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1972/03/08 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第三分科会 第6号
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1972/03/08 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 予算委員会第三分科会 第6号

#1
第071回国会 予算委員会第三分科会 第6号
昭和四十八年三月八日(木曜日)
    午前十時四分開議
 出席分科員
   主査 倉成  正君
      大野 市郎君    小平 久雄君
     三ツ林弥太郎君    大原  亨君
      加藤 清政君    佐野  進君
      中村 重光君    細谷 治嘉君
      和田 貞夫君    浦井  洋君
      正森 成二君    三谷 秀治君
   兼務 保岡 興治君 兼務 柴田 健治君
   兼務 安井 吉典君 兼務 沖本 泰幸君
   兼務 高橋  繁君
 出席国務大臣
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     江崎 真澄君
 出席政府委員
        警察庁警備局長 山本 鎮彦君
        自治大臣官房審
        議官      森岡  敞君
        自治省行政局長 林  忠雄君
        自治省財政局長 鎌田 要人君
       自治省税務局長 佐々木喜久治君
        消防庁長官   宮澤  弘君
 分科員外の出席者
        防衛施設庁施設
        部施設企画課長 坂尻 哲夫君
        大蔵省主計局主
        計官      加藤 隆司君
        自治省行政局振
        興課長     田中 和夫君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月八日
 辞任         補欠選任
  野田 卯一君     吉永 治市君
  大原  亨君     加藤 清政君
  浦井  洋君     中川利三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  吉永 治市君     野田 卯一君
  加藤 清政君     中村 重光君
  中川利三郎君     神崎 敏雄君
同日
 辞任         補欠選任
  中村 重光君     佐野  進君
  神崎 敏雄君     正森 成二君
同日
 辞任         補欠選任
  佐野  進君     和田 貞夫君
  正森 成二君     三谷 秀治君
同日
 辞任         補欠選任
  和田 貞夫君     大原  亨君
  三谷 秀治君     村上  弘君
同日
 辞任         補欠選任
  村上  弘君     浦井  洋君
同日
 第一分科員沖本泰幸君、高橋繁君、第二分科昌
 保岡興治君、安井吉典君及び第四分科員柴田健
 治君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和四十八年度一般会計予算中厚生省、労働省
 及び自治省所管
 昭和四十八年度特別会計予算中厚生省、労働省
 及び自治省所管
     ――――◇―――――
#2
○倉成主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、自治省所管を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤清政君。
#3
○加藤(清政)分科員 私は区長公選制の問題と大都市財源につきまして、江崎自治大臣並びに関係当局にお尋ねしたいと思います。
 昭和二十七年の九月に地方自治法が一部改正になりまして、従来区長は住民直接によって選ばれておりました公選制でありましたが、改正によりまして間接選挙、すなわち区議会の選任によりまして区長が選ばれ、都知事の同意を得るという現行法規に改正されたわけであります。その間二十三区の区議会や、多くの都民や、あるいは区長公選制を復活する都民の熱望が粘り強く、力強く展開されておったことは大臣も御存じのとおりであろうと思います。憲法九十三条の第二項に、地方公共団体の長は住民の直接選挙によって選ばれることになっておりますし、日本の地方制度は大統領制度を採用されておりまして、執行機関と議決機関とはお互いに均衡抑制と申しますか、チェック・アンド・バランスという立場に立ってお互いに切磋琢磨するという立場にあるわけでございます。したがいまして、わが党は昭和三十六年の第三十九国会に地方自治法の改正案を提出して以来、再三再四にわたりまして、区長公選制を軸にいたした地方自治法改正案を国会に提出したわけでありますが、しかし、残念なことに、わが党の主張は政府自民党の反対によりまして実現には至りませんでした。
 このような国会の状況にあるにもかかわらず、東京都民の区長公選制実現への意欲は年を追うごとに高まりまして、すでに超党派によって二十三区におきましては区民運動に展開されておるわけであります。昭和四十二年に練馬区で考え出されましたいわゆる区長準公選条例の直接請求の運動をきっかけといたしまして、各区では住民参加による区長選出への大きな胎動が盛り上がりを見せておることはすでに御案内のとおりであろうと思います。そして昨年の八月二日には品川区において区議会が満場一致で準公選条例を可決し、十一月十二日にこの準公選条例による区民投票が実施されたことは御存じのとおりであります。
 これらの例を引くまでもなく、もはや区長公選制は都民にとっては当然のこととして受けとめられておるわけであります。
 現在でも、千代田区の二百九十三日を筆頭に、大田区では二百五十一日、練馬区二百二十一日、足立が百五十五日といったように、区長が長期にわたって空白になっているという事態が生じているわけでありまして、これらの区については、早急に公選制によって区長を選出すべきだという声が非常に高まっております。
  〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕
 私は、住民の日常生活に密着した行政機能をできるだけ住民の身近なところで処理するという、そのことが地方自治の本旨であろうと思います。そのような意味で、第十五次地方制度調査会におきましては、昨年十月二十五日に特別区長の公選制度の採用を内容としました答申を行なったことは、おくればせながら大きな前進として評価をしたいと考えております。
 しかし、この答申は、区長公選とともに、事務事業の移管、人事権や財政権の区への移管をはかるといういわゆるセット論としての立場をとっており、自治省案もこれを踏襲しているわけであります。
 事務事業の移管や身分切りかえについては、区の自治権拡充の見地から考えた場合、住民の身近な自治体が、できる限り多くの権限を持つことは当然でありますが、その際には住民福祉の充実、向上を期することを第一義としなければならないと考えております。たとえば職員の労働既得権の問題、身分の問題等、十分に配慮し不安動揺を避けなければならないと思います。
 何と言いましても特別区は普通の市と違い、二十三区を通じて一体的に統一的に処理をしなければならない問題もかかえておるわけでありますが、住民、関係機関、特別区とも十分に話し合って、合意のもとに実施に移すべきであろうと思います。
 私は、以上のような観点から、江崎自治大臣の見解をお伺いしたいわけでありますが、まず初めに、私は何よりもまず区長公選を実現することが先決であり、保健所その他の事務の移管や人事の問題については住民の意向を尊重し、都と区の間で十分に話し合いながら、合意したものから順次移管していくべきだと考えますが、今回の法改正にあたっては、その辺はどのように考えておられますか、まず自治大臣の御見解を承りたいと思います。
#4
○江崎国務大臣 区長の公選につきましては、今度提出をいたします地方自治法の改正案について審議を求めておるわけでございます。
 欠員の区長はどうするのか。これは、現在の状況下におきましては、もしあなたが主張されるように公選を望むという場合には、区議会がそれを決議して、東京都知事の同意を得る、そして公選をし得る、一応こういう形式をとっております。したがいまして、従来の方式もよし、また公選を特に望む場合には、公選も可能な道を開いたわけであります。しかし、その任期は、事務の移譲、職員の移籍等々の問題もありますので、一部を暫定措置として、今度の一括公選制を行なう時期まで、こういう構想で進めておるわけでございます。
#5
○加藤(清政)分科員 時間がありませんので、続けて御質問したいと思いますが、第二点といたしましては、政府は今国会において、いままで私が申し述べてまいりました区長公選制とペアで、いわゆる市町村の連合法案を提出しようとされておりますが、このような提出のしかたは、多くの都民や二十三区区議会が超党派で実現を待ち望んでいる区長公選制に対しまして、さきの六十五国会で廃案になった市町村の連合を組み合わせることによって、区長公選を引き延ばす意図があるのではなかろうかと考えざるを得ないわけであります。住民自治を回復しようとする法案と、きわめて中央集権的色彩の濃い法案とをペアにして提出すること自体に大きな問題がありまして、私はこの二つの法案を別々に提出すべきであると考えておりますので、この分離の問題につきまして自治大臣はどうお考えになっておられるか、お伺いしたいと思います。
#6
○江崎国務大臣 一つの法律は、それ自体一つのまとまった体系をなしておるわけであります。したがって、今度は、いまの区長の公選の問題、都議会の定員の問題、そしてこの一部事務組合、市町村連合の問題、いろいろな項目にわたるわけでありますが、成案が得られております以上、これをまとめて同一の改正法案ということで一括して提出するのが、従来の国会のしきたりなんですね。そのしきたりどおりにしたまででありまして、特に別な意図を持って法案を作成した、そういうていのものではございません。
#7
○加藤(清政)分科員 いま自治大臣から、従来の国会のしきたりとしてこういう法案の提出をしたというお話でありますけれども、さきにこの法案は、市町村連合ということが中央集権的であり、地方自治の本旨にもとるという世論の前に廃案になったことは御案内のとおりでありますし、また、国会でこういうことがしきたりになっておったとしても、二十三区のやむにやまれない区長公選制への熱意と、超党派でこの区長公選を実現しようということを、謙虚に国会としても自治大臣としても受けとめていただきまして、まず区長公選を実現させるということに力点を置いて、地方自治の本旨を貫く、都民の要望を十二分に反映させていくということが私は必要であろうと思いますので、この問題につきましては、ぜひ区長公選制を単独法案として出していただきたいということを強く要望したいと思います。
#8
○江崎国務大臣 これはいま申し上げましたように、同じ法律の内容をなすものですから一緒に出したわけです。それから、十三次から十五次にわたる地方制度調査会においても同じ答申という形でこれを出しておるわけです。したがいまして、地方自治を集権化するために市町村連合をしようというのじゃありません。これは一部事務組合をもっと弾力的に、広範囲に、自由濶達にできる形を推進しよう、これは地方自治の拡充強化という意味にも通ずるわけでございまして、地方自治体の長等々からも非常に強い要望があるわけです。したがいまして、ことさらに意図的に区長公選とからみ合わせたというものじゃないですし、また特に、前の国会でいろいろ社会党等から疑義をはさまれ、異を唱えられた点については、十分法律において勘案をし、修正をして提出したという経緯にありますので、両方ともひとつお通しを願いたい。いずれまたこれは法案提出の場で御審議を願いたいと思っておりますが、そういう心がまえでございます。
#9
○加藤(清政)分科員 いま自治大臣から御答弁がありましたが、いずれこの問題は地方行政委員会なりあるいは他の場で論議されると思うのですが、二十三区の区民の強い要望であり、長年にわたる区長公選制への情熱、熱意をぜひお考えいただきまして、ひとつ分離して御討議願うことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、大都市の財源の問題ですが、不均一課税につきまして大臣の見解をお尋ねし、ぜひお願いしたいと思います。
 東京のような大都市には企業が集まり、特に巨大企業の管理部門は集積の利益を求めまして東京に集中しておりますが、一方、都民及び自治体としての東京都は、大企業の集中により、いわゆる都市問題、特に通勤による混雑だとか、住宅難、下水、あるいはごみの処理――一万三千トンから放出されておりますけれども、そのごみの処理についても大企業から、がさつと出るような状況でございますし、それに伴う大気汚染などの解決が迫られておりますので、そのための財政負担ははかり知れないものがあるわけであります。これを、大企業に不均一課税を課して、たとえば事業所税だとか、事務所税だとかいうような新しい財源を自治体に付与していただいて、この都市問題解決のための経費に充てるということについて、ひとつ自治大臣のお考えを承りたいと思います。
#10
○鎌田政府委員 大都市財源の充実ということにつきましては、自治省といたしましても、御案内のとおりかねてから検討を加えておるところでございますが、特にただいまお述べになりました事務所、事業所税、さらにそれを発展させまして、都市整備税といったものの創設、あるいは法人課税の充実、これは法人税割りあるいは法人事業税、特に市町村におきます法人税割りのウエートを高めていく、こういうことでございますし、あるいはまた公害対策に対応しますための重油消費税、さらには道路目的税源の充実、こういった幾つかの項目につきまして検討を加えまして、四十八年度から実施に移したいということでつとめてまいったわけでございますけれども、遺憾ながら四十八年度からの創設ということには間に合わなかったという状況にあるわけでございます。引き続きまして検討を加えまして、大都市財源の充実につとめてまいりたい。さらにまた、大都市におきましては、特に生活関連、社会資本の整備がおくれておりますし、再開発を急速に進めてまいらなければならない、こういった点もございますので、地方債を大幅に活用する。地方債の活用ということにつきましても私ども努力をいたしてまいりたいというように考えておる次第でございます。
#11
○加藤(清政)分科員 あと時間が十五分しかありませんので続いて御質問したいと思いますが、私は、地方財政の問題について、特に東京都における超過負担の問題と起債の問題について、大臣並びに関係当局の御見解を承りたいと思うのです。
 まず最初に、地方自治体の超過負担は、昭和四十五年度の知事会の調査では全都道府県で約六百三十五億円にのぼっておりますが、このうち東京都の超過負担が約百七十三億円を占めておるわけであります。しかも、東京都の場合に、この百七十三億円のうちの百十億円が公営住宅の建設に伴う超過負担であり、このことが東京都における公営住宅建設に大きなブレーキをかけることになっておることはすでに御案内のとおりだと思いますが、百十億円の超過負担のうちの九十三億円が単価差、つまり国の評価額と実際に要した経費との差額であることが明らかであるわけであります。つまり国庫補助金を出す場合の単価が実勢を反映したものでないために、自治体は当初予定していた戸数を減らして単価差に振り向けなければならないことになり、そのことが住宅政策を一年おくれにおくれさせているという結果をもたらしておるわけであります。
 たとえば、東京都の四十六年度の公営住宅建設の実施計画を見ますると、第一種の高層住宅の場合に、一戸当たりの建築費が三百三十七万円であるのに対しまして、国の基準では二百三十二万円しか支出されておらず、その差が約百五万円自治体の負担になっております。これに起債によって行なわれる用地費の差額を加えますと、実際には一戸当たり二百万円以上を負担をしなければならないわけでございます。これが公営住宅の大量建設を唱える政府の施策の実態であるわけであります。
 私は、自治体の超過負担をなくしていくためには、まず第一に、計画を実施する際の基礎となる単価を実態に合わせて是正していかなければならないと考えます。
 第二には、東京都のような大都市においては特に大きな問題であるわけですが、公営住宅を建設する場合の関連公共施設、たとえば学校の増設であるとか、道路の整備といった、そういうものに要する経費についても国庫補助の対象にすべきではなかろうかと考えます。
 第三としましては、規模の問題でありますが、この第一種、第二種について、住宅の基準を拡大する意思はないかどうか、この三点についてお伺いしたいと思います。
 今後どのような方向で大蔵省、建設省などに働きかけていくつもりか、その点もあわせて大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
#12
○江崎国務大臣 超過負担の問題は、これは国と地方財政の関係の上からいって、非常に問題をはらむ憂慮すべき問題であるということで、四十三年度にもこの調査をして解消をはかってきたところであります。また本年度もいま御指摘の公営住宅をはじめ六種目の調査を各省庁協力していたしました。そしてこれを四十八年度、四十九年度の両年度で解消をはかっていこう、こういう対策を立てておるわけでありまするが、御指摘の基準単価がいかにも低過ぎる。私どもも、長く国会議員をやっておりますと、全くそういう場面に突き当たります。これは公営住宅をはじめ、ことごとくそういうことがあって、地方公共団体の長がたとえば道路を広げる、河川改修のためにつぶれ地ができるというと、住民の犠牲において、まあ懇請をして協力を求めておるということは事実であります。したがいまして、これをすみやかに解消することは急務中の急務であるというふうに思います。したがいまして、今後もひとつ旺盛にこれが調査を進め、関係各省庁と協力をしまして超過負担の解消につとめてまいる決意でございます。
 なお今後、従来調査対象としませんでした事務、それから事業等を含めまして、経済情勢の変化、施設水準の推移、こういうものをにらみ合わせまして、ひとつ適切な方策をとっていきたい。これは自治省としてはきわめて重要な問題に考えておりまするので、できるだけ御期待にこたえるようにしたいと思います。
#13
○加藤(清政)分科員 大臣から、超過負担の問題につきましてはできる限り努力して、自治体の負担を軽くするという御答弁がありましたので、ひとつその方向に大臣の御努力を一段とお願いしたいと思います。
 次に、起債の問題についてお尋ねいたします。
 地方自治法はその二百三十条で、地方公共団体は、地方債を起こすことができると定めておりますが、第二百五十条で当分の間自治大臣の許可を受けなければならないとして、自治体の権限がたいへん制限をされております。自治法が定められてからすでに二十六年もたっておるわけでありますが、いまだに当分の間という規定が生きているというのは、法解釈の上からいいましても、社会通念からも、たいへんおかしいと思うわけでありますので、許可制度を廃止し、これを知事の権限とする意思がないかどうか、この点につきましてひとつ大臣から御答弁をお願いしたいと思います。
#14
○江崎国務大臣 国と地方の財政というものは、ちょうど車の両輪のようなものですから、国としても一括把握しておる必要がある、これがまず第の大きな理由であります。
 それから最近、過密過疎の問題が顕在化してまいりまして、裕福な市町村、助成しても何ともならないといったような運営に非常に困難を来たしておる貧困市町村、この格差が激しくなってまいりました。そうなりますると、起債を求めること自体が非常にたやすい市町村と、どんなに求めても困難な市町村、これが出てくることはおわかりいただけると思います。したがいまして、これをどう調整をしていくのか、この問題もございます。
 それから地方公共団体の起債と財政の本体とを的確にとらえて、その健全性を自治省として把握していく、これも重要なことだと思います。
 そういった見地からやはりこの許可制を当分の間存続させなければならないのではないか、やはりもとのとおり、まだ当分必要であるというのが見解であります。詳しいことは財政局長からも申し上げさせます。
#15
○鎌田政府委員 ただいま大臣から申し上げたとおりでございますが、地方債がただいま申しましたような生活関連社会資本の急速な整備ということに非常に大きなかかわりを持っておりますので、これが活用をはかってまいらなければならないわけでございまして、現実に具体的な許可にあたりましては、私どもはできるだけ自治体の実情に即して、かつ、簡易、迅速な許可の運用をとっておるわけでございますが、基本的には、ただいま大臣から申しましたように、資源全体の配分あるいは地方団体の個々の実情によりまして、起こさないものに対する配慮、最終的には、地方債を一方においてむやみに起こしてまいりますと、他方におきまして公債費というものが将来の地方財政負担に重大な重圧を加える、私どもといたしましてはやはりある程度事前にこの配慮をしてまいる、こういった必要があるわけでございまして、ここ当分の間におきましては、地方債の許可につきましての運営の改善ということをはかりながら、この許可の制度はこれを持続せざるを得ないという判断に立っておるわけでございます。
#16
○加藤(清政)分科員 時間になりましたので、この際、自治大臣に要望をしたいと思います。
 いま起債の問題にいたしましても、国と地方の画一的な財政の措置としてはかりたいというお話がございました。東京都の場合には御案内のとおりすでに一千百五十万、日本の人口の一割以上をかかえておりますし、予算規模におきましても、国家予算の九分の一の、二兆円をこす予算をもってこの大都市行政、特に基礎的な地方公共団体としての地区町村の行政の処理に当たり、また総合的な、複合的な処理としての府県行政も扱っておるわけであります。しかも、首都東京としては、はかり知れない行財政を必要とするわけであります。快適な都市生活のため、首都東京の中で解決されていかなければならない問題は、すでに自治大臣は、水の問題にしても、あるいはごみの問題にしても、地下鉄建設にしても御案内のとおりと思います。東京都はたいへん借金能力はあるわけでありますので、何としてもすばらしい都市づくりをするために、その能力に応じて財政の付与をするという見地に立ちまして、ひとつ起債の問題につきまして、当分の間というようなことをぜひはずしていただいて、行財政の能力を十二分にあげていくという自治体の本旨をひとつお考え願いたいと思います。
 また超過負担の問題につきましては、自治大臣からたいへんよい御回答をいただきましたが、ひとつ区長公選と市町村連合の問題につきましては、たいへんくどいようでありますけれども、区民の切なる願いであり、昭和二十七年、法改正されてから二十年にわたって、区民が超党派でこの運動に取り組んでおるという実態を踏まえまして、ぜひ区長公選はこの際実現させるということと同時に、市町村連合とは分離して、単独でぜひ出していただくように強く自治大臣に要望して私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#17
○三ツ林主査代理 中村重光君。
#18
○中村(重)分科員 先日、大臣に電気ガス税の問題についてお尋ねいたしまして、前向きの答弁はあったのですけれども、どう考えても私は矛盾であると思います。抵抗を感じているのです。税収が千五百億、これに対して軽減額は五百三十億、しかも、その軽減額というのが、特定産業に対する減免措置ということになりますね。一般家庭用に対しての減免ということであるならば、私は電気ガス税の性格上わかるわけですけれども、依然として産業優先の減免、なかんずく名称は変えているのですが、内容としては輸出振興といったような形のものが私の精査する限り十五億程度入っているのではないか。これはきわめてうしろ向きであり、国の方針というようなものに沿わないような内容になっているのではないか、そう感ぜざるを得ないわけです。大臣は、ただいま申し上げましたように、前向きの答弁はあったわけですけれども、もう少しざっくばらんに大臣のお気持ちをお聞かせいただきたい。それからこれをどう改善をしていこうとなさるのか。
#19
○江崎国務大臣 先般予算委員会でも非常に御熱心な御質問をいただきまして、実は率直に申しますと、私は役所に戻りまして、税務局長と、とにかくこの非課税品目については全面的に洗い直そうじゃないか、それは抵抗もあろう、反対もあろう、しかし、これは毎年毎年よほど積極的に洗い直しをしていくことが必要だと思う、また、そういう政治折衝があるならば、自分としてもできるだけその前面に出て調整をしよう、こういう内輪話をしたわけでございます。したがって、従来といえども重要な基礎資材等にかかわる産業用の電気については非課税措置とする、こういうことにしておるわけです。そして、それが消費者にはね返って困るとか、物価高をもたらしては困るとか、いろいろ理由はあるわけですが、これはもう一度新しい視野から検討をしよう、こういう態度でおります。
#20
○中村(重)分科員 新しい視野からといいますと、私がただいま指摘申し上げましたようなことを大臣は了承をされて、そういう方向で改めていく必要があるという考え方でしょうか。
#21
○江崎国務大臣 私がいま申し上げましたのは、非課税品目の洗い直し、これに重点を置いて申し上げたわけでありますが、電気ガス税そのものについては、これは地方税として非常に安定的、固定的といいますか、依存度の高い税であります。しかも、これは個人の場合をとってみますと、比較的収入の多い人が電気をより多く使用し、ガスをより多く使用する。それに対して課税をするという仕組みになっておる一種の消費税でもあるわけでありますから、これをにわかに廃止するのはきわめてむずかしい問題だというふうに思います。それでは大衆課税になっていいのか。それは困りますので、今後とも免税点を引き上げていくことによって大衆課税にはならないようにする。しかし、個人の住宅、家庭における大口消費に関しては、それ相当の課税をする。所得を捕捉する意味の補完税のような役割りを果たしていく、これは非常にうまくできておりますので、そういうふうに生かしていったらどうかというふうに考えておる次第でございます。
#22
○中村(重)分科員 端的に申し上げて、私は家庭用の電気の使用料に対しては課税すべきでないという考え方を持っているのです。また、産業用にいたしましても、免税品目百二十九品目あるわけですね。また軽減品目というのが相当あるわけですけれども、家庭用の電気使用に対して免税、減免措置というものが従的に扱われている、そして産業用重点主義になっているというところは間違いであるというような考え方を持っているわけですよ。これは全く産業用に対して減免措置を講ずべきではないとまで私は言い切りません。内容によっては若干軽減措置を講ずる必要もあるであろう。だんだん洗い直しをしなければならぬ。そして、基本的には家庭用の電気に対しては、課税の対象からはずすべきであるという思想をもって検討される必要があるであろうと私は思うのですが、思想の点においてはいかがですか。
#23
○江崎国務大臣 話がだいぶ詰まってきましたが、私もおっしゃる意味はわかります。これはいまの所得をまた別な面から捕捉することにもなるわけですから、さっき申し上げたような意味で残す。そして大衆課税にならないためには、これを全部排除するというのでなしに、やはり免税点で考慮することができるのではないか。それから企業に対する特別措置については、これもさっきから繰り返し申し上げておりますように洗い直しをする。少々困難であってもこれはやはり適正なものにしなければならないというふうに考えております。
#24
○中村(重)分科員 まあその点大臣のただいまの答弁、期待をいたしておきたいと思います。
 それから私は、これはいつも取り上げている問題ですけれども、従価税になっているということです。電力料金が、高い地域と安い地域があるわけですね。高い地域は、それにプラスして税金も高いわけですね。私はこれを称してダブルパンチだ、こう言っている。これはやはり矛盾だと思うのですよ。ですから、従価税はやはり従量税に切りかえる必要があるのではないか、こう思います。いつも取り上げていることですから、この点についてはあまり深く申し上げようとは思いませんが、これは事きわめて簡単ですから、従価税になっているのを従量税にして均衡をとっていこうとすることにするのか、あるいはやはり非常な格差をそのまま、税金の面にまでそのまま存置していこうとするかということなんですが、その点いかがでしょう。
#25
○江崎国務大臣 これは、その消費行為に担税力を見出して課税する。その担税力は、一般的には電気及びガスの支払い料金によってあらわされていく。したがって、課税の方法としては料金によって課する従価税、これが適当であろう、こう考えておるのです。
#26
○中村(重)分科員 この点はひとつ検討していただきたい。私はやはり従量税であるべきであるということは、ひとつ信念で、大臣も従価税がやはり適当であるというふうにお考えになっておるといたしましても、やはり私のような考え方は、私一人ではないと思いますから、そこを十分ひとつ検討していただきたい。私はこの点はもう数回取り上げておる問題ですから、自信のほどに変わりはございません。
 それから、料理飲食税問題ですが、何としても一般大衆食堂、飲食店なんかと、高級料理、キャバレーの料理飲食税と同率であるということは、大臣、不合理じゃないでしょうか。これは前はそうじゃなかったのです。差がついておったのですね。どうしたことか、これは悪いほうに改正されたというように私は思うのですが、大臣は矛盾はお感じになりませんか。
#27
○佐々木政府委員 料飲税は、以前の段階におきましては、原則として風営法の法律が適用になります料理店、あるいはバー、キャバレー等におきます消費については、その消費金額によりまして三千円以上の場合には一五%といったような税率が適用になっておる時期があったわけでありますが、これらの業態というものを、一般的、抽象的に考えます場合には、観念的にその区分ができるわけでありますけれども、現実の課税の実態から見ますというと、一般の飲食店、あるいは飲食店の中でも、高級なもの、あるいは大衆的なもの、それからバー、キャバレーにおきましても、感じとしては非常に高級な、消費金額の多いという感じがあるわけでありますけれども、その消費の実態というのは、必ずしもそういうものでない部面もあるというようなことで、それから徴税の実際から見ますというと、徴税上も非常にその辺の区分が困難なものが出てまいる、そういうことで、消費税としてはもう全部同じような税率で課税をしていくという形のほうが、むしろ徴税も適正に行なわれるのではないかというような観点から、全部一律的に一〇%の税率ということにいたしたわけであります。ただ、一般的に考えられる大衆消費に属する部分につきましては、免税点制度でこれに対応していこう、こういうことで、現在は風営法を適用されます業態の場合には、こうした制度は全くないわけでございますけれども、大衆飲食店なり、あるいは旅館等の宿泊につきましては、免税点制度を適用している。こういう方式によりまして大衆課税を排除していくという方式をとっているわけでございます。
#28
○中村(重)分科員 なるほど、この免税点が現行九百円から千二百円になるのですね。それから旅館が現行千二百円が二千四百円に引き上げられるということを御提案になっているわけです。大衆食堂にいたしましても、いまの千二百円ということは、これはもう免税、むしろそれ以上というようなことが大体普通じゃないでしょうか。これはある程度、千二百円ということになりますと、一応免税点としては妥当性がないとも言えないと思いますよ。しかし、旅館の二食つき二千四百円というのは、あまりざらにないんじゃないでしょうか。これは皆さんが御出張になりましてお泊まりになりましても、二千四百円の二食つきの旅館というのは、これはもう木賃宿とは私は申しませんけれども、きわめて粗末な、なかなかそういう旅館をさがそうとしたって見つからない。ですから、これはやはりいわゆる大衆旅館に税金をかけるべきじゃないですよ。これは、二千四百円というのは大臣、二食つきですよ、もっと引き上げる必要がありますね。ですから、その点十分ひとつ配慮していただきたい。時間の関係もありますから、これでやりとりをしようと思いませんけれども、ともかく大衆の飲食に対し、あるいはその宿泊に対して課税しない。これを原則になさらぬと、これはお役人の方々の御出張だってたいへんお困りになるんじゃないかと私は思います。ですから、これは現実的に扱っていただきたい、こう思いますよ。出張なさると、たいへんまたいろいろ予想しない経費だって要りますからね。まず、そういう点は十分御配慮いただきたいということを強く要望いたしておきたいと思います。
 それから、個人事業税の問題ですけれども、私どもは個人事業税というのは二重課税の弊があるということで、絶えずこれを撤廃すべきであるということを主張してまいりました。百歩譲りましても、現在の事業主控除というのを今度苦千引き上げられたわけですが、この事業主の報酬制度というのも四十八年度から新たに実施をされることになったわけですが、この事業主の報酬制度の給与所得に見合った額ですね、ここまでは私は引き上げる必要があるのではないかというように思います。ですから、この点に対しては大臣、どのようにお考えになりますか。
#29
○江崎国務大臣 これはまあいつも議論になるところでありまするが、今度は事業主控除を六十万から八十万に引き上げたということによって対処しておるわけでありまするが、事業主の報酬を積極的に認めてまいりまするというと、その報酬はだれがきめるのか。本人がきめるということになりまして、非常にいろいろ矛盾が出てまいる面もありまするので、今回は御承知のような形にしたわけでありまするが、なお今後とも実情に合う形で検討をしていきたい。特にこれは、私どもの政府与党においても熟心な主張者もあるようでありまするので、十分ひとつ情勢の推移を見きわめながら対処をしたいと考えております。
#30
○中村(重)分科員 それから住民税の課税最低限ですけれども、所得税は現年度にかかる、ところが住民税は前年度の所得が基準になっておりますから、これは同率であるとは私は申しませんですけれども、だいぶ引き上げることに努力をしておることは多といたしますけれども、これはやはり何カ年計画かで所得税と同率にしていく必要があるというように思うのです。一カ年おくれになっておりますから、それだけの差がつくのはわかりますよ。ですけれども、何カ年計画かで所得税と同率にするということにはなさる必要があるのではないかと思います。その点いかがでしょう。
#31
○江崎国務大臣 その点は、どうも私は必ずしも所得税と一緒でなくてもいいんじゃないかということを考えておる一人なんですが、それは御承知のように、中村先生相手に議論をしようとは思いませんが、やはり所得税というものは所得の再配分という見地に立った税金で、そのもの自体が非常に累進課税で、税率も多いわけでございます。住民税の場合は、自分に最も密接に関係のある地方公共団体に何がしかでも寄与する、これは幅広く、薄く、したがって、均等割はもとよりでありますが、個人住民税についてもこれは非常に率が低いわけでございます。そういう意味でやはり何がしかは収入がある以上はやはり密接につながる地方公共団体に貢献をする、自分もその一翼をになっておるという一つの責任感といいまするか、自覚を持ってもらうというような意味から、所得税とは税の根本の性質が違うんじゃないか、こんなふうに考えるのですが、その点いかがでしょう。
#32
○中村(重)分科員 所得割のほうも私はやはり同率にすべきである。ですから、一年おくれになりますからその点に差がつくのは理解をいたします。ですけれどもやはりこれは同じにしなければいけないんじゃないかというような感じがいたします。まだ是正をしなければならないところはたくさんありますよ。法人に対する扱い等、もっと引き上げなければならないといった点等ありますから、税収をはかるためには。大臣が真剣にこの問題にお取り組みになりますと矛盾をお感じになる点が多々あるであろう。三十分の分科会の中で掘り下げていろいろ議論する時間的ゆとりもありませんが、少なくとも誠意をもって、この点に対しては平面的ではなくてひとつ突っ込んで御検討いただきたい、そのことを強く要望いたしておきたいと思います。
 まだまだいろいろお尋ねしたいこともたくさんあるのですが、先に移らしていただきます。
 身体障害者の一種障害というのは、私は免税にする必要があるのじゃないかというように思うのですが、身体障害者の一種ということになってまいりますと、本人自身の事業活動はほとんどできないと私は思うのです。ですから、この点はどうお考えでしょうか。
#33
○江崎国務大臣 今度もその控除額に差を二万円つけたわけでありまするが、おっしゃる意味は十分わかりまするので検討をしてまいりたいと思います。
#34
○中村(重)分科員 同じ身体障害者で特別障害者控除というのがあるわけですが、特別障害者控除というのは普通の障害者と若干差をつけて、たしか二万円程度差がついていたと思うのですけれども、たしか今度の改正で十六万円ぐらいになっておるんじゃないかと思うのですけれども、基礎控除額ぐらいまでは特別障害者控除は引き上げられなければならないものだ、こう思うわけです。その点はいかがでようか。
#35
○佐々木政府委員 今回の住民税の所得控除額の引き上げは、先ほど大臣から申し上げましたように、障害者控除等のものにつきましては二万円引き上げています。これはこの控除額を所得税の控除額と同額まで引き上げたということでございまして、住民税としては、所得控除を引き上げるいままでの行き方から見ますると相当思い切ったつもりでございます。さらに基礎控除額等と同じような額まで引き上げるべきかどうかという点になりますと、やはりこれは所得税の考え方等も十分調整をしながら、その点の扱い方を検討していく必要があるだろうと思っております。さらに、これは所得税にはございませんけれども、住民税におきましては御承知のように非課税範囲というもので、一定の所得者につきましては住民税を非課税にする規定がございます。これらの点も、今回障害者、未成年者等につきましての非課税限度を五万円引き上げたわけでございます。それらの点で対処してまいりたい、かように考えております。
#36
○中村(重)分科員 時間がありませんからはしょってお尋ねいたしますが、商工会館の不動産取得税というのは、私は、免税扱いにしているんだろうと思いましたところが、免税の扱いになっていないんです。固定資産税は免税扱いにしているんです。国の補助金によっての建設事業に、三年ぐらい前から実はそういう扱いがなされたわけです。どうしてこの不動産取得税を免税扱いされなかったのか、これは当然免税扱いにすべきじゃないかと思うのですが、どうお思いになりますか。
#37
○江崎国務大臣 これは、御指摘のように多少問題があるというふうに思います。従来は公社、公団その他公共性の高い団体ということで、非課税措置が講ぜられておったわけでありまするが、商工会はしからはどうか、これはやはり問題があろうかと思います。したがいまして今後十分これを検討して何とか形がつくように努力してみたいと思っております。
#38
○中村(重)分科員 前向きの答弁ですから、そういう扱いになるであろうことを期待をいたしまして、重ねてお尋ねすることはいたしません。
 それから、これもたいへん矛盾ですが、高度化資金というのがございますね、中小企業振興事業団ですか、高度化資金の貸し付けに対して六五%、それから協調融資というのが中小企業金融公庫あるいは商工中金等から一五%、それから自己資金が二〇%なんですよ。ですから自己資金を二〇%準備すればいいわけですね。ところが現実にはどうなっているかといいますと、当該工事が半分以上できていなければ貸し付けがなされないのです。これは各県必ずしも同一ではないのです。ばらばらになっています。本人が二〇%調達をすればいいわけですが、それを五〇%工事が進捗をしていなければ国や県の融資をしないということは、私は不合理だと思うのです。中小企業者にたいへん無理を要求することになるんじゃないでしょうか。高度化資金の融資をするということになってまいりますと、これは国の施策にのっとって集中的な設備と経営をやっていくということになっておりますから、これは国の施策の協力者なんです。それに対して無理な金融を要求していくということには、私はたいへん矛盾があるように感じるのです。したがいまして、この高度化資金は、五〇%できていなければ融資をしないということではなくて、あくまでその事業者の負担は、みずから負担すべき二〇%の範囲にとどめるべきである。それ以上の無理な融資金融をさせることは、これは高利金融なんかに走っていくということになりまして、せっかくの全体の事業そのものにたいへんな負担が生じてくる。そのことが経営を破綻に追い込むというようなきらいなしとしない、こう私は思います。ですから、是正なさる必要があるのであろう、こう思いますが、大臣いかがですか。もっと具体的な事例では、六五%の中に、たしか四三%国から来ているのですよ。自治体の金庫の中に眠らしている。自治体がそれで利ざやかせぎをやっているということすらあるわけです。これはあまりにもむちゃじゃないか、私はこう思うのです。必ずしもすべての都道府県が同一ではない。都道府県によっては、まあ理想的な扱いをしているところもある。都道府県の自主性は尊重しなければならないけれども、やはり矛盾は正していく必要があるんじゃないか、こう思いますが、大臣、御見解はいかがでございましょうか。
#39
○江崎国務大臣 どうも私もいささか不勉強で……。私の選挙区の愛知県などでは比較的これは円滑に進んで、非常に利用度もまた効率もいいということを聞いておりましたが、実情につきまして、他の府県がどうなっておりますか、ちょっとつまびらかにしませんので、事務当局からそのあたり御説明させます。
#40
○鎌田政府委員 実はこれは通産省でございまして、ちょっと私のほうで判断のしょうがないわけでございます。
#41
○中村(重)分科員 通産省ということは私もよく承知いたしております。通産省であるけれども、扱いは自治省の所管になる。なぜかといいますと、都道府県が融資の責任者になるわけです。国は、直接その事業者に貸し付けるんじゃない。都道府県に対する協調融資のような形になる。実質は、いまあなたがお答になりましたような形になるのです。しかし、形式はあくまで、いま申し上げたように、その融資をいつするかということは、この決定権というものは都道府県が行なうのです。その都道府県の窓口を通じてやる。したがって、都道府県が要求をいたしますと、中小企業振興事業団は都道府県に国の負担分を送金するのですよ。それですから、金庫に眠っている、都道府県の。これが実態なんです。ですから、それに対してあまり通産省は、出先と申しますか、中小企業振興事業団が出先であるといたしまして、それではどうすることもできないのですよ。都道府県から要求があれば送金をするということになる。それは一応審査をいたしますよ、振興事業団は審査をいたしますけれども、都道府県の要求は尊重するというたてまえになっておりますから、あくまでこれは都道府県のものの考え方なんだ。ですから、先ほど申し上げましたように、画一的ではないのです。大臣お答えになりましたように、おそらく愛知県は理想的な扱いをしているかもしれません。ですけれども、ただいま私が申し上げましたようなことが事実上はある。五〇%できていなければ、都道府県の窓口でもって都道府県の出資分を合わせて融資をするわけですから、それまで待たなければならない。その間都道府県の金庫に金は眠っているのです。これが実態なんです。ですから、やはりこれは自治省の監督下にあるということだけは間違いないのです。ですから、通産省と御相談になればよい。そうしてその矛盾を直していくということになさる必要があるのではないか。ともかく、たいへん巨額な金を投資して、国の方針、高度化事業という施策に沿ってやろうとする中小企業者の意欲をそぐということは、適当ではないと私は思います。ですから、いま事務当局がお答えになりましたことは、私は頭からそんなばかなことがあるかなんということは申し上げません。実態を承知して質問いたしておりますからね。ですから、その点ひとつ大臣から是正をしていただきたい。
#42
○江崎国務大臣 お説の点はよくひとつ精査いたしまして、至急お答えできるようなことにいたしたいと思います。
#43
○中村(重)分科員 時間が参りまして、委員長、たいへん申しわけありませんが、消防団員の処遇の問題につきまして、最後にお尋ねをいたしておきたいと思います。
 消防団員の処遇につきましては、これは自治省としても真剣にお考えいただかなければならないことは、消防団員の減少の傾向にあるということです。もちろん、これは常備消防のほうに移行しつつありますけれども、常備消防というものが完全を期することはなかなかむずかしい。したがって、消防団員に期待するところ大きいと思うのですが、消防団員の方々は報酬が多いから少ないからといって、消防精神というようなものが左右されることはないと、高く、消防団員の方々の精神的なものに期待はいたしております。といいながら、やはり国も自治体も甘えてはいけない。年の報酬にいたしましても、あるいは退職報償金にいたしましてもあるいは公務傷害等々の問題にいたしましても、十分な配慮というものがなされなければいけないのではないかという感じが私はいたします。したがいまして、消防団員に対する年報酬の引き上げ、なかんずく退職報償金は、大臣、勤続年数二十五年以上の団長でもって八万円ですよ。それから団員が、十五年以上二十年未満でもって三万五千円です。こういう実態になっているのですね。これは退職金ということではなくて、退職報償金、杯をもらってまあ一ぱいやるというような精神であるかもしれませんけれども、それにいたしましても、ごくろうさまというあいさつにしましても、二十五年以上の団長にして八万円、それから団員十五年以上二十年未満で三万五千円、これは大臣、たいへん少なさ過ぎるのじゃないか。これは退職なさるときには、御招待もありますけれども、自分のほうもごくろうさまでしたといって招待する、たいへん持ち出してやらなければならぬというようなことは避けなければならない。せっかく退職報償金というのが、四、五年前、こういう制度ができたわけです。これをもっと実情に即するように引き上げていく必要があるのじゃなかろうか、そう思いますが、大臣の御見解はいかがでございましょう。
#44
○江崎国務大臣 これは常備消防と消防団というものが、やはり両々相まって成果を発揮するものでありまするし、何となく、消防団員というものは民間の純風美俗といいますか、篤志家の好意に乗って運営されておる。これは気持ちを尊重する意味はわかっても、いかにも実情にそぐわない。いまの報酬というものは、当然時代の推移によって改めるべきものだというふうに思います。また、現在出しておる程度の金額というのは、ほんの気持ち程度のものでありまして、交付税上措置もしておるわけですが、おっしゃるとおりだと私も同感いたしますので、今後ともこの待遇改善については大いに努力してまいりたい。今度四十八年度には、まあこれも胸を張って申し上げられることではありませんが、団長の従来の二万円報酬を二万五千円にする。副団長をやはり五千円アップ、分団長は二千円アップですか、私もこういう実情に触れまして、いかにも少な過ぎるという印象を強めております。御協力を得て私どもも十分努力してまいりたいと思います。
#45
○中村(重)分科員 これで、簡単にお尋ねして終わりますが、戦時中の殉職警防団員に対するところの扶助料の支給の問題でございますが、実は弔慰金というものを一律七万円でございましたか、実は支給をいたしているわけです。その支給を受けた者が二千六百十二人全国にいるわけです。私は不合理を感じておりますのは、教育訓練された者は、軍人軍属援護法という法律がございますね、その法律の対象になる。そして事実上拘束された当時の警防団員がこの軍人軍属援護法の対象にならないということは、私は不合理だと、こう思うのです。ですから、これは十分大臣も当時の経過をお調べいただいて、これはやはり軍人軍属等援護法の対象にする、対象人員も申し上げましたように全国でもって二千六百十二人のわずかな人員です。これをひとつ大臣も十分配慮していただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
#46
○江崎国務大臣 全くお気の毒に存じておりまするので、これらの人々に対する処遇も均衡を失しないように、直接には厚生省でございますが、十分協議をしまして、期待に沿えるように努力したいと思います。
#47
○中村(重)分科員 では、終わります。
#48
○三ツ林主査代理 高橋繁君。
#49
○高橋(繁)分科員 私は、特に最近問題にされております地方行財政の確立、あるいは改善というようなことが叫ばれております。そうした意味において、地方行財政について二、三質問をいたしたいと思います。
 その中で一、二例を引きながら質問いたしますが、週休二日制あるいはレジャーブーム、そうしたことによって観光地の開発ということが最近叫ばれ、また急を要しておる問題の一つでもあります。したがって、この問題については、昨年の地方行政委員会ですか、それから予算の分科会等でかなり論議がかわされております。九州の別府市、あるいは静岡県の熱海、伊東、こうした都市の開発と財政の問題、その中で指摘されております料理飲食税の還元問題についてかなり論議がかわされております。昨年の国会で、当時の大臣が、シャウプ勧告の筋道そのものを変更しなければならない、その根本的な問題に立って考えなくちゃならないが、特別交付税にするか、あるいはそれをプール化するかということについては、今後引き続き検討をしてまいりたい。あれから一年たちました今日、この問題についてどのように具体的に検討され、あるいは進められているのか、その経過なりについて説明願いたいと思います。
#50
○江崎国務大臣 料理飲食税を市町村に配分する、この問題ですね。――それにつきましては、自治省においても寄り寄り協議、検討をしておるわけであります。ところが伊東とか、熱海とか、そういう料理飲食税の上がりのきわめて多いところもありますが。この料理飲食というのは、たとえばゴルフ場等の娯楽施設利用税と違いまして、日本じゅうあらゆる市町村に影響するわけです。極端に多い、いま指摘したような市町村もありまするが、しかし、それなりに料理飲食税の普及というものは行なわれている。これをどう割り振りをしていくか、これは娯楽施設利用税を府県と市町村とが五十、五十で分けるという、今度前向き改正をしたわけでありまするが、そういうものとはちょっと違いまして、的確にそれを把握して、適正に配付するということが、いかにも事務上困難を伴うということで、まあこれは現行の制度でいって、そして特に夜間人口などの流入のはなはだしい地域については、特別交付税で見ることにしたらどうか。ちょうどいま大野市郎委員が来られましたが、昨年もこの問題について非常に熱心な御質問がありましたので、同様のお答えをしたという次第でございます。
#51
○高橋(繁)分科員 そうしますと、その還元問題については検討をしたけれども、税制改革についてたいへん困難な問題がある、したがって、その還元問題は、結論としてはっきり言えばなかなかできない、こう理解をしていいのか、あるいはさらに検討して、シャウプ勧告の根本的な問題についての改定を考えていくのか、あるいはそれはできないから、特別交付税という形でやっていくのか、もう一度お答えを願いたいと思います。
#52
○江崎国務大臣 率直に言って、これはできないと申し上げたほうが正しい回答になるというふうに思います。したがって、まあ夜間流入人口による問題の多いことは、これはもう常識的によくわかりますが、そうかといって、これをどうするかという場合に、なかなかこれまた、人口流入による事業の増高という面が、資料として判断も非常にむずかしいという面もありますが、これはなおざりにできませんので、実情を十分把握できるような努力をいたしまして、特別交付税等で見ていく。たとえば熱海市の場合は、特別交付税を今回は前年度に比して倍額を交付したという事例にも見られますように、自治省としても十分勘案して対処しておる次第でございます。
#53
○高橋(繁)分科員 いまお話がありましたように、特別交付税という形でやっていきたい、こう説明の中にありましたが、超過行政需要が非常に多いということ、まあ実態を把握してということでありますが、地方交付税の算定基準と市の実態について一、二初の例を申し上げますと、たとえばごみ収集についても別府では実職員が百三十四人です。ところが国のそうした算定基準からいくと六十一人でいいわけですよ。倍以上職員を置かなければならない。熱海にしても、国の基準からいくと三十三名で足りるわけです。足りるというか、基準なんです。ところが実際は九十四名。それから常設消防にしても、別府が国の基準からいくと七十五名、ところが、実際は百四十七名置かなければ消防としての価値を発揮できない。あるいは熱海市にしても四十二名のところを百名。こういう状況からして、そうした一またごみの量にしても一日の基準排出量が一人当たり一千三百グラムですか、ところが熱海なんか例にとると、二千六百五十二グラム出ているわけです。そういうようなたいへんに、焼却施設も六十五トンを焼却できればいいのが八十トンであるとか、そうした消防の例にしても、給水の例をとっても、全国平均は四百五十一リットル、これが熱海では九百リットル使う。そのようにごみの問題にしても、常設消防にしても、あるいは給水の問題にしても、かなり超過行政需要が多いわけであります。そうしたことを考えて、どうかひとつ特別交付税という形でできるならば考慮をしていただきたい、こう思うわけであります。
 それから憲法九十五条に基づく特別法施行ということで、昭和二十年から一これはどういうわけか、まだよく調査をしていないのですが、昭和二十六年で一応終わっているわけです。広島市の記念都市建設法とか、あるいは別府や熱海等のように国際温泉文化都市、全国で十五の都市が制定されておる。一体この法律というものは現在生きているのかどうかということですね。
#54
○鎌田政府委員 この法律は生きております。
#55
○高橋(繁)分科員 生きているとすれば、なぜ昭和二十六年で終わってしまっているのか。この法律は憲法九十五条に基づいて特別法施行ということになっておる。そうすると、何のメリットもないということで、各地方都市がその後制定をしていないんじゃないかと思うのですが、その点どうですか。
#56
○鎌田政府委員 その間の経緯、私つまびらかにしないわけでございますが、あの当時、私の記憶によりますれば、これは議員立法の形で一連の立法が行なわれたように記憶いたしております。
#57
○高橋(繁)分科員 それにしても、憲法九十五条に基づいてそうした特別法の施行というものがなされておる、その特別法施行が生きておるということであれば一その三条には事業の援助規定というものが規定されておる、そういう都市に対して。あるいは四条には特別の助成ということを規定をして、ちゃんと法律化をしているわけです。そういう問題についてはどうお考えになりますか。
#58
○鎌田政府委員 ちょっと自治省財政局長の手に余るお尋ねであろうかと思いますが、まあ私どもの理解いたしておりますところでは、やはりただいまおあげになりましたように広島なり、あるいは松山なり、あるいは熱海なり、伊東なり、そういったそれぞれの都市の特殊事情というものにかんがみて、それぞれの都市の実態に即した事業を行ない、都市の整備を行なう、こういうねらいがあったのだろうと思います。
 で、それに基づきまして国がどのような助成措置を講ずるかということにつきましては、これはやはりそれぞれの所管の省としての考え方があろうかと思います。自治省といたしましては、それぞれの自治体におきまして町づくりを行なっておるわけでございますので、その法律の趣旨に即して市政の運営が行なわれておる、それに対する私どもの持っておりまする財政手段、すなわち交付税あるいは地方債、こういったものを通じまして町づくりのための財源を及ぶ限り配慮さしていただいておる、こういうことでございます。
#59
○高橋(繁)分科員 せっかく憲法九十五条に基づいて特別法の施行の市、あるいはその特別法によってできたところの法律というものがあるわけですから、また各市町村から、特別法施行市における流動人口にかかわる特別財政需要に対して、地方交付税の算定の強化をはかっていただきたい、建設事業に対し補助対象額及び起債額の拡大をはかるという陳情も出ておるということになれば、その法に従って、生きているというならば、私は措置もできるじゃないか、こう考えますが、もう一度お聞きいたしておきます。
#60
○鎌田政府委員 ただいまの各都市の御要望も私ども十分に理解をいたしておるつもりでございます。したがいまして、たとえば温泉文化都市等でございますれば、明年度の普通交付税の算定におきまして――ちょっと余談になって恐縮でございますが、ただいま入り込み人口に伴う特別な財政需要というものが非常に大きな問題になっておるわけでございますが、これの客観的な資料がございません。私どもが一応公信力のある資料として使えるのではないかと思いますのは、入湯税がございます。入湯税から逆に入湯客というものの推定ができます。それによりまして、この入り込み人口というものについての現在において公信力の一番高い資料が得られるのではないだろうか。
 そこで、そういう都市でございますと、それを基数にいたしまして、先ほど御指摘になりましたように消防費あるいは清掃費、商工費、こういった財政需要がやはりほかの類似団体に比べましてきわ立って多いようでございます。そういうものを普通交付税の基準財政需要額に反映できるような方法、これを四十八年度の普通交付税から取り入れてまいりたい、そういうことで考えておるわけでございまして、そのほかの都市につきましても、またそのほかの財政措置につきましても普通交付税、特別交付税あるいは地方債、そういったもので、もちろんこれは限りある財源でございますので、何でもかでもというわけにはまいりませんけれども、及ぶ限り自治体の財政需要というものには対処できるような姿勢をとってまいりたいというように考えておる次第でございます。
#61
○高橋(繁)分科員 そうしますと、特別交付税あるいは地方交付税の増額ということで、こうした特に流動人口、夜間人口が多い地点については、昭和四十八年を最初にしまして、さっき一例を申し上げましたごみ収集あるいは常設消防という点については、逐次増額され、見られていくというように判断してよろしいですか。
#62
○鎌田政府委員 そのとおり努力をいたすつもりでございます。
#63
○高橋(繁)分科員 地方行財政で改善すべき問題点はたくさんございます。あるいは国、県、市町村の事務配分の再検討であるとか、あるいは行政機能の合理化であるとか、地方自治体の財政の充実安定という面でいまいろいろ問題になりますが、そうした地方財政の、あるいは行政の改善すべき諸問題について、大臣は今後どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#64
○江崎国務大臣 合理化をはかることは、常に必要なことでありまするから、十分適切な措置をとりたいと思います。
#65
○高橋(繁)分科員 次に進みますが、地方財政の圧迫といいますか、そういう点でかなり具体的な例をあげて質問いたしたいと思います。
 最近、医科大学の設置の要望ということで、各県からずいぶん運動が展開されております。地方自治体としての要望はたいへん強い。しかしながら、それによって地元負担がかなり大きくなってくることは、これは予想をされます。静岡県の場合でも、まだ最終的なものはありませんが、地方自治体の負担する額が約三十億以上になるのじゃないか、あるいはもっとになるかもしれないということを考えますと、そうでなくても地方自治体の行財政というものは全く逼迫をいたしておる、あるいは地方自治体としての負担が大きくなり、苦しめるということから考えますと、これはいわゆる地方財政法二条あるいは十二条、そうした地財法の違反になるのではないかというふうに私は判断をいたしますが、大臣のお考えはいかがですか。
#66
○江崎国務大臣 まさに違反になるでしょうね。ですから、そういうことを私どもも聞いておりませんが、したがって、もしそういう事実があるというならば、これはやはり府県を指導するなり、国のほうと調整をとるなりして、そういうことのないような形にしたいと思います。ましてや、医学部設置のために府県が三十億円近い負担をする、そういうことはないと思いますよ。ないと思いますが、もしあるとするならば、これは容易ならぬことです。これは地方財政再建促進特別措置法第二十四条第二項で禁じられていることをあえて犯す。これは国が犯すなんといったらたいへんなことですから、十分留意してそういうことのないように国のほうとは調整をしますし、また自治体については、そういうことに応じないように指導をしてまいりたいと思います。
#67
○高橋(繁)分科員 そうすると、十二条に従って、防衛、司法、教育という問題については全額国庫負担でやる、地元負担はないと確認してよろしゅうございますか。
#68
○鎌田政府委員 国立大学医学部の問題につきましては、率直に申しまして自治体のほうがむしろ医学部を誘致したい、その熱意のあまりと申しましょうか、用地を取得をいたしまして、整地をいたしまして、提供をする、あるいは地元の病院につきまして、それを教育関連病院として整備をしてお使いください、あるいは住宅も用意をいたします、こういったような一連のことを約束をしておられるという実情が既存の――既存のと申しますか、すでに発足をいたしました旭川あるいは山形、愛媛、こういった大学の医学部の設置をめぐってあるわけであります。私どもはこれにつきましては、ただいま大臣から申されましたように、地方財政再建促進特別措置法、こういったもので国と地方との財政秩序というものを立てておるわけでございますから、それを乱されるということは、これはゆゆしいことである。したがいまして、国立大学の用地につきましては、国がみずから取得するか、交換するか、あるいは有償でその地方団体が貸し付けるか、こういう形で処理をする。あるいは教育関連病院ということになりますれば、これは他方におきまして、地方の公立病院がそういうふうに使われて内容が充実するということになれば、これは地元の住民の方も利益を受けるわけでございますので、そこにおきましてはある程度区分をいたしまして、純粋に教育、研究のために使われるものと、地元の医療需要にこたえるもの、こういったものとは区分けをする必要があろうかと思います。その中で、教育、研究の用に供されるものについては国が負担をする、あるいは職員の住宅、宿舎、こういったものにつきましては、これは当然のことでございますが、適正な賃貸料を払っていただく、そういうことで国と地方との財政関係をすっきりさせたい、こういうことで、現在大蔵省なり文部省なりと話し合いを進めておるところでございます。
#69
○高橋(繁)分科員 それは各県とも同じことが言えますね。
#70
○鎌田政府委員 大体一つのパターンがあるようでございまして、同じようなことが県当局と文部当局との間で話し合いが行なわれておるようでございます。
#71
○高橋(繁)分科員 次に、地方財政法の実例について、解釈あるいは自治省の見解というものを確認いたしたいのですけれども、地方財政法の二十七条、これは都道府県の行なう建設事業に対して市町村の負担ということが規定をされております。その中で、二項に、「前項の経費について市町村が負担すべき金額は、当該市町村の意見を聞き、当該都道府県の議会の議決を経て、これを定めなければならない。」とあって、その行政実例に、「本条に規定する議会の議決は、市町村から負担金を徴収する旨の特別の事件議決であり、予算の議決をもつて足りるものではない。」という行政実例があります。地元の市町村から負担金を徴収する旨の特別の案件は、「予算の議決をもつて足りるものではない」とありますから、特別の事件議決をしなければならない、これでよろしいかどうか。その解釈についてお考えを承りたい。
#72
○鎌田政府委員 二十七条の二項の規定の解釈でございますけれども、率直に申しまして、都道府県の議会の議決を経るという、この議決を経る形式というものまでは実は規定がないわけでございまして、その市町村に負担をさせるその対象、内容、負担率、こういったものが明らかになる形で都道府県の議会の議決を経れば足りるという解釈を私は持っておるわけでございます。ただ、私どもの役所といたしましての従来のいわゆる行政解釈、役所の解釈といたしましては、事件議決というものを必要とする非常にきびしい解釈をとっておるわけでございまして、私どもといたしましては、それに従う、こういう考え方でございます。
#73
○高橋(繁)分科員 そうしますと、この行政実例に従うのが本義である、こう解釈していいですね。
#74
○鎌田政府委員 そういうことでございます。
#75
○高橋(繁)分科員 そうしますと、かりに都道府県がこれをやってないとすれば、都道府県に対してどういう指導をなさいますか。
#76
○鎌田政府委員 そういう実例がございますれば、私どもといたしましては所要の指導を行ないたいと思います。
#77
○高橋(繁)分科員 そうした問題が実際はあるわけで、あとでまた、静岡県の清水港の整備事業でもって、地元の負担軽減、あるいは地元の市町村の財政の圧迫という問題について、たいへん問題になっております。それがそういうことで、予算の中で一括審議されておるということは私は間違いであると思うので、どうかひとつよろしく指導のほどをお願いいたしたいと思います。
 以上で終わります。
#78
○三ツ林主査代理 安井吉典君。
#79
○安井分科員 実はきのう青森県の三沢基地へ行ったものですから、きょうの質問の内容も、基地と自治体財政という点にひとつしぼってお伺いをいたしたいと思います。
 三沢市にも、御承知のように米軍基地と、それから自衛隊基地と両方あるわけでございますが、その米軍基地の存在によって、そこに住んでいる米軍から、本来ならば住民税や電気ガス税の徴収ができるはずなのに、安保条約地位協定を基礎にして、そういう徴税ができない形になっている。そのことは、憲法の地方自治の本旨にそむいた内容であるので、憲法違反ではないか。少なくも本来得べかりし住民税、あるいは電気ガス税に当たる分は国が補てんをするとか、そういうような措置を要求したい、こういう話を聞いてきたわけでありますが、これについて自治大臣、どうお考えですか。
#80
○江崎国務大臣 在日米軍の基地につきましては、御承知の地位協定の中に、地方税法の臨時特例に関する法律第三条、これによって電気ガス税は非課税、それからその軍人軍属及び家族が使用するもので米軍が支払うもの、これも非課税。同じ根拠によってであります。そういうことに従来からきめられておるわけであります。まあお尋ねではありませんが、自衛隊施設に使用するものは課税をする、これは課税対象になるわけですが、地位協定上非課税の措置をとっております。
#81
○安井分科員 固定資産税に当たる部分については、国有施設等所在市町村助成交付金に関する法律ですか、いわゆる基地交付金という形で完全穴埋めができているのかどうかわかりませんけれども、一応穴埋めという趣旨での措置があるわけであります。しかし、住んでいる人間についての住民税や電気ガス税等は課税ができない。しかし、その地域に住んでいるということによって、そこの自治体が一般的な行政の中で実施しているいろいろな恩恵といいますか、行政効果を受けているという面が相当あるのではないか。そういうような側面から何か補てん措置が必要ではないか、こういう議論のようであります。現在の段階で課税ができないということは、これはいまおっしゃったとおり、私もそういうふうに申し上げたとおりでありますが、現実にはどういうような処理がなされているか、こういうことです。
#82
○佐々木政府委員 米軍施設につきましては、御承知のとおり調整交付金の制度があるわけでございます。調整交付金の配分にあたりましては、三分の二の額を基地のいわば固定資産税相当額というような考え方で配分をいたしまして、あと三分の一の額につきましては、ただいま申されましたように、在日米軍につきましては、その軍人については住民税が非課税になり、あるいは電気ガス税が非課税になっておりますので、そうした電気ガス税並びに住民税の非課税分の補てんというような趣旨を含めまして三分の一の額を配分する、こういうことにいたしております。
#83
○安井分科員 現実にその二つは穴埋めに、こちらの欠陥を、こちらで穴埋めになるというふうな、金額的にそうなっているのですか。
#84
○佐々木政府委員 調整交付金の額がまだ十分な額までいっておりませんので、完全に補てんをするというところまではまだいっておらないというところであります。ただこの調整交付金も、基地交付金も、同様に一般財源として交付されておるわけでございますが、地方交付税の計算におきましては、これを基準財政収入に算入をしないという措置がとられておりますので、実質的には相当な部分の財源となり得るのであろうというふうに考えております。
#85
○安井分科員 私は、きのう聞いた話の中から考えられることは、相当な財源補てんとかいうふうなあいまいな言い方で説明をされているものだから、どの程度埋まっているのか、どの程度埋められていないのか、その点が結局納得がいかない形のままに放置されているということではないか、私はそう思って市長の話を聞いてきたわけです。ですから、現実にはどれくらい得べかりし税収があるのか、それに対してどれくらい埋まっているのか、その辺をやはり明確に数字的にも御説明がつくような形にしておかぬといかぬのではないか。不足ならこれを埋める措置が必要ではないか、こう思うのですが、どうですか。
#86
○佐々木政府委員 現実問題といたしまして、在日米軍の個々の軍人についての所得額の算定というのが実際問題としてきわめて困難でございます。電気ガス税につきましては、その使用量等につきましては概略の数字はわかるわけでございます。現在電気ガス税は、三分の一の調整交付金の配分にあたりましては、おそらく三割程度の財源補てん割合くらいになっているのではないだろうかという感じを持っております。
#87
○安井分科員 まあきのうの話をだんだん広げた質問にいまなっているわけでありますけれども、やはりこれはもう三沢の問題だけではなしに、全体的にそういう問題が出ているのかどうか、私よくわからないのですが、そういうような動きが出てくる可能性があるわけですから、ぜひそれへの対応として――なかなか算定しにくい問題だと思いますよ。それはよくわかりますけれども、少なくとも補てんという考え方で調整交付金を交付しているのであるとすれば、やはり補てん措置は十分やらぬといかぬと思います。これは補てんではないんだ、恩恵的な交付だというお考えなら別ですけれども、補てんということを基礎にして交付しているということであるとすれば、やはり完全補てんしてくれ、こういう要求が出てくるのは当然だと思いますので、それへの対策をひとつお願いしておきたいと思いますが、大臣どうですか。
#88
○江崎国務大臣 いまお答え申しましたように、これは金額としては非常に少ないわけでございます。これは基地交付金の場合でも、固定資産の税率に見合う一・四%というところまではいっていない実情でございます。また調整交付金しかりでございます。御指摘のように、これはやはりだんだん近づけるべき性格のものである。特に財政事情が豊かになってまいりましたときに、地方財政が困難を来たしておる、しかも、それが基地であるというわけで、いままででも努力はしておるわけですが、一そうの努力を必要とする問題であるというふうに考えております。
#89
○安井分科員 防衛施設庁からもおいでをいただいているわけでありますが、防衛施設周辺整備法による補助事業の運用でありますが、何かこう、きちっとした基礎に基づかないで、陳情の強いところにはよけいやるとか、自衛隊の募集に協力するところにはよけいやるとか、そういうえこひいきな配分等があるのではないかという一つの疑問を関係の筋から出されているわけであります。その点、どうですか。
#90
○坂尻説明員 防衛施説周辺整備法は、自衛隊等の行為あるいは施設の運用等によりまして障害が発生する場合、その障害を軽減ないしは防止をするというたてまえの法律でございます。その場合に、いろいろ防止のためのもろもろの工事等を実施する場合、市町村等に対しまして補助をするというたてまえでございますが、その補助の対象になる工事の種類、それから自衛隊の障害の種類、どういうものがあるか、そういうものは、一一法律、政令等に規定してございます。それから四条に、民生安定のための施設の補助という規定がございますが、それに関しましても、法律、政令にその補助事業の対象、あるいは騒音等の場合はその基準等、明確に規定してございまして、市町村からそれらに関して要望があり次第、これに関して実際の適用の可否というものを、可能性というものを基準に照らしまして実施しておりまして、特にえこひいきというものはわれわれは毛頭考えていないところでございます。(「記念碑立てたじゃないか」と呼ぶ者あり)
#91
○安井分科員 いまそこで話がありましたけれども、施設をつくって表に記念碑を立てて、そういうことの記載を防衛施設庁が命じたという報道があったわけですね。そういうようなことで、何か恩恵を与えてやるというふうな、そういう考え方で進めていく、あるいはまたいわゆる札束で基地住民のほっぺたをたたくというような形で基地の存在を住民に意識づけていく、そういうような含みでの交付ではないか、こういう疑問が従来から出されているわけですね。いまはそんなことはありませんと、こういうことでありますけれども、もう一度はっきりしたお答えをいただきたいと思います。
#92
○坂尻説明員 一つの補助事業にいたしましても、各市町村それぞれの事情によりまして、あるいは財政事情等によりまして、各市町村いろいろ異なった要請があると思います。それによりまして補助事業をやっておるというものでございまして、一律に各市町村同じような施設をやるという意味ではあるいは態様が異なるかと思います。実際にある一つの学校等の建設等につきましても明確な客観的基準に従いまして、障害の程度等に応じまして実施するということでございまして、その辺はえこひいき、そういうものは私は絶対に考えられないと思います。
#93
○安井分科員 いまの看板を掲げたという問題は、現実にあったわけでしょう。それからその後どうなっておりますか。
#94
○坂尻説明員 防音工事を学校等に実施する際に、補助事業であるということから、国民の税金という意味でそういうものを使用したというような観点から、防衛施設庁の周辺整備法に基づく補助事業であるという旨の表示をするというようなことが好ましいという形で指導したことは過去ございました。しかしながら、これは過去において指導したことはございますが、決して強制したというようなものではございません。現在もそういう意味で、なるべくそういう一つの表示というものは、われわれとしては好ましいとは思っておりますが、強制という形では実施しておりません。
#95
○安井分科員 おかしいですね。自治大臣は前防衛庁長官でもあるわけですから、どちらの資格でもいいですが、政府としてほんとうにそういうふうに考えておられるのですか。これは防衛整備の補助事業であれば出さなければいけないし、国の補助事業はたくさんあるじゃないですか、農林省も補助事業をやっている、建設省でも運輸省でもみんなやっていますよ。全部これは国の恩恵ということを立てさせるような、そういう方針で政府はおられるのですか。
#96
○江崎国務大臣 これは私も責任があるわけですが、これはいま課長から説明がありましたように、国の税金を使っておるということ、ではほかの事業にはそういうものを指導しないじゃないか。一つの御意見だと思いますが、こういうことだと思うのです。率直に言いまして、基地周辺住民に御迷惑をかけております。したがいまして、政府は何もやらぬじゃないか。これは困りますね。そこで、政府といたしましては、住民の皆さまに御迷惑をかけておりまするので、こういう対策をいたしました、これもいたしましたというわけで、何も恩恵的にそれを表示するということではなしに、やはり周辺住民の受けておる被害、損失というものに真心をもってできるだけおこたえを申し上げております、それはこれでございますという、むしろ謙虚な意味の表示でありまして、これは努力をしておるということの一つの表示、損失に対する努力、そういうふうにおとりいただくというと、これはすらっと御理解が願えると思うのでございます。
#97
○安井分科員 それなら、たとえば新幹線の公害がある。それの防音施設も必要になってくる。そういったようなものを次々立てていくということを前提にしての政府の御方針なのか、ですね。たとえば土地改良事業が行なわれる。それに対する国庫補助、これも、国の方針として、たとえば、この地帯は非常に湿地でどうにもならぬ地域である、それを国が補助金を出して排水がよくなるようにいたしたおかげであります、そういうのを立てさせるんですか。何もかもそういう御方針なんですか。防衛関係だけにそんなものをつくるという、私はそこがどうもふに落ちない。沖繩などは基地だらけでしょう。沖繩じゅうがそんな防衛庁の看板で一ぱいになりますよ。そんなばかなことを私は許すべきじゃないと思う。好ましいことだとか、政府の方針だということは、これは取り消していただかなければならぬと思う。それが好ましいとかそんなものじゃなしに、それは自治体のほうがかってに立てたんですと、こう言われれば、これは私はそれ以上追求の方法はありませんけれども、それが好ましいんだとか、それをやりなさいとか、それはむしろ憲法の自治体の自治権の確立に対する干渉といいますか、そういうような趣旨からも私はこれは大事な問題だと思う。これは現に自治大臣でもあられるわけだから、その点もう少し伺っておきたいと思います。
#98
○江崎国務大臣 これはもともと国が強制したものじゃなくて、合意の上でそういう標識を立てる、しかも、それは大きなものじゃなくて、たとえば学校の防音装置でありまするとか、学校の補助事業でありますとか、そういうものに、ほんのごく一部に表示する、しかも、それはあくまで合意であるというわけでございますから、防衛庁がことさらに強調したものでもありませんし、またわれわれ自治省側からいいまして、それが自治権の侵害になるという大それた問題でもないというふうに考えます。
#99
○安井分科員 それはどういうふうにされているんですか。通達か何か出しているんですか。
#100
○坂尻説明員 通達を出してございます。
#101
○安井分科員 ひとつ通達を資料として国会のほうに御提出いただきたいと思います。これは簡単なようだけれども、私はずいぶん問題点が多いと思いますね。それをひとついただいてからにいたしたいと思います。
 そこでもう一つ。新聞の報道によりますと、自民党の基地対策特別委員会あるいは政府の基地関係閣僚協議会幹事会、こういうところで、今度米軍基地の拠点化に伴う対策を相談した結果、さらに現在の防衛施設整備の法律を上回る特別な立法措置が必要である、あるいは現在の法律を大幅に拡大をする特別ワクの交付金を与える、そういうような点について協議が進み、いずれ立法措置に進むのではないかという報道を見たわけであります。ニクソン・ドクトリンによって米軍基地の拠点化がどんどん進んで、たとえば関東プランも横田に集中していく、そういうような事態があるし、沖繩もそういうことであります。したがって、自治体側からの、いわゆるこういう状況によって住民にしわ寄せが来るのは困るというふうな要求に対して、現在の制度でもまだ足りないからこれを大幅に上回るものにしてやろう、こういうふうな考え方のように見受けられるわけでありますが、これは現実にそういうふうな方向に進みつつあるのですか、どうですか。
#102
○江崎国務大臣 そういうことは私どもまだ聞いておりません。ただ、問題として、基地周辺整備を促進しなければならぬ、これはどうも時代の一つの要請でもあろうかと思います。特に基地を必要とする政府及びその与党、基地は撤廃しろという御意見の政党ということで、どうしても住民感情が混乱するわけであります。そのために、特に基地周辺整備を強化していかなければならぬのではないか、損失補てんということはもっともっと配慮しなければならない、こういうことは絶えず政府部内で協議もされ、いわれておるところであります。さっきの表示にしましても、そういう基地を必要とする、いや、しない、そういう混乱のときにまあできるだけの努力をしておりますという実は素朴な気持ちに基づいてそういう通達が出たりしておるわけでありますが、そういう一つの政策の谷間といいますか、にある基地であるだけに、その整備の問題が非常に大きく取り上げられる、対策もしなければならぬ、こういうことだと思います。
#103
○安井分科員 防衛庁はどうなんですか、いまの問題。
#104
○坂尻説明員 大臣からもお話がございましたように、周辺整備法というのは昭和四十一年に制定され、それから数年たっておるということでございまして、その間いろいろな基地、施設をめぐる社会情勢、環境等の変化がございまして、実態に合わない。たとえば適用される事業の範囲等につきましてもいろいろ実態に合わないという面、あるいはさらに拡大してくれというような周辺の地元からの要望その他も最近強まってございます。そういう面、われわれとしましては、部内的にどうやったら皆さんの御要望に沿えるかというような点につきまして、かねてからいろいろ研究はしてございますが、そういう面の研究は現在続けておるということで御了承いただきたいと思います。
#105
○安井分科員 それでは特別立法措置の準備をしているということではないのですか。
#106
○坂尻説明員 現段階において特に特別立法という形での考えはございませんが、そういう研究は日ごろ常に続けておるということでございます。
#107
○安井分科員 今度の国会の間に提案するという、そういう見通しはありませんね。
#108
○坂尻説明員 ただいまのところは、そのようなことはないと考えております。
#109
○安井分科員 それでは、この問題はもう少し模様を見てからにしたいと思いますが、もう一つ、ちょっと時間がありますので、都市交通の赤字対策について、今度自治省は特別立法措置を講ぜられるわけであります。その問題の本質論や対応の問題については、もっと時間をかけて議論をする場を持ちたいと思うわけでありますが、ただ、この間の本会議でもそういう話が出ていたわけでありますが、公立病院の赤字もたいへんであります。それからまた水道も、料金措置でカバーしているところもありますけれども、やはり赤字で苦しんでいるところはあるわけです。ただ、水道のほうは料金引き上げが交通に比べてわりあいにしやすい。そのことによって、赤字状況が出てきても料金値上げで何とか切り抜けている。交通のほうはそういかぬ。また交通のほうはそれ独自の路面渋滞等の問題もあるわけですけれども、いずれにしても、他の地方公営企業も赤字に悩んでおり、きびしい状況があるという事態をそのままにして、交通だけの対策という点、これはどうもふに落ちないわけであります。やはり地方公営企業の全体をにらんだ立法措置、そういうものも必要じゃないかと思うのですが、その点どうですか。
#110
○江崎国務大臣 地方公営企業が財政的に非常に困窮におちいっておる、このことはよくわかります。しかし、わけても交通事業について今回はその対策を強化した、こういうことです。病院などについても議論の存するところだと思いますが、ただ問題なのは、企業と名がつく以上、やはり利用者負担、利益を受けたものが負担するということが公平の原則からいっても当然だと思うのです。病院の場合はまだ、たとえば自治体病院と同じ規模、同じ条件にある民営の病院の状況はどうかというと、やはり財政上ペイしておる、そうだとすれば、もっともっと改善努力をする余地があるのではないか、こういうことが言えると思うのです。すでにいろいろ補助措置等々とっておるのが実情でありまするが、ちょっと交通事業とは段差がある、水道しかりというふうに考えておる次第でございます。
#111
○安井分科員 それは、公営交通が非常に深刻な事態にあるということはわかる。だから、それらの対策はいまのこれだけで十分だというふうなことを私は思わない。今度お出しになった特別立法だけではこれは方法がないので、もっと抜本的な施策が必要だということを社会党として提案もしたいと思いますけれども、それはそれとして、やはりそれと段差はあるかもしれぬが、そうかといって病院や水道の非常に困っている事態の部門はそのままで待ちなさいというわけにいかぬと思うのです。同時に今度は、これをこうやるのです。こういうふうな対策もやはりお出しにならぬと、これは地方公営企業全体の中で問題が出てくるので、やはり続いて、公営企業白書の中で示されている問題点が他の公営企業についても解消できるような対策をお出しになるべきだと思います。最後に、その点どうですか、そのことについて伺いたい。
#112
○江崎国務大臣 これは十分検討してまいりたいと思います。もとより病院の問題は、その効果からいいましても相当な効果をあげておるわけですし、十分検討いたしたいと思います。
#113
○安井分科員 時間ですから終わります。
#114
○三ツ林主査代理 佐野進君。
#115
○佐野(進)分科員 私は、いま安井さんから御質問がありました問題に関連した事項について質問をしてみたいと思います。
 それは地方公営交通事業の経営に関する問題であります。公営交通事業の経営は、昭和四十六年度決算において累積赤字千九百二十九億円に達し、この累積赤字は地方公営企業法改正に基づく財政再建対策が実施され、路面電車の撤去、バスのワンマン化等多くの合理化が行なわれている中で生じたものであります。このままでいくと、昭和四十七年度決算においてはおそらく二千二百億円内外の累積赤字となることは必至であり、非常に深刻な状態に逢着しておるわけであります。こういうことを前提にしながら質問をしてみたいと思うのでありますが、大臣は今度、いまお話ございましたように、法律案をお出しになったわけでありますが、この事態の中で自治省当局として、この法律案をもって現状の中において打開できるということを基本的に確信しておられるかどうか、まず冒頭基本的な概念について御質問したいと思います。
#116
○江崎国務大臣 今回の措置によりまして、相当問題は解決し得るというふうに思います。もとよりこれは、この交通機関を持っておる地方公共団体の合理化をはじめとする経営努力が進まなければならぬことは申すまでもございません。
#117
○佐野(進)分科員 いま私は、冒頭棒読み的に大臣の見解をお尋ねしたわけでありますが、結局そのことは、あらゆる努力をした結果千九百二十九億円の赤字が出、さらにそれが今後累増していくであろう、こういうことについて御質問したわけです。だから、いま大臣がお話しのように、合理化努力合理化努力ということで問題の処理がはかれる事態は、もう過ぎているように考えるわけですけれども、基本的に大臣の答弁では私は不満足でありますので、もう一度それを聞きたいと思います。
#118
○江崎国務大臣 御承知のように、特に路面交通の問題等におきましては、その人件費の増高というものが非常に顕著であります。それから運賃の適正化、これは物価等々とのかね合いもありますが、ある程度やはり利用者が負担をする、運賃の値上げということがその市なり公共団体なりの住民感情から非難されるということもありましょうが、これは受益者が当然ある程度の受益負担をしていくという原則を無視してまでの鉄道運賃、こういうことは合理化努力をしているということにならないわけです。ですから、そういうあたりがどう努力されておるか、これは自治省としても重大な関心を持ってそれぞれの経営体を見ておるわけです。したがって、そういう努力に応じてこの問題は議論されるべきものであって、まだまだ合理化が十分いっておるとは思いません。
 たとえば東京都のごときも、他都市は五十円であるものを四十円に据え置いておる。一番利用者が多い――いま五十円、四十円といいましても、これはたった十円ということかもしれませんが、なぜ他都市で五十円取っておるものが四十円でなければならぬかという、その必然性についての説明も明らかにされていない状況であります。これは経営合理化、経営努力が足りないというふうにいわれてもいたし方ないのではないかというふうに思います。
#119
○佐野(進)分科員 大臣の考えが少し固定的で、幅狭く考えて答弁しておられると思うのです。私はいま時間が三十分しかないこの分科会の質問で、本質問題をいつまでもやっているわけにいきませんから、前に進みますけれども、私の言っているのはそういうことではなくて、いわゆる賃金が上がるということが、合理化努力によってどれだけこのインフレ時代に消化できるか。それはあとでも触れますが、そんなことはなかなかできません。料金の値上げについても、公共料金の抑制をはかる政府の方針の中で、そう簡単に料金の値上げが行なわれ得るものではありません。合理化努力というのはそういうことではなくて、もっといまの情勢に対応するにふさわしい努力目標というものを自治省が明らかに提示しながら、これに対してどうなのかということでなければならないのであり、現在すでに第一次再建対策の中で相当程度消化されているという、さっき棒読みにしたのでありますが、そういう前提の中で大臣はどう考えておられるかということを御質問したわけでございます。
 あとで関連しながら答弁していただきたいと思うのですが、そこで私は大臣にお伺いしたいことは、いまの都市交通の持つ本質的な役割りを、企業採算性を限度に置いて運営していくべきだという考え、いわゆる企業性を重視するという考え方からいまの御説明の中でも相変わらず抜け切っていないわけでありますが、そのことの持つ考え方において、この危機並びに将来発生するであろう、予測されるいろいろな問題に対処できるとは考えないのでありますが、大臣は企業性を前提にしたいまの考え方のワク内において解決でき得るとお考えかどうか、この点明確に御答弁願いたいと思います。
#120
○江崎国務大臣 ですから、完全企業体というふうにはわれわれ思っていないわけで、さればこそ不良資産をたな上げしたり、またそれに対して孫利子までめんどう見たりと、いろいろな助成方途をとっているわけです。それでも十分じゃないじゃないか、一般会計から応分の繰り入れをすべきではないかとか、いろいろ議論はあります。しかし、一般会計で見ていい性格のものと、見ては他の公共事業遂行上しわ寄せを生ずると考えられるもの、これも区別することが必要だ。ただ一般会計から入れていく、東京都のような場合は一つの都制をしいておりますから、比較的問題は起こりませんが、たとえば横浜市とか名古屋市とかいうような場合は、この路面電車、路面バス等を利用する通勤者等も、周辺から入ってきて目的地まで利用するという場合がありますね、そのときに、一体その市財政一般会計から負担することが正しいのかどうなのかという問題も当然起こってくるわけです。それが私先ほどから申し上げている利用者が応分の負担をすることは当然であるという思想につながるわけでありまして、国としても放置しておるものではない。今度も相当思い切った助成方途を講じよう、こう申し上げておるわけです。
#121
○佐野(進)分科員 原則でありますからもう一回質問いたします。
 私は、いまの利用者負担ということと受益者負担、それが単に完全に分離した形の中で、たが乗ったから受益者であり、乗らないから受益者でないということは、今日の交通事情の中では一がいに言い切れない問題があると思うのです。大日は、その点おわかりになっていながら、説明上いまのような答弁をされておると思うのでありますが、私は、そういうような基本的な問題に立って公営交通事業に対処していただかなければ、この難局はいつまでたっても解消でき得ないし、大臣の基本的な考え方も、いま少しく幅を広げてこれらの問題に取り組んでいただきたいと思うのであります。私は、特に言えることは、いまや都市交通問題は企業採算のワク内において律し得べきものではなくて、都市問題の一つとして、大都市並びに中都市、いわゆる都市交通の存在する地域の中に住む住民大多数が、ごみの問題で苦しむ、公害の問題で苦しむ、それらをそれぞれ当該府県、市町村の中で解決を求める、政府に要求する、これと同じような状況になりつつあると思うのであります。路面交通が路面渋滞の中で採算が合わないからといって、撤去してみても、結果的に住民の利益が守られたことにならず、いま路面交通の中におけるバスが、同じような運命に逢着しようとしているわけです。いわゆる根源を正さずして、小手先の対策の中で問題の解決をはかろうとしても、結果的にその地域住民に不便を与えるだけで、地域住民の利益を守ることに通じないことが、大都市の再建案の実施の中でいま明確に結論として出されてきているような気がするわけであります。したがって、私は、こういうような観点から、都市交通問題を見る場合においては、単に企業採算制のあり方だけでなく、大臣はいま一応新しい見方で対処しておると言われましたが、それら政治的な課題ないしは行政的な課題の一つとして、都市に住む住民の利益を守るという意味において、考え方を飛躍させて、ひとつ積極的に取り組んでいただかなければならないときにきているのではないか、きつつあるのではないか、そう思いますので、この点についての大臣のいまひとつ明確な御答弁をお願いしたいと思います。
#122
○江崎国務大臣 やはり私は、合理化努力、経営努力、こういったものが何といっても根本だというふうに思うのです。すでに累積した赤字については、相当大幅な助成をしておるわけです。利子については全面的に負担をしたり、また償還金等についても、長期にわたってというような配慮をしておるわけでありますね。ですから、もう少し経営的な努力というものがなされないものかということを痛切に思うわけです。しかし、政府としてもなおざりにできませんので、今後にかけても十分この助成方途等については努力をしてまいりたいと考えます。
#123
○佐野(進)分科員 この点は、なかなかかみ合わない議論でありますけれども、私は、それでは大臣に次の問題としてお聞きしたいと思うのでありますが、今日の経営危機をもたらした最大の原因に人件費の増高があるということを言われました。その人件費の増高ないし諸経費の増加は、一体何によってもたらされたとお考えになりますか。
#124
○江崎国務大臣 いろいろありましょうが、合理化の不徹底、一口に言うなら私はそういうこともあったろうと思います。そしてだんだん従業員の老齢化というようなことによって、一つの年功序列方式がそこにも適用されておるということにもよりましょう。人件費の構成比が、公営の場合七二・九%、人件費の営業収益に対する割合は八七・三%というふうに承知しております。
#125
○佐野(進)分科員 大臣がその観点から議論を展開しておられれば、これはいつまでたってもかみ合いません。政治の責任者、政府の責任者ですから、いわゆる地方行政に対する責任者ですから、それ以上の答弁はでき得ないかもしれませんけれども、先ほど来申し上げておるとおり、第一次再建計画の中で、自治省の指導に基づいて合理化というものは相当進行しているわけです。そしていま言われたような面については、他企業との比較の中においても相当均衡を回復しつつある。むしろ一般事務事業に従事する職員に対しては低くなりつつある部面も発生しつつあるわけです。したがって私は、いま大臣が言われたように、合理化努力であるとか、あるいは高年齢層であるとか、どうとかいうことは、すでに古い時代の感覚に基づいての御答弁といわざるを得ません。しかし、ここで時間をとっているわけにまいりません。私は何としても、日本経済のいわゆる高度成長によって行なわれた賃金の高騰、毎年行なわれるいわゆる春闘その他における一般労働者の賃上げに対応する公営企業関係の交通労働者に対する賃上げ、これは一年程度おくれているわけであります。おくれている中でなおそれをしなければならないというところに問題があろうと思うのです。ここらはどう考えますか。
#126
○江崎国務大臣 なるほどそういう点もあろうと首肯するにやぶさかではありませんが、運賃値上げという面についての努力が足りない。少なくともお互いに選挙に出る者は、人気だけを苦にしておったのではいけない。人件費の増高に比例して、運賃がいかにも据え置き、なおざりにされ過ぎておる。これは私、いかにも国民負担の公平原則からいって非常に矛盾があるというふうに思うものです。もとよりむやみに値上げをしろというものではありませんが、極端に運賃をめぐる努力が足りない。これは指摘しなければならぬと思います。特に東京都のように、交通のサービス改善が要請されるときに、他都市よりも低い運賃にあるということは、どう考えてもこれは不合理中の不合理、責任者としてよほど反省をしていただかなければならぬ点であるというふうに考えております。
#127
○佐野(進)分科員 その点、また議論ばかりしておってもしかたがありませんが、質問することがたくさんありますので、進めたいと思います。
 そこで、いまのお話の合理化努力ということの内容が大臣のお考えとしてわかりましたが、しからば、いわゆる今日の経営危機をもたらしたもの、それに対する政府の努力、これは第一次再建案の中においてそれぞれ指導されながら、地方公共団体あるいは管理者等と一体となって努力をされたわけでありますが、結果的に、先ほど申し上げましたような累積赤字が加重していったわけであります。これについて、その原因が一体どこにあるのか、これはどちらでも、局長でもいいですから、御答弁いただきたいと思います。
#128
○鎌田政府委員 第一次財政再建の経過を私ども反省いたしているわけでございますが、まず企業内の問題、それから企業外部の問題、両方二つに大別して申し上げられようかと思います。
 企業内部の問題といたしましては、ただいま大臣から強調されましたように、経営合理化の努力、これは先ほど先生も仰せになりましたけれども、ワンマンカーを徹底して推進するとか、手当等をかなり整理する、こういった面での努力というものが行なわれておるわけでございますけれども、それでも、たとえば基本的な給料表の問題等につきましても改善が行なわれておらない、こういった面、あるいは料金の適正化をはかる、この努力というものが足りない、タイムリーに行なわれておらない、こういった面があろうかと思います。
 企業外部の努力問題といたしましては、何と申しましてもモータリゼーションの急激な進行あるいは都市構造の変化、こういうことに伴いまして、交通企業環境というものが非常に悪くなってきておる。定時性というものが確保できない。そういったことでお客さんが逃げる。お客さんが減るものですから、料金収入も落ちる。こういった一種の悪循環におちいっておる、こういったことが要約して申し上げられようかと思います。
#129
○佐野(進)分科員 時間がなくなってきましたので、私、各項目的にもう少し質問したいと思って、次の問題に進みたいと思いましたが、時間的余裕がございませんので、一括しながら質問を続けていきたいと思います。
 これら状況の中で、政府は、各大臣の在任期間を通じて、私的機関である都市交通問題研究会においてそれぞれ研究を続けられ、昨年の暮れにその答申を出されておるわけであります。したがって、この答申の内容が、当面する政府の対策の基本的な柱になっていくであろう、こうわれわれは考えておりました。おりましたところ、今回法律案が提出されてまいっておりますので、これらの問題について、その内容等を含めながら若干の質問を続けていきたいと思うのであります。
 まず第一に、第二次再建案については、この都市問題研究会の答申を受けて単独立法を提案されたと思うのでありますが、前回は、公営企業法の改正ということで出されておるのに、今回は単独立法として提案されておるわけです。その理由を、ひとつ原則でありますので、尋ねます。
#130
○鎌田政府委員 前回の立法と今回の立法と、客観的なと申しますか、相違といたしましては幾つかあげられるわけでございますが、まず第一には、交通企業、交通事業というものの経営の危機、これはますますどうにもならない、寸刻もゆるがせにできない段階に立ち至っておるわけでございまして、前回は交通のみならず、病院、水道、こういうものをひっくるめまして再建制度をつくったわけでございますが、今般は交通企業について緊急の再建措置というものを講じざるを得ない、そういうことになりますと、現行法の再建規定と今度の交通事業の再建規定とのからみ合いの問題が出てまいります。現行法の再建規定は、四十一年三月末日現在の不良債務に対する処置を中心とした制度でございますけれども、その後におきまして不良債務が発生をいたしまして、経営の再建を行ないたいという場合には、準用再建の根拠規定としてこれを残しておく必要があるわけでございます。そこで私どもは、今度の交通企業の財政再建につきましては、これは全く緊急なもの、当面これだけに限って行なうべきものという臨時特例的な考え方をもちまして、単行法として別個に規定をした、これが一番大きな考え方の相違でございます。
#131
○佐野(進)分科員 そこで、その理由はよくわかりましたが、政府は、この答申を受けた中で、今度の四十八年度予算に対して相当の努力を自治省はなされたということについて、私はよく理解をしておる者の一人だと思うのであります。結果的に、市町村ないし運輸当局との折衝の中で、大幅に、それぞれの自治省の考え方が後退をしている面が幾つか見られるわけであります。その一つ一つを具体的に質問するわけにはまいりませんが、財政面からいいましても、八百七億の要求に対して、六百九十五億の予算化しかでき得なかった、こういうことは、一般的に考えた場合、非常に自治省の弱腰と受け取られなければならないと思うのであります。
 さらにまた、いわゆる地下鉄の建設費補助等については、四分の三補助ということが三分の二補助という形の中で、それも復活の中でやっときまった、こういうようなことであります。もちろん、四分の三が自治省の考え方の基本ではなく、それぞれの要求された形の中で努力目標であったと思うのでありますが、その他許認可の問題につきましても、結果的に、現行どおりという形の中で、それぞれ関係行政機関の許認可問題についても、それが通らなかった。特に料金問題につきましては、地方議会において議決し、その長が政府に対して要求を出してくる。政府に対してそれを報告する。政府はそれに対して、さらに経済企画庁等を中心にして認可を与える。そのために一年も一年半も認可が行なわれなかった。大臣はいま、その努力をしなかったということじゃなくて、努力して持ってきても、政府は、認可が行なわれなかったという事実があるわけです。これらについては当然当該地方公共団体において議決をし、長がそれを執行しようとするとき、政府があえてそれに対してクレームをつけるということがあるわけであります。これらについてはむしろ自治省の考え方が後退しておる、いわゆる弱腰ではないか、こういうぐあいに考えられるわけでありますが、これらをまとめてひとつ大臣と局長の答弁を求めます。簡単に言ってください、時間がありませんので。
#132
○鎌田政府委員 まず、いま御指摘になりました再建債の問題は、これは六百九十五億今年度計上いたしておりますが、結果的には八百七億になるということを申し上げておきたいと思います。と申しますのは、現在第一次再建をやっておるものが、四十八年度で再建が終わるわけです。それの不良債務につきましては、四十九年度にまた再建債を起こすわけです。それを合わせますと、当初私どもが申しておりました大体八百七億程度のオーダーの水準になる、これは決して後退したわけでも弱腰でも何でもないということを御理解いただきたいと思います。
 それから地下鉄の問題でございますが、これは私ども実は一ぺんにまとめてやったらどうだ、八年間で分ける、そういうのをやらないで、建設費に対する補助を一括してやったらどうだ、こういうことを申しておりましたが、これはどちらかといいますと、経理的な技術的な問題がございまして、結局、一括してやりますと、いわゆる経常勘定でございますね、資本勘定でない経常収支のほうにはこれはすぐにはいい効果を及ぼさない。問題は、経常収支の勘定をよくする、こういうことになりますと、一括してやるよりも、やはり分割してやったほうが経常勘定のほうでよくなる、こういうことでございまして、かたがた、これは所管は、御案内のとおり、地下鉄、公営を含めまして運輸省でございますので、運輸省が要求をされ、私どもは側面から協力をする、こういう形になっておるわけでございます。運輸省、大蔵省とも相談をいたしまして、これでやるならば地下鉄の経常勘定というものはうまくいくであろう、こういう前提でやったわけでございまして、これも考え方の相違ということで、私どもが弱腰とかということにはならないかと思います。
 それから許認可の問題でございますが、この点につきましては、率直に申しまして、運輸省の所管の者にも私どものほうで、それをやめたらどうだ、あるいは簡素化したらどうだということでございまして、この間につきましては政府部内においてかなり激しい議論のやりとりがございましたけれども、私どもといたしましては、許認可制度の運用というものが今後円滑に、スピーディーに行なわれるであろうということを申し合わせをいたしまして、それを確信いたしまして、これは文字どおりおりたことでございます。
#133
○佐野(進)分科員 それでは、次にこの法律案の内容を見ると、いわゆる具体的な面よりも指導的な面、実質的内容はそう多くなくて、精神指導に過ぎるという、いわゆる精神規定に過ぎるという面が、幾つか大別すると見られるわけです。
 そこで、私、具体的な問題について、時間が来ましたので、一、二御質問して終わりたいと思うのでありますが、四十一年度の再建案の中にはベア規定が入ってないわけですね。ベースアップをどうするかということが入ってないわけです。したがって、毎回再建計画の改定を地方議会において行ない、自治省に出しているというような非常に繁雑な経過があるわけです。ところが、ベースアップというのは、現在の経済情勢の中においては毎年毎年行なわれるわけです。これが今度の再建計画の中にはどういうような考え方で織り込まれているのか、その点をこの際お聞かせ願いたいと思うのであります。
 それから、合理化計画の考え方については、先ほど大臣からたびたびお伺いいたしましたが、結局賃金と料金という問題にしぼられておるわけです。労働強化、いわゆる週休二日制をはじめ、いま進行しつつある労働界におけるところの一般的な風潮に相反する合理化というものが、この考え方の中にあるように見受けられる点もあるのでございます。これらについては、局長でけっこうでございますが、どのようにお考えになっておられるか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。
 それから最後に、一番問題になってくるのは、いろいろな問題があるわけでございますけれども、結局一般財源がこの公営企業に対してどの程度の負担をするのかということに、一つの問題点として、具体的な課題として上がってくるわけでございます。現行法によれば、地方公営企業法によれば、十七条において、政令をもってその負担区分をきめる、その政令は限定された条件の中において示されておるわけでありますが、今日この法律ができれば、もうこの法十七条の政令の意味はほとんどなくなってしまう、こういうぐあいに考えられるわけですが、これらに対してどのような考え方を持っておられるのか、この際ひとつお聞かせいただきたいと思います。
#134
○鎌田政府委員 ベアの問題につきましては、これは今度の新たな再建計画におきましても、私ども当初から見込まないことにいたしたい。国鉄方式の、料金を今後何年間に何回上げる、ベアも何ぼ上げる、こういうことを見込むやり方も一つのやり方でございますけれども、やはり料金の問題、あるいはベアの問題、予測しがたい面がございますので、これらにつきましては前回と同じように、ベアというものと料金というものはいずれもこれを見込まない、当初の計画においては見込まないというやり方でやってまいりたいというふうに考えております。
 それから合理化計画の内容でございますけれども、これは私どもといたしましては、やはりそれぞれの自治体でいろいろ知恵を出していただきたい。たとえば長大路線というものを短絡化するとか、そういった路線の再編成の問題もございましょうし、あるいは先ほども論議になりました給与の是正、合理化ということもこれは努力をしていただきたいし、それからもう一つは、やはりこれに関連をいたしまして、企業環境というものを改善をする、これはもちろん、私ども、あるいは自治体だけの力でできない。警察庁もございますれば建設省もございます、あるいは運輸省もございますけれども、いわゆる優先レーン、専用レーン、こういったものを拡大していく、あるいはマイカーなり駐車規制というものをやって、いわゆる公営を含めまして大量輸送機関の通りをよくする、こういったこともやはりその内容をなすものと思います。
 それから一般財源でございますが、一般財源につきましては、一つは大きなものといたしまして、路面交通のたな上げをいたします、不良債務のたな上げをいたします。その利息につきましては、これは非常な私は国の英断だと思いますけれども、大部分を国が利子補給をする。それでも若干残るところがございます。その分とそれから元本分につきましては、十五年間にこれを分割して、一般会計から繰り入れて消してやる、こういう負担というものが新しく一般会計に加わってまいります。
 それから、地下鉄におきまして、新線建設のいわゆる純工事費の従来二分の一でございました、それを三分の二に上げます。それを六年間分割にするわけですが、そのうちの半分を国が持ち、半分を当該地方公共団体の一般会計が持つ、こういうものが従来のぺースに加えまして、新しい一般会計の負担として加わってまいろうかと思います。大体この程度の一般会計の負担ということでございますれば、十七条の二――これはもう十七条の二の負担区分として私どもは割り切っておるわけでございますが、十七条の三の規定による補助というものを要せずして、当該企業の努力でまかなっていけるのではないかというように考えておる次第でございます。
#135
○佐野(進)分科員 最後に大臣、先ほど来私の質問している趣旨については御了解いただけたものと思うのでございますが、都市問題として重要な課題になる都市交通問題に対して、先ほど来質問しておる意向をひとつ尊重され、これから議論がずっと発展していくと思うのでありますが、善処されることを要望し、ひとつ最後にお考えを述べていただきたい、このように思います。
#136
○江崎国務大臣 これは一日もなおざりにできる問題でありませんので、今度の法案は一つの積極的姿勢を政府として示したものでありまするが、なお今後、地方公共団体の責任者の英知と、そしてまた同時に、政府側の努力と相まって、解決されるような方途で進めてまいりたいと思っております。
#137
○三ツ林主査代理 以上で佐野進君の質疑は終了いたしました。
 この際、暫時休憩いたします。本会議散会後、直ちに再開いたします。
   午後零時四十三分休憩
     ――――◇―――――
   午後四時十一分開議
#138
○倉成主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 自治省所管について質疑を続行いたします。正森成二君。
#139
○正森分科員 江崎自治大臣兼国家公安委員長にお伺いいたしますが、地方自治法の第十条を見ていただきますと、「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。」こう定められております。この「役務の提供をひとしく受ける権利」という役務の中には、当然のこととして自分の生命、身体、財産、自由というものを守ってもらうための警察のサービスというものも入ると思いますが、そう承知してよろしいか。
#140
○江崎国務大臣 もとよりそういうことでございます。
#141
○正森分科員 そこで、警察はそういうことを行なうについては警察法第二条「警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであって、その責務の遂行に当っては、不偏不党且つ公平中正を旨とし」とこうなっております。したがって、あなたはもちろん不偏不党、公平、中立所属は自由民主党ですが、そういうようになさるおつもりであり、そう行政指導されると思いますが、いかがですか。
#142
○江崎国務大臣 もとより警察が職務執行をするにあたりましては、不偏不党、かつ厳正公平、当然であります。
#143
○正森分科員 それらは結局、根本的には憲法十四条の法のもとの平等といいますか、そういうような原則に基づくものでございますね。お答えには及びません、それはもう明白ですから。
 そこで、伺いますけれども、民主主義の根本というのは、思想、言論の自由というものが根本的なものであるということは、議会制民主主義を前提とする限り当然のことでございます。釈迦に説法かもしれませんが、十八世紀の啓蒙思想家のボルテールは、私は君の意見には反対である、だが、君がそれを言う権利は私の命をかけて守る、こういう有名なことばを言っております。私は江崎さんに命までかけてくれとは言いませんけれども、少なくとも思想が異なることで、意見が異なることでそういう権利を暴力的に奪うというようなことは絶対にあってはならないことだということについての御所見を承りたい。
#144
○江崎国務大臣 もとより民主政治の根本は個人個人の主張を尊重されることだと思います。暴力は、これは言論、主張の場合は申すに及ばず、あらゆる面で否定されるものであるという解釈に立ちます。
#145
○正森分科員 いま国家一般的におっしゃいましたが、特に意見が異なるということで、言論、思想の自由を奪うために暴力を行使するということはもとよりあってはなりませんね。――うなづかれましたから、質問を続けます。
 そこで、昭和四十八年二月三日、予算委員会の総括質問におきまして、わが党の松本委員が、最後のほうで江崎国務大臣に質問いたしましたところ、吹田に発生した暴力事案等を考慮に入れながら、現在、刑事訴訟法は証拠第一主義だというようにおっしゃって、参考人とかあるいは被害者である市長さんから事情が聞けないのだ、こういうことを言い、かつ最後のほうで、不規則発言もあったようでございますが、告訴をしていただいて、司直の手によって黒白をつけるということを言っておられます。いまから一カ月余り前のことですから、明敏な江崎自治相もあるいはお忘れになったかもしれませんが、それくらいのことはまだ記憶におありじゃないか、こう思いますが、いかがでしょうか。
#146
○江崎国務大臣 これは十分記憶をいたしております。吹田の市長が暴行を加えられたということについて、警察側においてそういう情報がありましたので、取り調べをしようということで再三にわたって吹田の市長に出頭を求め、あるいは出頭をされるということが事件の行きがかり上迷惑がかかるということであるなら、指定の場所、どこにでも出てまいりましょうというわけで、何度も調査のためにお話し合いの場面を要請したわけでありまするが、どうもそれにお答えがいただけなかった、協力していただけなかったということから、十分その証拠を確かめるに至らないで今日に至っておるという状況があるということを聞き及んでおります。
#147
○正森分科員 それでは、その事件については後ほどまた伺うとして、あなたが松本委員の質問に答えられた、告訴もあり、証拠もある、被害者並びに参考人が出頭の意思を述べ、出頭もする、むしろ早く調べろと言っている事案、すなわち、あなたとしては当然部下に命じて厳正中立に、不偏不党、公平、中立に行なわなければならない事案について若干質問いたしたいというように思っております。
 まず第一は、昭和四十七年十一月十九日、江崎国務大臣も御記憶があるでしょう、選挙の公示の前の日です。この日に大阪の東淀川区で、赤旗の号外やあるいは大阪民主新報という号外を配布して帰る途中の共産党政策宣伝隊に対して、部落解放同盟のいわゆる朝田一派の組織部長、府段階でございます山中多美男、教宣部長の向井正、広岡一光らを先頭とする約二百人の集団がこれを襲いまして、配布宣伝隊には四十数名の重軽傷者を含む負傷者が出る事件が起こりました。この事案は詳細については告訴をしております。ここに私は告訴状の写しを持ってまいりました。見てみますと、ピケを張って手にしたこん棒でなぐりつけ、足でけり上げ、果ては公衆電話のスタンドやパイプいすでなぐり、自転車を振りかざしてこれをぶつけ、倒れた被害者の頭からごみ箱を押しかぶせるというような暴行を行ない、十数人で踏みつけるということをやりました。これはあなたのところに告訴状も届いておりますし、そしてその加害者を処罰せよという要求が行っていると思いますが、御存じですか。
#148
○江崎国務大臣 よく承知いたしております。
#149
○正森分科員 しかも驚くべきことに、この暴行は白昼警官の面前で行なわれております。事件発生直後現場に大阪府警淡路署の坪内誠太郎警備係長や十数人がやって来ました。またそこには大阪府の府会議員であり警察常任委員である田中庸雄府会議員あるいは姫野市会議員がおり、現行犯で直ちに逮捕せよ、刑訴二百十三条にありますが、そういうことを要求したにもかかわらず、一切手出しをせず傍観をしておったという事実があります。これを考えてみますと、あなたの二月三日の言明と対比するときに、このような警察官は決して不偏不党、公平、中立にやっておるものではなく、何らかの理由によって部落解放同盟の暴力分子に遠慮をしておるかあるいはそれをのさばらせておると思われるか、あるいは共産党の赤旗宣伝隊は守らるべき基本的人権を有しないと考えておられるのか、そのどちらかであると思わざるを得ません。それについてどのような態度をとっておられるか。
#150
○江崎国務大臣 もとより取り締まりにあたっては厳正公平を旨として当たっておるわけです。ずいぶん具体的な事犯の御指摘でありまするから、きょうは政府委員も来ておりまするので、政府委員のほうから具体的にお答えをいたさせます。
#151
○正森分科員 その前に自治大臣から一言。
 それについて強制捜査を行なっておるかどうか。起訴すべく送致書に意見をつけて検察庁にも送ったかどうか、その点だけ答えていただいて、こまかい点は関係者から聞く。
#152
○江崎国務大臣 告訴がなされておるわけでありまするが、被告訴人について取り調べをしておる、取り調べが終了次第送致する予定であります。
#153
○正森分科員 私どもが調べておるところによりますと、昨年の十一月十九日に事件が発生し直ちに告訴したにもかかわらず、警察当局は何らの捜査をいたしませんでした。昨年十二月十五日に私を含む、通りたてのほやほやでまだバッジはついておりませんでしたが、国会議員何名かを含む者が府警本部に抗議した後初めて捜査が始まったという事実があります。こういうことはもってのほかではないか。そして、被告訴人を取り調べておると言いますけれども、その取り調べに応じておるのかどうか。かくも白昼公然と行なわれた行為に対して、しかも私はボルテールのことばを引きましたが、選挙のまさに直前の日に政策宣伝を行なおうとしておる者に対して、自分の気に入らないということで暴行を加えるというようなことに対して厳正な処置がなぜ行なわれないのか。強制捜査を含む取り調べを被告訴人たちに行なっているのかどうか、その点についてお答えを願いたい。
#154
○江崎国務大臣 事件処理を甘やかしておるとか、ことさらに延引させておるとか、そういうことは絶対ありません。だから、具体的な問題でありまするから、これはやはり警備局長からお答えすることが適切だと思いまするし、もう一つは、この事件のとらえ方、これがいまあなたのおっしゃるとおりなのか、また警察側がどう認識しておるか、とらえておるか、このあたりの問題もありまするから、詳しく局長からお答えをさせたいと思います。
#155
○正森分科員 詳しくお答え願うのはけっこうですが、私の持ち時間は一時間です。その半分以上を警察官僚がしゃべっておったというのでは何にもなりませんので、簡にして要を得たようにお答えを願いたい。
#156
○山本(鎮)政府委員 本件については、当日の午後三時十一分ごろ警ら中のパトカーが東淀川区日ノ出町の日ノ出公園前の歩道橋付近で日本共産党の宣伝隊と部落解放同盟の者が論争しているのを発見して、次第に双方の人数が増してくる、こういう不穏な状態となると察知されたので、直ちにパトカーでその状況が報告されたわけでございます。報告を受けた所轄の淡路警察署では、警察官二十八名を現場に急行させたところ、警察官が現場に着いた時点では、部落解放同盟の者約五十名くらいがいるだけで、日本共産党の宣伝隊の姿は見えなかったわけでございます。そこで、部落解放同盟の者から事情を聞くとともに、付近の警戒に当たっていたところ、午後四時半ごろ再び日本共産党の宣伝隊が集まった。こういうことで双方が対峙状態になったので、警察官は双方の間に入って暴力事案の防止につとめて、日本共産党の宣伝隊の引き揚げるに際しては、紛争を防止するためにこれと並進いたしまして所要の警備に当たったのでありまして、双方の乱闘を傍観していたということはないというふうに報告されております。
 本件については、事後、被害者からの告訴もございましたので、それぞれ慎重に所要の捜査を行なっておる次第でございまして、現在、いま大臣からお答えがありましたように、被告訴人の認定もできましたので、一応三月十四日に出頭する、こういう約束を取りつけておりますので、これの取り調べ終了次第送致する予定でございます。
#157
○正森分科員 本件については、私はここに当時倒れた被害者の写真も持ってきております。また診断書の写しも持ってきておりますが、四週間から三週間という診断書の出ておる者もあります。
 こういうような事案は、私は労働事件の弁護人をやったこともありますが、労働者側がやった場合には有無を言わさず逮捕です。しかし、部落解放同盟の人々がやった場合は、事件発生以来二、三カ月たつのに、まだ三月十四日に出てくるとか出てこないとかいうようなことでとどまっておるということは、すこぶる奇怪なことではありませんか。また、出てきてどういう態度をおとりになるのか。出てくるのを安易に待っているだけなのか。それともこれについては被害者の方の供述も得られておるのか。四週間から三週間のけがもしておるということになれば、その首魁と見られる者については強制捜査に踏み切ってもいいはずではありませんか。それらについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
#158
○山本(鎮)政府委員 おっしゃるとおり、たくさんの負傷者が出ておりますので、その関係のいろいろな調べ、それから参考人の調書、こういうものをかなり広範にわたって時間をかけて的確な資料を集めておるために時間がかかっておるというふうに承知いたしております。
 いま強制捜査というお話でございますが、もちろん出頭してこないということがはっきりすれば、強制捜査に踏み切るのにやぶさかではございませんが、いまのところ出頭するというふうに確約をしておりますので、その結果を待って判断をいたしたいと思います。
#159
○正森分科員 被告訴人らを取り調べる、もし出頭を拒否するというような場合には、強制捜査も含む捜査を行なう、こういうふうに承ってよろしいか。
#160
○山本(鎮)政府委員 そのように承知いただいてけっこうであります。
#161
○正森分科員 労働事件では、出頭だけをしても意味がない。のたらくたら言うておるというような場合には、あなた方は自宅まで何べんも来、おいでにならなければおためになりませんよと言って逮捕するということが常識になっております。それはあなた方もよく御存じだ。私は十五年やってきたんだから。部落解放同盟の諸君の場合には、出るだけは出ても何ら実効ある取り調べができないという場合にはどうなさるおつもりか、それについてお答え願いたい。
#162
○山本(鎮)政府委員 出頭してどのような供述が得られるか、これはまだいまのところそういう状況になっておりませんのでわかりませんけれども、もし出頭して全くその間の事情がわからないというような場合、あるいは反対のような供述をしたり、そういうふうな場合は、さらにあらためてその捜査について検討を加えて、場合によっては強制の捜査もする、あるいはさらに出頭を求めるというような形で、徹底した捜査をするつもりでございます。
#163
○正森分科員 それでは、そういう答えが得られましたから、次の問題に移ります。
 昭和四十七年十二月六日に、日本共産党の高槻市委員会の委員長あるいは高槻市会議員団長といった人たちが、「赤旗」の宣伝カーで「赤旗」の宣伝活動に従事する、あるいは選挙中でありますので、――いいですか、自治大臣、法定政策ヒラ第二号、これは何人がまいてもいいものですね。そういうものをまいて政治活動に従事しておったところが、部落解放同盟大阪府連合会富田支部副支部長の益原博文という人物が、自分の支部のライトバンで同盟員を動員してやってまいりまして、暴行を加えるということを行なっております。その態様について一々言えば時間が長くなるので省略いたしますが、それによって全治十日を要する傷害を受けた者、あるいは五日間の傷害を受けた者等々、きわめて数多くの人が傷害を受けております。
 この件について警察当局はどのような態度をとられたか。これも告訴がされており、しかも被害者は、早く調べて処置をせよ、こういうことを言っている事案であって、二月三日の江崎自治大臣の言う条件にも合致する事案であります。それについての答弁を承りたいと思います。
#164
○山本(鎮)政府委員 昨年の十二月六日午後六時ごろから、大阪府高槻市の阪急高槻市駅前広場において、日本共産党の選挙運動員約三十名が、法定ビラの配布、機関紙「赤旗」の購買街頭活動を行なっておったのですが、同時刻ごろ、同所において機関紙「同対審共闘」というビラの配布活動をしておった部落解放同盟高槻富田支部員二十数名といわば街宣合戦というような形になって、それが次第にエキサイトしまして、口論、さらには午後七時半ごろから八時十分ごろまでの間数回にわたって小ぜり合いを演じた、こういう結果、日本共産党側で三人が三日ないし十日間の治療を要する傷害を受けたという事案であると聞いておりますが、本件についても、被害者が十二月九日、大阪府警察本部に告訴をしてきております。所轄が高槻署でございますので、所轄にこの事件を移送いたしまして、現在署で捜査中であるというように報告が来ております。
#165
○正森分科員 本件については、高槻市の駅前で、しかも四十分前後の長きにわたって行なわれた。これは選挙区でいえば大阪第三区、一番得票の要るところです。そこの非常に繁華なところですね。こういうところで行なわれた事案です。しかも、いまの局長の答弁によると、小ぜり合いが行なわれたとか、何かどっちもどっちととれるニュアンスがありましたが、東淀川の件といい高槻の件といい、日本共産党側の傷害を受けた人たちは、部落解放同盟に対して実力で戦いましたか、そのことを承りたい。これはけんかではありませんよ。
#166
○山本(鎮)政府委員 現在の報告では、いまお話し申し上げましたように、最初は街宣でお互いにやり合った、それが次第にエキサイトして口論になり小ぜり合いと、こういう結果けがを負ったという報告になっております。これについては告訴が出ておりますので、いま真実、実態を解明するように努力をいたしておるわけでございまして、まだ正確に事実を把握しておらないという状況でございます。いずれはっきりいたしました段階で署としては事件を送致するという順序になる。現在捜査中でございます。
#167
○正森分科員 警察というところは、ぱっと非常に早くやったり、のそのそやったり、十二月六日といえば、一月、二月、三月と、もう三月もたっておる。しかも、それについて被害者から詳細に聞いておるのに、まだ小ぜり合いだというようなことを言って、場合によったら、けんか両成敗ということで裁こうなんて――裁くのは裁判官ですけれども、裁判官のところに出さずに済まそうか、こういう根底が見える。これはげすの勘ぐりかもしれないけれども、そういうことであっては断じてならない。選挙の最中だから、お互いに政策活動についてものを言うのは当然のことだ。江崎さんも選挙区でやられたでしょう。私も大いにやって、おかげで両方通ったわけなんだ。そういうことなんだから、それを小ぜり合いに発展したというように、何かみそとくそと一緒にするようなことを言ってもらっては困る。もう三月もたっておるんだから、すみやかに加害者に対し出頭を命じ、そしてその供述が得られないとかいうような場合には、東淀川の件と同じように、強制捜査を含む厳正な措置をとるというように承ってよろしいか。それとも、依然としてけんか両成敗だから、場合によっては告訴人を逮捕しようなんで思っておるのか、それについて伺いたい。
#168
○山本(鎮)政府委員 先ほど申し上げましたように、現在厳正、公平に捜査を進めておるわけでございまして、その捜査の結果、法に照らしてしっかりした取り調べを行なって、真実を解明して送致したい、このように思っております。
#169
○正森分科員 三カ月もたって、しかも、選挙期間中の公党の法定ビラ配布に加えられた行為に対して、かくも悠長だ。大阪の警察首脳部の能力はいかがなものであろうかというように思いますけれども、時間の関係もありますから、第三の事実に移ります。
 昭和四十七年十二月九日、いよいよあすは投票日というその日に、大阪市浪速区浪速町の国鉄芦原橋駅前路上において――ここは非常に繁華なところです。夕方は労働者が帰ってくる。しかも私の選挙区だ。そこで十数名の者が共謀の上、第三号法定ビラ――いよいよ最後の法定ビラです。それを配っておる後援会所属の人々に対して暴行を加えるということを行なって、それぞれ治療を要する傷害を与えたという事件が発生しております。
 これについてどのような報告を受け、どのような捜査をしているか、お答えを願いたい。
#170
○山本(鎮)政府委員 お尋ねの事案は、昨年十二月九日午後五時四十分ごろ、大阪市浪速区浪速町国鉄環状線芦原橋駅前で、日共宣伝隊四人が「あなたの一票を共産党へ」……(正森分科員「委員長、いかに簡にして要を得ているといっても、日本共産党、公党を日共と呼ぶことは許されぬ。これから日本共産党とはっきり呼びなさい。言い直せ。」と呼ぶ)芦原橋駅前で、日本共産党の宣伝隊四人が「あなたの一票を共産党へ」と題した法定三号ビラを通行人に配布していたところ、これを知った部落解放同盟浪速支部員十数名が、同人らを現場から約百メートル離れた解放会館に連行し、さらに同六時三十分ごろ、急を聞いてかけつけた共産党員一人にも暴行を加え、うち二人に約一週間の傷害を与えるとともに、さらに同解放会館から千メートルほど離れた他の南栄住宅集会所に自動車で連行し、配布していたビラの内容を詰問し、翌十日の午前零時四十五分ごろまで約六、七時間にわたって監禁していた、こういう事案であると聞いておるわけでございます。
 本件については、被害者から翌十二月十日浪速署に告訴が出されておりまして、同署で現在捜査中である、こういうふうに報告が来ております。
#171
○正森分科員 多くのこの種の事案の場合には、街頭で急に発生したりして加害者がわからないことが間々あるのですが、本件については被告訴人の名前もはっきりと特定されておる者が三名おりますね。したがって、いま現在捜査中である、捜査中であると言って、こわれたレコードが同じところを回っているような答えばかりしておるけれども、捜査中、捜査中と言って、なぜこんなに長くかかっておるのか。そう思われるでしょう。これがもし自由民主党の江崎さんの後援会員や自由民主党員がこういう目にあっておって三月もほったらかされておるということになれば、あなたはどういうように思われるでしょう。江崎さんから、あまりお答がなくて眠くなったらいかんから、一言答えてください。
#172
○江崎国務大臣 私、他の事犯おしなべての報告を受けたわけでありまするが、警察の取り調べは、私、察するのに、選挙違反事件、これを早く片づけるという形で、起訴するものはするという形で、まずほかのものを少しあと回しにしても、とりあえず直接選挙に関係のある一まあこれも選挙に関係がないことではありませんが、そういう事犯を優先的に処理しておる、こういう事務説明を受けました。それはなるほどありそうなことだと思うわけでありまして、これなどは当然告訴がなされておりまするから、十分実際に触れて取り調べが進むもの、これはきょうこうして御質問もあるわけですから、当然警備局長も来ておりまするし、すみやかに進めるようにいたしたいと思います。
#173
○正森分科員 大臣からそういう答弁がありましたので、次の事実に移ります。
 この事案は、昭和四十七年六月二十六日、あるいは二十八日、あるいは二十九日といった日に発生した一連の事案でございます。告訴人は阿部という人でございますが、被告訴人は部落解放同盟光明町支部の支部長高田登美雄外一名でございます。そしてこの事案は、たとえば六月二十八日の件を言いますと、吹田市立第二中学校の体育館において、先生である阿部さんを強制的に連れ出そうとして阿部さんの左腕をねじ上げる等々の暴行を加えております。また二十九日には、同中学校のプールサイドで、阿部先生が第二時間目の授業として生徒に水泳の指導を行なっておったときに、プールサイドから強制的に連れ去ろうとして首にかけていた笛のひもを強く引っぱり、笛を本人の耳のはたでヒューヒューと実に長い間吹くということをやっております。判例によれば、こういうのは暴行ということになっております。こういうことをやっておる。あるいは六月二十九日には宮田一男という男がいすから引っぱって床に転倒させ、高田登美雄という人物は、皮ぐつのかかとで阿部さんの足を強く踏みつけるというようなことをやって、四日間の傷を負わせる等々の暴行を加えております。
 長くなるので六月二十九日の点は省略しますが、こういう点についてどういうようにお考えになっておるのか、そして捜査はどのように行なわれているか、承りたい。
#174
○山本(鎮)政府委員 この件については、同年の七月一日に阿部教諭から大阪府警に告訴がなされておりまして、現在まで取り調べて、もう終了いたしました。したがって、近日中に送致いたすというふうに報告が来ております。
#175
○正森分科員 送致については、起訴相当、不起訴相当、きわめて悪質である等々の意見が具されることになっております。それはどうなっておりますか。起訴するかしないかは検事の起訴便宜主義だ。しかし、それについて警察の態度を表明しなければならないことになっている。
#176
○山本(鎮)政府委員 近日中に送致するとお答えしましたように、その点についてはいままだ結論が出ておりませんので、聞いておきます。
#177
○正森分科員 それでは次の事実に移ります。
 昭和四十七年九月十八日、ことぶき保育園関係の事件でございます。
 ここである保母さんが監禁というようなことにあったために、その人の所属する労働組合の役員が救出におもむいたところ、高田登美雄らがこれを強制的に連行しようとするということを行なって、いろいろの暴行を加えました。たとえば、告訴した人は何人かおりますが、佐々木さんという人に対しては、右腕を両手で強くねじ上げる、あるいは右頸部を殴打する、同人の右腕を強く引っぱって車外に引きずり出して路上に転倒させるというようなことをやっております。また西川という先生に対しては、えり首を強く張っぱって車から引きずり出して路上に転倒をさせる。そしてえり首を両手でつかんで路上を引きずり回す、あるいは足でけり上げるということをやっております。土居原さんに対しては、その人の下顎部を手拳で殴打する、腕を強く引っぱり、あるいは背中や臀部を強く押して路上に転倒させるということをやっております。そのために、佐々木さんは七日間の負傷、西川さんは十日間の負傷、土居原さんは七日間の負傷、こういうことになっております。
 しかも、重大なことは、本件は事件の発生当時吹田警察署の十数名の警察官がおり、その面前で行なわれた事件であります。
 しかも、私はここに現物を持ってきておりますけれども、これは当時その告訴人が着用しておったシャツでございます。見てごらんなさい。こういうように引きちぎられておる。これは吹田警察署に当時持っていって見せております。いっでも提出する用意がある。またこれは佐々木さんという人が着ておったズボンであります。これを見てごらんなさい。ズボンがこういうぐあいに引きちぎられておる。これではズボンの役をなしません。
 こういうように証拠が十分にあり、しかも告訴人たちは陳述書をみずからつくって――こんな丁寧な告訴人はおりませんよ。そして、警察にすでに出しておる。その事案についてすでに厳正な処置を行なったかどうか、それについて伺いたい。
#178
○山本(鎮)政府委員 本件については、当日、一一〇番で連絡がございましたので、所轄署員が直ちに現場に向かったわけでございますが、捜査員に対して双方とも話し中であるという説明がございましたので、その場では引き揚げたという報告が来ております。その後告訴がなされまして、告訴人の方の補充調書の作成その他もありました。その他被告訴人の出頭も求めてこれらの捜査も終了いたしましたので、すべて完結いたしまして、これも近々送致するという報告が来ております。
#179
○正森分科員 私どもが国会で追及するというようなことで動き始めたのかもわかりませんけれども、二月三日の松本委員が質問して四、五日して捜査を開始したというような事案もあります。しかし、そういうことをやらなければ動かないのか。
 昭和三十一年五月八日有名な東大ポポロ事件の判決の中で、東京地方裁判所はこう言っております。この判決の結論は最高裁においても結局として支持されました。「官憲の違法行為を目前に見て徒らに坐視し、これに対する適切な反抗と抗議の手段を尽さないことは、自ら自由を廃棄することになるであろう。自由は、これに対する侵害に対して絶えず一定の防衛の態勢をとって護つて行かなくては侵され易いものである。」学問的かおりのある判決をしております。これは警察官が不法に大学の自治を侵した事案について一般の私人に対してすら言われたことばです。あなた方は制服警察官が十数名もおる。それを取り締まるのが件務だというのに、こういう行為を眼前に見ていたずらに座視しておる。そういうことでいいのかどうか。しかも事案が起こってからもう何十日もたつのに、いまこれから送致するところでございますというようなことを言っておって、大臣の二月三日の答弁とどういうぐあいにつながるのか。それはあなた方の上司である江崎国家公安委員長と自治大臣のお顔にどろを塗ることになるのではないか。私は共産党で自由民主党ではないが、江崎さんのために心からそういうように言ってあげたい。すみやかに処置をして、警察が不偏不党、公平中立ということを内外に示す用意があるかどうか、もう一度答弁していただきたい。
#180
○山本(鎮)政府委員 ただいま御説明申し上げましたとおり捜査が終了いたしましたので、直ちに送致するということになっております。
#181
○正森分科員 それでは次の事実に移ります。
 この事実は、昭和四十六年六月の七日、吹田市役所の三階で行なわれた事案でございます。これは被害者は松本洋一郎という日本共産党の市会議員でございます。
 この事案は榎原吹田市長が当選された後、部落解放同盟の一部暴力分子は、前市長である山本治雄氏から窓口一本化という約束を取りつけた、それを革新榎原市長にも押しつけようということをやっておりまして、市役所に大挙押しかける。本会議も流会になるというようなことであったために、吹田市会議員が市長の身辺を気づかい、そのもとにおもむこうとしたというときに取り囲まれて、そして突き倒される、えり首をつかんで引き倒される。いろんなことが行なわれて、結局、加療七日間を要する傷害を受けた事件でございます。
 この事件について、あなた方はどういう措置をとったか、明快な答弁を承りたい。
#182
○山本(鎮)政府委員 この件については、四十六年の六月九日に吹田署に告訴がございました。その結果、取り調べを続けまして、四十七年の三月二十二日に被告訴人を検察庁のほうに書類送付をいたしております。
#183
○正森分科員 四十七年の三月に書類送検をして、その結果どうなりましたか。また、書類送検をするにあたって、あなた方はどういう意見をつけて送ったか。私は裁判になっておる事件については、いかに国会といえども聞くべきでないと思っておりますけれども、警察行政としては聞くことができる。その範囲内でお答え願いたい。
#184
○山本(鎮)政府委員 処分結果のほうはわかっておりますが、嫌疑不十分で不起訴というふうに報告を受けております。
#185
○正森分科員 こういう明白な事案が、しかも吹田の市役所で行なわれた。市会議員が暴行を受けておる。しかし、そういう事案についてさえ、嫌疑不十分とは何事か。事実はあるけれども起訴猶予だというのでもけしからぬのに、嫌疑不十分だ。一体警察はどういう捜査をしておるのか、意見書はどういうのをつけたのか、それについて明確な答弁を求めます。
#186
○江崎国務大臣 あとからお答えすると思いますが、これはどうでしょう、正森さん、そういうものはもとより的確に報告をさせますが、たとえば吹田の前市長ですか、市長の問題については松本君から相当強い御発言がありましたね。暴行を受けたが一体どうなったんだ、警察はどうしておるんだというわけで、私どもも、あと警察庁に戻りましてから、詳しく事犯の成り行き等々聞いたわけです。そうすると、今度また同じ予算委員会で社会党の楢崎君から、吹田の前市長を警察が事情聴取のために呼んでも出られない、それは出られないはずだ、なぐられも暴行も何もされてないので、むしろ何か畳にすわってころんだとかどうとかというお話がありましたね。そういうふうで、同じ議員から同じ予算委員会で非常に強い御発言と、また一方では事情聴取に出たらそれこそその真実が違うことがばれてしまう――何だか、私は国家公安委員長であると同時に、私もあなたと同じような政治家なんですが、一体これはどういうことなんだ、ちょっといささか戸惑う感じが率直に政治家としてはするのでございます。したがいまして、警察当局が厳正公平に処理する、しかも暴力事犯にきびしく対するということは、これはもう当然なことでございますから、手をゆるめるとか傍観をするなどということは今後ともあってもなりませんし、またあるとは私、思いません。したがいまして、十分その実情に触れて詳しく申し上げることは一向いといませんが、その問題がやはりここで取り上げられる以上は、ほんとうにこうだということであることが望ましいというふうに私は一般論として思うわけでございます。
#187
○正森分科員 時間がなくなってきますので、いませっかく江崎自治相が榎原さんの問題をお出しになったので、その問題について若干触れたい。
 うしろの局長に伺いますけれども、榎原さんの事案は十日間のけがで、診断書もここに写しを持っておりますが、傷害罪だということになれば、告訴の有無にかかわらず――これは親告罪ではありませんね、器物毀棄とかそういうものと違って。そうだとすれば、あなた方は親告罪でなければ調べることができるはずだ。しかも、私どもの知っておるところでは、あなた方は参考人が出てくれないと言われたが、萩原秘書課長が参考人として夜の七時ごろまで目撃状況を詳細に述べ、供述調書を作成しているということを聞いております。そういう供述調書をあなた方は作成されたかどうか、それを伺いたい。
#188
○山本(鎮)政府委員 その件については、それまでの詳しい報告は聞いておりません。
#189
○正森分科員 私が前から暴行事案について聞くと言い、きょうはわざわざ警察庁の人が聞きに来るから、共産党はあまりこういうことを言わないんだけれども、ちゃんと大阪の暴力事案に限って聞くからと言っているのに、しかも聞くとすれば、当然松本議員が聞き、楢崎議員が聞いたことについて触れるのがあたりまえであるにもかかわらず、報告を受けておりませんとは一体何事か。すでに二月三日の段階でも、そんなことは調べておるのが当然ではないか。その態度一つを見ても、あなた方はいかに熱意がないか。不偏不党、公平中立なんていうのがまっかな偽りであるということを示しているではないか。調書があるかないか。現職の市長が十日間のけがを受けており、それについて目撃者である秘書課長の供述調書がある。私たちはつき添っていった弁護人からの報告書をいまここに手元にして聞いておる。
#190
○江崎国務大臣 これは正森さん、どうでしょう、国会の習慣によりますと、具体的にこれとこれとこれの問題を聞くぞということを事前におっしゃっていただきますというと、もう少し詳しく調べようもあったと思うのです。ただ大阪の問題ということになりますと、いまここに私も表を見て、あまりにもおたくの府連と部落関係者との抗争が多いことを認識しておるわけですが、ちょっと直接の取り調べに当たってないものですから、なおまた別な場面ででもいかようにも、御指摘になったものは回避するわけじゃありませんから、いつでもお答えできると思うのです。ただ、全部それをそろえろ、こうおっしゃってもちょっと無理かと思うのです。
#191
○正森分科員 私は、私がいままでに聞いたほかの種々の事案についての一つ、二つについてそれは知りませんと言うなら、これは許せる。しかし、私が大阪の事案について聞くと言えば、二月三日そして二月二十七日に問題になった事案について当然触れるということは、これは政治家なら十分おわかりだし、行政官僚にしたってわかるはずだ。それについて調べておらないから私は言っておる。それで、時間がないから、もしそれがわからないというのであれば、私たちは弁護士の報告書を持っておるから……。
 供述調書は明白に作成されております。そしてこの供述調書を見ていただけば明らかになると思うけれども、市長は高田登美雄という男に首に手をかけられてひっくり返された。しかも馬乗りになられてネクタイをちぎれるほど引っぱられた。いいですか、ネクタイがちぎれたのです。のどが締まって顔色がまっさおに変わるということになり、市役所の同対室長あるいは民生部長といった人が必死になって高田登美雄から引き離すということを行なった。ほっといたならば、まさに殺人未遂になりかねないというような事案であったのであります。こういう事案は、この秘書課長が供述調書を作成しているはずだ。しかも診断書も十分にあります。それについてなぜこのように不熱心なのか、そのことを伺いたいと思います。供述調書があるかないかぐらいのこと、その中身のこまかい点はともかくとして、知らない、もってのほかじゃないですか。
#192
○山本(鎮)政府委員 その件については、事情は一応聞いておりますが、被害者である市長からの被害状況をはっきり聞きたいということで、認知当日の九月二十八日に吹田署の課長を病院に派遣いたしましたが、市長から面会を拒否された。秘書課長を通じて被害状況を聞きたいという意向を伝えたが、市長公室長から翌日警察の独自の立場で捜査を進めてもらいたい、市長からの事情聴取は少し待ってもらいたい、こういう回答があったわけであります。そこで、大阪府警では関係者について事情聴取すべく被害当日の会合に参加していた保母五名に対して呼び出しを行なったが、いずれも出頭を拒否しておる。こういうことで、再三再四市長に対しても事情聴取を申し入れてありますが、これに対して応じてくれないということでありますので、これについてまだ事件処理ができないわけでございますが、こういう悪質な暴力事件でありますので、何とかしっかりと解決したい、こういう形で捜査を進めている段階でございます。
#193
○正森分科員 私の聞いたことには答えなくて、私の貴重な時間をどんどんつぶしておる。秘書課長の供述調書があるかないか、それだけ答えなさい、こう言っているのに、そんなことは答えないで、呼び出したけれども出てこないということを長々と答えられる。それほど調べられているなら、秘書課長の供述調書があるかどうか、それを見てどういう点を調査したらいいかどうかということを自主的にやるのが当然ではないか。しかも二月二十七日の楢崎議員の、質問とは言わない、意見陳述みたいな、速記録によれば、高田「支部長がそれを制止したはずみに、ちょうど、くつ下を市長がはいておられたんで、そのくつ下の足が畳をすべって、自分でこけられたのであります。」こういうことを言うておる。しかも、病院に行ったけれどもその病院がどうのこうのといって、そして面会に府会議員が行ったけれども会えなかったというようなことを言っておる。しかし、ここに弁護士の報告書もありますけれども、榎原吹田市長は新千里病院というところに十日間入院しておったということは、病院の記録等によっても明らかだ。そういうことを楢崎委員は、どこを調査されたか知らぬけども、おっしゃる。しかも重大なことは、この速記録を読むと、「この種の問題を国会の場に持ち込むことの適格性についてであります。」こう言っておる。国会は国権の最高機関である。警察が十分に国民の生命、身体、財産を守っておらないということになれば、国会の場でそれを問題にすることこそ国会議員の責務ではありませんか。それについて自治大臣は、国会で取り上げることの適格性がないというようにお考えですか。
#194
○江崎国務大臣 私、もとより国会で取り上げていい事案であるというふうに思います。それからまた、いま正森さんにも誠意をもってお答えをしておるわけですね。
 ただ、私、さっきも申し上げましたように、どうもそれぞれ政党の代表をされる立場においてそんなにまで見解が違う。しかも警察当局が事情聴取のために出てもらいたいといっても出てもらえないということは、むしろそれ自体のほうがいささか不明朗ではないかというふうに感じておる次第であります。
#195
○正森分科員 それでは、それについての私どもの見解を申しましょう。
 私がいま長々と事案をあげて江崎さんの貴重な時間をつぶしたのは、これほど暴力事案が発生しても――抗争といったものじゃないです、一方的にやられているのだから。また、思想の違いについて、どちらが正しいがどうかというようなことをきめてもらおうというのじゃない。明白に暴力行為があったものについてどうしているかという単純なことを聞いておる。それについてすら、現在捜査中だということで一つも処置されておらない。少しは処置されたかと思って、昭和四十六年の松本吹田市会議員のことを聞けば、かくも明白な事案について、嫌疑不十分ということで処置されておる、こういう状況だ。四十六年の六月に解放同盟の人が数百名市役所に押しかけて、市長が執務が十分にできないおそれがあったときに、みずから吹田警察署に出頭をして警護を求めたにもかかわらず、それは実行されなかった。こういうようなことを考えれば、行政の立場にある市長が、警察頼むに足りず、不偏不党、公平中立にあらず、それならば警察に言っていってもむだである。逆にそのことによって行政麻痺が生ずるだけである、そういうように考えるのも当然ではありませんか。すなわち、出頭に応じてくれないなどというのは、吹田等においては、部落解放同盟に関係する限り、無法状態、警察のない状態が事実上起こっておるのだということの逆の証明にほかなりません。そういう状態をつくり上げておいて、逆に居直って、親告罪でもない事件について、なぜ告訴をしないのかということを言うのは、警察官を前に置いて失礼だが、こういうことのためにわれわれの先祖はいいことわざをつくってくれておる。それは盗人たけだけしいというのです。まさにそうではありませんか。私どもは、あなた方が厳正な態度をおとりになるということを望んでやまない。そうでなければ、幾らやっても警察は処置してくれないのだということになってしまうでしょう。そうなるか、あるいは部落解放同盟がこれだけのことをやって許されるなら、他の政党、民主団体も同じように実力に訴えるよりしかたがない。あなた方が最も警戒されるそういうような心理にするか、どちらかだ。私どもはそういうことにならないように、こうやって聞いております。
 そこで、江崎自治大臣に伺いたい。警察法の五十条、五十五条によれば、都道府県の警察の本部長や、あるいは警視正以上の高級警察官僚は、都道府県公安委員会の同意を得て、国家公安委員会が任免できることになっております。こういう事案が続いて起こり、しかも大阪府警本部は適切な手を打っておらない、こういうことを私は事実をあげて言いましたが、もしあなたが調査されてそういうことであるならば、警察首脳の人事について、まさにあなたに託されている公権力を行使してお考になる意思があるかどうか、それについて伺いたい。
#196
○江崎国務大臣 もとより職務の執行にあたりましては、不偏不党、公正中立、これはもう当然であります。それが侵されておるということになれば、これは私、もとより問題があるというふうに考えますが、いま御指摘になりました事犯は、警察が取り調べをしないということをおっしゃるわけですが、取り調べをしようと思っても、たとえば前吹田の市長の場合はこれに協力が願えないという形があったり、それからまた、警察だけでなしに、告訴をされて、そうして検察がこれを調べてなお証拠不十分としたということになりますと、これはどうも警察だけの責任でもないわけでありまして、やはり法をつかさどっておる検事なり裁判官なり、そういうところの判断というものも尊重されなければならぬわけですね。ですから、一がいにいまおっしゃるような事実がそのとおりであるのかどうか、これはやはり問題が残ると思うのです。ですから、私もいまおっしゃったことを疑うものではありません。十分督励して調査を厳重にするようにいたしまするが、先回の予算委員会におけるような同じ問題で、たとえばあなたや松本さんのわれわれに対する追及と、またそれに関連して社会党の楢崎さんの同じ事犯の話というものが、全然逆とは申しませんが、非常に趣が違っておる。(正森分科員「逆だ」と呼ぶ)まあ逆に近いですね。それではいかにもわれわれも戸惑う。これはもうさっきから繰り返し申し上げておるとおりであります。しかし、事実についてはもとより警察当局の任務でありまするので、十分取り調べをすみやかに進めたい。
#197
○正森分科員 時間が参りましたので、私は、最後に私どもの見解を述べて質問を終わりたいと思います。
 いま江崎自治大臣、国家公安委員長はいろいろ言われましたけれども、私どもは国会の場でこのことが直ちに解決するとは思わない。だから、私の質問の中で、すでに告訴もされ、被害者も十分調べに応じておる。つまりあなたの証拠第一主義の要件に合致しておる事案について警察がまさにどういう行動をとられたかということから問題を進めてまいりました。ところが、そこから得られたことは、それについて、いまあなたがお聞きになったように、十分の捜査が行なわれていない。少なくとも遅延しておるという事態でございます。松本洋一郎氏の不起訴にしても、はたしてほんとうに一生懸命調べた上の不起訴であったのかどうかという点については警察の一定の責任があるでしょう。そういう点を考えてみますと、私はあなたのお答えについて納得するわけにはいかない。
 そこで、私は最後にあなたにもう一度伺いたいと思います。というのは、警察法五十条、五十五条を、もしそれが真実であれば、発動するかどうかということについての明確なお答えがなかったように思います。それを最後にもう一度お答え願いたいと思いますが、この事案はずっと見てまいりましたように、選挙の前後に行なわれたりあるいは吹田市議会というような、小なりとはいえ、一地方の議政壇上において行なわれている事案だということをよく御考慮願いたい。あなた方が非常に親近感を持っておられるアメリカの有名なホームス判事はこう言っております。少数意見として、一九二九年の判決の中に、「憲法の中において、いかなる他の条項より重しとすべき原則があるとするならば、それは思想自由の原則である。思想の自由とは、われわれの同意する思想の自由ではなくて、われわれの憎悪する思想の自由である。」こう言っております。
#198
○倉成主査 正森君、簡単に願います。
#199
○正森分科員 はい、やめます。
 これは、法律家ならだれでも知っている有名な原則です。あなたもそれには同意されるでしょう。しかるに、それが大阪では無謀に侵害されている。こういう事実について、もしほんとうに民主主義を守ろうとされるなら、十分お考え願いたい。
 そうして最後に私は共産党の態度を申し上げておきます。
 福沢諭吉は、天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらずと言いました。未解放部落住民は解放されなければなりません。人間はすべて平等でなければなりません。しかし、暴力によって意見が違うからといってそれを押えつけるというようなことがあってはなりません。部落解放同盟の綱領はこう述べております。「明治維新の変革によって封建的身分制度は廃止されたが、部落民は悲惨な生活と最低の社会的地位から解放されなかった。それはなぜか。維新後の資本主義発展の過程において支配階級が人民を搾取し、支配するために封建的遺制を温存し利用したからである。第二次大戦後の改革によって日本の民主化はいちじるしく前進した。
 しかし事情は本質的に変わっていない。アメリカ帝国主義に従属する日本の独占資本は日本の民主化をくいとめる反動的意図のもとに部落に対する差別を利用している。それゆえに現在では独占資本こそ部落を差別し圧迫する元凶である。」……
#200
○倉成主査 正森君、時間がすでに経過しております。結論を急いでください。
#201
○正森分科員 終わります。
 「部落の解放なくして民主主義はありえない。部落は日本民主化の重要な課題である。部落の完全な解放は、労働者階級を先頭とし中心とする農漁民、勤労市民、青年婦人、知識人などすべての圧迫された人民大衆の解放闘争によって日本の真の民主化が達成されたとき、はじめて実現する。それゆえに部落解放運動は平和と独立と民主主義のため広範な国民運動の一環であり、そのための統一戦線の一翼である。」と述べております。私どもはこの部落解放同盟の綱領を支持して、真の部落解放のために戦うものである。したがって、江崎自治大臣も、暴力でいろいろなことをやろうとするということに対しては、厳正な態度をおとりになるという態度を持していただきたい。
 それについて思うならば、うしろの警察の局長などが述べた答弁については納得することができないということを申し上げて、若干時間が延びましたが、お答えをなさらずに考えておられたり、答弁が長過ぎたりというような点もありましたので、委員長に対して失礼の点はおわびしておきます。特に後の質問者の方に対しては、四分ほどおくれたことをおわびいたします。
 それでは終わります。
#202
○江崎国務大臣 私は大阪の警察本部長をはじめ、職務を忠実に履行しておるものというふうに信頼をいたしておりまするが、御指摘のような誤りがことさらにあるというならば、さっき御指摘の五十条、五十五条による発動は当然であると考えます。しかし、現在はそういうことはないと思っております。
#203
○倉成主査 柴田健治君。
#204
○柴田(健)分科員 時間が制約されておりますから簡潔にお尋ね申し上げますから、答弁者のほうも簡潔に要領よくお願いしたいと思います。
  〔主査退席、三ツ林主査代理着席〕
 私は、広域市町村圏の一環として、いま自治省並びに消防庁が進められておる広域常備消防の問題、これに関連して二、三御質問を申し上げたいと思います。
 いま広域常備消防を進めておる都道府県の中で、各県いろいろ事情があって、多少地域的条件その他を勘案して、考え方が多少のニュアンスは違いますけれども、基本的には、今日の社会情勢の変革その他を勘案して進めるということの大義名分の理屈は二つ三つ出しておられますが、しかし、私たちは、広域常備消防を進める上に今後の見通しというものに非常な不安な点がある。
 それは第一点は、財政的な問題です。消防費の交付税の算定基準、大体いままで町村の交付が〇・四、市については別でありますけれども、町村については〇・四の交付税率、今度広域常備消防を一部事務組合方式でつくっていくならば、それに〇・六をプラスする。テンパーを交付するということで運営することになるわけですが、その前段の、進める過程の中でいままでの市町村の非常勤消防団を弱体化しない、強化をするという方向をとりながら常備消防を進めていく、こういう流し方をしておるわけです。ところが財源的から考えると、どうも政府は信用できない面が過去にあるわけです。それは農業委員会の設置のときでもそうだし、市町村教育委員会を設置するときもそうなんです。町村の持ち出し分がだんだんだんだんふえてきた。今度の広域常備消防でも、〇・六のプラスアルファで将来起債の償還なりまた人件費の上昇、施設の改善、その他もろもろの問題について、いまの自治省が考えておるような方向で財源が確保できるのかどうか、この点非常に心配であるから、財源的な問題について自信のほどをひとつ示してもらいたい。私たちはこの財源の見通しは非常に暗いだろう、町村の持ち出し分が二、三年後にはふえてきて、非常勤消防団を強化どころか、その財源に食い込む可能性がある。この点非常に心配であるから、自治大臣並びに消防長官の見解を聞いておきたい、こう思います。
#205
○江崎国務大臣 消防の広域化をはかりました場合は、まず第一に、起債、国庫の補助金等々については優先的に認めておるわけでございまして、今後ともこれが充実整備をされることを私どもは期待するわけであります。詳しくは消防庁長官がおりますから……。
#206
○宮澤政府委員 消防の広域化に伴って常備化がただいま全国で進んでいるわけでございますが、それにつきましての消防財政の問題でございますが、一般的には、柴田委員も十分御承知と思うのでございますが、交付税で財政需要の算定をいたしておりますけれども、実際に決算額を見ますと、なかなか財政需要まで消防費を支出しております地方団体の数が、そこまでいっていないものが相当あるわけでございまして、そういう意味で、私どもも消防財政の財源が不足いたします場合には、地方団体の各位にもその点大いに努力をしてほしいということをお願いいたしているわけでございます。
 そこで、広域化に伴う常備化についてでございますが、ただいま大臣が申しましたとおり、補助金なり起債なりというものにつきましては、共同処理について優先的な配慮をいたしているわけでございます。
 それから、広域化をいたします地域にもよるわけでございますけれども、農山漁村地帯で過疎地帯を含んでおりますところにつきましては、これも御承知のように、過疎債で交付税の需要の中にその元利償還の一定額を入れているわけでございまして、そういう配慮はいたしているわけでございます。しかし、同時に農山漁村地帯の消防力を強化いたします場合は、都市部と違いまして、多少金の使い方について非効率的な面が理屈の上で出てまいります。交付税の需要の算定上密度補正と申しますか、密度が疎になるに伴いましてそれだけよけい金がかかるというような観点から、四十八年度から密度補正という考え方を入れるようにということで、ただいま御審議を願っております法案の中にもそういう考え方を入れているわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましても、ただいまのところはまず措置ができているというふうに考えておりますけれども、しからば、将来それについて十全であるかというお尋ねでございますと、これは消防のみならず、農山漁村部の財政問題一般にも通ずるわけでございます。けれども、その辺につきましては、私どもとしても思いを新たにして考えなければならない要素は、これはあるだろうというふうに考えておるわけでございます。
#207
○柴田(健)分科員 いま大臣なり長官から今後の見通しを言われたんですが、四十八年度から密度補正という、たとえば岐阜県の大垣は人口約十五万で、これは五カ町村入って大垣市が入って一部事務組合をやっておるのですが、いま岡山の私どもの管内が十五市町村、大垣市の面積は大体百七十平方キロ、私のほうの地域のいまこしらえようとしておるのが、十五カ町村で約七百平方キロ、大垣の約四倍近くになるのです。そういう地理的条件の非常に悪いところで屯所、本部を置く。そして分駐所を八カ所も置かなければならないということになると、建物の維持管理、また一分所八人、九人の人員で二交代制、三交代制、一方では救急業務もやる。実際うまくいくのだろうかというこういう心配、思い切って財政投資をしないといい広域常備消防というものはできない、こういう判断ができるわけです。
 そういう地理的条件の悪いところに進める場合は、机上論でなしに現地においてもう少し、いま密度配分でやられると言われましたが、思い切ってこの率を変える、そういう地域もあってもいいじゃないか。特に過疎地帯においてはそういう点を考えるべきではないだろうか。それから交付税の上積みにおいても思い切ってやるべきではないか、こういう気もいたします。それから、いま言われましたが、将来町村の持ち出し分のないように、万一町村の持ち出し分がここ二、三年後に起きた場合には、その補てん策を考える意思があるかどうか、長官、どうですか。
#208
○宮澤政府委員 これは交付税制度全般の問題であろうと思います。したがいまして、その町村自身で財政なり行政運営の基本をどこに置いていくかということによりまして、需要に算定された額と決算時とは違ってくると思うのであります。したがいまして、私どもは消防の立場でございますので、交付税で算定をされております需要以上に大いに消防行政を充実してほしいということを願っているわけでございます。
 その場合に、その措置をするかというお話でございますけれども、それが町村財政全般といたしまして非常な負担になるというような場合には特別交付税等の措置が考えられると思うのでございますけれども、単に需要以上の決算額の行政を行なったからということだけでは、直ちに特別交付税の該当項目になるとは私は言えないと思います。
#209
○柴田(健)分科員 どうも答弁をうまく逃げようとしておられるのですが、そのものずばり、国が責任を持って進めたら、そういう矛盾と欠陥が出たら、もうそれを直していくというそういう姿勢がないと、どうも私たちはまた一ぱい食わされるのじゃないかという気がするのです。
 あなたと論争しても、時間がないからもうやめますが、いずれまた問題は大きく取り上げますから、将来十分配慮をしてもらいたい。財政的な問題については十分考えてもらいたいと思います。
 それから、自治大臣に簡単に聞きたいのですが、広域常備消防を進める一方では、いま多様化してくる社会情勢に適応する人的そして技術的、その他もろもろの問題を含めて広域常備消防を進めておられるのですが、しかし、いま町村側の受け入れの気持ちというものは、今日、救急業務が主体のように受けとめておる。ところが、法律的からいうと、そうではない。ほんとうは消防全般の任務を持たなければならない。救急業務だけやったらいいのだ、あとは、まあ、火災や水害については非常勤消防団にまかせたらいいのだ、こういう安易な考え方をもって、こういう面について誤った解釈を進めて、そういう認識の上に立って広域常備消防をつくったならばたいへんなことになるという心配が一つ。
 もう一つは、非常勤消防団が、今日まで百年の歴史の中で、社会の犠牲的な奉仕という気持ちで積み上げてきたこの面のいい面をこわす可能性がある。それはなぜかというと、片一方は今度は労働基準法の適用されるようなりっぱな消防職員として任務につく。ところが、非常勤消防団のほうはまことにおそまつな待遇で、おそまつな装備で、いつ引っぱり出されるかわからないというような任務が、たとえば林野火災は農林省であるし、建物火災は自治省であるし、また水害なら建設省だ、また水防関係は建設。上は分かれているけれども、下は非常勤消防団は常に出動させられている。ところが、今度は月給取りの消防職員ができたからわれわれ出なくてもいいじゃないかという、いままで長い、いいくせを持ってきた非常勤消防団の団員に精神的に非常に暗い影を投げかけておるということも事実です。これは一たんそういう心をこわしたならば、もう二度と取り返しがつかない、そういう心配があるのです。この点については今後国に重大な責任があるので、この点について自信のほどを、ひとつどういう考えで今後処置していかれるか、指導していかれるか。大臣に、簡単でけっこうですから、お答えいただきたいと思います。
#210
○江崎国務大臣 御指摘の点はもうきわめて重要な点をついておられると思うのです。ただ、最近消防業務そのものも非常に多岐にわたりました。お説のように、救急業務までが加わり、しかもモータリゼーションの発展によってどうも交通事故等が多いというところから、やはり常備消防の果たす任務というのは非常に間口も広くなったわけですが、そうかといって、この隣人愛に基づく犠牲的奉仕とおっしゃいまするこの消防団の努力、これもぜひ望ましいものです。しかし、世の中がこういうふうに進歩発達をし、消防業務そのものも多岐にわたってまいりますると、ただ隣人愛に基づく純風美俗と申しまするか、一つの奉仕だけにたよれない面もあるということから、常備消防が強く要請されておるわけです。それだけに各町村のような財政規模の小さいところでは持ち切れないから広域消防を大いに推進する、こういう政策に出ておるわけであります。そうかといって、今日の非常備消防、すなわち消防団の活動はどうでもいいなどとはゆめゆめ思っておりません。これはますます隣人愛に基づいて一そう過去の伝統の上に活動を願いたいものであるというふうに思っております。
 したがって、消防庁長官などがいつも私どもに申しておりまするのは、常備消防、非常備消防、これは車の両輪のようなものである、もっと進めて、言うならば、一体になって成果を発揮する存在であると申しておりまするから、今後そういううるわしい精神的な要素が失われないように十分ひとつ指導をしてまいりたいと思います。
#211
○柴田(健)分科員 今後の自治省の指導方針をながめていきたい、こう思っておりますが、今度、非常勤消防団と広域常備消防との指揮命令の問題で、消防組織法の十五条を何ぼ読んでも、一部事務組合方式でできるこの広域消防の責任者が、市町村というものは合併しないんだから市町村というものは残るわけですから、この市町村長がそれぞれ任命する団長、広域常備消防の一部事務組合の消防責任者が指揮命令がどこまでできるのかという点があるのですけれども、この点はいずれあらためて聞くとします。
 次に、私は聞きたいんですが、大臣、消防自動車に自動車重量税をかける。何と考えても、これは私たちはふしぎだし、理解に苦しむんですよ。全国二千万台の中で百万台も消防自動車があるなら、自動車重量税をかけなければならぬ。自動車重量税法の設置の基準になっておるのは、道路をいためるということが大体の大きな原則、基準になっておるようでございますね。ところが、年間消防自動車の走行距離を見ると、平均大体千五百キロくらい、それは特によく走る車もありますけれども、過疎地域の町村は年に百五十キロくらいしか走っていない。一日百五十キロも二百キロも毎日走っておる車も公益性の非常に強い消防自動車も同じように自動車重量税をかけるというのはあまりにも非常識だと思う。こういうことをやるから、非常備の消防団の人々のみんなが、あまりにも冷たい、われわれの立場を無視しておる、正直のところいまこういう気持ちの不満を持っているのですよ。なぜ取らなきゃならぬのか。
 聞くところによれば、消防自動車の自動車の重量税をやめると、病院の救急車や大きな会社の自衛の消防ポンプまではずさなければならぬ。こんな大間違いな解釈をしておる。病院の救急車は無料で走っておりませんよ。あれは料金を取っている。会社の消防自動車は、これは企業防衛です。利益に結びついているのです。消防のほうは利益も何もない。それをなぜ自動車重量税を取らなければならぬか。二カ年に一回の車検を受けるたびに税金を払わなければならぬのか。
 大臣、大臣というより、日本の政治家として静かに反省して考えてもらいたいのですが、どうですか。これは、廃止する運動をあなたが先頭に立って、大蔵大臣と二人で話し合いをすれば直るはずだと私は思う。この点どうですか、大臣。
#212
○江崎国務大臣 消防団に非常な理解を持っての御質問ですから、本来、努力しますと、こうお答えしたいところですが、これは私も認識不足でしたが、長官との話し合いで理解したわけですが、要するに、非課税になっておりまするのは、自動車重量税法の規定によりまして大型特殊自動車、これはキャタピラがついた作業車で、道路を走らない車のみが非課税になっておる。消防車もそうですが、警察用も、私は警察に関係があるわけですが、警察用もそれから環境衛生用の車両、これもひとしく課税をされておる、こういうことです。
 そこで、いまおっしゃるような疑問が出てくるわけですから、それでいいのか、いいえ、よくありません。そこで、自動車重量税相当分については地方交付税で見ておるのだということになれば、さっき御質問の中で言われましたようないろいろなところに対する波及、さしあたり消防車を免税にすれば、警察も免税ということになりましょう。もっと波及すると思います。そういう面を排除しながら、そういうひずみを地方交付税において措置をとっていくことでこれは御了承願いたい、こう思うわけでございます。
#213
○柴田(健)分科員 それは大臣、へ理屈を言うものじゃない。ほんとうに消防団というものは心でいままでつながってきたのですよ。そういうへ理屈が消防団には通用しないのですよ。そんなへ理屈だったら、消防団なんというものは活動できるものじゃないですよ。無条件で心と心のつながりを持って社会の連帯感の上に立って行動してきたのですよ。おまえ、しんぼうしなさい、交付税でやっておるじゃないか、そんな単純論のへ理屈では理解できないのですよ。そういう考え方自体が――私は今後広域常備消防を推進される中で非常勤消防団のいい面がみんなこわれてしまう心配があるのですよ。それだから、私は交付税で見るとか見ぬとかいう問題でなしに、二万台の消防自動車の税金を取らなければ日本が貧乏をするわけじゃないですよ。あなた方は金はたくさんあると言うて自慢しているのだから、二千万台の中でたった二万台ですから、これは何とかして非課税にしてやって、精神的な一つの解放感というか、消防団員の心をつかんでいく、こういう気持ちのそういう姿勢があってもらいたい、こう思うのです。
 この点については、私はなぜこういうことが起きたかというと、あの法律をつくる時分に消防庁や自治省のほうは何も言わなかった、一山何ぼで通しちゃった、こういう言い方なんです。これは直せる点は、余地があるのだから、直してもらいたいということを強く要求しておきたいのです。大臣に最後にその点はお答え願いたいと思います。
 次に、消防学校の強化をぜひやってもらいたい。任務は、基礎教育だとか実務教育だとか実科訓練、警防、救助、無線通信、予防、危険物、機関科、たくさんの任務を持たしてそれをやらなければならぬ学校が、各都道府県の消防学校の実態を見ると、まことにまだお粗末だ。職員の人員の問題もあるし、給与の問題もあるし、車両もまだ欠陥が多い、これを早急に改善する。要するに、充実強化という方向で早急にやってもらいたい。この点についての構想を長官から聞きたい。
#214
○宮澤政府委員 消防学校の強化につきまして、私はただいま柴田委員おっしゃいましたこととまことに同感でございます。ことに広域消防常備化につきましては、そのやり方についていろいろ御批判はあるようでございますけれども、それはそれといたしまして、やはり常備消防もふえてまいりますし、同時に消防団員の教養、訓練ということも必要でございます。したがいまして、私もおっしゃる御趣旨は全く賛成でございます。
 本年度交付税措置を多少強化いたしました。しかし、私どもといたしましては、それで必ずしも十分とは思っておりません。やはり消防の基本はそれに携わる人間でございますので、これは御激励をいただきながら私どもといたしましてもさらに努力をしていきたいと思っております。
#215
○柴田(健)分科員 大いに努力を期待しておきたいと思います。
 それから、ことしはきのうで自治体消防施行二十五周年になったのです。二十五周年で各都道府県の消防協会がいろいろ記念事業をしたいが、金がない。いろいろな会社とか、寄付を集めようじゃないか、こういう案を立てて、さあ寄付をお願いしたら、非課税になっておりますか、こう聞きますよ。いや、それは課税対象です、それじゃ寄付をやめましょう。寄付してくれない。それからいろいろ調べたら、この二、三年前に日本体育協会には寄付行為が非課税で許された。このと弐に大蔵省は認めた。体育協会も大事な協会です。これは人間の健康を保持する一つの大きなスポーツ振興ですから。消防のほうは人間の生命、財産を守る協会なんです。
 私はいま国のほうの誤りがあると思うことは、船舶協会だとか競輸協会だとか、ああいうギャンブルの金をもらって救急車だとか広報車だとか、そういうことをやるより、もっと基本的に、消防はどうあるべきかということを考えて、消防の位置づけを明確にして、財源の措置も――そういうもろもろの矛盾の、ギャンブルの団体から金をもらって救急車、広報車を配らなければならぬというようなことを、大臣にしても長官にしてもどう感じておられるのだろうか、筋が通ったと思っておられるのだろうか、こういう疑問をわれわれ持っておるのですよ。これは消防団の幹部はみな持っておる。そこを私はきょう論議するつもりはありませんが、体育協会にこういう非課税措置を認められたのなら、消防協会だって非課税の団体にしてもらうように、大臣、この点は――大臣はそのために政治折衝する立場だから大蔵省に話をすべきではないか、またそれをしてもらいたいという強い要望が組織にある。この点を簡単にお答えを願いたい。
 それからもう一つ、同時に大臣にお願いしたいことは、いま農村でも工場誘致ということで、農村工業ということでだんだん下請企業がふえてまいりました。そこにおつとめになっておる消防団員がおるわけです。いまから七、八年前までは消防庁と通産省とが話し合いをして、各都道府県に、消防団員の訓練その他の出動については減俸措置や給与には一切関係ないようにいたします、またそういうようにしなさいということで通達を出し、話し合いをして話がついた。ところが、近年それが手薄になっちゃって、新しくできた工場では、消防で休んだら、月給を引くし、期末手当やその他の手当が減額されるしということで、非常に心配しているのですよ。こういうことのないように通産省とよく話をして、そういう企業家に対しては都道府県を通じて、消防業務に出たものは、企業も休みや欠勤、そういうことをしないように処置をしてもらいたい。
 以上三つ、最後に大臣に、そういうことに取り組んで今後努力する、通産省とも話をする、大蔵省とも話をする、こういうことでひとつ御回答を願いたいと思うのです。
#216
○江崎国務大臣 指定寄付につきましては、公共性それから緊急性、公益性があるものということを一つの条件として、審査をして個別的に指定をしまして損金算入ができるようにしておる、こういうわけです。
 ところが、いま御指摘の消防協会の寄付金は、事業内容が緊急性及び公益性において難点があるということで指定寄付にならぬ。私も長官と話し合いをしまして、それはどうも話が少しおかしいじゃないか。これは大蔵大臣と、おっしゃるように、われわれ政治家なんですから、よく話を詰めてみたいと思います。これは指定寄付該当ということで当然考えられるべきものだというふうに思います。
 それからもう一つ、いま御指摘の農村部における会社づとめの消防団員、これが事があったときに出動に参加する、それが欠勤扱いを受けるなんという不当なことがあっていいものじゃありません。当初、御指摘のように、隣人愛による相互扶助の消防活動、これに参加しようというときに、何だかそれが、このごろの風潮かもしれませんが、そういうことで本人の意思が妨げられるようなことがあってはなりませんので、これは通産省ともよく相談をして、それぞれ地方の会社にも行き渡るように措置をしたいというふうに考えております。
#217
○柴田(健)分科員 わかりました。終わります。
#218
○三ツ林主査代理 保岡興治君。
#219
○保岡分科員 奄美群島も本年で復帰して以来満二十年になりまして、復帰した翌年奄美群島復興特別措置法が制定されまして十カ年、引き続いて昭和三十九年から奄美群島振興特別措置法が制定されまして、それに基づく振興計画を樹立してその実施を行なって十カ年、政府の手厚い保護によって産業経済の振興をはかってまいったわけでありますけれども、その間の国や県、地元市町村あるいは住民の不断の努力によってそれなりの成果をあげてきたと見ることができるわけでありますが、この間関係当局の寄せられた熱意と御努力に対して心から郡民を代表して感謝を申し上げるものであります。
 しかしながら、現在の奄美大島の置かれている状況というものを見ますときに、奄美大島が二十年前に日本に復帰しました当時からの歩みを考えてみますと、米軍が奄美に軍事的機能の役割りを認めなかったせいか、基地を置かなかったというようなこともありまして、社会資本の投資を何ら行なっていない上に、民生安定の努力も全くなされず、また一方では、当時の日本の財政能力もあったことと思いますけれども、復帰前に日本の政府が何らかの援助を行なったということもなくて、全く八年間の行政空白に置かれた、荒廃した状態で復帰したわけであります。その点が今度復帰しました沖繩と違う点でありまして、沖繩の場合は、米軍が沖繩に基地を置いておりまして、好ましくないという点はあるわけでありますが、曲がりなりにも基地経済による潤いもあって、また米軍のほうも民生安定の努力やそれなりの社会資本の投資も行なっているのであります。また、復帰前から日本政府がかなり多大な援助金を送っておって、そういった意味から、復帰時において沖繩の状況を見ますと、現在の奄美大島に決してまさるとも劣らないという水準をある程度確保しているという点があるわけであります。
 このように荒廃した状態で奄美大島が復帰したわけでありますけれども、その後復興計画に基づいて強力に推進したわけであります。ところが、当時は日本の財政能力も非常に微々たるものでありまして、また経済力もはなはだ低かったという事情もありまして、わずかな額の予算がなお地元の負担能力その他からいってなかなか満足に消化できないというようなこともありまして、この復興計画の目標としたところは、戦前の昭和九年から十年の本土並みという水準に達するようにという目標を掲げたのでありますが、その目標を達するのに十カ年間を要して、昭和三十八年ごろになって、計画が終わる段階でやっとその目的を達しているわけであります。
 引き続いて昭和三十九年から振興事業計画が行なわれたわけでありますが、この振興事業計画の推進によって――そのころになりますと、わが国の経済も高度経済成長が軌道に乗りましてかなり活発になり、また、国の財政能力もかなり強化されてまいりまして、それに伴って奄美群島の振興開発もかなり実績をあげたわけであります。しかしながら、隔絶した外海離島、あるいは台風常襲地帯という他の離島にないきびしい条件からくる後進性を克服することが容易でないために、なかなかその計画の成果を得ることができないで、むしろ国の本土における高度経済成長に追いつけないで格差が広がる傾向にあるわけであります。
 そういう点から、現在の奄美大島の群島民の平均所得は国民平均の四六%と半分以下の水準であります。また日本で一番貧乏県の鹿児島県の八十数%という低所得を余儀なくされているわけであります。ちなみにお隣の沖繩を見ますと、鹿児島県よりか水準が高いわけでありまして、大体国の平均の六十数%だというふうに聞いております。また、二年前の県道以上の道路の舗装率一つをとってみても国が五三・二%で県が四〇%であるのに、奄美大島の場合一八・九%という低い水準であります。これもお隣の沖繩と比較すると、沖繩が四一・二%とかなり高い水準を示しているわけであります。本土からあまりにも離れているため、さらには輸送コストが高くつくといったようなことで、物価高というようなことが非常に問題になっておりまして、物価指数も、東京が日本でも物価の高いところといわれておりますが、東京よりさらに三%も高い、日本一物価が高いというような状況にすら追い込まれておって、群島の実質的な平均所得というものはかなり低いものがあるわけであります。
 このような状態で今日になっておるわけでありますけれども、最近われわれ全国民の要望が実りまして、沖繩がめでたく日本に復帰いたしまして、奄美大島としてはすぐ隣にある沖繩だけにその喜びもひとしおなわけでありますが、この沖繩に対して、長い間異民族による支配があって非常に気の毒であったという点を、贖罪的な意味から国のほうで多大な援助をしておるというような状況にあるわけであります。
 そこで、先ほど来お話ししましたとおり、奄美大島の現在の状況というのは、沖繩の現在の水準に決してまさっておると言えない状況にある点を考えると、このようなお隣の沖繩の今後の国の国策に乗っかった多大な援助によるりっぱな開発発展というものから取り残されて、むしろ沖繩との格差が生じ、本土との格差も生じて、その間にあって陥没するおそれということが十分に心配されるわけであります。
 そういった観点から、現在、振興事業計画が来年度をもって終了して、昭和四十九年度から新しい奄美の振興開発というものをあらためて考える時期に到達しているわけでありますが、その点にかんがみ、沖繩県、そして日本本土と調和のある発展を確保するために、四十九年度以降の奄美の開発に何らかの強力な特別な措置を講ずる必要があるというふうに考えられるわけでありますが、地元においてもその要望がきわめて強い状況にあります。このような観点から、いろいろと関係当局に御努力、御協力をいただかなければならないわけでありますが、質問を若干いたしたいと思うわけであります。
 その点に関しまして、昭和四十七年の一月三十一日に衆議院の本会議におきまして、中曽根康弘自由民主党総務会長の質問に答えて、佐藤総理大臣が答弁をしております。ここで中曽根氏の質問のその該当部分を読みますと、「なお、沖繩復帰に関連して、十九年前に本土に帰った奄美群島の開発振興、島民諸君の民生向上等についても、この際もう一度思いをいたし、欠くるところなきや検討すべきであると思いますが、御所信を承りたいと思います。」このような質問に対し、佐藤総理大臣は、「中曽根君から、この際奄美群島の振興開発や島民の民生向上について再検討すべきではないかとの御指摘がありました。まことに時宜を得たものと思います。奄美の振興については、政府としてこれまでかなり力を入れてきたのでありますが、それでも現在、群島民一人当たりの所得は、鹿児島県本土の一人当たり所得の約八割強というのが実情であります。今後、港湾、空港、道路等の基幹施設や、地域産業の基盤施設の拡充整備をさらに推進して、奄美群島経済の自立的発展をはからなければならないと思います。これを機会に、現行の振興計画の再検討を行ないたいと思います。」このように発言をしているわけであります。
 私たちは、この発言を聞いて、当時、先ほど来述べてまいりました思いとあわせまして、これは政府が昭和四十九年度以降の奄美の開発について、現在行なわれている振興計画以上の特別措置を前向きに検討するんだという態度を表明したものというふうに理解したわけでありますが、まずその点について自治大臣の所信を承りたいのであります。
#220
○江崎国務大臣 いま、御意見をまじえての御質問ですが、やはり復帰以来二十年を経過したわけですが、御指摘のように、鹿児島県そして本土に比べても相当格差がある。これは、私どももよく認識をしておるところであります。
 いま読み上げられました佐藤総理の答弁は、これはやはりさきに復帰をしました沖繩との社会的、経済的あるいは文化的な関連性等をこの際十分考えるとともに、今後とも群島の振興施策を一そう強く進める必要がある、その積極的検討を言われたものであるというふうに私どももよく認識をいたしております。
 また一方、昨年の八月、自治大臣の諮問機関である奄美群島振興審議会から、昭和四十九年度以降の奄美群島の振興については、新たな構想のもとに長期的計画を樹立し、さらに同群島の振興開発事業を継続すべきである、こういう建議が行なわれているわけであります。したがって、私どもといたしましては、当然奄美群島振興開発は強力に推進する必要がある。これは沖繩の振興開発との関連においても、また新全国総合開発計画においても、これは当然なことであるというふうに考えております。
#221
○保岡分科員 いま自治大臣におかれまして、昨年の八月に自治省の諮問機関である奄美群島審議会のほうからの答申を例に引いて積極的な御発言をいただいてたいへんありがたいと思うわけでありますが、さらに、いま御指摘のとおり、新全国総合開発計画の沖繩ブロックの基本構想を加えるための一部改定の際に、昨年の十月に閣議決定が行なわれた。その一部改正の際に奄美大島の開発が最後に加えられているわけであります。この新全国総合開発計画のその部分を読んでみますと、「沖繩の開発に当たっては、沖繩と地理的、歴史的、経済的に密接な関連をもつ奄美群島についても、今後とも産業の振興と社会生活水準の格差是正を図る必要がある。とくに、そのすぐれた自然環境の保全を図り、また、根幹となる道路、空港、港湾等の施設の整備を図るなどにより、その開発振興を強力に推進する。」という部分があるわけでありますが、私たちはこれについて、先ほども若干述べましたとおり、沖繩との関連において沖繩の歩調と合わせて奄美群島の振興開発をはかって、決して本土と沖繩との間が空洞にならないように、陥没しないようにという趣旨を織り込んだものだというふうに考えております。これがやはり今後の奄美の振興開発の基本にならなければならないし、あるいはその事業計画の骨子として常に考えていかなければならない重要な原則だと思うのでありますけれども、その点について自治大臣の所信を承りたいと思います。
#222
○江崎国務大臣 全く私も御指摘のとおりだと思っております。できるだけ大いに協力をしたいと思っております。
#223
○保岡分科員 そこで、いま大臣のほうから、現在の振興計画を積極的に検討して奄美群島の実情に沿った開発をする、しかもそれは沖繩との関連において決して劣らない、沖繩との同一歩調による開発が基本原理であるというふうに理解するという御発言をいただいたわけでありますが・それを具体化するためにいろいろ方式を考えなければならないと思います。
 そこで、若干の質問をしたいわけでありますけれども、私の手元に資料があります。これは全国と離島と奄美、沖繩の公共事業費の対比の表であります。それによりますと、離島振興法対象地域の離島の公共事業費の伸びと奄美群島の振興事業費の伸びとの対比がなされておるわけでありますが、奄美大島の振興事業費の場合には、毎年度の伸び率が非常に少ないという事実があるわけであります。昭和三十年から昭和四十四年までは大体九%あるいは全然伸びがなかった年度、四%、二%、六%あるいは五%という低い伸び率を示しておりまして、昭和四十五年でやっと十六%伸びまして、その後四十六年で二八%、四十七年度で二五%、四十八年度で三三%伸びるに至っているわけでございます。一方の離島振興法対象地域を見ますと、昭和三十一年から二一%、三〇%、四一%、三〇%、同様な伸びがなされておりまして、最近も同様に二三%、二六%、昭和四十八年は三三%という伸びを示しておるわけであります。こういうふうに奄美群島振興事業費は伸びていないわけでありまして、そのために奄美群島の人口一人当たりの公共事業費の投資額を見ますと、離島との対比で、振興事業計画を推進してから三年目である昭和四十一年から逆転をしておりまして、離島振興事業対象地域の住民のほうが一人当たりの公共事業費の投資率が大きくなっておるというような事実があるわけでありますが、その点について自治省のほうでこういうふうな状況を御承知であるか、お伺いしたいのであります。
#224
○林(忠)政府委員 いろいろとこまかい点を捨象いたしまして、公共事業費、離島振興事業費、奄美振興事業費自体を比較いたしますと、確かに御指摘のような点があることは承知をしております。
#225
○保岡分科員 これはやはりいろいろ事情があってこのような結果になっておって、またこの理由についていろいろ考えればもっともな点も出てくるのでありましょうけれども、私の見るところでは、これを五年セットで予算組みをして、その間毎年予算を分割するような予算編成の方針をとってきた、そういう点に原因があるのではないかと思いますが、その点について、このような点を反省して、日進月歩の目まぐるしい世情の変化が著しい時代でありますし、毎年度の予算の伸びも非常に見込まれる今日、五年セットで予算組みをしてしまって、あとはそれを等分するような行き方をとると、どうしても、毎年度の予算の伸び率に応じた予算も獲得できないあるいは時宜に応じた事業の内容をきめることもできないということになって、内容が硬直するというようなことになります。
 そこで、四十九年度以降の奄美の開発については、基本十カ年計画のような大まかな計画を立てて、あとは毎年計画を推進するための具体的な事業を考えて、その上で予算をつけていくという方式、いわゆる毎年度予算方式というようなものを取り入れる必要があるのではないかと思いますが、その点について伺いたいと思います。
#226
○林(忠)政府委員 あらかじめ五年あるいは十年の大きな計画の全体を定めてやるという方式、この方式自体にも確かに長所はあるとは思います。五年間にどれだけの事業をやるかという五年先までの見通しが得られるという意味で、島民にある意味の安心感を与えるということもありますし、それから、全体を計画的に進めていく上において、その間のむだがないというようなこともあると思います。ただ反面、先生御指摘のように、一応その目標ができてしまうと安心してしまうというか、毎年度の予算の努力でほかのほうが伸びていくのに、こちらのほうは五年間の計画がきまっているということで、いかにも結果を見ると伸び率が少ないという傾向が出るということも否定できないのではないか、事実この奄美の場合は、最初の十年計画でも、最初のほうの計画変更は事実小幅になってしまっておりまして、おっしゃるような経過が確かに出てきておるということもいえると思うのでございます。しかし、そういう欠陥を是正する努力は十分したつもりでございまして、現行計画につきましては、ことしの予算でも御承知のとおり相当大幅な手直しをしまして、必要な経費は計上していくという努力は十分やってきているつもりでございます。いままでとっておりました方式に長所もあると思いますが、おっしゃるような欠点もあることは、これも否定できません。そこで、それらの事項を、いろいろな事情を考え、先生の御指摘のような方式というのも一つの考え方として十分理由もあると思いますので、今回あらためて四十九年度以降の考えを定める場合には十分そういうことも勘案して検討を進めていきたい、こう考えておる次第でございます。
#227
○保岡分科員 現在の社会は非常に関連社会の幅が広がっておるわけでありまして、そういった意味から、専門家による日本の全体的なあるいは世界的な視野に立って地域開発をしなければならないし、また各種の事業を考えるあたっても、専門家の、時代に応じた長期の見通しによる適宜な事業の推進が必要だと思います。そういったことから、現在県のほうでも各省に相談をしてから計画をつくっているのでありますが、やはり各省が直接責任を持つのと、単に相談を受けるのとでは、実際の状態にも違ったものが出てくるだろうと思うわけであります。そこで、そのような要請を満たすためには、やはりもちはもち屋という方法で各省で予算組みをして、新しく今度できる国土総合開発庁が一括計上、各省予算実施というような方式が適当ではないかと思うのでありますけれども、その点について伺いたいと思います。
#228
○林(忠)政府委員 奄美の場合には、二十八年に復帰をいたしまして、これがまた非常に遠く離れた鹿児島県のうちのさらに一つの地域ということでありますために、ここには、全体で一つの役所が一から十までめんどうを見る、これのほうが妥当ではないかというような考え方から、従来の方式がとられてきたと思うのですが、その後ここもだんだん進んでまいりまして、さらには国の社会経済状態も伸びていく、各省もそれぞれ新しい施策というものを次々と打ち出していく、そういう社会経済情勢の変転を踏まえましては、従来の方式に固執することはむしろマイナスである面は確かにあると思います。従来の方式に長所もあると存じますけれども、反面、御指摘のような点が実際の数字の伸び率などについてあらわれている点も、これは否定できないのではないか。今後の開発を考え、ことに沖繩との関連を考えていくような場合には、おっしゃるような、もちはもち屋と申しますか、それぞれの専門家が身を入れてやるような体制に持っていくということも十分考えられなければならないのではないかと思いますので、そういう点も踏まえて各省あるいは財政当局とも相談して四十九年度以降のことを考えていったらいかがかと考えておる次第でございます。
#229
○保岡分科員 それから復興事業以来振興事業に移行する際、だんだん補助率が下がってきております。補助率が下がりますと、地方の負担能力が十分にない場合には、事業が小さくならざるを得ないという点が出てくるわけでありますけれども、過去のことはともかく、将来のことを考えてみますときに、沖繩が今度復帰しまして、復興開発計画で非常に高い補助率になっているわけであります。沖繩の復興開発計画は十カ年という非常に長期になっておりますので、奄美大島の場合に現在の補助率でいったときに、沖繩との関連において格差が生ずる不安が非常に強いわけであります。そこで、四十九年度以降の奄美の振興開発についても、補助率は地元の負担能力を十分考慮していただいて、このような格差がないように、事業が十分できるように御配慮をいただきたいと思うのですが、その点について所信を伺いたいと思います。
#230
○林(忠)政府委員 これは政府部内でいろいろ関係者、財政当局その他ともこれから十分相談をしてまいるものではございますけれども、最初に奄美が返ってまいりましたときに、言ってみれば裸同然と申しますか、ほとんど地元負担能力がないという状態のところで早急に復興をはからなければならない、そういう時代に、十割補助あるいは九割をこえる高率補助があるのは自然でございます。だんだん復興事業が効果をおさめてまいりまして、地元の市町村にも幾らか負担能力もついてくる、そういったようなときには、また他の補助事業との均衡とか、そういうことも考えて徐々に補助率を検討し直すということが行なわれたのもまた自然ではあると存じます。そして今日まで二十カ年続けてまいりましたわけですが、今日また新しい状態を迎えまして、沖繩の復帰、それに対する復興事業ということが来年以降またたいへん大きな課題になってくる。地理的に非常に近い奄美に対しての補助事業の内容あるいは補助率ということは、この新しい事態を踏まえてまた検討をし直さなければならない面も十分あると思います。したがって、そういうことを十分勘案いたしまして、御指摘のような地元の負担能力、これも復帰以後だいぶついてきたとはいえ、まだ内地の市町村、地方団体についてほど十分ともいえない面もあります。他の離島との均衡、そういうものも考えた上で最大限の努力をしてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
#231
○保岡分科員 奄美群島振興信用基金についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、信用基金は、奄美の多くの零細かつ脆弱な産業に対して、一般の金融機関の融資はもちろん、系統資金や制度資金の導入も種々の制約があって十分な資金供給ができないために、これに対して身近な存在としてきめのこまかい融資や保証業務を行なってきているわけであります。そこで郡民にも非常な利益を与えて、群島産業の振興に大いに役立っているわけでありますが、沖繩においても沖繩振興開発のための沖繩開発金融公庫が設置されておりまして、きわめて有利な条件で金融業務を行なっております。そこで、昭和四十九年度以降の奄美の振興開発についても、この沖繩における有利な措置にかんがみて、信用基金制度を引き続き存続させると同時に、新しい特別の措置の内容に沿うようにさらに内容を充実強化する必要があると思いますが、その点について伺いたいと思います。
#232
○林(忠)政府委員 この信用基金が二十年の復興に関しましてたいへんな機能を果たしてきたことは、言うまでもないことだと存じます。元来、同群島は零細かつ非常に脆弱な産業の現状でございますし、一般金融機関の融資、それから系統資金、制度資金の導入ということも種々の制約がありまして思うにまかせない面も重々あった。したがって、その群島内に本拠を置く信用基金というのが、ある意味ではその地元の方々のシンボルといいますか、これこそわれらのものという親しみもあったと思いますし、それらを通じまして群島の産業の近代化の促進には大いに寄与してまいったというふうに考えておる次第でございます。そこで、四十九年度以降の復興を考えます場合も、これはもちろん政府関係当局とさらに重ねて検討をしてまいる、この信用基金の扱いについても検討を進めてまいりたいと思いますが、従来果たしてきたそういう役割り、それから島民の心の中にある一つの親しみ、そういうものも十分に考えてこの基金の発展を考えていくべきではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#233
○三ツ林主査代理 もう時間が参っておりますので、結論を急いでいただきます。
#234
○保岡分科員 最後に、大臣にお伺いしたいわけでありますが、先ほど大臣に基本的な考え方については御承認をいただいたわけであります。いま林局長のほうから、私の意見に対しまして、四十九年度以降の奄美の振興開発については、従来の制度にかんがみて、いわゆる十カ年計画のような大体の計画を立てて、その上で毎年事業計画を実施して毎年予算を編成していく毎年度予算方式を、そしてもちはもち屋という各省予算組み、一括計上、各省予算実施というような制度の導入、それから補助率も、できるだけ地元負担能力を考えて計画が行なわれるように考慮するという、それから信用基金の存続についても十分検討するという大体のパターンについて御理解をいただいたわけでありますが、郡民が現在望んでおりますのは、全くいま私が意見として申したとおりの内容でございます。
 そこで大臣に、このような方式についてぜひ実現いただきたく、最後に大臣の所信としてその点を伺いたいと思うわけであります。
#235
○江崎国務大臣 それについてはまだ合意を見ておりませんが、できるだけひとつ御期待に沿えるように今後も話し合いを進めてまいりたいと思います。
 いま意見をまじえての御質問につきましては、全く同感をいたしておりまするので、十分今後協力してまいりたいと思います。保岡君、大いにひとつがんばってください。
#236
○保岡分科員 ありがとうございました。質問を終わります。
#237
○三ツ林主査代理 三谷秀治君。
#238
○三谷分科員 先ほどの正森議員の質問に対して、大臣は、状況の評価について二通りあるので困るのだ、こういう意味のことをおっしゃっております。これは、しかし、賢明な大臣のおことばとしては受け取れません。事実に基づきました具体的質問と、何か主観的なことを読み上げるだけの内容とでは、いずれが真実かということは非常に明確なことなんです。私は、この質問を通じましてそのことにつきましての一つの答えを出したいと思っております。
 最初にお尋ねしたいのは、大阪地方においては、地方団体の予算規模ではまかない切れないほどの同和事業費がふくれ上がってきておるという事実がありますけれども、これについては御承知かどうか、お尋ねしたいのです。
#239
○江崎国務大臣 大阪周辺の都市におきまして、同和事業対策を推進するために年を追うて同和関係予算が拡充され、それが相当高い比重を占めておる地方団体もあるということは承知をいたしております。これはもとより地方公共団体が自主的に事を運んでおるわけでありますが、事業の遂行、これは非常に望ましいことでありまするから、国庫補助等につきましても関係省庁との連絡のもとに十分措置をしていくべきであるというふうに考えております。
#240
○三谷分科員 そのお答えでは具体的な事実とは合わないわけなんです。たとえば、四十七年度の予算で見ますと、大阪に和泉市というのがあるのです。一般会計予算が五十三億七千九百万なんです。そのうち、同和事業費が三十四億九千三百万になっている。一般会計に対する比率は六五%に及んでいるのです。人件費を引きました事業費で対比しますと、八〇%になっているわけなんです。こういう事態について御承知かどうか。和泉市の人口というのは、四十七年七月一日の推定人口で十万五千九十七名であります。同和地区人口は九千二百三十八人なんです。人口比では八・八%であります。八・八%の人口で予算の六五%を消費する関係に置かれております。しかも、御承知のように窓口一本化というのがありまして、解放同盟に入っていなければこの予算の恩恵に浴せぬわけでありますから、実際にこの予算の執行にあたりまして恩恵を受けるのはさらに数が少なくなる、こういう状態になっております。これはひとつ申し上げておきます。
 もう一つは、泉佐野市というのがあります。これは一般会計予算が四十三億六千四百万なんです。このうち同和対策事業費が二十一億五千万円、この比率は四九・三%なんです。約半分ですね。人口八万四十二名に対して、同和地区人口は三千六百九十二人でありますから、この人口比率は四・六%、このうち解同府連に参加しておる人はさらに減りますから、その方だけがこの同和予算の恩恵を受ける、こういう状態になっております。
 もう一つは松原市ですけれども、一般会計予算が六十三億七千六百七十万に対して、同和対策事業費は三十億九千四百万に及んでおります。これも一般会計に対する比率は四八%五なんです。人口比で見ますと、十二万二千八百十六名に対して、同和地区居住者が二千三百八十九人でありますから、人口比では二%に足りません。二%に足りない人口をもってしまして一般会計予算の四八%が使われる、こういう状態になっている。
 これは一つ一つ読み上げますとたいへんですから、これぐらいにしておきます。こういう実情になっている。
 そこで、あなたがおっしゃいますのは、これはたいへんいいことだ、まあ同和予算というものがふやされますことはたいへんいいことだと思いますけれども、いいことだから、国のほうもうんとこれに対して援助するのだとおっしゃっておりますけれども、一体これに対して国の予算は何ぼ出ておりますか。大阪府下の二十七市二町一村で同和対策事業費は六百七億四千五百万円に達しておりますが、これに対して幾らお出しになっておりますか。
#241
○江崎国務大臣 この同和対策事業に地方公共団体がどれだけの予算を使うかということにつきましては、私どもの立場から一々いいとか悪いとか意見を言うことではないと思います。自主的にそのことがきめられ遂行されておる。原則的にはそういうことですね。
 いまお述べになりました数字とはちょっと違った数字が私の手元にありまするが、これは時間を節約する意味で財政局長から詳しく御説明申し上げます。
#242
○鎌田政府委員 いまの大阪府に対しまして同和関係の予算がどれだけ配賦されておるかという資料は、私ここに手元に持っておりません。全体といたしまして四十七年度が地方団体向けで三百五億という数字でございますし、おそらく、かりにその一五%というものが参ったといたしましても、四、五十億のものであろう、こういうふうに思います。
#243
○三谷分科員 おっしゃるように一五%まで及びません。一一%なんですね。たいへん過小な額なんです。そういうことですから、地方自治体の負担分が非常に大きな比重を占めている。御承知のように、いま地方自治体の財政というものはきわめて危機に追い込まれておるということは、全国的な現象なんです。その中でこれだけの金を出している。大臣がおっしゃいますのは、自主的に出しているとおっしゃる。表面的にはまさにそのとおりなんです。しかし、なぜこのようなことがなされておるのか。財政危機を訴えて、そうして福祉予算などが全く組めない状態の中で、なぜこういう、まず常識的に判断をしまして考え得られないような処置がなされておるのかということですね。ここのところに触れて考えていかなければ、問題の本質はわかりません。そこはどうお考えですか。
#244
○江崎国務大臣 これは私からお答えしたほうが適当だと思いますが、どうしてそうなっておるか、そこまで私ども調査をいたしておりませんが、地方自治体というものが自主的にきめる、そのきめたもののきめ方について、自治省としていまとやこう言う場面ではない、一応合法的、合理的にきめられたものである、こういうふうに考えておるわけでございます。
#245
○三谷分科員 二つ問題があるのです。一つは、地方自治体が自主的にきめたものだとおっしゃるのですけれども、それならば、これらの地方自治体、中には赤字団体もあるのです。一般的には行政水準が低下する状態に置かれているわけです、こういうところに予算が集中されますから。そこで、それを自主的にやったものだからけっこうだとおっしゃるならば、一つは、国の予算というものをさらに増加するという措置を怠っておったのでは、地方行政の指導はできないじゃないか。もう一つは、なぜこの財政危機の中でこのような予算が組まれるかという問題です。これは現象だけを見ずに、何か原因があるのだろう、どこかにそういう不自然なことをなさしめる理由がありはしないか、そこを調べてみなければ、的確にものごとの判断はできないのと違いますか。あなた方はおっしゃっているのは、表面のことだけでおっしゃっている。しかもロジックは合いませんよ。
#246
○江崎国務大臣 どうも、自主的な判断に基づいて、それが実情に即した予算である、これは、予算というものは、御承知のとおり市議会の議決を経なければ執行できない仕組みになっておりますし、自治体としてそういう御指摘のようなアンバランスがあるというわけでしょうが、これは私どもがいまここでそれについてとやこう言うことは差し控えたい、しかし、実情については今後よく調査をしてみたいと思います。ただ、御指摘の数字において多少間違いがあるように思います。こちらの把握しておる数字等については財政局長から申し上げます。
#247
○鎌田政府委員 私どものほうで四十七年度の十二月補正後予算で大阪府下の都市について速報をとったわけでございますが、私どもの調査によりますと、一般会計予算の中で一番比重が高うございますのが松原市でございまして、四十七年度の予算総額八十四億一千四百万の中で三十三億五千万、これが三九・八%、約四割近い数字になっております。和泉市の場合、私どもが得ておりますところでは、六十七億八千九百万の予算総額に対しまして十八億でございまして、二六・五%、ただいま先生三十四億と仰せられましたが、ちょっとその点が数字が合いませんのですが、あるいは公営住宅等の私どものほうの処理と整理が違っておるのかもしれません。
#248
○三谷分科員 計数整理のとり方が違う点があるかもわかりませんが、私が大阪で調べてきた数字なのです。
 そこで、大臣の御答弁がありましたけれども、議会も通さなくてはならない、市長が自主的な権限でやるのだとおっしゃっておりますが、大阪のたとえば大阪市議会に対して、解同府連の諸君が何百人か押しかけて圧力をかけたことは、おそらくお耳に入っているでしょう。また、八尾市におきましては、同和住宅問題を取り上げました市会議員を、これも圧力を加えて除名をさせるというふうな事態が起きてきたことも御承知だと思う。ですから、あなたがおっしゃいますことはまことにきれいごとになっておりますけれども、その背後にありますいろいろな関係につきましては、全く知らぬ顔をきめ込んでおっしゃっている。
 そこで少し具体的に申し上げますと、市長や議会に対して解同府連の一部の暴力幹部によります威圧、脅迫が加えられておるということなんです。ここのところが問題なんです。それがこのような不自然な予算をつくり出しておる因果関係になっているわけです。そして市町村財政を公正に住民全体のために使うことがむずかしくなってきている。東大阪市や大東市の市長が、同和予算をめぐる紛争で、紛争をおそれ一週間ないし十日間姿をくらましておったということは御承知でしょう。それから、この状態では市政の責任が持てないと言って、市長に出ることをやめる人が次々出ましたね。和泉市の市長がそうなんでしょう。羽曳野市長がそうなんでしょう。とてもじゃないが自分たちでは市政の担当ができないと言っている。そういう状態も出てきておる。これはまさに地方自治の破壊そのものなんです。そこの根源的なところを少しもあなた方はごらんにならずに、自主的にやっているんだとか、議会で通さなくちゃだめなんだ、こんなきれいごとばかりおっしゃっておりますが、江崎さん、これでは地方行政の実態がつかめませんよ。私がいま申し上げましたことで間違いがあれば御指摘いただきたいと思います。
#249
○江崎国務大臣 間違いがあると私思いませんが、一体暴力的な威圧行為で予算が形づくられるということがほんとうにあるだろうか、いささか今日の時代では奇異の感を持ちながら承っておるわけであります。これは、私も国家公安委員長をいたしておりますから、ますます責任は重大であります。はたしてそういうことが行なわれるかどうか、これはやはり実情に即してよく調査をしてみます。これは事のいかんにかかわらず、暴力によって地方自治体が脅かされてその自主性を失うなどということは、もしこれがほんとうでありとするならば、これは民主政治を根底からゆるがす行為でありまして、ゆるがせにできない重要な問題であるというふうに思います。よく調査いたします。
#250
○三谷分科員 大臣の勉強が少し足りません。たとえば六十八回の国会で、いま文部大臣をされている奥野誠亮さんが、当時の自治大臣である渡海元三郎さんに質問されている速記がここにあります。この速記によりましても、そのような事実というものが指摘されている。たとえば、奥野さんはこうおっしゃっております。「地方団体の議会の議員は、部落解放同盟に入らなければ同和対策事業の恩典を受けさせないという方針なのか」と聞いておる。「ある地方団体の理事者は、部落解放同盟以外の方にこれらの措置を適用しようとすると強い抵抗を受けるのですと言って、嘆いておられる」、奥野さんが言っているのですよ。「また住宅に入居する場合にも、部落解放同盟に入っていない者を入居させようとすると、非常なトラブルが起こってきたりもしている」、こういう指摘をされている。つまり、行政の執行の面におきましてこういう実情があるということを奥野さん自身がおっしゃっております。渡海さんがこれに答えているのです。渡海さんの答えは、「実態は、いま奥野議員の指摘されましたような実態があることは私もよく承知いたしております。」と言っている。「その事態を正しい姿に戻すために、各地方公共団体がほんとうにあるべき姿に行政運営をやっていただきますのがいかに困難であるか、その困難な姿を、私も想像するにかたくはございません。」と言っている。明らかにそういう事実をいまの文部大臣と前の自治大臣が認めておるという事実が記録の中にはっきり残っている。そうしますと、いま大臣がおっしゃいましたように、これから少し調べてみる、そういうことがあるかないかは疑問だというふうな態度では、少しこれは事態の認識につきましておくれておりはしませんですか。
#251
○江崎国務大臣 いま具体的なそういう私どもに関連のある議員の発言、特に前任者の渡海君の答弁がそういうふうであったとすれば、ちょっと私認識を欠いている点があろうかと思います。これは認識の問題ですから、しばらく時間をいただいて十分ひとつ調査したいと思います。
#252
○三谷分科員 もちろん、時間は――いま即答ということを私は言っちゃおりませんけれども、こういう事実がありますことは、何もこの奥野さんや渡海さんだけではありませんでしょう。たとえば同和対策協議会という機構がありますね。この同和対策協議会からもそのような意味の意見というものが発表されております。これは堀木鎌三さんが同和対策協議会会長の時分でありますけれども、「同和行政推進上の当面の諸問題について」という中間意見、ここでいわれておりますのは、「関係団体に依存し過ぎること等によって行政の公平を欠いてはならない。」ということが示されております。つまり、行政が公正を欠いているということがここでも認識されておるわけであります。それにつきましては大臣はまだ御認識になっておりませんですか。
#253
○江崎国務大臣 もとより、行政が不公平にあっていいものではありませんし、十分公正妥当な行政が行なわれる、これはもう当然なことだと考えます。
#254
○三谷分科員 ところが、それがそうなっていないから問題にしているわけなんです。自治省もこの点につきましてはよく認識しているはずなんです。たとえば、自治省が、この解同正常化という組織がありますが、これとの交渉の中で、不当な事実については是正をする、具体的には各府県の関係者を指導中である、こうおっしゃっている。ですから、もうこれは指導にかかっているわけなんです。ところが大臣は、時間をかしてほしい、なおこれから研究するとおっしゃっている。ここの一体認識の差はどういうことなんでしょう。おそらく、大臣が就任になってまだこの実態については御承知がないということだろうと思いますけれども、それなら、ひとつそちらのほうの御承知の方から答弁してほしいのです。
#255
○田中説明員 この同和行政の公平性の確保ということについては、昨年の末にも同対協のほうから政府に対する報告がなされまして、その中でも、公平性を確保すべきであるという報告がなされておるわけであります。それを受けまして、地方団体に対しましても、従来からも公平性の確保については指導してまいったわけでありますが、さらにそれを受けて指導いたしてまいってきておるところでございます。
#256
○三谷分科員 指導するとおっしゃっていますけれども、具体的にはどのような指導をされましたか。指導しているにかかわらず、ますますこういう状態というものが広がりつつあるという事態についてはどうお考えなんです。
#257
○田中説明員 御承知のように、同和行政に関係する所管省というのは、文部省、建設省その他各省にまたがっておりまして、それぞれが所管省の立場にあります。そこで総理府のほうで各省間の連絡調整というようなことをしておるわけでありますが、これは政府関係各省が協力して互いに力を合わせてやらなければならぬ。自治省については、自治省所管の問題についてこの公平性の確保という問題で指導しているわけでございます。具体的には、昨年のいま申しました報告を受けまして、それで地方団体の総務部長あてにも通知を出しております。
#258
○三谷分科員 もう一つ、渡海自治大臣の記録を見ますと、こういう発言があるのです。いま私が申し上げました松原市ですね。「松原市の理事者の方々と話をしたことがあるのですが、もう同和事業だけで手いっぱいでございます、ほかのことに何も手をつけることができないんです」ということを言っている。これも渡海自治大臣の認識なんですね。
 そこで、いま振興課長から、あなたは通達か何か出したわけですが、どういう通達を出しましたか、それをまず聞かしてもらいましょう。
#259
○田中説明員 いま申しましたように、各県に対しまして、公平性の確保について十分留意されたいという内容の通達を出しております。
#260
○三谷分科員 そうすると、不公平な状態にあるという事実は認識した……。
#261
○田中説明員 同和行政を進める場合には、公平性の確保ということが非常に大事なことであるということを考えるから、そこで公平性の確保については十分留意されたいということです。
#262
○三谷分科員 公平性という問題は、同和予算だけではない。住民は何人といえども役務の提供は公平平等に受ける性質がある。同和予算だけ特別に公平でなければならぬという性質のものじゃない。だから、同和予算について特別にそういう指示を出したのであれば、こういう事態についての認識を持っていらっしゃるかということを聞いているわけです。
 もう一つ、大臣にお伺いしますけれども、いま短い時間ですから委曲を尽くせませんけれども、ごく象徴的な事例をあげました。その中から、先ほどあなたがおっしゃっていました、私どもの言っていることが正しいのか、あるいは何か読んだのが正しいのか、その判断を持ってもらいたいと思うのです。これは一連のものなんです。そして、こういう犠牲というものは随所に出ているわけです。私どもも、府議会におりますときに控え室にあばれ込まれて監禁されるという経験をなめてきております。そういう無法な状態が大阪においては実際にあるということなんです。それをこの予算の具体的な事実からも判断してもらいたいということを私は強調したいと思うわけです。
 いまの質問に対して答えてください。
#263
○田中説明員 先ほども申し上げましたように、昨年末の同対協の政府に対する報告の中で、特に同和行政について公平性の確保と、それから住民の信頼を確保することが大事であるという報告がなされておりまして、これは審議会の先生方がいろいろ会議を重ねまして得た結論でありますので、それを受けて、地方団体におきましても自治省所管の点については十分公平性が確保されるように措置されたいという通達を出したわけでございます。
#264
○三谷分科員 通達だけで解決しない。なぜ解決しないか。それは地方団体の行政の担当者が暴力から保護されるという保証がない。さっき言われていました吹田の市長あるいは大東市の市長、東大阪市の市長などがそういう状態で姿を隠すというような状態が起きてきている。大阪府の知事――前の知事ですけれども、これもネクタイをつかまれておどかされたことがあるのです。そういうことが実際になされているわけなんです。それがさっきおっしゃいましたように、市長が、もう警察に行って調書を書いてもしかたがない、そういう、つまり一つの諦観といいますか、そういう状態になって出てきているわけです。何といいましても、こんな状態をほっておくことはできないわけですから、大臣がこの状態につきまして認識を新たにしていただいて、この解決のために努力願いたいと思います。
 そこで、同和事業費というものがいまこのようにしてたくさん使われております。そこで一般住民に対する行政施策というものがこれは非常に水準が低くなっておる。これをどうするかという問題がある。ですから、同和事業費が妥当であれば、それによって欠陥した地方財政をどう補完するかということ、これを考えてほしい。また、妥当を欠くものであるならば、これは住民の受ける損失をどう解決するかという問題があるわけです。これについての所見を承りたいと思います。
 そして、こういう異常な状態が今日なお改善されないということ自体が実は不可解なことなんです。不可解なことは、警察が全く手を出さぬということですね。私、この間、大新聞の記者に会いましてこんな話を聞いたんですよ。同和部落で子供が交通事故で死んだ。記事にするために写真をとりに行った。そうしたら、寄ってたかってどやされて、たいへんな負傷をした。所轄警察は大阪ですよ。出かけて行って、どうにかしてくれと言ったら、もうあれはだめですと言ったというんですね。そういう姿勢が警察の中にあるというのですね。そこなものですから、知事であろうと市長であろうと、き然としてそういう暴力的な威圧に対して対抗することができない状態になってきておる。これがいまの大阪の特徴なんです。これについては、すみやかに解決されますことを希望します。御返事を承っておきたいと思います。
#265
○江崎国務大臣 御指摘のようなことが事実であるとすれば、これはやっぱり容易ならぬ問題だと思います。十分調査の上、善処いたします。
#266
○三谷分科員 それでは、時間ですから終わります。
#267
○三ツ林主査代理 沖本泰幸君。
  〔三ツ林主査代理退席、浦井主査代理着席〕
#268
○沖本分科員 いま三谷さんが御質問なさっていたあと、私の順番になったわけでございますが、少しおくれてきましたので、御質問の内容については十分――おしまいのほうしか伺っていないわけですが、まあそのことについてはいまのところ全部伺っていないので、大臣が一番おしまいにお答えになった点だけで、そんなものかなと、こういう感覚でいま伺っておったわけですが、私はやはり同じ同和対策について御質問したいと思います。
 まあ暴力云々、いろいろな問題、これについては私もまだ具体的なものを伺っておりませんから、いまの御質問についてどうこうと言うことはまだできないわけで、質問の角度を変えさせていただきますが、同和予算が今年度予算の中に見込まれてきておるわけですけれども、同和対策事業特別措置法ができましてもう四年になるわけです。この法律ができたときは、各党が寄って超党派的な意味合いから、佐藤総理も力を入れて、差別をなくしていこう、こういう観点から、十年の時限立法で特別措置法ができ上がったわけです。そして、一昨年総理府におきまして実態調査が行なわれた。それまで毎年私は質問をしてきましたけれども、ともかくも実態調査ができて、その実態調査を各省に示して、その実態調査に基づいて各省が長期に年次別に財政計画を立てていく、こういうことになったわけなんです。まあ三谷さんも渡海大臣の御答弁のことをいろいろおっしゃっておられましたけれども、私はちょうど同じ分科会で、渡海大臣、現大臣の前任大臣に御質問したときにも、具体的にこれから十分検討してみる、こういうふうなお答えがあったと思うのです。そういう点から、いわゆる総理府から発表された実態調査に基づいて自治省のほうとしても長期計画をお立てになられた、こう考えるわけでございます。いままで各省に質問をしてきましたけれども、いわゆる本年度の予算は、前年度から比べると相当力を入れて予算措置をしていらっしゃるという点はうかがえるわけですけれども、しかし、それを今度は十年の時限立法であと六年の残った年限の間に、心と物の両面から、国民の心から差別問題をなくしてしまうというのが、この法律ができた趣旨の根本です。ですから、いわゆる心の面ということになれば、いろいろなものが介在してきますから試行錯誤もありますし、いろいろな点も出てくるわけですから、それをしてもできるだけ十年のうちにこの問題がなくなるように私たちは全力をあげなければなりませんが、物の面からいきますと、どうしてもこの十年間で物の面的なものは解決しなければならない、私たちもすぐにそういうふうに考えるわけです。そういう観点からいきますと、四年たちました現在と、それから総理府から示されました実態調査に基づいて、自治省のほうでは各年別に十分な体制的な長期計画ができ上がっているかどうか、この点について大臣からお答え願いたいと思います。
#269
○鎌田政府委員 御案内のように、自治省は事業の実施官庁ではございませんので、私どものいわば役割りと申しましょうか、守備範囲といたしましては、御案内のとおり、各省が同和対策事業につきまして国庫補助負担事業として取り上げます、それに対しまする地方負担についての地方債、それからその地方債につきましての元利償還の八〇%を交付税に算入する、こういう役割りがございます。それからもう一つは、それぞれの地方団体におきまして、補助事業以外におきまして、いるゆる公営企業あるいは準公営企業、こういったものを行なっていかれるわけでございますが、それに対しまする起債の充当、こういうことをやっておるわけでございまして、いわば各省の施策のあと追い、こういう形でやっておるわけでございまして、各省の長期計画のいわば地方負担というものを万全の措置をとってあと追いでやっていく、こういうことでございますので、私どもといたしまして長期計画を立てる、こういう立場にはないわけでございます。したがいまして、くどいようでございますが、各省の立てられましたこの長期計画の地方負担というものについては、確実にこれを財源措置をしてまいる、こういう立場でございます。
#270
○沖本分科員 まあこの法律ができてから四年たちまして、いろいろな問題が起きてきておるわけですけれども、ともかくといたしまして、この法律が実効があがるように実施されていけば、いろいろな問題は起きてこないと思うのです。ところが、その予算の措置につきましても、いろいろな点から、いわば処方せんはできたけれども薬は与えられない、こういうところからいろいろトラブルが起きてくるわけです。こういう点につきましていろいろ問題も出てきますけれども、自治大臣に一番お願いしなければならないことは、結局、財政措置が十分とられないために地方自治体にしわ寄せがいってしまう。法律の最終実施を行なうのは地方自治体にあるわけです。法律ができたわけですから、当然その地方自治体に法律の実行ということについて要望なり要求なりがどんどん行なわれる、そういうことになるわけです。そうすると、地方自治体のほうは、政府と要求の内容との間にはさまって、一番しわ寄せの的になってしまう。そういうところからいろいろな問題が出てくるわけです。そこから今度は、いわゆる部落の人たちが余分に交付されているじゃないか、こういうふうな考えも生まれてくる。差別をなくするためにつくった法律が、実施される段階になって今度は別の差別なりができてくる。こういうことであっては、せっかくつくった法律の趣旨というものが全然殺されてしまう。こういうことが現在いわゆる同和指定地域においてはだんだんと浮き上がってきている。こういうことになるわけです。こういう点をお考えになっていただくと、いま御説明があったように、われわれは各省のいろんな実施の問題について十分検討もしていき、それも進めていかなければならないし、というような御答弁があったわけですけれども、そういう観点に立っていけば、当然、こういうふうなしわ寄せなり何なり、トラブルが起きるようなことがあってはならないわけなんです。こういう点を十分お考えになっていただいて、自治省のほうから、今度はそういう具体的な問題について、各省に対して、そういうトラブルの起きないような、内容の十分整った措置が講ぜられるようにしていただかなければならないということになるわけです。こういう点もひとつよくお考えになっていただきたいと思います。
 さらに、自治省に対して要求がいろいろ出ておりますけれども、読んでみますと、「地方公共団体が行なう「同和」対策事業の円滑な推進をはかるためその財政負担につき自治省において積極的な財政措置を講ぜられたい。」それから、住宅地区改良法あるいは公営住宅法及び小集落地区改良事業により実施する事業の地方公共団体負担分については、全額起債を認めて特別措置法の第十条の適用をしてもらって、地方交付税の算定基礎としてもらいたい。地方公共団体が行なうすべての同和対策事業に要する経費については、地方債を充当するとともに、その元利償還に要する経費についても、すべて特別措置法第十条の規定を適用されたい。それから、同和事業債の償還期限を大幅に延ばしてもらいたい。なお、過去において同和対策事業に充てるため起こした地方債にかかる元利償還金に対しても補助を与えてもらいたい。こういうような具体的な内容が出ているわけです。これを十分進めていただきますと問題はだんだんと解決していくということになるわけですから、そういう内容を十分に見取っていただいて、そして各省がつくっているところの、あるいは総理府が示された実態調査に基づいて、これからどういうふうな対策なり措置を講じていけばこの問題が十年の時限立法の効果をあらわしてくると、こういうふうな展望なり何なりが生まれてこなければならない、こういうふうに考えられるわけです。こういう点もひとつまじめに考えていただいて、非常にじみな問題でもありますし、また、力を入れていただかなければなかなか解決できない問題でもありますから、そういう点を十分御配慮いただいて解決の方向にお力を入れていただかなければならない。そうでなければ、今後ますますゆがんだ方向に向かってこの問題がいってしまう、こういうふうな点も考えられるわけです。そういう点について、大臣、いかがでございますか。
#271
○江崎国務大臣 同対法に基づいていろいろな措置を各省がするわけですが、それをたばねるのは、さっきから答えておりますように、総理府においてやっておるわけですね。したがって、私どものほうとしては、各省に対しまして、毎年予算編成前に、国庫補助負担事業の拡充、これは御指摘の同対法に基づくことを申し入れをしておる。そして適切な傾斜措置によってこの事業の推進をはかっていく。なおひとつ今後とも充実してまいりたいと思います。
#272
○沖本分科員 大臣のお答えで尽きるわけですけれども、それはことばの上のお答えということに終わってしまうわけですから、ほんとうに力を入れていただかないと、実態的には、ますます誤解から誤解を生んでしまって、たいへんな問題がいろいろなところで起きてきていることは事実なんです。ですから、今度は十分に実態を自治省のほうでもおつかみいただいて、具体的にどういう問題が一番誤解を生んだりするような内容になるかというような点もよくおわかりになると思うのです。そういう事柄をつかんでいただいて、地方自治体だけにしわ寄せがいって、そして法律をつくったほうの政府がそしらぬ顔をしているようなことになったのでは、結局何にもならないということになるわけでございますから、もうこれが一年経過すれば十年の半分はたってしまったということになって、地方自治体なり住民の間に将来にわたってなかなか消えないような傷あとを残してはならないと思うわけです。ですから、物と心との両面から問題が解決するだけの指導なり何なりをこういうところでとっていただかなければならない、こういうふうに私は考えるわけです。その点を十分御配慮いただきたい、こう考えるわけですし、特にお願いしたいことは、やはり実態調査をしていただいて、この法律の施行が十分行なわれるところの措置と指導をやってもらわなければならない。ただ指導だけというのはお金が伴わないから、伴ったところと伴わないところの大きな問題があるわけですから、その点も十分お考えになっていただきたいと思います。そういう点について大臣の御所見を承りたいと思います。
#273
○江崎国務大臣 これは重要な問題ですから、ひとつぜひ積極的に事業等を推進し、財政措置もしていきたいと思うわけです。そこで、今後この長期計画に基づいてどう進めていくか、これは総理府側が調査をする、こういう分担になっております。
#274
○沖本分科員 具体的なことからいきますと、たとえば改良住宅が指定されて、地方自治体が力を入れて建てるわけですね。そうすると公営住宅との間のギャップがあるわけです。改良住宅のほうが非常に安いわけですね。そうすると、指定地域外の方から見ますと、自分たちは公営住宅に入れなくて、抽せんもしながら非常に待たなければ入れない、非常にむずかしい住宅事情の中で、あそこだけ安い家賃でどういうわけでできるんだと、こういう問題が起きてくるわけです。そうすると、役所のほうは、みんながそうであるとは言えませんですけれども、いや、それは、あそこからもやかましく言われるのでそうせざるを得ないのだ、こういうふうなその場逃げの答えなんかが返ると、そこから誤解が生まれてきて、せっかくやったことが何にもならなくなってしまう、こういうことになるわけです。ですから、根本は――昔は同和地域というのは小さな問題であった。人口的にも昔は小さかったわけです。しかし、人口が集中し都市化がされていく、あるいは集落がどんどんできていくというふうに、地域に人がふえていっている、人口増も行なわれてきている、こういうふうな中にあるわけですね。そうしますと、生まれながらにして、皮膚も血も種族としても同じ民族の中にありながら、そこに生まれたということで横目で見られるような、大きな宿命的なものを背負い込まなければならない。その地域の方がおっしゃっておりましたけれども、われわれをスラムと同じように考えてもらったら困る、スラムにおちいった人は、自分のかってでスラムに落ちたんだ、しかしわれわれは、そこから抜け出ようとして外へ出ていっても、やはり同じような目で見られて、もとのところへ戻らざるを得ないんだ、だから憲法で保障されるところの基本的な人権をおかされて、職業の選択もできず、あるいは住居の選択もできず、そういう中で追い込まれていってしまう。大会社へ就職しようとしても、大会社で身元を調べると、ああここの出か、こういうことで差別をされてくる、こういうことでどうしても高いところへ行けなくなってくる、こういう問題から、あるいは結婚の条件が生まれてくる、こういうところからいろんな問題が派生してくるわけです。それまでは心にも思ってなかったというふうなことが大きな社会事件を生んでくるような事態ができてくるわけですね。ですから、そういうものを生まれながらに背負い込んだ人たちの人生を考えていく、また長い歴史の中から生まれてきているこういう問題を考えますと、少々のもので解決できるものではないというふうに私は考えておるわけです。ですから、そういう立場から、せっかくいわゆる明治四年にできた太政官布告で身分の撤廃があったわけです。ちょうちんを出して祝った、こういうふうに言っておられます。それ以上にこの同和対策特別措置法に期待をかけているわけです。これによってすべてを解決していかなければならないというふうに期待をしておられるものを、すべての面について解決してあげなければならないと、私はもうそう考えておるわけです。大臣も、その点はもう言わずもがなで、よく御承知の上でございましょうから、十分そういう根本をお感じ取りいただいて、むずかしいトラブルなりいろいろなことが起きないような、十分な措置なり指導なり何なりを行なって目的を達成さしていただきたい、こういうことを要望いたしまして、質問を終わります。
#275
○浦井主査代理 次に、和田貞夫君。
#276
○和田(貞)分科員 しんがりでありますが、時間的な関係で要望のようになるかもしれませんが、ひとつ自治大臣……。
 私自身、自治体で働いておった経験者です。
  〔浦井主査代理退席、主査着席〕
 そこで、府県の職員の中で、頭は人間の形をしても、しっぽが魚の形になっているという、こういういわゆる八条職員と称する職員がおるわけなんですね。それの原因というのは、地方自治法の施行の際に、附則八条によりまして「当分の間」という、もう戦後二十七年を経過し、自治法施行後も二十五年を経過しておるにもかかわらず、まだこの当分の間というものが続いておるために、身分的にも不安定であるし、給与面からいきましても、地方職員と国家公務員の給与を受けておる者とが同じ机を並べてアンバランスがあるということで、気分的にもおもしろくない、仕事をするについても気がすぐれない、こういう職員が各県にあるわけです。労働、運輸、厚生にわたっておるわけなんですが、聞くところによりますと、自治省としては従来からその点は心配をいただきまして、何とかしたい、こういう気持ちがあるのだが、なかなか処理ができない、解決ができない。私は、この機会に大臣のほうから、どの点に隘路があって、その隘路をこういうように処理できればこの問題は解決できるのだ、こういうことをひとつお答え願いたい。
#277
○江崎国務大臣 この問題はまことに不合理な話で、私どももすみやかに解決されることを望むわけであります。御承知のように、第一次行政改革計画においては、廃止する方向で検討することになり、その後続いて、運輸省関係並びに労働省関係の地方事務官については、第二次の行政計画においていわゆる三大臣の覚え書き、この趣旨に沿って陸運行政機構及び地方労働行政機構について検討をする、その結果に基づいて地方事務官制度は廃止しよう、そうするのだ、これもきめておりますね。それがだんだん延びて今日に至っておるわけであります。
 御承知のように、もうすでに陸運行政機構の改革につきましては大綱についてほぼ検討を終わりつつあるというふうに私ども聞いております。ただ、労働行政機構の改革につきましては、にわかに結論を得ることがむずかしい、今後いろいろ問題があるわけですから、その打開の方途についてさらに検討を進めよう、こういうふうになっておるわけです。厚生省関係の地方事務官制度につきましては、医療保険制度の改正、これが一番のネックになっておりますことは、これまた御承知のとおりであります。
 こういったことのために相当まだ時日を要するということですが、先日の予算委員会におきましてもこの問題について御質問が出まして、私どもも、できるだけすみやかに解決をしたい、行管長官の福田さんも、ぜひひとつ解決が望ましいという答弁をいたしておりました。その後も労働大臣に対しまして、何とかひとつ解決の道を促進したらどうだ、じんぜんこのままということではいつまでたっても結論が出ないじゃないかというので、私及び行管長官から強く加藤労働大臣に要請をしたというのが実情であります。なお今後もひとつこういういろいろな問題がすみやかに合意に達し、解決されるように努力してまいりたいと思います。
#278
○和田(貞)分科員 やはり縦割り行政の欠陥で、どうしてもやはりなわ張り根性があるためにその点が隘路があると思うのですが、もともとさかのぼってみたら、各県の陸運事務所というのは、これは運輸行政の推移の中で生まれてきたところですね。社会保険の地方事務官、それに労働省関係の地方事務官、あるいは職業安定所に勤務しておる労働事務官も、これはもともと地方事務官であり、これをもっとさかのぼれば、県の職員だったのですね。地方自治法の施行の際にこの附則八条というのができてしまって、そのときにそれに加えて、なお、たとえば警察官の一部あるいは消防職員の一部、そういうものもこの附則八条に包含されておったのが、その後全員身分が市に移管したりあるいは県に移管したりしていって整理されて、いまたまたま残っているのがこれだけだということですね。業務の内容を見てみましても、国家権力によって統制をとったりあるいは監督したりするような業務でも何でもないわけです。職業安定所のごときは、もともとこれは職業紹介所です。看護婦さんの紹介だとか、あるいは家政婦さんの紹介だとか、何ら変らないわけですよ。全くサービス行政、それが戦時中に国家管理されて、勤労者を動員しようということで、警察の把握の中に入った、こういう推移をたどっているわけですね。だから、もともと言うならば、いまこの人的資源を動員しなければいかぬというような国家総動員法ももちろんないわけですし、そういうような国家的行政というものを何ら考える必要はないわけです。
 そこで一つの労働省の問題点としましても、この機会に労働基準局をどうするかとか、あるいは労働基準監督署をあわせてどうするかという、できもしないようなことを一緒に検討しておるから、いつまでたってもこれはだめなんですよ。いま私たちが問題にしており、各県でいろいろと問題になっておるのは、そういう労働省がいま考えておるようなことじゃなく、いま現実に府県の労働部に所管されておる失業保険あるいは職業安定課、その中に勤務しておる職員のことをいうわけなんですから、それだけ切り離して考えれば、いま直ちに解決しようと思ったら解決できるわけなんですよ。
 厚生省でも同じことですよ。国民年金と社会保険の問題でしょう。これも全く国の統制の中でやらなければいかぬというような保険行政でも何でもないわけです。もっと財政的に窮屈な、なお対象のむずかしい、社会保険に該当しない国民健康保険の該当者、これはちゃんと自治体の市がやっておるじゃないですか。そうでしょう、これは。あるいは、国民年金は、これまたやはり県や府、市がやっておるじゃないですか。やろうと思ったらできるわけですよ。だから、国の責任においてやるということと、市なりあるいは県で実際的に行政面で業務をしていくということは違うわけですから、これも先ほど申し上げた職業安定所と同じように、住民へのサービス、このことをやはりもととするとか、あるいは社会的経済的にそれぞれの地域で持ち味のある地方行政の中で、たとえば老人に対する医療の問題、乳幼児に対する医療の問題、こういうようなものも、いまよりもなお前進するということのほうがいいわけなんですから、そのことをやろうと思いましても、その地域の知事が自分の権限でそれを選ぶことができない、こういうようなこともあるわけなんですね。だから、この点につきましても、やはりサービスを基本として、行政面で厚生省で所管しておく必要性というものは何らないわけなんですから、これもひとつ行政とあわせて身分をすみやかに地方自治体の職員、地方公務員にしていく。何らの差しつかえもないわけです。
 運輸行政でも同じことです。陸運局じゃないのですから、各県の陸運事務所ですから、単に自動車のナンバープレートを取りかえる、こういうことだけでしょう。だから、いとも簡単です。
 地方自治法の附則八条を、自治大臣さえ腹をきめてもらって、おれはこうするぞ、こういうことで、早い機会に附則八条を削除する、これだけの提案で事解決するわけです。そこらが何やら、労働省がどうで、運輸省がどうで、厚生省がどうでというようなことをやっていると、これは自治大臣、自治省の主体性というのは何もないわけです。だから、従来の考え方をさらに踏襲するという意味でこの際ひとつ踏み切って、この国会の中で早急に法案を用意してどうこうということにはならないと思いますが、できるだけ早い機会に、でき得るならばこの国会でという希望を私は申し上げたい。それができなくても、せめて次の国会までに各省との折衝も済ませて、自治法の附則八条の削除、こういう地方自治法の一部改正案を提案するように検討したい、検討する、こういうくらいの答弁を、ひとつ自治大臣、できぬですか。あなたの答弁、いま私言うてみたのです。
#279
○江崎国務大臣 私どものほうは、もうあなたがおっしゃるように、これは早く一本化すべきである。少なくとも職務上の指揮権、監督権が乱れておることは、煩瑣な上にも煩瑣、また仕事の合理化を進めようという自治省の方針にも反するわけですが、まあそれぞれ厚生省なり運輸省なり、いろいろ理由をもって、なおまだ検討を相当の間続けなければならぬとしておるわけですが、そうかといって、これはお説のように、じんぜん日を送っていいものではありません。これは一番間をとってくれるのは行政管理庁長官です。幸い福田さんのような実力大臣がおることですから、これなどとも私十分協議をしまして、極力御期待にこたえられる一たとえば、相当の日時を要するという言い方では、これは二、三年ということも考えられるし、七、八年ということだって考えようによっては考えられますね。そういうことでなくて、いつまでに結論を出すかということで、一度ひとつ関係閣僚の間で話し合いをしていきたいと思います。
#280
○和田(貞)分科員 その当分の間が、いま申し上げたように二十五年たっておるのですからね。大体、当分ということばは、少なくとも三年ないし五年というのが、この常識的な解釈じゃないですかね。それがもうすでに五倍たっておるのですよ。ことによれば八倍たっておるのです。だから、いま大臣が言われたように、ここ早急にといったところで、五年になったり八年になったりというのじゃなくて、これは可及的すみやかに、次の国会にというわけにいかぬですか。
#281
○江崎国務大臣 次の国会にと申し上げると、これは他省の管轄にも属することですから、うそになってはいけませんから、そういうことを申し上げるわけにはまいりませんが、行管長官などが間に立ってもらうことによって、私どもも積極的に推進をして、おっしゃるように可及的すみやかに結論づけたい、私は本気でそう思うのです。こういうことをいつまでも延ばしておくことはよろしくないですね。同感です。
#282
○和田(貞)分科員 時間の関係もありますので、早急に、一応時期を設定してもらって、いつの時一期までにこの結論を出したい、そのいつの時期ということは、まあきょうは言ってもらわなくてもいいですが、また近々に大臣とお会いする委員会もあるだろうと思いますから、その機会に尋ねたいと思いますけれども、ひとつ、いつの時期を目標にこの問題を解決するように努力する、こういうようにもう一度お答えを願えませんか。
#283
○江崎国務大臣 これはあなたが一番むずかしい実情をよく御存じですか、根本はやはりセクト主義だと思うのですよね。ですから、そういうことにいつまでも低迷しないで、何とか解決の道を求めて、可及的すみやかにことばどおり結論を出したい。
#284
○和田(貞)分科員 時間の関係がありますので、その点はさらにひとつ、文字どおり可及的すみやかに善処方を強く要望しておきたいと思うのです。
 まだ時間ありますな。
#285
○倉成主査 もうしばらくあります。
#286
○和田(貞)分科員 それはそれとして、次の問題といたしまして、私、実情を訴えながら、これも善処方を要望するような結果になろうかと思いますが、実は大阪府下に熊取町という自治体があるのです。まことにちっぽけな町なんですが、この自治体の行政区内に昭和三十九年に、京都大学の原子炉実験所という、京都大学の研究付属機関が設置された。これにはその当時いろいろと住民の反対運動もあり、結果的には熊取町に設置ということがきまったわけなんですが、その当時の実情を申し上げますと、熊取町に隣接する泉佐野市という自治体があるわけですが、この自治体は、市長もそうでありましたし、議会も反対決議をいたしましたし、住民運動も起こりまして、反対運動が非常に熾烈であった。設置される側の熊取町というのは、議会で反対決議もなく、町長も反対という意思表示をするじゃなく、住民も、お隣の泉佐野に比べますと、反対運動もあえてしなかった。それでこの設置がきまった。もちろん、いまもなおこの監視の役割りを果たす各層から選ばれた委員会がある。この委員会の議を経てつくったという形になっておるのですが、ところが十年を経過いたしてまいりますと、地域の発展というものが、十年前と比較いたしますと異ってまいりまして、環境が非常に変わってきているわけです。そこで、最初に申し上げましたように、反対運動をやった自治体に対しましては、口どめ料というか、納得料というか、何だかんだと補助金あるいは交付金あるいは施設というような形で国あるいは府が手だてを講ずることに懸命であるわけなんですが、熊取町の場合には逆にそういう手だてが不十分だった。そうすると、反対をしておかぬと損するぞ、反対をしておかぬと損やな、こういう住民感情がこの熊取町の中に最近非常に強くなってきた。これが議会を突き上げ、議会の決議になり、町長が先頭に立ちまして、国の機関やあるいは大学当局、大阪府に対しまして、けしからぬやないか、何とかせい、こういうように言うてきているわけなんです。その間の実情を考えたときに、この上級機関としては、反対運動があろうがなかろうが、設置された自治体に対して、むしろ周辺の自治体よりも陰に陽に財政的な援助をやっていく、こういうことをむしろ積極的に行なうほうが好ましいと思うのですが、いま実情を訴えておりますように、逆なんです。この実態というものを仄聞された大臣の心境はどんなものですか。
#287
○江崎国務大臣 一般的に公用または公共の用に供する固定資産税については、国、地方公共団体とも相互非課税主義で今日に至っておるわけです。私どももそういう実情をよく知っております。ほかにも同じ問題が日本じゅうあちらこちらにあるわけです。しかし、おっしゃる意味は十分よくわかります。基地のようなああいう広大な面積を占めるもの、これについては、その固定資産税に見合うものに近い額を、これもとても同額とはいきませんが、それを考慮に入れながら基地交付金を出すとか、そういう措置がとられておるのです。そういう点からいうと不公平じゃないかという議論は、議論としてよくわかりますが、従来の国や地方公共団体の相互主義に基づく非課税方針、これをにわかにいま否定することはできないというふうに考えます。
#288
○和田(貞)分科員 大阪市内に国立大学の大阪大学がある。京都という大都市の中に京都大学がある。この場合は、大阪だとか京都だとか、名古屋だとかいう大都市、豊かとはいかなくても、比較的財政規模の大きい自治体の中でのそういう物件ですね、これは非課税方式という原則を貫くということは私はわかると思うのですが、いま申し上げております熊取町というのは、年間の財政規模が、当初予算でなしに、決算によるところの財政規模というのは五億なんですよ。五億という財政規模の中に、この研究所の土地と建物を固定資産税として評価いたしますと、約四千万円なんです。一割近いのです。この四千万円があるのとないのとでは、五億という財政規模の自治体としては大きな問題なんです。だから画一的に非課税方式というのではなくて、こういうような問題に、財政の規模の大きなところの近くに基地があり、基地交付金が交付される、あるいはその周辺の整備という形で多額の基地交付金以外になお整備事業が推進される、こういうことを考えたら、私は、画一的な考え方でなくて、もっと何らかの措置を講じていく、自治省としてできなければ、原因者負担という原則を貫いて、主管の各省から処理をさせていく、こういうようなことが必要じゃないかと思うのですが、どうですか。
#289
○江崎国務大臣 これはどうも交付金対象になりにくいわけですね。これはほかにもうんとあるのです。たとえば私の選挙区などにも同じようなものがありまして、それぞれの首長は髀肉の嘆をかこつといいますか、非常に残念がっておる。だから、むしろこの問題は今後の問題として全般の問題として扱う必要があるというふうに思います。たとえば、基地であれば基地交付金がある。それから空港とか国有林野のようにその市町村に占める面積が極端に大きいということになると、これが交付金対象になる、どうも国や地方公共団体のものであるというと、そこは非課税主義でそのままなんだ、ちょっとやはり矛盾があるように思いますね。これはもう少し検討の余地があるように思いまするが、これをやるということになりますと相当大きな額になりまするから、簡単じゃないと思うのです。私、おっしゃる意味はよくわかりますから、その矛盾は感じますが、なかなか簡単に解決できる問題ではないように思いまするが、なお検討を重ねることにいたします。
#290
○和田(貞)分科員 ところが大臣、困ったことには、最近その施設の中に臨界集合体実験装置ということでさらに施設の増設が予定されているわけなんです。だから住民としては、先ほど私実情を訴えましたように、すなおにいけば損するぞ、これはやっぱり反対しておかぬと損するぞ、こういうことになりつつあるわけなんです。何か正直者はばかをみるというような、その設置をされた熊取はほったらかし、その隣に反対運動が起きた、隣の自治体には、反対を手なずけるというか、合意に達したときに、その条件として何ものかをやっていくということが具体的に現実的に出ているわけでしょう。そうすると今度は、ひとつこれは反対せにゃ損じゃないか、こうなってくるのは当然じゃないかと思うのですが、ここらあたり何らかの措置ということを考えるか、あるいは国家的視野に立って、全般的に画一的にできなくとも、やはりこういう特別な対策というものを自治省自身が、あるいは文部省に対して、あるいは大阪府に対して行政指導をするというようなことが講じられないと、この問題は行き詰まりますよ。
#291
○江崎国務大臣 ちょっと私よく聞き取れなかったのですが、要するに、いまの熊取町において試験場がある、それが拡大が必要になって、別な施設を他の町につくった……
#292
○和田(貞)分科員 いや、別な施設を、いまの実験所の敷地の中にもう一つの建物をつくろうというのですよ。
#293
○江崎国務大臣 わかりました。私は他の町に拡充したのかと思って、そうして拡充したほうは反対しておったから、おそらく、その原因者、設置者といいますか、大学が幾らか話し合いのために金額的な措置をした、こういうふうに聞いたのですが、そういう意味じゃないのですね。そうだとすれば、これはやはり全般的な問題ですね。したがって、これは国立の試験場であるというたてまえからいいますると、いまの法制上では何ともならないわけですが、先ほど申し上げたような矛盾もありまするから、なおひとつこれは検討をすることにいたしましょう。しかし、相当これは大きな問題ですから、にわかに御期待に沿えるような結論が出るかどうか、ちょっと問題だと思いますが、反対があるから助成措置ができる、反対がないから措置しない、そういうものじゃないのですね。基地等の場合は、先ほど申し上げた基地交付金もあれば、防衛施設庁が、その周辺に与える損害を補てんする意味で、周辺整備法に基づく整備をする、これとはちょっと違うわけですからね。ですから、反対の有無によって助成方途がある、反対しないからない、そういうものではなくて、現在の法制上の問題である、これははっきり申し上げておかなければならぬと思います。
#294
○和田(貞)分科員 やはり反対運動の中で、たとえば一つの問題として原子力会館あるいは原子力センター、こういう施設もつくるということですね。これはやはり一つの条件になっておるわけです。それ自体がいまだに十年経過しておるのに大学当局、文部省当局が実施に移しておらないという、約束したことでもこういうことである。いま申し上げたように、直ちに新しい施設をつくるために、御案内のとおり市町村の開発行為に対する市町村長の同意が必要なんです。それから知事が建築確認をするわけでしょう。その手続として町長が判を押そうと思うても、同意をしようと思うても、できないというんですね、こういう実情ですから。そうすると大学当局、文部省当局のこういう計画というものはなかなか進まない。こういう問題がまのあたりに起きてきているわけなんですよ。私は、だからこうせよというのでなくて、先ほど訴えましたように、財政規模が比較的貧弱な自治体に対しまして、国の施設ができる、あるいは国関係の施設ができる、これは非課税というのが原則だということであれば、これからそう簡単に、国の施設ないしは国の関係の施設というものは、どうぞ来てください、こういうことにはならぬと思うのですよ。だから、これはむずかしい問題ではあるということは私自身もわかります。わかりますが、やはり財政規模の貧弱な町村に対しては、一策としては特別交付金という問題もあるわけです。あるいは、あなた自身が防衛庁の長官としていま言われたように基地交付金以外に周辺の整備事業というのはやはりかなり使っているわけですから、こういうことを考えたならば、住民の福祉を増進していくという自治体のあり方ということを考えたならば、防衛庁の長官としての当時の手腕よりももっと大きな手腕を発揮していただいてこの問題解決に乗り出していただく、こういう決意が私はほしいと思うのですよ。むずかしいことはわかります。しかし、現実は現実として地方自治体が困っておるわけですから、決意のほどをひとつもう一度お願いいたします。
#295
○江崎国務大臣 どうも御期待に沿えるような答弁ができないのが残念ですが、第一義的にはこれは文部省、所管省がまず考慮する。これは当然今後永続的にそこに試験場を置くのですし、また規模を拡大しようという構想もあるからには、何らかの措置を考える、これはあることだと思います。
 それから自治省としてどうするか、これはほかにもいろいろな問題があるわけです。また、そういうことを軽々に、もう全部それはひとつ固定資産税を納めることにしようなんと言うと、そのことだけによって財政に重大な支障を来たす地方公共団体も出てくる、これは予想にかたくないわけです。ですから答弁が慎重にならざるを得ませんが、十分こういった矛盾が解決できるような方途を検討してみましょう。
#296
○和田(貞)分科員 善処方をひとつ要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
#297
○倉成主査 以上をもちまして、昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、自治省所管に対する質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会における質疑は全部終了いたしました。
    ―――――――――――――
#298
○倉成主査 この際、おはかりいたします。
 昭和四十八年度一般会計予算及び昭和四十八年度特別会計予算中、厚生省所管、労働省所管及び自治省所管に対する討論採決は、先例によりまして、予算委員会に譲ることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#299
○倉成主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 これにて本分科会の議事は全部終了いたしました。
 この際、一言ごあさいつを申し上げます。
 分科員各位の格段なる御協力によりまして、本分科会の議事が無事終了することができましたことを、ここに厚く御礼を申し上げます。
 これにて第三分科会を散会いたします。
   午後七時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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