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1972/06/13 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第31号
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1972/06/13 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第31号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第31号
昭和四十八年六月十三日(水曜日)
    午前十時五十五分開議
 出席委員
   委員長 佐々木義武君
   理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君
   理事 藤本 孝雄君 理事 山崎平八郎君
   理事 渡辺美智雄君 理事 柴田 健治君
   理事 美濃 政市君
      笠岡  喬君    金子 岩三君
      吉川 久衛君    佐々木秀世君
      正示啓次郎君    白浜 仁吉君
      菅波  茂君    丹羽 兵助君
      長谷川 峻君   三ツ林弥太郎君
      湊  徹郎君    森下 元晴君
      安田 貴六君    井上  泉君
      角屋堅次郎君    竹内  猛君
      野坂 浩賢君    馬場  昇君
      湯山  勇君   米内山義一郎君
      庄司 幸助君    中川利三郎君
      瀬野栄次郎君    林  孝矩君
      稲富 稜人君    神田 大作君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
 出席政府委員
        環境庁水質保全
        局長      岡安  誠君
        大蔵省主計局次
        長       吉瀬 維哉君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
       農林省畜産局長 大河原太一郎君
        水産庁長官   荒勝  巖君
        通商産業省化学
        工業局長    齋藤 太一君
 委員外の出席者
        通商産業省公害
        保安局公害防止
        指導課長    松村 克之君
        通商産業省化学
        工業局化学第一
        課長      高橋  清君
        運輸省港湾局技
        術参事官    大久保喜市君
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十三日
 辞任         補欠選任
  諫山  博君     庄司 幸助君
同日
 辞任         補欠選任
  庄司 幸助君     諫山  博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 小委員会設置に関する件
 漁船損害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第五八号)
 漁船積荷保険臨時措置法案(内閣提出第五九号)
 水産業協同組合法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第七九号)
 派遣委員からの報告聴取
     ――――◇―――――
#2
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 先般、有明海等における水銀等による環境汚染に伴う漁業被害調査のため、九州地方に委員を派遣いたしたのでありますが、この際、派遣委員より報告を聴取いたします。森下元晴君。
#3
○森下委員 有明海及び八代海における水銀等による環境汚染に伴う漁業被害状況調査のため、去る六月九日から十一日までの三日間、熊本県をはじめ、福岡県、長崎県、佐賀県にわたって、角屋委員、馬場委員、中川委員、瀬野委員、神田委員と私、さらに地元から坂田議員が参加され、現地の実情を調査いたしてまいった次第であります。
 百聞は一見にしかずということわざがありますが、現地に参りまして、水銀等による環境汚染による住民の不安はもとより、目の前に魚介がいても漁をすることができない、たとえ漁をしても、とった魚介は売れないで、休業に追い込まれている漁業関係者の物心両面の苦痛、打撃は筆舌に尽くせないものであり、大きな社会問題、政治問題であります。とりあえず、以下調査結果の概要を御報告申し上げます。
 まず、調査日程の概要を申し上げます。
 六月九日熊本県庁において、知事をはじめ、去る五月二十二日その報告をなし、各方面に多大の反響を呼び、今回の発端の一つになった「十年後の水俣病に関する疫学的、臨床医学的ならびに病理学的研究」の研究班代表である熊本大学武内教授並びに熊木県漁連会長、熊本県鮮魚公害対策協議会の代表者等から、実情の説明及び要望を受け、次いで水俣病の原点ともいうべき水俣港に至り、海上より明神埼から恋路島の沖合いをめぐり椎ノ木埼に至る漁業自主規制区域設定の状態を視察するとともに、水俣市役所において市長をはじめ関係漁業協同組合長、水俣芦北鮮魚小売商組合代表者等から現状及び要望を聴取し、さらには水俣病患者の医療を主眼とする施設である明水園を訪ね、二十六人の入園患者をお見舞いいたした次第であります。
 次いで、六月十日には、さきに述べた武内報告において「有明地区では、水俣病と区別できないものが八名、疑いのもの二を含んで十名の患者が水俣病と同様の症状で疑わしいという結果となった。」と指摘があり、いわゆる第三水俣病といわれた有明海沿岸の調査に当たったのであります。
 最初に、昭和四十年まで水銀を使用するアセチレン法でアルデヒドを製造していた宇土市にある日本合成化学工業熊本工場を視察し、工場長等から説明を受けるとともに、当時の工場あと及び排水口等を調査し、次いで宇土市役所において宇土市長以下周辺の漁業協同組合長等から実情を聴取し、引き続き天草郡有明町公民館において多数の漁業者等が集まっている中で、天草地区二十六漁協のうち、有明海に面する九漁協の代表、鮮魚商の代表、漁民等から魚価の暴落、果ては休業のやむなきに至っている窮状の訴えが行なわれたのであります。
 私どもが有明町に参りますとき、ちょうど干潮時に当たっており、干満の差が大きいこの海特有の広大な干がたが見られたのでありますが、日曜日にもかかわらず、潮干狩りの姿はどこにも見られず、また、道路わきに点在する貝類の立ち売り小屋には人影はなく、零細な漁民の心情を象徴しており、心を打たれた次第であります。
 また、有明海および八代海の両海に接する宇土郡三角町に参り、町役場においても町長をはじめ関係者の方々からそれぞれ陳情を受けてまいったのであります。
 最終日であります六月十一日におきましては、福岡県大牟田市役所において、福岡県、長崎県及び佐賀県下における漁業被害の状況を、県当局者をはじめ、漁連会長各位等からそれぞれ承り、さらに、三井東圧化学株式会社大牟田工業所に至り、工場長等から水銀含有排水処理を中心に説明を受けるとともに、水銀を使用する食塩電解工程を視察し、その排水処理等の実情を視察いたした次第であります。
 以上が私どもの調査の概要でありますが、次に、四県関係者から要請のあったおもな項目を要約列挙して御報告いたします。
 一、有明海、八代海両海域の濃密な環境調査と汚染原因の究明を早期に実施すること。
 これが実施については国の積極的な指導と援助を講ずること。
 二、地域住民の健康を守り、不安を解消するために、沿岸住民に対する健康調査の早急な実施と国による医師団の派遣等検診医師の確保について格段の援助を行なうこと。
 三、水銀を含有する魚介類の摂取について、安全基準を国において早急に設定すること。
 四、魚介類の検査を継続実施する体制を確立し、常時安全性を確認すること。
 五、水銀等による汚染水域における漁獲禁止と補償等に関する立法措置を早急に検討し、救済措置を講ずること。
 六、有明海、八代海沿岸漁民、魚市場関係者、鮮魚商等の経済的損失に対し、長期、低利の資金援助を行なう等救済措置を講ずること。
 七、沿岸漁民の生活の安定をはかるため、第二次沿岸漁業構造改善事業の早期着手、ワクの拡大及び大規模増養殖開発事業の推進等沿岸漁業の振興につとめること。
 八、水俣湾の締め切り、埋め立ての事業を年内に着手実施すること。
 九、堆積汚泥の処理等汚染漁場を復旧すること。
 十、公害対策漁業基金を創設すること。
 十一、水俣病の予防、治療方法等の解明のため、国においてその研究を行なうこと。
 十二、水俣病患者の適切な医療を実施する等のため、国の機関として水俣病総合センター(仮称)をすみやかに設置すること。
 以上、要約して簡単に申し上げましたが、現地の実情は、関係者が零細な沿岸漁業者であり、生活の場を奪われ、日々の生活を破壊されようとしているところであります。その対策は、県や市町村の能力を越えるものであり、この際特に各省庁一丸となっての適切な救済措置が講ぜられることが急務であることを痛切に感ずるとともに、私どもといたしましても、委員各位とともに本委員会が一丸となってこれら各種要望の早期実現のため最善を尽くされますことを願ってやまないところであります。
 最後になりましたが、今回の調査にあたっては、県当局をはじめ漁業関係者各位の絶大な御協力をいただきましたことに対しまして、この席をかりまして衷心から感謝申し上げ、簡単でありますが、報告を終わる次第であります。(拍手)
#4
○佐々木委員長 以上で報告は終了いたしました。
 派遣委員各位の御労苦に対し、心より感謝申し上げます。
     ――――◇―――――
#5
○佐々木委員長 この際、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。
 すなわち、先ほどの理事会で協議いたしましたとおり、小委員十三名よりなる水産業被害対策小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 小委員及び小委員長は、追って公報をもってお知らせいたします。
 次に、小委員及び小委員長の辞任の許可及びそれに伴う補欠選任、委員辞任に伴う小委員及び小委員長の補欠選任、並びに、小委員会におきまして参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合は、参考人の出席を求めることとし、その人選及び出席日時その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#9
○佐々木委員長 漁船損害補償法の一部を改正する法律案、漁船積荷保険臨時措置法案、及び水産業協同組合法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
#10
○角屋委員 ただいま議題になりました水産業協同組合法の一部を改正する法律案、漁船損害補償法の一部を改正する法律案、漁船積荷保険臨時措置法案、いわゆる水産三法が本委員会に提出され、去る六日から議論が展開をされてまいっておるわけでございますが、各委員御承知のとおり、本委員会といたしまして、先週の土曜日から日曜、今週月曜日にかけまして、私も本委員会に十数年籍を置いておりますけれども、公害に関連する水産被害の問題で現地調査をやるというのは、本委員会としては初めてであります。事ほどさように、第三水俣病の問題をはじめ、最近のPCB汚染問題等を含めまして、漁業者あるいは漁業関連者としては深刻な事態に追い込まれておるわけでございまして、これは単に農林省サイドだけではなしに、政府といたしましても、関係各省総合的に、やはりこれらの問題に対する緊急、さらに恒久的な対策を立てなければならぬ重大な段階に来ておるわけでございます。政府は、昨日閣議におきまして、水銀汚染等対策推進会議の新設を正式に決定をされまして、第一回目の会合を明日環境庁で開くというふうに承っておるわけでございます。同時に、私ども二日間現地に参りました実感からいたしますと、水俣に参りましても、あるいは宇土に参りましても、あるいは三角あるいは有明に参りましても、大牟田に参りましても、これは地方自治体である県市町村、あるいは漁業者あるいは鮮魚商、市場の関係者、あるいはこういったことで影響を受ける旅館業者、行商人等々も含めまして、極端な表現をする人は、もうまさに暴動一歩手前の険悪な空気であるというふうにも言っておるわけでございますが、私どもも行きまして、こういう事態に対して政治がどうこたえるべきかという責任を痛感して帰ってまいったのであります。
 そこできょうは、きのう政府として水銀汚染等対策推進会議が新設をされまして、環境庁長官である三木さんが議長で総合的な取りまとめの責任を持たれるということでもありましたので、われわれ本委員会から派遣された一員といたしましては、まず総合的な問題に取り組む政府の姿勢について長官の出席を求めて考え方を聞きただしたいということで、昨日来三木長官の出席を強く要請してまいりました。きょうは公式の行事としては特別予定されてないということでありましたので、私は委員部を通じての出席要求が受けこたえられるだろうというふうに思っておりましたが、いま委員会、理事会等の関係であらためてという話も出ておるわけでありますが、この点については、まず委員長に今後の運営の問題としてお聞きしたいのでありますが、いずれ三木長官の出席を求めて、被害者である本委員会の漁業者等の問題を含めた救済をどうするかという点について、ぜひそういった取り計らいをしてもらいたいと思うのでありますが、その点、委員長にまずお伺いをいたします。
#11
○佐々木委員長 ただいまの件に関しましては、ほかの党から、環境特別委員会でございますかとの連合審査をしてはどうかという御意見もあったりいたしますので、角屋さんの御意見も尊重して、理事会で今後の処置をきめたらいかがかと存じております。
#12
○角屋委員 そこで冒頭に、きょうは三木長官おいでになりませんから、農林大臣に伺いますが、きのう水銀汚染等対策推進会議というのが正式に新設がきまったわけでございますが、これは約十省庁にまたがるわけであります。農林省からもこれに直接参画をするわけでありますが、この問題に対して、きのうの閣議等も踏まえながら、政府としてこれら水銀等汚染の問題についてどういうふうなプログラムで現地側の強い要請にこたえていく方針であるか、これをひとつ農林大臣から冒頭にお答えを願いたいと思います。
#13
○櫻内国務大臣 最初に、お答えする前に、本委員会におきまして第三水俣病問題を中心として現地調査をしていただき、ただいま詳細なる報告を承りまして、私としてもその責任の重大なることを痛感をいたし、今後万遺漏なく対策を講じてまいることを申し上げておきたいと思います。なおまた小委員会も御設置いただきまして、一そう緊密な連絡の上で、被害者の皆さま方の御心労に報いたいと思います。
 ただいまお尋ねの昨日の閣議決定でございますが、その際におきまして特に環境庁長官からは、事態は緊急を要する問題であるので、この推進会議設置に伴って関係各省庁においては迅速に対策を立案されて、昨日の時点でございますから、明後日の八時の会議には具体策のとられるよう御用意を願いたい、長官のこういう御趣旨の発言でございまして、農林省の私どもの立場からいたしましてまことに当然の発言ではございますが、この発言に伴いまして、いま現に農林省としては水産庁を中心にどのように対処し、どのような案を必要とするか、この第三水俣病の発表以来各方面からの御要望事項もございますし、また合同調査の結果も得ておりますので、それらをこの推進会議を通じて反映せしめ、具体策を講ずるようにつとめたい、おそらく私のこの受けとめ方は各関係省庁においても同様であろう、こういうふうに推察をいたしますので、これをもってお答えといたしたいと思います。
#14
○角屋委員 この際、環境庁はじめ厚生あるいは通産、それぞれのところからもおいででありますし、同時に、直接今回の公害に関係をして被害の立場にあります漁業者等の問題では水産庁長官も御出席でありますが、各それぞれの出席の関係省におけるこの問題の問題意識の受けとめ方、どうすべきかという点について、それぞれの省の立場での、あしたの会議以降に向けてどういう考え方でいこうとしておるのか、簡潔に環境庁から次々とお答えを願いたいと思います。環境庁の次に水産庁。
#15
○岡安政府委員 いま先生お話しのとおり、昨日の閣議で水銀汚染等対策推進会議というものが設置がきまりまして、あしたの八時から、三木長官出席のもとに、関係省庁の局長クラスの御出席をいただきまして第一回の会議を開くということにいたしております。趣旨は、先ほど農林大臣からお話し申し上げたとおりでございます。私どもはそういう趣旨に基づきまして、まず緊急に対策を講じなければならない事項というものを最初に取り上げたい、それからやはり恒久的な対策もあわせて今後取り組むということでございます。
 まず緊急的な事項といたしましては、やはり今回問題になりました水銀並びにPCBによります汚染によります漁民の被害の問題、これはやはり第一番に取り上げなければならない。これに対する対策、とりあえずの対策をどうするのか。それから、汚染が起こっておりますけれども、それを今後安定的な処理ということのためには、安全性の基準といいますか、これは厚生省にお願いしまして、これも対策を早急に確立する必要がある。それから今後の汚染を防止をするという意味合いから、やはり現在までに起こっております汚染の原因も明らかにしなければならないというような問題。さらに最終的には、人間の健康に影響があるということで、人間の健康の問題につきましても取り組みたいというような、総合的な観点から、各省それぞれ分担をしていただきまして、とりあえず第一回の会議をあした開きたい、かように考えておる次第でございます。
  〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
#16
○荒勝政府委員 冒頭大臣から申し上げましたように、今回の水俣病あるいはPCB汚染によりまして魚介類が非常に汚染を受けておりましたことにつきましていろいろな調査を先般政府といたしましても発表したわけでございますが、国民の健康にかかわる重大な影響があるということとはいえ、実質的に漁獲の禁止という形をとることによりまして漁民の皆さん方に非常に御迷惑というか、非常にひどい打撃を与えた、結果的にはそういう形になったということにつきましては、私としましても、今後これが対策に一そう努力しなければならないというふうに感じておるわけでございますが、基本的にはやはり海をこれ以上よごしてはならないということに立ちまして、公害の防止ということにつきましては今後全力をあげて各省庁と協力して努力してまいりたい、こういうように思っております。また、明日の環境庁の会議を前にいたしまして、私たちといたしましては水産庁の立場からこの公害対策について前向きの姿勢で発言をして今後推進してまいりたい、こういうように考えております。
#17
○齋藤(太)政府委員 通産省といたしましては、今回の第三水俣病の問題の発生にかんがみまして、過去に水銀を使用し、あるいは水銀を使用いたしております工場群につきまして、現在当省の担当官を現地に派遣をいたしまして、水銀の処理状況あるいは水銀含有物の廃棄物の保管状況等につきまして現在現地調査を行なっておるところでございます。この現地調査の結果を待ちまして、廃棄物の今後の管理対策、それから汚染源の究明、こういうことをいたしたいと考えます。また、現に稼働中の水銀電解法によります苛性ソーダ工場につきましては、従来から監督を厳にいたしまして、いやしくも排水中に水銀が流れ出ないようにいたしておったところでございますけれども、さらにその監督を厳にいたしますとともに、今後は新増設につきましては水銀を使わない製法に工場を転換させるように現在検討中のところでございます。
#18
○浦田政府委員 厚生省といたしましては、環境庁を中心といたしまして、まず汚染地域の、ことに漁民の方を重点とした健康調査、それから健康被害、すでに起こっております病気の治療方法等について積極的に協力してまいりたいと考えております。また、食品を通じまして一般の国民の方に非常な不安を起こしておりますが、これを一刻も早く解消するために、現在専門家会議を開きまして、食品中におきます水銀等の基準についての御検討を願っておりますが、これを一刻も早く結論を出していただくようになお努力をいたしたいと考えております。
#19
○角屋委員 これは、第三水俣病のわれわれ調査に行った地域の問題のみならず、徳山湾あるいは敦賀湾、あるいは最近では水産庁のほうで発表した八地域に入ってなかったはずの東京湾、各方面で問題が提起されておるわけでありますが、こういった事態にかんがみまして、私ども社会党としても、去る六日に成田委員長名で田中総理あてに五項目の要求を私が代表いたしまして二階堂官房長官に申し入れをするという経過がございました。
 これは、簡潔に言えば、一つはやはり発生源である工場名をすみやかに明定をする。これが必要である。第二番目は、そうはいっても、地域あるいは工場の相手側に対して若干の時間を要するというケースが残念ながら考えられる場合がある。そういう場合も考えに入れて緊急対策を講じていかなければならぬ政治的な責任の立場から見て、やはりそういう場合に国の責任において被害漁民の生活を保障するための、たとえば漁業被害等公害被害にかかわる漁民救済緊急特別措置法といったようなものの立法化を今度の国会中にきめて、やはり現地の切実な要求にこたえる必要がある。第三番目としては、やはりPCBあるいは水銀汚染等の有毒物質の検査体制というものを確立して、この結果については随時必要な公表をしていく必要がある。また、すでに海域などに放出されておりますところのPCBや水銀など有毒物質の回収処理というものを、やはりそれぞれの地域の実態に即して総合的な対策の中でどうしてもこの問題を考えていかなければならぬ。いかにして漁業のできるきれいな海に回復をしていくかという問題は、今後の重要な水産サイドからの問題である、こういうふうに考えます。さらに、何といってもこういった海域汚染に関する問題の対策を進める場合には、直接やはり海域を生計の場としておる漁民の理解と協力というものがなければならないのでありまして、そういった立場に立ちながら漁民のこれからの緊急問題をどうするか、あるいは今後の沿岸漁業対策というものをどうするかといったものも考えに入れた中で、これからの緊急並びに恒久的な公害行政を推進する必要がある、こういうふうに私どもは五項目にわたった問題の要求について、過般私が二階堂官房長官のほうに成田委員長の要請の文書を手交いたしました。これがこの問題に対するわれわれの基本的な立場であります。
 そこで、逐次われわれの調査の状況に基づいてお伺いをしたいのでありますが、まず魚介類中の水銀の安全基準の問題、水質基準の問題、あるいは底質基準の設定問題、先ほども厚生省のほうから、魚介類中の水銀の安全基準の問題については、速急にこれの基準の決定をやりたい、こういうお話がございましたが、この点については、おそらく暫定基準という形でとりあえずきめるんじゃないかとも思うわけでありまするけれども、これらの問題について、厚生省の中には、魚介類の水銀に関する専門家会議ということで、椿忠雄新潟大学教授が座長になりまして、十二名で専門家会議が構成されておるというふうに承っておりますが、安全基準の決定をいつにめどを置いて現在作業中であるか、大体いつにはきめられるのであるか、この点について厚生省からお答えを願いたいと思います。
#20
○浦田政府委員 魚介類の水銀に関する専門家会議は、先月五月三十日に発足いたしましたが、いままでに二回ほど会合を開いております。私どもの気持ちとしましては、恒久的な基準はこれはしばらく時間をおくといたしましても、暫定基準はできるだけ早い機会にということで、六月一ぱいをめどに何とか結論を出していただきたいというふうにお願いをいたしております。学問的に権威あるものと、それから時間的な制約との両方の矛盾に迫られているわけでございますが、私どもの強い要請を専門家の方々にいたしておりますので、何とか早い機会に結論がいただけるものと考えております。
#21
○角屋委員 再度お伺いするんですが、今月一ぱいをめどに暫定の安全基準については決定する方向でいま検討がなされておるというふうに承知をするわけですが、そういうふうに判断をしてよろしゅうございますか。
 同時に、その場合に、五月二十二日に熊本大学医学部十年後の水俣病研究班という形で「十年後の水俣病に関する疫学的、臨床医学的ならびに病理学的研究(第二年度)」ということでいわゆる報告書が出されたことが、第三水俣病の一つの大きなセンセーションを巻き起こす契機になったわけでございますけれども、この中心におられる熊大の武内教授、それから従来、体内に水銀が入った場合の半減期の問題では喜田村教授の説があったわけでありますが、この喜田村教授の半減期の七十日というのに対して、武内教授は、脳内のメチル水銀の半減期は現実にこれの約三倍の日程、つまり二百三十日という半減期説を唱えておるというふうに私どもは聞いておるわけでありまするけれども、この暫定基準をきめる場合に、そういった問題の調整と最終決定の方向というのはどういう方針でやられるわけですか。
#22
○浦田政府委員 暫定基準は今月一ぱいに一応の結論を出していただきたいと考えております。
 それから半減期の問題でございますが、いろいろといままでの会議でもって、現在まである研究の結果あるいは資料等が提出されまして、意見が交換されております。その中で、御設問の半減期の問題は、次回、十五日の日に武内教授のほうからあらためてその考え方、計算方法について御説明があることになっておりますので、その結果を待って――専門家会議の中でもいろいろと御意見が出ると思いますが、私どもとしてはその結論を待ちたいと考えております。
#23
○角屋委員 私ども現地に行って、たとえば熊本の場合もそうですし、それから大牟田で開かれました長崎、佐賀、福岡の三県にわたります県市町村、それから漁業者をはじめ関係の方々の総合的な会合の中でも出たのは、どの海域はだいじょうぶだ、あるいはどの海域は、とれる魚から見て操業を停止しなければならぬ、あるいは規制をしなければならぬ、どこどこでとれた魚は絶対に間違いない、安全であるというふうなことをすみやかにきめてもらわなければ、現在の一波万波の非常に深刻な事態はどうしても解消しない。現実にこういう問題が提起されてから、熊本県知事の場合でもあるいは福岡や長崎や佐賀の場合でも、山口の場合でもそうでしたが、知事名で安全宣言を出すということはやりますけれども、現実の漁業の関係なり市場の関係なり、あるいは消費者の受けとめ方なりというものは、そういった形にならない、疑心暗鬼であるといった状態があるわけでございます。たとえば今度われわれが調査に行ったところで言えば、有明、不知火あるいは八代、こういうところにかけての海域において、どういう地域のどういう魚についてはもう問題はないんだ、どういう地域のどれが危険である、あるいは食べてはいけないんだという点を含めた総合的な安全基準の決定というのは、これは水産庁のほうも含めてでありますが、第三水俣病の海域についてはいつごろにそういうことが可能でありますか。
#24
○荒勝政府委員 今回の第三次水俣病の発生ということを契機といたしまして、明日の環境庁会議とは別個に各省集まりまして、不知火あるいは有明海区を中心といたしまして、そのほか全地域にわたりまして、魚の水銀汚染状況について環境庁で早急に調査を開始するということになっておるわけでございます。
 それと並行いたしまして、厚生省のほうからたぶん安全基準が設定されると思いますが、はなはだ申しわけないのですけれども、従来の常識的な感じからいたしますと、水俣湾周辺のみが汚染地区というふうに認定しておったのが、ある意味で第三次水俣病を契機といたしまして多少根底から狂ったということで、新基準と新調査をあわせまして、非常に汚染された地区と汚染されない地区とを今後分離していくことになると思います。
#25
○角屋委員 第三水俣病の海域においては、いつ、私が言ったような趣旨の、政府といいますか関係省の総合的な調査に基づく発表ができるわけですか。
#26
○荒勝政府委員 調査方法をめぐりましていま関係各省の間、専門家の間で詰めておりまして、それに基づいて早急に調査を開始するということになっております。いつの時点で調査結果を求めるかということにつきましては、まだ最終的に結論を得ておりませんので、私からはっきりしたことが申し上げられないのでございます。
#27
○角屋委員 いま水産庁長官の答弁を聞いておりますと、緊急緊急という事態の中で、そういうことでいいのか。私も、馬場君、瀬野君等が水産三法の審議に入ってから、地元でもありましてこの第三水俣病の問題を取り上げておりますのに対する大臣答弁あるいは水産庁長官の答弁を聞いておって、どうも現地の切実な要求にぴたりこたえた姿勢になってないということを思っておったわけです。これはやはり百聞一見にしかずといいますが、私がきょう三木長官の出席を強く要求したゆえんのものの一つは、三木さんは水俣の現地に行っておるわけですね。そして金に糸目はつけない、必要なことはてきぱきと積極的に取り上げてやるということも言いましたし、また、湯の児温泉で三木さんが泊まったときの魚を食べた写真を宣伝のほうに利用して、三木さんもこうやって安心して食べているんだからだいじょうぶだというほど、現地は、皆さんが予想する以上にたいへん深刻な事態にあるわけですね。
 一昨日でしたか、水産庁長官のこの問題に関連をしたNHKのテレビ放送を聞いておりましたが、現地調査に行ってきたわれわれの実感からいくと、これが水産庁長官であろうかということをわれわれ自身も感じましたよ。非常に白々しい。現地の切実な要求にぴたりこたえた受けとめ方をしていない。むしろ、第三水俣病の漁業被害に対する問題でもそうですし、PCBの漁業被害の問題等も含めまして、農林省あるいは水産庁のほうから、こういうことをやらなきゃならぬ、立法としてはこれが必要であるというふうなことがどんどん出されていって、しかし全体の中では、通産省側からそれはああだこうだとか、他省からああだこうだというようなことが出て、結果としてどうなるかというふうな形が本来の姿じゃないんですか。
 大臣もそうですし、水産庁の長官も、本来こういう問題はPPP原則である、発生源がこういう問題に対して本来やるべきものである。なるほどこの原則はそうでしょう。しかし、現地はそういうことで納得ができますか。もっと積極的に、農林省の場合は省議を開いてこの問題を真剣に受けとめて、そして立法的には何をやるのか、あるいは融資問題ではどういう規模のものが必要なのか、こういうことを連日徹夜会議でもやるかまえでこの問題に真剣に取り組まなきゃいかぬのじゃないですか。
 きのうも質問が出ておったかと思うのですけれども、大臣は直接水俣へ行ったらどうだ、水産庁長官は直接行ったらどうだという強い要請が出ておりました。私もまさにそのとおりだと思う。現地に行かない立場で、人の話を承った立場で答弁をしておるのと、現地に直接乗り込んで、現地のなまなましい状況を見てきての対策は違いますよ。どうなんですか、大臣。
#28
○櫻内国務大臣 私は昨日来繰り返し御答弁を申し上げておるのでございまするが、現地調査の件につきましては、あるいは現地の事情とは相当な懸隔はあるかとも思いまするが、私も幸い兵庫県の関係ではその機会を得まして、また、いまこの委員会でこうやって皆さんに真剣にお取り上げをいただいておるとともに、日夜を分かたず被害関係県、また漁民の代表の方から繰り返し逐一お話を承っておるのでございまして、そういうことで事態認識に欠けておる、こう言われれば、これはもう十分認識するほどこれがいいということは言うまでもないことでございまするが、私としては、いまの立場でやり得る限りの的確な事情の把握ということにはっとめておる次第でございまして、おことばの現地調査につきましては、私かあるいは長官におきまして早急にいたしたいということは昨日も申し上げておるところであります。
 また、その対策につきましては、この大前提は何としても原因者負担の原則。でなければ、もしこれをゆるがせにいたしますと、たとえば国のほうが、県や市町村が見るんだ、多少でもそういうことが出てくるということは、これは問題である。しかしながら、原因者が不明である、その段階における措置としては、これは万全を尽くさなければならない。しかし、それには多種多様、またいろいろな状況等がありますから、したがって、おしかりをちょうだいしておりますけれども、県市町村がまず考えてもらいたい。しかし、その県市町村が立てる対策が、国は何もしてくれないんだということで手を抜くというような状況があってはならないから、したがって、その点からしては、国としては十分やるんだという姿勢は絶対にとらなければならない。いままでもとってまいっておるのでありますけれども、それがこの委員会においても御批判を受けておりますので、さらに進んで、関係省庁における推進会議を持つということになったので、したがって、この両面からの推進によって被害者の方におこたえをしていこう、また対策を立てていこう、こういうわけでございます。
 そこで、一番の問題点は、先ほどの社会党より官房長官を通じての総理への申し入れの中にもございますが、一体漁業者に対する救済金のようなものをどうするのかという点についてはなかなかむずかしい点がございまして、私どもは低利融資でつないでいって、そしてその原因者が判明すればそのほうの補償措置というような考え方でございます。この辺が一番問題ではないかと思いますが、県市町村の緊急措置、あるいはいまのような点の欠くる点について具体的な施策がとられますならば、その場合はまた中央からの財政措置としては特別交付税のようなことも考えられますので、今回の推進会議にも自治省の御参加を願って、安心のできるような基本的な方針というものが出されるようにいたしたい。従来でもそういう措置がとられますけれども、さらにもう一つ掘り下げた、だれが見てもなるほどといわれるような姿勢の示されるようにつとめたいと私としては考えておるのであります。
 ただ、このつなぎ資金だけということになってきますと、これは問題でございますが、世帯更生資金、あるいは漁業者以外の関係におきましては、これは他省にまたがることではございますが、中小企業関係の融資措置も考えられるのでございまして、これらのことを総合して万遺漏なきを期しておるのでございます。
 もとより、角屋委員の言われるように、私がここでお答えしておることでこと足れりというような考えには立っておらない。より一そう真剣につとめていこう、こういう次第でございます。
#29
○角屋委員 これは通産省のほうにまずお伺いしたいと思うのでございますが、第三水俣病の海域における水銀のいわば対象工場、企業発生源というふうに考えられるものは、対象工場としては、すでに裁判等でも明定しておりますチッソの水俣工場、これはまさにそのとおりであります。それからわれわれが調査に行きました日本合成化学熊本工場、さらに、その後われわれが調査をいたしました三井東圧化学株式会社大牟田工業所、これがやはり水銀の汚染に関連をする対象工場というふうに判断をしておるわけですが、われわれが行ったところでは、チッソの水俣工場はすでに裁判確定等の問題もありますから、その工場ずばりであることは間違いないわけでありますが、日本合成化学熊本工場、三井東圧化学大牟田工業所といったものの現実に発生源決定のための調査のスピードアップという点はどのようにやられようとしておるのか。資料によりますと、アセチレン水和法によるアセトアルデヒド製造工場等水銀使用工場に対する現地調査の実施ということで、六月中に五十八社、七十六工場に対して調査を実施して、七月中に本省においてこれらの調査を取りまとめる。これは第三水俣病の海域ばかりでな、しに、他の地域にも及んでおるわけでありますが、その、他の地域のアセチレン水和法によるアセトアルデヒド製造工場の中には、たとえば第二水俣病の企業発生源であります昭和電工の鹿瀬工場というふうなものも含まれておる。そういう意味では、チッソ工場、電工鹿瀬工場、日本合成化学工業の熊本工場というものは、いわば同じような製造工程のものである。その同じような製造工程のうちの日本合成化学工業というのが今度やはりクローズアップされてきている。工場長と責任者に会いますと、われわれのほうでは水銀を出しておった以上、水銀を出したことに基づく責めは負わなければならぬと考えております、こういうことを述べておりました。ただ、この水銀に関連をした三井東圧の大牟田工業所の現地の責任者のお話によりますと、因果関係が明らかになれば、工場としても責任をとらなければならぬと考えております、こういうカッコ書きがついておる。したがって、この三工場について、特に三井東圧等を含めた公害発生源の明定はいつになるのか。
 私は、過去、党の公害対策特別委員長もやっておりまして、公害対策基本法なり、公害紛争処理法なり、公害に係る健康被害の立法等の問題に、党からも独自案を出して議論をした経緯がございます。同時に、先ほど申し上げました阿賀野川の第二水俣病については、調査団長として現地に参りました。また富山のイタイイタイ病についても、調査団長として現地に参りました。そういう際に、通産省の姿勢というものが実に企業寄りであるということを痛感してまいりました。この際、通産省の姿勢というものをやはり根本的に改めなければならぬのではないかと感じておるわけであります。本来ならば中曽根通産大臣もお呼びしなければいかぬわけでありますけれども、参議院本会議の関係もあって、いま問題の人でありますから、ここに出席を要求するというわけにはいかぬわけであります。
 先ほど言ったように、第三水俣病のいわゆる企業発生源の明定というのはいつできるのか。これは従来の例からすれば、厚生省なり環境庁が中心となって総合的な調査会なり一つのシステムをつくって、そこで明定をするというのが、従来のイタイイタイ病や第二水俣病の例でございましたけれども、そういう問題も含めて、一体発生源の明定は、どういうシステムで、いつそれができると考えておられるのか、これを明らかにしてもらいたい。
#30
○齋藤(太)政府委員 ただいま通産省では、過去に水銀を使いましてアセトアルデヒドをつくりました工場、それから同じくアセチレン法で水銀触媒で塩化ビニールのモノマーをつくっておりました工場、並びに現在水銀電解法で苛性ソーダをつくっております工場、全国で七十六工場になりますが、現地調査を実施いたしておるところでございます。この現地調査では、過去の水銀処理状況の調査、廃棄物の保管状況並びに水銀の排出量につきまして、できるだけ現地の資料等に当たりましてその数量等を確認をいたしたいと考えておるところでございます。大体今月一ぱいで現地調査を終わりまして、来月中にはその詳細を取りまとめる所存でございます。
 ただ、汚染源の確定ということになりますと、そのほかに工場の排水口の外の汚染状況と申しますか、底質中の水銀の濃度でございますとか、工場周辺の汚染状況あるいは住民の健康調査、こういったものも総合的に含めました形で検討することが必要かと考えておりますので、こういった面の総合的な調査が近く行なわれる予定になっておりますので、こういった面を総合して、関係各省と御相談しながら、なるべく早く汚染源の究明につとめたい、かように考えております。
#31
○角屋委員 いま通産省からお答えになりました五十八社、七十六工場の中には、いわゆる徳山湾関係の徳山曹達、あるいはあの地域で海域として関連のあります東洋曹達工業というふうなものが対象工場として爼上にのぼっておるわけですね。そこで、これはむしろ、通産省ではいま言った対象工場七十六工場に対する現地調査を取り進めておるということですが、かつての第二水俣あるいは富山のイタイイタイ病、これは第一水俣でも政府のこの問題に対する見解というのは同じことですけれども、そういった形のものは第三水俣については環境庁が中心になってやられると思うんだが、いつごろできるということですか。
#32
○岡安政府委員 いまお話しございました第三水俣といいますか、有明海につきましての汚染経路並びに原因の確定につきましての政府見解、いずれこれは出さざるを得ないと思いますけれども、私どもまずあの地域におきます詳細な環境調査を今月中には実施いたしたいと思っております。この環境調査の結果の取りまとめによりまして、汚染源というものがある程度明らかになると思いますけれども、しかし、最終的にこれを確定するためには、あわせて行ないます健康調査というものの結果を待たなければならないと実は考えております。
 健康調査は、環境調査より多少おくれまして実施いたしますけれども、何せ対象人員が相当多くなるのではなかろうかと考えております。また、健康調査を行ないますシステムにつきましても、経験のある医師の動員その他も要しますので、ある程度期間はかかるだろうと思っております。ただ、なるべく急ぎまして、経路並びに汚染源の確定を早くいたしたいと環境庁としては考えております。
#33
○角屋委員 農林大臣、もうこれはいまのような答弁でなくても、大臣自身もおわかりのように、因果関係とか、いろいろな関係のものを、たとえば海域についても、あるいは排水口からの関連にしても、過去どれだけのものを出しておったかという調査にしても、それからそれによって健康破壊がどういうふうに起こっているかという全体的な健康診断の問題にいたしましても、これは熊本は熊本方式あり、鹿児島は鹿児島方式でやったりしておる話を聞いてまいりました。健康診断でも、不安がってずいぶん希望者が出てきておりますけれども、そういう一斉検診の要求にこたえるような体制にいくのにはよほど苦労があるし、また時間的にも、中央のほうで、それぞれの現地の状態に即して、どれだけの対象に対して、どういうシステムで、いかにして早くそういった健康診断をやり遂げていくか、しかもこれは水俣病であるというふうな明定をしていくためには実際問題としてなかなか時間がかかる、専門家の最終的な検討もしなければならぬというふうな形になるわけでしょう。
 したがって、一応水俣病の発病の対象であろうといわれる三工場のうちで、チッソの水俣工場は、観念をしてまさに明定をした形になっているけれども、あとの二つについて、そういうふうな因果関係とか海域調査とか健康調査というようなことを考えてまいりますと、かつての富山のイタイイタイ病や新潟の第二水俣病で、出すのにずいぶんかかった。私は予算委員会でも当時椎名通産大臣に、すみやかにこの発表をすべきではないかと追及したのですが、なかなかこれは手間どったわけですよ。大臣は漁業被害の問題にPPPの原則なんということを言っている。どこへ漁業被害の要求をすることになるのですか。さっきも言うように、三井東圧の大牟田工業所のほうでは、因果関係が明らかになれば会社としても責任をとりたいと思いますと、こういう姿勢でしょう。こういう発生源の明定について、せっかく推進会議もできたわけですから、私としては、中央に推進会議ができたのなら、第三水俣病は公害の原点のところですから、しかも非常に広範囲に深刻な影響を与えているわけですから、現地に対策本部をつくって、そして必要なものは乗り込んでいって、一カ月かかるか二カ月かかるか、集中的なそういう環境の調査あるいは発生源の明定、こういうことを本格的に中央から乗り出していってやるべきじゃないですか。どうなんです。
#34
○櫻内国務大臣 ただいまの角屋委員の御指摘のとおり、また御意見のように取り運ぶべきであると私も認識をいたしております。明日に予定されておる推進会議におきましては、おそらくただいま御指摘のような点は第一に取り上げられるべき問題であり、またどのような方針でやるのか、早急にその結論を出すべきものではないか。私の手元にございます明日の審議予定からいたしましても、環境庁、文部省、厚生省等において健康調査についてのいろいろ御検討をいただいておりますし、また大蔵省としてもそれらについての予算措置の必要ということを考えていただくようにもなっておるようでございまして、ただいまの御意見を十分参考にいたしまして、農林省としても、その御意見が反映をいたし、また地域住民の方々が御安心のできるような具体的措置が取り運べるようにいたしたいと思います。
#35
○角屋委員 過般水産庁が発表いたしました八水域についての漁業自主規制というふうな問題に関連をいたしまして、これは通産省のほうから「水産庁発表魚介類PCB汚染水域の関係府県におけるPCB使用工場リスト」というのを資料として私いただいたわけですけれども、これらのPCB使用工場リストに基づくPCB汚染のそれぞれの工場の調査、あるいはいま漁業者が、本来漁場で生活をしておる者が漁業自身ができない条件に置かれておるという問題と関連をして、これらの使用工場から損害賠償の相手はこれこれであるというふうなことに至るのには、いつごろにこういう問題についてははっきりできるのか、それを明らかにしてもらいたい。水産庁長官と通産省、両方から……。
#36
○荒勝政府委員 先般PCBの調査を発表いたしたわけでございますが、私のほうといたしまして、この海域を具体的にどの水域ということと、それからどの魚が三PPM以上あるかということを限定いたしまして発表いたしまして、その発表までの間約二十日から一カ月くらい県との間の折衝でその対策等につきまして十分納得のいく話し合いをいたしまして発表した次第でございます。その中におきまして、発表後におきまして、各県の指導というか、出発のしかたにつきましては、具体的に進行している場合が多いのでございますけれども、現在の時点におきましては、どうも複合汚染ということがありまして、わからない地域だけがまだ十分にその対策がとられておりませんけれども、今後なおその問題については積極的に究明いたしてまいりたい、こういうように考えている次第であります。
#37
○齋藤(太)政府委員 先般水産庁のほうで御発表になりましたPCBによります魚介類汚染八水域のございます府県に所在します、PCBを過去に使用あるいは現在使用しております工場数は、PCBのメーカーであります鐘渕化学工業と三菱モンサント工業からの出荷リストによって調べましたところでは三百三十八工場でございまして、この工場名は先般発表をいたしたところでございます。これらの工場につきまして、汚染が増加しないように、現在ございますPCBを使っております使用状況、それから今後の転換計画、回収の促進といったような点を調べますことと同時に、汚染源の究明の目的もございまして、府県と共同いたしまして早急に現地調査をいたすことにいたしまして、ただいま実施計画を府県と打ち合わせ中の段階でございます。したがいまして、まだ日程等は確定を見ておりません。
#38
○角屋委員 今度の推進会議は、水銀、それからPCBも含む、こういうふうになっておるわけですが、この八水域のPCBの使用工場は、三百三十八工場が関連をしておるというお話がございました。私もリストを持っておるわけですが、これは調査としては通産省プロパーという形になるのですか、あるいは環境庁が中心になってこの問題についても総合的な調査をやるという方針でやるわけですか。環境庁のほうはどういう考え方か、お聞きしたいと思います。
#39
○岡安政府委員 お話のとおり、今回の推進会議は、水銀を中心といたしまして、PCBも含めまして対策を講じたいというふうに考えております。私どもは、環境調査につきましては、有明海、それから八代海のみならず、全国につきまして一斉点検をいたしたいというふうに考えておりまして、それにつきましては、水銀関係のみならず、PCBにつきましてもこの際点検をいたしたいと思っております。ただ、その点検はもちろん原因究明の有力な資料になるというふうにも考えますけれども、やはり汚染の広がりその他をもあわせまして今後の対策に資するための調査でございます。私どもできるだけ早く、できればこれも今月中には着手ができるような方向で現在調査計画を準備中でございます。
#40
○角屋委員 農林大臣、第三水俣のいわゆる公害発生源の明定問題にいたしましても、あるいは水産庁発表の魚介類のPCB汚染水域の八水域のPCB使用工場でも三百三十八工場というふうにまたがっておる。この被害漁民としてどこを相手にという場合に――これは現実にこの大牟田の場合もそうですし、それから日本合成の熊本工場の問題もそうですけれども、やはり漁業関係者その他被害を受けた諸君は言ってますね。なかなからちがあかないところが多いわけですよ。PCB関係の工場の場合も同様だろうと思うのです。そういう実態にあるわけでしょう。しかも、被害を受けた者からは、きょうの生活ができない、あすの生活をどうするかという。緊急対策なしではいけないのじゃないか。どうなんです。
#41
○櫻内国務大臣 緊急対策の必要性があると思います。ただ、その緊急対策にしても、ある時間的な必要が起きてくる予測もございますし、そうでありますれば、現に行ない得ることで迅速に対処する必要がある、こういうことから、先ほどからその中間的な措置は申し上げておるわけでございまして、たとえば沿岸漁業経営安定資金を沿岸漁業者に対して利率年五%、償還期限二十年以内の五十万円の資金はすぐにでも出すとか、あるいは漁業者外の問題で非常な困窮というような問題がございますれば、それはもう世帯更生資金を活用していくとか、また中小企業関係はそれぞれの政府関係金融機関で措置するとか、あるいは農林省の関係でも、農林中金において、今回熊本県では県よりの預託金に応じて低利の貸し付けをするというふうに、原因者負担の原則といっておっても、その原因者が明白でないという場合に、現にある行政的にあるいは立法によって行ない得る措置は当然どんどんやるべきだと思うのです。しかし、それでも不足する面があるのではないか。先ほども触れましたように、皆さん方からの要望の中にも、漁業救済資金のようなものはどうか、そういうようなことについては、もう明日からの推進会議におきまして関係各省相談の上で何とか被害者の皆さん方の御期待に沿う方途を考えたいということでございまするが、たとえば私のところへの報告によれば、現に兵庫県におきましては兵庫県公害救済対策協議会を設けてそうして一応の資金を用意した。兵庫県二千万円、市及び町村において二千万円、関係企業約四十社で一億円、県漁連で運営経費の一部負担をして、一億四千万円プラスアルファの用意をして措置をしておる。おしかりを受けましたが、こういうことも、県段階や市町村段階においての具体的な緊急措置である。しかし、これも好ましいことでございますから、その原因者がわからずに措置に困るという場合には、こういう例も各県において必要に応じてはやってもらう、そしてこれらの措置に伴って財政上の大きい負担を今回の問題で支払わざるを得なかったんだというその事態については、先ほども御説明申し上げたように、また特別交付税等でも考慮をする方途を考える、そういうようなことで逐次やっていく。しかし、もっと突っ込んでやれということでしたら、これは私もそういう必要性は感じておるので、関係各省庁でよく相談の上で早急に何か対策を講じたい、こういうことを申し上げているわけです。
#42
○角屋委員 いまの公害にかかわる被害の、たとえば漁業者の救済問題をどうするかというふうな点では、御承知の昭和四十四年の第六十一国会のときに政府からは公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法案というのが出された。これは健康被害だけやる。私どもの社会党の場合は、私の名前で、公害に係る被害の救済に関する特別措置法案というのを出した。これは単に健康被害だけじゃなしに、物の被害に対してもとりあえずの救済をやろう。そして社会党案でいけば、第十五条のところで、そういった手を打った問題に対しては、国はその「当該支給を受けた者が事業者その他の第三者に対し有する損害賠償の請求権を取得する。」いわゆる損害賠償請求権という形で、あくまでも最終的にはPPP原則に基づいて企業が措置すべきものであるという道筋にはしておるわけですけれども、公害発生源を明定して、そこで裁判になるのか、あるいは直接交渉の中でおさまるのか、あるいはすでにある公害紛争処理法の中で取り扱うようなケースが出るのか、いずれにしても救済問題としては時間を要するというのが常識である。したがって、そういう公害企業がなかなか明定しにくい、非常におくれてしまうという場合には、かつて四十四年段階で公害に係る被害の救済に関する特別措置法案という社会党案の中では、健康にかかわる被害の救済、物にかかわる被害の救済、この二つともこの問題の公害被害の中で取り上げて、最終的には、第十五条の中で損害賠償請求権という形で企業の責任に持っていくという形を当時とったのです。しかし、これは私が中心になってつくった案でございますけれども、今日のように日本列島総公害のような様相になってまいりますと、この形では不十分である、もっと一歩進んだ考え方をとらざるを得ないというのが、私の現在の心境であります。これは立法的にもできるわけであります。また、やらなければならぬという事態が至るところに出ておる。大臣としては、いま言ったような問題については、積極的に――そういう私の申したようなことも含めて、農林省サイドから推進会議に持っていくときには、漁業を禁止したり、漁業を自主規制をしたり、漁業者の生活権が成り立たないというような問題については、発生源との交渉に至らない段階の中でそういう事態が起こった場合には、いま言った補償を政府の手でとりあえずやる。それは結局最終的には明定後の企業が支払うという形の緊急措置は、少なくとも今度の国会の中で片をつけなければならない、こういうふうに私は現地を見て痛感をしてきたわけです。再度ひとつ大臣のこの問題に対する受けとめ方について聞いておきたい。
#43
○櫻内国務大臣 ただいまの角屋委員のお話は、一つの筋道立ったお話であると私はお聞き取りをいたしました。
 そこで、一体これから推進会議においてどういうふうに取り上げていくのかということの問題になります。第六十一回のいまの健康、物両面にかかわる社会党提案の健康被害救済法案、これは私も承知をしております。また、公害紛争処理法あるいは公害健康被害救済措置法、現にできておる法律それこれを勘案いたしまして、そして私は別に立場立場にこだわっているわけではございませんが、農林省は農林省の立場でひとまずものを言わなければならない立場でございますので、ここでただいまの御意見について、そういう趣旨に基づく立法について、私が責任を負って、それは出しましょうとか出さないとかいうお答えをすることは、私のいまの立場上軽率になるわけでございます。御指摘になったそういう筋道は私としてよくわかったところでございまするし、現にある法律との関係から、今度の推進会議におきまして、たとえば漁業者の救済基金制度のようなものが考慮されるのか、いずれにしても原因者が明定される間の措置の必要は、これはもう私もよく承知をしておりますし、特に漁業者の場合その必要が緊急である、したがって、農林省としての許容される範囲の現行法の中での措置というものは、先ほど来申し上げておるところでございまするが、それでは十分被害者にこたえるゆえんでない、こういう点も認識しておりまするので、これから推進会議に出席をする水産庁長官以下がよく各省との間で案を練り、また、よき結論を得られるように推進をしてまいりたい、このように思います。
#44
○角屋委員 この第三水俣病の問題にしても、PCB汚染に伴う問題にしても、漁業者自身は何も悪くないんですね。公害発生源からの公害たれ流しでこういう問題が起こらなければ漁業はできるわけです。生業は成り立っておるわけです。私は水俣に行ってつくづく痛感したのですけれども、あの死の海を見、そしてあれだけ悲惨な、なくなった方々や今日でもやはり患者を持っておるという暗い水俣の町を見ると、チッソ水俣工場一つだけで水俣の町を全く破壊し尽くしてしまっておる、そういう実感がしみじみいたしました。あの非常にふところの広い水俣湾、豊富な水産資源を持っており、豊かな資源の中で生活ができたであろう水俣の町が、一チッソ工場のために全く暗い死の町にされてしまっておる。去年のストックホルムの人間環境会議じゃございませんけれども、国際的にもかけがえのない地球、オンリー・ワン・アースということがいわれるようになった。かけがえのない日本、かけがえのない水俣やあるいは有明湾、そういう現地の状況からすると、いいころかげんな姿勢で公害問題を考えておったらたいへんなことになるのじゃないですか。
 私は、大臣が御都合があるそうですから御協力申し上げて十二時半までで質問を終わらざるを得ませんけれども、この問題はまさに水産としては、沿岸漁業としては死活問題である。私はきょうはこれを抜きにして三法案の改正がどうだということを論ずるわけにいかない。まず、こういう問題に対して農林省、水産庁が、きれいな海を取り返すという立場から、真剣にやはり考えてもらわなければいかぬ。いま何にも悪くない漁業者が塗炭の苦しみに立っておるのをどうするのか。冷たく、PPP原則である、こういうことでは、現地はおさまらない。きょうの生活ができないんじゃないですか。これは真剣に考えてもらいたいと思うのですよ。また、私が出した法案の中で道筋はちゃんと立ててこそ、その立て方はできるわけである。そういうやはり受けとめ方で、むしろ農林省側からは、推進会議に持っていくときは、これもやらなければ、これもやらなければと、どんどん意見を出していくのが本来の姿じゃないですか。そういう姿勢でやってもらわなければならぬ情勢である。これは第三水俣病のところだけではない。山口県にも瀬戸内海にも、東京湾にも敦賀湾にも伊勢湾にも、こういう形で水産汚染の問題はあらわれているわけでしょう。そういうものに対応するのに、現行法やあるいはPPP原則にこだわって緊急の手が打てないということで、漁業関係者の生活はどうなるのです。また私は、裁判にするにしろ、何にするにしろ、旅館が客が来なくなったとか、行商が商売の魚を得られないので商売は休まなければならぬという問題等も含めて、発生源の企業がそれらの問題に対して全部裁判なり何なりで一〇〇%の補償をするという保障がなかなかむずかしい点が将来出てくるんだろうと思う。
 私は最後にこの問題に関連をして言いたいのですけれども、いわゆる自然災害の場合には、災害対策基本法でもって、災害の応急対策を講ずる、災害復旧を講ずる、財政金融措置を講ずるということでてきぱきとやられることが要請されておる。あるいは激甚災害の場合には、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律というのがある。これでもって、公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助が行なわれる、あるいは農林水産業に関しても特別の助成が行なわれ、中小企業に対しても特別の助成が行なわれるということで、災害の場合には災害対策基本法なり、あるいは激甚災害の場合の特別の財政援助等に関する法律でいろいろなことが行なわれる。あるいは農林水産関係の場合には、低利の融資等についても天災融資法の発動が行なわれて手が打たれることになっておる。あるいは農林水産業施設等についても、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律というのが、漁港その他のものでいえば、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法があるということで、災害の場合には、公共施設にせよ、あるいはいろいろな災害に伴うところの被害の問題にいたしましても、相当な手が打てるようになっておる。法体系はそういうことでつくられておる。公害の場合の障害はPPP原則である。したがって、いろいろな手がなかなかブレーキがかかって打ちにくいのだというのを、ある意味ではそれを隠れみのにして現地の深刻な様相にこたえないというのが、今日の政府の姿勢ではないのかというふうに私は感ぜざるを得ない。したがって、とりあえずとる救済の問題にしても、あるいはつなぎ融資その他の問題にしても、真剣に現地の要請にこたえることを大前提にしなければならぬ。公害発生源は徹底的に究明しなければならぬ。また、こういうことを許してきた政府やあるいは地方自治体を含めた行政の責任は免れない基本問題である、こういうふうに私は思いますけれども、いま言った、現地にわれわれが行って、現地の何百人と集まってきたところでの血のにじむようななまの叫び声を聞いてきたわれわれの気持ちを受けとめて、真剣にこれらの問題については農林省、水産庁としても対処してもらいたい、こういうように私は強く希望しておきたいと思う。農林大臣からその点について御見解を承りたい。
#45
○櫻内国務大臣 きょうの御審議の冒頭に私の心がまえを申し上げたのでありまするが、ただいま非常な御熱意をもって各般の関係から御指摘をいただきまして、私も農林漁業の責任者といたしましては、角屋委員のそういうお気持ちのとおりでおるのでございまするが、まことに申しわけない微力なるがために、十分の効果をあげ得ておらないことを遺憾に思います。ただ、推進会議ができたとはいいながら、またこの会議に伴っての結論を得るに時間的な関係もございます、これはおそらく環境庁長官が緊急に各関係省庁の案をお取りまとめいただけるもの、また私どもも推進していくのでありまするけれども、しかしなお、ただいまいろいろなお話から見て、また私自身が、第三水俣病あるいはPCB被害を受けておられる漁民の方々の実情からするならば、事が不十分である、足りないといって、私どもがそこでひるんでおるわけにはいかないのでありまして、したがって、きょう何回かのお答えで申し上げるように、現行法の中であるいは行政の上で、不十分ではあるけれども、そのやり得る措置があるのでありまするから、それについては万全を尽くしておるわけであります。そして実情からいたしまして、県市町村が国の出方いかんによってそこにいささかでももし手抜かりを見るようなことがあってはならない。私どもとしては、多種多様の非常な広範囲に及ぶことでありまするから、密接な連携のもとに、第一の措置というべきものは県市町村の積極的な措置を期待しておるけれども、国がその姿勢が悪いということによってそれすらももしゆるがせになるということではいけないのでありまして、その点は十分慎重に配慮をしながら、そういうことにならないようにはつとめておりまするが、なおその上に、きょうの角屋委員の言われるようなそういう問題は私も十分承知をいたしましたので、今回の推進会議を通じて早急に具体的な施策が立てられるようにつとめてまいることを申し上げて、お答えとしたいと思います。
#46
○角屋委員 私も現地に行った深刻な気持ちから大臣にも率直に申し上げたのでありますが、私どもの気持ちそのものとしては真剣に受けとめてもらいたい。現実に第三水俣の現地へ行っても、県や市町村の自治体の力を越えた大きなやはり問題になっておる。しかも被害を受けた関係者は、切実に一日も早く緊急の手が打たれることを望んでおる、これが現地の姿である。私が言いたいのは、公害からそもそも問題が起こっておるにしても、自然災害、天災に準じたような様相を呈してきておる。したがって、考え方としては、やはり自然災害でとっておるようなそういう考え方をこういった問題にもとるというかまえで、これからの対策を真剣に考えてもらいたい。具体的に今度の国会の中でやるべき手についてはどんどんやっていくということが必要である。これらについては、私どもも政党の問題を乗り越えて真剣にやはり問題のさばきをしなければならぬ政治的な責任がある、こういうふうに考えておるわけでございます。
 一応残余の質問は保留いたしまして、午前の質問はこれで終わります。
#47
○山崎(平)委員長代理 この際、午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。
   午後零時三十分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時十五分開議
#48
○佐々木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中川利三郎君。
#49
○中川(利)委員 最近の新聞やテレビを見ますと、毎日のように、あっちの海で水銀、こっちの海でPCBあるいはヘドロ、まるでもう日本列島全体が汚染され尽くした、こういう状況が報道されているわけでありますが、ちょうどこのような状況については、先ごろの六日に衆議院の公害・環境特別委員会で、参考人として出席した専門学者の一人である白木東大教授のことばを思い出させるわけでありますが、白木教授は、今日の事態について、第三水俣病はもちろん重要だが、水俣湾沿岸で新しい患者がじわじわ発生していることにもっと目を向けてほしい、同時に、水銀だけでなく、PCB、BHC、カドミウムなどのあらゆる汚染物質で全国民が汚染されており、汚染度は世界の百倍といわれている、私はその意味で一億国民が中毒患者と言いたい、こう言っています。
 そこで、農林大臣にお聞きしたいのでありますが、日本の沿岸漁業を守り発展させるというあなたの立場から、このような指摘についてどうお考えになるのか、まずこの点からお伺いいたします。
#50
○櫻内国務大臣 焦点をどこに置いてお答えをしていいのか、ちょっと戸惑うのでございまするが、漁業者の立場からいえば、日本列島が至るところ汚染され、漁獲したものが食用に供せない、こういうことに相なりますれば、また現実にそういう状態にある多数の漁民の方がおられる、こういうことでありまするから、農林省の立場からいたしますならば、いわば漁業者の生業についての非常な不安定要素が多くなっておる。したがって、それらをいかに防除し、今後の生業の見通しを立てるようにするかということが、この汚染された、環境悪化した状況のもとにおける漁業に対しての私どもの基本的な認識であると思うのであります。
 もう一つ、農林省として忘れてはならないもっと大前提がございます。それは広く国民に対する食料の安定供給ということでございまするが、先般来お答えを申し上げておるように、ただ単にことばの上の安定じゃなくて、その安定の中には安全ということも配慮しなければならない。そういう安定、安全の上に立っての食料の供給という見地からいたしまするならば、なお一そう、いまの環境の悪化ということに対しては真剣に取り組んでいかなければならない、こういうことが基本的な姿勢でございます。
#51
○中川(利)委員 いま農林省の基本姿勢についてお伺いいたしましたが、その基本姿勢の中に、今日の日本列島総汚染をもたらした真の原因者である大企業というものの責任なり、そういうものを明確にするという御発言はなかったわけでありますが、問題の焦点は、長いことかかって企業の公害たれ流しを免罪にしてきた行政当局の責任が一貫してあいまいにされたところに根本的な問題があると思うわけでありますが、この点についての農林大臣の反省はどうなっていますか。
#52
○櫻内国務大臣 私は農林漁業の責任者としての立場から一応お答え申し上げておるということは御了承いただけると思うのであります。
 ただいまの御質問は、大企業のたれ流しについての責任はどうか、それに対する見解はいかんと、こういうことでございまするが、これは、私として、一般的な常識と申しますか、あるいはそれに加えて田中内閣の閣僚の一人としてお答えを申し上げまするならば、私は以前に通産大臣の経歴を持っておるわけでございます。そして、私の在職当時に、まだ環境庁が発足をいたしておりませんが、厚生省と通産省の共同所管で公害防止事業団を皆さまの御協力のもとに発足するよう措置をいたしたのであります。
  〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
その根拠法である公害防止事業団法は昭和四十年六月に成立を見ておるわけでございまするが、私はその当時から公害の状況あるいは今後の見通しに立ちまして、四日市の状況であるとかあるいは東京でいえば隅田川一体の状況を改善しなければならない、そういうことから、公害防止事業団によってそれらの地域の分散をはかるとか、あるいは公害の原因となっておるメッキ工場のようなものが当時は指摘されておりましたので、そういうものの工場アパートのようなものをつくるというような措置を講じながら、同時に、こういう措置を政府はとるが、企業者は新しいモラルの上に立ってもらいたい、新産業道徳の必要があるということを強調してまいったのでございまして、現在でも私はその気持ちに変わりがないのであります。問題が起きておるその責任を追及するということも当然必要であり、問題になるところでございまするが、その基本的な姿勢、新産業道徳のようなものが徹底される必要がある、このように企業のあり方について見ておるわけでございます。
#53
○中川(利)委員 問題は、あなたが通産大臣をしておった当時そういう新産業道徳問題についていろいろ配慮された、しかしながら、それ以降ますます公害が激発しておるということ、ここが問題なわけですね。あなた、くどくどといろいろなことをやったことのお話がありましたけれども、そうした部分的な、個別的なものも大事でしょうが、全体として、政府が大企業の公害たれ流しを免罪にしてきた、それだけではなくて、むしろ国民が正しい基準やデータが出た場合にそれを知ろうとする権利さえも、通産省あたりはかつて妨害して押える役割りを果たしてきた、こういうところに根本的な問題があると思うのです。したがって、あなたは、基本的認識は農林サイドだとかあのサイドだとか言うけれども、どのサイドから見ても、今日のこのような日本列島総汚染という状況の中では、公害をたれ流す発生者であるところの大企業を無視して考えることはできない、こういうふうに私は考えるわけであります。
 通産省から来ておられると思いますので、簡単でけっこうですから、同じことについて一言、どういう見解だかお伺いします。
#54
○松村説明員 お答えいたします。
 通産省といたしましても、現在、関係省庁とも十分連絡をとりながら、できる限り公害防止についての対策を講じているところでございます。現在、工業の集積地域、たとえていいますと、いわゆるコンビナートといわれる鹿島でありますとか水島でありますとか、そういった工業集積地域につきましては、産業公害総合事前調査というものを行ないまして、これらの工業集積地域において公害が起こらないように、科学的な調査に基づきまして、あらかじめその地域の気象条件、潮流条件等も現地で実地に調査をいたしまして、風洞、水理模型等によってこれを確認するというようなことでやっております。
 簡単でございますが、一応お答え申し上げます。
#55
○中川(利)委員 問題は、どこをどう調査したか、どういう手を打ったかということよりも、企業に対する皆さん方の姿勢は一体どうか、この点に対する皆さんのはっきりした態度がなければ、何ぼいいことを言ったところで何にもならないのですよ。それが今日の状況をつくり出しておるということについて、ひとつはっきりしていただきたいですね。
 いま通産省のお役人さんからおことばをいただいたわけでありますが、おたくのほうではいままで、私の知る限りでは、そうした公害企業を絶えずかくまって、むしろ国民の知る権利に対して妨害してきたという事例を、私いまここでもたくさん持っておるのです。これはほかの委員会でも指摘されたところだと思います。そうして、いまこういう事態になってから、おれはあの手を打った、これはこの手を打った、そういうことでは国民はついてこないし、納得しないだろうと思うのであります。
 それと合わせて、また農林大臣にお聞きするわけでありますが、あなたはそのような態度で臨んでいらっしゃる。そういうことでありますならば――先ごろ、六日の日ですか、水産庁がPCBの沿岸海域における典型的な汚染の実態を発表した。その際に水産庁長官は、汚染源である発生企業について、七、八割方はその犯人の目星をつけている、こうおっしゃっていながら、それならそれを出しなさいと言いましたら、一貫して、調査の目的がそれとは違うんだということで発表していただけなかったわけですね。そのくせ、次の日、通産省は、そうした発生源と見られる企業の名前を新聞で公表しているのですよ。そういう水産庁長官の態度でありますが、ここに御本人を控えてまことに恐縮ですけれども、口先はともかくとして、実際にそういう姿勢で漁民の安全を守ることができるかどうかということについて、あなたからひとつはっきりした御答弁をいただきたいと思います。
#56
○櫻内国務大臣 いまの御質問で私のお答えしにくいところが一つあります。それは、工場の名前を発表しなかったからいかぬということについて私にお尋ねなのか――私としては、当時のPCBの発表は、そのときにも御説明申し上げましたように、農林省、水産庁の立場では、汚染の実態を明らかにすることを目標にして発表しておるので、その他のことについてはお答えがしにくいように水産庁長官が御答弁を申し上げておったと思うのです。それで、私はそれを聞いておりましてやはりやむを得ないもの、こう思って、責任ある立場としてはいま言えと言われてもなかなかむずかしいのじゃないかということをお答えして、おしかりを受けたと思うのですね。
 それで、当時PCBの汚染のぐあいを発表した、その場合に原因者が明白でないものは除いて、原因者がはっきりしたものだけを出すというようなことにはいかないと思うのですね。すでに包括的な調査をし、さらに精密調査をし、その結果、関係府県との連絡もとりながらいつ発表するか、そういうことで環境週間にあたって発表した、こういうことでございまするから、したがって、その当時には実態の調査を申し上げておるのだ、こういうことであったわけでございまするから、またその後に通産省との相談もいたし、工場名も発表されたわけでございますから、ここで御了承いただきたいと思います。
#57
○中川(利)委員 環境週間にあたって水産庁が発表したと言いますが、このデータは五月の二日ですか、その段階でできて、それすらも一カ月も延ばされておったということは各新聞が指摘しているところなんですよ。ましてや水産庁の長官が、最初から七、八割方は犯人の目星がついているなんて、そんなことを言わないならともかく、言うていながら、それは言えません、発表できません、私の立場があります、こんなことは国民をなめたやり方じゃありませんか。そういうことを何も言わないならともかく、国民に、新聞記者にあなたはおっしゃったでしょう。そういう状態の中で水産庁の長官は、立場だから云々なんて言ったって、これは問題にならないということをあらためて私は指摘しておきたいと思うのでありますが、大臣がそうおっしゃるなら、私はもう一つその問題でお聞きするわけでありますが、六月四日の発表の水産庁の、東京湾の水銀のPCBの汚染ですね、これは基準以下で問題ないと、あなたのほうではそういう発表をしましたね。ところが、その一週間あとに東京都が発表したのが、六月十一日ですか、東京湾ではボラやコノシロには基準以上のPCBが出ている、こういう発表があるわけですね。そうすると、同じ東京湾を見ても、定点の違いその他があると思うのですが、しかし、おたくのほうは、東京都がこういうものを出していながら、東京湾というあの現実の姿を、あなたもたぶん飛行機に乗ることもあるでしょうけれども、あれで何もないというデータが出たときに、これはふしぎだと思うのが当然だと思うのですよ。そういう結果が出たからしようがないとあなたはおっしゃるかもしれないけれども、そこら辺について大臣はどう思いますか。
#58
○荒勝政府委員 十四の水域につきまして調査いたしましたときに、当然東京湾なり伊勢湾なり、非常に汚染が進行しておると思われる地点を選んで調査したわけでありますが、たまたま私のほうで二月、三月を中心にいたしまして魚を採取して、それを分析した結果が三PPM以上の魚を検出することができなかったということで、私どものほうといたしましては、その調査の結果について、その数字自身につきましては何の手心も加えることなく今回の発表はさせていただいておりますので、三PPM以上の部分についてのみ発表させていただきましたが、私のほうといたしまして、この調査だけで、今度で完結というつもりはございませんで、先般も申し上げましたように、今後継続的に定期的に要監視水域として調査は継続いたしてまいるつもりでございますので、今後の調査時点におきまして、あるいはまた今回何も出なかった地区から非常に大量に出るかもわかりませんし、あるいはまた今回非常に汚染されている水域からは出ないというようなこともあると思いますけれども、継続的に調査することによってこういう汚染度の調査の精度を高めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#59
○中川(利)委員 だから、冒頭私が申し上げましたように、白木東大教授ではありませんけれども、日本のそうした海洋汚染というのは世界の百倍だ、一億国民がある意味では中毒患者になっておる。こういう状況が正しいかどうかは別にいたしましても、概念的にはそういうことが言えると思うのです。ですから、そういう点で東京都がやったら全然また別の結果が出たというようなことにならないように、ひとつ水産庁はたんねんに今後ともやっていただきたいと思うわけであります。
 それで、私も先般国会の調査団の一員として水俣、有明海一帯を見てまいったわけでありますが、とりわけ第三水俣病の発生源といわれる工場は特定されているわけですね。日本合成あるいは三井東圧でありますか、そういう状況が因果関係なり客観情勢の中であるならば、原因者として特定することについて何らやぶさかではないというふうに私ども思っていますけれども、この点についてはいかがですか。
#60
○荒勝政府委員 今回の第三水俣病の発生に伴います汚染状況の調査につきましては、水産庁といたしましてほとんどデータを持ち合わせておりませんので、環境庁と御一緒に今後急速にこの水俣、有明湾周辺の水域の調査をいたしまして、汚染状況について調べたい、こう思っております。
#61
○中川(利)委員 通産省、簡単で、一言でいいから、どうですか。
#62
○松村説明員 お答え申し上げます。
 過去に水銀を使いました工場あるいは現在水銀を使っている工場につきまして、建設省としては現在通産局を使いまして企業の立ち入り調査を行なっているところでございますが、なお、この結果を踏まえまして、環境庁その他関係省庁と共同いたしまして有明海の精密調査ということになろうかと思います。
  〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
したがいまして、それらによって汚染源も判明してくるのではないか、判明させるべきである、こういうふうに考えております。
#63
○中川(利)委員 私、この前日本合成に参ったのです。工場長と会いました。そうしたら工場長は、私のほうで水銀をたれ流した事実がある、申しわけなかった、ついては国、県その他で、いま漁民からそういう要求が出てくるだろうから、お金のほうの段取りをくめんしてもらえないだろうか、そういう虫のいい相談を受けたのです。つまり、会社側はそれを認めている。おたくのほうでそれを認めていないということは一体どうなんですか。会社では、おれのほうが犯人ですよ。そのときに冗談話に、なぜあなたは自首しなかったのか、世間から騒がれて初めて白状したようなものじゃないのかと言ったら、どうも申しわけありませんでしたというようなことで、金の相談まで受けたのですよ。はっきりその当事者企業が私が犯人ですということを言うているわけです。申し出、自首があるわけですね。その時点で、おたくではまだそうではないかもしれないということで慎重に調査してあげるというわけですか。因果関係や客観情勢の中でそれが判定できないのですか。
#64
○松村説明員 お答えいたします。
 水銀を使用いたしました工場あるいは現在水銀を使用しております工場においてどの程度の水銀を排出したのか、その排出された水銀が現在第三水俣病ということばであらわされております被害者と申しますか、患者の方々の原因とどういうふうに結びついているのかという点につきましては、これは先ほどお答えいたしましたように、なお住民の健康診断あるいは水質の調査あるいは底質の調査等の結果を用いまして十分検討をいたしていきたい、こういうふうに考えております。
#65
○中川(利)委員 冗談じゃありませんよ、あなた。水銀の排出量その他を調査しなければならないとおっしゃるけれども、水銀を出した工場が特定されているわけですよ。そうしたらその排出量が幾らであるとか、どういう結びつきが漁民との間にあったかというようなことについてはこのあとだってできるのです。まずさしあたっていま漁民が要求していることは、そうした原因者を個々に特定してくれということでしょう。そうすると、企業以外にはないわけでしょう。その中でどう結びついているかというようなことは手続問題、事務的な問題でしょう。しかもそのあとタイムリミットみたいなものがないから、あなた方の態度からいけば、永久にそれはさがしているのかもわからぬ。なぜ最初に特定してそのあとにやろうとしないのですか。それはできないのですか。四日市の裁判の事例なんかを見ますと、明らかにこのことはできるということになると思いますが、もう一回、通産省の考え方を聞かせていただきたい。
#66
○松村説明員 お答えいたします。
 ただいまも申し上げましたとおり、水銀をどの程度どの工場で使用したか、またその工場から水銀がどの程度環境中に流出したかという点については、現在鋭意工場の立ち入り調査あるいはその他の調査を通じて検討しているところでございますけれども、やはり原因工場の確定ということになりますと、これは環境庁を中心として関係省庁で現在計画いたしております詳細調査ということを通じて明らかにしていきたい、こういうふうに考えております。
#67
○中川(利)委員 あなたはいまごろになって原因調査なんと言ったって、もう昭和三十四年以来水俣病が発生した時点で、これが有機水銀説だということが出ておったわけですね。そうしてその間あなた方はぶん投げておいたわけでしょう。この点については前々から指摘を受けておるところでありますが、いまごろになってどれだけ会社が水銀を捨てたか鋭意調査中だと言う。そういう態度の中でこういう公害問題がまさにびまんしてきているということについての反省はありませんか。あなたは課長だから、長官でないから責任のない答えだと思いますが、もう一回答えてください。
#68
○松村説明員 お答えいたします。
 最初に申し上げましたように、通産省といたしましては、これまでも公害防止についていろいろ企業を指導してきたところでございますけれども、今後は特に企業のそういった公害防止という点についてさらに強力に指導を続けていきたい、こういうふうに考えております。
#69
○中川(利)委員 話にならないな。あなたがそんなことを言っている間にも、いま瀬戸内海で、きのうの新聞、テレビ、何て書いていますか。広島通産局が発表したでしょう。山口県と岡山県の七工場から八トンの水銀が瀬戸内海に流れているということ。つまり有明海でいままで流されていたといわれる三・五トンの二倍以上、こういうものが流されているのですよ。いままでもがんばってきたとかこれから調査しますということを言ったって、なまぬるいことで、あなたをおこってもしようがないけれども、全く話にならないというのはこのことだと思うのですが、農林大臣、あなたも通産大臣をやったことがあるそうでありますが、こういうことについていまの立場を含めてどういう御見解をお持ちですか。
#70
○櫻内国務大臣 原因者が究明をされて、それで今回の第三水俣病の対策として万全を尽くせるということは、これはもう大事なことであることは言うまでもございません。御質問されておるお気持ち、お考えは私も十分わかるのでありますが、今回の研究の結果の発表を見ていただいて、私ももっと十分検討しなければならないのでありまするが、委託を受けた熊本大学もまだ断定をしておらない、これは大事なことだと思うのです。専門的に委嘱を受けて検討していただいたその結論を越えて、そしてこのような専門的な見識を要する問題を、ただ大体そうだということで断定というわけにはいかないのですね。それで御質問を聞いておって、私どもも新聞、テレビ、ラジオでいろんな概況を承っておるので、どこに疑わしきがあるかというようなことについてはもちろん認識があるけれども、いまのお話は断定せいというように受け取れましたので、それはちょっといまの通産省の担当者がお答えしにくいところではないか。また私としても断定ということにはこれは問題がある。しかし、見当がついておるのでありまするから、ここを徹底的に調査をして、早期に結論を得る、そういう方向については異論はありません。
#71
○中川(利)委員 私が聞いたのは、日本合成という会社が、私たちが調査団で参りましたその際に、どうも申しわけありませんでした、ついては漁民からいろいろな要求が来ておりますから、お金も足らないから何とか国のほうで考えてくれませんかと、そのあとの事後相談まで受けているのですよ。おたくでは道筋だとかいろいろなことの中で調査して、科学的究明に名をかりて、むしろ会社のこの問題の早期解決をさぼっている。しかし、これらのことについては、いままでの公害の歴史的なあらゆる事例を見ればわかるとおり、はっきりしておるわけですね。それにしても道筋がどうだというならば、暫定基準ということばがありますけれども、暫定的でもいいから特定したらどうですか。ただ機械的、硬直的に、全くそれが明らかにならない限りは、何ぼ本人が自首したところでおれのほうではやる必要はないということを言ったって、これでは通りませんよ。どうです、あなた。
#72
○櫻内国務大臣 中川委員の言われるようなことも、これはあるいは考えられないことではないと思うのですが、私はおそらく中川委員と考えは同じだと思うのです。その原因者がはっきりしなければいけない、これはおろそかにはできない、そしていいかげんなことをしておって将来にわたってたれ流しをさせるというような事態は、これはもう排除しなければならないと思うのです。しかしながら、それだけに断定をするというのに若干の時間を要する。したがって、そこでその間をどうするかということで、この委員会においても繰り返し私に対してなまぬるいとか、そういうことじゃいかぬとかいうことを言われてきておるのでありまして、それでそういう措置をとりつつ原因者をはっきりしょうというのですから、私は筋道はそう違っておらない、こう思うのです。
#73
○中川(利)委員 筋道は違わない、あなたのほうも原因者負担を言い、われわれも原因者負担を言う、筋道は違わないのだ。しかし、だれの立場に立ってものを考えるかということが、いまの場合、問題なんです。そういう点であなたも政府・自民党の閣僚として大きい責任を免れることはできない、こう私は思っているわけであります。
 時間の関係もあるから次へ進みますけれども、同様に、あなたは今回の対策につきまして、まず県や市町村が第一義的に責任を負ってきめこまかく段取りする、でないと現地の事情がよくわからない、そういう言い方の中で、国は、何というか、それを受け入れてより一そうそれをうしろから応援してあげるのだ、そのための対策推進会議だ、こういうおっしゃり方であるわけですね。しかしながら、長年にわたって大企業のそうしたあれを免罪にしてきた政府の責任は、やはりのがれることはできない。こういう場合にこそ第一義的に国が先頭に立って、そうして県や市町村がその窓口になる、こういうかっこうにすることが、国民にほんとうに安心して、何というか、きれいな海を呼び戻すと同時に、そうした漁業関係者のいろいろな施策をやるためにも一番大事なことであると私は思いますけれども、そういう点であなたの考え方とは全く違うのですね。この点についてはどうですか。
#74
○櫻内国務大臣 これはいままでとられておる各種の対策あるいは経緯からお話を申し上げておるので、そして私が何べんも申しておりますように、多種多様のいろいろなケースがあり、いろいろな問題があるということになると、なかなか国から目が届かない。国、県、市町村、それらが一体となっての行政なんですから、ある範囲はもちろんよく目の届くところでやってもらうけれども、しかし、国の対策が足らざるために、もしそこにそれに籍口しての不十分な点があったらいけない。ここは私もうはっきり申しておるのです。
 そこで、今回環境庁長官より閣議でああいう推進会議の提唱もあり、われわれも協力してすみやかに具体策を立て、そうしておこたえをしていくという姿勢をとっておるのでございまするから、この推進会議で中川委員のおっしゃっている方向の結論が早くできることはより好ましいと思います。
#75
○中川(利)委員 国が第一義的な責任者となってやることは、私はこの機会に、いままでの経緯がどうあれ、これはそういう立場でやらないと国民は納得しないところまできているということです。よく目が届かないかもわからぬ、市町村なら目が届く、国では届かないというような言い方は、これはただものの順序を手続的に見る場合の言い方であって、その際国が前面に乗り出して、安心してくれ、こまかいことは県や市町村に言ってくれ、こういうことでないと、そういうことはできないでしょう。つまり私から言わせますと、通産省はもちろんそうですが、長い間企業をかばって、むしろ国民の公害の被害に対しては妨害してきたのだ。そういう罪滅ぼしのためにも――そのときには第一義的に妨害して、漁民を救済したり、国民のために何かやろうとするときには引っ込んでしまう。これはいまこそ、長い間の慣習がどうあるか知りませんけれども、国がそういうものをはっきり打ち出す、こういう態度が必要だと思いますので、それがなぜできないのか。いままでの慣例をここで打ち破るというくらいの農林大臣に強い決意がないかどうか。もちろんあなた一人だけの問題ではないということはわかっておりますが、さしあたりあなたの御見解をもう一ぺん聞かせていただきたいと思います。
#76
○櫻内国務大臣 これはもう私が正直に申し上げるほうがいいと思うのです。これは国だとか県とか市町村じゃないのです。それぞれその分野をもっての財政の衝に当たっておるのですから、私が申し上げたように、一番好ましいのは国、県、市町村一体となって対処していく必要がある。ただし、先ほど来申し上げるように、かりにもいまの中川委員のおっしゃっているような御心配の点が起きるというようなこと、これも避けなければならないので、国が不十分だから市町村が不十分だ、こういうようなことは絶体にないようにしていきたいということを申し上げておるわけであります。
#77
○中川(利)委員 そういう姿勢が問題の根っこにある限り、私は今後もこういう問題はさらに起こってくるであろう、こういうように思うわけでありますが、時間の関係もありますから、次に進みます。
 この前、私、調査してまいりまして、大牟田の三井東圧へ行ったわけでありますが、いまでも水銀を使っているわけですね。これについて、きのう同僚議員の質問に対して、水銀法じゃなくて隔膜法に転換するよう指導したというようなお話がありましたけれども、いつ指導したのか、三井東圧、この会社に対してはいっそういうふうに指導したのか、はっきりお知らせいただきたいと思います。
#78
○松村説明員 お答えいたします。
 水銀を使います電解法から隔膜法への転換という点につきましては、昨年から検討を進めてきたところでございますけれども、本年二月化学工業部会の答申において、水銀電解法から隔膜法へ転換すべきであるという御答申をいただきまして、それに基づいて業界を指導しているところでございます。
#79
○中川(利)委員 そんなことはわかっていますよ。いつ文書で指導をしたのか。何月何日にこの会社について、いつどういう手続で指導したのか、このことを聞いているのです。
#80
○松村説明員 お答えいたします。
 いま申し上げました化学工業部会の答申をいただきまして、それによりましてソーダ工業会、これには関係の企業が入っているわけでございますけれども、ソーダ工業会に対してそういう指導をした、こういうことでございます。
#81
○中川(利)委員 私が聞いたのは、いつ指導したかということです。文書だか電話だか何だか、これをはっきりしてください。
 それからもう一つは、ソーダ工業会という業者の団体、全体のところにどういう指導をしたか知りませんが、これに何か言ったら、それがどうして三井東圧に対してそういう指導をしているということになるのですか。間接的にそういうつながりになっておるからそうだという言い方ですか。それでどうして効果的な転換ができるのですか。これに対する見解をお伺いします。
#82
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 通産省といたしましては、ただいま御説明申し上げましたように、水銀を使わない方向に苛性ソーダ工業を指導するために、昨年の秋以来鋭意指導してまいりましたが、特に本年の四月に入りまして、各会社に対しまして水銀法を使わない方向に、すなわち隔膜法に製法を切りかえる計画を具体的に出すように、特に本年の四月の上旬に関係各社に対して要請いたした次第でございます。
#83
○中川(利)委員 だから、私が聞いているのは、それは文書で出したのですか、電話で出したのですか、口頭で出したのですか、これをはっきりしてください。
 それからもう一つ。工場長は、清水さんという工場長ですが、いまのところは切りかえする計画はない、これは遠い先の話だ、こうおっしゃっておる。これはどういうことですか。二つについてお答えいただきたいと思います。
#84
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 ただいま御説明申し上げましたように、本年の四月十一日に化学工業局長名をもちまして、ソーダ工業会の各社に対しまして、「ソーダ工業におけるクローズドシステム化の推進について」、このクローズドシステム化の推進ということが水銀を使わない、すなわち隔膜法への転換でございますが、こういった製法を導入するように、各社に対しまして、おまえのところはどういった計画を持っておるか、そういった計画を出すようにというふうに要請した次第でございます。現在その各計画に対しまして回答を集計する段階でございます。
#85
○中川(利)委員 あなた方課長さんにいろいろ言ってもしようがないけれども、漁民には魚はとるな、売るな、食うなと一方的に被害を押しつけて、工場はきょうも水銀を使ってやっているんだ。もうけているんですよ。そうすると、大企業はもうけほうだい、片方の漁民はそういう悲惨な状態。
 きのう、おたくのあなただかだれだか忘れましたけれども、この際強力な指導をしたいというような言い方をしているわけだが、いまのような話を聞きますと、強力な指導じゃない。ただそういうふうに、おまえのところにそういう計画があるかどうか、計画書を出してくださいと言う。こんなことだったら、通産省じゃなくても、だれでもできるのですよ。通産省の強力な指導というものはそういうものですか、ちょっと教えてください。
#86
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 ソーダ工業の関係企業でこの水銀法でない隔膜法を持っておる企業は、残念ながら現在のところは全体のほぼ五%にすぎませんが、私どもはこれを強力に指導いたしまして、たとえばこういったものがもっと非常に高い比率で占めるようなことに持っていきたいと思いまして、いま申し上げましたように、現在回答を集計中でございますが、これをきわめて高い比率に持っていきたいということで、各社をいろいろ行政指導中でございます。
#87
○中川(利)委員 強力な指導の中身を聞けば、そういう手紙を出して、おまえのところはいつ計画を立てるのか、これが強力な指導の中身だと言う。この際、そうした漁民と会社の不公平というか、そういう問題もありますから、明らかに社会的な不公平ですから、操業停止してでもばっちりそれを隔膜法に切りかえる、当然その間の損害は会社が負担するという態度で臨まない限り、こうした第三水俣病のような問題はまだまだ拡大し、発生するということが予測されると思うのですけれども、これについては、あなたに聞いても歯がゆいくらいでこれは話にならないけれども、どうなんですか。
 それから、ついでだから聞いておきますけれども、この三井東圧の水銀の管理、いまの場合は別といたしまして、前々は、たとえば民間の業者に委託して取り扱わさせていた部分と、会社の工場内になまのまま埋め立てた部分と二つある。これについて実態を、たとえばそういう民間に受け渡したのは何トンで、その仕訳帳が現にあなたの手に入っているかどうか、そういうことを含めて、もしおわかりだったら、わかっている範囲内でお知らせいただきたいと思います。
#88
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の水銀の管理問題につきましては、きわめて大切な問題でございますので、私どもといたしましても、特に今回の第三水俣病問題が発生して以来、大牟田工場につきましては、福岡通産局の担当官を差し向けまして、そういった実態につきまして把握するようにしておりまして、現在その実態把握の作業中でございます。こういったことは早急に把握しなければいかぬと思いまして、現在その作業を鋭意進行中という実情でございます。
#89
○中川(利)委員 では、その点について要望をいたしておきますが、特に民間の業者に委託した水銀の量と、民間の業者がそれをどこへどうしたかという内容、それから、会社の工場内に埋め立てた部分が相当あるわけですから、それの保全の状況、こういうものの資料をひとつ提出していただきたいと思います。よろしいですね。
 それでは次の問題に入りますが、けさほどの同僚議員の質問に対して、いよいよあす内閣の中で対策推進会議ですか、それに農林省も臨む、このことについて水産庁長官から、積極的に前向きに問題を提起してまいりたい、こういうふうなお話がありましたし、きのう農林大臣から、漁民の立場に立っていろいろやっていきたい、こういうお話があったわけであります。
 そこで、この重大な政府の対策会議に臨むにあたりまして、単に前向きの姿勢で臨むとか言ったって、その政府の会議に対して具体的にこちらが対案として持ち込むものは一体何なのか、これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#90
○荒勝政府委員 私のほういたしましては、まず、魚類に対する被害の状況を各省協力して直ちに調査いたしたいことが一つ。さらに、水俣湾、有明海周辺の漁業者が非常に重大な悪影響を受けておりますので、この問題の対策について私のほうとしては全力をあげて取り組みたい、こういうふうに考えております。
#91
○中川(利)委員 そうすると、対案として持ち込むのはその二つですか。その内部の具体的なことはそれぞれちゃんと項目が出ていますか、それをちょっとお伺いします。
#92
○荒勝政府委員 最近ずっといろいろと部内的に検討してきておったのでございますが、あすの対策会議に持ち出す議題といたしまして、まだ十分な最終的な整理に至っておりませんので、いま総括的なことを申し上げましたが、そのほか、水俣湾周辺並びに有明海を含む漁業の今後の振興対策も含めて、私のほうといたしましては議題といたしたいと思っております。
#93
○中川(利)委員 おかしいじゃありませんか。あすのそのような重大な会議に臨むにあたりまして、大綱しかない。私は、おそらく細部にわたって綿密な提案が皆さんのほうで準備されているものというふうに理解しておりましたが、いまお話を聞きますと、あすを控えていながら、ほとんど何もない。つまり項目の項目しか持っていないということは、きめのこまかい対策だとかいろいろあなた方おっしゃいますけれども、何もきめがこまかくなくて、荒過ぎるといいますか、われわれが見てもおかしいと思うようなことで、納得できかねるわけです。
 そこで、一つお伺いしますと、あなた方独自で水産庁がいろいろ調べるんだ、二つ言いましたが、前段そういうことを言いましたね。きのう農林大臣は、農林省としては全国を対象にして独自に調べるだけの力もないんだ、そういう体制がないんだということをおっしゃっているんですよ。そうすると、あなたが独自で調べるというその前段だけでお伺いしましても、独自で調べるだけの体制、組織、人員、予算というものは、どれだけ用意して、どういうぐあいになっていますか。
#94
○荒勝政府委員 あした環境庁を中心といたします各省の合同の会議がございますので、私のほうといたしましては、こういう調査を早急に進めるよう、各省の協力を得るように意見を出したいという趣旨でございまして、その辺はひとつそういうふうに御理解願いたい。
 こういう第三水俣病が発生してもう一月以上にもなりますけれども、まだ十分な調査の着手もできないことについても、われわれといたしましては相当残念に思っておりますので、そういう意味で、水俣湾の、水産庁として分担しなければならない事項について調査を早急に進めてもらいたいということをあしたの議題にしたいということでございます。
#95
○中川(利)委員 私、聞いたのは、たとえば独自の調査をするとあなたおっしゃったけれども、きのう大臣はそういう体制がないということを言っているから、あなた方の独自の調査はあしたきまるのですか。一応あなたのほうで原案をお持ちでなければならないでしょう。そうすると、私が聞きたいのは、そうおっしゃる以上は、それの組織、体制、人員、予算というものに対する原案なり腹案をお持ちにならなければ、あなたは政府の責任者としてああいう発言はできないはずですよ。いずれあすの環境庁の主催する会議に行ってからきめるなんということでは、これでは主体性のないことおびただしい。漁民の立場で前向きにという答えしか出てこないこともわかりますけれども、そういうあり方自体が問題じゃないかというふうに私は思うわけですね。だから、そのことについてどう思うかということと、いま一つは、時間もありませんから申し上げますけれども、たとえば漁民の要求として熊木県の漁連だけでもいろいろあげているわけです。いまあなたがおっしゃったような、そういう徹底した汚染調査及び浄化の実施だとか、水俣湾の締め切りだとか、安全基準の問題だとか、企業の損失補償までのつなぎ資金だとか、魚介類の価格暴落に対する補償だとか、あるいは許可漁業、漁船建造ワクの緩和だとか、漁獲禁止による補償の特別立法だとか、たくさん出ているわけですね。これらのおもなものについてはすでに論議されたわけでありますから繰り返しませんけれども、たとえばこれからあの漁民の方々の立場に立つならば、許可漁業のワクを拡大してもっと遠方に行ってとれる、あるいは漁船建造ワクを緩和してあげる、こういうことも含まれているのか、あるいは漁獲禁止による補償の特別立法、こういうことも含まれているのか、その点を、これは権限は農林大臣でしょうから、農林大臣からお伺いしたいと思います。
#96
○荒勝政府委員 ただいま御指摘になりました熊本の地元の方々から出ております要望につきましては、ただいま内部ではそれぞれしさいに検討さしていただいておる次第でございますが、具体的に県と相談いたしまして最終的にはきめたいと思っております。
 漁業の許可のワクの拡大あるいは遠洋へ、あるいは沖合いへ出かけていく船の建造の問題ということにつきましては、原則といたしましては、先般沢田知事がお見えになりました際にも、私のほうといたしましては、この問題については善処さしていただきますから、早急に漁業者の方の希望を出していただきたいというふうに申し添えてあるわけでございます。
 なお、最後に御指摘になりました漁業の禁止の問題の立法化の問題につきましては、先般当委員会でも非常に強い御指摘がございましたが、これにつきましては、非常にまだ問題が多過ぎますので、これにつきましては内部で非常に検討はさしておりますけれども、直ちにこの問題についていまここで今後の見通しについて発言することは差し控えさしていただきたい、こういうように思っております。
#97
○中川(利)委員 漁民の立場に立った施策を前向きに積極的に云々ということばをおっしゃっていながら、話を聞きますと、さほどでもないわけですね。いろいろ内部で論議されているという程度になっているわけでありますが、この際ぜひともひとつ、たとえば特別立法の問題にいたしましてもきのう来いろいろ言われてきたことのほかに、そうした許可漁業のワクを拡大することやら、船の建造ワクを拡大することやら、そういうものを含めてやっていただきたいと思います。
 特に、私、補償の問題ですけれども、原因者負担云々ということをおっしゃっていますね。いまのような通産省の態度あるいは政府の態度、姿勢、こういうことから見ますと、なかなか原因者というのはつかまらない、こういう公算も強いわけでありますし、さらに皆さん方は先般来複合汚染だというようなことを盛んにおっしゃっているわけですね。四日市でこの問題に対する解明がなされているにもかかわらず、そういうことをおっしゃっているわけでありますけれども、しからば、この原因者がはっきりするまで国がさしあたり立てかえて補償金を払ってくれるのかどうかという問題、このことはもう緊急の一致した皆さん方の要求になっているわけでありますので、国の予備費なんかを見ますと、膨大な何千億円という予備費があるわけでありますが、そういうところからもひとつ敢然と、国の責任をある程度認めた中でそういうことをおやりになる御意思がないのかどうか、これをひとつはっきり答弁していただきたいと思います。
#98
○荒勝政府委員 漁民の生業補償の問題につきましては、私のほうといたしましても非常にたいへんな問題だということは十分に心得ている次第でございます。
 つきましては、私のほうといたしまして、先般答弁さしていただいておりますように、さしあたりの問題としては、農林漁業金融公庫の五分資金でさしあたり現在の制度を直ちに利用していただくという線で、まず第一義的にそれを緊急の対策といたしたいと思いますが、さらに今後つなぎの問題といたしまして、漁業者の問題としていかなる形でこの問題を推進していくということについては、現在非常に苦慮しながら検討している最中でございます。
#99
○中川(利)委員 さしあたり公庫資金というのは、つなぎ融資の問題ですけれども、五十万円限度ですから、これなんか焼け石に水ですよ。特に漁民の場合は生産基盤の海そのものがもうそういう役割りをなさなくなったということでありますから、ここで問題なのは、融資よりも補償の問題です。どうしてくれるか、どうして生きていったらいいのか、この際、先のめどがつかないという状況であります。そうすると、あなたは、たとえばそういうつなぎ資金ではなくて、補償の問題について、原因者がいまのところはっきりしないとおっしゃる以上、いまどう生きていくかという問題がある漁民の皆さんに、つなぎ融資はもちろんでありますが、そうした補償要求が出た場合は、国が立てかえて払う。それこそ前向きな積極的な指導だというふうに私は考えるわけでありますが、あしたの会議でそういう問題も含めて出すのかどうか、これをお伺いすると同時に、いままでのずっと御答弁を聞きながら、非常に国のあと追い財政といいますか、しかも今回のこのような事態になってもなおかつうしろへ引っ込んでいる、第一線に出たがらない、そういう姿勢についてはなはだ不満の意を表明したいと思いますが、先ほど来いろいろなわが党の対策を、漁民の要求を含めて、いろいろ申し上げてきたわけであります。それらの問題について一括して農林大臣からお答えいただければありがたいと思います。
#100
○櫻内国務大臣 ただいまの御質問の中では、現に被害を受けておる漁民に対しての緊急な補償ということが一番焦点のように思いました。実は私どもがこういう立場で申し上げるのは、常に皆さんにはもの足りない面があるのですが、どうしてもの足りない面があるかという点も少しお考えをいただきたいと思うのです。その補償という場合に、被害が幾らということが現に継続中である、幾らの被害で幾ら補償するのだ、そういうことが現にできかねるのですね。だから、いま困っておられるならば、そこで生業資金をとりあえずつないで見ていきましょう。補償はしないという立場じゃないのです。原因者負担の原則であくまでもそれを追及することがいい、その姿勢も申し上げておるのですから、だから、こういう点は実際私どもも言いにくいのですけれども、せっかくの御質問のことでもありまするから、申し上げておかなければいいかげんなことになりまするから、これは御理解をいただきたいと思うのであります。
 それと、あすは初会合のことでございまして、環境庁のほうからも各省に対して、こういう点をひとつ検討してきてもらいたいというような一応の内示もございます。また農林省のほうとしては、私どもが漁業者の立場に立っていろいろと意見を述べたい、そういうことは水産庁の中で検討いたし、いま意見を取りまとめつつあるわけでございますが、ただいまいろいろと御質問をちょうだいしましたその御趣旨については、これはもう私どもとしてはそういう方針で臨むということには間違いないことを申し上げておきます。
#101
○中川(利)委員 いろいろ申し上げたいことがありますが、時間が来ましたので、あとは関連質問の庄司議員に譲ります。
 終わります。
#102
○佐々木委員長 関連して、庄司幸助君。
#103
○庄司委員 ただいまの水銀の問題に関連してひとつ伺いたいのですが、これは六月九日の山形県議会で発表された数字でありますが、山形県の港湾課が昨年の末に酒田港水域三十地点で実施したヘドロの分析調査の結果があります。これによりますと、総水銀が百八十七PPMですよ。それからカドミウムが九・五、鉛が七一五〇、砒素が三二、シアンが二・〇、アルキル水銀が〇・〇六、クロムが一・五二〇、どういう驚くべき水銀その他、重金属類が分析されておるわけですが、この数値というのは、おそらく私は有明海や水俣湾、こういうものに次ぐものすごい数値だろうと思うのですよ。これは水銀の点だけでいっていますが、鉛なんかどうですか、七一五〇。これは要観察地帯になっている、たとえば宮城県の鴬沢、三菱鉱山、ここの河川の川どろ、これを十倍くらいこしているような鉛が出されておる。それから砒素がこのとおりですよ。この汚染源は、同県の調査によりますと、鉄興社の酒田工場、それから日新電化の酒田工場、これが原因だ。先ほど中川委員から、山口県や岡山県の七工場の水銀流出が七トンでたいへんなものだと言われましたが、鉄興社の水銀未回収量が二十一・三トン、こういわれている。しかも酒田港の魚を県の衛生部で調べてみたら、三検体のうち二検体が暫定基準を上回っている。こういう状況から見て、酒田港水域の魚介類はかなり汚染されていると見なければならない、こういう発表が出ておるわけです。
 それからもう一つは、私はこれは通産にもお伺いしたいのですが、環境庁も同時にお伺いしたいのですが、福島のいわきの呉羽化学、これはもう名前が出ている工場でありますが、この呉羽化学が一体どれくらい水銀をたれ流したのか、こういう点については、私まだ寡聞にして聞いておりませんが、あのいわきの沖合いでも骨曲がりの魚が相当とれたり、油汚染もありますけれども、相当の漁民の苦情が絶え間ないわけですね。その上に水銀でもって魚が食えない、売れない、こうなったら、ほんとうに新産都市のおかげで漁民は追い出されてしまった、完全にシャットアウト、こういうことになると思うのです。その点、酒田港の大浜運河の調査、これは通産と環境庁知っているのかどうなのか、それから調査をしたのかどうか、この点をまず伺いたいと思うのです。
#104
○岡安政府委員 いまお話しの酒田港でございますが、私どももかつて調査をいたしまして、先生おっしゃるとおり、鉛、水銀等による汚染がある、特に鉛につきましては、相当高濃度の汚染があるというととは承知いたしております。いわき市の地先でございますが、これも汚染があるということも私ども聞き及んでおります。
 そこで、今回、有明海、八代海のみならず、全国につきまして、特に御指摘の酒田港なりいわき市地先を含めまして、私どもは総点検をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#105
○庄司委員 通産、どうですか。
#106
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の三工場、いずれも水銀をかつて使っておりましたし、現在も使用しております。したがいまして、通産省といたしましては、この三工場を含めまして関係工場、アセトアルデヒド関係につきましては七社八工場、苛性ソーダ関係につきましては三十六社四十九工場等々、あるいはこういったものを対象といたしまして、現在現地調査を実施しておりまして、御指摘の点につきまして鋭意実態把握中でございます。
#107
○庄司委員 これはわが国の沿岸漁業にとって非常に重要な問題ですから、先ほど来、南のほうがおもに論議されておりますが、北の方でもこういう事態が進んでいるという点ですね。この点で農林省として、有明海や水俣、この点では騒ぎが大きくなっておりますから相当注目もしているだろうと思いますが、こういった北のほうにまで汚染が進んでいる、こういう実態を把握しておられますか。これは水産庁長官でもいいのですが。
#108
○荒勝政府委員 今回の水銀事件を契機といたしまして、水銀の排水が海に与える汚染の状況が非常に深刻なものであるということにかんがみまして、先ほど来の御質問にもありますように、環境庁を中心といたしまして、水銀を使っておった工場の所在地につきましては、全国的な調査を一緒にやりまして、至急この汚染の実態を究明いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#109
○庄司委員 それでは、もう少し具体的に伺いますが、水産庁として、酒田港かいわいの魚、それからいわきの魚、これについての水銀の分析ですね、これをなさいましたか。
#110
○荒勝政府委員 私の記憶しているところでは、ただいままでは分析いたしておりません。
#111
○庄司委員 だから、私は申し上げたいのですが、先ほど来、中川委員があと追いだ、あと追いだ、こうおっしゃっておりますが、その点確かに、どうも農林サイドというのはいつでも事、公害問題になるとあと追いだ。漁民が騒いだりあるいは環境庁の発表があったりすると、初めておみこしをあげる傾向が依然としてあると思うのですが、やはりあと追いのこの姿勢を改めてもらわないと、漁民も農民もこれは浮かばれないんじゃないかと私は思うのです。あとでもっと具体的な例は別な項目で申し上げますけれども。この点で私は、農林省の公害に対する姿勢、公害を農林省が積極的に摘発していってこの対策をとっていく、この姿勢に欠ける点があるんじゃないかと思うのです。公害問題を環境庁にまかせてあるとまでは言わなくとも、環境庁の問題である、それから取り締まりは通産省の問題であるとか、やはり農林内部から摘発の声を積極的に起こして、農民なり漁民なりの立場に立って、日本の農業それから漁業を発展させる積極的な姿勢が私はきわめて欠けているのじゃないかと思うのです。この間、機構改革がありまして、若干水産庁の中にも公害関連の部門もできたようでありますが、しかし、予算の面からいえばきわめて少ない。まさに二階から目薬の程度しかないのですね。こういった姿勢が反映して、各都道府県の農林水産の部門でも、依然としてこういう積極的な姿勢が見られない。これが私は、日本の公害の農林漁業に対する被害を大きくしている一つの原因じゃないかと思うのです。だから、農林省がその点でもっと積極的な公害に対する姿勢、先取りして摘発して未然に防いでいく、この姿勢をいまこそ私は確立すべきだと思うのです。同時に、それに対する予算もやはり計上しなくてはならない。その点で私は、農林大臣の御決意のほどをひとつ伺っておきたいと思うのです。
#112
○櫻内国務大臣 ただいまいろいろ御意見をまじえての御質問は、私としても特別に異論はございません。この精密調査につきましては、御指摘のように、主として関東、九州方面が多いのでありますが、その前提になりました昭和四十七年度の魚介類のPCBによる汚染実態調査につきましては、後ほどまた資料で差しあげてもいいのでありますが、東北、北海道も相当地点この対象になっておるのであります。その中から、特に汚染の度合いが強いと認められる地域をさらに精密調査を本年に入ってやった、こういうことでございます。
 そこで、現在農林省プロパーの環境保全としてはどの程度か、こう申し上げますと、四十七年度に二億二千八百六十一万のものが四十八年度におきましては四億六千六十九万余になっておりまして、その中に漁業公害調査委託費あるいは漁業公害対策費、赤潮防止対策費、水産資源保護対策費その他研究費というように予算を計上いたしておりまして、この中で先ほど申し上げた汚染実態調査もやっておるというのが実情でございまして、ただいまの御質問のとおりに私どもとしても、漁業者に被害が及ぶという問題、また国民に対して安全な食料を供給するという二つの大きな立場からいたしますれば、環境庁は環境庁、農林省は農林省としてもっと対策を拡充していく必要性は私も痛感をしておるところであります。
#113
○庄司委員 若干くどいようでありますが、私は、農林省というのはやはり他の省庁との関係からいえば、公害との関係では被害者の立場なんですね。若干の例では加害者の場合もあります、水産加工団地のような事例は。しかし、総体的には被害者の立場なんです。これは農林省が第一の被害者である農民や漁民の立場に立って、やはり他の関係省庁に対して相当強い発言権を持たないと、私は日本の農業、漁業を守れないだろうと思うのです。それが、いまの大臣の御答弁を聞きますと、昨年は、水産庁の公害対策費が二億二千万ほどで、ことしは四億六千万程度だ。大体水質測定をやるにしたって、あるいはBODの測定をやるにしたって、あるいは自動測定機を張りめぐらしてテレメーターでつなぐにしたって、一台二千万ぐらいかかるのが楽にあるでしょう。それぐらいの予算でいま公害対策をやっているなどとは私はやはり言えないだろうと思うのですよ。私はそういう点でも農林大臣の御認識がきわめて立ちおくれているのじゃないかと思うのですよ。その辺で、四十八年度予算はもう通過しましたから、四十九年度で本気になってこの公害対策、農民、漁民の立場に立って告発し、これを未然に防いでいくというような積極的な予算、これをつけられる決意がおありかどうか、もう一ぺん農林大臣からお答え願いたいと思うのです。
#114
○櫻内国務大臣 その点は先ほどの御答弁の最後のところではっきり申し上げておるのでありまして、農林省の立場で考えなければならぬことについては当然もっと積極的にやりたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
#115
○庄司委員 それでは、本論に入らしてもらいますが、私はきょう伺いたかったのは、そういった問題もからめて、日本の漁業における沿岸漁業の発展策についてであります。
 今年度の漁業白書を拝見しましたら、日本の動物性たん白供給に占める水産資源の比重が五二・四%と、きわめて重要な位置づけを持っております。しかるに、同じ白書によりますと、この十年間に増加した供給量三百万トン、このうちスケソウダラとサバなどが過半数を占めているというのですね。そうしてもっぱら沿岸漁業による中高級魚介類等の生産はむしろ減少ないし横ばいの傾向にある、停滞の傾向にある、こういうふうに白書は述べております。これと関連して私は重要だと思うのは、一方でFAOが、昭和七十五年に必要な漁獲量が一億八千万トンになる、つまり昭和四十年度は六千万トンですから、三倍必要だこういっているわけです。それから水産庁も、これは短期の見通しでございますが、昭和四十三年度八百六十万トンに対して五十四年には一千万トン必要になるだろう、こういう推測をなさっていますね。そのうち増養殖漁業による水揚げ高は四十二年の四十九万トン、約五十万トンの二倍の百万トンを見込んでいる。その点で私は、沿岸漁業をもっともっと伸ばさなくちゃならない、この認識は農林省もまさか違うとはおっしゃらないだろうと思うのです。遠洋漁業の現状はきわめて悲観的な国際的環境がありますからね。それから見ても、この沿岸漁業の重要性、これがますます増してきていると思うのです。この沿岸漁業の重要性、それから将来への発展策の重要性ですね、これについて農林大臣はどのような御所信をお持ちなのか。これは長官でなくて、私は大臣から伺いたいと思うのです。
#116
○櫻内国務大臣 沿岸漁業の重要性、またそれを振興するということにつきましては、これは言うまでもないことであります。しかるに、現在の日本列島全般の状況は、臨海地帯の工業化、都市化、船舶交通のふくそう化、さらには若年労働力の不足など、各種の悪条件が山積をしておるわけであります。その中で沿岸漁業を振興いたしていこう、こういうことでございまするので、そこで、現在農林省としては、何といっても漁業の生産基盤の整備の必要があるということで、今回新漁港計画をお願いするとか、あるいは瀬戸内海で一応の成功を見ております栽培漁業方式というものを広く日本海からその他の地域にも及ぼしていきたいとか、さらには、御承知の沿岸漁業の構造改善事業を第一次計画、第二次計画と推進してまいったのでございまするが、これらをもっと積極的にやってまいりたい。さらには農林漁業金融公庫資金や漁業近代化資金等の拡充につとめようとかいうような、いろいろ考えておるわけでございますが、特にきょうの御質問の御趣旨から、今後に力を入れるべきものは何か、それは何といっても、やはり公害対策であろうと思うのであります。この公害によって汚染をされているようなこういう実情に対しまして、農林省または水産庁としてもっと根をおろした姿勢をとっていく必要がある。これらの施策をあわせて沿岸漁業の振興につとめたい、こういう次第でございます。
#117
○庄司委員 私も公害対策がきわめて重要な一つの柱である、これは大臣と意見は一致いたしますが、それだけではないだろうと思うのですね。公害対策だけではないと思うのですよ。漁港の問題はさっき大臣お話しになりましたが、それで沿岸漁業の状況を見ますと、日本の漁獲高が、四十六年度の数字ですが、遠洋を含めて九百七十六万トンですね。このうち沿岸漁業面では二百五十四万トンなんです。これは漁業白書の数字でありますが、ところが、昭和三十六年の沿岸漁業の生産高が二百二十五万トンなんですよ。昭和四十六年になって十年かかっても二百五十四万トン、ほとんど横ばいですね。なお参考までに昭和十年の数字を申し上げますと、二百二十七万トン沿岸漁業があったのですね。だから、言うならば、昭和十年以来ほとんど伸びていない、この問題があるわけです。そういう横ばいないし停滞の傾向の中に公害問題が発生しておる。だから、私はこういう位置づけをやらなくちゃならないと思うのですよ。だから、公害問題はマイナス要因にさらになっていく、ネガティブの面です。ところが、これを高める面の施策についてどうなんだということになると、私は水産庁の予算がきわめて少ないと思うのですよ。
 これは御参考までに申し上げますが、昭和四十年度農林省予算が四千四十九億円、この時代に二百四十七億円、大体六・一%を占めていたのです。途中の経過を省きますが、四十八年度農林省の予算が一兆五千三百四十五億円。そのうち水産庁の予算は八百五十三億円で、五・五五%にパーセンテージが下がっているのです。農林省関係予算が、昭和四十年に対比すると三・八倍に伸びているにもかかわらず、水産庁関係の予算が三・四倍しかふえていない。しかも日本の農林水産の生産高約六兆三千五百億円、このうち漁業生産高は一兆八百九十四億円、一七・一六%を占めております。農業はもちろん非常に重要だと私は思うのです。林業も重要です。しかし、水産業がこういう生産高をあげながら、水産庁予算がいつでも五%や六%、しかも六%から五・五五%に下がっておる。ひどいときには四%ぐらいに下がりましたが、幾らかずつ上がってきております。
 だから、その点、私はいままでの沿岸漁業の生産というのは、漁民のほんとうに並みたいていでない苦労、努力のもとにやられてきた。これに対して国はほんとに二階から目薬程度しか援助していなかった。これはあとで第二次構造改善事業の問題点に触れますけれども、一体こういう予算規模で、水産庁長官、日本の沿岸漁業のFAOの推測あるいは水産庁の見通し、しかも公害と戦いながら、埋め立てと戦いながら、それで日本の沿岸漁業、特に増養殖事業、これを日本の食料自給に間に合うように伸ばしていく自信がおありですか。これをひとつお伺いしたいと思うのです。
#118
○荒勝政府委員 ただいま、まず水産庁予算が農林省予算に占める比率の度合いに関連いたしまして、水産庁の水産振興に対する姿勢が非常に弱いという御指摘でございますが、私たちといたしまして、やはり水産振興ということにつきましては、予算につきましては年々非常な努力をいたして、最近逐次回復というか比率はよくなってきているというふうに理解している次第でございます。
 四十六年の比率が非常に高いようでございますが、これは特殊な、日韓の国交回復に伴いまして、拿捕漁船員等に対しまして特別の助成金を出したというようなことで、当時の比率が非常に高かったというふうに御理解願いたいと思います。
 またFAO並びに日本の水産たん白資源の将来の問題にからみまして、私たちといたしましては、この四十七年におきましての実績が先般発表になりまして、一千七万トン前後というふうに若干前年度を上回ったのでございますが、しかしながら、御存じのように、やはり増大したものは遠洋漁業によって獲得されました漁獲物が中心でございまして、沿岸漁業によります漁獲量の増大というものはあまりはかばかしい数字ではなかった次第でございます。
 これは私たちの正直な見方でございますが、沿岸漁業の大体の漁獲量というものは、おおむね現在の時点におきまして満限といいますか、もう大体上限すれすれまできておるというふうに理解いたしまして、漁港の整備とか漁船の建造とか、そういった安全性の問題にからみまして大いに振興はいたしておりますが、沿岸の漁獲規制ということにつきましては、漁獲資源の保存、保護育成ということもありまして、あまり漁獲努力が強くなることにつきましては、漁業法を通じまして県で相当漁獲規制といいますか、漁獲努力が上回らないように、資源保存でむしろ押えぎみできているというふうに御理解願いたいと思います。
 ただ、やはり国民経済の消費といいますか、需要の増大に伴いまして、ある種の、たとえばカタクチイワシというふうな系統のあるいはコウナゴといったふうな漁獲物につきましては、とれましてもなかなか消費の増進が期待できないということもありますので、やはり需要の強い中高級魚で、魚族といいますか、漁業の種類の転換をはかっていきたい、あるいはそういったものを育成していきたいというふうなことから、先ほど大臣が申し上げましたように、栽培漁業なりあるいは今度の構造改善事業なりということによりまして、きれいな海を求めまして、そこでそういった国民の需要の強い中高級魚、また海外ではなかなか得られない魚を今後大いに伸ばしていきたい、こういうように思っております。
 ただ、これも先ほど大臣が申し上げましたように、公害問題と当然うらはらの問題でございまして、沿岸振興だけを言いましても、公害で海洋が汚染されましたのではわれわれの努力もあるいは漁民の苦労もどうにもなりませんので、そういった点を踏まえまして、今後一そう振興してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#119
○庄司委員 大臣に伺います。大臣、いま予算を私、申し上げましたが、これで日本の沿岸漁業、これは特に増養殖漁業を含めて所期の目的が達成されると思いますか。五・五%ですね、人件費も含めて約八百億円。そして農業構造改善事業だと――何も私は農業をやっかむわけじゃないですよ、断わっておきますが、これはもっと発展させようとしておるわけです。これだと、大規模圃場整備をやると、一カ所だけでも五十億円ぐらいかかっているところはざらにあります。ところが、第二次漁業構造改善事業だと大体十一年間、実施期間九年ですから、調査期間を含めて十一年間かかって八百億円そこそこの予算でしょう。そのうち国費の補助は四百億円。一年当たりに直しますと、四十億円ですよ。だから、第二次漁業構造改善事業の国費の補助というのは、いわゆる農業の圃場整備の一カ所分にも足らない、こういう情けない状況なんですよ。これで日本の沿岸漁業をさらに発展させて、国際的な遠洋漁業のいろいろな規制とかきびしい状況があるわけですから、ますます沿岸漁業、特に増養殖漁業、これに転換していく必要があるにもかかわらず、こういった予算で日本の沿岸漁業を発展させられますか、大臣。この点ひとつお答え願いたいと思うのです。
#120
○櫻内国務大臣 予算の点については御指摘のとおりでございます。また私としても沿岸漁業振興の上に、この構造改善事業のみならず、その他の各種の施策の上におきまして予算の用意を十分すべきである、こういう前提はございます。しかし、ただいま水産庁の長官からお話しのように、沿岸漁業が現実にどの範囲のものであるか、これはいまここの時点でいろいろ考えるよりも、過去の実績をずっと振り返ってみるのがいいんではないか。庄司委員からも御指摘をちょうだいいたしましたように、不十分ながらも第一次構造改善事業、第二次構造改善事業というように進んでくる。それからまた漁港の整備もする。その間にありまして沿岸漁業の伸びというものはほとんどない、横ばいの状況である。これは沿岸漁業から沖合いへというようなあらわれがここに出ておるのではないか。沿岸漁業の振興につとめたいと思うが、やはり労働力の関係もございましょう。また従来の日本の全体の産業の中における漁業というようなものから考えていく場合に、こういうような、庄司委員が御指摘のような横ばい的な様相というものがここに出てきておると思うのですね。したがって、これを正直に申し上げれば、生産の拡大のできる地域というものはある程度限界がきているのではないか。構造改善事業の中におきましても百何地域ぐらいを今後の対象というふうに考えておるわけでございますので、これはいわば日本の漁業の当面した実態ではないか。したがって、私ども農林省の立場、水産庁の立場から、いまのような事態を一応頭に置きながら、そういう各種の悪条件の中にありながらも、先ほど申し上げた公害問題ももちろんありますから、その中にありながらどうやってこれからの沿岸漁業を振興するかというところに問題点がある、かように存ずるわけでございまして、ただいま予算面からの御指摘についてはまさにそのとおりになっておるのでございまして、この点はそのとおりと申し上げるよりほかにいたし方がないと思います。
#121
○荒勝政府委員 ただいま構造改善事業につきまして、農業に比べると非常に比率が悪いというような御指摘がございましたが、水産庁といたしまして検討いたしましたところ、経営者数でいきますと漁業は二十一万戸でございまして、農業に対しまして約四%くらいの経営戸数の比率、それから就業人口が三十七万人でございまして、農業の七百五十万人に対しまして約四%強、五%弱ということでございますが、構造改善事業のほうで取り上げますと、国費で比べますと農業は三千三百七十五億、それに対しまして水産は四百億という全体計画でございまして、これは一二%弱ということで、農業とのバランスというふうな観点あるいは生産金額で比較いたしましても、沿岸漁業が四千二百三十五億に対しまして、農業の生産額は四兆三千二百九十五億ということで、これは約九%ということになっておりまして、全体のバランスからいたしますと、構造改善事業の占める比率が約一二%弱あるということは、一応均衡のとれたものと思っておりますが、私たちといたしましては、なおこの構造改善につきましては全力をあげてまいりたい、こういうふうに考えております。
#122
○庄司委員 それでは飼いますが、先ほど来荒勝長官も農林大臣も沿岸漁業限界説、これをしきりに述べておられます。これ以上伸ばすのは困難なんだ、こういうあきらめがあるのでは私は伸びないだろうと思うのです。限界説を打ち破るもう一つの率例を申し上げますが、それなら、沿岸漁業の埋め立てによる漁場喪失はどれぐらいだ。これはわが党の中川委員が資料要求してもらったおたくの調べでも、昭和三十六年から四十四年まで、この閥に四万七千九百五十七ヘクタール埋め立てられておりますよ。だから、これは四百七十九平方キロです。ところが、これは杉田さんという方の論文を見ますと、干拓による漁場喪失が二百五十平方キロ、それから工業用地造成の海面埋め立てで三百五十平方キロ、合計六百平方キロ失われている。現在の浅海増養殖面積は五百平方キロメートルである。大体現在の養殖面積以上の分が埋め立てられている。この事実をもっていながら、限界説をとるというのはおかしいのじゃないですか。技術的な限界説をあなた方は考えておられるのだろうと思いますが、そうじゃない。一方、漁民にとっての畑である海が、どんどんこうやって現在の養殖面積以上に埋め立てられている。このことについて水産庁が通産省あたりに何か文句の一言も言っておるのか、あるいは干拓の問題は農林省内部の問題ですが、この事実をどう見ますか。
#123
○荒勝政府委員 御存じのように、この埋め立てというものが非常に最近進行したことは、私たちも資料を提出いたしましたように、十分な資料ではございませんが、認めざるを得ないと思います。この埋め立て地の周辺にともすれば、遠浅の地区でございますので、魚の産卵場といった干がたが非常に多くありまして、この結果魚の増養殖に悪影響なしとしないというのが私たちの感じでございまして、その分を今後大いに増養殖事業によりましてさらに沿岸の魚類の維持増大をはかってまいりたいということでありまして、先ほども申し上げましたように、あきらめたというのではなくて、われわれとしましては、さらに振興をはかってまいりたいという点がわれわれに残された問題でございまして、それも特に高中級魚を対象にしてまいりたいということでございます。
 なお、限界といいますか、沿岸漁業の漁獲量がおおむね満ぱいといいますか、限界に近いということにつきましては、これは別の観点から、資源学者の立場から一つの研究部門をあげましてのいろいろ長い間検討した結果でございますが、この問題につきましてはそういうふうに御理解願いたいと思いますが、なお努力してまいりたいと思っております。
#124
○庄司委員 それでは、それの関連で私、具体的な事例で伺いますが、一つは岩手県の広田湾の埋め立てですね。これは水産庁長官当然お耳に入っているだろうと思うのですが、入っていないとすればこれはおかしな話で、こうやって三陸の、しかもいわゆるAクラスの漁場がまたもや埋め立てられようとしている。これは岩手県議会で大問題になり、また宮城県の漁民それから岩手県の漁民が相当猛烈な反対運動をやっている。しかも、この広田湾の漁協は、いまから五年前には五億円くらいしか生産高がなかったのを、去年やっと十億円台に乗せた、こういう努力を一生懸命しているのですよ。そして四十八年度には十五億円にしよう、こういうふうに漁民がなみなみならない努力をして沿岸増養殖漁業を伸ばしていこうというのに、この顔をぞうきんでさかなでするような埋め立てを片方で計画する。これに対して水産庁長官、何か関係方面に抗議なり、そういうことをしてもらっちゃ困るというような申し入れをやったことがありますか、どうです。
#125
○荒勝政府委員 私のほうの立場といたしまして、そういった大規模な埋め立て等が行なわれる場合につきまして、少なくとも現地の漁民の方々の納得のいくような形で円満に解決するようにということにつきまして、県を強く指導しておる次第でございまして、一方的に強行するような措置につきましてははなはだ好ましくない、常々そういう姿勢で対処している次第でございます。
#126
○庄司委員 いま御答弁ありましたが、あの現地の広田湾に五つの漁協がありますが、これは五月の初めですか、四月の末ごろですか、全漁協が絶対反対だと決議をしているのですよ。全漁協が絶対反対だ、納得も何もないですよ。これだけは埋めてもらってもいいとかなんとかじゃないのです。その点で水産庁として、漁協が五つも全員絶対反対だ、こう言っているものに対して、そうすると、どういう援助を与えていきますか。片方、県のほうではまだあきらめていないですよ。日本の沿岸漁業を振興させる立場、増養殖漁業をもっともっと振興させる立場にあられる水産庁長官は、その点、具体的には、岩手県なりに対してそれはやめたほうがいいとか、そういうことを何もおっしゃっていない。それからもう一つは、漁民はとにかく十億円から十五億円に伸ばそう、水産庁の方針に身銭を切って協力しているのですよ。それに対してあそこに、それでは水産庁でひとつ構造改善の線に乗せて国も援助しよう、ひとつやってみろ、こういう励ましのことばを与えたことはないだろうと私は思うのですよ。その辺、長官、あそこの現地に乗り込んでいって、そうやって漁民を励まし、県の水産課の姿勢の問題とかあるいは企画部の姿勢の問題とかそういう点について水産庁はこういう意見だと、この点あなたははっきり説得に行かれる御決意がおありかどうか、これを伺いたいと思います。
#127
○荒勝政府委員 現地の漁協の方が相当反対されておられるということも私たち存じておりまして、その結果と思いますが、いま私たちの耳に入っている話といたしましては、この埋め立ての問題については、事実上休戦という形で少し宙ぶらりんのような形になっておるわけでございます。
 そのほかの例でございますが、そういった埋め立てに伴いまして現地漁民の漁業の振興あるいは続けていきたいという御希望が非常にある場合におきましては、県と相談いたしまして、埋め立ては埋め立てで、また納得する形で補償をしていただくなりあるいはいろいろ対策を講ずるほか、水産庁のほうにこういった構造改善事業なり振興対策についていろいろ御相談もございまして、あるいは漁港の整備というようなことも含めまして、御相談がありますならば、十分に私たちといたしましては相談に乗って対処してきている次第でございます。
#128
○庄司委員 どうも長官の返事が煮え切らないのです。埋め立てを一部やって、まあ補償なり相談に乗りましょうとか、こういう姿勢では、とにかくさっき言ったとおり、六百平方キロも埋め立てられて、それが日本の沿岸漁業の阻害要因になっているということをお認めになっているわけですから、さらにまた埋め立てられようとしているこの問題について、しかも漁民は全部反対だ、それを補償で片づける仲立ちに立ちましょうなんというのは、そういうなまくらな態度では私はうまくないと思うのですよ。漁民は納得しませんよ。日本の沿岸漁業を発展させる、出かせぎをなくしていく、こういう立場で長官はもっと強い決意を持って現地の問題を解決していく。現地の漁民は全員反対なんですからね。これは明確なんです。漁民が反対するものを水産庁が、まあこの辺で補償をとってやるからひとつ眠れ、これでは私は水産の発展にならないと思うのですが、その辺どうですか。
#129
○荒勝政府委員 私が申し上げましたのは、やはり現地漁民の納得のいく形ですべて県としてもそういう工事等を進めてもらいたい。納得のいかないことは、私たちとしても困るということを十分申し上げまして、現地漁民と話し合いをなお続ける、常に続けるというように指導している次第でございます。
#130
○庄司委員 どうも煮え切らないですね。漁民は納得しないで反対しているのですよ。そして生産を十五億円、つまり五割をふやそう、こういっているのですよ。そういうときに、長官が納得するまで話し合いを続けるとか、これはおかしいと思うのですよ。これはひとつ長官があそこの漁業構造改善をやるなり、十五億円に伸ばすための努力をもっとやってもらいたい、これは強く要望しておきます。時間がありませんから、これはそれで打ち切ります。
 それからもう一つは、開口板の問題です。これは宮城県の金華山沖の漁民と金華山以南の漁民の、うっかりすると、ほんとうに血を見るような争いにまで発展しかねない問題です。県議会でも大問題なんです。今度の六月の県議会には、南のほうからは開口板をやらしてくれという線がある、北のほうからはやめてくれという線がある、両方が出て争われる。漁民の中にはデモ行進をやって県庁に押しかける。こういう問題にまで発展しているのです。私は南の漁民、北の漁民の気持ちは全部わかるのです。底びきで食えなくなった、これは南の漁民です。それから北の漁民はせっかく増養殖をやって、金も相当つぎ込んで苦労している、そういう目先をあの開口板でがらがら荒らされたんじゃ、ほんとうに資源の枯渇になる、こういう心配なんです。私はそういう点で、開口板の問題について水産庁の態度が、資源の保護になるのか、資源の枯渇になるのか、こういう結論をお出しになっていないような気がするのですよ。その辺やはり明確に、水産資源の保護の立場から見て、厳密に科学的に検討を加えた指針を出す必要があると思うのです。そして開口板がいけないとなるならば、それじゃ、南の漁船の持ち主に対してはどういう施策を講ずるのか。その辺の施策をお考えになっているかどうか、お伺いしたいのですよ。
 それからもう一点は、あの南部の漁民がそういう羽目に追い込まれるというのは仙台湾ですね。仙台湾が十条製紙であるとかあるいは大昭和パルプ、この排水、それから塩釜湾の汚染、石巻工業港の汚染、仙台新港の汚染、こういうものによって追い込まれてきておる。だから、仙台湾の漁場開発ですね。これは水産庁としてはお考えになっているのかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
#131
○荒勝政府委員 ただいま御指摘になりました開口板といいますか、板びきの件でございますが、これは試験操業として実験的みたいな形で操業を許可したようないきさつでございます。
 これがはたして漁業のためにプラスかマイナスかという御指摘でございますが、これにつきましては、私たちのほうもただいま十分な判断は持ち合わせておりません。試験操業の結果を待ちましてその辺の判定をいたすよう検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
 それから、宮城県の海洋汚染の実態でございますが、これにつきまして、きれいな海であった宮城県のあそこの地先が、逐次都市化の現象で、都市排水あるいは産業排水等の関係で水が汚染されているととは十分に認めておりまして、今後こういったいい漁場が汚染されないように、われわれといたしましては県に厳重に注意を喚起いたしますとともに、われわれも今後ここについてはしばしば点検を続けてまいりたい、こういうふうに思っております。
#132
○庄司委員 それなら、その関連で伺いますが、仙台湾の中の松島湾ですね、水産庁があの作澪事業をやりましたね。あれがまた中途はんぱなんです。もう二本くらいずっと延ばしていくという計画がおありだと思うのですが、これは最後まで徹底的におやりになるのかどうか。これは汚染源対策として大事だし、その辺、どうなんです。
#133
○荒勝政府委員 その問題につきましては、水産庁といたしましては、この事業を進めてまいりましたが、一応終わったという形になっておる次第でございます。
#134
○庄司委員 これは終わったじゃ困るのですよ、中途はんぱなんですからね。前の計画では、やはり一本おもな水路を掘って、さらに地先まで延ばしていく、こういう計画がおありだったのですよ。これはひとつ御調査の上で、終わったなどとおっしゃらないで、徹底的におやりになっていただきたい。これは要望しておきます。
 それから最後に私がお伺いしたいのは、三陸の女川、これは増養殖漁業で六十億円ぐらい水揚げをあげています。この六十億円の豊富な魚族資源があるところに原子力発電所を建てる。漁民はもう大恐慌ですよ。それから福島県の沿岸、これは東電と東北電力二社でもって計画で千二百四十万キロワットの発電所を続々つくる。これじゃ、温排水の問題やらあるいは放射能汚染の問題やらからんで、せっかく水産庁が漁場をつくっていこう、あるいは沿岸漁業を振興しようというのに、こういう海の豊庫のどまん中にどろ足を突っ込むような問題について、水産庁は抗議も何もしていない。これはやめさせる必要があると思うのですよ。少なくとも女川のあの海の豊庫、これについて私は水産庁の何らの見解を聞いたことがない。この点、どう思われるのか。
 それから最後に、伊勢湾で足りぬ砂利を海から採取すると建設省が発表しております。伊勢湾で試掘をやるのだ。日本列島改造論で砂利がどんどん要る。それで、川で足りなくて、今度は海から取る。新聞によれば、今度は海も砂利の乱掘によって浜の形態が変わってくるだろうし、それから魚の巣がなくなってくる。もう重大な問題だといっているんですよ。この海砂利の採取の問題について、長官なり大臣なりどう思っていらっしゃるのか。片方で一生懸命、まあ一生懸命でもないでしょうが、とにかく予算をつけて増養殖をやらせる、沿岸漁業を振興させると言っておいて、片方ではこうやって埋め立てをやったり砂利までとる。権兵衛種まきゃカラスがほじくるって、このことなんですよ。こういうことをやられておいて、水産庁は何一つこの問題について見解らしい見解を発表したことはない、これはどう思いますか、この二点をお伺いします。
#135
○荒勝政府委員 ただいま御指摘になりました原子力発電あるいは発電所の問題にからみます漁業への悪影響の点についてでございますが、従来発電所の問題につきましては、温排水が重大な悪影響を漁業に及ぼすというふうなことにつきましては、異論を申し上げまして、中央で、電調審と言っておりますが、そういう審議会で結論が出るまでの間、漁業につきまして何らかの形での保障工事といいますか、そういう悪影響の出ない工事をするような設計の検討を要求いたしまして、従来認めてまいりました点ではおおむね悪影響はないという前提に立ちまして認めておる次第でございます。
 温水が漁業に悪影響を及ぼすかどうかということにつきましては、これはその発電所が開始した当初におきましては水温が多少変わりますので魚族のあり方が多少変わりますけれども、場合によってはまたいい場合もありますので、その辺につきましてはケース・バイ・ケースで私のほうは意見を申させていただいておる次第でございます。
 また、砂利の採取につきましては、これはまだ正式に建設省なり担当のほうから承っておりませんが、この問題につきまして、どこの地区でどのような形で砂利を採取するかにつきましては、早急に調査、検討させていただきたい、こう思っております。
#136
○庄司委員 終わります。
#137
○佐々木委員長 瀬野栄次郎君。
#138
○瀬野委員 漁船損害補償法の一部を改正する法律案、漁船積荷保険臨時措置法案、水産業協同組合法の一部を改正する法律案、いわゆる水産三法並びに当面問題になっております水俣病並びに第三水俣病について、農林大臣はじめ環境庁と各関係省庁にお伺いをいたします。
 去る五月二十二日、武内教授の報告によって、熊木県は第三水俣病の発生によって一大ショックを受け、われわれもたいへんな驚きを持ってこれを迎えたわけであります。
 そこで、わが党としては直ちに五月二十三日、三木環境庁長官に、汚染源の調査、安全基準、健康調査、漁業補償、さらには汚泥処理など七項目の申し入れを行ない、そのほとんどを早急に実施すると環境庁長官に確約をいただいたのであります。さらに翌日二十四日から二十五日に至る間、党の調査団として私も八代海、有明海、大牟田、三井東圧を含めまして現地を調査してまいりました。これに基づき、去る六月七日、当委員会で約二時間にわたって政府の見解をただしてきたのでありますが、けさほど報告がございましたように、当委員会で有明海及び八代海における水銀等による環境汚染に伴う漁業被害状況の調査のため、去る六月九日より三日間、熊本県をはじめ福岡、長崎、佐賀県にわたって現地調査をいたしてまいったわけであります。私もその調査団の一員として現地へ参りました。さらに、六月十一日には熊本県の県知事をはじめ県会議長及び県会の公害対策委員並びに経済委員の県会議員等三十五人が全国町村会館で、午前八時半から三時間にわたって、地元選出衆参議員の出席を求めて真剣な県としての対策を打ち立てたのでございます。県においても、来たる六月十四日から二十九日の間県会が開かれるということで、今回の県会はまさに水俣病並びに第三水俣病の公害県会といわれるような重要なものでありまして、補正予算を見ましても、九億二千九百万円の中で七億八千二百万円を組んで、今回の第三水俣病対策費に充てておるわけであります。その中で悲しいことには、国費がやっと五百万円ということで、県としても早急な対策を強く望んでおるのでございまして、今回推進会議もできたわけですが、早急なる対策を要望するものであります。
 そこで、私、今回の調査に参りまして現地の方たち、漁民の方、鮮魚商の方、魚市場関係者あるいは行商をしている方または魚介類をとっている方、あらゆる方に会いました。各地で数百名に及ぶ陳情も受けまして、中には行商に行っている人たちが異口同音に言っていることは、魚を売りに行ったけれども、買うほうで、あなたは毒を売りに来たのか、こう言ってずいぶんとひどい仕打ちで非難をされ、また水俣の子供が東京へ旅行に来ますと、旅館では水俣の生徒だといって食器を別にしたり、敷布またはまくらカバーを別にして洗うというようなことで、ずいぶん虐待を受けて、子供たちは何となくさびしい、また卑屈な気持ちになって帰ってくる、こういうことが先生からも報告がされ、さらには水俣の魚がとれないために、漁民は毎日死の海でぼう然として、いつこの海がきれいになるのかといっていわゆる対策をあぐねております。そういったことをいろいろ聞くにつけて、魚はとっても売れない、漁民に魚をとるなと言えば、これは死ねということに通ずるのであります。農林大臣はもうそのことは十分御存じだと思います。そういったさなかに地元、県においては十四日から県会を迎えるということで、知事以下各議員等も県民のそういったあらゆる対策にたいへん苦慮いたしております。県の財政ももうパンク寸前で限度が来ている状態であります。とにかく原因者がわかるまでは国で金を出して何とか対策を講じてくれ、こういったことが偽らざる気持ちでございます。いまこそ決断と実行でぜひこういったことをあらゆる面でやっていただきたいと思うのです。昨日も公害対策並びに環境保全特別委員会においてもいろいろと論議されましたが、いまこういった問題で各委員会、また関係者から政府に強い要請があらゆる面で出ております。そこで、漁業者は言うまでもなく、魚市場関係者または鮮魚商、行商をやっている人、貝類の立ち売りをやっている漁民の方、また観光業者等、その日の生活にたいへん困っている人、これらに対してもうあらゆる手を尽くして早急なる対策を立てていただきたい、このような塗炭の苦しみを受けている方に救済の手を伸べていただきたいというのが、以下質問する前に冒頭に私の申し上げる要求であります、また要請であります。
 そこで、昨日の閣議で水銀等汚染対策推進会議が決定して、議長に三木環境庁長官がなられて、いよいよ明日八時から第一回目の会議が開かれる。そうして具体的な案をいろいろ持ち寄って検討される、こういうふうにいわれております。私は農林大臣に、明日の会議に積極的な対策を持ち寄ってひとつ臨んでいただきたいし、また進めていただきたい、強くお願いをする次第であります。
 そこで、明日この第一回の会議に農林省としてはどういう対策案を持っていくのか、具体的にどういう考えで臨むのか、そういった決意を含めて大臣からぜひひとつ見解をお伺いしたい。これが最初にお尋ねする点であります。
#139
○荒勝政府委員 私が明日環境庁中心の各省会議に、大臣の御指示によりまして責任者として出席することになっておりますので、私から一応御説明申し上げたいと思います。
 先ほどもちょっと申し上げたのでございますが、農林省サイドといたしまして、この水俣の問題並びにPCBの問題、両方の問題につきまして姿勢を明らかにいたしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
 まず第一番に、環境庁を中心としまして関係方面協力して、早く汚染の状況の実態を掌握するということが何よりも私の立場といたしましては大事でございまして、水銀の汚染の状況につきまして、第三水俣病が発生して以来いろいろと議論は進めておりますけれども、いまだに直ちに調査開始という時点にまで至っていないのでありまして、これにつきましては、早急に調査を開始すべきであるというように私としては主張いたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
 それとともに、結果的には漁民の方々は漁獲の事実上の禁止に近いような形になりまして、ただいま御指摘になりましたように、漁民の方々がたいへんに困っておるということを拝見いたしまして、水産庁としましては、何ら罪のない漁民が非常に困っておるということについて、そのまま放置するというわけにはいかないという立場に立ちまして、当面緊急に生活に非常に困るという問題がありますれば、われわれといたしましては、融資の道でつないでいきたいということを基本的な姿勢として進めてまいりたいということであります。
 さらに恒久的な問題については、各省の意見の調整を相当必要とすることにつきましては、今後の問題として検討さしていただきたいと言うつもりでございます。
#140
○櫻内国務大臣 お尋ねはあしたの推進会議に臨む農林省の基本姿勢はどうか、こういうことで、ただいま水産庁長官が言われました点に尽きるわけでございますが、これについては、きょうの御質疑を通じましても何かもの足りないというような御指摘を受けたのであります。ただ、これには環境庁のほうから第一回の推進会議の取り運び上の一応の素案などが参っておりまして、それに対応して、いま長官の言われるような対応した姿勢を申し上げておるのでございますが、また関係各省庁の間で協議をいたすことでありまするから、その協議に際しましては、当然いま言ったような点に基本を置きまして、漁民の立場に立って、現に長官として、また水産庁内に具体的に各種の要請あるいは実情というものがすでにいろいろと用意されておるのでございまするから、それらを頭に置いて、協議の上におきましては自由濶達に論議がせられ、環境庁長官が閣議で言われたように、この推進会議が何しろ具体的にやれるものから取りかかっていくんだという方向で実のあるものとして協議が行なわれていくもの、このように見ておる次第でございます。
#141
○瀬野委員 明日第一回の推進会議が開かれるというので、それにわれわれもたいへんな期待をしております。先ほど申し上げましたように、六月十一日、熊本県知事はじめ県会の議員等三十五名が陳情に見えて、環境庁長官のほうに申し入れをした際に、長官から、きのう閣議決定したようなことが発表になりまして、知事もたいへんその点は喜んでいたわけであります。またわれわれも一歩前進の決意が発表されましてたいへんな期待をかけております。
 いろいろ質問をしても、すべて明日の会議を一つの頂点として会議を持ち、さらにそこで持ち寄ったものからいろいろ具体的なものを検討していくというようなことで答弁がなされておるようでありますが、先ほどから、また先日来いろいろ論議してきましたように、今回の水俣に限らず、全国的に水銀汚染、PCB汚染等がいろいろいわれております。そういったことで水俣がいわゆる水銀汚染の原点でもあり、またここが全国の大きな注目の的ともなっております。またそれだけに悲惨でもあります。現に水俣のみならず有明海一円、大牟田をはじめ荒尾、玉名にもその懸念があるといわれるし、県外からも水俣病の疑いとしていろいろと連絡がきておるのも事実でございます。そういったことでなかなか広範囲にわたっていくのじゃないかという危惧をしております。ひとつ十分な対策を立てていただいて、一日も早く実行に移していただきたい、こういうふうに思うわけです。熊大の武内教授が、結局あとは実行あるのみである、せっかく自分たちの研究したことがそのまま正直に伝わって、そうして実行していただきたい、こういうことを常に言っておられるのを見ても、まことに当然だと思うのであります。そして先ほど申し上げましたように、県のほうも市町村段階でも、もうすでに自治体の財政その他が限界にきておりますので、あしたの会議の結果によっては、さらに二回、三回と会議を持っていただいて、水産庁のほうでも強力な、積極的な推進をやっていただくように、農林大臣からもとくと今後指導並びに推進の状況を見守っていただきたいということを冒頭に強くお願いをしておきます。
 そこで、各論に入ってまいりますが、まず厚生省にお伺いします。
 先日からいろいろ質問した際に、安全基準については若干の時間がかかるということはわれわれもわかりますが、早急な調査によって一日も早く安全基準をきめていただく。スウェーデンの例等は直ちに日本とは比較にならないということを先日も申し上げました。日本とスウェーデンとでは魚を食べる量も度合いも違うわけであります。そういったことで、日本は日本でひとつ世界に先がけて、英断をもって早く安全基準をきめていただきたい。このことがきまらなければ漁民は安心して操業できないのです。これがきまれば、いわゆる危険区域と安全に操業できる区域とがはっきりすれば、漁民も元気を取り戻して操業することになります。そういったことで安全基準を早くきめていただきたい。安全基準には、健康調査あるいは底質調査、水質調査、魚介類調査等々から若干の時間がかかるとしても、とりあえず暫定基準を早くきめていただく、これが焦眉の急務であります。先般来WHOの要請に基づいて、日本の国立衛生試験所においてサルの実験体からかなり確度の高いデータがいろいろ出ておるということも指摘したわけでありますが、この暫定基準については今月中にきめられるのか、もう二十日ないし二十五日ごろにはきめていただくものか。これをきめる大体の目標並びに、すでに審議会も二回ほど持たれておりますが、次の会議はいつごろ開かれるのか、そういったことについてもう少し詳しく見解を承りたいのであります。
#142
○浦田政府委員 水銀の食品中におきます摂取許容基準につきましては、先生がただいま御指摘のとおり、昭和四十六年来すでに二年間国立衛生試験所でサルを使っての動物実験観察を続けているところでございます。その結果を待って基準をきめるということが、学問的からいえば、一番正当な手続と思われますが、担当の研究者はできればさらに一年以上の飼育観察期間を得たいということを申しております。しかしながら、一方におきましては、今回の有明海におきます事件等もございまして、すでに五月の三十日には、この有明海の特別の事情にある方々の魚介類の摂取についての考え方いかん、並びに万一食品として流通市場に出回った場合に、一般国民はどのような基準でもってその水銀摂取量というものを考えたらよろしいかといったようなさしあたりの問題について、魚介類の水銀に関する専門家会議という名称で招集いたしまして、検討を始めたところでございます。現在までに二回会議が持たれましたが、次回はこの十五日に持たれる予定でございます。
 ただいま水銀摂取許容量につきましては、スウェーデン、カナダあるいは合衆国あたりでございますが、また一方ではWHO、FAOの合同専門家会議における基準がございます。この委員会におきましては、それらの基準というものを十分評価するとともに、日本における特殊事情、それから日本国内におきますいろいろな調査並びに研究の結果、現在得られるすべて一すべてと申しますか、できるだけ多くのデータをもととしまして、さっそくに結論を出したいということでございます。私どもは事態の緊急性にかんがみまして、先生方にはできれば泊まり込みででも今月中に基準を作成していただきたいということをお願いしております。めどといたしましては今月一ぱいを予定しているところでございます。
#143
○瀬野委員 暫定基準については慎重を要することもよくわかりますが、いまおっしゃったように、ひとつ各先生方にも十分お願いをして、御苦労ですけれども、泊まり込みでぜひお願いして、今月中あるいはなるべく早い機会に適正な暫定基準をきめていただきたい。こういうことが漁民または鮮魚商、あらゆる人に対する最大の当面の問題ではないか、こう思うわけです。熊本県は、海岸に行っても全く死の海のようになっております。海水浴場等にたくさんの、何百に及ぶ民宿あるいは旅館業をやっておる人が、日曜日に海水浴客が来るわけではなし、潮干狩り等にも全然姿を見せないということでまことに困っております。そういったことのためにも、ぜひひとつ全力を尽くしてこの問題にかかっていただきたい、このことをお願いするわけです。
 それから次は、いまの件で農林大臣にお伺いします。
 暫定基準はおそらく今月中にきめていただくことになるであろうし、またきまることになると思いますが、それがきまりますと――魚が全国的に売れない、また地元の魚は一七%から二〇%内外ですけれども、他県から来る魚までも水俣の魚だといって売れないというような状況である。また東京の市場において相当買いたたかれ、あるいは出荷も三分の一くらいになっておるし、また出荷停止を食らったところもありますし、また九州の魚といわれては買いたたかれてどうしようもない、こういうようなことがたいへん問題になっております。大牟田等においても赤貝のかん詰めが全然出荷停止を食っている状態も御存じのとおりであります。そういったことで、安全基準がきまれば、科学的根拠をもって全国に安心するようにPRしなければならぬと思うのです。同時に国民に安心して食べてもらうような方法を講じなければならぬと思うのです。そういったこともそこの会議で検討してもらわなければなりません。
 そこで、そういったことについて農林大臣はどのようなことを構想に描かれておるか、全然そんなことはわからずに考えてもらえないのか、どういうふうにされるのか。科学的に定期的に検査したりして安心させないと、知事の安全宣言だけではなかなか国民は納得しないのです。相当根深く全国的に浸透しております。そういった意味で、またいろいろ知恵もわいてくると思いますけれども、現在どういうふうに思っておられるか。そういったことをたいへん心配しておりますので、この機会に大臣から承りたいと思います。
#144
○櫻内国務大臣 安全基準が公表されました後の対策、これは若干の時日がございますので、国民が、生産者もまた消費者もともに安心のできる措置を講じたい、このように思っておりますが、ただいま御質問でもちょっとお触れでございましたが、現に汚染されておる魚の取り扱いについて、関係県においてそれぞれ対策を講じております。
  〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕
 漁獲の禁止地域などが限定されておる場合に、地域住民がその限定の事実を知らず、広範囲な認識を持っておるというようなことから、魚に対しての消費が必要以上に危険視されておるような場合がございますので、それらについては、関係県において実情を十分承知しておりますので、それぞれの対応策、ときに県みずからの書面による、このような状況のものは安心であるというようなものも私、拝見しておるわけでございますが、ただいま御指摘のような安全基準の公表に際しましては、十分それによる影響というものを考え、不必要な不安感が起きないようにつとめるとともに、また、不安感のあるものにつきましては、それがみだりに流通機構に乗らないように適切な指導の必要があると思いますので、ただいま申し上げたような考え方を基礎にいたしまして、これはただ単に農林省関係だけではございませんので、関係省庁十分その場合の対応策を立てて臨みたいと思います。
#145
○瀬野委員 大臣から安全基準が発表になったあとの科学的根拠による国民に安全をPRするためのいろいろな方策を聞いたのですけれども、具体的でないのであります。主管大臣としてこういったことについていろいろ対策を練って、先々と先手を打っていかないと、いつも申し上げるように、あと追いあと追いになってしまう、こういうことがいわれるわけです。基準ができたあとではおそいわけです。十五日には会議を開いて今月中にはとおっしゃるのですから、しっかりやってもらわないと、漁民にはたいへんな問題ですから、大臣もいずれ現地には行っていただくということでお願いもしておりますが、いつ行くかということはきまっておりません。早く一回現地を見てもらいたい。やはり百聞は一見にしかず、けさの報道にあったとおりです。われわれは何十回か行って見ておりますけれども、ぜひ現地に行って見てもらいたい。そして認識を新たにしてもらって、もっと対策を強力に立ててもらいたい、かように思うわけです。
 それで大臣、いまの答弁を聞きまして、こんな意地の悪い質問は差し控えようと、私、思ったけれども、いま東京で、すし屋でどのくらいすしの売れ行き、歩合が減っているか、これは全部が全部じゃないにしても、どういうことがいわれているか大臣は知っていますか、全然聞いていないか。すし屋に行っていただかなくても、所管のたくさん月給もらってつとめている水産庁長官もいるわけですから、いろんなことを聞いていると思いますが、どういうふうに大臣は聞いておられますか。要するに、すしのネタにマグロやサバやいろいろなものがあるわけですよ。すし屋さんがどういうことを言っていますか、全然聞いていないですか。ひとつ認識を聞きたい。
#146
○荒勝政府委員 すし屋のことは私も十分存じませんが、一般的に魚の小売りの段階におきまして取引量が低下しておるということにつきましては報告に接しておる次第でございます。
#147
○櫻内国務大臣 私は、消費者の皆さん方がいわば自己防衛認識の上に立って、そういう点から魚に対する嗜好というものが減退をしておる、こういう事実は否定ができないと思うのであります。それに伴う小売り商に対する影響も、ただいま長官が言われたとおりに、当然起きておることと思います。私は昨日もある会場ですしの屋台が出ておりました。だから、そういう場合には率先躬行、こういうふうに出ている以上安心である、そういう気持ちでどんどん食べました。一昨日も三浦三崎へ参りまして、食前に供されるものはことごとく、魚介類でございましたが、中にはマグロもございました。水銀問題ではマグロはこれからどういう基準になるのかという漁業者の心配があるわけでございますが、私はおいしくちょうだいしたわけでございまするが、私どもの責任ある立場からいたしますれば、危険のあるものを消費者におすすめすることは絶対にできません。しかしながら、必要以上に危険性のないものまでも消費の対象として非常に減退をしておるということでは、これはまた考えなければならないところでございまして、私のいま率直な見方といたしますれば、いまのところ、そういういろいろな情勢というものが非常に動揺しておる、不安定である、したがって、ただいま安全基準が早く発表されて、それに基づいて漁業者にしても消費者にしても、安心のできる、そういう情勢がすみやかにできるようにということについては、私もそのとおりに認識したわけでございます。
#148
○瀬野委員 時間が限られておりますので、はしょってやらざるを得ませんが、大臣にすしのことを聞くつもりじゃないけれども聞いたのは、四、五日前から、これは東京のすし屋の中でも、私ども当該委員会の委員ですからいろいろ電話がかかってくるのですが、関係者からも要請があっておりますけれども、四、五日前から半分くらいお客が減ってきたというのです。けさだったですか、読売新聞か何かの二面の漫画に、すしをつかんで食べるところで目をぎょろっとして、ずいぶん警戒したような漫画が出ておりましたように、事実ああいうことが東京のどまん中であるいは各地で魚に対するいろいろな拒否反応が出てきつつあります。こうなってきますと、これは今後動物性たん白質を補給するについてもたいへんな問題になってくる。現に瀬戸内からあちこちと汚染が広がってきつつありますし、市場のいわゆる取り扱いが、九州の水俣の魚だけじゃなくて、あらゆるところの魚がそういう扱いをされてきますと、これはたいへんな社会的な問題になりますので、十分安全基準を早くきめる、また暫定基準を早くきめる。いろいろな対策がおありだと思いますが、そういったことが相当根深く庶民の中に浸透してきて、あらゆる面にあらわれてきております。そうなりますと、今度通産省関係のほうの中小企業、また食品関係は厚生省といったように、あらゆる面の、すし屋さんとか魚を扱う関係の方、それを加工する方、こういったものにも影響が出てくるということで、たいへんな問題に派生してくるのではないか、かように思っております。そういった意味から、私はあえてこれをお聞きしたのです。
 それでは、農林大臣、東京魚市場はどのぐらい九州産の漁獲物の取り扱い量が現になされているか。いままで発表前と現在ではどのぐらい壁に差があるか、御存じでしょうか。
#149
○荒勝政府委員 今回の水俣の水銀の公表あるいはPCBの公表によりまして、東京にあります魚市場、中央卸売り市場でございますが、ここにおきまして場長が呼びかけまして、汚染されていると思われている地区からの漁獲物の入荷につきましては、関係卸売り業者を含めて協議いたしまして、いわゆる取引を一応停止している。産地にその旨通知して、ただいまのところ不安感のあまりないと思われる魚類のみが入荷しておるというふうにわれわれ報告を受けている次第でございます。
#150
○瀬野委員 農林大臣、何かいま連絡がありまして、十分間ほどちょっと席をはずして用事があるということですが、大臣に引き続きお聞きしたいわけですから、その分は十分延ばしてもらうことにいたしますので、中座したらすぐ帰ってきてもらいたいと思うのです。
 それでは、その間運輸省にお伺いしますけれども、水俣の締め切りの問題、これは詳しく申しませんが、ぜひやらなければならぬ。しゅんせつの問題は、第二次の汚染を起こしますから、これはたいへんな問題です。農林水産委員会でも現場の恋路島周辺を見てまいりました。そこで、この締め切りについては、地元の漁協、地元の漁民の案と、また地元の議員、県会、県のほうもいろいろとお考えのようですが、いずれ調査の結果ということだけいつも言っておられますけれども、どういうふうにすればいいのか、どういうふうに考えておられるか、その点について。
 さらに、もう時間もないので簡潔にお答えをいただきたいのですが、この埋め立てをするについては膨大な土砂が要るわけです。おそらく普通の山を三つか四つつぶさなければ埋め立てられない。締め切ったら、とてもそんなことは工事費がかかってたいへんである。そこで一つの説として、一案としては東京都で相当ごみが余って、杉並その他で問題になっている。東京都も百億のごみ処理予算を年間組んでおる。そこで船もちゃんとある。船で運べば約二十五時間ぐらいで現地へ来るという計算も成り立っておる。それでかなりの量が運べる。そうすると、案外十億円ぐらいの運賃で東京のごみが相当量埋め立てられる。水俣湾も全部が全部埋め立てるのではなくて、いわゆる仕切って一画一画締め切りながら、それで水俣湾のまん中に水中貯木場のようなもの、これは木材でありますから人間に直接公害を及ぼしませんから、そういったものをつくっていけば、一つの大きな木材基地にもなるだろう、そして新しい港をその外につくったらどうか、こういうようなことも考えられるということで、われわれもいろいろ調査をし、意見も聞き、また検討も進めておりますが、あしたから第一回の推進会議が開かれる、いろいろ案を持っていかれると思うし、そういったことも十分頭に入れて――ただ、ごみを運んだ場合に、将来地下水の問題とか、あるいは地元でごみといえば、たいへんな問題であるから、拒否反応を起こすんじゃないか、反対運動が起こるのではないかということも考えられますので、そういったことも十分調査しなければなりません。住民意識なども尊重しなければいけませんが、これはうまくいけば一挙両得ではないかということも考えられるわけですけれども、そういったこと等も、いわゆるごみの処理のしかたによっては埋め立てに使えるのではないかとも思います。ごみもごみ次第によりますけれども、そういったことも含めて、ひとつ御見解をお聞きしたい。
 それから同時に、有明海の、三年前から県、市で要請をしております緑川、白川河口に熊本の新しい港をつくるという計画が立てられて、いろいろ準備して調査をし、検討を進められておりますけれども、これはぜひつくっていただきたいのでありますが、こういった第三水俣病の発生によっていろいろ不安がっております。このことに対する当局の見解も、時間もありませんので簡潔でけっこうでありますから、あわせて答弁をいただきたいと思います。
#151
○大久保説明員 お答えいたします。
 まず第一点の水俣湾のいわゆる水銀を含んだヘドロの処理対策でございますが、現在までのところ、水銀を含んだどろがどういうようなぐあいに分布しているかという調査をこれまでやってまいりまして、大体において分布状況が把握できた段階でございます。この対策案につきましては、熊本県当局がそれをベースにして具体的な実施計画を練ることにしておりますが、私どもいわゆる港湾工事の経験を持っている技術者の集団といたしまして、熊本県の要請に応じましていろいろ技術的な面からのお手伝いをしている状況でございます。
 それで、具体的にどういうところまで進んでいるかということでございますが、これにつきましては、まずどの範囲までのどろを始末しなければならないかということが問題でございまして、この始末のしかたとして、先生御指摘のように、ともかく水銀を含んでいるどろのあるところは全部埋めてしまうという考え方も一つございますけれども、現実的に申しますと、それを封じ込めてしまうということが、はたしていわゆる安全対策として確実な工法が可能かどうかという問題もございます。そういうようなこともございますので、まず現在環境庁でいわゆるそこの処理をしなければならない範囲の基準というものをきめていただくようにお願いしておる状況でございます。これは環境庁のほうで中央公害対策審議会の水質部会底質専門委員会というところで目下鋭意御検討中であると聞き及んでおります。
 一方、その結論を待って具体的な計画を固めるということではございますけれども、現段階で一応考えられるいろいろな工法を熊本県当局と私のほうとでいろいろ案を持ち寄りまして、それで準備を進めているというのが現状でございます。それで、私どもの心づもりといたしましては、何とかして年内に実施の計画を固めまして年度内にかかりたいということを考えておりますが、この際考えなければなりませんことは、工事の期間をできるだけ短くするということも必要でございます。したがいまして、いろいろ御提案の案を私どもも聞き及んでおりますが、それらの点をわれわれも十分参考として聞かしていただきながら、いま申しました確実に早くできる工法を選択したいということで取り組んでいる次第でございます。
 それで、御提案のごみの問題もございますが、これにつきましては、やはり地元の方々のいわゆるこういうものに対する意識というものが非常に問題になりますし、また現実問題といたしまして、もしかりにそれを受け入れるという気持ちが現地にありたといたしましても、早く確実にという点からやはり検討を要する点があろうと思います。
 それから貯木場の問題も、やはり貯木する水域の下のほうに水銀のあるヘドロがございますればこれを完全に被覆しなければなりません。その点で、一つの考え方ではございますが、こういう問題も、やはり先ほど申しました点から検討する必要があろうと考えておる次第でございます。
 それから最後に、有明海の問題にからみまして、ちょうど熊本新港を予定しておる地域の付近に流れ込んでおります川の上流に工場がございますというような事情もございまして、やはりいろいろと不安を持つ向きもあるように思います。それで、私どもといたしましては、現実にそこのところの工事にかかります際には、いわゆる公害という問題が起こらないかどうかということをやはり慎重に考える必要がございます。したがいまして、私ども感覚的に申しますと、予定地付近は、いわゆる水銀を含んだヘドロがそうあるというふうには現在のところは思っておりません。しかし、これもあるかないかということは慎重に調査することを県のほうに指導しておる次第でございます。やはり必要なものは何としてもやらなければなりませんので、その際公害を起こさないような方法でやるということを十分心がけてやるつもりでおる次第でございます。
#152
○瀬野委員 環境庁、いま運輸省から答弁がありましたが、この水俣の締め切りについては底質の基準がきまらないということなんですけれども、それは当然だと思います。今年じゅうには着工したいということで、その基準を急ぐわけですけれども、現地ではいわゆる水域はもう等高線を引いて、どこは何PPMと、ずっと書いた海図を持っているわけです。現地でもかなり調査は進んでおりますけれども、いつごろまでにはっきりする予定ですか。簡潔にお答えください。
#153
○岡安政府委員 現在最終的な詰めの段階に入っておりますので、間もなく結論が出ると考えております。
#154
○瀬野委員 これはひとつぜひとも早く結論を出していただきたい。いわゆるこれが一番もとなんですから、このもとがはっきりしなければ、結局魚は回遊するわけですし、漁民はいつまでも不安がのきませんので、これまた汚染源の調査とともに――暫定基準をきめていただくことも急ぎますが、この問題がまた焦眉の急になっておりますから、どうかひとつ精力的に調査を進めていただいて早く決定をしていただくように、これは強くお願いをする次第であります。
  〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕
 そこで、水俣湾の漁獲禁止の問題ですけれども、これは水産庁にお伺いします。大臣が来るまで水産庁長官のほうからでもお答えいただけばけっこうです。
 先日も申し上げましたように、いわゆる禁止区域においてはますますプランクトンがわくので、魚がますます寄ってくるわけです。またとらないから魚は安心してプランクトンを食べにその港へ寄ってきます。そしてまた時期によって、魚の種類によっていろいろ回遊をする。そういったことを考えてまいりますと、かなり広範囲にわたって魚を禁止しなければならない。と同時に、有明海一円、八代海一円ももちろんそうでございますが、天草の沿岸等に至るまで、現に患者があちこち出てきている、相当広範囲な規制を考えなければならぬと思いますがこれまた焦眉の急務。規制をしたならば必ずそれに伴う裏づけのいわゆる金の対策ということを考えなければならぬ。ところが、これは大臣の答弁によりますと、いわゆるつなぎ的な融資、こういうふうなことをおっしゃっておりますけれども、漁民はつなぎ的な融資をいっても、いずれ金を返さなければならない。やはり補償的なものでもらわなければ、漁民はとてもそれでは納得しないし、また借りるという手もなかなかしないと私は思うのです。そういう点をいろいろ実態を見ますと、何とか金を早く出して、原因者がわかった場合には原因者から金を取るということで、その間補償的な意味の金を早く国から出していただくような方向で水産庁も働きかけてもらいたいと思うし、また、大蔵省もきょう来ていただいておりますが、三千億の予備費があるのだけれども、環境庁長官は金は要るだけ出す、金に糸目はつけないというようなことを現地でも言っておるし、また緊急な対策はあらゆる手を打つ、こういうふうに言っておられる。大いに期待しておりますけれども、最近では、だれが調査に来ても、返事はいい、いろいろなことを聞くけれども、実際に実行が伴わないということで不信感がますます強まってきている。来たる十六日から十八日の三日間、公害対策並びに環境保全特別委員会でも二班になって調査に行くことになっておりますけれども、相当の反撃を受けるのではないか、こういうふうにも考えられます。何としても漁民が安心して生活できる規制が発揮できまして、この地域で魚がとれるというようにしていただくようなことをして、それまでの間にともかく漁民がもらえる金を何とか国で見ててあげるなり、県もパンク寸前ですから、早くそういった金を大蔵省に折衝して見てもらうようにしてもらわなければ困るのです。県があらゆる処置をしたものは、年末に特交で見てやるとか、そんななまぬるいことでは、特交で見てもらうのはあたりまえだと県は言っておるのです。そんなことよりも、もっと皆さん方のほうで、自治省のほうでもよく検討され、そしてそれはそれなりに検討されると同時に、予備費から早く県のほうに金を出す、どうすればできるかということを早く水産庁はやっていただきたい。またこれに対して大蔵省は、環境庁長官もそういうふうに言っておられるので、どういうふうに考えておられるのか、特交においても自治省から要請があれば出す、また環境庁から要請があれば、大蔵省としても三千億の予備費があるわけですから、そういった金は出す、こういうふうに考えておられるのか、それもあわせて両省から見解を承りたいと思うのです。
#155
○荒勝政府委員 漁民に対します生業補償金ということにつきましては、政府部内でもたいへんに論議を呼びまして、結論を得るには今後相当時間を食うのではないか、こう思います。したがいまして、その間漁民の方々が非常に御迷惑になるということにつきましては、現在あります農林漁業金融公庫の漁業経営安定資金を、一人当たり約五十万円でございますが、これを早急につなぎ資金といたしまして出すことによりまして、この問題に処したいと思っております。しかし、それだけではなおおぼつかないあるいは不足するというふうな問題も懸念されますので、このつなぎ資金の融資の問題につきましては、さらに私たちも含めまして、今後早急に結論を得るよう努力いたしてまいりたい、こういうふうに思っております。
#156
○瀬野委員 いろいろ時間も制約があるのではしょって聞きますが、水産庁長官、さっきも申し上げましたように、県もひとつ十分対策をとってもらわなければいけないが、現地でも漁獲量も減っている、水揚げも少なくなっている、もう三分の一以下になっている。近海ものばかりではなくて、よそから、いわゆる三陸沖から持ってきた魚についてさえも水俣の魚といってなかなか買おうとしないし、売れない。東京の市場でもその影響が出てきておる。またすし屋さんにも影響が出てきているということで、かなり広範囲にいろいろなことが出てきておると思うのです。またそういったことから鮮魚商あるいは市場の経営もこれは成り立たなくなってくるのじゃないか。現地の市場は、小さい市場ですけれども、もう成り立たないということで、どうするかということで深刻な状態になっております。こういったことについてはどういうふうに手を打たれるのか、ひとつ農林省の考えを明らかにしていただきたい。
#157
○荒勝政府委員 ただいま申し上げましたのは、いわゆる漁労に従事されている方を対象として申し上げたわけでありますが、それと同時に、並行いたしまして、漁業関係者が非常に経営的な不振ということも考えられますので、私たちといたしましても、あわせてつなぎ資金の問題として何らかの対策を必要とするのではなかろうか、こういうふうに思っております。
#158
○瀬野委員 大蔵省、だれか来ましたか。――さっきもちょっと申し上げましたように、地元の県でいろいろな対策に相当金が要るわけです。かりに生活補給金あるいは漁業補償――原因者がわかるまでにいろいろ金がかかるわけですけれども、一人に十万円やっても相当な金になる、二十万円やればまたその倍になる。十万円ぐらいではせいぜい二カ月ぐらいの生活しか成り立たない。そうすると、さっき言いましたように、鮮魚商、観光業者あるいは立ち売り業者、あるいは行商している人、あるいは採貝をやっている方、いろいろ各般にわたっておりまして、市場もそうですが、原因者を鋭意調査をしていただいておるけれども、その調査がずっとおくれますと、つなぎ融資だけでは、なかなかめんどうな手続をして、やはり金を返さなければいかぬので、結局借りようとしない。そういった人たちに対して、いずれ原因者がわかれば補償を受けるということになりますので、そういった場合に、県のそういった要請があれば、十分また環境庁長官等を通じいろいろ対策を練っていただいて相談するわけですけれども、大蔵省は予備費からしかるべき金は出す、こういうふうに理解してよろしいですか、その点、どうでしょうか。
#159
○吉瀬政府委員 水俣及び有明海の事態につきましては、私ども瀬野委員の御指摘のとおり相当に重大な事態だと考えております。ただ、いま御質問の原因者不明のときに、いわゆる健康被害者じゃなくて、一般の生業なり生活の補給をやっていくという問題でございますが、これはほかの地区にもいろいろ波及する問題でもありますし、先ほど水産庁長官が述べられたように、なかなか明確な結論は得られないと思います。私ども水産庁のほうから現地の実情をいろいろ伺いまして、いま環境庁を中心に各省が鋭意その結論を急いでおりますが、とりあえずの措置につきましてはできるだけ早く結論を得たい、こう考えておる次第でございます。
#160
○瀬野委員 きょうは山口主計官も病気で急に御欠席になったのであれですが、この件についてはここでこれ以上論議してもどうしようもないことですけれども、ぜひひとつ御検討いただきたい、かように思います。
 そこで農林大臣、あなたも十分か二十分過ぎましたようですが、その分はひとつ時間を延長して質問することにいたします。
 農林大臣にお伺いしますけれども、今度の第三水俣病のみならず、この水俣病の対策にしても、また現在瀬戸内でも、徳山、岡山、あちこちで水銀汚染、PCB汚染が起きております。こういったものを思いましたときに、企業がアセトアルデヒドを生産する、こうなれば、当然水銀がたれ流されるということは昔からわかっていることであり、過去にもいろいろ論議されてきたわけですけれども、いま各委員の間でもまた関係者の間でも、農林省が弱いのじゃないか、ある人に言わせると、大蔵省農林局と言われたり、また失礼な言い方で申しわけないけれども、水産庁も通産省に腰が弱い、そういったことがこういった結果をもたらすのだ、どうして強くなってくれないか、水産庁にも大ものですわっているわけだから、もっと強いはずじゃないか、こういうような声もあるし、また水産庁は運輸省に対しても厚生省に対してもこういった声が弱いのじゃないか。それで結局弱い漁民が苦しむ。こういった面に対して、われわれはいろいろ叱吃激励を受けて、これを大臣に強く言い、そしてもっと強力にもってもらいたい。国民に動物性たん白を供給しておる漁民が、同じ国民の企業から、何も知らずに純粋にまじめに働いて、まっ黒になって鋭意がんばっている漁民が、企業のたれ流した公害によってきれいな海が汚染されて、魚をとるな――とるなということは、先ほど言いましたように、死ねということです。そういった状態になったということは、これはほんとうに申しわけないと思う。大臣はからだを張って、現地に対策本部をつくるとかなんとか言っておりますが、つくるのはあたりまえであり、からだを張って国民のためにいまあなたはがんばってもらいたい、こう思うのです。そういった意味で、腰が弱い、こういったことに対して――この議事録はもう県下一様にばらまくわけですから、大臣、どういう決意であなたはいままで通産省にこういったことで強く言ってこられたのか、どういう態度で臨んでこられたのか、いままでやってきたことを述べてもらいたいし、また今後どういう姿勢で臨まれるのか。あまりにも農林省の通産省に対する姿勢が弱い、こういうようにいわれておることをひとつしっかりと受け取めて御答弁いただきたい。
#161
○櫻内国務大臣 わかりいい表現での弱い強いということで御質問でございまするが、この種の重要な問題で私どもが弱腰である、あるいはときに強腰である、そういうことはないのであります。問題が重要であればあるだけに、これは冷静に受け取めまして、そして事態を解明し、その対策に万全を尽くすというのが私どものつとめではないか、このように思います。
 第三水俣病の関係につきましては、言うまでもなく、県の委嘱による熊本大学の調査の発表に伴うところでございますから、この点、発表に伴っての各種の反響、影響、そういう面については遺憾ならが、私どもがあらかじめ予想をするということはできなかったことは御了承をいただけると思うのであります。したがいまして、第三水俣病の関係については、調査の報告をもとに、さらにその影響するところが大きいのでありまするので、ここ数日来御答弁を申し上げておるように、有明海一帯の汚染調査をすみやかに精密にやりたい、こういうことを申し上げておるとともに、現に起きておる各種の影響につきましては、これは国、県、市町村それぞれの立場における行政上の責任を持っておるのでございまするから、そこを緊密な連絡の上に多種多様な問題に対処していこう。国の施策が不十分だということで、かりそめにも県、市町村においてそれが理由になって手が届かない、地域住民の要請に欠くるところがあるということではいけない。こういうことで、普通でありますれば、原因者の責任負担ということで追及をいたしていくわけであります。その間のつなぎといたしましては、融資であるとか、あるいは特別交付税によって考慮してもらうとか、それぞれあるのでございまするが、本委員会の調査の結果を承りましても、また私自身この発表以降、各方面からの要請を受け、県からもまた県議会からもいろいろお話を承りまして、容易ならざるものであるという認識を十分持っておりまして、そのために環境庁長官の推進会議を設けること、とれにつきましておそきに失したくらいに思い、また、この水銀等汚染対策の推進会議が十分な成果をあげるように、農林省は農林省としての十分な協力推進をいたしたいと考えておるわけでございます。
 PCBの関係につきましては、これはそれこそ強い弱いというようなことからいいますれば、むしろ精密調査の結果を発表するについては、相当な決意なくしてはなかなかやれないのであります。一応の調査が出ましたあと、特に汚染の激しい関係八県の間に緊密な連絡をとりまして、これはあまりにも詳細にわたりまするから、長官からも私からも詳しく御説明は申し上げておりませんけれども、新潟県、兵庫県、福井県、それぞれの県において、この精密調査の結果に伴っての具体的な措置、原因者がわかっておる場合についてはどのような対策を講じたかというようなものは、全部手元に報告も参っておりまするし、また水産庁としても緊密な連絡の上に対応してまいったようなわけでございます。
 そういうようなわけでありまするから、ただいまの説明で、不十分な点もございまするが、どうぞ御理解をいただきまして、もう強い弱いではない、対策に万全を尽くす、また事態を明白にしていく、こういう考えで臨んでおるわけでございます。
#162
○瀬野委員 農林大臣のおっしゃるようなことでなくてはならぬと思うのです。そういったことでそういった批判を受けないように、後手後手になってはいけません。これはもちろんここで論議したってどうしようもありませんが、十分念頭に入れて、いまからでもおそくはありません、いまから強力な対策をとって、今後、通産省あるいはまた港湾の問題では運輸省、その他関係省ともよく連絡をとって、国民の生活と生命を守る立場からも、強力な発言をされて対処していただきたいと思うのです。通産省のほうでも、今後水銀を使うような工場は新しくは認可しないという方向で進めることは当然であります。そういったことはもっと早くからやるべき問題だったのですが、いまになって、おそいとはいいながらも、いまからでもおそくはありませんので、十分配慮していただきたい、きれいな海を取り返していただきたいと思うわけです。
 いま連絡によりますと、通産省また環境庁とか運輸省もいろいろ用事があるようですし、水俣問題、あと二、三問聞いて、水産三法の質問をする予定になっていますので、次の一問だけ聞いて、大蔵省関係と農林省関係だけ残って、あとは帰られてけっこうでございますから、もう一問だけお答えを簡単にいただきたいと思います。
 さきに水産庁が調査の発表をいたしました八水域の規制、いま農林大臣からもいろいろございましたが、これによると、通産省が目下府県と打ち合わせ中で日程がきまっていない、早期にこれをはっきりしたい、鐘淵だとか三菱モンサント等、PCBの三百三十八工場についていろいろ検討する、また環境庁が今月中には調査を始めたい意向であるというように聞いておりますが、そういったことを再確認したいのと、それからいま大臣からも若干触れられましたけれども、この八水域を発表するにあたってはかなりの調査をし、かなりの検討の結果発表されたと私、思うし、また大臣も勇気ある発表であった、こういうふうにいま答弁なさいました。
 そこで、私はよく事情はわかるのですが、国民の声としては、なぜこれを発表する前にいろいろ調査をして、こういう八水域については規制をしなければならぬような問題があるんだから、原因者もはっきりやるべきではなかったか。原因者を発表せずしてこれだけ発表するから、困るのは、さっきから何回も言うように、市場であり、漁民であり、鮮魚業者であり、あるいはまたおすし屋さんであり、また行商をやっている方であり、採責漁民、こういった人たちがたいへんな打撃を受けてくるんだ。こういう発表をするならば、当然それの裏づけとして生活補償なりいろんな手当て、こういったことを国で対策を考えてやるべきではないか、こういったことがいわゆる素朴な国民の気持ちで、これが強くいわれておるわけです。これに対して農林大臣はどう答えられるか。いろいろな経過発表、こういったことはわかっております。その点についてお答え願いたい。通産省、環境庁はさっき言ったことにお答えいただいて、お帰りになってけっこうであります。
#163
○岡安政府委員 お話しの、特に最近問題になっております水銀並びにPCBにつきましては、有明海並びに八代海のみならず全国の地域につきまして私どもは六月中にも調査に着手をいたしたいということで、現在関係各省庁ともその計画の内容、分担等につきまして相談をいたしておる次第でございます。
#164
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 PCBの調査につきましては、御指摘のように、八水域の水系にかかわりますPCBの使用工場を対象といたしまして、汚染源の究明を目的といたしました調査を、関係省庁あるいは地方自治体と協力して早急に調査を実施することにいたしまして、一部についてはすでに実施いたしております。なお、汚染度が今後増加しないように、PCBの保管状況でありますとかあるいは転換、回収の促進につきましても、今後一そう強力に指導したいと思っております。
#165
○櫻内国務大臣 資料をもって申し上げるほうがいいと思うのでありますが、せっかくお尋ねでありますので、兵庫県の場合で申し上げてみまするに、原因者として鐘淵化学工業あるいは三菱製紙等というような名前があがっておるわけでございまするが、現在兵庫県として漁業公害救済対策協議会を設けよう、そしてそれについては兵庫県は二千万円、市及び町で二千万円、関係企業約四十社で一億円、県漁連で運営経費の一部を出して計一億四千万円にプラスアルファでいまの諸問題に対応していこう。また兵庫県の播磨灘沿岸水域につきましては、高砂地先沖合い五百メートル、これは全漁業について規制を行なう。規制値をこえた魚は全量高砂漁協で集荷、冷蔵庫保管の上、適時鐘淵化学敷地内にコンクリート詰めにして廃棄処分をする。第一回は六月八日にやった。白浜地先沖合い五百メートル、スズキ、コノシロ、ボラにつき漁業者が組合へ持参、冷蔵保管の上、適時同様鏡淵化学敷地内へ廃棄する。もう一つ神戸市妙法寺川以東沖合い三百メートル区域内の操業禁止の方向で、これは検討中のものでございますが、以上の三地区について、いま申し上げた措置のほか、漁業者に対し、漁価低落による損失補てん、漁業転換資金の利子補給等を行なう予定にしておる。こういうふうに各県がそれぞれ原因者が一応わかっておる、あるいは複合汚染の場合はそのようにいずれも具体的な措置をとってきておるわけでございます。
 今後におきましても、ただいま申し上げたような方針で一応まいりまして、今回の水銀あるいはPCB等の汚染対策推進協議会においてさらに関係者の御安心の願える施策が逐次当然打ち出されてまいるのでございますから、それらを加えて安心のいけるようにいたしたいと思うのであります。
 今回の発表で一番私どもが苦慮いたしておりますのは、原因者が大体見当もつき、話も進んでおるというのはよろしいのでありまするが、そういうことのない地域というものについては、それじゃ、そういう地域はもう発表せずにそっとしておくかというような措置はとり得ないのでありまして、そこのところにわれわれとして非常な苦慮があったわけでございまするが、しかし、それらのことにつきましては、五分の、二十年の、最南五十万円のつなぎ資金を考えてみるとか、あるいはこれで影響を受ければ旧債の償還条件の緩和をするとか、あるいは関連のもので生活に不安があれば、それはそれで厚生省関係の資金で対応できるのでありますから、それも考えるとか、この現にある法律あるいは行政上でとり得る措置というものは、これはもうあらゆる努力をするということで臨んでおるのでありまするから、したがって、その点から不十分ではあるけれども、御不満にこたえることはできるのではないか。
 しかし、何べんも申し上げるとおりに、もう一つ国の施策を十分にやれ、漁業共済基金のようなものはどうかということについては、これは現在並行的に検討もするし、あるいは法律上の問題があればそれも考えるということを申し上げ、加えて今回の推進会議ということになったのでありますから、先ほど発表する以上に何のことも考えずにやったか、それはそうでないということをいまの御説明で御了解いただきたいと思います。
#166
○瀬野委員 こういった八水域の規制を発表するからには、私は原因者等も十分検討してやるべきだった、また、国民のそういった素朴な質問に対しは当然答えるべきである、かように思うわけです。そのためには、通産省あるいは運輸省、また環境庁はもちろんのこと、かねがね各省とよく連携をとって調査検討をやるべきじゃなかったか、こういうふうに思うわけです。これをやるとまた時間がかかりますので……。
 あと若干お尋ねしますが、水産庁長官に六月七日に、私、質問した際に、漁業被害対策基金といういわゆる共済制度をつくるべきだということを提案して言っておいたのです。水俣のチッソみたいに、原因者がはっきりしている場合は補償対象がはっきりしておりますけれども、今回のように原因者がはっきりわかってないという場合には、また調査に相当長引くということも考えられるし、全国的にもいろいろ起きてくる。いわゆるタンカーの流油問題もございますし、魚介類、ノリ、真珠などの被害があちこちに起きて、複合汚染の問題等でなかなか長引く問題もある。いろいろこういったことから、漁民を救うために漁業被害対策基金というようなものをつくるべきじゃないかと思って提案をしておいたのですが、大臣はどういうふうにその報告を聞かれて検討されたか、時間がございませんので、簡潔でいいですから、お答えいただきたい。
#167
○荒勝政府委員 ただいま御指摘になりました点につきましては、私たちのほうといたしましても、この問題は前半申し上げましたように、非常に論議を生み、かつ検討の結果が出るには相当時間がかかるのではなかろうかと思っておりますので、先ほども答弁申し上げましたように、その間の緊急の問題としてつなぎの融資を行なう。これは農林漁業金融公庫の金でありまた別途何らかの形で融資が行なわれるように私たちとしては検討してまいりたい、こういうふうにいま考えておる次第でございます。
#168
○瀬野委員 これまた農林大臣に質問するところをこの間水産庁長官に答弁いただいたのですが、熊本県で六月四日、県の経済委員会で水俣湾の締め切り問題等を検討しまして、農林省にいま照会中で、六月七日にこれも提案しておきましたので御検討いただいたと思いますが、緊急措置と恒久対策、その中で水俣湾の魚が回遊しないために電気網を張って、その中の魚を漁民が一網打尽に三日間くらいでとる、魚介も全部とってコンクリート詰めにしてそれを埋める、そして魚の回遊その他を防止するという計画を立てて、いろいろ対策を立てております。いわゆる禁止区域内での魚介類の一斉除去をして、そしてとりあえず埋め立てまでそういった対策をしたらどうか。いわゆる緊急対策と恒久対策といろいろ水産庁と相談しておるわけですが、大臣、これはどういうふうに受けとめておられるか、これに対する見解を承りたい。簡潔にお願いします。
#169
○荒勝政府委員 電気網の件につきましては、地元から私たちのほうに照会が来ておりまして、技術陣あるいは研究陣の間で検討さしておりますが、電気網の問題についてはやはり若干疑問が残るので、われわれといたしましては、水俣湾内の魚を別の形で極力捕獲するようにしたほうがいいのではなかろうか、こういう感じを持っておる次第でございます。
#170
○瀬野委員 まあ、いろいろ問題があるような答弁ですけれども、地元も苦肉の策としていろいろなことを考えて対策をしてくるわけですから、大臣、よく検討していただいて、だめならどういう意味でだめなのか。別の対策があると水産庁長官は言っておるようだが、別の対策とはどういう具体的な案があるのだということを示して、もうせっぱ詰まった漁民、または県会議員の方やら、また市会議員の方も終始それに明け暮れておるわけですから、検討を願いたい、そしてまた明確なる指示を与え、指導をしてもらいたい、こういうように思うのです。ただおざなりの計画じゃないのですから、それに対する大臣の決意。
 それからもう一点、この水俣関係で、たくさんありますけれども、はしょってお聞きすると同時に、これは対策に対しての警告を発しておきたいのです。これまた私はこの委員会で質問することをずいぶんためらったのですけれども、いつかはこれまた問題になったときはたいへんであるのであえて申し上げるわけですが、牛や馬であれば、草食動物ですから、草を食べるのでまあ問題はないけれども、豚は、御存じのように、魚を食べるわけです。普通の家庭でも余った魚は豚にやるのです。最近は大型経営があちこちにできまして、相当大型化してきていることも事実ですけれども、やはり個人で養っておる養豚者もこれは全国的な問題としてあるわけです。何も九州のみならず、全国的な問題として私はお尋ねするのですが、全国でPCB汚染、水銀汚染等起きてきますと、どうしてもとれた魚や余った魚は惜しいといって豚に食べさせたり、またわからずに食べさせることがあるので、今度はそれが豚に蓄積されると、豚が汚染されてたいへんなことになる。そうなると、また畜産界にたいへんな影響を及ぼす。現にもうそういった話があるわけでございまして、結局とれた魚を食べさせる、余ったものを豚にやるということから、私は農林省にこれは警鐘乱打して警告をしておきたい。これは十年、二十年たって起きてから騒いでもしようがありませんので、こういったことも十分事前に検討し、対策を立ててもらいたい、こういう気持ちで警告を発しておくわけです。この点に対して農林大臣の御見解を承っておきます。
#171
○櫻内国務大臣 最初の御質問の電気網のことでございますが、これは水産庁長官のお答えで尽きるのであります。このような措置というものは技術的なことでございまして、私がそういう技術面について何らの知識もなく、私としての政治的な判断とか見解とかはこれは控えるのが当然であると思いますので、電気網につきましては長官からは問題点があるということを申し上げましたが、それらの問題点については私としても十分承りまして、また現地の方々がそういう問題点について専門的な何か御意見を持っておられてなおかつ電気網の使用ということでありますれば、それはまたさらに検討するということでお許しをいただきたいと思います。
 それから汚染魚を飼料に使うということ、そういうおそれがないかということでございます。特に豚の場合を御指摘になりましたが、有害物質に汚染されておる魚が飼料用として流通をしたり、あるいは汚染魚を使用して魚粉を製造し、それを飼料用に供する、これはいずれも回り回って、さらにそれによって豚をはじめとする食肉関係が汚染されるという事態は常識的にも予想されるのでありまするから、そのような事態を起こさないように、飼料検査を通じまして適宜の監視をいたしてまいりたいと思います。
#172
○瀬野委員 以上で水俣病並びに第三水俣病関係の質問を終わりまして、あと時間の範囲内で水産三法の質問に入りたいと思います。
 水産業協同組合法の一部を改正する法律案についてまず最初にお伺いしますが、時間の制約もありますので、はしょって大事なところだけ質問を申し上げます。
 まず農林大臣にお伺いしたいのは、本法は漁協系統信用事業の円滑化をはかるために、新たに漁協等が内国為替の取引、手形割引、業務代理の事業を行なう道を開こうとするものでありまして、現状においては漁協の規模が総合農協に比べますとずいぶん小さいし、また職員数も少ないわけです。かりに職員数でいいますと、全然いないところが百六十二、一名から九名のところが千五百十七、十名から十九名のところが三百二十三、二十名から四十九名が百七十五、五十名以上は四十七、こういうふうになっておりまして、信用事業の実施組合も千八百八十五で、総合農協と比べると三分の一ぐらいでございます。また、預金残高にしても五億円以上十億円未満の組合が六十九、十億円以上の組合が二十五、こういうようになっておりまして、総合農協に比べまして全然貧弱でございます。漁協等の信用事業の実態から、この種の事業を行なうことのできる組合といえば、手形、為替にしても、もうほんとうに百二十とか四十とか限られた組合になってくるというふうに思えるので、漁協の信用事業の拡大安定をはかるために積極的な育成を今後していかなければならない。そこで、農林大臣は合併その他のことも考えていろいろと対策を立てておられるようですが、どういうふうにこの水産業協同組合、実に弱小の組合でございますが、今後これを指導し、ひっぱっていくつもりでおられるか、そういった対処方針をまず最初に簡潔に承りたい。
#173
○櫻内国務大臣 いま御質問の中にありましたように、漁協の将来のあり方につきましては、経営基盤を強化することが最も必要でありますから、お話しのように、合併または事業の統合を推進してまいりたいと思うのであります。この信用事業をやりますについて、お話しのように、漁協はどうも規模がまだ小さい。為替業務を扱わすあるいは手形の割引をさせるというにはどうかという御批判もございますが、言うまでもなく、漁業者の場合は、遠く漁業に出まして、この手形割引の場合あるいは為替取引の必要性というものが相当あると思うのですね。したがいまして、組合の中でそういう能力があり得るというものについて、たとえば貯金の残高について手形割引をするについては十億円以上、あるいは内国為替を扱うについては貯金残高五億円以上、さらには信用事業従事職員が四名以上というような、そういういろいろな条件をつけて認めるようにしたらばいかがかと御提案申し上げておる次第でございます。
#174
○瀬野委員 では水産庁長官、漁協は漁業権管理団体という特質を持っておるわけですね。そこで、この二千二百八十三の組合の中で、職員数ゼロのところが百六十二組合あるし、一人から九人のところが千五百十七で、約七〇%近いわけです。漁業権管理団体だから小さいということも言えるわけですけれども、漁協に対して信用事業を行なわせて、事業活動の円滑化をはかるために金融機能を拡充し、一そう活発に経済活動を行なわしていくということはまあ当然のことでございますが、半面、三崎みたいな不正事件がありましたね。ああいう事件が起きてくる。いわゆる八千万円くらいの使い込み、実際は九千万円の使い込みでしたけれども、千三百万はまだ使わずに持っていたということで、八千万円の使い込みの不正事件が起きておりますが、ああいったことが起きますと、為替のためにつぶれて、漁業権の管理団体がなくなるということが言える。すなわち、消滅する心配が起きてくるわけですけれども、この点はどういうふうにこの立法にあたって配慮されておるのか、お答えいただきたい。
#175
○荒勝政府委員 先般の三崎の漁協の不祥事件につきましては、私たちなり県なりの指導監督が非常に不徹底の関係でこういった不祥事を起こしましたことにつきましては、この席をかりまして、まことに遺憾の意を表明いたしたいと思います。
 この三崎のような場合の今後の問題でございますが、われわれといたしましては、そういった場合には、早急に再建のための対策委員会を設けまして、組合の再建をはかってまいりたいということがまず第一点でございますが、また漁業権の喪失というふうなことに万が一でもならないように、その場合におきましては、当然に私たちといたしましては、漁協の合併というようなことを強力に推進することによって、漁業権が維持管理されるように、これはほんとうに強力な指導で実行してまいりたい、こういうふうに考えております。
#176
○瀬野委員 次に、実施組合の基準ですね。さっきちょっと大臣も触れられましたが、こういった三崎みたいな事件も起きるし、今後も予測されてくる。今度は手形を扱うということになりますと、相当高度の事務能力も要るわけでございまして、いわゆる信用事業専従職員が少ない組合が相当部分を占めております。そういったことから、貯金残高とか業務執行体制等について当然基準を設けなければならぬということで、さっき一定規模以上の組合に限定して事業実施を認可するというような意味から、大臣も内国為替の場合と手形の場合をおっしゃいましたが、内国為替はこれは確実に信用事業専従職員を四人以上、貯金残高五億円以上、たしかこういうふうに大臣はおっしゃったが、これに該当する組合はどのくらいあるのか。当初は少なく、だんだんに大きくしていくということでしょうけれども、なお手形の場合は四人と十億円以上を見ておられるようですが、この場合の漁協数、大体四十くらいというふうにいわれておりますけれども、こういった数から始めるのか。
 それともう一点は、水産加工業協同組合はこれは該当がない。今回の提案は、いわゆる該当のないものを今回提案をしている。これはうその提案とも言えるというふうに思うのです。けしからぬ、こういうふうに思うのだけれども、その点についても答弁をいただきたい。
#177
○荒勝政府委員 簡単に申し上げますが、この為替業務につきましては、担当職員四人とそれから貯金高が五億円以上あること、それから手形割引業務については、専任職員がやはり同様四人で、貯金高が十億円以上あるということを条件にいたしております。
 また、該当数につきましては、全漁協数が現在二千七百四十八組合、これは地区別あるいは業種別あるいは加工協も含めまして二千七百四十八でございます。そのうち信用事業を営んでおります組合が二千九組合でございます。約八割ぐらいでありますが、そのうち為替業務の適格組合というのが、私たちの現在の見方では、百十九組合でございます。それから手形の割引業務の適格組合が、ただいま御指摘のように、四十一組合というふうになっております。
 今回の改正に合わせまして、加工協同組合も法律論として適用するにもかかわらず、実質問題として事実上ございませんが、将来の問題といたしまして、加工協同組合にもやはり今後私たち、水産物の加工というものは非常に大事でございますので、こういったものを育成強化していく。将来その中から優等生といいますか、適格なものが出てまいりますれば、その時点においてこういった業務を行なわせるということで、現在の時点におきましては、法律は提案いたしておりますけれども、成立いたしました暁において直ちに適用する組合がないことはひとつ御了承をお願いいたしたいと思います。
#178
○瀬野委員 加工協の為替は、現在信漁連でいわゆる委嘱というか、委託というか、普通取り次ぎ方式といいますが、取り次ぎ方式においてやっているわけで支障ないわけですね。現在該当がないのだから、それを将来のためにやる。気持ちはわからぬでもないけれども、実際この提案から見れば、いわゆるうその提案だ、こういうことになると私は思うのですね。実体のないものを提案している、こういうことになると思うのです。その点は皆さんは将来のためにと言うんですか。
#179
○荒勝政府委員 先ほど申し上げましたように、やはり水産協同組合は組合でございますので、一応法律論としては道を開いておく。しかし、実行の過程においては、その手形とか為替とかといった業務の資格、能力のないものまで直ちに適用することはどうかと思いますので、われわれ指導の段階にあたりまして、さしあたり、当分の間、実行しないということでございますので、ひとつ御了承をお願いしたいと思います。
#180
○瀬野委員 それから、中金の業務の代理の問題で、これは先般のいわゆる農協四法のときにもいろいろ審議したわけですが、やはりこの場合にも、貸し付けにあたっては直貸の場合もありますし、中金がやる場合には、信漁連等、漁協、中金、こういったものが競合することが考えられますけれども、この調整についてはどういうふうに考えておられるか、またいろいろ意見書をとってやられるのか、これらについてもひとつお答えをいただきたい。
#181
○荒勝政府委員 今回の提案いたしましたこの法律で、農林中央金庫の業務の代理を実施することにいたしておるわけでございます。これは中央金庫等の直接貸し付け業務というものが相当今後実行が行なわれることになってくるのではなかろうかという前提で、そういった場合に農林中央金庫が直接貸し付けを行なう場合に、末端の漁協が代理業務を行なうことによって積極的に介入できる道を開いた。また、これによりまして、系統金融という観点からいたしまして、このほうが好ましいということでこういう道を開いたことでございます。また、漁協が業務代理を行なう条件を備えていない等のために、中金が直接貸し付けを行なう場合にも、中金と末端の漁協との間で十分協議して、その承諾を得るなどして十分な措置をとるようにしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#182
○瀬野委員 次は、合併問題ですけれども、漁協の規模拡大をするためには、合併促進が大事なことはもうずっと前からも数回にわたって附帯決議が出されているところでありますけれども、いろいろ資料によりますと、四十六年の実績を見ても、やっと二十八組合が合併している、こういうことで、ネックは漁業権の問題にあると思うのです。また合併の予算を見ましても八十七万円、しかも半額助成を全漁連でもって行なう、約百七十万円ぐらいでいろいろ推進をはかっているようですけれども、こういったことでは、これは二階から目薬みたいなことで全くお話にならぬじゃないか。合併の促進といっても、一番大事な水産協同組合の合併にあたって、政府の推進の姿勢というものがなまぬるいじゃないか、こういう批判があるわけです。また、われわれもそう思うわけですが、その点、どうですか。
#183
○荒勝政府委員 御存じのように、この漁業協同組合の合併につきましては、昭和四十七年に漁業協同組合整備促進法が廃止されまして、かわりまして漁業協同組合合併助成法というものが四十六年四月に、昭和五十一年の三月三十一日まで延長することになりましたので、同法延長後は国の助成は行なわない。しかし、税制等の特例を設けて、われわれとしましては、零細な漁業がたくさんありましてはなかなか近代的な漁業活動も不十分というふうに見ておりますので、今後とも合併は促進するということに、さらに今度の四十八年からは一市町村一組合ということを目標に関係方面と現在相談していまして、そういった促進に伴う多少の協議的な経費については助成をいたしておる次第でございます。
#184
○瀬野委員 次に、漁船損害補償法の一部を改正する法律案について、大事なところだけお伺いしておきます。
 付加保険料のことでありますけれども、総保険料と一般に呼んでおりますけれども、この中には御承知の純保険料と付加保険料があるということで、漁船の所有者というものは、漁船と普通損害保険に付する場合には総保険料を払い込むわけでございまして、この場合における純保険料率は、法第百十三条の四の規定によって料率算定の基準が法定されております。一方、付加保険料率は組合定款で定める、こういうことになっておるわけでございますけれども、この付加保険料率が高いということでいろいろわれわれ考えておるわけですけれども、これは一、二割ぐらいに抑制するのが当然のことではないか、こういうふうに思うのです。こういうふうに付加保険料率をたくさんとらねばならないということは、組合が小さい、職員も足らぬということもわからぬではないけれども、当然これは一、二割に押えるべきだと思うのですが、その点はどういうふうに考えてこの改正案を提出されましたか。
#185
○荒勝政府委員 私たちといたしましても、ただいま御指摘のように、付加保険料は、まあ低いというか、なるべく安いほうがいいというのは基本的な原則でございます。そのためにはやはりこの保険組合が、経営が向上しあるいは加入者がふえることによりまして、経営が安定してくれば付加保険料率もおのずから下げることも可能でありますし、われわれとしましては、そういった形でこの組合の今後の近代化、合理化を大いに促進してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#186
○瀬野委員 この四十七年なんかの付加保険料率の最高は、北海道では五〇%、京都では五一%、広島県では五三%と、半分以上のところがあるし、半分に近いところが相当あります。純保険料の半分以上も人件費あるいは事務費を払っている、ここに問題があるわけで、県によっては、漁船の数で割り当てないのでこういうふうになっているのではないか、こういうふうにもいわれているわけですが、保険はある程度広がりを持たなければならぬことは当然のことでありまして、アンバランスができるといわれておりますけれども、こういったアンバランスですね、いわゆる組合の定款等できめるわけですから、そういったことに対してどういう指導をされておるのか、またこのアンバランスの是正についてはどういうような姿勢で農林省は考えておられますか。
#187
○荒勝政府委員 このアンバランス是正のために、地域でも極端に悪い地域組合等は、ほかの組合と合併させまして、極力アンバランスがないようにまず指導しておりますことと、それからこのアンバラ是正のために、国からある程度、再保険特別会計からでございますが、事務費の補てんをいたしましてそのアンバラ是正に資するとともに、なおかつ保険中央会のほうから、余裕金の一部をもって特にそのアンバラ是正のために事務費の一部を補てんしておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#188
○瀬野委員 付加保険料率の問題は、これは全国一律にほんとうはするということが当然ではないか、政府の政策としても当然こういったことも考えるべきではないかというふうにわれわれは思っているのですけれども、いまさらこれをどうと言って、すぐ訂正することもならぬわけですが、おしなべて考えるべきであるという考えが政府のほうにはあるのか、そういったことは、検討されて、どういうふうにわれわれに説明されるのか、その点、簡潔にお答えいただきたい。
#189
○荒勝政府委員 この問題につきましては、ただいま御指摘のように、非常にアンバラ問題もございますので、今後この指導にあたりましては、国の特別会計からの補助金等を多少検討することによりましてこの問題の解決に寄与してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。ただ、従来からも国といたしまして、やはりこの事務費の補てんのために国の特別会計から相当な金額を、年々人件費の高騰に伴いまして交付してきているいきさつがございます。
#190
○瀬野委員 この安全料率を多く見たから毎年毎年国の会計が黒字になってきた。昨年なんかはとんとんで少し赤字が出そうだとかいうようなことも聞いておりますけれども、従来は少なくともこの料率が高いために黒字が出てきたことも事実であります。ゆえに、料率が高かったのであるから料率を下げるべきだ、こういう声が強いし、われわれも当然下げるべきじゃないかと思うのですが、この点、どうですか。
#191
○荒勝政府委員 料率につきましては、過去十年間の実績を基礎にいたしまして定めるようになっておりまして、私たちといたしましては、船の大型化あるいは建造能力の向上、あるいはその船の操作能力というような点から、一たんきめましたこの基準よりも実際の被害率はよくなってきておりまして、実際問題といたしまして年々この付加保険料率は改定のたびに低く定めてきておるのですけれども、船の能力の向上等によりまして実際は多少特別会計の余裕金を生ずるようなかっこうになってきている次第でございます。
#192
○瀬野委員 再保険金額に関する規定の改正の問題でもう一点。現行制度は再保険金額は保険金額の百分の九十とする、こうなっているのですが、水産庁のお考えでは、特に保険金額百分の九十以内、百分の七十以上の範囲内とするということを定めて考えておられるようですが、この百分の九十以内、百分の七十以上の範囲内、これについては法律事項としてはっきりと政令にこのことを具体的に明記していただきたい、こういうように思うのですが、この点はそういうふうになさるのですか。
#193
○荒勝政府委員 七十と九十の間で政令で規定したい、こういうことに思っております。
#194
○瀬野委員 そこで、いまの話ははっきりと政令で書く、こういうふうに理解していいですね。
#195
○荒勝政府委員 そのとおりでございます。
#196
○瀬野委員 大蔵省、いまのことでちょっとお尋ねしたいけれども、この決定については、いろいろこの機会に聞いておくのだけれども、農林省は何か九十にしてくれというような意見もあって、大蔵省がずいぶんがんばってこういうふうにやったといういきさつもあるのだが、大蔵省はこれについてどういう見解を持っておられるのか、簡潔にお答え願いたい。
#197
○吉瀬政府委員 農林省がそう主張して、大蔵省ががんばっているというのは事実でございません。
 昨年も保険料率の改定を行ないました際は、やはり安全許容率などの点を考慮して七、八%落としたということでございまして、長期収支計算を考えてきめないといけませんけれども、できるだけ三年目の改定を考えて合理化をはかっているところでございます。
#198
○瀬野委員 次に、剰余金の問題についてちょっとお尋ねします。
 さっきから申し上げますように、特別会計に剰余金がたまった場合は料率を下げる、こういったことをぜひやってもらいたい、こういうのが私たちの考えでありますが、いまのところ剰余金の規定が法律で何も書いてないというように思うのですが、水産庁長官、何か関係法規によってやられているのか、その点明確にお答えいただきたい。
#199
○荒勝政府委員 ただいまこの特別会計には剰余金の規定については何らございませんししますので、今回その剰余金の一部につきまして処分といいますか、交付金として交付することにつきまして、あらためて法律で三十五億円をお願いしておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#200
○瀬野委員 大蔵省、いま答弁があったように、それではいままでは間違ったやり方――特別会計法、これは歳入、歳出がはっきりして当然明確にして扱うべき性質になっておりまして常識でありますが、いままでやっていたことは間違いであった、今度このことがこういったことにならないために、特別会計法の一部を明確にしてやるのだ、こういうことに理解していいですか、大蔵省、どうですか。
#201
○吉瀬政府委員 保険特別会計のたてまえでございますので、長期的には収支均衡するというようなことで、あえて剰余金の処分に関する規定を置いてないわけでございます。御承知のように・四十一年に十二億、今回三十五億と剰余金の処分をやったわけでございますが、これは特別会計における非常に重要な支出でございますので、特に特会法及び漁船損害補償法の改正を行ないまして使途を明確にするということにしたわけでございます。内容は瀬野委員御承知のとおり、みな漁船保険の経営収支の改善のために使うということにしておるわけでございます。
#202
○瀬野委員 これをいろいろ詰めると時間が足りぬのですが、非常に問題なんですよ。特別会計法に反すると思うのです。いま水産庁長官からも今回こういったことについての手当てを改正してやるのだという答弁がございましたけれども、従来これは間違った支出になっている、こういうふうに思うのです。十分注意すべき問題だと思う。この剰余金、こういった金の帰属というのはどこになるわけですか、だれのものになりますか。
#203
○荒勝政府委員 本来この特別会計に六十八億円ほどの剰余金を計上しておりますが、これは保険金の中から積み立てられたものでございます。保険料から生じたものでございますので、当然に漁業者が負担したというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、この一つの筋道といたしますと、過去組合員であった漁業者に対してその寄与率に応じて配分すべきものという考え方も出てくるわけでございますが、この剰余金を単にこういった漁業者に配分してしまいますと、非常に零細化いたしまして、あまり効率的でないということになりますので、この際一括しまして、この漁船保険のための中央会に対しまして、前の四十一年のときは十二億円だったのでございますが、その十二億円の先例にならいまして今回三十五億円を一括中央会に交付したということで、法律的に改正をお願いいたしておる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#204
○瀬野委員 そこで、三十五億の交付の問題ですが、前回は十二億、今回三十五億、合計四十七億、こういうことでございますが、この交付金の使途は何か。われわれもこの法案、水産三法は一応賛成の方向で検討しておりますが、いろいろあとに問題にならないためにはっきりしておきたい、こういうことからお尋ねしておるわけですけれども、十二億と三十五億のこの運用益はどのくらいになるのか。と同時に、団体が真に必要であれば、これは一般会計から出すべきじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。今回特別会計法を一部改正して云々というようなこともありましたが、現段階ではそういうふうに思う。それから、特別な法律をつくらなければならぬというふうにも考えられる。またこの団体にしても余ったらくれ、こういう姿勢ではいかぬと思うのです。たしか三十年から今回の四十六年までで積み立て金が六十八億二千百七十四万九千円ですか、あったわけですが、そういったことから、将来とも、これがたまったならばくれといえば際限がないと思う。こういったことについて、また国としても余ったから出すというわけじゃないかもしれぬけれども、結果的には余ったから出すというのも、これは計画なしにいつまでも野放しに出していくというようなことにも通ずるわけで、実際にまずいのではないか、こういうふうに思うわけですよ。余らなかったら出せないのですから。そういったことを含めてひとつまとめてお答えをいただきたい。
#205
○荒勝政府委員 先ほど大蔵省のほうから御答弁になりましたように、本来この特別会計は収支均衡ということで、この収支が長期にわたって均衡することを私たちも考えておりますし、またそういうふうに指導して実行してまいりたい、こういうふうに考えております。
 しかし、年々この料率自身は下げておりましても、なおかつ特別会計の運営にあたりましては、われわれとしましては安全度を多少見込んでいる点もございまして、その結果、運用益といいますか、益金が長期にわたりますと、多少積み立てられてきたというふうに御理解願いたいと思います。この特別会計のそういった、今後運営上なるべく出ないように、またこの料率は極力下げていくという指導方針で、われわれとしては運営してまいりたい、こういうふうに思っております。
 今後の問題といたしまして、この中央会に今回は一括交付いたしまして、この三十五億円と前の十二億円、あわせて四十七億円を基金という形で運用いたしまして、この元本にはおよそ手をつけないで、基金の運用利益によって、この漁船保険の制度の円滑なる運営ができるように運用益を利用してまいりたい、こういうように思っておりまして、平年ベースで大体二億九千万円くらいの運用益が今後生み出されてくるのではなかろうか、こういうふうに理解している次第でございます。
#206
○瀬野委員 いま答弁がございましたが、時間が詰まってまいりましたので、はしょっていきます関係から、委員長にお願いしておきますけれども、この十二億、三十五億の交付金――三十五億については新規の事業も若干考えているようでございますし、十二億の場合は、いわゆる三年間の漁船の無事戻しといいますか、無災害の場合には二百円くらい交付しているのですが、今回は四百円ぐらい交付しようかという話もありますけれども、そういったものを含めまして、具体的にどういう事業をするのか。その内容について、資料をひとつ出していただくようにお願いしたいのです。
 それから、いまの分で、大蔵省に簡潔にもう一点聞きますが、付加保険料の格差是正がいろいろ団体で出されておるが、これは補助金でやって、一般会計が持つ性質のものではないかと思うのです。すなわち、一般会計から負担せずに特別会計から持つのはこれはおかしいのではないか。付加保険料の格差是正事業、こういったことを団体で、交付金の運用益でいろいろ見ているわけですね。いわゆる付加保険料が高くなっていくということにもなるわけでございますから、こういったことに対しては、大蔵省はどういうふうにこの法案の検討段階で検討なさったのか、大蔵省の見解を簡潔に承っておきたい。
#207
○吉瀬政府委員 付加保険料は、組合ごとに相当格差があるということは、それ自体としては好ましいことではないわけでございますが、私ども、基本的にはやはり個々の組合の体質改善といいますか、合併とか、その他の経営改善が必要だと思います。ただ、私ども特会の中で一つ事務費の補助金を見ておりまして、事務費類似の総額で一億ほどあるわけでございますが、そのうち四千数百万円、組合の事務費補助として出ておるわけでございます。こういう種類のものを経営体質の弱体な組合を中心に支出していくということで、事態の改善に努力していきたいというふうに考えております。
#208
○瀬野委員 そこで、特別会計からの補助金政策の中で、一般会計からではなくて、漁船保険特別会計から、従来、漁船保険組合あるいは漁船保険中央会が交付されている項目の中に四項目あるのですが、そのほかに「其ノ他ノ諸費」という項目があるのですけれども、今回のこの補助金の問題については、どう考えても、特別会計法の中で見ても「其ノ他ノ諸費」の中にこれらは含まれない。厳密に言うと、これも入らないというふうに思うのですが、「其ノ他ノ諸費」というのは、どういうものをいうか。今回これが入っておるというのは、どういうふうな意味に理解していいのか。われわれは、これは法律違反じゃないか、こういうふうに思うわけです。そういったことで先ほど若干触れたわけですが、大蔵省、このことについて、ひとつお答えをさらにいただきたいと思うのです。
#209
○吉瀬政府委員 特別会計法で非常に金額の大きいものとか、また質的にも相当重要なものという種類のものは、特会法に収入支出として、いろいろその項目を書いているわけでございます。ただ、金額的に小さいものは「其ノ他ノ諸費」として、一括して特会法の三条に規定しているところでございます。
 現在、「其ノ他ノ諸費」の内容といたしましては、先ほど申し上げました、漁船保険振興事業費補助金九千九百九十八万二千円、この内訳といたしましては、検診技術員の設置費補助金とか、先ほどの組合事務費の補助金などがおもな内訳でございます。こういった種類のものを一般会計から負担すべしという御議論もあるわけでございますが、やはり現在、保険によりましては、保険経理でまかなえるものは特会でもって持つという事例もあるわけでございます。たとえば中小漁業融資保証保険とか森林保険とかいうのはそういう例でございまして、「其ノ他ノ諸費」の中にそういうものが含まれることは、特会法の規定上、別に違反しておるというぐあいには私ども考えていないわけでございます。
#210
○瀬野委員 大蔵省、金額の小さいものというのだが、小さいものというのは、大体どのくらいにめどを置いて小さいものというのですか。
#211
○吉瀬政府委員 金額の小さいものというのは、若干説明があるいは十分でなかったかもしれませんが別に何千万以下のものが小さいとか――その会計、会計の規模によりまして違うのではなかろうか、こう考えております。
#212
○瀬野委員 会計規模によって違うということで、この点は今回は承っておきまして、また別途検討して、別の機会にいろいろと質問を申し上げます。
 最後に、漁船積荷保険臨時措置法案について二、三点簡単に伺って、質問を終わりたいと思います。
 本法は、漁船に積載した漁獲物等について生ずることのある損害を保険する制度の確立に資するため、試験的に漁船保険組合が漁船積荷保険事業を行ない、中央会がその再保険事業を行なうということで必要な措置をするということでありますが、今回の提案に、船主責任保険制度新設が提案されてないわけです。漁船保険中央会に調査を行なわすために四十八年度予算に調査費補助金として二百六十五万一千円が計上されておるようでございますが、両方出すべきであったのに、一方だけ出してあるのは、これは資料の不足とか、いろいろなこともあったらしいけれども、怠慢じゃないかと思いますが、その理由と対処方針をまず第一点、承りたい。
#213
○荒勝政府委員 船主責任保険につきまして、私たちのほうも、でき得ればこの国会に法律案を提案し、また事業も実験的ではございますが、実行いたしたかったのでありますが、やはりこの船主責任保険は、非常にむずかしい問題が多うございまして、もっとデータをはっきりさせないとまずいということもありまして、今後、この中央会に対しまして補助金を交付して――委託費でございますが、それで資料の収集を行なわせまして、スタートするときにはりっぱにできますように、今回は見送らしていただいた、こういうふうに御理解願いたいと思います。
#214
○瀬野委員 いま答弁があったように、これは当然両方出すべきだと思うのですけれども、どうかひとつ早急にこれも対策をとっていただきたいと思うのです。
 もう一点は、本法の二条の二項に、「この法律において「漁船積荷保険」とは、漁船に積載した漁獲物その他の農林省令で定める物(以下「漁船積荷」という。)につき、滅失、流失、損傷その他の事故(戦争、変乱その他農林省令で定める特殊な事由によるものを除く。」云々、こうあるのですが、船で行くときには、当然これは燃料とか、餌料とか食料を積んでいく、大きい船では三千トンぐらい積んでいく。帰りにはいろいろ魚を積んでくる。こういうことになっていると思うのですね。そういったことから、「農林省令で定める」とこうありますけれども、省令の内容は問題だと思うのですが、どういうものを省令の内容にはっきりと明定されるのか、その点をひとつお聞きしておきたい。
#215
○荒勝政府委員 省令で、法律が通りますれば、私のほうで直ちに適用いたしたいと考えておりますのは、この積荷保険の対象となりますものは、ただいまも御指摘になりました漁獲物及びその製品、燃料それから餌料並びに船員の食料等を予定しておる次第でございます。また、積荷保険の事故としない特殊な事例ということの御指摘がございましたが、これは、あまりないとは思いますけれども、襲撃、捕獲、拿捕または抑留並びに騒擾その他の類似の事変とすることを予定いたしておる次第でございます。
#216
○瀬野委員 最後に、大臣に一言承って質問を終わりますが、いま時間の制約があっていろいろ皆さん方に御協力をいただいてたいへん感謝しておりますけれども、水産三法、重要な法案であります。私たちも賛成の方向でこれを検討してまいりましたが、中を見ると、かなり特会の問題等関係がありまして、相当重要な問題をはらんでおります。理事会できめられた時間の範囲内で質問するということなので、私、はしょって重要な点を申し上げましたけれども、十分な審議ができませんでしたけれども、先ほど委員長にも申し上げました、前回交付しました十二億、それから今回この法案が通れば三十五億中央会に交付されるこの運用益によっていろいろ対策がとられるわけですが、その内容等もいろいろ多岐にわたってきておる。港の照明等、その他災害補償金の来るまでのつなぎのための資金を出すとか、いろいろなことを考えられるようでありますが、これは十分監督していただかないと、また問題が起きてもたいへんだし、いろいろ批判の的になってもいけない。こういうことについて十分な指導監督をしていただくことをお願いしたい、そのことを大臣から、せっかく最後まで大臣おっていただきましたので、一言見解を承って、質問を終わりたいと思います。
#217
○櫻内国務大臣 承知いたしました。三十五億と十二億、合計四十七億円の運用益二億九千万円、これを海難防止助成事業あるいは無事故漁船報賞事業、海難防止対策事業、いろいろと従来使っておるわけでございますが、従来よりも額もふえることでございまするし、その支出の内容につきましては、お話のように、十分監督をしてまいりたいと思います。
#218
○瀬野委員 以上で質問を終わります。
#219
○佐々木委員長 次回は明十四日、木曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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