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1972/04/25 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第20号
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1972/04/25 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第20号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第20号
昭和四十八年四月二十五日(水曜日)
    午前十時十分開議
 出席委員
   委員長 佐々木義武君
   理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君
   理事 藤本 孝雄君 理事 渡辺美智雄君
   理事 柴田 健治君 理事 津川 武一君
      安倍晋太郎君    上田 茂行君
      大村 襄治君    加藤 紘一君
      笠岡  喬君    金子 岩三君
      吉川 久衛君    熊谷 義雄君
      小山 長規君    白浜 仁吉君
      菅波  茂君    丹羽 兵助君
      西銘 順治君    野中 英二君
      長谷川 峻君    深谷 隆司君
      増岡 博之君   三ツ林弥太郎君
      湊  徹郎君    森下 元晴君
      安田 貴六君    井上  泉君
      角屋堅次郎君    島田 琢郎君
      竹内  猛君    野坂 浩賢君
      馬場  昇君    湯山  勇君
      諫山  博君    平田 藤吉君
      瀬野栄次郎君    林  孝矩君
      稲富 稜人君    神田 大作君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  山本 幸雄君
        大蔵省銀行局長 吉田太郎一君
        農林政務次官  中尾 栄一君
        農林省農林経済
        局長      内村 良英君
        農林省構造改善
        局長      小沼  勇君
        農林省食品流通
        局長      池田 正範君
 委員外の出席者
        自治省税務局固
        定資産税課長  小川  亮君
        参  考  人
        (農林中央金庫
        理事長)    片柳 真吉君
        参  考  人
        (全国農業協同
        組合中央会常務
        理事)     松村 正治君
        参  考  人
        (全国農業協同
        組合連合会常務
        理事)     織井  斉君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十五日
 辞任         補欠選任
  金子 岩三君     加藤 紘一君
  小山 長規君     上田 茂行君
  佐々木秀世君     増岡 博之君
  正示啓次郎君     大村 襄治君
  菅波  茂君     野中 英二君
  長谷川 峻君     深谷 隆司君
  諫山  博君     平田 藤吉君
同日
 辞任         補欠選任
  上田 茂行君     小山 長規君
  大村 襄治君     正示啓次郎君
  加藤 紘一君     金子 岩三君
  野中 英二君     菅波  茂君
  深谷 隆司君     長谷川 峻君
  増岡 博之君     佐々木秀世君
  平田 藤吉君     諫山  博君
    ―――――――――――――
四月二十四日
 国が行なう民有林野の分収造林に関する特別措
 置法案(芳賀貢君外十名提出、衆法第一七号)
 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第一一九号)
同日
 過剰米及び政府操作飼料の払下げ等に関する請
 願(小坂善太郎君紹介)(第三三二六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法
 の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)
 農水産業協同組合貯金保険法案(内閣提出第三
 五号)
 農林中央金庫法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第七五号)
 農業協同組合法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第七八号)
     ――――◇―――――
#2
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案、及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、審査を進めます。
 本日は、まず各案について参考人から意見を聴取することといたします。
 今日御出席の参考人は、農林中央金庫理事長片柳真吉君、全国農業協同組合中央会常務理事松村正治君、全国農業協同組合連合会常務理事織井斉君、以上三名の方々でございます。
 参考人の各位に申し上げます。
 参考人各位には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとう存じます。
 ただいま本委員会におきましては、農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案、農水産業協同組合貯金保険法案、農林中央金庫法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案について審査をいたしておりますが、各案につきましては、参考人各位のそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。
 なお、議事の都合上、まず御意見をお一人約十五分程度で順次お述べいただき、その後各委員から質疑があればこれにお答えいただくことにいたしたいと存じます。
 御意見の開陳は、片柳参考人、松村参考人、織井参考人の順序でお願いいたします。
 それでは、片柳参考人にお願いいたします。
#3
○片柳参考人 私、農林中金の理事長でございますが、委員長の御指名に従いまして、農林中央金庫法を中心といたしまして、それに関連する法案にも触れまして私の意見を申し上げまして、御参考に供したいと思います。
 まず最初に農業金融と農協系統金融の現状と、その中で農林中央金庫が果たしている役割り等につきまして概略申し上げたいと存じます。
 昭和四十七年三月末現在の全国主要金融機関、これは政府機関を含んでおりまして、生命保険と損保は除いておりますが、全国主要金融機関の貸し出し総残高は約八十六兆円でございまして、このうち農業に対する融資は、全貸し出しの六・四%、五兆六千億円となっております。この金額が多いか少ないかは、いろいろ見方があろうかと存じますが、農業貸し出しが農業総産出額の約一・三倍になっていることから見てまいりますると、マクロとしては相当にやっておるというふうに言ってもよろしいのではないかと存じます。
 次に、この農業貸し出しの五兆六千億につきまして、このうちでその八割、八〇%近く当たる四兆四千億円は、私ども農協系統金融が貸し出しをやっておる状況でございまして、その残りの大部分は農林漁業金融公庫が担当しておる。したがいまして、一般金融機関の担当しておる比率はきわめて微々たる状況でございます。系統金融はその使命にかんがみまして当然のことでございまするが、協同組織の長所を生かし、他の金融機関では担当しがたい農業金融に取り組んでおると称してよろしいと思うのでございまして、このような実績を示しておることは外国の例にも見られない、日本の農業金融は相当充実をしておるのではないかというふうにも言えると存じまして、私どもは責任の重大であることを痛感をしておるような次第でございます。
 私ども金庫が系統金融の全国機関といたしまして果たすべき役割りについてでございますが、要約をいたしますると、第一は、系統金融の拡充強化の線に沿いまして、全国金融機関としての機能、特に単協、信連を補完する機能を十分に発揮すること、第二は、一般金融市場との接点に立ちまして金庫が国民経済の発展に資するよう機能いたしまして、あわせて系統資金の効率的な運用をはかり、農村の負託にこたえること、第三は、系統の体質改善を進めまして総合的な金融機能を充実すること、との三点になると存じます。
 具体的に少しく申し上げますると、第一の組合金融の拡充強化でございますが、これは系統資金の増強と系統貸し出し機能の伸長、この二つになると存じます。系統資金の増強につきましては、今日まで組織的、計画的な貯蓄運動を推進をしてまいりまして、農協貯金十兆円、漁協貯金五千億円の達成に向かって現在着々成果をあげつつあるような状況でございます。同時に、これと並行いたしまして、貯金者の保護のための特別の施設を設けまして、単協、信連、金庫一体となりまして努力をしてまいったところでございますが、御高承のとおり、一般金融機関についてはすでに預金保険法が制定されましたこととの均衡上、農協、漁協にも同様の措置を講じていただきまして、公的な施設と私どもの自主的な制度と相まちまして信用保持に遺憾なきを期したいと存じておる次第であります。
 次に、農林漁業に対する貸し出し機能の伸長につきましては、一そう努力すべきことは言をまたないところでございまして、単協、信連、金庫がおのおのそのところを得てそれぞれの機能が十全に発揮できまするようにいたすべきであると存ずる次第でございます。融資分野の拡大に関連する農協法、金庫法の改正をお願いをいたしましたゆえんもここにあると存ずる次第であります。金庫といたしましては、今日まで、単協、信連の段階で十分な機能発揮ができますようにするため、貸し出し実務の研修、情報の提供、低利な原資供給などに意を用いまするとともに、地域、業種規模等の特性から、単協、信連では対応できにくいもの、具体的には、開拓農協でございまするとか、果樹、畜産等の専門農協がそれに該当するわけでございますが、単協、信連では対応できにくいものに対して私どもが積極的な融資をいたしてまいったのでございますが、この際、そのような金庫の補完機能を一歩進めまして、農林水産業者の大口、長期の資金需要であって、単協等で対応できないものについて、直接融資の道を開いていただきまして、大規模農業の育成のためにお役に立ちたいと考えておるような次第でございます。
 また、農村の社会資本の充実の立ちおくれが指摘をされておりまするし、農村の意図と逆行した地域開発がいろいろ批判されておりまする昨今の情勢でもございまするので、農村の理解の上に立ちました公共性の強い農村の地域開発に対して新しく融資の道を開いていただきまして、農村の環境整備等に積極的に取り組ませていただくことを強く御要望いたす次第でございます。
 なお、貸し出しの伸長にあたりましては、農協資金活用のための融資制度を改正、拡充するのはもちろんのことでございますが、また信用補完措置を強化する必要もございまするので、その趣旨から、後ほど全中からも御説明があろうかと存じまするが、農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法改正法案の成立を強く要望する次第でございます。
 農業貸し出しは昨今やや低迷ぎみでございますが、ほんとうに農村の繁栄をはかるためには、これでよいというわけにいかないことば申すまでもない次第でございまするので、農村における生産から生活にわたる本格的な農政の確立を強く要望する次第でございまして、そのようになりまするときは、金庫の果たすべき役割りはいよいよ重大性を加えてまいると存じまするし、系統に対する資金の供与、全国連の発展に伴う融資の拡大等はもちろん、自主流通米、真珠の調整保管、生糸の需給調整等、政策に関連する融資に、従来も取り組んでおりまするが、そのような政策的な融資にも今後遺憾なく対処したいと考えておる次第でございます。
 第二の、一般金融市場との接点に立っての金庫の機能の点でございますが、金庫は系統内部での資金の季節的、地域的調整や各業種間の調整をはかるほか、系統全体の資金じりを外部との関係において最終的に調整すべき重要な役割りを持っておるわけでございます。
 現在の農協貯金の性格を見てまいりますると、これを有利確実に運用してほしいという、いわば信託的な性格が強く出てきておるようでございます。もちろん、組合金融でございまするから、系統内部において極力貸し付けに回すべきことは当然でございますが、なお残りまするところの資金については、極力効率的な運用をはかり、その利益を系統に還元して、農家の負託にこたうべきではないかと存ずる次第でございます。昨今、系統の資金の充実に伴いまして、その運用力の強化、特に一般金融市場との接点に立っておりまするところの私ども金庫に対して、その要請が強くなってきておる状況でございます。
 従来は、金庫に集積されました余裕資金は、関連産業貸し出し、有価証券の保有、コールローン等に運用してまいったのでございますが、このような狭い、限局された運用分野では、資金のさばきがつかなくなっておる状況でございます。これでは系統の負託にこたえられない状況でございまして、せっかくの農村の金が死んでしまう、生かされないというような状況でございます。そのような趣旨からいたしまして、会員に対する貸し出しの遂行に妨げのない限度におきまして、農山漁村の基盤整備、福祉の向上ないしは社会資本の充実等、国民経済の発展に寄与する分野にも貸し出しの道を講じていただきまして、系統資金運用の適正化をはかり得まするよう強くお願いをする次第でございます。
 最後に、第三の系統の体質改善と総合的機能の発揮の点でございますが、これにつきましては、系統一体となりまして合併の促進、自己資本の増強、電算機利用体制の確立等によって系統資金コストの引き下げ、事務の迅速化を進めまするとともに、各般にわたる金融サービスの向上につとめてまいったような次第でございます。しかしながら、単協が、庶民金融の面やら、公共料金の振りかえあるいは出かせぎ者の地元送金等、組合員に対する金融サービスを万全に行ない得るような仕組みの整備が強く農村から要請されるに至っておりまするので、その点から、為替業務等についての農協法、金庫法の所要の改正をお願いいたしたような次第でございます。
 このように、農業、農村のための系統の機能強化はいよいよ重大になってくる次第でございまして、系統一体となりまして善処することの必要性を痛感する次第でございます。
 また、金庫は特別法に基づく特殊法人ではございまするが、農林水産業の協同組合の全国的機関でありまするので、その運営にあたりましては系統の意思が十分に反映されなければならないことは、申すまでもございません。その趣旨から、従来理事長の一方的任命に属しておりました副理事長、理事の就任につきましては、管理委員会とよく相談をいたし、最終的には総代会の同意を要するよう改正をお願いいたしておるような次第でございまして、これによりまして系統協力の実をあげたいと存ずる次第でございます。
 以上は、農業金融と農協系統金融の現状と問題点のあらましでございますが、私ども系統農協といたしましては、かねて政策当局に対しまして総合農政の確立を強く要望いたしまするとともに、みずからは農業基本構想及び生活基本構想を確立し、総合三カ年計画のもとにこれを実践してまいったのでございますが、特に信用事業につきましては、農林中金法の改正を含め、農業金融に関する諸制度を総合的に拡充、改善することを系統の総意として強く要望してまいった次第でございます。
 本委員会に付託されまして御審議中の農業金融関係の四法案は、別々の法案ではございますが、農業金融、農協系統金融の改善、拡充という目的によって有機的に関係を持つものでございまして、また、私ども系統農協がかねて要望してまいりました総合対策とも基本的にはほぼ符合するものと考えております。
 農業金融の問題は、基本的には農政の展開と密着した事柄を多々含んでおる次第でございますが、私ども系統金融内部におきましても、改めるべきは改めるという努力を怠ってはならないと存ずる次第でございます。したがいまして、これらの問題につきましては、外部の声にも率直に耳を傾け、この改善に真剣に取り組み、農家も農村の発展に今後とも一そう寄与してまいりたい所存でございます。そのような努力を貫いてまいります上におきましても今回の法律改正はぜひとも必要と考えておりますので、これらの法案が今国会ですみやかに成立しますよう切にお願いを申しまして、私の意見開陳を終わりたいと存じます。よろしくお願いいたします。(拍手)
#4
○佐々木委員長 次に、松村参考人。
#5
○松村参考人 全国農協中央会の松村でございます。
 まず最初に、先般えさの問題で、衆参両院の農林水産委員の先生方に、古々米及び政府操作飼料の問題について要求どおり通していただきましたことについて、この席をかりて厚くお礼を申し上げたいと思います。
 きょうは、委員長のほうから説明がございましたように、四法案についての意見開陳でございますが、片柳理事長のほうから、特に中金法の問題及び農水産業の貯金保険制度の問題等については一応の説明がございましたし、その他の問題についても触れられたわけでございますが、特に私としては、農業近代化資金制度及び農業信用保証保険制度の拡充の問題、それから農協法の一部改正の問題、そういう問題について先生方にお願い申し上げたいと思います。
 われわれのほうも先生方のほうにいろいろお願いにまいっておりますので、もう先生方は十分御存じのことで、あらためてつけ加えることもないわけでございますけれども、近代化資金制度の改善につきましては、金利について、系統の努力によって末端金利を五厘下げるというようなことを実は実施したわけでございます。われわれとしてはもう少し下げてもらいたかったわけですけれども、どうしても五厘が限度であったということでございます。それから、この制度は、農業が多角化、大型化してきているということに伴いまして、貸し付け限度が従来の規模ではどうしても間に合わぬというのが基本でございますので、この貸し付け限度のワクをぜひ拡大していただきたいということをお願いするわけでございます。それから貸し付け対象者としても、農業振興を目的とする財団法人であって、地方公共団体と農協等が主たる出資者になっているような団体に限ってこの制度の対象にしていただきたいということが一つでございます。
 農業信用保証保険制度の問題につきましては、一言に申しますと、いままで制度融資についての保証をいたしておったわけでございますけれども、これを組合員の一般資金、いわゆる営農資金とか、あるいは営農に関する運転資金、それから生活関係の資金というものにこの制度を及ぼしてもらいたいというのが、全体を貫く思想でございます。そういうことから関連いたしましていろいろお願いをいたしておるわけでございますが、いままで中金のみが対象になっておりました融資保険を信連の融資にもこれを適用してほしいという問題とか、融資保険の保険方式と、強制でなくて、選択的保険方式に統一するという問題、それから融資資金を農業近代化資金以外の制度資金一般にも及ぼしてもらいたいという問題、それから保証保険を包括保険――いわゆる強制保険と選択保険がございますが、その強制と選択の基準が現在六十万円になっております。これを引き上げてもらいたいというようなこと等をお願いしているわけでございます。そういうことで、先ほど中金理事長から話がございましたように、やはり農林中金のほうが、農業なり組合員の生活が変わっていっている、農村地域における社会資本が不足しているというような問題等から、相当思い切ってそういう方面に対応していこうということになりますと、当然それに伴う危険がございますので、そういうものを、制度資金のみならず、一般資金にも及ぼしてもらいたい。もちろん、一般資金と申しましても先ほど申しましたように、それはあくまでも組合員の生産、生活という問題、特に生産資金については運転資金というものをお願いしているわけでございます。
 それから農業協同組合法の問題につきましては、これは中金の理事長のほうからそれに触れる問題もございましたので、なるたけ重複を避けますが、やはり中金法の改正に伴ってと申しますか、信用事業に付帯する業務としての手形割引、債務保証、内国為替の取引、あるいは金融機関――金融機関と申しましても、これは系統金融機関、中金等をさすわけでございますが、それの業務代理を単協が行なえるということに改めるということでございます。
 それから、単協及び信連が組合員の事業利用に支障を及ぼさないという限度において、やはり組合員から集めた金、いわゆる農村から集めた金は、できるだけ農村に還元するという方針がこの際とらるべきではないかという考え方から、農村地域における産業基盤の確立とか生活基盤の確立について必要な資金を貸し付けるというようなことができるようにしていただきたいというようなことでございます。
 それから、御存じのとおり、現在農協法では農地等処分事業等が実は行なわれております。これは組合員の委託を受けて土地の売り渡しができるわけでございますが、その過程において自然発生的に、やはりこういうインフレーションの進行の過程においてそういうような土地を手放すということは、五年もすればこれはもう組合員の生活について非常な影響があるというようなことが現実問題でございますので、われわれのほうとしても、ほんとうは土地はできるだけ貸してほしい、われわれとしては、まず売らぬでほしい、次に、どうしても事情があるなら、それを貸し付けるということを、従来とも農住構想等で指導はしてまいりましたが、しかし、それでもどうしても救い切れない部分がやはり残ってくるわけでございます。したがいまして、これを組合員の委任を受けて貸し付ける、そして貸し付けた土地の上に場合によっては家屋を建てて賃貸して、そしてこのインフレの世の中で三年ごとぐらいに契約更新等をするような場合、農協が間に入ってスムーズにこれを行なって、農協の組合員の利益を守るというようなことを一つ考えているわけでございます。
 しかし、われわれは、それはほんとは貸し付けたほうが一番いいわけでございますけれども、中には、どうしても売りたい、そういう人も出てくるわけでございます。だから、そういう人もある程度救済できるような方法を講じたいということでございます。これは、そういう制度を設けても、全体としては、農地を守ろう、土地を守ろうというような運動が事実起こされている最中でございますので、そういうような特定の地域についてこういうことが行なわれるということであろうと思います。
 そういうようなことで、この問題は、農協が土建屋になるのではないかというようなことがございますけれども、実際いろいろな事情でほんとに土地を手放さなければならぬような場合に、まずわれわれとしては系統の融資その他対応するわけですけれども、金利問題というような問題がからんできます。そうすると、どうしても売りたいという場合には、まず、それは売らずに貸しなさい、貸してそこで収入があげられるような方途を講じなさい。同時に、どうしても売らなければならぬときには、それは農地等処分事業でもできるわけでございますけれども、貸して、その土に建物を建てる。そして、そういうことでもどうしても売りたいという方は、そういうことも認めるというようなことに一応道を開いてあるということでございます。
 以上、三つの点について申し述べましたが、四つの法律案――われわれとしては要請事項としては五つになるわけですけれども、法律案としては四つにまとまっているわけでございます。これは先ほど片柳理事長も申しましたように、それぞれ独立の法案ではございますが、非常に相互関連いたしておりますので、ぜひともこれを実現していただきたいということで、あらためてお願いいたす次第でございます。
 簡単でございますが、私の陳述を終わります。(拍手)
#6
○佐々木委員長 次に、織井参考人。
#7
○織井参考人 私、全農の常務の織井でございます。いま松村常務がお礼申し上げましたとおり、今度のえさ問題につきましては、諸先生方の御尽力によりましてわれわれの要望がいれられまして、スムーズにえさ供給事業ができていることを厚く御礼申し上げます。
 そこで、まず金融の問題につきまして、今度の法律を中心にした改正でございますが、いま中金業の側からする意見でございますが、今度の中金法の改正以前に、われわれのほうは購買と販売と合併して全国農業協同組合、全農というふうに、合併して変わりました。それで一年たちまして一応所期の方向に向かって進んでおりますけれども、事業というものが二つが一本になると、一プラス一が三にも四にもなって、範囲が非常に広くなっております。したがって、これに対して何をやるにしてもすべて金融が伴う。やはり金融措置というものが事業の血液でございますので、これがスムーズにいかないとわれわれ事業のほうもなかなかうまくいかないということになります。したがって、いままで系統事業のうちで特に中央金庫とわれわれのほうは、全体の問題についても、事業及び金融、両者でもって相談していままでの仕事を継続してきているというふうな関係でございます。今度の中金法一部改正等四法案につきましても、中金を中心にしまして、われわれ及び系統の代表者で一年ぐらいこの問題を検討してきたわけでございます。したがって、今度の法改正の要望というものは、全部の総意として先生方にお願いした次第であります。それが結論というふうなことになっております。
 したがって、われわれのいまの事業のこれからの推進施設というふうなものについて非常に重大な関係があるわけでございますけれども、これにつきましても、具体的に申し上げますと、われわれのほうは、現在事業中一番大事な問題は、農産物の生産と販売というものを一貫した体系を立てなくちゃいけない。できたものを、現在要求されている特に五大消費地に対して、消費者に近づけて販売する、直販事業をやるというふうなことが、現在一番大切な任務になってきております。これは非常に資金も要し、施設も要することでございますが、あえてこれを計画を立てて遂行しなくちゃならないというふうな使命を負わされている。たとえば東京につきましては、現在市場がございますけれども、そのほかに全農独特の集配センターというものをつくる計画をしております。現在あるのは、市場としてはマルAとマル全という市場が二つありますけれども、このほかに現在戸田橋に一つ、大和に一つというふうに集配センターをつくってございます。これをさらに東京の周辺にもう五つぐらいを設定したいというふうに考えております。ということは、やはり現在消費者が市内におるけれども、その生協及びスーバー等も協力する予定になってございますけれども、それはいわば落下傘部隊であって、決してこの力というものは発揮できない。それに対して集配センターというふうなものを設けると、これが地上部隊として援護ができる、それに将来はつないでいきたいというふうな考え方でございます。これは大阪について、北九州について、全部そういう方針でやっていきたい。現在も直販体制で農協牛乳が、昨年の予定は二十万本でございましたが、一年のうちに一日に五十万本になり、ことしの夏は百万本、大体千石を消化できるというふうなもくろみでございまして、これなんかも、直販事業の首都圏に対する、消費者に対する回答であるというふうに考えてございます。こういうふうにして事業を進める場合において、現在の金融の方法と措置というふうなものが広範に開かれておる点は、非常にわれわれの仕事上大切なポイントじゃないか。
 そのほか、特に現在大事なことは、都市における消費生活協同組合が相当活発に活動しておりますが、生活協同組合は現在金融のルートというものがはっきりしておりませんので、その面で非常に障害になっている。われわれは都市における消費生活協同組合というものを中心にしてこれからの流通の作戦をしたいというふうに考えておりますけれども、今度の中金法改正に伴って、ぜひ生活協同組合のほうに対する金融の道もスムーズに開かれるような配慮をひとつお願いしたいというふうに望むものでございます。これができたら、もっと都市に対する対策も可能になってくるというふうに考えているわけでございます。
 それから、そのほかに、為替業務の問題について触れましたが、現在われわれの仕事というものは、国際的関連なしにはやっていけないというふうな状況になっております。ということは、えさの問題にしろ、肥料の問題にしろ、それから畜産の資源のソースの問題きしろ、すべて外国に一応依存しなければならないというふうな実態でございまして、現在もアメリカ、ブラジル、それから豪州、東南アジアではタイというふうなところにわれわれの拠点を設けて、特に外国の国際間協同というふうなたてまえでございますから、一応外国の協同組合を主体にして提携しながらこれからの事業を進めていこうというふうな体制にしてございます。これに対して金融がついていないためにわれわれとしては非常に残念であった。ところが、今回外国為替業務というふうな道を今度の法改正で開いていただけるというふうなことは、これから非常にわれわれの事業上力強いことであろうというふうにも考えてございます。この点はぜひもっと自由な活動ができるように配慮をお願いしたいということをお願いいたします。
 それから、そのほかにもう一つ。法改正の、今度は宅地供給事業というふうな仕事の範囲の拡張がございますけれども、この問題については中央会の常務理事が意見の開陳をなされましたが、われわれの側からすると、なぜこういうことが必要だ、土地のレンタル及び宅地の供給ということがなぜ必要であるかというふうな問題でございますが、この問題について、一般の業者のほうが、いかにも農村に入り込んでいって土地を買い、宅地を供給するということはくろうとで、うまくいくようでございますが、われわれはこれに対しては絶対反対である。たとえば現在の農村環境というふうな角度から考えると、企業養鶏とか企業畜産とか、企業的建設業種というふうなものは、自分の利益だけ追求すればいいというふうなことで、農村の環境というものを破壊してしまう。ところが、協同組合、特に農村というふうな角度からいうと、そこには畜産と住宅と園芸というふうなバランスのとれた一つの関係が絶対必要である。お互いの事業間のローテーションというものが絶対で必要であるというふうな点が一番大事じゃないかというふうに考えるわけです。ですから、現在建築をすれば、やたら人の家のところに高層建築を建てたり、養鶏といえば、企業養鶏が五万羽、十万羽をつくってふん尿をたれ流しにするというようなことで、それが公害にみなつながりますけれども、そういう農村全体のバランスのとれた一つの作業体系というものは、ふん尿というものを今度は園芸地帯に向けるとか、そういうふうな関係で有害が転じて有益になるというようなことになりますので、そういうローテーションの立ったこれからの事業体系というものが農村環境のポイントじゃないか。したがって、われわれとしては、農村を中心、まあ農林省を中心とした対策というものに重点を置いていただきたいというふうにお願いしたいと思います。いずれにしましても、今度の四法案というものは、われわれの事業遂行上非常に力強い方向を指示してございますので、ぜひこれに対する配慮をお願いしたいということでわれわれのほうの要望といたしたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
#8
○佐々木委員長 以上で参考人からの御意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#9
○佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺美智雄君。
#10
○渡辺(美)委員 実は農協三団体からこの法案についての意見を伺ったのでありますが、われわれとしてはできるだけ日ごろ皆さんの御要求をいれてこしらえたつもりでありますので、これなら満足じゃないかと思っておったところが、いろいろ御批判もあるので、きょうの参考人の御意見については、実は特に宅造問題でどんなことを言うのかと思って心配しておった。ところが、ただいま織井さんからお話があったように、大体われわれのいたしたところと同じようなことなんで、安心をしておるわけであります。われわれといたしましても、早急に皆さんの御期待に沿ってこれらの法案が国会を通過できるように万全の努力をしてまいりたい、かように考えております。
 そこで、時間がないので簡潔に質問をいたしますが、皆さんのほうでもごく簡単に御答弁をいただいてけっこうであります。いずれまたの機会に、農協法等の審議のときにこまかい話を承りたいと思っております。
 一つは中金の問題でございますけれども、ともかくいままで農林公庫が総合資金というものを出しておって、中金のほうはさっぱりそのほうに向いてなかった。こんなことを何をぼやぼやしているのか、中金が一番先にやるべき仕事を公庫に取られてしまっていかぬじゃないかという話を私はしたのでありますが、こういうようなものは今後どんどんひとつやってもらいたい、こう思うが、その点はどうか。
 次には、今回中金の直貸し制度、大口長期の直接貸し制度というものをつくった。これは言うならば大規模な、生産性の高い大きな農業をつくり上げよう、こういうのが目的であります。国際競争力の持てるようなコストでやろうというのが目的でありまして、企業的農業でありますから、単位農協に一億、二億貸せといってもなかなか貸さぬということなんであります。そこで、たくさんのお金を持っている中金が直に乗り出して、そういうふうな何億という金を投じても、たとえば北海道にしても岩手にしても、あるいはその他の地区にしても、やろうということなんでありまして、これはやり方によっては非常にいいケースができるのではないか。しかしながら、こういう法律ができても、やはり中金の持っている金は、幾らだぶつくほど持っておっても、しょせんは人の金なんです。自分のものじゃない。貸した金を取らなければならぬということになると、担保を一体どうするのかという問題がまず出てくるわけであります。企業的農業というからには、担保は割り切ったらいいんじゃないか。工場抵当法工場財団とかいろいろあるわけで、工業関係ではともかく工場ぐるみ全部担保に入れてそれで金を借りる。そのかわり、失敗したときには工場ぐるみ渡すということになっておるのであります。農地については、御承知のように農地法というものがあって、耕作権の問題がありますから、その土地を担保にもらってみたところで、中金が土地を取り上げるわけにもいかないし、現実に耕作権があとへ残って企業化がうまくいかぬということになれば、これはなかなか金は貸せないということになって、実は道ができたけれども、びくびくして金が貸せないということになりかねぬじゃないか。そこで、これは将来の方向でありますけれども、直接貸し制度というものを今後伸ばしていくためには、農地法の一部改正をしなければならぬ。そういうような大規模なものについては、耕作権の扱いというものはいままでと別にする必要がある。しかしながら、農民の土地が商業資本に移るというようなことは困ることでありますから、農協が中金と債務者との間に入って、農協が担保を土地について設定して保証して、中金がそれに貸すという方法が一つ、あるいは合理化法人の法律を改正して、合理化法人は農民の土地を引き受けて適当な人にお譲りをする、あっせんをするというのは仕事でありますから、合理化法人が中に入ってそいつをともかく保証をする、担保にいただく。あるいはまた、農業の保険基金があります。保険基金協会、これが中に入って抵当を引き受けて、それで中金につなぐ。何らかそれらの方法の中で詰めて、もっと中金が思い切り金を貸せるようなことで企業的な農業が育成されるような方法、しかもその土地というものは農民の手から第三の商業資本等には移らないで、ともかく、おやじが死んじゃっても、むすこが農業をやらぬと言っても、別の隣の人がそいつを引き受けて農業をやれるというような方法、こういうことはいままで議論されたことがないのでありますが、それについて簡単に、中金の理事長、そんなものは必要ない、おれの方法で、うまい方法でもっと貸せますよという手があるのかないのか、なければ、ひとつこれはそういうこともあわせて検討してもらいたいということなのかどうか。これは今後の課題でありますが、御意見を承りたいと思います。
#11
○片柳参考人 簡単にお答えを申し上げますが、第一点の、総合資金等は金庫が当然担当すべきではないかという御意見でございますが、御承知のような、公庫と私どもの資金分野については相当紛淆のきらいもある感じがいたしておりまして、私どもといたしましては、このようは資金は私どものほうで担当してよろしいのではないかという私は見解でございます。
 関連して、たとえば漁船、漁具等の漁業者の個人資産に属するものも、私のほうが対応することが金融の筋ではないだろうかということでお答えにいたしたいと思います。
 それから、私どもの直接貸しに関連しての担保の問題でございますが、できるだけ保険基金協会等の保証等で、担保をとらないのが筋ではあると存じますが、相当大きな金額にもなりますので、やはり不動産等を担保にとることはやむを得ないことが相当多いと思います。
 その場合において、御指摘のような処分の制限のある農地を担保とするという問題は、今後の長期融資の問題と関連いたしまして私どもも十分検討をすべきだと思っておりますが、ただ、農地法の基本にも触れる問題でございますので、そう簡単にはいかぬではないかと思いますが、今後長期融資を展開するについては、結局、農地を担保にする場合において、あるいは金融面だけでも例外的にそれが担保価値があるような措置は講じてもよろしいのではないかと思うのでありまして、そうした御指摘のような合理化法人等に一時処分をおまかせするというようなことも、全体の制度の中において一つの方法ではないかということでございまして、さらに全中とまだ深い検討はしておりませんが、御案内のように、漁業については漁業財団制度がございますけれども、いまのたとえば畜産等で牧場の上に牛やらその他を飼育している場合におきまして、それをくるめての農業財団という制度がないわけでございまして、もちろん、牧場の上飼育する頭数は多少変わりますけれども、大体の平均値は求め得るというような感じもいたしますので、農地の担保の問題と関連いたしまして、農場の上にあるところの動産なり建物等の不動産等合わせて、何か漁業財団のような構想は、これは私どもは検討するにやぶさかでないということでございまして、熊谷先生いま首肯されておりますが、漁業方面ではそういうことが例もございますので、十分検討してまいりたいと思います。
#12
○渡辺(美)委員 次に、中央会に質問をいたしたいと思います。
 最近ゴルフ場ブームで、ともかくたいへんな数のゴルフ場が日本国じゅうに建設をされておる。三千くらい日本にあってもいいんじゃないか、二千くらいあってもいいんじゃないかと言う人もあるんだが、私はこれは絶対反対なんです。大体日本は国民一人当たり農用地の面積が六・二アール、英国が三十五アール、西ドイツが二十二アール、アメリカが二百十八アール。日本はアメリカの三十五分の一、イギリスの六分の一。アメリカに一万のゴルフ場が確かにあるが、それからいうと、日本は三百ぐらいでいいという話になってくる。あるいは、イギリスには約三千ぐらいのゴルフ場があるが、その六分の一ということになれば、やっぱり日本は三百ぐらいでいいということになる。
 これらのことは私はずいぶん声をでかくして言っておるんだが、農協サイドでは、片一方では、えさをつくれの、飼料自給度を高めろのなんという運動はずいぶんやるんだけれども、そんなにぽかぽかぽかぽか、片っ端、国営の事業をやるところまでゴルフ場になっちゃうことについて、絶対反対だ、ともかく何とかしてくれと言って私のところへ陳情をもって押しかけたことは一回もない。どういうわけなのか、これは。私はもうほんとうに頭へきているのです、実際の話が。米の運動のときはずいぶんはち巻きをもってやるんだけれども、土地がみんな収奪される運動のときは、あまりでっかい声を出さない。すみっこのほうで言っているのか、組合が賛成から、しかたがない、やりずらいという点もあるのか、これらの点に対する所見をひとつ。
 その次の問題は、これは都市農協の問題でございますが、最近やはり都市化が進んで農業地帯というものがだんだん狭まってきたというところがある。都市農協と純農協、生産農協と、実際には分かれちゃっている。都市農協が幾ら宅地並み課税反対で、生産緑地でそのまま置いてなんて言っても、こんなことも、私は農協どうかしているんじゃないかという気がするのです、実際の話。
 これは現実の問題として、私はここに横浜農協の例あるいは世田谷農協の決算書というものを持ってきて調べてみたんだけれども、横浜農協なんというのは、販売高というものは十七億しかないのです。ところが、金融部門とか、そういうことになりますというと、相当多額の収益をあげておる。こういうふうなことなのであります。ここでやはり都市農協といういまの状況では、これは現実にもう金融業になっちゃっている。しかも、いままではなかなか貸し付け先も制限がうんとあるということなものだから、ないしょで不動産屋に貸して、栃木県あたりへ行って土地買い占めなんかやったりして、おかしなことになっておるのです、これは現実が。実例を知っているんだから。これはやはり都市農協の生きる道を考えてやらなければいけない。それにはやはりともかく農住都市構想もそうだ。今度のレンタル方式もそうなんです。レンタル方式で、農協がその農地を借りてそこへ建物、マンションをつくってやる、こういうことも必要なんです。ともかくただ宅地並み課税反対反対の一本やりでいたんでは、もう衆議院を通過しちゃったのですから――もうこれは反対討論もなく通過しちゃいましたよ。ということになれば、これはもう成立すること明らかだと私は思っておる。ですから、ただ反対だ反対だと言うのでなくして、ほんとうに下部の組合員というものをどうして生かしていくんだということを考えれば、川崎で漁協が、埋め立てされちゃったために魚がとれなくなっちゃった、そのために、その人たちのために、魚とるかわりに、何かゴルフの練習場を漁業協同組合が海の中へつくったなんという話もありますが、これもおかしな話なんだけれども、しかしながら、土地を造成してそこへつくるんだから、まあけっこうでしょう。そういうふうに発想の転換が必要なんです。だから私は、都市農協の問題についても、農協はやはり発想の転換をはかって、都市農協の生きる道をやってもらいたい。
 たとえば、この宅地並み課税反対だと皆さんおっしゃっておるんだけれども、これが農協と一緒になって、たとえば三反歩のところに――世田谷の桜丘の場合を言うと、四十八年度にだれか主人公が死んだことを仮定をした場合に、桜丘で三反歩、九百坪土地を持っていると、これはいま死ねば税務署はどういう評価をするかというと、坪十九万七千円で評価するのです。宅地の評価の場合、二十五万で評価するのですよ。農地でも十九万七千円で評価しますから、一億七千八百万円になって、相続税五千万円取られるということになる。それは農地生産だけで払えっこないから、これは売るほかないということになる。ところが、半分畑にして、あと半分、四百五十坪を宅地にして農協に貸した、農協がそこへ賃貸アパートをつくったということになると、どういう評価になるかというと、これは借地権の問題がおのずからありますから、差し引き計算するので、畑の部分は八千八百七十四万円、それから宅地のほうは四千四百五十五万円ということになって、一億三千三百万ばかりで、税金は三千百万円と、二千万円ばかり安くなる。もっといい方法がある。それは、九百坪だから、畑四百五十坪のほかに、あとの四百五十坪を宅地にして、自分がそこに、農協から金を借りて、かりに十八坪で四十五戸分の四階建ての鉄筋コンクリートを、坪二十五万円ぐらいの建設費でつくった。それで二億一千万ばかり金を借りたということになると、これはどういうふうな計算になるか。二億一千万円金を借りた、二億一千万円で建物全部一切がっさいこしらえたということになると、これは貸し家の問題がありまして、貸し家の地坪に対する減価というのは一八%見ますから、そこで四百五十坪分の宅地が非常に安く評価されて、九千百三十二万円になっちゃうんだ。それから建物そのものは大体七〇%ぐらいの評価になりますから、半分ぐらいの評価になって、二億一千六百万が、一億円の評価にしかならない。借金はまるまる評価してくれる。そうすると、財産評価は六千九百万になってしまうんだ。そのおかげで税金は九百十一万円でいいのですよ。大体五分の一だ。それが、農協がもう少し本気になってわれわれに協力してもらって、私がこの前言ったようなこと、渡辺私案、あれをちょこっとやれば、税金はただになってしまうのです。ですから、こういうような状態であれば農協はもっと現実に即してやっていただきたい、私はこういうことを思います。その三つ。
 ついでに、一言全農のほうに伺いますが、ともかく皆さん、いままでは、言うなら米の上にあぐらをかいておったんだけれども、なかなかあぐらかけないですよ。商社なんか出てきちゃってね。丸紅なんて、おかしなことに、モチ米買い占めた、どうだと騒ぎになった。中には農協まで売ったのあるらしいけれどもね、実際問題が。これは結局、上の農協がぼやぼやしているうちに、単協と商社が組んじゃっているのですよ。そうでしょう、現実が。コシヒカリなんというのは、新潟県では三五%しか出荷していないのですよ。あとの六五%は、農家の人がみんな食っちゃったのかどうか、何だかわからぬけれども、ともかく出荷していないんだ。これは生産量の中でどこかに行っちゃったのですよ。農協には行っていない。どこかへ行っちゃったんだよ。だれかが持っていっちゃったんだ。新潟県のコシヒカリというのは日本で一番いい米なんだ。それを農協が扱えないというのは一体どういうわけなんだ。これは、やはり皆さんは販売力がないからなんだ。集荷力は九五%ある。販売力は五%しかない。こんなことじゃだめですよ。下がみんなはがれちゃう。やはり全農は卸の権利をもらうことに全精力をあげなさい。それから東京の都市農協を販売農協にしなさい。都市農協はもう金貸し農協、販売農協、住宅つくり農協でかまわないので、そういうふうなことをどんどんやらせるべきなんだ。そういうことを割り切ってやらなければだめなんだ。割り切ってやらないでいると、みんなお客さんにとられちゃう。農民は、高いほうがいいにきまっているんだから。そうすれば、単協も高いほうがいいにきまっている。こういうようなことで、まぜ米もない、いい米ができると私は思うんだが、このことについて、ともかく全販は、もっともっと、米の販売の権利を確保するためにはち巻きして、それこそ、米価のときのようなエネルギー、宅地並み反対のようなエネルギーを出してやってもらいたい。それに対する見解を承りたいのであります。
#13
○松村参考人 第一点の、ゴルフ場が大都市近郊に非常に常識を越えた数ができるということについて、渡辺先生が、そういうことはけしからぬというようなことで、農協の働きが悪いという御指摘については、これは私は渡辺先生の御意見が正しいと思いまして、われわれも土地をできるだけ手放すなというようなことを言っておりますが、一つの県に四十も五十も百もできるなんというのは、おそらくやはりそういうかっこうにおける、形を変えた土地の買い占めだというふうに理解していいんじゃないかと思います。
 渡辺先生、われわれもひとつ心を新たにしてそういう問題に取り組みたいと思いますので、渡辺先生のほうもひとつなおさら闘志を燃やしていただきたいと思います。
 それから都市農協の問題は、これは非常にデリケートでございますが、われわれが都市農協の問題を考える場合に、農協というものは、もう先生百も御承知のとおり、よくいわれるように、組合員のための農協というのがいわゆるわれわれの体質でなければならぬ、そういう体質がだんだん薄れてきているのじゃないかということの御批判が非常にあるわけです。そういう意味で、インフレ的な傾向のときには、まず第一には、やはり何と申しましても、農家の委託を受けて、そしてそれを賃貸なりあるいは建物を建てるというようなかっこうにして、そうしてインフレヘッジと申しますか、そういうような機能を組合員に還元してやるというのが第一だろうと思います。
 そういう意味において、宅地並み課税については、渡辺先生の意見にかかわらず、われわれはやはり都市農業を残すということについては、どうしても意見を変えるわけにまいらないわけですけれども、現実にこういうものが出発いたしますと、それに対応するような仕事の一つとしてやはりこういう問題も出てくるかと思います。
 ただ、私もそういう問題で東京都の組合長あたりから現実に聞いてみましたけれども、ブローカーがあき地を買って家を建てる場合と、農協がそういうような建築をする場合とについては、農協というのは、やはり地域住民というものの意思――組合員でございますから、そういう者の意思を非常に尊重しなければならぬことと、つくった建物を貸す相手というものが、国とか公共団体とか、そういうようなところでなければならないということと、それから地域環境というものをいまの地域住民はやかましく言って、診療所が来るとか、そういうようなものは非常に歓迎するそうですけれども、なかなか現実にはそういう問題も非常にむずかしい問題があるようでございます。しかし、渡辺先生が触れられた都市農協の機能の一つとして販売農協化したらどうかというような御意見については、特に米の問題を、あとほど織井常務のほうからもありましょうが、やはり私も渡辺先生と同じように販売が経済行為の出発点だと思います。そういう意味において、前からわれわれは卸をほしいという要請を国にいたしておるわけでございますが、やはり既得権と申しますか、そういう関係でなかなかスムーズにいかないという面がございます。確かに、渡辺先生のおっしゃるように、農協も今度の米の集荷の問題等は悪いことをしたというような御指摘もございまして、われわれとしても非常に遺憾でございますけれども、しかし、程度は――それを弁護するつもりじゃございませんけれども、本来、やはり農協というものは小回りのきかない、そういう悪知恵はあまり働かないところが取り柄だというふうに一つは考えております。そういう意味で、都市の卸をつくり小売りを系例化するとか、あるいは、先ほど織井常務が言った生活協同組合あるいは直売店というもの等を通じて、格上げ混米のない本来の米のほうへこれから突進すべき方向であるという御指摘は、まさに正しい御指摘であると思いますし、ぜひひとつわれわれとしてはやっていきたい。まあ配給の面は徐々に、九%でございますが、二、二%というところまでまいりますので、やはり経済事業というのは販売購買ということです。そういうことでございますので、私は、やはり前進販売と申しますか、そういうことをやることによって生産の成果を農家に還元をするということが、やはり農協本来のつとめじゃないかというふうに考えております。
 以上です。
#14
○織井参考人 織井でございます。
 ただいま渡辺先生の指摘された問題についてでございますが、確かに、現在の米の流通、食管法の中にあってああいうふうな問題があったことは、非常の遺憾だというふうに思っております。これからもう少し系統全部が相戒めてそういうことのないようにつとめたい、こういうふうに考えております。
 それから、都市農協は何をしておるのかという問題でございますけれども、われわれは都市農協に対して、事業の側からすると、現在の直販体制というものの拠点として、まず第一には生活協同組合、その次には都市農協、それから自治体というふうなもの、それからスーパーが協力できるものあらばスーパーというふうに、われわれ農産物の流通組織としての拠点をそれに求めてございます。
 そのほかに、そういうふうな一般の都市農協の扱いのほかに、米の問題でございますけれども、米の問題の、大消費地における卸というふうな問題は、われわればかねてから念願するところでございますし、渡辺先生もそれに対して応援してくださるということでございますから、ひとつ今度は政府と一緒になって御検討を願いたい、ぜひその念願を果たしていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 以上でございます。
#15
○佐々木委員長 柴田健治君。
#16
○柴田(健)委員 御三人の参考人の皆さんには、本日は、たいへん御多用のところ、どうもありがとうございます。
 ただいま御意見を聞かせていただいて、いろいろとこちらも参考になる点がございました。先ほど渡辺議員から御質疑がございましたが、渡辺さんは全農の会長にしたらいいんじゃないかというような気がいたしましたけれども……。
 まず、私は中金の片柳先生にひとつお尋ねしたいのですが、今度四法案の中でみなそれぞれ関連があるという、全くそのとおりであります。われわれもそういう判断に立っておるわけでありますが、しかし、具体的に検討してまいりますと、これはまた別々の意味を持っておるということも言えるわけであります。
 私は、今度の法案の改正で貸し付け限度額の引き上げをやられる、いままで個人の場合二百万、今度一千万だ、それから農業組合法人は今度五千万まで上げる、協同組合二億五千万だ、こういうワクの増大をされたら、実際いまの現状貸し付け額から何%ぐらいふえるのか、どの程度ふえるのかということを、第一点に聞きたいのであります。
 そしてまたもう一つは、金融引き締めをいま行なわれておるわけですが、この金融引き締めからくる農林金融の関係はどうなるのか、中金としてはどういう判断に立って将来の見通しをどう考えておるのかということをわれわれは聞きたいところなのでありまして、今後のこの制度金融の面もあるでありましょうが、しかし、系統金融として、一般市中金融がどんどん引き締めをやってくる、しかし中金のほうはもうノーズロで、ワクを拡大したんだから、どんどん貸し出しする、こういうことになれば、どうもちょっとぴんとこないという気もしますので、これとの関係、そうしてまた、いま中金が預かっておる金というものは農民の金だといいますけれども、中を分類してまいりますと、純然たる農業所得から上がってきた預金ではない、これはもうパーセンテージが非常に低い。どちらかというと農業外所得、特に不動産の売買――近年、この二、三年の土地売買に伴う預金高の増額を見ると、これはたいへんな額になっている。この状態がいつまでも続くとは思えない。もうこの辺で頭打ちになると私たちは判断をしておる。ところが、原資がどの程度ふえるという見通しに立ってこのワクの増額を考えたのかという点が、われわれどうもかかるところなのであります。それから、皆さん方が預かっている金が、いままでのような伸び率で今後も預金高が伸びてくるのか、そういう見通しをひとつ聞かしていただきたいと思うところであります。それからもう一つは、都道府県信用基金協会があるわけですが、この信用基金協会の会員の増大をばかるということになっているのですが、この信用基金協会の会員の増大をはかると同時に、出賞金の問題があると思うんですね。この出資金は、現状の出資金の額ではわれわれはどうもまだ十分とはいえないという判断に立っている。いま加入しておる加入者の出資金をこれ以上ふやすのか、また新しい会員の出資額をどの程度出資させたらいいのか、その考え方をひとつ明らかにしてもらいたい、こう思うわけです。
 それからもう一つは、これは厚生省の関係であるからといって、どうもいままで水くさい、何か冷たい態度をとられたという気がするのですが、生協の問題。生協は、どちらかといえばいま生産農民、単協との関係がだんだん深まりつつある。こういうことを考えたときには、生産と販売という立場から申し上げると、生協ももっと力を入れる、また協力、協調、提携というものを深めていく必要がある。そういうところから、ひとつ資金の問題も中金が考えるべきではなかろうか。多少考えておられる実績はあります。けれども、微々たるものである。もっと広げるべきではなかろうかという気がするのですが、この点。
 以上、簡単にお答え願いたいと思います。
#17
○片柳参考人 農業近代化資金の限度の引き上げに伴ってどのくらい資金需要がふえるかということでございますが、これは具体的な推定は私にはなかなか困難であります。ただ、いままでの近代化資金が、せっかくの制度が半分ぐらいしか消化されておらぬという点は、これは十分検討する必要があろうと思うのでありまして、これは単協とか信連等の経営者の意欲にもかかわる問題だと思いまするが、もう一つは、農家、農村に対するPRが足らぬというような感じも持っておりまして、私どもも、今後は信連と私どもがタイアップいたしましてこのような制度のPRにつとめ、具体的な指導をはかりつつ、せっかくの資金の活用をはかってまいりたい。現に宮崎でございますとか岩手県等では、私ども金庫と信連とが一緒になりまして金融相談所というようなものを設けておりまして、そういうような制度を拡充しつつ、せっかくの近代化資金をひとつもっと利用できるように努力をしてまいりたいと思っております。
 それから金融引き締めに関連しての金庫の態度でございますが、系統融資については、当然私どもは積極的な努力を払うことはもちろんでございますが、それ以外の関連産業融資等の他の分野につきましては、これは御承知と思いますが、政府の認可を得て、一定の限度内でしか貸し付けができないというたてまえでございました。私どもは、系統融資はもうきわめて積極的に取り組みたい考えでございますが、一般の、現在批判されておるような向きについては、これは当然節度を守りながら、また政府の一定の規制のもとに対応していきたいと考えておりまして、その辺は遺憾なきを期したいと思っております。
 それから今後の貯金の増加の見通しでございますが、昨今までは御承知のような土地ブームあるいは農外所得の向上等によって相当増勢を続けておりまするが、これは政治の問題にもかかわる問題だと思いますが、このような土地ブームが国民経済的にいつまでも続け得ることばむずかしいということでございましょうし、そういう意味で、やや長期に見てまいりますると、従来のような増勢を期待することはややむずかしいのではないか。しかし、本格的な農政が進展してきますれば、農業所得もふえてまいりましょうし、あるいは、問題となっておる米価その他の農産物価格のきまり方いかんによっても農業所得の期待ももちろんできるわけでございます。ただ、農外所得のほうは漸次比率が拡大しておりまするが、これはやはり貯蓄源として相当長期に期待できるのではないかということでございますが、少なくとも土地ブームによる貯蓄源というものに長い期待を持つことはむずかしいのではないかと思っております。
 もちろん貯蓄運動を今後もまじめに推進をしていきたいと思っておりますが、どうしてもせっかく拡大された資金需要に応じがたい場合におきましては、現在は資金がだぶついておりますから極力制約はしておりまするが、そういう場合においては農林債券の発行によって一般から資金を調達して農村のほうにも回すということも、将来の問題としては考えていきたいと思っておる次第でございます。
 それから基金協会の出資金の点は私あまりさやかにしておりませんが、もちろん、新会員がふえますればそれに応じてそれだけ基金のファンドはふえると思いますが、今回の考え方は、たしか中央の保険協会に八億の交付金がございまして、それをきわめて低利長期の金で各県の基金協会に融資をするというところに、間接ではございますが、ファンドを間接に増強するというような道は開かれておると思うのでありまして、本来でございますれば、本然的なファンドの増加が望ましいわけでございますが、これもいろいろ実情がございましょうので、むしろ政府の交付金等の低利融資の面を活用するということのほうが、さしあたりは実効的ではないかという感触でございます。
 それから生協の問題は、これは生協を準会員にするという私どもの要請は政府のほうで御採択願えなかったわけでございまして、特殊法人という性格を厳密に見てまいりますると、政府の見解にも私どもは了とするような次第もあるようなわけでございますが、ただその場合においても、御指摘のような協同組合運動が生産者と消費者とを直結する、具体的には、現在、日本生活協同組合連合会と全農との提携もきまったというような状況でございますので、私どもは、協同組合の筋としても、生産者の協同組合とタイアップするところの生協には、極力これは融資の面で御協力を申し上げていきたい。したがって、準会員になりませんでも、私としては会員に準じた融資の態度を積極的にとってまいりたいと思うのでございまして、具体的には日本生活協同組合連合会等ととくと相談をいたしまして、積極的な融資については私といたしましては最善の努力をしていきたいと思っておりますので、御了承をいただきたいと思います。
#18
○柴田(健)委員 もう一点お尋ねしたいんですが、私たちはこの融資の問題について一番悩むところは、金利と償還年限、それから貸し付けの条件、この三つがあって、その他事務的な簡素化ということもありますけれども、今度〇・五%引き下げたけれども、もっと下げなければ、つり合いが、農業という産業からいうとぐあいが悪い、こういう気がするわけですが、これ以上どうにも下げられない、下げるとするならば、政府の利子補給というものを考えなければならぬということにもなるわけですが、
  〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕
結局、金利と、いま考えておる償還年限、現行の償還年限では、どうも借るほうからいうと、また農業の生産性、回転率その他を考えると、もっと償還年限を延ばしてくれ、こういう声が多いのですが、この点について今後どういう方法で検討されるか、検討の用意があるのかないのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
#19
○片柳参考人 主として近代化資金についての御質問だと存じまするが、金利を極力下げることは、当然私どもも努力もしておりまするし、今後も努力をしていきたいと思っておりまして、その意味では一つのこれは懸案問題でございまするが、単協が他の金融機関よりも一厘高で預かるという問題も、少なくともこの時期では検討に値する問題ではないかと思います。
 それから、やはり単協の人件費、事務費が相当アップしてまいってきておりますることもコスト高の要因になっておりまするので、現在の私どもの指導のやり方といたしましては、単協の貯金の受け入れ、さらには貸し付け事務等については、信連で電算機の高度利用によりまする例のEDPSを普及いたしまして、単協の信用事業に関する広報事務は信連で集中管理処理するということで極力コストを下げていきたい。あれやこれや、もちろん、出資金の増額でコストのかからない自己資本を充実することもその一つの方法でありましょうが、いろいろの意味でさらにコストの引き下げには努力をしていきたいと思っておりまするが、ただ、これはむしろこちらからお願いのようなことになるかと思いまするが、先般預金金利が五厘下がりましたので、それに応じまして、多少無理はございましたけれども、私ども金庫、信連、単協、いずれも原則として五厘自己負担において下げたわけでございます。ところが、御承知のようにまたこういうような引き締めに転じまして、二十三日からまたもとに戻ってしまった、五厘高のもとに戻ってしまったということになりますると、近代化資金の五厘引き下げは実は相当これはつらい現実になってきておるわけでございまして、しかし、せっかく下げましたことでございますから、私どもは歯を食いしばってこれに対応する努力はしていきたいと思っておりまするが、場合によってはこれは国のしかるべき従来以上の利子補給等についてもお願いをいたさぬと、コストをはるかに割ってしまうという問題がございますることをひとつ御承知おきを願いたいと思います。
 それから貸し付け期限の延長の点については、これは昔から強い要望がございますので、今回の改正案ではそれが必ずしも十分に実現しておりませんけれども、今後も私どもは十分引き続いてこの問題は検討して実現に努力をしてまいりたいということでございます。
#20
○柴田(健)委員 全中の理事さんにお尋ねしたいのですが、先ほど渡辺さんからもいろいろ御意見が出ておりましたが、なぜ農民が土地をどんどん売るようになったのか、この点が、どうも農業団体がもっと指導すべきではなかったか、いま悔いを残しておるという気がするのですが、中央会は何のためにできておるか。やはり一番大事なのは農協法の精神をどう生かしていくかという重要な任務を持っておるのが中央会だと私は判断している。それから他の農業団体との協力、協調、そして指導、また助言ということで農政活動の基盤というか、バックボーンにならなければならぬのが中央会の任務だと私は思っている。それから、中央会の皆さんの考え方がどうもわれわれとしてはわかりにくい点がある。何を考え、何をやろうとしておるのかという気がするわけです。たとえば後継者問題がいま農村では重要な一つの社会問題になっている。この後継者問題でも、中央会がどういう構想を持っておるのか、一つも出てこない。それから、農民の一番の苦しみや悲しみをはだに受けとめなければならぬのは中央会だと私は思う。その中央会が、土地問題にしても、いまごろいろいろなことを言われます。土地を守る運動を起こしましょうとか、全国農業会議所とタイアップしていろいろの構想はいま出ておりますけれども、もっと早くこれは気がつかなかっただろうか、何で商業資本に全部レジャー産業を取られなければならぬ、もう少し農業団体としてレジャー産業を持ってもよかったじゃないか、何を考えておったのだろうか、こういう気がするわけです。私は、単協との連携というものが非常にまずかったのではなかろうか、密接な連絡というものがとれなかったのかというような、いろいろな疑問を持っておるわけもす。農民の側からいってもそういう感じを持っているわけです。
 それから、農政活動の中心的な役割りをするのが中央会でありますから、全中でありますから――全農のほうは、生産・販売というけれども、生産のほうはどうでもいいが、販売してちょっとピンハネしようというので、まあ食管で大きくなってきたように思うのですが、渡辺さんみたいに口が悪いからお許しをいただきたいのですが、とにかく、これは全中の責任だと私は思う。全中がもっと指導性を強めるという立場で、もっと先を見るというような長期の展望を持った農政活動をしておれば、こういう事態は起きなかっただろう、全部食いとめるというわけにはまいりますまいけれど、何らか食いとめられる処置が講じられたであろう、こういう気がするのであります。
 そういう点で、土地売買に伴う中央会の見解、そして今後の農政に対する取り組みの姿勢、そして今後――先ほど渡辺さんは、都市付近の農地を宅地並み課税でどんどん売らしたらいいと言うが、われわれは過密過疎をなくするという前提に立って判断をしておるのであります。これ以上都市に人口をふやしてはならない。大阪で七百万の人口で、あの大阪府の土地はいま二万六千ヘクタール。その二万六千ヘクタールからどれだけ大阪七百万の人々に蔬菜を供給しておるか。供給率が三四%、あと六六%というものは県外からの輸送でまかなっておる。こういう実態で、これ以上人口をふやして、都市付近の農地をつぶして、それではたして自然保護、環境保全、そういう全体のものが解決するとわれわれは考えられぬ。そういうことから考えて、農中ももっと都市付近のこの考え方を変えてもらいたい、こういう気がするわけです。
 私は、全中が今日の農業の衰退を来たした、その歯どめになるべき農中が、どうも権力べったり、そういう安易な歩み方をしたところに問題がある、私はこういう気がするのですが、簡単でよろしいが、見解を披瀝していただきたいと思います。
#21
○松村参考人 全中のあり方については、柴田先生の御指摘のとおりだと思います。本来あるべき姿についての考え方ですね、それについては、そういうことで、やはり組合員のため、いわゆる組合員と申しますと、結局生産と生活、そういう問題が基礎になるというふうにわれわれは理解して実はやっているわけでございます。
 土地売買については、先ほども若干申し述べましたけれども、売買は少なくとも私はしないほうがいいというようなことは――農住構想ができましたのが、ちょっと忘れましたが、もう数年前でございます。四、五年前になりますか、その農住構想を打ち出すときに、まずデベロッパーが土地を買いあさる、しかも非常に高いスピードでインフレが進行しているというような中でございますので、われわれの手で、勤労者の住宅が足らないならば、そういう土地に勤労者向けの住宅をつくろうではないか、そうしてそこには農地もあり、緑もあるというようなものをつくろうではないかということで始めたのが実は農住構想であったわけでございます。したがいまして、土地売買についてはできるだけこれを――実際、資産保持の見地からいっても、このインフレのときにはヘッジとしては土地が一番いいわけですから、われわれとしてはそういう見解は常に流しておりますが、何しろ現ナマをもって札たばを積まれるというような状況なものですから、どうもわれわれの考えが末端に徹底しないというごとは非常に残念でございます。
  〔坂村委員長代理退席、藤本委員長代理著席〕
と同時に、農地の売買が行なわれるという、そこには、やはり農政に対する不安、農業政策に対する確たる国の方針が非常に不安である、安易に農産物の自由化も行なわれる、価格も生産費に比べて安い、どうも一般の風潮は、いまごろはそういう風潮はだんだん少なくなったと思いますけれども、国際分業論等で、足らぬときにいつでも外国から安いものが入れられるのじゃないかという見解、ずいぶんわれわれはそういうことでいじめられたものです。そういうことで、ことしのえさ問題に見るごとく、そういう国際分業というものは現実にはそういうことでなかったということが実証されたと思いますが、そういう根本的な問題がやはり横たわっているというふうにわれわれは考えております。
 そういう問題で、やはり農政の基本の姿勢というものは、われわれは農業を国の基幹産業に据える、そうして自由化等については、少なくともこれ以上の自由化はやらないということを即時宣言していただく、そうして、参議院では決議ができたようでございますけれども、衆議院の農水等でも、農産物のこれ以上の自由化、水産物が四つ、農畜産物が三十ですか、そういうことをやらないというようなことを衆議院のほうでもぜひやっていただきたい。そういうことでないと、ほかのものをつくっても、また何をいつ自由化されるかわからぬという、非常に不安な気持ちでございます。そういうふうに考えております。
 それから都市農業の問題については、宅地並み課税の問題については、先生も御存じのように、われわれはやはり都市農業は必要であり、宅地並み課税というようなものは、登録農地――われわれは登録農地と申しておりますが、登録農地については、農地法下の農地課税というものはやはり正しいというふうに考えております。
#22
○柴田(健)委員 終わりました。
#23
○藤本委員長代理 野坂君。
#24
○野坂委員 参考人の皆さん御苦労さんです。最初に松村さんなり織井さんにお尋ねをいたします。
 今度の四つの法案、この特徴は、金融対策として貸し付けの対象者のワクが拡大されました。そしてまた、土地のレンタル制度、こういうものが特徴的に前に出ておりますが、まず私は、今日の農協も、時代の変遷を経て、手段方法、そういうものがだんだん変わってきたように感じます。そこでお尋ねしたいのは、たとえば一つの例として、末端農協は営農指導を中心にするか、生産流通面の一部門をになうか、あるいは農協が企業的な体質となって事業運営に力をいたすか、大きく分けて三つか四つあろうかと思います。都市農協と農村型の農協とがありますが、これらの三つを一〇〇として、それぞれ力をいたす力点というものをどのように配分し、進められていくのか、都市と農村に分けて、ごく簡単に、点数でけっこうでありますから、それをあげて御説明をいただきたいと思います。
#25
○松村参考人 私のほうからお答えいたします。
 営農指導と流通と事業運営ということでございますが、現在の農協の現状では、都市農協からいつもおこられるわけでございますけれども、営農指導、生産・販売、生活、要するに生活と生産というものを基礎に置いたことを重点にしていくということだと思います。件数、幾組合あるというようなことは、いまのところちょっと数字を持っておりません。
#26
○織井参考人 いまの営農と生産と農協の事業運営という三つの要素、それから都市と農村の関係という問題でございますけれども、営農以下三つの問題は、農協の運営にあたっては有機的な問題であって、百点を全部に分けるというわけにはいかぬと思います。営農から出発して生産、それから、それがうまくいけば協同組合の事業運営も支障なく運営されるというふうな関係にございますので、九十点なら、三十点、三十点、三十点というような重点でわれわれは考えております。
 ただ、都市農協につきましては、都市といっても、現在の神奈川県、東京都、大阪府というふうに、都市の内容によって経済連及び農協の内容が違いますけれども、一応近郊農業として比較的よくやっている神奈川県等については、われわれとしてはそれなりに重点を置いて考えておりますし、東京みたいな、特に信用的農協については、前に申し上げましたとおり、これからもっと生活事業的な面に力を入れていただきたいというふうに考えて、その点で方針も立てて推進しております。
#27
○野坂委員 いま柴田委員からもお話がありましたように、農協に農地の処分能力を付与した、こういうことになっています。特に宅地及び工場用地として供給する事業あるいは住宅の建設事業、このことは、農民の立場に立って農民を守る、利益を確保していくということではありますが、この中身の方法として三つあろうと思います。一つは農民の委託、二つには借り入れ、三つには買い入れ、こういう方法があります。この方法のうち、どれを最も強力にお進めになっていくか、農協の精神からしてお話をいただきたいと思います。
#28
○松村参考人 先ほども申しましたように、農民の委託を受けてやるということを中心に考えていきたいと思います。
#29
○野坂委員 これから中央会としてはそういうふうに御指導になると思いますが、確かに委託が中心で、特に買い入れ等は補完事業だ、こういうことだと思います。しかし現実に、先ほども自民党の議員が申されましたように、農協の預金は相当たくさんある。いわゆる余裕金がある。したがって、大手の商社等の進出を防ぐという意味を含めて、買い入れというようなかっこうのほうが現実に先に立つのではなかろうかということを私どもは非常に心配します。中央の指導者としてはそういう指導があっても、ここで法案が通り、具体的に作業が進行するということで、五年後にあとを振り返って追跡調査をした場合には、買い入れが多かったというような現実が出ることを憂えています。その点、中央会は責任をもって委託販売というものを十分指導していく、こういう自信がありますか。
#30
○松村参考人 われわれはあくまでもこのインフレの中では委託というものを中心にして考えていかないと、組合員の利益になかなかマッチしないだろうというふうに考えております。だから、われわれの指導方針はそういう方法でずっと通していきたいというふうに思っております。
#31
○野坂委員 農協法の改正で、組合員のワクの拡大といいますか、準組合員制度というものもできてまいりました。これは時代の推移等から考えて、農協が単なる生産農協ということよりも地域協同組合というような方向をたどっていく、こういうふうに思われますが、その点どのようにお考えでしょう。
#32
○松村参考人 農協は、農業協同組合というふうに農協法で明示してございますし、組合員の資格等を見てまいりますと、農民とか農事組合法人というもので、実際七百二十万の組合員の中で準組合員は二割程度です。そういう意味からいいましても、安易な地域協同組合というような論議はされないと思っております。
#33
○野坂委員 各県連を歩いてみますと、いま松村常務がお話しになっているのとうらはらに、そういう地域協同組合的な性格を帯びるであろう、こういうような意見が相当高まっておるように感得できます。それはなぜかといえば、たとえば貸し付け金対象者の拡大なり、あるいは準組合員制度の採用なり、そういう傾向がそれを裏書きしておる、こういうふうにも思われます。いまお話をされたわけでありますから、議論をする時間も余裕もございませんが、お話はそのとおりであります。しかし、生産農民を守る、そして、先ほどお話しになりましたように、三つの体系に分けて生産なり販売にも力点を置く、こういうことから、生活協同組合等とも十分連携をとって日本の物価の安定のためにも寄与する、こういう方針も明らかにされています。
 そこで農林中金の理事長にお尋ねをいたしますが、先ほど柴田議員からもお尋ねをいたしましたけれども、そういう意味からこれから生活協同組合との関連も深めていく、あるいは全農と日生協とは具体的に業務提携をする、生産から消費者へ直接作業するという方式が打ち出されております。生活協同組合に対するいまの会員制度の問題は、時間的余裕がございませんので議論はいたしません。いたしませんが、総合審議会の小委員会、そういうもので具体的に方向というものは打ち出されておりますが、今後は、片柳理事長は、この生協の会員という問題については放棄する意思はないと思っておりますが、そのとおりかということが一点と、あるいはもし農林省がいう、そういうことも一部理解ができるというお話もありました。ありましたから、その貸し付け金のワクなり金利について一応問題があろうと思いますが、会員に準じて扱っていきたい、こういうことでございますが、時の状況なり、全農と日協連という関係から、会員並みに扱う、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
#34
○片柳参考人 先ほど柴田議員にお答えをいたしたとおりでございまして、私どもは、準組合員に入れることはできませんけれども、会員に準じた趣旨で極力これは御協力を申し上げていきたい。将来の問題でございますが、私どもは系統の総意として生協を準会員ということを要請したいきさつもございますので、今後も引き続いて検討していきたいと思っております。ただ、そうなってまいりますると、現在のところは農林漁業協同組合の全国金融機関という性格との関係もございますので、あるいはかっての産業組合法に戻って生協も農協法の中に入れるということであれば、これは比較的容易でございまするけれども、やはり農林漁業関係の協同組合の中央金融機関という性格が、そこをほうっておいて生協を会員にするということはなかなかむずかしいのではないだろうか。しかし、引き続いてこれは検討は私どもはいたしたいと思っております。
#35
○野坂委員 準じてという意味は、並みというふうに理解していいですか。
#36
○片柳参考人 その辺はことばのあやでございますが、それは生協の事業分量その他に応じて違いまするから、私どもは決してワクの設定等は考えておりません。必要な資金で消化できるものはできるだけ対応していきたいということ。金利も、並みか、準じたということの相違でございますが、並みに近い準ずるということも当然あり得ると思いまして、要するに生協の実態に応じて私どもは考えていきたいと思っておりまするが、まずまず御指摘のような正当な事業をやっておられますれば、特に全農と生活協同組合連合会とタイアップしたその傘下に属する組合等については、生活協同組合連合会とも御相談をいたしまして、できるだけ会員並みというような努力は惜しんでいかないつもりでございます。
#37
○野坂委員 全国の全農なり中央会は、国際協同組合同盟、いわゆる一CAに加入しているかどうかということ、まずそれを承りたいと思います。また、その他の国際機関に加入されておれば、その内容を……。
#38
○松村参考人 ICAに加入しております。そのほか、IFAP、いわゆる国際生産者連盟、そういうものに加盟しております。
#39
○野坂委員 最後に、この農協法のあとから出てまいります農林年金法等もやがて審議の対象になってまいりますが、いまの農協労働者――最近きわめてきびしい春闘が続けられておりますが、昨日も本委員会場で議論がありました。農協労働者の賃金というのは、同じような規模の労働者と比べてどの程度の位置にあるのか、そしてそれらの産業と同じような賃金になるのは、最高幹部の皆さんとしていつごろをお考えになっているのか。中央段階の賃金と県連の段階の賃金と単協の段階の賃金とは相当の格差があると思いますが、それの格差を是正する指導方針があるのか。それぞれ単協の経営の内容なり特殊性もあろうと思いますが、農協というたてまえ、そういう意味からして、農協運動、協同組合運動に専従をする農協の職員でありますけれども、いわゆるオルガナイザーという精神的な問題はそうといたしましても、それに甘えないで、やはり労働者としての生活ができる賃金が私は必要だと思います。そういう意味で、今日の農協労働者の賃金は、あなた方から見て高いと思っておられるのか、安いと思っておられるのか。安いと思っておられるのならば、どのようにしてレベルアップをしていく方針と指導性があるのか、伺いたいと思います。資料は持っておりますから、あとから、答弁いかんによってはさらに質問をいたします。
#40
○織井参考人 いま中央機関のほうは、三連共闘ということで、全農と中央会と全共、三団体が一緒の場でこのベースアップ等の問題を討議してございます。
 そこで、系統全体の問題を概略申し上げますと、中央機関の給与は、中労委の調査、二百九十くらいの会社でございますけれども、それと比較して大体中間ぐらいであろうというふうに考えております。それから県の段階におきましては、東京とか、それから地方の青森とか、そういうふうな県の立地条件で格差は相当ございますけれども、概して言いますと、県段階の給与体系というのは、その県の所在地における公務員給与に大体基準を置いて設定してございます。それから単協の給与がかねてから問題でございますけれども、戦前においては、農村においては先生が一番給与がよくて、その次に単協、その次に役場というふうな順序でございましたが、戦後になってくると、先生、役場、単協ということで、単協が一番低い地位になっていた。それではまずいということで、今度は大体これを引き上げてきて、現在では町村役場の職員とそう変わりはないところまで概略きているというふうに考えております。われわれとしましても、あらゆる合理的改革をやりながら、農協の職員といえども他産業に負けないような給与を与えて、しっかり働いてもらいたいという念願を持ってございます。
#41
○野坂委員 ほかの県のことを言ってもぐあいが悪いですが、私の鳥取県の場合は、平均賃金は、二十八・四歳で四万六千五百七十九円であります。非常に安うございます。これについては他の生産県も大同小異だと思うのです。十九歳で大体三万円ですから、これでは役場と比べて異常に――非常にてはなしに、異常に安い、こういうことでありますが、賃金の是正の指導をこれからされる必要があろうと思いますが、それについて
 はやられますか。
#42
○織井参考人 いまの問題につきましては、県によって非常に格差がございますけれども、全体としてそういうことがないようにやっていきたい。
 それから、農協大会のつど、職員の待遇というのが問題になってきておりますが、ことしの九月十七日、全国の農業協同組合大会もありますので、その席等においてもこの問題は討議される予定であり、またそういうふうな各地区ごとによる極端な格差はなくしたい、こういうふうに念願しております。
#43
○野坂委員 この際聞いておきます。
 きのう、事例をあげて労働基準局が調査をした結果をここで発表されました。超過勤務手当が支払われていない、こういう指摘がございました。中身としては、皆さんも把握されておると思いますが、割り増し賃金といいますか、超過勤務手当を支払え、支払えないということが団体交渉の場で出ておる単協もあることを私たちは承知しております。そういうことからして、それらの法律に弱いというふうには考えておりませんが、今後はそういう基準法違反はしないし、させない、こういう約束はできますか。
#44
○織井参考人 いま申し上げました三連については、農協労働問題研究所という機関を設定してございます。これは主として系統機関の労務問題に対する検討及び研究をやっておりますから、そちらのほうからその点についてはもう少し明確な指導教育を行ないたいというふうに考えております。
#45
○野坂委員 いまのお話は三連のことなんですけれども、それぞれの単協なり県連に対して、そういう措置はしないように――私たちは、農協の精神にのっとって農協の労働者の諸君が一生懸命運動を進めるということは、やはり高く評価をしなければなりませんし、その精神は強調する必要があろうと思います。しかし、いままでは農民の一断面も持っておって、農業をしながら、百姓をしながら農協につとめて、忙しいときはということでありましたけれども、今日の段階としては、農協労働者となって、与えられた時間あるいはそれ以上に懸命に働いていかなければならないという時期に逢着をしておりますから、それに甘えないで、先ほども言いましたように、払うべきものは払って、農協労働者としての地位の向上と条件の整備をしなければ、農民が農協から金を借りるのがいよいよ少なくなるし、いわゆる生産意欲が減退するし、また、営農指導なり生産体系なり流通の衝に当たる農協労働者が意欲を喪失するようなことでは、今後の農協運営にも重大な支障を来たすであろう、こういうことを私は心配をいたします。そういう意味で、単協についても、それぞれの会長なりあるいは局長なりのお名前で下部末端に通達を出して、いま申しましたような法律違反、トラブル等がないようにしていただきたい。今後、末端農協に至るまでそれらのことはないということをお約束できるかということをもう一ぺん確認しておきたい。
#46
○織井参考人 いまみたいなことがないようにこれから将来は厳密に指導して協力していきたいというふうに考えます。
#47
○野坂委員 終わります。
#48
○藤本委員長代理 津川武一君。
#49
○津川委員 全中の松村さんにお尋ねしますけれども、先ほど渡辺委員の質問に、宅地並み課税には依然として反対である態度を続けるということを聞いて、私も心強く思ったわけです。しかし、私たちの反対にもかかわらず、昨日、宅地並み課税は衆議院を通過したわけであります。
 そこで私たちは、昨日、土地と緑を守り、大資本の土地買い占めを押えるために、緊急提案を発表したわけであります。その一つには、大企業の土地投機や、都市地主、大土地所有者の地価値上がり待ちを押えるために、地方自治体に民主的に構成される民主的土地委員会を設け、ここで地価を一たん凍結する。二つ目には、大企業の土地買い入れを原則として向こう三年間禁ずる処置を講ずる。三つ目には、大企業の買い占めた土地を、国と地方自治体が買い入れ価格に持ち越し経費程度のものをプラスした価格で収用して、これを農地と緑地と勤労者が求めておる必要な土地に使う、こういうことを緊急に提案したわけであります。もう一つ、愛知県の岩倉市で生産緑地補助金交付条例を昨年制定しております。今度宅地並み課税が適用になる。ここで課税される分、増加する分だけを条例で地方自治体が補給して、農民に土地を確保さして農業と緑を守るという対策に出ておる地方自治体も出ているわけであります。
 そこで、全中として、先ほどの宅地並み課税に反対だという態度を貫くために、私たちのこういう提案を検討してみていただけるかどうか。たとえば岩倉市で行なわれたようなことを単協においてもみんなと一緒に広げて見るなどして、都市の農業と緑と土地を守る必要があると思っておるんですが、全中あたりの方針を伺わしていただければと思います。
#50
○松村参考人 きのうの緊急提案は私まだ存じておりませんが、十分検討さしていただきたいと思います。
 それから愛知県の岩倉市の生産緑地を守るような条例ですが、そういうものは東京都の美濃部知事もある程度やっておられるし、それから近くは、この前選挙のありました日野市でもやっておりますし、また藤沢市でやっておりますし、大なり小なりいろいろやっております。そういうふうな事例をわれわれとしてはよく調査して、そうして優良事例としてつないで、生産緑地、その緑地の中にはもちろん農地を含むというようなことで配慮したい、そういうふうに考えます。
#51
○津川委員 それから全中に、都市農業をどうされるのか一まあ、いままでのお話を伺っていると、都市農業を守っていく、こういうふうに受け取ったのでございますが、私たち先日、横浜の南農協と北農協を見していただきました。皆さん一生懸命なことは私たちもよくわかりましたけれども、北農協の中の機構を見ましたら、営農課というのがありまして、実際の営農を指導している部分の職員が七人、緑農課というところがありまして、緑地を守っていくという課があって、職員が五人、つまり、営農と緑を守るための職員が十二人です。これに対して不動産管理士の資格をとっておる人が二十人おったわけです。つまり、農協の仕事として、農地をつぶして他に転用していくという仕事のほうが大きくなっておる。そうしてこの農協では、預貯金か――ここへ貸借対照表を持ってきていますけれども、先ほど渡辺さんが何か十七億円の購買、販売をやっていると言っていましたけれども、預貯金が四百十五億円、貸し付け金が百二十五億円です。これだけ金が余ってくるから、当然、信用関係の仕事に多くの職員を使うのは私もわかりますが、その職員が何と百二十人、そして相談部がやっております相談においでになるのは、農地を守る、緑地を守るという相談が進まないで、畑をつぶしていく、そして住宅やいろいろなことにするという相談が圧倒的な形で進んでおるのです。松村さんが言われるように、農業協同組合の団体組織で、農民の団体組織であるから農民に密着するということならわかる。努力は一生懸命やっているが、進んでいる方向は、まっすぐに土地と農業と緑をつぶしていく方向に非常に熱心な形で回転されておる。これをどうするかということが、私は皆さんとともに検討してみなければならぬ。
 南農協に行ってみたら、ここには貸家経営部というのがありまして、ここの部員が千百六十四人、酪農部の部員が百八人、野菜部の部員が八百人。貸家経営部が千百六十四人で、農協の仕事がここへまっしぐらに進んでいっている、こういう形で、そこでこの部分が一番大きくなっている。そしてびっくりしたことには、営農部の仕事、営農事業の仕事があるかと思ったら、そうじゃなくて、兼業開発課なんですね。何の兼業かと聞いたら、やはり住宅を建てて、貸しアパートを建てて貸し家をやるという。こういう形のところで、非常にはっきりとこういう形で進んでいっているわけです。ここへ宅地並み課税がくる。ここへ今度は相続税がくる。だから、土地は一たまりもない、農業が一たまりもない、緑が一たまりもなくつぶされていく。これでいいのか。この農協をこのまま承認していく態度で臨んでいくのかというのです。これをひとつ松村さんに答えていただいて、同時に、片柳さんに、こういう形でお金が余る、だから今度の法案で、あなたがいましゃべられたような意見が出ておいでになって、どこか貸し付け先を探さなければならぬ。したがって、ここの農協の人は、十兆円預貯金を集めるというので、これが寝ずの大運動になる。ノルマが与えられている。営農の部面にはノルマも献身もない。十兆円集めることに献身的なことをしている。つまり、農業をつぶしていったお金が、あなたたちのところに余ってこれをもてあましているかっこうで、このつぶすことを押えないと、またもう一回同じことを繰り返していく。宅地並み課税でまたいく。こういう形、これが一つ、片柳さんに、これをどうするかという問題です。
 もう一つには、南農協でいくと――さっき北農協のことを話をしましたけれども、南農協でいくと、貸借対照表における預貯金が四百八十八億円、貸付金が百九十七億円、このお金を農民が営農や緑を守るために使うならば、皆さんの苦労もなくなる。これがとまっている。一町二反で青年たちが実にいい専業農業をやっています。もう感心しました。それで収入をあげる。だが、お金を貸してくれない。なぜ貸してくれないかといったら、市街化区域で施設農業をやろうとすると貸さない、ビニールハウスをつくると貸さない、緑地が何ぼか集まらなければ貸さない、こういう形で、農業を拡大していこうとすると、土地が何ぼ集まらなければ貸さない。こういう形で、お金は使わせない、貸さない方向でいこうとする。そして余るお金は、一方余るだけ確保しようとするから、ますますこの悩みが出てくる。
 この二つの点で考えてみなければならないと思うわけですが、松村さんには、この横浜の南農協、北農協のあり方、それから片柳さんには、こういう大きな矛盾がさらに進んでいくので、この点ひとつお答え願いたいと思います。
#52
○松村参考人 横浜南農協、北農協、非常に貯金の多い組合の事例で御指摘があったわけですが、神奈川県というのは、先生も御存じのとおり、宅地並み課税では県も市も非常に全国に先がけて模範的にやったところなんです。そうして緑地のものについては、最初の基準を越えて市街地の中に調整区域をつくっちゃって、そこの中で農業と緑を守ろうということをやっている県では、むしろ日本で一番進んだ県じゃないかと私は思っております。
 そこで、横浜の南農協、北農協も、営農七名も緑農五名ということでございますが、あすこは、ミカンは御存じのとおり専門連がございまして、あの神奈川の大きな産物であるミカンは、専門連のほうでとにかく扱っているということでございまして、ここの営農なり緑農課は、おそらく野菜とかその他の一般作目、そういうことだろうと私は想像いたします。
 それから不動産鑑定士のほうが多いというのは、これは一がいには人数でその重点がどこにあるかということはきめられないのじゃないかというふうに思っております。とにかく現実問題として、やはりどうしても土地に建物を建てるとか、売りたい――そういうふうに神奈川県なり市なりで一応きめた範囲内でやっていることだと思いますが、そういうものについては、不動産の鑑定士ですね、そういうものは非常に事務が複雑で、事務能率が上がらぬし、非常に一件についても事務のボリュームが多いというようなことも、先生の二十名という数字の中にあるのじゃないかと思います。
 それからちなみに申しますが、営農の場合も、露地野菜、そういうものは実はほとんどあまり農民の要求がないわけです。ハウスの果菜類ですね、こういうものについての指導なら非常に要望がある、そういう点もあると思います。
 そういうことでございますので、市街地の農協としてはわりとよくやっているほうじゃないかというふうにわれわれは見ているわけです。まあわれわれの指導が不十分で、この宅地並み課税が実施されますと、この辺ももうおそらく、いままでの例から見ますと、一ぺん取っても、その分は何らかの形で農家に返すというような方法を自治体はとるんじゃないかというように私は考えております。
 そういう感想でございます。
#53
○片柳参考人 農協の貯蓄についてはノルマをかけておってということですが、これはちょっと誤解でございまして、現在では年度末の貯金高だけを追及してもあまり意味はございませんので、各県の実情に応じましてむしろ安定的な農協の平均貯金の残高を着実にふやしていただきたいということで、もっぱら各県の自主的な推進にまかせるということでございます。
 それから余裕金の運用に関しての問題でございますが、私はかねてから、これだけの農協組織を持っておって、農地その他の不動産は概して組合員が保有しておりまするし、これだけの資金量を持っておるわけでございますから、この資金はできるだけ農業の振興、保持なり、またどうしても地域開発の必要なことば私はあると思います。それもやはり農協サイドなり農村サイドで、適当に緑も残しながら、合理的な農村的な開発ということばこれはやはり進めるべきであろうと思うのでありまして、そういう向きにむしろ系統の資金を実は積極的に活用すべきじゃないかというのが私の持論でございまして、私の郷里も東京都下の青梅市でございますが、大体同じようなことが進んでおりますので、私は、やはり農協が組合員と一緒になって、みだりに土地を離さないで、農協サイドで資金を活用して、できるだけ緑を残し、合理的な奥多摩開発をやるべきではないかということを申しておるような次第でございまして、単に土地をどんどん売らして貯金がふえるということの姿をそのまま肯定はいたさないつもりでございます。
#54
○津川委員 松村さん、渡辺委員が話した農協の販売関係の十七億、これは軟弱野菜をつくって横浜の中央卸売り市場に出しているのです。そういう点で、農協の扱っておる野菜が、農協から出ていく野菜が、市場で売られるものの、横浜市民の必要とするものの三分の一を占めている。だから、この農業は、守らなければならない非常に大事な農業であります。ところが、十七億じゃないのです。篤農青年たちは農協を通じて出荷していない。直接商店に持っていっている。そういう形のものが出てきて、その農民たちにお金が投資されない。また、いかないのだ。制限があって、投資できない。この点を片柳さんにも話している。このままでいくと、またお金がだぶつく。また、農民が使わないから、使わせないようなかっこうのものがあるから、これを排除しなければ根本問題が解決しない、こういっているわけです。
 そこでお二人に、このお金か――私たちは、この近代化資金の問題と貯金保険法案に賛成の立場をとっているのです。中金のものは、これから聞くことが心配なければ賛成できるし、そういう心配があるとすれば、その部分だけ修正しなければならないと思っているわけですが、これがたとえば私たちの青森県の陸奥湾、小川原湖の巨大開発の第三セクターにぶち込まれる可能性、道がある。そういうことであれば、これは考えなければならないと思っているわけですが、この点はいかがでございますか。これが一つ。
 片柳さんが先ほど、単協でも農民にも大きな人に一億、二億――渡辺さんは二億と言っている。これに直接貸し付けるという。私たちは農民の金融に対して三つの政策を持っているのです。一つは、資金を民主的に安く、そしてワクを広げて金利を安く、二つ目には、中小農民に差別的な融資をしない。まさに、片柳さんのいまさっき言われた意見は、中小農民はこれで差別される。したがって、出すことには私は賛成なんです。それと同じような情熱をもって、県連なり単協なりが、中小農業にも――いまの日本農業をささえているのは、自立経営農家じゃなくて、白書でも明らかにしておるように、ああいう形の人たちが農業をささえている。ここに片柳さんの言ったようなかっこうで大きく長期低利のやつを出す、それだけの政策、情熱が中小農民に対してあるならば――さっきの二つのことでここらにひっかかっている。これはどちらでもいいですから、解明していただければと思います。
#55
○片柳参考人 お答えいたします。
 具体的なむつ小川原の開発問題については、とくと事情も精査して対応したいと思っておりますが、私のほうでは、法案にもございますように、主として公共団体が構成員になっておるというところで、不動産業者等のウエートが比較的軽いということにもなると思いますが、そういうことが法律にも明記されておりますし、また具体的には、私どもは、地元の農協なりあるいは地元の信連等が賛成を表しない向きには、かりに形式上は第三セクターになりましてもこれは直ちに融資はいたさない、十分地元農民なり農協の完全な了解がなければ対応いたさないというはっきりした態度をとっていきたいと思います。
 それから、大きなところに貸すばかりでなく、中小農漁民に同じ情熱をもってやるということでございますが、農協の精神からしても、さような中小農漁民に前向きに対応することは当然でございまして、そういう意味で信用補完制度の整備等の拡充もお願いしておるわけでございます。ただ、実態を見てまいりますと、中小漁業者、中小農業者といいましても、裏を返しますと、兼業所得が多いというような実態ではないかと思うのでありまして、したがって、信用力の点からしても、農業の面から見れば中小であっても、全体の所得なり経済力から見てくれば相当な信用力もあるのではないかということでございまして、当然、金庫の使命からいたしましても、そういうような大きな向きにばかり傾斜をして、本来の中小農業者等を無視するということは絶対いたさないつもりでございます。
#56
○津川委員 片柳さん、私、一つの事実を指摘して、私の質問を終わりますけれども、青森県の信連の会長さんが第三セクターの重要な役員なんです。とすれば、いまのあなたの、県信連の段階で意見が来たならばというお話だと、非常に私そこで心配を持つわけです。いま現に持ったわけです。このことを指摘して、お答えあればいただきますが、なければないで私は終わります。
#57
○片柳参考人 私は、地元県信連の意向というだけではなくして、むしろ感触といたしましては、県信連の意向も聞きますが、さらにその下の関係のございます農協等の御意見を尊重してまいりたいということでございます。
#58
○津川委員 終わります。どうもありがとうございました。
#59
○藤本委員長代理 瀬野栄次郎君。
#60
○瀬野委員 農林中央金庫法の一部を改正する法律案等いわゆる金融四法について、本日は参考人においでいただきまして、貴重な意見開陳をいただきました。私も若干の点を各参考人にお尋ねいたしたいと思います。
 まず農林中央金庫法の関係で片柳参考人にお伺いいたしますが、今回の改正にあたりましては、五十年ぶりの改正でありますが、中金としてはどういう性格をもって今後対処されるのか。われわれも十分承知しておりますけれども、この機会に、冒頭あらためて意思の表明をお願いしたいと思います。時間の関係で簡潔にお願いします。
#61
○片柳参考人 今度のは一部改正でございますのは、やはり私ども農林中央金庫が農林漁業の協同組合の全国金融機関であるという性格には絶対変更を加えないということから、さような措置を政府はとったものとして了解をしております。
#62
○瀬野委員 片柳参考人にさらにお伺いしますが、農林中央金庫が五十年の存立期間を満了して再出発するのであります。いわば恒久的な立法ということにもなるわけでありまして、新しい立法形式による全面改正をすべきじゃないかということを先般農林省当局にも私はいろいろ質問いたしたわけでありますが、今回の改正は、遺憾ながら全面改正に至らなかった。承るところによると、中金では、もうすでに三年前からこれを準備してこられたことも事実であります。この中金法ができたときから、五十年後にはこういうことが来るということは前からわかっておったわけでありまして、今回の改正にあたっては、普通の法律であれば、当然、第一条にその法律の目的が述べられ、そして性格をはっきりしていくわけでありますけれども、今回は中身がはっきりしておれば外見はどうでもいいのだというような答弁があったわけですけれども、実際問題として現在かたかなの条文にもなっておる。当然ひらがなに訂正すべきだった。これにはいろいろ理由もあるのですけれども、この機会に、中金としては、この全面改正についてはどういう考えでおられたのか、また、今後この改正は、当分はこれは全面改正は考えられぬかとも思いますけれども、近い将来またこれらのことについてもぜひ考えておられるのか、その点もひとつ御意見を承っておきたいのであります。
#63
○片柳参考人 先ほどお答えいたしましたように、金庫の性格には変更を加えないというたてまえでございますので、私どもも当初は全面改正のことも論議をいたしましたけれども、昨今、今後の農業情勢なり、それに関連いたしまして農業金融情勢もきわめて流動的でございますので、この際は一応一部改正でよろしいのではないかということでございまして、しかし、いつまでもかたかなの法律ということも、かっこうも悪い次第でございましょうし、また、今回の改正では従来の五十年の時限法が恒久法に変わるということでございますので、今後大体の農業金融情勢の安定的な見通しがつきました際には、目的規定も掲げました根本改定は今後引き続き検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
#64
○瀬野委員 第五条には、政府は出資してないのに政府ということが残っております。これは将来、中金が解散することは考えられないですけれども、そういった場合にはこれは役立つかもしれませんが、政府がいろいろとまた出資をするような場合には、この五条だけではなくて他の改正もしなければ当然これはできないことでございます。そういった意味から、政府ということについての条文を削るということで中金も考えておられたようですが、これについてはいろいろ経緯があるやに聞いておりますけれども、中金としてはどういうふうに考えておられますか、これもこの機会に明らかにしておいていただきたいと思います。
#65
○片柳参考人 第五条に出資者資格として政府が入っておることの点でございますが、私どもこれを削除したらどうかというような意見も当初は持っておりましたけれども、いろいろ政府との折衝の過程で御意見を聞いてまいりますると、やはりわれわれ農林中金は政策に当然協力するところの特殊法人であるという性格をはっきりしてまいりたい、そういう意味で、もちろん、現在の資金力からしますれば、政府の出資等を仰がぬでも十分できる次第でございまするし、今後もさように努力をしていきたいと思っておりまして、ただ、政策協力をする特殊法人だという意味で、まあ潜在的可能性として政府が出資者たり得るという規定が存置されたものと私は了解しております。御指摘のように、解散のときに出資を仰ぐということは、これは全然考えておりません。また、解散時に政府が出資をすることもないでございましょうので、むしろ政府が一つの出資者たる資格を潜在的に持っているというところに、政府が極力われわれに協力をするという趣旨の表現というふうに御理解をいただいてけっこうではないかというふうに思います。
#66
○瀬野委員 ただいま解散という話が出ましたが、要するに私が言いたいのは、政府が出資者であるということは、農林中央金庫がいよいよつぶれて葬式でもするようなときには役立つけれども、それ以外には、これはあってもなきがごとし、こういう意味で申し上げたわけですが、意思の疎通がちょっと十分でなかったようですけれども、そういったときでなければ役に立たない。他に出資の必要があるときには当然ほかの法律をまた考えなければ役立たないので、有名無実じゃないか、こういうふうに思うわけですから、金庫の率直な御意見をお伺いしたわけです。
 次にもう一点、片柳参考人にお伺いしておきますけれども、陳述の中にもありましたが、今回中金が直貸をするということの問題であります。近代的な経営を目ざす農林漁業者に、大口または長期の資金需要に対して単協、信連が現在対応しておるわけでありますけれども、資金量、また危険負担等から見て十分に対応できないものに対して、中金が農林漁業者に貸し付けができるという道を開いていただいて、けっこうなことでありますが、これについては、先般、政府にも時間をかなりかけて私いろいろと質問をいたしたわけです。その結果、政府側としてはいろいろ考えておられるが、その中で特に現在政府として考えておることは、融資協議会というものをつくって、いろいろと関係者相つどい、いろいろと検討していただいて、単協その他に意見を聞いてやることを考えておる、こういうふうな答弁をいただいたわけです。私、従来の資金の貸し付けの状態からいろいろ見てまいりましたときに、えてして、こういった大口、長期の資金になりますと直貸ができるというので、中金が直接これをどんどんやっていく、やはり農協のいろいろな営農計画その他にも影響して、農協自体もまた今後の計画に支障を来たしてくる、またいろいろな問題が起きてくるということも事実であります。かといって、農協にいろいろとまたこれをきびしく意見を求めておると、いろいろ過去に焦げつきあるいは問題等があった場合には、それがいつまでもしこりとなって残ってみたり、えてして、地方になりますと、選挙のしこりなんかで反対、賛成というような感情論まで入ってきて、なかなか意見がスムーズにあがってこない。そうなると、せっかく道が開かれても金が貸されないというような、いろいろなことの要素が重なってくるのも事実であります。現に農林漁業金融公庫の貸し付けなんかはそういったことがたくさんありまして、せっかくの資金があっても、まじめに立ち直って真剣に大規模に経営を拡大して営農改善をやろうという人が、なかなかそれに乗れないというような問題がある。また資金を融通するにしても、今度はその進捗状況によっていろいろと意見を求めるというようなことで、なかなかきびしいものがある。先ほどの答弁では、担保等についてもいろいろお考えのようでありますが、そういったことを思いましたときに、政府が言うように、なるほど、融資協議会というようなものをつくって、そこでよく検討し、やっていただく、これも一つの方法だなと思っておりますが、そういったことも中金は考えておられるのか、そのほかにこういったことについてどういうふうに考えておられるか。もちろん農協の意見も十分参酌しなければ、この資金が農協のいろいろな営農計画その他とマッチしないと、またまずい点も起きてくることもありますし、かといって、またあまり片寄り過ぎると、今度は資金そのものを借りる人がなかなかまた借りられないというようなことにもなってくる。むずかしいところであろうかと思いますが、詳しくは例をとって申し上げることはできませんが、その辺のことについて、今後のためにひとつこの場で理事長の見解を明らかにしていただきたい、参考までにお聞きしたいのであります。
#67
○片柳参考人 政府当局がどういうお考えか、協議会というおことばを使っていまお話しでございますが、私どもは単協、信連、金庫、三者一体という考えを従来も持っておるわけでございまして、並列的な協議会というよりも、当然私どもは、信連、特に単協の意見を十分に聞いてこの貸し付けは決定してまいりたい。当初に申し上げましたように、金庫の機能はあくまで単協、信連の機能を補完をするということでございますので、名前はいろいろつけてもよろしゅうございましょうが、あくまで特に単協を中心として、その上にある信連と十分相談をして、信連なり単協が貸し得るものを侵犯することのないようにやってまいりたい。ただ、御指摘のように、それをあまりやりますると、新しい農業経営等については、多少貸し付けが単協ではリスクを負うという関係で逡巡する向きもございましょうので、そういう点は十分にいろいろ指導をされながら対応してまいりたいということでございまして、せっかくの制度でございますから、単協の権限を侵犯してはいけませんが、そうでない限度においては、この資金が活用されることを強く要望しておりまして、御承知のように、これは農政審議会でも全会一致で支持された意見でもございますので、運営には御指摘の点を体してやってまいりたいと思っております。
#68
○瀬野委員 松村参考人にお伺いします。
 宅地等の供給事業についてであります。御承知のように、今回の改正によって、組合員の委託を受けて実施する場合、それからまた、組合員から借り入れて実施する、組合員から買い入れて実施する場合、要するに何でもできるということに今度なったわけであります。そこで、われわれを含め、また一般にも、農協が脱農協といいますか、本来の農協の姿から、いわゆるこういった不動産的な仕事にずいぶん姿が変わっていくということで心配もされております。それには十分指導、注意もしていかれると思うのですが、そこで、このいわゆるレンタル制の問題についてはいろいろ今後問題もあるわけですけれども、端的に申しまして、一たん貸し付けますと、六十年間、しかも都市においては八〇か九〇%借りたほうに権限が帰属するということで、実際問題としてこのレンタル制がどの程度期待が持てるか、また、道を開いておけば期待にこたえられるんだということで、道だけ開いておくんだという考えなのか。この貸し付けについても、当然二十年、三十年と、木造の場合は二十年ということで、かなり期間が長い、また、そういった農家の方も相当な年齢に達している、こういうようなことを考えましたときに、実際問題として土地を提供をする人がどのくらいあるか、さらに借地権の流動化の問題、相続税の問題、また借りる側がどういうふうな責任を持つべきであるかという問題等、いろいろ問題が多いわけです。事実、私どもこの点は検討事項になっておりまして、いろいろ今回法案の審議にあたっては詰めなければならぬ点がたくさんあるんですけれども、こういったレンタル制に対して、中央会としてはどういうふうにこれを評価し、どういうふうな今後の見通しを立てておられるか。実際にどれくらい期待が持てるものか、土地を提供する人がどのくらいあるというふうに大体推定しておられるものか、その辺ひとつ御意見を承りたい、かように思います。
#69
○松村参考人 土地のいわゆるレンタルでございますが、先ほどもお答えいたしましたように、委託を受けてやるということを中心に考えていきたい。これはもうインフレヘッジと申しますか、そういうことから、買い取るということになりますと、五年もするとまた組合員が非常に困る状態になるだろうということが、われわれの基本的な考え方でございます。ただ、瀬野先生のおっしゃるように、非常に借地、借家のほうの問題とか、いろいろございます。したがいまして、これはいわゆる農住構想によって一つの農住をつくる場合に、その中に、全部借地、みな貸していいんだという人ばかりでないんだと思います。その中に、いや、もうこの際だから、おれはここを出て空気のいい郊外に移るんだ、あるいは売った金で郊外に農地を求めてやるんだという人も中には出てくるだろうと思います。そういう人のためには、やはりそういう条文もあったほうが現実的であるというふうに考えております。レンタル制そのものは、なかなか瀬野先生のおっしゃるようにそういうむずかしいいろいろな条件が付帯します。だから、そう急激に一ぺんに農協が土建屋になるということにはならぬので、われわれ組合員には生産、生活という両面があるわけでございますが、健康問題とか、あるいは食生活の問題とか、あるいは集団的にいいものを安く買い入れるというようないわゆる購買事業の問題とか、いろいろ生活事業の中は広範でございますが、やはりその一環として、特に都市地帯の農協等については現実問題としてそういうものが起きる。また、そういうことを農協がやらないと、現実問題として、この宅地並み課税等がそのまま実施されますと、おそらく大部分の土地は、勤労者あるいは公団とか、あるいは国とか地方自治体に渡るのではなくて、デベロッパーの手に渡ってしまって、またそこでかさ上げされて、高いもので当然勤労者の手にも入らぬようなかっこうの土地の価格になるのではないかというふうに考えております。
 以上です。
#70
○瀬野委員 もう一点松村参考人にお伺いしますが、農協合併の促進と系統組織の再編成問題ということで、これも三年前から私は何回か農林省側にもいろいろと質問をしてきたところでありますが、御承知のように、単協の全国連加入については、法律では認められておるし、やってはいけないとはいっていない。また、地方によってはぜひこれを認めてくれという要請も強いわけで、いろいろ機運が出てきておるところであります。だんだん広域化してくる関係から、中央会でもいろいろ検討しておられるのではないかと思いますが、やはり中間手数料を取られずに何とか全農からストレートにおりるようにしてくれというようなことを要請しておられる。そこで、組織三段、事業二段、こういうふうにいろいろいわれておりますが、これらについては当然時代の趨勢から検討していかなければならぬときに来ている。また、当然こういったことが近い将来やってくるというふうにも考えられるわけですが、中央会ではどういうふうにこれを現在検討しておられるのか、どういう考えであるのか、ひとつ簡潔にお答えいただきたい。
#71
○松村参考人 大型農協の全国連直接加入の問題については、大型農協協議会と、それから全中、全農、全共連という間でいまだに交渉が続いております。組織三段、事業二段といたしましても、実際問題として、たとえば最近の農業経営等は、戦前に比べてやはり非常に作物の種類が少ないということで、農家自身か生産者であると同時に農産物の購入者であるという部面が相当出てまいっております。したがって、単協段階でまず品物をこなす、それから県の段階でまずこなす、それから大資本向け等は全国連でこなす、販売事業についてもそういうことが言えると思います。購買事業についても、全国的に集中購買したほうがメリットが上がるものと、県段階で購入したほうがメリットが上がるものと、あるいは、とうふとか、そういうようなむしろ単協段階で共同購入したほうがメリットが上がるものと、いろいろあると思います。したがいまして、これは品物と土地の場合によって、あるものは二段でもいいし、あるものは三段でもいいというかっこうになると思います。そういうような経過を経てこの問題は解決されていくのであろうと思います。特に大型農協の合併の問題につきましては、全中の総合審議会のほうで一応の結論は出ておりますが、その農協を合併するについて整備すべきいろいろな条件があるようでございます。そういう条件の整備がないということで若干手間どっているというかっこうでございます。
#72
○瀬野委員 最後に、織井参考人にお伺いして終わりたいと思いますが、まず第一点は、国鉄の運賃値上げ問題で農林水産物について価格影響をどう考えておられるかということをお伺いしたいのであります。御承知のように、自動車メーカーなどは六・八%の値上げでございますが、米や麦は二九・六%の値上がりであります。このような値上がりでは、農家にこれがはね返り、営農活動にたいへん影響をもたらすことはもう当然であります。そこで、全農としては農林漁業者への影響をどう考えておられるか、これにはどう対処しておられるか、このことが一点。
 それからもう一点は、今後こういった農協もいよいよ内国為替を扱ったり、レンタル制等相当いろいろなことをやりますと、かなり金を扱うということになります。そうなると、従来でもえてして焦げつきその他事故が起きておりますが、今後の農協のいわゆる経理監査、こういったことについてはきびしくやっていかなければ、たいへんなことになってくる、影響度が大きくなる。いわゆる為替を扱うと、一カ所でこれが間違いを起こしますと相当影響が出てくるということになりますので、その点どういうふうに対処されるのか、その点も若干簡単に触れていただきたい。
 もう一点は、軽油不足によって田植えができないということで農家がたいへん困って、いろいろ問題になっておりますが、その点にはどういうふうに考えておられるのか、簡潔にお答えしていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#73
○織井参考人 いまの運賃問題でございますけれども、この運賃問題については、従来から特別の取り扱いを生産性物資、肥料、農薬、えさ等に受けておりましたが、今度はそれが撤廃されて、しかもそれが運賃値上げというふうな現象になったことは、われわれとしても非常にたいへんな問題だと思います。しかし、われわれのほうは、運賃値上げのいままでの経過の中でやってきたことは、肥料について、農薬について、えさについても、極力それを自分の合理化で吸収するというふうな体系をとってきたわけでございます。したがって、過去五年の三回の運賃改正の中でも、肥料が五年間に大体において〇・六%アップ、それから農薬については一〇〇に対して九五%ということで、むしろ合理化によって農薬の価格を現在まで下げてきておるというふうなことで、極力吸収したいというふうにも考えてございますけれども、この運賃問題はいろいろな意味で影響が大きいので、われわれとしてはこれに対する特別なお取り計らいをお願いしたい、こういうふうに考えてございます。
 それからもう一つは、灯油の問題につきましては、これは非常に問題でございまして、国鉄の一月からのいろいろな支障がありまして、現在のところ灯油が足りないというふうな現象がありましたが、これは現在関係している製油メーカー及び政府等にも御相談願って、この問題は至急優先的に解消していただきたいというふうな運動もしております。
#74
○瀬野委員 じゃ、以上で終わります。
#75
○藤本委員長代理 神田大作君。
#76
○神田委員 時間の関係がありますから、いろいろとお尋ね申し上げたいことがありますので、簡単に私のほうからお尋ねし、ひとつ簡単にお答えを願いたいと思います。
 まず、中金の片柳理事長にお尋ね申し上げますが、日本の農業の現状においては、いまの貸し付け金利では農業をやってもとうてい引き合わない、これが実際の現状です。そういう意味合いにおいて、実はきのうも大臣にも、利子補給によって農業の経営拡大のための貸し付け金利の引き下げをしなければ、これはいかに農業基本法でもって日本の農業を守るとか拡大するといっても、できないのじゃないか、こういうことを申し上げておきましたが、これはひとつ中金としても、先ほど委員からも質問があったと思いますが、農協の預金の預かりが少し高い、したがって貸し付けも金利が高くならざるを得ない、こういう現状に対して、近代化をして金利の引き下げに努力をしたいと申されておりますが、この点をひとつ御協力願いたい。
 それと貸し付けに際しましての手続の敏速さ、いつまでも調査研究等をして時期を失し、あるいはもう手続がめんどうだというようなことを再々いわれておりますが、こういう点につきまして、中金としても事務的な充実をはかって、敏速果敢な貸し付けをしてもらいたい、こういうように思いますが、この二点についてお伺い申し上げます。
#77
○片柳参考人 系統の貸し出し金利を極力下げる努力をすべきことは当然でございまして、先ほども他の委員にお答えをしたような次第でございます。しかし、実際問題としては、極力努力はいたしますけれども、そう速効的な期待はなかなかむずかしいというのが私は現実ではないかと思います。また、御指摘のように、貯金する側からしますれば、利回りのいいことを期待しておりましょうし、借りるほうは安いことを期待する、そういう関係もございますので、今後できるだけ単協、信連一体となりまして預金施設の改定、合理化等にはつとめていきたいと思っております。御指摘のような、どうしても現在の金利等では対応できないというものについては、結局、現在の農業近代化資金制度を拡充強化するという以外に現実の対応はむずかしいのではないか。農業近代化資金についても、相当無理をして五厘下げたところが、また五厘コストアップという現状に直面していることも御承知のとおりでございまして、もちろん極力今後も努力をしてまいりたいと思っておりますし、現に農林中金は前年度に三回にわたって、たしか短期資金は七厘五毛、長期資金は五厘ないし七厘引き下げておるという状況でございまして、今後も努力をしていきたいと思っておりますが、ただ、預金金利の引き下げというコストアップの事態との関連は、できるだけ努力はいたしますが、当然その事情は考慮せざるを得ないという現状でございますことを御高承いただきたいと思います。
 それから貸し付けの簡素化、敏速化については、これはもう言うまでもない次第でございまして、今日までもいろいろな研修会なりいろいろな指導面でこの辺は極力努力をしておりますが、今後、いろいろな制度資金が非常に農民にもわかりにくいというような事情もあるようでございますので、その辺のことも信連と一体となりまして努力をしてまいりたいということでお答えといたしたいと思います。
#78
○神田委員 次に、中央会の松村常務にお尋ねしますが、出かせぎ農業から、専業農業を育成していく――われわれの部落等を見ましても、ほとんど出かせぎをしておる。専業農家というのは、この間まで私の部落では二戸専業農家をやっておった。ところが、これも、今度近くに工場ができたので、もう出かせぎしたほうがいい、農業をやったのでは引き合わぬというので、出かせぎに行ってしまった。こういうような、専業農家を育成するという政府の方針やわれわれの希望を裏切ってほとんどが兼業農家になっていくこの現状において、私は畜産、それから養蚕あるいは青果物、これはもちろん施設園芸等による青果物、果樹、これらを中心とするところの専業農家の育成に対して、やはり相当大きな資金も要ると思いますが、これは長期、低利資金を、中金等あるいは近代化資金等、あるいは政府等とも検討をしてこれをつくっていかなければ、日本農業は没落していくと思うのです。片手間に農業をやっていくというような、こういう農業をこのままにしておいて、世界の農業と競争していけるわけはない。片手間に、ただ自分が土地を持っておるからやっておるんだ、あとはみんな出かせぎしていくんだというような考え方をこの際もうふっ切って、兼業は兼業農家、専業農家は専業農家で育てていくという、そういう方針を立てるために、これは思い切った施策をひとつとってもらいたいと思いますが、それに対する考え方をお尋ね申し上げます。
#79
○松村参考人 神田先生のお尋ねでございますが、実際問題として非常にむずかしい問題でございます。農産物の価格が安いとか、そういうようなこともございまして、結局、じみちに土地で働いても、むしろ兼業にいったほうが収入が多いというようなことがこういうふうな事態を招いていると私は思います。したがいまして、われわれとしてはやはりできるだけ生産性を上げなければいかぬ、しかし、土地所有の問題があるということで、集団生産組織ということをいっておりますけれども、その中核に専業農家を置いて、そしてさしあたり現段階では土地所有には手をつけず、経営の集積というようなかっこうで、こういうような畜産、養蚕、青果物等を中心にして始めて、そしてその中から兼業一本にいく人はぼつぼつ兼業の専業になってしまう、農業に残る人は農業に残るというふうな方法しかないんじゃないか、そういうことを考えます。そういう意味では、やはり集団的に、土地を売れと言っても、大体高いし、また手放しませんし、そういう意味で、経営を集積するというような発想の上で進めていきたい、現在そういうふうに考えております。
#80
○神田委員 集団農業をやると言っても、実際問題としてはなかなか進んでおらないようでありますが、この点は、われわれとしても、日本の農業を今後どうしていくかということで、いま松村さんが申されたようなことを推進する以外にはないと思いますが、それにはやはり政府並びに農業団体が一体となって、そういうものができる一つの体制をつくってやらなければならない。私は、養蚕なら養蚕をたとえば十町歩、あるいは養豚なら養豚三百頭、あるいはまた、牛ならば百頭というような、やはり大規模な、しかも近代化できる、日本に適した近代化農業を入れたものを、やればやれるんだ、実際やっている人もおるんだ、実際やって相当の収益をあげて、出かせぎなんかするよりもよほど愉快に農業がやっていけるのですから、そういう条件のあるところを見つけ、そういう条件のものに、そういう資金なり、そういう指導をしていくということは非常に大事なことだと思うのです。それ以外に日本の農業の生きる道はないと私は思うのです。そういう意味合いにおいて、そういう御努力をひとつ農業団体全体として政府と連携をとりながらこれはやってもらわなければならぬ。そうしなければ、われわれが十年前につくった農業基本法は空文化してしまう、何らの意味もない。そういうことについてひとつ御検討を願い、御努力を願いたい、そういうように考えます。御答弁はけっこうです。
 次に、全農の織井常務さんにお願い申し上げますが、いま大商社が、あるいはまた、その下の大きな問屋等が中心となって、買い占め、売り惜しみをしている。綿糸、生糸、木材から、あらゆる食料品、マグロの川船買いというように、もう買えば必ず上がる。これは株式会社としていわゆる金をもうけるということが目的であれば、それはやるなと言っても、やるわけです。しかし、これを牽制するのは全農としての使命であろう。これを牽制して、買い占め、売り惜しみに対しまして、組合員やあるいは国民に全農としての使命を果たしていく重大な使命があると私は思うのです。これらに対しましては、海外貿易の拡大等についてももっと積極的な努力をしなければならぬし、あるいはこの職員等に対しても技術指導をやって、こういう大商社の独占企業に対してこれを牽制し、これを是正する大きな使命が全農に与えられておると私は思うが、これに対しまして織井常務さんとしてはどう考えられるか、お尋ね申し上げます。
#81
○織井参考人 いまの問題は非常に基本的なわれわれに課せられた問題だと思います。そのために協同組合の全国機関というものができ上がっている、われわれはそれが使命であるというふうに心得てございます。現在起こっている大商社の買い占め等の問題は、協同組合の陣営から言うと、協同組合がいままでもう少し強力にこの問題に対して進めていれば、ある程度組合内の問題は防げたであろうというふうに考えております。それに対して、われわれは現在までは一応えさについては大商社を排除して、アメリカならアメリカ、アルゼンチンならアルゼンチンの協同組合とじかにつないで、船も持ち、港も持って、持ってくるという体制を整えてございますので、そういうふうな体制をえさについてやっておりますし、これから畜産の、肉の輸入、子牛の輸入等もそういうふうな体系で、自分自体で購入し、自分自体のルートによって流していくというふうなことをやっていきたいというふうに思っております。
 それから、特にこれからの木材の問題エネルギーの石油の問題等についても、政府にも配慮していただいて、そういうふうな災いをかぶらないような体制を築いていきたいというふうに現在計画中でございます。
 それから一方、国内の全体の消費に対するいまの直結問題がございますが、これなんかも、農村においてももう少し消費問題というものの意識を喚起するような措置もとりたいし、それから都会においては、都市農協と提携して全体の基盤として農業協同組合的意識をもっと盛り上げてこういう問題を防いでいきたいというふうにも考えてございます。
 以上でございます。
#82
○神田委員 時間がありませんから、私はそのほかたくさん聞きたいことがありますが、一点だけ、その点についていま一回お尋ね申し上げますが、それについては、中金は、今度の法律改正でもって、資金のいわゆる貸し付けワクを拡大しているというような、やはり膨大な資金をかかえて、農業外にも金を貸すという。しかし、農業外に金を貸す前に、全農等との連携によってこういうときにこそ真価を発揮させるべきではなかろうかと私は思うのです。こういう意味合いにおいて、長い間農業の発展のために尽くしてきた中金あるいは全農等が、この日本のインフレ増進の中において暴利をむさぼっておるいわば一部の業者に対しての警鐘とならなきゃならぬ、そうしなければ、われわれはやはり全国的な組織を持った意味はなさないと思う。そういう意味合いにおいて、ひとつ政府もこれはやはり全農との連携をとって、おまえら一体何をやっているんだ、材木はこんなに高くなっている、あるいはまた綿糸はこんなに高くなっている、あるいは食料品はこんなに高くなっているじゃないか、それらに対していかなる手を打っているんだ、あるいは、えさはただ政府の払い下げだけを待つべきじゃなしに、麦類等の増産等につきましても、私はきのうも大臣に申したんですが、まことにどうも消極的です。引き合わないものは、つくれと言ったってつくらないのだからしようがないのだ、そういうような態度でもって日本の農業は守れるわけがない。やはりこの膨大な冬作のあき地、これをどう利用するかということについても、飼料の対策として緊急になさなきやならぬ。えさが足らぬからといって、各国へおじぎをして回ってそして買い集めるというようなことをやっておったんではならぬ。食糧ももう世界的な危機に立っておる。生産調整なんかもうやっておる時代ではない。しかし、狭ければ狭いようにこれを有効適切に利用するという施策を、全農としても中金としても、あるいは中央会としても、ひとつ各農業団体が連携して政府と連絡をとりながら、この日本の農業の危機、インフレの危機を克服してもらいたい。それが農業団体の私は使命であろうと思いますので、その点について、一言ずつでけっこうでございますから、各代表から御答弁を願います。
#83
○片柳参考人 私も、昨今の買い占め、売り惜しみの実態を見てまいりまして、こういうときにこそ、営利を追求しない組織である協同組合が非常な力を発揮すべきであるということは、まことに同感であります。したがいまして、従来も全農その他には融資の面でもちろん最大限の協力をいたしておりまするが、そういうような配給問題なり流通の改善問題に即しまして全農等と十分連絡を密にいたしまして、御指摘の線で強力に取り進めてまいりたいというふうに考えております。
#84
○松村参考人 神田先生のおっしゃることについて、重複しないでお答えしますが、麦類、大豆、飼料作物、そういう点について、政府と連絡しながら、研究会を持って、目下われわれのほうで取り進めております。ただ価格の問題そういう問題等がございます。麦も六月末までにきめなければいけません。そういうことで、また先生方に、構造改善と価格政策と、農業というものは同時並列的に進めなければ効果のあがるものでございませんので、構造政策もまことにけっこうでございますが、だからといって価格政策が要らないということではございませんので、ぜひともそういう点のお力添えをお願いしたいということでございます。
#85
○織井参考人 私は前からいろいろ主張しておりますけれども、いま世界の大勢を見ると、欧州のほうは大体において自由圏も協同組合的社会というものを基盤にして国の運行をやっている、それに対して政府が特に農業面も生活面も応援している、これからの日本の行き方というものは、やはり農村における協同組合的社会、都会における協同組合的社会というふうなものを基盤に置いて運用することがこれからの方向であろうというふうに考えておりますので、もう少し国会も政府のほうも協同組合的な一つの社会の建設に応援願うことが一番の方法だというふうに考えております。
#86
○神田委員 終わります。
#87
○藤本委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後一時二十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時六分開議
#88
○藤本委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。林孝矩君。
#89
○林(孝)委員 午前中参考人の意見をいろいろ伺いまして、今回の法改正にあたっての課題あるいは問題も論じられたところであります。それを勘案しまして質問に入りたいと思います。
 最初に、農協経営の今後の見通し、これに対する対策に関して、午前中も論議されたところでありますけれども、農協が農協本来の事業に積極的であるのかないのかという問題がありまして、各委員からも積極的でないのじゃないかという意見もありました。また、その組織基盤も非常に非民主化しつつある具体的な事例もあげられたところであります。一般的に見て、農協としての性格が希薄化しているという心配を持つものの一人でありますが、この点について見解を承りたいと思います。
#90
○内村(良)政府委員 農協の経営は、これまでわが国経済の発展に応じまして順調に伸長してきたわけでございますが、御承知のとおり、米の生産調整等による経済事業部門の収益の停滞のほか、一昨年の秋以降、金融緩和の浸透によりまして、信用部門の収支も悪化しております。さらに支出の面を見ますと、人件費の増高というようなことがございまして、農協の経営は楽観を許さない状況にあるというふうに私どもは考えております。
 このような情勢の変化に対応いたしまして、農協の機能の低下を防止するためには、やはり農協の経営基盤を強化してやらなければならない。それではどういうことをやるのかということでございますが、農林省といたしましては、農協合併を促進し、農協経営の基盤の強化をはかると同時に、いろいろな面で業務の合理化というようなものを行ないまして、経費の節減をはかるという必要があると思っております。
 さらに、米の生産調整の関係で、倉庫部門、これは四十四年、四十五年には黒字であったわけでございますが、これが赤字になっておりますので、倉庫の整備等につきましては、四十八年度の国の予算で補助するというような措置を講じておりますけれども、そういったことを通じて農協の経営の合理化をはからなければ、なかなかむずかしい事態になっているというふうに考えております。
#91
○林(孝)委員 楽観が許されないという事情であるということであります。
 そこで、都市農協の組合員事業等の実態がどのようになっているか、明らかにしていただきたいと思います。
#92
○内村(良)政府委員 都市農協は、農業経営者の老齢化と兼業化の進行によりまして、大都市特に大都市周辺で組合員の老齢化と兼業化が進んでいるということで、都市農協といわれる農協ができているわけでございます。
 その実態がどうかということでございますが、都市農協の特徴といたしましては、農業がどうしても縮少してまいりますので、農業関係のいわゆる経済事業、販売、購買が減っている。それから半面、土地代金の関係で預金がふえていくあるいは兼業収入がふえるということで、信用事業が非常に膨張していくということで、経済事業が縮小し、信用事業が膨張をする。さらに組合員が農家でなくなっていく人もございますので、正組合員が多少減りまして、一方準組合員がふえているというようなことが、都市農協の大きな特徴になっておりまして、そういった実態になっておるわけでございます。
#93
○林(孝)委員 そうした都市化地域における農協の今後の役割りといいますか、こうした問題に対しては、この際、今後の問題として位置づけといいますか、そういうものをはっきりしておかなければならないのじゃないかと思うのですけれども、どのようにお考えになっておるか、伺いたいと思います。
#94
○櫻内国務大臣 私は、都市化地域の農協の現状というものはまだ相当流動的だと思うのですね。それだけに、これからどうするかということを私どもが行政指導の上で考えていく必要の面がありますが、やはりこういうものは実態が十分固まっていかないと、なかなか行政指導といってもむずかしい面があると思います。たとえば、いま都市化地域の施設園芸などがすっかり定着をした、それでそれが相当な分野を占めておって、それに加えて信用事業も活発に行なわれておるというようなことになってくると、そこに一つの固定した形が出てくると思うのです。私は、少なくとも農協という以上におきましては、そういうような姿、そういうものに応じた農協ということであれば、それに伴うところのこれからの農協のあり方というものが考えられると思うのでございますが、まだ概してどうもそこまでもいっておらない。これから農地が宅地のほうへみないってしまうのか、いや、いまのままである程度はとどまるのか、そういう流動的要素がございまするので、一がいにまだ言えないという段階じゃないかと思います。
#95
○林(孝)委員 午前中の論議の中にもあったわけでありますけれども、いわゆる農地の用途変更、また具体的にいいますと、ゴルフ場に貸していくということに対して、農協も一枚加わっているという事実も同僚委員の中から指摘されました。こうした問題は、あとの質問に関係するわけでありますけれども、私が最初に申し上げました農協本来の事業という面と相反する一つの事業ではないか、かようにも考えられるわけでありますけれども、こうした傾向が大きくなればそれだけ社会的に起こす問題もあらわれてくるわけでありますし、その点についても大臣から明快なる答弁をいただきたいわけであります。
#96
○櫻内国務大臣 農協が組織されるには当然本来の目的があるべきでございまして、それが付帯的な事業、あるいは付帯というよりも別途の事業のほうに手が伸びていくということになりますれば、それはもう農協の本質を失うわけでございまするから、そういう場合にはそれに対処した方策を考えなければならないと思うのでございます。
 ただ、都市周辺における農協というものが、私はいまの公害問題などで、都市周辺の緑の尊重というようなこと、あるいは園芸とかまた温室――くだものとか花卉ですね、こういうものの都市生活の上においての必要度というものが相当高まってくるということになりますると、土地が他に転用されればその価格に応じた相当な収益になる、しかし、農業をやってまいりましても、花とか温室、くだものによって相当な収入を得られるということになると、他に転用せずにも、その都市の新しい生活形態に応ずる農業が行なわれるということも考えられます。全然その本来の農業から離れたそういう事業に行く場合は、これははっきり農協としての性格を失ったと判断すべきじゃないかと思います。
#97
○林(孝)委員 そこで、もう一つの問題は、農協の合併ということが行なわれつつあります。まずその実績と農林省の考え方、これをはっきりしていただきたい。特に最近、たとえば一つの県一円に一つの地区という形になって、農協合併の動きが見られるところもあります。農林省はこれに対してどのように考えられておるか、お伺いしたいと思います。
#98
○内村(良)政府委員 まず最初に、農協合併の実績でございますが、昭和三十六年に農協合併助成法が制定されまして、その後昭和四十一年、四十五年及び四十七年の三回にわたって同法の一部改正が行なわれ、昭和五十年三月三十一日まで農協合併助成法の適用期限が延長されております。この間、農協合併は進捗いたしまして、この農協合併助成法の適用を受けて合併に参加した組合は、昭和四十七年三月末日現在で八千百九十七組合、合併組合は千九百三十二組合に及んでおりまして、昭和三十六年三月末日現在の総合農協の数一万二千五十組合から四十七年三月末では五千六百八十八組合に統合されております。しかしながら、現在なお小規模組合が多く、最近における農業及び農協をめぐる諸情勢の急激な変化に対応いたしまして、農協経営の体質の強化をはかるためにはさらに合併を促進する必要があるというふうに考えておりまして、農林省といたしましては、四十八年度から新たに広域合併の推進及び育成指導について、農協中央会に対する助成措置を講じておるところでございます。
 次に、最近県一円を地区とする農協合併の動きがございますが、これはなかなかむずかしい問題がございます。したがいまして、農林省といたしましては、その取り扱いにつきまして現在いろいろ検討しておりますが、いまだ結論を出すに至っておりません。
 そこで、どういう問題があるかと申しますと、まず第一に、組合の地区が非常に広域化いたしまして、組合員の数が著しく増加いたします。そうなりますと、やはり農業協同組合というものは協同組合でございますから、人と人とのつながりが非常に大事でございますが、その辺が希薄化するという協同組合組織の根本問題がございます。それから、現在農業協同組合につきましては、系統三段階制をとっておりますけれども、県一円を地区とする単協ができますと、三段階制の問題に非常に大きな影響が起こってくるわけでございます。そのことは、系統内部にある意味での混乱が生ずるおそれがございますし、さらに、現在の農協法上信用事業と共済事業についてはやや特殊な扱いをしておりますけれども、それが県の連合会と単協が一本になりますと、実際には県一円の単協ということになりますので、現在の連合会に付与されているいろいろな権能よりも活動の範囲が狭くなる、業務の範囲が狭くなるという問題があるわけでございます。そういったいろいろむずかしい問題がございます。
 そこで、先般以来繰り返し申し上げておりますけれども、農林省といたしましては、本年予算を取りまして、二年計画くらいで農協制度問題に取り組んでみたいということを考えております。その検討会でこの問題も検討の一つの事項として十分検討してまいるべき問題ではないかというふうに考えております。
#99
○林(孝)委員 その二年計画で検討を加えていくというのですけれども、農林省としてはどういう方向にという方向性が、検討していく上において定まっておるのか。もし定まっておるなら、その内容とどういう方向に持っていくべきかという方向性を明らかにしてもらいたい。定まってなければそれでけっこうなんですけれども、その点はいかがですか。
#100
○内村(良)政府委員 さしあたり検討すべき問題は、先ほど先生からも御指摘がございました都市農協の問題、それから系統三段階の問題と同時に、ただいま問題になりました一県一農協というような問題を重点的に検討したい。
 それを、じゃ、どういう方向に持っていくのかということでございますが、その方向については現在のところ白紙でございます。いろいろな学識経験者あるいは関係者の意見等も十分聞きまして、問題を煮詰めなければならない重要な問題だというふうに考えております。
#101
○林(孝)委員 非常に重要な問題でありますので、十分な検討をしなければならないことにおいては同感でございます。
 さらにもう一つ、現在の農協の中で起こっている問題の一つに、いわゆる不正事件というのがございます。どうしてそういう不正事件が起こったかということについては、そのケース、ケースによっていろいろな原因があると思いますけれども、その発生状況、そして先ほど答弁がありましたように、非常に人間的なつながりが多いわけでありまして、その影響がその地域に与える問題も社会問題化しているところもありますし、また痛烈なマスコミによる批判がそれに対して行なわれているということも事実であります。したがいまして、そうした不正事件に対する農林省の対策というものもこれあわせて考えなければならない、このように思うわけでありますけれども、いかがでしょう。
#102
○内村(良)政府委員 まず最初に、最近における農協の不正事件の件数、それによる金額でございますが、四十二年度は件数が百一件で、それの関係の金額が四十億になっております。四十三年度が七十三件、十五億八千万円、四十四年度が七十一件で十億二千四百万円、四十五年度が六十二件で十四億円、四十六年度が六十件で二十一億六千万円というふうな不正事件が起こっております。
 この不正事件を大体類別いたしますと、第一は、不良貸し付けと申しますか、理事者が貸し付けてはならないところに貸したり、それから非常に経営の不安定なところに貸して、それが焦げついている。さらにその場合に、理事者の背任というような問題が起こっているというようなケース。それから他のケースば、職員の横領と申しますか、職員が農協のお金を使い込んでしまったというようなケースが多いわけでございます。
 そこで、こういうことがなぜ起こるかと申しますと、私の見ているところでは、やはり農協というものが十分なる内部牽制組織ができていないというような事務体制になっている面もあるのじゃないか。たとえば非常に大きなお金の扱いが一人の女子職員、しかも勤務年数が長い女子職員にまかされているというようなことが原因になっているというようなケースもございますし、どうも事務処理の内部牽制組織がよく確立されていないのじゃないかという問題があるのじゃないか。
 そこで、行政庁としてどういうふうな指導をするかという問題でございますが、私どもは県に対しまして検査をやるわけでございますから、検査の際にそういう点を十分見ることと同時に、組織自体の内部牽制組織の確立というようなところを十分見てやらせる必要があるというようなことで指導している次第でございます。
#103
○林(孝)委員 四十二年からの話でありますから、そうした農林省の指導というものはすでに始動されていなければならないし、またその効果が少なくとも四十二年以来今日に至るまでの間にあらわれていなければならない。しかるに、現在においてもそうした事件が起こっている。ほかに何か欠陥があるのではないか。またそれとも、今日までのそうした不正事件に対する処置、事後処理という問題が緩慢であったのではないか。そういうことがはっきりしないと、今回の法案の中身を見ますと、農協の事業内容がさらに拡大される傾向にありますし、また多様化し複雑化していくという傾向にもあるわけであります、したがって、非常にそういう点も心配になるわけでありますけれども、今日までなぜこのような状態が六年もたって解決されない、なくならないのか。幾ら方法を講じても人間のやることで、そこまで予見しがたいという場合もあると思いますけれども、その点についてどのように判断されておるか、伺いたいと思います。
#104
○内村(良)政府委員 件数といたしましては多少減る傾向になっております。
 それから、ただいま御答弁申し上げましたように、問題は、信用事業をめぐって非常に問題が起こるわけでございます。
 そこで、四十三年度以降主として不正貸し付けの解消をはかる目的で、信用事業整備強化促進事業というものをやっておりまして、これは毎年やっております。そこで、そういった面からだいぶ事態はよくなっておるというふうに見ております。
 それから、職員の横領等につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり内部牽制組織を十分確立していって、中で相互監視ができるようにする必要があるのじゃないか。そういう意味からも合併を促進いたしまして、やはり職員の数も十分いるというようなかっこうにするほうが、こういった不正事件防止のためにもいいのではないかというふうに考えております。
#105
○林(孝)委員 いまの局長の答弁に関連して農林大臣の決意を伺いたいわけでありますけれども、いま具体的な対策に触れて答弁がございました。こうした事件の重要性というものを判断されて、農林大臣の決意を伺いたいと思います。
#106
○櫻内国務大臣 貴重な預金を預かっての事業でございますから、細心の、また周到な注意のもとに経営が行なわれていかなければならないと思います。農協といっても非常に大小もあり、また地域地域の事情などがからんでおる場合が多いと思うのであります。一番不正の起こりやすいのは理事者も職員もお互いにあまりにもなじみ過ぎておる。そこにすきができるというような場合もありましょう。あるいは組合員の方が非常に密接な関係があり、懇意であるということで、無理を知りながら貸し付けが行なわれる、それがいわゆる不正貸し付けのようなことになるというようなことでありまするから、ただいま局長も言われましたように、ある程度の規模の農協に育てていく必要性を感じて、そのために、できるならば合併をし、そしてそのことによって経営の合理化にも役立たせしめるということだと思うのでありますが、現在、単協については県段階における監査が行なわれるのでありまするから、農協の不正事件が多少ずつ減ってはおりまするけれども、もう一つ組合員にも安心してもらえるような体制をとるという上におきましては、監査を厳重にやる必要があると思いまするし、また理事者や職員の教育を十分はかっていく必要もあるかと思いまするが、これらのことは、先ほど局長の申されたこととともに、われわれといたしましては、農協における不正事件が未然に防げるように、あらゆるくふうをいたさなければならない、このように見ておる次第でございます。
#107
○林(孝)委員 次に、地方公社貸し付け、農村地域の開発整備資金の貸し付け、これらを員外利用制限のワク外で認める、その理由はどういうことなのかという点が一つと、「組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度」となっておりまするけれども、具体的にはどのように判断するのか、この二点についてお伺いしたいと思います。
#108
○内村(良)政府委員 まず最初の御質問の地方公社貸し付け、農村地域の開発整備資金の貸し付け等を員外利用制限のワク外とする理由でございますが、これらの貸し付けは、対象法人の性格、対象資金の種類から明らかなように、いずれも公共性または政策性の強いものでございます。第二の理由といたしまして、今回拡大しようとする資金の貸し付けは、公共性、政策性におきまして、すでに地方公共団体貸し付けは昨年員外利用貸し付け制限のワク外としておりますけれども、それに準ずる性格のものであるということでございます。それから、これらの資金はいずれも地域開発資金的な性格を持っておりますことから、地域住民に直接、間接に受益がございまして、地域住民たる組合員も受益する場合が多いと考えられますので、その考慮において組合員貸し付けに準ずる性質のものと考えていいのではないかということで、本貸し付けにつきましては員外利用制限のワク外としたわけでございます。
 それから次に、そうはいってもその組合員のためにする事業の遂行を妨げない範囲でなければならぬということは、これは農協である以上当然なことでございますが、それでは具体的にどういう基準でそれを見るのかということでございます。これは、まあ、総合的に判断すべき問題で、画一的にこうだということはなかなか言いにくい問題でございますが、一般的には組合員に対する貸し付けが円滑に行なわれておりまして、貯払い準備金も財務処理基準令の第五条に規定する基準以上に保有されている状態であれば、一応信用事業の面において組合員の信用事業の遂行が妨げられている状態ではないというふうに考えられますので、そういったことを一つの基準にしたいというふうに考えております。しかしながら、組合の資金需要は刻々と変化する性格のものでもございますので、事業の遂行を妨げないとの判断のもとに貸し付けを行なう場合であっても、事態の変化に円滑に対応し得るようある程度余裕をもって貸し付けを行なう必要がございますので、貸し付け期間があまり長期になるものはやはり問題があるのではないかということで、農協法の施行令におきましてその期限を十年以内に限定したいというふうに考えております。
#109
○林(孝)委員 余裕金が非常に増大しておるその結果、その余裕金の運用という問題を考えなければならないということでありますけれども、余裕金の増大というものは余裕金の運用方式、そういうものによって処理すべきであるという考え方でありますけれども、それの貸し付け範囲を員外に拡大するという方向の組合金融、これは組合金融の本旨に反しているのではないか、この点はいかがでしょうか。
#110
○櫻内国務大臣 余裕金のお話でございますが、単協やあるいは信連の余裕金が有価証券の取得あるいは金融機関貸し付け、または上部機関に対する預け金として運用されていますが、昨今における金融の変化等もあって、有価証券や金融機関貸し付けの運用利回りも大幅に低下しております。上部機関への預け金も、預金奨励施設の大幅切り下げによって極度に低下をしておる実情にあるわけでございます。上部機関への預け金以外はおおむね組合員に密着した特定の目的に運用される性格のものでありますが、組合員も地域住民であり、地域住民として受益することを考慮すれば、系統資金の運用の形態としては、可能な限り地域の開発整備等の事業に対する貸し付け資金として運用することが望ましいと考えられるわけでございまして、こういうような運用利回り、融資目的の両面から見まして、単協や信連の余裕金は、地域開発整備等の目的に即する限りにおいて貸し付け範囲を拡大し、その有利な運用をはかることが適当でございまして、このことが農協法の趣旨にもとるものではない、このように考えておる次第でございます。
#111
○林(孝)委員 その辺の考えがちょっと私と違うわけでありますけれども、農協法の趣旨にもとらないというわけでありますが、たとえば宅地供給事業、これは本来農協になじまない事業である、そう私は思うわけであります。したがって、こうしたものを農協に行なわせるということは不適当ではないか、そのように思います。この点については大臣はどのようにお考えでしょうか。
#112
○櫻内国務大臣 この宅地等の供給事業は、御承知のように、従来から農協が行なっている農地等処分事業を拡大したものでございます。今回農地等の売り渡しのほか、その貸し付け並びに住宅等の建設及びその貸し付けあるいは売り渡しができるようないろいろの道を開いたのでございます。
 従来から行なわれておる事業の拡充でございますが、従来認められておるゆえんのものは、農協法の第一条は、農民の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進と同時に、農民の経済的社会的地位の向上をはかることを目的としておる。この点からも明らかなように、農協の事業は必ずしも農業と直接関連する範囲に狭く限定されるべきものではなくて、農民たる組合員のために必要な事業は、たとえ直接農業と関係ないものであっても、農協の事業として容認されると解されて本日に至っておる、このように思うのであります。
#113
○林(孝)委員 土地の貸し付け、売り渡し、さらに住宅の建設、こういうことになりますと、先ほどいろんな不正事件を通して内部の牽制組織が未成熟であるというような指摘も答弁の中にありましたし、それには統合するという判断も話されたわけでありますけれども、農協の事業目的の中に、組合員のために最大の奉仕をすることを目的として、営利を目的としてその事業を行なってはならない、こういう規定があります。したがって、この拡大方向というものについては、いろいろ組織内部においても、それだけの事業をやっていくそういう組織ができているかどうかという問題もありますし、専門的な知識、そういうものも要求されるということも考えられますし、いろいろ人材の面にしても、すべて受け入れられるという実情にいま農協はないんではないかという心配があるわけであります。したがって、こういう事業をやっていく上においては、相当強力な指導、監督、そういうものが必要ではないかと思うわけでありますけれども、農林省としては、こういう問題に対して適正な実施を確保するために、どのような指導、監督をなさらんといたしておるのか、伺いたいと思います。
#114
○内村(良)政府委員 先生御指摘のとおり、この事業はすぐあしたから全国の農協でやらせろと言われましても、やれる能力があるかということにつきましては、非常に問題があることは御指摘のとおりでございます。
 まず、この事業を行ないますためには、組合が宅地等供給事業実施規程というものをきめて、行政庁の承認を受けなければならないことになっております。そこで、農協改正法が通過しまして施行になれば、こういった事業を行なおうという農協は、まずこの実施規程をつくらなければなりません。
 そこで、役所といたしましては、単協につきましては知事でございますが、知事がそれを承認する場合に、単に形式的な実施規程の内容の審査だけではなしに、組合自体がこの事業をできるだけの能力をはたして持っているかどうかという点について十分審査させてから事業を開始するということにしなければならないと思っております。それからさらに、事業が始まった後におきましても、組合が法令等を順守して事業を行なっているかどうかということにつきましては、必要な報告は徴収いたしますし、また必要があれば、業務及び会計の検査ができるわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましても、この事業の運用につきましては、十分それをこなすだけの力のある組合を主としてやらせるというようなことで、実際上は指導したいというふうに考えております。
#115
○林(孝)委員 そうしますと、将来これがどういう方向に進んでいくかということでありますけれども、農協自体の事業目的の中にこういうものが入ってくる。そうしますと、本来のこういう事業をやる以前の農協の事業内容ではなしに、というよりはむしろ、今後はこうした事業が農協の事業の中心になっていくという農協が生まれてくると思うのです。
 そうしますと、私はこれをもう一面から取り上げたいのでありますけれども、今回のこうした事業拡大に対しては、田中総理の指示というものが一つの大きなポイントになっておるわけです。その背景はやはり日本列島改造政策というものがある。これはもういままで議論をされましたし、すべての人が指摘している問題でありますけれども、国土の総合利用という観点からこうした計画が進められる。いま民間デベロッパーの土地買い占めという問題が非常に国会の中あるいは社会的問題として世論が関心を持ち、批判しているところでありますけれども、その批判の観点は、いわゆる農業生産の土台をくずしていくのではないかという、言いかえれば、農村社会の崩壊、そういうものに対する批判というものがやはり大きなウエートを占めているわけであります。ところが、農協によるこうした土地の貸し付け、売り渡しあるいは住宅の建設というものが進んでいきますと、民間デベロッパーにかわって、今度は農協による宅地並びに工業用地、そうしたところの供給事業といいますか、そういうものが行なわれていくわけでありますから、いま民間デベロッパーに対して起こっておる批判というものが今度は農協に対して起こり得る可能性があるのではないか、こう私は考えるわけでありますけれども、これは農林大臣にお伺いしたいと思います。
#116
○櫻内国務大臣 御指摘のようなことについては、これから農地等処分事業の拡充に伴っていろいろな事業をやる場合によく注意していくべき点であると私もその点は認識をいたします。
 ただ、お話の中に、列島改造に伴う今度の措置のように言われますが、先ほどもお答え申し上げましたように、農地等処分事業につきましてはすでに行なわれてきておったものでございます。それを今回拡充をしたということでございまして、その辺のところは、御意見ではございましたが、私どもは、従来農協がもう取り上げてきておるものを、これを拡充し、そしていま御指摘のような民間デベロッパーに対する批判のようなことのないようにせよ、それはもう十分考慮しながらこれからの事業遂行に当たらしめたい、かように考えておる次第でございます。
#117
○林(孝)委員 いまの答弁をまた別の面から考えますと、いわゆる世界的な食糧危機、これは日本においても非常に影響を受けておるところでありますけれども、いわゆる食料の自給率というものを高めなければならないという問題も、今日まで当委員会においても相当議論されてきたところであります。ところが、自給率を高める、そのためにいろんな方策がありますけれども、やはり耕地面積というものは減少させてはならない。農業白書によりますともいわゆる宅地化、工業用地化というものが進んで、白書みずから述べているところは、いわゆる農業不振の原因について、耕地面積の減少が農業不振の原因である、そのように農業白書でも指摘されているわけであります。したがって、この白書の指摘どおりであるという前提に立てば、食料の自給率というものに与える影響は非常に大きいのではないか、このように私は思うわけですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
#118
○櫻内国務大臣 耕地がきわめて著しく減少するがごとくに農協の行なう宅地造成とかまたそこに住宅をつくるとかいうようなことが行なわれるというふうには見ておらないわけであります。社会的、経済的な情勢の変化に基づく組合員の新しいニードに応ずるところの施策として考えておるのでございまして、それは、全体の耕地面積の中で、今度の新しいレンタル方式による宅地造成や住宅の建設というものは、私は、これは専門的に数字をはじいてみなければなりませんが、大まかに言って、いまの日本の農業の自給率に影響のあるような耕地の宅地化が進められる、農協の関係においてですよ、そのようには私は見ておらないのでございます。
#119
○林(孝)委員 そこで、政府は十年後いわゆる五十七年の食料自給率を七三%から七七%の線で安定させようということでありますけれども、農地は十年後現在より一〇%少ない五百二十万ヘクタールで十分と、そのように計算されております。これはいわゆる日本列島改造論の中でも農地転用の必要面積を一〇%と述べておりますけれども、符合しているところであります。この五百二十万ヘクタール、これを確保できるということでありますけれども、はたして確保できるかどうかという議論であります。
 一つには、いま指摘しておりますように、農地面積の減少、これは著しいかどうかという問題が大臣からあったわけでありますけれども、とにかく農地面積が減少する、これは自給率の低下に拍車をかけるというふうに思うわけであります。
 それから米の減反、また小規模農家の離農という問題がすでに起こっております。いわゆる生産意欲というものが次第になくなりつつある農家というものが現実にあるということであります。したがって、いろいろな農業計画というものが各地で支障を来たしておるということも事実であります。それをどういう形で五百二十万ヘクタールを確保するかというと、結局農民の生産意欲というものの喚起にたよらざるを得ないのではないか。
 私は、たとえば参考までに申し上げますと、昭和四十七年八月現在耕地面積五百六十八万ヘクタール、この耕地面積が、先ほど申し上げました十年後の時点にどうなるかということでありますけれども、五百二十万ヘクタールを割って、五百万ヘクタールも割ってしまうのではないか、いわゆる市街化農地二十八万ヘクタール、その他年間の減少率というものを考え合わせて計算した場合に、政府が考えておる五百二十万ヘクタールというものを確保することができなくなるのではないかということを心配するわけです。これは先のことでありますから、結果が出てみないとわからないということになるわけでありますけれども、現在この委員会で議論していることが、結果的に見ると、決してそうした楽観を許されない、そういう立場に立って議論することが非常に適切ではないか。将来の見通しというものがもしここで誤った方向に行きますと、いま大臣はそういう心配がないという見解に立たれておりますけれども、ほんとうに耕地面積が私がいま指摘したような形で減少していった場合には、これはやはり日本の食糧危機というものに大きな影響を与えていく、そのように判断するからであります。この点について大臣の見解を伺いたいと思います。
#120
○櫻内国務大臣 十年後の五百二十万ヘクタールの確保もむずかしいのではないかという御所見でございましたが、いろいろな点で、土地が宅地になる場合もございましょう、あるいは場所によってはいまお話しのゴルフ場になっておることも現にあるわけでございますが、しかし、他面、耕地の造成ということも予想は十分できると思うのであります。特に酪農とか畜産を奨励し、公共投資の画で草地を相当つくろう、こういうことでございますから、これからの日本の農業のあり方というものに符合した土地造成というものも行なわれるということは予想にかたくないところでございます。そういうことで、ある程度の壊廃はあるが、また必要に応じての造成もある、こういうことで、五百二十万ヘクタールの十年後の確保というものはむずかしいことではない。特にいつも言うことでございますが、長期計画がいわゆる学者の方々やあるいは私どもが参画して――企業の上だけでやったということであると、私も長期の見通しというものをそう重要視したくはないのでありますが、何といっても、これは十分御承知のように、それぞれの専門的見識のある方々、団体の責任者の方々が参画してつくられたものであるということで、まずこれが狂うということであればたいへんなことだという前提に立って、私も昨年の十月のあの試案というものを尊重してきておるわけでございます。
 そういうことで、また米の減反に伴うお話もございましたが、この米の減反に伴う面につきましては、これは言うまでもなく、転作のほうに力を入れてそれを奨励しておることでございますから、この生産調査に伴う面から非常に土地が他に転用されていくというふうには見ておらないのでありまして、転作で必要な面に定着をしていくであろう、かように見ておりますので、まず五百二十万ヘクタールの確保については私はだいじょうぶである。しかし、いまの御意見については十分尊重しながら、そして、少なくともこういう計画を立てた以上は、この遂行に遺漏のないようにすべきである、このように見ております。
#121
○林(孝)委員 私は、こういうことに関していわゆる学者先生方がほんとうに現場をどれだけ御存じか、非常に疑問を持っております。たとえばパイロット事業一つを例にとって考えても、計画されているパイロット事業の区域の中に住宅がどんどん建ち、ゴルフ場ができ、そしていろいろな事業が進められておる。その区域というのは非常に大きいわけですね。その中はもう事業ができなくなるのではないかという条件がたくさんあるわけです。実際そこへ行ってみれば、そうした政策と現場の状況というものが非常に背中合わせになって置かれておるということがわかると思うわけです。したがって、大臣も、国会が休会になったら、本委員会で問題になっている地域、たとえば栃木県なら栃木県へ行って、現場をよくごらんになればわかると思います。本委員会あるいは本会議で、他の関連した地域で、具体的に場所をあげて問題になっておりますところを全部実際自分で確かめてごらんになったら、ほんとうに現場というものがどういうふうになっているのかということがよくわかると思います。専門家の意見も大事でありますけれども、ほんとうに現場の状況というものはどうもかみ合っていないような気がしてならないので、私は大臣にそのことをおすすめしたいと思うわけでありますけれども、いかがでしょう。
#122
○櫻内国務大臣 これは私としても、御意見のことが全部が全部実行ができるとは思いませんが、ある程度は私の参考になる範囲の見聞は広めたい、こう思いますし七また今国会においてしばしば問題にされた点については、これからの行政指導の上において十分考えなければならない諸点であるという認識は深く持っております。
 そういう実情がどうしてできるのかということについては、ここでも申し上げましたように、農地転用の許可願い以前の行為として行なわれてしまう、契約が結ばれ、金銭の授受がある、こういうようなことが現にそういう虫食い状態を起こしている。したがいまして、その点につきましては、何としても迅速に確実に情報の掌握が必要であるということで、これはこの国会を通じてそういう措置をとるということを申し上げて、厳に農林省の地方農政局に対しその指示を与え、督励をしておるのであります。
#123
○林(孝)委員 どうか大臣も一回現場に行ってください。よくわかると思います。
 そこで次に、農業金融の問題、これもやはり大きく関連をしてくるわけであります。
 まず、農協系統金融で当面する最大の課題というものを大臣はどのようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
#124
○櫻内国務大臣 系統金融が農業者のためにあるという原点に立ちまして、農業者に円滑に資金の融通がなされるようにすることはもちろんでございますが、社会的に見ても系統資金が有効かつ効率的に活用されるようにすることが肝要であると思うのであります。
 この問題については、林委員も十分御承知の点であると思いますが、農政審議会に検討をしていただきまして、その結論が昨年一月に報告されておるわけでございます。今回系統金融のあり方についていろいろなお願いを申し上げたその前提といたしましては、この報告が非常に重要な役割りを果たしておることは当然でございます。
 二、三の点がございますが、第一には、農政推進上大きな課題となっておる大規模経営や協業等集団的生産組織の育成について、系統金融をいかに対応させるかということが指摘されております。次に、系統金融の基本的性格にも関係いたしますが、農外要因の拡大とそれに伴う資金の増大にどう対処していくか、いわゆる環境整備であるとか地域の要望にどう対応するか、それから一般経済の変化に伴い、きびしく要請されている系統金融の経営体制の合理化の問題、できるだけコストを低める、合併などを促進するというような問題がこの事項に入っておると思うのでございますが、こういうような諸点が審議会の答申に指摘されておるところだ、このように認識しておるわけでございまして、こういうものを反映させての今回の金融関係法の改正のお願いだと思います。
#125
○林(孝)委員 そこで、農協系統金融でありますけれども、現在非常にばく大な余裕金をかかえておるということが、先ほどからも論議されました。
 まず一点、将来の見通しはどういうふうに考えられておるかという点、それともう一つは、農業投資の動向についてでありますけれども、農業投資に必要な資金の調達の中に占める農業金融の割合はどのようになっておるか、そのうち制度資金によるものと一般資金によるものとの割合はどうなっておるか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
#126
○内村(良)政府委員 最近におきます農協系統金融は、農協貯金の大幅な増加によりまして、いわゆる運用資金が非常にふえておりますことは御承知のとおりでございます。その数字について若干申し上げますと、四十二年度の約五兆円が、けさも片柳理事長からお話がありましたけれども、最近では約十兆円ということになっております。
  〔藤本委員長代理退席、坂村委員長代理着席〕
一方、運用面においては系統内の運用が、四十二年末は約三兆円でございましたが、最近は六兆円ということになっております。したがいまして、系統外運用も二兆円から四兆円というふうにふえておるわけでございます。
 そこで、この系統内の運用が将来どうなるだろうか、あるいは系統外の資金需要がどうなるだろうかということでございますが、今後の農業の動向あるいは一般の金融情勢の推移によるわけでございますが、私どもの見ているところでは、資金量はやはり相当集まってくるのではないか。ここ一、二年やはり資金量は増加するような傾向にあるだろう。
 そこで、系統内の運用の問題でございますが、これは今後の大規模経営の育成あるいは組合員の多様化による生活資金の増大等によりまして、系統内の運用はふえるのではないか。それからまた、今般の法律改正によります産業基盤や生活環境の整備のための資金需要もふえるであろうというふうに考えております。しかしながら、系統外運用につきましてもある程度これに依存しなければならぬ面もあるわけでございまして、おおよそのことを申し上げますと、もちろん若干の変動はあると思いますが、系統外運用の割合は従来程度で推移するのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから次に、農業における投資の問題でございますが、最近におきましては、やはり生産調整の影響、農産物価格の停滞、これは農業白書にそういうふうにはっきり記述があるわけでございますが、そういうこともございまして、固定資産投資は若干伸びがとまっております。すなわち数字について申しますと、四十三年、四十四年の時期におきましては、農業固定資本形成についての増加は年率前年比約一五%前後で伸びていったわけでございますが、四十六年はこれが一・六%になっております。
 そういうような状況になっておるわけでございます。
 そこで、それでは制度金融はどうなっているかと申しますと、農業投資に必要な資金の調達の中で制度資金による比率は大体一定でございまして、おおむね一五%前後を占めております。そこで、絶対額におきましては、四十二年度を一〇〇といたしますと、四十六年は一四〇というようなことで、制度資金の需要はかなり順調な伸びを示しておるわけでございます。
#127
○林(孝)委員 かなり順調だということでありますけれども、もう一つは制度資金についてでありますが、非常に複雑であって多岐にわたる。借り受け手続もいろいろ制約されている。したがって、農家がどうしても一般資金に依存しなければならないということで一般資金に依存している、こういう傾向もやはり実際問題ある。したがって、もっと簡素化できないかということが意見としてあるわけであります。この点についてはいかがでしょう。
#128
○櫻内国務大臣 複雑化したということについては、制度資金に対しての要望がいろいろあって、そして次々に新しい施策を打ち出した、その結果が組合員の方々、農家の方にとっては何かわからないようなものになってきたのだ。これは私もそういう点を認めるものでございます。ですから、何かこれは合理的にしなければならないということで、たとえば公庫の関係では総合施設資金ですね、こういうようなものをつくってみたりしておるわけでございますが、御趣旨の線に沿いまして、可能な限りもっと簡素化し、借りやすくすべきであると思います。
#129
○林(孝)委員 それから農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の関係についてお伺いいたしますが、新たに農業近代化資金の貸し付け対象に加えられる法人としてどのようなものを予定されておるのか、お伺いしたいと思います。
#130
○内村(良)政府委員 先生も御承知のとおり、近年農作業の省力化あるいは農業投資の効率化などをはかるために、農協、市町村、都道府県などが一体となりまして公益法人を設立いたしまして、高能率の農業機械による農作業を行なったり、乳牛等の育成などを行なったりする例が見られるわけでございます。このような公社は通常農業開発公社とか畜産公社などと呼ばれておりますけれども、地域農業の振興、農業経営の近代化に寄与するところが大きいと思われますので、今回これらを対象とするものでございます。
 そこで、どういう例があるかということでございますが、一例をあげますと、北海道農業開発公社、これはおもな仕事は営農施設の設置、乳用牛の導入、生産公共牧場の経営等を行なっております。それからたとえば埼玉県農業機械公社、これは農業基盤の整備と大型機械による農作業を営む公社でございますが、そういったようなものでございます。
#131
○林(孝)委員 それから農業近代化資金の貸し付け限度額を引き上げるということでありますけれども、これを受けられる、いわゆる享受できる農業者というのはあまりないのではないかと思うわけであります。したがって、実際活用されるということがまれではないか、その点についてはいかがですか。
#132
○内村(良)政府委員 貸し付け限度の引き上げによりましてどの程度近代化資金が利用されるかという問題でございますけれども、最近の農業の実態を見ておりますと、一般的ではないにいたしましても、畜産または施設園芸等におきましてもかなり大規模な経営が生まれているわけでございます。そういった人たちにとりまして近代化資金を利用しようとする場合には、いまの資金の限度が非常に障害になっておるということがございますので、そういった資金需要にこたえようということで考えておるわけでございます。
 そこで、たしか午前中参考人の方に御質問があったと思いますが、それによって幾らふえるだろうかということは、これはちょっと数字的に大体幾らということはなかなか申し上げにくい面もございますけれども、そういった現実に資金需要がございますから、それにこたえるという意味で制度の改正を行なうわけでございます。
#133
○林(孝)委員 農業信用保険協会の保険の対象になる農業近代化資金以外の資金としてはどのようなものがあるか、説明していただきたいと思います。
#134
○内村(良)政府委員 現在農業信用基金の保証の対象となります貸し付け債務の範囲は、近代化資金及びその他農業者等の事業または生活に必要な資金となっておりますけれども、保険にかかりますのは農業近代化資金及び総合資金制度、これは公庫の制度でございますけれども、総合資金制度の運転資金だけが保険にかかっておるわけでございます。このため、今後の農業経営の必要性ということを考えれば、一般資金についても保険にかけたらどうか、基金が保証しているわけでございますから、というような要求が非常に強い実情にかんがみまして、そのような改正を行なうわけでございます。
 そこで、一体どういうような資金かということでございます。これにつきましては、われわれの考えておるところでは、たとえば農業者にあっては農舎、農機具等の施設資金、家畜、飼料等の購入資金、農地等取得資金、その他農業経営に必要な資金及び住宅資金も見ようというふうに考えております。それからいわゆる農事組合法人、農協あるいは農協の連合会等にありましては、施設資金とその施設の運転資金、それからいわゆる農協の協同会社にありましては、これも施設資金とその施設の運転資金等を保険で見ようというふうに考えております。
#135
○林(孝)委員 一般の金融機関が農業信用保証保険制度を活用しようとすれば、農協と同じように活用できるのかどうかという点が第一点。
 それから、現在一般金融機関が行なう融資について保証を行なうことができる基金協会はどのくらいあるのかという点、この二点についてお伺いします。
#136
○内村(良)政府委員 農業信用保証保険制度は、農業者及びその組織する団体が会員となりまして基金協会を設けまして、協会が会員の必要とする資金の債務保証を行なっているわけでございます。したがいまして、基金協会は、業務方法書で定めれば、会員が銀行または信用金庫から借りた資金につきましても保証ができることになっております。しかしながら、現在のところ、農協系統以外の金融機関からの融資について保証ができることとしている基金協会は、北海道のほか十三県でございます。その他の基金協会は農協系統以外の金融機関から会員が融資を受けても、保証ができない状態になっておりますので、政府といたしましては、会員がすべて公平な保証を受けられるように、今回の制度の改善を契機といたしまして基金協会を指導して、そういった農協系統以外の金融機関からの融資についても保証措置をとるように指導したいというふうに考えております。
#137
○林(孝)委員 そうしますと、各県の基金協会が一般金融機関の融資について保証するというふうに解釈していいのですか。
#138
○内村(良)政府委員 ただいま申し上げましたように、業務方法書を変えまして、そのようなことができるように指導したいというふうに考えております。
#139
○林(孝)委員 それから、保証保険にかかる保険価額の範囲として、従来の借り入れ金元本のほかに、約定利息を含めるということになっておりますけれども、その考え方はどういうことなのでしょうか。
#140
○内村(良)政府委員 基金協会の債務保証は、借り入れ金の元本のほか、約定利息及び遅延損害金も含めたものについて保証しているわけでございます。一方、保険協会の行ないます保証保険の保険価額は、他の保証保険制度との均衡なども考えまして、借り入れ金の元本だけになっております。そこにギャップがあるわけでございます。ところが、農業資金は一般に借り入れ期間が長期でございますために、利息も多額になるわけでございます。そこで基金協会の負担する危険が保険協会と比べて大きくなっているのが現状でございます。このため両協会の責任分担の公平を期し、今後における農業信用保証保険制度の円滑な運営をはかる意味において、今回長期資金については、保証保険にかかる保険価額の範囲に従来の借り入れ金元本のほか、約定利息も含めようというふうに考えたわけでございます。
  〔坂村委員長代理退席、藤本委員長代理着席〕
#141
○林(孝)委員 保証保険の保険価額に遅延損害金を含めない理由について説明していただきたいと思います。
#142
○内村(良)政府委員 ただいまも御答弁申し上げましたように、約定利息は含めることにいたしましたけれども、保険協会の保証の範囲に入っております遅延損害金を含めませんのは、遅延損害金その他の費用は、元本や約定利息と違いまして特定の場合に発生するものでございまして、先ほど基金協会の負担が大きくなるから負担する危険の均衡をはかるということを申し上げましたけれども、そういった性質のものでございまして、基金協会として大きな負担にならないというふうに考えられますので、今回は約定利息だけにしたわけでございます。
#143
○林(孝)委員 基金協会の保証と融資保険とはどのように交通整理をされていくのかについてお伺いします。
#144
○内村(良)政府委員 信用保証保険制度はあくまでも基金協会の保証制度を中心として、保険協会の行なう融資保険制度はその補完的なものとして運用していくつもりでございます。すなわち農業者等に対する信用補完の必要が生じたときは、第一次的には基金協会がまず債務の保証を行ないまして、その債務保証が保険協会の保証保険によって全国的に危険分散がはかられる、こういうことになっております。しかし、基金協会の保証では対応できないような場合、たとえば業務区域が二県以上にまたがる法人とか、あるいはいわゆる農業協同組合の全国団体の連合会というようなものにつきましては、現在そのような大口の貸し付けについて県の基金協会では対応できないような面がございますので、そういった面については融資保険で見ていこうというふうに交通整理をしているわけでございます。
#145
○林(孝)委員 次に、信用農業協同組合連合会の融資を融資保険の対象にしながら、これを保険協会の会員としていない理由はどういうことでしょうか。
#146
○内村(良)政府委員 今回融資保険の対象者に信連を追加することにしておりますけれども、信連の貸し付けは原則的には基金協会の保証で対応できますが、貸し付け額が大口で非常に多額のため、基金協会では保証できない場合か考えられますので、このような場合に資金融通の円滑化をはかる意味から、基金協会の保証制度の補完的なものとしてこのような制度を認めることにしたわけでございます。このように補完的なものということでございますので、信連は農林中金の所属団体としての資格で保険協会の被保険者資格を得ていれば十分じゃないかということで、中金が所属団体になっておりますので、その中金の所属団体として保険協会の被保険者資格を得るということで十分と考えて、しなかったわけでございます。
#147
○林(孝)委員 それでは、確認の意味で貯金保険法について数点質問したいと思います。
 貯金保険制度を今回設けるということでいろいろ議論されてきたわけでありますけれども、この緊急性はどこにあるのかという点について明確にしていただきたいと思います。
#148
○櫻内国務大臣 御承知のように、銀行、信用金庫等の金融機関についてはこの制度があるわけであります。この制度は競争原理の導入による金融効率化政策の進展に伴って、銀行や信用金庫等が経営破綻におちいることが生じ得る等の事情を背景として創設されたものでありますが、農漁協も農山漁村においてこれらの金融機関と相互に競争関係に立っており、その結果、金融効率化の進展に伴って業務面で種々影響を受け、経営破綻におちいることもあり得ると考えられるのでございまするから、同じように貯金保険制度を設ける必要がある、かように見たわけでございます。
 最近における農協をめぐる諸情勢は非常にきびしいものがありまするし、弱小農協にありましてはそういう情勢に十分対応ができない。万一の事故が起こってはならない、かように思います。農漁協の貯金者について一般金融機関のような預金保険制度による保護がないということが、また一面農協、漁協等の信用事業の健全な発展を阻害するおそれがある、こういうことで、今回この制度をお願いするということにいたしたわけであります。
#149
○林(孝)委員 それと同時に、いま大臣が答弁なさったとうらはらな関係になりますけれども、今度この貯金保険制度を設けることによって、農漁協の経営というものが安易に流されてしまうという心配がありはしないか、こういうことも考えられると思うのですけれども、いかがでしょうか。
#150
○櫻内国務大臣 そういう見方はいかがかなと、こう承ったわけでございます。これは万一農漁協の経営が破綻した場合に、貯金者を保護するため、直接組合員に対し貯金を一定限度まで支払うという制度でありまするから、農漁協の経営自体の保全をはかるということではもちろんないわけであります。だから、この制度があるからといって農漁協の経営者が安易に走るという見方、そういう御質問ですから、そういう見方もあるかなと承りましたが、あくまでもこれは組合員であり、預金者の万一の場合の保護、こういう趣旨でございます。
#151
○林(孝)委員 次に、貯金保険制度の設立によって農漁協は必然的に保険料の支払いを義務づけられる、そういう結果になります。このことはコストアップにつながるということは考えられないかという心配でありますけれども、この点はいかがでしょう。
#152
○内村(良)政府委員 一般の預金保険機構の保険料率は一万分の〇・六でございます。そこで新しくできます農漁協の貯金保険機構の保険料率も大体同じような水準になるんだろうと思います。もちろんその料率算定の基礎は違いますが、結果的な数字から見ますと同じようなことになるのではないか。この程度のものであれば、農協あるいは漁協の預金コストの中で十分吸収できるのではないか。したがって、これが今後における大きな負担になるということはまずないのではないかというふうに考えております。
#153
○林(孝)委員 信農連、信漁連は対象金融機関には加わってないわけでありますけれども、こういうのはやはり対象金融機関に加える必要があるのではないかという意見もございます。この点について御見解を伺いたいと思います。
#154
○内村(良)政府委員 信連の貯金の大部分は単協からの貯金でございます。そこで、単協の貯金はすでに貯金保険の対象になっております。そこで、信連なり漁連を加えるということになりますと、員外からの貯金の保護ということになりますけれども、数学的にはこれは非常に微々たるものでございます。さらに一般の預金保険機構の場合におきましても、信用組合、信用金庫につきまして同様な考え方から信用金庫連合会、信用組合連合会もはずされておりますので、私は信連、信漁連をこの際加える必要はない、このように考えております。
#155
○林(孝)委員 支払い対象となる貯金等から除く貯金というのはどういうものがあるのか。それからその理由についてお伺いしたいと思います。
#156
○内村(良)政府委員 提案申し上げております法案では、保険金の額の算定にあたって「地方公共団体から受け入れた貯金その他の政令で定める貯金等を除く」こととしている、こう書いてございます。この「政令で定める貯金等」といたしましては、現段階では金融機関からの貯金のほか、政府関係の預かり金、それから外貨貯金、それから無記名貯金、これもなかなかむずかしい問題でございますけれども、架空名義貯金等がはっきりすれば、そういったものを除きたい。
 これらにつきましての理由でございますけれども、貯金保険の保護の対象にする必要のない性質のものでございますので、はずしている、こういうわけでございます。
#157
○林(孝)委員 それから、附則の第二条に、政令で定めて除外する組合とありますけれども、どのようなものを考えられておるのか、お伺いしたいと思います。
#158
○内村(良)政府委員 今般提案しております貯金保険機構の場合には、対象となる農漁協すべてについて保険関係が当然成立ということになっております。したがいまして、一種の強制保険なわけでございます。
 どういうものが例外になるかということでございますが、私どもが考えているところでは、機構の成立の際、すでに保険事故が発生しているようなものについては、それを保険に付することはおかしいのでそれをはずすことを考えておりますし、これに準ずるような状態になっているもの、すなわちすでにもう経営の破綻が明らかなもの等は、やはりはずすべきではないかというふうに考えております。
#159
○林(孝)委員 今回の法改正で、いわゆる金融または農協問題に対するいろんな議論を今日まで続けてきたわけでありますけれども、絶えずわれわれこうした問題を議論するにあたって、将来の方向といいますか、また一般的にいって社会情勢の変化に対する対応、そうしたものを考慮に入れながら考えるわけでありますけれども、先ほど指摘しましたように、金融についてはいろんな面への関係を生ずる。具体的にいいますと、金融がこうした制度の改正によって非常に安定した方向に、また緩和された方向に進んでいく。これは一面非常に利するものがあるわけでありますけれども、反面、先ほど農協の問題で取り上げましたように、その資金がどのように運営されていくか、そういう面において問題も多々あるわけであります。したがって、その運用の適正化といいますか、これは将来の方向を考える場合に非常に重要なウエートを占める。
 最後に、大臣に、そうした関連というものを踏んまえて、農林省としての考え方をお伺いしたいと思います。
#160
○櫻内国務大臣 たいへん貴重な御意見だと思います。今回のように金融制度について各般の改正措置をとる。そのためにあるいは預金者の保護になりあるいは事業の拡充になり、いろいろとそれに伴う影響が出てくるわけでございまするが、その間に、先ほども御質問があったように、当事者が安易な経営になるのではないか、あるいは資金の適正な運用が行なわれるのかどうかというような、そういう問題点も出てくるわけでございます。要は、この経営の衝にある者が、系統金融が農業者の貴重な資金であって、これが農業者のためにほんとうになるかどうかということについてのしっかりした心がまえがなければ、せっかくの改正や制度の運用というものが妙を発揮しない、誤った方向にいくおそれが当然出てまいることもいなめないところであろうと思います。でありますから、私どもといたしましては、金融というものの本来の使命に徹し、特にこの系統金融ということを念頭に置いての経営者の自覚というものを十分求めてまいりたい、こう思います。
#161
○林(孝)委員 それでは残余の時間を後日に留保いたしまして、本日の質問を終わります。
#162
○藤本委員長代理 湯山勇君。
#163
○湯山委員 今回提案されておる金融関係法の中でただいま林委員から御質問がございましたが、農水産業協同組合貯金保険法案、これについての質疑が比較的少なかったと思いますので、この法案について御質疑を申し上げたいと思います。
 この法案は、さきに預金保険法が四十六年につくられておりますから、右へならってつくったのだというような考え方からすれば、非常に簡単な法案であって、問題はもう論議し尽くされているという見方もできないことはないと思いますけれども、一方から見ますと、単独法で預金保険法と区別して、しかも本文のほうで七十条、附則の六条という、いわばこれは大法案だと思います。そして、考え方によれば、従来の多くのこのような制度というものは、金融機関を保護する、金融機関の健全性を維持していくことによって預金者を守っていくのだというたてまえをとっておりましたけれども、この法案はむしろ貯金している者を直接守っていくのだという意味において、これは画期的な意味を持っているということもできると思います。したがって、この法案がこういうふうに単独で農水産業協同組合を対象にして提案されたということには非常に大きな意味があるとも考えられるし、そういう二つの見方ができると思います。
 しかし、私が非常にここで疑問に思いますことは、そういう観点から預金者を保護するということからいえば、法のもとには平等でなければならないにもかかわらず、一般の預金者はすでに同様法律によって保護されているのに、農協、漁協に貯金しておった者は今日なお放置されている。こういう事態は、私は別な意味からいえば、これは看過できない問題だというように思います。
 そこで、今日まで二年間取り残されてきたという、その理由は一体どこにあるかということを、農林省、大蔵省両方からお聞きしたいのですが、まず農林省の御意見を承りたいと思います。
#164
○櫻内国務大臣 農業協同組合、漁業協同組合を銀行や信用金庫と比較をいたしましたときに、申し上げるまでもないのでございますが、農漁協のほうは一般の金融機関と異って兼業禁止がされておらない、そういう点で昭和四十六年に預金保険制度の発足の場合に対象にされなかったと承知をしておるわけでございます。ところが、この預金保険制度が発足をしてみまして、その後の経緯を考えてみると、現在の農漁協における貯金の量というものが、全体の預貯金量の一割に達しておる。その上にこの農漁協等の貯金は全く個人の零細な貯金を主体としているということを考えてみますときに、当初兼業禁止をしておらないということからはずした、しかし、相当な貯金量にもなっており、また零細な貯金者である、こういうことで、それでは、多少性格が違うとするならば、これは別途の立法措置によって貯金者の保護をしなければならないという、そういうふうに考え方が発展をしてまいりまして今回のお願いになった、かように承知をしておるわけでございます。
#165
○湯山委員 大蔵省まだ見えませんか。
#166
○藤本委員長代理 湯山委員に申し上げますけれども、もうすぐ来るという連絡でございますので、御了承いただきたいと思います。
#167
○湯山委員 では、農林省としては、四十六年当時にぜひ加えてもらいたいという主張をなさったのかどうか。あるいは、これは当然政府部内で論議される問題ですから、そういう御討議があってしかるべきだと思うのですが、その点はいかがですか。
#168
○内村(良)政府委員 この問題につきましては、私どもが承知しておるところでは、政府部内では議論をいたしました。その際、やはりただいま大臣から申し上げましたとおり、農漁協の場合には
 一般金融機関と異なって兼業禁止がない。すなわち経済事業と金融事業が一緒になっている。そこで、経済事業で組合経営が破綻したというようなものを他の一般の金融機関がなぜ救済しなければならぬのかという議論がございまして、農林省といたしましてはそれ以上の追及はあきらめて、これは別個にやろうというふうに考えたわけでございます。それから関係のいわゆる系統機関ともそのときに相談したけれども、系統機関もそれほど無理に押すということはしなかったようでございます。ただ、国会の論議ではもちろんこういうことは問題になりまして、大蔵大臣から、農水産業の協同組合についてもこれは放置しておくわけにはいかぬから何らかの整備をはかりたいというような御答弁はあったというふうに聞いておりますが、役所の中では、そういったことで兼業禁止はないというところから、一般の預金保険に入ることはあきらめたわけでございます。
#169
○湯山委員 結局そのときは、端的に言えば、じゃま者扱いをされた。しかし、とにかく頼むというので、ではあとから加えてやろうということになったわけですか、平たくいえば。
#170
○内村(良)政府委員 まあ、別途体系で考えようということになったわけでございます。
#171
○湯山委員 別途体系というのはどういうことをさすのですか。
#172
○内村(良)政府委員 今般提案しております貯金保険機構がそれに相当するわけでございます。
#173
○湯山委員 そこでお尋ねしたいのは、私はこれは各条文を突き合わしてみました。そうしたら、ほとんど読みかえできくところばかりです。附則になって若干ありますけれども、もうあとは、たとえば関係大臣が大蔵大臣になっておるとかある
 いは金融機関が農業協同組合、漁業協同組合になっておるとか、ほとんど読みかえ規定ができるところばかりであって、これならば私は預金保険法の一部改正でいいんじゃないかということを痛感いたしました。にもかかわらず、いまのような別途体系という――別途体系というのは、事は大きいのです。問題は決して軽い問題ではないのですけれども、端的に言えば、そういう格差、それを設けた理由はどこにあるか。これはどういうことでしょうか。
#174
○内村(良)政府委員 格差という御質問でございますが、実体的には現在の預金保険とそれから今般提案しております農水産業協同組合の貯金保険機構は非常に似ております。ただ、細部を見ますと、たとえば出資者が預金保険の場合には国、日銀、その他、それに対しまして農漁協の場合には国日銀、農中、それからその他が入ります。それから理事長が、農漁協の場合には主務大臣任命、預金保険では日銀副総裁が当たる。それから監事の任期につきまして、農漁協の場合には二年、預金保険が三年。それから強制徴収の規定のあるなし、あるいは主務大臣に農林大臣が入っているというような違いがございます。しかし、最初に申し上げましたように、やはり経済事業をやっております農漁協の場合には別にやる。すなわち農漁協の場合につきましては、別途国なり日銀が出資しまして、それはそれとしてやるということで、制度の中身は非常に類似しておりますけれども、そういった意味で別になっておるわけでございます。
#175
○湯山委員 大蔵省がお見えになりましたから、大蔵省のほうへお尋ねいたします。
 大蔵省はこの農水産業協同組合貯金保険法案というのは積極的に賛成ですか、消極的に賛成であったのか、銀行局長お見えになっておれば、伺いたいと思います。
#176
○吉田(太)政府委員 御承知のように、全体で七千ほどの協同組合が信用事業を営んでおるわけでございますが、何らかの形でこういう信用保険をつくっていただくということはきわめて歓迎すべきことでございまして、積極的に賛成しておるわけでございます。
#177
○湯山委員 二年前はどうだったのですか。
#178
○吉田(太)政府委員 これも同時に発足すべきじゃないかということを踏まえての御質問かと思います。実は預金保険制度そのものが、御承知のように、初めての制度でございますために、この発足までには幾多の研究をやっておったわけでございまして、まずいわゆる金融事業を専門的にやっておる金融機関から出発しようということでございまして、そのときの金融制度調査会の席上においても農林関係の方々から、われわれもこういうものをつくりたい、つくる場合には別途こういうものをつくるべきではなかろうかと考えておるという御発言があったことを記憶いたしております。したがいまして、特に私どもが最初に出発し、あといやいやながらこれをこの次にお認めするということではございません。
#179
○湯山委員 こういう保険というものは大きければ大きいほど相互扶助の役目を果たすのには適当であるということは申し上げるまでもないことです。法案を見ますと、ほとんど預金保険法と内容的には変わりありません。
 なお、さっき局長が指摘された違うところについては、あとで私、お尋ねいたしますけれども、とにかくほとんど変わりはない。そうすると、この際一括して一本にするということが私は正しいと思うのですが、それはできないんですか。
#180
○吉田(太)政府委員 お説のとおり、保険は多ければ多いほど、大数の法則が働くという意味から、制度的に安定するものだと思います。ただ、先ほど農林省からもお答えがございましたかと思いますが、信用事業とそれからその他の事業を営んでおります協同組合が七千八百、それからいわゆる金融機関が千百六十くらいでございます。これらは、それぞれ業態が違っておるということ、あるいはこの預金保険機構をうまく運営していくうらはらになっております検査でございますとか考査でございますとか、そういう組織の運営のしかたが違っておるということからいたしまして、これは諸外国でもそうでございますが、預金保険機構というもののうらはらにはやはりそれの指導ということがどうしても一体でなければならない。もちろん一体にして二つの各部に分かれるのも一案かと思いますが、しかし、このように別に分けて特に支障があるということはないと私は思っております。特に出資金が三億というような実体を備えております以上は、預金保険としての安定的な将来は確保できておる、かように考えておるわけでございます。
#181
○湯山委員 若干矛盾もあるように思いますけれども、それはあまり申し上げないことにします。ただ、将来の方向としては、私は両方共通して、しかも同じように保護されなければならないということを思います。それは最初申し上げたように、従来金融機関の側から健全に運営していくように保証してきたものが、今度は個々の預金者を守っていくというように発想が大きく変わっているわけであって、その経営主体が、たとえば総合経営体であるとかそういうことじゃなくて、やっておる実態を見れば、それによって一緒にやっていって決して不都合ではない。そういうことですから、これは御研究を願うということをぜひ要望しておきたいと思います。
 それから今度は、主務大臣がお二人になっています。これはさっき局長も違うところはこうだという、特に取り上げられた点です。お二人の主務大臣でそれぞれ監督の分野が違うのが普通だと思います。そうでなければ一人でいいわけですから、監督の分野は、農林大臣はどの分野、大蔵大臣はどの分野、そういう区別があればひとつ御説明を願いたいと思います。
#182
○内村(良)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、本制度の所管行政庁は農林、大蔵両大臣としておりまして、両大臣の全面的な共管でございます。したがいまして、本制度による認可その他監督権限は両大臣が協議、協同をいたしまして行使することになり、両者の意思の一致が当然の前提となるわけでございます。このように大蔵大臣を主務大臣とした理由は、本制度が信用秩序の維持を目的とするものであり、本制度の対象となる信用事業を行なう農漁協等もすべて農林、大蔵両大臣の共管となっている関係から両大臣の共管ということになったわけでございまして、権限の行使は両者協議して意見の一致を前提としてやる、こういうことになるわけでございます。
#183
○湯山委員 たてまえはそうでしょうけれども、たとえば理事長というのは二人はいないのですね。一人です。その場合に農林大臣は、たとえば農業関係、水産業関係から理事長を選びたい。大蔵大臣は金融関係から選びたいというような意見の相違は当然出てくると思います。そういう場合はどうするのですか。
#184
○内村(良)政府委員 両者協議いたして、意見の一致をはかるわけでございます。
#185
○湯山委員 農林大臣、そういう場合はお譲りになりますか。
#186
○櫻内国務大臣 先ほども御説明申し上げましたように、農協、漁協はそれぞれ兼業禁止がされておりません。そうしますと、この農協や漁協の実態というものがどこにあるかということを考えてまいりまするときに、御質問のように、ただ単に金融機関の経験だけの人という場合と農協なり漁協の経営全般について明るい人ということになりますれば、この協同組合の性格上おのずから両者の協議の間に意見の一致を見出すことができる、こう思います。
#187
○湯山委員 これだけ違っておりますと、そんなに簡単じゃないと思います。農林大臣は必ずしも金融関係は十分――櫻内農林大臣の場合は別です。他の農林大臣の場合は、金融関係はまことによく御存じない。そうかと思うと、他の大蔵大臣の場合は、今度は農業関係はちっともわからないという場合もあります。そういうことになると、こういう設定というものは、ただ金融関係であるのと対象が農林漁業団体だということだけで安易にきめておるというようなこと、これもきびしくいえば許されない点じゃないか。
 それから、さきに監事の任期が一方は二年で一方は三年というようなことを局長言っておりましたが、これも意味のないことで、二年にしたって三年にしたって、一般の機構の役員というものが任期が三年だから、監事は二年にしてダブらないようにというようなことをおっしゃるだろうけれども、再任を妨げないのですから、ちっともその配慮は要らないですが、にもかかわらず、なぜ預金法とこの貯金法とは監事を二年と三年と区別をつけたかこれは説明できぬでしょう。いま私はお答えになることを言ってあげましたが、再任を妨げないのです。再任がいけないというんなら全員かわりますけれども、継続してきている人があるのですから、何もそれによって断点ができるということはないです。そうすると、二年と三年と区別したという理由はないのですね。これはどういうわけですか。私の言うとおりじゃないですか。
#188
○内村(良)政府委員 理事と監事の任期を同一にするあるいはずらすということがございます。そこで、法律の場合には農林省関係の立法例に大体ならいまして、たとえば農林中央金庫法、農業者年金基金法等農林関係の法律は理事と監事の任期をずらせることが一般的なものでございますので、そういうような立法例を参考としてずらしているだけでございます。
#189
○湯山委員 それでは別に何の理由もないのですね。
 それから、そういうことだから申し上げますけれども、一方は預金法でしょう。それからこれは貯金となっている。ことさらに預金と貯金と使い分けなくてもいいし、農林関係には預金ということばがないかと思って調べてみると、ないでもないですね。いただいた農業協同組合法の一部を改正する法律案資料はちゃんと預貯金と書いてありまして、信用事業関係の資料にはちゃんと書いてあります。だから、これは無理に預金、貯金と区別しなくてもいいし、常識からいえば、むしろ農林水産業のほうが預金で、一般金融機関のほうが貯金じゃないか。というのは、一方はたくわえですから、いろいろと余ったものをたくわえる。ところが、農協等の場合は、場合によれば米代を一時預けておく、さっきお話がありましたように、あるいは土地代金を一時預けておく。それからやがて再生産の資金であるし、生活に使わなければならない。それを一時預けておくんだから、これも理屈からいえば、農協、漁協のほうが預金で、一般金融機関のほうが貯金といっても決しておかしくない。ことさらにこういう区別、さっきの二年、三年にしても、それから預金、貯金にしても、ことさらにそういう区別をする必要はない。農協なんか貯金という名前になっているからといえばそうでしょうけれども、それだけじゃなくて、定期積金など貯金でないものもあるのですから、そうすれば、これは別に預金、貯金と使い分けなくてもいいんじゃないか。絶対これは分けなければ困まるんだというこがあれば、ひとつ教えていただきたい。
#190
○内村(良)政府委員 預金と貯金は大体同じようなものでございまして、絶対にこれを区別しなければならぬという法律上の理屈はございません。ただ、立法例を見ますと、たとえば郵便貯金、それから協同組合の場合は大体貯金ということばを使っております。銀行関係の場合には預金、それから農林中央金庫法はたしか預金ということばを使っておりましたけれども、別に絶対にどっちでなければならぬというようなものではございません。ただ、そういった立法例を見まして貯金ということばを使ったわけでございます。
#191
○湯山委員 さっきから立法例立法例という答弁は、ここでの答弁にはなりません。いま政治的な判断をしておる質問ですから、立法例でというのはひとつ御答弁に使わないようにしてもらいたいのです。じゃなくて、どういう理由でこうだというのがなければ、これは判断の材料にならないのです。これはこまかいことですからどうでもいいです。もっと略していうときに貯金保険、預金保険といえば、両方が簡単に区別がつくからそうしたのだといえば、それでも了解しますから、立法例ということではないということを申し上げたい、そういうことです。
 中身に入りますけれども、これだけせっかく独立させたのであれば、それだけのよくなった点がなければならないと私は思うのです。ところが、あまりよくなっていないので、カバー率といいますか、この保険によって損失をしないで済むという、これによって保証できる割合ですね。それを見ますと、預金法のほうでは件数で九七・五%が大体カバーできる。金額では八一・七%がカバーできる。ところが、農協の場合は、この制度によってはいまの預金保険よりも一四%余り低くて、件数では八三%くらい、それから金額でもやはり六七%程度で、これは一四%程度低いということになっておるようですし、それから水産業協同組合の場合には、件数では九七%ですから相当カバーできますけれども、金額では六八%とやはり預金保険の金額のカバー率よりも一三%余り低い。こういうことですが、さっきおっしゃったように、せっかく今度は独立させたのなら、そのカバー率も似たようなところまで持っていくということを当然考えるべきではないかと思いますが、その点はどういうことなんでしょうか。これは大臣からお答え願うのが至当ではないかと思うのです。同じような形でいまのようにお出しになったのであれば、その預金者の受ける恩恵といいますか、カバーされる率も大体同じようにするということが、あるいはせっかくつくったのだからそれよりも有利になったというのがほんとうじゃないかと思うのですが、それがいまのように不利になっておる、これはどういうふうにしたらいいか、その点についてのお考えを伺いたいと思います。
#192
○櫻内国務大臣 御疑問につきましてはごもっともだと思います。予定される保険金の限度額百万円によってカバーできる農漁協貯金のシェアにつきましては、一般金融機関との比較ではただいまおっしゃられたようなカバー率になっておると思います。私もこの点についてはそういう感じを持ったのでありまするが、四十八年三月末における一農家当たりの純農協貯金残高、貯金から借り入れ金を引いた額が約八十万円と推定されるので、この保険金額で一般的な貯金者の大部分がカバーされることが推定できる。こういうことで、農協や漁協の場合におきましては組合員は貯金に合わせて当該農漁協から借り入れ金をしているケースが非常に多い。でありまするので、カバー率の格差はございますけれども、それはある程度縮小するものと考えられる、こういうことで、私もああそういうものかということで理解したのでありまするが、そのこまかい数字はいまここに持ち合わせございませんので、必要があればまた担当者からお答えさせます。
#193
○湯山委員 大臣もいまのように同じようなお感じをお持ちになったということですから、申し上げたいのは、その切り捨てられるのはどういう金かということです。農民のどういう預金、貯金が切り捨てられるかということなんですが、これは百万円をこえて預けておるのが切り捨てられる勘定になるわけですから、そうすると、農家で一般に余裕金がそんなにあるということはあまり考えられない。そうすると、さっきからお話に出ておりましたように、土地を売った代金、それが預金の大体三二%を占めている。それから農外所得、これが二六%、そして農業所得が四二%ですが、その四二%の中身は、ことしのあの安くなった中で必死でつくったミカン代もあれば、それから生産調整の中でとにかくつくった米代、そういうものが一応従来の慣例から農協へ預けられるということになっています。そういうのを含んでおるから、そこで個々の貯金額というものは比較的高いものがあるわけですよ。それがこの制度では、いまの試算では切り捨てられるということになれば、それは農業、水産業者をほんとうに守っていくための制度ということにはなりにくいことになります。そういうのがあるから金額のこのカバー率が低いのであって、そういうことを考えれば、農水産業のこの貯金保険においては保険金額を一般の預金保険よりも高くするということは当然認められていいと思います。それについて大蔵省の御所見を伺いたいと思います。
#194
○吉田(太)政府委員 この預金保険の対象になる金額を幾らにするかということは、カバーされるべき預貯金の額で計算をいたすべきか、あるいはもともと預金保険の制度のたてまえからいたしまして、そもそも破綻があってはならないことである、したがって経営責任ということと預金者の保護との割合をどの程度に考えるか、こういうところから出てくる問題ではなかろうかと思います。そういう意味からいたしますと、たとえば一〇〇%までカバーすべきものかどうか、金融機関においての自己責任を徹底するという意味からいたしまして、ある程度の自己責任の規律、ディシプリンというものを徹底さしていきたいというのが私どもの百万円で押えた考え方でございます。もちろんお説のように、これを百二十万あるいは百五十万という考え方もあろうかと思います。基本的にはやはりそういう考えでございますので、百万が適当かあるいはこれを大きく区切って二百万が適当かというようなところで判断されるべきものではなかろうか。そういう意味からいたしますと、現在の協同組合の預金制度の場合に、まずよるべき基準として何があるかと考えますと、現在既存の百万円といういわば社会保障的な制度に右へならえしたということが、これの基本的な考え方ではなかろうか、私はかように考えておるわけでございます。
#195
○湯山委員 預金保険では八〇%がカバーできる、この貯金保険の場合には六七%しかカバーできない、これが問題なので、せっかく保険があるのならば、せめて七五とか八〇まではカバーできるというのでなければ、せっかく法律でつくった保険の意味も薄れてくるのではないか。銀行局長が最初お答えになった経営責任の問題、保護との関係、それはよく存じております。一〇〇%ということを申し上げておるのではなくて、均衡かとれるようにする、そうして制度がある以上は六〇%台なんということではなくて、せめて七五から八〇程度、多少劣ってもその程度のところまではいくような制度にしなければ、あまりにも――さっき格差と言ったら、格差って何だろうとおっしゃっておりましたけれども、そういう問題があると思います。
 そこで、いまのような意味でバランスをとる百万というので統一するという考え方もありますけれども、そうじゃなくて、預金者の側に立って保護していくという観点に立てば、私は大体保証される率というものは似通ったものであってほしい、その努力をしてもらいたいということからのお尋ねなのです。それはいかがですか。
#196
○吉田(太)政府委員 私の先ほどお答えいたしましたのが基本的な考え方でございますので、多少これから申し上げることはいささかへ理屈になる面もあろうかと思います。しいて申し上げますれば、やはり六千、八千というたくさんの数の組合を対象としております。そういう大数の法則が働きやすい保険機構であれば、逆にむしろその危険度は少なくと申しますか、保険料も安くなるではなかろうか、したがってもう少しこれを上げてもだいじょうぶじゃなかろうか、かようなお考えかと思います。しかし、ここはやはり国民各層から貯金あるいは預金という形で預金を吸収していく一種の金融機関でございます以上、たとえば一方の一つの特定部門の金融機関が百五十万、一方は百万円までしか保険されないということになりますれば、国の資金の流れと申しますか、吸収のあり方として、やはりアンバランスが起こるのではなかろうか。そこは預金、貯金を問わず、その条件については同一にすべきではなかろうか。むしろ問題は破綻を起こさないように努力することのほうが大事じゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。
#197
○湯山委員 後者のほうは全く同感ですけれども、同じにすると言いながら、すでにこれは発足が平等じゃありませんですね。ですから、それは平等でなければならないという原理はわかります。それなら最初のときのスタートから平等にすべきであって、いま金額だけ平等ということで全体を律するというのは、最初から何やらへ理屈とおっしゃったから、そうだと思って聞き流しますけれども、それはこちらにもそういうへ理屈がまたできますので、いまの点、私は預金者の側に立った制度だということをまず第一にして、それから農業者といえども、農協へは大体六割、あとの四割は一般金融機関に預けています。その保証率というものがそういうふうに違っているということは、これはその点から言えば、はなはだ納得いきにくい点なので、また同時に、制度の面から言えば、あなた方のほうに納得いきにくい点がおありになると思いますけれども、それはせっかくああやって別な法律をつくったのですから、ひとつ農林大臣は、主務大臣として大蔵大臣とお話しいただいて、その内容には、いま三〇%をこえる土地代金、これは預けっぱなしにはできない金です。それから農産物の収穫の代金、そういうものが含まれているということもお話しいただいて、ぜひひとつ、せめて八〇%程度はカバーできるように御尽力を願いたいと思いますが、主務大臣のお一人として、農林大臣、いかがでしょう。
#198
○櫻内国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、純預貯金について見ますると、シェアは、だいぶ格差が縮まるということを申し上げたわけでございまするが、この制度が発足をいたしまして運営をしてまいります間に、その実績に伴って、御指摘のような問題点がさらに検討の余地のある場合も想像ができるのではないか、こういうふうに思いまするので、御意見を十分念頭に置いておきたいと思います。
#199
○湯山委員 それから、こまかいことですけれども、保険料率十万分の六というのは、これは長期にわたって運営の状態を見てきめる、長期にわたってカバーできるような方法でやっていくんだというようなことですけれども、これは十万分の六というのは、預金保険にならったのですか、独自に計算をなさったのですか。どちらでしょうか。
#200
○内村(良)政府委員 保険料率の試算につきましては、四十七年の三月末の一農協平均、一漁協平均の貯金量から、さらに四十七年九月末の貯金の伸びを見まして、それに、貯金に対する保険金支払いの比率、保険支払い額に対する欠損率、過去におけるその概算資料、これは農協と漁協でございますが、そういうような農漁協独自の資料に基づいて計算をしてみたわけでございます。その結果の数値が、現在預金保険機構が使っておる数値とあまり違わないということで、別の固有の資料で計算しているわけでございます。
#201
○湯山委員 そこは全く私にはわからないのですけれども、いまのような長期にわたって、そしてその事故件数を予測して、それでいて両方とも一致して十万分の六に保険料率が一致したということは、何を意味しておるのでしょうか。これは全然わからないので、お聞きしておるわけです。銀行局長のほうからお聞きしたほうが、専門家ですからいいと思います。
#202
○吉田(太)政府委員 一つには、これまでの農漁協の破綻例と一般金融機関の破綻例がそう違わないということが一つの理由ではなかろうかと思います。
 それから、計算いたしますと、多少の端数が出てまいります。しかし、何と申しましても分母になる預貯金の金額が大きゅうございますので、結局大きな違いは出てこない。〇・五云々というのを〇・六にするか、その程度の違いでしかないということかと思います。
#203
○湯山委員 じゃ、端的に言えば、両方ともそんなに危険の度合いというものは変わらないのだ、事故件数の割合も変わらないし、事故件数もそう違いはないというように判断してよろしゅうございますか。
#204
○吉田(太)政府委員 非常にしあわせなことには、大数的に見て、そう変わらないと考えていただいてけっこうだと思います。
 ちょっと申し上げておきたいことは、過去においての一つの金融機関の大きな破綻例がなかった。破綻が生じましたのは、信用組合あるいは例外的に信用金庫が一個でございます。農協の場合も、それに準ずるようなものであったということから同じようなことになったのではなかろうか、かように考えます。
#205
○湯山委員 それから五十一条の二項ですけれども、このことに関して、特定の農水協に対して差別的取り扱いをしないようにという注意があります。これはどういう意味ですか。
#206
○内村(良)政府委員 五十一条の二項でございますが、これは当然、国、日銀等も出資をしまして、公共的な機構として農協、漁協の預金者の保護を行なうわけでございますから、たとえばある組合が非常に事故率が高いおそれがあるというようなことで、差別待遇をしてはいけないということを規定しているわけでございます。
#207
○湯山委員 特定というのは、事故率が高いとか低いとか、そういう意味ですか。
#208
○内村(良)政府委員 保険でございますから、特に保険料の差別をするような場合には、やはりあぶないおそれがあるというような意味でございます。
#209
○湯山委員 じゃ、あぶないところがあっても差別してはいかぬ、こういう解釈でいいのですか。どうもはっきりしないのですけれども、いまおっしゃっただけですか。
#210
○内村(良)政府委員 保険料率の区分は金融機関の信用度の区分にもつながる問題でありますので、農漁協における貯金者の保護及びこの信用秩序の維持は農漁協が一体となって責任を負うものである。要するに、一体性からいきまして同一の保険料を適用するのが適当であるということでございます。すなわち、国が、あるいは日銀がこれに積極的に参加し、さらに一つの社会保障的な意味もあって貯金者の保護をやるということでございますので、あくまで貯金者の保護でございます。したがいまして、農漁協が一体的にそういった貯金者の保護機構に参加するわけでございますから、同一の料率を適用しなければならぬということでございます。
#211
○湯山委員 そういうことなら、特別にそういうただし書きをしなくても、たとえば十万分の六なら六ときめれば例外ないと思うのですけれども、特にこんなふうに書いてあるからお尋ねしたのですが、いまの御説明ならそれで了解がつきます。
 それから次は、資本金三億ですね。この運用益で運営をしていくというのですが、その運用益というのはどれくらいを見ておるか、二千万かその程度だと思います。人件費、物件費、その事業費、そういうのを考えていくと、会議費も要ることでしょうし、はたしてそれでやっていけるかどうか疑問ですけれども、その点はいかがですか。
#212
○内村(良)政府委員 貯金保険機構は一人の理事長、理事、監事及び運営委員のほか職員五名をもって発足することを考えております。
 そこで、四十八年度における所要経費の推算でございますが、大体人件費が一千百万円ぐらいかかるのではないか、それから事務運営費が四百十五万、事務諸費が三百六十二万、その他の経費が百二十万で、大体二千万ぐらいの予算規模で発足するということになるだろうと思います。
#213
○湯山委員 その程度でこの法律の目的が達成されるような運営ができるかどうか。他の金融機関といえば、中金とか信連でしょうけれども、こういうところへいろいろ依頼をしたり頼んだりすることもできるという規定があるようですが、そういうことも考えてのことですか。私はとにかくこれはあまり少な過ぎるので、人数もこれだけじゃとてもやれないだろうと思いますが、その点いかがですか。
#214
○内村(良)政府委員 私も必ずしも内容をつまびらかにしているわけではございませんけれども、現在の預金保険機構について私どもの承知しているところでは、常勤役員一名、職員十一名で運営しておられるようでございます。したがいまして、組合の数が非常に多いわけでございますから、その面でよけい経費がかかるのではないかということも考えられるわけでございますが、貯金保険機構の場合には、事務の一部を信連、あるいは信漁連に委託することを考えておりますので、そういった面でこれぐらいの規模、これぐらいの経費で仕事ができるのではないかというふうに考えております。
#215
○湯山委員 これはほかのことと違って、そう簡単に、これぐらいでどうにかなるのじゃないかというようなことでは、せっかく信用を強化しようというのに、逆に信用を低下させることにつながるおそれがあります。だから、この点はどういうふうにしていいのかわなりませんけれども、とにかく足りなければ足りるようにして、そして運営に支障の起きるようなことのないように、ぜひ配慮していただきたいというように思います。ですから、その点についてはもう少し検討なさって、そして先輩である預金保険とよく御相談になって、あまりこれでまた信連や信漁連に迷惑をかけるというのもよくないことです。せっかくできたものであれば、ひとつしっかりしたものにするという御配慮を忘れないようにお願いしたいと思います。
 どうも大蔵省の方にはたいへんお忙しいのを御迷惑かけました。
 それから次にお尋ねいたしたい点は、いま出されておる三法との関連においてですが、いろいろ金融関係の法案が出されておりますけれども、その内容というものはすでに御指摘のありましたように、直接農業、農民に融資の範囲を拡大するとかあるいは金利をうんと下げるとかそういったことでなくて、今回の改正の主体というものは、むしろ農業、農民から外のほうに融資対象を拡大していくという非常に危惧される点の多い改正になっています。ですから、たとえば近代化資金の場合も、いまの公社が入ってくるとか地方公社が入るとか、あるいは産業基盤、生活環境、そんなほうへも出されていくとか、あるいはもっといえば、宅地供給事業とか住宅関係までこれらの金が出ていくということであって、これは本来農業、農民というそういう農協法の系統資金の母体である農協、そのたてまえからいえば、本筋ではないということを感ずるわけですけれども、その点は農林省もそのようにお考えになっておられるかどうか。これは基本的な認識の問題ですから、一応ここは一致さしておきたいと思うのです。
#216
○櫻内国務大臣 先ほど御説明を申し上げましたが、社会経済情勢の変化に伴って多様化する組合員のニードによりよく対応しようということが、ただいまの御質問にお答えする第一点だと思います。農協法の第一条は、農民の協同組織の発達を促進することにより農業生産力の増進と同時に、農民の経済的社会的地位の向上をはかることを目的としておる、こういうようなふうに書かれておりまするので、農協の事業は必ずしも農業と直接関連する範囲に狭く限定されるべきものではない。農民たる組合員のために必要な事業は、たとえ直接農業と関係ないものであっても農協の事業として容認されると解されており、従来農地等処分事業が創設されたのもこのような解釈の妥当性を裏づけたものではないかと思うのでございます。今回の金融四法の関係から御指摘のようないろいろな御疑念、御意見が出るかと思いまするが、私どもとしてはただいま申し上げたような趣旨に沿っての考え方に立ったということを申し上げておきたいと思います。
#217
○湯山委員 農村の生活環境を整えていくということ、あるいは産業基盤の育成とか生活環境の整備とかそういうことをやっていくというのは、本来は農協の役目でもなければ農民の役目でもない。正しい地方自治が行なわれ、正しい施策が行なわれておれば、それらは農民の貯蓄とは別個に当然やられなければならない。農村のいろいろの環境整備というものは、おそらく他の部分でもそういう予算もあるし、そういう資金もあると思います。簡易水道にしてもそうでしょうし、農道というものもあります。それらはまた別個に進められるべきであって、本来は農民の蓄積した資金というものは直接農業に、農民に還元されるべきものだ。この原則は原則として踏まえて、今日余裕があるのだから、こういうことに第二義的に使ってもいいということなら私は了解します。けれども、たとえどういうことがあっても、それらは農民自体のために農業自体のために使うのもその環境に使うのも同じだというようには私には了承できないのですが、それは大臣はどのようにお考えになられるでしょう。
#218
○櫻内国務大臣 これは湯山委員のおっしゃることに私、同感であります。本来のおっしゃるようなことに支障のない限りで行なわれるべきものであると思います。先ほど組合員の社会的、経済的ニードも高まっておる、それにこたえるゆえんのものだということを申し上げましたが、これも御指摘のように、いま系統資金の余裕がある。その余裕を組合員の方のニードに応じて活用するのも第二次的には考えてもいいのではないか。おっしゃるとおり、一次は本来の目的である、そのような考えを導入したものでございます。
#219
○湯山委員 そこで、この系統資金がこんなにたくさんだまってきたという原因は、一体どこにあるとお考えでしょうか。
#220
○内村(良)政府委員 系統資金が余りました原因には、預金がふえたことと貸し出しが思うほど伸びないという二つの面がございます。預金がふえたことにつきましては、先般来るる申し上げておりますけれども、土地代金あるいは兼業所得というものが非常にふえている。相対的には農業所得が減っている。それから貸し出しの面では、本来業務である農業貸し付けが、最近、昭和四十六年以降、生産調整あるいはその他の経済的な原因で伸びていないという面があるわけでございます。それが系統資金に非常に余裕金ができている原因だというふうに考えております。
#221
○湯山委員 その預金がふえたという要素の中に、農協は特に預金の奨励、つまり預金を吸い上げるということに非常に熱心に取り組んだ。その原因はもう一つどこにあるかというと、販売、購買事業も思わしくない、生産活動といいますか、農業生産もどうもあまり思わしくない。結局、現在農協か生きていくためには信用事業によりかかるしかないというような条件、これが随所に出てきておる。そのためにこの信用事業に異常な情熱を持って取り組んできたという節はありませんか。
#222
○内村(良)政府委員 私はただいま先生の御指摘がございましたような点は全然ないとは思っておりません。
#223
○湯山委員 全然ない、そういうのもあるということですが、むしろそういうのが大都市はもちろんでしょうけれども、中都市等においても相当あるのではないか。実態をお調べになると、とにかく土地代金が三二%を占めているということだけからでも、これが単に一局部的な小部分の問題ではないということはよくおわかりだと思います。
  〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕
そういうために四国のある市でいえば、たとえば市農協というものができます。ところが、住宅もどんどん建って、信用事業の収入の多いところでは、そういう市農協にも入らないで、全く別途に信用事業だけで立っていっている。ところが、この間のドル・ショック以来、どうも信用事業も先が見えてきたようだ、ここで一体どうしたらいいかということで悩んでいる。そういうのが中都市、小都市含めてその中に相当数あることを私は知っておりますが、そういう事例も御存じでしょうか。
#224
○内村(良)政府委員 ただいま先生御指摘のございました点は、私どものほうで見ております三百三十組合につきましての経営分析の結果、数字的にもかなり明確に出ております。
 四十五年の数字を申し上げますと、これは一組平均でございますが、信用事業が約二千五十万円黒字になっております。共済も二百六十万円の黒字、購買事業が三百三十万円の赤字、販売事業が二百九十四万円の赤字、倉庫が、これは四十四年までは黒字でございましたが、米が減りました関係上五十九万四千円の赤字、加工利用が百四十二万九千円の赤字、その他が四百七万円の赤字で、大体利益が一千七十四万円。それが四十六年になりますと、信用事業の黒字は二千二百三十五万円、共済事業も三百二十九万円の黒字、購売事業は四百四十八万円、販売事業は四百二万円の赤字である。さらに倉庫も赤字がふえまして百十万円の赤字、加工利用も百七十二万円の赤字、その他も四百四十万円の赤字でございまして、利益が九百九十二万円に減っているということで、これは平均の数字でございますが、先生御指摘のあったような傾向ははっきり出ているわけでございます。
#225
○湯山委員 こういう数字が出た原因はいろいろあると思いますけれども、もうすでにこうなってくると、農協は農協法本来の役目じゃなくて、むしろ農協自体がどう生きていくかということを一生懸命やっていかなければならない。これだけの人数をかかえ、これだけの役員をかかえて、しかも農民にこれ以上負担をかけるわけにはいかない。自分で生きていくのをどうするかということにほんとうに苦労している。ですから、本来ならば、せっかくこうやって集まった金というものは農民に使われなければならないのに、それが使われないでだぶついてくる。近代化資金などがこんなに不消化のまま残るという原因はそこにあって、もはやここまでくると、この信用事業というものは、極端にいえば、邪道に入っているといっても言い過ぎじゃないというように思います。その原因は、いまの農協自体が生きていくためということになれば、もう一つ下がって考えていくと、国の政治、そのあり方というものと農協の指導者、これが非常に大きな要素を持っているというように思います。
 そこで、近代化資金ですけれども、そうやってとにかくこなさなければならないけれども、そのワクは一向消化されないで、ますます残が多くなってくる。これを見ますと、こういう考え方ができるんじゃないか、もう近代化は終わったのだというのか、近代化という事業はもう行き詰まったんだというような、そういう印象も受けますし、これに対する農民の期待というものが非常に減退してきているということがいえると思いますが、それはどういうふうにお考えでしょうか。
#226
○内村(良)政府委員 近代化資金のワクの消化があまり伸びないということの理由につきましては、先般御答弁申し上げたように、一応機械等に対する投資が一巡したのではないかということが考えられるわけでございます。そこで、最近の動向を見ますると、畜産、果樹等につきましては相当大規模な資金需要が出ておりますし、さらにまた、機械等につきましても、農業白書が指摘しているわけでございますが、農器具の投資につきまして、「動力耕うん機、農用トラック等に対する投資が普及の一巡などによって停滞したことによるものと思われる。しかし、最近、稲作経営農家が、実用段階を迎えた田植機、自脱型コンバインを積極的に導入していることが注目される」という例が書いてございますけれども、やはり近代化につきましては、今後も一そう努力をしなければならぬ面が農業の面ではたくさんあるわけでございまして、機械等につきましても自脱型コンバインというような最も日本に適した新しい稲作の機械が出てきている、それに投資するというようなことで、やはり私どもは近代化資金ができるだけ活用されるようにし、しかも一般の農協の貸し付け資金につきましても、基金協会が保証しているものを流して、なるべく農家が借りやすい体制にもっていく。それから制度金融につきましても極力簡素化に努力するというようなことで、やはり金融面につきましてはいろいろ整備をして農業の近代化に資するようにしなければならぬというように考えております。
#227
○湯山委員 大きい問題はあとにいたしまして、いま制度をなるべくわかりよい制度に、借りやすくするという中の貸し付け条件ですね、これは公庫資金は全くわけがわからぬくらい多いのですが、近代化資金だってまだ整理できるのではないかと思うのです。いまいただいておる資料で見ましても、四ページにありますが、金利も六分、五分、七分、この三つぐらいにして、それから期間も十年の場合は据え置き三年、五年なら二年、十五年なら何年というふうに単純にしてしまえば、これだって非常に簡単にできると思うのです。こんなのは簡単にできると思うのですが、いまなお、こうやって組み合せしますと、何十通りになります。これを償却期間が何年のものは据え置き期間が何年ですと固定してしまう。多少有利になる不利になる分がありますけれども、こういうのをまず整理する必要があると思いますが、いまでもこれはできるでしょう、ごらんになって。こういうのからまず手をつけてみてはいかがかと思いますが、どうですか。
#228
○内村(良)政府委員 農家の方々から、いまの金融制度は非常に複雑多岐でわかりにくい、現に融資を担当している農協の職員の人たちからもそのような希望が出ておりますことは、私どもも担当者として十分承知しております。しかしながら、一方こういった制度資金の非常にこまかい資金項目ができてきましたことには、いろいろな必要に基づいて歴史的背景みたいなものもないわけではないわけでございます。それから、こういった制度金融でございますから、金利の均衡といいますか、あるいは貸し付け条件のバランスといいますか、そういうものもございますので、そういった点をよく検討しながら、やはり将来においてはこれを整理する方向で努力しなければならぬというふうに考えておりますけれども、なかなかこれは歴史的な背景みたいなものがあるわけでございますから、その点を十分踏んまえ、さらに現実の農業投資の必要性というようなものも、過去においてはこれでよかったけれども、最近の動向を見れば、もっと下げなければならぬものがあるとか、そういった面も十分考えながらやらなければならぬと考えております。
#229
○湯山委員 ですから、たとえば十二年から十五年なんかは十五年に統一するというようなことは、過去のいきさつがどうあろうと、むずかしいことじゃないのです。しかも大事なことは、これは制度資金というけれども、資金の母体は借りる農民自身のものですから、ここが非常に大事なんです。公庫の資金と違って、この金は農民の金なんです。だから、その農民がすぐにわかるようにするということは当然の責任です。これは制度資金だからといって、そんなに縛れる資金じゃないのです、近代化資金の場合は。ですから、これはこの機会に改定するということをお約束願いたいと思います。どうでしょうか。
#230
○内村(良)政府委員 関係方面もございますので、その方向に向かって十分やれるように努力したいと思っております。
#231
○湯山委員 笑い話ではないのですが、私は実はこういう相談を受けました。親夫婦、子供夫婦それから弟、それで豚を飼う。子豚の生産もやるし、それから飼育もやる。そして自分でトラックを買って大阪の問屋へ運ぶ。桑畑が二反歩ばかり何とかあって、それでそういう事業をやろうと思うのだが、どうしたらいいか。その農協で相談せいといって、地元農協では、ちゃんと公庫資金でこうしたらいい、それで今度はそれを持っていって、そして役所でやってもらった。またそれと違うのが出ました。それからどこへ行ったらいいかというので、これは中金の松山支店へ行ってやってもらったら、それが一番安く有利なんで、結局それをやってもらおうと思ったら、地元の農協で判を押してくれない。とうとう流れたことがありました。こうなりますと、おそらくいまその例をあげて局長に、これはどういうふうにするのが一番有利かといっても、いまのような場合おわかりにならぬでしょう。それくらいいまの特に制度資金の借り入れというのはむずかしい。これは整理しなかったら、とてもじゃないが、名前は近代化資金ですけれども、近代化資金はそのシステムからいえば、決して近代化されていない、旧代化資金になってしまいます。ですから、これはひとつ勇気を持ってやらぬとできぬと思いますけれども、ぜひやってもらいたい。
 さて、さっきお話しのように、機械も終わった、それからこういうものも大体終わったということですが、今度これだけ金が残っているという事実から、私は、近代化ということばが一体適当なことばかどうか。資金の名前だからそれとして、いまも近代化に努力しなければならないということをおっしゃっておられましたが、通常、近代化というのは、後進、おくれているものを追いつかせる場合に使うことばと解釈しております。もっといえば、では日本の近代化というのはいつかといえば、明治維新から近代化だと日本の歴史家はいっておりますね。近世ではなくて近代。そうすると、近代化ということばには、将来に対する展望はなくて、とにかく現在おくれておるものをそこまで持っていくという意味しかない意味だと解するのが、近代化ということばの正しい意味だと思うのですが、そういうことをお考えになったことはありませんか。
#232
○内村(良)政府委員 近代化とは何かということばの意味、これは非常にお答えしにくいむずかしい御質問でございます。近代化というのは、たとえば農業経営に例をとってみますと、やはりいろいろな施設を、極力その時代に合う新しいものを取り入れ、生産性を上げて所得をふやしていくというのが近代化ではないか。そうすると、歴史的にある段階が古代からずっと現代までございまして、歴史上、私の常識では、古代、中世、近代、現代とこうなりまして、何か段階的なものであって、そこで終わってしまうということに考えるのか、あるいは常に近代化といいますか、合理化していくということを近代化というのか、その辺はいろいろ解釈の問題があると思いますけれども、私はやはり農業経営についていえば、土地を買って経営規模を大きくして、規模の利益を得、さらに極力資本装備を合理化して、経営の合理化をはかって、それによって生産性を上げ、所得をふやしていくというのが近代化ではないか、こういうふうに考えまして、歴史の段階的な意味は、近代化資金といっているこの資金には、そういう意味はないのではないかというふうに解釈いたします。
#233
○湯山委員 産業の近代化というのは、農業中心の生産から工業へ移っていくというのを産業の近代化といいますね。それから南北問題では、おくれておる南のほうの農業を近代化していく、つまり北へ追いつかしていくということに近代化ということばを使っております。だから、近代化というものは、それを乗り越えて新しいイメージを求めていくというものはない、これをうっかり使ってしまったと思うのですけれども、ちょうどこれも名前をつけたようなもので、子供に正直とつけたのが正直ではなかったりするようなこともあるようなこともありますけれども、これはしかし、簡単に近代化ということだけ考えていると、いま局長がたまたまそのとおり言ったように、機械化も大体これで終わった、そこでもうその分は近代化された、こっちの分もこうこうで大体終わった、ところが、稲刈り、田植えのほうは近代化されてない、まだ手でやっている、これはやはり徳川時代のままだから、これは機械を使って近代化するというような、局長のことばとぴったり合うのです。だから、これは一ぺん検討してもらう。そうしないと、ことばと実態とが合わないのと、そういう考えだと農業はよくならないという感じもしますから、ひとつぜひもう一ぺん近代化ということを検討していただきたいと思うのです。そうしないと、近代化ということばからビジョンが生まれてこない、このことを申し上げて、さて問題は、ここからさっきの、農協の経営というものが、むしろ農協自体が生きていくために一生懸命やっていかなければならない、そのために努力した、その努力が今日のように第二義的なほうへその資金を回さなければならない、そうしなければ、農協自体も困るということになってきている。これは非常に大きな問題で、先般あれは竹内委員でしたか、農林大臣に農協の原点をどこに求めるかという質問をしたのですね。竹内委員からそういう質問があったと思います。私もやはりここまでくると、その問題をもう一ぺんお聞きしなければならないということを痛感いたします。
 そこで、お尋ねいたしますが、大臣は農業協同組合法の一部を改正する法律案の提案理由の御説明で「農業協同組合は、農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上をはかることを目的とする農民の協同組織として、昭和三十二年に発足して以来、わが国経済及び農業の推移、発展とともにその活発な活動を展開してきたところであります。」こう農業協同組合の今日までの活動、功績を評価しておられます。しかし、いま非常にきびしい情勢にあるから、この局面を打開していくためには、また「農業協同組合の役割りにまつところきわめて大なるものがあり、農業協同組合がその期待に十全にこたえ得る体制を整えることが重要な課題となっております。」こう申しておられますが、一体農業協同組合がほんとうに今日段階においてその役目を十分に果たしておったといえるかどうか、もう一ぺんこれは考えてみる必要があると思います。というのは、農民の協同組織として「農業生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上をはかることを目的とする」というのですが、一体農業生産力は増進したのか後退したのか、ここから一応検討していきたいと思うのです。
 これも調べていただくと時間を食いますので、農業白書で見ますと、農業生産は低下しています。今度出ておる白書で見ますと、四十四年度には対前年度比一・四%の減、それから四十五年度は二・四%の減、四十六年度は四・六%の減、これは結局農業生産というものはそれだけずつ低下してきた。原因、理由もいろいろありましょうけれども、とにかく実態は、この農協法にあるような生産の増強は達成されてないといっても間違いじゃないと思います。
 その次の「農民の経済的、社会的地位の向上」ということですが、これにはいろいろなことがありますが、経済的な面でいえば農業所得の問題、これがあると思います。農業所得についてもまた同様に、四十五年度、四十六年度とその農業所得は低下してきております。こう見てまいりますと、農業生産力も増進していない。それから農民の経済力も増進していない。
 それから社会的な地位ですけれども、現在あれだけたくさんの出かせぎ、それをごらんになってもわかりますし、後継者がいない、農家に嫁が来ないというような一連のものは、そうしてまた過疎現象、それらを含めて、農民の社会的地位が向上しているとはどう考えてもいえない。
 それは農家所得とか、そういう農村地域社会全体からいえばいろいろなことがありましょうけれども、しかし、その点は農協法ははっきり規定しておるはずです。それはどういうことかといいますと、農協法によれば、農民とは兼業でもなければ出かせぎでもありません。農協法でいう農民とは「みずから農業を営み、又は農業に従事する個人」これが農民です。その農民の経済的、社会的地位は決して向上しておりません。これはいま農林省の資料によって申し上げたとおりです。
 それから農業の生産力というのも、これも農業の生産性ではないのです。労働生産性の場合なら、土地なら寝ころんでおって幾らかできれば、手入れしてよけいできるよりもそのほうが生産性の高い場合もありますけれども、そうではなくて、これははっきりと農業の生産性であって、農業というのは、これは限定してあります。「農業とは、耕作、養畜又は養蚕の業務」それと「これに附随する業務」というように、ちゃんと農協法は規定してあるのですから、そうなってくると、大臣は提案の説明のところで、わが国の農業の生産力の増進と農民の経済的、社会的地位の向上のために農業協同組合がずいぶん努力して活発な活動をやってきたという御評価をなさっておりますけれども、もし農業協同組合がほんとうに大臣の言われるような活動をしたのであったならば、その活動にもかかわらず、その目的は達成されないということになるわけです。そう読むのがこの法律の正しい読み方で、農民とは農家ではなくて、みずから農業を営む個人だというところまで明確に規定してあります。農協法はそうだと思うのです。そうすると、農業、農民、これらについてはまさに生産は低下し、農業、農民は社会的にも経済的にも決して地位は向上してきていないということになりますが、それでよろしゅうございますか。
#234
○内村(良)政府委員 大臣の御答弁の前にやや理屈めいたことを申し上げるかと思いますが、数字をちょっと申し上げてみたいと思います。
 まず、先ほど先生から自書の御引用がございまして、四十五年四十六年では農業総産出額は確かに減っております。これはやはり農産物でございますから、天候等の条件もあるわけでございます。この農業協同組合法でいっておりますのは、農業生産力という点から見てみますと、農業就業者一人あたりの純生産で見ますと、物価の関係もございますが、昭和三十六年の十二万円にたいしまして、四十六年には四十二万円となっております。すなわちこの十年間に三・四倍に増大しておるわけでございます。農業はそういうふうなわけでございますが、他産業就業者一人あたりの純生産額も大体伸びがこの程度でございますので、両者の比較生産性の格差はある程度解消されているという結果になっているのではないか。このことが家計費のほうにも反映いたしまして、昭和三十六年度には農家の家計費は、勤労者に対しまして七六%程度であったわけでございますが、その後農家所得の大幅な伸長によりまして、四十六年度には九八%ということになっております。したがいまして、数字の読み方もございますけれども、私どもはやはり、そのこと自体が農協の活動によるのであるか、あるいは農民の勤勉によるのであるか、それは議論のあるところでございますが、数字的に見てそう悪くはなっていない。
 それから農協法の問題でございますけれども、確かに三条で「この法律において、農民とは、みずから農業を営み、又は農業に従事する個人をいう。」といっております。しかし、これは専業農家だけが協同組合の組合員になれるという意味ではなしに、やはり「農業を営み、又は農業に従事している個人」であれば農協の組合員になれるわけでございまして、兼業農家も当然農協組合員になれるわけでございます。
#235
○湯山委員 そういう御答弁があるかと思って最初からお断わりしてあるのです。いま申し上げたように農家じゃないのですよ。しかもその農家の農業所得というのは、農家所得の半分以下なんです。だから、いまの局長のようなことでは、それは全然問題にならない。そうじゃなくて、これは実際に農業の生産であって、農家じゃありません。国全体の農業の生産がどれだけ上がったかということなんで、それは低下しておる。それから、個々の農家はふえていってる、そんなことは言っていません。この農協法にあるとおり言っている。
 それから、いまのは、農家というのはこうだというように規定してあるのですから、少くなくとも農家所得というのは、兼業とか、そういうものを除いて純粋な農業所得でどうかといえば、これはもういま言うとおりです。そして社会的な地位というのは、非常にはかりにくいけれども、今日の過疎の状態とか、後継者がいないとか、お嫁さんが来ないということは、農業を営んでおる、農業で生活している人たちの社会的な地位が上がったということには、どんなにしたってならない。ですから、これは率直にそうなっていると言わざるを得ないと思うのです。私は決してこじつけておるつもりはありません。いただいた資料といただいた説明、それに法律に合わして申し上げておるのです。ですから、せっかく農協が努力したけれども、しかし、その農協法の目的とするような実際の効果はあがっていないということにしかならないと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
#236
○櫻内国務大臣 遺憾ながらちょっと観点が違うのであります。と申しますのは、ただいま内村局長のほうから、十年をとって生産が三・五倍ぐらいになったことや、農家所得は向上したことを申し上げましたが、それではいけない、農業をやっておる者で言え、こう言われると、今度は、その場合は兼業農家というものは別に考えなければなりませんから、専業農家だけならば一体どうか、こうなってくると、専業農家は所得が上がり、地位も向上しておると私は思うのです。それで大きくとって、専業農家に第一種二種と、こう入れてくるからその数字が違ってくる。そうなってくると、それに対しては、やはり農家ととっていくほうが見方としてはいいんではないかという気もするのです。だから、その辺の点をひとつ御理解をちょうだいしたいと思います。
 また、私の提案説明御引用でございましたが、それは言うまでもなく、農業協同組合法の第一条の目的をそのまま趣旨説明に引用いたしまして、農民の協同組織のあり方から申し上げたわけでございます。私は、農協は農協としてこの目的のために鋭意努力をしてまいりまして、まあ先生のおことばも頭に置いて申し上げますならば、それによって専業農家としてはりっぱな成果をあげておる、一種、二種の兼業まで入れていけば御批判のようなことが出る、こういうふうに私は見ておるわけであります。
#237
○湯山委員 大臣も私もそんなに違ったことを言っておるつもりはありません。ただ、問題はそういうことなんです。基本法をつくるときには、こんなに兼業という形が出てくるということはだれも考えていなかったと思います。それが経営規模を拡大して、構造改善をやって、選択的拡大をやっていけば、自立経営農家が百万戸できるんだというようなことでやってきて、それに合うようにいまの信託行為等もできるようにしてきたけれども、事志と反して、やはり農業がそれについていけなかったというか、もっとほかに、日本の農政がそういう方向へ押しやったというか、高度成長政策というものが、あるいは輸出第一主義というようなものが、あるいは経済合理主義というようなものが強く働いて、結局意図したものと違ったものになってきている。だから、この農協法ができるときには、はっきり農業生産力をこれで増強していくんだ、それから、農民というのは、大臣が御引用になった提案説明の農民というのは農協法でいう農民ですから、これは法律で規定されておる農民だ。実態は兼業があるということを否定してはおりません。このとおりのことばでいけば、農協法にいっておる農民の社会的、経済的地位も向上したということになるが、そうはなっていない、こういうことを御指摘申し上げておるのであって、そこまでは大臣も御異論はないと思うのです。その点はそれでよろしゅうございますか。
 それから、生産が何倍になったということは、これは問題になりません。もうそれは問題にならない。ですから、農家じゃなくて、この農協法で意図した農業をやっておる農民の経済的、社会的地位の向上ということは、それを切り離せばできなかった、こういうことで、大臣、いいんじゃございませんか。
#238
○櫻内国務大臣 私の言ったことについても御理解をちょうだいしたようでございまするし、私も湯山委員の言っておるそのこと自体は、何をおっしゃっておるかということはよくわかりました。しかし、私がこの際申し上げたいことば、きょうもでございましたが、耕地面積も十年後減るではないか、それから農民の数も減るではないか、こういう御指摘もございました。これは、全体の産業の中で一体農業がどういう位置づけになるかということに対しての専門的な見識の方々による一応の結論が出ておる、だから、私もそれを尊重していくんだ。そうしてそのことを頭に置いてみますると、第一に、自立経営農家、専業農家というものも非常に大事です。それから、いまの社会経済情勢をにらんでの専業農家が中核となっての生産拡大という必要もこれまたあると思うのです。そうして時代の要請に伴ってくるところの一種、二種の兼業農家もある、それが農村の実体になっていく。そういう見通しをつけて、どういうふうにこれからの農業を進めていくかということが実際上の問題だと思うのが第一です。
 それから、皆さん方がよく言われる、高度成長に対していろいろ御批判がある。私はそれに対して、われわれもそれについて反省も持っております、しかし、そのことば農業に対して非常にいい環境をつくりつつあるんではないかということを私は繰り返し申し上げておるわけであります。
 これからの日本の産業として、無限の資源を生み出す農業とか林業とか漁業というものがいま見直される時期が来ておる、だから、この際農業についてもう一つ積極的なかまえを示そうじゃないかというようなことをときどき、そういう理想ばかり言うな、抽象的なことばかり言うなと言われながらも、申し上げてきておるわけでございますが、やはり時代に応じて、その実態に即してものごとを考えていかなければならないのではないかと思いまするので、先生の御意見も尊重しつつこれから農業に当たってまいりたいと思います。
#239
○湯山委員 大臣が、言われることを先に言ってしまいましたが、実はそういうことなんです。ですから、問題は、私は現状をどう見るかということからスタートして、いま大臣の結びのことば、そっちへやはり行かなければならぬということを考えたわけです。したがって、農業協同組合法も、この立法当時の趣旨、十年前とはいまはもう変わってきている。つまりこのことは達成されなかった、別な方向へ行っている。しかし、別な方向へ行ったからほっておいていいとも申し上げてはいません。ただし、そうった原因というものはここで振り返ってみなければならない。
 それは、私は時間もありませんししますから、申し上げますけれども、一つはやはり政府のとってきた政策にある。このことはもういなめないと思います。いま一つは、私はやはり農業協同組合の指導者のあり方、ここに問題があると思います。これは昨日たまたま、局長も非常に勇気をもって言われたのか平素のお考えが出たのか知らないけれども、ともかく産業組合時代の協同組合運動のそういう気持ちが農協職員の中にはあって、それで超勤などを言われなくともするんだというようなこともあるんではないかということをおっしゃいましたが、私はそればいまこういうところで局長からそういうことばが出たということは高く評価したいと思います。たまたまそれと合うように、きょうはまた参考人の織井さんが、お互いひとつ政府も協同組合的政策を進めてもらうし、農村も協同組合的農村になるし、都市部もやはり協同組合的都市部にならなければよくならないんだということを最後に言いました。ここですよね。本来協同組合というものが持っている性格というものは、零細な農家が集まって、そして大きい生産力を持つ資本と対抗してお互い守っていく、ここに協同組合の本旨があって、農業協同組合も漁業協同組合も、この範囲を逸脱するものではない。このことをしっかり頭に入れておかないと、私はいまのような欠陥は、大臣のいまのような御決意にもかかわらず、是正されないというように思います。
 そこで、さっきもたまたま言われたように、一部でえさの買い占めがあるということなら、中金でたまっている金を全部それにぶち込んでえさを押えて、そして農民に安く提供するというようなことこそがこの金の役目なんで、そういうことを抜きにして、地方の地域開発に使うとか、いや住宅関係へ持っていくとか、そういうことじゃない。ここをしっかり踏まえているかいないかが指導者のポイントであると思うのです。
 このことは資本主義の国であるとか社会主義の国であるとかいう問題ではなくて、いま私は参考にすべきだなと思うことは、いま農産物の、特にグレープフルーツに続いてオレンジ、果汁の自由化の問題これは総額でどのくらいの影響があるか、三億ドルという人もあるし、五億ドルという人もあるし、額にすればわずかです。しかし、そのわずかな農産物の自由化に大統領はじめとにかくアメリカの代表はもう必死になってやってきておる。日本の農林大臣は必死になって抵抗している。これこそが協同組合精神です。向こうはわずかなもので、農民の数というのはアメリカは日本よりはるかに少ない。五%そこそこです。そのために大統領も、そして大臣もみんなあんなにして努力している。日本の農林大臣もそのためにいまがんばっている。そういう姿勢でやっていかなければ、これは幾ら近代化資金をよけいにしたって、何をどうしたって日本の農業は改まっていかないし、農協がどんなに努力したって、それはできないことだというように思います。
 そこで、もう一ぺん私はこの協同組合というものの本質に立ち返っての農協の指導というようなものを、この際本気で農林省もやらなければならないということを痛感するのですが、担当の局長の御意見を伺いたいと思います。
#240
○内村(良)政府委員 協同組合は弱者が団結して強者に当たるというのが、協同組合ができて以来の本質的な性格でございます。その点は前世紀以来今日まで変わっていないと思います。さらに農協の場合には、農業協同組合は農業者の職能組合でございます。しかしながら、一方、社会経済情勢の変化ということもございますので、一つの指導理論だけで指導するわけにもまいりません。やはり農業の置かれている情勢、いろいろ社会的な要請も違ってまいりますから、そういうようなことを踏まえて指導しなければなりませんけれども、基本的精神は、ただいま先生から御指摘のありましたような精神で指導してまいりたいと私は常々考えております。
#241
○湯山委員 最後に大臣にお尋ねいたします。
 いま申し上げましたように、大臣が自由化の問題で一生懸命がんばっておられる。そればかんきつ農家がどうだとかこうだとかいうことではなくて、やはりその個々の農民を守っていくという基本的な立場でやっておられることだと思います。そういう姿勢で対抗しない限り、いまのアメリカの自由化攻勢というようなものには対抗できない。わずかあれだけの金額のものに、なぜアメリカが必死になるかということの理解はできないと思います。
 そこで、さっき大臣は結論的なものをおっしゃいましたけれども、ほんとうの農業協同組合というのは何をしなければならないか、そしてそのためには政府はどうしなければならないかということを十分お考えの上で大臣としても今後指導に当たられ、農政を進めていただきたいと思いますが、最後に大臣の御答弁をいただきたいと思います。
#242
○櫻内国務大臣 ただいま省内で現にその指導の立場にあり、行政の責任を担当しておる内村局長からお答えを申し上げたところでございまして、農村における農業協同組合、漁村における漁業協同組合、それが本来の目的に沿って十分な活動ができ、地域農民、漁民のためになるように最善の努力をすべきであると局長が決意を言われたのでありまするから、私は局長とともにその責任を果たしてまいりたいと思います。
#243
○湯山委員 終わります。
#244
○佐々木委員長 津川武一君。
#245
○津川委員 今度のこの農業金融に関する四つの法案を見てみまして、事、法案を改正しなければならない根本原因は、どんどん農民の預貯金がたまってきたことであり、この使途をどうするかという点について苦労されているわけです。私も、農民が預貯金を持つことはそれ自身非常にいいことだと思いますが、この背景を見ますと、かなり大きな問題があるかと思います。
 具体的に言う前に端的にいうと、日本の農業を困難にせしめているもの、日本の農地の一部をつぶしているものがそっくり農民の預貯金になっておるという現実を見たいと思うのです。今度の白書でも、農耕地は減っています。二毛作地帯も減っています。農業生産額も減っています。一戸当たり農業所得も減りました。兼業農家の数はふえました。出かせぎ者はふえました。農業労働人口は老齢化し、婦人化しています。自立できる専業農家は減りました。そして国民の主食の自給率も減ってきた。こういう形の中で、着実に、間違いなく、驚くべきほどふえたのが農民の預貯金。このことは私は別な形で、農民のところに預貯金がふえたからと簡単に喜んでおれない、そういう状態なんです。
 この預金のふえた一つの重要な因子として、農民が土地を売ったお金が出ております。農耕地、農用地は、昭和三十五年の六百七万ヘクタールから四十五年の五百八十万ヘクタールへと、十年間にこれだけ減っております。国土面積に対する農用地の割合は、三十五年の二五%から四十五年の一七%に落ちておる。一方イギリスを見ると、国土面積に対して七九%農用地がある。西ドイツ五五%、フランス六一%、これが四十五年の数字です。四十六年、四十七年になると、この勢いがさらにふえておる。こういう状況の中に私は今度のふえた預貯金の原因があると思う。そこで、これからそのまま宅地並み課税がいくともっとまた土地が売られる、それから相続税で重い税金がくるのでまた土地を売らなければならぬ。こういう形で、このままいくと、また預貯金がふえてしまって、もう一回法律を改正しなければ使い道がなくなるまでいくのじゃないかと私は思うのです。
 そこで、農林大臣もこういう原因があるとお認めになると思いますが、とすれば、この農地をつぶすという状態を阻止しなければならない。そういう形で兼業農業をやって、借家なんかをやって収入がふえていく形を何とか減らしていかなければならないのじゃないか。このことをまず農林大臣に答えていただきます。
 そこで大臣、これとちょうどうらはらなのが、これだけたまった預貯金を農業のサイドで営農のために使うことができるならば、今度のような事態は起きない。ところが、今度は実際に預貯金を使う面はどうかというと、これは今度は、兼業農家がついに八五%をこしてしまった、男子専従者のいない農家が六二%になる、そこでこのお金を使うべき機械化、農器具機械の投資が、これは白書によれば前年比で一四・四%減ってきているが、その他で農業の使うべきものが使われないようなかっこうでここにお金が余ってしまう。そこで、問題を解決するためには、この預貯金となってきた根源が農業破壊につながっているものがあるから、これを押える。もう一つの対策は、たまったものをどんどん農業振興のために使う。こうすれば問題は解決できる、こう思うのですが、これに対する大臣の所信をまず聞かしていただきます。
#246
○櫻内国務大臣 預貯金がたまっておる、その原因についてまずいろいろ御指摘がございました。その原因の是非は別といたしまして、現実に預貯金があり、それが運用されておらないという事実は、これを否定することはできないと思うのであります。またそれを有効に使うべきである、こういう系統資金でありまするから、これが当然農家のために有効に費消される必要があることを強調された。この点は私も全く同感であります。
 そこで、今回の四法の改正の根幹には、いまお示しの考え方というものが反映してお願いをしておる。ただ、そのお願いの中で、御論議を通じて考えまするときに、すべて直接の農業面に使われるべきである。それに対して私は第一次的にはそうである。しかし、第二次的なことについてもこれは考える必要がある。現に農民の持っておるニードにこたえる上からそういう必要性もまたある。だから、本来の目的は本来の目的として、そしてこの二次的なものもあわせ考える必要があるのではないかということを申し上げておるわけでございます。いま現に問題になっておる四法の関係からお答えをいたしますれば、以上のとおりでございます。
#247
○津川委員 そこで、先ほどから農協は何ぞやという議論が出ておって、一義的に農民のための農業振興に使う、これで大臣が答えていますけれども、実際の問題で少しお尋ねしてみます。
 私は、この間横浜の北農協、南農協、神奈川県の都岡農協、神奈川県の二俣川農協へ実際に行ってみました。農民とも夜おそくまで懇談を重ねてきましたが、この横浜の南農協は、貸借対照表で、昭和四十八年二月二十八日現在、預貯金が四百八十八億円、貸し付け金百九十七億円、北農協、同じ二月二十八日、預貯金が四百十五億円、貸し付け金が百二十五億円、これがこの農協の実態であります。私は、都市農協なので、これはこれでいたし方あるまいと思いますが、このお金がどこから集まったかの問題なんです。北農協でいうと、緑農課のお仕事が五人、営農課、農民の相談を受けるところは七人、合わせて十二人。これに対して不動産管理士の資格を持っている人が二十人、こういう状態です。そして世話活動をやっておりますが、お世話の相談に来る人は、自分の土地を、農地をつぶして宅地にしてアパートを建てて、そういう形で貸し家にする相談のほうが圧倒的に多い。そこで、南農協のいろいろな部門に農民が区分けされておりますが、貸し家経営部が部員千百六十四人、酪農部百八人、これが農協の実態でございます。そしてこの農協にはさらに兼業開発課というのがある。ここで、いかにして農業をつぶして、こうしていくかということがこの方針なんです。しかもこの農協の営農計画、事業方針を見てあ然としたわけです。この余ったお金を有効に確実に金利を生まして安全にするために、農協の法制上の制約を排除して、業務分野を拡充しておる。これがこの農協の方針でございます。
 とすれば、大臣、あなたがいま言った営農第一、農業第一に運営していくというのは、この農協に関する限りうそであります。この農協をどのように見て、どのように考えて、どのように指導していただくかを、大臣答えていただきます。
#248
○櫻内国務大臣 いまのお示しの例、これをそのままおっしゃるとおりに承りまして、どういう感じをあるいは考えを持つか。まさにこれが都市農協のあり方、現にこの委員会でもしばしば問題になっておる問題点の一つである、このように認識をいたします。
#249
○津川委員 そこで、この都市農協の篤農青年八人と懇談してみました。一町二反、百二十アールの農耕地を持っている。非常に苦労してやっています。私に誇りをぶつけて言う。私たちは百戦練摩の農民だ。何人かつぶされてつぶされていって、われわれは生き残ってこうしてやっているのだ。そして横浜市の中央市場に出荷される横浜市民の新鮮野菜、生鮮食料品の野菜の三割一分をわれわれが出している。私たちの仲間では――これからしゃべる農協に問題があると思うが、中央市場に出荷しないで直接町の八百屋に持っていくグループの人たちもおる。これを入れると四〇%からこすだろう。だが、私たちが本気に農業をやっていくときに、この南農協は私たちに金を貸してくれない。ここに問題があるわけです。国の制度からいって、ビニールハウスをつくろうと思っても、施設農業をやろうと思っても禁止される、ここに問題があるわけです。そして縦貫道路ができて、夜ごうごうと灯が照っているためにホウレンソウがとうを出して野菜がつくれない、こういうことに対する施設費を要求しても出さないという。今度は牛二十頭を飼っている酪農家に行ってみました。その人は二十年前からここでこれだけの酪農をやっている。あとから来た人たちが、おまえらのところは公害を出すからそこを立ちのけ、そこに公害を除去する施設をしろ。これに対して農協は出さない。その人たちの言い分は、ぼくらは二十年前からここで酪農をやってきたのだ。ここにこれを入れるとすれば、地方自治体がこの公害がなくなるような状況をつくって入れるのがほんとうじゃないか。こういうことがこの青年たちの、いわゆる百戦練摩の乗り越えてきた人です。またいわく、私たちがどんなに農業をやろうとしても、軟弱野菜のほかに水田の裏作、二毛作をやりたい。だが、公害で水がよごれてしまってもう水田はやれない。これに対して農協では資金を出してくれないという。光化学スモッグで葉が黄色してしまってどうにもならない。これに対する薬剤の資金の要求に行くと、おいらの計画と必ずしも一致しないからといって、ここで資金をとめられる。大臣、この状態です。
 こういう形で、単純にあなたは農業を第一義的に見る、あと農民のその他のニードがあるからそちらに回す、こう言っていますが、いま私があげたものを一つ一つどうするということを答えることはめんどうだろうと思うけれども、ここでこういうふうに都市農業を守る立場をとらなければ、金がたまっておる、まだ同じこと金が使われないという状態が出てまいります。この点を答えていただく。
 そこで、私は、都市で一坪の農地がつぶされたならば、一坪かわりのものをつくっていく、開いていく。あの縦貫道路の夜の光でホウレンソウにとうが立ってそこの生産が減退したならば、別なところでこれをどこかで取り返して生産を上げるということでないと、今後のほんとうの立場じゃない、このように私は思うのですが、大臣、いかがでございます。
#250
○櫻内国務大臣 これはお答えの前提に誤解があってはいけませんが、この現にお取り上げになった農協を対象にして私がお答えするのではなくて、これは市街化区域内でやっておる農業であるのではないか、お話を聞いておって私はこういう想像をしてお答えをすることでお許しいただきたい。これはこの農協を対象にしては恐縮でございますから。
 市街化区域であれば、これは十年以内に農業はもうやめてもらおう、こういう基本的な方針を示しておるわけでございます。したがって、その場合でありますと、長期の資金の貸し付けということについては、そういう前提で出さないということも出てくると思うのですね。だから、お話を聞いておって、あるいはそういうようなことに該当して金が借りられないということではないのかなというように私は受けとめながら聞いておったわけであります。
 ただ、そこで、せっかく長年にわたって営農し、しかもみずから農業をする意思のある篤農家であるということでありますれば、それに対応する施策がなければならない。そこは、いま最後にお示しのように、土地が必要ならば代替の土地を考えるべきである、それは私どももそのとおりに思うのでありまして、具体的にそういう場合には、必要があれば農林省のほうとしても御相談や御指導を申し上げたい、こう思います。
#251
○津川委員 そこで、大臣、なぜ施設農業に、ビニールハウスにお金が出ないかをいろいろ詰めてみたら、いま大臣が言っているように市街化区域なんです。そこで、都市計画法を、いまはこういう状態になったので直さなければならないのじゃないか、都市計画法の再検討が私は必要だと思うのです。
 きのう、宅地並み課税が衆議院で通過したので、私たち共産党は、とりあえず、急いで必要な土地の地価を凍結する、これが一つ。二番目には、大企業には地方自治体の許可がなければ三年間売らせない。三つ目には、大企業が、大土地所有者が買っておる土地を、地方自治体で買い値とその維持費を掛けたもので徴用して、ここで緑の農業を、ときによると都市が必要としている宅地に使うことがあってもいいが、こういう形でやろう。こういうふうに緊急提案したわけですが、こういう立場からいうと、いま急速にこの土地買いが始まった状況になってくると、都市計画法というものに検討を加える必要があるかと思うのですが、この点が一つ。
 時間がないので質問を二つ続けます。
 こういう形で、農業サイドの営農としての独自の要求があるのに、出さない。しかも、今度の改正で国民経済に影響して、地方自治体が主導権を握る、そういう開発会社なら出してもよろしい。
 そこで具体的にお伺いします。志布志湾、苫小牧、青森県の私の郷里のほうの陸奥湾、小川原湖の六ケ所、これは具体的に進んで、かなり土地が買い占められております。ここで第三セクターをつくって、これで農協の中金に余ったお金をこの第三セクターに使わせるかどうか。私たち、近代化資金の問題と貯金保険の問題は法案に賛成しようと思っているわけです。中金の問題で、ここでまた非常にひっかかっているわけです。大臣から、こういう事業には出さないという確証をここで答弁として得られるかどうか、この二つを答えていただきます。
#252
○櫻内国務大臣 最初の都市計画法の再検討につきましては、宅地並み課税についての共産党としての考え方をお示しになって、そして、再検討の要があるのではないかと、こういう御指摘でございましたね。(津川委員「それとは切り離して」と呼ぶ)実は、ただ、都市計画法の再検討を要するのではないかということになりますと、私の立場上からは、こういう点があるからということでありますと、それによって判断力がつきます。だから、私は、あなたの言われたこの必要な土地の地価の凍結とか、許可がなければ三年売らせぬとかというようなことから見ての計画法の再検討かと思ったので、それは私はいま再検討は考えないとお答えしたいと思ったが、しかし、ちょっとどういう点かわからないので、これは保留をさせていただきたいと思います。
 それから次の、地方の開発公社に農協でも金を出すようにしたかということが前提で、志布志湾や苫小牧の実際上の場合をお尋ねになりました。これは今回の法改正の中でも、私は御質問に伴っていろいろ申し上げておりますが、これはその地域にあります農協、そしてその農協の組合員が事実その必要を認める、そしてその宅地開発の規定でもできておって、それに照応する、こういうようなことであれば、それは金は出ていくと思います。しかし、お話しのお気持ちの中には、地域住民はそういうことに反対なんである、そういうことはいやなんだ、こういうことになってくれば、おのずからその場合は農協から資金が出るということはない、私はこういうふうに判断いたしますし、そうあるべきだと思います。
#253
○津川委員 そうすると、大臣の答弁では、青森県の陸奥湾、小川原湖の開発は、県、企業、それから国、地方自治体というかっこうで、第三セクターでやることにきまったわけで、これに状況によっては出ていくという可能性がある、出してもいいという大臣の解釈か、これが一つ。
 第二番目には、あの地では現に両方、賛成派と反対派がある。リコール合戦までやっている。たいへんな状態になっておる。この現状において、という二つの問いです。
 時間が来ましたので、もう一つ、私は神奈川県の都岡という農協の組合員のところに行きましていろいろ聞きました。非常に農協に信頼があるわけです。というのは、総代会でなく総会をやって組合の人たちと農協の役員が非常によく話をしているのです。そして組合が民主的に運営されておる。これは農民に密着しておる。南と北のほうに行ったならば、農民の気持ちから離れてしまっているわけです。そこで、農協のあり方、こういう形でもう一回総会をやるように農協を指導すべきではないか。この三つを答えていただきます。
#254
○櫻内国務大臣 むつ小川原の具体的な御質問は、これは先ほど申し上げたとおり、その地域の農協において組合員の了解が得られないとすれば、その融資はなかなかむずかしいし、それはできない、こう思います。
 それから、神奈川の農協の場合は、非常に農協の理事者と組合員との間が融合しておるというお話ですね。ちょっとそこのところ聞き取れなかったのです。それで総会をせいと……。
#255
○津川委員 もう一回言うと、北農協、南農協がこんなに大きくなっているから総会がやれない。組合長と農民との間に密着がない。都岡というところは、組合と農民と総会をして一緒になって非常に民主的にやられておる。この後者の形でこれから指導せられるべきではないか。
#256
○櫻内国務大臣 これはそれぞれの農協の自主的な判断によって行なわれるべきものだと思います。しかし、かりそめにも機構が大きくなったから、やるべき総会をやらずにおるというようなことはこれは問題です。これについては、当然法律上地方長官の監査権がございまするから、そういう場合には啓蒙して、やるべき総会は開かせなければならないと思います。
#257
○津川委員 最後に、小さいが大事な問題は、去年の夏の集中豪雨で相当はんらんが起きたところへ行ってみましたら、ブナの木が切られてパルプになっているわけです。地元農民がこのブナの木はキノコをつくるほだの木として一番よろしい、また聞いてみたら、実際そうです。そこで、これはいま切らせないで、そうしてキノコのほだの木として残すべきだ、パルプにするにはもったいない。そこで、これは残すべきだと思う。そうしてこのほだの木をキノコにするときに、かなりまとまったものでないと近代化資金を出さない。これに近代化資金を使わせるべきだと思うのですが、今度の改正でこれに近代化資金を使えるかどうか、この二点を答えていただいて、私の質問を終わります。
#258
○内村(良)政府委員 農業近代化資金は農業者の必要とする施設等の資金を融資対象としておりますので、現在農業関係施設についてはそのほとんどが網羅されております。問題のシイタケのほだの木でございますが、その栽培に必要なフレーム、乾燥室ともに融資対象となっております。融資条件は、大体金利は五分五厘、それから償還期限が十二年、据え置き期間が三年ということで、貸し付け限度も制度の範囲内で一ぱいに貸せるようになっております。
#259
○津川委員 局長、二百本なら出すというのですよ。ほだの木五十本なら出さないというのですよ。ここらについてどうです。
#260
○内村(良)政府委員 その実態については承知しておりませんので、調べさせまして、そういうことがないように指導したいと思います。
#261
○津川委員 終わります。
#262
○佐々木委員長 ただいま議題となっております四法案中、農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案及び農水産業協同組合貯金保険法案について議事を進めます。
 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#263
○佐々木委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、順次採決いたします。
 まず農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#264
○佐々木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決されました。
    ―――――――――――――
#265
○佐々木委員長 この際、本案に対し附帯決議を付したいと存じます。
 案文を朗読いたし、その趣旨の説明にかえたいと存じます。
   農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 現下のわが国農業をめぐる厳しい情勢に対処し、農業者の必要とする資金を適時円滑に供給し、農業経営の近代化と資本装備の高度化を図り、もつて、農業の発展と国民食料の安定的供給を確保するため、政府は、本法の施行にあたり左記事項に十分留意し、その実現に努めるべきである。
     記
 一、規模拡大を図りつつある農業者の借入金の増加の状況、各種農産物価格の状況等にかんがみ、制度資金の利率、償還期間等の融資条件の緩和に一層努めること。
 二、農業近代化資金と農林公庫資金の融資条件につきたえず検討を加え、両資金の果すべき分野を明らかにしながら各資金の特性をふまえて、その改善と均衡を図ること。
 三、制度資金は、資金種類、融資条件が複雑多岐な面もあるので、できる限り統合簡素化を図るとともに、農業者が借り易いよう総合的な融資制度の強化を図ること。
 四、農業信用保証保険制度の運用にあたつては、農業者等の負担の軽減を図るため、保証料の引下げにつき強力に指導するとともに、保険料についても適正なものとすること。
  右決議する。
以上でありますが、本附帯決議案を本案に付するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#266
○佐々木委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。櫻内農林大臣。
#267
○櫻内国務大臣 ただいま農業近代化資金助成法及び農業信用保証保険法の一部を改正する法律案に対し、本委員会において附帯決議が行なわれましたが、この決議につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#268
○佐々木委員長 次に、農水産業協同組合貯金保険法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#269
○佐々木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決されました。
 なお、ただいま議決いたしました両案の委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#270
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#271
○佐々木委員長 次回は明二十六日、木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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