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1972/03/08 第71回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第7号
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1972/03/08 第71回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第071回国会 社会労働委員会 第7号

#1
第071回国会 社会労働委員会 第7号
昭和四十八年三月八日(木曜日)
    午前十時七分開議
 出席委員
   委員長 田川 誠一君
   理事 伊東 正義君 理事 竹内 黎一君
   理事 橋本龍太郎君 理事 山下 徳夫君
   理事 川俣健二郎君 理事 八木 一男君
   理事 寺前  巖君
      大橋 武夫君    加藤 紘一君
      瓦   力君    小林 正巳君
      斉藤滋与史君    住  栄作君
      高橋 千寿君    戸井田三郎君
      登坂重次郎君    中村 拓道君
      羽生田 進君    増岡 博之君
      粟山 ひで君    金子 みつ君
      島本 虎三君    田口 一男君
      田邊  誠君    多賀谷真稔君
      中村 重光君    村山 富市君
      山本 政弘君    石母田 達君
      田中美智子君    大橋 敏雄君
      坂口  力君    小宮 武喜君
      和田 耕作君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 齋藤 邦吉君
 出席政府委員
        人事院事務総局
        給与局長    尾崎 朝夷君
        行政管理庁行政
        管理局長    平井 廸郎君
        厚生省公衆衛生
        局長      加倉井駿一君
        厚生省医務局長 滝沢  正君
        厚生省医務局次
        長       信澤  清君
        厚生省薬務局長 松下 廉蔵君
        厚生省社会局長 加藤 威二君
        厚生省児童家庭
        局長      穴山 徳夫君
        厚生省保険局長 北川 力夫君
        厚生省援護局長 高木  玄君
 委員外の出席者
        議     員 中村 重光君
        外務省アメリカ
        局北米第一課長 深田  宏君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月七日
 辞任         補欠選任
  瓦   力君     森山 欽司君
  戸井田三郎君     西村 直己君
  寺前  巖君     松本 善明君
同日
 辞任         補欠選任
  西村 直己君     戸井田三郎君
  森山 欽司君     瓦   力君
  松本 善明君     寺前  巖君
同月八日
 辞任         補欠選任
  枝村 要作君     中村 重光君
同日
 辞任         補欠選任
  中村 重光君     枝村 要作君
同日
 理事寺前巖君同月七日委員辞任につき、その補
 欠として寺前巖君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
三月八日
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一
 部を改正する法律案(中村重光君外四名提出、
 衆法第四号)
同月七日
 社会福祉施設労働者の労働条件改善等に関する
 請願(高橋繁君紹介)(第九三一号)
 同(小川新一郎君紹介)(第九四四号)
 同(北側義一君紹介)(第九五六号)
 同(瀬野栄次郎君紹介)(第九五七号)
 同(山田太郎君紹介)(第九五八号)
 同(高橋繁君紹介)(第一〇一一号)
 同(竹入義勝君紹介)(第一〇一二号)
 同(沖本泰幸君紹介)(第一〇二七号)
 同外三件(小濱新次君紹介)(第一〇二八号)
 同(矢野絢也君紹介)(第一〇二九号)
 同(山田太郎君紹介)(第一〇三〇号)
 同(小川新一郎君紹介)(第一〇五三号)
 同外二件(高橋繁君紹介)(第一〇五四号)
 同(矢野絢也君紹介)(第一〇五五号)
 同(新井彬之君紹介)(第一一一六号)
 同(大野潔君紹介)(第一一一七号)
 同(北側義一君紹介)(第一一一八号)
 同(松本忠助君紹介)(第一一一九号)
 同(山田太郎君紹介)(第一一二〇号)
 保険診療経理士法制定に関する請願(根本龍太
 郎君紹介)(第九三二号)
 同(石井一君紹介)(第一〇〇一号)
 同(臼井莊一君紹介)(第一〇〇二号)
 同(小泉純一郎君紹介)(第一〇〇三号)
 同(佐々木秀世君紹介)(第一〇〇四号)
 同(坂田道太君紹介)(第一〇〇五号)
 同外十八件(地崎宇三郎君紹介)(第一〇〇六号)
 同(野田毅君紹介)(第一〇〇七号)
 同(藤尾正行君紹介)(第一〇〇八号)
 同(松浦周太郎君紹介)(第一〇〇九号)
 同(早稻田柳右エ門君紹介)(第一〇一〇号)
 同(石田博英君紹介)(第一一一四号)
 同(早川崇君紹介)(第一一一五号)
 社会保険診療報酬の引上げに関する請願(原健
 三郎君紹介)(第九三三号)
 同(石井一君紹介)(第九九〇号)
 同(河本敏夫君紹介)(第九九一号)
 同外二十二件(松本十郎君紹介)(第九九二号)
 同(小林正巳君紹介)(第一一二五号)
 せき髄損傷者に対する労働者災害補償保険の給
 付改善に関する請願(柴田健治君紹介)(第九四
 五号)
 同(臼井莊一君紹介)(第一一二一号)
 小児慢性疾患対策の強化充実に関する請願(下
 平正一君紹介)(第九五九号)
 社会福祉協議会の活動強化に関する請願外三件
 (奥田敬和君紹介)(第九八八号)
 厚生省栄養課廃止反対に関する請願(登坂重次
 郎君紹介)(第九八九号)
 歯科技工士の免許に関する請願(萩原幸雄君紹
 介)(第九九三号)
 同(矢野絢也君紹介)(第一〇二六号)
 同(大西正男君紹介)(第一一二六号)
 (黒金泰美君紹介)(第一一二七号)
 同(橋本龍太郎君紹介)(第一一二八号)
 診療放射線技師の養成制度改善に関する請願
 (島本虎三君紹介)(第九九四号)
 同(灘尾弘吉君紹介)(第九九五号)
 同(松野頼三君紹介)(第九九六号)
 同(粟山ひで君紹介)(第九九七号)
 同(金子みつ君紹介)(第一〇三一号)
 同(愛知揆一君紹介)(第一一〇五号)
 同(井上泉君紹介)(第一一〇六号)
 同(大平正芳君紹介)(第一一〇七号)
 同(川崎寛治君紹介)(第一一〇八号)
 同(久保三郎君紹介)(第一一〇九号)
 同(倉石忠雄君紹介)(第一一一〇号)
 同(佐藤文生君紹介)(第一一一一号)
 同(保利茂君紹介)(第一一一二号)
 同(八木一男君紹介)(第一一一三号)
 診療放射線技師の待遇改善に関する請願(島本
 虎三君紹介)(第九九八号)
 同(園田直君紹介)(第九九九号)
 同(灘尾弘吉君紹介)(第一〇〇〇号)
 同(愛知揆一君紹介)(第一〇九七号)
 同(井上泉君紹介)(第一〇九八号)
 同(大平正芳君紹介)(第一〇九九号)
 同(川崎寛治君紹介)(第一一〇〇号)
 同(久保三郎君紹介)(第一一〇一号)
 同(佐藤文生君紹介)(第一一〇二号)
 同(保利茂君紹介)(第一一〇三号)
 同(八木一男君紹介)(第一一〇四号)
 乳幼児等の医療費無料化に関する請願(中澤茂
 一君紹介)(第一〇五一号)
 児童福祉施設職員の定数基準改定に関する請願
 (原茂君紹介)(第一〇五二号)
 晴眼者を対象とするはり師、きゆう師養成学校
 規制に関する請願(安倍晋太郎君紹介)(第一〇
 九〇号)
 同(小澤太郎君紹介)(第一〇九一号)
 同(大久保武雄君紹介)(第一〇九二号)
 同(菅野和太郎君紹介)(第一〇九三号)
 同(木野晴夫君紹介)(第一〇九四号)
 同(左藤恵君紹介)(第一〇九五号)
 同(山下徳夫君紹介)(第一〇九六号)
 労働災害以外によるせき髄損傷者の援護に関す
 る請願(臼井莊一君紹介)(第一一二二号)
 戦災被爆者遺家族援護法制定に関する請願(坂
 村吉正君紹介)(第一一二三号)
 同(羽生田進君紹介)(第一一二四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一
 部を改正する法律案(中村重光君外四名提出、
 衆法第四号)
 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○田川委員長 これより会議を開きます。
 まず、理事の補欠選任についておはかりいたします。
 昨七日、理事寺前巖君が委員を辞任されたのに伴い、現在理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、委員長において指名するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○田川委員長 御異議なしと認め、理事に寺前巖君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○田川委員長 次に、本日付託になりました中村重光君外四名提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
#5
○田川委員長 提案理由の説明を聴取いたします。中村重光君。
#6
○中村(重)議員 ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 昭和二十年八月六日、人類史上初の原爆投下は、一瞬にして、広島の人たちを、続く九日は長崎の人たちをと、合計約三十万の生命を奪い、両市を焦土と化したのであります。幸いにして一命を取りとめた人たちも、この世のものとは思われない焦熱地獄を身をもって体験し、あるいは原爆熱線による生涯消えることのない傷痕に悩み、あるいは造血機能障害、その他の原爆後遺症に苦しむなど、病苦、貧困、孤独の苦痛にあえぎながら、かろうじて今日まで生きてまいったのであります。
 この悲惨な現実をもたらした原因が、原爆の被爆に基づくものであることにかんがみ、昭和三十二年、主として原爆症の医療について原子爆弾被爆者の医療等に関する法律、そして昭和四十三年、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律が制定され、内容改善も行なわれてまいりました。しかしながら各種手当に対する所得制限、対象範囲の限定等により、いまなお多くの原爆被爆者は不十分な対策のまま置かれており、激しい消費者物価上昇のもとで、その生活の苦しみを訴える声は、依然として高く、これでは、被爆者に対し国が戦争責任を果たしたとは、とうてい言い得ません。もし田中内閣が福祉元年といい、あるいはまた福祉型予算というのであるならば、被爆者に対する生活援護を、せめてこの程度まで充実させるベきである。というのが、本法律案を提案する趣旨であります。
 次に、この法律の内容を簡単に御説明申し上げます。
 第一は、援護手当の支給であります。認定被爆者はもとより、特別被爆者、またはそれに近いボーダーライン層も含めて、これらの人々が被爆によって生じた身体障害のための労働力減退による収入減に対し、政令の定めるところによりまして、月額四万円を援護手当として支給することにしたのであります。
 第二は、障害年金の支給であります。被爆に起因する身体障害のある被爆者に対し、それが外的、内的障害たるを問わず、年額四十八万円を限度とする障害年金を支給することにいたしたのであります。
 第三は、医療手当の月額の引き上げと所得制限の撤廃であります。現在、医療手当は、特別被爆者のみを対象として支給されておりますが、被爆に起因した疾病につき、医療を受けているすべての被爆者に月額二万円の医療手当を支給することにしたのであります。さらに医療手当にかかる所得制限を撤廃することにより、これらの被爆者が、安んじて医療を受けることができるようにいたしました。
 第四は、被爆に起因する疾病により介護を要するすべての者に、月額三万円の介護手当を支給することにいたしたのであります。
 第五は、認定被爆者はもとより、それに近い特別被爆者及びその介護者につき、日本国有鉄道、自動車または連絡船に乗車または乗船する場合には、政令に基づく身体障害者福祉法にならって運賃を無料とすることにいたしたのであります。
 第六は、被爆者が原子爆弾の傷害作用に起因して死亡した場合に、その葬祭を行なう者に対し、葬祭料として十万円を支給することにしたのであります。
 第七は、以上のような措置を講ずることにより、いわゆる特別措置法から援護法へ移行するものとし、法律の題名を原子爆弾被爆者援護法に改めたのであります。
 以上のほか、原子爆弾被爆者医療審議会の名称及び権限を改め、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律及びこの法律の施行についての審議機関とすること、また新たに、被爆者の被爆後に出生した子、孫に対し健康診断を実施し、原爆に起因すると推定される疾病、障害を有する者についても本法を適用することにいたしました。その他、原爆孤老、病弱者、小頭症等の被爆者の入所施設を国の責任で設置することにいたしたのであります。
 原爆の被爆という悲惨な災害をこうむった被爆者の苦境を救済することは、人道上も決して放置することのできない問題であり、被爆後四半世紀以上を経過した今日、救済さるベき被爆者は、国による援護の手が差し伸べられないままに、あるいは死亡し、あるいは老齢化して、肉体的にも、精神的にも、また物質的にも苦痛と困窮にある人たちに対し、高度の経済成長を遂げた今日、国家財政上経済が不可能であるとは、とうてい考えられないことであり、被爆者に対する右のような措置を講ずることは、むしろおそきに失したものであると確信する次第であります。
 なお、この法律の施行は昭和四十八年十月一日であります。
 以上が、この法律の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決せられますようお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
#7
○田川委員長 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の通告がありますので、順次これを許します。多賀谷真稔君。
#8
○多賀谷委員 本日未明、北九州市八幡区にある済生会病院で火災があり、入院患者十二名の死亡が伝えられております。これに対して、厚生省はその実情をどの程度把握されておるか、またそれに対してどういう対策をとられたか、御報告願いたいと思います。
#9
○齋藤国務大臣 お答え申し上げます。
 本日未明、午前四時前になると思いますが、北九州市八幡にあります恩賜財団済生会病院に火災が発生いたしまして、十一名の方が病院においてなくなられ、一名の方は移しましたあとにおなくなりになりましたことを承りました。なくなられました方々に対し、衷心から深く弔意を表する次第でございます。
 なお、当病院には病床といたしましては三百二十ございますが、収容いたしておりました患者さんは二百四十二名でございます。そこで、この火災発生と同時に他の病院に収容する必要がございましたので、関係方面の御協力をいただきまして、ただいまの報告によりますと医師会関係の病院に五十四名、八幡製鉄所病院に二十二名、市立の病院に八十名、その他民間の病院、診療所にも約二十人近く、十九人を収容していただき、さらに自宅に帰りました者十名ということに相なっておる次第でございます。
 私ども厚生省におきましては、病院においてこうしたたくさんの方々がなくなられたという事故が発生いたしましたこと、まことに遺憾といたすところでございまして、この報を受けまするや直ちに医務局の係官二名をけさ羽田から出発せしめまして、現地におもむかせた次第でございます。現地に参りまして、なくなられた方々に弔意を表し、そのほかの方々にも衷心からお見舞いを申し上げますとともに、よその病院に収容いたしました関係もありますので、その収容の措置についての現地における指導、さらにまた、こらした不幸な事故が起こりましたことについての原因の究明等に当たらせることといたしまして、けさ早く飛行機で九州に出発いたしたような次第でございます。
#10
○多賀谷委員 まことに遺憾なことでございますが、私どももこの実情をわれわれなりに調査をして、別の機会に質問をしたい、かように思います。
#11
○田川委員長 寺前巖君。
#12
○寺前委員 十数名の方がおなくなりになるということは、私はたいへんな管理上の問題があると思いますが、これはいま言ってもすぐわからぬというのか、概括的にも、済生会病院とか日赤とかあるいは国立の関係の病院の状況については、非常に危険な状態が現実に存在しておるのじゃないだろうか。
 これは話はかわりますけれども、前に視力障害センターに行ったときに、視力障害センターにちょっと入っただけでも、目のぐあいの悪い人たちの管理が、こういう状況の中で火災が起こったときに、はたしてどうなっているのだろうかということが私、行ってみてすぐに心配になったのです。
 ですから、この種の、これだけ大きな事故が起こってくるということになると、この病院については、お気づきになっていなければならないと思うのです。管理、指導しておられるところの当局において、この病院については従前こういう問題があった、だからこういう忠告をしておったとか、そういう実情はおわかりになっていると思うのですが、その点について担当官から聞きたいと思います。
#13
○滝沢政府委員 今回の病院の事故につきましては、従来精神病院等で火災による死亡事故の発生という事例がありましたが、一般病院では死亡事故というのは、きわめてまれなことでございます。
 ただいまお尋ねの医療監視上病院の指導がどうなっておったかということでございますが、この点につきましては、四十七年三月十四日ごろに医療監視を実施しておりましたが、医師不足の点、若干御指摘ございましたほかは、構造設備については臨床検査室がやや狭いという程度でございまして、本日の報道によりましても火災報知装置その他につきましては比較的良好な病院である。あるいはわれわれが派遣しました者の報告を待ちませんと詳細はわかりませんが、この四階における老人、子供を含む特定な部分の十一名の死亡ということは、火災の発生が一階であったということを含めまして、患者の誘導についてどのような管理上の問題があったかということが一番の重要な問題であります。
 そうなりますと、個々の医療監視の中でふだんの避難訓練という項目がございまして、それが実施されていることを医療監視の際確認することになっておりますが、この点につきましては、現地派遣者等の詳細な報告を待ちませんとわかりませんが、当時看護婦はこの病棟には、夜間でございますが、三名おったということでございまして、この点については、まあやや欠ける面はないことはないようでございますが、三名ということであれば、一看護単位としては普通であるというふうに考えられますので、ふだんの訓練による誘導対策がどうであったかということが一番ポイントになろうかと考えておる次第でございます。
#14
○寺前委員 詳細は御検討いただくとして、大臣、私は再三にわたって、精神関係とか今回のようなかなり大きな火災における死亡事故というものが最近起こっております。こういう事態だけに全病院あるいは諸施設に対して緊急に調査をして、そうしてこのようなことがないように通達を出すというような処置をとられるかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
#15
○齋藤国務大臣 この事案につきましては係官を派遣いたしましたので、係官が帰ったあとでその状態の調査をいたす考えでございますが、確かにそういうふうな管理体制の問題等がやはり一番大きな問題であると思いますので、今回の事故の実績の結果を踏まえまして、厳重なる通達を全国の病院その他に出すようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#16
○田川委員長 大橋敏雄君。
#17
○大橋(敏)委員 関連して、一言お尋ねいたします。
 八幡済生会病院の火災の報道を受けまして直ちに現地に走りましたわが党の市会議員の報告がさっき入ったのですけれども、まだ詳しいことはわかっておりませんが、十二名もの多くの犠牲者を出した理由の一つとしては、非常階段がなかった。そのために助けを求めている姿がそこに見えるけれども、助けようがなかったということです。
 それから非常時の夜間訓練がなされていなかったということです。
 それから建築構造に問題があるのではなかっただろうか。はたして非常とびらがおりていたんだろうかどうだろうかということが、非常に疑問点になっているようでございます。こういうものを含めまして考え合わせますと、日ごろの指導監督、訓練不足がここに一挙にあらわれているではないか、こう感ずるわけでございますが、先ほどの質問者にあわせまして、この点をまずお尋ねいたします。
#18
○滝沢政府委員 建物の構造、設備につきましては、この現地の調査結果を待ちまして具体的に検討し、なおそのような欠けるところがある場合は、今後の病院建築等の事例として指導しなければならないと考えております。
 夜間の避難訓練につきましては、御指摘のとおり夜間を想定した訓練ということを実施することがかなり病院については困難性がございますので、おそらく夜間を想定した訓練というものを実際に実施している事例は少なかろうと思います。こういうことも先ほど大臣からお答え申し上げましたように、今回の事例の調査の結果によっては、そのような夜間訓練を想定した指導をすることが必要ではなかろうか、御趣旨に沿うように指導いたしたいと考えております。
#19
○大橋(敏)委員 大臣にお尋ねいたしますが、今後調査の結果いろいろと手が打たれるでありましょうが、犠牲者十二名の方が出たわけでございます。こういう犠牲者の方々また遺家族に対する基本的な今後の措置のしかた、対策はどういうものであるか。
#20
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げます。済生会と十分打ち合わせをいたしまして、なくなられた方々に対する弔意の表し方等につきまして、十分あたたかい指導をいたしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
#21
○大橋(敏)委員 十二分な手厚い手を打たれることを強く要望いたしまして、終わります。
#22
○田川委員長 田邊誠君。
#23
○田邊委員 齋藤厚生大臣にお伺いいたしますが、きょうはひとつあなたと私でフリーにいろいろと討議をしていきたいと思います。
 社会保障、社会福祉については非常に造詣の深い大臣でありますが、しかしその経験の中で、一体大臣としてどういうふうにこれから対処しようとするのか。ずっとこの国会始まってから私拝見をしておりますると、個々の事象についての質問がかなりあります。これまた重要なことでございまするが、それと同時に、社会保障の基本に触れた原則的な討議というのが、置かれているんじゃないかという気がいたします。これはもちろんわかっているようなことでございまするけれども、私は一面その大原則がよく踏まえられていないことが、個々の施策に大きな誤りを来たす原因になるんじゃないか、このように実は思っておるわけです。その意味合いで、年金、医療保険等具体的な法律案の審議がありまする部面については省きますが、具体的な例を二、三はさみながらお伺いしていきたいと思います。
 まず社会保障に取り組む姿勢の問題ですけれども、私は戦前の日本の社会福祉というものは、一つには慈恵的なもの、恩恵的なもの、いわば一部の篤志家の手によるところの慈善事業、こういった形で発足をいたしたと思うのでございます。加えて戦前の社会体制の面からいって、これはきわめて恩恵的なもの、いわば救貧対策、こういう形であったことは、大臣が戦前の役所におられた立場からいっておわかりだろうと思う。もう一つは、これは日本の軍国主義がもたらしたものとして、富国強兵的な色彩、たとえば医療保険制度なり、あるいは年金制度をつくりましても、それがいわば戦争にかり立てるための手段としてこれが用いられてきた。またそういう意図がありありと見えるようなやり方であったということを、実は私ども思い起こさなければならぬと思います。
 それに比べて戦後の社会保障というものの成り立ちは、私はその基本において大きな違いがあると思うのです。戦後の社会保障なり、社会福祉というものを打ち立てておるところのその基本的なものは、一体何でございましょうか。基本的な考え方というのは、一体どこに置いて施策を進めなければならぬのでしょうか。大臣どうですか。
#24
○齋藤国務大臣 私は社会保障を担当いたしまする基本的な姿勢としては、根本的に申しますと、西欧先進諸国並みの社会福祉の国に築き上げていくということをねらいとすべきであると考えております。一九六六年であったと思いますが、ILOの統計によりますと、社会保障給付費の国民所得に対する比率は六%程度であります。西欧先進諸国並みの給付の比率は一五%程度であるわけでございます。こういうふうな現状を踏まえて、一日も早く西欧先進国並みに引き上げるという形で日本でも努力すベきである、こういうふうな基本的な考えでございまして、具体的なそうした方向、目標を掲げながら社会福祉のいろいろな具体的な問題につきましては、戦争前は、お述べになりましたように慈恵的と申しますか、まあ救貧、防貧ということが一番の中心で、恩恵的であり、救貧的であり、しかもまた戦争中は、御承知のように健兵健民ということばで言われましたような、そういう色彩があったことは、田邊委員のお述べになりましたとおりでございます。
 そこで、戦後におきましては、私どもはこういう慈恵的な恩恵的な防貧、救貧といったようなところから抜け出て、新しい憲法による健康にして文化的な生活というものを、国民のすべてが持てるような社会にしていかなければならないと私どもは考えておるわけでございまして、単なる防貧、救貧といったようなものから疾病、医療、老齢、障害、児童、そうした各方面にわたって、ゆとりのある――生活水準の向上に伴い、ゆとりのある健康にして文化的な生活、こういうことを保障する体制に進んでいくべきではないか、かように考えておる次第でございます。
#25
○田邊委員 いま大臣が述べられた最後の点は非常に重要でございまして、戦後の社会保障の組み立て方というものを、われわれがその理念から見ますならば、何といっても新憲法体制、新憲法規定、これに基づいた、いわば生存権保障、これが何といっても最低の原則でなければならぬと私は思うのです。したがって、当然人間として生きる権利、生活をする権利を持っておるという、この憲法規定に基づいて社会保障を打ち立てられる。これが何といっても大原則であろうと思うのです。
 大臣もそのことについては、いま述べられておる。けっこうだろうと私は思うのですが、しかし、これは形の上ではそういったことを言われましたけれども、その精神がそのすみずみまで行き渡った施策になっているかどうかといえば、これは残念ながらそうなっていないという状態であります。
 戦後いろいろとわれわれは論議をしてまいりました中においても、特に生活保護をはじめとするところのいろいろなやり方について、実はまだまだ上からこれを与えるというふうな恩恵的なもの、そういう国民の権利意識というものを、なるべくむしばむような形というものがとられてきたことを、われわれは反省しなければならぬと思うのです。大臣のいわゆる戦前戦後を通ずる仕事の中においても、そういう大きい反省の上に立って、いま施策を進められるというふうに私は受け取ってみたいというふうに思うのです。
 一九五〇年から六〇年、いま七〇年代でありますが、この五〇年代から六〇年代にかけての日本の社会保障なり社会福祉の変遷を見てまいりますと、第一には、何といっても形の上で国民に行き渡らそう、こういうことがあった。皆保険、皆年金といわれるように、形を整えようというこのことをやられた。これは私は、決してそのやり方がさか立ちをしているとは思いませんけれども、しかし、それにあまりにも走り過ぎておるということが、ひとついま反省させられる点ではないかというふうに思います。
 それから第二番目には、この考え方というものは、やはり国民の生産力を高める、経済の高度成長を基軸にしたやり方であるというところに、また大きな間違いを実はおかしてきた原因があると私は思います。その中で、ときには社会保障、社会福祉が埋没をし、あるいはまたそれが、たとえば年金積み立て金に見られるような財政投融資にこれが振り向けられてきた、こういうことに対して、その後のいわば是正の状態を、私は役所からのいろいろな資料を拝見をして見受ける点がございます。財政投融資の中における度合いがだんだんと生活環境方面に使われてきているという状態を見ましても、それが発足のときは、実はいかに大きなゆがみと誤りであったかということを悟るわけであります。
 そういう形だけのものが五〇年代から六〇年代にかけてあったことを象徴している前提下に、ここ十年くらいの間におけるいろいろな施策というものは、一方においてある程度のいわゆる形の上に立った改良がなされているけれども、一つには、それが非常に分断的な形でもって固定化している、こういう状態にあると考えるのであります。
 医療保険制度についても、各種の医療保険制度というもののいろいろな格差をそのままにしておきながら、これが固定化しつつある。組合健保、政管健保、日雇健保、国民健康保険、あるいはまた年金についても、共済と厚生年金との大きな差、あるいは国民年金の立ちおくれ、そういった面におけるいろいろな制度間の格差なり、ゆがみというものを、そのまま固定化しつつある、こういう二重の誤りをこの六〇年代におかしてきているのじゃないかと思うのです。これに対して、一体政府はどういう考え方に基づいて、いま対処しようとしているか、このことをひとつ端的にお伺いしたいと思います。
#26
○齋藤国務大臣 田邊委員の御指摘になりますように、六〇年代、七〇年代、私どもはこの十年間に社会福祉においてその体系と申しますか、形において、何とか早く先進諸国に追いつきたい、こういう考えで進んできたことは御理解いただけると思うのでございます。特に一番わが国の社会保障体制が諸外国におくれておりましたのは、児童手当制度がないということ、社会福祉施設の整備が十分でないということ、年金制度の中身が十分でないということ、こういうことが何といっても一番大きな問題であったと思いますので、私どもは考え方として、何とか形だけまず整え、二番目に中身を充実する、こういうふうなことを考えまして、たとえば児童手当制度にいたしましても、昨年から実施いたしまして、三年計画で実施する。しかし、その中身というものを考えてみれば、三年後に完成したときに先進諸国並みになっているかといえば、まだ劣っているものがあるわけでございます。
 そういうわけで、私どもはまず何とか体系をつくるということに今日まで全力を尽くしてまいりましたが、今後私どもとしては、この打ち立てられた体系の上に中身を充実させるというところに全力を尽くしていかなければならぬと考えております。
 先ほどもお述べになりました生活扶助基準の問題にいたしましても、なるほど昔から比べるとだいぶよくなってまいりました。しかし、はたして、それで中身は十分かということになりますと、まだまだ十分ではない。それからまた年金にいたしましても、やっと物価スライドによる五万円年金というものの体制を一歩踏み出す、こういうわけでございますが、中身についても、まだまだ今後改善を加えていかなければならぬ問題がありましょう。それから医療保険にしても組合健保、政管健保、その他の健康保険等について、まだまだ調整のとれてない面があるわけでございます。
 そこで私どもは今後どうするか、中身の充実ということに全力を尽くします。それと同時に制度間の調整、法のもとにすべての国民が同じような取り扱いを受けるような仕組み、そういうふうにもっていくべきではないだろうか。したがって、私どもは今後打ち立てられました形式の上に立って、その中身においてほんとうに先進諸国に劣らない社会保障の国だということになりますように、今後とも努力いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#27
○田邊委員 持ち時間のあれが来ましたから、私一日か二日、ちょっと大臣と論戦をしたいと思っているので、あとで委員長を通じて要求をしておきたいと思いますが、時間を守らなくちゃいけませんから、それではそのことについての論議をするのをやめます。
 いま問題になるのは幾つかありますけれども、その中で二つの大きな問題があると思います。一つはあとでもって、いわゆる社会保障の給付水準の問題についても、計画の問題とあわせてお聞きをしますけれども、それを別といたしますならば、日本の社会保障の中でもって大きい課題としてあるのは、一つは一体その財源をどこに求めるか。いろいろなことをわれわれも実は要求いたしますし、政府もいろいろなことを考えます。しかし、その財源を一体どういう部面において求め、対応するのか。このことの方針が明らかでない。たとえば西欧諸国にいたしましても、医療保険なら医療保険にいたしましても、あるいはまた年金制度にいたしましても、実はそれぞれの形があります。北欧型といわれる、税でもってこれをひとつやるという形、大陸型といわれる、いわゆる保険主義、保険料徴収でもってやるという形。これはいろいろな形があるわけでありますけれども、日本は後者に属するような形をとってきたと思うのです。
 しかし、いずれの形をとるにいたしましても、国民から徴収する税なり保険料というものと、国民に与える給付というもの、これはあくまでも所得を振りかえる原則に立ってわれわれは考えるとするならば、いずれの方法をとるにいたしましても、当然国民の所得に応じて、これがとられなければならない。そして与えるものといいましょうか、給付は公平なものでなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。
 そこで、その次の一つの問題は、いわゆる高負担高福祉といわれる問題でありますけれども、保険料なり保険税なり、あるいはまたその他の一般税からとるにいたしましても、いずれにいたしましても日本は西欧に比べて公費負担があまりにも少ない。これだけは疑い得ない事実だろうと思うのです。これはちょっと古いあなたのほうの資料でありますけれども、日本におけるところの被保険者からとっている割合というのは千分の二百六十二で、事業主からは三百十三、それに比べて公費負担は、国庫の負担が二百九十四、その他の公費が三十八でありますから、約三分の一程度か公費負担である、こういうことでありますが、スウェーデンのごときは約五七%ぐらいが公費負担、イギリスにおきましても五四%くらいが公費負担であります。
 したがって、そういったやり方はいろいろ区々でありますけれども、いずれにいたしましても全体的に見て公費負担が西欧に比べて少ない。いま大臣は西欧の水準に引き上げる、国民所得との対比における六%を一五%まで引き上げなければならぬということを言われましたけれども、その水準を引き上げることも、われわれとしては重大であるけれども、その中において国が受け持つところの財源の負担割合を一体どうするのか、これがなければ私はどうにもならぬと思うのでございまして、現状に照らしてみて、あなたの言われるところの目標に向かって進むために、この財源を一体どういう方法で、またその中における国の責任というものについてどういうふうに考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
#28
○齋藤国務大臣 社会保障の中で、それぞれ問題ごとに性格を異にすると考えておりますが、たとえば生活保障のようなものは、あくまでも国民の最低生活を保障するということで当然全額公費でやるべきもの、社会福祉施設というふうな何らかの障害を受けた方々、救済を必要とする緊急なもの、これにつきましては、やはりできるだけ公費でやるというたてまえを貫いていくべきであると考えておりますが、医療保険等における問題は、いろいろな考えがあると思います。いろいろな考えがあると思いますが、わが国におきましては長い歴史的な沿革がありまして、保険主義というものが定着をしてきております。
 したがって保険主義ということになりますれば、保険料負担ということが当然あるわけでございまして、しかもまた保険制度がばらばらでございます。健康保険組合あり、政管健保あり、日雇健保あり、あるいは共済組合の健康保険あり、こういうふうにばらばらな保険制度ということになってまいりますと、それに対して、公費をどの程度つぎ込むことが適当かということになると私は思います。
 こういうふうな医療保険につきましても、昔出発の当初はあくまでもこれは完全なる保険主義でいくべきである、こういうことであったと思いますが、大勢としては、何かしらその保険の特殊性を生かしながら財政の苦しいもの、あるいは対象によってできるだけ国も出すべきである、こういうふうな考え方にだんだんなりまして、御承知のように国民健康保険については調整費を入れて四五%公費で持ちましょう、日雇健保については二〇%持ちましょう。それから今回の健康保険組合、政管健保については一〇%の補助を、中小企業労働者を対象とするということであるから、特にこれはそうすべきである、一〇%の公費負担をしようではないか、組合健保はこれは相当富裕な組合でありますから、公費負担は事務費について一部持つようにしましょう、こういうことでありまして、基本は私は保険主義であると思いますが、その組合のそれぞれの特殊性にかんがみまして、できるだけ公費において、めんどうを見ていくという方向に進んでいくべきものであるというふうには私も考えております。
 したがって、今後の課題としては、特に医療保険におきましては、公費と保険料の調整をどうやってはかっていくか、これが非常に問題であろうと思いますが、これは一つの原則的には割り切れないものがあるわけでございまして、そのときの特殊性というものを十分生かしながら、保険料負担というものと、公費負担というものの調整を円満にどうやってはかっていくか、そういうところが一番の問題ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
 しかし、あくまでも医療保険は基本は保険である。この原則は貫きながら、公費は補充的にめんどうを見るというのが、日本においてはまだいまのところ適切ではないであろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
#29
○田邊委員 あなたの考え方に対して、私はこれはもう基本的に違う点があります。それをいま、きょうここで突き詰めていくわけにいきませんけれども、私は現在の社会体制というものの状態を見た場合に限ってみても、公害の問題にしても、交通災害にいたしましても、そういう社会的な要因からくるところの疾病なり障害なり、あるいは健康保持ができない、生活が破壊される、こういった点から見ても、現在の原則的な保険主義を貫いていくということについては、実は大きな社会的変転があるというふうに思っておるわけです。公費負担の拡大をはからなければならぬという要因がますますふえてきておると思うのですけれども、しかしそれを、医療保険の問題をあなた盛んにPRするつもりでおっしゃっているようだけれども、きょうは私は論戦をしない原則だから、私のほうでもって遠慮しておきますけれども、あらためて、これはひとつ解明していきたいと思うのです。
 そこで、いまあなた保険主義と言われましたけれども、高負担高福祉、これが誤りであることはもう指摘をするまでもないのでありますが、特にあなた方の考え方をそのまま突き詰めていきますと、財政は赤字になってきた、あるいはまたもっと給与をよくしなければならぬ。それならば、ひとつよけい取ろうという形をただ単純に考えていきますと、この保険主義というのは私的生命保険型にだんだん近づいてくるのですよ。そのことの一つの矛盾をよほど真剣に考えないと、ただ保険主義だ保険主義だなんと言っておって事足れりと思ったら、これは最後に全くの私的な生命保険型のものにおちいっていくというこのことだけは、十分指摘しておきたいと思います。
 したがって、この日本は一つには、低賃金構造というものがその前提にある。これがいま社会保障を全体的におくらせている一つの大きな要因でありまして、傷病手当にしても、あるいは失業保険にしても、老齢年金にしても、これらは全部これに結びついてきている。実はこの前提を見ないと、何か保険料を上げていけばいいじゃないかというようなドグマにおちいりがちなんであります。したがってわれわれとしては、そういったやすい部面に社会保障が構築をされることをおそれるあまり、あなたの言ったことに対しては、われわれとしては納得をするわけにいかないのでありまして、そういう全体的ないまの状態というもの、これをひとつあなた方は深刻に受けとめともらいたいと思っておるわけです。そのことについての論議をやりたいのですけれども、一応もうちょっと先へ進みます。
 そこで量的な面におけるところの不備が目立ちますし、内容を充実したいというあなたの意見がありましたけれども、もう一つは、この制度の構造的な矛盾、これをわれわれとしては何としても排除しなければならぬと思っておるわけなんです。医療保険の問題について触れません。触れませんけれども、しかし構造的な矛盾というものに対して、あなた方が目をつけない限りにおいて、いかような手だてをとっても、その根本は解決されないということだけは、ひとつ指摘をしておきたいと思うのです。政府もあるいは厚生省も社会保障制度に対する考え方に一貫性がない、統一性がない、持続性がない、こういわれるものがそこにあるのです。
 だから大臣も、古い観念をこの辺でもって打ち直してもらわないと、結果としてとんでもない――あなたはそれでいいかもしれないけれども、将来にわたって振り返ったときに、この七〇年代の前期における方策が間違ったために、たいへんなことになるということのないように実はしてもらいたいと思うのです。
 医療保険制度ですね、あなたはいろいろ言われましたけれども、言わなくてもいいですよ、あなたの言うことは大体わかっている。私の質問に端的に答えてもらいたいのだが、医療保険制度、いろいろなことをいじると言っておりますね。しかし、私がいま言った構造的な矛盾の一つの端的なあらわれとして、一体それじゃ保険料を上げました、給付を改善いたしました、これで済みますか。済まない。いまの物価の値上がり、あるいはそれに対するところの医療費の値上がり、そして疾病の増大、こういった面からいったら、イタチごっこであります。
 したがってわれわれは、従前から指摘したとおり、医療保険制度をいじるならば、それの前提となる医療供給体制を一体どうするかということを考えなければ、これは抜本的なものにならぬというように言ってきたのです。赤字対策だ。それで抜本改正なんというちゃちなものを今度は含めてやったというのですが、それは問題にならないけれども、しかしその前に供給体制というものを一体どうするか。昨年来そのことをわれわれは言ってきたところが、政府は国会末期に医療基本法なるものを出したけれども、こんなものは基本法に値しないということで国民の総批判を受けて、これは審議に値しなかったのでありまするけれども、今度はその医療基本法といわれる供給体制に触れる部面については実は一言も語ろうとしない。一言もこれに対する対策を国民の前、国会に提示しない。こういう盗人たけだけしい態度を実はとっておるわけです。私はこのことによってこの医療保険制度というものが、あなた方が望むような形になりようはずがないと思っておるわけですけれども、これは一体どうなっておるのでしょうか。これだけひとつ簡単に言ってください。
#30
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げますが、まず第一点の問題は、これは答えろというふうなことではなかったのでありますが、医療保険につきましては私どもは保険主義というものを原則といたしますが、そのときそのときの社会的要因に基づいて公費負担を多くするという原則でいきたいと考えておるわけでございます。
 それからなお保険料の問題につきましては、こういうふうな歳入歳出であるから保険料を上げろというふうな考え方ではなしに、保険制度のもとにおいて国民が受ける給付の内容、それに見合ってある程度の負担をしていただきたいというのが私どもの基本的な考えでございまして、今度の国会に提案いたしておりまする健康保険のことについて触れてはいけないというわけでもないでしょうから一言申し上げてみたいのでありますが、今度の保険法につきましては、御承知のように給付の改善、特に高額医療という問題を取り上げたことは、私は国民に喜んでいただけると思うのでございまして、そういうふうなこととの見合いで、ある程度の保険料を上げていただきたいというふうな考え方であることを十分御理解いただきたいと思うのでございます。
 それから第二に、構造的矛盾の問題、これは仰せのとおりだと思います。今後とも私どもは中身の充実ということに努力しなければなりませんたてまえからとりますれば、どうしても構造的な統一性、総合性を保持するように努力をしていかなければならない。それが一つの努力目標であると考えております。
 それから最後にお述べになりました保険制度ばかりいじったって、前提になる医療供給体制の確立がなければだめではないかというお尋ねでございます。私もそのとおりに考えておりますが、医療供給体制の確立は、率直に私の心境を言わせていただきますと、今日まで十年間医療保険につきまして厚生省がやってきましたことは、政管健保の赤字対策に苦労しておったということであります。
 率直に私――こういうことは責任のがれで言うわけじゃありませんが、この十年間の間に健康保険の改正を三回か四回いたしたわけでありますが、ことごとく保険料値上げということだけの健康保険改正をやっておりまして、何しろ大臣のからだは一つでございまして、十年間健康保険の赤字赤字できましたので、なかなか思うようにできなかった。私は率直に告白をいたします。これは私ばかりじゃなくて、歴代の厚生大臣が赤字対策に狂奔しておった。わかっておるのだけれども、時間的に研究する余地もないままに置いてこられたというのが実情であったと思います。
 そこで私としては、すでに御承知のように、先般経済企画庁における新しい経済社会五カ年計画というものをつくる中で、年金、医療、福祉と三部門に分けて検討することになっておりますが、今後の問題としては、今回健康保険法の改正が皆さん方の御協力により成立いたしました暁には、厚生行政の一点は、医療供給体制の確立にあるということで全力を尽くしていくということが、わが厚生行政の進むべき道であると考えます。そこでこの問題は何とかしたいと思って今日まで努力はいたしておりますが、まだ十分でないことは率直に告白をいたします。
 そこで、それならば昨年のような医療基本法というものを出したらどうかという御意見もあるようでございますが、あの法案は国会において一日の審議もなく、提案いたしましたあとには各方面から批判が非常に強かった。それで、こういうものを出しては国会に対してかえって申しわけない、練り直す必要がある、こういうことを考えておる次第でございまして、今度の新しい長期計画の中身として、医療供給体制の確立に全力を注いで、できるならば七月、八月ごろまでには一応の草案をつくり、それをもとにした医療供給体制の確立に力をいたしてまいりたい、こういう気持ちであることを率直に私申し上げておきます。
#31
○田邊委員 全く考え方がさか立ちしているんですよ。あなたは赤字対策に狂奔してきて、ほかに頭が回らなかったと言うけれども、それでは赤字対策にならぬですよ。当面、一年か二年であなた方の言うように単年度でもって赤字が解消できたといっても、赤字要因というものをなくさない以上、すぐこれは赤字を生む、こういうシステムになっているんですよ。これをなくさなければどうにも――政管健保ばかりじゃない、組合健保でも国民健康保険でもみんな同じなんです。いわば前提条件というものを確立しないから国民の批判もあり、また国会の審議も渋滞をし、そして赤字対策がほんとうの意味における健全なものにならない原因がそこにあるということをまず踏まえて、そこに思いをいたして、それから出発しなければならぬということを、あなたはよく知っているはずだと思うんです。しかし、大臣になるととたんにわからなくなる。そういう考え方では今後は非常に思いやられる。医療基本法というものは、昨年のようなことであってはもちろんならぬ、あんなものは医療基本法じゃありませんから。われわれとしては、そういったことについて早急に対策を確立してもらわなければならないというふうに思っているんです。
 これはちょっと政治的に問題があることだから、きょうは保留しておきますが、いまのような答弁ではどうにもなりません。もうちょっと中身について、医療機関の問題をどうするのか、医薬分業をどうするのか、行政機関をどうするのか、適正配置をどうするのか、機能分離をどうするのか、いろいろな問題がありましょうから、これらの問題についてある程度考え方をまとめておかなければ、政治的にわれわれは医療保険というものについて取り組む姿勢が違いますから、これだけは警告しておきます。
 そこで、制度間にいろいろな矛盾があることはいま申し上げたとおりですけれども、この年金問題についても具体的な例があるけれども省きますが、たいへんな年金制度自身の中における差がある、支払い方法においても差があるということをわれわれとしては検討してみたいと思います。そして相違点を洗い出すというところからまず出発して、その内容を分析し、これを解消する手段を検討するというところから始めないと、あなたがいま言ったところの何年計画というものも、実際には実を結ぶことはないだろうというふうに私は思うのです。
 年次計画を立て、長期計画を立てられるというが、これは防衛計画ばかりでなくて、社会保障の計画自身がいわば年次的な計画、長期的な計画、それが第一次から第数次に及ぶ計画の上に立てられていかなければならないと思うのです。そして国民所得の一五%にしたいということだが、これを一体どのくらいで達成しようというのですか。そしてその目標に向かって一体どういう手順でもってこれを進めようとしているのか。これも序論でいいですから……。
#32
○齋藤国務大臣 医療供給体制、まず供給体制の問題は、私どもは今後真剣に検討しなければならぬということで、ここ二、三カ月の間に全力を尽くして、ある程度の体系の草案的なものをまとめ上げるように努力をいたしてまいりたいと考えておりますが、それを待っておったのでは、被保険者の諸君の要望する自己負担の増額といったような問題を解決することはできませんので、そういう問題にまず、手をつけておこうということでいたしたことだけは御了承願っておきたいと思います。
 なお、年金の問題につきましても、経済企画庁の五カ年計画に基づきまして、年金につきまして年次別の計画をつくる作業を四月早々から開始いたしまして、四十九年度の概算要求の八月ごろまでには一応の目算をつくりたいと考えております。
 西欧先進諸国並みの、社会保障給付費を国民所得に対して一五%程度まで持っていきたいということは、今後の五カ年間において大体一一%まで持っていきたいと考えております。今後五カ年間に国民所得に対する比一一%程度に持っていきたいと思います。そのあとの五年間、言うならば、いまから十年後になりますが、十年後に一五%に持っていく。特に年金につきましては御承知だと思いますが、西欧諸国は老齢化社会というものがすでに現出しておりますから、大体その比率は固定的になるわけでございますが、私どものほうはこの十年、老齢化社会に急ピッチに進むわけでございますから、十年後に間違いなく国民所得に対して社会保障給付費は一五%というところまで持っていくように年次別の計画をつくるようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#33
○田邊委員 その時代には、また西欧はもっと進みますから、同じようなことになるのです。したがって、二兆円の予算がとれたからといって顔がほころびっぱなしのような厚生大臣であっては困るのでありまして、一般会計予算の中に占める割合なり特別会計を含めての割合を見ても、いまのあなたの考え方をふえんしていけば、何といっても二五%から三〇%くらいまで社会保障で占めるというくらいにならなければ、これはどうにもならぬわけであります。したがって、そういった面における現実的な予算の配分についても、当然あわせて考えてもらわなければならないというふうに思っておるわけであります。
 そこで、もう時間がないから、あとの問題はまたあとに譲りますけれども、いろいろな計画を立てていったり長期的な展望を立てる際に、さっき財源の問題を言いましたけれども、いろいろな施設なり、いろいろなものがありますけれども、これは国なり地方自治体が責任を持つという方向ですね。そうですか。簡単でいいです。
#34
○齋藤国務大臣 社会福祉施設の充実につきましては、国なり地方団体が責任を持つという体制において進めてまいりたいと考えております。
#35
○田邊委員 そうしますと、たとえば社会福祉施設に働いている職員の給与、待遇、身分、これはそういった方向とあわせて、国なり地方自治体は身分を確立する、こういう形でなければいけませんね。
#36
○齋藤国務大臣 国なり県なり市の施設は、それぞれの公務員の体制において身分が確立されておりますので、ただいま田邊委員のお述ベになりましたようなことは、特に民間施設において重要な問題だと考えております。
 そこで、こういうような施設職員の身分をどうやって確立するか、これは法律によって確立する必要があるのじゃないか。私どもは御承知のように、くどいようでございますが、給与の内容については国家公務員並みということを一応基準として行政措置で進めてまいっております。それからまた、退職手当のほうもそういうふうな方向で進めておりますが、やはり究極的には身分をつくる、こういうふうな形でなければならぬではないか、かように考えておりますので、できるだけ早く成案を急がすようにいたしたい、かように考えております。
#37
○田邊委員 そこで、これは私きょう明確に意見を言っておく時間がありませんが、けさの新聞を見ますと、兵庫県の高砂市で福祉公社をつくる、こういう考え方というものがある。そうしますと、いままでこの市の予算でもって、約一億四千万ぐらいであったのが、この公社によって三億ぐらいの福祉事業費になるというようなことが書いてあるのですね。これに対して、厚生省のあれではグッドアイデアだというようなことを書いてある。私は、これはよほど注意して発言してもらわなくてはならぬと思うのですよ。善意の寄付を集めるわけです。事業所からもいろいろ負担を取るというのだ、これは一面非常にいいようだけれども、いま言った責任体制の問題、それから日本におけるところの、さっき私が申し上げたように、社会保障に対する考え方というものが、いわばひとつ与えてやるぞ、寄付を集めてひとつ救ってやるぞ、こういうことがまだあるうちにおいて、この種の福祉公社の設立というものに対して、国が何かすぐ飛びつくような形で、厚生省が考え方を出すについては、これは私は一考を要すると思う。
 これに対しては、一つの歯どめ的な、将来の展望ありという形、いま大臣と私が応答したような形のあるべき姿というものを踏まえてならば、これは過渡的にある程度認められる点もあると思いますけれども、こういう形にすぐ飛びついて、何か公社組織などというものが、福祉でもって、全体的に適用されてごらんなさい、決していい結果は生まないということを考えたときに、これは社会局長よく注意してもらいたいということを私はまず申し上げておきたいと思います。
 いま、大臣が言われたように、民間施設の職員等もだんだん身分を明らかにしていかなくてはならぬということでありますが、それに関連して、寝たきり老人に対するところの手当てをする、非常に重要な役割りを果たしておるホームヘルパー等に対しても、これは実は毎年私質問しているのですから、社会局長よく御存じのとおりでございますけれども、「原則として常勤とする」という社会局長通知を出してきたわけですけれども、これらも、私は一歩も二歩も進めなければならぬところにきているのではないかと思うのです。こればかりではありません。これに類する、老人福祉法が三十八年にできて以来、いろいろな通達なり通知なり出ているのをこの際、洗い直してもらわなければならぬ段階に来ているのではないかと私は思うのです。したがって、少なくとも、いま言った老人家庭奉仕員は、これはやはり地方自治体職員にしていくという大臣のいまのお話を受けて、その考え方を実現するために、一体どうするのかということを早急に検討すべき段階ではないかと私は思うのですけれども、これは社会局長どうですか。
#38
○加藤(威)政府委員 ホームヘルパーの身分の問題あるいは勤務体制の問題につきましては、昨年も田邊先生からいろいろ御意見ございまして、私どもも先生の御趣旨ごもっともでございますので、そういった線で努力しておるところでございます。ただ、先生が昨年も非常に強く要望されました「原則として常勤」というのを、「原則」を削って全部常勤にしろという強い御意見があったわけでございます。私どももそういう方向で進むことには異論ないわけでございますが、ただ実態かまだ常勤が七七%ぐらい、それから非常勤が二三%という状態でございます。いま一挙に「原則として」を取ってしまって、すべて常勤にすベしということは、まだ現状からいって若干無理な点がございます。
 ただ先生の非常に強い御指示もございましたので、従来のホームヘルパーの運営要綱を改正いたしまして、「原則として常勤」、それから前の要綱では、ただし、担当世帯が六世帯に達しない等、やむを得ない事情があるときは非常勤でもいいという、非常にばく然とした書き方でございましたが、これを非常に制限的に列挙いたしまして、派遣対象が非常に少数である三世帯ないし四世帯という場合、それから奉仕員自身の事情によって常勤が困難な場合というふうに、制限列挙をするということで一歩前進したわけでありますが、今後もそういう方向で努力をしたいと思います。
#39
○田邊委員 これはもうちょっと具体的に詰めたいと思いますから、あとでいろいろとお伺いをしていきます。
 きょうは時間がないから非常に残念ですが、これはもちろん、地方公務員にする場合において、いままでの補助から交付税に移さなければならぬ、いろいろな面もありましょう。けれども、その方向づけだけは明確にしておかなければならぬと思うのですよ。そうでありませんと、これは老人対策の一つの重要な柱であるという形で、人数をふやしたり、それからまた待遇面も今度四万五千円でしたかにするという形を努力してきたのですけれども、まだまだこれではほんとうに定着をする状態になってない。このことをひとつぜひ銘記をしておいていただきたいと思います。
 そこで、家庭奉仕員というものについて、あなたのほうは何か官制的な一つの組織をつくろう、こういう動きがあることを実は私は聞いておりまして、これはひとつやめてもらいたい。たとえば、埼玉県は一月二十日の民生部長の通達で、各市町村長あてに、家庭奉仕員の研修会というものをやることを通知を出している。研修会はいいでしょう。しかしその中に、埼玉県の家庭奉仕員連絡協議会の総会をこの研修会の中に乗せて、日本家庭奉仕員協会の支部の結成ということをやろうとしている。こんなものをあなた、民生部長の通達で出すべきものじゃありませんよ。こんな形で家庭奉仕員を縛ったり何かして、いわば待遇改善の声というものを狭めようという形は、これは全く時代逆行である、こそくな手段であるというように私は思っておるので、あなたはこの動きがあることをキャッチしておるとすれば、これはひとつやめてもらいたい、どうですか。
#40
○加藤(威)政府委員 家庭奉仕員の中に自主的に団体をつくることは、これは国がとやかくいうべき筋ではございませんが、いま先生の御指摘のような、民生部長通牒で研修会をやろう、これはけっこうでございますが、それに、そういった国なり県に関係のない、そういう団体の結成とかいうようなことがあるとすれば、これはきわめて適当ではないということでございますので、今後そういうことのないように厳重に指導いたしたいと思います。
#41
○田邊委員 では時間が参りましたので、きわめて中途はんぱな形ですけれども、原則的なことだけをきょう申し上げてまいりましたが、これに付随する具体的な事例については、また次回以降においてお伺いして、政府の誤りを正しながら真の意味におけるところの日本の社会保障制度を当委員会、国会を通じて確立するように努力してまいりたい、私はこう思っていますので、きょうはこれで質問を終わりたいと思います。
#42
○田川委員長 石母田達君。
#43
○石母田委員 私は初めに、前回の委員会で問題になりました、建設労働者の組合の国保の赤字問題についてお尋ねしたいと思います。
 前回の論議の中で、この赤字の克服について厚生大臣は前向きに検討したいということを言われましたけれども、もう少し具体的にその中身を厚生大臣に質問したいと思います。
#44
○齋藤国務大臣 国保組合につきましては、擬制適用からああいうふうな形になってできておるわけでございまして、私どもできるだけ健全な運営ができるように、すなわち赤字があまり出ないようにという基本的な方針で財政調整の交付金を年々増額いたしてまいっております。ことしは二十五億でありましたが、来年度におきましては四十三億、相当大幅に拡大をいたしておるわけでございまして、今後ともそういう方向で努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
    〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕
#45
○石母田委員 その程度の前向きに検討したいということなのか。この問題については、御承知のように国会でも、第五十一国会でしたか、厚生大臣が、国保組合に対しても、いわゆる市町村国保の場合か七割給付になったときには十分均衡を失しないように考えていくとか、あるいはまた衆参両院におきましても、国保組合に対する国庫補助の増額を行なう、あるいはまた最近の発言の中でも、北川保険局長が、できれば定率の国庫負担を四十九年度から増加したいというようなことも発言したというふうに聞いておりますけれども、そういう点での検討はないわけですか。
#46
○齋藤国務大臣 私どもは国保組合に対する定率補助の増率、それにつきましても十分いま検討をいたしておりまして、四十九年度において何とか増率が実現できるように努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#47
○石母田委員 御承知のように、この日雇健康保険の擬制適用が廃止されまして、その日かせぎの建設労働者、職人にとって、本人の十割給付あるいは傷病手当というものは、自分たちの命と健康を守る上できわめて重要なものであったわけです。そこで、いま、やむを得ずこうした国民健康保険組合を設立して、非常に赤字で苦しんで――特に医療費が高騰している、あるいは材木の値上げで仕事が非常に少なくなっておる、こういう状態の中で、非常に困難な状況のもとでありますので、いま大臣が出された方向で積極的に検討していただきたいというふうに思います。
 さて、前回の委員会でも問題になっておりましたが、看護婦不足が非常に大きな問題になっている。島田療育園で職員がどんどんやめていくという事態にまでなっているということが新聞にも報道されまして、大きな社会的反響を呼びました。この問題については、田中議員が質問いたしまして、これまた新聞に報道されまして反響を呼んでおります。
 しかし、これは決して民間の施設だけではなくて、国立の医療機関においても同様な事態か起きておるということが、私も厚生省の説明や、調べによっても明らかになっております。
 最近の調べによりましても、重度心身障害児や筋ジストロフィー患者のためのベッド、たとえば筋ジス関係では宇多野療養所では、八十ベッド中、半分以上の四十七ベッド、あるいは刀根山療養所では、八十ベッド中、利用率はわずかに五〇%、重度心身障害児関係では茨城県の晴嵐荘が百二十ベッド中一病棟四十ベッド、神奈川療養所におきましては八十ベッド中、三分の一以上の三十二ベッド、また長野県の寿療養所に至っては四十ベッド中、利用されているのは半分の二十一ベッドにすぎません。このおもな原因が、その説明によっても看護婦不足だということであります。しかも、こういう気の毒な障害者が施設に入りたくても入れない、そういう人が一万人以上もいるということであります。中には思い余って、そうした障害児を殺す、親子心中するというような事件もあとを絶っていないのは御承知のとおりであります。
 しかも、このような施設に働いている職員の中で、こうした人手、看護婦不足のために労働強化が非常に進んでいる。組合の調べによっても、これは全医労ですけれども、国立福井療養所という重障児の施設で七十九名の職員中、一〇〇%つまり全員が腰が重いと訴えている。公務災害の認定を申請している人が九名、すでに四名が認定を受け、現在コルセットをはめて仕事をしている人が一割の八名に及んでいるということであります。これは重大な問題だと思います。
 そこで私は、厚生大臣に質問したいと思います。
 大臣は所信表明で、特に緊急を要する問題として、重症心身障害児者のための施設の計画的整備を促進し、あわせて、その「職員を確保し、入所者及び職員の処遇の一そうの向上をはかる」ことを言明しております。このような深刻な事態を招いていることに対し、直接責任を負う厚生大臣として、どのような責任を感じ、またどのようにして、このような問題を解決されようとしているか、この点について質問したいと思います。
#48
○齋藤国務大臣 看護婦の問題につきましては、私も頭を痛めている重要な問題の一つでございます。この看護婦の確保の問題は、養成所の数を単にふやすという――もちろんこれも必要でございますが、それだけで問題は解決しない。やはり看護婦さん方の処遇の改善、そういうものを十分頭に描きながら総合的に考えていかなければならぬと考えております。
 特に最近、国立病院等におきましては、夜勤の問題が非常に深刻になってまいりましたので、御承知のように来年度の予算におきましては、夜勤手当を一回三百五十円でありましたのを一千円に大幅に引き上げるというふうな措置もいたしてまいりました。さらにまた、おそらく本年の八月ごろまでには人事院勧告も出るでございましょうが、その人事院勧告が出るにあたりましては、看護婦さんの待遇改善、他の女性の職種とにらみ合わして最重点に看護婦さんの職種というものを考えてもらいたいということを強く要望もいたしており、人事院もできるだけ努力をしようということを言うておりますので、そうした方向で努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。
 そういうふうな、当面緊急に処理しなければならない処遇の問題と相まちまして、今後医療供給体制確立ということが非常に大きな問題になってきておりますので、そうしたものとにらみ合わせながら、今後五カ年間において何とか医療機関の要求するところの看護婦だけは充足させるようにしなければならぬという長期計画を急いでつくってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございまして、緊急なものとしては、いま申し上げたような処遇の改善、これを中心として努力いたしますし、同時に今後は長期計画において確保対策も万全を期するように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
#49
○石母田委員 いま大臣は看護婦不足について、医療機関が必要とする看護婦を充足させるように努力をする、こういうことを言われましたけれども、現にいま国立医療機関の中におきましては、いわゆる総定員法に基づく第二次定員削減計画によって、看護婦も含めて医療従事者の削減計画があるということを御存じですか。
#50
○滝沢政府委員 総定員法に基づきます定員の削減につきましては、医療従事者については最大の配慮がされた結果、具体的には医師、看護婦については、一応総定員法の積算上のワクとしては一%という計算がなされておりますが、これが実施につきましては、各省庁の実態にまかせてあるわけでございまして、われわれとしては、看護婦、医師と直接患者に関係のございます職種につきましては、実行上削減ということをいたさないという方針で臨んでおる次第でございます。
#51
○石母田委員 私は、その実施上、つまり医療従事者は減らすというようなことがいかに不当なものであるかということを、そういう結果論を言っておるのではありません。この国立医療機関の総定員法に基づく第二次定員削減計画の俸給表別削減率と、その年度別計画、こういう資料を出させたわけですけれども、私はこの中で、いまも政府当局の答弁にありましたように、一%と言われましたが、医療日の看護婦さんが二百十三名、医療(二)つまりレントゲン技師などの技師が百三十名、医療(一)お医者さんが三十九名、こうして事務職員や医療に従事する労務職、こういうものを含めた医療の従事者が千五百三十二名も三年間に削減される、こういう計画自体について、厚生大臣はどういうふうに考えておられますか。
#52
○齋藤国務大臣 これは御承知だと思いますが、医療関係者につきましては削減しないという方針になっておると私は承知いたしております。行政職は国家公務員の削減計画に基づいてやっておりますが、医療関係者は削減がないと私は承知いたしております。
#53
○石母田委員 そうすると、行政管理庁のほうでやっているのだと思いますけれども、この計画はすでにもうなくなっているのですか。撤回されておるのですか。それとも実施段階でその医(一)、(二)、(三)については削減してない、こういうふうになっておるのですか。この計画自体はどうなんですか。
#54
○滝沢政府委員 計画につきましても、具体的に医の(一)、(二)、(三)については削減をいたしておりません。
#55
○石母田委員 そうすると厚生省から提出していただいたこの資料は、これは架空のものですか。この資料にある、行(一)五百十名、行(二)六百三十六名、医療(一)三十九名、医療(二)百三十名、医療(三)二百十三名、研究職四名、計千五百三十二名を昭和四十七年度、八年度、九年度と三カ年計画で削減をするという計画自体はないのですか。
#56
○平井(廸)政府委員 お答え申し上げます。
 第二次行政関係の定員削減計画の策定にあたりまして、先ほど医務局長から御説明申し上げましたように、職種別に検討いたしまして、医療関係については最大限の配慮を払うということで、いわゆる一%削減業種に入れたわけでございます。ただし、これはあくまでも全体の計画削減数の積算の基礎としての議論でございまして、いわば全体の削減数策定の段階における段階的な資料とお考えいただきたいと思います。
 そこで、全体的にそういう基本的な計画にのっとりまして、各省と御相談を申し上げまして、現実に、可能である積算数というものを検討いたしまして、それぞれの省庁に割り当てたわけでございますが、それはあくまでも個々の職種に必ず厳密に各年度において割り当てるという性質のものではないと考えております。それはそれぞれの年度におきまして各省と行政管理庁と御相談申し上げまして、現実の削減が可能な職種並びに地域等について削減を行なうという形で実行いたしておるわけでございます。
#57
○石母田委員 私は実施がどうのこうのということを問題にしておるのじゃないことを先ほどから再三申し上げております。先ほど申し上げたような看護婦の不足で重大な事態が起きておる、あるいは医療従事者の不足によって国立医療機関という、直接政府が責任を負うところでも深刻な事態が起きておる。この点については厚生大臣お認めのとおりです。そうした事態の中で、政府がこのような削減をする計画を出す、こういうことがいかに政府がいまの医療の問題について、この深刻な事態についての認識がないか、また私は医療の破壊政策以外の何ものでもないと言い切ってもいい計画を依然として持っている、この問題について、あくまでもこの計画を撤回する意思はないのか、また第三次計画というようなものをこのような形で出されるつもりなのか、その点について行政管理庁の政府委員に聞きたいと思います。
#58
○平井(廸)政府委員 第二次定員削減計画は昭和四十七年度を初年度といたしまして、三年度で実施されることになっておるわけでございますが、その過程におきまして、先生御指摘の計画の中に、いわば積算の根拠としてそういうものが入っておることが不当かどうかという御議論かと思いますが、私ども定員削減自体のねらいは、行政需要の消長に即応いたしまして、政府全体として定員の弾力的な運用をはかるというところにあるわけでございますが、当然職種によりまして配意すべき点については配意をいたすということは怠らないつもりでございます。ただし、そういう考え方に立ちました場合に職種が全体としてふえなければならない場合には、必ず削減対象から除外するという考え方をとるか、そうではなくて、減少すべき要素は減少し、増加すべき要素は増加するという考え方をとるかという二つの考え方があろうかと思いますが、私どもはいわばあとの考え方をとったわけでございます。
 そこでそういう場合に考えますと、医療関係の職種につきましても現実の地方における療養所の患者の減、その他の要素を考えますと、必ずしも一〇〇%減員の要素がないわけではない。一方ではそういう要素も考えるわけでございますので、先ほど申し上げましたような最小限度の削減対象計画のグループに入れたということでございます。
 そこで第二次の定員削減計画は、いま申し上げたようなやり方でやっているわけでございますが、先生御指摘の、いわゆる第三次定員削減計画を実行するのかどうか、さらにその計画の立て方をどうするかという点につきましては、私どものところでは現在のところ、まだ決定をいたしておりません。
#59
○石母田委員 そうしますと、いろいろ実情も考えた上で看護婦さんも一%減らしていい、こういうことですか。
#60
○平井(廸)政府委員 先ほども申し上げましたように、当然一方では増加の要因があり、一方では削減の余地が全然ないわけではない、そういう意味において削減計画の対象にいたしたわけでございまして、全体として見ました場合には、当然増員があるべき職種と考えております。
#61
○石母田委員 ですから、こういう計画を――これは結局総定員法の矛盾です。総定員法というものがいかに過酷なものであるか。医療内容を破壊する結果さえ引き起こすようなものですよ。こういう看護婦さんを含む医療従事者の削減計画について厚生大臣はどういうふうに考えますか。
#62
○齋藤国務大臣 いま行管から御答弁がありましたように、総定員の積算の根拠として、たとえば例を引いて申しますれば、結核療養専門の国立療養所がありましたときに、結核患者が減ってきた。それでは看護婦さんも一人ぐらいはそこは減るのじゃないか。それから重度心身障害児のほうは新しくつくる、その看護婦さんは増員だ、こういうことでございます。積算の基礎として、どこか減るかもしれぬが、ふえるところもある、こういうことを見渡して、実施の計画をやるわけでございます。私どもは積算の中に、たとえば結核療養所の患者さんがだんだん減ってきた、看護婦さんもそんなに必要であろうか、こういうことば私はあると思うのですね。
 そういうことでございまして、医療関係者については全体的に、現実的に削減のないようにしようということで、実施においてしておるわけでございます。これはほんとうの内輪の積算の根拠として、この療養所はどうだ、この療養所はどうだというようなことで、むだのないような公務員の配置をしようということから出ておるわけでございます。したがって、そういうことを踏まえながら、看護婦さんの職種の重要なことは十分承知しておりますから、全体としては国立療養所の看護婦さんは増員になっておるというのが、現実の姿でございまして、私どもは医療関係者の削減などをゆめにもしようなどと――そういう意図のもとに削減しているのではないということだけは、はっきりさしておきたいと思います。
#63
○石母田委員 ですから、大臣が言っているように、こういうものを実際実施するということになれば、削れるはずはないのです。きょうは福田長官が来ていないから、私はこれ以上質問いたしませんけれども、政府機関が総定員法という法律に基づいて削減計画を出す。あまり削れない職種のところは削る率を少なくするのだ、こういう考え方なんですよ。先ほどは何か実態をよく見て、どこか削れるところかあるのじゃないか――この計画はそんなことがわかって出したものじゃないのです。ただ削れるところがあるはずだ、あるにきまっている。だからそれをひねり出すという考えでこの削減計画を出している。
 こういうところにいまの医療問題に対する、あるいは看護婦の不足という重大な問題に対する政府の基本姿勢がある。だから、この計画自体が実際に実施されているかどうかは問題でなくて、むしろこのような計画を立てて、それを強行させようとする政府に対して、私は重大な責任を追及しなければならぬ。きょうは、田中総理やあるいはまた福田長官にこのことを質問しようとしましたけれども、責任者が来ておりませんから、この問題については打ち切りたいと思います。
 さて、先ほども大臣が答弁の中で言っておりましたけれども、夜勤の問題、つまり看護婦の定着というふうに考えた場合に、一番大きな問題は、婦人でありながら夜勤をするという、労働基準法の適用を除外されて特殊な労働環境といいますか労働状態に置かれている、この夜勤をやっている医療関係の婦人たちに対して、どのような対策をもって臨まれるのかということです。この看護婦を中心として、医療に働く婦人の定着率を高める上においては、これはきわめて大事な問題だと思います。
 厚生省の患者調査によりますと、昭和三十七年患者数約五百万人、これが四十五年ですと七百二十四万人と非常に激増しているわけですね。ところが、就業している看護婦の数を見ますと、これも厚生省の調べによりますが、二十万五千名から同じ四十五年までに七万人しかふえていない。しかも、昭和四十一年には二十六万五千名いたわけですから、この数年間では一万名そこそこしかふえていないということですね。横ばいになっているわけです。
 この看護婦不足問題の対策として、この定着率をどうやって高めるか。いまのような状態では、幾ら養成しても、資格をもらって看護婦さんになっても、結局やめるという人が多い。なぜか。これは結局、いまの看護婦さんの半分近くが既婚者です。そして、こうした婦人の場合、結婚しても働けるような労働条件が保障されていない。これが最大の原因であると思います。ですから、この看護婦の充足は、まずその待遇の根本的な改善にあり、またこのためには前回も論議されましたような低賃金を大幅に改善する、こういうことが基本であります。
 私は最近、国立療養所の南横浜病院へ行きまして視察をしてまいりました。そのときに直接聞いたのですけれども、夜勤の場合、一番ほしいのは何か。それは子供を預かる、夜間も保育できるような保育所、それから既婚者が入れる住宅、これができるだけ病院の近くにあればどんなに楽か知れない、それから準夜、つまり十二時半ごろに帰る、あるいは一時に帰る、それから深夜に出勤する。同じころの時間です。そうした深夜、準夜に通勤する場合の「車送り」の問題です。この三つの問題が、皆さん方の話を聞いていて一番切実な問題です。
 もちろん夜勤手当が千円になることについては、これはいいことだ、おそ過ぎたくらいですけれどもいいことだ、こう言っておりました。しかしながら、この三つの問題を何とかしてほしい。そうしないと、先ほど申し上げましたように、結婚すれば、結局やめざるを得ない、やめてしまう。これがどんどん出るだろう。特に未婚の人といっても、大部分が結婚適齢期の方が多いわけですから、こうした問題について厚生省としてどういう対策をとられているか。
 まず夜間保育所の問題、「車送り」の通勤費の問題、もう一つは既婚者の宿舎の問題、こういう三つの問題について、まとめて返答していただきたいと思います。
#64
○滝沢政府委員 先生の御指摘は、看護婦さんの退職を防止して長くおつとめいただくようにするということで、三点の対策を具体的におあげになりましたが、これは確かに当面の重要な課題でございます。
 その一つでございます保育所の問題につきましては、四十八年度で五十八カ所を予定いたしております。ただいま四十八カ所ございますけれども、二十四時間保育と申しますか、夜間まで保育しているところは八カ所だけでございまして、その他には八時間から二十四時間まで保育時間にかなりのばらつきがございます。この点は、それぞれの実情に応じた対策として講じられておると思うのでございますが、特に家庭、子供を持たれた看護婦さん方の勤務の割り振りと申しますか、そういうようなことも考慮いたしますと、その辺のところは、なかなかむずかしい問題ではございますが、常に夜間保育をするか、週のうち幾日かを夜間保育をする、そのときにちょうど夜間保育の必要な看護婦さんの夜間勤務の問題とのかみ合わせをどう考えるか、こういうような施設ごとの具体的な問題を詰めながら、この問題は、確保のためにはどうしても強化しなければならぬ問題でございます。
 それから「車送り」につきましては、確かに強い要望がございまして、われわれも人事院に夜間の特別通勤手当と申しますか、そういう形で要求したこともございますけれども、これは公務員全般の通勤手当との関連もございまして、十分御検討はいただいておりますけれども、まだ実現を見ておりません。ただ「車送り」につきましては、今回夜間看護手当の増額がございましたので、一応その兼ね合いにおいて実現を見ませんでしたが、私はこの問題は次年度、四十九年度の予算要求においてどうしても具体的には実現したい、こういう気持ちでおります。
 それから最後の一番むずかしい住宅確保の問題でございますが、これにつきましては、まず国立の関係では、ただいま住宅法が改正になりまして、従来は狭い部屋に二人の看護婦さんが住居するように定めましたものを、一人で住めるように改善するという方向で従来の古い看護婦宿舎等の改善に追われておりまして、この問題は、検討はいたしておりますが、まだ具体的に着手できておりません。ただ日赤その他の団体の具体的例示としては、住宅金融公庫から借り入れて、そういうような看護婦さんの家庭ぐるみの住宅を、やはり看護婦さんにしかるべき家賃は持っていただく、病院側も持つというような形で、確保対策の一環として具体化している例は聞いているわけでございますので、これらの問題等も含めまして――どうしてもこの住宅問題というものは、それぞれの病院の実情、通勤の実態、宿舎の確保されている状態等も踏まえまして、非常に変動要素のある問題ですから、幾つ、どういうふうに用意したらいいかというような問題も含めまして検討したいと考えております。
#65
○石母田委員 いまの住宅の問題ですが、アンケートとか、実態調査とか、希望なんかとったことがありますか。
#66
○滝沢政府委員 この問題は事務当局にあるいはあるかもしれませんが、私はまだ実態調査をした事例、あるいは結果を聞いておりません。
#67
○石母田委員 大至急、実態と希望をとっていただきたい。というのは、私が交渉の過程で聞いたんですけれども、そういう希望があるかどうかわからぬ、つまり御主人のつとめの関係で、病院のそばに建てたとか何とかいっても、はたしてそういう希望者があるかどうかということを言っておられた方もいたから、私はそんなものじゃないというふうに感じますので、至急こういう実態調査、それから希望をとって、それに基づいて早急な対策を立てる、こういうことをここで約束していただきたいと思います。
    〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
#68
○滝沢政府委員 至急調査いたします。
#69
○石母田委員 それから保育所の問題ですが、いまの四十八カ所を五十八カ所にして、いま八百名ちょっと入っておりますけれども、これで施設数がいま二百五十六ですか、それで一万名以上の既婚者がいるわけですから、これではあまりにも少ない。しかもこの調査を見ますと、政府で建てているというのは一つもないのですね。職員団体か何かで、専売だとか電電公社はみんなつくっているけれども、政府として直接こういう施設のところにつくるという方針はないのですか。
#70
○滝沢政府委員 国立病院直轄の場合と、それから一般の医療機関に対する助成策と、いま両方保育所をやっております。
 先生お尋ねの国立直轄の場合については、確かに国有財産の管理の問題その他で、検討はいたしておりますけれども、具体的に建てる、あるいはそのような保育にふさわしい施設として提供する こういうことについては若干欠けるところがあるわけでございます。
 それから一般的な医療機関に対しては、国から建設資金としての、ほんのわずかでございますが、一カ所百万程度のものを出しまして、それをその市内にある公的の病院等を中心にして、場合によっては民間の医療機関等の保育も、共同保育施設という名目のもとに補助金を出すことに手をつけております。
#71
○石母田委員 「若干欠けるところ」じゃなくて、私から見ると、つまり建物を直接建てるかどうかということだけじゃなくて、使用者としての政府として、責任をもっているかどうかということを見ますと、たとえば保母さんの身分にしましても、これは全然保障がないわけですね。それから賃金にしましても、低いのは一万五千円なんというのもあるのですよ。まあ三万円前後ですね。そうして労働強化、身分の保障もない、賃金も安い、これじゃとてもやっていけない。
 東京都の例を見ますと、都立病院には全部に二名の定員で保母さんを置いて、これは都の職員になっているそうです。梅ケ丘病院は精神病院で都立だそうですが、七名の保母さんのうち五名が正式職員になっている。こういうことを聞きますと、国の対策といいますか、使用者としての政府といいますか、保育所、特に夜間保育できるような保育所の設立ということがきわめておくれている。これは早急に解決されなければならない問題だ、こういうふうに考えております。ぜひ保母さんの身分の問題、それから賃金の問題、これは厚生省で何か一名分は要求したけれども、削られたというような話ですね。そんな削られて黙っているのではなくて、この保母さんの賃金を確実に国で保障させろということぐらいは最低やっていただきたい、こういうふうに思いますけれども、その点について厚生大臣の答弁を聞きたいと思います。
#72
○齋藤国務大臣 夜間保育等の保育の問題については、これはほんとうに大事な問題でございますので、看護婦養成の長期計画の中で十分考えますと同時に、一応の草案ができますれば、昭和四十九年度の予算要求においても善処するようにいたしたいと思います。
#73
○石母田委員 それから「車送り」の問題ですが、これは組合の調べでも非常に通勤途上の事故がふえておりまして、最近数年間の中でも四百数十件も痴漢に襲われたり、野犬に襲われたり、酔っぱらいにからまれたり、そういう事故が起きているわけです。これは婦人ですから、重要な問題です。そういう意味で、通常の交通機関を利用するというようなことが人事院規則にありますけれども、深夜の場合はタクシー代を払うということは、これは制度としてなっているのですか。この点どうですか。
#74
○尾崎政府委員 通勤手当につきましては、一般の公務員に対する一般的な方法といたしまして、通勤の経路、方法につきましては、やはり常識的、経済的な方法をとるということにいたしてございまして、タクシーのような場合につきましては、一応通勤の適当な方法とは考えないということでございます。夜間の場合につきまして、たとえば従来バスで通っておりました者がバスがなくなって、しようがなくて電車に乗るといったようなことは認めておりますけれども、タクシーというのは、やはり通常の通勤方法としてはいかがかということで、これは通勤手当の算定上は認めていないという状況でございます。
 ただ当面の問題は、それはそれといたしまして、看護婦問題につきましては、一つには給与の問題、これは民間の給与は公務員よりも低いわけでございますけれども、そういう状況であるにもかかわりませず、他の同学歴の職種に対して必ずしも高くないという状況、それから特に勤務条件につきましての関係等がございますので、私どもといたしましては、先ほど大臣からお話がございましたけれども、厚生省とよく御相談をいたします。一方においては教員の問題が出ておりますけれども、看護婦さんの関係もそれに劣らず問題であるというふうに私どもとしては考えておりまして、今後そういう方向で、要員確保という方向を踏まえまして、十分検討したいというふうに考えております。
#75
○石母田委員 もう少し具体的に答えていただきたいのですけれども、そうすると人事院規則では、とにかく片道二キロメートル以上四千円まで全額、あるいは八千円までは半額負担することになっている。そういう中で夜中に帰るというときにタクシーに乗る交通費も出さない、あるいはまた「車送り」というような使用者が便宜をはかることも予算に組ませないということになったら、一体どうやって帰れというのですか。その点、もう少しいま答弁した人に質問したいですね。
#76
○尾崎政府委員 通勤の方法につきましては、たとえばバスなり電車なりで通ってくるという場合につきましては、その往復につきまして往復運賃を、定期代を一応払うということで通勤手当を支給しておるわけでございます。当面の場合はそういうことで、一応昼間の場合の通勤手当を支給しておるわけでございますけれども、ただ昼間の交通機関が利用できないという状況だろうと思いますが、そういう場合には通勤手当という問題としては、すでに昼間の定期代の中に一応夜の分も含んでおるという点はあるわけでございますけれども、それを通勤手当ということでタクシー代を支給するという点は、常識的にいかがかという問題がございます。
 それはそれとしまして、看護婦さんの特殊な勤務、つまり十二時に交代するという問題は、これは一つの問題でございまして、十二時でない時間に交代すれば、たとえば朝方に交代すれば、現在大体十回くらいになっておりますのが半分になるというようなこともございますから、そういう点は厚生省ともよく御相談をしているわけでございますけれども、やはりそれはそれとして、対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
#77
○石母田委員 時間が来ましたけれども、あまりすごい答弁なんでびっくりしているのです。朝方に交代したらいいとか、通勤費を節約するためにいまの二・八体制とか、看護婦さんが特に基準法から除外されて夜勤をしているという実態について、あなたはあまりにも知らな過ぎる。これは厚生大臣、どう思いますか。あなたたちが要求したのだから、少しはわかっていると思いますけれども、どう思いますか。
#78
○齋藤国務大臣 夜帰る場合の「車送り」の問題、自動車賃の問題、これは相当考えるべきだと思いますので、人事院とも十分相談いたしまして善処いたしたいと思います。
#79
○石母田委員 質問を終わります。
#80
○田川委員長 田中美智子君。
#81
○田中(美)委員 二月九日の予算委員会で、総理が輸血のための血液というのは需給が見合っているというふうな回答をなさいましたが、これにはとても納得できませんので、このことについて、きょうは質問したいと思います。
 需給が見合っているどころか、輸血の血液を必要としている患者が、いまたいへんに苦しんでいるという実情を厚生省はどのように考えていらっしゃるのかわかりませんが、特に心臓病などで大量の血液が要るというふうな場合に患者がたいへんに苦しんでいるわけです。この苦しんでいる一番の重点というのは、患者側で血液を集めろというふうに言われるわけですね。二十人分も三十人分もの血液を集めるわけですから、そのためにまず血を下さる方、供血者を依頼して歩くということは、たいへんなわけです。それから献血手帳を持ってくればしてくれるというので献血手帳を何冊も集めなければならない。それから、そのために謝礼とかいろいろな費用がかかって、ばく大な金がかかっているという事実があるわけです。こういう事実を厚生省はどのように考えていらっしゃるか、時間がありませんので、簡潔に答えていただきたいと思います。
#82
○松下政府委員 ただいまの御質問の問題点、幾つか御指摘でございますが、まず全体的に血液の供給体制が、需給が見合っているかどうかという点につきましては、予算委員会でも御答弁申し上げましたように、全般的に、手術等の際に輸血に用いられます保存血液の供給につきましては、非常な御協力をいただきましたおかげで、大体献血をもって必要量がまかなえておるという実情に達しておると私ども了解いたしております。
 ただ、いま先生が特に二番目に御指摘になりましたのは、新鮮血の問題であろうと思います。特定の心臓疾患あるいは白血病等の治療に際しましては、通常の保存血液以上に新鮮な血液の輸血が必要であるという場合があるわけでございまして、そのような場合の需給体制をどうしておるか、そういった点につきましては、原則的には保存血は採血後三日間を経まして安全性等を調べました上で使用するのが原則でございますけれども、新鮮血の輸血を必要といたします特殊な疾患につきましては、採血後直ちにその保存血を供給するという措置をとっておりまして、非常に特殊な疾病につきまして採血後直接というようなことが要求される場合もあるようでございますが、大部分の疾患につきましては、現在の保存血液の前段階であります採血後の血液を使用する、新鮮血を使用するという方法によってまかなわれておるという場合が多いわけでございます。
 ただ一部の医療機関におきまして、需給の調整が緊急の場合にうまくいかない等の事情がございまして、先生が御指摘のように、手術の際に、手術を受ける人あるいはその親族の人が直接供血者を連れてきてほしいというような要望を受けて、かなり苦労しておられるという例があることは私どもも承知いたしておりまして、そういうような場合には、できるだけ、いま申し上げました保存血の前の段階である新鮮血を十分に供給することかできるように、今後も採血業者――日赤か大部分でございますが、血液製剤を製造しておるものに対しまして十分な指導をいたす、また医療機関に対しても、できるだけそういうような血液を使用していただくようにお願いをいたしたいと考えております。
 それから三番目の御質問にございました献血手帳を持ってくれば輸血の対象にするという問題、これは過去において一部の医療機関等で誤解がございまして、献血制度と預血制度の切りかわりの時期において、そういう実態が見られたという実情がございますのと、それから何と申しましても、血が足りておるとは言い条、献血ができるだけ多いほうが望ましいということで、輸血を受けた場合は、できるだけ将来その親類縁者等の方が献血をして、あとの手術をする人のために必要量を満たしていただきたいというお願いをしているような事例もございます。
 そういうことがあまり強く伝わりますと、手帳を持ってこなければ輸血をしてもらえないというふうに誤解される向きもございまして、また一部の医療機関でそういう誤解があったようでございますので、すでに私どものほうから十分通知をいたしまして、そういう献血手帳と輸血とをリンクさせることがないようにということを十分注意いたしてございますが、御指摘のような不徹底な面があれば、さらにその辺は徹底さしておきたいと考えております。
#83
○田中(美)委員 いまの答弁はたいへん納得いかないわけです。と申しますのは、あまりにも実情を知らない。私も調べてみまして、思ったよりもひどいので、びっくりしているわけです。いまのおことばの中で特殊な疾病についてはというふうにおっしゃったわけですけれども、心臓病は特殊な疾病といえるでしょうか。これは、結核の手術、いろんな手術がありますけれども、そのときにやはり血液は不足しているわけです。心臓病の場合には日本で大体十万人くらいいるというふうに言われているわけですけれども、「全国心臓病の子供を守る会」というのに集まっている方だけでも、まずいま四千人おります。それは一部分ですね。
 その中の人たちがどういう状態にいるかということですけれども、昨年の夏――いま、献血手帳などは、いまはもうそういうことはないと言われましたけれども、昨年の夏に六百五十三人の手術をしてしまった人の調査をしたところが、そのうち五百七十五名が血液集めに狂奔したということを言っておるわけです。その中で二百八十九名というものが手帳を集めることに狂奔しなければならなかった。それから供血者を集めるのに二百八十六名の人たちが非常に苦しんだ。ある一つの会の中の一部分の調査だけでもこういう数字が出ているわけです。
 いろいろな調査がありますけれども、簡単に申しますと、ある一部の病院ではというふうなことをさっき言われましたけれども、一つの県の例をとってみますと、これは兵庫県ですけれども、この日赤の血液センターで扱ったものです。ここに、患者が病院側から自分の責任で集めてこいといわれて日赤に供血者を連れていった例ですね。これはもう県立尼崎病院、神戸医大、国立療養所兵庫中央病院、阪大、京都府立病院、榊原十全病院、加古川国立療養所、県立子供病院、大阪府立医大病院、京都第一日赤病院、例をあげれば一ぱいあります。こういうところで一年間に一本二百tですね、これが九百十八本というものを患者の責任で集めさせているわけですね。こういうことが一つの県の中、一部分の調査だけでもこれだけの数が出ているということは、全国には膨大な数が出ているということだと思うのです。そういう点、一体厚生省としては、どう考えていらっしゃるのだろうかというふうに思いますけれども、いまのお答えでは、これから十分な指導をすると言っているわけですけれども、いままでも十分な指導をしてきたのに、これから十分同じような指導をするということでは、この問題は全然解決しないというふうに思うわけです。
 この一つの例として驚くべきことがあるわけですけれども、これは東京の港区の患者さんですけれども、Mちゃんという六歳の心室中隔欠損症の病気の方です。これは女子医大で昨年の夏に手術をしたわけです。そのときに新鮮血を十二本分集めてこいというふうに言われたわけですね。それであらゆる人に当たったわけです。これはもう約百人くらいの人に当たっている。その苦労というのは、ただごとではないのですね。涙ぐましいなんという問題ではなく、親はこの子を助けたいということで、自分の命を引きかえにしてもというくらいに思って百人の人に血を当たっておるわけです。その中で二十四人の協力者が出てきたわけですね。そうして二十四人の検査をしていただいた。ところが、半分の十二名が不合格だったということで、このためにかかった費用というのは――百人に当たった費用や足代、いろんなことがあります。これは入れておりません。この二十四人にお願いした場合ですね。これはまず最初にぜひ検査に来ていただきたいということをお願いするときに八百円の菓子折りを持っていっているわけです。これが約二万円かかっています。それから採血して、血をいただいた十二人ですね。合格になった方です。この人に大体一万円の謝礼をしているわけですね。それがだから十二万かかっているわけです。それから不合格になった人、この人もやはりちゃんと来ていただいて検査をしていただくという労力を提供したわけですから、この方には三千円の謝礼をしているわけです。それにその方たちのタクシー代があるわけです。それから時間がかかりますので、食事も出さなければならない。そういうようなことを締めて約二十万円のお金がかかっているわけですね。
 こういうことが特殊な疾病でほんのわずかしかないんだろうか、これはMちゃんの話は特別な話だろうかというふうに思いまして、ずっと各県を調べてみました。――これは厚生省がしなければならないことだと思うのですけれどもね。
 二十五県にわたって当たってみたわけです。ところが、驚くべき結果が出ております。患者が血を集めるためにどれだけのお金を使ったかということですね。これはほんの――いまのように、それまでのいろいろな労力で使った金を省いております。それで使ったので、最高が和歌山県四十二万円、一回手術するのに四十二万円というお金がかかっているわけです。これは北海道四万九千円、東北十二万円、ずっとこうあります。愛知県なども二十万円というお金がかかっております。この和歌山が四十二万というふうな、こういう膨大な医療費を――結局これは医療費になるわけです、これを負担しているという状態ですね。
 こういう中でいま厚生省が、今度はことしは福祉優先の年だ、福祉に重点を置いた、こうおっしゃっておるが、特に医療の場合に、われわれは保険あって医療なしというようなことを言っておりますけれども、公的の負担金が非常にふえているというふうに言って、パーセンテージをどんどん多く出しています。しかし、実際にこういうふうにかかったお金というものは、その中に全然入っていないわけですね。こういうことは、いかに保険あって医療なしということの証明になっているかというふうに思うわけですけれども、こういう状態というものは厚生省は知っていたのかどうかということ、そしてどう思うかということを簡潔に答えていただきたいと思います。
#84
○松下政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、いま先生が御指摘になりましたような、特に小児の育成医療等において行ないます中隔欠損等の心臓の手術につきましては、大量の新鮮血を必要とするということは私どもよく承知をいたしております。また病院によりましては、いま先生がおっしゃいましたように、その新鮮血の輸血にあたりまして、何と申しますか、保存血として日赤等で採血いたしました前段階である採血したばかりの新鮮血を使うよりも、さらに直接病院において採血した、いわゆるまくら元輸血といっておりますが、そういったような方法を行ないたいという御希望のある医療機関があることも、私も耳にいたしております。
 ただ現在の医療の体系といたしましては、少なくとも新鮮血を必要とする手術等につきまして、先ほど私が申し上げましたように、日赤等で採血いたしました、採血したばかりの新鮮血、これをもって輸血を行なうということは、枕頭輸血、まくら元輸血と医療面においては変わりはないということは、一応学者の意見として私ども承知しているわけでございまして、いま先生が御指摘のような、どうしても直接その場で採血する、供血する人を集めなければならないというような手術につきましては、私どもきわめて例が少ないんじゃないかと考えております。そういった面につきまして、ただ医療のことでございますので、これは個々のケース・バイ・ケースで具体的には主治医の判断されることでありますから、一律に通説をもって押しつけるということは、もちろん私どもするつもりはございません。
 ただ血液の供給体制につきましては、私どもといたしましては、日赤を中心といたします保存血の提供あるいはその前段階の新鮮血の提供をまず十分に促進をしたいということと、それから御指摘のような枕頭輸血等で直接供血者から供血を必要とするような手術につきましては、各都道府県におきまして大体規定等を設けまして、一定の額まではそういった枕頭輸血に要した経費を償還するというような方策もとっているようであります。
 それから先ほど御指摘のございました赤十字の血液センターにおいて献血手帳を集めてこなければ提供しないというようなお話があったということでございますが、それはおそらく私どもの承知しております限りでは、先ほど申し上げましたように、提供する血液がある限りはいたすわけでございます。これは赤十字の使命でございますから、献血手帳と引きかえでなければ提供しないということはいたしておらぬはずでございます。
 ただ先ほど申し上げましたように、非常に血液需給が、いますれすれの状態と申しますか、足りてはおりますけれども、なおこれは多いことが望ましい状態でございますので、そういった一般の人たちの善意に基づく献血によって血液の提供を受けた場合、できるだけその後また自分たちも献血をいたしまして、あとの人たちのためにもなるようにしてほしいというお願いをしておるという事例がございまして、その場合は、まず血液の提供が前提になっておるわけでございますので、医療上、支障を来たしておるというような事例はないと考えております。
#85
○田中(美)委員 もうあきれ果てるような返答だと思いますけれども、厚生大臣は、あくまでもそういう事例がないというふうに思われるのでしょうか。大臣はこういう状態に対してどのようにお考えになるか、大臣の意見をお聞きしたいと思います。
#86
○齋藤国務大臣 血液の問題は、外科手術等において重要な問題でございます。いろいろお述ベになりましたような事実、私もよくわかりません、承知しておりませんが、いろいろ弊害のあるような事態は避けるようにして、この問題に真剣に取り組んでいかなければならぬ、このように考えております。
#87
○田中(美)委員 厚生省はたいへん御存じないようですので、今後こういう調査を徹底的に、早急にやっていただきたいというふうに思うわけです。
 心臓に奇形のある子供というのは、大体二百人に一人生まれているわけですから、これをいまの医学では防ぐことができないということならば――特殊の疾病ではなく、常時きちっと出てくる病人であるということであれば、これはどうしても国がこれに対して、きちっとした対策を根本的に立てなければならないと思うわけです。
 それで、たとえばそういう事実はないとか、そういうことをさせている病院がたまにあるというようなことを耳にしている、こういうふうに言われますけれども、私の調査によりますと、一県においても、いま読み上げましたように、ほとんどの国立病院、私立の病院、県立病院、府立病院がやっているわけです。そして、これはまくら元輸血だけではありません。新鮮血の――日赤に行っているわけですからね。こういうことがあるわけですね。だから、まくら元もありますけれども、日赤に行っているのもあるわけです。こういうことがやられている。
 私はこの調査を始めましたので、いまあちこちから電話がかかってくるわけです。たずねても来られるわけです。そういう切実な声を聞きまして、ますますたいへんな問題なんだというふうに、調査しながら思っているわけです。
 昨日、毎日新聞の名古屋市内版に出たわけです。これは「誠司君を救おう」という見出しで、この誠司君というのは三歳の坊やの名前ですが、「誠司君を救おう」「私の血を…お巡りさん善意の列」「誠司君がんばって――市役所裏の県赤十字血液センターに六日午後、若いお巡りさんの行列ができた。」ということで、大きく新聞にこういう写真が出ているわけです。ゆうべ電話がかかってきて、毎日新聞に聞きましたら、名古屋の市内版は東京にないというんです。それで地元からいまここへ届いたわけです。
 これはやはり血液が、手帳も集まらなかった、ずいぶん苦労したけれども、家族や親戚の十人分ぐらいではどうしようもないということを偶然おまわりさんが聞いて、平均二十七歳の若いおまわりさん百二名の中から三十五名を選んで、この献血を日赤でした。これはきのうのことです。過去にもあったかもしれないけどなんていうような問題ではなく、これはきのうのことなんですね。こういうことは、もう常時起きている。これは偶然他人の善意で救われた。決して国の政策で救われたのではないんです。国民の、他人の善意で救われているわけです。
 これがほんとうにあなたがおっしゃるように特殊な疾病、それでもいけないことですけれども、これだけ大ぜいの人たちが苦しんでいる。にもかかわらず、国の政策はほとんどないし、それから、第一調べてもいない。いまの御回答では、全然この実情を御存じないということでは、もう討論にもならないというほどひどい政策だというふうに思うわけです。これはたいしたお金のかかることではないのです。早急に調査をして、まず厚生省がこの現状を知るということが非常に緊急な問題だというふうに思います。
 それから、先ほど、保存血について、これだけは十分に間に合っているというふうなことを言っておりますけれども、結核の手術をなさる方たちは、この保存血をもらうために非常に苦労しているわけです。決して間に合っておりません。その一つの例としまして、手帳の売買が行なわれている。献血手帳を売っているわけですね。この金額がたいへんなお金なわけです、これは愛知県の例ですけれども、こういう事情も厚生省は全く御存じないのか、知っていて知らないとおっしゃっているのか、私はふしぎに思いますけれども、実例をお話しして大たいと思います。
 これは愛知の国立の中部病院のできごとですけれども、Wさんという三十五歳の女の方ですが、この方が昭和四十三年に第一回の手術をするために十本、ということは十冊の献血手帳を買ったわけです。これは一冊三千円、五千円、八千円、一万円で買っているわけです。それから、二回目の手術が四十四年の四月、これも学生から五本、五冊の献血手帳を五千円で買っています。それから四十六年、三回目の手術のときにある公務員から五本、五冊、これも五千円で買っております。そのときには全部使わなかったものですから、三冊残ったわけです。残ったのを、またこの患者さんがほかの患者さんに一冊二千円で売っているというふうに、この献血手帳が次々と売り回されているという事実があるわけです。これは昨年の四月の話です。
 それから、もっと新しい話ですけれども、やはり同じ病院のYさんという四十八歳の女の方です。この方は二十三本血液が要る、献血手帳が要る。これは全部保存血ですよ。先ほど保存血は見合っている。まくら元輸血は病院のほうがかってにやるような言い方をしておりますけれども、これは保存血です。これを二十三本、これを一本、一冊を二千三百円で買っているわけです。これは膨大な金額になっているわけです。そして昨年の六月、また五本必要だというので、この人が同じ病院の患者さんの中から二千円で買っているわけです。これはまだ使ってなくて、この五本は持っているわけです。昨年の六月に、このYさんという方は五冊の献血手帳を持っているわけです。これをほかの患者さんが聞きまして、そして、使ってないならそれを売ってくれということで、これは昨日四十八年三月七日愛知県であったことですけれども、私に電話をしてくださった方の口の前でこの献血手帳が売られている。いま自分は目の前で売っているのを見たといって電話をかけてきているわけです。これは人も全部わかっております。
 そういうようなことが堂々と行なわれている。そういうことが行なわれていても、まだ政府では保存血も十分であり、新鮮血も間に合っているというふうに言われるのでしょうか。どのようにお思いになるか。これはたいへん大きい問題でございますので、厚生大臣の意見をお聞きしたいと思います。
#88
○松下政府委員 いまの御質問の点、実情をまず私から御説明申し上げたいと思います。
 いま先生の御指摘のような手帳の売買、これが過去におきましては、先ほど申し上げましたように、献血の前に、預血、返血ということが相当行なわれていたわけであります。その前にあの忌まわしい売血というような事態があったわけでございますが、それの過渡的な現象といましまして、預血、返血という行為がございまして、民間血液銀行等にまず血を供出する、その証明書を持って病院へ行くとそれに相当する血液を輸血してもらえるというような事態がございました。その後、非常に国民運動を進めていただきまして、現在は献血ほとんど一〇〇%という事態で保存血がまかなわれておるわけでありますが、そういった過渡的な現象が一時ありましたために、その預血、返血と献血とがあるいは混同されまして、場所によりましては献血手帳がなければ輸血が受けられない、保存血の提供が受けられないというような風潮が、これは医療機関等の誤解に基づいて、私どもの承知いたしております限りでは過去においてあったわけでございます。
 そういう事態を私どもも承知いたしたので、すでに全国のそういう血液センター等に対しまして、献血手帳の取り扱いについて、そういった誤りのないように、これは国民の善意に基づくものでございまして、手帳がなければ輸血しないというようなこと、あるいはさらに、いま御指摘のような手帳を有償で売買する、それがまた輸血を受ける一つの資料になるということですと、せっかくなくしました売血が形を変えて行なわれておるという事態にもなりますので、私どもは、過去におきましてそういう話があり、常時そういうことがないように強く指導してきたつもりでございます。
 ただ、先生御指摘のように、現実にそういう問題があるとすれば、その点は私どもの指導がなお十分でなかったと考えざるを得ませんので、深く反省いたしまして、今後はそういうことは絶対にないように指導いたしたいと考えております。
#89
○田中(美)委員 強く指導をいままでもしてきたけれども、今後なお強く指導し、絶対にこういうことがないというようなことを確認できますね、お約束していただけますね。
#90
○松下政府委員 お約束いたします。
#91
○田中(美)委員 それでは、いま非常に現実に困っている人がいるわけです。これはもうたくさんおりますけれども、これを早急に解決していただきたいわけです。
 いま名古屋市の南区の六条町二ノ四十五番地、白石清さんという方のお嬢さんで典子ちゃんという三歳のお子さんがいらっしゃいます。この方は心室中隔欠損症ということで、ことしの六月十八日に手術予定になっております。これは去年の秋からことしの六月十八日に手術をするということが大体きまっているわけです。病院の側からは、血液のほうは自分の責任で集めるようにというふうに言われているわけです。去年の秋からずいぶん苦労して、何しろことしの六月までに血液を大体二十本集めなければならないということで、苦労していらっしゃるわけです。秋からいままで――これはきのう、一番新しいところを、電話して確認いたしました。そうしましたら、二十人ほど親戚、知人にあたったというわけです。その中で、いま確定しているのは家族以外に二人しかいないというわけですね。これをどうしても六月十八日までに自分が二十名集めなければ手術ができないのだということで、何とかするために死にもの狂いで、いま血液集めをしていらっしゃるわけです。
 こういうものを、それでは今後強い指導をして、絶対にそういう必配をさせない、患者の責任で、こんなに苦労をかけないということがはっきりと言えるでしょうか。言っていただきたいと思います。先ほどの御回答によれば、典子ちゃんに絶対にそのようなことはさせない。必ず六月十八日に十分な血液を国の責任でもって提供して、手術を終わらせるということができるかどうか、これは厚生大臣にお聞きしたいと思います。――厚生大臣にお願いしたいと思います。
#92
○松下政府委員 技術的な問題でございますので、私から一応御説明申し上げたいと思います。
 ただいまの御質問の御趣旨が、私が先ほどから申し上げておりますように、日赤で採血いたします保存血あるいはその前段階でございます新鮮血をもってまかなわれるような手術でございましたならば、私も先ほどから申し上げておりますように、いまの血液の状態を前提といたしますならば、二十本程度で特に御迷惑をかけるようなことはないと申し上げて差しつかえないと考えます。
 ただ、具体的なケースについて、もう少し調査いたしませんと、先生のおっしゃいます疾病が中隔欠損――児童福祉法の育成医療の対象になっておるわけでございますが、そういった一般の手術であるのか、あるいは特になま血の輸血を必要とするような状態であるのか、あるいはお嬢さんの血液型が非常にまれな血液型をお持ちになっておるというようなこともございますと、また別な要素も出てまいりますので、いま具体的に氏名も伺っておりますので、私どもといたしまして、県あるいは血液センターとも連絡を十分とりまして、調査をいたしました上で、具体的に、御迷惑をかけないような措置をいたしたい、さように考えております。
 それから先ほどちょっと答弁を漏らしまして、恐縮でございますので、補足さしていただきたいと思います。
 実態調査につきまして、従来も私ども十分調べておるつもりでございますが、なお四十八年度におきましては、血液の需要動向の調査につきまして予算も計上いたしまして、さらにこまかい調査をいたしまして、実態を把握した上で、さらにきめこまかい対策を講じてまいりたい、さように心得ております。
#93
○田川委員長 田中君に申し上げますが、時間が迫ってきていますから、締めくくりの用意をしてください。
#94
○田中(美)委員 準備しております。
 いまの典子ちゃんは、A型の普通の血液です。特殊なものではございません。そちらのほうで調査をしまして、必ず典子ちゃんのおとうさんやおかあさんに負担をかけずに手術ができるように確約していただいたものと見てよろしいですね。
#95
○松下政府委員 具体的に担当の医療機関と連絡をとりまして、必要とされるのがなま血の輸血であるか、あるいは保存血の前段階である新鮮血で足りるか、そういった点も調査いたしまして、医療機関あるいは医務局のほうとも連絡をとりまして、具体的に処置をさしていただきたいと思います。
#96
○田中(美)委員 時間は四十分までだったと思いますが……。
#97
○田川委員長 三十八分までです。
#98
○田中(美)委員 それでは、あと二、三分……。
 まず、今後の政策として――献血者からいま無料で血をもらっているのですね。それを患者に千五百五十円で売っているわけです。そういうことは、これはせっかくの献血者の善意というものが、なぜ患者に渡すときには、それが千五百五十円になるのか。こういうことをするから、結局献血者の数が減るということになるのじゃないかと思う。これは国の責任で、当然するものじゃないでしょうか。国民は、自分の血液を善意で出しておるわけでありますから、それはやはり全部無料で患者にいくというふうにすべきだと思いますが、その点どのようにお考えでしょうか。
#99
○松下政府委員 先生御指摘のように、現在保存血のもとになっております血液は、国民の善意に基づいた無料の非常に美しい行為でございます。そういった意味におきまして、その血液を具体的に医療用の、いわば一種の医薬品といっても、特殊なものでございますが、医療用に使用いたします場合には、どういう経費負担をするかということは、先生の御意見のように、いろいろな考え方があろうかと存じます。
 現在、行なっております方式といたしましては、もちろん無償の献血でございますから、血液そのものに対する価格は、血液価格には算入されておりません。ただ、具体的には血液を採血いたしまして、それを検査し、障害がないことを確かめ、さらに冷蔵庫で保存いたしまして、輸送して、医療機関に持っていくという段階までには、数々の相当こまかい――先ほど先生おっしゃいましたように、一本二百CCという少量のものでございますから、相当な人手を要しております。その人件費は、すべて日赤においてまかなわれているわけでございまして、そういった面における計算といたしましては、相当額の経費を必要とするという計算が出てくるわけでございます。
 ただ、日赤の負担しております人件費をなまで計算いたしますと、実は四十八年度においては、すでに二千円をこすような額になるわけでございまして……(田中(美)委員「時間がありませんので、時間を全部使わないようにしてください」と呼ぶ)
 結論を簡単に申し上げますが、現在の状況といたしましては、相当額の国庫補助をいたしまして、三年間この価格を据え置きまして、相当の国庫補助のもとに、通常の医薬品よりは、はるかに低廉な価格で血液を供給するという体制をとりまして、国民の善意にこたえておる、そういう状況でございます。
#100
○田中(美)委員 これは千五百五十円というものを患者から取っていると、国庫負担というのはほんのわずかですね。全部国が負担したところで、わずか五十億ぐらいでできることなわけです。福祉優先というならば、せっかくの善意で出した血液が患者にいくときは、ただで出したものが千五百五十円でいくということでは、国民は、幾ら厚生省が理屈をつけても納得いかないというふうに思うわけですが、そういう意味で、献血する人たちに対する啓蒙活動や実際のいろんな施策というものを十分に立てていただきたい。
 たとえば献血車を出すということに対するいろんな費用というものをやはり国が負担すれば、いまのように百人とか三十人とかというふうに集まらなければ血をとりに来ないということでは、われわれは非常に献血しにくいし、それからいろいろ、駅だとか人の集まるところで常に献血のしやすいようにしていくとか、登録をした人を呼び出す場合に、ただで血をもらうわけですから、その人たちが一日有給休暇をもらえるようにするとか、タクシー代を補償するとか、そういうふうなことを国がしなければ、永遠にこの血液というものは、いまのような状態が繰り返されると思います。根本的に調査をして、徹底的な強い指導をしていただきたいと思います。
 そして病院側が誤解しているというようなことを言われましたけれども、これだけ多くの病院が、もし誤解しているならば、これは厚生省の怠慢といわなければならないと思います。病院側が決して誤解をしないようにやっていただきたいというふうに思います。患者や家族の負担によって血液を集めさせない、このことには徹底的な重点を置いていただきたい。どんなことがあっても患者や家族の負担にはさせないようにするということを厳重に守っていただきたいと思います。ちょうど時間になりましたので、質問を終わります。
#101
○田川委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時十一分開議
#102
○田川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続けます。坂口力君。
#103
○坂口委員 前回看護婦問題を聞かせていただきましたが、そのときに時間がございませんで少し残っている問題がございますので、その問題から入らせていただきたいと思います。
    〔委員長退席、伊東委員長代理着席〕
 看護婦問題が非常に深刻な問題になっております。その中でも特に特異な立場にあります助産婦でございますが、これがまた非常に不足をいたしております。試みに数字を見てみますと、昭和三十五年には五万五千四百三十六人いました助産婦が、昭和四十六年には三万一千二百二十六人というふうに減っておりまして、この十年の間に二万四千二百十人も減っていることになります。これは四四%の減でございますし、一年当たりにいたしますと、二千四百人ずつ減っている、こういう計算になります、ざっと計算いたしまして。しかもその二万四千二百十人の年齢構成を見てみますと、五十歳以上の人が実に六八・二%を占めているわけでございます。そして四十歳以下の人はわずか一一・三%というような数字になっております。それで年間約二百万前後の出生があるわけでございます。その中で病院、これは診療所も含めてでございますけれども、病院、診療所でお産をする方が八五%、助産所または母子センター、こういったところでお産をなさる方が一〇%前後、そして自宅その他が四%、大体最近の数字はこの辺にあるのではないかと思います。
 昭和四十七年度に卒業しました助産婦を見てみましても、母子センターあたりには一名も就職していないという数字が出ております。この母子センターあたりの助産婦不足というのがたいへん深刻になっております。病院にいたしましても、これはたいへんな深刻な問題になっております。だんだんと病院でお産をする方が多くなるし、しかも産婦人科の医師がそう多くない。それに加えて助産婦が少ないというのでたいへんな問題になっているわけでございます。この助産婦問題に対してどういうふうな御計画があるかということを、まずお聞きをしたいわけでございます。
#104
○滝沢政府委員 先生のただいま御指摘の点は、全く実態はそのとおりでございまして、助産婦の若手の層は若干増加していますが、大幅の減少のほとんどの原因が、老齢化のためにあるわけでございます。しかもおっしゃるとおりの必要性というものは今後ますます高まってまいるということでございますと、やはり助産婦の養成施設の設置を積極的に進める必要があるわけでございます。ところが助産婦の資格は、御存じのように、まず看護婦の資格を取得した上に、さらに六カ月以上、実質的には一年の教育課程を経る、こういう問題が一つございまして、基本的には看護婦の不足というものがやはり根っこにございます。
 したがいまして、看護婦の養成計画を増大していく過程と並行いたしまして、助産婦の養成施設の設置を進める必要があるわけでございます。昭和四十三年施設数が三十四カ所でございましたものを、昭和四十七年では五十一カ所ということで、従来はこの点について比較的関心が薄くて、いわゆる今日のような状態を迎えてしまったというような結果になるわけでございますが、今後はこの養成施設の増強につきまして、看護婦養成と並行して、われわれは計画的な整備をしなければならぬ、こういう考えに立っております。
#105
○坂口委員 四十七年度の入学者は千二百人前後と思います。そして卒業する人が千人前後になるだろうと思うのですが、このくらいの数字でいくと、十年くらい先になりますと、たいへん深刻な事態が起こるわけでございます。いまでもたいへん深刻でございますが、いま以上に深刻な事態が起こるわけでございます。どうしましても五十歳以上の人が六八%ですから、十年たちますと、この中でかなりな人数の人がもうおやめになる、あるいはやめざるを得い年齢になると思うのです。そうしますと、それを埋めていこうと思いますと、少なくとも年間四千人くらいの卒業生がないと追いつかないというような数字になるわけでございます。
 産婦人科を標榜する病院、これが二千八百三十六ございます。ベッド数にいたしまして四万一千二百四床ございます。このほか、いわゆる診療所の形の産婦人科を標榜するところが九千四百八ございます。ざっとした計算でございますけれども、現在この病院につとめてお見えになる助産婦さんというのは、一つの病院で平均して三人強くらいな程度でございます。また診療所を見ますと〇・五人くらいな程度で、二診療所で一人くらいなわりしか助産婦さんがいないというような勘定になります。
 これはたいへんな問題だというふうに思いますので、前回に看護婦不足のことでお聞きしましたときにも、現在の計画では五十三年を目途として――順調にいって五十三年で充足できるような計画だという御答弁をいただいたわけでございますけれども、それと同じような計画では、どうにもこの問題はならないというふうに考えるわけでございます。四、五年前に比べますと、卒業生もだんだんふえてはきておりますけれども、いまくらいの増加ぺースでは追いつかないという実際の数字になっているわけでございます。この辺のもう少し詳しいスケジュールというものがございましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
#106
○滝沢政府委員 先生御指摘の四千人という数字は、私も積算的に考えましても、ほぼその程度は必要であろうと思うのでございます。ところが、看護婦の資格の上に養成するものですから、看護婦の底辺の絶対数を増強することとあわせてやりませんと、実質的にはこれが不可能な面がございますので、ただいま五十三年までの長期計画を立てるその過程におきまして、私のほうもいま作業を進めておりますが、助産婦の養成施設の設置、特に国立、公的な機関で助産婦の養成にふさわしいような施設を抽出いたしまして、そこに積極的に設置するように都道府県にはお願いし、国立みずからはこれを設置していく、こういうことで確保につとめたい、こういうことでございます。
#107
○坂口委員 そういたしますと、やはり五十三年にならないと充足ができない、看護婦と同じような計画のスケジュールであるということでございましょうか。
#108
○滝沢政府委員 ただいまのところ、看護婦の根っこの養成がやはり二、三年はかかります。その上、いま一番問題の養成施設は、たとえば四十七年の卒業生を考えますと、約五万三千人が入学定員としてはございますけれども、看護婦さんが実際に就業する段階になりますと四万人くらいに減ります。その上、さらに准看護婦が進学課程に入っていきますと、実質的な就業ベースでは当初入学ベースよりも二万人くらい減るというのが実態でございまして、かなり養成に力を入れましても、ベースの問題として、さらに助産婦になるというような意欲を持ってやっていただくことをするためには、やはり給与の改善、根っこの看護婦の給与の改善がベースになります。
 したがって、これは助産婦の給与改善にも当然つながる問題でもありますので、そういう点を配慮いたしまして、助産婦事業というものに魅力を持たせるという方向を加えて計画しますと、やはりそれを五十三年以前の五十一年、二年ぐらい繰り上げてということになりますと、もはや非常に率直に申してなかなか追いつかない、間に合わないという点もございますので、一応看護婦養成ベースとあわせて若干のおくれはございますけれども、計画としてはやらざるを得ない、こういう判断に立つわけでございます。
#109
○坂口委員 大きい病院の病棟に必要な助産婦だけでも、まず一万人くらいは要るだろうと思います、このベット数からいきますと。そうすると、いま七千九百人くらいですから、まずこれだけでも二千人は足らない。そのほかに大きい病院の外来もございますし、一般診療所もございます。あるいは母子センターというようなものもございます。こういったことを考えますと、たいへん気の遠くなるような数字の不足があるわけでございます。五十三年を目途としての御計画ということを聞きましたけれども、何とかして一年でも二年でも縮めてもらいたい。国あるいは都道府県にそういった施設をつくっていただいて、そして早急にこの問題を考えていただきませんと、病人はなくなることがあっても、子供はいつまででもできるわけですから、人生が続く限り、これはなくなることはないわけですから、何とかしてこの問題は早急に決着をつけてもらいたいと思っております。
 いまそちらからも御指摘ございましたけれども、高等学校を卒業して、三年間の看護学校を出、それからまた一年間の助産婦学校を出る、これは保健婦の場合も同じでございますけれども、そういう感じになっておりますが、これはいわゆる各種学校の中に入るというようなことで、御指摘のように給与そのものもばらばらでございます。その辺にも一つの希望を持って仕事に当たれないという原因もあろうかと思います。たとえば看護学校三年出た人と、それから一年行って助産婦なら助産婦の資格をとってつとめた人と、給与の面では一号俸違うだけでございます。というのは結局変わらないということですね。一年余分に行ったけれども、やっぱり変わらない。これでは、人間給与だけではございませんけれども、やはり意欲というものにも関係をすると思う。
 先般看護婦問題を聞かせていただきましたときに、この看護婦のいわゆる医療職(三)の給与体系というものは早急に改善をする、しかも看護婦というものはどういう職種かということをよく認識した上でこれを改善するという御答弁をいただいたわけですが、この助産婦とか保健婦の場合、どういうふうなお気持ちかということをこの際、お聞かせいただきたいと思います。
#110
○齋藤国務大臣 助産婦の養成問題も看護婦の養成問題と相並んで非常に重要な問題でございますので、ことしから始まる五カ年計画の中で相当大きな比重を置きまして、具体的な年次別の計画を立てるようにしてまいりたいと考えております。それがためには、どうしてもお述べになりましたように給与の改善が根本でございますから、給与の改善につきましても人事院のほうとも十分相談をいたしまして、できるだけ他の女性の職種に対して劣らない、見劣りのしない、いなむしろ魅力のある職種として女性の方々に喜んでいただけるような給与の改定に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
#111
○坂口委員 それからもう一つこの問題でお伺いしておきたいのは、先ほど申しました母子センターですね。ここでお産をなさる方が存外に多うございます。一〇%前後あります。これは特に医療に恵まれないような地域にたくさん母子センター等ができておりますが、ここでの助産婦不足というものは病院以上に、また別な面で深刻な面があるだろうと思います。助産所と申しますか、母子センターも含めての話でございますが、この将来について何か御検討してお見えになるようなことがございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
#112
○滝沢政府委員 実は分べんの場所が先ほど先生御指摘のように九六、七%まで病院、助産所で行なわれるようになりまして、いわゆる開業助産婦さんのお仕事というものが非常に狭くなってまいっておる。したがって、助産婦に対する就業の魅力が――過去には将来家庭に入って独立開業できるというところに魅力がございましたが、この点については私はたいへん大きな問題だと思います。しかも診療所等が助産婦を専任で持っていることができない場合は、開業助産婦さんとコンビを組みまして、地方では非常にうまくやっているようなケースもございます。
 したがいまして、先生の御指摘の母子健康センターのようなところは、私もその行政を担当していた過去の経験から申しましても、その市町村がむしろ積極的に、市町村内から看護婦になっているような人の就学資金その他を出してでも助産婦にし、そして郷里に張りつけるというような積極的な対策でも講じませんと、一般的な意味で開業助産婦さん的な人を、あるいは家庭に入って、たまたま町にそういう資格者があるということで、これを就職していただこうという程度では、なかなか困難ではないか。したがって、母子健康センターのような特殊なところの助産婦の確保には、やはりある程度の資金を投入して計画的に養成しないと確保は困難ではないか、過去の経験から申しまして、私はそういうふうに感じております。
 いずれにいたしましても、病院、診療所勤務以外の助産婦さんの働きがいというものに対しては、分べん料とか収入の問題も含めまして今後の課題であると思いますが、しかし、分べんの場所がもう九六、七%まで病院、診療所で行なわれるというわが国の実態からいきますと、やはり助産婦全体の確保を基本的に考える、あるいは特殊な場面について、いまのような特殊な対策を地方的に講じていただく、こういうことが必要であろうと思っております。
#113
○坂口委員 保健所の保健婦の場合に、保健所では各地域に出張したような形で地域地域をきめ、そして担当をきめて入り込むというようなケースが行なわれております。助産婦が保健所にお見えになる場合もありますが、これは数は少ないだろうと思います。
    〔伊東委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕
 今後の問題といたしまして、保健所に助産婦さんをだんだんふやしていく御計画がないかどうか。そしてこれがふえていけば、地域ごとに担当の助産婦さんというものをきめていくことが可能になるのじゃないか。そうしますと、身分保障もきちっとできますし、地域にも役立つのじゃないか。その辺のことを考えておりますが、そういう御計画がないかどうか、少し承りたいと思います。
#114
○滝沢政府委員 これは計画と申しますよりは、一つのものの考え方として、先生の御指摘の問題は一つ考えられます。しかしその場合、助産婦の資格と知識を持っておる、それにプラス保健婦であるというようなことが一つの望ましい姿であって、ということは、助産婦そのものだけの資格ですと、もちろん母性の保健指導はできますけれども、望ましいことは分べんそのものの介助よりは、助産婦としての管内の母性指導ができるということが先生のお気持ちの中にかなり占めているのではなかろうかと思うわけであります。
 そういう意味で、われわれは看護婦の養成計画の中で、助産婦と保健婦を看護婦の上にさらに一年両方とも足しておりますが、この問題については、かねがねもっと教育的に両方の資格を取れる方法がないかというような御意見もございます。したがって、この点も検討に値する問題だと思いますが、先生の御提案は、保健婦は一般疾病その他の指導があるじゃないか、したがって母性専門に助産婦をもっと保健所活動の中に導入すべきだ、こういう御提案にもとれるわけでございますが、望ましいのはやはり助産婦だけの資格よりも、保健指導全体ができる保健婦と助産婦の両方の資格を持つということも含めまして、今後検討いたしたいというふうに思っております。
#115
○坂口委員 今後保健婦の活動範囲というのは、だんだんと大きくなってまいります。たとえば老人問題も入ってまいりますでしょうし、あるいは難病の人なんかの訪問というものも入ってまいりますでしょうし、たいへん行動範囲が広くなってくると思う。そのときに、いま保健婦がいわゆる広い意味での助産婦の仕事も受け持っておるわけでございますけれども、そういった面で妊婦の保健指導を含めた――私が申し上げるのはもちろんそういう意味でございますし、私は助産婦というのは、そういうことを含めたことをやれる人でないといけないと思っております。そういうような意味で、今後保健所では助産婦さんをどんどん採用していくというような形をおとりいただくことを、ひとつ提案をさせていただきたいと思うわけでございます。
 時間がありませんので、助産婦さんの問題をこの辺にさせていただきまして、無医地区の問題に移らしていただきたいと思います。
 昭和四十一年でございましたか、この無医地区の調査がされましたときに約二千九百カ所を少しこえた数字になっておりました。それが昨年調査をされましたところの数字によりますと二千四百七十三カ所でございました。数字的にはかなり少なくなってきているわけでございます。この辺の数字が下がってきている理由、これは非常に好ましい形で、医師が各地域に入って、そしてほんとうに無医地区が減ったのか、それともそうではなしに、ほかの何らかの原因でこの数字が減ったのか、この辺のところをひとつお答えいただきたいと思います。
#116
○滝沢政府委員 この問題につきましては無医地区の定義等もございますが、時間の関係で――先生にも御理解いただいていると思いますが、端的に理由というのは、容易に医療機関を利用することができない地区というのを無医地区と考えておった、それが交通、道路の開発によって比較的容易に医療機関が利用できるようになったというのが減少の主たる原因でございます。しかしながら、この問題につきましては実際に医師を僻地に持ち込むことは、なかなか困難でございますが、われわれはかねてから無医地区の対策は、医療を僻地に及ぼさなければいかぬ、したがって道路開発その他が進めば、かなり医療の提供はできる可能性が出てきている、こういう考え方に基づきますと、先生御指摘のような数字の減少にはなるわけでございます。
 そこで結局診療所をつくるというよりも患者輸送車その他を配備することによって医療の確保につとめたいというので努力をしてまいりまして、二千四百カ所のうち約千二百カ所はどうやらその体制ができましたが、残る千百カ所というものがまだ対策が無整備の状態でございますので、この点についても今後具体的に市町村からの御要望に応じ、計画に基づきまして、これを解消する方向で努力をいたしたいと思っております。
#117
○坂口委員 無医地区の定義でございますけれども、私もここにございますし、すでに何度か見せていただいております。これを読んでみますと、半径四キロの区域内に五十人以上の人が居住していて、そこに医療機関がないというのが原則になっておりますが、そのほかに注としていろいろの条件がございます。その中の一つに、たとえばタクシーだとか自家用車の普及状況、こういったものを考えに入れると容易に受診ができる場合には、これを除くというような項目がございます。
 ここまでいきますと、最近のことでございますので自家用車もかなりお持ちになっておりますし、特に不便なところ、山間僻地に行けば行くほど、このごろ自家用車を持っている人がなかなか多うございます。そういうふうになりますと、この定義からいきますと、もうみんな無医地区でなくなってしまう。それじゃもう無医地区でなくなったから、全部もうそこは医療が恵まれているのかというと、決してそうではない。この無医地区の数字を見せていただきますと、何か非常に改善されたような錯覚に私もおちいるわけでございますけれども、しかし無医地区の定義等をよく吟味してみますと、決してそうではなさそうに思えるわけでございます。
 そこで、いまのような御質問をさせていただいたわけでございますが、タクシー、自家用車の普及まで無医地区の定義に入れるというのは、私はいかがかと思うのです。これを入れますと、日本国じゅう全部無医地区はないということに、極論いたしますと、なると私は思うのです。この辺、いかがでございましょう。
#118
○滝沢政府委員 全く御指摘のとおり、その表現のままでは、これはもちろん対策になりません。したがって、やはり健康管理と申しますか、そのような地域に住まっている方のふだんの健康状態の把握ということが結局根本にならなければならないわけでございます。したがいまして、医療機関に恵まれない、あるいは遠隔になるというところに、地域連携対策と申しまして住民の健康管理の台帳、カードをつくりまして、住民の健康状態の把握につとめる。私たちは四十八年度の予算で医療情報システムの開発という一億一千万の予算をいただきまして、今後僻地の解消に最重点的にこの開発費を使いたいと思うわけでございます。
 そういうときに、やはり単なるタクシーだとか、あるいは自家用車というような表現で、この問題を処理する感覚は確かに直さなければならないことであって、真に医療が確保できる、健康の問題について安全性が確保できる、それが一番重要な目的でございますから、その点については新たに立てる長期計画の中では十分その辺の定義的な考え方を整理いたしまして、やってまいりたい、こういうふうに考えております。
#119
○坂口委員 私も全国的に調べたわけではございませんし、そういう大きな府県の段階ではわかりませんが、たとえば私の出身の三重県あたりをとりましても、無医地区はもう少しあると思うのですけれども、総数からいきますと十九というような数字になっておりまして、たいへん少ないのに驚くわけでございます。いわゆる人口千名以上の無医地区は百三十三カ所もございます。そのうちで、二千人以上もおいでになって、しかも無医地区というところが十二カ所もございます。これはその地域に住む人の健康上たいへんな問題だと思うのです。これを今後どのように解決をされるのか。一つはいま申されましたように医療情報システムの取り入れ、こういった問題もございますでしょうし、それから、地域住民の健康管理をより強化していくというような問題もあると思うのです。
 しかし、それにいたしましても、何と申しましても、その地域に医師が入り込むということが最も好ましい形でございますし、そういうふうな面で、これだけあります無医地区を今後少しでも減らしていくために、ほんとうに減らして医療をそこに導入していくために、どういう計画をお持ちなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
#120
○齋藤国務大臣 無医村に対する対策、これはもうほんとうに医療供給体制の中で一番むずかしい問題でございますが、これは何としてでも解決しなければならぬ問題だと考えております。これだけ進歩した日本でございますから、いつどこにおいても充実した医療を受けられるという体制にすることが私は基本だと思うのです。
 そこで、現在無医村地域と称せられるものが千幾つあるわけでございますが、ことしから始まります社会福祉の五カ年計画の中において何とかこの問題を解決したい、かように私いま考えておるわけでございますが、その一千百カ所のところにお医者さんを全部張りつける、これは言うことは簡単ですが、なかなかできることではございません。そこで各町村ごとにその地方地方の特性に応じながら、医療機関との結びつけがどうあることが一番医療を受ける者に望ましいかということで、この数カ月の間に各町村から全部資料を集めてみようと思って考えておるわけでございます。たとえばそういう無医地区におきましては、三十分以内にお医者さんのところに行けるなら行ける、それから巡回診療の体制が私のほうはちゃんとできております、あるいは国立病院との間に連携がとれております、いつ何どきでもお医者さんに来てもらえるような体制にあるし、こちらからも三十分以内で行けるんだ――地区地区によって違うと思うのです。
    〔山下(徳)委員長代理退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
ですから、そういうふうなあまねく充実した医療を受けられるような医療機関との緊密なる連携をはかる具体的方策を、各町村の希望を入れて国の立場において計画をつくらせる、実はこういうやり方を考えてみたいと考えておる次第でございます。
 そして、かりにお医者さんがいなくても、保健婦は必ず一人は置く、こういうふうな保健婦は必ずどの町村にでも置く、その前提に立って医療機関との連携をどうやってはかるか、それを各町村ごとに具体的な計画を立てさす、こういう方式をいま医務局長に話して、数カ月の間に具体的に各町村ごとにつくらしてみよう、こういうふうに考えておるわけでございます。
 そして、そういうふうな医療機関との連携というものをもととした具体的な構想をつくりまして、今後五カ年間に、お医者さんがかりにいないにしても、あまねく豊かな医療を受けられるような体制をつくり上げる、こういうふうに力をいたしてみたいと考えております。
 なお、それと同時に、長期的には、医療情報システムと申しまして、そういう無医地区なども一つの最も先に解決しなければならぬシステムの問題だと思っております。その町村における村民の健康状態、そういうものをはっきりと記録にとめておいて、そしてお医者さんとの連絡によってその医療システム化を促進する、長期的にはそれ以外に道はないんじゃないかと思いますが、まず、さしあたりは保健婦常駐ということを頭に描きながら、充実した医療機関との連携によって、たとえば三十分なら三十分以内に必ず何とかなるという体制を全町村につくらせるというのでなければ、医療供給体制の完ぺきを期することはできないのではないかということで、今度健康保険でも、皆さん方の御協力によって成立しました暁には、全精力をこれにつぎ込んでやってみたいと考えておるような次第でございます。
#121
○坂口委員 健康保険の問題が出てまいりましたが、この無医地区の人々というのは健康保険の掛け金を月々かけている人々でございます。しかもなお、その人々が医療を受けられない、そういう状態になっておるわけです。今度また掛け金を上げてまいりますと、この人々はよけい困るわけでございます。ですから、特にまたこういうふうな問題をきょう御討議いただいておるわけでございます。
 いま大臣おっしゃった保健婦の常駐、これもたいへん大事な問題でございますが、先ほど申し上げましたように、保健婦もこれまたたいへん少ないという現状になっているわけでございます。
 保健婦問題につきましても、大臣はたいへん頭の痛い問題だということをこの前おっしゃったわけでございますが、きょうのこの無医地区も頭の痛い問題かとも思うのでございますが、大臣の頭の痛いのも、こういうふうなことに対してもっと予算を取りたい、大臣は非常に主張をされるんだけれども、大蔵省なり何なりが聞いてくれなくて頭が痛いのか、それともそういうことじゃなしに、どうしていいかわからなくて頭が痛いのか、いろいろあると思うのです。
 現在医療制度を抜きにして、この問題を論ずることはできないと思うのです。現在のように点数出来高払い、こういう形になっております以上、住んでいる人が非常に少なくて、したがって患者さんもそう多くはない、そういうところで開業をしろといっても、やはり無理な話でございまして、金のことは言わないシュバイツァーばかりおればけっこうでございますけれども、そういうわけにもまいりません。
 したがって、そういう中で、しかも医師をそこにできるだけ導くだけの方策を講じてもらわなければいかぬ、そうでないと、頭が痛い、頭が痛いと言われても、現実にはそこには医者はいないのですし、医療がないわけでございます。だから、昔どなたかおっしゃったように貧乏人は麦を食えじゃないですけれども、弱い者はそのままでおれというわけにはまいりません。何とかしてここに、この医療制度が抜本的に改正をされるまでの間つなぎとしてでも、何らかの次善の手を私は打ってもらわなければならないと思うのです。そういう手を打っていただけるかどうかということを私はお聞きをしたいわけでございます。いかがでございましょうか。
#122
○齋藤国務大臣 私が看護婦問題保健婦問題、無医村対策について頭が痛いと申しておりますのは、そうした問題の解決のためには相当時間がかかるということでございます。きょう言って金を出せばすぐできるというものではない。すなわち、看護婦さんを養成するにいたしましても、保健婦さんを養成するにいたしましても、数年を要するのですね。
 ところが国民の要望は性急なんです。その点を、おまえらなまけておったからじゃないかと言われれば一言もございませんが、そういうふうな国民の性急な要望と国の養成計画というものが時間的にズレが出ているところに、私は非常に悩みを感じておるということを申し上げておるわけであり、同時にまた、医療というものについては、国がこれだけ豊かになれば思い切った医療投資をなすべきだと私は思うのです。同時に、大規模な医療投資をするならば、医療供給体制のために、病院なり――特に病院なとはどうしても専門病院化してまいります。そういうことになれば医療投資というものを大幅にやる、こういうことでなければほんとうの福祉国家ではないんだ、こういう気持ちで私はおるのです。
 そこで、大いに養成をしようと思いましても、もちろん国民は、あしたにでも看護婦を連れてこいと言わんばかりです。ところが看護婦さんを養成するには三年も五年もかかる。お医者さんなら養成するのに十年もかかる。そこに時間的なギャップがあるために私は毎日頭を痛めているんだということを申し上げておるわけでございます。私が熱意がないとか、大蔵省が金を出したがらぬという意味では全然ないということを御理解いただいて、田中内閣はあくまでも医療投資は思い切って出す、こういう姿勢で今後進んでまいるということをはっきり申し上げることができると思うのであります。
 それから無医地区に対する医者の問題にいたしましても、家族関係とかいろいろありましょうが、お医者さんというのは、無医村、僻村に行きますと研究がなかなか容易でないというところに問題があると思うのです。研究ができない。これはやっぱり日進月歩の医学でございますから、お医者さんにとってみれば研究するというのは生命であります。ところが山に行くと、なかなか研究ができない。そういうところに問題がある。そこでこの医師の配置にいたしましても、何とか二年なら二年、一年なら一年というものを区切っての派遣をしていくような計画ができないだろうか、そういうことも考えなければならぬだろうと考えております。
 先般総理が予算委員会で、あるお医者さんの専門家に聞いてみたところが、われわれ年をとった医者は、むしろ山へ行こうじゃないかという意見を言われたお医者がおることを、総理みずから言われておりましたが、何かもう少し医師会の協力を得て、そういう方々が山に行っていただくこともけっこうでしょうが、若いお医者さんでも、一年なら一年、二年なら二年ということで、また勉強の機会を与えるような、そういう仕組みも今後長期計画の中で私は考えてみたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
#123
○坂口委員 医療に対しては非常に思い切った投資をしたいというお考え、これはもう全く大賛成でございまして、どうしてもそうしていただきたいと思うわけでございます。大臣は御就任になってから、まだ日がそうないわけでございますから、いまのような発言があると思うのでございますけれども、この無医地区の問題あるいは看護婦の問題というのは、大臣御就任なさるずっと前から続いてきている問題でございます。われわれはそういう歴史の上に立っての話でございますので、大臣は就任なさってからまだ日がございませんから、そう急に言われてもどうにもならぬとおっしゃいますけれども、看護婦問題にしても、無医地区の問題にしても、かなり以前から懸案になっていた問題でございます。早期に解決をしなければならない問題であったわけです。
 ところが、それが今日に来たわけでございます。過去のことを言ってもしかたがございませんので、前進的な話をさしてもらわなければいけないと思うのでございますが、たとえば先ほどからのお話の中で考えていますのは、一つは、道路の整備等も、無医地区あるいはそれに準ずるような地域については、たとえば厚生省側から、これこれの地区は無医地区あるいは準ずる地域だ、この辺のところについては優先的に道路整備をしてほしいということを言っておみえになるかどうか、そしてそれが現に通っているかどうか、また、言っておみえにならないとしたら、今後そういったことを主張されるかどうかということが一点お聞きしとうございます。
 それからもう一つは、病院でも診療所でも同じでございますが、先ほど申しました現在のように点数制でございますと、もうこの場合どうにもならない。これに対して、山間僻地の場合には何らかのプラスアルファになるような方法を考えられないか。
 先ほど大臣は、山の中では研究ができないということをおっしゃいました。私の個人的な見解といたしましては、もちろん大がかりな大きな設備をもっての研究というのは、これは無理でございますけれども、研究しようという気持ちがあれば、どこでもできることではあると思うのです。ただし、ある程度のこじんまりとした設備等は要るであろうと思う。そういうふうな意味で、何らかの研究費というようなものをつけるとかいろいろ方法はあると思うのです。現在のままの点数制だけではどうにもならない。これにプラスアルファの何らかのお考えがあるかどうかということを先ほどからお聞きしたかったわけでございます。
 この二点、ひとつお願いいたします。
#124
○齋藤国務大臣 こういうことを言っては失礼でございますが、私非常にけっこうなアイデアだと思いました。アイデアなどと言って失礼かもしれませんが、私そう思いまして、非常に共鳴をいたしております。道路などにつきましても、町村長が自分のところの交通事情ということを考えておやりになるわけですが、結局それは医療問題につながっているということは確かでございますが、今後はそういう面について、医療の面からもこういう村は特に道路を整備してもらわなければならぬというふうなことが必要かと私は思いますから、今後はそういう面から見ても発言をさしていただくようにいたしたいと考えております。
 それから第二点の、かりにそういう無医村に行った場合のお医者さんの処遇の問題について、研究開発といったような金は何とかならぬか、これもまた私非常におもしろいアイデアだと思います。これが健康保険の点数の中でそういうことを入れ得るかどうか私は知りませんが、何かしらそういう方向を考えてあげることが、やはり大事なことじゃないか、私はこういうふうに考えておりますから、この問題につきましても、どういう形がいいのか私もいますぐ思いつきませんが、そういう面に向かって前向きに努力をいたしたい、こういうふうに考えた次第でございます。
#125
○坂口委員 アイデア賞をいただいて、たいへんありがたいわけでございますけれども、アイデア賞をいただいただけでは無医地区はなくなりませんので、ひとつこのアイデア賞をいただきました時点で、それを積極的に取り入れていただいて、できるだけこれを実現していただきたい、こういうふうにお願いするわけでございます。
 それから、先ほど局長さんのほうからもお話がございましたが、無医地区の健康管理の問題がございます。これは無医地区だけではなしに、どこでも同じだとは思いますけれども、しかし無医地区であるだけによけいに健康管理ということは大事かと思うわけでございます。大臣のほうからも、何とかして保健婦を一名ずつは、少なくともそこに常駐するような形にしたいという御発言がございましたか、無医地区及びそれに――無医地区である部分といいますと、先ほどの定義のところだけになってしまいますから、及びそれに準ずるようなところ、こういったところの健康管理には特別の手を差し伸べなければならないと思うわけでございます。
 この点について先ほどちょっと局長がおっしゃったと思いますけれども、もう少しお話をいただきたいと思います。
#126
○滝沢政府委員 この問題につきましては、先生おっしゃるとおり、どこでも必要な問題でございますけれども、特にわれわれが医療情報のシステムを開発していく一つの大きな、最も緊急に必要な場として、僻地における医療情報の問題と取り組みたいというふうに思っております。したがいまして、そういう場合に、その地区における健康管理を必要とする――まあ国民総背番号的にいくというわけじゃなくて、当面としてはやはり健康管理が必要だ、あるいは過去に異常があったとか、そういうような特定の方を登録することによってその情報、心臓の状態その他を親元病院のほうにいつでも取り出せるような仕組みというようなものもひとつ、実行上はもうすでに考えられる問題でございますから、これをいかにしてどの場所で実現し、これをやがては各病院、地域に広げられるかという構想をもって医療開発の問題医療情報の開発問題に取り組みたい、こういうことであります。
 そしてそれを僻地、離島、こういうものを試みの場所として、そして人口的に見ましても、また医療内容、健康管理というものとも結びつけて、その医療情報システムが効果が発揮できるようなところをまず実現の場として考えていきたい、こういうことで僻地をまっ先に取り上げたい、こういうふうに考えております。
#127
○坂口委員 医療情報システム、これはどちらかといいますと、一ぺん御病気になられた方、あるいは急患のような場合、あるいはある程度悪いことがはっきりしたような人、こういうふうな人に対してかなりの威力を発揮するだろうと思うのです。そのほかに、悪いかいいかわからないというような人、すなわち予防医学的な意味での健康管理ということを私申し上げたわけでございますが、それに対してどういうふうな援助というものを考えておみえになるか。
 私はでき得るならば、無医地区またはこれに準ずるような場所は少なくとも二回ぐらいは無料の健康診断をやらなければならないと思うのです。いつでしたか、金子先生から主婦の無料健診の問題が出ましたけれども、この無医地区につきましては、主婦だけではなしに、そこに住む人々全員の無料健診を年二回ぐらいは何とかしてあげないと、先ほども申し上げましたとおり、健康保険では毎月毎月出してもらっているのですから、そしてなおかつそれの恩恵に浴しない人なんですから、だからそれをやはり返してあげる義務もあると思うのです。そういう意味で、ひとつ無医地区に対してそういうふうな御計画を――なければこれは、アイデア賞をいただいて、積極的に取り入れていただきたいと思うわけですが、いかがでございましょう。
#128
○齋藤国務大臣 この前のどなたかの御質問にもお答えいたしましたが、地域の包括的な医療管理体制、これはやはりどうしてもつくらなければならぬと私考えております。今後五カ年間にそういった体制づくりをいたしたいと考えおりますが、その一環として、無医地区におきましても、そういうふうな健康管理をやるための包括的な医療体制、こういうものをつくるようにいたす考えでございます。
 現在でも保健所等が出向きまして、健康管理のため、いろいろな健康診断等もいたしておりますが、より基本的な健康管理体制を包括的につくっていくということでやってまいりたいと考えております。
#129
○坂口委員 まあ、いま保健所等もやっておりますけれども、しかしその地域地域を一部分ぽつんぽつんとやっているわけですね。私が申し上げているのは、そういうふうなモデル地域的にぽつっとやるのではなしに、もうほかは、ぽつぽつやるにしても、無医地区だけは定期的に必ずやる、全地域まんべんなく入るように、こういうふうな形にしていただけないかということを申し上げているわけです。
#130
○齋藤国務大臣 私の考えているところは、計画的にやっていくということでございまして、あちらこちらを拾ってやるという考え方ではありません。
#131
○坂口委員 そういたしますと、私がいま申し上げたのと、大臣が言っていただいておるのとは同じだというふうに解釈させていただいてよろしゅうございますね。
#132
○齋藤国務大臣 全然同じ構想であることを御理解いただきたいと思います。
#133
○坂口委員 構想をいただいたわけでございますので、構想に終わらずに、これは実現をしていただけるという意味で理解させていただいてよろしゅうごさいますね。――ありがとうございます。
 時間がなくなってまいりましたので、身体障害者の問題をもう一つお聞きしたいと思いますので、これに移りたいと思います。無医地区の問題に少し時間を取り過ぎましたので、時間がございませんので、またこまかくはあらためてお聞きをしたいと思います。
 身体障害者の補装具の研究開発、こういった問題でございますが、科学技術庁の、昨年でございましたか、この補装具の研究等も入っておることば承知いたしておりますが、しかし、いずれにいたしましても、この補装具の研究開発というものがかなりおくれていることもまた事実でございます。これに対する御計画等がございましたら、ひとつお示しをいただきたいと思います。
#134
○加藤(威)政府委員 わが国の身体障害者対策の中で一番おくれておるものが、やはりリハビリテーションでございます。その一環でございます補装具関係、これは先生御指摘のとおり、まだわが国の水準は先進国に比べて非常に劣っているということは、残念ながら認めざるを得ないところでございます。
 それで、現在、戸山町に国立身体障害者更生指導所がございますが、ここで補装具の研究をいたしております。しかし、まだ非常に不十分でございます。
 それで、今後の計画といたしましては、四十八年度予算で一応調査費が入りましたけれども、所沢に七万二千坪の土地を確保いたしておりますので、ここに総合的な国立のリハビリテーションセンターをつくり、そこにりっぱな補装具の研究所をつくりたい。もちろん、補装具の研究所だけではございませんけれども、国立のリハビリテーションセンターの重要な施設の一つとして補装具の研究所をつくりたいというぐあいに考えております。民間でも細々と補装具関係の業者もおりますけれども、やはりこういう問題は国が中心になって、これを指導していくという必要がございますので、いまのところは非常に不十分でございますが、国立の総合的なリハビリテーションセンターをつくりまして、今後そこで開発を実施していきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
#135
○坂口委員 この補装具の各患者さんの負担の問題でございますけれども、福祉元年といわれております昨今でございます。この身体障害者に対して、少なくとも補装具ぐらいは公費負担でしてあげてしかるべきではないかというふうに、率直に申しまして私、感じております。現在のところ、一部の方には無料になっている点もございますけれども、これはいろいろの条件をつけずに、金額にいたしましたら、そんなに多くの額じゃないのですから、ひとつ身体障害者の、少なくとも重度の人、一級から二、三級の人については、これを公費で見てあげるというような態度を私は一つ示してもらうべきであるというふうに思うのでございますが、これは大臣、いかがでございましょう。
#136
○齋藤国務大臣 まことにごもっともな御意見だと存じておりまして、特に重度の方については、御指摘のように公費でできるだけめんどうを見るということが、やはり一番望ましいことだと思いますので、あまり条件をつけないで重度の方をめんどうを見る。これはほんとうに私、大事なことだと思いますので、今後ともそういう方向に向いて検討さしていただきたいと思います。
#137
○坂口委員 この問題、ほんとうはもう少し詰めさしていただきたいのですが、時間がございませんので、もう一点、身体障害者の問題についてお聞きをしたいと思います。
 身体障害者ができてしまいましてからの問題は、いろいろ論じられますけれども、身体障害者をどうしたらつくらずに済むかということは、たいへん重要なことだと思うわけでございます。特に、先天性の重症身体障害者というものに対するいわゆる予防ということが非常に重要になると思います。できてしまいますと、一人の人にたくさんの金がかかる。これをコロニーによって収容するといたしましても、一人の人に一人ないし二人の人がついて多額の金も要るわけでございます。こういうふうな重症身体障害者をつくらないような方向への努力というのは当然これはされるべきであると思いますが、存外にこの辺が盲点にいままでなっておりました。たとえば、重症身体障害者の中に血液型不適合というような者があるということは、十年ほど前からいろいろいわれるようになってまいりました。こういった問題が解決されますと、かなり重症の身体障害者も減ってくるのではないかと思うわけであります。この辺の現状、それから今後の御計画等につきまして、大略御説明をいただきたいと思います。
#138
○穴山政府委員 私どもは子供の問題でございますけれども、子供の問題おとなの問題を含めまして、やはりこういったような問題の一番基本になる問題は、いま先生がおっしゃいましたように、発生予防と申しますか、こういうかわいそうな子供が生まれてこないようなことについて努力をしなければいけないというように考えます。
 そこで、いま私どもがやっておりますことは、まず第一は、こういった障害の早期発見と申しますか、できるだけ早く発見をするということでございまして、そのために妊産婦、乳幼児に対する健康診査ということに、私どもとしても非常な重要性を考えまして、四十八年度からは、従来低所得階層についての無料の健康診査を全階層に広めて行なう措置をとったわけでございます。
 それからまた、乳児につきましても、従来は精密検診だけでありましたものを一般健康診査まで無料の領域を広げるというようなことで、健康診査の充実をまずはかるということを考えているわけでございます。
 それから、見つかった場合に、できるだけ早く治療をするというようなことから、たとえば妊娠中毒症に対します療養の援護でありますとか、あるいは未熟児に対する養育医療、それから先天性代謝異常児に対する養育医療、それからいわゆる心臓というような内部障害者に対する育成医療というような面につきまして、公費負担の充実をはかるということで、発見されました場合には、それが重くならないようにということで、早期の治療対策ということを考えているわけでございます。
 それから最後に、やはりこういったものは、いま申しましたような事後の対策でなくて、もっと何か基本的と申しますか、もっと前提になることをはっきりと把握する必要があるのではないかということから、こういう心身障害児の発生予防についての総合的な研究ということを二、三年前から開始をいたしているわけでございまして、四十七年度は三億でありましたものを、来年度は一億上積みをいたしまして、四億をもって従来の総合的な研究というものを、さらに伸ばしていきたいというように考えているわけでございます。
 それから、いま御指摘になりました血液型の不適合の問題でありますが、これにつきましては、現在確かに御指摘のような重要な問題がございますので、私どものほうといたしましては、母子健康手帳に血液型を記載する欄を設けまして、できるだけこういうことが発見された場合には適切な指導が行なえるようにつとめているわけでございます。
#139
○坂口委員 大臣もこういうふうな問題にたいへん御熱心でございますししますので、ひとつ積極的にこの研究に取り組んでいただきたいと思うわけでございます。
 時間がなくなりましたけれども、たしか兵庫県であったと記憶いたしておりますけれども、不幸な子を生まない運動、たしかそういう名前であったというふうに記憶しておりますが、そういう県単位でのかなりなプランがございました。いままでに何度か私見せていただいたことがあります。そういった不幸な子をつくらないための運動、そういったものに対して今後、ただ県にまかせていくということだけじゃなしに、国がこういうふうな問題については積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに私はお願いをしまして、時間が参りましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。
#140
○竹内(黎)委員長代理 小宮武喜君。
#141
○小宮委員 厚生省に、念のためひとつ冒頭質問しますが、めくらの人たちは、現在どんな職業に従事しておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
#142
○加藤(威)政府委員 現在視力障害者は大体二十五万ぐらいの数でございますけれども、その中で働いておられるのは大体七、八万だったと思いますが、その大半はあんま、はり、きゅう、マッサージ、そういう職業でございます。
 ただ、厚生省といたしましては、そのほかの職業も、できるだけ目の悪い方もできるものは、ほかの職業も開発したいということで、たとえば電話交換手とか、あるいはカナタイプ、最近は電子計算機のプログラマーというような職も――盲人の中にも非常に知能のすぐれ、あるいは学問のある方もおられるわけでございますので、なるべくそういう持っておられる能力をフルに生かすという意味で、そういった方面にも盲人の職業を開拓しようということでつとめておりますけれども、いま申し上げましたように大半はあんま、はり、きゅう、マッサージというのが現状でございます。
#143
○小宮委員 いま説明がありましたように、大体盲人たちが二十五万人ぐらいいて、その大半は、あんま、はり、きゅう、マッサージというような職業に従事しておるということでございますが、そのようにはり、きゅう、あんまといったものは、盲人たちが伝統的な長い間の職業として、ここに生活のよりどこを求めてきておるわけですが、最近そういったあんま、はり、きゅうの分野に晴眼者の方々が非常に進出をしてきたということで、現在の盲人たちは非常に生活に脅威を感じております。しかも、また最近の晴眼者の養成学校を見ても、どんどん新規につくられておるし、また増設されておるということで、特に、はり、きゅう業に従事する盲人たちは非常に生活の不安を感じておるわけです。
 大体いま全国で、あんまを除いて、はり、きゅう師はどれくらいいるのですか、晴眼者、盲人を含めて。
#144
○滝沢政府委員 ただいま盲のはり師が一万七千、きゅう師が一万六千でございまして、大体両方の資格をあわせ持っておりますので、晴盲合計三万六千でございます。
 それから晴盲の別についてでございますが、四十六年の数字でございますが、はり師が、晴眼一万九千四百五十九、盲が一万六千六百四十九でございます。きゅう師につきましても、ほぼ同数でございますが、晴眼が一万九千二百七十三、盲が一万五千四百二十八でございます。
#145
○小宮委員 現在盲人を対象とする、このはり、きゅう師の養成学校は大体定員幾らくらいですか。それとまた何校学校があるのか。それからまた晴眼者を対象とする養成学校、これは何校あって定員は幾らですか。
#146
○滝沢政府委員 晴盲別のはり師、きゅう師の養成施設数でございますが、四十一年当時はり師は総数で二十二ございまして、晴眼が十六、盲が六でございました。その晴眼の十六が、ただいま四十六年の数字では二十一になっております。同様これは合わせてきゅう師の教育をやっております。晴の十六が二十一、盲の六が十一、こういうふうにふえております。それからきゅう師のほうもほぼ同様でございまして、四十一年に二十二のものが三十二となり、晴眼の十六施設が二十一施設になり、盲の六施設が十一施設になっておるというのが実態でございます。
#147
○小宮委員 それは晴眼者を対象にしておる養成学校ですね。これは最近盛んに新設されたり増設されたりしておりますが、現在新増設の計画がどれくらいありますか。
#148
○滝沢政府委員 必ずしもさだかな数字ではありませんが、一応九カ所くらいにそのような計画と申しますか、考え方という程度のものがあるというふうなことは承っております。
#149
○小宮委員 はり、きゅう師の需要はだんだんふえているのですか、大幅にふえているのですか。数字はわからぬでも大体の傾向として、あんまは別にして、はり、きゅうの需要がふえているのかどうか、その点どうでしょうか。
#150
○滝沢政府委員 この問題は、やはり最近の中国との国交回復等を含めまして、私たちは一般的に常識的には今後はり師、きゅう師に関する医療の需要が高まる傾向にあるというふうには考えております。
#151
○小宮委員 そうしますと、これまでの状況を見てみますと、盲人たちの養成学校の施設よりは晴眼者のほうの施設がふえておるというふうに私理解するのですが、その点いかがですか。
#152
○滝沢政府委員 先ほど申しましたように、四十一年の晴眼の十六が五カ所ふえて二十一でございます。盲のほうも六カ所が十一でございますから五カ所ふえた、そのふえ方においては晴眼の数のほうが多いことは事実でございますが、ふえ方はほぼ同じ傾向である、こういうふうに思っております。
#153
○小宮委員 先ほども質問したように、盲人たちの職場としては、いま電話交換手だとかいろいろ話がありましたけれども、やはりあんま、はり、きゅうという仕事が彼らにとって一番適応した仕事なんですね。そういうふうな中に、この晴眼者の人たちがどんどん職場に入っていくということになれば、そういった盲人たちの職場というものがだんだん狭められてくる。そのために生活に脅威を感じておるという場合に、厚生省としては大体どちらの人を――晴眼者は必ずしもそういったはり、きゅうとか、あんまをやらぬでも、ほかにも職業はあるわけですから、そういった場合に盲人たちの生活を守ってやる、盲人たちの生活を優先させる、私は当然そういった考え方でなければならぬというふうに考えますが、そういった晴眼者はどんどんふえていく。盲人たちは職場がどんどん圧迫されてくる。盲人たちはあんま、はり、きゅう以外に――他にいろいろあるにしても、開発されていったにしても、職業としては、そうたいして範囲は広くない。晴眼者のほうはほかにも仕事があるという場合に、厚生省としてどちらの方々の職場を優先して守っていくのか、その点について、これは大臣にお願いします。
#154
○齋藤国務大臣 お述べになりましたように、盲人にはそのハンディキャップがあるわけでございますから、しかも適した職業は少ないわけでございますので、何としても盲人にふさわしい職業を守ってあげるということを、最優先的に考えるべきであると考えております。
#155
○小宮委員 そうであれば、これは昭和三十九年に、あんまについてはある程度晴眼者の進出を規制をしたわけですね。今度のはり・きゅう師についても、あんまと同様にある程度規制をして、いまの盲人たちの職場を守ってやるという考え方がおありかどうか。私は、ぜひこういったはり、きゅう以外に、ほかに仕事もない盲人たちを守ってやるために、ある程度晴眼者のはり・きゅう師の養成学校についても規制をすべきだ、ぜひ規制をしてもらいたいという気持ちを強く持っておりますので、その点について規制する意思があるかどうか、大臣からひとつ所見を伺いたい。
#156
○齋藤国務大臣 お述べになりましたように、あんまにつきましては法的規制をいたしておるわけでございますが、はり、きゅうについても同じような法律的な規制を加える必要があるかないか。あんまとは多少違うような感じもいたします。いたしますが、基本的な精神においては、盲人の職場を守ってあげる、こういうことが第一前提にならなければなりません。あんまと同じような法的規制をやることが、いまの段階では多少無理だとかりにいたしましても、行政措置において何とかこれを守ってあげるようなことをしなければならぬと考えておりますので、かりに法的規制ができない場合においても関係者の方々とよく打ち合わせをし、相談をいたしまして、盲人の職域を守る方向で進んでまいる考えです。
#157
○小宮委員 ちょっともう一点。その法的規制ができないとか無理だとかいうような根拠は、どこにあるのですか。あんまの場合はやって、はり・きゅう師の場合はそういうのができないというような、ひとつ御参考に聞かしてください。
#158
○滝沢政府委員 若干、技術的と申しますか、実施の場面のことが、具体的には社会的にも理解できると思うのでございますが、盲人がはり、きゅうをやる場合というのは、教育を受け、経験を積まれますときゅう点と申しますか、からだの部所を見出すことは可能でございますが、いざきゅうをすえるというようなときには、何か補助者がつかないと、きゅうの実施はなかなかむずかしいというようなことがございます。ところが、あんま、マッサージにつきましては、盲人に最適な職業であるということも踏まえまして、十九条の規定がございます。
 したがって、はり、きゅうのような問題が今後国民の医療の面からの関心が高まり、またそういう問題に対する非常にたんのうな効果のある治療の施術師が多く生まれることが期待されるとなりますと、やはり盲人の方の生活の安定ということはもちろん考慮しなければいけませんけれども、はり・きゅう師の技術の本質論からいって、晴眼の方をシャットアウトすると申しますか制限することについては、盲人の福祉対策等は進める一方において、はり、きゅうという仕事の本質論からいって、晴眼の方をいたずらに制限することは困難ではなかろうか、こういうような考え方が大臣の御説明した中身につながる問題でございます。
#159
○小宮委員 法律的にいま説明されたことは、わからぬでもございません。そういうような意味で法律的に規制をすることが非常にむずかしい。非常にということではありませんが、むずかしいということであれば、大臣が言われたように行政指導の面で、盲人たちが唯一の生活のよりどころとしておるはり・きゅう師についても、この人たちが生活の不安を感じないように、十分職場を守ってやるという立場から、ひとつ行政指導を強くやっていただくように要望します。
 次は、わが国におけるABCCのあり方について若干質問します。
 現在、長崎、広島において調査研究が続けられておりますABCCは、関係者の間では、あと何年間これが続けられるのか、また現在の機構のままでいいのか、またABCCに対する日本側の政府の態度はどうなんだ、どのように政府は取り組んでいくのかということが非常な関心事となっておるわけです。
 そういうようなことで、この問題については昭和四十三年の秋、アメリカのダーリングが来られて、このABCCはあと二十年ないし二十五年は継続する必要がある。しかし長期計画については、日米両国で十分再検討すべき時期にきておるということが提案されているわけですね。したがいまして、四十三年の秋ですから、もうすでに四年以上になっているわけですが、このダーリング提案の中で、日米両国でこのABCCの存続の問題について話し合われたことがあるのかどうか。あるとすれば、その話し合われた内容について、突っ込んで何もかも話せとは言いませんけれども、話せる範囲内でひとつその経過を詳しく説明してもらいたい。もし話し合いが持たれていないとするならば、どうして持たれないのか、その点の理由もお聞きしたいと思います。
#160
○加倉井政府委員 ABCCの研究についてのお尋ねでございますが、ABCCの今後の存続期間について、前所長でございましたダーリングが、その書簡において非公式に二十五年ということを申し述べておりますが、この年限等につきまして、今後私どもとしても、その必要性からできるだけ長期間この研究を続けてまいりたい、かように考えております。
 また、そのABCC並びに私どもの研究機構について、いろいろ論議されておるところでございますが、この問題につきまして、私どもも早急に具体的によりよい研究ができるような体制にもっていくべく、検討を加えておりますし、この問題につきましても、アメリカにおいて非常に関心を持っております。したがって私どもとしても、ダーリング所長の交代の時期あるいはその後において、非公式にアメリカの関係者あるいはわがほうの関係各省の方々にお集まりいただきまして、論議を重ねております。その内容等につきましては、具体的にまだ結論に到達しておりませんので申し上げることができませんが、とにかく私どもといたしまして、日本のこの研究に対する体制についてより責任を持つような機構にもっていきたいということで折衝を重ねております。
#161
○小宮委員 問題は、日米両国で話し合いをされる場合に、日本側としてはばく然とした態度で臨んで、ただ意見交換をするということではないと思うのですね。日本側としては、やはりある程度の考え方を持って、公式にせよ非公式にせよ、その話し合いに臨んでおられると思うのですが、その考え方くらいは、ちょっとお話しできぬですか。
#162
○齋藤国務大臣 ABCCの問題につきましては、原子爆弾被爆者に対する対策を立てる上から申しましても、原子力の平和利用ということを考える上から申しましても、私は非常に貴重な調査研究であると考えております。しかも、また今日まで行なってまいりましたこの調査研究は、国連の場においても高く評価されているような次第でございまして、私ども厚生省としては、この調査研究は相当長期にわたって行なうべきものである、かように考えております。
 しかしながら、今日までの調査研究のやり方を考えてみますというと、その調査研究の選び方の問題あるいは運営の問題等において、わが政府の自主的な立場が強かったか弱かったかというところが一番大きな問題であると考えておるので、今後私どもは米国との折衝にあたりましても、その貴重な、高く評価されておる調査研究を長期的に継続させてもらうということを前提にし、そうして相互にそれぞれの責任を持って、自主性を持った共同研究ができるようにしようではないか、これが話し合いの基本的な能度である、かように御了承願っておきたいと思います。
#163
○小宮委員 御存じのように、この被爆二世の方々の中にも、もう死亡された方々が出てきておるわけです。したがって、この被爆二世、三世の問題については、やはりこの調査研究を今後とも続けていかなければいかぬし、また遺伝学的な調査も非常に関係者の中で急がれているわけです。そういうような中で、いまダーリング所長が言われた二十年ないし二十五年というこの期間では、たとえ被爆者にせよ、五歳のときあったとした場合に、この人が最終死ぬまでにどういうふうな状態であったのかというようなことを見るためには、今後その二十年や二十五年の期間では、ほんとうに調査研究というものの成果はやはり出てこないと思うのです。
 ましてや第三世ということになれば、その二十年とか二十五年という短期間で調査をしたあと打ち切りということになれば、これはもう実際、調査研究が中途はんぱに終わってしまうというようになるし、関係者、特に被爆者あたりでは、やはり少なくとも数十年は続けてもらわなければ困るというのが被爆者あたりの強い要望でもあるし、また関係者の方々も非常にそういうような訴えをしておるわけですけれども、そういうような場合、いまアメリカ側と折衝をされている内容の中身までは、いろいろ厚生大臣の言われるように話し合いがしにくいというようなことでありますけれども、そういった二十年とか二十五年というようなことではなくて、少なくともやはり数十年は続けてもらわなければ困るということが広島、長崎の被爆者関係、あるいはまた関係者の切なるこれは非常に強い声なんですが、この問題について厚生大臣はどのような考え方を持っておられるのか、ひとつ所見を承りたいと思います。
#164
○齋藤国務大臣 私は、先ほど申し上げましたが、長期的な調査研究を続ける必要がある、かように考えております。将来アメリカがこれに対してどういう態度をとってくるか、将来のことでございますから、アメリカの態度がどういうことになるのか、それは私もわかりませんが、かりにそういう場合でありましても、日本政府としては長期的に調査研究を続けていくという態度は堅持してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#165
○小宮委員 それでは日本政府としては、その二十年とか二十五年というダーリングが提案した、そういうような期限にこだわらずに、やはり長期的にこの調査研究を実りのあるものにするためには、五十年かかっても、六十年かかっても、七十年かかってもやるというようなお考えだと理解していいですね。
#166
○齋藤国務大臣 五十年七十年ということをいま明示するわけにもまいりませんでしょうが、将来アメリカがどういうふうな態度をとろうが、日本政府としては長期的に調査研究を続ける必要性がある、かように考えているわけでございます。日米でいま共同研究をいたしておりますが、
    〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
その場合における運営の問題等についてお互いに話し合いをして、自主性を尊重するようにしようじゃないか、責任の分担を明らかにしていこうじゃないかという話し合いでございます。その点を御理解いただきたいと思います。
#167
○小宮委員 いま話し合いをされておるのは、このABCC運営の問題が主になっているわけですか。――それでは、運営の問題について質問したいと思います。
 というのは、いまABCCの研究は厚生省の国立予防衛生研究所とアメリカがやっているわけですね。そうしますと、調査研究の計画だとか、あるいは管理、運営、財政、人事すベてアメリカ側が握っているわけですね。したがって、アメリカが握っておるというその理由、もうそろそろ戦後二十七、八年もたってきたし、しかも日本もこれだけ経済的にも大国になってきたし、そういったアメリカ側に依存しておるということでなくて、わが国みずからがこういった戦争犠牲者に対するせめてもの償いとしてでも、当然日本政府としてこの問題には積極的に取り組んでいくべきだというふうに考えるわけですが、そういった意味では、これを設立された当時の問題によることとは思いますけれども、やはりアメリカ側がほとんど実権を持っておるという理由、そうしていまこの費用の分担は日米両国どうなっておるのですか、参考までに聞きたいと思います。
#168
○加倉井政府委員 ABCCの運営内容でございますが、ABCCは御承知のように昭和二十二年に発足いたしております。日本側といたしましては、国立予防衛生研究所がこれに協力いたすことになりまして、広島、長崎、にその支所を設置いたしまして、共同研究という形で研究を行なっております。
 さらに、三十三年以降主要な調査につきましては、国立予防衛生研究所長とABCCの所長との間に同意書が交換されまして、調査の計画、それから運営について円滑に推進するために日本並びにアメリカの委員から成る協議会を設ける、こういうことになっておるわけでございます。そうしてこの協議会が調査研究に対しまして助言あるいは勧告を行なう、こういうふうなために日本側に、ABCC日本側諮問委員会というのが設けられてきたわけでございます。
 しかしながら、御指摘がございました共同研究につきまして、私どもの国立予防衛生研究所の支所でございます広島、長崎の予算がきわめて弱体でございます。四十七年度の私どもの予算といたしましては八千六百五十一万四千円に対しまして、アメリカの千九百七十二年会計年度の決算額が四百九十六万八千ドルでございまして、約二十分の一程度でございます。非常に弱体であるのは御指摘のとおりでございます。しかし、現在ABCCの調査研究につきまして、その運営を改善し、日本側の主体性を持ったような体制にすべきであるということから、私どもといたしまして、先ほど申し上げました国内の関係各省と協議いたしまして、将来その結論を持ちまして、はっきりとアメリカ側と交渉に入りたい、かように考えております。
 たとえば具体的な問題といたしましては、現在問題になっております、先ほどの非公式の協議内容という面でございますが、実は建物をABCC側が所有いたしておりますが、それを私どもの予防衛生研究所が無料で貸借するというようなことがございまして、そういうこまかいことも今後いろいろはっきり体制を固めるためには必要でございますので、そういうこまかい点の協議に入っている、かような状態でございます。
#169
○小宮委員 いまの話からいけば、日本側に主体性を、段階的に移行するために大体話し合っておるということで、その際に、特にアメリカ側としては、その考えに反対だとかいうような意向はないですか。この点ちょっと御参考までに……。
#170
○加倉井政府委員 ただいま非公式な協議に入っております事項につきまして、私どもの提案に対しまして、向こうは特別に反対はございません。
#171
○小宮委員 特に、このABCCを今後どうするかということ、いまの運営そのままでいいのかどうかという問題について、私ちょっと調べたところでは、ABCCの存在の法的根拠というのは、平和条約が締結されたあと、外務省とアメリカの大使館との間で何か口上書が交換されたということになっておるようですけれども、先ほど申し上げた今後二十五年か三十年か――いま大臣が言われたように二十年とか二十五年にこだわらぬで、三十年でも四十年でも、やはりせっかくやった研究を成果あらしむるためには、長期間にわたって調査研究を続けていくのだというようなことになった場合、いまのような何も法的根拠もなく、ただ口上書だけで今後続けていっても何ら支障がないのか。やはりこういった立場に立ってくれば、そろそろはっきりしたものにしなければいかぬと考えますか、これは外務省ですか――外務省のほうで御答弁願います。
#172
○深田説明員 先ほど厚生省のほうからお答えがございましたように、いろいろ将来について基本的に御検討いただいておるわけでございまして、いまのような形での、すなわちABCC側、つまりアメリカのほうで費用のほとんどを持っておるという実態であります限りにおきましては、いまのやり方で基本的には問題ないはずでございます。
 ただ若干技術的な問題がございまして、昭和二十七年に取りかわしました口上書は近く改定することで先方と話がついております。これはあくまでも大体において、いまのような状態が続くという前提でございまして、抜本的に仕組みを変えるということがもしございますならば、これはまたそのときにしかるべき方法をもってABCCあるいはどういう名前になりますか、共同の機関の可能性もあると思いますけれども、それにつきましての基本的な性格をアメリカとの間に合意することになる、かように考えております。
#173
○小宮委員 先ほどの主体性を、わが国のほうにだんだん移行していくということになれば、そういうようなたてまえからいっても、両国の費用の分担は日本は大体二十分の一だということでありますから、そういう意味でABCCに対して、日本政府としても積極的な財政援助を当然やるべきじゃないのか。このABCCの運営そのものについて私も若干知っておりますけれども、いろいろな問題があります。
 そういうようなたてまえからいっても、政府のABCCに対する――ABCCというより予研のほう、これも非常に少ない。そういうような意味で積極的に国が財政援助をやっていく。そしてアメリカのそういうような負担を日本側が肩がわりをしていかなければ主体性を取り戻すわけにはいかぬ。金で押えられます。主体性を取り戻すためには、日本側が逐次負担をふやしていく、肩がわりしていくということも当然考えなければならないというふうに考えますが、この点について、その意思ありやなしや、厚生省のほうから御答弁をお願いします。
#174
○加倉井政府委員 御指摘のとおりでございまして、私のほうといたしましては、先ほど申し上げました、いろいろの協議事項をさらに具体化いたしまして、私どものほうの経費で当然支出すべきものは支出するような方向で四十九年度に予算化をいたしたい、かように考えております。
#175
○小宮委員 今後のあり方の問題についてですが、そういった主体性をわが国のほうに移行していくということになれば、ほんとうに調査研究を安心してやれるというような方向に持っていくためには、こういった機関を政府機関の一部として包括していくということが望ましいのではないかというふうに考えますが、それについてはどのように考えておられるか。
#176
○加倉井政府委員 いまお話がございましたABCCを日本側の政府機関あるいは特殊な法人組織にしてはどうか、こういう御意見でございますけれども、現在いろいろ検討いたしました段階におきましては、ABCCの研究体制そのものがわが国の研究機関の組織と若干異なっておりまして、それを一気に私どもの政府の直接の付属機関にいたすことに問題がございます。
 したがいまして、また法人組織にしてはどうかということにつきましては、検討したのでございますが、現在の段階では特殊な法人にすることに問題がございまして、当面は現行のままの体制でいかざるを得ない、かような結論に到達いたしております。
#177
○小宮委員 最後に、関係者の間では特に基礎部門を担当する大学、それから治療を担当する原爆病院、それから疫学的調査を進めるABCC、こういったものの間が非常にばらばらである。何か有機的なつながりが全然ないということで、こういった三者、四者の交流を定期的に開いて、そしてお互いにそういう資料の公開、またお互いの調査資料にするというような必要性が非常に訴えられているわけです。その点については、いままではばらばらであった。しかし、今後はそういうような意味での有機的な連携というものを考えるべきだと思うのですが、それに対する所見と、今後の行政指導をどうするのか、そういう点をお伺いして質問を終わります。
#178
○加倉井政府委員 御指摘の点につきましては、私どもといたしましても非常に痛感いたしておりまして、その問題につきまして関係各省の方々にお集まりいただきまして、先ほどの今後の研究体制の問題を含めまして検討いたしております。したがって、御指摘のようなことのないように今後は末端にもそれを十分浸透させていきたい、かように考えております。
#179
○小宮委員 持ち時間が四十分で、もう一分くらいありますけれども、これで質問を終わります。
     ――――◇―――――
#180
○田川委員長 内閣提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案、及び中村重光君外四名提出の原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を行ないます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。中村重光君。
#181
○中村(重)委員 大臣の見解を伺ってみたいのでありますが、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律及び原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案といたしまして、端的に申し上げて、被爆者援護法案を私どもは引き続き提案をいたしましたが、その中身に対しましては、先ほど大臣は私の提案理由の説明の中でお聞きいただいていることと思いますので、大臣の見解をひとつ伺ってみたいと思います。
#182
○齋藤国務大臣 援護法の制定という問題につきましては、かりにこれを制定いたしますと一般戦争被害者といったふうな方々との関連等もありまして、いま直ちに援護法を制定するというふうに踏み切ることは、ちょっとまだ時期尚早ではないだろうか、かように考えておる次第でございます。
#183
○中村(重)委員 時期尚早ということになってまいりますと、必ずしも否定的ではありませんが、時期尚早という大臣の感触と申しますか、それはどういう意味でしょうか。
#184
○齋藤国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたが、一般的な戦争、戦災による被害者との関係、そういったものについて、もう少し深く掘り下げて結論を出す必要があるのではないだろうかということを考えておる次第でございまして、原子爆弾という人類始まって以来の事柄、そしてまたわれわれは今後永久に戦争はやらぬ、そしてまた戦争はやらしてはならぬ、こういうたてまえにあるときに、こうした方々に対していまのような法体系だけで十分であるかどうか、そういう問題もあわせてもう少し慎重に私考えさせていただきたいと考えておる次第でございます。そういうふうな問題をもう少し煮詰めまして、多少時間をかしていただきまして、先生多年の御主張でございますので、私も、こうした問題に何とか決着をつける必要があるのではないか、こういうふうに率直に考えておる次第でございます。したがって、いま直ちにこれをやりますということを言う段階ではない、もうしばらく時期をかしていただきたい、こういう意味でございます。
#185
○中村(重)委員 それで私は政府案に対しまして質問をいたしてみたいと思うのでございますが、ただいま議論されましたABCCの問題でございます。
 御承知のとおり先般わが党の大原委員から、また私も質疑をいたしたことがあるわけでありますが、先回の国会では大原委員から、この問題に対しましては厚生、文部、科学技術庁、これら関係各省が一体となって、この原子力研究を続けていくということが好ましいのではないか、だとすると、アメリカ主導型のABCCのあり方は適当ではないということに対しまして、政府といたしましても、この点については誠意をもって検討するということになっているわけです。ただいまのお答えでございますと、まだ結論が出ていないというようにも判断できますし、また局長の最後の御答弁では、やはりいまの体制をくずすわけにはまいらないというようにも解釈できるようなお答えであったわけでありますが、アメリカ側との間に話し合いを進めているのかどうか、また大原委員からこの問題について提起されたようなことについての実現性というものがあるのかどうか、そこらについての見解を伺ってみたいと思います。
#186
○齋藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、非常に貴重な調査研究でございますので、私どもは共同研究を長期にわたって続けていきたい、こういうふうな考えを持っておりますが、この研究所ができるにあたりましての――昭和二十二、三年ごろでございますか、そういういきさつ等もございまして、向こうのほうが予算的に相当金を出しているということで、なかなか運営について自主性を持ちにくい面が今日まであるわけでございます。こうした貴重な調査研究を長期的に続けなければならぬという考え方に基づきまして、もう少し運営について責任の分担を明らかにするとか、もう少し自主性を確立するとかいうことが痛感されるに至りましたので、先ほどもお答えがありましたように、昨年の暮れ以来、まだ非公式の段階でございますが、運営についていろいろ話し合いをいたしておるわけでございます。
 その話し合いの結果、結論が出ますれば、当然、日本政府ももっと金を出すべきであるといったようないろんな意見も出てくると私は思うのです。出てこなければ従来のようなままの継続ということになるわけでございますから、もう少し日本政府が金を出せというなら出しましょう、こういう態度でいくべきであると私は考えておるわけでございまして、非公式な話し合いの結果を見まして、四十八年度の予算には間に合いませんが、四十九年度の予算編成までには、何とか話し合いを遂げまして、自主的な運営というものを確保できるような日本政府の態度というものをはっきりさせていきたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
#187
○中村(重)委員 大臣も御承知のとおり、石油等のエネルギーの世界的不足の中で、私は原子力エネルギーに期待するところは非常に大きいと思うのです。そうなってまいりますと、放射能の影響というものが非常に大きくなってまいります。したがいまして、日本政府といたしましても、この問題に対しましては積極的な研究体制を確立していかなければならないのではないか、そのように思います。ABCCといたしましても、いまのようにアメリカ主導型、アメリカの研究のために単に名目的に予研を共同研究のために入れているにすぎないというような体制は適当ではない。これは何といいましょうとも、いま予算の中で、四十八年度でもたしか一億四百万程度の予算を計上しているにすぎないというようなことでは話になりません。また日本政府としてもお考えにならなければならないことは、大学の付属施設といたしまして、広島と長崎でこの面に対する研究を進められております。
 私は、これほど原子力エネルギーというものが大きなウエートを占めてまいります際に、そうした研究がばらばらであってはならないと思います。やはり日本政府の責任の中においてこの原子力に対する、放射能に対する研究というものを強力に推進していく必要があるであろう、そのように思います。いまアメリカさんが費用を分担してやってくれているんだから、それに便乗すればよろしいじゃないかというような消極的な、無責任な態度というものは、この際清算する必要がある、そのように思います。
 ただいままでの質疑を伺っておりまして、若干期待感が持たれるようにも伺いましたけれども、また一方私は、科学技術庁と文部省から、単に研究のため必要があれば、これに参加をするにすぎない、いまの体制は変わらないのだというようなことも伺っているわけであります。ですから、まだアメリカ側との話し合いも進められておるという、きょうの質疑応答というものを私はそのまますなおに受け入れてみたいと思いますから、どうかひとつ積極的に、この点に対しましては、その必要性を日本政府も痛感されて研究体制を強化していく、そういう方向に精力的に取り組んでいただきたいということを要望いたしたいと思います。また、この点につきましては大原委員から提起いたしておるところでもございますから、あらためて大原委員からこの点に対する質疑も展開されるであろうと私は思います。その点に対して、もう一度大臣の見解を伺っておきたいと思います。
#188
○齋藤国務大臣 ABCCの運営につきましては、先ほど来御答弁申し上げましたように、向こうが膨大な金を出し、こちらが一億足らずなんというような状況でございますと、やはり主導性というものを日本が確立するということは私は困難だと考えております。したがいまして、いま非公式ないろいろな話し合いを運営についてしておるわけでございますから、その運営についての話し合いの結果、日本政府はもっと増額せよということであるならば私は増額したらいい、こういうふうに考えておるわけでございまして、主体制を持った、こうした調査研究が共同で進められるということは非常に望ましいことであり、高く評価さるべき問題でございますので、日本政府としても、前向きに積極的にこの問題の研究に進んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#189
○中村(重)委員 私は大臣の答弁は誠意ある答弁として、そのまますなおに受けとめておきたいと思います。
 ともかく研究に参加いたしておりますABCCの職員の人たちにいたしましても、きわめて不安定な条件の中にあるわけです。やはり正規に日本政府の職員として意欲を持って働いてまいりたいというような心情も、ひとつ十分おくみ取りになる必要があるでしょう。労働者としての権利というものもありますけれども、その意欲をいかに吸い上げていくかということは、この研究所というものをさらに強化していく道につながるであろう、こう思いますから、いまの大臣の答弁が十分実を結びますように私は期待をいたしたいと思います。
 法律案の中身につきましてお尋ねをいたしてみたいと思いますが、この健康管理手当の支給の年齢が五十五歳から五十歳に引き下げられたということは、一歩前進であると思います。私は大臣に端的に申し上げますが、この年齢制限というのは、この際撤廃をする必要があるのではないか。それから支給期間の制限というようなものも、二カ年ということになっておりまして、またあらためて健康診断等を受けなければならない、申請をしなければならないという形になっているわけであります。
 それから、この健康管理手当の支給を受けるにいたしましても、厚生省指定の八つの病気の一つにかかっていなければならないという実は制約条件があるわけです。名前が健康管理手当でございますから、やはりその名にふさわしい手当というものが支給されなければいけないのじゃないか。病気にかからない、健康が維持されるというところに健康管理手当の意義というものがあるのだ、私はそのように思っているわけであります。しかしながら年齢の制限はあるわ、あるいは支給期間の制限はあるわ、さらにまた厚生省が指定する八つの病気の一つにかかっていなければならないわというような、きわめてしぼりが多くかかっておりますことは、いまの医療手当と変わらないということになってくるのではないか、そのように思います。
 これは端的に申し上げまして、齋藤厚生大臣は社会労働委員会の主のような存在であったわけでありまして、このことにつきましては十分精通をいたしておりますから、私どもの主張というものも十分御理解になっていらっしゃるわけでありますから、ひとつ大臣から前向きのお答えがいただければ、まことに幸いであると思いますが、いかがでしょうか。
#190
○齋藤国務大臣 原子爆弾被爆者に対する処遇の問題につきまして、中村委員から多年いろいろ御指摘をいただいておるわけでございまして、私もできるだけ前向きに問題の解決に当たりたい、こういうふうに努力をいたしておるわけでございますが、来年度の予算におきましては、今回御提案申し上げました程度のところで、ことしはひとつ御了承を願いまして、また今後先生のいろいろな御指摘をいただきながら前向きに取り組んでまいるようにいたしたい、かように考えておるような次第でございます。
#191
○中村(重)委員 私ども厚生省と一緒に大蔵省と予算折衝をやってまいりまして、あるときは矛盾であるとはわかりながら、厚生省の予算要求というのは、きわめて内輪な要求なんだから、これを大蔵省がのまないなんということはけしからんとかいったようなことまで言ってまいりましたので、本日は質問しながら、いささか私も何かひっかかるものを感じるわけです。事実、私の心情といたしましては適当でないと思っております。年齢制限すべからず。それから厚生省の指定するような八つの病気の一つにかかっていなければならないなんということは、本来の健康管理手当という形になりません。これは医療手当の延長にすぎない。大臣、このことだけは間違ってないのだと私は思っておりますので、どうかひとつこの問題には積極的に対処していただきたい。正直に言って私は、あなたが最適任者であると、あなたの存在を高く評価いたしますから、どうかひとつお取り組みを期待をいたしておきたいと思います。
 なおこの葬祭料、それから介護手当ですが、葬祭料は一万六千円、介護手当は最高一万円というのが据え置きになっておりますが、どうしてこれが据え置きになったのでしょうか。
#192
○加倉井政府委員 葬祭料につきまして四十七年度に大幅な引き上げをいたしておりますので、四十八年度におきましては、これらの手当のうち特に要望の強い特別手当、健康管理手当及び医療手当について改善をはかったということでございまして、先ほど申し上げましたように、四十七年度の大幅の引き上げの結果でございます。
#193
○中村(重)委員 たいへん苦しい御答弁である。あなたのほうは大蔵省に対して、これを引き上げるように予算要求をなさったというように私は承知をいたしながら質問をいたしておりますが、大蔵省が認めなかった政府の提案ということになってまいりますと、いまのような答弁が返ってくるということは、それなりに理解はいたしますけれども、しかし適当でありません。あなたも不本意であろうと思います。四十七年度大幅引き上げと申しながら、決して大幅引き上げではございません。いまごろ一万六千円やそこらで葬式ができるはずがありません。
    〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕
ですから、これは葬祭料という名称を変えまして弔慰金という形に変えていく、額も引き上げる必要がある、四十九年度の予算要求の中では、そういう方向でお取り組みになる御意思はないかどうか、その点いかがでしょうか。
#194
○齋藤国務大臣 御指摘の点につきましては、先生のおっしゃること十分理解をいたしておりますので、今後四十九年度の予算編成に際しましては、前向きにそうした御指摘の点は理解をしながら努力をいたしたいと考えます。
#195
○中村(重)委員 介護手当の点はいかがでございましょうか。一万円ですね。これは一万円の介護手当なんということは現実的じゃございません。また介護手当運用の問題といたしましては、親族が介護できる場合もこの手当を支給するということでなければいけないというようなことでありましたが、なかなかきびしいんですね。みんな働かなければなりません。働かなければ食ベていくことができない。ですから、あまりきびしく兄弟か、いとこか、はとこかというようなことでチェックされるということには私は問題を感じます。額も引き上げる必要がある。もう少し弾力的にこの点は運用していく必要があるであろう、そのように思いますが、その点いかがでしょうか。
#196
○加倉井政府委員 御指摘の介護手当につきまして、たてまえといたしましては、そういうことをとっておりますけれども、実際の運用面につきましていろいろ問題がある場合には、幅広く運用ができるようにいたしたいと考えております。
#197
○中村(重)委員 額の問題に対しましても、先ほど大臣がお答えになりましたことと同じようなお気持ちであると理解をいたして、次の点をお尋ねいたします。
 この原爆障害者の年金は公務傷害に限定をいたしておりますが、私はこれは適当ではないと思っております。これも私どもが提案をいたしております援護法の問題とひっかかって実はくるのだと思うのでありますが、原爆の性格等々から考えてみまして、公務傷害、いわゆる徴用、学徒動員といったようなものでなければこの障害手当が支給されない、そのような幅の狭い支給のあり方というものは適当ではないのじゃないか。もう少し弾力的に公務傷害手当というものは支給していく必要があるであろう。公務傷害手当――名目は公務傷害手当になっておりますから、そう申し上げざるを得ないのでありますけれども、原爆によって障害を受けた方々に対する手当というものは、もう少し弾力的に、そうきびしい規制をしないで支給していくということでなければいけないと思いますが、その点はいかがでございましょうか。
#198
○加倉井政府委員 障害年金を支給すべきではないかという御意見だと思いますが、私どものほうといたしまして、現在の被爆者対策というものが、放射能の影響によって疾病にかかりやすく、またなおりにくいという特別な状態にあるために、これらの特別な状態の者に対しまして、それぞれの事情に応じましていろいろの手当を支給している、こういうたてまえでございまして、その内容といたしましては福祉の向上ということを意図しております。したがいまして、障害年金の形で給付をすべきじゃないかどうかということにつきましては、ほかの一般の社会保障施策との関係もございまして、ほかの施策を充実することによってやるべきじゃないかという考え方に立っておることを御了承いただきたいと思います。
#199
○中村(重)委員 お答えのとおりでありますれば、徴用であるとか動員学徒、そうした方々のみの原爆による障害にとどめる必要はないのではないか、もう少し弾力的にこの障害手当を支給していく必要があるであろう、私はこう思いますが、その点いかがでしょうか、大臣に……。
#200
○齋藤国務大臣 私お答えいたしますが、傷病手当と申しますか傷病年金と申しますか、やはりこれは冒頭にお尋ねのありました援護法との関係において考えるべきじゃないか、私はこういうふうに考えておるわけでございまして、いますぐ障害年金を支給するというところまで踏み切ることは、ちょっと無理ではないだろうか、こういうふうに考えております。
#201
○中村(重)委員 援護局長からも同じような答弁が返ってくるのではないかと私思っていたのですが、いまのところは大臣お答えのように、動員学徒、徴用工といったような、いわゆる公務障害というような形で手当が支給されているわけですね。私どもは、これは提案しております法律案を見ていただくとわかるわけでございますけれども、いわゆる公務障害に限定すべきではない、原爆による障害を受けた者、これには手当を支給すべきである。もちろん障害の軽重によって、その差をつけなければならないとは考えておりますけれども、もう少し範囲を拡大をしていく必要があるであろう、こう思うのでございますが、大臣のお答えはいま伺いましたけれども、専門的な関係もございますので、担当局長からひとつお答えいただきましょうか。
#202
○高木(玄)政府委員 お答え申し上げます。
 私どもの所管しておりまする戦傷病者戦没者遺族等援護法におきましては、国なり軍と一定のかかわりあいがある方々、軍人、軍属、準軍属といったような方々につきまして、その公務上の傷病による障害につきまして障害年金を出しているというわけでございます。したがいまして、原爆の被爆者でございましても、軍人あるいは軍属、準軍属というようなことでとらえられている方々につきましては、軍人につきましては恩給法のほうで増加恩給が出ておる、それから軍属、準軍属につきましては、援護法のほうから障害年金が出ている、こういう関係になっておるわけでございまして、国なり軍との一定の関係というものが前提になっておりますので、一般の被爆者については援護法の関係からは出し得ない、こういうことになっておるわけでございます。
#203
○中村(重)委員 あとで関連してお尋ねをしなければならない点がございますから、その点はあとでまたお尋ねすることにいたします。
 この医療審議会の運営ですが、これは前向きで審議しようとする機関でしょうか、うしろ向きで審議しようという機関でしょうか、いかがでございましょう。
#204
○加倉井政府委員 前向きで審議する機関であります。
#205
○中村(重)委員 前向きで審議する機関でございますれば、認定被爆者が減っていく一方であるというのはいかがなものでございましょうか。原爆の影響、いわゆる認定被爆者に相当するような者はもうなくなった、非常に病状が軽くなったという御判断でございましょうか、いかがでございましょう。
#206
○加倉井政府委員 お答えいたします。
 認定証を交付いたしました件数は、若干減少の傾向にございます。
#207
○中村(重)委員 若干じゃございません。大体被爆者と認定した数が押えに押えて認定しているのですよ。五千名程度であったのはいまから四、五年前で、それからは毎年減少しているのですね。それじゃ、放射能の影響を受けて働くこともできない、病床にあるといったような者が減ってきたのかどうか。まあ死没をした方がたいへん多いということは御承知のとおりですね。しかし、健康を阻害されて働くことのできないという方々は、たいへん多くなっていると申し上げても私は差しつかえないと思うのであります。しかし、この医療審議会の審議というのは、たいへんきびしいわけですよ。なかなか認定被爆者にしない。これはもううしろ向きの審議会になっております。
    〔竹内(黎)委員長代理退席、委員長着席〕
 ですから、私は御提案をいたしますが、明らかに原爆に起因したと証明できるものを除いて、被爆者に関するすべての傷病を医療審議会が認定するというところまで持っていかなければ、これはもう全くお答えのような前向きの機関になりません。ですから、この医療審議会の運営のあり方について再検討する御意思はないかどうか。この点は大臣からお答えいただきましょうか。
#208
○加倉井政府委員 御指摘の審議会の審議内容でございますけれども、私のほうといたしましては、原爆症の経過から申しまして、やはり長期慢性の疾病が多いという観点に立ちまして、長期間経過いたしました後に発症する例も今後予想いたしております。したがって、その運営等につきまして、御指摘のように非常に厳格にやっておることについてのいろいろの御意見等も、また審議会の委員の先生方とおはかりいたしまして、今後弾力的に運営ができるよう前向きに検討いたしたい、かように考えております。
#209
○中村(重)委員 いまのお答えを一応信頼いたしておきたいと思います。
 ともかくうしろ向きの審議会であることだけは間違いございません。ともかく、いかに減らしていくかということです。ですから前向きではない、こういうことでございます。しかしいま局長は、私の指摘に対しまして、これを肯定的にそういう方向で審議をしてまいりたいというお答えでございますから、私はそのお答えを信頼をいたしたい。しかし、ことばではなくて実績がものをいいますから、この次に質疑をいたします際は実績の中でまた、あなたのいまのお答えがほんとうに真実であったのかいなかということは具体的な事実をもって証明するであろう、そういうことでこの点は期待をいたしておきたいと思います。
 それから被爆者の医療の問題でございますが、いま七十歳以上は医療無料化ということになってまいりました。そうなってまいりますと、健康管理手当を支給されている被爆者というものは七十歳以上ということになってまいりますと、もう変わらなくなりました。で、私どもは、被爆者は七十歳以上の方々が非常に多いわけですが、そうした方々に、原爆手帳を持っておりましても何の効果もありません、この手帳を持っている効果というものはどういうことでございましょうかということで実は尋ねられまして、いささかもって私どもも戸惑いをすることが実はあるわけですね。
 ですから、いかがでしょうか、この原爆手帳を持っている被爆者は、認定被爆者と同じように完全無料化ですね。そのようなものがないような形というようなことが必要ではないかということと、何かもう少し前向きの形――自分は原爆被爆者である、国がこんなにあたたかい措置をしてくれているのだという感謝の気持ちというものが、そこで働くような何らかの配慮が私は必要ではなかろうかというように思いますが、いかがでございましょうか。
#210
○加倉井政府委員 原爆医療費の公費負担の問題でございますけれども、私どもの公費負担しております内容は、社会保険を適用いたしました残りの自己負担分を全部公費負担をする、かような形になっております。
 したがって、外傷とか交通事故等も全部一応対象としてございますが、社会保険の適用外の疾病につきましてこれを拡大する、かような御趣旨かと思いますけれども、たとえば、先天性の奇形を治療するというような場合は、社会保険の適用がない場合でございまして、そういうときも無料にするかどうかにつきまして若干疑問がございますけれども、いまの御趣旨を体しまして、全額公費負担ができるようなことにいたしたい、かように考えております。
#211
○中村(重)委員 国民皆保険というような制度の中で、健康保険に加入をするということは当然ではないかというような考え方が一つある。だからして、この特別被爆手帳を持っておりましても、健康保険に入っているということは、あたりまえなんだという形が、いままで厚生省から返ってきたことばでございました。認定被爆者が完全無料であるということは御承知のとおりであります。国民であることに変わりはございません。ですから、この七十歳以上の方々に対して、被爆者であるから、そういう措置を講じてもらっているのだという、老い先短い方々に、何か、恩恵ということばは私は当てはまらないと思うのですけれども、それなりの評価をしてもらう、そういう配慮があってしかるベきではないかというように私は思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
#212
○齋藤国務大臣 老人医療の無料化というものが実現いたしました今日の段階で、そういうお尋ねが出るのも私は気持ちとしては十分理解いたすわけでございます。そこで、そういう場合に、どういうふうに国家が、原子爆弾被爆者であるということに対して、あたたかいお報いをしたらいいのかどうか、私も十分検討いたしたいと考えております。
#213
○中村(重)委員 大臣の前向きの検討の結果が出ますことを期待をいたしておきたいと思います。
 被爆二世の問題でございますが、いま四十八年度の予算の中にも、この点は、調査ということについて取り組もうといたしているわけでありますから、一歩前進であるということが言えるわけでございます。ですけれども、被爆二世の方々は、これに対しては決して満足をいたしているのではありません。被爆二世が放射能の影響を受けて病気にかかり、あるいは死亡しているというこの事実は否定することはできない。そのことを考えてみますと、やおら立ち上がって調査をしようというようなのんきなことでは、私はいけないのではないか。調査はする必要があります。しかしながら、明らかに被爆二世であるということが証明されます以上は、その申請に基づいて特別被爆手帳が交付されてしかるべし、私はそのように考えます。それらの点に対して、どのような御見解であるのか、伺っておきたいと思います。
#214
○加倉井政府委員 被爆者二世の問題でありますが、現在の調査の結果によりますと、一応影響がないという結論が出ております。しかしながら、それで満足すべきことではございませんで、私どもといたしましては、引き続きやはり影響があったかどうかということにつきまして、その結果を追及しなければならない、かように考えております。
 ただ、それを表に出しまして調査することによります影響がどのような問題であるかということは、非常にこれは大きな社会問題になるということを予想いたしまして、慎重に実施いたさなければならないと思いますし、特に二世の結婚問題あるいは就職問題等に影響する場合には、これはきわめて大きな社会問題でございますので、慎重に取り扱ってまいりたいと思います。したがって、それを表に出しまして調査をするのがいいのか、別な何らかの形で慎重に調査をするのがいいのか、いろいろ問題を突き詰めて、私どもといたしましては結果が出るように進めてまいりたい、かように考えております。
#215
○中村(重)委員 私はお答えの点は理解できるわけであります。ですから、被爆二世であるから、三世であるから、これを強制的に検査をし、そして手帳を交付しなさいと言っているのではないわけです。しかし、その被爆二世、三世が、自分は放射能におかされているのだ、だからして手帳の交付を求めて完全な治療をしたいという、その心情というものは、くみ取ってやらなければいけないのではないか。したがいまして、申請に基づいて、おやりになったらいかがでございましょうかと、こう申し上げているわけであります。でしたら、いまの局長のようなお答えは返ってくるはずはございません。
 強制的に、君は被爆二世であり、三世であるから検査を受けなさい、こう言われるのであるならば、私はあなたの答弁をすなおに理解をいたします。ですけれども、私は申請に基づいてと、こう申し上げたわけでありますから、それはその人格を尊重することに変わりはございません。大臣、この点いかがでございましょう。
#216
○齋藤国務大臣 いま局長の申し上げましたのは、この問題については慎重にやりたいという意味合いにおいて申し上げたのだと私は思うのです。この問題は、ほんとうに中村先生も十分御承知なんで私が申し上げる必要はありません。その方々の将来のいろいろな問題がありますので、いまお話しのように、申請に基づいてといったふうなお話がございましたが、これは私は慎重の上にも慎重な態度で、こうした方々の御希望が到達できるように努力をいたします。
#217
○中村(重)委員 またもとに戻るわけでございますが、この被爆の指定区域の問題でございます。これは局長からお答えいただいてけっこうでございます。
 実は、いままでのところ、この指定の問題については行政区域で指定拡大が実はなされているということであります。したがって、爆心地より非常に距離が近いところであるにかかわらず、行政区域が違いますので指定されていないという地区が実はあるわけであります。
 たとえば、私は長崎でございますが、長崎市は爆心地から四キロ、五キロと離れた地域が指定の区域になっております。ですけれども、より近い区域、それが町になって行政区域が違っているために、この指定区域に入れられていない。これは厚生省に申請が出ているわけでありますから端的に申し上げますが、長崎県西彼杵郡の時津であるとか長与というところが、それに該当するわけであります。これらの地区というのは、県の申請がおそかったということで、私は厚生省の責任を追及しようとは考えません。ですけれども、それらの申請が正式になされました場合は、この区域を拡大をされる必要があるであろうと思いますが、その点に対する御見解はいかがでございましょうか。
#218
○加倉井政府委員 御指摘の時津あるいはもう一カ所の村の指定の問題かと存じますが、これは地域的な特性を考慮いたしまして、総合的に判定いたしました結果、やはり指定からはずされた、かように理解をいたしております。
#219
○中村(重)委員 いまのお答え、ちょっと聞き落としましたが、実は申請が正式申請じゃなくて、内々意向打診みたいな形でありまして、四十八年度の予算要求をすでに厚生省がお出しになったあとである、間に合わなかった、こういうことなんです。この距離が近いことには間違いはないわけです。ですから、四十九年度の中でそういう申請が出ましたらば、やはりこの実情をよく御調査になって、この地域を拡大をしていくという必要があるのではないかと私は思っているわけであります。ですから、それに対するお答えをしていただければ、よろしいわけです。
#220
○加倉井政府委員 御指摘の四十八年度の予算に間に合わなかったからということではございませんで、やはり先ほども申し上げましたように、地形的な特性その他を総合的に判定いたしまして、一応指定地域からはずした、かように御理解いただきたいと思います。
#221
○中村(重)委員 あなたがそういうお答えをなさいますならば、私は申し上げざるを得ない。
 私は、長崎県の西彼杵郡の長与、時津から申請書が出ている、これをどう扱うのかということを伺いました。ところが、もうすでに大蔵省に概算要求をいたしておりますから、ことしは間に合いません、そういうおことばが返ってきたではありませんか。にもかかわらず、いまのような答弁は、これは公式の場所の答えでなかったのだということで、あなたがそうおっしゃるのか、あるいは私がそう申し上げたことをお忘れになって、そのようなお答えが返ってきたのか、いかがでございましょうか。正式の申請がなされなかったのです。間に合わなかったのです。また、非公式と申しましょうか、出ました書類は不十分だったのです。厚生省が検討するに足りる内容が十分具備されなければならなかったわけです。そういうことが具備されていなかったという関係もあるわけであります。
 ですから、申請は出たけれども、これは特別区域に入れる必要を認めないという形において却下されたのではございません。いかがですか。いま課長とお打ち合わせをなさいましたから、御訂正になればしていただいて、けっこうですよ。
#222
○加倉井政府委員 四十八年度の予算編成に間に合わすべく資料等をいただきまして、またその前から御連絡等もいただいておりましたけれども、地域的な特性等の条件その他に関する資料が若干不足をいたしておった、かような結果によりまして、四十八年度の予算要求には間に合わなかった、かように理解いたしております。
#223
○中村(重)委員 まあ、それがまともな答弁でしょう。間に合わなかったのです。四十九年度にはこの申請が出るはずですから、十分書類を、県のほうへ指示して具備されて、そしてその必要をお認めになれば、それを認めていく、そういう態度でなければ私はいけないと思います。ですから、最後の御答弁がまともな答弁であると理解をいたしまして、この点に対しましては、これ以上申し上げません。
 次に、私がもう何年来要求をしてまいりましたものが、まだ日の目を見ていない問題、先ほどの公務傷害の問題と関連をいたすわけでございますが、原爆によってなくなられた、あるいは焼夷弾によって殉職をされました警防団員、あるいは医療従事者という関係の人たちが、七万円の見舞金と申しましょうか、弔慰金と申しましょうか、それだけのわずかな金額を支給されて、靖国神社に合祀されておるわけでございますが、これに対しましては今日に至るまで軍人軍属と同様の扱いを受けていない。これは私は不合理であると考えているわけであります。この点に対して、どのようにお考えになるか。
 もう少し詳しく申し上げますが、実は警防国の方々は、軍人軍属と同じような扱いを受けております動員学徒という方々、あるいは徴用工、このような人たちを指導してきたのです。警防団員というのは常勤であったわけです。家にも帰ることはできませんでした。学校であるとか詰め所であるとか、そういったところに寝泊まりをいたしまして指導に当たり、あるいはみずから防火に関係をいたします行動を展開をしておられた方々であります。ところが、原爆によりまして生命をなくされました。これらの警防団員の方々が全国で二千六百十二名、これは焼夷弾攻撃によってたっとい生命を失われた方々も実は入るのであります。このような方々に対しましては、軍人軍属あるいは徴用工、動員学徒と同一の取り扱いをしてもらいたいというたっての要請かありますが、今日に至りますまで、まだ日の目を見ません。それから長崎医大の殉職された学生の方々あるいは看護学校の方々、これらの方々も同様七万円の弔慰金を支給されているのにすぎないわけであります。これらの方々は軍人軍属あるいは徴用工、動員学徒と同じような任務を担当してまいりました方々であります。
 したがいまして、これに対しましては同等の扱いをする必要があるのだ。厚生大臣は社会労働委員会の理事として、この点は十分おわかりになっていらっしゃいます。七万円の支給の際にも、何とかしてやらなければならないということで、いろいろ御努力になったという経過も私は承知をいたしているわけであります。なかなか条件が具備しなかったというような点があったと思うのでありますけれども、その後いろいろな資料も実は出てまいっているわけでありますから、これだけはぜひひとつ軍人軍属あるいは徴用工、動員学徒と同様の取り扱いをされる必要があると思いますが、この点はいかがでございましょう。
#224
○齋藤国務大臣 お答えを申し上げます。
 警防団員の方々は戦争中、私が申し上げるまでもなく警防団令という勅令に基づいて活動をいたしておったわけでございまして、この方々は一口で申し上げますと法律的には民防空の一環として働いておったと理解をいたしております。
 ただ、そこで考えなくてはならぬことは、警防団員の中に二種類ございまして、基幹警防団員、一般警防団員、こういう二種類があったと私は理解をいたしております。そういうふうなことで基幹団員、一般団員の間には多少職務の内容等について差があったのではないか、こういうふうにも考えておるわけでございまして、私も中村委員が多年主張されているこの問題でございますから、十分理解をしておるつもりでございますが、基幹団員、一般団員というものの関係をどういうふうに理解するか、これがやはり一つの問題解決の糸口になるのではないだろうかというふうに、率直に考えております。いずれ戦傷病者援護法等の御審議も始まるでしょうか、何とか――私は前向きに考えているのです。
 ただ、これは法律的にあの当時の勅令でできておりました警防団令というのは、御承知のように、民防空の一環としてやったことは事実でございます。しかし、またその職務の内容においては、基幹団員と一般団員の区別があったはずでございます。ですから、その辺をどういうふうに理解して詰めていくことが必要であるか、その辺が一つの問題解決のかぎではなかろうか、こういうふうにいま考えておるような次第でございます。
#225
○中村(重)委員 いずれにいたしましても、警防団員の方々が任意でやっておったのではない。命令によって活動をしておったという事実は、間違いない。そしてその指導を受けておった方々は、総動員法に基づいて徴用され、あるいは動員学徒といったような形において、殉職をする形になってまいりました。これらの方々は、この対象とされたわけですね。警防団員は同じように命令によって行動をいたしておりました。そしてこれらの動員学徒等を指導してきたわけであります。命令によりまして、自宅に帰ることもできませんでした。命令によって、あるときは学校へ、あるときは詰め所へ、この方々は犠牲的に国難に殉じたということが私はいえると思います。これらの方々は焼夷弾攻撃によって、あるいは原爆によって生命を落とされました。
 いま大臣がお答えになりました基幹とか一般とかいうのは、どういうことを意味するのかよく理解できないわけでありますけれども、いずれにいたしましても、ただいま私が申し上げましたような方々が警防団員として二千六百数十名、これはやはり国が無視できないとして七万円の弔慰金をお出しになったわけであります。金額が七万円である、あるいは金額が百万円である、二百万円であるという、その額の問題ではないと思います。国民が納めた税金を弔慰金という形でお出しになったことだけは間違いございません。ならば、実態がどうであったのかということを十分把握をいたしまして、これに対して軍人や軍属、動員学徒、徴用工と同じような扱いをされる必要があるということを申し上げるわけであります。
 長崎医大の学生の問題もしかりであります。徴用されておりました。しかし御承知のとおり、医者はどんどん第一線に召集されてまいりました。そして米軍の攻撃は非常にきびしくなってまいりました。それだけ犠牲者がたいへん出てくることになりました。だからこれは放置できない、医者の卵を工場等で働かせておくことはいけないのだということで、大学に戻しまして、速成教育をやったわけであります。編成をいたしまして、ただ学校でそうした医療に対するところの勉強をさせるだけではなくて、焼夷弾攻撃を受けたような場合は、班組織によって遠隔の地まで出動して救護作業に当たってまいりました。
 これらのこと等々考えてみますと、夏休みを返上したということよりも、勅令によって夏休みはもう与えられないで、そういう速成教育を受けておった。そのことを考えますならば、長崎医大の学生あるいはその他もあろうかと思うのでありますけれども、これに対して動員学徒と同じような扱いをされる必要が当然あるのではないだろうか。これに対しまして、事務当局は、教室に学生が入っておったか、入っていなかったかということが問題です、こう言うわけです。
 ところが、大臣もお聞きになって御承知になっていらっしゃると思うのでありますけれども、原子爆弾が投下されました際は、軍の間違いで警戒警報を発令したわけです。このこと自体が軍のたいへんな間違いを起こしたのであります。教室に入っておったか、あるいは外におったのか、これはすべて殉職をしてしまいましたから、わかりません。このことに対して、事務当局のほうは、勉強しておったのか、あるいは外におって待機をしておったのかわかりませんと。それに対しまして、さすがに政治家である当時の園田厚生大臣は、私がこの問題を取り上げました際に「なくなった瞬間に従事しておろうが、勉強しておろうが、そういう業務に従事しておったということは事実であると思います。したがいまして、精神は総動員法に基づいてやるべきであるが、規定以外にいまのような措置をしたものであると考えておりまするが、この問題についてはなお意見等がありますから、もう一ぺん研究してみたいと思います。」という答弁がなされております。
 なくなられた斎藤厚生大臣も大体園田元大臣と同じような答弁、もっと前進した答弁がなされているわけであります。戦傷病者等援護法により、防空監視員は軍属と同じくした、公務で死傷した者を援護法の対象とすべく検討中である、原爆に限定しない、公務従事中による死傷者全部を含めるのだ、こうしたことをお答えになっている。私の、長崎医大の学生の問題あるいは警防団員の問題、看護学校の生徒の問題等を取り上げて、これらの人たちもそれに入るのかという問いに対しましては「そういう意味で検討をいたしたい、かようにお答えをいたしました。」と答えがなされているわけであります。
 ですから、前向きで答弁している。これに抵抗しているのは、正直に申し上げまして私は事務当局であると考えます。たいへん窮屈にものを考えていらっしゃる。それほど窮屈にものごとをお考えになるのであるならば、大体七万円の弔慰金を支給されたということ自体に問題があるのである。これは防空法に基づいて行動しておったという事実は、だれも否定する人はおりません。防空法によりますれば、当時なくなった方々に対しましては一千円でございました。それから生命を落としておられないのだけれども、その負傷の程度が非常に重いという方々に対しましては、千五百円というのがあるのです。二十一年に、この防空法は廃止されたのであります。貨幣価値から換算をいたしますと、七万円を支給されました当時の貨幣価値では約四十万円でございます。何となく、これはそのまま放置できない、こういうことで七万円の弔慰金を支給しているのであります。
 ですから、事務当局が、教室に入っておったとか、入っていないとかいったことによって、このことをせんさくされることには、私は問題がある。どういう状況に置かれても、一たん徴用されておった学生が大学に帰された。何の目的で帰され、どういうようなことをやっておったのか。速成教育をされたことも事実であります。焼夷弾攻撃を受けた。直ちに班組織によって遠いところに行って援護活動をやっておったことも事実であります。長時間の訓練をされておったことも事実であります。警戒警報発令、空襲警報発令、それに対して待機の姿勢をとっておったことも事実であります。
 ならば、これらの学生に対して、ましてや、これらの学生、徴用工、動員学徒等を教育訓練されて、自宅にも偏ることができない、詰め所におって生活をしておられたこの警防団員等の犠牲者に対して、軍人軍属、徴用工、動員学徒同等の扱いをされ、その遺族に対して遇していくということは当然ではなかろうか、私はそのように考えます。だから、ここらあたりで齋藤厚生大臣は決着をおつけになる必要がある、このように考えますが、もう一度お答えをいただきたいと思う。
#226
○齋藤国務大臣 先ほども申し上げましたように、戦傷病者等援護法は、国との関係ということを中心にして把握をいたしておるわけでございます。教室の内にあったか外にあったか、そんなことは議論にならぬ、私はこれはおっしゃるとおりだと思います。その者が、国とどういう関係にあったかということを中心にして私は考えるべきであると考えております。
 そこで、何かこの問題解決の糸口をどこかに見つけなければならぬということを考えまして、実は警防団員の中にも、これは警防団員は、あの当時警察署長の指揮命令に従って民防空に従事しておったという法律の体系の姿でございますから、何かその問題を解決する糸口として、私もちょっと申し上げたのですが、基幹団員というものがあの当時あったのです。それから一般団員というものもあったのです。こういうふうなものを頭に描きながら、その辺から問題解決の糸口を見つけなければなるまいと思って、実はいま考究中でございますということでございまして、きょうの段階は、その程度でひとつ御理解いただいて――私はうしろ向きに考えておりません。常に前向きに考えておるわけですから、先ほどお話しのありましたように、七万円の弔慰金を出したりいろいろなことをしたことは事実なんですから、国との関係において深い関係があるということは十分立証されておるわけでございますから、法体系の中で何とか決着をつける方法がないかということで現在考えているのだ、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
 将来にわたって検討するなんということを言っているのじゃないので、そういう解決の糸口を見つける道が何かないかということで、いま考えているのだ、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
#227
○中村(重)委員 それでは時間もおそくなりましたし、大臣のいまの答弁を私はすなおに理解をいたし、それを期待いたしたいと思います。
 私は、きょうはこれで一応質問を終わりたいと思います。
#228
○田川委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
    午後六時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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