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1972/06/20 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会地方行政委員会大蔵委員会農林水産委員会連合審査会 第1号
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1972/06/20 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会地方行政委員会大蔵委員会農林水産委員会連合審査会 第1号

#1
第071回国会 社会労働委員会地方行政委員会大蔵委員会農林水産委員会連合審査会 第1号
昭和四十八年六月二十日(水曜日)
    午前十時三十分開議
 出席委員
  社会労働委員会
   委員長 田川 誠一君
   理事 伊東 正義君 理事 塩谷 一夫君
   理事 橋本龍太郎君 理事 山下 徳夫君
   理事 川俣健二郎君 理事 八木 一男君
   理事 寺前  巖君
      小沢 辰男君    大橋 武夫君
      加藤 紘一君    瓦   力君
      小林 正巳君    斉藤滋与史君
      住  栄作君    田中  覚君
      高橋 千寿君    戸井田三郎君
      羽生田 進君    増岡 博之君
      粟山 ひで君    枝村 要作君
      金子 みつ君    田口 一男君
      田邊  誠君    多賀谷真稔君
      村山 富市君    山本 政弘君
      石母田 達君    田中美智子君
      大橋 敏雄君    坂口  力君
      小宮 武喜君    和田 耕作君
  地方行政委員会
   委員長 上村千一郎君
  理事 三ツ林弥太郎君 理事 山本弥之助君
   理事 吉田 法晴君
      片岡 清一君    保岡 興治君
      小川 省吾君    佐藤 敬治君
      小川新一郎君    小濱 新次君
  大蔵委員会
   委員長 鴨田 宗一君
   理事 木村武千代君 理事 松本 十郎君
   理事 森  美秀君 理事 阿部 助哉君
   理事 武藤 山治君 理事 荒木  宏君
      越智 通雄君    塩谷 一夫君
      地崎宇三郎君    毛利 松平君
      佐藤 観樹君    平林  剛君
      広瀬 秀吉君    堀  昌雄君
      村山 喜一君    山田 耻目君
      増本 一彦君    伏木 和雄君
  農林水産委員会
   委員長 佐々木義武君
   理事 仮谷 忠男君 理事 山崎平八郎君
   理事 津川 武一君
      小山 長規君    正示啓次郎君
      丹羽 兵助君    長谷川 峻君
     三ツ林弥太郎君    湯山  勇君
      諫山  博君    中川利三郎君
      瀬野栄次郎君    林  孝矩君
      神田 大作君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
 出席政府委員
        総理府恩給局長 平川 幸藏君
        経済企画庁総各
        計画局長    宮崎  仁君
        大蔵省主計局次
        長       辻  敬一君
        大蔵省理財局次
        長       後藤 達太君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        厚生省児童家庭
        局長      穴山 徳夫君
        厚生省保険局長 北川 力夫君
        厚生省年金局長 横田 陽吉君
        社会保険庁年金
        保険部長    八木 哲夫君
        自治省行政局長 林  忠雄君
 委員外の出席者
        議     員 八木 一男君
        内閣総理大臣官
        房参事官    今泉 昭雄君
        大蔵省主計局主
        計官      渡部 周治君
        農林大臣官房審
        議官      小山 義夫君
        農林省農林経済
        局農業協同組合
        課長      佐々木富二君
        自治省行政局公
        務員部福利課長 佐野 政一君
        社会労働委員会
        調査室長    濱中雄太郎君
        地方行政委員会
        調査室長    日原 正雄君
        大蔵委員会調査
        室長      末松 経正君
        農林水産委員会
        調査室長    尾崎  毅君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出第五一号)
 国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正す
 る法律案(八木一男君外十六名提出、衆法第一
 四号)
 国民年金等の積立金の運用に関する法律案(八
 木一男君外十六名提出、衆法第一五号)
     ――――◇―――――
  〔橋本(龍)委員長代理、委員長席に着く〕
#2
○橋本(龍)委員長代理 これより社会労働委員会、地方行政委員会、大蔵委員会及び農林水産委員会連合審査会を開会いたします。
 先例によりまして、社会労働委員長が委員長の職務を行なうのでありますが、所用のため、指定により私が行ないます。
 内閣提出、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、八木一男君外十六名提出、国民年金法、厚生年金保険法等の一部を改正する法律案、及び国民年金等の積立金の運用に関する法律案の三案を一括して議題といたします。
#3
○橋本(龍)委員長代理 本案の提案理由の説明聴取につきましては、お手元に配付してあります資料により御了承願うこととし、直ちに質疑を行ないます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田法晴君。
#4
○吉田委員 老人福祉法が制定をされてから、すでに十年余たつわけでありますが、老人福祉法に書いてある老人の心身の健康の保持、生活の安定というものは実際には保障されないものですから、世界で一番老人の自殺者が出ておることは、厚生大臣もよく御承知のところであります。昨日の公聴会でも、公述人の中から、いまの年金額は低過ぎて早急に改善すべきだという点は、共通して述べられたところだと承りました。また老人ホームの理事長をしておられます方は、ホームに入ってくる人は家庭の不和から入ってこられたのだが、その不和の大きな理由は、老人に収入がないことにある。法律にいっております健康の保持、生活の安定がないからだということだと思います。
 この心身の健康、それから生活の安定のためには、その仕事を保障すること、あるいは収入を保障すること、あるいは健康を保障することが必要だと考えられますが、何よりも、その生活の基礎をなします収入について――あるいは働けなくなった方もありますし、あるいは二条にいっております、多年にわたって社会の進展に寄与をして老後を養っておる人もございますから、生活の安定の大きな問題は収入だと思われますが、老人福祉法にいう生活の安定を保障する収入ということになりますと、この年金の問題に関連をしてまいりますが、三千三百円や五千円で収入というわけにはまいるまいかと考えますが、この老人福祉法でいう生活の安定のためにどの程度の年金を差し上げねばならぬと考えておられるのか、基本的な考え方について厚生大臣の考えを承りたいと思います。
#5
○齋藤国務大臣 老人福祉の問題は、現在の政治の課題において最も緊急な問題であると私ども理解をいたしておるわけでございます。
 そこで、老人福祉法によりますところの健康の保持、生活の安定、これが老人問題解決の基本であることは、お述べになりましたとおりでございます。そこで私どもは、健康な方々には、その健康の度合いに応じ、年齢に応じ、適当なお仕事について、そして生きがいを見出していただくという職業問題、これがやはり一つの大きな問題であると考えております。
 そこでこの問題につきましては、職業紹介の専門であります労働省の職業安定所においても、できるだけの老人向きの仕事のあっせんということにお骨折りを願っておりますが、同時に厚生省におきましても、職業のあっせん所を全国に百カ所ほど設置いたしまして、老人に向いた仕事というものをできるだけお世話しよう、それによって、老人といえども健康の間は働くことに生きがいを見出していただきたい、こういうふうに努力をいたしておるわけでございますが、かりにそうした仕事についた場合でも、いろいろな統計で見ますというと、その得る収入が非常に少ない、こういうのが統計上出ておるわけでございまして、私ども老後の生活の安定ということであれば、年金問題というものを根本的に改善していくことが、私は何といっても基本であろうと考えております。
 そこで、今回国民年金なり厚生年金なり、すなわち夫婦で五万円水準年金というものを提案をいたしておるわけでございますが、国民年金で申しますれば、拠出制年金がやはり中心であるわけでございます。拠出年金は、なるほど十二年前に発足をいたしたばかりでございますから、国民の全体にまだ五万円をいただけるような年齢の時期に達してない、こういうことにはなっておりますが、今後とも拠出制年金を中心として夫婦で五万円水準年金、こういうふうに焦点を合わして努力をいたしていくべきであると考えております。
 年金法が制定されました当時のいわゆる無拠出の老齢福祉年金、これについて特に吉田委員がいまお尋ねになっているわけでございますが、この無拠出老齢福祉年金というものをつくったときの当時の老齢福祉年金の性格というものは、老後の生活を完全に保障するという考え方でできてなかった、これはもう十分御理解いただけると思うのでございます。拠出制年金を中核とし、無拠出については、すなわち七十歳以上の方々に多少の生活のゆとりを与えるという考え方で無拠出老齢福祉年金をつくるべきである、こういう御意見に基づいて発足をいたしたわけでございます。
 したがって、もともと当初から老後の生活を全部ささえるという考えで出てなかったということは、これは私は率直にお認めいただきたいと思うのでございます。しかし、さればといって、発足当時はわずかに月千円でございましたが、はたしてそれでいいであろうかというので、本年度は三千三百円、それを五千円、それから七千五百円、昭和五十年度に無拠出老齢福祉年金は一人で一万円、夫婦で二万円、そこまで高めていこうではないかということにいたしておる次第でございまして、仰せになりましたように、五千円とか七千五百円、一万円で老後の生活が十分かということになりますれば、老後の生活全部をささえるという考え方で発足してなかった、そういういきさつ等もありまして、そういう年金はいわゆる拠出制年金として発展させ、育成していこうじゃないかということでありましたために、老後の生活を全部これで、まるまるささえられるかというお尋ねでございますれば、私は、これでささえるということはできるものではないし、それはもともと老後の生活に、ある程度のゆとりを与えるという考え方で出発したんだということであるということを申し上げざるを得ないと思うのでございます。
#6
○吉田委員 老齢年金、拠出制で夫婦五万円の年金を中心にしておるという御答弁が前段にございました。これらの点は、野党の法案提出者がおいでになりませんから――政府提案の法案と、それから野党提出の法案とのいわば争点の問題だと思いますが、並んでおられたら、あとで時間がございましたら、お尋ねをいたしたいと思います。
 ただ、いま申し上げました福祉年金三千三百円や五千円、さらに五十年一万円というお話でございますが、それでは生活の保障にならぬではないかということは、お認めいただきました。老人ホームに入っております老人を見舞いますと、施設も古いものもございまして、あるいは不十分であったりいたしますが、入っておられます老人の方が、いわば肩身の狭い思いをしてひっそりと生きておられる。まあ有料老人ホーム等に入っておられる方々は花をつくったり多少生活のゆとりがあるような感じもいたしますけれども、大部分の老人ホームでは、お年寄りが老人福祉法の精神にはほど遠い生活をしておられる。いま言われる五万円年金といえども、それは十八年先の話、そして福祉年金やあるいは生活保護を受けておられる方が大部分。で、この老齢年金のいろいろな段階、格差、これもございますが、総じていままでの日本の社会政策が慈恵的な社会政策といわれるように、してやる社会政策、上からスズメの涙ほどの年金を差し上げる、福祉年金に端的にあらわれているような水準あるいは生活保護の水準にあらわれているようなところが実際の大部分じゃないでしょうか。それを解決することが急速に必要だといわれるゆえんだと思います。昨日の公述人もいままでの老齢年金があまりに低い、早く直すことが急務だと異口同音に言われる。そうすると、そのあるべき姿、あるいは格差を解消して直ちに実施すべき姿は十八年先の五万円ではないと私は思いますが、そこをどう考えられますか。これは厚生大臣とあわせて野党共同提案の八木さんにお尋ねをいたします。
#7
○齋藤国務大臣 先ほども申し述べましたような発想から老齢福祉年金というものができ上がってきたわけでございますが、昭和五十年度になりますと夫婦で二万円、本人一人一万円、こういう年金額にしようということを田中総理も政府といたしましても、政治的にお約束をいたしておるわけでございます。そこで実は昭和五十年度に一万円、夫婦で二万円ということになりますと、これは全額国費でございますから、やはり相当な額になるわけでございますので、そうした額がのぼるに従って、改善されるに従って無拠出老齢福祉年金の性格というものを再検討しなければならない、こういう時期に来ておると申し上げることができると思うのでございます。
 なるほど発足当時は千円、やっとことし五千円、こういうわけでございまするから、その程度でございますれば老後の生活のゆとりというふううなことを申し上げられるんですが、一万円、夫婦二万円ということになりますと、はたしてこういうことでいいのであろうか、やはり老後の生活を、まるまるささえるような年金に老齢福祉年金も変えていったらどうだろうかといったふうな問題が当然に出てくるわけでございまして、性格の再検討の時期に近づきつつあると考えておりまして、実は先般から厚生省の中で社会保障長期五カ年計画というものを策定することにいたしておるわけでございますが、この社会保障長期計画懇談会においての一つの課題として、すなわち五十年に一万円、で、五十一年はどうするんだ、五十二年はどのくらいの額にするんだ、こういう問題とあわせて老齢福祉年金の性格を再検討しようということについて、いま研究課題としてひとつ提案をいたし、学識経験者の方々に御検討を願っておる、こういう段階でございます。
#8
○八木(一)議員 吉田委員の御質問に御答弁を申し上げます。
 野党四党は、この四党の年金二法案を国民の生存権を保障する立場から作成をいたしたわけでございます。生存権について日本国憲法は社会保障を改善、充実をしなければならないことを国に責務を課しているわけでございます。社会保障でありまして社会保険ではありません。社会保障をほんとうに確立をしなければならないわけでございますが、いままでの制度が社会保険でできていることが、その点で非常に遺憾なのであります。でございますから、いままでの社会保険を社会保障に急速に近づけるように私どもは考えております。
 それとともに、いま年金を必要としている人が幾ぶんの年金ではなしに、それで生活をできる年金、これをぜひ支給を受けていただく制度をつくり上げることが絶対に必要であると考えまして、具体的には老齢福祉年金について直ちに一人二万円、夫婦四万円にすること、そしてその支給年齢を引き下げまして六十五歳から開始にいたしまして、この点については階段的に第一年度一人一万円、夫婦二万円、第二年度一人一万五千円、夫婦三万円、第三年度一人二万円、夫婦四万円ということにいたそうという内容でございます。
 この夫婦四万円でございますが、四党案は賃金スライド制をとっておりますので、それが現在の賃金の引き上がりを予想して推測をしましたならば、三年ならずして夫婦三万円になることは明らかであろうと思います。政府案の中に物価スライド制がうたわれておりますが、老齢福祉年金については、あるいはその他の福祉年金については、このスライド制の規定がございません。こういう点に政府案の非常な欠点があると存じまして、野党はこの福祉年金についても賃金スライドをつくりまして、一挙に二万円にするとともに、その二つをあわせまして福祉年金の受給者の生活を完全に保障しようとするものでございます。
 以上、御答弁申し上げます。
#9
○吉田委員 齋藤厚生大臣も、昨年の選挙のときにポスターが張られて、すぐにも五万円の年金が得られるような宣伝をされた。ところが実際にはそれは十何年か先の話で、すぐにもらえるのは福祉年金でいえば三千三百円、それがことしは五千円、こういうことで、いわば宣伝と中身が違ったことが昨年の選挙の自民党後退の一つの原因をなしているということは、担当責任者としてはお感じになっておるはずだと思う。きのうの公述者からも、いまの年金は低いから直ちに引き上げろ、こういう要望が共通してなされた。その辺、私は政府のその努力あるいは改正案の趣旨はわかりますけれども、直ちにことしから、あるいは来年から引き上げられるこの努力が必要だろう。
 これは口頭禅でなしにあるいは口約束でなしに、いま懇談会を通じてこれから五十年先の福祉年金のあり方は検討するということでありますが、検討するということでは、もう待っておれぬのです。それだけに、いま問題になっております社会党なり野党の修正案を取り入れて、ことしからこうするという決意はございませんか、承りたいと思います。
#10
○齋藤国務大臣 実は昨年の総選挙の際には私も厚生大臣はいたしておりませんが、あの当時、これは党のことを私が言うのはいかがかと思いますが、確かに五万円年金ということを提案いたし、それから同時に老齢福祉年金については党の公約として、できるだけ早く一万円年金にしますということをいっているはずでございます。すなわち、無拠出の老齢福祉年金についてはできるだけ一万円を実現する、こういう公約をいたしておったわけでございまして、そこで拠出制年金について確かに五万円を二十五年なり二十七年たてば、みんなすべてもらえるかのごとく、あるいは法律が通ればすぐもらえるかのごとくお考えになっておったかもしれません。その点は確かに私もある程度はその趣旨の説明があるいは不十分であったかと思いましたが、私などは演説においては「五万円水準年金」という「水準」をちゃんと使って実は演説をしております。(笑声)これははっきり言っております。
 そこで、それはそれとして、現実問題としてどの程度になるかを私申し上げてみたいと思うのですが、厚生年金については、現実既裁定年金受給者について二・二倍の改定をいたしておりますから、本年じゅうに大体二十年以上勤続された労働者の方々は、平均いたしまして四万一千円から四万六千円、これが六〇%でございます。これは本年受給されまする人数が八十万人で、そのうちの六〇%が二十年以上の勤続者でございます。それが四万一千円から四万六千円、これは現実になるのです。ですから、来年あたりになりますと現実に五万円以上もらえる方は相当多くなるわけでございます。
 ただ、問題は国民年金であります。国民年金は仰せのごとく仕組みが初めから、これはもう皆さん方の御協力をいただいて国会でつくった国民年金法、これは当然二十五年保険料を納めることによって今日は、いままでは二万円水準年金になっておるわけであります。したがって、三十六年にできたばかりの法律でございますから、二十五年という歳月は経過しておりません。ですから、どうしても国民年金で五万円をいただくということはできない、これは私は当然だと思うのです。年金という仕組みはそういうものであるわけでございます。
 そこで、現実経過しておりますのは十年なり十一年なり十二年経過しておるわけでございまして、すなわち、十年年金については現在もうすでに支給されております。それは夫婦で一万円でございます。夫婦で一万円、それを今度法律改正によって、これが皆さん方の御協力をいただいて成立いたしますと夫婦で二万五千円になる、こういう仕組みでございます。二十五年納めた方は五万円、十年の年金の方は二万五千円、こういうわけでございまして、一律に五万円年金というふうに党なりが宣伝したということでございますが、それは多少ことばがあるいは足りないかもしれぬ、水準と言えばはっきりわかるのです。私などは水準として演説をして歩いたわけでございます。そこで、現実問題としてそういう姿になっておりまして、私どもはそう何もまやかし、ごまかしたつもりというものはない、かように考えておる次第でございます。
#11
○吉田委員 説明を聞いておるのではなくて、昨年の総選挙で五万円のポスターを全国に張りめぐらされたことは、いまも認められました。その宣伝と実際とが違うところが昨年の総選挙の結果にも出ておるし、それからこの間の大阪の参議院の補欠選挙にも出ていると言わざるを得ない。新聞が筆をそろえて都市政策について再検討、あるいは自民党自身も政策の再検討と言っておられるのだから、これは認めておられると思いますが、問題は、この年金問題について政府の案とそれから野党の案とが並べられておるが、きのうの国民を代表して公述された自民党推薦の公述人でさえも、低い年金を早く引き上げてもらいたい、いまの年金は低いから早く引き上げてもらいたいというお話ですから、この並んでおります両案を折衷をしてといいますか、野党の修正をできるだけ入れて、そしてことしからお約束の年金に近づける努力をする気持ちはございませんか、こういう取り扱いと姿勢について尋ねておるわけであります。
#12
○齋藤国務大臣 野党の方々の御提案になっております年金法案は、厚生年金、国民年金通じてでございますが、いわゆる財政方式として賦課方式をとっておるわけでございます。なるほど賦課方式も一つの方式であるということについて、私は高く評価をいたしております。しかし現実こういうふうなことで長期にわたる年金支給の安定を確保できるかということになりますと、私は非常な疑問を抱いておるわけでございます。すなわち、現在の受給者が少ない時代において、現在保険料を払っておる方々だけでまかなうといたしますと、いまの保険料は安くて済みますが、この状態が御承知のように老齢人口というものは年々歳々ふえております。現在七十歳以上の老齢人口は総人口の七%程度だと思いますが、それが五年なり十年、二十年たちますと一〇%、一二%になって西欧先進諸国と同じ老齢化社会が出てまいります。そういう時代になってまいりますと、保険料は現在の保険料のどの程度になるか、これはその当時の人々だけが負担するということになりますと、たいへんなことになります。一応の考え方としては、統計的に見ますと、俸給の三〇%程度は年金に充てなければならぬという数字になると思うのでございます。ところで野党の方々は三〇%になったのではたいへんだという、たいへんだと考えられたかどうかは別として、そうなったときには労使の負担の割合を七、三に変えるのだ、そして国庫負担をもっとふやすんだ、こういう前提に立って、そういう時代においては、すなわち保険料の負担が三〇%になるどころか、一〇%程度にとどめなければならないのだ、こういう案になっておるわけであります。ということになってまいりますと、だいぶいろいろな仮定の資料に基づいたものが相当あるわけでございます。
 私どものほうはやはりある程度確実な統計なり資料なり財源というものをもととして考えていかなければならないわけでございまして、私どもは人口急増の段階において、なめらかに保険料負担が、上昇が行なわれ、世代間の負担の公平を期する、そういうことを経過していって、ある一定の年に達するならば三年程度の給付をまかなうに足る予備金だけを保有して、あとは全部賦課方式に切りかえていくということであれば、非常にスムーズな年金財政というものが確立されるのではないか、こういうことで私どもは現在修正賦課方式というものを採用いたしておるわけでございます。ある一定の老齢化社会が出現いたしました際には、野党の方々のお考えになっておられる賦課方式に移行する、移行せざるを得ない、こういうふうに私どもは考えておるわけでございまして、いま直ちにそう仰せになりましても、これを採用するということは責任を持って将来の長期安定財政を考える上からいって非常に困難であり、私どもはいまの段階で受け入れるわけにはまいらぬと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#13
○吉田委員 野党の代表の答弁もお願いしたいのですが、少し答弁が長過ぎまして、願わくば事務局答弁でなしに内閣を代表する大臣答弁を私はお願いいたします。あまり知られておるだけに詳しい御説明がございますが、決意を承るときに説明はあまり要りません。
 ではどうぞ。
#14
○八木(一)議員 いま賦課方式と積み立て方式について御質問がありました。政府のほうの答弁がありましたけれども、政府が野党案に批判をしておられますから、私どもは野党の態度を解明をしておかなければならないと思うわけであります。
 政府のほうは、たとえば世代間の公平――将来に保険料の負担が増大をする、だからいま賦課方式をすれば、いまの保険料はなくするか少なくすることはできるけれども、将来の保険料負担が増大するから世代間の均衡を考えて、それを適当としないというような態度を自民党政府はとっておるわけであります。世代間の公平というものは形式的な公平、形式的な均衡ではなしに実質的な均衡でなければならないわけであります。いま日本の労働者と国民が非常に低賃金や重労働や高物価や大衆重税で苦しんでいる、そういうときに保険料の負担ということは非常に苦痛であります。ところが将来において、この年金のピークは昭和八十五年度といわれておりますが、それまでにこのような独占資本がはびこって国民が圧迫されるような政治は国民の力によって変えられるべきである、必ず変わるべきであると私どもは確信をしておるわけであります。その際に労働者の収入が、あるいは零細自営業者の収入がいまよりもはるかに増大をし、実質的に増大をした場合において、自分たちの先輩に対する年金の負担あるいは自分たちが将来それを保障されている十分な年金について協力することは一つも苦痛でない時代が来るわけであります。その意味において、実質的な均衡をとるという立場から、これは賦課方式を断じてとっていかなければならないと思うわけであります。
 そしていま政府のほうは、仮定の数字といわれておりますが、仮定の数字は先のことでございますが、政府案でも仮定の数字であり、野党案でも仮定の数字であります。あたりまえの話である。将来のことは仮定の数字を想定して組むよりしかたがない。野党はそのりっぱな仮定に基づいて確信を持った案を出しているわけであります。
 さらにこのような積み立て金方式に固執せられるのは、積み立て金を大独占資本のために、これを運用しようという気持ちがその中にあるとしたならば、とんでもない問題だろうと思います。積み立て金は、直接国民生活に役に立つように使っておられると政府は陳弁これつとめておられますけれども、財政や投融資資金は全体のものであります。この積み立て金というのは労働者のものであり、被保険者のものであります。その直接のものに使わなければならない、これを一般財政でやらなければならないいろいろの政策、あるいは一般の財源をもって融資をしなければならない政策に向けるということは、一般の財政資金や融資資金を独占資本のために使う余裕を残すということになるわけでございまして、このような魂胆があるとして積み立て金方式を固執せられるとすれば、国民に対して非常な裏切りであると私どもは考えております。断じて賦課方式をとっていくべきであると存じます。
#15
○吉田委員 時間がございませんから、追及をしていく間がございませんのをたいへん残念に思いますが、具体的に年金の谷間をなくせという国民の要望に対して、先般来自民党筋から、私どもは新聞紙上しか知りませんけれども、修正の意思あるかのごとく伝えられておりますが、これは大臣として、党の責任者として意見を述べられなければならぬところだと存じますが。この年金の谷間をなくす方法について、具体的にどのように考えられておるか、あわせて問題になっております点について改正、修正の意思ありやなしやを重ねて承りたいと思います。
#16
○齋藤国務大臣 谷間の問題、すなわち国民年金発足当時適用を受けなかった制度のワク外にあった方々が、現在六十七歳、八歳、九歳、三年齢層が残っておるわけでございます。六十六歳以下の方々は何かの形において年金の体系の中に入っておりますので、国民皆年金の時代、そうした三年齢層の方々について、何かしらの年金制度をつくるということが必要であると考えておりまして、先般の予算委員会において、総理からも、私からも、法案審議の段階において解決をしたいということを申し述べてまいった次第でございます。そうしたことで、先般自民党の橋本私案なるものが社労に提示されたわけでございまして……。
#17
○橋本(龍)委員長代理 なるものとは何だ。
#18
○齋藤国務大臣 私案が提示されたわけでございますが、いまの段階で政府の態度を明らかにするのは、普通でございますと、そういう修正案が可決になりましたときに申し上げるのが普通の例でございますが、私は、もし橋本私案が皆さま方の御協力によって認められるならば、それによって修正されるならば、政府としてはこれに同意をする、こういうふうに考えておるわけでございます。この案だけでも実は三百億をこす相当な財源でございますが、政府としては、成立いたしますれば同意をいたしたいと考えておる次第でございます。
#19
○橋本(龍)委員長代理 厚生大臣は、日本語の使い方によく御注意を願います。
#20
○吉田委員 その他の点についても、問題になっているところの厚生大臣としての決意を承ったわけでありますが、少し逃げられました。そういうことでは勇気と決断ということばも、から文句になってしまいますが、各年金の間の格差をなくすという問題は、これは大きな問題だと思います。これについて一般的に承りたいのでありますが、時間がございませんから、具体的な問題を一、二承りたいと思います。
 担当者でけっこうですが、地方公務員で昭和四十六年まで給与の改定が四月にさかのぼらないで五月一日実施という段階でございました。そこで四月一日から三十日の間にやめた人については、特に退職年金の計算について不利な状態にございますが、これは法律の改正の要があると思います。地方公務員についても、あるいは国家公務員についても改正の要があると思いますが、どういうぐあいに考えておられますか、承りたい。
#21
○佐野説明員 今回の地方公務員の共済年金の改定につきましては、恩給の取り扱いに合わせまして各退職した年度ごとに一定の改定率を乗じて改定するようにいたしております。そうした点でただいま御指摘がございましたように、昭和四十六年の四月に退職しました人につきまして、給与改定分だけ見られてないという違いがございます。しかしこの点につきましては、公共企業体職員については四月から給与改定をしておる、国家公務員、地方公務員の一般職員につきましては、これは五月からやっておる、一部の地方公務員の公営企業関係の職員については必ずしも四月なり五月ということでなくて、財政事情によって実施時期が違っておる、こういういろいろの取り扱いがございまして、そうした点考慮いたしまして、若干のそうした違いは承知の上で、恩給の取り扱いに合わせまして年度別に改定率を乗ずるというようにいたしたわけでございます。
 そうした点で、それらの問題について今後どのようにするかということについては、なお引き続き検討いたしたい、このように考えております。
#22
○吉田委員 時間がございませんから、次の問題に移ります。
 根本的にはこれは国家公務員、地方公務員、それから公共企業体、それから民間人と、年金の制度とその水準の違うせいもございますが、具体的にこういう例がございます。これは札幌で地下鉄を建設をするために、定山渓鉄道の従業員を全部札幌の市の職員に吸収をいたしました。福岡市においても地下鉄建設に関連をして同様のことが起こり得ることが予想をされます。私鉄等民間の会社の職員あるいは従業員であった者が公務員になったときの年金の手取りは具体的にいかようになるのか、あるいはその矛盾があるならば解決の方法等について、関係者に承りたいと思います。
#23
○佐野説明員 札幌の地下鉄関係の職員の取り扱いでございますが、御指摘のように、民間の会社でいた期間につきましては厚生年金、それから札幌市の職員になりましてからは、この共済年金ということで適用区分が違ってございます。そうした点で最短年金年限にそれぞれの区分に従わせて達しておりましたならば、厚生年金のほうから老齢年金、共済のほうからは退職年金が出るわけでございますが、最短年金年限に達していないという場合には通算年金が支給されるということになるわけでございます。
#24
○橋本(龍)委員長代理 ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#25
○橋本(龍)委員長代理 速記を起こして。
#26
○吉田委員 時間がございませんから簡単に承ります。
 各年金の間に差がございますし、また計算方法あるいは積み立て金の運用方法等にも違いがございますが、この格差の是正と、それからこれからインフレは、少なくとも四十八年において政府が予定された五%以上になることはもう必至であります。それから私どもの見るところでもってすると、このインフレはなかなか収束しがたいと思いますが、わずかな年金をもらって、その年金の価値がだんだん下がっていくということは、年金受給者にとってたいへんな問題だと思います。これについての厚生大臣のひとつ決意を承りたいと思います。
#27
○齋藤国務大臣 各種年金並びに共済年金等においていろいろな差のありますことは仰せになりましたとおりでございますが、それにはそれなりのいろいろな制度間の沿革、いきさつ等がありまして、そうなっておるわけでございますが、私としては各種年金というものの内容は、やはり統一的な方向に向かっていくべきではないか、今後ともそういう方向で努力をいたしてまいりたいと考えております。
 なお、それと同時に、いまお述べになりましたような事柄につきまして、前向きに今後ともいろいろ努力をしていかなければならぬであろう、こういうふうに考えている次第でございます。
#28
○橋本(龍)委員長代理 村山喜一君。
#29
○村山(喜)委員 ちょうど大蔵委員会に国家公務員共済年金並びに公共企業体の共済年金の法案がかかっておりますが、今度のそれらの法案は、厚生年金の関係の改正を受けての部分と恩給改定に伴う部分と共済独自の年金の改善に伴う三つの部分に分かれておる。それらの内容の上から関連をいたしてまいりますので、私はその基本になっております厚生年金の諸問題について、齋藤大臣にお尋ねをいたしてまいりたいと考えているわけでございます。
  〔橋本(龍)委員長代理退席、伊東委員長代理着席〕
 そこでまず、経済社会基本計画を広げてみますと、社会保障のあるべき姿といたしましては、国民所得と振替所得の対比でございますが、これは昭和四十七年度の見込みが六%、これを八・八%に高めていくのだという考え方で福祉元年をスタートしようということで、ことしから計画がつくられているわけであります。しかし、これは後ほど経済企画庁にお尋ねをいたしてまいりますが、国民総支出に占めるところの財政の割合、これは一体どういうふうに振替支出がなっているのかというのを調べてまいりますと、それは諸外国と比較をいたしました場合には、一般の政府資本支出の割合と振替支出の割合が、きわめて日本の場合には振替支出の部分が少な過ぎるわけであります。
 そこで、なぜこういうような状態になっているのかということに思いをいたしてまいりますと、たとえば道路の場合には第七次五カ年計画で二十一兆五千億円というものがつくられている。土地改良十カ年計画では十三兆六千億円という計画が財源的に裏づけがなされているわけであります。先ほど大臣は、長期安定財政の上から野党案には賛成ができない旨の御発言がありました。
 しからば私は大臣にお尋ねをいたしますが、福祉五カ年計画というものは、なぜおつくりになっていらっしゃらないのか。日本ほど社会保障のレベルが低くて公共投資の比率が高い国はないというのが、国際統計の比較の上から見まして数字が歴然としたものがあるようでございますが、大臣はそれに対してどういう御所見をお持ちでございますかお答え願います。
#30
○齋藤国務大臣 仰せのごとく、今日まで厚生省の社会福祉なり年金なり医療問題なり、長期計画というものが全然なかったわけでございますが、今回の経済社会基本計画の策定に伴いまして、六%の振替所得を五十年度に八・八%にしようということになりましたので、その全体的な計画の中で、これを厚生省において分担をして五カ年計画をつくろうということにいたしたわけでございます。
 年金、医療部門、さらに社会福祉、この三部門に分かちまして、四十八年、九年、五十年というふうに振替所得が八・八になるように長期五カ年計画をつくろうということで、実は去る五月の上旬でございましたか、社会保障長期計画懇談会というものを厚生省の大臣のもとに設置いたしまして、各方面の学識経験者に協力を求めまして目下審議をいたしておりまして、来年度の概算要求等の関係もございますので、大体五カ年計画の草案を八月末までにつくりたい、年次別の計画をつくりたい、こういうわけで、いま作業を進めているような次第でございます。
#31
○村山(喜)委員 経済企画庁答弁願いたいと思いますが、国民総支出に占める財政の割合の国際比較の中で、私が先ほど指摘をいたしましたように、日本ほど社会保障のレベルが低くて、そして公共投資の比率が高い国はないということを言いましたが、その国際統計比較の上においてどういうふうになっておるのか、明らかに願います。
 それと、いま八月までには中間報告を期待をしている旨のお話が大臣からございましたが、やはり年金制度というような問題は、もっと長期的な展望をもって対処しなければならない筋合いのものだと思うのです。そうなれば、いまの五万円年金というのは架空の年金、まぼろしの年金なんです、ということを言われてもしかたがない。そういう長期計画の見通しを持っていない。そういう意味においては、きわめて画期的なものだと自画自賛をされましても、それはいただけないという気がしてなりません。そこで後ほどまた大臣からは一応厚生省の財政計画をお示しをいただきたいと思うのです。
 そういうような意味において、まず経済企画庁のほうから国際比較の現時点における比較を明らかにしてもらいたい。
#32
○宮崎(仁)政府委員 まず振替所得につきまして、手元にあります数字で国際比較を申し上げてみますと、ちょっと数字が古くて恐縮でございますが、一九六八年の数字でございますが、わが国が五・四%、アメリカが七・五、イギリスが一一・〇、西ドイツが一八・四、フランスが二二・一、イタリアが一七・三、スウェーデンが一三・九というような数字でございます。
 それから社会保障給付費で見ますと、この比率は全体にもう少し高くなっておりますが、相対関係は大体似たようなものでございます。
 それから社会資本の関係でございますが、ちょっといま手元に各国の比較を持っておりませんけれども、わが国の場合にはフローとしての社会資本支出は各国に比べて大体二倍程度、それ以上に高いというように承知をいたしております。
#33
○村山(喜)委員 大臣、私の手元にあります、これは大蔵省の資料でありますが、国民総支出に占める財政の割合の国際比較、六九年のもので、ちょっと古いのですけれども、これによりますと、一般政府資本支出の割合は七・一%です。それに対してアメリカの場合は二・七、イギリスは二・四、西ドイツは三・五、フランスが三・三、イタリアが一・六、そういう割合に対しまして、振替支出のほうは日本が五・一、アメリカが六・二、イギリスが八・六、西ドイツが一三・三、フランスが二八・八、イタリアが一五・一、こういう数字が出されております。
 私は、この数字をながめながら、いまの日本の社会保障制度のあり方というものが国際的に比較をいたしまして非常に立ちおくれてきた、これは自民党の政治の欠陥ではなかろうか。今日までの経済の高度成長政策をとり続けてきたその中から、やはり成長が高まれば、それだけ国民の福祉は増進されるんだから、がむしゃらに働けというようなことで働いた。確かに経済の成長率は伸びた。しかしながら公害が日本列島をおおい尽くすような状態になってきた。しかも福祉はほとんど忘れられてきた。そうしてインフレと物価高が今日私たちの生活を脅かしているわけです。
 そういう姿になってきた今日において依然として政府は、道路整備は第七次五カ年計画で二十一兆五千億の財源負担を確立をする。土地改良は十カ年計画で十三兆六千億のそういう計画を策定しているのに、福祉五カ年計画はこれからやらなければならないという状態にある。齋藤厚生大臣は厚生省の所管大臣であると同時に、田中内閣の閣僚です。国務大臣です。そういうような意味において、非常に立ちおくれてきている今日の状態の上において、これをどう前進させるかということをお考えになるべきだと私は思うのです。
 そのときに、いま賦課方式か積み立て方式かという問題があります。その中で、私は成熟した年金支給というものを考えた場合には、やはりフランスと同じように賦課方式というものに入っていかなければならないんだと思うのです。で、賦課方式かあるいは積み立て方式かというその論議の違いは、やはり給付の成熟度のいかんにかかわっているのではないだろうか、そういうふうに考えるわけですが、そういう考え方に立ちましたときに、いまのなだらかに負担増をはかりながらやっていくんだというやり方では、今日のこの年金の問題、福祉の問題の解決はできないのじゃないか。少なくとも四十七年度の税の自然増収、取り過ぎ分が六千三百億をこえるような状態が生まれております。そうして四十八年度も膨大な自然増収が現在は予想をされるわけであります。
 そういうようなときに一歩考え方を進めて、やはりこの際、そういうような賦課方式を中心にした考え方、それは成熟した年金支給というものに結びついているという考え方に立って、その問題を大臣が勇敢に取り上げられるのが、たえまえではなかろうか、私はそういうふうに考えるわけでございますが、そういう基本的な考え方はどういうふうにお持ちになっていらっしゃるのか。やはり将来の問題を考えて、現在の問題はその展望がない中において、五カ年計画もまだできていないのですから、とりあえずの措置しかことしはとっていないんだ、こういうふうにお答えになるつもりでございますか、その点を明らかに願いたいと思います。
#34
○齋藤国務大臣 わが国の社会保障が諸外国に比較いたしまして、今日の段階でおくれておるという点について私も率直に認めております。であればこそ、今回の経済社会基本計画において振替所得を六%から八・八%ということに高めよう、こういうふうな振替所得の国民所得との比率が上昇いたしますと、諸外国との社会保障の関係はどういうふうに変わるかということを統計的に申し上げますと、たしか一九六六年であったと思いますが、国際比較は社会保障給付費でILOがいたしておりますので、その統計を見ますと、一九六六年に確かにわが国の社会保障給付費は国民所得に対しての比率が六%であります。
 それが今回の五カ年計画でいま申しましたような振替所得八・八%ということになりますと、社会保障給付費は国民所得に対して一〇%ないし一一%、さらにいまのままの水準でいったといたしまして、五カ年計画を土台にして進めてまいりますれば、十年後には一五%をこす。こういうことになりますと、十年後には、まさしくわが国の社会保障の給付水準は西欧先進諸国並みに非常に近づいた姿になるという考え方でございまして、その計画に基づいて今日進めておるわけでございます。
 特に諸外国より社会保障のおくれておるのは何かと申しますと、一番は、やはり年金でございます。現在のような二万円水準、これではとても諸外国に対して話にならぬ。そこで五万円水準ということを提案しておるわけでございまして、そうしたものを軸といたしまして、西欧先進諸国に対しての今日までのおくれを取り返してそれに近づける、こういう努力の過程にあることを御理解いただきたいと思います。
 そこで賦課方式のお尋ねでございます。なるほど積み立て方式は、それはそれなりとしても、年金の成熟ということから、思い切って賦課方式に切りかえたらどうか、こういうふうな御意見、私もその点は非常に理解をいたしております。政策努力をしていかなければならぬことは当然でございます。しかしながら、どうも現在の日本の老齢人口の趨勢というものを見ますと、諸外国と比較にならぬほどに急激に老齢人口がいま伸びている階段でございます。その老齢人口がある程度の段階、何%を保持して安定といいますか、落ちついた段階ならば、もう間違いなく賦課方式でスムーズにいけるのでございますが、急激に老齢人口がいま伸びつつあるこの段階で一挙に賦課方式に切りかえる、こういうことについては、私どもは、財政の長期的な安定ということを考えると、どうしてもそこが頭にありまして踏み切るわけにはまいらぬ、こういうことでございます。
 しかし将来、ある程度老齢人口が落ちついてまいりますれば、当然これは賦課方式に切りかえていかなければならない、こういうふうに考えておるわけで、いますぐ迫られましても、切りかえるということはやはり困難ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#35
○村山(喜)委員 厚生省の財政計画がございましたら、明らかに願います。
#36
○横田政府委員 最初に厚生年金の財政計画について申し上げます。
 御承知のように財政計画を立てます際には、将来被保険者数がどのくらいに伸びて、また受給者がどのくらいの数字になるかということが非常に大事な要素でございますが、この辺の伸びぐあいの推定につきましては、今後長期にわたりまして、わが国の就業構造の変化がどのようになるかということが非常にむずかしい問題でございます。そういった点につきまして多少問題はあるかと思いますけれども、現在の時点で私どもが前提として置ける程度の前提を置いて計算をいたしました際に、現在は御承知のように厚生年金は被保険者数が二千三百五十万人でございます。それに対しまして、年金の中の中心になります老齢年金の受給者数を申しますと八十万人でございます。したがって、受給者数の被保険者数に対する割合から申しますと三・六%、非常に低い比率でございます。
 先ほど先生御指摘の年金制度の成熟化の問題は、御指摘のように二つの面がございまして、一つは、金額の点ではたしてどの程度成熟しておるかという問題、それからもう一つは、受給者というものがどれくらいの比率になっておるかという問題。第二の問題の受給者数の成熟度合いにつきましては、いま申し上げましたように三・六%、非常に低い比率でございます。これは一つは老齢人口の人口構成という問題がございますが、もう一つは、これも御承知のことだろうと思いますけれども、年金制度自体の発足の歴史が浅い関係上、年金制度は先ほど大臣からも申し上げましたように、非常に長期間にわたっての制度でございますので、制度が発足したからすぐ受給者が発生するというものではない。そういう年金制度の歴史の浅さかげんというものが非常に大きな原因になりまして、現在の時点では厚生年金につきましても、受給者数という点から見ました場合の成熟度合いは未成熟に近い状態、こういうことでございます。
 これが先ほど大臣からもお話がございましたように、老齢人口が急速に多くなる。それから平均寿命も非常に長くなってきたということになりますし、それから、それを背景といたしまして、さらに制度自体が歴史の長さをさらに延長していくということで、どんどん受給者がふえてまいります。大体こういうふうな推移をたどりまして、厚生年金につきましては、受給者数というものが被保険者数に対して、その比率がほぼ一定する状態、これをよく定常化ということばを使っておるようでございますが、その段階になりますと、受給者数が八百二十万人、これは昭和八十五年でございます。ちょうど現在から四十年ほどあとになりますが、その八百二十万人という数字は、被保険者数に対する割合から申しますと二七%でございます。
 したがいまして、非常に大ざっぱにいいますと、受給者数の伸びのぐあいというものは、年金制度の成熟段階におきましては、おおよそ十人の現役労働者でもって三人の受給者をかかえる、こういうふうな姿になります。
 そういった前提に立ちまして、長期にわたっての厚生年金財政の収支の見通しをいたしてみます場合に、これもまたいろいろ前提の置きかたがむずかしいのでございます。と申しますのは、厚生年金は、御承知のように保険料につきましては標準報酬制度というものをとっておりまして、こういう場合の推計の際の言い方としましては、非常にざっくばらんな言い方をしますと、大体俸給の何%というようなことで保険料が入ってくるわけでございますので、そういった給与水準というものが、逐年どのくらいの水準でベースアップされるかというこの見通しが非常にむずかしいわけでございます。
 その点につきましても、一応の前提の置き方といたしましては、標準報酬制度は昭和四十八年から五十二年までの五カ年につきましては、おおよそ一三%程度の上昇をするであろう、それ以降の五カ年につきましては一〇%、それからあとの五カ年間は八%、そのあと五カ年たった以降におきましては七%程度、こういうふうな前提をかりに置いたといたしまして、そして給付水準につきましては、現在御審議をいただいております給付内容の改善を前提といたしまして、このような改善を今後も繰り返して行なった場合どうなるかといったような前提を置きまして、ただいま申しましたような被保険者数の伸び、受給者数の伸びというものを計算いたしてみますと、先ほど申しました昭和八十五年の成熟期におきましては、単年度の年金の支出額は百三十八兆四千八百億、こういうふうな数字でございます。大体百四十兆円程度の単年度支出をかかえる年金財政になります。
 その裏打ちをいたしますために、今回御提案申し上げております千分の十五の保険料の引き上げをいたしまして、今後五年ごとに同じような比率の引き上げをいたすことにいたしました場合に、成熟期であります昭和八十五年におきましては、年度末の積み立て金が四百十一兆円何がしになります。大体単年度支出の三年間の積み立て金を持った年金財政の設計を考えてみることができる、こういうふうな見通しを持っておるわけでございます。
 それから国民年金の問題でございますが、この国民年金の問題につきましては、もう十分御承知のように、給付につきましても定額制の給付でございます。それから保険料につきましても定額制の保険でございますので、厚生年金において計算すると同じようなベースに立っての計算をするということは、なかなか困難でございます。それからもう一つ非常に困難な要素といたしましては、はたしてこれから農業人口というものがどういうふうな推移をたどるか、それからもう一つは自営業者、農民と自営業者が主たる国民年金の被保険者でございますから、こういった推移が将来にわたってどうなるかという問題でございます。これはこちらのほうが減ってまいりますと、その分が厚生年金の被保険者のほうに入っていく、つまり両方合わせまして国民皆年金の体制ということになるわけでございます。
 まず被保険者数の傾向から申しますと、おおよそ二千三、四百万人台で被保険者数は安定をする、こういうふうな見通しを立てております。現在は二千四百三十万でございますが、多少横ばいになったり減ったりいたしまして、二千三、四百万人程度で大体被保険者数は安定する。それから受給者の問題でございますが、四十八年度は、老齢年金についてみますと六十万人でございまして、先ほど厚生年金について申し上げましたと同じような数の上における成熟度合いというものを申しますと二・五%でございます。成熟期は大体八十五年から九十年ごろでございますが、この辺になりますと老齢年金の受給者のシェアと申しますか、そういったものは一九%程度で安定をする、こういうふうな前提に立ちます。
 ただ問題は、こういった被保険者数なり老齢年金の受給者数の推移は一応こういうふうな見通しができたといたしましても、さっきも申しましたように、定額制の保険料、定額制の給付でございますから、厚生年金のような報酬に比例しての要素に重点を置いて収入のバランスを立てるという制度とは違いまして、いろいろ制度設計の面で窮屈な面がございます。と申しますのは、保険料も一人何百円というきめ方をいたしておりますので、皆年金であります以上、どなたでもお払いいただけるようなそういった金額でございませんと、形式上は国民皆年金でございましても、実質的には適用漏れが多く出てまいりまして、皆年金の実をあげ得ない、こういう問題がございますので、その点を考えますと、どうしても保険料額の上げ幅につきましては、厚生年金について考えるよりも多少低目に押えなければならない、こういうふうな問題が制度の構造上出てまいります。しかも給付の面につきましては、厚生年金の被保険者につきましても国民年金につきましても、大体同じようなレベルにするのが政策的には適当であるというふうな考え方でございますので、おおよそ厚生年金に準じたような考え方をとりました場合には、現在お願いいたしております三百五十円の月額の引き上げ、そういったものを、できれば今後にわたっても同じように繰り返すという財政設計をとってまいるわけでございます。
 それから福祉年金の問題につきましては、これはさっき大臣から申し上げましたように、まさしくこれは政策的な改定をすべき年金でございますので、先ほどの御答弁にもございましたように、来年は七千五百円、五十年は一万円、それ以降につきましては、まだどのようにするかということは未定でございますが、ただ七千五百円、一万円にいたしましても、さっきからいろいろ議論がございますようにほかの制度とのからみ合い等をどのように割り切るかという問題も同時にあわせ考えなければならない。大体以上のような計画を持っております。
#37
○村山(喜)委員 時間がありませんので、私はあと一問だけにとどめますが、いま四十年後の昭和八十五年ぐらいの見通しの説明がありました。なるほど計算はそうなるんだが、その間には物価がどういうふうに上昇をしていのくかということなども計画の中には入っていないわけです。だから非常に不確定な見通しの上に立った一応の説明であるとしか受け取れません。私はそういうような意味では、政府が福祉五カ年計画もまだつくらない、その上の段階の中で、やがて四百十一兆円も積み立てるんだ、それは一体インフレによってどれだけ価値が下落をするのかということを頭の中に置かない計画というのは、おかしいというふうに思うのですよ。いま経済成長の狂いが、四十五年から五十五年は九%の割合で成長していくんだといっておきながら事実上は一〇%をこえている成長でしょう。物価の上昇は四%の範囲にとどめるという経済計画ですよ。しかし実際は一一%です。
 そういう中にあっていま何をすべきかということを考えるならば、やはりこの際、賦課制度にもう踏み切って最低の――十年も二十年も長く生きないわけですから、いま生きているお年寄りをどうするかという問題をここでやらなければ、私はこの問題の解決はできないと思うのです。それがインフレから減価していく積み立て方式にかわって、その世代間の負担によって現在の老人を現在の人たちがどう負担をしていくかという原則に立って問題を処理していかなければならぬ。私はそういうような考え方に立ってみますと、どうもいま政府が提案をされておりますこの内容は、きわめて抽象的で一定の根拠を持たないものになっている、こういうふうにとらざるを得ません。
 そこで大臣、最後にお尋ねをいたしますが、いま国家公務員の共済年金やあるいは公共企業体の年金に比べまして、厚生年金の支給額は非常に低いわけです。これは昭和五十年には新しく裁定をされた人は五万円年金になるであろうといわれております。しかし、そのころには公務員の場合にはもっと上にいく、このことは明らかであります。それだけ負担金も高い、またそれだけ長期的に勤務している人の割合も高いというような関係もあります。ありますが、いまのこの制度の中では厚生年金の場合にはきわめて給与水準が低い、こういうことになっております。
 これを埋めるために、いわゆる基金制度というものが発足をしております。聞きますと伊勢丹あるいは大和銀行、こういうところは年金十万円、月に十万円ですよ、そういう制度を始めていこうという考え方に立っているようであります。そういうようなものも厚生年金の公的年金の中に一応入っているわけでね、その基礎的な部分と上積みの部分、それをあわせて公務員の共済年金と同じようにしようというお考えであるのか、それとも基礎的なものをもっと引き上げて、そういうような積み増しの企業年金みたいな基金制度のものは、できるだけとらないようにしていくという行政指導をなさるつもりなのか、この点については今後の日本の年金制度の上においてきわめて大きな問題がありますので、私は明確に大臣からお答えをお聞きしておきたいと思うのでございます。
#38
○齋藤国務大臣 厚生年金が国家公務員その他の共済組合とある程度計算のしかた等も違い、さらにまた劣っておる、その事実は認めざるを得ないと思いますが、私もできるだけ老後の生活を安定させる年金制度まで発展さしていかなければならない、こういうふうに考えておりまして、私どもの今回の提案は、そうした方向に向かっての大きな第一歩だと私は思うのです。
 これだけじゃございませんで、私どもは五年ごとに水準の改定をやっていくわけでございます。老後の生活をささえるに足る年金の確立を目ざして五年ごとに――五年が四年あるいは三年というふうになるかもしれませんが、水準を改定しながら前向きに進んでまいるようにいたしたいと考えております。
 それから同時に、いまお尋ねの基金の問題でございますが、そういうわけで基本的にはある程度厚生年金も低い面もありましたので、報酬比例部分については基金に代行をしていただいて、そして上積みしていただく、こういう制度を採用いたしておるわけでございまして、私どもはこの基金制度の健全な発展、それと相まってよりよき年金制度の確立に向かって進んでいく、すなわち基礎は基礎で改善に努力し、さらにまた民間の方々の御協力もいただいて基金の発展もはかっていく、やはり両々相まって発展さしていくべきではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#39
○村山(喜)委員 そのいわゆる厚生年金の公的年金以外に企業年金というのがございますね。いわゆる適格年金と不適格退職年金制度、こういうようなものがありますが、これについてはどうお考えですか。
#40
○横田政府委員 公的年金と企業年金の関係でございますが、先生御指摘のように一つには税制適格年金、それからもう一つは先ほどお尋ねの厚生年金基金、この二つの問題がございます。前者の税制適格年金につきましては大体は有期年金の形態をとりまして退職金の年金化をはかるというようなやり方をしておるようでございますが、厚生年金基金につきましては、いま大臣もお答えなさいましたように報酬比例分の代行をさせるかたわら、それに企業、企業の実情に応じまして労使の合意に基づく上積みをする、こういう制度をとっております。大体そういったことで最低限三割程度の上積みはいたしておるわけでございます。ただ、これをさらにどの程度上積みするかという問題になってきますと、それぞれ企業、企業の実情、それからもう一つは退職金との関係をどうするかとか、いろいろ複雑な問題があるようでございます。
 それで基本的には私どもは、基金なり税制適格年金なりそういったものもさることながら、基本的な厚生年金本体の定額部分と報酬比例部分とでもって、大まかにいえば標準報酬の六割、つまり賃金に近いものの六割を保障する、こういう考え方でございます。
#41
○村山(喜)委員 私は、この年金制度というのは、それをささえるものは金でもなければ物でもない、人の心だと思うんです。社会連帯性というものを強めなければ、年金制度というものは、これをへたに取り組んでいきますと、とめどもないインフレというものが待ちかまえている。いまでもインフレは過剰流動性を中心にする大手商社やあるいは大資本の製品の価格転嫁に伴って上昇を続けているわけですが、自分の分け前をさいて他人に与えようという思想がない限りは、これはとめどもないインフレが生まれてくる。そういったようなことを考えますと、やはり現在、経済の実質成長の中から生まれた、いわゆる自然増収というようなものを、現在生きている、非常に低水準に放置をされてきている老齢福祉年金の受給者というような人たちに優先的に分けてあげる、その思想がない限りは、私はこの問題の解決はできないと思うのです。
 計算をしてみると、四百三十万人おるわけですから、この人たちに月に一万円ずつ支給をいたしまして、平年度ベースで五千百六十億円ですね。この前、四十七年度の自然増収で得たのは、六千三百億をこえる自然増収があるわけです。そういうようなものを、福祉のために先取りをしていくというような考え方、そういう社会連帯の上に立つ年金制度というもの、そういう思想的な、人の心の問題を取り上げていかなければならない。そのためには政府がもっと国民から信頼をされるような政府にならなければ、この年金の問題は日本では成熟をしないんじゃなかろうか、私はそう思うのです。
 そういうような意味において、物でもない、金でもない、人の心だという、そういうとらえ方に対しまして、どうも厚生省の今日までの国民に対するところの、そういう訴えというものはきわめて不十分ではないか。そうして、そういうような自然増収、経済の成長によって得られた果実を老人福祉のために使うという、そういう思想がやはり前提にならなければ問題は解決をしないと思いますが、大臣の所見を最後にお伺いいたしまして、質問を終わります。
#42
○齋藤国務大臣 こういう長期な年金でございますから、当然これはもう国民の心からなる協力を得られなければ健全に発展はしない、私もそのとおりだと思います。社会連帯の精神でお互いに助け合う、老後の生活をお互いに守ってあげましょう、こういうあたたかい気持ちがなければ健全に発展しないという御主張に対しましては、私も同感でございまして、私どもそういう面においてできるだけの努力をいたしたいと考えております。それと同時に、現在の老人で、もう差し迫って生活に苦しんでおる、そういう方々にできるだけ多くの金をというお気持ち、これも私、理解いたします。理解いたしておりますからこそ、実はことしの五千円を来年は七千五百円、一万円、こういうふうに年次別に上げていこうという計画をとっておるわけでございまして、そういうふうに上げようという努力をしておることは、これは御理解いただけると思います。しかし、それだけでは不十十分だという点も、私も十分わかるわけでございまして、今後できるだけ最大の努力を前向きに続けてまいりたいと考えております。
#43
○伊東委員長代理 山田耻目君。
#44
○山田(耻)委員 大臣、ことしほど厚生年金、共済年金あるいは国民年金、福祉年金について、国民の中から国に対して、もっとりっぱな年金制度をつくってほしい、こういう突き上げが出た年は従来になかったと私は思います。特に春の賃上げ闘争をいたしておりました労働者の人たちが、年金ストというふうな表現を使いまして、年金額の大幅な引き上げ、言いかえたら老後も安心をして働けるようにしてほしい、こういう一つの国民の組織的な行動を起こしたのは、私も過去にその例を知りません。ことしはそれほど公的年金の問題について国民の関心が高まってきた。もちろんそうしたものに影響しておるところは、インフレ化の傾向が強まっておる、生活が苦しい、こういう一つの条件が加味されていることは当然でありましょうが、基本的には公的年金制度とは何なのか、こういうことについての政府の無理解、今日までのやり方に対して不満が国民の中に大きく広がって、そうした行動が組織されたのだと私は思っております。
 時間もございませんから、端的に私、お聞きしたいと思うのでありますが、今日日本には公的年金制度が八区分ございます。厚生年金、国民年金が公的年金制度の大体九割近い国民、四千四、五百万人の加入を認めておるわけでございます。そのほか公務員共済なり公共企業体共済なり、農林漁業、私学、船員、このように公的年金制度は区分されておりますが、こうした公的年金制度は社会保障という近代国家における人間の暮らしと命をしっかり守っていくという原理にかなったものであると思うわけですが、その社会保障制度の重要な主軸として公的年金制度というものはあるものだと私は理解しておるのでございますが、いかがでございましょうか。
#45
○齋藤国務大臣 なるほど年金につきましては各種のたくさんの制度がございますが、厚生年金はその中核をなすものでございます。同時に、こういうふうな年金というものは、やはり社会保障の中核だと私は思うのです。諸外国においても年金に一番力を入れた社会保障体制をとっておるわけでございまして、私どももこの年金というものは社会保障における中核であり、しかもそれは恩恵的なものであってはならない、もちろん国民の相互連帯という意識の上に立つものではありますけれども、国が老後の生活を保障する社会保障の中核であると信じております。
#46
○山田(耻)委員 もちろん私はあなたのおっしゃっていることにたいへん賛意を表するわけですが、実際日本の公的年金制度が社会保障の主軸である――実際そうなっているのでございましょうか。そうなりますと、社会保障とは一体何なのか、こういうことを、あらためて問い直してみなければならないと思う。私は、いまあなたがおっしゃっていたように、年金というものは、もちろん相互共済的な性格を持つけれども、恩恵ではない、本来国家として疾病なり、老後なり、人間として値する生活をしっかり守っていく、この基本理念の中に社会保障制度という一つの制度がかっちりと確立されておる、これがあなたのおっしゃっているような社会保障制度、その根幹となる公的年金制度、そう受けとめたいと思うわけです。そうしてよくいわれておることでございますけれども、憲法二十五条では、国民はひとしく健康で文化的な最低生活を営む権利を持つ、国家は社会保障制度を充足をさせて、その道をしっかり保障していく、これが憲法二十五条だと思いますし、法律上のたてまえからも、いまあなたのおっしゃっていたことばは、私は文字どおりそのことに賛意を表するわけですが、現実はそうなっていない。
 たとえば、私はいまの公的年金の制度、体系というものをながめてみたいと思いますが、公務員共済なり公共企業体共済その他におきましては、たとえばその人が過失、無過失で禁錮刑を受ける。そうすると、この公的年金は十分の二以上減額をされます。そうしておなくなりになったあと奥さんにも、子供にまで減額のまま支給されていくわけですね。一体社会保障とは何であろうか。罪を犯せば刑務所に入る。まじめに服役をする。刑期を終える。社会人として更生した姿で帰ってくる。社会は差別なくこれを迎えてあげる。これが私は日本の刑法の本来の精神だと思う。ところが、社会保障といわれるべきこの公的年金制度では、おまえは一たびあやまちをおかしたら、死ぬるまでこの年金は減額するぞ、おまえが死んだらその奥さんや子供にまで、年金を引き継いでいく人に対しても減額するぞ、これが一つの制度です。私はこんなものを社会保障の中軸にある公的年金制度とはいえないと思う。
 これはきょうの本委員会の主題とは違いますけれども、しかし、かなり観念的には似通ったものがある。日本の場合は保険制度でございまして、被保険者、事業主、国、三者で出し合って基金をつくり、それを運用して裁定者に支給をしていく保険制度をとっております。いまの厚生年金なり国民年金は、そういう刑法によって受けた罰則規定、それによって給付制限をするという制度はございませんが、その他の公的年金には全部軒を並べてございます。ありますけれども、この給付制限を受けておる公的年金制度は、集めた三者のお金は運営審議会にかけて資金計画を立てて、そうして自分たちが納めたこの基金というのは、少なくともその二分の一ないし三分の二は福利厚生に還元をする、その事業計画も明確にする。そこには被保険者である組合員も代表者を送って、運営にそごのない、非民主的な行為が起こらないようにしていく、こういうことを行なっております。
 厚生年金のほうはそういう給付制限なり罰則規定はございませんけれども、出した金がどのように使われておるのか、事業計画なりあるいは貸借対照表なりを知るその機関がございません。この前者、後者両方並べてみまして、いまあなたがおっしゃった恩恵的なものとしての年金ではない、しかし、その過程に至るプロセスは非常に非民主的であり、かつての恩給という思想というものをそこにずっと引き込んでおる、こういう気がしてならないのでございますけれども、一体そこらあたりに対して、大臣の御所見はいかがでございましょう。
#47
○齋藤国務大臣 私どもは、年金につきましては老後の生活を保障するという、一つの国がつくってあげなければならない仕組みであるわけでございまして、あくまでも社会保障の中核として健康にして文化的な生活を保障する一つのワクの中で発展をさせていかなければならない、かように考えておりまして、恩恵的なものであってはならない。その点については先生お述べになりました考えと同意見でございます。
 なるほど、国家公務員共済組合なりその他の組合の間にはそれぞれの差があり、考え方の多少の違いも私は今日まであると思います。それはいろいろ対象になっております公務員といったふうな身分関係のものに伴うものもありましょうし、それからまたその後それぞれの制度の発展のいわゆる沿革等によるものもありましょう。しかし方向としては全国民が、国民年金であろうが、厚生年金であろうが、あるいは公務員の共済年金であろうが、すべての国民が老後健康にして文化的な生活ができるような仕組みに持っていかなければならぬものであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
 今日、私どもの持っております厚生年金は、これはほんとうに恥ずかしい年金の中身でございまして、たった二万円年金、こういったことでは制度はあっても諸外国に誇ることのできない年金である。そこで今回の五万円年金というものを提案をいたしておりますが、これによりますと平均標準報酬月額の六〇%が保障されるという年金になるわけでございまして、私どももこれで十分だと満足するつもりはありません。やはり経済社会の発展に従ってこの水準を引き上げ、よりよき文化国家の日本として、国民が老後健康な生活ができるように、こういう改正を一歩としてさらに前向きに進んでいかなければならぬものであると考えております。
#48
○山田(耻)委員 あなたのおっしゃっていました中で、お気持ちとしてはわかりますけれども、いま村山委員のほうから最後の質問にございましたように、いわゆる所得の六割程度を年金として支給する、ある意味では画期的な発想の転換をしながら老後をしっかり守っていく、こういう方向に踏み出していったのだ、こういうおっしゃり方ですけれども、しかしここの中にも私は額面どおり受け取れない諸要素がもう今日たくさん出てきておる。いまおっしゃいました六割年金の標準報酬は九万七、八千円でありますか、もっと下でございますか、とにかく九万五千円から九万七、八千円を見ておられるようでございますけれども、しかしこの年次の、ほんとうに五万円年金とおっしゃる金額が実施できるのは、まだはるかに先なんですね。実際には三万五、六千円というのがいまの実態のわけでございますね。
 だから、そういうふうにして、はるか先のことをいま想定をしておられますけれども、最近のベースの引き上げにいたしましても、その源は物価の上昇です。それはもう大蔵大臣にいたしましても、国会の幾つかの審議の中でも、すでに十四兆二千八百億という予算をきめたときの物価上昇分五・五%は完全にこわれている。しかも消費者物価は一〇%になる。これは東京都の調査でも、総理府の発表でも、日銀の発表でもみなそうでしょう。異常な姿でインフレを押し上げてきておる。そういう一つの客観的ないまの条件を念頭に入れずに大臣のようなお答えをいただいておると、非常に空虚に聞こえるわけでございますね。非常に空虚に聞こえる。
 だから私は、いまその点について、ここで議論を中身についてしていきますと時間がございませんけれども、ただ、いま私があなたに御質問してお答えいただかなかったのですけれども、一体厚生年金の基金というものは、どうして被保険者の参加の中で事業計画なりあるいは貸借対照表なりが示されないのか。一体この非民主性、おまえたちが金を納めたら、あとはおれたちでかってに運用していくのだ、こういうやり方の中に、あなたは恩恵的な思想はない、恩恵的な気持ちは少しもないとおっしゃっているけれども、いまの給付制限、懲罰規定を持っておる公務員共済等々と基本的には共通しておるではないかと私は申し上げているわけですけれども、一体この積み立て金の管理規定というものをなぜおつくりにならないのか。この点私はお伺いをしておるわけですから、その点について、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
#49
○齋藤国務大臣 最近における物価上昇に伴ってという御意見ございましたが、そういう事情であるからこそ、実は今回の法案の中には物価スライド制を採用いたしたわけでございます。すなわち消費者物価が五%上がる、一〇%上がるということでありますれば、いまの年金水準というものは自動的に改定をする、こういう、これはほんとうに画期的な条文だと私は思うのです。いままでよくスライド制ということをいわれましたが、法文上りっぱに実現しておりますのは今回の厚生年金でございまして、消費者物価指数の上昇に伴って金額をスライドして自動的に上げていく、こういう制度を採用し、そして消費者物価の上昇に伴う貨幣価値の減価を防いでおる。これはどうか高く御理解をいただきたいと実は考えております。
 それから、この積み立て金の運用でございますが、現在のところ大蔵省の資金運用部において一括して財投の原資といたしておるわけでございますが、これの資金の配分につきましては、はっきりしたそれぞれのワクをつくってやっておるわけでございまして、国民生活に関係のある事業にこれを融資する、こういうワクではっきりきめておるわけでございまして、その点は零細な被保険者の保険料でございますから、産業投資とか貿易の関係の投資とか、そういうことにやってはならないということで、ワクをきめて、区分をきめて運用をいたしておるわけでございます。
 そこで、これについてもう少し被保険者の意向を反映させるようにしたらいいではないかといういろいろな御意見が出ておることは私も承知しております。野党の方々からは、独立に管理していったらどうだという意見も出ておるわけでございます。これについて、そういう考えも私は一つのりっぱな御意見だと思いますけれども、現在のやり方でそう支障を来たしている面もないと私どもは考えておりますし、さらにまた今後資金運用部で運用するにいたしましても、被保険者の方々の御意向が運用に十分反映できる仕組みをひとつ考えてみなければなるまいということで、実は法律が成立いたしますと厚生省にも労使の方々の懇談会と申しますか、審議会と申しますか、そういうものをつくりまして、そして積み立て金の運用についてこういう点に注意すべきであろう、こういうふうなことを十分御相談願って、その意向を資金運用部において資金の配分の際に十分これを活用していただく、こういうふうな仕組みも考えておるわけでございまして、大筋の制度の運用としては、いまのままでいいのではないかと思いますが、さらに一そう労使の御意見が反映できるように、そういう仕組みも考えながら努力をいたしてまいりたいと考えておるような次第でございます。
#50
○山田(耻)委員 いまの厚生年金の資金運用はおっしゃっていましたように大蔵省の資金運用部に集められてまいりますね。資金運用部の資金というのは、すでに話があったかと思いますけれども、大体厚生年金、国民年金、郵便貯金、簡易保険、この柱で資金運用部はまかなわれていくわけです。これは本来なら厚生年金の積み立てた資金ファンドが強固なものとして片側で金利を生み、将来の既裁定者に対していささかも心配がない、こういう状態を配慮して資金運用部にゆだねてある、国の責任にゆだねてある、こういうやり方でありますが、この資金運用部に集められた金は、あなたがおっしゃっていたように国民経済に非常に有効な、民間企業とは別なものに投資をされていっておる。それは公社、公団、事業団に使われておることも承知をしております。本来なら公社、公団、事業団というものは国の施策として、国で十分な資金の配分を行ないながら、国民のために社会資本として充足をさせていくものであります。枯渇をしておる日本の社会資本を充足させるために厚生年金なり国民年金なり簡易保険なり郵便貯金を充当させていっておる。ここにも、公的年金の基金をこういうところにしっかりと強力な財源措置をさせながら、そのためにこれを使って、そしてその金利で既裁定者に対する年金をしっかり保障をしていこうということになると、年金額というものは、決して被保険者の満足に値するような年金を支給することにはならないと思う。
 この点は、いまの公社、公団、事業団、そこに投資されていく金額をすべてここに求めておる。だからこそ、こうした積み立て金の管理規定というものをつくらない。それぞれの被保険者である組合員が必要とする有効な福利厚生施設に還元融資をするという制度の道がはばまれる、こういう一つの結果を導き出している。だから、かつて厚生年金でございました私学年金なり農林年金なりは、この厚生年金からはずれていって独立した年金制度をつくり、そしてその運用というものを自主的に行なうようになっていってしまったわけです。
 だから今日の厚生年金加入者の金を政府の一方的な意思によって財政投融資、特に公社、公団の分野に資金運用部からはめ込んでいくというやり方は、われわれもその会議に参画する制度をつくってもらうと同時に、事業計画なり貸借対照表を示してほしい、こういう気持ちを持つようになったのは、公的年金制度である限り、保険制度である限り、私は無理からぬことだと思うのですが、この点はひとつ大臣いかがでございますか。
#51
○齋藤国務大臣 現在の積み立て金はお述べになりましたように公社、公団等を通して、たとえば医療金融公庫なり、あるいは厚生年金事業団その他のそういうふうな仕組みを通してはおりますが、すべて社会福祉、国民生活に関係のある事業に金が流れておるわけでございましょう。さらにまた市町村等を通しまして社会福祉のための金として、それが流れておるわけでございます。
 そこで、そういうふうに流れておりますが、そういうふうな配分にあたって労使の意見を十分反映させる、これは望ましいことであることは、そのとおりでございまして、労使の御意見が十分反映されるような仕組みでいかなければならない。そのことは、資金運用部において運用される場合においても、はっきりそういう考え方に基づいて実際に運用されておるわけでございまして、たとえば社会福祉関係に幾ら、国民生活関連の事業に幾ら、あるいは社会福祉施設に幾らというふうに、ちゃんとその中で総ワクをはめ込んで運営をいたしておるわけでございます。
 問題は、そのやり方に労使の御意見がもう少し反映される道が何かないかということが、私は一番基本だと思うのです。それはなるほど、自主管理をして労使の意見を聞いてやる、これも一つの方式だと私は思いますが、やはり資金運用部という国の機関があり、しかもまた、こういう資金は有利に運用し、そして将来の保険金支払いに備えていかなければならぬというふうなことを考えますと、長期に確実に有利に運営するということであるならば、やはり厚生省がやるよりも、大蔵省の資金運用部という機関がある以上は、これでやっていただくのがベターであろう。しかしながら、労使の意見をどうやって反映させるか、これについては、先ほども申し上げましたように、厚生省に、労使の方々の懇談会と申しますか、そういうものを設けまして、十分労使の御意見を承って、その配分にこれを反映させる、こういうふうな努力をいたすことがいまの時点においては適当ではないだろうか、こういうふうに考えておるような次第でございます。
 多少御不満もあろうかと思いますが、やはりそういうもろもろの制度があることを頭に描きながら私たちは努力していかなければならぬだろう、努力する方向は、労使の意向を十分反映させるようにしていかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
#52
○山田(耻)委員 御苦労なさっている気持ちはよくわかりますが、実際に年金事業団に社会福祉とかいろいろ予算の配分等を区分けしてやらせるんだとおっしゃいますけれども、年金事業団には、資金配分について完全に自主性はありません。厚生年金が入りましたこの資金運用部は、完全に大蔵省のヘゲモニーの中にあるわけですよ。だから、それは自主管理というものとはほど遠いわけです。これは働く人たち、被保険者の意見を反映させると言いましても、窓口大臣である厚生大臣と窓口センターの人たちとの折衝の中でお互いに意見を交換し合って、その上のヘゲモニーを持っておる大蔵省に対して陳情をする、こういうものでは、公的年金制度の基金運用という自主管理の原則からはずれると私は言うのです。これは改めてもらいませんと、将来必ず問題を生ずる。この点は大臣も御努力なさるというお話ですから、十分ひとつやっていただきたい。
 それから、大臣のいまのお答えの中に、長期安定して利殖の道を大蔵省にゆだねておけば間違いないと思う――いま国民年金と合わせると大体九兆七、八千億ございますね。時間がございませんから、私のほうが先に申して申しわけないんだが、この金利は、五分二厘くらいからずっとふくらみまして、大体六分二厘――六分五厘もありますけれども、かつての五分五厘が引き上げられて、いま大体六分二厘くらいに金利はなっていると思うのです。
 ところが、いまのようなインフレ傾向の中で――あなたもさっきおっしゃっていましたように、だからスライド制をとったんだ、これは画期的なことなんだ、心配のないようにしてやるんだ。スライド制をやっていきますと、スライド調整率と六・二分ときめられました金利とのバランスがくずれる。いまのようなインフレ傾向の中におきますと、必ず金利を越えてスライド調整をしなければならぬ時期が来ますよ。そうなりましたら、バランスを欠いたこの状態の中で九兆八千億という積み立てた資金を取りくずしていかなければならぬ。
 ところが、あなたのほうは、さっき村山さんに御答弁なさっていたように、日本というのは異常な速度で老齢化が進んできている、この老齢化が進んできた状態の中で、賦課方式もできなければ、この基金というものをしっかり大事にしていかなければいかぬ、大蔵省にゆだねて利殖の道をとおっしゃいますけれども、スライド制を持っていきますと――これは大事なんですよ。ぜひともやらなければいけませんよ。スライド調整率と金利との間にアンバランスが生ずる。それが基金を取りくずすことにもならぬから、被保険者の料率の引き上げということにはね返ってくるわけです。この状態というものをしっかり見定めていただいて、年金財政を安定させるためには国庫の負担率をふやす以外にはない。
 これも先ほど話の出ておりましたように、過剰流動性が今日のインフレにますます拍車をかけてきた、買い占め、投機。私はこの現状を見ますときに、これを吸収をして国庫負担率を大幅にふやしていく、そしてスライド調整というものをみごとにその資源でやり直していく、こういう現実に即した措置をとりませんと、スライド調整、料率の引き上げ、この繰り返しでは、公的年金というものが真に社会保障の中軸であり、しかも老後の生活をみごとにささえていく、こういう一つの図式を貫徹することは、むずかしいという気がしてなりませんが、それらの点について、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#53
○横田政府委員 ただいまの積み立て金の運用の問題でございますが、現在実行の運用利回りは六・五%でございます。それで御指摘の点は、積み立て金の運用の利回りと消費者物価の上昇率というものの比較の問題でございますが、実は短期的に見ますと、いろいろどちらかが高くて、どちらかが低いというふうなことがございますが、長期的に見ました場合は、私どもは、先生の御指摘のように、この積み立て金というのは、何が何でも給付財源としてできるだけ有利に運用され、蓄積されるべきものだ、こういうふうな性格が第一でございますから、物価上昇率が相当高い水準を長期にわたって続けるというふうな場合には、当然金利水準の問題といたしまして、この積み立て金については特段の配慮がなさるべきものというふうに考えております。
#54
○山田(耻)委員 時間がなくて、ほんとうに残念ですけれども、二つ目に、さっき大臣からお話のございました急速な老齢化。このグラフを見てみますと、日本の一九二〇年の六十五歳以上の人口比率は五・三%、一九八〇年、昭和五十五年には八・九%。約八五、六%程度の増加です。この六十五歳以上の人口増加率は、たとえばイギリスを見てみますと、一九二〇年に六%が一九八〇年に一三・九%、西ドイツは一九四〇年に七・三%が八〇年には一四・五%。大体国際的な老齢化の傾向を日本も同じようにたどっておるわけです。けれども、こうしたいま例を申し上げましたイギリスとか西ドイツ、あるいはフランスとかスウェーデン――スウェーデンは一九二〇年が八・四、八〇年が一六・七でございますから、大体二倍。こうした国の年金はやはり賦課方式をとっています。
 日本が急速な老齢化とおっしゃいますけれども、確かに最近は平均寿命も延びてきましたが、こういう諸外国と比較をして、決して諸外国と比較にならぬほど急速な伸びを示してはおりません。だから私は、いまの積み立て方式から賦課方式にという切りかえ方は技術的な問題だろうと思う。この点は十分検討したいとおっしゃっていますから、十分検討していただくとともに、私は、急速な老齢化傾向はたどっていないという立場をいま一言申し上げておきたかったわけです。
 時間がございませんが、もう一点お伺いいたします。
 大体六〇%近い最低保障を今回の年金改正でやりたいとおっしゃっていますが、社会保障の一環であるという立場を繰り返し繰り返し大臣も御答弁になっておるわけです。社会保障とは疾病なり老後の生活保障、これが大きな底辺になっておるわけですけれども、生活保護世帯は、これはすでに何回か話が出ておると思いますから簡潔に申しますけれども、生活保護世帯が、東京都で御夫婦六十五歳、六十八歳の一つの例をとってみまして、大体二万五千五百十円が一カ月です。今回の措置で二万八千四、五百円程度にこの生活保護世帯はふくらみます。大体年間三十四万四千円程度であります。厚生年金はそれ以下なんですね。大体三十万。生活保護世帯が三十四万、これが年間の最低の保障の金額で、二十年も掛け金をかけてきて、社会保障であって、その中核であって、経済大国は世界二番目、三番目の年金が、年間最低が三十万ぽっちである。
 私はここに社会保障の原理、原則が――さっきからしきりに申しましたが、一体この現実はどういうことなんだろうか。だから、せめて野党から出しておりますように、最低四万円、年間四十八万円、これだけのものは確保していかないと、そうしてその上に立ってスライドさせていく、そうしてその財源を片側でにらみながら国庫の負担率を強めていく、ここに憲法二十五条でいう法の精神、憲法の精神、社会保障という法律の概念、こういうものが私はここでみごとに具体化されておるというふうに思うのでございます。
 大臣、この社会保障の精神というものと、いまの生活保護世帯と、そうして現実の厚生年金の最低というものを比較してみますときに、私はさびしいと思う。大蔵大臣とも、このことはかつて議論をしたわけでございますが、年金は生活の相当の部分をささえるという立場以上はまだ出れない。これでは私は社会保障の原理、原則に反すると思う。すでに厚生年金をもらって、七十歳をこえて働けない、年金一本がたよりなんだ、しかし民生保護を受けるということになると若干恥ずかしい、だからこの年金を何とかしなくちゃならぬ、この年金証書を質権に立てて前借りをして、当面自転車操業をやっております、ほんとうに苦しい、生活保護世帯以下の年金であるわけなんです、そう言う人が多いわけですよ。
 だから最低保障というものを早く確立をして、それに対する物価、賃金のスライドをみごとに定めて、必要な財源は被保険者の掛け金をふやすということに主眼を置かずに、国庫の助成というものをしっかり考えて、そうして社会保障、公的年金制度というものをしっかりと安定させていく、これが当面最も急がれるのではないだろうか。このことをやりませんと、国民の中では年金に対する不平不満というのは、ますます激しくなってきます。まさに、ことしはこの程度でございましたけれども、私は、日を追い、月を追い、年を追って激しくなると思います。それだけに行政のあり方というものがほんとうに主権在民の立場に立って、国民の福祉、国民の疾病、生活の保障ということの立場に完全に立てる社会保障制度、こういうものに一段と、演説だけでなくて具体的に出していただきたい。その前段に、いま最低保障四十八万円、月四万円、そうして国庫負担の増額、これだけをひとつ当面の緊急な課題として大臣の御答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
#55
○齋藤国務大臣 だんだんの御意見拝聴いたしました。確かに老後の生活をささえるために、これで十分かどうかといういろいろ御意見のあることは私もよくわかります。それから老後の夫婦で生活を送っておられる方々の生活の事情等もさまざまでございますから、私もいろいろ意見のあることは承知をいたしておりますが、現在のような二万円年金水準というものを大幅に五万円まで上げた、私はその点の政府の努力というものは買っていただきたいと思うのです。
 お互いの生活において、いろいろな不平もあり不満もある、欲求不満もあることは私も十分わかります。そしてまずこの五万円年金というものを実現し、それを第一歩としてこの法律で規定されておりますように、インフレに対しましては物価スライド制も採用いたしております。さらにまた賃金上昇なり生活水準の向上ということがあれば、五年ごとに水準の改定、五万円の水準を七万円にするとか八万円にするという水準の改定もやっていく、こういうわけでございまして、社会保障の中核としての年金は、まさしく政治の最大の課題でございますから、今後とも、お述べになりましたような気持ちは私も十分理解いたしておりますので、これを一歩として、さらに前向きに前進を続けるように努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
#56
○山田(耻)委員 終わります。
#57
○伊東委員長代理 湯山勇君。
#58
○湯山委員 私は、今回政府から出されております厚生年金法の改正案、これに関連して各種共済年金法が同じように政府から提案されております。その中の特に農林漁業団体職員共済組合法との関連において、いろいろお尋ね申し上げたいと思います。
 特に前提としてお断わり申し上げたい点は、いまお尋ねする中で政府が御提案になっている厚生年金法案が例として出されますし、これとの対比でお尋ねいたしますが、それはお出しになっているのを肯定して、賛成して言うのじゃなくて、私ども自身は、先ほど八木議員から御答弁しておられましたけれども、あの案に対して賛成しておるものであるということをまず明確にして、お尋ね申し上げたいと思います。
 最初に、今回この厚生年金法の改正あるいはまた既裁定恩給の改定に伴って各種共済年金法が改正になっております。この各種共済年金法の提案にあたって、当然の手続として社会保障制度審議会に諮問をしておられますが、それに対して社会保障制度審議会は、おおむねどれについても、なお今回厚生年金が大幅に改善される結果、各種の年金受給者が著しく不利になるおそれがある、このことは皆年金下における公平の原則をそこなうので、この点に留意し、財政基盤の強化その他根本的な検討が必要であるという、社会保障制度審議会の答申があっておりますが、これは厚生大臣としては、よく御承知のことと思いますが、いかがでございますか。
#59
○横田政府委員 ただいまの厚生年金、国民年金の改正に準じまして、各種共済年金の改正の問題について、いまのような御意見が審議会においてあったことは十分承知いたしております。
  〔伊東委員長代理退席、塩谷委員長代理着席〕
#60
○湯山委員 そこで、ただいまの社会保障制度審議会の答申に基づいて早急に根本的な検討をしなければならない、政府はそういう責任があると思います。これはすでになされたのか、あるいはこれからなされるのか、なされた結果に基づいて抜本的な各種共済年金の改正が行なわれると思いますが、それはいつなされるのか、その点について、これはどこへお聞きしていいのかわかりませんが、ひとつお見えになっておる方お答え願います。
#61
○横田政府委員 御指摘の問題は、今回の改正に関しましては、実は厚生年金、国年についての相当大幅な改善を契機として起こっておりますので、この制度の立案の過程におきましても、各共済制度を所管いたしております所管庁と十分連絡はとってやってはまいったわけでございます。ただ、問題は、それぞれの制度が、それぞれ特殊なニードに応ずるような形で設計をされている点、それからいままでのいろいろな歴史的な事情等がございまして、一挙に同じような制度、体系に変えるということも、なかなか困難な面がございますので、いま御指摘のようないろいろな問題が起こっておるわけでございます。
 ただ、しかし、それぞれの制度につきましては、それぞれの所管におかれまして、それなりの改正を提案しておられるわけでございますので、完全に制度的に斉合された形ということにはなっておりませんけれども、そういった方角を目ざしまして、少なくとも不合理な格差の是正でございますとか、不合理な各制度間のふつり合いの問題でございますとか、そういったことにつきましては、私どものほうも十分各官庁とも連絡をいたしまして、足らざる点は将来にわたって改善をいたしてまいりたいと思います。
#62
○湯山委員 社会保障制度審議会の答申では、いま局長のお答えになったように、ただこれとの矛盾の調整というようなことではなくて、前文のほうを見ると、共済年金は被用者年金の中核である厚生年金を基盤とした上、これに企業的性格を加味した企業年金だから、ここでこの改正に伴って抜本的な検討が必要だ、――根本的な検討と、こうあるのですから、こういうことがなされていない、こういうことでございますね。
#63
○横田政府委員 ただいま申し上げましたように、基本的な改革の問題の御提案は、もちろん御意見の中にございます。ただ、今回改正の際には、端的に申しますと、どちらかといえば共済グループに対しまして、比較的低く押えられていた厚生年金グループの年金水準、それから今後にわたってのスライドの問題、そういったものを厚生年金制度の中に組み込んで、そういったことが、どちらかといえばプライスリーダーになるかっこうで将来の各種年金の斉合性を考える、こういうことをやったわけでございます。
 したがいまして、意見の中にございますように、たとえば厚生年金等を基礎年金的なものと考えて、ほかのそれぞれの需要に応ずるものは、それに乗せて考えるとか、いろいろな御議論があったはずでございます。それらの点については今回の改正では、そこまでなかなか及び得なかった、こういうふうに御了解いただきたいと思います。
#64
○湯山委員 これは厚生大臣が厚生大臣でおありになるのと同時に、国務大臣でもございますし、同時に社会保障制度の直接責任を持っておる大臣ですから、そういう意味でお尋ねいたしますが、当然早急にすべての共済年金については、いま社会保障制度審議会の答申にあったように、いま局長の御答弁でございましたような、根本的な検討までなされていないということですから、すみやかにそれがなされる御意向であるかどうか承りたいと思います。
#65
○齋藤国務大臣 よその共済組合年金に比べまして厚生年金が今日まで劣っておりましたので、厚生年金を今回思い切って改善をしたわけでございますが、それに伴って、よその共済組合年金、それと見合って根本的に改めなければならぬ問題がたくさんあると思うのです。格差の是正、多少の改革はなされておりますが、やはり根本的な改革というものが、なされるべきものだと考えておりますから、関係各省に対しましても、こうした社会保障調査会の御意見を実現させるように、今後とも努力いたしたいと考えます。
#66
○湯山委員 総理府お見えになりましたでしょうか。――それじゃほかのことをお尋ねいたします。
 今度、大臣おっしゃったように厚生年金は五万円年金ということでございまして、それはいろいろあやはありますけれども、一応こういう試算でこうだというのは、それはよくわかります。しかし一般の共済年金ですね、年金の中では一番条件の悪い農林年金はもちろんですが、農林年金といえども厚生年金から養子にやったようなもので、必ずしも無関係ではないと思いますが、農林年金、私学年金、地公その他の年金、それでは厚生年金の五万円年金に該当する、つまり標準報酬が八万四千六百円で二十七年、この人の年金は一体どうなんでしょうか、幾らになりますか。計算なさったことございませんか。
#67
○佐々木説明員 農林年金の場合に、四十七年三月末で在職者の平均標準給与二十年の人でございますけれども……。
#68
○湯山委員 答えが質問と違います。
#69
○佐々木説明員 厚生年金の八万四千幾らとおっしゃいましたけれども、それに対応するのが農林年金の場合に八万四千六百円ということでございまして、これの二十七年ということになりますと支給率が五〇・五ということになります。それで計算いたしますと、月額で四万二千七百二十三円ということになるわけでございます。
#70
○湯山委員 とにかくいまの同じような条件で計算して、それだけ違っている。おそらく四万ちょっとこえると思いますけれども、とにかくこれだけ違っている。そうすると、これは政府が全体を調整しなければならない責任がどこかにあると思うのですが、そういう調整は政府のどこでなさるんでしょうか。
#71
○横田政府委員 直接の所管でございませんが、そういう調整の場といたしましては、総理府の審議室が当たっておられるはずでございます。
#72
○湯山委員 次に、お尋ねいたします。
 最低保障額というのが今度引き上げになりまして、三十万二千四百円というのが最低保障額になっております。これは厚生年金の最低額を想定される額に合わしたというように聞いておりますが、その算定の根拠はどこにあったのか、これも農林省で答弁願います。
#73
○佐々木説明員 最低保障額の三十万二千四百円でございますけれども、この計算は厚生年金保険の基本年金額、これは定額部分の額に報酬比例部分の額を加えたものでございますが、この基本年金額と加給年金額、加給年金額というのは、これは扶養家族がある場合に加給される年金の額でございますけれども、それに由来しておりまして、その最低額をとりまして三十万二千四百円ということでございます。
#74
○湯山委員 報酬比例部分を幾らと見ておるのですか。
#75
○佐々木説明員 報酬比例部分は、平均標準報酬を最低限二万円というのをとりまして、その二万円に……。
#76
○湯山委員 いいです。
 そこで、報酬比例部分の給与額、これを月二万円と見ておるんです。こういうのが大臣、厚生年金の被保険者にございますか。つまり、今度はこの厚生年金法の改正では、最低標準報酬二万と見ています、改正で。しかし、この場合は全期間通じての報酬ですから、今度これで審議されておるものの最低が二万、しかもそれが全期間の報酬の基礎になっておる。全期間の平均がそれになる、こういう考え方というのは成り立ちますか、成り立ちませんか。これは大臣御担当だから、すぐおわかりいただけると思いますが。
#77
○横田政府委員 お尋ねの点は年金額の計算をいたします際の基礎になる報酬というものをどの時点の報酬をとるか、こういう問題にからんでまいると思います。
 御承知のように、国家公務員などにつきましては、退職前三年の平均をとっておりますし、それから公共企業体につきましては、退職時賃金をとっております。厚生年金の場合は、御承知のように全雇用期間を通じましての標準報酬平均をとっておる、なぜこういうふうに違うかという問題でございますが、担当が厚生年金なものですから、厚生年金について申しますと、結局給与体系というものは、いろいろ各企業によってバラエティーが多うございまして、必ずしも退職時の賃金が非常に高いといういわゆる年功序列型の賃金体系でない場合が多いわけです。
 ただ問題は、そういうことでございますが、従来やっておりましたように、全期間を通じてのなまの標準報酬をとりますと、不必要に標準報酬の平均額が低く出ますので、改正時点におきましての標準報酬の価格でもって過去のものを再評価する、厚生年金の改正の場合は、そのような手法をとりました。そういうふうなことをやりました際に、二万円未満のものはどうかといいますと、二万円未満のものは二万円に読み直すというふうな規定にしておりますが、現実の問題としては非常にレアケースでございまして、再評価したあと二万円未満というのは非常なレアケースでございます。
 それから現実に、現時点での標準報酬そのものをとりまして、それが二万円未満のものはどうかという点につきましても、たとえばパートタイマーでございますとか、そういう特殊な方についてはあると思いますけれども、そうでない通常の雇用形態の場合、非常に少ない例だろうと思います。
#78
○湯山委員 ですから最低保障額をきめるときに、厚生年金の二十年で、そして全期間通じての平均給与二万円をとるというのは、これは明らかに低過ぎる、こういうことがいえると思います。これは、この法律で最低をとったわけですから、平均というのは最低より下へいくことは絶対ありません。
  〔塩谷委員長代理退席、田川委員長着席〕
だから、このとり方がまず不当である。ことに農林年金の場合、今度政府が出しておるのでは、この標準報酬の下限を二万六千円と見ておるわけです。今度の改正案にはそう出ています。そうすると、それをとるならとるべきであって、厚生年金の最低のものを全期間の標準報酬の平均としてとるというのは、もう当を得ていないのであって、とるとすれば、今度政府が出しているのは、下限が二万六千円ですから、少なくともそれ以上でなくてはならない、これは当然の理屈だと思いますが、どうですか。
#79
○佐々木説明員 先ほどお答えしましたように、共済関係では厚生年金の基本年金額と加給年金額の計算方式をとりまして、三十万二千四百円というものを統一的に最低保障額ということできめておるわけでございます。農林年金の標準報酬の最低額を今回一万八千円から二万六千円に引き上げるということでありますけれども、すでに二万六千円というのは、昨年から私学共済では二万六千円になっておるというようなこともございまして、にもかかわらず、やはり従来から最低保障額につきましては、厚生年金の計算方式を共通的にとってきた、こういう経緯がございます。やはりこの辺は共済組合制度全体の共通の問題でございますので、農林年金を二万六千円に引き上げて計算をするということは、やや問題があるのではないかというふうに思います。
#80
○湯山委員 そういうことだからお尋ねしておるのであって、最低保障、給与の最下限を全期間の給与の平均と見るというのは間違いだ、これは大臣、私の言うことには間違いないと思うのですが、いかがでございますか。
#81
○横田政府委員 厚生年金の標準報酬のとり方の問題でございますが、先ほど申しましたように、賃金体系が企業によって非常にまちまちでございます。したがって、こういうやり方をしませんと、どちらかといいますと、被保険者あるいは受給者同士の不公平というものが起こってまいります。たとえば年功序列で、やめる寸前の給与が一番高くなっている企業と、それから四十歳あたりが一番高くて、それから安くなる企業とございました際に、たとえば国家公務員並みの退職時三年というようなことをやりますと、片や退職時の賃金が高い方は非常に高い年金を受けますし、しからざる方は安い、やはり受給者同士のアンバランスの問題というものも考慮しながら考えなければならないと思っております。
#82
○湯山委員 よく聞いてくださいよ。厚生年金が高いとか低いとか言っているのではなくて、厚生年金でも標準報酬の下限というものが二万と今度きめたわけです。そうすると、どんなに見たって、いまおっしゃったようなでこぼこがあったにしても、中間のほうに高い低いがあったにしても、全期間平均というものが二万をくだるということはない、必ず二万円より上に行くようでございますね。同じように今度農林年金の場合は下限を二万六千円と引いておる。そういう中で、この最低保障額の計算は二万円でやっておる。二万円なんという全期間の平均給与というものはあり得ない。あり得ないものを使って不当に低いものを出しておるのがこれだから、これは直さぬといかぬじゃないかと言うのですから、これぐらいなことは簡単にそれはそうだと――ただ、他とのつり合いとかなんとかいうのは、この際理由になりません。つり合いが悪かったら、ほかを直せばいいんです。
#83
○横田政府委員 厚生年金それ自体の問題ではないのですが、たとえば厚生年金の場合には最低保障というものをどう考えるか、そうことから考えますと、やはりそれぞれの制度で最低保障の考え方いろいろございまして、ただこちらの二万円未満のものがレアケースであるからどうという、それだけでも律し切れない問題があるのだと思います。
#84
○湯山委員 そういうことは申し上げておりません。答弁が、今度提案されておるこの厚生年金法のそれによって計算して出したんだと言うから、聞いておるのであって、そういう答弁ではこれは全然話にならないわけです。いまのことおわかりですか、局長。そういう非常に不当な点がある。大臣、私の言うこと御理解いただけましたか。
#85
○齋藤国務大臣 はい、わかりました。
#86
○湯山委員 じゃ、これは直さなければならぬという問題の一つです。
 それから同じように今度は厚生年金です。厚生年金の場合は、法案で見ますと、最低保障に当たる金額というのはありませんけれども、定額部分というのが全部に通用しています。どこからあとに適用というのがありません。ところが、農林年金にしても私学年金にしても国公にしても地公にしても、その不当な最低保障額、しかもどこからは適用する、どこからは適用しない、厚生年金に準じていまのようにいくのであれば、厚生年金の一番重要な定額部分が全員に適用されるのですから、当然他の年金も全部に適用されるのが通常です。そうでなければなりません。
 にもかかわらず、その適用が、農林年金では三十九年十月、私学は三十七年一月、地方公務員は三十七年十二月、国家公務員は三十四年一月で、それ以前に適用されない。これは厚生年金に基盤を置いて最低保障額をきめた。しかも最低保障というものの性格は、山田委員がさっきずいぶんおっしゃったとおりです。あるものとあるものとは五年も違っている。そして厚生年金と比べれば、もっと違っている。こういう最低保障額というものの性格からいって、そんなに適用がばらばら、区分をこしらえるというやり方が妥当なのかどうなのか、社会保障制度という観点から見て大臣はどうお感じになりますか、厚生大臣にお尋ねします。
#87
○齋藤国務大臣 いろいろな共済組合年金において差があるわけでありますが、私はできるだけ一本の形でまとめていくようにするのが望ましいと思います。しかし、いろいろないきさつでばらばらになっておりますことは事実でございますが、やはり将来の方向としてはまとめていくようにすべきだ、これが望ましいと思います。
#88
○湯山委員 それと関連して沖繩の問題をお聞きしたいのです。総理府まだお見えになりませんか。――それでは沖繩の問題、これも農林省にお尋ねします。
 沖繩の農林年金は四十五年から発足しております。そして日本に復帰前は沖繩政府が一〇%、団体が四五%、組合員四五%で運営しておりました。ところが発足前、四十五年以前については全額当時の沖繩政府が持ちまして、全員に一〇〇%適用になっておった、これは御存じですね。ところが日本へ復帰したために、四十五年以前の分については、沖繩政府のときには特に一〇〇%適用しておったものを今度日本へ復帰した場合には、その間は本人が掛け金をしていないというので、既得権であったものを取り上げて、四五%削減して四十五年以前には適用しているということになっています。
 これは復帰のときのいろいろな条件の中で、既得権は尊重するということをしきりに政府もいって沖繩は復帰したのですけれども、農林年金についてはそういうふうに一〇〇%適用されていたものが今日段階では、四十五年以前については掛け金をかけていなかったという理由で四五%削減している。これはあの復帰の条件とも違うし、はなはだ不当であって、その分の整理資源は日本政府が持って、やはり一〇〇%適用にすべきだと思いますが、これはいかがですか。これも復帰の責任は総理府が持っていましたから、総理府に言うべきことなんですけれども、農林省どうですか。
#89
○佐々木説明員 沖繩の農林年金につきましては、いまお話がございましたように、昭和四十五年の一月一日から発足したわけでございます。それ以前の沖繩の農林漁業団体の在職期間は、これは沖繩時代にはすべて組合員期間に算入するという取り扱いがなされておったわけでございますけれども、復帰に伴う本土の農林年金への承継にあたりまして、これらの期間のうち沖繩の制度発足時に引き続く期間、これだけは組合員期間として通算を認めよう。ただ、その期間につきましてもお話がございましたように、掛け金を納めていない未納の期間がございます。その未納の期間に対応する給付額につきましては、四五%カットするということで給付額の調整措置を講ずるということにしておるわけでございますけれども、これは掛け金が納められていない期間に対応する給付の調整でございまして、掛け金を納めないにもかかわらず満額の給付を行なうということになりますと、本土では満額の掛け金を納めておる人たちがおるわけでございますから、そういう者との均衡を著しく失するというふうな問題がございまして、四五%の減額調整措置を講ずるということにいたしておるわけでございます。
 こういった均衡上の問題でございますので、これを撤廃するということは困難があるというふうに考えております。ほかの共済組合制度でも同じように、こういった減額調整措置をとっておりまして、均衡上御指摘のように撤廃をするということは非常にむずかしいのではないかというふうに考えております。
#90
○湯山委員 いまの問題は均衡の問題でなくて、年金というのは本人にどう不利か有利かということが一つ非常に大きな判断の材料にならなければならないと思います。本人たちは復帰前は一〇〇%適用になっていた。復帰したために、こちらとのつり合い上ということで四五%切られるということになれば、本人たちにとっては非常な不利になるということであって、ただ均衡という名目だけでそれを簡単にやるということは、私は復帰のときの条件から見ても問題があると思うのです。これは当然復帰に伴って不利になったわけですから、その分の掛け金も政府が持って埋めますということを一回やれば、それで済むことであって、過去のことですから、当然そうやって従来の既得権は保障するというのでなければ個人の損得にかかわる問題ですから、つり合いの問題として云々じゃなくて、そういう観点から当然四五%のカットというものはなくすべきだと思います。それについての御意見は、これは総理府のほうはどうお考えでしょうか。
#91
○今泉説明員 お答え申し上げます。
 総理府におきまして、総理府に公的年金調整連絡会議というものが昭和四十二年七月に社会保障制度審議会からの申し入れに基づきまして設けられてございます。
 それによりますと、各公的年金制度の目的、性格、制度の仕組み等についての検討あるいは公的年金制度の給付について、公的年金としての共通部分とそれの制度独自の特殊部分とに区分する考え方がとれるかどうかというような検討、あるいは年金額のいわゆるスライド問題の調整を各年金がとり得るかどうかというような問題、こういうようないろいろな項目につきまして四十二年以来、種々検討を重ねてきたわけでございますが、制度の沿革、目的それぞれ異なりまして、なかなか意見の一致を見ないというようなことから、四十六年の一月からこの会議を厚生年金、国民年金、船員保険等の民間グループ、それから国家公務員共済組合、地方公務員共済組合のような公務員グループ、それから私学、農林共済のようなグループ、それから災害補償のグループ、この四つに分けて現在各グループごとの検討を行なっております。
 厚生年金につきましては、御承知のように一応のスライド等につきまして今国会に御提出の結論が出ましたが、公務員グループにつきましては、なおその点につきまして現在検討中でございまして、いろいろまだ現在結論が得られていないわけです。したがいまして、公務員グループにつきましては、従来どおり恩給年額にならいまして、国家公務員給与の改善によりましてやるというような問題がありますし、私学、農林につきましても公務員グループに準ずるような体系をとるというようなたてまえで、現在公務員グループの検討待ちというようなことでございます。それから労災につきましては、ちょっと若干これは違いますが、そのようなことで現在は検討中でございます。もうしばらくお時間をいただきたい、このように思っております。
#92
○湯山委員 それで、時間が参りましたので終わりますが、実は、これはせっかくですから厚生大臣、代表してお聞きいただきたいと思います。
 総理府のほう、いま検討中だと言いますから、いずれその結論が出て、そして早い機会に抜本的な改定がなされると思いますけれども、まだ国庫補助の問題とか、それから事務費の問題とか、不均衡がずいぶんあります。これはもう御存じのとおりです。申し上げたように、最低保障についても不合理がございます。そこで、それらは抜本的にすみやかに改定するように、ひとつ大臣からも御推進を願いたいということをお願い申し上げます。
 先ほどからのお尋ねを、総理府へもう一ぺんすると言えば、また時間がかかりますから省きますが、ひとつ総理府のほうはもっとしっかり各年金間の調整、それをしっかりやらないと、これはせっかく福祉国家といいながら、そういう不均衡が実は年金をこわしてしまうということになりますので、この点は十分御注意申し上げたいと思います。それについて厚生大臣一言……。
#93
○齋藤国務大臣 年金につきましては、先ほど来お話しのように、たくさんの制度に分離をいたしておりまして、その間こまかいことから大きいことまでさまざま、不統一なものもございますし、こういったものはできるだけ格差を縮めたり不均衡なところは直していくとか、そういうこともしていかなければなりませんし、また独立している以上は、それぞれの制度の意味合いも生かして基本的な改革もしなければならぬ、こういうような問題もあろうと思います。そういう問題につきましては今後政府部内において連絡を緊密にしながら努力をいたしてまいりたいと考えております。
#94
○田川委員長 川俣健二郎君。
#95
○川俣委員 党に割り当てられた時間が参りましたので、一点だけ質問したいと思うのですが、いまの湯山委員の質疑にあるように、年金の調整統合というか、きょうは農林省にも出てきてもらっておるはずですが、地方では非常に混乱をしております。これを知っておるかどうか。というのは、一人がいろいろな年金に入っている、入らせられておる、こういう状態です。というのは、たとえば季節労務者、出かせぎ、一年間に八十万を数える出かせぎがいるわけですが、それが国民年金に入り、農業者年金に入り、そうして出かせぎに来て厚生年金に入る、この状態が非常に混乱のもとになっております。そこで、厚生年金に入っている分をあとでもとへ戻すという法律規定になっておりますが、しかし、これもなかなか所管官庁が違うと手続もまた時間がかかり、そうしてまた冬場の出かせぎにやってくる。そうなると、かけ捨てということが当然出てくる、こういう状態、十分農林省も知っておると思う。知っておるでしょう。
 そこで、時間がありませんから、審議が大詰めになった場合は総理大臣が出られるそうですが、私はその前に一番の主管の厚生大臣に率直な意見を聞いておきたいんですが、いま調整連絡会議、こういうことばが出てきましたが、これは非常に大事な問題なんです。というのは、昔は年金というのは、ことばから年金ですから一年に一ぺんもらうのが年金と、こう思った程度であった。ところが急速に寿命が延びる、そうして人生の有給休暇といわれる年金に大幅に生活を依存しなければならぬ。連合審査をやってみると、いよいよやはり年金というのは各省でそれぞれ持っておる関連があるということがわかった。まだありますよ。内閣なんか大ありにこの連合審査に関連のある委員会だ。しかし与野党の折衝の結果、ようやく年金の連合審査、三省三委員会だけやろうということになりましたが、一方、国民のほうは、そのように年金が普及してきた。年金にたよらなければならないという社会情勢になってきた。片や官庁のほうは、昔は厚生省は係だった。そうして課だった。いまは局になった。そうなると、ぼつぼつ連絡会議、調整会議なんかじゃ間に合わなくなった。そこで年金庁という問題が当然ここに出てこなければならない。
 そうすると、大臣、どうですか、先ほどの湯山委員に対する答弁でも、ははあ、あの人はかつて厚生省の年金をやっておった人だ。あそこに行っているのは、年金を昔厚生省で勉強していた担当官だ。そういうようにやって、ようやくいま各関係官庁の年金が持たれておる。これを一括して、やはり年金を総合的にやるという官庁が必要なんじゃないか、こういうように連合審査では感じ取りましたので、ひとつ厚生大臣、代表して、やはりそういうような情勢になってきたというように判断しておるか、まだ時期尚早で、なわ張り根性で、あっち行け、こっち行け、そうしてとうとうダブってかけたものはかけ捨てになるという地方の混乱、こういったものに対処するには、やはり政府の代表として、この辺でひとつ、これは社会党の時間が切れましたので一問で終わりますから、率直に厚生大臣から伺っておきたいと思います。
#96
○齋藤国務大臣 年金というのは、ほんとうにもう全国民の老後の生活をささえる重要な制度として国民も認識し、私どももそうした方向に向かって発展をさしていかなければならぬ、こういう時期に来ておるわけでございます。にもかかわりませず、年金となりますと、厚生年金、国民年金それから公務員、年金団体の年金、さまざまでございます。そういうふうなことから、その制度間におけるいろいろな格差、矛盾、そういうものを解消するための連絡協議会というものを設けてやっておるわけでございますが、どうもこの年金の仕組みというのは、私も率直に申しますが、関係各省それぞれのいわく因縁、なわ張りといったようなものが非常に強くむき出しに出ておるものが多いのであります。そういうようなことで一本にこれを統合するなどということは、いまの段階では私は相当むずかしい問題だと思いますが、しかし、むずかしいからといって投げておくというわけにもいかない。
 そこで私は将来の方向としては、ほんとう言うと年金庁くらいのものができなければならぬときが来るのじゃないかと思うのです。しかし、いまはそれをにわかに言い出しても、まあ三公社、国家公務員、地方公務員、これはなかなかたいへんでございまして、いわく因縁、複雑でございますので、私はいまにわかにそういうことができるとは思いませんが、将来の政治の方向としては、国民のために一本でわかるような仕組みになるようにしていくべきものであろう、私は政治的にはさような考えを持っております。
#97
○田川委員長 諫山博君。
#98
○諫山委員 先ほど来の厚生大臣の説明で、年金は老後の生活を保障するものだというおことばがありましたが、これは特別収入のある仕事をしなくても、老後の生活が年金で保障されるのがたてまえだというふうに聞いていいでしょうか。
#99
○齋藤国務大臣 御承知のように、年金というのは国民の老後の生活をささえる制度として発展さしていかなければならぬという考えでございます。そういうような考え方から、被用者保険と国民年金とこういうふうに分かれておりますが、制度を立てる仕組みとしては、ある程度の掛け金を納め、その掛け金を納める年数がある程度のものでなければならない、こういう仕組みでございます。収入が全然ない、働かない、保険料を納めることができない、こういうことになりますと、年金というワク内でいまのところ処理するということは私は困難ではないか、かように考えております。国民の最低生活を保障するという制度としては、またそれなりの別な制度があるわけでございますから、この年金というのは、そういう制度とまた別立てになっておるということを頭に描いて仕組みを考えておるような次第でございます。
#100
○諫山委員 私は、これから簡単に質問しますから、簡単にお答え願いたいと思います。
 そうすると、長年掛け金をかけ、一定の年齢に達した人は年金だけで生活できるのが本来のたてまえだというふうに伺っていいですか。大臣にお答え願います。
#101
○齋藤国務大臣 そうした方々について老後の生活をささえるような仕組みで考えておる、こういうわけでございます。
#102
○諫山委員 日本の労働者は五十五歳になったら、やめさせられるところがたくさんあります。こういう人たちは長年働いてきたのだから、ことさら収入のある仕事をしなくても年金で生活できるのがたてまえだということが、いわゆる年金制度の趣旨だと思いますが、いかがでしょう。これは年金問題の基本に触れる問題ですから、大臣にお願いします。
#103
○齋藤国務大臣 先ほども申し上げておりますように、現在の厚生年金でございますと、勤労者が土十年以上働いて、その期間ある程度の保険料を納めていただいた方々に対して、老後の生活をささえるための年金を支給する、こういうことでございます。
#104
○諫山委員 そうすると五十五歳に達した人が、他に収入がなくても生活できるような年金をつくってあげるというのは、憲法第二十五條に基づく政府の義務だということになりますが、そのとおり聞いていいでしょうか。大臣お答え願います。
#105
○齋藤国務大臣 年金というのは五十五歳というのではなくて、高齢退職者ということを諸外国も基準といたしておりまして、諸外国においても大体六十五歳ということを標準にいたしておるわけでございます。これはもちろん制度の立て方でございますから、五十五歳からという立て方もないわけではないでしょうけれども、大体年金というものは高齢の方々の退職者、諸外国ではほぼ六十五歳というのが標準になっておるわけでございます。
#106
○諫山委員 五十五歳か六十五歳かというのは、私の質問の中心ではありません。そういう高年齢者が年金で生活できるような制度をつくり上げるのは、政府の憲法上の責任だと思うがどうかと聞いているのです。
#107
○齋藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、被用者保険でありますと相当長期に働いた勤労者に対して、年齢は別として老後の生活をささえる、そういう年金をつくっていく、こういうことは当然政府のつとめであろうと考えております。
#108
○諫山委員 農林省にお聞きします。私の知人で大学を卒業して農協で働いている二十八歳の労働者がいます。この人の現在の賃金が五万円そこそこです。奥さんと一人の子供をかかえているわけですが、とうてい生活できるような状態ではありません。そこで、いわゆる農林年金を適用される労働者の賃金が厚生年金適用の労働者の賃金に比べて非常に低いということが問題になっていますが、その実情はどうなっていましょうか。
#109
○佐々木説明員 農林年金の標準給与の平均額でございますが、四十六年度末でとりますと五万一千四百三十六円ということでございます。これに対しまして厚生年金の適用対象者の平均報酬月額は六万四千三百一円であるというふうに承知しております。
#110
○諫山委員 農林年金中央共闘会議のつくった資料を見ますと、農林年金適用労働者の一番新しい平均賃金が五万八千九百六十二円、厚生年金適用労働者の平均賃金が八万四千四百円、こういう数字が発表されていますが、これは違いますか。
#111
○佐々木説明員 ただいま申し上げた数字は、四十七年の三月末の数字でございます。先ほど申し上げましたように、四十六年度末ということで申し上げました。
 いまお話のありました数字、私よく内容を存じませんけれども、四十六年度末の数字は先ほどのとおりであろうというふうに思います。
#112
○諫山委員 四十六年度の数字と現在の数字を比べますと、農林年金適用労働者の賃金の格差がますます開いているということが明らかになりました。今度の予算委員会の田中総理の発言の中でも、日本の労働者の賃金が諸外国に比べて非常に安いということが問題になりました。この中でも農林年金適用労働者の賃金が極端に低いわけです。そこで、さっきも話になりました最低保障額に関して農林省にお聞きします。
 政府の提案どおり、この金額が三十万二千四百円になったとして農林年金適用の労働者のうち実際に最低保障額の適用を受ける人が何割くらいを占める予想になっているのか、御説明願いたいと思います。
#113
○佐々木説明員 最低保障額の適用を受けますのは主として既裁定の年金者であろうと思いますが、四十七年十月末現在の既裁定の年金者は、退職年金についていいますと二万三千七百九十七人でございます。このうち一万三千三百九十人、率にしまして大体五六%でございますが、その五六%の人が最低保障額の適用を受けるということになるわけでございます。
#114
○諫山委員 五六%の人が最低保障額の適用を受けるというのは、現在の制度についての数字でしょうか、それとも政府案が通ったとした場合の数字でしょうか。
#115
○佐々木説明員 今回の御提案申し上げておる法律が通りました場合の数字でございます。
#116
○諫山委員 最低保障額というのは、これ以下の給付はあり得ないというぎりぎりの線だと思います。ところが、政府の改正案がそのまま通ったとしても、実に五六%の人が最低保障額の適用を受けるというのは全く異常といわなければなりません。この点農林省は、これで正常な姿と理解しているのかどうか、御説明ください。
#117
○佐々木説明員 御指摘のとおり、必ずしも正常であるとは考えておりません。
#118
○諫山委員 正常でないことがわかっているとすれば、なぜ正常な状態に戻そうとしないのでしょうか。どういう方法をとれば正常な状態に戻ると考えていますか。
  〔田川委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕
#119
○佐々木説明員 最初に御質問にもございましたように、一番の問題は給与水準が低いという点にあろうかと思います。したがって、給与水準を逐次引き上げていくということが一番の問題ではないかと思いますが、結局それは農協の経営基盤を確立していくということが最大の問題でございまして、農林省としては三十六年に農業協同組合の合併助成法というものを制定いたしまして、以来合併を大いに推進しておるところでございます。合併によりまして農協が大きくなり、そして経営基盤が確立され、その結果、給与水準も上がっていくというようなことが一番の問題ではないかというふうに思っております。
#120
○諫山委員 農協や漁協や森林組合で働いている労働者の賃金が厚生年金適用労働者に比べて二万五千円からの開きが現にある、こういう状態が公表されています。そういう劣悪な労働条件の中で働きながら高年齢になって退職年金を受けるようになってからもずっと差がつく。そして実に五六%の人が最低保障額しか受けられないという不当な結果になるわけですが、この問題について賃金を引き上げるのは、もちろん一つの方法です。同時にまた給付率を引き上げれば解決できるはずだと思いますが、農林省いかがですか。
#121
○佐々木説明員 もちろん御指摘のように、給付率を上げますれば解決ができることは当然でございますけれども、やはり共済組合には共済組合全体として共通の制度が仕組まれておるわけでございますので、農林年金だけについてそのような特別な措置をとるということは、制度間の均衡を著しく破壊することになるのではないかというふうに考えております。
#122
○諫山委員 私は農林年金適用者を特別優遇しろとは言っていません。あたりまえに取り扱えと言っているんです。
 そこで、厚生大臣にお聞きします。あなたは、退職年金というのは老後の生活を保障するためのものだ、しかも健康で文化的な生活を維持できるようなものでなければならないと言われました。いまお聞きのとおり、農林年金適用労働者は、実にその五六%が最低保障額しか給付されないという状態です。最低保障額というのは年間三十万二千四百円、これだけでその労働者あるいは家族が生活できると思いますか。
#123
○齋藤国務大臣 先ほど来の農林省との質疑応答を通じまして、農林年金の給付額が非常に低いように感じさせられたわけでございまして、はたしてこれで十分であろうかということを私もしみじみ感じたわけでございます。
#124
○諫山委員 農林年金の給付が非常に低いということは、農林省だけの責任ではありません。これは政府全体の責任で、直接的には厚生省のやり方が非常に不十分だということと関係があるわけです。この問題で厚生省としては、特に農林年金適用労働者に対して何らか特別のことをしなくてもいいでしょうか、どうでしょうか。
#125
○齋藤国務大臣 御承知のように、農林年金は農林年金として独立した年金体系であるわけでございまして、厚生省がこれをどうするというたてまえではないと思っております。
#126
○諫山委員 最低保障額の決定が、厚生省の最低額に合わせたものだということは、さっきからのお話にありました。これは農林省としては、この金額をもっと引き上げるということはできない性質のものですか。それとも厚生省と無関係にもっとこの金額を引き上げていい性質のものでしょう
 か。
#127
○横田政府委員 技術的な問題もからみますので私からお答え申し上げます。
 二万円が、最低保障というふうにお話がございましたわけですが、私どものほうの二万円と申しますのは、標準報酬のワク組みの最低が二万円ということでございまして、それは年金額としての最低の問題とはかかわりのないことでございます。年金額としての最低の問題につきましては、厚生年金は最低保障云々ということをはっきりは申しておりませんけれども、御承知のように定額部分というものがそういった機能を果たすものというふうな制度のしかけにしてございます。その際の最低保障の金額の定め方は、たとえば傷害年金の三級につきまして最低保障に満たない場合は最低保障にするというふうな、そういったやり方をいたしておりますが、その場合の最低保障の金額計算は、定額部分のうち九百二十円に年数をかけた金額でございまして、その場合の年数は二十年、したがって一万八千四百円が最低保障の金額ということでございます。
#128
○諫山委員 農林省にもう一回お伺いします。
 厚生大臣の発言でも、農林年金は非常に低い、あらためてそのことを認識した、何とかしなければといっているようですが、農林省どうですか。
#129
○佐々木説明員 この問題は先ほどお答えしましたように、共済組合制度全体に共通の問題でございます。農林年金だけにつきまして特別の制度的な措置を講ずるということは、私は非常に困難であろうというふうに思っております。
#130
○諫山委員 厚生大臣も何とかしなければならないと言っているのに、主管の農林省はそれを見殺しにするわけですか。この最低保障額というのは、私の調査によれば生活保護費より低いと思いますが、どうですか。
#131
○佐々木説明員 私、申し上げましたのは農林年金だけについて特別な制度ということになると、非常にむずかしいということでございまして、やはり共済組合制度全体の共通の問題として、漸進的に解決をはかるという方向で検討をするということが必要であろうというふうに思います。
#132
○諫山委員 生活保護費との関係は……。
#133
○佐々木説明員 申しわけございませんが、生活保護費のほうは私よく存じませんので……。
#134
○諫山委員 いまの問題について厚生省はいかがですか。
#135
○横田政府委員 生活扶助基準についての数字だけを申し上げます。(諫山委員「どちらが高いかを聞けばけっこうです」と呼ぶ)農林年金のほうは私の所管ではございませんので、生活扶助基準の金額を申しますと、おそらく農村は四級地だろうと思いますが、単身世帯については一万三千四百九十六円、それから夫婦世帯では二万九百六十六円でございます。
#136
○諫山委員 農協なんかで働いている労働者が農村に居住しているとだけ理解しているとすれば、これはとんでもない認識不足です。東京にも大阪にも農協労働者はいますよ。そして、年金適用者が半分以上、生活保護費以下の年金しか受けないというのは、さっきも問題になったわけですが、どう考えても理屈に合いません。長年保険料をかけておきながら、実際給付を受ける場合には生活保護費以下の給付しかもらえない、結局生活保護を適用されたほうが現実的だという結果になります。これはどう考えても、憲法二十五条に基づく年金制度のあり方として正しくないと思いますが、厚生大臣、いかがですか。
#137
○齋藤国務大臣 これは制度の仕組みが全然別個の仕組みでございまして、生活扶助というのは、全然収入がない方々についての国民としての最低生活の保障という制度でございますし、年金というのは、国民年金は別として、被用者保険でございますと、労働に従事している方々がその保険料を俸給の中から一部納めながら、長年勤務したときの老後のささえとしての年金を支給しよう、こういうわけでございますから、金額においていろいろ差があるという御意見、その点はよくわかりますが、制度の立て方が全然違うのだということで御理解いただくほかないのではないか、こういうふうに私は考えます。
#138
○諫山委員 生活保護と年金の制度が仕組みが違うことはわかっています。しかし、みずから掛け金をかけた年金が生活保護の額よりか低いというのは、どう考えても理屈に合わないということを言っているわけです。ですから、私は直接的には農林年金――しかし、農林年金問題を解決するためには、いまの農林省の説明にもありましたように、すべての年金制度を改善しようとしなければ、なかなか実現が困難だということがわかりました。ですから、掛け金をもっと減らす、給付をもっとふやすというやり方をしなければならないと思います。
 しかし、もう一つ考えなければならないのは、政府の負担額を大幅にふやさなければならないという問題です。この点について、大蔵省からお見えになっているようですから、見解を聞きたいと思います。
#139
○辻政府委員 御承知のように、年金に対します国庫補助につきましては、厚生年金につきましては給付金の二〇%、国民年金につきましては給付金の三分の一、福祉年金は全額でございますが、それから共済年金につきましては国家公務員共済等の場合には一五%、農林漁業共済の場合には一八%というような負担になっておるわけでございます。
 今回の制度改正に際しましても御提案申し上げておりますように、国民年金のうち経過年金につきましては大幅にかさ上げする措置を講じたことに伴いまして、かさ上げ分の国庫負担率は、従来の三分の一から二分の一に引き上げることにいたしております。これらの年金に対する国庫負担の割合は、御承知のように、国際的に見ましても、すでに相当な高水準にあることでもございますし、保険制度のたてまえでありますとか、あるいは保険料負担の現状というようなことに照らしましても、先ほど御説明申し上げました国庫負担率で適切なのではなかろうか、私どもはかように考えているところでございます。
#140
○諫山委員 農林省にお聞きしますが、農林年金について農林省としては、あまりにもひど過ぎるから、国庫負担の割合をふやしてもらいたいと大蔵省に要求したと聞いていますが、いかがですか。
#141
○佐々木説明員 本年度の予算の要求の際には、現在一八%でございますけれども、それを二〇%まで引き上げるようにという要求をいたしました。
#142
○諫山委員 一八%を二〇%まで引き上げてくれという要求をしたのに対して、大蔵省はどういう態度をとりましたか。農林省から説明してください。
#143
○佐々木説明員 実は一八%になりましたのは四十七年度からでございまして、それ以前は二八%であったわけでございます。一六%を一八%に上げるにあたりましては、当時財政再計算をやりました結果、大幅にその財源の不足を生じたということで、その財源不足を解消するために、一つは二%の補助率のアップを行なった、そのほか制度面での一部の手直し、それから利益差の充当というような方法によりまして、結局再計算の結果、本来であれば、掛け金負担にはね返るべきものをはね返らせないで調整をしたという経緯がございまして、そのときにその一環として、一六%から一八%に上がったわけでございます。
 その後当時と特段の事情の変化はないというようなこともありますし、それからまた、定率補助は一八%でございますけれども、そのほかに財源調整費の補助というものがございまして、これは率に換算いたしますと、一・七七%に当たります。両者を合わせますと、一九・七七ということで、ほぼ二〇%に近いというようなことから、結局要求は認められなかったというふうに承知しております。
#144
○諫山委員 いろいろ大蔵省を弁護するようなことも言われましたが、いずれにしましても農林省としては、このままではだめだ、もっと国庫負担をふやしてもらいたいということを大蔵省に要求した。ところが大蔵省は、これを認めなかったという経過が明らかにされました。そこで、先ほど来の厚生大臣の発言の中に、日本の年金制度は諸外国に比べても劣る、まことにお恥ずかしい状態だということがありました。ほんとうに諸外国に比べると劣ることを自覚しておるなら、またまことにお恥ずかしい状態であることをほんとうに自覚しているなら、農林省でさえ不十分だと考えておる問題を、もっと抜本的に解決するという措置をとらなければ意味がないと思います。
 昨年十二月の総選挙ではいかにも年金制度が抜本的に改善されるかのような宣伝がされましたが、しかし、実際ふたをあけてみると、こういう不十分な状態しか出てきていないということに私は非常な憤りを覚えております。こういう点で年金問題について野党四党が共同提案もしているわけですが、こういう問題をあらためて慎重に検討して善処をしていただくということを要求して私の質問を終わります。
#145
○山下(徳)委員長代理 増本一彦君。
#146
○増本委員 私は、年金の積み立て金の運用の問題についてお伺いしたいと思うのです。
 いまのような積み立て金の方式をとっていると、積み立て金の運用の問題が非常に重要な問題だというふうに思います。中でも、積み立て金の運用の中で直接被保険者の福利の増進に役立つという名目で、政府が還元融資を別ワクで考えているわけですけれども、今回この還元融資が従来の四分の一から三分の一になったという宣伝をしているのですが、還元融資の独自の融資先はたった六つしかありませんね。この点はいかがですか。
#147
○後藤政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、運用先は国立病院特別会計、医療金融公庫、年金福祉事業団、公害防止事業団、社会福祉事業振興会並びに地方公共団体の特別地方債、この六種類でございます。
#148
○増本委員 ちょっと待ってください。財政投融資として振り向けている分は全部で幾つあるのですか。
#149
○後藤政府委員 財政投融資として振り向けている部分とおっしゃいましたのは……。
#150
○増本委員 投融資先です。
#151
○後藤政府委員 投融資先は本年度で五十四でございます。
#152
○増本委員 そのうち資金運用部資金が使われているととろは幾つですか。
#153
○後藤政府委員 お答え申し上げます。
 ちょっとその端数のところは正確でございませんので、すぐ調べさしていただきますが、対象機関のほとんど全部に資金運用部資金が使われております。
#154
○増本委員 政府でも数え切れないぐらい年金や郵便貯金など、零細資金を集めたこの資金運用部資金が使われている。国民年金や厚生年金の積み立て金のうちで、被保険者の福利増進ということを名目にしている還元融資の融資先はたった六つ、これは国民が掛け金をかけている。しかし、それが資金運用の面でも国民の福祉に直接役立つものになっていないということのあらわれだと思うのですね。政府は、そういう点についてはどういうふうにお考えになっていますか。
#155
○後藤政府委員 私ども財政投融資計画を担当しております者としましては、財政投融資計画全体を国民の要請にこたえる、いわば福祉に重点を置いた計画を立てるように努力をしておるところでございまして、四十八年度におきましても、この財政投融資計画の資金の使途別分類を提出をいたしておりますが、それでごらんいただきますと、一−六分類と称しております住宅あるいは生活環境整備、こういう国民生活に密着した部門への融資、これは五八・八%の資金を充てております。
 ちなみに、その中で年金資金等につきましては、その八五%をここに充てておるわけでございまして、特に財政投融資全体の福祉性の向上に努力しますとともに、年金資金につきましては、先生御指摘のような特殊性もございますので、さらにウエートをこの方面に指向しておる次第でございます。
#156
○増本委員 あなたはそうおっしゃいますけれども、このうちの住宅関連、厚生福祉施設等を言っていますけれども、たとえば文教施設はどうですか、去年と比べてかえって滅っていますね。全部引き上げているというわけじゃないでしょう。――いいですよ、時間がありませんから。文教施設の場合、年金資金等は四十七年の場合には二百十三億であったのがことしは八十六億しかないのですよ。そうですね。
#157
○後藤政府委員 さようでございます。
#158
○増本委員 そればかりでなくて、直接被保険者である国民や労働者の福利を目的としている還元融資が、財投五十四のうちたった六つしか直接振り向ける分がない。これは投融資先の中で国民の福祉と直接結びつく部門が政府としていかに貧困であるかということのあらわれだと思うのです。国民の社会保障や社会福祉について直接責任を持っておられる厚生大臣にひとつお伺いしますが、いまのこういう財政投融資の中でも還元融資の投融資先が全体の中でわずか六つしかない。いかに福利厚生についての投融資について政策が貧困であるかということを物語っていると思いますが、大臣の所見を伺いたいと思います。
#159
○齋藤国務大臣 先ほど理財局からお話がありましたように、厚生年金、国民年金の積み立て金資金は、八五%を一−六分類と申しまして国民生活に関係のあるところに融通をしておるわけでございます。そこで、そうした中で、還元融資というのは、御承知だと思いますが、厚生省所管で運用するもの、医療金融公庫なり、あるいは年金福祉事業団なり、あるいは市町村に対して福利施設をつくるための資金を融通するという特別地方債、こういうわけで、その一−六分類に入っておる国民生活に関連のある事項のうちで、厚生省がこれだけやっておりますということでございまして、厚生省以外にも国民生活に関係のある住宅だとか道路とかいうものは、別な事業団に行っておるわけでございまして、福祉に使っているという考え方については、政策の貧困でもない、年金の積み立て金というものは、あくまでも国民生活に関係のある厚生省の所管の支出以外にも、すなわち住宅なり道路なり文教なりにも使っておるということでございまして、厚生省分が六つの団体きりしかないから政策の貧困という理届にはならないと思います。
#160
○増本委員 厚生省所管だとおっしゃって大臣いま胸を張って答弁されましたけれども、国立病院特別会計、本年度還元融資から百五億円出ているのです。ところが政府のほうの一般会計の支出は、昨年度は四百六十六億円補正予算を含めて出てきたのに、ことしは四百四十二億円で、二十四億円一般会計からの補てん分が減っているわけですね。ところが、還元融資からの借入金はどうかと見ると、昨年は八十二億円だったのがことしは百五億円、結局一般会計から補てんされる分が逆に還元融資としてふやされて、国立病院会計自身がまるっきり借り入れ金による借金政策で運営されていくということになるんじゃないですか。ですから還元融資の使い道自身も、私は大臣が言うほどにいばれるものではないと思うのですが、いかがでしょう。
#161
○齋藤国務大臣 一般会計からの繰り入れの分は、その必要な事業種目に応じて出すのでございまして、私いま、現実どういう内容で、それが減額になっているのか数字を持っておりませんからわかりませんが、一般会計の出す分を借金で肩がわりするという考えではありません。一般会計で出すべきものは出す、特別会計に借り入れるものは借り入れる、その事業種目に応じて違えておるわけでございますから、肩がわりするなどという考えではございません。
#162
○増本委員 大臣、いいですか。昨年は国立病院に四百六十六億出ていた。ことしは四百四十二億で二十四億少ないわけですよ。その分だけ還元融資のほうからふえてきているということであれば、足りない分を還元融資によって補って国立病院の経営をやっていこう、こういう基本的な政策をとっておられるということでしょう。
 ですから、この還元融資の使い道自身も、国立病院を通じて国民の健康を守っていく、そういう立場ではなくて、そのために一般財政も補てんし、なおかつ、よりよい病院としてこの還元融資を使ってやっていくというやり方でなくて、一般会計だけ節約して、その分を還元融資で回すというやり方になっているんじゃないですか。もう一度御答弁ください。
#163
○横田政府委員 数字的な問題でございますので、私からお答え申し上げます。
 確かに病院整備費に対する還元融資の出し方が百五十億円ということで、前年度に比べて相当ふえておりますが、これは申し上げるまでもないことでございますが、医療供給体制を整備いたします際に国立病院、国立療養所のになっておる役割りなり分野というものが非常に大きゅうございますので、緊急にそういった整備を遂げなければならない。一般会計でという問題もございますが、非常に急を要し、かつその医療費自体で、ある程度それをペイするようなそういった部門については融資によって整備するという、そういった考え方も適当な考え方だと考えておるわけでございます。
 それから一般会計の繰り入れ額が、還元融資額がふえたことによって減っておるのはどうかという問題でございますが、これは病院特会全般といたしまして医療費の収入がどうである、支出がどうであるといったバランスを立てて、そのバランスのとれない部分を一般会計でという病院特会全般の問題でございまして、別に還元融資の額がふえたから、その分一般会計の負担が減ったとか、そういった直接のつり合い関係はございません。
#164
○増本委員 国立病院を特別会計にしたという、その基本的な問題が一つあると思うのですが、それはさておきたいと思います。
 しかし、国民の健康を預かる上で国立病院の果たす役割りは非常に大きいという点は、大臣もお認めになると思うのです。であれば、その施設を充実するにしても、基本はやはり一般会計で十分に支弁をしていくというのがたてまえであり、それにさらにプラスアルファのサービスを国民にしていこう、そこに本来還元融資の大きな意味と意義があるというように思いますが、その点では政治姿勢の問題として、大臣、いかがお考えですか。
#165
○齋藤国務大臣 病院特会の問題でございますが、なるほどそういう御意見も私はあると思いますが、国立病院、療養所等については非常に老朽化している面が非常に多いわけでございまして、できるだけ早い機会にその整備をしなければならぬ。一般会計から全部補てんするということもなかなか容易でない、そういうようなこともありまして、国民の医療問題の重要性からできるだけ早い機会に整備をしたい、こういう考え方から年金の融資をそちらに回す、こういうふうにいたしておるわけでございまして、あなたのような御意見を私は否定するわけではありませんが、そのほうが早く整備される、こういう意味合いにおいて、こういう計画を進めておるわけでございます。
#166
○増本委員 これは年度途中の問題じゃないのですね。四十八年度の当初予算で減額されている。その分を還元融資で穴埋めしている、こういう関係だけは歴然としているじゃありませんか。病院の経理というか、国立病院の特別会計の経理自身から見ても、もともと病院勘定それから診療所勘定をとっても、診療収入と病院や診療所の経営費を見てもわかるように、これは赤字なんですね。そこへもってきてこういう融資、借り入れ金でやるということになると会計そのものをさらに圧迫させていく、こういうことになるでしょう。
 だから健全な経営を確保し、国民に医療のサービスを増進させていくということで一般会計からの受け入れ分をより多くすることがたてまえだ、これは単に考え方、方法、手段、形式の違いというだけでなくて、根本的な問題だというように思いますが、いかがですか。
#167
○横田政府委員 これも数字的なことですから、私からお答えいたしますが、整備費の問題につきまして、還元融資の対象にする、そのことによって病院特会のバランスを一時的によくして、それだけ一般会計の負担を少なくしたのではないか、こういうふうな御想定のようでございますが、整備費自体につきましては、大臣から申し上げましたように、非常に緊急を要する整備である場合には一挙に資金を投入するということも当然あるわけでございまして、その場合に還元融資によってそういう整備をさせるということは、政策としても間違いではないと思います。
 問題は病院会計、病院特会それ自身に対しまして、どのような国のてこ入れのしかたをするかという問題でございますが、これは何も整備費について一般会計の負担が減ったから、だから国が病院特会に対しててこ入れを怠った、こういうことではございませんで、病院特会全般に対しまして必要な国庫負担は国庫負担として、計上いたしておるわけでございます。したがいまして、整備費に還元融資を充てたことによって、その分だけ一般会計の負担を軽くしたというふうな御指摘は当たらないと思います。
#168
○増本委員 それはあなたが、そういうようにおっしゃるなら、じゃ、なぜ四十七年と本年度と比べて一般会計からの支出分が二十四億円も減ったのですか。これは去年と比べて、国立病院についての施設の充実とか、医療サービスの改善とか、そういう点の重要度が減ったというわけじゃないでしょう。むしろ、より多く改善をしていかなければならないというのがたてまえだというように思うのですね。しかも昨年の予算と、ことしの予算を比べたって、より大規模な予算になっているでしょう。だから単に二十四億円減ったというだけではなくて、減額されている割合からすれば、非常に大きくなっている。だから、政府の国立病院への一般会計からの支出分が占める割合からすれば、前年と比べても、さらに後退をして、その分を逆に還元融資によって補っていくというやり方になるじゃないですか。
#169
○横田政府委員 一般会計の繰り入れを減らしたことと、還元融資でもって病院の整備をやる部分をふやしたこと、これは直接的な関係はございません。
#170
○渡部説明員 数字のことでございますので、若干大蔵省のほうからも答弁させていただきます。先生ただいま御指摘の一般会計繰り入れについてでございますが、先生の四十七年度の数字は補正後の数字でございます。補正前の数字で申しますならば、病院勘定におきましては四十七年度は百十億八千四百万でございます。これが四十八年度は百五十一億六千七百万でございますので、三六・八%の伸びでございます。それから療養所勘定におきましては、四十七年度の当初予算は二百三十六億九千二百万円でございまして、四十八年度は二百九十一億七千万円でございますから、二三・一%の増でございます。
 補正後の数字とお比べになります場合には、この補正は、いわゆる人事院勧告等に基づきます給与改善、そういった費用が含まれておるわけでございますから、これは四十八年度におきましても、そういうものが予想されるわけでございます。それが当初予算には計上されておりません。
#171
○増本委員 じゃ、ついでに大蔵省の主計局から聞きますが、本年度の十四兆円の全体の予算の中で、この国立病院の一般会計への繰り入れに占める部分は何%になりますか。去年と比べてどうですか。何%になりますか。その違いをあとで明らかにしてください。全体としては、減っていることは間違いないですよね。
#172
○渡部説明員 一般会計の全体の予算の中に占めます病院特会繰り入れ額の決算額、現在ちょっと持っておりませんが、病院勘定におきます一般会計繰り入れ額のウエートでございます。これが四十七年度は、全体の収入の中で占めます一般会計のウエートは一三・五%でございます。それに対しまして、四十八年度は一六%に伸びております。全体の伸び率は三六%でございますから、一般会計の伸びよりもかなり上回っておるわけであります。それから療養所勘定におきますウエートも、四十七年度は全体の三二%が一般会計繰り入れでございますが、四十八年度は三三・四%、こういうぐあいにウエートは向上いたしております。
#173
○増本委員 時間がありませんので、次の問題に移りますが、年金福祉事業団へも還元融資が向けられていて、この年金福祉事業団で、社宅や労働者、従業員の住宅設建のための貸し付けをしているわけですね。この関係を見ましても、先ほどいただいた資料によると、大企業が五百七十八件で三百億八千四百十万円の貸し付けになっている。中小企業は八百七十六件で二百六億四千五百四十万円というぐあいになっていますね。これで見ても、大企業と中小企業との間の利用の不均衡というものが一目でわかるのですが、こういう運用の実態についても、もっと考慮を払っていく必要があるのではないかというふうに考えますけれども、この点はいかがですか。
#174
○横田政府委員 御指摘の資料はおそらく昭和四十七年度住宅貸し付け決定状況の実績の資料だと思います。これにございますように、結果的には大企業のほうがいささか金額が多いのでございますが、私どものほうの還元融資の方針といたしましては、大企業を優先するとか中小企業をあとにするとか、そういうことは全くないわけでございます。ただ問題は、企業格差によりまして、こういった福祉事業的なものに対してどれだけてこ入れする力があるかとか、そういったいろいろな要素がからみまして、結果的にこのようになってきたということでございます。したがいまして、私どものほうとしましては、こういった点については、できるだけ中小企業等も還元融資のレールに乗りやすいように、貸し付けの条件等については将来ともいろいろ改善をはかっていくつもりでございます。
#175
○増本委員 大蔵省に伺いますが、還元融資先で一番大きな部分を占めているのは地方自治体ですね。地方自治体が住民に対するサービスのために、いま地方財政が非常に逼迫している、こういう現状からすると、これはやむを得ない、そういう一面があるわけですけれども、この点も地方財政の困難をこういう還元融資によってまかなうというたてまえの以前に、一般会計からの補てんを十分にするなどのそういう財政政策を国民本位に、働く者本位の立場で組みかえていくということの上に立って、さらに被保険者に対するサービスとして、この還元融資を活用していくというように構造を変えていくということが、いま必要だというように思いますが、いかがですか。
#176
○後藤政府委員 私からは財投関係のほうにつきましての答弁をさせていただきたいと存じますが、先ほど申し上げました地方団体の中の特別地方債は、先生も御指摘のように病院でございますとか厚生福祉施設でございますとか、あるいは一般の廃棄物処理の関係でございますとか、こういう他の還元融資、あるいは福祉関係の事業というものに融資をしておるわけでございまして、財投計画全体の福祉性向上の中で、やはりその重要なる一環として福祉向上に寄与しているもの、こういうふうに考えております。
#177
○増本委員 最後に厚生大臣にお伺いしたいのですが、年金の積み立て金の国民生活への還元をはかって、それを活用していくということが非常に重要な問題だし、特に還元融資については厚生省が所管であり、これが積み立てられているお金を直接被保険者の福利増進に役立つように特に力を入れて、その活用をはかっていくということが重要であると思うのです。この点は大臣も異論はないと思うのです。ただ、やり方に問題があるわけです。そこで、この還元融資の活用について、特に掛け金を払っている労働者、国民、こういう人たちの意見を反映できるような審議会とか、そういう制度的な保障をする必要があるものと思うのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#178
○齋藤国務大臣 先ほどもお答えをいたした問題でございますが、この金は労働者なり保険者なりの零細なる保険料の集積であり、そしてそれは将来、年金として給付せらるべき性質のものであります。そういうようなことで、この運用にあたりましては長期、安定、確実に保管をするということが必要でありますと同時に、これを被保険者の意向に沿うて福祉のために運用していく、こういうことも絶対に必要であると考えておりますが、いままでのところ、資金運用部におきましては、先ほど来お話のありしたように、使途別分類というものをはっきりきめてやっておりまして、産業投資などにはいたしておりませんし、さらにまた厚生省所管の分においては、直接福祉施設にこれを融通するというやり方をいたしておりますので、いまのところ、この制度の運用は現在のままでいいのではないかと思いますが、さらに労使の意見を反映させるという努力は私はしていくべきであると考えております。
 そういうふうな観点から、今後は厚生省の中に労使の意見も十分反映できるような懇談会などをつくりまして、その意見を資金運用部において運用される際に反映をさせる、こういうふうな仕組みをひとつ考えてまいりたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
#179
○増本委員 あと資金運用部の資金の運用全般についても質問をしたかったのですが、時間が来ましたので一言、資金運用部資金の資金運用審議会等についても、ひとつ国民の意見が反映できるように、その委員に国民の代表をきちんと加えるというようなたてまえで制度の改善をはかるように要求しまして、質問を終わりたいと思います。
#180
○山下(徳)委員長代理 小川新一郎君。
#181
○小川(新)委員 私は、地方行政委員の立場から若干お尋ねいたしますけれども、何ぶんにもしろうとでございますので、質問に不穏当なところがあるかもしれませんが、御容赦をいただいて御質問させていただきます。
 最初に、「国民年金のお知らせ」ということが各都道府県、市町村に配付されておりますが、そういうものは国でPRをするように指示なさっておるのですか。
#182
○八木政府委員 お答え申し上げます。年金に対します関心が非常に高まっておりますし、いろいろな面で年金に対する住民なり国民からの要望も強いわけでございますので、できるだけ制度のPRという点につきましては重点を置きまして、PRの徹底をはかるような指示をいたしておるわけでございます。
#183
○小川(新)委員 そうしますと、政府のPRというものが各県、各市町村、地方公共団体に対して強制的にそういうものをしろというのではなくて、任意にそういうことをPRしていくというふうに理解していいのですか。
#184
○八木政府委員 国民年金の関係の第一線の業務といたしましては都道府県、市町村がございますが、現実問題といたしまして、年金に対しますPRという面は最も重要な方策でございますので、これは都道府県なり市町村の行政でございますけれども、私どもが積極的にPRするような指示をしているわけでございます。強制ではございません。
#185
○小川(新)委員 積極的にこの問題に取り組んでいることはよく理解いたしましたが、地方行政の立場から自治省の方にお尋ねいたしますが、本法案について、野党四党から対案が出ていることは御承知ですか。
#186
○林(忠)政府委員 承知いたしております。
#187
○小川(新)委員 そうしますと、お尋ねいたしますが、この「埼玉県・市町村」というパンフレットの中に「夫婦五万円年金」こういうふうに書いてある。どこに五万円年金払うのですか。この内容を読んで見ますと、特にこの中で重要問題があります。「掛け金はいくら」というところがある。「一カ月五百五十円です。昭和四十九年一月から一カ月九百円に変更される予定です。」その次、まだあります。「年金権が“フイ”になる中高年齢者 現在三十七歳を過ぎている「中高年齢者」で、まだ加入していないような人は、いますぐ加入しないと、せっかくの年金権が永久に“フイ”になってしまいます。もちろん七十歳以上のおとしよりに支給されている「老齢福祉年金」も受けることはできません。」
 問題なのは、その下に「過去の古い掛け金は」とあって、「昭和四十九年一月から二年間に限り、時効によって納められなくなっている過去の古い掛け金が、再び納められるように、特例が認められる予定です。」
 との法案は通ったわけではないでしょう。私、しろうとだから聞くのだけれども、まだ国会で審議しているのですよ。少なくとも参議院に回ったら廃案になるかもわからない。修正になるかもわからない。だから私は、さっきから聞いていることは、対案が出るのかどうか。それを何で政府は――こういう埼玉県、市町村あてのパンフレットの中に「昭和四十九年一月から一カ月九百円に変更される予定です。」とか、こういうPRを、強制とはいわないけれども、先ほどの御答弁のように、やれということになりますと、私は国会なんて要らないと思うのですが、どうなんですか。国会なんか要らないじゃありませんか。もうこれでいいじゃありませんか。「夫婦五万円年金」――国民年金、五万円もらえないじゃないですか。私は、地方公共団体、なかんずく県、市町村にこういうパンフレットが出ることについてわからないですね。これ、どうなんでしょう。
#188
○八木政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、年金に対する関心が非常に高まっておるわけでございますし、政府のほうにおきましても今度改正案を御提案しているわけでございますが、政府が提案しております内容につきましてどういうものかというのは、やはりいろいろな意味で都道府県なり市町村に照会があるわけでございます。そういう意味からも、政府の現在提出しております改正案の内容はどういうものかというのは、私どもの立場としましてはPRする必要があるのではないかというふうに考えている次第であります。
#189
○小川(新)委員 これは重大な問題ですね。これ、どこに政府の保険と書いてあるのですか。
#190
○八木政府委員 私どもといたしましては、具体的な印刷物の内容まで各県市町村等にあれしておりませんので、こまかい点は詳しく見せていただかないとわかりませんけれども、私どもといたしましては、関心が非常に高まっておりますし、どんな内容が政府案で出されておるかという照会が殺到しているわけでございますし、そういう意味からも、ぜひこれは私どもとしましてはPRの必要というのは感じておる次第でございます。
#191
○小川(新)委員 大臣、その問題についてどう御所見を持っていますか。
#192
○齋藤国務大臣 一般的に申しまして、国民年金を担当するのは市町村でございますから、年金の趣旨を徹底させるということは私はけっこうだと思いますが、これは、どうもまだ通ってない法律の内容をそっくりそのまま書いておるようでございます。私、内容をまだ読んでおりませんが。ですから、通ることを前提として熱心のあまりやったのではないかと思いますが、私はこういう趣旨の宣伝をするときには、現在政府が提案しておる案は、通っていませんが、こうなりますというふうな趣旨の注意書きが要ると思うのです。
 たとえば健保なんかでも、この前よその県でどうのこうのと私、社労で言われましたが、これは「健康保険法改正案」とちゃんと「案」がついておるのですね。どうもこれを見ますと「案」も何もないようでございます。でございますから、これはちょっとやはり走り過ぎた感じでございまして、こうした通らぬ法律の内容をそっくりそのまま、こうなりますと断定的に趣旨を普及することは、私は好ましいことではない、かように考えております。
#193
○小川(新)委員 そうしますと、これは相当多数の枚数がもう市民の手に渡っておりますが、これに対してはどのように市民の人、県民の方にこれが誤っていることを伝えるようにしたらいいんですか。これが一点。
 二点目は、自治省にちょっとお尋ねしたいのですが、いま国会で審議中ですね。少なくとも審議しているということで、対決法案とまでいわれ、野党四党が共同修正案まで用意して、そうしてこの問題に対しては、あなたの政府の案はこうであるけれども、われわれの考え方はこうであるということを明快に衆議院の社会労働委員会でもう何回も議論されている。それをこう一方的に政府案とも何とも書かないで、さもこういうふうになるととを前提としたPRをすることは国会軽視につながらないですか。重大な問題じゃないですか。これに対しては、どのような姿勢で埼玉県または市町村団体に臨むのか。また日本全国でこういう問題が起きたのでは困るので、私はあえてこの問題を本委員会に提起したわけなんですが、いかがでございますか。
#194
○齋藤国務大臣 そういうわけで、通らぬ法律につきまして通っているかのごとき錯覚を与えるようなものは、私は適当ではないとお答えを申し上げました。したがって適当ではございませんから、回収するということになるわけでございましょうが、これもなかなかたいへんでございましょうから、いずれ国会において何とか決着がつくと思います。廃案になるか修正になって成立するのか決着がつきましたら、その旨を記してもう一回こういうものをやらすようにいたしたいと思います。
 国民年金は国民が非常に関心を持っていることでございますから、廃案になるのか修正になって成立するのか私もわかりませんが、皆さん方の御協力によって成立さしていただきたいと思いますけれども、決着がついた段階においてもう一回正確に、今度はこういうことできまりましたということに趣旨を徹底させるようにいたします。
#195
○林(忠)政府委員 それぞれの行政の内容のPRにつきましては、それぞれの所管省に御指導をお願いしておるのでございまして、私のほうから一つ一つ広報の内容その他についてもちろん指導その他をいたしておりませんが、いまの御指摘のその面につきましては、厚生大臣の御答弁にもありましたように、私も同感でございますが、やや行き過ぎといいますか、非常に不適当なPRであったと思います。
 そこで私のほうといたしましては、各省にいろいろ連絡する際に、そういうPRについてもそういうことがないように連絡をして、今後こういうことが繰り返されないようにつとめてまいりたいと思います。
#196
○小川(新)委員 この問題については、ひとつ善処をお願いしたいと思います。
 そこでこれに書いてある中に「納めかたは」という中に「イ」と書いてあり、「市町村の窓口払いもおこなわれていますが、たいていの地区で、年金委員や婦人会などの代表者が集金しています。
 ロ 銀行の窓口払いや口座振替払いなどの取扱いをしている市町村もあります。くわしいことは、市町村の国民年金係でおたずねください。」こう書いてある。私はこの文章の中で非常にわからないところが一つあるのですが、「年金委員や婦人会」これはどこの婦人会なんですか。これは特殊な婦人会なのか。「婦人会など」と書いてある。
 聞くところによりますと、自治会または町会、その幹部が集めて歩く。もしもあなた方の議論を百歩譲ってこの政府案が通った暁にはこうなる、標準の二十五年年金は一カ月五百五十円が九百円になる。九百円プラス付加年金四百円。イコール千三百円。これが夫婦で加入したときは二千六百円。いままで四カ月ずつ集金しておりましたから大体五千二百円ですね。十軒もやれば五万二千円です。百軒やればこれがもう五十万円こえます。そうなると多額の金を婦人会や年金委員が集める、これは事故でも起きたときには、たいへんなことになります。
 そういう監査だとか、私が心配しておるのは、これを自治会でまたは婦人会で選挙運動に使っておるということなんです。選挙のときになりますと、これを集めに行っては必ず〇〇候補をお願いしますという事例さえも出てくる。でありますから、この婦人会は何婦人会に許可しているのか、年金委員はどういう人が年金委員なのかですね。それからどういうものか、まずその種類をお聞きしておきます。
#197
○八木政府委員 お答え申し上げます。
 国民年金の保険料の徴収につきましては市町村長にお願いしているわけでございますけれども、この場合に被保険者の保険料納付の便宜等から、実は各市町村いろいろなやり方をやっておるわけでございます。大都市等におきましては専任徴収員が各家庭に回るとか、あるいは納付証をやるとかいう方法をとっておりますし、あるいは各市町村それぞれの事情によりまして、民間の協力組織に保険料の納付を扱っていただく。先生御指摘のケースがその場合だと思います。
 民間の納付組織につきましては、市町村が被保険者の実態等から見まして最もその地区、地区の実情に適するという方法をとっておりますために、実は納付組織につきましては千差万別でございます。御指摘になりました町内会等の自治組織もございますし、あるいは婦人会等もございますし、あるいは納税貯蓄組合等もございますし、それから埼玉県の場合には国民年金委員というのが、いま先生から御指摘いただきましたが、ある県もございます。そのように市町村がそれぞれ創意くふうをこらしまして、一番被保険者の便宜になり、市町村の実態に沿ったという方法で、現在民間の納付組織の御協力を仰いでいるという次第でございます。
#198
○小川(新)委員 大臣、国民年金は国民の義務ですね。義務を果たすのにこういった民間の団体――わけがわからないということはございませんでしょう、これだけの委嘱をするには委嘱をするような何がしかの手当も払っておるのでしょうけれども、婦人会などにそういう手当を払っておるのかどうかが一つ。
 その次には、国民の義務を遂行するのに、民間団体がお金を徴収しなければならない。義務になりますと税金と同じ性格になってきますが、そういう場合にあやまちが起きないとはだれも保障できないので、こういう問題はあまり好ましくないと思うのでございますが、今後こういう問題に対する考え方はどうでございますか。
#199
○八木政府委員 お答え申し上げます。
 国民年金の保険料の納付につきましては、法律的には強制加入ということでございますけれども、納付につきましては自主納付というたてまえをとっておりますので、年金権の確保という意味からも、できるだけ保険料の納入につきまして滞納がないという面の指導というものがどうしても必要なわけでございます。そういう意味から各市町村いろいろなくふうをこらしまして、やっているわけでございますが、納付等におきましては、どうしても民間の納付組織を活用するというのが、年金権の確保という意味からも最も適当な方法ではないかということで、市町村によりまして婦人会を使っているところ、あるいは納税貯蓄組合とかいろいろあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、重要な年金権に結びつく問題でございますし、今後とも市町村に対します十分な指導をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#200
○小川(新)委員 事故があったときは、どこが責任を負うのですか。
#201
○八木政府委員 現在の法律のたてまえでございますと、民間の納付組織は被保険者にかわりまして保険料を納めるということでありますので、その辺の法律的な問題になりますと、非常にむずかしい問題があるわけでございますけれども、私どもといたしましては保険料も当初に比べまして逐次改定になっておるわけでございますし、事故防止につきましては十分市町村の指導、監督を行なう……。
#202
○小川(新)委員 事故が起きたらどうするか。
#203
○八木政府委員 これにつきましては、現在法律的には確定した制度がないわけでございます。今後十分検討してまいりたいと思う次第でございます。
#204
○小川(新)委員 大臣、先ほど私が申し上げましたように、金額の数字が上がってきますね。だれもそんなことを予測しておりませんが、使い込みとか持ち逃げとか、だれが一体責任を負うのかどうかもはっきり明確にしていないで、国民健康保険は相当の人が加入しているわけです。特に年金権がふいになる中高年齢者だけでも全国八十万人もいるといわれている。こういう不明確な体制のもとで法改正をしようとするところに、私は専門の立場でございませんから大きなこと言いませんけれども、地方行政委員の立場から見ても、おかしいという感じがするのです。御所見を伺いたい。
#205
○齋藤国務大臣 私は婦人会の方々を使うというのじゃなくて、国民年金という趣旨を徹底させるという意味において御協力をいただいている、こういうふうに私は実は理解をいたしておるわけでございます。この趣旨を普及させるために、どういうやり方がいいか。そういう婦人会に御協力をいただく、あるいは青年団に御協力をいただく、これは各町村によってばらばらだと思いますが、ただ一点、私は申し上げなければなりませんことは、金を現実に受け取る仕事まで一律に婦人会に御協力をいただくという仕組みがいいのかどうか、その辺になると、私も多少疑問だと思うのです。
 やはり婦人会なり青年団に御協力いただく趣旨をよく徹底させていただいて、早く納めなければだめですよ、半年間納めれば割り引きになりますよというようなことをやっていただくのは、けっこうだと私は思うのです。けっこうですが、金まで受け取ることまで市町村が使うということは、どういうものかなという感じもいたします。しかし、市町村がそれ自身の責任においてやっていることだと思うわけでございまして、市町村長と婦人会との関係どうなるのかという法律的問題がいろいろあると私は思います。
 要は趣旨の普及、徹底は各種団体に御協力を願う、私はこれはけっこうだと思うのです。けれども現実に金を受け取るというところまでやるのがいいのかどうか、その辺になると、慎重な取り扱いをすべきであるということを市町村に指導いたしたいと思います。
#206
○小川(新)委員 私、時間がきましたから、これでやめますが、大臣でさえも私のこの話を聞いておって疑問点が出てきた。そして法的根拠になると、責任問題になると、いまだに不明確だ。しかし現実にはおそらく集金まですることになる。これはたいへんな問題です。いまの大臣の前向きな御答弁を私はよりどころとして、ひとつ御検討いただきたいと思う。
 最後に、これは大事な問題なのでお尋ねしますが、老齢年金の受給者が死亡した場合は二分の一の遺族年金が給付されますが、通算老齢年金の受給者が死亡した場合の遺族年金制度は全くない。これについて、わが党の大橋敏雄議員が今月六月十四日の社労委員会で質問したところ、大臣は通算退職年金制度というものはあるけれども、通算老齢年金に対応する遺族年金制度の創設を盛り込んだ法案を次期国会に提出するという旨の答弁がありました。私も聞いて非常に喜んでおりますが、この問題について大臣に重ねてお尋ねいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。
#207
○齋藤国務大臣 この問題につきましては、種々解決を要する点がございますので、今回の改正には盛り込むことはできなかった。しかし、この問題は将来の問題として考えなければならぬ問題である、こういうふうに考えておりますので、成案を得次第、次の国会に法律案を提出したい、こういうふうに私も考えておる次第でございます。
#208
○山下(徳)委員長代理 瀬野栄次郎君。
#209
○瀬野委員 厚生年金保険法等の一部を改正する法律案について質問をいたします。
 本日は社労、地方、大蔵、農水の連合審査でございますので、農林水産で毎年いろいろ審議をしている問題等の中から、時間の制約もあるので重大な問題だけを質問申し上げたいと思います。
 農林委員会で毎年質問しましても、厚生省または厚生大臣に相談しなければ、なかなか解決できないということをよく言われますので、きょうはひとつ厚生大臣に全部答弁いただきますように期待してまいっておりますので、ひとつよろしくお願いをしたい、かように思います。
 まず最初に、通算年金制度の改善の問題ですが、農林委員会でもこの問題がしばしば論議されるのですけれども、御承知のように昭和三十六年、国民皆年金制度確立の一環として通算年金制度ができたわけでありますが、今日まで改善されないため、きわめて不合理な形となっておることは御承知のとおりであります。この制度が一つの制度で退職または老齢年金の受給資格期間二十年または二十五年となっておりますが、これを満たさずに他の制度に移らざるを得なかった者に、他の制度との期間を合算して所定の年数を満たせば支給するという制度でございまして、趣旨そのものは是認されましても、それぞれの制度から、それぞれの期間に応じた年金が支給されるため、受給権者は少なくとも二以上の制度に請求手続をとり、ひどいものは千円にも満たない年金を所定の手続によって受給するというケースさえあることは御承知のとおりだと思います。
 農林委員会でも、これがしばしば問題になっておりますが、そこで、ことしは年金の年といわれて、昨年来ずいぶん騒がれてきたわけですけれども、このように日の当たらない制度を放置しておくことは問題である。すみやかに一元的な支払い機構を設けて各制度から支払われる年金を一元化し、本来的年金の意義を持たせるようにすべきだ、厚生大臣、主管大臣としてぜひこのような措置をしてもらいたいと思うのですが、お考えをお聞きしたい。
#210
○横田政府委員 非常に技術的な問題がからみますので、私からお答えを申し上げたいと思います。
 御指摘のように、昭和三十六年に通算制度ができまして、各年金をいろいろかわられた場合に、合算してそれが所定の期間を越えれば、それぞれの制度から、それぞれの期間に相応した年金が支給される、こういう制度になったわけでございます。
 この制度をつくります際に、全部一本にして一括して払うというようなやり方についても、ずいぶん検討いたしたわけでございますが、そうなりますと、原資の移管のしかたですとか、いろいろむずかしい問題がございますので、それぞれの制度が、それぞれの期間に対応する原資を保留して、それぞれから払う、こういうふうな制度にいたしたわけでございます。
 それからもう一つは、そういうことはそれとして、支払い等について窓口をどこか一本にすべきではないかという御意見もおそらく含まれていると思いますが、この点につきましては、私どもも今後とも十分検討いたしたいと思います。
#211
○瀬野委員 大臣どうですか。
#212
○齋藤国務大臣 年金は各種の年金に分立をしておるわけでございまして、そういう関係から通算年金制度というのが生まれたわけでございます。しかし現実に支払うときは、それぞれの年金で保険料を納めたその期間に対応する部分の額だけを払っていく、こういうやり方でございまして、受け取る国民の側からいうと、これは繁雑にたえないと思うのです。やはりこういうことは役所のいろいろななわ張りとかそういうこともありましょうけれども、私はやはり年金を受け取る国民の側からいえば、一本の窓口で一本にしていただく、これは私は本筋だと思うのです。
 そういう点は、まことに不十分な点であるわけでございまして、今後私どもも少なくとも支払いの窓口くらいは一本にできないか、そういうふうなことを目途にして十分連絡協議会において検討いたしまして、こういう問題の解決に当たってまいりたいと、私はさように考えております。
#213
○瀬野委員 厚生大臣、これはあなたもいま言ったように当然本筋だ、不十分であるから窓口だけでも一本化したいという話でありますが、局長は原資の問題を取り上げて言われたけれども、われわれの委員会では、厚生省並びに厚生大臣も含めて怠慢じゃないか。厚生省が事務的に複雑になるからきらって、めんどうくさがって、なかなかやらない。また厚生省がやる気になればできることである。大臣の職員の監督、指導がなっておらぬ、こういうようなことをうちの委員会ではさんざん論議しておるのだけれども、それに対しては大臣、どのようにお答えいただけますか。
#214
○齋藤国務大臣 私は、年金の大宗というものは厚生年金、国民年金であるという信念を持っておりますから、厚生省がそういう熱のないようなことを言うはずはないと思いますが、もし言うたとすれば、これはやはりよろしくありません。やはり十分心がまえを入れかえさして、窓口くらいはせめて一本にする、それは当然ですよ。原資を分けておく――これは私、なかなか簡単にいかぬと思うのです。原資を全部一本にしてしまうというなら、いまの分離制度をみんなやめてしまえということですと、これは各省抵抗が強いと思いますので、そこまではやはり無理でしょう。
 ですから、せめて窓口くらいは一本にして、国民に、なるほど通算年金というのはありがたい制度である、分かれておっても、合わせれば相当になるのだ、こういうふうにさせてあげることこそが年金の本家である厚生省の当然のつとめだと思いますから、もしそういう不心得者がおるならば、十分心がまえを入れかえさせるようにいたします。
#215
○瀬野委員 大臣もひとつしっかり心を入れかえさせるようにしてもらいたい。
 そこで、関連して、農林年金をはじめとしまして、共済年金制度における通算退職年金の額というものが退職一時金の額の範囲内ということになっておるわけで、これでは抜本的改善にはならない、こういうことを、われわれはいつも言っているわけですけれども、きょうまで全然改善されてない、いつ改善される考えなのか、これまたわれわれが関心を持っている問題ですが、いままでずいぶん審議をしてこられたと思うが、大臣のほうはどういうふうに答えておられるか、私にもひとつ答弁をいただきたい。
#216
○横田政府委員 直接厚生年金の問題かどうかちょっと疑問でございますが、厚生年金につきましては、御承知のように期間に応じましてその期間分の給付額を計算して出す、こういうことでございまして、おそらく他の共済につきましても、原則的にはそういう考え方ではないかと思います。
#217
○瀬野委員 もう一点、これは大臣にお伺いしたいが、遺族保障の問題ですね。厚生年金の改正法案でも、遺族年金は老齢年金の五〇%になっておるわけですね。まことに低いということで問題になっておるわけですが、社労委員会でも論議されてきたと思いますけれども、これまた全然改善されてない。遺族保障に改善が見られないのに――いろいろわれわれの委員会でも公的年金で保障する遺族の位置づけが不明確というようなことをしばしば聞いておるわけですけれども、御承知のように、被用者年金加入の配偶者というものは国民年金に加入の道が開かれておるために、被用者年金から遺族としてカバーされ、国民年金からは自己の老齢年金としてカバーされ、二重の保障を受ける者と受けない者とが生ずる、こういうことで、いつぞや大臣がいろいろ答弁されているのもちょっと見たことがあります。
 しかし、どうしても入りたくても入れない人、これはどういうふうにして救うのか、これが私たち、どうもはっきりしないのですけれども、そこで、遺族については国民年金でカバーするのか、被用者年金制度でカバーするのか、これは厚生大臣としては、どちらをどんなにしておられるのですか、はっきりひとつお答えいただきたい。
#218
○横田政府委員 制度の運用の問題が中心でございますので、私から申し上げますが、遺族というものの取り扱いを年金の世界においてどのようにするのか、これはたいへん重要な問題でございます。御指摘のように、日本の公的年金制度におきましては、遺族にはいわゆる基本年金額の半額というふうなことが全部の年金共通のやり方でやられておるわけでございますが、諸外国におきましては、遺族年金というものに対する支給の割合というものは相当高い例がございます。
 ただ問題は、諸外国とわが国と比べた場合どうだということだけで、ものを申すつもりはないのでございますけれども、たとえば諸外国におきましては、夫が死亡した際の妻に対する遺族年金につきましては、支給年齢に制約を設けておるものもございます。それから子供がいるかいないかによって受給資格を変えておる場合もあるわけでございます。
 厚生年金の例について申しますと、六カ月間厚生年金に入っておりました場合には、子供のあるなし、それから年齢のいかんにかかわらず遺族年金が五割出るということで、他の条件とかみ合わせて考えますと、必ずしも諸外国と比べて低過ぎるということでもない、いろいろ問題がございます。
 それからさらに、一番問題なのは、先生御指摘のサラリーマンの妻の場合の国民年金に対する任意加入の問題がございまして、たまたま加入しておられて、そして夫が死亡いたしました際には、厚生年金のほうからは遺族年金が出て、それから国民年金のほうからは母子年金等が出るというふうなことになってダブる場合もあるわけでございます。そういったことがございますので、現行制度はどっちでやっているのだということでございますと、被用者年金のグループにつきましては、被用者年金の遺族年金でカバーをします。しかし、たまたま任意加入の国民年金に妻が加入している場合にはダブることがある、どちらかといえば被用者年金の妻につきましては被用者年金でカバーしておる、こういうことでございます。
 ただ問題は、たまたま国民年金に加入した者と加入しない者との間に差があるということは問題ではないか、この点のさばきをどうするかという点につきましては、実は国民年金に関しまして被用者の妻の加入を強制すべきであるという御意見も審議会等ではたびたび伺っておりますが、そういった問題とのからみがございますので、今回の改正については厚生年金、国民年金という私ども所管の年金についても、はっきりした結論を出すことがむずかしかったわけでございます。
 ただ、将来の問題といたしましては、一番最初に申しましたように、日本の公的年金制度はすべて半額という扱いをいたしております横並びの関係もございますので、それらの点の調整も考えなければならないわけでございます。したがって、そういった点、それからちょっと引用いたしました外国の場合の子供のない若い奥さんについては、日本の現在のやり方は、やり過ぎではないかどうかという点等も含めまして、重要な問題として積極的に解決をはかりたいと思いますが、今回の改正には遺憾ながら間に合わなかったということでございます。
#219
○瀬野委員 大臣、いまの局長の答弁を聞かれて、この問題は重要な問題として今回は、積極的にやったけれども、解決に至らなかったということでございますが、聞いていますと、結局被用者年金でカバーするほうに傾斜しているような感じを、いま受けて答弁を聞いておりましたが、大臣は、その点はどういうふうにお考えであるか。そうであるならば、当然これは老齢年金の五〇%というものは不合理で、抜本的改善をしなければならぬ、こういうふうに思うわけですが、あなたもだんだん老齢化してくるわけですね、われわれもそうですが、ひとつ老人の身になって、大臣になっていらっやる間に、こういった問題、ひとつぴしゃっと、喜ぶようにしたらどうかと思うのですが、どうですか。
#220
○齋藤国務大臣 遺族年金の問題は、確かにいろいろ御意見のあるところだと思います。ただ、諸外国の例でも御承知のように――諸外国の例ばかり申し上げて恐縮なんですが、諸外国の例で見ますと、被用者保険というのは奥さんを含めての老後の生活ということを前提にものを考えておるわけでございます。そういうふうなことから、確かに日本よりも遺族年金の支給割合が高い、五〇%以上になっているという国もあるわけでございます。
 しかしながら、日本はなるほどそういうたてまえはとっております。諸外国と同じたてまえでありますが、日本には日本独特の国民年金という制度があるといったふうなことも加味して考えてみますれば、諸外国よりなるほど率は低くても、日本的な遺族年金のやり方があるという感じも率直に申しましてするわけでございます。西欧的に、国民年金みたいなああいう制度がなければ、これは考えようがあると思いますけれども、日本にはそういう被用者の老齢年金のほかに、国民年金という制度があって、その年金には奥さんも自由に入れるし、こういう制度になっておったりいたしますので、この辺が適当なところじゃないかというふうに私も考えております。
 しかしながら、やはり社会の進歩に伴いまして、こういう問題について改善を加えるということは、もう大事なことでございますから、十分今後将来の問題として検討はいたしますが、この問題はなかなか波及するところが大きいのです。ですから、一朝一夕に、すぐこれくらいにしたいというふうなことを私も言いにくい面はありますが、将来の問題としては、年金の発展のために研究項目として十分研究いたしたいと思います。
#221
○瀬野委員 これは将来のために、急いでひとつ検討をして改善をはかっていただきたいと思います。
 次に、きまった時間内でぜひ二問、重要な問題をお聞きしたいことがありますので、簡潔にお答えいただきたい。
 国庫補助の増額の問題、これまた農林年金では常にわれわれの委員会でも問題になっていますけれども、公的年金制度が、国民の老後の生活保障を主体とした国の社会保障政策であることは、もう当然のことでありますけれども、国の補助の改善が、どの制度の改正案にも盛られていないというのが、われわれがいつも疑問に思う点でございます。国はなぜ租税の分配を年金の充実に向けないのか、こういって指摘をしておるのでありますが、被保険者の負担のみにたよって、公正な租税の配分を怠っている。抜本的に取り組みをしてもらいたい、こう言って、われわれは委員会で常に論議をしているところでございます。
 ちなみに、農林年金のほうは一八%、ところが同じ民間被保険者を見ますと、厚生年金では二〇%、こういう格差がある。制度を改善するならば、双方の国庫補助をふやすのが国の当然の姿である、こういうふうにわれわれは思っているのですけれども、この点について公平な扱いをしてもらいたいというのが、いわゆる農業団体の声であります。大臣、この点もひとつ十分お聞き届けられたいと思いますが、きょうは連合審査でありますので、この点、団体からも強く要請がありますので、明確に二〇%にする、こういうふうにお答えをいただきたいと思うのです。
#222
○齋藤国務大臣 厚生年金それから共済年金に対する国庫補助率の問題でございますが、これは非常にむずかしい問題でございます。厚生年金は長い全被保険者期間の給与というものを頭に描いて考えるわけでございます。そのほかの共済年金は、御承知のように退職時三年間の給与とか比較的高くなったときの給与というものを頭に描いての補助率ということでございます。
 そこで、こんなことを言うとおこられるかもしれませんが、私は、個人的には現在の補助率は均衡がとれていると思っているのです。厚生年金のほうは二十年なら二十年、二十七年なら二十七年の全部の給与の平均を求めておるわけなんです。ところが、そのほかの共済年金は、御承知のように、退職前三年というふうな一番俸給の高いときの給与を標準にしておるというような点でございます。そういうことで、私は均衡がとれていると思っておりますが、しかし、これは農林省の所管でございまして、農林省所管の年金については農林大臣が責任を持っておることなんでございまして、私がとやかくのことを申し上げることは、かえってまずいのではなかろうかと思いますから、私の意見は差し控えさせていただきたいと思います。
#223
○瀬野委員 最後に、重要なことについて一つお聞きします。
 農業者年金基金の問題なんですけれども、農業者年金基金は、昭和四十五年の十月に、農政の総合的施策の一環として設立されたわけです。しかし農業者を含めて、国民年金に上のせする国民年金基金というものがすでにつくられておることは御承知のとおりです。そこで、この国民年金基金と農業者年金基金、この両基金の関係性がどうなっているかということを明確に厚生当局からお答えをいただきたい。
 国民年金基金は、四十五年にこれまたできたわけでありますが、法律はできたけれども政令がない。そういうわけで加入者もいない、こういうことで、実に幽霊みたいな存在になっている。こういうふうに私は思うわけです。ですから、その関係性と、なぜ加入者がないか。このことを明確にお答えいただきたい。時間の制約がありますので、よろしくお願いいたします。
#224
○横田政府委員 国民年金基金は、一応制度上は存在するわけでございますけれども、これは任意加入の付加年金制度を前提といたしまして組み立てておる制度でございまして、実際的にはまだ発足いたしておりません。
 農業者年金のほうは、御承知のように、これは農業政策との関係もございまして、できるだけ早く若い方に農業を移譲するとか、そういった農政的な見地等も含めて、それからもう一つは、若い人に対して農業に対する魅力を増進させるために、当時のキャッチフレーズとしましては、農民にも厚生年金並みの給付を、といったような、そういった農業政策的な要請もありまして、発足いたしておるわけでございます。
#225
○瀬野委員 国民年金基金は、法的にあっても実際に発足してない。これは政令も出てないわけでしょう。そうですか。
#226
○横田政府委員 そのとおりでございます。
#227
○瀬野委員 大臣、これはいまお聞きになったとおり、こういう国民年金に上積みして、このような国民年金基金がつくられて、制度はありながら政令もできてない。実際には中身は何もない、いわゆる利用してない。そういったときに農業者年金基金というものがまたできちゃった。みんなそっちに流れていったということで、このままほうっておくのですか。将来はこの問題はどうするのですか。
#228
○横田政府委員 付加年金制度を前提としておる制度でございまして、付加年金制度を強制するかどうかという問題、いろいろな問題がからんでおります。そういったこともございまして、目下鋭意検討はいたしておりますが、しばらくこの発足はむずかしいと思います。
#229
○瀬野委員 大臣、この点については、どういうように考えておられますか。ひとつ大臣の所見を承りたい。
#230
○齋藤国務大臣 法律的にはそういう制度がありましても、実際は動いてないということでございますので、この問題については根本的に考え直してみたいと考えております。
#231
○瀬野委員 十分根本的に考えていただきたい。せっかく制度があるのに空文化している。
 時間もありますので、以上で質問を終わります。
#232
○山下(徳)委員長代理 神田大作君。
#233
○神田委員 時間の関係もありますから、私のほうでも簡単に質問しますから、ひとつ簡単に御答弁願います。
 まず第一に、厚生大臣にお尋ねしますが、いままでの委員の皆さんから、年金が非常に複雑化しておる、これを集約化、一元化して、もっとわかりやすく、しかも簡明にできないか、あるいはまた世界的にも非常に補助制度が低いので、この問題について引き上げる必要があるのではないか、充実する必要があるのではないかということでございますが、これに対しまして大臣は、もっともなことである、よく考える、田中内閣のスローガンは口先だけでなく行動と実行、決断と実行ということでありますから、厚相は、ただここでどうするだけじゃなしに、これを実際に移す考えを持って、実行に移してもらいたいと思いますが、それについてどう考えますか、お尋ねします。
#234
○齋藤国務大臣 厚生年金は御承知のように定額部分、報酬比例部分の組み合わせでできておるわけでございまして、非常にわかりにくい点があると思います。労働者の諸君が何年働いたら、どの程度になるだろうか、一々こまかく計算してみないとわかりにくい、そういう面は私はあると思います。そういうことで、この制度は三十九年から定着してなじんでいるわけなんですけれども、なかなか計算がしにくい、わかりにくい、こういう点はあると思います。
 そこで私は、将来何らかの機会にまた年金の大改正でもやるようなときに、もう少しわかりいい、国民がすぐわかるような制度に直すことが必要ではないか、こういうふうな感じを持っておるわけでございまして、将来の問題として、私はわかりやすい年金制度ということで十分研究をしてまいりたい、こんなふうに考えております。
#235
○神田委員 厚生年金のうちで五人未満の零細企業に働く人たちは、任意加入ということで、大部分の零細企業の従業員は、おそらく入ってないと思うのですが、こういう零細企業に働く人こそ大切、厚生年金のようなものが必要じゃなかろうかと思います。これに対しまして、これを加入させる考えがあるのかどうか、お尋ねします。
#236
○横田政府委員 五人未満事業所に対する適用の問題でございますが、現在はいま先生御指摘のようなことで、入らない場合は当然国民年金の適用を受けるということで、公的年金の網から漏れておることはないわけでございます。
 ただ、いろいろ審議会等におきましても、五人未満事業所についても被用者年金の体系、つまり厚生年金の適用下に置くべきであるという御議論等も強いわけでございますが、私どももいろいろ検討いたしております。ただ問題は、五人未満事業所は御承知のように零細企業がほとんどでございますので、雇用の実態なり、あるいは雇用契約の内容なり、そういったものが非常に不分明である場合がございます。はたして雇用者なのか、あるいは親戚の方や家族の方が一緒に働いておるというだけなのかとか、いろいろ問題がございますので、その点も十分実態を把握いたしまして、審議会等でもできるだけ被用者年金という御議論が強いようでございますし、先生の御指摘もございますので、前向きに検討いたしてまいりたいと思います。
#237
○神田委員 その点は、ひとつ国民年金という制度があるといいますが、国民年金と厚生年金では給付率等も違うし、こういう意味合いにおいて老後の保障にはならぬ。実際問題として国民年金でもって、いま食って行けますか。もういま老齢の人たちがたくさんふえまして、男では七十一歳ですか、女では七十五歳というような、そういう非常に年寄りが長生きしているわけですから、こういう人たちが国民年金のわずかな金額では食っていけない。これはもう先ほど委員からもたびたび言われておる。できるだけ何とか生活の保障のできる方向へ進んでいくべきだ、ぜひこれを目標としてほしいと思います。
 次に、厚生年金の妻の給付が月千円であるのが今度は二千四百円です。いま男は五つ若くしてなくなるわけですから、女の人が五年長生きするわけです。女の人が五つ年若くして結婚すると、十年間未亡人で暮らす。この十年間を未亡人で暮らす場合に、二千四百円の年金でもってどうしますか。妻に対する加給金といいますか、これを少なくとも一万円、私はこれは同等に払うべきであると最終的には考えておるのですが、これは重大な問題だと思う。未亡人になって夫をなくし、そしてたった一万円年金でもって暮らせということは酷であろうと思うが、これについて厚生大臣はどう考えますか。
#238
○横田政府委員 数字の問題でございますから……。御質問の趣旨は、妻の加給の問題と、それから遺族年金の問題と、おそらく二つあると思います。加給につきましては、老齢年金を支給いたします際に、妻がありました場合に、その妻についての加給でございまして、夫が死亡いたしました場合の問題は遺族年金の問題でございます。
 この遺族年金は、先ほど来お答え申し上げておりますように、現在の厚生年金では、老齢年金の基本額の半額ということになっておりまして、この点につきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろ他制度との横並びの問題もございますが、妻の老後の保障という面から考えて前向きに検討いたしたい、こういうことでございます。
 加給年金は遺族の場合ではございませんで、夫婦御健在の場合の老齢年金についての加給でございます。それが二千四百円で安過ぎるという問題でございますが、従来から国家公務員の給与改正の際の扶養家族手当に準じて増額をはかっておりますので、今回もその原則に従ったということでございます。
#239
○神田委員 この問題は、これから考慮するとか、あるいは検討するというようなことでございますが、至急にこれを改善する方向へ向かっていくべきだと思いますが、厚生大臣の考えを伺います。
#240
○齋藤国務大臣 これは先ほど局長からも答弁いたしましたように、厚生年金の老齢年金というのは、妻をもかかえたその主人に対する年金という考え方で出ているわけでございます。そこで奥さんが御存命ならば、妻の加給金として、それを出しましょうというたてまえでございますから、現在のいろいろな公務員の家族手当等の関係からいうて適当だと思いますが、私もやはり将来の問題としては、十分検討いたしてまいりたいと考えております。
#241
○神田委員 次に、老齢福祉年金のうちの、いわゆる谷間にある老人、六十七歳から六十九歳の人たちがこの年金が受けられない。それで橋本私案では、今度一律に三千五百円というようなことでありますが、これはやはりわずかの年齢の人たち、その人たちに――われわれは五千円だって不満でありますけれども、老齢福祉年金を五千円ときめたらば、老齢福祉年金並みの年金を与えるべきだと思うが、これに対して、そういう考えがあるのかどうかお尋ねします。
#242
○齋藤国務大臣 この谷間の方々に対する特別な年金の問題でございます。橋本私案が三千五百円ということで出されておるわけでございます。
 そこで、この問題につきましては、そういう御意見が私はあるとは思いますが、いままで年金法が施行になりまして十六年の間、実は適用にならなかった方々は七十歳まで待って老齢福祉年金というものをいただいてきているわけです。そこで七十歳に手の届かないのが現在六十七、八、九という年齢層でございますので、いままで長いこと待って七十歳になって五千円になった方との均衡――均衡といっても、これは感じだけかもしれませんが、そういう意味において、多少の差をつけるのは、やむを得ないのではないか、こういうふうに私は率直に考えております。
#243
○神田委員 これは時間がありませんから、長く議論できませんが、しかしわずか千五百円か二千円、これを七十歳にならないととか、いままで十六年間の人との差がどうとか、そういう問題ではないと思うのです。日本の男は平均して七十一年しか生きないのです。女は七十五、わずか五年しか七十歳からだと、もらえないじゃないか、そんなけちけちしたことをやらぬで、このインフレ時代に千五百円や二千円で何を言っているのですか。これはひとつ大きな気持ちで考えてやるべきだと私は思います。
 次に、老齢福祉年金をもらっている者が障害者になった場合に、どっちか削ってしまうという問題がありますね。障害年金をやれば老齢福祉年金はやらぬ、これがたびたび全国的に問題になっていますが、障害者になっても老齢には変わりないのですから、老齢と障害と両方の二重苦にあえいでいるわけですから、このことについては、両方やはり併給すべきであると私は思いますが、この点をどう考えますか。
#244
○横田政府委員 年金の併給の問題の一つでございますが、福祉年金につきましても原則的な考え方を申しますと、それぞれの種類の年金を適当な金額に引き上げていく、そういうふうな考え方で従来ともまいっております。したがって、この併給の問題につきましては、むずかしい問題ではないかと思います。
 ただ問題は、老齢福祉年金の支給を受けるようになってから障害になった場合に、障害年金にかわるような方途を講ずべきじゃないかという問題も一つございますが、こういった問題につきましては、大体拠出制年金におきましても類似の問題がございますので、そういった問題とのつり合い等を考えて検討いたしたいと思います。
#245
○神田委員 これはもう数年前から問題になっている問題です。あるいは裁判等にもなったこともあります。これはこの問題をどうだの検討するだのと言っていないで、こういうことこそ直ちに実行すべきであると思いますが、厚生大臣どう考えますか。
#246
○齋藤国務大臣 裁判になっておりましたのは、別な年金との併給の問題でございまして、これは今回解決をいたす考えでございますが、同じ国民年金の中の老齢福祉年金と障害福祉年金の二つということになりますと、これはやはり二つをちょうだいするというわけにはいかないのじゃないか。同じ制度の中の、同じ仕組みの中の老齢年金であり障害年金でございますから、これは併給するということは非常に困難だ、かように考えております。
#247
○神田委員 それは老齢者が障害者になった場合に、障害者としての年金と老齢福祉年金とは、これは私は違うと思うのです。老齢者に与えるのが老齢福祉年金、年をとって、たとえば自動車事故等にあって障害者になった場合に障害年金が出るのだから、これは別々ですよ。同じ制度じゃないですよ。その点、少し間違っていませんか。
#248
○横田政府委員 先ほどお答えいたした際も申し上げましたように、すでに受給者になってからの障害につきましては、障害年金に変わらない、老齢福祉年金のまま、こういうことでございますが、この問題につきましては、先ほども申し上げましたように将来にわたっての検討問題だ。特にさっきも申しましたが、拠出年金について同じような考え方をいたしておりまして、その辺の考え方を変えるということは、非常に各制度にわたっての大問題でございますので、私どもも前向きに積極的な検討をいたしますが、ただいま直ちにどうという、そういった結論は出しづらいということでございます。
#249
○神田委員 あなたは考えるとか検討するとか、そういうことばかり言っていては、大事な問題は解決しないですね。
 そこで、厚生年金は六十歳、二十年でもって受給資格が得られるのだが、国民年金の場合は二十五年で六十五歳、五年違いがあるのです。国民年金の場合は非常に割りが悪い、割りが悪いというか、厚生年金に入れないような人たちが入っているわけですから、こういうものに対して、政府が国庫負担を増額して、そしてめんどうを見てやるべきである。わずかな金でもって生活を保障するわけですから、これを五年間、厚生年金と同じ支給年齢にしたらいかがか、そうすべきではなかろうか、こういうふうに私は考えるのですが、いかがですか。
#250
○横田政府委員 国民年金と厚生年金の受給開始年齢の差でございますが、制度の考え方といたしましては、自営業者、農業者、そういった場合には通常のサラリーマンとは違いまして、いわゆる定年制度というものもございませんので、したがって、そういった実際幾つくらいまで働いて幾つくらいから引退生活に入るか、そういった実態を考えますと、多少厚生年金よりも受給開始年齢がおそくてよろしいのではないか。むしろ年金の問題といたしましては、ほんとうに引退されたあとで、年金の受給が手厚く行なわれるということのほうが大事であって、現に働いておられる間に年金の受給ということは、あまり重点を置く必要はないのではないか、こういう考え方でございます。
 ただ問題は、国民年金は御承知のように昭和三十六年に発足した制度でございますが、厚生年金と違いまして発足が非常に最近だったこともございまして、制度の考え方自体は厚生年金よりも、むしろ多少進歩的な内容を持っております。それは御承知のように一定年齢以上の方につきましては、十年間でもって年金が出るという、そういった経過年金の仕組みも制度の中に仕組んでおりまして、御承知のように昭和四十六年から、その制度の受給者が出ておる。それからその制度に入り得なかった方々は、昭和四十五年にさらに五年でもって出るというような経過年金を仕組んでおりまして、それが昭和五十年から出る、こういうことでございます。
 いずれにいたしましても、この受給開始年齢の問題は、ほんとうに引退された以後において手厚い年金を出すために、受給開始年齢をどの辺に設定するかという問題でございますので、各制度必ずしも開始年齢を一致させるということだけが年金の問題の解決方法ではないと考えております。しかし、御意見は十分拝聴いたしまして検討いたしたいと思います。
#251
○神田委員 これはいろいろな意味において、それは性格は違うでしょう。しかし国民年金の発足というものは、中小企業者、農民と、朝から晩まで働いておって一般に非常に苦しい生活をしている人たちが多い。それで経過措置として十年というようなこともできたので、制度がおくれて発足したから、そういうことをしたわけなので、それがゆえに年金を受ける年齢が下がって差があってもいいという理屈は成り立たぬと思うんですね。そういう意味合いにおいて、朝から晩まで農村でもって働く老人が多いわけです。また中小企業でも、おばあちゃんや、おじいちゃんはもう店番しながら朝から晩まで、死ぬまで働いている。
 こういう人たちは今日の国民感情として、日本においても、もう大体子供は親を見なくで、親は親、子供は子供という、そういう考え方ができてきた。また親としても子供にいつまでも生活の援助をたよるという時代ではなくなってきた。それを国全体で見てやるということでございますから、大体月に五千円の国民年金、まあ五千円程度で――五千円は老齢福祉年金ですか。こういうようなことで一体暮らしていけますか、このインフレの時代に。そのためにいま老人が一人ぼっちで暮らして、もう親戚や子供たちに迷惑をかけないといって、みずから命を断っていくというのが毎日のように新聞に出ておる。そういう意味合いにおいて、この老齢福祉年金あるいは国民年金とかいうように恵まれない人たちに対しまして、政府は責任をもって憲法二十五条によって保障されている生活の最低限を保障するという立場に立って、これを思い切って改善すべきであろうと思う。この問題の解決なくして、私は日本の福祉政策はあり得ないと思うのですが、このことについて大臣はどう考えますか。
 また大蔵省からも来ておられると思うが、大蔵省としても、こういうことに金を出すことに対して、しみったれた感情を持ってないで、いま大蔵省では何千億とか一兆円とかいう税金の取り過ぎなんということもある。来年あたりもたくさんあるでしょう。大口脱税等も、たくさんあるといわれている。こういうことを見過ごしておいて、こういう大事な福祉政策に対して、けちっておるということに対して、われわれは納得できない。この点について厚生大臣並びに大蔵省当局の見解をただします。
#252
○齋藤国務大臣 これはもう私が申し上げるまでもなく御承知のことでございましょうが、老齢福祉年金は、この制度ができました当時、老後の生活をささえるといったことよりも、拠出制年金というものを将来、中心として進めていかなければならない。そこで、その制度に入れない方々に対して老後の生活に多少のゆとりを与える、そういうものをひとつ考えなければいかない。こういうことから、やはり出発いたしておりましたために、まあ今日のような事態になっておるわけでございます。
 そこで五千円、来年は七千五百円、一万円と、こう上がるわけでございますが、これでいいかと言われれば、なるほどそういう性質のものでもありませんことは、もういま申し述べたとおりでございます。そこで私どもは、しかし国民皆年金で五万円年金も打ち出したような今日、こうした姿に置いておくことが老齢福祉年金としては適当な位置であろうかということも考えなければなりません。
 そういう意味において、私は今後老齢福祉年金の性格というものを十分検討、見直す必要があるのじゃないか、こういう感じがいたしておるわけでございまして、今後、社会福祉長期五カ年計画の策定の中にあって、老齢福祉年金の性格をどういうふうに位置づけるか、よその制度との関連において十分研究をいたしてまいりたいと考えております。
 先生仰せになりましたように、五千円や七千五百円や一万円といったようなことだけでは、みみっちいではないかというお話、これは私十分理解をいたしております。しかし現在の制度のたてまえなんて言うと、これはおこられるかもしれませんが、そういう仕組みでできておるものでございますから、やむを得ずこういうふうになっておるわけでございますが、先生の御意思も十分理解をいたしておりますから、今後も改善には努力をいたしてまいりたいと考えております。
#253
○辻政府委員 年金制度の改善につきましては、ただいま御提案申し上げておりますように、厚生年金及び拠出制の国民年金につきましては、年金額の大幅な引き上げでございますとか、スライド制の導入その他画期的な制度の改善充実をはかることにしているわけでございます。福祉年金につきましても、御承知のように年金額の大幅な引き上げを見込んでおるわけでございまして、拠出制の分についてみますと、予算額も平年度の改善分だけで一千億円をこえる額になっておりますし、福祉年金の改善分につきましても同じく平年度の所要額で考えてみますと、一千億円をこえる大幅な改善と相なっておるわけでございます。ただいま厚生大臣からも御答弁ございましたように、今後とも年金制度の充実改善につきまして努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#254
○神田委員 いま厚生大臣も前向きに検討するということでございますが、ひとつこれは早急に――五千円や七千五百円や一万円と区切っていく、そんなこと、いまごろ言っていたのではどうにもならぬのだから。根本的に国の責任において老人を守っていくという対策を立てなければならぬと思うのです。それからまた大蔵省のほうは相当お金を出しておるというが、こんなもので私は満足すべき問題じゃないですね。私は、これらに対して重点的にひとつ御考慮願うと同時に、時間がありませんから、最後に農林年金等について伺います。
 先ほども農協あるいは農業関係団体に働く人たちの給与は五万幾ら、その他の平均が八万とかいわれて給与が低い。低いために結局給付が最低二万二千円くらい。ほかは三万五千円くらい、四万近くなっている。そうすると、これに対して国庫の補助率もほかは二〇%になっているが、この農林年金の場合は一八%ですな。これに対して農林省は大蔵省に対して――少なくともこういう低所得で働く人、年金者で組織しておる年金制度には、やはり国がもっと多額の負担金を出してこれをカバーしてやるという、これがたてまえだろうと思うのです。それがあべこべだと私は思うのですね。高額の所得者に対して補助金をうんと出して、低額の所得者に対して少なくしておるというのでは、これはあべこべですから、これは農林省並びに大蔵省はどう考えられるかお尋ね申し上げます。
#255
○佐々木説明員 農林年金の補助率は一八%でございます。先ほどもお答えしましたように、そのほかに財源調整費の補助がございまして、これが一・七七%ございます。合計いたしますと、ほぼ二〇%に近いというようなこともございますし、それから現在の一八%になりましたのが四十七年からでございますけれども……。
#256
○神田委員 満足しているのかどうかだよ。
#257
○佐々木説明員 まあ私どもも農林年金は非常に掛け金率が高いというふうな問題もございまして、補助率はできるだけ引き上げるようにということは、大蔵省には要求はしておりますけれども、やはりいろいろ各制度間の補助の均衡の問題もございまして、なかなか実現がむずかしいというのが情勢でございます。
#258
○辻政府委員 共済年金の補助率は、ただいま御指摘のように厚生年金より低くなっておるわけでございますが、これは御承知のように年金額算定の基礎になる給与が違う。共済の場合には退職前三年間の平均をとっておりますが、厚生年金の場合には全加入期間の平均をとっているというように違うことが一点と、それから年金を支給される開始年齢が違うわけでございまして、厚生年金は六十歳でございますが、共済の場合五十五歳からもらえるというような点がございます。
 そこで共済組合の給付水準を制度的に見ますと、厚生年金の給付水準よりも高くなっておりますので、補助率を厚生年金並みにいたしますと、かえってそこに均衡がくずれるという問題がございますので、厚生年金の補助率より低くいたしておるわけでございます。農林共済につきましては国家公務員共済と制度内容は同じでありますが、先ほど来御指摘がございますように給与面等に差異がある。したがって給付の水準面でも違ってくるというようなことを考慮いたしまして、国家公務員共済の場合には一五%でございますが、農林共済の場合には一八%と割り増しの補助率にいたしておるわけでございます。
 なお、ただいま農林当局から御説明申し上げましたように、掛け金の率が農林共済の場合かなり高くなっております。そういう財政状況等も加味をいたしまして、このほかに財源調整費ということで、四十八年度は二億一千二百万円という金額を計上いたしておるわけでございます。全体といたしてみますと、そういうバランスに相なっておるわけでございます。
#259
○神田委員 いまの厚生年金が全積み立て年数の給与の平均だということ、それは厚生年金の改善すべきことであって、二十年も前のものと一緒に平均されて支給するというようなことは、このほうが間違っている。だから退職前三年というのは、これが正しいと思うのです。厚生年金のほうの年金の基礎をやはり退職前の三年平均とすべきなのであって、これはそっちが間違っている。そうすれば厚生年金の支給率というのは、ずっと多くなるので、その点はちょっと違うと私は思うのです。
 それと同時に私は最後に厚生大臣にお尋ねしますが、先ほどから検討しますとか考えますとか言っておりますが、もうそういうことではなしに、年金制度問題については抜本的改正を考えるべきである。もうそういうときが来ておる。先ほども他の委員が言われたように、積み立て方式をやめて賦課方式にして、八兆円からあるところの積み立て基金、これを使えば、これはできるわけなんですから、この点をこれこそ前向きに考えて、方式そのものを改善すべきであろうと思いますが、最後に、その点をお尋ね申し上げまして、私の質問を終わります。
#260
○齋藤国務大臣 厚生年金につきましては、今回は内容の改善は実は画期的だと考えておるわけでございますが、いまお述べになりましたような財政方式の問題につきましては、最近のような老齢人口急増の現段階においては、やはり現在のような修正積み立て方式がやむを得ないと思います。しかしながら早晩賦課方式に切りかわる時期が来ると私は思います。そうしたことを一日も早く念願をし、努力をしていかなければならぬと思いまして、そういう際には、またさらに思い切った抜本改正をなし遂げなければならない、かように考えておる次第でございます。
#261
○神田委員 またあとの機会に残りを質問いたします。
#262
○山下(徳)委員長代理 以上で、本連合審査会における質疑は終わりました。
 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時三十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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