべきなんでありますけれども、それではいけませんので、大体需要の形態を、ロードカーブを似たようなところで見まして、一つの需要を考えまして、それに対して原価を割り振っていっているということでございまして、終始原価主義でいっておるわけでございます。したがいまして、電灯の十円とか十二円とかいうものは、十二円という原価を負担するような経費がかかっております。それから、三円とか四円とかいうものは、三円とか四円とかいうような原価を負担するようなことになっておるわけでございます。そういう個別原価計算要綱に従いまして原価展開いたしております。
#200
○山原分科員 結局、電気事業法の第十九条第二項の四号ですか、その「特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。」ということが逆に利用されて、結局、三菱化成という最も電力を食うアルミ会社に対しては安い電力が送付されておるということは、これはいなめない事実なのです。そのために火力発電所をつくり、しかも燃料が高くなった、そういう赤字のために料金を上げるという、こういう論法に結局なるわけです。だから、幾ら原価原価と言ったところで、原価計算のやり方からしてさか立ちをしておるから、大企業のための安い電力料金から生じてくるところの赤字というものを結局住民がカバーしなければならぬ、こういう結果になると思うのです。
 時間があと十五分しかないですが、いま四国電力が、高松本社、地上十二階地下二階の広大なビルを建設しております。これもまた、電力料金を赤字だから値上げをすると言っておる反面、三十億の金をかけてそんなものを建てておるというので、これも全く電力というものの姿というものを如実に示しておるのですが、これは完成はいつですか。
#201
○井上政府委員 完成は四十八年の十二月ごろだと思います。
#202
○山原分科員 きょう高松の市役所で調べてみますと、これは確定建築申請ですが、四十八年七月完成。それが十一月あるいは十二月というのは、どうして工事がおくれるのですか。
#203
○井上政府委員 工事がおくれる事由は存じませんが、四国電力に聞きましたところ、十二月に完成する、こういうふうに申しております。
#204
○山原分科員 ここにもからくりがあるのです。この三十億の工事契約は随契なのです。鹿島建設がやっている。こういう膨大なもので、しかも、四国電力といえば単なる企業ではない。各県が県民の税金でたくさんの株を持っておるという状態です。しかも、ある県では、県会議長が四国電力の重役になるという慣例もあるという、そういう半ば公的な機関が随契をやっている。しかも、随契をした鹿島建設に半年間も工事をおくらせて平然としておる異常な事態です。そういうことがあるわけです。その契約不履行といいますか、遅延によって生ずるところの損害というものはおそらく数億になると思うのです。そういうものについてだれが責任を負うのか。そういうことも明らかになっていない。なぜこんなふうにおくれるのかという理由も明らかでないのです。しかも、鹿島建設といえば、日本におけるいわゆる巨大な土建建築業者です。何でこんなにおくれるのですか。そういう説明もないのですか。
#205
○井上政府委員 先ほど申し上げましたように、建築がおくれる理由につきましては、これをまだよく調べておりませんので、よく聞いてみたいと思います。私、いま知りません。
#206
○山原分科員 これは大体五月完成の予定だったのですが、七月ということで建築申請がなされているけれども、大体、国会が済むまでは料金値上げの申請をするとぐあいが悪いという配慮もあるわけです。これははっきりしています。そういうことで、随契でありながら、なおかつその会社を信用できない。半年も理由なしにビルの完成がおくれるということについても、われわれの中には、また四国の住民の中には、非常な疑惑があるわけです。
 そこで、四国電力がやってきた大きな工事を幾つか調べてみますと、ほとんど随契なのです。入札工事というのは行なわれていないのです。ここらにもからくりがあります。四国電力に対する疑惑というものは、全く私は捨てることができないのです。大体、最近行なわれた工事の随契と入札の比率はどのくらいになっておるか、お聞きしておきたいのです。
#207
○井上政府委員 最近の契約につきましての随契と入札の比率は、私よく存じておりません。さっそく調べたいと思いますが、随契につきましては、できる限り随契でないほうが好ましいわけでございますけれども、その工事の種類によって、非常に専門的なものであるとか――今度の場合、私の聞いておりますのは、地盤が非常に軟弱地盤であって、建物を建てるときの問題があったので、軟弱地盤に対する土木工事の一番のエキスパートといいますか、そういう点で一番日本で信用できるという観点から選んだのだと聞いております。基本的に申しますれば、できる限り随契でないほうが好ましいということは、そうだと思います。
#208
○山原分科員 行政指導として、ここで数字をあげるわけにはまいりませんけれども、ほとんど随契でやっておるなどということは、これはあなたも言われたように、私は好ましいことではないと思うのです。したがって、好ましいことでなければこれは当然行政指導としてやっていき、そういう経営上の放慢とか経営上の不明朗な部分を取り除いていかなければ、たとえば料金値上げをするなどといっても、これは住民がそんなことは不都合な話だと言うのは当然なことであって、そういう点で身を正していくということに対する通産省の行政指導がいままで行なわれているのかどうか、伺ってみたい。
#209
○井上政府委員 随契をなるたけ少なくしろというような意味での行政指導は、以前にやったことがございます。ただ、最近の状況につきましては、工事の性格、その実態その他をよく調査いたしまして、注意すべきところは注意したい、こういうふうに考えます。
#210
○山原分科員 こういうような状態で、四国電力側が料金値上げを決意すれば、当然値上げ申請というのが出てくるのですね。それに引き続いて関西電力が上げるということになってまいりますと、最初に申し上げましたように、これが引きがねとなって国民全体に影響を与え、全国的な電気料金の値上げということが起こりかねない情勢にあると思うのです。だから、すでに四国においては、商工会議所その他が、これは中小企業等にとっても死活問題であるということで、反対ののろしを上げる状態になっているわけです。だから、どこから赤字が出たのか、なぜ料金値上げをしなければならぬのかというようなことは、単に四国電力側にまかすのではなくて、これは緻密な調査も必要とすると思うのですが、これについて、これは通産大臣が認可を基準に基づいてやられるというのが法律のたてまえですから、この段階で、日本国民が物価の値上がりのために呻吟しておるという今日の生活の状態の中で申請が出てきた場合に、どういう調査をされて、どういう態度をとられるのか。これを私は通産大臣に伺っておきたいのです。
#211
○中曽根国務大臣 よくその内容を審査いたしまして、その適否を見定めて、できるだけ抑制するという方針のもとに最終の結論を得るようにしたいと思います。
#212
○山原分科員 四国電力の問題につきましては、四国電力だけをあげて例にしたわけですが、これはなぜかといえば、いま料金値上げ問題の先端を走ろうとしておるからこの問題を取り上げたわけです。ところがこの四国電力は、いま、愛媛県の伊方町にも原子力発電所をつくるとか、また、四国の各地で原子力発電所をつくるなどとときどき発表しまして、至るところで混乱を起こして、徳島県では町がまつ二つに割れるとか、愛媛県の津島町ではたいへんな混乱が起こるとかいうような状態が起こって、そうして最後には、愛媛県の伊方町に持っていくのは火力発電所をつくるんだといって、土地の買収に判を押させて、判がつかれてしまうと、最後に、いやこれは原子力発電所だなどというやり方をしまして、昨年末に総理大臣の認可は出ましたけれども、初めての異議申請がなされるという状態で、この間私は科学技術委員会で科学技術庁長官に質問をしましたが、とのときにも、原子力委員のほうからも公聴会も開かなかった。あるいは、環境整備については何ら調査もしていなかった。報告書の中にもそれもない。こういうことではどうにもならないという反省のことばが出されて、公聴会も開くということが出されたわけです。ところが、先ほどの井上議員の質問に対して、通産大臣は、これはいろいろあったけれども、話がここまできたんだからやるんだ、こういうことを言っておるわけですね。このことを考えますと、先般の政府の私に対する答弁、これは新聞に出ましたから御承知だと思いますが、それと通産大臣の認識のしかたというものは、これはかなり見解の懸隔があると思うのです。かけ隔たっておると思うのです。だから、私は、この伊方町の原発の問題につきましても、かなり精密な調査をやらなければならないし、そして、異議申請に対する結論を出さなければならぬと思うのですが、先ほどお答えになったような形で、そういうことについては配慮せずにやっていくというお考えですか。
#213
○中曽根国務大臣 原子力局長も、先ほどここで、公聴会は、今後、すでにきまった分についてはやる方針はありませんと答えておりました。
#214
○山原分科員 原子力局長ではないのです。原子力局長というのはいつもそういうことばかり言っておる男で、原子力委員が反省したのですよ、実際に。そういうこともしないでやったということは、これは反省をすべきであるという発言もされまして、そして、技術庁長官もそういう発言をなさった。第一、申請がなされたというのは去年の五月。そして、半年のうちにもう全く猛スピードで安全審査が行なわれて、総理大臣の許可が出るなどということは、どこの国にそんなところがあるのか。アメリカだって二十二カ月たっておるじゃないですか。三十カ月たっておるじゃないですか。そういうような話が常に論議の対象になるわけでありますけれども、そういうこともしないで結論を出したということに対する反省ですね。それはなされたわけですか。だから公聴会の問題も出てきたわけですが、ことほどさように慎重に取り扱わなければならぬ問題だ。だから、いま異議申請が出ておるから、これに対して結論を出すにあたっては、公聴会の問題はともかくとしても、いろいろなそういう精密な調査が行なわれ、住民の感情との摩擦もなくするというような努力が払われるとかいうようなことがなくして、ただ、いままではもつれてきたんだけれども、話がここまできたんだからやるのだとかということではいかぬ段階を迎えておるのだということを私は言っておるのです。どうですか。
#215
○中曽根国務大臣 ここでどういう御答弁を原子力委員がなすったか知りませんが、私が聞いている科学技術庁の方針は、先ほど原子力局長が述べた方針でありました。反省と、それから行政ですでにきまったこととは別に考えているのではないかと私は思います。
#216
○山原分科員 この問題は、まだいろいろ裁判問題なんかもあるようでございますし、まあ、住民はともかく、すべてが納得しておるという状態ではありません。だから、そういう問題について、これからこの異議申し立てに対する結論がいずれ出されると思いますけれども、それにあたっては、十分皆さん方も調査をしていただいて、そして、住民がどのようなことを考えておるかということも把握をした結論を出すべきだというのが私どもの主張でありますから、それについて、当然そういう慎重な態度がとられることを期待するわけですが、その点について最後に伺っておきたいのです。
#217
○中曽根国務大臣 将来、住民の皆さま方の御意見を公聴会等を通じてお聞きするという措置は必要であると思います。今回の分についてはすでに行政措置がきまっておることでございますから、これは覆水盆に返らずと申しますか、もとへ戻すということは、この問題についてはむずかしいと思います。
#218
○山原分科員 不満ではありますけれども、時間がありませんから、これで終わります。
#219
○細田主査 これにて山原健二郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、木原実君。
#220
○木原分科員 私は、最近の海外の石油資源の開発をめぐる問題について、二、三大臣の見解をお伺いをいたしたいと思います。
 最近の石油資源開発を目ざす国内のいろいろな動きを見ておりますと、何か、どうも異様な感じがいたします。海外石油の資源開発を目ざして開発会社が、何か乱立をするような傾向がある。そうかと思いますと、海外での石油資源の取得のために、ほとんど無原則ともいえるような買いあさりのような傾向がある。御承知のように、私どもの認識では、いま、エネルギー政策といいますか、なかんずく石油等の資源に対する対応策、こういうようなものを誤りますと、おそらく、五年先、十年先容易ならぬことになるのではないかという心配があるわけであります。それだけに、主として民間の海外石油資源取得のために動き始めておる状態というものは、私ども必ずしも豊富に情報を持っておるわけではございませんけれども、何か、これでいいのか、こういう思いをするわけであります。したがいまして、最初にまず、海外の石油資源の開発もしくはその取得のために、国として、通産省として、きちっとした方策なり何なりを持って指導なさっているのか、対応しているのか、この点についてひとつ大臣の見解をいただきたいと思います。
#221
○中曽根国務大臣 エネルギー問題は非常に重要な問題でございまして、特に、米国のこれからの動向が国際市場に非常に影響を与えてくるだろうと思っております。したがいまして、日本としても、エネルギーの供給ということは、国の存立あるいは貿易の振興上死命を制するものでありますから、できるだけ早期に手当をする必要がございます。そこで、中近東地帯にのみ偏しているということは必ずしも妥当ではない。世界じゅう多元的に供給源を獲得するということ、それから国際協調のもとにこれを行なうことが摩擦を防ぐ上からも好ましいことである。それから、油とガスと両方考えていくべきということ、それから、そういう油ないしガスの利権の獲得等については、日本側の商社あるいは企業家が過当競争して原価をつり上げたり、秩序を乱したりすることがないように極力注意して行なうということ、そういうことをわれわれは注意してやっております。
 特に、最近、公害の事情等にかんがみまして、低硫黄の石油を獲得するということは非常に重要であると思って、積極的にやっておることであります。しかし、いまのような過当競争を防止するためには、一面においては、財界側において、日本は自由経済の国でございますから、できるだけこれを調整して、いわゆるオーダリーマーカッティングといいますか、そういう努力をしてもらうと同時に、わがほうは、通産省並びに石油公団がその交通整理をしまして、いまのような目的を達するように、いろいろ内面指導その他をやっておるところであります。
#222
○木原分科員 まあ、お話があったわけですけれども、どうも実情は必ずしも大臣がおっしゃったようなぐあいにはいっていない。多元的に資源を求めるということは、これはそういうことでしょう。しかしながら、内実を見ておりますと、国際協調の面においても、あるいはまたおっしゃいましたような過当競争を避けるというような面においても、いまたとえば、大手の商社筋あるいはまた銀行等が、それぞれの系列その他を動員をして、ことしになりましてからでも、もうすでに何社もの海外石油開発を目ざす会社が設立をされておる。いずれも、過当競争あるいはまた、むしろ国際協調を乱すような動きがすでに始まっているわけです。しかも、そのことがいろいろな国際的な批判を受けておるというような状態があるわけであります。たとえば、中東のアブダビ石油などをめぐっての、日本の海外石油などが行ないました株の取得による石油の取得権益の確保のしかたなどを見ておりますというと、たいへんな高値で、ある意味では、何か、金にものをいわせて強引に石油を取得しようとする動きがある。いずれにしましても、大臣のおっしゃった方向とはまるでうらはらの方向で動いているような感じがするわけであります。それらの問題について、内面的な指導とかあるいは対応とかいうおことばもございましたけれども、一体どの程度に国は政策をもってそういう動きに対処をしておるのか。その辺のことをまずしかとお聞かせを願いたいと思います。
#223
○中曽根国務大臣 アブダビの問題は、BPとの間に円満に契約が履行されたので、秩序を乱したとは思えません。BP側も非常に喜んでおりましたし、日本側も大量の低硫黄原油を獲得できて喜んでいる状態でございます。七億八千万ドルという、いわゆる利権料と申しますか、フィーが高いか安いか、これはひとつ検討すべき問題でございますけれども、現在の世界の石油事情及びこれからのOPECの攻勢等を考えてみますと、この程度の値段は、将来を考えてみた場合に、必ずしも不当に高い値段であるとは思わないという状態になるであろうと私は考えます。
#224
○木原分科員 この問題は、言い出せば見解の違いなどということになるのでしょうが、それにしても、従来の国際常識をはるかに上回る高値の、いわば買い付けをやっているわけですね。大臣の御見解では、必ずしも高くないとおっしゃるわけですけれども、そういう買い付けのしかたの中にもたいへん問題があるのではないか。何といったって、これは安いとは言えませんね。これは、きょうのところはこのことを追及するわけじゃありませんから、問題を残しておきますけれども、きょう私が主として聞きたいのは、最近、シベリアのチュメニの油田の開発をめぐりまして具体的な動きが始まっているやに聞いておるわけですが、このチュメニの開発につきましては、政府としてはどういうお考え方ですか。まず、ひとつ、基本的な考え方をお聞きしたいと思います。
#225
○中曽根国務大臣 日本は、六十年には約六億トンないし七億トンぐらいの油を必要とする、そういう状況でございますから、先ほど申し上げました原則に基づいて、東西南北にわたって油及びガスの供給源をいまから手当てしております。そういうふうに考えて、これは日本の経済及び国家の存立に関する非常に重要な問題になっておるのであります。そういう意味から、シベリア開発等についても、その計画が合理的であり、また、商業上の経済条件に合うというものである場合には、前向きに政府もこれを推進する考えを持っているわけです。
 私も、このチュメニの問題について、オシポフという向こうの外国貿易省次官が来ましたときに、こう答えておきました。両国の国益に合致して、そして取引上の経済条件等の話し合いがつけば、われわれは政府としてこれに協力することを考慮するにやぶさかではない、そういうことを答えており、それがいまのわれわれの考え方ですので、できるだけ早く取引上の条件を詰めてもらって、政府レベルが乗り出せる段階に持ち上げてもらいたいと希望しております。
#226
○木原分科員 政府レベルで交渉のできるような段階まで持ち上げてもらいたいということがございましたけれども、そうしますと、いま、民間企業の代表がソ連でいろいろな交渉をしているわけですけれども、政府としては、それを見て、政府自身がこの交渉の中に乗り出していくといいますか、集約をしていく、そういうお考え方でございますか。
#227
○中曽根国務大臣 政府としては、一般的に、先ほど申し上げましたように、油の供給源あるいはガスの供給源を拡大していくことについて積極的な政策を持っているわけでありまして、シベリアだろうが、アラスカだろうが、インドネシアだろうが、そういう条件に合ったものについては、将来の供給量を考えてみますとまだまだ足りませんから、非常に積極的熱意を持っているわけです。シベリアも論外ではございません。ただ、しかし、それには、わが国は自由経済の国ですから、民間の企業がこれを実際輸入したり使用したりするわけでありますから、民間の企業が採算ペースに合うように、経済取引条件に合致するようにしなければ、政府としてもこれを強制することはできないわけであります。そういう意味で、日本のいままでのやり方は、下で積み上げてきて、向こうの政府なり企業とこちらの企業とが、ちゃんと、金利は何%にする、あるいは供給保証はどうする、そういうこまかい具体的取引条件において合致して、そうしてそれを政府のほうに持ってきてもらって、これなら妥当だろうと政府が考えたときに、輸銀その他を通ずる援助その他を行なうわけです。そういうような詰めがチュメニの場合はまだできておらないわけです。一体何%でいいのかとか、バンクローンというけれども、利子はどうなのかとか、あるいは供給保証はどうなっておるのかとか、引き取りの場合のいろいろなプロセスについてはどうなるのかとか、そういう詰めができていないときに政府が乗り出していって輸銀をやるというのは、いままでの手続から見てはまだ過早です。しかし、政府としては、これを実らせたいという熱意は非常に持っておるわけですから、できるだけ早く詰めをやってもらいたい、そういう考えでおるわけです。
#228
○木原分科員 詰めをめぐっての問題もいろいろあると思うのですが、ただ、石油の問題というのは、これは言うまでもありませんけれども、単に経済的な問題だけではなくて、たとえば政治的にも、あるいはまたお互いの国の安全ということにもかかわる面もかなり深くあるわけですね。特に、ソ連側の言い分などをときどき見ておりますというと、政府レベルでやってこいという。こういう声も、どの程度のものかは正確には承知をしませんけれども、そういう意向がある。ですから、私の聞きたいのは、もし、それぞれ条件が整ったというような状況が生まれた場合には、具体的に政府がソビエト政府との間に介在をして、何か契約をするなり、お話し合いをするなり、将来のことを含めてきちっとした契約をするのか。バンクローンについては、どこからどれだけ、というふうな経済的な措置だけではなくて、政治的にもきちんとした取りきめのようなものをやるのかやらないのか、あるいはまた、そういう要求はソ連側にあるのかないのか、それはどうですか。
#229
○中曽根国務大臣 これは、日本のような自由経済の国と、ソ連のような統制を中心にする計画経済の国との国情の差があるのであって、先方も、日本のような自由経済の国の国情について十分に理解をしてもらわなければならぬと思うのであります。自分の国と同じようにほかの国がやれるものだと思ったら、これは間違いなんであって、日本においては、日本の憲法や法律上の手続があるわけであります。ただ、先ほども申し上げましたように、油の供給源を四方八方に確保するというのはわが国策でありますから、チュメニの問題も、そういう考えの一端として非常な積極的熱意を持っておるのであって、政府としてできるだけこれを実らせたいと念願しているわけです。しかし、何といっても、これを供給を受け、これを使うのは民間でございますから、民間のほうの商業的条件その他がうまく折り合わなければ、政府が先に進んでいってやれるものではありません。政府がそんな油を自分で持っていて貯蔵をしておくということは、日本の国情ではできない情勢であります。ですから、そういう意味で、早く民間の詰めをやってもらいたい。それで、詰めの結果、どこが話が合うとか、どこが話が合わぬとかということは、あるいは将来出てくるかもしれません。その場合には、政府としてこの点についてはこういうことはどうであろうかとか、この点についてはこういう打開策は考えられないかとか、それは民間側の相談に応ずる用意は十分ございます。そういう現状であると御認識を願いたいと思います。
#230
○木原分科員 そうしますと、近い将来にこの詰めを行なうため、たとえば政府の代表が参加するとか、もしくは政府レベルの使節団をソ連に送るというようなことはお考えじゃございませんか。
#231
○中曽根国務大臣 必要に応じて、それがどういうレベルのものになるか知りませんが、詰めを早く行なわせるためには使節団を出すということはやぶさかではございません。積極的熱意を持っておることでございますから、それが民間が主になるのか、あるいは役所が主になるのか、それはまたいろいろ話し合ってきめるべきポイントもあると思いますけれども、要するに、詰めを早くやりたいという熱意は十分持っておるわけでございます。
#232
○木原分科員 大臣自身は訪ソされるというお考えはありませんか。
#233
○中曽根国務大臣 何しろ、国会がこういうふうに長うございますから、国会でも終わって解放されて、そのとき総理大臣から命令があれば、行くのにやぶさかでございません。
#234
○木原分科員 さまざまな政治的な背景の問題について取りざたされているわけですね。たとえばシベリアの開発については、これはまた中東などとは違った政治的な問題がある。しかも、チュメニの問題がある程度の前進を示したのは大臣が中国にお渡りになったあとであるというようなことも、これは偶然か何か知りませんけれども、そういうことも取りざたされている。一部には、大臣が周総理と話し合った中で、周総理から、シベリアの油田開発については慎重にとか、消極的にとか、何かそういうようなニュアンスがあったというような話もわれわれは伝え聞いておるわけなんですが、シベリアの油田の開発に日本が協力をするということについて、中国側の感触はどうでしたか。
#235
○中曽根国務大臣 私と周総理の間に、チュメニの油田について、先方が内政干渉がましいような話をしたということは絶対ありません。日本は日本独自の立場で、国益に沿ってきめればいいことであって、外国からこう言われたからといってそれに従うという、それは独立国家としての立場を放棄する考え方であると思います。
#236
○木原分科員 たいへんりっぱな御発言ですけれども、日本の資本がシベリア開発に、なかんずく油田等の開発に乗り出すことについて、中国側にやや批判めいた評論があるということについては御承知ですね。
#237
○中曽根国務大臣 いろいろそういう情報めいた話は聞いております。
#238
○木原分科員 そうしますと、これは油の問題だけじゃなくて、ガスの問題もありますけれども、これからシベリアでソ連と共同をして日本の民間資本がたいへん大規模な開発をやる、その際に中国側の意向については政治的な配慮は要らない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
#239
○中曽根国務大臣 これは、外交という面もございますから、あるプロジェクトが外国に対していろいろ影響があるということになれば、それは一応みんな考えなければならぬ一つのファクターではありましょう。しかし、それがすべてではございません。先ほど申し上げましたように、日ソ両国の国益に合致して、そして、経済取引条件において両方の国の合意が成立すれば、われわれはこれを推進するという考慮のもとにこれを行なっておるのでありまして、もちろん、アメリカや、中国や、あるいは関係各国の動向についてもわれわれは考慮を払いますけれども、最終的にはいま申し上げた日本の国益ということを中心に考えていきたい、そういう基本的姿勢を持っております。
#240
○木原分科員 中国とソ連との間が不幸な政治的な対立関係があるという中だけに、シベリア開発にわが国の資本が出かけていく、それに対して政府がOKする、一定の援助をする、そのこと自体はかなり大きな政治的行為だとわれわれは思うのです。しかも、いま申し上げましたように、隣接する両国が政治的にかなり冷たい関係にある。私たちは、そこで経済的な条件が整いさえすればということだけで割り切れれば一番楽だと思うのですけれども、割り切りにくい要素についての配慮というのは、繰り返すようですけれども、必要がない、あるいはまた配慮なしにといいますか、つまり、経済的な条件が整いさえすればやっていくのだというだけでほんとうによろしいのですか。非常に気になることなんですが、どうですか。
#241
○中曽根国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように、外交的配慮というものは、日本が外国に影響を及ぼす行為を行なう場合には当然すべきことであって、そういう外交的配慮をしなくていいという問題ではございませんで、もちろんやるべき問題です。やるべき問題であるけれども、それをやって、その上に立って自国の国益あるいは経済的条件というものを考えて、民族自決主義はあくまで堅持していかなければならぬ、内政不干渉は尊重されなければならぬ、そういう立場をもって、日本は日本の考えをきめていきたい、こういうことであります。
#242
○木原分科員 話が抽象的にならざるを得ないのですけれども、その際に、当然外交上の配慮としてやらなければならない配慮というのは、具体的にどういうことになりますか。
#243
○中曽根国務大臣 たとえば、アメリカが、日本がシベリアに出ていくことについて一緒にやってくれるのかどうか、あるいは、それに対してアメリカ政府がどういう反応を持っているか、あるいは中国が、日本がシベリアにおいてやることについてどういう反応を持つであろうか、あるいは、
 ヨーロッパの国々が同じように世界の石油事情メージャーの国々も多いことでございますから、メージャーの国々も、自分たちの供給量に関係する問題にもなりましょうし、そういう面で、日本に対してどういう反応を持つであろうか、そういういろいろな外交的配慮は一応点検していく、その上に立って判定すべきものであるということであります。
#244
○木原分科員 つまり、チュメニ等の油田開発にあたって、中国に対する外交的な配慮、そのことが開発計画に一定の影響を持つ、持たない、どちらですか。
#245
○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、外交的配慮というものは一応はやるべきものであるのであります。それで、その上に立って、最終的には、総合的な日本の国益、あるいはいま申し上げた経済取引条件というものが前面に出てきて、そして、日本独自の考えに立ってみずから決定すべきものである、そういう考えでございます。
#246
○木原分科員 ことしになりまして、中国から、
 一定量の原油を日本に提供してもよろしいという話があったように聞いております。これはそういうことですか。
#247
○中曽根国務大臣 そういう情報は聞いておりますが、非常にけっこうなことと歓迎しております。
#248
○木原分科員 それは、それでは、具体的な話として交渉したり煮詰めたりする段階ではまだない、そういう状態ですか。
#249
○中曽根国務大臣 これは民間団体の方が行きまして、先方にそういう供給の可能性ありという情報を私のところに持ってきております。値段が幾らになるか、あるいはどの程度の量になるか、何年にわたって行なわれるか、そういう点は必ずしもまだ確定したものではないようでございますが、いずれにせよ、低硫黄原油が国際価格でわれわれのところへ供給してもらえれば、これは歓迎すべきことであると思います。
#250
○木原分科員 あらためて別の機会に、エネルギーの海外資源の開発の問題、あるいは取得の方法等については、じっくり時間をかけて大臣の見解をさらにただしたい。そういう機会を持ちたいと思います。
 そこで、きょう最後に申し上げて御見解をいただきたいのですが、多元的にいろいろなところからできる限り石油資源等を確保したい、そういう方向でやっていくのだ、国際的な協調を大事にしたいと、いろいろ原則的な話がございました。これは一つの流れだと思うのです。しかし、それにいたしましても、冒頭申し上げましたように、それらの利権を目ざす国内の動きというのは、ますます過当競争の方向が、事と次第によれば、いつでも国際協調を破っていくような方向が見えている心配がわれわれにはあるわけであります。そこにもつてきて、今度はシベリアの開発。なるほど、あるいは中国等とのこれからの油の取引ということが広がっていく可能性がある。こういうことになりますと、特にソビエトであるとか中国とかいうのは、国情の違いということもおっしゃいましたけれども、それぞれやはりむずかしい国際的な環境の中にある国だ。そういうことを考えますと、やはり一番大事なのは、多元的に国際協調で資源を獲得していくんだということはそれでいいわけでしょうけれども、その際には、その方法について、もっときっちりした国の方針なり態度なりというものがどうしてもなければ、民間ベースで煮詰まったところへ政府がこれでは、話が逆じゃないかと思うのですね。これだけの量をこういう形で確保したいんだ、そのために民間はこういうふうに動くべきだというような、そういう行政的な指導態度というものがあっていいのではないか。それがなければ、これは一枚皮をむけばすぐ、政治的な問題あるいは安全保障上等の問題にもつながっておる資源の問題ですから、そういう面で行政の態度を確立をするというか、強化をしていくというか、そういう時期に私は来ていると思うのです。したがって、シベリア油田の開発がたまたまそういうむずかしい政治的な背景を含んでいるだけに、世論も、またわれわれも、成り行きについて注目をし、心配をするわけなんです。
 だから、最後に大臣の見解を承っておきたいと思いますが、これからのシベリア等の開発について、政府の関与していく限度というのは従来どおりなんですか。それとも、もうひとつ突っ込んで、きちんとした方針を持って民間の協力を求めるという態度なんですか、どうなんですか。
#251
○中曽根国務大臣 いままで申したとおりでありまして、日本は自由主義経済の国でありますから、自由主義経済の国としてのいろいろな手続のたてまえをくずすことはできない。しかし、資源の獲得等については、政府としては非常に積極的な熱意を持っておる。だから、できるだけ合理的な話し合いによってそれが達成されるように希望している、そういうことでございます。
#252
○木原分科員 最後にちょっと局長にお伺いしたいのですけれども、チュメニの開発の条件ですね。大臣は条件とおっしゃいました。これはある程度煮詰まりつつある段階ですか。それからまた、銀行ローンその他の問題はすでに報道されておるわけですが、受け入れの問題は解決はついているのですか。
#253
○小松政府委員 御案内のように、民間の当事者が先般ソ連を訪問いたしまして、いろいろ予備的なお話し合いを行なったようであります。しかし、具体的なコマーシャルベースでの交渉はほとんど行なわれておりません。たとえば、当事者が具体的にはだれになるか、契約の対象、目的、つまり、プロジェクトの内容などどうなるのか、信用の供与、借款の条件などがどうなるのか、その他大事な問題はすべて今後に残されている実情のように承っております。
#254
○木原分科員 そうしますと、それらの煮詰まる段階というのは、たとえば来月とか、再来月とかいう時点で、さらに交渉のための場を持つという見通しですか。
#255
○小松政府委員 この交渉の予備的な話し合いに当たっております民間業界におきましては、できれば来月にでも再びミッションを派遣して、できるだけ具体的な交渉に入りたいという希望を持っているようであります。
#256
○木原分科員 そうしますと、話がまとまった場合に、この原油を引き取る国内側の体制などという話は、まだ全然先の問題ですね。
#257
○小松政府委員 御案内のように、原油の引き取りの体制をつくりますのは民間がおもでございますが、窓口の一本化につきましては、もう少し具体的に話が進みました段階におきまして行政指導を行なう必要があろうかというふうに考えております。
#258
○木原分科員 時間が来ましたので終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#259
○細田主査 これにて木原実君の質疑は終了いたしました。
 次に、大橋敏雄君。
#260
○大橋(敏)分科員 私は、産炭地域の炭鉱鉱害による鉱害復旧の問題に関しまして若干お尋ねをしたいと思います。
 大臣、世の中はおもしろいと思うのですが、事の内容の深刻さといいますか、重大さといいましょうか、そういうものに比べて、案外表面的にはさほど重視されない事柄がよくあるものであります。いま私が問題にしようとしております産炭地域にありますところのボタ山の問題が全くそれに当てはまるのではないかと思うのであります。
 と申しますのは、確かにボタ山の問題は全国的な事柄ではございません。九州あるいは北海道、それも限定された地域でございます。とは申しますものの、有名な筑豊地区をかかえておりますところ、ここは私の選挙区でございますが、ここでは、昭和二十七年ごろは、炭鉱の数を言いますと、六百からあったわけです。わが国の重要なエネルギー源といたしまして、また、わが国の経済をささえてきたいわゆる黒ダイヤとして、非常に珍重せられてきたことは御承知のとおりでございますが、エネルギー革命の波をかぶりまして、閉山、閉山で、今日では、六百の数がもう十以下に減ってしまったのであります。ところが、問題のボタ山はそのまま数百も置き去りの状態で、管理者もいないという所がたくさんあるのであります。そして、豪雨等によって山くずれを起こしたり、田畑に土砂が流出したり、あるいは埋没したり、道路を遮断したり、悪水により農作物に多大の被害を与えたりということで、それはそれは想像以上の数々の被害が各所に発生しているのであります。これが、地元の住民の善意といいますかあるいは自発的好意によりまして、保安作業がなされてきたのではございますけれども、限界に来たという感じでございます。
 そこで、わが公明党福岡県本部は、この問題を重視いたしまして、去年の九月前後に総点検を行ないました。総点検を行ないましても、現在筑豊には四百四十のボタ山がございます。土砂くずれの危険性のあるものはそのうち七十カ所といわれておりますけれども、これに全部当たる能力を持ちませんので、危険性のある七十のうち約四十カ所が、先ほど言いましたように管理者もいないという状態の山で、地元の不安もひとしおでございますが、そういう山を選んで、三十六カ所調査いたしました。調査の範囲は、飯塚市、田川市、山田市の三市をはじめといたしまして、宮田町など十一町を加えて、ある程度手広くやったわけでございます。その結果を申し上げますと、三十六カ所中、早急に土砂くずれの危険がある、防止を要するものが十カ所であった。残りの二十六カ所もほとんどが砂防堤などの作業をやらなければ思いがけない事故が発生するのではないかという危険をはらんでおりました。また、そういう山の近くに人家がどの程度あるだろうかということで調べてみましたところが、五十メートル以内の範囲にある家屋は三百五十三カ所でございました。百メートル以内には八百九十九戸五百メートル以内には二千百九戸ということになっておりますが、問題なのは、四十七年の七月に、有名なあの豪雨があったわけでございますが、そのときに土砂くずれを起こした飯塚市の幸袋鉱のボタ山の場合を例にとってみますと、ここは約一万立方メートルの土砂が流れ落ちてきまして、約二百メートルにわたって広がっていったわけですね。幸いに、ここの幸袋鉱のボタ山は四十二年に砂防堤の工事がなされておりましたおかげで、人家までは流れ落ちることはなかった。もしこれがなかったならば、少なくとも五十世帯は埋まったであろうといわれております。実は、こういうボタ山の問題は、想像以上に被害をあちこちに散らばしているわけでございますが、正直なところ、不幸中の幸いといいますか、いろいろ被害がありながらも、これまで直接的な人的被害がなかったというところは救われるところでありますけれども、通産省として、この多大なる被害を及ぼしているボタ山について早急に実態調査あるいは総点検をなさる考えはないかという、これが最初の質問でございます。
#261
○青木政府委員 ボタ山の状況は、先生御指摘のとおりでございますが、今後の対策といたしまして、私どもとしましては、調査は毎年やっておりますけれども、四十八年度に新たにぼた山処理委員会というものを設置いたしまして、ボタ山の土質、粒度等、ボタ山を科学的に調査いたしまして、ボタ山の有効利用をはかるために、ボタ山の処理計画をつくりまして、その円滑化をはかるということで考えております。
#262
○大橋(敏)分科員 大臣、局長さんは何だか調査を毎年やっているのだというような言い方をされておりますけれども、それは単なる形式的なものであると言っても過言ではないと思う。実際に問題を調べていきますと、そのボタ山の土砂の処理のみならず、複雑な問題がたくさんこれにからんでおります。そういう一切がっさいの問題をひっくるめて、これは、私は、通産行政の大きな課題であろうと思いますので、大臣の決意で、早急に、総点検といいますか、これを実施するよう命じていただきたいと思います。
#263
○中曽根国務大臣 先般筑豊のほうから御陳情がありました。たしか、これは田川郡のほうであったと思いますが、私、さっそく福岡通産局の管内のものについては、あぶないものについては至急調べろ、そういう指示をしたことがあります。たしか二、三カ月ぐらい前であったと思います。そのときいろいろ教えていただきましたが、昨年の雨によって非常に危険性を含んできた山が何カ所かある、そういう御趣旨もありまして、その名前が幾つかあげられたのを私覚えておりました。それをそのまま通産局のほうに渡しまして、至急調べろ、そういうことを指示いたしまして、たしかその報告も来たように思います。そして、それらについては、県と相談をして、的確な処置をするようにと指示しておいた記憶がございます。
#264
○大橋(敏)分科員 私が先ほど言いましたように、四百四十というほどの山があるわけです。これが全部が危険とは言いませんけれども、大雨などが降りますと、地域には想像以上の被害を及ぼしているわけですよ。これは、現地にいる皆さんの苦情というものは、実際に現地に行くとこわくなるほど訴えられます。地元に行けばそういう実態がつまびらかにわかるわけです。
 これは、何といっても通産大臣に腰をあげてもらう以外にない。実際、総点検をわれわれ一部の議員等がやってみても限界があります。やはり、通産省という大きな力で実態調査をしてもらいたい。
 まあ、こうしたあぶない山をいろいろと処理するにあたっては、ばく大な予算も必要でありましょう。また、金の面のみならず、その土砂を運ぶための運搬の方法、あるいは山がなくなったあとのいわゆる地上権の問題等、これなどは想像以上の複雑な問題が重なっていることでございまして、これは容易な問題ではないのであります。これを簡単に思われると、ほんとうはこれはいつまでたっても真の産炭地域の振興はないと言っても過言でないと思う。そういう立場から、私は、総点検をまずやっていただいて、その実態に基づいて手を打っていただきたい。当然、総点検をやらないとどの程度のものであるかが掌握されませんし、掌握がされなければ手も打てない、当然のことであります。それをいまお願いしているわけですが、どうでしょうか。
#265
○中曽根国務大臣 ぼた山処理委員会に指示いたしまして、特に危険と思われる個所を報告させて、それに対する対策等も検討させるようにいたします。
#266
○大橋(敏)分科員 総点検を行なえば、当然対策は生まれてくるわけでございますが、たとえば国の責任で管理するものと、そうではない、いわゆる企業等がいま持っているボタ山等があるわけでございますが、まず、その管理と責任の所在を明確にさせること。それから、ボタ山の処理にあたっては、直ちに実施せねばならない危険防止作業という当面の問題と、それから、いわゆる恒久的に、抜本的に行なわなければならない対策との二つの問題があろうかと思います。いま当面の問題は、直ちに指示する、あるいは作業にかからせるという大臣の御答弁でございましたけれども、抜本的な問題については、先ほどの地上権の問題だとか、運搬の問題だとか、いろいろさまざまな複雑な問題をはらんでおりまして、いままでのぼた山処理委員会くらいではこれは処理できないと私は思うのであります。もっと掘り下げた、強力な、つまりボタ山それ自体の再生利用や科学的な利用方法を研究するとか、あるいは合理的な処理方法だとか、その他、いま言った地上権の問題等も含めた地元の合意を得るための作業、さまざまの一切を含め、具体的に処理していこうという強力な委員会をつくらなければ、いまの委員会では処理できない、私はこう指摘したいのでございます。この点はどうですか。
#267
○青木政府委員 ただいま先生御指摘の点の総点検でございますが、昨年、幸袋をはじめとしまして、九州筑豊地区のボタ山の事故がございましたあと、大臣の指示を受けまして一応の調査をしたわけでございます。それによりますと、全国の千二百九十九のボタ山のうち、危険度が相当高いと思われますものが四十七でございます。そのうち九州に三十九ございまして、筑豊地区に十四という数字になっております。この十四のうち、鉱業権者がおると申しますか、そういう鉱山保安法の対象になっておりますものが四つございます。対象外の、保守管理をする者がいないものが約十でございます。ただいま先生が御指摘になりました数字とほぼ合っていると思います。
 今後のことでございますが、総点検につきましては、四十八年度ぼた山処理委員会を拡充強化いたしまして、これを使いまして、三カ年計画でボタ山一つ一つの精密調査をやることにいたしております。これで四十八年度は約百七十万の調査予算を組んでおります。そういうものをやりますと同時に、御指摘のとおり、ボタ山の処理をするためにはどういうボタ山の利用方法があるか。それから、御指摘のとおり、権利関係が非常に複雑靴なっておりまして、ボタ山のあるところの敷地を持っている、地上権を持っている人と、それから、ボタ山そのものを所有している人と食い違っておる場合もございますし、その所有関係が適当に移動している場合もございまして、非常に複雑な権利関係になっておりますので、この辺も十分調査いたしまして、今後どうしていくかということを検討していきたいと思います。
 このボタ山処理につきましては、非常に費用がかかるものでございますので、そういう費用を将来予算で組んでまいりますことが必要でございますが、さしあたりは、私どものほうでやっております石炭のほうの産炭地振興の事業団の事業がございまして、産炭地振興事業団の土地造成のためにこういうボタ山を極力利用してもらう方法とか、あるいは鉱害復旧でやはり土盛りをする場合に、ボタ山の土を十分利用していただくとか、こういうことも含めまして、極力事業量をふやしていくというふうに努力してまいりたいと考えます。
#268
○大橋(敏)分科員 いまの御答弁では、現在のボタ山処理委員会を拡充強化して、先ほど私がいろいろ述べましたような中身も含めて総合的な検討を進め、対策に当たっていく、こう理解してよろしいですね。
 それでは、次に移りますけれども、福岡県の中間市も鉱害問題ではたいへん泣かされてきた市でございますが、今日鉱害復旧がかなり促進されてはきておりますものの、昭和四十六年九月現在においては、家屋関係ではわずかに三〇%、あるいは農地関係では七〇%というところでございます。この中間市にも、元中鶴炭鉱蓮花寺ボタ山と元大辻炭鉱の大辻ボタ山という大きな山が二つあるわけでございますが、これがまたたいへんな被害をまき散らしておりますので、特に鉱害復旧事業の一環として行なわれております堀川、曲川改修工事にたいへんな迷惑を及ぼしているということでございますが、こういう実態を私は知りました。直ちにこの二つの山も手をつけていただきたい、こう思うのですけれども、これはどうですか。
#269
○青木政府委員 その、ただいま御指摘の蓮花寺のボタ山、椋枝のボタ山につきましては、四十八年度で防災工事を実施することにいたしております。
#270
○大橋(敏)分科員 これは単なる防災工事、形式の問題じゃなくて、ほんとうにいま改修工事が行なわれている曲川あるいは堀川に土砂が流れ込んで、そのために、五十年をめどとして行なわれております改修工事がものすごくおくれているという事実もございますので、実質的な防災工事をやっていただきたい。これは強く要望しておきます。
 ところで、これは建設省関係になりますけれども、この堀川、曲川改修工事に二つの問題点があるように私は思うのであります。
 その一つは、もうすでに中間市長と水巻町長が連名で福岡県ないしは国のほうに陳情申し上げたはずでございますけれども、この河川は昭和五十年をめどに改修工事が進められているはずでございます。ところが、この川の平均縦断勾配といいますか、とれが五千分の一というきわめて緩勾配であるため、あるいは川床が波状形であるがために、しゅんせつ作業等の小手先作業では効果は全くないというぐらい困っているわけですね。まして、いま言ったようなボタ山の土砂が流れ込んでくるので、しゅんせつ作業程度ではだめだということで、いろいろと陳情書が出ているはずですが、その最後のほうにこう書いてあります。「昭和五十年完成をめどに断面の拡幅、流水勾配等の恒久的工事計画がなされていますが、中間市については、用地買収が予算縮小のため未実施の現状でありますので、これが解決には早急に大型予算を編成され、早期解決をはかられんことを切望する次第であります。」と、あります。この予算は、通産省のほうで大型予算を組むのか、それとも建設省のほうで組むのかはよくわかりませんが、直接工事をやっているのは建設省のほうでございましょうから、この点も含めてお答え願いたいと思います。
#271
○栂野説明員 いまお説のとおり、曲川、堀川、この改修は非常にむずかしい計画でございまして、非常に緩流河川でございますので、建設省としましては、下流、中流、上流と、各パートパートで高水を処理していきたいという基本的な考えを持っております。それに基づきまして、杁の排水機場、これは四十七年度に完成しておりますが、いわゆる岩瀬から上流の高水の半分以上を処理したいということで、曲川の放水路に重点を置いて工事をやっております。と同時に、放水路で抜きましても、遠賀川の水位が高いものでございますから、そこに曲川のポンプ場をつくって、その上流でできるだけすみやかに湛水を防いでいきたい、こういうふうに考えております。
 したがいまして、建設省の予算の方針としましては、いわゆる災害河川に重点を置いておりますので、この曲川などにおきましても、やはり新年度最重点を置いて進めていきたい、こういうふうに考えております。
#272
○大橋(敏)分科員 それじゃ、いまの中間市と水巻町の町長がこうして要望していることは、現実の上においては、今度予算化されたと理解してよろしいですか。
#273
○栂野説明員 曲川の放水路、それから曲川のポンプ場でございます。こういうものは、できれば四十九年度一ぱいに、と申しましても、財政上の問題も将来ありますでしょうけれども、そういうふうに考えております。しかしながら、ポンプと放水路をつくっただけではまだ十分ではなくて、本川の改修もやはり並行して進めていく必要がある。まず第一番目には、底を上げるために、放水路とそれからポンプ場を全精力をあげていきたい、こういうふうに考えております。
#274
○大橋(敏)分科員 予定どおり昭和五十年をめどにいま作業をなされておりますので、予算がないためにできなかったというようなことではなく、十分予算をとって復旧を急いでいただきたい。
 それからもう一つの問題点は、岩崎サイフォンの落差の問題がある。これは六十から七十も落差ができて、せっかくサイフォンで水を吐かせようとしても逆流するそうですね。そのために、もうすでに鉱害復旧を終わった家屋あるいは田畑に再び水が逆流している、浸水しているという事実が二回、三回とあるわけですよ。このサイフォンを何としても手を入れてもらわなければならぬということで、非常に現地ではこれは問題にしておりますが、これは改善なさる意思がありますか。
#275
○栂野説明員 このサイフォンの改修というのは、非常に河川改修の本質と関連しますけれども、早急に解決するのは非常にむずかしゅうございます。と申しますのは、われわれの計画におきましては、いわゆるサイフォンをやめまして、曲川と新堀川、これは平面交差で下のほうに合わせて持っていきたい、こういうふうに考えておるわけです。しかしながら、その曲川の放水路あるいは曲川のポンプ、こういうのができましても、このサイフォンを平面交差しますと、いままでより以上に水が下に流れてくるわけでございますね。いままでは、各段階段階におきまして湛水を分散しておった。ずっと下流にやってまいりますと、下流のほうではいままで以上に湛水がひどくなるということで、やはり、サイフォンの問題におきましては、下流の改修の促進に合わせまして検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#276
○大橋(敏)分科員 時間もわずかですので、この問題はこの辺にしておきたいと思いますが、要するに、水巻町に入っております曲川の改修工事が現に進められておるわけですけれども、このサイフォンの問題があるために、せっかくの改修されている川の効果があがっていない、こういうふうにいわれております。この問題は非常に重大な問題ですので、今後真剣にこの問題と取り組んでいただきたい。
 それから、通産大臣に最後にお願いでございますが、実は、前通常国会の分科会のとき、そのときの通産大臣であったいまの田中総理に産炭地域の実情を私は訴えて、一ぺん視察に来てほしいと言ったら、行く気持ちは十分あるとおっしゃっておられたのですけれども、とうとう総理になられまして、なかなか思うような時間がとれないだろうと思いますが、総理にお尋ねになればまた思い出されると思いますが、産炭地域は、こうしたボタ山のみならず、ボタ山の問題に象徴されておりますように、そのほかたくさん、悲惨なといいますか、かわいそうなといいますか、そういう問題が山積しております。また、次々に閉山して過疎化されつつあるわけでございますが、地元の皆さんは、どうしても企業を誘致してほしい、そうして流出を防ぎ、地域の振興発展を望みたいという気持ちでいっぱいなんですね。
 こういうことも含めまして、一ぺん産炭地域の実情を見ていただきたい。これはもう私の偽らざる心情であり、訴えでございます。それこそ、こうしたりっぱな若い通産大臣がその目で見、はだで感じられるならば、おそらく、これまでにない画期的な産炭地域の振興が望まれるのではないか、このように私は思うのでございますが、その点についてどのようにお考えか。
#277
○中曽根国務大臣 私も、産炭地域の問題については非常に関心を持っておりまして、衆議院の選挙の際に、田川や何かは相当かけ回ったりなんかして、現場も多少知っておるし、現地の市町村長の皆さんの陳情も伺っておるし、また、現場にも行ってみたこともございます。しかし、せっかくのお話しでございますから、おりを見て私もぜひ視察さしていただきたいと思っております。
#278
○大橋(敏)分科員 では、最後に一言申し上げますが、さきに申し上げましたボタ山の問題は見るからにどろくさい話でございますけれども、これは、地域においては非常に深刻な、そうして重大な問題となっております。それこそ、通産大臣に真剣に立ち上がってもらう以外にこの処理の方法はないと思いますので、たいへんでございましょうけれども、真剣に取り組んでいただきますことを御要望を申し上げまして、私の質問を終わります。
#279
○細田主査 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明三日午前十時より開会いたし、引き続き通商産業省所管について質疑を行なうこととし、本日は、これにて散会いたします。
   午後六時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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