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1972/02/22 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第3号
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1972/02/22 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第3号

#1
第071回国会 社会労働委員会 第3号
昭和四十八年二月二十二日(木曜日)
    午前十時四十一分開議
 出席委員
   委員長 田川 誠一君
   理事 伊東 正義君 理事 塩谷 一夫君
   理事 竹内 黎一君 理事 橋本龍太郎君
   理事 山下 徳夫君 理事 田邊  誠君
   理事 八木 一男君 理事 寺前  巖君
      加藤 紘一君    瓦   力君
      小林 正巳君    斉藤滋与史君
      住  栄作君    田中  覚君
      高橋 千寿君    戸井田三郎君
      登坂重次郎君    中村 拓道君
      羽生田 進君    増岡 博之君
      粟山 ひで君    枝村 要作君
      金子 みつ君    島本 虎三君
      田口 一男君    村山 富市君
      山本 政弘君    石母田 達君
      田中美智子君    大橋 敏雄君
      坂口  力君    小宮 武喜君
      和田 耕作君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        職員局長    中村  博君
        厚生政務次官  山口 敏夫君
        厚生大臣官房長 曾根田郁夫君
        厚生省環境衛生
        局長      浦田 純一君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        厚生省医務局次
        長       信澤  清君
        厚生省薬務局長 松下 廉蔵君
        厚生省社会局長 加藤 威二君
        農林政務次官  中尾 栄一君
        通商産業政務次
        官       塩川正十郎君
        通商産業省化学
        工業局長    齋藤 太一君
 委員外の出席者
        人事院事務総局
        給与局次長   長橋  進君
        農林大臣官房審
        議官      下浦 静平君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月九日
 辞任         補欠選任
  田中美智子君     不破 哲三君
  大橋 敏雄君     矢野 絢也君
同日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     田中美智子君
  矢野 絢也君     大橋 敏雄君
同月十日
 辞任         補欠選任
  寺前  巖君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     寺前  巖君
同月十二日
 辞任         補欠選任
  寺前  巖君     不破 哲三君
同日
 辞任         補欠選任
  不破 哲三君     寺前  巖君
同月二十日
 辞任         補欠選任
  寺前  巖君     津金 佑近君
同日
 辞任         補欠選任
  津金 佑近君     寺前  巖君
同月二十一日
 辞任         補欠選任
  吉永 治市君     中馬 辰猪君
  寺前  巖君     津金 佑近君
同日
 辞任         補欠選任
  津金 佑近君     寺前  巖君
同月二十二日
 理事田邊誠君同日理事辞任につき、その補欠と
 して川俣健二郎君が理事に当選した。
同日
 理事寺前巖君同月十日委員辞任につきその補欠
 として寺前巖君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
二月九日
 駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第二九号)
同月十三日
 戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
 る法律案(内閣提出第三二号)
同月十六日
 港湾労働法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第四〇号)
同月十七日
 船員保険法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第四八号)
 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第四九号)
 児童扶養手当法及び特別児童扶養手当法の一部
 を改正する法律案(内閣提出第五二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
二月九日
 労働行政の充実に関する陳情書(東京都北区上
 中里町一の一四太田財政研究所長太田政記)(
 第一八号)
 公的年金制度の改善に関する陳情書外三件(愛
 知県議会議長神田效一外三名)(第一九号)
 同(豊岡市議会議長北垣五郎)(第九四号)
 公的年金と児童扶養手当等の併給実施に関する
 陳情書(愛知県議会議長神田效一)(第二〇
 号)
 公的病院に対する財政援助に関する陳情書(近
 畿二府六県議会議長会代表三重県議会議長千葉
 胤一外七名)(第二一号)
 老人の医療費無料化等に関する陳情書(徳島県
 議会議長藤川忠義)(第二二号)
 乳幼児の医療費無料化に関する陳情書外一件
 (徳島県議会議長藤川忠義外八名)(第二三
 号)
 雇用促進事業団宿舎の入居要件緩和に関する陳
 情書(愛知県議会議長神田效一)(第二四号)
 難病救済対策の確立に関する陳情書(愛知県議
 会議長神田效一)(第二五号)
 社会福祉対策の充実強化に関する陳情書(名古
 屋市中区三の丸二の三の一名古屋市民生委員連
 盟理事長久野ヌ太朗)(第二六号)
 医療保険制度の改善等に関する陳情書(北海道
 議会議長杉本栄一)(第四六号)
 社会福祉施設の充実等に関する陳情書(十都道
 府県議会議長会代表大阪府議会議長西川徳男外
 九名)(第八四号)
 社会福祉制度の改善に関する陳情書(十都道府
 県議会議長会代表大阪府議会議長西川徳男外九
 名)(第八五号)
 社会福祉行政の振興に関する陳情書(鳥取県議
 会議長角田勇一)(第八六号)
 社会保障制度の拡充強化等に関する陳情書(中
 国五県議会正副議長会議代表山口県議会議長近
 間忠一外四名)(第八七号)
 社会福祉協議会の活動強化に関する陳情書(高
 知県幡多郡三原村民生委員協議会武田清吉外六
 名)(第八八号)
 簡易水道国庫補助率の引上げ等に関する陳情書
 (小郡市長佐々木敏雄外一名)(第八九号)
 食品行政の拡充に関する陳情書(関東一都九県
 議会議長会常任幹事東京都議会議長富田直之外
 九名)(第九〇号)
 心臓疾患児童に対する医療充実に関する陳情書
 (兵庫県議会議長岡沢薫郎)(第九一号)
 国民年金制度の改善に関する陳情書外二百二件
 (砂川市議会議長武田忠雄外二百二名)(第九
 二号)
 国民健康保険制度の改善に関する陳情書外一件
 (北海道夕張郡栗山町議会議長奥田輝生外一
 名)(第九三号)
 建築国民健康保険組合の助成に関する陳情書
 (京都府船井郡和知町議会議長梅原一郎)(第
 九五号)
 老齢保障の確立に関する陳情書外二十八件(赤
 平市議会議長高江良男外二十八名)(第九六
 号)
 老人医療無料化に伴う国民健康保険財政助成に
 関する陳情書(中国市議会議長会長松江市議会
 議長福島芳夫)(第九七号)
 老人医療費無料化制度の強化に関する陳情書
 (関東一都九県議会議長会常任幹事東京都議会
 議長富田直之外九名)(第九八号)
 老人憩の家整備費国庫補助に関する陳情書(中
 国五県議会正副議長会議代表山口県議会議長近
 間忠一外四名)(第九九号)
 身体障害(児)者の医療無料化に関する陳情書
 (直方市議会議長藤永栄一)(第一〇〇号)
 重度障害(児)者年金制度の創設に関する陳情
 書(直方市議会議長藤永栄一)(第一〇一号)
 障害年金制度の改善に関する陳情書外一件(三
 重県議会議長千葉胤一外一名)(第一〇二号)
 失業対策事業に従事する労務者の賃金改善に関
 する陳情書(直方市議会議長藤永栄)(第一〇
 三号)
 失業保険制度の改善に関する陳情書(滝川市議
 会議長田中君太郎)(第一〇四号)
 日雇労働者健康保険法の改善に関する陳情書
 (大野城市議会議長古賀八郎)(第一〇五号)
 結核予防法適用者等に対する医療費負担免除に
 関する陳情書(奈良市議会議長加藤利和)(第
 一〇六号)
 原子爆弾被爆者援護法の早期制定に関する陳情
 書(和歌山県議会議長妙中正一)(第一〇七
 号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田川委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事辞任の件についておはかりいたします。
 理事田邊誠君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○田川委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
 次に、理事の補欠選任についておはかりいたします。
 去る十日、理事寺前巖君が委員を辞任されておりますので、現在理事が二名欠員になっております。その補欠選任につきましては、委員長において指名するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○田川委員長 御異議なしと認め、理事に川俣健二郎君及び寺前巖君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○田川委員長 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出があります。順次これを許します。金子みつ君。
#6
○金子(み)委員 厚生大臣に、私はきょう看護に関する問題の中の、特に病院看護いわゆる臨床看護の問題を中心に少しお尋ねいたしたいと思っております。
 まず一番初めにお尋ねしたいと思いますことは、看護婦の確保対策でございますけれども、入院中の患者に対して体力を養い、療養生活環境を整備し、健康の回復をすみやかに行なわせるために行なわれる看護、この看護を行なうために必要な看護婦の人員でございますけれども、一人の看護婦が責任をもって世話ができる患者というのは、厚生省ではどれくらいの人数が適当であるとお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#7
○滝沢政府委員 先生のお尋ねの責任をもってということは患者の病態、その他の推移という社会情勢の変化、こういうものを背景にして、やはり責任をもってというおことばに合うような看護婦要員確保ということは、現在の医療法で、標準としては病院に四人に一人の看護婦を設置すると定めておりますけれども、現実には責任をもって看護をするということのもう一つ裏として看護婦の労働条件、要するに看護婦さんが健康であって初めて病人の世話ができる、こういう労働条件の問題が特に最近重要になってまいりましたので、そういうものを総合しますと、ほんとうにいわゆる二・八体制というようなものを当面全看護単位に実施するというようなことになりますと、二・四という数字が二・五という数字に変わらなければならない。現実の姿としては、わが国全体の診療所を含む医療需要の増大と看護婦養成とのアンバランスがございまして、その理想を達成することがなかなか困難な状態でございますけれども、かなり中心になる病院等ではやはり二・八体制等の進行にあわせ、あるいはICUその他看護婦の業務の重要性が変動いたしまして、数字の上では四人に一人という標準によらない実態というものが生まれてきておりますので、おそらく国立病院等においては、三・七というような数字になってまいっておると思いますけれども、責任をもってということになりますと、私は目標としては、やはり全体として看護の充足をはかる、こういうことになってまいりますと、先ほど申し上げたような大きな目標というものが将来考えられなければならないというふうに思っております。
#8
○金子(み)委員 それはいま局長がおっしゃいましたように、医療法の施行規則の十九条で標準が示されておりますが、その標準は一応の標準であって、あれは守らなくてもよろしい、そういうふうなお考えでいらっしゃるわけでしょうか。
#9
○滝沢政府委員 これは病院というものを開設し、病院の機能を確認する上において最低限必要なものとして、ただいま医療法に定められてある数字でございまして、いま申し上げましたような医療の機能全体としての必要性からいけば、これを当然上回る方向にあるということを申し上げたわけでございまして、最低限の標準としての法律の定めと御理解いただきたいと思うわけでございます。
#10
○金子(み)委員 お話はよくわかりましたけれども、実際問題としては、 あれは最低でなくて、最高に実態はなっているようでございますけれども、いずれにいたしましても、医療法施行規則十九条の標準、それを上回った形でいかなければ、責任ある看護はできないというふうに理解していらっしゃると理解してよろしゅうございますか。
#11
○滝沢政府委員 さようでございます。
#12
○金子(み)委員 御承知のようにその問題に関連いたしまして、病院に働く看護婦の勤務体制というのは非常に特徴がございまして、申しあげるまでもございませんが、深夜二十四時間の勤務体制をとらなければならないということになっております。そういたしますと、夜も仕事をするというのが前提になるわけであります。そこで看護婦の場合は、御承知のように労働基準法の適用除外例にもなっていて、そうして深夜業務をするということになっているわけです。ここに看護業務の特徴があるわけでございます。
 ところが、その夜勤の体制が問題になりましたことは御承知のとおりで、すでに局長もおっしゃいましたが、人事院が四十年の五月二十四日に示されました人事院判定ですが、この人事院の判定はここで操り返して申し上げる必要はないかと思いますけれども、その趣旨の中心になっておりますものは、看護婦の行ないます夜勤の問題で、夜勤の日数を月八日以内、そして一人夜勤はこれを廃止するということ、すなわち複数夜勤ということになるわけですが、厚生省はこの判定をどのように受けとめていらっしゃるのでございましょうか。
#13
○滝沢政府委員 この問題につきましては先生おっしゃいましたように、一人夜勤はすべて廃止して、夜勤は少なくとも二人でやるということは、人事院判定の中では、外国などにおいてもほとんどそうであるということで、目ざす方向としては、そういうことを御指摘になっております。
 ただ、当面看護婦の需給関係等もございますので、病棟の性格に応じて、ある程度実際に必要に応じた二人夜勤というものを順次実施していくということについての御趣旨も盛られているわけでございまして、いわゆる目標はそういうものを指向するということでございますが、当面の前進的な方向としては、二人夜勤というものは、できるだけ実態に合わせて前進的に進めていきなさい、こういうふうに私たちは人事院判定というものを受け取っております。
#14
○金子(み)委員 人事院の方お見えでいらっしゃるでしょうか。――人事院の判定、いまの件でございますけれども、一人夜勤廃止、計画的にこれを努力していくようにというふうに判定はなっておりますけれども、計画的に努力をするということについて、どれくらいのことを考えていらっしゃったのでしょうか。何も数字的に、具体的に示されてないわけでございますね。ですから、考えようによっては、どんなにでもなるわけでございますけれども、これは人事院が判定をお出しになりました当時は、どういうお考えでお出しになったものかを伺わせていただければ幸いです。
#15
○中村(博)政府委員 四十年に出しました判定におきましては、一人夜勤につきまして将来計画というものについては、特に数字をもって示しておりません。
 そこで、その判定の趣旨としますところは、要するに計画的に一人夜勤の廃止に向かって努力するということ、こういうことでございまして、一人夜勤は、特殊な場合を除いて好ましくないという趣旨を申し上げておるわけでございます。
#16
○金子(み)委員 そういたしますと、特別なある一定以内、何年以内にとかいうようなことは、初めからお考えになっていらっしゃらなかったわけでございますか。
#17
○中村(博)政府委員 これは諸般に関連するところが多うございますので、一人夜勤の廃止は、それは最終的な目標ではございます。それは、その判定の中に数字が示されておると思いますけれども、やはりいろいろな看護の実態によって一人夜勤でもいい場合があるわけでございます。しかし、そういう基本的な理想に向かって進んでいただくように諸般の情勢を考えながら御努力願いたい、こういう趣旨を申し上げておるわけでございます。
#18
○金子(み)委員 厚生省にお尋ねいたします。
 先ほど医務局長の御答弁の中で、当分の間はいまの実情があるからということで、だんだんにするんだという御方針のようでございますが、四十四年の六月十二日に参議院の内閣委員会で岩間正男委員がこの問題について質問をしていらっしゃいます。そして、それに対して資料を要求されていらしたわけですが、その要求された資料を厚生省は四十四年の六月十七日にお出しになっていらっしゃいますね。このお出しになった資料は、国立病院、国立療養所に限られた資料でございますけれども、その二人夜勤――最低二人でございますね。三人の場合も四人の場合もございましょうけれども、複数ということで、一人にはしないというたてまえですから、最低二人。そして月八日というのを限度にして、そしていまいる看護婦、職員のほかに、どれだけ必要であるかということで資料を求められた。それでお出しになりました資料でございますと、国立病院のほうが二千八百六十九人不足、それから療養所のほうが七千百九人不足、あわせて九千九百七十八人、約一万人の不足があるというふうにお出しになっていらっしゃるわけです。この不足が解消すれば先ほど局長のお話しになりました二人半に一人の看護体制ができる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#19
○滝沢政府委員 その資料につきましては私も承知いたしておりますが、当時やはり二人夜勤をするのには、三交代のローテーションを考えますと一五・二一という、これは一つの理論計算上一五・二一人ということになっております。
 これを考えますと、看護単位のその当時の現状から推測した数字としては九千九百、約一万人ということでございますが、私のほうの現在の段階で必ずしも十分ではございませんけれども、一応二・八体制を三年計画で進めてまいりまして、そういうものをとらえ、なおかつ婦長はすでにおるという形を考え、二人夜勤の必要性を――一人夜勤のところを全部二人夜勤にする、こういうような試算をし、一部外来等の、あるいは中材等の問題等は応援体制が可能なものはある程度考え、そういうふうに実施するようにぎりぎり詰めてまいりますと、国立病院、療養所で一応二・八体制というものを、必ずしも理想ではないかもしれませんが、達成するために、これは約六千人程度の看護婦の必要があるというのは、私の段階になって試算してみますと、そのようなことになります。
 当時出した資料というものを、外来応援というようなものもあまり加味しないで、全く看護単位を一五・二一と計算しますと九千九百であるということについては、私はそれはそれなりに一つの数字であり、確認いたしておるわけでございます。
#20
○金子(み)委員 そういたしますと、その後参議院の社会労働委員会で決議が出されたりいろいろございまして、厚生省が計画的に増員をするという計画をお進めになっていらっしゃることは承知いたしております。その増員計画はこの九千九百といういま申し上げました数ですが、これを埋める目的で増員をなさっていらっしゃるものでございましょうか。目的はそこに置いていらっしゃるのでしょうか。
#21
○滝沢政府委員 この点につきましては、四十五、六、七の三年にわたって国立宿院を五〇%の看護単位を二人夜勤、それから国立療養所のほうは三七%の看護単位を二人夜勤にする、そして八日ということを目標にして人員の要求をし、それによって定員の確保をいたしたわけでございます。これはいま先生のおっしゃる九千人、いわゆる理想的な、全部二・八体制というものを速成するという計画での数字ではございませんで、いま申し上げたような段階主での速成の目標、特に八日にするということがかなり中心になってこの準備が行なわれ、それに基づいた定員を確保する、こういうことで四十七年度の段階までまいりまして、四十八年度を迎えておるわけでございます。
#22
○金子(み)委員 いまの御説明で少しわかりましたけれども、そうすると、こういうふうに理解していいのでしょうか。人事院が判定として出されました最低の線を追求するのではなくて、それよりも甘い線を目標として、それを進めていこう、こういうふうに進めていらっしゃるように受け取れますが、そう理解してよろしゅうございますか。
#23
○滝沢政府委員 甘いと申しますか、要するに先ほど人事院からも御答弁がございましたように、当初から七〇なら七〇、八〇なら八〇という高率の二人夜勤というものを指向することができれば、それは私はそれなりに一つのベターな態度であったと思うのでございますけれども、一応どちらかというと、八日というものを確保したい。夜勤、労働条件のほうがたいへんなんだ、二人というものは労働条件プラス一つの医療の確保という――一つの病棟に一人では、いざというときに医療の確保に困難ではないか、したがって二人夜勤というものは絶対に必要である。これは医療の面と労働条件、両面からの問題でございますが、労働条件というものは八日というものをかなり強く意識しなければならないものであるというふうに私は思うのでございまして、そういう意味で二人夜勤の問題についてはやや甘く、八日というものをねらったという点については、それは全体としては不十分かもしれませんが、一つの目標として当面そういうような目標を立てて計画を立てたということでございます。
#24
○金子(み)委員 ここに全医労が調査した資料がございます。御存じだろうと思いますけれども、この資料の結果は、いま局長が御説明くださいましたのとは反対になるのですね。
 実は局長が一生懸命力を込めて、労働条件をよくしたから、八日夜勤を守るための努力をして、そっちのほうに力を入れてとおっしゃいましたが、そちらのほうはむしろ四十年の判定時代より多くなっている。四十年判定当時は病院・一日、療養所が九・八日、全体で九・四日となっております。四十七年になりまして調査しました結果は、病院が九・八日、療養所が九・六日、全体で九・七日、総体的に日にちのほうは、増減はプラス〇・三日とふえているわけですね。そして今度逆に一人夜勤のほうはむしろ序の口になったのだという御説明でしたけれども、その一人夜勤の場合のほうが、むしろよくなっているわけなんですね。たとえばこの資料によりますと、人事院判定が出ましたときは病院が七六・二%、療養所が六五・三%、全体で七一・〇%でしたのが、四十七年の調査では病院が五八・一、療養所が五八・五、全体で五八・四、増減は一二・六マイナスということで、いまの局長のお考えとは実態は逆になっているのですが、どういうふうに理解したらよろしゅうございましょうか。
#25
○滝沢政府委員 おっしゃるとおり、われわれが行政の判断として指向した方向は、いま申し上げたとおりでございますが、これを実際に各国立の病院、療養所に定員を配賦いたしまして、その実施状態というものを結果的に見てまいりますというと、やはり病棟の改築その他による看護単位の変動もございましょうし、また、最近の医療需要、いわゆる病棟における看護の重要性、患者の重症化、こういうものの実態に合わせて各施設ごとには、二人夜勤というもののほうがどうしても必要性というものが強く出て、そして二人夜勤の確保の方向が現実には強く出てまいる。したがって、この定員のワク内では、結局二人ということと八日ということとは、かなり問題でございますので、二人夜勤がやや向上してまいれば、どうしても八日の勤務日数というものが確保できない、こういうことでございまして、行政の指向と各施設の判断と、実際にその労働に従事しておられる看護婦さん方の声と施設長の判断というもの、そういうものが総合されて各単位に二人夜勤の単位がふえて、したがって八日の確保が十分でない、こういうふうに私は理解いたしております。
#26
○金子(み)委員 この問題はいろいろとこまかい問題が出てくると思いますので、時間をとりますのでこの辺で切り上げたいのですけれども、一つだけ最後にお尋ねしておきたいと思いますことは、年次ごとに増員計画を立てていらしたわけです、せっかく二・八問題が解決する努力として。ところが、四十七年までは続けてきていらっしゃいますが、四十八年度増員はどうなっておりますのでしょうか、これだけ教えていただきたい。
#27
○滝沢政府委員 実は、この点につきましては、非常に私、もう医務局に着任以来悩んだ問題の一つでございますが、四十七年度のいただきました定員を具体的に各施設に配賦するのが八月になっております。そして、四十八年度の予算編成が六月に作業を開始をしております。実態というものを十分把握できないうちに四十八年度の予算要求に、率直に申しまして、この二・八体制をどうするかという問題を、議論を十分詰めないうちに予算要求が行なわれ、またその中身につきましては、二・八体制をさらに向上させるという命題はなくて、一般的な意味で国立病院、療養所の看護婦不足、あるいは医療内容の向上等に伴います人員要求をいたしたわけでございまして、この点につきましては、今後、四十八年度以降二・八体制を――現状のままでまず八日が達成しておりません。それから二人夜勤というものが、このままでいいかどうかという問題は十分検討しなければなりません。しかし、一面また看護婦の需給対策の全体の問題もございます。
 そういうものを勘案いたしまして、二・八の目標に向かって四十八年度以降これが改善という問題に取り組みたいというのが現状の私の判断でございます。
#28
○金子(み)委員 私は手元に四十八年度の内容を持っておりませんけれども、四十八年度は二・八の関係では同名増員なさいましたでしょう、予算として。
#29
○滝沢政府委員 結局いま申し上げましたように、二・八という名目の看護婦の増員はないわけでございます。ただICUとか、あるいは救急医療とか、あるいはガン対策を推進するための特殊な施設であるとか、そういうような名目によって看護婦の増員が行なわれ、なお重症心身あるいは筋ジス等の施設が四十七年度に整備したものに対する運営のための看護婦の増、これを含めまして看護婦にして七百五十一名の病院、療養所を通じて増員が行なわれております。
#30
○金子(み)委員 私はたいへん残念だと思うのです。せっかく二・八問題を解決しよう、しかも責任ある看護体制を二・五人に一人だとおっしゃっていらっしゃるそのお考えのもとに立てられた政策が、四十七年で切られてしまう。四十八年からは一つも増員されてないということは、四十七年度まででございますと、必要とされていた数約一万人に比べて、約二千八百十五人しか入っていないですね。そうすると、七千百六十三人というものは不足のままなんですけれども、これを新しい計画の中でぜひ改めて進めていただきたいと思いますし、四十八年度の予算は配分がまだきまっていらっしゃらない。職員の配分計画をどのようにしていらっしゃるかと思いますが、もしまだきまってないとすれば、重症心身、筋ジストロの子供たちの問題があるということはわかりますけれども、基本的な問題はやはり二・八問題だと思うのです。ですから、これを解決するための一歩前進をここでしていただかなければ困るのじゃないかと思いますので、その点をひとつ強く御要望申し上げておきたいと思います。
 大体お考えはわかりましたけれども、やはりこの問題を解決するための態度としては、もっと熱心にやっていただきたいと思います。ほかの問題もたくさんあって、たいへんだということもわかりますけれども、基本になるものは、やはりこの看護婦の勤務体制だと思います。これは小児科の場合も、老人の場合もどこも同じでございますから、やはりこれを固めるということに全力を注いでいただきたいと思うわけでございます。
 問題を変えていきたいと思います。その次にお尋ねしたいと思っておりますことは、いまお話し合いをしてまいりましたのが看護婦の不足の問題から起こってきている問題ですけれども、この問題のために増員計画をしていらっしゃったんですが、片や国立病院、療養所の人員削減という問題がございますね。これは総定員法の一環だから、しようがないというふうに私は伺っていたのでございますけれども、大臣はどのようにお考えになるでしょうか。いまこれだけ社会問題になっている看護婦不足の問題が片方にあるのに、定員法の一環だからやむを得ないとして一%なり、あるいは三%なり看護職員の削減をやはり同じようにしなければならないというふうにお考えでいらっしゃるでしょうか、その辺を聞かせていただきたい。
#31
○齋藤国務大臣 先ほど来看護婦の問題につきまして非常に心配されての御質問がございまして、私も、実はこの看護婦の問題につきましては、非常に頭を悩ましておるわけでございます。最近における医療需要が増大し、また医長の複雑化ということで、国公立病院のみならず、私立の病院でも看護婦不足ということでほんとうに悩んでおるわけでございまして、私どもはその人員の増加にできるだけ努力もいたしておりますが、先ほどお述べになりましたような看護婦さんの勤務条件の改善、これはやはり大事な問題でございますので、先ほど来お述べになりましたような二・八勤務体制といいますか、それを確保、維持していくために今後とも私は努力を続けてまいりたいと思います。
 そういうふうな考え方で、国公立病院の定員削減の問題につきましては、私どももこれは何とか努力をしなくてはならぬということで考えておるわけでございまして、医療関係の職員につきましては、定員削減の例外とするということになっておる次第でございます。むしろ私どもは、そういうふうな例外だというふうなことじゃなしに、やはりもう少し国立病院なり国立の療養所のほうは、重症心身児の問題とか、筋ジスの問題とか、そういうむずかしい問題をふやして仕事をやっているわけですから、削減の例外だなんていうんで満足すべきものじゃない。いな、むしろ必要な定員は増員し、一日も早く二・八勤務体制を実現して、ほんとうに国民医療上大事な看護婦さんの、ほんとうにあたたかい看護の手を伸べていただくような医療体制をつくる、こうなくちゃならぬのじゃないかな、こういうふうに考えております。まだ力は十分じゃございませんが、今後お述べになりましたような方向で努力いたすことをこの機会に申し上げておく次第でございます。
#32
○金子(み)委員 せっかく御努力願いたいと思います。
 看護職員の定員削減は除外例としていただいたといたしましても、医療職二表の人たち、あるいは行二の人たちの、たとえば病棟で申しますと、看護婦関係で申しましたら、病棟で働く看護助手の人たちが削減されてしまえば、結局看護婦にしわ寄せされて仕事ができなくなるし、数が減ったのと、ちっともかわらないわけです。ですから、そういう意味で看護婦という名目では削減なさらないかもしれませんけれども、看護助手が削減されてしまえば、結局結果は一つになってしまいます。ですから、そこら辺もひとつ考えを及ぼしていただいて、十分努力もしていただきたいし、この問題は一般の人が考えても、そんなおかしな話があるかということになるわけです。こんなにないないと言っても、その点を切るのは、そんなばかな話があるかということで、常識的にもおかしなことになるわけですから、この辺は厚生大臣、どうか強力に要求をなさっていただきたい、そういうことをお願いしたいと思います。
 続けて、同じ問題に関連いたしますが、看護婦の不足問題でございます。こういうようなことが論議されるのも、結局は看護婦不足ということが中心になるわけでございます。そこで、いまのこの看護婦不足、いま始まったわけではない、もう十年からずっと続いているもので、慢性的な経過をたどっている看護婦不足でございますが、この問題に対して、国民の医療を責任をもってカバーしていかなければならない、よい医療を提供しなければならない立場にある厚生大臣となさいましては、これを医療の一環として考えて、どういうふうに不足問題を理解し、どのようにこれを解決するようにつとめようとしていらっしゃるのか、基本的なお考えを聞かせていただきたいと思います。
#33
○齋藤国務大臣 前段のお尋ねの国立療養所、病院の看護助手については、削減から除外をいたしております。
 それから、看護婦不足の問題、これはほんとうに私、真剣に考えなくちゃならぬ問題だと思っております。せっかく国が国公立の養成施設をつくりましても、入るときは、かりにまあ二百人入る、養成所を出るころになると、途中でやめてしまう、こういう方も相当あります。それから、看護婦の業務に従事しておられる方も、結婚その他のいろいろな事情もございましょうが、おやめになる方もある。来年度で申しますれば、四千人ほど増員しよう、こう考えておるわけですが、ほんとうに完全に養成期間終了時に四千人確保できるのかどうか、これはほんとうに私も問題だと思って、頭を悩ましております。
 そこで、大きな計画としては、金子委員も御承知のように、先般、経済企画庁で新しい経済社会発展計画というものができまして、年金部門、医療部門、社会福祉施設部門、三部門につきまして、相当大規模な計画を立てるということになっておりまして、その各論的な計画を、厚生省が具体的に今度は年次別につくっていくわけでございますから、国民医療の供給体制の中で、現在やはり一番大きな問題は看護婦だと思います。そういう意味において、新しい長期計画の中において看護婦の不足を解消するような養成計画並びに定着できるような施策が、どういうものがあるか。先般、今年度におきましては、国立病院、療養所の看護婦さん方につきましては、処遇の改善をはかるということで、夜勤手当を、いま三百五十円でございましたか、あれを千円にするといったふうな処遇改善、まあそのほかにもあると思いますが、そういう処遇の面でどう考えていくべきかというふうなこともあわせて、各論的な看護婦不足に対処する施策を、年次別計画を立てて、ひとつ真剣になって取り組んでいきたいと考えております。
 現在は、御承知のように国公立施設というものを中心とし、民間施設につきましても、来年度におきましては、御承知のように経常費の補助率のアップもいたしておりますが、やはりもう一回、この際新しい計画にマッチした看護婦の充足、養成もさることながら、養成して、やめていくということのないような、ほんとうに気持ちよく看護婦さんが働いていただけるような勤務条件、それをどうすればいいかということも、あわせて年次計画の中で具体的に真剣に考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#34
○金子(み)委員 いま大臣が御答弁なさいましたが、不足の原因並びにそれを解消するための手だてということをわからせていただいたのですが、お話の中で大きく浮かび上がってまいりました問題が処遇の問題でございました。その処遇の問題で、私も一つ伺いたい問題もございますし、申し上げてみたい問題がございますので、話をそちらに持っていきたいと思っております。
 処遇の問題には、たとえば労働条件、勤務時間の問題ですとか、あるいは夜勤の問題でございますとか、あるいは賃金の問題ですとか、あるいは保育施設の問題でございますとか、あるいは通勤の途上の問題でございますとか、いろいろございます。時間の関係がございますので、そういう問題は省くことにいたします。賃金に集中してみたいと考えております次第でございます。
 看護婦の賞金は、国家公務員の看護婦は医療職(三)表で、一応の水準がきめられておりますということは私どもも承知いたしておりますけれども、これがやはり日本じゅうの国立以外の施設で働く看護職員の給与の一つの水準になっているわけでございます。非常に特殊の例をあげれば、たとえば東京都のような特殊な例をあげますれば、国家公務員の基準を上回るというところもございます。しかし、そうでない施設、最近はプライベートな、いわゆる私的医療機関が、看護婦を獲得するということの目的のために、非常に給与をよくして、国立の看護婦よりも、はるかによい給与というところが非常にふえてまいりました。こういうような実例もございますが、何にいたしましても医療職日表が基準になることは事実なんです。その医療職日表のことについて少し伺いたい問題がございます。
 医療職(三)表が、その他の職種の給与表に比べて非常に低いということはもう定説がございますから、ここでそれを申し上げるまでもないと思いますが、時間の関係がございますので、一つだけ比較したものを皆さまにごらんに入れて、そして理解を深めていただきたいし、そのための努力をしていただきたい、お願いしたいわけでございますが、壁に張りました、向かって左側の分でございます。
 これは三つ線がつくってありますけれども、一番上の緑の線は教育職(三)、これは中学校と小学校の教諭の給与表でございます。短期大学卒業でございます。それから一番下の赤い線は医療職(三)表の看護婦の給与でございます。その看護婦も同じく三年制の短期大学卒業生でございます。まん中の青い線は、医療職(三)表に大都市だけ八%の調整がついておりますので、その調整を加えたものでございます。そういたしますと、大都市は別といたしまして、一般の赤い線と緑の線とを見比べていただくことになるわけなんですが、同じ短期大学を卒業しているのです。小中学校の先生は二年制の短期大学、看護の短期大学は三年制でございます。しかも、卒業して国家試験に合格しなければならない。その人たちの給与があの赤い線なのです。そして緑の線がいま申し上げた小中学校の線なのです。
 ここで私は考えていただきたいと思いますのは、どうしてこんなに開きがあるのか、この給与表をおつくりになるのは人事院だと私は理解しておりますが、人事院のほうにまずお尋ねしたいと思いますのは、教育職と看護職とこれだけ格差をつける理由がどこかにございますでしようか。看護婦の職業というものが、教育を担当する教諭の職業に比べて、待遇が報いられなくてもいいというような要素がございますのでしょうか、その辺私はどうも理解ができないので、わからせていただきたいと思うのでございます。いかがでございましょう。
#35
○長橋説明員 給与局長がほかの委員会に出ておりますので、かわりまして……。
 医療職俸給表(三)を含めまして、この俸給表という場合の基本原則と申しますか、これは申し上げるまでもないことと思いますけれども、民間における同種の職務の給与を調査いたしまして、それとの均衡、それから今度は国家公務員部内におけるいろいろな均衡、こういうものを考慮いたしまして俸給表をきめておるわけでございます。医療職俸給表(三)につきましても、こういった原則に従いまして、いろいろ民間企業を調べまして、それを俸給表に反映させておるということでございます。
 いま先生にお示しの表に関連いたしますと、教育職(三)につきましては、これは国の場合でございますけれども、国立付属の小中学校にしかございませんので、これは調査しておりません。ちなみに高校の教諭、教育(二)と比較いたしましても、先生お示しと同じような傾向が出ております。したがって私どもは、こういった看護婦は、いわゆる夜間勤務を含むきわめてつらい労働条件のもとに勤務される方でございますので、毎年人事院といたしましては、官民給与の比較では逆格差が出ておりますけれども、それを越えて給与の改善をはかっておるということではございますけれども、しかし最近における医療に対する国民需要の増大、そういうことと関連いたしますと、そういった民間企業の動向というものを注視しながらも、しかし、それにとらわれることなく、やはり何と申しましても給与が低いから看護婦さんのなり手がない。なり手がないから、そういう国民的要請にもこたえられない、そういう悪循環を断ち切る必要があるということで、看護婦さんの給与の問題につきましては、従来の民間企業との均衡ということのみにこだわることなく、やはりそういう要請に沿って思い切った改善をする必要があると考えております。
#36
○金子(み)委員 もう一つ申し上げたいことがございます。
 看護婦が病院で勤務いたします場合に、一番関連深いのは医師でございます。医師の場合と看護婦の場合との仕事のしかたでございますが、詳しく御説明申し上げている時間はもちろんございませんのですが、一口で申し上げますならば、二十四時間勤務をしております看護婦が、より患者に近く、より接触度が高いわけでございます。この看護婦が医師が行なった治療の結果、どのように患者が反応を示し、どのような結果が生じてきているかなどの観察並びに報告というものを絶えずしておるわけでございますが、そういうものが基調となって医師が診断を行ない、そして新しい処方を立てるということができるわけですけれども、看護婦の仕事が順調に行なわれません限り医師は仕事ができなくなってしまう。看護婦がいなかったら、医師は正しい診断も判断も下せないし、処方もできないという実態になるわけでございます。そのような看護婦の業務につきまして、医師の業務と比べまして、はなはだしい開きがあるという点について私どもは理解ができない。学歴その他から考えて基本給に開きが出るのは当然というふうに私どもは考えます。ですから、その辺は考えられますけれども、ここに初任給調整という問題が行なわれておりますね。
 人事院の方にお尋ねしたいことなんでございますけれども、医師の場合には初任給八万円であったのを今度十万円に引き上げるように勧告をなさって、そして三十年間続けられていたものが、三十五年間まで延ばしてこれを支給するというふうに勧告なさっていらっしゃるわけですが、看護婦の場合につきましては、大学卒の看護婦についてのみ初任給に千円追加されております。その次の年においては七百円、その次の年においては四百円、四年目にはゼロ、これがわずかにされている調整にすぎないのですけれども、その格差はあまりにもひど過ぎると思います。同じ病院の中で病人を対象として医療を行なっておりますこの二つの職種が、お互いに役割りを分担し合いながら健康回復のための援助をするわけでございます。その援助の度合いから考えて、この給与の開きはあまりにもあり過ぎる。しかもその調整のしかたというのは、はなはだしいと思うのですが、どういうことが理由でこれだけの開きをつけて調整をなさったのか、ちょっと伺わせていただきたい。
#37
○長橋説明員 初任給調整手当は、御存じのとおり昭和三十六年に新設された手当でございます。当時は理工系の大学卒の初任給の上昇というものが一般の給与の上昇に比べまして非常に顕著でございまして、そういった初任給の均衡をはかるということを俸給表で見ることは困難な事情もございまして、手当ということで処理したわけでございます。翌年法文系につきまして同様の初任給調整手当を設けたわけでございます。医職員俸給表(一)の適用を受ける医師及び歯科医師について官民の給与格差を詞べてみますと、これは地域別に見ましても年齢別に見ましても、非常な格差がございます。したがいまして、初任給調整手当という名称はあまり適当かどうかあれでございますが、初任給調整手当の増額ということをもって医師における給与の格差の解消というものをはかってきたわけでございます。したがいまして、これはいわゆる大学卒の理工系の職員に対する初任給上昇をカバーするということでスタートしたものでございますが、宿命的に初任給調整手当のワク内に限る限りは、やはり現在の取り扱いでもって一応均衡はとれているのじゃないかというふうに考えております。
 しかし、そういう初任給調整手当と離れて、看護婦のその給与の問題につきましては、さいぜん申し上げましたとおり、別途これは思い切った改善を講じていきたいというふうに考えております。
#38
○金子(み)委員 たいへんに初歩的な質問を人事院に申し上げるのですけれども、給与表をおきめになるのは人事院単独でなさるのでしょうか、それとも関係各省からの意向をお聞きの上でおつくりになるのでございましょうか。その辺ひとつお知らせください。
#39
○長橋説明員 給与表をきめます場合には、これは申しわけございませんけれども、先ほど申し上げましたように、民間における公務と同種の職員を調べまして、これをさらに年齢別、学歴別、職種別、職種の責任別に対比いたしまして、均衡をはかるということを原則といたしております。その前に、やはり職員の勤務条件の問題でございますので、したがいまして、御存じのように職員団体、組合の方ともひんぱんに会っておりまして、それぞれ御意見をお伺いしております。さらに当局側からもいろいろな要望がございます。それらを総合、踏まえまして人事院といたしましては給与をきめておるということでございます。もちろん、人事院は勧告ということでございますので、最終的には国会の御判断をいただくということになっております。
#40
○金子(み)委員 よくわかりました。
 それでは、いま人事院の方が二回まで声を大きくしておっしゃっていただきました、看護婦の問題につきまして思い切った措置をしたいということで、これをぜひ実現していただきたいのです。
 思い切った措置の一つの中に夜勤の手当を千円にしたのが入っているのでしょうか。この夜勤の手当を千円にしたというのは、国立病院、国立療養所だけのものでございますけれども、これは人事院の勧告なしに行なわれておりますね。こういうことはしばしばあり、また将来もこういうことはあってしかるべきものなんでございましょうか。ちょっと、その点を教えてください。
#41
○滝沢政府委員 ただいまのお尋ねにつきましては、本俸につきましては勧告という形をとるわけでございますが、実は特殊勤務手当の一環として夜間看護の手当が定められておりまして、これは人事院の規則によるものでございますから、このように定めましたという報告事項になっておるわけでございます。過去におきましても予算が先行して、あとから人事院の規則を改正していただいた事例はございますので、われわれとしては予算を獲得はいたしましたが、これを人事院と十分協議して、具体的にこれが規則として盛られ、実行できるように努力いたしたいというふうに考えます。
#42
○金子(み)委員 人事院の方どうぞ。
#43
○長橋説明員 予算上の措置としましては、先ほど予算当局から人事院の勧告に備えて用意されたということであろうと思います。
 いま医務局長のほうから御説明申し上げましたように、夜間看護手当につきましては規則で処理することになっております。例年でございますと、八月の勧告の際にこういう改定をするというようなことを明らかにしております。しかし、これは必ずしも法律事項でございません。規則をもって処理できるということでございますので、したがって、夜間看護手当の問題につきましては、これまでの事情というものを十分考慮した上で、人事院としては十分検討してまいりたいというふうに考えます。
#44
○金子(み)委員 ちょっとよくわからなかったのですが、人事院としては十分検討していきたいというお話なんですが、具体的によくわからないのです。もうちょっと具体的に説明していただけますか。
#45
○長橋説明員 看護婦問題につきましては、要員確保のために、とにかく思い切った措置を講じなければならぬということでございまして、給与の調整といたしましては、予算上千円の看護手当が積算されておるということでございますので、そういう事情を踏まえて改定にあたっては適切な結論を出したいというふうに考えております。
#46
○金子(み)委員 さっき私が申し上げたとおりですね。
 それでは、この千円が思い切った措置の中に入っていると考えていらっしゃるようでございますが、私が受けとめた思い切った措置というものは、こういった手当の問題ではなくて、基本給の問題でございます。医療職(三)表そのものは思い切った措置をして改善をするというふうに先ほど私は理解いたしたのでございますが、いまの御答弁でございますと、千円の夜勤手当をしたのが思い切った措置のように聞き取れるのですが、いかがでございますか。
#47
○長橋説明員 俸給表の改善を含めての考えでございます。
#48
○金子(み)委員 そのことをぜひお忘れにならないでいただきたいと思います。
 私は、人事院にお願いしたいし、同時に厚生省にお願いしたいことでございますが、看護婦問題がこんなに大きな問題になって、不足問題がいわれております。その不足の一番の根本は給与である、待遇、賃金であるということは、だれもがよく存じておることでございますし、御当局も十分御承知のはずでございます。これは何か思い切った措置をしなかったら解決がつかないということは、やはりそのことも御了承ではいらっしゃると思いますが、この点について近いうちにぜひ進めていただきたいと思います。
 この問題は、思い切った給与の改定というのを、たしか医療職(三)表につきましては思い切った改定というのが一ぺんあったと私は記憶いたしております。医師の場合にそれが行なえて、医療職の(三)表である看護職の場合できないということはあり得ないし、むしろ、より社会問題になっているこの看護婦の給与の問題については、どうか写生大臣も、それから人事院の方々も思い切った措置をするということを、口だけでなくて、具体的に実体としてあらわして示していただきたい。私どももこのために一生懸命やりたいと思います。どうかその点をひとつよろしくお願いしたいと思います。
 厚生大臣に一つお願いがあります。
 この千円の手当でございますが、国立病院、療養所の看護婦さんたちのためにたいへんけっこうだと思いますし、これがやはり基準になって、その他の施設でも努力をするようになるのかと、いいほうでは考えられます。
 しかし、実際問題としては、これは一人一回千円というのはたいへん大きいのです。しかも夜勤の数が国立でこそ月九回になっておりますけれども、一般の民間の施設では、いまだに十三回、十五回という資料が調査の上では出ております。ですから、そうなりますと、金額が非常に張るということになります。そうなりますと、問題は、いまの医療費の体制の中でこれが絡めるのか組めないのかという問題。医療費を何か手直しをなさる、あるいは緊急是正でもなさるおつもりがおありになるかどうか、それがなかったら、私はできないのじゃないかと思います。
 そうしますと、いままでそうでなくても国公立に看護婦が多うございます。民間には少ないわけです。その格差がひどいのに、これができますと、一そう国公立のほうに看護職員は寄ってしまいます。そうすると、民間の施設はもっとみじめなかっこうになると思いますが、そんなアンバランスを、もっともっとひどくするような事実がここに起こったということに対して、厚生省ではどのように処目をなさるおつもりでいらっしゃいますでしょうか。民間に対して何か援助をなさるとか、あるいは医療費の緊急是正をなさるとか、何かお考えがありましたら、聞かせていただきたいと思います。
#49
○齋藤国務大臣 まず最初に、前段の給与の問題でございますが、実は厚生省で一番困っておる問題は、お医者さんの給与と看護婦さんの給与なんです、ほんとうを言いますと。きょうは、いま金子委員、看護婦さんの給与のことだけおっしゃいましたが、やはり先ほど来統計でお示しいただきましたように、ほんとうによその学歴等において類似の方々の給与に比較して非常に少ない。これはやはり何とか解決しなければ看護婦問題の解決は私はできないと思います。先ほど来お話しになりましたようなことは、人事院もよく聞いておりますからよくわかっていただけたと思いますし、私も真剣に考えておりますので、この給与改定の前に、厚生大臣として正式に、人事院に思い切った改革をやってくれということを、この機会にはっきりと申し上げておきます。
 それと同時に、夜勤手当の一千円の問題、これはお述べになりましたように国の病院と療養所について、ことしから実施することにいたしたわけでございまして、それはこういうふうな施設の管理者として私は当然なすべきことをなした、こう思っておりますが、それがおそらく地方の病院なり、あるいは民間の病院等にいくことが望ましいと私は考えております。
 ただそれには、問題は、財源の問題でございまして、民間病院につきましては、これは私がはっきり言うべき筋ではないかもしれませんが、診療報酬の改定という問題は中医協の所管でございまして、私からとやかくのことを申し上げる筋ではないと思いますけれども、中医協においても目下診療報酬改定ということを議論しておると承知をいたしておりますので、こういう事態を踏まえて――こういうふうに国の病院なり療養所について夜勤手当を千円にするということになったという事態を踏まえて、中医協がやる問題でございますから、りっぱな、それをも含めた診療報酬の改定というものが行なわれるであろうということを私は期待し、また確信をいたしておる、ということで御了承を願いたいと思う次第でございます。
#50
○金子(み)委員 看護婦不足の問題が中心になって、きょうは質問させていただきましたけれども、まだそれについては絶対数を確保するという問題が残っておりました。そういう養成教育の問題でございますとか、あるいはこの人たちが逃げていかないためにどうするかという問題もございますし、いろいろまだ要因となるものがあるわけでございますけれども、きょうは時間の関係がございますので、ここで質問を終わることにいたしますけれども、中心にいたしました賃金の問題につきましては、どうか人事院の方も、厚生省の方も、思い切った措置をするということを、ただ口だけでおっしゃるのでなくて、実現させていただきたいと思いますが、これはできるだけ早い機会に、御計画ができますようでしたら、見せていただきたいと思いますことを御要望申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
#51
○田川委員長 島本虎三君。
#52
○島本委員 最近問題の石油たん白の問題で、当委員会でこの問題の決着を明確にさせたい、こういうように思いまして、関係当局に以下御質問を申し上げたいと思いますので、ひとつよろしく御答弁を賜わりたいと思います。
 まず、消費者団体からの反対で石油たん白の企業化、この問題は、意欲的であった大日本インキ化学工業、これが突如として企業化中止を発表したことによって、局面は転回をしたように思われるわけです。他の五社も同様の発表であるようです。すなわち、協和醗酵工業、旭化成、三井東圧化学、三菱瓦斯化学、帝人、これら合計六社は断念したかのような発表があるわけであります。しかし、その中でも大手の鐘淵化学工業、これは企業化を延期するかどうかは行政官庁と協議してきめたい、こういうように発表しているようであります。まだ企業化には未練がたっぷりなようでありますけれども、これに対して厚生、通産、農林、それぞれの立場で、はっきり国民の前に、どうするのか、この態度を明確にしてもらいたいと思います。
#53
○齋藤国務大臣 これはもう島本委員の仰せになりましたように、石油たん白と称せられるものは、由来飼料として始まったわけでございます。飼料ということでありますと――こんな法律論議を私はやるつもりもありませんが、これは農林省の所管でございます。まさしくそのとおりでございます。けれども、厚生省というのは、国民の健康を守るということが私は一般的責任だと思います。そういう観点から、法律論とか権限とかということを言わないで、安全性の問題を調査しなくちゃならない。えさ、そのものについてではなくて、えさを食べた畜類の肉を食べるとか卵を食べる、こういうことでございますから、国民の健康を守るという一般的な立場から、厚生省の食品衛生調査会で相当の年月をかけて調査をいたしてまいりました。その結果が、昨年の十二月でございましたか、学者の御意見等によりますと、実験段階では一応安全だということになったわけであります。しかし、そのことは企業として製造し、流通させるということを意味するものではない。すなわち条件として、実験段階においてかりに安全であっても、もしその会社がこれをつくろうというならば、もう少し大規模な試作品というものをつくってください。そして、その試作品ができたならば厚生省の国家機関において本格的な検査、調査をいたします。そうしなければ厚生省としては、製造は認めることはできません。しかし、製造を認めるかどうかは私の所管ではないのですが、国民の保健上許しがたい、こういう気持ちでございます。
 そこで、試作品というものを持ってくるには、せいぜい一年ぐらいかかるだろう、そしてまたさらに試作品が来ましても、国の機関が厳重にこれを調査するということでございます。すなわち、鶏が食べて、その卵を検査するのですから。それから畜類でございますと、今度は畜類が食べて、その食べた肉を検査するわけです。というわけでございますから、本格的な検査ということになりますと、二年や三年はかかるでしょう。そしてそのあとにイエスかノーか返事が出るのでございますよということを私のほうは言うておるわけでございます。
 そういうふうな事態を踏まえ、さらにまた国民の各方面からも、どうも石油たん白というのは安全性に――実験段階では安全だというが、はたして安全だろうかという国民の声もありました。そういうふうな私どもの態度、さらにまた農林省は、先般予算委員会においても私が答弁いたしましたあとに農林大臣が答弁されまして、試作品の段階における本格的な国の検査が通らない限り、農林省としては製造を許しませんよと言うておったわけでございます。そういうふうな事態を踏まえて、昨日、大日本インキにおいては自主的に製造を中止しましょうということに相なった次第でございます。
 法律的な権限がどうであるとか、現在の食品両生法が不備であるとかないとか、そんなことは別として、やはり国民保健上疑わしきものは製造してもらいたくない、これは私の偽らざる率直な気持ちでございます。
#54
○塩川政府委員 通産省といたしましては、過日、鐘淵化学が言うておりますように、関係官庁の意見を聞いて、あるいは指導を得てという表現があったと思うのでありますが、その関係官庁というのは、直接所管いたしておりますのは農林省でございます。したがって、農林省の意見を聞いてという意味に私たちは解釈いたしておるものでございますが、これが企業化にたとえ踏み切るといたしましても、これだけ国民の反感といいますか、国民の関心の強いものを製造すること自体に、やはり企業としての考慮が当然働くのではないかということを思っております。
 したがって、通産省としては、鐘淵化学が言うております当局との協議ということが、農林省との協議ということになろうと思うのでございますが、その結果を見て、われわれとしては判断をしていきたい、このように思っております。
#55
○中尾政府委員 これは大日本インキの例もございますので、世論は無視はできないという考え方に私どもは基本的に立っておりますから、厚生省当局の見解、食品衛生調査会等の十分なる調査結果というものに基づいて、私どもは対処していきたいというように考えております。
#56
○島本委員 では、鐘淵化学工業では、やはり関係当局との間で十分協議をして、これはきめたいと言っておる。この協議の相手は通産省ではない、厚生省でもない、農林省である、こういうようなことのようであります。そうすると農林省では、これに対して、他の企業では断念すると言っているのに、協議と言っておるのは鐘淵一つである。そうすると当局の態度は、これを中止するのか、禁止するのか、この断念というものをどういうふうに解釈して指導するつもりですか。
#57
○中尾政府委員 これは島本先生の論議を待つまでもなく、私ども農林当局はこれはシビアな目で見ておりますので、大日本インキがこれに対して対処した方向を示唆しながら、まずもって十分話を詰めてみたいというのが最初の段階でございます。
 そういうわけでございますから、石油たん白を飼料として企業化するにあたっては、問題の重要性にかんがみまして厳重な指導監督が必要であるということは申すまでもございません。これはもう十分話し合い、大日本インキ等の例にならいまして、私どもは十分話を詰めていきたい、善処するつもりでございます。まだその段階でございませんので、そのことばにかえて申し上げた次第でございます。
#58
○島本委員 これは前のPCBの企業としての元凶なのです。その企業が、PCBに対する結果、結論が出ても、あと始末を完全にしてないままに、また他の会社六社では断念すると言っている、ただ一社だけがあなたのほうと協議するというのです。他のほうが全部断念するというならば、これは禁止と回しであるからいいと思うのです。協議するというのに、まだ農林省が当局としてそういうような優柔不断な態度では、国民はまだまだこれに対しては納得できないのじゃないかと思う。むしろ、前に犯したこのPCBに対する措置が完全なのかどうか、不完全でしょう。回収したものを、まだこれに対する措置を十分やってないでしょう。やってないままに、またこういうものをつくらせようというのでしょう。この措置を完全にしてからでないと、農林当局は、こういうようなことをただ協議する程度じゃだめですよ、はっきりしないといけません。
#59
○中尾政府委員 これは優柔不断でもなんでもないのでございまして、私ども農林省としましては十分に話し合い、懇篤説明し、なおかつ前歴のあるPCBの問題等もかみ合わせまして、これに対しては厳重に戒めをもって当たるとともに反省を促すという態度で臨むことだけは必定でございますから、その点は決して優柔不断の態度とお取りいただかなくても、けっこうだと思います。
 ただ、私どもの当局としては、あくまでも農林省当局としては世界的な飼料不足、特に日本の場合は飼料問題というのが目下急務でございますけれども、この問題に関係するだけに、非常に微妙な立場でこれを見守っておったのでございますが、当然今回の厚生省におけるこの処理並びに大日本インキにおけるこの態度というものを十分私ども受けとめておりますので、これに基づきまして厳重に忠告と、また禁止の方向に持っていくような措置をとってみたいと思っております。
#60
○島本委員 厚生大臣、これは企業が断念する、そうして生産は中止する、こうなると、食品衛生調査会の安全に対する見解、これはどうなるのです。
#61
○齋藤国務大臣 食品衛生調査会はもろもろの資料、材料をもとにして、こういう基準に基づいてこういう方法でつくればかくかくになりまして、安全性は確保されますという専門家が言われた事実は消すわけにはまいりません。それはそれなりの意義があると私は考えております。
#62
○島本委員 まだその見解が完全に生きているとなると、四条の二はもう適用しないということになるのじゃないか、こう思われます。これはいかがですか。
#63
○齋藤国務大臣 食品衛生法は食品というのでございまして、食品というのは人間が食べるものをいうので、畜類が食べるのは食品でない。したがって、食品衛生法の適用外だと思います。しかしながら、そのえさを食べた肉を食べるとか、えさを食べた鶏が卵を生む。その卵を食べるということでございますから、最終的には人間の健康に重大なる関心がある。そこで厚生省は、そういうふうな法律の規定がどうあろうが、権限がどうあろうが、国民の健康を守る責任は私は一般的にある、こういう考え方で、食品衛生調査会が真剣に研究をした、こういうわけでございます。ですから、その辺に法律的には多少ギャップがあるのじゃないかなというふうに私は考えてもおります。
#64
○島本委員 そのギャップがあるのが心配だから聞くんです。では、これは今後企業の態度が変わった場合には、生産できるということにつながるのじゃないか。そういうような場合には、情勢の変化で、今後半年後か一年後当然そういうことになる可能性がまた生まれてくるのじゃないか。ここを心配しておるわけです。したがって、これは非常に危険であるということで、他の消費者団体がそのことに対して関心を払うのは当然じゃないかと思われるのです。この辺に対してギャップがある。そのギャップが心配だ。企業の態度としても、まだ完全ではないようである。そこに対して厚生大臣としても、完全な指導の定見を発揮すべきじゃなかろうか、こう思うわけです。そのギャップがそのままにされておった状態では心配だということですが、この点いかがですか。
#65
○齋藤国務大臣 私がギャップと申しましたのは、食品と飼料の間に国民の保健上何かしら考えなくてはならぬ分野がありはせぬかという法律的な領域の問題について申し上げたのでございます。
 そこで、昨年の十二月、申し上げました安全性確認という実験段階の調査、これは私は消すわけにまいりません。それはそれなりに事実として、そのまま残るわけでございます。したがって、将来企業者がその調査に基づいて、その調査のとおり今度は試作品をつくろうということであれば、持っていらっしゃい、厚生省はもう一回国家機関で厳重に検査いたします、こういうことを申し上げている。その検査は、持ってこなければ検査のしようがありません。持ってくれば検査をいたします。検査をするには二年や三年はかかりますよという基本的態度は、従前のとおり変わりはございませんから、いま中止されたと申しておりましたが、将来この会社の方々がまたやりたくなっても、すぐ製造ができるというものではない。
 農林大臣も先般予算委員会で、もう一回国家機関による検査はしていただきます、そしてその検査で合格しない限り、製造をさせません、こう言っているのですから、このおやめになった会社が将来やりたいとおっしゃるならば、試作品をお持ちいただければけっこうです。そうすれば、私のほうでは国家歳関で厳重な検査をいたします。検査をするには一年や二年では、とてもできませんよ。二、三年はかかりますよということを、はっきり申し上げているわけでございます。
#66
○島本委員 二月六日の大臣のいろいろな記者会見での発言で、いまおっしゃったようなことはもう言っておりますから、それはもう私も存じております。そしてこの二月二十日には、試作品の段階で再検査する、そしてあなたは飼料に関する新立法も考える、こういうように言っておられますが、新立法は、いまの状態ではまだ考える、その意思がございますか。
#67
○齋藤国務大臣 先ほどもちょっと島本委員に法律上の領域の問題としてお答えを申し上げましたが、現在の食品衛生法は人間の口に入る食品を対象としている。それから農林省のほうは、えさというので畜類の食べものを取り締まるとか、何かそういうことをやるわけでございます。
 そこで、御承知のように、生物濃縮という現象が最近出てきておるわけでございます。新しいえさができる。そのえさを食べた肉を食べる、卵を食べる、こういうことになってきますと、やはり法律的に、そこに何かしら一つの法律上の領域があるような感じが私はしております。何と申しますか、生物濃縮を通じて出てくる食品――最後は卵なり肉というものが食品になるのですから、生物濃縮を通じて出てくる食品、そういうものまでやはり国民保健上は研究する必要があるのじゃないか。それには現在の法律ではどうも法域的にギャップがあるのじゃないか。そこで私としては、生物濃縮を通じて食品となるものについて、国民保健上何かしら規制する法律が必要ではないか、それを検討しなさい、こういうことで先般来環境衛生局長にそのことを指示しております。おそらく農林省や通産省、各省にまたがる問題がありましょう。農林省は、そういうことはもうすでにあるのだとおっしゃるならけっこうですよ。あるいは科学技術庁、まあ関係各省に十分相談しますが、何か法律的な領域の空白がある、私はそう思うのです。これは島本委員もお考えになると思うのです。
 ですから、何かしらの法律制定の必要性、そういうものがあるのではないか、それをやるとすれば、その可能性があるかないか、そういう問題について研究をしろということを言っております。これは中止したといいましても、何も石油たん白ばかりを対象とした考え方でございませんし、こういう法律がつくれるかどうか、そういう問題について今後とも検討を続けてまいりたい、かように考えております。できたら国会に提案する、こういう考えでございます。
#68
○島本委員 飼料に関する新立法ですから、これは農林省のほうで十分これに対する関心を持たなければならない問題だと思います。農林省のほうでは、現在飼料品質改善法があるから、これは必要ないのじゃないか、現在これでもやっていけるのじゃないか、こういう考えを披露して、飼料に関するところの新立法に対してはやらなくてもいいという考えがおありのようですが、これだったら両省ともに意見が違うことになる。これはどういうことになりますか。
#69
○中尾政府委員 冒頭に私ちょっと申し上げましたように、農林省の基本的な態度というものは、それが食品であれ、あるいは飼料であれ、ともかく動物あるいはそういうものが食べる食品の中に少しでも害悪に通ずるものが含有されており、いわゆる連鎖的な人体に対する弊害というものが、たとえ十億分の一でも含まれているということを想定した場合には、断固としてそれは許すまじきものであるという基本的な態度を貫いていることだけは言うまでもないのであります。
 先ほどの御質問の中にございました飼料の品質改善に関する法律、これは届け出義務とか公定規格の設定、これに基づく登録であるとか、あるいは帳簿の備えつけ義務であるとかいうように非常に細分化されて法律があるわけでございまして、大体この法律内容で適用され得るのではないかという考え方に私ども立っておりますので、これを十分検討いたしまして、そして立法化していく、法律でさらにやっていかなければならぬという場合には、厚生当局とも十分打ち合わせた上で新規立法に踏み込んでいこうという考え方に立っておることを御報告申し上げたい、こう思うのでございます。
#70
○島本委員 その点では、ほんとうに善処してもらいたいということを両省に心から希望して、要請いたします。
 それと同時に厚生大臣、試作品の段階で再検査をするのだ、こういうようなおことばに対して念を一つ押させてもらいたいのは、当然再検査するということは、もう一度国の機関で動物実験をはじめ検査を行なうということなんだ。それから通産省には、これは企業に製造することを認めて、市販前に検査するということではないのだということ、これと同時に、今度検査の結果いかんによっては製造、販売――こんなことは当然禁止ですから言う必要はないのですけれども、念のためにこういうことを前提にするのだ、こういうようなことだけは、はっきりさせていただかなければならない問題ではないかと思います。
    〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
この点に対する国民の疑惑を解くためにも、はっきりした答弁を求めます。
#71
○齋藤国務大臣 先般来申し上げておりますように、食品衛生調査会は国民の一般的な健康を守るという観点から検査、調査をいたしてまいりまして、昨年の十二月、実験段階における安全性の確認となったのでありますが、これを農林省に通達するにあたりましては、将来試作品の段階において国家機関による調査ということをいたしますよ、そういうことを条件としてこの問題を処理していただきたいということを申し上げ、農林大臣も先般予算委員会でお述べになりましたように、その試作品の段階において安全性が確認されなければ製造はいたさせませんと言うておるわけでございまして、なるほど権限からいえば両省にまたがっておりますが、政府としては一体の考え方に立っておるということを、この機会にはっきりと申し上げておく次第であります。
#72
○島本委員 次、農林省ですけれども、つい最近、いまでも農林省としては厚生省と協力して、さらに安全性を確かめる作業を進めてまいりたい。なお、飼料化への期待は捨ててはいない、こういうようなことを発表しなすっておられるようであります。断念するといっている、中止するといっている、そういうような段階に、期待は捨てておらないんだ、こういうようなことを言うということは、おそらくこれはもう妥当を欠くんじゃないか、こう思います。一応各企業ともストップをするとまで言明しているのに、いまのような発言をあえてしたとするならば、これは不一致です。大臣としても国会内で発表していることと、これは反対です。したがって、安全性を確かめるめどをどこへ置いてこれをやるのか。なお工業試作品の段階で再検討する、こういうような点ならわかるけれども、この企業の見解発表がもし事実だとすると、もう工業試作品段階ではできないのでありますから、できないのを今度期待は捨てておらないとか、飼料への研究調査をしていくとか、こういうようなことばがあるということは、まだ未練を捨て切れないで、厚生大臣もいまはっきり言っているんだけれども、まだ私のほうではやりますよ、こういうような意図があるように聞こえるわけです。それも現存するところの飼料品質改善法、こういうようなのに、のっとってやればいいんじゃないか、新立法、こういうようなものは必要ないんだ、こういうような考えがあるように思います。
 私は、こうであってはならないと思うから、あえて聞くわけですが、本音はいまどうも世論がうるさいから、近い将来石油たん白を飼料にして許可するつもりであるけれども、いまのうちは黙って沈黙しているんだ、こういうようなことであってはならないと思うのです。これは基本的な問題ですから、このことをあえて聞いておきたいのです。当局では、どこの局がこれを新聞なんかに発表しておるのですか。
#73
○下浦説明員 畜産局の審議官でございますが、昨日、大日本インキの企業生産の中止、こういうニュースが流れまして、農林省見解いかんということを私どもの記者クラブのほうから問われたわけでございます。現にこれは、いま先生御質問の所管は畜産局でございまして、現実に実は私が出向きまして新聞発表をいたしたわけでございますが、論理的にはただいま先生の全くおっしゃるとおりでございまして、私も昨日そこまで言った覚えはございません。それから飼料事情等をあわせて御説明を申し上げましたので、何かその辺に誤解が生じたのではないかと存じております。
#74
○中尾政府委員 島本先生にお答え申し上げますが、いま審議官が言うたとおり、農林省の見解としては、その見解は出ておらないということは、私どものほうにも報告がきておるわけでございます。先ほどの島本先生の御意見一々ごもっともでございますけれども、ただ私ども農林省が、いつの日にかこれを許可するような腹がまえでいるのではないかという御疑念が、これは島本先生のみならず、そのような御見解があるとするならば、これはもうその誤解だけは解いておいていただきたいと思うのでございます。
 それは先ほど私がるる申し上げましたように、日本は現段階で飼料の面では非常に困窮をきわめておるわけでございまして、そういう点、ちょうどたまさかこの問題が起こったというところから、農林省はそれをうのみにしていくのではないかというような、何やら巷間、そのような声が声になったということで、農林省だけは別な目で見ているのではないかというような、人間の食べる食物ではなくて、飼料として与える、いわゆる牛、豚、鶏等のたぐいに行くものであるから、軽く考えているのではないかというようなお考えをお持ちの方も多いかと思いますけれども、そういう考え方は全くこの際払拭していただきたいと思うのでございます。
 私どもにはその考えは全くないので、ただ、いままで飼料の段階でもこの種のものが英国やフランスで使われておったことも、これまた事実であります。しかし日本の問題としては、先ほどの厚生大臣のおことばにもございますように、また食品衛生調査会でも御発表になったようなそういう経緯を踏まえまして、当然、私どもが先ほど申しました十億分の一くらいの有毒性のものだと、これは疑惑として考えても、その方向に私どもがまいることだけはあり得ないということだけは、ひとつ御理解を願いたいと思うわけでございます。その点は当局として申し上げておきたいと思う次第でございます。
#75
○島本委員 通産省、特に通産省ではこの問題について、石油たん白のプラントの輸出を認めているということを聞いております。それと同時に、九カ国へすでに石油たん白の輸出をされて、試供品として、これはもう輸出しているのだということも私聞いておるのですが、どこの国へどれだけの量を出したのですか。これをこの際はっきりと報告してもらいたい。
#76
○齋藤(太)政府委員 石油たん白の海外への試供品の提供の状況でございますが、鐘淵化学と大日本インキと両社が行なっておりまして、鐘淵化学のほうはこれまでに合計約八十四トン、その内訳はイタリアが七十九トンでございまして、西ドイツに四トン、それからスウェーデンに一トン、あとはこまかい一トン以下の量になります。それから大日本インキ化学のほうは合計で八トン試供品を出しておりまして、そのうち台湾に五トン、スペインに二トン、スウェーデンに一トン、それからルーマニアが五百キロといったような数字になっております。
#77
○島本委員 そのほかは行っておりませんか。九カ国というのは、これで全部になりますか。
#78
○齋藤(太)政府委員 あとインドネシアに鐘淵化学で三百キロ、アメリカに二百キロでございまして、合計九カ国になろうかと思います。
#79
○島本委員 いま言ったようにして、通産省当局のほうではこれに対する禁止、こういうようなことをはっきり態度を表明して――試供品をこういうようにしてやって、機械そのもの、プラントの輸出をもう試みている。こういうようなことになる場合は、国内では安全性の問題で問題になっているのに、メーカーのほうから申請があって、そのまま輸出を認めてやる。これでは輸出されたものはどうなるのですか。海外へ輸出したものが、また製品となるか何か加工されてまた入ってきて、日本人の食糧になってしまうのじゃありませんか。
 結局、言っていることとやっていることがばらばらなんだ、ただもうければいいという考えで、鐘淵のPCBの出先になって、手先になってやっているのが官僚じゃないですか。こういうようなやり方ではだめですよ。厚生大臣も、ほんとうに国民の健康と命を守るためならば、もっと横の連絡を緊密にして、こういうような点に対して十分な話し合いを詰めておいてもらいたい。いま問題になっているのに平気でプラント輸出しているじゃありませんか。試作品もいま言ったように、九カ国に対して出しているじゃありませんか。そしてそれを売った場合には、当然食料品として日本に返ってくるじゃありませんか。そういうようなことを、ばらばらにやらしておる。一番よけいやっているのは鐘淵じゃありませんか。PCBの処置を完全に通産省はやったのですか。だめですよ、そんな態度では。
#80
○齋藤(太)政府委員 過去に出ましたPCBにつきましては、現在鋭意回収を急いでおります。
#81
○島本委員 念のために聞きます。
 回収は何トンで、どういうふうにして処理しましたか、やってないでしょう。
#82
○齋藤(太)政府委員 いま手元に資料がございませんので、正確な数字はちょっとはっきりいたしませんが、大体熱媒体の関係で現在約二千五百トンを回収いたしております。それから、感圧紙の関係で約一千トン、これは紙の量でございますが回収いたしました。それから、トランス、コンデンサーの関係につきましては、その回収したあとの処理技術かまだ未開発でございまして、現在国の試験所でその技術を開発中でございますので、これは使用上そのまま使う限りにおきましては危険はございませんので、一応耐用年数がある間使ってもらいまして、その間至急に技術開発を進めまして、技術開発ができましたならば、計画的にトランス、コンデンサー関係は回収いたしたい、かように考えております。
#83
○島本委員 いままでPCBの被害が大きい問題になっているわけです。それまでの間に売り出して、これらの企業はもうけているのです。そうして、いよいよ被害が全国民に及ぶというような段階になって、政府から回収を命ぜられたその段階になっても、回収してきて、その回収に対してどういうような処置をしたか、方法がないでしょう。これから研究をやって処理するのだ――持ってきたものをどういうふうにして処理する方法があるのですか。鐘淵はどこへ集めて、どういうふうにして処理するのですか。太平洋へ投げるのですか。処理の方法がないままに売り出してもうけているのだ。
 いま石油たん白も同じようなことをやろうとしているのが鐘淵だ、大手のナンパーワンじゃないですか。そうして、プラント輸出までして、もう大部分やっているのが鐘淵じゃないですか。その出先になっているのが通産省じゃないですか。こういうようなことだから、いかに政府のほうで何といっても守られない。これは公害の輸出ですよ。公害を輸出すると、結局これは輸入になって、また国民の頭の上へかかってくるのですよ。そういうようなことがわからぬわけじゃないでしょう。この問題に対しては、通産省としても、私は重大な注意を喚起しておきたい、問題になっているのに、こんなことを黙ってさしておいていいのですか。
#84
○塩川政府委員 この石油たん白の試供品の御質問でございますが、それぞれ各国におきましても石油たん白の研究を進めておるように聞いております。したがって、鐘淵化学を中心といたしまして、日本でつくった製品を一応テストしようということで試供品の契約ができたと思うのであります。そこで、その当時の段階でみます場合に、軽工業生産技術審議会等に通産省もかけまして、これの安全を確認するということの手続もしておったのでございますが、御承知のように、こういう物資につきまして輸出を規制していく適切な法的な措置は実はなかった、現在もないりでございまして、それは法律の解釈いかんによって規制をかけようと思えばできる問題でもあろうと思います。しかし、先ほど申しました軽工業生産技術審議会にはかっておったところ、そういう経過もございましたので、試供品の輸出というものに対しまして十分な監視をしておらなかったということがいえると思うのであります。
 そこで、これが再び国内に製品として返ってくるかということを心配しておられると思うのでありますが、現在こうして問題になり、また先ほど厚生省なり、あるいは農林省なりにおいて、その安全性を十分にまだ実験しておらないという段階において、そういう製品が入ってくるということに対しましては、これは十分に押えていかなければならぬ、このように思うております。
#85
○島本委員 ただ、心配はそれだけじゃないのです。鐘淵化学ではもうすでに工場を建設して、高砂に四十九年の春に操業することを基礎にして、六十億かけて、そうして年産六万トンのプラントづくりをやっている。大日本インキは愛知の蒲郡に――これは中止するという話であります。もうすでに鐘淵ではこれをやっているじゃありませんか。堂々と海外まで出しているでしょう。今後、これだけの、六十億もかけてやったものを、そのままやめろといって、はい、やめますと言えるだろうか言えないだろうか。したがって心配だというのは当然国民の心配ですよ。こういうようなものをやらしておいて、そうしてあとからやめろといっても、これはなかなか――これは人畜に被害があるでしょう、そういうような点を黙ってやらしておくのが困るのだ、あとを引くのだ、ここですよ。
 ですから、こういうようなことに対しては十分関心を払っておいてもらいたいのです。そうでなければ、これはもう通産省でも工事を進めさしておって、場合によっては売れない品物をつくるために工場をつくらせるようなことがあったのでは、とんでもないことでしょう。こういう指導をするのは、とんでもない間違いでしょう。こういうようなことがあっては困るのですよ。
 したがって、厚生省は厳重に検査をする、試作品そのものを国の検査機関でやる、そうでなければならない。それだのに、これは六十億もかけてやる、これはもうばらばらでしょう。こういうことをするから心配だ、こういうことになるのであります。この点閣内では十分詰めておいて、こういうことのないように厚生大臣としても閣議にはかって、一致して国民の健康と生命を守るために、がんばってもらいたいところです。こういうようなこともやっているのですから、この点十分注意を喚起しておきたいと思います。
#86
○齋藤(太)政府委員 ただいま鐘淵化学がすでに六十億投資をいたしまして石油たん白の工場をつくっておるのではないかという御質問でございましたけれども、まだ工場は全然着工いたしておりません。現在この試作品がつくられております実験設備と申しますのは、鐘淵化学の隣に薬品会社の食品添加物の工場がございまして、鐘淵化学がこの原料でありますリボ核酸というものを製造して隣の工場にパイプで送っておりますが、そのリボ核酸の工場の定期修理の間を利用しまして、年に五、六日その工場を動かしまして試作品をつくった、こういうことでございまして、この石油たん白のための本物の工場というのは、まだ全然着工いたされておりません。
#87
○島本委員 次に厚生大臣に聞きますが、厚生大臣に入る前に、いまの答弁によって、その以前にさかのぼるけれども、鐘淵で閉鎖性のもの、また開放性のもの、たとえばPCBの感圧紙、こういうようなものをいかに回収し、いかにこれを処理したか、それは何トンであるか、数量はどのくらいなのか、はっきりしたデータによってこれは出してもらいたい。このことを要請いたします。やってないはずです。これも資料として出してもらいたい。委員長いいですか。
#88
○齋藤(太)政府委員 最近までの回収実績につきまして御報告申し上げます。
#89
○島本委員 厚生大臣、先ほど言った食品衛生法四条の二の問題、これについてまだ釈然としないものがあります。というのは、いままで一言でいえば、参議院の社会労働委員会で、たぶんこれは田中寿美子委員だと思うのですけれども、石油たん白の安全性についていろいろ質問されておったようです。四十七年四月十二日です。浦田環境衛生局長は、石油たん白の安全性については、これは食物連鎖、一〇〇%の安全性を確かめて工業化してほしい、これを強く要請してきたところであり、今回の法改正で四条の二、これは法的根拠を得てやれる、こういうふうになるんだ、こういうふうにはっきり言っているわけです。ところが、本年の二月十六日に、消費者グループ代表、大高節子さんのようでありますけれども、いろいろ回答文書の中に、飼料であって、食品ではない。製造、販売については法的規制力はありません、こういうようにいっておるようであります。大体そういうようなことだと思うのです。
 そうすると、昭和四十四年から石油たん白を食品衛生調査会で取り上げて、食品衛生法の拡大解釈であっても国民のために正しいことをやっておったわけです。ところが、法にないときにさえもこれができたのに、法が改正されて、もう今度は拡大評釈しなくても事実上やれる段階になって、なぜ国のほうできちんとした見解を出せないのか。この辺は多大に疑問とするところです。
 それで、こういうふうな点からして、私は次の点を質問し、それに対する責任を明確にしてもらいたいと思います。これは法制局にも見解を聞いておいたほうがいいから、あとでこれははっきりさせますけれども、浦田局長によるところの回答、これは四条の二の規制の適用外であるということ。これは食品衛生法四条の二の、当時石油たん白ですか、えさといえども、これは法的根拠をもって規制できるものである、こういうような立法の理由、そうして立法の事実、欠くべからざる前提条件として出されて、議会はそれをオーケーしたことになっておるわけです。当然そのことに対しては異議ないのです。ところが、それを無視して回答を出したものであって、これは議会を錯誤におとしいれたことになるのではないか。もしそうだとすると、議会をだましたということになるのではないか。したがって、公務員として国会に対してこういうものを、二枚舌による答弁、こういうふうなことを言ったことは、どうしても許されない。この責任に対しては明らかにしなければならない、こう思いますが、これはどういうような考えですか。
#90
○浦田政府委員 先生のお説のように、石油たん白のような新たに開発されましたものについて食品衛生の見地から、どのように規制されるかという問題は、私が四十七年の四月十二日に、田中寿美子委員の質問に対してお答えいたしましたように、これは食物連鎖ということも考え合わせますと、きわめて慎重に考慮する必要があることは申すまでもございません。このような場合でございますが、これが単に動物の飼料として用いられているときには、従前では農林省におきまして単に飼料の登録を行なえばよろしいということで、食物連鎖を通じましての人の健康に及ぼす配慮ということは、十分にしていなかったということであろうかと思います。しかし厚生省といたしましても、これに関与する姿勢を示すということが国民の健康を守る立場からも痛感されておったところでございます。
 このような意味から答弁におきましては、たとええさの段階でありましても、厚生省はこれをチェックする姿勢を持っているということを述べたのでございます。たとえば法第二十五条第二項のところで従前なかった意見具申の権限を食品衛生調査会に与えたといったようなことも、そのあらわれでございますし、前向きにその問題に取り組むことを意図したものでございます。どうもそれが説明の段階におきまして多少第四条の二の禁止規定とも重複した点がございまして誤解をお招きしたことに対しましては、まことに遺憾にたえないところでございますが、第四条の二の趣旨は、あくまでも食品そのものについての規定でございまして、直ちに食料について適用されるものではないという点は、お含みの上ひとつ御了解願いたいと思います。
#91
○島本委員 あなたの言ったやつは全部ここに資料としてあるのです。参議院の答弁も、それからあなたの回答もあるのです。これを全部読み上げると時間がかかるから、このうちの回答では四の部分だけ言っているのです。それからあなたの言った答弁、これは読んだら長くなるから、いまかいつまんで言ったのです。そういうようなことをあなたは言っているのです。今度は規制しやすくなると言っているのです。それが突然として異変を起こして、今度は関係ありませんと言ってみたり、こういうようなことだから、これは国会を侮辱しているんじゃないのか。すなわち、立法の理由、立法の事実、こういうようなものに対して、完全にあなたの答弁は国会を錯誤におとしいれたものである、そういうようなことになるのです。
 こういうようなことをしてはならないし、あなたは責任があるはずです。あなた自身この答弁を自分で読みましたか。二枚舌というのは、わりあいにユーモアがあるのです。あなたのやつは完全に国会に対して侮辱しているのです。こういうようなことで都合のいいように解釈して行政を実施しようとするならば、これは国民の指弾を受けなければなりません。その意味で、これはもう責任は重大だと思います。いまの答弁では私は納得できません。
 大臣、こういうような答弁をしているのですが、これはもうゆゆしい問題です。
#92
○齋藤国務大臣 先般の食品衛生法の改正にあたりまして、広く国民保健上いろいろな問題を考えなければならぬのですよということで、食品衛生調査会のほうの権限も広げようといったようなことを頭に描きながら、何と申しますか、それをすぐ結びつけたような表現をしたかのごとく君にも思われますが、そこは多少今度は力んで、大いに国民保健のためにやりますよという姿勢を強調したあまり、多少言うたんじゃないかと私は思うのでありまして、(島本委員「あまり、というのは何ですか」と呼ぶ)――厚生省の責任姿勢を強調して言うた向きもあったと私は思うのでありまして、国会の皆さん方に対して侮辱しようとか錯誤におとしいれようとかいう大それた考えを第一、役人が言うはずはございません。ございませんから、そこはひとつその辺で御了承願って、こういうことは今後とも冷静に表現するようにいたさせますから、ひとつ、その辺はその辺で御了承願っておきたいと思います。
#93
○島本委員 たいがいならば、あなたと私の関係で個人的なものであれば、これは了解できるかもしれない。しかし、これは国会に対してです。国会に対して立法理由、立法事実、これを曲げているという点は、これはもう許されない。あなたも今度は国会議員として、国務大臣として、一官僚がこれをやったというなら、これは許されない事実です。これはもう曲げて――熱意のあまり、こんな問題じゃないです。したがって、これはどういうふうにして責任をとるのだ、これだけはもう明確にしておいてください。
#94
○齋藤国務大臣 その条項は、御承知のように、いままで食品ではなかったが、今度は食品になるといったような新規開発食品とかいうものの条文でございますね。私も読みましたが、そういうようなことで今後は、いままでは食品でなかったが、今度は食品になるというふうなものもあるではないか、そういうものについては、ひとつ厳重に検査をし、禁止までできるようにしようではないかというふうなことの説明の中で、こういうふうに厚生省も、国民の保健のためには大いに力を入れていたしましょうよという姿勢を強調したあまりのことでございますから、そこは先生十分御承知のとおりのわけでございますから、私も厳重注意しておりますから、かようなことのないようにいたしてございますから、この辺で御了承願っておきたいと思います。
#95
○島本委員 この責任の問題だけは留保をしておきます。
 これは四十四年十月の八日から、石油たん白に対しては厚生省では特別部会を設けて、そうしていまごろになって今度は、いまの答弁ございましたように、食品でないから権限外だとかなんとか言い出すのは不可能です。したがって、これは厳密な解釈であって、厳密に解釈すれば、たとえそういうふうなことであっても、社会的には不見識であります。これは行政上の不手ぎわとしてのそしりは免れませんよ。そもそもこの原因は、行政当局の態度の不明確なところと優柔不断なところにある。ここは厚生大臣は肝に銘じなければなりません。あなたの部下のそういうような不手ぎわが、こういうふうな混乱を巻き起こしている。そこをひとつ厳重に皆さん今後注意してもらいたい。よろしゅうございますか。
#96
○齋藤国務大臣 食品または食品に連鎖をするといったようなこういう問題については、ほんとうにこれは国民保健のために真剣に厳重にやらねばならぬ問題でございますから、そういうふうな私どもの強い決意を十分御了承願って、今後は国民のためにいいと思うことは、どんどん言うということで言いますから、ひとつよろしく御了承願っておきたいと思います。
#97
○島本委員 ではこの辺で、あとは新進に道を譲って、もっと鋭い質問を展開してもらいたい、こう思うわけであります。
 それで、今度は厚生大臣、東京都の知事のほうからもいろいろこの問題について、一千万都民の生命と健康に関することで今後もこういうような問題に対して会見して、いろいろ自分からも協力したいし、また要請もしたい、こういうふうに言っておられるようですが、これはお会いになったほうがいいんじゃないか、こういうふうに思います。それと同時に、今後国の機関はもちろんのこと、都の機関でも、これに対して協力してもよろしいという意思表示があるようですから、要請されたならば進んで会って、こういうふうな問題に対する前向きな解決をはかるべきだ、こういうふうに思います。この問題をいかように実施しようといたしますか、ひとつ御見解を明らかにしてもらいたいと思います。
#98
○齋藤国務大臣 都知事からお目にかかりたいということであれば、いつでもお目にかかりますが、何しろ国会でございまして、毎日時間が忙殺されておりますので、なかなか思うような時は得られませんが、私は積極的にお目にかかって、すべての人の御協力をいただいて、国民の健康を守ることでございますから、これは真剣に考えねばならぬ、私はかように考えております。
    〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
#99
○島本委員 では私は、これで終わります。
 まあこういうような問題は、いまいろいろ質問し答弁があったように、行政当局の責任というものの大きいことだけは十分に肝に銘じておいてもらいたい。このことをはっきり申しまして、私の質問は残念ながら、これで終わらしてもらいますが、まだ留保しておる問題もありますから、大臣においては、その後十分これに対する善処をしてもらいたい。それと同時に通産省のほうでは早くそれに対する資料を提出してもらいたい。このことを要請して私の質問を終わります。
#100
○田川委員長 田口一男君。
#101
○田口委員 先ほどから御質問がありました石油たん白の問題につきまして、多少ダブる面もあろうかと思うのですが、食品の安全確保という観点から特に三点ほど質問をしたいと思うのです。
 その前に、いままでのやりとり、それから今日までの石油たん白の問題の経緯、こういったものをずっとたどってみますと、一言にしていえば、これに対応する政府の姿勢というものが、どうも一貫性がないのじゃないかということを強く感じるわけです。通産省の発言であるとか、農林省の発言であるとか、そういったことについて一々私はここでは言いません。まして厚生省が――いままでによくいわれていたのですけれども、私はいやみを言うのじゃありません。一体企業のサイドに立つのか国民の側に立つのか、そういう批判も従来あったのですけれども、この石油たん白の安全性の問題について、やはりまだどうも一貫性がない。これは、昭和四十四年に厚生大臣が食品衛生調査会に諮問をしたということから、この問題が始まったのではなくて、これはもう御承知だろうと思うのですが、昭和三十三年に東大の応用化学学会ですか、そこで農芸化学においての第一回の発表があった。以来、その研究発表を受けて昭和三十五年から三十八年までの間、民間の各社が、先ほど名前があがっておりましたそれぞれのメーカーが、企業化できるかどうか、こういう問題について研究開発を始めたことは、これまた御承知だろうと思うのです。ところが、こういう経過を経て今日ではすでに、先ほどプラントの話も出ましたけれども、そういったメーカーはセミプラントであるとか、テストプラントという段階をすでに脱却して、もうコマーシャルベースに乗るかどうかということで、いまそういう乗せようという姿勢を見せていることは、ここ数日来の新聞を見ても御承知だと思うのです。こういった姿勢を見せておる企業に対して、関係各省といわれておる厚生省それから通産省、農林省といったところがこの企業化というものに対する許可条件をめぐって、どうも今日まで意見の一致を見ていない。これは先ほどの島本委員の御質問に対しても、はしなくも露呈をされたと思うのです。ですから、その足並みのそろっていないのは何かということを聞くのは、やぼかと思いますけれども、たとえば昨年の十二月に厚生省の食品行生調査会が答申を出しました。これは問題になっているのですから、あえて言いませんけれども、では通産省が軽工業生産技術審議会の中での石油蛋白部会で検討を進める、こういうことになっているのですけれども、この検討結果というものが一体どのようになっておるのか。さらに、工業技術院で石油たん白に対する技術評価ということについての検討も進められておると聞いております。一体こういう問題についての検討結果というものがどのようになっているのか、こういう点について、まず私は冒頭にお聞きをしたいと思いますし、同時に、これは巷間伝えられるのではなくて、それぞれの関係各省でいわれておる、最終見解のかぎを握っておるといわれる科学技術庁の石油利用微生物懇談会というのですか、これには通産、農林、写生の関係各省が参加をしておると聞いておるのですが、この石油利用微生物懇談会の見解というものはどのようになっておるのか、それをまず初めにお尋ねをしたいと思います。
#102
○塩川政府委員 軽工業生産技術審議会にはかったが、その結論はどうなのかということでお尋ねがあったと思います。
 審査いたしておりましたけれども、やはりこれは、事はそういう食料品関係にも影響いたすことでもございますし、単に工業技術だけの面だけでは解決できないということで作業を中止いたしまして、厚生省等の関係の機関で安全性を確かめてもらおうというふうに移管いたした次第であります。
#103
○田口委員 工業技術院は。
#104
○塩川政府委員 工業技術院のほうでどのような審査、実験をしてきたかということは、私ちょっとわかりませんので、確かめまして、すぐに返事をいたします。
#105
○田口委員 では、通産省のほうでは、いまお話しのように、事の重大性から厚生省のほうに問題を移した。したがって、審議会では石油蛋白部会というものが事実上消滅をした、このように理解をしていいのですね。
 そうしますと、今度は少し観点を変えまして厚生省の場合の食品衛生調査会の見解、それである程度――先ほどやりとりがあったのですが、もう一ぺん念のため確かめたいわけです。ということは、これはこういう言い方は調査会の先生方に対して失礼な言い方になると思うのですが、あの調査会の見解にもはっきり書いてありますように、メーカーから提出をされた資料に基づいて調査会というものの見解を示す、これは安全だ、こういうことなんですね。ですから、調査会独自でそのものを持ってきて、いろいろな方法で調査研究をやったということではない。そういう点で、はたして権威があるだろうかという国民の不信をやはり解明しなければならぬと思うのです。
 まあこれはいま中止になっておりますから、あえて言わずもがなでありますけれども、たとえば、いま通産省の政務次官がおっしゃったような石油蛋白部会の構成メンバーを見ても、専門委員八名のうち五名までが、いま問題になっておる大日本インキであるとか、協和醗酵であるとか、鐘化の役員であるとか、こういったメーカーの役員が石油蛋白部会の専門委員として入っておる。これは中止になったからいいようなものの、そういった事実があればあるほど、いま言った食品衛生調査会、これは確かに権威があるのでしょうけれども、国民の間ではなお釈然としない。しかも先ほど環境衛生局長が言われたように、これは役人の勇み足というような釈明もあったのですけれども、実験段階では安全である。しかし、それを生産に移した場合には、なお危険の要素があるかもしれないから、これこれこれこれの条件をつけますよといって、たしか五点ほど注文をつけておると思うのですけれども、その注文をつけて、はたして物をつくった。また物をつくったのをもう一ぺん検査をすると言っておるのですけれども、一体厚生省の過去の経験からいって、一たん認めたものが国民の健康をそこない、果ては命までそこなったというようなケースが何回もあるわけですね、チクロの問題にしろ、サリドマイドの問題にしろ。
 となると、結局は疑わしきはつくらせずということを言っておるのですけれども、これは実験の段階で安全であるけれども、つくる場合にはちょっとおかしいなという場合には、なぜ思い切ってそれはやめなさい、つくってはだめですよという強い姿勢というものが出てこないのか。結局企業から提出されたデータのあと追いで、それを追認をする。まあ格づけをしてやるようなものの、そういった調査会の機能では国民は納得しない。
 ですから、それを納得させるためには、調査会というものは権限があるのだということを大臣もお話しですから、ここまで問題になった以上は製造を禁止しなさい。これは監督官庁のいかんにかかわらず、いま言うことが一番必要ではないか、こう思いますので、その点についてあらためて大臣の御見解を承りたいと思います。
#106
○齋藤国務大臣 詳細は、必要によりましては環境衛生局長から答弁させますが、この結論を出すまでには食品衛生調査会の方々が安全性を確認するための基準をつくりまして、その基準に基づいてこういう条件でひとつやってごらんなさい。それをやるにあたっては、たとえば毒性の検査等につきましては大学の専門の方々に検査をわずらわしておると承知しております。そういうふうにこちらから安全性確認の基準を示し、それに基づいて、そしてつくっていらっしゃい。そしてまた、それと同時に大学の先生方にも検査をその過程においてお願いをし、そうしてまたその先生方の御指導をいただいてつくった材料をもとにして調査会が判断をした、そういうふうに承知をいたしておるわけでございます。
 そこで一応実験の中でこういうものができて、この過程も全部調べました。そうして一応安全だろう、こうはなったけれども、そのとおり今度試作品ができるかどうか、これが一つの問題ですから、そこで調査会が調査したいろいろな手順、それに従ってそのとおりやって持っていらっしゃい、今度は国家が責任を持った検査をやろう、こういうことにいたしておる次第でございます。
 なるほど業界から提出された資料ではありますが、その資料を提出せしめるにあたっては、そういう基準に基づいて専門家の方々や、あるいは大学の先生方にも指導していただいてでき上がったものだ、こういうふうに承知いたしております。
#107
○田口委員 それでは少し観点を変えまして、今度は農林省のほうにお伺いをしたいのですが、これも先ほど二、三やりとりがありましたけれども、新聞の報道に関する限り、なお飼料として期待を持っておるような記事が出ておりましたね。そこで、いま厚生大臣のお話にありましたように、製品になっても相当厳重なチェックをするのだ、こういうお話でありますけれども、今度は飼料という立場でものを考えた場合に、農林省畜産局のほうで――時間がないですから長々と説明はやめてもらって、あと資料を提出してほしいのですが、現在畜産関係の飼料も相当問題になっておる。これは二十三日にも畜産危機突破生産者大会ですか、そういうものがあると聞いておるのですが、確かに飼料の需給が逼迫をしております。
 そこで飼料事情全体についてあとで資料をいただきたいのですが、その中での全配合飼料、混合飼料というのですか、その混合飼料の中で動物性たん白を含む飼料の原料、それから植物性たん白を含む飼料の原料というものが、一体どういうものがあるのか。そして使用する全体の飼料の中に占める割合、たとえばトウモロコシが何%、大豆かすが何%とありますね、そういう割合で、動物性たん白と植物性たん白との占める割合というものは、どれくらいになっておるのか。その数字をちょっと数えていただきたい。
 同時によく計画ということがあるそうですけれども、あと五年たった昭和五十二年には飼料合計というものは一体どういうふうな伸びがあるのか。飼料のほうの需給。その中で、いま言ったたん白質といったようなものはどれくらいと見込んでおるのか。いまこの問題は石油たん白ですから、そういう中で石油たん白製品というものがどれくらい需要があるだろう、こういったところまで予測をしていられるのではないか。その辺の数字をまずお聞きをしたいと思う。
#108
○下浦説明員 私からお答え申し上げます。
 ただいま昭和四十七年の場合で申し上げますが、配合飼料生産が大体千六百五十万トン程度になろうかと思われます。その中で主原料でございますトウモロコシ、マイロ、これは約三分の二程度を占める五五%ないし六〇%程度だと思います。
 お尋ねのたん白質飼料でございますが、まず動物性たん白質原料でございますが、これは大かた四%程度の配合飼料比率ということになると思います。その動物性たん白質飼料原料の中では大部分が魚粉、魚かすということになっております。魚粉、魚かすの配合比率は三・八%くらいというふうな予想をしております。したがいまして、残りは牛脂でございますとかそういったような、ごくわずかなもので占められるということに相なるわけでございます。それから植物性たん白質飼料原料でございますけれども、これはいろいろ穀物にもたん白質は含んでおるわけでございますが、代表的なものとしてあげられますのは、大豆油かすというわけでございます。これは、従来は大体一〇%程度の比率ということで配合をされてまいったわけでございますが、昨今の魚粉、魚かす一の国際的な事情からいたしまして、最近ではその一配合率が若干上がりまして、一一%台程度に相なろうかと思うわけでございます。したがいまして、数量で申し上げますと、大体動物性たん白質飼料原料が五十万トン程度、それから植物性たん白質飼料原料が百七十万トン程度ではないか、こういうぐあいに考えております。
 なお、将来の配合飼料生産がどう伸びていくかという点については、実はまだ計測をいたしておりませんが、大体畜産物需要が引き続き強いということからいたしまして、かなり伸びるのではないか。来年度におきましては、これも予測でございますけれども、大かたの推測でございますが、四、五%程度伸びるかというような感じでございます。ここ二年ほどは、若干伸び率が落ちてきておるということでございますけれども、大体そんな感じを持っております。
 それから最後に、このいわゆる石油たん白の代替性の問題でございますけれども、これは価格との関連がございまして、一がいには申し切れないと存じますが、まず魚粉、魚かすの五十万トンの中で、輸入でまかなわれますもの、これに代替をされていく形態ではなかろうか。もし飼料として使われます場合には、こういうぐあいに考えておるわけでございます。輸入につきましては、これは大体四万トンないし十一、二万トン程度でここ数年間は推移をしてきておりますから、大体そんな程度のことかというぐあいに考えております。
 それから、なおこれもいま申し上げましたように、価格との関連がございまして、はっきりは申し上げられませんけれども、魚粉の価格が高いときには大豆かすへの代替ということが従来の経験則から申しまして言えるわけでございます。
 以上、簡単でございますが、お答えといたします。
#109
○田口委員 時間がありませんから、いま示された数字はあとで――これは社労ですから農林のほうにはお聞きをすればあると思うのですが、資料をひとつ整えていただきたいと思います。
 ただ、いま審議官が言われた、石油たん白は大体、輸入する動物性たん白、その辺に相当するのじゃないかという話なんですが、通産省のほうではこういう需要予測を立てられておると聞いておるのですけれども、石油たん白の昭和五十二年度における需要予測としては、大体百万トンから百十七万トン、背景として総合農政推進によって、畜産部門に力を注ぐからこのようなことになるだろう、しかも加えて水産業の漁場不安、公害による近海漁業の不振などが、将来における石油たん白製品の需要増の背景である。これは通産省が指導しておられる、ある業界紙にそう載っておるのです。したがって、いま農林省が言われたことと、その限りでは符節が一致するわけなんです。魚かす、大豆かす、フィッシュミールなどの天然たん白資源の自然減を見込んでおる。このように通産省のほうでは、石油たん白というものが飼料として占める――いま言った千五、六百万トンのうちの百万トンですから、比率にすればたいしたことはないというのですが、結局昭和五十年には、そういった量の需要があるのではないか。これは計算としては、私はうなずけます。
 しかし、ここでお尋ねしたいのは、農林大臣、お見えじゃありませんから政務次官にお答えをいただきたいのですが、一体今日の、たとえばさっきも言った、二十三日に畜産農家の危機突破大会というものがある。この一月に値上げをして、また三月、四月にもう一ぺん六千円か七千円、飼料を値上げしなければならぬという話も出ておるわけです。こうなってくると、畜産農家は立ち行かない。だから石油たん白で飼料をつくるのだという、そういう単純なものではなくて、このような飼料不足をもたらした農業政策というところに結局問題があるのじゃないか。魚が取れぬのです。取れぬようにしたのは一体だれなんだ。工場排水によって近海の魚が取れぬじゃないか、こういうことなんです。乱獲を放任しておいて、天然資源がなくなったから、じゃ石油たん白でやろうじゃないか。日本という地理的条件を考えた場合に、資源状態を考えた場合に、これはあまりにもむちゃくちゃな議論だと思うのです。
 御存じのように、この石油たん白の製品コスト、これは最近の記録はちょっと出ておりませんけれども、去年、おととしの資料では、キロ当たり九十円、いま魚かすはだいぶ上がってきておりますけれども、その当時には大体五十円から六十円、しかも石油たん白をとるN何とかというむずかしい名前のものがありますね、石油たん白のもと。それの単価がキロ当たり二十五円でなければ引き合いがとれない。ところが二十五円では売らないと言っておるのです、石油精製の会社のほうでは。そうなってくると、いまのような飼料事情だけに限って言っても、だんだん天然資源がなくなるような政策をやっていて、外国に依存をしておって、今度はまた外国に大きく依存しておる石油から石油たん白をとる。ことしは、石油はまた値上げをするだろう。そうなってくると、高い飼料、しかも安全性について不確かな飼料というものを畜産農家が無理やり買わされなければならぬ。そこで生んだ卵、やがて肉になったものを今度は人間が食ってたいへんなことになる。そういった農業政策といいますか、飼料に限って言うならば、飼料そのものに対する需要政策というものが農林省には立っていなかった。そして石油たん白が新しいから飛びつこうじゃないかという姿勢では、結局国民はたまったものじゃない。この辺のところをひとつはっきりしてもらいたいし、私は、もう時間がありませんから、最後に厚生大臣に決意のほどを示していただきたいのですが、そういう農業政策の貧困、飼料需要というふうなもりから見て、先ほど言っておられた――いや、それは飼料ですから厚生省の範囲の及ぶところではありません、何とかしなければならぬと思いますけれども、現行の立法範囲ではいかんともしかたがありませんということで、ここ二、三年を過ごしていくということであれば、これは食生活の食品の安全確保という点からたいへんな問題になってくる。
 ですから、厚生大臣は、厚生省の所管というだけではなくて、国務大臣でありますから、それぞれ政務次官もお見えになるわけですから、いま言った農業政策、飼料政策というところに抜本的なメスを入れて、変な、海外に依存をする石油を原料とする石油たん白に飼料源を求める、こういう態度はきっぱりやらない、そういう態度をはっきりと示していただきたい。この点についてどう思いますか。
#110
○中尾政府委員 お説非常にごもっともでございまして、私どもも全く同感でございますが、ただ農林委員会等におきましても、これは自民党がいるだけではございませんで、社会党その他の政党の各位も入られて、その見解も相当農林省当局では具現化して、とらえていこうという基本方針に立っておりますので、決して農林省当局自体が全く愚策の連続であるということは、私は必ずしも適当なことばではないと思っておるのでございます。
 実を申し上げまして、先ほどのたん白飼料の問題にいたしましても、先ほど審議官から答弁させましたように、動物性の魚かすあるいは魚粉は大体五十万トン、そのうちの数万トンを入れておるわけでございまして、ただ農業の一番の抜本的な病根と申しますか、それは相手が気象現象である。ですから、日本の海流が云々という問題と同時に、やはり輸入をする場合には、相当量外国に依存をする場合はあくまでも外国の品物を安く、しかも消費者にも安く手にはいれるような、そういう一つの連鎖反応的な体系を保った形において入れているわけでございますから、その点は何でもかんでも外国輸入に依存しているのではないのだという基本方針の中でお考え賜わりたいと思うのでございます。
 先ほど申し上げました動物性は大体四%、植物性一一%という割合に、たん白性の飼料は入れておりまして、審議官の申し上げたとおり、五十万トンが動物性、百七十万トンが植物性で入れているわけでございます。
 そこで、どういう形において農林行政においての対策を考えておるのかという点をひとつ私どもの資料に基づきまして御答弁させていただきますと、わが国の畜産物に対する需要は今後とも増加するものと見られておりますので、飼料全般についての需給規模も、これに伴って増大するものと私ども考えております。したがって、飼料全般につきまして国内需給体制の整備をはかることは、合理的畜産経営の条件整備の上からも、また飼料需給対策の上からも重要な課題であると考えておるわけでございます。しかしながら増大する需給規模について国内生産でこれをまかなうには、諸般の事情から非常に限度があるわけでございまして、そのかなりな程度を輸入に依存せざるを得ないというのが、先ほど私が申し上げた現況にあるわけでございます。しかし、それを何とか自給自足でき得るような方向に持っていくのが農業政策の根幹でございましょうから、その点については、できる限りの努力を払いたいと考えております。
 水産資源からの飼料原料である魚粉、魚かすなどにつきましてもさようでございまして、食用、飼料用等の水産物の用途別利用配分の適正化とか、従来廃棄されていた未利用資源の利用が豊漁あるいは不漁――豊作、不作というものに対する豊漁、不漁でございますが、これに影響される魚価の安定並びに公害防止などの見地から従来より供給体制の整備をあくまでも進めてきたのでございますが、今後も供給量の増大をあくまでもはかっていくという基本方針を述べてみたいと思うのでございます。
 大豆の問題にしても、そのとおりでございまして、国内産の大豆なども、まず食料品原料用大豆の相当部分をまかなうことができるように生産の振興をはかっていることは言うまでもございません。製油原料としての、言うなれば油分の強い大豆は当面は輸入に依存せざるを得ない現況でございますけれども、なお長期的見通しの上に立って、今後とも私どもは十分鋭意検討を続けるつもりでございますから、その点もひとつ御了解のほどこいねがいたいと思うのでございます。
#111
○田口委員 いまの飼料の問題について、これは農林水産委員会じゃないですから長々と私は言うつもりはありませんが、石油たん白との関連で、ただこのことだけを申し上げたいのです。
 それはいまいろいろと鋭意検討していただいておる、これは私わかります。しかし具体的数字を見た場合に、この農林省が出しておる水産加工統計、これを見ますと、昭和四十六年の資料しか実はまだ市販されていませんから、それを見ると、魚の漁獲量というものは年々伸びておるわけです。九百九十万八千トン魚の総漁獲量があった。そのうちで飼料にする、また肥料にする魚は頭打ちの状態なんですね。年々魚がたくさんとれておるにもかかわらず、飼料なり肥料にするほうの魚の生産は頭打ちじゃないか。そして輸入が落ち込んできている。これは昭和四十六年の農林省の水産加工統計ではっきりしているわけです。
 こうなってくると、この数字を見た限りでいえば、またさっき動物性たん白、植物性たん白の割合を示されましたけれども、本来ならば日本で一番需給の安定度の高いのは魚なんでしょう、飼料と見た場合に。その魚の動物性たん白の割合がいつの間にか大豆の植物性たん白に置きかえられて、その大豆も海外の需要によって入手が困難であるからといって、今度は石油たん白に置きかえようとする、こういうことになるでしょう、飼料の一連の動きを見た場合に。一体これは何なのか、何かメリットがあるんじゃないかという邪推さえしたくなるのです。
 ですから、いま政務次官がおっしゃられたように、飼料の問題についてのお話はわかるのですけれども、石油たん白という問題について疑念を晴らすなら、その動物性と植物性との割合の変化、魚がとれておるのに飼料のほうに回っていない。そして石油たん白をつくろうとする、しかも通産省ではプラント輸出をしておる。ここのところから、いま中止をしておるけれども、ここ二、三年、また五年、これは年限はわかりませんが、石油たん白の製造について拍車をかけていくような指導がされていくんじゃないか、こういう懸念があるわけです。
 ですから、その辺の解明はたいへん時間がかかるし、もう私の持ち時間もそろそろ残り少なくなったのですけれども、そういう点にまで国民は疑惑を持っておるのだから、国民の有用なたん白資源であるものを二、三の私企業の手にゆだねてしまうような、そういう石油たん白というものは全く製造を禁止すべきだ。それを国民の食生活の面からも、厚生大臣もここではっきりと明言をしてもらいたい。企業が中止をしたのだからいいでしょうじゃなしに、ここまで問題が大きくなった以上は、厚生大臣の責任で、また農林、通産のそういった状況から見ても、これはぴしゃっとやめさせます、こんなものつくったってだめじゃないか、こういう強い姿勢を示してこそ、国民のいまの厚生行政に対する期待にかなうことになる。そのことをはっきりとここで言っていただきたい。
#112
○齋藤国務大臣 私は当初から申し上げておりますように、食品両生法の適用のある食品とかそうでないとかということにとらわれることなく、国民保健上影響のあるものについては厳重に検査もします、調査もいたします、そして国民の健康を守るために今後とも全力を尽くす覚悟であることを、この機会に強く申し上げておきたいと思います。
#113
○中尾政府委員 おことばの質問に少し関連させていただきまして、一般の食料需要というものが昭和三十六年以降は、いささかなりとも胃袋に革命が起こったというほど食革命が起こったことは御承知のとおりかと思いますが、そういう意味で、いままで米だけ食べておった胃袋はいろいろな肉食、魚食に変わっていくということが生まれたわけでございまして、まことに一般的な言い方で失礼でございますが、食料の需要が非常に増大したということから、漁獲量の増し分もあるのでございますが、それがほとんど食料需要に食われていったということもございますし、いろいろと先ほど申し上げましたような天候の不順その他に問題がございまして、不手ぎわなことが続いておることは、まことに申しわけなく思っておるわけでございます。
 ただ、かというて、いままでのような観点からして、飼料が不足しておるから、したがってすぐに、それをたん白質の飼料分として石油たん白に切りかえていくという方途を農林省は考えているのではないかとお考えになられますると、これは私どもにとりましては、いささか早計の御判断ではないかと思うのでございまして、私どもはそういう気持ちは全くございません。そういう意味におきましては、厚生当局並びに通産当局とも十分に詰めまして、あくまでも食品衛生調査会等の示唆、並びにまたいまからおそらく生まれてくるかもしれません消費者団体までも含めました、そういうようなグループの見解というものを十分そんたくいたしまして、そして私どもは万民のための行政であるというあたりまえの基本精神を生かしていくかまえでございますことを、あえて付言させていただきまして、農林省の基本精神にかえさせていただきたいと思います。
#114
○田口委員 それでは、これは要望しておいて私の質問を終わりたいと思うのですが、そういう決意を伺いましたけれども、先ほども厚生大臣に申し上げたように、ちょっとことばが不謹慎なんですが、厚生省自体前科があるわけなんですね。チクロの問題がそうでしょう。それからタール系の色素の問題がある。安全性があるからといって一たん許可したものを使ってから、これはえらいことだといって製造禁止をした。サリドマイドもそうなんですね。これは安全性がありますよといって製造を許可して、それを市販をしたら、飲んだ御婦人方に奇形児が産まれた。あわててそれをまた禁止をした。ですから、この石油たん白の問題について、安全性について疑いがある。だからもう一ぺん、よりチェックしなきゃならぬという気持ちはわかるのですけれども、事は食べものなんですから、食べていつの日か奇形児が産まれた、いつの間にか変な身体になってしまった、さあしまった、禁止をしましょうでは、これはもうおそいわけです。
 ですから、そういう苦い経験、前科があるのですから、重々肝に銘じていただきまして、そうしてこの点については禁止の方向に持っていくということをひとつ決意してもらいたい。
 と同時に、これは要望をしておきたいのですが、こういう問題、これほどまでに騒いで――騒いだから言うのじゃありませんけれども、事国民の生命健康に関する問題でありますから、消費者、学者、それから企業、いま言った大日本インキ、鐘淵、いろいろあると思うのですが、そういった企業からそれぞれの公聴人を呼んで、一ぺん社会労働委員会としての公聴会というんですか、そういったものをひとつ開いて安全性を確かめてもらいたい、こういうことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#115
○田川委員長 田中美智子君。
#116
○田中(美)委員 これからわずか三十分ですけれども、石油たん白について質問させていただきます。
 先ほど当局のほうでメーカーが自主的に中止をしたと言われましたけれども、これはメーカーが自主的に中止をしたのではなくて、消費者が中止をさせたのだというふうに私は考えております。その裏に何があるかということは、今度の石油たん白の問題は、国民の安全を守るということでの国の姿勢が問われているところから問題が起きているのだというふうに思います。消費者が不安を抱くということは、政府のいままでの食品行政や公害行政のあり方から見ても当然なことだと思うわけです。政府がもし石油たん白が安全だというならば、その疑いをはっきりと明らかにするために積極的に疑問を晴らす行動をとっていただきたいというふうに思います。その点について二、三の質問をさせていただきたいと思います。
 まず食品衛生調査会がオーケーを出した飼料の問題ですけれども、この飼料は、実験の結果や、それからその結論が出ておりますけれども、実験の方法とか過程というものが明らかにされておりません。ですから、第三者がこの検査資料に基づいて、もう一度同じ方法で実験を再現し、また追試できなければならないものなのに、それが明らかにされていません。これをぜひはっきりと方法、過程を公表して学界や専門家の検討を求めるべきだと思いますけれども、その用意はあるのでしょうか。公表していただくことができるわけでしょうか。
#117
○浦田政府委員 食品衛生調査会で検討いたしましたデータの公開の問題でございますが、これは要約については、すでに公表を行なっておることは先生も御承知のとおりだと思います。決してこれは何も秘密にしておくということではございませんで、さらに詳細なものにつきましても適宜公表していく。また、もちろん学界での討論あるいは追試、こういったことについて、私ども調査会の御意向として決してこれを公表しないというふうには承っていないのでございます。
#118
○田中(美)委員 もう一度確認いたしますが、この検査の方法、過程は公表していただけるわけですね。
#119
○浦田政府委員 公表いたします。
#120
○田中(美)委員 わかりました。
 それでは、この食品石生調査会では、食品ではないとか飼料ではないとかいうようなことが先ほどから問題になっておりますけれども、こまかく言いますと、やはり食品というのは肉とか卵とか乳とかいうものになったものが食品だと思います。そうしますと、今度の調査会でやった飼料というのは、えさのほうが主になっているわけです。ですから、やはり人間の食べる肉や卵がどうなっているかという検査だけでなくて、それを人間が食べたときにどうだという検査というものが今度は全くなされていないわけです。
 これはやはり国民の疑問や不安を非常に大きくしていることだと思います。このテストをするのが食品衛生調査会の本来の任務だと思いますけれども、この任務が今度の検査の中では十分に果たされていないと思います。これを今後公的機関で検査をするという準備があるのか、お伺いしたいと思います。
#121
○浦田政府委員 食品衛生調査会で、飼料である石油たん白の安全性についての見解を――これは実は自主的にこの問題と取り組んでこの見解を示したのでございますが、その理由とするところは、まさにたとえ飼料でありましても、これを食べた動物の肉あるいは乳、卵等が終局の段階においては人間に入る。まさに人間の健康にそういった意味で影響があるということから取り組んだわけでございます。
 しかしながら、先生御指摘のように、従来この種のものが理論的に確かに人間のからだに入った場合にどうなるかというところを明白にして結論を出すべきであるかもしれませんけれども、従来この種の問題に対する私どもの基本的な態度といたしましては、いやしくも、いわゆる人体実験といったようなおそれのあるものについては、なすべきでないという考え方をかたく持っております。
 したがいまして、これをどのような手段でもって人体、健康への影響いかんということを確かめるかということが学界における一番むずかしい、しかも非常に重要な問題であるのでございまして、それらの点を踏まえまして、食品衛生調査会としては、まず二十二項目にわたる非常に厳重なチェックポイントというものを示しまして、それから先ほど大臣からも御説明ございましたように、重要な催奇形性の試験とか、あるいは慢性毒性の試験といったような問題につきましては、食品衛星調査会の専門の先生がみずから立ち会い、あるいは指導されるというふうなことでもってその結果についての公正、妥当性――学問上の問題でございますが、それをできるだけ確立するということと、それから従来の学問の手法を用いましてその結果、確かにこれは推論でございますけれども、人体への影響いかんということを結論づけるということでございまして、これはほかの分野におきましても全く同様のことであろうと考えているわけでございます。
#122
○田中(美)委員 もう少し私の聞いているところに焦点を合わせて、時間がございませんので簡潔にお答えいただきたいと思うわけでございます。
 もう一度確認いたしますが、私は人体実験をせよということではなくて、その肉や卵を食べた場合に、人間がどのような影響を受けるかということを――ほかの動物でもできるわけです。その検査が今度の調査会のあれではなされていない。今後する予定があるのかということを聞いているわけです。簡潔に答えてください。
#123
○浦田政府委員 従来食品衛生調査会ではその点についても十分検討しているのでございますけれども、さらに国としても、この問題に取り組むということを明らかにしております。
#124
○田中(美)委員 それでは、この検査が今後なされるということを確認して、次の質問に移りたいと思います。
 先ほどの社会党の方への御回答の中にありましたけれども、試供品の石油たん白が外国に輸出されている、こういうことを聞いたわけですけれども、これはいま非常に消費者の間にうわさとして流れているわけです。そのうわさの非常に大きなものの中に、先ほどありました台湾にウナギのえさとして送られているそうだというふうなことがいわれているわけです。これは試供品として向こうでテストをするんだということを言われましたけれども、国民はこういうことに非常に疑問を持っているわけです。不安を持っているわけですね。というのは、日本の輸入ウナギのほとんどは台湾から来ているわけです。そうすると、私たちは知らない間に石油たん白を食べた台湾のウナギを食べさせられるのではないかという不安があるわけです。
 このようなことが、どうしてなされるのか。先ほど法律上の規制がないというふうに言われましたけれども、法の解釈によっては規制できるとも言われたわけです。そこを今後どのように規制し、そういうようなことがないようにできるのか、その点をはっきり答えていただきたいと思います。
#125
○塩川政府委員 確かに台湾に試供品として五トン輸出しております。
 つきましては、こういう製品につきましては、それぞれの国でも輸入する際に、これが人体の生命等に安全であるかどうかということをやはりやっておると思うのであります。したがいまして、こういう情勢の変化といいますか、実験の結果等につきましても、それぞれ国際的に学会等で交流はあろうかと思います。ついては、台湾のほうでこれが実際どのように使用されているかということは、私のほうでまだ十分つかんでおりません。もしこのウナギに使われ、あるいはそのウナギが再度形を変えて日本に入ってくるということがあるとすれば、そういうものについての情報を的確につかんだ場合には、それなりに処置をきめていくべきであろうと思います。
#126
○田中(美)委員 つかんだ場合に積極的に講ずるのでは、もうおそいのであって、これはいままでの公害行政でさんざんそういうことがあったのです。PCBが母乳から出るということで、いま国民はたいへんおそれているのに、それさえ十分な回収がなされていない。起きる前にしなければならないわけです。ですから、その規制をいまのうちにしておかなければ――だから、あれだけの大きな国民の運動になっているわけです。この疑問を晴らすためには、いまどのように規制するか。国の中で安全性が確認されていないものを外に出すということは、これは国の力で規制できるわけですから、どのようになさるか、お聞きしたい。
#127
○塩川政府委員 これが確かに不安全で、人体に影響のある決定的なものであるということになれば、当然これは輸出禁止の対象になります。輸出してはいかぬということになりますが、そういう段階でまだなかったときに試供品として出てしまったというところに問題があったのでございまして、今後そういうものに対する検討の方向も考えなければならぬ、こういうことでございます。
#128
○田中(美)委員 今後検討するのではおそいのであって、いま国民は非常に不安に思っているわけですから、至急これは規制する。先ほど大臣がおっしゃったように、法律を解釈すればできると言っているわけですから、すぐしていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#129
○塩川政府委員 輸入についての具体的な措置は、私どものほうで検討いたします。
#130
○田中(美)委員 では、早急にしていただくということで、次の質問に移りたいというふうに思います。
 やはり国民の不安の大きなものの中に、石油たん白だけでなくて、いろいろな食品公害があるわけです。それでいまこの問題が食品であるか、飼料であるかというような責任のなすり合いの問題のように国民は受け取っているわけですけれども、それ以前に一体国が国民の健康に対して、どこで責任をとってくれているのかということを国民は最も聞きたいわけです。厚生省か、農林省かというような問題以前に、国は一体どこで責任をとるのか、安全チェックを一体どこでやるのかということを一番知りたがっているわけです。
 それで、たとえばいま使われております家畜の飼料の中に抗生物質が入っているということで非常に主婦たちは心配しているわけです。こういうものがいまどのようにチェックされているのかということをまず聞きたいわけです。そしてまた、アメリカでは、いま家畜の飼料の中に肉をやわらかくするために女性ホルモンが使われているというふうにいわれています。こういうものが、いずれ入れられるのではないかというふうな不安を持っているわけですけれども、一体これはどこでチェックができているのでしょうか、現在の段階で。お答えいただきたい。
#131
○下浦説明員 お答えいたします。
 抗生物質につきましては、まず薬事法によります規制が行なわれておりますほか、飼料添加物といたしましての規制を畜産局といたしましてやっておるわけでございます。この飼料添加物の規制につきましては、飼料添加物公定書というものを私どものほうでつくりまして、規格なり添加量の規制を行なっているという現状でございます。
#132
○田中(美)委員 どのような法的根拠でやっているわけですか、抗生物質の問題は。
#133
○下浦説明員 これは法的根拠に基づいてやっているものではございませんので、行政指導としてやっておるものでございます。
#134
○田中(美)委員 国民は行政指導というものに対して非常に不安を持っているわけです。はっきりと法律でそれを規制しなければならない、そういうところに不安があるわけですから。法的根拠をつくるというふうな用意はあるのでしょうか。
#135
○下浦説明員 ただいまのところは、そこまで考えておりませんが、将来におきましては、そういうことを検討いたさなくてはならないというぐあいに考えております。
#136
○田中(美)委員 将来ということではなくて、現在の抗生物質さえ十分に取り締まられていない、行政指導がされていない。そういう中でまた女性ホルモンが入ってくるのじゃないかという不安があるわけです。そういうものがバックになって、いまのところ、まだはっきりわからない石油たん白が出てくれば、また野放しにされるのではないかという心配があるということで、厚生大臣が立法措置を検討するというふうなことを言われているわけです。農林省ではそういう措置をしようという御用意はあるのでしょうかということをお伺いしたいわけです。
#137
○中尾政府委員 厚生大臣の御答弁のとおり、そういう立法化、新立法化の方向に基づきまして、当然これは人畜に害が及ぶという想定に立ったというよりも、現実的に――まだ現実に害が出てきているわけではございませんけれども、しかし、世論づけがそういう方向に向かっているわけですから、早急に、先ほど私が申し上げましたように、まあ言うなれば政治の根本である、基本は国民全般に及ぼす、というものに位を置いて考えていくという政治の第一要諦を十分そんたくいたしまして、取り上げたいと思います。
#138
○田中(美)委員 それでは厚生省でも農林省でも、この安全チェックのできるものは法的にきっちりとしていく方針ということを確認して、次の質問に移りたいと思います。
 石油たん白の問題がこのように複雑な状態で大きな社会的な問題になったという根本は、一体どこにあったかということを考えてみますと、私はやはり検査のあり方にあったというふうに思います。そこからいろいろな疑問が出てきたのだというふうに思うわけです。それは会社側の検査資料というものを調査会がうのみにしたというところから国民がいろいろな不満を持ち、そういうところからこういう問題が大きく発展していったのだというふうに私は思います。この調査会のあり方というものの問題をもう一度考えてみる時点に来ている。これは大きく国民も要求していることです。
 いまの調査会のメンバーを見てみますと、四十七人中、消費者代表といわれる方はほとんどいない。一人くらいで、ほとんどいないということが、やはり非常に消費者が不満を持った点だと思います。この調査会の中に消費者の代表メンバーを加えるということをどうしてもしなければ、国民の不安というものは、疑問としてとれないというふうに思うわけです。調査会の人選を公平にするということと、その運営を民主化するために、この調査会のメンバーをやはり国会が承認してきめるべきだというふうに思いますが、大臣の見解はいかがでしょうか。
#139
○齋藤国務大臣 食品衛生という問題は、非常に専門的、科学的にやるべきものであります。国民の健康に関係する問題でございますから、理論的に科学的に冷静にやらなければならぬ問題でございます。そういう観点から消費者代表、もちろんその中には専門をお持ちの方もおありでございましょうけれども、一般にいわれる消費者代表の中に、そうしたりっぱな科学者がおられる――失礼ですよ。失礼ですが、イコールそうであるとは申せませんので、そういうことより、むしろ科学者なり、そういうものを中心にして科学的に研究をしていただくということが望ましいのではないか、こういうふうに考えております。
#140
○田中(美)委員 消費者の中にそうした科学的なことをできる人が少ないであろうから――そういうことでしょうか。
#141
○齋藤国務大臣 お答えいたしますが、消費者代表イコール科学者という前提に立ってはものを考えるべきではない、こういうことを申し上げているわけでございます。
#142
○田中(美)委員 それでは国の政治というものは、だれがやるのかという観点から見まして、国民がいまこれだけ大きな不安を持っている、そういう国民の力というものが今度メーカーの製造を中止させるというふうな力にもなっているわけです。これは消費者がそうしたのだと思います。その代表をその中に入れるということは当然なことだと思いますけれども、どのようにお思いになりますか。国民は、消費者はそういうことは考えなくてもいい、偉い厚生大臣にまかしておけばいいということでしょうか。
#143
○齋藤国務大臣 私どもの考え方は、すべて国民の健康を守る、もうすべて厚生省の行政というのは国民的サイドですよ。そういうサイドに立って科学的に調査するということでございますから、その点ひとつ御了承願いたいと思います。消費者代表イコール科学者というふうには私は理解しておりません。
#144
○田中(美)委員 学識経験者というふうなことで、この間の調査会の改革のときに企業側の人たちを抜かしたというようなことを聞いておりますけれども、今度の中を見ましても、この石油たん白関係者は非常に企業側に近い人が多い。そういうところに国民が不安を持っているわけです。科学的というのはどういう意味なのかわかりませんけれども、調査会を科学的に運営するということは、これは消費者に選ばせる、われわれの代表を選ばせる、そういうことを私どもは主張していますし、国民もそれを主張しているわけです。それに対しては、どのようにお考えでしょうか。
#145
○浦田政府委員 先生御案内のとおりに、昨年の通常国会で食品衛生法の一部改正の際に、やはりその食品衛生調査会の中立性といいますか、そういったものを確立する必要があるということで、これまでございました三者構成のような意味合いにとれる条文を改正いたしまして、食品衛生調査会の委員は学識経験者という一本にしぼったわけでございます。
 そして、先ほど先生のおことばでございますけれども、それまで入っておりました、企業代表のようなふうに受け取られる方々については御辞退願っておりますし、またこの石油たん白の審議につきまして特別部会を編成いたしましたが、この委員の方には一人もそういった会社の方は入っておりません。いずれもみなこの方面の専門の研究員の方、あるいは研究所の研究員の方、あるいは大学の教授の方などでございますので、この点、あるいは多少御疑問が起こるのではないかと思いますので、明確にしておきたいと思います。
#146
○田中(美)委員 専門の研究者というところにやはり国民は疑問を持っているわけです。たとえば鐘化の研究所の学者であるならば、それは客観的な立場に立てる科学者であるというふうに、厚生省のほうではお考えの上できめられていらっしゃるのでしょうか。
#147
○浦田政府委員 いま仰せのような関係の方は一人も入っておりませんので、どうぞその点御安心いただきたいと思います。
#148
○田中(美)委員 それでは質問いたしますが、消費者の専門家というのは、なぜ科学的ではないのでしょうか。
#149
○浦田政府委員 この食品衛生調査会のいずれの部会、石油蛋白特別部会あるいは食品部会そのものにいたしましても、私は、常に先生方は公正な立場から審議しておられると確信しております。またそのような立場でこの委員の方々は、いわばわれわれはみな消費者の代表みたいなもんだからといったように、これはまあ雑談でございますけれども、そういうふうに申しておられますので、私は御懸念のようなことはないのではないかというふうに思います。
#150
○田中(美)委員 懸念が起こったから、私はこの調査会の問題にできるだけ時間をさきたいというふうに思っていたわけです。国民はいまこれに一番問題を見ているわけです。調査会が国の予算で、国家機関であの調査をしたのでしたらば、このような疑問も起きなかったと思いますけれども、ああいう企業側から出された資料を調査会がうのみにしたというところから疑問が起きているわけです。
 ですから、やはりこの調査会の中のメンバーというものを、国民が納得する人を選ぶということを最初から根本的に改革していく必要があるんではないか。これが一番国民の不安を取り除く問題だというふうに思います。
#151
○浦田政府委員 おことばを返すようですけれども、食品衛生調査会のほうで、この石油たん白の問題について、企業側から出されたデータをうのみにしたということでは、さらさらないと私は考えております。
 まあいきさつを申して恐縮ですけれども、この問題はあくまで、法律上の問題はともかくといたしまして、食品衛生調査会のほうから問題を投げかけまして、食品衛生調査会のいわば自発的な、積極的な行動として取り組んだ問題でございます。したがいまして、そのようにまじめに誠意を持って審議されたものでありますし、まして企業側のデータをそのままうのみにしたということではないので、先ほど私が先生の御質問にお答えした繰り返しになりますので申しませんけれども、十分に公正、中立性というものは確保できておるというふうに思います。
#152
○田中(美)委員 うのみにしたというふうに国民は疑いを持っているというように私は言っているのであって――事実、明らかなことはわかりませんけれども、国民はそこに疑いを持っているんだ、その疑いを晴らしてほしいということが、きょうの質問の一番大きな観点なわけです。どのように疑問を晴らす努力をしていただけるのか。私の申しました努力というのは、消費者の代表を何人か調査会に入れれば、その疑いというものが相当晴らせるし、そしてそちら側がおっしゃるように公正になされているということも証明されると思うのですけれども、そういう努力はできないとおっしゃるのでしょうか。
#153
○浦田政府委員 いままでも十分そういった立場で、厚生省自体は国民の健康を守るという立場からいろいろと施策を進めていく、あるいは調査、研究をしていくという役所でございますから、十分そういった立場からもやってきたつもりでございますけれども、なお先生のおっしゃるような御疑念があるとすれば、十分にその点を踏まえまして、できる限り国民の皆さまからも疑惑を持たれないような運営、そういったように努力してまいるように、大臣あるいは調査会の委員等の方々とも御相談を申し上げながらつとめてまいりたいと思います。
#154
○田中(美)委員 それではいまの段階では、ただ努力をするということで、どういう具体的な努力を、さっそくにしてみるというふうな考えはないのでしょうか。
#155
○浦田政府委員 御信頼をいただけるようにつとめてまいるということでございまして、いままでもそうであったのでございますけれども、十分にそれが徹底するようにつとめてまいりたいということでございます。
#156
○田中(美)委員 その、いままでもそうであったということを申されますと、やはり国民はいままでが不安であったから、今後どうしていただけるかというふうに言っているわけです。そこをもう一度念を押したいと思いますが、いままでのことは国民の疑いを買ったわけです。ですから、今後どのように努力していただけるかということです。
#157
○浦田政府委員 石油たん白あるいは食品に限ってお答えすべきだと思いますが、これはあくまで石油たん白の問題について、そういったようなことがないようにということで食品衛生調査会のほうから積極的に取り組んだ問題でございます。いわば過去のわだちを操り返したくないという気持ちが、私は食品衛生調査会の先生方の中にあったものというふうに考えております。
 したがいまして、その問題に関します限りは、おことばを返すようですけれども、公正な立場を守ってきたつもりであります。しかしながら、残念ながらこちらのほうの国民の皆さん方の御理解を得るための努力が不十分であった。したがって、その点については今後皆さま方の御理解を得るように、また調査会というものが一体どういったものであるかということについても十分に御理解いただけるようにつとめてまいりたいという趣旨でございます。
#158
○田中(美)委員 それでは、時間が来ましたので、時間を正確に守りたいと思いますから、これで終わりますけれども、いまおっしゃったように不十分であったというふうにお認めになったわけですから、その不十分な点をどのように今後十分にしていただけるか。十分な検討をし、それを今後明らかにしていただきたいと思います。国民は、やはり食品衛生法四条二の改革のときの政府側の回答が二枚舌であったというようなことは、きょうも問題になりました。そういうふうなことも非常にありますので、今後もそういう二枚舌にならないように、不十分な点を十分にしていただくように努力していただきたいと思います。
#159
○浦田政府委員 先ほど島本委員のときにも同様な趣旨の御質問、お話がございましたが、このようなことになって、四条の二がそういうふうにできるというふうに、あのときの答弁を受けとめられるということ自体、率直に申しまして私案は非常にびっくりしたわけでございます。
 と申しますのは、少なくとも石油たん白の問題につきまして御理解いただけましたように、これは厚生省のほうから積極的に取り組んだ問題である、問題を提起したのであるということからもおわかりのように、終始私どもは法律あるいは権限といった問題を乗り越えまして、この問題に強い姿勢で積極的に取り組んできたつもりでございます。法改正以前には、実はこういった問題について世上あまり関心は率直に申しましてなかったようでございます。しかしながら食品両生調査会は、この問題について積極的に取り組むべきであるという見解を示され、私どももそれに踏み切ったわけでございますし、その当時でもこの問題について、はたして法的権限いかんといったようなことが食品衛生調査会の中で論議されました。しかし、それらを踏まえまして今度食品衛生調査会の権限の中に明確にこういった問題について、積極的に大臣のほうに意見具申ができる方途を開くべきであるということがございまして、前回の食品衛生調査会のほうには、それを踏まえて御審議をお願いしたわけでございます。
 したがいまして、私の真意は毛頭四条の二でもって法的な強制力を持った禁止ができるといったようなことを申したのではございませんで、そういう強い姿勢を持っておる。さらに一そう厚生省は今後ともこの問題について強い姿勢で臨むということを申し上げたのが、私の偽らない真意でございますので、どうかこの点については御了解願いたいと思います。
#160
○田中(美)委員 最後に一言して終わりにしたいと思います。
 昨年の三月に厚生省から出されました法改正の要旨というプリントがあります。その中には、法律になる前ですけれども、石油たん白についてというふうなことばが入っております。そういうものがありますので、毛頭ないというふうなことは考えられない。そういうところから、やはり国民は二枚舌ではないだろうかというふうな疑問を持っているということです。それをお伝えして、きょうの質問を終わります。
#161
○浦田政府委員 食品として万一石油たん白がストレートに市販に供せられる、提供されるというふうな場合に備えて、それを禁止できる、そういう条項でございます。はっきり申し上げますけれども、食品衛生法はその目的から申しましても、定義から申しましても、明らかに人間が食べる食品というものに限られていることは御案内のとおりでございます。したがいまして、私どもの真意はあくまで、むしろそういった立場を離れてでも、積極的に国民の健康を守る立場から、私は強い姿勢で関係の省庁にも働きかけ、また……(発言する者あり)そういうことでございましたので、真意は決してそのように二枚舌を使ったとか、あるいはだましてやろうとかいうことではございませんので、それはかねて私が申し上げていることを、ずっとお考えいただければ御了解いただけることじゃないかと思います。
#162
○田中(美)委員 それでは今後厚生省は改正の要旨などというプリント、刷りものの中に、われわれが間違えるようなそういう文章を書かないようにしていただきたいというふうに思うわけです。それから議事録の中にも、そのように思われるような節がたくさん出ている。そういう発言をなさるということが国民を混乱させる問題になったのだということを申し上げて終わりにしたいと思います。
#163
○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。
 本会議散会後直ちに再開いたします。
    午後一時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時七分開議
#164
○田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 休憩前の質疑を続けます。寺前巖君。
#165
○寺前委員 私はきょうは二十五分程度ですから、程度が程度でございますので、この間の大臣の所信表明に対する一般的なお話として聞きたいと思うのですが、何といってもこの間うち国会が停滞した理由というのは、例の円・ドル問題でストップになったわけです。これは収入の側からの面と支出の側からの面において、予算上これが重大な問題になるのじゃないかということが中心になって、予算委員会のほうがとまってしまうという事態が起こったと思うのです。
 そこで厚生大臣にお聞きしたいのですが、この円・ドル問題がもたらす内容を厚生予算の上において検討する必要はないのかどうかということについて、厚生大臣の見解を聞きたいと思います。
#166
○齋藤国務大臣 御承知のように昭和四十八年度の予算は、福祉優先の予算をつくろうということで出発いたしておりまして、特に私が申し上げるまでもなく、日本の社会保障というのは一番おくれているのは、やはり年金でございます。この年金の額を高めまして、西欧諸国並みの社会保障に持っていこうという出発点を築かなければいかぬ、これが四十八年度の予算の最重点であったわけでございます。したがって、私どもは今後ともこういうふうな方向で進んでまいりたいと考えておるのでございまして、そうした計画の中で、さらに先般経済企画庁が御承知のような五年間の長期計画をつくりましたので、それをもととして来年度の概算要求までに一応の各論的な年次別の社会保障の計画を実行する計画をつくりたい、こんなふうな手順で考えておるわけでございまして、先般予算委員会が再開せられるにあたりまして、総理は、福祉政策に転換をしていかなければならぬということを仰せになりまして、私どもから言わしむるならば、四十八年度の予算は、まさしくすでにそういう方向で築かれておると考えております。
 しかしながら、ああいう総理の御発言等もありましたので、私どもは、今後五カ年間の年次別、各論的な計画を立てるにあたりましては、五年というのは十分でない。できるならば四年半くらいで完成というふうな必要があれば、精力的につとめてまいりたいと考えておりますが、今回の円・ドル問題によって、いま直ちにこれをこうしなければならぬというものは、いまのところないのではないか。できるだけ早い機会に、まず四十八年度の予算の成立に御協力をいただきまして、西欧並みの福祉政策というものが実現できるようなスタートにさしていただきたい、こんなふうに考えておるわけでございます。
#167
○寺前委員 円・ドル問題はさしあたって影響がないのじゃないかという御発言でしたが、それじゃちょっと大臣聞きますが、たとえば生活保護、これは去年よりも一四%増を考えているのは、これは物価高を一定の率考えたのでしょう。計算に入れて一四%というのが出てきたのでしょう。物価上昇を何ぼと考えて一四%という事態をつくったのでしょうか。
#168
○齋藤国務大臣 御承知のように、生活保護の基準は、来未度一四%上げる。これにつきましては、御承知だと思いますが、物価上昇は経済の見通しとして五・五というものを見込み、さらにまた消費生活水準が一三・八上がるということを基準としまして、御承知のように一四%上げる、こういうふうにいたしたわけでございます。
#169
○寺前委員 そうしたら、それに新しい円・ドル問題で変化が生まれないのですか。五・五%の物価上昇という基礎の上に、いまも言われたところの一三・何%というファクターも入れて、そうして計算方式をもって計算するわけでしょう。これは前に計算した計算方式であって、今度の円・ドル問題がもたらす結果というのを、それに対して加味する事態ということは生まれるのか生まれないのか。生まれるとするならば、憲法に基づいて最低生活の保障をする上において、一番大きな基準になってくれるのが生活保護だということになってきたら、生活保護の問題というのは、緊急是正という問題を検討する必要が生まれるのじゃないか。だからあなたは、五・五%というのは円・ドル問題が今日こうなるということを計算に入れた数値として言われるのか。いや、それは新しい事態だと言われるのだったら、再計算が要るのじゃないか。それについてどう考えておられるか。
#170
○齋藤国務大臣 これは例年御承知だと思いますが、当初の経済の見通しというものを頭に描き、物価を五・五だとか五・四だとか、こういうことにきめていきまして、そしてそうした事態がどう動いていくか、それを見定めまして、まあ大体予定の線でおさめていくように、政府も物価を五・五と――なるほど世間では、あるいはもっと上がるかもしれぬという、こういう御意見も私はあると思います。けれども、政府としては政策努力を加えて、何とか五・五に食いとめなきゃならぬ、こういう政策努力を加味した五・五であると思いますから、私としては、大体そういう方針に基づいてきめるのが適当ではないかというので、一四%というものでけっこうじゃないか、かように考えております。
#171
○寺前委員 政策努力といったって、円・ドルの問題については、国際的な問題が日本の中に入ってくるのだから、いやおうなしに変化がもたらされるというのは当然のことであって、現にこの前のドル・ショックのときに、たとえば生活保護の問題について言うならば、あれから急速にまた生活保護者がふえているという事態も、事実存在しているわけですよ。そういうことを勘案した場合に、員数の面においても勘案しなければならないけれども、すでにきめたところの生活保護費の内容そのものにしても、今後途中の段階において――これは待ったなしの生活上の問題ですから、待ったなしの問題として、途中においても検討を要するという場合には検討しますという態度を政府はとらなかったら――これは税収の財源問題が、どうにもこうにも計算はいますぐできないという問題とは違って、生活保護の問題については、新たな事態が生まれたときには、年度途中にあっても検討しますという態度をとらなかったら、国民に対する厚生大臣としての責務はとれないのじゃないか、そこの決意のほどを私は聞きたい。
#172
○齋藤国務大臣 御承知のように、円・ドル問題がどういうふうに物価にはね返ってくるか。生活水準がどういうふうに変わってくるか。いまさだかに申し上げることもできないのであります。そういうふうな事態でございますので、いまどうなって、こうなったらどうなる、ああなったらこうなるということの答弁を差し控えるのが適当ではないか。むしろ経済見通しにありまするような五・五、これは非常な政策努力目標というものを掲げておる数字ではございますが、一日も早くこの予算の成立に御協力をいただいて、そうしてもう少し事態の推移というものを見たいと考えておる次第でございます。
#173
○寺前委員 あなた、ほんとうにもっと真剣に考えてもらわなければいかぬと思うのは、日銀が二十日の日に、第二次製品は急ピッチに物価騰貴が起こっておるということを発表していますよ。だから、そのことはたいへん急速な物価上昇、当初考えておられたよりも早い勢いで物価上昇が生まれておる。だからいま予算に組んできた内容自身も、これは明らかに近い将来には検討を要する段階が来るというぐらいの、私は、国民生活の問題に対する責任の問題から大臣に決意をしてほしいと思うのです。
 それにしても、私は、最近、この七日の日に――おとうさんはすでに十二年前に病死してしまった。そうして、おかあさんは十年前に精神病院に入っておられる。残っておるのは、十八歳のねえさんと中学校三年生のお二人だ。それが四畳半のアパートで生活保護をもらって生活をやっているわけです。その中学三年生が自殺をしたという事件が起こっておるのです。これは新聞にも報道されました。最近中学生の自殺問題というのは、かなり広範囲にいろいろな事情から起こっていますけれども、ここで起こっておる問題は何かというと、こういうことですよ。
 結局この子は、非常にからだが弱いのですが、この子供がいよいよ中学校三年生の、いま二月というのですから、卒業期の前です。その卒業期を前にして――この学校の子供たちは全部で二百八十何名おると思うのです。そうしてそのうちで就職する者はわずか四名です。あとの子は全部高等学校へ行くことを希望しておるのです、まだ試験があれですから結果がどうなるかは別として。そうしてその四人のうちの二人までは、これはもうちゃんと縁故関係で就職がきまっておる。一人の子は就職がきまった。からだの弱いその子、そして家庭生活は、父親はいない、片方は精神病院にいる。非常に不幸な環境だ。その子だけが、諸条件からその就職がきまらないという非常に不安定な状態の中におるわけです。その子はついに、そのねえさんにやっかいになって今日まで育ててもらったのにというところで死んでしまっておる。昼間ですけれども、ガスで自殺してしまったのです。これは東京の話です。
 これは結局遺書やその他の面からずっと見ると、この子のいま置かれておる逆境に対してほんとうに疲れてしまった感じを出しておるのですね。ずっと調べてみると、生活保護をもらっておるわけですが、生活保護は一体何ぼもらっておるのかというと二万一千何ぼだ。なぜかというと、その女の子のねえさんが保育所へつとめて、そして月給をもらっておる。三万円程度の収入がある。そういうところから引かれて、二万一千何ぼだ。家賃は何ぼかというと、八千五百円、九千円ほどだ。残るのはねえさんのお金とその一万何ぼのお金、これでもって二人が生活をし、そうしてねえさんはそこから夜学の高等学校へ通っておるのです。この子も、せめて高等学校は夜学なりでも行かせなければとねえさんは思うけれども、ねえさんに甘えられないという気持ちでその子は一ぱいだった。そういう雰囲気の子供が生活保護の状態の中におるわけです。
 私はこの死んだ子をめぐって――ますます物価が上昇していくことは厳然たる事実だ。だから、こういう子供が生活保護をもらいながら生活をしておる実態において、私はこういうのは、先ほどから言うように、財源がどうこうという問題よりも、これは日常生活、待ったなしに生活をしなければならない問題だけに、手を打てる範囲は、やはり行政で手を打ってやるということが私は必要だと思う。このことをめぐって、生活保護基準そのものを何とかもう少し上げてもらう必要の問題が一面ではあると同時に、私はこの子の問題をめぐって、びっくりしたことが一つある。
 それは何かというと、そのおねえさんに収入がある。十八歳ですから、まだ未成年ですね。未成年者が自分が高等学校へ行くその資金を含めて、三万円弱の収入がある。その収入が生活保護から引かれるというのです。支出の中から引かれてしまう。それで未成年者控除というのは何ぼやと聞いたら、二千円だ。たった二千円分だけ、生活保護をもらうような御家庭だからということでちょっと世話をする。未成年者だけが生活しているのに、二千円の控除だけで一体、めんどうを見ているという話になるんだろうか。これはたいへんなことが行なわれている。いつからそういうようになっているのやと、ずっとたどってみたら、二千円の控除というのは、とうの昔の昭和三十八年からずっと変わっていない。三十八年からずっと変わらない。しかし、考えてみたら、物価が急上昇してきたのは三十五、六年ごろからです。それまでの年平均の物価上昇率から見ると、十倍以上の物価上昇率になっておる。この急速な物価上昇率の段階に、このような未成年者を控除するのを二千円だけで済ましておる。ようそんなことで済ましてきたな。私も政治家の端くれとして、ほんとうにこれは思想信条を乗り越える話だと思うけれども、文化的最低生活を保障するという面から見たときに、こんなやり方で今日までよう済ましておるなということを、ほんまにつくづく感じたのです。
 一つは、生活保護の基準のあり方において、今日の物価上昇の段階を考えたときに、緊急に途中においてでも検討するという決意を大臣に持ってもらいたいということ。それから、未成年者とか障害者とか、いろいろな角度で普通の人よりもハンディを持っている場合の、そういう方々の収入認定ですよ、こういう収入認定については、いままでのような差し引くというやり方を全面的に再検討してもらう必要があるのじゃないか。私はこの死んだ中学生のものを通じて、具体的に調べてみてつくづく思ったのです。これは法律を変えなくても行政的に処理できる話なんですから、控除を二千円で済ませておくというのを、直ちに再検討してもらって、大臣に率直に、すぐにやってもらいたい。私はその点について大臣の見解を聞きたいと思うのです。
#174
○加藤(威)政府委員 具体的なケースでございますので、私からお答え申し上げます。
 先生御指摘の事件は、確かにこの二月の七日に起こりました事件でございまして、私ども関係者といたしましても非常に心の痛む事件であったわけでございます。それで非常に特殊なケースでございますので、私どもさっそく調べたわけでございますが、こういう家庭でございましたので、ケースワーカーもしょっちゅうこの世帯とは連絡をとっておったわけでございます。どういう事情にあったかということを調べましたところ、確かにその父親は十数年前になくなっておる。おかあさんは精神分裂症で、これも相当長期にわたって精神病院に入院しておる。そして十八歳のおねえさん、それから十五歳の少年が一緒に住んでおる、こういう状態でございます。
 その収入は、おねえさんが保育所で働いておりまして、月給が三万二千八百九十五円ということでございます。したがいまして、そのほかに、こういう二人の世帯がありました場合に、まず生活保護としてどれだけのことが見れるかを検討いたしますと、生活費、それから母子加算というのがあります。住宅扶助、教育扶助、全部合わせまして四万七千七百四十五円が、こういう二人の子供の世帯の生活保護の最低基準でございます。それに対しまして――給与がちょっとさっき間違いましたけれども、おねえさん本人の給与が三万三千三百九十七円でございます。そのほかに賞与が出ております。賞与が十二月末に十二万円ばかり出ております。この賞与は六月にまた出ますから、五月までの収入として分割いたしまして月割りにいたします。そうしますと、二月になくなりましたが、二月分の保護費といたしましては、まず当人の給与が三万三千三百九十七円、それに賞与を月割りにいたしまして二万四千二百八十円ということになりますので、この世帯のおねえさんの月分の収入は、五万七千六百円という収入になるわけでございます。それから保険料とか、あるいは組合員費、あるいは夜学に通っております学費、あるいは交通費等一万八千七百二十五円というものを差し引きます。
 それから、先生御指摘のように未成年者控除がございます。これは確かに二千円ということで三十八年から据え置きになっておりますが、ただ問題は、控除する場合に、この未成年者控除だけではございませんで、基礎控除それから特別控除というものが全部加わるわけでございます。したがいまして、未成年でなければ、一般の基礎控除、特別控除だけでございますけれども、その上に未成年というものが入っている場合にはプラス二千円ということで、このおねえさんの場合の控除額は一万二千七百五十二円ということでございます。それで、二千円というのが固定されているという先生の御指摘、確かにごもっともでございますが、根っこになります基礎控除、これがやはり毎年スライドしてアップしておりますので、このおねえさんの場合には一万二千七百五十二円が控除になっておる、こういう実態でございます。したがいまして、生活保護費も二万一千円の支給でございますが、結果として、この家庭におきます生活費というものは結局四万六千三百五十七円ということで、非常に恵まれた生活ではもちろんございませんけれども、まあどうにかやっていける生計の費用であるというぐあいに考えます。
 したがいまして、この少年が自殺いたしましたのは、確かに家が貧しいということもあったと思いますけれども、おとうさんが早くなくなり、それからおかあさんは精神病院に入院している、そういう事態。それで性格的な、何といいますか暗いといいますか、友だちもほとんどいない、二学期もほとんど半分ぐらい休んでいる、そういうような性格的なものもあったと思います。自殺というものは、おとなの場合も子供の場合も同様でございますが、いろいろなケース、いろいろな条件が総合して自殺に追い込まれる場合が多いわけであります。そういったことで、私どもは必ずしも生活苦のためにこの少年が死んだとばかりは断定できないと思うのであります。しかし確かに生活保護の額というものが、食べるには一応食べていけますけれども、では十分かといいますと、私どもは必ずしも十分だということははっきり言えない段階でございます。そういう点も一つの原因にはなったと思いますけれども、しかし、もっとそういう家庭的な問題が原因ではなかったかというぐあいに考えておるわけでございます。
#175
○寺前委員 だから、私も先ほど言っているように、これは生活費だけがすべてではない。親がおらぬということが非常に大きなハンディにもなるし、それから病弱であったということも全部ハンディになる。それだけに、そういうめんどうを見てやれる雰囲気というものをどうしてつくってやるか、あたたかい態度がそこでは非常に大事なんだ。そういう意味で、未成年者の場合の控除を三十八年から二千円のままに据え置いておくというようなやり方は配慮が足らぬのじゃないか、そういう面一つ見たって。
 たとえば生活保護の問題について言うと、私は去年問題にしたのだけれども、児童福祉施設というのですか、親がおらぬようになった子供を収容する児童福祉施設がありますが、あの児童施設で、中学校を卒業したら、高等学校に行く段階の年齢の子供は全部おらぬようになる。それで施設を調べてみたら、それは高等学校に行くそういう予算が組まれていないからだ。いまは、大部分の子供が高等学校に行く時代なんだから、見てやりなさいという問題を去年提起して、今度の予算に入っています。その角度で生活保護の人を見てごらんなさいというのです。小学校、中学校の子供の義務教育へ行く場合の教育扶助はちゃんと生活保護にはあるのですよ。しかし、生活保護の中に高等学校に行く生活保護の教育扶助というものはないのですよ。
 ぼくはやっぱり考え方として、生活保護に対して、特に未成年者に対しての処理として、控除の問題に見られるように、あるいはまた教育扶助に見られるように、そこには世間の常識ではもう高等学校程度の教育を受けるというのが一般化してきているのに、そのことを加味するという制度になっていないことは事実なんで、だから私はそういう点で控除の問題といい、あるいは教育扶助の問題といい、これをしっかりと生活保護の基準の計算の中に入れるように改善してやる。ちょっとしたところにも私は改善の気持ちが出るときにこそ、全体としてそういうめんどうを見ていくという姿があらわれてきているというふうに思うのです。だからこんなものは法律を変えろという問題とは違うのだから、即時に私はやってほしいと思うのです。ちょっと大臣の意見を聞きたいと思います。
#176
○齋藤国務大臣 寺前委員の先ほど来ほんとうにお気の毒な御家庭のお話を承ったわけでございます。それにつけても最低生活をめんどう見るという生活扶助というもののあり方については、私どももほんとうに具体的にこまかい例を頭に描きながら、きめのこまかいやり方をしていかなければならぬということをしみじみ実は考えさせられておるわけでございます。来年度、今後十分そういうこまかい点について、こまかい配慮をしながら、改善すべきものは改善するというふうに努力をいたしたい、かように考えております。
#177
○寺前委員 それでぼくは、改善してもらいたい問題というのは、いろいろやはり出てくると思うのです。
 たとえば、今度東京都が独自で予算を組むのですね。たとえば児童手当を月額三千円にする、身体障害者手当を五千円にする、重症者手当を一万円組む、寝たきり老人で六十五歳以上の人に対して五千円出す、遺児手当を二千円組む。これは地方自治体は、それぞれが実態を見ながら、国の制度だけでは、これではほんとうにもたぬということを心配して、そういういろいろ手当を組むわけです。だから独自に心配して、そういう手当をそこに出すのに、これがまた収入認定をされてやられていくという形になるわけでしょう。
 だから私は、ほんとうに生活保護を受けなければならないということは、やはり一番基本的な最低生活を保障しようという問題なんだから、それだけでは不十分だということを地方自治体も認めて、こういう補うところの諸政策を行なうのだから、そういうものについては収入認定からはずすような、そういう措置を緊急に検討してもらわなかったら、これはさっきの円・ドル問題じゃないけれども、せめてできる手だてというのは、まず法律を変えなければならない問題と、変えなくても内部的に処理できる問題とちゃんと区別をして、厚生大臣の責任において、いま言ったようなそういう地方自治体が独自で考えている問題についても、これは緊急に検討して、収入認定に入れるというやり方はやめるというくらいのことを大臣ぜひ検討していただきたいと私は思うのですが、どうでしょう。
#178
○齋藤国務大臣 これは私が申し上げるまでもなく、御承知のとおり公的扶助でございますから、そういう場合には差し引く、これは私は一般的にそれでいいと思うのです。寺前委員も一般論として、しいてそう反対なさることはないと思いますが、具体的なケースになりますと、やはりいろいろこまかい問題たくさんあると思うのです。そういうことで厚生省としても、きめのこまかい具体的な問題について善処していくということが適当ではないか、こういうふうに考えております。もちろん私の省だけでやれるものもあると思いますから、そういう問題につきましては、私どもは常に前向きに検討をし続けてまいりたい、こんなふうに考えております。
#179
○寺前委員 もう時間があれですけれども、だから私は、一般的に考えるということでなくして、ほんとうに真剣に事態の解決のために、さっき言ったような問題なんかは即刻に検討してもらいたいと思うのですが、大臣、いいですか。
#180
○齋藤国務大臣 十分検討いたしまして、具体的に処理できるものから処理する、こういう基本方針は変わりございません。
#181
○田川委員長 坂口力君。
#182
○坂口委員 ちょっとかぜを引きましたために聞きにくいと思いますけれども、お許しいただきたいと思います。
 過去五年間の間に社会労働委員会だけでも看護婦問題というのは八回に及んで取り上げられております。きょうもお昼までに社会党の金子議員さんからお話がございました。たいへん大事な問題でございますので、あえて取り上げさせていただきたいと思うわけでございます。
 昭和四十一年三月、参議院におきまして時の厚生大臣の鈴木善幸さんが、昭和四十五年の時点で看護婦は充足できる、こうお答えになっておるわけです。もう少し詳しく申しますと、毎年二万五千人の増加ができる予定である。しかし、約一万人ずつおやめになる、したがって純増は一万五千人である。昭和四十五年にはベッド数が百二万、こう推定をして大体これで充足ができる、こうお答えになりました。また昭和四十三年十二月には山本委員に対して、昭和四十八年までには充足できる、こういう御答弁があるわけです。しかし現在の時点でも、なおかつ看護婦さんというのは足らない。充足されていない。このように何回か計画が立てられているわけでございますけれども、現実と計画の結果との間にいつも非常に差がございます。こういうギャップが何ゆえに生まれてくるというふうにお考えになっているか、その原因をどういうふうに把握しておいでになるのか、その辺からひとつお聞きをしたいと思います。
#183
○滝沢政府委員 先生御指摘の国会の御審議の内容について、その後の実態とあわせまして御説明申し上げますが、四十一年の時点での需給計画につきましては、医療法の一応標準でございます四人に一人という算出の根拠からいきまして、当時の病床が百二万、そうしますと、看護職員は二十八万必要とすると推定される。そのときに、結果としては、四十五年就業した看護婦の数は三十万九千ということで、当時の鈴木大臣がお答えになった計画は、四人に一人という標準をもとにいたしますと、達成できたというのが結果でございます。ところがその後の先生の、四十八年までにさらに計画を立てて、これに間に合わせるようにする、こういう御審議の内容がございましたが、四十年に、午前中に議論がございました人事院の判定が出まして、それを具体的に実施するためには、かなりの看護婦数を必要とするわけでございます。そこで大幅な増加計画というものを打ち立てたわけでございます。
 このために四十五年を初年度とする五カ年計画というものを立てまして、そうして看護婦の養成制度の改正を企図いたしまして、御存じかと思いますが、高卒一年で准看を養成するという法律の改正案を提出いたしたのでございますけれども、これが実現しなかったわけでございます。一方、人事院の判定が出まして、これを実施の段階が四十四年にいろいろ議論されまして、四十五年、六年、七年と――人事院判定は、直接には国家公務員である国立関係の看護婦の問題で、これがまた全体に、民間に及ぶわけでございますけれども、そういう一つの二人夜勤――二人夜勤というのは、先生も御存じのように、結局一つの看護単位を三交代でやる、なおかつそこに二人がおるという状態を確保し、しかも一カ月の夜勤回数を八日にするという計算をしますと、ローテーションからいっても、一看護単位十五人という数字が出てまいります。一看護単位が、一人夜勤の場合ですと、八日を確保するには、理論的には九人という数字が出てまいります。
 こういうようなことで、労働条件の改善という新たな事態の発生というものが、さらにこの不足に拍車をかけたといいますか、要するに、計画の上にそごを来たす大きな問題になる。したがって、ただいまはわれわれとしては、あくまで二・八体制、あるいは一看護単位ごとに全国の病院を看護単位でとらえまして、四人に一人という標準にとらわれずに養成計画を立てなければならないということになりますので、新たな事態を迎えておる。したがって、従来の御審議の経過、あるいは厚生省の計画そのものに、達成できた場面と達成できない状態というものがあるということでございます。
#184
○坂口委員 そういたしますと、看護単位のとり方というものが間違っていたために狂ってきた、こういう御意見でございますか。
#185
○滝沢政府委員 看護単位という考え方で、そこに二人夜勤、一人夜勤という問題が提起されて、それを具体化したのが四十五年からでございますので、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
#186
○坂口委員 そういたしますと、現在の看護単位のとり方ですね。その考え方でいきますと、今後大体どのくらい先に看護婦というのは充足されるか、その現在のプログラム、これについて、ひとつお答えをいただきたい。
#187
○滝沢政府委員 この問題は実はたいへんむずかしい問題ではございますけれども、われわれとしては当然、一つの行政を進めていく上に、その判断をし、必要性というものを踏まえていかなければなりません。したがって、先生のお尋ねの問題のうちの一部を、午前中の金子委員とのやりとりの中では、国立病院に限った数字としてお示ししたわけでございます。
 先生のお尋ねのわが国全体の看護婦養成計画といいますか、その二・八体制というものを踏まえて、どういうふうに計画していくか、この根本になりますことは、金子委員の御指摘のように、理想的な、あるいは責任のある看護体制というものは、私はやはり全看護単位が二人夜勤で、しかも労働条件からいっても、当面八日というものを確保したいと思います。
 そういうようなことでまいりますと、養成の上にかなり数字が増大してまいりますけれども、私たちは一応、全単位というのではなくて、一般病院は八割ぐらいの単位を二人にしたい。それから慢性疾患の、要するに医療法でいう、四人に一人の部分ではなくて六人に一人という部分がございますが、こういう慢性疾患の看護単位というものを、一応六割程度二人夜勤に持っていく。こういうような一つの仮定に立ちまして試算してまいりますと、昭和五十三年ごろに、いまから養成計画が順調にいった場合にほぼ見合うという、ちょうど四十五年のときの御審議あるいは四十一年のときの御審議と同じように、一つの仮定ではございますけれども、そういう仮定に立ちまして計画を立てますと、五十三年ごろを一つのめどにいたしたいということで、ただいま、われわれなりの行政判断ではいたしております。
 これに伴う養成計画というものは、いままでの予算あるいは各県の養成施設ができていく実態からいきますと、かなりの困難性が伴うのじゃないかというふうな感じは持っております。
#188
○坂口委員 けさ金子委員とのお話し合いのときにもお聞きしておったのですが、大臣も看護婦問題というのは非常に大事な問題である、これは急務の問題である、そういうふうにおっしゃっているわりには、順調にいって昭和五十三年というのはあまりにもおそ過ぎるのじゃないか。これは大臣のおことばと、この計画では全くうらはらではないかと思いますが、その点、大臣いかがでございますか。
#189
○齋藤国務大臣 けさも看護婦の充足の問題につきましては、金子委員のお尋ねにお答えをいたしましたが、いま日本の国民医療というものの供給体制全体を考えてみると、看護婦不足といいますか、これは私はほんとうに深刻な問題と実は考えております。国公立の病院、民間の病院、いずれも看護婦不足に悩んでおる。私どもも統計をいろいろ見たわけなんですが、先般も医務局長に、これだけの学校、養成施設に入っているんだから、これがみんな卒業して入っていただければ、相当いくんですね。ところが、入所いたしましても途中でおやめになるのが相当あるんです。それからせっかく養成所を出ましても、結婚その他の事情によるのでございましょうが、おやめになる方も多い。これはほんとうに私も頭を悩ましておるわけで、養成所の増設、収容定員の増加などを毎年やっておる。来年度でも、たしか四千人程度の増員の分を計画しておるわけでございます。
 そこで、この看護婦の問題は、こういう施設の数、入所者の数だけでは問題は解決されない。根本は、やはり待遇じゃないかということだと思うのです。そこで、実は急速来年度の予算編成でも、夜勤がたいへんだ、まあできるならば、先ほど来医務局長が申し述べておりますように、二・八勤務体制というものが私は望ましいと思うのです。それにはどうしてもまず夜勤手当を、いまのような三百五十円ではどうにもならぬじゃないか、何とかしようじゃないかということで、一千円というふうに増額をいたしました。しかし、これだけで問題はやはり解決しないと思うのです。金子委員がけさ御指摘になりましたように給与の問題、これはやはり何としてでも解決しなければならない問題だと思います。給与の問題ということになりますと、公務員の給与というものが一つのめどになるわけでございますので、私も人事院に対しましては、ことしのおそらく七月末か八月には勧告が出るのでありましょうが、看護婦の給与をもう少し考えてもらいたいということを申し入れをしたいと思います。
 なるほど御指摘のように、思うように充足できておりません。私もほんとうに申しわけないと思いますが、養成所の数ばかりふやしても、やはり問題は給与にあるということを考えまして、施設の数も大事ですが、そういう給与問題をからめて総合的に真剣に取り組んで努力をいたす覚悟でございます。
#190
○坂口委員 頭を悩ましていただくのは、たいへんありがたいわけでありますけれども、悩ましていただいて昭和五十三年では、あまりにもおそ過ぎる。いま大臣も、単なる学校をふやすだけではなしに、やはりその労働条件というのが一番大事になる、給与体系というのが問題になる、これはもうおっしゃるとおりでございます。そういうふうに大臣のほうからおっしゃいましたので、まことに基本的なことをお聞きして申しわけないのですけれども、結局は看護というものをどう考えるかということに、突き詰めていきますと突き当たるわけでございます。
 大臣にこういうことを聞いて、まことに失礼でございますけれども、看護というものについてどういうふうにお考えになっているか、ひとつお聞かせをいただきたい。
#191
○齋藤国務大臣 どうも坂口先生のような専門家にメンタルテストをされているような感じがいたしますが、やはり国民医療の上においては患者さんのいろいろなお世話をする、これはほんとうにとうとい仕事だと思います。
 私もかつて四、五年前に一カ月半も急性肺炎で病院に入院しておったことがありますが、やはり看護婦さんのあたたかい気持ちのお世話、これは私は非常に大事なことだと思うのですよ。まあメンタルテストをされているようなわけですが、このあたたかいお世話、私はほんとうにとうといと思いますね。それと、お医者さんの指示に従ってお手伝いをしていだくという、これは私は国民医療の上からいって非常に大事な職務だと思います。国民の中に、国民医療の完成のために、こういう看護婦さんにもう少し志望していただきたいなということをしみじみ思うのです。しかし、それには、さっき言うたようないろいろな問題を政府としても努力して解決してあげる、これが大事なことではないか、こういうふうに考えております。
#192
○坂口委員 大臣のおことばは、看護婦さん独自の機能というものが十分ある。看護婦さんというのは決して医者の手伝いをするだけのものではない、看護婦という独自の機能があるということを認めていただいたというふうに理解させていただいてよろしゅうございましょうか。
#193
○齋藤国務大臣 看護婦さんの職責というか、おつとめというものは、国民医療の上から高く評価さるべきものであると、私はかたく信じております。
#194
○坂口委員 これは金子先生の専門の部門でございますけれども、私どもも、看護というのは、患者、健康人を問わずに、その人その人の現状をよく知って、自分の力で立ち直れるように援助することにあるというふうに考えております。具体的にいえば、患者のふだんの状態、現状をよく観察をして、それで医師が診断をしやすくするその重要なデータを提供する場にある、あるいはまた、医師の診断、治療計画に従って、その人がどうすれば自分の力で生活ができるようになるかということを考えて手を差し伸べるものである。こういうふうに私考えております。大臣のお考えと一致しているというふうに理解させていただいていいと思います。
 おそれ入りますが、人事院の方、いまお着きになったところでございますので、お聞きいただかなかったと思いますけれども、看護というものについての御質問をいまさせていただいたわけですが、いま大臣がお答えになった、あるいはまた私が言いましたように、看護婦というものに対して、そういうふうに理解をしていただいているというふうに思ってよろしゅうございましょうか。
#195
○長橋説明員 看護業務の重要性については、おっしゃるとおりに認識しております。
#196
○坂口委員 これも、昼までの金子議員との間の問題で出ましたけれども、あるいはまたさっき大臣からお話しになりましたが、この給与体系の問題でございます。医療職(三)ですね、この給与体系で看護婦さんのほうは給与が支払われているわけでございます。この医療職(三)で供給されていることになっておりますけれども、この看護婦の賃金体系というのは、これができますとき何を基準にしてつくられたか、あるいは何と比較をしてつくられたか、人事院の方からひとつ御意見を賜りたいと思います。
#197
○長橋説明員 これは看護婦の場合にも例外ではありませんけれども、御承知のように、国家公務員の給与表をつくりますときには、これと同種の民間の業務に従事している人の給与を調べまして、それとの均衡、さらに、公務員でございますので、公務員部内のバランスというものを考慮いたしまして、給与をきめております。医療職の(三)につきましては、やはり同じような基本原則のもとに、民間の給与を調査してきめているわけでございますけれども、ただ、昨年の調査によりますと、医療職俸給表の(三)につきましては、若年層のところを一部除きまして、公称のほうが民間を上回っているという実情でございました。しかしながら、この点につきましては、そういった実態というものを踏まえながら、さらに、公務部内における従来からの均衡関係というものを考慮いたしまして、その俸給月額を設定しておるわけでございます。
#198
○坂口委員 医療の中の他のパラメディカルなスタッフと比べまして、たとえば栄養士さんだとか検査技師さんというような人と比べますと、大体三十代の前半でこういう人に抜かれるわけですね。そして今度は三十代の後半になりまして、高校卒のいわゆる事務の方に抜かれていく、こういういわば先細りの形になっているわけですけれども、こういう賃金体系というのが現在妥当であるかどうかということです。けさからの御意見にもございましたけれども、アメリカの場合を見てみますと、たとえば一般の大学卒でこれはもう年間ドルで七千三百十九ドル、看護婦さんの場合が九千五十三ドルから一万十三ドルの間、一般大学卒よりも高くなっております。こういうふうな考え方からいきますと、そして先ほど申しましたように、看護とは何かという考え方からいきますと、これは当然もう少し高くなってしかるべきものではないかと思うわけでございます。
 昨年十二月に雑誌「看護」に、人事院の給与局の清水さんという方が論文を書いておみえになります。これを見せていただきますと、看護婦の仕事は年輪が進んでもあまり変わっていかないのでというような意味のことが書いてございます。詳しく読ませていただきますと、「看護婦や教師のように一定の免許の制度があり、免許を取得している限り、それぞれの職員がほぼ並列的に同じような職務を担当するような職種の場合には、経験または勤続の短いものの場合も比較的に高い給与を受けることとなる反面、経験または勤続の増加による給与額の増加は比較的に少なく、いわゆる昇給も緩慢である。」こうお書きになっているわけです。こういう考え方で現在の医療(三)というものはつくられた、こう理解させていただいてよろしゅうございますでしょうか。
#199
○長橋説明員 一般的に申し上げまして、そういう免許資格を必要とするような業務に従事する方の給与については、これは民間も含めてでありますけれども、やはり最初のところは高く刻まれておりますけれども、勤続とか経験の伸びの割合には給与月額が伸びておらないというのが実情でございます。
 したがいまして、現在の医療職俸給表(三)につきましては、やはりそういう傾向を反映したかっこうになっておりますけれども、しかし、これはやはり大きな問題でございまして、私どもとしては、同じような職種、いわゆる免許資格を必要とするような業務に従事する方に対しまして、一定時期以降給与がダウンしていくということは、これはやはりいろいろな意味で問題だと思っております。したがって、今後はそういう点につきましては十分検討して改善をしていきたいというふうに考えております。
#200
○坂口委員 そういたしますと、これがつくられた時点におきましては、先ほど大臣も御答弁をいただき、人事院の方にも納得していただきました、看護というものに対する考え方が、非常に何と申しますか、医者の手伝いだというような考え方でつくられた――たいへん極端な言い方でございますけれども、いわゆる看護というものの深い理解なしにつくられた給与体系である――現在の皆さん方がお持ちいただいているような看護というものの認識の上に立った看護婦さんの給与体系というものは早急につくるべきである、そうしてその基礎となる看護というものに対する認識は、もうすでにその時点とは変わっている、こう理解させていただいてよろしゅうございますか。これは人事院の方にお願いいたします。
#201
○長橋説明員 やはり看護婦の処遇につきましては、国際的にもいろいろ事情の変更もございましょうけれども、しかし私どもとしましては、やはり現在の医療需要の増加ということとの関係におきまして、看護婦の充足問題というのは大問題になっております。それから仰せのとおり、看護婦そのものの業務についても再評価といいますか、より高度の認識を持つ必要があるということでございまして、そういうような気持ちの上に立って看護婦の給与問題について検討してまいりたいと考えております。
#202
○坂口委員 それでは、ひとつ早急にこの看護婦の給与体系というものは、お考えをいただきたいと思います。
 それからあわせまして、たとえば保険点数を見ましても、看護というものにつきましては、入院の場合には基礎看護料としてある程度認められておりますけれども、外来においては全然認められていないわけです。ここにもやはり看護というものを認めるか認めないか、看護とは何かということの問題かひそんでいると思うのです。これはけさの大臣の御答弁にもございましたし、あるいは申し上げて無理な点もあろうかと思いますけれども、厚生大臣のほうからひとつりっぱな看護婦さんを育てるという意味から、そしてまた患者さんが少しでもよりよい看護を受けていただくという意味から、一般外来における保険点数等についても御検討をいただくようにお願いをしたいと思いますが、この点いかがでございましょうか。
#203
○齋藤国務大臣 さように十分努力をいたします。
#204
○坂口委員 時間がございませんので、あれでございますが、そのほか、これはお願いだけにとどめておきますが、助産婦さんがたいへんに少なくなってきております。昭和三十五年から昭和四十六年までの間に二万四千二百十人も助産婦さんが減っております。四四%も少なくなっております。現在のところ、五十歳以上の人が六八・二%を占めております。四十歳以下が一一・三%でございます。これは昭和四十六年の数字でございますが、こういうふうにたいへん助産婦さんが少なくなっておりますので、看護婦さんの中でもこういう特殊なケースとして、特に今後この点にお力添えをいただいて、どんどん人間は生まれてまいりますので、いまなおかつ妊婦の方の死亡というようなものがかなりな率にございますので、短絡的に結ばれるものではございませんけれども、何とかしてひとつ最善の御努力をいただきたいと思うわけでございます。看護婦さんの問題、一応それまでにとどめさせていただきます。
 次に、先般大橋議員が予算委員会で血液のことを質問させていただきました。それを、全部お聞きする時間がございませんでしたので、引き続きましてお聞きをさせていただきたいと思います。
 献血といいますのは、不特定多数の傷病者に対して、反対給付を期待することなく血液を提供する。また、その血液は患者に対して無料または最小限度の金額で渡されるべきものである。これはもう万人の認めるところであろうかと思うのであります。日本の献血制度は、出すほうは無料でございますけれども、しかし今度は輸血してもらう場合には有料になってまいります。このことがいつもやかましくいわれる点でございます。近い将来、これは全額とはなかなか一ぺんにいかないまでも、保険以外のいわゆる自己負担分ですね、これぐらいは国で見るようにすべきではないかというように私、考えておりますが、この点いかがでございましょう。お考えをひとつ……。
#205
○松下政府委員 先生御指摘のように、現在の特に輸血に用います保存血は、そのほとんど一〇〇%が善意による国民の献血でございます。ただこれは、先生御専門でいらっしゃいますのでよく御存じのとおり、それを保存血にいたしまして実際に医師が使用いたします段階までには相当の経費を要しておるわけでございます。その原血につきましては、もちろん無償ということでございますが、その間の保存血の提供までに要します経費につきましては、これは何らかの形でまかなわなければならない。そういうところから、現在の薬価基準におきましても一応原価計算方式をとりまして、もちろん利潤というようなものはごうまっも含んでおりませんけれども、そういった最小限度の所要経費につきましての費用を計上しておる、そういう考え方でございますが、先生御指摘のような問題点もございまして、昭和四十六年度以来、この献血によってつくられます保存血の価格につきましては、原価計算によりますと、毎年その価格が高騰いたしておりますけれども、それにもかかわらず四十五年度の価格に据え置きまして、その差額につきましては日本赤十字社に対しまして国費をもって補助いたしまして、それによって安く保存血を提供するという措置をとっておる次第でございます。
 四十八年度におきましては、十六億円余りの補助金を計上して御審議を願っておるわけでございますが、ただ先生御指摘のように、同じ保存血の血液と申しましても、保険等で支払われる場合と自費による場合とでは、国民感情といたしまして、特に献血をされたような方というような場合に違いがあろうかと思います。ただ、いまの医療費の体系といたしまして、それを区別して計上いたしますことは技術的になかなか困難でございまして、そういった点は先生の御意見、私ども問題意識を持っておりますので、なお技術的な検討を続けさせていただきたいと考えております。
#206
○坂口委員 まあざっと試算いたしますと、約二十億くらいの金額ではないかと思いますので、これは厚生大臣、ひとつ御検討いただいて、出すほうは無料だけれども、もらうときには、えらいたくさん要るというような国民感情の残らないようにひとつ今後御検討いただきたいと思います。
 それから、いわゆる血液製剤の問題でございますけれども、先般これは大橋議員が少し質問をさせていただきましたが、昨年度の民間のメーカーによってつくられました血液製剤の原料というのは、どういうふうにして集められたか、この点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#207
○松下政府委員 四十七年度の資料は、申しわけないのですが、まだ集計ができておりませんので、四十六年度につきまして申し上げますと、血液成分製剤、それから血漿分画製剤の製造に使われました血液の――これは血液成分製剤については赤十字で使ったものもあるわけでございますけれども、約九万リットルでございまして、その内わけといたしましては、献血された血液のうちで有効期間切れ等で、こちらのほうの用途に回されましたものが約二万四千リットル、それから民間の血液製剤製造所で――これは公益法人のもの、それから会社組織のもの、両方ございますが、これは有償で採血いたしましたものが約六万六千リットル、そういう数字になっております。
#208
○坂口委員 私のほうのは一本二百CCのを何本という数字になっておりますので、多少違いますが、献血のほうから民間のほうに回されておりますものが、昨年一年間、四十七年の一月から十二月まで十六万八千八百十五本でございます。いま言われましたとおり、この民間のほうの、私のほうも昨年四十七年のデータはありませんので、私も四十六年のデータでございますが、四十六年には、民間では百三十一万三百四十二本がこの血漿製剤に使われているということになっておりますが、そちらの数字はいかがでございましょう。――なければよろしゅうございます。
#209
○松下政府委員 ちょっといま計算いたしております。
#210
○坂口委員 けっこうでございます。まあ間違いはないと思うのでございますが、そういたしますと、大体百十四万人分の血液が民間で入手されているということになるわけでございます。これは先般もちょっと話が出ましたけれども、一部を売血という形で行なわれているというふうに私ども聞いておりますけれども、その点はいかがでございますか。
#211
○松下政府委員 いま先生のおあげになりました数字は、私どもで調査いたしました数字の六万六千リットルとだいぶ開きがございますので、この点は、もう一度私どもも調査をしてみたいと思いますが、いずれにいたしましても、民間血液製造業者が、主として血漿分画製剤あるいは一部血液成分製剤もございますけれども、そういうものの原血として用いますのは、御指摘のように大部分が有償の、私どもの数字では率にいたしますと約七三%という数字になっておりますが、それが有償の採血でございます。
 これは先生御承知のように、血球返還採血を行なうというような特殊な要素がございまして、できるだけ血球よりも需要の多い血漿のほうの有効な製剤をつくりたいということになりますと、どうしてもプラズマフェレーシスを行なうという形になりまして、そういうことのために、かなり時間を要するというような要素もございまして、なかなか集団献血等になじみにくいというような点もあろうかと存じますが、実態といたしましては御指摘のように了解いたしております。
#212
○坂口委員 決して責めるわけじゃございませんけれども、薬務局のほうから出しております「血液事業の現状」がございます。この六ページを見ていただきますと、「買血によるものは四十三年三月をもってすでに姿を消した。」こう書かれております。これは一応保存血液ということで書かれたのであろうと思いますけれども、それからその八ページに「民間メーカーに供給している血液は、保存血液の期限切れのものを充てているが、その量は実製造量の二ないし三割にしか過ぎず、」こう書いてある。あと七、八割は売血だということは書いてないわけです。少ないほうの二、三割のほうは献血から持っていっております。しかし、多いほうの七、八割のほうについては触れておりません。たいへん巧妙に書かれておる。しかし、これは売血ならば売血ありとはっきり示すべきだと思いますが、その点いかがでしょう。
#213
○松下政府委員 御指摘のとおり、私どもも売血という問題につきましては非常に問題意識を持っておりまして、現在の採血及び供血あっせん業取締法をつくりました段階で、すでに売血によります供血者の健康被害というような問題が前提にありまして法律がつくられたわけでございます。三十九年の閣議決定におきましても、そういう悲惨な事実をなくするということを目的としておるわけでございます。
 ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、現在の特に血漿分画製剤の製造につきましては、なお献血のみをもって技術的にもなかなかまかない切れないというような要素があるわけでございまして、これは一つは採血方法の違いがあるということ、もう一つは献血が伸びたとは申しながら、なお実態としてはほとんど保存血の需要を満たすのが一ぱいというようなところが限度であるという、いろいろな事情がございまして、なお目的を達しておりません。
 したがって、私どもといたしましては、もちろん別段こういう広報資料で隠しているわけではございませんけれども、なお行なわれておるというようなことを公表することが、また心理的に職業的売血者をふやすというようなおそれもあるということで、やはりこういうものは堂々と大手をふって行なわれるような性質のものではない。ただ、国民医療上やむを得ない範囲においてこういうものが存在しておる、今後の努力によってできるだけ減らしていくべきものであるという前提をもちまして、こういうような指導をしておるわけでございます。
#214
○坂口委員 そういたしますと、これは四百tとって、その中の二百tは返すわけですね。四百tとって、いま大体幾らで売買されておりますか。
#215
○松下政府委員 この前の予算委員会の大橋先生の御質問にお答えをいたしましたが、六百五十円くらいということを申し上げておりますが、これはちょっと御説明が不足いたしたかと思うのでございますが、いまのお話の四百tを一応採血するという前提で計算をいたしまして、それを保存血分の一本二百tに換算いたしました価格でございまして、したがって、最終的に血漿二百tに換算いたしますと、その約倍額千三百円くらいの価格に相なっております。
#216
○坂口委員 私どものほうも調べましたけれども、千三百円から千四百円の価格で売買されております。どうでございましょう、これはうわさでございますので、私もそれ以上は申し上げませんが、献血でございますと月に一回、それ以上はとらない。それからまた血圧でございますとか血液の濃さでございますとか、いろいろの規定がございます。しかし月一回以上とられているというようなうわさがございますが、この点につきましてはいかがでございましょう、なければそれにこしたことはないわけでございます。
#217
○松下政府委員 この点はいま先生御指摘のように、採血回数につきましては、すでにもう採血及び供血あっせん業取締法の規定に基づきまして、その施行規則の八条の規定で最大限度一カ月に一回、それ以上は採血してはならないということを採血業者に義務づけております。したがって、供血者が月のうちにすでに採血をされておることを知りながら採血しておるという事態はもちろん絶対にございません。
 それからただ職業的とまでいきませんでも、多少仕事にあぶれる等の事情のために、もぐってくる者があるのではないかということで、これは昔から問題になっておる点でございますが、その点は私どもも厳重に指導いたしまして、また血液製剤協会でも厳重な申し合わせをいたしまして、まず身分証明書を持って本名であることをはっきりさせなければ採血の対象にしない。写真を持たせまして、写真等を照合いたしまして、実際に一カ月以内に来ておった者があれば、それは絶対に採血しない。さらに各血液採血業者を渡り歩く――いま数が減っておりますからかなり離れておりますので、そういうことも事実上できないと思いますけれども、なおそういう者を締め出すためにも各採血業者間で連絡をとりまして、そういう者を締め出す、それからもちろん比重の検査等も厳重な検査を行ないまして、できるだけそういう者はないようにいたしております。まず皆無といってよろしいかと思いますけれども、なおもしそういう者があるといけませんので、さらに厳重な指導を行ないたいと考えております。
#218
○坂口委員 これは大臣に最後にお願いをしたいわけでございますが、昭和三十八年くらいの最もひどいときには年間二百八十五万人くらいですね、三百万近くの人が売血をしていたわけでございます。最近でも形を変えて――私のほうの計算でいきますと、血漿製剤という名のもとに百万人からの売血が行なわれているということになるわけでございます。それからこういうような血漿製剤は、そういう場所で売買をされて、しかもそれからいろいろの製品がつくられて売られる、こういうことになっておるわけでございます。十三回の国際輸血学会においても、これはワシントンで行なわれたものでございますけれども、血液からは何者ももうけてはならない、こういうことが決議をされております。現在日本の献血制度といいますのは、国の定めております献血制度そのものも、使うほうには金が要るということ、そういう欠点がございます。
 それから、なおかつ、血漿製剤につきましては、このように人の血がもうけの対象になっている。これは文明国として、たいへん恥ずかしいことだというふうに思うわけです。早急にこういう点を解決をしてもらいたいと思います。ひとつ大臣の積極的な御意見をお伺いしたいと思います。
#219
○齋藤国務大臣 血液問題、私はほんとうに深刻に国民にも考えてもらわなければならぬ問題だと思います。売血は、何ぼ否定いたしても、現実あることはあるわけでございまして、私どもはやはり売血というものはできるだけやめるようにさせていかなければならぬ。それにはどうすればいいか。やはり国民の献血思想というものを普及させる、これが一つだと思います。それと同時に血漿分画製剤については、民間の施設に全部まかしているというわけでもありませんが、民間の方々のそういう御協力に多くよっておるわけですが、こういうことがいいのかどうか、私はそれは問題だと思うのです。やはりもう少し公な立場に立って――血漿分画製剤をやるには機械等の施設に相当金がかかるというふうな問題もありますから、そうなっているのでございましょうが、公の立場においてこういう問題を解決していくということもやはり一つの方法ではないか、こんなふうにも考えております。
 いずれにせよ、売血ということは好ましいことではありませんし、政府としても、できるだけそれはないように努力をいたしていくべきものである、かように考えております。
#220
○坂口委員 ちょうどいいところへ参りましたら、時間が来てしまいましたので、これ以上お聞きできませんが、(「いい質問だ、もう一問許す」と呼ぶ者あり)じゃ、おことばに甘えまして、もう一つ……。
 供給体制のことでございますけれども、現在使いますほうの血液の本数そのものはだいぶある。現在の段階では、この分画製剤を別にいたしまして一〇〇%に近づいてまいりました。あるいはもう一〇〇%になっているかもしれません。しかし、これを配給するルートというのは、まだ確立されていない、こういう現状でございますが、供給体制のことにつきまして何か積極的な御意見がございましたら、ひとつこの際お出しをいただきたいと思います。
#221
○松下政府委員 いま御指摘のように、供給体制は必ずしも全国一律の形では行なわれておりません。これは保存期間の短い、また緊急を要する保存血を主としての御質問であろうと思いますので、保存血を中心にしてお答えいたしたいと思いますが、現在日本赤十字につきまして調べてみますと、直接供給方式を採用しておるところ、それから委託供給方式を採用しておるところ、両者を併用しておるところ、それぞれの形がございます。一般的な医薬品の販売業に委託しておるような形のところもかなりあるわけでございますが、これはそれぞれ一長一短でございまして、医療機関の側から申しますとサービスが悪いと申しますか、注文しても時間がかかるとか、夜間に間に合わないとか、そういうような苦情もあるわけでございます。ただこういうような特殊の製剤でございますので、一般の医薬品と違いまして、常時豊富に備蓄して、すぐに配送するというようなこともできません関係もございまして、なかなか限度はあろうと思いますけれども、これは私ども現在問題点を詰めて、赤十字社とも話し合いをいたしておりますし、先日も血液問題の懇談会で専門家にもおいでいただいて打ち合わせをしておるわけでございますが、今後やはりこの配給の問題は、相当きめこまかい配慮をいたしませんと、せっかくの善意の献血が生かされないということになっても困りますので、もっと赤十字社、地方公共団体等と相談をして詰めてまいりたい。
 それからもう一つは、新鮮血液の供血の問題でございます。これは保存血ではまかなえない特殊な医療用に新鮮血液を必要とする場合があるわけでございまして、この点につきましては、すでに赤十字のほうからも各支部に対しまして献血の予約登録制度をとりまして、血液型をあらかじめ登録しておきまして、必要な場合にできるだけそういった方々にお願いして協力をしていただく。ただ、そういう場合おおむね日中になりまして、勤務等の関係で支障を来たすという点もございますので、こういった点は職場等の献血友の会などに呼びかけまして、できるだけ職場でも業務上並みの便宜をはかっていただく。ほかならぬ人命の問題でございますので、そういうような民間の方々、献血のみならずそういうサイドの方々にも御協力を得まして、もう少し円滑に進められるようにしてまいりたい、そのように考えております。
#222
○坂口委員 もう一問で終わらせていただきますが、最後に大臣にお願いしたいと思うのです。
 現在赤十字に対する国庫補助というものを年々増加をいたしておりますが、一部ではこのままいくと、だんだん上がってくるので、現在の一本千五百五十円という単価がまたつり上げられるんじゃないかといううわさが、ちまたに流れ始めております。大臣、この際少なくとも現在の千五百五十円という一本単価は上げないと、はっきりここでひとつお約束していただいて終わりにしたいと思います。いかがでございますか。
#223
○松下政府委員 これは事務的な経過を少し補足させていただきたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、もちろん血液の原価は考えておりません。ただ、これを血液製剤にいたしまして供給いたします段階では、相当の経費を要する、これは主として日本赤十字社等の人件費が一番大きな要素でございます。ベースアップも毎年あるわけでございまして、それをカバーしなければならない。その辺が原価に大きく反映するわけでございます。一方ではこれをまかないます経費が、先ほど先生、自己負担のものはという御指摘がございましたが、実は純自己負担というものが御承知のとおりきわめて少ないわけでございまして、全体の医療費の公費負担なり、あるいは一番大きな医療保険でまかなわれておるという実情でございます。したがって、その経費をどこで持つか、どこかで持たなければならないわけでございまして、それをどの部分まで国費で、一般の税金で負担するのがいいか、あるいはどの部分まで医療費全体の保険の中で持つのがいいかという問題になっておるわけでございます。したがって、これは全体の医療費の動向、それからベースアップの動向、そういうものを勘案いたしまして毎年予算の際に折衝いたしておる、そういうような状況でございます。
 したがって、四十九年度の予算の編成にあたりまして、そういった諸情勢、医療費の問題等も含めまして、いろいろと今後の変動も考えられる段階でございますので、十分先生の御意見も前提といたしまして折衝するようにさしていただきたいと考えております。
#224
○坂口委員 よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
#225
○田川委員長 次回は来たる二十七日火曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後五時二十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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