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1972/03/28 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第12号
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1972/03/28 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 運輸委員会 第12号

#1
第071回国会 運輸委員会 第12号
昭和四十八年三月二十八日(水曜日)
    午後零時十八分開議
 出席委員
   委員長 井原 岸高君
   理事 江藤 隆美君 理事 加藤 六月君
   理事 佐藤 孝行君 理事 佐藤 守良君
   理事 兒玉 末男君 理事 斉藤 正男君
   理事 梅田  勝君
     小此木彦三郎君    唐沢俊二郎君
      國場 幸昌君    渡海元三郎君
      徳安 實藏君    井岡 大治君
      太田 一夫君    金瀬 俊雄君
      久保 三郎君    平田 藤吉君
      三浦  久君    松本 忠助君
      河村  勝君
 出席国務大臣
        運 輸 大 臣 新谷寅三郎君
 出席政府委員
        運輸省港湾局長 岡部  保君
 委員外の出席者
        運輸省港湾局管
        理課長     鈴木  登君
        運輸委員会調査
        室長      鎌瀬 正己君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十八日
 辞任         補欠選任
  紺野与次郎君     平田 藤吉君
  三浦  久君     田代 文久君
同日
 辞任         補欠選任
  田代 文久君     三浦  久君
  平田 藤吉君     紺野与次郎君
本日の会議に付した案件
 港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
 七三号)
     ――――◇―――――
#2
○井原委員長 これより会議を開きます。
 港湾法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
 この際、運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。運輸大臣。
#3
○新谷国務大臣 前回の委員会で答弁を留保いたしまして、一つは法文に載っております意見を求めるというのとそれから勧告というのとどういうふうにこれが法制的に区別があるのかということで、当局といたしまして、法制局との間に統一的な見解をまとめてまいりましたので、これはあとで政府委員のほうから御説明を申し上げたいと思います。
 それからもう一点でございますが、これは私がいろいろ御質問に応じましてお答えをいたしましたのと、港湾局長がお答えいたしましたのと、非常に内容が違うじゃないかというような意味のおしかりがございました。実は私自身は、ずっといま朝から晩まで参議院の予算委員会にくぎづけになっておりまして、自分自身ではまだ十分速記録を繰り返して見る時間的余裕がないのでございますが、港湾局長は一応速記録を読んだと言っております。そういうわけで、あるいは的確に私が両方の答弁を把握してお答えしておるかどうか自分でも自信がないのでありますけれども、港湾局長と話しました結果につきまして、一応私の答弁の趣旨を申し上げますので、さらに御不満があればまた御質問いただいたらけっこうだと思います。
 私は、先般も河村委員から御質問がありましたときにもお答えをしたと思うのですが、港湾をこれから一体どういう方針で整備していくかということにつきましては法律に書いてあるとおりでございますが、その効果といたしまして、それが地域の開発、あるいは国土の開発、あるいは国民の福利というようなものに全然無関係かというと、そういった公共事業というものはおそらくないだろうと思います。その当時も申し上げたのですが、そういう意味におきまして国土の開発にもつながってくるでありましょうし、地域の開発にも国民の福利にもつながるように公共事業を持っていくのが当然でありますということを大前提として申し上げましたので、この点については、前に申し上げました趣旨と先般申し上げました趣旨とは少しも変わっていないつもりで申し上げておるのであります。
 そこで今度の港湾法一条を見ますると、目的のところで現行法の字句を修正しております。これは、当面するわれわれが港湾整備という問題につきましてどういう考え方でやっていくかという、具体的な方針を港湾法の一条で規定したものでございますということを申し上げたつもりであったのであります。というのは、社会情勢も変わりまするし、それに応じての港湾の機能というものも漸次変わってまいりまして、昔の港湾のように、ただ船が入って物を揚げてというようなものではなくて、ほんとうに港湾というのが流通機構の中でどういう役目をしたらいいんだ、また環境の保全というような問題も最近やかましくなっておりますので、そういった点を踏まえまして、直接に港湾整備というものを考える場合に、こういう方向でまいりますということを港湾法の一条に書いたという趣旨で私は答弁したつもりであったのでございます。その点は先般河村委員にお答えいたしましたのと変わっていないつもりでございます。
 それから、基本方針についての考え方でございますが、あとで字句解釈については政府委員からいろいろ御説明を申し上げると思いますが、この基本方針につきましては、何度も申し上げましたように、これは皆さんが御心配をいただくように、地方自治体の港湾管理者としての権限を縮小しようという意図は毫もございません。われわれは日本の港湾全体を見回しまして、基本的な考え方というものをこの基本方針できめまして、そういう方針になるべく各港湾とも準拠してもらうように行政指導もいたしますし、いろいろ話し合いもいたします。しかし、これは決して各港湾のそれぞれの管理者がきめる港湾計画そのものを法規的に、法律的に拘束するものではないということを申し上げておるのでございます。もちろん全体の立場から、こういうようにしたらどうでしょうか、こういうように考えたらどうでしょうかというようなことは、これは申し上げるのが当然でありますけれども、それによって港湾管理者が自分の考えているのが最終的に非常に拘束されて、運輸大臣の考えている方向でないと港湾の整備はできないというようなことにはならないように法律全体が構成されておるというような趣旨を中心にして御答弁をしたと考えておるのでございます。この点はあるいはことばが足りません場合には、そういう趣旨であるということであらためて御了解をいただきたいと思います。
#4
○岡部政府委員 昨日の委員会で用語の定義という意味で、法案第三条の三第六項の「変更すべきことを求める」というのは変更すべきことを勧告するというのと意味が違うのかどうかという点の御質問について、法制局の意見を徴しましたので、その点を御報告申し上げます。
 港湾計画の変更を「求める」のは、相手方に対し変更の措置をとることをすすめることを意味し、とることを強制していないという点では「勧告する」ことと同意義であるが、「求める」というのは、「勧告する」より強く期待するときに用いられるのが一般である。特に本法案では重要港湾における港湾計画は必ず作成され、かつこれが公示されていることを法は期待しているわけで、港湾管理者が変更の措置をとらないままにしておけば、いつまでも公示の措置はとられないため、公示された港湾計画に対して法が付与した効果は生ぜず、法が期待する秩序に反することとなる。この点で「求める」の意義は単なる勧告とは異なり、一定の措置をとるべきことを強く期待しているものといえよう。以上が法制局の見解でございます。
 なお、神門先生からあわせて法案第三条の二第五項の、港湾管理者は、基本方針に関し、「意見を申し出ることができる」とされているが、運輸大臣はその意見に従うべきことと考えているのか、単に勘案すれば足りると考えているのかという点、同じような意味で御質問がございましたので、これもあわせて答弁をさせていただきます。
 運輸大臣が基本方針を策定するにあたっては、できるだけ多くの関係者の意見を勘案することが望ましいが、特に港湾管理者の意見は、現実の港湾管理上の必要性から出されるもので、重要性が高いため、その意見の申し出を制度的に定めたものである。本規定に基づき申し出された意見については、運輸大臣はこれを十分に尊重し、適切な基本方針の策定に資することとするのはもちろんであるが、意見の申し出の性質上、運輸大臣を拘束するものでないことは当然である。以上でございます。
#5
○井原委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。三浦久君。
#6
○三浦委員 改正法の第三条の三の七項に「運輸省令で定めるところにより、当該港湾計画の概要を公示しなければならない。」こうありますね。公示しなければならないという場合は、港湾計画が基本方針や運輸省令で定める基準に適合している場合、また港湾の開発、利用または保全上、著しく不適当でない場合、それともう一つは、変更を求められて、その求めに応じて変更した場合、それも含まれるわけですね。答弁してください。
#7
○岡部政府委員 そのとおりでございます。
#8
○三浦委員 そうすると、いまの御説明ですと、「求める」というのはすすめることであって強制力はないんだ、ただ強く期待するというだけで強制力はないんだ、そういう意味では「勧告する」と同じだ、こういうふうに言われましたね。期待の強弱によって「求める」ということと「勧告」ということとが違うということですね。そうすると、「求める」ということと「勧告する」ということとの法律効果は同じだというふうに承ってよろしいですか。
#9
○新谷国務大臣 先ほど法制局といたしまして、各種の法令を通じまして検討をいたしました結果、港湾局長が読み上げましたような統一的な見解を示してくれたわけであります。あの見解でも明らかなように、これは同じだということになりますと、申し上げましたように全然同じならば同じことばを使ったらいいじゃないかということになります。私はその点は統一見解でも書いてございますように、意見を求めるというほうが少し強い意味であるというふうに申しておりますから、そのとおりであると思いますが……(三浦委員「意見を求めるじゃないでしょう、変更を求めるでしょう」と呼ぶ)変更を求めるということですね。しかし、それはどこまでも強制力を伴うものではないという点については、法律的にどういう効果を期待するんだということになりますと、それは同じだというふうにお考え願ってけっこうだと思います。
#10
○三浦委員 そうすると、もう一度確かめますけれども、期待の強弱によって、いわゆる運輸省の側、政府の側の期待の強弱によって、「求める」と「勧告する」を使い分けているんであって、それから生ずる法律的な効果は同じだ、こういうことですね。
#11
○鈴木説明員 補足説明させていただきます。
 実は法制局の見解をただしましたところ、勧告との差は、勧告の場合はそれで法律的な書き方の規制は終わりになるのが普通である。それに対しまして、本項のような書き方をしておりますときには、そのあとに第二次的な措置を書くのが普通であるというのが法制局の見解であります。それで一方におきましては、第二次的な措置といたしまして、公告をするというふうな措置をとっておるわけでございます。第一次的な規定だけで終わります勧告の場合には、そのあとに補足いたします公告というふうな書き方をしないのが普通だというのが法制局の見解であります。
#12
○三浦委員 それはあなたたちがただこの法文のつじつまを合わせるためにそう言っているわけであって、法律的な概念にはそんなものはないのですよ。求めることができるというのは、強制力がないけれども、ただ求めるとも違うんだ、強く期待するということだ。そして第二次的な法的な措置を予定しているものだ。これが求めることの概念である。そんな法律概念はないでしょう。それはこの港湾法の改正法案のつじつまを合わせるためにあなたたちがいまつくり出したことばなんですよ。そうでしょうが。どうですか。
#13
○鈴木説明員 お答えいたします。
 先ほど申し上げました「勧告」と「求めることができる」の差は、法律のそれをやらないことによりまして、たとえば、罰則の規定とか、そういう点での効果は「勧告」と「求めることができる」というものとの間には差はないというのが法制局の見解であります。ただ、「勧告」の場合は、その勧告という規定だけで終わりますのに対しまして、「求めることができる」といいますときには、そのあとの第二次的な規定まで書くのが普通である。そういう意味で「勧告」よりも「求めることができる」というほうのほうが法律的に幾ぶん慎重な規定と申しますか、そういうニュアンスを持っておるというのが法制局の見解であります。
#14
○三浦委員 そうすると、「求めることができる」という場合には、第二次的な法的な措置を予定しているということですね。しかし、第二次的な措置を予定していない場合もあるわけですよ。そうすると、ただ単にことばの上で「勧告する」ということと「求めることができる」というふうに書いてある場合とで、法的な効果は違うのか同じなのかはっきり答えてください、それだけの問題について。
#15
○新谷国務大臣 法律的な、純粋の法律的な問題としてとらえてみますと、いま課長が御説明いたしましたように、従来の立法例を見ますと、第二次的な措置を伴うのが通例であると言っておるのでありまして、それが法律上絶対に必要であるとは言っておりません。したがいまして、おっしゃるように、そういう第二次的な措置が伴う場合もあるし、ない場合もあるというふうに御理解をいただいてけっこうだと思います。したがって、法律の面から申しますと、特に申し出云々ということによりまして、新たに勧告と違った法律的な拘束をするというような効果は出てこない、これは非常にはっきりと申し上げなければならぬと思います。
#16
○三浦委員 「求めることができる」という場合には、それに従うか従わないかは、求められた側の自由なんでしょう。それをはっきりさしてください。
#17
○新谷国務大臣 強制力がありませんから自由だという、法律には自由だというようなことばは使っておりませんけれども、法律に書いてありますように強制力はございませんということでございます。
#18
○三浦委員 そうすると、求められた側がそれに応ずるか応じないかは自由だ。しかし、この第七項でもって、従わない場合には港湾計画の公示がされないわけですね。従った場合には港湾計画の公示がなされるわけですね。これは非常に大きな法律的効果の違いだと思うのです。この点どうですか。
#19
○鈴木説明員 お答えいたします。
 法制局の見解によりますと、公示をするかどうかは運輸大臣の自由である、公示をする必要がないというふうなことを言っております。それが法制局の見解でございます。――法制局の見解によりますと、運輸大臣は公示をしなくてもよいというふうに言っております。(三浦委員「何の場合」と呼ぶ)港湾管理者が、変更すべきことを求めた場合に、その変更に応じなかった場合といいますときに、第七項によりまして運輸大臣が公示をするかどうかは自由である、運輸大臣の判断によるというような見解のようでございます。
#20
○三浦委員 公示をされなかった場合には、それは正式な港湾計画とはならないということですね。
#21
○鈴木説明員 港湾計画にならないということでございます。
#22
○三浦委員 そうすると、国からの財政支出というものも行なわれないということですか。
#23
○鈴木説明員 現在の港湾支出といいますものは、港湾計画に基づいて、その判断の上に支出されておりますので、そういうことになろうかと思います。
#24
○三浦委員 そうすると、法律のことばの上では強制ではないのだといいながら、実際には強制をしていることになるじゃありませんか。管理者がつくった港湾計画と、国の基本方針や運輸省令で定める基準、こういうものとが食い違った場合に最終的にはどっちが優先するのかという問題があると思う。どっちが優先するのですか。
#25
○鈴木説明員 港湾計画に基づきます港湾予算の支出の点につきましては、国会の御審議をいただいた上での運輸大臣の自由裁量でございますので、その点につきましてはそういう問題が当然出てまいる、かように存じます。
#26
○三浦委員 私が聞いているのは、港湾管理者がつくった港湾計画と、大臣が定めた基本方針やまた運輸省令で定める基準、こういうものとが最終的にはどっちが優先するのかということを聞いておるのです。簡単なことです。
#27
○鈴木説明員 先生の御質問の優先順位というような点につきましては、どちらが優先するか優先しないかという問題ではなく、それをどの程度運輸大臣が港湾行政の上で参考にするかどうかの問題かと存じます。
#28
○三浦委員 港湾管理者が港湾計画を作成します。それが基本方針や運輸省令に適合しなかった場合がかりにあるとします。そうすると、そういう計画はいまの御答弁ですと実際には遂行できないということでしょう。そうなれば国の基本方針や運輸省令のほうが優先するということじゃないですか。基本方針や運輸省令に合致していなければ港湾計画の実行というのはできないわけでしょう。そうすれば、基本方針や運輸省令が当然優先するというのはあたりまえのことじゃないですか。それをどうしてそういう答弁をされるのですか。
#29
○新谷国務大臣 なかなかいろいろの点から追及されるものですから、答弁のほうもいろいろになっておりますけれども、この港湾法の三条の三ですか、これをすらっと読んでごらんになりますと、この点は非常にはっきりすると私は思うのですが、先般来申し上げておりますように、港湾についての基本方針というのは、各港湾の具体的な管理者がきめるようなそういう方針を具体的にきめるものではなくて、国全体の港湾はこうあってほしいという基本方針をきめます。それに基づいて運輸省令で、大阪の港湾をどうするとか東京の港湾をどうするとかいうような具体的な基準をきめるものではございません。運輸省令でいきましても、もちろんこれは抱括的な全体の港湾を通ずるような基準というものをきめていく予定でございます。したがいまして、その方針には、これは法律によって授権をされておるわけでございますから、そういうふうなことが運輸大臣も可能であるし、運輸省令も可能であるということになって、法律的にはそれが一つの基準になり、方針になることは事実でございます。したがって、その方針あるいは基準にのっとって各港湾管理者がそれぞれ自分の具体的な計画をおきめになるということになるわけでございます。しかし、国が何と言おうと、運輸大臣が何と言おうと、自分の港湾は自分でかってにやるのだ、こういうことになりますと、これは全体の港湾管理の上から非常な支障を来たすと思います。したがいまして、われわれの意図しておりますところは、港湾管理者の権限を小さくしたりあるいは港湾管理者の意思というものをじゅうりんしようなんという気持ちは毛頭ありませんが、各港湾を通じまして日本の港湾の整備というものはこういう方針でありたいということを抽象的にきめていこうとするのでありまして、その方針にのっとって具体的な計画を立ててもらうということを期待しておるわけでございますから、この三条三のことばは不備かもしれませんが、そういう趣旨、目的が法律には書けません。でありますから、いま申し上げましたようなことを頭に置いていただきまして、この三条三というものをごくすらっと読んでいただけると、いま私が申し上げたような趣旨がおわかりいただけるのじゃないかと私は期待しておるのであります。
#30
○三浦委員 すらっと読んでいるのです。基本方針というのが全国的な方針だから、個々の港湾についてどうこうするということではない。それはそうですよ。そんなことは法律のていさい上もできないわけですから、一般的、抽象的なことを規定するにきまっているのですよ。しかし具体的な港湾計画というものが出てきた場合には、その基本方針や省令で定める基準というものに合っているかどうかということが、そこで判断の対象になるわけでしょう。どうしたってなるわけです。それで適合しない場合には変更を求めることができるということになっているわけです。ですから、最終的に港湾管理者のつくった港湾計画というものと、この基本方針や運輸省令で定める基準というものとはどっちが優先するのですかということを聞いているのですから、それに対してすらっと答えてくれればいいのです。
#31
○新谷国務大臣 法律あるいは法律に基づいて授権せられておりますものは、これは優先することは言うまでもございません。ただ、運輸大臣といたしまして各港湾の具体的計画が出てまいりました場合に、それをどう処理するかという場合の運輸大臣の裁量の問題ではないかと思います。もっと問題を縮めまして、ある港湾の具体的計画が港湾管理者から出てきた、それがもちろんいろいろな港湾の計画についての基本方針とか、その他をきめます場合にも港湾管理者の意見も十分聞いて、港湾管理者が意図しているところを十分入れて基本方針なり運輸省令というものを考えていくということは御説明をしておるとおりでございますけれども、それでもなおかつそれと著しく違ったようなものが出てきた場合にどうするかという問題かと思うのでございます。その場合には、やはり法律あるいは法律によって授権せられました運輸大臣の権限は優先するというのは言うまでもございません。しかし運輸大臣が自由裁量できめます場合には、まさか港湾管理者が日本の港湾はどうなってもいいのだ、日本の海陸輸送はどうなってもいいのだというような考え方で港湾管理者がきめるはずはないと私は思います。したがってそこで運輸大臣が裁量をいたします場合に、実際の行政措置といたしましては、ただ単に法文に書いてあることだけではなしに、港湾管理者の意見もよく聞いて、なぜこうなのか、それはこういうふうに考えたらどうですかというようなことについて実際上行政措置によってそういう点についての意思疎通を十分はかりまして、全体の港湾の発展のためにお互いに協力をしようという体制をつくっていこうというのが、この法律の趣旨であると私は考えております。
#32
○三浦委員 実際の運用の面で基本方針に違反をしたり運輸省令で定める基準に違反をするような計画が出ないようにしていく、これはもう政府の考え方としてはそのとおりでしょうね。しかし法律というのは最悪の場合そういう意見が食い違った場合にどっちが優先するかということをきめているわけなんですね。もし大臣の言うように、実際の運用の直でうまくやっていくのだということだけであれば法律は何も要らないわけです。最終的に意見が食い違った場合にどっちかがどっちかの意見に従わなければならないということをきめておかなければ、安心して行政ができない、こういうことからこの法律の改正案が出てきているのだと思うのです。いま大臣のお話ですと、法律や法律の委任を受けた政令、省令というものが個々の港湾計画よりも優先するのだ、こういうお話ですけれども、そうしますと、昨日私が質問をいたしました港湾管理権というものはだれにあるのか、これは御答弁によれば、はっきりと地方自治体にある。地方自治体にある港湾管理権が最終的には国の方針に従わなければならない。ということになると、この管理権というのはあってなきがごときものです。最終的な決定権というのは国が持つ、政府が持つ、運輸大臣が持つということになるわけですから、そうすると、これはやはり地方自治体の固有の事務である港湾管理という事務をつかさどる地方自治権の侵害だということが、明瞭になったと私は思うのですね。この点御答弁いただきたいと思うのです。
#33
○新谷国務大臣 さようには考えておりません。これはたいへん失礼な答弁になるわけですが、行政法というものは、両極端を考えまして、すべての人が法律を犯した場合にどうするかとか、そういうことだけを主力に置いてこれを規定するものではないと思います。いまのどこの港湾でございましても、国が相当の経費を出して補助をいたしておりますし、技術的な援助もいたしております。国の考え方、国といいますと運輸省でございますが、運輸省と各港湾管理者との間に具体的にそういうケースがあって、ほんとうに困ったのかということになりますと、今日までそんなケースはなかったと思います。これはやはり行政指導面といいますか、行政措置といいますか、この行政法のそれが一つのたてまえであってよろしいのじゃないかと私は思います。
 したがいまして、最悪の場合を考えて、こんなことがあったらどうするのだ、刑法を考えますように、そういうような考え方ですべてを律するということは、私は行政法としては行き過ぎじゃないかと思っております。それでこの港湾法というものの中でも、もしもそういうことがあった場合にはどうするか、違った場合はどうするか。その場合にはこれは先ほど港湾局長が御説明いたしましたように、主管大臣の裁量によってそれをきめるのだということが、この法律に書いてあるのでございます。そういう場合には、これは法律だけで、こう書いてあるから自分のほうはこうするのだとかという、法律の明文に書いてあるとおりの手続によってすべての行政は進行するものではないのでございますから、その間、われわれとしましては最大限努力をいたしまして、港湾管理者との意思の疎通をはかり、両方の計画のよって来たるところをお互いに話し合いをいたしまして、実際に港湾の整備が地域のためにも、国民の福利にもつながるように持っていくことを本旨としてこれは考えておるのでございます。その点は最終的には運輸大臣の裁量にあるということになりますから、あなたがいろいろお考えがあれば、そういう場合には、運輸大臣はこういうような考え方でやらなければ困るよと注文をつけていただくのはけっこうでございますけれども、法制上それが初めから間違いなんだというように議論を発展させられますことは、この港湾法のねらっているところとはだいぶ違ってまいりますということを、私はるる御説明を申し上げているわけでございますから、そういうので御了承いただく以外にはないんじゃないでしょうか。
#34
○三浦委員 いま、最悪の場合だけを予想して行政はできないのだ、こういうお話がありましたけれども、それはそのとおりですね。しかし最悪の場合、たとえば、運輸大臣と港湾管理者との意見が食い違った場合は、最悪の場合ですね、食い違った場合にどうするかということについても、あらかじめ考え方を予定しておかなければならないということも事実じゃないですか。ですから、この改正法案の中に、基本方針と港湾管理者の港湾計画が食い違った場合には変更を求めることができる、そしてそれを聞かない場合には工事はしませんよ、こういうような規定をずっとつくっているわけですからね。私がいま質問したのはその点じゃなくて、この改正法によって、自治権の侵害、いわゆる港湾管理者の管理権というのは最終的には国が持っているようになるのじゃないかということを質問しているわけなんです、最終的には国の見解に従わなければならないということなんですから。
#35
○新谷国務大臣 ちょっと時間がありませんので、ごく簡単に答弁さしていただいて失礼いたしますが、港湾法で書いてございますように、最終の責任者は運輸大臣だと思います。これは港湾法に書いてございますし、運輸省の組織法にも書いてございます。これはもう間違いないところです。ただしかし、すべての具体的な港湾について管理運営するのを運輸大臣が責任を持ってやれるかといいますと、それはそうじゃありません。これは港湾法に書いてあるとおりに、港湾管理者のほうが仕事をしてくれるということでございます。しかし全国の港湾の管理ということについては運輸大臣が法律によって責任を持たされておりますから、それに応じて、個々の具体的な港湾じゃありませんが、港湾行政全般にわたりまして方針をきめたり、それから基本的な考え方を述べたりしまして、各港湾がばらばらにならないように、その機能を最もよく発揮してくれるように措置をするのは当然のことでございまして、その範囲における措置ではないかと私は思っておるのでございます。
#36
○三浦委員 ちょっと質問を保留したいと思うのです。たとえば理由を言いますと、委員長、こういうことなんです。公共団体の固有な事務になっているわけでしょう。何も、地方公共団体というのは治外法権ということを私は主張しているのじゃありません。もちろん国の行政といろいろなかかわり合いを公共団体は持っているわけです。しかしそのかかわり合いが権力的なものであってはならないということなんです。結局、全国的な観点で港湾をどうするのかというようなことを国がきめる場合には、それはあくまでも助言、勧告というような立場でやられるべきなんですね。国と地方自治体の意見が食い違った場合に、国の意見を最終的には優先させるのだということでは、地方自治権を認めた意義というものは、全くないのです。そういう意味で、私は大臣の答弁にははなはだ不満であります。そしてまた、それは人を納得させることができない答弁だと思うのです。そういう意味で、いま大臣がおりませんから、私は質問を留保して、次回にこの点について再度質問さしていただきたいと思いますので、委員長の善処方を要望いたしたいと思います。
#37
○井原委員長 この際、暫時休憩いたします。
   午後零時五十八分休憩
     ――――◇―――――
  〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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