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1972/07/13 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第42号
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1972/07/13 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 商工委員会 第42号

#1
第071回国会 商工委員会 第42号
昭和四十八年七月十三日(金曜日)
   午前十時四十二分開議
 出席委員
   委員長 浦野 幸男君
  理事 稻村左近四郎君 理事 左藤  恵君
   理事 田中 六助君 理事 羽田野忠文君
   理事 山田 久就君 理事 板川 正吾君
   理事 中村 重光君 理事 神崎 敏雄君
      天野 公義君    稲村 利幸君
      内田 常雄君    越智 伊平君
      木部 佳昭君    塩崎  潤君
      八田 貞義君    増岡 博之君
      岡田 哲児君    加藤 清政君
      加藤 清二君    上坂  昇君
      佐野  進君    竹村 幸雄君
      藤田 高敏君    多田 光雄君
      近江巳記夫君    松尾 信人君
      玉置 一徳君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  中曽根康弘君
 出席政府委員
        公正取引委員会
        事務局長    吉田 文剛君
        公正取引委員会
        事務局取引部長 熊田淳一郎君
        通商産業政務次
        官       塩川正十郎君
        通商産業省企業
        局長      山下 英明君
        通商産業省企業
        局次長     橋本 利一君
        通商産業省公害
        保安局長    林 信太郎君
        通商産業省重工
        業局長     山形 栄治君
        通商産業省化学
        工業局長    齋藤 太一君
        通商産業省鉱山
        石炭局長    外山  弘君
        通商産業省公益
        事業局長    井上  保君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 北川 俊夫君
 委員外の出席者
        環境庁長官官房
        審議官     橋本 道夫君
        消防庁予防課長 永瀬  章君
        商工委員会調査
        室長      藤沼 六郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
七月十二日
 辞任         補欠選任
  加藤 清政君    米内山義一郎君
同日
 辞任         補欠選任
 米内山義一郎君     加藤 清政君
同月十三日
 辞任         補欠選任
  米原  昶君     多田 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  多田 光雄君     米原  昶君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済総合計画に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○浦野委員長 これより会議を開きます。
 通商産業の基本施策に関する件、経済総合計画に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田高敏君。
#3
○藤田委員 私は、先日起こりました出光石油化学徳山工場のガス爆発に伴う火災問題についてお尋ねをしたいと思います。
 この問題については、通産省当局におきましても、すでにその原因究明に当たっておるようでありますが、新聞記事による通産当局の対処のしかたとしては、防災専門家を含む調査委員会を設置して、その原因究明に当たっていく、そうして今週末には全国の石油化学コンビナートに対して総点検を開始する。いま一つは、この出光石油化学に関する事故調査の結果は、九月末までにその報告を取りまとめる、こういうことが出されておるわけでありますが、その後、具体的な調査も進んでおると思うわけでありますけれども、大体この方針は今日ただいまにおいても変わりがないかどうか、これをまずお尋ねしたいと思う。
#4
○林(信太郎)政府委員 徳山の事故に関しまして、私どものたいへんな手落ちでありますことを冒頭に深くおわび申し上げます。
 ただいまどう対処するかということにつきまして当初通産省がきめました点、一つは事故調査委員会を発足させまして、原因究明を厳正にかつ迅速に実施をするという点、すでにメンバーの選定を終わりまして、本日午後第一回の会合を開く予定にしております。メンバーの長は、このほうの最高の権威といわれます東大の疋田先生でございます。来週早々にもこのメンバーで現地に行く手はずを進めておる状況でございます。
 それから第二点の全国十七カ地域のエチレンプラントに対します総点検でございますが、通知をもちまして、その旨とりあえず県、通産局及び関連の業界に通達をしてございますと同時に、総点検のチェックポイント等、目下内部で、スタッフが寄りまして鋭意進めておる段階でございます。
 以上でございます。
#5
○藤田委員 私が、あえて通産当局のいま取り組もうとしておる二、三点についてお尋ねをしたのは、なるほど調査それ自体は慎重を期して点検をしなければならない分野というものはあろうかと思います。しかしながら、この種の石油化学関係の今回の事故といえども、二カ月もかからなければ調査結果が出ない、報告できないというようなことでは、私は、この地域の住民に対して――現在この石油化学コンビナートに指定されるものは、厳密な意味でいけば数が多いかと思うわけでありますが、ごく通俗的には全国で十七カ所あるといわれておる、そういう地域の住民は、今度の爆発火災事故によって、これに類するような事故が発生するのじゃないかということで、たいへん不安におののいておると思うのです。そういう点からいきますと、少なくとも生産工程というものは技術的にもわかっておるわけですから、先ほどの答弁ではありませんが、迅速に調査結果をまとめるということであれば、たとえばその期間をもっと大幅に短縮することができるのじゃないか、そういう精力的な取り組みをやるべきではないかと思うわけであります。この点についての通産次官の見解を求めると同時に、私の持ち時間はわずか三十分ですから、質問の要点を幾つかまとめて申し上げますが、せんだっての工場立地法の審議の過程で、私ども社会党が特に強く主張いたしましたのは、その工場立地にあたって環境保全、公害防止の施設をどう工場立地の中に取り入れていくかという点を一番重要な問題として指摘しました。そのときに申し上げたことは、今日の公害なりあるいは災害というものが、そのほとんどと言っていいほど、会社の企業機密という名に隠れて公害関係の問題がないがしろにされたり、あるいは今回起こったような爆発の原因というものが、ややもすると企業秘密という名に隠されて、問題を企業内の問題に封じ込めるところにこの種の問題が起こっておるという点を指摘したわけですが、私は、この機会に、出光石油化学のこの調査にあたっては、企業秘密のない調査、そうしてその結果、当然企業秘密というものによって公表を避けるということのない全面的な公開主義、そしてその上に、今後の安全対策を期する、こういう性格の調査にすべきだと思うわけでありますが、その点についての見解を次官からお聞かせいただきたいと思います。
#6
○塩川政府委員 さきにお尋ねのございました事故の原因調査でございますが、これは先ほど林局長が申しましたように、現在直ちに着手していただく段階になりまして、委員の任命も終わりまして第一回会合が開かれるという段階でございまして、早急に結論を出していただくようにいたしたいと思っております。
 ただ、先生お尋ねの中にございました九月末までにということは長過ぎるということでございましたが、これは総点検を九月末までに終わりたいということでございまして、徳山の事故調査につきましては、先ほど申しましたように、発足いたしました調査委員会でできるだけ早く結論を出していただくようにいたします。
 それからなお、第三番目のお尋ねでございました徳山事故の調査にあたっては、企業機密というべ−ルに包まれて真相の探求ができないようなことになるのではなかろうかという御心配でございますが、企業機密も、調査の段階においては、いわゆる専門家の中におきましては私は十分検討されると思うのでございまして、外国との関係でいろいろとそういう外交的な問題になるものは別途の問題といたしまして、そうでない限りにおきましては、企業機密というものもさらけ出してもらって積極的に調査をいたしたい、このように思っておりますので、先生御心配の点はございましょうが、われわれもつとめて努力いたす覚悟でございます。
#7
○藤田委員 総点検の問題について九月末までというわけですが、私は、この問題についても、この際、他の十六工場になるのか十八工場になるのか、総点検の期間を設定して、――あとでも申し上げたいと思うのですが、私の調べたところによれば、十七の石油化学工場のうち、実質的に償却の終わっておるのが十一カ所ないし十二カ所あるわけですね。これはもうこまかくは申しませんが、税法上から見てあるわけです。ですから、この際、あってはならないことですが、今回のような事故が起こったと思って、全国の事業所に、たとえばこの十五日だったら十五日から、どことどことどこの会社は一週間以内に総点検をやる、そうして二十日からはどことどこの会社をやるという形で、出光石油化学の今回の事故原因の結果が出てくると同じように、その時点では、全国の石油化学工場の安全面における総点検が同時にされて、そうして発表できるように日時を短縮すべきではないか、こう思うわけですが、その点についての見解はどうでしょうか。
#8
○塩川政府委員 私たちもできれば早急に総点検を終わりたいという気持ちは一ぱいでございます。そこで、現在こういう関係の高度な技術を駆使し得る学者あるいはその経験者というものが実は案外に少のうございまして、現在やっと四グループぐらいの編成が可能で、その四グループの専門家の方々に総点検をしていただくということでございますので、何ぶんそういう面からの制約が若干あるということをひとつお考えいただきたい。つきましては、こういう問題は常時それぞれのコンビナートにおきまして技術上の点検をいたしておると思うのでございますが、常時のあり方等もこの際あわせて考えていかなければならぬ、このように思います。いずれにいたしましても、九月末までというのはそこが一つの限界でございますので、それまでにできるだけ早く終了いたすように総力をあげてやっていきたいと思っております。
#9
○藤田委員 この点は強く要望しておきますが、それぞれの専門家、技術屋の能力の問題もありましょうけれども、もう極力短期間にやる。コンビナートといいますか、石油化学工場のある周辺の住民からいえば、一たん操業を停止して、もう直ちに操業を停止してでも、この出光石油のような事故が起こらないかどうかという点検をやってもらいたいというのが地域住民の意向だと思うのですよ。その意向に沿って、できるものであれば、私は技術屋、専門家を総動員して、何班に分けるかわかりませんけれども、この一カ月以内ぐらいに完了できるように努力を払ってもらいたい。その見通しについてもう一度お尋ねすると同時に、今回の調査は、いまお話がありましたように東大教授ですか、疋田さんを中心に編成されるようでありますが、ぜひ他の工場の点検にあたっても、企業内だけの専門家の調査あるいは監督官庁だけの調査というものではなくて、一歩ワクをはずして第三者的な学者、専門家の安全総点検をぜひ実施してもらいたいと思いますが、それについての見解をひとつ聞かしてもらいたいと思います。
#10
○林(信太郎)政府委員 一カ月以内を目途としてやるようにという先生の御指摘でございますが、私ども本来は一日でも半日でも早く結論を出してコンビナート周辺の地域住民の方々の不安を早く除去するというふうにつとめたいと決心しております。
 実は私どもの行ないます総点検は直接の所管権限が知事でございますので、県庁との打ち合わせがやはり残ってまいります。したがいまして、とりあえず通牒を出しまして自主点検を一斉に各エチレンプラントに対して指導してまいります。昨日その方針を確認して各社単位でとりあえず事故検査にスタートしておる段階でございます。
 それから、この点検の際に厳正中立な委員で構成しろという御指摘は全くそのとおりでございます。そういう方針をとっておりますので、ただいま政務次官からお話し申し上げましたように、厳正中立なそういった権威のある専門家を大量に動員するのに苦慮している状況でございます。
#11
○藤田委員 私が質問した方向に沿ってそういった専門委員の委嘱調査を積極的にやる、こういうことでひとつ取り組んでもらいたいと思います。
 もう一つの点は、先ほどの答弁でありますが、この企業秘密なき調査という性格、これは先ほど外国の問題も出ましたけれども、この間の工場立地法のときにも問題にしたわけですが、そういうことで、この種の問題はなるほど外国との技術競争の関係その他あるかもわかりませんが、これもきのうの新聞だったですか、あの工場内の焼けあとの調査に報道陣を全然入れないというふうな記事が載っていましたが、これは企業の意思としてそういうことをやったのか、あるいは行政機関としては、このきのうの新聞発表は誤謬であるか、実態と違っておるのかどうか私もわかりませんが、やはり報道関係あたりは、これだけ大きな事故、爆発があった場合には入れて調査をするのが当然じゃないかと思うのです。企業の意思として報道関係を排除したとすれば、通産当局は、その程度のことは当然企業秘密なき調査という、またその調査結果は全面的に公表するというたてまえからいけば、第三者機関の公正な判断あるいは見方、その一つとして私は報道関係の専門家を入れることは一つの調査過程としてはきわめて大事なことではないかと思うのですが、それについての見解をひとつ聞かしてもらいたい。
#12
○林(信太郎)政府委員 ただいまの先生の御趣旨のとおりでございます。現場に新聞記者を入れないというのは、私どものほうはそういう指示は一切いたしておりません。ただ、地元では、事故現場でございますので、警察が厳重な管理をしておるように聞いております。ただ、報道陣の拒否が警察のそういった管理によるものなのか、あるいは企業側の措置によるものなのか、ちょっと私どものほうで状況を把握いたしておりません。
 それから、事故調査委員会に第三者を入れろということでございますが、ただいま私どものほうで確定いたしましたメンバーは、全部中立委員でございます。したがいまして、検査を中立厳正にやるという趣旨を貫徹しておる次第でございます。
#13
○藤田委員 以上、調査の性格なりあり方については、私の指摘した点を十二分に尊重して実態調査の中で生かしてもらいたい。このことを強く要請しておきます。
 第二点の問題は、今度の事故が起こっていろいろな新しい問題を提起したと思うわけでありますが、その一つは消防体制が全くなっていないといいますか、企業内の自衛消防隊の問題あるいは自治体としての消防機能の問題であります。この種の高圧ガスの火災に伴う消防能力の問題については、全くぼう然として火災の現場を見過ごす以外にない。燃えるだけ燃えて、何日たとうとも火が消えるまで待たざるを得ない、こういう問題点を一つ私は提起したように思うわけであります。あってはならぬことですけれども、出光の場合なんかは、世間でいわれておることを聞けば、こういった石油化学の関係では、技術的にも安全対策の面についても最新鋭の設備ができておるのだ、対策が講じられておるのだ、こういうふうにいわれておったところに事故が起こって、全く三日三晩燃え続け、手の打ちようなし、こういうことでは、全国十何カ所にあるその周辺の住民は安心して生活をすることができないと思うわけであります。
 そこで、私は具体的な提案を含めてお尋ねをしたいわけです。この機会に、消防体制の問題とも関連をいたしますが、工場立地のあり方について、これまたこの間の工場立地法では、事業所内におけるいろいろな安全施設や環境保全の施設をどうするかという問題でしたが、工場と人家なり居住区との関係については、現在の高圧ガス取締法の条件からいっても非常に問題がある。こまかいことは申し上げませんけれども、いわゆる一級事業所、二級事業所の場合は、事業所の境界線と居住区との距離というのはわずか二十メートル、三級事業所の場合の第一種保安物件、第二種保安物件については、学校とかホテルとか駅とか、そういうものとの関係はこれまた二十メートルないし三十メートルです。十メートルや二十メートルどっちへころんだって一緒でして、こういった居住区や学校とか、これらの施設との距離は、諸外国の例では少なくとも五キロ以上とか、ひどいところになると五十キロ以上も離れなければこの種の高圧ガスの事業所は設置させないというころもあるようであります。この機会に、そういった保安条件の整備をはかる意味からも、高圧ガス取締法の根本的な改正、洗い直しの必要が生じたと思うわけですが、それについての見解が一つです。それと前段申し上げた消防の問題については、この際どうでしょうか。あとでこれは指摘したいと思うのですが、現在のままの居住区との関係において操業を持続するとすれば、何より先に居住区と工場との間に水壁といいますが、これはガスで何ぼ上がるか知りませんが、今度の場合、現地調査にも行かれた同僚の皆さんがあとで質問なさいますからわかりますが、何でも百メートルくらいに上がったということであれば、少なくともそれに匹敵するくらいは水圧で居住区と工場との間に水壁――あってはなりませんけれども、失敗があっても安全だ、失敗があってもとりあえず居住区には類焼を及ぼさないという水壁をつくるとか、それから工場と工場、こちらにエチレンの工場がある、次にやはり可燃性の工場があるという場合には、その工場間にもそういう一つの水壁をつくるというような施設を義務的条件としてこれらの企業に設置をさせていく必要があるのではないか。
 それといま一つは、消防の能力の問題、あり方として、今回は事業所の中にある消防も全然手がつかぬ。いわんや自治体の消防も、来てもどうにも手がつかぬ。海上保安庁から来てもどうにもならぬということになりますと、この種の化学工業の消防体制としてはヘリコプターみたいなもので空中から消火する。消火剤を空中散布して鎮火さす。これはガスとの関係もありますから技術的にもむずかしいかもわかりませんが、そういう新しい消防体制をこういう事故発生の機会に考えていく必要があるのではないか。そういうものを企業に義務づけていく必要があるのじゃないか、こう思いますが、これは新しい問題でありますし、法律改正にかかわる問題でありますので、大臣お見えになりましたから、大臣から見解を聞かしてもらいたい。それと同時に、消防の問題については、自治省の立場からひとつ見解を承りたい。
#14
○中曽根国務大臣 先般の出光の事故にあたりましては、たいへん住民、関係当局に御迷惑をおかけいたしまして、遺憾の意を表する次第でございます。
 事故の真相究明にあたりまして、通産省としてもさっそく調査委員会をつくりまして、本日、東大の疋田教授を委員長として十二名の委員会を正式に発足させました。同委員会は、本日十三日午後第一回目の打ち合わせ会議を開き、直ちに現地に飛んで事故原因の究明に取りかかることになっております。
 保安距離の問題でございますけれども、たしか十七の石油コンビナートの書類上の報告を見てみますと、川崎その他において古い施設が二、三その境界線から住宅まで五十メートルくらいのものがあったと記憶しております。もちろん施設からその境界線までは三十メートルの規定は守っておりますが、今度の事故の経験にかんがみまして、総点検の結果によりましては、現在の高圧ガス取締法を手直しして、もし必要ある場合にはその保安距離をもう一回検討し直そう、そういう心組みでございます。
 それから消防方法の問題でございますが、これは自治省のほうからお答えいただくと思いますが、大体ああいうエチレン系統の事故の場合には、ガスが燃え尽きるまでちょっとほかに操作の方法がない。窒素ガスを中へ注入して蔓延を防ぐということはあるようでございますけれども、ともかく危険性が多いものでございますから、燃え尽きるまで待つ、そういうことでありまして、ヘリコプターを使うということがどの程度有効であるか、これは山火事のような場合には非常に有効でありまして、自衛隊等もいざというときには山火事のような場合には動員もし、また、現に動員して消火弾を投げたというような例もございます。しかし、ああいう技術的な場面において発泡剤等を中心にして、特殊の化学消防車が必要であるというような場合に、はたして上から投げるヘリコプターのようなものが週当であるかどうか、私ちょっとこれは研究を要するものがあるように思います。それ以前に、保安規則で定められておりまするウォターカーテンをその所要の施設に完全に張りめぐらしておく。今回、エチレンのタンクがそばにありましたけれども、ウォー夕ーカーテーンが完全に作動したためにほとんど異常のない状態で無事に安全を保ち得たという例がございます。そういう意味において、現在きめられておる諸般の保安規則を厳重に守って、ウォーターカーテンを中心にする対策が的確ではないか、そのように考えます。
#15
○藤田委員 私も、こういったガス爆発火災は、空中から散布するヘリコプター方式による消火体制が最良であるというようなことはしろうとですからなんですけれども、しかし、今回のように火災が起こって、三日、四日連続で、燃え終わるまでしかたがないのだということになれば、こういった石油化学あたりの工場内にある自衛消防隊というのは何のために置いておるのか、こういうことにならざるを得ないと私は思うのです。ですから、その会社にそれだけのものを置くということになれば、アクセサリーとして置いておるのじゃないでしょう。こういう事故が起こったときに消火するだけの能力と機能を発揮するということでこの企業内に消防隊を置いておるわけですから、その任務が果たされないので三日三晩燃え続ける以外にないんじゃないかということになれば、そういう消防隊を置く必要はないんじゃないか。そういうことであれば、今度のような事故が起これば、積極的に新しい消防のあり方としてどういうものが適切かということを当然通産当局としても考える これは私は自治省に逃げを打つのはどうかと思うのです。自治省も関係ある、しかし、自治省は自治体の消防ですから、企業内の消火の問題まで自治体消防にその責任を転嫁することは問題があるんじゃないか。したがって、これは直ちに結論が出ないとしても、そういう安全な、化学的な消防体制というものをつくる必要があると考えるのですが、その点についての見解をお尋ねすると同時に、いま一つの問題は、時間がありませんから申し上げられませんが、これらの石油化学を創設した各会社の年度をずっと見てみますと、十七工場中十一工場までが、実質的には税制の面では特別償却の対象になり、もうほとんど償却が終わっておる工場であります。そういうことになれば、この際、先ほど大臣の答弁では、高圧ガス取締法を根本的に洗い直して、いわゆる保安距離の問題についても再検討を行なうということでありましたが、ぜひこれは最低の条件としてやってもらわなければなりません。しかし私は、この際、保安距離を、たとえば四キロないし五キロつくるということになれば、必要だということになれば、工場を他の地区に移転をさすのか、それとも地域の住宅を会社が買収して、快適な住宅地にその周辺の住宅を移動さすのか、そういうことをやはり考えていかなければいかぬと思うわけですが、これを機会に少なくともヨーロッパ並みの保安距離というものは必要だと思うのですが、そういう対策についても当然具体的な対策を用意すべきだと思いますが、それについての見解を承りたいと思います。
#16
○中曽根国務大臣 これは総点検の結果、その現状をよく見て、その上で判定すべきもので、いま先に結論を申し上げるのは早いと思いますが、いずれにせよ、その場所場所に即応した適切な処置がとられるべきで、これはいまどちらを動かすというようなことは、現地に即した話ではございませんので、その場所別に申し上げるよりしようがない、こういうふうに申し上げたいと思います。いずれにせよ、人命を尊重して生活の安全を守るということが一番大事なことでございますから、そういう趣旨にのっとって行なうべきものである、そのように考えます。
#17
○永瀬説明員 消防側といたしましては、消防法で可燃性液体量を中心といたします規制を行なっております。この法令の規制の中で、それぞれの品目に対します基準数量がございますが、この数量の倍数に応じまして、その施設に対しまして化学消防自動車の設置の義務づけを行なっております。基準数量の三千倍以上十二万倍までが一台、それから順次二十四万倍まで二台、四十八万倍まで三台、四十八万倍をこえますと四台という規定を置いております。この化学消防車は、油火災を主とした、消火を目的とした消防車でございまして、特殊な薬剤とあわを放射いたします装置を持っております。特に今回の出光の場合は、両方の工場合わせまして、精油所と石油化学を合わせまして三台必要なところを四台実は持っておったわけでございます。その中にさらに一台は、二十四メートルのはしごをつけた特殊な化学車でございまして、これはおそらくタンクの火災をはしごの上から消そうというもので、はしごをつけていたものと思われます。このような設備を工場側に対しては消防として要求いたしております。もちろんこれには専従者がつけられております。今回の火災に際しましては、徳山市の消防本部が持っております化学車三台を全部出動させておりますほか、隣の下松市からも化学車及び消防自動車の応援を求めておりまして、さらに市内の化学工場との間に協定を結ぶようにさせてございますので、ここから化学消防自動車を十一台出動させております。しかしながら、先ほど御質問で御答弁ございましたように、ガスの噴出火災に対しましては、これを内圧があるために消しますと――消すことができないことはございませんが、消しますと、なまガスが広がりまして、さらに再引火、再爆発の危険性がございます関係上消すことができません。したがいまして、被害が拡大いたさないように、他の施設を冷却いたしまして、被害を限定するという方法しかとりょうがございません関係で、今回は化学消防車の真髄を発揮することができず、水をもって消火に当たったわけでございます。なお、この内部に圧力がありますところのガスを消火いたします方法としましては、諸外国におきましても他にいい方法がございませんし、一つの方法としては、先ほどお話ございました窒素ガスを封入する、あるいは水蒸気を封入いたしまして内部のガスを燃えにくくするという方法をとるのでございますけれども、内部の圧力が下がるまではなかなかその方法がとりづらいというところに一つの問題がございます。
 なお、私どもといたしましては、この内圧を持ったガスの消火方法をさらに検討いたしたいと考えております。
#18
○藤田委員 私の持ち時間はもう終わりましたので、結論の質問をいたしますが、私は、時間があれば、いまの答弁自身についてもかなり問題にしなければいかぬ問題点があります。というのは、今度の結果が現実をもって示しているように、ガス爆発に伴う火災については、消防の能力というものは、企業内にある消防隊も自治体の消防隊も無力であったということが証明されておるわけですよ。ですから、私が先ほどから強調しておるのは、この際、こういった化学工場を設置さすことをきめる以上は、今回のような事故が発生した場合には、ガス火災に対する消防体制、消防の機能、こういう新しいものをつくっていく必要があるのじゃないかということを提起しておるわけです。その一つとして、私はしろうとではあるけれども、空中散布でやるような方法を考えないと、よそから持っていくといったって、ホースが四百メートルも五百メートルも先の火災現場に届くわけがないし、あれだけ高圧の火災が起こったら、その周辺には入っていこうとしても入っていくことはできないということになれば、空中散布でもやるような方法を考えるなり、私が冒頭言ったような工場の周辺には水壁の冷却帯といいますか、そういうものが火災と同時に噴出するような方法なり、そういう新しい大規模なものを企業の責任として義務づけていく、そういう新しい消防体制を考えない以上は、こういった危険な化学工業自身の操業をそのまま存続さすということはできないのじゃないか。これは人命の保護という観点からも私は当然だと思うのです。
 先ほど保安距離の問題にも触れましたけれども、これは高圧ガス取締法との関連も含めて、そういう保安距離の問題については根本的な再検討を要請すると同時に、そういう意味の新しい消防機能の発揮、消防体制の強化というものについての見解を最後に聞かしてもらって私の質問を終わりたいと思うのです。通産大臣どうでしょうか。
#19
○中曽根国務大臣 いまやっていることは必ずしも万全であるとは思いません。
 それから、こういう化学的な火事については科学をもって相対抗する以外には方法はないように思います。そういう意味におきまして、こういう高圧ガス等の火事に対する防御方法、消火方法について、科学技術庁あるいは消防庁とも連絡をいたしまして、さらによい方法があればこれを鋭意努力して発見し、改善していきたいと思います。
#20
○浦野委員長 板川正吾君。
#21
○板川委員 出光のコンビナートの火災を私は実地に調査をしてまいりました。一昨晩夜行で行き、また夜行で来たという状況で、きのう一日じゅう現地の消防の責任者である市長、消防長、それから会社側、さらに関連企業、現地住民との話し合い、こういう行動をしてまいりました。実は二晩ばかりあまりよく寝ていませんが、ひとつこの問題を取り上げて今後の通産行政――特に地元の住民からいいますと、公害で海を焼かれ、今度は出光で陸を焼かれるんだ、こういうふうな非常な不安を持っておるのでありまして、このコンビナートの保安というものが非常に重要になってまいったと私は思いますが、幾つかの点について大臣の見解を伺いたいと思います。
 まず第一に、コンビナートの安全確保というものをどういうふうに大臣は考えられておるか。コンビナートというのは、御承知のように石油精製、石油化学を中心にしましてばく大な可燃性の原料があるわけであります。しかも、それが付近の住民とまさに近接をしております。現地へ行って見てまいりましたが、あの水素添加塔というのですか、それとその周辺だけでおさまったから全く幸いでありました。しかし、それからわずか十メートルか二十メートル離れておるところに大きなエチレンの塔があり、それから二十メートルか三十メートルのところに五千トンという石油のタンクが林立をしておるわけであります。もし今度の爆発がお隣のエチレンのまるいタンクの中に、それが爆発してそれに移った場合にはどうなったかといったら、まさにあの基地が壊滅的な被害を受けるだろう、こういうことを工場側も言っておるわけであります。一体コンビナートの安全性というものを大臣はどう理解されておるのか、まずそれを伺いたいと思います。
#22
○中曽根国務大臣 コンビナートにつきましては、昨年、一昨年、公害の部面から非常な批判がございまして、その面に対する手当てをいろいろ政策的にもやってきたところでございますが、今回は爆発というような事態で、保安上心配な問題が出てまいりまして、この点についてもわれわれは鋭意政策を強化していかなければならぬと思っております。やはりああいう装置産業でございまして、二十四時間操業というようなものでございます。大部分機械にたよる、あるいはコンピューターにたよる、そういうものでありますから、機械やコンピューターが完全に作動するように、常時点検し、そして、それらの安全装置が二重、三重に行なわれていることであると思いますけれども、それらをさらに確認に確認を重ねて完全に作動するように運営するということがまず必要であると思います。
 それから、従業員及び会社の首脳部等が、そういう事故が起きるというときに対する処置、これらも非常に重要であると思います。今回の問題を見ましても、水添装置だと思われるところの一部の故障というものに対する手当が十全でなかった、そこに大きなミスがあったのではないかとうわさされております。そういうような小さな故障あるいは不作動というような問題についても看過することなく、万全の措置を講ずるということが絶対必要であるということが今回体験的に証明されたと思われます。
 それから、立地につきましても、近隣の住民との間の安全感というものが非常に重要でございます。まあ今回は幸いに、鉄道線路及び国道等もございまして、そほど住民の皆さんに不安感を与えるようなことは、われわれが予想しているほどはなかったようでございます。
    〔委員長退席、田中(六)委員長代理着席〕
 市当局におきましても、広報車等を使ったりして、安全ですから心配要りませんというような広報をだいぶやって、住民の皆さんもそれを聞いて鎮静したというような報告を受けておりますけれども、ともかく保安距離という問題については、いま高圧ガスに関する審議会にかけて、そういうような問題も含めてこれらの科学的なコンビナートの今後の扱い方というものについて検討を加えていきたい、このように思っております。
#23
○板川委員 大臣はコンビナートというのをしさいに視察をしたことがございますか。
#24
○中曽根国務大臣 しさいにではございませんが、ぐるっと回って見たことはございます。
#25
○板川委員 いま何か、近所の住民もわりあいにたいしたことはないというように言われておりますが、三回からの大爆発があり、何回かの小爆発が起こっておる。実は、新幹線の高架の工事が進められており、あるいは国道二号線がある。だから比較的だいじょうぶだと言っておりますが、その新幹線や国道二号線の外側の住民と私は話し合ってまいりましたが、そこではこういう黒いすすのかたまり、大きさは人間の頭ぐらいのものがあったのですが、それが赤く燃えながらその周辺にどんどん落ちたのですね。そして、新幹線や二号国道の外でも、もう顔が熱くていられないという状況なんです。ですから、あの事故の大きさというのは私が想像したより小さかったのです。それでも数百メートル離れた地域で表に出れば顔が熱くていられない。こういう状況であって、しかも、あのときは、消防署は心配ないと言い、警察は避難しろと言い、そういう意味の命令系統が実はごっちゃになりまして、住民としては非常に不安にかられた数日であったわけなのであります。そう簡単に被害が住民もたいしたことはなかったなんて思われておったのじゃ、私はこの問題の本質を理解するわけにいかないのじゃないかと思います。
 このコンビナートの高圧ガス関係で、保安の法律的な根拠を置いております。コンビナートのそういう高圧ガス関係の安全基準というのは、高圧ガス取締法によっておるわけであります。これはいま藤田君にも大臣、答弁されたとおりでありますが、これは事務当局でいいのですが、コンビナートというのができてきた第一は何年ごろでありますか。コンビナートの計画ですね。
#26
○齋藤(太)政府委員 現在、十七ございます石油化学コンビナートの中で一番古いものは、昭和三十三年の二月に発足をいたしました三井石油化学工業でございまして、場所は山口県の岩国と広島県の大竹地区でございます。
#27
○板川委員 三十三年に初めて石油化学を中心としてコンビナートが計画されてきたのであります。では、高圧ガス取締法というのはいつできたのでしょう。
#28
○林(信太郎)政府委員 昭和二十六年でございます。
#29
○板川委員 高圧ガス取締法というのが前のそういう酸素や高圧ガス関係の法律の体系を整えてできたのが昭和二十六年です。その当時は、いわば酸素のボンベの充てん所とか、その取り扱いとか、あるいは出てきましたLP、その後はLPGとか、あるいは塩素関係の富山地方にやられておった工場、いわばこの高圧ガス取締法というのは、コンビナートのように何百トンあるいは何千トンという大容量の高圧ガス、そういうものを対象にできた法律じゃないのですよ。その後このコンビナートというのができて、古い法律で新しいコンビナートの保安関係を取り締まっていこうというところに、私は今度のこの事故の大きなポイントがあるのではないかと思います。ですから、この高圧ガス取締法というのは、一般の酸素の充てんとか、あるいは小さい高圧ガスを使って何かの工場をやるという程度の取り締まりであって、コンビナートのようなところを対象に考えていなかった。だから私は、コンビナートのような場合には、この高圧ガス取締法でない別途な保安基準、保安法というものをつくらなければならないのではないかと思いますが、大臣どうお考えですか。
#30
○中曽根国務大臣 歴史的に見ますと、確かに高圧ガス取締法が先にできて、あとでコンビナートという巨大なものが生まれてきたということは御指摘のとおりであります。私もそういう点から板川委員と同じような感じを実は持っております。しかし、いろいろ省令やらあるいは法律に基づく諸般の規則等でいろいろな規制をしておるのであると思いますが、目下のところ、高圧ガス等の審議会におきまして、それらも含めていろいろ検討してもらっておるところであります。今度の事件にかんがみまして、そういう点も特に考慮して答申も出してもらいまして、それによって法律改正するか、あるいは新しい立法をやる必要があるか、そういう点も検討してみたいと思っております。
#31
○板川委員 私は高圧ガス審議会の意見というよりも、コンビナートの安全を確保するための新たな法律をつくるという意味で、大臣の委嘱される諮問機関なりをつくったほうがほんとうじゃないだろうかと思います。高圧ガス取締法のたとえば技術基準で、一般高圧ガス保安規則上この出光の工場は第二級事業所とされておりまして、この場合には、製造施設から一般の人が通る境界線までは最短距離が二十メートルということになっておるんですね。この高圧ガス取締法でコンビナートを取り締まっていくということは絶対できないのですが、なぜ高圧ガス取締法で、政府はそれの範囲でやっておるかというと、おそらくコンビナートというのは絶対に事故は起こらないものだという前提で、この高圧ガス取締法というちゃちな法律であの巨大なコンビナートを法的規制をしよう、こういう実態にあったのではないかと思うのです。たとえば、先ほどもちょっと言われましたが、石油化学工場などの災害の場合、可燃性ガス、高圧ガスが燃えた場合は、消防としては手のつけようがないのです。先ほど消防庁も言いましたように、へたに火を消せば、ガスでも漏れていて何かのきっかけでそのガスに点火されれば大爆発になる、こういうことになるのですから、今度の例も同じですが、最後まで残っているそのガスが全部燃え尽くすまでは、これはもう燃えさせなくちゃならない。いまのこの消防といいますか、ガスの火災の場合、これより手がない。もちろん何か窒素ガスとかなんとかというもので火を消したとしても、あるいはどんどんガスが漏れていれば危険で立ち寄ることができない、燃やすほかはないのだという状態なんですね。ところが、燃やすほかはないということになりますと、その周辺に、わずか二十メートルかそこらに巨大なまた別なタンクがある。そこへ高熱が注がれた場合に、それが爆発をするということになり、まあ現地を見ますと水添塔を中心に付近が燃えておるのですけれども、その周辺にさらに高圧ガスの大きなタンクがある。それに燃え移ったら、それこそ基地全体が壊滅をするという状況であったわけです。ですから、保安距離というのをアメリカのように五キロも置けというわけにまいりませんけれども、いまのように隣合わせで林立してタンクを並べておくという形は、根本的に変えなくちゃならないんじゃないかと私は思いますが、大臣、どうお考えですか。
#32
○中曽根国務大臣 いまの高圧ガス等審議会におきましては、コンビナートにおける保安も含めて審議してもらっておるところであります。
 それから第二に、やはりこういう問題の急所は、科学的点検、科学的安全性というサイエンスにたよる以外にはないと思うのであります。そういう意味からも、ガスの権威者、関係者が集まって、一番急所の安全性を保障する、そういうことが一番大事なところで、むしろ保安距離なんかの問題よりも、装置の安全性あるいは事故が起きたときの防御性、そういうものをどうして科学的にいろいろ数値の上から見て保障しておくかという研究がさらに大事な問題である、私はそう思います。
 今回三十メートルぐらい離れたところのエチレンの塔、タンクに火がつかなかったというのは幸いなことでございましたが、これもウォーターカーテンが完全に作動して、それによってその効果を発揮したということで、やはり科学が証明したのではないかと私は思います。それに必ずしも甘んじているわけではございませんけれども、やはり科学性というものに信頼を置く、科学性というものに重点を置いた配慮でそういう装置類の扱いというものはやらぬと重大な失敗を招く危険性があると思うのであります。そういう観点に立って、サイエンスを中心にした点検を厳格に行なって、そのサイエンスの上から見た距離の問題もまたサイエンスの観点から判定すべき問題である、そういうように私たちは考えていきたいと思います。
#33
○板川委員 ウォーターカーテンがなかったよりあったほうがよかったに違いありませんが、全く火勢がその方向に向かったならば、小さい何インチかぐらいのパイプから水がタンクのまわりに注がれておるという程度では、とても爆発を防止するというわけにはまいらない状況だと思います。ただ、火勢がその方向に向かわなかったということが幸いであったと思います。もし火勢がその方向に向いたならば、そのウォーターカーテン程度では、あの爆発を防止することは不可能だと実地を見て私は思っております。大臣は、何かこの距離の問題は非常に軽視しておりますが、なるほど科学的に事故を起こさないことは大事であります。しかし、その科学というのは、残念ながら絶対的な安全性というのが保障されない、絶対的な安全性というものであれば、今度の場合に起きなかった、こう言えるのじゃないでしょうか。たとえば今度の事故を実地に見てまいりますと、この計器が正常でなかったようであります。私の感じでは、六時五十八分にコンピューターの計器の指示が正常に回復した、こういわれておるのでありますが、回復したどころか、実は異常であったように感じます。ここから、実は計器が正常に回復したということが間違いであったという感じがするのです。たとえばアポロ計画の場合には、安全上のコンピューターが二系統あるのだそうですね。一系統が故障であっても、他の系統が動くという、あるいは計器が間違ってないかどうかをはかる計器等もついておるそうであります。ところが、いまの日本のコンビナートのコンピューターというのは、いわば単一な経路で、それにもし何らかの間違いが生じれば、いかにサイエンスとか科学的だとか言ったってやはり間違いが起こるだろうから、万が一間違いが起こっても被害を最小限度にとどめるためには、ある程度の保安距離というのを置かなくちゃいけない。それには、日本のコンビナートのタンクとタンクの間、重要な施設と施設の間の距離というのは、昭和二十六年にできた高圧ガス取締法を基準にして考えておるから問題だ。だから、高圧ガス取締法を改正するというのじゃなくて、コンビナートの安全性を確保するために、新たな法律なり基準なりを設けるべきじゃないだろうか。最近、御承知のように、工場立地法という法律が通りました。あれには緑地帯を置け、こういうことになっておりますが、いまのコンビナートには、ほとんど寸土でもこの緑地帯的なものはない。まさに林立をしておるのですね。だから、これに対する保安距離というものを、高圧ガス取締法の基準によらない新しい基準を設けるべきだ、こう私は思います。
 次に、再開の条件、まあ住民は、もっと海のほうに危険な装置を出してもらいたい、そうでなければわれわれをほかに移転させてほしいと言っておりますが、この再開の条件は、大臣はどういうふうに考えておりますか。絶対に安全性が承認され、しかも住民の同意を受けた後でなければ再開はしない、こういうふうに考えておられるかどうか。
#34
○中曽根国務大臣 これは県知事に委任してある仕事で、県知事の判断によって行なうことになると思います。もちろん地元の徳山市長あるいは住民の意向等も考えて、そして県知事が判断すべきものであると思いますが、やはり一番大事な点は、安全の点検をやっておるわけでありますから、この安全性を確認し、周到な点検が完了する、そういうことが第一の前提で、その上に立って、知事さんが地元の意向もある程度考えつつ判定してもらう、そういうことであると思います。
#35
○板川委員 知事が当面の責任者のようですが、しかし、これは監督官庁として通産大臣もそれに重大な意見を指示する必要があると思います。実はあの富山のガス工場が事故を起こしたとき行ったのですが、富山にたくさんの高圧ガスで薬や何かをつくっている工場があります。これは県に委任された監督業務ですが、どのくらいの監視職員がいるかといったら、わずか七人ですか、そうして年間何十万程度の予算しかない、こういうことを言っておったのでありますが、どうも大臣の談話は、何か大事なことになると知事にも責任があるように言われますが、この基準をつくり法律をつくる、その基準をつくるのはやはり通産大臣でありますから、その点は知事に責任を転嫁しないように考えてほしいと思いますが、いずれにしましても、地元住民が同意を与えないうちに再開すべきでないということだけを住民の意向として私は申し上げておきたいと思います。
 それで、この工場が幸いにして住民の意思が十分に了承されて再開されたとしたならば、どのくらいの日数で再開されると予想されておりますか。
#36
○林(信太郎)政府委員 事故を起こしましたのは第二プラントでございます。第二プラントのほうは、会社側あるいは通産局、県等の情報を総合いたしますと、稼働可能なもとの状態に戻すのに早くても大体半年くらいはかかるといっております。第一プラントのほうは全く無事故でございますけれども、同一会社かつ隣接いたしておりますので、これはとめてございます。これの再開につきましては、ただいま大臣が御答弁申し上げたとおりでございます。
#37
○板川委員 いま立ち入りは禁止されていますから、しさいに検討はできませんと会社側は言っております。ただ、予想したよりも被害が少なかったようで、もしやってよろしいということであれば半年くらいかかる、こういわれておりますが、一体コンビナートシステム、その中心がこういう事故を起こした場合に、あそこの関連企業十四社にどういう損害があるとお考えでしょうか。
#38
○齋藤(太)政府委員 出光石油化学コンビナートは、先生御指摘のように十四社の誘導品をつくっております会社がそのコンビナートを形成しております。原料を出光石油化学から受けておりますので、現在若干手持ちの原料等がありまして操業を続けておるところもありますけれども、大体ここ二、三日中には全誘導品工場が操業を停止することになろうと存じます。その場合に、昨年の売り上げ高が年間二千四百億くらいでございますので、月間にいたしまして二百億円くらいの売り上げが完全にストップすることになろうかと存じます。
#39
○板川委員 あそこで働いておる十四社の従業員が八千八百人、下請で働いている従業員が七千五百人で約一万六千人の従業員が、他の事業をやっておるのもありますから全体とは言いませんが、この出光工場から石油化学の材料としてエチレンなりプロピレンなりを受けておる工場はほとんど操業停止ということになりますね。これは従業員、もちろんそういう関連会社も重大な損害を受けるわけであります。こういう場合には、一体この損失補償というのはどういう関係になっておりますか。こういう場合、契約関係はどうなっておるのですか。
#40
○齋藤(太)政府委員 出光石油化学とこの誘導品をつくっておりますコンビナート形成会社との間では、出光のほうに供給義務がございますし、受けるほうは受け取る義務を契約で書いておるように思います。したがいまして、供給義務の違反ということになりまして、その間に損害賠償等の問題が、誘導品会社の受けるべき利益の喪失分につきましてそういった問題が出てこようかと存じます。
#41
○板川委員 局長は先ほど二百億くらいの売り上げが月間ある、こう言われております。私の調査によりますと、それは十四社全体かもしれませんが、この事故で関連企業十四社がどのくらい月間損害があるだろうかと推定をしてもらいました。これは目算でありますが、各工場と電話で打ち合わせをして調べてもらったところによりますと、月間四十億円の損害といわれております。あるいは売り上げが二百億円か、どういう計算か知りませんが、現地の十四社の推計、これは月間四十億といわれておりますが、これが半年間続いたとしますと、二百四十億円というばく大な金額になります。そうしますと、その契約によりますと、出光が各社の損害を賠償する義務があるということになりますか。どうお考えですか。金額のあれは別としてどうお考えになりますか。
#42
○齋藤(太)政府委員 供給契約の正文をまだ私見ておりませんので、その賠償関係の規定がどういうふうになっておりますか、正確にただいまのところまだわかりませんけれども、おそらく何らかの賠償規定が入っておるのではないかと存じますので、そういった問題が出てくると思います。
#43
○板川委員 これは徳山曹達で聞いたのでありますが、出光からエチレンの供給を受けて、最終的には塩化ビニールポリマー、モノマー、こういうものをつくっておる関連の地方工場はどのくらいの比率かと聞きましたならば、東洋曹達と徳山曹達で全国生産の二割程度塩化ビニールポリマーというものの生産を担当しておったのだそうです。そうしますと、塩化ビニール関係は各地で実はたくさんの工場があるわけでありまして、そういう中小工場、こういうのも大きな被害を受けてくるのじゃないかと思います。関連工場ばかりでなくて、それのさらに下の関連企業というものの損害を考えますと、まことに大きな損害になると思います。そういう零細工場などがこのために膨大な損害を企業として受けた、こういう場合に、たとえば天災融資法なりの適用をしてこれを援助するというようなことは考えておりませんか。この十四社以外、これに関連する下の企業に対してですね。
#44
○齋藤(太)政府委員 このコンビナートでつくっております製品は非常に多岐にわたっておりまして、たとえば合成樹脂ではポリエステル、ポリプロピレン、塩化ビニール、スチレン、ポリマー、それから苛性ソーダの関係で、化繊、紙パルプ等の原料をつくっております。それから合成ゴムの生産が全国の大体四分の一でございまして、この分はタイヤ工業、ひいては自動車工業あるいはゴムはきもの、その他のゴム製品工業に影響が出てくるかと考えられます。また、合成繊維のナイロンあるいはポリエステル関係の原料もここでこしらえております。それからポリウレタンと申しまして家庭電気製品等の断熱剤等をこしらえておりまして、この辺が全部操業が停止いたしますと、あらゆる化学品の基礎資材でございますだけにいろいろな産業分野に悪影響が出てまいります。私どもといたしましては、この悪影響を防止いたしますために、第一の方法といたしまして、他の石油
 コンビナートでエチレンの増産をいたしまして、その分を船で出光石油化学へ輸送するということを至急にやりたいと考えております。
 第二は、そう申しましても船腹の量が、特殊の船でございますためにあまり日本にございません。全国で十ばいくらいでございまして、この供給輸送量が大体十ぱいで四千トンでございます。この四千トンの船も相当部分現在張りついて使われておりますので、このうちどれくらい出光石油化学への輸送にさけるか、いま調査中でございますけれども、極力この船を動員をいたしまして、エチレンを出光へ運ぶ、こういうことによりまして、ここの操業をなるべく早く誘導品の関係につきましては動かすようにいたしたいと考えております。
 それから、エチレンの輸送だけで足りません分につきましては、他のコンビナートで中間品なり完成品の生産を増産をいたしまして、いわゆる玉の融通という形で出光コンビナートの需要者の方々に、他のコンビナートでつくった塩化ビニールの原料でございますとか、その他のものを回しまして、こういった関連加工の中小企業者の方が原料不足で仕事ができない、こういうことのないように手配をいたしたいと考えておりまして、今週の月曜日に石油化学協会長にそういった趣旨の指示を口頭でいたしますとともに、一昨日、昨日と製品別の業界の委員会を開きまして、ただいまその融通体制を協議をいたしておるところでございます。こういうように従業員の問題もございますが、と同時に、こういった需給面からの悪影響もございますので、極力こういうことによりまして操業が落ちないよう、また落ちました分は他のコンビナートで埋め合わせをいたしまして、商品需給に不足がこないよう、また、それによる価格の上昇等が極力避けられるように努力をいたしたいと考えております。
 それから、関連中小企業者の救済対策でございますが、天災融資法は、たしか漁業者あるいは農業者等の農林漁業者でございまして、商工業の中小企業者については適用がございません。中小企業関係はいろいろ金融関係もございますので、必要に応じまして、そういった中小企業金融の発動をいたしたいと考えております。
#45
○板川委員 私が言うのは、天災融資法的な方法はないか、こういう意味であります。いま言いましたように、エチレンの需給について、他から救援措置を講じて、供給不足を来たさないように努力すると大臣の談話にもあります。しかし、いま言ったようにエチレンは特殊な船で輸送しなくちゃならないし、その船は余裕が千トンぐらいだそうですね。しかし、船で輸送してきたから各工場へ何かガソリンでも配給するように配給するわけにはいかないのだ、こういわれておるのです。それは結局はこのエチレンをよそから持ってきましても、出光のこの火災にあった第二の装置、ここに入れないと、各企業にパイプをもって配給するわけにいかない。どこか必要な工場、徳山曹達なり東洋曹達なりヘローリーなり何かで持っていって材料を入れれば操業が続けられるというものじゃないそうですね。船で持ってきましても、結局出光の焼けた施設の中に入れないと、エチレンは各工場へ送れない。それは製品なり米粒大になった塩化ビニールの材料というのはある部分はできますけれども、関連した十四社の機能が動くためには、やはり出光のもとに入れないと送れない、こう言っておりました。これはどうなんですか。簡単によそから持ってきて供給不足が解決できるようなことを言っておるから、その点を実は聞いているのです。
#46
○齋藤(太)政府委員 エチレンを他の石油化学センターから輸送してまいりました場合に、荷揚げの装置は、出光コンビナートでは出光石油化学だけにしかございません。他の誘導品をつくっております各社には、エチレンの荷揚げ設備がございませんので、やはり出光石油化学の荷揚げ設備を使いまして、そして今回火災を免れましたエチレンのタンクにまず入れまして、そこからパイプで、他の誘導品の各社へ供給することになります。ですから、今回火災にあいましたエチレンを製造いたします第二エチレン装置とは無関係にまずタンクに入れまして、タンクから他の誘導品をつくっている各社に送ることになりますので、問題は荷揚げ装置とタンクの使用が必要でございます。現在操業停止命令を山口県知事からかけてございますけれども、その中にタンクも一応一括含まれておるようでございまして、もし他のセンターからそういうふうに輸送して持ってくるとなりますと、タンクだけにつきましては使用停止を解除していただく必要が出てまいろうかと存じます。
#47
○板川委員 徳山曹達の工場では、焼けたほうの設備にそれがある、こういわれておったものですから、あなたのいまの説明ですと、焼けないエチレンのタンクに入れてそこから送ることができる、こういうことのようですから、それはそれとして、またあと事実を聞いてみたいと思います。また各社で融通し合うということを協会でやっておりますが、ぜひ通産省でも指導してほしい、こういう要望をされておりましたことをつけ加えておきたいと思います。
 それから先ほど大臣は、操業については県知事がといっておりますが、大臣の談話を見ると、全面操業停止を命じた。停止を命じるときはたいへん勇ましく大臣が言明しておって、操業するときにはそれは知事さんなんだというような、どうもいいところだけ自分でやって、責任が残るようなところは知事に押しつけるというようなかっこうじゃないですか。どうも大臣、かっこうのいいことばかり、いいところばかり取ろうという感じがしますが、それは頭の中へ入れておいてもらいたい。
 それから消防庁に伺います。
 先ほど藤田君も言いましたから多く申し上げませんが、今度も関係者に会って聞きましたら、いまある科学消防というのは、先ほどあなたも言ったように石油のタンクが燃えたときの措置はあろうが、こういう高圧ガスが火災を起こした場合には十分な措置ができない、あるいは方法がないのかもしれませんが、そういう意味では、高圧ガスの火災については実は即効的な役割りを果たしていない。しかし、消防庁に聞きましたならば、平常からこのコンビナートの自衛消防等はお互いに連絡をし合って、今度の場合もある程度の役割りは果たしました、そう言っておられました。自衛消防の設備が出光に四台あり、それから他のコンビナートに六台あり、市に八台あったということで、直接石油タンクの火災ではありませんから、そのものの役割りを果たさないが、ないよりましの活動は一応した、こう言っております。
 この自衛消防というのをどういうふうに今後考えられるか。考えていると思いますが、たとえばアメリカなんかでは、こういう場合に、ぴたり当てはまるかどうかは別としまして、中央に一カ所飛行機なりヘリコプターなりの設備を置き、レインジャー部隊を置いて、その状況に応じて鎮火する作業をするという特殊な部隊があります。あるいは新潟で昭石が火事になったときに、金を払えば何十時間以内にアメリカが来て鎮火作業を請け負うということもあるようですが、このコンビナートの自衛消防自体にそういうものを要求するのは若干無理だろうと思います。PPPの原則はありましてもね。そこで中央に、日本に一カ所でも、東京にそういう特殊な化学工場等あるいは石油工場等の大事故の場合に対処し得るような自衛消防あるいはコンビナート全体が負担するものでもよろしい。いまの消防というのは自治体消防がたてまえになっておるから、新潟に火事があっても東京の化学消防車が応援するわけにいかない。向こうの知事から要請があればこちらが行きますということで、それを行かなくちゃならない責任、義務はない、こういうことになっております。自治体ごとの消防、それだけではとてもこういう場合に対処できませんから、国内に一カ所でも、それが自衛消防、コンビナート群が負担する消防でもよろしいし、あるいは国の直轄の特殊消防隊というものを置くようなことで、特殊な火災、大きな山火事もありましょうし、石油工場の火事もありましょうし、今度のような場合もある。これを鎮火するような力を持って、それが日本のどこでも行けるような機動的な消防隊というものを組織する必要があるんじゃないかと思いますが、これはどうお考えですか。
#48
○永瀬説明員 ただいま先生のお尋ね、また御意見をいただきましてありがとうございます。
 御意見でございますが、実は新潟地震のあとで、ああいう大きな災害を現地だけで消していくというのは非常に困難がある。石油コンビナートのような、また精製所のような地域になりますと、先ほどもお話がございましたが、特殊な化学薬剤なり化学装置なり、またそれに伴っての消防技術を持っておりませんと対処できないのでございまして、そのために、その地域におきまして技術を持っている都市間の応援の協定、それからさらに企業間の応援の協定、そして地域を含めました企業、都市だけではなくて、その付近の企業でございますが、これを含めました消防応援体制を策定させてまいったのでございます。しかしながら、非常に地域が限られておりますと、そこに備蓄いたしますところの薬剤にいたしましても、それから器材にいたしましても、必ずしも十分なものをその地域に設けさせておくわけにまいりません。また、頻度的に言いましても、非常に不経済と申しますか、利用効率が低くなってまいります。このため、われわれの部内におきまして、先生おっしゃいますような何らか中央統括的と申しますか、非常に広い地域に活動できる組織を考えたのでございますけれども、現在の自治消防のたてまえからもってまいりますと、そこに何らかの方法を加えるといたしましても非常に困難でございまして、とうとうものになるところまでまいりませんでした。
 しかしながら、一方、山火事等の広域災害と相なりますと、この場合は空中からの消火、これを研究所でいろいろ開発してまいりましたところ、かなりの効果をあげ得る段階にまいりましたので、それで自衛隊との協力のもとに空中から散布いたします器材、これは水嚢が主体になりますが、これを私どものほうで開発して、自衛隊との協力のもとにこれを全国にある程度備えておきますが、それをさらに集結いたしまして散布するという方法を現在とりつつございます。できるだけこれを広げていこうと考えております。
 それからさらに現在考えておりますのは、化学工場に対する消火といたしましては使えませんけれども、山火事を中心といたしましたいわゆる木材のような一般の可燃物が燃える火災に対しまして、カナダで山火事消火専用の飛行艇がございます。これを試験的に国内に借りてまいりまして、山火事の季節に利用してどの程度効果があるかを調べた上で、全国的な山火事対策あるいは大火災を想定しましたものとしての次の手を打とうという考え方で、現在予算編成を続けているところでございます。しかしながら、先生がおっしゃいました化学工場の火災に対しましては、その燃えるものの性質がございまして、それに適応した消火薬剤と消化方法をとらなければなりません関係で、空中消火のような形はとれません。したがって、先年考えましたものをさらに組織的にも、あるいは機能的にも、器材的にも、どのようにさらに検討を加え直したらいいのか、これを続けていきたいと考えております。
#49
○板川委員 結局消防庁では、こういうことですか。自治体消防というたてまえがある、したがって、何か大きい火事でもあった場合には、お互いに協定を結んでその中でやっていくほかはないということですか。私が山火事と言ったのは、あわせて言ったので、山火事が主たるねらいじゃないです。しかし、山火事も確かに財産を燃すことになりますから、それは国民の重大な損害ですけれども、人命にはあまり関係はない。これはいま言ったように、カナダから借りてきても、場合によっては間に合うかもしれませんが、そうしますと、いま全国にある化学工場、コンビナート、これに対する消防組織というのは自衛消防とあわせて地区の消防以外にない。消防庁でそういう対策がとれないとすれば、大臣どうでしょう。これは全国の化学工場が主体となる全国統括的な化学消防レンジャー部隊というようなものを置く必要があるのじゃないでしょうか。大臣は、そう言うと、いや、それよりも事故が起こらないようにするのが先決だ――確かに事故が起こらないようにするのが先決なんだけれども、しかし万が一ということの場合に、特殊なそういう化学工場の火災防災をやり得る機動的な消防隊というものが必要となるのじゃないでしょうか。それを十七のコンビナートにそれぞれ置けといっても実際は無理なので、日本に一カ所なら一カ所でもいいのじゃないか、こう思いますが、そういう自衛消防というものを拡大したものをつくる必要が通産省としてあるのじゃないでしょうか。大臣、どうお考えですか。これは消防庁の責任と言わないで、消防庁がいやだというなら通産省でつくらなくてはならない感じがいたしますが、いかがでしょう。
#50
○中曽根国務大臣 石油コンビナートのような火災については、事故を起こさないということが第一義的で、万全の措置を講じなければなりませんけれども、万一、不幸にして起きたときのことももちろん考えなければならぬと思います。非常に特殊の科学的な技術的な施設や人員を必要とするものでございますから、その点についても検討してみたいと思います。
#51
○板川委員 ぜひひとつ、これは消防庁の分野だと言わずに、消防庁がだめなら自衛消防を拡大する意味で通産省の指導のもとに置かれるように要望いたします。
 この問題は、また現地の資料等をよく読みまして機会をあらためてやりたいと思いますが、時間が十分ほど余りましたから、次に電力料金問題で一言だけ私の意見を申し上げたいと思います。
 これは四国電力、関西電力ばかりではございませんが、いまの電力料金体系というのは、どう考えてみても産業優先の電力料金体系ですね。あるいは大臣はおそらく、そういうことはこまかいことですから承知してないと思いますが、この大口電力の料金が一段料金、二段料金ということになっておるわけです。大口料金の一段料金の一番安いのが一キロワットアワー当たり二円四十銭、家庭電力は十二円、五倍にもなっておるのです。そして五倍にもなっておる家庭電力のほうは電気ガス税があって、ことしから六%に下がりましたけれども、税金を取られておる。産業のほうは、相当量のものが一番安い一段料金の二円四十銭になっておる。一段、二段を平均しましても三円何がしであります。こういうように産業用電力がとてつもなく安く原価を割っており、家庭電力でその収入不足分をまかなっているという考え方もあります。原価主義といっても、それは原価の取り方でありまして、総合原価主義をとるならそういう言い方もあるわけであります。電力料金について、実はきょうあたり各党そろって議論をしたいという予定でありましたが、この問題が飛び込んだので時間がありませんが、この産業用電力と家庭電力のアンバランス、これをどう是正されようとするか、大臣の見解を承りたいと思います。ガス料金の場合には大口と民間一般とがそれほど違わない。電気料金だけなぜこういうふうに差があるのか、これを妥当と考えられておるのかどうか、ひとつ承りたい。
#52
○中曽根国務大臣 現行電気事業法が制定されますときにいまの原価主義が採用されましたのは、そのときの事情に基づいて、応分負担と申しますか、そういう原則であの原価主義ができたのだろうと思います。しかし、今日の日本の情勢を見ますと、省資源型の知識集約型国家、福祉優先政策という方向に大きく政策自体が転換しておりまして、そういう面から見ますと、この電気事業法も検討を加うべき段階に来た、そう思います。そういう意味におきまして、今回の査定にあたりましても、われわれは審査の一つの考え方の基準の中に、現行法を最大限に生かして、許す範囲内においていまのような政策的考慮も考えつつ審査してみるという考慮もやらしておるところでございます。目下審査中でございます。
 しかし、いずれにせよ、そういう大きく国の政策の基本が転換してまいりましたものですから、その観点から電気事業法の原価主義を再検討してみたいと思っております。
#53
○板川委員 私は、この法律に、省令などには関係しましても、これは通産省でそういう考え方をとればいいのでありまして、別に、法律で適正な経営のもとにおける適正な利潤を保障しろということになっており、通産省の従来の省令を基準とするならば、これは総括原価方式をとり、そして各大口あるいは家庭電力、それぞれ区分ごとに個別原価主義をとっておるということになる。法律的には、別に個別原価主義をとれといっておらないわけです。国鉄の場合には、御承知のように、線ごとに個別原価主義はとっておらないで、総括原価主義をとっておるわけです。ですから、通産省令なりを基準としてきた従来の考え方を別に法律を変えなくちゃならぬということではないんじゃないだろうかと思います。
 それで、大臣も言われましたように、実はエネルギーの供給が非常に不足を来たしつつあります。これは御承知のように、メジャーが実力をだんだん剥奪されてきて、開発投資というものがどうしても消極的になりつつあります。一方、産油国側も、サウジアラビアは別として、他の国は、喜んで増産するという体制ではない。ですから、いままで石油生産の伸びが年間七%なり八%台であったものが、近い将来は五%を割るだろう、こういうことが予想されております。昭和六十年ごろには、四・四%ぐらいにしか平均の石油の増産率というのはいかなくなるだろう。しかも、アメリカでも輸入をふやすという状態になってきますと、平均五%足らずの増産率の中で、日本だけが一二%も一五%も石油を買い込むということは、これまた不可能な状態になる。といって、日本はアメリカと違って、国内資源というものが十分じゃございません。そうしますと、このエネルギーを厳密に節約していく、産業構造というものを急速に転換しなくちゃならない。ところが、この電気料金は、逆にどんどんエネルギーを湯水のごとく使えるような条件のもとに、いわばエネルギー多消費型の産業を育成するような料金体系をなしておる。これは私は、この際、根本的にその考え方を逆転する方向に行かなくちゃならぬ、こう思います。どうも大臣の考え方はなまぬるいのですが、もし料金改定が行なわれるならば、家庭料金は据え置いても、そういう体制をとられるべきではないだろうか、こう思いますが、いかがですか。
#54
○中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたように、また板川委員が申されるような時代の動向及び筋道という面からいたしまして、私たちも今回の審査にあたりましては、法の許す範囲内においてそういう考慮をして、審査を加えるようにということを言ってあります。
 なお、また将来の問題といたしましては、いま申されましたような趣旨を考えて、電気事業法の原価主義に検討を加えてみたい、そう考えておるわけでございます。
#55
○板川委員 時間になりましたから、以上をもちまして質問を終わります。
#56
○田中(六)委員長代理 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時四十四分開議
#57
○浦野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。神崎敏雄君。
#58
○神崎委員 初めに、出光石油事件については先般私も簡単な質問をいたしましたが、わが党は昨日調査団を独自に派遣して野間議員が行っておりまして、今日なお引き続いて調査を具体的にやっておりますので、帰京後次の機会に、その調査結果に基づいて当局にあらゆる角度から質疑をしたい、こういうふうに思っておりますので、この点は、きょうは具体的な資料に基づいてやるという立場をとります。したがって、先般の質問のときに留保して、次回の一般質問に譲ることにいたしました関西電力の問題について質問したいと思います。
 そこで第一は、関西電力がいま申請している改定料金の算定のやり方は従来と同じであるのか、それとも違うところがあるのか、この点をまずお聞きしたいと思うのです。
#59
○井上政府委員 今回の関西電力の料金申請の計算でございますが、一つ違っているところがございます。他はほとんど同じでございまして、非常に事務的な点でございますが、一つ違っておりますのは、原価計算期間が従来二カ年であったのを今回三カ年にいたしたわけでございます。それは昨年の十一月におきます電気事業審議会でいろいろ御意見がございまして、その結果ほとんど大多数の先生方の御意見といたしまして、現在の情勢にかんがみて原価計算期間は二年では短過ぎる、料金の長期安定という観点から見、なおかつ最近における予測技術の進歩等を考えると、三年間が適当であるという強い御意見がございまして、そういうことになったわけでございます。
#60
○神崎委員 期間が二年を三年にした、こういうことですね。他は同じだということですね。
 そこで、大口電力の改定率が三八%強というように高くなっておるのですから、大口電力の原価が高くなっていると思うのですが、そう理解してよいですか。
#61
○井上政府委員 アップ率は、現在の供給規程に基づきまして計算した将来の三カ年における料金収入と、新しい料金によって算定いたしました収入との差額でございますので、絶対値が高い、低いは関係ございませんで、アップ率としては大口のほうが高い。したがって、絶対値は大口のほうがまだ安いわけでございます。
#62
○神崎委員 そういうことは、現行料金のままでは大口電力料金が不当に安い、不公平である、こういうことになる。それは今後そうなるということか、いますでにそうなっておるのか、これを伺いたいと思います。
#63
○井上政府委員 個別原価計算の方式によりまして、各需要種別に分けて計算いたします方式は従来も今回も同じでございますので、特に変わったことはない申請となっております。
#64
○神崎委員 現行の料金のままでは大口電力料金が安い、こういうことですが、そうすると、それでは不公平である、こういうことになるのですね。そうすると、今後もそういう形でずっといかれるのですかということを聞いている。
#65
○井上政府委員 料金の算定のしかたは従来も今回も同じようなことで申請が出ております。したがいまして、前回のときの方式と今回の方式は同じでございますけれども、そこに入ってまいりますいろいろな実際の数字が違ってまいります。たとえば発電所の関係でコストが上がる、燃料費が上がる、公害対策費がふえるというものにつきましては、やはり大口のほうへ大きくかかってくるということでございます。今回の申請の中におきましては、山元に近いほうのコストが上がるという関係が多いものですから、したがって大口電力のアップ率が高くなっておるということでございまして、申請といたしましては、従来どおりの方式で計算した結果がそのまま出ておるということでございます。
#66
○神崎委員 アップ率と実際の値上げの金額の料金については前回に詳しく伺った。だから、きょうは前回に伺っていないことを伺ってできるだけ前回とダブらないようにしたい。時間が制約されているので、簡潔にたくさん聞きたいと思いますから、簡単明瞭に御答弁を願いたいと思うのです。
 続いて聞きますが、改定料金になれば従量電灯単価十二円五十銭八厘、大口電力単価が五円十八銭三厘となっておりますが、計算の過程でこういう数字が出てくるのは一体どういうことか。ここは詳しく知りたいのですが、これはいま答えられないですか。
#67
○井上政府委員 こまかい数字のケースにつきましては、ちょっとここでこまかく御説明いたしかねると思いますが、大体の考え方を申し上げますと、いろいろな、たとえば先ほど申し上げましたように、大口電力の場合ですと、発電所から一次変電所を通って、六万六千とかなんとかというような非常に大きなボルトで送ってまいります。それから、家庭用の場合でございますと、一次変電所を通って、送電線を通って、二次変電所、三次変電所、配電線を通って送ってまいります。したがいまして、その間の資本費におきましても、アワー当たりに直してみますと、かかるコストは大口電力のほうが安くなる、こういうことでございます。
 なお、その間におけるロス率でございますが、非常にボルトが高いものはやはりロスが少ないというようなこともございまして、その辺は正確な計算をいたしておりまして、それに従って計算をすることになっております。そういたしますと、やはりロス率の高い電灯需要のほうが高くなってくるということでございます。
 それから、なおかつキロワット当たりの使用電力量がございますけれども、この使用電力量が多いものと少ないものとございまして、使用電力量が非常に少ない場合にはキロワット当たりのコストが、発電所のコストが高くなるということがございます。
 それからさらに集金関係の金でございますけれども、検針、調定あるいは集金関係の金でございますが、こういう問題もキロワットアワー当たりにいたしますと、一軒のところで非常にたくさん使うところと、それから非常に小さな数量で使うところ、それはキロワットアワー当たりの単価としては非常に差が開いてくるという事情がございます。そういう計算をこまかく詰めてまいりますと、そこにも書いてございますような差が出てくるということでございます。
#68
○神崎委員 前回伺ったとき、内規でなかなか公表できないようにおっしゃっているのですが、内規で公表ができないというなら、資料として出してもらっても私はけっこうだと思うのです。大体料金の算定が電気料金算定要領という内規のようなものできめられておって、これは一般に公表しないことになっているということ自体が非常に閉鎖的で非民主的で、そしてこれは重大な問題だ。住民に料金関係を、料金を改定するという妥当性を納得させるには、この従量電灯単価が十二円五十銭八厘だが、大口電力代は五円十八銭三厘だ、一般のやつは倍以上なんだという場合、これに対しては説得力がやはり弱いと思う。具体的に算定基準なるものを明らかにしろと言えば、これは内規でなかなか公表しにくいということです。直接行くところは原価が少ない。また、これは原価問題に関連しますけれども、そういうことになって、そう一々聞く需要者は、なかなかそこまで勇気がありませんから、こいつはひとつ公表したらどうかと思うのですね。いろいろな、赤字とか、経営不振だとか、電化が足らないから発電所をつくらねばいかぬとか、あらゆるPRを大いにしておられるのですから、従量電灯単価は十二円五十銭八厘だが大口は五円十八銭三厘となっている、これについてはこういうことだというようなことを一ぺん公表されたらどうかと思うのですが、公表する用意がありますか。
#69
○井上政府委員 電力会社の申請の内容は、一応各会社の店頭等に掲示をいたしまして、一般にできるだけ周知したいということでやっております。
 それから算定基準でございますが、これは内規ではございますけれども、従来旧法時代には省令告示ということでございまして一般に公表しておったわけでございまして、全然変わってないそのままのものでございますが、ただ二年が三年になっておるという点が主として変わったところでございます。それは一応内規ということで内部でそのとおりにきめたもので、かつ電気事業審議会の御意見も伺いまして、まあ内規にしているわけでございますけれども、これは御要望があればいつでも御提出いたしたいと思います。
#70
○神崎委員 それではひとつ資料としていただきたいと思います。
 そこでいままで聞きますと、その算定は中立的であるとか、あるいは民主的であるとかいうような表現で返ってくるのですが、これをきめたこの基準は、昭和三十三年の電気料金制度調査会というものが答申を出した、これが基礎になっておるのですね。そうですね。この調査会のメンバー構成を調べてみると、ほとんど大企業の代表がずらっと並んでいるのです。つまり、ここの料金基準なるものの算定基準なるものをつくるときに、スタートから、いわゆる出発点から企業サイドでやられておる。この不公正さを根本的に、料金算定の制度そのものをこの機会に再検討すべきだ、こういうふうに私は思うのですが、そういうような用意はありませんか。
#71
○井上政府委員 発足当時の料金算定制度調査会でございますけれども、非常に技術的な問題が多いというような問題もございまして、消費者の方もごく一部入っておったと思いますけれども、大学の先生などにある程度入っていただきまして検討いたしたわけでございます。その後一応答申が出ましてからは、その当時の制度調査会は解散いたしまして、現在制度調査会はございません。その後は、新法の電気事業審議会のほうへ引き継ぎまして、審議会のメンバーの方にいろいろと見ていただいておるものでございます。審議会のメンバーの方は、消費者の代表の方が、ある程度、調査会よりは多く入っておるというかっこうになっておりますし、学校の先生も入っております。そういうことで、だんだんとおっしゃるような方向へ来ておりますけれども、今後そういうことをやるような場合には、さらに一そう御趣旨のように考えたいと思います。
#72
○神崎委員 今度はその公聴会の問題で聞きたいのですが、この料金の算定方法についてはいま聞きました。しかしなお、私たちは、より民主的にやるためにはこの公聴会の問題を非常に重く見るわけですね。そうなりますと、この公聴会なるものは七月十九日、それから二十日に行なわれることになっていますが、条件つき賛成を含めると七二%が賛成の意見を述べる人、こういう構成で行なわれるようになっているのですね。私の知っている人に聞いたのですが、反対論を述べるという申請をしたところ、反対の意見ではもう多過ぎるからといって突っ返されているのですね。こういうのはどういうことなのかということと、それから、賛成のものが七二%を占めているということがいまからわかっていることについて公聴会というのはどういうことなのか。しかもいわゆる公聴会の公述人の希望者が四百四十七人あった。ところが、公聴会の構成は百人にしぼって、そして賛成者七十二名、反対二十八名、こういうようなことで選別された形で構成されているということは一体どういうことなのか。これが公聴会と言えるのかどうか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
#73
○井上政府委員 公聴会は電気事業法に基づきまして、なお電気事業法の施行令に基づきまして現在これを行なうことになっておりまして、今回の公聴会につきましても、公益事業局内に公聴会の陳述者の指定委員会というのを特につくりまして、公益事業課長を中心にいたしまして関係の課長等に集まってもらいまして、そこで厳正な方法で選定をいたしたわけでございます。
 数字の問題でございますが、実は賛成者が四百一名あったわけでございます。それから反対の者が四十五あったわけでございます。百名に陳述者をしぼりましたのは、大体一人十分――これは時間を短くすれば人数がふえるわけでございますが、一応一人十分ということで、一日八時間として一日五十人ということで、大体従来の公聴会は二日やっておりますので、そういうことで百人というふうにいたしたわけでございます。
 それから、条件つき賛成四百一名、反対四十五名というものの配分の方法でございますが、これにつきましては、百人のうちの半分の五十人につきましては、これは賛成、反対二十五名ずっということで、まず均等割りと申しますか、そういうことでやったわけでございます。残りは、おのおのの応募者の中から二十五名を引きまして、その残りの数で案分比例をしたわけでございます。
 それから、実際の人をきめます場合には、地方公共団体であるとか、あるいは地方議会であるとか学識経験者、これは大学の先生に関係者の方が賛成、反対ともにいらっしゃいますので、そういう方をきめまして、残りは団体、これは非常に広く意見を代表しているということで、団体の選定につきましては、一定数まで優先的にやりまして、残りの企業であるとか個人の方につきましては、それぞれ比例数字に従って抽せんをやったわけでございます。賛成が幾ら、優先的にとりました残りが幾ら、反対が幾ら、優先的にとったのが幾ら、その中で抽せんをやりました。ですから、初めにきめました数字は変わっていないわけでございまして、それぞれの中で抽せんをやりまして、そこでいま申しましたような七十二名対二十八名という数字になったわけでございます。実際のものは反対者が四十五名、条件つき賛成が四百一名ということでございますけれども、そういう結果七十二名対二十八名というふうになったわけでございます。
#74
○神崎委員 ぼくの考えているのは、公述人で、たとえば百人にきめること自体に問題もまだありますけれども、よしんば百人にきめたといたしましょうかか。そうすると、初めから賛成、反対をきめて、そして五十人ずつになれば百人のうち賛成五十人、反対五十人、そういうことになったら結論が出ないから困るというような姿勢で公述をお聞きになるのか、それとも、この間、物特であなたも訂正されたが、条件つき賛成ですね、それを二十五名足して百人のうち七十五名が大体条件つき賛成、いわゆるストレートに賛成する人五十人と条件つき賛成が二十五人、そうしたら反対する人はあとは二十五人だ、それなら七十五対二十五といって、初めから公聴会をやらなくても別に――それがこの問題の結論的な民意を聞いたということになりますか。電力代を値上げすることについて賛成でございますという人がそんなにたくさんおると常識的に思いますか。いま大阪を中心にした関西、きのうも来ましたが、電力料金、ガス料金値上げ反対のいわゆる消費者運動というものは、各階層で非常に積極的に広範囲に起こっていますね。もう初めからこういうワクをはめた、こんな形で公聴会をやっても何も公聴会にならぬじゃないですか。ただ、二五%反対の意見があったということを記録にとどめる。二五%は条件つき賛成だ、五〇%は積極的賛成だ、こういう記録を残すために公聴会をおやりになる、そういうことになるのですか、どうですか、局長。
#75
○井上政府委員 公聴会の申し込みにつきましては、これは何らの規制がございませんで、公聴会に出席して陳述をいたしたいと思われる方々は、どなたでも申し込みができるというたてまえになっております。そういうことでございまして、出てまいりましたものをなるたけいろいろな角度から考えまして、たとえばいろいろな意見が反映されるように考慮して人の選定をしたいというふうに考えまして、先ほど御説明いたしましたような選定の方法は、従来ともずっとこういうような方法でやっておるのでございまして、これは要するに均等割りと比例割りで数字をきめていく。それから公共団体等については優先的に割り当てをするということでやってまいっております。
 それで、出てまいりましたものは意見を申し述べたいという方の自由な考えで出てまいっておりまして、出てまいったものの中でそれをクラシファイしまして、どうしても人が多くなります関係で、なるたけそれが並行的に同じような比率で意見が出るように、ただし反対論の場合には、この最初のあれでいきますと四百一名対四十五名ですから非常に反対が少ないわけです。これは均等割り半分ということで、意見を陳述される方の半分については賛否半々というようなことで均等割りにいたしておりまして、残りについては、それを差し引いた残りの数の案分比例ということで総数を考えておりまして、したがいまして、四百一名のところが七十二名になり四十五名のところが二十八名になっておる、こういう結果でございます。
#76
○神崎委員 従来のやり方が非民主的であるから、民主的にやるために特に公聴会の問題を取り上げるということを私は断わって言うておるわけですね。あなたは、反対意見がたくさんございますのでお断わりしますという言い方で断わっていますね。反対意見が多過ぎるから、この際あなたはお断わりします、こういう形で配分比例した中で返事を出しておるのです。出してないなら出してないと言ってください。
#77
○井上政府委員 反対意見が多いとか賛成意見が多いということではございませんで、同じような意見が多いから、これは多いという意味で、要するに一定の数字に限る必要がありますので、したがって、案分比例をして出しておるということで、抽せんで漏れたということでございます。
 それで、反対意見の方は、先ほど申し上げましたように、反対意見が四十五名あった中で二十八人は陳述をされるということになるわけでございますが、賛成者の方は四百一人あったうちで七十二人陳述をされるということになるわけでございまして、その賛成者の方も、三百数十人は同じような意見があるからということでお断わり申し上げておるわけでございます。
#78
○神崎委員 配分比例のところにも問題があるが、希望者はだれでも拒まない、だれでも受け付けるのですよ、こういう話がいまあったですね。そうしたら、だれでも受け付けるのだったら、反対意見や賛成意見を言わないうちからその人の意見内容というものがわかるということが一つですね。これについてあなたは賛成ですか、反対ですかといって聞く。本人が、私は反対の意見を申し上げたいために公述人になるというように申し出てくる、一方は賛成の意見を言うために申し出てくる、こういうことですか。
#79
○井上政府委員 これは電気事業法の施行令によりまして、意見を言う方はちゃんと一定の期日までに自分の意見を書いたものをあらかじめ提出するということになっておりまして、それを見まして、条件つき賛成であるとか反対であるとかいうようにきめまして、その中でいろいろと抽せんをやったりすることになっております。内容は、概要は意見を最初に全部書いた書類でいただいておるということでございます。
#80
○神崎委員 そこに問題があるんですよ。だから反対のものと賛成のものがわかっておったら、たとえば百人のうちせめて五十対五十にして、そうして反対の内容、賛成の内容、ただ結論的に反対や賛成でなしに、どういう角度から反対されているのか、どういう側面から賛成されているのか、こういうものを判断した上で当局はきめるべきで、まず内容がわかっているものを集ってきた四百一人を反対と賛成と均等割りしてみたら、たまたま呼びかけたのか、呼びかけられたのかは別にして、賛成の意見が多い、反対の意見が少なかった、これを均等割りにしたら反対がずっと少なくなるのはあたりまえです。賛成も減るでしょうけれどもね。そうすると先ほどからあげているような数字になって、もはやこれではもう結論は出ておる。賛成する者が七十二名であって、反対する者が二十八名だ。そうでしょう。違いますか。無条件と条件つき賛成が四百一人だった。それから反対が四十五人、それで不明が一人というのがその中身だというんで、結論的にいうと公聴会の構成は百人で、賛成七十二名で反対が二十八名だ、こんな公聴会をやってみたって、やらぬうちから反対のほうが少なくて賛成のほうが多いことにもう結論は出ているじゃないか、こういうやり方がはたして民意を反映しているということが言えますか。前にきまった審議会のメンバーは、いわゆる出発点から企業サイドできめられたものがあって、その後解散したにしてもそれが基準になって、そしていまの値上げもその基準を基礎にしてやられている、これはもう解散しているんだ。それを基準にしてやられていることについても、意見は別にあるにしても、そこで次に課題になるのは、民意を反映するための公聴会制度だ、せめてこの公聴会制度で五十対五十といいますか、そういう形のものがやれなければ、四百一名のところを日数のかげんで百人にした、三百一人を減らしたわけです。三百一人を反対のほうをよけい参加させないで賛成のほうをよけい参加さしたら賛成のほうが多くなるし、その逆をやった場合、また逆になるわけですね。そこを均等割りというのは、そこで見ているわけじゃないのだからわかりませんが、こういうような構成で公聴会をやったって勝負はきまってしまう。賛成七十二で反対が二十八でそれで百人だ、これで一応公聴会をやりました、ところが賛成あるいは条件つき賛成が百人のうち七十二名でありますから、これは圧倒的に賛成でございますから、こういう形になるんですよ。これがほんとうに民意を反映したという形になるのか、こういうことで聞いているのですね。もう一ぺんこれについて、いかにこれが民主的なやり方であるかということで私が納得するような説得をしてください。
#81
○井上政府委員 公聴会におきましては、意見を陳述しようと言われる方の意見全部を陳述していただけば一番いいわけでありますけれども、日数の関係その他なかなか全体の御意見を伺うわけにまいりませんので、それにつきましては、やはりそういう御意見が同じような割合でなるたけちゃんとそこの公聴会に陳述され、反映することも必要であると考えております。ただ問題は、数の問題もございますけれども、実際にわれわれが注意しておりますのは、個々のおっしゃいます方の意見の内容でございます。こっちが多いからどうだとか、こっちが少ないからどうだ、そういうことではございませんで、それぞれの意見の内容につきましてわれわれとしては十分に傾聴いたしたいというところに公聴会の趣旨がございますので、ただ数が多いから、数が少ないから、反対が少ないとかいうことで一律に判断しているわけではございません。
#82
○神崎委員 それこそへ理屈というもので、結局はこの間の四国電力のごとき、あなた物特で言ったように、条件つき賛成が多かった、だから認めたんだ、あるいは認める方向にいくのだ、いかざるを得ないのだということになるのですよ。反対が多いのにきめるということになるよりも、賛成が多いからきめたほうが、通産当局としては責任が軽いんじゃないですか。反対が圧倒的にあるのに値上げを認めたということよりも、賛成者を多くしておいて認めたほうが通産省は責任が軽いということにならないですか。その中身は別だ。中身をよく検討して対処するというなら、反対が多かった場合でもあるいは賛成が多かった場合でも、独自の見解で対処するということを言おうとしているのですか。それとも逆に、値上げ賛成が多くとも、適当でないと言ったら値上げをさせないという立場を貫くのか。どちらなんですか。それではまた公聴会をやる意味がなくなってしまう。
#83
○井上政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、実際に出てまいりました陳述者の方の御意見をやはりその公聴会の場で極力比例的に反映したいということは、公聴でございますから、ございますけれども、それと別に、われわれといたしましては、やはり各陳述人の方がおっしゃいます意見につきまして十分に傾聴して対処いたしたい、こういう態度でいるわけでございます。
#84
○神崎委員 そうなりますと、できるだけ私は前の質問とダブらないように申し上げて質問に入ったのですが、公聴会のほうでそういう形の姿勢なら、この問題についての初めの私の質問の根拠は、値上げをしなくてもいいような根拠が出た場合は値上げをやめるべきである、またしてはならない、こういうようなことで、そして五つの項目が申請の柱になっておる。この五つの項目について根拠がくずれた場合はどうしますかということを聞いたら、くずれた場合は検討しなければならぬというお返事があった。だから、その五つの柱、関西電力から申請している柱なるものの根拠を具体的な実例や数字をあげて――私は国民の上げてもらったら生活に困るという人々の意見を代表してここで発言をしているわけです。その根拠なるものは、先般あなたは経営悪化だということを言われたのですが、そこで経営悪化ではないんだという形で、数字をあげてるる申し上げているわけなんですね。きょうは言うまいと思っておったのですが、そういうことになったら、これは少し言わなければ――列挙してみますから、大臣もおられるので、もう一回よく聞いておいてもらいたい。
 あなたのほうは、関電の燃料高の説明で、第一に、公害対策のために低硫黄燃料を使うので費用がかかる、第二は、OPECの値上げ攻撃を受けておる、この二つが燃料高の理由の中にあるわけですね。この二つの理由だけをいうならば、まず、企業はいままでに有害な硫黄重油を大量に便って公害を増大さしてきた、その中で高い収益をあげてきたことになるじゃないか。したがって、これまでの収益の蓄積分でその公害対策なるものはやるべきじゃないか。こういう意見が成り立つ。もう一つは、第二の点ですが、三十年代から四十年代前半では、石油の値下がりが相対的に燃料費の負担を低下さした時代があったのですね。特に二つ目に関連して申すならば、四十六年のドルの七・八九%の切り下げ、円の一六・八八%の切り上げ、及びことしのドルの一〇%切り下げ、円の変動相場制移行、それから実質的には一六・二三%の切り上げですね。こういうように輸入燃料の大幅なコスト低下を正確に見ますと、OPECの値上げ問題を理由にあげるということについては、この間の収支の具体的な事実関係を数字的に明らかにしなければならないと私は思うのですよ。そういうことをあなたのほうから要求して、いま私があげたようなことを関電から資料としてとっておられるかということが一点ですが、これはとっていますか。
#85
○井上政府委員 従来の決算数字の内訳につきましてはとっております。しかし、将来の問題につきましては、いま申請の数字をいろいろとまだ検討中でございますし、なおかつ非常に微妙な問題もたくさんございますので、資料の問題につきましては別途検討いたしたい、こういうふうに考えます。
#86
○神崎委員 とった結果、いまあげた二点については収支バランスはどうですか。これでも損をしていると言えますか、関電のほうの資料を見て。
#87
○井上政府委員 大勢を申し上げますと、この前、御説明申し上げましたように、四十四年ごろまではいろいろな値下がり要件、値上がり要件等がございまして、ある場合には別途積み立て金を積んだりいろいろいたしました。その後、四十四年以降悪くなっているというのは一般的な傾向でございます。たとえば六十数億程度の積み立て金をその後は全部こわしておるというようなことで、概観いたしますと、経理内容が非常に悪化しているということが言えると思います。ただ、それが今後どういうふうになってくるかという問題につきましては、現在検討中であるということでございます。
#88
○神崎委員 私のあげているのは、三十年代、四十年代からの歴史的な経過をあげているのであって、一般的な表現を使うならば、そのときほどもうけは――そのときの状態から見たら減ってきた、こういうことにしかならないのであって、そのことが赤字だということにもならない。
 さらに、こういうことをあげましょう。五つあげたうちの一、二をいま申し上げたのですが、今度は三、四、五です。いわゆる電源開発費の増加、電力輸送費の上昇、工事資金の膨大化による資金コストの高騰。これなんですね。つまり、大企業のために電力を大量に供給するために、銀行から借金をしてでもさらに大規模な発電所をつくり、送電設備をつくろうとするものである、こういうふうに一口にいっても言い過ぎではないのですね。これは数字が示している。それは電力の需要構成を見ると明らかなんです。
 具体的に明らかにいたします。産業用と営業用で全体の七八%を占めておる。産業用だけでも五三%を占めておる。特にこの中でも、内訳をしますと、公害源だといわれる鉄鋼が一七%、化学が九%、計二六%を占めておる。いかに重化学工業の大企業用電力が高い比重を占めておるかということもこれで明白だ。さらにつけ加えるならば、あなたが最近非常に悪化したと言われる六年間の消費量の伸びを見ましょう。家庭用は六十六億キロワットアワーで、これも伸びているのです。産業用はどれだけ伸びておるかといえば、実に百四十二億キロワットアワーの伸びを示しておる。産業用が家庭用の二倍以上も伸びておるのですね。したがって、新しく電源開発をしてさらに大量の電力を供給しようとしておるのは、主としてこの重化学産業用の生産増に見合うような、そういう設備開発がおもな目的であるというふうに見るのです。
 このように、いまのあげた二つの点を見ましても、家庭用の料金値上げの理由にはならない。関電は、生活用の需要がふえてきた、こういうふうにいま盛んに宣伝しておりますけれども、関電が出しておる数字から概算してもこういう矛盾がある。全く欺瞞性があるということですね。
 さらに、いま一点つけ加えますと、関電は赤字だと言っている。あなたも、最近非常に苦しくなっておるという前提で答弁をしておられますが、これも数字をあげて申しますと、関電は、三月期決算では赤字が百五十億、九月期には三百億の赤字になる言っております。ところが実際はどうかと思って調べてみたら、三月期決算では、電気事業営業収益が千九百三億円、経営収益が千九百九十五億円、純利益が四億七千万円も出ている。いままでのような膨大な純利益額ではないけれども、決して赤字決算ではない。これでもなお、経営が悪化して赤字だとか非常に困るんだということを局長おっしゃるんだったら、先般も申しましたように、なぜそれほど関電側に立って弁護してそういうことばかりおっしゃるんだろうかということで私は疑惑を持つ。まして国民に対する説得力との関連からいったら、先ほど言うた電気料金体系なるものを、一般と大口とをもっと明確にわかるように、市井のおじいちゃんやおばあちゃんが聞いても読んでもわかるようにやはり宣伝をして説得しなければならない。もうすでにいま出ているものを分析してもこういう数字が出てくる。これでもなお赤字で――それは四億円になったということですけれども、四億円でも、これは赤字じゃないですからね。いままで四百億もうけておったところから見たら、四億円というのは少ないということは言えましょう。しかし、そうじゃない。
 きょうはこういうことを言おうと思ってなかった。しかし、公聴会との関連で、先般言うたことをもう一ぺん補足して、具体的な数字をあげて言うたことになるのですが、だいぶ時間も迫ってきたので次に入ります。
 公害防止の具体的計画のことについて検討するという答弁ですが、これはさっきも言うたように、OPECの値上げの幅と、かつての値下げの幅、これは資料として出すと言われるのですが、いままだ計算してなかったということですね。計算しておったんですか。
#89
○井上政府委員 電力会社の決算の問題でございますが、料金改定の際には、まず大前提は将来収支見通しを前提にして計算をするのが一つの前提でございます。これは……。(神崎委員「計算しておったか、しておらないかだけ言うたらいい」と呼ぶ)OPECの石油価格の上昇につきましては、一応一般的な計算はいたしておりますけれども、電力会社の場合には直接それが響いてくるのではなくて、リファイナリーとの間の交渉になっておりますので、それにつきましてはそれがそのままどういうふうに響いてきているかということは不明確でございます。ただ、いずれにいたしましても、いろいろな要素がありますが、石油の値段を重油、原油に分けていろいろ検討いたしてみますと、最近ものすごく上がっているということは事実でございます。
#90
○神崎委員 非常に不明確だが資料として出すというのだから、もらった資料も不明確なものになるのですか。これから計算したら明確になるというのですか。いままでしてなかったから不明確だというのならよくわかる。だからこれから資料としてやるというのだから、いただく資料はちゃんと明確なものでしょうね。いまもまだ不明確だというのだったら、もらった資料も不明確だということになる。
#91
○井上政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、それぞれの時期におきますそれぞれの協定等による値上げの幅につきましては、それはわかりますけれども、それがそのまま電気にリファイナリーからはねかえってきているのか、 (神崎委員「そこまで言わぬでよろしい」と呼ぶ)あるいはそうでないのかという点は必ずしも明確でありませんので、ファイナルの値段はわかるわけでございます。
#92
○神崎委員 そこまでいくと、関電側に立ったというようにまた言わざるを得ない。私はその燃料費の問題についてOPECの値上げ、値下げの幅を計算したものがほしいと言うているだけであって、そのことは決して経営の赤字だとか経営の黒字ということではありませんなんていうことを聞いているのじゃないのですよ。そこに触れるから関電の肩持ちだと言わざるを得ないことになるのですから、その幅だけを正確なものをいただけたら、それでけっこうなんです。その判断はこちらがいたします。
 次に多奈川第二火力の、この間も問題にした八月着工のごとですね。これは着工が実態に合わない。実態に合わないことが申請の中に入っているのですが、それについてどういう意見をその後持たれて、そうして関電のほうでどういう意見を反映されたのか、この前、質問してから以降ですね。これは一体どういうことですか。
#93
○井上政府委員 多奈川第二の開発計画につきましては、御指摘のとおり本年八月着工というのは非常に無理であるということでございますし、その後なお大阪の管理計画のビッグプランが出てまいりまして、それに従って、大阪のほうで多奈川の開発計画につきましては非常に問題があるということでございまして、その点は十分に検討するように言ってございます。
#94
○神崎委員 時間がだいぶ迫ってきたので個条的に言いますので、そこでメモをとって、ひとつはっきり答えていただきたいと思うのです。
 先般もきょうも、いままで質問した中を振り返ってみて言うならば、まず第一に、公害防止の具体的計画の公表については検討するという答弁があった。燃料費のOPEC幅の問題についてはいままで勘定してなかった、それでこれから計算をして資料として出して、やる。こういうことです。それから多奈川の第二火力発電所の設置の計画が、八月といえばもうすぐですが、地域では問題になって、この間の審議会でも、また無期延期になっています。こういうものがいわゆる値上げの設備投資の中に大きく比重を占めている。こういう姿勢で来ていることについて追及したら、こういうことじゃならぬということを言いました程度のことであったということです。いろいろ言われるが、結局結論としては慎重に検討する、検討中である、こういうふうに答弁をされるというだけしかない。
 そこで私は、こういうふうなことでその申請が認められていくということについては非常に疑義を持ちますし、おそろしさを持つのです。こういう形でこういう段階でやられていくこと自体が、たとえばかつて東京ガスの料金値上げの際には、当局は認可決定の前日まで、ただいま検討中、こういうふうに答えておられた。ところが、翌日突然認可を発表した。こういう経過もあって、住民の当局に対する信頼に大きな影響があった。これは私は、何と言いますか、当局への信頼に大きな影響があったというのは非常に何かやさしい言い方で、自民党政府に対して不信感を持ったと言ったほうが適切だと思うのです。いまあえて住民の当局への信頼に大きな影響があったという表現にとどめますが、今回はそういうことじゃないということを大臣、約束できますか。
#95
○中曽根国務大臣 資料をよく精査いたしまして、通産省として間違いのないような処置をとるように努力をいたします。
#96
○神崎委員 私の聞いたのは大臣、そばからの耳打ちが不十分だったと思うのですが、いろいろな形で言われても結局はいまあなたが言うたように、慎重に検討中だ、こういう答えしか返ってこない。具体的には慎重にやられているのでしょうから。ところが、かつて東京ガスの料金値上げの際には、当局は認可決定の前の日まで、ただいま検討中だと言っておって、その翌日に突然認可を発表した。こういう経過もあった。したがって、今回もそういうことのないように約束できますか。あのときは相当住民は政府に対して不信感を持ったということを言っておるのです。今回はそういうことのないように約束できますかということを聞いているのです。
#97
○中曽根国務大臣 これは審査してみないとわからないことで、やはり発表する日が適当な日として私のほうで命ずる日までは事務当局といえども発表してはならぬし、発表していい日が来るのは、やはり審査が完全に周到に行なわれたときに発表していいという日が来るのであって、その点いまいつ発表できるとか、あるいは前の日まで国会で委員会があって翌日どうかという、そのときの日程にもよりましょうし、いまいつということを約束することはむずかしいと思います。
#98
○神崎委員 そうしたら中間的な発表はできませんか。
#99
○中曽根国務大臣 中間的な発表というのをいままでやった例がないように私記憶しています。
#100
○神崎委員 中間的な発表をしてはいけないというような法的根拠はありますか。
#101
○井上政府委員 法的根拠ということはございませんが、中間的というのはどういう時期で中間的と考えますか――ずっと査定をしてまいりまして、それをずっと進めていってまいりますので、断片的なことをちょっと発表することは非常に不適当ではないかと思いますし、断片的なことを発表するわけにはいかぬと思いますので、中間的な発表というのは考えられないと思います。
#102
○神崎委員 そうすると、法的根拠はないけれども、中間的発表はしない。ある日突然晴れた日に値上げを発表する、こういうことになるのですね。ちょうど国会は休会になった。終わった。今度は臨時国会だ。その間にばっと値上げが出よう。そして次の国会で、あんなに言うておったのにやったじゃないか、こういうことだけが残る。しかし、もう許可してしまったからしかたがありません、こういうことになるのですか、大体のスケジュールは。それともガスのように、ことしじゅうにやらない、そういうことは言えませんか。どうです、大臣。
#103
○中曽根国務大臣 ともかく膨大な資料を電算機を使いながら一つ一つ固めて検査をしておるわけでございます。そういうような周到な審査をやった結果、それは結果が発表になるのでございまして、こちらのほうが作為的に国会の目をかすめてというような意図でやるようなことはいたしません。
#104
○神崎委員 その物価、これも最後に言おうと思っているのですが、口を開けば物価を抑制する、そうして国民の福祉だ、こういうことを言われるのですが、たとえば政府筋の話でも、十月ごろには消費者物価は前年同月比一四・五%アップだ、いわゆるスパイラルインフレだ、こういう危険がある、こういうことを言っているのですね。これは事態は非常に重大です。
 このような現状のもとで、物価上昇のおもな原因だといわれるこの独占価格、公共料金、こういうような値上げ、なかんずく電力料金の値上げは、すぐ私鉄やらあらゆるところに影響して、これが運賃値上げという形ではね返っていく。さらに、これに対して便乗の値上げ、波及ということを考えると、今後の国民生活に対して及ぼす影響は非常に大なんですね。きわめて大きい。田中総理は、口を開けば物価抑制だ、また、中曽根通産大臣も、福祉優先をよく言われるのです。しかも、つい最近の都議会選挙でも、自民党政府は物価を下げるんだ、税金も減税するんだ、こういう宣伝を盛んにやっておられましたけれども、ほんとうに自民党がそういう姿勢でおやりになるなら、唯一の認許可権を持っているいわゆる独占価格と公共料金の値上げをいまは認めないんだ、こういうふうに国民に答えられることが選挙の公約でもあり、常に言われていることの裏づけになる。そこらの一般の方の商売をしておられるものは、上がる、下がるときは、資本主義の段階で利益追求についてはどうとかこうだとかいうふうに言われますが、政府がほんとうに物価を値下げをするのだ、国民生活を守るのだというなら、それの値上げ、苦しめる根源であるこういう独占価格、公共料金、いわゆる公益料金的性格を持っている電力、これから波及することを考えたら、政府がだめだと言ったらこれはとまるのです。その認許可権を持っておられる。なぜ、いま伝家の宝刀を抜かないのか。これでもう上げるというようなことになれば、自民党政府というものは、やはり選挙のときと、そういうときだけ言っておるのだというふうに国民は思いますよ。東京瓦斯のときと同じであるということを私は申し上げたい。
    〔委員長退席、稻村(左)委員長代理着席〕
いま、やることだ。そうしたら、自民党はやるんだなということで、田中内閣の人気は下がっているけれども、それで少し上がるかもわからない。特に関西では上がるでしょう。これについては非常に大きな消費者運動がありますからね。
 それで最後に伺いたいのは、この前も言った多奈川火力発電所の問題ですね。これは、局長、ひとつ見てほしいのだが、大阪府議会、それから長野市、これは信州でなしに河内長野市ですよ、それから高槻市、茨木市、摂津市、泉大津市、こういう地方自治体で、関西電力値上げ反対の決議をしているのですね。おそらくおたくにも届いていると思うのですが、ここには自民党議員団も含めて全会一致で電気ガス料金値上げに反対する意見書を上げているのですね。こういう状態であるのですが、大臣、これでもなおかつ値上げをされますか。最後ですから、明確に答弁してほしい。
#105
○中曽根国務大臣 できるだけ抑制するというのがわれわれの方針でありまして、そういう方針に基づいて一つ一つ厳重な審査をいまやっているところでございます。いま、上げるとか上げないとか言明することは、まだその時期に至っておりません。
#106
○神崎委員 もう一言、言いたいけれども、時間がありませんから……。
#107
○稻村(左)委員長代理 多田光雄君。
#108
○多田委員 たいへん時間がありませんので、灯油問題について、私も簡潔に質問いたしますから、大臣その他関係の方、これまた簡潔に答えていただきたい、こう思います。
 最初、大臣に伺いますが、きょう、十三日の閣議で生活関連物資の買い占め、売り惜しみ防止法の政府指定品目のうちから、通産省が当初あげていた灯油が除外された、こういう報道があります。もっとも中曽根大臣は、その後の記者会見で、時事通信によりますと、灯油については、需給が逼迫し、買い占め、売り惜しみなどのおそれが出れば、直ちに対象品目に追加指定する、こういうことを言ったという報道がありますが、灯油が除外されたという理由、これをひとつ簡潔に述べてください。
#109
○中曽根国務大臣 指定するには指定する充足の条件がございまして、通産省としてはある意味において予防的に指定したいという希望を持っておりましたが、法制当局のほうからの意見で、まだ需給がゆるんでおる時期であって、しかも石油については増産のためにいままでの生産制限を解除したという事態で、さらに需給はいまのままではゆるむという情勢にある、秋になってからおそらくタイトになってくるであろうと思うが、そういうタイトになってくるという徴候が出てくるときになれば条件は充足するけれども、ゆるんでおる今日、そういうことに指定するということは法制当局のほうからはいかがかと思う、そういう異議がありまして、やむを得ず除外したのであります。いずれ情勢、需給関係を見まして、そして今度石油の増産を一部制限しておったのを解除いたしましたから、当然灯油もいままでよりはふえるという可能性がございます。現在でもゆるんでおる情勢で、さらにいまのように解除したために増産も出てくるという情勢も見て、そして夏場はあまり使わないもので、秋になって冬にそろそろ入るというので、北海道あたりでは秋の入り口ごろから買いが出てくるだろうと思いますが、そういう条件を充足するという事態になったならば、すみやかに処置したいと考えております。
#110
○多田委員 それでは、もう一度繰り返して聞きますが、通産省が当初対象品目としてあげたその理由は、どういう理由でございますか。
#111
○中曽根国務大臣 やはり予防的にそういうものを名前をあげて、もしそういう意図があるものがあったら、これはたいへんだぞ、そう思わせるという効果も一面においては考えておきました。
#112
○多田委員 このことによって大きな財政措置が伴うものでもないと思いますし、そしてまた、ある新聞によれば業界の圧力を云々している報道もありますが、こういうことが事実かどうかは別として、値上げのおそれが全くなくなった、あるいはいま措置しなくてもいい、こういうふうにお思いですか。
#113
○中曽根国務大臣 目下のところは、いまのような需給関係にありますから、値上げのおそれはないと思います。しかし、秋口にでもなってもしそういう徴候が出てくればすみやかに処置したいという考えております。
#114
○多田委員 大臣は、値上げのおそれはいまのところはない、こういうお話でしたけれども、すでに需要期を前にして、新聞その他の報道によりますと、北海道、青森、岩手、山形といった東北、北海道方面をはじめ、山口県でも灯油値上げの動きが出始め、そして消費者の大きな関心と不安を集めているわけです。そういう事実を一体政府は知っているんでしょうか。
 もう少し具体的に言えば、たとえば生協連の調査によりますと、山口県ですらすでにドラムかん一本が、昨年の二千六百円が三千八百円に値上がりしつつある。特に北海道ではひどいのでありまして、七月十一日、北海道知事の委嘱した道の消費者懇談会で――これは業者、学識経験者、それから消費者団体、通産局、道、これらが入っておりますが、この第二回の懇談会で業者側は、原油価格、人件費のアップを理由にして現状より三〇%値上げは避けられない、こう言っているんです。これがこの懇談会で出されている。一体政府はこういう事実を知っているのかどうか。
#115
○中曽根国務大臣 この法案の指示しているところは、売り惜しみ、買いだめということが一つの条件になっている。一般的に物価が上がってきて、賃金が上がるとか、あるいは原油の価格が上がるとか、そういうことで上がってきたものまで、普通の正常な形による騰貴まで押えるというものではないと私は思っています。売り惜しみ買いだめ規制法、そういう意味でありますから、そういう売り惜しみ、買いだめの徴候がありやなしやということがやはり一つのポイントであります。
#116
○多田委員 いま大臣が言われたことは私も十分存じております。ただ、この生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に対する法律案では、いま大臣がおっしゃたとおり「買占め及び売惜しみに対する緊急措置を定めることにより、国民生活の安定に資する」とこう書いてある。確かに売り惜しみ、買いだめの問題ではあるけれども、問題は国民生活の問題です。私はその観点からいま質問しているわけです。
 そこで、なお二、三の例をあげますと、たとえば北海道石油業協同組合連合会の試算によりますと、北海道の中央部の灯油の標準価格は一リットル当たり二十二円五十銭でないと採算が合わない。つまりドラムかん一本では四千五百円となって、昨年十一月から見ると約三七%アップになるのです。これは新聞にも報道されております。
 それからつい最近の北海道石油新聞によれば、これは業界紙ですが、旭川の石油商業協同組合の総会で、ことしの適正価格は現時点で一リットル当たり二十五円だ。これはドラムかん一本で五千円です。しかし七月から十月にかけて元売りの仕切り価格がかなり上がると予想されるのでリットル当たりもっと上がるだろう、こういうことが書かれている。
 もう一つつけ加えると、現在札幌市内の小売業者の事情聴取によると、これは札幌市内の生協がやったものですが、小売店が特約店に対し必要量を申し込んでも要求どおりきていない、こう言っている。
 これらの実態を総合すると、需要期の値上がりあるいは最悪の場合は売り惜しみというものが十分想像できるわけです。これは昨年あったんです。こういう実態を政府は知っているかどうか。これは大臣でなくてもよろしいですからお答え願いたいと思います。簡潔にやってください。
#117
○外山政府委員 ただいまの北海道における事例につきましては、私どもいまだ内容は承知しておりません。いま御指摘のように、おそらくは将来の原油価格の引き上げ等を予想してそういう言説が行なわれているのかと思います。しかし、私どもとしましては、小売的なものの範囲でこれを押えなければいけないし、今後の価格動向を厳重にチェックしてまいりたい、こう考えている次第でありまして、灯油につきましては従来からそういった意味の配慮を続けているところでございます。
#118
○多田委員 それでは、この灯油の問題で、特に家庭用灯油の全国的な消費の大きな比重を占めている北海道の例をあげたいのですが、これは局長でもよろしいのですけれども、北海道の小売価格の実態は三月ごろでどうなっておりますか。
#119
○稻村(左)委員長代理 多田君に申し上げます。申し合わせの時間が参りましたから、結論を急いでください。
#120
○外山政府委員 北海道の灯油の小売価格でございますが、消費者価格モニターによる調査によりますと、ことしの三月は十八リットル入りが三百十一円というふうに承知しております。
#121
○多田委員 北海道庁の調べた資料によりますと、四十八年の三月で十八リットルかんが札幌は四百四十円、函館が三百五十円、小樽が三百四十円、室蘭が三百六十円、それから最北端の稚内が三百九十六円になっている。これはきのうも政府側に聞きましたけれども、あなた方のモニターは数も非常に少ないのです。道のほうがもっと正確だ。これでもまだ内輪なんです。
 時間がありませんので端的に伺いますが、ことしの冬の供給計画、見通し、対策はこれで一体万全を期せると思いますか。
#122
○外山政府委員 例年のごとく灯油の需要期を控えまして、九月末に在庫をどの程度持たせるかということが非常に大事なポイントでございます。確かに現在、需要面の構造変化という点が若干ございまして、不需要期にもかかわらず売れ行きが好調であるというふうな統計が過去の三、四、五月等には出ております、この辺を見込みまして、今後の需給計画並びに在庫対策といったものにつきまして、私どもとしては万全の対策をとりたいということで、今後いろいろな手を打ってまいるつもりでおります。民生用の灯油が問題になるようなことのないようにできるだけの努力をしてまいりたい、こう考えております。
#123
○多田委員 公取のほうは来ていますか。この灯油問題で昨年末から独禁法違反の疑いで調査を何件か受理しておると思いますが、その後の処置、内容について報告できますか。これも簡単に願います。
#124
○吉田(文)政府委員 ただいまいずれも審査事件として立件しておりますので、その事実あるいは法の適用についてはお許しをいただきたいと思いますが、許される範囲で申し上げます。
 まず第一に、苫小牧地区におきまして灯油を安く買う会というのがございまして、そこに灯油を納入している小売業者が、灯油を安く買う会に対して、一般より安く販売しているということで出荷停止をされている疑いがあるということで、現在審査中でございます、これは近く結論を出す予定であります。
 それから、北海道ではございませんが、長野県においても同様の事例がございます。
#125
○多田委員 そういう実態が小樽、苫小牧、札幌、長野の飯田、これらにあると私は聞いている。こういうことは、明らかに自由競争に基づく公正な取引という点から見て商業活動の不当な妨害であると私どもは蓄える。とりわけこの種の売り惜しみと小売業者への圧力が強いのは、全国的に見て生協に対してなんです。そういう事実を知っているかどうか。またあるとすれば、生協法の目的、たてまえから見て不当だと思うけれども、それに対する行政指導を行なうかどうか、これをちょっと伺いたい。
#126
○稻村(左)委員長代理 多田光雄君に申上げます。各党の申し合わせ時間が過ぎておりますから……。
#127
○外山政府委員 生協についてそういう措置がとられているという点については承知しておりません。一般論として生協と契約しているという理由だけで制限を加えるというふうなことはあり得べからざることだと思います。そういったことがあれば、御指摘のように、むしろ独禁法上の問題になるのではないか、こういうふうに考えるわけでございまして、特にそういう圧力をかける動きがあるということは聞いておりません。
#128
○多田委員 動きがあるかないかというかなりの事実調査がきのう私が聞いただけでもあるのです。
 そこで最後に、大臣に質問したいのですが、今回の閣議決定による除外措置は、先ほど言った売り惜しみのこの法の精神からいってもこれはおかしい、私はこう思うわけです、除外措置を撤去して早急に灯油を入れるということをお考えにならないかどうか。というのは、東北、北海道、北陸というところでは、この灯油、暖房というのは米のめしと同じように欠くことのできないものなのです。それが先ほど言ったように上がっているのです。そういう措置をとらないかどうか。特に寒冷地にそれが激しく出た場合に、それをローカルの問題として片づけるのじゃなくて、やはり重大な問題として、先ほど大臣のおっしゃったという報道にありますが、事実それを指定品目の中に入れるかどうか、これを伺いたいと思います。
#129
○中曽根国務大臣 目下のところ入れる考えはありません。しかし、情勢を見て売り惜しみ、買いだめ、そういう規制法案の条件が充足するという条件が出てさましたら、直ちに入れます。
#130
○多田委員 やったときはすでに上がっていてあと追い行政なんですよ。だから大衆から見れば、通産省はやはり企業の見方だ、こうとられてしまうのです。昨年の例を見ても上がることは必至なんです。しかも需給の問題、大局的にはタイトだというけれども、聞いたところによれば、いますぐドラムかんを要求してもそれを制限されるほどの需給の逼迫であるということも聞いておる。ところが実際には要求したものは来ないというのが各所に出ているのです。
 そこで最後に回答をお願いしたいのですが、政府の実態把握はあいまいだ、ずさんだと思うのです。そして主要消費地の地方自治体や消費者団体の意見を十分に取り入れて、特に道と各地出先の通産局、消費者代表を含めて在庫、製品内容、これについて監査し、公表する、そういう思い切った措置をとられるかどうか。それから小売について自由に販売する権限を保証する、そういう措置をとられるかどうか、これを伺いたいと思います。そして最後に大臣にもう一度私は確認しておきたいのですが、こういう実態の中であってもなおかつはずすのかどうか。この三点について伺いたい。
#131
○中曽根国務大臣 先ほどから申し上げましたように、いまはそういう充足する条件にないということ、それから実態の調査については常に精密にやっていきたいと思います。それからもう一点は何でしたか……。
#132
○多田委員 小売業者の自由な価格決定の権利を保証するかどうかです。
#133
○中曽根国務大臣 それは自由公正な取引によって価格はきまるべきものであって、もしそれが阻害されるようなことは、われわれ自由経済論者からして遺憾なことですから、起こらないようにいたします。
#134
○多田委員 これで終わります。時間がありませんのでたいへんはしょった質問であれでしたけれども、実際の問題としては東北、北陸、北海道、これは価格は上がっているし、いまからすでに消費者は大きな不満を持っているのです。運動が始まっている。ですから大臣としても、いまにべなく断わられたのじゃなくて、ほんとうに真剣にこの灯油の問題ひとつ考えていただきたい、このことだけ申し添えて私の質問終わります。
#135
○稻村(左)委員長代理 近江巳記夫君。
#136
○近江委員 きょうは非常に時間も限られておりますので、簡潔に答弁をお願いしたいと思います。
 一つは、例の徳山の出光の問題でありますが、きのうわが党の調査団を編成いたしまして現地へ行ってまいりました。付近住民の不安というものは私たちが予想しておった以上で、もうこういうコンビナートは徳山からのいてもらいたい、こういう激しい怒りもございました。
 そこで、何点かお伺いしたいと思うわけでございますが、一つは保安距離の問題ですが、かなり向こうは道路もはさんで距離があるように思うわけですが、まるで火が自分の家におおいかぶさるような感じがした。少なくとも、最短距離でも六十メートルあるわけですけれども、ところが高圧ガスのあれからいきますと、一般住宅は二十メートル、学校、病院等で三十メートル、こういうことではたして安全というものが保てるのかどうか、この点をどのくらいの距離が必要であると考えておるのか、当然これは法改正ということになるわけですが、保安の点について法改正をするとして、何メートルぐらいの距離を考えておるのか。それからさらにこういうコンビナート等について特に保安等の問題について特別立法の考えはないかどうか、まずこれをお聞きしたいと思います。
#137
○中曽根国務大臣 保安距離の是正という御質問でございますが、これは現在高圧ガス保安審議会で検討してもらっておりまして、非常に技術的な要素が多いわけでございます。いたずらに勘や政治的にきめるべきものではないと思います。そういう意味において、科学的に十全な措置がとれるような距離をとることが必要であると思いまして、現在の総点検の結果と、それから高圧ガス保安審議会の結果を待って決定したいと思います。
#138
○近江委員 それからコンビナート等につきまして保安等を中心として特別立法の考えはないわけですか。
#139
○中曽根国務大臣 この点も午前中の御質問にございましたが、高圧ガス取締法という法律でいままでやってきておりますけれども、今回の事故にかんがみ総点検の結果によりまして、その必要ありやなしやも検討してみたいと思います。
#140
○近江委員 それから、異常が発見され一時とめたわけですが、また正常に戻った。これは保安計器の問題でありますけれども、それで結局爆発事故になってしまった。そういう点におきまして、この背景として生産第一の考え方が強い。安全第一に徹しておれば、少なくとも計器の異常を認めたときに全面的にそこをとめて、ガスを全部抜いてしまう、こういう措置もとれたわけなんです。そういう点、こういう企業の生産第一主義のあり方について大臣としては今後どうすべきであるとお考えになっておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
#141
○中曽根国務大臣 生産第一という主義から福祉優先という関係にわれわれは方向を転換し、またしつつあるのでありまして、この出光の場合におきましても、そういう理念で仕事をしてもらうようにわれわれは期待しておったところであります。今回の事件がどういう理由によって起きたか、これはいろいろな調査をやってみないとわかりません。従業員のミスによるものであるか、あるいは装置の故障によるものであるか、あるいはその複合したものであるか、これら厳重な客観的な調査を待ってわれわれはいろいろ対策を講じていきたいと思います。
#142
○近江委員 バルブの操作ミス等の疑いというものはないのかどうか。もしもそういう疑いがあるとすれば、これは従業員の教育であるとか訓練であるとか、そういうことをさらに徹底してやらなければ、私はまた二度、三度の事故が起きてくると思うのです。この辺の考え方についてひとつお聞きしたいと思います。
 それからもう一つは、住民の不安というものが想像以上に、要するに先ほど申し上げたように、コンビナートは、もうのいてほしい、要らないという声が非常に強いわけですね。たいへんな怒りでした。非常に不安が強かったわけですが、特に警察であるとか消防であるとか、また会社内のそういう消防力であるとか、これらの連係等が非常にうまくいかなかったように聞いておるわけです。しかも、消防が来てもただ手をこまねくだけだ、こういう状態を見ますと、対住民という問題におきまして、警察なり消防なりあるいは会社のそういう自衛消防の能力なり、やはり一元化のきちっとした体制なり、あるいはまたそういう訓練であるとか、これは日ごろ常にやらなければいかぬと思うのです。その辺、一元化の問題についてどう考えておられるか、この二点についてお伺いしたいと思います。
#143
○中曽根国務大臣 失跡中の岩本という従業員が、けさ九時次のように自供したという由であります。「計器の動力源となるバルブの操作を誤り、約八分後にフレアスタックからの大黒煙によりそれに気付き、元へ戻した。」しかし、計器が正常に復元したとすれば、それにもかかわらず事故が発生したのはなぜであるか、そういう点はまだ究明する必要があると思います。要するに、非常に科学的な事実関係に基づく客観的な調査を厳格にやりまして、こういう大事な事故でございますから、将来のためにも厳格な調査を行なって報告いたしたいと思うわけでございます。
 それから、消防の関係につきましては、地域消防という関係でいまの消防体制ができておりますけれども、コンビナートのようなものについては、非常に化学的な特別な消防施設を必要とすると思われますので、やはりコンビナートみんなが連合して、そういう特殊な化学消防部隊みたいなものを編成することが望ましいと思いまして、これはひとつ検討してみたいと思っておるところでございます。
#144
○近江委員 それから、全国のコンビナート等を総点検するということをおっしゃっているわけですが、総点検といいましても、実際上あれだけの装置について、それは政府の人も詳しい人もおるかと思いますけれども、総点検というのは非常に聞こえはいいけれども、中身が問題だと思うのです。私は、今回におきましても、事故の原因の究明であるとか、また各地のそういう総点検にあたっても、やはり精密をきわめる総点検を実行しなければ何にもならぬと思うのです。この点の体制についてどういう体制をとっておられるか、この点についてお伺いしたいと思います。
#145
○林(信太郎)政府委員 ただいまの総点検のやり方でございますが、現在、大半のメンバーの選定を終わっておりまして、通産省、局、それから県、試験所、それから高圧ガス保安協会、それから学識経験者という形で選定を急いでおります。メンバーがそろいましたところで、どこを重点的にチェックするかという着眼点の整理を急ぎまして、できますならば来週中にも実体的な点検に入りたいと思います。
 それから、どういう個所を点検するかということでございますが、コンビナートのああいった化学反応を行ないます装置の性質上、安全弁、それから気密、それから内部を開放いたしまして、内部にございますいろいろな事故の有無、それから装置の肉厚あるいは操作の方法、それから消火の体制でございます。それから断熱の装置あるいはシャットダウンの機能、さらにタンク類につきましては防液堤が適確かどうかといったようなところがその重点的なチェックポイントになろうかと思いますが、最終的には、このスタッフがきまりまして、その上でこういった点がきまるかと思っております。
#146
○近江委員 こういうコンビナートは、絶対に安全な装置もあるし、だいじょうぶであるということがくつがえりまして、こういうような悲惨な事故にもなったわけでありまして、こういうことは、もう通産省としても、万全の厳重な監督をして、二度と起こさないようにやっていただきたいと思うのです。これは強く要望しておきます。
 それから、日米経済合同委員会についてお伺いしたいと思うのですが、この十六日と十七日に東京で開かれるこの委員会のテーマは何であるかということが一つです。わが国としてどういう姿勢でどういうような問題を提起する考えであるのか、これをひとつ大臣にお伺いしたいと思います。
#147
○中曽根国務大臣 やはり世界経済の現勢、それに対応する日米両国のとるべき態度、それから日米両国間の問題、特に通商関係、アメリカの物資需給の関係と日本の影響、そういうような諸般の問題についてよく討議してみたいと思っております。
#148
○近江委員 非常に概略的なお話があったわけですが、もう少し中身について、わが国としてはどういう問題を提起されるのですか、もうこれは日にちも迫っているわけですから……。
#149
○中曽根国務大臣 私は、通商関係を担当しておるものでありますけれども、通商関係を安定させる基準は通貨関係の安定にあります。そういう意味において、ドルをいかにして早く安定の水準に戻すか、そういう点についてアメリカが何をしようとしておるか、また日本はそれについてどういう協力が可能であるか、そういうようなまず第一に通貨の安定ということを通商の前提として私たちは大いに強調したいと思います。
 それから資源及びエネルギーの問題について、特にアメリカが日本に輸出してまいりました食糧関係、飼料関係等については、約束したことは実行する、その国の都合によってかってに変更されるということは非常に迷惑をほかの国に及ぼすわけであって、そういうことは将来起こさないように、これは配慮を強く依頼をしたいとわれわれは思います。
 それからエネルギーの問題につきましても、やはり産油国を刺激しない、協調してものをやるということが一番大事なことであって、そういう点についてはこれは強く主張していきたいと思いますし、また緊急の場合において消費国間で油を融通し合う、あるいはエネルギー資源の開発、科学的研究の開発等についても、ECや日本やアメリカが協力してやる、そういうような具体的な方法について先方の考え方も聞いてみたいと思います。
#150
○近江委員 いま大臣はおもなポイントをおっしゃったわけですが、まだ時間はあるわけですから、通産省としてもっと何か具体的にお考えの点があればお伺いしたいと思うのです。
#151
○中曽根国務大臣 大体考えていることや話そうと思っていることを精一ぱいに申し上げたのでありまして、これ以上手のうちに持っているものというものはございません。
#152
○近江委員 それから塩川政務次官が横におられますので、米国、カナダを訪問されたわけでございますが、この大豆の輸出規制問題等で、アメリカ、カナダを訪問されたその経緯を簡単にお聞きしたいということと、それから二番目に、米国の真意は何であったか、また、この問題の解決の見通しはどうであるか。三番目に、この大豆に限らず他品目に広がるおそれはないかどうか。四番目に、カナダの態度はどうであったか、以上四点をまずお伺いします。
#153
○塩川政府委員 私は、七月三日日本を立ちまして、十二日までアメリカ並びにカナダを訪問してまいりました。
 今回の訪問は、先生御指摘のように、アメリカが農産物に対しまして緊急の輸出規制をいたしまして、それに伴い、わが通産省といたしましては、そういう農産物も含めまして、輸入の業務を責任を持っておる役所でございますだけに、これの円滑な輸入を促進するために、大臣が特に派遣を要請されまして私が参ったような次第でございました。
 そこで三日、四日とワシントンにおきまして農務省並びに商務省を訪問いたしまして、最初にブラントヘーバーという農務省の次官補でございますが、これが直接の規制の責任者でございますので、それに強く陳情をし、わが国の立場並びに今後に対する要請をしてきたのであります。
 そこで、まず第一に大豆の問題でございましたが、アメリカが緊急措置をいたしましたその品目の中にある大豆は、わがほうといたしましては非常に米国に対する依存度が強いのでございます。したがって、今回の措置があらゆる意味におきましてわがほうにとりましては非常に大きいショックであったということの抗議をまずいたしたのであります。そのショックの内容は、一つはアメリカがいままで農産物を買ってくれということを強く要請しておりました。特に昨年の箱根会談等におきましては、農産物の買い付けにもっと積極的な姿勢を示してほしいという要請があったのであります。したがって、わが国といたしましては、農産物の輸入に相当な計画性を持って今日まで増大をしてまいりましたところ、突然買えと言っておった国が今度は売らないということはおかしいではないか、これがどうしてもわれわれとしては納得できない事態なのだということが第一点であります。
 それから第二番目の問題といたしまして、今回の規制が突然行なわれたということでありまして、もっと十分に話し合いをした上でも規制をしようと思ったらできるではないか、突然やったということは非常にわれわれとしては不可解であるということで、強くこの突然の規制ということに対しまして抗議をしたのであります。
 三番目は、いままで日本とアメリカとの関係はいわば同盟国の関係であり、友好関係が非常に深いのであります。したがって、他の諸国がこれを買い付けた、たとえばソビエトなり中国も大豆の買い付けをことしは積極的に大量にやっておりますが、そのしわ寄せがいままで一番親密なるわがほうに、影響を及ぼすいうことについてどうも納得のできない点がある、この三つにつきましてまずただしたのであります。
 それに対しまして、農務省次官補ブラントヘーバーでございますが、それはまず第一に、突然やったということはまことに申しわけなかった、しかしながら、この措置は物価凍結令からくるところのインフレ抑制の一つの対策としてとったことであり、突然行なわなければ、事前に予告をするというような措置をとった場合には、そこに思惑的な投機が入ってくるので突然やった、それがために非常に迷惑をかけたことはまずおわびする、しかし、現在非常に急激に大豆がアメリカ国内において高騰した、この二カ月間で四〇%という高騰を見たということは、外国の買い付けが相当激しかったということにほかならぬと思う、ついては、どの程度の買い付けを外国はやっておるのかということを調べた上で、順次輸出の規制をゆるめていくつもりである、こういうことの一応の話がございました。
 そして日本との関係でございますが、いわゆる彼らのことばで言いますところのトラディショナル・カストマー、伝統的な顧客としての日本の立場というものはよく尊重し、これに対しては迷惑をかけないようにわれわれもできるだけ努力をいたしたい、そして今回の規制はあくまでも暫定的なものであり、輸出業者の契約の実態なりあるいは来年度の穀物年度でございますが、来穀物年度の生産の見通し等がついた場合、早急にこの規制措置をゆるめる、あるいはまた撤廃いたしたい、こういう気持ちである、こういうことでございます。
 そこで、私は、それは一般論としてそういうことであろうが、いわゆるあなたのおっしゃるトラディショナル・カストマーとしての扱いということにはならぬではないかということを強く主張いたしました。その結果、やはり諸外国に対する原則というものは曲げるわけにはいかないが、運用の面においては、日米間のことであるから、日本の立場というものをわれわれはよく理解しておるから、その面については考えていこうということでございました。その結果、この運用面ということは何かということを突っ込んでまいりまして、結局それがとうふ用の大豆というものについては別に考えていこう、こういうことでございました。
 次に、ゲント商務長官にお会いいたしまして、これは先ほど申しましたブラントヘーバーと同じような内容のことでございますが、要するに、日米間におきますところの相互信頼というものがこういうアメリカの国内で起こった問題から日米の関係にそういう影響を及ぼしてはいかぬ、われわれはあくまでもアメリカに対し供給の責任というものを強く追及する権利があるのだから、これに対する措置というものはひとつ十分責任を持ってもらいたい、それから今後しばしばこういう輸出規制を連発的にやるかどうかということをただしたのであります。
 そこで、ゲント商務長官の話でございますが、日米間における関係は、今後とももっと計画的に話し合ってもっと緊密にやっていくべきであると思っておるし、今回の農産物の輸出規制ということについては、突然行なったことはまことに申しわけない、しかし、これがために日米間に間隙をつくるなどということがあってはならぬので、その点われわれも重々今後の運営については対処したい、こういうことでございましたし、また、ブラントヘーバーとの間で話し合いました結果については商務長官として全力をもってこの実行を推進する、こういうことでございました。したがって、今後輸出規制というものはできるだけアメリカとしても避けていきたいという気持ちを強く言っておりました。しかし、これは世界的な食糧不足という事態が起こってきておる。その中にあってアメリカだけが供給余力を十分持っておるというところに、そこに世界的な関係というものを絶えず見ていかなければならぬので、その点は十分理解してほしいということは言っておりました。
 総じてアメリカとの農産物の関係について申しますならば、日本といういわゆる伝統的な顧客、いいお客さんといいますか、こういうものに対しては今後ともその立場を十分尊重して迷惑をかけぬような、これからの話し合いというものを進めていこう、それがためには十分日米間における今後の話し合いというものをより一そう緊密にやっていくべきだと向こうは主張しておりました。それと同時に、日本においてもある程度のストックというものはやっぱり考えてもらわなければならぬ、こういうことを向こうから申し出ておったのであります。
 それからスクラップの問題でございますが、これも輸出規制をしようというような気配があったのでございますが、この問題につきましては、木材なり、あるいは他の商品におきましても、日本とアメリカとの間に自主的な話し合いで解決しておることがたくさんございます。したがって、このくず鉄もお互い話せばわかる問題であるから、これはもう輸出規制とか、そういうことではなくして、話し合いで片づけていきたいというのが私たちの態度でございまして、その点は十分理解してくれまして、結局話し合いでおおよそこちらのほうの思っております数量の確保ができたのであります。
 それから引き続きましてカナダへ参りました。カナダは、御承知のように、わがほうに一番関係がありますのは、なたねと亜麻仁であります。
 まず第一のなたねは、カナダのほうの輸出のうちの四〇%がわが国に来ております。一方、わが国から見ました場合に、なたねは約九八%カナダ一国にたよっておるという実情であります。亜麻仁につきましても、わがほうは一〇〇%カナダに依存しておる、こういう状態でございます。
 そこで、カナダのほうの主要な方々にお会いしたのでありますが、まず最初にカナダのほうの商務長官これは通商産業大臣でございますが、ギブスリーという方がおり、この方が輸出の責任者でございます。これにまず最初に抗議を申し込みました。全くアメリカと同様突然の措置であるということを申しましたところ、これは大豆かすに対する代替品としてなたね油のかすが重要な飼料になっておる。したがって、大豆かすの規制をアメリカがやったことに伴って、それの連鎖反応をおそれてカナダとしては対策を講じたのであって、全く他意がないからその点は了解してほしい、こういう趣旨でございました。そしてなお、実際実務的にやっておりますのはラングという穀物担当の大臣とジャービスという農務次官補、それとウィーランという農務大臣で、この三人に会って十分話をしてくれということでございましたので、それぞれ三人の方に会いました。
 そこで、結論的に申し上げますならば、なたねにつきましては、現在の契約分についてはできるだけ日本に出荷するようにわれわれも努力する、こういうことでございまして、現在日本が契約しております七月以降の分について、若干の時間のズレはあろうと思いますけれども、できるだけ早く出すということでほぼ話を終わったのであります。それと亜麻仁につきましても同様でございまして、日本の実情はよくわかった、したがって供給の断絶を来たさないように十分配慮するということをそれぞれの大臣が言っておりました。したがって、なたね並びに亜麻仁につきましては、私は現在の需要に対する供給はそうひどくならないのではないかと思っております。
 なお、先ほど先生のお尋ねは四点ございましたが、その中の今後の対策ということでございますが、御承知のように世界的な天候異変ということがいわれております。農産物にやはり部分的に不作、豊作というふうな状態が出てきております。これは非常に残念なことでございます。したがって、アメリカなりカナダに対しまして農産物の買い付けが各国とも非常に激しいということは御承知のとおりであります。特に小麦や大豆、こういう主要なる穀物につきましては、共産圏からの買い付けが非常に多くなったということが事実でございまして、こういうようなのはいわゆるスポット買いというべきものであろうと思います。しかし、世界的にまんべんに供給しなければならぬという立場からものは考えられておると思うのであります。したがって、今後私たちとしましては、これからの需要の見通しというものを的確につかんで、絶えず供給国と緊密に話をしていく、これがやはり大事なことだと思うのであります。
 それともう一つ、こういう農産物等につきまして、特に天然資源全般についてでございますが、わが国のストックというものが非常に希薄であるというところにやはり問題があろうと思います。したがって、ストックを国の責任において確保していくということも考えていかなければならぬ、このように思います。
 また、こういう農産物あるいは天然資源等一般について申しますならば、買い付けについてやはりマナーが必要であろうと思うのでございまして、そういうことにつきましても、今後われわれは十分対策を講じていきたいと思うのでございます。
 なお、最後の四番の御質問でございましたが、カナダにつきまして、今後日本といたしましては、やはり農産物なり天然資源というものは多角的な供給源を求めていくべきだと思うのでありまして、そういうふうに見ますならば、カナダ等は、確かにそういう多角的供給の一つの大きい供給源になると私は思っておるのでございます。九月に日加経済閣僚会議が開かれる予定でございまして、そういう際にこれが大きく議論されることであり、日本とカナダとの間におきますところの経済交流というものを私たちは大きく期待しておるような次第でございます。
 以上、簡単でございますが、御報告にかえさせていただきます。
#154
○近江委員 時間がありませんので、松尾委員に譲りたいと思います。
#155
○稻村(左)委員長代理 松尾信人君。
#156
○松尾委員 きょうは鉄鋼の需給等に関連いたしまして質疑を若干重ねていきたいと思います。
 まず最初に、鉄鋼業界は昨年一年間不況カルテルを結んでおった。しかし、昨年後半から景気が上昇いたしまして、カルテルを解除されたわけでありますけれども、そのとたんにまた、本年一月末、神戸製鋼加古川が三千八百立米、三月末には住友金属鹿島が四千立米、五月末に川鉄水島が四千立米と次々にこのように火入れが行なわれておるわけであります。このように一挙にいたしまして一万二千立米、粗鋼換算、年でありますけれども、一千二百万トンの鉄の増産体制ができたわけですね。このようなことでありまして、業界というのは不況になりますと過剰生産、ですから採算割れだということで不況カルテルをつくり、また公共投資というものを通じまして財政資金の投入で切り抜けてくる、景気が今度回復いたしますと設備増強、こういうパターンを繰り返してきておるわけでありますけれども、このような傾向、鉄鋼業の動きというものについて大臣はどのような認識を持っていらっしゃいますか。
#157
○中曽根国務大臣 現在の日本の産業を見ますと、まだ鉄鋼はいわば産業の米や血液に当たるような要素がございます。石油と並んで基礎産業としての重要な位置をいまだ持っております。しかし、こういう基幹物資については長期的安定供給、そして価格の安定ということが望ましいわけであります。ところが、いままでの例を見ますと、鉄鋼関係において増設の競争等があり、シェアの競争がいままでありました。しかし、長期的に見てみますと、それだけのシェアはいままでの時点においてあったのでありまして、また、それだけの需要も生み出してきた結果でもあります。それで将来どの程度まで可能であるかとなりますと、公害問題その他も出てまいりまして、海外立地ということも真剣に検討する段階になってまいりました。これは非常に重要な新しい変化であります。そういうことを頭に入れまして鉄鋼の需給関係を見通しつつ、設備能力等についても協調したラインを出せるように努力していきたいと思っています。審議会の審議によりまして大体その見通しの数量をきめてまいりまして、それに応じた行政施策をやっていくことになるだろうと思います。
#158
○松尾委員 いまのお答えですけれども、これは私の質問からははずれておるのじゃないかと思うのです。不況になればカルテルを結ぶ、そしてまた公共投資等を通じての財政投融資で自分のほうの在庫一掃をはかり、そして今度は景気がよくなりますと増産するというような過去のパターンがあるわけですよ。これは何回ももう繰り返された一つのパターンでありますけれども、そのようなことで不況になれば生産制限をする、不況カルテルを結ぶ、そして一つはそういうカルテル行為によって生産を維持する、財政投融資によって在庫を一掃して需要を上げる、好景気になれば増産する、こういうようなことについて、大臣はどのような認識を持っていらっしゃるかというのが私の主眼でありまして、その点の認識を聞いておるわけです。
#159
○中曽根国務大臣 不況カルテルを認めたのは今回が初めての由であります。それまでは不況カルテルということは認めないで、むしろ通産省が指導いたしまして、業界の協調を保ってきたという過去があったようであります。しかし、最近施設に対する財投はもう鉄鋼はほとんどなくて、自力であるいは民間融資で独力でやってきているようであります。そこで、鉄鋼のような基幹産業は、前にも申し上げましたように、安定的供給と、それから価格の安定ということが非常に望ましい、あまり乱高下があるということは国民経済全般に影響するところが大でありますから、できるだけ避けたい。それにはやはり需給関係の見通しを的確にして、そして操作等についてもそれに合うような操業をやっていくということが賢明だろうと思います。
 ことしの様子を見ますと、一億二千万程度いくというような可能性をいま示しております。しかし、その操業にいたしましても、大体昭和四十六年度に認めたキャパシティがようやく稼働し始めた今日の状態になってきておる。昭和四十六年のものがいままでずれてきておるようであります。でありまするから、やはり鉄鋼の増産、増設というものについては、非常に通産省としては締めてきてまいりまして、過大な増設にならぬように押えてきた、それがいままでの実情であっただろうと思います。しかし、最近の爆発的な世界的な需要がふえてまいりまして、海外からの引き合いなんかも相当あります。ありますけれども、国内はある程度考えて値が上がらないように、海外の需要等もできるだけ節度をもって処理してもらっておるのが現状でございます。将来ともわれわれは、さっき申し上げましたような長期的安定を目途にいろいろ施策をしていきたい、そしてカルテルというものはできるだけ避けるように努力しなければいけない、こういうように思います。
#160
○松尾委員 少しお互いのあれにやはりズレがありますね。私が言っているのは、不況がきた場合には鉄鋼業界自体に対する財政投融資じゃなくて、公共事業に対する財政投融資等の促進によって在庫の一掃をはかるというようないわば政府資金、国民資金によって景気の立て直しをしてきておるということから、つまり、いま内需が多いからといってこの設備の増設等について積極的にお考えになるのかどうかということを前提にして私は聞いておるわけです。そこに少しズレがあるわけです。それはそれとして、時間がありませんので次にいきますが、私が言っているそういうことをやはり前提にされまして、今後答えてもらいたい。ですから、四十六年の設備投資がずれておる。これは不況がきたからやるにやれずにずれておるわけでありまして、そういうものがいま一挙に芽をふいておるわけでありますけれども、今後の設備投資の計画はどのくらいあるか、今後の需要の伸びに応じて設備投資はまだ随時認めていくおつもりであるか、この点を聞いておきます。
#161
○山形(栄)政府委員 鉄鋼業の設備投資につきましては、いま大臣からお話がありましたように、これは基幹産業の性格を持っておりますので、必要なる鉄鋼は当然充足しなければいかぬという要請があるわけでございますが、また他面、最近の高炉が非常に大型化しております。その辺で鉄鋼の設備投資につきましては、需給上のギャップ問題も当然に考えられますので、今後長期的にこれをどうするかということにつきましては、現在通産省の産業構造審議会鉄鋼部会で検討をいたしておる段階でございまして、近くその結論も得るような運びになっております。
 最近の設備投資状況を見ますと、大手五社の四十八年度設備投資額は、公示ベースで五千二百四十一億円ということが想定されておりまして、これは四十七年度に対しまして七・八%の減に相なっております。これは財投でございませんで、自己資金で調達をする予定になっております。
 なお、いまちょっとお話にも出ましたように、新規の高炉をこれからどう建設していくか、その前提として長期的な日本の鉄鋼需給をどう見るかというような問題につきましては、先ほど申し上げました産業構造審議会の鉄鋼部会で、鉄鋼の基幹産業としての性格を前提とし、しかし反面、環境問題とか資源エネルギー問題、公共投資の確保の問題、それから諸外国から非常に強い引き合いの来ております輸出をどう考えるかというようないろいろな面を全部含めまして、所要なる設備をどの程度どういうテンポで確保するかということについて鉄鋼部会の御審議を願っておりますので、その結論を得ましてわれわれとしても考えていきたい、こう考えております。
#162
○松尾委員 いま私が聞いたのは、設備拡張のチェックポイントであります。お答えになったのもその点に関連してお答えになっておりますけれども、非常に景気が上昇して鉄鋼の内需がふえておる、その内需というものの内容はどうかということであります。これは公共住宅、民間住宅、こういう部分の建設というものを促進しなくちゃいけないでありましょう。そのようなことでありますけれども、他方民間の設備投資をどこまで見ていくかという問題があります。鉄鋼の内需の八〇%はいろいろな産業の設備投資に使われるといわれておりますけれども、そのような設備投資の需要というものをすべてオーケー、オーライ、オーライと認めていくのか、そういう内容までチェックして認めていくのか、そういうところによって今後の鉄鋼の需給というものは大きく私は変わってくるものであろうと思います。ですから、業界ごとの設備投資の計画というものをどのように見ておるのか、また、見直す計画を立てるべきか。一例をあげますと、石油化学でありますけれども、これは公害等の問題が一ぱいあります。それが四十八年度には前年に比べて三〇%をこえるような設備の拡張計画もある、このようにもいわれておりますし、そういうものをすべて認めていけば、内需というものはどんどんふえてまいります。そういうものを含めての長期安定供給になったならば、この設備拡張というものはどんどん認めていかなければいけません。ところが、それが一たん不況になってきまして、民間またはその他の設備投資というものが起こった場合には、拡張してまた設備の能力というものが遊ぶ、遊ぶとまた滞貨がふえる、滞貨がふえるとまた前回の不況カルテルに準じてやってくれ、また公共投資をふやしてやってくれ、このようなパターンを今後も繰り返すであろうということを言っているわけです。ですから、内需がふえる、その内需というものがどういう面でふえるのか、当然国民が要望している内需のふえ方はけっこうでありますけれども、また、一つのパターンをつくっていくような、そういう内需であったならば、民間設備投資といえども見直していくべきじゃないか、こういうことを言っているわけでありますけれども、これは大臣、そういう考え方についてはいかがですか。
#163
○中曽根国務大臣 日本の経済が適正に成長していく過程においては内需もふえてくるし、鉄鋼も増産していかなければならぬ段階になるだろうと思います。また、外国に対する輸出の問題も、世界経済が順調に発展していけば当然またふえてくるわけであります。そのような正常な成長あるいは需要というものに対応するだけの鉄鋼設備の設備投下ということはやはり必要であると思います。もしそれがないと、鉄鋼価格の騰貴から物価騰貴が出てくる、そういうことでもありますから、やはりそういう安定的な成長に対する投資あるいは設備拡張ということはゆるがせにできないことであるだろうと思います。それがそのような投資をお互いのシェアの競争からやり合って、それがために非常にもたれ合いができて、そこで政府に需要の喚起を要請するというようなことは、これは間違いであります。そういう事例が必ずしも過去に絶無であったとは言えないかもしれません。われわれとしては、そういう国民経済上における投資のむだというようなことを極力防ぐように、それを私は先ほど来安定供給ということで申し上げておるのでございます。
#164
○松尾委員 いまおことばにありました適正なる内需というものは当然認めていくべきであるが、その適正なる内需というのが問題だろうと思うのです。要するに、民間の設備投資というものが内需の八〇%を占めるとするならば、やはりそういう設備投資というものを見直しておいて、それがはたして適正なものであるかどうかということをよく見ませんと、需要がふえたから鉄鋼内部の設備投資は当然なんだというこの行き方は大いに反省を要するであろう、こう言っているわけです。特にこの需要として出てまいりますのが列島改造関連の公共投資ですね。こういうものについては、やはり縮小ないし延期を要請するという声が非常に強うございます。
 また、いま資源の浪費につながるものは大いに自粛を求めるとか、こういうむだなことはやめなくてはいけないとおっしゃいましたけれども、自動車のモデルチェンジの問題一例をあげましても、まだ当然使えるものがモデルチェンジ等によってどんどん買いかえられていく、買いかえられた自動車は、ほとんどが資源のむだになって残っているわけです。こういうことで、これは自動車のメーカーでありますけれども、大いに反省している。五年に一回くらいモデルチェンジをやらなくてはいかぬだろうというようなことまで反省しておるわけです。モデルチェンジによる自動車の買いかえ台数というものはお調べになったかどうか、これはよくおわかりにならなければ、相当な台数があるということですね。これは一度お調べになったがいい。どれだけのものが大体中古車になっていくか、またそういうものが下取りされてどうなっているのか。やはりそういうものは資源の浪費につながっておる傾向が非常に強いのです。
 もう一つ自動車のことで言いたいのでありますけれども、もう車は満員状態である。これはだれでも認識しておるわけでありますけれども、他方需要するほうは、満員でも買いたい、もう一ぱいだけれどもまだ買いたいという、そういう東京都の都民の意識調査があります。車はもういまで手一ぱいだ、これ以上ふやされては困るというのが九〇%あるのですよ。それにおまけにモデルチェンジでどんどん変わっていっている。それが一つの鉄鋼の需要を起こしている。そういう適正なる内需というものをどのように見ていくかということ、これに関連して私が言っているわけで、よくよくそういうことを民間の設備投資の方面からながめ、またそのようなモデルチェンジ等の資源の浪費につながる方向もながめて、自動車の会社が言ったからいいというものじゃなくて、これはやはり通産行政としましては、自動車自体についてもみずから先陣を切った監督指導、そしてまた抑制というところまでつながったそういう政策がなければいけないのじゃないか。こういうことを前提にしておいて、そして今後の鉄鋼の設備拡張、そういうものをよくよくしっかり審査して臨まないといかぬのじゃないか。不況になった場合にはその設備は全部また遊びます。過剰になりますとどうしても生産制限をしなくちゃいけませんでしょう。在庫がふえれば在庫一掃のためのまた公共投資の政府主導型、こういうものにつながってくるおそれがある。
 もう一つ言いたいのは、先ほどちょっと大臣も触れられましたけれども、公害の発生寄与率が多い。これは鉄鋼業界でありますけれども、一カ年の石油の消費量、これは重油でありますけれども千二百七十三万五千キロリットルでありまして、これは全消費量の一四%を鉄鋼だけで占めている。石炭だけでも一カ年、これは四十七年の実績でありますけれども、五千六百万トンをこえておる。全消費量の九〇%強を鉄鋼で使っているわけです。この分は全部やはり公害発生の寄与率が多いということですね。ですから、もう環境との調和に限界があるということですよ、現在の鉄鋼業自体が。
 それともう一つ設備の増強という問題になってきますと、なおその調和が破れていく傾向が非常に強い。もう一つは鉄鉱石の海外依存度が九九・一%であります。ほとんど全面的に海外に依存しているということがいえるわけですね。そういう資源対策面からも、この設備増強等については一億二千万トンにも達するであろうというようなことをおっしゃいますけれども、そのあろうということをおっしゃる根底に、日本がそこまで伸びたのだというようなことでなくて、おそるべき伸び方をしておるというような認識がなくちゃいけないと思うのですね。
 もう一ついわれておりますのは、産業構造面からも鉄鋼の多消費型というものを改めていこう、鉄鋼の少ない消費型、寡消費型、こういう面に大臣は一生懸命になって構造転換を遂げていこうとされているときでありますから、そういうあらゆる公害の問題、そこにおける燃料消費の問題、原材料の輸入の実態、それから産業構造の転換の問題等からいっても、今後この鉄鋼の新設、増産設備等につきましてはよくよくお考えになっていかなくちゃならぬであろうということを指摘するわけです。その中の自動車についてはモデルチェンジ等で資源のむだにつながっておる。車はいま満員である、そういう状態で、何か通産行政の中から業界の自粛の面よりも一つ先に出た指導がいま要るのじゃないか。そういうものを一つの方針に、いろいろのものを見直されまして、そしてきちっと立てた上のこの鉄鋼の増産、長期安定計画、そういうものを考えられて立てられていくのかどうか。先ほどの大臣の御答弁は非常に粗雑だったと思う。そういうことは、ひとつ私が言っていることをもう一回頭にまとめられまして、大臣のうまい、そして日本の経済界が二度といろいろの問題を起こさないような方向でこの鉄鋼行政を進められるかどうか、これをお聞きしたい。
#165
○中曽根国務大臣 先生のおっしゃることは非常に筋の通った、われわれもそういう方向に行かなければならぬ方向を指示されておられると思います。われわれが重化学工業、高度成長型から福祉優先、そして付加価値の強い知識集約産業のほうへいこうという努力の一つの過程を示されているとも考えられます。特に鉄鋼等の問題について、これが需要先である自動車がモデルチェンジという形で需要をわざと喚起させて、そして鉄鋼をよけいに消費していく、いま例に示されたとおりであると思います。そういう点について通産省自体がむだを排除して、そうして資源を少なく消費して済むという合理的な生産体系、需要供給体系を確立する時代にいよいよ入ってきたと私も同感であります。それらの点につきましては、現在産構審の鉄鋼部会で、需給関係等もにらみまして、いろいろ検討してもらっているところでございますけれども、その答申を得まして、適切な政策を実行していきたいと思います。
#166
○松尾委員 これで最後でありますけれども、過日、苫小牧の問題でありますけれども、ここの大規模の工業基地計画に鉄鋼関係が省かれておるということでありますけれども、なぜ鉄鋼がこの大規模工業基地の計画からはずれたのか、こういうことを一つ聞いておきたい。
 それから、新全総が大規模工業基地の候補地を幾つかあげておりますけれども、その計画の中で鉄鋼については一歩後退したのではないか、後退しているのじゃないかという考え方からぼくは言うわけでありますけれども、どうか。
 それから今後の鉄鋼生産につきましての海外立地の問題であります。
 以上、三点について大臣からお答えを聞いて、きょうの私の質問を終わりたいと思います。
#167
○中曽根国務大臣 苫小牧の立地の問題では、あの地帯はとりあえず石油化学及び石油精製を第一に取り上げて、それに輸送設備を付着させる、そういう計画のようでありまして、当初考えられておった鉄鋼はあと回しにされて、石油の情勢を見ながら次に考える、そういうことだそうであります。
 それから第二の問題は、私よく状況を存じませんから、政府当局から答弁させます。
 第三の問題の海外立地の問題は、もうそういう時期が参りまして、これは石油の関係でもそうでございますが、産油国においてリファイナリーをつくる、あるいはペトロールケミカルをつくる、あるいは鉄鋼設備をつくる、あるいはその中間地帯において合理的な設備をつくる、そして日本の公害問題もあわせて解決する、そういう方向に今度の産構審の答申も出てくるだろうといま予想しております。私もそういう方向に政策を進めていきたいと思っております。
#168
○山形(栄)政府委員 新全総の問題につきましては、現在新しいこれからのあり方等の基本的な検討も必要とするという考えもございまして、公害問題、地元との関係等もございますので、さきにきまりました新全総の計画を鉄と言わず、全面的にいま総点検をするという運びに相なっております。鉄はその一環でございまして、鉄だけをやめるとかいうような問題でないとわれわれのほうは聞いておるわけでございます。
#169
○松尾委員 先ほど触れましたが、民間の設備投資、石油化学工業における前年度三十何%の大きな計画等がある、そういうものをやはりもう一回よく見直して、そして鉄鋼内需の八〇%を占めるそういうような面、鉄鋼の妥当な需給というものをよくひとつお考えになっていくというようなことを真剣にお考えになりまして、いま大臣もおっしゃったとおり、いろいろな問題がございます。そういう点をよく反省しながら遺憾のない今後の鉄鋼行政というものをしっかり大臣にやっていただきたいということをさらに強く私は要望しまして、質問を終わります。
#170
○稻村(左)委員長代理 玉置一徳君。
#171
○玉置委員 環境庁の橋本審議官、おいでにっていますね。
 先般の出光の徳山工場の問題以外に、近時非常に水銀、PCB等の災害が発生いたしております。加害者はともあれ、民事裁判でその原因をきめなければいかぬことになっておりますが、その点、民事裁判以外にこういう被害を確定する何らかの法的、行政的な措置があり得るのかどうか、まずお伺いします。
#172
○橋本説明員 先生の御質問の、民事裁判以外に民事的な責任を確定する方法はあるかということでございますが、現在の公害等調整委員会の組織がこの民事裁判以外に準司法的な手続でこの調停を行なうものがございます。そのほか、この当事者同士で話し合いで和解がつけば、これは民事上有効な結論となる、そういうことと解しております。
#173
○玉置委員 橋本さん、その場合ですが、チッソ等のあれを見ておりますと、工場、事業場の永年にわたる契約、いわゆる年金を交付するような場合を見たように思うのですが、そうした場合、工場、事業場が成り立たなくなって解散をするというような場合は、これはどうなりますか。
    〔稻村(左)委員長代理退席、左藤委員長代理着席〕
#174
○橋本説明員 いま一つの仮定の御質問でございますが、私どもは、現在そういう場合にどうするかということ、政府としてこう考えておるということを申し上げる立場にはございません。現在、公害等健康被害補償法案というようなことをいたしておりますが、あの法案におきましては、この民事上の責任が確定をして支払われている者につきましては、あの法案のほうからは補償費は支払いませんが、医療費そのものは見るという形になっております。そういうことで、たとえばチッソからもらっていれば、ずっと続いている場合にはそれでまいりますが、それが何らかの、いまおしゃったような理由で切れたということが起こった場合に、公害等健康被害補償法案がこれを引き継ぐかどうかという議論は、一つの議論としてはあり得ると思いますが、この立法の過程においてそのような前提をもってこの法案は組んでおりません。
#175
○玉置委員 法案のたてまえはわかりましたけれども、事実そういうような年金をお支払いしますというような和解――和解だと思いますが、できておるわけですが、それを公権的に認め、そのような不測な場合が生じました場合に、そのことを履行し得るような何かの制度が将来要るんじゃないだろうかと思うが、どういうようにお考えになりますか。
#176
○橋本説明員 いまの先生の御質問の中で、公権的にこれを認めというお話がございましたが、あくまでも和解として民法上有効な契約をお互いにかわしたということで、裁判所では、有効なものができ上がったというように解しております。行政そのものが、これに対して行政の権力をもって補償をするというような性格のものとは全く異なっておるというぐあいに私どもは解しております。
#177
○玉置委員 それならば、会社が解散に追い込まれるということがあり得ないとしましても、事業を存続さしていただけるというような条件、前提のもとに私は組んでおるような感じがしてならないのです。あの補償の合意がそういうような意味で成り立っておるような感じがしてなりません。もしも事業がだめなんだ、いろいろな問題で一年、二年操業停止せざるを得ないようなところへ追い込まれた場合、ことにそれが公害の問題で追い込まれたような場合には、どういう措置がそこでとり得るか。これも民法上の和解ですから、その間は事実問題として双方当事者でやるしか方法はないのかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
#178
○橋本説明員 再度申し上げますが、やはり双方の合意として行なわれたことと解しておりますので、行政そのものがそれに介入するものではないと思います。ただ、いまおっしゃいましたように、もし万一その患者さんたちがもらえない事態が、その会社がなくなってしまって起こった場合にはどうするかという問題でございますが、これはそのような事態が起こったときに、公害健康被害補償法がどう対応するかという新たな問題として検討しなければならないというふうに思っております。
#179
○玉置委員 橋本さん、もう一つお伺いしますが、複合の、どの会社のどれという意味ではなくて、コンビナートなどで複合した原因によるそういう被害というものに、どれか会社が倒産もしくは操業をやめたような場合、これも同じような考え方でやらざるを得ないのでしょうか。
#180
○橋本説明員 いまの御質問の複合の原因という場合には、現在私どもが国会に御審議をお願いいたしております健康被害補償法案の中には、二つのものがございます。
 一つは、第一種の大気汚染の複合ということによって生ずる非特異性の疾患、このときにはその原因者がなかなか確定しがたいのが通則であるという立場に立っておりますので、先生のおっしゃったような事態になることはまずまずなかろうというぐあいに私ども思っております。そういうわけで、この汚染負荷量賦課金等の徴収した金をもちまして充てるということで、この制度でめんどう見ていくという形になっております。
 第二点は、この第二種の指定地域にかかります特異的疾患ということでございまして、これは水俣病とかイタイイタイ病というような場合の問題になります。その場合に、複合している場合にどうなるかということでございますが、仮定的に申し上げますと、ある地域で特定疾患が起きた。あるXという物質による特定疾患が起きた。そこの地域の中にXという物質を排出している工場をさがしてみると三つあった。そういたしますと、今度の御審議をお願いしております健康被害補償法案におきましては、その地域の三つのXという物質を出している特定施設を設置している者に対して、それまで幾ら出したかということによって特定賦課金というものをかけまして、それを徴収してこの給付に必要な額を集めてくる、こういう形態をとっております。その場合に、先生の御質問のケースは、その特定賦課金が途中で取れなくなったらどうするかということでございますが、法律をつくりますときに、この取れなくなったときにどうするかというような問題、あるいは無資力の者がどうするかということは、これは想定してちょっとつくることはできません。それをつくりますと、故意に倒産する者が中にはあらわれてくるということもありますので、この法律の中にはそれを想定しておりませんが、不幸にしてそのような事態に当たりましたときには、法律上の問題であると同時に、予算上の問題として新たな検討を、もしも公害健康被害補償法案が成立しておりますとしましたならば、新たにそのような措置を講じなければ対応できないというぐあいに考えております。
#181
○玉置委員 もう一点お答えいただいて御退席いただいてけっこうなんですが、公害等調整委員ですか、このごろ見ておりますと、この運営が活発に行なわれておるのかどうか、各工場にそれぞれ実力行使等のあれが間々新聞に見受けられますが、そういう事態のないように適切な公害等調整委員の活動がなされておるのかどうか。この点をお答えいただきまして、約束のとおり御退席いただいてけっこうなんです。
#182
○橋本説明員 非常に恐縮でございますが、公害等調整委員会は、総理府の外局として行政府にわずらわされないという立場になっておりますので、私どもの監督のもとにあるものではございませんので、私どものほうからその可否を実は申し上げかねるというような状態でございます。ただ、はたで拝見しておりまして、水俣の調停というような非常にむずかしい問題を非常な努力でやっておられるということは、私どもかねがね存じて感謝しているところでございます。
#183
○玉置委員 そこで大臣にお伺いしたいのですが、ただいまのようなやりとりで御承知いただけるとおり、被害者の立場に立ちましても、あるいはそこの従業員の立場に立ちましても、あるいはそこの製品がとまることによって二次加工、三次加工の工場、事業場あるいはその従業員等、ましていわんや物価問題等に相当にはね上がる問題が多いと思うのです。
 一点は、これからこういうものを製造しておるところは、企業の中でも補償積み立て金というようなものをやらざるを得ないようになってくるんじゃないだろうか、こういう感じがいたします。一つ事が起こりますと、相当思い切った巨額な補償を出さざるを得ない。そうすると、それに適切に対応できるためには、被害者の立場からしてみても、相当な原資を持っていただいておることがぜひとも必要じゃないだろうか。こういうことが考えられますが、将来そういった補償の積み立て金というような制度を税制上取り入れることが必要じゃないだろうかと思いますが、どのようにお考えになりますか。
#184
○中曽根国務大臣 一つの有益な御示唆として検討してまいりたいと思います。これは被害者保護という面から十全の手を尽くすという意味においても非常に貴重な御示唆であると思います。金属鉱山におきましては、公害防止に万全を期するために、金属鉱業事業団に対し一定金額の納付金を積ませることにしております。こういう例もございますので、公害における被害者保護という面から傾聴に値する御議論であると思います。
#185
○玉置委員 あと同様にもう一点ですが、巨額な費用を一度に補償したほうが――永年にわたって年金として渡しますというようなことは、これは企業が操業しておるものという前提でないとでき得ないと思うのです。そういう意味では、何かの機関をこしらえまして、補償額を一度に支払ってしまう。それを長期低利でその事業場がそこへ返していくというような意味の低長期融資制度を創設することも必要じゃないだろうかという感じがいたします。こういうことをやっていただくと、被害者の立場としても非常に信頼が置けるわけでありますが、どのようにお考えになりますか、お考え方を聞いておきたいと思うのです。
#186
○中曽根国務大臣 被害者に対する手当ての万全を期するという意味において、企業が一時に全部払ってしまうということも、被害者の希望に応じてそれは妥当なことであると思います。その場合に、企業に資金繰りがつかないという場合も考えられますから、金融を講じて被害者の希望に沿ってやることを助成してやるということも一つのアイデアであるだろうと思います。ただ、PPLPという原則がありますものですから、長期低利というような国の助成というものをどの程度やったらいいものであるか、これは問題点として取り上げられるところであると思います。方向としてはい
 いと思いますけれども、具体的な問題になった場合に、公平概念あるいはPPP原則とのぶつかりぐあいをどう処理するか、こういう点についてひとつ検討もしてみたいと思います。
#187
○玉置委員 加害者が補償することが原則、これは非常にけっこうなことだと思います。しかしながら、いままでそれだけの手当てをしておれば、税というものはもう少し少なく払っておったんじゃないだろうかということも考えられぬこともないわけであります。それから、先ほど申しましたけれども、補償積み立て金というようなものもやはりみんなするのだったら、税金をたくさん取り立ててその分で国が補償するという考え方と二つあると思います。そういう意味では、この点も鉱山のとりました諸施策、ああいうものを考えてみますと、そう不公平でもないような感じもしますし、そうでないと、被害者は、さあというときに救われないというような感じもしますから、ひとつ十分御検討いただきたいのです。
 最後に一点。ただいま公害等調整委員の問題を聞きました。行政担当じゃないのであまり差し出がましいことは言えません、こういうお話でありました。大臣も同じような立場だろうとは思いますけれども、すべてのものが、このごろ工場、事業場への直接談判が非常に多くなっておるように、新聞その他に見受けられます。したがって、ああいうものを調整してものをやるようなぐあいの機関というものがあり得ないのかどうか。公害等調整委員は、それからぼつぼつ民事にかわるべきような調整をやることになりますけれども、工場、事業場との直談判が主になるような風潮もいまございますが、こういう点についてひとつお考え方をお伺いしておきたいと思うのです。
#188
○中曽根国務大臣 実力行使をやらなければならぬということははなはだ不幸なことでありまして、できるだけそういう事態が起きないように私たちは努力しなければなりませんし、またそういう事態が起きた場合でも、実力行使によらずして話し合いで解決する、そういうことがより望ましいと思います。
 政府としては、中央に公害等調整委員会を設け、地方にも都道府県公害審査委員会が置かれておりますので、そういう機関を活用して、双方の和解、調停、仲裁裁定という形をとって、話し合いのうちにそういう機能が行なわれるようにやることが好ましいと思います。
#189
○玉置委員 大臣も御都合の時間があるらしいし、竹村君もぜひとも大臣に質問をしたいということでありますので、ちょっと中途になりましたが、質問を終わります。
#190
○左藤委員長代理 竹村幸雄君。
#191
○竹村委員 いま週刊誌等で問題になっております化粧品の販売会社ホリデイ・マジックの販売法及びその実態について、通産省は把握していると思うが、その要点を明らかにしてほしいわけであります。
#192
○齋藤(太)政府委員 ホリデイ・マジック社は、アメリカの会社の全額出資によります外資系の会社でございまして、昨年八月十八日に日本法人として設立をされまして、販売活動はことしの三月の二十八日から始めております。
 これは化粧品の訪問販売会社でございますけれども、非常に独得の形をとっておりますのは、セールスマンの組織でございます。実際の販売活動は、この会社と契約をいたしました独立の販売者のグループで行なわれております。このグループは、原則的に四つの階層がございまして、これは一番上がジェネラル・ディストリビューターと呼んでおります。それからその下にマスター・ディストリビューター、さらにその下にオルガナイザー、そのもう一つ下にホリデイガールという、四つの組織で構成されておりまして、このセールスマンとして加入しました人は必ずジェネラル・ディストリビューターを長とした一つの縦割りの組織を編成して販売活動を行なっております。
 これがセールスマンとして会社に登録されるにつきましては、それぞれ会社に加入金を払うことになっておりますが、一番上の、かりにA、B、C、Dという四つの段階で呼びますと、Aの段階のジェネラル・ディストリビューターの場合には、これになりますには、マスター・ディストリビューターというBの人でなければAにはなれません。Bの人は、Aに上がるためには、身がわりのBの交代要員を連れてまいりまして、同時に七十五万円を会社に納めることになります。それから身がわりにBの段階に入ってきたセールスマンは九十万円会社へ納めることになっておりまして、その九十万のうちの十五万円がAに入ります。残りは会社に保証金として積み立てられまして、これはBが三年間に百五十万以上売り上げれば返還されますけれども、そういうノルマが達成されない場合には、結局会社にそのまま取られまして、返ってこない、こういう形でございます。それからCは、オルガナイザーとして、これに入りますには三万二千五百五十円、Dは四千九百円、こういうことで、CとDは単なるセールスマンでございますけれども、AとBにつきましては、BがAになるには目を連れてくる。そうすると、B´の加入金がAに入るということで、一種のネズミ講式に、Bの段階のセールスマンをふやすほどAの所得がふえる。また、会社のほうにも積み立て金が入りまして、それはBのセールスマンがノルマを達成しなければ返さなくていいという形で会社に積み立てられていく、こういうふうな仕組みの化粧品販売会社でございます。
#193
○竹村委員 このホリデイ・マジック社はすでに数カ国で同様なネズミ講商法を行なっておりますけれども、諸外国では、いまアメリカの十数州あるいはカナダ等で裁判ざたになっておる、さらにカナダにおきましては経営者も販売者も逮捕されておるというように聞いておるわけでありますけれども、その辺の実態についてお答えを願いたいと思います。
#194
○齋藤(太)政府委員 アメリカ及びカナダにおきますホリデイ・マジック社の販売方法に関しましてのセールスマンとの紛争の実情につきましては、ただいまジェトロを通じまして詳細調査中でございますが、新聞、雑誌で報道したところによりますと、アメリカでは、ニューヨーク市におきまして四百五十人の女性がこのセールスマンになりまして、会社に納めた金が戻ってこないということで、返してくれということを求めまして、市がこういった女性にかわりましてホリデイ・マジック社に三百五十万ドルの賠償金を求めて提訴を行なって、現在係争中と聞いております。
 それから、同じくイリノイ州におきましても訴訟になりまして、これは投資家が不当な勧誘を受けて投資したということを、投資家と申しますか、セールスマンのほうでございますけれども、証明した場合には、会社は、その会社に預けました保証金等を返すようにという判決が出たようでございます。また、カリフォルニア州でも、投資家が一億ドルの返還を求めた集団の訴訟を起こしまして、現在州の最高裁判所で訴訟が行なわれております。
 また、アメリカの場合には、連邦取引委員会がホリデイ・マジック社に対しまして、こういったやり方の販売方式の中止を求めましたけれども、会社が応じませんために告発をいたしまして、現在係争中と聞いております。
 それから、カナダにおきましても、カナダには特別の規制法がございまして、それによりましてホリデイ・マジック社のカナダ支社の支社長を含みます十四名が逮捕されたというように報道されておりまして、アメリカ、カナダにおいて、やはりいろいろと紛争を起こしておるようでございます。
#195
○竹村委員 そこで、大臣に一点だけお伺いしたいわけでありますけれども、ホリディ・マジック社は、資本金が全部外資でわずか三千万、払い込みがそのうち四分の一で七百五十万でありながら、私が調べました資料によりますと、いまAのクラス、いわゆるジェネラルのクラスに四百五十人、これは先ほどの話にもありましたように、大体百六十五万と講習料六万が要るわけでありまして、約百七十万の金が必要であります。また、マスターが現在千百七十人といわれます。このマスターになるには約九十万必要であり、あるいはオルガナイザー、ホリデイガール、あるいはまた各種の講習会やセミナー等の費用が、あるときには四万五千円、あるときには六万円と取っておりまして、総額十八億から二十億円の金が動いておるというように推察されるところでありまして、少なくとも会社には約十億円の金が入っているというふうに思われるわけであります。一方、化粧品の売り上げはわずか一億二千万にすぎない。この親会社が、先ほども報告がありましたように、アメリカやカナダで紛争を起こしていることでもあり、あとから詳しく述べたいと思いますけれども、わが国でも現在多くの問題が起こっておることをあわせて考えると、将来大きな問題を起こすのではないかという心配をいたしておるところでありますけれども、大臣はこのような販売方法、実態についてどのように考えられますか。
#196
○中曽根国務大臣 どうも話を聞いておりますと、問題を起こしそうな気がいたします。そういうような割り当で、ノルマ方式というのは必然的に過当な競争心あるいは射幸心というものをそそってくるので、正常な営業行為がやりにくいという形にどうしても流れていくのではないかという気がいたします。私はいま初めてそういう実態をお聞きいたしたものでございますから、至急この実態を役所としても正確に究明いたしまして、もしそういうような危険性がある場合には行政指導によってこれをチェックしたい、外資であるからないからという前に、商売の方式自体にどうも常識を逸するような危険性があるような感じがいたしております。
#197
○竹村委員 先ほども申しましたように、すでに会社には、マスターだけ勘定いたしましても千百七十余人、その保証金としては六億円以上の収入があり、これが保証金として積み立てられ、三年間に一人百五十万円のノルマが実現できなければそのまま会社の収益になる。一方、化粧品の売り上げは一億二千万程度にしかすぎない。このようなアンバランスは、販売網拡充の時期であるがゆえに起こるというよりは、いわゆるネズミ講方式をとっているゆえに生まれていると考えざるを得ないのであります。
 この方式は、マスターが七十五万円払ってジェネラルになっても、マスター一人を見つけ、そのマスターがジェネラルになれば黙っていても九十九万円入ってくる。そしてそのときには次のマスターが出てくるわけです。次のマスターがジェネラルになるときにはまた九十九万円入るのでありますから、こうしてマスターが一度ジェネラルになってマスターを一人つくりますと、そのマスターがジェネラルになるときには必ず次のマスターを連れてくるわけですから、七十五万円出しておけば次々に、働かなくても九十九万円金が入ってくるというシステムになっておるようであります。
 そこで、マスターはこのノルマの百五十万円を売って五十二万円の保証金を回収するとか、あるいは化粧品販売を行なってマージンをかせぐより新しいマスターを見つけ、ジェネラルになったほうがはるかにもうかる。このような商品の販売努力によらないで、マスターをふやすことがもうかるという仕組みはきわめて問題があると思うのであります。
 まず第一に、化粧品の販売方法としてこのような手段を容認することは公正な販売秩序を乱すばかりでなく、一たびマスターになれば三年間に百五十万円を売らなければ五十二万円余の金が返してもらえないというノルマが働くことによって、強制に売り込む事態が予想されるなどきわめて問題があります。
 第二の問題といたしましては、マスターを勧誘する会社が行なっておるセミナー等では、参加しておる人の話では、九十九万円もうかる話ばかりしておるといわれ、群衆心理をあおるような演出を行なうなど、公正な販売員募集の手段を逸脱しておるということであります。
 さらに、この商法は無限にマスターをつくれるわけではなく、結局最後には行き詰まり、あとでマスターになる人は損をする結果となる。にもかかわらず、このことが明示されていないなど、勧誘のあり方が不当である疑いがきわめて濃いわけであります。
 第三の問題といたしまして、このようなネズミ講商法が公然とまかり通ることは、初めに手をつけた人は利益を得ても、必ず最終的には組織に加わった多くのしろうとが期待された利益が上がらず、犠牲をこうむることは必然であり、消費者保護の観点からもきわめて問題があります。
 ここで時間の関係上、一点だけ具体的な実例を申し上げたいわけでありますけれども、私の知人であるAという人が、人に誘われて九十万円払ってマスターになった。そして六万円を払って講習を受け、七十五万円を払ってジェネラルになり、そうして後任マスターを紹介し、後任マスターは九十万円会社に払ったわけであります。ちょうど若干のバックペイがこのAという人にあったようでありますけれども、支払ったあとで、先ほども言われたような外国での裁判問題が起こっておることを知ったわけでありまして、非常に危険を感じて会社に聞いてみても、裁判の内容はよくわからないということであり、またいわれておるアメリカの一流メーカーということであるが、六月号の国際商業にアメリカ有力化粧品メーカーの売り上げ予想が載っているが、三十社までに入っていないではないかという質問に対しても満足な返事がないということであります。
 一方、ミーティングの説明によると、このミーティングの指導者の言うところは、まず相手を興奮させよ、そして興奮のさめないうちに契約をさせなさいというふうに指導し、出席者のメモがここにありますけれども、ミーティング終了時には少なくとも契約を結ぶようにさせると教えるなど、正常な行為と思えない節が数多くあるわけであり、また一方参加する人々は化粧品とほとんど関係のない人が非常に多い。脱サラリーマンといわれる現在の風潮から、わずかな退職金を払ってマスターになる、あるいは洋服屋の主人あるいは電気屋の主人等、いろんな営業の人が片手間にやりたいということで参加をしておるようなことであります。いろいろ申しましたけれども、このまま放置できないものといわなくてはならないと思うのであります。
 そこで、二、三点質問をいたしたいわけでありますけれども、まず公正取引委員会にお伺いいたします。
 現に行なわれている内容は、明らかに不当表示の疑いがあり、さらに適正な取引方法にもとる疑いがあると考えられるが、早急に調査を行ない、必要な規制を検討すべきと思うが、その用意があるかどうか、お願いをいたします。
#198
○熊田政府委員 ただいまのホリデイ・マジック等のネズミ講式の販売方式でございますが、先生、ただいま、これは不当表示の疑いがありはしないかというふうにおっしゃいました。私どもまだその実態を十分に調べておりませんので、問題点がまだ明らかになっておりませんけれども、いまのお話を承りましても、確かに募集の相手方、これはほとんど経験のないような人が多いわけでございます。そういう人に対しまして、将来収益が非常に上がるような、あるいは事業の見通しが非常に有利であるような、そういうことを募集の際に説明をいたしまして、もしも誇大な宣伝をするというようなやり方であるといたしますと、これは確かに不当な表示と申しますか、独禁法上不公正な取引方法に当たるおそれがあると思います。したがいまして、私どもはさらに実情をもっとよく調べてみたい、こういうふうに考えております。
#199
○竹村委員 次に、通産省にお伺いいたしますけれども、化粧品販売のあり方、さらには販売員確保の方法、セールスに必要な厳格な教育等において、さまざまの問題があると思うが、担当所管としてどのように考えておられるのか、お答えを願いたいと思います。
#200
○齋藤(太)政府委員 化粧品の訪問販売につきましては、従来からたとえば押し売り的な不当な売り込み等でいろいろ問題を起こした事例が多うございまして、こういった問題を是正いたしますために、ことしの三月に訪問販売化粧品工業協会というものを設立させまして、現在約四十社がこれに加盟をいたしております。そしてこの協会の倫理要綱というものをこしらえまして、たとえば押し売り的な販売方法をやめる、それから皮膚の診断をする、あるいはそのために器具を持ち込む、こういったことをやめさせる。それからアンケートと称しまして、上がり込んで、最初は販売の意図を隠していろいろ話をして、最後に販売の話を持ち出す、こういったことをやめさせましたり、身元をはっきりする身分証明書を掲示させたり、価格を明示させるとか、こういったいろいろ改善方を現在指導をいたしておるところでございますが、このホリデイ・マジック社の販売方法は、ただいま先生も御指摘ございましたように、一つは保証金を返還してもらおうと思いまして、ノルマを達成するべく、どうも非常に無理をした販売をするおそれがございます。また、組織の拡大が上のジェネラルの利益につながりますために、極力下のマスターをふやすというほうに目を奪われまして、下部のセールスマンの教育等がむしろおろそかになる。それでしろうとが非常にこのセールスマンに入ってくる、こういったいろいろの問題がございまして、消費者にも被害を与えるおそれがなきにしもあらずでございますので、十分実情を調べまして適切な指導を進めてまいりたい、かように考えております。
#201
○竹村委員 ただいま御答弁にもありましたように、消費者保護の観点、またもうけに引きずられ、多くのしろうとが販売員に引き込まれる実態に対して、通産省は、早急にこのような販売方法に対して、具体的な規制措置を講ずることを検討すべきであると思いますけれども、その点について早急にやられるかどうか、お答えを願いたいと思います。
#202
○橋本政府委員 ただいまの御指摘のとおり、問題は相当深刻になる可能性もございます。通商産業省といたしましては、本年度こういったマルチ商法を含めまして、いわゆる特殊な販売方法につきましては実態調査を進めたいということで、現在調査をやっている段階でございます。この調査結果に基づきまして、法規制の必要性あるいはその方法等について早急に結論を出すようにつとめたいと考えております。
#203
○竹村委員 実はここに募集のパンフレットがありますけれども、きょうから十七日までもリテール・コンサルタントと称し、四万五千円もの受講料を取ってネズミの勧誘が行なわれているのであります。そしてこちらのほうは七月六日から十日間、これは一段上の六万円の受講料を取って勧誘が行なわれておる。講習会が行なわれておるという実態であります。先日ある受講の会場には二百人が参加をしたということでありまして、これに六万円かけますと一千二百万の金が直ちに入る。こういう商法自体に非常に問題がありますし、二百人の人がまた子ネズミになり、またその下のネズミを勧誘してくるということで、いっときも早い措置が必要であるというふうに思うわけでありまして、いっときおくれますと近い将来行き詰まりの犠牲者が数多く出ることは火を見るよりも明らかであると思うのであります。早急に対策を立てられるよう強く要求をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#204
○左藤委員長代理 次回は、来たる十七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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