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1949/04/11 第7回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第007回国会 地方行政委員会公聴会 第2号
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1949/04/11 第7回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第007回国会 地方行政委員会公聴会 第2号

#1
第007回国会 地方行政委員会公聴会 第2号
昭和二十五年四月十一日(火曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 中島 守利君
   理事 大泉 寛三君 理事 川西  清君
   理事 菅家 喜六君 理事 野村專太郎君
   理事 久保田鶴松君 理事 藤田 義光君
   理事 立花 敏男君 理事 大石ヨシエ君
      生田 和平君    河原伊三郎君
      清水 逸平君    塚田十一郎君
      吉田吉太郎君    龍野喜一郎君
      大矢 省三君    門司  亮君
      床次 徳二君    井出一太郎君
 出席公述人
        全国建設業協会
        長       安藤清太郎君
        全国料理飲食喫
        茶組合連合会長 野本源治郎君
        中小企業振興会
        長       松澤 隼人君
        東京商工会議所
        議員      小林寅次郎君
        日本租税研究協
        会研究部長   内山 徳治君
        全国指導農業協
        同組合連合会課
        税対策協議会委
        員       山崎 勉治君
        東京都職員労働
        組合本部副委員
        長       原島 照房君
        日本農民組合韮
        山支部長    久保山 豐君
        新潟県議会議員 中川 光男君
 委員外の出席者
        議     員 小山 長規君
        專  門  員 有松  昇君
        專  門  員 長橋 茂男君
    ―――――――――――――
本日の公聴会で意見を聞いた事件
 地方税制の改革について
    ―――――――――――――
#2
○中島委員長 これより地方行政委員会公聴会を開きます。
 御承知のごとく今次の国及び中央を通じての税制改革は、わが国の税制創始以来の画期的なものでありまして、これに従いまして一般国民諸君の地方税法案に対する関心もまことに大きなものがあります。国民各層におきまして賛否の意見を活発に展開している現状にかんがみ、広く国民諸君の声を聞き、国民の輿論を反映せしめ、もつて本案の審査を一層権威あらしめるため、昨日より三日間にわたり公聴会を開くに至つた次第であります。本委員会といたしましては、本日公述人各位の熱心かつ豊富なる御意見を承ることのできますことは、本委員会今後の法案審議の上に、多大の参考となるものと深く期待する次第であります。私は本委員会を代表して、御多忙中のところ貴重なる時間をさかれまして御出席くださいました公述人各位に対しまして、厚く御礼を申し上げます。それとともに各位の忌憚なき御意見の陳述を希望する次第であります。公述人の発言は発言席にてお願いいたします。そのときに御職業と氏名を述べていただきたいと存じます。
 本日御出席の公述人の氏名を申し上げます。野本源治郎君、安藤清太郎君、松澤隼人君、小林寅次郎君、内山徳治君、山崎勉治君、原島照房君、久保田豐君、中川光男君の各位であります。
 それでは安藤清太郎君に御発言を願まいす。
#3
○安藤公述人 私はただいま委員長から御紹介にあずかりました全国建設業協会会長の安藤清太郎でございます。
 シヤウプ使節団の税制改革の勧告は、負担の均衡化と誠実なる納税を強調しておりますが、この点についてはわれわれといたしましても全面的に賛意を表し、協力を惜しむものではございません。今回の地方税改正案は、この線に沿うて立案されたものでありましようが、税制はいかに理想的なものでありましても、徴税者側、納税者側、双方の技術的能力の程度に合致したものでなくてはならぬと考えるものでございます。特に附加価値税、固定資産税は、ともに新しい税でありますので、技術的能力との関連を十分考慮して検討しなくてはならぬと思うのであります。
 第一に、世界最初の新税制と言われておりまする、附加価値税について考察いたしまするに、税理論といたしましても若干の疑義を存するのみならず、労務費が課税対象となるために、業種によつてはなはだしく不均衡を来します。従来の事業税のみと比較いたしますときは、私どもの建設工業におきましては約十三・八倍に達するのでございます。なお事業税と取引高税の合計額と比較いたしましても、約二・八二倍に達するのでございます。常にバイヤース・マーケツトでありまするわが建設工業におきまして、このような税負担の増加を急に転嫁することは、まつたく不可能なことでございます。また総收入額から特定の支出額を差引いて附加価価額を算定する方法は、企業の現実的経理方法を離れ、はなはだしく複雑でありますので、納税者も地方税務当局も、その技術的処理に困難を来しまして、明朗な納税は期待できないと考えるのでございます。よつてでき得るならば本税の実施を延期し、十分なる研究を遂げることが望ましいのでありますが、もしそれが不可能であるとするならば、とりあえず本年は特例として、建設工業における附加価価額を総收入額の百分の三十ぐらいといたしまして、前にも述べました税負担の急激な増加と、税額算定の困難とを救済していただきたいと考えるのでございます。またそれも不可能であるといたしますならば、少くとも附加価価額の算定方法を簡明にすることは、ぜひともお願いしたいと考えるのであります。それには損益計算書の科目から、課税対象を直接把握するのが最もよい方法でありますが、差引計算するにいたしましても、ぜひとも損益計算書に基くことにしていただきたいのであります。幸いに昨年経済安定本部におきまして、企業会計原則及び財務諸表準則が設定されまして、その業種別特例として建設業財務諸表準則を承認されましたので、これに基いて計算することといたしますれば、紛争をなくし、明朗なる納税を期待し得ると信ずるのであります。なお第三十條第七項におきまする特定の支出金額のうちに、外注費を加えることはぜひお願いしなければなりません。外注費と申しまするとちよつとおわかりにくいかもしれませんが、私どもの仕事は、御承知の通りその相当の部分が下請工業に渡されるのでございます。従つてその下請工業において、すでに税は把握されておるのでございます。その外注費をわれわれ総合請負業者が負担することになりますと、二重に課税されるという実情になるのでございます。その外注費を特定の支出金額のうちにお加え願いたいということをお願いするのであります。外注費は当然事業に直接必要な外部に支出すべき金額でありまして、その重要な要素でありますので、特定の支出金額であることは疑う余地がないのであります。
 次に固定資産税について、ごく簡単に申し上げたいと存じます。土地、建物について、その賃貸価格の九百倍を時価と見ることは、明らかに高価に失すると考えるのでございます。私どもの希望といたしましては、少くとも六、七百倍のところにおとどめ願いたい、こう希望する次第でございます。償却資産につきましては、第一に工具及び備品等の消耗品に類するものは、その課税対象から除くべきだと考えるのでございます。第二に、償却資産の適正な時価把握に万全を期していただきたいのでございます。それは第四百十四條第一号におきましては、昭和二十五年度分の固定資産税については、当該固定資産について資産再評価法の規定による再評価を行つた場合における再評価額を下ることができないと規定しておりまして、一方資産再評価法第四十五條第七項によりますると、再評価をするとしないとにかかわらず、再評価額の最高限度を市町村別に報告することになつております。すなわら昭和二十五年度は、資産再評価法による再評価の最高限度額によつて、固定資産税を課せられることになるのであります。よつて陳腐化いたしました資産につきましての、資産再評価法による資産再評価審議会の決定の結果によつては、企業に不当な税負担を課することになるのでございます。特にわが建設工業におきましては、その機械の物理的陳腐化の速度が非常に早くありまして、法定耐用命数十二年の使用に耐えるものはほとんどございません。長くて二、三年の耐用命数であるのであります。この点の現実把握に十分御留意を願いたいのでございます。私の考えでは、陳腐化資産の再評価は、むしろ固定資産税法による審議会に諮問されるのが妥当ではないかと考えるのでございます。また建設工業におきまする機械は、短期間に諸所の作業場を転転として移動するものでありますので、これを対象として市町村税として把握することは、税務当局といたしましても、納税者といたしましても、技術的にこれが可能であるかどうか疑いなきを得ないのであります。よつて建設工業につきましては、一企業の本社において一括これを納付することにするか、あるいは少くともその機械の在籍する都道府県において一括納付することにお願いしたいのでございます。
 以上私が述べましたことは、税負担の均衡化と明朗な納税という、シヤウプ使節団の勧告の線に沿いまして、納税の義務を果そうとする積極的意図を表明したものでございます。この点は特に御了承くださるようにお願いいたしておきます。はなはだ簡単でございますが、私の公述はこれで終ることにいたします。
#4
○中島委員長 安藤君に御質疑はありますか。
#5
○藤田委員 ただいまの御公述の中で、附加価値税の問題におきまして、本年は特例として総収入の百分の三十程度に課税してくれというようなことを申されたと思いますが、もう少し具体的にこの点を御説明願いたいと思います。
#6
○安藤公述人 それでは私が百分の三十と申しましたことにつきまして、簡単にその根拠を申し上げたいと存じます。実は私どもは自治庁試案が出ましたときに、現行法によります事業税、取引高税を納めました場合と、新税法によりまして附加価値税を納めました場合との、比較をいたしたのでございます。しかし御承知の通り私ども業者は、私どもの会に加入いたしておりますものだけでも、全国に九千余りございます。これを全部調査いたしますことはとうてい短時日にできませんので、きわめて代表的なものを大企業、中企業、小企業と選びまして、約八社ばかりの会社のサンプル調査、実態調査をいたしたのであります。その結果出ました数字に基いて、ただいまのことを申し上げたのでございますが、それは現行法によります場合に、その八社の総平均の事業税が二千七百五十四万六千円納めております。それから取引高税が一億七千七百三十五万七千円納めております。それでこれと今度新税法によりまして、附加価値税を四分という税率で計算いたしました場合に、三億八千百五十六万二千円になるのでございます。ただいまの二千七百五十四万六千円と一億七千七百三十五万七千円を合計いたしましたものとこれとを比較いたしますると、大体税額はそう加重されないことになるという勘定になります。私どもの考えでは、シヤウプの税制勧告は、必ずしも課税額を増加させるのが目的ではない。つまり一箇所において税を把握することが、おもな目的であるように私は聞いております。そういたしますれば、この新税法のために私どもが二倍、三倍の税を払わなければならぬということは、むしろシヤウプ勧告の趣旨に反するものではないかというふうに考えておりますので、申し上げた次第であります。
#7
○藤田委員 あと二、三点ばかりお伺いしたいと思います。固定資産のところでございますが、その中で陳腐化資産に関しましては、資産再評価審議会の評価よりも、固定資産審査委員会の評価がいいというその理由と、もう一つは固定資産に関しては都道府県ごとに一括徴税してほしいという、その根拠を簡単にお願いします。
#8
○安藤公述人 これはいわば私どもの事業の特殊性に基因するのでございまして、私どもの事業は他の工場、工業と違いまして、大きな会社になりますと全国に千五、六百所の事業所を持つております。またそれほど大きくない会社でございましても、少くとも全国に二、三百箇所の事業所を持つております会社が、数百あるのでございます。従つてその事業をしております各市町村におきまして、一々税額の算定をすることになるのでございます。そういたしますと、その数百または千数百の事業所を持つております企業体は、これを総合するのに実際的に非常に若しむのでございます。なお陳腐化の点につきまして、これは先ほども私が申し上げましたが、私どもの使つております機械は、いわば非常にプリミティーヴなものでございまして、他の工場、工業等に使つております精密な機械に比しまして、その耐用年数が非常に短かいのでございます。従つて陳腐化の速度も非常に早い。先ほども申し上げました通り、資産再評価の審議会において、その機械の陳腐化の程度をきめることになつております。これを適当にきめていただきませんと、私どもは事実陳腐化した機械を、それほど陳腐化しておらない機械のように扱われます場合には、税額が非常に加重せられる。こういう点をわれわれは憂うるのであります。
#9
○藤田委員 今のお答えの都道府県ごとに一括納付したがいいということでございますが、都道府県税にしてほしいという御要望ではなくて、徴税技術上都道府県ごとに……
#10
○安藤公述人 そうでございます。
#11
○藤田委員 そうしますと今度の新税法によりますと、市町村ごとに評価委員がございまして、そこで評価したものを本社に送つて来た、本社で払うか、あるいは各現場ごとに払うかという手続きはございますが、大体同じではないでしようか。
#12
○安藤公述人 現場ごとに払いますことが、私ども企業といたしましては、企業の総合経営を期する上において非常に妨げになるのであります。なるべくならば本社で一括して支払うようにいたしたい。それがもしできないといたしますればという意味で、都道府県ごとにと申し上げたのであります。
#13
○塚田委員 まことにうかつなお尋ねをするのでありますが、今までの実際の扱いで、取引高税は、官庁工事などではそれだけを皆さん方のお見積りの上に見ておいてくれたかどうか。
#14
○安藤公述人 見ておりました。
#15
○塚田委員 そうすると今度附加価値税の場合におきましては、過般本委員会におきましての大蔵大臣の御答弁でも、一部分は当然附加価値の基礎の中に利潤も入つておるのでありますから、各企業体で吸收していただくべきものなんで、しかし一部分は減価の要素に当然入つていいものである。ちようどあいのこのような性質を持つたものだという答弁をしておる。そうすると当然官庁工事などで、少くとも何%かは吸收を見積りの上に考慮してもらえる部分があるのではないか、こういうふうに考えておるのですが、それで大体計算の数字の上で、請負金額に対して附加価価比率がどれくらいになるか。それからそのうちで利潤が占める部分と他の部分、すなわら自己のところで吸收すべき部分と、たとえば官庁工事などの請負契約の中に入れてほしい部分との割合がどれくらいになるか。もしそういうふうな御意見が伺えたならば……
#16
○安藤公述人 ただいま塚田委員からの御質問には、この附加価位税は一部分流通税としての性格を持つておる。従つてこれは転嫁できるのではないか。こういう意味に私は承知いたしましたが、それは輿論上当然転嫁できると言い得るのであります。しかしながら私か先ほど簡単に申し上げました通り、わび律設工業の現状におきましては、理論上転嫁できるものが、現実においては転嫁できないという点に御留意を願いたいのでございます。それは言さんも御承知の侮り現在非常に私どもの方の事業は不況の状態にあります。先般も経済安定本部におきまして打撃産業調査をいたしましたが、その折に三十数種の打撃産業のうちに、私どもの興設工業は入れられておるのでございます。そのような非常に需給関係がアンバランスな状態の現状におきまして、理論Lこの附加価値税をコストのうちに加えて、これを注文者側に転嫁するということは、現実に不可能なのでございます。御承知の通り私どもの仕事は、注文生産なのであります。従つて注文者の方で注文しなせれば、私どもの方の仕事は成立たないわけでございます。私どもの方では、原価に加えまして、附加価酒税がこの通りになりまして、従つて従来よりはこれだけ多くなるから、これだけは負担していただきたいという希望を申し述べましても、注文者側がこれをいれなければ、われわれの方は自己負担にしなければならぬ、こういうことになるのでございます。
 それから第二の御質問、つまり自己吸收をすべき利潤がどのくらいの比率になつておるか。これは正確なところはわかりませんが、これは非常に低いものでございます。ですからこの自己吸收すべき利潤という点から行きますと、まあこれもきわめて腰だめの数字になるのでございますが、大体総收入金額に対しましてここに出ております数字は平均八厘七毛になつておりますが、これはやや妥当でないと私は思つております。私の考えでは大体総收入額の二分くらいが利潤率でございます。
#17
○塚田委員 附加価値比率はどうですか。
#18
○安藤公述人 附加価値比率は、土木工事と建築工事、そのいずれかを主とするものによつて、おのおのの会社によつて違います。しかしこれを大体平均してみますと、約五四%というのが私どもの調査の結果の数字でございます。
#19
○塚田委員 今日の状態で施工者に転嫁をして行くということは、実際問題として困難だということを、私どもも十分承知しておるのでありますが、しかし官庁工事などについては、当然政府側においても予算を組む場合に、それは何分かは考慮して予算を組むものだと私どもは考えるのでありますが、この場合にどれくらいの比率を四分全部というわけにはもちろん行かないと思いますが、どのくらいの比率を組んでおいたらよいものか、そういう意味において参考になる数字がもしお聞きできれば好都合ですが、もし今日伺えなければまた他の機会にでもけつこうです。
#20
○安藤公述人 またこれらの点につきましては十分調査をいたしまして、別の機会にお答えすることにいたします。
#21
○中島委員長 安藤さんに、他に御質疑はありませんかそれではどうもたいへんお忙しいところをありがとうございました。これで御退席になつてけつこうでございます。
 次は野本源治郎君にお願いいたします。
#22
○野本公述人 私は全国料理飲食喫茶業組合連合会会長野本源治郎でございます。御指名によりまして、私は地方税法改正法律案中、遊興飲食税に関しましてきわめて簡単に見解を表明せんとするものであります。
 まず今次改正法律案を拝見いたしまして、私ども接客業者として考えますことは、一応税率は百分の百、百分の四十、百分の二十と引下げられましたが、依然としてこの程度の引下げでは、完全徴收の不能なことと、本税の特別な性格を没却したところの、特別徴收義務者に対する不当な犯則処分であります。しかもその徴收方法においては、領收証の発行と証紙徴收等を規定せられているのでありますが、いかなる徴收方法、いかなる厳罰規定を法律をもつて定められても、これらの規定は万人が納得し、万人が守り得られる制度の上に立てられたものでなければ、かえつて法を軽んずる結果を招来するのではないかと存ずるのであります。遊興飲食税は、大正八年内務省令をもつて創設せられた当時とは、まつたくその性格を異にしております。今や地方税三大財源の一つとなり、遊興飲食、宿泊料金に対する取引高税と同一の性格を持つに至つたのでありまして、かつての取引高税に比較すれば、二十倍、四十倍、あるいは百倍という高率課税は、現下のデフレ経済におきましては、納税者においても容易ならぬ負担であります。私ども接客業者としては経営の破滅を意味するものであります。すなわちかような高率課税をもつて財源を枯死させるよりも、低率課税によつて財源を培養すると同時に、完全徴收が可能となることによつて、税收はむしろ倍加するものと断言できるのであります。また課税対象の種別的段階税率の設定はまつたく無意味のものでありまして、花代のごとき特別のもの以外は、その経営実態の把握はほとんど不可能事であり、これが業者間に摩擦を生ぜしめ、徴税の協力を阻害するのみでありまして、本税の徴納が他税に比してきわめて円滑を欠いている現状の根本原因は、まつたくこの種別的税率にあると言つてさしつかえないのであります。
 さらに二十五年度本税全国予算から検討いたしますと、二十四年十二月末日現在における飲食営業臨時規整法による許可業者数は、旅館三万三千余軒、軽飲食店十万一千余軒、喫茶店三万四千余軒でありまして、全国平均、一店一箇月の売上推定額をそれぞれ旅館八万五千一百円、軽飲食店八万七千円、喫茶店四万九千五百円といたしますれば、年間売上総額実に一千五百九十三億七千余万円となるのでありまして、この均等一割を徴收しても百五十九億三千七百万円の税收を見ることができるのであります。すなわち外食者食堂を除いても、全国予算を三十五億も上まわる金額となるのであります。なおこのほかに本税の対象となるべきものに、花代、仕出業、仕出業と見るべき委託加工、もぐり飲食営業等があるのでありまして、これらを完全徴收することによりまして、均等一割加税によつても、数十億の超過税收を得ることは明瞭であります。かような見地から、零細消費に対する免税、学生生徒の修学旅行、あるいは療養のための宿泊等に対する免税等、社会政策上ぜひ必要な措置が、予算を滅ぜずして実現し得るものと存ずる次第であります。
 次に改正法律案第百十九條によりますと、特別徴收義務者は、不払い客の遊興飲食税を立替払いをすることに規定され、求償権に基く訴訟以外には立替払いの損失補償をなし得ない建前になつていますが、本税における特別徴收は、電気、ガス税等の特別徴收とは大いに趣を異にしまして、送電停止、ガス配給停止のごとき不払い客に対する強硬手段をとり得ないのでありますから、不払い客に対する分の本税納入は、これを証すべき書類によつてその払込みのあつたときまで、特別徴收義務者の納入延期を認めるべきであると考えます。同時に第百二十二條第一号における納入すべき遊興飲食税の全部または一部を納入しなかつた特別徴收義務者は、三年以下の懲役もしくは百万円以下の罰金もしくは科料に処し、または懲役及び罰金を併科するとありますが、これは客から徴收しながらこれを着服して納入しなかつた場合であるのか、あるいは客から未徴收であるが、納入すべき義務を持つ税金を納入しなかつた場合であるのか、これを明瞭にされる必要があると存ずるのでありまして、要は前にも述べましたことく、他税の特別徴收のごとく強硬手段をとり得ない本税の特別徴收の場合において、不払い客に対する法的制裁なく、無力なる徴收義務者に対してのみ他税と同様の犯則処分を規定することは、はなはだしく当を欠くものと考え次第であります。
 なお一言申し上げたいことは、各地方庁とも業者との本税折衝において、法定税率目一ぱいをとろうとは考えていないというのでありますが、去る三月二十五、六両日、大阪に開催されました七大都府県理事者の税務連絡協議会においても申合せをされたと仄聞いたしておりますが、領收証の発行、青色申告式な徴收簿の備えつけ等を実行された場合、目一ぱいの徴收は考えておらぬということ、実際問題としてあり得ないことで、たとえば徴收義務者が法定税率をもつて徴收しようとすれば、営業の破滅であり、協定納入額を目標としたかつてな税率による本税の請求は、税法または條例違反であり、売り前を低く算定して税率を合法的ならしめれば、協定納入額との差額が税金横領の形をもつて現われる。結局かような完全徴收の制度も、極端な税率引下げによつてのみ実行の可能性があり、税收を増し、成果をあげ得るゆえんと確信いたすものであります。
 以上申し上げました結論といたしまして、一、税率は均等一割に簡素化して実効を上げること、二、社会政策的見地から免税額を設定すること、三、犯則処分における体刑を撤廃すること、四、第百十九條を修正して、掛売に対する分の延納を認めること、五、第百二十二條第一号の字句を修正して意義を明確化することが最も妥当であり、必要であると痛切に考えている次第であります。以上をもちまして簡単ながら私の公述を終ります。
#23
○門司委員 一つお尋ねしたいのですが、今の最後の第二項でありますが、社会政策的見地から免税額を設定するということになつておりますが、これについて何か具体案がありましたら、ひとつお話願いたいと思います。
#24
○野本公述人 これは勤労大衆の面にも及ぼすものと私どもは考えておるのでありますが、たとえば現在のように免税点なしということになりますと、朝から晩までの労働に疲れて、帰りがけにしようちゆうの一ぱいも飲んで行こうというような面にまでも税金を課けることは忍び得ない。なおまた荷車を引いてえつさえつさと運んで来て、やつと坂を上つて来たときに飲食店があつて、そこでしようちゆうの一ぱいも飲もうとするのに税金を課けることは、あまりにも社会政策上おもしろくないのじやないか。こういうものには若干の潤いを示してもらいたいという意味なのであります。
#25
○門司委員 なお重ねて聞くようですが、意味はよくわれわれわかつておるのであります。この免税点の額をどのくらいにきめたらいいかということであります。たとえば具体的に申し上げますと、外食券食堂のごときは、外食券をお持ちになつて食事をするのでありますが、これは家庭で食事をする場合には税金をとられないのに、たまたま外食者であるということのために、税金が課かつて来ておるというように、課税の対象にも矛盾があるとわれわれは考えておるのでありますが、この点についてどういうお考えを具体的にお持ちになつておるか。さらにもし免税せんとするならば、どの程度のものか。あなた方の方からごらんになつた額を一応示され得るなら、そういう具体的のものをひとつお示しを願いたい。
#26
○野本公述人 私は現在の社会情勢から見まして、物価指数の上り方、かような見地から、一ぱいの清酒を飲もうにも税金が課かるということにつきましての考え方から、まず百円をもつてラインを引いていただきたい、かように考えております。
#27
○門司委員 それからもう一つこれについてお聞きしたいのでありますが、これには第一には均等に一割を課けてもらいたいということが書いてあります。それから前言によりますると、花代その他のものは把握することが割合に容易であるというお話があつたように承つておるのでありますが、この遊興飲食税は、われわれの観点から考えますと、遊興というものに対しては、現在の日本の社会情勢から考えて、一応考えなければならないのじやないか。それから飲食というものと遊興というものとの実際上の限界といいますか、境といいますか、われわれはわかりかねるのであります。その点について何か御参考になるようなことがありましたら伺いたい。
#28
○野本公述人 私の方の文字通りここに現われております全国料理飲食喫茶組合と申しますものは、芸者、花代を加味しておりません。ただ現在家庭の延長のようないわゆる飲食店ばかりなのであります。その面に向つて、遊興という字句がはたして当てはまるかどうかというのでありますが、私はこれはあえて申すならば、当てはまつていないのだということを申し上げたいのであります。かようなぐあいで、ただ旧来からのしきたりで、遊興飲食という字句が使われておる関係上、先生方からごらんになられるならば、どこからどこまでが遊興で、どこからどこまでが飲食店の役割をしておるかということに、疑惑が起るわけでありますが、さような意味で私どもが現在持つております全国料理飲食喫茶組合というものは、花代を伴つておりません、さような見地から私は申し上げておるわけであります。
#29
○藤田委員 この印刷物の三ページ目に、推定額を出されておりますが、これは大体従来の実績も、全国平均一つの店、これくらいの收入を上げておりますか。
#30
○野本公述人 この基礎数字は、先般税制改革があろうというので、中島委員長のお手元まで、なお一つ考慮していただきたいという嘆願書を出しましたにつきまして、何かよりどころがなければ困るのだという委員長のお話から、全国に指令を発しまして、全国の統計を全部集めたのであります。そこで今先生もおつしやつたように、旅館一軒が、わずか月額八万円くらいの営業で成立つかというようなお考えも自然に起るわけでありますが、これは月に八万円はおろか、下宿のような小さな家もありますので、平均すると最低の線をここに引いてみても、これだけの数字が現われるのだという一つの標準を示したものであります。さようひとつ御承知おき願いたいと思います。
#31
○床次委員 業種別の階段税率というものは、確かに問題でありまするが、これが平均の一割均等になりまして、実行いたしまして、相当実績を上げているということを言つておりまするが、従来の段階課税の徴收歩合というものがどれくらいの程度であつたか……
#32
○野本公述人 それは私は記憶はございませんが、今度の税制改革による基礎数字が必要であると言われましたために、全国に命じて基礎数字を集めましたものに基いてプリントに書き表わしたものでありまして、なお詳細にその数字が必要だとおつしやれば、ちようど今日は書記も来ておりますので、また御参考までに後日そろえまして、委員長の手元まで差出してもけつこうであります。
#33
○床次委員 平均一割を徴收することによつて、業種間にいろいろ不合理、不公平というものが生じた実例があつたか、どういうふうな影響があつたか、おわかりになれば御説明願いたい。
#34
○野本公述人 それはまだありませんが、やがてあり得ると思います。たとえば同じ食店でも、一流を標榜する食店もありましよう。中には喫茶店におきましても、三流、四流に匹敵する店もあると考えますので、これもあれも一割ということは、ここに矛盾が起きるのではないかというようなことも十分考えておりますので、これらにつきましては、業種別にわれわれ業界内部において、ある程度まで協定線は結ばれる、かように考えております。
#35
○中島委員長 他に御質疑はありませんか野本さん、御多用のところありがたうございました。何かただいま伺つておりますと、統計のようなものを出すということでありますが、お出しになるならば明日くらいまでに出して下さい。それ以後に遅れると、今国会の審議には間に合いませんから……
#36
○野本公述人 承知いたしました。
#37
○中島委員長 お帰りくだすつてよろしゆうございます。
 次は松澤隼人君にお願いいたします。
#38
○松澤公述人 私はただいま中島委員長より御紹介いただきました中小企業振興全長の松澤隼人でございます。今般審議されております地方税制改正法案につきまして、中小企業の側から、特に一番関係の多い都道府県税の第一の財源である附加価値税、また固定資産税、また市町村民税等の三点について、特に影響がございますので申し上げたいと存じます。
 中小企業の命取りである今回の地方税改正法案は、実に中小企業の最後のとどめをさす悪税であると叫ばれておるわけでございまして、都道府県税の第一の財源である附加価値税についてまず申し上げます。中小企業に最も重い負担となつておる点、政府は事業所得の見積りで、中小企業関係の個人所得を四千億としておるが、これは見積り全体の八割であつて、現在死滅の危機に追い込まれ、担税力のない中小企業者にあまりにもむりな数字であつて、瀕死の重傷にある業者に、最後のとどめをさすものである。附加価値の課税標準にむりがある。総売上金中より、特定の支出を控除した金額に課することになつておるが、このうら工賃、労銀を擦除に入れておらないところにむりがあります。中小企業の生産工場は、そのすべてが工賃、労銀の遅配、欠配をしておつて、よほどよいところでも、たいがい一月、二月は遅配をしております。はなはだしいものに至つては、六箇月も払わないのがその現状であります。一方売上金は回収が非常におそく、三箇月ないし四箇月にも延びる次第で、ほとんど問題にならない苦しい経営で、工賃を払えば利益はない。工賃払いに追われておる実情で、営業は成立たない。ただ失業者を出さぬために事業を続けておるのであつて、従つて附加価値の控除に労銀、工賃を当然控除さるべきものであると考えます。世界に類のない悪税といわれるゆえんもそこにあると思う。中小企業を死滅させて、国の再建はあり得ない。よつて利益のみに課ける従来の方法をとられたいというのが、みんなの叫びであります、どうしても改正がやむを得ないならば、特定支出額に工賃を控除することに修正していただきたい。既述のごとく、本来の趣旨が附加価値暁は不明確なるをもつて、一括して收益税とするにしくはない。こういうふうにいわれておるのであります。しかしどうしてもシヤウプ勧告の線でこれが実施されるというのでありますならば、ここに特に注文して修正をお願いしたい点を申し上げたいのであります。それは先ほど申し上げました労銀を特定の支出額に計上してもらう。そのほかに免税点の引上げの修正を願いたい。法人または個人の総額が、十二箇月分で九万円未満を、附加価位を控除することができることになつているが、九万円は少きに失するをもつて、三倍、すなわら二十七万まで引上げて、弱小業者を救う道を講じていただきたい。これは一箇月にいたしますと、二万四千円強でありまして、取引高税において月額三万円未満を免税点にした例が現行でありますので、当然その率までは引上げていただくことを考慮して、修正に取上げていただきたい、なおこの税については各地方においても、会議所並びに中小企業団体の者は寄り寄り相談をいたしまして、全面的に反対しておる。やむを得ない場合は、一部分施行を延期してもらいたい。そして初めてのことだから、よく実情を検討した上で、施行してもらうようにしていただきたいというのが、みなの要望であります。また地方庁側の意見としても、この税は普通税の九項目中、最も有力な財源の関係で、特にいろいろ注意が払われておるのでありますが、特に地方庁で言われているのは、これは都市中心の税であつて、一般農民等には賦課されない。そのために地方庁の財源が都市中心になるおそれがある。従つて農民層の方からは、むしろ県の財源が農民からはとれないという建前であるために、地方行政を完全に運営して行く上において、都市中心に偏重するおそれがある。農村の方をかまつておれないことになるのではないかというようなことが、心配されておるという状態でございます。
 要するにこの附加価値税は、現在の地方の徴税機構が不整備で、現陣容をもつて臨めば、証拠力の脆弱な中小企業に不利であるということは明瞭でありますので、ぜひとも延期願えることならば延期してもらいたい。どうしてもそれが不可能な場合には、今の二点について修正をお願いいたしたい。いわゆる特定の支出を控除した金額の中に――控除の品目の中に工賃、労銀を入れることと、免税点を新税の案の九万円を三倍に引上げていただくということに御修正をお願いいたしたい。
 次は市町村税の第一の有力な財源になる固定資産税について申し上げます。政府は二十四年度地租、家屋税百六十六億に対し、昭和二十五年度の新税で税收を五百二十二億を見込んでおります。これは約三倍半の大増税であります。中小企業者に重い負担となるは必然であります。従来の收益税で課税されない赤字企業が課税される一方、経営のうまく行つておる企業は、従来の超過所得税、事業税に比して税額が少くなる。むしろ減税となるために、野放し的な結果となつて、一方はますます太り、赤字を続けておる大部分の企業はつぶれてしまう。よいものはますますよくなり、悪いものはますます倒れてしまう。従つてよいものと悪いものとの差が極端に開いて、その中間にある中小企業者はつぶれてしまうのは、必然の結果であります。次に課税客体を土地、家屋だけとすることに考慮をしてもらいたいという点は、土地家屋税十割、償却資産税五割二分、実際には徴税できる率を土地、家屋で九割、償却資産で八割と計算しておられますが、これは実情を無視することもはなはだしいものと、言わなければならない。償却資産を課税の対象としてかたつぱしから課税して行くならば、全産業が致命的な打撃を負つて、崩壊してしまうおそれがあるからであります。そこで償却資産は土地、家屋の稼働率に比例して、稼働率を勘案して調整するように修正せられたい。すなわち赤字企業と黒字企業を調整してつぶれない方法を講じていただきたい。できれば償却資産を控除する方がいい。なお免税点も引上げの修正をお願いいたしたい。免税点を土地家屋及び償却資産の合計額について三万円とすることになつておりますが、これを土地家屋九万円、償却資産を十万円と修正していただきたい。これは弱小業者の崩壊を防止するために、最小限度のものであるという点でお考え願いたいのであります。市町村民税の家族の前年度収入の十万円未満を免税標準に考えておることに徴しても、この比率は当然修正していただきたい。かようにお願いいたします。
 次に市町村民税について申し上げます。政府は二十四年度の二百七十二億に比して、二十五年度は五百七十五億を見込んでおりますので、二・五倍の増税として、国民各層に与えた影響はきわめて大きいのであります。従来の家族主義的税制を、個人主義的税制に改め、世帯主だけの收入では食えないから、一家総動員で働くにもかかわらず、そのたつとい努力を妨げるごとき家族各個人ごとに課する方法は、勤労意欲をはなはだしく阻害する結果を招来して、思わしくない。それに課税標準が資産割二割、所得割六割、均等割二割となつておるが、所得割六割は現在の情勢下においては穏当と思われない。まじめに働く勤労者は、前年度收入が明白であるため、非常な負担が過重となつて、生活を不能に陥れるおそれがあります。次に同一家族は、一世帯主を課税の対象とし、実情に即した課税標準をとるようにできれば修正を願いたい。この税は社会政策的見地に立つて、国民全体の生活権を脅かさないことにしていただくことが、本旨であろうと考えるからであります。本年度無收入でも、前年度分を課税の対象とするため、能力なきものは納税できず、破産する結果を招来します。そこで現在失業しておる者には、課税しない道を考慮願いたい。法人は従来個人と同じ割合で課税されたが、新法では均等割だけとなり、個人の三倍となつて、また最高四千、三千、二千となつておりますが、国民全般の面から、むしろこれは矛盾がある。最初は少しは引上げても、個人を救う道を講ぜられる方が妥当だと考えるのであります。最後に免税点の範囲を拡げるように修正を願いたい。市町村内に住所を有する個人、前年度において所得を有しなかつた者及び生活保護法の規定による生活扶助を受ける者を除くと免税点が規定されておりますが、これに「現在失業並びに病弱にて要保護者に準ずる者を含む」として、明確に生活保護法の適用の一歩手前に追い込まれている者を救う道をぜひ開いていただきたい。以上の修正意見は全国中小企業及び国民大衆の真の声であり、叫びであることを銘記して、国会の熱意ある御審議を切望してやまない次第であります。
 また政府はかかる無理無体な税を、負担力のない国見に押しつけ、国民生活を脅かす責任は重大であると思います。どうしても国民の意志に反し、無理押しにこれをやらなければならないならば、むしろ国民を守るために、潔く政府は勇断をもつて臨んでいただきたい。むしろこうしたむりなことをしているよりか、責任をもつて国民を守るという熱意をぜひ持つていただきたいというのが、中小企業の真の要望であります。今回特に政府与党で修正の御意見等が、新聞にちらちら見えておりますが、私ども中小企業者としては、むしろこうした特定のものだけを考えるというよりか、私が全般に申し上げておるような中小企業全体を救う。そうして勤労者、小売業者を助ける意味において、以上の諸点を修正願いたい。かように考える。不公平な、不明朗な行き方は嚴に慎んでいただきたいということを切望してやまないのであります。特に最後に一点、中小企業者が、現在の政府を構成しているところの政府与党の選挙対策という点を十分指摘して、御反省を願いたいということを切望して、私の公述を終ります。
#39
○藤田委員 附加価値税のところで最初に言われました附加価値から工賃を控除するという、まことに傾聴すべき御意見を拝聴しましたが、松澤さんの御計算によりますと、附加価値の中におきまして、賃金、労賃等の占める比率は、大体どの位の御計算をなさつておりますか。もし計算がなければ、これを控除する根拠をいま一度お願いしたいと思います。
#40
○松澤公述人 現在日本のおかれているわれわれ中小企業の現状から推しまして、ほとんどデフレ的な傾向を帯びております関係で、工賃どころか、原価さえも無視しなければ、実際売れないというような極度の購買力の低下に苦しんでおるのであります。従つて利益の問題を無視して、長く使つている工員を何とか失業させまいというので努力しておる実情でございますので、私はその比率についてはこまかな資料を用意しておりませんが、あとで皆さんにお届けして御参考に供したいと存じます。一応現在原料から製品に至るまでの過程において、ほとんど原料と同じ性格を、むしろ中小企業においてはそうした性格の意味において労銀が考えられている。これは不可分な問題で、しかも法律できめられて、工賃を払わないということは考えられない義務的なものであります。しかもきわめて低賃金に甘んじて働いている、まじめな労働者諸君の労銀については、これを十分確保する意味において、当然特定の控除の中に入れていただきたいというのが本旨であります。
#41
○藤田委員 次は固定資産税の課税客体としまして有形固定資産を除外するという御意見がございましたが、これを除外しますと、土地、家屋のみの課税客体になりますと、相当増税になりますが、政府の意図しておる五百二十億という税收を上げるためには、償却資産を除外して、土地、家屋のみから徴收してもいいという御意見でございますか。
#42
○松澤公述人 それはすでに税務署の査定のときにさえも、償却資産は考えておらなかつたというのが、今までの現状でありまして、特に小規模な工場における設備というものは、先ほど建設方面の方のお言葉の中にもございましたが、ほとんど工具にひとしい設備であります。従つてたとえば旋盤とかその他のものがありましても、これは戦時中からの使いふるしのいたんだものが多いのであります。これらを償却資産として計上されるときにおいては、ほとんど成立たないという現状でございますので、ほかに財源を考えられるならば、何とかこうしたさびしい現状に対して、賦課するということは、特に中小企業等については考慮してもらいたいという趣旨でありまして、必ずしも、土地、建物がそのためにそのわくでやるならば、どうしても予定に行かないということで、一方に偏するということは、また弊害が伴うのであります。しかし現状の工場の設備が、固定資産税として納税の客体として明確にやられるということはどうしても大きな矛盾がそれに伴うという点を御考慮願いまして、何らかの形で緩和する道を考えていただきたいというのが本旨であります。
#43
○大泉委員 松澤さんにお伺いいたします。御意見はどうもたいへん抽象的になつて、しかも現政府の攻撃が多分に含まれておりますが、私は具体的な一つの立場においてお伺いしたいと思います。松澤さんは中小企業の立場に立つておつて、御自身はどれくらいの企業を営んでいらつしやるか。またどれくらいの税を納めていらつしやいますか、ちよつとお伺いいたします。
#44
○松澤公述人 簡単に申し上げます。私は群馬県の高崎において、資本金五十万円の鉄鋼の会社を経営しております。税金は三十万円程度納めております。
#45
○大泉委員 今回の税制改革は、中小企業の立場においてはきわめて救われるというふうに私は考えております。戦後大組織で営んでおられるところの企業は、総じて赤字経営である。最近においては立ち直つておるものも大分ありまするけれども、それでもなお黒字ということは少い。いわゆる企業が大きければ大きいほど成績が悪いというのが現状であります。ところが一方中小企業は、個人経営はもちろんのこと、法人であつてもほとんど漏れなく法人税、所得税が課かつておる。この所得税、法人税が裏づけとされて、裏打ち的に事業税、いわゆる附加税がかけられておる。働く者が働けば働くほど、事業成績が上れば上るほど累進課税が多く課けられる。しかも地方税においては裏打ち的にかけられるという現状である。このときにおいて、この税制はきわめて中小企業を潤おすよい改革であると私は思うのであります。しかるに大企業は赤字であろうが、もうかつてももうからなくても、とにかく固定資産税はその地方の自治体のため、あるいは各府県のために附加価値税を課せられるという、いわゆる事業に責任を持たせられたところに、今度の税制改革のねらいがあると私は思うのであります。そこで一番自由的な立場に立つて活動の最も強い中小企業は、今度の税制改革によつて潤おうところが多いと思うが、松澤さん、どう思いますか。
#46
○松澤公述人 今大企業云々という言葉がありましたが、決して実情から申し上げて、私どもも下請をやつて、身にしみるほどのそのつらさを感じておりますが、大企業に流れた金は、中小企業の下請工場に全然流れない。ほとんど下請工賃を払わないでおるという現状でありまして、これは大企業の方に偏重されるということで、一般に上から流せば下に流れるということにはなつておらない。従つて今の御意見のように本税が下の者に潤されるということは、どうもそう考えられないのでありす。むしろ日本の生産の六十五%、下請まで入れれば八〇%も担当しておるところの中小企業者の負担が非常に過重になつておるということは見のがせないと思います。
#47
○門司委員 議論が出ましたので、一応お伺いしておきたいと思います。今度の税制改革により、外形標準を建前とすることによつて必然的に生産原価を上げなければならないということは、これは何人も認めるところだと思うのであります。そこで生産原価が上つて参りますと、それを引継いでさらに第二次製品あるいは第三次製品、あるいはそれらのものを商つております中小商工業者というものは、原単位が非常に上つて参りましたので、この辺の圧迫が相当中小企業の中に出て来ると考えられるのであります。これは同時に金融の面におきましても、大産業に対しても、これが政府の説明しておりますように重税を課せられて参りますならば、今日の金融関係というものはますます逼迫してきて、大産業が成立たない前に、中小企業というものは置き去りにされる形が多分に出て来るとわれわれは考えるのでありますこの金融方面から見た一つの見方と、さら 原単位が上つて来ることのために、中小企業は非常にやりにくくなるというようなことについても、もし数字的におわかりになれば、その数字を御参考までにお示しを願いたいということと、さらにもし数字がございませんでしたならば、そういう理論的のことが成立つかどうか、中小企業に当てはまるかどうかということのお答えを願いたいと思います。
#48
○松澤公述人 こまかい数字的な問題については、主管官庁である中小企業庁においても、最近いろいろ統計もつくり、地方税等についても調べがございますので、一応そうした数字的なものをとりそろえて、先ほどの分と一緒にお届けして、皆さんにお目通しを願いたいと思います。
 そこで補給金の撤廃等によつて、特に鉄鋼を原料とする鉄鋼業においては、製品は安くならなければ売れないのに、原料はものすごく上つて来るというような状態の板ばさみで、ほとんど成立たない現状に置かれているという実情でございまして、今までの政策の転換をどうしてもやつていただいて、中小企業を主体とした一つの生産形態というものを考えていただき、大企業集中生産というふうな行き方をぜひ改めてもらわなければ、大部分この税制改革の影響を受けて、ほとんど成立たないというのが、まつたくの姿であると考えるのであります。
#49
○床次委員 松澤さんは中小企業の立場から、各税の免税点ということに対しても、よく御研究になつておるようにうかがいますが、先ほども従来の事業税と今度の附加価値税、固定資産税との比較の御議論がありましたが、現在の事業税に対して、これは赤字に悩んでおらぬ者が納めておる税でありますが、私どもの考え方を申しますると、免税点が中小企業は少いという、中小企業の立場を十分まだ考慮していないような気がするのでありますが、松澤さんの立場としては、現在考えられているところの事業税の免税点がどのくらいになればよろしいというふうに考えておられますか。
#50
○松澤公述人 今改正の法律は、一面現行の收益の面から行けば四千八百円という免税点が、九万円になつたのだから、小さいものは助かるのではないかということも、見方によれば考えられますが、実際において現在の免税点は、先般もいろいろわれわれ中小企業の関係の者が集つて協議した際に、少くとも最小限二十万円は考えてもらわなければならないという結論が出ておるのであります。従つていわゆる生活権を擁護するという意味におきまして、現在のような低い免税点ではいかんともしかねる。また当時の物価指数から行けば三十万円くらいが妥当だろうが、そういうむちやなことを言つてもしかたがないから、実際に切詰めたところで、二十万程度まで引上げてもらわなければなるまいという意見になつております。
#51
○床次委員 ただいまの事業税の免税点に対して、二十万と考えておるのですか。
#52
○松澤公述人 そうです。
#53
○床次委員 それから附加価位税の免税点も二十万というわけですか。
#54
○松澤公述人 そうです。
#55
○中島委員長 松澤さん、御多用のところいろいろ有益な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
 次は小林寅次郎君。
#56
○小林公述人 私は東京商工会議所議員で、ライオン油脂株式会社社長の小林寅次郎であります。私は化学工業の一部門であります油脂工業の経営に従事いたしておるのでありますが、油脂工業はその大部分が中小工業の部類に属しますので、今日は主として化学工業に従事する中小工業者という立場から、端的に修正意見を申し述べ、議員諸公の深甚なる御配慮をお願いいたしたいと存ずるものであります。但し中小工業者が目下いかに苦境にあるかというようなことにつきましては、申し上げることを差控えます。
 さて現在シヤウプ勧告の線に沿うて行われつつありまする一連の税制改革は、地方財政の自主性を確立し、地方財源の拡充、強化をなすことによつて、地方自治の助長、促進をはからんとする点におきまして、わが国の租税制度史上、まことに画期的な意義を有するのみでなく、いわゆるドツジ・ラインを基調とする諸般の財政経済政策と表裏一体の関係を持つ税制の面から、わが国の経済の安定化を促進せんとするものであると伺つております。さらに具体的に、これを機会に税制の合理化と国民負担の適正化をはかり、あわせて企業資金の蓄積をも増進せんとすることが、その眼目であると伝えられておりますので、われわれ国民はその成行きにつきまして、多大の関心を持つておるのであります。いわんや今回の税制改革によりまして、国税は二十五年度において約七百億円の減税となるのに対し、地方税はかえつて前年度千五百円のところを、二十五年度においては千九百億円、すなわち前年度に比し四百億円の増徴になるということでありますから、地方税に対するわれわれの関心はきわめて大であることを、まずもつて申し上げておきたいと思います。しこうして地方税のうち、附加価値税、住民税、固定費産税の三税は、国民の実質的負担に大幅の変更をもたらす新税であり、なかんずく固定資産税は、われわれ事業主にとりまして、改正税法中最も負担の重いものになるのではないかと考えますので、私はもつぱらこの問題を取上げて論じてみたいと思うのであります。
 まず固定資産税は、附加価値税、住民税とともに、收益を前提としない税でありますので、その国民負担に及ぼす影響のきわめて大きいことは、申すまでもないところであります。ことに化学工業におきましては、その性質上、酸、アルカリ、腐蝕性ガス等を使用いたしますので、固定資産のうち特に償却資産の損耗速度は、法定耐用年数にかかわらず概して著しいものがありますのに、過去十数年にわたつて事業主の責にのみ帰することのできないいろいろな原因から、その補修、改善が行届かなかつたうらみがありまして、現在いずれの会社におきましても、償却資産の損耗程度は、きわめて大きくなつているのが実情であります。しかるに化学工業は、一般にいまだ操業度低く、なお会社によつては未稼動設備や、陳腐化せる装置を持つていること等よりいたしまして、このたびの固定資産税が、もし予定通り課けられるとするならば、その会社経理に及ぼす影響は、まことに甚大なものがあると言わなければなりません。その上に、国税でありまする再評価差益税の納入を頭に入れて考えまするとき、課税客体ごとに課税標準や税率につきましてとくと再吟味願うとともに、これが運用の面におきましても十分弾力性を持たすよう、御配慮願いませんと、遂に租税負担に耐え得ない企業が続出するのではないかということをおそれるのであります。
 以上の通りでありますので、これから課税客体ごとに端的に私の意見、希望を申し述べたいと思います。
 土地の評価は、賃貸価格の六百倍ないし七百倍とすること。家屋の評価は、賃貸価格の八百倍とすること、但し以上によつて算出された基準価格が、実際の時価より二倍以上過大となるものについては、昭和二十五年度に限り、都道府県知事は、申請に基いてこれを二倍まで引下げ得るごとくすること。しこうして昭和二十五年度の税率は、土地、家屋とも一五%とすること。次は家屋を除く償却資産のことでございますが、これはわれわれ化学工の事業業主にとりまして、きわめて大きな問題でありまして、できますならば課税客体から削除いただきたいのであります。予算編成上万やむを得ないということでありますならば、家屋を除く償却資産の評価は、各企業が任意に行うことができる資産再評価の額と一致させて、税率は一%とすることにしていただきたいと存じます。但し償却資産の中で工具、器具、備品及び運搬具等は、消耗品に近いものでありますので、これは課税対象から除外していただきたい。なおまたこれらのことにつきまして、異議申立ての道を民主的に開いていただきたい。それから二十六年度以降の制限税率につきまして、規定ができているようでありますが、基礎統計資料が完備しておらぬように思われますので、今国会では決定を保留して、もう少し実績を見た上できめていただきたいということを考えております。
 なお附加価値税につきまして一言申し上げます。課税標準の算出方法は、間接法と申しますか、控除方式をおとりになつてもよいと思いますが、実際問題として、非常にむずかしいことを覚悟しなければならないと思うのであります。税率はぜひ次のごとくしていただきたい。第一種事業二%、第二種、第三種事業一%とすること、以上であります。
 次に問題となりますことは、はたしてわれわれ国民が安心して、また信頼しておまかせすることのできるような徴税機構と諸資料が昭和二十五年度において整備できるかどうかということであります。特に税務官吏としての適正な質を持つ人材を、多く都道府県におきまして、また市町村におきまして期待することができるかどうかという問題であります。また税のとり過ぎをされたような場合に、どういう措置をとられるかということであります。これらのことを勘案いたしまして、これを大局的に見るときに、はたして国民負担の適正化が行われるかどうか、私は疑問に思うのであります。
 いま一つは、今回の税制改革によりまして、金融資本の累積もある程度できて、遂に日本経済の再建に役立つものとなることができるかどうかということでありますが、これにつきましても、いささか疑念なきにしもあらずであります。本委員会の諸公が格段の御配慮をくださいまして、以上申し上げましたことを十分におくみとりくださるようにお願いして、私の公述を終ります。
#57
○中島委員長 小林さんに御質疑はありませんか――御質疑はないと認めます。
 それでは一時半まで休憩いたします
    午後零時三十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十一分開議
#58
○中島委員長 これより再開いたします、
 休憩前に引続き、公述人各位の御意見を承るごとにいたします。まず内山徳治君よりお願い申し上げます。
#59
○内山公述人 私は本日は日本租税研究協会の研究部長としての立場から、若干の発言をさせていただきたいと思うのであります。日本租税協会と申しますのは、研究団体でありまして、経済界、学界、言論界、弁護士、計理士等の法曹界、各方面の税に関するエキスパートが集つている研究会でございますが、協会としての一致した結論的な意見を出すことは、原則としてやらない建前になつておりますので、日本租税研究協会の意見がこうであるということは、私としては申し上げられないのでございます。ただこの協会の関係者の意見が、どういうふうな方向に向いているかということについては、絶えず注意をいたしておりますので、その間におのずから大体各方面の意見の動向に一致をしている点がございますので、そういう点のおもなる問題点を御紹介申し上げまして、あとで若干私自身の私見を述べさせていただくことにしたいと思います。
 本日地方税に関する問題でございますが、少し調査の時期が古いのでございますけれども、二月の下旬ごろに、協会の役員及び地方税委員会等の委員の方々に質問を発しまして、おもなる問題についての考え方をまとめたものがございます。大体その書類は、国会関係等にもお送り申し上げておりますので、お目通しいただいている方がおありと存じますが、要点だけを簡単に御説明申し上げてみたいと思います。
 まず第一に、今度のシヤウプ案に現われております地方税の体系の基本的な問題でございますが、これにつきまして一つの問題は、今度の税制の体系は、従来日本の地方税は事業税その他收益税を基礎とした課税が中心をなしておつたと大体言えるのでございますが、今度の改正案におきましては、それがなくなりまして、固定資産税、附加価値税というふうな、收益を基準としない税が、中心になつているわけでございます。この点をどういうふうに考えるか。日本の実情から見て、そういう考え方がそれでいいかどうかという問題でございます。この点についての回答がありましたが、大体の状況を申し上げますと、財界方面からの回答としては、十九名返事がございましたが、そのうち、このような体系でよろしいという答えは二名だけで、あとの十七名は、日本の実情から見て、この考え方は妥当でないという返事でございました。しかし学界、言論界におきまして七名の回答がありまして、この方では原案でよろしいというのが三名、これでは妥当でないというのが四名、あまり大きな差はございませんが、やはりこの考え方に若干修正を要するという意見の方が少し多いのでございます。その他法曹界等の方面では、賛成が四名、修正を要するという意見が六名でありまして、大体全体といたしまして、この根本の考え方について、日本の実情から見ては、ある程度修正をしなくてはむりだという意見が、圧倒的であるということは言えるわけであります。その理由につきましては、あらためて申し上げるまでもないと思いますから、省略いたします。
 なおこの調査には現われておりませんが、その後いろいろな会合等において現われております意見といたしまして、今度の府県税の中に、農業に対する税が一つも入つておらない。この点が府県の行政を農業からわけてしまうという点が、相当問題になることは、しばしば協会の中でも、やはり一つの重要な問題として考えられていることを、申し上げておきたいと思います。
 次に今度の地方税が大体全体としてみまして、財政上の必要に比べて、税收の見積りといいますか、課税方法、あるいは課税標準、あるいは税率等の関係から見まして、特に固定資産税においてそうでありますが、相当に余裕のある見方をしている。たとえば固定資産税で申し上げますと、地租、家屋税だけで、大体予定の税收が上るはずであつて、減価償却資産だけが余分になるというように一応見えるわけでありますが、この点について租税協会の関係している專門家たちは、どういうふうに考えておるかということを調べてみたのであります。その結論によりますと、やはりこれでは見積りが多過ぎる。このままでこの通りに徴税をやれば、收入の方がオーバーするという見方が圧倒的に多いのであります。すなわち財界方面では、十九名の回答中、收入が多くなり過ぎるだろうという見方が十八名、まあこの程度が妥当であろうというのが一名あります。学界、言論界では、收入が多くなり過ぎるというのが六名、大体妥当という回答が二名、その他法曹方面十名のうち、收入が多くなり過ぎるというのが九名、大体妥当であるというのが一名、こういう状況でございます。この問題は、結局そういう状況であるから、このシヤウプ案で大体予定せられているような歳入計画の上から見ても、ある程度減税の余地があるという結論を出したものと見ていいと思うのでありますすなわち納税者の状況からでなしに、財政の方面から見て、減税の余地があるというふうに判断をしている。こういうことでございます。そこでそれではその意味において減税をします場合に、どういう方向で、どういう方面に現われるのかということでございますが、これにつきまして、おもなる税目といたしまして、固定資産税と、附加価値税と、住民税の特に所得割の部分等について、原案の税率が大体やむを得ないと考えるか、高過ぎると考えるかということについての回答を整理してみました。それによりますと、固定資産税については高過ぎるという回答が、財界の方面では、十九名のうち、十八名が高過ぎるという回答を送つてよこしました。それから学界、言論界では、三名だけはやむを得ないという回答で、五名が高過ぎるという回答で、その他の方面では八名が高過ぎるということで、二名だけはやむを得ないということであります。それから附加価値税については、第一種事業四%でさしつかえないかどうかという質問を出したわけでありますが、財界方面では、これは回答者が一名少いのでありますが、十七名が高過ぎるという回答で、その程度でよかろうというのが一名、学界、言論界では、七名の回答者の全部が高過ぎるという回答であります。それからその他の法曹界関係では、高過ぎるというのが八名で、大体それでいいというのが二名、次に住民税の中の所得割の課率、これは質問を出しました当時あまり明確でなかつたので、二〇%でいいかという質問を出しましたので、現在の原案は一八%でありますから、幾分か数字を動かしてみる必要があるかもしれませんが、二〇%ではどうかという質問に対しましては、財界方面からは、十八名が高過ぎる、一名はその程度でよかろう。学者の方面では、五名は高過ぎるという返事、二名がやむを得ないという返事、それからその他では八名が高過ぎる、あとの二名だけはその程度でやむを得ない。大体こういう状況でございまして、全体の中の財界方面で申しますと、六、七パーセント、それから多いところでも八分の三はやむを得ないということですが、学界、言論界のうちの五名、大部分の人はやはり税率が高過ぎる。すなわち税率をもう少し低めるように修正した方がいいという結論になつたわけであります。
 それから税の負担が重すぎるかどうかという問題は、申し上げるまでもなく課税標準のとり方と非常に関係がございますので、税率はすえ置きであつても、課税標準のとり方が低くなれば、それで埋合せがつくわけでございますが、課税標準の問題は、今度の地方税が新しい制度でありますために、実際の正確な見当をつけることは非常にむづかしゆうございまして、ただいま申しましたような調査を私どもとしてとることは実はできなかつたのであります。しかし部分的にはいろいろな意見が出ておりまして、それにつきましてはあとで私の考えとして申し上げますときに、少し織り込んで申し上げさしていただきたいと思つております。
 次に、今度の税制の中で特に問題の多いのは、附加価値税でございますが、この附加価値税につきまして、もう少し内訳の、ただいま申し上げましたような調査の結論を、御紹介申し上げてみたいと思います。第一に附加価値税の計算方式でありますが、原案ではいわゆる差引計算の方式をとることになつておりますが、その方法と、それから減価償却を普通の方法で行い、たなおろし資産の増減をやはり計算にいれて、そうして寄せ算方式をとる場合と、どちらに賛成をするかということの調査をしたのであります。それによりますと、財界方面からは十七名回答がございましたが、そのうち十六名は寄せ算方式に改めた方がいいという意見であります。一名だけが原案でよろしいという回答でございました。それから学者の中では、六名のうち四名がやはり寄せ算方式に変更した方がよろしいという意見でございました。弁護士、会計士方面では、十名のうち六名は寄せ算方式に改めた方がよろしい。四名だけが原案でよろしい。この点につきましても原案のままでよろしいという意見も若干ございますけれども、やはり大勢は減価償却、たなおろし資産の増減等に対する考え方を、普通の会計方式に従つて、寄せ算方式によつて、附加価値を計算した方が妥当である。学者、法曹界等も各界を通じまして、大体結論はそういう方向にあるということがはつきりわかるわけでございます。なおその同じ寄せ算方式をとります場合でも、ここに一つ非常に問題になりますのは、借入金の利子が二重課税になりはしないかどうかという問題があるのでございます。この点につきましてやはり私の勤めております経済団体連合会その他財界方面からは、附加価値税の課税標準としては、支払い給与と利潤、この二つだけを課税標準にすることにして、利子と賃貸料とは課税標準に入れない方がよろしいという意見が相当多いのでございます。その考え方に従いますと、結局借入金の利子は課税標準に加えないという考え方になるわけでございます。もつともこの考え方は、借入金の利子なり、あるいは賃借料なりというものが、全然課税されないということではないのでございまして、それは結局支払つた方に課税をしないで、受取つた方に課税をするという考え方になるわけでございます。すなわち支払つた方で課税しないかわりに、受取つた方ではそれを利潤の中に含めて課税をする、こういう考え方になるわけでございます。そうすることによつて二重課税にならないようにするという考え方が成立つわけであります。この点につきましてはシヤウプさんがあとから補足的な説明を送つて参りまして、それは二重にはならないのだから、課けた方がいいのだという意見を送つて来ておるわけでありますが、これを日本側から見て、いろいろ研究しておる方方の意見がどうであるかということを聞いてみたわけでありますが、その返事を整理してみますと、財界の方面の返事は、十九名のうち十七名までは、それは実際上やはり二重課税になるから、それを遅けるようにした方がいいという回答でございます。それから会計士あるいは弁護士方面も、十名の回答者のうち七名までは、二重になるから支払い利子の方には課税しない方がいいという回答でありました。ただ学界、言論界の回答七名のうち、これは反対に五名が課税してさしつかえないという回答でございました。そういうわけでこの点につきましては、学者の間ではむしろシヤウプの案でよろしいという見方が、少くとも二月下旬ごろとしてはそうであつた、しかしその他の実際方面の方々は、それはやはり支払い利子には課税しない方がいいという意見でございました。こういうぐあいに附加価値税につきましては、その課税標準の計算方式等についても、相当問題があるのだということを、基本的な問題として申し上げたい意味で、御紹介申し上げた次第であります。
 附加価値税につきましては、その他いろいろな問題がございますが、特に課税標準の計算方式その他の点で問題が多うございますので、そういう点を十分に究明することと、それから負担の関係から見ましても、業種別に軽くなるところと重くなるところの差が非常に強うございまして、私どものやや断片的ではございますが調べておりますところでは、附加価値税がすべての業種に重くなるということは決してございません。明らかに従来の事業税よりも附加価値税にかえた方が軽くなるところも、実際の調査の中から現われて来ておりますが、しかし重くなる方は相当きつい加重になりまして、とても負担に耐え切れないだろうと思われるほど重くなるところが相当ございますので、その意味から言つても、附加価値税についてはどうしても根本的な再検討が必要である。これはただいま申し上げましたように、課税標準等の計算方式にまで立入つた研究が必要になつて参りますので、これを十分に究明して、どういう方法が一番いいかという結論を出すのには、相当時間がかかる。それからまた一方から見ますと、これは附加価値税だけではありませんが、地方税の実施については、今までまつたくそういう方式をとつていなかつた新しい方式を採用するのでありますから、各地方自治体等においても、十分の準備を整えてかかる必要がある。そういつた意味からいたしまして、あるいはこの税はしぼらく実施を延ばして、その間は暫定的に従来の事業税にも欠陥がございますけれども、その直すべき点を若干直して、続ける方がいいではないかという考え方が、日本租税研究協会といたしましても、特に昨年の十二月ごろ一時相当に強くなつたのでございます。その後司令部側の見解がかわつて参りまして、またシャウプさんからの手紙が参つた等の関係もございまして少し空気がかわつて来ておるのでありますが、二月の下旬ごろにおいて、その点について協会の関係者はどういうふうに考えておるかということを一応調査いたしてみました。この調査は大体三段にわけまして、原案の考え方で実施すべしというのと、原案はむろんかえる必要がある、附加価値税の本質をかえない程度の修正は実施すべしという方に入るわけでありますが、むしろ附加価値税をこの際もつと違つた税制にかえて、実施してしまう方がいいという意見と、それからこの際そういう違つた税制制度に変更するというようなことは、相当長い間かけて研究する必要があるのだから、延期しておいて、延期しておる間に根本的な研究をした方がいいではないかという延期論と、つまり附加価値税の実施論と、それから修正というよりも変更論、それから延期論、こういう三つにわけて回答をとつてみたのでありますが、その結果によりますと、財界方面では十九名の回答者のうち、実施してよろしいというのは三名でございます。それからこの際もつと違う税制にかえた方がいいというのが八名、それから延期した方がいいというのが八名でございます。それから学者、評論家等の方面では、少し状況がかわつて参りまして、実施すべしというのが四名、それから違う形にかえて実施すべしというのが一名、延期すべしというのが二名でございます。法曹界方面では、実施すべしというのが二名、それから変更して実施すべしというのが二名、延期論が六名で、法曹界方面でに延期論が非常に比率が高い。要するに学者方面では附加価値税は附加価値税として実施すべし、むろんその中には附加価値税としての修正論を含んでおりますが、実施すべしという見解が一番強いのでありますが、実際家としての経済界方面の方々、あるいは経理士、弁護士等の方面の方々には、延期すべしという論も相当強い。また他の税にかえた方がいいという論も強い。こういうようなわけでございまして、附加価値税についてはずいぶん根本的な点で問題があるということが、はつきりいたすわけでございます。
 大体基本的な考え方を御紹介申し上げますと、以上のようなわけでございまするが、これはいずれも非常に根本的の問題になりますので、今日といたしましては、そういう根本問題もむろん考える必要がありますが、それはそれとして、さしあたつて二十五年度をどうするかという当面の問題を、どうしても考えなくてはならない必然的な関係にあると思うのであります。そこでそれにつきまして、以下私自身の私見が入ることになるわけでございますが、ただいまのところ考えております結論的なことを、数点申し上げてみたいと存じます。
 まず根本的な問題に対する理論というものは、今となりましてはそれを強く主張すること、時間的にむりであるということを私どもも実は認めざるを得ないのであります。従いましてそういう根本論はあらためて、二十五年度の途中からでもむろんさしつかえないのでありまして、できるだけ早い方がいいのでありますが、あるいは二十六年度以後において根本論をもう一度よく検討する。これには必要な資料を整える必要もあると思うのでありますから、相当の時間をかける必要がございますので、そういうふうに将来の問題としてやつて行く必要があるのではないか。そういたしますと結局現在といたしましては、二十五年度の実施をまずどうするか。ここにあまりに大きな混乱と不都合とが起らないように、またできるだけ徴税面の円滑に参りますように、若干の変更を加えるという考え方をとることがきわめて必要である。そういう立場におきまして、この修正の問題を考えてみますときに、私はことに固定資産税と附加価値税につきまして、特にこの点を御考慮願いたいという点を数点申し上げてみたいと思うのでありますが、まず固定資産税につきまして、やはり一番問題になりますのは、負担が過重になるところが相当できて、この方は附加価値税とは違いまして、軽くなるところは一つもないのでありまして、全部が非常に重くなるのでありますから、結局重くなる負担に耐え得るか耐え得ないかということが、結論的の問題になるわけであります。ところがだんだん調べてみますると、とてもこのままで行つては重くて耐えられないだろうというところが相当に出て参りまするので、そういう点を何とか直さなければならぬということが、問題の中心になると思うのであります。そこでまず土地と家屋でございますが、これは具体的には従来の地租、家屋税を一定の倍率で、今度は賃貸価値を九百倍という率で参りますると、約三倍強になると思いますが、そういうふうにふやすということになるわけでございますので、その三倍強にふやしたことから起る結果についても、若干の考慮を払うということと、それからきわめて特殊な場合には、若干の匡正策を考える。これよりほかに行きようがないものと思うのでありますが、それと同時に、でき得れば税率を一・七五%というものをもう少し引下げることの方が、結局において実際の税収の点において、かえつていいのではなかろうか。徴税事務を円滑に行い、結果において比較的公平であつて、比較的税收を確保する方法としては、税率をもう少し下げた方がよくはないか、こう思うのであります。ただ一率に税率を下げただけでは救われないところが、どうしても出て参ります。というのは、従来全然考慮されておらなかつたいわゆる減価償却資産に、今度課税されるようになるということであります。この方は従来全然税を負担しておらなかつたところへ、固定資産を相当多額に所有しておる事業になりますと、非常に重い税になつて参りますので、これは業種別に考えまして、非常に重くなる業種について何らか特別の考え方をとる。これよりほかに行きようがないと思うのであります。その場合に具体的な方法といたしましては、でき得る限り資産の種類に応じた特別の税目を設ける。軌道税のようなものでありますとか、あるいは船舶税でありますとか、そういうもので救い得るだけ救うことが、まずもつて必要であると思います。
 それから税率につきましては、土地、家屋につきましては、従来から税を負担しておつたのでありますが、減価償却資産の方は、従来全然負担しておらなかつたところへ、新たに税を課けるのでありますから、ある程度、土地、家屋に対する税率と、減価償却資産に対する税率とは、かえてもさしつかえないのではないかと思うのであります。できるならば、その税率を低くするということが、好ましいと思うのであります。しかしこれも相当根本の点に触れて来て、非常に困難であるということでありますれば、最後の考え方といたしましては、結局課税標準をできるだけむりに行わないようにするということになるわけでございまして、減価償却資産については、法案の上では帳簿価額または実際の再評価価額を下まわることができない、それ以上でさえあればいいというふうな表現になつておりますけれども、地方自治庁の考え方を聞いてみますと、それは大体において再評価の最高基準をとることにしたい。ただそのうち陳腐化等の減価のはつきりしておるものだけは、これは差引く。しかし実際の毎評価をそれより低くしておつても、その方はとらないで、高い方をとるのだというふうに説明をしておるのであります。これは根本の考え方といたしまして、課税標準を高くし、あるいは税率を上げる方がいいという考え方であれば、その方がいいと思うのでありますが、根本において今度の税は、負担関係から見て、相当むりがあるのだ、従つてあまり税は多くしない方が、かえつて結果において円滑に行つて、公平な税になるのだという考え方をとりますならば、低い方による方がいい。そういう意味において第一に実際の再評価価額、つまり帳簿価額と大体近いものになると思うのでありますが、それをとる方がいいと考えるのであります。
 なおこの実際の再評価価額をとつた方がいいと思われる一つの理由といたしまして、今度のこの減価償却資産に対する課税というものは、法人税あるいは所得税における減価償却によつて、それを損費と認められる、その減価償却と関連を持たせた考え方に大体なつておると思うのであります。法案の中にもそういう字句が使われておるわけでありますが、減価償却が認められるその反面として、これに対する固定費席税を課する。こういうのでありますからして、評価の点においても、その減価償却の恩惠を受ける基礎になるところの評価を、固定資産税の課税標準に使うということは、少くとも一つの大きな事由になり得ると思うのであります。むろんその点につきましては、根本的には違つた考え方が相当あると思うのでありますけれども、さしあたり二十五年度の問題といたしましては、そういう考え方をとることがむしろ妥当ではないか、こういうふうに私は考えるのであります。もちろん帳簿価額あるいわ再評価価額というものは、実際を見ますと非常に不公平、あるいはほとんどでたらめと言いたい結果が出て来るということは、私もある程度実際の数字から見て、そう考えております。非常に差が起るのであります。同じ種類の資産で、片方は十倍の評価になり、片方は十分の一の評価にしかならぬというような場合が、これは耐用年数のとり方とか、従来の税制が悪かつたために、そういう差の起つて来る面が相当ございます。しかしこれは、再評価の基準を出すときにもそうでございますが、従来の税制から起つて来た結果についてはやむを得ない。それはその通りやるという考え方になつているのでございますから、今度の固定資産税につきましても、従来の税制の不備から起つて来る不公平というものは、一応目をつぶつてかかるよりほかにないのじやないか。それは二十六年度以後の問題として、耐用年数の再検討とか、減価償却の方法の再検討等によつて、漸次直して行くという考え方をとるべきではないか、こういうように考えております。
 なおこの減価償却資産につきまして、最近日本租税研究協会の方の会員の中から承つております問題を、一言つけ加えさせていただきたいと存じます。それは民間の研究機関が持つております実験その他の設備に対する課税問題でございます。それらの研究機関がある程度営利事業として営業的にそれを使つている場合には、これは課税されてもいたしかたがないけれども、研究用の施設、機械等であります場合には、ぜひこれは税が課からないようにしてもらいたいという申し出を受けているのであります。国会に提出いたされました法案を拝見いたしますと、大体においてそういうふうに解釈し得ると思うのでありますが、しかし字句がなお少し不明確なところがあるようでございます。事業の用に供し得る資産というような言葉が使つてございまして、また減価償却を行わない場合でも、同じような資産を課けるというような点がございますので、もし地方庁で違つた解釈が行われるというようなことがあつては、無用な摩擦を引起す危険もございますので、この点をどうかもう一層明確にしておいていただきたいということを、これは私からもお願い申し上げておく次第でございます。
 それから次に附加価値税につきましては、これは単に全体としての税が重くなるという問題ではなくして、むしろ軽くなるところと重くなるところと相当のでこぼこができて、重くなるところは、一方ではとても耐え切れないほど重くなるものがあるという点に、一番大きな問題がございますので、これにつきましては、根本から申しますと、結局課税方法そのものにさかのぼつて全部を研究いたしませんと、今提出せられておりますような原案をそのまま認めた上で、不都合の起らないようにする方法を考えるということは、実は非常にむずかしいというように私は考えているのであります。しかしながらただこれについて一つ申し上げてみたいと思いますことは、けさも安藤さんからお話がございましたが、普通の附加価値の計算方式によらずに、総売上高、あるいは総收入に対するある比率をかけることによつて、それを課税標準とするという考え方でございます。この考え方を、特に税が重くなり過ぎて困るという業種に対して、できるだけそういう方式をとる範囲を広げていただくことが、きわめて有力な、また効果的な救済方法になるだろうと思うのであります。実はこの税制改革のときの負担の変化があまりに急激に来るということは、いずれにしても非常におもしろくなく、避けねばならないことでありますので、過渡的に経過措置として、ある程度以上に変化がきつくなつた場合には、減免の措置を講じ得るようにすることがよくはないかという考えがあるのてありますが、基本的には私もそういう考え方をするのが必要だと思うのであります。その考え方を、附加価値税の実際問題といたしましては、今のような便法をとることによりまして、普通の方法で計算をした附加価値率をそのままとらないでそのままとつては少し重くなり過ぎる場合に、それをある程度手かげんする一つの便法として、これを使うようにすることが必要ではないか。こういうように実は感ずるのであります。もしそれが、相当にできれば、非常に困る点は解決して行けるのではないか、こう思うのであります。
 ただ最後にもう一つお願い申し上げておきたいと思いますことは、ただいま申し上げましたような附加価値に対する修正にしましても、あるいは固定資産税に対する修正にいたしましても、業種別に検討して行くということになりますると、時間的に少し間に合わなくなるものが出て来る危際があるということでございます。もはや二十五年度に入つておる昨今のことでございますから、修正はするといたしましても、早く成立しなくては非常に困る点があると考えますので、法律としては早くこれを成立させる必要があると思うのでございます。その場合にただいま申し上げましたようないろいろな非常に不合理な点を直す措置が、時間的に間に合わないというおそれがあるのでございますから、それらにつきましては、あとからある程度そうした違つた措置ができるような何らかの便法を講じていただくことができれば、実施の上において非常に都合よくなるのではないかと思うのであります。これは何らかの方法によつてはできるはずだというふうに私ども考えまするので、最後につけ加えて申し上げます。以上で私の公述を終ります。
#60
○中島委員長 内山さんに御質疑ありますかないようであります。内山さん、まことにお忙しいところをありがとうございました。
 次は山崎勉治君にお願いいたします。
#61
○山崎公述人 お手元に差上げてあります私の所属団体は、書き違いでありますので申し上げます。私は全国指導農業協同組合連合会の中に事務所を置いております各種協同組合の協議会であります協同組合課税対策協議会の者でありまして、日本協同組合同盟の中央委員であります。それがごつちやになつて書いてありますので、申し上げておきます。私どもは今各種協同組合が一致して、新税法案による協同組合に対する課税反対の運動を起しておりまして、それにつきましては、すでに請願を国会に提出しており、文書をもつて申し上げておりますので、本日は私どもの意見を重点的に申し上げてみたいと思います。
 私どもは協同組合に対する附加価埴税並びに固定資産税の課税に反対いたします。市町村民税につきましては、本部の均等割にのみ課税されたいと思います。国税につきましては、法人税二五%すえ置きを主張いたします。私どもは新税法案による協同組合に対する課税に反対する理由は明白であります。一般法人の代表的なものは会社でありますが、会社は商法が営利を目的とする社団であると定義しておる団体でございます。これに対しまして協同組合は農業協同組合法の第六條が「組合は、その行う事業によつてその組合員及び会員のために最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行つてはならない。」と規定しておりまして、消費生活協同組合法におきましては「国民の自発的な生活協同組織の発達を図り、もつて国民生活の安定と生活文化の向上を期することを目的とする。」と定めておるものでございます。そのほかの協同組合につきましても同様でございます。かくのごとく、一般会社は営利を目的としており、協同組合は営利を禁ぜられ、收入において惠まれない勤労者や農民、漁民が、組合員同士の相互奉仕によつてお互いの生活と文化の向上をはかり、ひいては国民全体の生活の安定と文化の向上をはかることを目的とすることを、法をもつて規定されておる団体でございます。新税法案におきましても、社会事業法人や教育事業法人には、法人税や附加価値税や固定資産税、市町村民税が免税されております。それから消費者、勤労者大衆の中の比較的收入に惠まれたもののつくる住宅組合や国家公務員共済組合には、法人税が免税されております。大資本の行う金、石油、石炭、亜炭の採掘、石灰窒素、過燐酸石灰の製造を行う会社に対しましては、創業後三年間法人税が免税されております。協同組合はこれらの法人に対しまして、決して劣らない公共性を要求されております。しかもこの社会的、文化的事業の経費を、経営の中から自給自足しなければならないものでございます。しかも物資の統制がはずされようとしておる今日、経済政策的見地から見ますれば、別表日銀の統計と商工省物価指数と神戸消費組合物価指数の変動の波の統計をそちらに差上げておきましたが、協同組合は常に適正な価格をもつて、一般商業市場の投機的価格の変動を抑制することによつて、勤労大衆の生活の安定に寄与しようとしておるものであります。戦前の農村産業組合は、販売事業におきましてもこの目的のために、米麥、生糸等につきましては平均売りの方法を用いております。しかも生活協同組合は員外利用を禁ぜられておりますし、そのほかの協同組合は員外利用を年度内事業分量の二〇%に制限されておるのであります。これに対しまして、一般営利法人と同様の課税をしようとすることが誤つておるということは、明白であると思うのであります。昨年インドのラクノーにおきまして、国際連合の食糧並びに農業機構主催のもとに開催されました東南アジア農業協同組合專門会議が、協同組合に対しては原則として免税をすべきであるということを決議いたしておりますが、これは日本においても妥当な見解であると考えます。日本におきましても、明治三十三年に産業組合法が制定されましてから、日華事変当時までは、協同組合に対しましては課税をしない方針がとられておつたのでありましたが、昭和十五年に、日華事変の最中に、事変終了後廃止するという條件で、特別法人税が課せられました。昭和十八年の太平洋戦争の最中に右の條件が削られまして、終戦に至つたのでございます。私どもはこの戦争中に、いろいろなものをだまして取られたのでありますが、今から考えてみますと、協同組合の課税もだまして取られたような感じがするのでございます。終戦後も協同組合に対する課税が廃止されるに至らず、逆に昭和二十三年に特別法人税が廃止せられまして、一般法人税が二五%と、それから従来地方税が課せられてなかつたのが、事業税が一〇%課せられるようになりましたが、このときはまだ税率の上で一般法人に比しまして、それぞれ1〇%並びに五%の軽減が行われておりました。ところが今次の税法改正におきましては、この差別も廃止せられまして、一般法人と同様の基準をもつて協同組合に課税し、組織の根本の異なる協同組合の運営を破壊しようとしております。私どもの農村産業組合に関しましては、戦前の協同組合運動を考えてみますと、明治三十三年以来の長い歴史によりまして、戦前すでにどこの国のおせわにもならないで、われわれ自身の力によつて世界第一の大きな組織をつくつておつたのでありましたが、現在の協同組合は、みな戦後におきまして新法によつて設立され、または改組されたものでありまして、経営の基礎がまだ定らないものでありますし、しかも日本の農業の経営は、御承知の通り非常に規模が小さく、戦後ことに細分化されました。しかも農産物の国際商品化の傾向が強いので、農家の経営というものは、協同組合なしには立ち行かないのであります。これに対して免税、減税のかわりに、重税を課せられようとしておるのが、今度の新税法案でございます。同じ敗戦国でも戦後の民主化されたイタリア等の国などは、一九四七年に制定された新憲法の中で、協同組合育成の方針が明記されており、協同組合に対する減税が断行されております。ところが今次の新税法案におきましては、国民全体として非常な税の軽減が宣伝されております中に、協同組合のみが国税におきましても、地方税におきましても、非常なる重税を課せられようとしておるのでございます。その詳細は別表につくつて差上げてある通りでございますが、一例を申しますれば、農業協同組合の固定資産税は、百三十二倍になります。なかんずく附加価値税に至りましては、現行の事業税と比較しまして、生活協同組合が五十一・八倍になります。農業協同組合の方は、これは農林省の調査と全国指導農業組合連合会の調査とでは、少し数字が違いますけれども、指導連合会の調査によりますと五十一二倍になります。水産業協同組合並びに市街地信用組合の場合は三倍の増税となります。これに反しまして、地方自治庁の調査によりますと、一般会社法人の場合は、電気器具製造業とメリヤス製造業以外は、全部現在より減税になります。物品販売業に至りましては、〇・六六倍となる勘定でございます。
 この附加価値税を協同組合に課せられることが、協同組合の経営を根本的に破壊し、協同組合の生命を奪つてしまうということは、附加価値税の内容を検討すれば、さらに明白であると思います。附加価値税は具体的には剰余金、支払金、支払利子、減価償却費等に課せられるようになりますが、協同組合は営利事業でありませんから剰余金がきわめて少く、あつてもこれを組合員に払いもどすことが特色とされております。従いまして協同組合の剰余金はきわめて少いのでありまして、これも別表につくつて差上げてございますが、全国の生活協同組合の昭和二十三年度の総合統計によりますと、附加価値総額のうち、わずか〇・八%が剰余金であります。これに対して協同組合の方は人件費の経費中に占める率が非常に多いのでありまして附加価側のうち九四%が人件費になるのでございます。わずか〇・八%の剰余金をもちまして、附加価値全体に対する第一種事業の標準四%、最高八%の附加価値税をまかなうといたしますれば、剰余金の五倍ないし十倍の金額の課税をさせられることになりますから、協同組合がこの差額を営利法人同様に協同組合員である消費に転嫁しない限り、どんな経営の堅実な組合でも、組合の経営は破壊されてしまうことは明らかであると思うのでございます。消費者の相互組織でありまして、営利を禁ぜられており、経営規模の小さい員外利用の許されない、あるいは制限されておる協同組合が、どうしてこれを組合員、消費者に転嫁することができましよう。苦しい消費者に転嫁するには、協同組合法の禁止條項、協同組合自身の信念を裏切りまして、組合員以外の一般人に対して、営利を目的として販売するよりほかに道がないのでありまするが、それは協同組合自体の自殺になります。従つて今生活協同組合運動などでは、もし政府原案のままで地方税法が通過いたしましたならば、消費生活協同組合法を返上してしまえという意見が、支配的になつて来ておるのであります。政府は取引高税を廃止したことをもつて、この補いとしようとしておるかもしれませんけれども、取引高税撤廃運動を昭和二十三年に私どもがやりましたときには、あのときには私が日比谷の大会の大会責任者でありましたが、あのとき私どもがほとんど全国一致の国民的運動として、取引高税に反対しました第一の理由は、それが消費者の生命線を越えて搾取するというところにあつたのであります。協同組合に関する限り、附加価値税はそれ以上に消費者に転嫁されることになります。何となれば取引高税は米や麦やいも類、野菜、魚、みそ、しようゆ、食用油脂、薪炭等、協同組合の主要取扱い品には課税されなかつたのでありますが、附加価値税はこの部分の人件費に一番多く課税されるのであります。当時取引高税廃止に賛成した自由党は、このときにかかわり財源として、酒造税の増加を計画されておつたと思うのでありまして取引高税よりももつと悪い附加価値税を設けることではなかつたと思うのであります。それでも協同組合に課税しなければ、国の財政がつぶれるとでもいうならば別でございますが、別表のように協同組合から得られる税收は、附加価値税総額四百四十億円、そのうちわずか二・七九%であります。固定資産税総額の五百二十億円のうち四・四%、市町村民税六十億円のうち一・一%、地方税総額千九百四十三億のうち、一・八六%にすぎないのでございます。しかもこれを課せられることによりまして、協同組合としては、その経営の根本が破壊されることになるのでございます。
    〔委員長退席、大泉委員長代理着席〕
 私どもとしましては、こういう税を協同組合に課されるということは、税をとることだけを知つて、そのためによきことを行う者を罰する行為であつて、私はこれは政治に理想あるものの行う立法ではないと考えております。幸いにしまして、地方行政委員長の私案として、私どもの要請のように、協同組合に対する附加価値脱免除、市町村民税は本部のみ課税されるような私案が発表されておりますが、たいへんありがたいことであると存じます。これに固定資産税の免税が加わりますれば、私どもの要請は全部いれられるようになるのでございますので、どうかこれが委員長の私案ではなく、国会の法案として通過するように御尽力をお願いしたいと思います。
#62
○大泉委員長代理 何か御質疑ございませんか御質疑がなければ、次に原島照房君にお願いいたします。
#63
○原島公述人 私はただいま紹介をいただきました東京都職員労働組合の副執行委員長をしております原島照房でございます。
 今回の地方税制改革に対しまして、その地方財政の確立による健全化という方向については、きわめて同趣旨を持つものでありますが、地方財政は、二十三年度、二十四年度において、四百億円の寄付が行われ、この寄付金をもつてかえるがごとき状態に相なつておるのでございますが、この寄付金の内容につきましても、二十三年度、二十四年度におきましては、各地方自治体において、教育に関する六・三制施設その他の拡充の問題、あるいは消防署、警察署等の自治体移管に伴う急速なる実施によつて、これらの寄付がほとんど強制的に行われたような実情に相なつておりまして、これがために多くの市町村長が辞職せられるというような責任問題まで惹起した、重大なる財源の捻出に苦難をいたした次第に相なつておりまして、これをただちに地方税の財源の対価として、四億円を目途といたしたことについては「われわれとしてはきわめて反対せざるを得ない実情にあるのであります。
 なお今回の税制の種目の整理にあたりまして、一応都道府県においては、附加価値税のみがその財源の骨子と相なつておりますが、この都道府県における利益代表である、いわゆる議決機関の議員各位が、附加価値税のみによつて、この課税対象外に置かれる農村方面の問題に対しまして、直接的なつながりが非常に稀薄と相なつておるということについては、われわれとしては非常にこれを憂うるものであります。
 さらに今回の税制改革に伴いまして、その納税徴收対象に対する徴税機構というものが、地方自治体においてはきわめて稀薄に相なつております。非常に不健全な立場に置かれておりまして、国においては国税庁等の設置に伴いまして、相当の拡充をなされたのでありますが、地方の公共団体においては、これらの徴税機構はきわめて微弱であります。従つてその税制機構の改革に伴つて、この徴收については、きわめて危ぶまれるものでありまして、これが急速に徴税の健全化をはかる意味においては、なおさらに人員の増加と、その職員の質的な向上のためには、相当程度の期間を要するものと考えるのであります。この税の内容にあたりましても、固定資産税あるいは附加価値税あるいは住民税等におきまして、それぞれ一般の、いわゆる勤労者を二重、三重に税対象として、大衆課税に相なつておる。かような問題に対しましては、われわれとしては大衆課税に伴う悪税と考えざるを得ないのであります。
 なお現行におきましても、税の課税に伴う徴收の滞納及び未納等が、二〇%程度考えられておりまして、今回の四百億の増税に伴つて、なおさらに増加するのではないかという憂いを持つものであります。現在の日本の実態におきまして、税の実情というものは、遺憾ながら住民各位の末端まで徹底しきらないうちに、いろいろ拔本的な改正が行われるということに対しましては、その徴税の職に当るわれわれ職員としては、これらの問題について感情的な非難が多々起きまして、きわめて苦境に陥つておることは、きわめて遺憾とするのであります。かような観点から、少くとも今面の税制の改革にあたりましては、なおさらに数箇年の国費支弁に伴いまして、漸進的にこれら地方財政の拡充に努力せられんことを特に希望いたすものでありまして、今回の税制の原案に伴う実施は、その実在するわれわれ職員の立場からするならば、きわめて徴收困難に陥り、あるいはこれらの税の対象となる労働者の賃金から見られるところの、いろいろな税過重に伴つて、企業の、物の製造等におきまして、人件費の増加に伴うこれらの業者の人員の整理、その他の社会不安を惹起せざるを得ないような実情に追い込まれると考えておりますので、どうか本案についてはなおさらに延期せられたい、かように考えるものであります。
 きわめて簡単でありますが、骨子として申し上げる次第でございます。
#64
○大泉委員長代理 何か御質問はありませんでしようか。
#65
○龍野委員 ただいまの御説明は、要するに、本法案が地方税の確立を目指しているのはけつこうだけれども、徴收困難だから、もう少し実施を延期してもらいたいということですか。私ちよつと結論をのみ込めなかつたものですから、御質問申し上げます。
#66
○原島公述人 ただいまの御質問に対しましては、現在の実情から推して、本法案を強行することは困難である。従つて大衆課税にならないようにそれぞれ税負担を軽減して、そうして納得のでき得るような立場に立つた際に実施してもらいたい。かような考え方でありまして、地方財源の確立という、その目的とするものについては同一趣旨を持つものであります。かような意見であります。
#67
○大矢委員 今度の税制改革で、東京都として、直接関係されている徴税吏員を、どのくらい増員しなければならぬかということを一応計算されたことがあられるかどうか。それから徴税方法に、非常な複雑な困難を来すのではないかと思います。そういうことについて、職員組合なりあるいは当事者としては考えておられるか、お伺いしたい。
#68
○原島公述人 ただいまの人員増加の問題でありますが、現在東京都においては、大体税額の四%程度が徴収費と相なつております。アメリカにおいては八%と聞いております。人員の増加は約二千名程度の拡充をはからなければならない、かように考えておりまして、町村においてはおそらく倍以上の人員増加を来すのではないかと考えるのであります。なお徴税の技術的な問題といたしまして、附加価値税については、それぞれの業種の部門にわたるまで、專門的な立場に立つた職員が課税に対するいろいろな検討を加えなければ、真に公平なる課税というものが期し得られないような観点から、それぞれの立場に立つ人員の拡充は困難であるという考え方に立つておるものであります。
#69
○龍野委員 非常に困難だから、実施を延期してもらいたいというお話でありますが、どういう点で実際問題として現在も困難を感じ、また将来も感ぜられるのであろうか。具体的のお話でもあれば承りたいと思います。
#70
○原島公述人 ただ困難と抽象的な言葉で申し上げておるので、非常にわかりにくいかと思うのでございますが、一般の課税価値体に対しまして、税務職員が参ります際に、少数の工場なり、事業場なり、商店というものを受持つて、そうしてそれぞれの実情にぴつたりいわゆる課税対象者との間において、はつきりと数字ができるというようなことは、ほとんど困難であります。なお現在はほとんど、税務を担当する職員が、一つの税課目のみを受持つのではなくして、それぞれの種類を担当する関係から、非常に広範囲にわたる関係で、非常に専門的な立場として、一つの問題のみを担任するということが困難になつておる。おそらく現在の人員を三倍ないし四倍程度に増加せしめなければ、この改革に伴う附加価値税というむずかしい内容を調査するのは困難であろう。さらに町村におきまして、いわゆる固定資産税等の問題に対しましても、この委員会を設置するにあたりまして、それぞれ町村が二名ないし三名の専門家を選任するにあたりましても、非常に困難がある。公正を期するには、人員的に困難であると同時に、質的にも困難である。かような観点から、われわれとしては今回の改革は漸進的に行くべきだ、こういう意見であります。
#71
○大泉委員長代理 それでは次に日本農民組合韮山支部長久保田豐君にお願いいたします。
#72
○久保田公述人 ただいま御紹介にあずかりました韮山農民組合の組合長の久保田であります。同時に村長をしておりますので、主として農民の見地並びに農村財政という見地から、今回の地方税改正の問題につきましての意見を申し上げたい、こう思うのであります。その前にお断りしておかなければならないことは、実はお呼出しが非常に急でありましたので、全般にわたりまする資料等については、実は準備をして参つておりません。従いまして今回の税制から私の村で具体的にぶつかりました実情に応じて、その実情を基本にしていろいろと意見を立てて参りたい、こう思いますので、少し自分の村のことだけに限りましてお聞き苦しいと思いますが、実情がこうなるという点をよくおくみとりを願いたいと思うのであります。
 私の村は静岡県のちようど伊豆半島のまん中でございます。戸数が約二千戸でございます。そのうち農家が千百戸ばかりでございます。もつともこのうちごく小さなものを除きますと、大体において九百戸というものが農家でございます。人口は大体において一万二千、このうち農家が八千人、田が大体五百町歩、畑が大体三百町歩、こういうところでありまして、主として米麦を中心といたしまして、他にはたまねぎ、あるいはにんじん、だいこん、こういうふうなものを主としてつくつております。そういうところでありまして、供出量は米におきまして約九千五百石ばかり’麦におきまして大体三千石程度、こういう全国的に見て最も代表的なところであります。しかも経済環境は、御承知の通り伊豆半島の温泉場のまん中でありますので、実は非常によろしいのでありまして、ざつくばらんに言いまして、やみといいますか、野菜等の価格は非常に高く売れる、こういう状況であります。
 こういうところでありますが、私ども今回のシヤウプ税制全般を通じまして感じまする点は、結論を申しますと、この体制でやられた場合におきましては、農家は立つて行かないということと、町村財政も、帳面づらでは非常によろしくなるわけでありますが、実際においてはやつて行けない、こういう二つの結論であります。
 その一つは、御承知の通りの今日全般的な経済政策、特に農業政策が行われておりまする関係上、農家の経済は非常に悪くなつて参つて来ております。供出の面におきましても、本年度は私のところあたりで、米について收量の割当が二石九斗一升というふうな、非常に高い平均割当を受けておりますが、実際にはさらにそれに一六%以上の、当初からの保有食い込みの割当になつております。従いまして実際の割当にあたりましては、三石一斗程度の割当をしなければ、平均してやつて行けない。こういう状況になつております。今日の状況で三石一斗とるということがいかに困難であるかということは、皆さんもよく御承知のことと思うのであります。そのような重い割当が来ますので、本年度あたりにおきましても、相当の保有食い込みであります。従いまして米の供出価格そのものが、皆さんも御承知の通り政府は四千二百五十円にきめましたが、この前に米価審議会等におけるいわゆる詳しい原単位計算によりますれば、誤差率を見ても少くとも五千七百円程度の米の価格になるのに対しまして、今申しましたような四千二百五十円というような低い価格であります。従いまして初めからこれは採算を度外視した、極端な低米価と考えております。ただこれを従来補つて参りましたのは、正直に申しましてやみの価格であります。このやみの価格もぐんぐん落ちまして、私のところあたりでは、昨年の当初におきまして一俵大体八千円くらいいたしましたものが、だんだん落ちて参りまして、白米で一万円で三俵というのが相場であります。しかも今日では供出で非常にとられておりまする関係上、飯米をさいて出す以外には、ほんとうに余裕はない。こういう状況になつて参つて来ております。これらの問題がやみの解消に応じまして、農家経済に急速に反映をしております。そのほか、たとえば、私の村の特産でありまするだいこんのごときをとりましても、本年度の当初におきましては、少くとも貫当りいいもので十二円くらいいたしておつたのでありますが、それが今日どのくらいしておるかといいますと、大体においてあきづまりだいこんでいいますと、いいのが一円七、八十銭、悪いくずものは一円でも買手がないという状況になつております。また私のところの特産でありますにしんでありますが、これも昨年の暮れあたりには、貫当り百四十円くらいでありましたが、それが今日二十五円でも買手がなくて、とうが立つておる、こういう実情であります。こういうふうな状況でありまするから、農家の経済はぐんぐん悪くなつておるのであります。こういうところへ今回いろいろの税制が改正されて、特に農家としまして、地方税に一番深い関係を持つておりまするのは、農業の所得税であります。この所得税も今回の改正によつて非常に楽なようになつておりますが、実情を申し上げまするとこういうことであります。私のところでは、おそらくこれは全国まれかと思うのでありますが、昨年以来一戸残らず、いわゆる経済記帳というものを相当正確にやつております。本年度におきましては、全部の農家が例の青色申告をいたしておるくらい、正確にやつておるのであります。それらの結果を総合いたしまして、今日税務署といろいろ交渉を続けておるのでありますが、それによりますと、下からのほんとうのものを積み上げてみますると、私のところでは記帳によりまする全農家の総所得が、大体九千三百万円であります。それに支出経費、いわゆる必要経費が大体五千四百万円あります。大体六二%ちよつとになつております。従いまして所得は約千戸の農家でありますが、大体三千八百万程度になりまして、これに対しまする税額が、われわれの自主計算によりますると、約三百十八万九千円ばかりになるのであります。それに対しまして税務署は、ここに私も持つておりますが、いわゆる内示額というものを本年度の初めにおいて出しております。この内示額の線を総合いたしまするとどうなるかといいますと、收入が大体一億二千二十四万八千円、こういうことになるのであります。この間におきましても、かれこれ三千円近くの違いがあるのであります。特にはな  はだしいのは支出経費として税務署がよこしましたのが、二千四百五万一千円であります。大体このくらいの経費しか見ておらない。従いまして所得が九千六百十七万七千円、こういうことになりまして、それによりまする税額が、これは推定でありますが、大体試算をいたしましてやつたのでありますが、この税額が千六百五十万六千円ばかりになるのであります。こういうふうな大きな税が課けられております。われわれとの間におきまして自主計算、ほんとうに正しい青色申告制度に近いような自主申告をやりましたものが、どう見ましても大体三百五十万、それに対して税務署がよこせといいますのが大体において千五百万、こういう勘定になるのであります。このくらい大きな開きがあるのであります。しかもこのいわゆる所得の全部が、皆さんも御承知の通り、現金收入ではないのでありまして、この所得のうちには、自家保有分としてやるべき米なり野菜なり、あるいは薪炭等、一切を含んでおるのであります。従いましてこれは正確な推定ではございませんが、少くともこの所得の約三千八百万、四千万近くの所得のうちの二千五百万ないし二千七、八百万というのが、ほんとうの現金の所得であります。收入からいたしますると、大体六千五百万ないし六千八百万というのが現金收入であります。そのうち、支出で四千四、五百万というのが、やはり現金でもつて必要経費として出て参るのであります。その差額が二千四、五百万というのが大体において現金收入で、いわゆる所得であります。このうちから税務署の言うように千五、六百万のものをとられた場合において農家が成り立つかといいますと、これは成り立たないのであります。こういうふうな状況であります。農家の一戸当りの大体のあれはもちろん皆さんも御承知の通り、今度の新税法におきましては基礎控除が二万五千円ということであります。扶養控除が一万二千円、この中でほんとうに、供出価格で勘定しまして、主食だけがどのくらいかかるかといいますと、これが御承知の通り成年以上は四合六勺でありますが、四合平均にいたしまして、年間に一石四斗六升かかるのであります。これを四千二百五十円で勘定いたしましても、六千二百五円かかるのであります。こういつた農家の収支状況、しかもそれが急速に悪くなつておるのであります。こういうふうに農家の経済が急速に悪くなつておるということと、それに対しまする農業所得税の課税が、まつたく実情を無視した天くだりの課税であるという点に、地方税に連関いたしまする、あるいは地方財政に連関いたしまする、実は中心の問題が一つあるのであります。この点をひとつ十分にお含みおきを願いたいと、こう思うのであります。
 こういう前提に立ちまして、今回の地方税制を考えた場合にどうなるかと申しますと、これも詳しい計算ではございませんが、私のところでもつて大体本年度の予算を組むのに、今度の新地方税制に基いて一応の試算をして参つておるのであります。昨年度の私のところの旧税法によりまする全体の村税の村民から取立てまするものが、大体四百十九万であります。これには農業者のみならず、ほかの商工業者その他も含まれております。県税が、それにさらに三百六十四万円、合せまして、七百八十三万円ということになつております。それに対しまして、今回の新地方税制に基いて一番農家に関係のありますものは、御承知の通りの村民税、つまり住民税と固定資産税であります。これを試算いたしますると、どのくらいになるかといいますと、大体住民税におきまして、約五百五十万円であります。そのうち農家が負担すべきものが大体三百七十九万円であります。それから地租、家屋税、農機具、それらを合せまして、いわゆる固定資産税に相当するのが六百四十八万円であります。その他の雑税を合せまして四十万円、大体こう踏んでおります。従いまして総計では千二百三十八万円というのが、大体において今度の新税制においてわれわれがとり得る限度であります。このうちから純粋に農家負担というものを見ますると、大体において九百万円程度になろうかと思うのでありますが、この九百万と税務署のよこせという千六百万とを合せますと、大体二千五百万円というものが、税法の上で私のところで約千戸の農家から取上げられるという勘定になるのであります。そのほかにいろいろの公租公課もしくは寄付金に類するものが、かれこれ二百万見当あるかと私は考えております。そのおもなるものは何かといいますと、部落のいわゆる普通協議費と言つておりますが、部落の一つの経費でありますこの金額が、最近は非常にばかにならない。なぜそういう経費がよけいかかるかといいますと、これは主として供出の事務であります。供出の事務というものは非常に困難でありまして、よけいに人や手間がかかり、よけいに金がかかるのであります。こういうものと、もう一つは消防の経費であります。そのほか小さな寄付金、その他いろいろの村税、直接に負担しまするいわゆる上の方で出しまする寄付金というのが、かれこれ四十万から五十万ございますが、部落の住民が直接負担をしまするものが、かれこれ部落協議費を入れますると、二十万程度ある。こういうことになるのであります。従いましてそれらを合せますと、二千七、八百万の税金を今度の新税制では総合して出せというのが、国の要請の根本であります。しかしながらこれだけのものを出しては、さつきからお話しましたような総所得が大体において四千万見当、そのうちから二千七、八百万を出しては、これはどうしてもやり切れない。これでは農家の経済が立つはずがないのであります。従いましてこの点を十分お考えを願わぬというと私は単に地方税だけの問題を今回の問題にして考えてはおらないのであります。こういうふうなむりな課税が行われれば、とうていやつて行けない。従いまして私どもは、農民組合として村長とともに、私どもの主張によりまして一戸残らず青色申告をやるという程度まで詳しくやつておる町村は、全国にあまりないと私自身確信しております。そういうくらい丁寧にやりまして、三百十八万の線で税務署と話合いをつけたいというので、今日いろいろ骨を折つておるわけであります。私どもの村にはそうむちやなことはやつておりませんけれども、他の町村に対しましては、税務署のやり方というものはでたらめであります。金額の決定その他についても、收入の査定についても、またはこれらの実情調査のやり方についても、まつたく税法を無視し、実情を無視した、言語道断のやり方をやつておるのが多いのであります。私のところは幸い、全村がそういう組織になつておりますので、やつておりません。こういう状況であります。従いまして、これらの実況から推して、今回のシャウプ税制が農民にいかなる影響を与えるかということは、すでによく皆さんにおわかりのことと私は思うのであります。以上が農民の立場からの実情から推した実況であります。
 さらに町村財政の点から申しますとどうかといいますと、以上申しましたような税金がはたして今後とれれば、町村財政は今回の地方財政の上におきまして、私はそう従来よりは骨は折れないと考えております。もちろんこれには平衡交付金等によりますいろいろの規制もあるようでありますが、それは町村の実際から推しますと、何とでも切抜けができると私は考えております。その意味におきましては別でありますが、今申しましたような重税がはたして今日の農民の、しかも零細な農民私のところは大体において靜岡県としましては標準的なむしろ経営規模の大きな地帯であります。こういう地帯でも、これだけの税金はとうてい負担ができない。従いましてこれは当然帳面づら、ざつくばらんにいえば、切符の上におきましては、地方財政は非常に充実されるのでありますが、実際の徴税額はとうていこうはとれないという結果になるということは明らかであります。今日でも私の村あたりにおきましては、大体において二五%程度の税金のとれない者が出て、その整理に実は弱つておるわけであります。これが次年度に行きますれば、なおひどくなることは明らかであります。税金の額が多くなればなるほど、こういう点が私はうまく行くまい、こういうふうに考えております。平衡交付金を十分に今まで通り――私の村では約三百十六万円配付税をいただいておりましたが、この程度のものが十分に入つて来れば、ある程度の――どうやら来年度あたりはやつて行けるが、その次の年にはどうかと、いいますとまつたく自信がありません。その結果が、単に村財政がそういう危機に到達するだけではなく、この前のお方がお話になりましたが、税のために農業協同組合の経営が非常な危機に達しておることは、皆さんもよく御承知のことと思います。私の村ではまだ税金の問題が最後に確定しておりませんので、直接村の協同組合の預金が激減したという現象は起つておりませんが、私の近くの、ほぼ同じくらいの農村におきましては、大体において六百万円から一千万円程度も預金減をいずれも来しております。その結果小さな協同組合等におきましては、すでに店をとじて整理をするよりほかになくなつているところがあります。私の近くでも、どうしたらよかろうという危機にぶつつかつている協同組合が三つばかりございます。なおそうでなくてさえ、肥料代の滞りがどこでも非常によけいになりまして、やり切れない、こういう状況になつております。これが私ども農民の立場から、また農村の財政という見地から見ました、今回の税制の真の具体的な姿かと私ども考えるのであります。国の大きいお立場からお考えになりますと、いろいろ筋が立とうかと思いますが、実際に現場で骨を折つております者には、こういう形で現われて来るということを、ひとつお考えおき願いたいと思います。従つて私どもは今回の地方税制に対しまして、国税をあわせまして、次のようなことをぜひお考えおき願いたい、こういうふうに思うのであります。
 第一は、これは今日の経済情勢下において困難なことではございましようが、農家の行き立つような経済政策、なかんずく私どもの特にお願い申し上げたいのは、低米価政策というものについて、もう少し議会が真劍な見地から、日本の農業を成立たせるような意味での、少くとも引合う米価の実現ということにひとつ格段のお骨折りを願いたいということであります。
 なお最近の状況では、外国からどんどん物が入つて来て、さつまの統制が撤廃になつて、私どもの方でもこれによりまして非常に大きな痛手をこうむるわけでありますが、これらの食糧政策につきましても、なお一段と国の農業を守るという見地から、特段の御考慮を願いたいということであります。現実に私どもの村では、本年度は大体においてさつまの畑が少くとも四十二、三町歩はあくのであります。これにあと何をつくつたらいいかということで、実は四苦八苦しているのが実況であります。昨年度は幸いにさつまが非常に不作でありました。しかも私どもの方は大阪立ちというので、値がよく売れました。しかしながらこういうことがいつまで続くとは考えておりませんが、野菜をつくつても今申し上げたようなわけで、百四、五十円しておつたにんじんが二十五円で買手がない。だいこんも十二、三円しておつたものが、一円二、三十銭でもなかなか買手がない、こういう状況になつた。さつまのあき地ができたからといつて、なかなかこれに行くわけに行かない。豚を飼つても、鶏を飼つてもだめです。まあ鶏なんか有利な方であります。しかたがないから私どもでは昨年来いちごの栽培をしておりますが、これまた昨年度は一箱について十五円くらいの手取りだつたものが、本年度の見通しは大体五円見当、これでも一番有利だろうというので、私どもこれの増産をしておりますが、それでもなかなかおつつがないのであります。
 特に価格政策並びに外国からの食糧の問題についてもう一つ申し上げたいのは、そう長く今のような遅れた農業を続けているわけに行きません。どうしても土地改良という問題にもつと真劍な関心を払つて、国が経費を出していただかなければならぬ。今年度のように、新規の土地改良事業には一文も予算がないというようなことでは、とうてい日本の農業は立つて行かないのであります。
 これらの、特に今申し上げた三点を中心としてお考えを願わないと、いかなる税制を立てても、この税制を守つて行くということは困難になるということを一つ申し上げたいのであります。
 それからもう一つは、農業所得税であります。これにつきまして、必要経費の中に現在の法制では自家労力費というものを全然見ておりません。そのかわり基礎控除とか扶養控除があるわけでありますが、先ほど申し上げました通り主食だけで、年に供出価格で勘定いたしましても六千二百円かかるのであります。それに一万二千円の扶養控除、あるいは二万四千円の基礎控除で二人食つて行けといつても、実際問題としてできないのであります。この点を、自家労力を加えていただき、もしくは扶養控除、もしくは基礎控除をもつと引上げていただくということをしなければ、どうにもならぬわけであります。この点をひとつぜひお考え願いたい。
 それから今日の農家の大部分は、ざつくばらんに申しまして帳面をつけておりません。自分でつくつた米が、幾らかかつておるかということもわからないのが大部分であります。しかし私ども約一年間、これで二年目に入るのでありますが、苦労して指導しますれば、いわゆる青色申告はできるのであります。しかし今日の法制では、青色申告の制度が非常に農家の実況に合つておりません。むずかし過ぎるめんどう過ぎるのであります。この点をもう少し簡単にして、農家が実行のできる程度の青色申告制度に内容をかえていただくことが必要であります。
 もう一つは、この税の決定の場合に、税務署の今のお役人でもつて、さつきお話申しましたようなべらぼうな基準を上からおつつけられて、それを機械的に大した調査もせずにぶつかける。こういうやり方では、いくら税務機構を充実いたしましても、法律を何といたしましてもだめであります。どうしてもこの間には農民の代表というふうなものを、税額の決定なり所得の決定の中に入れて、もう少し民主的なやり方でこの農民の税の決定をするようにしていただく。税務機構の改革の要点は、私はその点以外にはないと考えるのであります。これは私の少くとも数年間の経験から推して申すのであります。理論的にはどうであろうと、実際問題として今日のような税金をとる場合におきましては、農民の代表が所得の決定なり、あるいは税額の決定に、ある程度参与するということでなければ、とうてい正しい公平な課税はできないのであります。いくら税務署の役人が大勢でやりましても何しましても、私はできないと確信をしております。この点をひとつお考え願いたい、こう思うのであります。
 次に住民税でありますが、私どもの見地から見ますと、法人の住民税が均等割だけであつて所得割はない。しかもその均等割は人口五万以下の場合におきましては最高千二百円だということは、農村の実況から見ました場合に、あまりに不均衡であります。たとえば私の隣の村、私の村には大きな法人はございませんが、私の隣の村に東洋釀造という、年間にいたしまして二十数億の酒を取扱いまする大きな会社がございます。今までは十四万幾らという住民税を出しておつたものが、今度は千二百円でいい。こういうべらぼうなことはないと思うのであります。しかも一部分出すということでありまして、こんなはかないことは、ほかにいろいろな事情がありましても、ないと思うのであります。従いまして法人の住民税の均等割は、現在の基準を少くとも五、六倍程度に引上げてしかるべきだと思うのであります。しかもそれにつきましては大小いろいろのケースがあるわけでありまするから、これについてはある程度の累進制にすることが私は当然だと考えております。この点が行われないというようなばかなことはないと思うのであります。理論的にはシヤウプさんにもいろいろな御意見があつたと思いますけれども、それが農村から見ました実況であります。それからその次に、住民税の税額が今日四百円ということになつております。が、片方におきまして例の従来の世帯主もしくは戸主という制約がとれまして住所を有する個人、所得のある個人ということになりますと、範囲が広くなります。広くなることは、私はある意味において合理性があると思うのでありますが、いかにせん現在四百円ということは、実況から見まして高過ぎます。特に最末端の小さな農家もしくは小商人、かつぎ屋、こういう連中から見ますと、皆さんから見ますれば四百円ということはしれたものでありましようが、実際の問題にぶつつかりますと、四百円は高過ぎる。少くともこれを二百円程度に下げていただくということによりまして、ある程度の合理化ができるのではないかと思うのであります。
 それから所得制が二〇%ということになつて、ことしは一八%ということになりますが、これも大体において、あれは三つありますから、いずれをとつてもいいわけでありますが、何としましてもこれを最低一〇%ぐらいにして、それから累進制をしつかりとる。こういうことを法律上でもつてはつきりうたつていただきたい。
 それから特にこれは今の法制でもできますが、その規定がまだ不十分だと思うのでありますが、税務署の所得決定というものが、さつき申しましたように非常に過重であり、しかもでこぼこであります。これらをやはり町村の立場からしつかり把握することは、決してそう困難なことではないのであります。従いましてこの点での規定が、つまり町村側にもう少ししつかりした権限を与えるということにしなければ、今の税制では、結局町村が税務署のお手伝いをして、重税をやるということになりますので、この点も逆に考えるようにいたしていただきたい。つまり町村側にこういつたことに対するもう少し正確な、しかも決定をするような権限を与える。それによつて所得税の一つの基礎資料をつくるというくらいにお願いしたいのであります。
 それから固定資産税については、現在何といいましても農地について九百倍というものは、高過ぎるのであります。これは私どもの希望といたしましては、五百倍程度に引下げていただきたい。農業資産税については、当分の間免除ということにお願いをしたいのであります。算定も非常に困難でありますし、この上農事資産税を農業資産に、特に農機具についての固定資産税をとられるということは、非常に困るのであります。
 以上のような諸点を申し上げまして、今後の皆さんの御審議の場合におきまする御参考にしていただきたいと思うのであります。
#73
○清水委員 久保田さんに伺います。先ほど村の財政の状況のお話がございましたが、本年度とそれから二十四年度の村の予算をお聞かせ願いたいと思います。
#74
○久保田公述人 昨年度は総額で大体において千二百万であります。そのうちとる方から言いますと村民税が四百十九万、それに約三百二十万ばかりの配付税が来ております。そのほかに百万ばかりの例の生活保護法の経費が来ております。そのほかのものは大体において工事関係の補助金並びに村内の寄付金でございます。本年度はまだ確定をしておりません。実はごく暫定予算を組んでおります。今のところはつきりわかりません。しかしながら私ども今見ておりますのは、大体において千五百万程度になるのではないか、こう考えております。と申しますのは、今申したように約千二百万円ばかりが村税でとれることになります。それに平衡交付金が三百万円よりもちよつと減るだろう。こういう県あたりの見込みでありまして、私どもの方で今二百万程度のものを一応見ております。ほかに生活保護法関係の経費が来るのか来ないのかわかりません。これを見ますとなお百万ばかりふえる、こういうことでごく暫定的な予算で、はつきりした予算は今きめておりません。大体において千五百万前後になるのではないかと考えております。
#75
○生田委員 私もそのことをお尋ねいたしたかつたのです。現行税制の上から、先刻来数字をたびたびおつしやつたのですが、私聞き漏らした点があるのです。国税と地方税と合せて、あなたの村では何ぼお払いになつておるのか。それからこの税制によつてあなたは、概算をなされたのですが、その概算の基礎は、いろいろ考え方によつてはかわりましようが、本年度どのくらいふえる御計算になつておりますか。
#76
○久保田公述人 昨年度は県税と村税で七百八十万ばかり、それに二百万ばかりの寄付金があります。それが今年は薪税法による村税だけで、大体千二百万ないし千三百万、それに寄付金、こういうことになります。
#77
○生田委員 承るとあなたの村は、日本全国平均からすると、人口の上においても、予算の上においても、大分ゆたかである。それでなおかつやりにくいということになると、ほかの町村の困難なことは当然予想される。そこで今年は寄付金をおとりにならぬ計算でしようね。
#78
○久保田公述人 寄付金はとらないというよりは、どうしても出さなければならぬ基本的なものでして、これは出ます。
#79
○生田委員 去年は七百八十万で、本年は千二百万の予定であると、つまり五百万円ほど増税になるわけですね。
#80
○久保田公述人 そうでございます。ただ問題は、それがとれるかどうかということです。
#81
○生田委員 とれる、とれぬは、とり方にもよりますし、いろいろでありますが、つまり五百万円ほど増税になるわけですね。
#82
○久保田公述人 そうです。
#83
○生田委員 われわれは常にそのことについて考えておるのですが、税額を得たからといつて、地方財政が確立するわけではない。その村の担税力がだんだん弱つて行けば、何にもならない。担税力を増すということが一番必要なのです。税種目の、悪い言葉で言えば、争奪であつて、ほんとうは割当ですね。分配ですね。国税を地方税にまわした方がいいと始終私は言つているのです。私は地方財政委員もしておつたのですが、地方財政の確立の急所は、そこにあると思つておるのです。あなたは町村長さんで、現場をおやりになつておるからお詳しいのですが、私もやつておつたのです。そこが一番急所なのですけれども、どうも政府の人にいくら言つても、それを考えないのです。税をとれば、役場の人の收支計算だけはうまくやれるのです。けれども、住民は困つてしまうということを考えていないようです。あなたの村で、千二百万円に増税になるという基礎数字計算の方法も、どういうふうにおやりになつたかわからぬが、大体大部分はやれるだろうと思つております。昨年よりは増税になるだろうと思つております。役人はいいが、住民は困る。
#84
○久保田公述人 私の申しますのは、さつきから詳しく申し上げました通り、やつてみますと、農家のいわゆる現金所得のほとんど大部分というものは、税金にとられなければならぬ。現金所得からいつて、こういう関係に今度はなるのです。現金收入に対して、今度の全部の税額からどのくらいになるかといいますと、私どもの計算では大体四〇%ぐらいになる。それぐらいのものがとられるということは、実際問題としてとうていやつて行けないということです。
#85
○生田委員 それではかりにとつて、とつた金をどうして使つて行くかという問題です。地方税の使途ですね。あなたは村ですが、町ですか。
#86
○久保田公述人 村です。
#87
○生田委員 あなたの村がどう金を使うかという問題です。とるものはとれてみたけれども、今度町は浪費になる。いらぬ金をとるのですから、今度の税法によつて増税になつて、その結果浪費になりはしないかということを実は心配しているのです。かりにとれたとしても……とれぬ場合にはなお困るのです。
#88
○久保田公述人 これはとれません。
#89
○生田委員 そこに急所があると実は思つておるのです。それから先刻農民組合の代表者を、税制制度の決定に入れたいという御意見があつたのですが、これは全国町村全長が町村長の代表者として、すでに地方財政委員に入つておるのです。それで農民の立場と町村長の立場とは大分違う。そこに食い違いがあつて町村長が必ずしも農民の代表でないというような傾きがある。これはいろいろ組織や機構の上において、やむを得ぬこともあるし、また改正すれば改正できることもあるのですが、実際は農民の代表者が日本にはないのです。町村長というのは町村全般の代表者であつて、必ずしも農民の代表者でない。そこに大きな農民の悩みがあります。これはわれわれ大いに将来考えなければならぬと思うのでありますけれども、実はその町村長が責任を持つておるのです。だから町村長なんだから、これを鞭撻すればもつと情勢がかわつて来ると思うのです。これはお気づきになつておると思いますけれども、その点がまだ十分でないと思います。それから増税した結果が、先刻申すように、あなたはとれないと言うのですが、かりにとれなければ困るのだし、とれてみてもそれが浪費になる。あなた方の予算よりは余るようになつて来る。あなたの方は今度の二十五年度予算になりて、あなたの研究しておるより、この税法で行つたら、とれ過ぎて金が余りはせぬか。もしとれた場合には、今度は浪費になる、こういうようなお考えは何かありませんか。
#90
○久保田公述人 私どもその点は、こう考えております。今度の平衡交付金に関する法律がどうなるかわかりませんが、あの法律の今原案で出ておりますのを、私ども拝見したところでは、町村がとれるだけの税金をとらなければ、大体において平衡交付金が来ない勘定になるわけであります。そうしますと、どうしても平衡交付金をもらうためには、町村としてはほとんどとれるだけのものをとらなければいかぬ、こういう関係になつて参ります、この点が実際問題として実はむりであります。こういう点が一つと、それからとつたものをむだに使いはせぬかというお話であります。しかし私の村のような村は、全国にもそうよけいはないと思うのであります。非常に條件のいい村であります。私の近くの町村におきましては、ほとんど大部分が私の村のような條件ではないのであります。小さな町村におきましては、おそらく財政が立たないという問題が出て来はしないか。それから現に私のところあたりでも、すでに二五%程度どうしてもとれないというものが出ております。これが二十五年度においてはもつとひどくなることは、今の住民の生活状況を見ましても明らかであります。従つて帳面ずらでは、とらなければいかぬ、ない。しかし実際にはとれない。とつた場合には住民の生活が立たぬ。こういう問題になつて参りますから、そうめちやな、でたらめなむだ使いということは、どこの町村としましても今日の段階では、できないところが多いのではないかと考えるのであります。それからなお、さつき徴税機構の中に、農民の代表を入れるということは、私は町村長とだけは申し上げません。なお中央の財政委員会その他については、なるほど町村長の代表等が入つておる。しかし問題は、そういうところでどんなにりつぱなことをおきめになりましても、今の徴税機構なり、予算が最末端に流れて来る場合は、さつきから詳しくお話申し上げましたようなかつこうで流れて来るのでありまして、税務署ごとの徴税機構の中に農民の代表が入らなければ、この公正は期し得ないということを申し上げておるのであります。その代表が、今日の段階では町村長では、私は自分自身が町村長をやつておりますが、これは不十分であります。決して農民組合とは限りませんが、協同組合でもよし、ほんとうの農民の利害を代表する立場におる者が入つて、これらの調整に努めることがぜひ必要であると思うのであります。
#91
○龍野委員 ただいま実情に即したいろいろなお話を承つて、非常に参考になつたわけでありますが、この際お伺いいたしたいのは、先般の国税の改正によりまして、国全体として七百億の減税をいたしたわけであります。それがあなたの方の村に、昭和二十五年度においてはどのくらいの国税の減となつて現われるか。それからこのたび府県、町村合せまして、地方税法案によれば約四百億近く三百八十四億の増になるのでありますが、これは府県は二十年度とほぼ同様、そのおもな増は市町村の財政の増になつております。従つてこの意味は、今まで寄付金としてとつておつたものを、寄付金をやめて全部税でまかなうというために、三百億ないし四百億は必要じやないかというので、ねらいはそこにあるわけでありますが、先ほどのお話によりますと、本年度の村の財政は、昨年度に比べると約三百万ばかり増したように承つておるのでありますが、三百万円、これはむだなことにお使いになるわけではないが、寄付金をとらぬという確信があるかどうか。この辺のことをお伺いしたい。
#92
○久保田公述人 寄付金の問題については、さつきお話をいたしましたように、こちらから見ますと寄付金でありますけれども、実際は部落経費であります。この部落経費の内容のおもなものは、消防の経費が一つであります。もちろん村でも私のところあたりは、六十万近くの消防団の経費を載せております。ところがほとんどそれだけではやれないのでありまして分団と称します部落に基礎を置いたものがありまして、これら経費がいろいろかかるのであります。これと村道、つまり農道その他の補修費、それから今の供出その他のいろいろの事務の経費、こういつたものが大体見当にしまして約二百万近く私どもの村ではある。こう抑えております。現在私どもの組んでおります予算では、全部村の方から部落の方にやるという計画にはなつておりません。それは依然部落の方として、その程度の経費というものは必要ではないか、こういう見通しを持つております。これを今度の程度に増したから、部落の経費を全部村で負担するという段階には、まだちよつと参らないのであります。国税の率がどのくらい地方において減るということについては、はつきり申し上げますと、私どもはほとんど期待を持つておりません。それはなぜかと申しますと、第一、国税の方でおきめになります場合の国民所得の上における農畜林産関係の方が、大体において昨年度七%の増になつております。それから税制の上においても御承知の通り、今度は当初の七月の予定申告が特別の証明ができて、しかも税務署長の許可がなければ、前年度の確定所得以下の申告は認めないということになつております。それができる百姓が何名あるかというと、ほとんど今日ではありません。おそらくはいろいろごたごたいたしましようが、結果においてはことしの水増し割当というものを、ほとんどのむよりほかない。そうしますと、今度のいろいろの基礎控除その他が増しても、それによつてそう大して私どもは最末端においては減つて参らない。こういう見込みを持つております。もちろん私の村自身では相当負ける予定であります。というのは、農家だけは全員、青色申告をして、現に記帳しております。従つてそれらによつて参りますと、相当の減になつて来る。どのくらい減つて来るかということは、まだ收入の方がわかりませんから、はつきり確定はできませんが、相当減る。少くともさつきからお話申しましたように、野菜のごときは、昨年度は大体三万八千円くらいの反当の基準の所得額をおつつけられております。私の村では実際にやつてみますと、とてもそうはできません。そういうわけで相当減つて来るのじやないか。私の見込みでは、今私どもが記帳してやつておりますのは、約三百二十万でありますが、これがおそらく二百万ないしは百七、八十万に減らしたいと考えております。そういう見込みでありますが、多くの町村においてはほとんどこれができなかろうと思います。従つて全般の日本の農村からいいますと、今度国税の減ということが農民の負担減になるかというと、私はそう大して大きな期待は持てない、こう考えております。
#93
○大矢委員 詳しい報告がありましたが、固定資産税の六百四十八万円に対して住民税が五百五十万円、それが昨年度よりかどのくらいふえておるのか。この数字と、それから課税対象の人員が今度ふえました。それでどのくらいのパーセンテージふえておるかということ、それから今度は個々の免税点がないのでありますから、前年度に收入がなかつた、あるいは生活保護法を受けておる人が、收入に一つの免税点がないのであるから、勢い今まで遠慮しておつて当然保護法を受ける資格のある者が受けておらなかつた。こういう者に村民税を課けるということのために、生活保護法を受ける人が非常にふえるのじやないか。これは私ども特にそういうことを心配しておるわけであります。当然受けるものを受けなかつたから、当然なことかと思つておりますが、こういうことのために、さらに負担が重くなるということで、この保護法を受けようとする傾向が今後出て来る。こういうことも実際に携わつておられる村長さんとして、どうお考えになりますか。
#94
○久保田公述人 お答えいたします。今までは県村民税が、二十四年度は約二百十万円であります。その課税の対象になつております人間が、約千七百名であります。今度の五百五十万の基礎になつておりますものは、四百円としまして、一応これは大ざつぱに二千三百人と、こう見ております。これは実際もつとよけいになるわけでありますが、そう全部ぶつかけるわけにも行きませんから、二千三百人くらいに見ております。あとは今の所得割、この方からの算定でございます。これも私の方ではかわろうかと思います。税務署の方で千六百万よこせと言いますが、こつちは千三百万と見ておりますから、当然これによつて相当減るのじやないかということも考えております。
 それからもう一点のお尋ねの点でありますが、これによつて生活保護法の適用を要求する人間がよけいになるのじやないか、こういうお話でありますが、これは確かにお説のように、相当よけいになる傾向はあろうと思います。ただ私どもの方ではこれを予定しませんから、そういう動きがまだ相当具体的に出ておりません。ただ農村の一つの特殊の事情としましてとにかく村民税を納めなければ、村の問題についての発言権がないという一つの考えがありまして、私のところではざつと二十五等級にわかれておりますけれども、その二十五等級というものは、今まででは非常に少いものであります。全額で八円くらいであります。それでもそれだけは納める人が多いのであります。しかし今度のようになりますと、今のお説のように相当よけいになるのじやないかということを考えております。と申しますのは、現に私の村では昨年までほとんどなかつたのですが、配給を受けるときに、配給代金がなく、立てかえろと言つておりました者が、大体昨年度においては二十数名でありましたが、今日それが百二、三十名にふえて来ております。そういう状況で、おそらく生活保護法の適用の要求も、よけいになつて来るのじやないかと考えております。
#95
○塚田委員 中座をしておりまして、あるいはすでにお話になつたことをお尋ねするかもしれませんが、もしそういうことになりましたら御容赦を願いたいと思います。大体あなたの村で中等規模の農家の所得は、二十四年度はどれくらいになつておるか。
#96
○久保田公述人 大体私の方で中等規模といいますと、田畑合せまして七反歩以上が六割くらいであります。そこらが税の対象所得において、五万円前後じやないかと思います。
#97
○塚田委員 対象所得とおつしやるのは、基礎控除や何かを引いてですか。
#98
○久保田公述人 そうではありません。基礎控除を引く前の、つまり收入から必要経費を引いたものであります。
#99
○塚田委員 そういたしますと新しい税法には、かりに扶養家族が三人あるということになると、七万一千円くらいまでは所得税が課からなくなるという……
#100
○久保田公述人 そういうことになります。
#101
○塚田委員 標準の人たちのは所得税が課からない。従つて所得割は課からぬ、こういうことに……
#102
○久保田公述人 なります。ところがさつきお話しました通り、税務署のやり方はどうかといいますと、收入を非常に高く見るわけです。それはどういうような見方かといいますと、税法では実際の実收ということになつている。私の方では今年いろいろの事情でもつて、米について見ましても、約二割以上の減收があるのです。ところがその減收分はあつても、実際は事前割当と同じだ、こういう解釈を出すのです。しかもなおあとやみがあるからというので、それに雑所得二割というのをぶちかけて来る。これが一般であります。そうして必要経費はどうかといいますと、私の方で記帳に基いて正確にやつたわけですが、大体においてつまり事前割当の所得がありました場合でも、五十二、三パーセントに平均してなる。人によつては多少違いますが、五十二、三パーセントになるはずであります。また事実なつております。私の方では少し減收になるから、それが少しよけいになりまして、六十一、二パーセントになつております。ところが税務署の方はどうかといいますと、これを二五%にしております。つまり実收入というものが事前割当の線である。実際はそれより減收になつておる。さらになお雑所得というのがありまして、それはどういうところから見るかというと、やみである。こういうむりな割当をして、一方においては支出は実際は五〇ないし六〇%かかつておるものを、二五%に落して来る。この式で一切来ております。それですから今言つたような農家も、大部分はやはり所得税の対象に入る。こういうかつこうになります。ですからさつきお話しましたように、税務署の方で税額をはじきますと、私の村でも千六百万円農業所得税をよこせということになります。私の村では先ほどもお話をしましたが、一戸残らず農家が詳しい記帳をしております。今年は全戸青色申告をしております。おそらく全国で私のところだけであろうと思いますが、税額は多少違いはありますが、それらを差引いても三百四、五十万円くらいだと思います。そのくらいの大きな開きが出て来るのであります。それは何かというと、收入の面で計算の違いがある。たとえば米一石の価格にしましても、税務署の方は四千二百五十円にしております。私の方は供出したものは等級別がございまして、一等、二等、三等、これを平均しますと四千百四、五十円にしかなりません。そういうところは一切税務署は無視して来るので、こういうことになります。従つて中以上の標準の連中は大したことではありませんけれども私の方の事前申告の線で行けば大したものではない。しかし税務署の方に言わせれば、米の供出代金の少いもので四割、少し扶養家族の多い連中だと、この供出代金の七割から八割を所得税にとられるという結果になるのであります。
#103
○塚田委員 詳細に実に有益な数字を伺つたのでありますが、ただ私どもが伺つておる、ふだん調査をして承知をしておる数字と大分開きがあるので、たとえば必要経費の二五%というのも、実に意外に私は感じております。関東、信越国税局では、大体三十七、八パーセントか四〇%くらいといわれておる。東京局管内でも三七%前後ということを私は前に聞いております。どうしてそんなに……
#104
○久保田公述人 これはその通りでありまして、こういう経過であります。今年はつまり十一月の中間申告のときには、大体税務署も四〇%見当を私どもの方でも見ておつたのであります。それは各町村で団体交渉をした場合においては、せいぜい大体四〇%前後、私の村なんかは記帳をしておりますから、六〇%を認めておつたのです。ところが今度の更正決定の場合、あるいは最後の確定申告の内示額をよこしておりますが、ここに私持つて来ております。これを見ますと、三〇%というのはほとんどございません。二十五%に落して来ております。そこで私どもは税務署にその二五%の内容は、どうかはつきりと十一月と同じように内容を公表しろということを言つておるのですが、公表し得ないのであります。これはおそらく私は中央の大蔵省なり何なりから、さういうさしずが行つて、これだけ税額をとれというところから、そういうむりが来ているのではないかと思います。十一月のときにははつきりと四〇%程度のものは私どもの方でも認めておつた。これが今期確定申告の場合に、ほかの町村では一括して来ておりますが、私の町村ではこの内示額が私のところに来ております。これを見ますと二五%、従つて二毛作は高いところで一万七千円、安いところで一万二、三千円、それに雑所得の二割ぶちかけておる。こういう状態になつております。
#105
○塚田委員 その二割五分しか必要経費を見ないというのは、あなたの村だけの実情でありますか。これはどこの税務署か知りませんが、その税務署管内がみなそういう状態でありますか。
#106
○久保田公述人 それは靜岡県で言いますれば、田方、駿東、富士、従つて税務署にしますれば、沼津、三島、富士宮の税務署でありますが、これはほかのところは存じませんけれども、実際ここへは私出かけておりますから、承知しておりますが、大体そうであります。
#107
○塚田委員 質問はこれで打切りますが、先ほど私は所得割には課からないと言いましたが、所得割は昨年の所得税に対して課けるのであつて、私が感違いをして申し上げたので、この点は発言を訂正いたします。
#108
○河原委員 ちよつとお伺いいたします。先刻の塚田委員との質疑応答の際に、標準農家と言い得る一人前の農家の田畑耕作反別はまず六反くらい……
#109
○久保田公述人 まず六、七反くらいでございます。
#110
○河原委員 それに対して所得が五万円程度……
#111
○久保田公述人 そうですね。
#112
○河原委員 というふうにおつしやいますけれども、それだつたら、ほとんど税の対象にならぬというような状態になりますから、それは主観的な農家の方でそういう所得であつても、税務署の方は水増しやなんかで非常に多く来るから、税が課かるのだ、こういうお話でございましたが、税務者のみなしますところの所得はそれに対して幾らくらいとなつておるかという点と、六反程度としまして、その田と畑との割合はどういうふうになるか、お伺いいたします。
#113
○久保田公述人 六反で、これは人によつて違いますから……
#114
○河原委員 平均して
#115
○久保田公述人 平均しますと田が五百町歩、畑が三百町歩ですから、大体五対三くらいの割合になります。それから税務署の見るのは、私のところでは一戸当りのものは内示額が来ておりません。ここに持つて来ましたが、二十四年度の確定農業所得標準率について、こういう文書が税務署長から来ております。これで計算してみますと、どうしても八、九万円に見られる。大体反当一万四千円から高いところは一万六、七千円、こういうふうに見られます。
#116
○河原委員 ただいまの御説明によりまして、田畑の割合はわかつたわけですが、先刻のお話では税務署の方は畑に対しては三万二千円くらいである。実際のところは二万円余りしかないということでございましたが、そうしますければ、税務署の八、九万円は、むしろ税務署が見る面からすれば、少いくらいになるのではないですか。
#117
○久保田公述人 そうは行きません。畑を見る税務署の面は三通りありまして、野菜畑、中間畑、普通畑の三つになつております。御承知の通り野菜畑というのは、大体販売野菜をつくるところです。実際は自家用野菜をつくるところまでそう見ておりますが、販売野菜をつくるところが三万八千円くらい、こういうわけです。中間畑というのは桑畑その他でありまして、半毛しかとれないわけであります。普通畑はいもをつくつたり、雑穀をつくつたり、あるいは麦をつくつたりする。そういうところは三万八千円であるはずがない。野菜畑を三万八千円くらいに向うでは踏んで参つております。その点を申し上げたのであります。
 しからばそういうような販売野菜の率が、どのくらいになるかといいますと、私のところの三百町歩に対しましても、ほんとうの販売にまわせるものは三十数町歩であります。あとは全部ほかの供出作物、その他の割当が来ておるのであります。それを税務署は、ざつくばらんにいいますと、この野菜畑、しかも販売野菜用のものをできるだけパーセンテージを上げておつつけて来る。そういう点にも非常なむりがある。私の村ではこう考えております、野菜畑にいたしましても、自家用野菜というものは、一戸当り大体三畝歩から五畝歩でありまして、これは自分のくそ小便でつくるものであつて、実際はなるほど経費はかかつておらない。しかしながら同時にこれを販売野菜と同じ価格で見ようという税務署はむりだ。これは自家用であつて、しかも片方において一万五千円というつまり基礎控除の額がきまつておりますから、その一万五千円の中に含むべきものだ。そうしますとこのうちおもな費目は何かといいますと、普通平均いたしますと、主食が大体一石四斗六升で、これが六千二百円かかる。それに薪炭と自家用野菜、これだけは最小限とつても、これでもつて一万円以上かかる。その程度を見ないと、ほかの必要経費、生活費というものは出て来ない。従つて私どもは自家用野菜については、一畝歩については千五百円、こういうように見ております。それを税務者は三万八千円にしろというのであります。そういうところに非常なむりが出て来る。そこで今申したように税務署の算定と、われわれの方のほんとうの農家の実況に基く算定との間に、大きな違いが出て来るということを申し上げて、御了解願いたいのであります。
#118
○河原委員 いま一度伺いますが、農家の方から割出した所得が五万円程度というお話でありまして、税務署の見るものは三万八千円である。農家の見る方は、畑は二万円余りだ。そういう見方をしましても田畑六反、畑が割合に少いのですが、それで五万円というのは、ちよつと数字がおかしいのじやないですか。
#119
○久保田公述人 五万円というのは、大ざつぱなことを申し上げたのでありまして、数字がおかしいと言われますが、田畑だけじやありません。鶏とか、豚とか、その他いろいろなものが入りますから、一応大体五万円見当ではなかろうかと申し上げたわけであります。数字的には詳しいものは一戸一戸ありますが、大体そんな見当じやないかと思つております。
#120
○河原委員 いま一つお尋ねしたいのですが、所得税の基礎控除が上り、また税率が下る。あるいは総合所得主義であつたのが、分割所得になつたというような面で、所得税の方はどうしても相当下る勘定になりますが、そんなことができても、うちの方は税務署がいいかげんにやるから下らぬ、こういうことを言われましたが、これはよほど重要な問題と思います。そんなに税率が下つても下らぬようなことをほんとうにはつきりとする税務署があれば、われわれとしては看過できないが、その点責任をもつて、具体的に、国が税率を下げても、自分の方に限つては下らぬということを、はつきり御説明願いたいのであります。
#121
○久保田公述人 それは私は下らないと申し上げるのではなくて、なるほど税率は多少下つておりますけれども、ほとんどわずかなものであります。ただなるほど基礎控除あるいは扶養控除等は、特別控除を含めまして相当よけいになつております。しかし片方におきまして税の最後の決定をするのは、税率と控除だけではありません。問題は何よりも、所得の決定をどうするかということが一番問題であります。その所得につきましては、さつきからお話申し上げておる通り大部分の農家は、実は自分の所得が幾らか、收入が幾らか、支出が幾らかという計算をしていないのであります。私の村はずつとつけておりますから、さつきも申し上げた通り相当下ると見ております。しかし私の近くの大部分の町村は、何もそういうものをつけておる農家はありません。従つてことしは、今申し上げたような反当一万六千円とか一万五千円という高い雑所得のものをそのまま受けております。今度は税法で御承知の通り、特別に二割以上の減收になるということが、帳簿その他において明らかになつて、しかも税務署長の許可がなければ、前年度の最終確定所得以下の申告はできないということになつております。なお片方におきましては、青色申告をしないものは、実際上最後に行つて更正決定を受ける場合におきましても、ほとんど大部分は通らないということに、今度の税法はなつております。その青色申告は大部分はできない農家の今日の実情、また税制の内容からできない。従つてこの二つを総合して考えてみました場合におきましては、申告所得税で二百億少くなつておるようでございますけれども、その二百億のうち、農業所得が幾ら負つておるかということは明らかでありません。その反面におきまして、国民所得の計算の面では、前年度より七分増しておるはずで、約五百億増しております。そういう点から総合して、農家の今日の記帳その他に対する納税の準備といいますか、税務署の立場、これを総合した場合におきましては、そうこれに大きな期待は持てないということを、私は申し上げておるのであります。
#122
○河原委員 それに関連いたしまして伺いたいと思いますが、中小工業者の方では、相当に物価が下つておりまするので、これに対して前年度の所得以下の所得の申告ができないということになれば、非常な問題と思いますが、農産物の方では野菜類は下つておりますが、主食の米麦は値上りが必至でありまして、そういつた場合に、前年度以下の申告ができないということは、ほかの業体と比較しまして、さして農家の方には苦痛を感じないのではないかと思いますが、この点に対してどんな考えであるかお伺いしたい。
#123
○久保田公述人 それは私どもこう考えております。特にことしあたりの割当が、さつき申しましたように反当一万七千円、どう勘定しても、今申しましたように必要経費は二割五分という勘定で、そういう所得になつておりまするから、今後の値上り分をさらにそれに加えましても、非常にむりなものになるわけであります。しかるに必要経費の面で、どこの町村でもそうではありませんけれども、たとえば農電等のごときも相当経費がよけいになる。それから農機具あたりも、どのくらい上るかわかりませんが、その他肥料のごときは、御承知の通り第三次補給金の打切りで、七割上るだろうといつております。七割上りますと、配給肥料で米一反歩につきましてどのくらいになるかというと、大体千二、三百円になると思いますが、今までは八百円見当で、配給肥料だけであつた。そういうものを見ますと、実際は所得はそれより下であります。けれどもすでに現在までも相当高くなつておりますから、その二割の減收になるということの証明は、ほとんど困難である。従つてそれにある程度の調整の比率で、一割なり一割五分なりをかけられたものを、農家は所得として承認をせざるを得ない。そうするとその結果として、逆が実際には出て来るんじやないか、という点を心配しておるわけであります。
#124
○大泉委員長代理 この際お諮りいたします。議員小山長規君から久保田公述人に対して、農民の所得に関して委員外の発言を求めておりますが、これを許すに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#125
○大泉委員長代理 異議ないと認めまして発言を許します。小山君。
#126
○小山長規君 久保田公述人にちよつとお伺いしたいのでありますが、先ほど来あなたの村で非常に税が重くなるとおつしやつておりますが、これは総体的な数字でごらんになつたのでありますか。個々にお調べになりましたか。
#127
○久保田公述人 私の所のは、きよう実は持つて来ました数字は、全部村の全体の集計数字でございます。
#128
○小山長規君 それでわかりました。今度の税法においては、個々の農家には相当減税になるということは、数字が示しておるわけでありますが、先ほど委員の方々からの質問にあなたがお答えになつたことを聞きますと、大体標準反別が六反ないし七反、そしてそれを税務署が八万円か九万円に見ている。こういうお話がありまして、この八万ないし九万というものが非常に過重である。これはあなたの御説明によつて過重であるかのように伺つたのでありますが、過重であるにしても、この数字をかりにもとにしては、国税は相当に下るのであります。
#129
○久保田公述人 さようでございます。その通りです。
#130
○小山長規君 国税は相当下るのであります。しかもそれが今までは総合して所得の計算をしておつたのを、各個計算にする。あるいは扶養家族の年齢を撤廃したというようなことで、扶養家族の数がふえて行くというようなことがありまして、われわれの調査した数字によりますと、大体あなた方の標準反別の人で言いますれば、所得をもう少しよけい見まして、かりに十万円と見ました場合には、従来の所得税は一万五千六百七十七円、これは扶養家族が四人でございます。大体この見当の人は四人でしようから、所得税は一万五千六百七十七円であるのが、従来とかわりのない扶養家族の場合には、四千七百八十七円に減つてしまう。一万一千円の減税になる。そうしてそのほかに地租と家屋税が、従来このぐらいの人は大体千三百円ぐらいであつた。それが三千七百九十七円にふえるわけです。それから住民税が、このぐらいの人は大体千百円ばかり、それが今度は三千三百円ぐらい、それが来年度は千三百円ぐらいに減ります。こういう計算になつて来るのですが、そうしますと、これを総合しますと従来は国税及び地方税の合計が一万八千百円ばかり、二十五年度は一万一千八百円ばかりに減りまして、さらに来年度は、住民税の所得割が減つて来る関係上、それが九千九百円ぐらいに減つて来る。こういうような調査をわれわれはしておるのでありますが、どこであなたの話と食い違いが出て来るのでありましようか。
#131
○久保田公述人 それはこういうことだと思います。大体一番食い違いの中心になりますのは、つまり所得の決定というやり方でございます。この所得の決定のやり方が私もだから下らないとは申し上げないのであります。よくそういう計算を、大蔵省等におきましても御発表になつております。しかしながら所得の決定が今言つたように、またさつきも塚田さんからお話がありましたように、十一月には四十%程度のものを見ておる。しかし最後の更正決定内示の場合は、確定申告の場合には二十五%に落した。そうして雑所得を二割に上げられた。こういうふうな事実があります場合においては、控除の額がよけいになりましても、税率が多少減りましても、これは実際においてはそう大して減らないということを申し上げておるのであります。そういう事実が今まで何回も毎年繰返されておるわけであります。従つてそういう点がなければ、今お話の通り税額は減ると私ども考えております。
#132
○小山長規君 それで大体わかりましたが、要するに従来と同じ程度の査定があるならば減るのだ、こういうふうにあなたも了解なさるわけですね。
#133
○久保田公述人 はい。
#134
○小山長規君 それからもう一つ伺つつておきますが、あなたの村の場合には、各税務署から課税標準目安というものを示してあるはずだと思うのでありますが、米一石を幾らの目安に見ておりますが、それから麦一石、それからあまりこまかいのはいりませんが、陸稲一反歩当り幾らに見ておりますか。菜種一反歩当り幾らに見ておりますか。ばれいしよを幾らに見ておりますか。なお菜園の分もあるのでありますが、自家菜園を幾ら、それからだいこんを幾らに見ておりますか、お伺いいたします。
#135
○久保田公述人 私どものところへ税務署から来ておりますのは、田の表作が、所得として石当り三千百三十円であります。それから麦は、私の方については来ておりません。田の裏作としまして、三千七百十円の所得を見ております。そのほか何でしたか。
#136
○小山長規君 陸稲、菜種、ばれいしよ。
#137
○久保田公述人 私のところには、そういうふうなものは来ておりません。今ここに税務署から来ておる文書を持つておりますが、そういうふうに来ておりませんので、大体において田の表作として米が石当り三千百三十円、田の裏作として反当り三千七百十円、それから普通畑反当が七千五十円、中間畑が一万八千八百五十円、野菜畑が一歩畝当りが三千八百円、こういう標準で来ております。そのほか茶畑についてはどうとか、養豚についてはどうとかいう基準は来ております。そういうふうな形で来ておりますから、今の御質問の趣旨とは、関係がちよつと違うと思います。
#138
○小山長規君 あなたのご説明で、あなたの税務署は相当高く見ておるような感じを受けております。しかしあなたの結論の、国税の方の減税は期待できないのだということは、ちよつとうなずけなかつたのでございますが、それは議論になりますから、これでよします。それで一応打切ります。
#139
○大泉委員長代理 どうも御苦労さま、たいへん長い時間ありがとうございました。
 まだもう一人残つております。それでは新潟県議会議員中川光男君に、御発言を願います。
#140
○中川公述人 私、新潟の県議会議員でありまして、同時に青森から福井までの十一県で日本積雪連合という財団法人の組織をつくりまして、積雪、寒冷の問題を科学的に究明する法人の常務をやつております。私はそのような意味合いから、固定資産税の問題に関しまして、主として雪と寒さから参りまする立地條件というものを主体にして、皆様方に御勘考をわずらわしたい、かように考えております。
 従来の地租及び附加税が、賃貸価格を基準にして賦課されたということについて、あらためて申し上げるまでもないのでありますが、この賃貸価格を設定いたしましたところの土地面積に対しまする賃貸価格と、土地の收益所得との相関関係というものが、現在考えてみますると、戦後まつたく一変いたしました経済事情によりまして、もはや存在していないのではなかろうかという感じを私たちは強く持つのであります。それで昭和六年に土地賃貸価格を大蔵省が設定いたしましてから、十五年に若干訂正されました現行基準を見ますと、全国的に見まして水田が非常に重く、畑作を非常に低く評価設定されております。これに対しまして土地の收益所得を見ますると、御承知のように主食に対しまして強力な統制をとつておる反面、青果物その他に関しましては、現在統制がほとんど撤廃されております関係上、農家の総收益から見た場合には、先ほど久保田さんが畑作の商品価値が非常に安くなつたというふうなことを仰せになつておりましたが、現在ではやはり畑作が最も上位でありまして、次はいも作、最も低位なのが水田単作地帯であります。このような事情は、割当であるとかあるいは供出であるとか、そういう問題があるのにもかかわらず、現在畑作転換が単作地帯で非常にやかましく言われておることが、事実を物語つていると思うのでありますが、賃貸価格と收益というものの相関性が、今もなお昔のままに存在するとするならば、このような問題は起り得ない。かように思うものであります。一番惠まれない単作地帯、積雪寒冷地帯における農地の割合がどうなつているかということを、全国の経営耕地の総面積に対しまして、暖い地方と寒冷地方を比較してみますると、一毛作田の割合は、雪のない地方は三〇%でございます。これに反して積雪寒冷地の占める割合は、四八%という率を示しております。全体的に見て四八%になつておりまするが、積雪寒冷地帯の中でも、特に秋田県のごときは八三・一%という高率を占め、その次が新潟県の七八・七%、福井県の七七・五%、これが現在最も低收入である水田単作一本やりで、これらの耕地を対象としてやつているわけであります。御承知のように賃貸価格設定当時と違いまして、戦後における土地の課税と土地の收容所得のシエーレは非常に急激に増して参りまして、現在の経済事情のもとにおきましては、積雪寒冷地帯は非常に実情にそぐわない賃貸価格の適用を受けているということが、これによつてわかると思うのであります。それで今回の税法におきましては、解放価格の二二・五倍という計数を用いるように規定しておりますが、これが適用された場合に、単作地帯と多毛作地帯との間にどのような不均衡ができるかということは、私から御説明申し上げるまでもなく十二分に御理解をいただけるだろうと思います。
 実はお手元に今回の税財制度改革に対しまして、一道十一県から意見書を差上げてございます。時間の関係上御披見をいただきますのもどうかと考えますので、後ほど御参照いただけば幸いと存じますが、その中に昭和二十二年度におきまする農家の経営形態別の農業所得を比較した表がございます。これは経営形態別に水田単作、水田二毛作、畑作、都市近郊の蔬菜地帯、このように四つにわけまして、温暖地方と積雪寒冷地方との反当收益の比較をしたものでございます。これには收益と申しますか、更正所得額が收入に比例するという割合で出してございまするが、これによつて見ますると、水田単作地帯は温暖地方に比べまして六六%、水田二毛作では六二%、畑作では八〇%、都市近郊蔬菜地帯は五三%に落ちております。これらを全部ひつくるめまして、温暖地方と寒冷地帯の農家の総平均を求めますると、六七%になつておるのであります。これは昭和二十二年の農林省の調査でございまするが、更正所得額が昭和二十二年、三年、四年と、このように高率をもつて伸びておることを考えますならば、温暖地方と寒冷地方との間の開きはさらに大きくなつて現われるのでありますが、遺憾ながら現在資料がありませんので、一応この資料によつて御判断を煩わしたい。この点に関しまして、もしも現在の固定資産税が適用された場合、田がどうなるか、畑がどうなるかということを、単作十一県、青森から福井までの平均を一応計算いたしてみますと、反当二百三十四円何がしになります。多毛作は二百九十四円、二十二年度の更正決定を收入の比率とみなしまして、反当收益に対しまする固定資産税の負担率を出してみますると、単作地帯が九・四%、温暖地方の多毛作地帯の三十四都府県の平均が七・三%になりまして、現在收益と固定資産そのものに対する負担率を比較しました場合は、この間に二・一%の増加があることになりまして、これを総面積に乗じました場合には、約五億の負担増加が出て参るわけであります。
 それでこのような不均衡である倍率の問題でございまするが、この問題に対しまして先般本多国務大臣は、市町村当局で任意に課税率を引下げたならば、負担の不均衡を避けられるだろう。こういうことを申されたのでありますが、もしこのような措置をとつた場合には、平衡交付金算定に直接関係があるわけでありますが、市町村が任意にこの課税率を引下げて賦課いたしましても、政府がこれに規定をもつて明示しない限りは、標準率で賦課しました税收入相当額でこの財政力を測定いたしますために、結局任意に課税率を引下げた市町村は、平衡交付金が減額される結果となりまして平衡交付金との相関から、どうしても本多国務相の言われるように、任意に課税率を引下げましても、負担の均衡は期し得ないわけであります。結局税法にこの不均衡を是正する倍率を明示していただかない限りは、まつたく処置なしというのが現状だろうと考えております。
 それから畑につきましては、単作地方十一県の現行法による反当の地租額が十円五十銭、多毛作地方、三十四都府県の平均が三十六円、約三倍半になつております。この地租額は特に単作地帯が安く、有利のように見えておりますが、中小都市を多く持つ多毛作の温暖地方に比較いたしまして、非常に畑の面積が少いのであります。都市を背景にする商品としての生産価値が限定されておりますので、地租額によりましてこの判定がされるというのは、非常に不公平になつて参ります。これもやはり田とひとしく考慮される必要があると考えております。
 それから次に宅地、つまり農地以外の用地と家屋に関する問題でございまするが、これに関しましては特別に調査いたしました資料もなく、また全面的な調査が非常に困難でございます。それで自治庁の従来の地方配付税に用いました地方の資料でございますが、積雪寒冷地方の一道十一県と、それから特に六大都市を除きました他府県の一人当りの住宅面積が出ておりますが、それによりますと、寒い方が五坪二合八勺、暖い方が四坪四合九勺となりまして温暖地方に比べまして寒い方が約一八%、一人当りの家屋の坪数がふえておるわけであります。それでこの場合におきます賃貸価格は、二十三年の四月でございますが、これが一円五十二銭、それから他の方が一円八十五銭で、この点は一四%だけが寒い方の家屋税の率が安くなつておるわけであります。豪雪地帯の家屋構造と申しますのは、御承知の方もございましようけれども、温暖地方に比べまして、どうしても三〇%ないし四〇%広いのが現在の実情でございます。豪雪のために、十月から五月までの屋内作業のために、非常に広い土間を持つておりますし、牛も馬も鶏も羊もうさぎまでも入るようなものが一つ屋根の中にあるので離れることによりまして、豪雪によつて通行が困難になるという意味合いで非常に建坪が大きくなつておるのであります。それで何分にも後進県であり、主食並びに素材の生産県である関係上、非常に民度が低い。家屋坪数もそのように大きくなつておりますが、そういう関係で賃率が一四%安いというだけでは、私どもといたしましてこれは決して財産としての広さではなく、生活というよりも、むしろ生存するための広さの家屋なのであります。そこに馬も入れば牛も入る。そういうものに対して一律に家屋税の適用を受けておる。それでただいま申しました固定資産税の農地並びに家屋に対しまして、われわれが要望申し上げたいことを端的に申しますならば、農地に対しましては、土地の收益率というものをまず根拠にしていただきたい、そのような意味におきまして今回の二二・五の倍率は、先ほど申し述べましたように、全国の温暖地方と寒冷地方の收益の差によります六七%というものをその倍率に適用していただきたい。これによりますと、二二・五の倍率は一五に相なるわけであります。それから農地以外の土地及び家屋につきましては、決定倍数の八〇%を適用していただきたい。現在九百倍でございますが、聞き及ぶところによりますと、八百倍の修正案を提出されるやに聞いておるのでありますが、この場合八百倍と一般が決定いたしました場合には、その八〇%の六百四十倍を積雪寒冷地帯に対して適用されるようにお願い申し上げたいのであります。
 それからこれは固定資産税の一部でございますが、御承知のように立地條件によりまして、裏日本方面は揚排水の設備をよくしなければ、田として使えない所が非常に多いのでありまして、農林省で調査いたしましたところによりますと、全国で揚排水をしなければならない面積が、五十九万町歩に相なつております。それからそれに使いますモーターの台数が三万一千七百台、馬力数は約二十六万と相なつております。それでこれに対します建設諸費を含んだ評価を一馬力二万五千円とみなしまして、全部を評価いたしますと、これは六十四億に相なるわけでございますが、これに対する標準税率をかけますると一億一千二百万、これが今回の固定資産税の百分の一・七五をかけました際の税額であります。それで新潟県の場合を参考までに申し上げますと、灌漑排水を要します面積が、十七万町歩のうち五万町歩、ちようど全国の約一割弱でありますが、これだけが揚排水をしなければ田として使えない。それでその所要の電力が、全国の一割以上の二万八千馬力というものが、これに要するわけであります。それでこれは新潟県の実情でございますが、信濃川は満潮時になりますと、バツク・ウオーターによりまして、五万町歩の田は、大体信濃川の水面よりも四十センチ程度低くなりまして、これをどうしても排水いたしませんことには田植えもできない。それで排水いたしました結果が、湿田の地帯でございますので、腰までも入るような、まことに悪條件の田でございますが、全国におきましても、五十九万町歩、新潟県の一県の例をとりましても五万町歩に相なるのでありますが、このような事実を御勘案いただきました場合には、灌漑並びに揚排水用の電力に関しましては、今回の税法の三百四十八條に規定しておりますいわゆる課税外としていただくとともに、これに要します電力は、電気ガス税の非課税範囲に加えられるように、四百八十九條に特に挿入していただきたい。ただいま申しましたように、これに関します施設評価、その税額が一億一千二百万円になります。それでこれらの税收入が減となるということについて、いろいろ御心配の向きもあると思いますが、御承知のように現在地方自治体の土地改良というものは非常に停滞しておりますので、現在停滞しております土地改良を、これによつて促進することもできますし、また現在非常に農村恐慌の前におびえております農家の生産意欲を向上させることもできる。このような点をあわせて考えますると、地方自治体あるいは国の力の大きな作用が期待されまして、それらによつてこれらの税収入の減を補つて余りある、かように考えておるものであります。
 時間が参りましたので、最後に特に申し上げたいと思いますが、今回の税制の改革にあたりまして、地方税の問題が何ゆえにこのように大きい関心を持たれているかこれは従来持つておりました地方税と国税のウエートが、非常に変化して参つているという事実である、さように考えるのであります。従いまして今回の地方税の制定にあたりましては、土地條件から来る実態の上に立つ差異、そういうものをどうかはつきりとこの地方税法に明記していただかない限り、生産の向上の上から申しましても、後進県であり、特に積雪寒冷という立地條件に災いされまして、財政力の貧弱なる地方道府県というものの経済力が、ますます偏在して参ります。現在日本の再建という言葉をよく使つておりますが、いわゆる地方の経済の偏在を是正していただかない限りは、日本の再建も描かれたもちでしかない。そういう点から今回の税制改正に際しましては、特に委員各位におかれまして、立地條件による差異という点を十二分に御認識いただきまして、今回の税改正に関しまして、われわれの要望を受入れられんことを特に懇請いたしまして、私の公述を終らしていただきたいと思います。
#141
○河原委員 ちよつとお伺いいたします。いただきました資料についてでありますが、第十表の反当賃貸価格の点であります。この反当賃貸価格というものは、今度の税における非常に重要なる資料となるものと思います。それでこの反当賃貸価格は昭和十八年、昭和二十二年もかわつておるはずはないのでありますが、これによりますと、昭和十八年と二十二年とかわつております。これは農林省調査となつておりますので、全県的な調査でなく、あとの方で三十八戸とか四十五戸とかいう数字がありますので、その調査しに行つたところの例はこうだつた、こういうわけで、たとえば最高幾らという賃貸価格は、その県の最高のものをさすのでなくて、調査しに行つたところの中での最高というわけで、ほんとうに全県的な、全体的なものを批判または検討する資料としては、不備なものと認めてよろしいかどうかということが第一点と、それからいま一つは、滋賀県における最高が二十五円となつておりますが、実際は滋賀県の最高は三十四、五円まで行つております。これらの資料の点について、詳細なる御説明を願いたいと思います。
#142
○中川公述人 新潟県の場合は各町村ごとにとりましたが、概括的に積雪地方と、それから無雪温暖地方を比較してみました場合には、一県のみをいかに正確にやりましても、全面的にお調べになつております、こういうような官庁の統計の方が、非常にこまかい点においては正鵠を得ておりませんが、概括的な意味においてはむしろ参考になるのではなかろうかと思います。それから滋賀県の場合、御指摘のように三十何円になつておるということについては、私承知しておらぬのであります。
#143
○河原委員 要するにこの統計で、最高とか何とかいうことになつておりますが、これは局部的な調査の結果とみなしてよろしうございますか。
#144
○中川公述人 そのように解釈してけつこうであります。
#145
○塚田委員 中川さんの御論旨を伺つておると、土地の收益力が少いから、温暖地帯よりも低くしてほしい。それは大体六七%くらいだというお話なんですが、現在の賃貸価格でも若干は、おそらく単作地帯の賃貸価格と温暖地帯の賃貸価格は違つておると思うのですが、その点の関係はどうでございますか。
#146
○中川公述人 今お話になりましたのは、水田の方でございましようか。
#147
○塚田委員 田でも畑でも、どちらでも、お持ちの統計でけつこうであります。
#148
○中川公述人 現行法によります今回の百分の五百の例の附加税を入れまして、五百というのを見ますと、反当の地租額は、単作地帯の方が安くなつております。単作地帯が七十四円四十五銭、それから多毛作地方が九十三円五十銭、このような税額になつております。
#149
○塚田委員 税額でおつしやつていただいても、これは標準率でとつておるかわからないのです。
#150
○中川公述人 この税額の根拠は、二十三年四月の賃貸価格をもとにしまして算出してございまして、賃貸価格の方は、単作地方の方が十四円八十九銭であります。それから多毛作地方は十八円七十銭となつております。これに現在適用されます固定資産税の割合をかけ、同時に先ほどの更正決定は收入に比例するという建前から、あのような比例を出してみたのであります。
#151
○塚田委員 そうすると、先ほど所得に対する固定資産税の比率が単作地帯では九・四%であり、多毛作地帯で七・三%と言われたのは、そういう事情を全部考慮して出て来る数字である。こういうふうに解釈していいわけですか。
#152
○中川公述人 さようでございます。
#153
○塚田委員 それから次にここに頂戴しております表で、私実に意外に感じておるのは、第六表の国税調定額の増加比較という表であります。国税は所得税だけではないわけですが、しかしどちらにしても日本の今日の状態では、所得税がそのおもなものになつておるだろうと思うのであります。そこでこれを平均して行くと、昭和十二年を基準にして、全国平均では二三四二八という指数が出ておるのです。そうして裏日本地帯が特に比率が平均よりも上まわつているという状態があるのですが、これは十分信頼し得る表として考えていいものかどうか。その点をお伺いいたしたいと思います。
#154
○中川公述人 相当良心的に算出いたしてあるつもりでございますが、なお何でしたら、資料によつて御検討願えれば幸いだと考えております。
#155
○河原委員 今の御質問ですが、反当収量は少くとも、単作地帯は多毛作地帯より手数がかかりませんから、一戸当りの耕作反別が多い関係じやないかと思いますが、一戸当りの耕作反別はどんなふうになつておりますか。
#156
○中川公述人 今回提出しました資料の中には、十一県の一戸当りの耕作反別の割合がございませんでしたが、これは早急に皆様の方にお届け申し上げます。
#157
○床次委員 ちよつとお伺いしますが、これは一概に無雪地方として入つておりますが、内容から見てみますと、秋田県のごとき地方あり、新潟県のごとき地方あり、同じ県にいたしましても非常に收益が違うと思いますが、特に超過供出の田の場合におきまして、農家の收入はよほど事情が違うのではないか。単に寒冷地としまして一様の取扱いをするということは、かなり不合理であるような気がいたしますが、各地方による状況の変化によりまして、一様な取扱いではたして公平が得られるかどうか、もう一回承りたいのであります。
#158
○中川公述人 これは今回の税制改革といささか筋が違つておりますが、今回官公吏に対して寒冷地給の措置かございました。税制を真に実態の上に置くといたしますれば、究極いたしますところ、個という問題にぶつかつて来るだろうと思うのであります。東北あるいは北陸、同時に北海道というものに対して、われわれはとにかくこの立地條件による段階差というものを、まずとりあえずつけていただきたい。そういう意味合いにおきまして今回の税体系の改革にあたりまして、積雪寒冷地という立地條件を主体にいたしまして、政府に要請申し上げたような次第なのでございます。
#159
○大泉委員長代理 以上をもちまして、本日の公述人各位の御意見の陳述は全部終了いたしました。
 この際委員長といたしまして、公述人各位もう大部分お帰りになりまして、中川さんお一人でありますけれども、簡単にごあいさつ申し上げます、本日は御多忙中にもかかわらずわざわざ御出席くださいまして、あらゆる角度から貴重なる御意見をお述べくださいまして、本委員会の地方税法案の今後の審査に多大の参考になりましたことを、深く感謝いたす次第であります。
 本日はこれをもちまして散会いたします。
    午後五時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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