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1972/09/12 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第52号
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1972/09/12 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 農林水産委員会 第52号

#1
第071回国会 農林水産委員会 第52号
昭和四十八年九月十二日(水曜日)
    午後三時十六分開議
 出席委員
   委員長 佐々木義武君
   理事 仮谷 忠男君 理事 坂村 吉正君
   理事 藤本 孝雄君 理事 渡辺美智雄君
   理事 柴田 健治君 理事 美濃 政市君
   理事 津川 武一君
      笠岡  喬君    熊谷 義雄君
      左藤  恵君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    西銘 順治君
      藤波 孝生君    松永  光君
     三ツ林弥太郎君    森下 元晴君
      安田 貴六君    角屋堅次郎君
      島田 琢郎君    竹内  猛君
      湯山  勇君    諫山  博君
      瀬野栄次郎君    林  孝矩君
      神田 大作君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 櫻内 義雄君
 出席政府委員
        林野庁長官   福田 省一君
        水産庁長官   荒勝  巖君
        水産庁次長   安福 数夫君
 委員外の出席者
        林野庁林政部長 平松甲子雄君
        林野庁指導部治
        山課長     鈴木 郁男君
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
委員の異動
九月十二日
 辞任         補欠選任
  金子 岩三君     藤波 孝生君
  丹羽 兵助君     左藤  恵君
  湊  徹郎君     松永  光君
同日
 辞任         補欠選任
  左藤  恵君     丹羽 兵助君
  藤波 孝生君     金子 岩三君
  松永  光君     湊  徹郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 水銀等による水産動植物の汚染に係る被害漁業
 者等に対する資金の融通に関する特別措置法案
 起草の件
 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第一一九号)
 小委員長からの報告聴取
 水銀等の汚染による被害漁業者等に対する基本
 対策等に関する件
     ――――◇―――――
#2
○佐々木委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、水銀等による水産動植物の汚染に係る被害漁業者等に対する資金の融通対策について、水産業被害対策小委員長から小委員会の調査の経過並びに結果につきまして報告したい旨の申し出があります。これを許します。水産業被害対策小委員長仮谷忠男君。
#3
○仮谷委員 水産業被害対策小委員会における審査の経過及び結果の概要について御報告申し上げます。
 小委員会は、去る六月十三日の本委員会で設置が決定され、六月二十日十三名の小委員が指名され、私が小委員長をつとめることになったのであります。
 その後、七月三日に第一回小委員会を開催し、環境庁、厚生省、中小企業庁、水産庁等関係各省庁の関係者から、水銀等の汚染による被害漁業者等に対する救済対策について政府が今日までに講じた対策を中心に説明を聴取し、以後七月十三日、同二十日、八月二十三日、同三十日、九月七日及び九月十一日の七回にわたって精力的に小委員会または小委員懇談会を開催して、本問題について熱心な協議懇談を重ねてまいった次第であります。
 本問題に関しましては、去る六月、政府においては、最近における水銀等汚染問題の重要性と緊急性にかんがみ、行政機関相互間の事務の緊密な連絡をはかるとともに、総合的かつ効果的な対策を推進するため、環境庁に環境庁長官を議長とする水銀等汚染対策推進会議を設置し、魚介類について水銀の暫定基準の設定、水銀関係工場の総点検、水銀の排出規制、全国的な環境調査の実施等各種の対策を打ち出し、その推進をはかっていたところであります。
 特に、その対策の一環として、対象地域二十二府県における被害漁業者等に対して、緊急つなぎ融資措置を講ずることを決定し、融資規模は、被害漁業者等三百二十億円、被害中小企業者二百億円、合計五百二十億円とし、貸し付け条件は末端金利三%として天災融資法に準じて措置することといたしていたのであります。
 しかしながら、小委員会の協議懇談を通じて、政府の講じようとする対策の内容は、対象地域を一部の府県に限定しており、被害の実態に十分対応していないこと、また、行政措置のみによって対処しようとするため、融資機関が受けた損失を補償する措置が欠けること等、救済対策を講ずる上で重要な問題点が残されていること、さらに、政治的にも、この際天災融資法に準じた法制を確立し、その制度の中において前述の問題点の解決をはかることが適切であるとの意見が多くの小委員から述べられ、また、水銀等による水産動植物の汚染に係る被害漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法案が試案として角屋小委員などから提示されたのであります。
 その後、与党小委員からも同様趣旨の法律案が提示され、両者の内容の相違点の調整に鋭意努力を重ねてまいったところであります。
 その結果、内容の大部分の点については調整が進み、合意が得られたのでありますが、被害対象地域を特定地域と特定地域以外の地域とに区分し、融資の貸し付け条件等に若干の軽重の差を設けるとともに、融資機関に対する損失補償の有無について格差をつける点については、これらはいずれも制度の重要な事柄であるだけに容易に調整が進展せず、最も苦慮したところであります。
 その後、九月に入るに及びまして、小委員会としては本対策の緊急性等にかんがみ、大局的見地から残された問題点については小委員会の協議を今後も続行すること、あるいは別途本委員会で決議を行ない、漁業被害基本対策を確立すること、特別措置法の運用について配慮すること等を強く政府に要請することとし、この際は、ただいま委員各位のお手元に配付してありますとおりの特別措置法案を起草することとし、早期にこれが成立をはかるべきであるとの結論に小委員各位の合意が得られた次第であります。
 何とぞ、小委員会が起草いたしました水銀等による水産動植物の汚染に係る被害漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法案を委員長提出の法律案とされますことをお願い申し上げまして、小委員会の報告といたします。
#4
○佐々木委員長 これにて小委員長からの報告は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○佐々木委員長 次に、水銀等による水産動植物の汚染に係る被害漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法案起草の件について議事を進めます。
    ―――――――――――――
    ―――――――――――――
#6
○佐々木委員長 本草案の趣旨、内容につきましては、ただいま小委員長の報告にありましたので、説明を省略いたします。
 別に発言の申し出もありませんので、この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見があればお述べ願いたいと存じます。櫻内農林大臣。
#7
○櫻内国務大臣 ただいま農林水産委員会委員長から提出のありました水銀等による水産動植物の汚染に係る被害漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法案については、政府としてはやむを得ないものと認めます。
    ―――――――――――――
#8
○佐々木委員長 おはかりいたします。
 水銀等による水産動植物の汚染に係る被害漁業者等に対する資金の融通に関する特別措置法案起草の件につきましては、ただいまの小委員長からの報告にありました、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案とするに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#9
○佐々木委員長 起立総員。よって、さよう決定いたしました。
 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 小委員長並びに小委員各位には、まことに御苦労さまでございました。
    ―――――――――――――
#11
○佐々木委員長 この際、角屋堅次郎君外四名から、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五派共同提案にかかる水銀等の汚染による被害漁業者等に対する基本対策等に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
 この際、提出者から趣旨の説明を求めます。角屋堅次郎君。
#12
○角屋委員 私は、自由民主党、日本社会党、日本共産党・革新共同、公明党及び民社党の五党を代表して、水銀等の汚染による被害漁業者等に対する基本対策等に関する決議案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    水銀等の汚染による被害漁業者等に対する基本対策等に関する件(案)
  最近における水銀、PCB等による一部魚介類の汚染問題は、水産食品の安全性に対する国民の不安、不信を引き起し、その結果関係漁業者等は、漁業の操業の停止、水産物の販売の不振、魚価の低落等により甚大な損害を被り、その経営はもとより生活さえ危機に陥る等大きな社会問題となつたことは周知のところである。
  かかる猶予し難い実情に徴して、本委員会は特に小委員会を設置して協議を重ね各党の歩み寄りにより、当面、緊急対策として特別措置法を制定してつなぎ融資措置を講ずることといたした次第であるが、汚染漁場の復旧等の根本対策は今後に残された課題となつているところである。
  よつて、政府は、汚染状況の調査を急ぐとともにその結果等をも勘案しながら、将来にわたつて国民が安心して魚介類を食膳に供することができるようすみやかに左記の事項を考慮して必要な立法措置を含む公害による漁業被害基本対策の確立を図る等魚介類の安全性の確保、汚染漁場の復旧および被害漁業者等の救済に万遺憾なきを期すべきである。
         記
 一 公害による漁業被害基本対策の確立
   公害による漁業被害対策事業を適確に実施し、国民の水産動植物に対する不安、不信を除去するため、次の事項を主な内容とする基本対策を確立すること。
  (一) 政府又は地方公共団体は、沿岸海域(内水面を含む。)等における水質、底質及び水産動植物の有害物質による汚染の態様を明らかにするために必要な監視、測定等を計画的に実施すること。
    政府は、必要な人員の養成確保及び器機の整備について助成措置を講ずること。
  (二) 有害物質により水質、底質及び水産動植物の汚染の著しい沿岸海域については、汚染防止事業を実施すること。
  (三) 主務大臣又は都道府県知事は、汚染水域における漁業の操業の制限および関係漁業者等に対する救済措置を講ずること。
  (四) (二)による汚染防止事業の施行および(三)による救済措置に要する費用は、加害者負担を原則とすること。
 二 特別措置法の運用についての配慮
   今回の特別措置法によるつなぎ融資措置についても被害の実態に即して被害地域の指定に配慮を加え、被害漁業者等の利子負担の軽減、地方公共団体の財政負担に対する財源措置等についてきめ細かく所要の措置を講ずること。
 三 まぐろ漁業者等に対する融資措置
   今回の特別措置法によらないまぐろ漁業者、はまち養殖漁業者等については、政府および地方公共団体が行政措置等により利子補給を行ない低利融資を受けることができるよう別途措置すること。
  右決議する。
 次に、決議案の趣旨を簡単に申し上げます。
 先ほど仮谷小委員長の御報告の中で、本衆議院農林水産委員会におきます五月二十二日以降に起こりました水銀等の汚染による被害漁業者等に対するところの諸問題につきましては、特に本委員会として異例ともいうべき有明、八代海岸におけるところの漁業被害問題についての実態調査等も行ない、それに基づきまして、本委員会でも真剣な論議が重ねられ、さらにまた、六月十三日に、特に本問題の重要性から小委員会が設置され、小委員会におきましては、先ほど仮谷小委員会長御報告のとおり、前後七回にわたりまして真剣な論議、懇談等を通じ、先ほど御提起になりました融資措置についての立法が取りまとめられたことは御報告のとおりでございます。
 しかし、今後の問題といたしましては、さらにこの決議案の前段部分にもありますように「汚染漁場の復旧等の根本対策」も含めて今後に残されておる課題があるわけでありまして、その点等も含めて本決議案を出すことにいたしたわけでございます。
 第一項の「公害による漁業被害基本対策の確立」の内容の問題につきましては、小委員会でも議論いたしました際に、この「基本対策」という趣旨の中には、前段の中にも明らかにされておりますように、必要な立法措置を含む基本対策、こういう趣旨で合意をいたしておるところでございます。
 さらに、決議の内容の第一項の(三)の問題につきまして「汚染水域における漁業の操業の制限」、こういうことばがございますが、この制限の中には、必要な場合には禁止等も含むという趣旨を含めております。さらに「関係漁業者等に対する救済措置」の問題については、これは補償等の問題も含めた広い意味の救済措置の趣旨でございます。
 以上に基づいて、第一項の問題については必要な立法措置を含む基本対策の確立が合意をされたわけでございます。
 第二項の「特別措置法の運用についての配慮」の問題でありますが、仮谷小委員長から御報告の中にもありましたように、野党からの試案の提案があり、与党から、さらに政府・与党内部で真剣に受けとめられて立法に踏み切られる経過がございました。その試案と与党から出されました案との関係においていろいろ協議を重ねてまいりましたが、国会の今日の状況から見て、大局的な判断で緊急に第一線の要請にこたえる立法措置を講じなければならない、こういうことで合意をしたわけでございます。
 したがって、今後の運用の問題については、この決議案の内容にもありますように、「被害地域の指定」の問題については、すでに予定をされておるところも特定地域についてあるわけでございますが、被害の実態に即してさらに追加すべきものの問題が出てまいります場合にはこれを追加するということの配慮を加えるという趣旨が中に含まれておるわけでございます。
 「被害漁業者等の利子負担の軽減」の問題については、この深刻な事態から見て、できる限り被害漁業者については無利子にいたしたいというのがお互いの気持ちでございますが、特定地域については行政的に加害事業者等の関連において利子負担がないような形でいろいろ検討されておるわけでございますが、そういう趣旨等も含めまして「被害漁業者等の利子負担の軽減」、こういうふうに附帯決議ではあらわしておるわけでございます。
 「地方公共団体の財政負担に対する財源措置等についてきめ細かく所要の措置を講ずる」の問題については、先ほどの特別措置法の中では、地方公共団体に利子補給の財源の問題、あるいは特定地域でないその他地域における損失補償のついていない問題等も含めまして、やはり地方公共団体の財政負担が過重にならないような財政配慮をきめこまかくする必要がある、こういう趣旨を含めて特別措置法の運用についての配慮ということでございます。
 第三項の「まぐろ漁業者等に対する融資措置」の問題については、先ほど決定されました特別措置法案の中でも、ハマチ養殖漁業者については五十万円までは本特別措置法の中に含まれるわけですが、それ以外の、さらに三百万までのワクの部分については行政措置として考えておるわけでありますので、その趣旨を含めたハマチ養殖漁業者の決議の趣旨になっておることを御理解願っておきたいと思います。
 なお、マグロ漁業者については、政府といたしまして、本法の適用によらずして、行政措置として別途検討がなされ、準備がなされておるわけでありますが、その趣旨を含めて本決議案では「今回の特別措置法によらないまぐろ漁業者、はまち養殖漁業者等」と書いてありますのは、この種公害では今後いろいろな問題が新しく提起される場合がありますので、ここで「等」と特にあらわしておるわけでございます。以上の点を決議の第三項で、「政府および地方公共団体が行政措置等により利子補給を行ない低利融資を受けることができるよう別途措置すること。」こういうふうにあらわしたわけでございます。
 なお、小委員会は前後七回にわたります真剣な論議の過程におきまして、委員各位のたいへん熱心な検討が行なわれ、また、大局的見地から融資についての取りまとめができたことは、本委員会として高く評価をすべきことと考えております。
 今後の問題については、第一項の決議の内容等も含めて大きな課題が残っておるわけでございますので、さらに本委員会の理事会等の御了承を得て、小委員会が継続をする形の中で本委員会としてさらに努力していく問題である、こう考えておるわけでございまして、そのことも含めて決議案の趣旨について説明を申し上げる次第でございます。
 何とぞ以上の決議案の趣旨を御了承願いまして、満場一致御賛同賜わりますようお願い申し上げます。
#13
○佐々木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 別に御発言もないようでございますので、直ちに採決いたします。
 角屋堅次郎君外四名提出の水銀等の汚染による被害漁業者等に対する基本対策等に関する件の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#14
○佐々木委員長 起立総員。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。
 この際、本決議について政府より所信を求めます。櫻内農林大臣。
#15
○櫻内国務大臣 ただいまの決議につきましては、今後慎重に検討いたしてまいりたいと存じます。
#16
○佐々木委員長 ただいまの決議について議長に対する報告及び関係当局への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○佐々木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう取り計らいます。
     ――――◇―――――
#18
○佐々木委員長 内閣提出、森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。林孝矩君。
#19
○林(孝)委員 森林法及び森林組合合併助成法の一部を改正する法律案に対して質問を行ないます。
 最初に、高度経済成長のもとで森林の経済的機能、すなわち木材需要が衰えない、そういう状況の中で他面環境保全という問題が重視されておるわけでございます。森林の公益的機能の要請がますます強くなっていく、そういう中で今回この森林法の改正という問題が提起されているわけであります。
 まず最初にお伺いしたいことは、林業行政の基本、どのような基本的姿勢をもって私の前段申し上げましたこうした状況に対して国民にこたえようとされておるか、その基本的施策についてお伺いしたいと思います。
#20
○櫻内国務大臣 ただいま御発言の中にもございましたように、今後の林野行政の上におきまして、公益的な機能を重視していかなければならない要素がますますふえてまいっておるわけであります。一方におきまして、住宅あるいは文化生活上欠くべからざる紙等に対する経済的な需要も非常にふえてきておるわけでございまするが、こういう公益的な目的、経済的目的の調和の上に立ちまして、これからの林野行政をしていかなければならないというのが基本でございまするが、特に最近におきましては、公害問題がきびしく批判をされておりますおりに、これからの日本国民の生命の上に果たしておるところの林野の自然の浄化的作用、こういうものがきわめて肝要なことでございます。こういう機能をもし無視していきまするならば、日本民族の長い将来の上におきましては、大きな影響を生じてくることは言をまたないところでございます。
 したがいまして、公益的機能、経済的機能の調和の上にこれからの行政を考えていくとは申しながらも、そのような重要な点を考えまするときに、次第に公益的機能のほうに重さが加わってきておるように私としては見ておるわけでございまするが、いずれにいたしましても、こういう大事な機能の上に立ってのこれからの林野行政を進めてまいりたいと思います。
#21
○林(孝)委員 そこで、森林法第一条に、森林の保続培養、森林生産力の増進、こういうものをはかるという立法目的がありますけれども、この第一条の法律の目的が昭和二十六年に立法された当時と今日と、その社会的背景あるいは解釈あるいは事情の変更、そうしたものをもって考えますと、この文言どおりに読んでいきますと、森林の生産力の増進というところがこの森林の計画あるいは基本的事項の中に重要な位置を占めておって、いま大臣が答弁なさった公益的機能、そうしたものに対する考え方が非常に変化をしているのではないか。したがって、当然、この第一条の森林法の目的等に対する解釈並びに法律改正という問題も議論された、私はそのように推測するわけでありますけれども、その点の経緯はいかがですか。
#22
○平松説明員 ただいま先生から御指摘がございましたように、第一条には「森林の保続培養と森林生産力の増進とを図り」ということばがございます。この場合の森林と申しますのは、ただ単に土地の上に立っております竹木をいうことではございませんで、土地を含めた総合資源としての森林ということで私どもは観念いたしておるわけでございまして、そういうものの保続培養と森林生産力というところでは、国土の保全機能、水資源の涵養なりあるいは環境の保全というものと木材の生産の機能、そういうものを総合した森林の生産力、総合資源としての森林の生産力というふうにこの条文を読むことができると解釈いたしますので、そういう意味において、第一条はわれわれが今回森林法の改正で提案いたしました事項も十分包括しておるというふうに考えておるわけでございます。
#23
○林(孝)委員 その次に、当然なこととして地域森林計画というものの重要性が大きくなるわけでありますが、まず、森林計画の対象となる民有林区域をどこで線を引くのかということが非常に大切な作業であると思います。都市化の進む中で、都道府県によってその受け入れる受けとめ方等も異なってくることは当然と思いますが、この線引きの基準というものをどのように考えられておるか。それから、法案の中に、森林として利用することが相当でない民有林とありますけれども、具体的にどのような林地をさすのか。その二点についてお伺いしたいと思います。
#24
○平松説明員 今回改正案を提出いたします前の現行の森林法におきましては、地域森林計画の対象の森林には限定をしていなかったわけでございますけれども、今回森林法の改正を行なうにあたりまして、森林施業というものについての計画性を持たせる、そして森林としての公益的機能の発揮をいよいよ期待するという観点で、森林計画制度について見直しをするという観点で、国土総合開発法との関連も考慮いたしまして、地域森林計画の対象とする森林というものを、いままでのように土地の上に立っておる立木はすべて対象とするということでなしに、やはり森林としてわれわれが保続培養していくという、対象とするものを限定していったほうがよかろうというふうに考えたわけでございます。
 その際、どういうものが除外されるかということでございますけれども、森林というものは、ただ現在土地の上に立木竹が立っておるということで相当な効用があるわけでございますから、大体において、現在土地の上に立木竹が立っておるというものについては、これを地域森林計画の対象としていくということでよかろうと考えるわけでございますけれども、〇・三ヘクタール前後というような非常に小規模の飛び飛びの団地というような形で、森林としての機能もそれほど大きくないと考えられるものであるとか、あるいは公的な計画、都市計画事業の対象とかいう形で、もうすでに森林以外にすることがはっきり確定しておるもの、そういうものは地域森林計画の対象から除外していって差しつかえないのではないかというふうに考えて、そういうものについては地域森林計画の対象から除外しようということを考えたわけでございます。ただ、森林として利用することが必要であるというものだけにとどまらず、現在森林であることが相当であるものは、すべて地域森林計画の対象として包含していこうという基本的な態度で対したいと考えておるわけでございます。
#25
○林(孝)委員 いまの答弁の中で二つの基準が示されたわけでありますが、〇・三ヘクタール前後の小規模の飛び地の林地、それから公的都市計画の対象となっている林地、こういうものは除外するということでいいわけですね。
 そうしますと、いま非常に心配されておるのは、もうすでに大手デベロッパーによって買い占められておる林地というものが、この区域指定から除外されるということになってくると私は思うわけですけれども、そのとおり解釈していいですか。
#26
○平松説明員 私どもが今回森林法の改正の対象といたしております森林の開発規制ということについての考え方でございますが、私どもといたしましては、森林の所有者がだれであろうと、現在森林の体をなしておるものについて、森林でないような形にすることを規制していこうというふうに考えておるわけでございますから、かりに大資本が森林を買い占めておるという事態があるといたしましても、その買い占めをしておるということだけで森林法の今度の開発規制の対象から除外するということは全然考えておりません。
#27
○林(孝)委員 それでは、所有者がだれであるということは別問題にしても、いわゆる公的都市計画というものに基づいてすでに多くの山林が買い占められておる。これは現実の問題です。そういうものは除外するということになりますと、じゃ、この線引きの基準を適性に、そして大臣が先ほど答弁された公的機能というものを十分に果たすために、責任をもって判断するのは一体だれなんでしょう。その点はっきりしておきたいと思います。
#28
○平松説明員 地域森林計画の対象としてどういう森林を選ぶかということにつきましては、地域森林計画は都道府県知事が決定することになっておるわけでございますから、その対象の森林をどこに置くかということについては都道府県知事が決定をするということになろうかと思います。もちろんその地域森林計画の決定にあたりましては都道府県の森林審議会の議を経るということになっておりますから、当然そういう審議会において皆さん方の御意見を聞くということになろうかと思うわけでございます。
 それから、先ほど私が除外例として申し上げました中で、ちょっと舌が足りなかったので補足しておきたいと思いますが、都市計画のように、公的な計画で線引きが行なわれて、しかも事業の対象となることがはっきり確定して、事業の実施にまではいかないとしても、すでに事業の対象地域として確定しておるというようなていのものということでございますので、補足させていただきます。
#29
○林(孝)委員 いまの訂正は非常に重大な訂正になるわけです。その辺が非常に問題であると指摘する点なんですが、いま訂正されまして、公的都市計画の対象として確定しているという表現を用いられましたけれども、確定というのは、どの時点をもって確定というふうに認識をされておるわけですか。
#30
○平松説明員 都市計画法に基づきまして都市計画が決定されるわけでございますけれども、その中で、たとえば宅地について申し上げますと、宅地ということがはっきり確定しておるというていのものをさしておるわけでございます。
#31
○林(孝)委員 それではちょっと理解できないですけれども、宅地として確定しておるというものを確定というと言うのですか。その確定というのは、具体的に、宅地の場合だったら、どういう状態にある時点をとらまえて確定というふうに認識するのですか。
#32
○平松説明員 たとえて申し上げますと、市街化区域の中では用地指定をやることになっておるわけでございます。その中でどれだけ宅地という形で決定をされておるものという意味で申し上げたわけであります。
#33
○林(孝)委員 宅地の場合は、用地指定が都市計画の対象として確定しておるというその判断が基準になる。じゃ、たとえば宅地以外の道路の場合、それから公共の施設、たとえば先日来問題になっております北海道における長沼裁判、こういうところでいわゆる自衛隊違憲問題が起こってきたわけでありますけれども、ああした場合、一体どの時点が公益的機能として確定しておるというふうに判断をするのですか。
#34
○平松説明員 概括的に御説明を申し上げますならば、都市計画で市街化調整区域になっておるところは全部地域森林計画の対象になるというふうにお考えいただいてけっこうだと思います。
#35
○林(孝)委員 それはわかりました。用地指定がその時点というのでしょう。私が質問しておるのは、それじゃ道路の場合はどうかと具体的にお伺いしておるわけです。
#36
○平松説明員 都市計画の中で道路計画がどのようにして決定されるかということになるわけでございますけれども、私どもの観念では、市街化調整区域の中で道路として確定しておるという形のものはないんじゃないか。ですから、一応現在の私どもの地域森林計画の対象として考えていきます場合には、市街化調整区域の中の森林は地域森林計画の対象として全部包含してまいりたいというふうに考えております。
#37
○林(孝)委員 この議論はあとでまた詰めるとして留保させていただきます。
 それでは次に、いま公的都市計画の対象としてすでに確定している民有林、これはどの程度の面積があるか、このデータを発表していただきたいと思うのです。
#38
○平松説明員 先生のお尋ねに直接該当するかどうかちょっと疑問がございますけれども、市街化区域の中に存在します森林というのが現在約七万ヘクございますが、それがすべて地域森林計画から除外されるということにはならないだろうというふうに考えます。
#39
○林(孝)委員 すべて除外されない。じゃ、除外されるものと除外されないものとの面積の対比がわかりましたらお願いします。
 それから確定する以前、いわゆる市街化区域として確定する、まだ用途指定が行なわれてないそういう段階において、すでに買い占められておる山林があります。この民有林の面積がわかりましたら、答弁願いたいと思います。
#40
○平松説明員 たとえば市街化区域の中にも、環境保全のために保健保安林として指定を相当とするというような森林もあろうと思いますから、そういうものは、いま申し上げましたように、市街化区域の中にございますけれども、地域森林計画の対象として取り上げていくというような形で考えていきたいと考えております。
 現在市街化区域の七万ヘクという森林の中で買い占めが行なわれたのはどの程度あるかということでございますけれども、所有権の移転というのは私どもでちょっと把握する方法がございませんので、正確な数字は申し上げかねるわけでございます。
#41
○林(孝)委員 正確に都市計画確立の民有林の面積、これは七万ヘクタールという話でございました。が、その内訳についてははっきりまだしてない。いずれにしても非常に膨大な面積であります。こういう現実問題があるということは、この地域森林計画との関係において非常に重要な意味をもつと私は思うわけです。たとえばその地域に指定されたか指定されなかったかという問題。じゃ、その区域はなぜ指定されなかったのだろうかという疑問が、次から次にそうした疑問が起こってくるわけでありますが、いま具体的にデータがわからないということでありますから、その次の質問に続かないわけであります。はっきりすれば、じゃ、この地域がなぜ区域に指定されなかったのかというようなことが私の次の疑問なんです。したがって、その次にはいれませんので、その点を後ほどでもけっこうですから、資料としていただきたいと思います。
#42
○平松説明員 市街化区域の中に編入するかどうかということにつきましては、これは都市計画法の施行の問題でございますので、私どもの所掌に属しておりませんので、私どもから申し上げるわけにはまいらないわけでございますけれども、要するに、市街化することが適当である、宅地とか工場敷地とか、そういう形のものとして利用することが土地利用計画上適当であるということで、都市計画法の施行のあり方として都市計画の中でそういうような指定が行なわれておるというふうに私どもは承知しておるわけでございます。
#43
○林(孝)委員 もう一回重ねて申し上げますけれども、たとえば開発途中にある、しかし、その森林計画からいうと、そればその開発行為に対して規制すべきであるという判断が起こってくる、こういう相対する問題が起こってくると私は思うのです。こういう一つの仮定の中において、これは開発不適格というふうに森林法サイドから判断した場合、じゃ、開発途中のものはどうなるのか、これが予想されるわけですね。そうしたときに、たとえばその考え方というものが、先ほど、どういうところは除外するかという判断がはっきりしたわけでありますけれども、こういう判断の基準でやっていった場合に、そうした問題が起こってくる。そうしたものにどういうふうに対処していくのか、こういう点が一つの問題であると私は思います。この点について答弁をいただきたいと思います。
#44
○平松説明員 現在御審議いただいておりますところの森林法の改正法案が成立をいたしまして、現実に施行になるという状態になりました場合に、開発が行なわれている森林をどういうふうにするかということでございますが、これは開発がすでに着手されておると申しますか、この森林が森林でない状態になっておるものは別といたしまして、一応森林の姿で残っておるというものについては、森林法の対象として森林として捕捉することが相当であるものについては地域森林計画の対象となりましょうし、また開発規制を行なうということになるわけでございますが、開発規制を行なう際に、今度の法律の中ですでに開発の途中にあるもの――途中にあるものというのは、具体的な開発計画として一つの団地といいますか、会社が一つのプロジェクトとしてやっているというふうなていの開発対象については、これは法律の施行以前に着手したものについての権利の制限ということになるわけでございますから、そういうものについては除外するということで考えているわけでございますけれども、ただ、その実際の運用の場面について、脱法というようなことで法の精神をもぐろうというような形のものが起こらないようにという形で適用を考えてまいりたいと考えております。
#45
○林(孝)委員 それから、もう一つの相対することで起こってくる問題は、国土総合開発との関連性です。この森林法サイドのいわゆる区域指定と、国土総合開発の面でいうところの地域区分、これは必ずしもぴったり合うものじゃありません。そういう点の調整といいますか、判断をどのようにされるのか、その点をはっきりしていただきたいと思います。
#46
○平松説明員 先生御承知のとおり、国土総合開発法案の中で五つの地域分けが行なわれまして、その中に森林地域というものがあるわけでございますが、その森林地域と地域森林計画の対象となる森林とどういうふうな関係になるかというようなお尋ねであろうと思います。
 国土総合開発法の森林地域につきましては、必ずしも森林だけをその構成要素とするものではございませんで、森林と不可分の道路であるとか田畑であるとか道路敷とか、そういうようなもの等を一部取り込んだものを全体として一体的な広がりとして把握していくということになろうかというように考えますけれども、その中核となるものは、地域森林計画の対象となるところの民有林とそれから国有林というような形になろうかと考えております。
#47
○林(孝)委員 それは、いわゆる国土総合開発法の審議をしている建設省サイドとの了解はちゃんとついているわけですか。
#48
○平松説明員 現在、国土総合開発法案の主管省でございますところの企画庁との間にも、その点についての打ち合わせをいたしまして、現在私が答弁申し上げたことで相互了解済みでございます。
#49
○林(孝)委員 次に、森林計画の公益的機能を確保するために、いわゆる森林所有者が地域森林計画に従って施業をしていくように指導といいますか、誘導していくといいますか、そういうことをやる必要がある、その方法について明確にお答え願いたいと思います。
#50
○平松説明員 森林計画策定につきましては、全国森林計画、地域森林計画というふうになっておりまして、その下で個々の森林所有者は森林の施業計画をつくるということになっておりますけれども、個々の森林施業計画の作成というものは個々の所有者の任意にまかされておるということでございます。ただ、その個々の森林所有者が自由にまかされておるから自由にやるというふうなことで、われわれが意図しておりますような形で施業計画をつくってこないということになりますと、計画制度の画竜点睛を欠くということになりますので、私どもといたしましては、税制であるとかあるいは金融であるとか、そういうふうな面でめんどうを見てまいる。
 たとえば税制の問題で申し上げますと、森林施業計画をつくって施業をしておる森林所有者については、所得税の課税の場合にあるいは法人税の課税の場合に特典を与えるというふうなことをやっておりますし、また造林の補助金の際にも、森林施業計画に即して施業をやっておる所有者に対しては、造林の補助として手厚く補助をする、あるいは農林漁業金融公庫の融資をいたします際にも、施業計画に即した森林の所有者、林業家に優先的に融資をしていくというふうなことを考えている。
 そういうふうなことで、私どもが意図しております方向へ皆さん方にやっていただくということを期待しておるわけでございます。
#51
○林(孝)委員 さらに、先ほどの民有林の開発行為に話を戻して、今回の法案の中に導入された許可制、この問題に関して数点お伺いしますが、一定規模以上ということで都道府県知事の許可制、こういうふうになっておるわけです。その一定規模というのは一ヘクタール以上ということであるそうでありますが、じゃ、たとえば一ヘクタール以下、九十アールあるいは九十五アール、このような開発、これは許可を必要としない。そうしますと、こういう単位で別個に開発が行なわれていった場合に、総合的に考えれば当然一ヘクタール以上になるけれども、単一的に見れば一ヘクタール以下だ、こういうものに対する対処はどのようにされますか。
#52
○平松説明員 現在、政令で定める基準といたしましては、先生が御指摘ございましたように、一ヘクタール以上の開発行為について規制をするということを考えておるわけでございます。と申しますのは、たとえて申しますと、小規模の農地を農民が開発していくというところまで押え込んでいく必要はないのじゃないかというふうに考えられますので、現在開発行為が行なわれるといたしまして、いろいろな問題が起こっておるものについて調べてみますと、大体一ヘクタール以上というところで問題がある。ことに土石の採取というふうな形のもので、そこいらのところから問題があるというように考えますので、その線で押えたということでございます。
 実行の過程におきまして、今後その基準で押えるということが問題であるというような事態が起こりますならば、これは政令でございますので、その段階でまたさらに吟味を加えていくということになろうかと思います。
 また、道路につきましては、これは一ヘクタールの広がりということよりも、むしろ幅が一応問題になろうかと思いますので、そういう点について道路はまた違った基準で規制を考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 それから、先生御指摘の、脱法的に一ヘクタール以下、一ヘクタール以下ということで積み重ねていって、実際それ以上の開発行為を行なうというものについてどう対処するかということでございますけれども、ゴルフ場などようにああいう大規模なものについていま先生御指摘のような事態は起こり得ないのではないかというように考えられます。具体的な事案としてそれが起こり得るであろうと考えられますのは、宅地造成というような場合にそういう事態が起こり得るかというように考えられますけれども、そういう点につきましては、具体的に個々の事象を合わせまして、これはやはり幾つかを合わせた一つのプロジェクトとして考えるべきであるということが考えられるようなものにつきましては、私どもとしては、やはり法の精神に照らして、これは許可の規制の対象とすべきであるというような形で処置をしてまいりたいというように考えます。
#53
○林(孝)委員 ことばをかえて質問しますと、なぜ一ヘクタール以上にしたかということに対していま答弁があったわけですけれども、それじゃ、なぜ住宅の開発についてはすべて許可制というところに発展しなかったのか、こういう点に関する理由づけを明確にしていただきたいと思います。
#54
○平松説明員 確かに先生いま御指摘のような形で、いかに小さな規模の開発行為であっても、これを規制するというふうなことで押え込んでいくという方法も一つの方法として考えられると思います。ただ、御存じのように、民有林の面積が千七百万ヘクタールございまして、それについての個々の規制行為ということで考えてまいりますと、非常に膨大な件数になるということでございますし、また、個々に小さな、たとえば農民の方が住宅建設をされるというふうな場合、そういうものを規制というふうな形で押え込んでいく必要があるのかどうかということについては、個々の事案によっては押える必要があろうかと思いますけれども、そういうものよりも、むしろ現在の乱開発として考えられているものを行政効率よく押え込んでいくという形で考えていくほうが全体的には効率があがるのではないかということで、私どもで現在のところ一ヘクタール以上ということで押えておるわけでございますが、いまの基準にもしそういう先生御指摘のような問題点があるということが実行上わかりました場合には、その基準を下げてそういう事態に対処をしてまいりたいというふうに考えております。
#55
○林(孝)委員 この許可基準の運用という面についていま質問しているわけでありますが、法案の中に「土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。」それから「水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。」この一と二が政府が最もきびしい規制、そういう主張をされておるところであります。ところが、今日までのこうした行政上の問題でありますけれども、保安林でさえ代替施設によって解除できるということで行政が行なわれておる。そういう面から考えますと、この「土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあること。」それと「水の確保に著しい支障を及ぼすおそれがあること。」この二つはどこまで期待できるかという心配があるわけであります。この運用にあたっては、運用通達というものが作成されることになると思いますが、その内容はどうなっておるか、答弁していただきたいと思います。
#56
○平松説明員 法案の中で十条の二の二項の一号、二号、三号というところに不許可に該当する事案を列記しておるわけでございますが、先生がおっしゃいますような形で代替施設というようなことになりますと、一号というのは「災害を発生させるおそれ」ということでございますから、災害が起こらないように措置をするということで代替というものはある程度考えられるかと思います。ただ、二号の水の確保ということになりますと、代替施設というものが必ずしも十分に期待できるかどうか、できるところもございましょうし、できないところもある。三号の環境の悪化ということになりますと、これはちょっと代替施設で代替できないのではないかと考えられますので、代替施設をつくることによってすべて開発するつもりではないかというお尋ねにつきましては、一号の災害防止につきましては、代替施設をすることによって許可が得られるということもある。ただ、その場合も、森林であることとコンクリートの砂防堰堤であるというものがどうだという問題も、また三号とのからみで出てまいるということがございますから、一号にしてもそのままですぐ代替施設で確実に開発が許可されるということにはならぬだろうと思います。その点につきまして、一号につきましては、保安林行政についての蓄積が相当ございますから、実際許可にあたっての留意事項についての通達というのはすぐ私ども用意できるであろうというふうに考えるわけであります。
 二号につきましても、その地域における水の供給の状態あるいは需要の状態、それからその水がどういうような形で使用されておるか、そういうような形でかりに水が減るとして、その減る場合には、減ることについての代替ができるかどうか、それによって地域の住民の方がどの程度支障を来たされるか、その支障を来たされるのが地域の住民の方にとって受忍できる範囲であるかどうかという形になろうかと思います。
 三号につきましては、自然環境保全法がいま施行されておりまして、向こうの法についても現在いろいろ施行に当たっての政令なり省令なりというものが考えられておるようでございますから、向こうの施行のいろいろの態様というものと考え方の調和をされるような形で、その蓄積のもとに学識経験者あたりの御意見を聞いてきめてまいるというような形で対処をしてまいりたいというように考えております。
#57
○林(孝)委員 この三つ、これは知事の許可の判断基準ということでございますが、私がここで一つ問題として提起したいのは、都道府県知事の判断あるいはその運用のしかたが、今回の法律改正の重要な意味を持っておるところのいわゆる森林の公益性を守るという上から、明らかに適切ではないということが明確になってきた場合に、都道府県知事に対する政府の行政指導というものはどういう形で行なわれるのか。また、その行政指導の根拠法は何なのか。その点をお尋ねしたいと思います。
#58
○平松説明員 私どもといたしまして、私ども考えておりますものを具体的に実行していく過程において、国が全部末端まで行なうということができないものでございますから、都道府県知事に国の機関として事務を委任する、いわゆる機関委任事務といわれておるわけでございますが、機関委任事務として処理をお願いするということになるわけでございまして、その機関委任事務としてお願いをするという限りにおいてお願いをするのは、私どもはこういう意図に基づいてお願いをするのですよというのが私どもの指導通達に当たろうかと思います。そういう指導通達で、私どもがこういう趣旨で処理をお願いしたいということでお願いをした、そのお願いの中身について知事さんが仕事をやっていただく上で、私どもの意図と反するというような事態というのは起こり得ないと思いますけれども、もしかりに起こった場合どうするかという先生のお尋ねでございますと、地方自治法と国家行政組織法にそれぞれ国が知事さんにどういうような形で対処するかという手続が書いてございますので、それに従って対処してまいるということになろうかと思います。
#59
○林(孝)委員 何条ですか。
#60
○平松説明員 具体的に申し上げますと、地方自治法の関係では百五十条に主務大臣が指揮監督をすることができる規定がございますし、百四十六条に主務大臣が職務執行命令ができることになっておりますし、百四十六条の二項で裁判の請求ができる、百四十六条の六項で確認の裁判というものが請求できるというように、大体百四十六条と百五十条というところでその関係の規定があるわけでございます。また百四十六条の八項では、極端な例でございますけれども、内閣総理大臣による罷免だとか内閣総理大臣の監督権だとかいうような規定があるわけでございます。
 それから国家行政組織法のほうでは、第十五条に「各大臣は、主任の事務について、地方自治法第百五十条の規定により、地方公共団体の長のなす国の行政事務に関し、その長を指揮監督することができる。」云々ということがあって、いま地方自治法で申し上げましたことを逆に国側のほうから規定しておるわけでございます。
#61
○林(孝)委員 それから、開発行為について、法案の要綱の中で「国又は地方公共団体が行なう場合等一定の場合を除いて、」というふうに規定されておりますが、「国又は地方公共団体が行なう場合等一定の場合」とは具体的に何を意味するのか、この点について明快に答えていただきたい。
#62
○平松説明員 国や地方公共団体が行なう開発行為としては具体的にどういうものがあるかということにつきましては、たとえば農林省の所管で申し上げますと、国営の土地改良というようなものがございまして、これは国が直接行なうというふうな開発行為に当たるわけでございますが、同じ土地改良法に基づく土地改良事業で申し上げますと、府県営の土地改良事業があるということになるわけでございます。
 「等」というところで何を考えておるかということでございますと、国の特殊法人であるとか地方の公社であるとか、そういうものがそういうものに当たろうかというふうに考えるわけでございます。
#63
○林(孝)委員 そこで、私はいま一つお伺いしたいのは、このように森林法の改正の審議の中でいろいろ心配になる点、これがあるわけでありますけれども、その一つの裏づけとして、たとえば保安林の解除の問題があります。
 保安林の解除について伺いますけれども、たとえばゴルフ場に関して保安林を解除した例があるわけですね。いまでもゴルフ場に関して保安林解除の申請が農林省に出ておりますか。
#64
○鈴木説明員 現在でも出ております。
#65
○林(孝)委員 現在も出ておる。農林省の態度として、このゴルフ場に対する保安林解除に関する考え方、そこに非常にあいまいな点が今日まであったわけです。たとえば兵庫県の加西市で開発されたゴルフ場、これは市長が保安林解除の申請者になっているわけですね。そして、どういう形でその山林が動いているかといいますと、私有林、それが第三者の、具体的に名前をあげますと山陽カントリークラブというのですが、そこへ売り渡された。そしてその会社がゴルフ場をやるということで開発をする。その中に保安林が十二ヘクタールある。ところが、その保安林解除の申請を市長がやっておる。所有者じゃない市長が保安林の解除の申請をしておる。これを農林省は許可した。こういう具体的な実例があります。この点は間違いないですか。
#66
○鈴木説明員 申請者は市長になっております。間違いございません。
#67
○林(孝)委員 農林大臣、これは一例ですけれども、保安林解除のこういう具体的な例があります。ゴルフ場でこの三年間に保安林解除をされているのは相当数あるわけですね。いまも申請が出ておる、こういうことなんですが、こういう具体的な例を、いま私、一例をあげたわけですけれども、どのように受けとめられておりますか。
#68
○櫻内国務大臣 ただいまの場合は市長の申請にかかる問題ですが、私としては当時の事情がはっきりわかりませんが、どなたが申請をいたしましても、それを処理する上に不適切であればそれは問題があるかと思うのでございます。しかし、御質問の御趣旨は、ゴルフ場に対する保安林の解除が非常に目立つのではないか、そこに問題がないかという点から問題が起きておるように、過去の事例を考えてみますると、思えるのであります。したがいまして、国会でも問題になりましてから、今後従来のような扱いよりももう少し公共的なことをよく考えて適切な処理をするほうがよいということで、国会での質疑応答の中から、私としても今後慎重を期したいということから、たしか三月であったか、いまはっきり覚えておりませんが、ある時点を限りまして、その後の扱いについては国会の御論議も反映しながら適切に行なうように一応方針を変えたわけであります。そういうことで、過去においての事例がいろいろあって、ときに御批判を受けるような場合があったかと思いまするが、私としてはそれが不当に行なわれたとかあるいは法律に違反するような状況であるとかというように一つ一つの問題を取り上げて考えたことはございませんが、しかし、保安林の解除というものが非常に多く行なわれておるという、またそれがゴルフ場に対してそういうふうに行なわれていくのがいいのか悪いのかというようなことから、私として、三月ごろの時期を区切って、見直していく、一そう適正に行ないたいというような措置をとった。一つ一つの例については事情がよくわかりませんから、いまの場合も、ただ市長の申請にかかわるから、そこで直ちに、私は、それは当を得ないとか、不都合だとか、こうお答えしにくいので、概括的に一応お答え申し上げます。
#69
○福田政府委員 ちょっと私から補足してお答えいたしますが、いま大臣から御説明ございましたように、最近ゴルフ場についての非常な開発要請がございまして、国会で問題になったわけでございます。去る六月二十六日付をもちまして、各県に通達を出した次第でございます。
 その考え方を簡単に申し上げますと、すでに四十七年度末までに計画が出ておりましてその一部着工しておる分を含めまして、その件については約八十件ございますけれども、きびしい一つの基準をつくってこれを指導したものでございます。たとえばその地帯の中に森林は必ず四〇%は少なくとも残す、あるいは傾斜二十五度以上は、これはゴルフ場として使わない、治山工事をやった個所については十年間はこれをゴルフ場としない、あるいはコースとコースの間は少なくとも二十メートル森林を残すというふうな規制をかけたわけでございます。それによりますと、だいぶはずれてくるものがございまして、ただいま厳重にそういったものについては審査いたして、すでに実施しておるものだけについてそういう規制をいたしております。
 今後はどうするかという問題がございますが、今後につきましては、受付は実は現在いたしておりませんが、森林法の中で、このゴルフ場と同時に、住宅関係の開発であるとかその他の開発関係一般とにらみ合わせまして、一つのきびしい基準を設けましてこれを指導してまいりたいと考えておるところでございます。
#70
○林(孝)委員 保安林というのは最もきびしいものだということですね。それで、さらに森林法で規制する、こういうことですね。その最もきびしい保安林の解除という問題について、たとえば許可権限を持っている知事が保安林の解除申請ということになれば、非常に問題になってくるケースが出てくるんじゃないか。それを前提として、先ほどそうした場合どうするかということを聞いたわけでありますけれども、それに対しては根拠法が明らかにされました。もっともっときびしい態度で農林大臣は答弁されておるのです。それはどういうことか、はっきり言いますと、「保安林の、今後解除するかしないか、こういうことにつきましては、ただいまの御意見よく承りました。私もゴルフ場について保安林の解除はいたさないと、こういうことを明白に申し上げておきます。」こういう答弁なんです。ですから、条件つきで処理するとかというようなことではなしに、「ゴルフ場について保安林の解除はいたさないと、こういうことを明白に申し上げておきます。」こういうふうになっておるわけですね。その考え方は、大臣、いまも変わらないわけですね。
#71
○櫻内国務大臣 私、いま速記録を拝見してお答えしてもいいのですが、そのときにたぶん参議院における黒柳委員の御質問にお答えをしたと思うのです。黒柳委員はいろいろおっしゃられまして、たしかそのときはケース・バイ・ケースというようなこともあるじゃないか、そうやぼなことを言ったら−ことばは十分覚えておりませんが、そう無理なことを言って聞いておるのじゃないのですよというふうにいろいろとおっしゃられたのであります。したがって、私は、そういうことを承って、そしてそのおっしゃっておることに同感を覚えて、ゴルフ場については許可しないようにしていこう。しかし、一応今後いろいろな場合がございますから、その黒柳委員のいろいろなお話を聞いた上に立ってそしてお答えをしておりますから、そう言っては何ですが、黒柳委員も多少は私の答弁しいいように、私に対してある程度は、情状酌量というのもおかしいですが、お答えを誘導するような雰囲気の中で、たぶん速記録を見るとそうなっておると私は思います。しかし、私はみだりにゴルフ場に保安林をどんどん解除することは好ましくないという見地に立ってお答えしておることは当然でございます。
#72
○林(孝)委員 感覚的なムード的な問題じゃなしに、大臣の本心としていま答弁願いたいわけですが、保安林の解除というもの、これがそういう形で、こういう条件の場合はとかいう形でやっていいものなのか、それとも大臣が、情状酌量とかそういうところで誘導尋問的に、ついそういうはっきりしたことを言ったけれどもというようなことなのか、その辺非常に微妙なんですけれども、ことばじりとかいうことでなしに、大臣の気持ちとして、あるいは最高責任者として、保安林の解除に関してはこういうことなんだということをはっきりここで答弁しておいていただきたいと思うのです。
#73
○櫻内国務大臣 やはりそこにお答えしておるように、あらゆる角度から保安林のゴルフ場解除についての問題をお取り上げになってお話があったわけであります。だから、私としては、お話を承り、そこで云々ということがついておるのです。私としては、基本的にゴルフ場に保安林解除がどんどん行なわれていいということを考えておりません。保安林が公益的な機能を持っておって非常に必要なことであるというその原則には立っておるのであります。ただ、詰めていまあらためて聞かれると、私は、いまそういう考えはないのです。しかし、極端な場合、私有地が大部分でほんの一部保安林がかかっておって、しかも時代の要請でほんとうにそこは解除してやってもいいのだというような特殊な場合もありはしないかと思うので、詰めて聞かれますると、ちょっとお答えをしにくいのでありますが、しかし、基本的な姿勢としては、保安林は保安林としての目的を持っておる、そしてそれはお話しのように公益的な機能の上に必要なことである。したがって、いかなる場合でも解除する場合にはそれに応ずる代替施設をするようにはなっておるけれども、しかし、それが近来のようなゴルフ場ムードの上で、かりにもそういう基本的な考えがたがえられて、そして保安林を解除するということは全然私は考えておらないのであります。しかし、うんと詰められて、あらゆる場合を言われると、少しお答えしにくいところがございます。したがって、そこに黒柳委員もいろいろとおっしゃってのことであったので、それをいろいろ承って云々と、その中にはほんとうにおっしゃるとおりだと思うこともあったし、それからまた、ちょっと私が答えいいようにおっしゃっておることもあるので、そういうことばがついておりますが、基本的な姿勢としては、保安林の解除についてはゴルフ場について厳密に考えていかなければならないと思います。
#74
○林(孝)委員 局地的なということからしますと、私は、たとえばことしに入って三月までに保安林解除ででき上がっておるゴルフ場が十件。面積も多いのは十三ヘクタールとか十ヘクタール、十一ヘクタール、三十九ヘクタール、こういうものが保安林解除されてゴルフ場になっておるわけです。こういうことがありますから、一体この答弁どおりなのかどうかという疑問が出てくるわけです。いまも申請が行なわれておるという先ほどの答弁でしたから、こういう申請されておるものに対して今後どういう態度で臨まれるのかということであります。もう少しはっきりものを言ってもらわなければ困る、そう思うわけです。
#75
○櫻内国務大臣 大体いろいろ申し上げて御理解を得ておると思うのです。基本的姿勢としては、保安林というものの重要性にかんがみましてみだりに解除すべきものではない。特に現在ゴルフ場が非常に乱立しておるというような状況のもとにおいて私はそういうふうに考えるのであります。
#76
○林(孝)委員 いまの大臣の答弁を聞いておっても、はっきりものを言ってもらっているような理解が私にはできないわけであります。というのは、今回の森林法の改正に関しては、事前に、とにかく森林法ができればゴルフ場のそうした問題は解決するということはこの委員会でも、提案される以前ですけれども、盛んに答弁されてきました。そして提案された。そして審議の過程で、なるほど一歩前進している、そういう内容のものも多々あります。しかし、それ以前にこうした保安林の解除という問題に関してこのような具体的な実例があり、そして現在も保安林解除の申請がゴルフ場に関して行なわれておる。だが、ゴルフ場に関しては保安林の解除をいたしません、そのように一方では答弁されておる。答弁はそのようにされておるけれども、実際、現実問題としては申請が続いておるし、保安林の解除というものに対しての考え方は、申請されてもそういうものははっきり受けつけないという態度であるのかというと、そうでもない。いろいろな条件があって、そしてこういう場合は認めてもいいじゃないか、こういう形です。ですから、非常に幅が広いという感じがするわけです。そういうふうな形でいきますと、その幅はどこまでがどうなのかという線については、先ほど通達ということで話が出ましたけれども、あの通達が、これからの保安林解除の、ゴルフ場に関する申請の許可の基準になるのかならないのか。さらに、そういう通達は出しておるけれども、これは当面の問題であって、将来においてはこの通達ではなしに、保安林解除の申請、ゴルフ場に関する申請についてはもっときびしい態度で臨むのか、こういうところまで答弁を願いたい、このように思うわけであります。
#77
○福田政府委員 御質問のございました、先ほどお答えした通達でございますが、これはすでに工事にかかっておるものであるとか、すでにゴルフ場計画ができて、それを申請されて、受理してそれを審査中のものであるとかという八十件のものについての通達でございます。端的に申し上げると、経過措置と申しますか、そういうものでございます。
 今後どうするのだという御質問でございます。今後の問題につきましては、新しく申請してくるものについては、この森林法の改正の中で保安林とそれから保安林以外の普通林との両方に規制をしてまいらなければならないわけでございます。そこで、今後は、この保安林の規制につきましては、ゴルフ場はもちろんその他の開発についても保安林についてはきびしい規制をさらにかけていくように検討しておる段階でございます。それから普通林についても、一ヘクタール以上のものについては、先ほど御質問の中で御指摘こざいました三つの条件で基準をつくってまいりたいというふうに考えて現在検討中でございます。
 大きな考え方を申し上げますと、たとえば地形とかあるいは土壌であるとか、傾斜度であるとか、水の関係あるいは土砂崩壊の関係、いろいろ影響するわけでございますから、一応私たちは全国的な、県の知事がそれに基づいて判断できるような基準をつくり上げて、それをもとにして知事がそれぞれ具体的なケースについてこれを判断していくというふうにして、知事が恣意的な判断のできないようにしてまいりたいというように考えております。
#78
○林(孝)委員 この点については今後の経過というものもありますから、一応この程度にとどめておきたいと思います。
 次に、森林法二十六条「農林大臣は、保安林について、その指定の理由が消滅したときば、遅滞なくその部分につき保安林の指定を解除しなければならない。」という第一項、第二項が「農林大臣は、公益上の理由により必要が生じたときは、その部分につき保安林の指定を解除することができる。」この一項、二項の保安林解除に関する規定の中で、一項の場合は「遅滞なくその部分につき」云々とあって、そして「解除しなければならない。」という必要性、緊急性というもの、それから農林大臣の責任というもの、こういうものが明確にされている。そのように第一項では解釈できるわけであります。第二項の場合、その緊急性、必要性という問題、これが含まれていない。そして「解除しなければならない。」ではなしに、「解除することができる。」このようになっておる。これはどうして二項の場合に緊急性、必要性というものが加味されていないのか。「解除することができる。」というふうになっておるのか。この一項、二項の法解釈の上における比較について答弁願いたいと思います。
#79
○平松説明員 ただいま先生御指摘のように、二十六条の一項と二項は農林大臣の態度についての規定のしかたが違うわけでございます。第一項のほうは、保安林についてその指定の理由が消滅したときということでございまして、保安林については森林の所有者に対してその所有する森林についての権利の行使を制限しておるということでございますから、私権の制限をしておることについて制限の理由がなくなったということでございますので、私権の制限の解除というものは緊急に行なうべきであるbこれは私権尊重と申しますか、現在の憲法のたてまえからいって当然のことであろうというふうに考えるわけでございます。
 第二項のほうは、「公益上の理由により必要が生じたときは。」ということでございまして、現在保安林に指定をしておりますのもある意味において公益上の理由から保安林の指定をやっておるわけでございます。そのほかまた別途の公益上の必要が出たということでございまして、その公益上の理由というものにどちらに重きを置くかという裁量、大臣の裁量ということで決定をするということを予定しておるものでございますから、そういう前提に立ちまして「農林大臣は」「することができる、」というふうな規定をしておる。
 そういう意味におきまして、一項と二項とは法律の規定の態様が違うということであろうと私ども解しております。
#80
○林(孝)委員 それでは、ここで「公益上の理由により」ということが大きな問題になってくるわけでありますが、農林大臣はこの「公益上の理由」というものをどのように理解し、認識されておるか、その点について明確に答弁願いたいと思います。
#81
○平松説明員 法律の規定の中で「公益上の理由により」という規定は幾らもあるわけでございまして、これは社会常識上、公益上の理由というようなことで判断をすべきものだと思いますけれども、しいて判断の基準ということでございますと、土地収用法の収用の対象になるようなこと、そういうものが公益上の理由であるというふうな形で類推ができるのではないか。具体的な例としておわかりやすいように申し上げれば、そういうことでなかろうかというように思います。
#82
○林(孝)委員 大臣、それでよろしいですか。
#83
○櫻内国務大臣 第二十六条の「農林大臣は、公益上の理由により必要が生じたときは、その部分につき保安林の指定を解除することができる。」これは、今回の長沼事件の際に問題になったところでございまして、当時、指定を解除するという根拠には、この公益上の理由によってやった、こういうことで問題になっておるわけでございますが、ただいま林政部長が申し上げたとおりで、私もそのように心得ております。
#84
○林(孝)委員 先ほどの答弁の中で、土地収用法というものの考え方が類例として引かれて、同じ立場であるということが話されたわけでありますけれども、旧法と新法の土地収用法のいわゆる公益上の理由に対する変遷というものを見ますと、非常に概念が変化しております。ところが、この概念は公益優先か、いわゆる私有権といいますか、私有財産権といいますか、そういうものを優先するかという議論の分かれるところでありますけれども、少なくとも土地収用法における概念は変わっておる、これは事実だと思うのです。ところが、この森林法の中では、概念的にそういうものが非常にあいまいにされておるのではないか、この二十六条を読んだ範囲あるいは公益上の理由という概念の把握のしかた、そういう中でそのことを感ずるわけであります。私は、公益上の理由という問題、これはいま大臣が長沼裁判を例に出されましたけれども、この公益上の理由の概念の変遷というものに対しては的確なる認識をしないと、将来において大きなあやまちをおかすのではないか、そのように思います。
 大臣にお伺いしますけれども、土地収用法における旧法と新法のいわゆる公益上の理由の概念の変遷と同じくこの森林法においても、そうした概念の変遷というものを認められるのかどうか、その点について明快にお答え願いたいと思うのです。
#85
○平松説明員 大臣にお答えいただきます前に、私から事務的にお答えを申し上げたいと思いますが、確かに先生御指摘のように、昭和二十六年以前の土地収用法では、国防云々という、その他軍事云々という形の規定がございまして、それが新土地収用法では除かれておるということでございまして、そういう意味において、軍事関係のものは落ちたのではないかというふうな御指摘であろうかと思いますが、現在の土地収用法の第三条の第三十一号に「国又は地方公共団体が設置する庁舎、工場、研究所、試験所その他直接その事務又は事業の用に供する施設」というものがございまして、それは土地収用の対象になるということでございますので、軍事、国防その他という形の規定はございませんけれども、自衛隊が、国が設置するというこの文言に該当するというふうに私どもは判断をいたすわけでございまして、その点については、先ほど大臣からお答えございましたように、長沼の場合にもこの条項が頭の中にあったということを申しても差しつかえないと思います。
#86
○櫻内国務大臣 ただいま林政部長のほうから法律論としてお答えを申し上げておるとおりでございます。
#87
○林(孝)委員 そうすると、国防という概念、それは土地収用法の第三条には含まれていないわけでありますけれども、しかし、国及び地方団体が行なうという中に国防というものを含めて解釈しているという、そういう見解ですか。
#88
○平松説明員 土地収用法の第三条の規定は、国の行なうものについては土地収用の対象になり得るのだというふうな規定でございますから、自衛隊も国の機関でございますので、国が行なうというふうなものに入るというふうに私ども解釈しております。
#89
○林(孝)委員 それから、この問題に関してさらにあとでお伺いしたいことがたくさんあるわけでありますけれども、関連して同僚の瀬野委員から質問の用意がありますので、私の時間の範囲内でお願いしたいと思います。
#90
○佐々木委員長 関連して瀬野栄次郎君。
#91
○瀬野委員 森林法の一部を改正する法律案について、ただいま問題になっております保安林に関連して、農林大臣はじめ当局に質問いたします。
 自衛隊が合憲か違憲かの論争で注目されておりました長沼ナイキ基地訴訟は、去る九月七日に札幌地裁第一部で、自衛隊は戦力であり憲法違反であるとの自衛隊に対する違憲判決を下したわけであります。政府は直ちに上告ということでいろいろ手続をなさったわけでありますが、法的決着は上級審でこれを行なうということになるにしても、この中で保安林解除が根本的な問題であることは御承知のとおりでございます。
 そこで、私は、本日、憲法論議は、別な機会ということで、しょうとは思いませんが、森林法の審議の中でもございますので、現在の実は百里基地訴訟、小西反戦自衛官裁判、日本原射撃訓練禁止訴訟、また福岡の米軍射爆場、これは五カ年の契約で解決のめどが立ちつつありますけれども、こうしたたくさんの関連の問題もありますし、次回の森林法の審議にもいろいろ関係がございますものですから、時間の関係もございまして一はしょって次の審議のためにぜひここでただしておきたいことを若干この機会にお尋ねをしたい、かように思っております。もちろん本件については各党いろいろ協議いたしまして、別途そろい踏みで徹底審議をするということに申し合わせをいたしておりますことも付言いたします。
 そこで、最初に農林大臣にまずお伺いしますが、九月七日の長沼ナイキ基地訴訟の判決が出たわけであります。この判決に対して大臣はどういうふうに受けとめておられるか、その辺まず一点お伺いいたしたいのであります。
#92
○櫻内国務大臣 今回判決後に、飛躍上告もしよう、こういう考えに法務大臣が立たれましたように、憲法問題に対する最終的な判断は最高裁判所にあるというように私は認識をしておるのであります。あくまでも保安林指定解除ということが私どもの主張する「公益上の理由により必要が生じた」ということについて、それは違う、あるいはこういう点で考えについてあやまちがあるとかいうふうに地裁の判断が出されておりますれば、私どもはおのずからそれについて受けとめ方があるのでありますが、この判決の基本が、憲法に違反する、したがって「公益上の理由により必要が生じた」に当たらないというふうな判決でございます。そういうことでありますから、私としては実はこの保安林指定解除の関係からは、先ほどもお答えを申し上げたようなことで私としての判断が立つのでありますが、私自身の立場からいろいろ判断のしにくい面がございますので、現在法務大臣のほうでいろいろお考えを願っておる、こういうことで、実はこの問題については当面の対象者が農林大臣ということではございますが、それ以上に及んでいるような見解に立っておるわけでございます。しかし、この公判廷におきまして私を代理する弁護士の諸君によっていろいろと意見は述べられておるところでございますけれども、今回のような判決が出て私自身としてはどういう感じかというならば、いまのようなことから、非常に遺憾に存じておるわけであります。
#93
○瀬野委員 そこで、一応大臣の見解を承っておくことにしまして、先ほど林委員からいろいろ指摘があったわけですが、二十六条の保安林の解除の項でございますが、一項と二項、これにはいろいろ解釈のしかたがあるわけですけれども、私は端的に申し上げますが、この一項について、また二項について、いまになって当局の人――あえて名前を言いませんけれども、たとえば一項でやっておけばこういうことはなかったのではないかというようなことをちらちらとわれわれ耳にするわけですね。ところが、従来から二十六条の二項、これでほとんど保安林の解除というものを慣例として今日までやってきている。そういったことから、「農林大臣は、公益上の理由により必要が生じたときは、その部分につき保安林の指定を解除することができる。」この二項によると代替施設はつくらぬでもよいというような解釈を当局はしているやに聞いている。この点少し明確にしておきたい。この次の質問にも関係があるのであえて聞いておきたい。それと二十六条の一項であれば、技術論でやってよかったのだ、だから一項ならば問題がなかったのではないかというようなことも言われて、何か問題があるやによくわれわれの耳にしておる。この点も少しはっきりしておきたい。すなわち一項では当然代替地、保安林の機能にかわる施設をつくってからやれというふうに意味しておるとわれわれは理解するし、また公益上の理由で解除しないようにせよ、こういうような理由があるやに私たちは受けとめておるわけですが、先ほどの林委員に対する質問とあわせましていろいろ聞きたいこと一ぱいありますけれども、それらの点の相違点、また先ほど申しましたように、二項でやったから問題だ、一項でやれば問題はなかったのじゃないか、従来の慣例に従ったために今回はずいぶん大きなミスをしたと言わんばかりのことを当局のほうからもちらほらと聞くわけでありますが、そういった点についてこの機会に農林大臣から明確にお答えをいただいておきたい、かように思います。
#94
○平松説明員 大臣のお答えの前に私どもから事務的に説明をさしていただきたいと思います。
 一項でやっておけば問題なかったのにという点につきましては、先生もそういう話をちらほら耳にするということでございますけれども、二項でやったのが現実でございますから、その現実を踏まえてどう考えるかという形で対応すべきものと考えますので、その点についてはお答えは差し控えさしていただきたいと思います。
 二項の問題で、二項でいけば代替施設は要らないことになるのではないかというようなお尋ねでございますが、公益上の必要が生じた場合にはということで、先ほど林先生にお答えいたしました際に、保安林の指定も公益上の理由によってしておるのだ、新しい解除の理由となる公益上の理由、公益性を持った事業、そういったものについても公益性があるのだ、その公益性の比較秤量を裁量するということによって二項の行為を起こすのだということを御説明いたしたわけでございますが、その比較考量をいたします際に、保安林の解除をするということで保安林の指定による公益性というものが失われるわけでございますから、その公益性の喪失を最小限に食いとめるという意味において代替施設があるというふうな状態の保安林の公益性、そういう代替施設がない場合の公益性というものと新しい事業の公益性とではおのずから秤量の際に差が出てくるという意味におきまして代替施設が設けられたものであろうというふうに私は考えるわけでございます。そういう意味におきまして、第二項の場合にも、公益性の秤量の場合に、保安林の指定による公益性というものがございまして、それが失われる、その失われる量が最も少なくなるというふうな状態が可能であるならば、その失われる量が最も少ない状態にしておいて新しい公益性と比較するというふうなことも当然考えられてしかるべきではないかというふうに考えますので、第二項の場合にも、代替施設の必要がないということでなしに、そういうふうな可能な限りの手段を尽くすことによって最大の公益性を確保するということが、森林法の解釈にあたって対すべき態度ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
#95
○瀬野委員 議事録を見ていろいろ分析さしてもらうことにしまして、もう一点お伺いしておきます。
 これは農林大臣からお答えいただきたいのですが、実は今回の解除について保安林の解除の適違法性の問題が論議されておるわけですが、今回の訴訟では、大体二点、大きな問題が出ておるわけです。きょうはここで全部ただすことはとてもできませんが、高射教育訓練施設の設置を理由とするが、もし教育訓練施設であれば、洪水防止、農業用水確保など公益的機能を有する保安林の解除をあえて行なう必要はないというようなことで、いろいろ原告側の争点がはっきり出してあります。
 そこで、お尋ねしたいことは、聴問会等のいろいろ経緯はありますが、いずれにしても今回のこの解除の理由の中に、保安林の解除の告示をした際に高射教育訓練施設、こういうふうになっておったのでありますが、その後航空自衛隊第三高射群のミサイル基地、こういうふうになったわけですね。申請のときからあとでこう変わってきております。農林大臣はだまされたのじゃないか、うそをつかれたのじゃないか、こういうふうに国民の素朴な批判があることも事実であり、これらが一つの論点になっておるわけですが、これに対して農林大臣また当局はどのように見解を持っておられるか、明確にお答えをいただきたいのです。
#96
○櫻内国務大臣 法律上の見解がどうなるかは別として、私は、いま教育訓練施設がミサイル基地に変わっておる、何か間違ったのではないか、これは表現としてミサイル基地あるいは教育訓練施設、・これが全然違ったものであるかどうか、自衛隊が防衛の必要上持っておる施設、それは訓練施設でもある、こういうふうに私としては考えるのでありまして、これが全く異質のものになったというふうにはとっておりませんが、なお、これらの経緯につきましては担当者からお答えをさせます。
#97
○平松説明員 ただいま先生から、農林省はだまされたのではないかというふうなお話がございましたが、この事案に関して保安林の解除申請の際の申請書には「高射群施設(高射教育訓練施設)」ということになっておりますし、農林省の告示では「高射教育訓練施設及び同連絡道路敷地とするため」となっておりまして、申請書の文言と基本的には変わっていないというふうに私どもは承知いたしております。
#98
○瀬野委員 答弁がございましたのであえてお聞きしますが、大臣は異質のものではない、また当局も別に変わったものじゃないというような答弁ですが、これは今後の審議にも関係するのであえて聞いておきますが、「高射教育訓練施設」、こういうふうになっておりますけれども、航空自衛隊第三高射群のミサイル基地、こういうふうにはっきりなったということは、訓練と、実際現在においては実戦部隊になっておりますね、これは大きな違いなんですね。この点も踏まえてのいまの答弁ですか。
#99
○平松説明員 申請の中には「高射群施設(高射教育訓練施設)」とございまして、訓練施設である。現在も訓練を行なう施設であるというふうに運用されておると承知いたしております。
#100
○瀬野委員 冒頭申しましたように、この問題はたいへんな問題でございますので、いずれ総理を要求し、緊急質問をするなり、連合審査等、いろいろ計画をいたしておるところでございますので、後日各党また打ち合わせの上徹底審議をすることにしまして、以上で保安林に関する私の質問を終わります。
#101
○林(孝)委員 数点お伺いしますが、先ほどの公益上の理由という概念の認識のしかた、私は先ほどの答弁を聞いておりまして、これは重大なる問題を提起した答弁であった、そのように感じたわけであります。
 それはどういうことかといいますと、そのような把握のしかたというものは、あくまでも保安林指定解除の法的意義が大きく変化しているという認識に立っていない、そうして基本的には、それは先ほど申し上げましたように、公益を優先して民生を軽視する、そういう自由裁量権といいますか、そういうものを受け継いでおる。そういう意味におきまして、私は先ほど土地収用法を例に出して質問したわけでありますけれども、私はその点について、答弁に非常に私の認識と食い違いがあるということを申し上げ、さらに、このような問題の把握のしかたという点において重大な問題を含んでおるということを指摘しておきたいと思うのです。
 そして、この三年間に保安林が解除されて自衛隊の基地になっている例として、たとえば大分県の日田郡にあるところの基地、〇・八ヘクタールの保安林が解除されております。神奈川県秦野市にあるところの自衛隊の基地、〇・三ヘクタール、これは保安林が解除されておる実例であります。こういう保安林解除もやはり公益的理由ということが判断の基準になって、その公益的理由の概念が、先ほど答弁があったそういう理由に基づくところの解除であるのかどうか、この一点を質問します。
 さらに、この三年以前に、いわゆる自衛隊法制定に基づく自衛隊設置以来今日に至るまで、具体的に保安林が解除されてどれだけの基地が設置されたか、こういう資料をこの委員会を通して私は要求するものであります。この点の委員長の取り計らいをよろしくお願いします。
 この二点をお伺いして、その提出された資料、さらにただいま議論しておりますところの保安林解除に関する問題、これに関しては相当時間を費やして議論をする必要があると思いますので、残二余の質問を留保さしていただきたい、そのように思うわけであります。
 いまの二点について答弁をお願いします。
#102
○平松説明員 第一点目の御質問につきましては、自衛隊のために解除いたしました大分県の津江村でございますかの分も、それから神奈川県の秦野市の分も、公益上の理由ということで解除いたしております。
 それから、四十五年以後の資料は先生にさきに提出いたしておるわけでありますが、四十五年以前の資料になりますと、いろいろ調べなければなりませんので、保安林解除の資料の中から抜き出さなければなりませんので、かなり時間がかかることを御承知いただきたいと思います。
#103
○林(孝)委員 では、残余の質問を留保しまして、終わりたいと思います。
#104
○佐々木委員長 次回は明十三日、木曜日、午前十時理事会、午前十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後五時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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