くにさくロゴ
1972/03/07 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第三分科会 第5号
姉妹サイト
 
1972/03/07 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第三分科会 第5号

#1
第071回国会 予算委員会第三分科会 第5号
昭和四十八年三月七日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席分科員
   主査 倉成  正君
      大野 市郎君    小平 久雄君
     三ツ林弥太郎君    大原  亨君
      太田 一夫君    土井たか子君
      細谷 治嘉君    横路 孝弘君
      青柳 盛雄君    諫山  博君
      浦井  洋君    林  百郎君
   兼務 片岡 清一君 兼務 阿部 昭吾君
   兼務 小林  進君 兼務 八木 一男君
   兼務 近江巳記夫君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 加藤常太郎君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     江崎 真澄君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        任用局長    渡辺 哲利君
        人事院事務総局
        職員局長    中村  博君
        総理府人事局長 皆川 迪夫君
        警察庁交通局長 片岡  誠君
        大蔵政務次官  山本 幸雄君
        大蔵省主計局次
        長       辻  敬一君
        厚生大臣官房審
        議官      出原 孝夫君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        厚生省児童家庭
        局長      穴山 徳夫君
        厚生省年金局長 横田 陽吉君
        労働省労政局長 石黒 拓爾君
        労働省労働基準
        局長      渡邊 健二君
        労働省職業安定
        局長      道正 邦彦君
        自治政務次官  武藤 嘉文君
        自治大臣官房審
        議官      近藤 隆之君
        自治省行政局長 林  忠雄君
        自治省行政局公
        務員部長    植弘 親民君
        自治省行政局選
        挙部長     山本  悟君
        自治省財政局長 鎌田 要人君
       自治省税務局長 佐々木喜久治君
        消防庁長官   宮澤  弘君
 分科員外の出席者
        法務省刑事局参
        事官      敷田  稔君
        大蔵省主計局主
        計官      加藤 隆司君
        大蔵省主計局主
        計官      渡部 周治君
        文部省初等中等
        教育局高等学校
        教育課長    柴沼  晉君
        文部省管理局助
        成課長     西崎 清久君
        厚生省社会局更
        生課長     角田 耕一君
        農林大臣官房審
        議官      小山 義夫君
        建設省都市局技
        術参事官    今野  博君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月七日
 辞任         補欠選任
  野田 卯一君     今井  勇君
  森山 欽司君     村岡 兼造君
  大原  亨君     土井たか子君
  浦井  洋君     諫山  博君
同日
 辞任         補欠選任
  今井  勇君     野田 卯一君
  村岡 兼造君     森山 欽司君
  土井たか子君     横路 孝弘君
  諫山  博君     中島 武敏君
同日
 辞任         補欠選任
  横路 孝弘君     太田 一夫君
  中島 武敏君     庄司 幸助君
同日
 辞任         補欠選任
  太田 一夫君     大原  亨君
  庄司 幸助君     青柳 盛雄君
同日
 辞任         補欠選任
  青柳 盛雄君     林  百郎君
同日
 辞任         補欠選任
  林  百郎君     浦井  洋君
同日
 第二分科員片岡清一君、八木一男君、第四分科
 員小林進君、第五分科員阿部昭吾君及び近江巳
 記夫君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十八年度一般会計予算中労働省及び自治
 省所管
 昭和四十八年度特別会計予算中労働省及び自治
 省所管
     ――――◇―――――
#2
○倉成主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、労働省所管を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。
#3
○小林(進)分科員 私は、出かせぎの問題と、それから身障者の雇用の問題と、二つにしぼって質問いたしたいと思いますが、まず出かせぎの問題について大臣にお伺いいたします。
 出かせぎとは何ぞ、定義を承りたいと思います。出かせぎの定義であります。
#4
○道正政府委員 私ども、農林省と協議をいたしました結果、一カ月以上一年未満居住地を離れて他に雇われて就労する者であって、この就労期間経過後は居住地に帰る者、こういうことで考えております。
#5
○小林(進)分科員 出かせぎの数ですが、労働省の持っておられる出かせぎの数、農林省の持っておられる出かせぎの数、それぞれ各省の数を御報告をいただきたいと思います。
#6
○道正政府委員 私ども都道府県を通じまして調査しまして、約六十万というふうに推定いたします。
#7
○小林(進)分科員 農林省は何だ。まず返事をする前に、おそく来まして申しわけありませんと、速記録にはっきり残るように言っておきなさい。
#8
○小山説明員 どうも出席がおくれまして申しわけございません。
 出かせぎ者の数でございますけれども、農林省の出かせぎ調査によりますと、四十六年度の人数が三十四万二千人ということになっております。
 これは、約十五万戸の農家につきまして、出かせぎ者と申しますこの調査の定義は、一カ月以上一年未満うちを離れまして、外で寝泊まりをして他に雇われて就職をする者で、その就労が終わりますと自分のうちに帰る、こういう定義でもって出かせぎ者という数を調べたものでございます。
#9
○小林(進)分科員 どうして労働省と農林省と、同じ出かせぎの数に――もっとも、あなたのほうは四十七年ですか、こっちは四十六年とおっしゃった。一年の差があるけれども、どうしてそんな、数が違うのです。
#10
○道正政府委員 私のほうの調査は、出かせぎを多数出している都道府県を通じまして安定所、市町村と連携をとりまして調べて、若干の推定を加えまして六十万というふうに数をはじき出しているわけでございまして、当たらずといえども遠からずというふうに私どもとしては考えております。
#11
○小山説明員 出かせぎの数を把握するというのは、先生も御承知のように、なかなか実態がつかみにくい点がございまして、そういう意味で、私どもも調査の正確を期すという点については、なお努力の余地が残っておるということは重々認めております。この種の調査は、私ども農林省で何回もやって実績があるということでもございませんので、今後もう少し正確に把握ができるように努力をしたいというふうに思っておりますが、いまの段階では三十四万人ということで、私どもはこれをもとにして、いろいろな仕事をしておるという状況でございます。
#12
○小林(進)分科員 時間もありませんから、私の言い分を言いますが、私は四、五年前から労働省にも農林省にもやかましくこの委員会を通じて言っておいたのです。たしか野原さんが農林大臣のときです。というのは、出かせぎというものを、いま少し自治体、市町村の役場、それができないならば農協でもよろしい、有機的な連絡をとって、農林省と労働省、各省によって出かせぎの数がまちまちなどということのないように、政府は一つじゃないか、そうしてちゃんと出かせぎの数をまずとらえなさい。職安なら職安、農林省なら農林省の出かせぎの数もきちっととらえておいて、そうして的確な方策を講じなさい。何をやる、かにをやるといったところで、最初に数をつかまえないでおいて何が一体できるか、そういうあいまいもこな行政はいけませんぞと私は言った。
 同時に労働省には、まず職安で押えて、そうして関係あろうとなかろうと、今度は職業訓練局でもそれを押えなさい、そうして一人一人の労働者がどれだけ働いているか、未成熟な者は短期でもいいから訓練所の中に入れて、ちゃんと職業訓練もして、そうして今度はその職場へ行ったときに、どこの職場につとめているか、また安定局はちゃんと押える。同時にそれが入ったら、その名簿が基準局に行って、基準局も、その職場は一体安全衛生がどうなっているか、基準がどうなっているか。一人の出かせぎに対して農林省と労働省、労働省の中の職安と訓練局と基準局と、ちゃんとその人の氏名も居住地も本籍地も押える、そういうシステムをつくりなさいと私は五年前から言っているのです。いいですか大臣、あなたそれをやりますか。
#13
○加藤国務大臣 御指摘のとおりこれは各方面で、役所の中で、また組合とかいろいろな民間の機関の数字とも格段の差がありますが、農林省は御承知のように農家を対象として、そのほうだけを調査をする、こちらのほうはその他の方も調査するという関係で、多少の食い違いはいたし方もないと思いますけれども、やはり出かせぎの問題は労働省の管轄でありますので、その機関の数字は労働省が中心となって、いま言ったように出かせぎ機関各省督励いたしまして、的確な数字をつかむように今後指導方針を進めていきたいと思います。
#14
○小林(進)分科員 いまの大臣のおことばのあげ足をとるわけではありませんが、普通どういう――この出かせぎ者は、一体出かせぎ農民なのか、一体出かせぎ労働者なのか、どちらですか。
#15
○加藤国務大臣 これはなかなか解釈がむずかしい、どこの主管に属するかということも、なかなか困難な点があると思います。御承知のように出かせぎに行った場合には、これはもう労働省、ところが行かない場合には、農業として農家で住居しておる、こういうような関係もあります。なかなかこれは判断なり的確な解釈は困難でありますが、これに対しましても両省で協議いたしまして、やはり両方というよりも、みな関係がありますので、慎重に今後研究します。
#16
○小林(進)分科員 こういう原則論を話していると質問にも入れませんので、私は急ぎますから。
 私はこれをするのは、一体出かせぎ者は労働者なのか、農民なのかというのは、それに対する主管官庁の責任がかかってくるのだ。労働者だというならば、やはりひとつ主管官庁は労働省ときめて、労働省で責任持って、そして関係各省――農林省でも通産省でも、それぞれの関係省と有機的な連絡をとりながら、きちっとやはり出かせぎ行政というものを進めてもらう。いまその責任体制がまだできていないのです。やや労働省も出かせぎ問題を最近は少し真剣に考えるようになったけれども、まだ不完全きわまりないです。だから、そういう主管官庁の責任体制をきちっときめて、それでひとつやっていく。それをきめてもらいたい。行政の中で、次官会議等できちっときめてもらう、これをお願いします。
 それから、それをやってもらうと同時に、もしそういうことに出かせぎを、労働省主管であり、労働者だということならば、一体その労働省の中における性格は何だ。いわゆるいままでの関係の中に、われわれの常識としては、やはり雇用労働者の中にも臨時工があったり、社外工があったり、日雇い労働者があったり、その中には、何といいますか、一般日雇い労働者で日々雇用などというのがある。そういう範疇の中に一体出かせぎ労働者というのは入るのか入らないのか。そういう分け方をしたときに、出かせぎ労働者は一体どの範疇に入るか、どの範疇にも入らないで別個に、出かせぎという、新しい一つの時代の趨勢に基づいて、新しい、また一つ出かせぎ労働者というタイプができ上がったのかどうか。これについては、これからまた法的処置をきめていかなければならない、変えていかなければなりませんから、そういう性格をひとつお尋ねをしておきたいと思います。
#17
○道正政府委員 労働者の分類につきましては、法律によっていろいろございますが、通常期間を定める者と、期間を定めない者ということで一つの分類が成り立ちますが、出かせぎ労働者の皆さんの場合には、期間を定める場合もございますが、通常は期間を定めずに就労されるのが多いようでございます。それから臨時日雇いという範疇もございますが、これには入らない。したがいまして、一般的に申しますと、常用労働者であるけれども、先ほど申し上げましたように、一定の期間経過後には居住地に帰るという性格の、特殊な常用労働者だというふうに申していいんじゃなかろうかと思います。
#18
○小林(進)分科員 いみじくも職安局長は言われましたが、やはり特殊な労働者だという。私もそうだと思う。しかし常用にはやはり入りませんよ、これは。雇用の期間が――なるほど期間は、それは日々雇用ではないけれども、ただしかし、あなた方が言うように一カ月以上一年以内という、やはりそういう期間の中における労働者なんだ。一般のあなた方のように終身雇用と、おのずから性格が違ってくるでしょう。終身雇用じゃないのだ。特殊なものなら、そういう特殊なものであるというやはり法的性格をどこかできめて、それに対する一つのいわゆる対策というものが法律の上にきちっと出なくちゃいけないと思います。いまどこにもないでしょう。
 ただ、通常出かせぎ労働者ということばが自然発生的に出てきたけれども、法律の上には出かせぎ労働者ということは何もないのです。そうして場当たり的な方策、ほんの手当たり次第の方策をやっているだけであって、これでは私は完全な出かせぎ労働者に対する対策にならないと思っている。そこら辺をひとつ性格からきめてもらって、出かせぎ労働者とは何ぞということからひとつ性格をきちっときめて、それに対する法的裏づけのある保護政策というもの、対策というものを私は進めていただかなければならないと思っています。
 これはひとつ大臣、あなたにこれを要望いたしておくのでありますから、そういう性格を明確にして、それに対する法律の裏づけのある保護政策をおやりになるかどうか。イエスかノーかさえお聞きしておけばいいです。おやりになりますか。
#19
○加藤国務大臣 検討しますが、これはイエスに近い検討であります。
#20
○小林(進)分科員 いま少しゆっくりやりたいのでございますけれども、時間もありませんから。
 そこで、ひとつ具体的に申し上げますが、現在出かせぎ者として一番困っている問題が一つある。まず一カ月から一年以内居住地を離れるということになれば、一体留守家族の対策をどうするか。留守家族の対策はすぐ出てきますよ。そういう一カ月以上一年以内ということが繰り返されていくならば、一体留守家族は、営農相談をどうするとか、生活の相談をどうするとか、子供の教育の問題をどうするとか、まずそういうことから、ひとつ政策の面にあらわれてこなければならないと思います。それをいままで一体どういうことをおやりになったか。おやりになっていないはずです、何にも。それが一つ。特に税の申告なんというのは留守家族の奥さん、泣いている、できないで。そういうこともやはりきめこまかく労働省、主管官庁のほうでひとつ気を配っていただかなければなりません。
 次には、出かせぎ者の諸要求です。これは賃金に対するものですが、非常に出かせぎ者の賃金というものはばらばらです。これはもし労働省が、われわれの言うような全国一律の最低賃金制度というものを設けていただければ、この出かせぎの労働者にとってよろしいのでございますけれども、それが賃金がばらばらです。労働省はなかなかめんどうを見られない。そこへもってきて、官庁なんかのいわゆる公共事業なんかも――あなたは四国でいらっしゃる。四国はどうか知りませんけれども、東京あたりに対する公共事業の発注と、わが新潟県あたりの公共事業、同じ政府がおやりになる事業でも違うのです。請負賃金が違うのです。やはり新潟や秋田のほうの労働賃金を安く見積もって、東京あたりの労働賃金を高く見積もる。だから出かせぎ者は、同じ土建事業でも東京へ出てこなくちゃならない、大阪へ出てこなくちゃならないという形になる。これが全国一律、ちゃんと賃金が統一されていれば、何も東京まで来て働く必要はないわけです。そういう点もひとつ、賃金の問題では、そういう問題もきちんとつかんでいただかなくちゃなりません。一々御返答いただいたのでは時間がなくなってしまいますから、私のほうでひとつしゃべったりしますけれども。
 特に、出かせぎというものに対する残業の割り増し金などというものは完全に行なわれていませんね。これは実態おとらえになっていますか。これはとらえておりませんよ。私は、これは一々例をあげていると時間がないから例をあげているひまがありませんけれども、わが新潟県の私の郷里なんかから来ているんです。これはガードマン、何か警備の仕事などに。契約は一日十四時間です。それも契約なしで来るのだけれども、一カ月十万円だ、ひとつ来てくれ。来てみたら、午後の六時から朝の八時までの勤務条件だ。一カ月十万はいい金だと来てみたけれども、夜の六時に出勤して朝の八時に帰って、めし食ったり、ふろへ入ったりすれば十時か十一時になる。それから、おてんとうさまかっかしているときに寝ている。うつらうつらしているうちに、もう午後四時になって職場へ行かなくちゃならない。半月もつとめないうちに四キロもやせたと、こんなになっているんだ。約束と違うじゃないかと言ったら、おまえやめてくれと言われた。そういうような状態が幾つもあるのです。これは極端な例をあげたんですけれども、それが出かせぎという名のもとに、そういう基準法も何もないような不当な、いわゆる雇用制度が行なわれているのです。そういうことに対して、何もまだ労働省の手厚い手が伸びておりません。
 第三番目は、賃金不払い防止。これは前々からここで言われますから、労働省も相当お力を注いでやっていられるようでありますけれども、これも完全にはいっておりません。こういう点をひとつ十分やっていただきたいと思うのであります。こういうことを一々やっていくにしても、やはり最初に私が申し上げたように、主管官庁をきちっときめて、そして人数をちゃんととらえるという作業から始めていかなければ、なかなかうまくいかない。
 そこで、またもとに戻りますが、この出かせぎ者は、まず実態をとらえなさいということをいま私は言ったけれども、縁故雇用だとかなんとか考えると、親戚、身内をたよっていたり何かしまして、なかなか届けもしない。だから、あなた方は六十万とおっしゃる、農林省は三十四万とおっしゃいますけれども、私どもでは百二十万と踏んでいるのです。ちょうど労働省の数字の倍あると見ています。それは、みないわゆる正規の機関を通さないから、役場もつかめないという状況です。
 そこで、私、新しい提案をしたいのは、極端かもしれませんけれども、いわゆる出かせぎ労働者の定義がきまったら、その出かせぎ者を雇った企業は、どんな零細な企業でも必ずもよりの行政官庁、東京都なら区役所ですか、そこに届け出るという制度がつくれないかどうか。雇い主のほうに、その会社や企業の所在している区役所に届け出させる、そういう法的措置ができるかできないか。私はやってもらいたいと思うのでありますけれども、ちょっと答弁をいただきたい。
#21
○道正政府委員 現在、国元におきまして、出かせぎ労働者である方々の台帳をつくるということで、これの整備をはかると同時に、手帳を発給するということで個々の出かせぎの方々を把握する反面、いま先生御指摘のように、受け入れ先の事業場の台帳をつくりまして、彼此相まって実態の把握につとめるということで、鋭意努力いたしております。
 安定所の利用率は逐年高まっておりまして、地域により、産業によってかなり違いはございますけれども、全体として見ますると、三割五分ぐらいにはいっているんじゃないかというふうに思っておりますが、何と申しましても、御指摘のように、対策の基本は実態の把握から始まるわけです。特に就労経路の正常化ということがございませんと、なかなか判然としがたいので、安定所経由率を高める、それから市町村の協力等も得まして実態把握につとめるということで努力をいたしてみたいと思っております。
#22
○小林(進)分科員 私はその経路を前から言っていたのですがね。しかし、発想を別にして、今度は、それを雇った企業が、その所在地において届け出をする。いやしくも一カ月以上、一年未満の、出かせぎと称する範疇の中に入るものは、必ず会社、企業の存在する役場、役所に届け出る、こういうことを、いますぐ結論が出ないならば、十分ひとつ考えてください。私はまた日を改めて、その問題は督促いたしますから。
#23
○加藤国務大臣 いまの点が抜けておることは間違いありません。道正局長から話しましたのは、行くほうをつかまえたい、行った者を追跡して、雇用主のほうにも対策を講ずるということでありますが、こうなってくるのも当然だと思います。やはり雇用主に対する的確な対策は前向きで大いに検討するし、検討だけでなく、何とかきっとやりたいという気持ちであります。
#24
○小林(進)分科員 どうぞひとつ、その点はお願いいたします。
 今度は労働基準行政だ。雇用主と働いている場所をつかまえたら、あとはどういう状態の中で働いておるのか、宿舎はどうだ、基準行政はどうだ、衛生状態はどうだ、いわゆる労働災害に対する安全装置はどうだ、こういうことを見てもらわなければならないのでありますが、いまの状態では完全には目は届かない。企業がつかまえられたら、あなた方全部やりますか。一々こまかくその企業内容を見ていきますか。出かせぎ者の数がちっとも減ってないじゃないですか。災害も減ってないじゃないですか。賃金不払いは基準局のほうだが、不払いも減っていないじゃないですか。私どもはやかましく言っているけれども、進歩のあとが見えないが、どうですか。
#25
○渡邊(健)政府委員 出かせぎ労働者につきましては、昨年から職安と相互通報制度を設けておりまして、職安がつかまえまして、出かせぎ者が多数就労しております企業は基準監督署のほうに通報されることになっております。出かせぎ者がまとまって就労しているようなところは、監督署におきましても重点監督対象といたしまして極力監督に回りまして、先生御指摘の災害の予防対策、宿舎の状況あるいは賃金不払い等々につきまして監督をして、そういうことが生じないよう極力つとめておるところでございます。
#26
○小林(進)分科員 まず出かせぎ者がいる企業を、中小企業、大企業にとらわれず、ともかく全部つかまえるという作業だけは、ぜひひとつお願いしたいと思います。これはつかまえてもらわなければならぬ。
 それから、労働安全衛生法規というものが正しく守られているかいないかということを見てもらわなければなりませんけれども、これは私がしばしば言うように、基準監督署というものは、雇用行政とともに労働行政の中心にならなければならぬ。ところが、あなた方のほうは、一基準監督官が千の企業を受け持って何とかということばかり言って、何にも見ないんだ。ぼくらに言わせれば、大臣、全くおていさいだけの監督行政だと言わなくちゃならないのですよ。そう言っちゃ気に入らないかもしらぬけれども、これは私ども十年前から言っているんだ。この監督行政というものをきちっとやって、一人の監督官が少なくとも百くらいの企業だけは責任をもってすみのすみまで見てやるということにならなければ、わが日本は近代国家の様相を呈するわけにはいかない。エコノミックアニマルだとか、低賃金だとか、外国から非難されているこの非難をはねのけるわけにいかない。
 労働省の行政はみなだめだけれども、特にだめな中でも基準行政が一番だめだ。そのだめな根本は、監督官が少ないということなんですよ。労働者の利益をほんとうに保護するために、思い切ってふやしなさいと言うんだけれども、ことしは何人ふやしたか。
#27
○渡邊(健)政府委員 監督官と、それから近ごろは安全衛生を非常に重視いたしておりまして、安全衛生専門官というものの増員をはかっておりますが、両方合わせて八十五人というような増員をいたしております。
#28
○小林(進)分科員 これはスズメの涙で数に入らないんだ。だから私は労働省廃止論者なんだ。時間がもう来ましたから言いませんけれども、ここにもありますが、昭和二十一年に初めて分かれて、労働省が新設をせられて今日まで、労働省の人員とその予算を見ると、ほかの省の一局よりも小さな予算をもって、ごちゃごちゃとかたまって、いまの基準行政のように、ほんのおていさいの仕事しかしていない。
 あのときには、労働者なんて一千万人だった。いま、わが日本の労働者は五千万人をこえていますよ。御婦人も働けば男も働く。戦後の初期の労働行政と今日はくるっと変わっているんだ。国民の五千万人以上の労働者をかかえて、その人たちのすべての保護政策やサービス行政をやっていくようにするためには、少なくとも労働省の規模なんというものは、扱う人員が五倍になったら、単純計算でいけば五倍くらいにふえていなければならない。そうして各官庁の行政の中でも超一級省になって、労働大臣なんというものは、ほんとうは副総理格になっていなければならないんだ。そういう面が行政の上にちっとも反映してないから、私は労働省なんか廃止しなさいという説をなすのでありますけれども、ひとつ労働大臣、そういうことですから、しっかりがんばってくださいよ。
 あなた、扱う人員が一番多いのですよ。国民の過半数は労働者なんです。一億の人口の半分以上働いて、いいも悪いも労働省の管轄の中に入っているのですからね。その人たちの安全から賃金から、すべてを見ていこうというためには、いま少し構想を新たにしてかからなければだめなんです。この出かせぎの問題だって一つ解決できないでありますから。
 そんな中で、一体出かせぎの健康保険なんかどうなっているか。われわれのところに来るときは、健康保険なんか、雇い主はさっぱり認めてくれない、医者で休むときげんが悪いから、かぜを引いても病気になっても医者にかかれないと言うのだから、私は、雇用主負担による健康診断は、出かせぎには必ず実施させろ。この項目も新しい政策の中に加えてもらいたいと思います。同時に、現在出かせぎ者は一年間いたところでほとんど医者にかからない、雇用主がかけさせないのだから。そのときにむだな保険料だけ払っているのだから、無事故で一年間もつとめて帰ったときには保険料なんか払い戻しをやるというようなことをひとつ考えてもらいたい。厚生省の保険局は来てますか。――保険局来ていませんから、あなたがひとつ……。
 同時に、年金局長もいられるから、年金局長にひとつ質問したいのは、出かせぎに来ると厚年で、いわゆる厚生年金で給料から差し引かれる。そして一年か一年足らずで帰る。今度は農民に返って国民年金に加入する。ダブる場合もあるし、あるいはまたダブらない場合もありましょうけれども、ここら辺の調整が非常に不完全になって、ともすると掛け捨てになっている。そういう場合も出ているわけでありまするが、こういう点はきめこまかく、めんどう見ていただかなければならぬと私は思うのでありますが、この点をひとつ年金局長からお尋ねをしておきたいと思います。
#29
○横田政府委員 出かせぎの場合は、ただいま先生御指摘のように、出身地に在住しております間は国民年金、出かせぎ中は厚生年金となっておりまして、それぞれの期間を通算して年金を支払いますので、その意味では合理的だと思います。
 ただ問題は、御指摘のように両方から保険料を徴収されまして二重払いになるというようなケースも、正直申しまして絶無とは申せません。そういった点につきましては、御請求によって還付の手続があるわけでございますが、出かせぎの方は十分その点を御存じない場合が多うございますので、従来から指導はいたしておりますが、この際、重ねて関係の雇用主及び市町村に対しまして、十分そのような手続上の遺憾がないように指導いたすことをお約束申し上げます。
#30
○小林(進)分科員 年金局長から明快な御答弁ないただきました。国民といたしまして、ぜひそのとおりひとつ実施に移していただきたいと思います。漏れのないようにしていただきたい。
 ほかに質問たくさんあったのでありますけれども、出かせぎ問題だけで時間が来ましたから、私はこれでやめて、あとの質問はまた後日、社会労働委員会等で質問させていただきます。
 最後に一つ、宿舎の問題です。これも出かせき者に対しまして建設業附属寄宿舎規程というものを用いられまして、付属の寄宿舎の環境、通風をどうせいとか、規定がございますが、今日の段階では、特に求人難の段階では、私はああいう十午前の建設業附属寄宿舎規程では不満足です。風に当たらなければいいだけの話でありまして、人間の生活を営むような基準ではないのであります。
 しかし、今日農業が破壊せられて、出かせぎをしなければ食えないというのが農村の実態です。一年のうち半分そういう故郷を離れて出て働いているわけですから、だから、こういう出かせぎの宿舎というものは、その人にとって人生の半分をそこで送ることになるのです。あとの半分は農村に帰って奥さんと一緒に暮らすにしましても、あとの半分はそういう宿舎生活をやるのですから、それを考えて、やはりある程度恒久の住宅で、できれば普通の一般の労働者の寮や宿舎に匹敵するような宿舎が出かせぎの労働者にも与えられるように、私はもっと時代に即応した、ここら辺の強い指導体制を労働省がしいてもらわなければならぬと思います。
 そういうことも含めてひとつ立法処置、法の処置を講ずることも十分考えていただくことをお願いいたしまして、私の質問もどうも時間がありませんでまとまりませんでしたが、以上お願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#31
○倉成主査 次は、大原亨君。
#32
○大原分科員 私は身体障害者の問題について質問いたしますが、最初に、身体障害者の原因別の分類、どういう原因で身体障害者になったかという実態を、雇用政策を進める上において把握しているかどうか。
#33
○道正政府委員 四十五年十月現在の調査によりますと、疾病による方が五六・三%、その次が業務上の災害八・九%、先天的障害八・六%、そのほか、申し上げれば戦傷者、戦災者――戦災によるもの、これが五・七%、交通事故が四・五%、その他一六%というふうになっております。
#34
○大原分科員 それから、身体障害者の分類のしかたはいろいろあると思うのですが、軽度、中度、高度、こういう分類による比率。
#35
○道正政府委員 同じく四十五年十月の調査でございますが、重度の障害者は三十六万五千人でございまして、全体の二七・八%に当たっております。
#36
○大原分科員 それから中度、軽度は。
#37
○道正政府委員 中度、軽度の分類は特にいたしておりません。重度だけ取り上げております。
#38
○大原分科員 身体障害者の年金ですが、あなたは専門ではないけれども、たとえば厚生年金、これは大体一級、二級の重度ですか、あなたは労働省だから、それは把握していないかもしれないけれども……。
#39
○道正政府委員 大体そのとおりだというふうに理解をいたしております。
#40
○大原分科員 大体三十六万名余りが、一級、二級が年金の対象になっている。ただし、福祉年金は違います、一級しかないから。
 もう一つは実態ですが、身体障害者雇用促進法だけではありませんが、雇用促進法を加えて、身体障害者の就業者の比率はわかりますか。身体障害者の雇用率。どのくらい身体障害者が働いているかということ。
#41
○道正政府委員 十八歳以上の心身障害者のうち、就業されている方は四六・三%でございます。
#42
○大原分科員 四六・三%の身体障害者の雇用率ですが、その中には重度の人が入っていますか。――どのくらい入っていますか。
#43
○道正政府委員 三〇・五%でございます。
#44
○大原分科員 重度障害者の中で三〇・五%は雇用されているわけですか。何らかの意味において職業についているわけですね。
#45
○道正政府委員 はい。
#46
○大原分科員 それから、雇用促進法というのはいままでやってきて、この改善措置について今回答申が出ておるわけですが、身体障害者雇用促進法による官公庁と民間の雇用率の達成状況ですね、法律の規定との関係でお答えをいただきたい。
#47
○道正政府委員 官公庁は一・七%の雇用率でございますが、全体といたしましては一・七二ということで上回っておりますが、問題は民間、これが一・三%というふうに低くなっておりますが、にもかかわらず四割の事業場が未達成でございまして、一・二六%ということになっております。
#48
○大原分科員 民間の身体障害者の雇用についての、強制力はないわけですけれども、一つの雇用率の達成目標が一・三%で、実際には一・二六%、作業場では四割が達成してない。これに基づいてどういう措置を労働省はとるのですか、実際にとっているわけですか。法律は書いてありますけれども、実際にどういう措置をとっているか。
#49
○道正政府委員 御承知のように諸外国の立法例にございますような、いわゆるペナルティ制度はないのでございますので、あくまで事業主に対しましての指導によるわけでございますが、法律上は雇い入れ計画をつくらせるように要請することができる規定もございますので、場合によりましては、そういう制度も活用いたしまして、要は企業に指導を通じて身体障害者の雇用につとめてもらうということになるわけでございますが、四十八年度におきましては、さらにそれを一歩進めるために雇用推進制度というようなものも設置いたしまして、なお一段と努力をしてみたいというように考えております。
#50
○大原分科員 具体的には、たとえば一年間に各事業所から報告を求めるということがありますね。その報告はびしっと集約しているのですか。その報告に対して、それぞれ個別的な指導をしているのですか。
#51
○道正政府委員 一・三%の雇用率ということでございますので、逆算いたしますと、七十七人以下の事業場につきましては、雇用率の適用は、法律上はないということになるわけでございます、要するに一を下回りますので。それで対象の事業場が七十七人以上、比較的大きな事業場でございます。したがいまして、若干の漏れはあるかと思いますが、ほぼ全体を把握しているというふうにわれわれとしては考えております。
#52
○大原分科員 個別的に、たとえば指導とかそういうことはしているわけですか。
#53
○道正政府委員 事業場からいろいろ安定所に対しまして求人等が出てまいります。特に学卒の求人、これは中卒と高卒は完全に安定所を経由するということに一応なっておりますので、そういう機会に身体障害者の雇用率であるとか、あるいは中高年であるとか、そういうものも参考までにデータを出してもらうということになっておりますので、そういう機会を通じまして、学卒をほしいほしいとおっしゃるんだけれども、あなたのところは中高年あるいは身障を雇ってないではないかというような指導は加えております。
 ただ、四割からの事業場でございますので、中にはいろいろ指導いたしましても、必ずしも雇っていただけない場合もあるのでございますが、この点は今後福祉重視の政策を行なっていくわけでございますので、われわれとしては安定行政の最重点として、心身障害者の雇用促進につとめてまいりたいというふうに考えております。
#54
○大原分科員 身体障害者の雇用促進法に基づいて、目標を達成していないそういう事業場に対して、特にあなたの職場は目標を達成していませんから身体障害者を優先的に雇ってくださいと、こういうふうな指導等はできるような体制なのですか、どうですか。
#55
○道正政府委員 法律によりまして身体障害者雇い入れ計画というものを作成しろということを命ずることができる規定がございます。その規定を活用いたしまして、数はそう多くないのでございますが、たとえば四十四年十月からの一年間、三百六十六の事業場に対しまして、そういう作成命令を出しております。
#56
○大原分科員 いま事業場なんかに行って私どもがいろいろ聞いてみましても、身体障害者雇用促進法の実態をよく知っていたり、事業主としては社会的な一つのモラルなり責任として身体障害者を一定率は雇うのだ、そういう観念はほとんどないし、事実を知ってないところがあるのではないか。ましてや事務的な処理はするけれども、経営上そういう問題を考慮に入れているところはないのではないか、こういうふうに思うわけですね。
 そこで今度答申も出ておるわけですが、それはまたあと回しにいたしまして、官公庁で一・七%の雇用率を一応こえて一・七三%になっておるというのですが、その中には重度、軽度というふうなそういう障害者が雇われておるかどうかという点ですね。
#57
○道正政府委員 一・七%の雇用率あるいは一・三%の雇用率の内訳として重度が何%かということにはなっておりませんので、軽度も含むわけでございます。
#58
○大原分科員 それで今度の答申が出ておるわけですが、特にこの答申を受けて新しく予算上の措置をしたのはどういう点ですか。簡単に言ってください。
#59
○道正政府委員 昨年十二月に審議会から御答申いただきまして、われわれといたしましては極力答申を全面的に尊重する方向で努力いたしました。一、二今後の検討に待つものもございますけれども、おおむね答申の線は尊重したつもりでございます。必ずしも十分ではございませんけれども、一応尊重したつもりでございまして、そのおもなるものを申し上げますならば、いわゆるモデル事業場の設置助成でございます。
 この趣旨は、答申にもございますように、身体障害者というと、もう雇用労働者としては頭から適当でないのだというふうにきめてかかる風潮がございますので、やればやれるのだということをはっきりさせよう、いわゆるモデルをつくってみようということで、五〇%以上心身障害者を雇う事業場に対しまして低利の資金の融資、それから税法上の恩典を与えるということでございますが、このモデル工場の設置についての援助策が認められております。
 そのほか盲人に対するカナタイプの貸与制度でありますとか、あるいは身体障害者の方々が自分たちだけで利用できるような体育施設、これも四十八年度からの新規でございます。そのほか、従来からございますが、心身障害者の専用の安定所と申しますか、センターでございますが、これは雇用が中心でございますけれども、お医者さんであるとかあるいは民生関係の行政局とも連絡をとるような一大センターでございますが、そういうものの増設であるとか、そのほかおおむね答申の線は尊重して予算編成に当たったつもりでございます。
#60
○大原分科員 身体障害者の発生原因別の分類によっても、疾病が五六・三%、交通事故は全体からいえば四・五%ですが、だんだんと増加している。業務上の疾病が八・九%、先天性は八・六%。先天性は八・六%ですから、それほど私どもが言うように大きくはない。だから社会的な原因は後天的な問題でなっておるわけですね。特に疾病上の原因等については、リハビリテーションの問題等で厚生省にかかる分野が非常に大きいわけですが、そういう職場復帰の訓練等を含めて、労働大臣に私はいつも主張を繰り返しておるのですが、厚生省と労働省の身体障害者の福祉に対する総合的な連絡が十分でない、やっておるらしいけれども。
 それから、何といっても身体障害者の要求というものは、年金や施設と一緒に雇用の問題についてしっかりしなければいけない。自分で働いて生きていきたいという希望を持っているわけです。ですから、外国では、いまちょっとことばの端にありましたが、優先雇用、身体障害者であったならば、カナタイプだって訓練すればできるわけです。その可能性はわかっておるわけですから、電子計算機だって部分的には操作できる能力があるはずですから、下半身がなくたって、両手がなくたって、器具があればできるという人もおるわけですから、重度、中度、軽度にかかわらず、身体障害者の能力の最大限を発揮するような訓練や、あるいは学校教育あるいはリハビリテーション、社会復帰の訓練ですね。そういう疾病等に伴う社会復帰の訓練あるいは交通業務上の障害に伴う社会復帰の訓練、そういうもの等も一定の社会的な目標に沿うような、そういうものでなくてはならない。
 一つ一つわずかなことをやっておいて、結果として雇用促進をしていくということでなしに、官公庁はもちろんですが、民間の企業も、一・三、一・七という比率があるけれども、これをさらに引き上げて――身体障害者は、そういう高度成長なり経済活動の中で起きておるのです。公害その他含めて起きておるのですから、個人的な企業も、社会的な責任としては、たとえば五%は身体障害者を雇う。その中で、軽度、中度、重度の者についても、こういう職場については優先的に身体障害者を雇用する、官公庁においてもこういうふうに雇用する、官公庁は模範的にやる。
 ですから、何でも身体障害者の雇用の職場というものを科学的につくり出す。そうして、そこに優先的に雇用して、そこで雇用の対象者がない場合には、他の軽度の者もやるとか一般の五体健全な者をやるとか、そういうふうに、民間企業やあるいは公共企業においては、雇用率については差があっても――これは差があるのはいいけれども、しかし民間企業であっても、社会的な責任として、企業の責任として、一定率を雇用する。雇用する場合には、こういう職場においては優先雇用しなければならぬ、こういう職場は身体障害者をまず雇用するんだ、そういうふうになっておると、大体どれだけの雇用の需要がある、雇用の機会が保障される、そういうことになれば、それに向けて教育や訓練やリハビリテーションをやっていく。やる者もやりがいがあるし、教育訓練も充実してできてくる、こういうことになる。
 身体障害者の優先雇用、強制雇用といいますが、これは資本主義の国だってやっておるわけですから――戦後、戦傷病者を優先的にやったというのが一つの経験になっておりますけれども、いまや戦傷病者だけでなしに、当時の戦争がいい悪いは別にして、障害者というのはほとんど社会的な原因ですから、先天的な原因があっても社会的な原因ですから、母体における伝染もあるわけですから、そういう者の雇用の問題、優先雇用、強制雇用を中心として考える問題と、それと年金等を組み合わせていくという問題、施設を組み合わせていくという問題があると思うのです。
 ですから、そういう問題については、今回出ております身体障害者雇用審議会の答申をつくる過程では、そういうことの議論はなかったのかどうか。それからもう一つは、それを計画的にやらなければならない。一ぺんにはできないですから、準備が要るわけですから。ですから、たとえば五カ年計画なら五カ年計画で、そういう身体障害者の雇用政策についてやりながら、関連した教育訓練その他の計画を立てていくというふうなことが必要ではないかと思うわけです。私はいつも議論しているのですが、その問題については、審議会においてはどのように取り上げて議論したか。それから、あと将来の問題は、大臣に答えてもらえればよろしい。
#61
○道正政府委員 先生御指摘のように非常に大きな問題でございまして、審議会におきましても議論がなされました。ただ問題は、非常に複雑でございますので、暮れの中間答申には盛られておりません。一言そういう点について検討しろということになっておりますが、この八月に最終答申をいただくことになっておりまして、それまでには審議会として煮詰めて御答申をいただけるものというふうに考えております。
 御指摘のように、職業訓練の技能の研究であるとか、あるいは重度障害者の職業訓練の実施であるとか、あるいは訓練指導員あるいはカウンセラーの養成であるとか、医学、心理学、人間工学等、いろいろほかの部門と連携動作が要るわけでございまして、それを総合的、一元的に実施していく体制、たとえば西ドイツ等におきましてはハイデルベルグに職業リハビリテーションセンターがございます。そういうものも研究して、日本としても今後どういう機関をつくるのがいいか、これは今後真剣に検討したいと思っております。
#62
○大原分科員 大臣、私は予算委員会でも議論いたしましたけれども、今度の新経済社会基本計画、経済企画庁がつくりました四十八年度を初年度としての五カ年計画ですが、そこで福祉優先ということをいっているわけですけれども、その中身の議論を私はしません。しませんが、その中で取り上げるべき事項として私どもが注目しているのは、五年間のうちに、重度心身障害者の施設を含めて、これについては、それをかかえている扶養義務者や親たちの心配がないような施設をつくる。もう一つは、寝たきり老人についても、施設と対策を五カ年計画で完全にやるということをかなり具体的にいっているわけです。
 しかし、その計画を立てておっても、すぐ計画はくずれていくのです、いままでの計画からいうと。それは経済成長率と物価との関係等でくずれていって、またやり直していくということになるわけです、物価は総合政策ですから。しかし、そういうふうに立てておいても、一つがくずれると全部パアになってしまう。社会福祉の水準は上がらない、西欧の三分の一あるいは四分の一ということになる。今度は振替所得の国民所得に対する比率を現在の五・二%程度から八・八%程度に上げる、最後には十三、四兆円から十四、五兆円くらいになる。そういう非常に低い水準ですから、そのプロセスが全然ない。だから五カ年計画をつくりなさいと私どもは言っているわけだけれども、厚生大臣も、八月までに五カ年計画をつくるというようなことを言っているわけです。
 そこで問題は、八月に答申があるというのですが、いま答申書の、先般の十二月二十一日の中間答申を見てみましても、百七十二万人の身体障害者がいて、いまのような原因別の状況であるわけですが、しかも未就業者が非常に多いということを指摘されておるわけです。何といっても、身体障害者にも働きがいの要求というものがある。自分の能力を最大限に発揮して雇用の機会を持ちたい、働いて生きていきたいということです。しかし、重度心身障害者については、一生を通じて施設ができるようにするということを政府も言っているんだが、その雇用の問題も、それに関係しておる、組み合っておるわけです。身体障害者は交通機関、産業問題等についての事故者が非常に多いわけです。そのことを考えながら雇用問題についての質的な転換をはかっていって、そして身体障害者雇用促進法で民間は一・三%、国は一・七%というこういう倫理道徳的な――いまのような、実際的にはびしっとやるという責任を持たないでもいいような、しかもできるだけ軽度のものを雇って、比率だけはかちっと合わしておる。それでようやく合っているというかっこうです。
 模範的なモデル的な職場もありますけれども、私がいろいろ聞いた範囲では、優先的にやっておるところもあります。意図的に、積極的、能動的にやっておるところもありますけれども、全体としては、あるんだからしかたがないから、できるだけ軽度のものを、こういうことでやるわけです。職場についても非常にいびつなものが多い。訓練教育と関係してない。厚生省の関係のリハビリテーションとも関係してない。
 そこで私は、そういう身体障害者の雇用についての科学的な探求、追跡と一緒に、国際的な経験を十分尊重いたしまして、そして身体障害者の雇用責任は企業の責任、民間企業の責任がある、社会的な責任がある、そういうことをやった人については税法上、金融上の措置をとっていくというふうなそういう措置をしていく。そうして、ほんとうの人間尊重の――私は老人については身体障害者だと思うのです。七百三十万人の老人と、百七十二万人の身体障害者は大きな政治の問題である。特にその中心は雇用である。雇用と年金と施設とありますけれども、その中で雇用は非常に大切である。雇用については優先雇用、強制雇用の制度をつくるべきだ。八月に最終答申があるということですが、この問題について、私は積極的に案を提示して答申を求めながら、この新五カ年計画との関係を十分考えてその中に盛り上げて、これからの五カ年の中に一定の到達目標を示す、こういう裏づけのある政策をとることができないか。
#63
○加藤国務大臣 大原委員御指摘のとおり、身体障害者の問題は、これは国民の課題であって、社会全体の理念である。これを遂行する上からも労働省といたしましては、本気をもって対処いたしております。ただいま局長からもお答えがありましたとおり、強制雇用制度の問題、これは審議会の答申と、いまさっそく並行していろいろ省としても考えておりますが、いま御指摘のように政府の五カ年計画、これと見合って、これに即応してほんとうに実のある問題を解決していく、いろいろな問題をこういう前向きで対処いたしますことをお約束いたします。
#64
○倉成主査 諫山博君。
#65
○諫山分科員 ことしの三月二日、最高裁判所の第二小法廷で、年次有給休暇について判決を下ししました。これには幾つかの不十分さが残されておりますが、それにしても従来政府が行なってきた指導と大きく隔たっていると思います。
 そこで、まず自治省の責任者にお伺いしたいんですが、今度の最高裁判決が、従来の自治省の指導及び各自治体で行なわれていた実態と違っていることを認めているのかどうか御説明願いたいと思います。
#66
○植弘政府委員 御指摘の判決を拝見いたしましてから検討いたしておりますが、まだ十分に検討を尽くしておりませんが、ケースによっては、そういう点があるだろうかと思います。少なくとも従来の指導そのものが根本的に誤っていたとはいまのところ考えておりませんけれども、あの判決の趣旨によりましては、従来の取り扱いについて検討を加える点があるであろう、このように考えております。
#67
○諫山分科員 私の手元に、福岡県で行なわれている「休暇取扱要領」というのがあります。これを見ますと、その第一の4に「休暇は、文書によりあらかじめ所属長に承認を求め、その承認を経なければ与えられない。」と書かれております。こういう取り扱いは、今度の最高裁判例に照らせば明らかに誤りだと思いますが、自治省はどう理解をされていましょうか。
#68
○植弘政府委員 福岡の規程は詳細には存じておりませんが、そういう規程があるだろうということは承知いたしております。と申しますのは、今度の判決によりましても、時季変更権につきましては、やはり任命権者のほうに留保されております。これは労働基準法にもその点がございますので、そういう意味ではあらかじめ請求いたします場合に、本人も任命権者側のほうも、大体いつごろやるということを承知したほうが便利である、こういうことからやっているものと思います。
 と申しますのは、私どもが特に準則を流して指導したわけではございませんが、国家公務員の場合等におきましても、あらかじめそういった休暇申請書を出させるというような指導をいたしておりますから、そういうことによってそれぞれの地方団体におきましても、そういう措置をとっているものと思います。
#69
○諫山分科員 最高裁判例では「年次休暇の成立要件として「使用者の承認」という観念を容れる余地はない」としております。しかし、私が読み上げた福岡県の「休暇取扱要領」では、所属長に承諾を求め、その承諾を得なければ与えられないと書いてあります。明らかに最高裁判例と食い違うじゃありませんか。
#70
○植弘政府委員 その点は具体の福岡県の規程を取り寄せまして、判例の趣旨とどの点が食い違うか十分検討いたします。
#71
○諫山分科員 判例は、使用者の承諾という観念を入れる余地はないとしております。福岡県の規程では、承諾を得なければならないとしてあります。この両者に食い違いはありませんか。
#72
○植弘政府委員 その承認を与えるかどうかの問題でありますが、少なくとも基準法の精神なり、今回の最高裁判決で示された判例によりますと、少なくともいま諫山委員の御指摘のように、承認を与えるか与えないかという問題はないというふうに考えますが、少なくとも時季変更権等の留保がございますために、そういう文言になっておると思うのでありますが、そこらのところは十分に具体の規程を取り寄せまして検討させていただきたいと思います。
#73
○諫山分科員 労働大臣にお伺いします。
 民間でも年次有給休暇というのは、承認の許可申請を出して、使用者が許可するということがあたりまえのように行なわれております。しかし、このたびの最高裁判例によれば、そういう手続をとることは正しくないというふうに理解されますが、労働省としては、この判決をどう受け取っているのでしょうか。
#74
○渡邊(健)政府委員 今回の最高裁判決におきましては、ただいま御指摘のように「年次休暇の成立要件として「使用者の承認」という観念を容れる余地はない」というふうになっておりますので、承認の問題は、今後としては承認をしなければならないということは入る余地はないわけであります。
 ただ最高裁の判例の中でも「労基法の適用される事業場において、事実上存することのある年次休暇の「承認」または「不承認」が、法律上は、使用者による時季変更権の不行使または行使の意思表示にほかならないことは、原判決説示のとおりである。」という記述も入っておるわけでありまして、ことばは承認あるいは不承認ということの規定がございましても、それが時季変更権の行使または不行使のことを意味しておるということであれば――字句上の承認、不承認ということでなしに、そういう最高裁が述べておるような意味であるとすれば、特に最高裁判例に違反するということではないこともあると思います。
#75
○諫山分科員 この点で最高裁判所が新しい判断を示したわけですが、労働省としては、この判例を契機にして、これからの指導を改めるつもりはないのですか。
#76
○加藤国務大臣 今回の判決は、年次休暇に対しまする判然たる解釈をあらわしたものでありますから、従来からも労働省としては、いろいろ解釈はたいした違いがありませんが、今回の判決は最高裁でありますので、この問題を行政にもはっきりと示していくつもりでおります。
 ただし、いろいろな公務員の場合とか三公社五現業とか地方公務員とか、労働省以外のいろいろの複雑な法規の解釈の点もありますので、これは全体というわけではありません。労働省関係のものはもう判然といたしました。
#77
○諫山分科員 自治省に重ねて福岡県の「休暇取扱要領」についてお聞きします。
 この「要領」では、有給休暇について「所属長がその必要を認める場合には、私事故障のためこれを利用することはさしつかえない。」ということを規定しております。必要でしたら、ここにコピーがあります。――これは「年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、」というこのたびの最高裁の判例と反すると思いますが、自治省の見解はいかがでしょうか。
#78
○植弘政府委員 「所属長がその必要を認める場合には、私事故障のためこれを利用することはさしつかえない。また、年次休暇は、労働基準法第三十九条に規定するとおり、職員が請求した時季に与えることを原則とする」ということでございますので、問題は、正常な業務の遂行に支障があるかどうかといった、いわゆる時季変更権との関係で、この規程をどのように運用するかということにあるかと思います。
#79
○諫山分科員 私の質問にずばり答えていただきたいと思います。
 その規程は、利用目的を問題にしているでしょう。休暇を何に使うかということを問題にしておりますね、違いますか。その点をまず聞きましょう。
#80
○植弘政府委員 これは取り扱いの要領でございますね。これは規程できめたものを、たぶん解釈的に通牒したものじゃないかと思うのでございますが、そういうことになりますと、一応主たる目的を掲げたということでございますが、それを全部今度の判決で、判示によりまして、職員が何に利用しようともかまわないということになってまいりますと、この例示が余分であるかという感じがいたします。
#81
○諫山分科員 私がさっき読み上げた部分は、最高裁の判例から見たら、正しくないということになりますね。そういう趣旨でしょう、いまの答弁は。
#82
○植弘政府委員 十分検討する余地があると思います。
#83
○諫山分科員 従来、政府、人事院は最高裁判所の判例と全く違った立場で行政指導してきましたから、年次有給休暇で幾つもの紛争が起こっております。これはきわめて重大です。政府が労働基準法違反を犯した、政府が犯罪行為を長年にわたって続けてきたというのでありますから、事は重大であります。
 この点で私は一つの出発点になっていると思うのは、人事院規則の中に、年次休暇は許可を要するという規定があることが一つの出発点になっているのじゃないかと思いますが、この点について人事院の職員局長から、人事院の規則が最高裁判例に抵触するのではないかという点について御説明願いたいと思います。
#84
○中村(博)政府委員 ただいまの御質問にございましたように、人事院規則一五−六の五項には、おっしゃるように承認制度がきめてございます。しかし、この人事院規則一五−六の年休に関する部分は、労基法の三十九条とのかかわり合いにおいて見ますと、発生要件、それから時季変更権がないこと、それから、最初から、一年目の方からすでに二十日ということにきめられておりますように、全く、国公法の附則から申しまして、労働基準法三十九条に限りましては、人事院規則が代替いたしておるものである、かように考えております。したがいまして、この公務の特殊性に基づいて、時季変更権もこれにきめていないというような状況でございますので、したがって、個別に公務の業務の繁閑をはかって、そしてこれは承認によって与える、こういうことによって公役務の継続的な給付をはかる、こういう趣旨に立っておるものである、かように考えております。
#85
○諫山分科員 政府のゴリ押しが非常に混乱を起こしたという一つの事例として、私はこのたびの最高裁判例を引用しましたが、同じ問題が官公労働者の争議権についても発生しております。
 例の都教組に対する四・二判決は、公務員のストライキであっても、地方公務員法に違反しないストライキがあるんだということを明言しております。ところが政府、特に自治省や文部省の行政指導を見ておりますと、あれは刑事事件に関する判決だから、行政処分とは関係ないという指導を現在もしているように思います。自治省としては、いまなおそういう行政指導をしているのかどうか、自治省の説明を聞きたいと思います。
#86
○植弘政府委員 四・二判決につきましては刑事事件に関する判決でございまして、懲戒処分等のいわゆる行政処分について直接にこれを判断したものでないと思っております。したがって、少なくとも争議権に関する問題につきましては、懲戒処分については、その四・二判決は言及してない。もっと言うならば、行政処分をおくといたしましても、といったような判決の趣旨もございますので、現在その主張を変えるつもりはございません。
#87
○諫山分科員 最高裁判所の四・二判決以後、たくさんの下級審裁判所で、公務員の争議の行政処罰の問題について判決が下されております。これを見ると、暴力云々の関係は別として、単純な労務提供拒否の場合には、すべて四・二判決を一つの出発点にしながら処分取り消しを命じていると思います。この判決は、自治省で計算していただいただけでも十指を数えるぐらいあります。しかし、あなたが説明されたように、あの判決は行政処分と関係ないんだという判断をした裁判所は一つもないと思います。違いましょうか。自治省側の見解を聞きたいと思います。
#88
○植弘政府委員 少なくともあの最高裁判所の判決といたしましては、現在四・二判決以後ないわけでございますので、そのように理解いたしておるわけでございます。
#89
○諫山分科員 下級審裁判所の判決を聞いているのです。
#90
○植弘政府委員 下級審の判決におきましては、諫山委員御指摘のような判決はございます。
#91
○諫山分科員 四・二判決を土台にしながら処分の取り消しを命じた判決はたくさんある。ところが、あなたが説明されたような立場で処分を是認した判決は一つもない。ここまで認められるかどうか。
#92
○植弘政府委員 その点は十分検討いたしておりませんので、お答えを保留させていただきます。
#93
○諫山分科員 あなたは法律見解まで述べながら行政指導をしておるのに、下級審裁判所がどういう判決を下しているのか知らないのですか。それで行政指導しているのですか。それがほんとうでしょうか。もう一ぺん説明願います。
#94
○植弘政府委員 失礼いたしました。四十七年の神戸地裁におきます兵庫県教組の事件につきましては、戒告処分が相当という判示がございます。
#95
○諫山分科員 それは、最高裁判例は行政処分と関係がないという理論的な立場からですか。
#96
○植弘政府委員 理論的には、その点には直接触れてないようでございます。
#97
○諫山分科員 私は自治省の不勉強ぶりが非常によくわかりました。自治省がたくさんの下級審裁判の判例の立場を無視しながらゴリ押しに、行政処分はやっていいんだというような指導をしておりますから、実際にどういう結果があらわれているかといいますと、福岡県では昭和四十二年から四十六年までの五年間に実に八万人以上の人が処分を受けております。この中には戒告、訓告も含みますが、とにかく五年間に八万人以上が処分されている。そして現に五万人以上の人が処分を不服として福岡県の人事委員会へ提訴をしているという実態があります。しかも、ことしになっても福岡県庁で大量の行政処分がされております。
 私は福岡県だけの例をあげましたが、これは全国的に同じように行なわれているのか、それとも福岡県で特殊に行なわれているのか、自治省としての考えを御説明願いたいと思います。
#98
○植弘政府委員 地公法の三十七条に該当するような違法な行為が行なわれました場合におきましては、それぞれ任命権者において適正なる判断が行なわれ、処分も行なわれておりますので、処分の行なわれておるのは福岡県だけではないのでございます。
#99
○諫山分科員 私は数字をあげましたが、全国的にこれほど大量な処分が行なわれていますか。それとも処分のスケールの大きさという点では、福岡県は特異なのでしょうか。どちらなのですか。
#100
○植弘政府委員 その争議行為の規模等によりますし、参加人員等にもよりますので、一がいにその判断をすることはむずかしいかと思いますが、福岡県の場合においては厳正、適正に処理されていると考えております。
#101
○諫山分科員 争議行為を理由とした処分の場合に、国民生活に重大な影響を与えたか与えないかということは、行政処分をしていいか悪いかという問題と無関係だと考えているのかどうか。この点は人事院に説明を願いたいと思います。
#102
○中村(博)政府委員 国民生活に重大な影響を与えた場合には、これは懲戒処分をするときめましたときには処分の量定が重くなることは当然でございますが、懲戒処分というのは、本来公務秩序の維持でございますので、そういう観点から一方において、先生御指摘のように国民生活に及ぼした影響等も勘案しつつ処分の量定を考えるべきもの、さように考えております。
#103
○諫山分科員 私は、官公労働者の争議権の問題を人事院と自治省を中心にお聞きしました。そして非常にはっきりしたことは、人事院も自治省も、最高裁の四・二判決をことさらねじ曲げて、いまなお行政指導しているということであります。最高裁判所は、明らかに憲法二十八条をもとにして争議権一般について理論を展開しております。もし政府がほんとうに最高裁判所の判決を謙虚に読んでいくなら、いまなお争議行為を理由にして行政処分が続けられることはないというふうに思います。そして私の立場が正しいことは、たくさんの下級審裁判所がすでに判示しておるところであります。このことは、長年にわたって年次有給休暇について政府が誤った見解をとり続けてきた、そして最高裁判所からその訂正を指摘されたということと軌を一にすると思います。
 そこで労働省にもう一度お聞きしますが、たとえば、私の手元には福岡県で行なわれている「年次休暇願」という書式があります。これは年次有給休暇を請求するのに「事務繰り合せのうえ、休暇賜りたく、お願いいたします。」という文章になっているんですが、民間でもこれに似たようなことが行なわれております。この最高裁の判例からいけば、「休暇賜りたく、お願いいたします。」というのは適当でないと思いますが、いかがでしょうか。
#104
○渡邊(健)政府委員 地方自治体の問題につきましては、基準法は適用になりますけれども、運用は自治省でございますので、そのことは所管外でございますから省かしていただきまして、民間の場合について申しますと、今回の最高裁の判例によりまして、基準法三十九条の一項、二項の要件を満たしておれば休暇の権利はあるんだ、労働者はそれに対して時季指定をすれば当然に休暇がとれるんだ、こういう見解でございます。したがいまして、休暇を賜わるといったような観念では今後なくなる、こういうふうに考えます。
#105
○諫山分科員 いま、民間で働いている労働者については休暇を賜わるという観念は正しくないという御説明がありましたが、現に福岡県では、「休暇賜りたく、お願いいたします。」という書式が採用されております。自治省としては、これはいまなお適当だと思っておりますか。
#106
○植弘政府委員 まあ何といいますか、沿革的にそういった文章がずっと続けられておるんだと思いますが、今回の判示によりまして、検討いたします場合にあわせて検討すべき事項であろうと思っております。
#107
○諫山分科員 検討すべき事項だというのは、これは最高裁判例の立場から見ても正しくないから、改めるという方向で検討するんでしょうか。
#108
○植弘政府委員 その文言等が明らかに最高裁判決の趣旨に抵触する場合でございますれば、これは当然に改めなきゃならない、こういうふうに思います。
#109
○諫山分科員 そういう仮定の議論ではなくて、最高裁の判例は、年次休暇というのは労働者の権利であるということから出発して議論を展開しております。福岡県での書式は「休暇賜りたく、」というんですから、休暇を与えてくれるようにお願いしますという立場ですね。これはだれが見たって抵触するじゃないですか。このことも検討しないと、抵触するかどうか答えられませんか。
#110
○植弘政府委員 やはり様式の沿革といいますか、国家公務員の場合でございますと、そういう賜暇といったような考え方が閣令六号以来続いておりまして、地方団体のほうも大体それにならって、そういうかっこうで進んでまいっておりますために、そこのところが特に賜暇という制度として書式を整えているのか、そういった点があると思いますが、少なくもその文言からいきますと、今回の判決の趣旨によりますれば、適当でないと思います。
#111
○諫山分科員 労働省のほうが非常に率直だということを、私は初めて知って意外でした。あなたのような、かたくなな立場で行政指導をすれば、自治体で労使間の紛争が起こるのは当然じゃないですか。
 さっき私は休暇の使用目的についても質問いたしました。この使用目的について、そこに書類があるはずですが、いまのような立場で、これは正しくないという方向で再検討するという回答は率直に出ませんか。
#112
○植弘政府委員 そういうことで検討いたします。
#113
○諫山分科員 そういうことで検討いたしますというのは、これは最高裁の判例から照らして問題があるから、改める方向で検討するという意味ですか。
#114
○植弘政府委員 一応そのように考えます。
#115
○諫山分科員 初めからそう言ってもらえば事は簡単なんです。わかり切ったことをむずかしく説明する、そして地方自治体でも非常に混乱を引き起こすというようなことから労使間の紛争がこじれるわけですが、とにかく、今度の最高裁の判決によって、国が労働基準法違反を起こしておった、国が犯罪行為を犯しておったということが確定したわけです。この点について労働大臣は何らかの反省はないのか、御説明願いたいと思います。
#116
○加藤国務大臣 今回の判決で労働基準法の三十九条の問題が判然といたしましたが、しかし従来からの経緯を見ますと、いろいろ判例その他もまちまちでありましたが、先ほど私がはっきりと申し上げましたが、今回の判決で基準法の三十九条の問題は判然といたしました。従来からいろいろな経緯を経てここまできたのでありますが、しかし国家公務員の問題につきましては、これは基準法の外でありますし、人事院規則とかいろいろな問題もありますので、この問題に対しましては、どうだこうだという解釈なり、またこれに対するお答えをはっきりと申し上げることを差し控えたいと思います。基準法の解釈は判然といたしました。以上でございます。
#117
○諫山分科員 労働大臣としては反省はないのですか。
#118
○加藤国務大臣 労働省の方針は、先ほど私から申し上げたように、従来の基準法の解釈もそうたいして大きな違いはなかったと思います。しかし、基準法の問題に対して、その指導方針が今回の判決と多少いろいろ変わっておった、こういう点について反省をせよと言えば、これは反省する価値があると思います。
#119
○諫山分科員 私から迫られて反省するのじゃ、これからの是正がなかなかおぼつかないと思います。
 そこで、自治省のやり方、これは福岡県を例にあげて質問したわけですが、福岡県で実際に行なわれていたことが労働基準法から見て正しくなかったということは明白だと思います。自治省としては反省はないのかどうか。
#120
○植弘政府委員 地方団体は、それぞれの任命権に基づいて、適正な措置をいままで講じてきたところでございます。したがいまして、もしそれについてその過程におきまして反省すべき点があったとするならば、私どもも当然指導の立場といたしまして率直に反省しなければならない、このように思います。
#121
○諫山分科員 最後です。どうしてそんなに回りくどいことを言うのですか。反省すべき点があったら反省するというのじゃなくて、明らかに労働基準法違反があったんだから反省すればいいじゃないですか。それでも反省してないのですか。それでは、私は実態の是正はなかなかむずかしいと思います。率直に反省しなさい。自治省にもう一ぺん聞きます。
#122
○植弘政府委員 十分に趣旨を体して反省いたしたいと思います。
#123
○諫山分科員 終わります。
#124
○倉成主査 土井たか子君。
#125
○土井分科員 加藤労働大臣、先日、二月二十七日の社会労働委員会ですでに社会党の島本虎三委員から取り上げられた問題でありますから、頸肩腕症候群といえば先刻御承知でいらっしゃると存じますが、御承知でいらっしゃいますね。――これは私はこれからの課題だと見ております。これは単純作業の反復だとか機械労働による腕、手、指等の作業によって引き起こされる一連の職業病と申し上げなければならないと思います。すでにこの問題については、昭和三十九年の九月十六日に「キーパンチャー等の手指を中心とした疾病の業務上外の認定基準について」という通達があって、それを後に、四十四年の十月二十九日に基発第七二三号通達として、中身を改正されて、「キーパンチャー等手指作業にもとづく疾病の業務上外の認定基準について」というのが出されているわけですが、これは読んで字のごとしでありまして、「キーパンチャー等」と書いてありますから、キーパンチャーのみならず、類似の作業についても考えていっていいのであろうと思われます。ところが、この通達自身は疾病の業務上外についての認定を問題にしている基準でありますから、この認定基準によって一応業務上と考えられた場合には、いま申し上げるまでもなく、労働者災害補償保険法の第一条から考えて労災の対象にしなければならない。基本的にこれは考えられなければならないと思うのです。
 そこで、ひとつキーパンチャーについていままでどれだけの件数が問題にされてきたか、それをまずお尋ねしたいと思います。
#126
○渡邊(健)政府委員 いままでの総数はちょっと手元に持っておりません。四十六年度の単年度だけで頸肩腕症候群、これは大部分がキーパンチャーだと思いますけれども、百六十二名となっております。その以前にもあとにももっとたくさんあると思いますが、いま総数はちょっと手元にございません。
#127
○土井分科員 四十七年度はもっとふえていると思うのですね。それはあとでけっこうですから、一回資料として提出をしていただきたいと思います。委員長、それを資料要求いたします。
#128
○倉成主査 承知しました。
#129
○渡邊(健)政府委員 四十七年度は、三月末まででございますので、集計ができますのはだいぶおそくなりますが、できましたらお届けいたします。
#130
○土井分科員 ところで、キーパンチャーについて業務上というふうに認定される場合、別に作業管理通達がございますね。「キーパンチャーの作業管理について」というのが昭和三十九年九月二十二日通達として出ておるわけですが、この作業管理の通達の中身がどういうふうに作用するか、それをひとつお聞かせいただきたいのです。つまり、作業管理の中身から考えて、この通達を順守している、その条件に適合するような仕事のあり方の中で症状が出た場合、もちろん業務上と考えられる場合もあるでしょうが、作業の環境、作業そのものの中身がこの通達に合わないような場合、これについては業務上というふうに一応考えていいのじゃなかろうかというふうな理解があると思いますが、こういうことについてはいままでどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思うのです。
#131
○渡邊(健)政府委員 作業管理基準は、考え方といたしますと、これは予防のために設けました作業の管理基準でございます。業務上外の認定基準はその認定のための基準でございまして、必ずしも直接的な因果関係はないわけでございます。したがいまして、作業管理基準を守っていないような事業所で頸肩腕症候群に該当するのではないかという疑いを持たれるようなものが出ました場合でも、直ちにそれがすべて業務上になるというわけではなく、業務上外認定基準に該当するかどうかということを別個に検討するわけではございます。しかしその認定基準の中には業務量その他も認定の一要素になっておりますから、その認定の一要素の関係におきましては、やはりその業務量が他の業務量と比較して過重であるとか云々という認定におきましては、やはり作業管理基準を上回っていたかどうかということは一つの要素になるわけでございます。
#132
○土井分科員 作業管理通達というのが一つの基準というふうに考えられる。だからこればかりによって考えるのじゃない、それはお説のとおり、だと思うのですが、しかし一応予防対策として、予防措置としてこういう通達をお出しになっている以上は、これに違反したような作業のあり方、環境のあり方の中で引き起こされた頸肩腕症候群、これについては一応業務上というふうに認定していいのじゃなかろうかというふうに憶測できます。その点は必ずしもそうじゃないとおっしゃる別な理由があるのなら、示していただかなければ納得できないです。
#133
○渡邊(健)政府委員 その認定基準の1の(3)あたりが一番問題になるわけでございますが、そういう場合に「業務量が同種の他の労働者の業務量と比較して過重である場合」とか、あるいは「業務量が一定せず一時的に業務量が大量に増加する」といったような業務的な要素も認定の一つの要素になっておりますが、それだけではなしに、やはり手指に自覚症状に加えて医学的に他覚所見が認められるかどうかとか、あるいは業務以外の原因、いろいろな頸部の脊椎の疾患等から発しているのではないかといったようなことも、もう一つの業務上外の認定の判断の要素になるわけでございますから、業務量その他だけで認定されるわけではございませんので、さように申し上げたわけでございます。
#134
○土井分科員 これ何べんもここで繰り返していたら時間のむだでありますから端的に言いましょう。作業管理通達というもの自身は業務上の問題というふうに認定する基準になるかどうかという問題です。業務上であるか業務外であるかということを区分けして処理する場合に、業務上であるということを問題にする手だてとして作業管理通達というのがあるのじゃないか。だから作業管理通達に従って考えていった場合、その通達の中身からしたら思わしくない事情がある、通達に対して背反しているような事情がある、そういうふうな場合は、これは一応業務上引き起こされた事情による頸肩腕症候群と認めていいんじゃなかろうかという論法も成り立つわけですよ。いかがですか。
#135
○渡邊(健)政府委員 その点は先ほど申し上げましたとおり、作業管理基準のほうは予防を主とした、予防の目的のための作業管理基準でございまして、直接には業務上外の認定と結びつくものではない。業務上外の認定は四十四年の業務上外の認定基準に基づいて認定をするわけでございまして、その意味で直接の関連はない。しかし認定基準の中には業務量等も一要素として入っております。その要素の判断には、作業管理基準を上回った作業をしていたかどうかということは一つの要素になる、こういうふうに言えるわけでございます。
#136
○土井分科員 実はキーパンチャーについてどれくらいの件数があがっているかということを先ほどお尋ねしましたが、それ以外にキーパンチャー等という「等」の中に入れて考えていいんじゃなかろうかと思われるようなタイピストであるとかスーパーマーケットのチェッカーであるとか、あるいは先ほど島本委員が取り上げました電電公社の電話交換手等々の問題について、実はこの労災の対象とすべきであるという意味で認定を請求したけれども、認められていないという事例が相次いでおる。特に電電公社の場合なんか、いままで頸肩腕症候群ということでは一件も業務災害として認めていないという事実すらあるわけです。そういうことからすると、やはりこの節問題になっておるのは、作業管理ということの中身が問題じゃないか。作業管理というものに従って考えて、作業管理の通達に合っておるか合っていないかということが一つの大事なきめ手として考えられておるじゃないか。もちろん医学的な認定基準というものは別にあるでしょう。医学的な認定によって業務上であるか業務外であるかということの認定も非常に大事な要件ですが、しかしながら、労働省とされては労働管理という上から考えて「キーパンチャーの作業管理について」という通達をお出しになったのは、おっしゃるとおり確かに予防措置ということの意味もありましょう。しかし予防措置であればあるほど、それに違反したような事情によって引き起こされておるこういう障害については、これを業務上というふうに認定しなければならないじゃないですかという問題が出てくると思うのです。いかがですか。
#137
○渡邊(健)政府委員 この認定基準は、いま先生おっしゃいましたように「キーパンチャー等」となっておりますから、キーパンチャーだけではないわけでございまして、たしかレジスターを扱っておるチェッカーなどもこれによって認定された例もあるわけでございます。電電公社の問題につきましては、労災法の適用がございません。基準法の適用はありますけれども、労災法の適用がないので事業所でその認定をしておったわけでございますが、これについては新しい病気でございまして必ずしもその取り扱いが明確になっておりませんので、やはり業務上外の認定をこの認定基準を適用してやるべきものだと考えまして、電電公社に対してその指導も最近いたしておるところでございまして、電電公社もその趣旨に従ってさらに検討するように約束しておるわけでございます。そういうことで、キーパンチャーだけではなしに、同じような手指を使う作業についてはこの認定基準によっておるわけでございまして、その場合に、たとえばレジスターのチェッカー等、現在まで作業管理基準というようなものがキーパンチャーほど明確でなくとも、この認定基準に該当するという場合には業務上といたしておる関係もございますので、直接的な関係は私が先ほど申したようにない。業務量という要素、これについては作業管理基準というものが業務量が多いか少ないかの要素の一つの判断のめどになる、こういう関係にあるというふうに考えておるわけであります。
#138
○土井分科員 それじゃ、作業管理についてという通達は単に予防措置としてお出しになっておるにすぎない、こう理解していいわけですか。
#139
○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたとおり、予防措置として出したわけでございます。しかし認定基準についての要素の一つである業務量の判断の一つのめどにはなる、そういうふうに申し上げておるわけであります。
#140
○土井分科員 そういうことも関係してでしょう、キーパンチャーそのものについては、いままで頸肩腕症候群という認定を受けて、そして労災の対象になっておるという例が、先ほどお示しくださりたとおりあるわけですが、非常に類似しておるスーパーマーケットのチェッカーなどについては、まだそれぞれのスーパーに一律に論ずるわけにいかない事情もあるわけですから、これに対しての統一的な取り扱いというのはないようであります。したがって、作業管理についての通達をキーパンチャー以外についてもこの節やはり問題にしていかなければならないじゃないかということを申し上げたいわけです。類似ということになると、「キーパンチャー等」の中にはいろいろありますよ。いま申し上げたのはスーパーマーケットのチェッカーですが、タイピスト、事務機械の労働者、それから毎日私たちがお世話になっている、ボールペンを使用なさる速記者の方々、それからさらには保母さん、電信電話関係の交換手、こういうふうな問題がまだまだ続々あげていけばあると思うのですが、こういうことについていま労働省としてはどういうふうに考えていらっしゃるか。また現に作業をお進めになっているのならば、その作業の中身についてどういうことになっているのかをお聞かせいただきたい。
#141
○加藤国務大臣 御指摘のような頸肩腕症候群の問題につきまして、これはチェッカー、保母、交換手、その他速記するとか、いろいろな方にまでそういう徴候があるということは十分承知いたしております。しかし当面はチェッカーなどの特に徴候のひどいもの、こういうものに対しましては、役所は要領をつくって、研究家の意見を聞いて、そして作業管理基準をいまつくりつつありますので、前向きな姿勢でこれが基準をつくるような方針に進みたい所存であります。しかし保母さんとかその他の問題は、いろいろの見方がありますし、全部がその原因か、いろいろ問題がありますので、これも、やらないという方向ではありませんが、よく研究して、御趣旨に沿うように持っていきたい所存でありますが、いまさっそく基準をつくる、こういうところまでいっておりません。
#142
○土井分科員 いまさっそく基準をつくるというところにまで来ていないとおっしゃいますが、前向きにひとつ検討したいとおっしゃいますから、前向きで検討なすった結果、来たるべき、いつごろにこういう問題については具体化をしていかなければならないかというお考えがおありになるかくらいは聞かせていただかないと、どうも前向きと言いがたいようであります。
#143
○渡邊(健)政府委員 チェッカーにつきましては、作業管理基準をつくりますまでにはなお実態調査とか、あるいは専門家の研究にまたなければならない面もございますので、すぐにはまいりませんので、今月中くらいにはそこまで至らないが、作業環境であるとか、健康診断であるとか、そういうことを含めた指導要領をつくる、その上に立ってさらに必要な調査や専門家の研究を待って、早急にチェッカーについても作業管理基準をつくる、こういう計画でチェッカーについては進んでおるわけでございます。
#144
○土井分科員 この節一つ申し上げておきたいのは、キーパンチャーについて作業管理、たとえば作業時間が一日三百分以内とか、一連続作業時間が六十分以内とか、作業間に十分から十五分の休憩をとらなければいけないとか、いろいろございますね。それに比べますと、これもまた一律に言うわけにはいきませんが、スーパーマーケットのチェッカーというのは、いま実情を考えてみますと、労働条件が多分に重労働であります。ですからキーパンチャーについては、もとよりこのままでいいかどうかというのは、最近は電子計算機等等の自由化によりましてずいぶん職種も多様化してくるでありましょうから、もう一度再吟味を必要とする問題もあろうかと思いますが、そしてこのスーパーマーケットのチェッカーについては、きめこまかに、従前考えられていたよりもっとその立場というふうなものについてそれを尊重するような、保障するような基準でなければこれは意味がないと思うのですが、どういうことを特に念入りに考えなければならないとお考えであるかという点を少し聞かせておいてください。
#145
○渡邊(健)政府委員 いま検討中でございまして、まだ具体的な内容まで申し上げる段階にございませんけれども、確かにキーパンチャーとチェッカーと比べました場合に、チェッカーはキーパンチャーと違って立ち作業である。そういうような意味で重労働である面もございます。それから他方、キーパンチャーはほとんど一日、労働時間中は一定の一つのリズムで作業が行なわれておりますのに対して、チェッカーの場合でございますと、非常に買いもの客が殺到するときとそうでない時間といったような、一日の中でも時間によって繁閑の差があるとか、いろいろな実態の差がございます。十分そういう実態の差を考えながら、実情に即した有効なものをつくっていきたい、かように考えております。
#146
○土井分科員 一つは、認定の基準になるのはやはり医師の診断ということだと思うのですが、この医師の診断ということをめぐっていままでかなり問題がありました。というのは指定医というものを限定して考えることによって、その指定医以外の医師の診断によるものを全部排除するという問題等々が実情としてあったわけです。ですからこういう問題についても、一つは認定基準を考えていった場合に、作業管理の中で問題にしていかなければならないのじゃないかというふうなことを思わせられるわけですが、この点はどういうふうにお考えですか。
#147
○渡邊(健)政府委員 指定医の場合には業務上外の認定は非常にたくさんやりますし、私どももそういう意味で労災保険の療養の給付を委託しております関係上、われわれが定めます業務上外の認定基準、これは頸肩腕症候群だけでございませんけれども、そういうものを十分周知して処置していただくよう、われわれもそういう新しく基準をつくったような場合には、その周知徹底を十分はかっておるわけでございますが、指定医以外の方の中には、必ずしもこういう役所の認定基準等を十分理解されていない。そういうようなこともあって、御指摘のような事例もあったかと思います。しかし決して、指定医以外であるから医師の診断を全く尊重しないというようなことではございませんで、もちろん医師としての認定は十分尊重しているわけでございますが、いま申しましたような、認定基準を必ずしも十分御理解でないというような場合等もありまして、そういう場合には指定医師の方の御判断、指定医以外の医師の方の御判断と役所の業務上外の認定との間に食い違いができたというような場合もあったと思います。今後は指定医はもちろん、指定医以外の方についても、認定基準については十分取り扱いの周知をはかるようにしてまいりたい、かように考えております。
#148
○土井分科員 重ねて申しますが、そのことは具体的にいうと、医師の選定の自由という問題は、事業所に対して自由じゃなくて、やはり当事者について自由であるということが具体的に確かめられていないと意味がありませんから、このことを作業管理についてお考えになる節、中身としてやはりはっきりさせていただきたいと思うのです。
#149
○渡邊(健)政府委員 基本的に労働者に医師の選択の自由があるということは、われわれ前から一貫してとっておる態度でございまして、今後ともその態度は持続するつもりでございます。
#150
○土井分科員 時間がありませんから、それでは簡単にはしょって聞きますが、先ほどずっと質問をしてまいりました中で、認定基準と管理基準は違うということ、管理基準は予防策であるということ、これがはっきりしたわけですね。
 そこでお伺いしたいのです。この作業管理についての通達にもし違反している事情というものが具体的に把握された場合、どういうふうにそれに対しての措置を講じられますか。
#151
○渡邊(健)政府委員 作業管理基準は予防のための指導基準でございますから、この作業基準を守っていただくように、業務上疾病の発生の予防のためにこれを守っていただくように、強力に行政指導をしておるところでございます。
#152
○土井分科員 行政指導以上のことはできないわけですね、それに対して。
 それじゃもう一つ申し上げますが、すでにあるところの認定基準について、やはり一応作業管理というふうなことについての通達があるから、通達に合致している場合は、たとえ頸肩腕症候群という症状があったとしても、これを業務上の疾病ということからはずすという考え方がちまたにまだあるようであります。したがってこの点ははっきりと、行政解釈として見解を明るくしておいていただかなければ非常に混乱が生ずると思うのです。そこでこういうことについて、いまできるなら政府の見解をひとつ明確にしていただきたいということ。と同時に、業務外であるという証拠がないものについては、すべて業務上の疾病というふうに認定して差しつかえないという見解をお持ちになっておるかどうかという点もあわせて、これははっきりさせておいていただきたいと思います。
#153
○渡邊(健)政府委員 先ほども申しましたように、作業管理基準は予防のための基準でございまして、業務上外の認定基準と直接の関連はないわけでございます。したがいまして、作業管理基準を守っておって作業をしておったところに頸肩腕症候群と思われるものが起きた場合に、作業管理基準を守っていたから業務上外にすべてするというような取り扱いはいたしておりません。これは個人差もあるわけでございますから、作業管理基準を守っておれば大体は私ども頸肩腕症候群は起きないと思っておりますけれども、個人差もあるわけでございますから、そういう点は医師の診断等十分尊重して、業務上外の認定をいたしておるわけでございまして、作業管理基準を守っておったところの人でも頸肩腕症候群の認定をされた例もございます。そういうことでございます。
 それからもう一つの、業務上でないという証拠のないものはすべて業務上にする見解はとれないかという御質問でございますが、これは私どもはやはり業務上というのは、業務に基因することがはっきりした疾病である、かように考えますので、その認定の基準としてこの四十四年の認定基準を定めておるわけでございますので、私どもはこれに該当するものが業務上の疾病であるという取り扱いをいたしておるわけでございます。
#154
○土井分科員 これに該当するものとおっしゃいますが、認定基準のことですか。したがって認定基準でいろいろ判別をなさるわけでありますけれども、認定基準そのものが、そうすると業務外であるか業務上であるかということを認定する唯一のよりどころということになってくるわけでありますから、いま出されている認定基準そのものは、キーパンチャー等については、四十四年の十月二十九日に通達があったきりですね。その後だいぶやはり、職種別に考えていきますと、事情が変わってきているようですね。いまさしずめこの認定基準そのものについて新たに、かつて三十九年九月十六日に出たのを四十四年十月二十九日に変えられたように、変えなければならないというふうに考えていらっしゃるかどうか、その辺、ひとつ。
#155
○渡邊(健)政府委員 四十四年の認定基準は、キーパンチャー等ということで、キーパンチャーに限らず手指作業に基づくいわゆる頸肩腕症候群というものの認定基準でございます。これらにつきましては、四十四年に改正いたします際には、専門家の意見も十分聞いてつくりましたので、私どもは現在のところ、キーパンチャー以外であっても、手指作業に基づく頸肩腕症候群につきましてはこれで足りるのではないかと考えておりますが、なおその後におけるいろいろな業務の実態、作業方法の変化等も考えまして、今後ともこれを変更する必要を認めましたならば、三十九年のものを四十四年に変えましたごとく、今後ともそういう産業界の実情に合わせて、常に有効なものをつくっていくようにしたいと考えております。
#156
○土井分科員 それは非常に抽象的な発言でありまして、別にそれならば答弁を要求する必要がないような答弁であります。いまあるかないかということを、ひとつ具体的におっしゃってくださいませんか。そういう事情が起こるなら、その事情によってそのときに考えようというのは、これはだれでもすることでありまして、いまそういうお考えがあるかないかということをひとつ聞かしてください。
#157
○渡邊(健)政府委員 現在につきましては、手指作業に基づく頸肩腕症候群についてはこれで足りるのではないか、一応そういうふうに考えております。
#158
○土井分科員 ある程度いままで出てまいりましたタイピストなりそれから事務機械の労働者なり保母なり交換手なり、それからいまさしずめ前向きで検討を進めようと労働大臣がおっしゃっているスーパーマーケットのチェッカー等々は、人数が集まっているわけですね。同じような症状の人たちが一人ならずして五人十人、ある場合は数十人と群をなしているわけですが、そういう群をなしていない、たとえば本屋さんあるいは印刷所等等で一人二人そういう症状にかかっているという例が、あっちにもこっちにも散在するわけですよ。こういう問題がいまの認定基準によって救えるというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか、その辺いかがですか。
#159
○渡邊(健)政府委員 これは先ほどから申しておりますとおり、キーパンチャー等手指作業に基づく頸肩腕症候群の認定基準でございまして、たとえば本屋さんといったような、いわゆる特別に指を使うわけではないといったような場合ですと、この問題ではなくて、別個の個別的な認定の問題になると思います。
#160
○土井分科員 本屋さんといっても、その中にはいろいろな職種があるのです。手や指を使わないというふうにきめつけてかかられるのはちょっとおかしいんですよ。その辺少し実情を調べてみてください。中には本の上げ下げというものをしょっちゅうする職種の人もあるのです。それから、本を出版する出版社というのも私はひっくるめて本屋さんという表現でいま言っているわけですが、そういう中身について考えてごらんになれば、これは手、指を使わないでほかはどうして使うのかという職種があるわけです。そういうことからしてくると、やはりキーパンチャー等という中にちょっと入りにくいのじゃなかろうか、しかも手、指を使う作業であるということが考えられる、そこから引き起こされている頸肩腕症候群と考えていいのじゃなかろうかという症状も現に出ている。そういう事例がだんだん散在して、あちこちに引き起こされているわけでありますから、こういう問題をこの節検討するというお気持ちはあるのかないか、その辺ひとつお答えください。
#161
○渡邊(健)政府委員 手指と申しましたのは、これは足指に対して手の指ということで、手や指という意味ではないわけであります。それは手を使うのはほとんどの作業が手を使うわけでありますが、なお、この手指作業以外にもそういうような事例が例外的でなくて非常に多く発生するようなものがあれば、今後とも認定基準の作成については考えてまいりたいと思っておるところでございます。
#162
○土井分科員 もう時間がきましたから、私はこれで質問を終わることにしたいと思いますが、労働大臣、いまの急を要すると思いますスーパーマーケットのチェッカー等についての作業管理通達、ひとつ具体化を一日も早く急いでいただいて、加藤労働大臣である間にそれの実現を期してがんばってもらいたいと思います。それもお約束いただけますか。
#163
○加藤国務大臣 先ほどお答えいたしましたとおり、もう要領その他はいろいろの問題に順序を経て着手いたしておりますから、私の任期中というのはいつかわかりませんので、はっきりとその点は御答弁できませんが、これは熱意をもって御趣旨に沿って前進いたします。
#164
○土井分科員 これで終わります。
#165
○倉成主査 八木一男君。
#166
○八木(一)分科員 労働大臣はじめ政府委員の皆さま方に同和問題を中心に御質問申し上げたいと思っております。
 去る二月二十八日に衆議院の予算委員会一般質問で、私は加藤労働大臣もおられる席で田中内閣の、私どもの申します部落解放行政、政府のいわれます同和問題の解決のための施策について御質問を申し上げました。
 そこでいろいろの問題について申し上げたわけでありますが、加藤さんはこの問題で中心的に申し上げたことを御記憶になっておられる点があればおっしゃっていただきたいと思いますし、御記憶が薄れていらっしゃいましたら、またその線に従って全力をあげて推進される御決意のほどをひとつ伺っておきたい。
#167
○加藤国務大臣 地域住民の問題は、これはあのときにもちらっと触れましたが、近代的産業への就職を大いにやりたい、それから事業主に対する啓蒙活動、求職者に対する各種援護措置の実施、新規学卒者に対する職業指導、職業訓練の強化、こういうような問題を当面の対策として推進していきたい所存でありますが、特に昭和四十八年度においては、八木委員からも大いにやれ、こういうように激励を賜わりました奨励金の新設でありますが、これは画期的だと思っておるのでありますが、本年度その門戸を開いたので、なおますますこの点も拡充いたしたい。職業訓練の充実とか、こういう問題もきめこまかくやる所存であります。
#168
○八木(一)分科員 いま、労働省がことしやろうとしておられることを中心としてお答えになりました。まだまだ不十分でございますが、労働省かなり熱意をもって推進されようというお気持ちに立っておられることはけっこうでございますが、さらに性根を入れてやっていただかなければならないと思うのです。二月二十八日に申し上げたことはひとつ大臣によく覚えておいていただきたいと思いますが、一つは、同和対策事業特別措置法というものが積極的に活用されていないのを、積極的に活用するようにしなければならぬということであります。実はこの特別措置法のできましたときの最後の確認事項で、床次総務長官から総括的に、この法律は同対審答申を実施するためにつくった法律であり、また、同対審答申を完全に実施するために特別措置法を積極的に活用してやって参りたいという確認があったわけであります。さらに時の総理大臣の佐藤さんからは、この法律がそのときはまだできておりませんでした、審議中でございましたが、できることによって問題解決の緒についただけである、これから大いに推進しなければならないので、大いに政府を鞭撻督励をしてもらいたいということが、最後の大きな確認事項になっているわけであります。加藤さんにまず、労働大臣としてはもちろんでございますが、国務大臣となさってこの問題を推進するために、いまの特別措置法というものが非常に狭義に解釈をされて、そのために地方自治体がかなり熱意を持って取っ組んでおるところを、政府のほうが狭義に解釈をするから、地方がやっている同和対策事業を国の認定するものとして認めていない、したがって国の特別助成の規定が適用されない、あるいは特別の優先的な起債とか、あるいはもう一つは、それに対して元利償還金の十分の八を交付税で支給するというようなことが適用されておらないために、地方自治体に非常に財政的なしわ寄せがあって、そのことのために問題解決の推進が非常に妨げられている。そうではなしに、特別措置法を積極的に解釈をし、適用していかなければならないという問題を一つ申し上げたわけであります。これは労働大臣としてよりも国務大臣として、閣議または閣僚協議会で大いにひとつ御推進をいただきたいと思います。
 もう一つの重点は、四十六年の実態調査に基づいて、同和対策の今後すべき事業量を集めて、それの金額表示が、四十七年六月の閣僚協議会に対する報告では四千七百三十三億円という金額に相なっております。これがあらゆる点で不十分な点であります。これは、まず第一に事業量報告をしていない府県があります。報告をしても、該当地区を数を減らして報告しているところもある。また、かなり報告をしている府県、市町村にしても、その中で完全に熱意を持って事業を推進しようという状態があらわれていないところがある。あらわれていても、それが一つの業種に限っては熱意を持って積極的に取り組んでいるが、ほかの業種については全くそれより低い状態である、そういう問題があります。それを、全部報告をしていないようなところのことを直し、そしてそれから一番熱意を持って取り組んでいる地域の、一番十分と思われる施策を、同様の、たとえば都市部落なら都市部落、農漁村部落なら農漁村部落に同じように必要であるということで、増幅修正をしなければならぬということが一つ。特にそこで、その四千七百三十三億の施策の中には、農山漁村対策という幾分産業振興の点はまじっているけれども、そのほかは住宅を含めた環境改善の施策だけであって、一番大切な就職の機会均等というものを実施する雇用の問題については、ほとんどその内容がないということであります。その内容のない問題について、特にこの問題は地方自治体でもやらせなければならないけれども、問題の性格上、国の施策でないとなかなかやりにくいところが多い。したがって、労働省の担当される雇用の問題を解決する問題、あるいは文部省の関係をされる就学の機会均等、教育の問題、あるいはまた通産省の担当される産業振興の問題については、特別に、地方公共団体がやろうとしたものではなしに、国が積極的な対策を立てて、同和対策事業の事業量をその点でもふやしていかなければならないということを申し上げたわけであります。三省の例をあげましたけれども、その中で一番大切なのは労働省の担当されるべき雇用の問題であります。
 就職の機会均等というものが保障されていないのが、客観的に見ていまの部落差別がなくならない一番大きな問題でありますから、その点について労働省が強い決意をもって当たっていただかなければならないと思うわけであります。本年度、先ほど大臣が御説明になりましたように、いままでよりも幾分制度が前進をしておられることは私も承知をいたしております。この問題の重要性から考えれば、まだまだこれはほんとうに緒についたばかりであります。あらゆる意味で雇用を確立するための努力が必要であろうと思いますが、その点ぜひ大臣に強い決意をもって当たっていただくお気持ちをひとつ表明していただきたいと思います。
#169
○加藤国務大臣 同和問題については、これはもう基本的人権の立場から国の責務であり、ほんとうに重要な国民の義務と思います。さような点でこの措置法ができましたことも、十分内容もよくかみしめております。御指摘のように、同和問題関係の重要な閣僚であると同時に、一面国務大臣である、こういう点も御指摘のとおりで、関係閣僚懇談会などには御趣意のような点を体して、私は大いに努力をいたしますことはお誓いいたします。
 労働省の一番大きな課題である雇用対策でありますが、これは労働省の中心的課題で、就職の機会均等、これは理屈でいくと簡単でありますけれども、従来のいろいろな関係から、これは今後その中心課題として、私は大いに前向きで熱意をもって推進いたしますことをお約束いたします。
#170
○八木(一)分科員 労働大臣の御決意はたいへんけっこうであります。実際に問題を推進されるのに、次官、局長、労働省の方々の御努力が大臣の御決意とともに必要であろうと思いますが、その中心的な立場の責任を持っておられる職業安定局長から、ひとつ同様の決意のほどを伺っておきたいと思います。
#171
○道正政府委員 ただいま大臣からお述べいただきましたとおり、私どもといたしましても、同和問題についてはかねてから雇用対策の最重点施策の一つとして考えて、及ばずながらやってきたつもりでございますが、今後は特にきめのこまかな対策を、いわば日の当たらない立場に置かれた方方にやっていくべき時期に来ているというふうに考えますので、身体障害者の問題であるとか、あるいは中高年の方々の対策とあわせまして、同和問題については雇用対策上の最重点施策の一つとして今後大いに努力してまいりたい、そういうふうに考えております。
#172
○八木(一)分科員 先ほどお話にありましたように、今度労働省は就職の機会均等を推進するための一つの問題として雇用奨励金支給制度をつくろうということで予算要求を大蔵省になされました。第一次査定ではこれがゼロ査定であって、それから復活交渉で幾ぶん認められた経緯がございます。その金額を承知いたしておりますけれども、要求額、それから復活交渉で認められた金額をちょっと事務局のほうから伺っておきたいと思います。
#173
○道正政府委員 予算の要求額は八千五百万でございましたが、最終的にきまりました額は二千七百万でございます。
#174
○八木(一)分科員 大蔵省主計局に伺いたいと思いますが、なぜこのように削減されたか、その点について理由を伺いたいと思います。
#175
○渡部説明員 奨励金につきましては、まず第一次査定で出さなかった理由から申し上げたいと思いますけれども、これは新規の施策でございまして、復活折衝の段階におきましていろいろお話をまた承りたいという意味で出さなかったわけでございます。最終的にはこれを出したわけでございますので、大蔵省といたしましても、財政当局としまして労働省のお話をいろいろ承りましたところ、との問題は、この奨励金の多くは同和対策として非常に重要な意味を持つという点をわれわれも同意をいたしたわけでございます。
 積算の中身につきましては、復活折衝の過程でいろいろ労働省とお話し合いをいたしまして、同和の方の就職の状況あるいは同和雇用奨励金を受けられる事業に就職されます率といったようなもの、それから雇用者の申請率といったようなものを――一応新規の施策でございますので、なかなか積算の根拠がないわけでございますが、労働者の御専門のほうからいろいろ御意見を承りまして、最終的にかように措置をいたしたわけでございます。
#176
○八木(一)分科員 大蔵省の方は御自分の任務をたいへんはき違えて考えられておると思います。一昨日、もう一つの分科会で愛知大蔵大臣に御質問を申し上げました。そこで申し上げましたところ、大蔵大臣と完全に意見の一致を見まして、事同和対策事業の予算要求については今後びた一文査定で削ることはしない。それだけではなしに、要求が各省で少なければ、なぜもっとたくさん要求しないかという連絡を大蔵省から、特に担当局である主計局からすべきであるということについて、愛知大蔵大臣と意見の一致を見ました。はっきりとお約束をいただきました。今後はそうしていただくわけでありますが、あなた方たいへん間違ったやり方をしていられるので、そのことを大きく反省をしていただかなければならない。大体主計局の任務というものは、ほんとうは政府が国会を通じて、あるいはいろいろな場で国民に公約をした問題、特に政府が重点的にやる問題について、その政策を実現するための予算を組むということが任務でなければならない。ところが、各省の予算要求が多いから、実際的にはそれを一律に一生懸命削って予算の総ワクに入れる、そういう作業だけに終始をしておられるのが長年の習慣でであります。その長年の習慣を改めないといけない。もちろん予算は一定のワクに入れなければならないものですけれども、それをほんとうに国政のアクセントが消えないようにしていかなければならないと思います。第一大蔵省が、これは閣議できまったことで、渡部さんの責任でないかもしれませんが、昔は前年度予算の五割増しの予算要求にとどめてくれということをいわれました。最近は二五%であります。ことしは予算のワクが多かったので個々の重点施策についてはそれにとらわれないという方向が行なわれておったようでございますけれども、各省予算に二五%のワクをはめてくれということ自体が間違いだ。それで、主計局だけが作業をやりよくするだけの非常にかってなやり方で、各省で二五%のワクをきめれば、その省にたくさんのやらなければならないことがあるのを自発的に各省でどれかを抑制をしなければならない、各省でまたその局に分けた場合、その局の中で重要な問題がたくさんあったとしたならば、たとえば例をあげれば厚生省の例、たとえば社会局が老人の問題について一生懸命やらなければならない、生活保護の問題について一生懸命やらなければならない。その予算の増額が二十五%に省全体で押えられていて、また各局でそれを押えてこいということになれば、どっちかを、これはしなければならないと思っても、局自体で押えて要求しなければならないということになる。そのことで国政のアクセントが消えるわけであります。作業がどんなにむずかしくても、各省、各局、各課で、国民のために必要である、内閣がやろうとする政策を実現するためにその予算要求が必要であるといったものは制約をしないで全部出してもらう。その中から、それを判定するための原案は主計局がつくらなければならないであろうと思いますし、またそのことは大蔵大臣が閣議に提案をしなければならないと思いますけれども、最初の各省、各局で国政のアクセントの消えるようなことはもってのほかだ。そういうことは直していかなければならない。最終的にきめて、閣議で全部そういうものが出て、その中でこれが一番大切だから、たとえばある省で全体の予算の伸び率よりも上回るものが幾つあっても、これは全部大事だから入れよう、ある省では、必要がないから全部下回ってもこれは全部下回ってやろう、そういうふうな予算編成が行なわれなければならないと思う。そういう点で大蔵省の反省が必要だろと思います。ことにいままでのそのような悪い慣例のために、同和対策の予算が非常に不当に抑圧をされているわけであります。この問題は御説明申し上げなくてもあなた方は御勉強になっておられると思いますけれども、何百年の不当な政治的な原因による差別、抑圧、それに基づく貧困、そういう問題をこれから急速に解決をしようという問題でありますから、前年度の予算の何%増しというようなワクでこれをとらえてはならないのであります。必要なものは必要なだけ出すということでなければならないわけであります。それがたとえば、渡部さんはいまそうだというような気持ちで首を縦に振っておられる。まことに心強いのですが、たとえば渡部さんがその気持ちであっても、それを理解しないほかの主計官が主計局の中で、各省担当ということから、うちのほうを減らされては困るというなわ張り主義があって、大事なものがそういう点で抑圧されるおそれがある。そういうことのないようにしなければならないし、特に同和対策事業の予算についてはびた一文も削減をしない、そしてまた各省の予算要求が少なければ、そんなことでは政府が国民に約束した政策を実現できないではないか、要求がなければ主計局としてはそれを組みにくい、もっと要求を出してこい、このような積極的な姿勢が必要だろうと思うのです。それについて愛知大蔵大臣に一昨日確認をしましたけれども、大蔵省の全スタッフが大臣が確約された線に従って今後やられる、労働省が同和対策事業の予算について要求したことは最初からこれを全部認め、途中で一回ゼロ査定をして、それからお話し合いをしてということで八千五百万円の要求が二千七百万円に削られる、そういう不当なことのないようにしていかなければならないと思います。それについてひとつ大蔵省としての、大蔵大臣の公約の線に従った仕事をあなた方はされなければならないと思いますが、大蔵大臣は確認をされておりますから、大蔵大臣の確認された線に従って、同和対策予算の要求を削らない、さらに各省に積極的に予算要求をされるように推進をする、その答えをひとついただきたいと思います。
#177
○渡部説明員 主計局の仕事のあり方につきましていろいろ御指摘がございました。まず予算要求のワクをつくることについて、不当ではないかというお話がございました。この点につきましては、閣議の申し合わせでおきめになっておられるわけでございます。四十八年度の予算の編成にあたりましては一応二五%のワクがきまりましたが、各省の重要施策につきましてはワク外というかっこうでございまして、そういうかっこうで各省の御要求をいただいたわけでございます。
 それから、大蔵省は常に削減する一方ではないかというお話でございました。これにつきましては、もちろん各省と大蔵省とは政府部内で内々のものでございます。われわれとしましては各省が御要求をなさる前からいろいろ話し合いをしているわけでございまして、財政当局としましての考え方もそのつど各省にはお話をしておりまして、われわれとしましては決して経費が少なくて済めばいいという態度だけでやっているわけではございません。外からごらんになりましたらそういうぐあいに思われるかもしれませんけれども、一応全体の財源をどのように優先的に重要な施策に回すかということにつきまして努力をしている次第でございます。
 最後に同和対策の問題につきまして、過日の分科会におきまして愛知大臣からの積極的な御答弁があったということにつきましては、私はその分科会に出ておりませんでしたけれども、そのあとでいろいろ話は聞いております。もちろんわれわれ一介の主計官は大臣の御指示に従って査定をいたすわけでございますので、大臣の指示に従いまして今後とも同和対策につきましては積極的に配意いたしたい、かように考えております。
#178
○八木(一)分科員 労働省もいま御一緒にお開きになっていただいたと思うのです。特に大事な雇用対策でございますから、積極的に計画をつくってどんどん予算要求をされる、大蔵省から予算要求が少ないといわれるようなことがないようにどんどんされるという決意でやっていただきたいと思います。それについて労働大臣から一言……。
#179
○加藤国務大臣 予算の編成はなかなか微妙な点がありまして、担当官の御答弁もなかなかむずかしく、妙を得ておりますが、八木委員の御熱心なこの問題に対する御援助のおことばに対しまして、ほんとうに感激いたします。これは内輪の話でありますが、あまり脱線してもいけませんのでありますが、労働省のやり方は従来の域を脱して、言いたいことは十分言え、そして足らぬところは大臣を活用して、乗り込んでどんどんやるような方法をせい、こういうことを就任当時も申し上げまして、御趣旨に沿って今後努力いたします。
#180
○八木(一)分科員 労働大臣と道正さんに伺いたいと思います。
 いまいろいろな問題と取り組もうということをされておられますけれども、まず第一に使用主の教育が必要であろう。これは、職業安定局で労働力を供給といいますかあっせんする仕事をしておられるわけでございますが、もちろんやっておられると思いますが、差別雇用をするような事業所に対しては、彼らが労働力を望んでおってもそのような紹介をしない。さらに、圧迫された一部の同胞の雇用について事業所が積極的にこれをやっていくという指導をされなければならないと思います。また、特に政府の影響力の強い公庫、公団あるいはまた地方自治体等の雇用が増大するように、強力な指導をされる必要があろうと思います。地方自治体等でかなり採用されておりますけれども、これはおもに現業のところばかりであって、現業だけではなしに、ほんとうにすべての面で雇用が増大されるようにやっていかなければならないし、ことに国家機関において差をつけるようなことがないように指導されなければならないと思いますが、この点について、簡単でけっこうですから……。
#181
○道正政府委員 同和地域の方々の就職差別を解消するためには、何よりも事業主に対してその正しい理解と認識を求めることが緊要でございます。たとえば研修会を開催するとか啓蒙のパンフレットを配るとか、いろいろやっております。特に新規の学卒者につきましては、学校から社会人になっていくときにこの差別問題で挫折感を味わうということではまことに申しわけないわけでございますので、特に重点的に指導いたしておりまして、企業が用いる応募書類等につきましては、全国統一の書類を用いるように指導いたしております。これはおおむね徹底を見ていると思っておりますけれども、中には理解が足りないためにいまでも問題を起こしておる企業があることはまことに遺憾でございまして、今後とも指導を徹底したいと思います。特に御指摘のように公社、公団であるとかあるいは地方自治体、国家公務員等につきましてそういう問題が起きては申しわけないのでございますので、いろいろの機会を通じまして、問題を起こさないように、差別を不当にすることのないように、政府内部でもいろいろの機会に労働省として声を大にして申し上げておる次第でございます。
#182
○八木(一)分科員 そのほか職業訓練のいろいろな問題やそれから今度始めておられます雇用奨励金の問題、いろいろ具体的に役に立つ問題をどんどん進めていただきたいと思いますが、身体障害者雇用促進法のようなものをやはり考えて推進をしていただく必要があろうと思います。抑圧された一部の国民が、就職の機会均等がないためにほんとうに苦しんでおりますし、不当な差別がなくならないような要件になっておりますから、それを推進するために、名前は何という名前にしますか、これは御研究をいただければけっこうでございますが、雇用促進法というようなものを制定する検討とか推進をしていただく必要があろう、これはひとつ労働大臣また局長、両方から……。
#183
○道正政府委員 後ほど大臣からお答えいただきますが、現在の法制の仕組み等、釈迦に説法でありますけれども、申し上げさせていただきます。
 御承知のように中高年齢者の雇用促進法あれは「等」となっておりまして、中高年齢者が中心みたいになっておりますけれども、法律の仕組みといたしましては身体障害者とかあるいは同和であるとか、そういう方々も一部含むというシステムになっております。それからいろいろな雇用転換給付というものがございますが、これも同和関係につきましては年齢の差別をせずに一律に全部適用をするとか、いろいろかなり手厚いきめのこまかな対策を講じております。そういうことで、なおかつ足りないということもあろうかと思いますので、今後いろいろ検討はもちろんいたします。ただ、いまここで次の国会にすぐに法案を出すとかいうことまではちょっとまだ準備が進んでおりません。
#184
○八木(一)分科員 私質問してから、労働大臣お答えいただきたい。
 中高年層の問題など、いまやられておることは存じております。しかしそれだけでは足りないのであって、たとえば青年、壮年が十分な働きがいのある職場で働くことができるということが、一番問題の中心であろうかと思います。そういう点で、いま積極的な意味で御検討を進めていただきたいと思います。労働大臣と局長、両方から答弁を求めます。
#185
○加藤国務大臣 政府委員並びに八木委員からの御指摘の点、これはもう中高年齢者並びに身体障害者、同和対策、みな関連がありますが、これから研究というのでは――どうも従来から研究だけでなかなか実が実らぬという点もありますので、これは当面の答弁じゃありません。熱意をもって、前向きで検討だけでなくて、これが実現するような検討の方向に推進いたしたいと思います。
#186
○八木(一)分科員 時間が来たようであります。申し上げること全部を尽くすことができませんでしたが、いまの雇用奨励金制度のような具体的に役に立つ問題をどんどんと即時推進をしていただくとともに、先ほど申し上げました、そのようなほんとうに根本的に解決する問題についてもぜひ御推進をいただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#187
○倉成主査 以上をもちまして、昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、労働省所管に関する質疑は終了いたしました。
 午後二時に再開することとし、この際暫時休憩いたします。
   午後零時四十分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時四十一分開議
#188
○三ツ林主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 主査が所用のため、主査の指名により私が主査の職務を行ないます。
 昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、自治省所管を議題といたします。
 この際、政府から説明を求めます。江崎自治大臣。
#189
○江崎国務大臣 昭和四十八年度の自治省関係歳入歳出予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
 第一に、一般会計予算でありますが、歳入は、三千六百万円、歳出は、二兆八千九百六十八億九千四百万円を計上しております。歳出予算額は、前年度の予算額二兆四千六百八億五千三百万円と比較し、四千三百六十億四千百万円の増額となっております。
 また、この歳出予算額の組織別の額を申し上げますと、自治本省二兆八千九百二十億三千九百万円、消防庁四十八億五千五百万円となっております。
 その主要な事項について、委員各位のお許しをいただきまして、説明を省略させていただきたいと思います。よろしく御了承をお願いします。
#190
○三ツ林主査代理 この際、おはかりいたします。
 ただいま江崎自治大臣から申し出がありました自治省所管関係予算の重点事項につきましては、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#191
○三ツ林主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔江崎国務大臣の説明を省略した部分〕
 以下この歳出予算額のうち、おもな事項につきまして、内容の御説明を申し上げます。最初に、自治本省につきまして、御説明を申し上げます。
 まず、地方交付税交付金財源の繰り入れに必要な経費でありますが、このうち前年度の例により算定した額として二兆七千八百十一億四千八百万円を計上いたしております。
 この経費は、昭和四十八年度の所得税、法人税及び酒税の収入見込み額のそれぞれ百分の三十二に相当する金額の合算額と、昭和四十六年度の地方交付税に相当する金額のうち未繰り入れ額二百八十九億四千万円及び過年度特例措置にかかる昭和四十八年度の加算額三百億円を加えた金額を交付税及び譲与税配付金特別会計へ繰り入れるために必要な経費であります。
 次に、臨時沖繩特別交付金の繰り入れに必要な経費でありますが、三百八十八億円であります。
 この経費は、沖繩県及び同市町村に交付する必要があると見込まれる地方交付税交付金の財源の一部の交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに必要な経費であります。
 次に、過疎地域振興対策に必要な経費でありますが、四億一千四百万円を計上いたしております。
 この経費は、過疎地域における集落の整備に要する経費について市町村に対して補助するために必要な経費並びに過疎地域振興にかかる調査研究の委託に必要な経費であります。
 次に、防災のための集団移転促進事業に必要な経費でありますが、十億六千五百万円を計上いたしております。
 この経費は、災害の発生した地域または災害の発生のおそれのある地域のうち、住民の居住に適当でないと認められる地域内における住民の集団的移転を促進するため、地方公共団体が行なう事業の一部を補助するために必要な経費であります。
 次に、広域市町村圏の振興整備の促進に必要な経費でありますが、その額は、二十億一千万円であります。
 この経費は、広域市町村圏の振興整備を促進するため、広域市町村圏における振興整備計画に基づく事業の実施に要する経費について、補助するために必要な経費であります。
 次に、選挙に関する常時啓発に必要な経費でありますが、六億五千万円を計上いたしております。
 この経費は、選挙が明るく正しく行なわれるよう選挙人の政治常識の向上をはかるための選挙に関する常時啓発に要する経費について、地方公共団体に対し補助する等のために必要な経費であります。
 次に、公立僻地病院等医師養成施設の設置に必要な経費でありますが、四億円となっております。
 この経費は、公立僻地病院等に勤務する医師養成のための学校法人による自治医科大学の施設整備費について補助するために必要な経費であります。
 次に、奄美群島振興事業に必要な経費等四十一億五千九百万円を計上いたしております。
 この経費は、奄美群島における主要産業の振興、公共土木施設の整備等の振興事業に要する経費等について補助するために必要な経費及び奄美群島振興信用基金の融資資金の増加に充てるための出資に必要な経費であります。
 次に、小笠原諸島復興事業に必要な経費等でありますが、十七億六千二百万円となっております。
 この経費は、小笠原諸島の復興をはかるため、同島の交通施設、産業基盤施設、生活基盤施設等の整備事業に要する経費等について補助するために必要な経費であります。
 次に、交通安全対策特別交付金に必要な経費として、三百八十二億二千九百万円を計上いたしております。
 この経費は、交通安全対策の一環として、反則金収入に相当する金額を道路交通安全施設に要する費用に充てるため、都道府県及び市町村に対し交付するために必要な経費であります。
 次に、小災害地方債の元利補給に必要な経費でありますが、六億七千五百万円を計上いたしております。
 この経費は、昭和三十八年以降昭和四十七年までに発生した公共土木施設及び農地等の小災害にかかる地方債に対する昭和四十八年度分の元利償還金の一部に相当する金額を地方公共団体に交付するために必要な経費であります。
 次に、新産業都市等建設事業債調整分の利子補給に必要な経費につきましては、三十六億三千四百万円を計上いたしております。
 これは、新産業都市、工業整備特別地域等の建設、整備の促進をはかるため、建設事業債の特別調整分について利子補給金を交付するために必要な経費であります。
 次に、地方公営企業再建債の利子補給に必要な経費でありますが、二十五億六千三百万円を計上いたしております。
 これは、地方公営企業の財政再建を促進するため、再建企業を経営する地方公共団体が起こす財政再建債について利子補給金を交付するために必要な経費であります。
 次に、再建公営路面交通事業のバス購入費の補助に必要な経費でありますが、十四億円を計上いたしております。
 これは、財政再建を行なう公営路面交通事業を経営する地方公共団体に対する当該事業のバス購入費の補助に必要な経費であります。
 次に、公営企業金融公庫の補給金に必要な経費でありますが、八億六千七百万円を計上いたしております。
 これは、公営企業金融公庫の水道事業、下水道事業、工業用水道事業、一般交通事業、地下高速鉄道事業及び市場事業にかかる貸し付け利率の引き下げのための補給金を公庫に交付するために必要な経費であります。
 なお、このほか、同公庫につきましては、出資金を増額するための経費二億円が大蔵省所管産業投資特別会計に計上されております。
 次に公営地下高速鉄道事業助成に必要な経費でありますが、二十七億四千万円を計上しております。
 これは、昭和四十六年度末における公営地下高速鉄道事業債にかかる支払い利子に相当するものとして発行を認める企業債の利子相当額について、地方公共団体に助成金を交付するために必要な経費であります。
 次に、児童生徒急増市町村公立文教施設整備事業助成に必要な経費でありますが、七億二千五百万円を計上いたしております。
 これは、児童生徒の急増市町村において昭和四十年度から昭和四十五年度までに公立の小学校及び中学校の校地の取得のために起こした地方債並びに昭和四十六年度においてこれらの学校の校地の取得のため地方開発公社等に対して負った債務の未償還残高相当額について起こした地方債の利子の一部に相当する額について、当該市町村に対し、助成金を交付するために必要な経費であります。
 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に必要な経費につきましては、五十三億円を計上いたしております。
 これは、いわゆる基地交付金でありまして、米軍及び自衛隊が使用する国有提供施設等の所在する都及び市町村に対し、助成交付金を交付するために必要な経費であります。
 次に、施設等所在市町村調整交付金でありますが、二十億一千万円を計上いたしております。
 この経費は、特定の防衛施設が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける施設等所在市町村に対し、調整交付金を交付するために必要な経費であります。
 以上が自治本省についてであります。
 次に、消防庁につきましては、消防施設等整備費補助に必要な経費三十九億九千四百万円を計上いたしております。
 これは、消防ポンプ自動車、防火水槽等の消防施設、化学車、はしご車、消防艇、ヘリコプター等の科学消防施設、救急業務施設、防災資機材施設、消防防災無線通信施設及び消防吏員待機宿舎の整備に要する経費の一部を、地方公共団体に対し、補助するために必要な経費であります。第二に、特別会計予算につきまして、御説明を申し上げます。
 自治省関係の特別会計といたしましては、大蔵省及び自治省所管交付税及び譲与税配付金特別会計がありまして、この特別会計の歳入歳出予定額は、歳入歳出同額の三兆三千七百一億七千五百万円となっております。
 歳入は、地方交付税交付金、臨時沖繩特別交付金及び借り入れ金等利子の財源に充てるための一般会計からの受け入れ見込み額、地方道路税の収入見込み額、石油ガス税の収入見込み額の二分の一に相当する額、航空機燃料税の収入見込み額の十三分の二に相当する額、自動車重量税の収入見込み額の四分の一に相当する額、特別とん税の収入見込み額等を計上いたしております。
 歳出は、地方交付税交付金、地方譲与税譲与金及び借り入れ金の償還財源等の国債整理基金特別会計への繰り入れ等に必要な経費であります。
 以上、昭和四十八年度の自治省関係の一般会計及び特別会計予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#192
○三ツ林主査代理 以上をもちまして、自治省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#193
○三ツ林主査代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大野市郎君。
#194
○大野(市)分科員 江崎自治大臣が誕生されまして、持ち前のらいらくな御気性をもって自治省の運営に、さらに管下の諸団体の御統率にも、まこと春風の吹き込むような感をもって歓迎いたしておる一人であります。
 そこで本日は、最初にかたいようなお話ですが、話の糸口に、地方自治行政運営の基本方針について、簡単でけっこうですが承りたい。
#195
○江崎国務大臣 地方公共団体の自主的な財政運営を通じまして、地域の実情に応じて社会福祉の充実、社会資本の整備など、住民福祉の向上をはかることができますよう、従来から自治省といたしましては、地方税等の自主財源の充実、地方交付税の確保、国庫支出金の改善、地方債の活用等、いわゆる地方財源の確保をはかってきたところであります。今後も国民の高福祉社会実現の要請にこたえて、地方行政全般にわたって十分検討を加え、地方公共団体が自治の本旨に立脚をして、その施策が十分遂行されますように、自治省としては配慮をしてまいりたいと考えております。
#196
○大野(市)分科員 最初かたいお話で恐縮でありましたが、基本でありますから一言お尋ねしたわけです。
 さらに、法治国でありますから、その法の根源についてもう一言私は所見をまじえながら述べさしていただきたいのでありますが、特に地方自治法第二条では、その3の一で「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」こういう自治法の基本規定がございますので、われわれは地方住民の日常生活に直結する事務を統轄されるのだというふうに解釈して、自治大臣の御活躍を期待しておるゆえんであります。
 そういう形で政治の姿勢をとらまえましたときに、自治行政の一つずつに、住民に密着した問題でございますから、これはささいだとお思いになることがありましても、ごしんぼういただいて、取捨選択をしていただかなければならぬと思います。本日は、その意味におきまして消防の関係の問題、それから入り込み人口の超過負担の問題、それから料理消費税の性格をどういうふうに理解されるかというふうな問題、そういう三点について時間のいただける限り大臣のお考えを承りたい、かように思うわけであります。
 まず第一に、消防の問題でありますが、消防に御関係の方々が日夜非常な努力をされて、しかも正真正銘命がけで活躍をされ、それで安眠ができるという住民の感謝をも私は同様喜んでおる一人でございます。ただ、そういう根本的な消防活動に対する感謝の気持ちを根底に持っておるのでありますけれども、昨今しきりに続いております各種人的災害を含む火災が頻発いたしまして、特に最近には、大阪の千日前ビルの大災害を見ました。この大災害を行って見ましたときに感じましたのは、設備がありながら人災であるという結論を建設省あたりでも出したようであります。正式の裁判かどうかまで私は調査しませんでしたが、検察庁の判断は人災である、あるいは消防庁などの御意見もそのように承っておりました。したがって、消防の体制を整えるにあたっての根幹は、施設か、その施設の運営、その運営に当たる人の心がまえ、こういうふうな要素があると思いますが、昨今の人災を大きくした火災の原因から類推すると、まさに運用の面、人的訓練、こういうような面が非常に欠けておったことをまのあたり痛感しておる一人でございます。このときにあたりまして、実は消防庁でも御奮発をされて、いい設備をしたものには、いい運用をしたものには「良」という目玉の張り札を差し上げて、いわゆる旅館、ホテル、劇場、デパート、キャバレー、いろいろな不特定多数の人の出入りする施設に対して、消費者のために、利用客のために安全をリードしてあげよう、こういった着想を御発表になったので、私ももろ手を上げて、いいことだといって賛成した一人であります。また、これは危険だから直せということを消防法規あるいはその施行令、そういうものによって直せと命令をしたにかかわらず、怠って直さないものを告発し、これを天下に公表して一般民衆のために役立たせようという御発表も、勇敢なことでありますが、これもやむを得ないことでありますから、私はそれはけっこうだと思っておる一人でございます。
 ところが、その内容につきまして調べてまいりますと、既存不適格という、ちょっと耳なれない表現が出てまいりまして、既存不適格の施設を所有する場合にはそのごほうびは差し上げないぞというのだというのがわかってまいりました。違法ではないが、現行基準に合わないものを既存不適格というんだそうです。まことにどうもわかりにくいのでありますが、違法ではない、しかし、現行基準で新しく建てる施設には必ずつけろという法規をきめた。だから、それがない既存の施設はいい施設ではありませんということを一般大衆に公表する制度であります。それはほんとうに消防の本旨に合うものであろうか、ほんとうの安全を確保する道であろうか、それがなければ安全でないというのなら既存不適格などというヘビのなま殺しをやめて、既存の施設もことごとくそのようなものを取りつけるべしという法令を国会に御提出なさればよろしい。国会に御提出もなさらないで、政令なり省令なりの改正でそれらのことをなさりながら、一般大衆には違法でないがおまえのところはあぶないぞということを宣言するというものの考え方は、私は自治法に基づく民主的で能率的な行政の確保と相反すると思います。この点の御見解を承りたい。
#197
○江崎国務大臣 このごろ火災におきまして生命を失った火災災害が非常に多いということにかんがみまして、消防用施設「良」というマークを新年度から実施をしていくという計画が立っておるわけであります。御指摘のように既存の建築基準には合法であっても、現在の消防設備からいえば不適格である。ちょっとことばとしてははなはだ難解な点がなくもありませんが、これは日本の経済社会も急速に伸びてまいりました。それからまた人間優先とか人命尊重というものに対する社会的評価、関心度というものも、ここ数年前とは非常に大きな違いを見せておるわけであります。そういった社会的な傾向や考え方を背景にして、やはり火災はもとより予防しなければなりませんし、また人命はあくまで損傷のないように火災の場合といえども守られなければなりませんが、しかし、いままでのいわゆる建築基準等による体制では必ずしも十分でない。やはりこの時代に合った施設が望ましいということを、どういう形でそれぞれの関係者、たとえば旅館でありまするとか、大ビルの責任者等に要請したらいいのか。これは法律で要請する前に、何とか自発的に、また時勢に合うような形で設備を設けるなり改築をしていただくなりというようなことが望ましいのではないか。そんな形で今度の制度が実施されようというのであります。御了解を願います。
#198
○大野(市)分科員 事務官僚は大臣にそういうことを吹き込んだかもしれませんけれども、もっと砕いて言いますと、スプリンクラーなんですよ。スプリンクラーをこれからつくる施設にはつくりなさいということが施行令できまったんです。それはそれでいいのですよ。それで、ただ既存の建物にいまからスプリンクラーをやれということになると、たとえば木造の建物六千坪あるというと、そういうものはどうやって天井をはわせてやるかとかいうような技術的な問題が解決されていないのですよ。それから既存の鉄骨コンクリートの建物の天井のないところに、天井をはわせて噴水の設備を部屋という部屋にしろなんという注文も、どうやってやるかという事柄の啓蒙がしてないのです。研究がしてないのですよ。そういう状況においてこの「良」を張りつけようというわけです。そうなるとどういう問題が出るかというと、一般の不特定多数の利用客ですから、国民はこの札を張られたところは焼け死なないだろうということで、安心してそこに集中されるわけですね。それを張られないところはどんなにいい設備を持っていても、降ってわいたようにこのたびスプリンクラーをつけろということになっただけなんですからね。それがつかない段階で、おまえのところはないから、どんなに避難の施設がよくて、そのほかの施設がよくて、煙探知器をつけてあっても、これはサンマを焼いても探知器は鳴るのですが、それがあってもなおスプクンクラーがないと――その上にもう一つ無理なことがしいてあるのです。六千平方メートル以上の建物は認めませんぞ、それ以下は認めますということになっているのです。そうなると一番わかりやすいのは、観光地帯にそういう施設が多いものだから、その観光地帯の施設の小さなところはスプリンクラー施設の指定がないものだから、なくても、そこを利用しても焼け死ぬ心配がないでしょうということを言われる。片方は万一の場合の利用客の誘導その他、従来最高の諸般の施設を持っていた諸施設が、あぶないぞということにされるのです。それは行政官が机の上で考えたときにはいま大臣がおっしゃったようなことで答弁されるか知らぬけれども、住民に密着した生活を考えますと、それは通らないのです。それはどうしてもそれらの既存のものも、ないと焼け死ぬおそれがあるぞという自信があるなら、堂々と既存の建物にもやれということを命ぜられて、それにはこういう施工方法をおやりなさいとか、それには膨大な費用がかかるのです。総建築費の一割くらいかかるのです。一平方メートルにつき五千円というのですから、六千平方メートルの建物は三千万円かかるのです。人命は大事ですから、そういう膨大なものがかかるのはいとわない。それらが物理的に可能かどうかの検討もさせないでおいて、突如それのないのはごほうびをやらないぞというような行政があってよろしいものであろうか。それにはそれだけの値打ちのある、また将来どうしても既存のものにもスプリンクラーをつけろという、それだけの御自信があるものであるならば、その時期までは、その部分がなくても、不適格であろうとも、既存の諸施設が基準に適合しておってそのスプリンクラーだけが不適格であるというなら、その消防の体制の運営に万全であるという――先ほど申し上げた千日前ピルの問題も、設備がよくたってドアに錠をかけちゃって殺しちゃうのですからね。そういうような運営のほうに重点を置かれるのが、消防体制のほんとうの姿でないだろうかという疑問を私は持ったのです。だから、大臣におかれましても、実情そういうのがありますので、一ぺんそういう通達出したからといって、役所の都合で国民がいわれなき不利益をこうむり、そしていわれなき利用者のミスリードをなさるという事柄はわれわれは許せないと思うのです。万般の避難施設をしているかどうかがむしろ大事だと思う。火が出たら消えるからいいじゃないかという、そんな事柄より火の出ない、そういうような人的管理の点を中心にした行政指導というものがほんとうであろうから、この通達は撤回されるべきであると考えますが、いかがであるか、御答弁を願います。
#199
○江崎国務大臣 地方制度の根本についてというところから始まったものですから、少しよそ行きの答弁をしておりましたが、まあ分科会ですから率直に申し上げますと、スプリンクラーの問題は、これはできるだけ設置してもらうことが望ましいということですね。しかし、いまおっしゃるように、既存の建物で火災の発生、拡大、そのときの避難体制というようなことに十分に配慮をしておられる、しかも管理者も任命し、いつの場合でも十分の配慮がなされておる、それをしも不適格だということはひどいじゃないか、こういう意味でしょう。ですから、そういうことは政治の面ではよくわかります。ただ、人命尊重とか、火災の特に人命に及ぼす影響ということを考えて、今度の消防用施設「良」という制度を発足させていくわけですが、それが張ってないところは、それは不適格であるといって何か掛けじるしでもやったものを張ってあるわけでもありませんですね。ですから、新たにつくられたもので十分いいものであるというものは、これは保証していいのではないか。ただ従来、しからば建築基準法に基づいてつくられて一応合法であっても、いまの消防設備からいえば不適格というもの、これに張られないというと何だか差別待遇を受けたことになる。それは困るというのですね。だからいいものはいいとして認め、そしていまおっしゃるように合法不適格というのですか、その建物でも十分防火施設、それから訓練、管理者等々において防火に協力体制をとっていただいておるところには、また何か別な適格性を表示する表示を考えていくということもあり得ると思うのですね。いま御趣旨の点につきましては、隣に消防庁の長官もおりますが、御質問を聞きながら相談をしたことですが、十分そのあたりを取り入れて検討してまいりたいと思います。
#200
○大野(市)分科員 大臣、ざっくばらんだから言うのですけれども、一ぺん通達出したからといってこだわらないで、これはまだ法律じゃないのだから、そんなこと言わないで、ほんとうにスプリンクラーが絶対必要なものであるという確信があるなら、それはこういう方法で既存建物にもやりなさいという指導をすべきですよ。それを、札はやらないぞ、ほしかったらやりなさいというような事柄は、大臣も私もそんな事柄は大きらいのお互いの性格ですよ。それはいかぬ。それは政治じゃありません。政治家が指導なさるなら、そんなえこじを言わないで、その問題に対しては、通達なんだから、とにかくほんとうにこうやればできるじゃないか、金は低利の金を心配してやるぞ、こういう方法ならできるじゃないかという事柄をやられて、それでもできないというなら言うことはないけれども、何にも準備はないのですよ。だから、それまでは良の次の良なんて言わないで、ほんとうに安全かどうかということは、地方の消防署が一番よく知っているのですから、それにまかせることになっているのですから、通達を一ぺん出したって、大臣がとにかく万全を期するならば、既存不適格については、この際はやはり同様な取り扱いをせよと一言おっしゃれば何でもないのです。それは事務と政治家の立場があるから、私はここでその詰めをいただこうとはせぬが、江崎大臣、それは信頼していますよ。あなたはおわかりになる。そういうことです。この点、時間がありませんので、趣旨はおわかりいただいたかどうかの御返事をいただいて次に入ります。
#201
○江崎国務大臣 御趣旨はよくわかりました。だから、命令を撤回するつもりはありませんが、実施にあたってはあなたのいまおっしゃったような趣旨を含みながら現実に合った形で措置をしていきたい、こう考えております。
#202
○大野(市)分科員 それでは次に、自主的財源で住民の福祉をはかるべく地方自治行政の運営をおはかりいただくわけであります。確かに数々超過負担の問題が地方自治体にありましたが、政府の御努力によりまして、昭和四十一年、四十二年の調査関係は今年までずいぶん是正をされました。これは評価してよろしいと思います。それから、四十七年から調査を始めて四十八、四十九年にはさらに超過負担の解消につとめるという御方針も承っておりますので、これもまたわれわれはたいへん歓迎をいたしておるところであります。
 それから人口急増地帯の対策につきましては、交付税の基準なども態容是正などの方法でだいぶお手直しのようでありますし、また小中学校の校舎の点に対する補助、助成については、格段の特別の立法措置もお考えのようでございますから、地方自治体はこれらの事態に対しては非常に前途が明るいと思います。
 そこで、残りましたのは、劈頭申し上げました入り込み人口と申しますか、流動人口ですね。昼間は人数は少ないけれども、観光客で夜は一ぱいになっちゃう、倍にもなるという地帯、この地帯の地方住民は、あるいはそこの地方自治体の長は、このような事柄が放置をされておると、本来つとめなければならぬところの地方住民の福祉自身に手が回りかねるようになる、こういう主張を続けておられます。私は先ほど触れましたように、自治法第二条の三の一に「住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持する」という事柄を、自治法を読み直してこれを知りましたので、しからば、これらの自治体の市長の方々の御心配は――住民のみならず滞在客の問題まで自治法は指定をしておる事実を知りましたので、しからば、これらの地帯に対しての別な意味の超過負担
 の解消を、この際大臣にひとつ御勘案を願いた
 い。
 この問題に対しまして、ここだけがちょっと数字に触れますけれども、申し上げたいのでありますが、たとえば熱海市の水道料、これは、大体観光地の全国の一般水準は、一般都市の二倍であるというのが通説であります。これにやはりならうように、熱海市が一般都市に比較して二・六五倍、それから伊東市が一・七倍、別府市は一・二倍、こういう実数が出ております。それからごみ、人間が動くものですから、ごみと屎尿の処理は、これは移動するたびについて回ります。これが観光地は大体倍あるというのが定説でありますが、これに対しても熱海市が二・一倍、伊東市が一・六倍、別府市が一・八倍。それから、じんあい、ごみが一番すぐ目につくものですからさらに触れますと、排出量はそのとおりでありましたが、焼却の設備でいっても、これが普通の基準になるのが、地方債の算定基準は六十五トンというのが単位だそうです。ところが、当市は八十トンを持っておる。したがって、基準の一・二三倍の焼却施設を現有させられておる。それからごみを集める職員が、十万の人口の都市だとして、交付税算定基準でいくと六十五人だった。それが現在は九十四人おらないと間に合わない。これも二・八九倍のごみを集めていただく職員を雇っておかなければならない。消防の例でいきますと、同じく十万の都市で七十七人の算定基準であるのに、現在は百人、二・六倍の消防隊員を常置しないというと安全が守れない。こういう事柄はしばしば財政当局には、地方自治体からそれぞれのルートを通じてお話がしてあるのであります。
 このような実態でありまして、これは倍数で申しましたが、ほかは数字が出てきません、これだけですから御勘弁をいただきたいのですが、今度は生きる死ぬの問題でありますから真剣でございますが、各都市から出ておりますけれども、特に比較のしやすいこの三つの市を選んだわけであります。たとえば、普通交付税の算定結果として四十六年を計算したものと、それから入り込み人口を、観光人口を算定基準に繰り入れてもらったとしたらどうなるかという比較表を用意されたのです。それを見ますと、その結果は、驚くなかれ超過財政負担は普通交付税の算定で比較をして、別府市が四億二千万円足らない、伊東市が二億八千万円足らない、熱海市が四億五千万円不足をするという計数がわれわれのところに伝わってまいっておるのであります。これは算定の基準は事務当局で御勘案をいただかなければならない、うのみにするまでもないと思いますけれども、大勢は大臣お耳でお聞きのとおりの実態であります。これに対しまして、地方自治体の入り込み人口で悩んでおる観光地の超過負担解消についてのどうこうしてほしいという事柄は、私は御紹介をし、国会議員としても大臣にこれはぜひ実現をしていただきたいと思う。合理的な根拠があると私は思うのです。たとえば先ほど申し上げた消防の計画、それからそのほかに都市計画がやはり関係してくる、それから下水道、それから先ほどのごみの清掃、屎尿――屎尿の処理は触れませんでしたけれども、屎尿の処理がまたたいへんなんです。そういうことでありますので、これが財源の捻出にあたりまして何とか方法がなかろうかというので、まあ私などがすぐ手っとり早く考えますのが、娯楽施設利用税が、同じく府県税にございますので、あの中にいわゆるゴルフ場税がある。ゴルフ場税は今度の改正で府県に半分、府県から市町村に半分戻ってくるというふうないわゆる税源の配分を、地方税法改正で実現をなさろうという御提案を大臣がなさっていらっしゃるわけです。ですからこの原理で、同じく地方公共団体のふところの中なのですから、料理消費税という財源があって、これがちょうどウ匠は、大臣の郷里のウ匠は、言うなれば県知事なんですよ。そうしてそのウは市町村なんですね。ウが一生懸命にのみ込んだアユはさっとウ匠さんが持っていく制度になっておる。ですから、これはやはりゴルフ場税で実現したような、それも一挙に何割というわけにはなかなかいかないとしても、たとえば三割だけ、じゃ一ぺん試験的に分けてみようかとか、あるいは、いや一挙に五割まで分けてみたらどうかという方法もあるのじゃなかろうか。これはとっさに考えられる一つの案でございます。しかし、それをやると府県の方ではがくっと穴があくわけです。府県も豊かではありません、御承知のとおりであります。そこで、同じ特別交付税の配分をするにも、四十七の府県の数ですから、四十七の府県に幾らずつ穴があいたかという事柄を算定するのは、全国数千の市町村の頭数よりは四十七のほうが少ないわけですから、算定をして穴埋めするには技術的にも単純でできはしないかというようなことで、府県の穴埋めにはそんな方法がありはしないか。こんなような事柄をあと始末としてお考えができないものか、こういうようなことをきょうもひとつお伺いするのでありますが、一応ずっと言います。それが一つ。
 もう一つは、それにいければいいが、その次に、現在もおやりになっている制度として、特別交付税でいろいろ超過負担の解消をはかっておるのも実態ではあるから、その考え方を広げて、それらの需要の穴を特別交付税で市町村に埋めるということも格段できない相談ではないじゃないかという、行政のお立場からいくとそっちが似ておるというような着想もあるようでございます。
 その他幾つかあるか知りませんが、いずれにいたしましても、これらの問題に対して超過負担解消の手段として、超過負担の存在の認定、存在するとしたら超過負担解消の方法、この点について大臣の御見解を伺いたい。
#203
○江崎国務大臣 御指摘のように確かにいま入り込み人口ですか、その使途によって行政費の負担が増高する、これはそのとおりだと思います。ただ、従来は基準財政需要額の算定というものは、やはり国勢調査、人口などの客観的な公の統計資料に基づく数値で計算をする、こういうことになっておるわけですね。ところが、夜間の人口あるいは入り込み人口といいますか、そういう臨時の入り込み分について、公の統計資料が現在はない、これは求め方によっては求められると思いますから、今後の努力にまたなければならぬ点もありますが、権威のある資料で現段階で判定することが非常にむずかしい、税務当局からいうとそういうことがいえるわけです。
 そこで、従来は税の問題というとらえ方でなくて、その現実は否定するわけにいきませんから、行政の問題ということで措置をしてきたというのが実情です。したがって、たとえば熱海市などの特別交付金は昨年の二倍ということになっておるわけです。このことはあなたをはじめ関係者の努力によって、そういう実情を行政的に措置するという一つのあらわれであるというふうにお受け取りを願いたいというふうに思います。そうかといって、これはじんぜんそのままにしておける問題ではありませんから、この入り込み人口をどうとらえ、どのようにしていくかということは、これはやはり行財政両面で非常に問題のあることですから、十分ひとつ検討をして処置をしていきたいというふうに思います。
 そこで、御提案のあった娯楽施設利用税、すなわちゴルフ場のように今度府県と市町村配分を五十、五十にしたらどうだ、あるいは五十でなくても、そのうちの何%かをその関係市町村に配分したらどうかというお説です。これもやはり一つの御意見だと思いますが、これは事務的にはゴルフ場などと違いまして、料理飲食ということになりますと、日本じゅうの市町村で飲食が行なわれるわけですね。熱海や伊東や別府という特殊なところだけ特例措置でどうするというわけにもいきますまい、税法のたてまえからいって。これを全国に波及させるということになりますると、その配分事務というものは、ただでさえいま事務経費がかかり、手が入り用で、何とかこれを合理化、節減しなければならぬというときに、たいへんなことになるということで、ちょっとこれは考えられない。したがって、むしろ特別交付税というような措置で対処していくことのほうがほんとうじゃないだろうか。その特別交付税等の積算基礎をもうちょっと合法、的確なものを求める努力をして、現に入り込み人口による超過負担が解消されていくようになおこれから努力を続けていく、こういうことじゃないかというふうに考えております。
#204
○大野(市)分科員 一つのお考え方であると思います。
 もう一つだけつけ加えさしていただきますと、せっかく市町村がその市町村自体の施設を整えて、しかも、人的サービスを加えてそれらの料理消費税というものが増額になるわけですね。そういう努力が報いられる姿、私はウが、働きがいいウにはえさもたくさん戻ってくるような制度のほうが、もっと合理的な税収を増加させる意図にもなるのじゃないか、こういう下世話でいうところの義務を与えながら拡張していくという政策に合うのじゃないか。そうすれば、いまの料飲税の還付の問題も、実は出たものの何割という掛け算ならばそうむずかしくない。まあしかし一つの考え方として、そういう増加をさせながら、これをふやすと自分のところはもっと設備ができるぞというようなプラスアルファが観光地などには必要な刺激要素なんです。そういうものがこの税の中にありますので、ほかの税とちょっと違う。そういう点で事業税などとちょっと違う。だから大臣、せっかく前向きの御答弁をいただいたんですから、きょうのところは、そういう考え方もありますので、この問題はせっかく御検討をお願いすることにして、次に移ります。
 次は、料飲税の性格の問題でありますが、料理消費税というのがいわゆるマスコミで取り上げまするときにも、あるいは政治家の間でもあるいは行政官吏の方々の間でも取り上げられるときに、いかにも所得税のような性格で、取り扱う業者のふところに直接響く損得のように誤解をされている点が多々あった。多々あるのです。そこで、それは私はたいへん間違いであるということで、この問題を大臣にひとつお聞き取りをいただきたいと思います。
 と申しますのは、御承知のように特別徴収義務者にある種の業者が認定をされるわけですね。それを受けないというと罰金を取るぞという地方税法の規定があるのです。したがって、法治国で法できめたんだから取られる。しかし、その特別徴収義務者に課せられた内容は、無報酬で府県の集める税金を利用者から徴収して納める運搬係です。そして滞納をした場合には、つまりその利用者がその納税を、都合でおくれた場合には、特別徴収義務者は立てかえて翌月の月末までに払わなければならないという、がんじがらめの法律になっているのです。ですから、売り掛け金の実態を見ましても、やはり相当なパーセンテージに売り掛け金がなっておるという報告も、最近業界の諸君が苦しまぎれに調査機関に依頼をしてつくった書類に載っております。
 そんなようなことで、私のいま申し上げたいのは、今日日本の国の刑法、税法、民法、商法あらゆる法律を観察をいたしまして、封建制の残存といいましょうか、あるいは民主憲法以前の残存といいましょうか、残っておりまする乱暴な改革すべき法規は、法人税法においては同族会社の行為計算否認の項目です。八百屋、魚屋のおかみさんが専務で御承知のように同族会社ができています。中小企業はほとんどです。これらの行為計算の否認権は税務署長にあります。これは御関係ないことですけれども、法人税法にあります。こんな民主的な社会において、確固たる証拠があって違法を責められてこそあたりまえであります。一税務官吏の認定により行為計算を否認されるという行政法規は珍しいのです。これが私は法人税法の一つの是正すべき問題であろう。
 同時に特別徴収義務者にそれぞれの行政機関が仕事を頼んでおいて、ただ働きをさせて、立てかえ分まで立てかえておけというような、一片の法律でこれを縛りつけるのは他に例を見ない。現在の経済社会を形成している原理はギブ・テイクです。国民からいわゆるそれだけの報酬なくして財産、権利を取り上げてはならぬというのが憲法の鉄則です。それに対して、一片の法律をもって、この仕事で特別徴収義務者にしてあげるから、これだけの義務を遂行せよという一方的押しつけです。これらは私は新憲法下において直さなければならぬのだという基本的な考え方を持っておりますが、この点に対する御感触はいかがでありましょう。
#205
○江崎国務大臣 この税の特別徴収義務につきましての負担は、他の特別徴収にかかる税とは異なる面があることも事実だと思います。これらの点を踏まえながら徴収の円滑化に資していくため、特別徴収義務者に一定範囲の金額を交付するということについては、今後十分検討をしてまいりたいというふうに考えます。
#206
○大野(市)分科員 たいへん御理解の早いお話でけっこうでありましたが、私もそれを申し上げたかったので、料飲税の徴収を地方自治体が、あるいは国家がやるなどということになったら、それはできるものじゃないほど膨大な費用がかかるのですから、かかった費用を全部補償せよとまでだれもまだ言っていません。しかし、とにかくほったらかしにしておくのは政治家の、われわれの怠慢ではないかという感じなんです。だから、料飲税で関係するというのなら、料飲税の特別徴税義務者は義務を守るから、その分、手数料として――従来報奨金は一部地方によっては出ておりますのです。報奨金というのは、完納を奨励するための報奨金ですから、これは続けていただくのは当然でありますが、先ほど述べたような料飲税の性格からして、特別徴収義務者に手数料を交付するという考え方が確立できますと、その率はそれぞれの勘案がございましょうが、そういう考え方で前向きにお進みいただけるということは、業界もそれを、特別徴収義務者の人たちは非常に理解をしていただいたと喜ぶことだろうと思います。ぜひそういう方向で御検討をさらに続けていただきたい。
 そこで、もう一つ戻りますと、あなたのほうの、あなたのときじゃないのですけれども、昭和四十六年度地方税改正のこまかく書いた解釈書というのが地方財務協会から出ていました。そして自治省の関係者が執筆している事柄を確めたのですが、そこらの執筆を見ますと、これは自治省の公式見解ではないそうでありますから私も、申し上げる点については、そういう意味で、これは個人の意見だと言われればおしまいでありますから言いませんが、考え方の中で、先ほど述べたように、いかにも料飲税というのが所得税の取り扱いみたいに思えて、取り扱い業者が損得でやっているような見方をしているのです。ですから、その徴税の公給領収証の書き方の簡素化が叫ばれているが、これは業界の利害関係が伴っているので簡素化はなかなか進まないなんという記事があるのですよ。はなはだしくこれは誤解でありまして、料飲税というものは行為税であります。大臣も御就任間がないので、たいへん失礼でありますが、行為税というのはめったにないのですよ。こういう行為をしたらこういう税金を取るぞというので、ちょっと変わっているのですよね。ですから旅館の場合には、宿へ泊まって寝るのと朝めしと晩めし食うのがワンセットだ、これで一発税金を取ろう。それから夜食を食うのは外で食うのと変わりがないから飲食だ。これで一発税金を取ろう。昼めしは昼めしで別だ、というふうな行為のたびに税金を取るというのが税法にあるのですよ。そういう税法をそのままにしておいて行為税を簡素化しろといったって、行為が違うのですから、違う計算になるはずなんです。それをめんどくせえから、書くのがめんどうだから一本にしてしまえという要求が業界から出たのですよ。それを税務当局はのもうとした事実がある。私は政治家の一人として、業界の特別徴収義務者が手がかかるの、かからぬのによって、税法の根本を直す努力をしないで、利用者から税金をたくさん取ることに踏み切るなんという事柄は、進言すべきでもないし、税務当局はそれを支援するような事柄があってはならぬというのが私の信念です。これは未然に防いだ。そして今回も基礎控除をノータッチでしょう。何で基礎控除をノータッチに大臣はなさったか。基礎控除は、宿泊というものは、どんなにお金を好きなように使う人であっても、旅へ出ればどこかへ寝るという行為があるではないか。寝るという行為はどこへ行ってもあるのだとしたら、どなたであろうとも、その寝るという行為にある部分の基礎控除を認めてあげるのがむしろ公平でないかという一つの話が出てきてでき上がった基礎控除なんです。その結果、基礎控除のそういう制度がありながら、今回免税点を二千四百円にされたことは一つの進歩でございますが、このたび四月一日から国家公務員の旅費が上がりまして、六等級以下の方で甲地方に旅行されると宿泊費二千七百円が三千七百円になる。四割アップです。乙地方、二千三百円が三千三百円になる。四月一日からそうなる。食卓料五百五十円は七百五十円になる。日当五百五十円は七百五十円になる、三〇%の引き上げを四月一日からやるというのが大蔵省の法律としていま審議中です。この地方税の実施は十月一日です。ですから二千四百円の免税点に上げられたというけれども、六等級以下の国家公務員に国家がお払いになる旅費自身です。これは二食一泊の宿泊に与える旅費ですよ。そのほかに食卓料と日当が出るわけですよ。そういう事態から二千四百円の免税点に上げていただいても、物価の騰貴ということにスライドするとすれば、私は那辺にこれらの問題が均てんできるかという問題で疑問を持つ一人なんです。しかし、これは財源の問題もありますし、予算を組まれましたということもありますから、私がいまごろここでそれらの問題をどうかみついたところで与党の私としての行動の範囲がきまっておりますから、やむを得ませんよ。やむを得ませんけれども、問題点があるのです。大臣にお知りおきいただきたいのです。そして基礎控除千円は、物価にスライドして基礎控除も上がってきているのです。五百円から始まった基礎控除が千円になったのです。八百円が二千四百円になったのです。ですからそういう意味で、宿泊というものに関しては、やはり基礎控除と免税というものは並行してお取り上げになるのが、従来の税の公正からいって負担の公平になると私は解釈をしますので、これはここでどうこう申しませんが、そういう意見もあるということを大臣御記憶をいただいて、この問題は御答弁は要りませんから、そういう問題点の私の指摘を申し上げて、ひとつ御参考に供したいと思います。
 最後に一点、時間が参りましたので、お願いいたしたいのは、先ほどの手数料の問題に対しましても、先ほどのような意味合いから、料理飲食に関する団体はたくさんありますけれども、背に腹はかえられないというので、やはり一番複雑な旅館三団体の協議会が特別徴収義務者管理費用制度化特別委員会というのを設けまして、ある専門家に委託をしまして、数千軒の旅館を対象にした特別徴収に関する実態調査報告書をこのたびわれわれの手元に届けてまいりました。こんなものでありますけれども、これを読むのはもちろんやめますが、結論として、料飲税に関する経費率は全国平均一割一分四厘、料飲税に対してですよ。市街地が一割六分二厘、観光地は一割二分、温泉地一割という統計が、正式に報告されてきたのです。この内容は、まだ私も検討しておりませんから、これは事務当局にもお届けをいたしますので、こんな統計は一つも出たことはありませんので、しかるべく分析、御検討をいただいて、先ほど前向きに御言明をいただいた交付率をおきめいただくときの御参考にしていただけたら、たいへんしあわせであります。
 以上、たいへん早口で申し上げましたが、江崎大臣のフランクな御性格を信頼申しておりますので、満ぱいに近き御同意を得たような印象で、私の質問を終わります。
#207
○江崎国務大臣 答弁は要らぬということですが、基礎控除の問題についてちょっと。これは念のために申し上げておきますが、要するに、今度基礎控除に触れなかったということは、まあ昭和四十六年度に千円に改正をしたという問題がありますね。これじゃ少な過ぎる、御指摘のとおりであります。
 ところが、そのときの一つの考え方の根拠となったものは、高級ホテル、それから高級旅館に宿泊する人にまで一律一様にこの基礎控除を適用をしないで、やはり大衆減税という見地から、あの料理飲食の免税、宿泊費の免税、そういう面で免税点の切り上げをはかることのほうが合理的ではないかというので、二千四百円にした、こういう経過がありますので、それはひとつお含みおきを願いたいと思います。
 また、一つ一つ御指摘の点については、これは経験に基づく、また団体等の運営者から直接の声を切実にお聞きになっての御献策ですから、十分検討したいと思います。
#208
○三ツ林主査代理 横路孝弘君。
#209
○横路分科員 大臣、きょうはちょっと選挙のことをお尋ねしたいと思います。
 参政権ですね、政治に参加する権利というのは、憲法で保障されたいろいろな権利がございますけれども、民主主義社会の中では、いわば権利の中の権利というべき一つの中核的な権利であります。
 ところが、現実に選挙のたびに、実質的に選挙権というものを剥奪されている人たちがいるわけなんです。どういう人たちかというと、寝たきりで動けない人たちですね。これは実は在宅投票制度ということで、昭和二十五年の公職選挙法ができたときに採用されて、日本でも行なわれたわけでありますけれども、昭和二十七年の改正で廃止になったわけです。
 ところが、現在そういう人たちから、当然のことでありますけれども、投票権というものを復活してもらいたいという要求が、いままで国会にも何回か出されているわけですね。最近のところでも、昭和四十二年に参議院でわが党の秋山委員から議論され、それから昭和四十四年にはやはり同じ参議院でわが党の竹田議員から議論をされて、自治省としては、その案は再び検討しましょうということになっているわけです。昭和四十二年以来、再び議論されて、もうすでにこれで五、六年たっているわけですけれども、一体自治省のほうとして本気に検討しているのかどうか。この間どういう経緯があったのか、基本的な方針ともからみまして、御答弁いただきたいと思います。
#210
○山本(悟)政府委員 ただいまの御質問の在宅投票の問題でございますが、経緯はただいま横路委員御質問の中でおっしゃいましたとおりの事情によりまして、昭和二十七年に廃止になったものでございます。その後現在に至りますので、私どものほうにまでいろいろの方面から、復活してはどうだという御意見をちょうだいしているところでございます。四十二年あるいは四十四年に国会におきましても請願その他の関連におきまして論議されたことも承知をいたしているわけでございます。さような事情でございます。私どもも事務的には、何かうまい方法はないかということで検討を重ねてきているところでございますが、何ぶんにも在宅投票という制度につきまして、選挙の公正の確保、投票の秘密の保持という点におきまして、なかなか問題の多い制度であるわけでございます。選挙法の大きな改正の際に、その一環といたしまして、そういう問題も討議の対象ということには当然しなければならない問題の一つと存じておりますけれども、確実にただいま申し上げましたような点が確保されるのかどうかという点につきましての制度的な安心感というものが、まだ十分な心証として得られないというような状況でございまして、いずれこれからもなお検討を続けなければならない問題の一つというぐあいに存じているところでございます。
#211
○横路分科員 厚生省来ておられますか。――肢体不自由児、一般身体障害者、昭和四十五年ですか、おたくのほうで最近の調査をされましたね。そのときの、一級から六級まであるわけでございますけれども、たとえば一級なら一級の該当者というのは大体どのくらいおるものか、数字をちょっと明らかにしておいていただきたい。
#212
○角田説明員 これは調査は四十五年が一番新しゅうございます。一級で十五万五千でございます。
#213
○横路分科員 二級はどうですか。
#214
○角田説明員 二級は二十二万五千でございます。
#215
○横路分科員 一級、二級だけで大体かなりの数になるわけですね、大臣。そのうち歩行不能者というのはどのくらいかということは、必ずしも数としてつかめていないようですけれども、この問題、実は裁判になっておって、身体障害で寝たきりで動けない人から、選挙のときに実質的に投票所に行けない、入場券はもらうけれども投票所に行けないというので、裁判になっておりまして、裁判における国の答弁によると、大体まあ少なくとも九万人くらいはいるのじゃないか、八万六千二百八十五人なんというような数字を出していますけれども、それは大体何%というような推定のようであります。これは裁判所でありますから、法務省でしょう。まあしかし、そういう数字であります。いずれにしても相当多数が、寝たきりでおるわけですね。
 いま、選挙の公正が保たれないというようなことを理由にしましたけれども、そして現実にこれは法律改正で、つまり国会でその点を了解しちゃっているわけなんですけれども、私はやはり憲法の十四条、ないし四十四条に反するのではないか。実質的にこれを奪っちゃっているわけですからね。入場券をもらったところで現実に投票所に行けないわけですから。数としては、いろいろな計算のしかたがありますけれども、障害者の人たちの話によると、大体三十万から四十万くらいいるのじゃないか、そういうことを言っているわけでありますけれども、これはどうですか。私は憲法十四条、ないし四十四条に反すると思いますけれども、いかがですか。
#216
○江崎国務大臣 非常に貴重な御指摘だと思います。さっきも話題に出ましたが、やはり在宅投票制度というものは投票の秘密を守るという点からいきますといろいろ疑義があり、そんなこともあって、二十七年にこの制度が廃止になったわけでありまするが、便利になった世の中で、何か合法的なしかたはないものか、これはやはり十分検討に値する問題だと思いますので、今後ひとつ至急結論を得るように努力してまいりたいと思います。
#217
○横路分科員 選挙の公正というのはいつも出るわけです。これが議論の中心になるんですよ。ところが、昨年の四十七年の総選挙、これの違反者の数だって、これは調べてみれば、――法務省来ているでしょう。一体どれだけおたくのほうに送検されてきて、起訴されておるのか、概略のところを総数と、それからおもな違反事項、一番多いのは買収のようですね。買収の件数なんというのは選挙のたびにふえているわけですね。しかし、選挙違反が多いからやめちまうかということにはならぬ。その理由には私はならぬと思うのですが、法務省どうですか。数字はどのくらいになっていますか。
#218
○敷田説明員 お答え申し上げます。昨年施行の衆議院議員総選挙に際しまして、これはことしの二月二十日現在の数字でございますが、合計で二万三千三百八名を受理いたしております。その内訳を申しますと、その九二・八%に当たりますのが買収でございます。それから数字ははるかに低くなりますが、三・三%に当たりますものが文書違反、それから三番目の二・八%に当たりますのが戸別訪問、それ以外はその他となっております。
#219
○横路分科員 そうすると、買収はどのくらいになりますか、九二・八%というのは。
#220
○敷田説明員 数字から申しますと、二万一千六百二十九人でございます。
#221
○横路分科員 というように、ともかく事件というのは多いのですね。しかも、その前の選挙に比べてふえてきているでしょう。この在宅投票制度があったときに、選挙違反が非常に多いという理由でこれはやめになったんですけれども、では違反をしたのはだれかというと、これは寝ている人じゃないですよ。投票所に行けない人は違反したわけじゃないですよ。そういう証明書を出す医者が不正行為をやったとか、選挙運動をやるほうが違反行為をやったわけですよ。あの当時関係のないことで実際問題として選挙権を剥奪されている。これが現状なんですね。そうでしょう。だから裁判における国の答弁を見ると、違反行為が多いんだ、多いんだという答弁だけで、これは裁判になったんだから、やむを得ないと思うのですけれども、非常にがんばっておるのですよ。皆さん方、お役人の方も、法廷に出てこられて一生懸命いろいろなことをおっしゃっておりましたけれども、これは民主政治の基本的な根幹だということをぜひ私は考えるべきじゃないか。そうすれば、選挙違反があったからといって、いまやこれは二十六年当時ですから、いまから二十年前の話で理由にはならないと思うのですが、いかがですか。
#222
○山本(悟)政府委員 その事実は御指摘のとおりであると存じます。ただ当時この制度がありました場合、ことに地方選挙がありました場合、従来この制度がなかったときに比べまして非常に不在者投票の率がふえたということも事実ございます。そして、それがまた社会的な問題としていろいろ指摘されたことも、当時としては事実ございます。その後二十年間の、御指摘のとおり時間がたっているわけでございまして、その間にどれだけ有権者としての政治意識が上がったか、こういう見方ももちろん必要なことであります。当時はそうであったから直ちにいま全部がそうだということで否定をしているわけではないのでございます。制度的に、そういうことが入る余地があるようなことにつきましては、やはり慎重な配慮を必要とする。なるべくそういうふうなことが行なわれない制度ということを考える必要があるのではないかということで、いろいろなやり方というものをいま検討いたしている次第でございます。
#223
○横路分科員 そうおっしゃるのですが、四十二年の議事録を読んでも、四十四年の議事録を読んでも同じことを皆さん方はおっしゃられるけれども、さっぱり事態としては何も進展していないわけですよ。いずれ私たちのほうで、どうしても皆さん方のほうがやらないならば、議員立法の形でひとつ法律を出さなければならぬというふうに考えているんですけれども、問題はやはり、どうもほんとうの理由は何かというと、選挙無効の訴訟か多かったわけでしょう。つまりその選挙を管理する皆さん方の理由が中心じゃないか。管理する側がどうも無効なんてこんなことでやってもらっちゃかなわぬ、やめてしまえなんというのがあの当時の審議会なんかだ。審議会のいろいろな議事録を読んでおっても、どうも突き詰めていくと、管理する側がたいへんだという自治省の皆さん方の理由にすぎないんじゃないですか。正直なところ当時としてその辺が一番大きかったんでしょう。
#224
○山本(悟)政府委員 当時、選管側のほうといたしましては、御指摘のとおり非常に選挙違反が出まして、これの理由としてこういうことがあげられたことも事実でございます。したがいまして、当時のいろいろなものを読んでみますと、選管側にこの制度を廃止されたいという意見が多かったことも事実でございます。そういうような各種の意見を踏まえまして、当時の選挙制度調査会におきましても制度をいろいろ論議されて、廃止の方向が打ち出され、かつそれが法案になった、そういうようなことでございます。
#225
○横路分科員 その議事録を読んでみても、廃止というところにはあまり深刻な議論は行なわれていない。むしろ、あの当時の委員なんか、ともかく一回のケースでやめるというのはおかしいじゃないかということがずいぶん議論されていながら、結論だけは廃止の方向になっているというのが実はそのときの審議会の議事録の中身でしょう。大臣、これはいい方法があるかないか考えておる、こうおっしゃいますが、外国ではこれはみな認めているのです。認めていないのはイタリアぐらいなものでしょう。イギリスしかり、ドイツ、フランス、アメリカ、これは全部郵便投票による投票制度を認めているわけです。だから、なぜ日本じゃだめなのかということですね。だから、何もやる方法がないわけじゃない。いい方法を考えるといったって、すぐ法律にしてやろうと思えばできるわけです。つまり外国に幾らでも例があるのですからね。大臣、それは御存じですか。
#226
○江崎国務大臣 イギリス、ドイツ等で、郵便でやっておるという話は聞いておりますが、詳しくは研究しておりません。日本では、選挙管理委員を伴って巡回したらどうだというような一つの案が検討されたこともありますが、これは事実上あの選挙で多忙をきわめるときに、そういうことが具体的に可能であろうかというようなことで、これも一とんざを来たしておるというのが実情でございます。したがって、郵便などで、どういう形で選挙の秘密と選挙の公正を保つか、この具体的な裏づけをはっきり確認することができれば、私は有力な一つの方法であろうというふうに思います。
#227
○横路分科員 これは外国でもって廃止しようという動きはありますか。
#228
○山本(悟)政府委員 外国の制度につきましては、御指摘のとおり、イギリス、フランス、西ドイツ、アメリカ等におきまして、郵便による投票がございます。イタリアはございません。ただ、廃止するという動きはもちろん聞いておりませんが、日本の場合でも、二十七年まではこの郵便投票があったわけでありますが、日本の場合には問題があるということで廃止された経過があるわけでありまして、その経過というものは十分に考慮しておく必要があるのではないか。もう一ぺん復活するということももちろん可能なわけでございますが、その際には、もう一ぺん同じ轍を踏まないだけの自信がない限りにおいてはなかなか困難ではないかというような事情で、いろいろな制度を実をいうといま研究いたしております。
#229
○横路分科員 むしろ外国の場合は、そういう投票権者みたいなものの範囲というのは拡大しているわけです、法律を改正するたびに。廃止された経緯があるといっても、そのときは要するに理由は簡単なんですよ。無効訴訟が起きて選管が敗れたケースがあるのです。これはたいへんだ、やめてしまえというだけの話でしょう。ほんとうに参政権、国民の投票権というものを大事にするということがあれば、一回目は失敗だった。それは選挙運動をするほうにも問題があったし、いろいろ問題があったろう。国民の意識の問題もあったでしょう。だから、本来は一回失敗した、この次はさらによくしていこう、こういうことにならなければならなかったところを、皆さん方が非常に官僚的にばっとやめてしまえということになって、そしていまでも何を言っているかというと、外国はこうじゃないかというと、民主主義の基盤が違うとかなんとか、こういうことになるわけです。私はそんなに国民をばかにしてはいけないと思うのです。問題は、そういう人たちじゃなくて、運動する側、管理する側でしょう。問題があるというのは選挙をやる側、選挙を管理する側で、寝ているほうには何も問題はないわけです。だから、検討検討だけでは私は納得できない。何回議論したって、あと一年か二年たってやればまた同じ議論だということでは、ほんとうに政治のことをまじめに考えている人――いま寝たきりの人たちなどはいろいろな問題を見ながら、社会福祉の貧困な状況の中で、政治に対して何かものを言いたい、ものを言う一つの機会が選挙でしょう。民主主義ということもそういう一つの犠牲の上に成り立っているわけです。その機会さえ抹殺されているということになれば、これはやはり非常にたいへんな問題じゃないか。だから、ともかく検討してみましょうぐらいじゃなくて、たとえばことし一年ぐらい大いに検討して、たとえばことし中に結論を出すとかというような、もうちょっと明確な答弁をしてもらわなくちゃ、私困ると思うのですよ。基本的には、大臣、どういう考え方があるかというと、非常に大きな問題は、その裁判における国の答弁のように、在宅投票制度というのは憲法に認められた参政権の中核じゃない、お上の与えた恩恵的なものなんだ、身体障害者に対する恩恵の付与なんですよ、便宜なんですよという答弁が出ているわけですよ。そこのところだと思うのですね。つまり、選挙権というものを中核だというように考えるのか、いやおまえらはどうでもいい、それは憲法の四十四条で法律事項なんだから、あとは国会できめることなんですよ、あとは与えるか与えないか、恩恵的にやればいいんだというような、やはりそういうものの考え方の違いがこれを認めるか認めないかという根本にあるだろうと私は思うのですよ。大臣はどういうぐあいに考えますか、その辺のところ。
#230
○江崎国務大臣 もとより、選挙権というものは、民主政治の基本に属するものだというふうに考えます。もし恩恵的な考え方が出ておったとすれば、私は、それは一つの見解ではあるかもしれぬが、誤りであるというふうに率直に言うにはばかりません。
 それからさっきの話の、さて郵便でどうするかということにつきましては、過去にも経験があり、しかも、そこで苦い経験を持っておるわけですから、ひとつ諸外国の例などを十分勘案しまして、これは早急に結論を出すようにしたいと思います。これは国民的認識の問題、選挙に対する関心度の問題等々いろいろありますが、しかし、それをいま言っておる場面ではない。郵便が選挙権を行使するのにどう適正に使われるかという便法を、そういう人たちのために措置するといいますか合わせる、こういう考え方が必要だというふうに思います。
#231
○横路分科員 私は、国立国会図書館のほうにお願いをして、各国の制度というものを調べたわけですよ。郵便ばかりじゃなくて、代理人による投票だって認めているところがあるのですね。それは一つの歴史の過程というものは、ヨーロッパの民主主義の歴史と、日本の民主主義の歴史の違いというものはあるでしょう。しかし、われわれはだからといって、じゃ、なくなるまでといったところで、買収事案そのものはどんどんふえていくという悲しい現実も現実としてあるわけですよ。そういう、前にあったからというようなことで、関係のない、こういう人たちの選挙権を奪ってしまうということは、いま大臣から御答弁いただきましたけれども、やはり大きな間違いだというように私は思います。これはやはり行政ベースにまかしてしまうと、こういうものというのは、管理がたいへんなんです、人員がどうです、郵便なんかめんどうくさい、いやだ、こうなっちゃうんですね。江崎大臣、これはほんとうに寝たきりの人たち喜びますよ。投票したくて、つまり政治に対してものを言いたくてものを言いたくて、しかしながら、選挙で投票できないという人たちはたくさんいるのですから、これは大臣、ほんとうに喜ばれますよ。私は当然権利として認めらるべきことだと思いますので、早急に検討するという約束を、ほんとうに早急というところにひとつ御確認をいただいて、私もできれば公職選挙法の特別委員会のほうでも重ねて議論を続けていきたいと思います。外国の制度を調べるに時間はかかりません。かからないのですよ。いままでそういうことで四十二年、四十四年と、いまは四十八年ですか、ともかくここまで来ちゃったわけですね。ですから、その辺のところを再度御確認をいただいて、私の質問をこれで終わりにしたいと思います。
#232
○江崎国務大臣 これはひとつほんとうにやりましょう。いまの選挙制度調査会が一つの意見として述べたことを背景にして、やめてそれきりということは、これはやはりいけませんね。民主主義時代ですから、よくひとつ検討をして、何か合法的な手だてを見出したいと思います。もうしばらく時間をください。
#233
○横路分科員 終わります。
#234
○三ツ林主査代理 阿部昭吾君。
#235
○阿部(昭)分科員 時間が制約をされておりますので、端的にお聞きをしたいと思います。
 大臣、いなかの十万ぐらいの小さな町、最近人口が、町がどんどん開かれていっておるような地帯の直面しておる問題です。地方におきまして、農村の集落などになりますと、コミュニティーを推進するための集会所でありますとか、公民館でありますとか、あるいはそういうものがなくとも、神社に集まるとか、あるいはお寺に集まるとかいった、そういう場所があるのです。しかし、最近の都市化されつつあるそういう場所になりますと、そういう集まりを持つ場所がないのですよ。私の住んでおるところも、町になってちょうど六年ぐらいたつのですが、そのときは私のうちがたんぼのまん中に一軒だった。いま二百世帯ぐらいになりました。そこで町内会や自治会がつくられた。だけれども、役員会はどこかのうちに集まるのです。そこでいろいろな相談をしたいというので、総会を持とうということになりますと、集まる場所がないのです。そこでどうしても公民館がほしいというのが、私の町ばかりではなくて、隣の町も、その近所全部同じような問題を持っておるのです。そこで市役所なんぞと相談をすると、地区公民館という計画はいろいろあります、こう言うのですが、地区公民館というのは一体どういう範囲でやるのですかと聞きますと、大体合併以前の、二十九年以降の町村合併以前の旧の村単位に一カ所ぐらいというのが地区公民館という考え方です。したがって、市街地になりつつある場所等について、地区公民館というものをどういうふうに考えるかということになると、一つの自治会、二百世帯ぐらいの自治会が十ぐらいのところに一カ所ずつ公民館をつくる、このくらいのところでしょう、こう言う。これじゃどうしてもコミュニティーを進めるというわけにはいかない。やはりささやかでも寄り合う場所がほしいというのは、都市において失われつつある人間関係、隣近所、何をやっているかわけがわからぬ、こういう環境を改善していくためには、どうしても集まりを持つ場所がなければいけない。いま江崎大臣といえども、そういう場所全部に国が補助をし、自治体の責任においてといっても、そうは簡単にいかぬと私は思うのです。そこで、当面そういう計画で二百世帯なり三百世帯の自治会になり町内会が集会をする場所を建てようというな場合に、起債の対象にするというくらいのことは、当該の自治体が責任を持つものである限りは――地区公民館まではみんな補助がいっているわけです。補助もいっておるし、起債もあると思うのです。しかし、自治会単位ということになると、なかなかそうもいかぬと思うのです。したがって、私などの地域で相談をしておるのは、土地を準備をして建物を建てる。最低のものでも五百万円程度あるいは七百万円程度ほしい。半分ぐらいのものは自分たちで資金の積み立てやなんかで準備をしょう。しかしなかなか一ぺんで七百万円ぐらいのものを準備しようと思ってもそうはまいらぬというような場合に、その当該市町村が責任を持つものである限り、起債の対象ぐらいにはすべきではないだろうかということなのですが、いかがでしょうか。
#236
○鎌田政府委員 ただいまの御指摘のような考え方に即しまして、自治省では御案内のとおりコミュニティーづくり、コミュニティーセンターというものでモデル的にやっておるわけでございます。これにつきましては、すでに四十六年度から政府資金をもって、少額ではございますが、起債をつけておる。こういう先例もございます。実情をよく伺いまして、当然市町村の将来の起債償還能力の問題もかかわってまいりますので、いま御発言になりましたように、市町村がどの程度責任をもって進められるか、その辺のところも十分勘案いたしまして、起債で処理できるような方法を検討させていただきたいと思います。
#237
○阿部(昭)分科員 コミュニティーセンターとかいうもの、これはやはり正直いうと相当でかい金額なのです。そんなでかい金額じゃなくて、やはりもっともっと小規模なものなのです。したがって、ある意味でいえば、起債の償還能力とか何とかいうことをやかましくいってくると、これはなかなか簡単にいかない。したがって、ある意味では銀行に銭を貸してくれ、そんなことも言っておる自治会がうんとあるのです。そうすると、これはほんとうに何とかなき法人というわけですから、一体だれが責任を持つのかなどということで、そこの町内会、自治会の幹部何名かがやはりそれなりの責任をもって金融機関から融資を受けているなどという例もうんとあります。町村なんかになりますと、小さな部落の集落段階などで、農協あたりから融資を受けてものをやる。あるところでは郵便局が銭を貸すそうだ。そのかわりに簡易保険にこの地域でどの程度の契約をしなければこの程度のものは貸さぬそうだ、そういう話にもなる。コミュニティーをどう進めるかということになると、これはやはり非常に日本の根本に触れる問題です。そういう意味ではやはり自治省が責任を持って、そうして金融のしかたやなんかはどういうルートをつけるかは別にして、起債が無理なら金融でもいいと思うのです。起債並み程度の期間と、融資の借り入れ責任者は、これは自治会のあれが一定の形態をとればそれでいいと思うのですが、裏づけはいろいろありましょうから、やはりその当該市町村が、自治体が裏打ちをした責任を持つ、このくらいのことでいかないと、だんだん都市化が進んでいきますと、何かそういうものを建てたいと思っても地価はどんどん上がっていくし、手が出なくなる。やはりそういうものは、最初のうちにちゃんとしておかなければいけない、こういう意味で、できましたならば四十八年度融資といっても無理でしょうから、四十九年あたりではひとつこういう問題も発足できるような展望で御配慮願いたい。大臣のほうが歯切れがいいから大臣にお願いいたします。
#238
○江崎国務大臣 お説、私よくわかります。したがいまして、いまも財政局長とも御質問の間に相談したわけですが、ひとつこれは十分御期待に沿えるように努力してみます。
#239
○阿部(昭)分科員 わかりました。
 そこで財政局長、いまの問題、大臣は、たいへん明るい展望のある御答弁をいただいたわけですが、私、正直いってあまり自治省を信用しないのですよ。大臣は信用するけれども、自治省の役人というものはどうも理屈ばかり多くて、話のテンポが非常におそいのです。そういう意味でいまの大臣の答弁を――私ども言うのは、さっきのコミュニティーセンターとか、従来の地区公民館とか、そういう大きい規模のものでなくて、とにかく気楽に一つの町内会なり自治会なり、農村でいえば一つの集落なり、こういうものがコミュニティーを進めるために必要な集まる場所、これはいなかでは集会所とも呼んでおりましたし、昔は公会堂とも呼んでおったのです。これは特に都市周辺の、どんどんどんどん都市化されていく地帯では、やはり最初にそれをやっておかぬと、土地が値上がりしてしまって、もうどうにもあとからじゃ手の打ちようがなくなる。やはり最初の段階でそれはやらなければならない。そういう意味で、いま大臣と局長相談されたそうですが、きわめて早い時期にそういう展望を打ち出してもらいたいということを希望して、これは終わりにいたします。
 第二の問題は、区画整理事業という問題です。これは建設省と自治省と両方に申し上げなければならぬのでありますが、区画整理をいたしますと新たな町ができる、道路もつくられる、側溝もできる、あるいは下水道もできるということになるのです。あるいは公園なども小公園のようなものがその中の一画につくられる、こういうことになるのです。しかし、道路がつくられ、下水溝がつくられ、公園がつくられるというものが、その区画整理された場所に住宅地を求める一般の市民の土地の値段の上に全部上乗せされるというかっこうになるのですよ。現実はされておるのです。土地は、これは一人一人のものではないのです。したがって、これは組合施行などによる区画整理事業の場合でも、やはり国及び自治体、こういうところでの負担というものをもっと強化していかないと、いまのような土地の値上がりというものを押えていくことができない。非常に高い住宅地というこの問題を押えることはできない。いわば住宅地を求める、区画整理区域内の土地を取得する方々に、道路の分も、下水溝の分も、公園の分も、全部おんぶをさせていくという状態になっておる。これはやはり再検討すべきではないかと思うのですが、いかがでしょう。
#240
○今野説明員 お答えいたします。
 いまお話しの区画整理事業による町づくりの話でありますが、おっしゃるように特に新市街地の造成につきましては、区画整理の手法による造成が、おそらく今後は半分以上この仕事でいかざるを得ないと思っておりますが、それにつきましてのいろいろな国なり公共団体なりの助成の問題のお話でございます。建設省といたしましては、ある一定規模以上の面積の区画整理事業、あるいは主要な公共施設をその中に含むような区画整理事業、こういうものにつきましては、その公共施設の管理者に負担金相当額を補助金として交付するとか、あるいは無利子の貸し付けをするとか、いろいろな面で実は助成につとめておる次第でありまして、今後ともこの事業の重要性にかんがみまして努力してまいりたいと思っております。
#241
○阿部(昭)分科員 これはもっと単純に割り切って――一定規模以上とか何とか、いろいろありますね、それはまずさておいて、道路になる分、あるいは公園にする分、そういうスペースのものはやはり公費負担でやっていくということですね。この基準はいま一定規模ということなんですけれども、この規模の問題が、ほんのわずかで、立地の条件からいうとどうしても一定の広がりをつけるわけにいかぬ場所などもたくさんあるのですね。こういう意味では、道路なり公園なり、そういう公のスペースになる分のものについては、その分のものが住宅地にすぐ上乗せになるというかっこうにならぬように、基準のけじめをすっきりさせることが正しいのじゃないかということですが、それはどうでしょうか。
#242
○今野説明員 土地区画整理法は、いわば受益者負担というものを取っていくという、強制的に取り上げると申しますか、そういう意味では、日本の行政の中で非常にめずらしい法律でございまして、できるだけ地主の方々に、もちろん受益の限度内でございますが、いろいろ土地を出していただくとか、そういうふうな仕事が内容になっておりまして、仰せのように、道路とか、公園とか、公共用地になる部分は、すべて公費で負担すべきだというのと少し内容が違う事業の実態になっております。ただ問題は、これからの仕事を大いに進めていかなければならぬという性質の事業でもございますし、できるだけ地主の負担は軽減する方向で検討していく必要があろうかというふうには考えております。ですから、助成の基準なり助成の制度そのものがいまのままで正しいというようには思っておりませんし、今後ともそういう方向で努力していきたい、こういうふうに思っております。
#243
○阿部(昭)分科員 そう大きく私と違っておるとは思いません。思いませんが、私は地主の人の負担など言っておらぬのです。現実にどういう状況になるかということになると、そこに住宅を建てたいという人の地価の上に、道路のスペースも、公園のスペースも、その分のものが全部上乗せされて、地主じゃなくて、住宅地を求めようとする庶民の側に上乗せをされるというのがいまは現実なんです。したがって、やはり公的なスペースの分については、公費負担でいくという原則に、一ぺんですぐ近づくかどうかは別にして、もっと近づける努力をすべきじゃないか。その場合に自治省のほうでは、特にそういう都市区画道路、生活道路ですから、完成の暁にはみんな大体市が管理する、道路の帰属は市のものになるというものですね、そういうものは、組合施行のそこで負担するのがたてまえということじゃなくて、やはり自治体の側も一定の責任を持っていくという方向で進めるべき時期にきておる。そうでないと――私が言うのは地主の問題じゃないのです。そこに住宅を建てようとする庶民の側の地価に全部上乗せされて、地価高騰を招いている大きな原因になっているということなんです。これはやはり自治省としても、そっちのほうは建設省のほうでやっていればいいわいということじゃなくて、やはりほとんどが自治省の指導なり何なりになっていく部分なんです。公園だってそうでしょう。そういう意味で、一ぺんで全部というわけにもいかぬだろうが、そういう方向に近づける努力を自治省の側も払うべきなんじゃないかということなんですが、これはいかがでしょうか。
#244
○鎌田政府委員 また歯切れが悪いというおしかりをいただくかもしれませんが、やはりこの制度の立て方といたしましては、先ほど建設省のほうからもお話がございましたように、いわば地域の基幹的な道路なり、そういう地域全般にわたる公共度の非常に高いものについては公費負担、そうでないものについてはやはりいわば直接受益する人たちの負担、こういうことでおのずから負担の割り振りというものができておるんだろうと思います。ただ、ただいま仰せになりましたように、最近の情勢によりまして、地価の高騰という問題がございますし、あるいはまた住んでおる人間でも、単に土地があって家があるというだけではない、近隣公園と申しますか、そういうものも必要とされる時期になっておるわけでございましょうから、その辺のところは、私ども区画整理法を直接所管しているわけではございませんが、地方財政の負担の面で、当然公費負担ということになりますと、交付税でどう見る、起債でどういう措置をするという問題になってまいりますので、この場でただいまそういたしますということはちょっと申し上げかねることでございまして、建設省のほうとよく相談をさしていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#245
○阿部(昭)分科員 やはり江崎大臣がおらぬと、歯切れが悪くてかなわぬのです。大臣がおったら、もっと快刀乱麻を断つような、よしわかったというようなことになると思うのですが、いなくて残念です。
 そこで、最近組合施行の区画整理事業の場合に、前は道路などは砂利道のままでよかったのですが、今度は全部舗装をやりなさいということになりました。その舗装の費用まで全部、結局区画整理全体の組合施行の事業主体が、つまりそこに住宅地を求める方々の土地代の上に上乗せをしなければ、その費用の捻出はできませんから、ますます高い住宅地ということになっていく。私はやはり、一ぺんで土地も全部公的なスペースですから公で買い上げなさい、それに道路を造成していく費用も――公園などはいま大体において三分の一補助を出しておられるわけですね、出さぬのも中にはありますけれども。そういうものをもっともっと、公的スペースの部分についてはやはり公が負担するという方向で大きな第一歩を進めてもらわぬと……。区画整理の事業主体たる地主云々のことじゃないのです。そこに土地を求める側の一般庶民に、地価高騰というかっこうで全部のしわが寄っていく。それが例になって、近隣その他にどんどん地価上昇というものをつくり出していっている原因になっている。そういう現象ですから、ここではもう根本的な検討が必要な時期です。したがって、これは江崎大臣がおったらもっとあざやかな答弁があるだろうという期待がありますが、私、さっきどうぞどうぞ、要らぬですと言いましたから、残念ですけれどもしようがありません。ひとつ局長のほうにおかれましても、よく省内、また建設省とも協議をされて、これはこれから至るところでたいへん大きい問題になりますから、ぜひひとつ御検討願いたい。もうちょっと歯切れのいい御答弁をお聞きして、私やめたいと思います。
#246
○今野説明員 建設省といたしましては、最近おっしゃるように、質のいい区画整理事業という指導をしてございます。昔ですと、素掘り側溝で砂利敷きということでよかったのでございますが、最近はそういう時代ではございませんので、区画整理事業の質の向上という形で指導いたしておりまして、若干おしかりを受け……(阿部(昭)分科員「それはしかりませんよ。」と呼ぶ)先ほど私、主要な公共施設に対する国の助成ということを申し上げましたが、主要な公共施設をできるだけ範囲を広げるとか、そういう方向で私ども努力してまいりたいと思っております。
#247
○阿部(昭)分科員 まだもうちょっと時間があるので、私もものわかりの悪いことを言わぬのですよ。一ぺんで全部というわけにいかぬだろう、しかし、区画整理をやる場合には、組合施行の事業主体が、みんなやればいいんだという考え方から、もっと公的スペースはやはり公で持つ、この原則に立っての努力をすべきだ、こういうことなんで、それは建設省で全部やれといったって無理なんです。
  〔三ツ林主査代理退席、主査着席〕
実は建設省でそういう区画道路の幹線的なものは確かにやっていますね。しかし、区画道路のいわゆる生活道路、この部分は全部事業主体が持つ。その分は地価の上に上乗せするという以外に手がない。私は、舗装をしなければいけない、素掘りじゃなくて、今度ちゃんとした下水溝にしなければいかぬということになってよくないなんて一ぺんも言っていない。たいへんけっこうなことですが、そこに住宅を求める庶民に全部上乗せじゃかなわぬから、これはやはり建設省だけでいく部分と、それから自治省が主体で交付税でいくのか何でいくのかということで、もっとてこ入れをしないと、地価高騰をますますひどくする。ですから、いまの段階で来年度あたりに向けてもっと大胆な前向きな手だてを準備してもらいたい。決して私はむちゃなことを言っているとは思っておらぬのです。これはいろいろな立場の人のいろいろな議論を聞いてみても、そうしてもらわなければどうにもならぬということが一般的になっていますね。どうでしょう。
#248
○鎌田政府委員 御趣旨はよくわかります。
 ただ、問題は、したがいまして、結局公費でどれだけ持ち、それからそこに居住される方がどういう形で持つ、その公費の中でまた国、地方、こういったものの負担の割合になるわけでございますから、御趣旨の点を十分に体しまして私ども建設省当局とも十分相談をいたしまして、前向きで処置をさせていただきたい、こういうことをお答えさせていただきたいと思う次第でございます。
#249
○阿部(昭)分科員 今後の御努力を大いに期待して、やはり少しでも一般の国民に対して安い住宅地を確保することができるように御努力をお願いして、私の質問を終わります。たいへんどうもありがとうございました。
#250
○倉成主査 次は、青柳盛雄君。
#251
○青柳分科員 大臣がいまお食事に行っているそうでございます。どうも人権問題ですから、食事休みくらいはおとりになっていただいたほうがいいと思うのですけれども、あまりおそくなるのも何でしょうけれども、しばらくお待ち申します。
#252
○倉成主査 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#253
○倉成主査 それでは速記をお願いします。
 青柳君。
#254
○青柳分科員 昨年の十月二十六日に第十五次地方制度調査会より内閣総理大臣あてに特別区制度改革に関する答申が出されまして、懸案の区長公選の問題並びにそれに関連して区の事務事業、あるいは人事、財政、そういうものに関する改正がとられるべきであるという内容が盛られており、自治省ではこれを受けて一つの案をつくられたそうでございます。その案は私どももメモのような形で印刷したものをいただいて拝見しておりますが、これはいずれこのまま閣議決定で国会に上程される見通しでございますか。
#255
○林(忠)政府委員 その所存でおります。
#256
○青柳分科員 そこで、その内容をひとつお互いに了解しているものとしてお尋ねをするわけでございますが、その前に、このような答申になるまでにはたいへんに長い期間が経過したわけでございまして、戦後東京都の特別区は一つの完全な形の地方自治体として発足をして、その中に区長の公選が含まれておったわけでありますが、その後幾ぶんの事務事業の都への移管もあり、そうしてとうとう昭和二十七年の法律三百六号で自治法の二百八十一条の三というものが制定されまして、区長は知事の同意を得て区議会が選任するということになったわけです。それ以来約二十年の月日がたったわけでありますが、その間にいろいろの自治権拡充運動が行なわれてきたわけでございます。
 最初のうちは区長公選を復活してもらいたいという運動でございましたが、その後、昭和三十二年八月に二十三区の区議会に特別区制調査特別委員会というものができたわけでございます。これは特々委員会と言っているそうでございます。この委員会がいろいろと案を練ったり、また統一的な行動をとって住民運動を盛り上げてきたわけでございまして、昭和四十一年六月には特別区自治権拡充大会というものを千代田公会堂で行ない、これが第一回目、その次は四十三年の二月十六日に同じ大会を千代田公会堂で行ない、第三回目は四十四年の五月二十日に同じく千代田公会堂で開き、それから四十五年の五月十九日に同じ大会を渋谷公会堂で開催をし、そうして四十七年二月十八日に第五回目の大会を文京公会堂で開いております。最近では四十八年二月渋谷公会堂で第六回目を開いておるわけであります。いずれも区長の公選を実現するということに重点が置かれております。そのほかに昭和四十年の十二月二十二日には都議会で区長公選制即時実現の意見書を議決いたしました。また四十六年の六月十日にも同じ趣旨の議決をいたしております。意見書でございます。それから四十四年の四月十八日にも同じ趣旨の意見書を議決いたしております。また、四十四年六月には美濃部都知事が地方制度調査会小委員会で、国の介入を招く府県合併には反対だし、東京市構想にも反対であるという意見を陳述して、特別区の自治権拡大を主張されました。
 こういうふうに、公なものでもたくさん運動が展開されてきたわけでありますが、また別な形では、四十三年六月ごろ、練馬の区民直接請求、いわゆる準公選制度の直接請求が法的に許されるかいなかということで東京地裁で裁判が行なわれて、違法ではないというような判決も出ております。こうしてその後、各区議会で幾つかの準公選条例が制定されるに至っております。こういう運動もまた、住民の中から自治権拡充を早期に実現したいという要望を盛り上げる上で非常に役立っていたことも事実であります。
 ところで、お尋ねをいたしたいのは、昭和二十七年の法律第三百六号で区長の公選を廃止したというのはどういう理由に基づくものであるか、これをまずお尋ねしたいと思います。
#257
○林(忠)政府委員 ただいま御指摘のとおり、最初、地方自治法では、特別区の区長は公選という制度をとっておりました。しかし、その後、公選をされた自治体で、事務の都と区の間の配分、それから財源の都と区の間の配分その他の問題で、都と区の間でいろいろ紛争を起こしまして、たいへんむずかしい事態を来たした。それで、区長は、抱負を掲げて、公約をして、公選で出てきても、人事権、財政権あるいは事務の配分その他で思うようにいかない。その抱負経綸が十分に行政に生かされないということで不満もあり、御承知のとおり、また当時は戦争直後でございまして、都、区を通じて財源もまだ非常に苦しい。それからやるべき仕事も戦災復興その他たくさんあるという周辺の事情もいろいろあったと思いますが、とにかく、何と申しますか、制度の落ちつきが悪かった。都と区の紛争がどうにも手をつけられないような状態になる。そこで、諸般のそのときの状態を踏まえまして、やはり二十三区というものがこの東京都という大都会の一部分でもあるというような性格その他を勘案いたしまして、従来の公選制度を廃止して、区議会と都知事と、その両者の意思の合致によって区長を任命するというふうに改正されたと聞いている次第であります。
#258
○青柳分科員 それでは、今度そういう事情は解消されるに至ったという状況が出てきたわけですか。
#259
○林(忠)政府委員 その後はだいぶ時代も進みましたし、都と区の間の財源配分あるいは事務の問題につきましても、いろいろその後整理をされました。しかし、いま申しましたような人事は、従来の区長の公選だけを取り上げてやるような場合は、あるいは財源において、あるいは事務においても同じような問題を生ずることも十分おそれられるわけでございます。そこで、そういう点を踏まえまして、今度の地方制度調査会では、区長の公選を実施するにあたって、財源の配分ははっきりする、事務もできるだけ区へおろす、それからあとの都職員の配属も廃止するというふうに、人事権も区長に強力なものを与える、いわば区の自治権の拡張を一貫して、それらとともに制度を改正する。そういうことで、二十七年以前のむずかしい問題は今回の改正では回避できるというようなことを考えて、そういう答申が出たものと承知しております。
#260
○青柳分科員 先ほど長々と申しましたように、いろいろこの二十年近い間の運動があったわけでございますが、他方において、四十二年の十二月二十一日の朝日新聞によりますと、首都行政を再編成して東京市を復活させる、二十三区は行政区にするという自治省の試案なるものが発表されております。それから四十三年の九月十三日から二十五日、自治省としては新発足の地方制度調査会に東京市構想、特別区のあり方を諮問、こういうことも各新聞に報道されております。それから四十三年の十月七日には、広域市町村圏整備要綱というものが発表されておる。そしてまた四十三年十月二十七、八日の各新聞によりますと、自治省は首都行政を再検討し、特別区をやめ大東京市に、東京を四市に分割、区議会はなくすというような構想を発表されております。そのほか、広域市町村圏の構想を推進する行政が盛んに進められるとともに、依然として四十四年の二月十九、二十日の新聞では、首都行政広域化の動き、大東京圏構想を具体化へ、二十三区を行政区に、一都三県合併もというような、私、これは項目だけしか述べませんけれども、そういう動きがあるわけですね。こういうふうな動きはその後もずっと続いて、道州制の実現に努力せよという財界からの要望なども、四十四年の九月時分には出ております。
 こういう、全く特別区を自治体としてその権利を拡充するとは逆行するような構想が執拗に追求されておったわけですが、これは現在は解消したわけでしょうか、どうでしょうか。
#261
○林(忠)政府委員 いま幾つかあげられましたことも、おそらく自治省としてそうしようというふうに一本に定まったものではないと考えております。つまり、東京都というこれだけの大都会をどうするかというのは、もうまことにたいへんな問題でございまして、そこにはいろいろな構想が出され、あるいは東京市を復活したらいいではないかとか、あるいは現在の東京都だけでは狭過ぎて、大気汚染、交通渋滞など解消できないから、もっと一都三県を一緒にしたらいいのではないか、このように、それこそいろいろの案がいろいろの時期に議論をされた次第でございます。そのうちの幾つかを新聞その他が、現在自治省でこういうことが議論されているということで報道されたものと思うわけでございます。
 では、これらの構想がいま一切なくなったのかということでございますが、大都市をどうするかということに関する研究課題というのは、もう常に今後もずっと存在していくものと存じておりますけれども、今日の段階では、最近の住民の御意向、住民運動の高まりその他を反映いたしまして、東京都自体においてもある程度、保守、革新を通じての一つの合意された方向が、現在この法案で出そうとしておる区の自治権の拡張という方向でほぼ固まってまいりました。それに伴って地方制度調査会も、大体その趣旨に合致した答申を出そうということでございますので、今回やろうとする特別区の改正については、こういう方向が今日最も是なりと考えて提案をいたした次第でございます。
 しかし、特別区がこういう改正をされますと、東京都の大都市問題というのが一切解決するかというと、その点ではまだ今後もいろいろ問題が残り、いろいろな考え方がやはり常に研究課題として爼上にのせられて議論をされることになることはまたやむを得ないことだと存じております。
#262
○青柳分科員 それでは、先ほど冒頭に自治省がつくられた法律案要綱の線に沿って一、二お尋ねいたしますが、まず、区長公選を実施する時期を昭和五十年の四月一日以降、つまり一斉地方選挙が行なわれる時期に定めたというのは、どういう根拠に基づくものですか。
#263
○林(忠)政府委員 この件につきましても、実は各方面の意見をいろいろ伺いまして、いろいろ思案した次第でございますが、まず五十年に定めましたのは、地方制度調査会の答申におきまして、首長の公選それから仕事の都から区への移管、それから人事、財政権の強化という、これらのものを一緒に行なうべきだという答申の趣旨がございました。そこで、これらのものをあわせて、いつまでを旧制度とし、いつから新制度にするかの時期をいつに選ぼうか、そういうことでいろいろな検討をいたした次第でございます。
 それで、さしあたり事務事業がおりるにつきまして、それらの準備その他もございます。今度おりる業務で大きなものは保健所でございますが、保健業務につきましても、たとえば食品検査とかその他におきまして、職員の訓練だとか設備の充実とか、ある程度の猶予期間が要る。かたがた人事権の強化につながる都の職員の配属の問題につきましても、現在三万おります都の配属職員の今後の取り扱いをどうするかについて、職員個々の希望もございましょうし、職員団体の意向の問題もございます。それらの調整にもある程度期間がかかる。それで、これらの準備期間を考えまして二年後に行なうのが最も妥当であろうという結論に達した次第でございます。
#264
○青柳分科員 私どもも、区長の公選だけやればそれで万事特別区の自治権が拡充する、そのようには考えておりませんので、答申の線に沿って事務事業の移管とか人事の問題、財政の問題、これを改革することは非常に必要なことだと思います。ただ、時期的に同時にしなければいけないという理由がちょっと理解できないわけです。とりあえずというと失礼ですけれども、とにかく区民の二十年来待望しておりました区長の公選というのを実施して、区長が直接選ばれる、その区長が区政を担当する過程において、都と区との間で、事務の移管の問題、財政の問題並びに職員の人事権の問題などについての調整をやる、これは一挙に片づくものでないことはだれでもよくわかるわけです。この案では二年後にこれを一挙に片づけようというお考えのようでございますけれども、私は場合によると二年では少し無理ではないかということだって起こり得ると思うのですね。だから、それは二年なら二年でもよろしいけれども、とにかく区長の公選を同時に行なわなければいけないという根拠がはっきりいたしませんので、重ねてお尋ねいたします。
#265
○林(忠)政府委員 いま申しましたように、調査会の答申でそういう各種の改革をあわせて行なうことがこの際必要であるというその趣旨を勘案いたしまして、やはり二十三区はまた一つ一つ独立した別々の地域における市ではございませんで、このように一つにかたまりまして大東京を形成しておるということでございますから、個々の自治権の強化とともに、全体の一体性ということもやはり忘れてはならない要素でございます。そこで、新制度に切りかえる場合については、二十三区一斉に発足する。それで五十年四月を予定しておりますが、五十年四月から特別区は新しい制度として公選の区長をいただき、そして事務事業をおろし、人事権も持つという新しい姿で一斉に発足することが適当であると考えた次第でございます。
#266
○青柳分科員 現在欠員になって空白になっております区が四つございます。練馬、千代田、大田、足立。そしてまた、来年には七つの区が任期満了になります。こういう区長の空白とか、いずれは任期満了になるものを現行の制度で選出せよということではおかしいということになるわけでありますが、それについては幾らかの経過的な規定を設けておるようでありますけれども、それにしましても、都知事の同意を得て区議会が公選制を採用するかどうかということにかからせている。また、来年任期満了になるのは再来年の四月までそのまま、改選まで任期を延長するというようなこと――任期を延長するということは全く便宜的な措置でございまして、民主的に選ばれた区長が任期を延長するというのならまだしもでございますけれども、現行の制度のままで選ばれたものの任期を延長するとか――もう一度申しますと、この空白になっている区長については、従来の選任方法ができない場合――できない場合とは限りませんな、従来の方法によるか、あるいは知事の同意を得て区議会が選挙にするかきめる――これはそもそもいま区議会がどういう事情で区長を空白にしたままでいるかということを考えますと、これは与野党の議席がすれすれになっているというようなこと、あるいは自民党の中が割れているというようなこと、野党のほうも幾らか意見がまとまらないというようなこともありましょう。いずれにしても、区議会ではもうデッドロックに乗り上げて、そしていつまでも片づかないような状態。だから、そういう区議会の権限にまかせるようなことをしないで、そういう区についてはどんどん公選制を実施していくということをしてはどうかと思うのですが、それは何か不都合なことがあるのでしょうか。
#267
○林(忠)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、新制度に一斉に発足する、それまでに必要な準備期間を持って――まあ二年足らずになると思いますが、準備期間を置きまして、五十年の四月から装いを新たにして二十三区一斉に新制度に移り変わる、こういう前提で考えます場合、四十九年度一ぱいまでは、区長の選任にしても、事務についても、人事権についても旧制度のままでいく。この二年という期間は新制度にスムーズに移るためのいわば準備期間であり、ある意味では非常に大事な期間であります。この間、事務を移管し、人事権を区に移すということについて、いろいろ必要な調整なり都との話し合いその他が行なわれる準備期間としてこれを観念したわけでございます。
 そういたしますと、五十年四月までの二年足らずの準備期間は、実はその間に区長が新しく交代するということはあまり好ましいことではない。むしろ従来の事務に手なれた区長がその準備に当たって、都との間の協議その他をスムーズに進めていくのが妥当であろう、まずこう考えまして、その間に任期が切れる方、また、まあたまたま本年は任期が切れる方が一人もおらないというわけでございまして、来年任期が切れる方が七人ほどおられますが、その方もあと残すこと一年未満でございます。そこで、そのまま区長の仕事をやっていただきまして、都との協議とか準備をスムーズに進めていただくことが妥当であろう、こう考えまして、五十年まで、その間に切れる何人かの方も任期を延期しよう、これが事務をもっともスムーズに移管させる方法であろうと思います。
 そこで問題は、いま先生の御指摘のありました、現在欠けておる四区は、法律のたてまえからいえば、旧制度でございますから、従来どおりの選任方法で選任しても一向差しつかえないわけでございますが、御指摘のように、区議会で従来の方法では選任できないという事情があって空白を重ねたという事実もこれは考慮しなければならない。そこで、しかし、またこれが二十三区あるいは現在欠けておる四区が全部そういう区議会の内部のいろいろなもめごととかその他の理由で選任できないかというと、これは必ずしもそうではないわけでございまして、従来の方法で選任するように話し合いをまとめればまとめられるというものもあるのではないか。
 そこで、選択制にいたしましたのは、従来の選任は区議会が選んで知事が同意を与える、いわば区議会と知事がその選任権を分かち持っている、これが従来の方法でございました。この従来の方法に着目いたしまして、従来の方法どおりで選任できるところはそれでやってください。それがまた原則です。しかし、いまの御指摘のようないろいろな内部事情で従来の方法では区議会の話がまとまらないというところは、従来選任権がありました区議会と知事とが合意して、ひとつ住民の投票によって選ぼうではないかということで選ぶことは、これも差しつかえないという道を暫定的に開こう。もちろんこれで選ばれた区長さんも、この準備期間をおやりになるだけの区長さんでございますから、五十年四月までの任期でございます。従来の方法で選べない場合、こういう方法も用意いたしますよ、そういう考え方でこういう選択制をとったわけでございます。
#268
○青柳分科員 もう私の時間四分しかありませんので、別な問題を聞こうと思ったのですが、これもぜひひとつお聞きしておかなければなりませんので……。
 この地方自治法の改正の要綱の中に、東京都議会議員の定数を従来どおりに暫定的にしておく、要するに、特別区の条項が実施になります時期までの間に行なわれる一斉都議会議員の選挙の議員定数というものは、本来ならば百二十五人に減らなければならないのを、とりあえず百二十六人にしておくという、こういう規定のようでございます。ところが、東京都議会は超党派的に要望書を当局にも出しておりますし、各党にも出しておりますが、それは百三十人に、満ぱいの状態にしてもらいたい、二十三区の人口を百五十万で割るというあの条件をはずしてもらいたい、百三十人の中で適当に条例で合理的にきめる、こういう要望でございますが、どうもそれは御採用にならぬようでございます。
 本来、東京都の人口はいずれの自治体の人口に比べても非常に膨大なものでございまして、それと他の道府県などと比べまして明らかにアンバランスの状態になっております。ですから、これを考えますならば、暫定的に一名減るべきところを減らさないでおく、しかし、その含みでいえば、いよいよ特別区がこの改正どおりに発足すれば、都議会の議員はもっともっと減らしていくのだというような含みも考えられるわけですが、この点、もう時間がありませんから、簡単にお答えいただきたいと思います。
#269
○林(忠)政府委員 都のほうから超党派的に百三十人にしてもらいたいという御要望があったことは事実でございます。しかし、一般の都道府県の定限が百二十人になっておるということは、これは会議体としての限度とかその他いろいろの議論がありまして、地方自治法制定以来きめられておったことでございます。
 東京都は他の道府県に比べて非常に人口が多い。そこで、住民の代表という意味からは、百二十人では少ないのではないか、これを百五十にする、二百にする、いろいろな議論が当然行なわれるべきでございます。しかし、現在の法制度では、一応百二十人の上に特別区の部分から何人かふやしてもいい。ふやすのは特別区の部分の人口を百五十万の数字で割った数字だというような規定になっております。この規定の趣旨は、特別区の部分では、普通のところは市町村がやっている仕事を都がやっている。そこで、特別区の部分は都議会のほうにそのほかの地区に比べてやはりよりよけい住民の意思を代表させる者を送り込む必要がある。こういう趣旨で百二十人プラス特に特別区の部分について何人かの増加を認める、こういう制度になっております。
 今回の制度改正は、特別区の部分を今度は都から代理事務を移すということになります。そこで、理論的必然性からいえば、従来の特別区の仕事を都がやっておったからよけい出しておる。今度区の自主権が強まるから、別に特別区の部分から選出される人は、その原則からいえば減ってもいいということにならざるを得ない。ところが、その改正を今回一気にやるのはやはり問題である。これだけ大きな特別区の改正が行なわれるし、ちょうど都議会議員の選挙はことしの夏に予定されておりますが、その改正の前二年、あと二年、ちょうど改正の前後にわたってこの特別区の制度の改正を見守る立場にある。そこで、理論的にいえば、減らすべきところを今回は減らさないで従前の定数で据え置こう。
 そうしてさらに東京都の議員の定数をどうするかということについては、さっき出ましたように、人口が非常に多い、その他の事情を勘案して、一般の百二十人よりも何ぼふやすべきであるか、どういうふうに配当すべきであるかということは、さらに次の機会に十分時間をかけて検討して、正しい結論を出そう、今回はとりあえずほっておけば減らすべきところを据え置こう、これだけの趣旨でございます。したがって、今後は東京都議会の定数を減らすというような気持ちを持っておるわけでは毛頭ございません。何人でいいかということは、今後十分皆さんの御意見を聞いて検討していただこうという趣旨でございます。
#270
○倉成主査 近江巳記夫君。
#271
○近江分科員 今日、過密過疎の問題は非常に深刻な問題になっておるわけでございますが、特に私はきょうは人口急増地帯の問題等につきましてお伺いをしたいと思います。
 まず初めに大臣にお伺いしたいことは、人口急増地帯に対する大臣のそうした認識といいますか、どういうようにこの人口急増地帯の問題についてお考えであるか、根本的な大臣のお考えをひとつ承りたいと思います。
#272
○江崎国務大臣 昭和三十八年ごろから日本の経済状況が急速な伸びを示しました。それを契機に過密過疎の問題が顕在化したわけでございます。実は、私も名古屋の周辺を選挙区に持っておりまして、人口急増地帯の代表であるということが言えないことはないと思います。したがいまして、この過密過疎の根本問題をまず解決するということは大目的でありまするが、何よりも、急増してしまったのだ、この現象をどうするのか。特にこの人口急増地帯の一番困っておる学校の建設問題であるとか、保育所であるとか、屎尿処理の問題、じんあい焼却、そういった問題をやはり傾斜的な措置によって解決をする。そうして冒頭申し上げましたような根本的な対策を立てることによって過密過疎の調整をはかっていく。二段階に措置をしていかなければならないかというふうに考えております。
#273
○近江分科員 そうした過密地帯の問題につきましては、与党、自民党の中でも、特に都市部出身の若手の議員が、このままではたいへんだということで、政府を突き上げておりますが、そのように今日非常にこれは大きな問題になってきておるわけです。
 そこで、私もデータを、大臣もお持ちだと思いますが、たとえば小学校一つ例にとりましても、校舎面積、人口急増市町村は一人当たり三・九平米、その他の市町村は六・六平米。運動場の面積にしましても、急増市町村は八・四平米、その他は十六・四平米。あるいはまた一学級当たりの児童数にしましても、急増市町村は四十人、その他の市町村は三十人。あるいは、プレハブ校舎がどんどんとふえておりまして、急増地域におきましては九百五十一校、四千五百十一教室。そして夏になりますと、室温が非常に上がるわけですね。抵抗力のない子供は鼻血を出しながら勉強しておるのです。GNP世界第二位だといばっておっても、そういうわれわれのかわいい子供がそのように苦しんで勉強しておる。こういうことをそのまま放置しておいていいかということなんです。あるいは中学校で見ましても、校舎面積は、急増地域は五・二平米、その他は七・二平米。運動場の面積は、急増地域が十五・六、その他の市町村は二十二・五平米。一学級当たりの生徒数は、急増市町村は四十二人、その他の市町村は三十五人。プレハブ教室、これは二百八十六校、千五教室、こんなにあるのです。あるいは幼稚園にしましても、公立幼稚園の場合には、幼児人口に対する収容定数が急増市町村八・一%、その他の市町村は九・四%。園児一人当たりの面積は急増地は三・一、その他の市町村は三・五。プレハブを持っておる幼稚園は百二十六幼稚園、千四十五幼稚園の一二・一%に達するのです。保育所にしても、急増市町村については、公立保育所は三一・四、その他の市町村が四一・五。これは一例ですけれども、いずれにおきましてもこれだけの差があるわけです。
 そこで、大臣は根本的な対策をとらなければならぬということをおっしゃったわけですが、昨年も、渡海さんが自治大臣をなさっていたときに、私もそのことを、根本的な対策をとってもらうように言ったわけです。そのときには、人口急増地に対する特別立法をつくると明確におっしゃったのですね。それがいまだにできてない。そういうことで、おっしゃった以上は、これはどなたが大臣であろうと、これはもう政府の最高閣僚がおっしゃっているのですから、これはもう実現してもらわなければ困るわけです。そういう点からいきまして、江崎さんは大臣の中でもほんとうに実行力においては右に出る人がないくらいの大臣じゃないかと私は思うのです。そういう点で、江崎さんが在任中にこれはどうしても特別立法をつくってもらわなければ、根本的な対策というのはできませんよ。小手先にちょこちょこっとそんな予算をふやして、だんごのようにひっつけたって、これはもうどうしようもない問題です。過疎地については過疎立法があるのですよ。急増地というのは一番人口が集中しているたいへんなところですよ。ですから、どうしても江崎さんのときにこの特別立法をつくってもらいたいと私は思うのです。これについて大臣の決意をひとつお伺いしたいと思うのです。
#274
○江崎国務大臣 特別立法をつくることついて前任者がどういうお約束をいたしましたか、これは事務当局と十分打ち合わせをいたしますが、立法もさることながら、非常に急を要する問題でありまするので、ことしの予算措置においても、御承知のように、人口急増市町村の中で生徒児童がにわかにふえた地域、いわゆる指定地域の小中学校、この国庫補助金を二分の一から三分の二に引き上げることにする、あるいは用地取得費に対する国庫補助を拡充する、あるいは小学校の屋内運動場にかかる国庫負担率を現行の三分の一から二分の一にするという予算措置をとったわけでございまして、法律もさることながら、とにもかくにも実行するということが急務だと思います。したがいまして、法律の問題ももとより検討をいたしますが、なおこの不合理を是正すべき努力をしてまいりたい、これは強く認識いたしております。
#275
○近江分科員 いや、そういう緊急対策は、これはもう当然とってもらわなければならぬわけですよ。これはもうほんとうに緊急を要する問題ですから、どうしてもやってもらわなければならぬ問題なんです。しかし、私はそれだけではだめだと言っているのですよ。根本的にまず法律をつくる。緊急対策、これはもうやるのは当然なんです。過疎立法があるわけですから、まず特別立法をどうしても制定するということが私は一番大事だと思うのです。政府が日本列島改造論、いろいろなことを打ち出しておりますよ。おりますけれども、これだけ深刻な問題をかかえておることにつきまして、法律をまずつくる。骨をつくる。骨をつくらないで、小手先のことをしたって――それは大事ですよ。緊急にやってもらうことは申し上げておるとおりです。しかし、骨をつくってもらうということが一番大事だと思うのですね。
 ですから、そういうことで、今日これだけ経済的にいろいろな大きな問題が出てきておりますし、いままでの政策の転換ということが大きくいま反省を問われておるわけです。そういう点で福祉充実、そういう方向にいま転換されようとしているわけです。その第一問題として、この人口急増地に対する特別立法を制定する、私はこれはもう最高のことだと思うのです。これはやっぱり江崎さんでなければできないと私は思うのです。もう一度ひとつお伺いしたいと思います。
#276
○江崎国務大臣 これはもう前任者以来の懸案でありまするから、もとより前向きで十分これに取り組んでいきたいというふうに考えております。
 それもそれですが、私の言う意味は、できるだけ財政措置を緊急にする必要がある。やはり行政的な面でどんどん怠りなく進めていく。しかし、法律をそれは怠ることを意味しているのではありませんから、十分これは御期待にこたえるような努力をしてまいりたいと思います。
#277
○近江分科員 その緊急措置は、いま申し上げておるように、これはやってもらわなければならぬわけです。その立法について、怠るわけではないということをおっしゃっておるわけですが、そういう姿勢では弱いわけですよ。だから、これは自治省が中心になって、総力をあげて、確かにこれは厚生省であるとか建設省であるとか、それはあらゆる各省が関係してくることは私はよく知っています。むずかしいことはよく知っているわけです。だからこそ、それをできるのは江崎さんしかないと私は言っているわけだ。白羽の矢を立てているわけですよ。だから、どうしても江崎さんがここでほんとうに国民の負託にこたえて、あらゆるそういう難関があっても、火の粉を浴びてもやろうという大臣のその決意、その一念というものがやっぱり動かしていくわけですよ。やっぱり江崎さんがその一念に立ってもらわなければ動きませんよ。だから、その一念をお聞きしているわけです。もう一度ひとつ……。
#278
○江崎国務大臣 大いに熱意を燃やしておりますが、御承知のように、たとえば保育所の問題、これ一つを取り上げてみましても、このごろの家庭生活の現況からいいまして、全部の子供が保育所に行く、幼稚園に行く、特に保育所の時代の要請というものは非常に強いものがございます。そうすると、たださえ人口急増地域の、生徒児童急増地域の小中学校の三分の二補助ということをようやくここで前進させたところで、この保育所も解決する、下水道も解決する、これは容易ならぬことだと思います。しかし、御質問の趣旨はよくわかりまするので、私もから受け合いをしたくないから慎重に答弁を申し上げておるのですが、御趣旨に沿うべく関係各省庁と十分努力をしまして、特に大蔵省等がこの問題についてもっと認識を深めて、一歩も二歩も踏み出すまず雰囲気づくりを全力をあげて努力したいと思うのです。
#279
○近江分科員 その雰囲気づくりをするということをおっしゃっていること自体、これはもうずれているわけですね。そんな雰囲気づくりの段階じゃないわけですよ、いまは。立法することが特効薬なんですね。もうカンフルを打たなくちゃならないときなんですよ。そういうことで、これはもう何回も申し上げておりますが、いつもいつも、前向きにということの発言なんですね。ですから、それであれば、一歩も進まないと思うのです。ですから、関係各省、他の大臣の皆さんからも相当な反撃が出ることはあると思いますが、それは私らが大臣をささえて、これはあと押しもしまずし、矢面にも立とうと思うのですよ。そういうことで、大臣がやはり立法するというその決意に立っていただく、その決意はやるということ、これがやはり一番大事だと思うのですね。そういう決意にまず立っていただきたいと思うのです。立っていただけますか。
#280
○江崎国務大臣 決意をすることは、もういとも簡単ですが、やはり政治の問題というのは、十分関係各省庁と連絡をとりながら、可能性をまずつかむことが先決だと思うのです。したがいまして、あなたのその強い御要請は、ひいては私個人の選挙区の問題でもあります。それからまた、政府、与党の関係者諸君からも、平素強く言われておるところでありますから、これはひとつ、いつどういう形でするかということは、しばらく私におまかせいただいて、十分真剣に努力する、こういうことで御了承願いたいと思います。
#281
○近江分科員 前に渡海さんが大臣をなさっていたときには、もう来国会に出すと、そこまでおっしゃったのですよ。だから、関係各省庁の根回しとか、そうした実態を知らせていくPRとか、そういうものはもうできておると思うのですね。ですから、来国会に出すということを明言なさったということは、それだけの計算があったわけですね。それがいろいろな点でおくれたとは思うのですが、そういう点からいけば、階段でいえば、もうあと一歩足を上げればできる段階にきているのですよ。ですから、それは、江崎さんが非常に慎重な方であることも知っておりますけれども、やはりあと一歩――山登りでも一緒ですね。九合目まで来ますと、あと頂上まで上がるということは、これはもうたいへんなんです。ところが、その重い足を上げて、一歩頂上に上がったときには、ほんとうに何ども言えない最高の状態になるわけですね。ですから、その重い足をあと一歩引き上げるのは、私は江崎さんじゃなきゃできぬと思うのですね。ですから、それを何とかこの際大臣にひとつ踏み切ってほしいと思うのですね。悲壮なる決意でもどういうあれでもいいですから、ひとつ大臣に何とかここで決意してほしいと思うのです。どうですか。
#282
○江崎国務大臣 御熱意を込めての御要請は、ほんとうに同感です。
 ただ、問題は、保育所を私、例にとりましたが、保育所一つを取り上げてみても、財政措置は、これは相当大幅なものが考えられますね。したがって、ここでお約束する以上は、軽受け合いではお互いに政治家の仲間として、立場を違えて、いま私が政府の閣僚ということで、いいかげんな話はやはりよくないと思うのです。ですから、そういう問題をよくひとつ懸命に検討し、そうして具体的にどうするかというめどを立て、そして進んでいく。これは、私が何も慎重でちゅうちょ逡巡している、そういう意味じゃございません。これは、やりましょう、一緒にやりましょう、ひとつぜひ御協力ください、こういう態勢なんですね。
 しかし、問題はしかく簡単ではない。また、そうかといって、人口急増地帯の状況をこのままに放置しようというのじゃない。ことしでもずいぶん前向きな施策を活発に行なったわけですが、なおなおこの上の措置をどうするかという具体的なものがきまらないで、立法いたしますと言っても、きわめて内容空疎な立法になる。そういうものをまさか期待されるわけのものじゃありませんので、名実ともに整った立法措置をするためにはもう少し時間をおかしください、こういう意味でありまして、熱意がないというものではございませんから、そのあたりは御了解を願いたいと思います。
#283
○近江分科員 そうすると、具体的なそういう検討の作業に入られると思うのですが、それじゃ、その作業はいつから入られて、大体のめどということは――やはり全然目標もない、まあ、そのうちにというようなことではないと思うのです。ですから、もう具体的な作業にいつから入って、そうしていつを大体めどに立法化していくか、そこの辺のことについてお聞きしたいと思うのです。
#284
○江崎国務大臣 まさにもういまでもこの問題とは深刻に、真剣に取り組んでおるわけですね。したがいまして、いつからということでなしに、それはもう直ちにいまから一そう拍車をかけてこの問題に取り組みます。時期についてはできるだけすみやかに、こういうことでございます。
#285
○近江分科員 これ以上いきましても、平行線になると思いますので、この点はひとつ大臣にほんとうに総力をあげて関係各省と折衝もしてもらって、その立法化の作業に入ってほしいと思います。要望しておきます。
 それから、先ほど大臣は、できる限りの措置をしたということをおっしゃっておるわけです。三分の二に補助率を上げた、その点は評価もできるわけですが、たとえばこうした単価の問題にいたしましても、今日、非常に資材費が値上がりしておりますね。たとえば木材なんかも暴騰しておりますし、それにつれて労賃なんかもどんどん上がってきておるわけです。あるいは地域性ということから考えますと、たいへんなばらつきがあるわけですね。それを一平米当たり幾らというふうに、この単価はみな表が出ておりますけれども、これでは私はまずいんじゃないかと思うのですね。ですから、そういう地域性も加味する必要があるんじゃないか。そうしてさらに大幅にそれをアップする必要があると思うのです。それで、さらに用地の問題につきまして、四十六年から発足されたわけですが、これも私は評価するわけです。しかし、中身をやはりもっと濃くしてもらわなければならぬわけです。それでこれも単価の問題があるわけです。一万六千円から二万一千円にアップしたと言いますけれども、これも話にならない低さですし、あるいは足切り調整率、これが〇・五になっておるわけですね、五〇%。これも私はひど過ぎるんじゃないかと思うのです。しかも先行取得はだめになっているのですね。
 ですから、こういう問題、私がいま申し上げたような問題について、これは事務当局にお聞きしたほうがよくわかると思いますが、いま私が申し上げた何点かの問題についてひとつ簡潔に御答弁願いたいと思います。
#286
○西崎説明員 ただいま先生御指摘の、特に急増地域の問題につきましては、非常に学校建築において困難な状況ではございます。先ほど御指摘のように、三分の二の補助率かさ上げをやるわけでございますが、具体的に単価、基準面積の問題については個々に措置すべき必要がございます。
 そこで、全体の予算額で申し上げますと、四十七年度七百三十六億円でございましたものを、四十八年度は、予算歳出ベースで一千八十二億円、四七%の増額をいたしております。単価につきましては、超過負担の解消という見地も込めまして、物価上昇も含めて、これは鉄筋の場合でございますが、一〇・一%で解消しております。
 ただ、超過負担の解消につきましては、非常に私どもきめこまかく配慮をしておるつもりでございますが、具体的には、たとえば現在、床で申しますと、モルタル塗りでございますが、これはアスファルトタイルにするとか、サッシにつきましてはスチールをアルミサッシに改善するとか、天井とか腰壁などについても現在の一般的な施設水準で必要なものはこれを取り入れる必要があるというふうな見地でやっているわけでございます。
 特に基準面積につきましては、現在の基準面積が三十九年にできたものでございまして、若干、時代の要請にも沿わないというふうなこともありまして、今回二〇%の引き上げを行なうという予定にいたしております。予定と申します意味は、具体的には、負担法の政令できめることになりますので、二〇%ということは一応きめておりますが、個々具体的な部屋の問題とか部屋数の問題は政令をきめる段階においてセットされるというふうになるわけでございます。
 今後も単価の問題についてもいろいろと私ども心していかねばならない点があると思いますが、御趣旨の点も勘案いたしまして、いろいろと努力をいたしたいというふうに思う次第でございます。
 以上でございます。
#287
○近江分科員 用地取得費に対する国庫補助の拡充の問題、私、いま申し上げたのですけれども、この足切り調整率の問題であるとか、先行取得はだめであるとか、あるいは単価が一万六千円を二万一千円に上げているわけですけれども、この辺についてはどうなんですか。
#288
○西崎説明員 たいへん失礼いたしましてお答えを漏らしておりましたが、用地費につきましては、御承知のとおり、昭和四十六年度から創設されております。当時、歳出ベースで申しますと二十億、昨年が三十二億でございますが、昨年は二十億と三十二億合わせまして五十二億の歳出がございました。これに四十六億を加えまして九十八億円の歳出ベースの予算を計上いたしてございます。これは三カ年の年賦払いでございますから、国庫債務負担行為契約額としては三倍になるわけでございます。
 先生御指摘の、まず足切りの問題でございますが、私どもは交付率というふうに申しておりまして、この考え方は、やはり急増市町村以外の市町村でも学校用地を買う必要がある場合がございます。この急増市町村以外の市町村で学校用地を取得する場合には国庫補助をいたしておらないという実情がございまして、一般の市町村との均衡を考えまして、一般市町村が支出すべき分までは急増市町村も自前で御努力を願うというふうな考え方が先生のおっしゃいますいわゆる足切りの考え方でございます。
 で、この五〇%が適当かどうかという点につきましてはいろいろ御意見もあろうかと思いますが、考え方としましては、従来、過去三年の児童、生徒の増加が――小学校の場合五百人という場合大体十二学級でございます。この十二学級以下の場合、五百人以下の場合には用地費の補助対象になりませんものですから、そういう意味で、大体一般市町村は十二学級くらい、急増市の場合は二十四学級くらい、それより大きいものも若干ございますが、二対一という割合をとりまして、いま五〇%の足切り交付率というふうな考え方をとっているわけでございます。この問題についてもいろいろと今後私ども検討すべき課題かと思っております。
 それから、単価の問題でございますが、四十七年度は一万六千円の積算でございます。これにつきましては四十七年度も据え置きになっておりまして、これでは実態としてもこの予算積算ではぐあいが悪いということで、私ども、市街地の用地価格の上昇、不動産研究所の計数をとりまして三三%増で二万一千円という一応予算積算をいたしたわけでございます。
 ただ、現在予算積算はそういたしておりますが、執行の段階におきましては、実質取得価格もしくは公示価格のいずれか低いほうで、実際の金額で補助を執行してまいるということになりますので、五千円で取得できる場合には五千円の積算をいたしますし、五万円かかった場合には五万円での積算というふうなことをいたしてまいりたいというふうに思っておりますし、従来もそういう考え方でやっております。
 なお、単価の増額についても今後の課題であろうかというふうに考えております。
 以上でございます。
#289
○近江分科員 時間がありませんから、あと保育所の問題だけ一点聞きたいと思いますが、大臣、これは急増地のデータです。時間がありませんから、そのデータを見てもらっていきたいと思いますけれども、それを見てもらってもおわかりのとおり、国庫負担というものが、これはもう話にならぬわけですね。どうですか、これは豊中市の場合もわずか二・一%でしょう。守口市が六・九%、高槻市が四・七%、これが四月開園の保育所なんですね。こういうような現状です。ところが、法律の中には国庫負担は二分の一ということを書いてあるわけですね。ところが、聞いてみますと、全国平均三百万くらいだというのです。それで法律に二分の一とうたってあるのに、それをやらなければ、これは法律違反ですよ。そうでしょう。あとは起債のほうで何とかやっておるというような話もおそらく出るのじゃないかと思いますが現実に法律に二分の一とうたっておりながら、それをやっていない。これは法律違反ですよ。こういう問題をどうするかということですよ。どうしますか。
#290
○穴山政府委員 児童家庭局長でございます。
 現在保育所の国庫補助につきましては、御承知のように、非常に要望がたくさんございましたので、従来は補助基本額を定めます場合に、定員である程度定型化をして補助をして、その定型化した補助基本額の二分の一を補助するというような方法をとってきたわけでございます。
 それで問題は、その補助基本額というものが現在の現実の建築費と相当差があるというような問題があるわけでございます。
 そこで、私どもも四十七年度におきましては、たとえば九十人の保育所につきましては、四十六年まで大体二百五十万くらいの国庫補助額でありましたものを五百四十万に引き上げまして補助をするというような方法をとったわけでございます。もちろんこれはまだ改善の第一段階でございますので、四十八年度の実行計画を考えます場合には、さらにこれについて改善をして、このいわゆる補助基本額というものがさらに引き上げられるように努力をするつもりでございます。
#291
○近江分科員 時間がありませんから、終わりますけれども、この運営費にしましても、実際は四倍から五倍かかっているのですね。このデータ、私もこまかいのを持っておりますけれども、あるいはまた厚生省が一人当たり五平米しか見ていないのですけれども、実際上それでは園児が育ちませんよ。これは実際市町村でみなつくっているのは、一人当たりもっと大きいわけですね。それでも狭いわけですよ。だから、そんな現状に合わぬことを――それはただ金がないから、それを一人当たり平米を伸ばせばまた金が要るということで押えていると思うのですけれども、そういうことをもっと真剣に考えていただいて、もっと積極的に大蔵省とも折衝してもらって、とれるように努力をやってもらわなければ、もう長い間政府は法律違反をしているのですよ。そうでしょう。こういうことを、法律ができておりながら法律違反をしておるという、けしからぬ問題ですよ。ですから、日本列島改造もけっこうですけれども、こういうきめこまかな国民福祉の面で私はうんと力を入れるべきだと思うのです。まとめて大臣からひとつその辺の決意をお聞きして、終わりたいと思うのです。
#292
○江崎国務大臣 おっしゃるとおり、こういう問題はすみやかに解消しなければなりませんし、超過負担についても極力解消をはかって努力いたしておりまするが、あわせてこれなどの解決もはかっていかなければならぬ、御趣旨に沿うように十分関係各省庁と連絡をとって措置をしたいというふうに思います。
#293
○近江分科員 終わります。
#294
○倉成主査 太田一夫君。
  〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕
#295
○太田分科員 私は最初に、警察当局、国家公安委員長にそれぞれお尋ねをいたしたいと思います。
 「昭和四十八年における交通警察の運営について」という基本方針を策定されました。これに異存があるわけではありませんが、その内容が、第一には「総合的交通規制の推進」第二は「交通安全施設等の整備促進」第三は「交通警察体制の整備と適正かつ効率的な交通指導取締りの推進」第四は「高速道路警察体制の充実強化」第五は「運転者対策の推進」第六は「交通安全教育等の推進」第七が「交通事故分析の推進等による基礎資料の整備、活用」と相なっております。
 それで、その中の第三にあります「交通警察体制の整備と適正かつ効率的な交通指導取締りの推進」これに関連をいたしましてお尋ねをしたいのでありますが、問題点を若干具体的に反則金並びにその点数という点にしぼりましてお尋ねいたしますから、それぞれお答えをいただきたいと存じます。
 まず、国家公安委員長にお尋ねする点がございます。それは先ほど申しました「交通警察体制の整備と適正かつ効率的な交通指導取締りの推進」とあるその中の「交通指導取締り」という熟語は一体どういう理念を持つものでありましょうか。
#296
○江崎国務大臣 もともと交通問題というのは、文化国家に交通事故が多いということは全く国の恥でもあるわけでございまして、これを早く解消するということが急務であります。したがいまして、「適正かつ効率的な交通指導取締り」これは運転者を特に対象にしていえることではないか。それからまた、老人、幼児等の死亡者が最近多いわけでありまして、こういう人たちの交通上の心得、こういったものは適切に指導をしていく必要がある。そういうあたりにもこの「指導」がかかるわけでございます。
#297
○太田分科員 この交通の指導取り締まりというのは一つの熟語でありまして、もうすでに体系をなしておると思うのであります。これは片岡局長からお答えいただいてけっこうでありますが、指導は指導、取り締まりは取り締まりというようなぐあいに分けて考えるものではないはずであります。現在の道交法のたてまえからいいまして、指導取り締まりはうらはらでありまして、表から見れば指導であって裏から見れば取り締まりであったり、取り締まりが表面に出て指導が裏にあったりするということで、指導取り締まりは一体をなしていると思うのです。この点はよろしいのでしょうか。
#298
○片岡政府委員 実務的に指導取り締まりといっております場合には、指導というのは、検挙でなくて、警告をしたりするのを指導と申します。取り締まりというのは、違反として検挙するというのがわれわれ通常実務的に使っていることばでございます。しかし、法律上は交通取り締まりということで考えております。その交通取り締まりの中には、いま申しました指導取り締まり、警告も含めた取り扱いをしているというのが現状でございます。
#299
○太田分科員 そこで、反則金と反則の点数制度についてお尋ねをいたしますが、現在の反則点数というのは何が一番多いでしょうか。ベストテンと申しますか、おわかりでございましたら、多い順番に反則の項目を御列挙いただきたいと思います。
#300
○片岡政府委員 先生十分御承知のことと存じますけれども、交通違反で検挙をいたします、その中で現認、明白、定型的なものは、御承知のように、反則制度ということで、刑罰ではなくて、反則金を払えば起訴をしないという制度をとっております。したがいまして、まず点数の前に違反の中で何が多いかということがお答えになるのだと思いますが、最高速度違反が三二%、駐停車違反が三一・九%、この両方で約六四%を占めております。あとはだいぶ減りまして、通行禁止が七・二%、一時停止違反が六・三%、通行区分なり追い越し違反というのが四・九%、信号無視四・五%、そういう順序になっております。
#301
○太田分科員 スピード違反三二%、駐停車違反三一・九%、両方で六三・九%、四分六の六分以上のたいへんな件数であるわけです。
 そこで、最近のデータがございましたら、反則金の金額をお尋ねしたいと思います。
#302
○片岡政府委員 手元に資料がございませんが、四十八年度予算のときの予測として二百九十億ぐらいを予定しておったと思います。
#303
○太田分科員 それは累年の傾向から見ましてどうでございますか。
#304
○片岡政府委員 御承知のように、最近駐車違反の取り締まりが相当ふえてまいっております。したがいまして、たしか四十七年度は二百五、六十億だったと思いますが、次第に駐車違反の取り締まりの強化によりまして反則金の額がふえていっているように思います。
#305
○太田分科員 一割以上ふえているということでありますから、かなりの激増をしておると見ていいと思うのでありますが、これによる反則金の納付により、それぞれ付与された累積点数によりまして免停になった件数、それから免許取り消しになりました件数、それぞれ相わかるでございましょうか。
#306
○片岡政府委員 ちょっと手元に資料がございませんので、後ほどまた……。
#307
○太田分科員 局長、前歴なしの場合、免停は第五欄によりまして六点ないし十四点で免停三十日に相なると理解をいたしますが、この六点というものは、いまお話しになりましたスピード違反は、二十五キロ以上の場合は入らないわけでありますから、ほんのちょっとしたスピード違反、これの一点に入りますね。そういうふうに考えてみますと、一時停止の違反をやりますと二点点数がとられて反則金四千円、横断歩道の前におきますところの歩行者通行妨害というような、東京都内では幾らでも見られる現象でありますが、これを取り締まりますと点数二点、反則金五千円、車間距離不保持、実際上はやられておらぬと思いますけれども、これをやったら、反則金三千円の点数一点、これで五点でございますから、最近非常に多くなった駐停車違反の一点、三千円払うというようなことをやりますと、これだけで一万八千円払って六点、こうなるわけですね。
 それで、私は、この六点、政令による六点ないし十四点で前歴のない方が免停になるということについて、法律に定めてあることをとやかく言うわけではありません、これは考え直してもらいたいということを私は言いたいのでありまして、たとえば一たん停止などというものは、最近もう本気になって取り締まろうとしたら、どれほどあるかわからない。一たん停止とは何だ、車輪の回転の完全にとまったときをいうなんということを言っていたら、十人が十人、百人が百人、全部一たん停止違反だ。それから、横断歩道を通過する際において、歩行者が一たん歩道から下へ足をおろそうとする姿を見た場合においては、停車してその歩行者を通さなければならないといったら、東京都の交通なんというのは麻痺するのでしょう。
 ですから、こういうことをやっているのは、全部これはいなかでございます。いなかはひまだと言うと語弊がありますが、法律は厳正に執行さるべきものであり、交通事故はできるだけ減らすべきものだということから、至上命令がありますから、容赦はないですね。容赦はありませんから、片っ端から、それ横断歩行者の妨害行為である、それ駐車違反だ、何メートル足らぬとかいうようなことを言いまして、たちまちにサインを求められるわけです。そうすると、そのサインに応じなければどうなるかというと、文句があったらサインせぬでもよろしいと言いますよ。けれども、そこでぐずぐず言ったら、急いでいく自動車は間に合わぬでしょう。三千円くらいのことならいいわというようなことで、サインしてまいりますと、六点で、あなたは三十日免停でございます、こうくる。
 言うならば、指導取り締まりという面から見て、この非常に激増する交通事故と、それから交通の需要の増大というものを考えて、新道交法の運用というものはよほど適切でなければならぬと思うのですが、この免停というものの数が先ほどちょっと――私も不用意で、私自身も調べてまいりませんでしたので申しわけありませんが、かなり数が多いはずであります。
 この六点ないし十四点によって前歴なしの方々が簡単に免停になる制度、それはいやおうなしなんでございまして、弁疏する、疏明をするチャンスがないと言っていいのです。これは制度があると言えばいいのですよ。サインを拒めばいいのです。けれども、それは実際上、一般国民常識になじまない制度です。昔のように、警察の呼び出しを受けて、いろいろ交通課の取り調べを受けて、いろいろ話していれば、そうか、いま、ほんのちょっととまって、そこのところへ買いものに行っただけか、それじゃあ、あのところの駐車は少し出過ぎておるからいけないよ、この次はもう少し前に出して、間にとめないようにというような指導もできたと思うのですが、今度の場合の反則金は何でもないが、あの切符を見たらみんなふるえっちゃうというのです。六点ないし十四点の前歴なしの免停について、これをもう少し国民の感情にぴたっと訴えることができるような運用をすることはできないのですか。
#308
○片岡政府委員 いまの先生の御指摘の問題につきまして、二つの点で現在配慮をいたしておるつもりでございます。
 一つは、一番初めの、警察官が違反の取り締まりをするときに、これは内部でございますけれども寸一定の基準をつくっております。その一定の基準に満たないような場合は警告でやれ、あるいは指導でやれ、一定の基準から上は切符を切れという内部基準をつくっております。しかし、これは対外的には出すべき筋合いのものでもないと思っておりますし、執務の参考に使って、たとえば先生先ほど御指摘の、一時停止の場合には、完全にとまってしまうことを要求するような取り締まりはしていないと思います。非常にスピードダウンして、しかも安全を確認して行った場合には検挙していない、そういう指導をいたしておる、これが一点でございます。
 それからもう一つは、なるほど点数が無慈悲に形式的に積み重なっていくという印象は受けると思いますけれども、しからば、前はどうだったかというと、これは全国的に完全に掌握されていないし、各都道府県の公安委員会である程度幅がありまして公平でなかった、その点、この点数制度は非常に公平になったと思います。
 しかし、御指摘のように、公平ということは逆に機械的になるおそれがございます。それで現実には、具体的に点数が六点になればそれから停止が始まるわけですし、十五点になれば取り消しが始まるわけですけれども、これは府県の公安委員会が行政処分をするときの基準という性格のものに考えております。したがって、公安委員会の聴聞もございますし、また警察の代行による聴聞もございますので、そういうことで個々の特殊な事情というものはその際に考慮して判断していく、完全な機械的なやり方はしないということに相なっていると思います。そういう配慮は現在もいたしておりますし、今後も続けてまいりたいと思います。
#309
○太田分科員 そうすると、あらためて確認をいたしますが、六点になりましたから、自動的にコンピューターから出てきた点数を基礎にいたしまして、免停を取り消すなどということは、猶予するということはしないというようなことでなしに、都道府県の公安委員会におきまして、何か事情とかその人の何かを調べて、御相談に応じてあるいは事情等酌量して、そうして免停にするかしないかをきめる、まだゆとりがあるということでございますか。
#310
○片岡政府委員 制度的にはそういうものと了解しております。ただ、問題は、何と申しても量が多いので、すべてを公安委員会の公安委員さんが判断しているわけではなくして、少なくとも取り消しに関しては、公安委員会ですべて聴聞を経て、公安委員さん方の御判断の結果、合議により決定しておるというのが実情でございます。
#311
○太田分科員 反則金の対象になるものについて、累積点数は六点以上になりましたけれども、あなたは常日ごろ運転者としてのマナーがよろしいから免停にはいたしませんというような事例は、ほんとうにあるのですか。
#312
○片岡政府委員 マナーがよければ六点ということは私まずないと思いますが、個々の点数が六点になった場合に停止の対象にまず取り上げるわけであります。取り上げた場合に、非常に何か特異な本人の事情があった場合には、考慮しているという扱いを県の公安委員会はしていると思います。しかし、その考慮がほんとうに考慮に値するものであるかどうかという判断は、府県の公安委員会にあるというふうに考えております。
#313
○太田分科員 二十五キロ以上のスピード違反をいたしましたときにはどうなりますか。
#314
○片岡政府委員 六点になります。
#315
○太田分科員 二十五キロ以上の超過というのは、東海道一号線におきましても四十キロ制限区間が非常にたくさんあるわけです。したがって、六十五キロなんですよ。六十五キロというのは普通の、最高六十キロの区間は七十キロまでは違反の対象にならぬわけです。いつもならそれはいいはずだが、その区間は四十キロだ、二十五キロ超過した。普通に走っておったつもりなのが、いや応なしに免停に相なる。そういうことは、その人が前科があろうとなかろうと、どんなに常日ごろ安全運転に心がけておる人であろうとなかろうと、それに容赦ありませんよ。だから私は、そこの容赦のないところをお聞きするのでありまして、これには国民の協力を得て、交通警察に協力しようとか安全運転に協力しようなどと言わないで――そんなものは運が悪いか、いわゆる運否天賦だからそれはしようがないよというようなことで、投げやりの気風を醸成していると思うのです。江崎さん、いかがですか。ひとつ交通局長も協力していただいて、こういう点数の運営について、国民感情に合うように、善良な人をひどい目にあわせて恥をかかせるようなことのないように運用をひとつ考えてもらうということ、どうですか。
#316
○片岡政府委員 私、いまの具体的な御指摘の問題につきましては、むしろみんながあまり守れないような交通規制をすること自体のほうに問題があるんじゃないか。それでたとえば国道で相当車が通っていて、多くの車が違反するようなスピード規制をするほうにむしろ問題があるんじゃないかという気がいたしまして、そういう問題につきましては、そういうことがないように第一線を現在も指導しておりますし、今後もやってまいりたい、そのように考えております。
#317
○江崎国務大臣 いま交通局長から答弁があったとおりで、十分ひとつこれは協議して善処したいと思います。
#318
○太田分科員 警察関係を終わります。
 あとは学校の問題に入りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 これは高等学校の入学者の問題でございますが、ことし公立高校への入学希望者、この率をいま拝見をいたしますと、非常に低いのでございます。一一〇何%というようなぐあいで、一割か二割程度募集人員を上回っておるというような状態。ところが、私立のほうが非常に多うございまして、東京などにおきましては男子において十五倍程度の学校あり、女子において二十倍の高校あり、平均して東京の私立高校の競争率は二・三倍と承っておりますが、これは文部省からお答えいただきましょうか、ことしの進学の状況はどのように把握されて、何人ぐらい進学をあきらめなければならぬ人があると御推定でしょうか。
#319
○柴沼説明員 現在、高校入学の希望者の九八・四%に当たる者が高等学校に入学をしている、そういうことになっておりまして、しかもこの合格率は、年々わずかではあるが増加をたどっております。そのような意味で、先生がいま御指摘ございましたように、特定の高校を目ざす者は別として、事実上希望者のほぼ全員が高等学校に入学している、そういうことが言えるんではないか、そのように思っております。
#320
○太田分科員 だから、進学できない、振り落とされる者はどれくらいかという数はわかりませんか。
#321
○柴沼説明員 合格率が九八・四%でございますので、一・六%が高等学校に入れなかったということになるわけでございます。
 それから全日制の高校の志願者数は、中学校卒業者数が百六十二万一千七百二十八人で、そのうち全日制の高校を志願した者が百三十二万六千二百八十九人おりまして、そこへ入学した者が百二十九万九千五百二十六人ということで、合格率が全日制の場合九八・〇、それから定時制の数字はちょっといまここに出てまいりませんが、定時制を合わせると九八・四、全日制で九八・〇、そういう数字になっております。
#322
○太田分科員 たとえば愛知県の例で言いますと、公立高校の中で募集人員からはみ出してしまいます者が六千四百十一人あるのです。いまの数字、全日制ですが、三万人ぐらいしか入れない人はないというような話になると思うのであります。それはいろいろあるでしょう、学校もいろいろなものがあるでしょうけれども、普通都市部ないしは志願者の多い地域におきましては、これは施設が足らなくて片寄っておるわけですから、全国平均では三万人ぐらいしかはみ出す人がないということでございましょうが、東京あるいは神奈川、静岡、愛知、岐阜、それから滋賀、京都、大阪、兵庫というようなぐあいにいきますと、たいへんでございましょう。
#323
○柴沼説明員 御指摘の点でございますが、実は現在高等学校の生徒数の三〇%以上を私立が占めておりまして、その公、私立の配分の問題とか、そのような点でいろいろございまして、総計では九八・四%が入学している、そういう形になっております。
#324
○太田分科員 だから、公立が非常に競争率が少ないからといっても、一つの県で六千人も七千人もの優秀な生徒が学校へ入れない、こういうことが出るわけです。私立のほうは相当無理をして受け入れるだろうと思いますが……。
 さて、そこで自治省にお尋ねいたします。
 自治省としては、高校設置並びにその増強等の方針については、希望者が希望する学校に入れるように公立高校の拡大強化に努力するというおつもりがあるのか、それとも、先ほどのお話から聞いてみて、とてもないそでは振れない、金がないよ、だから何ともならないという状況でありましょうか。どんな現況とまたどのようないまのお考えでございますか。
#325
○江崎国務大臣 高等学校の設置に要する経費は、従来から地方債、地方交付税によって措置をしてきたわけであります。普通交付税の基準財政需要額の算定にあたって高等学校費の投資的経費、これを五百六億円算入することを今度の予算では予定をしておるわけでございます。高等学校生徒の急増が予想される地域につきましては、個個の地方団体の財政状況等を考慮しながら、事業の執行に支障のないようにできる限りの配慮をしていくわけですが、先ほど課長からも答弁のありましたように、私学が三〇%を上回る程度存在しておるということ、それから高等学校教育そのものが非常に普及して、進学率の多いことは私どもも承知をいたしておりますが、国家的には一応義務教育でないという点等々がありまして、十分直ちにというわけにはまいりませんが、先ほど申し上げましたような措置はとっておりまするし、今後もできるだけ期待に沿えるような努力を傾けてまいりたい、かように思っております。
#326
○太田分科員 期待にこたえていただければけっこうでありますけれども、鎌田さんが来ていらっしゃるから、財政の立場から一言おっしゃっていただきたいと思いますが、義務教育でさえも施設が足らないときに高校など何を言っておるか、義務教育じゃないじゃないかという気持ちがもし自治省の中にあるとするならば、たいへんだと思うのです。いまは希望するところへ入れないから、公立高校をあきらめて私立のどことかどことかというふうに流れていっておりますから、それで公立の競争率は少ないんですよ。高校全入なんて、希望者を全部入れるなんてことはぜいたくの至りだというようなお気持ちが自治省の中にあるんじゃないでしょうね。できるだけその希望するところに収容したい、こういうお気持ちがあるんじゃありませんか。
#327
○鎌田政府委員 私どもの立場といたしましては、高等学校をどれだけ公立でつくられるか、それぞれの自治体において御判断になるわけでございまして、その判断に基づきまして私どものほうに起債で申請が参ります。これにつきましては、ただいま先生がおっしゃいますようなことは全然申さないで、起債をそのままお認めしておる、こういうことでございます。
 ただいま大臣から基準財政需要額の話が出ましたが、そのほかに起債で、四十七年度でもおそらく二百五十億をこえるようなものをことし許可をいたす方針でございます。
#328
○太田分科員 時間ですからこれでやめますが、そうすると、財政局長、言うなれば、義務教育ではありませんけれども、高校を志望する子弟の多い現実にかんがみて、高校増設、収容力増大について、大臣の要望があれば財政上の処置は十分講ずる用意がある、こういうお気持ちだと了解してよろしゅうございますか。
#329
○鎌田政府委員 十分ということになりますと、これはおのずから起債のワクの問題もございますが、現在までのところにおきましては、設立を希望しておるところにつきましては起債をつけておる、こういう実情でございます。
#330
○三ツ林主査代理 林百郎君。
#331
○林(百)分科員 私は時間の関係上、自治体病院の現状と問題点ついて質問をしたいと思うのですが、現在、自治体病院の総数は四十六年度幾らになっていますか。
#332
○鎌田政府委員 自治体病院を設置いたしております団体の数は七百四団体、それから設置いたしておりまする病院の数は九百四十病院でございます。
#333
○林(百)分科員 それでは、単年度純利益をあげて黒字の病院と、単年度純損失決算を出しておる赤字病院、この比率は昭和四十六年度ではどうなっていますか。
#334
○鎌田政府委員 昭和四十六年度でございますが、単年度で純利益を出しておりまする事業体が二百十六事業、三百八病院、純損失を出しておりまする事業体が四百八十九事業、これは六九・四%でございますから約七割、六百三十三病院、こういうことでございます。全体的に申しまして、七、三の割合ということでございます。
#335
○林(百)分科員 それでは四十四、四十五と、単年度純利益をあげている病院のパーセントでいいんですが、それと、単年度純損失の赤字病院との比率の要するにパーセント、これはだんだんどういうように推移していますか。
#336
○鎌田政府委員 傾向といたしましては、純利益をあげておりますところが減り、純損失をあげておるところがふえておるという傾向でございます。数字で申し上げますと、単年度欠損金のある病院の比率を四十四年度から申し上げますと、赤字病院のほうが四十四年度が六三・二%でございます。それから四十五年度はちょっとこれが減りまして六〇・二%、四十六年度が六七・三%、そういう趨勢になっております。
#337
○林(百)分科員 まだ大臣の答弁はあとでいいんですが、大臣、これを四十二年度で見ますと、単年度純利益をあげている病院が五六・八%だったのが四十六年度には三二・七%になっている。単年度純損失をあげている赤字病院が四三・二%が四十六年度には六七・三%。これは黒字病院が漸減して赤字病院が漸増しているということはもう顕著だと思うのですね。
 それから、念のためにお聞きしますが、四十五年度と四十六年度のこの自治体病院の総収益と総費用、要するに赤字分、四十五年が幾らで四十六年は幾らだったんですか。
#338
○鎌田政府委員 四十五年度が九六・二%、四十六年度が……。
#339
○林(百)分科員 金額です。総収益と総費用の差の数字です。何億だったか。
#340
○鎌田政府委員 純損失で申し上げますと、四十四年度が百三十五億、それから四十五年度が百三十七億、四十六年度が二百十三億、こういうことでございますよ。また純利益のほうは、四十四年度が二十一億、四十五年度が二十五億、四十六年度が二十億、こういうことでございます。
#341
○林(百)分科員 そうすると純利益も漸減し、純赤字が漸増している、こういう数字が出ていると思います。
 そこで、累積欠損金ですが、四十五年度は累積欠損の計が幾らで、四十六年度は幾らになっていますか。
#342
○鎌田政府委員 累積欠損金は四十五年度が三百六十二億、四十六年度が五百三十六億でございます。
#343
○林(百)分科員 一年の間に百七十四億も累積欠損が増加になっているわけです。
 そこで、今度は不良債務の数字をお聞きしたいのですが、昭和四十五年度では額が幾らあって、四十六年度は額が幾らになって、医療収益に対する比率はどうなっていますか。
#344
○鎌田政府委員 不良債務の額は、四十五年度が二百八十四億、四十六年度が三百九十九億でございます。それから不良債務の比率は、四十五年度が一一・三%、四十六年度が一四・二%でございます。
#345
○林(百)分科員 大臣にお聞きしたいのですが、お聞きのとおり、自治体病院の実情は、赤字病院が漸次増加をいたしておりますし、累積欠損金も漸次増額しておりますし、それから不良債務の額も漸次増額している、こういう重大な時期になっていると思うのです。御承知のとおり、ことしは地方自治体の公営交通企業に対しては、これは全くスズメの涙と言ってもいいと思いますけれども、若干のてこ入れをしましたけれども、同じ自治体の公営企業ですが、自治体病院については、自治省としてはこのまま放置していいとお考えですか。あるいは何らかの対策をお考えになっているか。お考えになっているとすれば、その対策の内容と、それはいつからどういうようにやるとお考えになっているか。
#346
○江崎国務大臣 非常に財政内容が悪くなっておることは私どもも十分承知をいたしております。特は最近自治体病院においての特殊医療、それから高度医療あるいは僻地医療等、採算をとることがきわめて困難であるという部門を担当しておるそういう分野については、御承知のように、国の補助及び地方公共団体の一般会計の負担によって措置をして今日に至っておるわけです。そうでない面については、これはやはり利用者がサービスの享受の程度に応じて利用者負担をしていく、この原則を踏みはずすわけにはまいりませんが、自治体病院の果たしておる役割りの幅の広さ、深さ、こういうものを考えますると、いまのままではこれはいけないのじゃないか。これは厚生省とも今後十分協議をいたしまして、たとえば日赤その他に対してとられておりまするような措置等を含めて、なお具体的に検討してみる必要がある。
 また、自治体病院そのものも地域的にオーバーラップと申しまするか、地方公共団体が経営するものあるいはその他の団体が経営するもの、これが全患者数に比例しない形でずいぶん存立しておるということ、特に自治体病院の場合は、自治省においても今後指導することもできまするから、たとえば今後医療部門というものが専門化して高度化するに従って、隣の市と隣の市で外科と内科を区別するとか、やり方はあるように思うのです。その点は厚生省など関係省の指導を得ながら十分ひとつ協議をして、何らかの措置を具体化しなければならぬということを痛切に感じております。
#347
○林(百)分科員 とにかくもう少し具体的に聞いていきますが、やはり一つの問題は、独立採算制の問題があると思うのですね。大臣は、自治体病院の側でも合理的な立地条件と患者数とを考慮した配慮をする必要があるではないかというお話ですが、しかし、過疎地帯に行けば、この自治体病院は、一つから一つの間は何十里とある。そんなところにこそまた自治体病院が存在する意義があるのですから、やはり一つの自治体病院が総合的な病院としての機能を持つことは必要であって、大臣の言うように、こっちの自治体病院は外科だけだ、こっちの自治体病院は産科婦人科だけだというわけにはいかないわけですね。これは特に過疎地帯でそうだと思うのですよ。
 そこで、問題の一つは、やはり独立採算制の問題をどうするかということですね。これはやはり自治体病院は公共性を持っていて、独立採算で企業性を強く主張するというわけにいかない。要するに、企業性に親しまない病院があると思うのですよ。病院の性格を持っていると思うのですね。ことに救急病院あるいは行政病院、あるいは高度医療の病院あるいは公費医療の病院、先駆的医療あるいは特殊的医療、こういうような病院は、営利性を持てといってもこれは無理だと思うわけなんですね。したがって、一般会計からの繰り入れを建設改良費と企業債の元金の償還というだけに限ってしまう。しかもこれに限っても、企業債の元金の償還のほうへは回らなくて、普通の自治体の一般会計からの繰り入れがほとんど建設改良費あるいはその償却に充てられているという状態なんですけれども、この独立採算制を緩和する、こういう方向は考えられないのでしょうか。
#348
○江崎国務大臣 私、さっきのお話は、過密地帯のお話を申し上げたのですが、過疎地帯については、いま林さんがおっしゃるとおりだと思うのです。過密地帯において、当然患者数からいってペイするはずのものがペイしていない。それはオーバーラップしておる。やはり考慮を払わなければならぬ、合理化しなければならぬ。これは問題としてやはり残る、またあるというふうに私は思っております。
 それから、御承知のように、もうすでにいま御指摘のような実態の費目については、年々一般会計から多額の繰り入れをしております。四十六年度においては六百二十億。自治省としてはそれに対処するために病院の建設改良費、僻地に対する巡回診療、それから医師派遣の経費、特殊医療に要する経費、不採算地区病院、看護婦養成所などなど、そういった経費や高度医療機械の購入費というようなものを、四十八年度では地方財政計画上五百五億円措置をしておる。これで足れりとは思いませんが、そういう施策は怠りなくやっておるわけであります。もとより今後も高度医療、特殊医療等につきましては、抜本的な充実が必要であろうというふうに考えておりまするが、やはり利用者がそれ相応の負担をする、これは国民平衡の原則からいいましても必要ではないかというふうに考えます。
#349
○林(百)分科員 利用者の側からいいますと、保険制度がありますからね。保険制度以外に何をお考えになっているか知りませんけれども、保険料の引き上げでもお考えになっているかもしれませんけれども、そういうことはわれわれ承服するわけにいきませんが、一般会計からの繰り入れですね。要するに、資本的な収入、それに対して資本的な支出のバランスを見ますと、大阪の衛星都市十四市一町二組合、自治体病院が十九ありますが、これは四十五年の資本的支出が十三億九千二百二十万円です。ところが、資本的収入は四億九千七十一万円ということで、一般会計から繰り入れる資本的収入を見ましても、とうてい資本的支出に追いつかないような見方なんですね。これは無理もないと思うのですが、自治体の財政自体が苦しいのですから、自治体病院へ自治体としてそう一般会計から多額の金を出すことができないということは当然だと思うのですね。
 そういうところから、やはり国からの補助、これはあとでまた細部については聞きますけれども、国からの補助を、たとえば各種行政病院に対する財政措置を見ますと、精神病院、都道府県設置のもの、これは設置運営に関する経費の二分の一が国庫補助になっています。それから、これは大臣も御承知だと思いますが、精神衛生センター、都道府県設置のもの、この設置費用の二分の一が国の補助、それから結核療養所、市町村設置のもの、これは設置運営の二分の一が国の補助、性病が同じく二分の一、一般病院、公的医療機関、こういうようなものの中で保健所設置のものが三分の一、こういうように国の補助がほとんど二分の一に行政病院はなっておりますので、一般の自治体病院に対しても建設改良費、要するに、資本的支出に対する補助を二分の一にする、国の補助を出す、こういうことは将来考えられないでしょうか。自治大臣と厚生省の御意見を聞きたいと思うのです。
#350
○滝沢政府委員 ただいまの行政医療機関に対する補助については、先生のおっしゃるとおりでございますが、一般医療機関につきましては、特に政策的ながん、救急、小児医療、循環器疾患対策、こういうものに対しては、現在三分の一でございますけれども、補助を出しておるわけでございます。
 一般機関の新設につきましては、病床不足地区に対する医療機関の設置に対しまして補助できる道は開かれております。したがって、一般的に医療機関そのものの、先生のおっしゃる行政医療機関以外のものの設置について補助する場合というのは、病床不足地区に対する医療機関設置の場合だけにただいま厚生省の予算はなっております。
#351
○林(百)分科員 だから、それを一般病院にも、多額の費用を要する建設費あるいは改良費、それに対して行政病院と同じように二分の一の国庫補助をするような方向を将来考えられないかどうか。これは自治大臣と厚生省の滝沢医務局長の両方にお聞きしたいのですが、大臣、どうでしょう。将来そういう方向へ前向きに――一部行政病院にはそういう方向も出ておるわけなんですから、建設だとか改良だとか多額の資本的投資が必要な場合は、やはり国の補助で見てやるという――一般病院もですよ。行政病院はもう見ているわけですが、そういう方向を考えられないのですか。
#352
○江崎国務大臣 高度な医療とかあるいは特殊治療にかかわるものには、今日でも相当な助成をしてきておるわけでありまするから、今後それの拡充強化という形でぜひひとつ考えていきたいものだと思いまするが、いまどの程度にするか、これは関係省庁とも十分ひとつ話し合いをしながら検討したいと思います。
#353
○滝沢政府委員 説明が不十分でございましたが、一般病院そのものの建設についての補助は、現行では、政策的な意味の、不足地区に対する医療機関の設置には用意してございます。それ以外のものを、今後、現状におけるように医療機関が各地に散在しておる、これを地域医療計画ということで地域ごとに計画を立てた場合、これは医療基本法的な考え方に立つわけでございますが、これは先般の国会には提出いたしましたが、今回は、各方面の御意見等が非常に多岐にわたっておりますので、若干の日時をいただくということで医療基本法の提出を見送っておりますが、この医療基本法の考えで申しますと、地域医療計画というものが立ったときに、そこにやはり公的な医療機関の設置が必要であるということに対しては、先生のおっしゃるような一般的な意味の病院に対する財政措置というものは、やはり医療基本法的な考え方からいえば、私はこれを考慮する必要があるというふうに考えております。
#354
○林(百)分科員 わかりました。
 この独立採算制は、言うまでもなく、公共企業体の法律ですね、いわゆる公企法の適用とも関連してくるわけなんですが、公企法によりますと、一般会計で負担すべき範囲が法的に限定されている。その他の財政については、企業の経済性の発揮を十分高めなければならない。それから公的病院の持つ公共性、非営利性、公益的性格、これも一方では持たなければならない。要するに、企業の経済性と、自治体病院の持っておる公共性、非営利性、公益的性格、これとの矛盾が、自治体病院の中で相克していると思うのですね。それで、この独立採算制というのは、こういう中で企業性を高めるという作用としてこの条項が置かれておると思うわけですが、その結果どういう状態が起きてくるかというと、企業性を高める、独立採算を強めていくということから出てくる弊害としては、地域住民にとって必要な病院をあえて統廃合しなければならないとか、あるいは職員の数を減らし、合理化をするとか、あるいは下請化をする。この下請化については、病院の経営管理指導要項では、病院職員がやるほうが望ましいというようなこともありますけれども、こういうことが強化されてくる。一方、患者負担の増加、これは自治大臣が言うまでもなく、現実にそのことが行なわれているわけなんですね。そのはなはだしい例は差額ベッドの問題ですが、きょうもある新聞に大きくこの差額ベッドの問題が出ておりまして、「一日二万円の豪華室」「他にないといわれれば」やむを得ずそれも受けなければならない、「病院経営にもヒズミ」というような見出しで出ておるわけなんですが、この差額ベッドの問題ですね。これも、独立採算あるいは公企法の適用というようなことで自治体病院が締めつけられてきますと、こういうひずみが出てくるのは当然だと思うのですが、いま自治体病院でこの差額ベッドを徴収しておる病院の比率はどんなものでしょうか。どのくらいの病院が差額ベッドを取っているとお考えなんでしょうか。そういう中で、病院のベッド数に対して差額ベッド料を取っているパーセントの最高、平均、最低がわかったら――これは自治省より厚生省のほうがわかっているかと思いますが、この数字をちょっと出してみてくれませんか。
#355
○出原政府委員 現在自治体病院、公立の病院におきましての差額ベッドの状況は、昭和四十七年六月に調査をいたし、各都道府県から報告を求めましたものを集めたものが一番新しいものでございますが、それによりますと、公立病院のベッドの数が全部で十九万一千六百二十ございまして、その中で差額ベッドを設けております病床の数は三万二千八百七十四でございまして、率にいたしまして一七・一六%でございます。それから金額別でございますけれども、これは私ども集計をいたします際に国公立とかその他の医療機関別にはとっておりませんで、全体のものしか実はとっておらないのでございますが、その内容で申し上げますと、百円以下が全体の一〇%足らず、九・八八でございます。それから二百円以下が一三・八五%、三百円以下が一一・九七%、五百円以下が一八・四%、千円以下が二二・四五%、これだけ合わせますと合計で七五%程度になるかと思いますが、大体こういう状況でございます。
#356
○林(百)分科員 金額のことが出たからついでにお聞きしますが、私が質問したのは、病院のベッド数の中で差額ベッド料を取っておる比率ですね。その比率の最高がどのくらいで、最低はどのくらいで、平均どのくらい取っているか。
#357
○出原政府委員 個別でございますか。
#358
○林(百)分科員 わかったら個別で――各病院ごとでなくてもいいのですが、全国的なものでわかったら、最高どれくらいの比率か、ベッド数のうちで差額ベッド料を取っているベッド数の比率はどのくらい、最低はどのくらい、平均はいまどのくらいか。それからついでに、金額もあなたが言われましたけれども、最高はどのくらいまで取っているのですか。
#359
○出原政府委員 便宜上金額のほうを先に申させていただきますと、実は一万円以上ということで、その上は幾ら取っているのかというのは実は調査いたしておりません。一万円以上が〇・三六%。ほとんど一万円に満たないものでございます。これは日額でございます。
 それから個々の病院でどの程度の差額ベッドを持っているかにつきましては、今回の調査が、こういう総計で各都道府県から報告を求めました都合上、個別のものについては私ども承知をいたしておりませんが、これは全体の経営主体別に申し上げますと、国立が、大学の病院等を含めまして一〇・一八%、大体一〇%でございます。厚生省関係の国立病院だけでございますと三%ちょっとでございます。それから公立が、いま申し上げました一七・一六%、それからそのほかの公的な医療機関というのがございますが、これが二八%、それからそのほかの法人としてやっておりますのは四二%、全部平均しまして二〇%程度になっております。個々につきましては実は承知をいたしておりませんのですが、いろいろ聞くところによりますと、五〇%をこえるもの、あるいは七〇、八〇になるものも中にはあるようでございます。こういうものについては漸次率を下げるような指導をいたしておるわけでございます。
#360
○林(百)分科員 きょうの新聞を見ましても、日赤あたりでも「昨年暮れ、日赤富山病院で差額ベッドが一〇〇%という事実が明らかになった。驚いた厚生省は、さっそく改善計画書を出すよう指示した。」こう出ております。自治体病院の中でも実はベッド数の一〇〇%に差額ベッド料を取っているという例を私どもも知っております。改善と言ったって、さっき言ったように、独立採算と公企法を適用していって企業性を発揮しろといえば、国の補助がなければこういう方向へいくよりしかたがないじゃないですか。どういう指導ができるのですか。これは局長にお聞きします。差額ベッド料を取るということについて、取らないような指導をするということは、どうするのですか。
#361
○出原政府委員 いまの私どものほうできめておりますのは、健康保険におきます入院料とそれとの差額の問題でございますが、元来保険の給付は、現在の医療水準あるいは生活水準等に照らして必要にして十分な医療を供給するというたてまえでございまして、ただ、入院患者によりましては、一般の部屋だけでは満足せず、特別な設備を有する個室等を要望する者もありますので、これは私どもは一がいに退けるべきものではないと考えております。したがいまして、その趣旨から、従来、一般的には差額の徴収病床の割合を個々の病院について全病床の二〇ないし二五%以内にとどめるよう、できるだけそういうことにするよう指導をいたしておるわけでございます。特に自治体病院等の公的医療機関につきましては、その本来の設立目的等にかんがみまして、その取り扱いについては細心の注意を払うようにということで指導をいたしておりまして、そのような例が出ましたときには、都道府県を通じまして改善をさせておりますので、私どもは今後ともその方針で引き続いて指導いたしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
#362
○林(百)分科員 改善と言っても、公企法が適用されて独立採算が強制されて企業性を発揮するということになると、こういう方向へいかざるを得ないんじゃないですか。これは差額ベッド料を取るベッド数が公的な病院でもだんだんふえてきている中で、これはどうしても根本的にはやはり公共企業体に関する法律ですね、公企法あるいは独立採算制そのものに根本的に考慮し、国の補助を増額していくという方向へ進まなければ、差額ベッド料を取らないような指導だけしたところで、それは絵にかいたもちになるんじゃないかと思うのです。
 大臣にお聞きしますが、現に東京都では一ベッド当たり年に十七万五千円、大阪で一ベッド当たり三万五千円の補助をしておるわけなんです、一般病院に対しても。
  〔三ツ林主査代理退席、主査着席〕
だから、国としても自治体病院に対して、交付税、あるいは特別交付金というような形でもけっこうですが、これによって一定の補助をしてやる、こういう方向への改善は考えられないでしょうか。
#363
○鎌田政府委員 いまの病院関係に対しまする特別交付税の措置でございますが、四十六年度におきまして、たとえば二百床以上のところでございますと、一ベッド当たり三万八千円、それを四十七年度は四万七千円にアップいたしております。あるいは結核病院でございますと、一ベッド当たり六万三千円、前年度四万八千円、こういうことで、私どものでき得る範囲内におきまして特別交付税において措置を強化いたしておるところであります。
#364
○林(百)分科員 それでは大臣にお聞きしますが、特別交付金で一ベッド当たり三万八千円平均……
#365
○鎌田政府委員 三万八千円は四十六年度であります。四十七年度は四万七千円。
#366
○林(百)分科員 これに対して、松江市の市立病院からの陳情では、これを十万円にふやしてもらいたい、大阪市では五十万にふやしてもらえないか、こういう陳情も来ておりますが、これは漸次増額をしていくことを考えられておりますか。
#367
○江崎国務大臣 これは御承知のように四十六年から四十七年でも九千円増額をいたしておりますので、漸次増額をしていくことは当然考えなければならぬと思います。
#368
○林(百)分科員 もう一つの問題で、これは日本の医療制度全般の問題ですけれども、総医療費三兆円のうち四三%が薬価代だということがいわれておるのです。これは厚生省にお聞きします。最近の数字ですけれども、これは国際的に見ると、総医療費のうちで薬価代は大体二〇%から一五%というのが国際的な基準のようですけれども、こういう薬価代へ総医療費の四三%もいってしまう、そして医師だとか、あるいは医療に従事している技術者とか、あるいは看護婦だとか、そういう人たちの技術に対する適正な評価、それから保険点数の適正な配分、そしてそういうものに対する点数の適正な配分ですから、当然対価が考えられなければなりませんが、そういう日本の国の医療制度を根本的に――薬価代に総医療費の四三%もいくというような、こういうことに対する改善の方法を厚生省は考えておらないのでしょうか。
#369
○出原政府委員 厚生省のほうの社会保険の診療報酬の面におきましての薬価が占める割合については、御指摘のとおりでございます。その点につきましては、従来から薬価につきましてこれを実際の取引の価格にできるだけ近づけるということをすべきであるということで、中央社会保除医療協議会の建議に基づきまして、毎年一回薬価の調査をいたしまして、薬価の現実の価格に近い薬価基準をつくるということで、それによって低減いたしましたものにつきましては技術料に振り向けるということで中医協の御指摘、建議をいただいて、毎年薬価調査をやった上でそういうことにしておるわけでございます。なお、診療報酬の改定の時期におきましては、御指摘のような、技術を尊重するといったような診療報酬をきめるという方向で中央社会保険医療協議会で御審議を願いまして、その建議に基づいて逐次改善を加えておるような次第でございます。
#370
○林(百)分科員 それに関連して看護婦の不足の問題で、「酷使怒る都立病院看護婦」という見出しで、ことしの三月一日のある新聞にこういう記事があるのです。「都立病院に勤務する看護婦は二千四百人で、組合の調べによると一月現在で五百三十人不足している。このため“一人夜勤”がふえ多い人は月に十三回も夜勤をするというハードスケジュール。このため腰痛などの故障者が相次いでおり、妊娠した人のうち半数が流産や死産になっているという。都立病院は多くの患者が押しかけているのに、常に一割から二割のベッドはあいたまま。看護婦不足から患者を収容しても十分な看護体制がとれないためで、入院が必要な患者がいても泣く泣く「いまベッドがいっぱいなので……」と断わっている。」こういう実情だということが書いてあるわけなんですが、この看護婦さんの不足、国立はまだいいとして、ことに自治体病院の看護婦さんの不足、そしてそれから来る労働条件の悪化、低賃金、そのほかの労働強化、こういうことに対しては、自治省と厚生省、労働省、それぞれどう考えておいでしょうか。
#371
○滝沢政府委員 看護婦一般の不足問題につきましてお答えいたしますけれども、実は医療法の中に、看護婦が、入院の場合四人に一人という一つの標準を定めてございます。わが国の病院で、診療所にはその定めは適用しておりません。現在の病院数と看護婦の就業者数とを比較いたしますと、この四人に一人という数字ではほぼ適合するということでございますけれども、実は先生いま東京都の例で引かれましたように、四十年に人事院から夜間勤務に対する一つの判定が出ました。少なくとも二人の夜勤というものが原則的に望ましいんだ、一人で夜勤しているという状態は逐次解消すべきである。こういうことになりますと、少し説明がこまかくなりますが、二人の夜勤者がいるようにして、なおかつ、その一組の看護単位、五十名なら五十名の病棟単位で、週休、休みがとれるようにする、なおかつ、それを二人夜勤の上に八日というのが判定内容でございます。一月に夜間勤務をする日数を八日にしなさいというのが人事院の判定でございますので、その方向に努力をしてまいっております。従来のペースで看護婦の養成をやってまいりましたが、その判定は人事院の判定でございますから、国の直轄である国立病院、大学、厚生省等の国立病院でまず実施するわけでございますから、これを一応の、たとえば国立病院の場合には五十、五十の看護単位が幾つもございますけれども、そのうちの五十ぐらいの看護単位のところはまず二人夜勤でやろう、あとの残りを一人夜勤。一人夜勤をするチームを組み、八日間という夜勤日数を限定しますと、計算上、婦長を含めてどうしても九人必要でございます。それから二人夜勤が週一回休みをとるようにしながら八日という夜勤を限定しますと、計算上どうしても十六人要る、こういうことで計算してまいりまして、当然当面努力はしてまいりましたけれども、いままでの体制でいきますと、約三万人前後の現状においては、その五十、五十という程度を設定して考えた場合、さらにもっと早く二人夜勤の単位をふやせという声もございますが、そういう要望にだんだん片寄るとなると、ますますこれに追いりくまでの間の問題があります。当面そういうような新しい事情の発生、それから救急医療その他の医療の看護の高度化、濃密化、こういうことによって、もう二人どころじゃない、三人、四人の看護の要る人工じん臓の問題、こういうような医療の内容の変化、そういう一つの大きな変動の中で、われわれが計画してまいりました従来のペースの養成計画では現状において不足の状態である、これを解消するためには、厚生省の社会保障五カ年計画、これを大臣から御下命いただいておりますので、これについて相当思い切った看護婦養成計画を立てる必要がある、こういう段階でございます。
#372
○林(百)分科員 自治省の答える前に一つ。
 国のほうはこのたびも夜勤手当三百五十円を千円に上げたというように聞いております。しかし、そうなりますと自治体病院のほうは三十億円余分に費用が要るようになります。それから当直料がいままでは六百二十円であったのが、これは安過ぎるので千五百円くらい、二倍から約三倍にする予定だというように聞いております、国のほう、国立病院のほうは。そうすると自治体病院としては五十億の赤字が出てくる。要するに、国立病院はまだこうやって国の予算で夜勤手当や当直料を上げることもできるわけですけれども、自治体病院のほうは、自治体の財政からいって、なかなかそういかない。そして看護婦の全体の数を、日本と主たる資本主義各国を見ますと、人口十万に対して看護婦の数が、日本は二百七十五・三、スウェーデンなどは千七十六・八、アメリカが八百九十九・〇、イギリスが四百二十九・〇というように、私のほうの調査では数字が出ております。自治体病院は国の病院よりもより一そう看護婦の不足ということが深刻になるし、また、国のほうで看護婦の夜勤手当あるいは当直料を上げるということになると、自治体の病院のほうもこれに準じて上げていかなければならないと思うのですが、この看護婦不足問題について大臣はどういうように対策を講じていくお考えですか。これも自治体病院としては切実な問題でしてね。
#373
○鎌田政府委員 御指摘のとおり、自治体病院の看護婦の養成につきましては――それとあわせましてお医者さんも足りないという問題があるわけでございますが、看護婦の確保についてはほんとうに困っておる。そこで、一つは、みずから自治体病院におきまして看護婦養成施設を持たれる、こういうことで、それにつきましては、私ども財政計画で四十七年度は十二億、今年度はそれを二十億にふやしておるわけでございますが、そういう措置をとり、それからそれぞれの自治体におきまして、みずからの養成施設以外に看護婦さんの卵に修学資金を出す、お医者さんの卵に修学資金を出す、そして修学を終えたならば病院に勤務してもらう、こういうことでやっておるわけでございますが、これにつきましては、交付税で標準団体におきまして千六百万余りのものを措置をいたしておる、こういうことでやっておるところでございます。
 それからいまの看護婦の夜勤手当の問題でございますが、これは率直に申しまして、私ども自治体病院を所管しておるものといたしましては頭の痛い問題でございます。社会保険診療報酬の中にこれを織り込んで改定をしていただきたいということを厚生省のほうに私どもはお願いをいたしておるところでございますが、社会保険診療報酬の改定という問題はなかなか大きな問題でもございますし、私どもといたしまして、一方におきましてはそういうことをお願いしながら、他方におきまして、これは病院に現実に金がかかることは間違いないところでございますので、それぞれの自治体におきまして可能な限り合理化の努力で生み出してもらう。どうしても合理化の努力において生み出せないものにつきましては、別途一般会計からの財源措置というものを考慮せざるを得ないであろう、こういうことで考えておる次第でございます。
#374
○江崎国務大臣 これは政治問題ですから、私からもお答え申し上げておきますが、看護婦の夜勤手当が三百五十円から千円にふえたからといって、決してふえ過ぎではないと思います。これはもう当然のことですね、いまの物価指数、また勤務の実態からいって。ですから、自治体病院においてもこれは措置をしなければならぬと思います。こういう政治的な問題につきましては、私ども関係閣僚に十分協議をいたしまして、実質的に合理化のできないところはやはり国において何らかの措置をするというような形で実現をはかってまいりたいと思います。
#375
○林(百)分科員 時間がありませんので、あと、それでは私のほうの党の政策を兼ねて、自治体病院財政対策特別委員会というのが御承知のとおりあるわけです、そこからの希望を述べて、希望に対してどういうお考えを持っているかということを答えていただきたいと思うのですが、その前に、ベッドの規制の問題、自治体病院としては企業性を貫くというと、やはりこれを廃止してもらいたいという希望が強く出てくるわけでございますが、しかし同時に、これは民間の開業医さんとの利害も錯綜してくると思うわけですけれども、われわれとしては、開業医の皆さんのほうには技術の対価を適正な対価にして、開業医さんが十分成り立っていくようにすると同時に、公立病院に対し、特に国公立病院に対する――国のほうはないわけですが、自治体病院に対する病床の規制、この規定を廃止すべきではないかと思うのですが、そういう方向は厚生省としては考えてないのですか。時間がありませんので、簡単に答えてください。
#376
○滝沢政府委員 簡単にお答えして誤解があるといけませんけれども、一応規制が法律上医療法で定めがある以上、われわれとしては医療審議会におはかりしまして、地域的に人口段階ごとに格差を設けておるわけでございますが、この格差の解消ということが、当面、委員の中の一部の方の強い主張でございますので、今回の改正につきましても、一番下の五万未満の段階のところを、五万以上十万までの段階のところに近い、五十七という数字になるべく近づけるという努力をいたしまして、審議会の意見が一致して、今回告示をしておるわけでございます。そのような方向というものは、やはり規制がある以上、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、自治体病院の一つの特性、いわゆる高度、不採算性の医療を担当するという意味の加算制度は別に設けてございます。絶対病床の増加ができないというわけではございません。その辺との勘案をしながら、やはり審議会の意見を十分尊重してこれをやってまいりたい。ただ、地域医療計画というものが基本法的にできますれば、私は、やはり撤廃というか、別の角度の問題にこれは変わるべきものであるというふうには、私なりに判断はいたしております。
#377
○林(百)分科員 わかりました。
 それでは、もう時間の関係上、対策について二、三お聞きしますが、自治体病院の財政対策特別委員会の希望、またわれわれももっともだと思いますが、一つには、これは大臣にお聞きしておきたいと思いますが、起債ですね。ことに、多額な費用を要し、それから営利性が少ない施設あるいは設備の改良、あるいは高度の医療技術を持つ機械の買い入れ、こういうようなことに対する起債の条件、この基準を改善して、いま私が申し上げましたような財源に充てるための起債条件を自治体病院の場合は考えてもらえないか、その場合の起債の利率を、なるべく安い利息の起債にするようにして、償還期限を延長するようにしてもらえないか、こういう起債の問題が出ておるわけなんですが、これについてはどういうようにお考えでしょうか。
#378
○江崎国務大臣 現在でも、御承知のように、そういういま御指摘のようなものには助成をしておるわけでありますが、その幅を広げる、これは当然今後検討に値する問題だというふうに思います。
 それから起債の利率は、国で六・二%、比較的、市中金利等に比べれば低いわけでございますし、償還は二十五年ということになっておりますので、まあまあこの程度のものでないかというふうに考えます。
#379
○林(百)分科員 いまある自治体病院の起債の条件の緩和、改善という点はどうでしょう。私は詳しいことは知りませんけれども、やはり何か条件があるのじゃないですか。許可基準の改善という希望が出ておるのです。
#380
○鎌田政府委員 いまの起債の査定にあたりまして、たとえば建物でございますと、面積でございますとかあるいはこの単価等についていろいろ基準を定めておるようでございます。私そこまでこまかくタッチしておらなかったものでございますので、不満足なお答えで恐縮でございますが、よく精査をさしていただきまして、改善をはかるべきものは改善をはかってまいりたいと思います。
#381
○林(百)分科員 それから、大臣、自治体病院の運転資金を貸し付けてもらうような制度を設けてもらえないだろうか。低利の資金を貸してもらうという制度、これは起債に準ずるような制度ですが、こういう希望があるわけなんですけれども、これについては何か御考慮なさっているのでしょうか。
#382
○鎌田政府委員 運転資金の長期低利の資金を貸してほしい、まことにもっともな話でございますけれども、これにつきましては、率直に申しまして、公営企業全体に共通する問題でもございますし、現在の経営状況につきまして、私どもも、公立病院、公営病院の経営のあり方というものにつきまして、ある程度問題点を集約いたしまして、これから取り組んでまいりたいと思っておるわけでございまして、その中の一環としてこの問題は検討いたしてみたいというふうに考えておる次第でございます。
#383
○林(百)分科員 それから、病院事業の経営が非常に苦しい現状にかんがみて、都道府県においては市町村病院に対して補助金の交付、無利子の資金の融資等の援助を――都道府県においては市町村、都道府県に対しては国ということになるのでしょうけれども、都道府県から市町村に対しての補助金の交付、無利子の資金の融資、援助の措置等が望ましいということが出ておるし、先ほど私申し上げましたように、東京都あるいは大阪府ではすでにそのことが実現されているようでありますけれども、これを広げていくような行政指導については何かお考えでしょうか。
#384
○鎌田政府委員 自治体病院の基本的な問題といたしましては、ただいま先生からもるる触れられたところでございますが、私どもやはり基本的に、先ほど御指摘になりましたように、収入のほうは社会保険診療報酬しかないわけであります。社会保険診療報酬を基本にいたしますところの料金収入というのが、四十六年度の決算の実績でございますが、一二%程度しかふえない。それに対しまして、人件費、薬価代、こういうものは二割からふえていく、どうしてもこれはそろばんが合わないことになるわけでございますので、その辺のところも、いまの社会保険診療報酬の基本的なあり方の問題でございますとか、あるいは先ほどお触れになりました病床の規制の問題でございますとか、あるいは医者、看護婦の確保の対策の問題でございますとか、あるいは僻地医療なり高度医療なりというものに対する財政措置のあり方、こういったようなものをひっくるめまして、どのようにして自治体病院というものが地域の医療需要にこたえられるように財政が回っていくかということにつきましては、少しく私ども時間をかしていただきまして、基本的に取り組んで問題点を洗い出して検討してみたいというように考えておる次第でございます。
 そういう問題の一環として、いま幾つかおあげになりました点が出てまいると思いますが、自治体病院は県もやっておりますれば市町村もやっておる、こういう状況でございまして、財政的にある程度余裕のある府県でございますとそういう措置もできるわけでございますが、大多数の地方団体でございますと、自分のところの財政もなかなか回っていかない、こういう中でございますので、全体がうまくいくようなそういう妙手というものが、私ども知恵が出てまいりますかどうか、なかなかむずかしい問題でございますけれども、そういう問題の一環として考えてまいりたい。いまのところ、府県に市町村の病院に金を出してやれよということを私ども積極的に言うだけの実は府県に豊富な財源があるというふうに考えておらないものですから、ちょっとその点はむずかしいかと思います。
#385
○林(百)分科員 それじゃもう時間ですから、最後に大臣にお聞きしますが、時間がありませんでしたので私の思うことも十分質問という形で表現できなかったのですが、累積の欠損金を見ましても、昭和四十五年に三百六十二億円だったものが、四十六年に五百三十六億、一年に百七十四億円も欠損が増加していくということですね。来年、昭和四十八年度ですか、公営の交通企業に対しては何らかの処置をしましたけれども、あれも決して十分だとは私たち思いませんし、あの程度のものでとてもとてもわれわれ満足すべきものではないと思いますが、しかし、いずれにしても、その方向へ自治省としても目を向けてきた。次は自治体病院の問題にこれは何らかの手を打ちませんと、毎年毎年、九百四十幾つですかの病院が百七十四億円もの赤字を増加していくという状態では、これは何らかの措置を至急打たないと、この欠損はもう累増していく一方ですね。あなたは先ほどから他の議員からもだいぶ激励されているようですけれども、あなたの在任中にでもひとつこの問題について積極的な取り組みをして、何らかのめどをつけて関係者に明るい希望を持たせるような措置を講ずる必要があると思いますが、最後に、真剣にこの問題を考えていただきたいと思うと同時に、何らかの具体的な措置を講ぜられることを約束されるかどうか、ひとつその点をお聞きして、私の質問、時間が参りましたので、終わりたいと思います。
#386
○江崎国務大臣 これは何らかの措置をとらなければならぬわけで、従来でも、先ほど来審議の過程で申し上げたような助成措置や融資やいろいろめんどうを見てきておるわけでありまするが、ただ、ここで根本的に問題になりまするのは、公的医療機関が非常な赤字を出しているその原因は何か、もう先ほど来の議論にありますから繰り返しませんが、私的医療機関、特に私立の病院というものは相当な利益をあげておるということですね、これは一体何であるか、こういう問題なども考え合わせながら、もう少し根本問題をよくよく検討しなければならぬと思います。そうかといって、根本を検討しながら助成方途や従来の対策措置がおくれてはなりませんので、もとより従来の措置を拡充強化していく、こういう方向で自治省としては臨みますが、根本的な再建、立て直しの方途を、これは自治省はもとよりでありまするが、それぞれの医療機関においても十分責任をもって検討してもらいたい、こう思うわけです。御趣旨の存する点はよくわかりますので、関係省庁と十分連絡をとって、すみやかに何らかの結論を得るように努力したいと思います。
#387
○林(百)分科員 終わります。
#388
○倉成主査 八木一男君。
#389
○八木(一)分科員 私は、江崎自治大臣はじめ政府委員の方々に同和問題を中心に御質問を申し上げたいと考えております。
 先月二十八日に、予算委員会の一般質問で、私は、江崎さんをはじめたくさんの国務大臣のおられるところで、田中内閣に、私どもの申します部落解放行政、政府の言われます同和問題の解決の問題について御質疑を申し上げました。そこで残念ながら時間の関係上江崎さんから御答弁をいただく時間がなく、失礼にも存じ、残念にも存じておりましたが、私のあのときに申しましたことについて、江崎さんのそれについてのお考え方をひとつ伺っておきたいと思います。
#390
○江崎国務大臣 八木さんが同和問題に非常な熱情を傾けられることに全く心から敬意を表したいわけです。特にあの質問の過程を通じまして、同和対策事業を実施していく上に超過負担が生じたり非常に財政的に苦しんでおる、これは何としても自治省としても今後も関係各省庁と連絡を密にしながら措置を講じなければならないということを痛感したような次第でございます。
#391
○八木(一)分科員 質問の趣旨の重点を大臣が把握していただいて、その点非常に満足に存じます。
 この問題は、いま、御承知のとおり、自治体が非常に熱意をもって取っ組んでおりますが、その超過負担があるために自治体の財政が非常に苦しい、そのために同和対策事業を進める点のブレーキになっている、あるいはなってくるという状態でございますので、その超過負担をなくす方向でぜひ問題を御推進をいただきたいと思うわけであります。ことに自治体の熱意と現状を知っておられる自治省としては、ほかの省よりはかなり積極的に対処をしておられること、ある程度評価をいたしたいと思いますが、問題の重要性にかんがみましてまだまだ足りないわけでございます。一そう御推進をいただきたいと思うわけであります。
 そこで、実は自治省におもに地方自治体が要望する中心の点は、第十条、すなわち、起債分に対してその元利補給を普通交付税で交付をする。元利償還金の十分の八を普通交付税で交付をする。交付税不交付団体に対しては同率で特別交付税で交付をするという条文でございますが、その適用を非常に熱心に要望をいたしておるわけであります。この点について実は同和対策事業特別措置法が制定をされる審議の過程の中でいわゆる確認事項というものがございまして、時の野田自治大臣は、かなり制約した方法でそれをやろうということを言っておられるわけであります。この点、その審議の過程においても、私どもも含めてこの対処のしかたが非常に不十分であったと考えております。そこで、この確認事項の最後に、御承知のとおり、床次総務長官が内閣全体を代表して、この法律は積極的に活用をしていきたいということを総括的に一番中心点として答えておられるわけでございまして、そのあとで時の総理大臣の佐藤さんから、この同和対策事業特別措置法、そのときにはまだ審議中で成立しておりませんでしたが、これができ上がることによってようやく緒についたところである、これをさらに進めるために政府を鞭撻督励をしてもらいたいということを言っておられるわけであります。その二つは、当時の野田自治大臣の答えた確認事項よりもはるかに重みがある、はるかに重大な問題であります。
 そこで、その後、地方自治体が第十条適用を、野田自治大臣の限った考え方によるようなことではなしに、これを全部に適用してもらいたいという非常な要望がある。またその要望をするだけの実態があるということを考えまするときに、この法律の中ではそれを制約される条文はないわけであります。したがって、第十条適用を、たとえば国庫負担または国庫補助をした事業に限るということではなしに、第十条を地方自治体が取り組んでおります同和対策事業に適用するということを、ぜひ踏み切っていただきたいと思うわけです。
 この間自治省の方や大蔵省の方に聞きますと、いろいろ論戦があるようであります。その点は、大蔵省があらゆる業種、あらゆる事業について国庫負担に踏み切ったならば三分の二の国庫負担がある。それを大蔵省が業種をごく限って指定をして特別調整をやるために、そのしわ寄せが全部自治省にかかってくるという状態であることを私は存じております。この点については、大蔵政務次官と主計局の次長がおられますから、私またこの時間内に緊急に追及をしたいと考えておりますけれども、それはそれとして、それは政府部内で、大蔵省のほうがあらゆる事業にこの国庫負担、国庫補助を適用されることによって、自治省が第十条を適用された場合でも、その交付税に要する金額は大蔵省のほうの支出になって、自治省のほうの支出が少なくなるという点がありますが、これは政府部内の問題であります。少なくとも自治省としては、この問題に熱意をもって取り組んで超過負担に悩んでいる自治体のことを考えられて、第十条適用に踏み切られる、すべての同和対策事業について、それが国庫補助、国庫負担の対象になっておらなくても、踏み切られるという積極的な姿勢をぜひ持っていただきたいと思うわけであります。その点について江崎自治大臣のぜひ積極的な御答弁をいただきたいと思います。
#392
○江崎国務大臣 これは自治省としては非常な熱意をもちまして、対象事業種目を年々拡大して今日に至っておるわけでございます。
 御指摘のように、これはやはり国庫補助金を得て行なった事業に対して行なうということで、あの審議の過程で野田自治大臣等からもお答えいたしておりますが、これは八木さん非常に御熱心な御主張であることは私どももよく存じております。しかし、どうもこの十条の適用については、法制定の経緯、それからあの当時の質疑等々を通じまして、まことに残念でありまするが、同和関係住宅の建設事業、地方単独事業というものについては適用しにくい、これはもう現在でもそういうふうに私どもも理解しておるわけでございまして、極力幅を広げ、また事業種目等考慮できるものは十分考慮してまいりますが、この点についてはひとつ御了承を願いたいと思うのです。
#393
○八木(一)分科員 その点は、御答弁は非常に不満であり、残念であります。それではいままでのことと一つも前進がないわけであります。
 この特別措置法というものをつくるときに、急速にしなければならないから四党協議会等で詰めました。それからまた専門家会議で一切は詰めました。そしてこのことになったわけであります。なったわけでございますけれども、政府のほうに多くのスタッフの方がおられない状態の中で、議員がそのときは善意を生かして熱意をもって詰めた問題であります。ところが、政府が多くの有能な職員をかかえられてそしていろいろなものを推進しておられる。自治体が実際の状態を前にして熱心に取り組んでおられる。そこで、そのときに詰めた問題が不十分であり、誤りであったという条件が出てきておるわけです。そのことをおもんぱかって床次総務長官も、積極的に活用していく、そしてさらに時の佐藤総理大臣が、これは緒についたばかりだ、鞭撻督励をしてもらいたいということを言っておられるわけであります。この二つが一番大事なことであって、そのときに野田自治大臣の答えたことは――私自身質問者でございますが、全部適用すべきである、私はその当時から言っておりました。ところが、そういう状態でああいう答えになったということは、その問題についての理解なり熱心の相違があったわけです。しかし、それはその当時みんながすっかり先を見通しておらなかったから、そういう状態で、全体を早く通すためにそういうことになったわけです。その後の事態が、超過負担で非常に多くの自治体が困難をしておられ、そのために大事な問題が推進できないということは、床次総務長官の言った積極的に活用する、佐藤総理大臣の言った鞭撻督励をしてもらいたい、これは緒についたばかりであるということは、まだまだ不十分であるからこれをやらなければならないという意味であることは、お互い日本語を正確に解釈をすれば、わかるわけであります。そうなれば当然一年後、二年後にこれはやり方を変えられなければならないのが、じんぜんいままでになっておらぬ。しかも特別措置法はすでに五年を経過いたしました。時限立法で、十年間で解決をしなければならないというときに、ここで踏み切らなかったら、ほんとうに同対審の答申の精神あるいは特別措置法の推進の精神を踏みにじることになるわけです。ぜひ熱意をもった江崎さんの手でその壁を突き破っていただきたいと思う。
 ところで、根本は大蔵省にあります。大蔵省が全部これを指定すれば、いままでのいわゆる不十分な慣例でもそのままいくわけであります。大蔵省にこれから徹底的に追及し、この予算分科会だけではなしに、国会を通じて、それから国会以外の行動を通じて徹底的に追及をしてまいりまするけれども、また愛知大蔵大臣が積極的な姿勢を示されれば変わると思いますけれども、なかなかに大蔵省というところはつまらぬ昔の壁を積極的に破ろうという姿勢が少ない。それに対して自治省自体がその壁を破りていただきたい。法律には、自治省が第十条適用を、どの場合にしてもいけないということは一つも書いてないわけです。その当時野田自治大臣とそのスタッフがそう考えただけであって、ほんとうにこの問題に熱意をもって江崎自治大臣がその熱心なスタッフとともにやれば、これはできることであります。ですから、そういう点でぜひそれを推進していただきたい。
 さらに、大蔵省がいろいろなものを指定しないから、第十条適用のために財政的に自治省に貧担がかかってくる、大蔵省はそこでのほほんとしておるという、政府の中の各省間のアンバランスの問題については、私どもも追及しますから、自治省も大蔵省に、当然すべてのものに三分の二の国庫負担を適用しろ、それは大蔵省から直接の費用で出るはずですし、そうしたら補助裏に対してだけ十条適用すればいいのであるから、たとえば交付税の財源の問題について、そうやってもらわなければ自治省としては困るということをどんどん言っていただいたらいいと思う。言っていただいたらいいと思うけれども、それでそれまでの間そうしないということではいけません。よいことはよいことだからやろうという熱意のあるところが先にやる、そして熱意の少ないところも恥ずかしくなってそれをやるということになります。大蔵省も熱意をもっておると思う。政務次官と辻さんは熱意をもっておられると信じたいと思います。いままでの大蔵省はそうではありません。これは熱意競争です。今度は大蔵省の山本さんのほうから答弁いただきますけれども、自治省はそのことを心配しなくても大蔵省は全部指定する、そうなったら自治省は全部十条適用しなければならぬという答弁があることを期待しておりますけれども、きょうは自治省に対する御質問でありますから、自治省のほうを先に申し上げているわけであります。
  〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕
 ところで、大蔵省が三分の二の適用をした場合の補助裏に対して十分の八を出す、九三・三三三%、これは実質単価が確保されていませんから完全にはそうなっていませんけれども、それだけが同和対策事業に国から金が出るということです。十条適用だけであればこれは八割しか出ない。だから、十条適用だけでは、出るのがほんとうは少ない、そういう問題です。だから自治省が先にやられても、当然大蔵省はそれに取っ組んでやれば――自治省がやられる問題よりはまだ国から出すお金が少ないわけです。自治省が先行してやり過ぎだなんということは、大蔵省がどんな立場であっても言えない立場です。総理大臣も自治省はやり過ぎだなんということは言うことはできない立場であります。田中角榮総理大臣がそんなことを言ったならば、これは前から政府が国会を通じて国民に約束したことをじゅうりんしておるものであるということで、総理大臣自体が徹底的な追及の的になるわけです。ですから、そんなことは心配要りませんから、自治省として第十条適用を断行するということをやっていただきたいと思います。それについて、これはいままでいろんな問題がありましたから、ぜひ直ちにやるとお答えをいただきたいわけでございますが、二、三日の余裕は必要でありましょう。必要でなかったら、それでもう一番けっこうなんですが、これを実現する方向で至急に検討をしてやっていくという御答弁をいただきたい。
#394
○江崎国務大臣 八木さんの御熱意は全く敬服いたします。私どもも国庫補助の対象の事業につきましては年々ふやしてきておるわけで、もっとふやしたいと思うのです。ただ、いかにも原則的な話をここで申し上げて恐縮ですが、どうも公営企業、準公営企業というような事業の収入が地方債の元利償還に充てることができるというものについては、あの審議の経過を検討いたしますと、第十条適用は骨が折れる、無理ではなかろうかということを感じておるわけであります。しかし、もとより御熱意の存するところはよくわかりますので、今後にもかけまして十分この国庫対象事業の幅を広げたり、同和対策事業に熱意を込めて努力をしてまいりたいと思っております。
#395
○八木(一)分科員 ぜひ強力な御努力急速にやっていただきたいと思います。
 何か補助の人がよけいなものを持ってきたようですが、公営企業とか何とか――公営企業の問題も、もちろんそれは解決してやっていただきたい。公営企業というような、何か家賃収入があるような問題が問題点ですと、こういうサジェスチョンをしたのでしょう。その問題もやってもらわなければなりません。そうじゃない問題もたくさんあるわけです。そうじゃない問題については、そういうくしゃくしゃしためんどうくさい論議ではなくて、すぐできるわけです。そうじゃない問題がたくさんあります。それをぜひやっていただく。首を縦に振っておられますから、やられるということに理解をいたしまして、問題を早く進めます。
 それから今度実際の問題に移りたいと思います。
 そういうような非常に地方自治体を苦しめる状態の中で、さっきおっしゃった公営事業の問題で――公営事業というよりは公営住宅の問題で、これは御承知のとおり土地の値上がりという問題で――これを地方自治体がどんどんやっていかなければならないけれども、非常に土地の問題で財政的に負担が多いわけであります。その問題について、昭和四十四年、秋田自治大臣と山中総務長官が相談をされまして、この問題について特別交付税で対処をすることを実現をされました。その公営住宅の土地の問題、またそれに類した、たとえば改良住宅の中の土地整備費以外を残した住宅の部分に対しまして、土地の三分の二の国庫負担がありますが、その補助裏の部分とか、そういう問題を含めて、この土地代に対して特別交付税、これはさっき言った特別交付税と違いまして、その前から同和対策にある特別交付税でございます。さっきのは、普通交付税で起債の元利償還金の十分の八の補てんをする。不交付団体には同様特別交付税で対処する。そのものとは別にある、前からある特別交付税で対処しておられる。それが率が四年間停とんしておりましたけれども、今度少し上げていただきました。非常にこれは、自治省、たいていぼろくそ言うのですが、自治省がかなり熱意をもってやっておられることで、評価をいたしたいと思います。ただ、ぜひ率を上げることを再度ひとつ――ことしはそれであっても、来年からせめて十分の八までそれを上げていただくようにやっていただきたいと思いますが、それについての積極的な御答弁をひとつ承りたいと思います。
#396
○江崎国務大臣 どうも感謝していただいて恐縮ですが、そういうわけで自治省としても非常に熱意を燃やしておりますし、関係各省庁もこの問題については同様熱意を燃やしております。しかし、あなたのその一生懸命な御努力ぶりというものは、これはみんなが認めておりますから、今後もこれは一緒に解決してまいりましょう。
 そこで、元利償還金については、いまおっしゃっているように二分の一から三分の二にしたわけです。その建物につきますると、これは国の責任において制度的にまず解決をする問題だというふうに思います。したがいまして、同和関係住宅の建築に対する国庫補助制度全体を根本的に再検討をしてどうするかということになってまいらざるを得ません。十分検討いたします。
#397
○八木(一)分科員 江崎国務大臣は非常に勉強しておられます。勉強しておられることを、制度を伸ばすほうに使っていただきたい。制度を伸ばしてほしいという要求を何とか合理化して避けながら答弁するほうにはお使いにならないで、制度を伸ばすほうにひとつ使っていただきたいと思います。
 そこで、いま建物のことをおっしゃいました。建物については来年度は少なくとも十分の八にしていただくようにぜひお願いをいたしたいと思うのですが、それについての積極的な御返事をひとついただきたい。
#398
○江崎国務大臣 これはやはり同和対策事業特別措置法の趣旨に基づいて、国の責任で制度的にどう解決するかというのが基本だと思います。十分努力してまいりたいと思います。
#399
○八木(一)分科員 その次に建物の問題であります。建物の問題は、家賃を取っているからそれでまかなえという、公営住宅全体の問題でそういうへ理屈が出てきておる。実際の住民なり実際の地方自治体のことを考えていないわけです。いままでそうじゃなかった状態で出たへ理屈は突破しなければならない。同和対策事業特別措置法なり同対審答申は、何百年放置された問題をせめてこれを回復しなければならぬということでやっているわけですから、いままでやっておった制度には乗らないわけであります。それをぶち破っていかなければ、これはできないわけであります。ですから、同和対策事業特別措置法の最初のころには、どのようにしてぶち破るか、これでもうしばしばぶち割れると思ったら、やってみたらぶち割れていないというなら、七、八割でなしに、十割あるいはさらにそれ以上にやっていくという努力ができなければ、これは停とんするわけであります。たとえばこの住宅というものは、二種公営住宅あるいは改良住宅というようなもので、家賃というものはその性質上たくさん取ってはいけないものなんです。その家賃は、たとえばその建物のほんとの修理代にも当たらぬわけです。せいぜい修理代である。ですから、その前のものをこれで改修するというような金額になってはいけないし、なるはずのものではないわけです。そうなれば、それで収入を得るからそれで財源措置をしろというような従来の感覚が全然これには当てはまらないということです。そういうことですから、建物に対してもそれを対処していただきたい。へ理屈を徹底的に粉砕することが江崎国務大臣の有能な決断と実行でもできないようなけしからぬ抵抗があったら、これはわれわれも徹底的に追及しますが、少なくともその過程の間においても、これがたとえば十割とか八割までいかなくても、五割とか四割とか、そういうことは、いま言ったような、たてまえは家賃で改修してやられるということが、実態はそうではない。同和問題は特別な措置を全部やっていかなければならないし、法律的にも行政的にもいままでの慣例を破っていかなければできないということをしていただいたならば、建物の問題についても土地の問題と同じように特交の対象ということはできるはずです。それをぜひ江崎さんのその熱情とそれから非常な学識と、それから政治に対する貫禄、そういうこととあわせてぜひ突破をしていただきたい。江崎さんに非常に期待をかけておるわけです。それをぜひやっていただきたいと思うのです。これをほかの人たちが何とか言ったら――私の言っている理屈は、簡単に申し上げましたけれども、これは明らかに確かな理屈であります。それにブレーキをかける理屈は、いままでの慣例を破りたくない、いままでやってきた役所のメンツを破りたくないというような、同和対策事業をほんとうにやろうという大きな目標から比べたら取るに足らない理由であります。そのような間違った官僚主義――中にはいいところもあるでしょうが、しかし、国民に負託された国務大臣であるあなたは、そのような間違った官僚主義の壁は突破していただかなければならない。ぜひ決意をもってこの住宅のほうの問題についても特交が出るように全力を尽くしての御努力を期待いたしたいと思います。これについて、江崎さん、どうです。
#400
○江崎国務大臣 これは、先ほども申し上げましたように、やはり国の責任において制度的にまず解決する、したがって、同和関係住宅の建築に対する国庫補助制度を根本的に再検討した上で対処をする、こうならざるを得ませんが、十分検討をいたしたいと思います。
#401
○八木(一)分科員 大体けっこうな御答弁ですが、十分検討となると、官僚システムで――官僚システムというと、官僚の方ばかりおられるから、不愉快かもしれませんけれども、ここにいる人は有能な人ばかりだ。有能な人ばかりだけれども、いままで立てた理屈をざっくばらんに、世の中が変わった、このことは別なことだ、それを変えようということについては、ほんとうに変な抵抗があるわけです。そのような国家公務員のメンツのために何百万の人間の問題が解決しないということは許されない問題である。江崎さんも頭がいいけれども、この方々も江崎さんと同様に頭のいい人がいるでしょう。しかし、これは政治家の責任であります。そのような間違った官僚主義――部分的にです。全部官僚主義が悪いとは言いませんけれども、間違った官僚主義を突破するのは政治家の責任でありますから、ぜひ江崎さんにこの問題を突破していただきたい。ですから、いろいろな問題と関連して――ということは、徹底的に来年あたりまでにこれを片づけてやっていただくことがけっこうであります。また、そこまで江崎さんの有能さでもいかない場合は、具体的に自治省だけでもできる問題をやる。根本的な解決もやはり自治省だけでできる問題はやる。急速にやらなければ、この五年間に間に合いません。そういうことをぜひやっていただきたいということであります。先ほどから首を縦に振っていられるから、そうやっていただくことだと思いますが、一つ一つ確認したいのです。時間が来たと、何かがちゃがちゃ言っていますから、総体的にあとで、そのとおりにやりますということを言っていただきたいと思います。
 その次に、それではそっちのひっかかりのほうで……。
 実は自治省自体の直接大蔵省に要求する予算は、ごくわずかの消防施設の点であります。この消防施設の点について、これは第一次査定でも減らされているし、決定額でも減らされているということであります。一昨日私は愛知大蔵大臣にこの問題で分科会で大蔵省の担当で聞きました。この問題についてびた一文も大蔵省が削減することを許さない、許すべきではないということを申しました。それだけではなしに、各実施官庁が要求したことを、それが少なければ、なぜもっと要求せぬかということをやるのが大蔵省の任務であり、主計局の任務である。そのことについて愛知大蔵大臣は完全理解をされて、そのとおりやります、いままでのは誤りだったということを言われたわけであります。このことは二回ほどやりましたから、山本さんも辻さんも御承知のとおりでありますから、確認をされたものとして言っておきたいと思います。
 そこで、自治省は交付税その他で地方自治体のめんどうを見られるところが多いけれども、自治省自体が大蔵省に要求される部分については、どうかひとつびくびくしないでどんと要求を取る。このことについては大蔵省は一文も削減をしないということになっているのですから、一文でも削減をしたら、自治省は食ってかかって、削減を許さないということをやっていただきたいと思います。それについても、総括的なお答えでけっこうですから、そういう御決意であるという確認をいたしたいと思います。
#402
○江崎国務大臣 御激励、まことに感謝にたえません。大いに決意を新たにしてがんばります。
#403
○八木(一)分科員 最後に大蔵省に申し上げたいことは、実は前からあった特別交付税という制度があるためにわずかに救われているわけです。この特別交付税というのは、交付税全体のワクの中のパーセンテージがきまっております。その特別交付税というものは、この同和対策の問題が出るまでは、災害その他に対処するものが主体のものだった。災害が起こっていないからしあわせですが、大災害が日本の国に起こると、特別交付税がそれだけ少なくなる。そうなれば、特別交付税で対処していた同和対策はそこでとまるおそれがある。この特交の制度も、また交付税の制度も、地方自治体の超過負担なしにこれをやっていかなければならない。超過負担は一般的にも問題ですけれども、特に同和対策事業は、その問題に対処しなければならないことが濃厚な府県と希薄な府県がある。濃厚な市町村と希薄な市町村がある。そうなれば当然これは交付税で徹底的に対処しなければならない問題だ。しなければならないことをやるためにほかの行政がそれだけ圧迫されるということはいけないわけだ。だから、ぐんとやらなければならない問題でありますが、交付税自体のワクがきまっている、その中の特別交付税のワクがきまっているということでは、これは問題であります。したがって、同和対策の特別交付税について、そのワクを、大蔵省がいまの三分の二の国庫負担の助成を同和対策の全事業に適用する。三分の二じゃ足りないから、大蔵省がこれを十割で適用して実質単価でやるということをされましたならば、特別交付税は別にワクをふやさぬでもいい。それをやる御決心があるか。それがなければ、これを十割にする御決心があるかということが一つ。
 それからあらゆる問題について第七条の助成の対象にしなければならない。これは確認をしておかなければならぬ。あらゆる問題にしても、七割のままであればその残りの三割分について、三分の二であれば残りの三分の一についてそういう問題が起こりますから、そういう場合三分の二を固執されるならば、この同和対策における特別交付税のワクをいままでのワクと違って別なものを財政上確保して、そして自治省が後顧の憂いなしにやってもらえるようにしなければならない。十割給付に全部踏み切るか、あるいはまた、補助裏についての特交その他の交付税の財源を大蔵省のほうで自治省に確立をされるか、そのどっちかをされなければならないと思う。それについて山本大蔵政務次官の責任をもった答え――責任をもった答えというのは、どっちかをやるということです。十割給付にするか、あるいはまた、残りの交付税について交付税のワクを特別にふやすということであります。このことについて伺っておきたいと思います。
#404
○山本(幸)政府委員 先ほど来、自治省の問題についていろいろお話がありましたので、私もその関連のことを大蔵省との関連において承ったわけでございます。
 そこで、従来から、補助対象の範囲を広げる、あるいは補助率を上げるという問題は、大蔵省が予算を組むときにたいへんに各省との間で苦心の存するところでございます。先ほど来八木先生がきわめて熱心に御主張をされる、要するに、結論としては全額国庫で持つという、そういう御主張であります。まあ国庫補助は、従来から見ますればだんだんに同和対策事業についても拡張をされつつあり、そうした建物もありますし、あるいはいろいろ事業といいますか、そういう土地とか建物とかいうそういうものではないようないろいろな事業についても、新しい費目についてだんだんに国庫補助等の対象にしてきておる経緯もございます。したがいまして、姿勢としましては、同和対策の非常な重要性、重点政策として政府も考えていかなければならぬわけであることは申すまでもありませんので、そういう方向では確かに前向きに動いてきておることは間違いない、また今後もそういう考え方で引っぱっていかなければならぬことは当然だと私は思います。そこで、いま先生御提案になったその問題につきましても、同じような線に、そうしてひとつ前向きに考えていきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 ただしかし、おっしゃるとおりに一〇〇%満点がとれるようなことにいきますかどうか、これは私はなかなかそう簡単にはまいらない、こういうような感じも持つわけでございます。先生は、イエスかノーか、返事をせいということでございますが、私は元来そういうはっきりした御返事を申し上げにくい立場にいまはある、こう思います。そこで、満点をとれるような御返事は、この場合は先生の御満足のいくような御返事はできにくいですけれども、事の筋道としては、先生のおっしゃるように前向きに、先ほど来自治大臣がおっしゃいますように、政府の姿勢全体もそうでございますから、そういう方向でひとつ努力していきたいと思うわけであります。
#405
○三ツ林主査代理 予定の時間を過ぎておりますので、ひとつ急いでお願いします。
#406
○八木(一)分科員 まだ申し上げたいことがありますが、残念ながら時間切れでございますので、別の機会に申し上げたいと思いますが、大蔵省、そのような決意でしっかりやっていただきたいと思いますし、自治大臣に先ほど申し上げて一々御答弁を求めなくて非常に失礼でございましたけれども、さっき申し上げて首を縦に振られたこと全部について全力を尽くしてやられるという御決意をひとつ伺っておきたいと思います。
#407
○江崎国務大臣 同和対策事業の重要性というものは、全く大切な問題だと思っております。これは十分一緒になって努力いたしましょう。これはお約束いたします。
#408
○八木(一)分科員 終わります。
#409
○三ツ林主査代理 片岡清一君。
#410
○片岡分科員 江崎大臣、長時間でたいへんお疲れのようで恐縮でございますが、いわゆる裏日本と表日本の行政格差ということにつきまして、若干御意見を承りたいと存ずる次第でございます。
 私の郷里では裏日本ということばはジンクスになっておるのでございますけれども、そのことば自体が非常に一つのコンプレックスを住民は感じますし、また、みずからそれを言うと何となくみじめな思いをするので、言わないことになっておるのでございますけれども、きょうはひとつ端的にそのことばを使って実態をいろいろ明らかにし、そして大臣の御見解を承りたいと思いますので、あえてこのことばを使う次第でございます。
 そこで、まずこのことばの持っておる意味あるいはその実態といいますか、これをどういうふうに大臣が御認識になっておりますか、ちょっとそのことについて一言承りたいと思います。
#411
○江崎国務大臣 表日本と裏日本ということばは、いかにも日本の明暗を分けたような表現でありまして、私も遺憾なことばだと思っております。私、中部圏開発整備法の提案者でございまして、その当時までときどきうっかり裏日本ということばを使って、そして北陸路の議員から叱正をされたわけです。自来そういうことばを使わないようになったわけでありまするが、昭和三十七、八年ごろから急速に経済が発展いたしまして、過密過疎の問題を生みまして、何となく日本海側に面する県が過疎地域という形に変貌したことは、いかにも残念に思っております。まあそういうことを調整し解消するために、田中総理が日本列島改造をひっさげて立ち上がったわけでありまするから、今後ひとつ有効適切に列島改造を実施いたしまして、この過密過疎の問題も解消いたしますと同時に、日本海側といわゆる太平洋ベルト地帯との均衡をとっていく。私は、田中総理がいつも言われる国土輪切り論ですか、高速道路で日本海側と太平洋側を結ぶ構想というものは、やはり一つの卓見であるというふうに考えております。これが今度東京と新潟を結ぶ高速道路になり、また名古屋と富山を結ぶ高速道路としてもう実施計画に入ってきたということは、こういう問題を解決していく上にもたいへん効果的であろうというふうに考えております。
#412
○片岡分科員 ただいま大臣が、表日本、裏日本の、特に裏日本の問題について非常に理解ある態度、見解をお示しいただきましたことは、たいへんありがたいと存じます。ところが、自治大臣の御郷里と私の郷里の富山県とは、ちょうど正反対のところにあるわけでございます。日の当たる表日本に生まれられて、自然の恵みを十分享受せられたおしあわせな大臣であられると思います。したがいまして、私は、裏日本におけるみじめな日常生活の実態というものは、大臣にはほんとうはなかなか正確にはおわかりにならぬ、こういうふうに思うのでございますが、これはまたやむを得ないことだと思っております。
 私は、裏日本と表日本との格差の最大なものは、やはり何といっても、そのことば自体が示しておりますように、日本国土の裏と表という関係だと存ずるのであります。表側というのは、どうしても日当たりがよろしくて、そして毎日非常にからっとした天候である、そしてそこにいかにも気持ちのよい快適な生活ができる。こういうことであるのに反しまして、裏日本においては、何となくじめじめとした、非常に不愉快な、不健康な自然の条件がいつもあるということでございます。したがいまして、そういう裏側ということばには、どうしても、何というか、陰湿な感じというものが込められておるということができるのであります。私は、その最大の原因は、いろいろございますが、何というても天候が非常に悪いというところに大きな問題がございまして、したがって、それが日常の生活に非常に大きな悪い条件を呈しておる。したがって、そこに住んでおる人たちの活動力にもいろいろな面で阻害される点が非常に多いということがいえるのでございます。
 試みに、晴天あるいは雨天の気象状況を見ますと、統計を見ますと、いわゆる北陸地方、たとえば富山県では、一年じゅう通じて晴天という日がわずかに二十九日しかない。これに対して、名古屋、静岡では七、八十日ある、こういうことでございます。そして雨天の日に至りましては、ほとんど年の半分以上が雨天である、百八十四日が雨天であるということでございます。これに反しまして、名古屋でも静岡でも、雨天の日は一年間を通じて三分の一くらいということでございます。
 こうした気象条件の悪いことが、人間生活の上にも地方行政の上にもいろいろな影響があると思うんですが、こういうことからどういうことが影響として生まれ出るだろうかということについて、大臣の御見解をちょっと承りたいと思います。
#413
○江崎国務大臣 富山県、片岡さんの地元の気象条件というものが、太平洋ベルト地帯ともう全然違っておるということは、私もよく承知しております。それから、中部圏開発整備法制定後、私、二回ほど富山県を視察の目的で訪問したことがありますが、われわれが視察に参りますのは国会の休会中――というと、どうしても夏になる。そのときに県知事さんからも、冬に来てもらいたい、夏の富山は別に東京と何ら変わりませんよ、こういうお話を聞いたことがあります。それから、富山とか石川とか福井とか、そういう北陸路の県が合併をしたらどうだという意見が、建設委員会で、あるときありました。そのとき、やはり御当県出身の松村謙三先生が、合併したって豪雪は解消しませんよ、豪雪が解消しないのに合併合併とあなた方は簡単に言うけれども、それは知らざる人の言うことだという強い御意向表明があったわけです。かれこれ私ども聞きまして、いかにも恵まれない地域、こういう感じがいたします。しかし、私は片岡さんに大いに御尽力を願いたいものだと思いますが、やはり、いま地価が上がっただとか、日本列島改造は内閣の人気取りだとか、言い過ぎだとか、悪口を言うことは簡単ですが、これはたいへんな卓見だと思っておるのです。ですから、今度の東海北陸自動車道というものがいよいよ実施計画に入りましたが、これがほんとうに実現した暁には、おそらく、富山県と愛知県の間というものは、もっと時間的にも距離的にも短くなります。そして、日本海側と太平洋ベルト地帯との関係というものも非常に密接になります。それから、私もっと率直に申し上げるなら、従来、開発の恩恵に浴してきた地域、すなわち、東京であり、名古屋であり、大阪であり、いうところの太平洋ベルト地帯の都市です、こういうところは経済成長はもたらされたわけでありますが、まだ日本全体としては人間環境の整備というようなことに配慮をするいとまがなかった。先に開発された地帯というものは公害現象が起こっておりますね。これが非常な発展のひずみとしていま問題になっておるわけであります。それを考えると、今後、日本列島改造によって一番しあわせを得る地域はどこかというと、開発がおくれた地域だと思うのです。たとえば、いままで日本の経済でも文化でも、東京から西を向いて発展しておりましたね。しかし私、先般仙台に参りましてしみじみ思ったことは、新幹線が五十年には開通する、来年の四十九年にはもう北陸縦貫高速自動車道が完成する、そうすると、新幹線は福島が一時間、仙台が一時間四十分ということになりますと、日本の経済、文化の目というものがあらためて今度は北に向かって進み出す。そのときに、この北陸地方がおくれをとらないように、とりあえず東京と新潟県があの高速道路で結ばれるわけです。また新幹線もすでに建設に入っておりますね。かれこれ考えますと、今後のこの地域の開発というものは、公害のない理想的な開発が行なわれ得る、この可能性は、私、空想じゃないと思います。ですから、かえって従来の後進性が、バランスのとれた、しかも公害のない発展の素地を持つ地域として大いに開発されることを期待するものでございます。
#414
○片岡分科員 たいへん愛情に満ちた、しかも御激励を賜わりまして、ほんとうにありがたく存ずる次第でございます。
 実は私は前に、三年半の短い期間でございましたが、郷里の砺波市において市長をつとめた経験を持っておるのでございます。長らく郷里を離れておりまして、その間、いわゆる内務官僚ということで、幾つかの府県の地方行政を担当した経験も持っております。その地方行政を担当した中には、表日本と裏日本と両方を含んでおりまして、そうした経験を経て郷里の自治行政の責任者となりましたので、特にその表と裏という格差について非常にシャープな感覚を実感することができたのでございます。
 私が砺波市長当時に、ことしは雪は非常に降りませんでしたけれども、そのときは非常に雪が降りまして、私はこの雪に悩まされて、つくづくその降雪というものに対して情けない気持ちになりました。
 この雪については、世界的ないろいろ調査をしたものがないかと思って調べてみましたところが、ちょうど関口武さんという方が書いておる一つの論文みたいなものがございました。これは「世界の積雪分布」という論文でございますが、それを見まして表につくってみますと、世界じゅうで一番雪の深いのが裏日本であるということがわかったのでございます。すなわち、裏日本の山間部では、十二月、一月、二月というのが一番多いのでございますが、一月、二月が二メートルないし四メートル、これは平地へいきますと三十センチから五十センチというところでございます。ところが、これにやや匹敵するところが、シベリア高原のエニセイ川の流域一帯でございますが、そこでも一メートルから一メートル五十センチ、それからカナダ平原から北極の海岸、これが三十センチから五十センチということで、ちょうど裏日本の平野部に該当するのでございます。それから北アメリカのラブラドル高原のハドソン川沿岸でございますが、これが一メートルから一メートル二十センチということでございます。その他、ノルウェー、ウラル山地というのも五十センチから七十五センチくらいで、裏日本の山間地帯の二メートルないし四メートルに比べると非常に少ないのでございます。
 こういうことを見まして私はいろいろ考えさせられるのでございますが、いま申し上げましたカナダ、シベリアあるいはノルウェーの地域といいましても、これはほとんど無人地帯というくらいに人が住んでいない。ところが、人が相当住んでおって細密の地帯であるというところで、こんなに雪に閉じ込められるというのは、おそらく裏日本が世界じゅうで一番多いということが言えると思うのでございます。これは私は、裏日本が雪をつくるのに一番適当な典型的なメカニズムを持っておるというふうに思うのでございます。すなわち、シベリアから北風が吹いてきて、いわゆるマイナス四十度、五十度という寒気団が日本海の上でたんまりと水分を含んでそして裏日本に押し寄せてくる、これが背骨をなすところの中部の山にぶつかりまして、それが雪を降らすということでございましょう、そういう点におきまして、私は、典型的な雪をつくるメカニズムが一番よくできておるのがこの裏日本だというふうに思っておるのでございます。
 われわれ裏日本の者は長い間そういうところに住んできておりますが、これは一つの運命だと思ってあきらめてきておったのですが、文化が進むとともに必ずしもそういう感じというものは持たなくなって、やはり地域的な格差をなくして自分たちも何とか快適な生活を送りたいというふうになるのは、これもやむを得ないことだと存ずるのでございます。
 私はそういう感じから、われわれの祖先が長い間そういう悪い気象の中で不幸な一生をずっと送ってきた、反対の表日本に住んでおられる方は非常に快適な生活をしておられた、ひがんで言うわけではございませんが、どうも北日本の者が犠牲になって、表日本の方たちに快適な、雪が降らないようにしておるんだというふうなひがみまでも思うような感じでございまして、この冬の条件が、普通は夏になりますと、あるいは冬以外のときには、やはりさっき申しましたように曇天や雨の日が多いということになります。したがって、その結果病人が非常に多いということでございます。これは昔は結核が非常に多うございまして、富山県は日本で結核の非常に多発地帯としてマークされておったのでございます。その後、いろいろ改善され、住宅も改善され、たいへんよくなりましたのでございますが、しかし、それでも病気がわりあいに多い。それから衣食住のすべての点においてよけいな出費がかかるということが言い得ると思います。したがって、これは地方行政事務の中にもいろいろよけいな経費がかかると言うことができると思いますし、また、そういう雪のために生産性が非常に低いために、二次産業、三次産業の発展が非常におくれる。それから自然条件が悪いために人口がどんどん流出するというようなことがどんどん起こって、いわゆる過疎現象が起こってくるのでございますが、そういうことで、地方自治を育成、担当せられる自治大臣として、こういうことに対して、先ほど非常に御同情あるおことばを賜わりましたので、もうそれで大体わかっておるのですが、もう一度、何かお考えがございましたら、それに対してどういうれんびんの情をお持ちでございますか、お伺いしたいと思うのでございます。
#415
○江崎国務大臣 れんびんの情を持ってはいけないわけで、これはやはり国土を均衡ある形に発展させていくことが何よりの急務だと思うのです。いままでのような、太平洋ベルト地帯にいろんな施設が経済主導型で集中したわけですが、これをこれから改めていこうというわけですね。ですから、生活環境を中心とする社会資本の投資を特に重点的にこの日本海側の県に積極的に進めていく、大事なことだというふうに考えます。これは口で言いましても、なかなか各県のバランスなどで配慮が薄いように思いますが、しかし、この日本列島改造の根本を推進していく方針とにらみ合わせながら、やはり十分開発整備が進むまでは、この恵まれない地帯にどう政策的に措置するかということだと思うのです。それが今日いわれるところの過疎債であったり辺地債であったりするわけですが、県全体としても特別交付税交付金等々でよく行き届いためんどうを見るというようなことを自治省として配慮しなければならぬと思います。
#416
○片岡分科員 時間があまりありませんので簡単に申し上げますが、私は、日本が明治維新から非常に太平洋側に政治の姿勢が片寄り過ぎておったということがいえると思います。これは、近代国家をつくって欧米各国に早く追いつこう、そうして追い抜こう、そういうことから、工業立国というところにいちずに走った。その結果、やはり経済効率の悪い裏側よりも表側へどんどん投資するということは、これはやむを得なかったと存ずるのでございます。しかし、その結果が、さらでだに快適な生活のできる表日本へよけい行政投資をしたために、人口がどんどん向こうへ流れていったという一つの傾向が出たと思うのでございまして、それが結局過疎過密の、先ほど大臣が仰せられたような日本の悲劇を生むという結果になったと思うのでございます。
 先ほど大臣がおっしゃいましたように、ここで日本列島改造論というのは確かに私も大賛成でございます。ことにこれを持ち出されました田中総理は、やはりわれわれと同じ裏日本に生をうけられた方である、だからその実感からしてああいう論が出てきたと思うのでございまして、そういう点で、同じ星のもとに生まれた者としてまことにここに共鳴を感ずるのでございます。
 そこで江崎大臣にちょっとお願いしたいのは、いままでの日本の姿勢が、私はそういうふうにひがんで見るせいかしらぬが、非常に太平洋側に重きを置かれ過ぎたということに対して、大臣もそういうふうにお考えになっておりますか、そうでないと思いますか、簡単にひとつお答えいただきたいと思います。
#417
○江崎国務大臣 確かに太平洋側に産業も蝟集しましたし、どうも開発の重点がそちらにあった、これは否定できないと思います。しかし片岡さん、あまり御心配にならぬでもいい。ということは、日本はとにかく経済大国で非常に裕福になったわけでしょう。そうなると、ちょうど一軒の家庭でも、長男、次男というのは苦労して、三男、四男が非常に楽をすると、下世話な言い方ですけれどもね。ちょうど、先に開発された地域には公害が出て、いま非常な社会問題を惹起している。ところが、これから開発される地域というものは、ほんとうに経済大国らしい、あらゆる環境の整備した開発がなされていく。またそうしなければいけませんね。そういう点で、いいときに国会に出てこられたわけで、大いにひとつ御尽力を願いたいものだと思います。
#418
○片岡分科員 私はもうあまり時間がありませんので、いろいろいままでの格差のあったこと等について少し申したかったのでありますが、これは申さなくても、行政投資が非常に片寄っておって、そのためにいろいろの、朝日新聞で出しております「一九七二年の民力」というのを見ましても、表と裏側とではたいへんに大きな差が出てきておるということでございます。したがいまして、これについてひとつ十分直していただかなくてはなりませんし、実は私が交通安全協会におりまして、ヨーロッパへ五千キロの安全運転で自分で運転していく前に、日本じゅうずっと回ってみましたが、これはひどいものでございます。それはいまから八年前くらいでございますが、太平洋側の道は実にきれいでしたけれども、日本海側へ行きますと、山陰地方なんかへ行きますと、国道とは名のみで、どろんこでもう車が動かないような国道がございました。これはいわゆる二級国道でございますが……。そういうことで、私はつくづくいままでの行政のあり方というものに対して非常に憤激を覚えるくらいに感じたのでございます。
 しかし、そのことは、大臣に非常に同情ある御見解をお示しいただきましたので、私はそうこぼしてばかりおることはできないと思いますが、ただ、いままで私が市長をしておりまして、特にいろいろ道路をつけてくれといって陳情に行きますと、いや、君のところは非常に交通量も少ないし、人間も少ないんだから、だからそれはあと回しだとよく言われるのでございます。私はそのときに、それは考え方が反対だ、そういうことを言っておるから過疎地帯がますます過疎になるので、やはり道路を直し、いろいろな社会投資をしていただくことによって、今度過密のところから人間が戻ってくる、そのことによってだんだん人の流れを誘うような施策を講じてもらわなければ困るということを申したのでございます。昔のように産業優先の時代と違いまして、福祉優先の時代になったのでございますから、私は、やはりお役所のものの考え方も、また政府の、大臣の皆さん方のお考えも、ひとついままでの発想と発想の転換をはかっていただいて、そうして違った目で見ていただかなければならぬと思います。これが列島改造論で過疎地帯のところに大いにこれから投資をしようという考え方でございますようで、大臣もそれに非常に御賛成でございますので、私はありがたく思う次第でございます。
 そこで、恐縮でございますが、時間も参りましたけれども、もうすぐでございます、その具体的な問題についてちょっとだけ言わしていただきたいのですが、第一に、裏日本に対して、また積寒地帯に対していろいろ御高配をいただいておりますが、しかし、自動車が日常使われるようになりました今日においては、除雪、排雪というのが、これはシビルミニマムの中に、ぜいたくでなしに入ってきた、したがって、子供の通学路の確保でございますとか、日常の生活に必要な道路をみんな――昔は大通りだけ排雪、除雪すればよかったものが、いま小さい道路まで除雪しろといってやかましいのでございます。そういう点もひとつ考えていただきたい。除雪費というのが非常に大きな自治体の負担になりますので、その点をまずお願いをしておきたいことと、それから、いままで無雪化対策としての消雪、融雪の装置の設置及び維持についての経費が基準財政需要額の中に含まれておらぬということは、これはたいへん私は不合理だと思います。これをぜひ基準財政需要額の中に算入していただきたい、こう思うのでございます。
 それから第三は、道路、橋梁が結氷いたしますので、道路でもすぐこわれるのでございます。砂利を入れてもすぐけっ飛ばされますし、そういうことで特別の修理費が非常に多うございますので、これらの点についても十分お考えをいただきたいということと、それから暖房経費等についても、いろいろごめんどうを見ていただいているのですが、長い間雪に埋もれておるのでございますから、もう少しこれに対して経費を十分見ていただきたいということでございます。
 それからさらに、超過負担が普通の地方より多い。たとえば、私のところの雪は、湿気を含んでいるものでございますから非常に重いのでございます。したがって、屋根をつくるにしても、いいかげんな屋根ではだめなんでございます。したがいまして、公営住宅でございますとか学校というものも必要以上に非常にじょうぶにつくらなければならぬ、こういうことで、その超過負担がそれだけに非常に多いということでございます。
 それらの点についてひとつ今後お考えいただきたいのですが、ちょっと自治省の、まあいろいろと補助額とか、あるいは公債の面においても起債のワクをふやしていただくとか、特別な配慮をさらにお願いをいたしたいと存ずるのでございます。
#419
○江崎国務大臣 それらについては十分ひとつ配慮をしたいと思います。
 一々の問題については財政局長からお答えいたします。
#420
○鎌田政府委員 従来とも、地方交付税におきましては、御案内のとおり、基準財政需要額の算定におきまして、寒冷地につきましては、積雪寒冷補正等の措置によりまして積雪の実情は見ておるわけでございます。ただいま御指摘になりました除雪等の経費につきましても、毎年基準財政需要の算入額をふやしてまいっておるわけでございますが、いまの融雪の経費という点につきましては私ちょっとつまびらかにいたしませんが、除雪の経費の中に含んでおるのではないかと思いますけれども、その点はなお帰りまして精査いたしまして、あらためて御報告を申し上げたいと思います。
#421
○片岡分科員 もう最後に総括的にちょっと申し上げたいのでございますが、要するに、わが国は、明治以来今日まで欧米と文化的、経済的に最も深い交渉を持っておりました関係から、太平洋側が自然表玄関としての役割りを果たしておったと思います。国の政治姿勢もおのずから表日本に重点を注ぐ体制になっておったことは、先ほど申し上げたとおりですが、いまや時代の変遷とともに、国際外交の方向も大きく変化してきたと思うのでございます。世界は、いま米中ソの三極を基軸とする三極外交の時代といわれております。日本はその三大国の谷間におるということが言えるのでございますが、世界のその三大国のうちの二つまでが日本海ないしその延長線上にあるということが言えると思いまして、今後経済的、文化的に、日本海沿岸というものが相当大きな役割りを果たすことになると存ずるのでございます。現に富山の新港でございますとか伏木港というところにソ連船や中国船もしげく出入りするようになりました。これらの現象を、われわれは、日本海時代の到来だと言ったり、日本海を表玄関とする時代が来た、こう言っていささか喜んでおるのでございますが、大臣は、このわれわれのこういうことばを日陰者の寝言と聞かれますか、あるいは恵まれない者の自慰といいますかマスターベーションとお笑いになりますか、それとも、時代はまさにその方向に大きく転換しつつあると、真剣にそういうふうに思っていただけるかどうか、大臣の御感想を最後にお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#422
○江崎国務大臣 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、これからは日本海側をどう開発、整備するかという時代だと思います。これはひとつ御一緒に熱意を燃やして努力いたしたいと思います。
#423
○片岡分科員 どうもありがとうございました。
#424
○三ツ林主査代理 以上で片岡清一君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明八日午前十時より開会し、引き続き自治省所管について質疑を行ないます。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後八時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト