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1972/03/05 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第四分科会 第3号
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1972/03/05 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第四分科会 第3号

#1
第071回国会 予算委員会第四分科会 第3号
昭和四十八年三月五日(月曜日)
    午前十時六分開議
 出席分科員
   主査 細田 吉藏君
      仮谷 忠男君    野原 正勝君
      山崎平八郎君    安宅 常彦君
      神門至馬夫君    阪上安太郎君
      嶋崎  譲君    多賀谷真稔君
     米内山義一郎君    渡辺 三郎君
      北側 義一君    塚本 三郎君
   兼務 大原  亨君 兼務 浦井  洋君
   兼務 瀬崎 博義君 兼務 谷口善太郎君
   兼務 岡本 富夫君 兼務 玉置 一徳君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  中曽根康弘君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        委員長     高橋 俊英君
        環境庁自然保護
        局長      首尾木 一君
        環境庁大気保全
        局長      山形 操六君
        環境庁水質保全
        局長      岡安  誠君
        大蔵省証券局長 坂野 常和君
        厚生省公衆衛生
        局長      加倉井駿一君
        農林省構造改善
        局長      小沼  勇君
        農林省農蚕園芸
        局長      伊藤 俊三君
        農林省食品流通
        局長      池田 正範君
        食糧庁長官   中野 和仁君
        通商産業大臣官
        房長      和田 敏信君
        通商産業大臣官
        房会計課長   岸田 文武君
        通商産業省企業
        局長      山下 英明君
        通商産業省企業
        局参事官    三枝 英夫君
        通商産業省公害
        保安局長    青木 慎三君
        通商産業省重工
        業局長     山形 栄治君
        通商産業省繊維
        雑貨局長    齋藤 英雄君
        通商産業省鉱山
        石炭局長    外山  弘君
        通商産業省公益
        事業局長    井上  保君
        工業技術院長  太田 暢人君
        中小企業庁長官 莊   清君
        中小企業庁計画
        部長      原山 義史君
 分科員外の出席者
        経済企画庁長官
        官房参事官   大石 敏朗君
        環境庁企画調整
        局公害保健課長 山本 宜正君
        環境庁大気保全
        局企画課長   河野 義男君
        大蔵省主計局主
        計官      禿河 徹映君
        農林省構造改善
        局計画部長   川田 則雄君
        農林省食品流通
        局商業課長   岩野 陽一君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 関  英夫君
        建設省住宅局日
        本住宅公団首席
        監理官     福地  稔君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月五日
 辞任         補欠選任
  安宅 常彦君    米内山義一郎君
  小林  進君     太田 一夫君
  津川 武一君     東中 光雄君
  坂井 弘一君     林  孝矩君
  小平  忠君     神田 大作君
同日
 辞任         補欠選任
  太田 一夫君     嶋崎  譲君
 米内山義一郎君     多賀谷真稔君
  東中 光雄君     荒木  宏君
  林  孝矩君     浅井 美幸君
  神田 大作君     塚本 三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  嶋崎  譲君     神門至馬夫君
  多賀谷真稔君     安宅 常彦君
  荒木  宏君     梅田  勝君
  浅井 美幸君     北側 義一君
  塚本 三郎君     小平  忠君
同日
 辞任         補欠選任
  神門至馬夫君     渡辺 三郎君
  梅田  勝君     津川 武一君
  北側 義一君     坂井 弘一君
同日
 辞任         補欠選任
  渡辺 三郎君     小林  進君
同日
 第一分科員谷口善太郎君、第二分科員瀬崎博義
 君、玉置一徳君、第三分科員大原亨君、浦井洋
 君及び第五分科員岡本富夫君が本分科兼務とな
 った。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十八年度一般会計予算中通商産業省所管
 昭和四十八年度特別会計予算中通商産業省所管
     ――――◇―――――
#2
○細田主査 これより第四分科会を開会いたします。
 昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、通商産業省所管を議題とし、一昨日に引き続き質疑を行ないます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
#3
○大原分科員 きょうは、大体時間の範囲内で、一つは含み資産の問題と、時間があれば百貨店法の改正の問題。だれかひとつ関係者は、最後のほうにちょっとおってください。
 いままで予算委員会でいろいろ議論になりましたが、そこで含み資産の実態についてのいろいろな論議があったわけでありますが、これは和光証券の調査推計がよく引用をされていたわけであります。大蔵省はきょうは証券局長出席願っているわけですが、通産省や大蔵省はこの実態を把握しておられるかどうか、この点についてお尋ねをいたします。
#4
○和田(敏)政府委員 ただいまのところ、有価証券報告書により商社の土地及び有価証券の保有状況を見ますと、昭和四十六年上期以降かなり大幅に保有高が増加いたしております。一方、最近の地価、株価の上昇が著しいものがございますので、商社の含み資産は相当増加しているものと推定をいたしております。
 ただし、御承知のとおり含み資産は、企業の実際の資産価値が帳簿原価を上回っている分を示すものでございまして、したがって、この資産を有価証券報告書により把握することは困難ではなかろうかと思います。
 いずれにいたしましても、含み資産の正確な保有額を従来の資料から把握することは困難でございますが、当省といたしましては、今後、商社につきまして全般的な調査を実施いたしまして、実態の把握につとめる所存でございます。
#5
○坂野政府委員 大蔵省に提出されます有価証券報告書は、企業の資産の状況が記載されておりますが、御承知のとおり、土地につきましては取得原価のままになっておりまして、その時価が幾らであるかということは明らかでありません。また有価証券につきましては、特別計上しておる会社もありますが、一般的には流動資産の中に含まれておりますので、別記されていないものもありまして、これまた、集計いたしましても、ただいまの有価証券の現状というものは把握できないような状態にあります。
#6
○大原分科員 大臣、そういう答弁ですが、これは和光証券だけの推計ではないわけですが、各方面で出ているわけです。これは、土地の値段やダウ平均等から、あるいは株の時価発行等から、総合的に詰めていけば出るものではないかと私は思うわけです。これほど過剰流動性の問題でこの含み資産が議論になり、そして土地の帳簿価格と時価との差、つまり土地の値上がりを期待して土地の売買が行なわれる、そしてその土地を持っておる企業、商社や輸出産業等を中心にして、企業がその株の値段を操作する際における一番大きな材料になっておる、こういう実態があるというのがほとんどの一致した意見ではないかと私は思うわけです。したがって通産省においては、その的確な把握につとめる、こういうことなのでありますが、いろいろな推計や資料があるわけです。和光証券の場合には、一、二部に上場しておる千三百一社を推計して出しておりますけれども、通産省もそういう資料を的確に検証をして実態を把握すべきではないか。でなければ、国民経済の立場に立った指導ができないのではないか、私はこう思います。官房長の答弁がありましたけれども、通産大臣、この点についてひとつ見解を明らかにしてもらいたい。
#7
○中曽根国務大臣 主として商社等の経済活動の実態を見きわめるということは、国民的要望でもありますし、また経済関係の把握のためにも非常に重要なファクターの一つであると思っております。したがいまして、御趣旨のとおり、できるだけ正確な資料の収集につとめまして、経済活動の実態を把握していきたいと思っております。
#8
○大原分科員 通産省、政府委員でよろしいのですが、こういう含み資産の問題等についての把握をするのはどこの部局なんですか。それからまた、これを具体的にやる意思があるのかないのか。いま、いろんな臨時的な特別立法が議論されておるわけですが、過剰流動性とか投機の源泉は、一つはここにあるわけですから、どこがそういう実態を正確に把握しながら――いまの実態の把握だけについては通産行政でできるわけです。企業にとっては不利な問題がたくさんあるわけでしょうけれども、しかし国民的な立場に立てばできるわけですから、これをやるのはどこの部局なのか。だれが担当してやっておるのか。それからどういう手順でやって、いつごろまでにこれをやるのか。
#9
○山下(英)政府委員 商社の活動のうち対内と対外がありますので、二局にまたがっております。貿易関係は貿易振興局、しかし国内の取引、卸、問屋としての機能、流通関係に関しては、現在私がやっております企業局、これが所管でございます。商社には貿易会という会合がございますが、従来は、どっちかというと海外問題でそういう会合ができておりましたので、貿易振興局が窓口でございましたが、今回のごとく国内流通問題で出てまいりました場合には私のほうが所管し、せんだって来大臣の御指示もありまして、両局で実態把握調査の実行案をつくって事情聴取に入るところでございまして、できるだけ早く可能な限りの概要をつかみたい、こう思っております。
#10
○大原分科員 それはいつごろまでに一つのデータを出しますか。
#11
○山下(英)政府委員 この含み資産あるいは営業報告書で取り出しておりますもののさらに詳細な資料ということになりますと、関係が非常に大きいので、いま期限がつきかねております。とにかく入り込んでみる。ただ、商品別の実態、羊毛、毛糸の相場あるいは綿糸の相場、こういうものについてはすみやかに結論を得たい、こう思っております。
#12
○大原分科員 まあこれは、商品別のを全部出すというわけにはいかぬと思うのですが、問題となっているものについては出す、明らかにする。
 それから、申し上げたように、しばしば国会でも引用をされておる和光証券の資料ですが、一、二部千三百一社の所有株式と所有土地について帳簿価格と時価の差を出したのがあります。これは、株式のほうは帳簿価格が六兆一千五百十九億円、時価が十一兆九千二百九十一億円、差が五兆一千七百七十二億円、所有土地については帳簿価格との差が五十八兆八千三百四十九億円、合計して六十四兆円、こういうのがありますね。この資料について検討したことがありますか。これは大蔵省サイドでも通産省でもよろしいけれども、この資料というものはかなり正確な推計として引用をされておりますが、これは大蔵省サイド、あるいは企業の側からいうならば通産省であるけれども、その点についてひとつ見解を明らかにしてもらいたい。
#13
○坂野政府委員 詳しく検討いたしたことはありません。これは推計資料であるというふうに聞いておりますが、御質問の御趣旨も体しましてなお一そう詳しく検討していきたいと思います。
#14
○大原分科員 問題は、やはり土地の問題と相呼応いたしまして株の時価発行が議論になっていると思うのです。これは通産省の政策と大蔵省の証券関係の行政は裏表だと思うのですが、証券会社の機能を分離すべきである。日本のような、未分化的な状況で売ったりもらったりするような、言うなれば、証券会社が自己責任で株式の売買をする業務をやりながら、売買の仲介をしたり証券の発行、受け入れを行なうというふうな国はないのではないか。企業と証券会社がぐるになるのは、やはりそういう機能における責任分野というものを明確にしていないからではないか、引き受け業務を分離すべしという意見も専門家の問においてはあるわけですが、この問題については、大蔵省側と通産省側はどういうふうな見解を持っているか。
#15
○坂野政府委員 引き受け業務とブローカー業務を兼務しておりますことの弊害につきましては、私どもかねがね指摘をしておったところであります。また、昨年行なわれました証取審議会の審議でもそういう御意見が出たわけであります。ただ、世界的に見まして、それをやっている国はほかにないということではございません。アメリカにおいてもそういう形態はありますし、あるいはイギリスにおいても若干それに似たような形態があります。またヨーロッパの大陸諸国におきましては、御承知のとおり銀行、証券は兼業でございますので、引き受けもブローカーも全部同じ銀行がやっておるという実態でございます。
 問題は、そういうことをやることによりまして、価格形成をゆがめたり、投資者保護に欠けるところがあってはならないということでございますので、兼営していることの弊害をどうやってためるかという問題であります。理想的には分離をいたすのが一番すっきりいたすのでありますが、分離をしてもなお弊害が残る可能性もあります。これは、資本関係とか企業支配関係を全く分離できるかどうかという問題もあります。また、いままでのところは、日本の証券会社は、世界的に見まして非常に力の弱いものでありましたので、それを分離して、世界のアンダーライターに伍してやっていくというような実力がとてもありませんでしたものですから、そこまでまだ事は進められておらなかったというのが実情でございます。しかし、今回のような事件も生じましたので、これから早急にこの兼営していることの弊害をためる方法、とりあえずは会社の内部組織でこれを防いでいこうということでありますが、それがうまくいかない、効果があらわれないということになれば、御説のように、分離ということを第二段として考えていかなければならない、こういうふうに考えます。
#16
○大原分科員 具体的にはこれは、どういう手段でいつごろをめどにこういう問題の処理はするわけですか。
 それからもう一つは、株式の時価発行と法人の売買が多いわけですね。法人の株がこういうふうにダウ平均をつり上げておるのは、たとえば一カ年間でばく大だと思うわけです。三千円台が五千円台に行っているわけですから。私は企業の実際の業績を離れた株の値段がついておると思うのですのですよ。配当とその時価との比率などを比べてみたら、利子やその他とは関係なしにこれが投機的になされていると思うわけですね。だから、そこらの関係を明確にして、そして善良な国民から見て信頼できるような、そういう形態にしなければ私はいけないのじゃないか。それらについてはどういうめどで政府はやっているわけですか。
#17
○坂野政府委員 最近、アンダーライターとブローカーの弊害除去問題につきましては、すでに十二月から着手しておりまして、もうここ一月くらいの問に方向をきちっと定めるところまで作業が進んでおりますので、これは早急にそういう作業を進めてまいります。
 それから時価発行、法人営業の問題であります。時価発行は、御承知のとおり、昨年、株式市況が非常に活発であったために、近来になく多量の発行が四十七年度に行なわれたわけでありまして、この三月一ぱいまでで約一兆三千億の増資資金が企業に入るというような予定になっております。特に下期におきましてはかなりスピードがふえてまいりまして、加速的に絶対額がふえてまいりましたし、また株式市場の高値に乗じて発行されるというような非常に悪い影響も出てまいりましたので、四月以降は、時価発行のあり方につきまして引き受け証券会社が新しい申し合わせをいたしまして、新しい基準をつくりまして、時価発行を若干抑制ぎみに持っていくということにいたしており興す。これは会社の質の問題、それから資金の使途の緊急性、それから資金繰り、そういったことを考えまして、不要不急のものはもちろん押える。それから、そうでなくても絶対額につきましては、いままでのように無制限には行なわない。それから会社の利益その他業績ということを十分勘案して、株主保護と申しますか、投資者保護に資するような時価発行を行なうということであります。この結果、おそらく四月以降の時価発行の絶対額はかなり抑制されるというふうに考えております。
 また法人に対する営業活動でありますが、これも昨年私どもは主要証券会社に対しまして何回も注意をいたしました。と申しますのは、法人が株を集めますのは、もちろん株によって利益を求めようとする面もないではありませんけれども、それにも増しまして、安定株主工作と、あるいは例のTOB対策というようなことで、非常に株を集めるということが一種のはやりのようになってまいりました。これに乗じて――乗じてというのも何ですが、証券会社のほうがかなり積極的な法人活動をいたしました。浮動株を集めて法人にはめ込む、これは営業面と申しますか、商売の面では非常に大きな手数料が入りますので、証券会社の利益面からはたいへんやりやすかったと思うのですが、その結果、浮動株が減りまして、株式市場が非常にかたわなものになっていく。それから個人の持っております株式数というものが減りまして、いまやこれが三十四、五%まで落ちたんではないかというふうにいわれておりますが、そういうことで株式市場を狭めていくということは、長い目で見て日本証券市場のためにはよくない傾向であるというようなことで、極力これを押えておりますが、最近の情勢にもかんがみ、法人活動をさらに抑制するよう強い指導をいたしております。若干その効果があらわれ始めておりますので、これも、新年度になりますとかなり効果があがるのではないかというふうに見ております。
 なお、逆の方向から、金融機関につきましては、銀行局及び日本銀行において、金融機関が新しく市場から株式を買う、あるいは時価発行に応募するということを抑制しておりますので、金融機関のほうの活動は、昨年の下期以来鎮静化いたしまして、いまやその方面で活躍しているのは事業会社のみとなっております。
#18
○大原分科員 時間がたくさんありませんが、通産大臣、通産省のサイドでいまのような異常な法人の株式の売買を含めて、自分の企業以外の正常な企業――正常な企業というのがどういうことか限界がむずかしいわけですけれども、以外の投機的な売買を通じて利益を得るというふうな空気というものがびまんをしておる。それは大蔵省の責任の分野も、大蔵省と証券会社の関係の面もあるけれども、しかし時価発行などの問題は、やはり通産省の分野に属する問題も多い。通産省側がブレーキをかけなければこの問題の整理はできない。たとえば証券会社における引き受け業務の分離、独立の問題に対しましても、証券会社の中で分離させるか、あるいは企業を分けるか、こういう問題はあるプロアーを分ける、建物を分けるというふうなことまでいま議論をされておると思うのですが、そういった問題については、私は日本の通産行政、企業の助長行政というものは、やはりよほど考え方を変えていかなければ、日本国株式会社というふうに、アメリカでも、日本のドルかせぎの問題、黒字の問題について非難攻撃をしておるけれども、これは目くそ鼻くそを笑うのたぐいもあるけれども、しかしそれにしても、このような実態というものが国民の前に明らかになるならば、私は、自由主義経済などというものはない、ほんとうにこれはえてかってな自由主義経済であって、そういうものは許されるべくもないと思うわけです。
 通産省は、土地問題はきょうは一応私は触れませんけれども、しかし、株が上がっておる一番大きな原因は、つり上げる原因は含み資産を中心としておると私は思うわけですけれども、こういう問題については、企業活動の姿勢を正すということについて積極的な政策を出すべきであると思っている。ブレーキをかけるという議論も若干私も聞くわけですけれども、通産行政においては、その姿勢は正さなければ相ならぬと思うわけです。自由な競争、公正な競争ではない。国民は納得できない。営利活動ではあるけれども、国民が絶対納得できないような、被害を国民に及ぼすような、そういうことは絶対に許せない、私はそう思いますが、通産大臣はどのようにお考えになりますか。
#19
○中曽根国務大臣 その点は趣旨においては同感でございまして、昨年以来のばか相場等を見ますというと、どうも、法人買い、あるいは時価発行というような法人周囲の活動が基因していると一般にも指摘されております。最近は、大商社の中には、たとえば洗たく屋まで手を出すとか、あるいはボウリング場まで手を出すというような、そういう経済領域の問題もまたいろいろいわれております。つまり、金の面、商売、物の面、両方において、あれだけの能力と金融力を持っているものが何でも野方図にはたしてやってよろしいかというと、おそらく国民は、これは自由の乱用である、こういわれるだろうと思うのです。そういう点につきましては、通産省としては、長い目で見て日本の企業を健全に発展さして、法人及び個人、あるいは大企業、中小企業の間がうまく調整とれるように発展していかなければならぬと思いますし、一般大衆に迷惑をかけるようなことは、法人は自由の名のもとにおいて何でも許されるというものでもないと思います。ですからその趣旨においては全く賛成でございます。ただその規制をどういう形でやるか。法の改正をしてやるか、あるいは行政指導によって、いわゆる調査あるいは勧告等を通じてやるか、これはもう少しいろいろ検討してみる必要があると思いますので、御趣旨を生かしてともかくいろいろ措置を検討してみたいと思っております。
#20
○大原分科員 総合商社という形は日本独特な形だというふうにいわれておりますが、総合商社の活動の中で、たとえば商社金融というような金融をやっている。いまボーリング場等のお話がありましたが、ボーリング場は一つの限界に来たというのに、金融を通じて固定資産をやはり握るという活動をやっておる、そういうふうなこともいわれておるわけであります。もちろんそれは、その会社自体がなくてもダミーを通じてやるわけでありますけれども、そういう商社金融についてはどのような考え方を持って臨んでおられるのか、ひとつお聞かせいただきたい。
#21
○山下(英)政府委員 今回も、商社活動につきまして何らかの規制、制限が要るんではないかという点を議論いたしておりますが、その際の一つの機能が、御指摘のように、現在の経済社会で銀行に次ぐ金融機関的な機能を持っておるんではないか。そうであれば、そこのところを自由にしておくことには公益上から弊害をもたらすのではないか、この点は一つの課題になっております。しかし、現在までは銀行のような諸制限はございませんし、持ち株の諸制限もございません。むしろ通産省といたしましては、中小企業あるいは下請企業の権利擁護の行政を通じまして、もしも大商社と中小関係で個別的なトラブルが起きれば解決していく姿勢で行政指導をやっている次第でございます。
#22
○大原分科員 商社は、土地売買や、そういう金融業務にまでもわたるような、銀行がやっているようなことを直接、間接にやっておる。こういうふうなことは結局は、いまの貿易の黒字が百九十億ドル、実際上は二百三、四十億ドルだと思いますが、それに見合う円を握っている商社や輸出企業等を中心として金がだぶついている。この金を使って、もうかることなら何でもやる。企業としては非常に未分化であり、しかも無責任な形で、そういう企業の正常な活動の分野を越えたような活動がなされているということは、これは私どもは許されることではないと思います。この点についてはまた場所をあらためてひとつ議論はいたしたいと思います。
 最後に一問質問をいたすのですが、広島市で、そごう、三越等の百貨店の進出をめぐりまして、中小企業との間にトラブルが起きているわけです。特に三越の進出のやり方については、千葉とかその他各方面で問題が起きているわけであります。広島におきましても、三越の問題が非常に大きな反発を受けておるわけです。中小企業の分野を守りながら、そして公正な競争ができるような条件をつくっていく。それで、中小企業の活動自体について、もちろんその従業員を含めてこれを軌道に乗せていくというふうな問題、あるいは消費者の立場からいろいろな意見があるわけであります。しかしいずれにしても、この資本の背景の議論はきょうはしないにいたしましても、百貨店法を改正して許可制を届け出制にしていく、こういう方針があるというふうに聞くわけであります。この法律をお出しになるかどうか、いつお出しになるのか。許可制を届け出制に変えていくというふうなことは慎重でなければいかぬ。この点についてひとつ方針をお聞かせいただきたいと思います。
#23
○山下(英)政府委員 現在、政府のほうできめております期限は、大体三月の中旬が法案提出の期限でございますので、それまでに方針を決定したい、こう思っております。
 御承知のように、四十六年から約一年かけまして審議会で御検討いただきまして、去年の八月に答申を受けたわけでございます。要点は、昭和三十一年の百貨店法では時代にそぐわなくなっておるから、消費者行政、流通近代化、及び百貨店に似て法の対象になっていない例のスーパー等を入れて、小売り商業全体を公平に見た法律に変えるべきであるという趣旨の答申をいただいたわけでございまして、私どもは、自来、中曽根大臣御自身で関係三団体を集められ、お話し合いの上、できるだけその答申に沿った原案をつくったわけでございますが、現在、先生御指摘のような、中小小売り商との関係をどういうぐあいにするか、スーパーとの関係をどういうぐあいにするか、自民党内の御検討もいただいておるとともに、政府としても最後の検討を続けておる段階でございます。
#24
○細田主査 玉置一徳君。
#25
○玉置分科員 ただいま承っておりますと、中曽根通産大臣からも、商社のあまりにも各分野にわたる進出には何らかの対策を考えなければならない、こういうお話がございました。私は、今回の商品投機の場面における総合商社の行き過ぎた行動だけじゃなくて、中小の事業場が金融その他で困っておるような場合にこれを吸収する、あるいはあの膨大な資金動員力でもって中小企業の各分野にまで入っていくということは、商行為の公正な競争という点からもいかがかと平素から思っておりました。公取は、御案内のとおり、平面において三割なら三割以上のシェアを一企業が占めますと、これは無理である、こういうようになっておりますけれども、総合商社のほうは、立体的ないわば各種の業務部門を営んでおるわけですから、その総合的な力でもってある分野にぐっと入りますと、資金力というものはものすごいものになるんじゃないだろうか、こういうようなことを考えて、平素からこの規制を何か手を打たなければならぬのじゃないだろうかということを考えておったのですが、今度の商品の異常な投機、価格の異常な高騰、こういう点を考えまして、なおさらその感を深めたのでありますが、にわかに立法ということは、あるいはいろいろな意味で、困難かもわかりませんけれども、総合商社業法というようなものを検討せなければいかぬ時期に来たと思うのですが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#26
○中曽根国務大臣 総合商社というものを見ますと、私は三つの点で非常に顕著な力を持っておると思います。一つは資金力、もう一つは人材と頭脳、もう一つは情報網、これだけの人材と頭脳を持ち、情報を握り、そして金を持っておってあばれ出したら、とてもこれは中小企業や何かでは太刀打ちできないし、国家も飛ばっちりを受けるということがあり得ると思います。したがって、そういう力を持っているものは、それだけに社会的責任を持って自粛した行動をとってもらわなければならぬのは、資本主義社会においてはあたりまえのことであります。しかし、それを法的にどの程度規制し得るかということは、これは角をためて牛を殺してもいけませんし、社会へ飛ばっちりを受けて一般大衆に迷惑を及ぼすというような点については、われわれはこの点について、いろいろ抑制し、あるいは規制する必要があると思いますけれども、そのために牛まで殺してはいかぬ、そういう要素もまたあるわけです。
 現在、非常に悪いところが目に見えておりますから、いろいろ排斥、非難されますけれども、日本経済をささえてきた一つの力の中に、この総合商社の力があったこともまた否定できません。これは外国が日本株式会社とは言っていますけれども、日本株式会社で力が伸びてきた背景には、やはり総合商社というものの力がかなりあったのではないか、そうも私は思います。したがいまして、この力を正しく伸ばしていくというためにどうしたらいいかという点について、あまり法的規制するということについては私は限度があると思います。第一なかなかつかみにくい。そこでやはり商社活動を調査し、あるいは立ち入り検査をし、帳簿検査をし、あるいはそれに対して勧告を行なって改善命令を出すとか、その程度がいいんではないか。その程度をやって、あとは、税法の問題が出てくれば国税庁が課税するでしょうし、あるいは法的規制を逸脱した場合にはそれぞれの法規が国家にはございますけれども、一番大事なことはその実態を把握するということが大事であって、その程度のことで当分の間はいいのではないか、そう私は思います。
#27
○玉置分科員 私も、にわかに立法措置ということはいろいろな点で困難だと思いますが、少なくとも今度の行動に関しまして世間の非難が非常に集中しておるという実態にかんがみまして、通産省当局としても、これらと懇談し、招致し、いろいろな意見をあれすることによって、将来こうしたことのないような指導を十分にひとつやっていただきたいし、あの勢いで海外に進出すれば、それはなるほど、きょうまでの日本の輸出の花形で、そういう意味では国に一番貢献のあったところかもわかりませんけれども、あの猛烈な勢いでやられたのでは、海外からの非難が集中することも当然だと思いますし、こういう面についても十分のひとつ御配慮をいただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
#28
○中曽根国務大臣 海外関係につきましては、これまたタイその他でいろいろ学生運動等もありまして、商社活動やあるいは企業活動を自粛してもらわなければならぬということも、またお説のとおりでございます。それらにつきましては、いま通産省において、大慈彌前次官・顧問を中心にいま検討してもらっておりまして、いろいろ調整を講じておるところでございます。
#29
○玉置分科員 そこで、今度の円フロート、並びにそれは切り上げに通ずるわけでありますが、変動相場制への移行に伴いまして、国内の鉱山と製錬所は壊滅的な打撃を受けたというのは、これは通説であります。こういう点を先般の商品投機等と関連して考えますと、やはり一定の備蓄というもの、あるいは国内の産出というものが絶対に必要だということを非常に痛感されました。私たちも、各商品について資本主義の弊害をどこかでためていくというためには、国内に一定の原料の産出を確保せなければいかぬし、海外にほとんど依存しておる物質では備蓄が要るということを痛切に感じさせられたわけでありますが、こういう意味におきまして、国内鉱山並びに製錬所に対して、将来円の切り上げが当然見込まれるわけでありますが、どういうように対処しようとしておいでになるか。ことばをかえて言えば、国内鉱山の位置づけというものを将来ともどういうようにお考えになっておるか、基本的態度を大臣から御説明いただきたい。
#30
○中曽根国務大臣 通貨調整によりまして、非鉄を中心にする国内鉱業がかなりな苦難に直面しているということを私たちも十分承知し、これに対する万全の対策を講じていかなければならぬと思います。長い目で見ますと、日本の鉱業が海外に進出するということも十分考えられ、いま行なわれているところでございますが、その技術はやはり国内で蓄積し得たものであって、国内的基盤がないところに海外進出ということも、なかなか技術的にも資金的にもできないところでございます。そういう面から見ましても、国内鉱業を力を持たしておくということは大事なことでございまして、そういう基本方針に沿ってこの円調整等に関する処置を講じていきたいと思っています。具体的には局長より答弁を申し上げます。
#31
○外山政府委員 通貨調整に伴いまして、非鉄金属鉱業が受ける影響というのは、いま基本的には大臣がお述べになったとおりでございますし、それから今後の対策につきましても、その線で御指示を受けながらこれからさらに問題を突き詰めてまいりたい、こう考えているわけでございます。
 ただ、影響の内容を具体的に申しますと、一つは海外投資をしたものについての差損問題がございましょう。それから一つは、国内で製錬する場合に、製錬費がドル建てに計算されているということからくるスメルターへの影響もございましょう。それからもう一つは、国内鉱山がそれだけコスト面での海外との比較で影響を受けるという面もございましょう。いずれにしましても、そういった点をとらえまして、具体的な対策を今後考えていかなければならないと思っています。また将来に備えて、たとえば海外投資につきましても安心してできるようなことも含めて、われわれとしては考えていかなければいけない、こう考えている次第でございます。
#32
○玉置分科員 そこで、政府当局にお伺いしたいのですが、まず具体的に、現行の探鉱費の補助金制度ではどうしてもやっていけないことは、これは事実だと思います。そこで、大手といいましても、いまほとんど分散しつつありますので、ごく少数しか残らぬと思いますので、鉱山全般としてこの探鉱費の補助金制度を大幅に思い切って上げなければやっていけない、かように存じますが、これに対する所見を承りたいと思います。
#33
○外山政府委員 基本的には先生が御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、いまの予算の中にも、国内鉱山に対する助成策の拡充強化をお願いしておりますが、今回の情勢にかんがみまして、さらに現行の探鉱費補助金制度を拡充強化していく必要があるのではないだろうか。たとえば補助率の上でもその点をはっきりと打ち出す必要がいずれ出てくるのではないだろうかということで、現在勉強しているところでございます。
 それからさらに、新しい意味での探鉱助成策、ことに中小鉱山に対するそういった配慮が今後必要になってくるのではないだろうか。そういった方向で現在打ち出しております探鉱費助成制度をさらに拡充強化することを、各方面にわたっていま検討しておるところでございます。
#34
○玉置分科員 同じことでありますが、鉱量確認のための探鉱については、どういうようにお考えになっていますか。
#35
○外山政府委員 御指摘のように、鉱量確認のための探鉱という点は、従来の探鉱費補助金制度の対象としては考えられていなかったわけでございます。しかし私どもといたしましては、ただいま申しましたような拡充強化の中で、こういったことについての補助の制度をあらためて打ち出したいというふうなことも、検討の対象に考えているわけでございます。
#36
○玉置分科員 なお、国内鉱山の開発のための探鉱開発そのものを強化拡充する方策は韓考えになっておりますか。
#37
○外山政府委員 これは御承知のように、すでに精密調査、広域調査等によりまして、だいぶ前から第一期の長期計画をやってまいりましたが、今回、第二期の長期計画をお願いいたしまして、これを予算に乗せているわけでございます。この辺につきましても、補助率についてさらにこれを強化する必要がありはしないか、私どもとしてはこう考えている次第でございます。
#38
○玉置分科員 今次の変動相場制移行に伴う国内鉱山の稼行の非常にむずかしいことを考慮して、それぞれ援助、助成等の措置をいま練っておる、こういう話でありますが、当然その際は、補正予算等々も将来考えざるを得ないことになるわけでありますけれども、そのように理解してよろしいかどうか、大臣から所信をひとつ。
#39
○中曽根国務大臣 目下のところその必要はないと思いますが、将来いろいろな事態の変化によっては考慮することもあるべし、そういうことでございます。
#40
○玉置分科員 金鉱山は、特に金の輸入の自由化によりまして、大きく様相が変わってまいりますが、どのように受けとめられ、そして国内のせっかくの金の産出を持続し維持していくためには、どういうような手を打とうとお考えになっておるか、お伺いしたい。
#41
○外山政府委員 金は、長いこときわめて厳格な管理のもとに、大蔵省並びに通産省で実際の輸入並びに流通指導をしてまいったわけでございますが、御指摘のように、諸般の情勢から見て、金の輸入の自由化をするという方向が出てまいりました。それに対しまして、国内の金鉱山への影響という点が一番心配されたわけでございます。現在、それにつきまして、私どもといたしましては、自由化の方向はそのまま是認したいが、同時に、国内の対策もそれにバランスをとりて考えなければならないということで、二つの予算要求をお願いしているわけでございます。
 一つは、鉱山の探鉱助成でございまして、これにつきましては、引き続き、国内に金資源がある限り、これを掘ることについての助成ということは、従来より以上に手厚くやってまいりたい、こう考えております。
 それからもう一つは、長いこと一定の価格で払い下げをすることによりまして、国際相場との遮断をしてまいったわけでございます。今後は国際相場の影響がじかに来るわけでございますので、国内金鉱山のコストをある程度それに応じて補償しなければなるまい、こう考えているわけでございます。現在は、御承知のように、最近、金の相場が国際的に非常に上がっております。したがってそういう心配はございませんが、かりに自由化した場合に、国際相場の下がったままで日本に入ってくるということになりますと、国内金鉱山はやっていけないということになりますので、そのときは価格差補給に近い制度をとりまして、国内金鉱山が安心して採掘できるようにしたい、こういうことで現在予算の中にその点を御要求申し上げているところでございます。
#42
○玉置分科員 それと関連いたしまして、非鉄金属に対する関税問題でございますが、円の切り上げによりまして甚大な影響を受ける国内鉱山を保護するためには、どうしても現行の関税率を将来とも維持存続することが必要であり、しかも将来は、海外の探鉱だけじゃなくて、現地で精練をしてくる場合が増大するんじゃないか。これは当然のことだと思いますが、地金の輸入が増大することにつきまして、ときによりまして緊急関税を適用するような必要があると思いますが、この二点についての政府の見解をお示しいただきたいと思います。
#43
○外山政府委員 国内鉱山を保護するための現行関税率につきましては、その維持存続をはかるということで、現在、関税のほうは関税定率法のほうでお願いをしているわけであります。この点は、すべての物資につきまして関税率を一律に下げようという動きが強いわけでございますし、またそれはそれなりの妥当な政策でございますが、個々の非鉄金属の地金につきましてはその例外をお願いし、それを現在もそういうことでお願いをしている最中でございまして、御指摘のように、私どもとしては維持存続をはかりたい、こういうように考えているわけであります。
 かりに輸入が増大する場合に緊急関税を適用したらどうか、こういうことでございますが、いまのところまだそういった動きにはございません。しかし、かりにそういった場合には緊急関税という制度は、そういう場合の用意された制度だと思います。したがいまして、よく関係当局とも御相談する機会を得たい、こう考える次第でございます。
#44
○玉置分科員 なお、国内鉱山が、事節柄、非常に経営的に圧迫を受けております問題に、鉱害の処理問題がございます。鉱山の鉱害処理につきまして、企業として当然責任を負うべきはもちろんでございますけれども、御案内のとおり、休止しました鉱山あるいは閉山しました山が相当数ございます。これについては、当然国が責任をもって地域住民に御迷惑のかからないように処理されると思うのでありますが、特に戦時中の緊急増産法によりまして相当なズリが各地にございます。それから発生いたします鉱害が、付近の田畑等々にまで及んでおる事例が少なくないと思うのですが、こういう問題につきまして、事業場が当然にその責任を負うべきはもちろんでございましょうけれども、それに耐え得られない分野につきましては、地域住民に絶対御迷惑はかけないように、国も手をかさなければならないと思うのですが、こういう問題にどのようにして付近住民に迷惑をかけないように国が対処しようと思っておるか。これについての政府の所見を承りたいと思います。
#45
○青木政府委員 休廃止鉱山の鉱害問題につきましては、昨年来非常に大きな問題になっておりますが、一口に休廃止鉱山と申しましても二つございまして、一つは鉱害防止工事をいたします義務者の不存在な場合、または、おりましても無資力な場合がございます。これにつきましては、昭和四十六年度より国が三分の二の補助金を出しまして、府県にその防止工事をしてもらうという制度を運用してまいっている次第でございます。これにつきましては、四十八年度におきまして、予算を七億円という昨年の三倍程度にふやしまして、事業量をふやしますと同時に、今国会に法案を提出いたしまして、従来の金属鉱物探鉱促進事業団を金属鉱業事業団というふうに改組いたしまして、こういう府県の工事に対しまして、事前の調査をするとか技術指導するとかいうような機能を営ましめるように措置することで、今国会に法案を提出しております。
 それから休廃止鉱山でも、鉱業権者がおりまして鉱害防止工事をする能力がある鉱山がございますが、こういう鉱山の鉱害につきましては、同じく金属鉱業事業団によりまして長期低利の融資をいたしまして、その工事を計画的に処理するという方向で、同じく法案を用意して今国会に提出しております。
#46
○玉置分科員 鉱山、精錬所というようなものの性格が、一般の陸の工場、事業場に比べまして非常に鉱害防止が困難な部面が多いと思います。いわゆる負担能力の少ない場合が多いと思いますが、そういう問題につきましては、どのようにお考えになっておりますか。
#47
○青木政府委員 鉱山、精錬所の鉱害の特色と申しますのは、普通の工場の公害と違いまして、事業が終業した後に鉱害発生源が残るという点がございまして、この点で、事業を営んでおります鉱山業あるいは精錬業について、非常に大きな負担となるわけでございます。したがいまして、その鉱害につきましては、一般の公害と切り離しまして、金属鉱業事業団におきまして、ほかの産業に対するよりはるかに手厚い長期低利の融資をいたします。それから、長期低利の融資の裏になります一般市中の借り入れも必要になりますが、それに対しましても、事業団が保証をするというような措置をとりまして、一般の公害に比しまして非常に手厚い融資を行なうということを措置するつもりでございます。
#48
○玉置分科員 いずれにいたしましても、海外に資源を求めることもまた逆に多くなると思いますが、いままで成功払いの形が石油資源以外にはとられておりません。けれども、現在まで出ておいでになりますのは、大体探鉱のほとんどできておるようなところが多うございますが、今後は、資源の戦争とまでいわれる今日、なかなかそう簡単にはつかみにくいし、また、新しく初めから探鉱をするような形のところでないとメリットも少ないと思うのですが、こういう点を考えまして、どうしても将来、石油と同じように成功払いの形が必要だと思うのですが、どのようにお考えになっておりますか。
#49
○外山政府委員 御指摘のように、成功払い制度は、現在、石油開発とウラニウムの鉱石の開発に適用されておりますが、非鉄金属資源にはまだでございます。それで、御指摘のような問題意識を私どもも持っておりまして、実はいろいろ昨年度も検討をいたしまして、関係当局との話し合いもしたわけでございますが、それの実現の運びまでには十分まだ至りませんで現在に至っているわけでございます。私どもとしましても、今後引き続きいまの御趣旨を頭に入れまして検討してまいりたい。できれば成功払い制度を限定した形でもいいからスタートしたい、こういう考え方を基本には持っておるわけでございます。なお関係当局とも十分御相談したい、こういうふうに考えております。
#50
○玉置分科員 最後に大臣並びに当局にお伺いしたいのは、このようにして、円の将来の切り上げに対処しまして、非常に危機におちいっている国内鉱山、しかも将来とも、海外にたよりますけれども、安定的供給のためにはどうしても必要であるという国内鉱山、こういうものに対して、いろいろな措置をもってその事業の継続をおはかりいただくわけでありますけれども、そこに従事しておる労働者諸君が安心して将来ともその企業に従事するについては、事業主もよほど腹を据えてこれにかかっていただかなければ、政府は一生懸命に助成するわ、それぞれ分散して逃げ場をこしらえておるのかと思うほど、不安な形にも見えぬこともないわけでありますこういうものを、国家的な責任、社会的責任を負うて、将来とも優秀な鉱山については、事業を守り通していくんだという事業意欲、これをどのようにして喚起していくか。そうして労務者諸君が安心してその日の仕事についていけるようにしておゆきになるか。この点についてひとつ大臣の決意と当局からの所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#51
○中曽根国務大臣 やはり企業経営の見通しをつけてやるということは、非常に大事なことであります。見通しにつきましては、いま言った水ぎわにおけるいろいろな措置並びにいろいろ内面的な融資、そのほかにおける助成政策、そういうようなことが必要であろうかと思います。
#52
○外山政府委員 国内鉱山の一定量の活用を積極的にはかっていきたいということを、先ほども大臣がおっしゃっておられますように、基本的な態度として明確に持しながら、いろいろな助成策の強化によりまして、国内鉱山の中身がよければ必ず残れるというふうな環境をつくるように、私どもとしてもこれから努力をしてまいりたい、こう考える次第でございます。
#53
○玉置分科員 終わります。
#54
○細田主査 次に、嶋崎譲君。
#55
○嶋崎分科員 最近、火電の建設並びに火電公害をめぐって、たいへんなエネルギー需要の切迫のもとでも、事態がなかなか進行しないという問題が多々あるようでありますが、通産省がこの火電建設を許認可するにあたりまして、火電に伴う公害にどのような姿勢で対処されようとしておられるかについて二、三質問をしたいというふうに思います。
 最初に、最近、通産省で出されている文書の中にこのようなことを言っておられます。「四日市判決は、法令による基準をみたしているだけでは免責されるものでなく、可能な限りの手段で予見される被害の防止に努めるべきである。」四日市判決の考え方を前提にして、被害の予見可能性というものを考えて防止につとめるべきである。そしてさらに、「環境保全の社会的な要請も、人の生命、身体に危険のあることを知りうる汚染物質の排出について世界最高の技術と知識を動員して防止措置を講ずべきであるという考え方にたって、可能な限りこれを先取りしていくような発想の転換が必要となってきている。」四日市判決の中でも言っておるように、大気汚染防止法や水質汚濁防止法などで規定された汚染物質の排出について、世界最高の技術と知識を動員して防止措置をとる、そういう考え方で発想の転換が必要となってきている、こういう電気事業の現状に対する認識を持っておられるように思いますが、この点について、まず大臣の御確認をいただきたいというふうに思います。
#56
○中曽根国務大臣 公害防除問題というものは国民的課題でございまして、その国民的課題を達成するためには、単に法令できめられた基準に満足することなく、さらによりよき国土、よりよき環境をつくっていくために、持続的に前へ前へと向かって今後も努力していく問題であると思います。
#57
○嶋崎分科員 そこで、いまや公害防止の具体策というのは、硫黄酸化物対策と窒素酸化物対策と温排水対策にしぼられてきておるかのようでありますが、硫黄酸化物の対策としては、公害防止の行政上の目標値として、国の環境基準や排出基準、またそれを下回るような地方自治体の基準などにあわせて、燃料の低硫黄化の問題や排煙脱硫装置の技術開発が比較的進んでいるし、この点についてはあとで時間があればお聞きいたしますが、最初に窒素酸化物にかかわる環境基準について環境庁にお尋ねしたいと思います。
 この窒素酸化物について、環境庁の中公審ですか、昨年の六月に中間報告をしておる。その後、小委員会でたびたび討議が続けられているやに聞いておりますが、この中間報告の中での窒素酸化物というものの予想される有毒性及び人体への影響、これについてお尋ねをしたいのが一つ。さらに環境基準の行政上の目標の確立の見通しについて簡潔に御説明を願いたいと思います。
#58
○細田主査 環境庁をいま呼んでおりますが、ほかにはちょっと移れませんか。
#59
○嶋崎分科員 環境庁に伺って、前提がほしいのですが、それならば、硫黄酸化物に関連して脱硫装置の問題について、これはあとにしたかったのですけれども、通産省のほうに伺います。
 脱硫装置の技術開発は、現状のもとでは、かなりいろいろなタイプの新しい形の技術の開発が行なわれまして、脱硫率もかなり高いし、進んでいると思うのですけれども、かりに出力五十万キロワット相当のフルパワーの脱硫装置というものの開発は可能なのか。また実用化はいつごろできて、それの技術上に問題があるのかないのか、その効果について御説明願いたいと思います。
#60
○井上政府委員 五十万キロワット・フルスケールの発電装置の件でございますが、現在計画されておりますもので一番大きいものは三十七万五千、中部電力の三田尾鷲工場の計画のものがございます。それから、それ以外につきましては、二十五万程度のものが計画としてはございますが、実用化には至っておりません。ただ、脱硫装置の性格といたしまして、スケールアップがわりに簡単と申しますか、吸収塔をふやしていく、何回か脱硫を繰り返せばよろしいということで、五十万キロワットの脱硫装置の点につきましても、大体うまくいくのではないかというふうに考えられております。
#61
○嶋崎分科員 そうしますと、現在のところ、たとえば鹿島の十五万キロワット相当のものですとか、そういうものがあるのですけれども、量的な拡大といいますか、装置を大きくしていくのですけれども、出力五十万キロワット相当で、しかもフルパワーの脱硫装置というものはこれからどうなるかはっきりしないといいますか、不確定要素がかなりあると判断できますでしょうか。たとえば事故のような問題とか、そういう想定をしてみたときに、通産省のほうでは自信を持ってできますか。
#62
○井上政府委員 先ほど申し上げましたように、三十七万五千のものにつきましては、実際もう設計いたしまして実施段階に入っております。それから五十万と申しましても、最悪の場合は二十五万のものを二つつくるというような問題もございまして、現在のところは五十万を実現していきたい、こういうことで研究いたしておるわけでございますが、五十万キロワットのフルスケールのものをつくることはいずれにしても可能である、こういうふうに考えております。
#63
○嶋崎分科員 環境庁の方まだ見えませんか。
#64
○細田主査 もうすぐ参りますけれども、まだです。
#65
○嶋崎分科員 昨日の新聞で、中公審の環境被害状況の調査が報道されているようですけれども、これによりますと、昭和五十五年の環境破壊の状況についての調査報告が出ておりますけれども、昭和五十五年ごろには、いまのような状態のままで、公害防止対策というものをこのままにして開発や工場分散を安易に進めると、全国総汚染を招きかねないような状況にあるというようにいっておりますけれども、こういういわば環境自身全体として汚染が進んでいく――片一方では確かに硫黄酸化物について脱硫装置の技術開発を進めながら、これに対する対応が行なわれていても、全体として見ると、大気汚染という公害問題はそうたやすく状況に対応できない問題がありはしないかと思うのです。たとえば、電調審にいろいろな火電の設置が申請された場合に、電調審のほうで、そういう全体の環境の汚染の進行度といいますかそういうものの状況と、それから実際に設置される計画に伴って汚染されるものと全体を総合して、科学的な判断とでも言いましょうか、科学的なデータに基づいて許認可に当たって判断をしていくというようなことは、いままではどういうふうに考えてきたでしょうか。
#66
○大石説明員 電調審を開設するにつきましては、その下部機構といたしまして、各省の幹事会、連絡協議会というのがございまして、その各省の事務レベルの段階におきまして、それぞれ関係する省庁がデータを持ち寄りまして、そこで議論をいたします。そして必要な調整をして、問題がないという結論に達しましてから、それを上に持ち上げていく、そういう形をとっておるわけでございます。
#67
○嶋崎分科員 そうしますと、たとえばここでいま中公審がいっておるような、昭和五十五年なら五十五年の全体の環境破壊状況とでも言いましようかそういうようなものを一方で考えながら、そして申請されたいろいろな技術について、全体を科学的に判断するというようなことはやっていないのですか。
#68
○大石説明員 五十五年の汚染の状況がどうなるかということは、非常に不確定要素が多い問題を、ある一定の前提を置いて計算したことになるだろうと思います。したがって、そのようなことにつきまして、非常に精密な全国的な計算がまだできておるわけではございませんから、そういう意味では不十分かもわかりませんけれども、現在の段階で集まり得る資料をもとにいたしまして、少なくとも事務局の段階では最善のデータを持ち寄りまして、一応問題がないであろうという結論に達してから基本計画の中に組み入れることになるわけでございます。実際に発電所をつくる場合には、安全の面につきましてまた別の見地からの審査が行なわれて、許認可が行なわれる、こういう形になっておるわけでございます。
#69
○嶋崎分科員 この議論で時間をとるわけにまいりませんので、あとで最後にと思っていたのですけれども……。私の言っているのは、全体の総合的な科学的な調査の結果というものを、現在までの環境破壊の進行度合いについても一定程度予測を立てながら、現に中公審自身がこういうものについての予測をいま発表し、調査が終わっている段階でしょう。そうすれば、昭和五十一年とか先で火電が稼働し始めていくときの状況の変化というものについて一定の予測を持ちながら、最初に述べました予測可能性というものを頭に置いて公害対策をやっていくんだとすれば、そういう意味での科学的な調査について今後努カしていくということについてはどうでしょう。
#70
○大石説明員 公害の防止ということにつきましては、今後の経済運営の中の前提といいますか、一番大事な項目である、かように考えております。したがって、いま先生の言われた御意見につきましては、基本的には全く同感でございますので、今後いろいろな点につきまして、御趣旨のような点が十分反映するように、行政的な諸段階において努力してまいりたいと考えております。
#71
○嶋崎分科員 では、確認しますけれども、そういう環境破壊の全体の方向と、それから実際に稼働していった場合とを含めながら、そういう意味での科学的な問題について一定の判断をしてチェックをかけていく、そういうことをやっていただくということですね。
#72
○大石説明員 私、環境のほうの専門家でございませんので、非常に的確な御返事ができるか、ちょっと自信はございませんけれども、考え方の方向としてはそのようなことであるかと思うのです。ただ、いま言われたようなことをほんとうにするためには、環境基準、排出基準、そういったものの立て方自体の技術的な問題としていろいろ問題があるかと思います。しかし、それは今後関係者が集まりましていろいろ知恵をしぼることになるかと思いますけれども、趣旨としては全くそのようなものであると私も考えております。
#73
○嶋崎分科員 途中、何か中断して、論理がくずれているところもありますから、たいへんおそれ入りますが、少し時間が延びてもよろしくお願いいたします。
 もとに返りましてNoxの問題についてですけれども、環境庁では、昨年の中公審では、六月ごろ専門委員会の中間報告が行なわれて、その後小委員会が開かれて討議が続けられたと聞いております。時間がありませんから、こっちから申しますが、その委員会の報告中の、Noxの予想される有害性及び人体への影響というものについての内容、同時に環境基準の行政上の目標の確定の見通しについて簡潔にお答え願いたい。
#74
○山形(操)政府委員 お答えいたします。
 窒素酸化物の環境基準は、目下作業の詰めに入っておる段階でございますが、先生御指摘の人体への影響問題等につきましては、正直いってわが国ではまだたくさんデータを持っておりません。したがって、従来、ばい煙影響調査という疫学調査を主にしておりましたものと、それから実験動物を使っての基礎的なデータ、この二つを勘案して、一応理想的な数値を専門委員会の先生が出してくださったわけでございます。
 この窒素酸化物の慢性的な影響でございますが、この点につきましては、専門委員会の先生方が出しました数字を一応理想的な数字として掲げるという段階でございますので、これをもとに環境基準をつくって、それをいかに望ましい環境基準として維持達成すべきかということを、ポリティカルな面を含めて、いま小委員会で検討していただいております。ただ問題は、何ぶんにもまだ防止技術が開発されておりませんので、達成の方途と達成の期間、これをどう見るかということで、いまいろいろ議論しておる最中でございますが、なるべく近いうちに結論を得たいと考えて努力しておる最中でございます。
#75
○嶋崎分科員 その中間報告ではかなりシビアに環境基準というものを考えているように聞いておりますが、どのくらいですか。
#76
○山形(操)政府委員 数字的には専門委員会の数字を一応理想的なものとして掲げておりますが、現在、過密の工場地帯等々では非常にオーバーしておりますので、これをどういう防止技術で、どういうステップを踏んでやらせるかということで、いろいろ業種的にできるものとできないものがございますし、何十%、何年先に減らすことができるかという論議を詰めておる最中でございますので、私の口からいまどのくらいになるかという数字はちょっと申し上げられない段階でございます。
#77
○嶋崎分科員 私の聞き及んだところでは、諸外国よりもかなり基準がきびしい――日本でのNoxの毒物性に関する研究がかなり進んでいくと思いますけれども、きびしいと聞いているのでございます。〇・〇二PPMくらいが理想的だということを聞いておりますけれども、そうなりますと、いつ環境基準の確定が行なわれるかということが先に問題にあるし、同時にまたそれに向けての技術開発という問題があるとすれば、こういう問題を環境庁の中公審のほうでは詰めていただくことになろうかと思いますけれども、まだまだそういう意味で不確定の要素を一ぱい持った問題だということが現実にはいえるのじゃないかと思います。
 もう一つ環境庁にお尋ねしますが、温排水の問題ですけれども、温排水の環境基準について、わが党の島本議員が北海道の伊達火力に関連して、環境基準の問題の要請があり、政府はそれに回答するということのお答えがあって、環境庁は鋭意その基準をめぐって御努力中だということはお聞きしておりますけれども、この基準の早期の確定ということはたいへん困難であるやに聞いておりますが、簡潔にその点についてお答え願いたいと思います。
#78
○山形(操)政府委員 それは水質保全局長の関係で私ども大気のほうでございますので、ちょっと回答は準備できないと思います。
#79
○細田主査 担当の局長来ておらぬようですがね。水質保全のことも聞くことになっておったのですか。
#80
○嶋崎分科員 そうです。
#81
○細田主査 どうも環境庁と連絡が悪いのか……。環境庁は第一分科会に行っておるそうで、それではその質問はあとにしていただけませんか。
#82
○嶋崎分科員 全体の連絡がくずれてしまうのですが、時間もあれですから、環境庁のほうに、これに関連した専門的な意見を聞きたかったのですけれども……。
 一つの要望としてお聞きしておきますけれども、たとえば現在の温排水の規制基準というものは自然的な条件だとかそういうものがたいへん複雑ですから、そう簡単に全国的にこの環境基準みたいなものをつくっていくことは技術的にいろいろ困難があるのだと思うのですけれども、現在たとえば火電なら火電というものを建設するにあたりまして、たとえば温排水なら温排水という問題について、企業の側だけのデータで現在信頼できるものかどうかという技術的な問題が一つあると思うのです。それで第三者による専門家のそういう温排水に関する調査、そういうものを入れて、そしてこの申請に際して手続をとっていくというようなことを考えられないかどうか、その点についてちょっと通産省から意見を聞きたいと思います。
#83
○井上政府委員 温排水に対する調査の問題でございますが、現在通産省では当省の予算をもちまして、調査船によります温排水の拡散の実態調査であるとか、あるいはそれの連続的な測量というようなものを実施いたしております。これは水温調査会と申します第三者の機関に委託いたしましてそういう調査をやっております。さらに環境庁からの調整費もいただきまして、さらに一そうそれを充実していくわけでございますけれども、来年度におきましてはさらにそれを拡充いたしまして、赤外線航空写真の調査であるとか、模擬水槽による拡散実験だとか、あるいはシュミレーション計算を行ないまして、そういうもののデータを詰めたいということでございまして、予算も大幅増額の要求をいたしております。
#84
○嶋崎分科員 それで、いま出ているたとえば窒素酸化物についての環境基準の早期決定の困難性とでもいいますか、またかなりシビアにきめても、それに関連して技術開発というものがなかなかついていかない。それから最初に質問しました硫黄酸化物なんかの場合も脱硫装置という問題が、今後技術開発が行なわれましてどんどん大型化していくという場合にかなりコストの問題がありますし、それからそこらじゅうの火電でだんだん装置がえをやっていかなければならぬというようなことになってきますと、量産というと大げさですけれども、そういうものが技術開発が実際行なわれても、それに対応できるような企業メカニズムといいますか、そういうものができるかどうか、その点についてどうお考えですか。
#85
○井上政府委員 公害対策でございますが、サルファ対策につきましては排煙脱硫装置だけではなくてあるいは低サルファの燃料というようなものを輸入あるいは手に入れまして対処していく、あるいは将来ガス化脱硫ということを行なっていくというようなことで、非常にいろいろな手段を多様に用いましてその対策を講じてきておるわけでございます。したがいまして排煙脱硫装置がある程度ずっと、今後できてまいります発電所にはこれをつけていくということで原則的には指導していっているわけでございますけれども、そういうものの手当につきましては装置の大きさの問題あるいは低サルファ燃料確保の問題等を加えまして十分にやっていける、こういうふうに考えております。
#86
○嶋崎分科員 最後に、石川県の能登で先般金沢火電が稼働の予定だったものがうまくいかない。そして火電建設に反対する町長が当選して内灘火電が事実上うまく進行しないというような事態が一つ起きています。それで赤住のほうでも原子力の問題で、やはり立地条件の問題でごたついている。二月の初めにこの内灘町長の選挙があったのですけれども、その前の一月二十三日に北陸電力が今度七尾に火電の建設についての計画を発表したという事態が進行しているわけであります。こうなりますと、ちょうどこの内灘で火電問題がごたごたして、そして町長選挙が行なわれている。その直前に今度七尾というかっこうで北陸電力が発表している。片方、今度内灘の火電の問題が、硫黄酸化物の問題、それからまた一連のいままで述べたような三つの問題がそれぞれ住民がたいへん不安な問題ですから、そういう問題でうまくいってないときに、直ちにまたあとを追っかけるように七尾でそういう建設計画が発表されるというような事態があって、七尾の住民たちがたいへん不安な問題をたくさんかかえているのではないかというふうに思うのです。それによりますと、もうずいぶん早く電調審に申請することも同時に発表されているわけですけれども、いまこれだけ電力需要が逼迫しているときに次から次とそういう事態が起きてきている現状に対して通産行政というものはどうあるべきか、そういう事態でいいのかどうか、これについて一言意見を聞きたい。
#87
○井上政府委員 北陸電力の需給バランスでありますけれども、北陸電力が非常に需給バランスが窮屈な地域でございまして、五十一年におきましては八月最大ピークによりますと四十六年に比べて百四十万キロワットくらいの発電所が不足するということになっております。したがいまして現在着工いたしております富山の新港火力と、それからいま先生の御指摘のありました地点、それからさらに今度話が出ております七尾、――七尾の二基と出ておりますが、大体その一号機、これくらいを五十一年に完成することによりまして北陸の需要をまかなえるということでございまして、われわれといたしましては需給を完全にするためにこの辺の着工を推進いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#88
○嶋崎分科員 これで最後ですけれども、いずれにしても、いま電源開発をめぐって公害対策として、最初に述べた三つの問題が、見通しについてもかなり慎重に対処しなければならないという現状ですから、電力事情が逼迫しているだけに、そういうものについて、地元の人たちが納得ができる、ないしはそういうためには電調審のほうで、そういう申請があった場合には一連の環境の問題や何かをシビアに考えていただいて、慎重に取り扱っていただきたいということを要望して、私の質問を終わらしていただきます。
#89
○細田主査 次に、瀬崎博義君。
#90
○瀬崎分科員 中小企業に対する金融政策の問題に関してお尋ねします。
 二月十四日に円の変動相場制に移行したばかりで、円が一六%以上の実質切り上げ状態になっているわけですが、政府が予算の組みかえをはじめ責任ある政策転換を示さないままに、再び外国為替市場を閉鎖させるに至っております。ドル不安に基づく国際通貨危機はさらに長期化するであろうと考えるわけなんですが、これがわが国の中小零細企業の現状と前途にどういう影響を与えると、大臣、お考えになりますか。
#91
○中曽根国務大臣 今回の通貨調整の問題は、日本の中小企業についてはかなり深刻な打撃を与えるものであろうと思って、諸般の対策を講じております。
#92
○瀬崎分科員 かなりとはどういうふうな内容を意味するのですか。
#93
○中曽根国務大臣 この相場のおさまりぐあいにもよりますけれども、いまフロートしている状態、それからアメリカのドルが意外に弱いという現在の情勢等考えてみますと、いままで輸出していたものができなくなる。たとえばクリスマス電球とか、あるいはケミカルシューズであるとかあるいはグラブ、ミットであるとか、そういうようなものが輸出できなくなる。あるいはマグロのかん詰めやその他のかん詰め等にもかなりそういうものが出てくるのではないか、そういうような被害がおそらく出るであろうということを予想しながら、いろいろ対策を講じておるところでございます。
#94
○瀬崎分科員 いま大臣は、通貨調整のおさまりぐあいにもよるがというお話をされたけれども、非常に甘い見方で、この国際通貨危機は当分おさまるような性質のものではないし、いまの政府の対米経済協力の状況のもとでは、かなりというふうな程度の深刻さでは中小企業はおさまらない。特に、輸出関連の中小零細業者が前回の円切り上げに追い打ちをかけられて極端な苦境にあることは、いま大臣が具体的に業種をあげられたし、また、すでに国会でもずいぶん具体的事実が明らかにされておるわけなんですけれども、今回の中小零細企業を取り巻く一般的な新しい特徴として、まず第一に、一昨年の場合は原材料、卸売り物価が円切り上げ後の数カ月間安定を示したわけです。今回は国会でも大問題になるほど大商社の投機、買い占めで値上がりをしている。第二には、そのために仕入れが困難になったり、また仕事そのものはふえなくても金額であらわした売り上げは大きくふくれることになって利益率が極端に低下し、経営に不安定の度を増してくる。三つ目に、こうしたことの反映として、数量単位であらわした生産や販売が横ばいないしは低下傾向にあっても、それに要する運転資金が大幅に増加することになる。四つ目に、一方一昨年は円切り上げ後中小零細業者にたいして恩恵はなかったとはいいましても、緩和傾向に向かっていた金融が、今回は中小零細企業向けにあっては急激に引き締められる方向にある。五つ目は、加えて一昨年ドル・ショックのときの借り入れ金の返済期が重なっている。六つ目には、したがいまして、資金のやりくり上、手形支払いが期日の長期化も含めてふえざるを得ない。つまり企業間信用の膨張を誘って、一度どこかで破綻が起きますと、その影響ははかり知れないほど深刻なものになっていく。七つ目に、大商社の商品投機の激しいことや政府にたよれる確固とした中小企業政策のないことから、中小零細業者はみずからの経営の将来が非常に見通しにくくなっており、方針が立てられない状態にある、つまりその日暮らしという状態、こういうことについて、政府は中小業者の不安にどのようにこたえようとしておるか、具体的に答えてほしいと思うのです。
#95
○莊政府委員 前回のドル・ショック後直ちに緊急対策を講じまして、それから経済の一般的な景気の立ち直りというような状況でのプラス要因がございまして、中小企業全体として四十七年度は生産が五%くらい伸びるというふうなことでございました。輸出のほうは、円ベースでは切り上げがございましたので漸減をいたしておりまするが、全体としては国内需要の伸びというものもございまして、比較的平穏に推移しましたが、今回におきましては、先ほど大臣も申しましたとおりに、二回目の切り上げでもございますし、内外の情勢は中小企業にとって前回よりも深刻なものがあるであろうということが考えられるわけでございます。実情につきましては現在鋭意調査をしておるところでございます。
 そこで、いま御指摘のございましたような中小企業にとってこれが経営を著しく圧迫するというふうなことにならないように、とりあえず今回のフロート後の措置として、金融面の対策でございますとか、通産省、大蔵省一体になりまして、市中金融機関に対しても中小企業向けの貸し出しを円滑に行なうようにという強い指導をいたしております。銀行自体のほうでも中小企業向けの貸し出し残高は減らさない、むしろ増加させるという方針を確認いたしておるわけでございます。それから政府系の三金融機関に対しましても、ショックを受けた中小企業に対しましては政府として第二回目の緊急融資を早急に行なうべく目下準備中でございますが、とりあえずそれまでの問中小三機関から関係の輸出関連企業に対しては融資を弾力的に行なうようにという通牒をいたして、現在資金の量的な面で困難を来たすことのないように鋭意努力をいたしております。それからまた支払い条件の問題等も、これは放置いたしておきますと、御指摘のようなことが起こりかねないのでございます。そこで、中小企業庁、公取一体になりまして、さっそく親企業のほうに下請代金の支払い悪化を来たさないようにという厳重な通達もし、なおこれと並行いたしまして、私どものほうで下請業者についてのその後の下請代金の支払い状況等についての実地の調査ということで、アンケートをいますでに出しまして、近くその結果が逐次判明してまいると思います。こういうことで、とにかくフロートのもとでございますので、先行きの見通しというものはまだ残念ながら的確にわかりませんが、金融面から講じ得る措置を逐次的確に講ずることによりまして、無用な混乱、パニックということが起こらないように鋭意心がけておるつもりでございます。本格的な第二次の緊急対策というべきドル・ショック対策につきましては、先ほど申し上げましたように、現在実施中の調査の結果に基づいて至急に所要の措置を講ずるように、目下準備中でございます。
#96
○瀬崎分科員 いま無用の混乱とかパニックということばを使われて、起こらないようにということなのだけれども、しかし実際中小企業の経営者の心の中は、そういうことをも予想しての非常な不安状態にあるということを、さっき具体的な例で申し上げたのですね。ですから、そういう点では、現在の中小企業者の状態と答弁は非常にズレがあると思うのですけれども、時間も限られておりますし、すでに金融の問題に話が入っておりますから、私のほうも進めます。
 金融対策というのは、決してこれは中小企業対策のすべてではないのですね。これはおわかりだと思うのです。つまり、経営を破綻から守るための、決定的な行き詰まりに到達させないための、緊急でかつ一般的な処方せんにすぎないわけなのですが、それについても、もう少し具体的でなければならぬと思うのです。いろいろ通達を出しているというようなお話ですが、民間金融機関と政府系金融機関の中小企業向け貸し出しの割合はどういうぐあいになっておりますか。
#97
○莊政府委員 商工中金、中小企業金融公庫、国民金融公庫、この三機関で貸し出し残高に占める比率が約一割でございます。残りが市中銀行、地方銀行、相互銀行、信用金庫、信用組合という、いわゆる民間金融機関であります。
#98
○瀬崎分科員 いまの数字は一方で政府のとっている中小企業向け金融対策がきわめて小さいということを数字で示していると同時に、一方から見れば、それだけやはり民間金融機関に中小零細企業向け融資が依存している現状では、こういう民間金融機関に対する政府の対策というものは非常に重要だと言わざるを得ないと思うのですね。ですから、先ほどもいろいろ通達、指導をしているとおっしゃったけれども、具体的にどういう処置になって、それが民間金融機関の貸し出し態度にあらわれているのですか。
#99
○莊政府委員 今回のショック後直ちに、大蔵省のほうから全国銀行協会のほうに対しまして、具体的な要請がなされました。銀行協会としても中小企業向けの貸し付け残高を増加させるようにするという決定がなされておるわけでございます。また前回のときの経験にかんがみまして、輸出の現物手形の買い取りというものを励行をするというようなことも直ちに決定され、実行されております。政府といたしましては別途、為替につきましては先物予約制度というものを去る二十日の閣議で口頭了解いたしまして、直ちに実施を見ておるところでございます。なお先ほどもちょっと御指摘があったところでございまするが、別途金融政策として、現在預金準備率の引き上げというふうなことも行なわれておるわけでございまするけれども、今回の第二次の引き上げに関連いたしましても、相互銀行とかあるいは信用金庫というふうな市中金融機関の中でも中小企業向け金融を専門に扱っておったというものは対象からはずすというふうな、きめこまかい配慮も行なわれておる、こういうことでございます。
#100
○瀬崎分科員 最初に私の申しましたように輸出関連の中小零細企業が極端に危機にあるということは、もちろんみなが認めているところなんだけれども、最近の状況はもう一般的に中小零細企業の先行きが深刻な状態を迎えているということでお話しているのです。そこの前提を忘れないようにしてほしいのです。ここに具体的な一つの例もあるのですけれども、これは私が理事長をしている企業組合、現在の概念では協業組合のような企業組合、これの手形割引の二月のレート、表面金利、地元の有力地方銀行の場合が八%で、逆に信用組合のほうが七・七五%、常識で考えれば力のある銀行がレートを安くしてあたりまえなんですが、逆になってあらわれているのですね。小さい企業になればなるほど末端はこういう状態なんです。だから先ほど言われたように政府が出している通達や指導と末端の実情とはかくも食い違っているのだけれども、こういうことに対しては一体どう処置していくつもりですか。
#101
○莊政府委員 市中銀行からの貸し出しが九割を占めていると申し上げましたが、運転資金の供給が非常に多いわけでございます。主として手形の割引というのが多いわけでございます。政府関係機関は長期の設備資金とか運転資金というふうなものを担当しておる分野が多いわけでございます。そこでいわゆる市中銀行の扱います手形でございますけれども、これは実際の商売でございますから、取引の度合いとかというふうなこともあり、銀行によりまして一つの企業に対しましても実際上はいろいろのレートがあるかと存じます。また信用組合等、非常に従来からの取引関係が濃密であるというふうな場合には、企業の実情に応じまして弾力的に対処するというふうなこともあるやに聞いておりますので、〇・五%の差は確かに御指摘のようにケースとしてあったかと存じますけれども、一がいにこれをもって銀行系統が中小関係の金融を締め始めているというふうなことは直ちにはいえないのではないか。こういう実情は、いろいろ経済のバロメーターと申しますか、こういう数字が的確に示してまいりますので、御指摘のような事項については今後経済情勢の非常に微妙な時期でございますから、大蔵省とも十分連絡をいたしまして、こういう点の実情というものをよく洞察し、必要ならば直ちにまた大蔵省と相談いたしまして、金融の円滑化を阻害されないような施策というものを常時適確にとっていく、こういうことで私ども努力をいたしてまいりたいと思います。
#102
○瀬崎分科員 そういうふうな抽象的な答弁になるだろうというので私は実際に持ってきたのだ。あとでごらんになってください。必要ならばもっと系統的にいままでのものをずっと見せてあげてもいいのです。このほかに御承知と思いますけれども拘束預金というものがある。ただいまでは銀行も拘束通知書などを発行するということで減らしているようですけれども、口約束などによる拘束預金というものが依然として横行しておるわけです。これを減らしますと融資ワクのほうを減らされるというようなことで、現実に融資先を拘束しておる。こういうようなことだから特に銀行関係についてはよほど強力な行政指導がなければ、小零細業者の融資にこたえられるものではないということ。同時に実情調査の場合には銀行の側の調査だけしておったのではだめなので、借りてる側、つまり業者サイドの調査を的確にやらなければだめだということを申し上げて、今度は政府系の融資制度のほうに移りたいと思うのです。
 結局、こういう民間金融機関の貸し出しを幾らかでも中小零細業者の要求に見合ったものにしていこうと思えば、いま全体の一割しか占めていない政府系の金融機関の貸し出し量あるいは制度融資量を思い切ってふやすことしかないと思うのですが、その点のお考えはどうですか。
#103
○莊政府委員 その方向で従来からも努力いたしてきたわけでございますが、四十八年度の三機関に対します財政上の資金手当てにつきましても、十分努力をしておるつもりでございます。また、今回のドル・ショックに伴う緊急の融資は、当然三機関が中心になって行なう。市中金融機関以上に、三機関の果たすべき役割りというものは大きいわけでございますから、前回に引き続きまして、今回も十分の措置を講ずるということでやりたいと考えております。
#104
○瀬崎分科員 私が聞いたところの政府系の三機関の中では、やはり国民金融公庫の貸し出しの伸びが一番多いようですね。結局、不十分な政府の施策の中でも、国民金融公庫が、言うならば最も実績をあげて、また業者一般になじまれているということになるのではないかと思うので、ここの充実と改善がそういう点では一番急務だと私は思うのです。
 そこで、今度新しく小企業経営改善資金を創設されますね。この問商工委員会でわが党の神崎議員が質問していらっしゃるわけなんですが、具体的な借り入れ申し込み手続や審査の基準は一体どうなっていますか。
#105
○莊政府委員 これは今後詳細に検討すべき事項になっておりまして、まだ未定でございます。この制度は四十八年度から新制度として発足いたしますので、現在国会に御提案申し上げております予算、財投計画の中に、それらの所要原資がすべて組み込まれておるということでございますので、今後、具体的な実施方法については、関係方面の意向も十分徴した上で検討をすることにいたしております。
#106
○瀬崎分科員 この制度が新しく創設された目的は何ですか。
#107
○莊政府委員 御指摘ございましたように、政府関係金融機関が中小企業関係金融の中で占めるべき重要性というものが、基本的な認識として一つございます。とりわけ国民金融公庫は、いわゆる中小企業の中でも、たとえば従業員が二十人以下というふうな小規模企業を対象に、生業資金の貸し付けを従来から行なっております。これらの層につきましては、やはり数は多い、しかも経営力という点においても非常に弱体でございますので、市中からの金融がとかく円滑を欠きやすいということで、国民金融公庫というのが非常に重要な役割りをになっておるわけでございますが、その中でもとりわけ、俗に零細と申しておりますような、従業員五人以下、商業、サービスでしたら二人以下というふうな層が、数では非常に多いわけでございます。ここに対しての金融の円滑化を一段と推進するということが、基本的な目的でございます。これらの零細企業に対しましては、従来から政府といたしましても、予算措置を講じまして、経営内容の改善ということをはかりますために指導業務を行なってきておりますが、やはり指導のしっぱなしということではなくて、指導に応じて必要になってくる資金というものの条件を極力ソフトなものにして、経営改善指導が実を結ぶような形にもう一歩前進させたい、こういう考えがございまして、今回国民金融公庫の中に、従来の融資制度に加えまして、お話しのございました小企業経営改善の貸し付けという制度を設けたということでございます。
#108
○瀬崎分科員 先日の商工委員会の長官の神崎議員に対する答弁から、私は伝えられる商工会、商工会議所の推薦ということは必ずしも必要条件ではないというふうに理解しているのですが、そういう理解でいいですか。
#109
○莊政府委員 そうではございませんで、商工委員会で申し上げましたように、経営改善指導というものが従来残念ながら単なる指導の段階でとどまらざるを得なかったという状況にございますが、今回はこの貸し付けというものを指導と結びつけることによって経営改善指導の実をあげるようにしたい、かように考えておるわけでございます。
#110
○瀬崎分科員 すでに地方自治体が無担保、無保証の融資制度をつくっていることは御存じと思うのです。これが大体貸し出し限度百万円から百五十万円、返済期間が二年から三年、商工会の特別の推薦というふうな条件もつけずに実行されておるおりから、国がやるにあたって金額が第一、運転で五十万円、設備で百万円、返済期間が二年。短いです。そして商工会の特別の推薦などということでは、これは決して進んだ内容の制度とは言えないと思うのですが、いまのような特別な条件をとるべきだろうと私は思うのです。どう考えますか、これから細部をきめるとおっしゃるから。
#111
○莊政府委員 各都道府県でも、県の余裕金の預託ということで、お話しのございましたような零細企業向けの金融をいろいろくふうしてやっていただいておるという点は、中小企業庁としてもよく存じておりますし、また零細企業対策として従来から非常に評価している点でございます。
 融資条件について県の制度と今回の制度とを比べてどちらが有利かというふうなお話がございましたが、欲をいえば切りがございませんが、国の制度はスタートしたばかりでございますから、勘資の限度額等も必ずしも十分でないという面もあろうかと存じます。
  〔主査退席、山崎平主査代理着席〕
こういう点については今後も実態をよく見まして、中小企業庁としては前向きに努力をいたしたいと思っておるのでございます。なお、金利の点につきましては、今回は七%ということで考えておりますけれども、現在県でやっておりますのが大体八%台でございますから、金利の面だけは各都道府県の平均の水準よりも一歩進んだ制度として発足できるのじゃないか、かように考えております。
 それで御質問の中に経営改善指導と結びつける必要は必ずしもないではないかという御趣旨があろうかと存じますけれども、私どもはこの制度を非常に重視しておりまして、一般的な国民金融公庫の貸し付けという制度はすでにあるわけでございます。三百万円までの金額でしたら保証人だけ立てればいまでも貸し付けができるという制度が一般的にございますが、さらにそれに加えまして、先ほどからるる申し上げておりますように、零細企業に対する経営改善指導というのも従来から行なってきておりますので、その指導が実際に実を結び得るように、効果をあげますように、従来の金融制度に加えて今回こういう貸し付け制度を設けた、さようにしたわけでございます。いわば経営改善指導の一環と申しますか、そういう意味合いにおいてこれを運用してまいりたい、かように考えております。
#112
○瀬崎分科員 先ほどから長官はドル・ショックだとか中小企業を取り巻く環境が悪くなって、新しくこういう制度を考えた、こう言われたのですよ。決して中小零細業者の経営のしかたが悪いとか、努力が足りないとかいうことは言ってないわけなんですね。また、事実そうなんですよ。だから、要は経営指導とか何とか言われるけれども、幾ら経営指導をしてみたところで、中小企業の置かれている周囲の条件を整えなければ実際にはよくならない。むしろ逆にそういうものが悪いからこういう無担保、無保証人のかけ込み融資的なものが必要になってきているのだから、そういうものを経営指導と結びつけること自身があなたの論理自身に合わないのです。だから今後検討する問題だとおっしゃるから、この点も含めて、そういう条件が必要かどうかということを含めて御検討されるように要望して、時間がないからもう一点だけ。
 いまお話があった普通貸し付けなんですが、業務方法書からいけば最高限度五百万円をたてまえとしては五年間の期限で貸し付けることになっているのでしょう。なぜそれが三百万円と特に支店窓口では制限されているわけですか。
#113
○原山政府委員 お答えいたします。
 国民金融公庫の貸し付けにつきましては、三百万円以下はすべて無担保というふうなことで、これは支店長決裁になっております。ただ三百万円以上五百万円までは有担保であればすべて支店長決裁になっておりますが、無担保の場合には本店稟議ということで迅速な処理をしていきたいというふうなかっこうになっておるところでございます。
#114
○瀬崎分科員 現在政府の無策と大商社の投機などが災いして、特に原材料や卸売り物価が二倍、三倍に上がっているから運転資金はそれだけでも二倍、三倍になっているわけなんだけれども、依然としてそれに見合った貸し出しに限度も引き上げられていないでしょう。ですから、特別手をつけなくてもその業務方法書の範囲内で五百万までできるものなら、少なくともこれくらい直ちに実施するのがさっきの大臣の積極的に施策を講ずるという内容になるのじゃないか。これは特別な手を必要としないわけでしょう。そういうふうな点で全然考慮されていない点で、まさに政府はそういう意味ではやれることもやっていない、こういうふうに私は断定せざるを得ぬと思うのです。本店稟議とおっしゃるけれども、本店稟議に回したら、私は実際経験があるから言うのだけれども、一カ月以上かかりますよ。しかも、三百万円未満だったらすべて無担保とおっしゃったけれども、三百万円未満でも徴求があったり、あるいは信用保証協会の保証を要求したりしているわけなんです。ですから、こういう点についてはひとつほんとうに、今日の中小零細業者の事態を直視しているというのなら、直ちに改善すべきだと思うのですが、どうですか。
#115
○莊政府委員 本店稟議の問題は、やはり国民公庫としては相当多額のものを保証人だけで貸すという制度になりますので、やむを得ないかと存じますが、お話のございました三百万、五百万というふうな金額の限度それ自体、経済の伸びに応じて窮屈になってきておるということは私も事実だと思います。これをそれぞれ上に引き上げるように私どもいま財政当局と事務的な折衝を続けておりますので、その結果を待って上に引き上げ、御指摘のような問題を実際上解消させたいという努力をいたしたいと思います。
#116
○瀬崎分科員 これでほんとうに最後です。
 一つは商工中金も中小企業庁で予算をとってやっているわけなんですが、これが一般の民間金融機関と非常によく似た性格を持ってきているし、貸し出しのしかたもそういうペースになっているのです。これについても政府系という限りにおいては改善を加えなければならないと思うし、新しい事態に即応する必要があると思う。同時に、中小企業信用保険公庫の出資額が昨年度と今年度全く同額ですね、予算面は。昨年の秋ごろ一時期落ち込んでおったということが理由らしいけれども、ことしに入ってからまたふえてきているはずですし、おそらく今度の国際通貨危機の長期化の様相から急激にふえてくると思うので、こういう点についてひとつ予算の増額などの措置をとらなければならないと思うのだけれども、その点についてはいかがですか。
#117
○莊政府委員 商工中金は、いまお話がございましたように、いわゆる半官半民の機関であるというふうにいわれておりますが、貸し出し所要原資の構成を見ますと、いわゆる割引債という形で市中に債券を売り出しまして調達しておるという部分が大部分でございます。もちろん政府からも二百億超の出資がありますし、債券も一部は財投で引き受けておりますというようなことがございまして、特別の法律に基づいて国が監督をしておるという機関でございます。そこで、商中につきましては、来年度予算につきましても実は二十億の出資をふやすということで予算要求もいたしておりますし、商中の運営につきましては、これは重要な組合金融でございますから、今後もこの運営が円滑にいきますように中小企業庁としても十分努力いたします。
 御質問のございました中小企業信用保険公庫でございますが、昨年度は保険の伸びというのがあまりなかったわけでございます。はっきり申しますと、四十六年度の水準を若干下回るということで推移いたしました。これは金融が超緩慢という異常な事態がしばらくあったものでございますから、保険なしで相当市中からの中小企業への貸し付けが促進されたということの反映かと思いますが、金融情勢というものが徐々に変わりつつあるということもございますので、来年度は、保険公庫は、一回の落ち込みがございましたけれども、その落ち込んだところからまた相当な伸びがあるだろうということを考えておりまして、来年度予算でも全体で二百億の出資ということを予算案の中へ組み込んで御提案を申し上げておるところでございます。
#118
○瀬崎分科員 時間が来ているので恐縮なんだけれども、数字が合っていないから聞くのですが、百五十億ではないのですか、そんなでたらめなことを長官答えてもらって平気でおられたら困るのです。それが全然ふえていないから問題だ。いまここで予算を増額しなければ、十分今後の事態に備えられないのではないか、こう質問しているんですよ。
#119
○原山政府委員 中小保険公庫の出資額は保険準備基金、それから融資基金と合わせまして百五十億の要求をさせていただいております。なお、今度のドル・ショック関係で保険の機能に非常にウエートがかかってくるというふうなことがあれば、別途いろいろ検討させていただきたいというふうに思います。
#120
○瀬崎分科員 以上で終わります。
#121
○山崎(平)主査代理 次に、谷口善太郎君。
#122
○谷口分科員 大臣、生糸の問題なんです。生糸の問題は、これは農林省が所管なんですが、通産大臣はお相手をいただくつもりできょう出ましたのは、この問題を私ども問題にしておりますゆえんのものは、総合商社によっての買い占めで生糸の価格がもう非常な暴騰をしている。また品不足になって、生産業者には大きな打撃を与えているという状況を問題にしたがったのできょう選んだわけであります。本論に入る前に、最初に一、二点、簡単なことを伺いますが、これは農林省に伺います。
 いま御出席願った方を見ると、ちょっとむずかしいかもしれませんけれども、例の商品市場で上場品目としての二十一中、これが生糸の年産消費量の大体三〇%に相当する品目らしいが、これだけが商品市場でいわば投機の対象にされるということになっておるので、業界にとって生糸の変動がはなはだしくなるということで、業界がさらにこれに二十七中を加えて、生糸消費量の大体六〇%が上場できるようになれば――それで少しでも大商社の投機の範囲が広がりますから、生糸の変動をもう少し押えることができるのじゃないかということで、十年ほど前から業界が農林省に非常に強力な要求をしているわけですね。これは、いまだに農林省がその回答を出してない。これについてどういう考えを持っておられるか、どういうふうになっているかお伺いします。
#123
○伊藤(俊)政府委員 これは正確に申し上げますと食品流通局の所管でございます。農蚕園芸局の直接の所管ではございませんけれども、従来私どもの持っております考え方につきまして御説明申し上げたいと思います。
 生糸の取引市場におきます売買取引の標準品は、二十一中の2A価格でございまして、受け渡し供用品は二十一中の3A、4Aと、二十一中の生糸が対象になっおるわけでございます。供用品の拡大につきましては、主として生糸の需要者側から、二十七中の生糸の生産流通が増大している、ただいま先生御指摘のようなこと、それから取引所における異常高騰防止策としても必要であるということを理由に、二十七中の生糸供用品として追加すべきであるという意見が、かなり前から強く出されておるわけでございます。
 一方、二十七中の生糸の供用につきましては、ほとんどが注文生産であるということがございます。それからまた、二十一中との格差の変動が激しいというようなことがございます。それからまた、消費地が特定の地域に限られているというようなことがございまして、これは主として製糸でございますが、そういった方面からの反対の意見が強うございます。取引所といたしましても、神戸のほうは強くこれを推進したいという考え方もございますが、横浜のほうでは、若干消極的であるというような意見がございまして、統一されておらなかったわけでございます。農林省といたしましても、ただいま御指摘のように、できるだけ供用範囲を広げたほうがいいのではないかという御意見もわかりますものですから、関係業界の意見の調整を従来はかってきたわけでございますけれども、私どもとしては、できるだけ前向きに考えたいと思っておりますが、関係業者との方々のコンセンサスを得ましてこれを実施するという方向で考えたいというように思っておるわけであります。
#124
○谷口分科員 そこのところですね。これは業界、特に私は京都で、西陣を代表して、少し話がくさくなりますけれども、生糸の消費量が、京都の西陣と丹後で全国の六〇%近くを占めている。ここでどうしても二十七中を入れて供用品を拡大してもらいたい。生糸の値段の変動というのは直ちに企業に影響するということで十年ほど前から要求している。農林省の回答は同じことなんです。その結論は出ない。ここにきて今日のような状況になりますと、こういうことをやっただけじゃ、とても大商社の買い占めで困難な状況にあるものを解決できない、非常に力が弱いと思いますけれども、こういうことすら農林省はやらない。きょうは、あなたおっしゃったとおりに園芸局長ですね、だからほんとうはこの問題は大臣とやったほうがいいと思ったのですが、おいでになっていない。岩野さんは商業課長ですか、皆さんからここで具体的な答弁を引き出すのはむずかしいと思うのですけれども、しかし、この段階でありますから、いつの時期に結論が出てどうするかということをここで伺っておきませんと、業界としてはこういう中でありますからたいへんだと思います。そこのところを具体的にいつごろ結論が出るかをはっきりしていただきたい。簡潔に答えてください。
#125
○伊藤(俊)政府委員 私の所管の局でございませんものですから、担当の課長からお答え申し上げるようにいたします。
#126
○岩野説明員 最近の生糸の……。
#127
○谷口分科員 たくさん言う必要はない。いつやるか、どうやるか。時間が三十分ですから。
#128
○岩野説明員 先ほど園芸局長がお答えいたしましたように、製糸側と消費者側とのいろいろの意見の相違がございます。一方、神戸と横浜のあれもございまして、最近の生糸の高騰ということで、供用品の拡大につきましては関係の団体の意見もかなり前向きに、この際実施という方向で意見の一致を見ておるわけでございます。コンセンサスを得て早急に実施したいというふうに考えております。
#129
○谷口分科員 それでは局長が答えられたのと同じことであって、いつごろその結論が出ますか。
#130
○岩野説明員 この供用品を追加いたしますのは取引所の業務規程の変更というような問題がございますし、業務規程を変更いたしますには関係の取引所の意見の一致ということがございます。取引所の業務規程の変更ということにつきます総会の意見の一致を見れば直ちに実施できるというように考えております。
#131
○谷口分科員 その業務規程の変更をするために必要な手続をなさる、それはいつやりますか。
#132
○岩野説明員 業務規程の変更につきましては横浜、神戸……。
#133
○谷口分科員 いや、そうじゃない。いつやりますか。結論を十年待たしているのです。答えられなければいいですよ。わからなければわからぬでいいですよ。
#134
○岩野説明員 取引所の総会におきまして業務規程の変更がなされたならば直ちにやる、こういうことになっております。
#135
○谷口分科員 いつ開かれる取引所の総会でこの問題を出すかということをおっしゃっていただけばいいのであって――これはやはり拡大するということの方向は皆さんも認めているのですか。その点はどうですか。
#136
○岩野説明員 供用品の拡大につきましては、私どもはそういう方向で対処してまいりたいというふうに考えております。
#137
○谷口分科員 公取委員長、おいでいただいて恐縮です。あなたに対しては、たいしてむずかしい話じゃない。これもあなたはよく御承知の、小さなメーカーでありますが、問屋と取引しますときに、支払いの段階になって五%ぐらい歩引きをいつもやっておる。これは独禁法から見ましてもどうも問屋が地位を利用している。問屋が非常に支配的な力を持っている。織物業者は小さい。これが製品を納める。決済するときに、問屋が支配しておりますから、五%くらいの歩引きは、これは制度になっている。これはやはり地位を利用して不当な取引をすることになると思うので、独禁法の違反だと思うのですが、これを禁止するように、そういうことは公取でできると思うのですが、これはいかがですか。
#138
○高橋(俊)政府委員 歩引きは、まあ、慣行として非常に古いものでありまして、私どものほうから、絶対に制度自体がいかぬというふうに申し上げるのはいかがかと思いますけれども、ただいまおっしゃいましたように、下請代金支払遅延等防止法のたてまえからも好ましくないという考えを持っております。いままででも、調査して発見したものはやめるように指導しております。
 で、おっしゃるとおり、これを一つ一つやっていくよりは、むしろ全体としてこれを自粛願ったほうがいいのではないかと思いますが、すでに、団体法におきます調整規程で自主的に歩引きを禁止している例があるようでございます。私どもといたしましては、主務官庁は通産省になると思いますが、そちらのほうにお願いいたしまして、指導していただいて、団体法による調整規程によりやめていただくというふうにしていただくというのが一番いいのではないかと思います。
#139
○谷口分科員 これもあいまいな話になるですな。私どももそう思う。単に伝統的な織物産業だけじゃなくて、下請企業なんかやられているわけですからね。こういうふうな悪い慣例は――これは慣例という例の問題じゃなくて、経済の問題です。商品の値段の問題ですからね。こういう不当なやり方をやめさせるようにされる必要があるのですが、そういう意味では、全体としてやっていただくことがけっこうだと思う。
 しかし、調査とか何とかおっしゃっていますけれども、調査については、個々の問題では公取はなかなか敏感です。この間うちで、これも西陣の話だけれども、ネクタイの業者が集まって、生糸はどんどん上がるし、品物がないし、とても困るというので、二〇%ぐらいネクタイの値段を上げてもらわなければ困るということで、まあ問屋に対するストライキですな、生産制限という意味だとはっきり言っているが、四日間休機しました。あのときあなたはすぐ呼び出したでしょう、出てこいと言って。そういうことには敏感なんだが、まさにあれは、独禁法からいったら違法行為だと私も思う。業者もそう言っている。違法行為、わかっているのだ。そうしなければ、おれだって自分の生活を守れぬからやるのだ、と言っている。そういうときには敏感なんだ。ところが、この人たちの利益を守るときには、まことにのろのろして、いろいろな理屈を言ってこれをやらぬですね。どうですか、すぱっとやりませんか。
#140
○高橋(俊)政府委員 私たちは、今回そういうことを申し上げるのは、おそらく初めてだろうと思うのですが、歩引きの制度は、中には理由があるものがあるかもしれませんけれども、そういうものを含めまして、私どもは、全体としてこれはもうやめさせていただきたい。ただ、私のほうの権限だけでできないことはありませんけれども、調整規程を使って組合が自主的に取りきめるということにつきましては、これはむしろ主務官庁のほうで指導していただくようにこちらからお願いしたい、こういうことを言っておりますし、なお足らざるところは私どもも協力申し上げる。そういう規程をつくってやめるように指導していただきたいというふうに申し上げておるわけであります。
#141
○谷口分科員 御答弁それでけっこうでございますけれども、「自己の取引上の地位を不当に利用して相手方と取引すること。」というのは独禁法の第二条第七項第五号でしょう。これでちゃんと調査して、あなたのほうは禁止命令は出せないの。
#142
○高橋(俊)政府委員 個々のケースにつきまして、それがいまの独禁法に触れる不公正な取引であるというふうにもなるわけでございますが、全部がはたしてそうなるかどうかというのは、個々にケースが非常に違うわけですね。必ずしも理由のないものばかりでもない。中には、ほんとうに補償制度みたいな――もっとも、これは問屋の買い入れ方に有利なようにできていると私は思いますけれども、しかし、長年の間そういう条件を承知して取引してきておりますから、下請が納品しているということもございますから、個々にたどっていきますと、直ちにそれが法違反だときめつけることができるかどうか、従来も若干疑問があるものですから、指導でやってきている。直ちに排除するというふうな法的な措置はとっておらない。
  〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕
そういう点も十分考えまして、むしろ、こういう前近代的な制度をおやめになっていただきたいというように、総括的にやめるほうがいいのではないかというように判断しております。
#143
○谷口分科員 時間がなくなりましたからこの問題だけでやっていくわけにいかぬけれども、しかし、委員長、やはりすぱっと調査して、そしてこういう問題は――あなたは納得してやっているとかおっしゃっているが、業者は納得しておらぬです。支配されている問屋さんからだ、これはもうやむを得ぬと泣き寝入りしている。それは行けばすぐわかる。ネクタイのストライキのときにはすぐにやって、こういうものもすぐに行きなさいな。公取は人間が少ないのでいろいろとあなたもやりにくいと思うけれども、これはすぱっとやる必要がありますが、前向きにやっていただく必要がある。
 そこで、私、本題に返りますが、これは農林省に先に伺います。
 昨年あたりからことしにかけて、先ほどから問題になっておるようないろいろな商品に、いわゆる総合商社が介入して買い占めをやって、不当に値をつり上げている。この問題は国会でも大きな問題になっているわけでありますが、生糸の問題でこれがやはり重大な問題になっている。すでに、法十三条、十四条によってどごにどれくらい生糸が買い占められて持たれているかということの実情がもうわかっていると思いますが、それはどうですか。
#144
○伊藤(俊)政府委員 法律の十三条は「生糸取引の届出」ということで横浜、神戸、大阪の生糸問屋、それと製糸業者との間の取引価格についての調査でございます。これは二十一中のいろいろな格差について、取引価格がどうなっているかということを調べる調査でございます。したがいまして、数量の問題はこれは出ておりません。
 法律の第十四条でございますが、これは農林大臣が繭または生糸の生産売買取引または売買取引の仲立ちもしくは取り次ぎ業を営んでいる者に対して、必要な事項の報告を求めることができるということになっておりまして、ここで省令でいろいろなさらにこまかな報告徴収事項がきめられておるわけでございますが、これに基づきまして、私どもで調査をいたしております数字を毎月発表いたしておるわけでございます。これによりますと、四十七年の十二月末の在庫は二万三千七百八十六俵ということになっております。それから、一月末の在庫は、ごく最近わかってまいったわけですが、集計が整いまして、二万二千八十四俵でございます。ちなみに、四十七年の一月末の在庫は四万一千八十俵でございます。これは日本蚕糸事業団が約二万俵弱持っておりまして、したがいまして、四十七年の在庫と比べまして特に多いということにはなっておらないような数字になっておるわけでございます。ただ、これはあくまでもこの報告を求めただけの数字でございます。
#145
○谷口分科員 いや、私の伺っておりますのは、十三条では、いまおっしゃるようにいろいろな中身はありますけれども、簡単な言い方をすれば、取引した人はちゃんと農林大臣に届け出なければならぬことになっている。その届け出する人はちゃんと限定があります。ありますが、大阪、神戸、それから横浜でしょう。これでは、簡単な言い方をすれば、数量と、銘柄と、単価と、金額と、契約日と、相手方、みんな届け出するようになっている。わかるはずでしょう。それから、商品取引所を通った場合、この場合は、商品取引所でどのくらいどうなったということがみんなわかるように書いてある。十四条では、それ以外のことがわかるわけでしょう。調査することができるのでしょう。だから、伊藤忠が現在幾ら持っている、あるいはどこが幾ら持っているということがわかるでしょう。これをここでリストを出せますか。
#146
○伊藤(俊)政府委員 先ほども申し上げましたように、第十三条の報告、届け出書には、これは数量は入っております。正量だけ入っております。
 それから、十四条のほうで、いろいろ報告をとる場合には「生糸の生産、売買取引又は売買取引の仲立ち若しくは取次ぎを業として営んでいる者に対し、」「報告を求めることができる。」ということで、これは省令にも書いてあるわけでございますが……。
#147
○谷口分科員 いや、そこは調べておるのです。その内容に入ったら、時間がないから言えぬです。
#148
○伊藤(俊)政府委員 毎月の生糸の需給調査ということで、毎月末に器械生糸製造業者、座繰り生糸製造業者、玉糸製造業者それから生糸問屋、そういったもの約三千三百でございますが、これにつきまして調査をとっておるということでございます。
#149
○谷口分科員 これは時間がないから残念で、詰めるわけにいきませんけれども、これは非常に不備な法律ですよ。実は、いま、大商社がこんな買い占めをやって、そして、生糸なりアズキなりを暴騰させ、それで暴利をむさぼっているという。これに対処するためのデータとしては、いろいろなところでわれわれ調べなければならぬと思うのだが、生糸の場合はこの法律がありますからある程度わかる。私は完全にはわからぬと思うが、わかっているわけなんだ。問題は、それに対してどうしたかということになるわけなんですが、これはあとで通産大臣に私は伺うつもりでおりますが、あなたに聞きたいのは、そういうことでわかっているはずだから、どこのメーカーが幾ら持っているかということがわかれば、これはリストは出せませんかと聞いている。
#150
○伊藤(俊)政府委員 これはこの生糸の需給調査要綱ということで、行政管理庁に届けてあるわけでございますが、この調査、この報告された記載内容は、統計目的以外、個別に公表させたり、外部に公表させたりすることは絶対にないということになっておるわけでございます。
#151
○谷口分科員 ここで押し問答をやってもしようがないが、通産大臣に伺います。
 まさに、こういうふうに、商社が買い占めに入って、生糸が暴騰した。値段が高くなっただけではなくて、かかえ込んじゃって、実は織り屋さんに生糸が回ってない。私どものほうへ、全国の伝統的な機業地からかなりいろいろな陳情が来ている。
 特徴的なことを一、二申しますと、数字なんかあげませんけれども、たとえば大島、鹿児島ですな。大島つむぎをやっている奄美などでは、工業組合が生糸を全体で仕入れて、これを撚糸工場で撚糸にして、その窓口で機業家には売り渡すことになっているようです。そして、その生糸を買うために並んでいる。業者の行列ができる。しかし、くれるものはわずかでありまして、配給制度ですな。その配給されたもので、その日二、三時間仕事をやって、休んで、あくる日また行列して、二、三時間やるというような状況の品不足になっている。しかも、先ほど申しました京都西陣の例で言えば、生糸は高くなって、手に入らない。だから、従来四百円ぐらいだったものが、もう五百円とか六百円で問屋さんへ持っていかなければとても引き合わないというような状況になっている。この値段を上げろというストライキをあそこはやったですな。業者がストライキというのはおかしいですが、まさにあれは労働者と同じようなところなんです。この前、工業再配置の問題であなたと話し合ったことがあるが、そういう業態なんですね。だからストライキというようなことばを使っている。なかなかおもしろいと私は思う。そういう非常な苦しみにあって、伝統的な織物産業は危機にあると言ってもいいんじゃないかと思うのですね。そんなら品物がないのかといえば、生糸は幾らでもあるのです。去年からことしにかけて、輸入品なんかうんとよけいになっている。十五万俵ぐらい入っているんじゃないかと思うのです。三十万俵以上の国内生産があって、ほんとうに機屋さんが必要とする原料としての生糸は、上回るほどのものがあるわけです。物があるわけです。あるにもかかわらず、出回っていないのです。買い占めが行なわれているんですね。ここが問題なんですね。一体どうしたらいいと思いますか。
#152
○中曽根国務大臣 先行き高いと見ると、やはり、問屋とか仲買いがみんな品物をかかえ込む傾向がなきにしもあらずです。それが積み重なると、少しずつでもしまい込むと、やはり出てくる数量は減ってまいりますから、そこで思惑を呼んで、それが暴騰する。そういう現象が起こる可能性があります。そういう意味で、各段階段階において品物を出させるようにするということが必要になるだろうと思います。通産省の関係のものでは、消費者と供給者と両方のほうで懇談会をやらせるようにして、そして、できるだけ長い目で安定させていくということが大事ですから、一時の思惑に走らぬように、両方で共存共栄の実を結ぶようにいろいろ行政指導していきたい、こう思っております。
#153
○谷口分科員 中曽根さん、私は、あなただから少し折り入った話をしたいと思うのですが、あなたの御答弁の範囲では話が解決つかぬのです。生糸は持っているんです。どこかにしまい込んでいるんだ。どの辺にしまい込んでいるかというのは、大まかなことは農林省は知っているでしょう。個々のことも知っているはずだけれども、言わない。持っているところがあるのです。売らないのです。投機の対象になるものを全部買っているというのが総合商社のいまのやり方でしょう。だから、この生糸の関係で言えば、生糸も対象になっているし、たとえば先染めをやっておる――西陣なんかは対象になりませんけれども、丹後へ行きますと、丹後ちりめんで白い生地ですから、これも対象になっている。だから、どんどん買われて、ここは機業家は喜んでいる。しかし、これは半年仕事が抜きになって、ぺしゃんこにされると思うのです。あそこはそういう対象になった危機にあるのですな。
 今度、大商社のこういう投機を抑制して、物を出すということですよ。これをやるかどうかということに問題があると思うのですがね。それは資本主義ですから、もうけ仕事をやることを認めておけば、何でもやります。何でもやりましても、度はずれたことをやって、さっきあなたがおっしゃったとおりに、日本の経済や国民生活に悪い影響を与えることになったら、これを何とかするのが政治でしょう。あなたの答弁だと、あなたらしくないです。やはりここで相当の決意ある対策をとるべきだとぼくは思うのですが、いかがですか。
#154
○中曽根国務大臣 買い占めや、あるいは国民経済を撹乱するような行為があったら、政府としては、これは取り締まらなければならぬと私も思っております。そこで、農林省の物資についてあまり通産大臣が言うのは越境でありますから、遠慮して、生糸の問題については私は言いませんが、一般論として言えば、やはり権限を得て、そういう買い占めありやなしや直ちに調査をする。あるいは帳簿検査をそういうところまで踏み込んでいってやってみて、そして実情を調査した上、事態を改善する命令を出すなり、行政指導をやる。そういうことが発動さるべきだと思います。
#155
○谷口分科員 時間が来たそうですから結論に入りますが、私どもは、すべての商品と言ったのでは語弊があるかもしれませんが、必要なものは、特に、国民経済や国民生活にとって重要な関係を持つものに対しては、きちんと、不法な投機ができないような制度をやはりつくるべきだと思うのです。生糸と申しますと、ちゃんと繭糸価格安定法の第一条に書いてありますが、つまり、どういうふうなやり方をすべきかというと、商品が動くから、動くところで、いつどこにどういう在庫があるかきちんと調査できるように、把握できるようにして、そして、不当につり上げるような状況になったときにそういうものを吐き出させるような、強制的なやり方をやることは必要だろう。あなたは勧告するとおっしゃったけれども、勧告なんかで言うことを聞く連中じゃないでしょう。新聞記事を読んで答えてもらおうと思って持ってきたのだけれども、新聞社がたいへんなことを言っています。勧告なんかで言うことを聞く商社じゃないですよ。そういうものじゃない。これは毎日新聞の記事ですけれども、こう言っています。投機対策に対して自民党政府は何かやりそうなことを言っていましたけれども、大手商社は、「どこまでやれますかね。ほんとに政府が商社を取り締まるつもりなら、われわれは新潟県下で政府のある首脳が土地買い占めをやっている実態をばらす」と言っている。政府はなめられているのです。こういう連中が相手なんだ。資本主義のもっとも腐朽したうみの出る部分なんです。しかも、これが支配しているんです。これにはやはり国民の立場に立って、断固たる態度をとるのが必要だろうと思う。この間、本会議の、この商品投機の問題についての私どもの小林議員の発言の中で申しましたけれども、私どもは、物がどこにあるかということが刻々とわかるような――繭糸価格安定法にもその点一部書いてあるが、そういう面で、どうやってどこへ移動しているかということを常に把握して、不当なつり上げをやって彼らが暴利をむさぼるというときには強権を発動してこれを放出させるというような、そういう制度をつくるべきだと思う。そのためには、立ち入り検査をする権限も持つ機関をつくって、言うことを聞かない者は厳罰に処する。いまは五万円の罰金でしょう。五万円なんてちゃんちゃらおかしい。何百億の商売をしているんですからね。そういう制度と法制を考えるべきだろうと思う。
 そういうふうに考えているのですが、最後にあなたの御所見を伺って、この問題はあらためてやりますが、質問を終わります。
#156
○中曽根国務大臣 国民生活を惑乱するような不当な売り惜しみとか買いだめというものは、もちろん断固として政府は取り締まらなければなりませんし、田中総理もそれをやると言っており、われわれもそういう手はずをいろいろ整えてやっているわけでありますが、ただ問題は、人間がやっておることですから、追っかけるとますます隠すという現象もある。そして、それを失敗すると、統制経済みたいに一波が万波に波及して、戦時経済みたいな形に悪くすると伸びていく危険性もなきにしもあらず。もちろん、生糸なら生糸、あるいは毛糸なら毛糸、そういうものをねらい撃ちにやってやろうとは思っておりますけれども、そういう波及をするという可能性もある。戦争中の経験から見てもわかりますように、統制経済というのは必ずしも成功しない。かえって隠したり、売り惜しみをする、買いだめをする、そういう現象が起きているわけです。だから、物を出させるというのには、イソップ物語じゃありませんが、太陽とマントの話みたいな要素も生きている人間社会には必要であるわけです。その辺は、寛厳伸縮をうまくやって、むしろ行政指導という面もまた非常に重要な機能を果たすのだ、そういうふうに思います。
#157
○谷口分科員 やめようと思ったけれども、こういう御答弁をいただくとちょっと結論づけておかぬと困る。
 これは前向きでやりたいというようなことを言っていながら、イソップ物語か何かを出してけしからぬですよ。そうじゃないのですよ。あなたは戦時中の統制経済のことをおっしゃるが、あれは国民から収奪するという統制経済です。国民から収奪したんだ、戦時中は。われわれの言っているのはそうじゃないのであって、国民の要望しているのはそうじゃないのです。自由な資本主義でありますから、商社も自由な経済行動をするということは私ども認めます。自由にやらしていいじゃないですか。しかし、物がどこにあるかを常に政府が把握しておって、むちゃなことをやったときに、これに対して強権発動するというやり方ですね。そういうことを国民は望んでおることをここにはっきり私は言って、やめます。
#158
○細田主査 次に、岡本富夫君。
#159
○岡本分科員 全国の休廃止鉱山、あるいはまた現在動いているところ、こういうところから有害物資が出まして、いままで盛んに被害者が出た。公明党で全国の休廃止鉱山の総点検をやりましたが、いま全国の大体七千カ所のうち、有害物資が出てくると思われるのが千カ所余りでありますけれども、これに対して何とか対策をとらなければならぬというわけで、今日まで、各委員会で、私も取り上げてきましたけれども、ただ、権利保有者があるから責任があるのだとか、あるいはまた、権利放棄後五年間は責任があるんだとか、そういうような企業まかせでは、やはり今日のようにたくさんの被害者が出る。したがって、現在休止しようとする鉱山あるいは廃止しようとする鉱山に対して、きちっとした対策を政府がとらなければならぬと私は思うのです。特に、最近、ドルの切り下げあるいは円の切り、上げによって輸入品がどんどん入ってくる。そうなりますと、どうしても休廃止する鉱山がたくさん出てくるのじゃないか、たとえば栃木県の足尾銅山、あるいは兵庫県の生野鉱山、あるいは多田銀山、こういうのがすでに廃止をずっとやっておりますけれども、これに対する対策をいまから通産大臣としてやっておかなければならぬのじゃないか。こういうことでありますが、どういう対策をやるか、あるいはどうやって今後の被害を防ぐ措置をするかということをまずお聞きしたい。通産大臣からひとつ……。
#160
○中曽根国務大臣 休廃止鉱山が地元の皆さんにいろいろ御迷惑を及ぼす、特に鉱害関係等におきまして御迷惑を及ぼすということは、国としても対策を講じなければならぬ。そういう考えに立ちまして、これは、その地方の県及び市町村等とも連絡をとりまして、事前の措置あるいは事後の措置等について、いろいろ補助金その他の政策も実行いたしまして、迷惑を及ぼさないように努力してまいりたいと思っております。
#161
○岡本分科員 そこで、ひとつきょうは具体例を取り上げて、全国の今後の休廃止するところの鉱山に対する対策をお聞きしておきたいと思うのです。
 たとえば、栃木県の足尾鉱山の製錬所では、有害な廃棄物が長年にわたって流れ出ている。そうして、イタイイタイ病のような症状である指曲がりの病気が発見されておるわけであります。栃木県の公明党の本部で点検いたしましたところが、明らかにこういった病気の方がだいぶいるわけですが、これに対する実態調査を、これは環境庁のほうですか、おやりになっておりますか。
#162
○山本説明員 栃木県足尾の渡良瀬川流域におきましての指曲がり病につきまして、本年一月から、県が、環境保全調査として、飲料水の調査及び住民の健康調査を行なっております。この結果によりまして、井戸水の九カ所について検査した結果重金属は認められない、また、足尾の町民を対象とした健康調査について、指曲がり病は見当たらなかった、こういうぐあいに県から報告を受けております。しかし、この問題につきまして、その内容を検討いたしまして、必要がありますならば、県に対して必要の調査をさせるように指導してまいりたい、かように考えております。
#163
○岡本分科員 これは朝日新聞ですが、こういうように指の曲がったのがたくさんいるのですよ。しかも、あなたのいまの答弁を聞いていると、全然ないというようなことを言っていますけれども、この足尾町は、御承知のように古河さん、古河さんといって、古河鉱山がある問はそこで生活しなければならぬというので、非常にみんな隠しておった。ところが、いよいよ鉱山が廃止するということになってから、健診をやるとどんどん出てきているわけですね。現実にこうやって指が曲がった人が何人かいるわけです。だから、必要があればと言わずに、あなたのほうから出かけていって、ただくつの下から足をかいているようなことはせぬで、やはりきちっと調査をやるべきだと私は思うのです。その点もう一ぺんひとつ……。
#164
○山本説明員 私ども、ただいまお答えいたしましたのは、県から報告を求めまして、その状況をお答えしたわけでございます。さらに詳細なデータを県から持ち寄りまして、私どもも現にデータを拝見した上でその問題を考えてみたい、こう思っております。
 環境汚染によりまして疾病が起こるという問題につきましては、疫学的な方法で調査を進めるという技術があるわけでございまして、その方法を導入した調査についての実施云々につきまして、県と十分協議してまいりたい、かように考えております。
#165
○岡本分科員 次には、これは通産大臣に伺いますが、私の所管と違うなんて逃げないように願います。
 ということは、この足尾銅山、足尾鉱業所が閉鎖されますと――こういった御病気で苦しんでいらっしゃる方が相当あるわけですが、医療機関ですね。いままではこの銅山の付属病院がありまして、そこで皆さんが治療していただいたり、あるいは見ていただいたりしておったわけでありますが、この鉱山が廃止されますと、おそらくこの付属病院もなくなるのではないか。あるいは縮小されるのではないか。この足尾銅山の歴史というものは、あなたもよく御承知のように、百年来の被害が出ているわけですね。田中という代議士が出て相当戦った。しかし、当時の軍部の圧力、政府の圧力によってとうとうだめになっちゃったというような、昔から鉱害があったんだという一つの大きな典型的なものになっておりますが、したがって、こういう医療機関はやはり残すべきであると思うわけでありますが、あなたのほうではどういうふうにそれを主張されるか、ひとつお聞きをしたい。
#166
○中曽根国務大臣 会社がどの程度の規模の鉱業所を将来経営していくか、あるいは、地元の住民に対してその治療所がどういう機能を果たしているか、そういう点もよく調べまして、それがもし地元の住民やその他にもかなり施療しておるというような状態であるならば、できるだけ残すように努力したいと思います。
#167
○岡本分科員 通産大臣、新聞報道を見ましても、いろんな病気が出ている方が、いまわかっているだけでも、足尾にはもうすでに約六十人いるというんです。そして、この鉱山のこういった医療機関によっていままで救われておったわけです。これがなくなるということになれば、もうほんとに現地の人たちは困る。ですから、この休廃止鉱山に対して――ここだけではありませんけれども、その鉱山がなくなったために、その会社の病院が、医療機関がなくなるということでは、いままでその鉱山につとめていた人たちの不安というものは、考えたってほんとうにわかると思うのです。だから、この点について、調査しないとわからないというのであれば調査をして、きちっとひとつやってもらいたい。
 それから次に、鉱山が閉鎖されるわけでありますから、当然、そこにおつとめになっておられる方々の就職というものが問題になってくると思うのです。就職ということになりますと、若手層はおそらく再就職のためにどこかに出ていくのではないか。そうすると、残るのはお年寄りの方です。この老人ホームといいますか、そういった対策はやはりいまからきちっと考えておかなければならない、また、手を打たなければならないと思うのですが、これは私の所管と違うと言わぬで、通産大臣、これも休廃止の大きな一環としてやらなければならぬことでありますが、それについてひとつ……。
#168
○中曽根国務大臣 もちろん、政府といたしましては、労働省あるいは通産省一体になりまして就職問題についても協力し、努力していくべきものであると思います。私も努力いたします。老人の対策についても、厚生省等とも連絡をとってやるべきものであります。
#169
○岡本分科員 そこで厚生省、いまのお年寄りの対策と、それからもう一つは、いままで鉱山で、掘り方といいますか技術もない方でありますが、こういうことをやっていた人たちで失業なさった方が約五百余名いるのです。平均年齢は四十二・六歳。この人たちの再就職対策の一環として、技術習得が必要であろうと思うのです。ですから、職業訓練所をこのほうに一つ設置してもらいたいというような要望があるわけです。これが二点。三点目は職業安定所。これが足利市にもう移転してしまったのですね。現地にはないわけですよ。ですから、ここに職業安定所を設置すると申しますか、あるいはまた、それに見合ったような、職業を紹介するような機関を設けていただかなければならないと私は思うのですが、この三点について……。
#170
○加倉井政府委員 老人対策あるいは職業補導の問題につきましては、これは厚生省の社会局の所管でございますので、私、公衆衛生局長でございまして、所管外でございますが、御趣旨のような、御指摘のような点につきましては、所管局長に伝えまして、しかるべく対策がとられるように善処いたしたいと思います。
#171
○岡本分科員 では、その点について通産省から……。
#172
○青木政府委員 職業訓練所、職業安定所の所管は労働省のほうでございますが、ただいまの御質問の趣旨は十分労働省のほうに伝えまして、私のほうからも善処するようにお願いしておきたいと思います。
#173
○岡本分科員 通産大臣、これは所管が違うとかなんとか言わずに、あなたも国務大臣だから、事鉱山の休廃止問題だから、ひとつ責任をもって各所管の大臣あるいは局長に当たって、話して、そしてこの問題を解決しようという熱意のある答弁を伺いたい。
#174
○中曽根国務大臣 政府一体となって問題解決に努力いたします。
#175
○岡本分科員 そこで、いま、こういった休廃止鉱山あるいは現業しておるところの鉱山から、カドミあるいは銅といった鉱毒が出てまいりまして、農地を汚染いたしております。その農地対策について――これは農林省来ておりますね。
#176
○細田主査 農林省構造改善局長と計画部長とが参っております。
#177
○岡本分科員 では、構造改善局長から。
#178
○小沼政府委員 構造改善局でございますが、土壌汚染の地域の対策計画が確定いたしますと、私のほうで具体的な実施の計画を立てまして、それに基づきまして、客土等土地改良事業を行なうということにいたしております。現在三地区、これにつきまして実施に入ることにいたしております。
#179
○岡本分科員 どういうところが計画されるわけですか。たとえば、カドミにしぼってひとつお聞きしたい。
#180
○伊藤(俊)政府委員 カドミにつきまして、ただいま農用地の土壌汚染対策地域として指定されておりますところは、全国で八カ所でございます。福島県の磐梯町、群馬県の安中市、高崎市、それから渡良瀬の流域として、群馬県の桐生市、太田市、それから岐阜県の郡上郡の明方村、それから生野関係では、兵庫県生野町、大河内町、それから兵庫県にもう一つ、東芝電気関係で太子町、それから長崎県厳原町、それから秋田県の西仙北町ということになっております。
#181
○岡本分科員 農用地の汚染防止法、これは公害国会のときにできたわけですけれども、これを見ますと、この第三条、すなわち、都道府県知事は「その地域内にある農用地の土壌及び当該農用地に生育する農作物等に含まれる特定有害物質の種類及び量等からみて、当該農用地の利用に起因して人の健康をそこなうおそれがある農畜産物が生産され、若しくは当該農用地における農作物等の生育が阻害されると認められるもの」それについては「政令で定める」と、こういうことになっておりますが、それを指定するんだということでありますが、食糧庁長官にお聞きしますけれども、いま、カドミ米は、一PPM以上は、買い上げるけれども配給はしない、それから〇・四PPMは、買い上げても、これも配給をしないということでありますが、こういうお米はいまどないしておりますか。
#182
○中野政府委員 ただいま、あるいは私の聞き間違いかもわかりませんが、一PPM以上の米は、これは食品衛生法上有害となっておりますから、政府の買い上げはいたしておりません。あとはおっしゃいましたとおりでございます。
 そこで、その米でございますが、これは全部食糧庁が保管をしておりまして、現在倉庫に保管をしておるところでございます。
#183
○岡本分科員 そうしますと、一PPM以上は買い上げをしないわけで、〇・四PPM以上は買い上げておるわけですね。その買い上げた量は、いまどのくらいありますか。
#184
○中野政府委員 四十六年産米までは約二万トンでございますが、四十七年産米も、引き続き、いままでの取りきめによってやっておりますので、それがおそらく五、六千トンあろうかと思います。
#185
○岡本分科員 農林省の構造改善局長、これはあなたのところの所管だと思うのですが、土壌汚染防止に関する法律施行令によると、この土壌を改良する指定要件としまして、これは第二条ですが、その地区内の農用地において生産される米に含まれるカドミの量が、米一グラムにつき一ミリグラム以上であること、すなわち一PPM以上でなければ土地の改良はしないということなんですが、間違いありませんか。
#186
○岡安政府委員 いま先生のおっしゃった土壌汚染防止法施行令第二条の関係でございますが、これは、都道府県知事が土壌汚染防止法によりまして地域指定をする場合の要件がきめられておるわけでございます。カドミにつきましては、令二条におきまして、一PPM以上カドミを含む玄米が生産されました地域、これは一号地域でございますけれども、それと、その周辺におきまして、いま、一PPM以上のカドミを含む玄米が生産された地域の土壌中に含まれておりますカドミの量とほぼ同等以上のカドミが現に存している地域が周辺地域にあれば、それもあわせて対策地域に指定をいたしまして、対策事業を行なうということになっております。
#187
○岡本分科員 そうしますと、お米が一PPM以上でなければ、また、それ以上でなければ、この構造改善はしないわけです。そうしますと、〇・四以上は、これはいま食糧庁で買い上げるということですね。そうしますと、この買い上げた米は、これは全部国民の税金で買い上げるわけですが、どこへやるのか知らぬけれども、いま置いてあるということですが、一PPM以上であれば構造改善をする、〇・四PPM以上では構造改善しない、したがって、幾らでも米はできてくる、それを政府が買い上げる、こういうことですね。この点どうも私は……。政省令に委任するというのが、今度の公害国会でずいぶんたくさんあった。こういうことがどうなるのかということがはっきりわからなかったから私はやかましく言ったのですが、えらい矛盾しておりませんか。それは、全部政府が買い上げて、安く売ってしまう。国民の税金をむだづかいしているということははっきりしませんか。
#188
○岡安政府委員 土壌汚染防止法のたてまえから申しますと、先ほど先生がお読みになりました法律第三条で、「当該農用地の利用に起因して人の健康をそこなうおそれがある農畜産物」ということになるわけでございまして、カドミにつきましては、現在の厚生省におきます基準としては、一PPM以上のカドミを含む玄米というものは食糧品として適当ではないというような判断がなされておりまして、私どもは、一PPM以上のカドミを含む玄米が汚染米というふうに理解をいたしておるわけでございます。〇・四と、それから一PPMの間でございますけれども、これは、先ほど申し上げましたとおり、汚染米というわけではないわけで、政府といたしましては、食糧品として適当ではないとは考えておりませんが、これは食糧庁の考え方によりまして、現在、交換その他によりまして買い上げはしますけれども、配給には回さないという措置がとられておりますのが現状の仕組みであるというふうに考えております。
#189
○岡本分科員 そうすると、食糧庁は、〇・四PPM以上の米は配給に回さないから、だから、たくさんためておいて、安く売ってしまう。これは知らぬ間に相当自主流通米に流れていることもありますけれどもね。これは、食糧庁が、農林省が、最初、〇・四PPM以上は全部あぶないということで、途中で厚生省が入って少し後退したことを私は知っておりますけれどもね。だから、これは、〇・四PPM以上の米を買い上げるのであれば、それをいま配給に回さないので、全部国民の税金で買い上げて、そうして安く売ってしまうわけです。のりとか、いろいろなところに。そんなにするのであれば、この農用地土壌汚染防止法施行令のところも、米一キログラムにつき〇・四ミリグラム以上のところを改造しなければならぬじゃないですか。それでなければ、どんどんどんどんたくさん汚染米を仕入れて、そうして国民の税金をむだづかいしていることになるのじゃないんですか。この点いかがですか。しかし、これはあなたに聞いてもしかたがないんだが……。
#190
○中野政府委員 ただいま御指摘があったわけでございますが、食糧庁としまして、〇・四以上があぶないから配給しないというのではございませんで、当時、この問題が非常に取り上げられました際に、消費者側の非常な感情がございまして――当時また非常にたくさん古々米、古米等を持っておりましたものですから、そういう感情を考慮しまして、食糧庁が自主的にこれは配給に回さないということにいたしておるわけでございます。
#191
○岡本分科員 配給に回さないことにいたしておるわけでしょう。ですから、それは買い上げて、そして安く売っているわけでしょう。のりとか、いろいろなところに。それだけ損じゃないですか。これからずっと続くわけでしょう。私の言うのは、そんなむだなお金を出すのであれば、農地をここで〇・四PPMのところまで改良しなければならぬではないか、こういうように言っているわけです。岡安さん、いかがですか。
#192
○岡安政府委員 私どもは、〇・四から一の間の米につきましては、これはやはり、汚染米とは考えておらないわけでございます。したがって、一以下の米を生産するところの農地につきましては、直ちに対策事業を実施する必要は必ずしもない。もちろん、それらの地域におきましてさらに汚染が進行いたしまして、一PPM以上のカドミを含む玄米が生産されるおそれがあるというところにつきましては、当然対策事業が必要かもしれませんけれども、〇・四PPMから一PPMまでのカドミを含む玄米の生産を抑制するために対策事業を行なう必要はないというふうに考えて、現在運用いたしておるわけでございます。
#193
○岡本分科員 これは両方大臣に来てもらわなければ話にならぬわけですけれども、通産大臣、あなたは、国務大臣としてどう思いますか。
#194
○中曽根国務大臣 これは、科学的に、生産衛生の面からの検討をして究明しなければ、われわれが政治的にどうこうということは危険だろうと私は思うのです。こういう環境衛生に関する問題は、やはり、あくまで科学的究明というものが根拠になければならぬことと思うのです。いま、〇・四ないし一という数値がきめられておるようでございますが、それ相応の科学的根拠に基づいて行なわれているのだろうと私は思います。したがいまして、いま食糧庁長官が申されましたような見解が適当であると私は思います。
#195
○岡本分科員 食糧庁長官のおっしゃったことが適当であろうということでありますと、今度は、環境庁の言うところの一PPMというのはおかしくなってくるのです。だから、いまここで私がやかましく言っても、あなた方は結論が出ないかもわからぬけれども、ここにこういったそごがあると私は言うんですよ。しかも、汚染地区を調べてみますと、もう二年も三年も休耕にされておるのです。ここで米をつくっちゃいけないと言いながら、全然汚染地区の構造改善もしてくれない。したがって、その間あちこち働きに行ったりしておるわけですけれども、これではとても生活ができないというのが農家の皆さんの御意見です。こういった構造改善局のおくれているこれによって、農家の方はみんな困っておるのです。この推進をあなたのほうでしっかりやりますか、どうですか。
#196
○小沼政府委員 私どものほうでは、ただいま環境庁のほうから説明がありましたような基準に基づきまして調査がされて、対策でかくかくしかじかの土地改良事業をやるべきであるというふうに判定された場合に、私どもはその事業を実施するということになっております。また、そういう過程で構造改善事業等を行なう必要があるということであれば、一般の従来の第二次構造改造事業等ございますので、そういうものも考える余裕は十分あるわけでございます。
#197
○岡本分科員 余裕があるだけじゃいけないのです。早くやってやらなければ、農家の方は、自分の土地をよごされて、そこで米をつくっても売れないから、つくっちゃいけないと言われている。そうして、しかたがないからあちこちに働きに行っている。だから、もっと推進しなければいかぬと言っているのです。いかがですか。
#198
○小沼政府委員 いま申しましたように、対策計画が決定されれば、それに基づきまして所要の事業を推進してまいりたい、かように考えております。
#199
○細田主査 この際、午後一時五十分に再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時三十一分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時五十四分開議
#200
○山崎(平)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。神門至馬夫君。
#201
○神門分科員 先ほど岡本議員が質問しておりましたが、ちょっと聞いておりますと同じような内容のもので、休廃止鉱山にかかわる鉱害の問題についてでありますが、特に短い時間ですから、そう内容の議論ということでなしに、具体的な問題を出してひとつ通産省のほうからお答えをいただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。
 対象になるものを具体的に出しますと、島根県に笹ケ谷鉱山という閉鎖鉱山がございます。これにかかわることで、すでに通産省のほうでは早くから取り上げられておりますので、内容については十分御承知しておられると思うのです。この山の経歴等についてはすでに御承知かとも思いますが、石見銀山ネコいらずという、全国のネコいらずの砒素をほとんどこの山でまかなっていたという経歴の山であって、六百九十年前の弘安年間にこの銅鉱、硫化鉄鉱などの採鉱が始まって、さらに明治の中期から新しい工法によるところの採鉱あるいは製錬法が進んで、その笹ケ谷の山が全山的に銅鉱の採掘が進んでおるわけであります。大正も初期から亜砒酸の製造が始まって、全国一番の生産量になりました。問題になりますのは、六百九十年という長い間の採掘によりました鉱滓、あるいは亜砒酸の焼きかすの堆積されたものから汚染源が出ておる。この汚染源の根絶というのはどのような措置をされているかという点がこの質問の主要な問題であります。そこから出まして、笹ケ谷川という川がありますが、それらの周囲の田畑の土壌が汚染されている。そうして水が汚染をされて地下水が飲めなくなっておる、こういうような状態になっております。先ほどの質問のように、やはり農作物が汚染されているということで、地元としてはたいへんな心配をしておりまして、農民はそのために、みずから客土をするとか、あるいは一定期間水をほすとか、いろいろその土地に合った特殊な工法で、非常に労力の要るやり方ですが、たいへんな苦労をして、経済的にも精神的にもそれらの問題が重荷になってきておるわけです。特にこれが突然、そこに環境基準以上のカドミなり砒素があるということが発表になってびっくりをしておる。そして驚いて、それが政治問題、社会問題になって、美しい観光都市でありますが、いまこれが大問題に発展をしておるわけであります。
 これについては、四十五年の十月に島根県の衛生部、あるいは四十六年の五月に通産省の鉱山保安監督部が健康調査をした実績がございます。しかし、その中では、別に異常はない、こういうような報告がなされておりますが、しかしその後、公明党の小平参議院議員等が参られまして積極的な調査をされた。そして公明党を中心にして健康診断をされる、こういうような地域住民との結び合いによるところの大々的な鉱害調査がなされて、いわゆる鉱害病患者というのが発見をされてきたわけであります。こういうような経過をたどって、今日問題になっておりますことは、このような鉱害を常に流出をしている。山の高いところから下流に向かって、川あるいは地下水をもって鉱害を拡散をしている、こういう鉱害源について、通産省としてはどのように措置をされるつもりであるのか、この点がまず第一点としてお聞きしたいのであります。
 その前に、このような加害者、いわゆる企業責任を持つところの、主のない、いわゆる純然たる鉱害については、その責任はやはり政府なり通産省自体にある、こういうふうに地元なりわれわれとしては考えておるのですが、その辺の問題についてまず第一にお聞かせをいただきたいと思います。
#202
○青木政府委員 ただいま御指摘がございましたように、金属鉱山の鉱害につきましては、第一になすべきことは、その鉱害を出しております鉱害源を完全に断ち切るというために、鉱害防止工事をすることが基本的な問題であると考えております。いま御指摘ございましたように、こういう鉱山で鉱業権者がおる場合は、鉱業法の百九条の鉱害賠償責任というのがございますので、被害に対しましては、鉱業法のルールに従いまして鉱業権者が第一義的に責任を負うべきものではないか。ただ、鉱害防止工事につきましては、鉱業権者がおる場合は、やはり鉱山保安法によりましてこういう工事を命ずることができるわけでございますが、したがいまして、これも第一義的には鉱業権者が責任を持つというふうに私どもは考えております。ただ、現在例にあげられました山のように、鉱業権を放棄されまして、鉱害防止工事をする者がいない場合または無資力という場合につきましては、これを放置することはできませんので、やはり国なり地方公共団体がその工事に当たるべきだというふうに考えております。
 こういうような問題が大きくなりましたために、昭和四十五年度より国が地方公共団体に補助金を出しまして、地方公共団体において鉱害防止をやっていただくという制度が確立されておるわけでございます。そこで現行制度では、三分の二を国が補助金を出しまして県に工事をしていただくという制度で進んでおったわけでございます。ただ、非常に大きな工事もございますし、まず実態調査に非常にむずかしい面もございますので、来年度より金属鉱物探鉱促進事業団を改組いたしまして金属鉱業事業団というふうにいたしまして、鉱害の仕事もやれるようにいたすべく現在法案を衆議院に提出中でございます。この改正によりまして、金属鉱業事業団が事前の調査をやれるようにいたしますということと、県がおやりになる鉱害防止工事につきましては、技術上のいろいろなアドバイスをできるようにということでスタッフを整備するということを考えております。
 こういうような制度上の改正と同時に、こういう鉱害防止工事を要する量は非常に多いために、来年度の予算におきましては、予算を約三倍にふやしまして、補助金で約七億を計上いたして、今後鋭意こういうものを促進してまいる所存でございます。
#203
○神門分科員 この質問に先立ちまして、いろいろと新しく立法を計画されいる資料をもらいましたが、これは企業主が明確に存在する場合の今後の予防問題あるいは補償問題についての措置であって、たとえば事業団が発足をしたとしても、このような過去のものについての対策が、これにおいてなされるようになるわけですか。
#204
○青木政府委員 金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案の中の一部でございますが、事業団の業務に、地方公共団体が行なう鉱害防止に関する事業に必要な調査及び指導という事業を追加いたしております。これはただいま御説明申し上げましたように、地方公共団体がやっていただく事業に対しまして、事業団が必要な事前調査及び技術指導ということについてスタッフをそろえて、その府県の要望に応じまして御援助できるという体制を整えたわけでございます。
#205
○神門分科員 全国的にたくさんの同質の鉱害問題が出ておる、そういう背景での政府の考え方、こういう立法によって何とかしていこうという意思、善意はよくわかりましたが、問題は、笹ヶ谷鉱山、あるいは島根県内でも三十二、三の廃鉱があるようでありまして、具体的にそれらの鉱害等の地質調査をやってまいりますと、たいへんな問題になるのじゃないかというふうに考えるわけです。その最大のものがこの笹ヶ谷鉱山の問題なんでして、ここの場合、笑い話のような話ですが、そこのかまに行きますと、まだ砒素がたくさんついておりますが、連合赤軍がそれを取りに来て悪用するのではないかという一時流言が飛びまして、たいへんに騒いだことがある。こういうふうに、危険な、非常に有害な毒素がついておるかまがそのまま放置される。あるいは先ほど申しますような相当膨大な鉱滓の堆積、亜砒がまから流出されたものが放置されて一つの山になっております。私もその山にも一、二回調査に行ってまいりましたけれども、早急に何とかしなければならないような状況下にある。町のほうからも、県及び国のほうに再三陳情いたしておりまして、それにはこのような金が要るという青写真も出しておるわけです。一億七千万ばかりの見積もりも出しておる。そういうような立法的な精神というものはわかったといたしましても、それができましても、すぐそれに間に合うものではとてもないというように思うわけです。ですから、この災害源、いわゆる鉱害源に対して、いま直ちに通産省として何らかの措置をとる用意があるのか、あるいはその準備をされておるのか、その点をちょっとお聞きします。
#206
○青木政府委員 災害源、鉱害源のうち、非常に緊急を要するものと、非常に時間をかけてがっちりやっていかなければならないものと二色あるかと存じます。たとえて申しますならば、砒素がまのようなものは緊急に措置をしなければならないということでございますので、現在、立ち入り禁止措置をとっていただくとか、あるいはかま口の密閉をするとかというような緊急な措置は急いでとっていただいておるわけでございます。ただ御承知のとおり、この笹ヶ谷鉱山は非常に長い間稼行しました鉱山でございます。非常に規模が大きいのみならず、鉱滓の堆積物等も非常に広範な地域に非常に大量に散在しておりまして、これを根本的に解決するのには、相当の時間と労力あるいは資金が要るのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 現在、私どものほうとしましては、昭和四十七年度におきまして島根県が測量等の調査を行ないましたが、その結果の整理を待ちまして、学識経験者等の意見を聴取して、どういう工事をしたら最も効率的にかつ、完全に鉱害が処理できるかという点を検討いたしまして、四十八年度から工事に着手いたしたいというふうに考えております。ただ、この工事は、非常に大規模になりますので、一年度で解決するものではなくて、数年間にわたって大規模な工事を必要とするというふうに私どもは考えております。
#207
○神門分科員 四十八年度から着工される、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
#208
○青木政府委員 はい。
#209
○神門分科員 この問題は全県的な問題になっておりますし、国会でも再三提起された問題でありまして、そのような具体的な計画が着工される運びになったことを非常に感謝いたします。
 それから、先ほどのいわゆる下流全体の土壌の汚染、あるいは豊作物の汚染等がたいへん進んで、いろいろ心配している。いろいろ調べられておりますけれども、権威ある一つのものはまだ出てはおりません。あるいは健康診断等におきましても、住民サイドからの調査によっては、いろいろ鉱害病患者の認定をするようなものが出てまいりましたけれども、政府なり自治体のほうから積極的にそういう調査がなされて、その把握がなされたというようなことがない。こういうような点と関連して、通産省のほうから、全般にわたる健康と土壌の汚染、あるいは豊作物等についての対策を講ずるために、ひとつ調査団を派遣してもらいたいということが、県なり地元からの早くからの要望でありますが、それについての考えはどうですか。
#210
○青木政府委員 この笹ヶ谷の鉱害問題につきまして、健康被害の問題、あるいは農業被害の問題等がございますが、健康被害については、県は昭和四十六年度の末に約千五百人の住民の方の健康診断を行なったというふうに聞いております。そしてまた現在は、百十五名の方につきまして二次検診を行なっているというふうに聞いております。また、元従業員の健康診断につきましては、松江の労働基準局で本年の一月九日に二名の方に労災補償法を適用するというふうに聞いております。また農業被害につきましては、農林省におきまして、昭和四十六年の四月から試験田を現地に設けまして、三カ年計画でいろいろ生育試験等の実施をしておるというふうに聞いております。
 こういうように各省いろいろ調査をしておりますが、御指摘のような総合調査団ということになりますと、環境問題全体、各省全体を環境庁のほうで取りまとめることになっておりますので、現在、環境庁のほうでも検討しているというふうに聞いております。
#211
○神門分科員 これから次の質問に入りますので、その際に質問をいたしますが、きょうはたくさんの関係官庁を呼んでおりませんので、通産省のほうでひとつそのような任務を積極的に果たしていただきたい、このことを特にお願いをして、しかもなるべく早く、そういうふうに着工するという朗報が地元に入りますと喜びますから、それとあわせて、そういうような大型でなくとも何か調査団を派遣していただく、このことをひとつ約束をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#212
○青木政府委員 そのように環境庁のほうに十分協力を要請いたします。
#213
○神門分科員 最後に大臣、国務大臣としてお願いなりお尋ねをしておきますが、いま申し上げますように、この地区全体の水がたいへんよごれていて、簡易水道等について自治省なり自治体のほうが積極的にいろいろと措置をしております。しかし、非常に広範なものですから、まだまだそれらの措置がなされていない。これは生命にかかわることでありますし、生活、健康にかかわることでありますから、これに対して、具体的には簡易水道の完備をさらに広範に進めてもらう。さらには、このような大規模な鉱害源、その措置については、国が直轄してやっていただくような措置がいま講じられ始めようとしているようでありますが、特に地元としては、この前行ってみますと、町長も悲鳴をあげているわけです。これだけの大問題になって、いろいろなえらい人も来るし、接待もあるし、たいへんだということを言っておりますが、そういう意味で特に特交等をこれについては配慮をしていく。ことしの場合すでに終わりましたけれども、そういう点はもちろん通産省の所管でもございませんが、国務大臣として、これらの措置に積極的に取り組んでいただきたい、こういうようにお願いをします。この点についての決意のほどをひとつお尋ねいたします。
#214
○中曽根国務大臣 簡易水道並びに特交等について、御要望に沿うように努力いたします。
#215
○神門分科員 これで終わります。
#216
○山崎(平)主査代理 次は、米内山義一郎君。
#217
○米内山分科員 私は、昨年の九月十四日ですか、閣議の口頭了解事項になりましたむつ小川原開発の問題に関連して、通産当局からお尋ねしたいと思います。
 大臣からは最後に意見を聞くことにして、最初はまず通産省の中の資源関係の責任者と申しましょうか、そういうふうなほうからお聞きしたい。
 あの開発の内容というものは、石油精製二百万バーレル、つまり年一億キロリットルということであります。これは日本の去年あたりの原油輸入量のおよそ半分になるわけですね。それから石油化学、エチレン・ベースで年四百万トン。これはいまの一年間の生産量を上回るわけです。火力発電一千万キロ。どれを見ましても、世界に比較するもののない大きな規模のものです。これをここに立地してあの地域の開発を行なうというのがわれわれの承知しているむつ小川原開発です。
  〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕
われわれは、これはたいへんなことだと思うのでございまして、いろいろな科学技術者あるいは経済専門家の意見をたくさん聞きました。だが、一人としてこの開発構想の内容を妥当だと言う人はない。返事をする前に鼻先で笑うのです。こんなばかげたことができるわけがないと言うのです。公害専門家は、そんなものをかりにあの地域に立地させると、公害というよりも人間が住めなくなる、こうまで言う人がすべてです。一人としてこの計画内容の妥当性を是認する人は、これまでございません。ただ開発を進める側、つまり政府あるいはこの出先と思われる青森県知事、こういう者だけは、でっかいことはいいことだといぬばかりにこの開発を強引に進めているのが現状です。特に、この閣議了解というあとには、手続を踏まないままに土地の買収行為を進めています。これは別途な問題ですが、これだって法律違反の疑いは十分なわけです。
 そこで、あなた方は資源担当官と申しますか、一番精通している人たちだと思うが、こういう巨大な石油コンビナートを立地するということは一体妥当だと考えるかどうかということです。たとえば近ごろ始まった世界的な石油資源の問題から見ても、さらにいかに日本がこれから経済成長をするにしても、あの場所で一億キロリットルの石油精製を始める、よそでも始める、そんなふうな長期的な石油の需給見通しを持っているのか。その中において、あそこで二百万バーレルという、あるいは四百万トンというエチレン・ベースの石油化学工場が立地可能だと思っているのか、確信をもってこの政策を進めようとしているのかどうかということを明確に伺いたいと思います。
#218
○三枝政府委員 ただいま御質問のございましたむつ小川原の計画でございますが、御承知のとおり、ただいま先生御指摘の石油二百万バーレル、あるいは石油化学四百万トン、あるいは電力一千万キロワット、これはいずれも青森県が四十七年六月に第一次基本計画ということで公表いたしました内容に載っておる点でございます。それを受けての政府の九月におきます閣議了解、これは、計画それ自体についての具体的な数字を含めましての決定、あるいは了解ということではございません。この申し合わせとしましては、こういう開発計画につきまして、環境保全あるいは公害防止等十分配慮する、それから周辺地域の農林水産業等の振興、あるいは林業財産等に配慮しながら適切な措置を講じていく、それから公害防止等の環境問題を中心としてまず基礎的な調査を継続実施し、その成果に基づいて検討の上、逐次計画の具体化をはかるべきだ、こういうことでございまして、ただいま御指摘の各業種についての張りつけというのが、そのまま妥当であるという前提で考えてはございません。
 ただ、御承知のとおり、開発問題として県の意欲も非常に強いわけでございますし、地価高騰等の問題もございますので、先行取得という体制をとる、そのほか調査の具体的な展開等、こういうようなことを逐次進めていくという前提での了解というふうになってございます。
 それから、御指摘の石油精製あるいは石油化学、電力等の立地規模の問題でございますが、この点につきましては、今後、昭和六十年までの経済規模の拡大、それが産業構造面でどう反映してきてこういう業種への必要量ということで結びついてくるか、これは非常にむずかしい問題であり、かつ、今後の新しい産業構造の見地からの再検討、さらに何よりもその地域での環境許容量、この辺との見合いの問題等ございますので、最初からの県の計画をそのままのむという形での決定はいたしてございませんし、今後、そういったところの調査等判明次第、これに応じての妥当な規模設定ということで考えてまいりたいということでございます。
#219
○米内山分科員 実はこの経過を若干皆さんに知っておいてもらいたいと思うのだが、青森県知事はこの開発構想を最初に発表したのは四十五年の六月ですが、四十六年の一月に知事選挙をやったときに、将来百年間は特に手を加えなくても世界の競争にうちかつことのできるコンビナートをつくるのだ、こう言っておったのです。ところが、もちろんこんなばかな考え方は、農民、漁民といえどもいつまでも無知でいるわけはありません。そこで、追い詰められた県知事が、先月ですが、関係地域の六ケ所村の漁業協同組合の役員が知事を訪問したのに対して何と言っているかというと、あれは中央の開発屋が書いたものにすぎない、こう言っているのです。そうすると政府が言うことと知事が言うことと合わない点がある。いまになって知事の言われるのは、中央の開発屋に使嗾されてやったのだと、やや後退ぎみの表明をしています。これはちゃんとテープがありますからいつかお聞かせします。それから、いま県議会が開かれていますが、県議会に出した文書には、中央官庁と密接な連絡の上に進めていると書いている。どうもこの辺、責任がどこにあるのか不明なんです。こういうことだから、もちろん、この開発される側の住民が、規模が大きいとか公害とかいうことよりも、あなた方の政治姿勢というか、行政態度にまず重大な不信を抱いておるというのが実情なんです。この経過はどうなんです。知事の言うとおりなんですか、それともさっきあなたがおっしゃったとおりですか。
#220
○三枝政府委員 ただいま御指摘の点についてでございますが、先ほどの閣議了解と同時に、経済企画庁の事務次官名をもちまして、青森県の知事に対しては、工業開発の規模については、公害防止など環境問題を中心としてさらに調査を行ない再検討するということで、県の第一次計画に盛り込まれた内容が確定的なものではないということははっきり文書にしてございます。それから、こういった規模そのものにつきましての官庁その他青森県当局との密接な連携云々ということでございますが、先ほど来申し上げましたように、確定的な案として、これを青森県にぜひやれ、こういう形で明示したことはございませんです。御承知のとおり、新全総でこの辺について、まあ農山漁村という形での発展の限界性ということから、またその周辺の大規模立地にふさわしい条件等見合って、一つの大きな工業基地開発の対象という形での線が打ち出されたということは事実でございますが、それを受けて県が具体的な形のものを考え、かつ、いろいろ情報交換の場において、六十年あたりにそういった業種の規模が一体どのくらい想定されるであろうか。これは御承知のとおり、どのくらいの成長率で、また構造変化をどう織り込むか、海外立地がどう織り込めるか、いろいろ案があろうかと思いますけれども、たとえば一〇%というような成長が続くというような前提に立ちますとかなり大きなものになる。またこれを相当下げまして、やはり基幹産業型としての需要というものはかなりのものにならざるを得ない。そういう前提で、大規模立地の国内におきます配置体制ということは、かなり限定されておるわけでございます。こういう数字がそのときの第一次計画の段階に織り込まれざるを得なかったということであろうと思います。
#221
○米内山分科員 いまのお答え、大体私もそんなことだろうと想像していましたので、その点は別にたいしたことじゃない。これは青森県知事限りの問題です。しかし開発というものを、こういう架空な想定に基づいて事を進めるということは、何もいいことじゃない。私はこの開発を是認するものではないけれども、こんなばかげたことをやって開発が成功すると考えているのは過去のことでして、今日の住民意識の上においては、これはもう不可能だと思うのです。だからこの点を十分私はこの席で吟味しておきたい、結局はこういうことです。
 ちょうど、田中総理は日本列島改造論でブームを起こしたように、青森県知事は、夢の開発、青森県の命運をかけるとか、こういうふうな美辞麗句を並べて県知事になったことは、これは間違いありませんが、しかし、ほらというものはすぐわかるものです。何ぼ隠していてもわかる。だから、われわれ県知事の古い友人たちは、彼を親しいことばで言うときは、竹俊さんと言っておる。いま、あの地域の住民、漁師のかあちゃんも、あるいは農家のばあちゃんも、知事さんと言う者はなくなったんですよ。ほら俊と言うようになった。こういうほらを前提にして、閣議了解ということを根拠にして土地の買収をしているのは、一体どういうことか。結局、五千五百ヘクタールの工業用地というものは、二百万バーレルの石油精製をやるにはこれだけの面積が必要で、四百万トンの石油化学のプラントをつくるにはこういう土地が必要だ、火力発電にはこう必要だというもののトータルを五千五百町歩として買収行為をやる。皆さんのような開発アニマルの中には、開発というものは土地さえ買ってしまえば八分どおり成功だという思想があることも、われわれは知っています。だが、これは住民のための思想じゃなくて、大資本がさらに大きな利潤をあげようとする政策に対して加担する者の言い方だ。今日の官僚というものは完全にエコノミック・アニマルの走狗なんです。
 私はそういう前提に立ってあなた方の話を聞くわけですが、それじゃいまの時点で、国内需給関係の上から、あるいは世界的な資源配分の観点から、あるいは環境容量の観点から、勘としてどのくらいの規模の石油コンビナートが適量だとお考えですか。具体的に調査が済んでないから、二十万バーレルならいいだろうということは求めませんけれども、あなた方は専門家なんだから、それくらいのことは勘としてわからなければならぬ。お答え願いたい。
#222
○三枝政府委員 ただいまの御質問に対しまして、端的に断定的なお答えを申し上げるわけにはまいりませんわけでございますが、全体量としまして、六十年ごろ、これ自体につきましてもまだいろいろの想定がございますけれども、現在、約二億キロリットルの総需要規模、これが六億キロリットルというような形にならざるを得ないのではなかろうか。その場合に、それを国内でどの程度精製し、海外からどの程度輸入し、あるいは場合によっては海外でどの程度立地するか、非常にそれぞれにつきましてむずかしい諸前提等がございます。いずれにしましても、このような需要の増大、これは何らかの形でまかなわざるを得ない。海外立地と申しましても非常にむずかしい諸条件がございます。製品輸入という点につきましてもいろいろの問題もございます。したがいまして、現在の段階で許可済みの精製能力というのが五、六百万バーレルございますので、ただいま申し上げましたような六億キロリットルというような前提をもし当面とるべき前提と考えますと、千二百万バーレルぐらいの精製能力ということにならざるを得ないわけでございます。これを、日本の国内での立地ということを考える場合に、どこの地点でやらなければならぬか、この点が非常にむずかしい問題になるわけでございまして、拠点的なそういう適性を備えた地点ということでいきますと、非常に数も少ないことでございますし、かなりのものがやはり期待されざるを得ない、こういうことになろうかと思います。
#223
○米内山分科員 時間もありませんから、この問題をこまかくやれません。別の機会もあると思うが、まあ、あなた方も、この問題がはっきりしないで土地を買うということはおかしい。なぜ土地を早く買うか。六ケ所村の土地は、ほっておいたって岩手県や秋田県に飛んではいかない。所有者がかわることがあっても土地は動かない。結局、早く土地を買い占めしょうというのは、高くならないうちに買っておこうということでしょう。そうすると、安く買った企業が得で、安いうちに売った住民が損だということは明白なんですよ。だから、まだ海のものとも山のものともつかない、何年ごろに着工するというめどもつかないものを、一番先に土地の買い占めをして、それが皆さんのためだと言ったって、だれがほんとうにするものですか。ここらあたりに、皆さん通産などの官僚の考えている開発政策の思想的な限界があると思うのです。こういうふうなことだから、もう一度重ねて聞きますが、およそ工場が立地するのはいつごろだかというころ合いをお話し願いたい。
#224
○三枝政府委員 先ほどちょっと引用いたしました、経済企画庁の事務次官より青森県知事に対する本件閣議申し合わせに関連しました指示事項の中で、第一次基本計画、これについては、その後の検討成果を、これは現在実施中でございますが、組み入れて修正作業を行ない、昭和五十年を目標に最終計画が決定されるようということで考えてございます。
#225
○米内山分科員 その資料はすぐ私のところに提供願いたい。それを見て次に聞くことが出てくると思う。
 そこで、大臣にひとつ申し上げたいのだが、大臣は、あの地域の状態は、先般の総選挙の際、私の親友の応援に行かれてよく御存じだと思う。土地カンもあると思う。何ぼいなかでも、もうこういう情報が豊富な時代ですから、そう意識の差というものはないのです。知事はそこの誤認があったのです。貧乏だから、札でほっぺたをたたけばころころ参って土地を放すだろう、無知だから公害なんというのも気がつかないだろうというところに、この開発の出発点の誤りがある。事実誤認がある。これを考えてみると何だかというと、われわれの地域のわれわれの友人、住民というものの弱点なんです。知らないということと、貧乏だから金をほしいということが弱点なんです。住民の弱いところに攻撃を加えるという政治があるか。敵対関係にあるならば、敵の守備の弱いところに橋頭堡を築くということはあり得る。しかも、石油は国民のために必要だから、一軒の家に台所が必要なようにこの開発も必要だという。ところが、これをまた返してみると、こういう公害産業の親玉みたいなのを巨大な集積をして公害がないと言い得る確信がないのです。現代の技術をもってしてもあり得ないのです。そうすると一軒の家に便所が必要なようにこの開発が必要だということもあり得る。人の住んでいる地域を便所にしようというようなことを国策だなんて、対話もないままに進めるということは、政治的に間違いじゃないかと思う。政治家としての中曽根さんから、このやり方が自民党政治の路線からいって当然なことであるか、間違いであるか。私は間違いだと主張します。したがって、間違ったならば白紙に戻せばいい。
 われわれは、日本に石油は要らないという主張は持っていません。農漁村に工業は不要だという農本主義の立場もとりませんけれども、自然を破壊する前に、民主主義を破壊するような政治には命をかけても抵抗するつもりなんです。政治家としての中曽根さんの御見解を承りたいと思います。
#226
○中曽根国務大臣 おそらくこれは当時はやった国土開発ブームというブームに乗ったか、あるいは乗らされたか、ともかくそういう雰囲気の中に出てきたもののように私は思います。だがしかし、国土の保全ということ及び住民の民意というものを尊重するということがその反省として最近非常に出てきている。各地におけるそういう大規模な開発というものが、いろいろ検討を加えられるという形になってきております。私はこれはいいことだろうと思うのです。何も流行みたいにものをやるのが正しいのではないので、やはり的確に住民の民意の上に立って着実にものが進んでいくということが正しいと思うのです。いわんや、一地方が東京の商社その他によって買い占めされたとか、そういうようなことが起こることは好ましくないことでもあります。そういうようないろいろな反省を加えながら、さて、もう一回、日本の前途、あるいは青森県の繁栄という面に立ってこれをどうするか、反省を加えながら前進していくという形が私はいいと思います。そういう意味で、青森県の知事さんの意見で、青森県議会あるいは地元の六ケ所村等の意見をよく聞いて、そうして民意の上に立ってこういう総合開発を進めていくべきである、そういうように考えます。
#227
○米内山分科員 民意の上に立つということは、きわめてけっこうなことですが、すでに修正のできがたいあやまちがおかされていますので、こういうものを前提にして対話はできないわけです。ほらなんだ。未確定なものをほぼ確定的なもののように装って土地を買うという事実行為に出ているし、しかもこの影響を受けて村内は撹乱されて、御承知でもあろうが、開発を進めようとしている村議会の委員長にリコールをやって、この開発の白紙撤回を要求する。村長に対してもリコールを現在やっております。これはすべて開発の撹乱の上から出た村内の混乱で、決して政争ではないのです。外部からこのような影響力を与えたのですから、これは迷いです。山へ行って迷ったならば、無理して頂上へ進まないでふもとへ戻ればいいじゃないかという、きわめて単純な論理から住民は白紙還元を要求している。その上に話し合い、その上に開発ということにするのが妥当だというのがいま住民の要求のすべてなんです。この考え方に対して大臣として異議がありますか。あってもなくてもいいから、御見解を伺いたい。
#228
○中曽根国務大臣 住民といいましてもいろいろな考えの人がおると思うのです。県民全体の意見もまた、青森県のことでありますから、聞く必要もあります。そういう意味において、リコールが起こっているといういまのお話でございますが、これも一つの反発現象といいますか、この現象がどういうふうにおさまるか、あるいは青森県議会の内部においてどういう意見がまた多数を制するか、そういうようなさまざまなファクターをよく見ながら私たちは進めていかなければならぬと思うのです。しかし、全般的に見ますと、日本の将来の工業国家、あるいは知識集約型産業国家としての前途を見ますと、やはりある程度のエネルギー資源等は必要であり、またそういう基地も、ある程度公害をなくした新しい理想のもとに建設することも必要であります。これはいま先生自体がおっしゃったとおりであります。したがって、そういう必要性というものはもうお互いに是認し合っているわけでございますから、それをどういうふうに解決していくか、やはり必要性の上に立ってこれを着実に解決するという立場で私たちはいくべきである、そう思います。
#229
○米内山分科員 こういう大開発の特徴というものは、広範な人民から漁場を奪う、あるいは農民から土地を奪うということが必至なんです。そうしてみますと、漁場があるから漁業をやってそこに住んでいる、土地があるから農業をやってそこに住む、そういう職業の選択、あるいは居住あるいは財産権というような、人間として憲法に保障された基本的権利の移動を伴うものなんです。変革を伴うものです。したがって、県議会がどういう分野で多数決にしようとか、村議会がどうしようというような議決事項では断じてないのです。こういうことを認識しないではこの開発というものは進まないわけなんで、いずれ機会を改めてこの点で議論をする時期もあると思いますから、きょうはこれで終わります。
#230
○細田主査 次に、浦井洋君。
#231
○浦井分科員 私はきょうは、工場の移転に伴って移転させられる労働者の問題について聞きたい。
 確かに、過密地の場合、そういうところから工場を移転させるということは必要だし、また、特にその工場が公害工場である場合に、住民の命と暮らしを守るという点でこれは緊急な措置が必要だと思うわけなんです。政府でも、そういうような特に過密地の世論にあたかも対応するかのように、昨年の十月から工業再配置促進法が施行されたわけだし、公団が発足した、こういうことになっておるわけなんですが、そういう中で、確かに、昨年の日立製作所であるとか十条製紙、こういうような企業の移転が発表されたとき、いかにも企業が住民の願いに沿って移転をするのだというふうにもてはやされた向きもあるわけです。しかし、はたしてそうなのかどうかということを考えていきますと、たとえば十条製紙に例をとってみましても、これは宮城県の石巻へ移転計画が発表された。これは四十六年の七月のことであって、工業再配置促進法が国会を通過するはるか以前の話だ。また同じ年の四十六年の八月の三十一日に、十条製紙で企業の側が労働組合に申し入れた。その理由なるものを見てみましても、たとえば紙パ産業の不況の浸透であるとか、公害対策費が増加しておるとか、資本の自由化一〇〇%、あるいはドル・ショック、こういうようなことが理由で、十条工場をスクラップして石巻に移るのだというふうに言っておるわけです。しかも、人員整理をして生産の規模は前と同じくらいにするのだということを、はっきり労働組合に申し入れているわけなんです。こういうところを見ると、たとえば十条にしても、日立にしても同じだと思うのですけれども、この移転というのは、全く企業の都合から出発しておる。そして、企業の側からの合理化とか、あるいは人減らしであるとか、そういうものをひっくるめた利潤追求のために移転するのだというふうに、私はいわざるを得ないと思うわけなんです。
 そういう中で、それぞれの対応する労働組合は、こういう労働者の立場を無視したような移転計画に反対をして、十条製紙の場合でも、九カ月間に七十回に及ぶ団体交渉をやって、そのあげくのはて、「十条工場疎開など合理化実施に関する確認書」というものを取りかわして、やっと工場移転を了承したという経過があることは御承知だと思う。ところが、そういうふうな労働組合側の努力にもかかわらず、いよいよ移転をするということになってみると、十条工場の労働者六百三十九人のうち三百七十人、五〇%以上の人たちが、もう石巻に移るのがいやだということで退職を希望しておる。こういう状況が出ておるわけです。
 そういう現象から見られるように、この十条製紙であるとか、あるいは日立であるとか、あるいは、後に述べますけれども昭和電極のような場合に、工場移転というのは、企業の側にしてみたら、いろいろ国の保護もあるし、あるいは移転したほうがメリットがあるということでやればよいのでしょうけれども、しかし、そこでいままで働いておった労働者の立場から見ますと、企業の移転に伴って移住をすることがいかに困難であるかということが、私はこの現象にあらわれておると思うのです。
 そこで質問に入るわけなんですけれども、まず通産大臣にお聞きしたいのですが、一つは、工場移転に伴う労働者対策をどのように基本的に考えておられるか、これが第一点。それから第二点として、そういう点で企業に対して具体的にどういうふうな指導をされておるのか。この二点についてお聞きしたいと思う。
#232
○中曽根国務大臣 工場移転にあたりましては、この再配置法の通過のときの附帯決議にもありますように、労働者あるいは労働組合とよく協調し合って、よく了解し合ってこれを行なう、そして労働者の身分あるいは福祉について十分配慮することが必要である、こういう考えをわれわれは支持しております。
#233
○浦井分科員 非常にきれいなお答えなんですが、次に労働省に同じことをお尋ねしたいのですが、逆の立場から、工場移転に伴う労働者の問題について、企業に一体どういうようなことを望んでおられるのか。あるいはその実現のためにどういう努力をしておるのか。また通産省そのほかの各省庁とどういうような連携、チームプレーをやっておられるのか。この三点についてお尋ねしたい。
#234
○関説明員 工場の再配置に伴いまして労働者の問題が非常に重要であるということで、この工業再配置法そのものに、たとえば雇用の安定に配意しつつこの施策を推進していくということを定めておるのも、そういった考え方に基づくものでございます。
 具体的には、この工業再配置促進法に基づいて行なう認定にあたりましては、労務に関する事項についていかに配意されているか、こういう計画を出していただきまして、そういう労働問題に関する事項も認定する場合の基準の一つということにいたしております。
 私ども労働省の立場から申しますと、できる限り工場の移転と一緒に従来の従業員が円滑に移転できるようにお願いしたいわけでございまして、そういった意味で、通産省あるいは関係の団体等と連絡を密にして、できる限り労働者が円滑に移転できるように進めたいと思います。しかしながら、お話にもございましたように、すべての労働者が必ずしも工場とともに移転できるとは限りませんので、そういった場合の離職せざるを得ない労働者の対策は当然労働省の施策でございますので、そういった離職者が出ます場合には、これは普通の場合と違いまして、再配置に伴うものは、いつごろそういった労働者が離職するかということが事前によくわかりますので、私どもの第一線機関を動員いたしまして、まず事前にそういう情報を把握し、離職前から職業相談、職業指導等を行ない、あるいは訓練をし、あるいは離職後は失業保険等を活用いたしまして再就職の促進をはかりたい。幸いにいたしまして、移転促進地域は工業の集積度の非常に高い地域でございまして、非常に求人も多い、かつ求職者の少ない地域でございますので、関係のところを指導して、そういう労働者の円滑なる受け入れにつとめてまいりたいと考えております。
#235
○浦井分科員 非常に配慮しておられるというお答えなんですけれども、実際に具体的な事例を調べてみますと、通産大臣が言われるように、あるいは労働省の言われるように、うまくはいっておらないという状況があるわけなんです。
 たとえば昭和電極の移転問題について、これは大臣も御承知だと思うのですけれども、兵庫県の西宮にあるこれを京都府の長田野工業団地に移転させるということで、そして西宮のあと地は住宅公団が買収をしてそこに公団住宅を建てるということになっておるわけなんですが、西宮の地域から見ますと、昭和電極というのは公害工場であるし、移転については歓迎すべきことだといっておるわけなんです。しかし、先ほどから申し上げておる、労働者に対してどうなのかという問題についてはいろいろと困難性があるというふうに、私、報告を受けておるわけなんです。
 そこで、建設省の公団関係の方にまず具体的にお尋ねしたいのですけれども、昭和四十六年十二月二十四日に住宅公団と昭和電極の労働組合とが交渉をしたそのときに、兵庫県の建築部長であるとかわが党の県会議員などが立ち会ったわけなんですけれども、住宅公団は企業に対して、労使間の問題が解決するまでは一切金銭を支払わないというような約束をしておるわけなんです。それから同じ日の直後に開かれた兵庫県の都市計画地方審議会の席上でも、住宅公団の大阪支所長である青樹という方が、これは会議録にもはっきり出ておりますけれども、労働組合との話し合いがつかなければ昭和電極との契約はいたしませんと言っておるわけです。この事実は、確認していただけますか。
#236
○福地説明員 日本住宅公団におきまして、西宮で、都市再開発のモデルといたしまして、昭和電極を含む約五十数ヘクタールにつきましていま用地買収に着手しておることは十分承知しております。いま先生のお話の昭和四十六年十二月でございますか、それからもう一件について、具体的なことについては承知しておりません。
#237
○浦井分科員 具体的なことは知っておられないということなので、そのことを前提にして話を進めますけれども、こういうふうに公団が労働組合に約束をしておるのに、労使間の問題が解決しないのに、住宅公団は、四十七年、昨年の三月に昭和電極と用地物件そのほかということで、百四十一億円で買収するという契約を結んでおるという事実ですね。そこで、労働組合のほうとしては、約束違反だということで、同じく四十七年五月八日に公団といろいろと交渉があったわけなんです。そのときの文書も私ここに持っておりますけれども、公団は、労働組合との約束を守らなかったという点で、その非を認めてはっきり文書を交換しておるわけなんです。しかも大事なことは、そのときに、文書にはしておらないけれども、いわゆる紳士協定として、企業と労働組合とが話し合いがつかない間は金の支払いはしないということを言っておるというふうに私は聞いておるわけなんですが、この点は、建設省、確認できますか。この交渉には第三者の県会議員も立ち会っておるわけなんです。
#238
○福地説明員 その文書については、私は承知いたしておりません。支払いにつきましては、公団といたしましては、土地あるいは建物につきまして一部前払いを認められておりますので、すでに一部支払いをいたしております。
#239
○浦井分科員 知らないということで建設省はしらを切られるわけなんですけれども、この経過から見ても、労働組合の側から見ますと、住宅公団がもう何度も約束違反を繰り返しておる。県の建築部長も見かねて、これは電話でやったそうですけれども、住宅公団の大阪支社に抗議をするという一幕さえあったというふうに聞いておるわけなんです。紳士協定も明らかに存在しておる。それを破っておられる。こういう公団の態度は非常に私けしからぬというふうに思うわけなんですが、どうですか。
#240
○福地説明員 いま先生のお話の点について、私、事実を確認しておりませんけれども、もしそういうようなお約束をいたしまして、それを破ったとすれば、非常に遺憾なことでございます。
#241
○浦井分科員 だから私ここで要望したいのですが、建設省として、この辺の経過、事実関係を正確に調査をして、住宅公団に対して、あなたのほうから誠意を持って労働組合と直ちに交渉を始めよというような指導をすべきだと私は思うのですが、どうしますか。
#242
○福地説明員 この問題につきましては、私、具体的な問題については承知いたしておりませんけれども、問題は実は承知しております。したがいまして、住宅公団に対しては、住宅建設については直接には組合とは関係ございませんけれども、しかし、円滑に住宅を建設するためには、やはり会社と組合が円満な話が進まなきゃいかぬわけでございまして、住宅公団に対しましては、会社に対して組合と円滑に話をするようにというような指示をしております。
#243
○浦井分科員 もう一度ちょっと……。
#244
○福地説明員 どうもことばが足りなくて申しわけございませんが、住宅公団に対しまして、従業員組合と円滑な話をするようにということを会社に対して申し入れするように指示いたしました。
#245
○浦井分科員 それでその件はおくといたしまして、具体的な事実を通産省にお聞きしたいのですが、この昭和電極に対して工業再配置・産炭地域振興公団法に基づいて融資が行なわれておるというふうに聞いておるわけなのですが、この融資はいつ、どのような条件で行なったのか、ひとつお聞きしたい。
#246
○三枝政府委員 工業再配置・産炭地域振興公団から昭和電極に対します融資の時点は一月末、三十四億円ということでの契約、そのうち二十億円の資金交付ということになってございます。
#247
○浦井分科員 この融資というのは、このあと地見返り資金の貸し付けということですね。これは工業再配置促進法第五条の計画の認定ということに基づいて行なわれるというふうに考えておったのですけれども、しかし、ずっと調べてみますと、こういう移転計画の認定ということに関係なく、公団がつくっておる工業再配置・産炭地域振興公団業務方法書という書類によって貸し付けの相手方が選定されるというふうなことがわかったわけなのですが、これは単なる公団の内部規定書なのでしょう。だから、こういう内部規定だけで貸し付けを行なうのは少し奇異な感じがしたわけなのですが、これは事実なんですね。
#248
○三枝政府委員 ただいまの公団の貸し付けそのものにつきましては、一々個別の件について役所の許認可にはひっかけてございません。ただし、この業務方法書、これそのものは認可事項でございます。したがいまして、こちらで認可する際にしさいに点検し、かつ法律及び政令等で定められております趣旨、規定に合わせてこの方法書が作成されるように関係各省とも十分打ち合わせてやったことでございます。したがいまして、この内容の中に、ただいま御指摘の労働問題の関係、これもやはり、雇用の安定に十分配慮されているということでなければ融資はできないというような形で規定を入れているわけであります。
#249
○浦井分科員 さっき言われたように、昭和電極だけでも三十四億円の貸し付けを行なう。それから、先ほど言った十条製紙あるいは日立製作所それぞれ、庶民から見れば非常に多額の融資が行なわれるわけなのです。それが、なるほど方法書自身は認可を受けておるというお話なのですけれども、その個別の問題について、何ら法的な規制を受けておらないいわば単なる内部規制、そうしておたくらの役人の自由裁量できまるというような点は私は不正常だと思う。どちらかといえば、この点では、こういうやり方を続けていくならば、必ずや誤りを犯すのではないかというふうな危険性を感じるわけなのですが、その点もう一度……。
#250
○三枝政府委員 これは工業再配置・産炭地域振興公団の業務方法書と、ただいま御説明申し上げましたように、主務大臣の認可ということで関係省庁等とも連絡をとった上での決定、したがいまして、それは当然、公団の個々の事業について審査及び融資決定その他の事業をやる際に拘束性を持ってございます。したがいまして、こういうものについて、全部の一々の件について主務大臣が個別に認可するということは、せっかく公団をつくった趣旨からいきましても、非常に弾力性を阻害することにもなりますし、大ワクとしての業務方法書の段階で、重要な諸点はこれでやりなさいという指示で業務方法書をつくり、それに従っての運営、したがいまして、それについてやはり、全般的な業務の監督ということからは、当然、当初の必要な新しい事項等につきましては、公団がそれをやる際にも、逐一いろいろ情勢を聞き、具体的な指示を必要があれば出すというような形で軌道に乗せるという方向で実際対処をしようということにいたしておるわけでございます。
#251
○浦井分科員 もう一つ聞きますけれども、工場の移転の場合の再配置促進補助金、これは新工場のある自治体あるいは企業に最高平米当たり五千円までというふうに聞いておるわけですが、こうした規定は現在あるわけですか。
#252
○三枝政府委員 まだ策定されてございません。現在、鋭意関係省と詰めておる最中でございます。
#253
○浦井分科員 いまお話を聞いてわかったのですが、企業に対しては、そういうふうな昨年十月の再配置促進法で、加速償却で租税特別措置がある。それから固定資産税も減免される。さらにいまのお話のように、融資も比較的簡単に受けられる。しかも補助金も出るということで、全く至れり尽くせりだということを、私、痛感したわけなのです。ところが、一番主題になります労働者は一体どうなっておるか。いま大臣も言われたように、この法律が衆議院を通過したときに附帯決議が盛られておるわけです。大臣にお聞きしたいのですけれども、その第六項は具体的に一体どういうふうに決議されておるのか、もう一度聞きたい。
#254
○中曽根国務大臣 やはり労使双方で話し合いをよく進めて、未解決の数点について妥協につとめる、それを労働省あるいは通産省が側面からあっせんする、そういうことじゃないかと思います。
#255
○浦井分科員 この再配置公団の場合の見返り資金の融資という場合に、この点は一体どういうふうに配慮されておるのか。確かに、いま言われたように、業務方法書の中に書かれてはおるわけなのです。「その工場の移転に係る労働者の雇用の安定に配意されたものであること」。そうすると、これは一体どこから公団は確認をされるわけなのですか。
#256
○三枝政府委員 具体的に企業から融資を受けたいという申請のあった段階から、その審査にあたっての必要な審査事項といたしまして、最も重要なる一つの問題としてこれを審査をし、その際に、企業からその点十分にそのもののあれをとり、かつ移転先等の問題であれば、環境上の問題、あるいは具体的に団地造成をしている相手の移転先の都道府県、市町村等からの事情、こういった万般の事情をよく聞いた上で意思決定をするということになろうかと存じます。したがいまして、昭和電極の場合にも、ただいまの雇用の安定云々のことにつきまして、移転計画そのものについて、労働組合等従業員の基本的な納得というような線はついておる。問題は、あと諸条件、退職金あるいは一時金等、残った幾つかの大きな項目がございましたけれども、かなり整理が進んでいき、現状において残存しておる項目はかなり少なくなってございます。その辺の詰めというものを全部待たなくても、移転そのものについての基本的な了承ということはついておるということをもって、本件につきまして、具体的に貸し付け対象としてその妥当性ということを判断しているわけでございます。
#257
○浦井分科員 なるほど形式的には基本的に了解が労使の間でついておるということは、あるいは言えるかもわからない。しかし、少なくとも残っている問題というのは非常に大きな問題なんですよ。だからその点について、公団の側として、企業というパイプを通して報告は受けられたかもしれぬ、あるいは裏づけ資料をとられたかもしれぬけれども、労働組合の側から、あるいは労働者の側から何か直接的に意見を聴取したとか、そういう機会を持たれたことありますか。
#258
○三枝政府委員 この貸し付け案件そのものにつきましては、監督官庁は公団を対象に、それから公団は企業からということでの立場でございまして、公団そのものが労働組合と直接、あるいは役所のほうで労働組合と直接ということは一切やっておりません。
#259
○浦井分科員 そこに仕組みの上でも欠陥があるのじゃないか。いま、この昭和電極の場合、重大な問題で交渉が行き詰まりを見せておる。そうしてものごとが前へ進まない。労働組合といったって、移転に反対しておるわけではないわけなんです。だから、納得すればこれに協力するということは言っておるわけですから、やはり公団がもう一歩乗り出されて、公団のいままでのやり方が原因になっておる阻害因子を取り除けば、すっと問題は前進するではないかというふうに私自身は思うわけなんです。
 そこで、もう時間がございませんので、要望だけ申し上げておきたいのですが、昭和電極のこの問題について、会社側のパイプだけでなしに、企業の側のパイプだけでなしに、公団として急いでいまの実情を調査して、それに対応したような措置をとるということ、これが一つ。
 それから、これはいまの工場移転のやり方の一般的な問題になるわけですけれども、移転計画の認定にも、労働者側の見解を確認していくというふうに私は改めるべきだと思うわけです。この業務方法書の場合もやはりそういう精神でもって貫かれなければならぬのではないかということを私は要望しておきたいと思う。これはあとで御返事いただきたいと思うのですが、もし時間があればいまでもいいです。
 それから最後に、労働省にもう一つお尋ねしたいのですけれども、これからどんどん出てくるかもわからない、あるいは出ないかもわからぬけれども、こういう工場移転の場合に、移転できない労働者がいる。先ほど大臣からちょっと話がありましたが、そういう労働者、特に中高年の労働者に対する対策というのは一体どうなのか。それからもう一歩具体的には、共働きで、一方はどうしても内職やその他の関係で移転できないという労働者に対する対策はどうするのか。それから第三点として、昭和電極の場合、長田野に行くわけなんですけれども、一体、京都の長田野に移った場合に、私も行って調べてきたのですが、練兵場のあとで、キツネやタヌキがついこの間まで出ていたところです。そういうところで家族が内職をしようと思っても、具体的にできるのかどうかという点。この三点について簡単にお答えをお願いいたします。
#260
○関説明員 移転できない中高年齢者の再就職対策でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、移転促進地域でございまして、非常にたくさんの求人のある地域でございますので、できる限りそういう求人のうちから中高年齢者に適したものをあっせんしていくようにしたい。しかもこの場合には、事前にどういう経歴の方が離職せざるを得ないかということがわかりますので、離職後始めるのではなくて、離職前から、職業相談、職業指導、あるいは訓練が必要な場合には職業訓練等を行なって、離職後できるだけ早目に再就職するということにしたいと考えております。
 それから、どうしても別居する場合の対策が二番目の話だと思いますが、昭和電極の場合にも、あるいはその他の場合にも、別居せざるを得ない労働者の問題というのは、会社と組合との問の大きな交渉事項になっていると思います。そういう意味で、会社側でいろいろ手当ても行なわれておるようでございますが、私ども、従来の内職では足らずに、その方がもう少しちゃんとしたつとめに出たいということであれば、家庭の奥さんにつきましてもいろいろな職業紹介ができ得ますので、別居した場合のそういった就職対策、こういうものも強めていきたいと思っております。
 なお、行った先に家庭の内職があるかということでございますが、いま現在はおそらく移転先にはそう工業の集積もございませんし、内職もなかろうかと思いますが、内職のあっせんというものは必ずしも地域的に限られておるわけではございませんし、そういった意味で、内職の指導、そういったものもやっていきたい、そういった指導の費用あるいはその内職をおろします工場を家庭の奥さん方に見せるような、そういったようなことも一応計画して、できる限り必要なものには内職のあっせんにもつとめていきたいと考えているところでございます。
#261
○三枝政府委員 ただいまの公団を通じましての昭和電極といわず、今後出てくるいろいろな案件につきまして、公団の業務方法書に定められたあるいは法律に規定のございますように労務の安定というものにつきまして、この基本的な合意という点、さらに個別の問題でも非常にもめるようなケースにつきましての情報の把握その他、相手企業以外にも、公団として当然地元の市町村あるいは労働関係の部局というようなところ、この辺からの情報というようなことも十分つかんで万全のかまえで対処するというような方法での指示をいたしたいと思っております。
#262
○浦井分科員 しまいなんですが、いまお聞きしたように、通産省もそれから建設省もそれからそれぞれの公団、再配置公団も住宅公団も必ずしも移転させられる労働者の立場というものはわかっておらないし、また適切な処置がとられていないというふうに私痛感したわけです。この点について私がきょうの質問でいろいろと要望したことを必ず取り上げるということを重ねて要求をいたしまして、私、質問を終わります。
#263
○細田主査 次に、多賀谷真稔君。
#264
○多賀谷分科員 時間もありませんからごく簡単に鉱業政策の基本についてお尋ねいたしたいと思います。
 最近中小企業は申すに及ばず、いわば足尾、別子、生野という由緒ある大鉱山が相次ぎ閉山をしておる。これに対してさらに再度の円切り上げ問題、これが拍車をかけて、いわば業界あるいはまた労働者、さらに地域住民、みな大きな不安を持っておるわけであります。一方、鉱害問題がきわめて深刻であり、また一方、外貨がずいぶんだまったとはいえ、資源競争といういわばOPECがさらにCIPECというものまでいろいろ論議をされておる状態の中で、一体大臣はわが国経済において金属鉱業についてどういう位置を、あるいはどういう評価をされようとしておるのか、これをまずお聞かせ願いたい。
#265
○中曽根国務大臣 けさほどの御質問でもお答えいたしましたが、非鉄等を中心とするわが国の金属鉱業は今回の円調整等によって非常に苦難に直面しておるということをよく認識しております。したがいまして、この苦難を解決するために全力を注ぎたい。鉱山関係の仕事というものは非常に国際的な波動の中に生活して、また稼働しておるものでございますから、よくその国際関係を調整すると同時に、国内的にもしっかりとした企業を維持できるようにしてあげるということはまた国際的にも進出する根拠地を得るゆえんであり、技術を蓄積するゆえんでもあります。そういう点も考えてみて、長い将来の日本も考えて、日本の非鉄金属鉱業というものは今後も健全に育つように努力していきたい。特に労使関係においていろいろ苦難が出てくると思いますが、労使問題も円満に協調していけるようにわれわれも側面的に協力していきたいと思っております。
#266
○多賀谷分科員 しからば具体的に現在直面をする非鉄金属に対してどうされようとしておるか。円切り上げが行なわれようとする今日の段階において、どういう政策を出そうとしているのか、これをお聞かせ願いたい。
#267
○外山政府委員 為替の調整からくる具体的な影響がいま進行しているわけでございまして、一つには国内の鉱山のコストがそれだけ国際競争力に耐えられなくなる。あるいは製錬所も加工費をドル建てで計算されている以上、それだけ影響を受ける。海外投資についても、投融資について、為替が上がった分だけ影響を受ける。そういった三つの面で、少なくとも大きな影響が出てくるわけでございます。もともと非鉄金属工業については探鉱の助成あるいは関税の操作ということによりまして、できるだけ国内鉱山が生き残っていけるように、そしてまた基礎産業としての非鉄金属が妥当な位置づけを占めるように努力をしてまいったわけでございますが、ただいまのような影響をとらえまして、私どもとしては、当面これからの対策を充実していかなければならないと思っておるわけでございます。
 一つの面は、関税の維持でございます。現行関税を、大体の物資は先般の措置で一律二〇%程度の引き下げを行なっております。しかし非鉄金属につきましては、その例外として関税の維持を主張しているわけでございます。
 それからもう一点は、国内の探鉱助成でございます。それにつきましては引き続き今後の精密調査、広域調査、企業探鉱の助成といったようなかっこうの第二期計画をスタートさせまして、そしてこれの充実をはかっておりますが、さらに今回の情勢に備えて、そうした補助政策の拡充強化をやっていきたい、こう考えているわけでございます。
 なお、鉱害の面につきましても新しい措置を用意いたしまして、できるだけ鉱害対策についても新しい助成策を打ち出したい、こういうところで進んでおるわけでございます。
#268
○多賀谷分科員 これは政府が現在提出されております四十八年度予算編成よりも前進していないと思うのです。それはまだ再度にわたる為替相場の変動は組み入れていなかったわけです。いまおっしゃることは、どうも最初から四十八年度予算編成に対して政策として出されておるものから一歩も前進していないように私は聞いたわけですけれども、一体、今日の時点でどれだけ前進しておるかということをお聞きしたい。
#269
○外山政府委員 今回の為替変動に対する影響につきましては、現在、先ほど申しましたような面でいろいろ調査を進めております。それからさらに為替の変動がどのような影響を深く持っていくかということは、やはり今後の動きを見なければならないと思います。したがいまして、私どもとしましては、先ほど申しましたような方向で検計を進めているところでございまして、まだそれに対する対策を具体的に打ち出したという段階ではない。そういう意味で先生の御指摘のように、新しい情勢の中で対策を打ち出したわけではございません。
#270
○多賀谷分科員 大臣、そうしますと、再度にわたる為替相場変動に伴う分の政策については、いま出されております予算以外に補正を組むとか組みかえるという作業はなされるわけですか。
#271
○中曽根国務大臣 当面そういう考えはございません。しかし、将来そういう必要があれば十分考えます。
#272
○多賀谷分科員 先ほどから、再度にわたる円の切り上げ、この問題について全力をあげてと、こういうことをおっしゃっているわけです。ですから、四十八年度の予算編成の時点よりもさらに深刻化しているはずですから、新しい情勢が生まれておる。それに対して通産省としては対処をされておるはずだと思うのです。当面考えていないという、しかし事態は出ているのですよ、大臣。ですからその必要がある。しかしその必要があるけれども、どの程度の必要性かわからないというならまた話は別ですね。しかし必要性があるから、当面新しい事態に処してやはり予算について何らかの変更があると見ていいのじゃないですか。
#273
○中曽根国務大臣 まだフロートの状態でありまして、切り上げ幅が幾らになるかということも決定いたしておりません。あるいはさらにドルやマルクの状態も不安定な状態で、定点が見出せないという状態でございます。必要な経費は四十八年度予算に盛っておりまして、それを繰り上げ使用するということも、予算が通れば可能でございます。そういう諸般の情勢から考えまして、当面は必要がない、そう考えるわけでございます。
#274
○多賀谷分科員 わかったようなわからぬような話なんですけれども、しかし繰り上げ使用をする方法もあるという、このことばは、私はやはり次の補正なり組みかえというものが考えられる、こういうように理解したいと思うのです。こういう議論をしておりますと長くなりますからやめますけれども、そう考えてよろしいですか。
#275
○中曽根国務大臣 将来必要が出た場合には補正を組むということも考えております。
#276
○多賀谷分科員 関税の維持というお話が出ましたが、大臣現在のこの非鉄金属に対する関税というのは、何の目的で関税がかけられておりますか。
#277
○外山政府委員 国内鉱山並びに国内製錬所の保護ということでございます。
#278
○多賀谷分科員 国内製錬所の保護というのは、日本の国内の製錬所は国際競争力が非常に悪いのですか、どうなんです。国内鉱山の保護ということは、これはわかります。しかし、製錬所の保護というのは、何か日本の製錬所というのは国際競争力がないのですか。
#279
○外山政府委員 製錬所の保護というのは一義的な言い方としては適当でないかもしれませんが、たとえばアルミにしましても鉄にしましても関税がかかっております。それは、やはり国内鉱山並びに国内鉱石を製錬する製錬所、あわせて保護をはかっておるというふうな内容でございますので、そういうふうに申し上げたわけでございます。
#280
○多賀谷分科員 ぼくはどうも製錬所が国際競争力がないというのはちょっと理解できないのです。鉱山は国際競争力がないというのはよく理解できるのです。製錬所が国際競争力がないというのはよく理解できない。一体外国に比して、なぜ日本の製錬所というのは国際競争力がないのですか。また逆に言いますと、それは鉄や何かのように、外国のように内陸にある――日本は臨海工業地帯にあるから、逆に言えば国際競争力があるのです。これはわかりますよ。しかし、鉄に比べて国際競争力が弱いというならわかるけれども、外国に比べて日本の製錬所は国際競争力がないというのはちょっと理解できないのです。
#281
○外山政府委員 銅、鉛、亜鉛につきましては、いまの鉄やアルミと違いまして、もう一つ基本にございますのがLME相場でございます。したがいまして、地金と鉱石の値段がパラレルに国際的に動く、その影響を全面的に受けるわけでございます。したがいまして、製錬所はそれなりに国際的な競争の場に立たされがちでございますので、国内鉱石の製錬をするという点も含めまして、国内製錬所にも、やはりある程度のそういった配慮が必要ではないだろうかというふうに私は考えておるわけでございます。
#282
○多賀谷分科員 それはロンドン相場できまるわけですから非常に波動性のあるということはわかるわけです。しかし、外国だってみんな臨海工業地帯にあったわけではないのでしょう。ですから輸送費の非常にかかる鉱石をそこで製練をして、そうして地金にして需要地に出す。これは私は、どうも施設がかなり古かったとかなんとかなら若干わかるのですが、あまりいい理解はできない。ただ、いままでがどちらかといえば売り手市場、あるいはいまからもなおもそうなる。そこで製練費がドル建てできまっておるから、今度のような円の切り上げがあるならば、逆にそれだけ、製練費分だけが、幾らになるかわかりませんが影響を受けるということはわかります。しかし本来そういう為替相場の変動がなければそういう事態はあまり起こらないのじゃないか、私はこういう理解をするのです。
 そこで、なぜ私がそのことを聞いておるかといいますと、実は地金についてはあるいはブリスターについては関税はあるけれども、輸入鉱石についてはどうなっているのですか。
#283
○外山政府委員 輸入鉱石につきましては関税はございません。
#284
○多賀谷分科員 そうすると、輸入鉱石から出た地金は一体どういうような建て値をきめておるのですか。
#285
○外山政府委員 地金のほうはLME相場と関税を考慮した建て値を国内で採用しているということでございます。
#286
○多賀谷分科員 率直に言いますと、今日大企業における有名な鉱山がどんどん閉山をされておる。いまの関税の仕組みは、逆にいうと、輸入鉱石をなるべく多く使って国内鉱山をいわば閉山したほうが企業に有利になるという仕組みになっておる、これは私はきわめて問題だと思うのです。仕組みとしてみると、輸入鉱石のみで製錬する企業はまるまる関税分だけがもうかっているわけです。ところが国内の鉱石を多く使っている分は、逆にそういう形になっていないのですね。ですから、国内の鉱山をつぶして輸入鉱石を全部使えば、少なくとも為替相場が変動しないとするならば、まるまる関税分だけ益金になる、こういう仕組みになっておるでしょう。これに対して大臣どういうようにお考えですか。
#287
○中曽根国務大臣 関税率審議会におきまして、LMEの価格にいまのような一定の調整を加えまして、そうして内外の調整をはかりつつ国内の鉱業を維持していく、そういう措置を講じております。
#288
○多賀谷分科員 それは鉱山の維持にならないですよ、大臣。というのは、地金は関税がかかっている。ところが輸入鉱石からくるものは関税がかかっていないのですよ。ですから、輸入鉱石で製錬した建て値は、関税分が入ったことにして売れるわけですよ、関税分だけ建て値が上がることになるわけですから。ですから、なるべく輸入鉱石を買って製錬をして、国内の鉱山をなるべく閉山したほうがもうかる仕組みになっているのがおかしいじゃないか、こう言っておるのです。これはひとつ大臣で答弁してもらいたいのですが、これはポイントなんです。と申しますのは、これは昭和三十七年に私どもが自由化に直面する金属鉱業危機打開に関する本会議決議をしたときの大きな焦点であった。そうしてこの提案理由は、当時の中村幸八さんが本会議でお読みになったのですけれども、要するに非常に変動がある、あるいは投機的に走る可能性のある価格であるからひとつ金属買い取り機関または価格プール機関を十分検討してくれということを言っておる。これに続いて鉱業審議会は大議論の結果、日本銅鉱業振興協会というものをつくった。そうしていわば地金を入れますから需要業者、それから外国鉱石を使う製錬所、両方からいわば拠出金を出さして、その拠出金を基金として国内の鉱山に交付金を交付した、こういうことが行なわれたわけです。昭和三十八年から三十九年、三十九年の半ばにおいて銅の値段が上がりましたから、それが停止となった。そうして二十八億くらい金を集めまして、そうして十億くらい交付してあとの十七、八億は残った、こういう歴史的なものがあるわけですよ。ところが、その後関税ができた。関税は地金あるいはブリスター、粗銅に関税はかかる。ところが鉱山のほうは逆に、輸入鉱石側はそれには何も関税をかけておりません。ですから、本来ならば関税の入った分の建て値と関税のかからなかった建て値が差があってしかるべきですが、それも経済情勢としては非常におかしいということで、結局関税がかかったことにして、その分だけ建て値を上げることを了承したわけですよ。ですから、ここに問題がある。大臣よく御存じの糖価安定法というのがある。これは外国から安い砂糖を買ってきてそうしてそこに、これは瞬間タッチで糖価安定基金として吸い上げて、そうしてこれを国内のてん菜糖とかあるいはカンショとかそういうのに交付しておるという安定帯がある。いわばそういう安定帯的構想ができて出発をした。ところが、そのときは銅がどんどん上がりましたから、やがてその制度が消えてなくなった。はなはだしきは金属鉱業等安定臨時措置法まで廃止をした。大体役人の考え方ですよね。景気がよくなったからもうこれは要らぬと法律まで廃止してしまう。そういう中でまた今日いわば非常な危機が訪れた。ですから、私は過去のことは言わないのですけれども、やはり関税というものが鉱山保護になっていないところに一つ問題点がある。ですから、鉱山保護になるような仕組みをひとつ考えられたらどうか、こういうように考えるのです。御答弁をお願いしたい。
#289
○中曽根国務大臣 いまのスメルターが有利になっているということは間違いないと思います。しかしスメルターはこれを国内鉱山の助成に使用しているということもございます。いまお話しになりました、この前の三十八年の処理につきましては、同じようにやはり関税を調節することによって地金の関係からもあるいは鉱石の関係からも二千円ずつ取って――ある場合には二万七千円ですか、片一方は二千円、こう取って、そして同じように交付金として助成しているということもある。これはおっしゃった瞬間タッチ方式に似ているやり方だと思います。こういうやり方をやはり拡大応用していくということはいいじゃないかと思いますが、何かいい案がございますか。
#290
○多賀谷分科員 大臣がそういうこともいいんじゃないかとおっしゃるから、やはり制度的にその方法を考える必要がある。私もよく十分当時の事情が明確にわからない点は、地金からはこれは二万七千円徴収しておるわけです。輸入鉱石からは二千円徴収しておる。しかしこのときの建て値が問題だと私は思うのです。というのはタリフクォータ制になっていまして、第一次無税、第二次関税が課せられています。最初ある一定量入れるまでは無税ですね。無税の分については二万七千円をこれは取っておる。それから第二次の三万円の関税をかけておる分については賦課金は取らないことになっておる。そこで建て値というのが国内の、要するに第一次分、無税のほうの建て値ではなかったか。要するに外国鉱石を買ってきて、製錬所は伸銅とか電線業界に売る、その建て値というのは関税分が入っていない第一次分の建て値、こういうように理解できるのですが、だれか事情がわかったら説明願いたい。そうしないと建て値が違うだろう、関税がないんだから。
#291
○外山政府委員 あるいは多賀谷先生の御指摘のような差がいまの関税との間にございましてそういうようになったかと思いますが、いま私のところでも手元に資料がございませんので、なお検討させていただきたいと思います。これは実は私どもとしても勉強している材料には違いないのですが、ただなかなか現在のような角度でやっていることについて、いまの措置をできるだけ拡充強化することでかなりの効果は得られるんじゃないかというふうに私は考えておるわけですが、しかしいまの御指摘のような点をもう少し勉強いたしまして、さらにそういった方向の考え方がどういうふうな問題を持つかということもあわせて勉強したいと思っておるわけでございます。現在のところ資料がないので十分なお答えができないことを申しわけないと思っております。
#292
○多賀谷分科員 糖価安定法のような方式を行なって――こんなに国際相場に左右される業界はないわけです。しかも電線というようなものはわりあいに電力なんかに使うのですから、需要業界は比較的価格の安定を望むでしょう。ですから私はそういった操作によって安定帯をつくって上限と下限をつくって、そしていわば糖価安定法のような方式でいくか、しからずんば今度は逆に関税を鉱石にもかけて、そしていわば地金、ブリスターの関税、鉱石の関税、それから一般会計の繰り入れというものをもって石炭のように特別会計をつくるか、何か制度をつくってやらなければ、供給には弾力性がない、しかも投下資本はかかる、そして労働者はかかえておる、しかも値段のほうはもう非常な変動をする。こういう他に産業を見出し得ないぐらいな変動がある。ですから私は、そこには政府の政策というものがどうしても必要ではないかと思います。
 実は私は一昨日足尾銅山に行ってきました。そして、労働者にも会い、経営者の方にも会い、ことに県にも行き、町にも参り、住民の方にも会いました。残念ながら制度が全然ないのですね。離職対策の制度も救済の制度もなければ、自治体に対する救済の制度もない。そうして、われわれがいろいろの事情を聞くけれども、中小企業に対する制度もない。そして、とにかくこれらの方々は全部山に依存して生活をしているわけです。幸い、別子とかいうように住友、いわば総本家の中心地帯、本拠であったというようなところはまだ何かいろいろな政策も、あるいは離職者対策もあるでしょうけれども、足尾も、古河鉱業の発祥の地ですから、かなりあるわけですけれども、しかし何さま辺境の地である。ですから、やはりいろいろの問題が多い。しかも、御存じの公害問題がある。ということで、私は、このままいきますと、企業は残るけれども産業はつぶれるという憂いがしてならない。石炭がそうでしょう。みな企業は残りますよ。しかし、石炭を全部ほうり出していっておるわけです。すでに日本鉱業だって、日立鉱山をはじめとして分離の態勢に入っておるわけです。ですから、企業は何とか残ると私は思いますよ。製錬をやり、観光をやり、何とかして残るでしょうけれども、鉱山のほうは全部つぶれていく。鉱山がつぶれれば、何も製錬所なんかを国内に置く必要はないじゃないか、むしろ現地のほうは現地製錬を望んでおるのだ、資源を、鉱物から買ってきて電線にまでして、あるいはさらに製品にまでして売らなくてもいいじゃないか、こういういろいろな要素が入っておるわけです。ですから、さっき大臣がおっしゃいましたように、ある程度の規模を持たないと、海外開発もできないし、技術者の養成もできない。そうすると、ある程度残すとするならば、鉱山を残すような仕組みに制度を変えなければならない。いまの制度は逆にいいますと、それは悪意でやっておるわけではない、それが山をつぶす原因になったとは私は思わないけれども、少なくもいまの関税のあり方は、逆にいうとなるべく鉱山をつぶすに役立つような仕組みになっておるということだけを私は申し上げまして、質問を終わりたいと思いますが、最後に大臣からお答え願いたい。
#293
○中曽根国務大臣 いまのお話のとおりのようた傾向にあると思います。産業が滅びて企業が残るという状態はあまり感心すべき状態ではございません。したがいまして・いま御答弁申し上げましたような線に沿って、関税あるいはスメルター方式、いろいろなものを考慮いたしまして、ともかく国内鉱山を健全に育成する方向に努力したいと思います。
#294
○細田主査 次に北側義一君。
  〔主査退席、山崎(平)主査代理着席〕
#295
○北側分科員 まず最初に通産大臣にお尋ねしたいんですが、これは基本的な問題ですのでお尋ねするわけですが、田中総理が書かれた「日本列島改造論」の中で、「工業の発展とネック」、こういうような意味のことが書かれてあるわけです。
 これは簡単に読んでみますと、こういうことです。「環境汚染が工業生産に対応してすすんでいる現在の状況をみると、昭和四十三年の関東臨海地帯における工業生産額は約二十八兆円、そのときの硫黄酸化物の総汚染量は五十五万トンであった。ところが、通産省の想定によると、五十年には生産額は五十八兆円、硫黄酸化物の総汚染量は、百十四万トンに達する計算になる。現在の産業立地動向をそのまま是認していると、公害を取除くための投資を大幅に行なっても、公害問題を解決する対策にはならない。一方、大都市の住民の生活環境を改善し、住みよく暮しよい地域社会をつくることは、政治の急務となっている。このため公害の規制強化を行なっていけば、過密地域における企業の活動そのものがむずかしくなる事態も十分に予見される。」このようなことが書かれてあるわけです。
 これに対して、これは非常にむずかしい問題であろうと思うんですが、通産大臣としては、今後のあり方について、いわゆる公害の問題、それとやはりそのような、いわゆる企業が生産していく額が上がっていく、これは相反するものであろうと思うのですが、どのように考えておられるか、お伺いします。
#296
○中曽根国務大臣 一九六〇年代におきましては、公害に対する関心がそれほど強くなかったために、生産の増大と公害というものが相比例して伸びてきたと思いますけれども、七〇年代に入りましてから、国民やジャーナリズムあるいは野党の皆さま方あるいは国会全体として、その点に対する関心も非常に多くなりまして、いろいろな対策が講ぜられました。環境基準、排出基準、あるいはわれわれのほうといたしましても、知識集約型産業に重化学工業から転換していく。一面において規制、一面において産業の質を転換していく、そういうような努力を積み重ねることによって、こういう弊害をなくしていくことができると思います。
#297
○北側分科員 これはことばの上でいきますと非常に簡単なんですが、事実上は、これは非常にむずかしい問題であろうと思うんです。たとえば、きょうは私、この問題で論議するつもりはないのですが、火力発電所等の、いわゆる電源開発、これらにおきましても、そういう問題がずいぶん随所で起こっているわけです。
 そこで、まず順序立てて聞いていきたいのですが、わが国におけるところの電力の長期需要の見通し、そういう計画は現在どうなっておりますか。
#298
○井上政府委員 電力の需給の見通しでございますが、現在、電力需要は年間大体一〇%程度伸びておりまして、今後、四十七年から七年間におきまして、約九千万キロワットの建設をする必要がある、これは夏季ピークの需要をカバーするために必要になる、こういうふうに考えております。
#299
○北側分科員 そこで、いわゆる原子力なり、また火力なり水力なり、いろいろ発電所の建設が急がれておることであろうと思うんですが、現在、電源開発審議会で認可がおりて、そうして着工していない個所がずいぶんあるわけです。それについては大体、その理由とどういう場所があるのか、それを教えてください。
#300
○井上政府委員 現在、電調審を通過いたしましていまだ着工いたしておりません地点は五地点でございまして、キロワットにいたしまして約三百五十万キロワットでございます。
 そのおもな地点は、新宮澤それから尾鷲、三田、渥美、金沢、女川、それにごく最近電調審を通りましてまだ着工していないものに伊達火力というのがございます。その理由はすべて公害問題でございます。
#301
○北側分科員 そこで、電力の需要というものは、この計画のとおり、どうしても要るから計画なされているであろうと思うんですが、この公害に対してやはり反対運動が非常に――そのような三百五十万キロ、約五カ所で必要なものが、いわゆる電調審の認可がおりても着工できぬ、こういう実態になっていると思うのです。いま言われたように、公害問題というのは非常にむずかしい問題だと思うのです。というのは、いままでの、先ほど通産大臣も言っておられたとおり、一九六〇年代のいわゆる企業のあり方というものを見てみますと、やはり公害防除施設、これは非常にゆるかったと思うのです。その結果としてあらわれたのが、現在いろいろな個所における公害問題ではなかろうかと思うのです。そういう関係で、いままでの各市町村においては公害防止協定、これなどが結ばれるわけです。ところがその結ばれた公害防止協定、これも実際稼働してみますと、それに対する防止協定どおりのあり方というものはなかなかできない。そういうところで住民の企業に対する不信等が出て、大きないわゆる反対運動となっておるわけですが、たとえば稼働した後においてその公害防止協定が完全に実施されておるかという監視体制、これはいろいろなやり方があろうと思うのです。そういうものについても、市町村では財源的に、また人員的に非常にむずかしい問題があろうかと思うのですが、そういう点について通産省としてはどのように今日までやってこられたか。
#302
○井上政府委員 公害防止協定の順守の問題でございますが、これは現状を申し上げますと、公害防止協定をつくりまして、それに従っていろいろと公害の規制をやっておるわけでありますけれども、その後諸般の事情から公害防止協定の改定という上乗せの問題がだんだん出てまいりまして、それにつきましては極力対応できる限りそれに対応して公害を少なくするように強く行政指導をいたしておりますし、その経費等につきましても、関係市町村と十分に打ち合わせして妥当な線を出す、こういうふうに指導いたしております。
#303
○北側分科員 そういう場所は大体どのくらいありますか。
#304
○井上政府委員 公害防止協定の改定の個所は、いま数字がはっきりいたしておりませんので、後ほどお答えいたします。
#305
○北側分科員 実は先般私北海道の伊達市の北電の火力発電所の建設問題で現地へ行ってまいったわけであります。いろいろ住民の方とも話し合いをして、お話も聞いてまいったわけでありますが、あそこの伊達火力発電所建設に伴う公害防止協定、これはどのようになっておりますか。
#306
○井上政府委員 ごく概要を申し上げますと、これは関係六市町村でございまして、それぞれ防止協定を結んでおりますが、伊達市の防止協定が最も典型的でございまして、他も大体同じようなものでございますから、伊達市のものにつきましてごく簡単に御説明申し上げます。
 条項が四章三十五条でございます。協定細目書が九条でございます。それから大気汚染防止の対策でございますが、通常時には硫黄分が一・七%以下、これは排煙脱硫装置をつけることによりまして一・三%に下げるということになっております。それから果樹等の開花期でございますが、これは硫黄分〇・八%、脱硫によりましてこれを実質的には〇・六%に下げる、こういうことでございます。緊急時におきましては硫黄分〇・五%の燃料を使う。これは排脱によりまして実質は〇・四%にする、こういうようなことでございます。
 その他水質汚染防止対策あるいは発電所の周辺の監視網の問題であるとか、そういう点につきまして詳細な規定をいたしております。
#307
○北側分科員 その六市町村の中に室蘭は入っておりますか。
#308
○井上政府委員 室蘭は六市町村に入っておりません。
#309
○北側分科員 硫黄分の問題ですが、これは私正直に申し上げてあまり詳しくないわけですが、全国平均として大体どれぐらいの硫黄分が使われているのですか。
#310
○井上政府委員 現在の燃料の平均硫黄分は一・〇何%という程度だと思います。一%ちょっとだと思います。
#311
○北側分科員 ここに書いてある資料とは少し値が違うようなんですが、まああなたのほうが正確かどうかわかりませんが、そこで私思うのです。あなたもお聞き及びだと思いますが、伊達市周辺というのは非常に環境の温暖なところで、非常に農作物、それから養殖の魚介類、そばには御存じのとおり国立の公園である洞爺国立公園があるわけです。そういうことで、特に私説明を聞きましたことを申し上げるわけですが、二百メートルからの煙突を立てて、そうして工場からの廃棄物を大気中に拡散する、このように聞いておるわけです。こういうことがありますが、特に室蘭の場合は、御存じのとおり日本石油との複合汚染という問題が非常に大事な問題になってくるのではないかと思うのです。二百メートルからの煙突を立てますと、拡散する範囲というものが約二十キロ地点まで及ぶわけですね。そうしますと、洞爺国立公園も入ってくるわけです。室蘭市も入ってくるわけです。いわゆる風の方向によっては非常に重要な問題が出てくるのではないか、こう思うわけです。私思うのですが、硫黄分が少々低くても、複合汚染されたり、それがいわゆる自然浄化作用というのですか、そういうものの限度を越えた場合には、やはり相当亜硫酸ガス等の被害というものが出てくるのではないか、このように私は考えておるわけです。
 これに対して、きょうは環境庁もお見えになっておると思うのですが、たとえば自然環境保全法等では樹木一本傷つけても罰せられるようになっておると思うのです。ある一面ではそういうぐあいになりながら、ある一面ではこういう火力発電所が建設されることによって、洞爺国立公園の環境が侵されるような心配がないかどうか。またあわせてそういう複合汚染が室蘭市あたりで絶対起こらないという確信があるのかどうか。これは科学的に調査しなければ非常にむずかしい問題であろうと思うのですが、建設されていないわけですから。だけれども想定はできると思うのですね。そういう点について一体どういうようにお考えか。
#312
○首尾木政府委員 伊達火力発電所は、現在予定されておりますのは、洞爺国立公園の地域の南端から約五キロはずれた公園区域外でございます。したがいまして、この伊達火力発電所の公害防止についての措置が十分はかられますれば、現段階では自然保護上はさしたる支障はないというふうに考えております。
 なお、伊達火力の位置でございますが、これは洞爺国立公園の真南になるわけでございます。したがいまして風向等が問題になるわけでございますが、一応南風は年間三、四%というようなことになっております。そのような点から考えましても、十分な公害防止の措置がとられますれば、洞爺国立公園に対する自然保護という面においては、さしたる支障はないというふうに考えておるわけでございます。
#313
○北側分科員 環境庁のほうはどうでしょうか。これはそういう計数について現地調査をなされて、そうして硫黄分がこういう場合はこうなる、そういういろいろな現地調査をなさったわけですか。
#314
○河野説明員 伊達火力の場合につきましては、北海道庁等の調査データを使いまして検討したわけでございます。先ほど御答弁がありましたように、伊達火力の場合につきましては、硫黄分が一・七%の硫黄分の重油を使用いたしますし、また煙突の高さは御指摘のように二百メートルでございます。これによりまして、環境濃度の年平均値の最大着地濃度を見ますと、〇・〇〇一三PPMとなるわけでございます。これにさらに排煙脱硫装置が設置されますので、さらに制限されることが予想できるわけであります。それから、公害防止協定にも規定されておりますように、果樹等の開花期におきましては、硫黄分〇・八%の低硫黄重油を使うことになっておりますし、また緊急時等につきましても、所要の規定が設けられております。そういったことを総合判断いたしまして、大気汚染の心配はないというふうに判断いたしたわけでございます。
#315
○北側分科員 実は私、大阪市内の東住吉区というところにおるわけですが、ちょうど岸和田臨海工業地帯ができたわけです。その当時、やはりあそこも高い煙突をつくったわけですね。それを大気に拡散したわけです。風向きによりますと、いわゆる煙突からはき出されたものが、二十キロ、ちょうど私どもは二十キロ地点ぐらいになるわけですね、ちょうど落ちてくるわけです。それで小学校でこれは非常に問題になったことがあるのです。そういう点を考えてみた場合に、なるほど統計的には、いま言われたようなものが出るかわかりませんが、しかしその監視体制なりそういうものはよっぽどしっかりしておらなければ、ちょうど私ども大阪ですから、もうずっと住宅地帯です。そこへそういうばい煙が降ってくるわけです。一時、新聞にも載っておりましたから、環境庁御存じと思うのですね。そういう事実が現に出ているわけです。おそらく岸和田コンビナートをつくる前には、そういう話は府議会等でも十分なされまして、そうして公害防止条例等を設けられてやられたと思うのです。しかし、できて、いざ稼働してみますと、現実の問題としてそういう問題が起こってきておるわけです。そういう点で、私非常にこれは心配なわけです。ましてや、先ほど言いましたように、室蘭市あたりは複合汚染の心配も出てくる、こういう心配もあるわけです。そこらについて、環境庁、責任持てるのですか。
#316
○河野説明員 大気汚染につきましては、御指摘のように、複合汚染というような事態も起こり得るわけでございます。と申しますのは、いろいろのその地域の気象条件その他を考えまして、最大着地濃度を環境基準以下にするという観点から、検討するわけでございますが、最悪の気象条件が絶対にないということは保証できないわけでございますが、できるだけそういうことも見込んだ安全なサイドで検討しております。また、そういった緊急時の事態が生じた場合には、大気汚染防止法第二十三条の措置を講じて、それを防止するという仕組みになっております。現在の大気汚染の状況は、全般的に硫黄酸化物につきましては改善されている傾向でございます。
#317
○北側分科員 通産省にお聞きするのですが、公害防止協定を結ばれた六市町村の中で、そういう監視体制等についてはどうなっていますか。
#318
○井上政府委員 伊達市の公害防止協定について申し上げますと、市は必要に応じて発電所の構内に立ち入りして公害防止について調査をすることになっております。それから、必要と認めて規制するものについても立ち入り調査をさせることができるということで、立ち入り調査をやれる。あるいは、公害防止対策をやる。あるいは苦情処理関係。それから賠償につきましても、万一そういうものが起こった場合には、これを誠意をもって解決をするということになっております。なお、賠償その他につきましての話がととのわないときには、市があっせんをするというようなことも入っております。それから、市が行ないます酸化物あるいは窒素酸化物等の大気汚染の測量に対しましても、電力会社側は積極的に協力をして、一号機の運転時までには、周辺地域に自動測定装置を設定するというようなことを規定しておるわけでございます。
#319
○北側分科員 いわゆる公害防止協定を結んだこの六市町村のほうで、そういう公害がきちんと測定できるかどうかという問題ですね、そこは非常に大事な問題になってくるわけです。こうします、こうしますというのは、なるほど書いてあるでしょう。しかし実際にその監視体制がよっほどしっかりしておらなければならないわけですね。そういう点を非常に心配しているわけです、かりにできたとしたら。
 そうすると、室蘭市がこの中に入っておらないのはなぜですか、わかりますか。
#320
○井上政府委員 室蘭市につきましては、先ほどお話もございましたように、たとえば煙突からのばいじんの排出基準等を設けましても、環境基準が大体〇・一、それに対しまして〇・〇四というようなことでございますし、二十キロ離れているというような問題もございまして、総合判断といたしまして、及ぶことはあまりないのではないかということでございます。
#321
○北側分科員 しかし、事実はやはり室蘭市あたりでは、何も益がないわけですね。伊達火力発電所ができたって、汚染だけこっちが受けるんだからたまったものじゃないという非常に強い意見が出ていますね。これは、ここであなたとやりとりしても、別にあなたは室蘭市の市長でも何でもないのですから……。
 それと、北電がこの伊達火力発電所に送る重油パイプライン、この埋設プランとかそういう計画はどうなっているのでしょう。これは北電のほうでやられることで、あなたには関係がないかもわかりませんが、何らかそれ自体通産省としての考え方ですね、また、お聞きになっている点がありましたらお聞かせ願いたいのです。
#322
○井上政府委員 伊達火力のパイプラインのことでございますが、これはタンカーで運びますと非常に海をよごすというような話がございまして、地元の要請によりまして、室蘭からパイプラインで送るという計画になっております。ただ、どういうルートを通るかということにつきましては、現在のところ明確になっておりません。
#323
○北側分科員 わかりました。では、この問題を論議しても始まらぬことでしょうから。
 もう一つ、環境庁の方にお聞きしたいのですが、あすこは非常に養殖漁業が盛んですね。それで計画を見ますと、温排水は毎秒二十二トン。自然環境にマッチしているからこそ私は養殖漁業はきちんとできるのじゃないかと思うのです。毎秒二十二トンなんというのは相当の流量ですね。そういうものが入ってはたしてその養殖漁業がどこまで大きく影響を受けるか、そういうことを非常に心配しているのですが、その点どうですか。――では、来てなかったらやむを得ぬから、それはあとで私のほうへ資料でお聞かせください。
 この伊達火力発電所の問題につきましては、もう御存じあろうと思うのですが、火力発電所建設禁止請求事件として環境権訴訟が現在行なわれておるわけです。私思うのですが、やはりこの問題につきましては、地元では相当な重大な問題になりまして、御存じの虻田町でもいわゆる町長リコール問題にまで発展しておるわけです。そういう大きな問題となっておるこの建設問題について、少なくとも私、この判決が出るまでは、または、住民が話し合いのもとに、いや公害というものはだいじょうぶなんだという納得、理解するまでは、そういう建設工事を着工してはいけないのじゃないかと思うのです。そういう点について、いわゆる電調審は認可しておりますが、これらについて通産省としてはどのように考えておられるのか、それをお聞きしたのです。
#324
○井上政府委員 現在札幌地裁に係争中の訴えが出ておることは承知いたしておりますが、これはあくまでも民事上の問題でございますので、行政上の問題とは別である、こういうふうに考えております。ただ、相当地元の反対が強うございますので、この着工につきましては事態を十分に観察して適宜の措置をとるようにいたしたい、こういうように指導いたしております。
#325
○北側分科員 最後に、ではこの問題について現地に行かれて調査をなさったことがありますか。
#326
○井上政府委員 特にございません。
#327
○北側分科員 そういう町長のリコール問題まで持ち上がってやっておるような事件でありますので、そういう声も聞かれてやるのは非常に大事ではないかと私は思うのです。私自身は調査に行ってきたわけです。かりに工事を強行着工でもした場合には、たいへんな騒動が起こるのじゃないかと思うのです。そういう面から、そういう事態が起こらないように処理をしなければならぬのではないかと思うのです。
 それといま一つは、先ほどから何べんも申し上げておりますとおり、非常に心配なことは、水質にしても、また大気汚染にしても、なるほど自然には自然の浄化作用というものがあろうと思うのです。しかし、その限度がどこで越えるかということは非常にむずかしい問題だと思うのです。越えてしまって、実際にいろんな公害問題を発生してからやったのでは手おくれなんです。そこらの問題をよく考えていただかなければ非常にむずかしい問題じゃないかと思うのです。なるほど、これからのエネルギーの方向について、日本の国の立場から見ますと、非常に重要な問題であろうと思うのですが、しかし、そのようないわゆる環境権裁判まで起こっておるような事態でありますので、一ぺん現地を見られる必要があるのではないか。
 時間が来たようですからこれで終わりますが、とにかく私の考え方としては、民事であろうがこういう裁判が起こっている以上は、その判決が出るまでは少なくとも強行してはならない。また地域住民がそれによって公害を受けない、そういう意思が住民に出てくるまでは、強行するようなことになりますと、やはり大きな問題になってくると思うのでが、そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#328
○山崎(平)主査代理 次に、渡辺三郎君。
#329
○渡辺(三)分科員 私は、通産省の行なっております大型プロジェクト開発の方式の問題について、特に四十八年度の予算に関連をしてきょうはお聞きをしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
 まず最初にお伺いしたいと思いますが、四十八年度における大型工業技術研究開発費、これは八十三億五千万円が計上されておるわけでありますけれども、新たに加えられておりますところの二つのテーマを含めて八つの研究開発が進められる、こういうことでいままでも進められ、今年度からさらにテーマがふえておるわけです。これらに対する開発の基本的な方式、これを最初にお伺いしたいと思います。
#330
○中曽根国務大臣 これからの通産行政を知識集約化産業中心に、また福祉型立国、そういう方向に向かって前進させる、通産省関係の技術開発あるいは工業開発という面もその線に進めていくように、いろいろ補助政策その他をやっておるところでございます。
#331
○渡辺(三)分科員 これは若干事務的な問題になりますから重工業局長にお伺いしたいと思うのですが、先ほど申し上げました八つのテーマ、これは民間に対する委託はどのように具体的に計画をされておるか、お伺いしたいと思います。
#332
○太田(暢)政府委員 大型プロジェクト制度の予算につきましては二つワクがございまして、一つは開発費でございます。もう一つは委託費でございまして、前者のほうは国立の研究所に渡す金でございます。後者のほうが民間の企業体に対しまして研究を委託するものでございます。それで民間の企業に対しましての選定でございますが、これは技術開発力及び経済的なファクターその他のものを勘案いたしまして、技術開発、大型プロジェクトに参加していただくことが最もふさわしい企業体を選んで、そこに委託するというやり方をとっております。
#333
○渡辺(三)分科員 三十分の時間でありますから、その詳細な内容をここで一々答弁願えないと思いますけれども、この内容については、どのような民間企業に委託しておるか、あるいは民間団体に委託しておるか、それを近い機会に資料として出していただきたい、こういうふうに思っておるわけであります。
 それから、今度加わるものを含めて、この開発のおおよその年限、それから総予算額はどのくらいになるか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
#334
○太田(暢)政府委員 この八つのテーマ、現在は六つやっておりまして、来年度新しく、高温還元性ガス利用によります直接製鉄、それから交通の総合管制技術の研究の二つを入れるべく予算要求しておりますけれども、八つのテーマにつきましては、いずれも最終年度は個々のテーマによって違っておりますが、ちょっとここに資料の詳しいのを持っておりませんので、あとで詳しい資料をお届けいたします。
#335
○渡辺(三)分科員 総予算額は、今度加えられるものを含めて大体どのくらいを考えておるのか、これはおそらくめどがついておると思うのです。個々に一つ一つの予算の計画をお聞きしたいわけですけれども、時間の関係があって私は総予算額を申し上げておる。たとえば四十八年度の場合には、大型プロジェクト制度の費用としては八十三億円何がしが予算として計上されておるわけです。これは四十八年度の場合には明確にきまっておるわけですから、何カ年間、それはテーマごとに違うとは思いますけれども、しかし全体の額は見当をつけて開発の計画を進められておると思うのです。したがって、その総額をお聞きしているのです。
#336
○太田(暢)政府委員 全体で七百数十億円でございます。
#337
○渡辺(三)分科員 これは通産省としては、冒頭大臣も言わたましたように、未来社会の一つの開発あるいは展望、こういうふうなことでいままでも非常に力を入てこられましたし、今後ますますこれが重要性を増しておる、こういうふうに説明をされておるわけです。ただ一般世間といいますか、この通産省の行なおうとしております大型プロジェクト、この開発方式については、極端に言えば、だれのためにこれが必要なんだろうか、あるいは何の目的でこれが進められていくんだろうか、ある意味ではこれは素朴な質問かもしれません。しかし、そういうふうな声も一般にはあるわけです。私ども考えてみる場合に、国の非常に多額の資金をこれに投入をして、そして開発を進めるわけでありますから、国民生活に直接いい影響を及ぼすような環境の整備であるとかあるいは公害の防止であるとか、こういうふうな問題こそがきわめて緊急性の高いものとして国民の側からいえば要求をされているんじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。もちろん、それらのことを四十八年度も全然考えていないというわけではございませんけれども、そういう点について、予算の内容などをいろいろと検討してみますと、いま私が後段申し上げましたような点については、比較的少ないのではないか、あるいはまた、研究開発のテーマとしては非常に限られておるんではないか、こういうふうに思うのです。したがって、その辺の関連もあわせてお伺いをしたいと思います。
#338
○太田(暢)政府委員 この来年度の八つのテーマにつきまして申し上げますと、社会開発的なテーマあるいは公害防止的なテーマ、そういうものにつきまして申し上げますと、電気自動車の研究、これは公害防止に関連する技術でございます。それから先ほど申し上げましたが、高温還元性ガス利用によります直接製鉄、これも原子力製鉄及び省エネルギーの技術につながるものでございます。それから交通総合安全システム、これも都市の大気汚染及び交通の混雑に際します対策でございます。それから今後の日本としまして水の問題が非常に重要になるわけでございますが、このためには海水淡水化を取り上げ、また大陸だなにおきます石油の油田の開発にぜひ必要であるということで、大深度遠隔操作海底石油掘さく装置の研究を行なっております。それから今後の革新技術に関連するものといたしまして、パターン情報処理システムの研究開発を行なっております。それから、これは今年度で一応終わる予定でございましたが、来年度、研究の過程におきましてさらにしばらく研究を継続さしていただきたいということで、MHD発電につきましては三年間の継続をお願いしてございますが、それはエネルギーをより有効に使おうという技術に関連するものでございます。
 そういうぐあいに、総じましてほとんどすべてのものが社会開発的な問題あるいは公害防止といったような社会福祉につながる技術につながっておるものでございます。
#339
○渡辺(三)分科員 いま御答弁あったような形での関連づけになりますと、すべてが社会開発に、直接的であれ間接的であれつながっていくのは当然だと思います。しかしそれが、国民がいま非常に緊急に、自分の生活の実態に根ざしながら、あるいは社会環境の実態に根ざしながら、もっと国が大きな金をつぎ込んでやってもらいたいというふうな点からいえば、必ずしも、いま答弁あったような形ですとんと納得できるというふうなものではないのじゃないか、こういうふうに私は思うのですが、この点は別としまして、ところで大臣にお伺いをしたいと思うんですが、あす、ニクソン大統領特使として、ピーターソン特使一行が来られる、これに大臣がお会いになる、こういうふうなことがすでに明らかにされておると思うのでありますけれども、この中で電算機関係ですね、本体あるいは周辺装置あるいは集積回路、これらの輸入自由化の問題について、この会談で具体的に通産省といいますか、日本の政府の考え方を述べられるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
#340
○中曽根国務大臣 ピーターソン氏が来るということで会いたいということでありますから、会う予定でおります。それは別に交渉をやるという話でもありませんが、表敬を受け付けて日米間の問題について懇談をし、われわれのほうも向こうにただしたい点をただし、先方もわれわれの考え方を聞く、そういう懇談の会になるのではないかと思います。
#341
○渡辺(三)分科員 そうしますと、重ねてお伺いしますが、特に自由化の品目などについて、たとえば向こう側から要求があるなしにかかわらず、日本政府の考え方、通産省の考え方、こういうふうなものをこちら側の基本的な考え方として述べられる、こういうふうな準備、これはございませんか。
#342
○中曽根国務大臣 そのときの情勢を見ないと、どうということはわかりませんが、荒っぽい、大まかな大体の方針みたいな話はあるいはするかもしれません。
#343
○渡辺(三)分科員 話の内容あるいは向こうの出方いかん、こういうようにも受け取れるわけでありますけれども、いま私が申し上げました電算機、IC自由化の問題についての通産省の考え方としては、一日に通産省がまとめたいわゆる基本方針というのが新聞で報ぜられておりますけれども、もし出た場合には、そういう線で向こう側と話し合う、こういうふうなことでしょうか。
#344
○中曽根国務大臣 こまかい具体的な話はする考えはありません。ただ、大まかな、大体方針と申しますか、方向、感触という程度じゃないでしょうかね。
#345
○渡辺(三)分科員 これは私から申し上げるまでもないと思うのでありますけれども、特に電算機関係についてアメリカと日本との技術の比較といいますか、普及度も含めての比較においては、これは通産当局が一番よく御存じのとおり、非常に格差があると思うのです。本体である電算機そのものよりも、むしろソフトウエアの部面でたいへんな格差がある、こういうふうに俗にいわれておるわけですが、こういう中でいま大臣が言われました、たとえば通産省がこの一日にまとめられた基本方針に基づいてもし自由化が進められるとすれば、日本の電算機産業それ自体にたいへん大きな影響を及ぼすことになりはしないか、こういうふうな気が私はするわけであります。そういう点について、業界との話し合いが、あるいは今後の日本の電算機を含めての情報産業全体の進め方について、もし早急に自由化をした場合に日本のこの種の産業というものが一体どのようになっていくのか、この点についてひとつ基本的な考え方を最初お聞きしておきたいと思うのです。
#346
○中曽根国務大臣 ソフトウエアは非常におくれておりますし、ICも先方より五年もおくれて始めております。ICは向こうのノーハウをもらって七%のフィーを払ってやっておりますから、これがタイでいったってなかなか勝てるものではありません。それから電算機の本体につきましては、部分的には日本もかなり改良されて、追い上げてきておりますけれども、しかし、アメリカがアポロ計画であれだけの物体を宇宙へ持っていって、また連れて帰ったというのは、みんな電算機、の小型化及び性能の優秀性からもきているのでしょう。それらの実態はわれわれにまだわかりません。ですから、隠しているのがあるかもしれませんね。自由化してそういうものが出てきたら、日本は壊滅する可能性もあります。それから、英米におけるIBMやアメリカ資本がどういうふうに制覇したかという実情も見てみますと、なかなかこれは大きな、重大な問題だろうと思っています。
#347
○渡辺(三)分科員 そういうふうな状態の中で、これは大臣、非常に心配されるような内容の話もあったわけですけれども、一体、通産省でまとめたこの自由化の基本方向といいますか、こういうふうなものでいって、日本の電算機産業というものを守っていくということができるのかどうか、あるいは、この自由化を急いでやるということのメリットをどのようにお考えなのか、重ねてお伺いしたいと思います。
#348
○中曽根国務大臣 これは国際協調という面がありまして、日本ばかりが自我を主張しておりますと、あるいはガットで提訴されて、経済通商戦争になる危険性もございますし、世界じゅうから日本が袋だたきにあうという危険性もありますから、そういう全般を考慮して、政治的判断で処していかなければならぬ段階に入ったと私たちは思っておるわけであります。しかし、事態は非常に重要な内容と影響を持っておる問題でございまして、国家百年の計もまた考えておかなければならぬところでございます。
#349
○渡辺(三)分科員 私はいま、電算機関係を中心にして御質問を申し上げましたが、先ほど工業技術院の院長からもお話がありましたが、四十八年度の大型プロジェクト計画の中でも、これまでに引き続いてパターン情報処理システム研究開発費というふうな形で十六億二千七百万円ですか、これが計上をされております。それからさらに、三・五世代機種に本格的に対抗できる新しいシステムの電算機を開発していく、こういうふうな形で百十九億四千万円余が計上されておるわけです。
 こうした情報処理関係施策の予算を見ますと、四十八年度はおおよそ百五十億、百四十九億五千三百八十二万何がしというふうな、昨年から見ますと二倍強の支出が予算の面で組まれておるわけです。さきに申し上げました新しいシステムの電算機の開発という形で百十九億が予算化されておりますけれども、これは新機種開発のための補助金という形で出されていると思うのです。これはどの企業あるいはグループに対してこれだけの資金が準備をされているのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
#350
○山形(栄)政府委員 電算機及びそれに関連するソフトウエア等の重要性につきまして、いま大臣お話しのとおりでございますので、実は、昨年、予算編成にあたりまして、早急に日本の業界を強めなければいかぬということで、現在電算機をつくっておりますメーカーが六社ございますがこれのグループ化をはかりまして、これを三グループに編成いたしまして、それぞれに力をつけるという趣旨で、四十七年度予算、四十八年度予算、それから四十九年度予算――この四十九年度予算はまだもちろん今後の問題でございますが、われわれのほうの推算も含めまして、全体で三百四十億程度の強化資金を補助金としてこれに交付するという大体の方針をきめたものでございますが、いま先生のお話の百十九億円といいますのは、昨年の約五十億円に引き続いての、その三グループに対する補助金でございます。
#351
○渡辺(三)分科員 これは念のために確かめておきたいのですが、三グループというのは、富士通と日立、それから日電と東芝、それから沖と三菱、この三グループですか。
#352
○山形(栄)政府委員 そのとおりでございます。
#353
○渡辺(三)分科員 それから、四十七年度から四十九年度で、三カ年で三百四十億のワクで新しい機種を開発すると、こういうお話がいまあったわけですが、これはつい最近の新聞で、何日かちょっといま忘れましたが、大臣もさっき答弁されましたが、新しい自由化が促進される、こういうふうな形になると、これはもっと大幅な予算を投じて機種の開発を急ぐ、あるいはもっと完全なものにする、こうしなければならぬというふうな通産当局の考え方が出ておったように思いますけれども、その辺も含めて、通産省では、予算の、将来の問題ですけれども、考え方を出しておるのかどうか、あわせてお伺いをしたいと思います。
#354
○山形(栄)政府委員 電算機、IC、ソフトウエア産業の自由化につきましては、先ほど大臣からもお話がございましたように、そのタイミング等につきましては、現在まだきまっておるわけではございませんけれども、もしかりに自由化をするというようなことになりますれば、ただいまの先生のお話のとおり、既存の助成措置をより一そう強化してこれに対応する必要があろうかと私は考えます。
#355
○渡辺(三)分科員 わかりました。
 そこでお伺いをしたいのですが、これまで通産省は、大型プロジェクトをはじめ、いろいろな技術開発を進めてこられました。特に、大型プロのような場合に、その意欲あるいは当初の計画というものはまことに意気盛んな状況でありますし、画期的なものというふうにいわれております。しかし、その経過あるいは結果をつぶさに見てまいりますと、残念ながら、必ずしもそういうふうに言えない面があるのではないか。当初の意気込みや計画のとおりには必ずしもいってないのではないか、というふうに思う点があります。ばく大な国費が投入をされておりながら、場合によっては、少しことばが悪くなりますけれども、その締めくくりがきわめてうやむやにされておる面がある、あるいはまた、特定の企業への奉仕に終わってしまっておる、こういう点がいままであったのではないかと思います。いま進められておりますところの、あるいはまた、これから新たに進められようとしておりますところの大型プロジェクトによる開発方式技術開発に関してそうした危惧がないのかどうか、特に、電算機がいま非常にせっぱ詰まった状況になっていることとも関連をして、そうした危惧はないのか、この点について、これは明確に大臣の所信をお伺いをしておきたいと思います。
#356
○中曽根国務大臣 電算機、ICの自由化の問題は、日本の将来の産業構造の基本にかかる大きな問題でございまして、これはきわめて慎重に考え、あとに至ってほぞをかむことがないような手配をしなければならぬと思います。それについては、内容及びタイミングについて慎重を期するとともに、また、国としての助成政策もさらに思い切って前進させ、効率的な助成政策を検討し直してみる必要もあるかとも思いますし、また、三グループに集約化しつつある現在の企業側の努力もさらに一そう拍車をかけてもらうし、三グループのおのおのの協力関係というものをさらに密度を深めて、もう一段階上昇させてもらう必要があるだろうと考えております。
#357
○渡辺(三)分科員 これは通産省の工業技術院の長沢参事官が書かれた内容でありますけれども、大型プロジェクト制度による研究開発の成果は一体どのようになっていくのか、あるいはどのような位置づけ、考え方を持つのか、こういうふうなものの中に、研究所の分担分はもちろん、民間企業に委託された研究開発の成果も、原則としてはこれは国のものである、すなわち、工業所有権はすべて国有であり、ノーハウについても、工業技術院院長が指示するものについてはすべて国有である、こういう相当厳密な考え方を述べておられます。私は、このこと自体はうなずけるのです。このこと自体はうなずけますけれども、いま大臣が述べられましたような基本的な考え方を、文字どおり、ことばの上ではなく、実際の技術の開発あるいはその成果の締めくくり、こういうふうな点に適用しないとたいへんなことになるんじゃないかと私は思うのです。
 それで、残念ですが、あと一、二分しか時間ありませんから、これはいずれ早い機会に、商工委員会の中で、具体的にその内容について私は詰めてまいりたいというふうに思っておりますけれども、昭和四十一年度を初年度として、当初五カ年計画で始まって、その後さらに一カ年延長して、四十六年度に終了を見ました大型プロジェクトとしての超高性能電子計算機の研究開発、この費用は全部で百億千二百七十五万六千円。これは私の調べですから、あるいはちょっと違うかもしれませんが、およそ百億の金が国から、通産省から出されております。そのうち民間への委託として、六カ年間で八十六億円投入されておるわけです。しかも、その内訳をさらに検討してまいりますと、これらのうち約三十億円余がソフトウエアの開発ということで民間に委託をされている。こういうふうな経過が明らかであります。この問題に関連をして、大臣もおっしゃるようにおくれておりますところのソフトウエアの開発、これが一体ほんとうの意味で民間に委託をされて、十分な成果をあげ得ることができたのかどうか。しかも、その成果が、先ほど長沢参事官の表現を借りながら私申し上げましたけれども、厳密に国がしっかりとそれを握って、しかもわが国情報産業の発展のために誤りないつかみ取りをできたのかどうか、こういう点で非常に大きな危惧を私は持っているのです。
 残念ながら、この問題を取り上げておりますと、あと相当の時間がかかりますから、きょうは実態をお伺いしたにとどめまして、いずれ、きわめて近いうちに、商工委員会の中でこの問題についてさらにお伺いするということで、きょうの私の質問は終わりたいと思います。
#358
○山崎(平)主査代理 次に、塚本三郎君。
  〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕
#359
○塚本分科員 次期民間旅客機の開発について、新年度の予算に、YXとして九億の予算が計上されました。
 この際、日本の航空機産業につきまして、日本の将来を背負うと自負しておいでになる中曽根通産大臣に、その見通しと決意のほどを最初にお伺いしたいと思います。
#360
○中曽根国務大臣 わが国産業構造の将来については、知識集約型に前進するという大綱がきめられております。その知識集約型産業の典型的なものは、コンピューターを中心にする情報産業、それに負けないようなものが航空機産業であると私は思っております。これは付加価値が高い。造船に匹敵するようなアセンブリーの性格を持っておる。それと同時に、これからの日本の国内輸送が航空輸送に転換していく。相当な飛行機が要るという見通しもございますし、アジアや各国においても同じように飛行機の需要というものが非常に多く出てくるところでございます。そこで、いま、ボーイングとか、ロッキードとか、世界の航空界を制覇しておる機種の中でも、次の時代で盲点になっておるような機種を日本がねらって、しかも、国際協調のもとに、そういう精鋭な、そしてしかも的確な機種をつくり出すということは、企業採算的に見てもまた必ずしも悪いことではございません。そういうところをねらいまして、いろいろ業界が関係方面と接触をして得た結論に基づいて、今回、調査の予備段階として、補助金的な経費を計上したわけでございます。
#361
○塚本分科員 日本の航空機産業はアメリカに比べて五十分の一、ヨーロッパに比べて五分の一、こんなに立ちおくれておるといわれております。ヨーロッパもともかく、おくれを取り戻すために、政府としてはたいへんな力を入れておることは御承知のとおりでございます。日本は戦後の特殊事情がありましたし、さらにまた、平和憲法に基づいて、軍に対する力は入れにくいというようなことがありまして、いまお話のありましたような、知識集約型であり、非常に精度の高いこの産業についても、実はおいてきぼりを食ったような立場に立たされております。たまたまYS11の問題では、一部に芳しくない点があったからといって非常に冷たい目にさらされております。しかし、ただいま大臣が、航空機産業の将来についてたいへんな見通しをお立てになりましたので、特段の助成が必要かと思いますが、いかがですか。
#362
○山形(栄)政府委員 ただいまのお話、まことに私同感でございまして、今般、いま御指摘のとおり、総額で九億でございますけれども、そのうちの六億七千五百万円、比率にいたしますと七五%という、現在の補助金の率といたしましては最高率に近い高い比率で、政府はこれを全面的に推進する姿勢を示したわけでございます。しかしながら、これは予備開発段階でございますので、本年度の成果もふまえまして、今後これをどうするかということは依然として残っておる問題でございますけれども、基本的にはぜひとも日本の中に航空機産業を定着させたいという熱意のあらわれだと御了解願います。
#363
○塚本分科員 大臣、いま局長から最高率の助成という話が出ました。確かに、日本の助成の中では最高率だと思います。しかし、航空機産業の各国の助成しておる姿に比べてみましたら、世界一低率で、話にならない低い助成率だと言わなければなりません。通産省がお出しになりました助成率も、実は、最初は八五%ということで大蔵省と折衝なさったけれども、七五%に下げられてしまった、こういうふうな経緯を私も承知いたしております。アメリカは、ほとんど開発費は軍が背負っておりますし、イギリス、フランスは、コンコルドあるいはまたエアバスにいたしましても、一〇〇%国家が背負っております。一番低い西ドイツにしても九〇%、それを日本は、通産大臣、八五%で大蔵省と折衝していただきまして、七五%に下げられてしまった。こう考えてみますと、特段に、特殊事情から日本の航空産業がおくれております。それを追いつこうとするのに、また政府の助成が世界一低いというような形では、力を入れておられる大臣のお立場からしても、これはきわめておくれがちにならざるを得ないと思います。したがって、これは、大蔵省がいままで言っておりますような助成の率とは全然別個な立場で、大臣が直接政治的に、国際的な航空機産業と比肩でき得るように、その力を発揮して助成率をふやしていただかなければならない。ところが、これを背負わんとする民間の業界におきましては、いやならばやめておけといって打ち切られてしまうことが心配でございまするから、この際はいたし方なく二五%を受けることに甘んじざるを得なかった。このことに甘えてこういう状態を進めていきますならば、いや応なく脱落せざるを得なくなっていくということを心配いたしております。これはどうしても、将来を見通しておいでになる大臣が、政治的な立場で、政治力を発揮して、大蔵省の諸君のいままでの古い助成の型をやぶっていただくことが大切だと思いますが、いかがでしょう。
#364
○中曽根国務大臣 同感であります。大いに努力いたします。
#365
○塚本分科員 この立場で考えてみますとき、まだいま調査の段階でございますから、はっきりとその御意見を伺うことはむずかしいとは思いますけれども、この民間旅客機の開発を具体的に進めてまいりますとき、おたくのほうでも試算せられて約千三百億というふうな――これは業界も大体一致しておるようでございますが、これをボーイングと取り組んで、かりに半々といたしますと六百五十億を分担しなければなりません。この六百五十億という日本側の分担に際しまして、かりに通産省がお考えになっておられるような業界の分担でも、一五%ですと百億になります。これは、日本のいまの航空機産業の中では、実施するにしましてもきわめて困難な負担率だと言わざるを得ないと思います。といいますのは、いまの日本の航空業界の総金額は、年間一千億強だといわれております。しかし、その利益は、日本の航空産業全部合わせて、年間十億が大体の利益の総集計のように言われております。そうすると、いま日本が航空機産業として得ておる十億の十年分で百億になるわけです。だから、十年分を全部分担しなければこの開発が――わずか一五%の負担でそんな状態です。このことは、日本が特別に悪いわけではなくして、先ほどから申し上げておりますように、アメリカは開発はほとんど軍が行なっておる。そしてまた、フランス、イギリスも一〇〇%国が背負っておるのだという立場から考えてみたときに、日本がそういうふうな分担をさせられることについてはたえがたい状態であります。だからといって、日本の将来の航空機産業は、ただいま大臣がお述べになりましたようにやはり十分考えていかなければならないという将来性を見通してみますると、業界にルーズにやらせることはいけませんけれども、しかし、これは、国家として、責任をもって将来の航空機産業を考えていただかなければならぬというふうに考えますが、助成の率の問題をいまここで具体的に大臣の口からお聞きすることはむずかしいと思いますが、しかし、その決意のほどだけはやはりお聞きしておきたいと思います。
#366
○中曽根国務大臣 御趣旨に全く同感でございまして、大いに努力をいたします。
#367
○塚本分科員 これは、もちろん製造するほうは民間でございますから、だから、助成あるいは開発費だけ国に背負わせておいて、そして、もうかったら会社が利益だけもっていくということでは国民も承知しないでございましょう。だから、むしろ、たとえば通産大臣が大蔵省と折衝なさったときの一五%くらいは、民間としても、危険負担なり、あるいはまた責任をとらせる意味で必要だという筋はわかると思います。だから、それならば、たとえば将来量産されたときに、それは出世払いというような形で背負わせる。だから、開発にあたりましては、そういうことを条件にしてもいいのではないか。だから、ともかくこの際、リスクの大きい産業だから、最初は国が持ってやるということでなければ前に進みにくいというふうに思いますが、こういう方法はどうでしょうか。
#368
○中曽根国務大臣 将来の開発構想につきましては、その時点において考えなければならぬと思っております。いま、出世払い云々というお話がございましたが、これも大いに参考にいたしたいと思います。
#369
○塚本分科員 いまやっと調査、研究する段階になりましたからそのことを述べたけれども、大臣としてはなかなかむずかしいと思いまするが、さあ、これからアメリカと共同で開発をしていかなければならないということですが、アメリカのボーイングならボーイングとしましょう。日本の航空機産業界が全部束になってみてもけた違いに力が小さいと見なければなりません。日本の産業界がこれと対等に折衝をするためには、政府としても、金の面だけではなくして、いわゆる資格と言いますと語弊がありますけれども、これに対する何らかの力を補ってやることが必要だ。まず、調査の段階からしてこんなに大きな違いがあるのだから、具体的にこれを補うための方法等、何か考えがありますか。
#370
○山形(栄)政府委員 ボーイングが世界一の巨大な会社でありますことは、そのとおりでありまして、実は、外国の有力なる航空機会社と組んで、国際協調でこれを進めるということは、航空審議会の答申にもございました。われわれといたしましては、ボーイング、ロッキード、ダグラス等々いろいろと検討いたしたわけでございますが、これは民間に全部をまかせませんで、われわれも一緒になってそれぞれの会社と詰めたわけでございます。その場合、一番われわれが大事に思いましたことは、いま先生のおっしゃいましたように、日本と相手側の大きな会社とが、資金面でも、技術開発面でも、その他でも、ほんとうの意味で対等に組むという条件をいかにつくるかということが最大の問題でございまして、へたな組み方をして日本側が埋没してしまうのではおよそ意味がございませんので、政府が非常に巨額の補助金を出しておりますのもそこにあると思いますので、今後とも、われわれも業界側と一緒になりまして、そういう条件保持につとめてまいりたいと思っております。
#371
○塚本分科員 調査、研究の段階で、今度二五%民間に分担をさしたことは、民間が責任を持つという意味で、私は決して悪いことではなかったというふうに思っております。で、これはやはり産業でございますから、他国がそうであるからといって政府が全部背負うということは、金の問題よりも、民間主導型で合理的にやっていかなければならないという意味からも、とかくお役所的なやり方で、いわゆる生産性を忘れた、採算点を忘れた運営は困る、こういう見方は私は正しいと思います。しかし、そのことは、これからも運営の中でも産業界には背負わしていかなければならないというふうに思いますが、それにもかかわらず、あまりにも取り組む相手との力の差があり過ぎるという意味で――金の問題は、日本の経済は相当に成長してきておりますからそう心配はないといたしましても、技術的に見てもたいへんおくれているということがありまするから、政府として、具体的にアメリカと折衝する場合に、これは相当に精神的な問題も含めて協力をしていかなければいけないというふうに思いますが、いかがでしょう。
#372
○山形(栄)政府委員 先ほども申し上げましたように、われわれは業界と一緒に、ほんとうの意味で手を組みまして、責任を持ってボーイング側と折衝いたしたい、こう思っております。
#373
○塚本分科員 日本の航空機に対する将来は非常に重大であることは大臣からお述べいただきました。YSの最盛期におきましては、民需と軍需とが大体バランスがとれて、半々くらいでありましたけれども、YSが百八十機で打ち切りになりまして、いま調べてみますると二対八ということで、軍需が圧倒的に――小さい中における割合でございますけれども、八割はいま四次防に中心が置かれておる。これは航空機産業に働く労働者の立場からしても、生活であるとはいえ防衛をおろそかにするわけじゃないでしょうけれども、やはり、大手を振って、いわゆる軍と民とがバランスのとれた日本の知識集約産業として伸びていきたいという労働者の強い希望もあります。したがって、これを強力に推進をすることによって、軍需と民需とがちょうどバランスのとれた形にいくという見通しが立つ。このことについて、実は、産業界や会社側だけじゃなくして、労働者が、特に航空機産業に働く労働者が、このYXにはたいへんな期待をかけておるということでございますから、大臣、その点からもひとつ具体的に強力に進めていただきたい、かように思いますが、どうでしょうか。
#374
○中曽根国務大臣 よく了承いたしました。
#375
○塚本分科員 日本の輸出産業は、いまは輸出が出過ぎておるということでやかましく、遠慮しなければならないような、一時とは違った方向に向いておりまするけれども、大型の輸送機、旅客機の価格がたとえば三十億といたしましょうか。これを一機輸出するということは、自動車一万台を輸出することと同じ価格になるわけでございます。いまはアメリカがドルが弱いから、そういう意味ではためらわれておりますけれども、しかし、日本の産業全般から言いますならば、資源のない国としては、資源を輸入して、それを加工して、そして輸出をするという、これは世界経済の中における宿命を背負っておると私たちは判断いたしております。そのときに、どこの国も自動車ならばみんなが追っかけてやっていくということで、最初は繊維から始まりまして、電気産業に行き、そしていま自動車産業に行って、これも行き詰まりになっておる。このとき、昭和五十年代は航空機の時代だという意味からも、この産業に対しては、多くのリスクもあるでしょうけれども、かつて太平洋戦争中における日本の航空機をつくった技術者とその能力から考えまするならば、国家がある程度の協力をするならば、この困難な産業も、一躍ヨーロッパ、アメリカに比肩できるだけに成長すると私は判断いたしております。そういう意味からも、これは強力に推進をしていただかなければいけない、かように思っておりますが、どうでしょう。
#376
○中曽根国務大臣 同感でございます。
#377
○塚本分科員 これは大臣、考え方を全部賛成していただいて、それ以上申し上げることがなくなってしまうのでございますけれども、(中曽根国務大臣「大体一心同体ですよ」と呼ぶ)それにもかかわらず、この新年度予算のときには、第一次査定で落とされたのですよ、大臣。
 これはまさか、内閣の中における中曽根通産大臣の発言力が弱いとは思いませんけれども、第一次査定の中で落とされてびっくりしたのですが、この点、これはどうしてこんなことになったのでしょう。
#378
○中曽根国務大臣 大いに努力いたしましたが、大蔵省がどうもがんこでございまして、私の力の及ばざるところ、残念であったと思います。
#379
○塚本分科員 このことは私もたいへんがっかりしたのですけれども、第一次で落とされたときに、田中通産大臣が、ともかく私が質問をする以上に前向きでもって、商工委員会においても、あるいはまた予算の分科会においても、私自身の圧倒されるほどに、見通しについて、積極的に実は御発言をいただいたことでございます。それにもかかわらず予算の中で落とされてしまったというようなことですと、何かだまされておるような感じがしたわけでございます。しかし、幸い、最後に九億という予算の計上をされたということはたいへん喜ばしいことだというふうに思っておりますが、すべて一心同体という話がありましたから、業界の声も、そしてまた航空機産業に働く労働者の声も、逐一これから大臣にはお伝えをいたしますので、具体的にこれを牽引車のようにリードしていただきたい、かように思っております。
 そこで、これは現在もそうですが、これからのことも加えて申し上げてみますと、航空機に対する行政の一元化。たとえば、せっかくつくってみても、外国に売るだけではなくして、日本の国内でもこれは相当に使い得るものだ。調べてみますと、大型のジェット輸送機、これは日本の航空会社三社でも百機をすでにこえておるわけでございます。したがって、通産省が一生懸命にこれを応援して、いいものを量産をして世界じゅうに売りまくろうとしておりますこういうとき、運輸省がこれに対してどのように指導をするかということなんかもやはり大きなウエートを占めてくる。まして、それは、防衛にもある程度使い得るものだと思います。こうなると、航空機産業に対する行政の一元化ということも必要だという声が聞かれておりますが、この点はいかがでしょう。
#380
○中曽根国務大臣 運輸省は輸送関係から、防衛庁は防衛関係から、おのおのの見地を持っておるわけでありまして、通産省としては、企業側から、あるいは生産、製造という部面からこれを助成するという立場を持っておるわけでございます。したがって、これは三省でよく話し合いをいたしまして、そして、お互いがお互いを助け合うという関係で進むことが賢明で、いたずらなるなわ張り争いをすることはかえって業界も迷惑することになるだろう、そう思います。
#381
○塚本分科員 通産大臣の現職においでになり、そして運輸大臣と防衛庁長官を経験なさった中曽根大臣、あなたが通産大臣のときにこの新しいルールをきちっと確立されることが一番適任だと思います。この機会をはずしたら、また各審議会に出てくる人たちがばらばらな意見になってしまって、なかなか思うようにいかないということになりますので、この三省の大臣の経験者のあなたが、いまこれからさあ出発をするというときに通産大臣においでになるのですから、日本の航空機産業及び空の問題について、あなたが一番ポイントを握っておいでになるというふうに私は考えております。そういう意味でも、十分このことをひとつお考えいただきたいと思います。
#382
○中曽根国務大臣 防衛発注と、それから民間の民需用のものとは性格も異なりますから、そこを混淆することは、いま防衛論争やかましいおりから、また紊乱を巻き起こす危険性もございます。それから、運輸省はやはり運輸省独自の技術的な見解を持っておりまして、また、世界の航空機の趨勢にも通じておるところでございます。なお、飛行場の建設も航空局がやっておりまして、これも運輸省の担当になっております。そういうところをお互いが生かし合いながら進んでいくということが賢明でありまして、もし必要とあれば、閣僚協議会をつくるとか、あるいは事務次官レベルの協議会をつくるとか何か、そういう行政体系の中における協調を見出すことが賢明だろうと思います。
#383
○塚本分科員 おっしゃるとおりだと思います。この点、そういうふうに別々になっておりますけれども、共通する点を十分さばいていただくには、三省を経験なさった中曽根大臣が一番適任だと思いますから、各省じょうずにこの点調整をとっていただきたい。
 最後に、いまの日本の航空機産業、特に民間旅客機の議論が出るとき必ずYS11が持ち出されて、この赤字問題が出てくるのですが、これはもうやり方のまずかった点も幾つか指摘せられており、各党から言われております。しかし、このYS11が出発したときからの経緯を見ますと、もうそんなものを責めるべきではない。最初からただの一円たりとも開発に対する費用を見ずに、最初からゼロで、資本金だけでさあやっていきなさいというそのやり方自身がともかく無理であったのだ。最初に開発費を百億くらいぽんと出しておいて、そこから出発をしていけばよかったのだけれども、わずかの資本金で、一切を、初めから何もない日本の航空機産業からやりなさいということを言ってきたんだから、そのことの失敗があるからといって、手かせ足かせでやらせるということは、日本の将来にとってはよろしくないというふうに私は判断をいたしております。特に、あと始末で三百億とか、あるいは三百数十億という赤字がいまだに日本の航空機業界の中でちらついて、これが精神的にも大きな障害になっておることは御承知のとおりです。しかし、もうこれはどうでしょうか、資本金三十億も、業界にしてみれば、全部捨ててしまうということに当然なるでしょうし、第一次で二十億の金も負担したし、さらにまた第二次で十六億も負担をしたようで、全部で七十億くらい、このYSの問題でもう負担しておるから、あとはこれはもう一切打ち切りにしてやって、これからはこの失敗を生かして、これからの新しい日本の航空機産業のために取り組め、こういう形に進むことがいまの段階では必要ではないかというふうに思いますが、この点はどうでしょう。
#384
○山形(栄)政府委員 YSの赤字につきましては、いま先生の御指摘のような点も確かに大きな問題かとも思いますけれども、それ以外に、初めての生産、販売でございますし、当時のフレンドシップその他対抗機が非常にございまして、非常にふなれであったというようなこと、それから、これを進めるにあたりましての日本航空機製造株式会社の運営にも万全を期しがたい点もあったのじゃないかという、いろいろな原因がございます。
 しかしながら、これはもう過ぎたことでございますので、この赤字対策は、早急にこの赤字を処理することによって、むしろこの経験を生かしまして、次のYXにいい結果をもたらすように、民間主導型その他の形も、発想はそういうところに原点がございます。今後この失敗の経験を生かしてYXの推進に当たりたい、こう思っておるわけでございます。
#385
○塚本分科員 時間が参りましたから終わりますが、昭和五十年代は、大臣が最初におっしゃったように、産業としては空の時代、これはコンピューターとともに二つの大きな柱なのだと私たちは考えております。したがって、航空機産業に働く労働者の諸君が、何かといいますとすぐ――いまでは八割がいわゆる防衛発注でございますから、やはり民間と互角にこれが進んでいって、労働者自身も胸を張って、昭和五十年代はおれたちの背負う産業なんだと自信を持って働き得るような職場をつくっていただきたい。私たちもその面から協力をしていきたいと思いますので、ぜひひとつ御努力いただくよう希望を申し上げ、大臣の最後の御所見をいただいて終わりたいと思います。
#386
○中曽根国務大臣 YSを始めるときに、実は、私が着任したときは非常に悲観的な気分が漂っておりまして、これはできないのじゃないだろうかというような空気が実際はありました。しかし、私は、コンピューターや航空機産業を捨ててどこに日本の前途があるかということで、どんなことがあっても航空機というものは日本は手放すべきではないということを大声叱咤いたしまして、それでみんなでそろってYSをやろうという決心をきめて、業界のほうにもまた非常に熱心な話もいたしまして、幾たびか挫折するような気配もありましたけれども、とうとう業界の皆さんもがんばってくれて、今回ここまでたどり着いたわけです。これからも非常に多難なものがあると私ら覚悟しております。しかしながら、先ほど申し上げました日本の産業構造の将来及び日本の輸出関係の将来等も考えてみまして、これはもう不退転の決意をもってばく進しなければならぬ道である、だれが何といってもこれはやらなければならぬ道である、子孫に対する責任である、そう考えて、われわれいま全省をあげて取り組んでおるところでございます。どうぞ御鞭撻をお願いいたします。
#387
○塚本分科員 がんばってください。
 終わります。
#388
○細田主査 次に、阪上安太郎君。
#389
○阪上分科員 きょうはたいへん分科会の時間がおくれているようでありますので、時間的に協力いたしたい、このように思っております。
 そこで、最近において、特にこの国会で、土地問題と関連して、あるいはまた過剰流動性資金という面からたいへん問題になりましたゴルフ場の問題についてお伺いいたしたいと思います。
 そこで、最初に大臣に伺いたいのでありますが、大臣はゴルフをおやりですか。
#390
○中曽根国務大臣 いささかやっております。
#391
○阪上分科員 相当なキャリアだと私は思うわけでありますが、そうなりますと話が非常にかみ合うだろうと私は思っております。
 そこで、最初に企業局長から伺いたいと思いますが、ゴルフ企業の現況について、特に、ゴルフ場の施設数、あるいはその施設の面積、利用者の数、それからゴルフ人口、さらに、どういった階層がゴルフをやっておるか、こういったことについて、お持ちでございましたら、ひとつ知らせていただきたいと思います。
#392
○山下(英)政府委員 お尋ねの資料はすぐそろいますが、大体、ゴルフ場の数にしまして六百強。ゴルフ人口、俗称でございますが、私どもは、これは五百万から六百万と見ております。特に、最近一年間では、ちょうど地方農政局が農地転用の関係で資料が整うわけでございますが、非常に旺盛なゴルフ場開設の動きが続いております。
#393
○阪上分科員 別段資料を出していただかなくともいいと思いますが、これは最近の資料はお持ちなんでございましょうね。
#394
○山下(英)政府委員 用意しております。
#395
○阪上分科員 審議を早く進めるために私のほうから申し上げたいと思いますが、ゴルフ場の施設数並びに利用者数につきましては、ちょっと私の手元の資料も古いのですけれども、昭和四十六年度の自治省の調べによりますと、大体、数は六百二十、それから利用者の数が年間二千二百七十七万人、それからゴルフ人口につきましては、これは推計でございますけれども、大体六百万くらいだろう、こういうふうに言われておる。階層につきましては、非常に広範な階層に及んでいるように考えておるのでありますが、この点、通産省ではどう考えておられますか。何か特権階級のやる競技であるというように考えておる向きが多いのでありますから、ぼくはこのことについてお聞きしているわけですけれども、どのようにお考えですか。
#396
○山下(英)政府委員 実は、昨年秋も中曽根大臣から、ゴルフ人口が年々若返って大衆化しているのではないかという御質問を受けて、私どもも関心を払っておりますが、手に入れている情報では、非常に広範に大衆化してきたこと、それから年齢が若返ってきておることが最近の特徴だと思います。
#397
○阪上分科員 さらに企業局長にお伺いいたしますが、そういった趨勢にあるわが国のゴルフの状態だが、これは、これからは一体どのような伸びになっていくだろうか、そんな推計はお持ちでございますか。
#398
○山下(英)政府委員 先ほどちょっと御紹介をしました地方農政局の調べによりますと、土地買収が広範に行なわれておりまして、特に、関東、北陸地方では、土地買収の三割以上を占めるというような旺盛ぶりでございまして、まだゴルフ場はふえていく。かつ、利用人口は、ここ数年の傾向から判断いたしますのに、一・五ないし二割方一年間にふえる傾向にある、こう見ております。
#399
○阪上分科員 そういたしますと、将来のゴルフ事業というものは、たいへんな大きなものに広がっていくということが言えると思うのであります。ちょっと私どもで試算いたしましても、いろいろな統計を持ち出していろいろ調べてみたのでありますが、昭和五十年あたりを目途として考えたときに、おそらく、いまよりもさらにゴルフ場の数はふえていくだろう。すでに三百くらいのものが予定されて、そして、そのうち百三十くらいのものはすでに完成しているというような状態だと思います。とらまえた時期が非常に早いものでありますから、そういった五十年目途といったものに対して、もうすでにかなりなところまで進んでしまっているという感じがいたします。したがって、五十年あたりを目途といたしますならば、ゴルフ場の数はおそらく一千カ所くらいになるのじゃないだろうか。これは東洋経済あたりの調べでもそういうものが出ておるように思います。それから、ゴルフ人口もやはり一千万人くらいになるだろう。そして、年間の利用者数はおそらく六千二、三百万まで伸びるのじゃなかろうか。非常に大衆的な性格をゴルフが持ってきておるということは私は言えると思うのであります。
 ところが、これがやはり膨大な土地を必要といたしますし、過般来から、法人の土地投機が非常に問題になっておりますし、それから、過剰流動性資金、だぶついた資金が、その土地の投機と関連して、ゴルフ場の土地の先買いというふうな問題になって一そう騒がれておるのであります。しかし、みそもくそも一緒にしてゴルフ事業というものを考えてはいけないと思う。そこで、こういった傾向をたどっていくゴルフ事業だが、しかし、これは野放しにしておいてもいけない問題だというふうに私は考えるわけであります。
 中曽根大臣は相当なキャリアで、ゴルフを非常に楽しんでおられるようでありますが、やっておる者から見れば、ゴルフというものは、スポーツとしてきわめて意義のあるものであるというふうにも考えられます。そこで、メリット、デメリットの関係も出てまいりますけれども、大臣は、このゴルフ競技というものに対しては十二分な理解を持っておられると私は思うのでありますが、いまのような状態で開発されていくゴルフ場というものに対して、一体どういうふうにお考えになっておりますか。けっこうなことだと考えると言われるなら、それもけっこうでありますけれども……。
#400
○中曽根国務大臣 ゴルフは、一部にはまだぜいたくな競技のように思われているところもありますが、私は、最近の傾向から見ると、これは大衆スポーツとして健全に発展さすべきものだろうと思います。ただ、一部、私が高崎線なんかに乗ると、若いサラリーマンみたいのがグリーン車を占領して、バーディを出したとか、大声で話して、ビール飲んだりして人に迷惑をかけたり、あるいはあの道具を客席まで持ち込んでお客さんの荷物を妨害したりしているという、ああいう礼儀のなさという点では、迷惑を受けて誤解を受ける面が非常にあるので、そういう点はマナーを注意してもらわなければいかぬと思っておりますけれども、ゴルフ自体は大衆のスポーツとして、これから大いに健全に発展させていく必要があると私は思います。
 ただ、この問題については、最近、土地の乱開発の問題と、それから、ゴルフブームに乗りまして、何でもゴルフ場を経営してみたいという気持ちを起こす人が多くなってきて、あまり信用のない人たちがあまり資金も用意せずに、何とかなるだろうと思って開発し始めるという例もあって、それは結局会員権募集をしたりして、途中でどろんをきめたり、挫折したりして、非常に大衆に迷惑をかけてきている。そういう二つの問題が現在ございます。したがって、ゴルフ場が適正にできるということは、日本のグリーンベルトを用意するという点にも、また、そういう土地を有効に活用するという点にも、あるいは一朝有事の際に芝を掘り返してバレイショでも植えれば適当な農場にもなるという点にも、ともかく、あらゆる面においてこれが適正に運営されれば奨励していいものであると、一般的にそう私は考えております。
 しかし、いま申し上げたような乱開発の問題、あるいは最近の例を見ますと、そういうブームに乗りまして、農民から土地を買い上げようという運動をやって、その該当農民が、三分の一は売ってもいい、三分の二は売るのはいやだということで、農民間の対立ができたり、あるいは、まじめに農業をやろうとする人たちと、適当に売ってほかに商売を変えようとする人たちの問に、農村共同体に亀裂を生じさせているというようなこともあります。都会資本の農村に対する進出が農村を荒廃させる、精神的にも悪影響を及ぼすという面も出てきておるので、そういう点もこれは規制する必要があるのではないかと思います。
 農民のためにということも考えますし、今度は、ゴルフのプレイ自体を考えてみますと、正直に申し上げて、グリーン・フィが高過ぎると私は思うのです。しかも、グリーン・フィとかいろいろな諸経費が、理事会あたりでかってに――かってにと言うと変ですが、一般利用者の意思にあまり関係なくきめられているような傾向がございますね。それで、グリーン・フィやそのほか経費が高くなっているところもあるように私は思います。川奈とか、スリーハンドレッドとか、ああいう豪華版のところは、出せる人が行っているのだからかなり重く取っていいと思いますし、県民あるいは国民のために税金として還元させてもらったらいいと思いますが、メンバー制でない、そういうような一般の大衆コースのものは、グリーン・フィももっと安くする必要がある。それから、いろいろな名目で、利用者の意思とあまり関係なく、ややもすれば恣意的に料金が上げられたりしている。道路補修金とか、あるいはふろの代金とか、さまざまな名前でいろいろそういうものが上げられていますね。これはやはり、健全に大衆スポーツとして発展させるのを阻害していると思うので、めちゃくちゃやたらにそういうものが上げられないように、県に届け出するとかなんとかということが必要じゃないか。あるいは、学生なんかはキャディを使う必要はないんで、自分でかつげ、キャディを使うのは五十以上にしたらどうかとか、ともかく改革すべき点もかなりあるんじゃないか。自分でかついだ場合には税金も安くしてやる。そういうふうに非常にメリット、デメリットを与えながら、大衆本位のものとして健全に成長させる必要がある。そう私は思います。
#401
○阪上分科員 全く同感でありまして、おっしゃるとおり、バッグをかついで、そしてグリーン車に乗って、所かまわずゴルフの話をして、おれはゴルフ族であるということを盛んに吹聴している。はた迷惑もはなはだしいんで、ああいった態度が、一部に、ゴルフというものはやはりぜいたくな人がやるものであるというような印象も与えているし、そういうことはやはりマナーの問題として、何らかの形において、教育なり指導なりをしていかなければならぬだろう、こう思うわけであります。
 それから、先ほどもお話しがあったが、私はゴルフの三悪だと言っているのですが、一つは、ゴルフ場をつくると言ってつくらぬやつがいる。いまだに、金を集めてつくらぬやつがたくさんおるわけです。関東だけでやはり八十くらいある。それから、ゴルフ場はつくったけれども、やたらに会員を募集して、紙くずのような会員券を渡して、証券取引法からも何からも制約を受けないようなものを出して、開場してみれば、数が多くて、とてもじゃないけれども使いものにならぬというような形のもの、それから、妥当投資額を全然無視してゴルフ場をつくり、経営が困難になって、倒産して会員に迷惑をかけているもの、いろいろなケースがあるわけであります。それからさらにまた、この問うちから国会で問題になっておったように乱開発をやっている。そういったことについては、地方公共団体等におきましても、何とかこれを規制しようというわけで、一生懸命に、何かゴルフ場設置条例のようなものをつくって――このことには問題があろうかとも私は思いますけれども、これを規制をしようとしてかかっておる。
 そこで、端的にお伺いしたいのですが、通産省としては、やはり一方において規制しなければならぬということも先ほどおっしゃっているのでありますが、どういった形でこれを規制していかれるか、そこのところをひとつ聞きたいのであります。これは大臣から伺いたい。
#402
○中曽根国務大臣 立法でやるかやらないか、一つの問題点でございますが、議員立法をおやりになるという動きが国会内部にあるとのことでもありますし、私らは、もし議員立法をおやりになるんでしたら、われわれの考えも申し述べまして、協力したいと思っております。もし、議員立法をやらないで、政府関係で法律案をつくれという御要望が国会筋に多数ございますならば、われわれのほうで、そういう法案を考えてみるということもやぶさかでございません。
#403
○阪上分科員 私も大体そういうところの回答をほしかったのでありますが、このゴルフ事業というものが通産省の所掌事務であるという根拠法規はどこにあるのでしょうか。これは企業局長からちょっとお伺いします。
#404
○山下(英)政府委員 設置法に基づきます政令で、省務一般を企業局でやることになっておりますので、省務として私のほうでやらしていただいております。
#405
○阪上分科員 その場合には、理解として、ゴルフ場とは何かという規定があるはずだと私は思うのでありますが、ゴルフ場って何ですか。
#406
○山下(英)政府委員 娯楽施設として商売を営んでいる場所だと思います。
#407
○阪上分科員 娯楽施設として商売を営んでいる場所というと、いろいろありますね。マージャンもあれば、パチンコもあれば、ボウリング場もあれば、その他いろんなものがあると私は思うのであります。一時、野球が盛んになったときに、バッティングセンターだとかいろいろなものが出たわけなんですが、ゴルフ場とは一体どういうものなんですか。――もういいですよ。説明できないのです。ということは、事業法がないからそういうことを言わなきゃならぬ。説明できなくなってしまうのですよ。だから、私は、やはりそういった事業法、ゴルフ事業法というようなものがなければならぬと思う。これはいま大臣も言われましたけれども、通産省としては基本的なものであって、規制するかしないかの問題はまあ別といたしましょうが、ゴルフ事業法というものがなくて、監督するにしても、何するにしても、ゴルフ場は一体何かということすらわからないでいて、これをあなた方の所掌事務として、どうして責任をもって運用していくことができるか。私はこういうように思うのであります。したがって、議員立法もけっこうでありましょうけれども、やはり、その以前にゴルフ事業法というものをつくっておかないといけないのじゃないでしょうか。
 ゴルフ場というものだって、いろんな解釈ができてくると思います。最近、インフレ対策として、あるいは宅地並み課税の逃げ場所として、至るところにかなり広いゴルフの練習場ができております。あれはゴルフ場ですか。ゴルフ練習場というのはゴルフ場に入るのですか。どうなんですか。
#408
○山下(英)政府委員 新しい分野で、定義づけがもたもたして恐縮でございますが、練習場は、税法上は、類するものとして、ゴルフ場扱いにいたしております。
#409
○阪上分科員 要は、私が言いたいのは、やはりゴルフ事業法というものをお持ちになることだと私は思うのであります。そうして、いまもろもろの土地関係から出てくる問題であるとか、あるいはまた会員権の問題であるとか、それから、先ほど言いましたような会員の権利すら守られないような状態にあるゴルフ場であるとか、いろんな問題が出てくると私は思うし、それから、会員制度とパブリックとの関係も出てくるだろうと思うし、それからまた、先ほどおっしゃったように、ビジター・フィが非常に高いので、もっともっと大衆化されなければいかぬという問題も出てくる。
  〔主査退席、山崎(平)主査代理着席〕
でありますから、各般にわたって、そういったものを何らかの形において規定しなければ、あなたのほうで幾ら指導しようとしたって指導のしようもないだろう、こういうふうに思うわけであります。これは前の通産大臣のときから私はやかましく言っているわけなんですが、どうしたかげんか、どうも通産省では、政府案としてこれを出そうとしない。議員立法議員立法と言って逃げておられる。逃げている理由は、私にはある程度わかっているのですよ。しかし、ここまで来た以上は、これはもう逃げちゃいけないんですよ。そして、これは建設省との関係も生じてくるでしょうし、大蔵省との関係も生じてくるでしょうが、通産省の所掌事務としてやっていく限りにおいては、やはりその法制が私は必要だと思うが、この点どうでしょうか、大臣。やはり大臣のことだからやるといえば思い切って――先ほどもやるとおっしゃっているのですが……。
#410
○中曽根国務大臣 国会の皆さま方の御意見を徴しまして、ある程度、この段階になったら規制したほうがいいと私は思っております。さもないと、乱開発とか、あるいは大衆に迷惑をかけたりすることがありますし、健全な娯楽として発展することがスポイルされてはいかぬ。そういうことも考えられます。しかし、通産省はいまいろいろ大法案をかかえておりまして、これからやるという場合に、国会でそれがうまく通るものかどうか。あまり難航するようだったら、ほかに仕事がまだたくさんございますから、そういう仕事の分配のことも考えて、いまとつおいつしているというのが実情でございます。
#411
○阪上分科員 中曽根さんは、通産大臣になられてからあまり時間がたっていないのでありますが、これはもう毎国会ごとに問題になっている。そのつど通産省にもいろいろとわれわれ意向をただしてみると、重要法案をことしはかかえておりますので、そういう法案は出ませんと、毎年同じことを言っているのですよ。だから、やはり、初めからひとつ早目に手をつけて、間に合うようにしておかれたらいいんじゃないか。なるほど、私ども与野党を問わず、議員の中にも、どうしてもこれは事業法をつくり、一方においてある程度の規制を加えていかなければならぬという考え方を持っておる者が非常にたくさんおるわけなんですから、出されたら簡単に通るんじゃないかと私は見ておるわけなんです。ところが、どうしてもそれが出てこない。一部には、ゴルフのいろんな協会等があって、そういったものが抵抗しているということも実は聞いておるわけなんですが、そういう事実はありませんか。企業局長、どうですか。
#412
○山下(英)政府委員 団体が、大きな団体で、二つございまして、その両団体の意見が違っておるという時期があったようでございますが、現在、もし、通産省が政府側として立法しようということになれば、その内容にもよりますけれども、団体問の意見の相違は大きな困難ではないだろうと思います。
#413
○阪上分科員 何ですか。大きな困難ではないかと思うと、こういうことですか。
#414
○山下(英)政府委員 ないだろうと存じます。
#415
○阪上分科員 どんな意見の食い違いがあるのですか。
  〔山崎(平)主査代理退席、主査着席〕
#416
○山下(英)政府委員 私どもが聞いておりますのでは、結局、規制の内容、それの度合い、そういうものが何に主眼を置いて、そうしてどこまでやるかということにつきまして、片方の団体は、先生もとくと御承知のように、主としてゴルフの競技に関する規則等々で古くからやっておるところでありまして、どちらかというと、規則さえしっかりしておれば、ゴルフ場経営あるいはゴルフ場の開発というものは自由にしておいていいではないかという基礎に立っておったわけであります。
#417
○阪上分科員 ですから、大臣、お聞き願いたいのですが、もうそういう時代は過ぎたということを私は言っておるわけでして、そういうような考え方を持っているものに日本のゴルフ界というものが支配されておる。だから、いまのような形になっていっているんだ。そこのところがやはり一つの大きなネックになっているんじゃないか。通産省としては、別にそんなことを考える必要はないのであって、やはりしっかりとこの企業というものを育てていく、しかも乱開発は防止させていくというような形でやっていく必要があるのであって、地方公共団体でも、いままでは全く自由でもって、どうぞひとつゴルフ場を私の町に持ってこいというのが非常に多かったわけです。ところが、大臣が先ほど言っているように、最近では、地方公共団体あるいは地方自治体の中で、もうこれはたまったもんじゃないというような声が出ておるときなんで、ここらで、団体間のそんなものは通産省としてはあまり気にとめないで、やはりゴルフ事業というものを整斉と発展させていくという観点に立って、ゴルフ事業法というものをどうしてもこの際つくる必要がある。そうして、利用と同時に規制を加えていくということが必要じゃないかと私は思うわけであります。
 そこで私、伺いたいのですが、大臣、どうですか、ゴルフ事業というものはもうかるものだというふうにお考えになっているのですか。採算がとれるとお考えになりますか。
#418
○中曽根国務大臣 私は、タッチしたことはありませんから、もうかるかもうからないかわかりませんが、おそらく、非常に長い年月をかけた採算の上に立って、あるいは含み資産というようなことも考えてやっている向きが多いのじゃないかという気もします。
#419
○阪上分科員 おっしゃるとおりでありまして、あれはたばこ屋と同じようなもんで、かたい商売なんです。あまり利益がないんです。おそらく、年間ビジターが少なくとも六万から六万二、三千というのが大都市周辺のゴルフ場の、大体の平均した利用者じゃないか。それからビジター・フィをとっている。たいしたものにならぬで、小さな企業でも最近はそのくらいのものは上がっていくだろうと思うのです。ねらいはやはり含み資産にあるのじゃないか、こういうふうに思うわけでありまして、そういうことを考えますると、その面からもやはり何らかの規制を加えていかなければいかぬということがいえると思うわけです。それと同時に、規制を加えるばかりでなく、最近では、通産省が所掌しているにかかわらず、自治省のほうでかってに税法をいじくって、そうして娯楽施設利用税、ゴルフに関しての施設税を値上げしていった。それを改正しようとしておるんですが、これは通産省、事前に話し合いがあったですか。局長、どうですか。
#420
○山下(英)政府委員 ゴルフの利用に関する税のほうは、御承知のように、近年これを、一度三割税を廃止しまして、実質的に下げてきたわけですが、今回はそれの多少反動的な意見も強くて、政府側の税制調査会と同時に、自民党側の税制調査会でも審議されまして、自治省、通産省、御連絡を受けながら最終段階できまった新しい税でございます。
#421
○阪上分科員 それなども、皆さんのほうで、こういった事業に対する熱意をもう少し持って所掌していくということが必要だと私は思うのであります。
 このゴルフ競技というのは、これは何ですか。皆さんの側から見たときに、これはやはりスポーツと考えておられますか。単なる娯楽ですか。パチンコとかと同じような性質のものですか。そこらのところはどうですか。
#422
○山下(英)政府委員 私どもは、阪上先生が年来言っておられます法案をつくるべしとの御意見は、人がかわりましてもとくと受け継いできておりまして、承知しておりますが、やはり、役所として考える場合には、ゴルフ事業を単独で取り上げるか、あるいは類似のものも一緒に一般法的に取り上げるかという問題が一つございます。一番似たものはと言われれば、ボウリングなどが似ているんじゃないかと思います。部内でも、これは娯楽かスポーツかという議論もいたしておりますが、スポーツを主とした娯楽と存じます。
#423
○阪上分科員 これはどうもおそれ入りました。スポーツを主とした娯楽、そう言えば、すべてのスポーツがそういうふうになってしまいますね。オリンピックの競技をやっているときは別でありましょうけれども。しかし、私が言いたいのは、そういうスポーツ的なものに対して利用税をかけていくという考え方自体がおかしいのであって、そんなものをどんどん値上がりさしている。最近では、足の悪い人、身体の障害者でも、学生でも、それからかなりな年の人でも、どんどんゴルフをやっている。ああいう状態を見たときに、先ほどくしくも大臣からも、どうも費用がかかり過ぎると言われたが、その中にそういったものが入ってくるわけなんでして、こんなものはむしろ撤廃すべきだと私は思っているのです。あれほどけちな税制はないだろう、こういうふうに私は思うわけなんです。いずれにしても、そういった点につきましても、もう少し通産省というものは考えてやらなければいけないのじゃないか。自治省と積極的に話し合いをして、そういった問題についても、そういった人に対しては課税を免除するとかいうような手を講じていくという努力をやはりすべきじゃないか、こういうふうに思うわけであります。
 いずれにしましても、私が言いたいのは、議員立法もけっこうでありましょうが、しかし、ゴルフとは一体何か。それがわからぬような状態の中で、見ればわかると言えば、それは見たらわかるでしょうけれども、また、監督したり指導したりするということについて、他のものと一緒に何らかの事業法でもつくっていこうということであるならそれでもけっこうでありますけれども、これだけのシェアを持っている事業に対して、通産省自体として事業法を持つという意欲を持たれる必要があるのではないか。このように考えるわけでありまして、きょうは通産関係の分科会の最後の日だそうでたいへんお疲れでありますので、時間はだいぶ余っておりますけれども、この程度にとどめたいと思いますが、最後に、大臣、もし議員立法ができないような状態だったら、政府としてはやはりこれは見送りますか、どうですか。
#424
○中曽根国務大臣 調査費を今度はとってありまして、ゴルフの実態その他を調査いたしてみたいと思っていますが、立法をやるかどうかということは、国会の会期やら与野党の動向等も見まして、ひとつ検討させてもらいたいと思います。
#425
○細田主査 以上をもちまして、昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、通商産業省所管に関する質疑は終了いたしました。
 次回は、明六日火曜日、午前十時より開会し、経済企画庁所管について、午後から農林省所管について審査することとし、本日は、これにて散会いたします。
   午後六時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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