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1972/05/30 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第25号
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1972/05/30 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第25号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第25号
昭和四十八年五月三十日(水曜日)
    午前十一時二分開議
 出席委員
   委員長 佐々木義武君
   理事 坂村 吉正君 理事 藤本 孝雄君
   理事 山崎平八郎君 理事 渡辺美智雄君
   理事 柴田 健治君 理事 美濃 政市君
   理事 津川 武一君
      安倍晋太郎君    吉川 久衛君
      小山 長規君    佐々木秀世君
      正示啓次郎君    長谷川 峻君
     三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君
      安田 貴六君    井上  泉君
      角屋堅次郎君    島田 琢郎君
      竹内  猛君    野坂 浩賢君
      馬場  昇君    湯山  勇君
     米内山義一郎君    諫山  博君
      中川利三郎君    瀬野栄次郎君
      林  孝矩君    稲富 稜人君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
 出席政府委員
        農林大臣官房長 三善 信二君
        農林省構造改善
        局長      小沼  勇君
        農林省農蚕園芸
        局長      伊藤 俊三君
        農林省食品流通
        局長      池田 正範君
 委員外の出席者
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十一日
 辞任         補欠選任
  笠岡  喬君    橋本登美三郎君
  金子 岩三君     篠田 弘作君
 三ツ林弥太郎君     前尾繁三郎君
  諫山  博君     田代 文久君
同日
 辞任         補欠選任
  篠田 弘作君     金子 岩三君
 橋本登美三郎君     笠岡  喬君
  前尾繁三郎君    三ツ林弥太郎君
  田代 文久君     諫山  博君
    ―――――――――――――
五月十六日
 農林年金制度改善に関する請願外三件(寺前巖
 君紹介)(第四三一七号)
 同(原茂君紹介)(第四四三三号)
 スーパーマーケットにおける牛乳の廉売禁止等
 に関する請願(越智通雄君紹介)(第四四二七
 号)
 同(粕谷茂君紹介)(第四四二八号)
 同(小坂徳三郎君紹介)(第四四二九号)
 同(田中榮一君紹介)(第四四三〇号)
 同(深谷隆司君紹介)(第四四三一号)
 同(福田篤泰君紹介)(第四四三二号)
同月十七日
 農林年金制度改善に関する請願(原茂君紹介)
 (第四五六一号)
 スーパーマーケットにおける牛乳の廉売禁止等
 に関する請願(宇都宮徳馬君紹介)(第四五六
 二号)
 同(濱野清吾君紹介)(第四五六三号)
 同(山田久就君紹介)(第四六九〇号)
同月二十一日
 飼料確保の緊急対策に関する請願(吉川久衛君
 紹介)(第四九五二号)
同月二十四日
 木材価格安定対策に関する請願(林百郎君紹
 介)(第五一二一号)
 林道舗装事業促進に関する請願(林百郎君紹
 介)(第五一二二号)
 林業振興に関する請願(林百郎君紹介)(第五
 一二三号)
 農林年金制度の改善に関する情願(林百郎君紹
 介)(第五一二四号)
 市街化区域内小作農地の高度利用促進に関する
 請願外三十六件(佐々木義武君紹介)(第五二
 五〇号)
同月二十五日
 スーパーマーケットにおける牛乳の廉売禁止等
 に関する請願(天野公義君紹介)(第五三六三
 号)
 同(小山省二君紹介)(第五五二九号)
 オレンジ及び果汁の輸入自由化阻止に関する請
 願(萩原幸雄君紹介)(第五三六四号)
 同(増岡博之君外二名紹介)(第五三六五号)
 同外一件(安倍晋太郎君紹介)(第五五三四
 号)
 同(足立篤郎君紹介)(第五五三五号)
 同外六件(小澤太郎君紹介)(第五五三六号)
 同(越智伊平君紹介)(第五五三七号)
 同(大村襄治君紹介)(第五五三八号)
 同外二十八件(黒金泰美君紹介)(第五五三九
 号)
 同(笹山茂太郎君紹介)(第五五四〇号)
 同(橋本龍太郎君紹介)(第五五四一号)
 同外一件(關谷勝利君紹介)(第五五四二号)
 造林政策確立に関する請願外六件(小山省二君
 紹介)(第五五三〇号)
 同外一件(千葉三郎君紹介)(第五五三一号)
 同外一件(浜田幸一君紹介)(第五五三二号)
 同外二十八件(前田正男君紹介)(第五五三三
 号)
同月二十九日
 オレンジ及び果汁の輸入自由化阻止に関する請
 願外一件(足立篤郎君紹介)(第五六九六号)
 同外一件(阿部喜元君紹介)(第五六九七号)
 同外四件(上村千一郎君紹介)(第五六九八
 号)
 同外二十一件(江藤隆美君紹介)(第五六九九
 号)
 同(仮谷忠男君紹介)(第五七〇〇号)
 同外十二件(河野洋平君紹介)(第五七〇一
 号)
 同(佐藤守良君紹介)(第五七〇二号)
 同外五件(斉藤滋与史君紹介)(第五七〇三
 号)
 同外二十八件(高見三郎君紹介)(第五七〇四
 号)
 同(中村寅太君紹介)(第五七〇五号)
 同(西村直己君紹介)(第五七〇六号)
 同外二件(山崎平八郎君紹介)(第五七〇七
 号)
 同(足立篤郎君紹介)(第五八二〇号)
 同外一件(塩崎潤君紹介)(第五八二一号)
 同外一件(中尾宏君紹介)(第五八二二号)
 同(西村直己君紹介)(第五八二三号)
 造林政策確立に関する請願外十六件(羽生田進
 君紹介)(第五七〇八号)
 同外五件(福田篤泰君紹介)(第五七〇九号)
 同外十一件(奧野誠亮君紹介)(第五八二四
 号)
 同外一件(中尾宏君紹介)(第五八二五号)
 同外一件(水田三喜男君紹介)(第五八二六
 号)
 飼料確保の緊急対策に関する請願(井出一太郎
 君紹介)(第五七一〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
五月二十八日
 造林政策確立に関する陳情書外四件(新潟県南
 蒲原郡田上村森林組合長小柳清八郎外四名)(
 第四一七号)
 食糧対策に関する陳情書(久留米市議会議長吉
 山武)(第四一八号)
 米の生産調整廃止に関する陳情書(佐賀県藤津
 郡嬉野町議会議長久保二郎)(第四一九号)
 農林漁業対策の拡充強化に関する陳情書(福岡
 市天神一の一の八福岡県町村会長三輪修平)(
 第四二〇号)
 農業振興対策に関する陳情書(北海道議会議長
 杉本栄一)(第四二一号)
 オレンジ果汁の自由化阻止に関する陳情書(和
 歌山県有田郡吉備町議会議長宮地虎男)(第四
 二二号)
 土地改良長期計画の推進に関する陳情書(北海
 道議会議長杉本栄一)(第四二三号)
 圃場整備事業の通年施行に伴う補償措置に関す
 る陳情書外十四件(北海道夕張郡長沼町議会議
 長野々川春一外十四名)(第四二四号)
 林業振興に関する陳情書外一件(山形県西村山
 郡朝日町議会議長鈴木平次郎外一名)(第四二
 五号)
 酪農、畜産対策確立に関する陳情書(北海道野
 付郡別海町議会議長松本正雄)(第四二六号)
 飼料価格の安定に関する陳情書外二件(愛知県
 議会議長神田效一外二名)(第四二七号)
 漁業災害補償制度の改善に関する陳情書(三重
 県議会議長千葉胤一)(第四二八号)
 牛の異状分べん対策に関する陳情書(宮崎県議
 会議長丸山正喜)(第四二九号)
 生糸価格の安定に関する陳情書(京都府議会議
 長橘堅太郎)(第四三〇号)
 営林署等の統廃合反対に関する陳情書外一件
 (北海道空知郡南富良野町議会議長舘内猛外一
 名)(第四三一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 開拓融資保証法の廃止に関する法律案(内閣提
 出第三六号)
     ――――◇―――――
#2
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、開拓融資保証法の廃止に関する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。櫻内農林大臣。
#3
○櫻内国務大臣 開拓融資保証法の廃止に関する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 開拓行政につきましては、開拓農家の営農の進展状況等にかんがみまして、開拓農家のすぐれた特性を生かしつつ、これを一般農政へ移行することといたしており、すでに昭和四十四年度には、いわゆる開拓者資金特別措置法を制定し、開拓者資金及び制度資金の償還条件の緩和、徴収停止、開拓者資金融通特別会計の債権債務の農林漁業金融公庫への移管を行ない、また、協同組合組織につきましてもその再編整備対策等を実施してまいっているところであります。
 これらの施策と開拓農家の努力によりまして、最近における開拓者の営農は酪農等を中心に著しい進展を見せ、その生産の伸びも顕著であり、また、農家所得も一般農家に急速に接近しつつあります。
 開拓融資保証制度は、御承知のとおり、開拓農家の農業経営に必要な資金の融通を円滑にするため昭和二十八年に創設されたものでありますが、この制度につきましては、すでに申し述べましたような開拓農家の営農の進展により酪農を中心とする大規模専業農家の資金需要が増大している反面、開拓農協及びその連合会の解散等により融資保証機能が次第に低下し、今後、開拓農家の資金需要に対応しがたい状態となることが予想されるに至っているのであります。
 他方、一般の農業信用保証保険制度につきましては、一般営農資金を保険の対象とすることができるようにするため今国会に農業信用保証保険法の改正法案を提出いたしておりますので、これとの関連も考慮し、この際、開拓融資保証制度を農業信用保証保険制度に統合することとし、このため、この法律を提出いたした次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、開拓融資保証法はこれを廃止しますが、この法律の施行の際現に存している開拓融資保証協会は、なお二年間は存続することができることといたしております。
 第二は、その二年間において、一定の手続を経て締結する契約により、都道府県開拓融資保証協会は、農業信用基金協会に統合することができるようにいたしております。
 この統合により農業信用基金協会が都道府県開拓融資保証協会から承継した保証債務についての従来の再保証関係は、農業信用基金協会と農業信用保険協会との間における保険関係に切りかえられることといたしております。
 また、中央開拓融資保証協会につきましても、このようにして都道府県開拓融資保証協会の農業信用基金協会への統合が完了したときに農業信用保険協会に統合することができるようにいたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#4
○佐々木委員長 以上で本案の趣旨説明は終わりました。
 次に、本案について補足説明を聴取いたします。小沼構造改善局長。
#5
○小沼政府委員 開拓融資保証法の廃止に関する法律案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、すでに提案理由説明において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 まず第一に、第一条及び第二条は、開拓融資保証法の廃止及びその暫定的効力についての規定でありまして、開拓融資保証法は廃止することといたしておりますが、この法律の施行の際現に存する開拓融資保証協会については、同法は、この法律の施行後も、なおその効力を有することといたしております。
 第二に、都道府県開拓融資保証協会の農業信用基金協会への統合につきまして第三条から第七条までに規定いたしております。
 都道府県開拓融資保証協会及び農業信用基金協会は、農業信用基金協会が都道府県開拓融資保証協会の一切の権利及び義務を承継する旨を定める承継契約を締結することができることとするとともに、この承継契約の締結に反対する会員及び債権者についての保護規定その他必要な規定を設けております。
 この承継契約を締結した都道府県開拓融資保証協会は、この契約で定める日に解散し、都道府県開拓融資保証協会の会員はその日に農業信用基金協会の会員となることといたしております。また、都道府県開拓融資保証協会と中央開拓融資保証協会との間の再保証関係は、その日に農業信用基金協会と農業信用保険協会との間における保険関係として引き継がれることとし、この保険関係が成立することに伴い、中央開拓融資保証協会は一定、の金額を農業信用保険協会に交付することといたしております。
 第三に、中央開拓融資保証協会の農業信用保険協会への統合につきまして第八条及び第九条に規定しております。
 中央開拓融資保証協会及び農業信用保険協会は、都道府県開拓融資保証協会のすべてが中央開拓融資保証協会から脱退したときに農業信用保険協会が中央開拓融資保証協会の一切の権利及び義務を承継する旨を定める承継契約を締結することができることといたしております。なお、この承継契約の締結の手続については、都道府県開拓融資保証協会の農業信用基金協会への統合の場合に準ずることといたしております。この承継契約を締結した中央開拓融資保証協会は都道府県開拓融資保証協会の農業信用基金協会への統合がすべて完了したときに解散し、同協会の出資者は、そのときにその出資額を限度とする一定の金額を農業信用保険協会に交付したものとすることといたしております。
 その他関係法律の改正等所要の規定の整備を行なうことといたしております。
 以上をもちまして開拓融資保証法の廃止に関する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
#6
○佐々木委員長 以上で本案の補足説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○佐々木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
#8
○島田(琢)委員 ただいま政府から提案のありました開拓融資保証法の廃止に関して若干の質問を申し上げたいと思います。
 この提案理由の説明の中でも、すでに開拓者の果たした役割りについての社会的な一定の評価というものがなされているわけでありますが、その前段で、昭和四十四年度において、いわゆる開拓者の終息を想定してつくられました開拓三法と称するものがありますが、この時点における開拓者の負債といいますか、この総額は大体どれくらいになっていたのか、さらにまた、債権債務の農林漁業金融公庫への移管の際の額はどれくらいになっていたのか、その点をまず第一点にお尋ねをいたします。
#9
○小沼政府委員 九百三十七億でございます。
#10
○島田(琢)委員 九百三十七億というのは、開拓者資金と制度資金と合わさったものですか。
#11
○小沼政府委員 両方合わせたものでございます。
#12
○島田(琢)委員 そうすると、九百三十七億をこの二つに分けますと、開拓者資金が幾らで、制度資金が幾らというのはおわかりですか。おわかりでなければ、あとで資料で出していただいてけっこうですが、ただ、この際、償還の条件緩和や徴収停止をしたわけでありますけれども、さらにまた移管をしたわけですが、どれくらいが条件緩和され、どれくらいが徴収停止になり、どれくらいが公庫に移管されたのか、この資料があれば、ひとつ御説明願いたいと思います。
#13
○小沼政府委員 四十五年、六年の負債対策におきまして、政府資金の関係で条件緩和をいたしましたのが三百四十二億、それから公庫資金等制度資金で条件緩和いたしましたのが七十四億、計元利四百十五億になりますが、さらに徴収停止の分は、政府資金で四十二億、それから公庫資金等制度資金のほうが十六億、それから自創資金の借りかえ分が百十億ということになっております。
#14
○島田(琢)委員 当時の四十四年の開拓三法によります開拓者資金をはじめとする条件緩和や、あるいは徴収停止等の措置というのは、私はそれなりに一定の評価をいたしております。というのは、長いこと開拓で苦労をされた皆さん方が、好むと好まざるとにかかわらず、経営の上で非常に大きな負債をしょったというそういう事実について、本委員会を通して真剣に論議をされたという経過を私も承知をいたしておりますから、そのことについても一定の評価を私はこの機会にいたしますが、なおその後において開拓者が非常に努力をして、将来に向けて希望を持ちながら経営をしている開拓農家がたくさんあるわけでありますが、最終的な開拓者のいわゆる開拓としての終息はまだ二、三年後になるとしても、現段階において一般農協への移行という問題が具体的に俎上にのってきた過程において、当面開拓者の皆さん方が心配されている点が、これから法案審議にあたって非常に重要なポイントになると考えております。
 そこで、この融資保証法の問題、一般融資保険制度におきます移行という問題が具体的に出てきているわけでありますけれども、この際、開拓者が緊急開拓を初めとして開拓事業に取り組んでまいりましたその社会的な評価というのを、あらためて本委員会においてしておく必要がある、こういうふうに考えますので、大臣からひとつ、開拓者に対するこの御苦労の部面にわたって、将来の開拓者が果たしていかなければならない、さらに農業者としての任務というものを加えながら、一定の、いままで行なってきたいわゆる国土開発という任務を十分果たしながら今日まで努力をしてきた開拓者に対して、私は大臣から御苦労のことばはやはりほしいものだ、こう思っているわけでありますが、ただいま前段で申し上げた意味を含めて、ひとつお考えのほどを承っておきたいと思います。
#15
○櫻内国務大臣 開拓者の農家の皆さま方が戦後のきびしい条件の中で鋭意開拓のために努力をされてこられたことにつきましては、われわれ農政の担当者といたしましては深く敬意を表するものでございます。
 ただ、立地条件の非常に悪い中での営農のことでございまして、そのために途中で離農をせざるを得ないような諸情勢が起きた、また、他面に日本の経済の復興発展に伴う、この離農を余儀なくしている方々に対する受け入れが可能な面もございまして、そういうような点を勘案しながら、政府といたしましても開拓農家のための振興策も講じましたが、同時に、非常に不利な条件にあるものにつきましては、むしろ離農を促進するほうがいいのではないかということで、離農対策も講じながら現在開拓農家の皆さま方がほぼ安定した状態になりつつあるのではないか、かように見ておるわけでございます。これは言うまでもなく、開拓農家の皆さん方の熱意の結果でございまして、私のいま記憶するところによりますれば、その経営規模におきましても一般農家の三倍程度になっておるのではないか、また農業からの収入の面につきましても、一般農家に比較いたしまして、二倍程度になっておるのではないかと思うのであります。ただ、非常に自然条件の悪いところでございますから、農家全体の収入からいたしますと、一般農家と比較してなお劣る面のある点は遺憾に存じておりますが、今後もさらに一そう開拓農家の皆さまの御努力に報いるような諸施策を講じてまいりたいと思います。
#16
○島田(琢)委員 大臣もいまのことばの中に触れておりますけれども、開拓者は、戦後のきびしい食糧事情の中で、その増産の一翼をになって、山奥深く、ほとんど人跡未踏といわれるようなところまで入って、今日の日本の食糧のいわゆる基盤を、ある一定の役割りを果たしたということは、これは私も高く評価をしておかなければならない点であろうと思うのでありますが、先ほどの開拓三法によりまして、条件緩和やあるいは徴収停止の措置を講じたという総体の額というのは、全部拾い上げられているかどうかという点については、非常に私どもは疑問の多いところであります。前段で私は、一定の評価をしているということは申し上げましたから、その点については私はいまも変わっているわけではありませんけれども、そういう過程の中で、特にしかたがなくて離農せざるを得なかったというのがその大半だろうと私は考えているわけであります。昔は、北海道へ行って一山当てて、金もうけして内地に帰ってくるということが、私どもの地元でよくささやかれたものでありますけれども、戦後における開拓者の皆さんは、ほんとうに真剣に荒れ山を開いて、日本の国の食糧の増産のために努力をした、これだけはまぎれもない事実でありますし、そういう社会的な任務をみごとに果たしてきた人たちへのいわゆる処遇としては、私はまだまだ不十分な点があったのではないかというふうに考えております。たとえば、ちょうど同じころでありますけれども、問題になりましたのは石炭の問題でありますし、さらにはまた、昭和四十年であったと思いますけれども、山一証券が倒産しかかったときに措置された金額等と比較いたしましても、二十数年間にわたる長い間の苦労に報いるのには、開拓者に対する措置というのは、これが十全の措置であったかどうかという点については、非常に私も当時から疑問を持っている一人であります。そこで、今回、さらに開拓者の終息に伴う措置というのは重厚でなければなりませんし、特に残った開拓者の皆さん方は、将来に向けて営農にやはり意欲を持っております。非常に暗い農業の全体をおおっている状態の中で、なお農業で将来の希望をみずから開拓しよう、そういうことで真剣に努力をしている開拓者の残った人たちに対する手当てというものは、どうしてもこの機会に、将来に向けて不安のないようにしてあげるというのは、これは政治の責任であるというふうに私どもは考えているわけであります。
 そこで、いささか数字的なものをお尋ねいたしますが、現在残っている開拓者の戸数というのは一体どれくらいになっているのか、それを、各県別でなくてけっこうでありますが、地帯別に大きく分けまして、どれくらいの開拓者がいまなおがんばっているのか、その数字を明らかにしていただきたいと思います。さらにまた組合の数、そうして組合を構成する組合員の平均的な数はどれくらいになっているのか、それから一戸当たりの持っております負債総額、これは制度資金全部を含めてどれくらいの負債金額になっているのか、その中でいまなお負担になっている部分があると思うのでありますが、いわゆる固定的な負債というのがどれくらいあるのか、そういう数字的なものをひとつ局長から発表していただきたいと思います。
#17
○小沼政府委員 開拓の農家でございますが、戦後開拓地に入植をいたしました農家は二十一万ございましたが、四十七年二月一日現在では開拓戸数は九万六千戸ということになっております。北海道、東北、九州にかなり多くございますが、専業農家が大体四五%、第一種兼業が三〇・八%、二種兼業が二四%という形になっております。
 経営規模におきましては、一般の農家が一・一
 ヘクタールでございますのに対して、開拓者は三・三五ヘクタールという大きさでございます。
 それから、開拓者の組合でございますが、当初、昭和四十三年度末で三千七百八十一組合ございまして、その約半数が出資組合ということでございますが、組合の規模でいいますと、五十戸未満が全体の八五%を占めているという状況でございます。なお、その後組合は減少してまいりまして、昭和四十八年三月三十一日現在では七百三十組合、連合会で二十八という数字になっております。
 農家所得の面では、一般の農家に対しまして、農業所得の面で九十五万三千円ということで、一般農家の四十六万九千円より農業所得においては高くなっておりますが、兼業所得を入れますと、一般の農家よりもやや低いという状況でございます。
 負債については、全体として約一千億というふうに推定されますが、そのうちの十八億程度が固定化しているというふうに推計されております。一戸当たりでいきますと、百十八万六千円の負債ということになります。
 以上でございます。
#18
○島田(琢)委員 負債の一千億に対して、固定化負債が十八億、この固定化負債の十八億というのは、さらに条件緩和あるいは全くただにするか何かの特別措置をしなければならない十八億ですか。
#19
○小沼政府委員 一般的な言い方がむずかしいと思いますが、個別に延滞の金額でございますから、それが若干日を経れば、返済可能というものもございましょうし、なかなか返しにくいものもあるかと思います。それにつきましてはケース・バイ・ケースで処理をしなければならないというふうに考えておるわけでございまして、固定したものは全部が返済不能というところまでいっていないというふうに見ております。
#20
○島田(琢)委員 そこで、経済力でありますけれども、負債の一千億を返し得るのか。残った十万戸ないし十二万戸の開拓者の皆さんであげている生産額というのは、推定でいいですが、大体どれくらいになりますか。
#21
○小沼政府委員 農業総産出額で見ますと、農業全体では昭和四十六年でございますが、四兆三千二百九十五億でございます。その計算の中で約四%開拓分が千七百五十四億円ということになっております。一軒当たりで申しますと百八十二万四千円というふうに推定をしております。
#22
○島田(琢)委員 一千億の負債に対して一千七百五十四億という生産力しかない、一軒当たりにすると百八十二万円というたいへん大きい負債をしょっている開拓者の実情を考えてまいりますときに、先ほど固定化負債の一つの考え方も示されておりましたけれども、実はこの十八億がほんとうに十八億かどうかという点については、もう少し精査をしなければならない中身を持っていると思いますけれども、実はこうした固定化負債が一般農協に移行した場合に非常に大きな荷物になるわけであります。これは持って入った開拓者の皆さんも、引き受ける農協もこれが非常に大きないわゆるネックになっているということは想像にかたくないわけであります。
 そこで、この固定化負債という問題については、開拓者だけを取り上げた一つの特別な方法というものが必要でないかというふうに私は考えますが、この固定負債に対する考え方は具体的に何かお持ちでしょうか。
#23
○小沼政府委員 おっしゃるとおり、負債対策につきまして、開拓者資金の公庫移管を行ないまして償還条件の緩和等を進めてまいったわけでございますが、今後も負債につきましては、確かに、一般の農家に比べまして、経営規模が大きいだけに負債も大きいということになりますので、この負債状況がどういうふうになっているかという具体的な内容につきましてひとつ総点検をいたしまして、それぞれについての具体的な対策を立てて処理をしていきたいというふうに実は考えているわけでございます。
#24
○島田(琢)委員 ケース・バイ・ケースでというお話でありますから、それはケース・バイ・ケースも必要でありますけれども、しかし、いま小沼局長のおっしゃったように、この実態はひとつこの機会に洗い直しをしまして、具体的な対策をぜひお立てになっていただきたい、これは希望であります。
 そこで、いま残っておる十万戸ともいわれ十二万戸ともいわれる開拓者農家のほかに、現実にすでに離農されてなお負債を持って別な職場で苦しんでおられる人たちがたくさんいるわけですね。これは一つの方法の中でこれもまたケース・バイ・ケースでそういう取り扱いを――いま公庫の段階で進めているようでありますけれども、しかし、現実には、たいへん多額の負債をしょって出られた人たちというのは、毎日精神的に非常に暗い気持ちでおるわけであります。私どもも農業者として一番頭にくるのは借金の問題であります。それは条件緩和をしてもらったり、いろいろな払いやすい方法を講じてもらったりしているという、いろいろ公庫の段階でとってもらっている方法はありますけれども、しかし、現実にはこの負債というもので毎日の生活に非常に大きな重圧を感じているわけであります。たまたま一般農家にしてもこの負債というものが一つの離農の大きな原因になっているという現状がございます。したがって、私は、すでに開拓者としてその職を離れて他の職についておられる人についても、やはりこの機会に十分全国的な洗い直しをして、これらに対する具体的な措置をしてあげる必要があるのではないかということを実は考えております。これはきょうの開拓融資保証法の問題とはいささか趣を異にする質問でありますけれども、先ほど大臣が言われたように、長い間御苦労された、一定の社会的な役割りを果たされた、こういう方々ばかりでありまして、ほとんどの人はまじめに一生懸命とにかく食糧増産に努力されたというまぎれもない事実がある限り、いままで開拓者として努力をされた人たち全部にわたってこの機会に洗い直しをして、新たに対策を立てる必要があれば、具体的にひとつ解消できる方向で真剣に取り組んでいただきたいと思っておりますが、この件に関してのお考えを局長にお尋ねいたします。
#25
○小沼政府委員 前段にお述べになりました離農者が借り入れている開拓者資金でございますが、これの返済については、御承知のとおり、公庫に移管しましてから、和解債権も公庫に移管いたしたわけでございまして、この和解債権によりまして分割弁済をする、あるいは償還能力に応じて検討していくというふうなことを進めているわけでございまして、これは御承知のとおりでございます。今後もこういういろいろの償還がむずかしいという方々も離農者の中にもあろうかと思いますし、そういう点については、公庫を指導いたしまして、実情に即した債権管理ができるようにしてまいりたいと思います。また、先ほど申しましたように、全体としていまの負債状況について総点検を行ないまして、適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#26
○島田(琢)委員 いま和解調停という問題が出てまいりましたが、全国的なことについては私はいま資料を持ち合わせておりません。北海道の実態を調査してみましたら、現に和解調停で出てまいりました、いま公庫扱いになっている分が八億六千万円現段階であります。これはいずれも十年間という和解の期間を持ちまして、この間においてその実情に応じて金利あるいは元金の一部を償還するという方法をとっているわけでありますが、私がたまたま前段でこうした問題に融れたのは、八億六千万という額というのは今後調停可能かどうかという点についても一つの心配があります。これについては十分な説明を私ももらっておりますから、その中身について触れることは避けますけれども、しかし、局長からお話が出ましたように、北海道における八億六千万円というのは、これは北海道だけが特別に多いというのではなくて、全国的な数字を集めますと、かなりな額になるだろうというふうに予測ができます。したがって、和解調停にあたって、さらに今後期日が来て一括償還をしなければならない段階における和解の再調停というものは非常に困難をきわめるのではないかというふうに実は考えられるわけであります。したがって、ひとつしっかりした調査を進めていただいて、いまから具体的に、こういう問題についてはこのように処理するということを、ひとつ局の段階で、農林省の段階で一つの方針を、天下に公表する必要はありませんけれども、腹がまえとして持っておいていただきませんと、せっかく長いこと苦労をして、別な職場でまた借金のために一生暗い思いで暮らしていかなければならないという心情を考えますときに、私は非常に気の毒な耐えがたいような気がいたします。この機会にそういう洗い直しをされるということでありますから、あわせて将来の和解調停の段階で十分御苦労に報い得るような措置が講ぜられるように、具体的な方針をぜひ立てていただきたい、そうした作業に取り組むお考えがあるかどうかを、この機会に明確にお尋ねしておきたいと思います。
#27
○小沼政府委員 和解債権につきましては、全国では四千五百五十六件で十一億九千百万円、その中で北海道が八億五千九百万ということで、かなりの部分を北海道で占めているわけでございますが、いま御指摘のような問題につきまして、私どももそれぞれ個別に点検をいたしまして、具体的な対策を立ててまいりたいというふうに考えております。
#28
○島田(琢)委員 そこで、第三点に入るわけでありますが、先ほどお話の中にも出てまいりましたが、残った開拓者の営農の状態というのは、非常に専業農家が多くて、現実には百八十二万円の平均粗収入でやり得るというのには、現行の農業の諸情勢から見ますと、非常にきびしいものがあるというふうに推察できます。したがって、残った開拓農家の営農を中心にして今後おとりになる政策というものは、非常に特別な重厚なものでないと、一般の農家の皆さん方と比肩して、将来営農の安定を期するということは非常にむずかしいという気がいたします。その前段で、ひとつ営農の状況をさらに詳しく、業態別に、大まかでけっこうでありますから、畜産あるいは水稲、果樹、畑作一般といいますか、そんな程度でけっこうでありますが、全国的な営農の状況と、さらに将来に向かって営農がほんとうに安定していけるかどうかという見通しをお示しいただきたいと思います。
#29
○小沼政府委員 先ほど申しましたように、専業農家が大体四五%でございまして、その経営規模におきましても、一戸当たりにいたしますと三・三五ヘクタールでかなり大きいわけでございますが、大体は畑作が七六%、樹園地が六%ということでございまして、一般に比しまして畑作の比重が非常に大きい。また全体で中心になるのは酪農でございまして、乳牛飼養戸数が約二万一千戸でございまして、全開拓農家の二五%を占めております。酪農でいいますと、一戸当たり約九頭でございまして、一般の五頭よりもかなり大きい酪農経営になっているということがうかがわれますが、その全体の乳牛の頭数は成牛で二十万頭ということになりまして、全国の乳牛頭数の一六%という高さを占めております。
 営農の内容につきましては、畑作あるいは酪農経営を中心にいたしましてかなり着実な伸展を見せておりまして、先ほどちょっと申し上げましたが、四十六年で千七百五十億円という状況でございます。一般の農家に比べまして、農業所得では九十五万二千円でございますから、一般農家の四十六万よりも約二倍という状況でございますけれども、農家所得では約八割程度に、兼業所得が少のうございますので、農家として比べれば若干落ちるということになります。
 そういう状況でございますが、今後の開拓農家の進め方といたしましては、中には一般農家にも比べて十分劣らないものもございます。専業農家としてはすぐれているわけでございますが、今後の地域地域に応じての、それぞれの経営規模の拡大あるいは流通条件の整備、いろいろの面でやはりきめこまかく開拓農家についての施策を進めていく必要があろうというふうに考えているわけでございます。今後の日本の農業の中でも、こういう開拓地に現に存在しております専業農家は、農業の中核になるだろうというふうに期待をしておりますし、そのために施策を十分進めていかなければならないというふうに考えている次第でございます。
#30
○島田(琢)委員 一般農家に比べて倍の所得がある、こう言いますけれども、これは農業白書でも明らかになったように、いまの日本の農業はいつの間にか農業所得が農家所得という名前に変わって、その比率が逆転しているばかりか、農家所得の中における農業専業所得と農外所得の格差というものが逆にますます広がりつつあるわけですね。いま局長は、開拓農家の専業化をさらに進めて、今後十分の所得を上げる対策が必要だ、これはもうおっしゃるまでもない、私どもはそのとおりだと思うのです。しかし、具体的にほんとうにそのことが可能になるでしょうか。その点が非常に心配です。いま日本農業の総兼業化ということがいわれております。一般農家はこの兼業によって何とかかんとか農家生活をまかなっているという苦しい実態にある。ところが、片や開拓農家はいまお示しになったとおり、専業で食わなければならないというきびしい条件があります。これはもう数字であらわれたとおりであります。しかし、将来に向かってなお経営の拡大をはかりながら専業で食えるという道を開いていくということは、いまの置かれている情勢から見て非常にきびしい。そこに私は、残った開拓農家の皆さんの大きなジレンマがあると思うのであります。将来に対する展望をみずから切り開いていこうとする上における一つの大きなネックになると思うのです。したがって、これから一般農協に移行していく場合の保証の制度の問題だとか、短期営農資金の貸し付けの問題だとかいうものも、もちろん非常に重要なこれからのやらなければならない仕事の一つでありますけれども、ほんとうに専業で食える開拓農家の皆さん方の経営形態というものをどうしてあげるかということが最も大事な基本の考え方でなければならぬと私は思うのです。
 そこで、いまそういうことを期待するという程度の意味にしか私は聞こえないのでありますけれども、具体的にどうしようとお考えになっていますか。たとえば兼業を拡大する、いわゆるよそに出かせぎできる道を開くというなら、それもけっこうでありましょう。いまの置かれている立場から言いますと、一般のいわゆる農家経営というものはそういう形でいま進められているという現状を考えますときに、そういう道も一つ考えなければならないというのであれば、具体的にそういう点も含めてお話をしていただきたいのです。
 重ねてくどいようでありますが、端的に申し上げますと、はたして将来に向けて酪農で一家が食っていくことができるだろうかということに非常に多くの不安を持っているのが、残された開拓者の皆さんの大かたの考えでございますから、この点を明確にしてあげませんと、これは将来に向かって安心して経営ができるというふうなことにならない。したがって、それはどういうかっこうになるかというと、残念ながら、やがて離農せざるを得ないという状態になっていく、私はそのことを明らかに予見をいたしておりますから、この点は非常に大事な点でありますので、大臣からもひとつ御答弁をいただきたいのですが、局長、具体的な営農指導に対する考え方をこの機会に示していただきたいと思うのです。
#31
○小沼政府委員 いま御指摘いただきましたような開拓が、全体として専業のウエートが高い状況でございますが、一般の農家に比べて経営規模も、畑作でありますけれども、大きいということもございます。そういう中でこれをどう進めていくかということでございます。
 そこで、一つ考えられる道は、基本線として、やはり経営規模を拡大していくということが必要であるというふうに考えられます。この点については、今後の構造改善事業あるいは草地の改良事業あるいは北海道でやりますような大規模な国営の開発、いろいろなものを含めまして経営規模を大きくしていくということが必要であろうというふうに考えております。
 もう一つの点は、やはり市場との条件をよくしていくということが大事でありまして、その流通条件につきまして、特に道路の整備等がまだまだ大事であるというふうに考えられますが、そういう基盤を整備しながら、規模拡大を進めていくというのが基本であろうというふうに思っております。
 ただ、もう一つの行き方といいますか、それにプラスをする意味では、地域によってかなり異なるわけでございますけれども、やはり他産業の雇用機会があるということもこれまた決して無視できませんので、地域によっては農村地域に工業導入をするという施策をやっておりますその施策に基づきまして、他産業への就業の機会をそこで見出すということも可能であろうというふうに思いますが、基本線は、やはりここで従来の開拓の長い歴史の中で、代々非常にすぐれた農家がいま開拓農家として存在し活躍しているわけでございますから、その農家をもう一歩やはり規模拡大をし、強力な経営の形態に持っていくというのが私は基本であるというふうに考えております。
#32
○櫻内国務大臣 ただいま局長から御答弁申し上げたところで大体の見当がつくのでございますが、現に開拓農家として営農に専心をしていただいておられる方々は、これは先ほどから数字でお示しのように、一戸当たりの経営農地の面積も一般の農家に比較いたしまして三・三五ヘクタール平均にもなっております。また専業農家が四五%、第一種兼業は三〇・八%ということで、この点も一般農家の一五%、二七・一%に比較いたしましてそのパーセンテージは高いわけであります。したがって、開拓農家の現実の姿といたしましては、専業農家としての方向を着実に営農の上で努力をせられておる。でありまするから、この点をさらに政策的にお世話を申し上げるということによりまして、収入の面におきましても一戸当たりの農業所得が一般農家の四十六万九千円に比較して九十五万二千円、約二倍になっておるこの傾向をさらに助長していく、農業生産の中核として発展をせしめるように努力をするのが適切ではないかと思うのであります。
 そのような点で、ただいま御説明がありましたように、開拓地における道路につきましては特に四十四年以来努力をいたしておるのでございまするが、またさらに、経営規模の拡大のために、農用地の開発事業をも行なっておるわけでございます。でありまするから、立地条件からいってもでき得る限り専業農家としての位置づけをさらに強いものにしていくのが最も適切でございまするが、道路等の開発が進むにつれまして、一般農家の場合と同様に、また兼業農家としての収入増加の面もはかられることであろうと思うのでございます。
 いずれにしても、本日まで多年の努力をせられて代々開拓農家としての地位が固められてきておるというこの現実を踏まえまして、でき得る限り専業農家中心としての酪農、畑作に鋭意努力をし、その面からの収入の上がるようにつとめたいと考える次第でございます。
#33
○島田(琢)委員 私はもっと具体的なお考えが聞きたかったのでありますけれども、いささか観念的であります。その観念的だということをこれから申し上げるのは、その一つは、いま道路の問題に触れました。四十六年度から始まったこの五カ年計画の開拓地道路整備事業について見てみますと、これは飲雑用水を含めて総事業量というのは二百億である。これでは、ほんとうに今後開拓者が専業としてその地域でがんばって、一般農家と比べて劣らないだけのいわゆる経営と生活の状態をつくり上げていくということは非常に困難である、私はこう思うのであります。全国的にはまだ未整備個所が七百カ所以上あるというふうにいわれております。二百億ですと、これはもう割り算してみてもわかるのでありますけれども、幾らもできないんじゃないか。そうすると、残ったところはどういうふうにして、いま大臣や局長がおっしゃるように、開拓者の福祉を含めて将来経営と生活の安定を期していくことが一体できるのかどうかということについて、非常に多くの危惧を持つわけであります。そこで観念論ではないか。具体的に何もそれが備わっていないのではないか。いまおっしゃるようなことが計画の中でも具体的に進められていっているということであれば、私はそれを了といたしますけれども、現実にはそういう状態がまだ非常にたくさん残っている。これはどんな山奥に住んでいても、水洗便所までは期待はいたしません、しかし、道路と水だけはもう人間の住む絶対条件であります。そうしてまた、いまお話の中にもありましたように、酪農経営が非常に大きいウエートを占めている、二五%も三〇%も占めている。家畜を飼う以上はさらに水が必要であります。また、水の整備というのを皆さん方が深刻にお考えになるということはごく当然のことでありますから、こういう点について、開拓の終息に伴い、これがこのままに放置されていってしまうということになりますと、この地域で生活が成り立たないということになり、離農せざるを得ないということにつながっていくわけであります。このいわゆる五カ年計画の中身については、地域との話し合いを十分済まされた上での計画だろうというふうに私どもは考えていたわけでありますけれども、しかし、いろいろ調査をし聞いてみますと、現実に非常に不満や将来の不安というものが残っているという事実があります。この点は具体的にどうお進めになるお考えですか。
#34
○小沼政府委員 開拓地域の基盤整備の中で非常に要望が強うございますのは、いま御指摘の道路、特に道路の補修事業でございます。四十四年から実施しておりますが、今後五十年まで五カ年の計画で一応二百三十六億円を積み上げて計画として予定をいたしております。それだけではございませんで、新たに飲雑用水の施設の補修も含めてやってまいりたいというふうに考えております。
  〔委員長退席、渡辺(美一委員長代理着席〕
地域によっていろいろの要望が出されておりますけれども、今後この道路補修事業等につきましては、やはり要望が強いものでございますので、もう一歩進めてひとつ検討を深めてまいりたいというふうに思っております。この五カ年計画でさらに足りない部分については今後やはり検討をしていかなければならないというふうに考えております。いずれにしましても道路の整備、飲雑用水の整備がやはり基本になりますので、これについては十分意を用いてまいりたい、かように考えている次第でございます。
#35
○島田(琢)委員 だいじょうぶですね、局長。これは私は期待いたしますよ。いま私が申し上げたのは、具体的に二百億でできなかった部分、そのことについてはさらに前向きにと、こうおっしゃるから、これはほんとうにそうしてもらえるかどうか、念を押して悪いのですけれども、だいじょうぶですか、おやりになる決意ですか。
#36
○小沼政府委員 今後の予算措置等も関連しますが、それを考慮しながら積極的に対処していくつもりでおります。
#37
○島田(琢)委員 最後につもりと言われたんじゃ、せっかく前向きにと言っていたのに、つもりじゃ、これは納得できないのですけれども、先ほど大臣もあなたもおっしゃった経営の拡大をはかるについて、水の問題というのは、酪農経営を強化して、いまの平均九頭を十頭以上に引き上げるとなると、一頭当たりたいへんな水が必要になります。それに対応するための用水施設というものは当然並行して進めていかなければならない問題であります。私は過去のことは申し上げるつもりはございません。けれども、われわれ牛を飼う場合に、最初五頭飼えば何とか経営が安定すると言ったから、一生懸命五頭飼うために水の施設もやった。五頭じゃだめだ、十頭になった。あわててまた水の施設もやらないと追いついていかない。だから、昨年、私どものほうでも干ばつが起こりましたら、水は川からくみ上げなければならぬという事態になった。開拓者はまさにひどい状態でありました。昨年、私はちょうど選挙中その実態に幾つも幾つもあいました。おまえ、代議士になったら一番先にやってくれよといって出てきた皆さんからの強い要請が水の問題であります、次に道路。水と道路だけ何とかしてくれ、そうすれば、われわれはこの開拓地でがんばると皆さんおっしゃった。十人中十人、みなそうおっしゃっているわけであります。それは人間の住む限り、家畜がいる限り当然水がなければならない。ですから、私はいま念を押してお聞きしているわけで、現状の飲雑用水施設で完全に将来を見通すことが困難だという実情もありますから、したがって、開拓者の問題については、これはひとつ真剣に、親切に考えてあげてもらわないと、これから先のことが非常に不安だという現地の皆さん方の期待にこたえられなくなるのではないかと心配しております。
 時間の関係がありますから、あまりこまかく申し上げることができませんけれども、いわゆる全体の経営というものは、生産額を上げるための非常に大事な要件が幾つもございます。しかし、もう一つ、開拓地というのは戦後非常に緊急的にやられて、しかも図面の上で分けたというようなことがありました。私もその当時から農業委員をやっておりまして、この問題の事後処理に非常に苦労したのです。というのは、図面でくい打ちをするものですから、くい打ちしたところが現地と合わない。したがって、地主との話し合いがずいぶん難航いたしました。これしか売った覚えがない、いやおれのほうはこういうふうに買った。図面におとしてみればそのとおりなんですが、現地におとしたら非常に大きな食い違いがあった。そういうものも含めて登記の問題というのは非常に深刻でありました。
 聞くところによると、まだ相当未登記の状態に置かれている。これは政府も、登記促進費の補助金も出して、この促進をはかるというふうに取り組んでおられるようでありますけれども、しかし、この登記問題というのは、やはりせっかく自分で汗水流して一くわ一くわ開墾をした土地が完全に名実ともに自分のものにならないというのは、これは一つの大きな不安につながります。現に不安であります。昨今のように、土地というものが非常に問題になっているときですから、北海道といえども一坪の土地はたいへんなものになります。いわんや府県において、この土地が完全に名義が登記されないということになりますと、これは売買の上にも不都合が生ずること当然でございますけれども、所有していく上において非常に多くの不安をこれまた持つことになります。
 これを解消するために、単に補助金を出すからおまえら適当にやれ、こういうのじゃなくて、積極的にやはり国が責任を持って未登記解消に全力をあげるべきだと思いますが、この考えについてお尋ねをいたします。
#38
○小沼政府委員 四十七年度末におきます夫墾地関係の未登記の面積が、売り渡しの登記について見ますと一万九千八十四ヘクタールございまして、その中で北海道がやはり非常に多くて一万三千三百二十四ヘクタールが含まれております。未登記の登記を促進することがいま御指摘のとおりたいへん重要なことでございますので、四十八年度から都道府県に登記促進関係経費の補助を出しまして、三年計画で登記を完了させたいというふうに考えております。
 なお、最近、開拓地の不法な転売があるように聞いておりますが、そういう不法転売を防止するということで、開拓地を保全しなければいけませんのですが、そういうことのためには、現況は農地で登記簿上は地目が山林原野となっておるものについては、ほっておいてはそのままになるおそれもあります。そこで、積極的にやるためには都道府県知事または農業委員会が現地調査をしまして、地目変更に必要な事項を登記所に通知すれば、登記官が職権でその地目を農地に変更する、そういう道をひとつくふうしたらということで、法務省と細部の協議を現在進めておるところでございまして、そういう職権登記の道によって、農業委員会なり県知事からの申達によってそれを農地に地目を直すことがやはり第一かということで、そのことも考えておるわけでございます。
#39
○島田(琢)委員 一万九千ヘクタールのうち一万三千ヘクタールが北海道だということで、私どものほうがそんなに多いということをいま初めて聞いたんですが、これはどこに原因があるのでしょう。北海道だけ特別多いということは私ども農業委員にも責任があるのですか。
#40
○小沼政府委員 開拓いたしました際に当然そういう工事を行ないますので、現況は明らかに農地ということになるわけでございますけれども、ただ、地目は、それについてもう農地になっているからやや安心しておられる面も従来はあるかと思いますが、その地目については、おそらく税との関連もありまして、そのままにしておいて、しかし耕作する限りは問題がないというふうなことで、そのままにしていたのが現在に至っているのではないかというふうに推察いたします。
#41
○島田(琢)委員 何か私が言ったのがやぶへびみたいなかっこうになって、おまえさんのほうがむしろ悪いぞと、いま局長から言われたような感じになりましたけれども、それだけが原因でしょうか。そういう点についてはきびしく末端で現地では指導しまして、税金の対象とかなんとかいうようなことは、現にわれわれとしてはそういう観念にならないようにということで強くやってきたんです。局長がおっしゃるようなことはむしろケースとしては少なくて、さっき申し上げたように、地主との関連でかなりの問題がそこにまだ残っているのではないかという感じがいたしますので、これはひとつ精査をしてほしいのです。また、いま局長が言われるように、自分の名義にしたら税金がかかるからという考えで未登記にしているものがあるとすれば、これはやはり行政指導を強めていかなければならぬことだと思う。現地ではそういうところは一切私の町についてはありませんでした。やはり問題になるのは、地主との調整が非常につかない、こういうものがあります。これをひとつ具体的に行政指導を強めながら境界をはっきりする、こういうことで取り組まなければいけないのではないか、こう考えております。したがって、この問題についてもいまお考えのようなことは十分了解をいたします。
 さらにもう一つ、私が言ったような事情が現地にあるのではないかという想定も一つ立てられて、精査をされた上でできるだけ早く未登記解消に全力をあげて指導していただきたい、こう思います。
#42
○小沼政府委員 説明が足りませんでしたが、私が申し上げたほかに、やはりいま御指摘のような買収時に所有権者と登記の名義人とが会っていないとか、いろいろそういう所有関係のこともあるようでございます。それからまた、事務的に非常に大量であったというふうなことで処理がおくれたという面もあるようでありますが、いずれにしましても私ども精査をいたしまして、登記を促進いたしたい、かように考えております。
#43
○島田(琢)委員 時間の関係でこまかな保証制度の中身については触れることができませんでしたが、私は最後に、大臣、実は私も屯田の孫でございます。いわゆる開拓者に入ってその孫として今日まであの地域で生きてまいりました。私自身も戦後、五町歩の既懇地を買ったほかは、全部腕一つで一くわ一くわ起こした開拓の経験を持っております。私どもは何も自分でやったことをほめてもらいたいとか、そういう意味で申し上げるのではありませんが、しかし、自分で経営をやってみて強く感じますのは、やはり一人前の農業者になるのにどうしても私は二十年かかると思います。その間においての基盤整備の計画やらあるいは内容の充実、経営の拡大、特に昨今のように非常にきびしい条件が幾つも幾つもあります中では、私は二十年でほんとうに自分の経営を確立することができるかどうかには自信がないくらいであります。私は従来持論として持っておりますのは、開拓者として裸で入って経営が安定するまでに二十年かかる。あとの二十年は生活の充実、経営のさらに内容の安定、こういうことでさらに二十年かかる。ほんとうに一人前の農業者として自分で満足できるような状態になるには、私は四十年かかると思っております。開拓者はちょうど苦労に苦労してようやく基盤に一応のめどを持つに至った程度でしかありません。これから先ようやく今度は農業者としての本領、農業をやっていてよかったという、そういう生活あるいは将来に対する安心感を持つというのはこれからでございます。そのさなかにおける開拓者の取り扱い、これは非常に慎重に、しかも重厚に、あたたかい行政の手はさらに引き続いて必要であることは言うまでもありません。そういう点を考えますと、いままで議論を申し上げました点で私は十分納得できるというふうには考えられない点がまだございます。しかしながら、局長からかなり前向きに道路の問題、水の問題を含めて真剣にひとつ前向きでさらに考えよう、こういうことでありましたから、私は一応この質問を終わるわけでありますけれども、最後に大臣、一言でけっこうでありますが、こうした取り組む姿勢について、姿勢といいますか、開拓の行政のあと始末について、一そうひとつ決意を持って臨んでいただきたいという希望を持っておりますので、決意のほどを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#44
○櫻内国務大臣 島田委員がみずからの体験から、まず開拓事業が一応の軌道に乗るには二十年である、そしてその後その安定あるいは生活の充実を期して二十年は必要であろうというようにおっしゃっておられるわけでありますけれども、私も今回の法律改正に際しまして、戦後における開拓事業の経緯を見まして、その始まりが戦争直後の昭和二十年十一月の閣議決定に始まっておる。そして今回のこの廃止法によりまして、一応開拓農家も一般農家としての立場に糾合しながらさらにお世話を申し上げようというようにまいりまして、ちょうど島田委員がおっしゃるような二十年が、戦後二十七、八年経過しておりますが、ちょうど御苦労された二十年が、行政面では二十年に始まったものが、この四十八年で一般農政の中でごめんどうを見ようというところまで来たのではないか、こう思うのでございます。
 開拓農家の実態は、先ほど来のお話の中で明らかでございまして、今後専業農家を中心として、開拓農家が安んじて農業に従事するためには、さらに一そうの国としての配慮が必要であるということは私も強く感じた次第でございまして、そういう気持ちに立ちましてこれからの行政面において努力をしてまいりたいと思います。
#45
○島田(琢)委員 終わります。
#46
○渡辺(美)委員長代理 井上泉君。
#47
○井上(泉)委員 この法律は、関係者である開拓農民が希望してできたものか、あるいは農林省のほうで、開拓農民に対する金融組織としてはもうこういうふうにしたらよいと、こういう考えの上に立ってやったのか、この法案を提案に至ったところの一番のもとはどこにあるのか。
#48
○小沼政府委員 提案理由でも申し上げましたけれども、開拓農家の数が減ってまいりまして、それから開拓の農協も減ってまいりました。連合会も減っておりますが、そういう大勢の中で保証業務自体はやはり全体の保証、出資をして保証するわけでございますけれども、その業務は全体の一般の農業を扱っている保証のたてまえと一緒にしたほうが非常に効率的であるという判断のもとに、保証の部分だけを一緒にしていこう、その他の部分については、これは残る開拓連、開拓農協、それぞれございますが、それの資金ルートはそのまま残るということで、保証だけを統合していくということでございまして、現に各県にも保証協会がございますけれども、大体一名か二名、中にはもうほかの開拓連の出向職員、あるいは県の職員でまかなっているというふうな状況のところもございまして、なかなか独立してやる形になっていないのが現状でございます。そういうことでございますので、保証業務だけを総合していこうということでございます。
#49
○井上(泉)委員 開拓農民の意見を聞く機会がないわけでありますが、いずれはこの法案が採決に至るまでの段階に、開拓農民から直接意見を聞きたいと思いますけれども、この提案理由の中にありますとおり、開拓農家の営農の進展状況というものが融資法を廃止する一つの根拠になっておる。これは、営農の進展状況でも、いままでの島田委員のいろいろ質疑を聞いております中で、開拓農家がだんだんよくなってきておる、こういうふうな意味にこの進展状況というものをとらえて書かれておる、こういうように思うわけですけれども、そのとおりですか。
#50
○小沼政府委員 開拓農家の農家経済調査、営農実績調査ということでやっておりますが、その結果から判断いたしましても、農業部門については非常に伸びております。しかし、兼業収入の面はそれほどでございませんで、やはり専業化しながら、もともと専業経営でございますけれども、その専業としては、ほかの一般の専業農家よりも大きい、農業所得においても高いという状況になっております。
#51
○井上(泉)委員 いま、三・三ヘクタールの耕作面積を持っておる農家の所得が百八十万ですか、これは非常に低いわけですが、とても平たん地の農業あるいは蔬菜園芸をやっておる農業地帯では考えられない、つまり反当では六万円ぐらいしか生産をあげてない、こういう状態にあるのに、開拓農家がよくなっておるというように理解をすることがどうかと思うのですけれども、その点どうですが。
#52
○小沼政府委員 農業所得にありましては、先ほど申しましたように九十五万二千円、一般農家の農業所得は四十六万九千円ということで、約二倍でございます。ただ、御指摘のように、畑作でございますので、その意味では、必ずしも一般の平たん地帯農家の水田を含めた農業所得の場合と比べますと、反当といいますか、土地面積当たりではやや落ちるかと思います。しかし、面積が多うございますので、それで一般農家の約二倍の農業所得をあげているということでございまして、今後反収増なり、あるいは道路等を整備しますと、その販売についての条件がよくなりますので、その意味でも専業農家としてこの規模の大きさを有利に生かすという方向で進めていくことが十分可能であろうというふうに考えているわけでございます。
#53
○井上(泉)委員 規模の大きさを有利に生かしていくということ、非常にけっこうなことですが、たまたま日本の農家の平均耕作反別が非常に少ないわけで、農基法ができたときも、耕作反別の拡大ということが主張されて、たまたま開拓農家は三・三ヘクタールというものを全国平均で持っておるわけで、実際はこれよりも多いのかもしれませんですが、この土地の広いのを生かして生産性を高めていくということは、ことばとしては非常にけっこうですけれども、それじゃ、具体的に、それをどうするかということについての考え方を、これは大臣から承りたいと思います。
#54
○櫻内国務大臣 具体的にというお話でございまして、先ほど島田委員にもお答えをいたしましたように、現在、農用地の開発事業も行なっておりますし、それから開拓道路の改修とかあるいは飲雑用水についての事業も行なっておる。そういうような開拓農家に直接に関係のある事業もさることながら、一般農政面からいたします構造改善事業、基盤整備事業、あるいは畑作、酪農を中心の開拓農家のことでございますので、その面からの価格安定政策等、これらを総合して見てまいりまして、特に開拓農家が四四%は専業農家として営農されておるという、そういう現実からいたしまして、その面をさらに強化するように、今後の農業の中でも中核的な農家を育成するように考えてまいりたいと思います。
#55
○井上(泉)委員 一般農家で生産規模の拡大をやろうとしても、農地の取得というものはなかなか困難で、思うようにできないのが今日の日本の農業の一般的な状態ですが、たまたま開拓農家というものは耕作反別も多く持っておるわけですから、これに政治が思い切った手をかし、行政が力を注げば、モデル的な標準農家というものをつくり上げていくことが、これはいとも簡単にできると思うのです。そして特に開拓農民は、いま島田委員も言っておりましたように、くわ一丁で、からだ一つで乗り込んだほんとうにきっすいの農民の根性を持っておる人ばかりでありますので、そういう点についても、これは何か開拓農家を疎外しておるような感がなきにしもあらずです。これは場所がそういう僻地にあるということと同時に、行政の面からも政治の面からも非常に疎外されておるということ、そのことを私は考えまして、この三・三ヘクタール持っておる経営規模というものを、これをほんとうに生産を拡充さすような施策というものを立ててもらいたい、こういうことを強く考えるわけです。
 ところが、その開拓農家は借金を非常にかかえておるわけです。つまり、裸一貫、くわ一本で入っておるから、借金をかかえておるわけですが、いま島田委員の質問の中で、約一千億の負債、こういうことを言われたわけでありますが、この一千億の負債というもののおも立った内訳ですが、これは一体どういうところから借り入れをしておるのか。政府資金あるいは公庫資金、そして一般地方資金、こういうようものに分類をした場合に、どういうようになっておるのか、その点ひとつお示し願いたいと思います。
#56
○小沼政府委員 約一千億でございますが、公庫資金が約七百二十億円、一番大口でございます。それから農林中金資金と災害資金等で百六十億、それから系統資金が百二十億という状況でございます。
#57
○井上(泉)委員 そのほかに、開拓農家がいわゆる町の金融機関あるいは個人、そういうようなものから借り入れておる金額というものもかなりあると思うわけですが、そういう点についての調査はなされておるのですか。
#58
○小沼政府委員 町の金融機関等から借りていることがあるかどうか、十分承知しておりませんが、一般的にはやはり公庫資金並びに系統資金に依存していると思いますので、町の市中金融から借りているのはほとんどないのではないかというふうに思います。
#59
○井上(泉)委員 ほとんどないということが事実であればけっこうでありますけれども、いずれ開拓農家の方から直接この問題についても調査をし、その実態をもとにして質問をいたしたいと思います。
 そこで、開拓農家が非常に伸展をしておる、こういう中で、離農というものが非常に多くなっておる。つまり、移転離農あるいは在宅離農、こういうふうなものがこの数字でもずいぶん出ておるわけですが、この人たちの借金というものは、いま島田委員の質問の中でも、私、明確によう聞き取らなかったのですが、こういうものの借金はどういうふうになっておるのか。
#60
○小沼政府委員 離農の場合に、補助金を出して離農についての助成をいたしておりますけれども、開拓者の離農の場合の負債の整理ということにつきましては、いろいろくふうをいたしておりまして、公庫に移管いたしました際にも、そういう債権関係について返還の条件を緩和するなり、あるいは場合によってはその徴収を停止するとか、いろいろなやり方を法律に基づいてやってまいっております。先ほどもお答え申し上げましたけれども、やはり地域あるいは個別のケースによってかなり違ってまいりますので、これについてはまた全体を点検して処置をしなければならないというふうに思っております。特に、離農いたしましてからその負債がまだ残っているというのは、当事者にとってもたいへんつらいことであろうと思いますし、できるだけ早くこれについては善処をする必要があるというふうに思うのでございまして、そこで、その離農者の負債整理ということについて公庫を十分指導してやらせたいというふうに思っている次第でございます。
#61
○井上(泉)委員 その離農者の負債というものは幾らぐらいありますか。
#62
○小沼政府委員 和解債権で大体十一億九千百万円というふうに承知をいたしております。
#63
○井上(泉)委員 和解債権として十一億九千百万円ですか、それから団体として、個人でなしに、そこの開拓組合として借りた金についての負担というものは、これは支払いの負担割りというのはないですか、離農者は。
#64
○小沼政府委員 いま手元に数字がございませんですけれども、開拓農協等が解散する場合には、一応資産処理をして負債についても整理をすることをやっておりますので、個別の農家が離農する場合とはかなり状況が違うと思うのでございますけれども、それぞれ指導をして処理をしているというふうに承知いたしております。
#65
○井上(泉)委員 組合として共同で借り入れしておる金は、離農してやめていくと、あとへ残った人が負債を背負わなければいかぬようなたてまえでしょう。そういうふうなものがどれだけあるのかということ、それは解散をすればこれは元も子もなくなるかもしれぬけれども、これはやはり個人保証かつくでしょう、借り入れの場合に。それで離農者にしても、これはもう開拓をしてもめしを食っていけないから、だから離農していくのであって、そうすると、開拓のために入って、借金をしてやったものを、それを背負うておらなければいかぬということは、非常に酷なやり方だと当然考えられると思うのですが、これをいろいろ指導とかなんとかということじゃなしに、思い切ってそういうものに対する負債は一切免除する、そういう措置がとれないですか。
#66
○小沼政府委員 一般には組合がまとめて借りて、いわゆる転貸の形で個別の農家に貸しております。その農家が離農する場合には、土地の処分あるいは財産の処分等をいたしますので、それによって返済をし、返済ができない場合には停止条件なりあるいは条件緩和をしていく、そういう形で処理をしておりますので、その部分については他の農家にそれがしわ寄せされるということはないというふうに考えております。
 なお、農協が左前になって、農協自身がいろいろ借りて共同の施設等をつくったという場合であれば、これにつきましては、やはり農協と連合会とも合わせまして系統の面での指導と、あるいは全体としての資金の償還のしかたについて個別に対策を講じていくというやり方で現在進めてまいったわけでございます。
#67
○井上(泉)委員 十一億九千百万という和解債権、こういう場合の和解債権というのはどういうふうな性格のものですか、どこと和解するのですか。
#68
○小沼政府委員 実際に返済をしなければならない金額が一定額出てまいりますと、それについて支払いが可能かどうかということについて公庫で相談をするわけでございまして、そのときに支払いがどういう形でできるかどうかという話し合いをして、そこでこういう返済をいたしましょうというやり方になれば、その支払いの方法に従って返済をしていただくということをやるわけですが、そのような形で個別に話し合いを公庫でやりまして、その話し合いがついたところで返済をしていただくという形のものを和解債権というふうにいっているわけでございます。
#69
○井上(泉)委員 それで、和解債権は十一億九千百万だが、その和解が成立してない離農者の負債は幾らですか。
#70
○小沼政府委員 離農者の負債の場合に、組合の整理の方針といたしまして、一時償還するか、和解をして返済の条件をきめてやるかという二通りに分けて進めておりますが、いま手元にちょっと一時償還の分の数字がございませんが、後ほど調べましてお答え申し上げます。
#71
○井上(泉)委員 それでは、後ほど調べるとするならば、この離農者の負債、和解債権であろうと和解でなかろうと、この負債は幾らあるのか、それを調べて報告を願いたいと思うのです。
 そこで、約一千億の負債がある、これは平均利率幾らですか。
#72
○小沼政府委員 いろいろの種類がございますけれども、大体五分から五分五厘くらいというふうに承知しております。
#73
○井上(泉)委員 開拓農家のような生産性の非常に低い農地をかかえておる、つまり三ヘクタールも持っておって百八十万しかあげないようなそういう農地をかかえておる方が五分とか六分とかいうような金利というものは、非常に金利負担が大きいと思うわけです。いま一戸当たり百万以上の借り入れ金も持っておるような状態の中で、これは非常に金利負担が重いと思うわけですが、こういうふうな法律を廃止する段階において思い切った金利の引き下げができないものかどうか。
#74
○小沼政府委員 公庫に移管をした際に、政府からのは大体四%の金利のものがございます。また構造改善等の推進資金等では三分五厘というのもございます。いろいろのものがございますが、先ほど農中資金等含めまして大体平均的なことを申し上げたわけでございますが、御指摘のような点につきまして、やはり開拓営農を今後進めていく上において、個別の金利の問題だけではなしに、構造改善あるいはその道路あるいは草地改良、いろいろの総合的な施策、基盤整備を含めました総合的な施策によって生産性を上げ、地上の条件をよくしていくということが必要であろう、そういう総合的な施策の中で個別経営の規模拡大、育成をはかっていくという進め方が大事ではないかというふうに考えております。
 御指摘の金利の問題につきましても、現在考えられている制度の中では、やはり開拓については一番優遇措置を講じているつもりでございますけれども、今後もまた全体とのつり合いを見ながら、やはり開拓営農については十分意を用いてまいりたい、かように考えている次第でございます。
#75
○井上(泉)委員 私は開拓地は高知県の開拓地以外はあまり承知をしないわけですけれども、ほんとうに開拓地というところは不便なところで、そこへ行くためには道もずいぶん悪いわけで、そこで、道の問題もたくさん出ておるわけですが、これは全国的にそういうところにあるのが開拓地の実際の姿だと思います。
 そこで、そこの世帯数は約十万戸ということになっておるわけですが、人口というものは、開拓農家の世帯人数は一体どれくらいおるもので、その中でのいわゆる義務教育の子供、これがどれくらいおるのか。
  〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
#76
○小沼政府委員 開拓農家の戸数は九万六千戸でございますが、その人口は三十八万八千八百三十
 一人ということで、一戸当たりにいたしますと四・三人という状況でございます。
#77
○井上(泉)委員 それは日本の平均的家庭構成の数ですが、これらのところの子供、義務教育の小学校、中学校の年次にある年齢別構成というようなものはわかっていないですか。
#78
○小沼政府委員 データはございますので、後ほど数字を提出いたします。
#79
○井上(泉)委員 開拓地というものが非常に不便なところにあるということは、これは認識をしておるでしょう。その不便さをなくするためにはどうしたら一番いいのか、その点についてあなたの御意見を聞きたい。
#80
○小沼政府委員 実は離農する農家の意向を調べてみたのでございますけれども、その大体半数は、やはり土地条件というか、地理的な条件が非常に不利だということでございます。もう一つは、やはり面積が足りないというのがその次に出てまいっております。
 そういう意味では、この二つの問題がやはり開拓にはあると思いますが、その一つの土地条件、地理的な条件が非常に不利だという面については、やはり道路の整備、最近は非常によくなってまいったというふうに承知しておりますが、それでもまだ、開拓の奥地は、幹線道路から入るのにかなりまだ整備がされていないということもございますので、やはり幹線道路とあわせてそういう開拓の道路の整備がたいへん大事である。特に、車が通れるような形に舗装するなり補修をするなりということが非常に大事であるというふうに考えられます。
 それが一つと、もう一つは、経営規模の拡大ということで、これについては、農用地の造成等を進め、それによって規模を大きくする、農地等の取得資金の手当てによって大きくするということによって進めていく。
 この二本がやはり基本的に大事であろうというふうに考えられるわけでございます。
#81
○井上(泉)委員 そういう考えられる点を、具体的にそれを解消するような手だてというものを打ち出さないと、開拓農家はますますさびしい思いの中でこれを放棄せざるを得ないようになる。二十年かかってやっさもっさ開拓をしてやった、そうして、麦を植えようとしたけれども麦はさっぱり引き合わない、サツマイモを植えてもだめ、何をやってもだめ、こういう中に開拓農家というものは山を追い払われておるような状態にあるわけですから、そういうものを解消するような道を講じないと、何ぼ開拓農家が非常によくなってきたというように文字で羅列をしたところで、現実は私はよくなっていないと思うのですが、そういう点についての取り組み方というものが、これはいま、さきに大臣が島田委員に対する答弁の中にも非常にけっこうな話はされているのですけれども、これはいま、ものというものをそこへ具体的に数字に示されないと意味をなさぬと思うのですが、その点について、開拓地の道路の整備の予算だとかあるいはそういうふうな地域の子女の教育の費用とか、そういうふうなものについては、現在の、本年度予算の中に組まれておるものでは、開拓地全体として非常に不足を訴えておるような状態にあるわけですが、これをどう解決するのか、この点大臣の御見解を承っておきたいと思います。
#82
○櫻内国務大臣 基本的には、開拓農家がやっていけないというものにつきましては、御承知の昭和三十八年から四十三年の第二次振興対策で三種類に分けまして、一類農家は、既存農家水準に達したもので、特に施策の必要はない。二類農家については、一定の援助措置により営農の確立し得るもの。こういうことで、この二類農家には二類農家の対策を講じ、そして三類農家の、営農の期しがたい農家については、離農助成対策事業あるいは負債対策処理などを講じて、そして現在の開拓農家は大体これでいけるのだというようなことへ持ってきておると思うのであります。
 きょうもいろいろお話が出ましたように、この離農対象になった三類農家の場合を考えますと、大体の理由が、立地条件の不良なものが半分くらい、それから面積が狭小なものが一七・九%、他が病気とか老齢とかいうようなことで離農の助成対象にいたしたのでございます。
 したがって、こういうふうにいま現に残った開拓農家は、私どもの目から見れば、今後これでずっとやっていけるものである。そのやっていける開拓農家に対して、先ほど来の各種の事業、新しい土地開発事業とかあるいは道路や飲雑用水に対する施策を行なっていこうということでございますから、したがって、施策の不満足な点、不十分な点というものは、私どももいまやっておることが十分だということではございませんけれども、しかし、先ほど来のお話の道路補修の場合なんかでも、よく調べてみますと、地区数にして三百四十二地区、補修延長にして千五百八十三キロメートル、あるいは飲雑用水施設の補修については、受益農家戸数が二十戸以上の地区で実施地区は二百四十六地区というふうになっておるのでございまして、これらの施策を中心にして、これから開拓農家の皆さん方が何とかやっていけるようにくふうをしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#83
○井上(泉)委員 この開拓農民の問題については、私自身非常に勉強不足であるし、いま島田君のいろいろの質疑の中で、ほんとうに開拓農民というものの立場を政治はもっと見なければいかぬという点で痛切に感じたわけであります。
 大体、きょう提案理由の説明があって、五日には早くもこの法案を採決するという、えらい翼賛ぶりで実に私は驚き入っておるわけです。きょう提案理由が説明されたから、それでこれからじっくりこの法案の内容を検討して、それで次の委員会あたりで質問をさしてもらってやろうと、こういうふうに思っておったわけです。ところが、委員長何か知らぬが、翼賛ぶりを発揮されて、えらいスピードになっておりますが、今度の五日に参考人を呼ぶことになっておりますので、参考人の御意見をいろいろ聞いて、その参考人の御意見をもとにしてまた質問をして、それで納得のいった段階でひとつ審議の終了ということにしていただきたいと思いまして、私はきょうはこれで質問を打ち切ります。
#84
○佐々木委員長 この際、午後一時四十五分より再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時四十九分休憩
     ――――◇―――――
   午後一時五十三分開議
#85
○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。竹内猛君。
#86
○竹内(猛)委員 開拓に関する問題について質問をしたいと思うのですが、まず、午前中に、開拓の皆さんが、戦前戦後を通じて非常に劣悪な条件の中で非常に苦労されて食糧増産のために協力をしてきたということに対して、大いに敬意を払うというような大臣のことばがあったわけですけれども、今度のこの法案によって開拓に関する関係の法律というものはなくなって、これが一般農政に移行するわけでありますから、したがって、この審議を通じて、今日までの開拓の皆さんに対して、先ほど来のことばにあるように、敬意を払い、感謝をするというそのことをどういうぐあいに今後の農政に反映をするかということが非常に大事だと思うのです。したがって、この法案を提起するに至った政治的な背景は、先ほど井上委員からも発言がありましたが、農民自体の発意でこの法律になったのか、それとも政府が必要に応じてこの問題について提起したのかということについての考え方をまず聞きたいと思います。
#87
○櫻内国務大臣 午前中にも所見を申し上げましたが、特に戦後の困難なる状況のもとに開拓をしていただいた農家の皆さん方には、その御努力に対し心からなる敬意を表するものでございます。
 今回の開拓融資保証法の廃止によりまして、開拓行政が一般農政に移行する、こういうことに相なるわけでございますが、これには、竹内委員の御承知のように、戦後の経緯をごらんいただきますと、第一次の振興計画、第二次の振興計画、その振興計画の中には、開拓農家の実情に即しまして、将来引き続いて開拓に御努力を願う農家の皆さんと、しかし立地状況の悪い、また保有面積も少ない、開拓農家としての前途に非常な困難性があるという農家に対しましては、別に離農対策を講じてまいったわけであります。加えて、昭和四十四年に開拓者資金特別措置法を設定いたしまして、このときには、いわゆる開拓三法をお願いいたしまして、開拓者の負債対策を行ないつつ、開拓行政の一般農政への移行措置と見られるような方策を講じてまいったようなわけでございます。
 そのような経緯の上に立ちまして、今後開拓農家をどういうふうに考えていくべきであるか。開拓農家の実情は、専業農家が主たる範囲を占めまして、四四%を占めておるわけでございます。この専業農家を中心としてこれからの施策よろしきを得ますならば、開拓農家の前途は十分裏づけられていくのではないか、こういうことも頭に置きまして、今後一般農政の中で開拓農政を考えていくのに適切な時期が来ておるのではないか。また、従来の施策に加えまして、開拓行政のさらに一段の地域の実情に沿うところの施策を加えていきますならば、特に開拓農家を別に考えずに、一般農政の中で今後十分これからの営農の上に役立つものであるということで、これはもう率直に申し上げますならば、政府として過去の長い経緯の上に立って今回のような措置に出ておる、こういうことを申し上げておきたいと思います。
#88
○竹内(猛)委員 それでは、なお続けてお伺いをするわけですが、私は、開拓の問題を提起するに至った経緯を三つに分けて、そのうちのどれに当たるかということについて回答を求めたいと思うのです。
 第一は、もう開拓というのはめんどうだから、借金ばかりしてどうもいろいろ要求ばかりして困るから、これはまあ適当にやめてしまおう、これがまず第一。第二は、非常に長い間骨を折ってきてかなり成長したが、まだ問題はあるけれども、この辺でひとつ一般農政の中に繰り入れて、事後のいろいろな施策によってこれをさらに前進させていこうという考え方。三つ目は、もう完全に、学校でいえば、卒業した、ある部分を卒業したから、ほうりっぱなしで一人前にやっていけるから、それでけっこうだ。この三つに分けられるのですけれども、そのうちのどの部分に類するかということについて、その判断を求めます。
#89
○櫻内国務大臣 これは、これからの施策よろしきを得れば開拓農家が十分これからの営農意欲を持っていけるという、二番目の分類に相なるかと思うのであります。
 特に私どもが考えまするのは、経営規模の上におきましても一般農家の三・三倍になっておりまするし、また、農業自体の収入の面からまいりましても二倍程度にまでなっておる。ただ、農家としての収入面を考えますると、そこにある程度の差があるという事実は考えなければなりませんけれども、いまの開拓農家は、そういう一般農家との比較の上におきまして、これからの施策等によって十分対応できるだけの条件を持っておるものである、こういう判断に立っておるのでございます。
 その中で、きょうもしばしば御指摘がございましたが、負債額が相当になっておる。その負債についての負担が開拓農家にとってたえられるのかどうかという点が非常に御心配をちょうだいしておるわけでございまするが、この開拓者の負債につきましては、御承知のような償還期間の延長、あるいは自作農維持資金による固定化負債の借りかえなどの措置も講じてまいりましたし、本日もいろいろ御意見をちょうだいしておりますので、さらにこの負債問題についていろいろ対策を講じていきまするならば、まずそういう面からの、いま現に残っておる開拓農家について非常な問題があるか不安があるかということになりますると、その面は打開していける、このように見ておるわけでございます。
#90
○竹内(猛)委員 私はこの問題は大臣が言われたような点があると思うのですけれども、農林省と開拓者の組織している団体との間で、今日までに、この法案を出すに至ったまでの経過の中でいろいろと意見がかわされてきたと思いますけれども、事務当局として、今後残されるべき課題としてどういうような事務的なものがあるか、今後解決すべき事務的な処理事項はどういうものがあるか。
 もう一つは、私は農政上の問題があると思うのです。これは開拓農家だけではなしに、日本の農業全体がいま背負っている大きな問題があると思います。たとえば百年も何百年も続けてきた既存の農家でさえもいまたいへん苦労しておる。そういうような日本の政治の中で農業の位置というものが非常にきびしい状態にあることもあわせて考えなければならない。
 したがって、問題は二つあると思うんですね。その一つは、専業農家として今後育成していくためにいかなる処置をとるべきかという問題、これは別に開拓だけの問題ではありませんが、特に開拓の皆さんが立地条件のよろしくないところで努力をされている以上、それは特に大きな問題であろうと思うし、なお事務的に詰めなければならない問題があると思うので、特にその事務的な面について事務当局から、どういう問題が残されているか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
#91
○小沼政府委員 前段の開拓保証制度の統合の問題につきましては、その制度をつくるにあたりまして開拓関係の全国団体等と十分お話もし、こういう形で整理を二年間にしていこうということに相なったわけでございます。なお今後とも十分開拓関係者の御意見を徴しながら進めるようにくふうをしてまいる必要があろうかと考えております。
  〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
基金協会の役員の問題であるとか、あるいは開拓連が実際に参加するしかたであるとか、いろいろあると思いますが、そういう点については十分具体的に考えてまいりたいというふうに考えております。
 後段で御指摘になりました農政上の問題でございますが、今後の開拓農家の育成、専業農家としてどういうふうに育てていくかという問題でございますが、これにつきましては、もちろん、午前中にも申し上げましたように、基本は、専業農家として経営規模を拡大していくというのが筋であろうというふうに考えます。地域によっては農村工業導入等によって就業機会を他に得るということを加えていく場合もあろうかと思いますが、いずれにしましても、今後の日本農業の中でやはり生産をになう中核としての農家に育成していく必要があろう、そのためにどういうふうにするかという政策の問題があるわけでございますが、一つは、やはり基盤整備を展開していく。道路もございます、構造改善事業もございます、飲雑用水の施設等の整備もございます、草地改良等もございますが、そういうものを含めて基盤整備中心に展開していく、これが一つでございます。
 もう一つの線は、開拓農協連合会の組織、これはその全部が残るわけではございませんけれども、そういう農民の組織を育成していくということであろうと思いますが、その残っていく開拓農協並びに連合会は、やはり開拓農家にとって重要なみずからの機関でございますし、これについては政府としても十分援助をし育成をしなければならないというふうに考えております。
 融資の面では、中金資金あるいは公庫資金、いろいろな資金が出されておりますが、これは従来のやり方で進められるものでございますが、開拓保証の制度だけは統合するという形になってまいるわけでございまして、いままでの開拓にとられてきた政策そのものはやはり今後受け継がれていくというふうに考えておるわけでございます。
#92
○竹内(猛)委員 これはきょうすぐお答えをいただけるかどうか、ちょっとむずかしいかと思うのですが、先ほど井上委員も要望されたように、来月の五日という日にちが設定をされておりますけれども、開拓の専業農家四四%、それから三・五ヘクタール、そして畑作が七六%、果樹が六%という報告が午前中にありました。そういうような、言ってみれば、日本の中ではわりあい規模の大きい、しかも、理想とは言わないけれども、規模の大きい農家というものが一定の家族をかかえ、そして現在の農政のもとで借金もかなり持っている、そして現在の金利、こういうものを計算して、どれだけの収入があったらほんとうに農家としてふさわしい理想的な農業経営というものができるのかということの、一つの理想図といいますか、それを描き、同時に、現在の農畜産物の価格あるいは生産力、こういうものからいってみて、はたしてうまくいけるのかいけないのかというこの図を、要するに、理想と現実の差というものを出してみてもらえないか。もしいまここで出してもらえれば非常にいいんですけれども、むずかしいと思うし、出せるなら出してもらいたいと思うのですが、どうですか。出せなければこれはあとでいいです。
#93
○小沼政府委員 後ほど試算をしてみたいと思っております。
#94
○竹内(猛)委員 それではひとつ事務的な問題から整理をしていきたいと思いますが、先ほど局長のほうからも答弁があったように、事務上の問題として幾つかこれは整理をしなければならない問題があると思うのです。何といっても、開拓の皆さんが最も心配していることは、借金の問題だと思うのです。この借金をどういうぐあいに整理をしていくのか、こういう問題だと思うのです。
 それで、現在保証協会が保証している額というものは幾らあるか、そしてそれをどういう形で、いろんな方式がありますけれども、処理をしていこうとするか、代位弁済の金額は幾らあって、そしてその代位弁済を進めていく中で求償権の問題もあります、回収不能の問題もあるし、可能な問題もある、どうしても回収できないという問題については、これはどのように始末をされるか、この点についてまずお答えを願いたいと思います。
#95
○小沼政府委員 地方の開拓融資の状況で申し上げますならば、求償権残高見込みが昭和四十六年十二月末現在の実態調査で出ておりますが、二億一千六百万、代位弁済見込み額は二億八千万、出資払い戻し見込み額は三億五千六百万、計、大体八億五千五百万程度ということになっております。御承知のとおり、午前中に申し上げましたですが、大体負債の総額は現在約一千億でございますが、その中の公庫資金が七百二十億、農中資金、災害資金が百六十億、系統資金等が百二十億というふうな状況でございます。
 開拓資金の特別措置法によりまして条件緩和等を講じておりますが、現在までに講じた開拓者資金では、償還条件の緩和等に三百四十二億円、徴収停止をしましたのが四十二億円、履行延期をしたのが二億円、和解が十億円、それから公庫資金等制度資金では、償還条件の緩和を七十四億円、償却利息等の減免が十六億円と、自作農維持資金による借りかえを百十億円というふうに措置をしてまいっておりますが、今後保証制度の移行をするにあたりましても、そういう実績等を勘案しながら、それぞれ残っております債務についての措置について万全を期してまいりたいということで考えております。
#96
○竹内(猛)委員 組合を脱退する会員もおりますが、そういうような会員の負債というようなもの、そしてその脱退したことによって今度はその保証力が減るわけですが、そういう場合の保証はどういうふうにされるか。こういう点についての予測と方向について、これはどういうものですか。
#97
○小沼政府委員 脱退することによって基金が不足するのでございますので、不足する基金については造成をするということで、これにつきましては国がこの造成についてめんどうを見るという考え方で進めたいというふうに思っております。
#98
○竹内(猛)委員 保証資金の利用状況を見ると、入植者が九万六千戸、そして保証協会の会員である農協等に所属している農家が七万六千五百戸、うち利用戸数というのが二万五千三百戸で、三分の一しか利用していない。したがって、統合後において開拓者が農業信用保証保険制度を十分に活用することができるようにするために、会員であるところの農協及びその構成員である未利用の開拓者に対して、十分に指導の必要があると思うのですけれども、その指導はどのようにやられるか、指導の方法について伺いたいと思います。
#99
○小沼政府委員 御指摘のように、この保証の利用戸数が四十七年六月末で二万五千戸、九十四億の保証の残高ということになっております。短期資金、中期資金等いろいろございますけれども、今後基金をどういうふうに造成するかということでございまして、一応ピーク時の需要の見込み額を算定してみますと、百七十四億四千三百万という需要の見込みがございますが、これは現在のおおむね二倍の保証需要ということでございますので、これについては需要を満たすことが十分にできるというふうに考えております。その点では、保証協会が統合されることによってそのそごがないように、円滑に統合されるように措置をしてまいりたいというふうに考えております。
 なお、短期資金の問題につきましては、御承知のとおり、今度の信用保証の関係、農業一般については法律改正がいま提出されておりますが、それが成立いたしますれば、それによって一般営農資金を融通することが従来どおりできるということに相なるわけでございます。したがいまして、開拓農家でなくなるもの、それから開拓農家の系統で従来から引き続いてやるものと、二通りに分かれますけれども、保証の面では一本でございますし、その点ではそごがないようにいたしたい、かように考えております。
#100
○竹内(猛)委員 中央保証協会が解散をする、そうすると、会員である地方保証協会及び承継契約に反対する者を除いて、中央保証協会の出資者はその純資産を保険協会交付金として交付することにしている、これらの交付金が保険協会において開拓者のためにどのように使われるかを明確にする必要があると思うのです。これはどうですか。
#101
○小沼政府委員 御指摘の点については中央の開拓融資保証協会が引き継がれますので、保険準備資金として五億二千九百万円を承継するという形で進めてまいりたいと思っております。これによりまして、大体協会中央での保険準備は十分になされるというふうに考えております。
#102
○竹内(猛)委員 保証協会と基金協会との会員の一口当りの出資額がそれぞれ違っている。地方の場合の保証協会は千円、基金協会は一万円となっているが、その統合後に保証協会の会員は当然後者の金額まで増額されることになるのであろうが、その取り扱いを明確にする必要があるのではないか。その取り扱いについてどのようにされるか。
#103
○小沼政府委員 開拓融資保証制度におきます出資の状況では、会員約二千のうち、一万円未満の会員は、いずれも解散予定でございますが、わずかに十二会員でございます。従来の保証制度によりますと、たとえば一万円の出資金の場合は二十五万円の保証を受けられることになっておりますが、統合すれば八十万円の保証が受けられるということになりますので、出資金の一口が千円から一万円になりましても、開拓農協及び開拓農家にとっては決して不利になるということではございません。私どもはそれによって全体としては有利になるというふうに考えている次第でございます。
#104
○竹内(猛)委員 現在中央と地方の保証協会に何人くらいの人員がいて、これを今後どのように取り扱われようとするのか。統合する団体、新しい団体に引き継ぐのか。その話がどういうぐあいになっているのか。われわれはこれはやはり生活権の問題だから、非常に重要な問題だと思うので、この際、この取り扱いについてはひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
#105
○小沼政府委員 今後の統合にあたりまして、地方の保証協会と中央の保証協会の職員でございますけれども、身分の安定については特に配慮しなければならないというふうに思っておりまして、原則として承継時の職員全員を引き継ぐというたてまえで考えております。その処遇等については、既存の職員との均衡を失しないようにしたいということでおりますが、状況を申しますと、各県の地方協会の職員は三十九名、これは全部でございます。全国のトータルでございますが、三十九名。男が十八名、女が二十一名。その中で、引き継がれる者は大体二十二名という見込みで見ております。男十一名、女十一名。それから、六十歳以上でこの機会に自発的に退職するという者を一応男三名を見込んでおります。それから結婚その他の理由で自発的に退職するというのが四名。それから県が責任をもって他に就職をあっせんするという者が七名。これは女子がそのうち六名になっております。なお残りました者で現に県において協議をしているというのが三名でございます。そういう状況で、ほとんどはこれで円滑に大部分が移行できる、引き継がれるというふうに見込んでいるわけでございます。
 いまのは地方でございまして、中央の保証協会におきましては、職員が九名でございまして、男四名、女五名でございますが、これにつきましても、保険協会と協議中でございまして、その引き継ぎは円滑に行なわれるというふうに私ども考えておる次第でございます。
#106
○竹内(猛)委員 この際保険協会に引き継がれていくわけですけれども、保険協会の中において、引き継がれた皆さんに対する取り扱い、たとえば部を設けるとか課を設けるとかしてそういう人たちの場所を設定して、いままでの仕事をそのまま引き継がれるようにするのかしないのか、そういうような考えはあるのかないのか、この辺はどうですか。
#107
○小沼政府委員 いま御指摘のような点は、全国組織の場合にはやはり考えられると思いますが、地方の小さいものについては、これは必ずしもそうはまいらないかと思います。ただ、北海道のように大きいものもございますし、そういうところはその規模に応じて部課の設置ということは考えられると思います。
#108
○竹内(猛)委員 全国組織の場合には部か課を設ける意思がありますか。
#109
○小沼政府委員 十分相談をして、そういう方向で考えていきたいというふうに思っております。
#110
○竹内(猛)委員 ぜひいままでの努力に対して今後も報いていくという気持ちをそこにあらわしてもらいたい、それは要望しておきます。
 続いて役員の問題ですが、役員に関しては、これは二年間の暫定の仕事もまだ残っているわけですけれども、この役員の取り扱いについてはどういうようにされるか。そして同時に、新しくできる委員会というか、農業信用基金協会、この中に開拓の皆さんのいままでの気持ちというものを代表して発言をされるような場所が与えられるかどうか。要するに金を貸す、金の仕事だから、どうも開拓の人たちは金ばかり借りてうまくいかないから、めんどうだから、なるべくひとつ金を貸すことをやめようじゃないか、押えようじゃないかというようなことをされると非常に困るわけで、ぜひ開拓の皆さんを代表するような発言の場を与えてほしい、こういうことを私はこの際ぜひやってもらいたいと思うのです。その点はどうでしょうか。
#111
○小沼政府委員 役員で常勤の者は地方の協会で四人、それから中央の協会では常勤は一人ということになっています。あとは非常勤の役員ということでございます。今後の基金協会でどういうふうに扱いをするかということになりますが、役員につきましては、統合後におきましてもやはり開拓者に対する保証の審査等の事務がございます。開拓営農の実態に即した保証決定をやる必要がございます。そういうことがございますので、必要に応じまして開拓団体の役員を一般の保証制度の役員に選任するというふうなことも考えられますし、それぞれいまの役員ができるだけ新しい統合された制度の中で活躍できるように配慮してまいりたいというふうに思っております。
#112
○竹内(猛)委員 この点に関しては、私の茨城県などは人間の扱いについてわりあいうまくいっているほうの代表だと思うのですけれども、それは各県の実情によってそれぞれ差はあるにしても、いままでの開拓の皆さんが長い間食糧増産やいろいろなために協力してきてもらった、そのあたたかい気持ちというものを各所にあらわしてほしいと思う。
 そこで、今後は金利の問題に関してお尋ねをしたいのですが、金利に関して、一般の農政の中に入るから、金利もまた一般農政の扱いをするのだ、こういうことでは非常に困るので、従来のように中金が出す場合の金については五厘の差がある、あるいは中期の資金においても二厘五毛という特別な扱いを受けているのですが、この取り扱いを保証されるかどうか。そして、する場合においては、どういうような形で開拓の皆さんに対しては保証をするか。するとするなら、どうするか、どういう形でやるのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
#113
○小沼政府委員 開拓農家は比較的資金需要の面でも規模が大きいために大口のものが多いわけです。これが一般の農政に移行することによりまして開拓農家に対する資金融通に支障が生ずることがあってはならないというふうに当然考えております。そこで、従来の開拓農家が必要とする短期の経営資金等の一般の営農資金についても保険の対象にすることができるという形にお認めをいただきたいということで、先般衆議院でお認めいただきました農業信用保険制度でそういう一般の営農資金、短期資金を扱うということでございますので、その法律が成立しますれば、この点では短期資金も従来のように扱うという話になるわけでございます。それから、開拓農家に対する資金融通のルートがいずれにも対応しまして保証また保険ができるようになりますので、開拓農家に対する資金融通は従来どおりに大体確保されるというふうに考えております。
 御承知のとおり、県開連、開拓農協を通ずる農林中金を原資機関とします融資については、従来どおりの融資条件によって必要な融資が行なわれるということになるわけでございまして、この点については変わりございません。また、一般農協に所属することになります開拓農家に対しましては、総合農協または信連からの融資が円滑になされ、あるいは近代化資金等の活用で末端の負担金利の低下について指導を行なうことがなされるわけでございますので、この点でも円滑に開拓者に対する融資がなされるというふうに考えております。
 御承知のとおり、大口の資金需要者に対する農林中金の、また信連の直貸、特に農林中金にあっては従来からその直貸方式もございますが、今後もそういう大口資金需要者に対する直貸方式によりまして開拓農家が十分資金を借りてやっていけるようにいたしたいというふうに考えております。
 なお、農林中金の原資の場合、従来どおりの金利七%によりまして提供を行なうことに農林中金とは協議ができております。
#114
○竹内(猛)委員 では、従来どおりに取り扱うことができる、それは大体期間はどれくらいの期間やることになりますか。いつまでもやるのか、それとも期限があるのか、それはどうですか。
#115
○小沼政府委員 開拓農家が開拓農協、開拓連の組織で残ってまいります場合に、もちろんその限りにおいて農林中金からの原資を仰いでいくということはずっと続いていくというふうに考えております。
#116
○竹内(猛)委員 では、保証の限度額の問題について質問をしたいと思うのです。
 最近、開拓農家だけじゃなくて、ほんとうに農業に熱を入れていこうという者は、相当な多額の金を一挙に投入してそうして大型の農業経営をやる、こういう方向に進んでおります。特に開拓の場合においてはその方向が強いと思う。その場合に、一定の融資額というものをきめられて、その額をこえては融資ができないということでは非常に困るわけなんです。この点について、融資の限度額についてこれを実態に沿うように取り扱うことができるか、それとも、やはり限度は限度だから厳重に守らなければならないのだと押えつけるのか、その辺についてはどういうふうな取り扱いをされるか、伺いたい。
#117
○小沼政府委員 開拓融資の開拓者に対する保証の限度額でございますけれども、一被保証人を開拓農協単位に取り扱いまして、開拓者の個々に対する保証限度額は定めておりませんですが、この農業信用基金協会におきましては、農業者に対する保証の限度額を定めて、その額をこえる場合の扱いとして、業務方法書で理事会の特認を規定することになっております。農業信用基金協会の特認規定の条項では、特認規定のある協会数が四十七ということで、全部ということになるわけでございますが、保証の業務方法書では、「ただし一般資金にあっては理事会が特別の事情があると認めたときはその承認した額」ということで、この限度をこえる特認規定がうたわれております。そういうことでございますので、今後この特認規定を運用することによりまして大口の資金需要には応じていくことができるというふうに考えております。
#118
○竹内(猛)委員 先般農業近代化資金の問題についてもあるいは中金のときにもいろいろ議論をして、直貸なりそういう方法をして、できるだけ多くのものを貸していこうということもきめたわけでありますから、ぜひこれは実行してもらいたい、こういうふうに思います。
 そこで、保証決定の審査というものが当然行なわれると思うのですが、先ほどもちょっと開拓の皆さんの発言をそういう機関に反映する場所をつくってほしい、与えてほしいという要求をしましたけれども、この保証決定の審査に関して開拓の代表というものを加えられるかどうか。最近の農業を見ると、専門化してきて、畜産であるとか、果樹であるとか、いろいろな形の専門の代表が出てまいりますけれども、開拓というものも、一般に食い込みはしたものの、まだまだ多くの点について特別な保護を加えなければならない。これは最初に質問したとおりですが、これをどのような形で金融の面に、保証決定の面に、開拓の皆さんの発言の機会を与えることができるような道を開けるか、この辺はどうでしょうか。
#119
○小沼政府委員 保証にあたりまして開拓関係の意見を十分反映させるようにする必要があるということは、御指摘のとおりでございます。そういう点につきましては、審査会という形の技術的なものでございませんが、全体としていま考えておりますのは、まず基金協会の役員に開拓関係の役員が参加するという形、それから従来の開拓連なり地方の開拓保証協会が業務委託をしていたような事務は、今後とも実質的に開拓連が基金協会の依頼によって行なうというふうな形、また、その保険協会の役員にも全国段階の開拓関係者が役員として参画する、そういうことをいたしたいというふうに考えておりまして、それを通じまして今後の保証、保険の業務の円滑化に遺憾ないようにしてまいりたいということで、積極的に参画してもらうように考えているわけでございます。
#120
○竹内(猛)委員 保証料の減免の問題ですけれども、現在は五年間減免をするということになっているけれども、これは五年間でもう打ち切ってしまうのか、それとも先のほうが考えられるのか、この辺はどうですか。
#121
○小沼政府委員 御質問の開拓保証制度では、利子補給つきの中、長期資金の場合は〇・二一%の保証料を徴収しております。その他の資金につきましては保証料は徴収していないということでございます。統合の後は、信用保証保険法に基づきまして所要の保証料を徴収されることになるのでございますが、従来の経緯もございますので、保証料の減免の措置を講ずることにしているわけでございます。
 それは中身で申しますと、承継する短期資金及び利子補給のない中、長期資金については当分の間保証料を徴収しないというふうにしております。承継する利子補給つきの中、長期資金につきましては、従来の〇・二一%、一般の率で〇・二九%でございますが、この差額を当分の間減免する形にいたしたい。それから新規の短期資金の保証料は当分の間これを減免するということで、大体五年間にわたりまして漸次これを徴収して五年後は一般と同様の扱いにいたしたらどうかということで考えております。
 保証料の減免の財源に充てるために融資資金を二億五千万農業信用保険協会に交付いたしまして、その運用益をもって助成を行なうということでございます。御承知のとおり、保証ということでございますれば、当然所定の保証料は徴収するのがたてまえでございますが、今回の統合にあたりましては、従来の経緯にかんがみまして特別の措置を講じたものでございまして、経過的な措置の期間はやはりおおむね五年間というふうに考えております。またそのときの状況によっていろいろ判断することも出てくるかと思いますが、さしあたり五年間ということで考えているわけでございます。
#122
○竹内(猛)委員 その五年間というのは、五年間であとは考えないという、こういうものではないというふうに理解していいですか。
#123
○小沼政府委員 現在はおおむね五年というふうに考えておりまして、またそのときの情勢によっていろいろ判断すべき事項が生じた場合には、その際にまた考えるということになろうかと思います。
#124
○竹内(猛)委員 それでは、その保証業務の実施の方法について、保証業務の実施は連合会が保証協会から委託を受けてやるというような形をとっているわけですけれども、今後この保証業務についてはどういうような方式をとってやられるか。自治体にでもやらせるのか、それとも前と同じようなことでやるのか、その辺はどうですか。
#125
○小沼政府委員 現にやっておりますのも一律ではございませんで、保証協会が自分でやっているのもありますし、開連に業務を委託しているという場合もございます。統合された後におきましても、その開拓関係のものについて委託を県開連等にやってもらうというふうな場合もあると思いますが、一律にまいりませんので、そのケース・バイ・ケースで判断いたしてまいりたいと思っております。
#126
○竹内(猛)委員 これから仕事をする場合に、養豚でも養鶏でも、どういうものでも、非常に多額な金も使うし、業務も相当な量になるわけですから、そういう点について転貸方式というやり方、こういうことを考えられているかいないか、それはどうですか。
 なお、つけ加えて言うと、個人個人を、一人一人を対象としてやるのは容易でないから、一つのグループ、たとえば養豚のグループ、われわれの県では、豚をやろうとする者は、豚をやろうとする者だけ集まって養豚のグループをつくっている。これがやはり相当の金を必要とするんですね。その場合にグループに金を貸して、そのグループが個人個人との関係をつけていく、こういうことを考えられるのかどうかということです、言いたいところは。
#127
○小沼政府委員 開拓農協が従来いま御指摘のようなことをやっているわけでございます。開拓農協ですと、農家はかなり大きいのでございますけれども、農家戸数は比較的少ないということで、比較的均一な形になってまいっております。そういう場合に、大体従来開拓農協がその転貸の資金を扱かって、それを農家に貸すという形をとっておりますので、御指摘のようなことは大体開拓農協でまかなえるのではないかというふうに考えております。
#128
○竹内(猛)委員 転貸方式という方式は、一つの生産法人ともいうべきものができて、これに対してこれを単位に金を貸す、そしてそれが個々の農家に対して責任を負うというようなことはまだ早いというわけですか。これは今後の経営の問題でぜひ生産組織の問題について質問していきたいと思うので、きょうは時間がないのでやりませんが、そういう点で何か考える余地があるのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
#129
○小沼政府委員 ただ任意に集まっただけというグループでは、お金を貸す場合に、そこへ一括というのはなかなかむずかしいかと思うのです。法人の組織なり、農事組合法人とか、そういうきっちりした法人の形をとっておれば、そこで明確になりますので、これは貸しやすいのですが、その点はやはりいま御指摘の生産組織の形ですね、それの法人格、そういうものとの関連で検討すべき問題であろうというふうに思います。
#130
○竹内(猛)委員 もう時間がないから、あまりそのことについてはやりとりしませんが、いずれ生産法人のことについては別な機会にひとつやりたいと思います。
 そこで、午前中にも島田委員から質問があったわけですけれども、開拓農家というか、開拓地の環境整備の問題で、団体の要請によると、まだ多くの工事をしてもらいたいようなところがある。それが農林省の計算とはかなり違っているわけですけれども、道路の問題にしてもいろいろあるわけですけれども、それは一体どのように実際農林省としては実態を把握されておるのか。農林省の言うのは、残ったのは二百億円程度のもの。ところが、団体では七百カ所というふうな要求があるけれども、この七百カ所ということについてどういうふうに理解をされているのか。
#131
○小沼政府委員 道路、それから飲雑用水あるいはその他の生活環境整備等を含めて今後総合的に進める必要があろうかと思いますが、いま御指摘の道路の問題では、約二百六十億円ほど五カ年計画で考えております。それについて団体側の要望といたしましては七百カ所程度という話が別にございます。個別にそれを当たったわけでございませんので、その詳細については承知しておりませんけれども、しかし、私ども従来から詰めてまいりました五年の計画ではいま申したようなことになっておるのでございまして、その線に基づきまして積極的に進めてまいりたい。ただ、それでも十分ではないという場合には、それはまたくふうの余地があろうかと思いますが、さしあたりとにかくその計画に基づきましてどんどん進めていかなければならないという実態でございますので、それに鋭意努力をしてまいりたい。なお、さらに不足であるというふうなこと、私は、どうも道路だけではないし、いろいろの生活環境の整備等を含めて今後考えていくべきであろうというふうに考えておりますが、そういうことを含めて今後検討してまいらなければならないというふうに思っております。
#132
○竹内(猛)委員 もう時間がありませんからここで終わりますけれども、最後に、私は大臣にお答えをしてもらいたいのですが、当初申し上げたとおり、日本の開拓者の皆さんは国家的な要請に基づいてたいへん困難なところを切り開いて今日までの営農の実態をつくり上げてきた、この努力というものはなみなみならないものだと思います。そういう努力に対して、先ほどからずいぶん事務的なやりとりをしたわけですけれども、この事務的なやりとりの中でいま言ったようなことを、あたたかい気持ちで、ほんとうに戦後の日本の食糧の増産のために努力をされた皆さんにこたえていくということをぜひやってもらいたいと思うし、それからなお、農政全般にわたって、いま農村に若い労働力、働き手がいなくなってしまって、そして国際的な農業の圧力のもとで日本の農業が全般にこわされていこうとする、そういう状況の中で農政全般をここでもう一度再検討して、食糧の自給体制というものを確立をして、そして農村で働く人々の期待と希望にこたえられるような農業の方向をぜひつくり出してもらいたい。そのためにこそ、農村の中で生き抜いていける自信と方向を持っている開拓の皆さんには一そうの力を入れてもらいたいということを要望し、大臣のことばを求めたいと思います。それによって私は終わります。
#133
○櫻内国務大臣 ただいまの竹内委員の御所見は、私もそのとおりに心得てまいっておるつもりでございます。特に開拓農家が戦後鋭意努力をされまして、また他面、政府のほうも開拓農家として条件に欠ける者についてはそれぞれ施策を講じながら、現在残られておる方は、一般農家と比較いたしまして何ら劣るところのない、今後農業全般の中核的な立場で行ける方々である、このように見ておる次第でございまして、また同時に、そのように方向づける裏づけのある施策を講じてまいりたい、このように思う次第でございまして、
 先ほど環境整備などについての開拓農民の希望と農林省のとっておる措置とに相当な開きがあるという御指摘で、私もこの要望についてはよくわかるのでございますが、ただ、その差がある点も、これは農林省としては採択基準を明確にしております。ですから、その農林省のほうの持っておる採択基準に合わないで落ちておるものは私はないと思うのでございます。したがって、今後開拓農家の要請にこたえる上には、そういう基準がはたして適切であるかどうかという点にこまかく配慮しながら開拓農家の要望にこたえてまいりたい。御趣旨の点は十分心得てまいるつもりでございます。
#134
○竹内(猛)委員 終わります。
#135
○山崎(平)委員長代理 次に、中川利三郎君。
#136
○中川(利)委員 私は、最近、機会がありまして岩手、秋田などの二、三の開拓地を回ってみました。そこで開拓農民や農協の方々とお話しいたしまして、いろんな問題、とりわけ苦しみや悩みを聞くことができたわけでございますが、どの開拓地でも共通しておりますことは、いま論議されたように、借金が非常に多いということです。考えてみますと、まさに借金の焦熱地獄みたいな状況に追いやられておる。しかも開拓民個々の努力の限界をはるかに越えて、どうしても抜け出すことができないというような状態に追い込められているという実態を見てまいったわけでございます。
 そこで、まずお伺いしたいことは、借金がなぜこんなに多くなったのかということと、とりわけ、政府の施策を忠実に受け入れてそれを守ってきた方々の借金のほうがべらぼうに多いということですね。このことについて当局の見解を求めたいのであります。
#137
○小沼政府委員 開拓農家の負債につきましては、四十三年の三月現在で実態調査をいたしたところ、大体九百三十七億円、そのうち延滞額が百二十億円ということで、一戸当たり八十四万円の負債に、延滞額が十万円ということでございまして、その後、資金特別措置法に基づきまして措置をし、固定化負債の借りかえ措置などを講じてきたわけでございまして、開拓者個々の経営により、また地域によってもかなり異なっておりますけれども、現在は総額約一千億円で、その延滞額は十八億円ということで、固定化の負債は非常に減少してきている。したがいまして、御指摘のように、負債の金額そのものは一般に比較すると大きいわけでございますが、年々償還をしていくべきものということでございまして、その中で固定化しているものは十八億ということでございますから、全体としてはパーセンテージでは非常に少ない。
 しかし、今後負債を円滑に計画的に返済していくことが必要でございますので、御指摘の点等もいろいろございますが、その点では十分行政の面でも考えていかなければならない、かように考えている次第でございます。
#138
○中川(利)委員 そういう一般的な借金の状況の説明を受けたわけでありますが、私が聞いたのは、開拓農家の中でとりわけ政府の施策を忠実に守ってきた方々の借金がべらぼうに多い、これは一体なぜなのか、このことの御説明はなかったようでございます。この事実をお認めになるのかどうか、含めてお答えいただきたいと思います。
#139
○小沼政府委員 開拓営農の指導について、一類、二類、三類の農家分類をして進めてまいったわけでございますが、全国各地見ますと、非常によくいっている開拓地もございますし、また、かなり負債があって、経営自体を大きくしていくことがなかなかむずかしいというふうなところもございます。地域によってずいぶん差がございまして、必ずしも一律に言いがたい面があると思います。静岡県の西富士の開拓農協のように、非常にすぐれた経営をし、農家自体もすでに全体で三千頭をこえている酪農をやっているというところもございますし、なかなかそうもいかないということで、土地を売ろうかというところまできているところもあるやに聞いております。地域によって非常に違いますので、一律に施策をかなり忠実にやったところがむずかしいというふうにもまいらぬかというふうに思うのでございますが、現地をごらんになっての御質問だと思いますが、私どもそれぞれの地域について個別の手厚い指導をしていく必要があろうというふうに思っております。
#140
○中川(利)委員 ただいま問題の焦点を、それぞれの地域の特殊性ということにすりかえて御回答いただきましたが、たとえば三千頭やっているどこかの例が出ましたが、三千頭やっているから借金がなくてりっぱにやっているのかどうかという、内容的には一体どうなんだということがまた一つ問題だと思うのですね。私が言いたいのは、政府が酪農だ、多頭化だ、こういうしりたたきの中で、そうして、そういう人ほど総体としていえば借金が、先ほど言いましたように、べらぼうに多いという現実、これは一般的にも言えるだろうと思いますが、まだそれをお認めになりませんか。
#141
○小沼政府委員 負債がいわゆる通俗的に返済不能な借金という意味ではございませんで、経営をやっている場合に、当然資産もありますし、負債も勘定として出てくるわけでございます。そういう意味では、今後の経営を展開していく場合に、当然自己資金だけではなくて、負債を持ちながらやっていく。しかし、それが問題になるのは、固定化すると困るわけでございますが、固定化の比率は非常に落ちておりますし、今後も固定化しないように進めていくことが必要であるというふうに思っております。その意味では、単なる負債ということではございませんで、その固定化が問題であるというふうに私は思っているわけでございます。
#142
○中川(利)委員 それでは、具体的な実例でお伺いしたいと思いますが、岩手県に奥中山開拓というところがございます。ここは五百八十五戸でございまして、四十八年の二月十三日現在、借金の総額が五億七千三百万円ですね。そうすると、一戸当たりたった百万円くらいの負債だということにしかなりません。ところが、この中身が問題だと思うんですね。どういうふうに問題なのかと言いますと、政府の営農指導の中で、酪農の規模拡大だとしりをたたかれてきた方々は、一千万円以上の借金がざらなんです。政府の言い方を聞かないで高冷地野菜づくりをした人たちは、全くあずましく営農をやっているという状況が生まれているんですね。こういうことについて、あなたは今後の展開のために云々ということを言いますけれども、それでは済まされない問題だというふうに思うんですけれども、どうですか。
#143
○小沼政府委員 岩手県の奥中山地区の開拓者の点でございますが、調査いたしましたところ、開拓者二百七十六戸で五億四千五百万円の負債額がございます。かなりの部分が延滞になっているというふうに聞いております。
 負債の償還計画の内容につきましては必ずしも十分明らかではございませんけれども、償還の目標額には達していないということで、御承知の四十五年、六年の負債整理については行政機関が努力をいたしましたけれども、一部の開拓者にその償還の意欲がないとか、あるいは農協の内部の相互不信とか、いろいろ問題があったようでございますが、十分な負債整理がなされなかったというふうに聞いております。現在、県のほうで中心になりまして、負債整理の実施について金融機関と協議を進めているところでございまして、農林省としましても、引き続き弁済充当順序の変更なり償却減免等、実情に即した負債整理を行なうよう、農林漁業金融公庫と相談をしてひとつ指導をしてまいりたいというふうに考えております。確かに、御指摘のように、奥中山地区というのは、その点では負債がかなり滞りつつあるところのように承っておりまして、負債整理について十分行政的に金融機関と提携して指導をしなければならない、かように考えている地区の一つでございます。
#144
○中川(利)委員 私が聞いたのは、そのような一般的なことを聞いているのじゃなくて、問題は、政府の営農指導というか、酪農振興というか、そういうことで多頭化を押しつけられた人たちがばく大な借金を背負っている。この中の一つの開拓地の例を見てもそうである。そうして、政府の施策に反対して高冷地野菜をやった人たちがあずましくやっているという問題です。そうした中身について私は問題にしているのであって、その点をお認めになるのかどうかということをお聞きしているのです。中山地区の借金についてはあとでお伺いします。
#145
○小沼政府委員 開拓につきましては、それぞれ開拓適地におきましてその地域の開拓営農の指導について、現在は一般の普及員の指導のもとにありますけれども、そこで営農計画を立て進めてきたわけでございまして、その点について、私ども地域に合った開拓振興を進めてきたつもりでございます。地域によってたまたまそういう負債が滞っているというふうなところもあるかと思いますが、しかし、全般的には、先ほど平均値で申しましたように、かなりの農業所得においても一般の農家の二倍程度をあげておりますし、今後の発展の可能性を十分持っているものとして、今後日本農業の生産の中核的なにない手として進めて育成してまいりたいという考え方でいるわけです。その意味では、政府のやり方に沿った者が損をし、そうでない者が得をしたというようなふうには私は考えておりません。
#146
○中川(利)委員 あなたは、どこまでも政府がこれは失敗であったということを認めるわけもないでしょうけれども、たとえばそこで高冷地野菜をやっている農家の方々、政府の意向に反対してやった人たち、ここに典型的にあらわれているのですが、この人たちは借金もなくてゆっくりやっているのです。いろいろ問題もあるでしょうけれどもね、聞きますと。
 そこで、この同じ農協の中に問題が出てきた。たとえば金融機関は、債権者団体は、その農協に、借金が多いから以後金を貸すことは相ならぬということで、農協自体に対して全部金融の道がストップされた。そうしますと、この高冷地野菜をつくっておられた方々がその巻き添えにあって、自分たちも一緒に金融が閉ざされちゃ間尺に合わない、こういうことからして、別に生産組合をつくった、こういう経過もあるわけですね。
 そうしますと、おたくの政府がやった酪農の指導で、政府に反対した人たちがりっぱになって、皆さんの指導のもとに忠実にやった人たちが、あなたの御発言によれば、地域に合った酪農振興をやってきたつもりだと言うが、そのつもりの結果が、借金も返済することができないような、ものすごい状況に置かれておるという事実がここにある。事実は何よりも雄弁であるといいますけれども、これに対しましてあなたはどう考えるかということについて、もう一回お答えいただきたい。
#147
○小沼政府委員 御指摘の地区は、おそらくいろいろの悪い条件が重なってそういうことになったんであろうと思いますが、現に全国で約四分の一は酪農を中心に開拓をやっているわけでございますし、すべてがそういうことで負債をしょって固定化しているというふうには私ども受け取っておりません。地域によって間々そういうのもあるかと思いますが、全般的にはやはり酪農は酪農、果樹は果樹、園芸は園芸それぞれの部門で、その地域で開拓地はかなりの成績をおさめて現在に至っている。離農する者は離農してしまっておりますが、第一類で残った農家、第二類でまた第一類に上がってくるような農家、そういうものを中心に、現在大体開拓の営農はほぼ安定化してきているというふうに見ているわけでございます。
 負債自体は、固定化したものについての処理は当然法律に基づいてやらなければいけませんけれども、一般的な負債そのものは一種の資産になるわけでございますから、そういう意味で、今後の営農の中でそれを運転し消化していくということになるのだろうというふうに経済的に見れば考えられるわけでございまして、今後の規模が大きいがゆえに負債もあるということは当然でございまして、それを固定化しないように経営を発展させていくことがやはり重要であると考えております。
 作目の選択について、酪農がいいかあるいは果樹がいいか野菜がいいかというのは、それぞれの地域によって違うと思いますが、その地域でたまたま御指摘の点では酪農がうまくいかずに高冷地野菜がうまくいったというふうなことでございましょうが、一般的に、やはり政府の指導に基づいて現在まで開拓地では、先般数字で申し上げましたような形で成長をしてきているという点をお認めいただきたいと思うのです。
#148
○中川(利)委員 そうすると、たとえば奥中山の例なんかは個別的な例であって、一般の普遍的なものにはならない、こういう御趣旨のように承ったわけでありますから、では、別の例を引き合いに出しましょう。
 秋田県十和田開拓の例でございますが、皆さんの営農指導といいますか、開拓営農指導がどれだけ筋道の通らないものであったかということですね。たとえばここでは、三十三戸の農家の方々が、目まぐるしく変わるあなたのほうの政府の開拓農政の犠牲者としていま三分の一が営農を放棄しているわけですが、そこでは入植当初どういうことが言われたかというと、雑穀をやれと言われました。そういう指導を受けた。二十七、二十八年ごろは、綿羊をやりなさい、ヤギをやりなさいと言われました。その次は鶏を飼いなさい、豚を飼いなさいと言われました。そうして昭和三十五、三十六年になりまして、今度は乳牛をやりなさい。そのたびに振り回されてきたわけであります。その昭和三十五、六年当時皆さんの指導は、牛舎は十二坪あればいいんだ。そうしてベコは――私のほうでは牛のことはベコと言います。ベコは五頭飼えば十分間に合うのだ、借金も返せるのだ、そうして自立農家になるのだという指導をいたしました。どうですか、こういう目まぐるしく変わる中で、しかもそれをやってきた結果が、いま言いましたように三分の一が離農しなければならない、ほとんど営農に意欲を燃やすことができない、こういう状態に追いやられているという事実。こういうことについて政府は、これも個別的な問題である、そういうふうにお考えなんですか。それとも、政府のそうした営農指導がいかにその場当たりの、しかも、高度経済成長といえばむずかしくなりますけれども、そういう政策に見合って、肝心の開拓農民の苦しみにこたえるものではなくて、逆に選別と淘汰をしてきたという歴史、そして苦しみをたいへんなものにしてきたというその責任についてお認めになる立場でものをお考えになっているのかどうか、お伺いしたいと思うのであります。
#149
○小沼政府委員 秋田の十和田開拓のことにつきましての御指摘でございますが、当初七十二戸入りまして、現在たしか三十三戸残って、三十九戸は離農したというふうな形になっているようでございます。負債については、全体で一億九千万ほどの負債総額が現在残っているというふうに承知をしております。この地域は私も承知しておりますけれども、かなり高冷地のかつ気象条件の非常に悪いところでございますし、里からも非常に遠いということで、営農立地の条件としては非常にむずかしい地域であったように記憶をしております。それだけに、この入植された方々も、また県並びに関係の開拓の機関でもずいぶんここについては苦心をしたところであるというふうに理解しております。そのために、作目についても、最もその地域に適合した作物ということで、いろいろと苦労を重ねて現在まで至っているというふうに理解しているわけでございます。非常にむずかしい地域の中で、この農家、現在三十三戸が経営をしているということでございますが、酪農を中心に現在経営をしております。この地域自体の面積等については申し分ないのでありますが、土地の気象条件等は必ずしもよくないという点を考えまして、私どもはやはり今後も十分こういう地域についての営農指導なりあるいは開拓対策を考えていく必要があろうということを痛感しているわけでございます。
 先生御指摘のように、地域によってはなかなかむずかしいところがございます。離農いたしました農家の中でも、やはり立地条件が悪い、土地条件が不利であるということで離農しているのが非常に多いわけでございますし、そういう意味で、開拓当初希望に応じてそこに入植をしたわけでございますけれども、なかなかその後の条件が発展的にできないという悩みもあったのだろうと思います。今後、道路条件等整備されてまいりますと、こういう地域がやはり開拓地としても発展し得る余地は十分あるのじゃないかというふうに考えているところでございますし、そういう線に沿いまして、県あるいは金融機関とも相談をしながら指導を進めてまいらなければならないと考えております。
#150
○中川(利)委員 たとえば十和田開拓の例について言えば、場所柄が特殊なだけに、県も国も最も力を入れた、苦労した。そのための作物として酪農をやった。その結果が今日見るような、私も四、五日前に行ってまいりましたけれども、非常に苦しい、悲惨な状態があるわけです。いま土地を売らなければならないと言っておるのですね。借金を返せない。
 そこで、私どものほうで、それなら逆にお聞きしたいのでありますけれども、おたくでは、最初ベコは五頭でいいのだ、牛舎は十二坪でりっぱにやっていけるのだ、借金も返済できるのだ。いまはどのくらいならばいいのですか。逆にお伺いしますよ。何頭ならばりっぱにやっていけるのですか。あなた方確信持って言える数字をあげてください。
#151
○小沼政府委員 開拓地の酪農は、いま平均値でいいますと、乳牛で九頭でございます。ただ、あのような地域のところでは、私考えますに、やはり大体十頭から二十頭ぐらいの規模が必要ではないだろうかと考えられます。
#152
○中川(利)委員 あとで言いますが、いまその三十頭、四十頭、五十頭の方がどれだけ苦しい深刻な状況にたたき込まれているかという実態をあとで申しますけれども、一つの例を、いま順序に従いますと、この十和田開拓におきましても、おたくの指導の中でやった酪農家の方々が、ほとんど借金で身動きができない状態がおしなべてあります。そうして、政府の指導とは反対に、いろんな妨害を受けながらほかの野菜をつくった方々は、これは成功しているんですよ。借金は何もない。
 一つの例は、この十和田開拓地には下道さんというおばあちゃんがいます。六十五歳くらいの、よほど人生に苦労してきたとみえて、いろいろ私に話を聞かせてくれましたが、樺太からの引き揚げ者だそうであります。このおばあちゃんが言うには、自分も最初、政府が雑穀をつくれと言えば、はい、豚、鶏を飼えと言えば、はい、そういうかっこうでやってきたけれども、何をやっても政府の言うとおりやったらうまくいかなかったというのだ。そこで、自分は思い切って、この高冷地にイチゴを植えようということを考えた。しかし、イチゴというものは全く技術的にしろうとであって、しかもそういうところでできるかどうかあぶなっかしい。そこで、思い出したのが、北海道の樺太におったころの知り合いの方が、北海道のニトカップというところにいるそうです。ニトカップということばだけで、その人がどこにいるかと
 いうことさえつまびらかにしないまま、単身でたずねていったというのです。単身で。そうしてようやく探り当てた。そこでイチゴの栽培を、高冷地の栽培を見てきた、勉強してきた、研究してきたというのだ。そうして十株分けてもらって、秋田へ来てそこで植えてみた。それが発端で、何回も失敗したり何回も苦労しながら、いまでは三反歩のイチゴ畑かずっと目の前に――私、行ったとき、ちょうどこのむしろといいますか、苗にずっとわらをかけていまして、季節になると楽しみだ。何で楽しみだと言ったら、いまでは、十和田湖が近所にありますから、国鉄の観光バスがイチゴ狩りの名所として、そこへ皆さん寄っていただくんだというのだな。そういうところに、自分はこれからジャムをつくることも考えなければならない、イチゴ酒をつくることも考えなければならないということですね。非常に展望を持って、おじいちゃんと二人でこれをやっていて、借金がないのですね。片方はべらぼうな借金の中に、三十頭、五十頭持ってもどうにもならない。土地を売らなければならないというのです。これについてまだ皆さんは、これを個別の問題だとか、政府は全くそういうことについてはその人のやり方の問題だとか、そういうことで解決、解消しようとすることができるものだろうか、お答えいただきたいと思います。
#153
○小沼政府委員 先ほども申し上げましたように、地域によって非常に差がございますので、一律にここは悪い、ここは悪いという、そういうことだけではないというふうに思います。開拓酪農においてずいぶん成功している例も、むしろそのほうが多いくらいでございまして、中には御指摘のようなところも承知いたしておりますが、やはり酪農においてもまたほかの作目においても、いま御指摘のような特殊な例もございますでしょうが、全体としては発展しつつあるというふうに理解をしております。その実例につきましては、もう全国幾らでもあるような状況でございます。また、単に政府の指導したものだけでなくて、いろいろの特殊園芸作物等を導入して成功した地域もあることは承知しております。いずれにしましても、その地域に合った農業、営農をやっていくということが大事でございまして、それはやはり農民の知恵とそれからその政府関係機関の指導と、それが一体となったときに実現するものであろうというふうに考えているわけでございまして、今後もそういう点で開拓営農についての指導に万全を期してまいりたい、こう考えているわけでございます。
#154
○中川(利)委員 まだあなたは個別的な問題として処理されようとしていらっしゃるけれども、あなた、先ほど言ったでしょう。十和田開拓にしたって、政府がこれを重点に、県も重点に考えて苦労したというのだな。ここが酪農に最適地だ、そういうふうにして酪農をさせたということをあなたおっしゃった。そういう中でこういう問題が起こっているということは、そういう個別の問題とかかわりなく、政府の責任でしょう。そこのことをお認めならなければ、私は今後の論議を発展させていかれないんじゃないかと思う。
 同時に、あなたは、幾らでも酪農で成功したところがあるんだと言う。酪農で成功したところがあるんならば、成功というのは一体何なのか。五十頭飼えば成功なのか、百頭飼えば成功なのか。問題はそういうことじゃないですよ。その中に彼らはどういう内実のかまど、収入と支出の中で借金返済をかかえてどうやっていくのかということについて、りっぱにやっているところがあったら教えてください。
#155
○小沼政府委員 戦後の緊急開拓以降、入植地域については、御承知のとおり、非常に土地条件に差がございまして、北海道の重粘地帯の入植地もございますし、また静岡県の富士山ろくのような条件の恵まれた地域もございます。いろいろの地域がございまして、一がいに申し上げることはできないのでございますけれども、先ほど申しましたように、何回も申しますけれども、トータルの負債額ということが大事なのではなくて、その中の固定化がどのくらいあるかということが非常に大事なんで、そういう意味では、その固定化の割合は著しく減少しているというのが現状でございまして、その点から経済的な判断をするならば、この開拓地については決してこれが左前で没落しつつあるというふうには見られないし、また、その中の営農状況を見ますと、大部分、二五%は酪農でございますが、果樹、養豚、いろんな形がございます。地域に応じたそれぞれの営農をやっているわけでございまして、そういうものについて今後さらに発展させるように努力することが肝要であるというふうに考えているわけでございます。
#156
○中川(利)委員 全体のトータルからすれば固定化負債が著しく減少しているから全体として発展しているんだ、こうおっしゃるわけですね。それではいま私が聞いた答えにはならない。
 それでは、私、あらためてお聞きしますけれども、固定化負債が著しく減少したとあなたおっしゃるけれども、この減少のしかたがどういうかっこうで減少していっているのか、どれだけ農民の犠牲の中で減少させていっているのか、一方的にあるいは無理じいにやられているのかということの一つの典型例を出してみたいと思うのです。これは先ほど申し上げました岩手県の奥中山の例であります。この例は皆さんは一番よくわかっていますが、この負債整理について昭和四十五年に、県当局や公庫、中金、信連、保証協会などの債権者団体が奥中山方式という借金解消計画をつくったといわれるわけであります。まずこの経過と、どういうかっこうになったのか、ひとつお聞かせください。そうすればはっきりします。
#157
○小沼政府委員 手元に十分な資料を持ち合わせておりませんですが、概況について申しますと、固定化負債が奥中山では累積してきたために、四十四年の六月に、金融機関、関係団体、県によって構成いたします奥中山開拓畜産農協整備対策協議会というのを設けまして、組合の負債整理と再建方途について協議をし、対策を講じてきたわけでございます。
 そのやり方といたしまして、四十六年から五カ年の間に償還実績を見た上で、大体償還条件の緩和措置を講ずることにいたしまして、償還金は元金に優先充当する、利息は元金の支払い完了後に支払う、延滞利息については原則として減免する、償還期間は、金融機関ごとに最低七年、最高二十五年、これは公庫資金でございますが、とするということでございます。そういう措置を講じて進めてきたわけでございますが、償還の実績は、四十六年の計画に対して四五・七%でございまして、四十七年度は大体七二%という償還率であったのでございますが、金融機関としてはさらに償還率を上げてほしいという希望を出しております。
 組合といたしましては、延滞負債の解消、償還に対する誠意を示すために、奥中山高原土地利用合理化組合、任意組合でございますが、を設けて、組合の所有地千七百六十ヘクタールのうち、今後とも営農振興に支障のない付帯地三百六十ヘクタールについては、付帯地は処分をして、償還の財源を捻出しようということについても現在検討しているというふうに承知をしております。局で調べました状況は以上のとおりでございます。
#158
○中川(利)委員 奥中山方式という、県も公庫も中金も全部一緒になって借金解消計画をつくった、五カ年のあれをつくった。これはいまありますか。これはどうなりましたか。いま二年目か三年目に入っているわけですけれども、どうなりましたか、お聞きします。
#159
○小沼政府委員 四十八年三月現在で、県からの報告によりますと、全体として五億四千五百九十一万円の借り入れ残がございますが、その中で二億九百七十五万一千円、これが延滞金になっております。それにつきましては、この負債対策といたしまして、条件緩和の要請、徴収停止の措置に
 ついての要請等が出されておりまして、これにつきまして検討をし、措置をしてまいりたいというふうに考えております。
#160
○中川(利)委員 そうした債権者団体が奥中山方式という、日本でも珍しい方式をつくって、五カ年の計画だと、あなたがおっしゃったとおり、確かにそのとおり。いまそれはないのだ。いまはその計画そのものを御破算にして、おまえたちの払
 いが悪いから、おれはもうきょうでやめたということで、借金取り立てのもとに返っちゃったんだな。このことを知っていますか。
#161
○小沼政府委員 御指摘の点につきましては、これからでございますが、県、地方農政局、それから金融機関等と協議をして、ほんとうに返済ができないのかどうか、その辺をきっちり詰めてみなければならない。それに基づきまして返済計画を立ててまいるという、また必要があれば、徴収停止をするなり条件を緩和するというふうなこともくふうをしなければならないということで、総合的にやはり各機関集まって詰めてみたいというふうに思っております。
#162
○中川(利)委員 奥中山について、もうこの返済五カ年計画は御破算で、だからこそいま三百六十
 ヘクタールの土地を売るといっているのですよ。しかもあの近辺の状況から、いま観光資本がそれに手を出そうとしているのです。あれだけ大きい三百六十ヘクタールを買うのは普通の人では買えない。こういう状況に置かれておるわけでしょう。県では売るな売るなと言っているのですよ。土地を農民が売るということは規模拡大ができないということです。そういうことがいま問題になっているのですね。
 なぜかと言えば、おまえらせっかく計画を立てた。この計画そのものが債権者団体の一方的計画なんだ。決して農民の要求や農民の側に立った最終的な返済計画でない。そういうものをぽんと押しつけて、これに判こを押せというかっこうで、みんな判こを押させた。だれも返せる人はいなかったということですね。どだいがそういう無理なことで、それなら、その計画自体をもう一回煮詰め直すということでなければならないのに、この計画自体を御破算にして、今度はもとに返すからどこまでもよこせ、押しかけても取るということになりますと、土地を売るよりほかない。大臣、こういういまの問題に対してあなたはどう考えますか。あなたはそこにすわるだけじゃなくて、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#163
○櫻内国務大臣 先ほど来の御質問をずっと承っておりますると、いろいろ考えさせられる点がございます。
 第一は、事実を取り上げての御批判でございましたから、その点について私は傾聴もいたし、また今後の開拓行政一般について大いに参考にいたしたいと、このように感じた次第でございます。
 次には、種々言われました中で、政府の指導よろしきを得なかったのではないか、現にこういう事実である、こういうことで、私もせっかくの御質問でありまするから、手元にある資料をずっと見てまいりまして、御指摘の点は、開拓地営農類型の設定などによって、十和田湖の開拓やあるいは岩手奥中山の開拓が行なわれておったのかどうか、そういう点について事実はどうであったかというようなことを考えた次第でございます。
  〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
 次には、非常に行き詰まった状況のお話でございまするので、もしそれでありますれば、きょうお答えの中に申し上げておりますように、開拓地の一次振興対策、二次振興対策というように、いろいろと行政をやってまいりましたが、二次振興対策の中では、この開拓農家を一類農家、二類農家、三類農家と分類をいたしまして、三類農家に該当すべきものは離農助成をしよう、また負債を整理しよう、こういうことでやってまいったのでございまするから、ただいまの地域がもし助成対象といたしました立地条件の不良地域ではなかったのか、あるいは面積狭小等の理由によって開拓農業が非常に困難であったのではないかというようなことも考えた次第でございます。
 要は、国として開拓行政について、この二十八年余にわたっていろいろな対策のもとでやってまいったのでありますが、同時に、この国の行政は当然地元の県、市町村との連携の上になければこまかく実態に沿っていくわけにはいかないのでございまするから、あるいはそういう点についての欠陥が御指摘のようなふうにあらわれてきたのかと、いろいろ反省をさせられたり、あるいは今後の開拓行政の上に参考にしなければならない、このように承った次第でございます。
#164
○中川(利)委員 大臣のいまの御発言の中に、開拓地営農類型のそういう状態であったかどうか、そういう事実関係も調べてみなければならない、こういうふうなお話がありましたが、話は飛びますけれども、開拓地営農類型のその該当するあれであれば、一体どうなんだというのですか。
#165
○櫻内国務大臣 ただいまの私の概略のお答えで尽きておると思うのであります。それは、そういうことでいきましても、また先ほど来一次、二次の開拓営農振興対策の中で、どうしても開拓に適さないという場合については、離農助成もいたして、そして他産業への転換をお願いした場合もあるのでございますから、お答えの中で申し上げましたように、お示しの地域があるいはそういうことに該当したのではないかというようにいろいろと反省をさせられました、このように申し上げておるわけでございます。
#166
○中川(利)委員 いずれ、先ほど申しましたように、負債の整理計画ということで典型的な例といわれた奥中山方式そのものは、いまそれは債権者団体そのものがもう自分でこれはやめたということです。新しく取り立てをいまやろうとしているわけです。そこで、あなたは、もう一回この点は見つめ直してみる、いろいろ聞いてみると、そのことはけっこうです。ところが、はたしてほんとうに返せないのかどうか、もう一回検討するというようなお話も、個々の酪農家についてそういうお話がございましたが、私の手元にいま一つの典型例があるわけですけれども、これを御紹介いたしますと、奥中山の村山さんという人の例であります。この方は負債が千八百万円、このうち純粋の借金が千四百万円、延滞利息が四百万円です。しかもこの人の飼っている乳牛が三十五頭、育成牛が十五頭、合わせて五十頭、そのほかに畑が二十五町歩、これはすごいですよ。これならば、国の施策のほうからいっても、もう万全の状態でなければなもない。この人は奥中山方式でまいりますと、年間返す金が九十九万八千円ですから、約百万円ということになっています。この程度の金は返せるだろうと皆さん思うでしょう。ところが、この方の営農状況ですね、昨年度の収支を調べてみました。そうしたら、こういうことです。牛乳の売り上げ代金五百八十六万四千九百十五円、子牛の売り上げ百十九万六千円、雑収入、つまりトラクターの賃耕料や減反奨励金です、これが六十二万円、合わせまして農業粗収入が七百六十九万円です。これに対しまして支出がどうなっているかということを見ますと、濃厚飼料が二百六十万円、肥料代が六十七万円、修理代を含む農機具費が五十三万円、その燃料費が二十万円、牛の、ベコが病気になったというので、獣医にかかった費用が十万円、育成費が十六万円、その他を含めて支出が五百三十三万円です。そうすると、七百六十九万円から五百三十三万円を引きますと二百三十六万円ということになります。このうちから百万円の返還をすることになりますと、手元に残るのは百三十六万円ですね。この中から別のルートで借りた借金あるいは生活、子供を養育する、学校へ入れる。乳牛三十五頭、全国でもまれなほど優良な状態、開拓農家としてはすばらしい状況の人、これが年間百万円そこそこしか残らない。この中で一切まかなっていかなければならない。この程度に規模の大きい農家でさえ百万円の負担ということがどんなものだかということですね。この程度の大きい農家でさえもこういう生活の実態だということについて、当局はこれも個別のものだ、こうおしゃるんですか。
#167
○小沼政府委員 畜産の個別の経営を取り上げての御質問でございますが、県営の収支等が実際にどういう形になっているか、あるいは技術的に見てその経営が非常にいい経営であるのかどうか、いろいろ畜産の専門の分野から検討すべき問題はあろうかと思いますが、地域によりまして、地域というといろいろまた御指摘でございましょうが、事実現地に参りまして数カ所私も見ておりますけれども、実際に非常にうまくやっているところとそうでないところの差が、かなり激しい差が出ておりまして、一律に酪農でなかなかうまくいかないとかあるいは園芸の場合にうまくいくというふうに、こう一律にはなかなか申し上げることができないのではないかというふうに思います。個々の一つの例は例として、その負債の状況についてはいまの御説明のとおりかと思いますが、この経営がその百万円の負債を年々返済していくということについては、やはり今後の負債返還のしかたなり経営の発展のさせ方なり、いろいろ総合的な診断をし、判断をしていく必要があろうかと思うのです。全体として開拓地の営農の問題につきましては普及所等がめんどうを見ておりますけれども、今後の重要な農業生産の中核になっていただく農家の方でございますから、その意味では、そのことによって経営ができなくなるというふうなことにすべきでないと思いますし、その点では、負債対策については十分県と相談をし、その奥中山地域のみならず、そういう開拓地域についての負債状況については、午前中にも申し上げましたが、総点検をして、どういうふうに整理をしていくかをくふうしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#168
○中川(利)委員 決して当局は政府の責任をお認めにならない。その限りにおいては、私は、開拓農家の方々が、今後融資保証法も廃止になって一般農政に移行するといったところで、私は、幸せになっていかないというふうに考えるわけでございます。そこで、先ほどのお話の中で、負債返還のしかたなんかをもっと総合的に判断しなければならないとあなたはおっしゃった。あるいはこれも個別的なものとして処理されようとした。
 そこで、それならば、その個別的なものとして聞くわけですけれども、この新しい奥中山方式では、先ほど言いましたとおり、今後五年間やってみて、それでもだめならば再び話し合いしましょう、こういうかっこうになっておったんですね、申し合わせが。ところが、わずか二年の実績を見て、おまえたちはもうだめなんだ、これはやめましょうということで、もとへ戻してしまったのです。これがあたたかい、農民の汗にこたえる政治のあり方と思われるのでしょうか。いまの村山さんの例もありましたけれども、どうして生きていったらいいかということがこの人たちの課題なんです。どうして生きていったらいいのか、お知らせいただきたいと思います。
#169
○小沼政府委員 先ほど申しましたように、負債の状況についての総点検をやりたいと思っておりますが、奥中山につきましても、負債の固定化の割合が非常に高いものですから、そういう意味で、現時点に立ってもう一度全体としてどういうふうに整理をしていくか、また営農を発展さしていくかという点について、関係機関とともに検討をして措置をしてまいりたいということでございます。
#170
○中川(利)委員 いまこの地域の方々はどうもこうもしようがなくて、あなたの先ほどの御答弁にありましたように、三百六十町歩の自分たちの農業基盤である土地そのものを売却しようとしているわけですね。それで借金を返済しようとしているのです。このことは、政府の開拓行政に対する徹底した不信のあらわれだと思うのですね。しかし、皆さん、どうおっしゃっているかといえば、大資本、大観光資本、不動産、こういうものには売りたくない、もし買ってくれるならば、政府が買ってもらえないだろうか、そうして自分たちが他日、自立経営ができる、安定して農業を営める、こういう状態になったときに、あらためて自分たちに買い戻さしてくれないだろうか、こういうことをおっしゃっているんですね。これについてどうですか。そういうことを考えてみてやる気がございませんか。
#171
○小沼政府委員 政府が買うという話でございますが、御承知のとおり、現在、農地保有合理化法人、これは大体各県にできておりますが、いわゆる県の開発公社でございます、それについては農地法上も農地の取得の権限を与えているわけでございまして、また、政府から無利子の予算を計上して使えるようにしてございます。そういうものもございますし、また金利を若干安くした資金を使う形もございますが、いわゆる農地保有合理化法人によりましてそういうところを取得するという方法も一つであろうかというふうに考えます。県自体が買う場合には、これはもう農地法上の何も制限もございませんから、無条件に買えるわけでございますけれども、いずれにしましても、県が直接でも、あるいは農地保有合理化法人等を通じて買うという場合も考えられます。また、その地域を全部ということじゃなしに、農地等取得資金で残っている農家が取得をするというふうな形のものも考えられないことはないということで、そういうものも含めて、ひとつその奥中山地域については総合的に負債整理対策を検討すべきであろうというふうに考えているわけでございます。
#172
○中川(利)委員 そうしますと、奥中山開拓の場合は、もう一度検討し直してみる、考え直してみる、こういうことと理解してよろしいですか。
#173
○小沼政府委員 そういうことでございます。
#174
○中川(利)委員 しかも、いま開拓農協というものがなくなる。おそらくだんだんなくなっていくわけです。一般農協へいま入るわけですけれども、借金が多いと一般農協へ入れてくれない、こういう問題もあります。何千万という借金をつけた開拓農家が一般農協へ入るといったって、農協のほうで受け入れてくれない。こういう問題に対してはどういうふうにお考えになっておりますか。
#175
○小沼政府委員 今回お願いしておりますその保証機関を統合するという中で、保証に基づきます負債については、それを保証の面で引き継いでいくということになっておりますから、その意味では、借り入れ金自体、負債があることについて、それをもって農協のほうが断わるということにはならないというふうに考えております。
#176
○中川(利)委員 断わることにならないと考えているのではなくて、現実に断わられるということを皆さんおっしゃっているわけですから、その点についてはひとつ指導よろしきを得なければならないと思いますので、よろしくやっていただきたいと思います。
 いつも借金の問題ばかり入ってもしようがありませんから、次に進みますが、農村環境というか、この開拓地の生活環境といいますか、私がずっと回ってみまして、特に既存農家やそうした地域に比較して、極端なことを言えば、極端に悪いのはそうした生活関連施設、道路とか水道とか電気ですね。これは先ほどもお話があったようでありますけれども、こうした環境条件の悪化を放置しておいて、政府はいろいろやったと言いましょうけれども、ほんとうに開拓農民は営農の意欲がわくはずはないわけでありますね。
 そこで、まず私はお伺いしたいことは、政府はこれまで未点灯地帯、つまり電気のない開拓地を解消するためにどのような措置をおとりになってきたのか、これをひとつお伺いしたいと思います。
#177
○小沼政府委員 開拓地に対する電気導入につきましては、入植施設事業としての受電のための配電施設、自家用発電施設改良事業、これは補助率二分の一から三五%の範囲でございますが、そういう補助事業を実施してきております。
#178
○中川(利)委員 その結果、開拓地の未点灯問題はいまどうなっているのですか。全部解決したわけですか。まだ電灯のつかない開拓地がたくさんあるのですか。
#179
○小沼政府委員 現在、未点灯の開拓農家は全国を見ましてほとんどないというふうに思われます。
#180
○中川(利)委員 秋田県の十和田開拓は未点灯地帯であります。つまり水力や火力のそういう電気は今日まで来ておらない。ところで、私が調べたところによりますと、昭和三十五年から四十二年ごろまで国の方針として未点灯地域の解消といいますか、電気導入八カ年計画を立てたようでありますけれども、この中でほとんどの未点灯地域が解消した、それからさらに、国のほうでは、基準に合致しない、そういう地域に漏れたところ、そういうところについてその後各県に整備計画をつくらした、そしてどこかにそういう漏れたところはないか、こういうかっこうで各県から該当するあれを出させたというふうに聞いておりますが、こういう事実はありますか。
#181
○小沼政府委員 一般的な未点灯部落の解消の意味で、電気導入事業をずっとやってまいったのでございますが、それによりましていま御指摘のような、再度補助事業を延長するなりして継続してまいりまして、大体ほとんど未点灯部落は残っていないというふうに理解しております。
#182
○中川(利)委員 私が聞いたのは、国の方針としてそういうことをずっとおやりになってきた、こういう経過は事実ですかどうですかということを聞いているのです。
#183
○小沼政府委員 未点灯部落の解消についてつとめてまいりました。
#184
○中川(利)委員 そうすると、おそらく秋田県に対してもその当時そういう整備計画をつくらせたと思うのですね。いまだに十和田開拓についてはそうした正規の電気がついておらない、こういう状況でありますから、当然秋田県当局からここを該当してくれという話がなければならないはずであったと私は思います。秋田県からそういう申し入れがあって現状のようになっておるのか、なかったから国はそれに手をつけなかったのか、この点をお伺いします。
#185
○小沼政府委員 一般の未点灯部落を解消するという施策のほかに、開拓地については、別に先ほど申しましたような入植施設事業ということで、受電、配電の施設――これは電線を引いてということでございません、そういう場合もございますけれども、自家用発電とかいろいろな形が開拓地にはございますので、そういうものについての施設事業を進めてまいったということでございます。その点では、一般の未点灯部落の解消という意味で秋田から申し入ればなかったというふうに記憶しております。
#186
○中川(利)委員 国が未点灯部落をなくする計画というものは、火力、水力による通常の電気事業、それでしょう、そうじゃないですか。国がせっかくおやりになったことについて、自家用発電だとか風力とか――風車を回すオランダ風のやつ、それがあるから、それを除外せいということになっておったのですか。
#187
○小沼政府委員 特殊な地域については自家発電等ございますが、一般には、いま御指摘のように、電力会社から電線を引いて発電をするというたてまえでございます。
#188
○中川(利)委員 ではお伺いしますが、十和田開拓は特殊な地域というふうにあなたのほうでは御理解になっておるのですか。それとも、一般に当然電気がいけるところだ、こういうふうにあなたは御理解になっているわけですか。あなたは長らく秋田県の農政部長もやっていたから、よくわかっているはずだと思うのです。
#189
○小沼政府委員 十和田の場合には、電気の来ている地元から開拓地まで、大体距離で三十キロくらいだというふうに記憶しておりますが、そういう点では非常に特殊な地域というふうに理解しています。
#190
○中川(利)委員 そうしますと、当時、国のそうした施策に合わせて十和田開拓を申請しても、これは国のほうで該当しないという手続になるのですか。それとも、その時点で申請すれば当然該当するということにしてくれたのですか、どっちですか。
#191
○小沼政府委員 導入する距離が非常に長過ぎたために、おそらく負担から計算いたしまして高額のものになるために、電線による電気の導入という形ではなくて、風力発電というふうな方法で解決するように進めたというふうに記憶しております。
#192
○中川(利)委員 それは、いまの答弁では、国のほうでそういうふうに進めたということですか。
#193
○小沼政府委員 これはその地元の負担能力等を勘案して県が国に補助申請をするわけでございますから、その意味では、地元の要望に基づいてということになるわけでございます。
#194
○中川(利)委員 地元の要望というのは一体何ですか。地元のだれの要望なんですか。
 国の整備計画によりますと、負担割合は国が三分の一、県が三分の一、地元の市町村が三分の一、こういうことになっていますね、国のやり方は。しかも最後の、地元の三分の一というのは、ほとんどが市町村が肩がわりしているわけですね。部落の方々が、直接受益者が負担していることはあまりないのです。そうしたら、これはもっけの幸いで、ほんとうなら、心ある為政者であればやらなければならないはずなんだな。何も好きこのんで農民が不便な、しかも金のかかる動力なんかを望むとお考えになることができますか。そういう点で、はなはだあなたの答弁の中ではまだ納得できないので、もう一回お答えいただきます。
#195
○小沼政府委員 電気導入については、地元の市町村が県を通じて申請をするという方法をとっております。地元としてはおそらく電線をあれだけ三十キロも引くと、それに対しての負担が、戸数から見ると、それぞれだいぶ大きくなるということで、そういう方法のかわりに風力発電ということであったというふうに思いますが、その後県単事業で四十二年から二カ年計画で火力発電の導入がなされて現在に至っているというふうに報告を受けております。
#196
○中川(利)委員 これは、まだそれぞれ自分のうちで自家発電しておるわけですが、地元の申請がなかった。つまり、国がそういう整備計画を出させたときに、県では該当なし、こういう報告があったということでしょう。そうじゃないですか。
#197
○小沼政府委員 県からは具体的な計画として上がってこなかったということでございます。
#198
○中川(利)委員 それではっきりしました。つまり、そのために農民が受けた打撃というものがどれだけひどかったかということは、たとえばこの地域で申しますと、いま各家々ごとに出力二キロワットの自家用発電をやっております。これをやるときには、たしか発電機、モーター合計で二十三万から二十五万かかりました。四割が各農家の負担になりました。そのときに、発電機については十年もつということでありました。ところが、ミルクを冷やすために絶えず電気をやっておりますから、この発電機は二年ごとにこわれております。この負担もばく大なものです。このときには一銭も補助がないわけです。しかも、ここでつくられる電気は二キロワットですから、そういうミルクを冷やすだけで精一ぱい、しかも、冷やし方が十分でないために、ミルクそのものが値を落として買いたたかれていく。冷蔵庫もテレビももちろんだめです。夜の電気は五ワットの裸電球、これが実態なんですね。しかし、国の施策でやれば自分の負担はかからなかったかもしれない。こういうかっこうで、たいへんな損害を与えられたと思うのです。それで、そういうことが積もり積もって、いまの借金の大きい部分をなしておる、こういうことも私は言えると思いますが、そういうことについて、いまあらためて公社牧場事業で電気を引っぱるといっています。三千万円の自己負担をせよといわれております。あらためていままでの歴史的経過を踏まえまして、国と県の責任でこれは何とか地元の負担がかからないように措置できないものだろうか。あれから半年も放置されてきたわけですね。しかも、おたくのほうのあれからいきますと、ほとんどやって、全国にそういう地帯がないということになっておりますのに、まだそういうのが取り残されているということであります。これは明らかに農民の責任ではなくて、別のかっこうの責任だと思うのです。そういうことを償う意味においても、何らかの施策の中で、できれば単独事業として電気を引っぱってやるということはできませんか。
#199
○小沼政府委員 地元のほうから具体的な要望がございますれば、その実情を十分承りまして検討さしていただきたいと思います。
#200
○中川(利)委員 まだありますが、時間の関係がありますから、最後の問題に移らしていただきます。
 それは鳥海山ろくの西由利原の開拓の問題であります。この西由利原開拓は、政府が昭和三十五年モデル開拓入植というかっこうで、二十戸が入りまして、それぞれ五町歩の土地を分けてもらって酪農にいそしんできたところであります。これはいまどうなっていますか。政府のモデル開拓入植地の西由利原の現状について御説明いただきたいと思います。
#201
○小沼政府委員 西由利原開拓地の立地条件は、十和田と違いまして、必ずしも劣悪ではないというふうに思うのでございますけれども、鳥海山の北ろくで潮害等の影響があるようでございますが、酪農をすすめた形で入植が始まったのでございますが、どういうわけですか、相次いで落後者が出まして、組合員の間で負債対策について関係機関と協議したいというふうに、県に要望書が出されまして、四十七年の十一月に西由利原地区対策協議会におきまして、負債整理計画が作成され、全戸が離農して、離農補助金の交付を受ける、それと同時に、開拓者資金については徴収停止、農林漁業資金、中金資金等、県、農協出資金等につきましても、それぞれ減免等の措置をとるような希望がございまして、その線で現在進めております。全戸離農という形でございまして、その離農あと地については、県の公社が一括購入する、そういう方向で検討を進めておるというふうに聞いております。
#202
○中川(利)委員 あなたのお答えでは、モデル開拓入植として入りながら、どういうわけか全戸離農したとおっしゃっている。どういうわけかとはどういうわけですか。
#203
○小沼政府委員 最初の入植のときに、青年グループが入植をし、酪農を始めるということでございました。いろいろ原因はあろうかと思いますけれども、一つの原因は、やはり酪農技術が十分でなかったのではないかということが指摘をされております。それで落後者が出だしたというふうに聞いております。
#204
○中川(利)委員 モデル開拓で入植させて、酪農技術が十分でないから、それでおりたんだべせ、秋田弁で言えば、おりたんだべせということになりますが、そういう理解で、あなた、国が直接責任を持つ開拓行政ができますか。現地へ行ってごらんになれば、あなたもおわかりになりますように、そこでは開拓農民がどれだけ切ない未来に対する夢を託したか。住宅を見れば、りっぱな住宅のあとがあります。電話もありますよ、テレビもありますよ、車庫もありますよ。りっぱな家ですよ。ほかと比べものにならないくらいです。つまり、あそこに意欲を持ってやろうという人たちが集まったにかかわらず、全戸離農ということは、政府の施策の中に欠けるものがなかったのかどうか。それも個別の問題で、そういう酪農技術の未熟さであなたは問題を解消しようとなさるのですか。
#205
○小沼政府委員 あの地域は、なかなか酪農のほかに適作目がないような地域でございますが、先生御承知のとおり、最初から非常な意気込みを持って入ったところでございます。それだけに開拓営農指導員もそこに常駐いたしまして、指導に努力を傾けてきたという地域でございます。そこが全戸離農に至ったということについては、私自身も現地を存じておりますだけに、非常に驚いた次第でございますけれども、その原因について関係者、地元からも聞いてみますと、やはりどうも技術的な面、あるいは規模の面についても若干問題があったかもしれませんけれども、いずれにしても、どうも酪農として定着できなかったというふうに思われます。
#206
○中川(利)委員 ばかに歯切れの悪い答弁になりましたが、技術的な面でモデルパイロット入植が不十分であれば、これを指導するというのが行政の役目ですね。それを指導しないで、全部山からおろしてしまったのでしょう。しかも、ある人は六百万の借金を持っている。しかも、ここでやるという決意を持っておったから、意欲を持っておったから、それを次から次に払って百八十万しか残らない人もおります。もう残り百八十万です。皆さんは異口同音に、山をおりたくない、もう二百万運転資金があればわれわれはやっていけるんだと言っているのです。もう二百万の運転資金を貸してくれれば、われわれはおしなべてやっていけると言っていたのです。あの入植のとき、いまあなたも言ったとおり、かねやたいこで、テレビで大騒ぎして、これこそ理想のあれだということで、しかも、皆さん方の状況がそういう状態でいたのに、無理やり山からおろしてしまうという政治、これがあなたのお答えによれば、どういうわけかというそのどういうわけになると思いますけれども、これで一体開拓農民に血の通った政治を行なってきたと言えるのでしょうか。
#207
○小沼政府委員 西由利の地域については、県も特段に力を入れて指導をしてきていたというふうに理解をしておりますが、そういう中で、やはり先ほど言いましたようなことがおもな原因ではなかろうかと思うのでございますけれども、酪農経営としては失敗をしたということで、おりたくないのを無理におろしたというふうには私ども見ておりませんが、落後者が相次いで出て、全体としてその地域がやめるようになったというふうに聞いております。
#208
○中川(利)委員 そうすると、これはあげて酪農者、入植者、この方々のやり方のまずさであった、はいさようなら、そういうことですか。
#209
○小沼政府委員 県のほうでも十分開拓の営農指導を、畜産のほうの技術陣を交えてやってきたというふうに伺っております。
#210
○中川(利)委員 開拓農業をそういうかっこうで、入植するときあれだけ鳴りもの入りでやりましたね。その後の指導についても、その地域の市町村と十分な連携をとって、そうした市町村等のいろいろな援助を受けてやっていくという通達がおたくのほうから出されているはずです。それが秋田県においては一回もそういう事実がないのです。おたくのほうの通達さえもほご紙にされておったという事実があるのです。そして全部山から引きずりおろされて、そのときに初めてそこの町は、開拓農民がこういうかっこうで出ることになった、三百万の欠損を補てんしてくれ、こういうことで金を出させられているのです。こういう現状についてどうなんですか。
#211
○小沼政府委員 御承知のとおり、開拓地の営農指導につきましては、いろいろと県を通じて努力しているわけでございまして、おそらくこの西由利の開拓地につきましても、相当の技術援助あるいは営農指導を進めたものと思われます。その意味では、地元の関係機関、県との相談が何もなかったというふうには思いません。おそらく相当綿密な指導をしながら、しかし、酪農経営としてはなかなか成立し得なかったということではなかろうかというふうに思うわけでございまして、この点については実態をよく調べてみないとわかりませんけれども、現に残念ながら全戸離農しているということでございまして、その善後策については別途いろいろくふうをしている。負債対策等について、それは別途進めているわけでございます。
#212
○中川(利)委員 そういう事態を生み出したということは明らかに県の失政であり、さらに開拓行政に直接責任を負わなければならない国の責任だと思うが、この点についてはどうですか。
#213
○小沼政府委員 実際にどういうふうな経過があって落後し、また全戸離農という形に相なったのか、その点についての詳細は承知しておりませんので、検討をさせていただきますけれども、いずれにしましても、酪農として存立し得ず全戸離農したということについては、非常に残念なことであるというふうに思っております。
 今後それをどうするかという点については、いま申したように、善後策を立てて、負債等の整理について万全を期したいというふうに思っているわけです。
#214
○中川(利)委員 時間も来たようでありますが、国が直接責任を負わなければならない開拓行政であります。いつも、県段階以下のところでいろいろ問題があっても、県を指導しているからといったって、そういう指導のしかたは、何というか、まことに不十分な、行き届かない、それだけでなくて、基本的には責められるべきものだというふうに私は考えているわけであります。そういう反省の中から、今度一本化して一般農政へ移行するけれども、新しく今後の開拓者をどうしたらいいかということについて、ほんとうに血の通った考え方、政策を生み出さなければならないと思うわけです。
 ところで、秋田県の場合は全部追い立てた。確かにいろいろな事情はあるでしょう。今度はどういうことになったかというと、酪農青年建設隊、こういうものをつくり上げまして、ことしの六月、来月入植予定です。これは一農家二十町歩にしまして、五戸入植させることにしています。しかし、これをやると、二千万円の自己資金が必要だということになっていますね。頭金だけでも一千万円といっているのです。これをやって新たにあそこの由利原にすばらしい開拓農業をつくるんだというが、これは一体どういうことでしょう。
 みずからのそうした失政に対して、別のかっこうのそういう金持ちを持ってきて――その方々も来る以上それなりの理由もあるし情熱もあるでしょうけれども、これこそ失態にまた上塗りする、そういう政治の姿だと思います。こういうことについての御所見を承りたいと思います。
#215
○小沼政府委員 全戸離農したあとにどういう者が入ってどういうふうに進めていくのか、私どもも承知しておりませんで、県によくそういう実態について、どういう方針であるのか伺ってみたいというふうに考えております。
#216
○中川(利)委員 まだまだ開拓の道路の問題、水道の問題あるいは住宅の問題、特に住宅については何ら保障がなくて、みじめな暮らしです。一回、あなた、私と一緒に見に行きませんか。一般的に開拓地と称されるものの住宅がいかにひどいかということ、三十五頭のベコを飼っておっても、人間の暮らしじゃない暮らしをしているという事実ですね。道路について言いましても、それは十和田開拓あたりは、表向きの観光道路、そこはいいでしょう。ほんとうに農民が必要とする道路はほとんど整備されておらない。水道にしても、第二次整備計画の中で、酪農をやらないでおれはイチゴをやると言ったおばあちゃんに対しては、今後一切おまえには援助しないぞということで、水も引っぱらせなかった。もちろん水力の自家発電の補助もよこさなかった。こういう差別をしてやられてきたという事実。これらをまだまだ申し上げたいわけでありますが、基本的には、先ほど申し上げましたように、開拓農家が全体として差別され、その中でさらに選別をされていろいろ振り分けられた。こういう状況の中で、全戸モデルとして入ってみな出たという状態、そうしてとんでもない別の形式の者が入ってくる。これが開拓の歴史であり、これが皆さん方の責任でないとどうして言えるだろうかということであります。
 そういう点で、最後に農林大臣から、今後の開拓が一般農政に移行するわけでありますが、まあ一般的な発言というわけでもないですけれども、いま論議した経過を踏まえての反省がもしありましたら、その反省と今後の抱負を伺いたいと思うのであります。
#217
○櫻内国務大臣 たいへん具体的な事例をおあげで、いろいろとお話をちょうだいしたわけであります。
 最後の、全戸離農する、そしてそのあとに新たなる酪農建設隊が入る、これはきわめて異例なことではないかと思います。かりに全戸離農という場合でも、現に開拓をしておられる方々、あるいは直接その地域の行政の衝に当たる方々、また県、国、これらの関係者の間に適切なコミュニケーションがあって初めて行なわれるべきものであると見るのが常識だと思いますが、遺憾ながら、きょうの一問一答の中では、そういうコミュニケーションが十分行なわれたように私には受け取れませんでした。たいへん遺憾な事例であると思いますし、いま開拓行政を一般農政の中でやっていこうというこの段階におけるお話でございまして、私としては、こういう点は今後の行政の上に十分反省をし、このような事態の起きないようにいたしたいと思います。
 きょう午前以来の質疑応答の中で感ぜられますことは、開拓農家の現在営農しておられる方々の大かたは専業農家であり、また一種兼業の方である。いまの一般農家との比較におきまして、これからの一般農政の中におけるいままでの開拓農家の方の位置づけを考えますと、今後の施策よろしきを得ますならば、中核的な農家として営農していただける要素を持っておるのじゃないか。ただ、遺憾ながら、きょうの御指摘のような場合は別といたしまして、概略して申し上げるならば、そのように思えるのでございまして、今後、多年御苦労せられました開拓農家の方々が一般農政の中で十分活躍のできるように私どもの指導よろしきを得たい、このように感じた次第であります。
#218
○中川(利)委員 終わります。
#219
○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
#220
○瀬野委員 開拓融資保証法の廃止に関する法律案について、農林大臣並びに農林省当局に質問いたします。
 戦後、緊急開拓事業の実施以来、開拓者に対して特別の施策を政府は講じてきたところでありますが、四十七年度に開拓農協の実態調査、保証制度運営実態調査等を行なった上で、四十七年十月、開拓融資保証制度を農業信用保証保険制度へ統合することとし、その案を開拓者団体に農林省は指示されたわけでございます。
 一方、開拓者団体のほうは、従来から開拓融資保証制度の存続強化を組織決定してきたところでありますが、ついに涙をのみながら、やむを得ないということで、今回農林省案に対し要望事項を付してこれを受け入れるという態勢になったわけでございます。
 そこで、農林大臣にまずお伺いいたしますが、第一条で「開拓融資保証法は、廃止する」こういうことになっておるわけですけれども、けさほどの大臣の所信表明の中にもこれらの理由については若干述べられましたが、開拓者の団体からも強い要請があったにもかかわらず、今回廃止に踏み切るということになったわけでございますので、あらためて開拓農民に対してわかりやすく、意のある理由を最初にお述べいただきたい、かように思います。
#221
○櫻内国務大臣 午前以来お答えを申し上げておりまするが、開拓農家に対しての施策は、一次振興対策、二次振興対策、そして四十四年に開拓者の負債対策を含めての開拓三法というようなことで、今回の開拓融資保証法の廃止に伴う、いわば開拓行政を一般農政の中に移行していこうということについては、いま申し上げたような長い過程の上に今回の措置になっておるわけでございます。
 したがいまして、この一般農政移行によりまして、当面開拓農家に対する資金融通に支障のないようにするということは当然なことであると思いまするが、私としては、そういうことよりも、いまお答えを申し上げたばかりでございまするが、開拓農家の実態は専業農家、一種兼業の方々が中心で、これからの施策次第で、一般農政の中にありましても、中核的な農業を営まれるのに十分な実態と申しましょうか、条件と申しましょうか、そういうものを持っておるのである。したがって、今度の施策によって一般農政への移行、こういうことになりましても、開拓農家はこれからの農業の中で中核的な地位を築くことは、われわれの施策よろしきを得、行政指導よろしきを得ておれば、そういうふうにいけるんだということから、ただいま御指摘のありましたように、団体のほうの御了解を得ましたので、今回の措置になった、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
#222
○小沼政府委員 ちょっと補足して御説明さしていただきたいと思います。
 大臣がいま申し上げましたとおりでございますけれども、実際に事務的に見まして、地方の開拓保証協会のいまの有効基金が十三億程度でございまして、保証限度額が百数十億程度ということになるわけです。そうしますと、これからの開拓農家の大口需要や何かに十分対応できなくなってくるんじゃないかということがやはり心配されるわけでございます。片や開拓農協がかなり減ってまいりまして、おそらく近い将来百五十五くらいになるんじゃないかというふうに見込まれております。そうしますと、この有効基金が減りまして、現在の保証残高九十四億でございますが、それですら十分応ずることが困難になるのではないかというふうなことが懸念されるわけでございまして、そこで、団体のほうといろいろ御相談申し上げまして、この際二年くらいかけて統合をしたらどうか。それによって開拓農家の今後の大口の需要等に応ずるようにしてはどうかということで御了解を得て、今回法案を提出した次第でございます。
#223
○瀬野委員 農林大臣並びに局長からのただいまの答弁は一応わかりますが、それらを含めまして開拓者のほうからまた団体側から、今回の法案の廃止にあたっては強い要望事項がなされておるわけです。それを全部申し上げると時間もかかるわけですが、その要望のおもなるもの、いまも一つは申されましたが、その要望に対してどういうようにこの法案へ盛り込んで検討しておられるか。その点、概要をひとつ御説明いただきたいと思います。
#224
○小沼政府委員 団体のほうの御要望はいろいろございます。統合する場合に不良債権だけ残されるのではないかという懸念、あるいは統合の場合に役職員がどうなるかというふうな懸念、また農林中金の融資は一体変わるのか変わらないのかというふうなことでございます。
 そういう点では、統合に際しての不良債権等の整理につきましても、私ども十分にこれに対応できるように、もっとわかりやすく言いますならば、身ぎれいにして全部引き取ってもらうというやり方にいたしたいというふうに思っておりまして、そのために財政負担もするということで、予算の計上をしているわけでございます。
 また人的側面では、役職員の問題がございます。地方協会でも、全部が全部各県に地方の保証協会があるわけではございませんが、保証協会の職員というものもございます。また常勤の役員もございます。そういう方々の処遇問題、これについても大体原則として全部引き継ぐ、わかりやすく言えば、そういうことでございますが、そういう考え方でおります。
 また、開拓が一般に入ることによって、開拓自体のいろいろの注文、要望があると思います。開拓が一般に入ることによって、そういうものが保証制度の中でうまく生かされるかどうかという御心配もあろうかと思いますが、そういうことについても対処できるように措置をしてまいるつもりで、予算措置等の手当てをし、また受け入れ側とも相談をしているわけでございます。
#225
○瀬野委員 総括的に一応お伺いしまして、以下若干内容に触れてみたいと思います。
 第二条によりますと、「この法律の施行の際現に存する開拓融資保証協会(清算中のものを含む。)については、旧法は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。」こういうように規定していますが、第三条に「この法律の施行の日から起算して二年を経過する日までの間に」云々とありますので、これは二年間効力を有する、いわゆる施行の日から二年、こういうふうに理解できるわけですが、それに間違いないかどうか。
 さらに第十条で、開拓融資保証協会の解散が規定されておりまして、「この法律の施行の日から起算して二年を経過した時に現に存する開拓融資保証協会は、旧法第五十四条第一項の規定にかかわらず、その時に解散する。」云々とこうあるわけでございます。そこでお尋ねしたいのは、二年後、第十条によって法的解散する際に、最後まで合併をせずに残ったものはどうするかという問題ですね。もちろん政府は、適時指導していろいろと努力はされ、いろいろ見通しは立てておられるかと思われますが、農業信用保証保険制度にもお世話にならないというふうになってきますと、保証機能がないということになる場合もあり得るのではないか、こういった点についてはどういうふうにこの法案検討にあたっては見通しをつけ、検討されておるか、その点をまず明らかにしていただきたい。
#226
○小沼政府委員 いままで各個別に検討しております段階では、地方の保証協会は大体二年のうちに統合し、地方の保証協会は解散をするであろうというふうに見込んでおります。おそらく間違いなくできるのではないかというふうに思っておりますが、その点については行政的な指導もいたしたいというふうに考えております。
 統合期間が二年の間ということでございまして、二年を経過してなお協会が存するという場合には、いま御指摘のありました十条の規定によりまして、当然に解散をして清算手続に入るということになるわけでございます。
#227
○瀬野委員 次に、一切の権利義務の承継の問題ですけれども、受け入れ側から、求償権その他の不良債権はできる限り整理した上で統合してくれという要請があるわけですね。先ほど冒頭、局長からも、身ぎれいにして引き取っていただきたい、こういうようなことを言われました。当然のことだと思います。そこで、この求償権の中には、すでに二十年近いものもあるし、さらには延滞金もかなり不良なものがある。こういうふうにわれわれはいろいろ資料もいただいておるわけですが、その実態と内容はどういうふうに見ておられるのか、詳細にその内容について御説明いただきたいのです。
#228
○小沼政府委員 昭和四十六年十二月末現在でございますが、保証制度実態調査の結果で見てみますと、中央、地方の保証協会を通じて不良債権としては、求償権残高が三億八千三百万円でございます。それから代位弁済見込み額は六億一千五百万円、それで合計の求償権見込み額は九億九千八百万円というふうに見込まれております。
 そこで、統合にあたりまして事前に所要の代位弁済を行なうということをいたしますとともに、回収できないと認められる求償権は償却するというようにいたしまして、その実施は関係の各団体の協議会において審議決定する予定でおりますが、この不良債権を、実態調査の結果から、将来の安全を見込んで推計してみますと、求償権見込み九億九千八百万円のうち、大体二億七千百万円は回収ができるのではないかと思います。ですから、償却の対象は七億一千五百万円、そういうふうに見込まれますので、基金協会と保険協会の承継は二億八千三百万円というふうに推定されるわけでございます。
 そこで、数字全体はそういうことでございますが、不良債権の整理ということになりますと、その方針でございますけれども、一つは保証債務の代位弁済を行なうということで、保証債務のうちですでに弁済期間が到来しているか、または実質的に弁済期限の利益を失ったと認められる保証債務、そういうものは代位弁済をして整理をする。また、その徴収停止基準に該当するものが負担する保証債務につきましても、これは代位弁済をして整理をいたしたい。
 それから求償権の償却につきましては、地方の開拓融資保証協会業務方法書に定めるところによりまして、債務者が次のような場合には求償権を償却して整理するという方針でおります。それは、債務者が破産の宣告、強制執行を受け、または解散する等の事由により弁済が見込みがないというふうに認められた場合でございます。それからまた、天災地変その他の事情で債務者または債務者の組合員が著しい損害を受け、弁済の見込みがないというふうに認められる場合、それから債務者または債務者の組合員の行くえ不明その他の事情により弁済の見込みがないと認められる場合、そういうふうな場合には、これは求償権の償却という措置をして整理をしなければならないだろうということでおります。先ほど身ぎれいにしてと申し上げましたのは、そういう内容でございます。
#229
○瀬野委員 いま局長からいろいろ答弁がありましたが、そのようなことを具体的方針としていろいろ検討しておられるのだろうと思いますけれども、そういったことで大体身ぎれいにできる、整理ができる、こういうふうに見ておられますか。
#230
○小沼政府委員 それに必要な予算措置等を講じておりますし、団体側ともその点話し合いを十分いたしておりますので、これについてはそういう方針に沿って整理が可能であるというふうに考えております。
#231
○瀬野委員 それでは次に、出資金の払い戻し義務の問題ですけれども、今回統合する場合は、嫁に行くときの持参金みたいに、なるべく持っていきたいと思うだろうし、反対に、残る場合はなるべく置いておきたいというようになろうかと思うのですが、この点については、現在入植者九万六千戸のうち、実際に農協等の所属農家七万六千五百戸、うち利用戸数が二万五千三百戸、こういうふうに資料をいただいております。要するに、三分の一の利用者ということになっておりますので、実際にこれら少ない利用者に対して今後統合をどういうふうにするのか、その点の検討はいかなる指導をもって対処される方針であるのか、その点もひとつこの機会に明確にしていただきたいと思います。
#232
○小沼政府委員 開拓融資保証制度は、出資の状況を見ますと、大体会員が約二千あるわけでございますけれども、開拓融資の保証制度が統合される場合に問題になりますのは、一般の農家になってしまうのと開拓農家のままで残るものと出てくる。つまり、それは何で区別するかといいますと、開拓農協に入っているのと一般農協に入るものというふうに、そういう点での差はございます。しかし、御承知のとおり、開拓農協、開連を通じての資金ルートで借りるものは、従来どおり農林中金から原資を借りてそれでまかなっていくということをやっております。もちろん、公庫資金等もございますけれども、そういうことで、従来のルートでやれる開拓農協が解散をした場合に、一般農協に入るというふうな場合には一般の農協のルートに乗って、いまの農業信用の保証制度の線でやっていくわけですが、今度その両方とも保証の面だけは一緒になるということでございますから、その他は大体原則で変わりない、資金のルート等は変わりないというふうに御理解いただきたいわけでございます。保証の点だけが開拓独自の保証のしかたであったというか、二本立て、別立てになっていたのが一緒になるということでございまして、それは先ほど申しました理由で一緒になったほうが大口の資金等を借りやすいという、そういう保証のふところが大きくなるということでございますから、そういう意味で統合することになっているのでございまして、その保証の面での統合自体からは金融のルートそのものには変更はないというふうに御理解いただきたいわけです。
#233
○瀬野委員 そこで、第十一条をちょっと見ていただきますが、第十一条には「第三条から第九条までに規定するもののほか、開拓融資保証協会の権利及び義務の基金協会又は保険協会による承継に関する事項その他この法律の執行に関し必要な事項は、政令で定める。」こういうふうにありますね。この中の政令への委任という問題に対してですが、このような包括的政令委任というようなことをせねばならない理由は、どういう根拠に基づくものでありますか。
#234
○小沼政府委員 法律で政令に譲っておる部分が十一条にございます。全体として法の執行に関し必要な技術的な事項が中心でございまして、たとえば解散登記のときの登記用紙の閉鎖の規定であるとかあるいは保険関係の保険事項、保険金額、保険料等に関する事項とか、あるいは解散登記の場合の準用規定であるとか、いろいろ法の執行に関し必要な技術的事項を政令で規定をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#235
○瀬野委員 いま局長読みましたが、技術的なそういった保険、閉鎖とか技術的な問題だけとおっしゃいましたが、これで見ますと、さらにいろいろ範囲が、残ったものは全部包括的に入るので、もっと幅広いもののように私は感ずるのですが、いまおっしゃったようなことだけでこと足りるのですか。落としはないですか。政令に見込まれる事項の内容です。大体、立法の段階でいろいろ検討されたと思うんだが、どういうものが入るか、時間がございませんから、この機会に項目だけでもお聞かせいただきたいと思うのです。
#236
○小沼政府委員 普通の法律の場合と違いまして、この法律では、地方の開拓保証協会の一切の債権債務関係を法律手続で引き継ぐことになっておりますから、その点では政令事項で詳しく述べる必要がないということで、御指摘のような細部について、政令で譲って書くというものも中にはあるかもしれませんが、いま検討をしておりますのは、先ほど申しました政令見込み事項でありまして、その他は法律で規定した法律自体がそういう引き継ぎの法律になっておりますので、その点では、ほかと違いまして政令事項が非常に少なくなっているということでございます。
#237
○瀬野委員 次に、今回の統合によりまして開拓者に対する融資が不利にならないようにするために、四十八年度の予算においてもいろいろ措置を講じておられますが、統合後において開拓者に対しての暫定期間、基金を設定して、その運用益によって保証料を減免することができるようにするために国が保険協会に交付金を交付するということになっております。二億五千万円を計上しておるということでありますが、これですと、七分にするとかなりの運用益が出るのですけれども、こういったことで十分運用益でまかなえるものか、保証料についてはこういうことでいかれるのか、暫定期間とあるけれども、これは二年をさすのか、この点もひとつ明確にお答えをいただきたいと思います。
#238
○小沼政府委員 開拓の保証制度では、利子補給つきの中長期資金は〇・二一%の保証料を徴収しております。その他の資金については保証料を徴収しておりません。統合の後は、農業信用保証保険法に基づく所定の保証料を徴収されることになるわけでございますが、従来の経緯にかんがみまして、保証料の減免の措置を講ずるということにしております。
 その第一点は、承継する短期資金及び利子補給のない中長期資金については、当分の間、保証料を徴収しないこととする。承継する利子補給つきの中長期資金については、従来の〇・二一%と一般の率〇・二九%との差額を、当分の間、減免するという形に考えております。また、新規の短期資金の保証料は、当分の間、これを減免するということで、おおむね五年間にわたり漸次徴収することにいたしまして、五年後に一般と同様の扱いをする、そういう措置を講ずるように考えておりまして、そのために農業信用保険協会に二億五千万を交付いたしまして、その運用益をもって保証料の減免の財源に充てるようにというふうに予算措置を講じているところでございます。
 御承知のとおり、保証ということでございますが、当然所定の保証料は徴収することがたてまえでございますけれども、今回の統合にあたりましては、従来の経緯もございますので、特別のこういう措置を講ずることにしたわけでございまして、経過的期間としては、おおむね五年で足りるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#239
○瀬野委員 局長、二億五千万円のいわゆる国が保険協会に交付する交付金で運用益等は十分こと足りる、これで間に合う、こういうふうに大体見ておられますか。心配ありませんか。
#240
○小沼政府委員 大体この運用益で保証料の減免分に当てはめる、そういう計算のもとに予算要求をして、お認めいただいたわけでございます。
#241
○瀬野委員 次に、基金補てんの経費として、地方保証協会に対して都道府県が出資をするということで、大体二分の一を見ておりますが、出資する場合には国が二分の一の補助をするということになっておりますが、これは県が出資するというのが前提条件になるわけでございまして、もし県が出資しない場合はどうなるかということが一つあるわけです。もちろんいろいろと政府も指導されると思いますが、はたして県がこの要請にこたえる体制にあるかどうかということも一つの問題だと思いますが、その点の見通しは心配ございませんか。
  〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
#242
○小沼政府委員 統合前に開拓融資保証協会側におきまして、代位弁済、求償権の償却、脱退会員に対する払い戻し等の所要の整理を行なう必要があります。また、統合後において保証需要見込み額が増大するということも見込まれるわけでございまして、そういうことのために、統合にあたりまして開拓保証協会の会員は追加出資をする必要が生じるということになりますが、どうも追加出資というのは困難ではないかというふうに考えられますので、国と県で四十八、四十九年の二年間でその分を造成するというふうな方針で進めてまいりたいと考えております。その点、基金の造成については円滑にできるように都道府県を指導してまいるつもりでございます。
#243
○瀬野委員 今回の統合で、従来からやってまいりました開拓農協も政府では百五十五くらいが残る、開拓連では約十くらいが残るであろう、団体のほうでは政府の最終的な考えと若干違うようでありますが、ボーダーラインにある開拓連また単協等もあるようでございますけれども、いずれにしても、その辺に将来落ちつくであろう。そうなりますと、この開拓農協等は、あの戦後のきびしい中から食糧増産に、しかも四四%が専業であるというようなこともありまして、今後またきびしい試練に立たされていくということにもなりますが、これらに対しては十分専門農協として今後育てていくということになろうかと思うのですけれども、これらの開拓農協に対して最終的には従来のルートでしっかり資金その他を確保して育てていただきたいと思うし、さらにはこれらの残る開拓農協に対しては、手形貸し付けの場合等、従来一般資金は七分五厘であったのが七分として五厘安いわけでございまして、これらはぜひ特例措置として残していただきたいという要請が強いわけでございます。こういったことについても特例措置をぜひ継続してやらなければ、たいへんな苦境に立たされるということになりますが、この点は当然そのような処置で対処する、こういうふうに理解していいのか、この点簡潔にお答えをいただきたいと思います。
#244
○小沼政府委員 残存いたします開拓者の協同組織でございますが、これはおそらく百五十五くらいの単位の開拓農協が残るであろうというふうに推定をしておりますが、その残りました開拓農協がおそらく一般の農協と同じレベルで十分やっていける、そういう農協だけが残るであろうというふうに考えております。
 ただ、やはり開拓農協についてもほかの一般の農協と同様でございますけれども、従来も育成整備をはかってまいったわけでございますし、今後もいわば、いま御指摘のような専門農協というふうな性格もあろうかと思いますので、その残る開拓農協につきましては、経済事業あるいは信用事業、いろいろございますが、十分系統組織として育つように育成をしてまいりたい、かように考えております。
 後段に御質問いただきました農林中金からの融資でございますが、これについては従来と同様の扱い方で進めてまいりたいと考えております。
#245
○瀬野委員 ここで若干具体的なことでお尋ねをしておきたいと思うのです。
 過般、四月八日でしたが、天皇、皇后を迎えて宮崎県の高岡町で植樹祭がございまして、農林大臣もおいでになりました。私も出席をしてまいりましたが、その日に実は地元でも、いろいろ従来から問題がありましたし、またぜひ現地を調査してほしいという要請がありましたので、私も当日午後の時間をさきまして、宮崎県の東諸県郡高岡町の二反野原開拓団の用地を見てまいったわけです。ここはすでに通告して御承知のとおりでありますが、宮崎県のフェニックス国際観光株式会社がゴルフ場をつくるということで、三十六ホールということですでに買収にかかっているということであります。
 内容等を見ますと、四十七年十二月十三日に事前審査の申し出をしておりまして、ゴルフ場百六十九ヘクタール、うち畑が三十ヘクタール、採草放牧地が二十二ヘクタール、山林その他が百十二ヘクタールとなっておりまして、この百六十九ヘクタールのうちに、開拓地が九十ヘクタール入っておるわけであります。そして四十七年十二月十八日、農業振興地域及び農用地区域の変更について宮崎県知事から九州農政局長あて協議がされておりまして、四十八年四月四日、九州農政局長が回答をしております。四十八年四月二十一日、農業振興地域整備計画変更についての公告縦覧をいたして、四十八年五月二十一日で縦覧の期間が切れている。いずれ農政局としても当然この状態では許可をしていくという方向で検討しておるようになっておるわけであります。
 この二反野原の開拓地は入植者が三十三戸おりまして、離農がすでに七戸、現在二十六戸、面積が百六十四ヘクタール、農地が八十九ヘクタール、宅地三ヘクタール、付帯地が六十五ヘクタール、導水路が七ヘクタール、こういうふうになっておりますけれども、私は必ずしもこの開拓地をゴルフ場に使うということがいけないとは申しませんけれども、先般来当委員会でもしばしば与野党をあげてゴルフ場の問題、乱開発、それは田中総理の列島改造論に関係のある森林法の一部改正の中にも採草地、原野、牧野等の規制等がなされて、今後自然を保護していくという方向で森林法等の一部改正がなされていく段階であります。現にこの開拓地というのはかっこうのゴルフ場に適する、またレジャーセンターに適するようなところに位置づけられております。マッカーサー指令によって戦後五万分の一の参謀本部の地図等で等高線をもってマークして、そうして入植者を入れたというような荒っぽいやり方もあったわけでございまして、将来の日本の食糧危機、また食糧生産が必要となった場合に、こういった開拓地がどんどんゴルフ場、レジャーセンターにつぶされていくということになりますとゆゆしい問題もある、こういったことで、せっかく苦労してきた開拓地が、一面、過疎地帯または後継者がいないというために草がはえてそのまま放置されている面のあることもいなめない事実でありますが、こういった格好の農用地に適するりっぱな開拓地でありながら、ゴルフ場にむざむざなっていくという傾向を見るにつけても忍びがたいものがあります。私は、ほかにもたくさん例があるのですけれども、この宮崎の例でも最近ずいぶん新聞でも騒いできた例でありますので、あえてこれを取り上げたわけでございまして、こういった法案の最終的段階といいますか、今回の開拓法の廃止という、いわば終止符を打つべき一応の法改正でありますので、こういった機会に当局にも十分さらに認識をしていただいて、今後よく指導監督をし、また対処してもらわなければならない、こう思うわけです。これらが前例となって開拓地はどんどんゴルフ場に今後転用されていくということになりますと、これは問題である、こういうように私はたいへん思うわけです。
 今回のこの開拓地の問題も、これは昨年十二月十四日の宮崎日日新聞の記事ですけれども、九州農政局も「ゴルフ場転用ならぬ」、「戸惑う売り渡し農民」という見出しで、「農地法を無視した土地売買」として「高岡町長のあっせん」というような記事が出て、ずいぶん当時騒いだ結果、地元の要請も強いし、離農したい開拓者もいて、開拓をぜひやめたいということがあって、請願陳情も出た、こういうようないろいろないきさつもありますけれども、ついにこのようなことでゴルフ場に転用をするということで、いま手続が行なわれ、いずれこれが許可になるという方向でございます。その後私が質問するのを待っているというような話もあるのですけれども、私は地元の要請であれば、これをとめる権利も何もございませんが、私はこれを一つの例として日本全土の開拓地に対する一つの大きな警鐘乱打としたいし、今後せっかく苦労してきた開拓地が乱開発の波に洗われるということになるとゆゆしい問題である、かように思いますがゆえに、あえてこの例を取り上げました。
 あまり詳しく言うと時間もございませんし、またこの問題についてはいまいろいろと進んでおる段階でございますので、この問題について農林大臣は御存じであるかどうか、宮崎に行かれたときも必ず聞いておるはずと思うけれども、こういったことに対する基本的な農林大臣のお考え、また当局としてはどのようにこれをキャッチし、どのように見守っておられるか、局長からも御答弁いただきたい。そしてこれを一つの例として今回開拓融資法の廃止にあたって今後農林省としての姿勢をはっきりしてもらいたい。これが農地転用を許可したということになりますと、もちろん全部が全部できないとは言えないが、場合によってはやらなければならぬ場合もあるだろうし、いろんな郷土の発展のために当然このように転用しなければならぬ場合もあるかと思いますが、これが前例となってあちこちでこういった問題が起きてきた場合に、とめどのないことになってくる可能性もあります。もちろん二ヘクタール以下の場合とか、二ヘクタール以上の場合農林大臣にその申請を伺うとか、いろいろ条件があることも事実ですが、実際には地方の農政局がその衝に当たって、農政局長の判断で事が進んでおるわけでございますので、その点十分監督指導し、今後見守っていただきたい、こういうように思うわけでございますけれども、御見解を承りたい。
#246
○小沼政府委員 宮崎県高岡町のゴルフ場の買収の経緯でございますけれども、高岡町におきますこの土地約百七十ヘクタールにつきまして、宮崎市のフェニックス国際観光株式会社から四十七年十二月にゴルフ場建設のために農地転用の事前審査の申し出が九州の農政局に提出されました。本予定地のうちには、自作農創設のため、国有林野から所属がえをした後、売り渡した開拓地約九十ヘクタールが含まれております。また、この予定地は農業振興地域の整備に関する法律に基づきまして農用地区域にもなっております。これにつきまして慎重に検討してきたところでございますが、関係の農家に対する措置及びゴルフ場建設に伴う被害防止措置が適正になされれば、農用地区域から除外することもやむを得ないというふうに認められまして、宮崎県及び高岡町がこれらの措置に特に留意して指導を行なうということになりまして、本年の四月四日に九州農政局長は宮崎県知事及び高岡町長に対し農業振興地域の農用地区域からの除外その他所要の手続を経て適正に処理するよう指示をいたしております。
 なお、本予定地が農業振興地域の農用地区域からの除外の手続が完了した後におきましては、農地転用事前審査に対して内示をする予定でございまして、また、農地転用の許可申請があったときには、右に述べましたような農家に対する措置、ゴルフ場建設に伴う被害の防止措置等についても確認をして進めてまいりたい、かように考えております。
 県のほうの意見を聞いてみますと、この過疎地域におきます第三次産業の誘致というのが県の農業振興地域を縮小する理由となっておりますが、宮崎県のみならず、全体について開拓地につきましてのゴルフ場への転用の問題が指摘されたわけでございますが、今後やはり、せっかく投資をして開いた開拓地でございますので、そういうものの取り扱いについては十分慎重に扱っていかなければならない、かように考えている次第でございます。
#247
○櫻内国務大臣 最近における企業による土地買い占めが大規模に進んでいるようではありますが、これまでのところ農地そのものはあまり多くございません。たとえば昭和四十七年の農地のゴルフ場への転用許可実績は六百九十二ヘクタール、許可実績の一〇%程度でございます。しかしながら、開拓地では開拓農地に付帯する山林等が他の非農用地とともに買い占めの対象になる傾向が見られるのであります。
 ゴルフ場等への農地転用については、農地転用許可基準において他の業種への農地転用に比べきびしく規制しており、用地の大部分が農地以外でなければ認めないこととしております。ゴルフ場等の無秩序な開発が行なわれることは農業の振興にきわめて悪影響を及ぼすので、先般、農林地に対する買い占めの情報をできるだけ早期に収集し、その実態を把握することにつとめるとともに、農地法の適切な運用等により農林地確保をはかるよう各都道府県に通達せしめたところでありますが、公共投資の対象となった開拓地については特に留意してまいりたいと思います。
#248
○瀬野委員 農林大臣からいろいろ答弁いただきましたが、ただいま農地のゴルフ場転用は昭和四十七年度とおっしゃいましたが、四十七年も一月から十二月までありますけれども、四十七年度、三月三十一日として、その後が多いわけですね。四十七年度でも六百九十二ヘクタール、許可実績の約一〇%と言われますが、その後私の知っている範囲でも相当あるのです。いまの例を見ても百ヘクタール以上のあれですから。そういったことを思いましたときに、今後こういったことがさらに拍車をかけてくると思いますので、さっきるる長々と申し上げましたが、大臣も十分御存じだと思いますけれども、これに対しては、せっかく投資した開拓地でございますので、十分今後検討をし、また指導監督していただきたいと思うのです。今回の法案も、これは県のほうに責任を転嫁する、政府は軽くなる、こういうふうなことで県のほうが重くなるのだということでいろいろ批判もあるのですけれども、一応開拓行政も一段落をしてまいったことも十分承知しておりますので、そういった点、今後法律の廃止とともにますます乱開発が進むということのないように十分対処してもらいたい。
 さらに局長に聞いておきますが、今回のこの例、具体例があるのであえて申し上げるわけですけれども、この戸数が、入植者が三十三戸のうち現在二十六戸、離農した開拓者が七戸ですけれども、今回この補償料としてすでに一部金をもらい、まだ一部もらってない方もあるんですけれども、こういうような内容になっているわけですね。私の調査ですから、若干違っている点もあるかもしれませんが、家屋移転料に三百七十五万、宅地代に四百万、これは二百坪として、一坪二万円のところで四百万、土地造成費に二百坪、坪五千円として百万、墓地移転料が十一万四千円、作業補償費が五十万、離農補償金が四百万、精神的な苦痛に対する見舞い金として百万、以上合計一戸当たり平均補償金が千四百三十六万四千円、こういうようなことのようでありますが、実際にこの開拓者の皆さん方が、後継者がないために、こういった金をもらって離農する。あとこういった金はあっという間になくなる。いままでの例から見ましても、補償金としてもらった金は、もう二、三年と続かない。こういったことでいろいろと悲劇が生まれてまいっております。
 そういうことを考えますときに、土地があれば永久に耕作して生活もできるんでありますが、このように全然手放してしまいますと、金をもらっただけで、あとは一切関係なくなってしまいます。そうすると、この方たちは、金をもらった当時はいいけれども、数年もせずして路頭に迷ってたいへん苦境におち入り、また開拓地を探して来るということになりかねないことも起きてくる。こういうことに対して、あと開拓者に対するあたたかい指導、まためんどう、または事前にいろいろな県に対する監督指導等をやっていただかなければ、不幸な方をまたつくっていくというようなことになりかねないと思うのです。局長、こういったようなことに対してはどういったように考えておられるか。この機会に見解を承っておきたい。
#249
○小沼政府委員 御指摘の点でございますが、まだ農地の転用許可をしてない段階で、補償金といいますか、土地代金の大部分をどういう形で支払ったのか存じませんが、払っているというお話でございます。仮登記をしたのか、どういう形で手続をしたのかわかりませんが、農地の転用についてはまだ転用の申請がございませんので、農地法上は認めていないというにもかかわらず、そういう形で事実がある程度先行しているということになるわけでございます。完全に売ってしまったのかあるいはその八割ぐらいの金をもらったのか、その辺の状況はよくわかりません、当事者同士の話し合いでございますから。ただ、そういうことで、そのお金をある程度もらって土地はもう耕作しないというふうな状況であると、はなはだこれは問題になるわけでございます。
 そこで、私どものほうにせめられまして、早く転用許可をしてくれないと、そちらの工事が進まない、したがってその後農民を雇うわけにもいかない。いろいろそういう順ぐりの話も出てくるわけでございます。しかし、法のたてまえから照らしまして、その開拓地について、ゴルフ場にするということについては、慎重に検討して適正かどうかという判断をしなければなりませんので、そういう点では県とも相談をして判断していく段取りは進めておりますが、転用の許可の段階まで至ってないというのが実情でございます。その間に農家がすでに金をもらって耕作をしないということになりますと、はなはだこれは問題な状況というふうに言わなければなりません。
 そこをどういうふうに扱っていくかという点、はなはだむずかしい問題でございますけれども、私どもやはり農地制度をあずかっているものといたしましては、きっちり制度に当てはめてその適用をしていくたてまえで、もうしばらく時間がかかるんじゃないかというふうに思っております。農家について、おそらくいろいろと具体的に、この金をもらったからどうするというふうな個別の家の計画があるんだろうと思いますけれども、私どものところではそこまでは承知をいたしていないというのが状況でございます。
#250
○瀬野委員 局長は慎重な答弁だが、あなたの立場としては当然そう言わざるを得ないと思う。実際にはいろいろあなたのほうにも話は入っているだろうと思いますけれども、ここで私はそれを追及しようとは思わないけれども、こういった状況は、何もここにかかわらず、さっき農林大臣も言われたように、現にもう六百数十ヘクタールという、そういった転用を許可した例もあるわけです。ほかにも例があるわけですが、こうした問題にかかわらず、金をもらったらそのままで、農業には再び返ることはできない。金を使ってしまったら路頭に迷うということになりかねない。中には金をもらっても半分だけいただいて、必ずその施設で働くような条件をつけておる人もおるわけです。そうすれば、永久にそこにおる限り仕事があって生活もできることになりますが、戦後、長年失業対策、そして食糧増産に国の責任において働いてきたこの開拓民が、現在、農政の見通しの浅さから、国の施策の見通しのなさもあって、こういうふうな状況になった。その農家が、やむなく金をもらって離れていくという一つのさびしさを感ずる、そうしたことがあってはいけないと私は思うのです。そういった意味で、お金をもらった、もらわぬではなくて、そうしたお金をもらって完全に離農していく、こういうケースが今後も出てくる、いままでもあるわけです。そういう意味で、あなたたちは十分指導し、またこうしたことに対して、こういったことにならない前に、開拓民のほうに、県のほうにもよく督励をして指導していかなければならない、こういうことを思うわけです。それに対してどう思うかということです。このことに対して、いまあなたがおっしゃったことはわかるのです。変なことを言ったら、転用せぬうちにやったということになったらたいへんなことになるから、知っておっても言えないことはよくわかっているから、一般論として、こうした一つの例をとって十分な対策を立てていただかないと、開拓地は全部ねらわれているのですから、私は警鐘を乱打して申し上げているのです。それに対する考えを私は聞くのです。
#251
○小沼政府委員 御指摘の点非常によくわかるのでございますが、開拓地のような農業投資をしたところの転用については、非常に慎重に扱わなければならないと思うのです。その場合、転用について審査をいたす際に、特に離農する農家の対策あるいはその地域の環境条件、たとえば水路等の道路、それがどういうふうになる、あるいは公害といいますか、そういう支障が周辺にどういう影響を及ぼすか、農業水路にどういう影響を及ぼすかというような、いろいろな判断を加えて審査するわけでございまして、その一項の中にいま言いましたような離農する、そこを売ってどこかへ移るその農家の対策についても審査をするということになっております。したがいまして、転用申請が出てきました際には、そういうことを含めて総合的な審査をし、そこで適切な手当てがしてあるかどうかを見て、判断することにいたしているわけでございます。
#252
○瀬野委員 時間の制約があるのですが、いまの経緯、農林大臣十分お聞きいただいたと思いますが、そういったことが今後起きる可能性がたくさんございますので、大臣としても指導を十分よろしくお願いしたいと思います。
 時間の関係ではしょってあと数点お伺いしますが、開拓道路の問題で一つお伺いしておきます。
 四十八年度以降の残事業として開拓団体のほうでは百三十六億円残っている、また飲雑用水では三十一億円、計約百六十七億円で、五十年度までに完了するということで、五カ年計画で政府は計画しておられまして、団体のほうも一応これは了とすると言いながらも、実際には七百数十カ所に及ぶ、数百億に及ぶ、こう言っております。
 よく調べてみますと、農林省関係は、結局、小団地のほうは入れていない、団体側は小団地を入れているというようなことで、いろいろここに食い違いがあるようでございますけれども、おそらく五年計画ではこれは完了しないことはもうだれが考えてもわかると思うのです。当然五年後にもこれは及ぶんじゃないかと思う。
 そういったことで、いわゆる団体側と政府との食い違い、並びに、五年間に目的を達成するべく努力はしていただくだろうと思いますが、おそらくこれで残るものが出てくると思いますけれども、それについてはどういうふうな考えを持っておられるか、簡潔にお答えをいただきたいと思うのです。
#253
○小沼政府委員 御指摘の開拓道路の補修でございますが、さらに四十八年度からは飲雑用水の補修を含めて行ないたいということで事業を広めております。五十年目途ということで計画をしておりますが、七百カ所ほどの事業の要望もございます。
 ただ、一応この五十年を目途にして事業を進めたい、かように私どもは考えておりまして、もしそれでもさらに不足する、できないという部分がございましたら、それはその段階でひとつ検討をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
 いろいろ要望がございます中でも、やはり道路補修事業は非常に要望の強いものでございますし、それだけに私どもも、緊急に整備を要するところについては、道路補修をできるだけ早く進めていきたいということで、この五年間の計画を組んでいるわけでございまして、今後鋭意努力をしてまいりたい、かように考えております。
#254
○瀬野委員 農林大臣、いまお聞きになったように、開拓地域では道路が生命なんですね。これが悪いために、農産物の搬出、子供の通学、またはいろいろな資材運搬等に非常に困っているわけです。いま局長から答弁がありましたが、五年間の予定で進めるが、五十年に至って済まない場合はその段階で考える、道路補修はその時点で十分考えるという御答弁がございましたから、大臣のお口からもぜひこの決意をおっしゃっていただきたいのです。
#255
○櫻内国務大臣 これは他の委員の方にお答えを申し上げましたが、五年計画は一応の採択基準でやっております。団体側の個所数でたしか七百個所、費用では数百億という表現であったかと思いますが、そういう要望の出ていることも承知しておりますので、これはかりに一般農政のほうに移行いたしましても、それぞれの地域の要望に沿いまして、自治体との協議の上で、必要のあるものにつきましては改修工事をやることは当然考えられるところでございますので、現にございます開拓地に対する計画としては御承知のとおりでございまするが、それだからといって、それであとは現在の開拓地は全然めんどうを見ない、こういうことではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
#256
○瀬野委員 農林大臣から答弁がございましたが、ぜひこれは促進し、また補修道路の整備については御努力をいただきたいと思います。
 次に、開拓地の未登記の問題のことで若干お尋ねをしておきますが、開拓地に入植して土地配分を受けた入植者に対して、国から未墾地の売り渡しがなされておるわけですけれども、登記未処理のものがたくさんあるわけです。四十八年度から国は五十年度を目標に三カ年計画で千六百八十万円の予算を計上し、整備促進のためいろいろ計画を立てて、事業の具体的内容等を検討しておられるようでございますが、農地等の買収、売り渡し処分に伴う未登記の数量を資料で見ますと、四十二年度以前に買収、売り渡し処分を行なった農地等の未登記数量でありますけれども、四十八年五月二日現在で、全国では既墾地が買収、売り渡し、合計しまして、筆数が一万四千六百六十件、面積が千九百八十六・二ヘクタール。ちなみに熊本県の未登記を見てみますと、既墾地で千三百七十件、面積にして十・八ヘクタール、未墾地の場合は買収、売り渡しが、全国で筆数にして六万八千二百十八件、面積が二万七千四十七・一ヘクタール、熊本県の場合は買収、売り渡しの未墾地の筆数が四千四百三十六件、面積にして五百六十三ヘクタールということで、一つの例をとっても、全国と熊本県の場合を見ましても、相当の数です。御承知のように、土地改良の登記なんかもずいぶんおくれまして問題になっておりますけれども、特に開拓地の場合なんかは、農林漁業金融公庫から金を借りる場合なんかに担保を要求されるとかいろいろなことで、どうしても登記をしてあげなければ支障が起きてくることは十分御承知のとおりであります。こうした法律の廃止にあたってぜひ促進をはかっていただきたい。こういった千六百八十万円くらいの予算ではどうにもならぬと思う。大体人間も足らないと思うのだけれども、この実情に対して農林省当局はどういうふうに考え、対処されるのか、ひとつお答えをいただきたい。
#257
○小沼政府委員 昭和四十七年度末におきます未墾地関係の登記面積は、売り渡し登記について見れば一万九千八十四ヘクタールでございまして、その中で北海道が非常に多いわけでございます。
 御承知のとおり、未登記のものの登記を促進するために四十八年から三カ年計画で登記を完了させる補助の経費を計上しているわけでございます。
 なお、先ほども御指摘がございましたような開拓地について不法な転売が起こるということを防止するためには、開拓地になったものは現況農地でございますから、登記簿上も地目が山林原野であっては困るわけでございまして、やはり現況に合わせて農地にしなければならないというふうに考えられるわけでございますが、それが現在までおくれてきているという実情にございます。そこで、現在都道府県知事または農業委員会が現地調査の上、地目変更に必要な事項を登記所に通知をいたしますと、登記官が職権でこの登記簿上の地目を農地に変更する、そういう道をくふういたしまして、現在法務省とその細部の協議を進めておるところでございますが、そういうやり方ができるようになりましたら、職権登記で早く山林原野の開拓地の地目を農地の現況に合わせた地目に登記簿上書きかえるということを進めてまいりたいというふうに思っているのでございます。
#258
○瀬野委員 あと簡単に二、三点伺って終わりにしますが、いまの未墾地の開拓地の末登記問題は、これはもうたいへんなことはよくわかりますけれども、今回法律の廃止をして一応の終止符を打つ段階でありますので、促進にぜひひとつ力を入れていただきたい、このことを強くお願いしておきます。
 さて、保証限度額の問題ですけれども、これは開拓者については特に限度額を引き上げてほしいという要望が強いわけです。どの程度引き上げられるつもりか。ぜひこれは引き上げてもらわなければなりませんが、もちろん基金協会の業務方法書に明記をするということになっておりますが、どういうふうに考えておられるか。ぜひオーバーに引き上げていただきたい、かように思うのです。この点、局長から簡潔にお答えいただきたい。
#259
○小沼政府委員 開拓融資保証協会においては被保証人を開拓農協単位に取り扱っておりまして、開拓者個々に対する保証限度額は定めておりません。ところが、農業信用基金協会においては農業者に対する保証限度額を定め、この額をこえる場合の取り扱いを業務方法書で理事会の特認で規定することになっております。大体いまの状況では、農業信用基金協会の特認規定の状況は全体で四十七協会でございますから、全部特認規定が入っておるわけでございます。個別の限度額についてはそれぞれ違うようでございますから一律に申し上げることもできないかと思いますが、業務方法書で特例も設けられておりますし、また一般に今後の開拓農家等は大口の需要がございますので、特例措置で救済するという方法もありますし、限度額を引き上げるという方法もあろうかと思いますが、それぞれの地域でよく需要に対応できるように指導をしてまいりたい、こう考えます。
#260
○瀬野委員 最後に、農林大臣に総括的にお伺いして質問を終わることにしますが、要点は、今回の開拓融資保証法の廃止に伴いまして、今後残る者も、一般農政に移行する者も、十分ひとつ金融を円滑に見ていただきたい、金融対策を十分考慮していただきたいという大要のことをお伺いするわけです。
 本法案は開拓融資保証制度を農業信用保証保険制度に統合するための承継契約の締結等、その手続、方法等を規定しているにすぎないと言えるわけでございますが、国の責任において、先ほどからるる申し上げましたように、戦後あのきびしい食糧難時代、また失業対策としてマッカーサー指令に基づいて開拓事業が遂行されたことは御承知のとおりです。また、政府は希望を募ってやられたことも事実でございます。先ほども若干申し上げましたが、五万分の一の参謀本部地図によって等高線等を用い、開拓地をマークして開拓地に入れたという面もあるし、当時、資金がなかったために、大八車等を金のかわりに貸し与えて入植地に入植せしめたという痛々しい事実もあるわけでございます。ゆえに、私は、当初国の責任においてこのような開拓行政を進めてこられたのであるから、最後も国の責任においてりっぱにこれをひとつ見届けて、また指導監督していただきたい、かように思うわけです。
 そこで、開拓行政を一般農政に移行させるための制度上の措置は本法案が最後のものとなりますし、この際、総仕上げという観点に立ちまして、統合後においては開拓者の営農資金が従来以上に円滑に融通されるように、十分業務方法書、または交付金の問題とか、基金の問題とかいろいろございますので、配慮していただいて、そして開拓者が長年携わってきた苦労に報いて、ひとつ今後の発展を期するように努力していただきたいと思います。
 御承知のように、開拓者と一般農家の営農を比較した場合には、すでに乳牛等いわゆる家畜飼養頭数が一般農家よりも倍以上ある、しかも経営面積が三倍以上で、専業農家率は四四%、ただ、農業所得は一般農家に比して多いけれども、農家所得というものが少ない、こういうような特徴を持っておりまして、せっかく戦後落ちついて一段落した開拓者が、今後まだかなりめんどうを見なければ、行き詰まってくるということも考えられますので、今回最終的な総括的な法の改正にあたりまして、農林大臣から、こういった開拓行政、長年の国の責任において遂行してきたこの行政に対して、最後をひとつよく見届けていただいて、今後とも十分よく指導監督してこれらの行く末を見守っていただきたい。また金融面の円滑な援助を心からお願いしたい。
 大臣の御見解を承って、質問を終わることにいたします。
#261
○櫻内国務大臣 開拓行政の一般農政への移行に伴う御心配について種々御意見を賜わった次第でございますが、その点につきましては、細心の注意を払い遺漏のないようにいたしたいと思います。
 特に融資の問題について御心配があったようでございまするが、開拓農家が必要とする短期経営資金については、今回の農業信用保証保険制度の改正によりましてこれにおこたえすることができると思うのであります。また、県開連あるいは開拓農協を通ずる農林中金を原資機関とする融資につきましては、従来どおりの融資条件によって必要な融資を行なってまいりたいと思いまするし、一般農協に所属することとなる開拓農家に対しましては、総合農協または信連からの融資の円滑化並びに農業近代化資金の活用等によりまして、これまた不都合のないようにいたしたいと思いまするし、さらには、大口資金の需要者に対しましては、今度新たに農林中金または信連からの直貸をお願いするようにいたしておりまするので、これらの一連の施策によりまして御心配の金融の問題については対処していく考えでございます。
#262
○瀬野委員 以上で質問を終わります。
     ――――◇―――――
#263
○山崎(平)委員長代理 この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。
 すなわち、本日審査中の開拓融資保証法の廃止に関する法律案につきまして、参考人の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#264
○山崎(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#265
○山崎(平)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は明三十一、日、木曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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